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1975-12-23 第76回国会 参議院 逓信委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年十二月二十三日(火曜日)    午前十時十七分開会     —————————————    委員異動  十二月十九日     辞任         補欠選任      対馬 孝且君     竹田 四郎君  十二月二十二日     辞任         補欠選任      佐多 宗二君     迫水 久常君  十二月二十三日     辞任         補欠選任      迫水 久常君     佐多 宗二君      郡  祐一君     福岡日出麿君      最上  進君     岩男 頴一君      棚辺 四郎君     初村滝一郎君      木島 則夫君     中村 利次君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         竹田 現照君     理 事                 長田 裕二君                 川野辺 静君                 西村 尚治君                茜ケ久保重光君     委 員                 岩男 頴一君                 大島 友治君                 亀井 久興君                 佐多 宗二君                 新谷寅三郎君                 棚辺 四郎君                 初村滝一郎君                 福岡日出麿君                 最上  進君                 案納  勝君                 竹田 四郎君                 森  勝治君                 藤原 房雄君                 矢原 秀男君                 山中 郁子君                 中村 利次君                 青島 幸男君    国務大臣        郵 政 大 臣  村上  勇君    政府委員        郵政政務次官   稲村 利幸君        郵政大臣官房長  佐藤 昭一君        郵政大臣官房首        席監察官     永末  浩君        郵政省郵務局長  廣瀬  弘君        郵政省貯金局長  神山 文男君        郵政省簡易保険        局長       中市 彩也君        郵政省人事局長  浅尾  宏君        郵政省経理局長  高仲  優君    事務局側        常任委員会専門        員        竹森 秋夫君    説明員        大蔵省銀行局総        務課長      清水  汪君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和二十四年五月以前の簡易生命保険契約に関  する特別措置法案内閣提出衆議院送付) ○郵便貯金法の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付) ○簡易生命保険法の一部を改正する法律案内閣  提出衆議院送付) ○郵便料金大幅値上げ案反対等に関する請願(第  五九号)(第一〇九号)(第一九〇号)(第三  六五九号) ○年賀はがき切手発行に関する請願(第一二八 号) ○郵便料金値上げに関する請願(第一八九号) ○郵便料金値上げ反対に関する請願(第五六〇  号)(第八六九号)(第九六七号)(第九七六  号)(第一〇四八号)(第一〇六七号)(第一  〇六八号)(第一〇七三号)(第一〇九〇号)  (第一一九八号)(第一一九九号)(第一二一  一号)(第一二四一号)(第一二六五号)(第  一三三一号)(第一三四六号)(第一三六五  号)(第一三六六号)(第一三六七号)(第一  三六八号)(第一三六九号)(第一三七〇号)  (第一三八七号)(第一三八八号)(第一三八  九号)(第一三九〇号)(第一三九一号)(第  一三九二号)(第一四一五号)(第一四二〇  号)(第一四二二号)(第一四二六号)(第一  四二七号)(第一四四四号)(第一四四五号)  (第一四四六号)(第一四五九号)(第一四六  〇号)(第一四六九号)(第一四七五号)(第  一五〇〇号)(第一五〇一号)(第一五〇二  号)(第一六二八号)(第一六四六号)(第一  六五六号)(第一八二五号)(第一八二六号)  (第一八二七号)(第一八二八号)(第一九一  〇号)(第一九二八号)(第一九三〇号)(第  一九三一号)(第一九三二号)(第一九三七  号)(第一九三八号)(第一九三九号)(第一  九四〇号)(第一九四一号)(第一九五一号)  (第一九六九号)(第一九七〇号)(第一九七  一号)(第一九七二号)(第一九七七号)(第  一九七八号)(第一九七九号)(第二〇六一  号)(第二〇六二号)(第二〇六八号)(第二  〇七五号)(第二〇七六号)(第二〇八〇号)  (第二〇八一号)(第二一六〇号)(第二一六  一号)(第二二三二号)(第二二五三号)(第  二二五四号)(第二二六八号)(第二二六九  号)(第二二七〇号)(第二二七五号)(第二  三二二号)(第二三二三号)(第二三二四号)  (第二三三三号)(第二三三四号)(第二三四  三号)(第二四一八号)(第二四一九号)(第  二四二〇号)(第二四二一号)(第二四二二  号)(第二四二八号)(第二四二九号)(第二  四三〇号)(第二四四一号)(第二四五三号)  (第二四五五号)(第二四六三号)(第二四六  四号)(第二四六八号)(第二五三六号)(第  二五四五号)(第二五六二号)(第二五六三  号)(第二五七〇号)(第二六六〇号)(第二  六六七号)(第二六六八号)(第二六六九号)  (第二六七〇号)(第二七三四号)(第二七三  五号)(第二七四二号)(第二七五七号)(第  二七五八号)(第二七八三号)(第二七九八  号)(第二七九九号)(第二八一二号)(第二  八一三号)(第二八二七号)(第二八二八号)  (第二八二九号)(第二八四一号)(第二九二  八号)(第二九四一号)(第三〇四六号)(第  三〇四七号)(第三〇四八号)(第三〇四九  号)(第三〇九五号)(第三一一二号)(第三  二二四号)(第三二二五号)(第三二二六号)  (第三二二七号)(第三二五〇号)(第三二七  四号)(第三二八五号)(第三三六六号)(第  三三六七号)(第三三九〇号)(第三三九一  号)(第三三九二号)(第三三九三号)(第三  三九四号)(第三三九五号)(第三三九六号)  (第三三九七号)(第三四二三号)(第三四二  四号)(第三四二五号)(第三四二六号)(第  三五六〇号)(第三五八六号)(第三六二二  号)(第三六二三号)(第三六二四号)(第三  六五五号)(第三六五六号)(第三七〇八号)  (第三七〇九号)(第三七一〇号)(第三七一  一号)(第三七一二号)(第三七一三号)(第  三七一四号)(第三七一五号)(第三七一六  号)(第三七一七号)(第三七一八号)(第三  七一九号)(第三七二〇号)(第三七二一号)  (第三七二二号)(第三七二三号)(第三七二  四号)(第三七二五号)(第三七二六号)(第  三八〇五号)(第三八〇六号)(第三八〇七  号)(第三八〇八号)(第三八〇九号)(第三  八一〇号)(第三八一一号)(第三八一二号)  (第三八一三号)(第三八一四号)(第三八一  五号)(第三八一六号)(第三八一七号)(第  三八一八号)(第三八一九号)(第三八二〇  号)(第三  八二一号)(第三八五二号)(第三八六〇号)  (第三八六一号)(第三八六三号)(第四一〇  二号)(第四一二四号)(第四一五八号)(第  四一七〇号)(第四二六二号)(第四二六六  号)(第四二六七号)(第四二七〇号)(第四  二七三号)(第四三六八号)(第四四〇三号)  (第四四〇四号)(第四四〇五号)(第四四〇  六号)(第四四〇七号)(第四四〇八号)(第  四四〇九号)(第四四一〇号)(第四四一一  号)(第四四一二号)(第四四一三号)(第四  四一四号)(第四四一五号)(第四四一六号)  (第四四一七号)(第四四一八号)(第四四一  九号)(第四四二〇号)(第四四二一号)(第  四四二二号)(第四六九二号)(第四六九三  号)(第四六九四号)(第四六九五号)(第四  六九六号)(第四六九七号)(第四六九八号)  (第四六九九号)(第四七〇〇号)(第四七〇  一号)(第四七〇二号)(第四七〇三号)(第  四七〇四号)(第四七〇五号)(第四七〇六  号)(第四七〇七号)(第四七〇八号)(第四  七〇九号)(第四七一〇号)(第四七一一号)  (第四七二一号)(第四七二二号)(第四七二  三号)(第四七二四号)(第四七二五号)(第  四八五六号)(第四八五七号)(第五四〇三  号)(第五四九九号)(第五五〇〇号)(第五  五〇一号)(第五五〇二号)(第五五〇三号)  (第五五〇四号)(第五五〇五号)(第五五〇  六号)(第五五〇七号)(第五五〇八号)(第  五五〇九号)(第五五一〇号)(第五五一一  号)(第五五一二号)(第五五一三号)(第五  五一四号)(第五五一五号)(第五五一六号)  (第五五一七号)(第五五一八号)(第五六三  〇号)(第五七四九号)(第五七五〇号)(第  五七五一号)(第五八九五号)(第五八九九  号)(第六〇四四号)(第六〇四八号)(第六  一八六号)(第六一八七号)(第六一八八号)  (第六一八九号)(第六一九〇号)(第六一九  一号)(第六一九二号)(第六一九三号)(第  六一九四号)(第六一九五号)(第六一九六  号)(第六一九七号)(第六一九八号)(第六  一九九号)(第六二〇〇号)(第六二〇一号)  (第六二〇二号)(第六二〇三号)(第六二〇  四号)(第六二二八号)(第六三九二号)(第  六四〇二号)(第六四九六号)(第六四九七  号)(第六六〇五号)(第六六〇六号)(第六  六〇七号)(第六六〇八号)(第六六〇九号)  (第六六一〇号)(第六六一一号)(第六六一  二号)(第六六一三号)(第六六一四号)(第  六六一五号)(第六六一六号)(第六六一七  号)(第六六一八号)(第六六一九号)(第六  六二〇号)(第六六二一号)(第六六二二号) ○郵便物遅配解消に関する請願(第一一〇四  号)(第一三一四号) ○第三種郵便料金五倍をはじめとする郵便料金の  値上げ反対に関する請願(第一三五〇号)(第  一三五一号) ○継続調査要求に関する件     —————————————
  2. 竹田現照

    委員長竹田現照君) ただいまから逓信委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  対馬孝且君及び佐多宗二君が委員辞任され、その補欠として竹田四郎君及び迫水久常君が選任されました。     —————————————
  3. 竹田現照

    委員長竹田現照君) 昭和二十四年五月以前の簡易生命保険契約に関する特別措置法案郵便貯金法の一部を改正する法律案及び簡易生命保険法の一部を改正する法律案、以上三件を一括議題といたします。  まず、政府から説明を聴取いたします。村上郵政大臣
  4. 村上勇

    国務大臣村上勇君) ただいま議題となりました昭和二十四年五月以前の簡易生命保険契約に関する特別措置法案について、その提案理由を御説明申し上げます。  この法律案は、昭和二十四年五月以前に効力が発生した簡易生命保険契約について、簡易保険事業運営効率化を図るとともに加入者の利便を図るため、保険金支払いにかえて、特別一時金の支給をする特別措置をとろうとするものであります。  その内容について申し上げますと、まず「この特別措置対象とする保険契約は、昭和二十四年五月三十一日以前に効力が発生した保険契約で、この法律施行の際に有効に存続中のものといたしております。  次に、取扱期間は、事務の円滑を図るため、保険契約締結年度に従い、二区分とし、昭和十六年三月三十一日以前に効力が発生した保険契約については昭和五十一年一月一日から三年間、昭和十六年四月一日以後に効力が発生した保険契約については昭和五十一年七月一日から三年間とし、この取扱期間内に保険契約者から保険契約を消滅させ、保険金受取人保険金支払いにかえて、特別一時金を支給しようとするものであります。  特別一時金の額は、保険金繰上支払金分配金繰上支払金及び特別付加金合計額といたしております。このうち、保険金繰上支払金の額は保険金相当額とし、分配金繰上支払金の額は保険契約を消滅させる旨の申し出があったときに被保険者死亡したとした場合に分配すべき剰余金相当額としております。また、特別付加金は、この特別措置により事業運営効率化が図られ経費の節減が可能となること、対象となる契約が長期間にわたり簡易保険事業の大きな支えとして貢献してきたこと等の点を考慮し、保険金等繰上支払金に付加して支払うものでありまして、その額は、保険金額及び経過年数によって定めることといたしております。  以上申し上げました特別一時金の額は、個々の契約によって異なりますが、一件平均の支給額は五千円程度となります。また、この特別措置対象となる保険契約の件数は約二百三十三万件で、昭和五十年度といたしましては、約十七億円が予算に計上されております。  次に、この特別措置周知につきましては、保険契約者に対して特別一時金の支給に関してあらかじめ通知をするほか、郵便局における掲示等の方法によりその周知に努めなければならないことといたしております。  なお、この特別措置は、事業として可能な範囲で最善の措置をとるものでありまして、加入者の大多数がこれに応ずるものと確信いたしておる次第であります。  なお、この法律案施行期日は、昭和五十一年一月一日からとしておりますが、加入者に対する周知に関する事項につきましては、公布の日からといたしております。  以上がこの法律案提案理由であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。     —————————————  次に、ただいま議題となりました郵便貯金法の一部を改正する法律案提案理由を御説明申し上げます。  この法律案は、郵便貯金預金者貸し付け限度額引き上げることを内容とするものであります。  現在、預金者貸し付け限度額は一人二十万円でありますが、預金者から引き上げについての要望も強く、最近における経済情勢にかんがみまして、日常生活の不時の出費を賄うための資金として二十万円では低きに失しますので、これを三十万円に引き上げて、預金者利益増進しようとするものであります。  なお、この法律案施行期日は、公布の日といたしております。  以上がこの法律案提案理由であります。  何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。     —————————————  次に、ただいま議題となりました簡易生命保険法の一部を改正する法律案について、その提案理由を御説明申し上げます。  この法律案は、簡易生命保険保険金最高制限額引き上げるとともに廃疾保険金支払い制度を改善しようとするものであります。  まず、保険金最高制限額引き上げについて申し上げます。  現在、保険金最高制限額は、被保険者一人につき五百万円となっており、定期保険については昨年十月から、その他の保険種類については本年四月から実施いたしましたが、最近の社会経済情勢の推移及び保険需要動向等にかんがみまして、加入者に対する保障内容の充実を図るため、比較的低廉な保険料により高い死亡保障が確保できる定期保険及び満期の場合の保険金額死亡の場合の保険金額とを異にする一定養老保険について、それぞれ八百万円に引き上げようとするものであります。  次に、廃疾保険金支払い制度の改善について申し上げます。  従来、被保険者廃疾による保険金支払いは、被保険者一定身体障害状態になった時期についての認定が困難なことを考慮し、保険契約者からその旨の通知があったときは、その通知のあった日に被保険者死亡したものとみなして保険金支払いをすることとしておりますが、傷害特約制度等も軌道に乗り、身体障害状態になった時期の認定についても相当の経験を重ねておりますので、この際、被保険者身体障害状態となりその旨の通知があったときは、その身体障害になった日に被保険者死亡したものとみなして保険金支払いをしようとするものであります。  なお、この法律案施行期日は、公布の日からといたしております。  以上がこの法律案提案理由であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。
  5. 竹田現照

    委員長竹田現照君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 案納勝

    案納勝君 私は、いま提案をされ、趣旨説明されました郵便貯金改正法案簡易保険改正法案及び特別措置法案について一括して質疑を行いますけれども、郵便貯金事業簡易保険事業は、大臣も御案内のように、さきに可決されました郵便法に伴う郵便事業と並んで、今日の多様に変化をしている時代の中で基本的に見直さなくてはならない多くの課題を抱えていると思います。  なかんずく貯金事業は、御案内のとおり、その財政基盤は赤字がすでに出てきております。今後も予測をされる。これに伴う、単にそれだけでなくして、資金の運用問題あるいは先ほど問題になりました金利の問題、あるいは法に言うところの国民福祉増進に関する問題あるいは省の奨励姿勢に関する問題、こういう問題について多くの課題を持ちながら郵便貯金並びに簡易保険とは何かということが問われているのが私は今日の段階だと思います。  したがって、ここへ提案された最高制限額引き上げ等の問題だけでなくして、本格的にこれらの問題を与野党を含めて真剣に論議をしなくちゃならない時期に来ていると思っているのです。私は、この問題が近い将来において国民の負託にこたえられるような十分な論議が行われることを実は期待をいたしまして、今回のこの臨時国会はいよいよきょう限りであります。時間の関係で、そこまでいきませんのがまことに残念です。  私は、そういう立場で、引き続いて、この問題については論議を深めていくという立場に立って、いま趣旨説明ありました三法案については、賛成の立場に立ちつつも、二、三の問題について原則的問題を含めてお尋ねをしたいと思います。  まず第一は、去る十一月、第四次不況対策に伴う公定歩合の引き下げに伴っての預金金利引き下げ問題が問題になりました。これは郵便貯金制度のあり方について多くの問題を内包しています。その立場お尋ねをいたしたいのですが、第一点は、郵便貯金は法第一条によりまして、「簡易で確実な貯蓄手段としてあまねく公平に利用させることによって、国民経済生活の安定を図り、その福祉増進することを目的とする。」とあります。  郵便貯金事業は、その事業運営について、いま言う第一条の趣旨にのっとって、今日、どのように国民生活の安定を図り、福祉増進をしているのか、郵便事業として具体的にその説明をしてもらいたいと思います。
  7. 神山文男

    政府委員神山文男君) 郵便貯金制度につきましては、ただいま先生の御指摘のように、第一条で目的が規定されております。郵便貯金は非常に多数の国民方々にあまねく簡便な貯蓄手段として利用されておりまして、現在、二十二兆円を超える残高を示しているわけでございます。こういう実態を見ますと、国民が将来の生活設計のために貯金利用して、計画的な将来の経済的地位の向上を図り、あるいは計画的な支出に備えていくということを国民各位方々がそういう趣旨に沿って郵便貯金利用していただいているというふうに考えておりまして、そういうことから、国民経済生活の安定のために役立っていると私どもは考えておる次第でございます。
  8. 案納勝

    案納勝君 そういう抽象的な話を承ろうとは思わないんです。いま貯金局長が言われたことは、一般的な貯蓄という立場から、これは銀行も農協の金融機関も市中その他相互銀行、そういった貯蓄機関についての一般的な言い方というのは当てはまるかもしれません。  私がここで言っているのは、郵便貯金として国民生活の安定を図り、福祉増進をするというのは他の金融機関にないことなんです。その立場で、どう具体的に国民経済の安定を図っているのか、あるいは国民福祉増進を図っているのか、他の金融機関と違うところはどこにあるのか、この点を指摘をしているのです。これは次の質問とあわせて答弁をしてもらいますよ。  私は、今次、第四次不況対策として預金金利引き下げられました。この問題は、インフレ不況の谷間に苦しんでいる、なかんずくインフレ目減り問題等によって資本からの収奪あるいは生活防衛のために貯金をしても目減りをして、毎日の生活の不安をかきたてられているという、そういう郵便貯金の零細な庶民貯金、この利用者生活安定と福祉増進に役立っているというふうに大臣は御理解をされているのか。事務当局はそのように理解の上で、今回の金利引き下げの問題について、預金金利引き下げに対処したのか。  法の第一条はいま申し上げましたが、あわせて第十二条の中のきわめて中心部分というのは、金利の問題について指摘をされていますが、その第二項に、金利を「変更する場合には、郵便貯金簡易で確実な少額貯蓄手段としてその経済生活の安定と福祉増進のためにあまねく国民大衆利用に供される制度であることに留意し、その利益増進し、貯蓄の増強に資する」ことを十分に考慮しなくてはならぬと書いてある。それで、その後段に「あわせて一般金融」云々とあります。しかし、問題は、ここで言わんとするのは、第一条の中を受けて十二条では、この金利の変更についてはその国民利益増進をする、国民大衆利用に供される制度であることを留意をしてやりなさい、こう指摘をしているんです。これが金利を動かす場合の中心、骨子でなくちゃならない。この精神から言って、私は、今回とられた預金金利引き下げというのはまさに本末転倒の措置であると言わざるを得ないのです。  したがって、いま神山貯金局長から抽象的一般的な答弁を聞きましたが、今日の郵便貯金事業として、どこに他の金融機関と比べてみて、企業ペースの上に立っている金融機関と比べて国民生活安定と福祉増進のどこに資しているのか、その点をまず明らかにしていただきたいと同時に、いま私が後段申し上げました点について、大臣の御見解を承りたいのであります。
  9. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 郵便貯金は、国民大衆利用されているいわゆる少額貯蓄手段でありまして、その利率は、預金者利益を十分に考慮して決めなければならないものだ、かように思っておる次第であります。
  10. 案納勝

