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1975-12-16 第76回国会 参議院 内閣委員会、科学技術振興対策特別委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年十二月十六日(火曜日)    午前十時五十一分開会     ―――――――――――――   委員氏名    内閣委員     委員長         加藤 武徳君     理 事         世耕 政隆君     理 事         林  ゆう君     理 事         上田  哲君     理 事         片岡 勝治君                 岡田  広君                 源田  実君                 寺本 広作君                 戸塚 進也君                 中村 太郎君                 八木 一郎君                 山本茂一郎君                 秦   豊君                 藤田  進君                 森中 守義君                 太田 淳夫君                 峯山 昭範君                 河田 賢治君                 内藤  功君                 中村 利次君    科学技術振興対策特別委員     委員長         中尾 辰義君     理 事         源田  実君     理 事         中村 禎二君     理 事         杉山善太郎君     理 事         塩出 啓典君     理 事         小巻 敏雄君                 岩動 道行君                 糸山英太郎君                 大森 久司君                 高橋 誉冨君                 中山 太郎君                 永野 嚴雄君                 鍋島 直紹君                 前田佳都男君                 志苫  裕君                 竹田 現照君                 野々山一三君                 山崎  昇君                 加藤  進君                 中村 利次君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。    内閣委員会     委員長         加藤 武徳君     理 事                 世耕 政隆君                 林  ゆう君                 上田  哲君                 片岡 勝治君     委 員                 源田  実君                 寺本 広作君                 戸塚 進也君                 中村 太郎君                 八木 一郎君                 山本茂一郎君                 秦   豊君                 藤田  進君                 太田 淳夫君                 峯山 昭範君                 河田 賢治君                 内藤  功君                 中村 利次君    科学技術振興対策特別委員会     委員長         中尾 辰義君     理 事                 杉山善太郎君                 塩出 啓典君                 小巻 敏雄君     委 員                 岩動 道行君                 糸山英太郎君                 中山 太郎君                 永野 嚴雄君                 山崎  昇君                 加藤  進君    国務大臣        国 務 大 臣        (科学技術庁長        官)       佐々木義武君    政府委員        内閣官房長官  海部 俊樹君        内閣官房内閣審        議室長      渡部 周治君        科学技術庁長官        官房長      小山  実君        科学技術庁計画        局長       安尾  俊君        科学技術庁原子        力局長      生田 豊朗君        科学技術庁原子        力局次長     山野 正登君        科学技術庁原子        力局次長     半澤 治雄君    事務局側        常任委員会専門        員        首藤 俊彦君        常任委員会専門        員        菊地  拓君    説明員        科学技術庁原子        力局動力炉開発        課長       高岡 敬展君        資源エネルギー        庁長官官房原子        力産業課長    山本 幸助君        資源エネルギー        庁公益事業部開        発課長      松尾 成美君    参考人        日本原子力船開        発事業団理事長  島居辰次郎君        日本原子力船開        発事業団専務理        事        倉本 昌昭君        動力炉核燃料        開発事業団副理        事長       瀬川 正男君        動力炉核燃料        開発事業団東海        事業所処理建        設所長      中島健太郎君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○科学技術庁設置法の一部を改正する法律案(内  閣提出、衆議院送付)     ―――――――――――――   〔内閣委員長加藤武徳委員長席に着く〕
  2. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) それでは、これから内閣委員会科学技術振興対策特別委員会連合審査会を開会いたします。  私と科学技術振興対策特別委員長が交代して連合審査会会議を主宰することといたしました。  科学技術庁設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより直ちに質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  3. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 私は、本連合審査会におきまして、わが国原子力開発に関しまして、その基本理念認識について、この場をかりて若干質問をいたしたいと思います。  ついては、私は三つのポイント位置づけておるわけであります。簡潔に申し上げますが、わが国原子力開発核分裂型の開発体制である限り、行政あり方が、国民信頼合意を確保するに値する、しかも国民に対して責任を持つものでなければならないというふうに考えておるわけであります。しかして、このことはきわめて重要なポイントであるというふうに考えております。  二つ目には、国民信頼合意を確保するためには、まず安全、環境、原発――具体的には原子力発電所立地条件、これを海に引き当ててみれば原子力船の船体等々も含めて、私は私なりにこれは原発立地だと、そういうふうに位置づけておるわけであります。  さらに、この核燃料サイクル、さらにわれわれの子孫に累を及ぼしてはならない放射能の公害、こういったような柱を、やはり重要なポイントだというふうに判断をいたして、こういう基本思想、こういう柱の立て方によって私は科技特の中で勉強しておると、こういう立場であります。  以上の点については、私どもは原則的にはこの核分裂型の原子力開発については賛成をいたしておりません。しかし、総合エネルギーの中における石油問題等を含めるというと、どうしても原子力開発位置づけというものを全然無視するわけにはまいりませんので、そこで、私ども核分裂以外のエネルギー開発について、科学技術庁なり文部省なり、あるいは学術会議等がやはり科学科学して、核融合型の原子力開発する場合には、そのために必要な費用は国はやはり惜しんではならないのだ。技術的には、御承知のように、世界ではこの核分裂型ではなくて、むしろ海水から大量にやはり重水素を融合することによって、大量の核融合、そういうことが非常に進んでおります。そういうような点で、わが国ではわが国技術者あるいは学者等においても、相当に外国によらざるところの一つのものを持っておると思うのであります。ただ問題は、国が大量にこれを予算的な保証を措置するということが重大なことであろうかというふうに考えておるわけであります。これは前段申し上げたとおり、さしあたって私の基本的な理念であり、考え方でありますので、これはいま別に御答弁をいただかなくてもいいと思うのであります。  そこで、きょうは内閣から政務担当海部長官に来ていただいておりますので、しかも午前中であって、私は多くを副長官に求めておりませんので、もし他の委員の中でやはり海部長官に関連でもいいが、あるいは単独でもようございまするから、そういう含みで、私は簡潔に海部長官質問をいたします。  海部長官、実は三月の十八日ですね、ことしの三月十八日、流れをさかのぼってみるというと、原子力行政懇閣議決定で発足したのは、具体的には二月二十五日になっております。それから、行政懇の第一回の会合が三月十八日ということになっております。そういう中で、十四名の委員が任命されておりまして、この中で今日的には有沢機関と言われておりまするけれども有沢巳先生座長になっておられる。そういう経過を踏んまえて、あなたには三月二十八日の科学技術振興対策特別委員会に来ていただいたわけであります。そういう歴史の中で、私はそのときにこういうことをあなたにお尋ね申し上げておきました。  この原子力行政懇談会あり方は、法律に基づく基づかないは別として、わが国資源エネルギーのそういう方向づけの中から、内閣総理大臣の、言うならば三木内閣の非常な重要な一つの直接的な諮問機関として、やはり位置づけられておるんだ、したがって原子力行政懇談会あり方、そしてその重要性あるいはエネルギー及び原子力の全般の流れの中における行政としての果たすべき役割り等について、一応基本認識それなりにお伺いした。その点について、これは御記憶があると思いますが、そういう記憶を一応よみがえらしてもらいまして、私が今日的にあなたに来ていただいて聞きたいのは、次元は若干違いまするけれども、やはり法律によるよらないにかかわらず、過般のスト権ストの問題について専門懇というものが開かれております。それと対比して、それと同等もしくはそれ以上に、「むつ」が放射線漏れを起こして、日本原子力開発そのものが大きな行政上の欠陥と開発体制に不備を来しておる。それが象徴的に噴き出したのが原子力船むつ」の放射線漏れであり、漂流であります。そういうことにかんがみまして、日本原子力行政、特に核分裂型の開発に関する限りはこれを総洗いをしようと、そういう一つ要望の中からこの原子力行政懇談会が生まれておるわけであります。  これが具体的には二月二十五日に発足しておるわけでありまするけれども、回数をずっと重ねておられるはずでありまするが、私どもが当時予期しておりましたのは、大体七月ないしは遅くても十一月ないしはことしいっぱいには、必要であればあるだけに、この行政懇というものはあらゆる頭脳とスタッフを持って、十四名の委員が任命されておるのでありまするから、もう大体結論は出てもいいんだと、いわんや、やはり先国会から廃案という形になっておりまするけれども、この科技庁設置法の一部改正の中で、安全局設置等の問題も考慮する場合について、やはりこの辺で原子力行政懇が、次元は違いまするけれども、ストライキの問題についてはその一つの柱となるやはり専門懇が重要な意義を持ち、そして社会にもいろいろ批判もあるが評価されておる。それ以上にまさるとも劣らないこの懇談会が、遅々として機能をしていない。そういったような問題について、その現状をひとつお伺いしたい、こう思うのでありますが、ありのままずばりでいいです。私は長々と申し上げましたけれども一つ政府責任において、その点をひとつお答えをいただきたいと、こう思うのです。
  4. 海部俊樹

    政府委員海部俊樹君) 御指摘のとおり、三月に先生からこの問題に関して御質問をいただいたことをきちんと覚えておりますし、また、ただいま御指摘ありましたように、原子力行政懇談会は三月十八日から二十一回の会合をいたしまして、なるべく早く意見がまとまるように、おおむね一年以内にということを申し上げたと記憶いたしておりますが、審議を進めていただいておる最中でございます。そして原子力委員会あり方とか、安全、規制体制あり方について、いまなお論議が煮え詰まりつつある段階でございますので、なるべく早急に結論を出すように努力をしておる最中だ、こういうふうに御理解をいただきたいと思います。
  5. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 去る十二月の十二日、つい先でありますが、科技特委員会において私は資料要求をしておるわけであります。やはりあなたの補佐官である審議官にお越しをいただいたわけでありますが、その際、私は委員長にもお願いをする、そういう意図的なことで要望しておったわけでありまするが、具体的には原子力行政懇に提出された井上私案であるとか有沢私案であるとか、そのほか、やはり各委員頭脳を意図的に集約された意見書というものが、十に近い原案が出ておると思うのであります。ただ、この中で学術会議意見書であるとか、総評あるいは消費者庶民代表という、そういう感覚で出てきておる酒井委員意見書というものが出ておりますが、この時点でこの意見書を出しながら、その意見書がやはりこの懇談会の中で有機的に機能をもって消化されていない。そういうような点で、いわゆる酒井声明というものが出ておりますが、この学術会議意見書酒井委員意見書というものについては、私は入手しておりまするけれども、より専門的な問題として、たとえば、いろいろな重要な内容を知りたいと思うのであります。  具体的には、やはり井上私案であるとか、あるいはその他いろいろ具体的に、これは審議官は、これとこれとこういうような、やはりわれわれがこの会議を進行する方向の中でどうしても知りたい、しかし、その懇談会法律に基づく基づかないにかかわらず、その意見あるいは資料を出しておられる方の同意を得てぜひ資料を出してもらいたいというふうに言っておるわけでありまするが、こういう、時局非常な目まぐるしい中でありまするから、審議官からのそういうお話があったかないかは別として、そういう点についてひとつ、それは委員会で出ておるけれどもこれは出せないのだという、そういう慣行があるいはあったとしたならば、今後はやはり三木内閣のもとでは変えてもらいたい、こういうことを強く要求するものでありますが、どうでありますか。
  6. 海部俊樹

    政府委員海部俊樹君) 御指摘のように、懇談会の御意見内閣としては十分に尊重しなければならないのは御指摘のとおりだと思います。  それから、いまおっしゃいました委員私案についてでございますが、委員の御承諾を得て当委員会の御要請にこたえようと、いま審議官の方で努力をしておる最中であるということでございます。
  7. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 私は、これは平面的にとらえておりまするけれども衆議院も――参議院だけとは言いませんけれども、大体日本科学技術、ことに原子力開発問題については行政先行立法後追いというような形になっておるわけであります。裏を返して言うならば、それはやはり衆議院にも参議院にも科技特があるのであるから、やはり必要に応じて、設置法を変えるときには内閣委員会もあるのでありますから、そこが機能するように、あなたたちの勉強が足りないのだというふうの反論もあり得るかと思いまするけれども、厳密に見て、たとえば原子力委員会を代表して、原子力委員会委員長佐々木長官でありまするが、井上五郎先生代理者でありまするけれども、そういう方がやはりずっと以前に、毎日新聞で私案というような、むろんそれは井上五郎先生個人私案というものが新聞のスクープに出ておるわけでありまするから、そういうような点について、われわれが原子力船の問題についてもその他の流れの問題についても、結局立法行政の後追いになっておる。このことは、どちらがいい悪いという論議は超越して、この科学技術あるいはエネルギー問題が重要であればあるだけに、十分ひとつ政府としてもこれを意識して、意図的に留意してもらいたいということを重ねて、要望を申し上げておきます。  漸次、必要に応じて来ていただきますけれども、もう一つ申し上げておきますが、これは若干、もののついでになりまするけれども、私は、次元は違いますけれども、やはりこの原子力懇談会というものが、非常な重要な原子力行政を根本的に出直して、しかも私が前段申し上げたような、わが国核分裂型の原子力行政あるいは開発体制について、一つのものを決めておいて理解と協力を得ますというような形では、私は前へ進まないと思うのであります。どうしても、やはり科学すべきを科学して、そうしたものについて国民が心から、必要なものは必要であるから信頼合意を得るような、そういうふうにこの辺で転換をしていかないというと、日本科学の、ことに原子力開発によるエネルギー問題は、仮に総合エネルギーの問題の論議の中で六十年代にたとえば六千万キロワットだと。何年かけてもこれはなかなか、決めるだけで実際は具体的にやはり地域住民の抵抗等々を含めて進まないんだ、こういうことも付加して申し上げておきますが、これは答弁をいただかなくてもよいのでありまするけれどもスト権ストの中のやはり専門懇が重要でありますると同時に、私は、これは口が悪いようでありまするけれども、あれは背骨がひん曲がってあばら骨が一本抜けておるわけであります。今日的な原子力行政懇においても、たとえば、やはり前者においては岩井章君がそれなり意見を提示されておりまするけれどもやめておられる。そういうことと、やはりこの原子力懇談会では酒井委員意見書を出して、こういう意見書が十分しんしゃくされて、そういう方向づけの中から座長である有沢さんがやはり機関機能して、だれが見てもこれは一つの筋だというようなものを出してもらいたいということを強く要望しておきますから、その点も肝に銘じておいていただきたいと思います。これは別に返事をもらわなくてもいいのでありまするから、記録にとめておいて、将来の問題として科技特で十分煮詰めていきたいと思います。
  8. 峯山昭範

    峯山昭範君 海部長官にお伺いいたします。私も、実は原子力行政、全く素人でございます。全くその素人立場でお答えいただいて結構であります。  海部長官は、今後の原子力行政について、要するに、今後原子力問題というものは日本の将来にとってどういうふうな位置づけをされるものか、まず、どういうふうにお考えか、簡単にちょっとお答えいただきたい。
  9. 海部俊樹

    政府委員海部俊樹君) 原子力の利用は、やはり平和目的に限っていくべきだと考えておりますし、また、これは大いに利用させていただいていかないといけないという基本的な考えを私は持っております。
  10. 峯山昭範

    峯山昭範君 私も全く同じ考えでございまして、しかも石油が全くないわが国にとりましては、この間私はお隣大臣からお伺いした話ですが、十年後には六千万キロワットの原子力を予定しておったけれども、四千九百万キロワットになったと、今後の原子力行政、いろんな問題があるということで今回の法案も出てきたわけでございますが、実は、この次の私は内閣委員会で詳細に総理大臣にお伺いするということになっておりますから、きょうは簡単に海部長官に基本的な私の考えをお伝えしておきたいと思います。それで副長官答弁をいただいておきたい。といいますのは、ただいまも出てまいりましたように、この有沢機関というものに対する期待というものが物すごく大きいわけです。先日の内閣委員会におきましてもお隣佐々木長官が、これは私の発言じゃございませんでして、長官発言をまとめてみますとこういうふうな発言をしていらっしゃいます。有沢委員会原子力行政の基本的な改正案をつくっている、私たちは批判される立場にあるので意見を申し上げる立場にないと、まあそういうような意味の発言がございました。それから、原子力行政の抜本的な改正について有沢委員会では検討中ですので、その結論を待って具体的に取り組みたい、それで、早ければ十一月ごろあるいは五十一年予算をめどに一年内に結論を出したいと思って三月十八日にスタートしたと、しかし、実際はまだおくれぎみになっている。それから、原子力開発規制の問題について質問がありましたのに対して、その点についても有沢委員会で検討しておりますのでという答弁です。それから、これは安仁屋審議官、当時出ておられましたが、その人が、いつごろ意見書が出るのかと言うと、この問題についてできるだけ結論を出したい、大筋の方向を出したい、早く出したい、こういうような答弁をしています。それから開発規制の問題について、開発規制というのは、分離するという点についてはアメリカでもそういうようにやっている、したがって当然分離する方向でやるべきであると思うがどうかという大臣に対する質問に対して、この問題については私もそう思っているけれども有沢委員会の方で結論が出てからでは遅い、有沢機関から結論が出てからでは、それを法律化し予算化していくためには大分先の話になる、したがって今回の安全局設置というのは、充実すべきものは一日も早く充実しておきたい、こういうような答弁をされています。さらに、安全の問題についてダブルチェックという問題が出てまいりました。この問題についても、有沢委員会で現在検討しておりますのでと、こういうぐあいに、いま現在の日本原子力行政といいますのは、先般の「むつ」の問題が起きましてから、原子力委員会という一つ三条機関に匹敵するいわゆる八条機関というのがあるわけですね。ところが、実際は三条機関に匹敵する八条機関である原子力委員会はたな上げにして、現在はこの有沢委員会だけが動いておるという感じなんです。  そこで、私はこの有沢委員会というのは一体何だと、こういう考えを持っているわけですが、この有沢委員会に対する期待がそれだけ大きい、大きければ大きいだけに有沢委員会というものは一体何だということをはっきりさせないと、今後の行政を取り行う上では非常に問題が出てくる。この点について私は先般の委員会で副長官、こういう話をしているわけです。有沢委員会というのは、これは答弁ございましたが、私的な諮問機関である、こういうわけです。私的な諮問機関というのは一体何だと。その内閣付属機関なりあるいは総理府の付属機関であるならば、正式のきちっと法律に基づいてつくるべきじゃないか、国家行政組織法の八条にはちゃんとそのことはうたわれておる。当然そういうぐあいにすべきじゃないか、にもかかわらず私的諮問機関としたのは一体どういうわけなんだということで、このことが問題になって、きょうは実は有沢さんにこっちに来てもらいたいと私は言っておいたわけですが、おいでになっていないんです。この私的諮問機関といわゆる一般の審議会との違いについて、これは副長官、ここはよく聞いておいてほしいんですが、こういうふうになっているんですよ。正式な審議会というのは、合議機関そのものの意思が公の権威をもって公表される、一つのまとまった意見として公表されると。ところが懇談会にあっては、これは要するに有沢機関ですね。懇談会にあっては、合議機関としての意思が表明されることなく、出席者意見が表明されるにとどまる、出席者意見がただばらばらに表明されるにとどまる。しかも、その懇談会というのは出席者意見表明または意見の交換の場であるにすぎないというのが政府の公式見解です、これは。要するに、こんないいかげんな、ただ意見の交換の場であるにすぎないような、こういうような懇談会意見を国が必死になって――われわれもそうです、われわれの同僚議員でさえ皆期待しているわけです。こんなことでいいのかというのがぼくの意見なんですよ。昭和三十六年当時には、そういうような答申を期待するということが当時あったわけです。そのときに、当時の池田総理の答弁では、そういうふうな、これは非常に重要な答申をいただかなくちゃならない、重要な意見をいただかなくちゃならない、したがって、やはりそれは法律にすべきだと、私もそう思うというような答弁があります。しかし、そういうような意味の答弁をこの間から一回も私聞いていない。そういうような意味で、この点について副長官、私詳しく説明したつもりですけれどもどうお考えか、一遍お考えをお伺いしておきたい。
  11. 海部俊樹

    政府委員海部俊樹君) これは懇談会の御意見であっても政府が十分尊重しなければならぬのは当然なことだと思っております。  それから、いま原子力委員会あり方そのものにもいろいろな御意見や御批判があるやに承っておりまして、あの閣議で懇談会設置いたしますときの気持ちといたしましては、もうできるだけ各界の有識者、学識経験者から広く御意見を承って、そして、すでに八条機関としてある原子力委員会について、どうしたら国民理解と納得を得られるようなものに方向づけを持っていくことができるだろうかという意見を承りたい、こういう気持ちでおるわけでありまして、意見書が出ましたならば当然それは尊重していく、そのことは間違いございません。
  12. 峯山昭範

    峯山昭範君 副長官ね、あなたのおっしゃっているそのことが国家行政組織法に違反をしておるわけですよ。意見書なんて出るわけないんですからね、逆に言えば。行政管理庁のいまの公式見解は、さっき言ったように、そういうのをまとめるというのはおかしいと。ですから、私はちゃんとした、きちっとした、いま急にはできなくてもやはりそういうようなきちっと――その前の昭和三十六年のときにも、これは閣議決定でやっぱりつくっているわけです。そういうふうな先例もありますから、そこら辺のところについては公式に、これは国民合意を得るためにも、三条機関あるいは八条機関の組織を検討するにはそれに匹敵する権威あるものでないといかぬわけですな、言うたら。そういうような意味から、やっぱり国家行政組織を検討するわれわれの立場から言えば、そこら辺のところも政府として、これはこういうものなんだ、こういうふうな筋なんだということをぜひとも御検討していただきたい。そして、次回の内閣委員会では、正式にそこら辺のところはこう考えているんだという公式のあれができるようなあれで取り組んでいただきたい、そういうぐあいに思います。  私も関連でございますから、このくらいで終わっておきます。副長官答弁を。
  13. 海部俊樹

    政府委員海部俊樹君) 御意見を承りましたので、そのように、この次の内閣委員会にまた御質問があれば、そのときまでに前回のいま御指摘になったいろいろな、ただ単なる意見表明の交換の場であるにすぎないというような認識であるのかどうかという点等も、もう一回きちんとしておきたいと思いますが、少なくとも、私が先ほどお答え申し上げたように、そういうつもりではなくて、そこで出ます、まあ意見書という言い方がどうかと思いますが、有沢私案というものが、各委員の御意見を集約したものとしてたたき台みたいなものでまとまってその懇談会に出されておることも事実でございますし、その有沢私案について各委員がまた最終的に御意見を述べられれば、その各委員の御意見も十分尊重して一つ意見としてまとめる、それを一年ぐらいをめどにしておるということでありますので、ただ単なる意見の交換だけじゃなくて、いまたたき台も出ておるわけでありますから、そういう意味で申し上げましたので、その点だけは御理解をいただきたいと思います。
  14. 小巻敏雄

    小巻敏雄君 副長官にごく簡潔に質問をしておきたいと思います。  きょうの審査では、有沢先生初め政府懇談会に出席の方々、いま現に国民期待を集めて原子力行政の根本について見直しの検討をしておられるということですから、まあそれに関連の深い安全体制の強化という法案審議もある中で、参考人として御出席いただきたいと思ったのですけれども果たすことができていない。そこで副長官にお伺いをするんですが、この有沢委員会結論待ちというようなことで、何もかも問題の解明がいわばこの一点に集約をされておって、待たされているという関係にあるわけですね。しかし、科技庁としては、一日もなおざりにできず、今日安全規制の問題については、全国の発電所の問題あるいはいまから出発をしようとする再処理工場の問題、ここもウランテストがかなり進行して、最終段階のホットテストというようなところへ差しかかろうとしておる。「むつ」は去年の冬になって凍結された状況になって以来、いままで変わらない状況で、これも抜本的な見直しとかかわって具体的な将来の進路を決めようと、こういう関係にあるわけです。こういうことですから、今日の問題点の解明の中で、どうしても、あなたはいま総理にかわってここに出席をされて、安全審査の中で問題にされておる問題点、それに対する政府の姿勢というものをひとつ明確にされなければならぬと思うわけであります。  そこで、大山委員会が出された答申とか、これらの問題も承知しておられると思いますが、これらの提起した問題も政府懇談会の中に継承されて、抜本問題の答弁はここで出すということになっておりますので、今日の状態のどこをどのように改善をすれば、いまのプランを支え、将来への研究開発を支えるだけの安全規制方向が打ち出されるのかというポイントについてお伺いをしたい。特に、私の聞くところでは、一つ責任の所在を明確にするという、そういうあり方についてどうしようとしておるのか、もう一つは、「むつ」問題ではしなくも明らかになったように、安全審査会は基本設計だけを審査をしておって、実際稼働するところまでいきますというと、トラブルが起こっても、安全性に疑問が出ても、たとえば原子炉が欠陥炉であるというようなことが明らかになっても、そこについて審査が及んでいないというような問題もありますので、基本設計から詳細設計まで、あるいは運転のチェックまで一貫的に規制をする機能が現在の原子力行政に欠けておるんじゃないかという二つの問題があるかと思うんですけれども、この二つの問題をめぐって、いま出されておる有沢委員会をめぐる私案の意味と、これを政府がどう受けとめておるのかというようなことを話していただきたい。
  15. 海部俊樹

