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1975-11-18 第76回国会 参議院 逓信委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年十一月十八日(火曜日)    午前十時五十三分開会     —————————————    委員異動  十月二十一日     辞任         補欠選任      木島 則夫君     田渕 哲也君  十月二十二日     辞任         補欠選任      田渕 哲也君     木島 則夫君  十一月四日     辞任         補欠選任      宮田  輝君     最上  進君  十一月十三日     辞任         補欠選任      山田 徹一君     矢原 秀男君 十一月十八日     辞任         補欠選任      松岡 克由君     斎藤 十朗君     —————————————  出席者は左のとおり。    委員長          竹田 現照君    理 事                 長田 裕二君                 川野辺 静君                 西村 尚治君                茜ケ久保重光君    委 員                 亀井 久興君                 郡  祐一君                 斎藤 十朗君                 迫水 久常君                 新谷寅三郎君                 棚辺 四郎君                 最上  進君                 案納  勝君                 竹田 四郎君                 森  勝治君                 藤原 房雄君                 矢原 秀男君                 山中 郁子君                 木島 則夫君                 青島 幸男君    国務大臣        郵 政 大 臣  村上  勇君    政府委員        郵政政務次官   稲村 利幸君        郵政大臣官房長  佐藤 昭一君        郵政省郵務局長  廣瀬  弘君    事務局側        常任委員会専門        員        竹森 秋夫君    説明員        文部省大学局企        画官       勝谷 祐一君        運輸省航空局飛        行場部長     梶原  清君        郵政省電波監理        局審議官     市川 澄夫君        郵政省電波監理        局放送部長    鴨 光一郎君        会計検査院事務        総局第二局長   柴崎 敏郎君    参考人        日本放送協会副        会長       藤根井和夫君        日本放送協会専        務理事      藤島 克己君        日本放送協会専        務理事      野村 忠夫君        日本放送協会専        務理事      坂本 朝一君        日本放送協会理        事        山本  博君        日本放送協会理        事        川原 正人君        日本放送協会理        事        中塚 昌胤君        日本放送協会経        理局長      堀場 仁徳君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○郵便法の一部を改正する法律案内閣提出、衆  議院送付) ○参考人出席要求に関する件 ○日本放送協会昭和四十七年度財産目録貸借対  照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書  (第七十二回国会内閣提出)     —————————————
  2. 竹田現照

    委員長竹田現照君) ただいまから逓信委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る四日、宮田輝君が委員辞任され、その補欠として最上進君が、また、十三日、山田徹一君が委員辞任され、その補欠として矢原秀男君がそれぞれ選任されました。  そして、本日、松岡克由君が委員辞任され、その補欠として斎藤十朗君が選任されました。     —————————————
  3. 竹田現照

    委員長竹田現照君) 次に、郵便法の一部を改正する法律案議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。村上郵政大臣
  4. 村上勇

    国務大臣村上勇君) ただいま議題となりました郵便法の一部を改正する法律案提案理由を御説明いたします。  この法律案は、郵便事業運営に要する財源を確保するため、第一種及び第二種郵便物料金改定すること等を内容とするものであります。  郵便料金につきましては、昭和四十六年度に改定されて今日に至っておりますが、この間、諸経費、特に人件費の著しい上昇のために、事業財政は、昭和四十九年度当初から相当の不足を生ずる状況となり、このまま推移いたしますと収支の不均衡はますます大きくなることが予測されるところとなりました。年々増加する郵便物を円滑に送達し、郵便業務の正常な運営を確保して郵便に負託された社会的責務を果たすために事業収支改善が急がれるところとなったわけであります。  このような状況において、昭和四十八年十月、郵政審議会に対し「郵便事業の健全な経営維持する方策」について諮問し、同年十二月、「郵便料金改正することが適当である。」との答申を得たのでありますが、折からの異常な経済情勢の中において、政府といたしましては、物価安定を最優先の課題といたしておりましたことから、小包郵便物料金を除き、郵便料金改定につきましては、昭和四十九年度中は見送ることとした次第であります。このことに加え、その後の給与改定が約三〇%にも及ぶかつてない大幅なものとなったため、昭和四十九年度末における郵便事業収支不足額は約一千二百五十億円となりました。  このため、昨年十一月郵政審議会に対し、事業運営に要する財源を確保するための郵便料金改正案を再度諮問し、答申を得ましたので、答申に示されたところにより改正案を骨子とする料金改定を行うこととし、郵便法で定められている封書及び葉書料金を本法律案により改定することといたしたものであります。  料金改正の主な内容は、第一種郵便物封書)につきましては、定形二十五グラムまで二十円を五十円に、定形外五十グラムまで四十円を百円に改め、また、第二種郵便物通常葉書につきましては、十円を二十円に改めることとしております。  以上のほか、この法律案におきましては、取り扱いについて若干の改善を図ることとし、料金不足郵便物等納付額算定方法を改めること並びに「引受け及び配達について記録を行う」いわゆる簡易書留損害賠償最高限度額を引き上げることとしております。  なお、この法律案施行期日は、公布の日から起算して五日を経過した日からといたしております。  以上、提案理由及び主な内容について御説明申し上げましたが、今後とも郵便送達速度の安定を図ることにより、国民各位の期待にこたえるよう懸命の努力を傾ける所存でございます。  何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
  5. 竹田現照