    案納勝君 さっぱり要領を得ませんが、要するに預金金利引き下げられましたが、ここに言う郵便貯金預金金利というのは、国民の経済安定、国民福祉増進ということが中心で、企業ペースによるところの一般金融機関と違った意味での性格を持っているのではありませんか。この存在理由を考えた場合に、今回の預金金利引き下げというのは、法のその精神から言って、逸脱をしていませんか。どこに今日他の金融機関その他と比較をして、郵便貯金事業としての福祉増進あるいは経済安定という問題について、そのための違った対策、施策というのがありますか、こういうふうに聞いている、いかがですか。
  11. 村上勇

    国務大臣村上勇君) そういう国民少額貯蓄手段でありますので、その預金者利益をあくまでも守らなければならないものでありますが、その反面に、やはり日本経済全体というようなことからも考慮いたしまして、一般金融機関預金金利にも配意して決めるものである、決めなければならないと、こう思っております。  当面の深刻な不況を克服するために金利水準の全面的引き上げが強く要請されてまいりまして、私も、ずいぶん貯金金利についての引き下げに反対してまいりましたけれども、第四次不況対策というような大きな目的のために、それを防ぎ得られなかった、といって私個人、私と一緒に郵政省自体が防ぎ得ないからといって、これに従ったものでなく、やはり一応郵政審議会に諮問いたしまして、郵政審議会のその答申を見た上でなければ、勝手に上げ下げするということは、たとえどういう要請があろうともでき得ませんので、そういうように順序を踏んで今回のようなことになっておる次第であります。
  12. 案納勝

    案納勝君 大臣、私はきょうは特別に本来なら大蔵省を呼んで質疑を交わしたいのですが、時間の関係でこの次に回しますけれども、大臣がいま言われたように、確かに巷間この問題をめぐって、大蔵省と郵政省、意見のやりとりがあって決定が長引いたということを伺っています。しかし、一部にはこれはゼスチュアにすぎなかったと言われている。  私は、大臣に、今後、郵便貯金事業として郵便貯金がどうあるべきかという、今回の預金金利引き下げ問題をめぐって大臣が本当にこの法の一条、十二条の精神に沿って郵便貯金事業国民経済の安定と福祉増進に資するという意味では、この法律の中でも、あるいはどの法律においても、民間の企業、金融機関と同率に利子を決めなくてはならぬという法律はないんですね。「配意しなければならない。」のであって、同じでなくちゃならないということじゃないんです、「配意しなければならない。」というのは。私は、そういう立場で、大臣郵便貯金に対する今後あるべき姿勢について明確に承りたいのです。  あわせて、私は、この郵便貯金事業というのは、零細な預金者によってほとんどの九九・二%がその意味での庶民貯金なんです。私は、いま言ったように、国民の健全な貯金形成をどういうふうにするかという立場で、国の金利政策あるいは不況対策、こういうものと別な立場から、本来、考えられてしかるべきではないだろうかというふうに思います。金利決定に当たっては、預金者利益を損わない配慮というのが、郵便貯金の場合は他の企業、金融機関以上に配慮されてしかるべきじゃないか、こういうふうに考える。郵便貯金の利率の定め方は、先ほど私が申し上げたように、制度上、民間金融機関の貸出金利や景気対策とすべての面で歩調を合わせるという法律はどこにもない。こういう点について大臣はどのようにお考えになっておられるのか。私は、今後の問題等もありますので、きょうは、その点についての真意を、御意見を承っておきたいと思います。
  13. 神山文男

    政府委員神山文男君) 確かに先生おっしゃるとおりに、第十二条でございますが、この「少額貯蓄手段としてその経済生活の安定と福祉増進のためにあまねく国民大衆利用に供される制度であることに留意し、その利益増進し、貯蓄の増強に資するよう十分な考慮を払う」ということが第一の貯金利子決定の法律の趣旨でございます。それから「あわせて一般金融機関の預金の利率についても配意しなければならない。」ということでございます。私どもといたしましては、この預金者利益増進していく、そして貯蓄の増強に資するよう十分な配慮をしていかなければならないということは十分心得て、そのように努力をいたしてまいっておるわけでございます。  それで、今回、十一月四日に利子を引き下げたわけでありますが、その前に、四十八年度、四十九年度にわたりましては五回にわたって利子の引き上げを実施したということもいたしております。そのほか、私どもとしては、今後とも、いろいろ預金者利益の保護という点については検討をしていかなければいけないというふうに考えております。  ところで、先生御指摘の、銀行預金の金利の動向に必ずしも郵便貯金の利率を合わせなくともよいのではないかという御意見でございますが、この郵便貯金の利率も時の金利水準の影響を受けざるを得ないということはもう先生も御承知のことでございますが、特にこの銀行金利の動向、これと郵便貯金の利率の推移というものを合わせる必要はないという御趣旨も確かにわかるわけでございますが、しかし、この郵便貯金の利率と銀行の利率とを全く違ったものにするということになりますと、一方において、金利体系のバランスというものが崩れてまいりまして、資金の偏在を来す。そしてまた郵便貯金自体の問題としても、支払い利子の増大というものをどういうふうに負担をしていくのかというような問題、いろいろ問題がございまして、非常に実際問題としては困難な解決すべきいろいろの点がございまして、慎重にいま検討してまいらなければいかぬ問題であるというふうに考えております。
  14. 案納勝

    案納勝君 要するに、法律的にも歩調を合わせる仕組みにはなっていない、あとは政治的な判断、政策としてそれが行われている、こういうことでしょう。いま言われたように、シフトの生ずるおそれがある。これが最大の理由じゃないでしょうか。私は、答弁要りませんが、いわばこれは言いわけであって、そのおそれはないと思う。  私は資料を要求しますが、郵便貯金の今日の口数、平均預金額。それから市中銀行の口数と平均預金額。農協、相互銀行、信用金庫、これらについて取りまとめて資料を提出していただきたい。それはいいですね。
  15. 神山文男

    政府委員神山文男君) はい、提出いたします。
  16. 案納勝

    案納勝君 そこで、これは村上郵政大臣国務大臣としての御見解をお聞きしたいのです。  今回の公定歩合の引き下げ預金金利引き下げというのは、第四次不況対策として金利引き下げを通じて企業のコストを引き下げ、企業活動を活発化させることをねらいとして行われましたね、これは間違いありませんね。  そこで、私はお尋ねしますが、そうなると、言ってみれば、企業に対して補助金を交付をすることと同じことになるんじゃありませんか。しかも、その補助金は財源が要らないのだから、政府にとってはこれにまさる補助金というのはないわけであります。不況対策として企業に対して補助金を出すことはともかくとしても、零細預金者預金金利引き下げの形で事実上この新しい補助金の財源負担を背負わなくちゃならぬというのが預金金利引き下げになるんじゃないですか。一零細な預金者が、企業に対して企業のコストの引き下げやあるいは企業活動を活発化させるという、その意味での政府の補助金政策の片棒を背負わなくちゃならぬということ、そういう理由はどこに成り立つでしょうか。  不況というのは、今日までのインフレ政策から、あるいは政府の誤った総需要抑制の中における画一的な抑制政策によって誤った結果出てきている不況であります。そういったものについて、零細な預金者金利引き下げを通じてその財源負担を背負わなくちゃならぬ理由というのは私は全く何もないと思うんです。これについて国務大臣としての村上郵政大臣の御見解を承りたい。
  17. 村上勇

    国務大臣村上勇君) これは日本経済の全体的な見方で考えていかなければならないものだと思います。預金金利を下げたから、それが企業の助成に回っていくというように私ども考えていません。  少なくとも物価を安定させ、あるいは物価を下げていくというような点について、まず金利を下げていけばコストが非常に安くなってくる。そしてコストが安ければ、やはり企業がどうにか採算もとれてくるようになる。そしてそこには企業が活発になれば失業者もだんだんとなくなってくる。こういうような一つの日本経済全体の問題として、各種金利引き下げということを政府は考えてやっていることでありまして、その経済的な大きな役割りを各種金利引き下げによって果たしておる、私は、かように考えて、これを郵政審議会に諮問したわけであります。
  18. 案納勝

    案納勝君 どうもぴんとこないんで、本来、大蔵大臣等に来てもらえば審議のしようがある。  大臣ね、戦後、預貯金金利引き下げというのは三回しかないんです。昭和三十六年四月と、四十七年七月、次いで今回が三度目なんです。前二回は、いずれも、消費物価が前年度と比較して上昇率が一年ものの定期預金の金利を下回っているわけです。今回のように目減り拡大となる預金金利の大幅引き下げというのはいまだかつてないんです、今回が初めてなんです。これは大臣が何と言おうと今回の公定歩合の引き下げ、それに伴う金利引き下げというのは、自民党の政治のやり方が悪くて、今日のインフレ不況国民生活を苦しめていることは間違いないんです。その不況対策の一環として企業コスト引き下げ、企業活動を活発化するために公定歩合を引き下げ、貸し出し金利引き下げる、これは膨大な利益になる。そしてその中で、その分担を零細な貯金者にせいというのは、あなたがどんなに否定したって今回の仕組みになっていることは大蔵省自身認めている。私は、これこそ庶民を犠牲にして、まさに企業優先の政治の最たるものだと、こういうふうに言わざるを得ないのであります。  今日、イギリス等においても御案内のとおりです。このインフレ不況の中で、零細な預金者対策として、きめの細かい配慮をされようとしています。あなたも御案内のとおり、西ドイツでは国民の反対を押し切って預金金利引き下げを強行したエアハルト内閣が失脚した事実もあなたは御存じのとおりだ。今日の国民の置かれている生活の苦しみや、不況の中で苦しんでおる国民立場からすると、これはイギリスのことであり、西ドイツのことだといっておれない。  ましてや郵便貯金事業というのは、先ほどから私申し上げましたように、何も民間の金融機関と利率を同一にせよという法文も制約もありません、配慮をするということはあっても。しかもその前提には、福祉増進のために少額貯蓄手段としてこの郵便貯金があり、国民生活の安定のためにこの利率について決めなくちゃならぬということが明確になっている。私は、不況インフレいずれも大企業中心の今日の政治が国民の犠牲で乗り切ろうとしているこの与党や政府の姿勢にきわめて厳しい憤りを感じるのです、このことについて。質問をしても十分これに対する切り返しがありません、私は納得することができません。  で、私は、今日の郵便貯金事業や保険事業自体が全くその存在そのものを問われて見直されているときだけに、大臣に対してこれらの問題の問題認識というものをしっかり持って、今後の郵便貯金事業というものについて、国民の本当の意味での、この法にある経済の安定と国民福祉増進するために対処してもらいたい。これらについての結論を私は通常国会等の中でさらに論議を深めていきたいと思います。強く大臣にそのことを要望いたしますが、大臣の御見解はいかがですか。
  19. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 今回の非常に物価高というようなもの、それが全部政府の責任だというように断定されることは、これは私はどうかと思います。やはり世界的な不況であり、あるいは不況インフレであったのでありまして、しかも一昨年の石油ショックを受けてからの日本経済というものが非常に傾向を変えてきたということであります。  そこで、私は、あくまでもこの少額な郵便貯金預金者利益を守る立場にありますから、この点については、その精神においては、あなたと一つも違ったところはありません。ただ、しかし、他の預金金利引き下げられたが、郵便貯金だけは常にそういう理論のもとに下げない、ちょっとも下げないでおいたならば、日本のこの事業資金というものが非常に偏在してくる。これではやはり国全体の経済の上から、なるほど貯金はうんとふえてくるでしょうが、そこに私はやはり不均衡を来して、これまたおもしろくない結果が生ずるのじゃないか。こういうようにも、私はそう考えたから、郵政審議会に諮問したわけでありまして、決してこの零細少額な預金者利益を無視して言っているわけじゃないのでありまして、とにかくやはり全体のバランスの上に立った健全な貯金事業というものを考え、そのことがやはり預金者に対する考え方でないかと、こう私は考えておるのであります。
  20. 案納勝

    案納勝君 大臣のお人柄でしょうから。——しかし、大事なところが大臣いま言われたところにあるのですが、たとえば大臣の言われるのは、シフトが起こるおそれがあって、偏っちゃ大変だと、こう言う。郵便貯金をその面からいうなら、郵便貯金というのは、働きバチがせっせと金をためてきたら、全部大蔵省が吸い上げちゃって、資金運用部資金で財投に回って、俗にあなたたちの立場から言うなら、国の政策に出資してもらう。その面からいうと、それこそ私は逆な面からいうと日本の経済に大きく役立っているわけだ。零細貯金だけに、しかも郵便貯金というその性格からいって、私は民間の企業、銀行金融機関の利率より違っていいと思いますよ。自由経済を自民党が標榜しているなら、金融政策だって、自由に各金融機関で私はやるのがたてまえじゃないかと、ましてや郵便貯金の場合は、その性格からそういう立場を貫いていくのが私は本来あるべき姿だと思います。これらについてはこれ以上論議しても、いまこの場では十分でないと思いますから、改めて後日に譲って論議をさしていただきたい。  そこで、二、三具体的なものについて質問します。  預金金利引き下げに伴って、貸出金利はどういうふうになりますか。そして、この新利率の適用はいつからされていますか。
  21. 神山文男

    政府委員神山文男君) 郵便貯金を担保とする貸付金の利率でございますが、従来、担保とする貯金の利率に、・事務経費として〇・二五%加えまして、上乗せいたしまして貸出しの利率といたしております。  で、今回、貯金の利率の引き下げを行ったわけでありますが、それに伴いまして貸付金の利率につきましても〇・五%ないし一%の引き下げをいたしております。新たな貯金の利率に〇・二五%を加えた利率となっております。実施期日は十一月の四日でございます。
  22. 案納勝

    案納勝君 そこで私はちょっとお尋ねしますが、四十九年の一月十四日に利率の改定があって、利率が引き上げになりましたね。この改定はいまだかつてない、いままでとったことのない措置が新たにとられた。それは一月の十三日以前の既契約については適用しないというやつです。三年間の猶予期間を置いて、そして預けかえをすれば新利率を四十九年一月十四日にさかのぼって適用する。しかし、この一月十四日の利率改定については、これは規定によって、特別意思表示がなくても新利率についてはという、不作為行為について一定のものはついていますね。  ただ、四十九年九月二十四日に再度利率の改定が行われた。これは一月の十四日よりさらに取り扱いの方法というのはサービスは悪くなっています。サービスが悪くなっているといいますか、これは一月十三日までに申し出なければこの利率は適用しないとなっている。  そこで、私は、さきの国会でこの問題を取り上げて、郵政省はこれについて既契約者、この人たちにもつとPRによって徹底をすることによって多くの零細な預金をしている国民利益を守るべきだと、あるいは具体的な措置をとりなさいと、こう言ったら、郵政省はPR等の反復周知を行うことによって徹底を図りたいと、こう答えた。私は現場で見る限りさしたるPR、反復徹底なんというのは行われていません。  で、これと利率切り下げの問題との関連でお尋ねする。要するに、本来ならば、利率の切り上げが行われると、払い戻しのときに計算をして、実は預金者に元利ともに支払いをしておったわけです、従来は。四十九年一月から、いま申し上げたように変更になった、これはいまだかってない措置なんですよ。片や、この十一月からは利率の引き下げがある。これはお尋ねしますが、十一月のこの新利率の切り下げ、預金金利の切り下げについては、それ以降の新規の申し込みに適用するのであって、既契約の分についてこれはいま言うような適用は行わない、こういうことなのかどうか、この点、まず第一点。
  23. 神山文男

    政府委員神山文男君) 今回の十一月四日の郵便貯金金利引き下げでございますが、既契約郵便貯金のうち、要求払い預金である通常貯金を除きまして、積立それから定額、定期、住宅積立貯金の利率、これは引き下げ後もその既契約のものは旧利率を適用するということにいたしております。
  24. 案納勝

    案納勝君 もう一回。
  25. 神山文男

    政府委員神山文男君) 引き下げ後もですね、この積立、定額、定期、住宅積立貯金の利率は、引き下げ後も旧利率——引きさげる前の利率を適用するということにいたしております。
  26. 案納勝

    案納勝君 それでは、今度の引き下げられた金利は、十一月の以降新しい新規預入の分だけしか適用しない、いままでの既契約については旧利率の適用をする、これははっきりしてますね。  そこでお尋ねしたいんですが、要するに既契約については新たに御案内のように切りかえをしなくちゃならぬ、要するにいままでの既契約を解約をして、新たに新規の預入の措置をしなければ九月と一月の利率は適用されないんですね。そうしますと、この切りかえというのは、これは一時解約をして新たに貯金をするという形になる。ところが、十一月以降新利率  切り下げ利率は新契約について適用される、こうなるんです、これは新契約。切りかえするのも一たん解約した上で新しく預入する、新しい契約の形になるから、なるんですね。そうしますと、これは全く公正を欠くことになりませんか、その点どうですか。
  27. 神山文男

    政府委員神山文男君) 四十九年一月十四日及び九月二十四日の、これは利子の引き上げでございますが、この際、既契約のものについて新利率の適用を行わないとしたことは先生おっしゃるとおりでございまして、この預けがえの問題でございますが、これはみなし措置をいたしておりまして、三年間の猶予期間を置きまして、その間に申し出たものは預けがえをさかのぼってしたこととみなすという、みなしの措置でございます。したがって今回の利子引き下げが行われましても、当時の、預けがえをしたとみなした時期にさかのぼって、その当時の新利率でございますね、今回の引き下げた利率でなく、当時の引き上げたときの利率を預けがえとみなした時期に適用するということでございます。
  28. 案納勝

    案納勝君 そうするとね、もう一回お尋ねしますが、既契約をまあさようならきょう私が払い戻しをした、この場合は、たとえば四十九年一月あるいは九月の新利率は適用されない、払い戻しただけでは。払い戻しをしたが、そのまま現金授受はなくて再度新規預入の手続をとれば新利率が適用される。それから全然いままで既契約がなくて、新しい契約を——私か一万円なら一万円預けると金利引き下げた利率が適用される、こういうことになりますね。
  29. 神山文男

    政府委員神山文男君) 御質問の御趣旨がちょっと理解できなかったかもしれませんが、その既契約の定額貯金を先生が今日の時点で払い戻しをされるということになれば、この引き下げた利率は適用されないということでございます。
  30. 案納勝

    案納勝君 それは預けたときの利率だけしか適用されないから、途中の一月の十四日、九月の二十四日利率が二回上がったやつも適用されない、払い出すだけだと。
  31. 神山文男

    政府委員神山文男君) その際は、有利な方の利率を適用するということでございます。
  32. 案納勝

    案納勝君 本当ですか、それ。間違いない……。
  33. 神山文男

    政府委員神山文男君) その預けがえの意思表示は払い戻しの際でもいいということでございまして、そういう意思表示をされれば有利な方を適用するということでございます。
  34. 案納勝