    政府委員海部俊樹君) 御指摘の問題につきましては、これは、いままさに懇談会委員先生方、意見を申し述べていただいておるさなかでございまして、その結論といいますか、意見が出てくるのを待って検討させていただきたいと、こう考えます。
  16. 小巻敏雄

    小巻敏雄君 それは、具体的には有沢案もあれば対案もあるという状況だということは伝え聞いておりますけれども、二つの問題が柱になっておる。一つ責任所在を明確にする問題であり、一つはいままでのばらばら行政に一貫性を与える問題である。この二つの柱については明確になっておるんじゃないですか、どうですか。
  17. 海部俊樹

    政府委員海部俊樹君) 原子力に対する国民の皆さんの信頼を確保しなきゃならぬ、そのためにおっしゃる責任体制を明らかにしなければならぬという点は、私はそのとおりだと思います。
  18. 小巻敏雄

    小巻敏雄君 そこが中心の問題になっておるということは、そのとおりだと言われたわけですが、安全チェックの一貫性の問題はどうなんですか。
  19. 海部俊樹

    政府委員海部俊樹君) それはちょっと専門的なことでありますので、科学技術庁からお答え願いたいと思いますが。
  20. 小巻敏雄

    小巻敏雄君 ちょっと待ってください。科技庁にはまた後ほどお伺いしますからね。  すでに科技庁でも、この問題について科学委員会等で聞いておるのですけれども、いまこの有沢機関で一体何を討議しておるかということについては、科技庁は被告の立場にあるので、これの内容に入って答弁することは差し控えたいというようなこともあり、そういう答弁長官はしておられますので、この問題については、どうしてもまあ参考人として有沢先生自身に来てもらって聞かなければならぬと思うのですけれども、あなたは、この政府の直属の懇談会にタッチをされて、この内容については、答弁を受けてこれを実施する責任を持ちながらタッチされてきておるんじゃないですか。
  21. 海部俊樹

    政府委員海部俊樹君) これは内閣責任でやっておりますから、答申を受けてからは、当然その責任で処理しなければならぬと思っております。
  22. 小巻敏雄

    小巻敏雄君 それでは、最後にこれだけ聞いておきましょう。  佐々木長官の説明では、政府はこれは権能のいかんにかかわらず、この懇談会結論は尊重して、これを受けて抜本的な行政上の機構にメスを入れる、場合によれば原子力委員会あり方自身について見直しの手を加えるというようなことをやる決意だということを言われているんですけれども、それは実際には答えが出るのが来年の何月になるか、それを受けてまた政治ベースで検討すれば、短くて三年、長ければどのぐらいかかるか、というようなことも言われておりますからね。どうしても必要なことは、一方ではその間に、一日もこの安全の問題はなおざりにできない現実が進行しておるわけですから、これに対する政府機関結論を受けた姿勢というものは問われるところであるわけです。長いし遅いです、三年五年というようなことは。日々に解決しなければならぬ問題がある。ここらについて、結論を受けた後の政府の実行責任についてのあなたの決意を聞いて質問を終わりたいと思います。
  23. 佐々木義武

    ○国務大臣佐々木義武君) 御質問に、私の答弁とちょっと違っているような感じもいたしますので、明確にしておきたいんですが、私は、短くて三年、何年かかるかわからぬというふうには申しません。誤解でございます。抜本的な改正ということになりますと、長ければ三年くらいかかるでしょうと。その根拠は、根本的な解決でありますれば、恐らくは規制法そのもの等を変えなければいかぬし、あるいは、場合によりましては電気事業法とか船舶安全法とか、そういう大法律の中身まで変えるということになりますとこれは大変な問題でございますと。各省の権限の調整やら、あるいはそれを整備して法律化するということになりますと大変な問題でございます、相当時間かかるでしょうと。それを、できたものを国会にかけまして、国会で御審議いただいて批准をしていただくということになりますと、これまた大変時間がかかります。で、予算化の必要がございますので、次いでまたその予算化の問題も起きましょうし、できたものがすぐそのまま発動できるかと申しますと、やはり原子力委員会の改組ということになりますと原子力委員の任免等がございましょうし、これは全部国会マターでございまして、国会で決めなきゃいかぬ事実になります。それこれ考えますと、私は相当時間がかかるんじゃないか。それで、それが行政として定着して――ここが重大なところなんでありまして、できたからすぐそれでどんどんやれるというものじゃございません。それが行政として定着して、そして行政機構として国民の納得いくような動きをするためには、やはりそれこれ全部をあわせて考えますと、抜本的な改正ということになりますとそのくらいかかるんじゃないでしょうかと、簡単なもし改革であれば予算にはかからないで済むでしょうということを申し上げたのでありまして、短くて三年、長ければいつまでたつかわからぬというような、そういう無責任答弁をしているのでございません。
  24. 小巻敏雄

    小巻敏雄君 それは後ほど続いてやりますから。  終わります。
  25. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 佐々木長官、私は、この連合審査会を通してそんなことは言わなくてもいいんじゃないか、そういうふうにも聞こえたかもしれませんけれども、要するに、私は核分裂型の原子力開発に対する私自身の基本的な理念、それから基本認識について三つのポイントを申し上げておきました。それはいま科技特の中で、将来ずっと科技特のある限り、私の生きておる限りやりますから、そういう点について基本認識ポイントとして持っておいてもらいたいと思うんです。  そこで、具体的には長官就任に当たって、非常に心臓の強い森山長官から、とにかく原子力開発に反対する者は科学技術に挑戦するものである、そう胸を張って言った森山長官の後をあなたはお引き受けになったわけでありますが、就任に当たって、私は当時の新聞でこれもいろいろと読んで得た知識でありまするけれども、昨年暮れです。ちょうど去年のいま時分であったかと思いますけれども、あなたは三木内閣のもとにおける閣僚として、三木首相に原子力行政懇談会の早期設置を強く提言をしておられるわけであります。そういう事実はありますね。当時閣内においては、安全局の新設については懇談会結論が出てからでもよいのではないかという意見が出ておった。これは私は新聞で傍受してその新聞をここに持っておりますが、でありまするから、筋論としていけば、いま小巻委員から海部長官に対してこれこれだというやりとりもありましたけれども、そういう経過があったのですかどうですか。その点について、これは私は新聞で傍受していることでありますけれども、あなた自身が――森山長官の事柄はよけいなことです。私は森山語録というものをつくっていますが、やめられたんですから死人にむち打つことはやめておきましょう。だけれども、あなたは跡を継がれてこう言っておられるわけでありますから、その点ひとつお答えいただきたいと思います。
  26. 佐々木義武

    ○国務大臣佐々木義武君) 簡略にお答えしますが、閣議の席上で、おっしゃるように、いまのような、行政改革の懇談会結論を待って、その上で安全局をつくったらどうかというような議論はございませんでした。ただ、そういう閣議の席上じゃなしに、そういう企てもあるのであれば、それができた上でやったらどうかという意見もそれは一般的にあったことは事実でございます、閣議の席上ではございませんけれども。しかし、いつぞやも申し上げましたように、この問題はなぜ急いだかと申しますと、去年のちょうど暮れ、いまころでございますが、新内閣ができまして各原子力発電を誘致しております県、建設をします県の知事さん、八県ばかりの知事さんが集まりまして懇談会を開いたこともございます。私は、この各現地の意向というものを大変実は重く考えまして、その知事さんたちはどういう意見だったかと申しますと、「むつ」の問題が発生して、地方自治体の責任者としては大変今後原子力発電等を進める上において苦しい。そこで、政府は抜本改正はまずまずとして、ともかくにも、単に口頭で責任を持って解決しますとかいうことではなしに、具体的にこうしますぞという事例をはっきりひとつ出してください、そうしませんと自分たちとしては今後なかなかこの問題を進めるに困難をいたしますという強い実は希望がございました。要望がございました。もっともなことだと思いまして、ちょうど閣議で一切緊縮財政の折から新設の行政官庁、局、部はつくらないという決定をしたばかりでございましたけれども、そのあくる日でございましたか、私は知事さん皆さんの意向を申し上げまして、こういうことでこれは新内閣としては、エネルギーの解決の問題、重要な問題でございますから、ぜひひとつ安全局というものを例外としてつくって、そうして中央の責任体制なり、あるいは安全審査の充実ということを、万全じゃないにしても、まず一歩でもひとつ充実して、そうして地方の要望にこたえるのが内閣の使命じゃなかろうかという点を何回も繰り返しまして、そうしてできたのがこの安全局でございましす。したがいまして、閣議でそういう発言があったわけでないのですけれども、しかし、真相は私が申し上げましたような、現実的に客観的な必要やむを得ざる要請の具現としてこの安全局が生まれたものだというふうに御解釈いただければ大変ありがたいと思います。
  27. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 平面的にとらえて、いまあなたのおっしゃっているそのことで安全局が悪いということではないんです。私は、基本認識とやはり理念について、何といってもやはり五つの柱が必要だと。そのトップ、その大黒柱は、言うならば広い意味の安全第一主義でいくと。そういう意味で、行政の中であるいは原子力あるいは科技特の中で、あるいはいま内閣委員会で苦悩して、やがて結論をお出しになるんでしょうけれども、この安全局に関する、そのものの新設が悪いとかいいとかというのは、安全局は、よりまし論からいけばあってしかるべきでありますし、それが有効に国民信頼合意を得るに値する、そういう名実ともに冠たる安全局というものができるかどうかという問題については、あなたもお認めになっているように、なるほど閣議の中でそういう安全局の問題をあなたが強く押し出しておられる、懇談会もあなたが森山さんの後を受けて三木内閣になってから強く進言しておられるということは、それなりに私は評価しておるのです。でありますが、筋論からいけば、いまでも問題になっておるように、また、こういう連合審査会が、本来ならば窓口は内閣委員会でありまするけれども、事の中身はやはり安全局設置に関する問題で将来に歴史の尾を引く一つの出発点になるのでありまするから私は申し上げておくのでありますが、でありまするから、私の主観といいますか、私の主張からいきますれば、当然、原子力行政の抜本的な見直しを懇談会で行い、その責任問題を明確にしてから安全局の新設の提案があって、相当なしかるべき予算というものを、こう薬張りでなくてたっぷりつけてやるということが筋論であるということを、私は今日的な時点でも主張しております。  私は、きょうは田島委員と、有沢機関のキャップである、船長ですか、有沢広巳さんと、それから向坊隆さんと青木賢一さんとを、参考人としていたんですが、どうしても御都合が悪いという形でこれはやむを得ませんのでありますが、そこで、原子力行政の抜本的な見直しを行政懇談会で行い、責任を明確にしてから安全局の新設の提案であるならば筋論として通ると、そういうふうに理解しておるわけでありまするから、この関連で行政の根本的見直しについて、なかんずく懇談会の状況、先ほど海部長官は、私の承知しておるところでは十九回であると思いまするけれども、二十回に及んでなおかつ年が暮れて延々として来年に及ぶというような、そういう経過をたどっておりまするので、これは長官と、実際この行政懇談会が発足して以来、このやはり座長有沢さんでありまするけれども、各委員それなりにありますが、委員酒井委員がやめて一人欠員になっておりまするけれども、総括してこの事務局的な役割りを、便宜的であるか、それが順序であるか別として、生田局長がやっておられるでしょう。私の言わんとするところを、ぼくら素人なんだからあなたたちは受けとめて、長官からと、それから手際よく局長からもお答えをいただきたいと、こう思うんです。
  28. 生田豊朗

    政府委員(生田豊朗君) お答え申し上げます。  事務局でございますけれども先生御承知のように、これは内閣が事務局をいたしておりますので、内閣審議室が各省庁の協力を得て庶務を行うということになっておりますので、私は内閣審議室に御協力するという立場でいろいろ仕事をさしていただいております。そういう立場で御答弁申し上げますので、お許しいただきたいと思います。  まず、先生質問のもうすでに二十回、実は二十一回でございますが、審議をしていていまだに結論が出ないではないかという御質問でございますが、詳しく御説明さしていただきたいと思いますが、実は先生御承知のように、この懇談会の発足のときに委員をお願いいたしました十四人の先生の中には、たとえば有沢先生でございますとか、田島先生、向坊先生というような原子力行政に非常に詳しい先生もいらっしゃいますが、それと同時に、一般的な学識経験においては非常にすぐれておられますが、必ずしも原子力行政の実態あるいはそれについての知識を十分にお持ち合わせでないような先生もかなり多数おられます。一方、原子力行政の機構は非常に複雑でございますので、特に専門家でない方の先生原子力行政の実態あるいは問題点を十分御理解いただきませんと、なかなか具体的な審議に入れないということがございましたので、当初一、二回の間私も御説明申し上げましたし、関係の各省庁からも原子力行政の実態あるいは問題点につきまして事務的な御説明を申し上げました。その後、各原子力関係の各界の代表の方から、それぞれ現状の説明なり、御意見を伺うということになりまして、これを数回続けたわけでございます。その中の一つといたしまして、先ほど先生からもお話がございました原子力委員長代理の井上五郎先生も御意見をお述べになりましたし、電力業界の代表あるいは原子炉メーカーの代表、さらに消費者の代表、その他各界から御意見を伺いました。全漁連とかあるいは労働組合の代表の御意見も伺ったわけでございます。そういういわゆる勉強会のようなものを相当長期間続けまして、それが九月ごろまで続いたわけでございます。ですから、何と申しますか、二十一回、もうすでに九ヵ月審議をやっておるではないかというおしかりを受けるわけでございますけれども、実際にこの具体的な案につきましての審議が始まりましたのは十月の九日だったと思いますが、第十五回に有沢先生有沢私案というものをお出しになりまして、そこから初めて具体的な審議に入ったわけでございますので、非常に長期間審議はいたしておりますけれども、具体的な内容につきましての討論と申しますか、審議と申しますか、その段階に入りましたのは十月からでございます。したがいまして、その後、有沢私案をたたき台にいたしまして、現在まで約二ヵ月でございますが、六回にわたりまして審議を行っております。  現在のところ、有沢私案に出されました問題点につきまして、それぞれの委員の方から御意見を伺っている段階でございますが、その問題点と申しますと、有沢私案をお読みになりましたので大体御承知かとも思いますが、一つは、現在一つにまとまっております原子力委員会有沢私案では二つに分けるということになっております。その私案におきましては、原子力委員会原子力規制委員会に分けるということになっておりまして、しかも、その二つに分けました委員会が有機的な関連を失わないように、原子力規制委員会委員長が同時に原子力委員会委員を兼ねるという形になっておりまして、これが有沢私案の非常に大きな特徴でございます。それが出されましたわけでございますが、ほかの委員先生から、果たしてそういう形がいいのだろうかと、もっとその二つの委員会を峻別した方がいいのでのないかという御意見もございますし、あるいは逆に、やはり委員会を二つに分けた場合にいろいろ運用上問題が出るのではないか、むしろ一つの方がいいのではないかというような反対の御意見も出ております。  それから第三は、原子力委員会あるいは規制委員会委員長でございますが、有沢私案におきましては、この委員長をどういう方にするかということについては具体的に触れませんで、委員長あり方としては、現在のように、国務大臣である科学技術庁長官委員長を兼ねます場合、あるいは別のケースといたしまして国務大臣でない一般の学識経験者が委員長になる場合というものもいろいろあるということで、それぞれにつきましてのメリットあるいはデメリットを並べまして、有沢私案では結論を出しておりません。したがいまして、その点についての議論がいろいろの御意見が出ております。  それから、三番目には事務局の問題でございまして、有沢私案におきましては新しい原子力委員会あるいは原子力規制委員会の事務局につきましては必ずしも明確な結論を出しておりませんで、原子力委員会につきましては、一般の行政事務から機能的に独立した事務局を持つべきであるという書き方になっておりますし、原子力規制委員会につきましては、その委員の手足となるべきスタッフの事務局を持つべきであるというような書き方になっておりますが、抽象的な書き方でございますので、これを具体的にどういうふうにしたらいいのかという点について、これもまたさまざまな御意見が出ております。  大体そういうところが主な問題点でございまして、実はそのほかに、この委員の方の中には、地方自治体の代表といたしまして福島県の知事と敦賀の市長と、このお二人が入っておられます。このお二人が入られました目的の一つは、特に原子力行政におきます国と地方自治体との関係につきましていろいろ御意見を伺いたいという点でございますが、その点につきましてはまだほとんど議論に入っておりません。その他公聴会でございますとか、あるいは電調審でございますとか、そういう関連いたします手続につきましてもほとんど議論に入っておりません。  そういう段階でございまして、先ほど大臣から、あるいは海部長官からも御答弁がございましたように、有沢私案をたたき台にして議論が始まりましてから約二ヵ月でございますが、ただいま申し上げましたような問題点につきまして、非常に幅の広い――幅の広いと申しますのは、そのそれぞれの委員の方の御意見の違いが大きいという意味でございますが、そういう幅の広い御意見が出されておりまして、ただいま議論をだんだん詰めていっているという段階でございます。
  29. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 すれ違いやはぐらかしてもらっちゃ困るので、私が先ほど申し上げたように三つのポイントを、意図的に私の理念として、基本認識として議論を進めておると、こう言っているのでありますが、そこで具体的な問題として、有沢私案というものはたたき台として、なるほどこれはまだ最終的に煮詰まっていないと思いますが、懇談会がある限り、発想の次元はやはり原子力開発という問題点について、行政の不備であるとか、あるいは欠陥であるとか、そういったものを、これは出直しした形で見直さなければならないのが原子力船むつ」の放射線漏れによる下北半島、太平洋上における漂流であって、いつも言うことでありますけれども、その当時、いい悪いは別として、田中総理はカナダにおったんです。カナダはかなり原子力問題についていろいろありますけれども、あなたの国ではいま原子力船が漂流しておるじゃありませんか。そのときに田中総理が帰ってきて言ったことは、これはまさに政府の政治的責任だというかっこうで、それからの経過はどういう内容か私どもはからくりはわかりませんけれども、鈴木善幸さんが青森に飛んで、杉山漁民連合会長等々を含めて、この原子力事業団であるとかなんとかというものの中から、とにかく根本的に出直そうというかっこうで、やはりこの法律に根拠あるないにかかわらず、日本総合エネルギーの中に、石油等、原子力にしても、いずれにしても、位置づけをして、それについてこれを進めるためには、原子力のやっぱりこの行政開発体制というものが、国民合意信頼を得るに価する方向にいかないというと、政財界の御協力を願いますとか、あるいは御理解を願いますという春秋の政府行政ベースの用語だけじゃだめですぞということを私は言っているわけでありまして、それで、大体あれでしょう、酒井総評副議長が意見書を出したんですが、どうもやはりこの有沢科案のたたき台の中には片りんだに――身をもってやめるためにやめたんじゃないんですよ、意見書というものは書いてあるんだから。そういうものがせめても加味されるということを期待しながらやめていっておる。その後に、たとえばいま安全と規制という問題について、現在の原子力委員会が、原子力開発の研究だとか規制とかという面で、安全という方向の面についてはやはり一つの、名前はそれが安全局であろうと規制委員会であろうと、行政的な性格を持ったところのやはり権威ある安全を目的とした、そして行政的な、公正取引委員会のような行政委員会的な性格を持った委員会をつくるべきである。これは私は中身はよく存じませんけれども有沢私案の対案として、やはり田島前原子力委員、それから向坂堯さん、それから電気労連の労働者、電気を操作して放射能を浴びながら苦労して闘っておる大体のその電気労働組合の連合会の事務局長の青木さんと、もう一人これは伏見さんとかいわれた大阪大学の教授だと思いますけれども、四名の方で大体意図的な対案ではなくて、原子力開発を少なくとも本当の正常な姿に位置づけるためにそういう一つの対案が出ているはずなんです。そういうことのポイントを、とにかく長官から、その対案は出ておるはずでありまするから、それはあったけれども、実際は対案としては出ていないんだと――だから私はこの前の科技特のとにかく委員会では、安仁屋審議官ですか、そういうものについても、これはとにかく機密だとか、それは民主公開の原則からいって、原子力開発に関する限りはどうしてもこれは出してもらうものは出していただかなければならぬのですよ。もし出せないとするならば、原子力基本法の精神に反するから、根本的に原子力基本法をやはり立法の場で変えなければならぬというまでに私はこの問題については心配しているわけであります。その辺のところをひとつ、大体いま局長の話はわかりましたけれどもポイントとして、どうも私の納得がいきませんから、長官からひとつ話してみていただきたい。
  30. 佐々木義武