    委員長竹田現照君) 以上で趣旨説明は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。     —————————————
  6. 竹田現照

    委員長竹田現照君) 次に、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  日本放送協会昭和四十七年度財産目録貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書の審査のため、日本放送協会役職員参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 竹田現照

    委員長竹田現照君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  8. 竹田現照

    委員長竹田現照君) 日本放送協会昭和四十七年度財産目録貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書議題といたします。  まず、政府から説明を聴取いたします。村上郵政大臣
  9. 村上勇

    国務大臣村上勇君) ただいま議題となりました日本放送協会昭和四十七年度財産目録貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書国会提出につきまして、概略御説明申し上げます。  これらの書類は、放送法第四十条第三項の規定により、会計検査院検査を経まして国会に提出するものであります。  日本放送協会から提出された昭和四十七年度の貸借対照表等によりますと、昭和四十八年三月三十一日現在における資産総額は一千四百八十一億五千二百万円で、前年度に比し百四十億六千六百万円の増加となっております。これに対しまして、負債総額は六百九十一億円で、前年度に比し百四十七億二千四百万円の増加資本総額は七百九十億五千二百万円で、前年度に比し六億五千八百万円の減少となっております。  資産内容を見ますと、流動資産百七十五億二千三百万円、固定資産一千二百九十五億九百万円、特定資産十億一千万円、繰延勘定一億一千万円であり、固定資産内容は、建物五百六十三億五千四百万円、土地百四十八億三百万円、機械三百八十九億八千七百万円、その他の固定資産百九十三億六千五百万円となっております。  また、負債内容は、流動負債百三十二億三千百万円、固定負債五百五十八億六千九百万円であり、固定負債内容は、放送債券百一億円、長期借入金四百十三億一千九百万円、退職手当引当金四十四億五千万円となっております。  資本内容につきましては、資本七百五十億円、積立金四十六億一千八百万円、当期欠損金五億六千六百万円となっております。  次に、損益について御説明申し上げます。事業収入は一千九十九億七千九百万円で、前年度に比し八十九億九千三百万円の増加であり、事業支出は一千百五億四千五百万円で、前年度に比し九十九億五千二百万円の増加となっております。  この結果、事業収支差金は五億六千六百万円の支出超過となっており、これが当期欠損金となっているものであります。  以上のとおりでありますが、何とぞよろしく御審議のほどお願いいたします。
  10. 竹田現照