    案納勝君 それは、払い戻しの際に、それじゃこれ預けかえますと、こう言うだけで払い戻し全部もらっちゃって、それで適用されるんですか。  私が一番先に言ったのは、既契約でずっと二、三年持ってきた、それをきょう払い戻したい、払い戻しますと、こう言った場合の金利の適用は、一月の十四日の金利の適用になるのか、九月の二十四日の金利の適用がされるのか、それとも預けた三年前の金利の適用だけで終わっちゃうのかどうかと、こう聞いている。  それから、預けがえというのは、きょう払い出しますと、そしてすぐ預けますと、そのまま金銭の授受は窓口で全く行われぬままに、書類上の手続だけでいくやつだけしか適用されないのかどうかです。要するに一月と九月の利子引き上げに伴う利率、こういうふうに聞いているんです。
  35. 竹田現照

    委員長竹田現照君) それは郵便局でちゃんと説明しておったのだから、わかるはずだ。そのとおりに説明すればいいんだ。預けがえ措置をしなくてもよろしゅうございますということで説明しておったのだから。
  36. 神山文男

    政府委員神山文男君) 先ほどお答えしたとおりでございますが、払い戻しの際、その方の預け入れた時点とそれまでの期間に応じて、預けがえて新利率を適用した方が有利なのか、もとの利率のままの方が有利なのか、いろいろ場合がございます。その場合、預けかえた方が有利であれば預けかえるということに意思表示をしていただけば、そういう措置をとるということでございます。
  37. 竹田現照

    委員長竹田現照君) それは貯金局長、その答弁じゃ不親切なんだよ、預金者は一々わからないから。その点は郵便局がちゃんと説明することになっておったんですからね、預けがえ措置をさせなかったのだから、あなた方は、もう膨大な数だから。だから、そのときにしますと、こう言うんだから、それは郵便局でそういう措置をとってあげますと、預金者に不利にならないように措置をとらせますというふうなことにちゃんと答弁しないと、不親切なんだ。
  38. 神山文男

    政府委員神山文男君) おっしゃるとおりでございまして、そういう措置をとるようにいたします。
  39. 竹田四郎

    竹田四郎君 若干二、三お聞きしておきたいと思いますが、この間、郵政省が抵抗しましたが、貯金の利子の引き下げをしたわけです。第五次の公定歩合の引き下げが来年じゅうにある。これは具体的にどのくらいの幅になるかわかりませんけれども、恐らく〇・五ぐらいの引き下げがあるだろうと思いますが、そのときには、一体、郵便貯金金利引き下げに応ずるのかどうか。恐らく、私は、郵政大臣は応じないだろうと思っているんですが、その辺ここで明確にしておいていただきたい。これが一つ。  それから預金のコストは、一体、都市銀行と地方銀行と比べてどうなっているのか。これは資料でいいですから、後でひとつ出していただきたい。  それからもう一つは、これは郵政大臣にお聞きしますが、郵政貯金の預金の限度額が三百万円というのは私は低過ぎるんじゃないかと思うんです。私はこれはもう少し高くていいんじゃないかと。限度額はどうするつもりなのか、この点についてひとつお答えをいただきたい。  それから郵便貯金というのは、私は、税金が金利につかないということで恐らくいまのところ名寄せをやっていないと思うんですけれども、現実には郵便貯金金利が高いということで幾つかに分割をして預金をしているということが私はあるだろうと思う。名寄せをしていればそういうことはあり得ないわけでありますけれども、名寄せをしていないということになれば、たとえば三つの郵便局に三百万ずつ分けて貯金をすればその利子には税金がつかない、こういうことが郵便貯金の間に非常に大きな私は抜け穴になっていると思います。貯金限度額引き上げて私はしかるべきだと思いますけれども、名寄せということをもう少しやって脱税行為というのを防がないと、あなた方は零細の預金者を守る守ると言いながら、現実には大きなところのこれが税金の脱税を助けている、こういうことに私はなると思うんですがね。だから名寄せというのは私はぜひやっていただきたい、こう思いますが、その点をひとつお願いをしたい。  それから後、これは資料で結構ですが、簡保の二十四年以前の問題ですが、これはどうしてああいう金額になっているかということが私不思議でしようがないわけです。物価関係で見ますと、昭和九年から十一年の物価を一とすれば、大体、今日の物価は六百倍、こういう事態に私はなっていると思います。しかし、返していただける金というのはもうきわめてわずかしか返してくれない。せいぜいたばこ銭ぐらいのものだと思うんですけれども、どうしてああいう金額が出てきたのか。その点の資料を、御答弁は要りませんから、後で資料でいただきたいと思います。  それだけお願いします。
  40. 竹田現照

    委員長竹田現照君) 貯金局の資料いいですね。
  41. 神山文男

    政府委員神山文男君) はい。最初の、利率の引き下げをまた行うのではないかというお話でございますが、ただいまのところ、そういう話は大蔵省からも来ておりませんし、全然どこからもそういう問題は提起されておりません。
  42. 竹田四郎

    竹田四郎君 あったらどうする。
  43. 神山文男

    政府委員神山文男君) その節は、私どもとしては、いろいろの問題を持っておりますので、利率引き下げは基本的に反対であるということでございます。ただ、そういう問題が提起されたいろいろ条件があると思いますが、そういうことについては慎重に対処してまいりたいと考えております。  それから資料でございますが、預金コストの資料の件については、後ほど作成して提出いたしたいと存じます。  それから三百万円の限度額が低過ぎるというお話でございますが、ただいま来年度予算要求では五百万円で要求してございます。予算要求の中で努力をしてまいりたいと存じております。  それから名寄せの問題でございますが、ただいま私どもとしてとっておる措置は、地方貯金局で  郵便局ですと、いろいろの郵便局に預入されますと、郵便局ではできかねますので、地方貯金局において、毎年、一定の時期に名寄せを行うという措置をとっております。それで預金者別に現在高を調査いたしまして、三百万円を超えるものを発見したときは、預金者にその事情をお話しして払い戻しをしていただくという措置をとっております。四十九年度に、そういうことで減額措置をしたものが九千五百件ございまして、百五十六億円ということになっております。以上でございます。
  44. 竹田現照

    委員長竹田現照君) 保険の資料はいかがですか。
  45. 中市彩也

    政府委員(中市彩也君) ただいま要請のございました特別付加金の算出根拠は、後日、提出いたします。
  46. 案納勝

    案納勝君 それじゃ時間もないから急いでやります。  郵便貯金の奨励関係については、これは保険も同じですが、多くの問題を抱えております。私は、郵便貯金、保険についての奨励体質の改革を抜本的にしなくちゃならぬ、こういうふうに考えておりますが、郵便貯金の募集について、省は従来どのような基本姿勢で臨んできたか、簡潔にお答えいただきたい。
  47. 神山文男

    政府委員神山文男君) 郵政貯金の募集につきましては、国営の貯蓄機関としてそれにふさわしい品位のある募集をしなければいけないということを基本的に考えておりまして、この適正募集につきましては、従来、たびたび指導をしてきたところでありますが、今後とも、違則な募集というようなものはなくするように適正な募集が行われるよう今後とも努力してまいりたいというふうに考えております。
  48. 案納勝

    案納勝君 いま適正な募集をやりたいということは、募集目標の達成を図るために、余り違法な募集、たとえば預入限度額を超過するような募集、据置期間内に払い戻しされるような定額貯蓄の募集などは行われていませんか。なお、預入限度額のチェックはどのように行われているのか、この辺についてどう考えますか。
  49. 神山文男

    政府委員神山文男君) 違則な募集はしないように、たびたび会議その他講習会の都度徹底をさせるように指導してまいりました。また、文書においても、詳細にそういう資料の内容を盛りまして地方に流してまいっております。  それから名寄せでございますが、先ほどもお答え申し上げましたように、地方貯金局において毎年一定の時期に名寄せを行うということをいたしてまいっております。で、預金者別に現在高を調査しまして、三百万円を超えるというようなものを発見したときは、払い戻しをしていただくように預金者にお話をして、そういう措置をとってまいるというのが実態でございます。
  50. 案納勝

    案納勝君 私は、神山さん、郵政省はここではきれいごとを言っているけれども、実際は二枚舌を使っての現場での指導をしているとしか考えられないことがたくさんあるんです。御案内のとおり、多くの内部告発もあります。  いま、あなたは指導してそういう違法契約や違法奨励が行われないように指導していますと言うけれども、たとえば八月二十八日出された公用私信等の中でも、これは近畿ですが、さらにはこれらの募集等についての多くの問題点についての是正方がなされている、あるいは会計検査院からも指摘がなされております。現場段階では、たとえば大口を定期貯金にしたら毎年更新をしているとおっしゃる。これをやりますと、これが毎年手当やあるいは成績につながってくるわけです。あるいは六ヵ月たったら必ず書きかえをやるケース、こういうものが現実的に、実は職場の中でしりたたきや、募集の成績を上げるために行われているのですよ。あなたも御存じだと思いますが、ある近畿の郵便局では管理者と主事がぐるになって、しかも他の局の管理者とまた一緒になって定額の組みかえ預入を行って募集手当を領得をするなどという不正事件が起こっている。これは単にその局だけの問題ではないのです。私の調べた限りでは、全国的にも私のところに幾つかの問題が提起をされているのです。あるいはあなたも御存じの松戸の問題ででもあります。  で、こういう法に違反をした措置が、現場の段階では募集の目標を上げるからと、こういうことであるいは容認され、あるいは二面指導の中で行われてきているのです。何遍あなたたちからきれいごとを聞いたって、このことが改善されない限り、私は貯金事業が本当に国民に信頼をされるような、持っているところの貯金の性格からして健全な発展は期すことはできないと思います。もし、そういう違反事実が今後行われるような場合はどういう措置をとりますか、省としてはどのような厳正な措置をとるのか、この点を明らかにしていただきたい。このことが明らかにされない限り、利用者に実損を与えたり、事業の信用を失墜する、こういうことに結果的になってくることは間違いありませんし、そういう二面指導的なようなことは今後絶対にやらない、これらの違法な行為については厳正な措置をもって臨むということを明確にした上で、品位のある募集奨励方式というものを省としては積極的に進めるという立場を明確にしてもらいたい。     —————————————
  51. 竹田現照

    委員長竹田現照君) 質疑の途中でございますが、委員異動について御報告いたします。  迫水久常君及び木島則夫君が委員辞任され、その補欠として佐多宗二君及び中村利次君が選任されました。     —————————————
  52. 神山文男

    政府委員神山文男君) 郵便貯金の目標の設定に当たりまして、無理な目標額を設定してしりたたき的な募集をさせるというようなことは厳にわれわれとしても慎んでまいっております。一つの努力目標でございますので、各郵便局において自主的に目標額というものを検討してもらう、そして自分の努力目標として掲げてもらうというような措置をとっておりまして、適正な目標額になるように今後とも指導してまいりたいと存じております。  それから、ただいま先生から御指摘の、近畿地方あるいは松戸の事件につきましては、きわめて遺憾なことと私ども考えておりまして、近畿の問題については、問題が明らかになると同時に、直ちに募集手当の返納をいたさせまして、それから監督責任者を含む関係職員に対して懲戒処分を含む相当措置をとってまいっております。で、この種の問題が生じないように私ども努力をしてまいったわけでありますが、当面の措置として、その後のいろいろの会議の都度、相当の時間を割いてこの事件の中身を話をし、それに対して今後再び演じないように指導してまいったところであります。その間、また指導文書も従来の指導文書をいろいろ整理いたしまして発出いたしまして、二度と繰り返さないというふうに厳重に戒めてまいっておるところでございます。
  53. 案納勝

    案納勝君 私は、神山さんね、左京問題はあなたがよく御存じだから左京問題と、こう言ったんです。   〔委員長退席、理事茜ケ久保重光君着席〕  これに類する事件は新宮にもあります、あるいは九州の管内にもあります、あるいは松戸の問題についてもあります。私はこれをいまきょうここで一々取り上げようとは思いません。それらの措置についてはそれなりに報告を聞いております。こういう募集奨励のやり方について後を絶たない、いつも言われてきている問題である。再三通達を出すけれども、中身は徹底しない。だから二枚舌だと言われるんです。  そういう意味で、私は、幾つかの点について一つずつ、あなたのイエス、ノーでいいです、一つは、現場段階で省の施策、公正な品位のある募集を行うという立場、募集を強制にわたるようなことは行わないという指導、これは従来も再三言っておりますが、そういう指導の徹底をしてもらいたいと思う、いかがですか。  それから二点目、募集目標が各局にある。努力してもなお、正常な募集をやって努力してもなお目標が達成しないという場合もあります。今日のように郵便貯金の利率問題が新聞であれだけ取りざたされたために、国民の目には郵便貯金の利下げの問題が余りにもクローズアップされて、いま現場では貯金の募集がなかなかやりにくいという声が起きているわけです。それと、そのときそのときの経済的な変動や情勢によって、貯金募集もうまくいく場合もありますし、あるいはなかなかうまくいかない場合もある。そういう努力してもなお目的達成が行われなかった場合について、それのみで私は責任追及はしない、こういう体制をきちんとしてもらいたい。  第三点については、最近、これはきょうは触れようと思いませんが、いま郵政省の施策の中に目管というのがある、目標管理という施策がある、ある程度組み入れられております。この目管がしりたたきの一つになっているんですよ。私は募集施策の中で職員が萎縮するような、そういう結果にならないように、当局の場合十分な配慮をしてもらいたいわけです。逆にいま郵政の労使の問題は、常にこの委員会にも課題になります。それは職場の中で信頼関係が上司と、あるいは働いている仲間の間にないからですよ。これは十年来の数々の——まだ依然として残っていることを物語っていますが、いま労使双方とも前向きに努力していることは私たちは一定の評価をしています。一日も早く労使が働く側の立場理解をしながら人間的信頼感を回復をしていくということがいま一番大事なんです。働いている人が萎縮をするような、そういう措置についてはやめてもらいたいと思う。  四点目は、たとえば目管の中で、目標カードの提出など、こういうことをいたずらに強制をするというようなことはあってはならぬと思う。あくまで本人の意思、そういうものを尊重して、本人が生きがいを持って働けるような環境づくりをするということが私は必要なことだと思う。  さらに、いまこの奨励対策の一つとして、セールスマネージャーの職員に対する指導がときどき行き過ぎているということで問題になって、私の耳にも入ります。私はいま神山さんが幾つかの問題について答弁をしましたが、その答弁をしたとおり現場の中に指導をしていくならば、私は貯金の募集奨励問題等について現場の段階では本当に信頼性のある、生き生きとした募集というものが、ああいは業務というものが進んでいくと思いますが、私は問題点を特にきょうは掘り起こす気はありません。  いま言った五点について、私の言っていることは間違いないと思いますが、神山貯金局長の見解をお聞きをいたしたいと思います。
  54. 神山文男

    政府委員神山文男君) 募集の強制ということ、第一点でございますが、私どもとしては、職員がやはり自発的に、自主的に一つの目標を掲げて挑戦をしていく、そういう何か先ほど先生も最後に言われた、生き生きとした奨励とおっしゃいましたが、そういったことを私どもも望んでいるわけでございまして、単に強制した募集ということはわれわれとして本旨ではないというふうに考えております。  それから目標の設定の仕方でございますが、われわれとしては、いま上から目標額を決めて、割り当てて、これを達成しなさいというやり方はとっておりません。これはあくまでやはり各職場において、皆さんでことしはどういう目標を掲げて挑戦していこうかということで、つくり上げてきていただいて、そういうものを目標にしていただくというやり方をとっております。あくまでも全職員が参加してつくり上げていっていただきたい、これが私どもの念願しているところであります。  それから目標を達成しないからといって、それの責任を追及するというようなことは従来もやっていないと思いますけれども、目標というものは、そういう責任を追及するというような趣旨で設けるものではないものでございます。  それから目標管理というようなやり方を郵政局によってとっておるということは承知いたしております。まあ目標管理の精神というものも、やはり職員がみんなで参加して、自主的に目標というものも、いろいろな条件を考え、そうして従来の実績をも加味して、ことしはどういう目標を定めてやっていくか、これは本来自主的に職員が参加してつくり上げていただくものであるというふうに了解している次第でありまして、決してそれによって職員が萎縮をするというようなものではないと存じております。  それから、その間に労使関係の信頼感というお話もありましたが、確かに労使の信頼関係というものは大切でございまして、私も先生と同様に考えております。今後とも、労使間の信頼関係の確立ということについては私も努力してまいりたいと存じております。  それから目標カードの提出についても、これも目標管理と同様の趣旨で行われるわけでありまして、各個人個人の職員の方々が自分なりの過去の実績あるいは自分の能力、それからその他の客観的な条件等をかみ合わせて目標というものをつくり上げていっていただくということで、本来、これも強制して出していただくというものではない、自主的につくって自発的に参加していただくというふうに持っていくのが趣旨であるというふうに考えております。  それから奨励の指導でございますが、やはりいままでお答えしたことと重複するかもしれませんけれども、要は、職員が自発的に生き生きとして奨励活動に参加していただくということがわれわれとしての念願でございますので、そういう方向に今後とも持っていきたいと努力していることを申し上げまして、終わります。
  55. 案納勝

    案納勝君 私は目標管理問題そのものについても意見がありますが、きょうは時間がありませんから、後日に譲ります。  言われるように、五十年の十月一日に公用私信が出され、四十五年の四月十四日には返納制度についての通達が出された。いずれにしても指摘をされるような問題は後を絶たないわけです。会計検査院からも指摘をされている。きょうはここで繰り返しません。  大体、こういう問題が貯金だけじゃなく、保険にしてもあるんです、この間から論議しても。郵政省には監察制度——私はこの監察制度を見直さなくちゃならぬ。会計検査院から指摘をされるようなことが何で内部監察の中で考査として指摘をされて出てこないのですか。監察は何を一体やっているのか。私は、監察は全く——いま内部監察として監察制度の発足以来多くの問題が提起をされてきておりますが、今日の監察の姿勢について多くの疑問を抱かざるを得ない。毎年考査をやっているはずです。違法な行為が行われたから、そのことは考査の中で明らかになるはずだ。さっぱりだ。この辺、首席監察官、どう考えているのか。五十年度の地方段階における考査報告書、これについて提出をしていただきたい。
  56. 永末浩

    政府委員(永末浩君) 保険、貯金を含めての御指摘だと思うわけでございますが、事業信用にもかかわる問題でございますので、適切な募集が行われているか、違法、違則な募集がありはしないかというようなこと、貯金局、保険局から厳重な通達が出されているわけでございまして、その通達を私ども見まして、現場において十分にこのような配意が幹部においてなされているかどうかということは従来からも考査の際に十分見ていたつもりでございます。  あるいは会計検査院から指摘されて、郵政監察は何をしているかという御指摘かと思いますが、こういうことを申しますとあるいは言いわけになるかもしれません。大体、考査というものは、郵便局におきましては二年に一回、つまり一年間では五〇%ほどをやっているわけでございます。また、支局によりましては、重大な犯罪が発生いたしますと、考査の率も低下するというようなことでございまして、十分にこういった、先ほど申し上げましたような点については考査をしているつもりでございますが、そういったことでございまして、あるいは見つけ切らなかったというようなことで会計検査院に指摘されることになったわけでございますが、外部機関から指摘されたということにつきましては、私どもも非常に残念に思っている次第でございます。  それから考査報告書でございますけれども、これは、こういった件につきましては支局単位でやっているわけでございまして、本省に上がってまいりますのは、それを集計したものばかりでございまして、特別、考査報告書というものを従来からつくっておりませんので、御了承をお願いしたいと思います。
  57. 案納勝

    案納勝君 それは考査報告書つくっていませんなんて——本省でつくっているのじゃなく、地方郵政監察局段階で考査の報告を毎年首席監察官のところに報告するようになっているじゃありませんか、それを見せてくださいと言っているんです。
  58. 永末浩

