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1975-12-09 第76回国会 参議院 逓信委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年十二月九日(火曜日)   午前十時二十分開会     —————————————   委員異動  十一月二十一日     辞任         補欠選任      青井 政美君     迫水 久常君  十一月二十五日     辞任         補欠選任      松岡 克由君     大島 友治君  十二月九日     辞任         補欠選任      迫水 久常君     宮田  輝君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         竹田 現照君     理 事                 長田 裕二君                 川野辺 静君                 西村 尚治君                茜ケ久保重光君     委 員                 大島 友治君                 亀井 久興君                 郡  祐一君                 迫水 久常君                 新谷寅三郎君                 棚辺 四郎君                 宮田  輝君                 最上  進君                 案納  勝君                 竹田 四郎君                 森  勝治君                 藤原 房雄君                 矢原 秀男君                 山中 郁子君                 木島 則夫君                 青島 幸男君    国務大臣        郵 政 大 臣  村上  勇君    政府委員        大蔵大臣官房審        議官       戸田 嘉徳君        郵政政務次官   稲村 利幸君        郵政大臣官房長  佐藤 昭一君        郵政大臣官房首        席監察官     永末  浩君        郵政省郵務局長  廣瀬  弘君        郵政省貯金局長  神山 文男君        郵政省簡易保険        局長       中市 彩也君        郵政省電波監理        局長       石川 晃夫君        郵政省人事局長  浅尾  宏君        郵政省経理局長  高仲  優君    事務局側        常任委員会専門        員        竹森 秋夫君    説明員        国税庁間税部消        費税課長     面川  博君        資源エネルギー        庁公益事業部業        務課長      篠島 義明君        資源エネルギー        庁公益事業部ガ        ス事業課長    山崎  衛君        郵政大臣官房建        築部長      森  俶朗君        自治省財政局公        営企業第二課長  吉本  準君        会計検査院事務        総局第二局長   柴崎 敏郎君    参考人        日本放送協会会        長        小野 吉郎君        日本放送協会副        会長       藤根井和夫君        日本放送協会専        務理事      野村 忠夫君        日本放送協会専        務理事      坂本 朝一君        日本放送協会理        事        山本  博君        日本放送協会理        事        川原 正人君        日本放送協会理        事        中塚 昌胤君        日本放送協会理        事        沢村 吉克君        日本放送協会経        理局長      堀場 仁徳君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○日本放送協会昭和四十七年度財産目録貸借対  照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書  (第七十二回国会内閣提出) ○参考人出席要求に関する件 ○郵便法の一部を改正する法律案内閣提出、衆  議院送付)     —————————————
  2. 竹田現照

    委員長竹田現照君) ただいまから逓信委員会開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  青井政美君及び松岡克由君が委員辞任され、その補欠として迫水久常君及び大島友治君が選任されました。     —————————————
  3. 竹田現照

    委員長竹田現照君) 日本放送協会昭和四十七年度財産目録貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書を議題といたしますが、この際、小野NHK会長から発言を求められておりますので、最初に、これを許します。小野参考人
  4. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) 先月十二日から二十三日まで、国会開会中にもかかわらず、アジア放送連合総会出席のために不在をいたしました。その間、十八日、二十日と私どもの方の四十七年度決算の御審議をいただきまして、大事なそういう逓信委員会の際に不在をいたしましたことをここにおわびを申し上げますとともに、不在にもかかわらず御審議を賜りましたことを厚くお礼を申し上げます。  御審議の模様は帰りまして報告を受けておりますけれども、いろいろ至らない点もございまして多々御迷惑をおかけ申し上げました節もあるようでございますので、私からこの際深くおわびを申し上げると同時に、どうぞよろしくお願いを申し上げたいと思います。  ありがとうございました。
  5. 竹田現照

    委員長竹田現照君) 質疑のある方は、順次御発言願います。
  6. 木島則夫

    木島則夫君 最初に、NHK、民放の混信問題とも関係がありますので、先ごろジュネーブで開かれておりました中波放送用周波数を再編成するための国際会議、長・中波放送地域主管庁会議について伺いたいんですけれど、まず郵政当局からこの会議の結果について簡単で結構ですから御報告をいただきたい。
  7. 石川晃夫

    政府委員石川晃夫君) お答えいたします。  去る十月の六日から十一月の二十二日までの七週間、ジュネーブにおきまして長・中波放送に関する地域主管庁会議が開催されたわけでございます。参加国は百七ヵ国でございまして約六百人からの人がこれに参加したわけでございますが、この会議は昨年の十月に第一会期というのがございまして、これは技術的な内容につきまして審議があったわけでございますが、その結論を受けまして第一地域、これは欧州、アフリカでございますか、それと第三地域——アジア、大洋州、この地域におきます中波放送周波数割り当て計画及び第一地域における長波放送周波数割り当て計画というものを作成することを目的として開催されたわけでございます。  その結果を簡単に申し上げますと、次のようになると思います。  まず、この会議におきまして、今後十四年間の要求を満たす長波、これは第一地域においてでございますが、それと中波、これは第一地域と第三地域でございますが、この長波及び中波放送周波数割り当て計画がこの会議において作成されました。このことは、最近、各国の長・中波放送局が新設され、あるいはまた増力されるというようなことで非常に放送関係はエスカレートしてまいりまして、そうして国際的な混信がますます深刻化しております。こういうときに、十四年間という期間を限りまして各国放送用周波数調整いたしまして、これを周波数割り当て計画枠組みの中にはめ込むことができたということでございます。  中波周波数割り当て計画でございますが、これは五百二十五キロヘルツから千六百五キロヘルツまでの周波数帯を九キロヘルツ刻みに区分いたしました。従来、わが国におきましては、これが十キロヘルツ刻みでございましたが、この会議では九キロヘルツ刻みに区分いたしまして、そうして各周波数ごと各国割り当てることのできる放送局、これは約一万局近くでございますが、その局名空中線電力設置場所、それからアンテナ特性というようなものがこの計画の中に盛り込まれております。で、わが国といたしましては、これに対しまして要求いたしました局が四百九十六局でございますが、これが全部記載されておりますし、使用周波数は百九波という数になっております。  次に、技術基準の面からこの問題を見てみますと、搬送周波数を九キロヘルツの整数倍に統一したということでございます。それからまた小電力放送局、LPCと称しておりますが、この小電力放送局専用チャンネルを三つ設けたわけでございます。この搬送周波数を九キロヘルツの整数倍に統一いたしましたためにいわゆるビート混信というものがほとんど除去されるという結果になったことでございまして、この点が改善として期待されております。また小電力放送局専用チャンネルを設けることによりまして、このチャンネルに収容されております放送局には外国混信がほとんどなくなるということが期待されております。これはお互いにこのチャンネルについては小電力放送を行うということになりましたので、国際的な相互の混信がなくなるというメリットを見たわけでございます。  それから今度の会議の結果から、日本中波放送混信状況が今後どのように推移していくかということについて見ますと、国際的に周波数割り当て計画枠組みがつくられたわけではございますが、しかし中波放送に使用できるチャンネル数は九キロヘルツ間隔にいたしますと百二十波という波に限られるわけでございます。今回の周波数割り当て計画には既設局とほぼ同数の計画局というものが組み込まれております。したがいまして、これらの計画局が今後建設され運用を開始するという時期になりますと、その局数の増加に応じましてやはり国際的な混信が増加していくという事態を回避することはこれは物理的にも困難であろうというふうには考えられております。  で今回の会議におきまして、わが国要求しました放送局のうちで近隣諸国との関係において調整を要したものは多数ございました。例を挙げますと、中国に対しましては百五局、それから韓国に対しましては百二十六局、ソ連に対しましては五十一局、それから北朝鮮に対しては百十三局という数でございましたが、これは国際協調の趣旨に従いまして、お互いにその要求電力を減らすとか制限するとか、あるいは周波数の変更というような措置をとりましたので、相当数のものは調整に成功いたしました。が、しかし、朝鮮民主主義人民共和国、いわゆる北朝鮮周波数要求のうちでわが国を含む近隣諸国との調整を要するものが多々ございます。これにつきましては、同国が要求だけを提出いたしまして会議には出席しなかったということでございましたので、今後、これはITU——国際電気通信連合のIFRBを介してその調整を行うということがこの会議で決議されました。したがいまして、わが国といたしましても、この決議の線に沿いましてなるべく早く必要な措置をとりたい、かように考えております。また、そのほか近隣諸国周波数要求のうちでやはり調整ができなかったものも一部ございます。その件につきましては、わが国といたしましても、わが国放送業務を守るために必要な措置をとるということを留保しております。したがいまして、今後、機会をとらえてなるべく早くこの周波数割り当て計画改善に努めてまいりたい、かよう考えております。
  8. 木島則夫

    木島則夫君 きょうは時間がございませんので、できるだけ簡潔にお答えをいただきたいと思います。  十四年間の要求を満たす割り当ては一応できたというお話ですけれど、そういう観点に立って音声放送の再編成について郵政省の基本的な考え方を確認をしておきたい。簡単で結構です。
  9. 石川晃夫

    政府委員石川晃夫君) ただいま御質問の点でございますが、ようやく長・中波放送周波数割り当てに関する国際会議が終了したばかりでございますので、われわれといたしましては、この会議結果の内容について詳細に分析した上で慎重に進めてまいりたいと思います。  音声放送につきましては、今後、いろいろな問題が出てまいると思いますが、これはやはりまず中波放送を固めたいと、かように考えております。
  10. 木島則夫

    木島則夫君 NHK決算の問題に入ります。  NHKは四十七年度から赤字を出しまして、五十年度では二百十六億、さらに現在の受信料をそのまま据え置いた場合には五十三年度末の累積赤字が二千四百億近く予想されるということであります。NHK基本問題調査会では、この受信料問題が最大検討課題であるということで、これはまあ基本問題調査会だけではなくて、私どももそういった見方をしているわけでございます。  値上げのよしあしは別といたしまして、この次の値上げは切り抜けられるとしても、それ以後一体値上げができるだろうかということです。現在の受信料制度というものはこのままでいいんだろうかという基本問題に触れざるを得ないわけでございます。私の友人なども大変打ち割った話、この受信料問題について触れますと非常に厳しい答えが返ってくる。現在の受信料制度でいつまでやっていけるのかという不安でございます。研修会などを開くと、この問題が最優先の形で検討をされているということでありますけれど、私はいい放送を出すためにはやはり内部的な不安を除去をしなければいけないということ、外に対してもそうでありますけれど、内部に対するこういう不安を会長としてはどんなふうに除去をされ、これから先どうしていくのだという御説明をされているのか、この点をまず伺っておきたいと思います。
  11. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) きわめて大事な点でございます。過般の基本問題調査会におきましても、この受信料制度の問題は検討重点事項として非常に多くの意見を賜りました。その意見を総括をいたしてみますと、やはり放送の自由を守りNHK自主性を貫いていくためには、国家財政に依存することも好ましくないし、また広告放送に依存することも好ましくない。一〇〇%完全とは言えないまでも、いろんな考えられる制度を比較してみますと、やはり受信料制度、これが一番NHK公共放送としての性格を貫くのにいいのではないかと、こういうような結論でございます。  ただし、現在、受信料の改定といった問題に直面をいたしますと、なかなか厳しい意見がございます。そのような点については十分国民放送機関として国民の支持と理解を得るように最大の努力をすべきだと、そのためには経営関係につきましても非常に自粛いたしまして、高度成長時代における経営姿勢ではなく、静かな控え目な成長時代に入ったこの変動期において、そのような情勢に対応できるような体質を備えなければならないと、こういうような意見を賜っております。私どもは、いろいろそういった面について国民の皆様の御理解を得つつこの制度を堅持してまいりたいと、かように思います。  部内的に申しましても、そういった面について不安がないとは申せません。しかし、そういう不安、動揺があっては本当にNHKがいい放送をするのにはふさわしい環境ではございませんので、そういう面についてはどこまでも謙虚に国民の声に耳を傾けますと同時に、国民の負託に沿うような放送番組を出し、また経営あり方等姿勢にいたしましても国民の側から非難されるようなことがないような経営姿勢を貫きまして、この受信料制度は将来も堅持をしてまいりたいと、かように考えております。
  12. 木島則夫

    木島則夫君 会長はせんだっての委員会には御出席ではなかったんですけれど、副会長がしばしば言及されております点に、コンパクト効率的な放送という言葉がずいぶん出たんです。これは新しいNHKの行き方なのか、それとも従来の行き方にある程度改正点修正点を加えられるものなのか、この辺をはっきりしておきたい。
  13. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) 事、放送番組関係で申し上げますと、これがNHKの主たる生命でございますが、この関係につきましては、いわゆる高度成長時代が非常に静かな控え目な成長時代に、低成長に変わりましても、そういう変動の中において情報に対する国民の要望はますます高まるであろうと思います。そういった環境の中におきまして、番組面については決してこれを質を落とすようなことがあってはならないと思います。コンパクト効率的な経営とは申しましても、番組面については十分に国民の期待に沿い得るような内容のものに時々検討を加えていかなければならないと思います。  また、経営のいろんな点については、冗費というようなものがあってはならないのでございまして、そういう面についてはきわめて効率の高い、コンパクト経営を志していこうと、これは何も現在以後において新たにつけ加えるものではございません。NHKが在来志向してまいったことでございますけれども、そこに環境の変化というものもございますので、そのコンパクト効率の高い度合いの内容につきましても、時の移り変わりとともに、いろいろ検討を加えなければならないものがあろうかと思います。そのような意味合いで副会長も御答弁申し上げたと思います。
  14. 木島則夫

    木島則夫君 番組編成なり放送内容については従来と変わらないんだけれど、NHKを取り巻く環境が変わったと、その環境に順応をしてコンパクト効率的なという面は主として経営面を言われたんだろうと思います。  で、もう少し具体的に伺いますと、コンパクト効率的な放送という範疇の中に、国際放送の費用をもっと国に負担をさせなさい、福祉関係についてNHK負担をしている受信料免除などをもっともっと国が負担をする、外郭団体への補助などもばっさり切る、こういったことがコンパクト効率的な放送というものの中にはっきり入りますですか。
  15. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) 基本問題調査会調査報告書の中にも、検討の結果といたしまして、NHKが国策のために使っておるような面の金については、たとえば社会福祉文教政策上からまいります受信料減免措置等関係につきましては、これはやはりできるだけ国の福祉政策によってカバーしてもらうべきではないか。国際放送関係につきましては、国際放送のその価値から申しまして、もっと国の認識を高めてもらって、交付金の額をふやしてもらうべきではないか、このような意見がございました。そのとおりに私どもも考えております。  自余の問題につきましては、外郭団体等に関するそれも、必要に応じましてやっておるわけでございますから、むだな、合理性のないそういった金は、これは切るべきでございましょうけれども、必要な交付金等関係については、ばっさりというわけにはこれはまいらないわけでございまして、その辺については十分合理性を保ち得るような状況にしなければならないと、こう考えます。  いわゆるコンパクトと申しますそれが、経営面で反映いたしますのは、機構簡素化によって非常な効率を上げていくというどころに問題があるんではないかと思うのでございまして、この機構簡素化については私は今後真剣に取り組んでまいりたいと、かように考えております。
  16. 木島則夫

    木島則夫君 機構簡素化について、できれば具体的にどんな構想があるのかお示しをいただきたいんですが、その前に、先ほど会長から国策的な面についてという——海外放送というのは郵政大臣命令によって行われることと、NHK自体がこれを行わなければならないという、現在、二本立てで国際放送が行われているわけですね。  そこで私は伺いたいんですけれど、これは国策的なものなんでしょうか。そうして国策的なものであるとするならば、国内に対してNHKが持っている中立公正という公共性とどこでバランスをおとりになるのか、その辺が問題になってくると思います。このごろは、やたらに日本国益関係をするような国際事件、国際的な大きな何というんですか、事件というか、そういうものがたくさんあるわけですね。先進六カ国首脳会議を初めとしまして松生丸事件とか、やたらにそういう、つまり国国益というものに関係をする事件がやたらに起こっているわけであります。  そこで、これは郵政省会長両方にお伺いしたいのでありますが、そのバランスをどういうふうにいま保っていらっしゃるのか。たとえば報道編成の面とか、報道編集の面でどういう配慮を行っているのか。また、そういうNHKの行き方が郵政省として満足すべきものであるかどうか、と言うと編成権の中に立ち入った話になって恐縮でありますけれど、その辺をどう受けとめているのか、ちょっと伺っておきたいと思います。
  17. 石川晃夫

    政府委員石川晃夫君) 郵政省NHK国際放送についてどういうふうに考えているかという点について御返事申し上げたいと思います。  わが国国際放送といたしましては、ただいま御指摘ございましたように、NHKがみずから本来的な業務ということで行うものと、それから郵政大臣NHK命令して行うものと、この二つあるわけでございますが、これは両者一体として運用するというたてまえをとっております。したがいまして、具体的な放送番組につきましては、NHKが自主的にその内容を定めているというのが従来からの状況でもございますし、われわれもそのように考えているわけでございます。したがって、現在、われわれがやっておりますこの方式というものは、国際放送に関するNHKの長い間の実績、それからまた外国でこのNHK国際放送を受け取っておられる聴取者の受け取り方、こういうものから見まして適当ではなかろうか、かように存じております。
  18. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) 国際放送は、いわゆる国の命令にかかわりますものとNHKが自主的に行いますものとの二本立てになっております。先ほど申し上げましたそれは、国の要請に基づくものの分野をもう少し広げたらどうだと、いま余りに比率が非常にその方が小さいんではないか、こういうことでございます。  しかも、そういったような状況で、仮にNHK自主編成によります国際放送分野につきましては、これはやはりそういった面については十分な配意ができます。また国の命令にかかる分野につきましては、これは政府命令でございますけれども放送時間、放送方向あるいは放送事項を指定して命令を受けるわけでございますけれども、実際の取り扱いといたしましては、いわゆる番組編集の自由は最大限に保障をされております。そういうような関係から見ますと、自主放送とそう変わりはない、混在をしてやっているわけでございますけれども、そう編集の自由の面については画然たる差はございません。  そういったような面で、いわゆる国益との関係において、NHK公正中立であるべき番組編集あり方国益との関係をどう調和させるかという点でございますけれども、これは虚構なことを宣伝はいたしません。日本の国情なり国のあり方現状等を率直に世界にお伝えをして、そしてそれが日本理解日本との親善に役立つような見地で番組編集をいたしておりますので、これは公正中立と相反するような場面はそう想定されないわけでございます。  もちろん、最近におきましては、松生丸事件とかあるいは石油問題とか、いろんな問題があります。扱い方いかんによっては非常に刺激的なものになるものもございますけれども、そういった面は国益を損ずることがないように、そのことが日本との親善を害せずして問題解決に至るような点に着目いたしまして編集をいたしておりますので、そういった面についても公正中立を害さない、しかも国益に沿い得るような編集方針をとっておるような次第でございます。
  19. 木島則夫

    木島則夫君 一応、確認をしておきたいんですけれど、つまりNHKが中立公正であるべき立場におありになる、そのことと、さっきから私が申し上げている、いろいろむずかしい事件がこのごろは山積をしている。石油問題しかり、ランブイエのこの間の先進六カ国首脳会議もしかりですね、松生丸しかり。そういったときに、国内の世論、国内で起こっているいろいろの反応というものを正直にお伝えをすることは大事だと思いますけれど、そのために日本国益上足元を見すかされたり、石油を高く吹っかけられたりというようなもし配慮を欠くことがあるとすると、結局、国の税金を使ってやっているわけでしょう、その辺が問題になりはしないかという点と、いわゆる法律との関係をどんなふうに解釈したらいいのだろうか。大変素人っぽいお尋ねで恐縮ですけれど、そこのところをもう一度教えていただきたい。
  20. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) 事は国際間の問題でございますので、これは国際理解に努めることに重点を置いております。したがいまして、いろんな日本にとって非常に深刻な問題でありましても、これには国内においてはいろんな論議もございますけれども、国際親善を害せず、しかもその問題が最大公約数として日本に有利に解決されるような状況になるような点に力点を置きまして、国際放送に当たっておるというわけでございます。
  21. 木島則夫

    木島則夫君 そうしますと、国内報道とは当然編集方針も違うのだということですね。  そこまで、郵政大臣NHKが気をつけて国際放送をしていてくれるわけですよ。国際親善もそれによって積み重ねることもできるし増進をすることもできるし、また国益を損なわないようなちゃんとした見識の上に立って放送をしている、こういうことですから、これは郵政省に言ってもせんないことかもしれませんけれど、もうちょっとお金をお出しになったらいかがですか、それだけ気をつけてやっていてくれるなら、いかがですか。
  22. 村上勇

    ○国務大臣(村上勇君) 本年度の国際放送に対する郵政省の助成ですが、これは御承知のように前年度に比べて四〇%増になっております。これからも五〇%でも六〇%でもできる限りひとつ助成をふやしていきたい、こういう気持ちでやっております。
  23. 木島則夫

    木島則夫君 その場合、お金は出す、片方で命令はするけれど、一切NHKの自主的編成権にはタッチしないということはもちろんだろうと思います。この問題をもう少し詳しくお尋ねしようと思うんですけれど、もう時間がございませんので、やっぱり受信料問題について再び伺うことにいたします。  基本問題調査会でも議論になったと思うんですけれど、入ってくる収入の枠の中で放送事業計画を立てるのか、それとも金の面はある程度赤字は覚悟しても国民のニーズに従ってやるのか、この辺の考え方というのはどっちなんですか。
  24. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) 与えられた収入の中でというそれは、現状に立ってみますと、運営をほとんど——現在テレビ二波、ラジオはFMをまぜまして三波の放送は不可能でございます。これを収入の中で賄うために、運営をいたしますために、そういうようなことまでやって収入の中でやるような議論はございませんでした。やはり国民の要望に沿い得るような放送をなすべきであろう、これが前提でございます。  ただし、料額につきましては、安易に値上げを考えてはいけないのであって、いろいろ受信料収入についても、さらにこれが増収になるような方法を考える、あるいは場合によっては受信料収入以外にも収入の道があればそういうような方法も今後検討をし、そういうことによって収入をふやすと同時に、支出面におきましては、極力効率的な運営を目指して支出の増大をできるだけ最小限度にとどめる、そういうような議論がほとんど全員の意見でございまして、いまの与えられた収入の中でがまんをして事業を圧縮すると、こういう意見はございませんでした。
  25. 木島則夫

    木島則夫君 そうしますと、来年度の事業計画の中にあります教育テレビの全面カラー化とか、あるいはFMの全局ステレオ化などは、これは国民のニーズによって行う計画だというふうに判断していいんでしょうか。
  26. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) 仰せのとおりでございます。私どもはそのように考えております。
  27. 木島則夫

    木島則夫君 結局、今後のテレビ界を展望しますと、カラーの台数も頭打ち、新規の契約の大幅な伸びも期待できない。さらにテレビ離れの傾向もある。それからNHK放送内容に反発をして不払いにつながる反NHKムードも必ずしも下火になるとは思えない。それから未契約を徹底的に洗って契約をふやし、また不払い者に対する説得を繰り返しましても、完全に収納できるかといえば、それにも私は限度があるように思うんです。だからといってNHKが全面的な努力を怠っていいとは決して言っておりません。こういうことを考えますと、これにもやっぱり限界があるんだと、さらにこれだけマンモス化したNHKをいきなり、さっき会長がおっしゃった簡素化を急激にしようとなさったって、これは私はなかなかできようものでもないというふうに思うわけですね。おっしゃるようにコンピューターの導入による機械化であるとか要員の縮小を図る、こういうことも結構なんですけれど、こういうものが余り行き過ぎますと人手と心によってつくられる放送というものが無味乾燥になってしまうという、この辺も放送を多少知っている私としては大変心配なところでございます。  ということになると、さっき会長がおっしゃった現行のいわゆる料金制度というものは、ほかのものに変えがたいものであるということですけれど、何年かたつうちには必ず赤字が繰り返して、またまたNHKの置かれている環境の厳しさとともに、NHKがぶち当たらざるを得ない、そういう壁に逐次ぶつかっていくと、これを永久に繰り返すことになる。こういう受信料制度というものの何か支援材料というか、これだけではなしに、たとえばヨーロッパで行っているように、公共放送がコマーシャルをする——コマーシャルをすると言っても、個々のコマーシャルをするんじゃない、たとえば造船業界なら造船業界が全部集まってやる。一企業だけのコマーシャルではない、全体のコマーシャル。  それからNHKが手持ちの資料というのはずいぶんりっぱなものがありますね。それをNHKだけの中に納めておくことのもったいなさということを私も痛感をしている一人としまして、そういうものをある程度公開をなすったらいかがだろうか。非常に低い料金なり、その報酬をお取りになって公開をしたらどうだろうかというような、私は、やはり時代に合った、もう少し広がりのあるものを、柔軟なものをお考えになってもこの際いいんじゃないか。そうしないと、この受信料制度が、これがいいんです、いいんです、いいんですと言ってみても、やっぱり非常に私は大きな壁にぶつかる。その辺を、会長、もう少し広げたところでどういうふうに把握をされているか、この際、聞かしていただきたい。
  28. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) まことに示唆に富んだ御質問を受けました。  私どもも、基本的にはいまの受信料制度公共放送の体質を維持する上において最も有益である、こう考えておりますし、この維持に全力を尽くすつもりでございますけれども、問題は、やはり、これ以外にいろいろな資料もございます、あるいは番組の二次利用の方法もあると思います。そういった面については、受信料収入以外に、それで収入が上げ得るものなら、そういう面も大いに考慮に入れなければならない要素ではないかと、かように考えております。  したがいまして、いまのコマーシャルの関係については、民放さんと直ちにこれは利害が相反することになりますので、そのコマーシャルの分野を、やり方をいろいろ改善をいたしましても、なかなかこれならというところは現在のところ考え及びませんけれども、そういう面についても、民放さんの営業圧迫にならずに、その方面の抵抗なしにいけるような道があれば、そういう面も検討の対象にすべきだろうと思いますけれども、まず何よりも、いろんな資料なり、すぐれた番組を保存しております。これは大いに活用すべきものと考えますので、漸次、今後カセット時代も非常に本格的な花盛りの時代になるでございましょうけれども、そういう趨勢とも合わせて、その方面による収入を上げる道も検討すべきではないかと、かように考えております。
  29. 木島則夫

    木島則夫君 この間の委員会のときよりも、やっぱり相当幅のあるお答えが出てきたと思う。現在の聴視料制度というものは、これは変えがたいものであるけれど、やっぱりそれだけではなかなかむずかしいんで、できれば民放を刺激をしないで、抵触しない——コマーシャルと言っていいのかどうかわかりませんね、これは。そのたぐいのものも検討をするという、この辺、私は非常に興味深い。  それと、NHKが持っていらっしゃる資料を、ある報酬を取って、料金をお取りになって公開をするということも考えていい。それからホールの公開なんかも私はどんどんおやりになった方がいいと思いますね。そういうやっぱり柔軟な考え方に立って収入をお図りになるということもこれからの大事なポイントだと私は申し上げたい。  と同時に、現在の聴視料制度というものが変えがたいものであるとするならば、私は、ここで一つ申し上げたいことは、やっぱり不払いによる未収金であるとか、そういうものに対してある程度毅然たる態度をNHKがおとりになるときではないかというこの間の御発言、これもひとつただしておきたいと同時に、にっちもさっちもいかないなら、上げ幅を一体どのくらいになさるのか、ちょうどいい機会ですから聞かしてください、その辺も。
  30. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) いまの未契約あるいは契約をいたしておりましても収納に至らないもの、これはどこまでも努力をいたしまして、完全把握し得るように努力をしなければならない問題であろうと思います。これも、なかなか、いまの非常にむずかしい環境の中でそう急には実現できない問題ではあろうと思いますけれども、不断に努力すべき重要なポイントであろうと思います。  また、そういった面についてどういう態度で臨むか。これはできるだけ理解と支持にまつのが一番理想でございますけれども、それがやはり全体の公平感を非常に疑われるような状態になるとすれば、いろいろその面についても現状よりも改善の道を考えなければならないのではないかと、かようにも考えますけれども、まあ何をおきましても、いまの現状から申しますと、未契約のそれを契約の中へ取り込み、また契約をせっかくせられたそれの収納が滞りになっておるようなそれは、これはできるだけ解消に努めなければならないのではないか、かように考えております。
  31. 木島則夫

    木島則夫君 まず努力に努力を重ねる、そのことはもう当然NHKがしなければならないことなんだけれど、しかし、現在の制度そのものでは、法律的な歯どめなり何かがないので、あるいはこれを改善をしなければならないというふうに具体的にとってよろしいんですね。
  32. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) まだそこまでは突き詰めて考えておりませんけれども、いわゆる法改正の問題については、これは慎重に考えなければならないと思います。  現在、いろいろ未契約とか収納未了のもの、これがかなり問題になっておりますけれども、相当に強い罰則を持った諸外国と比べてみましても、NHKのそれは、まあどういうわけですか、成績としては上の部類に属しようと思います。BBC等の関係につきましても、百五十万台のそれについては、あれほどの厳しい罰則があっても料金が取れない現状であるようでございますし、オーストラリアにおきましても、国営放送でいろんな法制的には完備されておるんでございますけれども受信料制度を廃止して税金に変えましたこの直前の状況は、日本の英字新聞では四五%ぐらいが未収になっておると大きな数字が出ております。私、今度、ABUの総会がございましたので、直接オーストラリアの放送協会の幹部に聞いてみますと、そんなに高くはないんですが、まあ二〇%弱ぐらいのところにはなっておった、こういうことでございます。そういうようなことから考えますと、やはり罰則とか届け出の義務とか立入調査権とか、そういった法律の関係だけでこれが改善されるものとも考えられません。  そういうような状況から、やはり国民NHKである性格に徹しまして、十分に国民の支持と理解を得られるような運営をすることこそ先決ではないかと思うのでございまして、その一端として、先般、受信者委員会をつくりました。これはいろいろ相談窓口も持ち、あるいは電話等で関係の部局に対しまして幾多の要望なり不満なり激励なりがございます。そういうそれは国民の声を十分に反映さすべく最大の努力をいたしておりますけれども、やはり内輪の処理でガラス張りになっておりませんと、受信者の方々から見れば、一体その行方はどうなったんだと、こういうような疑念も持たれるでございましょう。そういうような状況についてお答えすべくNHKの職員でない外部の方々を委嘱いたしまして委員になっていただいて、その処理模様が一体どうなっているかをそういった方々の目で見てもらっております。これはやはりときどき番組等で紹介すべきもんであろうと私は思うのでございますけれども、そういう措置も本年の秋の初めにとったわけでございますが、その他いろいろ今後検討をいたしまして、国民の要望を吸収し、これを反映するような最大の努力をし得るような制度運用等の面につきまして真剣に検討を加えてまいりたいと思います。
  33. 木島則夫