    委員長竹田現照君) 次に、日本放送協会から説明を聴取いたします。藤根井日本放送協会会長
  11. 藤根井和夫

    参考人藤根井和夫君) ただいま郵政大臣から日本放送協会昭和四十七年度財産目録貸借対照表及び損益計算書の概要につきまして御説明がございましたが、委員長の御指名によりまして、補足説明を申し上げることといたします。  まず、当年度末現在の資産総額は一千四百八十一億五千二百万円で、この内訳は、流動資産百七十五億二千三百万円、固定資産一千二百九十五億九百万円、特定資産十億一千万円、繰延勘定一億一千万円でございまして、固定資産内容は、建物五百六十三億五千四百万円、土地百四十八億三百万円、機械三百八十九億八千七百万円、その他の固定資産百九十三億六千五百万円でございます。  この資産総額を、前年度末に比較いたしますと、百四十億六千六百万円の増加となっております。  これは主として、当年度建設計画に基づき那須芦野等二百二十地区のテレビジョン局新設、岐阜ほかの県域放送を実施するためのテレビジョン局新設館山等四十局の超短波放送局新設放送センター総合整備、盛岡ほかの放送会館整備、その他放送設備整備等を行ったことによる固定資産百二十八億四千二百万円の増加によるものでございます。  一方、これに対します負債総額は六百九十一億円で、この内訳は、流動負債百三十二億三千百万円、固定負債五百五十八億六千九百万円でございまして、固定負債内容は、放送債券百一億円、長期借入金四百十三億一千九百万円、退職手当引当金四十四億五千万円でございます。  この負債総額を前年度末に比較いたしますと、百四十七億二千四百万円の増加となっておりますが、これは主として、長期借入金増加により固定負債が百三十四億三千六百万円増加したためでございます。  また、資本総額は七百九十億五千二百万円で、この内訳は、資本七百五十億円、積立金四十六億一千八百万円及び当期欠損金五億六千六百万円でございます。この資本総額を前年度末に比較いたしますと六億五千八百万円の減少となっております。  なお、当年度沖繩の復帰に伴いまして、沖繩放送協会から資産九億九千四百万円及び負債十億一千八百万円を承継いたしました。  次に、損益計算書により事業収支について見ますと、まず受信料等事業収入は一千九十九億七千九百万円で、前年度に比較しまして八十九億九千三百万円の増加となりました。  これは主として、総合・教育両テレビジョン放送網建設を推進いたしますとともに、放送番組内容充実刷新及び事業の周知、受信者維持増加に努めました結果、有料受信契約者数が、カラー契約におきまして、当年度内に三百八十二万の増加を示し、当年度末一千五百六十一万となったためでございます。一方、普通契約は、カラー契約受信者増加に伴い、当年度内に二百九十八万の減少を示し、当年度末八百五十二万となりました。  次に、事業支出は一千百五億四千五百万円で、この内訳は、給与三百六十九億二百万円、国内放送費二百九十九億六千四百万円、国際放送費七億六千三百万円、業務費百三億八千八百万円、管理費百十六億三千七百万円、調査研究費十五億七千四百万円、減価償却費百五十四億六千九百万円、関連経費三十八億四千八百万円となっております。  これを前年度に比較いたしますと、九十九億五千二百万円の増加となりましたが、これは主として、放送番組内容充実刷新カラーテレビジョン放送時間の拡充、受信者維持増加対策の推進及びこれらの事業規模拡大に伴う維持運用費等増加並びに建設工事の進展に伴う減価償却費増加によるものでございます。  以上の事業収支の結果、当期欠損金は五億六千六百万円となりました。  これをもちまして、協会昭和四十七年度末における財政状態及び当年度事業成績につきましての補足説明を終わらせていただきますが、今後の事業運営にあたりましても、公共放送としての使命責務を銘記し、一層放送事業の発展に努力してまいりたい所存でございます。  何とぞよろしく御審議のほどお願いする次第でございます。
  12. 竹田現照

    委員長竹田現照君) 次に、会計検査院から、検査結果について説明を聴収いたします。柴崎会計検査院第二局長
  13. 柴崎敏郎

    説明員柴崎敏郎君) 日本放送協会昭和四十七事業年度財産目録貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書につきましては、昭和四十八年十月二十五日内閣から送付を受けましたが、その検査を了しまして、同年十一月二十八日内閣に回付いたしました。  同協会の会計につきましては、書類及び実地につきまして検査をいたしましたが、検査の結果、特に不当と認めた事項はございません。  以上、簡単でございますが、御説明を終わります。
  14. 竹田現照

    委員長竹田現照君) 以上で説明聴取を終わりました。  これより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言を願います。
  15. 森勝治

    森勝治君 まず大臣にお伺いをしたいのです。  放送法第二条第一号によりますと、いわゆるここに「放送」の定義が明記されております。「「放送」とは、公衆によつて直接受信されることを目的とする無線通信送信をいう。」こうあります。そこでお伺いしたいんでありますが、この「公衆によつて直接受信される」というこの「直接」という語、これはどういうことか、「直接」というのは何を意味するのか、これをお伺いしたい。
  16. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 私も素人ですけれども、大体、放送無線電波を受けて受信するということであろうと思います。
  17. 森勝治

    森勝治君 それではまあそういうことに仮に承っておきますが、それでは第七条に放送協会使命がありますね、目的が。「公共の福祉のために、あまねく日本全国において受信できるように放送を行うことを目的とする。」こう日本放送協会目的が、この設立の趣旨が述べられております。  ならば日本放送協会から発する電波があまねく全国受信者のそれぞれの家庭受像機に映像される、いわゆる「直接」というのは、日本放送協会のアンテナから直接受像されることを意味するわけですね。
  18. 村上勇