    政府委員(永末浩君) 郵政局に対しますところの本省の考査、これは報告書をつくっているわけでございます。ただ、支局が行いますところの郵便局の考査、これは報告書というものはつくっておりません。   〔理事茜ケ久保重光君退席、委員長着席〕
  59. 案納勝

    案納勝君 じゃ持ってきましょうか。
  60. 永末浩

    政府委員(永末浩君) 失礼いたしました。つくっておりますけれども、本省には上がって来てないわけでございます。
  61. 案納勝

    案納勝君 もう五十年度の報告書は来ているはずじゃないですか。四十八年、四十九年は私のところに来て、一通り見さしていただきました。五十年度のはあるはずじゃないですか。
  62. 永末浩

    政府委員(永末浩君) 先ほど申しましたように、本省が行いますところの郵政局の考査、その際には、郵政局の考査の一環として郵便局も一部見ることがあるわけでございますが、その報告書というのは本省で作成するわけでございます。ただ、支局が行いますところの郵便局の考査、これは郵政局まで上がってまいりまして、本省に報告が参りますのは集計したもの、こういう点を指摘しましたというような集計したものだけしか上がってこないわけでございます。
  63. 案納勝

    案納勝君 それじゃせっかくですから、私が四十八年、四十九年見せてもらったのと同じのでいいですよ、それを私の方へ五十年度のを提出してください。いいですね。
  64. 永末浩

    政府委員(永末浩君) 五十年度の考査報告書はまだできていないわけでございます。
  65. 案納勝

    案納勝君 いつできるのですか。
  66. 永末浩

    政府委員(永末浩君) 年度末までにはできると思います。
  67. 案納勝

    案納勝君 年度末にできたら見せてください。  それじゃ時間がありませんから、最後に、保険の問題について二、三まとめて質問します。  第一点は、民間保険と簡易保険というのは競合関係に現実的にあるわけです。民保はインフレに対処する保険の商品として幾つか考えているようですが、簡易保険はそれについてどのように対処しようとしているのか、第一点。  それから今回特別措置が実施をされるようになりましたが、昭和二十年代の契約に対する特別増配が民間の場合には行われておる。これについては特別措置が実施をされるまでに、どのように郵政省としては今回措置が実施されるに当たって決断をし、実施をしようとしているのか、その点について。  それから超過契約について多くの問題はすでに指摘をされております。これは貯金の預入限度額オーバーの問題と同じであります。省はどのように対処しているのか、今後こういうことについてはどうしようとするのか、明確にしていただきたいと思います。  それから、同じく問題になっている払い込み団体の整備について、御案内のように都信用事件等、これは単に都信用事件だけじゃありません、きょうはこの問題について掘り下げようと思いませんが、この整備改善についてどのように検討しているか。  最後に、私は、加入者利益を向上させ、これは大変な重要なところですから、余裕金を積立金と同様に運用して、運用収入の増加を図ることが最も今日効果的な方策と考えますが、この問題について郵政省はどのように取り組んできているのか、これらについて一括をして答弁をしてもらうと同時に、大臣に、去る通常国会において、これは衆議院の場合も同じでありますが、超過契約、団体組成あるいは募集の行き過ぎ等について、郵政省としてこれらについての姿勢を正していくということについて大臣の決意を明らかにされました。私は、先ほど冒頭に申し上げましたように、本日、時間がなくて十分に論議をする余裕はありませんが、貯金、保険事業自体がどういうところに存在の理由があるのかと問い直されていると思うのであります。これらについて厳正な態度をとって私は対処すべきだと思いますが、最後に、大臣から、今後の貯金、保険の事業運営等について、これらの問題点について、今後の取り組みについての御見解をお聞かせいただきたいと思います。  以上をもちまして私の質問を終わりたいと思います。最後に、大臣からこの辺の見解について明らかにしていただきたいと思います。
  68. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 超過契約等をめぐって省はどのような態度で臨んでおるかということでありますが、超過契約の防止につきましては、さきの通常国会における御指摘を踏まえまして、必要な措置を講じたところであります。  すなわち簡易保険事業をめぐる諸問題につきましてと題する通達を発出しました。また、省の基本姿勢として、事業の体質改善に努め、加入者立場に立った正しい販売活動を展開するよう指示するとともに、超過契約の監査を強化して、超過契約にかかる募集手当は支給しない等の措置をとることといたしました。今後とも、これらの措置の徹底を図りまして、超過契約に依存しない募集体制の確立に努める所存でございます。  次に、払い込み団体の問題につきまして、保険料払い込み団体につきましては、加入者の二ードもあってその組成に取り組んできたところでありますが、これら払い込み団体の運営について一部に問題が生じましたので、現在、厳重な規制通達を発出して是正に努めるとともに、この九月一日から簡易生命保険約款を改正いたしまして、払い込み団体に対する規制を強化する等、積極的に推進しているところでありまして、相当の成果を上げているものと考えております。  さらに、払い込み団体の集金事務等の取り扱いを含め、今後の団体のあり方につきましても、鋭意、検討しているところであります。
  69. 中市彩也

    政府委員(中市彩也君) ただいま御質問がありましたことにつきまして、まとめてお答え申し上げます。  最初は、インフレの対応でございますが、すでに実施しておりますものについて申し上げますと、四十九年一月から個人定期保険を発売いたしまして、今年四月から集団定期保険と、それから死亡保険金を満期保険金の五倍とする第三種特別養老保険を発売いたしております。これが現在実施中のものでございますが、なお検討中のものといたしましては、保険金増額保険、物価指数保険、中途増額保険、既契約の転換制度等でございます。  その問題点についてと申しますか、検討過程の中で出てきた問題点を申し上げますと、最初の指数保険でございますが、これは先生御案内のように、物価の上昇に応じて保険金を買い増しするものでありますが、民保では八社ほどが五年満期の定期保険につきまして実施しておりますが、販売実績は五十年八月中で四百二十件ときわめて少ない状況でございます。われわれもこの民保の動向等を十分に勘案して進めてまいりたいと思っておりますが、じゃこの商品を販売した場合に問題となりますのは、毎年契約者に対して保険料額、保険金額通知する事務がふえるという事務量増ということでございますが、それから物価にスライドして保険金を増額いたしますと、最高制限を超えるおそれがある、そういう場合も出てくるのではなかろうかということと、それから物価の上昇によっては加入者の負担すべき保険料が非常に急激にふえる危険もあるというふうな問題等が種々ございますので、いろいろ検討をしているところでございます。  次に、中途増額方式でございますが、これは契約の中途で加入者が必要に応じて任意に保険金を増額されるものでございますが、メリットとしては基本契約と追加契約が満期が一致できるものでございますが、これは民保の状況を見ますと、九社が発売しておりますけれども、増額部分に貯蓄部分が含まれた場合には保険料の負担が非常に大きくなりますので、増額の部分は民保でも定期の保険に限っております。販売実績も、制度が発足した四十九年十一月以来五十年七月までの九ヵ月間で、件数が約九万件ほど販売しておりますが、民保の年間個人保険新契約件数が全体で一千万件でございますので、九万件という数を見ますと、余り需要がないというような感じもいたしますところでございます。で、私どもとしては、これは現在発売している個人定期保険の追加加入でほぼ代替できるのではなかろうか、メリットはどこにあるんだろうかというようなことなど、それから加入者の需要の動向等を十分勘案して決めたいと思っております。  次に、保険金の増額保険でございますが、これは配当金で保険金の買い増しをするという方法でございます。買い増しのための加入者の負担増がないという点が一つの特色でございますが、民保の場合の正確な統計の計数はございませんので申し上げられませんけれども、これは私どもの方へ導入した場合にどうなるであろうかといろいろ試算した場合でございますが、たとえば四十歳で定期保険を買い増しをする、剰余金で買い増しをした場合に、現在五百万円が最高制限額でございますから、買い増しをしていって最終的には五百万円になると、そうしますと当初買う基本契約は百万円と約三倍程度になりますので、百万円の基本契約につきまして二百九十七万円というのが買い増しの保険金になります。三百九十七万円、約四百万円でございますが、したがいまして基本契約は百万円、もうちょっと大きくてよろしゅうございますけれども、死亡しない場合の満期保険金が百万ちょっとではいまの時代に果たして現実に合うであろうかどうか、保障機能という点でちょっと問題がありゃしないかと思われます。これが五十歳になりますと、買い増し保険金が一・八倍くらいになりますので、今度は買い増しした保険金の保障機能がどうであろうかという問題がございます。  その次には、転換方式でございますけれども、これは既契約を解約する場合にいろいろなデメリットが生じてまいります、加入者の側から見まして。それを全然排除した上で転換をしていくというものでございまして、その場合に、既契約の解除のデメリットをこの保険にだけ与えるとなりますと、ほかの保険の加入者とのバランスの問題が出てまいろうかと思われるのでございますが、そういう問題がございます。  総じて申し上げたいことは、最高制限額が五百万円という状況下では、この目減り対応商品というものは理想的なものはちょっとむずかしいのではなかろうかと思っておりまして、そこで、問題は、最高制限額とは何ぞやという問題になろうかと思いますが、民保の場合には、剰余金で買い増しをした部分は、増額部分は最高制限額対象外となっているそうでございますので、そういう道が開けないものかどうかと関係筋との折衝になるわけでございますが、検討の余地は十分にございます。  それから全体的な問題でございますが、簡易生命保険ということで、私どもは、お客様にも、扱うわれわれの側におきましても、簡易でありたいと思っておりまして、現在、種類が二十三種類ございまして、非常に複雑になっております。従業員もこれを覚えるのに非常に時間がかかりますし、大分勉強するのに時間がかかりますし、また、お客様も非常に複雑な仕組みで理解しにくいし、いろいろトラブルも起こりやすいしということで、文字どおり簡易なものにしていきたいが、そうしますと、その中でお客様の二ードに合ったような方向をとるということは非常にむずかしい、二律背反みたいな関係になろうかと思いますので、その辺のところを十分に勘案しながら、しかし一方、先生のおっしゃるように民保の方はやっているわけでございますし、また物価上昇に対応する商品を考えなければならないという時代の要請もございますので、若干時間をかしていただきたい、こういうことでございます。
  70. 竹田現照

    委員長竹田現照君) 午前の審査は、この程度にとどめます。  午後一時再開することとして、休憩いたします。    午後零時一分休憩      —————・—————    午後一時三分開会
  71. 竹田現照

    委員長竹田現照君) ただいまから逓信委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、昭和二十四年五月以前の簡易生命保険契約に関する特別措置法案郵便貯金法の一部を改正する法律案及び簡易生命保険法の一部を改正する法律案、以上三案を一括議題といたします。  中市保険局長
  72. 中市彩也

    政府委員(中市彩也君) 先ほどの案納先生の御質問、まだ残っておりますので、お答えしたいと思います。  第二点は、昭和二十年代の契約に対して民保は特別増配をしているけれども、簡保はどのような措置を講ずるのかというお話でございますが、簡保の加入者も民保の加入者と同様の事情にありますので、簡易保険といたしましても、民間保険における取り扱いとのバランスを十分に考慮いたしまして、いま御審議いただいております特別措置の実施、もし御可決いただきますならば、特別措置の実施と同時に、昭和二十九年度以前契約につきまして特別増配を実施することにつきまして、近く郵政審議会に諮りまして実施に移したいと、このように考えております。  それから超過契約の問題でございますが、大臣からも御答弁がございましたけれども、従来、いろいろとあとう限りの統一措置を講じてまいりましたが、まあ従業員を信頼できないというのは非常に残念でございますけれども、特に、今回は、関係労働組合とも話をしまして、超過をした部分につきましては募集手当を返納をさせるという措置を講じまして、従来、再三にわたって超過契約の規制につきましての通達を発しましたが、残念ながら実効が上がりませんでしたけれども、今回は、この募集手当の返納を柱といたしまして実効を上げたいと思っております。  なお、その他のいろいろな施策もございますが、省略いたします。  それから団体の組成の適正化ということでございますが、既存団体の整備改善につきましては、これも簡単に申し上げますが、郵便局が払い込み団体に関与をしているということを禁止をする措置、関与しているという外観を排除する措置、これを六項目にわたってとりました。それが第一点。  それから団体の自主的な運用を確保する措置につきましても、これも十三項目ございますけれども、具体的に進めておるところでございます。それから団体の集金及び資金管理の適正化を確保する措置、これにつきましても六項目ございますが、具体的に推進しております。それから行事実施の適正化を確保する措置につきましても三項目ほどございますけれども、具体的に進めております。  以上のようなことで、御趣旨の適正な団体の育成ということにつきましては、今後とも、あとう限り努力をしてまいりたいと思っております。  それから最後に、余裕金制度のお話が出ましたけれども、取り組みにつきまして申し上げたいのでございますが、余裕金の運用制度は、実は、昭和三十四年度以来、過去十数年にわたって取り組んできた問題でございまして、簡易保険局にとりましてはもちろんのこと、加入者にとりましてもサービスの改善の最終にして最大の課題と言ってもよかろうかと思いますが、非常に大きな問題でございまして、引き続き、今年も五十一年度の予算要求におきまして省の重要施策として取り上げておりまして、関係方面と折衝を重ねておりますけれども、まだ結論を得るに至っておりません。  以上でございます。
  73. 竹田現照

    委員長竹田現照君) 質疑のある方は順次御発言願います。
  74. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 三案一括して質疑ということでございますが、与えられたわずかな時間でございますので、基本的な問題だけにしぼってお尋ねを申し上げるわけでございます。  今回の改正部分につきましては、私どもは、それなりに時代に即応したものとして、そういう態度をとっておるわけでありますが、いずれにしましても、先ほど来論議のございましたように、郵便貯金または簡易生命保険というものが一つの大きな時代の変化とともに、いろいろな角度で考えなければならない問題が出ておるという、これはこういうことを一々挙げておりますと、与えられた時間の中での質疑ができませんので、次の機会にまた詳細については述べたいと思います。  まず端的に、先ほどもお話ございましたけれども、郵便貯金の問題としましては、やはり預金金利のことが一番問題になろうかと思います。午前中もいろいろありましたので重複は避けたいと思いますが、何といいましても、先ほど来大臣が申し述べておりましたように、郵便貯金というのは国民大衆の零細な貯蓄というものが本来の目的であるわけでありますから、これはもうほかの一般金融機関とは同列に考えるべきでないことは当然だと思います。ところが、最近の様相を見ますと、まあ時代にマッチするように、貸付制度が二十万を三十万にしよう、簡易生命保険につきましても五百万を八百万にしょう、それはそれなりに・必要なことだろうと思うのでありますが、これが貯金なり、また保険なりという体系の中で今後どういう推移をたどるのかという、将来の展望ということになりますと、そのときそのときの一時しのぎといいますか、悪い言葉ではありますけれども、そのときそのときの時代に即応した考え方としてはそういう措置も必要でありますが、そういうことをして、やがてこれが、民間との競合部分も非常に多いわけでありますから、どういうところに行き着くのかということになりますと、これはまあ明確にしなけりゃならぬし、原則は原則としてあるわけでありますけれども、往々にしてこれが踏み外される傾向に進みつつある、このように考えざるを得ないわけであります。  こういうことで、まず最初にお聞きしたいことは、この郵便貯金または簡易生命保険、こういうものが将来こういういろんな手直しというものはもちろんのことといたしまして、将来、原則は原則、目的目的として、国民大衆の零細な貯蓄というものを、またこの国民大衆に根差した一般民間保険にはない簡易生命保険というものを、どういうふうに考えていくべきなのか、この将来の展望といいますか、将来に対する基本的な考え方、こういうものをひとつ、現在お考えになっていることでも結構でございますが、御所見をいただきたいと、こう思うんであります。
  75. 神山文男

    政府委員神山文男君) 郵便貯金制度でございますが、貯金法の一条にありますように、国民の皆様の貯蓄手段、しかも「簡易で確実な貯蓄手段」ということで「あまねく公平に利用」していただくということをたてまえといたしまして国民の皆様にサービスを提供し、今後、これをより一層向上させていきたいというのが基本でございます。  それで、将来、いろいろの制度の手直しというか、改善につきましては、先生おっしゃるように研究していかなければいけない問題でございます。まあこれはまたいろいろ他の制度や関係機関との調整の問題がございまして、非常に困難な状態でございますが、十分国民利用者方々利益増進になるように、制度の改善についても検討していきたいと考えております。  それから、この事務のやり方といいますか、現在も手作業が中心になっているような仕事の運び方でございますが、これを将来はオンラインシステムを導入いたしまして、もっとより迅速で確実なサービス、しかも内容ももっともっと多様化し、高度化したようなものを提供申し上げたいというふうに考えております。
  76. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 確かに民間の金融機関、また保険会社より前に出ていろんなものが進められるとは、まあお役所の仕事ですから、考えられませんけれどもね、しかし、余りにもこの差があり過ぎるということでありましてはならないと思います。特に零細な庶民の方々貯蓄という、またそれらの方々に応ずべき役割りというこの大事な役割りを担っておるわけでありますから、やはりこの新しい時代に即応して、民間のいろんな動き等も勘案して、それに立ちおくれのない処置といいますか、対策というものはひとつ検討しなければならないだろうと思います。具体的なことになりますと、これはいろいろ議論のあるところだと思いますけれども、その姿勢といいますか、貯金も保険も置かれている立場というものを十分に認識した上に立って、今後、対処してもらいたいと思うんであります。  先ほども言われましたように、郵便貯金の一番問題になるのは、やはり目減りの問題だと思いますが、今度は酒、たばこも、また郵便料金も値上げになるという、こういうことで物価上昇が著しい中にありまして、やはり預金なさる方々立場、これは大きな企業ではなくして零細な方々国民大衆対象にしておるということでは午前中もいろいろな論議がございましたけれども、一般金融機関と連動するような考え方というのは、これはもうあってはならぬと思いますし、大臣も大分がんばったみたいですけれども、がんばったのかどうか、あっという間に敗れてしまったような感じなんですけれども、これは午前中もいろいろな論議ありましたので私は重複は避けますけれども、どうか他の金融機関との郵便貯金のあるべき姿の中から、やはり節度ある態度、そしてまた法の目的、これに逸脱しない毅然たるものがあってしかるべきだと思うわけであります。  このことは私一人そう考えるということじゃございませんで、大臣の郵政審議会に対して諮問いたしました十月七日の諮問ですか、これに対する「当面の郵便貯金の利率の在り方について」という答申の中にも、この問題についてはやっぱり触れておりますし、この金利のあり方というものはどうあるべきかということについては、相当委員からいろいろ意見が出て、論議があったということが答申の中に明確にうたわれております。この答申を見ますと、「当審議会は直ちに特別委員会を設けてこの問題に取り組んだが、委員の意見は複雑多岐に分かれたまま、見通しが立たず、やむなく時日切迫の故をもつて、早めに調整を推し進めて、これを結論とした。」というようにあるわけですけれども、それぞれの立場、何かこう郵政審議会の委員のメンバーもこの前の郵便法の改正のときに問題になりましたが、われわれからすると、もう働く人たちの立場、非常にその構成メンバーにも問題ありということで大分問題が提起されたわけでありますけれども、その方々にしても、この利率の問題については、いろいろな議論がなされた、そして非常に意見が分かれたので、時日も切迫している——何も切迫したからといって、十分な討議もしないでこうすることがいいか悪いか、これもまたいろいろ議論のあるところだと思うのでありますけれども、この「委員の意見は複雑多岐に分かれた」という、こういう文章でつづられておるわけですけれども、主にどういうことがこの論議の焦点になったのか、この点ひとつ、詳しいことは結構でありますから、項目的にこういうことがということで、お尋ねを申し上げたいと思います。
  77. 神山文男