    木島則夫君 NHKを取り囲む環境というのは、必ずしも私は緩やかになっていくとは思いません、これからますます厳しくなっていくと思います。不払い者であるとか不払い団体にもいろいろありますけれども、こういう方々の中には幾ら説得してもお払いにならない方もいるわけですね。その数はやはり相当のものに上っているはずでございます。最近では、あるグループが番組編成や表現問題などと絡めて、自分たちの要求が通らなければ不払いなんだという、こういうおどしもNHKにかけているようでございます。まあそんなことはないと思いますけれど、こういう方々の声によって番組内容が変わるとか迎合するなんということはあってはいけないことだろうと思いますけれど、それにしてもやっぱりNHKって本当の国民の声を聞いて番組編成をしてくれているんだろうかという、それは大ぜいの人の声から出るんです。  そしてNHK公共放送であるということを余りにも内部にいる者が意識をし過ぎて、こういう出演者はだめだとか、こういう人はタブーだよとか、上から言われる前に内部規制があって、なかなかお出しにならない。事実そういう方の意見というものもNHK公共放送の場に出して、国民の方々に聞いてもらって、そして批判があるものについては堂々と批判をするということをおやりにならない限り、私はやはりNHKに対する反発をお持ちになっている方は減らないと思う。そういう中で余りにも私の知っているNHKというのは少し内部規制が強過ぎるんではないかということなんです。こういう私の意見に対して、会長、どういうふうにお答えになりますか。
  34. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) NHK環境は非常に厳しゅうございます。これが非常に将来といえども容易に緩和されるわけではございますまい、あるいはよりこれが厳しい方向へ向くということも十分に考慮に入れておかなければならないと思います。  いわゆる一部の、自分たちが経営に参加できれば支払おうというグループもございます。NHK放送法によりまして何人の干渉も許さない、こういう保障の立場に立っております。これはやはりそういった国民の名において、ほんの国民の一部の、自分たちの要望を満たそうとする勢力にも屈してはならないと思います。  そういうことでございますので、国民の要望に沿うことは非常に弱いように思うのでございますけれども、弱い立場ばかりでなしに、本当に真に全国民の要望に沿い得る運営をいたしますためには、信念と勇気を持って当たらなければならないものと思います。そうでなければ、また番組等の編成に当たっております職員個々の士気も上がらないと思いますし、それが必ずしも国民の要望を退けることではなく、謙虚に要望にこたえつつ、信念と勇気を持って運営に当たる道でもあろうかと思いますので、そのようなことを運営の基本方針と考えてまいりたいと思います。
  35. 木島則夫

    木島則夫君 NHK基本問題調査会の中でも論じられているんですけれど、経営のPRというか、NHKのPRというものがずいぶん足りないように私は思うんですね。そしてNHKのPRをするときに公共の電波を使うことは許されないんだという、そのお気持ちもわからないではない。しかし、私はずいぶんNHKというものが誤解をされている面もあろうと思いますが、もうちょっとPRを上手になすったらいかがでしょうかね。私は、ほかのことのPR、報道はお上手だけれど、御自分のPRというか、御自分を相手にわかってもらう、そういう点はへたなように思います。  というのは、NHKの持っている体質というものが、人にそんなにつべこべ言わなくたってわかる人はわかるんだよという、こういう気持ちが中にあるんじゃないかと思う。わざわざそんなことする必要はないんだ、正しいことをやってちゃんとした番組放送していればわかってくれるんだよという、これはぼくは情報化時代にはやっぱり古い考え方だと思いますから、もう少しNHK御自身のPRなり御理解を求める方法というものを具体的にお考えになってみてはいかがでしょうか、その辺はどんなふうにお考えですか。
  36. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) NHKのありのままの姿をよく知っていただくためには、やはりPR活動を非常に強化しなければならないと思います。これにはみずから持っております電波を使うことも一つの方法でございましょうが、その他のいろんな手段もあろうかと思います。  特に番組等の関係につきましては、番組広報の関係を非常に強化しなければならないと思います。この関係は新聞等でも非常にやはり取り上げてくれるであろう事柄でございますので、そういうことにも力を入れつつ、やはりいま少しラジオ、テレビを利用してそれによってNHKをよく知っていただく。それによって新しい批判も出てくるでございましょう、それがやはり進歩の土台になると思いますので、私はやっぱりもっと使うべきじゃないかという意見の持ち主でございますけれども、まあいろいろ番組編成の当局の方ではこの辺は非常に遠慮がちでございます。これもNHKあり方として非常に正しいあり方かもわかりませんけれども、今日のような環境になれば、NHK国民放送協会であれば、国民によく内容を知っていただき、これをやはり土台にして、支持か不支持か、これはやっぱり決める一つの決め手にならなきゃならぬと思いますので、そういった面については今後もラジオ、テレビを媒体として十分に知っていただけるよう、これは国民の側から言っても、すべてけしからぬ、こういう意見ばかりでは決してないと思います、そういうことを是認される面も非常に多いと思いますので、そういった面に努力を傾注してまいりたいと思います。
  37. 木島則夫

    木島則夫君 先ほど私お尋ねするのを忘れましたんですけれど、機構簡素化という問題ですね、具体的にお伺いをしたいんですけれど、機構簡素化ということは、放送時間の短縮とか番組の縮小とか、民放と類似の番組はこの際思い切って整理をするという機構の改革なんでしょうか、それとも人の頭数といわゆる部課を減らすという単なる機構改革なんでしょうか、その辺どんなふうにお考えですか。
  38. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) 機構あり方といたしましてはいろいろございましょうけれども、本質的にはその機構が一目瞭然わかりやすくて、権限と責任の所在が明確になり、また各人の守備分野がはっきりわかる機構が望ましいのではないかと思います。  戦後、いろんな外国機構等も取り入れまして、在来の機構を何回か変えてまいっております。その問題はやはりライン・スタッフといったような観念が指導的な役割りを果たしておると思います。そのために、わかりいい、たとえば放送総局で申しますと、報道局、芸能局、教育局、こういったそれは全部局のそれを廃止してしまって、二十数班の班に分けております。そうしてその機動的な効率の発揮に期待を寄せておるわけでございますけれども、これは一面非常な効果も上げておりましょうが、外からも非常にわかりにくい機構でございます。と同時に、いろいろ二十数個の多い班になっておりますので、その間でお互いに相談し合うようなことに非常な労力を使わなければならないようなこともございます。そういうようなことから、まあそういった在来の機構を変えましたその一面には、一つの局の壁がありますとそこに官僚性が発揮される、そういうようなことをなくするためにやったわけでございますけれども、官僚性の排除はまた別の手段もございましょうから、そういった面についてはわかりやすい機構にすべきではないか。  しかも、いまのような状況になっておるために非常に責任の所在がはっきりしないで、合議体でなければ事が運ばないような機構のそれも現状には入っております。そういった面はやはりだれかにはっきりした責任が明確に所在するような機構に直すことによって能率の向上も発揮でき、また機構簡素化が行い得るのではないかと、かように考えるわけでございまして、決してそのことが番組内容のいわゆる質的低下とかそういうことにつながるものではございません。そういうことがあってはならないと思いますので、番組の質はどこまでも上げながら、十分張りを持って働き得るような、はっきりした権限と責任を持たしたそういう張りのある機構にすべきではないか、かように考えておる次第でございます。
  39. 木島則夫

    木島則夫君 まあ会長としてはお答えになりにくいかもしれませんけれど、新聞の見出しにも、答申を受け小野会長来年度から五〇%値上げか、というような報道がたくさんなされておりますけれど、この辺はどうなっているんですか。
  40. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) これはまだ調査会の答申を受けまして、これをしさいに検討しておる段階でございます。いまのような新聞の記事は、これは私が申したことではないのでございまして、想像記事にすぎないものと思います。  しかし、そういう想像記事が出ますのも、現に二百十六億円の赤字を抱えております。受信料の伸びは三・数%しか収入の伸びはございません。しかも、やはりいろいろ物価の情勢等は、一けたと申しましても収入の伸びをはるかに上回るような数字でございます。そういう状況から言えば、このままではどうにもならぬのではないかと、これはやはりよく御理解をいただけるものと思います。そういうところからやはりそういった記事になるわけでございまして、調査会の答申も、やはり収入をふやす道を考え、支出を縮小する道を考えながらも、これで全然収支均衡し得るものとは長い期間の検討の結果はだれも思っておられません。やはりそこに不足が出るであろう、これは受信料改定もやむを得ないと、こういう答申になっておりますので、まあそういうところから、ただいまわれわれの方では検討中でございますけれども、そういった想像記事が出るのでございましょう。恐らく方向としては、そうならざるを得ないと思いますけれども、パーセンテージ等については、これは何ら根拠のないものでございます。これから私どもが作業をして検討の結果決まるわけでございますので、そういうような状況でございます。
  41. 木島則夫

    木島則夫君 ここで額についてとやかくお聞きはいたしませんけれど、とにかく値上げをしなければならないという厳然たる事実があるわけでございます。NHK国民のためのNHKであるためにはもっともっといろいろの面でしなければならない、そのお話はいま会長のお口からもるる述べられたわけでございます。要するに、NHKを取り囲む環境というのは大変厳しい。その中で公共放送としての本来の姿をNHKが続けていくためにはいま以上の努力をしなければならない。しかし、その努力もあるところで限界がくるんだというふうに私は、放送を知る私としては思っている。その限界を知った上でどういう手当てをしなければならないかというのが今後の問題点なんです。  そこら辺をやはりきちっと踏まえて議論をしないといけないという意味では、きょうの会長のお答えの中から将来NHKがとるべき態度、あり方というものがおぼろげながら私にはわかるような大変示唆に富んだお答えをいただいた。また、これ予算の時期になりましたら、私はそういったことをもっともっと具体的に敷衍をしていろいろお話を聞かしていただきたいと思います。  で、きょうは時間の関係でこれでやめますけれど、もちろんこのほかに、各委員からの御指摘もございましたように、いわゆる難視聴の解消であるとか、いろいろいろいろ問題がたくさんございます。そういったことも当然ぜひやっていただかなければならないという前提はこれはもう申し上げるまでもございません。一応御質問は省略はいたしますけれど、そういう問題を踏まえた上でのきょうの質問であるということを最後に申し上げて私は結びたいと思います。
  42. 青島幸男

    ○青島幸男君 NHK決算についての御質問の前に、郵政省にまずお尋ねしておきたいんですけれども、毎回、委員会で私質問に立ちますと、このUHFへの全面移行の問題をまず冒頭にお伺いするんですけれども、前回も御質問申し上げましたけれども何ら明確なお答えがいただけませんので、私、大変不満でした。  いままでもるる御議論がありましたように、NHKを取り巻く環境もかなり厳しくなっておりますし、全面移行が閣議決定されました昭和四十二年でしたか、あのころから経済事情もかなり変わってまいりました。それに経済事情のほかにもそれを取り巻く諸状況もかなり変わってまいりまして、そして全面移行ということは物理的にも大変に困難な問題であるということが大変に明白になってきながら、まだ全面UHF移行ということの看板をおおろしにならない、その辺のいきさつをもう十分御理解いただいておると思うんですけれども、この事情が変わってきたこともその上重ねて御理解いただいているわけですから、あのとき閣議決定された移行がもう事実上具体的に不可能なんだということはだれの目にも明白だと思いますけれども、その辺を踏まえまして御意見を承りたいと思います。
  43. 石川晃夫

    政府委員石川晃夫君) お答えいたします。  U・V移行の問題でございますが、これにつきましては、われわれといたしましては従来からいろいろその面について御返事申し上げているわけでございますが、ただいま先生から御指摘ございましたように、確かに昭和四十三年にこのU・V移行の問題が決まりましてからは経済状況その他社会条件が変わってきております。したがいまして、われわれもその点なども十分踏まえて検討しているところでございますが、ただ経済状況といたしましては、確かにその後の高度経済成長等もございますし、またあるいは物価の高騰その他ございまして、いろいろ資金面においてはむずかしい問題もございます。  しかし、一方、また社会情勢の変化に伴いまして、当時考えられなかったような重要通信というものもどんどんふえてきております。現在はVHF帯に約十万局というその関係の無線局を抱えているというような状況でございます。したがいまして、われわれも、今後、その後に起きましたいろいろな重要無線通信、こういうようなもののあり方というものも考えなければ、この全面移行という問題についての最終的な結論というものは出せないと思います。しかしながら、われわれといたしましては、当時の構想というものがこの重要無線通信移行という問題について重点を置いて検討いたしましたので、この点につきましてさらに検討を進めていきたいと、かように考えております。
  44. 青島幸男

    ○青島幸男君 ですからね、その当時、そういう移行を打ち出したということが私は決して誤りだと申し上げているわけじゃないんですよ。  NHKにUHF移行の負担をかけるということをいまおやりになることも余りにもそれは酷ですし、それは国民、一般の視聴者に与える影響もかなり大きなものです。ですから、この議論をいつまでしていても切りがないわけですし、最初その問題が出ましたのはもう七年前ですね、目途十年ということで行われてきたわけです、もはや七年たっているわけです。その都度、私、委員会の発言の機会を得ますたびにお尋ねしている、そう早急にやらなくてもいいんじゃなかろうか、問題は山積しておる、あと三年や五年延ばしてもいたし方がないというようなことで、いままで延びてきたわけです。しかし、具体的な問題として確かにVを活用したいという重要無線のニーズはかなり高いことは事実でしょう、しかし現在どうにもならないんですから。どうにもならない二つの問題を同時に処理することは不可能でしょう。それについていままでのお答えでは何の答えにもなってないわけですよ。その辺を明確にお尋ねしたいと、こう言っているわけです。
  45. 石川晃夫

    政府委員石川晃夫君) ただいま申し上げましたように、確かにその後の経済情勢が変わってきておりますので、現時点においてこの問題を行いますと、確かにNHK自体につきましても相当な負担額になるということも事実でございますし、また民間放送自体につきましてもやはり相当な負担になるということもわれわれ計算したわけでございます。したがいまして経済的負担につきましては、先生おっしゃいますように、確かに当時と相当変わってきているということも事実でございますが、先ほど申し上げましたように、重要無線通信のあり方というものも変わってきておりますので、この点につきまして、まだしばらく検討の時間をいただきたい、かように考えております。
  46. 青島幸男

    ○青島幸男君 いつまで検討すれば解決はつくんでしょうね。少なくともVをどうしても使いたい、しかし一つのものを相反する二つのものが奪い合っているかっこうになっている、しかも何の打開の道もないわけですね。いつまで検討すれば打開の目安は立つんですか。
  47. 石川晃夫

    政府委員石川晃夫君) いつまでと言われましても、なかなか何月何日ということは言えないと思いますが、ただ、この策定というものがその後の社会情勢の変化によって検討がおくれてきているということは事実でございます。したがいまして、われわれといたしましても、早急にこの点につきまして検討を進めていきたいというふうに考えております。
  48. 青島幸男

    ○青島幸男君 大臣はどういう御見解をお持ちでしょうかね、これに関しましては。
  49. 村上勇

    ○国務大臣(村上勇君) 電波局長のいまの御答弁、これを肯定していく以外にないと思います。
  50. 青島幸男

    ○青島幸男君 そうすると、NHKに過酷なことを強いても、UHF全面移行をまだまだ御推進なさろうというお考えですか。
  51. 村上勇

    ○国務大臣(村上勇君) それはどうするか、過酷であれば、そういうことを強いるわけもないと思います。いま専門的に技術的に検討しているところで、いま私からはっきりとこうだということは申し上げかねます。
  52. 青島幸男

    ○青島幸男君 専門的に技術的にどう検討してもどだい無理な話なんですよ。だから、そういう閣議決定をされたことですから、そのことについて、あれは少しいまの状況では無理なんではなかろうかとか、あるいはこの先いつまで検討を続けてもだめだ、解決の糸口はつかめないようだとか、そういうはっきりした御見解承れませんか。
  53. 村上勇

    ○国務大臣(村上勇君) これは私個人的にはいろいろ意見があります。けれども、やはり専門家が十分検討して、そしてそういう閣議決定をしたものと思っておりますので、やはり専門的にこれが解決をするということが最も妥当じゃないかと思います。なるたけ早い機会に、もしその点が妥当でなければ、それで妥当でないような結論を早く出したいと思っております。
  54. 青島幸男

    ○青島幸男君 もう妥当でないんですよ。ですから、これ以上重ねて御質問申し上げませんけれども小野会長、お尋ね申し上げますけれども、四十六年、七年はたしかU局の実験局を東京、大阪でお持ちになっておられて、五十年は経費節減のお考えもあってか、おやめになりましたですね。しかし、七年、八年とおやりになったのは、むだに電波を出して実験なさったわけではなくて、これをしたらどういうことになるんだろうかということを、その施策のめどを立てるために実験なさったんだと思いますけれども、その実験の効果及び結果ですね、それからその実験に基づく将来の見通しについてどういう結果があったのか、お知らせいただきたいと思います。
  55. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) これは主たる実験の目的は、放送大学の前進のために、どのような構想の放送大学であるべきかと、こういうための実験のために東京、大阪のU局を使ったわけでございまして、U・V転換のそれの目安をつくるために実験を開始したものではございません。一に放送大学の今後の開設に備えての実験でございましたので、その実験目的はおおよそ四十九年度末で達成できましたので、五十年度からこれを廃止したということでございます。
  56. 青島幸男

    ○青島幸男君 当然、そのカバレージなんかの調査もあったと思うんですけどね、どの程度に難視聴が生じ、あるいはどの程度のカバレージは確保できるかということ、それからどの程度の電力、どの程度の力でどの程度の効果が得られるかということは当然技術的には目安がついたはずだと思いますけれども、その目安について、全部Uに転向した場合にNHKにかけられる負担というのはどの程度だというような予測も当然出てるはずだと思いますけれども、いかがでございましょうか。
  57. 沢村吉克

    参考人(沢村吉克君) いまの御質問でございますが、Uのいろいろな技術的な面の調査と、それから先ほど会長説明を申し上げました放送大学にそれを実験的に使ってみようという二面がございました。御指摘のような技術的な面につきましては、ほぼ私ども予想したような結果を得ております。現在、ここにその詳細なデータを持っておりませんけれども郵政省の方にもその成果といいましょうか、結果は御報告申し上げまして、技術的な面でのめどはついたということから、実験を一応中止しようとしたわけでございます。
  58. 青島幸男

    ○青島幸男君 前々回、私、質問申し上げましたときに、二百億あるいはそれ以上、二千億——つまり一けた違ってもそれほど問題が起きないんではないかというくらいに途方もなく、まあ不特定要素もかなり加味されますからね、そのくらい目安の立たないものなんだと、もし全面的にUに移行したら。というくらい膨大にお金がかかるし、NHKにはいまある九十何%かというカバレージをこれを完全に保有しながら全面的にUに移行するということは予測が立たないくらい金がかかることも事実なわけですね。そのことはもう明白なんですよ。ですから、いまさら重要無線のためにVをあけるからといって、民放局もNHKも合わせて全部Uに変換してしまうということは、これは国民生活に与える影響も非常に大きなものになるわけです。で四十七年度でしたか、八億ぐらいの、十二億でしたかの赤字を出しただけで、時の郵政大臣は、赤字決算になったのは大変ゆゆしき問題だということの注意書みたいなものを出してるはずです。で、いまやもう受信料改定までしなければやっていけないというような実情にまで追い込まれてるNHKにそれを強いることは私は大変無理なことだろうということを申し上げてるわけです。その辺のところを十分踏まえまして、もう一回こういうチャンスがありましたら私重ねてお尋ね申し上げますんで、そのときにはぜひとも明快にお答えいただけますように御検討いただきたいと思います。この点は御要望申し上げておきます。  で、この問題はこれぐらいにしておきますけれども、あとNHKにつきまして若干の御質問がございますけれどもNHKに限らず、テレビの視聴率というものは大変に業界あるいは業者あるいは専門家の中でも問題になっております。NHKは一般に行われておりますような視聴率に基づいて番組編成をなされてるとは私思いませんけれどもNHKは独自の視聴率調査の方法をお持ちでしょうし、どういうふうにしてその一般の視聴者の御意向を吸収するようにお努めになってらっしゃるか、その手だてというものをお知らせいただきたいと思います。
  59. 坂本朝一

    参考人(坂本朝一君) NHKの調査幾つかございますけれども、いま青島先生のおっしゃる視聴率調査というのは、大体、全国的な規模で三千六百人無作為で七歳以上の国民から選びまして、そして配布回収法、日記式に約一週間にわたって個人単位で視聴状況を調査いたしております。大体、六月と十一月と年二回調査いたしまして、その結果を番組編成の中で参考にすると、こういうとでございます。  それから意向調査というのをやはり実施いたしまして、これはことしを例にとりますとやはり七歳以上全国で四千人、これは意向調査でございますので個人面接法で実施いたしまして、総合テレビの主な満足度、どういう番組はどういうふうに満足しているかというような、そういうようなテーマあるいはニュースを入手するのにどういうメディアで入手するかというような、そういう意向調査を本年度実施したわけでございます。  その他、国民世論調査、これは具体的な個々の番組のテーマにもかかわるような形での世論調査、それから五年ごとに国勢調査と同時に行います国民の生活時間調査というのを実施いたしております。ことしはたまたまその年に当たって、現在、調査の集計に入っているわけでございますけれども、この国民生活時間調査によりまして大体国民の生活時間、タイムはどうであるかという、そういう結果を具体的な編成の中で参考にさせていただいております。  その他、個々のものといたしましては、たとえば学校放送の利用状況の調査というようなことも実施いたしまして、学校放送のカリキュラムその他の参考にする、こういうことでございます。
  60. 青島幸男

    ○青島幸男君 年二回三千六百のランダム抽出によるサンプルでお取りになるというのが主たるもんだと思いますけれども、そうすると、年二回に外れている番組の担当者などは視聴率の動向をどう見るかということになりますと、やっぱり民間で行われております視聴率調査表を多少参考になさるという面も出てくるんではなかろうかと思いますが、その点はいかがですか。
  61. 坂本朝一

    参考人(坂本朝一君) 確かに一週間単位で年二回でございますから、合計して二週間、大体、全番組がカバーできるはずでございますけれども、その間に特集などを組んでおりまして、担当する番組がないということも御指摘のとおりでございますので、それと補足するような形では、ビデオ・リサーチとかニールセン調査とかというようなものを参考にNHKも採用いたしておりますので、そういうものもあわせて参考の一つにはしておる状況でございます。
  62. 青島幸男

    ○青島幸男君 一般のテレビ局の編成番組表を見れば、NHKが何も視聴率にのみこだわって番組編成しているというふうにはうかがえません。確かに独自な編成方針を持っていらっしゃるそのことは私は評価すべきだと思っています。  視聴率にのみ振り回されるというようなことがないということは一つの見識だとは思いますけれども、しかし、一般の民間の調査の方法は、大体、四百台ぐらいのテレビの受像機を、重点的には東京、大阪、京都といいますか、そういう大都市に集中して置きまして、その四百台から集めたデータに基づいて行われているように私も聞いております。もしそうだといたしますと、一台当たりの影響力は〇・二五%になるわけですね。全視聴者の〇・二五%の比率というのは実に大きなことになるわけです。しかも、これに民間放送局がかなり依存しているわけです、視聴率調査の上では。これにNHKも一緒になって右往左往するようでは、これどうしようもないと思います。  しかし、それは大都市集中型になってしまうこともこれは当然ですし、その点について郵政省にお尋ねしたいんですけれども、そのたった四百台ぐらいのテレビの受像機をサンプルにして調査する。しかもセットイン数が低いときは〇・二五%というのは半数にも達してしまうようになるわけですね。そうすると全視聴者の要求の半分を一台のテレビ、たまたまいたずらにつけられていたためにそれが調査の上では視聴率の一端として挙げられますね。しかもセットイン数が少ないと、それが重大な要因になってくるわけです。そんなようないいかげんなサンプルのためにスポンサーも制作側も引きずり回されているという状態になりますね。そうすると、いまの状況ではテレビの国民生活に及ぼす影響というのは実に大きいわけです。そうなりますと、そんな誤差が国民の動向あるいは嗜好の中に大変な影響力を持ってくるということを郵政省はどういうふうにお考えになっているかということですけれども
  63. 石川晃夫

    政府委員石川晃夫君) ただいま視聴率の問題で御指摘がございましたが、視聴率というのは私たちの受け取り方としましては、特に民放などではこの視聴率によっての番組制作の今後の行き方というものをそれによっていろいろ考察をするというためには非常に大きなウエートを持っているのではなかろうかというふうに考えております。  しかし、この番組の問題になりますと、実を申しますと郵政省といたしましては放送界すべてについてそれぞれのところで番組の制作の自由ということを認めておりまして、われわれとしても番組問題については介入しないという態度をとっておりますので、視聴率がそういう番組に影響するということは確かにわれわれといたしましても考えられるわけでございますが、事、番組関係があるということになりますと、これについてはわれわれの意見は差し控えたい、かように考えております。
  64. 青島幸男

    ○青島幸男君 それはそれで結構だと思うんです。視聴率によって振り回されるのは、それは民放が勝手にやれば、営業政策上やればいいことでありましてね。そのことでどういう視聴率の調査のやり方をしなければいかぬとか、あるいはそういうことで郵政省編成権にまでタッチするということはこれはなおゆゆしき問題だと思いますけれども、しかし民放もあるいはスポンサーも、どの程度民間が行っております視聴率調査表が信憑性の置けるものかということ、どの程度の信憑性を持つものかということは判断しているわけです。しかし、ほかに判断の指針がないものですから、宣伝部はその宣伝の効果を、あるいは投資する立場は投資の効果をそれによって判断するしかないわけですよ。そうするとテレビの制作を担当する者にとっては、これはもうどんなに信憑性のないものだという認識を持っていながらも、それに左右されざるを得ないわけですね。そのことが電波を通じて全国民の間に流れていくわけですね。そうするとその嗜好決定の上で大きな要因になってくる。  しかも、それが都市中心にしたサンプルの取り方であって、しかも民放が都市集中型に流れるのは私は当然だと思うのです。ということは大多数の人間が一カ所に集まっているところに効果的に放送が流せればそれだけ宣伝効果も上がるわけですし、効率的には高いわけですね。そうするとどうしても都市集中型のものに視聴率が集中する、そのためにその視聴率向上あるいは視聴率取得を目指して番組編成を行えば、どうしても都市集中型の番組編成になりますね。そうすると地方にいる人間たちは疎外された感じを持つのじゃなかろうか。このことは同時にNHKにも言えることですけれどもNHKがランダムで三千六百、各地方からの御意見を聴取している。それを全く円満に反映できるように努力しているのだ——一つの見解だと思いますけれども、どの程度まで三千六百が国民意見を代表するかということ、これも大変疑問があると思うのです。  ですから、そのほかの補足的なこととしてたくさんの調査機関をNHKはお持ちのはずです、それはそれでいいんですけれどもね、郵政省はこのままほっておきますと、いたずらに関与しろとは申しません、しかし、このままそんないいかげんなサンプルに指針を置いて、勝手に放送業者が放送を行っていきますと、ゆゆしき問題になるのだということについては、いま御意見を承りましたけれども、勝手にやらしておくだけで私ども介入しないという言い方をなさいましたけれども、しかし、これはそんなに信憑性のないものなんだから、これについてそんなにこだわることはないのじゃないかというくらいの指導はあってもしかるべきではなかろうかという気がするんですけれども、その辺いかがでしょう。
  65. 石川晃夫

    政府委員石川晃夫君) ただいま先生おっしゃいますように、私たち、まあ個人といたしましても、この視聴率がすべてを代表している、あらわしているというふうにはとれないというふうには考えております。したがいまして、やはりそれは番組を見る方々がその視聴率というものに対する信憑性をどの程度に置くかという、その受信者側の考えというものがやはり中心になるべきではなかろうかと思います。しかしながら、いま御指摘ございましたように、やはり周りで視聴率というものを振り回してやられますと、どうしてもそれを信じたくなるというのがやはりこれは人間の一つの傾向でございまして、その点、われわれといたしましては、ことに視聴率を発表されるような方がその点も十分踏まえての発表の仕方というふうにしていただければ、われわれとしては非常にいいんではないかというふうに考えております。  しかし、その内容につきましては、先ほど申しましたことを繰り返すようでございますけれども、やはり番組編成あり方というものにつきましては、郵政省から意見を述べるということになりますと、視聴率の問題でありましても郵政省から意見を述べるということになりますと、やはり一般的には郵政省も公式にそういう意見を出したのではないかということで、番組介入という問題も言われるおそれもございますので、この点については十分われわれも注意いたしまして、なるべく番組には介入したくない、こういうことでございます。
  66. 青島幸男