    ○国務大臣佐々木義武君) 古い話になりますけれども、現在の原子局行政体制をつくったのは二十年前の私どもでございまして、その後二十年の間に、おっしゃるような研究段階からいわば実用段階に入るような大変な進歩を遂げたのでございます。たまたま「むつ」の問題等がございまして、果たしていままでのような体制でよろしいかどうかという点を、原子力基本法にうたわれています原子力委員会そのものまで含めて根本的に考えてみたらどうだろうというお話でございました。したがいまして、本来であれば、この問題は原子力委員会自体が扱うのは当然の問題でございますけれども原子力委員会まで含めて改組云々ということになりますと、これはやはり批判される側に立つ機関がみずから立案してということになりますと、これはあるいは公正を欠くようになるかもしれませんしということで、原子力委員会としては、業務は業務としてただいまどんどん進めております。先ほどのお話で、いま原子力委員会は全然何もしておらぬなんということはこれはおかしな話で、いやしくも原子力委員会の私委員長でございますから、一年間に何をやったといって答えろといえば即座に答えます。大変仕事をしております。決して休んでいるわけじゃございません。そうじゃなくて、いまの行政の問題に関しては、自分自体の機関を含めて批判されつつある新しい体制をつくろうというのでございますから、私どもが自分の意見を、その新しい立案をしている機関に任せていまして、そして自分の主義主張を述べるということになりますと、もしこれが不公正な判断の基礎になったりいたしますと、大変これは日本の将来にとって憂えるべきことだと思いまして、むしろそういう問題は、私どもとしては、井上委員長代理が私案として出したものはあるようでございますけれども原子力委員会自体として、われわれはこう考えるんだということは、少なくとも委員長としてはそれはいけないということで慎んでおるのでございまして、したがって、有沢機関で出されている各資料は私は十分承知しておりません。したがって、それをまた出す出さぬは原子力委員会の権限にあらずして、内閣懇談会自体の問題でございますので、先ほど、きのうでございましたか、おとといでございましたか、説明がございましたように、懇談会委員の皆さんの了承を得れば、その各懇談会委員資料はお出ししましょうと内閣の担当官からお答えあったようでございますので、私はその方でどう解決するか、それは私どものことではございませんからわかりませんけれども、少なくとも私ども意見といたしましては、そういう態度で終始しております。したがって、別に懇談会委員資料を出し渋るとか、あるいは出すのを妨害するとかいう意図は毛頭ございません。もし内閣懇談会委員の御意向で、出してもよろしいという御意向であるならば、恐らく内閣責任者、担当者はこれを出すでありましょうし、私どもといたしましては、それに対して直接関係持っていませんので、公開の原則に反するとか反さぬとかという問題は、私ども機関としては別に批判を受ける覚えはないというふうに考えております。
  31. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 先ほど、これはよけいな前文句だったと思いますけれども、また重要なことであります。あなた方、森山長官の後を受けて三木総理のやはり国務大臣として、科学技術担当の長官として、そういうときに間髪を入れず――あなたは大体官僚コースから、そして政治家で大臣になっておられるのですから、そういう流れと春秋の論理からいって、いみじくも私はそれを評価しますよ。原子力行政懇談会をつくってほしいと、そして安全局をつくるということについて提言をされておるでしょう。そういうことが実って、中身の評価は別の問題として、やはり発想して機能しておるわけですから、そういう段階において、本来ならば、きょうは各委員が御都合があったと思いまするけれども、私は委員部を通して、ただし科技特だけではこれは何だから、連合審査であるから、いずれにしてもまず第一に、田島委員外、申し上げたように向坂堯さんと伏見康治さんと青木賢一さんを、どうしてもこの場に来てもらって、やはり対案というものを示してもらいたいと、こういうことを言っておるわけでありまして、何かあなたは、自分は科学技術庁長官であり原子力委員会の長であるけれども、これは別なことであるからと、よけて通るように聞こえまするけれども、これは時間を食いますからいいんでありますけれども、ただ、申し上げておきますよ。私は内閣総理大臣諮問機関法律に基づくものだったらどれだけあるだろうということを勉強するために、聞いてみたら百幾つかありますよ。そのほかに、この「内閣総理大臣諮問機関法律等に基づかないもの)――該当するものなし。下記のものは参考」というかっこうで、実は法律に基づかざるものとして最も必要なものがいま原子力行政懇談会と、すでに大山答申が「むつ」問題について出ておりまするから、これは答申ができたのでありまするからまあセミの抜けがらで、これで終わったものでありますから、これは昭和五十年の五月十六日に廃止と、こうなっておりまするが、先ほど海部長官がおったときに御質問があったように、こういう重要なものは、当然法律に基づく委員会という位置づけをしていかないと、いま大体七月が十一月になり、十一月がとにかく来年になり、これはとにかくじかに借金がないんだと、ずうっとというかっこうでいくというようなことは、はなはだこれはけしからぬことだというふうに思うんであり、私ども理解は、いま基本認識理念を申し上げたように、法律に基づこうと基づくまいと、原子力開発というものを日本の大切なエネルギー代替としていくならば、安全第一で十分進めていくべきであると、そうして国民合意信頼を得るまでにいかなけりゃいかぬということを繰り返し申しておるわけでありまするから、これはもういいでありまするから、いずれ科技特の場で当事者に来てもらってその真意を承りたいと思いますが、重ねて、きょうは安仁屋審議官も来ておられますし、私の残余も零時四十三分までしか時間がありませんから先へ進めておきまするけれども答弁は要りませんけれども海部長官も、とにかくやはり三木総理の大切なふところ刀であり、補佐官でありまするから、とにかく出すべき資料は出してください。そうして、いま申し上げたような四方の、意図的な反対のための対案じゃないと思います、これらの四方は権威者であろうと思いまするから。仮にこれを原子力開発位置づけて、開発規制と二つに分けるならば、やっぱり開発を十分に進めていくということと規制ということも、安全の方がいいんですよ。そうするならば、この安全局というものが、これは結局内閣委員会でいずれ結果が出るでありましょうけれども、出たとするならば、いまの原子力委員会の事務局というものはどういうふうになっておるか知りませんけれども、この安全局、やがて公取委員会に匹敵する行政委員会として出た安全局のとにかく一つの事務的な性格を持ってくるのでのないかと、これは推定でありますが、これは重要でありまするから、そういう意味で出せる資料は御本人に聞いて出していただきたいというふうに、これはお答えをいただかなくても、そういうことを強く要望要求し、意見も含めておきますから、その点をひとつ記録に書いてもらっておりまするから、しっかりとお願いいたします。  それから次へ進みますが、これは時間がありませんが、重要なポイントで、これはちょっと圧巻のようでありまするけれども、あえて申し上げます。  開発規制と二つに分けてみても、あるいは井上私案のように一段と権能を明確にしてみても、つまるところは政策、行政というものと政治の姿勢というものが問題になる中身だと思いますよ。したがって、原子力行政を振り返ってみて、アメリカの原子力潜水艦、その中でソードフィッシュ号の佐世保港の異常放射能事件があったでしょう。それにおける原子力委員会政府の態度、科学技術庁のこれは過去のことでありますけれども、会計紊乱事件等もあったでありましょう。それから、日本分析化学のデータ捏造事件もありました。また相次ぐ汚職事件など、また「むつ」問題や原子力開発の不正常な状況など、共通して言えることは、公開、自主、民主の三つの原則不在、そして大企業の方に顔を向けた行政の姿勢にこれは問題があるというふうに私は見ております。で、これから先々も国民の安全を二の次にして、企業の利益を優先するような開発は、日本の本当の省資源、そして日本の食糧問題とかエネルギー問題が大きな政治課題として評価されておられる時点においては十分考えてもらいたい。安全局をつくる責任体制は明確にしてあるから大丈夫である、安全局が今度できると、こういう体制ができたからもう安全は大丈夫だということには、それはどの立場に立っても言い切れるものじゃないと思いまするが、この点について原子力行政を振り返ってみて、いろいろな事件があったということを思い返してみて、ただし、今日的な時点では、内閣委員会先国会以来、とにかく廃案になったけれども、再び若干の予算が関連をしてついてきておる法案でありますから、この安全局というものがどう機能していくかということを含めて簡潔にひとつお答えいただきたいと、こう思うのです。あとどういうことがあった、こういうことがあったということの弁解は要りませんけれども、あったことは事実として、やはり私は将来のためにこれはポイントとして記録しておきたいと、こう思うのです。これは長官からお答えいただきたいと思います。
  32. 佐々木義武

    ○国務大臣佐々木義武君) 原子力局を分けまして、二つの原子力局と安全局に分けました理由は、しばしば申し上げましたように、現在より一層安全審査、検査に対する責任を明確化し、かつ内容を充実するということで、とりあえずの、措置といたしましてこういう安全局の新設をいたすようにお願いをしております。ただし、抜本的な改正をやった場合に、どういう抜本的な改正になるかまだいまのところわかりませんので、そういう際にはこの安全局はその抜本改正の邪魔になるようでありますと、これは大変将来に禍根を残すわけでございますけれども、しかし、いままで内閣懇談会で御審議になっている最中にこの安全局が国会の御審議を受けているのでございますから、それは大変ディスターブしているのだと、前進じゃなくてディスターブするのだということでありますれば、これはもちろん撤回する方がよろしいと思います。しかしそういうことは全然ございません。むしろ、一刻も早く充実してくださいと、その方が今後のためだという御意見こそあれ、そういうものは今後の機構整備の上において非常に邪魔になるという話は一つもございませんので、私はやはりこの際、一刻も早くこういう安全局のような機構をつくりまして、そして責任体制の明確化と内容の充実を図っていくべきじゃなかろうかと。繰り返して申し上げましたように、この機関は単に軽水炉の安全そのものばかり見るのじゃなくて、核防条約、大変また問題になってきておりますが、核防条約を仮に批准したときに、その査察をいままでの国連機関じゃなくて、日本機関で自主的にやるようになりますので、そういう点も整備する、どこでやるかといいますと、この安全局以外にないのでございます。あるいはフィジカルプロジェクトと称して最近非常に問題になっておりますプルトニウムとか、濃縮ウランがもし盗難等で治安撹乱等に使われた場合に一体どうなんだと、だれが一体それを見守っていくのだと、これは国が多元的にそんなものを見ないと困るぞと、一本でこれを見ていなさいということは、これは参議院内閣委員会でも繰り返し繰り返し御議論のあったところでございまして、それをどこでやるかと。いまあるかと言いますと、安全局を強化いたしましてそういう機能を持たす以外にないのでございまして、そういう点を考えますと、私は決して軽水炉の安全の問題だけじゃなしに、発電炉の問題だけでなしに、いろいろ諸問題もありますから、あわせてこの際安全局というものをつくって充実したらどうだと、こういう趣旨でございますので、御理解いただければ大変ありがたいと存じます。
  33. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 時間がありませんので先に進みまするけれども、ずばり申し上げまして、開発規制といいますか、まあ安全というものに二つのスタッフをつくってみても、現在の原子力委員会と、そしてそのもとにおけるやはり安全局ですか、そのスタッフが、人員構成からいって、ある一定の関係の方々がおられると思います。そして、安全局ができれば、その原子力局から安全局というものができて、そしていろいろと人事の入れかえはあろうと思いまするけれども、それが外の側から見て、形式的には安全局ができたといっても、結局これは中間的な存在なんですよ。なぜかならば、本当にその原子力行政懇談会法律的な根拠を持とうと持つまいと、必要に応じて存在をしておるのでありまするから、やはり有沢私案はたたき台であっても、またその対案であるところの田島先生以下の対案があっても、いずれ時間をかけて結論が出た場合については、やはりそういうことを展望の上で、ごく最近の将来を考えてみるならば、いまの安全局というものは、これは古くして新しい言葉で、やはり急がば回れという論理からいっても、急ぐために急がなくてもいいんだという私の意見でありますが、これはお答えいただかなくてもいいのであります。  そこで、先へ進みます、あと時間も幾らもありませんから。これは紋切り型でありまするけれども、実は私は百二十分という用意をしておりまするけれども、三分の一にも及びませんけれども、重要なポイントでありまして、私はこの点について大体私の持ち時間が終わると思いますけれども、私は新潟県地方区選出でありますが、柏崎の刈羽、柏崎の二つの市・村にわたるこの原発の問題についてでありますが、やっぱり私はこれを見て重要なことだと思いますので、ひとつ申し上げておきますが、柏崎原発計画安全審査について、これは、実はやめられました原子力委員会の常任的な役割りを持っておりました山田太三郎委員がが、窓口ではなかったのでありまするけれども、二十名の代表が来て、この考え方である、われわれは、これをぶっつけるという形ではなくて、まあ原子力問題に関心を持つすべての全国の反対体制の中で、少なくとも、その原子力発電所の立地の地盤が劣悪である、地震予知地帯になっておるのだ、であるからこの点について宣言するんだというかっこうで持ってきておるのでありますから、私はこれを読み上げておきます。   原子力委員会、原子炉安全専門審査会は、五月二十三日、「第一二〇部会」(柏崎部会)を設置した。   かつて、「電気が不足するから原子力発電所が必要である。」「原子力発電は、石油火力発電に比較して安価であり経済的である。」「原子力発電は実用段階であり、絶対に安全である。」と宣伝され、原発建設は国策であるといわれていた。   しかし、現在、全国各地の原子力発電所は、事故や故障続きでまともに運転されていない。このことは、昭和四十九年度の各原発の稼動率がきわめて悪いことが何よりもよく示している。(関西電力美浜原発-一三%、東京電力福島原発一号-二六%、日本原子力発電敦賀原発-四八%以上電気事業連合会発表)さらに、軽水炉型原発共通の致命的欠陥がますます明らかになってきている。すなわち、沸騰水型(BWR)は、一次冷却水のバイパス回路や緊急炉心冷却装置(ECCS)の応力腐蝕割れと、大出力化にともない顕著になる原子炉々心の燃料集合体の破損である。   また、加圧水型原発(PWR)は、装置に減肉現象や穴あき現象を起し、すべて運転を停止している。さらに美浜二号原発(PWR)では、福島二号原発(BWR)同様、燃料棒の曲がりや破損事故が起き停止している。   このように、原子力発電所の安全性や経済性はすべて破綻している。   また、高度経済成長政策の失敗の手直しのため、原子力発電所建設の必要性も緊急性をなくしている。   さらに、原子力船むつ〃は、国の原子力行政の無責任さを余すところなく全国民の前に晒し続けている。   重要なことは、原子力発電所原子力船も、いずれも原子力委員会や原子炉安全専門審査委員会が安全であると判断を下しているにもかかわらず、事故や故障が起きていることである。   このことは、原子力委員会や原子炉安全専門審査委員会がいかに無能力、無責任であるかを如実に示している。   柏崎では、昨年来から、原発予定地の地盤が劣悪であること、東京電力が数値をねつ造し、また、資料の書き換えをしていることが暴露されている。東京電力はこれまで五回にわたって炉心位置を変更している。しかも最後の炉心位置の変更は、昨年七月四日に強行された電源開発調整審議会の認可後になされている。すなわち、電源開発調整審議会決定の後に安全審査がされることが原発建設の順序ならば、未だ柏崎原発計画は電源開発調整審議会の決定すらされておらず、形式的にも安全審査は始められないものである。   いま、原子力委員会や原子炉安全専門審査会がなすべきことは、これまで行なってきたことの責任をとることであり、断じて計画を進めることではない。具体的には、現在起きている各地の原発の事故の原因を明らかにすべきである。実用炉であるならば、運転実績を全国民の前に示すことである。これが国民に対する責任である。決っして事故の原因をあいまいにして計画を先に進めるべきでない。   このことをなくして、原子力委員会、安全専門審査会の第一二〇部会は、柏崎原発計画の安全審査をする資格はないし、また、能力もないものと断言する。   我々は、計画を進めるための公聴会開催を認めない。   我々は、柏崎原発計画の安全審査の無効を宣言する。 と、こういうふうに、これは一九七五年六月二十五日付でありまするが、「原発反対 柏崎・刈羽守る会連合」、これは、柏崎というのは柏崎市であります。刈羽というのは刈羽村でありますが、これは市と村にまたがっておる連合体の中で、原発反対同盟でいろいろ名前がついておりますけれども、十一団体でこれが構成されておるわけであります。「柏崎原発反対同盟代表」云々ということで、これは山田太三郎委員原子力委員会の常任的な立場におられたときに、二十名の代表がこれを、とにかく受ける受けないの論議は別として、こういう事実があるということと、なぜ私がこの時点で――まあ時間がありませんから申し上げておきまするというと、本当にみんな、たとえば森山長官が胸を張って、原子力開発は国策である、原子力開発に反対するものは科学に挑戦するものであると言ってみても、既成事実はまごう方なくあるということで、さらに私は申し添えておきますが、たとえばあの四国電力の伊方の一号炉においては、やはり何か金属の巻尺で試運転中に故障があったということ、それとは別に二号炉、一号炉、そういうような問題について民主、自主、公開の原則の中で、何々を出してもらいたいというかっこうで行政訴訟を起こし、地裁、高裁でもこれは出しなさいというかっこうと、そして、これは廃止してくれということについて、来年の一月、高等裁判所は現地調査をするということになっておりまするが、柏崎の場合は、安全というものについて、あれは本当に石油やガスがたくさん出ておる地属で非常に複雑でありまするので、これはあなたの方でも相当に重視をしていただかないと、これは非常に、後から行政訴訟というものが敢然として起きてくる。全国的に見て、原発立地の中で地盤が劣悪である、しかもそのことは重要である。柏崎かいわいにおいては、これは田中さんにも関係のある問題であります。実際において、いま一号炉百十万キロワットだけではなくて、八基八百八十万キロワットという集中的な、日本に冠たる原子力発電所が充足されておるのでありまするから、一号炉だけを何とかかんとかして、とにかく位置づけたということだけでは済まされない重大な問題でありまするので、あれを思いこれを思い、非常に私は重大だということを言って、きょうはこれで終わって、あとは科技特に譲ります。  いずれにいたしましても、いまの問題について、非常にあれでしょう。これはだれが書いたかということについては、本当に学者がだれも書いたものでもないですよ。この地域住民の、五つの団体の人たちが身にちなんで切々と、図書館に通い、大学の先生意見などを聞いて、ある事実に即してこういう――その出し力がどうあろうと、意見書であろうと宣言であろうと、これはやはり科学技術庁の中では、ことに安全局ができるというそういう展望の中では、十分ひとつ留意してもらいたいということで、私はこれに関する関連の若干の答弁をいただきたいということと、それから、これは蛇足ではありませんが、改めて質問いたしまするけれども、私の三つの意見の中に、十分な国家予算を動員しても、科学技術庁と文部省、あるいは学術会議の知能を動員しての核融合開発会議についてはいまどういうぐあいになっておるんだと。そういうことを私は新聞で見ておるんですけれども、やはりまいた種は成長するのでありますから、そういうものも簡潔に答えていただきたい。  私はこれで質問を終わりますから、どうか二点について答えてください。
  34. 生田豊朗

    政府委員(生田豊朗君) まず第一点の、柏崎の原子力発電所設置許可申請につきましてでございますが、先生のおっしゃいましたようなことで申請が出されておりまして、現在安全専門審査会の第百二十部会におきまして安全審査中でございます。特に御指摘の地盤の問題でございますが、これは非常に重要な問題でございますので、私どもも地盤関係の審査に非常に重点を置きまして、この百二十部会の中に三つのグループを設けておりますが、そのCグループを地盤地震関係を専門に担当するグループということにいたしまして、地盤地震関係の専門家を集めまして審査を行っております。審査の主要な点といたしましては、まず第一に、炉心を置きます予定地の岩盤が地震の起きたときを考えましても原子炉を十分に支えるだけの強さがあるかどうかという点が一点。それから第二に、その敷地及び敷地周辺の地形あるいは地質の構造上から見まして、山津波とか地すべり、そういう被害が発生するおそれがあるかないかという点が第二点。それから第三点は、地層の状態から見まして敷地に影響を及ぼすような断層があるかどうか。これは、断層の問題が先生御承知のように提示されておりますので、この断層の問題を審査する。この三点が主な点でございますが、かような次第でございまして、特に地盤問題は最大の問題かと思いますので、重点を置きましていま入念に審査をいたしております。  それから、第二点の御質問核融合でございますけれども、特にわが国におきまして将来のエネルギーとして核融合が非常に重要であるという認識につきましては、私ども先生の御指摘と全く同じでございます。核融合はまだ世界的に実験段階でございますので、わが国におきましても、原子力研究所だけではございませんで各大学でそれぞれ研究を続けております。これから次第に大きな試験設備の建設に取りかかるわけでございますが、特に原子力研究所が行っておりますトカマク型の核融合の研究開発と、その他各大学で行っております研究開発、これをそれぞれ、てんでんばらばらに行われませんように、十分連絡調整をいたしまして研究開発が行われますように考えまして、原子力委員会核融合会議というものを設けまして、これは私どもと文部省とで協力しましてその庶務をいたすわけでございますが、原子力研究所のほかに、関係の各大学の先生あるいは各界の研究者、専門家を集めまして、先般第一回の会合をいたしました。今後適時開催いたしまして、特にわが国におきます核融合の連絡調整、総合的な研究開発の推進というのを、その会議を使いまして進めてまいりたい、かように考えております。
  35. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 長官何とか言ってくださいよ。それは局長が言っても、長官が当然あれでしょう。
  36. 佐々木義武

    ○国務大臣佐々木義武君) ただいまの柏崎の審査の状況並びに核融合の研究段階の進め方、進捗状況等に関しましては、ただいま局長からお話しのとおりでございます。
  37. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 終わります。
  38. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 午前の審査はこの程度にいたしまして休憩いたし、午後は一時十分に再開いたします。午後零時二十七分休憩      ―――――・―――――    午後一時十八分開会   〔科学技術振興対策特別委員長中尾辰義委員長席に着く〕
  39. 中尾辰義

    委員長代理(中尾辰義君) ただいまから、内閣委員会科学技術振興対策特別委員会連合審査会を再開いたします。  午後の連合審査会会議は私が主宰をいたします。  休憩前に引き続き、科学技術庁設置法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  40. 源田実

    源田実君 何分にも素人でございますので、的外れの質問がちょいちょい出るかと思いますが、そういうときはよろしくひとつ御教示をお願いしたいと思います。  まずエネルギー問題。人類が当面しておる核戦争とまたエネルギー問題。核戦争は人間の努力で防ぐことができます。しかしながら、エネルギー問題は、努力してもあるいは解決できないかもしれないという不安があると思います。そこでエネルギーの今後の需給、供給構造についてお伺いしたいと思うんですが、それはここ二年や三年の問題ではどうにもならないので長期的な約三十年ぐらい、十年から三十年ぐらいの見当にわたって、エネルギーの供給構造がどういうぐあいに変化していくか、この問題についてお伺いしたいと思うんです。それで、時間の節約のために、知っとることをわざわざお聞きするようなことはなるたけ避けたいと思います。したがって、ここで私が申し上げますが、実は五十年の七月二十四日付の科学技術会議エネルギー科学技術部会、これの報告にあります、この「要約」の中で、第七表技術水準というのがありますが、そこの中で一九八五年の供給の構造が、総計一億五百万キロリッターのところが、そのうちの約半分が原子力利用技術ということになり、それから紀元二〇〇〇年には二億キロリッターのところの半分がやっぱり原子力に依存する、こういうぐあいになっております。この問題はこのまま解釈して、そのまま、少しの変化はあるとしても大体こんなかっこうに行くものと理解していいものでしょうか、これひとつ。
  41. 安尾俊

    政府委員(安尾俊君) ただいま先生の御指摘ございました技術水準目標は、これは科学技術会議エネルギー技術部会がことしの夏、まあ一応今後の研究開発の目標としてつくったものでございまして、これは技術のシステムの確立、いわゆるトータルシステム的な考えでやっておりまして、エネルギーの需給関係につましては、単に技術面だけではなくていろいろの面もございますが、一応現在の技術を見、今後努力すればこれだけの技術開発ができると、こういう目標でございます。
  42. 源田実

    源田実君 大体そういうところだろうと思うんです。今後の十年後あるいは紀元二〇〇〇年のときに、いまのままの社会の成長率を続けたら大体幾らのエネルギーが必要であるというような見通しについているわけですね。――あのね、総量でなくてもいいんです。私が求めるところはこの比率が知りたいんです、一番大きな問題は。
  43. 安尾俊

    政府委員(安尾俊君) 技術面からいたしますと、先ほど先生が御指摘ございましたように、一九八五年の段階におきましては、総エネルギーといたしまして、石油換算でございますが、一億五百万キロリットルのものに対しまして、原子力が最も多く約八千万キロリットル相当になります。続きまして、依然として石炭利用、これは新しい技術でございますが、それによって千四百万キロリットルというものがまあ供給に貢献し得る技術水準の目標となっております。なお二〇〇〇年になりますと、先ほどの御指摘のとおり総エネルギーの供給量に貢献し得る技術水準目標といたしましては、二億四百万キロリットルに対しまして原子力が一億五千万キロリットル、それから続きまして、石炭のガス化、液化等の新利用技術によりまして石油換算で二千八百万キロリットル、こういうふうなことになっております。なおそのほかに、二〇〇〇年代になりますと、地熱利用技術等によりましても約千六百万キロリットルのものが供給し得るであろう、こういうふうな目標になっております。
  44. 源田実

    源田実君 結局、原子力がほとんど半分以上、四分の三ぐらいまで占めるという予想でございますが、その原子力のもとになるウランが、実はたしか地球上のいま自由圏で持っておる確認埋蔵量が百九十万トンか何かという書類――さっき持っておったんだけれども、どこへ行ったかわからぬ。そういうようなぐあいに覚えておるんですが、大体そのくらいに見当つけていいんですか、確認埋蔵量、ウラン。
  45. 生田豊朗

    政府委員(生田豊朗君) 埋蔵量でございますけれども、価格がどのくらいであるかによりまして違ってまいります。つまり鉱石の価格をかなり高く見込みますと、それだけ開発可能の鉱量がふえてくるわけでございますので、価格と埋蔵量とはある程度関数関係になるわけでございますけれども、一応現在のところの調査といたしまして一ポンド十ドル以下で採掘できる確認埋蔵量、これが約百二十万ショートトンということになっております。
  46. 源田実

    源田実君 そうすると、八五年ないし二〇〇〇年ごろのこれだけのエネルギー原子力で供給するとなると、そのもとになるウランの原鉱においていまのままでは不足するんじゃないかと考えるんですが、それは何かほかに手があるんですか。
  47. 生田豊朗

    政府委員(生田豊朗君) ただいまも申し上げましたように、一ポンド十ドル以下で採掘できる確認埋蔵量が約百二十万ショートトンでございます。それに対しまして、自由世界の一九八五年までの累積需要量が約九十万ショートトンということでございますので、まだ若干余裕はございます。  それからもう一点は、今後の天然ウランの価格の見通しでございますけれども、もうすでに十ドルは超えておりまして、今後二十ドルあるいは三十ドルになるだろうということが予想されておりますので、それに伴いまして確認埋蔵量がかなりふえてまいるかと思います。たとえば海底には相当のウランの埋蔵があるということが専門家の間で確認されておりますので、海底の鉱物資源の開発ができますと、これはかなり埋蔵量としてもふえてまいるかと考えております。それからもう一つは、現在まだ研究開発の初期の段階でございますが、海水の中に入っておりますウランを採取するということをわが国でも研究を開始しておりますので、そういう方法も別途ございます。
  48. 源田実

    源田実君 そうすると、もしファーストブリーダーが、これが実用に供されて、燃料が非常に有効に使えるという場合には、いままでの確認埋蔵量を何倍ぐらいに考えればいいという予想ですか、とにかく何倍に燃料が使えるかと、在来の炉に比べて。
  49. 生田豊朗

    政府委員(生田豊朗君) ただいま現在の軽水炉を前提にして御説明申し上げたわけでございますが、ただいま先生指摘の高速増殖炉が実用化段階に入りますと、ごく簡単に申しますと、新しいウラン資源が発見されなくても、そのプルトニウムで循環させますことによりまして資源的には天然ウラン資源の制約から解放されるということでございますので、何倍と申しますよりも、高速増殖炉の実用化段階に入りました後は、ウラン資源の埋蔵量と原子力の利用の規模との関連は、その資源の側からの制約がなくなるというふうに考えてよろしいかと思います。
  50. 源田実

