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政府委員(中市
彩也君) ただいま御質問がありましたことにつきまして、まとめてお答え申し上げます。
最初は、
インフレの対応でございますが、すでに実施しておりますものについて申し上げますと、四十九年一月から個人
定期保険を発売いたしまして、今年四月から集団
定期保険と、それから
死亡保険金を満期
保険金の五倍とする第三種特別
養老保険を発売いたしております。これが現在実施中のものでございますが、なお検討中のものといたしましては、
保険金増額保険、物価指数保険、中途増額保険、既
契約の転換
制度等でございます。
その問題点についてと申しますか、検討過程の中で出てきた問題点を申し上げますと、最初の指数保険でございますが、これは先生御
案内のように、物価の上昇に応じて
保険金を買い増しするものでありますが、民保では八社ほどが五年満期の
定期保険につきまして実施しておりますが、販売実績は五十年八月中で四百二十件ときわめて少ない状況でございます。われわれもこの民保の
動向等を十分に勘案して進めてまいりたいと思っておりますが、じゃこの商品を販売した場合に問題となりますのは、毎年
契約者に対して
保険料額、
保険金額を
通知する
事務がふえるという
事務量増ということでございますが、それから物価にスライドして
保険金を増額いたしますと、最高制限を超えるおそれがある、そういう場合も出てくるのではなかろうかということと、それから物価の上昇によっては
加入者の負担すべき
保険料が非常に急激にふえる危険もあるというふうな
問題等が種々ございますので、いろいろ検討をしているところでございます。
次に、中途増額方式でございますが、これは
契約の中途で
加入者が必要に応じて任意に
保険金を増額されるものでございますが、メリットとしては基本
契約と追加
契約が満期が一致できるものでございますが、これは民保の状況を見ますと、九社が発売しておりますけれども、増額部分に
貯蓄部分が含まれた場合には
保険料の負担が非常に大きくなりますので、増額の部分は民保でも定期の保険に限っております。販売実績も、
制度が発足した四十九年十一月以来五十年七月までの九ヵ月間で、件数が約九万件ほど販売しておりますが、民保の年間個人保険新
契約件数が全体で一千万件でございますので、九万件という数を見ますと、余り需要がないというような感じもいたしますところでございます。で、私どもとしては、これは現在発売している個人
定期保険の追加加入でほぼ代替できるのではなかろうか、メリットはどこにあるんだろうかというようなことなど、それから
加入者の需要の
動向等を十分勘案して決めたいと思っております。
次に、
保険金の増額保険でございますが、これは配当金で
保険金の買い増しをするという方法でございます。買い増しのための
加入者の負担増がないという点が一つの特色でございますが、民保の場合の正確な統計の計数はございませんので申し上げられませんけれども、これは私どもの方へ導入した場合にどうなるであろうかといろいろ試算した場合でございますが、たとえば四十歳で
定期保険を買い増しをする、剰余金で買い増しをした場合に、現在五百万円が
最高制限額でございますから、買い増しをしていって最終的には五百万円になると、そうしますと当初買う基本
契約は百万円と約三倍程度になりますので、百万円の基本
契約につきまして二百九十七万円というのが買い増しの
保険金になります。三百九十七万円、約四百万円でございますが、したがいまして基本
契約は百万円、もうちょっと大きくてよろしゅうございますけれども、
死亡しない場合の満期
保険金が百万ちょっとではいまの時代に果たして現実に合うであろうかどうか、保障機能という点でちょっと問題がありゃしないかと思われます。これが五十歳になりますと、買い増し
保険金が一・八倍くらいになりますので、今度は買い増しした
保険金の保障機能がどうであろうかという問題がございます。
その次には、転換方式でございますけれども、これは既
契約を解約する場合にいろいろなデメリットが生じてまいります、
加入者の側から見まして。それを全然排除した上で転換をしていくというものでございまして、その場合に、既
契約の解除のデメリットをこの保険にだけ与えるとなりますと、ほかの保険の
加入者とのバランスの問題が出てまいろうかと思われるのでございますが、そういう問題がございます。
総じて申し上げたいことは、
最高制限額が五百万円という状況下では、この
目減り対応商品というものは理想的なものはちょっとむずかしいのではなかろうかと思っておりまして、そこで、問題は、
最高制限額とは何ぞやという問題になろうかと思いますが、民保の場合には、剰余金で買い増しをした部分は、増額部分は
最高制限額の
対象外となっているそうでございますので、そういう道が開けないものかどうかと関係筋との折衝になるわけでございますが、検討の余地は十分にございます。
それから全体的な問題でございますが、
簡易生命保険ということで、私どもは、お客様にも、扱うわれわれの側におきましても、
簡易でありたいと思っておりまして、現在、種類が二十三種類ございまして、非常に複雑になっております。従業員もこれを覚えるのに非常に時間がかかりますし、大分勉強するのに時間がかかりますし、また、お客様も非常に複雑な仕組みで
理解しにくいし、いろいろトラブルも起こりやすいしということで、文字どおり
簡易なものにしていきたいが、そうしますと、その中でお客様の二ードに合ったような方向をとるということは非常にむずかしい、二律背反みたいな関係になろうかと思いますので、その辺のところを十分に勘案しながら、しかし一方、先生のおっしゃるように民保の方はやっているわけでございますし、また物価上昇に対応する商品を考えなければならないという時代の要請もございますので、若干時間をかしていただきたい、こういうことでございます。