    ○青島幸男君 私はそうだと思います。それで資本主義のルールにのっとりまして自由競争があるべきだし、雑多な番組が出てくること、その雑多な番組の中から善悪是非を種々雑多な中から選択していくということは、やはり民主主義の鉄則だと私は思います。  それはそれで結構ですけれどもNHKといたしましては、この問題につきましてどこからも異論のないような放送を出す、公正中立ということをあんまり考えますと、大変に番組が優等生的になりまして、私、大変逆説的な言い方をして恐縮かもしれませんけれども、すべての文化とか文明とかいうものは偏見と独断の相殺によって成り立っているという考え方をしております。すると余りにも優等生的な、どこからも批判のないものばかり流しておりますと、それは知的好奇心を誘発しませんし、それから思考の触発にもつながらないわけですよ。そうすると、どれを見ても難点はないけれども、ちっともおもしろくないということが、実は、公正中立を一番大事に掲げながら、長い目で見ると公正中立を一番欠いた方向に進みはしないかというような気がするのですけれども、その点、会長は大変むずかしいお立場だと思いますけれども、どうお考えでしょう。
  67. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) お説よくわかります。そのような厳正、公正を期するということでまいりますと、やはり番組そのものについては迫力も欠くでありましょうし、おもしろ味もない、非常に通り一遍だといったような状況になりがちでございます。現にそのような批判も受けております。NHK番組には本当に突っ込んだところがない、おもしろ味がないというような意見もあります。  しかし、私は必ずしもそうばっかりではないと思いますけれども、中には相当にやはり物の核心を突いた番組もあるわけでございますけれども、大体の状況から申しますと、余りに厳正、公正を貫いてまいりますと、お説のような番組になりがちでございます。これはやはりいろいろ軽率にはこれはどうこうは私の立場では申せないのでございますけれども、あるいは各種のいろいろな番組がございますから、その中で均斉を保った厳正、公正というものに着目すべきか、個々の番組についてそういった原理を貫くべきか、この辺は非常に公共放送としての大きな悩みであろうと思います。  そういった面は、将来、時間をかけましていろいろ検討いたしてまいりたいと思いますけれども、これも一に国民の要望に沿う方向で処理しなければならないと思いますので、そういった要望の点をも十分に加味し、そういう批判にもこたえるような方法で、もっと厳正、公正は貫きながらもNHK番組についてとかく白々しい、非常におもしろ味がないと、優等生的ではある、無難ではあるけれども、何かやはり大きな原動力に欠けるのではないかと言われる点については、十分耳を傾けながら検討してまいりたいと思います。
  68. 青島幸男

    ○青島幸男君 おっしゃるとおりだと思います。大変むずかしい問題だと思います。ですから、トータルで見まして、個々の番組一つ一つについてはかなり偏見と独断に満ちたものがあってもいいんではなかろうか、長い目で見ると。そのときにあるいはヒステリックな電話がかかったり、ある種の団体から圧力がかかったりするかもしれませんね。しかし、そのことを恐れていたんでは今日真に民主主義を貫くことはできないのではなかろうかという点でございますけれども、そうでないと、相撲放送外国フィルムの放映しかやることなくなってしまうのではなかろうかという気がします。  それともう一つは、大変にユニークで、NHKにしては珍しく——報道の問題と教育の問題、別にいたします、この際。これは全く公正中立を真に目指していなければならない問題です。この問題はさておきまして、一般にドラマなんかについて言うんですけれども、大変ユニークな、とても民放でスポンサーをつけてはできないであろうというような番組もあるわけです。これが多少世の中から注目を浴びたりしてきますと、視聴率がどうのこうのというようなことでディレクターがかわったり、余りに抵抗が大きいので、あるいは内部に問題があったから担当者がかわった、番組が途中で消えたという例は幾つかあります。そういうことについて私は大変憂慮しているわけですけれども、そういうことこそがむしろNHKが持たなきゃならない使命であって、先ほども民間で行われている視聴率も多少参考にいたしますという御意見ありましたけれども、そのNHKの中の文書についても、これは視聴率がよかったから非常にスタッフが大喜びだとか、迫力はあったんだけれども、もう一つ視聴率に欠ける点があったんで考え直さなきゃいかぬ部分もあったというふうな内部反省をしたというような記事さえあるんですね。  ですから、全く視聴率にとらわれないようにしろということは、私はどだい無理だと思います、人間何か指針があれば成績がいい方がいいに決まっているという気がしますから。しかし、そのことで上層部がそういう御意見をもしお持ちになって下部にまでそういうような考え方が徹するようなことがあれば、これは基本的に間違いだと思いますけれども、その点どうお考えになりますか。
  69. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) 番組種目によってお説のとおりに違うと思います。教育番組には教育番組のちゃんとしたよりどころがあるわけでございますし、報道番組にはやはり不偏不党、公正中立、こういった面をやっぱり貫くべきものと思います。こういうものに偏った主観が入ったりするようなことがあっては、これはやはり公共放送としては自滅の道へつながると思います。  問題は芸能番組でございましょうけれども、こういう面については視聴率に煩わされないということにも限界があろうかと思います。やはり職場の番組制作の諸君から見ましても、せっかくつくって自分たちがいいと思っても見てもらえなければ非常に失望するでございましょう、非常な張りを失うわけでございます。また内部事情はともかくといたしまして、やはり見られないということはどこかに欠陥があるんではないかと思いますので、そういうような意味合いにおける視聴率として、私はこれは尊重すべきものと考えております。したがって全然視聴率はなくても独自にいいものだと思うものを出せばいいんだと、こういうような姿勢ではいけないので、やはり視聴率のみにあくせくする状態は好ましくないと思いますけれども、ある程度の視聴率を得るようないいものを出す、みんなに喜んで見てもらえるような番組を出す、そういう結果として視聴率が上がることは、これは大いに心しなきゃならない点ではないかと、かように考えます。
  70. 青島幸男

    ○青島幸男君 ですから、その辺なんですけれどもね、問題は。視聴率が上がるということがNHKで独自でお調べになる視聴率調査の中でなら結構なんですけれども、先ほどるる申し上げましたように、民放を主体とした視聴率調査のあり方というものはどだいNHKには参考たり得ぬものなんだと、しかし、NHKの担当者もあすこに出ておりますからね、NHKの部分も。ですから、どうしても参考にせざるを得ないだろうと、しかし、あれは民放のあり方としては多少指針になる部分があるかもしれない、しかしNHKの考え方とは相反するものがむしろ載っているのではなかろうか。  その点を、あの民間で出ておりますニールセンとかビデオ・リサーチなどの評価をNHKが採用する、あるいはあれを指針にするというようなことがもしあれば、それはきわめて基本的な間違いになりやしないだろうかということを申し上げているわけです。
  71. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) 同感でございます。
  72. 青島幸男

    ○青島幸男君 それが不払いにもつながったりするのだと思いますけれどもNHKも大変御苦労なさりながら一般の方々の御意見をどう反映したらいいかということに配慮なさっていると思います。  しかし、いまのお話ですと、三千六百、年二回ということですね、これで果たして全員の動向がつかめるだろうか。あるいは電話あるいははがきによる問い合わせなんかに応じるようにしておると、窓口も開いておるんだということですけれども、私も民放に関係しておりますけれども、大変貴重な御意見もありますけれども、中には大変ヒステリックなことも多いわけですね。特に電話で番組を終了したすぐ後にかかってくるというような御意見は多分にそういうものが多くて、どこまで取り合っていいかわからないというふうな部分まであるわけですけれども、しかし、そういうことを一つ一つ拾っていって、国民のすべての方々に納得がいくということ、つまり優等生的でだれにでも納得がいくということではなくて、なるほどこういう見解もあるのかということに触発される知的なイメージの上昇とかということを率先取り上げていくというふうな大胆さが本当に国民の支持を得ることになるし、それが不払いを抹消することにもつながっていくというふうな気がしますし、その件で先ほど申し上げました民間の視聴率調査の表を云々してディレクターを更送したり、あるいは番組をしり切れトンボにしてしまうというようなことがないようにということをひとつ御要望を申し上げます。  それからもう一つ、勇気をもって事に当たってほしいということですね。個々の番組について。その公正中立ということをどこでおとらえになるかということを深く御銘記になりまして番組制作なんかにも当たってほしいということと、そういうかっこうで実際に番組制作なんかに当たっている方たちにも勇気を持って事に当たることが民主主義を守ることなんだということの使命感をひとつ十分に徹底させていただいて、国民の一人一人の視聴者がなるほどこれならNHKに金払っても惜しくないというようなものにしていくように御努力いただきたいということを重ねて御要望申し上げまして、時間も来たようですので、私の質問を終わります。     —————————————
  73. 竹田現照

    委員長竹田現照君) 委員異動について御報告いたします。  迫水久常君が委員辞任され、その補欠として宮田輝君が選任されました。     —————————————
  74. 竹田現照

    委員長竹田現照君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  75. 竹田現照

    委員長竹田現照君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。——別に御発言もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  76. 竹田現照

    委員長竹田現照君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  日本放送協会昭和四十七年度財産目録貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書につきましては、これを是認すべきものと議決することに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  77. 竹田現照

    委員長竹田現照君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって是認すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  78. 竹田現照

    委員長竹田現照君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  午前の審査はこの程度にとどめ、午後一時より再開いたすこととして、休憩いたします。    午前十一時五十三分休憩      —————・—————    午後一時七分開会
  79. 竹田現照

    委員長竹田現照君) ただいまから逓信委員会を再開いたします。  郵便法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言願います。
  80. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 郵便法の改正、料金値上げについて若干質問をいたしたいと思います。  最初に、先七十五国会でかなり論及をいたしましたし、反対運動も大変に起こってまいりましたし、恐らくこの法案に賛成という方は見当たることができなかったように思います。特に、大体、普通の法案ですと、自民党の皆さんも賛成のいろんな質問をされたりするのでありますが、さすがに自民党の議員の先生方もこの法案には余り賛成でないと見えて(「いやいや、とんでもない」と呼ぶ者あり)積極的発言もなかったように存じます。さらにまた中央、地方の公聴会も開きましたが、自民党御推薦の参考人の方々も積極的な賛成の発言もなかったように思っております。むしろそれぞれ修正等の意見も出たように思います。もちろん野党の先生方の質問を通じての御意見の御開陳、ないしは公聴会における多くの公述者の御意見はそれぞれ反対でございました。  私どもの手元にもそれこそ無数の反対のための請願書、陳情書が参っております。私も、長いとは言えませんけれども、議員生活を通じて、こんなに一つの法案に集中的に反対の議論の多い法案には余り接しておりません。そのことがあり、七十五国会でかなりの審議をした結果、政府の意思とは反しまして、廃案という憂き目を見たと思うのであります。当然と思います。したがって七十六臨時国会には恐らくこの法案は出てこないものと思っておりましたら、案に違って、全く七十五国会で廃案になった法案そのものがそっくりそのまま出てまいりました。実は、あっと驚いたわけであります。これは私だけじゃありません。  恐らくまあ、これは政府としてはやむにやまれずお出しになるとしても、あれだけの前国会における国民挙げての反対を幾らか勘案されて、何かこう良心的な反省なり、または何かあってしかるべきだと思ったんですが、いま言ったように案に相違して出てきた。郵政大臣は担当大臣としてお気持ちはわからぬこともありませんけれども、われわれ反対の意見をやはり体して、この法案を何としても国民の趣旨に沿ってと思っておる者にとって心外でございます。  いま申しますようないわゆる国民総反撃の中で前国会で廃案になったこの法案をそのままそっくりお出しになったことについて、やはり賢明にして私ども尊敬する郵政大臣から、あなたの御所見を冒頭に承らぬことには質問に入れませんので、ひとつこれに対して懇切丁寧に国民にはっきりこう落ち込むような御答弁をお願いしたいと、こう思うんであります。
  81. 村上勇

    ○国務大臣(村上勇君) 郵便法改正案は、前国会におきまして慎重に御審議をいただき、衆議院におきましてはすでに可決されまして、参議院におきましても長時間にわたって御審議をいただいたところでありますが、残念ながら審議未了となった次第であります。  郵便事業財政につきましては、御承知のように、すでに四十九年度末におきまして約一千二百五十億円という膨大な赤字を生じておりますし、このまま推移いたしますと本年度はさらに大幅な赤字が見込まれます。五十一年度には実に七千億円という巨額な赤字が累積されることが予想されまして、郵便業務の基盤が損なわれるという憂慮すべき事態に立ち至っておる次第であります。  このように窮迫した郵便事業財政を立て直し、国民の基礎的な通信手段である郵便サービスを確保していくためには、何としてもこの法案を再び御審議をいただかなければならないことに相なった次第であります。しかも郵便利用の八割までが業務用であるという実態から見ましても、利用者負担による郵便料金改定が公平であり、かつ適当であると考えましたので、再び郵便法改正案の御審議をお願いするに至ったものであります。
  82. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 大臣の御答弁とすれば、そういうことになろうかと思いますけれども、私が指摘しましたのは、それはそれとして国民が現在の物価状態、経済状態、そして国民生活の上からやはりかなりの負担がふえること、公共料金の値上げということが一般の物価にいわゆる悪影響を与えるということで、具体的に郵便料金の値上げが、郵政省が表をつくってお示しになっているように、家庭経済に与える影響が少ないとは言いながら、私どもが常々指摘しているように、何と言っても公共料金の値上げは一般物価の高騰にいろんな意味で影響する。特に政府は物価を抑える抑えると言いながら、やはり具体的には上がっておる。そういう観点から、国民の生活に直接与える影響よりも、間接的に与える影響というのが非常に大きい、したがってできるだけ公共料金の値上げは抑えるべきだ、これは基本的なことでございます。  いま特に私がこれらの言葉で申し上げたように、そういう意味で国民が非常に反対をしている。反対をしているということは前国会の審議を通じて政府としても十二分にお感じだと思う。したがって、どうしてもそういった法案を出さなくちゃならぬという立場はあるとしても、あれだけ国民がやはりこの法案に対して反対をし、できればこれはもうそのまま葬り去ってもらいたいという要望があったのでありますから、そういったものを幾らかでも踏まえて、七十五国会にお出しになった法案とこの国会にお出しになる法案が、何としても、大臣もおっしゃるように、どうしても出さなきゃならぬということがあったとしても、そこに何らかの変化があってしかるべきじゃないかと、こう私は思うわけです。恐らく全国民もそう思っていると思う。ここにいらっしゃる自民党の先生方も恐らくそうお思いだと思うのです、賢明な方々でありますから。  にもかかわらず、そういったことになったということはどうも私納得がいかないのですが、この点に対して、大臣、ひとつ虚心坦懐に、あなたのやはり長い先輩政治家として、日本の政治はかくあるべきだということをお持ちな先輩ですから、先輩という立場で一言端的に、いま言ったことに対する所見をお伺いできたら幸いだと思うのですが、いかがでしょう。
  83. 村上勇

    ○国務大臣(村上勇君) 前国会のものをそのまま提案しているということについて、国民がすべて反対しているから、何とか考え方があるんじゃないかというような御意見のようでありますが、私どもとしては、国の経済あるいは景気、あらゆるものが、あるいは賃金、物価等が何らこの法案を前国会に提出いたしました当時と変わっていないんでございます。したがって、これをまける。——まけると申しますか、私どもの計算の上から改定して出すというようなことが不可能でありまして、やはり前国会提案した法案同様のものが出ましたところに、私どもがいかにまじめに前国会に提案したこの郵便法審議されておったかということの証左にもなると思います。決して、もう少しでも削られるところがあれば削って、そうして再提出するはずでありますけれども、それができないところに、この郵便事業の基盤確立のためにはどうしてもこれだけの御要求、御要望をしなければならないということを御了察いただきたいと思います。
  84. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 もっと突っ込んでお尋ねします。  まあそうですね、答えがわかったような気もしますけれども、七十五国会にもずいぶん来ました。先ほど言ったように、反対あるいはいろんなその他の意見もありました、たくさん来てます。この国会にも、ここに一部持ってまいりましたが、たくさん来ている。みんな反対であります。それこそ零細な人たちからも来ている。  そうなりますとですね、これはひとつ私としては、こういう人たちのやはり全国民の気持ちを代表して、郵政大臣、乾坤一番、この辺で大英断をふるって、三木内閣があるいは吹っ飛ぶかもしれぬけれども、それをひとつあえて乗り越えて、この法案を撤回するというぐらいな御英断があったら、これはまことに私はすばらしい政治だと思うんでありますが、どうですかね、ひとつ何かその辺のさわりは何とか大臣ね、これひとつもうやめちゃうと、すぐに撤回すると、こういった答えは出てきませんかね、これは。私はすばらしいと思うんですがね、いかがでしょう。
  85. 村上勇

    ○国務大臣(村上勇君) これはもう内閣の運命とかあるいは私個人の立場とか、そういうようなものは毛頭考えておりません。  ここにこうして第一種五十円、第二種は二十円というのも、この郵政審議会において出たその結論よりも、まあ非常に利用者の多いはがきを何とかして苦しいだろうけれども、企業努力と申しますか、みんなひとつより以上に働いて、これを二十円にしておこうじゃないかというような悲壮な決意で、こういうようなことになっておりまして、私はその内閣とか、あるいは郵政大臣がどうなろうが、そんなことは考えておりません。ほんとに真剣にこれだけのことをしておかなければ、せっかくの国民に対する郵便事業のサービスというようなものが、これはだれが大臣やろうが、だれが総理大臣になろうが、それが間違った方向に行くようになることを恐れております。どうぞひとつそういうおつもりで、先生が内閣をあれされても、私のやるようなこと以外はできないんじゃないかと、私はこう思っております。
  86. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 内閣ができましたら、これはもう私は絶対そういうことはいたしません。これは断言します。郵便料金などは絶対上げることはいたしませんが、これはちょっと総理になれそうもありませんから、この点は別でありますが。  そこでですね、これをいつまで言っても切りもございませんから質問を展開しますが、大臣もいまおっしゃったように四十九年で千二百五十億円の赤字、五十一年になると七千億もということをおっしゃっておるんですが、これは経理局長でも郵務局長でもいいですが、こういう赤字の出る原因、いろんな話が出てましたが、具体的にどういうところでどういう赤字、どういうことでどういう赤字という具体的に赤字を分析してもらいたい。ただ単に全般的な赤字がこれだけだといっても、ぴんとこない。それじゃどういうことでこういう赤字が出てくるのか、どういうことでこういう赤字が出てくるのか、赤字のことを具体的に説明してもらいたい。それをただあんた何十億、何百億とおっしゃっても、これは国民にはぴんときませんよ。赤字の出る原因を具体的に御説明を願いたいと思います。
  87. 高仲優

    政府委員(高仲優君) 赤字の出ます具体的な説明ということでございますが、大変むずかしい御質問でございます。また大変大きい問題でございます。  また、これを概念的に申し上げますと、収入面において見ますると、収入はもちろん郵便物数の消長によって増減があるわけでございますが、郵便物数の伸びというものは、これは当然のことながら限られておりますし、年率それほど高いものではございません。また今度は支出の方について見ますと、これは先生御承知のとおり、支出の大部分を占めますものは人件費でございます。この人件費の動きというものは、これは何と申しますか、経済社会の進歩発展に伴いまして、いままでの現状を見ますると、相当毎年大幅に上がっております。収入の伸び、そのもとになります物数の伸びに比較いたしまして、人件費の伸びというものは非常に高うございます。したがいまして、ある一時点をとりまして、収支均衡ということになりましても、人件費の伸びが物数、あるいは収入と申してもよろしゅうございますが、収入の伸びを大幅に上回るということになりますと、当然赤字が出てまいるわけでございます。  当然のことながら郵政当局といたしましては、人件費の効率的な使用方、あるいは労働の効率が上がるように、効率が上がると申しましてもただ単に労働を強化するという意味ではございませんで、施設を整備し能率が上がるようにということは当然考えてきておるところでございますが、残念ながら最近の状況におきましては、人件費の上がり方が物数あるいは収入の上がり方をはるかに上回る状況にございました。そうした点から赤字が累積してきておるというのが実情でございます。概括的に赤字の出てくる主な原因について申し上げますと、以上のとおりでございます。
  88. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 郵便事業で人力による作業と、一部機械化をしたようですが、機械化との比率はいまどうなっていますか、現時点で。郵便局における機械化と人的比率。
  89. 廣瀬弘

    政府委員(廣瀬弘君) 御承知のように郵便事業を機械化と申しましても、きわめて限られた部分の機械化しかできないのが事業の性質上当然のことでございます。ことに郵便は配達部門、これはすべて人力によらざるを得ません。したがいまして、これは機械化と申しましても、バイクを使うとか、あるいは四輪車を使うとかという機動化ということが行われるにすぎませんので、これにつきましては機械化と申していいかどうか問題がございますが、内務作業につきましては、先生御承知のように、たとえば郵便自動区分機であるとかあるいは自動取揃押印機、こういうようなものを人力を省力化するというようなことのために導入をいたしておるわけでございますけれども、これとてもきわめて限られた、非常に物数の多い大局において効率を発揮するものでございますので、一般的に、全国的に見ますと、きわめて限られた局の機械化ということにならざるを得ないと思います。したがいまして、先ほど経理局長が申しましたように、郵政事業の大半は人件費であるというふうに私ども考えております。  予算上の科目で申しますと、郵便事業におきます人件費の比率は七〇%でございますけれども、物件費の中で、たとえば賃金だとかあるいは運送等の委託費、請負費でございます、こういったものを含めますと、全体で九割が人件費相当額ということになります。残りの物件費もそういった意味合いで機械化の占める部分はきわめてわずかで、パーセンテージとして特に申し上げるような率には上がっておりません。
  90. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 これはちょっと余り詳しくないのでお伺いするんですが、貯金局長、あなたのところの貯金局には何人従業員いるの。——それじゃ保険局長、おたくは何人。
  91. 中市彩也

    政府委員(中市彩也君) 申し上げます。  保険事業の定員でございますが、昭和五十年度の保険事業の定員は合計四万六千百六名でございます。
  92. 神山文男

    政府委員(神山文男君) お答え申し上げます。  四十九年度の予算人員でございますが、四万三千四百十七名でございます。
  93. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 これは、経理局長、この人たちの給与も、いわゆる郵政省の給料から、この人たちの給料はこれは貯金、保険それぞれの分野で賄っているの。ここのところどうなってるの。
  94. 高仲優

    政府委員(高仲優君) 貯金業務に要します経費、これは人件費、物件費を合わせてでございますが、これは郵便貯金特別会計から所要額を繰り入れております。同様、簡易生命保険事業に要する経費につきましては簡易生命保険及郵便年金特別会計から所要額を繰り入れております。  なお、特定局におきまして、電気通信の委託業務を取り扱っておりますが、これに要しまする経費は日本電信電話公社から繰り入れを行っております。  なお、それぞれの業務に必要な経費と申しますのは、その事業直接に携わる人間の分と、それから共通的な経費、すなわち特定郵便局長であるとか普通郵便局長であるとか、こうした共通的な部門に要する経費の分担割り、それから本省、地方郵政局等管理部門に要する経費の分担割り、これもそれぞれ本属会計から繰り入れをいたしております。  支出の経費の収入の状況は大略以上のとおりでございます。
  95. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 この郵便料金の改定が出てくるその費用からは、貯金局や保険局には行っていないわけ、行っているわけ、この点どうなんですか。いまのあなたの説明だとわからないんだよな。
  96. 高仲優

    政府委員(高仲優君) 郵便の赤字と申し上げますのは、郵便業務の運営に要する経費と郵便業務が分担すべき総掛かり経費の分担割り、ここから由来するものでございまして、貯金、保険、電気通信業務につきましては、それぞれ必要な金額をもとの会計から繰り入れておりまして、ここの部面においては赤字は出ておりません。
  97. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 人事局長、郵便業務に携わっている人間——色分けを言うと保険局何人はいま聞いたが、郵便の関係に携わっている現在の従業員の数は幾ら。
  98. 浅尾宏

    政府委員(浅尾宏君) 郵便事業に携わっておる職員の数でございますが、十三万四千三百八十七人、こういう数字でございます。
  99. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 そうすると、経理局長ね、この給与改定でふえているとおっしゃったのは、十三万四千人の分のことですね。あとのこのいわゆる貯金や保険は別とすれば、結局、十三万四千の郵便関係の人たちに対するもの、これがいわゆるいまずっとふえて困っていると、こうおっしゃるんですね。
  100. 高仲優

    政府委員(高仲優君) 先生仰せのとおり、十三万四千の郵便業務に直接携わる人間のための経費と、それから郵便業務が分担しております管理共通的な業務に携わる人間の分担割りの分、これが赤字のもとになっておる次第でございます。
  101. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 いまベース幾ら、この人たちのベースは。
  102. 浅尾宏

    政府委員(浅尾宏君) 五十年度で申しますと、郵政事業全体と申しますのは……
  103. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 郵便関係で出したもの。
  104. 浅尾宏

    政府委員(浅尾宏君) 郵便関係だけは出しておりませんが、ほぼこれに近いものと思いますが、全体の数字で申し上げますと、五十年度で十三万六千四百六十五円、こういう数字になります。
  105. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 これは貯金局や保険局も大体そんなものですかな。格差はないか、郵便と保険、貯金、そのベースに格差はないか。
  106. 神山文男

    政府委員(神山文男君) ただいま為替貯金の従業員だけのベースというものは取ってございませんが、ただいま人事局長が申し上げた平均ベース、これにほぼ近いのではないかというふうに考えておりますが、具体的には年齢構成とか勤続年数、そのときによって若干の変動はあろうかと思いますが、ほぼ全体のベース、これと考えてよろしいと考えております。
  107. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 人事局長ね、いま大体のべースで郵便関係、保険それから貯金と余り差はないと見ていいですか、いかがですか。そういった郵政の中にいろいろな部門があって、その部門ごとにやはりベースに差があるということは、これはやっぱり人事局としていけないと思うのだが、そこで、それは労働の仕組み等いろいろ変わっておりますから、それは若干はあるでしょう。大体、全郵政の中でそう大した差はないと判断していいですか。
  108. 浅尾宏

    政府委員(浅尾宏君) いま先生おっしゃいますように、そう大きな開きはなかろうかと考えておりますが、ただ貯金、保険等は、特に保険の外務員などは平均年齢がわりと高うございます。そういう意味からいたしまして高いのではなかろうか。それも十三万六千が十四万とか十五万になるかとおっしゃると、そんなにはいっていないのではなかろうかと、かようにいま数字を持っておりませんが、大体そんな感じでございます。
  109. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 十三万四千人ですが、ベースアップがあるたんびに何千億と差ができますかな。これは計は全部計算ちょっとできませんからあれですが、四十九年で千二百五十億まででしょう。ベースば去年でしたか、七四春闘はかなり上がりましたけれども、十三万ぐらいの人数であのくらいのベースアップでは、そんなにこれは、まあちょっと計算がこっちもできませんからわかりませんが、そんなに差が出ますかな。しかもさらにことしなんかずいぶん低いでしょう、低かったですね。それにもかかわらず何か五十一年は七千億も出るとか、そんなあんた労働者の賃金がそんなに上がっているとは思わぬのだがな。どうしてそんなに莫大な赤字が出るのか。郵便の量が余りふえぬとおっしゃるが、それはそれとしても、あのくらいの、たとえばことしなんか一〇%前後でしょう。それくらいの賃上げでそんな莫大な赤字が出るというのは、ちょっといま具体的にこういうわけだとは私も指摘できませんが、ちょっとわかりかねるのですが、そういう説明はできますか、ひとつできたら。
  110. 高仲優

    政府委員(高仲優君) 単年度ごとに見ますれば、先生おっしゃいましたように、たとえば四十九年に対して五十年は一四・三%のアップしかない、これはまことに事実でございます。  しかしながら、長いトレンドで見ました場合、たとえば昭和四十一年は職員給与ベース、郵政事業全体で三万八千三百十九円でございます。これを一〇〇といたしますと、昭和五十年度の、ただいま人事局長が申し上げました十三万六千四百六十五円というふうに、指数にいたしまして三五六でございます、三・五六倍に相なります。それから、たとえば昭和四十五年は、しからば四十一年を一〇〇として幾ばくに相なっておるかと申し上げますと、昭和四十五年度が一六一でございます。この一六一が五十年度では三五六という数字になる、つまり倍以上になるわけでございます、そこをとりましても。先ほど申し上げましたように郵便事業の経費の大部分を占めるものは人件費、しかも人件費に準ずるものを加えますと、郵務局長が御説明申し上げましたように、ほとんど九割になろうとしておる。この部分が、いま申し上げましたように、四十一年度に対して五十年度は三五六、四十五年度はそれに対して一六一でございますから、四十五に対して五十はやはり倍以上になるといった実情にございます。  そうした点から郵便事業の赤字がはなはだ大きい、また経営が非常に苦しいという点を御了察いただきたいと存ずる次第でございます。
  111. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 すると、あんたたち数字を並べておっしゃるんだが、それは三〇〇と言や大変なことだけれども、どうもやっぱり私が頭が悪いのかしらぬけれども、ぴんとこないんだな。  そこで、郵務局長、いま人件費を経理局長四十一年を基礎に話したんだが、今度はあなたの方の郵便の収入、扱う量、これが四十一年と比較して五十年はどうなっているか、そのパーセンテージを見せてください。
  112. 廣瀬弘

    政府委員(廣瀬弘君) ただいま収入は手元にございませんが、物数の伸びで大体伸びを御推察願いたいと思いますが、たとえば先生御指摘の四十一年ごろから申し上げますと、大体指数にいたしまして、三十九年度を一〇〇として四十一年度が一〇九という数字になっておりまして、その後、一一一、一一六、一二三、一三〇、一三六、一三九、一四六、四十九年度で一五五ということでございまして、大体三十九年度から四十年度ごろに比べまして五割ばかりの増ということに相なっております。  それから総収入の面でまいりますと、これはちょっと時点が違っておりますが、たとえば四十一年度で千五百五十六億、四十二年度で千七百三十一億、四十三年度で千八百五十九億、四十四年度で二千二十二億、四十五年度で二千百九十六億、四十六年度で二千七百四十一億、四十七年度三千三百二十億、四十八年度三千四百九十億、四十九年度で三千七百九十億と、こういうことでございまして、これを年々伸びを見てみますと、これは年によって非常に差がございますけれども、いまの数字を前年比で申し上げますと、大体七%ないし六%か五%、したがいまして五%、六%、七%、そのようなところで推移いたしております。
  113. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 人事局長、郵便関係の十三万四千三百何人かの人件費、これは十三万六千円のベースで一年間の人件費を計算してください、大至急。一年間の人件費。  経理局長、質問の要項だけではないのだから、質問するのは。いろんなこと質問する。こんなこと覚えておかなくちゃだめだよ。質問の要項だけ答弁すればいいというわけにいかぬのだから、いろいろなことを聞かなけりゃならない。このぐらいのことはちゃんと調べておかなくちゃ。
  114. 高仲優