    源田実君 制約がなくなるということは、結局心配要らぬと、こういう意味ですね。  そうすると、ここでちょっとお伺いしたいんですが、それはこの中にほかの要素として地熱の利用技術、太陽エネルギーの利用技術、まあ石炭や天然ガスはいままでわかっておるわけです。しかし、これはほんのわずかなものである。石炭はちょっとある。しかしながら、この石炭は新しい使い方があると。ところが私、ちょっとここでお聞きしたいのは、地熱の利用、これはいままで学者とか偉い人がいろいろこういうぐあいに使えると言っておるんですが、本当にそれをやって差し支えないものであるかどうか。これは私はどういうことを言いたいかというと、これでよかろうといって実行に移してみると、いろんな点にぐあいの悪いところが出てきて、やれ賠償はどうやってくれるんだ、公害問題どう処理してくれるんだと、予想しなかった問題が起きる。ところが、この地熱の利用で私が言いたいことは、日本は火山国で温泉が非常に多いんですが、非常に深いところから掘られるらしいんだが、そういうことをやった場合に日本の温泉に影響はないのかと。たとえば別府なら別府、まあいまごろ大分沸かしておるけれども、別府なんかは余り沸かしていないですね。沸かすにしてもエネルギーが要る。しかし、別府なら別府の温泉がこの地熱発電を利用したために湯の温度が下がるとか、湯が出なくなったというようなことに対しては、見通しはどういうぐあいになっておるか、それについては、そんなことはないんだと、したがって、全国の温泉旅館が共同して国家に対してわれわれの生活をどうやってくれるんだと言って抗議を申し込むようなことは、これだけの発電をやってもそういう問題は全然起きないというような、そういう見通しはついておりますか、どうです。
  51. 安尾俊

    政府委員(安尾俊君) ただいまの先生の御質問でございますが、これは地殻内におきます温泉の水脈の連結状態等でいろいろ変わるかと思います。恐らくそういう地熱発電をするようなところでは、事前にそういう点を調査の上設置されると、こういうふうに考える次第でございますが、なお、温泉への影響だけでなくて、地熱発電所をつくりますと、建設に伴いまして樹木を伐採して環境、自然景観を破壊するとか、あるいは熱水あるいは蒸気中に重金属が含まれているとか、あるいは硫化水素が含まれて大気汚染を起こすとか、あるいは排水に重金属あるいは酸性等の濃いものがございまして、周りの植物に被害を与えると、そういうふうないろいろな問題がございますので、そういう点も含めまして地熱発電の場合は慎重に建設を考えなければいけない、こういうふうに考えております。
  52. 源田実

    源田実君 この問題は、実はそういうことをやってみてから、いままで予想しないような障害が出てきて、それで計画はいつもとんざすると。いまの原子力発電の方もやっぱりそういうところじゃないかと思います。しかし、これは地熱の方はいま言ったようなことでしょう。ところが、通産省でやっておられる海水からウランを採取をするというその問題のときに、あの書類を見ますと、黒潮を利用する、それから鳴門海峡の潮を利用するとか、そういうことはまあやらなければいけないと思うのですよ。ところが、鳴門海峡の潮を利用した場合に、あの瀬戸内海あたりのタイは非常においしい。それから潮が早いものだから魚が非常においしい、それでたくさんの漁民が生活しておる。ところが、もし鳴門海峡にある手段を加えた場合に、彼らの回遊路が変わってくる。そうすると、あの内海から土佐沖、紀州沖、この一帯にかけた漁民の生活が非常に困るというのは陸奥湾どころじゃない、ひどい問題に陥らないとも限らないという心配を私はしておるんですよ。そういう問題については、これは通産省でしような、十分に御研究になっておるのかどうか、それをひとつお伺いしたいです。
  53. 山本幸助

    説明員山本幸助君) ただいまの先生の御質問にお答え申し上げます。  先生おっしゃいましたように、海水からウランをとる問題につきましては、昨年から通産省といたしまして予算をとりまして、すでにその実験の実施に入っておりますが、その内容は、現在やっておりますのはどのようにして海水からうまくウランを吸着できるか、非常に微量に含まれているわけでございますので、その吸着をどうやったら本格的にできるかということの実験でございまして、このために発電所から出る温排水を利用して、そこにドラムかんみたいなものをつけまして、その吸着をするという実験に取りかかっております。こういう実験が成功した暁には、いま先生おっしゃいましたような海流を利用するとか、あるいは潮汐式――潮の満ち干の力を利用する方法とか、あるいは海水中に漂流させる方法とか、海水のモを集めて、モの中に非常にウランが濃縮されますので、そういう方法とか、種々実用的な方法をさらに研究したいと思っております。その際におきましては、先生のおっしゃいましたように、それによって漁業とか、あるいは船の航行とか、そういうところに影響がないということを十分に注意して考えていきたいと思っております。
  54. 源田実

    源田実君 こういう問題は、いま地球上の生物環境が破壊されておる、その生物環境を破壊したのはだれであるかというと、人間なんですね。人間が知恵があるつもりで実は大して知恵がなくて、それで簡単に自然破壊をやる。たとえば、南米のアマゾンとか、あるいはアルゼンチンあたりの大きな川におる何とかいう、人間が入ると瞬間に人間なんかを寄ってたかって食うあの食肉魚がおりますね、ピラニアとか何とかいう魚。そういう魚は確かにみんな好かない。ところが、それよりもなおワニが危いというので、向こうにおるのはアリゲーターというのですね、そのアリゲーターを片っ端から撃ち殺した、人間が。そうしたら、いまの魚がむちゃくちゃにふえて、あのあたりの牧場の人が、この前も言ったんですが、川を渡るときに、牛や馬とか、そういうものを連れて川を渡っておるんだが、それが渡れなくなった。もう牛が川に行って水を飲もうとすると、牛の舌がすぐ食いとられるというような惨たんたる状況を起こしたことがある。そういうように、予想しない障害が出ると思うんです。したがいまして、私はこういう問題を、いままでのわれわれの先祖及びわれわれ自体が非常な過ちを犯してきておるんであって、そういう過ちを今後極力少なくする、ゼロにはできないでしょうが少なくするために、今度できる安全局というのは、今度すぐはなかなかそうはいかないでしょう、人員の関係も。しかし、そういう問題に対する検討もひとつやっていただきたいと思うんですが、それにはまた別なものをつくってやらなければならぬか、それともいまの安全局をもっと大きくして、その中でそういう問題も処理できるかどうか。いまの魚の問題じゃないですよ、原子力に関する問題。これは長官のお考えをひとつお聞きしたいと思うんです。
  55. 佐々木義武

    ○国務大臣佐々木義武君) 正確なお答えになるかどうか、間違っておれば御訂正いただきたいんですけれども、いわゆる放射線の、特に低レベルの放射線が人類にどういう影響を与えるかというのは、非常に学問的にも、それから実際的にもむずかしい問題になっておりまして、各国ではそれぞれ大変な力を入れまして勉強中でございまして、わが方でも、いまの御質問は放射線に対する配慮、特にアズ・ロー・アズ・プラクチカブルという、できるだけ少なくという原則がございまして、ICRPでございますか、世界の放射線の許容量等を決める国際機関がございますけれども、そこで決めました量をはるかに下回った、たとえば百分の一とかいったようなオーダーにこれを下げまして、そしてその目標を超してはいけないという非常に厳格な監視あるいは許可基準をつくりまして、ただいま施行中でございます。日本が一番世界で低い数値を押さえましてやっておる最中でございますが、それでもまだ満足できませんので、さらにそれを低めることができないかということで一生懸命実はやっているところでございまして、それが完全にもうパーフェクトであるかどうかという問題、これはまだまだ研究の余地があると思いますけれども、少なくともいまの段階では世界で一番低い、これであればという非常に低い数値で進めておりますので、まあその担当局はどこかと申しますと、この安全局が主管いたしましてそれぞれの機関の監視をするわけでございまして、どうもお答えになったかどうか知りませんけれども、現状はそういう状況でございます。
  56. 源田実

    源田実君 これは、こういういままでにわかっていない問題で、突発と言わないまでも予想しない障害が起きる。そういう問題の研究は、科学技術に関する限りはやっぱり科学技術庁が担当してやられるべきではないかと思うんです。  それで、これは御返事は特にいただかなくてもいいんですが、私は科学技術庁で、われわれも応援しますから、総合的なそういういまの環境破壊、環境庁の問題とは違っていわゆる科学技術によって環境が破壊されていく、それで生物の生存する循環系統――私の言う循環系統は人間の血液の回りを言うのじゃないのであって、生物の循環ですね。要するに太陽熱が元であって、その太陽熱によって植物ができ、できた植物を草食動物が食う、それを食肉類が食う。その食肉類は、こいつが死んだら、これが廃棄物とか死体は、これがまたこの土の中に入って、そうして分解されて、これが植物の養分になる。この循環を自然はやっておるわけです。それを途中でいま切断しつつあるのが人類である。その人類が、要するにとんでもないことを実は長い目で見たらやっておると思うのですよ。そういうもの、それが公害ということなんですが、結局この問題を研究するのはやっぱり科学技術庁じゃないかと思うのです。したがってそういう面に、いますぐはできないと思います。しかしながら、いずれにしてもこれはやらなきゃならない問題であるから、ひとつ積極的に取り組んでいただきたい。これをまずお願いいたすわけであります。  それから次に、先ほどお尋ねしましたように、結局、原子力以外にはない。それも、いまのところ核融合は今世紀末とかいうことがよく言われますけれども、あるいはいろんな雑誌なんか見たり、それから新聞を見ますと、急に目鼻がつきそうだなんていう希望的記事も出ています。しかし、いろんな人に聞いてみて、まず今世紀末でなければ目鼻がつかないだろうというように聞いておるのです。ところが、それも今世紀末にもうできないかもしれない。そうすると、そのときは非常な人類に対する危機がくるのじゃないかと思うのです。もうウラン資源も相当減ってくる、石油はもうなくなっておる、石炭は残っておるけれどもこいつをどう処理するか。しかし日本にはもうあんまりない。そういう非常な危機がくるのですが、もし、いま石油がなくなって、そうしてこの原子力開発というものが思うようにいかなかった場合に、極端な例を言えば、原子力は余り開発されないままで、いまのままで、そうして石油に依存しておる、その石油がほとんど入らなくなった場合、この日本の人口を一体どのくらい支えることができるのかどうか、これは科学技術庁、どういうような見当をつけておられますか。いま一億一千万の人間を支えるのに手があるのかどうか、エネルギー的に見て。
  57. 生田豊朗

    政府委員(生田豊朗君) 正確な計算はいたしておりませんけれども、現在の人口が支えられないことはきわめて明白でございます。エネルギー関係の専門家の試算が幾つかございますけれども、その中の一つとして私が覚えておりますのは、明治時代初期の人口、大体三千万でございますが、三千万程度まで人口を減らさないと、先生がおっしゃったような状況では国民の生活が維持できないという試算が一つございます。
  58. 源田実

    源田実君 この問題はほとんど日本のマスメディアでも余り取り上げられていないし、そうして原子炉に対する反対は非常に多いのです。しかしながら、エネルギーがなくなったときのこの悲劇というものについてはほとんど言われていないのです。これはアメリカの例の水素爆弾をつくったテラー博士、エドワード・テラー、この人が大将で、相当な科学者が三十二名か、連署でこれを発表しておりますね。いまの一番大きな最大の公害はエネルギーがなくなることである、この問題を一体どう処理するのか、これが人類が当面しておる最大の問題である。したがいまして、いま私は、こういう問題についても、われわれももちろんやらなきゃなりませんが、代用エネルギー原子力以外に全然ないとすれば、原子力をどうしてもやらなきゃいけない。それのためには、PRのみならず、いまの安全局なんかうんと拡充して、そうして絶対安心できる――絶対はやめます、絶対安心できるということはまあないのでね。まずまず安心できる、いままでのエネルギーに比べればはるかに安全であるという程度までこの安全管理を進めていく必要があると思うんです。そういう点は科学技術庁かどうかわからぬけれども科学技術庁の方で何か研究されておりますか、それをどうやって推進するか。いま反対ばっかりなんですね、どこへ行っても。
  59. 佐々木義武

    ○国務大臣佐々木義武君) 原子力の安全問題に関しまして、広く言えばいろんな問題がありますけれども、特にただいま問題になっているのは、軽水炉を中心といたしました発電炉あるいは原子力船、原子炉と申しますか、でございまして、したがって、当面は軽水炉自体が安全なものかどうかという点が一番焦点なわけでございまして、これには、いま詳しい話はやめますけれども、軽水炉そのものが安全であるための研究というのが一番重要だと思いますし、また安全だということを検査、審査をしてレッテルを張って、その権威がそう言えばこれは安全なものであるという信頼を持った官庁体制と申しますか、をつくるのが三番目で、しかし、それだけでいまのような日本の特殊な原子力風土というものが是正されるかといいますと、そうはいきませんので、やはり安全だということを国民理解し支持するような素地をつくらなければいかぬと思いますので、そういう面に対する方策をどうするか、大体この三つに分かれると思います。  そこで、一番初めの研究問題でございますけれども、これは源田先生には釈迦に説法のようで恐縮でございますけれども、非常にシンプルな人は、軽水炉が爆弾のように爆発しないかというようなとんでもない恐怖を持っておる人がおりまして、これはもちろん論外でございますが、しからば軽水炉自体が安全かどうかという詰めた議論で、重大な事故が起こるか、あるいは仮想的な事故が起こるかどうかという問題が大きく一つあるわけでございまして、それは源田先生も御存じのように、去年の十月でございましたか、アメリカのAECでラスムッセンの報告書を出して、そして非常に他のものに比して安全度の極度に高いものだという結論が出ていますけれども、それを世界の各国に配りまして、世界各国からそれに対する反論なり注意事項を集めて、ことしの十月にそれの改訂版と申しますか、出しました。これによりますとまた非常に安全なものに実はなっておりまして、そういう重大事故あるいは仮想事故というのはほとんど起こり得ないという結論が出ております。従来、いままでも軽水炉ではそういう事故というものは一回もなかったわけでございまして、今後あり得るかということが論点でございますけれども、いま申しましたように全然そういうことは考えられぬということで、何が問題かというと、そういう重大事故じゃなくて、したがって、大衆を殺傷するとかあるいは環境を汚染するとかというそういうことじゃなくて、炉自体におけるいろんな故障、材料的な故障とか、あるいは機械的な故障と申しますか、工学的な故障と申しますか、ということで、極端に言えば何の機械にもあり得るような故障が、ピンホールができたとか、あるいはネジが緩んだとかいったようなことで放射線が出てくる。そういう事故はまだ未熟な技術でございますからたくさんございますけれども、しかし、それ自体は本質的な問題でないのでありまして、ただいま、だんだんそういうことのないようにあらゆる面で詰めている最中でございますから、この点は私は解決していくんじゃないかと思います。したがいまして、軽水炉としては安全問題というのは大分世界的にも煮詰まってきていますし、日本でも余り遠い将来でなしにこの問題は解決がつき、また国民の皆様にも理解できる時期が来るんじゃなかろうかと、これはもちろん手放しでそうは言えませんけれども、お話しのように、原子力安全局ができたりあるいは機構改革になったり、あるいは、ただいま電力会社あるいは研究所、メーカー、あらゆる機関が全部力を合わせてその解決に総動員をかけてやっている最中でございますので、やがて解決がつくんじゃなかろうかと実は思っております。
  60. 源田実

    源田実君 ただいまラスムッセン報告を長官から言われたんですが、これを見ると、全く原子炉というものは非常に安全なものだというのがここへはっきり出ておりますね。これはほかのやつは、統計があって、実際事故があったからその事故数から危険率を出しておる。原子炉の方は事故がない、フェータル事故ですね、人命に関する事故がなかったものだから、こいつは本当の推定である。そうすると、ないものだから、他のいかなるものに比べても一番事故が少ない。これは御存じだから私が一々ここで言う必要はないと思うんですがね。極端な例を言いますと、自動車が一番危なくて四千人に一人、一年間に。飛行機なんというのは危ないものだと思っておるけれども、はるかに自動車より安全で、十万人に一人、それからトルネード、これは少し危ないけれどもやっぱり二百万人に一人、ところが原子炉のアクシデントでは、これは原子炉を百使った場合五十億人に一人というような数なんです。そうすると、これは非常に、管理さえしっかりやっておればきわめて安全なものであるということが、少なくともこれだけの権威ある学者、技術屋が集まってつくったものだからまず一応信用できると思うんですが、もしこういうやつを日本でも、たとえば日本ならばこれを日本的に焼き直して、そうしてひとつ科学技術庁が主に、あるいは総理府か、科学技術庁でしょうね、そういうところが主になってこれを宣伝して、もう少し前向きに国民が取っ組んでいけるようにひとつ――原子爆弾食らったものだから、もういま長官もおっしゃったように、原子爆弾と原子炉とを混同しておるところがあると思うんです。これは、自民党の中にも、うっかりすると、今度これが爆発すれば日本が吹っ飛ぶんだなんということを言う人も、数年前ですがあったんですね。全然これは間違っておるんで、そういう啓蒙をうんとやらなきゃこれだけの原子力エネルギーを使うことはできないと思うんです。これはこれで終わります、もうあと時間もあんまりありませんから。  ただ、廃棄物の処理ですが、廃棄物、やっぱりこれは危ない、明らかに危ない。ことにいろんな廃棄物――これは廃棄物じゃない、生産物。原子炉でできるプルトニウムが、これが今後十年間に全世界で約一千トンできると、これは英国の外務大臣ですか、これが言っておるわけです。そうすると、このプルトニウムというものは非常に毒性が強いそうですね。何でも一グラムの数十万分の一で人間一人を殺せるというほど、それほどの強い毒性を持っておる、それが一千トンも地球上に生産されるということになれば、これは大変な毒性を持つと思います。もちろん爆弾にも使える。こういう問題については、いまどういう手があるかということを私がここでお聞きしても、まあやっておられるかもしれぬが、これは私が要望したいことは、単に日本においてこの管理を一〇〇%の厳重な管理を行うのみならず、それこそ全世界の核利用をやっておる国に呼びかけ、そうして核防条約に入っておろうが入っていまいが、あらゆる国を通じて、この問題に対する最も厳重な管理を国際的機関でやるということがもう絶対必要だと思います。ほんのわずかの不心得者がちょいと手に入れただけで大変なことが起きる、こういうことが予想されるので。この量は何でも、この新聞、これはおとといの新聞ですか、ジャパンタイムズに載っておるのを見ると、ともかく地球を数回にわたって打ち壊すだけの力があるそうですね。あの長崎へ落としたのは、私はちょうど大村におってあの爆弾、目の前に見たんです。ところがあれが、あれほどの大惨事を起こしたのがわずか十六キロです。十六キロらしい。これは一千トンなんです。したがって、この問題については、さしあたり安全局ではもちろんその問題についてやっていただかなきゃならぬけれども、全体、国内的にも国際的にも、ひとつ政府として、これは単に希望じゃなくて、現実に、すぐ来年からでもこちらでイニシアチブをとって、こういう問題が処理できるような処置を講じていただきたい。これは、すぐやりますということは言っていただきたいんですが、できるかどうかすぐは簡単に言えないんですが、長官の御意思のほどを伺いたいと思います。
  61. 佐々木義武

    ○国務大臣佐々木義武君) 実は、この高レベルの廃棄物とか、プルトニウムとか、高濃縮ウランとかいうものの管理というのが一番重要な問題でございまして、今度できる安全局の一番大きい柱として、ちょっと言い過ぎかもしれませんけれども最も重要な仕事の一つになることは事実でございまして、また、お話しのように日本だけでそれをやれるものじゃなくて、やはり国際的にこの問題を処理するということが一番重要でございますので、私はウィーンの国連機関責任者が日本へ訪れるたびに、ひとつ国連でこの会議を持って、今後さらに過ちないように、人類の過ちないようにこの問題を進めてもらいたいという忠告と申しますか、お願いをしております。  いまの高レベルの廃棄物の処理はどうするかという問題に関しましては、先生も御承知のように、ガラス固形化してこれを処理しようという研究がただいまずいぶん進んでまいりましたので、これが完成いたしますれば、いままでの処理のしょうがないという考え方に対しては、まあ一つの大きい回答になろうかと思いますけれども、しかし、それの処理ができたからそれでよろしいかという問題でなくて、次から次にそれは出ていくわけでございますから、プルトニウムなり高濃縮ウランなりあるいは高レベルの廃棄物などの管理、運搬あるいは貯蔵、盗難予防といったような問題は、今後一番重要な問題として扱っていきたいと思って、せっかくいまやっている最中でございます。
  62. 源田実

    源田実君 もう時間もございませんから、あとちょっとだけ。  実はやっぱりいろいろな問題になる、明らかに危険なものは廃棄物ですね。その廃棄物の処理については、これは処理を誤ると、それこそ原子力の利用に非常な障害になる。いまその廃棄物の処理をどういうぐあいにやっておられるのか、この点はわかり切ったようなことを聞くようですが、ちょっと教えていただきたい。
  63. 生田豊朗

    政府委員(生田豊朗君) まず低レベルの固体廃棄物でございますけれども、これは現在ドラムかんに詰めまして、発電所の敷地内に保管いたしております。今後の方向といたしまして海洋投棄でございますが、海洋投棄の試験投棄を、できるだけ早い時期、一応五十二年度を予定いたしておりますけれども、いたしまして、それが成功いたしました後は、海洋投棄を主体といたしまして、それに現在と同じような陸地の保管を組み合わせるという形でまいりたいというように考えております。  それから、ただいま大臣からも御答弁がありました高レベルの廃棄物でございますが、これは世界的に見まして、処理処分の方法がまだ開発段階にございます。現在の方向といたしましては、ガラス状にいたしますいわゆるガラス固化をいたしまして、これを永久保管するという方向で各国検討いたしております。アメリカあるいはヨーロッパのように、古い岩塩層がございまして岩塩の廃坑があります国におきましては、その岩塩の廃坑の中にこの高レベルのガラス化いたしました廃棄物を入れて保管するということも検討されているようでございますが、わが国の場合はそういうものがございませんので、別途の方法を考えなければいけないと思います。ソ連は非常に広い国土でございますので、その発電所の周辺の土地に埋めているというような資料もございます。それぞれの国によりましていろいろな方法があるかと思いますので、今後とも十分各国の情勢等も考えまして検討してまいりたいと思っております。
  64. 源田実

    源田実君 この廃棄物についても、海洋投棄をいま言われたんですが、これについても、さっき環境破壊の問題で申し上げたように、これはやってしまったら、ことに海の中に入れたらもう回収できないです。したがって、よほどよく検討した上で実行していただきたい。七たび考えて一度行えということを言いますが、この分は七たびじゃなくて七十回考えて一度行うぐらいのつもりでひとつお願いしたいと思うのです。  そこで私は、夢のような話ですが、私は学者じゃないけれども一つの着想を持っておる。着想というのは、絶対大丈夫な方法になるだろうと思うのですよ、やってみないとわからぬけれども。というのは、こういう廃棄物をどこに置いたって、地球の岩塩坑の中に入れようがどこへ置こうが、非常な大きな大地震とか何とか起きたら、そういう場合どこへ出てくるかわからないと思う。ところがもう絶対出てこない方法がある。それはどういうことかというと、この間、十一月号のサイエンティフィック・アメリカンにおもしろいことが載っておるんです。このことじゃないですよ。しかし、要するに太平洋でも大西洋でもみなあるんですが、地球の中から出てくるマグマがあそこに山脈をつくっておる。その山脈から出たのが、太平洋の場合は、アメリカの西海岸沖から日本付近まで来るのに大体一億年ぐらいかかるそうですね。それで、日本海溝付近で地球の中に向かって四十五度くらいの角度で中へ入っておる。そうすると、中へ入るとこれはマグマの中へ入ってしまうわけです。これがまた出てくるまでには一億年か二億年あるいは十億年ぐらいかかるのでその間にはもう人間は始末がついておるから公害もへったくれもないだろうと思う。もう絶対大丈夫な方法です。そういう同じ投棄するにしてもいまの地球のマグマの中に入っていくというようなところ、これを見つけてそこへ投棄すれば絶対安全な方法になると思うのですよ。これがまあ一つ。  それからもう一つは、日本ではいま人工衛星の研究もすぐ軍事利用するんじゃないかというのでなかなか制限を受けて、本当の意味の地球の中のいろいろな資源の探査とか、宇宙開発でも十分できないんです。ところが、これは私は、やっぱり人類を救うためにこれが必要である。人工衛星をもっと発達させ、あるいはアメリカなりほかの国と共同してよろしい、人工衛星によって、スペースシャトルで廃棄物を一遍スペースに運んで、そこの人工衛星に乗せてそこから太陽に向かって打ち込むということをやるとこれまた絶対大丈夫。宇宙空間を汚すことがないんですよ。太陽の中に入っていく。そういう方法も、これは夢のような話ですが、そのうちにやるんだろうと思うのです、日本がぐずぐずしているとほかの国が。したがいまして、こういう問題を、私は命令者じゃないからそうえらそうに言えないのですが、しかしほかにもあると思うのですよ。絶対大丈夫な方法、そういうものについてひとつ今後とも相当な大規模な研究をひとつ進めるようにしていただきたい。そのためにはいろいろな予算も何も要るでしょう。私なんかそういう問題のためには及ばずながら力を尽くして援助したいと考えます。  余り勝手なことばかり申し上げましたが、これで私の質問を時間来ましたので終わります。
  65. 佐々木義武