    政府委員神山文男君) 郵政審議会の議論でございますが、四十二名でございますかの先生方の御発言で、非常に答申にもありますように多様に分かれておったように拝聴いたしておりまして、その中で大きく分けますと、やはり郵便貯金少額貯蓄の性格を持ち、また個人性の貯蓄であるということから、利下げというものは慎重に行わなければいけないという意見が一方の代表的な立場の意見でありまして、もう一方においては、やはり当面の景気対策の必要性、不況が非常に深刻化し、失業者も増大して倒産もふえている、新規学卒者の就職も非常に困難な情勢である、そういう非常に窮迫した経済の環境条件を救済するためには、早急に不況対策をとらなければいけない、そのためには金利水準の引き下げということが当面の急務であるという立場から、預貯金金利も貸出金利引き下げるべきだ、そういうようなもう一方の意見。その中間にはいろいろまた御意見がございまして、大体、そういうことでございます。
  78. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 そういう意見が当然出たろうとわれわれも想像しておりますし、答申の中にも一部議論のあったところのものが記されておるわけでありますけれどもね。  何と言いましても、財政投融資の大きなパーセントを占めておるというこの郵便貯金の担うべき役割りといいますか、それはそれといたしまして、本来、いまお話のありましたように少額な貯金であり、また個人性の強いものであり、そしていま国民は非常な不安の中にありながら、やっぱり国のなす事業であるということに対しての信頼感、実際に国がどういうことをしているかということについて信頼に足るだけのもので運用しているかどうか、ここは過日来のいろいろな論議のあったところでありますけれども、しかし国民立場からしますと、国のやっていることだということに対する全幅の信頼があるわけであります。それだけにこの零細な、そしてまた少額な国民大衆の信頼を裏切るようなことがあってはなりませんし、やっぱり期待に、信頼にこたえる立場になければならぬ、こういうことから言いまして、利率問題、利率の引き下げなどということに対しましては、さっき午前中も大臣は日本経済の全体の運用とかいろいろなことを勘案してやむを得ないというお話でございましたけれども、それは日本経済を度外視して郵便貯金だけ独立で勝手な道を歩むということはわれわれもできないことはわかりますけれども、そこには何らかの対策なり方途なりというものを見出して、この特殊性というものに対しての措置というものは講じられなきゃならない、こう思うわけです。  この答申の中にも、最後の方に「物価高と貯金金利引下げという二重の負担に悩まされる零細預金者に対しては利下げと併行して利下げ分を補う適当な施策を立案具体化して当審議会の議に付されることを要望する。」とありますね。これはもう審議会としては、いろいろな意見の中で諸般の情勢からやむを得ないものとしても、しかし、これを預金する人たちの立場に立てば、特に特殊性から考えれば法の精神から言っても何らかの施策をしなきゃならぬぞという、こういう一文を入れざるを得なかったろうと思うのであります。  大臣の出された諮問に対しての答申、いままでいろいろな論議の中で、答申でこういうふうに言ってますからという、非常に答申を重んずる郵政省そして大臣、答申の中にこのようにはっきり明記になっていらっしゃるわけでありますから、今日まで何らかの施策については御検討なさっていらっしゃったと思うのでありますけれども、それらのことについてお伺いしたいと思います。
  79. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 先生御指摘のとおり、郵便貯金国民大衆に広く利用されている少額貯蓄手段でありますので、預金者利益保護につきましては、できる限り配意すべきものと考えております。  今回の利下げは、当面の深刻な不況を克服するために現下の経済情勢のもとでは郵便貯金金利引き下げもまたやむを得ないとの判断に基づいて実施したものであります。なお、預金者利益増進するために従来から住宅積立貯金預金者貸付制度等のサービスの拡大に努めてまいりましたが、今後とも、鋭意、配意をしてまいりたいと考えております。     —————————————
  80. 竹田現照

    委員長竹田現照君) 質疑の途中でございますが、委員異動について御報告いたします。  郡祐一君が委員辞任され、その補欠として福岡日出麿君が選任されました。     —————————————
  81. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 郵政省といたしましても、これは国務大臣として日本の経済を度外視するわけにはいかないことはわれわれもわかりますけれども、どちらかというと、やはり法の精神からいきましても零細な預金者立場に立って最善の努力を尽くす、これが必要であろう、先ほど来私そういうことを言っているわけでありますが、この答申の中に、いま大臣いろいろお話しておりましたけれども、「物価高と貯金金利引下げという二重の負担に悩まされる零細預金者に対しては利下げと併行して利下げ分を補う適当な施策を立案具体化して当審議会の議に付」すべきだということを言っているわけです。これはもう出ましてから、きのうきょうじゃないんですから、十月二十三日ですか、もう二ヵ月もたっているわけでありますから、何らかの、こうしたらどうかといういろんな論議があってこれを具体化のために知恵をしぼられたと思うんですけれども、いまの大臣の話だと、全然、答申にはあったけれども、われわれは考えておりませんみたいな話なんで、今日まで考えられ、まあしかし考えたけれどもどうも実現性がな、いとか、いろんな問題があるということであれば、そればそれとしてわれわれは今後の検討の資料にさしていただかなきゃなりませんけれども、こういう答申にある以上は何らかの検討があったろうと思うのです。  その検討したこと、そしてそれが可能であるのかどうなのか、今後、どういうふうになさろうとするのか、その辺のことをお聞きしているわけであります。
  82. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 預金者利益増進につきましては、郵便貯金が広く国民大衆利用されていることにかんがみまして常々配意いたしておるところでありますが、さきの金利引き下げに際しましては、他の金融機関の一年定期預金に比べ下げ幅を〇・二五%少なくいたしまして改善を図った次第であります。  今後とも、いろいろな角度から貯蓄の利便を増す適当な制度がないかどうか、検討を続けてまいる考えであります。
  83. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 過日の委員会でも、審議会のメンバーが大きな企業の方々の代表が多いじゃないかといういろいろ論議がありました。その中でさえ、これをしっかりひとつ適当な施策を具体化していけという答申があったわけでありますから、この答申はひとつしっかり踏まえまして、今後とも、ぜひひとつ御努力をいただきたいし、預金者を守るためにひとつ郵政省が全力を尽くして、今後の施策等につきましてもがんばってもらいたいと思うんです。  六月から福祉預金が実施されました、発売になりましたですね、このPRとかまたいろんな問題もあるわけでありますが、最初にこれが現在どの程度成績が期待されるのか、また今後のことについてお伺いをしたいと思うんです。
  84. 神山文男

    政府委員神山文男君) 福祉定期貯金でございますが、六月二十三日から取り扱いを開始いたしまして、六月に百二十一億円、それから七月に百七十五億円というようなことで着実に取扱金額もふえてまいりまして、十一月分百一億円を加えまして、累計で千百七十三億円という金額に上っております。  それで、この金額は、一体、民間金融機関を通してどれだけのシェアを占めているのかということでございますが、最近の資料がございませんが、九月末時点で調べましたところ、全金融機関郵便局扱い分は四八%、約半分近いという結果になっております。
  85. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 この福祉預金につきましては金利も高いわけでありますから、いまのお話ですと九月現在で大体全体の四八%ということですから、これがまた郵便貯金会計を圧迫することのないような預託利率の問題等、十分にこれは配慮しなけりゃならないだろうと思います。まあ前の郵便法の一部改正のときにもこれは三会計の問題で郵便貯金会計の預託利率や運用のことについてずいぶん論議ございました。それは郵便貯金そのもののことではございませんので、余りこれを深く突っ込んで私どもは申し述べなかったわけでありますけれども、こういうこと等をひとつ十分に勘案して、そして預金者に対してできるだけのサービスのできるようになすべきだろうと思います。  それから、この法律の今回の貸付制限額を三十万にしようということでありますが、現在わかっている段階で貸付金額とこの件数、これはどんなふうに推移しておるか、ちょっとお伺いしたいと思うんですが。
  86. 神山文男

    政府委員神山文男君) 四十八年の創設でございますが、五十年八月末日現在で八百七十九万件の利用となっております。で、貸付金の累計は五千十八億円、で貸付残高でございますが、六百八十八億円。で今年度の一件当たりの平均貸付金額が約六万六千円というふうになっております。
  87. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 現在つかまれておるやつだけじゃなくて、これ発足しましてから今日までの推移ですね、ちょっとお伺いしたいと思ったんですが、時間がありませんから結構ですが、この貸付金額とか件数、これはそう伸びてないように私どもは聞いておるわけですけれども、これは今日まで当委員会を通じまして、この前の委員会、この前といいますか前の国会のときも、うちの山田委員からも質問があったろうと思うんですが、やはり分割弁済とか貸付期間の延長とか、こういうものをやはり検討しなけりゃならないんじゃないか。  これは貸付限度額も二十万から三十万ということですけれども、まあ本来ならば五十万、これもいろいろ論議のあったところだろうと思うんですけれども、これはこういう制度ができてまだ日が浅いということや、また郵政省の置かれている立場というものもいろいろあるのかもしれませんけれども、預金者に対する利便として、分割弁済や貸付期間の延長や、貸付金額もやはり二十万から三十万という、いまこういう時代ですからね、十万ふやしましたって鬼の首でも取ったような顔をなさるというのはちょっとどうかと思いますんでね。最高預金限度額三百万ということですから、それ相応のやっぱり五十万なり、最低まあそのぐらいはあるべきだろうと思うのです。こういう制度ができてまだ数年しかならないということもありますけれども、利用者のためによりこれを利用しやすい道を開くことが大事だろうと思います。こういうインフレのさなかにあって過酷な生活を強いられているその零細な方々の預貯金である。先ほどの金利引き下げの答申の中にもございましたように、こういうものを考え合わせますと、やはり預金者のための手厚い施策というものをより積極的に考えるべきではないか、重ねて私もこう要望したいんでありますけれども、これらのことについて、現在、どのように御検討なさっていらっしゃるのか、ちょっとお伺いしたいと思います。
  88. 神山文男

    政府委員神山文男君) 最初に、先ほどの御質問の過去の何といいますか、貸し付けの利用状況でございますが、昭和四十七年度一月から三月の三ヵ月問でございますが、貸付件数七十四万四千件、貸付金額が三百七十一億円でございました。それから昭和四十八年度が三百十八万三千件、金額が千五百四十億円。それから昭和四十九年度三百三十八万二千件、金額が二千百二十七億円。五十年度につきましては、先ほど申し上げましたとおりでございます。  それで次に、この貸付期間は現在六ヵ月でございますが、これを延長する考えはないかという御質問と承りましたが、現在の貸し付けでございますが、この趣旨が、貯蓄をされている方がその貯金をおろさないで、一時的に融通を受けて、そのかわり貯金の、何というか、預け入れ期間が長くなっている利息の損を来さないで、また生活上の必要も満たせるという趣旨でこの制度が設けられたわけでございまして、比較的小口である、そして返しやすいというような金額にとどめてあるという現状でございまして、この六ヵ月を決めたのも、できるだけ短期の方が結構なわけでございますが、夏期及び冬期にボーナスというものが大抵の給与所得者の方々が受け取ると、そういう時期に返済できるんではないかというようなことから、六ヵ月が適当であろうということで決めさしていただいたわけでありますが、現在の貸付期間の実態は、おおむね四ヵ月となっているようでございます。それで現行の貸付期間六ヵ月で一応支障はないというふうにわれわれ考えておりますが、これは今後の利用の実態等を見た上で、これは検討課題として研究してまいりたいと存じております。  それから分割弁済でございますが、比較的少額であるということと、先ほど申し上げたように、夏期と年末にボーナスが給与所得者については出るというような実態から見まして、六ヵ月の期間内で弁済ができるんではないかということでございまして、大体、一時に弁済をしていただけているというふうに考えております。しかし、今後の貸付金額の増大等あるいはまた利用の実態等を見て、これも慎重に検討してまいりたいと考えております。
  89. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 これは、いま局長のお話の範囲内では、少額でもあり、ボーナスというものを基準に考えればということですけれども、現実に利用者の中にもこういう声があることを私どもも聞いておりますし、さらに、いまこれだけ物価高の中にありまして、またこの不況のあらし、そしてまた雇用不安、こういう中で公式的に、ボーナス出るんだからそのときに返済するようにとか、だから六ヵ月で足りるのだとかいうことでは済まされない。一時的と言えばそれまでかもしれませんけれども、長期間にわたっておりますし、零細であるがゆえに、五万、十万のお金に実際困っておる。自分の預金したお金なんですから、もう少し便宜を図る。早く返せる人は早く返して結構なわけですけれども、やはり倒産のためにいろいろな不幸な事態に立ち至った、そういう方々にとっては、やはり六ヵ月、またボーナスといってもそうはいかないと、こういう方々も現在失業者が百万、二百万、こう言われている中におきましては、やっぱり相当方々の声もあるわけであります。  ですから、これはそういうこともひとつ受けとめて、皆さん方は、どちらかというと、平均的な机上でのいろいろな計算の上に立ってお考えになるでしょうけれども、社会のこういう推移とともに非常に零細な方々立場に立ってお考えいただきませんと、ちょっとほかの一般金融機関との相違というものを明確にいたしませんと、やはり預金なさっている方々の意思というものはどうしても反映できないんじゃないか、そう思うわけです。その点ひとつせっかく御努力いただきまして、この問題についても取り組んでいただきたいと思います。で貯金の方は以上で終わりたいと思います。  保険でございますが、三つ一遍にやるんだから大変です、やる方も。  二十四年五月以前の特例の方ですね、これについてもいろいろお伺いしたいことがあるわけですが、私どもからいたしますと、社会のこういう大きな変動、そしてまた金が価値がなくなるというのは一体どこに起因するのかということになりまして、やはり冒頭に申し上げましたように、国のやることだということに対する大きな信頼感、何があっても国が見てくれるんだという、ほかの一般の保険会社には求め得ない信頼関係といいますか、こういうものがあって、それは戦後だろうが戦前だろうがやはり加入するわけですね。現在のように比較情報といいますか、どこの保険会社はどういうものがあるかという、そういうパンフレットをずっと並べて、自分の現在の資力の中でどれが一番適当するか、どれが一番率がいいか、こういうものをずっと比較して物事を考えることができる現在ならば、いろいろな選択の道もあるかもしれません。戦前ですと、そういうことは比較的できなかったわけでありますし、やっぱり簡易保険に加入する、そう決意をする根本に国のやっていることだからというものがあったろうと思うんです。これは戦争のためとはいいながら、国の経済の大きな敗戦のための変動といいながら、金の価値が大変な下落をし、これらの人たちに対して何らかの道を開こうというのですから、これは郵政省としては大変な思いやりのあるところだと、こう思うんですけれども、しかし、中身を見ますと、そうほめられることではない。  まず、この提案理由の中にも、これの理由の中にございますけれども、「簡易生命保険事業運営効率化を図るとともに、加入者の利便を図るため、」とあるんですから、郵政省の効率的な運用のためにやるんで、その後にちょびっと加入者のことも考えておりますよというんですね。中身を見ますと、実際、零細なお金をこれから一々集めるんじゃ大変だ、一括すればこういうふうにしてあげますよということで、郵政省のためにやるのであって、加入者の利便ということは、第一の条件といいますか、それを頭に置いての施策ではないということが、こういうことからはっきり言えるんではないかと思うのです。  新しい時代に入りまして、確かに効率化というものを求められる。そのためにはやっぱり何ぼ利益を上げちゃならぬとかいう国の事業だと言いましても、効率化、合理化のためには努力しなければならないことはわれわれもわかりますけれども、しかし、現在とは違って、戦前、国のなさる保険に対しての全幅の信頼を置いて加入なさった加入者の心情というものを裏切ってはならぬし、やはり何といっても加入者の利便を図るということを第一にお考えになるということが至当ではないかと私は思うのですけれども、大臣どうでしょうか。
  90. 中市彩也

    政府委員(中市彩也君) ただいまの御質問にお答え申し上げます。  二十年代の大変なインフレの高進の激しかった時代に入っていた保険の契約者に対しましては、実は、保険的手法と申しましょうか、保険的なやり方で、昭和二十四年の四月一日から昭和二十七年の七月一日まで、四年間にわたりまして、保険的なやり方でこの小額契約に対応した措置を講じました。  その内容を申し上げますと、それは昭和二十四年に出された法律第六十八号でございまして、これは本年の七月出された保険審議会の答申にもございますけれども、物価上昇への対応策として述べられている方策の一つでございますが、それを使ったわけでございます。つまり従来の小額の契約を転換する、下売り方式に乗りかえる、こういうことをいたしました。それによりましてこの四年間で小額契約が四千三百八十万件整理されたわけでございます。四千万件と申しますと、現在の簡易保険の保有契約が五千万件でございますから相当な数でございます。それに応じられなかった方が若干おられたということと、いま申し上げたのは、この対象になるのは昭和二十一年の九月以前契約でございますから、昭和二十年の十月一日からいま問題になっております昭和二十四年の五月三十一日までの新規加入の方、これを合わせると二百三十三万件で、今回の対象になっている。したがいまして、私どもとしては、先ほど保険的手法などと変な言葉を使いましたが、この小額契約に対応する方式で一応とったものである。  それで、いま先生が非常に冷たいじゃないかとおっしゃいましたけれども、この提案理由にございますように、今回は保険事業運営効率化を図るためにやるものである。具体的に申し上げますと、この契約が将来十五年ぐらい続くであろう。そうしますと昭和二十四年の五月三十一日までは旧保険法時代でございまして、保険料建てと申しますか、現在は保険金事務を進めておりますが、旧法時代は保険料建ての契約でそのような事務処理をしておりまして、これは現在機械化の対象になっておりません。そこで、これを今回こういう形で一応整理して、事務費の節減を図ろう、こういうことでございます。そういう趣旨で節減可能な人員が幾ら、平均給与額が幾らで給与アップ率が幾らで、この保険法は十五年くらい続くであろうから、概算いたしますと人件費が八十六万何がしかかかるわけでございますが、そのうち、今回の施策に要する経費を取りますと、七十億ほどの余裕ができる。その七十億ほどの余裕をもって二百三十三万件の方に一時金を支払うという形で今回の御提案を申し上げたということでございます。  それから、もう一点は、われわれ常に民保の動向に十分留意しておりますが、民間保険について、同種のことについてどのような対応策を講じたかと申し上げますと、二十一年の八月十日以前に締結した保険契約につきまして、三十九年の四月一日から三年間にわたりまして保険金の繰り上げ支払い措置を実施しておりますが、その際に付加金をやはり付しておりますけれども、その額は責任準備金の三割相当額ということでございまして、実額にいたしますと六百円程度ということでございますが、何せいまの時代で六百円というのは非常に低い、低過ぎる感じもいたしますので、私どもの方では、先ほど申し上げた計算根拠で三千円と、こういうことに相なっているのでございます。
  91. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 それは事務的な手続については何もしないと私は言いませんけれども、その事務を進めるに当たっての物の考え方といいますか、進めるに当たって、法の精神から言ったってこれはほかの民間保険会社とは違うわけでしょう、同じことをやるわけじゃないわけですからね。民間保険会社でやっていることを参酌をしてそれにおくれないような処置をとる、これは当然なことだと思いますけれども、やっぱり国のなしていることでありますから、民間にはできない、また営利を追求する会社とは違ってやはり国を信頼して加入しただけのことはあったという施策というものがなけりゃならぬということを私は言っているのですよね。何もしなかったわけじゃ決してないでしょう。しかし、それは民間保険から見ますとどうしても処置がおくれておる。また事務処理上のことだけから物事を考えるというのであれば、これはもう民間保険会社と同じでありまして、やはり国のやっていることになれば、加入者ということを最念頭に置いての処置というものが必要ではないか。同じことをするにしましても、やはりその念頭の上に置いての処置、それは具体的な施策としてはいろんな面で、こういう大きな物価の相違というものはあるわけでありますから、目減りに対する何らかの処置として民間には考えられない施策というものがそこから生まれ出てくるのじゃないか、こういう面で確かに国の事業だけあってここまで配慮したのかというものがにじみ出てくるものでなけりゃならぬ、こう思うわけです。  私は、文章だけ見て、効率化を最初に書いて前とか後とかいうことで云々しているのじゃないんですよね。その点ひとつ、これは戦後二十四年までの方々、昔の法律による方々に対してのことですから、それはそれなりに一応評価はする、最初から申し上げました。しかし、なすに当たりましても、もっと加入者というものを重んじた、加入者立場に立っての施策があるべきであり、やはり経済の大きな変動の中にはあるとは言いながら、自分たちの事務効率化のためだけで物事を処理しちゃならぬというこの私の言っていることもおわかりいただけるのじゃないかと思いますけれどもね、大臣、どうですか。
  92. 村上勇