    政府委員(高仲優君) 郵便業務費の人件費の総体の頭をお尋ねと存じますが、それについて申し上げますと、これは昭和四十九年度の数字で申し上げますが、人件費で三千三百六十二億六千百万円というのが四十九年度の郵便業務費の人件費の頭でございます。  なお、五十年度の予算につきまして、ただいま補正後の数字をちょっと持っておらないのでございますが、補正前の数字でいきまして三千六百十九億七千二百万円というのが郵便業務費の人件費の頭の数字になっております。
  115. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 そうなりますと、先ほど廣瀬郵務局長の話を聞くと、四十九年度の収入が三千七百九十億だったかな、人件費は約三千三百億、これじゃあなた黒字じゃないか、これ見た限りじゃ、人件費については。どうしてあなた千二百億も赤字出るの。これは単純な計算ですね。  あなた方さっきから、七十五国会から人件費が高いのだ、高いとおっしゃっておる。ところが、いまこれを聞いたら郵便関係の従業員が十三万四千、ベースが十三万六千円、これは単純な計算で、いまあなたが答弁した四十九年が約三千三百億、五十年が三千六百億、郵便収入が三千七百何ぼあるなんて、これは赤字じゃない、黒字じゃないの。どうしてあとの千二百五十億という赤字はどっから出てきたか、これはどうも納得できない。
  116. 高仲優

    政府委員(高仲優君) ただいま御説明申し上げました数字は、郵便業務費、すなわち直接費についてのみ申し上げたのでございまして、郵便業務全体の収支を見まする上につきましては、間接費の部分を乗せないと数字が出てまいらないような実情でございます。
  117. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 いや、だから経理局長、あのね、先国会からおっしゃることは人件費が高い高い高いとおっしゃっているんだ。いかにも郵便の赤字は全逓信労働者の賃金が高いから、上がるから赤字になってることを誇張されていたわけだ、ずっとな。そこで、私は素人ですから細かいことはわからぬけれども、いま大ざっぱに聞いたら、こういうことでしょう。間接費とおっしゃっても——間接費は人件費じゃないでしょう。間接費が上がったんで赤字になったとしたらまた話はわかるけれども、答弁が終始一貫人件費、しかも九〇%は人件費だとおっしゃっている。人件費が高い高いとおっしゃっているからぼくは聞いているわけだ。  これは先ほど言ったように、あなた方にお示しした質問要項とは違っておる。違っておるけれども、違ったことを質問してはいかぬというわけじゃないんだから、これは委員会だから。それはあんたいろんなことが出てくるんだ。先ほどから質問をしてくると、どうしてもそこへいくわけだから、あなた方には御迷惑かもしらぬけれども、質問通告をしていないものがどんどん出てくるわけだ。あなた方がはっきりおっしゃれば、もうこんなことはしないでちゃんとこれはレールに乗っていくんだけれども、レールに乗るのにまたいろいろあるわけだ。
  118. 竹田現照

    委員長竹田現照君) ちゃんとわかりやすく、そこにあるはずだから説明してください。
  119. 廣瀬弘

    政府委員(廣瀬弘君) 私どもの答弁が説明不足でございまして御迷惑をかけておりますが、先ほどの収支の問題、もう少し細かく御説明申し上げたいと思います。  郵便業務収入と申しましたのは、実は、郵便の中では私ども技術的に郵便業務収入のほかにいろんな雑収入というようなものがございまして、そういうものを含めますと、先ほど三千七百九十二億と申しましたものは、郵便事業全体としての収入ということになりますと四千百八十三億ということに相なります。したがいまして収入額は郵便事業全体としては四千百八十三億というふうに御認識を願いたいと思います。そこの中で直接事業で入ってまいります経費が三千七百九十二億というふうに御理解願いたいと思います。  そのうち、郵便事業の支出をとってみますと、支出総額は五千四百三十億に達しております。ここの中でいわゆる人件費でございますが、これは四千三十九億に達しております。それ以外の物件費が千三百九十一億でございますので、この収入と支出の関係を見てみますと、差額が千二百四十七億と、先ほど大臣が申し上げましたような千二百五十億の赤字を四十九年度で生じておるということでございます。  これは実は先ほど郵便の人件費の直接費でお答えいたしたかと思いますけれども、郵便事業を考えます場合には、管理共通費、郵便に関するその他の経費を含めてまいらないと、全体の人件費の支出にはならないわけでございます。それを全部含めますと人件費は四千三十九億という数字になりますので、郵便業務収入をもってしてもなおかつ人件費を賄い切れないというような計数になるわけでございます。
  120. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 私がお聞きしているのは、まあいろいろ専門家はそれを御承知なんだ、内容もね。で私が聞くことは一般国民のレベルで聞いているわけだ、郵便のことは内容は知らないんだからね。したがって、わざわざここへ来てお聞きするのは、私の質問が一般の国民のいわゆる疑念であり、不明な点をお聞きするんだからこれは聞いている。そこで、冒頭言ったように、こういう人件費ということがそうなんだ。  で、そうなれば、その直接的な郵便業務に従事する人たちの人件費が三千三百億ないし三千六百億ならば、そのほかに間接費がいろんなものがかかっているとすれば、私は、管理費その他というものは、それこそいわゆる郵便料金で賄うんじゃなくて、一般会計から——だって自治省にしても外務省にしても農林省にしても、農林省の費用をお役所が取っているわけじゃない、これはみんな税金から出している、そうでしょう。郵政省だって、郵便に直接関係ない経費は私はこれは一般会計から負担すべきものじゃないか。いま、経理局長郵政省は一般会計から幾らか金が来ていますか、現在、現時点で。どうです。
  121. 高仲優

    政府委員(高仲優君) 郵政省は一般会計から金を申し受けているかというお尋ねでございますが、一般会計所属でございます電波監理、電気通信監理の関係につきましては当然のことながら一般会計支弁でございますが、特別会計の部面につきましては一般会計からの繰り入れといったものは受けてはおりません。もちろん、たとえば収入印紙の取り扱いに要する経費として歩合は申し受けておりますが、いわゆる赤字繰り入れ、あるいは特定の事業分野全体についての補助あるいは負担金といったたぐいでの繰入金は受けておりません。
  122. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 郵政大臣、私はいま申しますように、まあ郵便関係の直接の費用は、これはまあ百歩譲って特別会計ですから郵便料金の分野で賄ってもこれはやむを得ぬと思うんですが、いまお聞きのように、いわゆる直接の費用のほかに、かなりの間接費と申しますか、管理費その他がありますね。こういうものは、私はこれは幾ら特別会計であっても国の一つのやっぱり仕事でありますから、自治省とか農林省とかそういうところみたいに全額をとは言いませんけれども、とにかくその間接費とか管理費に属するものはこれは当然一般会計から私はこれは支出すべきものじゃないかと、こう思うわけです。これはいまの支出面ではなっていませんね。  これが私できますと、こんなに郵便料金を、まあたびたび申し上げるように、皆さん方は金額にすれば大したことはないと言うかもしらぬ。これは二倍とか三倍とかあるいは五倍とかという倍率が大きいものですから、やはり国民に与える感じ方が非常に強いんですよね。これは一〇%とか五%でなくて倍も上がる。絶対的な金額はまあ十円か二十円ということですか、そうなるにしても、いわゆる倍率にすると倍とかになりますね、二倍とか。したがって、そうでなくて、いま言ったように間接費等を一般会計が負担するということになれば、私はかなりこれが減額されるんじゃないかと、こう思うわけです。  まあいまの時点では、これはいろんな法関係もありましょうからすぐにはできぬとしても、長い将来郵便業務がこのままでいくとすれば、これはやはり私はかなりこの時点で根本的な対策を立てて、抜本的なひとつ何か処置をしなければならぬと思うんです。でないと何年か置きに毎回こういったことを繰り返していかなくちゃならぬ。となりますと、私は非常に残念でならぬし、まあ政治の貧困ということにもなります。したがって、端的にお伺いしますが、そういったいま私が指摘したような間接費なり管理費といったものを一般会計から支出するということに対して、郵政大臣はいかがなお考えをお持ちでございましょうか、ちょっとお聞かせいただきたい。
  123. 村上勇

    ○国務大臣(村上勇君) なかなか先生のお考えも傾聴に値する御議論であります。しかし、これは郵便事業というものが本当の独立した事業会計である。また保険事業にしても貯金事業にしても皆それぞれ独立した会計であって、それでやっておる今日ですから、これを一般会計からということになりますと、結局、国民の税金の中からその原資を求めなけりゃならぬ。私どもはやはり利用者負担というこの原則を変えておりませんので、このいまの段階ではこれは一般会計からというわけにいきません。  それから、先ほど来いろいろ私も素人ですけれども、じっと伺っておりますが、郵便事業の郵政省を本社とします、これを民間企業に当てはめてみますと、各郵便局は支店であるし出張所である。郵政局はその九州の総支店であるというように解釈してきますと、そこに働く者も、郵便事業に携わる者は、直接郵便局の窓口で働いておる人と同じように、やはり事業が負担をしなければならぬ。事業としてはそれをいわゆる間接費という形で払ってもらわなければ独立会計は成り立たないのでありまして、まあ銀行で、銀行の支店と本店の窓口で働いている者だけを、それを計算に入れたんでは銀行の経営というものは成り立たないと同じように、やはり頭取もあるいは重役もみんなその中に入れて計算するということが健全な経営あり方だと、こういうふうに解釈しますと、いま郵便事業が独立採算制をとっておる今日ですから、やはり諸掛かりというものは、それぞれ保険にもそれから郵便事業にも、また貯金事業にも割り振って間接費を負担さすということになりますので、いまの一般会計のお話は傾聴に値しますが、なかなか長年やってどの大臣も大蔵省とも交渉したでありましょうが、やはり利用者負担の原則を崩さないとすれば、やはり一般会計でこれらの事業の助成をさすということは、私は、いまの段階ではどうかと思います。  そういうことでありまして、ひとつこの点はすでにもう論議し尽くされておることでありまして、私もこれ以上の御答弁はできませんが、先生の御意見は十分傾聴に値することでありますので、これから勉強さしていただきたいと思います。どうどひとつよろしくお願いします。
  124. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 大臣ずるいよ、質問者を持ち上げておいて、何か結論はあまり期待したことが出ないというのは。  まあ、それはそれとして、経理局長、これはちょっと素朴な質問だが、郵政大臣の給料はどこから出ているのですか。
  125. 高仲優

    政府委員(高仲優君) 一般会計支弁でございます。
  126. 村上勇

    ○国務大臣(村上勇君) そうかね、国会じゃない。
  127. 高仲優

    政府委員(高仲優君) いや一般会計です。
  128. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 大臣も知らないんです、本人も知らないんだからね。  それでね、大臣だけ——政務次官もそうか。あと事務次官の給与はどうなっているんですか。
  129. 高仲優

    政府委員(高仲優君) 事務次官につきましては特別会計支弁でございまして、一般会計支弁は大臣、政務次官、秘書官、このように相なっております。なお電波監理局長以下電波監理局関係職員及び電気通信監理官及び電気通信監理官室職員は一般会計支弁でございます。——失礼いたしました、事務次官は一般会計でございます。
  130. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 大体わかったですがね、そういう何かちょっとしたことがわからぬことがあるわけなんです。  私の意見意見として、冒頭言ったように、決してこれがいますぐできるとは思わぬけれども、とにかく郵便事業というものもこの辺でやはり相当思い切った検討を加える必要があろうと思うんであります。  いわゆる質問通告事項外に関する質問は大体この辺で一応終わりまして、これからいよいよ本論にというか、お知らせ申し上げた質問に入りたいと思っております。  いまも私が申しましたように、郵便事業もそろそろ根本的な対策を立てる必要があるということでありますが、郵政省は、昨年、「郵便の将来展望に関する調査会」というのを設置されました。この問題について調査研究中ということでありますけれども、調査会における現在までの調査経過及びその結論がいつごろ出るのか、見通しについてひとつ御説明をお願いします。
  131. 廣瀬弘

    政府委員(廣瀬弘君) この「郵便の将来展望に関する調査会」につきましては、昨年六月、発足いたしたわけでございまして、この調査会には部外の各分野の専門家の参画を得ておるわけでございます。  そこで、その内容は、今後におきます郵便のあるべき姿ということにつきまして、総合的に調査研究するというのが目的でございます。そして「郵便の将来展望に関する調査会」という名前になっておるわけでございますが、昭和四十九年度におきましては、いわば基礎的な調査研究ということを行っておりまして、本年三月におきましていわゆる中間報告というものが行われております。これは先生御承知かと存じます。その後、その調査会は引き続いて調査研究をしていただいておるわけでございまして、本年は、調査会がすでに四回、これは全体会議でございます、これが四回行われておりまして、六つの作業部会がございますが、その作業部会はそれぞれ月に二ないし三回程度開催されております。  そこで、その取りまとめにつきましては、いまそういったわけで各ワーキンググループがそれぞれのことを専門的に分担して研究いたしておる最中でございますので、それの取りまとめにはなお若干の時日を要するものではないかというふうに私どもは考えております。
  132. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 それはちょっとばかり失礼ですが、委員はどんな連中なんですか。
  133. 廣瀬弘

    政府委員(廣瀬弘君) 座長といたしましては東京工業大学の教授でございます林雄二郎先生をお願いいたしておりまして、主に学者の方が多いわけでございます。たとえば埼玉大学の助教授、日本女子大の文学部教授あるいは電気通信総合研究所の研究部長とかあるいは東京大学法学部教授、経済学部助教授、こういった方々が十数人集まっていただいておるわけでございまして、主にこれは若手の研究家を中心に郵便の事業に関する基本的な基礎的な研究に取り組んでいただいておるわけでございます。
  134. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 学者先生もいいんですがね、ちょっとやっぱり世事にうとい点があるんですよ。郵便なんというものは、まあ学術的に割り出すものでもないと思うんですね。しかも先ほどおっしゃるように人がみんなやることですからね。もちろんそれは必要ないとは言いませんよ。もっとこれは委員を考えて世事にたけたというとおかしいが、もっと下々のことが生活的にわかるような人が入らぬと、何かこう私は国民全体の琴線に触れるような結論が出にくいんじゃないかと思うのだがなあ。  決して政治家を入れろとか何とかは言いません。これは必要ならば政治家もいいけれども、政治家を入れろとは言わぬけれども、学者も、それも一つのグループもいいですよ、グループもいいが、またそのほかにいま言ったもっとこう、あるいは現場で働いている人もまあいろいろな意味で一応の人たちです。もっとそういうふうに、いままでみたいな型どおりな、形式的というか通り一遍のことよりも、もっと具体的に何かものが出てくるようなものを考えなくちゃいかぬのじゃないかと思うんですが、大臣、その点、別に取りかえよとか言うわけじゃありませんよ、もっとそういうものに対して総合的なものを入れた方がまたより現実的なものが生まれてくるんじゃないかと、こう私は思うんですが、いかがでございますか。
  135. 廣瀬弘

    政府委員(廣瀬弘君) 先生御指摘の御趣旨は十分理解できるところでございますが、ただいまの段階は郵便のいわば需要というものの把握が従来なされておりません、正確に。したがって郵便が現在どのような需要があり、将来経済の発展に従ってどのように需要が変動していくかというような予測を立てるいわば基礎資料というものに不足しておるのが現状でございます。  そこで、ただいま私どもが調査会というものをお願いしておるのは、まずそういったデータをしっかり把握して、しかる後それを政策にどのように反映していくかという第二段階があろうかと思います。その段階では、やはりいろいろな方の御意見を承って、それを郵政省の今後の郵便事業の経営あり方に反映していく、そういう努力をしていかなければならない、こういうふうに考えておりまして、その点については、先生の御意見はまことにごもっともだと思いますが、ただいまはそういった意味でいわば基本的な、基礎的な研究にとどまっておるという段階でございます。
  136. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 わかりました。いわゆる郵便事業じゃなくて、郵便のその将来性とか、それはどういうふうにね、封書はどうなるか、はがきはどうなるか、そういったことに対する研究ですね、そういうのは大体それでわかります。しかし、私は先ほどから郵便事業に対する基本的な注文をずっとこれ指摘してきましたから、私はそういった立場でいまものを申したんですが、それならそれで了解します。しかし、それを受けてなるたけ早く根本的なやはり郵便事業のあり方なり、これはもうその過去の歴史にとらわれずに、本当にもう何か将来を見通したものを是非やっていただきたい。そういう場合にはいま言ったようなこともひとつ含めて是非やってもらいたい、こう思っております。  特定局問題について、ひとつあれしておきます。  これもいままでずいぶん問題になったことがあるんですが、問題になりながら、何だかんだと言いながら、結局、そのまま推移してきている。まあ一部には日本の特定郵便局は郵政省のガンだとも言われております、いろんな意味で。国会でもかなりこれはもう取り上げられ、毎回論議されておる事柄ですが、一向に進展しない、その進展しない原因はどこにあるかと、あんまりこれは突っ込んでいくと当たりさわりもあるかもしれませんが、当たりさわっても私は言わなくちゃならぬこともありますからあれですが、この特定局というものですね、やはりいまの郵便事業運営上から言うと、これはやっぱりどうしても現状のままでなくちゃならぬものか。私どもから言うと、いま言ったようにガンだという面もたくさんあるようでありますから、何かこれも思い切った措置をしなけりゃならぬような気もするのですが、一応総括的に、郵政省当局は、いまも指摘したようにたびたび問題になっている特定局というものをそのままでやはり今後ともある程度持続をしていかれる気かどうか、あるいはまた郵便事業の根本的な対策を立てる機会にこれも思い切った何か対策を立てられる意向はあるのか、この点についてひとつお伺いをいたします。
  137. 佐藤昭一

    政府委員(佐藤昭一君) 特定局の特質につきましては、もうすでに先生十分御承知のことでございますが、繰り返して申し上げますと、やはりこの郵便制度の創始以来、近代的郵便制度の利便を全国津々浦々に至るまで一日も早く行き渡らせるということのためにこういった小局の制度ができたわけでございます。スタートが最初のころはその趣旨にのっとりまして、その土地の信望のある人をそれぞれ郵便局長に任命して業務に当たらせるということから始まりまして、その後、数次の制度の変更を経まして、現在、特定郵便局という形で全国の津々浦々までその機関が普及しているわけでございます。  現在、特定局が郵政事業全体に占める割合というものを簡単に御説明申し上げますと、現在、総数一万八千三十七局の郵便局のうちで特定郵便局が一万六千九百二十一局でございます。これは本年の三月末の数字でございますが、大体、比率にいたしまして全体の九三・八%という数字になっております。  いわゆる郵便局の種類でございますが、御承知のように普通局と特定局、主として規模の大きな局が普通局、また小局が特定局と、こういう形になっておりまして、郵政サービスをくまなく普及させるという趣旨の中でこの特定局の現在の運営というものが非常に事業にとって大きなウエートを占めておるということは、ただいま申し上げました数字からも御承知いただけると思います。  なお、特定局の制度についてこれからどうするかということでございますが、現在も、この特定郵便局というものがやはりそういった形の中で広く配置され、またそれぞれの地域におきましてそれぞれの地域社会に密着したサービスを提供するという形の中で非常に事業の運営にとりまして効果的である、かように考えておりまして、この特定郵便局の制度につきましては特定郵便局制度調査会の答申の趣旨もこれを認めるということでございますが、そういった答申の趣旨を十分に尊重して措置しておるところでございます。  なお、今後の社会経済情勢の変化に対応しまして、やはり特定郵便局の運営というものにつきましては、それぞれその時点でそれに対応するように、適応するように常に研究をしてまいりたいと思っております。
  138. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 いま普通局との私も大体数はわかったんだが、最近、簡易郵便局というのができているな、これは幾つあるか。
  139. 佐藤昭一

    政府委員(佐藤昭一君) 簡易郵便局の数でございますが、ちょっと時点のとり方が違っておるんでございますが、十一月末現在で三千八百六十四局でございます。  それから、先ほど申しました特定郵便局が三月末の数字でございますから失礼いたしましたが、十一月末現在では一万六千九百九十四局でございます。
  140. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 最近、この簡易郵便局の関係者が局長を置きたいとか、いろんな運動が出てきていますね。これは簡易郵便局もそれなりに現在意義はあると思うんですが、局長つくったりね、さらにまた特定局の屋上屋を重ねるようなことになると思うんだが、いまかなりこの特定局長やなんかと連絡して簡易郵便局の諸君が運動していますね。局長を置けと、局長を置いてやっぱりちゃんと待遇しろという請願も出ているし運動もありますが、これに対していま郵政省はどういう態度をとっておりますか。
  141. 廣瀬弘

    政府委員(廣瀬弘君) 私どもが承知いたしております限りでは、簡易郵便局は局長がないわけでございますけれども、事実上、局長という名前で呼べるようなふうに希望する、こういうような希望は出ていると思います。しかしながら、私ども制度としてはあくまでも簡易郵便局には局長というものを置いてございませんので、そういった事実はございませんし、また将来とも簡易郵便局長というような制度にする考えはございません。
  142. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 これいままで特定局というのは昔三等局と言ったのが新しい特定局になったんですね。三等郵便局と言った時代も、局長というか、私、田舎ですが、子供のときは村長さん、校長さん、局長さん、何とか長のつく人が村に何人かいたわけですね。村の有力者というんですか、だったわけですね。そういう人は大体村長、校長、局長、長のつく三人ぐらいがいたわけですね。それが特定局になったわけですが、それなりに歴史的に一つの田舎で三等郵便局というものもいろんな意味で役割りを果たしたと思うんです。  その反面、局長がいま言ったように、村なり町のボス的存在でかなりいろんな意味の力を持っていた。それが戦後特定局になりまして、そのいわゆる名前は変わったが、実態はそのままずっと来ている。いまでも特定局の局長という人たちはその村なり町のかなりボス的な存在の方が多い。そればそれでいいんですが、どうもややもすると、何と言いますか、政治的な一つの関係がかなり濃厚になってきている事実があるわけなんです。これも余り深追いをするといろんな問題が出てきますが、それはそれとして私はやはりこの辺にも問題が伏在していると思うんです。  そこで、三等郵便局から特定郵便局という一つの時点における郵政省から見た由来というもの、歴史というか、そういったものを簡単に御説明願いたいと思います。
  143. 佐藤昭一

    政府委員(佐藤昭一君) ただいま先生おっしゃいましたように、現在の特定郵便局というのがかつて三等郵便局と称したものでございますが、先ほど申しましたように、明治四年の近代郵便制度の創設に当たりまして、各地方の有識者、有力者というものを郵便取扱人に任じて、郵便取扱所の経営に当たらせたのが始まりでございまして、その後、明治十九年地方逓信省官制によりまして三等郵便局というふうに名称が変わっております。また、その後、昭和十六年に郵便局の等級制度が廃止になりまして、その際に特定郵便局というふうになったものでございます。また、制度的には、その後、昭和二十四年に郵政省の設置法の施行によりまして、郵政省の地方支分部局の一つといたしましての郵便局となりまして今日まで至っております。  その間、いろいろと制度の改正があるわけでございますが、先ほど先生もおっしゃいましたように、地方の方で昔はいわゆる長がついている村長とかあるいは署長とか局長というような形での一つの三等局長というものが、何と言いますか地方の一つの有力者の形であったということでございますが、当時、三等局というのは請負制でございましたが、これが次第に変わりまして、現在、郵政省の直轄の機関ということになっております。  やはり直轄の機関となりましたのは、一つは事務量の増加と内容の複雑化というようなこと、あるいはまたそれに伴って運営経費の増大というようなことから、やはり次第に請負制度というものが適当でなくなったという情勢でございます。あるいはまた局長が名誉職的なものであったということに満足しなくなってきた。これもやはり一つの経済情勢の変化と言えることかと思います。また請負制の中でかっては人件費も請負というような形であったわけでございますが、次第に社会情勢が変化して職員の確保が困難になってきたというようなこともございまして、まず昭和十二年から集配三等郵便局の人件費を直轄といたしまして、これを初めといたしまして次第に制度改善をいたしました。人件費の直轄化が行われ、また局舎料の支給が行われる。かっては局舎の提供義務というものがございましたが、これは無償提供義務というような形でございましたのが局舎料を支給するという形に相なりました。同時にまた、戦後、公務員法の施行によりまして特定局の職員も、局長も含めまして国家公務員という形に変わってきたというのが今日までの沿革でございます。  その後におきましては、現在まで一貫して同様な形で進んでまいっております。
  144. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 請負制度から直轄に変わったんですがね、これはいろいろ理由があったと思うんですが、いまおっしゃった。  業績ですね、業績はどうです、成績は。あなたは若いから、むしろこちらの方がわかるかな……十六年というからあなたはまだ学生時代だからね。しかし、それにもいろいろな資料があるだろうからね、三等局として請負でやった時代と、特定局となって郵政省直轄となった以後と、その局の仕事の状態、業績はどうなんですか、成績は上がってきたのか下がったのか、これが何か資料ないか。
  145. 佐藤昭一

    政府委員(佐藤昭一君) ただいまの御質問の趣旨は、いわゆる制度が変わる以前と以後との業績の違いということと存じますが、非常に古くて資料がございませんので比較してお答えすることが困難でございます。
  146. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 ひとつ資料を調べて、つくってあるわけだからな、資料あるわけだから、あさっての委員会までに調べておいてください。でないと質問に入らないよ。いまの質問の資料を整備していらっしゃい。そうでなければあさっての質問は入れぬ。
  147. 佐藤昭一

    政府委員(佐藤昭一君) 非常に古い資料でございますので、いま御質問の趣旨にお答えするようなものが果たしてあるかどうか、ちょっとここでお答えいたしかねます。調べました上で、またお答え申し上げます。
  148. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 特定局が法律上案外あやふやなところがあるのだが、これは特定局の法律上の何というか位置づけというのか、そういったものはどうなっているのか。どうもいろいろ調べてみるとちょっと法律的には特定郵便局というものは何かあやふやなところがあると思うのだが、その点いかがでしょう。こういう法律でこうちゃんとしているのだという何かあるか。
  149. 佐藤昭一

    政府委員(佐藤昭一君) 特定郵便局も郵便局の一つでございまして、郵便局は郵政省設置法に——これは第十二条でございますが、に基づきまして設置される郵政省の地方支分部局の一つでございます。  そして現業事務を行うものでありますが、いま申しましたように、その「郵便局」の中に特定郵便局があるわけでございまして、昭和二十五年二月の公達第一一号で「郵便局の称呼に関する件」というものが定められておりますが、そこで「特定郵便局長を長とする郵便局」を特定郵便局という、かようになっております。これが根拠でございます。
  150. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 それっきりだろう。特定郵便局長を置く郵便局を特定郵便局というと。仕事の内容は全部普通局に準じてやるわけ。ただ、いまあなたがおっしゃったように特定郵便局長を置く郵便局を特定郵便局と言うのだろう、それっきりしか書いてないな、あと何も書いていないだろう、法律には。  仕事の内容は普通局と同じ仕事をするというわけ、仕事の内容は、特定郵便局は。
  151. 佐藤昭一

    政府委員(佐藤昭一君) 郵便局として取り扱います仕事の内容というのは原則として同じでございます。  ただ、これはそれぞれの局の規模に応じ、あるいは種類に応じましてそれぞれ各事業別に取り扱わせないもの、あるいは取り扱うものというようなことは別途に定めておりまして、特定局というものか、郵便局の称呼——いわゆる称呼と言うとあれでございますが、郵便局の呼び名といいますか、こういったものとして普通郵便局と特定郵便局というものを公達で呼び方を定めておる、こういうことでございます。
  152. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 普通郵便局と特定郵便局とどこが違うの、どういうふうに。違う点あったらひとつ知らしてください。何も特定郵便局と特別名前をつける必要もないと思うのだが、いまあなたの説明業務は普通郵便局と同じなら、何も特定郵便局と言う必要ないと思うのだが、どういうふうにそれは違うの。
  153. 佐藤昭一

    政府委員(佐藤昭一君) これは沿革的なものから申し上げなければならないことでございます。  沿革的には、先ほど先生もおっしゃいましたように、いわゆる三等郵便局というものから戦後の制度の変化によりまして特定郵便局に変わっているわけでございます。そこで特定郵便局長を長とする郵便局を特定郵便局という、というのがただいま御説明したところでございますが、特定郵便局長というものと普通郵便局長との違いというものは任用制度の違いということにあるということでございます。  なお、局の規模という形から見まして場合には、いわゆる規模によりまして小局とその他に分けまして、小規模の局を特定郵便局というのが大きな分け方であるというふうに理解しております。
  154. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 それなら別に特定郵便局なんという名をつける必要はないじゃないですか、全然それは意味ないな。あなたの説明を聞いている限りでは、特定郵便局と言わざるを得ない理由はどこにもないと思うんだな。法律ではただ単に特定郵便局長を置くということが書いてあるだけで、何もあなた特定郵便局なんということは言う必要はない、普通郵便局でいいわけだな、別にする必要はない。わざわざ特定郵便局とした意義がどうも感じられないんだな、これはどうもわからぬ。その陰に特定郵便局としてはまたいろいろなことがあるわけだ。  余りこれをやっていると時間がなくなっちゃうからこれ以上は言わぬけれども、どうも特定郵便局がいろいろな意味で何か、不明瞭と言ったら語弊があると思うが、何かこうわれわれにすとんとこないものがあるんですよ。これもやっぱり大臣、郵政事業の全般の体質として特定郵便局は根本的にいろいろ考える必要があると思うんですね。何も政治的な立場から言うだけじゃなくて、いま聞いていると、どうも特定郵便局というものが存在する——郵便局はもちろん必要ですよ、特定郵便局というものが存在しなくちゃならぬ理由がどうにもわからないんです。この点は一つ要望しておきます。  もう一つ聞きたいのは、特定郵便局の従業員。全国で一万六千何ぼの局の中で特定郵便局の職員は何名でしょうか、概数でいいです。
  155. 佐藤昭一

    政府委員(佐藤昭一君) 特定郵便局の職員の数でございますが、十三万八千九百三十八人でございます。これは四十九年度末の数字でございます。
  156. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 この中で、それじゃ郵便業務に携わる人数はわかりませんか。いま先ほど人事局長が言われた郵便業務に関するものが十三万幾らでしたね。そうすると大体その同じぐらいの数字なんですが、やっぱりこの中にはかなりの交換手の人もいるし、あるいは貯金その他もいろいろあるわけでしょう。大体わかったらばちょっと知らしていただきたい。郵便業務に従事する職員。
  157. 佐藤昭一