    国務大臣村上勇君) そのとおりでございます。
  19. 森勝治

    森勝治君 しからば、CATV等は「直接」ではございませんね。
  20. 市川澄夫

    説明員市川澄夫君) お答え申し上げます。  ただいま大臣お答え申し上げましたように、放送法におきまするNHK目的といたしましての放送は、一義的に無線によりまする、電波によりまする放送であると私どもは考えております。しかしながら、NHK使命の一つといたしまして、放送全国普及という義務を完遂いたしますための一手段といたしまして、NHKがただいま先生指摘有線放送によりまして放送を行いますこともNHK業務の一環であると考えております。
  21. 森勝治

    森勝治君 それを聞いてるんじゃないんですよ。「直接受信」という「直接」というのはどういう意味だと聞いているのですよ、これをお答えにならなきゃだめですよ。
  22. 市川澄夫

    説明員市川澄夫君) 「直接受信」をすると申します法律上の意味は、無線による受信であると考えております。
  23. 森勝治

    森勝治君 だから具体的にCATVは直接でないだろうと言っているんで、CATVを通じて各家庭——NHKの頭上高く掲げられた放送塔から電波が発信されるでしょう、全国家庭にこの電波がいくでしょう、各家庭受像機にこれが映像されるでしょう、スイッチひねれば。この場合に、たとえば一例で新宿のCATVができたでしょう、皆さんが盛んに視察されて許可されたでしょう。CATVですよ。そしたらそれはNHK電波から直接各家庭に入るものでないだろう、いわゆる「直接受信される」ものではないのではないかと、こう聞いているんですよ。それをお答えになってないじゃないですか。
  24. 市川澄夫

    説明員市川澄夫君) 放送法定義といたしましては、先生のおっしゃいますように無線によりまする放送放送法における放送である、かように考えておりますが、NHK業務としての放送の中には、ただいま申し上げました直接の受信と、それから直接の受信を補完する意味におきまする有線の施設というものを施設いたしますこともNHK業務であろう、このように考えておるということでございます。
  25. 森勝治

    森勝治君 はぐらかされちゃ困るんですよ。放送法の第二条第一号に「放送」の定義が明記されているわけですよ。ところが、最近のように電波が飛び交い、高層建築が林立いたしますと、この放送法第二条第一号の精神がややもすれば損なわれる憂いがあるでしょう。だから私はそれを質問しているわけですから、その点を明確に答えてくれなきゃならぬじゃないですか。
  26. 市川澄夫

    説明員市川澄夫君) 放送法定義におきまする「直接受信されることを目的とする無線通信送信」これを「放送」というということは、先生の御指摘のとおりだと私どもも解釈をいたしております。  第七条に立ち返りまして、NHK目的といたしましての「放送を行うことを目的とする。」ここで申しまする「放送」も、先ほどの定義から由来いたしまする電波による受信目的とするということがNHKの七条の目的であるということは、おっしゃるとおりだと思います。
  27. 森勝治

    森勝治君 おっしゃるとおりとおっしゃっているが、「直接」とはそもいかなる意味だと、こう聞いているのです。  もう一回言いますよ。入口でこんな問答をするのはいやなんですが、放送法第二条第一号には、それぞれの家庭に直接送信されること、各家庭受信されることをもってそれを放送というと、こういうふうに明らかに明記されておるが、今日のような世相の中では、ややもすればこの第二条第一号の精神が損なわれるおそれがあると私は思うのですよ。  そうなれば、こういう面からいたしましても、放送法の第二条第一号を直ちに改正せいとは言わぬけれども、やはりこの辺でかねてから問題になっている放送法改正という問題が、これも私がいみじくも指摘しました一項からあずかって考え直さなきゃならぬ問題がたくさんあるわけですから、そういう放送法改正の問題にまで波及するような気がしてならぬから私は質問しているわけです。だから放送法の第二条第一号の「直接」という言葉は、いまや大都会においては、大都会の谷間で生活する市民にはこの放送法の「直接」という言葉間接というように置きかえざるを得ない現状でしょう、そうじゃないですか。にもかかわらず、あくまでも直接だ直接だとおっしゃるわけではないでしょう。そこで——まあいいです、議論をこれ以上しても、どうもうまいお答えを得られない模様ですから。  私が質問するのは、そのことよりも、むしろ放送法改正という問題にわれわれは心を注ぐ時期がきた、当局もこれは抜本的改正提案が近々行われてしかるべきだと私は思うのです。これは当委員会でもしばしばわれわれが言及してきたところでありますが、したがって、この新しい時代に即応する放送法改正という問題にいつ取り組むのか、もうすでに取り組まれておるはずでありますが、いつこの改正提案されるかどうか、このことをひとつお伺いしたい。
  28. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 森先生の御質疑、全く私も同感であります。ただいまその「直接」という、いわゆる野球で申しますならばライナーで一遍に取ってアウトにする、それからワンバウンドで取ってアウトにする、アウトにすることは同じでありますけれども、しかし、その文字からくる「直接」という言葉間接というものに分かれるのでありますから、目的は私はこれでいいと思いますが、やっていることはいいと思いますけれども、しかし、そこに法の上からの文字扱い方については先生と同じようにいささか考慮を要すると思います。  そこで、いま調査会等を設けまして放送法をいかにするか、これはもう長年にわたってやっておりますが、今後も十分に検討いたしまして、なるべく早い機会にこのような疑義のないようにいたしたいと、かように思っております。
  29. 森勝治