    ○国務大臣佐々木義武君) 大変ありがたい御指示を得まして感謝申し上げております。  一番初めに御提示ありました地球エコロジーの問題で、言われてみますと、なるほど空中汚染といえば空中汚染だけ、あるいは海洋汚染というと海洋開発の海洋汚染だけ、あるいは森林を切ったらそれが生態にどういう影響を及ぼすかといったこと、あるいは地中のバクテリア等がいまの農薬等でどうなるかといったような問題をやる人はそればかりというようなことで、全部その分野だけでずっと進んでいるようでございますけれども先生のお話のように、これはやっぱり国として全部まとめて大きく見る必要があるんじゃないかと、大変どうもいまのお話で感銘受けまして、そういう面をもう少し研究してみたいと思います。やれるんであれば科学技術庁は一番本当はそういう面では適当なところと存じますので、いまライフサイエンスなんてものをやっておりますけれども、それはそれといたしましてやっぱりそういうエコロジーの問題は一番当面重要な問題のようでございますから研究してみたいと思います。
  66. 塩出啓典

    塩出啓典君 それでは、時間も非常に限られておりますので御答弁も簡潔にお願いしたいと思いますが、まず最初に、安全局設置する法案の審議でございますが、安全という問題について科学技術庁長官としてはどう考えておるのか。と申しますのは、安全といっても一〇〇%の安全というものは余り世の中にはないんじゃないかと思うんですね。そういう意味で、原子力施設の建設にはどの程度の安全を長官としては目指しているのか、これを聞いておきたいと思います。
  67. 佐々木義武

    ○国務大臣佐々木義武君) 原子炉の安全の中で、原子炉の種類はたくさんあるわけでございますが、いま一番問題になっておりますのは軽水炉の安全問題でございまして、この問題は、さっきもお話し申し上げましたように、安全とは一体何ぞやという問題になってきますと大変解釈もむずかしい解釈になりますが、私どもは、少なくともさっき申しましたように爆弾とか何とかといったようなものではございませんし、それから、重大事故あるいは仮想事故のような、第三者に被害を加える、あるいは環境を汚染するといったようなことはまずまずないということ、これはさっきの源田先生のお話のように、ラスムッセン報告を見ますと明瞭でありまして、また、いままでそういうことは軽水炉に関してはございません。いま現在、世界では発電炉は四百七十くらいでございます、建設中の分も合わせて。海の軽水炉はもっと多いはずでございまして、それくらいありましてまだそういう事故は起きておりません。したがって安全という問題は、そういう安全の問題よりも、むしろ故障が起きて、そして原子炉から放射線が漏れた、しかし早期発見装置も全部完備していますから、すぐ炉をとめてそれを補修するという、こういう事故がございます。これは日本でもたくさん起きておりますが、しかし、それは炉をとめまして修理をしてまた動かすわけでございまして、この問題がいわば安全という問題の中に入るかどうか大変私は問題だと思いますが、しかし国民一般から見ますと、そういう故障でも炉をとめるじゃないかということであれば、これはやっぱり普通の機械の運転中止と同様には考えないわけでございますから、そういう問題がないように、絶無にするように、そういう小さい故障でもないようにするのが私どもの務めかと存じております。いまは、繰り返して申すようでございますけれども、そういう小さい故障を起こさぬのにはどうしたらよろしいかという点に実は最大のエネルギーを注いで研究を進めている最中でございます。  それが、いわば安全研究の問題でございまして、安全研究が進んでそれが経験を積んでいきますと、いわばハードウエアそのものは健全なものになるわけでございますから、言うなれば検査、審査体制などなくても、そのものが健全であればいいじゃないかという議論ももちろん成り立つわけでございまして、検査、審査をするからそのものが安全になるのじゃなくて、安全であるものはもう安全なわけですから、研究でそういうふうに安全なものにするのが一番私は根本だと思っております。  二番目は、といってもそれが安全だということをやっぱりどこかがオーソライズして、権威を持ったところがそれを証明してあげるのがやっぱり重要なことで、そうでないと一般の人は安全か安全でないかということは見境つかないわけでございますから、やっぱり国として審査、検査、安全体制を整備して、そうしてこれで大丈夫ですよといって国民の皆様に公認してやるのが大変重要なことだと思いますし、三番目には、それこれ合わせまして、国民の皆さんにもっと理解できるような、したがってまた御支持をちょうだいできるような、そういう方策というものはどうしたらよろしいか、この三つの問題がいまの軽水炉に関する安全問題では一番重要な問題だというふうな認識でただいま進んでおります。
  68. 塩出啓典

    塩出啓典君 それでは、いま、たとえば原子力発電を推進をするという問題についても学者の中にいろいろな意見があるわけですね。たとえば、アメリカの前の原子力委員であったタンプリン博士などはもう原子力発電は推進してはいかぬと、原子力発電を推進していけばプルトニウムができる、そういうものは盗難に遭うし、そういう盗難を防ぐためには物すごく警察力も必要であるし、ともかくもう原子力発電というものはやってはいかぬという、こういう学者もいるわけですね。ところがやはり原子力発電はもっと推進しなければならないという、そういう学者もいるわけです。またその中間で、原子力発電は現在はまだ実験段階であってもう少し研究をして安全性が確認されてから進めるべきであると、こういう意見もあるわけであります。私は余りにも学者の意見がこのように極端から極端にかけ離れている、こういう原因は一体どこにあるのか、長官はそういう点はどう考えますか。
  69. 佐々木義武

    ○国務大臣佐々木義武君) 原子炉の安全の問題と、原子炉から出ました廃棄物、またその廃棄物を再処理してできましたプルトニウムとか、あるいは高レベルの廃棄物とか、そういうものの危険性とは別問題でございまして、それを混同されると大変私は困るんじゃないかという感じもいたします。さっきタンプリンの話が出ましたけれども、この人はむしろ。プルトニウム自体の問題に非常に通暁しているように私承知しておりますけれども、この夏、日本に参りまして、私は直接お会いしなかったのでありますけれども、聞きますと、帰る間際には、原子力の安全の問題というのは科学の問題じゃなくて、どうも政治の問題だというふうなお話をして帰ったようにも聞いております。ですから必ずしも、論点のとらえ方によってずいぶん違うと思います。なるほどプルトニウムの問題、あるいは高レベルの問題等の扱いは、先ほどお話ございましたように大変重要な問題で、これはもう厳重な管理もし、あるいは保管その他もやらにゃいけませんけれども、しかし、それがすぐ軽水炉の安全性とどうかという問題と結びつけますと大変実は困るのでありまして、あるいは論者によりますと、低レベルの放射線が人類の遺伝なんかに大変な影響があるんじゃないかといったような問題、これはまたそれ自体として大きい問題がございます。大きい問題はございますが、それはそれで先ほども御説明いたしましたように、放射線の低いのをもっと低めるようにということでずいぶん世界じゅういま力を合わして努力している最中でございまして、その問題と原子炉自体の安全性の問題とごっちゃにされますとこれまたおかしいんで、そういう低レベルの放射線が人類にどういう影響があるかということだけ書き立てていると、いかにも知らぬ人は原子炉そのものが危ないんだというふうに結びつけてしまうものですから、大変そういう点では私どもも扱うときに、そういう混同のないように扱うべきじゃなかろうかと実は思っております。  それから、実用炉か実験炉かという問題でございますけれども、これはまあ解釈のしようがいろいろありまして、実験炉と言えば実験炉、実用炉と言えば実用炉と言えますけれども、しかし、少なくとも軽水炉に関しましては、さっき申しましたように世界を挙げてこれを発電にただいま使っているわけでございますから、やはり実用の段階に入ったと見るべきじゃないかというふうに実は考えているわけでございます。
  70. 塩出啓典

    塩出啓典君 いま長官は、原子炉の安全性について、軽水炉そのものの安全性、それから、いわゆるプルトニウムとか、あるいは放射性廃棄物等の安全性、あるいは低レベル放射能の人体への影響、そういうものが一緒になって論議されておると。何かあなたのお話を聞いておると、炉そのものは安全なんだ、しかし、当然炉ができればそこから使用済みの燃料も出てくれば、やっぱり再処理工場もできるわけですから、安全というものは全体で考えていかないと、炉だけ安全だからといってもやっぱり一つのサイクルとして安全が確保されなければ、これは意味がないんじゃないか、それは異存がないでしょう。
  71. 佐々木義武

    ○国務大臣佐々木義武君) 私の言葉が足らなかったかもしれませんけれども、燃料サイクルの安全性の問題と、原子炉そのものの安全の問題と二つ考えられるわけでございまして、燃料サイクルの安全、これはもちろん重要でございます。むしろ、この方がかえって重要かもしれません。それから、軽水炉自体が安全かどうかという問題は燃料サイクルの問題と違うわけでございまして、ウランを掘って、そして高濃縮なら高濃縮して炉に入れる、それが燃えて燃えかすになって出てきたものを再処理してプルトニウムを今度はつくっていくわけですから、非常な高レベルのものが出てくる。この燃料の方は一貫して一体どういう安全性に保つかというこの問題と、原子炉そのものが、さっき申しましたように何か破裂したり、あるいは燃料棒が溶けちゃって、そうして煙突から出て行ったり、あるいは炉外に流れ出て周辺の住民に危害を加えたと、こういうものと別の範疇でございますので、それは二つに分けて考えるべきじゃないかということを申し上げたわけでございます。
  72. 塩出啓典

    塩出啓典君 それでは、このことはそれまでにして、また後で触れるとして、原子力基本法には、第二条に「公開」ということが書かれてあるわけでありますが、これは、長官原子力基本法をつくるときにもタッチをされたと聞いておるわけですけれども原子力基本法にはなぜその公開の原則があるのかですね。これはその当時のことから簡単に、時間がないですから簡単でいいんですよ。
  73. 佐々木義武

    ○国務大臣佐々木義武君) 私、この公開の原則が設けられました根本の理由は、いわば核兵器をつくらないという担保につくったものと思います。ですから、日本が平和利用に徹するということ、あるいは相互条約等で海外から原子炉あるいは燃料等獲得しておりますけれども、これは全部平和の目的にのみ使えと、そうでない場合は今後提供せぬのみならずいままで提供したものも皆引き揚げるという条約文になっておりまして、したがって、日本でやっておることが、成果を全部公開して一点の疑いもないようにしようじゃないかというのが、基本法をつくるときの根本原則でございましたので、それを担保する意味でつくったのがこの公開の原則だと、それが一番大きい理由だと実は思っております。
  74. 塩出啓典

    塩出啓典君 いま、そういうお話を承ったわけですけれども、しかし、原子力基本法ができたときといまとは、また大分時代も変わってきていると思うのですね。いま、やはり公開の原則ということは、国民の皆さんが、原子力の問題についてもその安全性についてやはり安心をする、そういう意味で、いろんなものを全部国民に公開をして秘密のものであってはならぬと、そういう意味で私は非常に公開の原則が、この法律ができた当時とは変わった意味に用いられてきておるんじゃないかと思いますが、その点はどうですか。
  75. 佐々木義武

    ○国務大臣佐々木義武君) 基本法には、たしか研究の成果の発表、公開ですか、ということになっておりまして、研究会上のものは、これは研究途上のものまでみんな公開したんじゃだれも研究する人はいなくなりますから、これはやはり研究の成果の公表ということでいいんじゃないか。ただ、いままで繰り返し二十年間議論されたのは、商業機密の問題をどう扱うかという問題でございまして、これはずいぶん私の記憶ではいろいろ議論がありますから、むしろ政府としてはこの見解を統一しておこうじゃないかというので、何年前か忘れましたが、政府の統一見解をつくりまして、これをまた国会の方にもお諮りして、そして行政府も立法府もそういう解釈でいいじゃないかということで今日まできているように承知していますので、私の考えが間違っておれば局長からでも補足してもらいますけれども、そういうふうに理解しております。
  76. 塩出啓典

    塩出啓典君 それで非常に、いろいろな専門家の方々が、やはり原子力委員会における、いわゆる安全審査の資料ですね、そういうものを公開にすべきであると。たとえば専門委員会は三十名ですか、いま。その人たちがいろんな資料をもとにして安全の審査をして、そうして原子力委員会一つの報告書を出すわけですけれども、その結論に至る、こういう検討をしてこうなってきたんだと、こういうことを、日本にはその専門委員の方以外にたくさんの安全に対する専門家もいるわけですから、そういう人たちが、自分の方でやっぱりそのような結論に至る経過をいろいろそこで検討することができるようにですね、たとえば資料――その原子炉安全専門審査会に提出したすべての資料、それから原子炉安全専門審査会の審査の会議録、だれがこう言ってこうなったという、そういうものも公開をすべきである。こういう意見は私は大賛成なわけなんですけれどもね。やっぱり、いままで何となく原子力委員会における安全審査にしても、商業機密という名のもとに資料というものを部外者にはシャットアウトして、そこで、もうすでに内部にいる人と外部にいる人とはその検討する資料そのものが違うんでは、ますます結論はかけ離れてくるわけで、同じものを検討していけばどこに違いがあるのか、こういうかけ離れた結論が出るのは一体――この問題についての見方が違うからこういうかけ離れた結論になるんだと、こういうふうにやはり論点が明らかになっていく。そういう意味で、私は全部を公開すべきであると思う。どうですか、そういう方針はないですか。
  77. 生田豊朗

    政府委員(生田豊朗君) 安全審査の関係の資料につきましては、まず安全審査を受けます対象になっております設置許可の申請書、それから、その申請書の添付書類さらに安全審査専門部会の参考資料というものを公開いたしております。で、これは公開いたしましてどなたでもごらんになれるわけでございます。次に、安全審査が終了いたしました後の安全審査報告書、これも同じく公開いたしております。したがいまして、安全審査のほとんど全貌につきまして、これら公開されました資料につきましては、十分一般の国民の方が把握できるというように考えております。ただ、その安全審査会の議事録につきましては、これを公開いたしますと、安全審査を担当しておられます専門家の先生方の自由な議論を非常に制約することに相なります。したがいまして、私どもは結果の報告書は公開いたしますけれども、議事録の公開は考えておりません。
  78. 塩出啓典

    塩出啓典君 そうしますと、局長のいまのお話だと、そういう提出された資料も全部公開をしている、したがって商業機密というものはない、商業機密のために公開できないものは絶対ないと、そういう判断ですね。それならそれでいいんです。
  79. 生田豊朗

    政府委員(生田豊朗君) ただいま私の説明が不十分で申しわけございませんでしたが、先ほど大臣の御答弁にありましたように、公開の原則と申しましてもこれは条件がございます。一つは、原子力基本法の規定は成果の公開でございます。もう一つは、原子力基本法といえどもこれは憲法のもとにある法律でございますので、憲法二十九条の財産権の保護の規定は当然原子力の場合にも適用されます。したがいまして、財産権とみなされるもの、すなわちノーハウあるいは特許権そのほかでございますが、そういうものを一括して商業機密と称しておりますが、それは当然憲法の規定によりまして公開の原則から外される、かように考えております。
  80. 塩出啓典

    塩出啓典君 そこが非常にぼくの考えと違うところなんですよ。あなたは憲法を出されましたけれどもね。やはり公開の原則というものが原子力基本法にはある。一方では企業秘密というものは存在をして公開はできない。私はやっぱり国の法律というものよりも企業秘密を優先させていいという、その根拠はどこにあるのかちょっと納得がいかないんですが、それはどうなんですか、どう考えていますか。
  81. 生田豊朗

    政府委員(生田豊朗君) これは先生に申し上げるまでもないことでございますけれども、国の最も基本的な法律が憲法でございまして、あらゆる法律は憲法の制約下にあるわけでございますので、私どもは、憲法の規定がすべてに優先するというように考えております。したがいまして、憲法における財産権保護の原則に抵触するような場合まで公開するということは差し控えたいという考え方でございます。
  82. 塩出啓典

    塩出啓典君 私はそういうことを言っておるんじゃないんですよ。だから国が、たとえばここに発電所を建設するということになれば、電力会社から原子力委員会にいろいろ申請書が出されてくるわけですね。そういうときに、やはり企業秘密で公開ができないようなこういうものは国は採用しないと、そういうように私は方針を決めることが不可能なのかどうかですね。だから公開できないようなそういう技術は採用できないと。もしどうしてもこの会社が、わが社の原子炉を採用してもらいたいという場合には、特許を取るなりしかるべき処置をして出せばいいんであって、しかも商業秘密と言われているものも、やがて五年、十年たてばこれは商業秘密ではなくなってくるわけですから、だからそういうような方向に決めても、私は全体的に見れば決して原子力の発展をおくらせることはない。そういう点どうですか、もう企業秘密なるものは、今後原子力委員会においては、申請するものは企業秘密のないものでないと採用しないというようにした場合は、これはやるとなれば法律改正せなければいかぬわけで、たとえばそうなった場合はどういう支障があるのかどうか、これを聞いておきたいと思うんですが。
  83. 生田豊朗

    政府委員(生田豊朗君) 企業機密と称せられますもので、たとえば私がただいま御説明申し上げました特許あるいはノーハウその他の企業機密があるものは、安全審査を受け付けないということにいたしますと、私は、特に原子力のような先端的な技術のものにつきましては一切利用することができなくなると考えております。ただ、つけ加えて御説明さしていただきますが、企業機密関係で資料の公開できないものが全体として非常に多いというような誤解があるわけでございますが、実はそういうことではございません。たとえば、四国電力の伊方発電所の例で申しますと、全体の参考資料が約百三十点ございますが、そのうち企業機密に属するものと考えまして公開いたしかねますものが約九つ、全体の一〇%以下でございます。すなわち企業機密のものは公開しないと申しましても、全体の資料の九〇%以上は公開しているわけでございまして、全体として広く公開されているというように考えております。
  84. 塩出啓典

    塩出啓典君 だから、あなた言われるように企業秘密、商業秘密のあるようなそういうものは、国はもう新しい原子炉としては採用しないと。これは原子力委員会が決めていくわけですからね、そういう方針を決めた場合は、その場合は企業の方としては特許を取って出すようにするか、あるいは企業秘密のないものを採用する以外ないわけですけれども、そういうことは支障がある、それはできないということですか、科学技術庁としては。その理由を聞きたいんですよ、なぜできないか。
  85. 生田豊朗

    政府委員(生田豊朗君) ただいまも申し上げましたように、そういう意味での企業機密を一切含まないものということは、原子力だけではございませんけれども、先端技術に属するものとしては、不可能だと考えます。もしも、先生の御意見のように企業機密を含むものは一切採用しない、安全審査も受け付けないということにいたしました場合は、この先端技術に属しますものはほとんど全面的に採用することができなくなる、かように考えます。
  86. 塩出啓典

    塩出啓典君 これは私も自分の意見を言っておるわけではないんですよ。きょうもお越しになっている中島さんが書いた本の中にもそういうことは書いてある。前の名古屋大学の坂田先生ですか、これは中島さんの書いた本の中を引用させていただくならば、その専門部会の一人である名古屋大学の坂田教授は、結局商業機密と呼ばれるような詳細なデータは何もなかったと、最後に見てみると。あるいはまたこの原子力基本法ができるときに、日本学術会議等においてはこの三原則の問題について、もっとやはり徹底をした三原則、企業秘密を認めないようなそういう三原則にしなければいけない、こういう意見もあったように聞いているわけですけれども、さらに武谷先生も、そういう企業秘密のある間はやっぱりいろんな協定等も結ばないようにした方がむしろいいんじゃないか、企業秘密であったものもやがて五年、十年たてば、だんだん企業秘密でなくなってくるからと、そういう学者の意見もあるわけです。だから私は、原子力局長も学者、ここに書いているのも学者、私は素人ですからどっちを信ずればいいのか迷っているわけですけれどもね。しかし、いま非常に原子力の炉を建設するにしてもいろいろ住民の反対がある。その反対にはやはり政府に対する不信があるわけですね、やっぱり。いま技術よりもそういう不信を解くということの方が大事なんですから、そういう点から考えれば、私が申しましたようにわが国が採用する原子炉あるいは原子力施設においては、企業秘密があるために国民に公開できないようなものは断じて採用しないと、そういうようにひとつできるかできないか、これはもうちょっとぼくは科学技術庁長官の方でよく検討してもらいたいと思うんです。これはここで、そういうことはできないといま原子力局長に言われてもわれわれは納得はできませんよね。もうちょっと詳しくいろいろ検討をして、こういうわけでやっぱり商業秘密というものは守っていかなきゃいけないんだと、これを科学技術庁としてもっとわれわれを納得できるほどの説得力のあるものをひとつ検討してもらいたいんですが、長官どうですか。
  87. 佐々木義武

    ○国務大臣佐々木義武君) お話でございますけれども、海外では商業機密あるものでも公開しろといったような国があるのかどうか、私にはどうも学がなくてわからぬのですけれども、仮にそういう場合、財産権の侵害だといって損害賠償を訴えられた場合にだれが責任を持つのか、これは国際的に庇護している権利でございますから、と思います。したがって、全然そういう機密がなくなった原子炉という時代がくれば別ですけれども、いまのところはちょっとそういう時代じゃないものですから、やはり商業機密は商業機密として庇護してやるというのが私は当然のことだろうと思います。
  88. 塩出啓典

    塩出啓典君 あなた外国の話をされますけれども、やっぱりわが国は自主、民主、公開という、平和利用するという、そういう原則ができたわけで、わが国はそういう核問題については、世界のいかなる民族よりも非常に敏感なセンスを持っているわけだから、そういう意味でわが国独自で考えていけばいい問題で、よその国がそうしなくても日本の国はそうすればいいんですよ、それともう一つは、まず提出をさしておいて、後から商業機密をばらすということは、これはよくないかもしれません。けれどもわが国が今後採用する原子力発電については、商業秘密は認めませんよと、こういうことを前もって世界に宣言をすれば、それはもう世界の各社においてもそれに対応するようにすることは間違いないわけですから、そういう方向ができるのかできないのかということを、検討ぐらいしたらどうなんですか。いまの答弁ではもう全く検討しようともしない。これじゃこの委員会開く価値がない。検討ぐらいしたらどうなんですか、やっぱり。
  89. 佐々木義武

    ○国務大臣佐々木義武君) 相手国の方もどんどん進歩しているのでありまして、とまっているものじゃございません。原子力の技術ほど、まだ技術的に進歩の可能性があるものはないわけでございまして、そういう際に、そういう進歩したものはもう日本じゃ置いておっちゃいけないということをあらかじめ宣言するようなもので、これはやっぱりおかしいのじゃないでしょうか。やはりそうじゃなくて、世界で、あるいは日本法律で、あるいは憲法等で保障している権利は、国民としてそれは保障してあげようというのが当然の話でありまして、それを日本だけが特別だ、特許法があろうが、憲法があろうが、そんなことは科学技術は別だと、こういうことは、これはやっぱり通用しないのじゃないかと私は思います。
  90. 塩出啓典

    塩出啓典君 特許法は特許法で守ることは、これは当然ですよ、特許はね。だからあなたのそういう姿勢がよくないんだよ、科学技術庁のね。私の言うようなことは、その後ろにおられる中島先生も、ぼくはそれに多少の違いはあってもいろんな考えは持っているし、そういう学者はたくさんいるんですから、そういう人の意見も謙虚に聞いていこうという姿勢がなければいかぬ。科学技術庁に、自分の考えに合わない学者の意見はさっぱり聞かないと、こういう一方的な姿勢があるから原子力行政は行き当たりばったりでにっちもさっちもいかなくなっているんじゃないですか。やはりもうちょっと幅広い意見を聞いて検討ぐらいしたらどうなんですか。あなた、ではこの問題ずっと検討しましたか、いままで。科学技術庁長官として検討したならいままで検討した資料をちゃんとよこしてくださいよ。
  91. 佐々木義武

    ○国務大臣佐々木義武君) 私の方は、いわゆる原子力行政を民主的に進めろということでございますから、基本法の御趣旨に従いまして学者の皆様には御参加願って、あるいは実業界の皆さんも御参加いただきまして、そしていままで進めているわけでございまして、したがって、学術会議等にも今度は一緒にシンポジウムをやろうというところまで進めているわけでございますから、決して独断で官僚的に問題を進めているという非難は私は原子力行政に関しては少し言い過ぎじゃなかろうかと思います。  それから、いまの公開の原則でございますけれども、公開そのものはいいんですよ、公開しないよりする方がいいんですから。ですけれども、それにはこういう制約条件がありますよと言っているのに、その制約条件も取れというものですから、それは少しおかしいじゃありませんかということを、お言葉を返すようで恐縮でございますけれども申し上げた次第でございます。
  92. 塩出啓典