    政府委員(佐藤昭一君) ただいま申し上げました数字は各事業、各業務を含めた数字でございますので、ただいまお尋ねの郵便関係だけについて申しますと、まず特定局は総合服務もございますので、若干事務の分担ということもございますが、そういったことを累計いたしまして申し上げますと大体四万四千三百人でございます。
  158. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 給与改定は、大体あれですか、ベースですが、先ほどの十三万幾らというベースに大体特定局も乗っているわけですね。内容的に幾らか変わっている面がありますか。
  159. 浅尾宏

    政府委員(浅尾宏君) 申し上げます。  特定局の職員だけの平均給与ベースでございますが、十二万九千三百四十五円という数字でございます。
  160. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 それじゃ幾らか全体やっぱり低いわけですね。  これは理由があるのですか。理由があれば、その理由を言っていただきたいし、何か特定局の皆さん方が不満その他がこの点であるかどうか、伺っておきたい。
  161. 浅尾宏

    政府委員(浅尾宏君) 特段の理由はなかろうかと思いますが、やはり若年層といいますか、比較的年齢構成が若いところに集中をしておる、こういうことであろうかと思います。
  162. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 昭和三十二年九月五日に、特定局長会から「特定郵便局制度に関する意見」書が出ているが、郵政大臣はこの意見書についてどう考えておられますか、お答えを願います。
  163. 村上勇

    ○国務大臣(村上勇君) 昭和三十二年の九月五日に、特定局長会から特定局制度に関する意見書が出ておりますが、郵政大臣はこの意見書に基づいてどう考えておるかということであります。  特定郵便局制度調査会が設けられ、特定郵便局制度あり方について検討が行われたわけでありますが、検討の過程で、全国特定郵便局長会等の関係者から意見の聴取が行われました。その際、全国特定郵便局長会から、特定郵便局を設置法上明確にすること及び特定郵便局に関する特別法を制定すること等を内容とした意見書が昭和三十二年九月五日付で提出されました。  この意見書の内容等につきましては、特定郵便局制度調査会におきまして、検討審議が行われ、昭和三十三年の一月に答申がなされております。この答申におきましては「特定郵便局の制度は、これを認める。」、また特定郵便局長の身分については、その「政治的中立性を失わしめるような措置をとることは適当でない。」としております。  省といたしましては、この答申の趣旨を十分尊重してきているところでありますし、また、特定郵便局の現状を見ましても地域社会に密着して郵政事業のサービスを提供し、国民に親しまれておりますので、現在の特定郵便局のあり方というものを基本的に変える考え方はありません。
  164. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 先ほどから指摘しておりますように、特定郵便局というものが非常に法的にはあいまいなものがあるということはこれは事実であります。そこで、いま指摘しました昭和三十二年の特定局長会からの意見書の中にも、特定局に関する特別法の制定により、特定局制度を行政法上明確化してもらいたいという要望があったですね。これはいままでも立法化されてないわけですね、今日も。いま官房長が答弁したように、ただ単に特定局長を置く特定局という言葉だけしか法制上ない。ところが特定局長会からもそういう要望が出ている。これは当然のことだと思うのです、非常に裏から見ると不安定でありますから。  そこで、いわゆる行政法上明確化するということを要請しておるにもかかわらず、郵政省が今日までそれをしていない。これ何か特別の理由があるのですか。
  165. 村上勇

    ○国務大臣(村上勇君) 特定郵便局は、普通郵便局と同様に、郵政省設置法に基づいて設置される地方支分部局の一つでありまして、いわば昭和二十五年二月の公達第一一号「郵便局の称呼に関する件」ということで定められた郵便局の呼称であります。現行制度のままで支障がないと私どもは考えております。
  166. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 ときに、特定郵便局長業務推進連絡会というのがありますね、これは、官房長、ありますね。これと、いわゆる特定局長会というのがありますな、別に特定郵便局長会議、これとの関係はどうなっていますか。
  167. 佐藤昭一

    政府委員(佐藤昭一君) 特定郵便局長業務推進連絡会と申しますのは、事業の能率的な運営に資するために、各地方郵政局長が設置したものでございます。公的性格を持っているものでございますが、一方、全国特定郵便局長会というのは、これは会員である特定郵便局長の勤務条件の改善であるとか、あるいは社会的経済的地位の向上、また郵政事業の発展に寄与することを目的としてつくられた私的な任意団体でございまして、両者の性格は全く別のものということでございます。
  168. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 この二つの役員が何かダブったりしてかなり混乱している面があるのじゃないかということなんですが、その点はあれですか、いわゆる特定郵便局長業務推進連絡会と特定郵便局長会とこれはその役員がダブっていて何か混乱をしているという面もあるらしいんだが、その点はあれですか、支障ありませんか。
  169. 佐藤昭一

    政府委員(佐藤昭一君) ただいま申し上げましたように、この両者は全然別個のものでございまして性格が違うわけでございます。  特定局長会の役員というのは、これは会員の互選によって選ばれるものでございます。一方、特定郵便局長業務推進連絡会の方の役員というのは、これは郵政局長がそれぞれ任命するものでございます。ただ、いわゆる特定郵便局長業務推進連絡会、特推連と略称しておりますが、この特推連の役員の任命にあたりましては、それぞれ地方郵政局長がそれにふさわしい人物を選ぶということでございまして、これが特定局長会の役員とたまたま一致するというようなことはございます。適当な人物を選ぶという意味におきましては、それぞれ別の立場から任命している、ただ結果的にそれが両者一致するという場合があるかと思います。
  170. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 結果的じゃなくて、特定郵便局長会あたりからかなり強いサゼスチョンがあって、そうしていわゆる特定局長さんが、大体、これは村なり町のボスさんだから、そのまた大ボスがそれぞれ役員をやっているんですね、そのいわゆるボスの大ボスのさらに大ボスあたりがやっぱりその特推連の役員になっているんですね(笑声)。  そういう意味で、いま官房長は郵政局長が任命するとおっしゃるんだが、その任命の過程において、そういうものがこうまざってきて、それでこんがらがってしまう、あるいは具体的にやっぱりいろんな面も聞くんですよね。だからこれは私は言うんであって、形の上ではもちろんそうです、郵政局長が任命するのだが、任命の過程において、そういったようにこんがらかって——ここにいらっしゃる方がそれをされるとは思いませんよ、それは人格高潔な方ですからやるとは思いませんが、いろいろあるんですよ、実際、それが。ですから、それじゃやっぱり困るんで、その点に対する配慮がなくちゃならぬと、はたがそう見ることはそうしたこともあるわけですから、ぜひこんがらがらぬように今後やっぱり強力に指導してもらわなきゃならない。  いま官房長は結果的にとおっしゃるが、結果的にかもしらぬけれども、しかし結果的になる以前に、そういうものがこうやるようになってきているという事実はやっぱり否定できぬと思うんです。これを今後、官房長、ひとつしっかりやってもらわぬと困ると思うんだな、まあひとつ、じゃあしっかりやりますという答弁がぜひ聞きたいところだ。
  171. 佐藤昭一

    政府委員(佐藤昭一君) ただいま先生御指摘のようなことにつきましては、それぞれ私的な特定局長会の方の役員に選ばれるのはやはり会員互選でございますから、そういった意味では、それぞれの会内でやはり信望がある、あるいは統率力がある、あるいは業務の知識等におきましてもやはりすぐれておる、こういった点があるのが大方であろうと思います。そういった意味におきまして、持推連の方の役員の任命に当たりましても、やはり適当な人物を選ぶということになりますと、そういった面が重なってくる面は事実としてはあるわけでございます。  しかしながら、これは先ほど申しましたように、特推連は公的な組織であり、また特定局長会は任意団体である、こういったことで、それぞれ活動の分野が違っております。したがって両方の役員を兼ねるということがございましても、有能な人材でそこにけじめをつけてやれば、特推連の活動を別に損ねることはない、またあってはならない、かように思うわけでございまして、その面ではさらに指導はしてまいりたいと思います。
  172. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 大臣、お聞きのように、官房長はああいうふうに一生懸命弁解していますけれども、具体的にやっぱりそれはあるんですね。そういうことが出てくるわけです。ああいうのは困る。したがって、これはある特定の局長を任命する、そういうことがあってはならない。特定局長会の特殊な人が特推連の役員であることは、それは偶然——それは絶対ないとは言えぬわな。これはダブることは絶対ないとは言えぬけれども、そういうものはやっぱりあるわけなんです。そうなるとやはりいろんな支障を来すし、世間に対してもやっぱり疑惑を与える。そういうことでまた特定局に対する不信感も出てくる。  ということですから、ひとつ大臣ね、そういうことを踏まえながら、まあ官房長の答弁は何だか言っているけれども、やっぱりあれじゃちょっとまだ困るのだ。したがって大臣から、そういうことのないように、これはやっぱりひとつせめてそういう疑惑を招かないような処置をするという言葉がなければ、この件はちょっと前へ進めないのですよ。だから、ひとつそういう結論を——答弁を強要するわけじゃないですよ、強要するわけじゃありませんが、そういうぐらいな答弁が出てこないと、これは前へ進めませんから、ひとつよろしくお願いいたします。
  173. 村上勇

    ○国務大臣(村上勇君) たまたまお説のようにダブるところができておるようですが、なるたけダブらないように今後気をつけて処理していきたいと思います。
  174. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 大体、いまの大臣の御答弁で——しかし、実際、具体的にそれを進めるようにお願いしますよ。  次に、特定局長の部外者任命と世襲との具体的な状態はどんなふうになっていますか、現在。一万幾らかの中で世襲制になっているものと、それから部外者から任命したものと。
  175. 浅尾宏

    政府委員(浅尾宏君) 最近、五ヵ年におきます状況をお話しいたしますが、各年度別の特定郵便局長の総任用数のうちで、いわゆる部外から任用した者と、それから前の局長との縁故関係のある者、こういうことで調べたわけでございます。  いま先生おっしゃったような世襲という任用、世襲任用という考え方をわれわれは持ちませんし、またそういう考え方から任用しているわけじゃございませんが、前局長と縁故関係にある者——この関係はどういうことかと申しますと、配偶者とそれからおおむね四親等内の血縁ということで、大体、いとこというところまででございますか、そういう線で調べたものがございます。  そこで、最近の数字でよろしゅうございますか——昭和四十九年度の任用総数を申しますと九百六十四名。それから、いわゆる部外から郵便局長に任命した者、これが八十八名。率にいたしますと九・一%ということになっております。それから縁故者からの任用でございますが、これが二百四十ということで二四・九%という数字でございます。大体、過去五年間さかのぼりましてもほぼこの辺の率で任命がなされておる、こういう状況でございます。
  176. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 現時点の総数のあれはわからないですか。現在一万二千幾らある特定局長の中の何%がいわゆるいま言った縁故者、あるいは何%が部外者、あるいは何%は部内から任用したとか、そういうことがわかったらひとつ。
  177. 浅尾宏

    政府委員(浅尾宏君) 残念でございますが、調べた資料を持ち合わせいたしておりませんし、郵政省、過去にもそういうことを全体的に、特定局長一万七千近くおりますけれども、その局長全部をそういう目的で調べた記録も私はなかろうかと思います。
  178. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 これはやっぱり必要だから、そうあわてないでいいから調べてください。これは決してあわてろと言わぬから、こういう数字を一遍調べてください、すぐあわてずに。現時点におけるそういったものの比率、これは要求します、そのかわりあわてなくてもいい。  次に、特定局長の任用規程というものには「相当ノ学識才幹アル者」という条項があるんだな。この「相当」というのはどのくらいかわからぬが、現在新しい特定局長を任命される場合に「相当ノ学識才幹」ということをどのくらいに、どういうところへあなた方は基準を置いておられるか。
  179. 浅尾宏

    政府委員(浅尾宏君) 現在の特定郵便局長任用規程では、先生いま御指摘のように、第二号だったですか、「相当ノ学識才幹アル者」、こういう文言で、非常に抽象的でございますが、郵政省が特定郵便局長を任命いたす場合に、やはり特定郵便局でございますから、その地域の郵政事業の信望を担い得るような有能な人材、こういう観点から郵政部内あるいは郵政部外から広く簡抜していく、こういうことでございます。  したがいまして、この任命に当たりましては、部内職員につきましては、勤務実績ということが出てまいりますが、主として任用いたします場合に面接をいたしております。郵政局の人事部長、人事課長が主として当たるわけですが、面接等によりましてその人物評価などをいたします。そういたしまして総合的にこの地域の郵便局長として必要なその管理能力を有しておるかどうか、こういうことを慎重に判定をいたしまして、その結果任用していく、こういう実情でございます。
  180. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 大臣、どうも特定局長任用に当たって組合運動経験者を除外する傾向があるんだな。これはまことにけしからぬことで、憲法違反のかどがあるですね。  具体的に申しますと、私が逓信委員長在任中でございましたが、群馬県で二名の特定局長を申請をした。二名ともその地区組合の役員だった。それで申請してから七、八年そのままに抑えてきたのだな。調べてみると地域の人も推薦しているし、何も言うことない人物なんだな。ただ単に組合経験者ということだけなんだ。幸いにして、私は決して逓信委員長という地位を利用したわけじゃありませんが、私の逓信委員長在任中に二名とも任命されました、幸い。これは私の人格のしからしめるところとは思いませんよ、思いませんが、とにかく任命されました。これは結構であります。任命された人は今日それから三年たっています。業績非常に抜群なんです。二人とも。地域における業績抜群なんですね。その前は何だか任命しなかったんだな、八年もほったらかしておる。これらの場合、明らかに組合に対するひとつのいやがらせ的なものもあったわけです。  これはあなたでもないし、いまの幹部諸君でもないけどな。これは非常にいかぬのでしてね、やってみたら非常に成績抜群で、いま中心的な活動をしておられるんですね。人事局長、そういうようにあんたいまいろんなことを並べられたけれども、その中に何か組合運動経験者は除外するという条項でもあるの。
  181. 浅尾宏

    政府委員(浅尾宏君) いま先生おっしゃいます組合運動家は除外をする、こういう条項はございません。もちろん、われわれ任命いたす場合に、そういう考え方で配慮をしていくということはあってはならないことだと考えておりますし、ただ、先ほど申しましたように全体として総合的にこの地域の信頼を得、郵政事業を守っていく管理能力があるかどうか、こういう点で総合的に判定をしておる、このように御理解をいただきたいと思う次第でございます。
  182. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 これはあんたが当時は局長じゃないけれども、いま言ったように例があるわけだ。八年間もほったらかしておいたわけですね。それで任命してみたら成績いいんでしょう。これはもうだれが見ても実にりっぱなんだなあ。しかも、それも組合がするんじゃなくて、地域の人も推薦するし、地域局長諸君も推薦したわけだ。ただ一、二その局長の中に反対もあったことも事実だ、それはいろんなことがあった。どうもどう調べてみても七、八年も局長にしてはならぬ理由はないわけです。ところが局長にした。で最後には、いま言った、任命してみたら局長として実に抜群な成績を上げている。これはあんた方からは表彰ものなんです。したがって、いまあなたもね、ここの答弁で組合活動家を除外するとは答弁できないだろうけれども、実際はあるんです、あったわけです。  そこで、大臣、ここでね、今後はそういったことのないようにしなくちゃならぬと思うんですね、現に実証されているんだから。やっぱり組合の活動をするぐらいの人でないと仕事もできませんよ、これはもう。当局側もね、これはやっぱり優秀な職員じゃありませんよね。したがってひとつここで大臣から、特定局長の任命いろんな問題あるけれども、組合活動家をいままで除外したとは言わぬだろうけれども、今後は、そういうことは絶対問題にしないでやっていきたいということを、これも答弁の強要じゃありませんよ、強要じゃありませんが、そういう私はやっぱり大臣からひとつ証言と言っちゃ語弊がありますが、まあひとつ御答弁をお願いしたいと思います。
  183. 村上勇

    ○国務大臣(村上勇君) 郵政事業のためにあくまでも適材適所主義でまいりたいと思っております。
  184. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 特定局問題もずいぶんまだ問題があるんですが、時間が大分過ぎてまいりましたので、これはまた改めてやります、時間がありましたら。きょうは、一応、そろそろ特定局問題は終止符を打つが、そこで局舎問題、これはどこの所管ですか。——  一番問題は、やっぱり特定局は局舎問題が問題だな。昔の三等郵便局時代、いわゆる請負制時代から局長の住まいなりが特定局であった。ここに資料もらいましたが、いまの区分をね、もらったが、ひとつ現在の特定郵便局の集配局・無集配局に分けて、国有局舎が幾つ、局長所有が幾つ、郵政互助会関係が幾つ、その他第三者所有幾つ、これのひとつ数をここで改めて発表してもらいたい。
  185. 森俶朗

    説明員(森俶朗君) 特定郵便局の、これは五十年三月三十一日現在でございますけれども、国有のものが千三百七十二局、それから借り入れのもののうち局長所有のものが一万一千百六十八局、互助会所有が千五百三十局、住宅公団その他第三者所有が二千八百五十一局になっております。
  186. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 これは大体方針としては、国有なり互助会等がつくるものに切りかえていくというのが方針でしょう、郵政省の方針は。どうなんですか。
  187. 廣瀬弘

    政府委員(廣瀬弘君) 特定郵便局の局舎につきましては、前に特定郵便局関係制度に関して答申をいただいておりますが、これによりますと、国有と私有と併用でいくという考え方が出ております。省といたしましても、その答申の趣旨に従って、国有・私有併用というかっこうで現在やっておるわけでございます。
  188. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 私有というのは、局長の私有という意味、その私有というのは。
  189. 廣瀬弘

    政府委員(廣瀬弘君) 特に局長私有という言葉は私なかったと記憶しております。借り入れ局舎でいくという表現になっておると思います。
  190. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 そこで、やっぱり特定局の問題が局舎問題にも大きな問題があると思うんですよね。結局、局長さんが持っているのが、総数の一万六千九百二十一の中で一万一千百六十八というのは局長さんの私有になっていますね。絶対多数が局長さんの私有局舎なんです。ここにやっぱり問題があると思うんですね。第三者が任命できないという問題もあるし、いろいろの問題を提起している。  したがって、これは財政上あるいは今日所在地の問題等もあってそう簡単にはいかぬと思うけれども局長さんの所有というものを漸次減らしていって、特定局と局長さんとの関係をやはり郵政職員というすっぱりしたものにしないと、局長さんであり家主さんであり、自分のところでありますから、いろんな問題が起こる原因を持っておると思うんです。この辺はやはりなるたけ早い機会にそういったものをなくするという方向へ進むべきであると思うけれども郵政省はこの点についてどういうふうなお考えをお持ちですか、お聞かせ願いたい。
  191. 廣瀬弘

    政府委員(廣瀬弘君) 先ほども申しましたように、原則としては両者併用ということになっております。したがいまして借り入れによる場合に、借り入れに適するということが条件になるわけでございまして、それが局長所有であるのかあるいは第三者の所有であるのか、いろいろな場合が出てくると思いますが、これを国有に切りかえるということになりますと、一挙にこれをやっていくということには相当大きな国費を要するわけでございます。したがいまして、なかなか現状を急激に改変するというのは困難な事態ではなかろうかと思います。  したがいまして、当時の答申の趣旨にもありますように、国有に適する場合、そういう場合は選んで国有にする、その他は従来どおり借り入れ局舎によって業務を行っていくという方法、この答申が私どもいまもって正しいあり方ではないかというふうに考えておりますので、そういう方向で対処してまいりたいと考えております。
  192. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 とにかく特定局というのは、いろんな問題を抱えておる存在でありますから、必ずやっぱし国民の疑惑を持たれたり、あるいは働く人たちが、これは特定局というのはずっと回ってみると、ある面家族的でいいという面もありましょうけれども局長さんとその局員との関係がなかなか一般局のいわゆる管理者と普通の職員という関係にもいろんな意味で違いますから、負担が大きいと思うんです、正直のところ。いい面もないとは言いませんが、しかし私はいわゆる職員とすれば負担が多いと思うんです。それがまた特にいま言ったように局舎までも局長さんの家だとなると、なおそれがまた追加されてくるということになりますから、いわゆる局員の皆さん方が本当に快適な郵便業務ないしは保険その他の業務ができるような状態をつくることが一番望ましいわけだし、また皆さん方にはその責任があるわけだ。そういったことを踏まえて今後対処してもらいたいと、こう思うわけです。  いま言ったように、特定局にもかなり問題がありますけれども、時間の関係で後日に譲りまして、次に外国郵便関係について若干の質問をしたいと思います。  去る通常国会で万国郵便連合関係の諸手続が云々されました。新条約の概要についてひとつ御説明をお願いいたします。
  193. 廣瀬弘

    政府委員(廣瀬弘君) わが国が加入いたしております、UPUと称しておりますが、郵便関係の万国郵便連合の条約類につきましては、いろんなものがございます。たとえば万国郵便連合憲章、それから万国郵便連合一般規則、それから万国郵便条約、価格表記の書状に関する約定並びに小包郵便物に関する約定、こういった種類のものがございます。  ただいま先生が御指摘のその内容でございますが、これは非常に複雑になっておりますので簡単に要約して申し上げたいと存じます。  まず第一に、万国郵便連合憲章でございますけれども、これは万国郵便連合の基本文書でありまして、連合の目的、機構あるいは連合経費の分担、こういったことが定められておるものでございます。で、これを改正する場合は、追加議定書という形で行われておるわけでございまして、今回の会議では、主としてその連合経費の分担方法でございまして、大会議による割り当て制から自由選択制というふうに変わっております。これが大きな改正でございます。  それから第二に、万国郵便連合一般規則でございますが、これは憲章の適用だとか、あるいは連合の運営を確保するための実施細目を定めておる規則でございます。これは大会議の開催だとか、あるいは連合の常設機関であります執行理事会及び郵便研究諮問理事会の構成、運営、会合並びに国際事務局の職務、こういったことについて規定しておるものでございます。  これは加盟国の義務的な文書でございますけれども、今回は、執行理事会の理事国数が変わっております。従来三十一カ国でございましたものが四十一カ国に変わっております。また郵便研究諮問理事会の理事国数でございますが、これが三十カ国から三十五カ国になっておりまして、これも増加をいたしておるわけであります。そのほかに、連合経費の分担等級が現行は七等級でございましたものが八等級に変えられております。これが一般規則の主な改正内容でございます。  第三に、万国郵便条約でございますが、これは国際郵便業務につきまして適用する共通規則及び通常郵便に関する規定等を定めておるものでございますけれども、たとえば通常郵便物の種類だとかあるいは料金、大きさ及び重量の制限、航空通常郵便物等について規定されておるものでございます。  今回は、急速に発展する国際社会の要請に迅速かつ十分に応じることができるように、条約に明文の定めのない新規業務を郵政庁の合意によって実施できる旨の規定、新規業務の創設に関する規定が新設されました。これが一つの改正でございます。  また、通常郵便物の基本料金が現行の料金と比較いたしまして約六七%の引き上げが行われております。また、この新たな料金につきまして、実は、外国郵便につきましては、その基本料金の上限・下限も同時に決めることになっておりまして、それの上限が六〇%から七〇%まで引き上げられております。下限の方も三〇%から五〇%に引き下げられておるわけであります。このように改正がありました。  それから発着郵便物の量の差につきまして、発送をする郵政庁に請求することができる国内の取り扱い費、これは私ども到着料と申しておりますが、この到着料は船便郵便物のほか航空郵便物についても請求することができるというふうに改正されたわけでありまして、その金額につきましては、超過して受領をした郵便物一キログラムにつき五十サンチームから一フラン五十サンチームに引き上げられるということが決められました。そのほか損害賠償あるいは受け取り通知につきましても若干の改正が加えられております。  それから小包郵便物でございますけれども、これにつきます約定でございますが、これは小包の大きさ、重量、料金、引き受け条件、こういったことのほか、小包の交換につきましても規定をしておるものでございまして、これは実は加入は任意になっております。わが国は一九〇二年にこの約定に参加いたしておるものでございます。今回のこの約定につきましては、小包の差し出しから配達までの間に当該小包の運送を行った郵政庁に支払う割り当て料金が引き上げられたほかに、損害賠償金につきましても引き上げが行われました。  大体、以上が条約及び約定あるいは憲章に関する改正点でございます。
  194. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 この料金改定は省独自でできるわけですね。国会審議等にかからないのですが、これはどうです、大臣、せめて郵政審議会ぐらいにはかけて、国民の意向をくんで新料金の改定を図ることはいかがでしょう。この点は、余り独断専行しないで、郵政審議会ぐらいにはかけて新料金を制定すると、いかがでしょう。
  195. 廣瀬弘

    政府委員(廣瀬弘君) 先にちょっと。  先生御承知のように、外国郵便料金の決定につきましては、先ほど申しましたように基本料金は条約でまず決定されるわけでございます。その基本料金が条約で決定されます際には、御承知のように国会において審議されるわけでございますので、その大綱と申しますか、基準は国会の承認を受ける、こういうことになっております。で、その範囲内で、実は、外国郵便規則ということで省令で料金を定めてまいりますので、裁量の幅はおのずとその制限を受けておるわけでございますので、そういった形で郵政省が独断専行して料金の設定を行うということにはなっていないわけでございます。ただ、形は、先生御指摘のように、規則という省令の形で料金を定めておる次第でございます。
  196. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 外国郵便、どうだ、日本は少し高いのじゃないか。これは調べてみるとね、先進国は出るのが多くて後進国は入るのが多いという原則になっているな、大体な。日本は今日やっはり入る方が多いのじゃないの、出るのよりか。ということは、やっはり日本の航空郵便というか、出した外国郵便が高いということじゃないか、それはどうですか。
  197. 廣瀬弘

    政府委員(廣瀬弘君) 日本外国郵便料金は、先進諸国と比較いたしまして、決して高い料率にはなっておりません。  ただ、いま先生御指摘のように、外国郵便が日本外国関係で申し上げますと、確かに入超と申しますか、日本に入る郵便物の方が多いというのは確かでございます。これは先生御指摘のような料率の差によって入超が出てるということではなくて、これはむしろ、これは日本の特別な状況かと思いますけれども日本語によるいろいろな印刷物その他が外国に出ていくものよりも、外国語で表現されました印刷物等が日本に入ってくる方がはるかに多いわけでございます。これは言葉の問題かと思います。そういった関係で、従来とも、日本におきましては、そういった入超というかっこうをとっておりますけれども、これをもって先進とかあるいは発展途上とかという判断をいたしかねるわけでございまして、また同時に、いま申しましたように、言語の問題でございまして、料率が諸外国に比して高いから日本発の郵便物が少なく、外国来の郵便物が多いということではないというふうに私ども理解いたしております。
  198. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 まだずいぶん質問用意したんですが、時間も来ましたから、きょうは、これでやめます。後日、また機会を見て、まだたくさんございますから、ひとつまあ本当に勉強してもらって質問したいと思います。一応、きょうは、これで質問を終わります。
  199. 竹田現照

    委員長竹田現照君) 速記をとめてください。   〔速記中止〕
  200. 竹田現照

    委員長竹田現照君) 速記を起こして。  参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  郵便法の一部を改正する法律案審査のため、本日の委員会に、日本放送協会の役職員を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  201. 竹田現照

    委員長竹田現照君) 御異議ないと認めます。     —————————————
  202. 竹田現照

    委員長竹田現照君) 質疑を続行いたします。
  203. 竹田四郎

    竹田四郎君 私は、もう全くこの郵政事業には素人でありまして、素人の目から質問するんですが、まあ並みいる人は全部郵政のベテランばかりで、そういう意味では的外れな質問もあるいはあろうかと思いますので、その点はひとつお許しをいただきたいと思います。  まず、郵政大臣にお聞きしたいんですが、郵政大臣の郵政に関する姿勢というようなものを私ちょっとお聞きしたいと思っておるわけですけれども、とりあえずどんなふうに郵政というものをお考えになっているのか、ひとつ所信を聞かしていただきたい。
  204. 村上勇

    ○国務大臣(村上勇君) まず、公共の福祉についてということが第一要素でありますが、特に郵便事業につきましては、郵便事業は人力に依存する度合いの大きな事業でありますので、これに携わる全職員は事業の公共的使命を認識し、一致協力して国民の負託にこたえるよう努めるとともに、事業の運営に当たりましては、サービスの近代化と経営効率化を図ることを基本にすべきものだと考えております。
  205. 竹田四郎

    竹田四郎君 郵政省にはいろいろな部門があるわけでありますが、いろんな機関が国にもあります。大蔵省もあれば通産省もある。そういう中で郵政省の位置づけというんですか、こういうものが私はあんまりよくわからない。これはどなたにお聞きしたらいいかわかりませんが、郵政省がとにかく国民の零細な預金を集めて、そして保険や貯金やという形でお金を集めているわけでありますから、一体、郵政省はどのくらい国の資金を賄っているのか、どのぐらい地域に還元しているのか、そうしたあらましを数字的にひとつどなたでも結構ですから、ひとつ御説明をいただきたいと思います。
  206. 神山文男

    政府委員(神山文男君) 貯金局長でございますが、郵便貯金の資金でございますが、現在高二十二兆二千億円と、これは十一月末現在の数字でございますが、そうなっております。で、先生御承知のように、この資金の大部分は資金運用部で預託をされる。で、その他の資金とともに運用されております。  どういう方面に運用されているかという御質問かと思いますが、御承知のように大蔵省資金運用部において運用いたしておりますので、郵便貯金の資金のみについて明確にその使途を把握するということはできませんけれども昭和五十年度の改定後の財投計画の使途別分類について申し上げますと、これは五十年度でございますが、総額十兆七千五十七億円、そのうちいろいろの分野に運用されておりますが、住宅あるいは生活環境整備、それから厚生福祉施設、それから文教施設あるいは中小企業、農林漁業と、いろいろ国民生活に密着した分野に対する資金配分ですが、約六兆九千九百八十七億円がそういう国民生活に密着した分野に配分されておりまして、これは財投計画の六五・四%に当たることになっております。   〔委員長退席、理事重光君着席〕  それから、また機関別ですが、地方還元という御質問の中身、非常に分析の仕方がむずかしいと思いますけれども、地方公共団体に対する資金配分は約二兆一千八百億円、一九・四%になっております。そういうことでございます。
  207. 竹田四郎