    森勝治君 大臣野球談義を聞いていますと、何かきょうの自民党の皆さんのような気がしてならぬのですよ。審議促進促進と言いながらグラウンドに上がってこない、選手が。そんな気がしてなりません。まあざれごとはさておきまして、次の問題に移ります。  御承知のように四十七年度から五億六千万という赤字NHKは計上するようになったわけでありますが、五十年度予算ですと事業支出の約一五%に上る二百十六億円の赤字ということになるわけであります。したがって、そうなりますと今後における財政の基盤の確立ということがNHKにとって最も緊急な課題になっておるのじゃないかと思うのです。そこでNHKといたしましては、過ぐる七月でしょうか、八月だったでしょうか、経営の基本問題について調査検討をするというためにNHK会長の名をもって委嘱した、いわゆる調査会なるものを設置して、これらの諸問題について検討されている模様でありますが、この調査会における審議内容等をひとつお伺いをしてみたいのであります。  さらに、何かこの答申は近く出されるやに承っておりますが、さてそれではいつごろ出されるのか、この二点をお伺いします。
  30. 藤根井和夫

    参考人藤根井和夫君) いま先生がおっしゃいましたように、NHK基本問題調査会はことしの七月に会長諮問機関といたしまして設置いたしたものでございますが、現在までのNHK事業実績について社会的な評価を加えていただく、それから今後の事業運営が一層国民の意向に沿ったものとなるように検討していただく、また、その協会の健全な運営を確保するための方策について御審議いただく、大体この三点の審議をお願いいたしてきておるわけでございます。  調査会は、七月の十五日、初会合を開きましたが、現在までに八回開催されておりまして、第八回目の今月初めの会合におきまして調査報告書内容について審議を大体終了いたしております。その後なおいろんな意見を加えまして取りまとめた上で、第九回の会合——今月、いまのところ十一月二十六日を予定しておりますが、この会合で報告書が小野会長あてに提出される予定になってございます。  調査会におきましては、現在までの協会業務運営各般にわたって調査、検討を行っておりますが、今後の経営見通しにつきましても第四回以降の三回にわたる審議でいろいろ御審議いただいております。なお、調査会としましては、会議のほかに放送センター内部の視察とか、あるいは総合技術研究所あるいは放送科学基礎研究所あるいは中央研修所、そのほか学校法人日本放送協会学園等の視察も行っていただいております。
  31. 森勝治

    森勝治君 そこでお伺いしたいんでありますが、この調査会に諮問した諮問の内容というのは「今後の経営について」というこのパンフレットが五十年の九月に協会から出されておりまが、これじゃないかと思うのですが、この内容をもって当該調査会に諮問をされたんでしょうか。
  32. 藤根井和夫

    参考人藤根井和夫君) 調査会に諮問いたしましたのは、いま申し上げましたように、まず協会のいままでの実績についてかなり長く御検討いただきました。その後九月に至りまして、いま先生指摘の「今後の経営について」といった部内で取りまとめましたものを御提出いたしまして御審議いただいたという状況でございます。
  33. 森勝治