    国務大臣村上勇君) この特別措置は、簡易保険事業の効率的運営加入者の利便を図るために実施しようとするものでありまして、貨幣価値の変動に伴ういわゆる目減り補償を目的とするものではありません。  すなわち、この特別措置は、保険金及び分配金を繰り上げて支払うとともに、事業経営の効率化による将来の経費節減額をめどとして特別付加金支給しようとするものでありまして、これらの契約の多年にわたる事業への貢献及びこの特別措置による事業効率化に対する協力に対し、事業として可能な範囲で報いようとするものであります。  なお、目減り補償を目的とするものではございませんが、民間保険におきましては、保険審議会の答申を受けて昭和二十年代の契約について特別増配を実施しておりますので、簡易保険といたしましても、民間保険における取り扱いとのバランス等を考慮して、昭和二十四年五月以前の保険契約に対する特別措置の実施と同時に、昭和二十九年度以前の契約について特別増配を実施することについて、近く郵政審議会に諮りたいと考えております。
  93. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 まあ物価にスライドするというか、こういうものをどう見るかというのは非常にむずかしい問題でして、これは会社にはなかなかこういうものをどう処置するかという、また戦前戦後と言いますと余りにも物価の格差が大き過ぎるといういろんな諸問題があることはわかりますけれども、もっと温かい目で、この処置に対しては事務処理上効率を上げるためにということでは納得できぬと思うんです。  で、去る六月二十七日に、保険審議会から、「今後の保険事業のあり方」ということについて大蔵大臣に答申がございまして、その中で、物価指数保険の開発とか、中途増額制度の拡充と転換制度の開発、これは先ほど案納先生もちょっとお話で触れておられたようでありますけれども、こういう保険審議会の答申もありまして、こういうものについても検討してはどうかという指摘があったわけですね。当然、民間においてこういうことがいま考えられることであれば、簡易生命保険におきましても、当然、これらの問題を検討しなければならぬだろうと思います。  特に、この物価指数保険の開発ということは、物価上昇に合わせてということで、先ほど来論議になるのは、やっぱり物価にスライドしない、見合わない。さっき局長も言っていましたけれども、いろいろ処置しまして六百円差し上げることにしましたというのは、昔の六百円といまの六百円とでは大変なことになるわけですが、それは時代の大きな流れの中でやむを得なかった点もありますけれども、そういうことで物価にスライドするということはいろんな面で検討されているわけですが、保険のことについても、こういうことを開発をする道を考えたらどうかという答申が出された。これは一民間保険会社だけではなくして、郵政省としても、これは積極的な取り組みがあってしかるべきだ。そのほかの中途増額制度の拡充や転換制度の開発等についても同様に思うわけですけれども、今日までの御検討の経過とか、また現在これからのお考え等ひとつあわせてお答えをいただきたいと思うんです。
  94. 中市彩也

    政府委員(中市彩也君) ただいま物価騰貴に対応する保険商品の開発ということにつきましてお話がございましたが、物価騰貴に対応する仕方といたしましては、これは私も業界誌を見たわけで現物を見たわけではございませんが、この七月にロンドンで開催された国際保険法学会におけるシンポジウムにおきまして、やはり世界的にもこの保険のインフレ対応というものは問題になっているようでございまして、インフレ問題についての対応策としていろいろな質疑、討論があったけれども、最終的に集約されたことは、剰余金の増配、予定利率の引き上げ——予定利率の引き上げによって保険料引き下げということになるわけでありますが、それから定期保険利用増大ということで対処をする、それから新種保険では指数保険とか変額保険は現状では余りうまくいっていないようだというような議論が多かったというふうに聞いておりますけれども、私ども簡易保険といたしましても、この点に即していたわけではありませんが、まあ符節が合っておりますけれども、剰余金の増配を極力やっております。そのために有利な資金運用ということに努めることは当然でございますが、さらに四十九年十一月から保険料引き下げを、平均二%に及ぶ引き下げを実施いたしました。さらに定期保険あるいは第三種特別養老保険を創設する等して、十分ではございませんけれども、対処の努力をしてまいりました。  で、さらに今度先生のお話の保険審議会で出されました各種の、たとえば指数保険、中途増額保険、保険金増額保険あるいは転換方式、いろいろ具体的に民間でも取り入れているところでございますが、私ども、民保と違います点は、これは検討の過程で一つの大きなネックになるわけでございますけれども、最高制限額というものがある。そうすると物価対応と言いましても現在ならば五百万というものが限度であるというところに大きいネックがございます。  この最高制限額ということにつきまして、これはすでに御案内のように、税金、脱税という問題じゃなくて、保険の場合の最高制限額の定めというのは、私どもの保険が無診査保険でありますために弱体者が加入する危険がある、そうすると経営の基盤が危うくなるであろうからということで五百万と現在定められておるわけでございますが、今度は八百万にお願いしておりますけれども、しかし経営の観点から申しますと、これはいろんな過程を経ての計算でございますが、いまのところ、私どもの部内では三千万円程度でも経営が危うくないというふうな計算上は出てまいります。しかし、最高制限額は、単に経営の基盤の問題だけではなくて、同時に、民間保険に及ぼす影響というものも考えなければなりませんので、民保との調整ということ等も考えたり、あるいはさらには加入者の負担というものも現実的に考えまして、現在は五百万と、こうなっておりますけれども、この最高制限額がこのような形に据え置かれておりますと、どうしても理想的な形での目減り対応商品の創造、発売は非常にむずかしいのでございます。  しかし、それはそれといたしまして、置かれた条件下で、できるだけ加入者利益、改善になるような方途を考えなければいけないというふうに思っているところでございますし、それからいま一つは、先ほども申し上げたところでございまして、繰り返しで恐縮でございますけれども、現在、簡易生命保険保険種類が二十三種類ございまして、これを全部法規的にマスターするのが職員には非常な負担になっております。また、お客様にもいろいろと、職員の知識の不十分さということもありますが、非常にたくさんありますために誤解を与えて、いろいろトラブルのもとになる場合もございますので、できれば文字どおり簡易な保険ということで、すっきりしたいという気持ちもこれはございますが、まあなかなかしかし物価対応商品の創出、発売という点に努力をしなければなりませんので、その辺の兼ね合いということをいまいろいろと検討中でございます。
  95. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 これは金利引き下げにいたしましても、またこのたびの特別措置にいたしましても、問題になるのはやっぱり目減りということでしてね、資本主義社会の中での経済の発展とともに必然的に起きてくることでありますから、当然、これはいろんな諸問題があろうかと思いますけれども、零細な国民、庶民の加入者立場を考えるならば、その方途というものもひとついろんな困難な道を切り開いて、この物価スライドの方向というものを、物価上昇に対して、それに見合う目減りのない何らかのそれに対する保障のある、そういう制度の開発ということについて、いまもいろいろお話ございましたけれども、ひとつ取り組んでいただきたいと要望したいと思うのであります。  さっきも話がありましたけれど、簡易保険とこう言うんだけれども、簡易じゃなくて二十三種類もあるということのようですが、それは必然性があってそういう多種類になったのだろうと思いますが、それはそれとしてひとつ物価の急上昇、それに見合う、目減りのない、これは国民の心からなる願いでもありますし、それにこたえる道がまた国の保険の真のあり方だろうとも思うわけであります。  この簡保積立金の運用の問題、これも郵便法の改正のときにもこの運用についてはいろいろ論議がありましたし、また、さきの国会におきましても、当委員会で附帯決議がつけられて「積立金の運用にあたっては、改正法を十分に活用して運用利回りの向上をはかり、制度改正の実効を確保すること。」それから、余裕金の運用制度改善を積極的に推進すること。これら附帯決議にもつけられて、皆さん方もそのためのいろいろな御検討をなされたのではないかと思うのでありますけれども、非常にこれまた大事なことでありますから、附帯決議もつけられ、きょうも時間もありませんから、あんまり突っ込んだ質問できないんですけれども、ぜひひとつこれはいろんな論議を踏まえて取り組んでいただきたいと思うんです。  この附帯決議をつけられたこれらのことについて、さきの国会のことでありますから今日まで時間もあったわけでありますけれども、どのように取り組まれてきたのか、その取り組んでまいりました経緯等をひとつ御説明いただきたいと思うのです。
  96. 中市彩也

    政府委員(中市彩也君) 余裕金の運用につきまして申し上げます。  余裕金の運用制度が積立金と同様に運用されるようになりますと、これはもう保険の積立金の運用としてはこれ以上のことはもうございませんで、と申しますのは、いままでいろいろな改善がなされましたけれども、余裕金の改善に比べれば、もう問題じゃないくらいの小さい金額的に見まして改善でございました。したがいまして、これが最大の改善事項と、こういうことだろうと思います。  ということで、昭和三十六年度以来、過去十数年にわたりまして、簡易保険局としても取り組んできているところでございます。残念ながら、実現を見るに至っておりませんが、さらに、この五十一年度予算におきまして、積立金と同様に余裕金を運用さしてくれということで、関係の向きに折衝を重ねているところでございます。
  97. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 この三つの法律、ともに冒頭申し上げましたように、今度の改正部分についてはわれわれは異議をはさむものじゃございませんが、本来、貯金や保険そのものについて新しい時代に即応した立場から考えますと、立ちおくれた面やまた改善すべき面や種々の問題をはらんでおる、こういうことでございます。  時間もございませんから一つずつ申し上げる時間もございませんけれども、そしてまた今度の一部の改正をするに当たりましても、その部分だけ取り上げて、それがそうなることが将来どういうことになるのか、こういう先のことを考えますと、いろいろ検討しなければならない面も多々あるわけであります。本来ならば、そういう多方面からの質疑があって、そうした上に立ってこれはどうするかを決めなきゃならぬことだと思うんですけれども、非常に国会の会期も迫っておりますし、そういうことから与えられたわずかな時間の中のことでもございますので、質疑はこれで終わりますけれども、私が申し上げた二、三点、わずかな質疑の時間ではございますが、そういう大きなこれからの貯金や保険のあり方として、種々、真剣に取り組まなきゃならない問題がある、たとえこの法案に対して私どもが賛成であったとしましても、そういう点を指摘せざるを得ない。こういう現況にあるということを、ひとつ大臣、しっかり踏まえていただきまして、今後、積極的にひとつ改善なり今後の方途等について取り組んでいただきたいと、こう思うわけでございます。  大臣から、最後に、ひとつ御所見をお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
  98. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 御指摘の点は、いずれもこの保険事業効率化またこの事業のあらゆる面に非常に有意義な御議論と思います。この資金の運用等につきましても、十分関係方面とも相談いたしまして、御期待に沿うように努力を続けたいと思います。     —————————————
  99. 竹田現照

    委員長竹田現照君) 質疑の途中でございますが、委員異動について御報告いたします。  最上進君が委員辞任され、その補欠として岩男頴一君が選任されました。     —————————————   〔委員長退席、理事茜ケ久保重光君着席〕
  100. 山中郁子

    ○山中郁子君 議題になっております三つの法案について、及び関連する問題について、一括して質疑を行います。  初めに、私は、短い質疑の時間でたくさんのことを伺わなくちゃいけないので、まとめて確認をしておきたいんですけれども、簡易生命保険法の第一条ですね、あるいは郵便貯金法の第一条、それぞれその法律の目的精神がうたわれているわけですけれども、全く後半同じ文章になっていますね。「国民経済生活の安定を図り、その福祉増進することを目的とする。」と、こうなっているわけです。私は、これから申し上げる質疑の一つ一つについて一々前段にそのことを申し上げたいという気持ちなんですけれども、そういう時間もありませんから省略して、初めに、郵政業務、現在問題になっております簡保あるいは貯金について郵政省が行う施策は、とにかくこの第一条の、いま私が読み上げました部分、これに基づいて、そしてこれを目的として行われるものであるか、そのために郵政省が誠心誠意努力をするものであるかということについての大臣の決意のほどを伺いたいというふうに思います。
  101. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 御指摘のとおりであります。
  102. 山中郁子

    ○山中郁子君 それで、郵便貯金法の問題に入るんですけれども、ただいま藤原委員からも御指摘がありましたが、私はいまのその確認に基づきまして、先ほど大臣趣旨説明がありましたが、「日常生活の不時の出費を賄うための資金として二十万円では低きに失しますので、これを三十万円に引き上げ」ると、こういう御説明でした。しかし、いまどき二十万が三十万になっても「不時の出費を賄うための資金として」というふうにして郵政省が大いばりで提出する金額じゃないということはもうはっきりしているのですけれども、具体的に今後これをどういうふうに引き上げるかということですね。そうした点で、国民福祉経済生活の安定を図るというふうな見通しを持っていらっしゃるか、このことだけについて初めにお伺いをいたします。
  103. 神山文男

    政府委員神山文男君) ただいまお願いしている法律の改正案でございますが、三十万円にしていただきたいという中身でございますが、これは前通常国会にお願いした法案でございますが、前国会において審議未了ということになりまして、再び御提案申し上げた次第でございまして、今後、これをどう持っていくかという御質問でございますが、私どもとして、これはどの程度の金額が一番妥当なのかということは非常にむずかしいと思うわけです。  それで、ただ、いろいろ物価も上がってまいっておりますし、そういう点からいま大蔵省の方へ予算要求として要求しているのは五十万でございますけれども、今後、これはいろいろそういう関係機関と折衝の上、どういう結論になりますか、われわれとしてはその程度にいたしたいということで、ただいま努力しておる次第でございます。
  104. 山中郁子

    ○山中郁子君 郵便貯金の問題に関して、やはりいま国民的な問題になっているのは、金利引き下げの問題です。これも多くの方々から御指摘がありましたし、また郵便法審議の際にも少なくない質疑が行われました。  私は、やはり何と言っても郵便貯金金利が公定歩合の引き下げ一般市中銀行金利引き下げ、そうしたものと連動するという根拠ですね、そのことはどういう根拠なのか。そしてまた、それがどういう役割りを果たし、国民生活にどういう影響を与えるのか。このことはやはり明らかにしておく必要があるというふうに思いますが、まず、どういう理由郵便貯金金利引き下げたのかということをはっきりお答えいただきたいと思います。たくさんの理屈は要りません。
  105. 神山文男

    政府委員神山文男君) これは貯金法の十二条の後段で「一般金融機関の預金の利率についても配意」するという貯金の決定原則がございますが、これは実際の問題といたしまして、市中の民間金融機関が多数ございますが、これとの金利をどういうふうな均衡をとっていくべきかという一つの問題がございまして、このバランスが崩れますと資金の偏在を招くということが一方から懸念されておりまして、非常に混乱が起きるのではないかということでございます。まあ私ども郵便貯金としては、市中金融機関の利率について口を差しはさむという立場にはございませんけれども、法律の趣旨は、それについては配意をしていくということになりますと、余り金利体系のバランスを崩して資金の偏在を招くということも、これは、結局、国民経済生活を不安に陥れる原因にもなりますので、そういうことも避けなければいけないというふうに考える次第でございます。
  106. 山中郁子

    ○山中郁子君 そうしますと、大臣にお伺いしますけれども、郵政大臣は、初め、郵便貯金金利引き下げには反対をしたということが報道され、御自分も言われておりました。しかし、いまの貯金局長のお話によると、経済上のバランスを考えて郵政省としても引き下げなければならぬと思ったということですね。そうすると、大臣は、郵政省としてはそういう見解は持っているけれども、かっこうをつけるために一応は反対してみたと、こういうことになるのですか。
  107. 村上勇

    国務大臣村上勇君) かっこうというような、そんなけちなものじゃないのでありまして、私は、当初は、できる限り大衆預金である郵便貯金の利率は引き下げるべきものでないという一つの信念のもとに、極力、反対してまいったことは御承知のとおりであります。  しかし、御承知のように、第四次不況対策の一環として、何としても全般的な金利水準を下げなければならない。これを下げて、そして中小企業等の毎日のように倒産していくことを防止しなければならない。それがまた大企業といい中小企業といい、企業の安定を図って、いわゆる失業者を吸収することができる。まあいろいろな面で何をおいてもこの不況対策をまず第一に考えてもらいたいということで、私も決して進んで賛成したわけではございませんが、とにかく日本国経済の非常な曲がり角で、ただ私が依然として自分の主張を通すわけにもいくまい。そこで郵政審議会にそのいずれを選ぶべきかということについての諮問をしたということであります。
  108. 山中郁子

    ○山中郁子君 大蔵省にお尋ねしたいのですけれども、いま郵政省に私お伺いしましたが、郵便貯金に連動するという考え方の根拠はどこにあるのか、そういう考え方を持っていらっしゃるのかどうか、いらしたからこそいま郵政大臣が抵抗したにもかかわらず大蔵省に押し切られたと、端的に言えば、こういうことのようですけれども、その根拠は大蔵省はどこにお持ちになっていらっしゃるのかお伺いいたします。
  109. 清水汪

    説明員(清水汪君) ただいま郵政大臣からお話のございましたとおりだと思います。  私どもの方が説明として申し上げておりましたポイントは、やはりいま大臣のお話にもございましたように、経済の実体面が非常に悪くなっていると、で、この経済の実体の悪い状態をなるべく早く回復させることが目下の第一の課題であろうと。そういたしますと、やはりいろいろほかにも財政面の手も打っているわけでございますが、やはり金融政策の面におきまして金利水準を下げていくことが必要である、こういうことになるわけでございますが、さて、その場合に、郵便貯金金利についての御質問でございますけれども、これはやはり実際の実体から言いまして、民間の預金と郵便貯金とを切り離して運営していくことは実際問題として適当でもないし、また種々問題があって不可能なことであろうというふうに考えているわけでございまして、そうした実体を反映したものとして、まさに郵便貯金法第十二条にも、ただいま引用されましたように、両者の金利が整合性を保つようにという趣旨が規定されているんだろうと思います。  そういうような法の趣旨もございますし、さらに、その趣旨の基礎にあります現在の預金の相互の関係、そういった面から整合性を持った運営を図っていくことが必要であろうというのが私どもの考え方でございます。
  110. 山中郁子