    竹田四郎君 郵政省が金を集める、銀行で言えば店舗ですが、窓口、これ幾つぐらいあるのですか。
  208. 神山文男

    政府委員(神山文男君) 約二万ございます。
  209. 竹田四郎

    竹田四郎君 二万窓口を持っている銀行というのはありますか。
  210. 神山文男

    政府委員(神山文男君) 日本国内においては、そういう金融機関というものはないと存じております。諸外国についてはちょっとただいま資料を持ち合わせておりませんけれども、まあ国際的に見ても最大の窓口数ではないかと存じます。
  211. 竹田四郎

    竹田四郎君 簡保資金は大体どのくらいの割りで還元しておりますか。これは恐らく郵政省が独自で判断できるものだろう、こういうふうに思いますけれども、それはどのくらいになりますか。
  212. 中市彩也

    政府委員(中市彩也君) 簡保資金の累計でございますけれども昭和五十年の十一月末現在で申し上げますと、資金は全体で六兆二千六百二十九億円でございまして、その大部分は財政投融資計画に計上しておりまして、地方公共団体に対して一兆八千億円、政府関係機関に対しまして二兆六千億円融資しておりますので、社会資本の充実には大いに役立っているものと考えております。  それから、さらに昭和五十年度だけ新規の分について申し上げますと、計画額が一兆二千百七十億円でございまして、その八六%に相当します一兆五百億円を財政投融資計画に資金協力しておりまして、このうち三分の一に当たる三千五百億円を地方公共団体に融資しております。
  213. 竹田四郎

    竹田四郎君 これ、いまの概略の話だけ聞いても、運用部資金なり財投の資金というのは、おおむねこれは大部分と言っていいほど、少なくとも郵政の職員が集めているわけですね。しかも日本全国に約二万という窓口を持っている。これは、郵政大臣、どう考えますか。これだけの力、私は大変な力だと思う。あなた、どう考えますか、この現実を。
  214. 村上勇

    ○国務大臣(村上勇君) 私もやはり同様に考えております。
  215. 竹田四郎

    竹田四郎君 これだけの店舗を持ち、これは銀行風に言えば店舗、局を持ち、同時にこれだけの金を集めている郵政省というものが、私はどうも国の政治の中での発言権、きわめて弱いと思うのですがね。  私は、郵政大臣、その辺はとにかくいまの資本主義の世の中、しかも国家財政の相当部分を財投なり資金運用部資金という形あるいは簡保資金を地元に相当程度還元しているわけですね。こういう力を持ちながら、最近の状況の中で、どうも郵政省というのは何か縮こまっているような感じに、これは国民の目には映るわけです。大蔵省や通産省やあるいは経済企画庁やこういうものに比べますと、どうも縮こまっちゃって、何か人の下請をやっている。一生懸命大蔵省の下請をやったり、あるいは企業の下請をやっている。そしてその下請をやっている人たちはどうかというと、赤い自転車で車の排気ガスの中をエッチラエッチラ坂を上っていく。そういう人たちの給料も悪い、労働条件も悪い。私は何でもっと郵政大臣というのはこうした大きな資金的な立場においても相当かせぎまくっている——悪い意味じゃないですよ、とにかく金を集めている、片っ方では通信をやっている。もう少し政府機関の中において私は郵政大臣がもっと胸張って物を言ったらいいと思うんですが、どうもいつも何でもかんでも押し込められてしまう。郵便貯金の金利の引き下げの問題でも、初めはなかなか勢いがいいけれども、だんだんだんだん弱くなって声が消えていってしまう、こういう感じがするのですよ。  もっと胸張ったらどうですか、もっと言いたいこと言ったらどうですか。大臣、どう思いますか。
  216. 村上勇

    ○国務大臣(村上勇君) 大変御鞭撻いただいてありがとうございます。私も先生と同様に考えておりますが、しかし百年間にわたる一つの伝統をただ短期間に私が打ち破ることのできないことを遺憾としております。
  217. 竹田四郎

    竹田四郎君 口だけで遺憾と言われても、これはどうにもならない。  私は、そういう点では、たとえば一日少し怠ければ、いまの状態じゃ国の資金どうにもならぬですよ。そのくらい重要な役割りをあなたは果たしている。果たしているらしく、言葉の上だけでなくて、もっと言ったらどうですか。私は、そういう意味では、郵政省というのは歯がゆくてしようがない、見ていて。どう思いますか。
  218. 村上勇

    ○国務大臣(村上勇君) 私も同様に考えております。
  219. 竹田四郎

    竹田四郎君 それから郵政大臣にちょっとお聞きしたいわけですが、いま世界の物の考え方、資源は有限ではないだろうか、こういう考え方が非常に大きくなっていると思うんです。この郵便業務というようなものも、資源有限という立場に立って物を考えていく場合に、郵便事業にいたしましてもこれは資源有限という立場で郵便事業というものも私は考えていくべきだ。しかし、郵政省のやり方を見れば、何か多々ますます弁ず、こういうやり方を現実にはやっているわけです。なるべく郵便物が多けりゃいい、たくさん年賀状売れりゃいい、こういう考え方でいまおられるということになると、私は郵便事業の経営というのはますます赤字の累積を重ねていく、そういうものになっちゃうんじゃないか。そういう資源は有限か無限か、こういう立場から郵政事業を大臣はどう考えておられますか。
  220. 村上勇

    ○国務大臣(村上勇君) 高度成長期におきましては資源が有限であるということが忘れられる傾向にありましたが、石油ショックこの方、資源の有限性が改めて強く認識されるようになりました。国民の生活意識は大量消費、使い捨て型から、資源を大切にし節約を重視するという方向へ転化しつつあることを認識いたしております。
  221. 竹田四郎

    竹田四郎君 郵便事業との関連ではどう考えますか。
  222. 村上勇

    ○国務大臣(村上勇君) 郵便事業の場合も同様でありますけれども、しかし、郵便事業は一つの経営の面からまたこれと別な意味の考え方もあろうと思います。
  223. 竹田四郎

    竹田四郎君 別な意味というのは、どういう内容ですか。この別な意味というのは、やっぱり郵便会計、量的にも金額的にももっともっと大きくなりゃいいと、こういう考え方のように私には受け取れるわけですが、どうですか。
  224. 村上勇

    ○国務大臣(村上勇君) 需要があれば、これを処理しなければならないという公共的な立場もあるのが郵便事業であります。
  225. 竹田四郎

    竹田四郎君 需要があれば、これを消化していく。しかし、これは料金を取ってやる事業ですね。そうすれば、需要と料金との関係の間には私は一定の関係があるだろうと思う。余り広げたくないということになれば、料金を高くすればこれは広がらない、料金を安くすれば需要が多くなる、こういう関係が私はあると思うんです。  しかし、一方、ちょっと観点を変えて聞きますけれども、では広がっていけばいいと、いまそれで郵便局の従業員、これはどうですか、募集状況は。かなり厳選して、多数の人が安い賃金でどんどん募集できる段階にありますか、どうですか。また、そういう郵便労働者は、都市へ出て行く、ほとんどいま私は農村の人だろうと思う。昔の郵便の職員というのは地域の人が非常に多かったんですね。いま都市における郵便の従業員というのはほとんど田舎から来て、したがってあちこちに郵政宿舎もたくさんつくらにゃならぬ、こういう状態に私はあると思うんです。これは、人事局長、容易に安い賃金でいま人をこれからもどんどん得られますか、どうですか。
  226. 浅尾宏

    政府委員(浅尾宏君) 現在、郵便局の郵便外務で毎年採用する職員——東京、名古屋、大阪の特に大都市でございますが、全体の所要人員の約六割から七割ぐらい、これがやはり地方からの採用者でございます。ただ貯金、保険の外務員の諸君は、これは主として地元と申しますか、その周辺からほぼ充足し得ておる実情かと私考えております。
  227. 竹田四郎

    竹田四郎君 大臣、そう考えてみますと、私は郵便という公共事業というものも無限ではないと思うんです。  いままでは確かに田舎から来たから、町へ来れば生活条件もよくなる、確かに賃金も幾らかよくなった。しかし、もうこれからはそういう時代ではないと思うんですよ。人だって、そう簡単に排気ガスの中を赤い自転車でエッチラオッチラ上っていくようなそういう時代でなくなりつつあるわけです。しかし郵便はそういうことをしなくちゃならぬわけです。そうなれば、労働力の面でも私は一定の限界というものがもうそろそろ来ている、有限なんだと、こういうように私は思わざるを得ないんですよ。特に郵便の事業というのは人間の労働力が大半ですね。そういう点については郵政の事業というのは人的資源というものがやっぱり何といっても第一順位を占める、そうした事業だと思うんです。ただ、たくさん仕事を抱える、そうすれば郵便事業はどんどん発展するというふうに考えておられるのはもうこれは誤りではないのか。  また、特定なグループだけが国の公共機関としての郵便というものを利用する、そういうことも私はおかしいと思うんですよ。料金にいたしましても、いま一体どういう方向に料金が動いてきているか、あなたご存じでしょう、わかっているでしょう、ちょっと言ってみてください。——大臣に、大臣の認識を聞いているんだから。
  228. 村上勇

    ○国務大臣(村上勇君) やはり、その料金と郵便の量との相関的な関係は、これは分離することができないと思っております。
  229. 竹田四郎

    竹田四郎君 じゃ私の方から——。  どうも、大臣、そういう認識で郵政事業を扱っているとしたら、少し認識を私は改めてもらわなくちゃいかぬと思うんです。いままで高度成長の時代というのはたくさん使えば安くする、こういうのが大体の料金制度だったわけですよ。電力でも水でもそうだったでしょう。最近は、それが変わってきているでしょう。一遍には直らなかったけれども、一昨年ですか、電力会社の料金でも福祉料金方式というものを採用してきているでしょう。水道料金にしても、やはりたくさん使う者、こういう者の料金を高くしているでしょう。多くの公共機関がそういう方式をいまとりつつあるでしょう。私は郵便料金も国の大切な公共機関が営んでいる仕事でありますし、郵政省というのははっきりした国民の機関なんです。そういうことであるならば、私は何でもたくさん利用する者は安くしてやれ、こういう料金体系、こういうものはそろそろ誤りになってきている。思想の転換をしなくちゃいかぬ。あなたも資源有限論言っていました。有限な資源の中ではたくさん使う者は高い料金を払う、こういうのが私はあたりまえだと思うんですけれども、あなた、そういうふうにお考えになりませんか。
  230. 村上勇

    ○国務大臣(村上勇君) 先生の御指摘の点については、私も物によってはそうと思います。しかし、郵政の場合、仮に郵便事業の場合は、とにかく多く使えばそれだけの人手を要するんですが、仮に量が少なくてもやはりある程度の人手を使用しておりますので、結局、大量に使う方が安くなるということが考えられます。
  231. 竹田四郎

    竹田四郎君 私は、そういう考え方でやっていく限りは、恐らく幾ら料金を上げても、二、三年はもつかもしれませんけれども、やがてまた郵政の経営赤字に転落する、それがますます激しくなる、私はそう思うんです。  一つの例は、市内特別郵便というのがありますね。これは多く出すから、そして一つの郵便局ごとにある程度まとめてくれるから安くするということでしょう。私書箱だってそうでしょう。多く使う者には安くしてやる。私はこういう考え方というのは改めてくれなけりゃとてもこれからの郵政というのはやっていけないし、必ず行き詰まりがくる。幾ら貧乏人から金を集めようったって——これは自民党さんやらないで、社会党かいつもこれをやっているから党の財政赤字になるんだけれども、金のない者から金集めようったってこれは無理ですよ。金のある者から金取らなけりゃ経営なんて成り立っていくものじゃないと私は思う。どうもいま郵政のやっていることは逆なことやっているように思う。この辺は物の考え方の転換というものを私はやってもらわにゃいかぬと思う。どうですか。
  232. 村上勇

    ○国務大臣(村上勇君) 先生のお考え方から言えば、そうなんでありますけれども、しかし、やはり、まあ仮に私書箱にいたしましても、そういうものはやはり手数がかからないからそれで助かっていることでありまして、仮に多量な郵便物も、それを窓口に持ってきて、多量な分ける手間とかいうようなものも、ちゃんとその事業所で分けてくると、そういうようなことで、これはまあ極端に申しますと、手紙を仮に百本しか扱わないという場合に、人も諸掛かりも間接費もみんなこれにかかってきます。ところが一万本扱った場合に、その一万本に諸掛かり、間接費がかかってきますので、それが結局それ一本当たりの値段が安くなるというようなふうに私どもは解釈しておる。郵便事業に関しましては、そういうふうにまあ考えております。そうでない場合もありますけれども、まあそういうふうな考え方から事業経営をいたしております。
  233. 竹田四郎

    竹田四郎君 まさにあなたの考え方はコスト主義であるし、スケール・メリットを追求している考え方ですね。これはもう一つ言いかえれば、高度成長の理論ですよ。ほかは高度成長はやめていこうというこういう時期に赤字を抱えた郵政省がスケール・メリットだけでいって、これから本当に郵政事業が採算のとれる中で国民にいいサービスを提供するということが果たしてできるのか、私はできないと思いますよ。それは個々的にはいろんなものが出てくるでしょう、個々的には。しかし、全体的には私はそういう点でスケール・メリットを追求したり、原価主義だけで料金を決めていく、こういうあり方というのはもう清算をしてもらう時期にきている。私はこう思うんです。  そこで、ひとつその料金問題に関連して政府はよく受益者負担という言葉を使ってます。郵政大臣は受益者負担内容を具体的にどう考えていらっしゃいますか。
  234. 村上勇

    ○国務大臣(村上勇君) こういう郵便事業のような場合には、やはり一般国民の血税によってその負担を賄うべきものじゃないと。やはり利用者がこれを負担してもらうということを原則に考えております。
  235. 竹田四郎

    竹田四郎君 じゃ受益者というのはどういう定義をしますか。
  236. 村上勇

    ○国務大臣(村上勇君) これはもう利用者である、私どもはさように利用者だと、こう思っております。
  237. 竹田四郎

    竹田四郎君 そうすると受益者と利用者というのは同じですか。
  238. 村上勇

    ○国務大臣(村上勇君) 同じことだと思います。
  239. 竹田四郎

    竹田四郎君 私は、そういう考え方は誤りだと思います。  受益者というのは、また政府の見解は何でもかんでも受益者の概念の中に入れてしまって、おまえたちは利益を得ているんだから料金高く取れ、こういう考え方すべてで押し通している。私は、受益者というのは、具体的に金銭に換算して、なるほど受益したと、こういうものが、受益だと思うんです。われわれが遠いところの子供に手紙を書いて出す、これは利用ですよ、国の機関を利用しているわけです。私は利用者は金を払わなくていいということを言っているわけじゃないですよ。利用者と受益者というものは、私は、当然、区別をしなさい、いままで区別ができていないならば利用者と受益者というものは区別をしなさい、そういう形でもう一回料金体系を見直してみなさい、私はこう思うんですよ。だから受益者と利用者、そうなればそこにおのずから料金のあり方というものも、そういう区別をすれば私はできてくると思うんです。  それは一遍にここでおまえすぐ言えと言ったって、それは私もいろんな関係があるから、そうすぐ案は出ませんよ。しかし、利用者と受益者というものを分けて考えていけば、これは必ずや料金体系の方にそういう考え方が私は移ると思うんですよ。私も戦時中はうちの母から金くぎ流の手紙をもらったことがある。しかし、こういうものが受益なのかどうか、受益の概念でこれを解決してしまっていいのかどうなのかというと、私はそうは思わない。これはむしろ人間関係が深まっていく、こういうことで、資本主義的な言い方で言えば受益者ではない。  私のこの提案に郵政大臣はどう思いますか。私は分けて考えていく。いますぐそれで料金がどうなるかということは私はちょっと言えませんよ。しかし、そういう物の考え方を固めていかなければ、これからの世の中というのはうまくいかないんじゃないか。また、そういうやり方、受益者負担という考え方のみでいけば、結局、貧乏人は使いにくくなる、金持ちはうまいことをして郵政省を利用して金もうける、そういうふうに私はいっちゃうと思うんです。  そういう古い考え方で郵政大臣がいる限りは、いま最近は幾らかおさまったようでありますが、この郵政省内部における労働組合と当局とのマル生運動とか何とかよく言われました。私どもはあっちこっちの郵便局へ行ったことありますけど、そういう問題というのは解決しませんよ。いまだって問題起きているでしょう。これは後、案納さんにやってもらわなくちゃならぬけれど、横浜で問題起きているでしょう、現実に。こっそりと組合の会議の模様を聞き耳を立て何とか盗み聞こうなどという不信感というようなものが私は起きてくる根源というのは、やっぱり郵政省自体が新しい考え方に移ってくれなければ、そういうものなくならぬと思うし、郵政省がもっと前向きな姿勢をとらない限りは、私はそういう問題が解決しないだろうと思う。そういう意味において私は郵政大臣の責任というのは非常に重いと思う。  だから、さっきから言っているように、政府機関の中で何かくすんだような感じを国民に与えてきたり、あるいは古い考え方を墨守していて、少しも新しい考え方が郵政省の中に入っていかない、何か古めかしい保守的なそういうイメージしか私はないと思う。そういう意味でも私は考え方を変えてもらいたいし、受益と利用という問題はっきり区別して物を考えていただかなければ料金の問題について前進は私はないと思う。その辺は今後もお変えにならないで、いままでどおりの形でいくというのですか、その辺は検討してみよう、私の提案を検討してみようというんですか、どんな態度でいらっしゃいますか。
  240. 村上勇

    ○国務大臣(村上勇君) 私は、やはり、ただいままで先生に御答弁申し上げましたその方針でまいりたいと、かように思っております。  委員長にお願いしたいんですが、とても経済学者の竹田先生と……
  241. 竹田四郎

    竹田四郎君 経済学者じゃないよ、私は。
  242. 村上勇

    ○国務大臣(村上勇君) 私が太刀打ちのできる問題ではありません。郵政省の考え方は、私以上に勉強している事務当局もおりますので、果たしてそれがやはり私と同じように古い考えであるかどうかということについて、竹田先生にお願いします、私だけの答弁でなくて、事務当局にもお願い申し上げたいと思います。
  243. 竹田四郎

    竹田四郎君 じゃ事務当局に——。
  244. 廣瀬弘

    政府委員(廣瀬弘君) 先生の受益者負担というお考え、私どもただいま伺っておりまして、大変貴重な御意見だと思います。しかしながら、私ども郵便事業を経営いたします場合に、その受益の概念をどのように把握するかということになりますと、これは大変むずかしい価置判断の問題になろうかと思います。  何をもって受益とするかということになりますと、私はそれは先生の御意見あるいはその他の御意見いろいろございますと思います。しかし、私どもが郵便事業を経営する立場から申し上げますと、結局、利用される方々がその利用に応じて、利用の度合いに応じて経費を分担していただくというような量的な把握で全体を考えていくということ、これはもう先生から言われますとあるいは過去の墨守であるというふうに仰せられるかもしれませんけれども、私どもはそういった把握で郵便の量を把握し、そうして料金体系を決定していくということによらざるを得ないわけでございます。  そのほかに、たとえば利用の内容につきまして価値判断を加えてまいりますと、その間に非常な手数の問題その他が関係してまいりまして、たとえば先ほど例示がございました市内特別の場合にいたしましても、また私書箱についてもお触れになりましたと思いますけれども、こういった大量の利用につきまして、その料金体系を別の観点で考えるという御意見でございますけれども、やはり郵政事業のようにほとんどが人手で処理される、こういう企業におきましては、大量郵便物について、しかもそれが非常に人力を省く方途、こういうような状態が考えられる場合には、その分だけ料金に反映していくという、きわめて従来からの考え方でございますけれども、そういったものを基本にしてまいらないと、なかなか私ども料金体系というものは立てにくい、こういうようないわば郵政事業の立場、そういったものから考えまして、私ども受益というのを利用者というふうに考えさしていただいておるわけでございます。ただ、その受益というものをどのように概念規定するかということは、これはまた別個の観点でいろいろあろうかと思います。ただ、私どもただいま郵便事業をやっております立場といたしまして、そのように理解しておる次第でございます。
  245. 高仲優

    政府委員(高仲優君) ただいま郵務局長がお答え申し上げましたのは、郵便の料金をいただく、そのいただく方式として利用者からいただくのが適切であると考えるということであろうかと思いますが、利用される方は、当然、利用することによって料金に対応する、あるいはそれ以上の利益があるという意味で利用されるに相違ないのでございますから、利用者即受益者というふうに考えることももちろん可能であろうと思います。  また先生のおっしゃいますように、広い意味で、たとえば郵便を受け取った人がその手紙の中に喜びを見出すという場合を想定いたしますと、その場合もそれも一種の受益者ではあろうと思いますけれども、直接差し出す利用者という立場を離れてその受益というものを考え、そこから料金をちょうだいするということにいたすとすれば、これは技術的に大変むずかしい問題になるのではなかろうかと考えておる次第でございます。  また郵便の利用というものは、これは郵便法にございますように「あまねく、公平に提供する」ということ、これが第一でございまして、利用いたします動機であるとか目的に立ち入って料金に、いろいろ料金のいただき方に差をつけるということは、これは一般論としては言えるかもしれませんが、技術的には大変むずかしい問題ではなかろうかと、このように考えておる次第でございます。
  246. 佐藤昭一

    政府委員(佐藤昭一君) ただいま経理局長がほとんど申し上げてしまいましたので……
  247. 竹田四郎

    竹田四郎君 君、あなたの考えですよ。
  248. 佐藤昭一

    政府委員(佐藤昭一君) 私も、いま経理局長が申し上げましたように、受益者とそれから利用者というものを分ける考え方といたしまして、いま経理局長から一つの例がございましたが、確かに受け取る側も受益者という観念が一つあるかと思  います。そういう考え方もあるかと思うわけでございますが、技術的な問題といたしましては、いま経理局長から申し上げたようなことがございまして、やはりなかなかむずかしい問題ではなかろうかということを考えるわけでございます。  なお、利用者負担という点につきましては、いま経理局長が申し上げましたのとほとんど同意見でございますので、ひとつよろしくお願いしたいと思います。
  249. 竹田四郎

    竹田四郎君 わかったようなわからぬような話でありますけれども、私は、そういうものをあなた方はすぐそれは技術的にむずかしいとか、何とかおっしゃるけれども、新しいものをつくるのにやさしいということはありませんよ。新しいものをつくっていくのは、むずかしいに決まっていますよ。それを乗り越えてこそ初めてみんなに喜ばれるものができていくわけですよ。検討もしないで、むずかしい、むずかしい、そんなことを国会の場で私はよく言えたものだと思うんです。それで勉強しているというなら恐れ入るのただ一語ですよ。  しかし、これを一つの契機に、私は受益の問題と利用の問題これはひとつ考えて検討をしていただく、それがすぐさまうまくいくかどうか、これは保証の限りじゃないと思うんです。検討だけは私はしてもらわなければ発展はない。むずかしいことは決まっていますよ。私だってこのことがすぐさまできるならもっと具体的な修正案を出してやりますよ。むしろ、そういう点を専門家の皆さんの御批判を受けながら新しいものを生み出していく、これが国会であるし政府の義務であると思うんですよ。そういう意味でひとつ——先ほど余り勉強されているようなお答えでは私はないと思うんです。その点は、私も事前に受益者負担と利用者負担と区別をすべきだということは、経理局長にも官房長にも私の部屋へ来たときにそういう話を私はしたつもりです。これは大臣ひとつ検討課題にして、いますぐできるかどうか、これはわかりませんよ、どういうふうにお考えでしょうか。
  250. 村上勇

    ○国務大臣(村上勇君) 御指摘の点につきましては、私ども、ただいちずに一方的に考えている点があるかもしれません。十分ひとつ検討をして研究してみたいと思います。
  251. 竹田四郎

    竹田四郎君 問題を少し前に戻しまして、国務大臣としての郵政大臣にひとつ伺いたいと思うんですが、今後の投資傾向、お金をどう使っていくかということですね、これはどうあらねばならないか。あなたは世界一のバンクのディレクターです。先ほどもこれ以上の銀行は世界にもないと言われるほどの大銀行の大頭取なんですから、ひとつ今後の投資傾向というのはどうあらねばならないのか、国務大臣としてひとつお答えをいただきたいと思います。
  252. 村上勇

    ○国務大臣(村上勇君) 郵便貯金の資金は、資金運用部資金として、他の資金とともに財投計画に計上されておりますので、郵便貯金だけの運用状況を明確にはこれは把握することができません。が、昭和五十年度の改定後の財投計画の使途分類によりますと、総額十兆七千五十七億円のうち、住宅、生活環境整備、厚生福祉施設、文教施設、中小企業あるいは農林漁業等の国民生活に密着した分野に対する資金配分は六兆九千九百八十七億円でありまして、また機関別の資金計画によりますと、地方公共団体に対する資金配分は二兆一千八百億円となっております。  このようなことから、郵便貯金の資金は、直接、間接に地方の預金者にも還元されておるものと考えられますが、今後とも国民生活の安定、向上や福祉の増進に直接役立つような分野に重点的に資金配分がなされるように努力してまいりたいと思っております。
  253. 竹田四郎

    竹田四郎君 私は、国務大臣としての村上さんに、今後の特に投資関係、もっと大きく言えば広い日本の中でお金はどういうふうに使っていくべきである、こういう一つの目標といいますか理想といいますか、実は、それを聞きたかった。そういう一つ一つの数字、そうじゃなくて、あなたのもっと高い抱負や理想を実は聞きたかったわけであります。私の質問の意味があんまりよくおわかりにならないようであります。  私は、実は、こう考える。これから民間の設備投資、あるいは在庫投資も含めるでありましょうけれども、そういうものというものの伸びというものは私はそう急激に伸びていくということは考えられないんじゃないか。しかし、社会資本の不足というのはもう言い続けられてきたことです。この社会資本あるいは社会的なストック、こうしたものが足りないために、大蔵委員会でよく論議をされる日本の担税率が高いか低いか、日本のサラリーマンの給料は高いか低いかという議論というものは私は社会資本と無関係にあるとは思わない。そうなりますれば、これから少なくとも投資の方向というものは社会資本に傾斜がかかってくる、こういうふうに私は思うわけでありますが、私のこういう認識は、国務大臣の村上さん、誤りでしょうか。
  254. 村上勇

    ○国務大臣(村上勇君) 誤りどころか、私もそう考えております。
  255. 竹田四郎

    竹田四郎君 私は、そうしますと、あなたとその点で土俵が同じだと、しかも、あなたは二万幾つの窓口を持つ大バンカー、そうしたらあなたの集めた金、ぼくはこの零細な金はむしろ社会資本につぎ込む方向に郵政省も努力したらどうか。  私は、もっと極端に、実は考えたいと思うくらいであります。もう都市銀行は少なくとも個人預金を扱わない、個人預金は郵便局へ、こういうものを私は打ち出す時期にもうそろそろ来ているんじゃないか。そして少なくとも郵便局を通じて社会資本は集められ、その目的に投下される。都市銀行なり地方銀行はむしろ産業用の資金として扱っていく、ここには零細な個人預金というものはある程度制限をしていく、こういうふうにしていけば、私は社会資本が充実されることになれば、たとえば一つ保育園ができるということになれば、あなたの集めたお金で、金利の高低より、私はそういう社会資本によって利益を受ける国民の方が非常に多くなる。郵便貯金の金利の上げ下げでえらい大騒ぎをしなくても済むようになると思う。いまの段階じゃ、それをやらざるを得ないということなんですよ。  私は、そういうふうに資金の流れというものをこれから変えていく、そして国会という場がありますから、その金の使い方については当然民主的なコントロールを受ける、こういうふうに資金の流れを少し変えるために、私は郵政大臣がんばってみたらどうだろう。お金を一生懸命集めて、汗水たらして真っ黒くなりながら集めて、集まったお金は大蔵省が勝手に使う、こういうことじゃ国民だってもう余り納得できないんじゃないか。だから金利の問題だってよけい固執する、私はこういうふうになると思うんですが、これは大蔵省の方もいらっしゃるのですが、大蔵省の方はまさか賛成とは言わないだろうと私は思いますけれども郵政大臣どうですか、そういう構想でこれから集めていく、そうなったならば郵便局へ預けた金は自分たちの周りの社会的なストックとなって返ってくる、こうなったら私は喜びだと思うのですがね。そういうことをするには、そういうことをするだけの準備が必要だと私は思いますけれども、どう考えますか。
  256. 村上勇

    ○国務大臣(村上勇君) 私個人としては、まことに共鳴するに値するものがあります。ただ、旧来の一つの慣習等もありまして、なかなか容易ならぬこれは議題だと思います。十分考慮いたしまして、そうしてそういうようなことができる時代の来ることを私は期待しながら努力を続けてまいりたいと思っております。
  257. 竹田四郎

    竹田四郎君 この間、あなたはわざわざ私ども社会党の国対の部屋へお出かけいただいて、あなたのいろいろな苦衷のほどもども伺ったわけですね。今度の選挙には落ちるかもしれぬとあなたはあのときおっしゃっていた。私はまさかそんなことはあるまいと思うんですけれども、ひとつそういうような形であなたは新しい構想を郵政大臣として国民の前に示されたらどうですか。そうすれば私はあなたは最高点で当選すると思うんです。何ら落ちそうだと言って悔やむことはないと思うのですがね。  個人の預けた預金は社会資本として残ってくる、高等学校ができる、幼稚園ができる、水道ができる、下水ができる、大変な利益を私はそうなれば与えると思う。そのくらい考えてみませんか。
  258. 村上勇

    ○国務大臣(村上勇君) 大変どうもありがとうございます。最高点で当選するよう努力いたします。私は、どんな場合があっても、とにかく真剣にそういういまのようなことができますならば、その方向で努力してみたいと思います。しかし、それが私の選挙の当落に——何ら私はそのためにそういうことを考えるのじゃありません。あの際にも、それは冗談だけれどもと言って、ちょっと冗談を言ったわけです。どうぞひとつ御了承願います。
  259. 竹田四郎

    竹田四郎君 もちろん私もそれはまともに聞いたわけじゃないのです、冗談に聞いたわけです。まさかあなたが大分で落選するなどというようなことは私は万々あるまいと思って聞いていたわけです。  しかし、ひとつそういう意味で、私は、郵政大臣ね、もう少し郵政全体を前向きに考えていってもらう必要があると思うのです。実際、金は持っているし店は持っているし人は持っているのですからね、三位一体になっているのです、あなたは。そういう点でひとつ前向きにお願いをしたいと、こういうふうに思うわけですけれども、念押ししておきましょう、もう一回。
  260. 村上勇