    塩出啓典君 じゃこれはまた日を改めて、余り時間もありませんので。  いずれにしても、私はそういう企業秘密の問題について政府が検討をしようとしないこういうかたくなな姿勢は非常によろしくないと思います。そのことだけ申し述べておきます。私は素人ですからね。それはどうしても企業秘密を守らなければ世界の秩序を乱すということになるかもしれませんけれども、私は国がそのような方針を決めていくならば、その方がむしろ国民理解を得て原子力行政を推進する政府立場から見ても非常にいいんじゃないかと、こういうことを申し上げておきたいと思います。  それから、原子力委員会の安全審査の時間が非常に短い。これはたとえばアメリカでは、昭和四十六年度平均二十二・二五ヵ月、日本の美浜ナンバー一加圧水型の炉は四ヵ月余、実質審査の時間は二十時間余である。これは東大の小野先生意見にそうあるわけですけれども、実質二十時間とかいうのでは、時間が長い方がいいというわけじゃありませんけれども、原子炉の安全審査というものがアメリカ等に比べて余りにも簡単過ぎるんではないか、この点はどうですか。
  93. 生田豊朗

    政府委員(生田豊朗君) 安全審査の実所要時間をただいま先生がお示しになりましたが、実はアメリカと比較いたしますのにつきまして、わが国とアメリカと手順がかなり違っております。したがいまして、一つの案件につきまして日本が何時間であり、アメリカが何時間であるということは、これは手続を同じように換算いたしませんと直ちに比較できないわけでございます。先生重々御承知のことかと思いますけれども、アメリカの場合でございますと、申請者が申請書を提出いたしまして、これを原子炉安全諮問委員会で審査いたしまして、さらに公聴会を経まして原子力安全許可会議というものにかけられます。それから原子力規制委員会にその後かかりまして、それから認可書が出されるということでございます。で、わが国の場合は、これも十分御承知かと思いますけれども設置許可申請書が内閣総理大臣に提出されまして、それが原子力委員会に付議され、さらに安全審査会に回りまして、安全審査が済みました後、原子力委員会でさらに審査をいたしまして答申をし、設置許可をするということでございまして、かなり段階が違っております。わが国の場合におきましても相当の時間をかけておりまして、特に全体として何時間あるいは何ヵ月で終わらなければならないという目標は定めておりません。必要に応じましてかなり長くやるということでございますので、たとえば最近非常に長いものでございますと、東京電力の福島第二原子力発電所の一号炉につきましては、二十ヵ月の期間をかけまして安全審査をいたしております。これは、ただいま先生がおっしゃいました美浜の一号、二号に比べますと四倍近くの時間をかけている次第でございます。こういう事情でございまして、私ども、アメリカと比べまして安全審査の所要時間が特に短いとも考えておりませんが、今後とも十分時間をかけまして丹念にやってまいりたいというふうに考えております。
  94. 塩出啓典

    塩出啓典君 では、いままでわが国の審査がどういう審査をしてきたのか、どれぐらい時間をかけたのか、時間が長いからいいというわけじゃないですけれども、これは資料として後から御提出願いたいと思うのですけれども、お願いします。  それから、原子炉の耐用年数というのは大体幾らぐらいと考えているのか、それから、原子炉が結局寿命が来た場合は一体どうなるのか、その点も簡単にひとつ。
  95. 生田豊朗

    政府委員(生田豊朗君) 原子炉の耐用年数はいろいろ考え方がございますけれども、国際的に現在通説になっておりますのは大体三十年ぐらいということになっております。その耐用年数が来ました場合、後どうするかということでございますが、これはいわゆる廃炉、炉を廃止する廃炉対策ということでかねがね検討している次第でございまして、炉を廃止いたします場合には解体する必要が出てまいります。解体いたしますので、これは原子炉規制法に基づきまして、解体の手順あるいは残りました廃棄物の廃棄、保管、そういうものを規制することになっております。で、解体いたしました後のその原子炉、これも放射能を相当帯びておりますので、それの保管その他につきましても規制法の規定に基づきまして安全に保管するという対策を考えております。
  96. 塩出啓典

    塩出啓典君 これは私は、原子炉が廃棄になった場合どうするかということがまだはっきりした対策ができていない、それをIAEA等で検討しているように聞いておったわけですが、いまのあなたのお話では、対策はもう一〇〇%できておる、そういうような印象を受けたんですが、どうなんですか。
  97. 生田豊朗

    政府委員(生田豊朗君) 実は、まだこの原子炉の歴史が浅いものでございますので、実際に耐用年数が到来いたしまして炉を廃止するという実例が余り多くございません。したがいまして、技術的な問題点と申しましても余り経験がないわけでございますが、まず原子炉を解体することにつきましての技術的な可能性につきまして、アメリカにおきまして二つ実例がございます。それから、日本におきましても原子力研究所のJRR1という実験炉、これの解体、それからJPDRという炉がございますが、これを改造いたしましたので、そういう経験がございますので、圧力容器あるいはその周辺部分以外の大部分のものにつきましては、大体現在の技術で安全に解体できるというように考えております。それから、問題のその圧力容器等でございますが、これを切断いたしますとかあるいは解体いたしますとかいうことも、現在の技術水準あるいは今後の研究によりまして十分可能であろうというように考えておりますので、ただいま私の説明で、もうすでに完璧に準備ができているというように申し上げたつもりではございませんでしたので、あるいは説明不足だったかと思いますけれども、ただいま先生指摘のIAEAでの専門家の情報交換もございますし、十分国際協力も踏まえまして今後とも研究してまいりたいと思っております。
  98. 塩出啓典

    塩出啓典君 いま源田先生質問で、やはり低レベルの廃棄物は、現在、私のいただいた資料では、五十年度でドラムかんで六万三千本ですか、これは五十五年には三十九万本、六十年には百二十二万本と、こういうようになっていく、それについては海洋投棄を研究しているということでございますが、これはやはり海洋投棄の試験をこれからやって、結論が出るのには大体何年ぐらいかかるのですか、五年ぐらいか、十年ぐらいか。
  99. 生田豊朗

    政府委員(生田豊朗君) 海洋投棄につきましては、もうすでにOECDのNEAという原子力機関でございますが、これが大西洋におきまして海洋投棄の試験投棄をかなり進めております。それにわが国からも専門家が立ち会いまして技術を蓄積しているわけでございますが、わが国の計画といたしましては、先ほども申し上げましたように、昭和五十二年度から試験的な海洋投棄と申しますか、海洋処分を行いたいということを考えておりまして、現在原子力委員会におきまして事前の安全評価を行っている次第でございます。先ほど源田先生の御質問のときの先生の御意見もございましたように、これは海洋投棄と申しましても、ただ海の中にごみを捨てるように簡単に捨てられるものではございませんし、投棄という言葉が非常によくないのでございますが、むしろ海の底に保管するというような考え方でございますので、その安全性の確認も十分いたさねばできません。いまのところ、試験投棄を開始いたしましてから何年後にめどが立つということは必ずしもはっきりしておりません。その点十分慎重に進めてまいりたいと考えております。
  100. 塩出啓典

    塩出啓典君 じゃ、余り時間もありませんので、通産省の方もきょうお越しいただいたわけでありますが、これは終わってから別個にいろいろお聞きしたいと思います。  で、私は、長官に申し上げたいのは、原子炉のそういう耐用年数の問題、あるいは廃棄物の問題、あるいは原子力施設の各部が中性子の照射により脆性化する問題とか、あるいは低レベル放射能のそういう人体に及ぼす影響、さらには材料、核燃料、使用済み燃料の処理の問題、そういうような点が非常にまだまだ問題も多いわけで、現在は何か原子力発電を昭和六十年までにこれだけつくらなくちゃいかぬと、そういう目標だけ先行して、ちょうど下水道も整備しないのに水洗便所だけつくるような、こういういま状態じゃないかと思うのです。だからあくまでも下水道をきちっとつくって、一つのサイクルとしてやはり安全性を考えていくべきであって、そういう意味から考えるならば現段階はまだ実験段階である。やはりそういうサイクルとしての安全性の研究というものをまず第一にして、その上にやはり原子力発電をふやしていかなきゃいかぬと、こういうことを意見として申し上げておきたいと思います。御答弁はいただかなくてもいいと思います。  それから最後に、きょうはちょっと時間がなくて非常に申しわけないんですが、「むつ」の問題につきまして二、三お聞きしたいと思うんですが、佐世保では原子力船むつ」は修理だけ、そういうことで、しかし修理だけでも佐世保ではあれほど反対があっているわけでありますが、ましてや母港ということになると、果たして日本の国にそういうのを受け入れるところがあるのかどうかですね。もうすでに、むつ市から追い出されたものを他が引き受けるわけはないんじゃないかと。そういう意味で、この原子力船むつ」の問題も、もっと本質的に今後どうしていくか、長い将来にわたって考えていかなければいけないんじゃないか、このように思うわけでありますが、長官どうですか、その点は。
  101. 佐々木義武

    ○国務大臣佐々木義武君) 「むつ」の修理、総点検を完全に終わるまでにはおおむね三年くらいの年月を要するのじゃないかということでございますので、その間に母港、第二定係港でありますか、を探せばいいのでありまして、私は、健全な「むつ」の姿に、修理、総点検等をしてなった場合には受け入れてくれる母港があるものと確信しております。また、少なくとも十年後くらいには原子力商船時代が来るんではないかというのが定論になっておりますので、そういう際にも、なお、世界一の造船国であり世界一の海運国である日本が、そのときに備え得ずして港湾も閉鎖、あるいは原子力船は一切ない、自分でも持っていない、つくる技術がないと、こういうことでは、私はやっぱり将来の日本民族に対して、まことに私どもとしては不忠でございますから、やっぱり将来を考えますと、この際は進めるべきじゃなかろうかと、こういう信念を持って進めております。
  102. 塩出啓典

    塩出啓典君 いま政府としては、いわゆる「むつ」の修理の問題に限って長崎県の佐世保の方向に何か決まっているように私聞いておるわけでありますが、私は、佐世保といえば、長崎県といえば日本でも有数の漁業県であり、かつて広島に次いで被爆の地長崎県でもあるわけでありますが、そういう長崎を「むつ」の修理港として非常にいいという、結論が正式に出ているのか出ていないのかは知りませんけれども、そういう方向にあることは間違いないと思うんですけれども、そういう理由は何ですか。
  103. 佐々木義武

    ○国務大臣佐々木義武君) 佐世保港にまだ決めたわけではございません。ただ、地元の市長さんが引き受けてもよろしいという御意向のように承りますので、大変ありがたいことだと思っております。ただ、純科学的に考えますと、佐世保は御承知のようにモニタリングの設備といい、あるいはドックその他の設備といい、港湾の深さといい、非常に適地であることは事実だろうと思います。  いまお話しの漁業問題でございますけれども、これはいろいろ受け取り方があろうかと存じます。私は、必ずこのものが安全であるという理解を積極的に求めてまいりますれば御理解いただけるものと確信しておりますが、まだそういう確信を起こす段階にきておりません。青森県むつにある現在の原子力船は、稼働はしていないただのいわば普通の船でございまして、その間何らこれによって海を汚染したり、あるいは乗組員を云々したりということはあるわけがございません。今度の報告では、あの中に入っている軽水は飲み水としても差し支えなかろうというくらいまでの話でもございますし、これは私の見解じゃなくて、今度の報告にそううたってございます、御承知だと思いますが。あるいは入っている燃料棒はほとんど出力が上がらぬままにとめてしまったわけですから、これとていままで一年有余の間に放射線その他はほとんどなくなって、恐らくは入れたときの状況と余り変わらぬのじゃなかろうかと思います。そういたしますと、仮にどこかの港に持っていきましても、これは普通の船を持っていくのと同じでございまして、いま現在危険なものであればむつ自体に置けないわけでございますから、いまのままでありますれば何ともないことでございます。これは持っていって修理、点検するのが危ないかといいますと、その点は安全でございますということが立証されているわけですから、ですから修理、点検は差し支えなくできますよと。それが済んでからどうなるかというときに母港の問題が起きてくるわけでございまして、それはまたしばらく後の問題でございますけれども、これも私は安全なものと確信しておりますし、いまの修理、総点検さえ済まして、丹念にそれを三年間やっていきますと、必ずやそういう危険性のない、国民も安心して受け取るようなふうになるものと確信している次第でございますから、この面は、よく説明すれば納得していただけるんじゃなかろうかと、私はこういうふうに考えております。
  104. 塩出啓典

    塩出啓典君 それでは最後でございますが、きょうは原子力船開発事業団の理事長、専務理事にもお越しをいただいて、お忙しいところをどうもありがとうございました。  それで最後に事業団にお聞きしたいわけですけれども、私は、長年むつに係船していた、そういうむつから母港が追い出されたと、まあ追い出されたというか、ほかに探すというような、そういう政治的なことであの場を解決をしてきたわけですけれども、本当に安全なものであるならば、当然むつでやっぱりがんばるべきであって、むつ理解を得られないようなものが、日本じゅうどこに行ったって理解を得るわけは絶対にないわけでありまして、そういう将来の見通しもない政治的な解決ということは非常によくなかったんではないか、こういう点についての御意見を聞きたい。  それともう一つは、長官は安全だ安全だと、幾ら長官が安全だと思っても、やっぱり国民のコンセンサスを得なければ物事はそう簡単にはいかないわけですよ、いまね。だから、いま必要なのは、やはり国民の政治に対する不信、あるいは場合によっては必要以上の心配をしている場合もあるかもしれません。けれども、こういうものを解決していくのはやっぱり時間がかかるわけでありまして、だから私は、原子力船むつ」を世界の海運国として早く手がけたいという気持ちはわかりますけれども、しかし、陸上の原子力発電所についても、まだそういうサイクルとしての安全性が確立されていない、そういう実験炉の段階ですから、ましてや船の上になれば振動もあるし、重量の問題から遮蔽にも限界があるわけです。また、やっぱりわが国は世界の国とは違う核についての特別な国民の感情もありますし、そういう点考えて、原子力船を推進するのはちょっと時期が早過ぎると、「むつ」の問題は潔く方向転換をして、もう少しやはり時期を待った方がいいんじゃないか、これが私の意見でありますが、それについての事業団の皆さんの御意見をお伺いして終わりたいと思います。
  105. 島居辰次郎

    参考人島居辰次郎君) 船のむつからの移転につきましては、実は私が来る前の話でございまして、当時の新聞あるいはその他の状況によって考えてみますと、まあいろいろ政治問題にもなりましたので、これはやっぱりいろいろ周囲の状況からやむを得なかったんじゃないかと思っておる次第でございます。また、あそこには大きな造船所もございませんので、いろいろな意味において、もっといいところがあればそれはもっといいところがあってしかるべきじゃなかろうかというふうに、後から来た者として判断しておるわけでございます。  それから、私も長年海運の方に従事しておりましたが、先ほど来、いろいろ海運の世界の情勢からのお話もございましたが、日本も最大の海運国といたしまして、どうしてもいまこれを何とか守り立てていきたいというのがわれわれの考えでございまして、ことに、よその国がもう実際にやっておるのでございまして、日本がやったときは大分早い時期であったかと思うんでありますが、いろいろなことのために大分おくれてまいっておるようなわけでございます。まあ、いまちょうど世界的な不況でございますので、それもちょうどいいかと思うんではございますが、いかにしてもこれを何とか一人前のものにしたい。  そこで、私が受け持ちましてから変わったことの大きな問題は、実はいままでの過去の歴史を見てみますと、あれを貨物船にしてやるとか、いろいろの利用方法が考えられておりましたが、私が受け持ちましてから、そういうことよりも安全性が第一である、そういうことでそれをもとにして改修、遮蔽その他をやるのでございますが、そういうので、まだ規定の方は直してはございませんが、呼び名といたしまして、私はこれをいわゆる実験船にしたらどうだと、こういうふうなことで、実験船といいましても、安全であるかそうでないかの実験ではなくて、あの船でもっていろいろなデータをつくって、乗組員の動揺なり、あるいは先ほどおっしゃいましたように動揺もございますので、それに対するいろいろなデータをとる意味の実験船にしたらどうか、これをこの間、民間のほかの方に言いますと、安全の実験かとおっしゃいましたので、ちょっとその辺、語弊があるのでありますが、そうではなくて、あの船でもって原子力船としてのいろいろなデータをつくるという意味の実験船にしたらどうかというふうなそういうふうな、方向で進んでおるのでございまして、われわれは、目下すっかり幹部もかわりまして、新しい気持ちでこれを一生懸命やっておる次第でございますので、この席で何でございますが、どうか皆さん方の御協力を得まして、一人前のものにやってやりたいと思いますので、よろしくお願いします。
  106. 小巻敏雄

    小巻敏雄君 まず、佐々木上長官に伺っておきたいと思うんでございますが、長官自身、この法律案審議衆議院では前国会に内閣委員会審査、連合審査等もやっておりますけれども、ここで法案説明をされる中で、「むつ」の問題でとりわけ国民は大きなショックを受けたということ、そしてそれ以前から、分析化研問題、また美浜原子炉初め実証炉で安全だと言われた原子炉が運転中止に至ること、これらの問題で、国民に広がっている疑惑を解明をし、また政府自身も安全第一の姿勢を確立するという観点からこの法案を提出するということを説明されているんですが、その中で、特に原発関係の八県の知事が、この「むつ」事件以降は、政府の決めたものは拳々服膺する、政府が安全だというからよいではないかといういままでの態度では、もう行政が進行できなくなりましたということを述べた、これに答えるという趣旨で説明をしておられるわけですが、再度そういう状況であったかということをただしておきたいと思うんです。  私はその点、こういう点を押さえてこの法律案を提案をされるということなら、もう一つ、八県の知事がいろいろ反省をして政府に要求したように、二十年前から今日の原子力行政をつくってこられた佐々木長官初めやってこられた方々は、この八県の知事と同様にみずからが深い反省をしなければならなかった。原発について言えば、アメリカが採用しておるから安全だと、アメリカの決めたものは拳々服膺して差し支えない、こういう状況で開発を進めていくならばどういうことが起こってくるのか、それに対する一つの答えがこの美浜の問題であり、また動燃の再処理工場――これはアメリカそのままとは言わないわけですけれども、ここで起こってきておる問題、これらの問題であろうと、こう思うわけであります。そういう点からお伺いをしていきたい。  特に、私がいま必要だと思うことは、国民はもちろん根本的なこの見直しの上で安全性の確認を求めておりますが、長官自身も言われておりますように、今度のこの結論が出されて、それを受け取って、そしてこの問題を出して国会承認を受け、定着をするには、少なくても二、三年というふうに再度、三度述べておられるところであって、これはそのとおりであろうと思うんです。まあいまの状況で二年、三年というのは、よほど事柄がスムーズに進んだ場合の成り行きであって、その倍する期間、あるいは、いまからでは見通しがつかぬというところまで問題は遷延される可能性は十分にあるわけです。問題は、国民が求めることは、そのことを抜本的に解決することが一つと、その過程においてこの安全審査が必ずしも安全を保障しない。基本設計の審査、認可の問題の後すでに運転をされておるもの、運転をせんとしておるものに対して監督がどこまで厳正に行われるか、このような点も非常に中心的に重要な問題であります。危険と見れば運転中止をする、既成原発を含めて事業自身を見直すというような姿勢があるかないか、これとかかわって抜本的改善策が進められるということでなければ見直しの実は上がらないと、こう考えるわけでありますが、ひとつ簡潔にその点について、そうであるのかないのか、まずお伺いをしておきたい。
  107. 生田豊朗

    政府委員(生田豊朗君) ただいま先生指摘の点が安全規制につきましての非常に重要な点であろうかと考えております。いわゆる安全審査と申しますか、広い意味の安全審査でございますが、基本設計につきましての安全審査以降、設計工事方法の認可、各種の検査、さらにただいま御指摘がありました、運転に入りましてから後のいわゆる運転管理でございますが、そこまでをでき得れば一貫して規制するような組織があるべきではなかろうかという点が、ただいま原子力行政懇談会で御審議いただいております問題点の一つでございます。午前中の御質問のときにも御説明申し上げたわけでございますが、有沢私案におきましては、それを原子力規制委員会におきまして一貫的に基本設計の安全審査から運転管理まで全部チェックすると。それで、ただいま先生の御質問にありましたように、何か問題が起きました場合には、運転の中止あるいは点検というような対策も処置できるようにするということになっております。それが有沢私案原子力規制委員会の非常に大きな機能一つでございますが、けさほども申し上げましたように、それに対しまして、別に原子力規制委員会のベースだけではなくて、もっと行政ベースでもそういうことができないかというような御質問がほかの委員先生からも出されておりまして、その辺をめぐる議論がただいま行われているところでございます。私どもも、その形態はどのようになるか今後の問題でございますけれども、何らかの方法によりまして、やはり安全審査の初めから運転世理まで一貫して見られるというシステムを、何らかの形で全体の中に導入いたしたいというように考えております。
  108. 小巻敏雄

    小巻敏雄君 生田さんの方からお答えもありましたし、ここで生田さんに念を押しておきたいと思うことがあるわけであります。  六月十三日の科技特委員会で、生田局長の方から、特に、当時「玄海」の問題が原因不明のままちょうど新聞で報道されるという時期であった。ここで大量に日本にいまから建設をしようとするパターンとしての軽水炉の実用性と、それから安全性について定着度が不安定ではないかという質問をしたら、生田局長の方からお答えがあったわけですね。こういうことだったと思うのですが、PWR、まあ美浜と同型のアメリカのミシガン電力のパリセダスというんですか、これが一年半ストップをしておる。しかし、ここの周辺住民の状況を見ても、かなりの事故、まあ日本であったのと同じ性質の問題で事故が起こっていても周辺の住民は別段安全の問題としてこれに対して動揺があるわけではない、したがって、炉の安全という点では実証されているんだという説明があったですね。それともう一つ、むしろアメリカの場合に、非常に規制委員会が強力で、安全を重視をして、パイプのひび割れ等があれば直ちに運転をストップをさせて、そして再点検を命じるというところから、実用炉としては稼働率が非常に低くなってしまって、発電の仕事をやらないのでそこでの採算が悪くなって、いわばこれがその地域の電力料金にはね返ってくる。こういうところから、まあ規制委員会を恨むのかどうかわからないけれども、とにかく、かえって経済性に問題があるというとらえ方で、施設に対する評価が経済性の点から問題になっているんだというような、こういう説明があったと思うわけです。この説明は、そのままいわば美浜にも福島にも日本の主流であるところの軽水炉全般に適用できてくる問題になると思うんですが、どうですか。
  109. 生田豊朗

    政府委員(生田豊朗君) 六月に御答弁しましたことを細かいところまで正確に覚えておりませんが、ただいま先生が言われたようなことをお答え申し上げた記憶がございます。これは、ことしの春にアメリカの原子力規制委員会の人が来日いたしまして、かなり長い時間、安全問題につきまして意見を交換いたしましたときに、先方から、ミシガン電力のパリセダスと日本の関西電力の美浜の一号との関連につきましてそういう説明を受けましたので御披露申し上げたわけでございます。  確かに先生の御指摘のように、この原子力発電の稼働率が最近はわが国でも徐々に上がっております。もう相当の水準まで上がりましたが、昨年後半からことしの前半にかけましてこのような事態でございますと、非常に低く、かつ経済性についても問題が非常にあるわけでございます。現に電力会社におきましても、たとえば五十万キロワットの原子力発電所を一日ストップいたしますと、その分を石油火力で電力を供給いたしますと、一日当たり五、六千万円の燃料費がかさむわけでございますので、何らかの形によって経営を圧迫し、最終的には電力料金にもはね返る、つまり消費者に影響を与えるという傾向がございます。したがいまして、経済性から申しますと、むしろアメリカあるいはヨーロッパ諸国でやっておりますように、多少の故障があってもむしろ炉をとめないで運転しながら点検し、できれば修理するという方が望ましいわけでございますけれどもわが国の場合は、むしろ経済性を無視しても、この際安全性を第一に重視したいということでございまして、先生御承知のように、各種PWRあるいはBWRにつきましてそれぞれ数ヵ所の故障が発生いたしましたけれども、それを発覚されました後は、むしろ炉をとめまして徹底的に点検し修理するということで進めてまいったわけでございます。今後も、特にわが国におきまして原子力の安全性につきましての国民信頼と支持を全面的に獲得したいということを私ども考えておりますので、そのためには、やはり安全性第一の考え方で進めてまいるのが当面の対策として正しいというように考えております。
  110. 小巻敏雄