    ○山中郁子君 郵便法審議の際に、一条と三条の問題が繰り返し繰り返し論議されたのですけれども、理屈としては、私は同じことだというふうに思うんです。  というのは、この公定歩合の引き下げ、一%引き下げることによって、これは日経新聞の数字ですけれども、たとえば三井物産の場合は百四十四億円、それから三菱商事の場合は百二十七億円——年間ですね、新日鉄の場合が百十三億円などと軽減されるということで、これだけもうかるわけですよね。ですから、もっと端的に言えば、大蔵省の首脳が公定歩合の引き下げに関連して、公定歩合の引き下げは言ってみれば企業に対して補助金を交付するのと同じことだと、しかもこの補助金は財源が要らないのだからまさにこれにまさる補助金はないと、大蔵省の首脳が言ったというふうに新聞が報道しておりますけれども、そういうようなことではっきりしているように、そしてまた片方、郵便貯金というのは、何回もこの委員会でも議論になるように、庶民の零細なお金を預託するものである。  そういう観点から明らかにしていけば、まさに先ほどの郵便貯金法の第一条の国民の経済を安定させて福祉増進させるという観点にきちんと立てば、この金利引き下げの問題にどういうふうに対応しなければならないかということは明らかになるというふうに私は思うんです。で、そういう点についてのまさに大企業本位の財政金融政策、そのことに郵政省がもっときちんとした態度をもって、零細な庶民のお金を集める郵政省としてのそうした姿勢をきちんと反映し、大蔵省との関係でもきちんと国民にわかるようにしてもらわなければいけないというふうに私は強く思います。   〔理事茜ケ久保重光君退席、委員長着席〕  それで、いま審議会の問題がありました。このことについてもやはり重要な問題だというふうに思いますけれども、これも委員会でもって若干議論のあったところですが、審議会の会長の土光さんが郵便貯金金利の変更を答申が出る以前の問題として提起をして、そして記者会見でそれを述べたと。しかも、そうした問題が審議会にかかる必要のないようにしなければいけない、それは機敏に対応しなければいけないから、審議会に諮って答申を待つなんというふうな手続をとらないでやるような仕組みに改めなければいけないということを、土光会長が記者会見で言明したということが新聞報道されて、それがその後どういう処理をされたかというふうなことについても、一たん議論があったことは私はよく承知をしております。  しかし、そういうふうに基本的な問題ですよね、その金利引き下げはすぐ郵便貯金金利引き下げ、そして国民経済生活を安定させるというまさに郵便貯金法の第一条に真っ向から反対するようなそういう結果を生み出して、しかも審議会の会長が堂々とそういうことを述べる、財界代表としてですね。そういう問題は、一体、郵政大臣としてはどう考えておられるのか、このことについてまずお伺いしたいと思います。
  111. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 土光審議会会長がこういう点についての審議をボイコットして、何か審議会かなんかで決めていくべきであるというようなことを言ったというのは、全く誤り伝えられておることでありまして、土光会長みずから第一回の審議会の劈頭にそのことを釈明して、こういう事実はなかったんだということを言っておりますので、私はそのことを信じております。  それから金利引き下げることによって非常に、これは私の乏しい知識でありますからよくわかりませんけれども、私はこういうふうに聞いております。たとえば公定歩合が引き下げられても、貸出金利はいま借りている金を払うまではやはりずっと従来の金利で計算されて取られておるんだと、こういうように私は解釈しておりますが、それで間違っておったらひとつ大蔵省の方で訂正してもらって結構です、そういうことであります。
  112. 山中郁子

    ○山中郁子君 訂正があるんですか。
  113. 清水汪

    説明員(清水汪君) その点はそのとおりでございます。  ちょっと補足させていただきますが、貸出金利にいたしましても、あるいは定期預金の金利にいたしましても、いままで貸したもの、あるいは預かっているというものは、その期限満了まではその従前の金利が適用されるというのが一般的な原則と申しますか、慣行でございます。
  114. 山中郁子

    ○山中郁子君 いま大臣はそのことについておっしゃったけれども、それは何ら私が先ほどから主張していることの問題とかかわりない問題なんですよね。要するに金利引き下げという問題についてはね。  それで土光会長の発言問題ですけれども、これは繰り返しませんけれども、誤り伝えられたなんていうものじゃないということは、すでに委員会でも指摘がありました。私はそれを信じますと、こうおっしゃいますけれども、これだけ詳細にわたって各紙が報道している内容ですね。そういう内容について大臣が——新聞というのは全部国民見るわけですよね。もし本当にそういうふうな誤った、誤報であるならば、新聞社はやはり訂正しなければいけないだろうし、また郵政省なり土光会長なり審議会なりが訂正を申し入れるなり、あるいはそうした措置をとらなければいけないはずですね。おとりになったんですか。
  115. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 私は、土光会長が審議会の劈頭にそのことを釈明して、そうして審議会の委員の中から皆そのことに対してそれを肯定しておったということで、それ以上私が郵政大臣としてそこへ臨んで疑う余地はないというように考えたのであります。
  116. 山中郁子

    ○山中郁子君 私は、これは申し上げておきたいと思います。  いままで再三記者会見やなんかをして、こういうふうに言ったということが問題になります。そうすると、後でそういうことは言わなかったということで、そのまま済ますんですね。だけれども現実の問題として、そういうことを言わなかったものを新聞記者の方たちが書くはずがないんでしょう。単なる若干の誤報だとか、そういうこととは別ですよね。これだけのたくさんの内容を詳細に発言していることが全くなかったことであると、そんなばかな話はないんで、もしそれならそれでしかるべききちんとした処置をとって国民の前にそれを明らかにすべきなんです。私は、電話料金の値上げの問題について副総裁が発言した問題についても申し上げたことは大臣も覚えていらっしゃるというふうに思いますけれども、そういうことはごまかしだということを、ですから、私は何回も申し上げているんです。これはもう申し上げるにとどめます。  確認をいたしますけれども、このときに土光会長が発言したと伝えられている金利引き下げの問題については、今後、審議会の答申を待つというふうな手続きは一切要らなくした方がよろしいというふうなことについては、毛頭郵政省としては考えてないと、そういうことは全くの誤りであるということは間違いないわけですね。
  117. 村上勇

    国務大臣村上勇君) そのとおりであります。
  118. 山中郁子

    ○山中郁子君 先ほど申し上げましたけれども、こういうふうな大企業本位の金融政策、そうしたものに郵政省が従属していって、それを率先してやっていくというふうなことであってはならないし、郵政省だけじゃありませんよ、大蔵省だってそうです。やはり本当に国民の暮らしを守るという観点から、郵便貯金の場合で言うならば、郵便貯金法の第一条の観点に立った運営をしていくということについての考え方、あるいは今後の決意、そうしたものを大蔵省、郵政省それぞれからお伺いをしたいというふうに思います。  そうしなければ、まさに経済のバランスがどうだこうだと言いながら、みすみす大企業がもうかる、そうした金融政策ですね、そのことによって国民が犠牲を強いられてくる、こういう結果がまた繰り返し行われていったらかなわぬと、これが午前中のお話にもありました第五次の不況対策は、それじゃ一体どうするのかと、このことについてだって明確な答弁は伺えなかったというふうに思います。その点についてのお考えを伺っておきたいと思います、基本的な考え方です。
  119. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 先生の御指摘の点については、私、よくわからないんですが、先ほど申しましたように、大企業が大企業がと申しますけれども、大企業が借りている金が仮に今度の金利引き下げでその借入金の金利が一遍に下がるというんじゃないのでありまして、やはり前の高い金利金利を払わなきゃならないんですから、大企業は急にそこでもうかったということはどうも私の知識では……
  120. 山中郁子

    ○山中郁子君 有利になるということ。
  121. 村上勇

    国務大臣村上勇君) その有利になるという点は、不況対策そのものが非常に有利になることであって……
  122. 山中郁子

    ○山中郁子君 だから大企業本位の不況対策だと言うんです。
  123. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 私は、大企業とか何企業とかということは申し上げることははばかります。
  124. 清水汪

    説明員(清水汪君) 私ども、金融政策をやる場合に、別に大企業を特に有利にしようというような考え方はないと思っております。国民経済ということから、いまの事態の中で最もよく経済の回復を図ることが課題だろうと、かように思っているわけでございます。そういたしますと、むしろ金融政策の面におきましては、あるいは金融制度についてもそうですが、むしろ中小企業問題ということに対しまして傾斜をかけたいろいろの施策すら行われておるというのが現実だろうと思います。  ただいま金利引き下げの効果につきまして御意見がございましたけれども、新聞に伝えられました見方に必ずしも私は同意できないわけでございまして、全体としての企業活動がこれだけ悪化しておる、あるいは雇用情勢が悪化しておるという中におきまして、これをどうやって回復に導くかというその一つの手段として金利政策も行使されているわけでございますし、そうして金利が下がるメリットというものは別に大企業だけに与えられるわけではなくて、中小企業も含めて行われるわけでございますので、ぜひ全体として御理解を賜りたいと、かように思います。
  125. 山中郁子

    ○山中郁子君 郵便貯金というものは、そういう性格のものであるから、この運用の問題についてもいろいろと議論が出てきて、たとえば郵政省の自主運用の問題などが論議をされているところだというふうに思います。私はそれが郵政省の自主運用ということに限らないで、この郵便貯金の財政問題での運用に関して、やはりそれにふさわしい配慮をする必要があるということ。つまり国民が零細なお金を積み立てる、そういうものであるから、それにふさわしい配慮をした運用をすべきだと、中には郵政省の自主運用ということも含まれるかもしれません、そういう観点からかなりきちんとした考え方と、それからそれなりの決意というんですか、見識ですね、そういうものを持って対処しなければならないというふうに思います。  ですから、具体的に言えば、たとえば産業関連を国民生活関連の方に動かしていくという財政上の比率ですね、そうして地域の社会施設の建設の運用に回すとか、そこに比重を重くするとか、そうしたいわゆるそれにふさわしい資金の運用ですね、こういうものを行っていくべきだというふうに考えておりますけれども、そしてまたそういう要求が大変強いわけですけれども、それについての大蔵省と郵政大臣とのそれぞれの御見解をお伺いしたいと思います。そして特に郵政大臣には、形式的な答弁じゃなくて、本当に郵政省が情熱を持ってそういうことをやるんだということがわかるように答弁してほしいというふうに思います。
  126. 神山文男

    政府委員神山文男君) 先生おっしゃいますように、郵便貯金資金は大蔵省の資金運用部に預託されまして、資金運用部を通じて融資されているということでございます。それで資金運用部におきましては、郵便貯金資金のみでなく、厚生年金あるいは国民年金等の資金とともに各方面に融資をしているわけでございます。地方公共団体あるいは政府関係機関等へ融資されておりますし、また住宅関係あるいは生活環境の整備あるいは中小企業それから農林漁業の育成、国土開発、その他貿易経済協力等、そういう方面に融資されているわけでございます。  それで昭和五十年度の財投計画の使途別の分類を見ますと、総額九兆三千百億円でございますが、そのうち住宅、それから生活環境整備、それから厚生福祉施設、文教施設、それから中小企業、農林漁業といった国民生活に密着した分野に対する資金配分が五兆九千七百二十四億円と聞いておりまして、六四・二%になります。近年、財投計画は福祉型財投というふうに呼ばれておりまして、こういった国民生活に密着した分野に対して重点的に資金配分が行われているというふうに承っております。
  127. 清水汪

    説明員(清水汪君) ただいまの郵便貯金を原資といたします財政投融資の問題につきましては、直接、私、銀行局の担当じゃございませんが、ただいま貯金局長の方から御説明のあったとおりだと存じます。
  128. 山中郁子

    ○山中郁子君 ちょっと郵政大臣お尋ねしますけれど、現行のままで大変理想的に運用がされていると、こういう御見解ですか。
  129. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 必ずしも私は全面的に満足しているわけではございません。しかし、やはり人間の人体と同じで、それぞれの部分で、政府の一つの方針としてそれぞれその果たす役割りが違っております。現在、長い間の機構のもとに私どもはやってきておりますので、これを急速にこうすべきだというように変えていくことはいかがかと思いますが、しかし、不備な点がありますならば、その点はひとつ十分今後とも相談しながら、改善していくところがあれば改善していきたいと思います。しかし、いま先生御指摘のように、急速に一つのこの機構を変えていかなきゃならぬというような不便はないと思います。
  130. 山中郁子

    ○山中郁子君 大蔵省は担当の方じゃないようなので、よろしいですけれども、私が申し上げているのは、いますぐその新しい運用制度をつくれとかなんとか言っているわけじゃないんです。何回もこの委員会でも問題になりましたけれども、国民のそうした零細なお金を集めて使うお金なんだから、それにふさわしい、それによりふさわしい運用を図るべきだということを私は申し上げているんです。  ですから、もっと本当にそれを国民生活に還元するという、そういう立場から努力をすべきではないかということを申し上げているんで、まあその努力を否定されているわけではないようですけれども、そこのところをもっときちんとした、もっと自分の意思として、郵政省の意思としてもっと迫力のある答弁をしてくれていいんじゃないですか。どうも何かおっかなびっくりに、どこかに気がねして物を言っているっていう感じがしてしようがないんですけれどもね。
  131. 村上勇

    国務大臣村上勇君) まあとにかく、おとなしく物を言っても、その腹がしゃんとしておりますんで、その点はひとつ御安心ください。私どもは、これはどうも不都合だなと思う点については、何省であろうと遠慮なく、だれであろうと決して歯にきぬ着せぬで、どこまでも交渉していきたいと思います。
  132. 山中郁子

    ○山中郁子君 私も、実績があればそれでもってわかったということになるんですけれども、まあ今後はそれでわかったというふうになるような一1つの実績の材料としてお取り組みいただきたいというふうに思います。  昭和二十四年五月以前の簡保の問題です。私はこれは本当にふざけているというふうに思うんですよ。反対するものではありません。しかし、ふざけていると思う理由は、大臣がよくお好きなことで、ざるそばですか、もりそばですか、年じゅう言いましたね、昔のそば代は何倍になったと思うかと、はがきと封書、郵便料はと、もう本当に何回も言われました。だけれども、私は、本当に戦前からのこの昔の保険金ですね、これが一体いまどのくらいになっているか。それを五千円で片づけるということの考え方というのは、本当に私はがまんがならないんです。  ちなみにお伺いいたしますけれども、今回扱うこの分が、戦前の物価の指数からいまとの比較においてそのままスライドさせれば一体幾ら払われなければいけないというふうにお考えになりますか。よくおそばは何倍だっておっしゃっていたでしょう、すぐわかるんじゃないですか。——ほぼ、そうですね、五百倍から六百倍というふうに言われていますね、戦前の物価の昭和九年から十一年まででね。そうしますと、これはほぼ私は百万になる金額だと思うんです。つまり、この保険金は二千円程度ですよね、平均して。二千円程度の保険金ですから、五百倍とすれば百万円ですよね。そのぐらいになる金額だというふうに考えますけれども、その点はどうですか。
  133. 中市彩也

    政府委員(中市彩也君) ただいまの御質問にお答えします。  卸売物価指数で見ますと、昭和九年から十一年を一〇〇といたしますと、昭和四十八年が約四百倍となっております。
  134. 山中郁子

    ○山中郁子君 四百六十四倍でしょう、たしか。
  135. 中市彩也

    政府委員(中市彩也君) はい。
  136. 山中郁子

    ○山中郁子君 四百六十四倍が四十八年ですよね。五十年で幾らになっているか、いま一口に六百倍というふうにも言われています。いずれにしても二千円というのは百万円ぐらいの問題なんですよね、お金なんです。それを五千円でもって片づけるというわけでしょう。  しかも、戦前、戦争中の簡易保険というのは、私も親などから伝えられて聞いておりますけれども、ほとんど強制的、半強制的にこうしたものが慫慂されたと。これ実際、私、自分が入ったわけじゃありませんから知りませんけれども。そして現実に旧簡易生命保険法によりますと、この二条で「保険會社之ヲ營ムコトヲ得ス」、ただし保険金一千円を超えるのはよろしいと、民間の保険会社ではね。だから一千円以下というのは全部国がやってたわけですね。国がやってて、そして戦争協力という、そういう観点から、半ば強制的にって言うのもいろんな言い方がありますけれども、多くの人たちが保険に加入させられた、そのお金なわけです。それがそのまま放置をされてきて、そして現在百万円にも相当するようなそういう金額が五千円で処理をされようとしている。そしてその処理をしようという根拠は、改めて伺わなくても先ほどの御説明にもありましたけれども、基本的にはやはり事務の合理化ということでしょう。事務の合理化が主要な目的となって、国民の暮らしを守るという、それこそ簡易保険法の第一条のそうした趣旨とは全く別のところからこれが出されてきている、こういう問題については私はどうしても容認できないというふうに思うんです。  で、やはり国民が受けた被害というのは大変大きなものがあって、営々として  いまでこそわずかなお金ですけれども、その当時は本当に苦しい中から積み立てたお金ですよね。そのお金がこういう形で紙くずのように消えてしまう、その国の責任というのを私はやはり郵政省は国民の声としてきちんと把握をしなければ、一番最初に申し上げましたように、郵政省の施策ですね、簡易保険法の第一条の精神を本当に踏まえてそれを守っているんだと言うならば、そこのところが明らかにされなければいけないというふうに考えておりますけれども、郵政大臣の御見解をお伺いいたします。
  137. 中市彩也

    政府委員(中市彩也君) 先生がおっしゃいますように、この法案提案理由事務効率化でございまして、目減り補償ということではございません、残念ながら。  それで、その原因と申しますか、たてまえでございますが、保険そのものが強制加入の保険ではなくて、まあ実質上強制加入に近いというお話がございましたが、任意加入の生命保険でございまして、独算制をたてまえとするものでございまして、したがって特に前回行いました郵便年金の特別措置におきましても特別付加金一般会計の負担としなかったという事情もございまして、今回も、一般会計に財源を求めることは困難でなかろうかと思っている次第でございます。  それから、先ほどもちょっと申し上げましたが、昭和二十一年九月以前の契約を実は乗りかえという形で一応整理したわけでございますが、そのときの件数が先ほど申し上げたように四千三百八十六万件の方が応じてくれたわけでございますが、そういう方々とのバランスということも出てまいりましょうししますので、それから、ほかにまたこれに充てるべき財源というものもございませんし、本来は目減り対応の措置ではないということでございまして、おっしゃるように非常に少額でございますけれども、事務効率化という観点から提案申し上げた次第でございます。
  138. 山中郁子

    ○山中郁子君 結局、七十億という事務の経費の合理化の分を付加金にして、そして保険金と合わせて五千円程度と、こういうことになるんですね。だから国民が受けた被害について国は一銭も出さない、一円も出さないわけですよ、実際問題として。私は、やはりそこのところが、本当に国民の暮らしを第一に考えて、そして簡易保険法の第一条の精神に照らして行われる施策とは言えないではないかということを申し上げてるわけです。ですから、先ほど反対はしないと申し上げたけれども、とても賛成できる内容ではないと、こういうことなんです。  三つ目の問題ですけれども、簡易保険法の契約額の問題ですが、この簡易保険に関連いたしまして、ひとつ具体的な問題でぜひ明らかにもし、それから改善もお約束をいただきたいと思うのですけれども、実は、私のところにこういうふうな陳情が来ているんです。  それは、簡易保険に入ったと、この方の場合に、大阪の方ですけれども、十三万円の保険金額なんですけれども、すでにもうこの保険金額を上回ってお金を掛けているわけです。私は余り簡易保険についていままでよく知らなかったんですけれども、そういうことなんというのはあり得ないだろうというふうに思っていたんですが、そういうことはあり得るんですか。つまり、もう掛金は十三万を超えて、十五万、十八万と掛けていますと、まだまだ掛けなければならないというふうになっていて、しかも保険金というのは、保険金が出るときは十三万円なわけですね。そういうことというのはあるんですか。ちょっと私には考えられないんですけれども。
  139. 中市彩也