    ○国務大臣(村上勇君) 御指摘の点十分肝に銘じて、私たちとしては努力のできる限りを尽くしてまいりたいと思います。
  261. 竹田四郎

    竹田四郎君 郵政大臣のおたくは、ちょっとお聞きしたいのですが、公共料金の支払いはどういうかっこうでおやりになっておりますか、それは大臣に答えていただきたい。
  262. 村上勇

    ○国務大臣(村上勇君) 何か銀行振替のようなことで払っているようです。
  263. 竹田四郎

    竹田四郎君 大臣ね、私も私の家に来た銀行振替のはがきをきょうここへ持ってきましたのですがね、これは具体的にどういうふうに違うかあなた御存じですか、もし御存じだったら教えていただきたい。
  264. 村上勇

    ○国務大臣(村上勇君) 何と違うのかわかりませんが、どういうふうに違うのですか、私の方からお伺いしたいのですが(笑声)。
  265. 竹田四郎

    竹田四郎君 私のところにNHKのがあります。それから水道料金、国民健康保険、東京ガス、東京電力もあります。電話局。これみごと一つ一つが違うのですね。  NHKの方来ておりますか。NHKはこれはどういうふうに出しておられますか。細かいお話をちょっと承りたいわけです。おたくのを持っています。
  266. 川原正人

    参考人(川原正人君) いろんなやり方があるようでございますけれどもNHKの場合は、私どもの方で直接領収証という形で印刷をいたしましてこれを郵便で出しております。
  267. 竹田四郎

    竹田四郎君 水道の場合はどうなっていますか。
  268. 吉本準

    説明員(吉本準君) 水道の場合は、口座振替によりまして本人の口座から移しかえた後、領収証を各人の家庭に送るというかっこうで処理をいたしております。
  269. 竹田四郎

    竹田四郎君 私のは領収書ですかね、これは。私のは領収証じゃないですよ。来ているのは横浜銀行事務センターから来ている。水道局から来ておりません。領収証ですか、これは。
  270. 吉本準

    説明員(吉本準君) 地方団体の現在の水道料金の事務処理のかっこうでございますが、口座振替によりまして本人に通知をいたさずに預金の中で処理をいたしまして領収証を発行いたしますいわゆる口座振替と、御本人に納入告知書をお送りいたしまして、それによって納入をいただきます、何といいますか、納入告知方式と、それから昔のように集金人が直接出向いて集めます集金方式と三つございますので、いま先生の御指摘のは納入告知方式かと思います。
  271. 竹田四郎

    竹田四郎君 東京ガスか東京電力はどういう形でやっておりますか。
  272. 山崎衛

    説明員(山崎衛君) 手続面一切は承知いたしておりませんが、消費者と銀行との間で銀行振込にした方がいいというような消費者からの御希望が出ますと、銀行から東京ガスなり東京電力に告知が行くということで、銀行の口座から料金をお支払いいただくというようなかっこうになっております。
  273. 竹田四郎

    竹田四郎君 銀行局はいらっしゃいますか。——銀行局は、これは全国銀行でこういう取り扱いは何件ぐらいしておりますか。
  274. 戸田嘉徳

    政府委員(戸田嘉徳君) ちょっと手元に全体を集計したのは残念ながらございません。  これは時間がありますれば集計できるかと思いますが、いまわかっておりますのは、たとえば電電公社につきましては二千九百六十一万三千件のうち自動振替が二千百九十五万一千件、七四・一%の利用率。それからガスにつきましては四百三十九万九千件、自動振込が二百六十五万件で六〇・二%ぐらいに相なっております。それから水道料金につきましては二百三十六万九千件、これが百十九万一千件で五〇・三%。それからNHKにつきましては、これは来ておられますけれども二千五百八万五千件、このうち七百九十二万七千件で三一・六%。ただ、この自動振替率は郵便局の分も入っておると思います。  以上でございます。
  275. 竹田四郎

    竹田四郎君 銀行局は、この振替手数料というのは幾らぐらいなっておりますか。
  276. 戸田嘉徳

    政府委員(戸田嘉徳君) 全体について完全に把握をいたしておりませんが、NHKにつきましては一件当たり五円。それからガスにつきましては一件につき十二円、電力につきましては同じく一件につき十二円。こういうふうに差がございますのは、NHKにつきましては、先ほどお答えがございましたように、振替を済ませますと振替通知書というのをNHKの方から各利用者に送っております。それからガス、電力につきましては、いまの振替通知書を、振りかえたときに、銀行、金融機関の方から直接利用者に送っております。
  277. 竹田四郎

    竹田四郎君 水道関係はおわかりですか、どんな振替手数料が幾らあるとか。  それで、いまの東京電力と東京ガスは十二円と言っているのですが、これには郵便料が入っているんですか、入っていないんですか。
  278. 吉本準

    説明員(吉本準君) 水道は全国的にちょっと統計を持ち合わせておりませんが、現在、東京都あるいは横浜市あたりの手数料は一件三円でございます。なお、これは領収証発行用の郵便料は含んでおりません。
  279. 戸田嘉徳

    政府委員(戸田嘉徳君) ただいまガス、電力につきまして十二円と申し上げましたが、この中には郵送料が入っております。
  280. 竹田四郎

    竹田四郎君 NHKはどうして自分のところではがきを出して、しかも名前は領収証になっておりますけれども、どうしてNHKは五円というのを払うのですか。ほかの方ですと、たしかこれは郵便料金、少なくとも十円ないし九円ですな、どちらかです。そうすると二円ないし三円が銀行の取扱手数料になっているんですが、NHKはこれは印紙も非課税になっていますね、そういう意味で金もうけを中心にNHKはやってないはずですね、だから印紙が非課税になっているだろうと思うのですが、どうしてNHKは、来年は視聴料を上げると言いながら、営業をやっている東京ガスやあるいは東京電力よりも高い取扱手数料を払っているんですか。何か銀行関係に恩義があるんですか。何ですか、ほかよりずば抜けて高いわけですね。  地方自治体などについて私が調べた限りにおいては、ほとんど郵便料すら銀行持ちでやっているというところすらあるわけです。一円かあるいは三円ぐらいしか出していない、そういうところも地方団体の中にあるんです。どうしてNHKだけは五円も、赤字に来年はなるというのに、ほかの方が安くやっているのに、NHKだけどうして五円でやっているんですか。
  281. 川原正人

    参考人(川原正人君) これはNHKがこの種の口座からの振替を始めましてから若干時間の経過の中で実は現実にこういう形になっております。と申しますのは、銀行口座から自動振替をいたしましたのは、電電公社に次ぎましてNHKが二番目ぐらいだったはずでございます。  その当時、実は、銀行協会と振替をやるに当たっての手数料についてかなり交渉を続けまして、銀行協会は当時は二十何円か手数料がかかるというような主張もあったのでございますけれども、最終的には手数料五円ということで実は話がまとまりまして、その後、たしかガス、電気等もこれにならいまして手数料を一応五円という根拠のもとに、郵便料を含めまして——実は、当時、はがきが七円ぐらいだったのです、それで各社の交渉の中身まで私詳細知りませんが、一応計算の根拠としましては、手数料五円にはがきの料金七円というものを一応根拠にいたしまして、もちろんそれだけではございません、そのほかのいろいろな交渉の内容から十二円というのが一つのスタンダードになって、当時、NHKもたしかそれで銀行の方から通知書を出していただいたはずなんです。  ただし、その後、私どもでいろいろ検討しました結果、私どもの方で電子計算機等を導入いたしまして、それによって領収証の発行先をこちらで地域を振り分けて領収証を印刷いたしますと、若干ながら料金の低減があるということで、むしろ、協会の経理の合理化のために、実は通知書を銀行から出さずにNHKみずから印刷をして出す。そのときに五円と七円を区分けしまして、五円の手数料を銀行にそのまま残して、はがきが七円のときに協会がそれを引き取って、ちょうどそのころに十円に値上げになったはずでございます。ところが、ほかの社の方は、その交渉の中身は私詳細に存じませんが、その当時のままの形でいま推移しているように推測いたしております。   〔理事茜ケ久保重光君退席、委員長着席〕 そのために、いま差額が、つまりはがきとの引き算をいたしますと、こちらの方が高い手数料が残ってしまった、こういうわけです。
  282. 竹田四郎

    竹田四郎君 東京電力が契約した書類がここにあります。これはことしの一月契約しているのですよ、十二円で。  私がいままで調べた範囲においては、とにかくNHKが一番高いのです。それで来年は赤字だ、赤字だといって大騒ぎをしている。私はちょっと視聴料を払っている一員として、ほかの方が二円か三円でしかないのに、NHKだけどうしてこんなに五円も払わなくちゃならないか。いきさつはあるでしょう、あるけれども、どうも理解ができない。五円払っているところはないわけです。五円というのは何かというと、これは銀行協会が一応決めている金額の最高限ですよ、ここに資料ありますけれども。  そういう意味ではNHKはお人よしなのかどうか知りませんが、はがきは自分のところでつくってそしてやっている。ほかのところは、銀行が、まさに東京電力などを見れば、ほかのもそうでありますけれども、大体、裏側は広告ですよね、全部。表の左半分といいますか、下半分といいますか、ここにあるだけですよね。われわれが通信文を主に書くところは全部広告ですよ、こういうふうに。NKHも確かに裏側はほとんど広告ですよ。料金表が下の方にちょっとある。具体的な料金はこの下に書いてある。こっちはあなたの方がはがきをつくってコンピューターに入れて、このあて名書きから何から全部やってそして五円、こっちは銀行がつくって、銀行がコンピューターではじいて、そしてこの場合は三円です。どうも納得できないです。そして赤字だ、赤字だと大騒ぎをするというのはどうも私はNHK納得できない。先ほど四十七年度の決算が通ったばかりですが、私、発言する場がなかったから、あえて発言しなかったのですが、どうも理解ができない。こういうところもきちんとやって、そして料金の値上げだというなら私理解する面もあります。こういうところはずさんにしておいて、料金だけ上げる、どうも納得できないのですが、直す気があるのですか、このままいくのですか。ほかはほとんど五円なんというところはないのですよ。何らか恩義があるのじゃないかというふうに推測したくなるほど高いのです。
  283. 川原正人

    参考人(川原正人君) 先ほども申し上げましたように、途中の段階では、私どもむしろ合理化になるという判断のもとに切り離しをしたわけでございますけれども、その後の郵便料金の改定の機会に逆な結果に御指摘のようになっているのは事実でございます。  私どもとしても、もちろんその料金が高くてそれで構わぬというわけでございませんので、まあいまもPRのお話出ましたけれども、たまたま私どもの方で印刷しておりますので、銀行から出す通知書は銀行のPRが裏に書いてございますが、私どもの方はNHKのいろんな聴視者への理解をしていただくためのいわばPRに使っております。しかし、それにしても、その分が五円というのはちょっと問題があるかと思いますので、なお今後、銀行協会と、従来もやっておりましたけれども、引き続きいろんな形で折衝を続けて、皆様の御納得のいくような形にできるだけしたいと考えております。
  284. 竹田四郎

    竹田四郎君 銀行局は、こういう自動振込の料金あるいは自動振込のこういう様式というものについて、どんなふうにお考えですか。
  285. 戸田嘉徳

    政府委員(戸田嘉徳君) これはやはり当事者間のお話し合いで決まってくる問題ではなかろうかと、かように思っておりまして、したがって非常に不都合とか、そういうことがありませんでしたらば、私どもとしては、それを是認といいますか、その当事者に任せてまいりたい、かように思っております。
  286. 竹田四郎

    竹田四郎君 そうすると、料金の点も、銀行関係の資料によりますと、公共的な料金については一件当たり五円と、こういうふうな方向で推進しているようです。それは銀行局としてはそういう幾らでも構わない、当事者同士の話によって決着すればそれでよろしいと、こういうことですね。
  287. 戸田嘉徳

    政府委員(戸田嘉徳君) はい、基本的にはさようでございます。
  288. 竹田四郎

    竹田四郎君 そこで郵政大臣にお聞きするわけですが、こういう安い料金で、あるところの場合には郵便料金まで銀行が負担をして、なぜ、こういう自動振込をやるとお考えになりますか。
  289. 村上勇

    ○国務大臣(村上勇君) これは各種集金の省力化ということであろうと思います。
  290. 竹田四郎

    竹田四郎君 それだけでございますか。
  291. 村上勇

    ○国務大臣(村上勇君) いろいろとその支払いの証拠とか、また、その利用者が不在な際には、何回も取りに来てもらったりということのないように、そういう利用者の手間が省かれるとか、まあいろいろ——というような面で……
  292. 竹田四郎

    竹田四郎君 いいです。  NHK、それから自治省、それから通産省、国税庁もありますけれども、実際、この自動振込によって、どのくらい集金人の手間が省けて、企業の合理化になったのか、教えていただきたいと思います。
  293. 吉本準

    説明員(吉本準君) 水道につきまして、全国的にちょっと統計をいたしておりませんので、とりあえず東京都の実例でお許しをいただきたいと思います。  東京都の場合、従来、人手によります集金を全体の約六〇%、それから口座振替ないし払込通知をいたしまして自己納入いたします分を約四〇%ということで実施をいたしておりました。これが四十八年の四月ごろでございますが、五十年に至りまして人手による集金を全廃いたしまして、すべて口座振替による払い込みないし納入通知によって御自身で払い込んでいただくというかっこうに振りかえをいたしまして、その結果、現在の東京都の試算では、年間約九億四千万程度の経費が節減できるということでございまして、これは総経費が四十九年度決算で約九百三十億程度でございますので、約一%の経費の節減ができておるということかと存じます。
  294. 川原正人

    参考人(川原正人君) 私どもの場合は、実は、集金だけの仕事でございませんで、その集金と同時に、契約の取り次ぎといいますか、始終受信者の方が引っ越しをされておりまして、これは毎回この逓信委員会で私申し上げておりますけれども、他の電話とか水道と違いまして、受信者からの届け出は必ずしもございませんので、そのことをあわせてその集金の者がやっておりますので、実際的に、こちらの方で口座になることによってもちろん労力の軽減はあるわけでございますが、片一方において世帯の異動の調査も一緒にやっておりますので、数量的にどのぐらい減ったかと金額、数量でもって出すのは非常にむずかしいので、もちろんその集金の面だけ見れば合理化になっているはずでございますけれども、実際の計算は大変むずかしくて、ちょっと数量的に出し切れないということでございます。
  295. 山崎衛

    説明員(山崎衛君) ガスの場合でございますが、東京、大阪、それから東邦大手三社でガス販売量の七五%を占めております。この三社につきまして銀行振込の比率を見ますと、現在、五九・一%でございます。で、人件費で比較するわけでございますが、そういたしますと五十年上期で大体二十二億八千万程度の合理化ができるというような数字が試算として出てまいっております。
  296. 竹田四郎

    竹田四郎君 電力会社は。
  297. 篠島義明

    説明員(篠島義明君) 現在、電力料金の集金につきましては、銀行振替、振込によりますものが大体千五百万枚。これは全体の支払い戸数の約四割に当たりますが、これを委託集金でやりますと一件当たりほぼ六十円になります。振替によりますと、先ほどお話がございましたように、一件当たり十二円ということで約四十八円の差がございますので、これを先ほどの千五百万戸にそれぞれ当てはめまして年間計算をしてみますと、約八十五億ばかり節約されております。
  298. 竹田四郎

    竹田四郎君 国税庁は、国税の銀行を通じての振替ですね、これについては、どういうふうに手数料あるいはその他の郵便料をお払いになっていますか。
  299. 面川博

    説明員(面川博君) 私、所管の担当者でございませんので、その点につきましては別途調査いたしまして、早速御連絡申し上げたいと思います。
  300. 竹田四郎

    竹田四郎君 恐らく手数料は払っていないだろうと思います、私の調べでは。郵便料だけしか払っていないだろうというふうに私は理解しております。これは後で資料を出していただくように御連絡を願いたいと思います。  それから、国税庁の人か主税局の人ですかわかりませんが、これは恐らくガスとか電力では三万円以上というのもあると思うのですよ。普通、物の販売をしたその領収証には、幾らですか、二十円ですか、五十円ですか……
  301. 面川博

    説明員(面川博君) 五十円でございます。
  302. 竹田四郎

    竹田四郎君 その印紙を張ることになっていますね。これは領収証じゃないわけですね、張らなくてもいいわけですね、領収証じゃないから。これは合法的な脱税じゃないですか。郵便というものを利用して印紙税の実質的な脱税、これを許していることになってはいませんか。
  303. 面川博

    説明員(面川博君) お答え申し上げます。  印紙税は、作成ないしは行使されておるそういう文書が現実にあるという場合におきまして、これを課税文書としてとらえまして課税する、かような仕組みになっておるわけでございます。  ただ、ただいま先生から御指摘もございましたように、それでは現実に領収証という形でユーザーに手渡されておる受取書、これは課税になるが、片や口座振替による単なる通知書であるというものについては課税されていない、その間に実質的なアンバラがあるんじゃないかという、こういう御指摘じゃなかろうかと思うわけでございます。  この点につきましては、冒頭申し上げましたように、印紙税法はいわば形式的な文書税であるということで割り切られております。実は、そういう実質的な取引ということに着目するということには相なっておらないわけでございまして、さようなことで、現行法におきましては課税の範囲内に入ってこない、御指摘のような文書につきましては、課税文書にならないということに相なっているわけでございます。
  304. 竹田四郎

    竹田四郎君 どうですか、郵政大臣。これはごく一部分ですよ、私がいま摘出した、いかに集金の経費が節約されるか、電力においては八十何億円。郵政省は一体こういう通知は何通ぐらいあると思っておりますか。
  305. 廣瀬弘

    政府委員(廣瀬弘君) ただいまのところ、全体の推定をいたしておりませんので、手元に資料がございません。
  306. 竹田四郎

    竹田四郎君 このように集金人の手数料はものすごく節約されている。しかも、これを利用することによって、まあこれは金額が幾らになるかわかりませんけれども、実際上は印紙税を節約している、領収証のかわりをしている。  こういう状態で、私はこれは見ると、その枚数が大体おおよそどのくらいあるかも承知していない。受益者負担の問題と利用者負担の問題、私はここではっきりしてくると思うのです。私は、当然、何らかの形でこれだけ利益を——電力会社か八十何億、ガス会社が二十二億、東京都だけで九億、ほかにたくさん都市があります。あなたたちの郵便を使ってこんなに集金人の節約をしている。まさに企業の下請人を郵政省は果たしている、こう言われても私は言い過ぎじゃない、こういうふうに思います。  それから、郵政大臣、あなたは銀行がこういう公共料金の自動振込をやることは集金人の節約だけだと、こう言っております。じゃ銀行がなぜ二円なり一円なり、あるところでははがき代まで銀行が持ってこういうことをやっているのですか。銀行が負担しているのですよ。それは水道料金の企業者が利益をしているのと別に銀行がそれだけの負担をしている。これは一体どういうことですか。
  307. 村上勇

    ○国務大臣(村上勇君) 銀行といたしましても、やはりそういう預金者を吸収するというような一つの銀行の目的も達せられるのじゃないかと私は考えております。
  308. 竹田四郎

    竹田四郎君 おっしゃるとおりですよ。銀行はこういう自動振込をやることによってより多くの人から預金口座をつくらせ、そこへ一定額預金をしておかなければ、いつこういうものが来てマイナスになるかわからないということで、必ず一定額以上のお金というものを預金口座に入れておく。  まあ村上大臣のところなんかはうんと入れてあると思うんですけれども、私のところあたりはぎりぎりしか入れてない。銀行がこのごろ何をやっているかというと、そのために総合口座というのをつくっているでしょう。あなたの通帳にもきっと普通預金通帳には総合口座ということが書いてある。これは一定の定期預金を積ませるわけです。そして普通預金がこの料金によって残が赤になればその定期預金を担保にして貸し越しをするわけです。そういう形で預金集めを銀行はこれを使って一生懸命やっている。だから自分のところで手数料払ってもやっている。郵政省はどうですか、それに対して。  それから、先ほどの各省の方、お帰りいただいて結構です。
  309. 神山文男

    政府委員(神山文男君) 御質問の趣旨でございますけれども郵政省においても同じような取り扱いをもっとやるべきでないかという御趣旨かと思いますので、私の方からお答えいたしますが、郵政省の場合は、貯金を利用しての送金という制度はございません。ただ振替という制度がありまして、振替を利用する定期継続取り扱いというのがございますが、この制度を利用しまして、同じようなガスあるいは水道、電気事業その他の料金の送金を取り扱ってございますが、非常に件数は現在のところ少ないという実態でございますが、将来、オンラインシステムを取り入れた際には、郵便貯金を利用する送金ということも検討いたしたいということで、ただいま勉強中でございます。
  310. 竹田四郎

    竹田四郎君 大臣ね、ガス会社とか電力会社とか電電公社というのは半分以上もう自動振込やっているんですよ。そうした銀行に比べれば、おたくの方が全国統一的に津々浦々に窓口あるんです。いかにあなたの方の物の考え方がおくれているか、私はこう思うんです。あなたのところのこのシステムを使ってやれば、私は郵便局への預金を集中させるということはそうむずかしいことじゃないと思うんです。いまごろオンラインシステムとか何とかをやっと考えついている、これで一体競争できますか。そういうふうに私は郵政省の考え方というのはおくれているんだ、もっと前向きで物を考えなさいと言わざるを得ないでしょう。  こんなことは本当に小さいことですよ。しかし銀行の網はずうっとそれで張られているわけです。そしてあなた方は一生懸命あっちこっちの郵政職員をしりはたいて貯金をこれだけ集めなさい、集めなさい。集まるような組織になってないじゃない。そこに職員と官との間にいろんな問題が起きてくるのはあたりまえなんですよ。そのぐらい違うんですよ、感覚が。どう思いますか、郵政大臣郵政大臣に聞きたい。
  311. 村上勇

    ○国務大臣(村上勇君) なるほど御指摘のとおりオンライン化が非常におくれてきておりまして、こういうような状態になっておりますけれども、いまそのオンライン化について急速にこれも設備したい、そうした上ではどんな競争もできると思いますので、いましばらくひとつお待ち願いたいと思います。
  312. 竹田四郎

    竹田四郎君 事ほどさようにあなたも痛感されたと思う。しっかりしてもらわなければ困る。郵便料金の値上げだけ一生懸命になっていて、そういうようなことについては百歩も二百歩もおくれている。これでりっぱな郵政行政ができますか。はるかにあなたの方がそういう点では情報を取りやすい状況になっている。だから銀行の方に金全部持っていかれちゃう。あなたの権威はだんだん低くなります。  私は、そういう意味で、先ほどからこの委員会での発言はとっぴもないことばっかり聞いています。だから頭をひとつ切りかえてください、こういう点で私は申し上げているわけです。まだたくさんあります。この問題は非常に小さいことで、聞いている人にとっては、何だ、二円、三円の話か、あいつの話は細かいということで思っていらっしゃる方もきっとあるだろうと思う。私は、郵政の姿勢という立場から、この問題を提起したわけです。ひとつその点だけがんばっていただきたい。  それから、私は、もう一つ、郵政はこういう文書について資料がない、銀行局は、先ほどどのくらいの程度でどのくらい行っているかというのをちゃんと言ってるわけですね。あなたの方で、そういう契約がどのくらいあって、そうしてどのくらいのそれによって郵便物が出てくるか、こういうことがわかっていいはずだと思うんですがね、やっぱりそれも信書の秘密ですか。
  313. 廣瀬弘

    政府委員(廣瀬弘君) 原因が信書の秘密というわけではございませんで、その面でサンプリングをしたものはございますけれども、全国の推計をいたしましたものはございませんと、こういう意味でございます。したがいまして、それが信書の秘密に該当するからそういった資料が確保できないという意味ではございません。
  314. 竹田四郎

    竹田四郎君 私は、こういうものも大臣考えてみたらどうですか。あなたの方の十円で、片っ方は、さっき言ったように、何十億ともうけているんですよ。で、あなたの方は赤字赤字だと、こう言っているんですよ。だからこそ私はさっき受益者負担と利用者負担の問題を言ったわけだ。何らかの形で私はこれと契約をして金取ったらいいと思う。そうすれば、無理やりにふるさとへ送るはがきや友人同士のそういう本当に心を温め合うような——これは私は基本的な人権だと思うんです、そういうものをするために料金をがんがん上げなくちゃならないということにはならぬと思う。片っ方では利益を上げているのですよ、おたくを利用して。何らかそういう点で、何で郵便だけが、あるいは郵政の職員だけが汗水たらして苦労して安い料金で相手をもうけさせているのか。  だから、私は、さっき金の取れるところから取りなさい、一般の人から取ることを考えるのじゃなくて、金のあるところから取りなさい、こう言ったわけですよ。それには郵便料金の制度を変えていきなさい、出直していらっしゃい、所感ありませんか。
  315. 村上勇

    ○国務大臣(村上勇君) 郵便利用の仕方は、社会、経済活動の発展とともに変化してきております。企業の料金徴収等の方法も集金人が直接集めるということから銀行の口座を利用する自動振替制度が導入されてきておりまして、その支払い者への通知の方法も封書からはがきに変わり、そのはがきに電算機を使ってかたかなの文字で自動的に表示するシステムが開発されているのは事実であります。  この場合、企業が自動振替制度を導入して合理化、省力化を図り、そこに利益が生じたといたしましても、これは当該事業の料金や税制等の面で処理されるべきもので、その際に、利用される郵便の料金を割り高にするなど、料金体系の分野で考慮することは問題があると考えております。  また、郵便料金につきまして、同一形態のものを差出人等の負担力で差をつけて取り扱うことは技術的にも非常に困難でありまして、同じサービスの郵便に料金格差を設けるという公平の点からの問題も生じてまいります。したがいまして郵便の料金体系において企業の利益の還元についてまで取り込むことは問題ではなかろうか、かように思っております。
  316. 竹田四郎

    竹田四郎君 また、郵政大臣、元に戻っちゃった。一番初めの考え方と同じです、これだけ議論して。  あなたがいまそういうもうかったところは税金で取りゃいいと。税金で取ったらそれは郵政へ返ってきますか。一般会計から入れることができますか、郵政へ。あなた方の努力によって企業がもうかった、そのもうかった分に対する税金がかかった、その分をあなたたちのところへ入れられますか。
  317. 高仲優

    政府委員(高仲優君) 税金で徴収したものにつきまして、すなわち一般会計歳入となったものにつきまして、これを郵便事業にリンクさせて繰り入れるということは、現在、制度的には考えられておりませんし、これはなかなか困難なものであろうと思います。
  318. 竹田四郎

    竹田四郎君 困難であったら、この不均衡どうしますか。そして新しいものを考え出すのはむずかしくて、そんなことは技術的にできない。郵便事業という、そういうものを使ってこれだけもうけている。郵便事業というのは社会の公共的機関ですよ。東京電力や東京瓦斯の私物じゃないですよ。そのために何でほかのものが料金値上げを強いられなくちゃならないんですか。当然、そういうところがそういうものを負担する、そういう新しい料金制度をつくったらいいじゃないですか。  あなたがむずかしい、むずかしいと言う。資料を求めればなかなか出してくれない。うろうろ言うと、それは信書の秘密だから資料できねえ。これだから私はあなた方は企業の下請人だと。正々堂々ともうかった人から取ったらいいじゃないですか、新しい制度をつくって。  大臣、後戻りしちゃいけませんよ。せっかくこれだけ二時間近く議論して、また後戻りしちゃう。だれかが前につくった作文を読むからいけないんですよ。
  319. 村上勇

    ○国務大臣(村上勇君) 結局、郵政省でそれを取っていけば、はねっ返るのはやはり一般大衆にはねっ返ってくるんじゃないかと思います。
  320. 竹田四郎

    竹田四郎君 郵政大臣ね、あなたのような言い方をすればすべてそうなる。もう少しそれはね、ひとつ考え直してもらわなきゃいかぬ。それじゃ電力会社が福祉料金をやったから、じゃ皆さんところへはね返っていますか、いま、福祉料金やったから。そんな直接的なものじゃ私はないと思う。  だから、この料金の問題についても、あなたの方はひとつ出直していらっしゃい。もう少し、昔つくった料金体系じゃなくて、新しいいまの時代に相応するような料金体系をつくらにゃ赤字になっちゃいますよ。こんなのふえればふえるほど郵政省損するんですよ。預金は銀行に取られ、企業はますますそれによって集金人の節約ができ、多くなれば郵政省は人をよけい雇い入れなくちゃならぬ。だから私は多々ますます弁ず主義というのは赤字になるだけですよと。現実に赤字になっているじゃないですか。その点を私は、郵政大臣、わかってくれなくちゃ困る。余り個々の料金値上げにだけ固執している、かたくなな意見ばかり言っていたら、国会の論議じゃないですよ、そんなもの。どうですか。
  321. 高仲優

    政府委員(高仲優君) 先生のおっしゃる点は、先ほど来伺っておりまして、単にスケールメリットを追求するのみで郵便事業の収支が保てるものではないというのが基本的御趣旨であろうと存じますが、まことにそのとおりである面が多々あると思います。  しかしながら、先生御案内のとおり、郵便の事業というものは画一的な大量取り扱いにより、しかも単一な簡略な料金でこれを前納していただくという制度をもって、これは日本のみならず世界各国発展しきたったものでございます。先生のおっしゃる御趣旨はわかるのでございますが、料金をいただくその方式といたしまして、ここにあるこの手紙は幾ばくの利益を生むものであるからこれは幾ばくである、この手紙は利益をほとんど生まないからこれはという、まあ極論いたしますれば、そういうふうに料金を設定するということは、ある意味では理想的なものであるかもしれませんが、現在、そこまで内部的な検討は進んでおらないわけでございます。  もちろん、今後、この問題をなおざりにしてよろしいという意味ではございません。私ども、もちろん郵便事業の安定した経営ということを一にも二にも心がけておるのでございますから、先生のおっしゃいました御趣旨の点は、十分念頭におきまして、今後の検討は進めていくべきものであると考えておる次第でございます。
  322. 竹田四郎