    小巻敏雄君 一九六〇年過ぎたころに、アメリカで軍事中心であったものが、いまから世界中に軽水炉を大いに売り出そうということになったときに、これを受けて日本原子力業界がむしろ財界からのプレッシャーもあって、それでコールダーホール型の自主開発をやめて、そこで軽水炉をどんどん導入するということに決めた、燃料もセットでアメリカから供給を受ける、こういうことになったてんまつは、まあ昨年からことしにかけて「むつ」問題を媒体にして大山委員会でも指摘しておるところであり、その件については、その時期の科学委員会佐々木長官からも当時の事情はさようなことであったということが答えられておるわけですね。しかしながら、そのときの状況といまとでは政府の当局者の説明も違ってこなければならなかった。第一あの当時は、動燃の事業団の所長は石川さんだったか、理事長は。石川さんの口から、これはもう軽水炉というものの実用性と、それから安全性というものは完全に検証済みのものだからということで、これを疑う者は愚か者と言わんばかりな話があって、それを拳々服膺されたのが前森山大臣であり、まあいまの長官もその系列の中におられるかと思うんですけれども、いまになってみると実用性も安全性も完全に十分なものだとは言えなくなっておる。まあ生田局長答弁でも、丁寧に聞いてみれば、炉の安全ということはいまも続いて強く主張されるのですけれども、実用性というものについては、そのまま安定したもので、ほかの水力や火力というもののようにもう完備をして既製品を輸入するというような気持ちで、安全体制などはそう進んでなくてもアメリカの既製品を持ってくるんだからこれでやっていけるというような状況では受けとめがたくなったという状況を物語っておるのではないか。いまの局長の説明では、日本の美浜初め、炉をとめたのは、経済性を無視しても安全第一のためにとめたと、こう言われるわけですけれども、まずアメリカがミシガン電力のこの炉をとめて、それに続いて日本でも、まあアメリカもとめておれば日本でもとめるというような、そういう状況になっておるのは事実の進行が物語っておる。  いまの局長の説明では、何ですか、経済性を無視してとめておるのは、一つの安全主義のためにとめておるので、運転しながらやってもよかったと言われておるのかどうかということですね。なぜそれでは、いま一年半アメリカのとめたのに続いて日本でもとめておるのか。これまたばか丁寧にやっておるという説明をされているのじゃまさかなかろうと思いますけれども、一体なぜとめておるのですか。私はやはり、そのまま強行運転をすればぐあいの悪いことがあるからとめてやらなければならぬ、少々経済効率が悪くても、これは原子力の問題、これは必要だからとめておるのだと、こう理解しておるんですが、どうでしょう。そこのところを一言説明してもらいましょうか。
  111. 生田豊朗

    政府委員(生田豊朗君) 私が先ほど申し上げましたのは、ただいま先生の御指摘になりましたPWRの蒸気発生器の減肉現象あるいはそのピンホールという問題でございますが、これは先生に申し上げるまでもないと思いますが、わが国の原子炉あるいはアメリカの同型の原子炉だけに起きる現象ではございませんで、外国、たとえばドイツツ、フランス等のPWR型の原子炉におきましても同様の現象が発生いたしております。で、それの対応策でございますけれどもわが国が一番シビアな対応策をとっております。その次がアメリカでございまして、ヨーロッパ、ドイツ、フランスあたりは、むしろ先ほど申しましたようにわが国の美浜の一号、二号程度でございますと、むしろ炉をとめないで運転を継続しながら点検し、監視していくというような方法をとっているわけでございます。したがいまして、この際そのヨーロッパと同じような方法をとるべきではないかという意見も一部にはございますが、私どもは、先ほども申しましたように、この際安全に対しまして念には念を入れてやるということで、炉をとめまして点検した次第でございます。  で、この原因につきましては、冷却水の水質の問題ということでほぼ結論が出まして、二号につきましては運転を始めているわけでございますが、一号につきましては、まだその除染作業その他に相当時間がかかりますので、時間をかけているわけでございます。ばか丁寧にやっているということではございません。
  112. 小巻敏雄

    小巻敏雄君 大抵こういう質問をすると、もうちょっとソ連やフランスは簡単にやっておるんだと、日本では念には念を入れ、国民の心情を満足させるために不必要なことをやっておるかとも聞こえるような説明が出てくるわけですけれども、不必要なことをやっておるんじゃないでしょう。安全のために必要があってやっているんでしょう。そこを一言答えてください。
  113. 生田豊朗

    政府委員(生田豊朗君) その必要であるかないかという判断でございますけれども、私は現在のわが国におきます原子力発電の環境のもとでは、私どもがやっております方法の方が妥当であるというように考えております。
  114. 小巻敏雄

    小巻敏雄君 言を左右にされる感じですけれども、安全上やっぱり万全を期するなら、これだけのことはしなければならぬという意味なんじゃないですか。どうも、不必要だけれども国民の心を慰めるためにやっておるという答弁にも聞こえるのですが、どうなんですか、そこは。
  115. 生田豊朗

    政府委員(生田豊朗君) PWR型の原子炉の蒸気発生器に関連いたします重大事故は、蒸気発生器のパイプのギロチン破断が起きました場合が重大事枚として安全審査の場合に考えられております。そこが論点でございまして、私どもは現在のような減肉現象、あるいは減肉現象が発展いたしましてピンホールがあくということから重大事故として想定されております蒸気発生器のパイプのギロチン破断にまで行くことはないということは、私どもは技術的にはそう確信しております。ただ、反対の立場に立つ方の中には、減肉、ピンホールからギロチン破断につながるのではないかという主張をされる方もあるわけでございます。その点について、必ずしもまだコンセンサスができていないと思いますので、念には念を入れましてとめまして、原因を十分究明し、対策を講ずるという方法をとっているわけでございます。
  116. 小巻敏雄

    小巻敏雄君 それは、開発第一主義で、いまのように念を入れないでそのまま操業しながら運転をする、炉をとめないで運転をするということもあり得たと、こう言われておると思うわけですけれども、何と言っても、この中で作業をしておるのは、前にも質問したので明らかになったように、減肉をするとパイプにピンホールができる、そのために盲栓をする、取りかえをすると、こういう作業を行っておる過程で、実際問題として運転しながらやるというようなことは乱暴な事情だと思う。フランスもしくはソ連で行われておるものがどういう状況であったか、必ずしもつまびらかにされてないものと比較をしてそういうことを言うというのは、これは正しい態度ではない。明らかに安全のためにはとめることが必要であった。逆に言えば、もしそのまま強行運転をすれば、これは危険である。危険というのは何か、核分裂生成物質によって所内外に汚染の危険があるということを考えるからとめるのであって、経済的にも大きな打撃があるのに、そうでないのにとめるというようなことは考えられないことだ。これは、そういうことはむしろとめておるということによって明らかに証明をされておるということだと思うわけですね。そういう点から見ると、今日の時点で、炉自身は安全だと言い条、施設は蒸気発生器を抜きにして発電所というものは成り立たないわけですから、これは一貫して、この軽水炉全体から言えば炉は安全だと言い張るにしても、実用性においては問題があると言わざるを得ない状態になっておる。現に一号機から八月機まで、特にBWR、PWRには同様のさまざまな事故が続出をして、完全稼働の状態に置かれておるものは一番新しい中電の島根と関電の高浜だけになっている。これだって稼働し始めたのが新しいからであって、早い時期にこういうことが出てくるということは当然予想されるところである。稼働すれば不安全であるからとめるわけです。とめておけば安全なんです。こういう炉は安定をしたものだとは言いがたい。ここの点に根本的メスを入れないで、歩きながら開発をする、この態度が、どうしても私は原子力委員会――現在の原子力委員会がいまから少くとも三年間それ以上の時期を責任を持っていくわけですから、この状況に対してどう正しく対応されるのかということ、また運転を現在監督をする科学技術庁、これがどういうふうに国民の前に態度を明らかにして、見直した結果、国民にも納得のできる行政を進めていくかということが、今日あなた方に課せられた任務ではなかろうかと思うわけであります。  続いて美浜の問題、あわせていま「むつ」と発電所、もう一つ再処理工場というのが次第に営業運転をする時期が近づいてきておる、非常に重要な時期になっておるわけであります。これについても同様な問題が起こるのではなかろうか、それを暗示するような幾つかのトラブルが相続いて報告をされておる。きのうの朝日新聞にも小さな記事でありましたけれども、東海村の動燃の「ウラン漏れ続けて二度」というような記事が出されております。きょうの赤旗ではもう少し詳しく現地の事情を聞いて掲載をしておるわけでありますけれども、これらの問題についても、ここで監督者としての科学技術庁、そしてこの開発推進をする動燃がどのようにこれを受けとめて、そうして運転に至るまでのテスト期間、点検見直し等をやっていくのか、これは非常に重要な問題であります。これらに対して新しい状況に適応する、今日の段階に適応する姿勢を打ち出すことなしに二年も三年も前から準備をしておって、定員獲得の技術として出してきた原子力安全部の設置案を、中を二つの局に分割をして、そうして当面しのぎの法律案を出すというようなことで能事足れりとしても、問題の解決はないと思うわけですから、ここで十三、十四と続いて起こったと言われる事故の内容を、ひとつ把握されておる限り簡潔に御説明いただきたい。あわせて、これらの事故でもって、ウラン試験を強行し始めてから一体何件くらいの事故が起こっておるのか、通水作動のこの段階からケミカルテストの段階、そして今日ウランテストをやっておるこの中で、どのくらいの事故が起こっており、それに基本的にどう評価し、対処しておるのかということを伺っておきたいわけであります。
  117. 半澤治雄

    政府委員(半澤治雄君) お答えいたします。  まず第一に、十三日、十四日にかけて起こりましたトラブルでございますが、現在ウランテストの最終段階でございます脱硝工程のテストを行っておるところでございますが、脱硝工程の中で硝酸ウラン溶液から三酸化ウランの粉末を製造する工程でございますけれども、これは十二月四日からこの工程のウラン試験を始めたわけでございますが、十二月十日から第二回目の試験を始めまして、十三日から、濃縮いたしました硝酸ウラン溶液を脱硝塔に送っておったわけでございますが、送りましてその脱硝作業というのをやっておったわけでございます。ところで、脱硝塔の先ほどの三酸化ウラン粉末製品取り出し系のバルブが作動不調となりましたので、脱硝塔の運転をとめたわけでございます。さらに、硝酸ウラン溶液を濃縮するための蒸発かんも停止いたしまして、蒸発かん内の溶液、つまり、ウラン溶液を希釈槽の方に移送する作業を始めたわけでございます。この送液作業の中で、二回にわたりましてそのウラン溶液の漏れが起こったわけでございまして、一回目は十二月十三日の九時半ごろでございますけれども、ポンプと希釈槽との間のバルブから約十リットルのウラン溶液が漏れた。第二回目は、同じく濃縮液受槽へのリサイクルラインのバルブから約五リットル漏れたというのがそのトラブルの内容でございます。  で、その後の措置でございますけれども、この漏れました溶液は下に受け皿がございます。ドリップトレーで回収いたしてございまして、当該ドリップトレーはすでに除染を終えております。軽い床の汚染が生じておりますけれども、この除染も行ったわけでございます。  なお、漏れましたときにバルブ操作に当たりました作業員は、必要な防御の衣服をつけてございましたから、それには汚染がありましたけれども身体汚染というものは生じておりません。これからの原因につきましては、どうもバルブからの漏洩と考えられますけれども、ただいま調査中でございます。  第二の点でございますが、ウラン試験が始まりましてから非常に軽微なトラブルまで含めますと約三十件を超えるトラブルが起きてございます。これをどうわれわれが受けとめ、かつどうするつもりかというお話が第三にございましたが、ウランテストは、もともと三つのキャンペーンに分けて行っておりまして、現在それぞれのブロックごとに機能テストをしておるわけでございますが、ウランテストのそもそもの目的が、この濃縮施設のふぐあいな個所をこのテストを通じて見つけ出す、その上で、十分な点検、修理、補正というものをやりまして次のホットテストに入っていく。つまり、一連のテストの中間の過程でございますので、このふぐあいの点を見つけ出すという観点から、これらのトラブルにつきましては、その原因、今後の対処ぶりというものを十分に確かめまして、把握してこれに対処して、次のテストに臨むというふうに考えております。ただし、そういう過程にはございますけれども、こういうトラブルがそれは起きないにこしたことはないわけでございますので、私どもといたしましてもその辺十分注意してテストを進めてもらいたいというふうに考えておるわけでございます。
  118. 小巻敏雄

    小巻敏雄君 まあ原因は調査中ということですけれども、これは硝酸液というのは高温のもとに置かないとすぐ結晶になるわけでしょう。それで保温装置が十分に行き渡らないバルブのところなんかで温度が下がって、そこで結晶がたまったのではないかというふうに言っておるのじゃありませんか、現地では。それから、そこのところをパッキングをやり直したら、今度は翌日、横の方でまたあふれ出してきたと、こういうことが具体的な内容かというふうに聞いておるわけですが、まあそれはそれとして、そこの部分は修理をし、ふぐあいを直せば修理ができるかもしれません。しかし、この脱硝工程の中でのこの脱硝塔というのは、もしこれが実際営業運転に入ってしまってからであれば、非常に高濃度の放射性の物質が集まる場所になるのではないですか。
  119. 半澤治雄

    政府委員(半澤治雄君) 前段の御質問はさておきまして、ただいまのお話でございますが、この脱硝塔では高レベルの放射性物質が存在するということではないというふうに聞いております。
  120. 小巻敏雄

    小巻敏雄君 まあ具体的な内容はさらに後ほどでも聞かしてもらいますけれども、いまあなたの方から言われたところでも、通水作動テストから始まって三十件くらいのトラブルが発生をしておるということですね。その三十件については、大体私の方に後ほど資料を要求いたしますから出していただきたい。これをここで要求をしておきます。  私どもが労働組合等で聞いたところでは、実際には通水作業、二月から十月までの間にこれは二件、ケミカルテストに入ってから十件、そしてウランテストに入ってから大体十六件のトラブルが発生をしておる、故障が出ておる。朝日新聞では十四件というふうに書いておりますけれども、労働組合では十六件というふうに申されておる。こういうことが具体的に相次いで起こっておる。どうしてもこれは国民の目の前でよく事情が明らかにされる必要があると思う。特に、わずかな事故であって、これは事故の名に値しないと言われた九月二十日の人身事故、この問題でも、あの事故の追及を通じて初めて溶液の中に存在するはずがないと思われておったウラン郷が出てきたというようなことが明らかになっておる。大体あそこでは、このウランテストというのは天然ウランを使って、そしていわばバージンの鉱石から取り出された天然ウランを使っておると言われるのですけれども、236が天然ウランの中に入っておるはずがないわけでありまして、これは一遍炉の中を通らなければ出てこない物質、こういうものがバージンのこの材料の中から検出されるということは、初めに言われた説明と実際に行われておることとは細部でやはり違うということを意味しております。まあ、こういった点、一つ解明するにしても、これは内容を十分に国民の目の前で点検をしていくという姿勢を動燃がとっていかれる必要があると思うわけです。プルトニウム蒸発かんからウラン溶液が大量に漏れた。これはミニマムのトラブルであって、故障の名にも値しないというふうなことを言われておるわけでありますけれども、プルトニウム蒸発かんからウラン溶液が漏れるということが、これが実際に大仕掛けになってくれば臨界事故につながってどかんといくような性質をその中に内在をしておるということもだれにも明らかなことではないか。  まあ、こういうことを考えてみますと、この新しく始めていく再処理工場というもの、これが確実な技術の裏づけを持って、それと開発とがバランスがとれて進むという点で、このプログラムを急がずに徹底的に見直してやっていく、特に試験計画を半年延ばしたくらいで済まされるものかどうか、試験を中止をして事故の原因究明をし、再処理施設の安全総点検、試験計画の再検討というようなことをしなければならぬ、これがむしろ健全な国民の要求であると考えるわけですが、どうでしょう。
  121. 半澤治雄

    政府委員(半澤治雄君) 先ほども申し上げましたように、いろいろなトラブルが起きておりまして、トラブルの原因については、厳密にいま原因追及、対処ぶりを検討しているわけでございまして、このウランテストというのは、すでに御案内のように、三つのキャンペーンから成っておりまして、いま現在の状況は、いわゆる第一キャンペーンが終わりに近づきつつあるわけでございまして、第二キャンペーンというのは、その第一キャンペーンで見つけ出しましたふぐあいの個所につきまして、先ほど申しましたように原因の追及とそれに基づく手直しというものを行い、さらに第三キャンペーンでこのウランを使ったウランテストを行って、さらに加えまして、それが終わりましたところでこの結果を評価して、その次のテストに入るわけでございます。あくまで操業ではなくて、さらにその次のテストに入るわけでございますので、そういう形で、御指摘のように、決してスケジュールにとらわれるわけではございませんで、必要な手直しは行うわけでございますけれども、そういう形で慎重にテストを続ければ十分ではないかというふうに考えております。
  122. 小巻敏雄

    小巻敏雄君 再処理工場の問題についての安全性ということは、原発とはまた一段と違った安全に対する確認が必要である。すでに、原発においてもかなりの運転中止等を行わなければならぬという状況があって、いわば安全確認説というのは一定の破綻を示しておるわけでありますけれども、特に再処理工場というのは根本から問題があるのではないか。フランスの場合だって、あのラ・アーグという会社は、同時にフランス核武装のための軍需工場で、ここのシステムが必ずしも安全を第一とする平和目的の工場として出発をしていないというようなものであって、これのプラントをそのまま輸入して、これを拳々服膺すれば安全というようなものであるかどうか、国民の目からながめていろいろ疑念を感じるところであります。また、アメリカの再処理の開発の状況を見ても、アメリカには六つの大きな工場があって、その中で民間のものは三つあるわけですか、特にNFSと呼ばれるニュークリア・フュエル・サービスですか、これは操業中止をやっているのじゃないですか、いまでは。そして、操業中止の理由は、これは民間団体、相当資本も投下したでしょうけれども、次第にやっていくうちに従業員の被曝と安全の点で操業を続けることは適切でない、こういうことから操業中止をしておる。またGEの再処理工場も相当の資金を投下しておったのだけれども、現実には計画放棄に至っておるというような実態があって、あとのものは総じて軍の開発工場である、こういう状況として私は把握しておるのですが、その点はどうですか。
  123. 半澤治雄

    政府委員(半澤治雄君) いま御指摘のように、アメリカで六つの再処理工場、三つは軍事用と申しますか、非商業用でございまして、商業用としては三つの再処理工場がございますが、御指摘のように、NFS、ニュークリア・フュエル・サービスは一九七二年から工場はとめてございまして、一九八〇年ごろ再開を目途に準備中というふうに聞いております。
  124. 小巻敏雄

    小巻敏雄君 GEは計画放棄でやめているんじゃないですか。
  125. 半澤治雄

    政府委員(半澤治雄君) GEは昨年運転許可申請を取り下げておるわけでございます。御指摘のように、かなりの金をかけまして工場をつくったわけでございますが、運転段階に入りまして工場をとめておる状況にございます。  それから、さらに最後の一つでございますが、バンウェルというところにプラントがございます工場は、来年夏以降ないしは再来年を目途に建設を進めているというように聞いております。
  126. 小巻敏雄

    小巻敏雄君 基本が軍事開発を中心にして、どこの国でも軍事というのはたくさんのシークレットを持つものであって、国民の目から覆われた場所で、アメリカのごときは原爆開発ではビキニ環礁で日本国民にも大きな損害を与えたわけですけれども、こういう状況の中で開発をされてきて、そしてようやく六〇年代ぐらいに入ってからこれを新しいエネルギーとしてアメリカは国際的に売り出すことを決めた。この中で、長官が言われるように日本の発電を一方で石油の上に築いていま非常に危険な状態が出た。もう一方の足を原子力にかければ、ウランの供給から何から、将来とも、価格、それから供給の安定性ということで準国産というほど安定をしておるのか。さらに、再処理工場の問題については、アメリカでもなかなかうまくいかないというのを、いまよちよち歩きで出発をしようとして、しかもそれが六千万キロワットを四千九百万からに縮小したにしても、まだそれらの計画とつり合いのとれない小ささであるわけですね。こういう状況の中で、国民の目から見て、どうしても高度経済成長とアメリカの後を拳々服膺して追っていれば安全だというところで立案をされた全体プランの見直しというものが、国民の前で公開をして行われるということなしに、小手先のこういう開発優先時代のプランをそのまま化粧直しをして、そうして法律案として出してくるというようなことでは、根本の姿勢が直っていないと言わざるを得ない。こういう点から、きょうは特に参考人の出席を求めて、今日の時点でのこの開発計画、あるいは企業側からの、エネルギーの側からのプレッシャーに対して、技術水準その他が自主的に均衡がとれておるかどうかという一つの問題と、もう一つは、行政的に安全体制が機構として保障されるか、二つの点から参考人質問したいと思っておったわけであります。いま言われたところでも、なおほとんど安全の問題についても弁解に終始しておって、いまはやっぱり以前のように、皆さん方としても実証炉、もうこれは安全を疑う者は愚か者と言うわけにはいかないところまできておるでしょうけれども、それに対する弁解の姿勢を改めて、根本から見直すというようなことでやってもらわなければならぬ。これを強く要望して、時間も来ておるようでありますからきょうの質問を終わります。  最後に、石川理事長は原船事業団理事長であり、動燃ではなかったわけですから、その点は訂正しておきます。  終わります。
  127. 中村利次

    中村利次君 すべての資源が有限であるという認識、特におととしの石油ショック以来、このエネルギー資源についての認識、非常に深刻な問題としてこれは国際的に大変大きな問題になっておると思うのです。加えて世界の石油専門家の見通しが全くナンセンスであったと思われるほどの異常なまでの原油価格の高騰、こういう時代を迎えて、世界のエネルギーがいかにあるべきかということは、これはもう地球上のえらい重大な関心事になっているわけでありますけれども、そういう中で、やはり二十一世紀の太陽熱あるいは核融合、これはもうどれだけのリスクがあるんだかまだまだ今後の問題になりますけれども、これにつなぐエネルギーとして原子力開発というのがもう不可欠のものであるということと同時に、欧米の先進国、それに中国、ソ連等も加えて、原子炉が実験段階より実用段階に入っておるという認識というのは、これは私はやっぱり国際的な常識であると、まず前提として考えているわけです。  去年の一月でございましたか、ソ連の原子力平和利用委員会からモロホフ第一副議長を団長とする調査団がお見えになりまして、このモロホフ団長が、これらの問題についてはまことに明快な発言をしていらっしゃる。私もまさにこれは同感です。ところが同時に、やはりいまの原子炉の安全性について、学者の間にも安全上きわめて問題がある、不安があるという説をなす学者の皆さんもいらっしゃいますし、国民の間にもやっぱり安全性について不安があるということも、これは否定し得ない事実なんです。特に、日本とアメリカの場合にはこういう国民合意というのが非常に困難な実情にあると思いますね。  そこで私は、まず第一に、いままでやっぱり原子力に関していろいろの意味でトラブルというべきものがあったと思うんです。これは国会で取り上げた問題だけでも相当の数に達しますし、国会で取り上げて私自身が質疑をしたという問題もたくさんあります。その都度、少なくとも国会では非常に短かい時間ではありますけれども問題を取り上げて、それなりの対応をしてまいりましたが、しかし、どうも私は個人的に言ってすっきりした答えがなかなか出てこなかった。国民的な合意を取りつけるのにどれほどの役割りを果たしたのかという点に考えをいたしますと、どうもやっぱり十分ではなかったという感じを非常に強うするわけです。たとえば、いろいろ問題になりました原子力船むつ」の母権問題、それから、非常に大きな国会の議論になった敦賀原子力発電所の作業員のトラブル問題、そのほか、先ほどからの質疑等にも出てまいりましたトラブル等についてその都度国会で問題を取り上げて議論をし、あるいは政府が調査会等をつくって専門家を集めて結論を出した問題などもあります。ところが、これは大変な金と時間をかけて「むつ」問題なんかでも、あるいは敦賀の作業員のトラブル問題でも調査会の結論は出た。私は、行政府は行政府なりの対応をしたと思うんですが、果たしてそのことが国民の不安に対してどれほどの役割りを果たしたのか、国民的な合意を得るのにどれほどの役割りを果たしたのかという点については、私はまあこれは相当の疑念を持たざるを得ない。そういう点について、まず、なぜそういうことを繰り返したにもかかわらずなかなか国民合意を取りつけるのが非常にむずかしいのか、どういうぐあいにお考えになっておるか、まずそこら辺からお聞かせをいただきたいと思うんです。
  128. 佐々木義武