    政府委員(中市彩也君) お答えいたします。  掛金だけ、保険料だけを比較いたしますと、いま先生がおっしゃったような事態が実は起こり得るわけでございますけれども、私どもの方といたしましては、剰余金の配当をしておりまして、その剰余金の配当を差し引いたもの、払い込み保険料と配当金との差し引きが、これは正味保険料と言われておりますけれども、正味保険料という観点から見ますと、いまのような事態はほとんどないと言って間違いございません。  それで、もう少し具体的に数字で申し上げますと、これは例でございますけれども、八十歳になりますと高齢免除ということで、その後は保険料の徴収をしておりません。保険料を掛けなくてもいいということでございますし、それからさらに保険契約効力発生後二十年たって、なおかつもう一つの要件としては、七十歳になった、超えたという場合にも払い込みの免除をしておりますが、それもこの払い込みオーバーを防ぐための措置でございます。  これもまた任意な一つの設定の例でございますけれども、仮に保険金十万円といたしまして、加入年齢の六十歳の方が昭和三十年度に加入されまして、今年度高齢免除期になるという者について見ますと、加入年度が三十年度で加入年齢が六十歳の方が月額保険料七百六十円、これを掛けていただきますと、実際に掛けていただくお金は十八万二千四百円と、十万をオーバーするわけでございますが、しかし、同時に剰余金も発生いたしまして、剰余金が十万三千三百六十円ということになりますから、払い込みオーバーというケースはございません。  それからもう一つ、また別の設例でございますが、昭和三十五年度に加入して、六十五歳で加入された方が今年度五十年度でございますが、八十になりますから高齢満期になるわけでございますが、月額保険料が九百八十円掛けていただきますと、全体でこちらが徴収した保険料が十七万六千四百円と、十万円の保険金をオーバーしております。オーバーしておりますが、同時にまた剰余金が発生しておりまして、剰余金が八万一千三百四十円になりますから、このケースも同様に払い込みオーバーになりません。  それから、今度は、五十年度に加入していただいて、加入年齢五十五歳、これは保険料引き下げましたので月額保険料が三百九十五円で足りるわけでございますが、掛金全体は九万四千八百円、これに対して剰余金が七千百円ということでございまして、これは九万四千八百円ですから十万円をオーバーしておりません、すでにオーバーしておりませんから問題ございませんけれども、いずれにしても先生のお示しになったケースは剰余金の計算が全然抜けている。そうしますと掛金だけで計算いたしますと、保険金オーバーということになるわけでございます。
  140. 山中郁子

    ○山中郁子君 ちょっとよく聞いてほしいのですけれども、私は剰余金については何にも言っていないのですよ、知らないで言ってるわけじゃないのです。  剰余金は抜きにして掛けた分がオーバーして、そしてなおかつ——掛けた分というのは、つまり保険金額をオーバーしてどんどん掛けていく。剰余金というのはそれはそれでちゃんと理屈があるお金でしょう、だから剰余金を別にして掛金額がどんどんふえていく、そういうことがあるのですかということをまず一つ伺ったわけです。それはあるということですよね、結局。
  141. 中市彩也

    政府委員(中市彩也君) ございます。
  142. 山中郁子

    ○山中郁子君 あるわけね、私はそのことが一つはやっぱり非常に問題だというふうに思うのです。  ということは、剰余金というのはもちろんあって、剰余金を入れて掛金額が保証されるのだからいいじゃないかということにはならないというふうに思うんですけれども、その点、私は法律的なことをいま言っているのじゃないんですよ、法律的にもちろんそういう生命保険というそういう性格だというふうに言われると思います。しかし、実際、いまの常識からいって、掛けたお金を満期になって、あるいはその必要なときにもらうお金以上にたくさん掛けなくちゃいけないというような事態はやはり避けるべきではないか。そのために、いまの簡保の約款の六十六条の「(高齢者に対する保険料払込の免除)」というのがありますでしょう。そこのところの精神はそれじゃ何によって生まれてきているのか、結局、過払いにならないようにするために、この六十六条があるわけでしょう、そこのところを伺っているわけです。
  143. 中市彩也

    政府委員(中市彩也君) いまの御質問でございますが、剰余金は関係がないとおっしゃいましたけれども、剰余金の配当の仕方が実は民保と簡保と違っておりまして、民保は毎年配当でございまして、あるいは、それを現金で交付しないで掛金に充当して掛金を取らないのだということでやっていきますと、全くの払い込みオーバーということが起こらないわけです。私どもの方は、終身保険につきましては、契約後二十年になりますと、二十年分の剰余金を払うということがありますが、一般的には保険事故の発生時に全部まとめて払う、こういう仕組みになっておりますので、剰余金を外して考えれば確かにそのような御指摘のような事例がございますし、それからさらに保険の仕組み全体からいたしまして掛け捨ての要素が大きい保険、保障性の強い保険がございます。しかもこれが高年齢で加入されますと、おっしゃるように払い込みオーバーの傾向になりますけれども、また繰り返しになりますが、分配金の増額、高齢者免除制度の拡大によりまして、できるだけ払い込みオーバーにならないように努力をいたしておるところでございます。
  144. 山中郁子

    ○山中郁子君 払い込みオーバーという事例は、それでは、いまあなたがおっしゃっている、郵政省がおっしゃっているその剰余金の問題を含めてでいいですけれども、含めた場合には、絶対にないのですね、あり得ないということですか。  そしてあり得るとすれば、私は、この法、約款の性格上、こういう規定の歯どめをしている中身は絶対にそういうものが生まれないようにするという趣旨であるとしても、一定の年限でもって区切るわけですから、二十年間とか、七十歳とか八十歳とか。ですから、やはりそれは漏れるものがあると思うのです、例外的にであっても。そういうものはほとんどないと思うということは、まあ一つはよろしいとして、あった場合には、それをどう救済するのか、確実にそれは救済する、こういうふうな手だてがついているのかどうか、そこをお伺いしたい。
  145. 中市彩也

    政府委員(中市彩也君) 大変むずかしい問題でございますが、実は、将来に関することになるのでございまして、将来の配当の問題で、貯金の場合と違いまして、貯金の場合には約定の利率で計算した利子をお支払いすればよろしいわけですが、保険の場合には有利運用を図って大いにどんどん剰余金をふやしてこれを配当する、そういう仕組み、まあ先生御承知のとおりでございますが。それで私どもの方としては確定配当、これはお客様に確定配当として現在は六分の配当をしておりますが、さらに経営努力によって——経営努力と申しますか、運用利回りの改善によって生まれたその年々の状況によりまして、前年度は〇・五%が上乗せ配当となっておりますが、確定の六に上乗せの不確定配当の〇・五、これを加えまして六・五で配当しているんでございますけれども、その〇・五が実はその年々の運用によって若干食い違うことがございますので、それがダウンしますと、いま先生御指摘のような事例が絶対ないと言い切れない場合も出てまいるのでございます。  大変抽象的で申しわけないのですが、具体例に即して申し上げますと、百万円の保険金額、百万円になったのが三十九年四月二十日でございますから、この年に加入した終身保険につきまして計算をいたしましたところ、最高、この方が経過年数契約されてから四十年たった。で払い込み保険料は九十六万八千円、配当金が百九万四千円でございますから、これは問題ないんでございますけれども、いま私が申し上げたいの、今度は、最高年齢六十五歳  経過年数十五年、で六十五歳になった。その場合に、払い込み保険料が百六十五万六千円、ところが保険金は百万でございます。配当金が六十五万三千二百円。したがいまして六千円から三千二百円引いた二千八百円、これがオーバーになっております。この方も、しかし今後二十年たつと剰余金の配当をいたしますので、まあこれは十五年の設例でございますけれども、その今後の利回りの状況によってこの状態が救えるだろうということは申し上げられると思いますが、いまの時点におきまして、絶対ないんだと確信を持って言えるところまでは残念ながら申し上げられないのでございます。
  146. 山中郁子

    ○山中郁子君 私がさっき申し上げた例は、この方は十三万円の終身払い込み終身保険なんですよね。これはだんだん少なくなってきているらしいですけれども、三十三年に契約しているんです。で、そうしていままですでに十七年五ヵ月払い込んで、二十万六千九百十円を払い込んでいるんですね。そしてまだまだ、あと三年間は免除規定まで払わなきゃいけないんです、期間と年齢の関係からいきますとね。そうすると確実にオーバーするんですよ、というケース。で、この同じ方が三つぐらい保険を契約しているんですね。その三つともそういうケースになってくるんです。  私は、剰余金を含めてペイされればいいという考えにも問題があるというふうにも思うんです。このことはひとつやっぱり今後の考え方として、剰余金は剰余金、で掛金はやはり保険金で同額のところでペイをして、そしてそこでもって免除する、そういうふうに持っていくべきではないかというふうに考えていますけれども、そのことについてのひとつ考え方を伺いたいということと、それから剰余金を含めても、いま保険局長も否定はされなかった、つまり、あり得ると、そういうあり得ることについてむずかしい問題だとは言われるけれども、どういう法的措置をとるかは別として、そういうことが絶対に起こらない、ケース・バイ・ケースの処理で私はできるというふうに思うんです。つまり法律をつくるにしても、そういう事態は起こらないという前提でもって法律なり——どういう措置をとるかは別として、そうしたことを目的として処理をするという姿勢を明らかにしてしかるべきだというふうに考えますけれども、その二つの問題について見解を承ります。
  147. 中市彩也

    政府委員(中市彩也君) 一般論で申し上げて恐縮でございますが、終身保険の場合に、高年齢で加入されて長生きをされますと、ほかの方々、別の加入者でしかも早く死んだ方、その人の保険金に充てられるというような保険の仕組みでございますので、どうもある程度やむを得ないというような事情もございますし、それからまた掛け捨ての要素が大きい、保障性の高い保険はそのような仕組みになっておりますので、仕組みの上から言いまして、個々にこれを全部救済するような措置を講ずることはむずかしいと思いますけれども、できるだけ、たとえばこの加入年齢の問題を検討するとか、あるいは高齢免除等、なお余地があるのかどうか、私もいま十分の自信を持っておりませんけれども、先生のおっしゃることはよくわかりましたので、検討してみたいと思います。
  148. 山中郁子

    ○山中郁子君 ぜひそれはそのように検討もし、実際に実現をしていただきたいというふうに思います。  で、それは、大臣、よろしいですね。
  149. 村上勇

    国務大臣村上勇君) いま保険局長がお答えしたとおりであります。
  150. 山中郁子

    ○山中郁子君 もう一つの問題なんですけど、先ほど保険局長も言われたのですが、民間保険の場合にはその剰余金を、まあ剰余金に当たるものを掛金の減額という措置でもって加入者が先取りできるわけですよね。先取りというのでしょうか、初めの段階でそれは加入者の手元に戻ってくるという、こういうシステムになってるわけですね。簡易保険の場合には、三十年も四十年も五十年も、場合によったらそれは不幸な事故でもってということはありますけれども、だけれども、実際には何十年も先に貨幣価値がものすごく変わっちゃったようなそういうときになって、最後へ来て剰余金にしてくれるのですね。そうしてその剰余金が入ってるからということを根拠にして掛金もオーバーになっててもそれはやむを得ないと、こういうふうな態度ということば、私は、やはりこれは非常に問題があるというふうに思うんです。  で、少なくともそうした剰余金がその時点で、何十年も先に貨幣価値が全く変わっちゃってから、紙くずのようになってからお金が来るのではなくて、その時期に戻る、つまりそれは掛金の減額ですね、そういうふうな措置は考えられないのかどうか、検討されたことはないのかどうか、そこのところをお尋ねいたします。
  151. 中市彩也

    政府委員(中市彩也君) 私どもそれは一応考えてみました。  特に長い間たってからもらう剰余金の貨幣価値との比較におきましては、おっしゃるようなことだろうと思いますが、さらに別の観点から見ますと、私どもの方でお客様にお支払いすべき、あるいは保険料に充当すべき金をお預かりして、運用に回してさらに利子を生むということにまた一つ大きなメリットがございまして、それ自体が加入者に環元されていきますから——しかし、先生おっしゃるような貨幣価値の減価には対応すべくもございませんけれども、そういう形で、こちらで保有して運用してやるというような形、そういうことも一つのメリットではなかろうかということがございます。  それからもう一つは、大変恐縮ですが、現実問題になりますけれども、私どもの方では、個々の加入者の配当、一々、毎年毎年五千万件程度の計算をして、その都度保険料に充当するなり、あるいはお支払いをするということは、事務的に非常に煩瑣でなかなかむずかしいという面も現実的にはございます。そういう理由でございます。
  152. 山中郁子

    ○山中郁子君 どういうことなんですか、あなたちょっと声が少し小さいものだから、よく聞こえないところもあったのですけれども、要するに、それはやる気があるのですか、それともないのですか。つまり検討してもだめだというお答えだったわけですか、ちょっとよくわからなかった。
  153. 中市彩也

    政府委員(中市彩也君) ですから、加入者利益ということを考えまして、私どもの方で預かって運用した方がよかろうと——これは一方的にこっちがそう思っているわけでございますが、それと、それから事務の手数が大分かかって、またそのために事業費、人件費がかかりますと、それだけお客様に回る剰余金の方に響いていくという関連もございますので、加入者立場から現在のやり方をいまのところは検討する気持ちはございません。
  154. 山中郁子

    ○山中郁子君 ございません……。
  155. 中市彩也

    政府委員(中市彩也君) はい。
  156. 山中郁子

    ○山中郁子君 いま保険局長もお認めになりましたけれども、何十年もたってからもらって、剰余金だというふうにしてもらうということは確かに問題がある。これは一番最初に私が大臣に確認もいたしましたし、それからこの法案の二十四年以前の処理の問題ですね、この中でも指摘をし、郵政省としてもそれは認められたと思いますけれども、本当に国民が長い間一生懸命お金を掛けていても、何十年もたって戻ってきたって、それはもう何の役にも立たないという、そういうことになってしまう。それだったら、少しでも国民の受ける犠牲を少なくしていくために、たとえばいま私が申し上げました剰余金を掛金の減額という措置で早いところ対処していく、民間でそれをやっているわけですよね、そういうことが考えられないのか、検討する余地がないのかという質問で、何か検討できないのだか、できるのだか、わからなかったのですけれども、どうなんですか。
  157. 中市彩也

    政府委員(中市彩也君) 一般的に全体の傾向を対象にせずに、いまの払い込みオーバーになるようなケースについてやれと、こういう御指摘でございますか。
  158. 山中郁子

    ○山中郁子君 違う、一般論よ。一般的な剰余金の問題です、いまのは。
  159. 中市彩也

    政府委員(中市彩也君) それですと、先ほどの議論の繰り返しになるのでございますけれども、払い込みオーバーになるようなケースについて、どのくらいの件数があるか確かめておりませんけれども、そういう救済措置は考えられないこともないとは思いますけれども、一般論につきましては、ただいまのところ検討するという気持ちではございません。
  160. 山中郁子

    ○山中郁子君 払い込みオーバーの問題については、剰余金の問題だけじゃなくて、私どもはそういうことが起こらないように処理をしてほしいということで、そればそういうふうに検討すると、努力をするというお話でした。そして、いま払い込みの剰余金を掛金の減額という形で——たとえばの話ですよ、私はたとえばの話を申し上げているのですけれども、民間で行われているようなそういうシステムを検討することによって、少しでも加入者が被害を受けない、インフレだとかそうした面での被害を受けないような処理を検討すべきではないかと、検討してくださいというふうに申し上げているのです。  それについての大臣の御意見をそれじゃお伺いします。その問題に特定しなくてもいいですよ、だけれども、私が申し上げている趣旨はおわかりになりますでしょう。
  161. 村上勇

    国務大臣村上勇君) これは十分検討してみたいと思います。私も、よくこれはわからないのですから。
  162. 山中郁子

    ○山中郁子君 終わります。     —————————————
  163. 竹田現照

    委員長竹田現照君) 委員異動について御報告いたします。  棚辺四郎君が委員辞任され、その補欠として初村滝一郎君が選任されました。     —————————————
  164. 竹田現照

    委員長竹田現照君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  165. 竹田現照

    委員長竹田現照君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。——別に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  166. 竹田現照

    委員長竹田現照君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  まず、昭和二十四年五月以前の簡易生命保険契約に関する特別措置法案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  167. 竹田現照

    委員長竹田現照君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次に、郵便貯金法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  168. 竹田現照

    委員長竹田現照君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次に、簡易生命保険法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  169. 竹田現照

    委員長竹田現照君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  川野辺君から発言を求められておりますので、これを許します。川野辺君。
  170. 川野辺静

    ○川野辺静君 私は、この際、簡易生命保険法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、日本社会党、公明党、日本共産党、民社党及び第二院クラブの共同提案に係る次の附帯決議案を提出いたします。  まず、案文を朗読いたします。    簡易生命保険法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本案の施行にあたり、次の各項の実施に努めるべきである。  一、最近の経済事情の推移にかんがみ、保険の保障内容の実質が維持できるよう有効な方策について検討すること。  一、超過契約の絶滅を期し、募集の適正化を徹底すること。  一、保険料の団体払込制度の本旨にのつとり、団体組成の規正等の改善策を講ずること。  一、加入者利益増進に資するため、余裕金の運用制度の改善を積極的に推進すること。   右決議する。  以上でございます。  本案は、当委員会における審議の経過を踏まえて取りまとめたものでありまして、その内容につきましては各委員はすでに十分御承知のことと存じますので、趣旨説明は省略さしていただきます。  以上で終わります。
  171. 竹田現照

    委員長竹田現照君) ただいま川野辺君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  172. 竹田現照

    委員長竹田現照君) 全会一致と認めます。よって、川野辺君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、村上郵政大臣から発言を求められておりますので、これを許します。村上郵政大臣
  173. 村上勇

    国務大臣村上勇君) このたびは慎重な御審議をいただきまして、ただいま昭和二十四年五月以前の簡易生命保険契約に関する特別措置法案郵便貯金法の一部を改正する法律案及び簡易生命保険法の一部を改正する法律案の御可決をいただきましたことを厚くお礼申し上げます。  ただいま御決議になられました附帯決議につきましては、今後、簡易生命保険事業を進めていく上におきまして、その趣旨を十分尊重してまいりたいと存じます。  なお、この委員会において承りました御意見、御議論されました事項につきましても、今後の為替貯金事業及び簡易生命保険事業運営面に生かしてまいりまして、当委員会の御審議におこたえしたいと存じます。まことにありがとうございました。
  174. 竹田現照

    委員長竹田現照君) なお、三案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  175. 竹田現照

    委員長竹田現照君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  176. 竹田現照

    委員長竹田現照君) 次に、請願の審査を行います。  第五九号郵便料金大幅値上げ案反対等に関する請願外三百四十一件を一括して議題といたします。  本委員会に付託されております三百四十二件の請願につきましては、理事会におきまして慎重に検討いたしました結果、請願第一一〇四号郵便物遅配解消に関する請願外一件は、議院の会議に付するを要するものにして、内閣に送付するを要するものとし、第一三五〇号第三種郵便料金五倍をはじめとする郵便料金値上げ反対に関する請願外一件につきましては、おおむね願意妥当と認められますので、政府においては、今後検討の上、努力せられたい旨の意見書案を審査報告書に付することとし、本請願は、議院の会議に付するを要するものにして、内閣に送付するを要するものとし、他の三百三十八件の請願につきましては、その決定を留保することにいたしました。  理事会の申し合わせのとおり決定することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  177. 竹田現照

    委員長竹田現照君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、審査報告書並びに意見書案の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  178. 竹田現照

    委員長竹田現照君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  179. 竹田現照

    委員長竹田現照君) 継続調査要求に関する件についてお諮りいたします。  郵政事業及び電気通信事業運営並びに電波に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  180. 竹田現照

    委員長竹田現照君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、要求書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  181. 竹田現照

    委員長竹田現照君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時二十二分散会      —————・—————