    森勝治君 それでは、いま私がここに持ってまいりました資料、「今後の経営について」というものも当該調査会に諮問をされた模様でありますから聞きたいんでありますが、この資料の中で「経営見通しの前提条件等について」という注釈が二点あります。第一点は「この資料は、五十一年度以降三ないし五年の期間における協会経営の方向についての見通しである。」ということが第一点。第二点は「経営見通しの条件としては、現時点における経済的、社会的条件と業務の実施状況を基礎にしており、今後これらの諸条件が変動する場合には、修正を要するものである。」という、こういう流動的な内容の注釈を加えられておられるわけであります。  これを見ますと、失敬でありますが、赤字赤字という線を少し、誇大と言うとおしかりを受けるかしらぬが、ちょっと強調し過ぎたきらいがあるような気がしてならぬのでありますが、私はべっ見したところそういう印象をぬぐい切れないんですよ。これは値上げを前提としたような気がしてならぬのですが、いかがですか。そういうことは全然離れて、向こう三年ないし五カ年間の経済の動向、NHKのあるべき方策という中期展望に立っての諮問だったのでしょうか、当面する値上げ云々という問題でこの調査会をおつくりになったんでしょうか。
  34. 藤根井和夫

    参考人藤根井和夫君) 私どもとしましては、決して値上げを前提として調査会に御審議を御依頼したわけではございません。  いま申し上げましたように、過去の実績の評価がどうであったか、それからNHKとして将来国民とともにいくためにはどういう事業計画をもって進むべきか、またそれを裏づけるための財政的な問題をどう考えていったらよいかといったようなことにつきまして、内部からいろいろ資料も御提出申し上げましたし、また調査会からもいろいろな資料の要求がございまして、これを提出して御審議いただいたということでございまして、決して値上げというものを前提として御審議いただいておるというつもりは毛頭ございません。
  35. 森勝治

    森勝治君 だとするならば、審議日数をわざわざ四カ月以内と区切る必要はなかったのではないでしょうか。私は、そういうふうに審議日数を一定の期間と定めておるということは、五十一年度のNHKの予算編成に間に合わせようという意図がもうこの中でうかがえるのではないかと思うのです。したがって、そうなれば、いまも私は指摘をいたしましたが、この調査会なるものを受信料値上げの隠れみのにどうもしているような気がしてなりません。それでなければ何も四カ月と区切らずに、経済の変動が定かでない現今でございますから、もう少し時間をかけて結論を求むべきでなかったかと思うのです。
  36. 藤根井和夫

    参考人藤根井和夫君) 期間的には確かに結果として四カ月というような短い期間になったわけでございますが、しかし、もちろん私どもとしては四カ月に限るというようなことで当初考えたわけではございませんが、まあNHKが五十一年度の予算編成あるいはそれ以降の事業計画を考えます際に、五十年度の予算が国会を通りました際にも附帯決議で、財政的基盤の確立について十分検討するようにというような強い附帯決議もございましたし、また、たしか委員会先生から御指摘のように、五十一年度の予算の編成に当たってはやはりその土台になる中期なり長期のある程度の計画を持つべきであるというような御指摘もございました。したがいまして、そういった御指摘を受けまして、この調査会も、私どもが五十一年度予算編成に当たって今後数カ年にわたってどうなるかというようなこともあわせて御検討いただくというような趣旨のもとに提出をしたわけでございまして、もちろんその意味では五十一年度予算編成というものを前提には置いてございます。しかしながら、土台はそういう考えでございますので、非常に期間は短かったわけでございますが、実質的にはかなり集中的な詰めた議論をしていただいたというような現状でございます。
  37. 森勝治

    森勝治君 先ほどの私の質問にお答えくださったのではないかと思うのですが、聞き漏らした模様ですから重ねて質問いたしますが、この調査会に出されたこの案を見ますとNHK赤字が誇大に盛り込まれてる、そういう気がしてならぬがどうかという質問でありますが、このことはお答えくださったんでしょうか、お漏らしになったんでしょうか、重ねて質問をいたします。
  38. 藤根井和夫

    参考人藤根井和夫君) 失礼いたしました。  まあ誇大にというお話でございますが、五十年度の予算におきましてもかなり私ども詰めた計画を行いましたけれど、結果としては二百十六億の赤字という形になったわけでございます。その土台の上に立ちまして来年度以降の見通しを考えますと同時に、これはいろいろな御指摘のように変動要素がございますが、少なくとも九月の時点で私どもまとめますと、まあどういうふうに切り詰めまして——経費を切り詰め、あるいは収入の確保の見通しをはかりましても、結果としてはやはりこうならざるを得ないというような見通しをその段階で立てたわけでございまして、決して私ども意図的に誇大にこれを取り扱っているとか、あるいはつくったということではございません。
  39. 森勝治