    ○国務大臣佐々木義武君) 大変むずかしい質問でございますけれども、まず、よその国の例を申し上げて恐縮ですが、たとえばブルガリアの、科学大臣と言うんですか、教育大臣兼ねておるんでございますけれども、先般見えまして、そして、おたくの方は原子力発電をやっておりますかと言ったら、やっておると言う。いま一基動かしているそうです。これは軽水炉のPWRを使っています。いま二基目を建設中だと。国民は二基目をつくるときに反対等なかったかと言うと、全然そんなものありませんと、こう言うんですね。恐らくヨーロッパは、ドイツは若干ありますけれども、まあ意味が違うわけで、反対といってもそれほど反対はない。アメリカにも若干ありますけれどもそれほどでもない。ソ連に至っては全然、さっきのモロホフさんの話にあったように、もうこれほど安全なものはないと立証しているわけですから、国民がどうこう言うわけはない。やはりこれは日本一つの特有現象と申して、いいか悪いかは別にして、非常に特殊な国柄じゃないかと私は思います。  ですから、いまのエネルギー資源の状況等を考えますと、日本ほどこの原子力発電というものを急がなければならぬ、また大きく取り上げなければならぬ必要性に迫られた国はないはずでございますけれども、残念ながら進め得ない。それは技術が足らぬからそうかというと私はそうは思わない。やっぱり、これは一つ日本の置かれた原子力風土と申しますか、培われた一つの風土があって、これを一遍に変えるというのはなかなか無理でございますから、何といっても、もう原子力の安全というものを、そのもの自体ずばりまず安全にすることが一番先決で、それからそれを公認する政府に対して国民の信用をつなぐということ、これは一番重要なことでありましょう。三番目は、国民に対して、とにもかくにもこういう状況になったということの理解を深めるということが一番重要で、その理解を深めるということが非常に実はむずかしいんでありまして、極端に言えば、小学校の学習から原子力というのはこういうものだと徹底的に教え込むという行き方もそれはあるでしょう。ですから、海外でそうなっている、日本がどうしてそうならぬのだという、それを聞かれますと、いろいろ言いたいこともございますが、なかなか科学的以外の原因もあるようでございましてむずかしいのでございますけれども、しかし、いずれにしても、これは日本としてやらなければならぬ問題でございますから、お説のように何とかひとつ理解を深めるために努力してみたいと思います。ただ、従来のように映画をつくったとか、あるいはパンフレットでどうしたとか、講演に行ったとかいった程度でこの問題が済むかと申しますと、なかなか日本の状況はそういう段階じゃないようでございまして、もう少し深く粘り強く、いわば国民全体に浸透するようなそういう方策というものを考えざるを得ないんじゃないかと実は思っているんです。
  129. 中村利次

    中村利次君 なかなかこれは大臣としては答えにくいような質問をしたようです。  私は、日本が広島、長崎における唯一の殺戮兵器としての核爆発の被爆国であるということだけでは律し切れないものがあると思うんですよ。これは私も、ここでもう本当にこの総合的なエネルギー国民の必要とする国民のためのエネルギー、クリーンエネルギーをどう求めていくかという基本姿勢から考えますと、まことに憂慮すべき状態である、しかしこれは何としても乗り切らなきゃならない課題であると思いますけれども、たとえば、もう時間が少ないですからあんまり全部の例をとってここで質疑をしあるいは議論をする時間はございませんけれども、大変大問題になった原子力船むつ」の問題一つ取り上げてみても、まあ調査会でそれなり結論が出たけれども、あの陸奥湾の中あるいは陸奥湾の周辺で原子力船むつ」で原子炉の運転がありましたかどうですか。
  130. 生田豊朗

    政府委員(生田豊朗君) 陸奥湾の中では全くございません。北太平洋の洋上におきまして臨界に達しまして、その後出力一・二%の段階で放射線漏れを起こしましたのですぐ停止したわけでございます。
  131. 中村利次

    中村利次君 表現を変えて質問しますけれども、陸奥湾の中及びその周辺で、この原子力船むつ」を発生源とする放射能の漏洩、放射能漏れがある可能性があったのかどうか、科学的にですね。
  132. 生田豊朗

    政府委員(生田豊朗君) 科学的にはその可能性は全くございません。
  133. 中村利次

    中村利次君 可能性が全くないのに、あそこの漁民の皆さんは、養殖しておるホタテガイの大量死が原子力船むつ」が原因であるということで大変な騒ぎがあったわけですね。ところが、この「むつ」があそこから追い出された後、現在もホタテガイの大量死というのはある。こういうのはどう解釈すべきですか。
  134. 生田豊朗

    政府委員(生田豊朗君) 昨年「むつ」が漂流しまして……
  135. 中村利次

    中村利次君 ちょっと加えまして、その事実関係を少し……。
  136. 生田豊朗

    政府委員(生田豊朗君) 「むつ」が漂流しまして、大湊港に入港いたしますときに、当時の自民党の鈴木総務会長が政府代表として行かれたわけでございます。で、青森漁連と折衝をされまして十二億円余りの漁業対策費を支出したわけでございますが、その中の一部に当時青森漁連で主張しておりました稚貝、稚貝と申しますのは子供の貝でございますが、ホタテガイの稚貝が相当死にましたので、それの補償に相当するのはたしか一億円と記憶しておりますが、という要求がございまして、その後昨年の補正予算でその対策費を計上いたしまして、農林省経由で支出いたしました段階では、因果関係が不明確であるということで別の漁業対策費の形で支出したわけでございますが、当時青森漁連で主張しておりましたのは、放射能によって稚貝が死んだということではございませんで、「むつ」入港を阻止するために漁民が漁業に従事している暇がなくなって、「むつ」の入港阻止の、たとえば土のうを用意するとか、あるいは漁船を並べて阻止するとかいうことでそちらに専念されましたために、ホタテガイの養殖漁業に対する手当てが行き届かなくて相当の稚貝が死んでしまった、これはやはり「むつ」の漂流に伴う結果起きたものであるから補償しろということでございました。で、先ほど申しましたように、どうもその辺の因果関係がはっきりいたしませんでしたので、実際に青森県の漁連に支出いたしました、金としては別の形になったわけでございますが、その後ことしになりまして、ただいま先生指摘のホタテガイの大量死が起きたわけでございます。これは実は私ども直接関係がございませんので、新聞の報道あるいは青森県関係の人からいろいろ聞きました結果でございますけれども、それら総合いたしますと、いわゆる生態系のバランスが崩れたということであろうかと思います。つまり、私も昨年そのホタテガイの養殖場をかなり時間かけまして見せていただいたわけでございますけれども、もう一面のホタテガイの畑でございます。つまり、その当時から海水の中の酸素の量あるいはプランクトンの量等から考えましてバランスが崩れつつあるということを漁民の方から直接伺ったことがございますが、それがさらに進行いたしまして、一種の自然淘汰の形で相当死滅したということのようでございます。それから考えますと、昨年の場合もあるいはその前ぶれであったのかもしれないという感じもするわけでございますけれども、その辺の関係はつまびらかにはいたしておりません。
  137. 中村利次

    中村利次君 まあ、私はやっぱりそういうところが政府に対する国民信頼があいまいになる原因になっているんじゃないかと思いますよ。これは、たとえば原子力船むつ」の母港であった当時、この稚貝が大量死をした。このことが全国民に報道をされて、それが原子力船の影響によるものという印象を国民はすべて非常に強く受けるんです。受けるんですよ。そして因果関係が明確ではないから、あるいは因果関係がないから、そういう意味での補償はしない。しかしながら、ほかにいろんな理由をつけて、やはり母港の地元の漁協対策、地元対策という意味でも、トラブルを避けて地元との関係も円満にしたいというのでいろんな名目をつけての補償金が出る。このことは国民にどう受け取られておるかというと――一般関係のない国民ですよ。やはり原子力船むつ」は危険なものであり、そしてその因果関係によって養殖ホタテガイも大量死をして、やっぱりこれは大変なんだと、こういう印象しかないんです。現実にそうなんです。ですから、そのほかの国会で取り上げた問題なんかでもどうですか、あなた。何か、よってもってその地域の住民の皆さんの健康を損ね、生命を脅かした事実があるかと言うんです。ところが国民の受ける印象は、みんな大変だ、これは原子炉なんというのはえらい危険なものだという印象しか残らない。そういう点、正しい認識国民の皆さんにしていただいて、正しい原子力開発、平和利用というものをどう進めていくかという、そういう点について私は本当に、これはもうまだまだ不十分な面がきわめて多くある。こういうことではやっぱり、すべての資源が乏しいというよりも、すべての資源のない日本の今日以降のエネルギーはどうなっていくんだという、これはもう原油価格の超高価格時代を迎えた現実も含めて、大変な不満と不安と、それから焦燥を感ずるわけですね。こういう点については、これは科技庁としては正しい認識をお持ちでしょうかどうでしょうか。
  138. 生田豊朗

    政府委員(生田豊朗君) 私どもは当然先生の御指摘になりましたような点につきまして正しい認識をしているつもりでございます。ただ、残念ながら、私どもが故障と言っておりますような、あるいは故障以下のトラブルのようなものでも、発生いたしますと、それが非常に大きく取り上げられるわけでございますが、一方、故障を修理いたしまして運転を正常化したという場合にはほとんど報道されないということもございますので、専門知識を持ち合わせない一般国民の人たちにとってみますと、目に触れるものは常にトラブルであり故障であるというような印象が強いのではないかと思います。この辺は大変遺憾でございまして、私ども努力も大変足りないと思っているわけでございますけれども、いろいろの方法を講じまして、何とかその辺のPRと申しますか、それを進めてまいりたいというように考えております。
  139. 中村利次

    中村利次君 やっぱり私は、現状を切り開いていくには事実を正しく認識してもらう、そういう努力がどうしても、より一層に強く必要であると思うのです。これはしかし、何も政府だけを追及する問題じゃなくて、いろんな各界各層がそういう努力をしなきゃいけないと思いますけれども、そこで、私は後ほどまた科技庁には法案を中心として質問をいたしますけれども、通産省に質問通告をしておりますので。  エネ庁で、当初六十年六千万キロ、六十五年一億キロですかの原子力開発という、そういう構想を発表された。それに原子力委員会もやっぱり同じ構想をお出しになった。それが、六十年四千九百万キロにいわゆる手直しをされたということは、まあわれわれも、いまこの立地問題等いろんなトラブル、課題が、この原子力開発についてはあるわけでありますから、果たしてこの六十年六千万キロ、六十五年一億キロワットが達成できるのかどうか、いろんな角度からただしてきたんですけれども、四千九百万キロにスローダウンをされた理由をまず伺います。
  140. 松尾成美

    説明員(松尾成美君) ただいま先生質問の六千万キロワットを四千九百万キロワットに下げた理由でございますが、いまのお話にありました六千万キロワットという数字は、昭和四十九年の八月の二十二日でございますが、このときに電気事業審議会の需給部会の中間報告というもので挙げた数字でございます。そのときから一年たったところで見直しをしたわけでございますが、この間にかなり経済事情ないしはその将来の経済の見通しについての変動がございまして、御案内のように、四十九年、五十年と二年にわたって足踏みをいたしまして、まず長期計画の出発点になる出だしのところがかなり下がったわけでございます。その後の経済の伸びについても、一年前に見られた当時ほどの高い伸びはむずかしいと、まあかつてのように二けたの成長というようなことはむずかしくて、まあ六%前後というところであろうというふうに経済の見方も変わってまいりまして、六十年の経済規模というのはかなり変わってまいりました。そういったことを受けまして、通産省の二つの場、総合エネルギー調査会と、それから先ほどの電気事業審議会と両方の場で並行してエネルギー全体、その中での電気、その中での原子力という位置づけについて見直し作業が行われたわけでございます。先生指摘のように、エネルギー全体の安定供給の確保と申しますか、こういう点から申しますと、原子力重要性というものは決して変わっておらないと、しかし、経済規模が変わりましたので、六十年でその四千九百万ということですと大体一割弱の規模は確保できる。これは諸外国ですと、先進国、ヨーロッパ、アメリカですと……
  141. 中村利次

    中村利次君 それは結構です。
  142. 松尾成美

    説明員(松尾成美君) よろしゅうございますか。――ということで、まあそういう経済規模の変動ということが一つきっかけになりまして見直しを行うことにしたわけでございます。
  143. 中村利次

    中村利次君 どうも時間がだんだんなくなってきて心配なんですけれども、私はその経済規模の縮小によって計画の見直しをやったという点については、非常に不満というか、ある意味での不信を持つんですよ。   〔委員長代理中尾辰義君退席、委員長着席〕 需給関係で手直しをしたとおっしゃるならば、しからば、四十九年の八月現在の見通しどおりの需要の伸びであったならば六千万キロワットが達成可能であると踏んでおられたのかどうか。これはいま手直しをした四千九百万キロワットが六十年には達成できるとお考えになっておるということと同義語になりますけれども、ただ単に需給の面で手直しをしたのですか、それともやっぱり開発の現状いろんな困難性があるというものも含めた手直しですか、どっちですか。簡単にひとつ。
  144. 松尾成美

    説明員(松尾成美君) 先ほど、実はちょっと追加してさらに敷衍して申し上げなければいけないと思っておったのですが、先生指摘のように、確かに需給の面というのは私どもが見直しをしたきっかけであると申し上げましたが、その際、もちろんこれまでの立地の進展状況あるいはその立地環境問題の今後のむずかしさ面等々あたりについても改めて見直しをいたしまして、で、六千万キロワットを四千九百万キロワットに見直すことによってフィージビリティーと申しますか、それがより高くなると、その面の見直しもいたしました。
  145. 中村利次

    中村利次君 そういうことであれば一応納得をいたします。  私は本当はこれは相当時間をかけて細かく質問をしたいと思っていたんですが、時間もだんだん少なくなりましたから、一括して質問をしますけれども、現在着工中の原子炉が十四基千二百十二万キロ余りございますね。それで、電調審で認可済みのものが四基三百三十二万五千キロワットあります。未定のものが、まだどうなるかわからぬという計画だけのものが八百六十六万二千キロワット、合計して二千四百万キロワット余りあるわけです。これが地元との調和もついて、仮に電調審で認可をされた、この未定の八百六十六万キロワットがされたとして、五十年から五十四年に運開できるものが約一千百万キロワット、現在すでにもう運転中のものが四百四十五万キロワット余り、そうしますと、五十五年の約一千六百万キロワットを達成をするには百十万キロワット程度をオンすれば達成できるということになるのです。これは私は相当裏づけのあるものだと思いますよ。ところが、五十五年から六十年の計画に裏づけがあるかということを考えてみますと、これは五十五年現在で継続中のものが一千二百万キロワットぐらいあることになりますね。そうしますと、約二千万キロワット余り新たに、これは着工ではなくて竣工をしなければ昭和六十年度四千九百万キロワットは達成できないということになる。ところが、これはいろんなネックを考えてみますと、たとえばこの製作能力の面ではどうなんだと、三菱グループあたりが百万キロワット級、年間に四プラントぐらいが限度であると言われていますよ。それから技術者、労働者、ここに働く者、作業をする者の確保が果たして可能なのか。だから、いろんな問題はあるにしても、そういう立地問題等を達成をし、それから地元との合意関係を得られても、なおかつこういう不安要因もある、こういう点についてはどういうぐあいの見方をされていますか。
  146. 松尾成美

    説明員(松尾成美君) ただいま先生指摘になりましたように、まあ四千九百万キロワットというのは確かに現在工事中のもの、あるいは準備中のもの、これは取り方はいろいろあるわけでございますけれども、二千万、あるいは三千万と見ているわけで、二千万から三千万という幅でこれからやらなければならないものがあるわけでございます。これから十年の間にそれだけのものを追加してやらなければならないわけでございまして、まあ非常に努力を要する数字であるということは確かであろうと思います。私どもといたしましては、いろいろな点で解決をしなければならない問題というのはあると思いますが、そういった面、環境対策とか、安全対策、そういう地元対策、あるいは先生指摘のようなそれぞれの面についていろいろな努力を官民挙げてやっていくならば、これはできる数字であろうということでございまして、そういう形で四千九百万というものを設定したわけでございます。
  147. 中村利次

    中村利次君 私はやっぱりクリーンエネルギーとしての原子力の役割りというものが、これはわが国の今日以降の国民生活に不可欠なものであるという立場をとるからこそ、そういう立場に立っていろいろ具体的に、果たしてどうなるんだ、裏づけはあるのかという点で考えていくと、いろんな面でのやっぱり困難性がある、こういう点を指摘しているわけでありまして、何とか努力しなければということだけではなかなかこれは片がつかないと思います。しかし、ここで、非常に短かい時間でこの問題を詰めようたってどだい無理ですから、いずれこれは十分の時間をとって私は本問題についてはまだまだ質疑を重ね、議論を重ねていきたいと思います。  次に、どうもこれは時間が切迫をして弱っちゃいましたけれども、科技庁にお尋ねをしたいんですが、FBの問題で、試験炉、これは「常陽」というのですか、現状はどういうことになってますか、簡単にひとつ。
  148. 生田豊朗

    政府委員(生田豊朗君) 「常陽」は高速増殖炉の実験炉でございまして、明年臨界の予定でございます。それに用いますプルトニウムでございますけれども、現在動燃事業団で確保いたしております。今後、FBRのプルトニウムは再処理工場が稼働いたしますと、それからも供給が可能でございます。
  149. 中村利次

    中村利次君 次の原型炉、これはニックネームは何と言うんだかありますけれども、このチェック・アンド・レビューはいつごろおやりになる予定になっていますか、現在おやりになっていますか。
  150. 高岡敬展

    説明員(高岡敬展君) ただいまの御質問でございますけれども、高速増殖炉の原型炉、「もんじゅ」と略称しておりますけれども、これにつきましては、ことしの八月から従来の研究開発の成果を評価いたしまして原型炉の建設の計画を検討すると、いわゆるチェック・アンド・レビューというのを行っております。その計画の概要でございますけれども、三十万キロの発電能力を持ちます原型炉でございまして、われわれの希望といたしましては福井県にサイトを求めたいということでやっております。チェック・アンド・レビューの予定、見込みでございますけれども、来年の六日ごろまでには一応の結論を得たいという予定にしております。
  151. 中村利次

    中村利次君 「常陽」の成果を踏まえてチェック・アンド・レビューをやっていこうということですね。現在はまだやってない……。
  152. 高岡敬展

    説明員(高岡敬展君) もちろん「常陽」につきましては、ただいま局長から申し上げましたようにほぼ設備は完了しておりまして、来年の一月ごろ臨界に達します。で、今日までの「常陽」の建設に関連いたしましては、非常に多岐にわたりまして研究開発を行っております。で、その結果を十分検討いたしまして、動燃が計画しております原型炉の計画が妥当なものであるかどうかを、現在八月から検討いたしております。来年の六月には検討を終わりたいという予定でございます。
  153. 中村利次

    中村利次君 それはどこでおやりになる予定ですか。
  154. 高岡敬展

    説明員(高岡敬展君) 申しおくれましたけれども原子力委員会の中に新型動力炉開発専門部会というのを設けまして、これは高速増殖炉の計画の検討だけではございませんけれども、具体的に申しますと、その専門部会の中に高速増殖炉分科会というのが設けられておりますが、その分科会において高速増殖炉原型炉のチェック・アンド・レビューを実施いたしております。
  155. 中村利次

    中村利次君 それはこの原型炉だけのチェック・アンド・レビューを、何ですか、委員会だか何だかでおやりになろうとしておるのか、あるいはその他のCANDU等を含めたものにお考えになっておるのか。
  156. 高岡敬展

    説明員(高岡敬展君) 原子力委員会に設けられております新型動力炉開発専門部会というのは、増殖炉のほかに、われわれの方で開発を進めております新型転換炉というのがございますけれども、それの今後の開発利用の進め方でありますとか、あるいは原子力研究所が研究をやっております多目的高温ガス炉というのがございますが、そういうものの今後の研究の進め方でありますとか、そういう新しい動力炉の研究開発をどう進めるかという全般の問題の一環として高速増殖炉の開発研究を進めておる、検討を進めておるということでございます。
  157. 中村利次

    中村利次君 これはもっと詳しく、いずれただしていきたいと思います。きょうは時間がございませんので。  それから、これはひとつ大臣にお伺いをしたいんですが、これはやっぱり政治的な判断を必要とすると思うんですがね、防災計画につきましてね。防災計画をつくって、これは訓練しなければならないと思うんですけれども、なかなか、地元では費用が巨額に達して非常に困っておる実情があるようですけれども、どういうぐあいにお考えですか。
  158. 佐々木義武

    ○国務大臣佐々木義武君) これはお話しのように大変重要な問題でございまして、ただ私の聞き及んでおる範囲では、災害が起きた後始末の方には大変皆さん熱心でございますけれども、これを予防する科学面は、いままでも国を挙げて系統的にやっているかといいますと、必ずしもそうは言えない実情でありまして、私ども役所のブランチに防災センターございまして、ここでまあ細々とながら勉強しておりますけれども、特に一番、最近問題になっているのは地震予知の問題で、中国の調査団が最近参りまして、私も会ってみたんですけれども、向こうは向こうで非常に国を挙げてこの問題に取っ組んでいる。地震予知の問題ですね。したがいまして、日本の方はまだ大分力の入れ方が少ないんじゃないかという感じがしました。あるいは雪害ですね、あるいはなだれとかいったような問題とか、集中豪雨とかいろんな問題あるわけですけれども、こういう問題に対するやっぱり事前対策というものは、これは日本としてはよほど考えていきませんと、昔ながらのままで後始末ばかりしていたんじゃこれはもうとてもいかぬと思いますので、せっかくここまで科学技術というものが発達したんですから、これはやっぱりそういう災害に対抗できるようなことを今後一層進めるべきじゃないかと、私大変いま力を入れてやろうと思っておる問題でございます。
  159. 中村利次

    中村利次君 これを最後にしますけれども、確かに大臣おっしゃるように、起きたトラブルについては、特に原子力の場合にはあえて針小棒大に取り上げて、むしろ国民を不安に追い込むような実情すらあるように私は思う。しかし、やはりこの予防、防災等につきましては、どうもやっぱり十分に意を用いない。これは大変な金がかかります。しかし、やっぱりこういうものにこそ政府も腰を据えて対処をすると。なかなかこれは地元、地方自治体等ではどうにもならないというものがあると思いますよ。大臣答弁がまことにまともだと思いますが、ぜひこれはそのまともな御答弁一つ実現するように、配慮よりもむしろ実行をお願いをしたいと思うんです。  最後に、この法案そのものについてですけれども、科技庁に安全局を新設をするという点について、私どもはそのすべての条件をすべて満足して、もろ手を挙げてこれに賛成というものではありませんけれども、やっぱり同位元素の取り扱い量が非常にふえてきた、あるいは原子力船むつ」の問題もあり、先ほどからこれはいろいろ私が取り上げましたが、あるいはまた再処理工場等も稼働をするようになる。そういうものを含めて素直にやっぱり科技庁に原子力局を新設をして、それに当面の対応をしたということで設置法の一部改正をお出しになったと私どもは解釈をして、これはこの会期中にぜひとも成立をされなければならないと思っています。  ただ、先ほど塩出委員質問原子力局長からお答えになっておりましたけれども、私は局長答弁そのものが科技庁の姿勢であるならば、私も全く同感です。いわゆる基本設計から運転管理まで一貫した一元的安全規制の体制をつくり上げるべきである。なかなかこれが言うべくして困難であるというところにこういう安全局の科技庁における新設という当面の課題が私はあるという受け取り方をしておりますから、したがって、そういう将来に向けての大構想ですね、そういうものが、これは行懇等でいろいろ議論の末、答申が出され、政府としてこれを消化をして、法律化が必要なものは法案をお出しになる、あるいは法律改正が必要なものは改正案としてお出しになる、そういう一環と受け取ってよろしいかどうかですね。これはひとつ科技庁の長官にお伺いをし、あわせて通産省にお伺いしますけれども、そういうことで私はやっぱりそういうものの一環として、当面科技庁が前向きに安全局の新設をここに提起しておられると思う。行管なんか非常にむずかしい、うるさいことを言うかもしれないけれども、やっぱり現状において、通産省の役割りの中で、このエネ庁の中の原子力部門の機構を強化し、この安全規制について強化をし、陣容も整えるという構想がおありかどうか、大臣と、ひとつ通産省にあわせてお伺いをして私の質問を終わります。
  160. 佐々木義武

    ○国務大臣佐々木義武君) 私どもに対する御質問はそのとおりでございます。
  161. 山本幸助

    説明員山本幸助君) ただいまの御質問にお答え申し上げます。  通産省としましては、従来から安全性につきましては何よりも重視しなきゃならぬという考え方から、最大限の努力を払ってきておりまして、そのための機構、陣容等も、各方面とも御相談しまして、逐次整備強化いたしてまいっております。しかし、今後原子力利用が実用化の段階に急速に進展すると考えられますので、そういう事態に即応しまして、通産省における原子力行政体制の整備拡充が一層緊要であると、こういうふうに考えておりまして、その方向で関係方面とも折衝を現在行っております。
  162. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 他に御発言もなければ、本連合審査会は終了することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  163. 加藤武徳

    委員長加藤武徳君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。  連合審査会は終了することに決定いたしました。  これで散会いたします。    午後四時四十七分散会