    竹田四郎君 まあこの議論はこのくらいでひとつやめておきたいと思います。しかし、真剣に、そういう問題があったことを頭の片すみにひとつとどめておいていただきたいというふうに思います。  次に、私書箱のことについて伺いたいと思います。  この現状は、大体、どんなふうになっておりますか。
  323. 廣瀬弘

    政府委員(廣瀬弘君) 四十九年度現在でございますが、設備数が約八万でございます。
  324. 竹田四郎

    竹田四郎君 その八万の私書箱というのは、どんなふうに利用されていますか。
  325. 廣瀬弘

    政府委員(廣瀬弘君) 四十九年度の資料で見ますと、貸与率が約六割でございます。
  326. 竹田四郎

    竹田四郎君 その私書箱というのは、貸与率がいま六割だというんですが、私書箱の一個の値段は幾らですか。
  327. 廣瀬弘

    政府委員(廣瀬弘君) 一年につき、たとえばこれは場所によって若干異なっておりますが……
  328. 竹田四郎

    竹田四郎君 一個の値段ですよ。
  329. 廣瀬弘

    政府委員(廣瀬弘君) 設備料でございますか。——私書箱の設備費は、一個当たりが一万六千七百円でございます。
  330. 竹田四郎

    竹田四郎君 その使用料は幾らですか。
  331. 廣瀬弘

    政府委員(廣瀬弘君) 一年でございますけれども、一年につき千二百円、二千四百円、三千六百円の三種類に分かれております。
  332. 竹田四郎

    竹田四郎君 三千六百円は恐らく東京と大阪の中央郵便局だけだろうと、二千四百円のものはその次の新宿局くらいでしょうか、千二百円というのはもう少し少なくて横浜あたりで二番目ぐらいの局ぐらいが恐らく千二百円だと思うんですね。一個の値段はつくるのには一万六千円もする。一カ月たった百円、二百円ですよ、これ、大臣。片っ方、郵便料金は上げるというんだけれども、この私書箱だって私は利用価値があるから利用するんだと思うんです。何とか会社というのが利用価値があるから利用するんだと思うんですね。本来ならほかでやれば金はかかるから、たとえばテレビのスポンサーが視聴率を何かでそういうふうにしてやる、そうしてその私書箱を使っている、営業目的ですよね。それがですね、郵便料金は上げるというんですが、これは一カ月百円ですよ、高くて三百円ですよ。これも私はおかしいと思う。郵政大臣、おかしいと思いませんか。返ってくる答えは、恐らく、配達してやる手間が少なくなるからと言うに決まっているんだろうと思うんです。東京の中央郵便局だって日本の一等地ですよ。そこへどれだけの大きさだか知りませんけれども、ちゃんと設備してやっているんですよ。それが一カ月三百円ですよ、腑に落ちません、私はこれ。
  333. 廣瀬弘

    政府委員(廣瀬弘君) 私書箱の使用料につきましては、確かに非常に現在のところ安いという御判断のようでございますけれども、先ほど先生が御指摘になりましたように、本来、郵便物は配達をするというたてまえでやっておるわけでございますけれども、郵便事業の中で配達に要する経費というものはきわめて高いウエートを持っていることは先生御承知のとおりだと思います。したがいまして、この私書箱を利用していただくということは、私どもとしては、むしろそういった意味で経営上はきわめて効果のある施策であるというふうに考えておるわけでございます。したがいまして、でき得るならば、そういう人力のみによる配達、これを省力化する方策として有効になるものであるならば、私書箱というものは大いに利用していただきまして、むしろその面で配達の効率化を図ってまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  334. 竹田四郎

    竹田四郎君 それだから月百円でいい、月三百円でいいということになりませんよ。これは大臣どうですか。それなら、ただにすればいいじゃないか。しかもコストがずっと高いのですから。そういう言いわけで片一方の方は安くしている、片一方の方は高くする、どうもそういう論理がわからない、どうですか、大臣。昭和四十一年から変えていないんですよ、これ。いま盗まれた三億円の金だって実質的には一億五千万円ぐらいに目減りしているという時代ですよ。大臣に聞きたい。
  335. 廣瀬弘

    政府委員(廣瀬弘君) その前にちょっと。  先ほど先生それならば無料でというようなお話でございましたけれども、実は、私書箱の中には無料のものも相当数ございます。たとえば先ほど申しました八万個のうち、無料でございますものは約六六%ぐらいのものが無料ということでございまして、これは大口で配達の救済になる、そのようなものにつきましては無料で扱うという形をとっておるわけでございます。
  336. 村上勇

    ○国務大臣(村上勇君) ただいま郵務局長からお答えいたしましたように、たとえ無料であっても、郵便配達の手間というものが、その無料に匹敵する以上の利益が郵政省にあるというようなことも考えられると思います。
  337. 竹田四郎

    竹田四郎君 それは、たとえば山の中の遠いところとか、何とかという場合は、これはあると思うんですよ。しかし、これはあなたの方できっと調べた資料があるので、あとで出してもらいたいと思うんですけれども、私書箱を使っているのは個人ですか、会社ですか。その資本金なり何なりのランク別の資料を出してください、一回。それがどのくらい私書箱を利用しているか。  ほかのものは上げて、これだけはいつまでも置くなんていう、そんなばかなことありますか。もちろん上げる限度はありますよ、私は無限に上げろと言っているわけじゃない。四十一年度からこれは全然改正していないのじゃないですか。副総理は何と言っておりますか、新価格体系に移行しなければいかぬとすら言っているでしょう。郵便料金だけ上げて、うんと利用する方はこれは安くしておく、そんな不公平をあなた三木内閣のもとで認めますか。不公正の是正ですよ、これも。それでも、大臣、それをいつまでもそういう形で続けますか。一万六千円もするコストのものを、地価の高い、しかも狭い郵便局の中にわざわざ置いて、それで安い料金で使わせる、こんなばかなことは私はとても納得できない。
  338. 廣瀬弘

    政府委員(廣瀬弘君) 繰り返しになりますけれども、郵便事業におきます配達のウエートというものはきわめて高いわけでございます。そういう意味で、できるだけその面での省力化を考えるという意味で、むしろ私どもは私書箱の利用というものをもっと促進すべきであるというようなことで、過去からその方面で力を入れてまいってきておるわけでございます。  先ほど申しましたように、にもかかわらず、全体としてまだ六割程度しか利用されていないというようなこともございます。しかしながら、今後は、さらにこういった面で、できるだけ多くの方にその施設を利用していただくという方向がむしろ私の方としては望ましいのではないかと。それは何回も繰り返しになりますけれども、それだけ配達にかかるロードが少なくなる、そういう意味合いで、むしろ勧奨する方向で私どもいままでやってまいった次第であります。今後も、そのような考え方でまいりたい、こう思っております。
  339. 竹田四郎

    竹田四郎君 まあ、あなたたちがまだそういう考え方でいる限り、これは私は議論が進まない。私はそれを無限に上げろと言っているわけじゃないですよ。会社が引き取りに来る、あるいは配ってもらう、その間の必ず一つの分岐点というのが計算すれば出てくると思うんですよ。その程度まで私は赤字赤字だと大騒ぎしている郵政会計で上げたっていいじゃないか、絶対だめだと、こういうふうに拒否する必要は私はないと思う。少し検討してみたらどうですか。  だから私が幾らでいいということは、ここではわかりませんよ、私の計算できるスタッフがいないのですから。郵政大臣、不審だと思いませんか。これはもう郵務局長に聞いたって同じような答弁がはね返ってくるんだから、郵務局長に聞きたくない。これは政治家としての郵政大臣に、村上さんにお聞きしたい。
  340. 村上勇

    ○国務大臣(村上勇君) 郵務局長のような考え方ももとよりあると思います。しかし、私書箱のコストと配達のコストというようなものを比較して研究する必要もあろうと思います。ですから先生の御指摘の点につきましても、やはりこれもわれわれ研究してみたいと思います。しかし、配達の省力化ということについては、郵務局長のお答えしたことが、その量によっては非常に役立っておると、こう考えられます。その点は、比較研究する必要があろうと思いますので、ひとつしばらく御猶予をいただきたいと思います。
  341. 竹田四郎

    竹田四郎君 郵政大臣ね、私はとてつもないことを言っているわけじゃないんですよ。ものすごい非常識なことを言っておるわけでも私はないと自分では思っています。何でもかんでもあなた自分たちの城を守ることで一生懸命で、検討すべきものがあったらもっと先から検討するという話をしたらいいじゃないですか。あなたたちが検討するって言うんだから、必ずそのとおりになるっていうふうに私は期待しておりませんよ。しかし、あなたたちがそういうことを検討してくれることが私は一歩前進だと思っているから、幾ら幾らまでに上げろということは言っちゃいないんです。最終的には検討しますということを言うんだから、最初から言ったらどうですか。やっぱり郵政省のしきたりは、一回ははねなければ答えちゃいかぬと、そういうことになっているんですか。
  342. 村上勇

    ○国務大臣(村上勇君) よく御理解をいただいた上で、検討申し上げますというようなことになっております。
  343. 竹田四郎

    竹田四郎君 じゃ、とてもこの逓信委員会はそう早く終わるというわけにはいきませんわ。なかなかいまの問題私理解できないから、じゃ、この次、ひとつよく説明してください。次の機会に国民にもわかるようにね、私だけではだめだ、国民にもわかるようにひとつ説明をしていただきたい、こういうように思います。  特定郵便局については、先ほど理事の茜ケ久保さんがおやりになりましたけれども、特定郵便局の職員の給与というのはどんなふうになっていますか。
  344. 浅尾宏

    政府委員(浅尾宏君) 一般職員の平均給与でお話を申しますと、ことしの四月一日現在の平均給与でございますが、俸給が十二万三千六百五十円、扶養手当が二千五百八円、それから調整手当が三千百八十七円ということで、合計いたしまして十二万九千三百四十五円ということに相なっております。これは平均年齢で申しますと三十六歳と六カ月、こういう数字になっております。
  345. 竹田四郎

    竹田四郎君 最高の給与の人と最低の給与の人はどのくらいですかな、特定郵便局の職員。
  346. 浅尾宏

    政府委員(浅尾宏君) 一般職員の特定郵便局の最高額でございますが、これが二十二万三千七百円です。それから最低が六万九千四百円でございます。
  347. 竹田四郎

    竹田四郎君 それから局長の方を伺いましょう。
  348. 浅尾宏

    政府委員(浅尾宏君) 特定郵便局長の場合、最低年齢者、つまりこれは二十五歳でございますが、これが十一万六千四百円です。それから最高でございますが、二十五万九千五百三十円。
  349. 竹田四郎

    竹田四郎君 郵便局の職員の給与、それからその他の費用がいろいろありますね、それから局舎の借り上げ賃もありますね、これはどんな配分で金を出しているわけですか。三会計で恐らく出していると思いますね。郵便局は郵便も扱うし保険も扱うし貯金も扱うわけですから、恐らくいまのところはその三会計から割り振って出しているのだろうと私は思うのですがね。どんな割合で出しているのですか。
  350. 高仲優

    政府委員(高仲優君) 郵政事業特別会計は、先生御案内のとおり、郵便、為替貯金、保険年金及び電気通信の四つの事業を経営いたしております。財源もそれぞれ異なるわけでございます。それで郵便業務関係ある部門につきましては、主として郵便料金からの収入によってこれを賄い、為替貯金業務に携わる者の経費につきましては、郵便貯金特別会計からの繰り入れ等により賄い、以下同前で、保険業務に携わる者の経費は簡易生命保険及郵便年金特別会計からこれを繰り入れる。すなわち郵便を除きまして、その他はすべて実費弁償という形で金を申し受けておるという形に相なっておるわけでございます。  これが一番の原則でございまして、これをしからば具体的にどういうふうに経費を割りつけておるかということをお尋ねであろうかと思いますが、各事業の運営に要しまする経費のうち、直接必要といたします経費、これについては、これはそのものずばりでございますから非常によくわかるわけでございます。たとえば人件費について申し上げまするならば、郵便業務費の人間は幾ばくであるということがわかっておるわけでございまして、それに相当する金額等々と相なるわけでございます。  しかしながら、ちょっとむずかしいのが庶務会計等、共通的な部面に属する分野の経費でございます。これをさらに詳しく申し上げまするならば、郵便局長の給与は一体どういうふうに事業別で負担すべきであるか、こういうことに相なるわけでございますが、概括的に原則として申し上げますと、各事業の共通的な部面を除きました他の直接事業部門の人数の割合で分計いたしております。これは原則でございまして、たとえば養成施設費というのが間接費にございます。たとえば郵政研修所というものが全国に十ヵ所ございます。これに要する経費は、これは養成の対象となっている事業別の生徒の数でこれは割りつけるといったようなことがございますが、原則的に申し上げまするならば、共通的な経費は事業定員比で割りかけておるというふうに御理解いただいてよろしいかと思います。
  351. 竹田現照

    委員長竹田現照君) 大蔵省からの答弁漏れがありますから。
  352. 面川博

    説明員(面川博君) 先ほど先生から御質問がございました、国税庁が各金融機関に支払っております口座振替の手数料でございます。照会いたしましたところ、十円でございます。  御報告いたします。
  353. 竹田四郎

    竹田四郎君 これ、あなたが直接担当でないというから、私の理解ですけれども、十円というのは郵便料だけ、振替料は国は払っていない、そういうふうに理解していいですか。もし御答弁がなければ、後で結構です。
  354. 面川博

    説明員(面川博君) 承知しました。
  355. 竹田四郎

    竹田四郎君 あなたの方から特定郵便局長の給与費の事業別分担というのをもらっているわけでありますが、おたくの方でこれパーセンテージを出しておりませんので、私自分でパーセンテージを下手ながら出してみた。あるいは間違っているかもしれません。  それによると、特定郵便局長の給与費総額八百十五億、郵便から出ているもの二百四十四億円、為替貯金から出ているもの四百一億円、保険年金が八十一億円、電気通信が八十九億円。割合にしますと、郵便が三〇%ですか、為替貯金が四九・二%、保険が九・九%、電気通信が一〇・九%、こういう割合に——違っているかもしれませんが、私が計算したんだから。  これはどうしてこういう割り振りになっているわけですか。いまこれは、私、率で言うわけですよ。郵便から出しているのが三〇・〇、為替貯金から出ているのが四九・二、保険年金が九・九、電気通信か一〇・九、こういう割合に——これは私の計算ですから間違っているかもしれませんよ。これらの三〇、四九、九、一〇、こういうパーセンテージは何を基準にこれ出ているんですか。
  356. 高仲優

    政府委員(高仲優君) 原則は先ほど申し上げたとおりでございますが、さらにこれを細かく申し上げまするならば、特定郵便局を集配局、無集配局に分けまして、それぞれのグループの各事業定員比で分計いたしますと、こういう数字に相なるわけでございます。
  357. 竹田四郎

    竹田四郎君 それは具体的に少し資料で出してください。事業定員比と言うのだけれども、実際は何名いてこうなる、何名いてこうなると、具体的に。  特定郵便局長の給与から見ると、これは為替貯金が一番多いようです。しかし、私は別の計算を、今度は職員の給与、これから見ると、またこれ割合が違ってくるわけです。労働量から見ますと、またこれも違ってくる。どうもこの辺が、一体、何を基準にして、ただ口ではあなたは人員比だと、こう言うんですが、何を基準にしてこういうような割り振りをしたのかということが私よく納得できないんです。  しかも、この三つの郵便、貯金、保険、あるいは電信も入れて結構です、これはいずれも独立会計になっているんでしょう、この三つは。各特別会計の間を勝手に金をやりくりはできないはずでしょう、これはできるんですか。
  358. 高仲優

    政府委員(高仲優君) 各事業の関係でございますが、先ほど私ちょっと言葉が足らなかったかと存じますが、これら四事業を一体として運営するということで郵政事業特別会計というものができております。  これは郵政事業特別会計法にございますが「(郵政事業の範囲)」というところで、各業務すべて「この法律において「郵政事業」とは、郵便、郵便為替及び郵便振替の事業、郵便貯金、簡易生命保険及び郵便年金の取扱に関する業務、」云々云々とございまして、これが第二条でございますが、第一条の方で「郵政事業を企業的に経営し、その健全な発達に資するため、特別会計を設置し、一般会計と分つて経理する。」と相なっております。  郵政事業特別会計といたしましては、一つの会計から郵便、貯金、保険、電気通信のそれぞれの部面に対する支出をやっておるのでございますが、これは支出の面でございます。  収入の面につきましては、先ほど申し上げましたとおり、郵便は料金をもって賄う。貯金、保険、電気通信はそれぞれもとの会計がございます。電気通信でいえば日本電信電話公社から必要な額をもらう。貯金については郵便貯金特別会計、保険については保険年金特別会計から必要額を繰り入れる、こういう形に相なっておるわけでございまして、法律的な意味において、しからばその間の流用云々ということがあるのかということになると、これは法律的な意味においてということではございませんけれども、ただ、私ども、これらそれぞれの事業が性質をそれぞれ異にし、目的を別にしておりますので、その事業別収支というものは十分それぞれ守っていかなければならない。ある一の事業が赤字であるという理由で他の事業から金を直ちに流用するということはやってはならないことであると、このように理解いたしておる次第でございます。
  359. 竹田四郎

    竹田四郎君 私もそう思いますよ。そう簡単に会計同士を勝手にはできないだろうと思う。それは一つはその会計を明らかに掌握するということもあるでしょうし、もう一つは料金値上げの枠をこれでかけるということにも私はなると思う。  ただ、問題は、そこだけはきちんとこう分けておいて、一番末端のところは、さあその分け方を聞いてもさっぱりわからない。土台から分かれていればわかりますよ、上の方だけ分かれていて土台は同じだと、私はその点で理解できないんですよ、あなたの説明が。具体的に説明してくれなければ。人員比でございますと、だからそれで分けていますと。じゃ具体的にその人員比で分けているのが一体正しいのかどうなのか、こういうことも検討されなくちゃならぬ。その辺がきちんとしていずに、上だけきちんとして、だから料金値上げをしなくちゃいけない。たとえば特定郵便局なんかで考えてみますれば、共通費とか共通的な仕事というのはうんとある。局舎のあれだってそうでしょうな。事務所は、一体、郵便がどれだけ使い、貯金がどれだけ使い、年金がどれだけ使うといってつい立てが立ってあるわけじゃないでしょう。働くんだって、こっちの人がいなけりゃ横の人が行ってちょっとお手伝いをする、その逆のこともある。下は全く分かれていないわけですよ。分かれていない上に、柱だけ特別会計なり単独会計の柱だけだと、そうなっているんではないだろうかと、こういうふうに私は思うんですけれども、その辺をよく説明してくれないと、私わからない。  都合のいいときには単独会計、値上げするときには単独会計を持ってくる。仕事をさせるときにはこっちの会計の人をどんどんこっちで使う。これじゃどうもよくわからない。その辺、何か基準があるだろうと私は思うんですよ。はっきりした基準を——私にもこういう資料をいろいろいただいているわけですよ、この資料を作成する経過になる基準の数字を下さいよ。それでなければ私とてもわからぬわけです。そういうものが一体本当に正しいかどうかも私は検討しなければ、いい悪いということはちょっと申し上げられないわけです。郵便料金だけ上げる、保険の方はもうかって黒字になっているんでしょう、保険の方は。こんなのはどうにだって操作のしようによってはできるわけです、赤字にでも黒字にでも。しっかり土台から上へちゃんと分かれていなければ、赤字にでも黒字にでもさじかげんでどうにだってできるわけです。そういうものをひとつ明確にしてほしい。
  360. 高仲優

    政府委員(高仲優君) この分計と申しますか、事業別の割り振りの問題は、実は、大変概括的に説明すると簡単なんでございますけれども、実際は細かい数字がたくさん出てまいる問題でございまして、ちょっとこの場で委細を尽くしてというわけにはなかなかいかないと思うのでございますが、決して私どもごまかしていこうと考えているわけじゃございません。私、先ほど申し上げましたように、基本原理はそういうことで事業別をはっきりさせ、共通的なものはそれを各事業にさらに割りつけるという方式をとっておるのでございますが、もしもお許しいただけるならば、また、この場でなくて先生のところには十分御説明に参上いたしたいと存じております。
  361. 竹田四郎

    竹田四郎君 その資料をひとつ、委員長、出してください。それでなけりゃ私正確に判断するわけにはいきませんから。  個人的に言われたから、それでわかったということじゃ、これは国民わかりません。悪い推測ですと、郵便の方をよけいかけているんじゃないかと、だから赤字になっているんじゃないかと。わからなければ、そう言われたってしようがないでしょうが。国民に本当にそれははっきり分かれているんだということが具体的にわからなければ、言えないでしょう。だから、私だって、いまのところは、当局の方が私にわかるような資料を出してこないから、恐らくこれは郵便に少しうんとかけてそして郵便の赤字を出して、ここで一挙にひとつ値上げムードの中でやっちゃおうと、そう思われたってしようがないでしょう、反証を挙げてくれなければ。だから、これはひとつ委員長の方で御手配を願って、その資料が出た後で、質問があったらさしていただきたい、留保をしておきたいと思います。
  362. 竹田現照

    委員長竹田現照君) よろしいですね。——はい。次。
  363. 竹田四郎

    竹田四郎君 信書の秘密、こういうことが私は郵便にはあると思うんです。で、この信書の秘密というのは守らなくちゃならぬ。しかし、その信書の秘密を盾にして、経営改善なり利用の実態なり、具体的にさっき言ったようなこと、自動振込で述べたようなこと、こうしたものが私は郵政省で明らかになっていないと思うんですよ。その辺は何とかもう少し努力はできないものですか。そういう実態がある程度明らかにならなけりゃ、私は経営というようなものも合理的にいかないし、料金体系も合理的なものはできないだろうと思う。その辺の信書の秘密の限界点と健全経営との接点というものは一体どの辺にあるんですか。
  364. 廣瀬弘

    政府委員(廣瀬弘君) 先ほど私御説明申しましたが、舌足らずでございましたので補足さしていただきますが、資料が調わないというのは、信書の秘密を侵すおそれがあるので資料をとらないと、こういう意味ではございませんで、ただ、私どもがまだ全国的な数量的把握をしていないというふうに御理解を願いたいと思います。  それから信書の秘密と申しますのは、もういまさら先生に申し上げる必要もないかと思いますが、信書のいわゆる内容でございますし、またその信書に関する一切の事項を指しておるのでございます。したがいまして信書の秘密の中には、その差出人、受取人の住所、居所、氏名という具体的なものが含まれてくるわけでございます。郵便法におきましても、そういった郵政省の取り扱い中に係る信書の秘密を侵すということであるとか、あるいは郵便の業務に従事する者が在職中に郵便物に関して知り得た他人の秘密を漏らすということは、厳に禁止されておるところでございます。  繰り返して申し上げますけれども経営に必要なデータにつきましては、そういう信書の秘密に関係なく取れるものは取って、今後の経営改善の資料にいたしたいと考えております。
  365. 竹田四郎

    竹田四郎君 簡易郵便局というのがありますね、法律もありますけれどもね。しかし、この簡易郵便局ということになると、さっき法律を見たんですけれども、国家公務員法の適用を外されていますね、これは。  私は、信書の秘密というもの、これがやっぱり経営にある程度問題があると思うんです。だから株式会社の経営と違った意味での、信書の秘密を重んじなくちゃならぬという面、いま郵務局長は否定をされておりますけれども、もう内部的には、若干その信書の秘密ということで、私がこういう資料は集められないものがと言うと、すぐそれは信書の秘密でございますからというようなことで、まあ私に答えるのは正直に答えてていいと思うんですけれども、そういう意味で本当の意味の利用構造というものがなかなかできない。これは一つの制約であろうと思うんです。まあそれだからまた郵政事業というものが独占的にやられていると思うんです。  そういう意味では、簡易郵便局法の第何条かに国家公務員法の適用を除外していますね、これは一体どういうわけなんです。それだけ信書の秘密というものが郵政省の中で徹底的に教育をされているとしたならば、私は、下もやっぱり信書の秘密を守る、そういう法の制度というものが相呼応していなければ、上の方だけで信書の秘密だ、信書の秘密だとやって、下の方ではしり抜けだ、これじゃ困ると思う。  それからもう一つ聞いておきたいんですが、最近に団地なんかでママさん何とかといって主婦の方に郵便配達を委託している面がありますね。この辺は、一体、どういう委託契約でやっているのか。いままでにそういう方が信書の秘密を漏らしたという例があるのかないのか。  これは差出人も言っちゃいけないというんですから、警察から呼出状が来た、裁判所から呼出状が来たということを言ってもいけないと思うんです。全然無事故であったとは私は考えられない。何らかの形で事故が私はあったんではないだろうか。これは私の推測です、資料がありませんから。そういうものがないとすれば、恐らくその辺は非常にルーズになっているというふうにしか私は理解できない。その辺の問題を私ははっきりしていかなければ、憲法にうたっている、郵便法にうたっている、公衆電気通信法にうたっている、いろんなものが信書の秘密、通信の秘密をうたっていながら、一番下の方はまるっきりしり抜けだと、これじゃ何ら信書の秘密に私はならぬ。  この辺の資料をいただくとともに、ひとつその辺の具体的にどんな人数でどんなふうにやっているか、給料はどんなふうになっているのか、こういうようなことをひとつ示していただきたいし、特にその信書の秘密の問題では、私はもっと厳重にやるべきだと思うんです。安い賃金でやればいいと、こういうことでは私はやっぱり信書の秘密というものは守れるもんじゃない。その辺をひとつ明確にお答えをいただきたい。
  366. 廣瀬弘

    政府委員(廣瀬弘君) まず簡易局について申し上げたいと思います。  簡易郵便局におきます委託事務の取り扱いでございますけれども、これは郵便法の規定によりまして「郵政省の機関による取扱」ということでみなされておるわけでございます。したがいまして簡易郵便局の受託者は郵便法に規定されております信書の秘密を守る義務が課せられているわけでございます。受託者は、郵便の業務に従事する者として、郵便物の取り扱い上「知り得た他人の秘密を守らなければならない。」こういう法的規制を受けておるわけでございまして、この点については、全く郵便局員と同じような義務を負っておるわけでございます。  それから団地配達の場合につきましても、同じように、その義務を負っておりまして、そういう信書の秘密に関するいままでの問題というものは私承知いたしておりません。  現在、その団地配達でございますけれども、大体、大都市だとかあるいはその近郊の地域で主婦等によって行われておるわけでございますが、これは昭和四十五年度ごろから試行的に実施されてきておるわけでございまして、現在、大体四時間のパートでございまして、総員約千三百人ぐらいがこれに従事しておりまして、団地で申しますと約五百団地ぐらいでございます。
  367. 竹田四郎

    竹田四郎君 どうも、私ね、そういうことは聞いていませんというのですが、私は専門家でないですからこれはもう案納さんとか委員長とか、そういう方は非常によく御存じだと思いますから、私も具体的な資料を持って言っているわけじゃありません。  しかし、信書の秘密ということをあなた方が本当に真剣に言っているならば、どうも簡易郵便局の問題にしても、それからそういう団地の配達の問題にしても、私は信書の秘密を余り重要視していない、そういう感じがするのですが、郵政省は、そういう人に信書の秘密に対する教育訓練、具体的にどういうふうにやっておられるのか、いままで実施した計画書、実施状況、こういうものを出してください。
  368. 廣瀬弘

    政府委員(廣瀬弘君) その資料につきましては、提出さしていただきます。
  369. 竹田四郎

    竹田四郎君 じゃ、その資料が出てから、ひとつ委員長、またお尋ねする機会を与えていただきたいと思います。  それから、ちまたで、最近、第三種郵便物の認可が非常にむずかしくなったと、こういう話を私は聞いているわけですけれども、特に身体障害者の団体とか、あるいは環境を守る会の会報などを出す場合、私はこういうものは、まあ第三種はもちろんのこと、郵政大臣は前に身体障害者の団体のものは無料にするということを去年はたしか言っていらっしゃったわけです。そういうものが何だか知らないけれどもいつの間にかどっかへ消えてしまったと、こういうふうに思うんですけれども、その問題と第三種の問題。もう少しそうしたまじめな、公害をなくしていこうとか、あるいは身体障害者、そういうものについては、私は、特別な扱いをやっぱりしていくべきじゃないかと、こういうふうに思うんですよ。その辺をひとつお聞かせいただきたいと思います。
  370. 廣瀬弘

    政府委員(廣瀬弘君) 身体障害者を構成員とする団体が発行する定期刊行物につきましての第三種郵便物につきましては、従来から、他の第三種郵便物の認可条件よりも緩やかにしているというのが現行法のたてまえでございますけれども、先生御指摘のように、そういった三種郵便物全体についての問題、これはいろいろ御意見として承っております。これは法律の問題と申しますよりは、今後、省令、規則の問題としてこれをどのように扱うかという問題だと思います。  先生の御意見を十分体しまして、検討してまいりたいと、こう考えております。
  371. 竹田四郎

    竹田四郎君 最後に、大臣に伺いたいと思うんですが、これはわが賢明なる竹田委員長がこの委員会を主宰をしているということで、大蔵委員会みたいな不幸な状態はなしにきょうもこういう形で審議を続けることができたことば私は大変いいことだ、こういうように思っております。  しかし、内容的には、私が先ほどからいろいろ明らかにしたように、問題点はたくさんある。私が国対の間の暇をちょこちょことやってただけでもこれぐらいの問題があるわけです。私は専門にこれをやったら郵政でも専門家になるだろうと自信を持っております。もっといろいろな問題が私は出てくるんじゃないか。ただ、あなたの方は臭い物にはふた式で、とにかく上げればいい、上げればいい、こういうやり方だと思うんです。これじゃ、今後、円満に逓信委員会審議を終わるということはなかなか困難ではないか。  野党のほとんどはこの値上げについては反対であります。郵政大臣は何かうまい考え方ございませんか。これを最後にひとつお尋ねをしておきたい。
  372. 村上勇

    ○国務大臣(村上勇君) 御意見でございますが、窮迫した郵便事業財政の現状からいたしまして、郵便法改正法案の速やかな成立を期待している次第であります。したがいまして、私は、一日千秋の思いでこの法案の成立をお願いいたしたいと期待いたしております。
  373. 竹田現照

    委員長竹田現照君) 本日の審査は、この程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後六時九分散会      —————・—————