    森勝治君 水増し表現という言葉を私がここで指摘するとおしかりを受けるかしれませんが、私の率直な感想はそうなのです。危機説を叫ぶのもいいでしょう、誇張するのもいいでしょう、あるいはまた声を大にして主張するのもいいでしょうけれども、しかし、この調査会にかけた資料等を見ますと、どうもそんな気がしてならぬ。これは私の印象でございますから、それはあなたの邪推と言われても、それは許される邪推だろうと私は思うのです。しかし、もし私が懸念するようなことでこの草案がつくられ、これをもとにして皆さん審議なされたとすると、私は考え直さなければならぬような気がするんであります。だから、こうしつこく聞いておるわけであります。  重ねてお伺いいたしますが、NHKさんがおつくりになったやつを私が過大だ誇大だと主張しても、これはそうじゃない、ああだということでそれはお答えになるでしょうから、ここでそのことについてのことをこれ以上やりますといわば水かけ論ということになりますから、このことは避けますが、ただ御注意いたしておきますが、私どもから見ても、この内容を見ると、どうもNHKは値上げを伏線とした提案をしているという印象はぬぐい切れません。だから、これからこういうことがしばしばおありでしょうが、どうもそういうふうにわれわれに、あなた方から言えばそれは邪推だとおっしゃるかしらぬが、疑心を生むようなそういう提案の仕方は厳に慎んでいただいて、NHKの赤裸々な姿を率直に成文化して、これをその調査会なら調査会にお出しして、それでその中で隔意のない御意見を徴するようにしていただきたい。これひとつお願いをしておくわけです。  そこで次の問題に移りますが、去る十一日の新聞報道によりますと、中山調査会長は記者会見の中で、民放と並列する放送体制における受信料制度がこれでよいのかといった、そういう放送の基本問題にまで突っ込んだ議論をすることができなかったと、すなわち名目的調査会のあり方をみずから何か批判しておるような、まあ率直におっしゃっておられるんだろうと思うんでありますが、もしそうだとすると、NHKはせっかく諮問したものが皆さんからそういう指摘を受けるようなことになると、私はやはり四カ月と区切ったのが余りにも期間が短かったのではないか、これをもって三年ないし五年の中期展望を図って、これからのNHK経営の指針とすることは若干早計ではないかと思うのです。したがって、もう少しかするに時をもってしなければならぬと思うのですが、この点はどうですか。そういう受けとめ方と、それから時間的問題をどう対処されるかお伺いしたい。
  40. 野村忠夫

    参考人(野村忠夫君) お答えいたします。  新聞に報道されました中山会長の発言は、私、記者会見に同席しておりましたので、このように受けとめております。  この調査会は、現行の放送法の枠の中で検討を進めてきました。中山会長としては、しかし、いろいろ論議してみると、現在の放送法の体系で、民法は広告料、NHK受信料という二本立ての体制で突き進んでいった場合、その放送体制を将来ともこのまま維持していくのがいいのかどうか、そういった本当の意味の基本問題が残ったんだと、そこへぶつかったんだと、そういう検討については時間が足りなかったというぐあいな説明をいたしまして、私どももさように受けとめております。
  41. 森勝治

    森勝治君 先ほどもちょっと触れたような気がするわけでありますが、二十六日ごろ答申というお話でありますから、もうすでにNHKの手元には届いておるのではないかと思うのです。したがって、この際、概要をお示し願いたい。
  42. 藤根井和夫

    参考人藤根井和夫君) 私どもとしましては、過去非常に何回かの集中的な論議でどういう議論があったということについてはもちろん熟知しておるわけでございますが、最終的には、第八回の会合でも多少議論もございましたし、中山会長がこれを預かって、そしてまとめて、中山会長の意見も付して、次の調査会で提出したいということでございますので、いま私どもがここでこういうふうになるだろうということをちょっと申し上げるのは遠慮さしていただきたいと思います。
  43. 森勝治

    森勝治君 もうあれでしょう、中身はわかっておるわけでしょう。わかっておるなら聞かしてくださってもいいんじゃないですか。だから、世上喧伝されるとおり、われわれにはさらに疑問の渦がわき起こってくるんですよ。  一般ではどう言っているか、きょうは参議院の逓信委員会であります。   〔委員長退席、理事茜ケ久保重光君着席〕 ここにも記事を持ってきていますが、何か参議院の逓信委員会が開かれた後でなければ、そういう中身について余り公表すると物議を醸すというわけじゃないでしょうが、郵便料金と一緒に何か、あるいはまたその他にも突き上げを食うからというので言わないでおくのだというふうにも世間では伝えられておるわけですよ。  ですから、私は率直にこの席上でお伺いしたいのですが、もう答申の中身が決まっておるわけでしょう。ですから、こういう席で、なるほどそれは公的には二十六日答申ということですからだめでしょうが、骨子くらいは、当然、これは謙虚になってここで質問しておるのですから、お答えくださっていいのじゃないでしょうか。これはNHKがそういうことができないということになれば、やはりNHKはべールに包まれたものだというそしりを免れないのですよ、私は率直にこの点を指摘したい。重ねてひとつ概要でいいのですからお答えをいただきたい。お答えするしないはそちらの勝手でございますが、私はひとつそういうことで概要をお示し願いたい。
  44. 藤根井和夫

    参考人藤根井和夫君) これは御指摘でございますけれども諮問機関ではございますが、しかし調査会としてやはり二十三名の有識者を集め、かつ会長として中山先生がこれを取りまとめておられるというような状況で、先ほど申し上げましたように、まだ最終的にいろんな多少の調整もございますし、中山会長が自分で預かって、そしてこの次に答申したいということでございますので、御指摘でございますけれども、ひとつその点は御勘弁をいただきたいと思います。
  45. 森勝治

    森勝治君 ですから、しつこいようですが、それは答申が二十六日ですね——幾日ですか、答申は。
  46. 藤根井和夫

    参考人藤根井和夫君) 二十六日の予定でございます。
  47. 森勝治

    森勝治君 答申が二十六日だから、答申がなされないうちは、こういう席上で発言ができないということですね。  それならば議論の内容説明できますか。それなら重ねて聞きます。答申内容ができなければ、その調査会でもろもろ議論されたことをこれから一つ一つ聞きますが、いいですか、それもだめですか。
  48. 藤根井和夫

    参考人藤根井和夫君) もちろん八回にわたって非常に詳しく議論が行われたわけでございまして、また、その都度記者会見で内容的にどういう議論があったかということも申し上げておりますので、答申内容については最終的にどういう答申が出てくるのかということはいまお答えできませんが、どういう議論があったかということについてはもちろんお答えいたしたいと思います。
  49. 森勝治

    森勝治君 記者会見でも大筋が発表になったのなら、なぜこの公的な機関で、NHKの所管をあずかる当委員会で大筋がここで述べられないのですか、おかしいじゃないでしょうか。
  50. 藤根井和夫

    参考人藤根井和夫君) 先生の御指摘では、答申内容がどうかということでございますが、これは二十六日に中山会長から会長答申されるということでございますので、その内容がどうかということについては御勘弁いただきたいということでございまして、議論についてどういう議論があったかということについては、私ども説明申し上げたいと思います。
  51. 森勝治

    森勝治君 だけど記者会見でこういう議論があったが、これは意見がまとまらなかった、こういうものはこういうふうにまとまったというので、それぞれの問いに答えられておるのでしょう、そうでしょう。だから、まとまったことを教えてくれたっていいのじゃないですか、概要は。基本的な問題があるでしょう。それもできないのですか、一切ノーコメントですか。だから官僚的だと言われるのだ、NHKは。記者会見で発表されたようなことがなぜできないのですか。概要と言ったら、概要というのはあらましですよ、あらましは大体、大体はおおよそ、おわかりでしょう。どうしてそういうことができないのです。
  52. 野村忠夫

    参考人(野村忠夫君) 議論の内容につきましては、ただいま副会長が申し上げましたように、その都度、記者会見をしておりますので、その概要を申し上げたいと思います。
  53. 森勝治

    森勝治君 ちょっと待って。  野村さん、何と言ったって副会長を差しおいてそんなこと言っちゃいかぬでしょう、あなた。副会長が概要を説明できないと言っているのだから、副会長説明を野村にさせますと言うなら私は受けるが、そんなのだめです。副会長が拒否していて、あんたがしゃしゃり出ることはないのです。これはNHKで相談しなさい。
  54. 藤根井和夫

    参考人藤根井和夫君) 記者会見で内容を申し上げておるのは、そのときの調査会でどういう議論があったかということをお話し申し上げておるわけでございまして、いま先生の御指摘のように、それを総合的に全部まとめました答申自体の内容についてこういう内容であるということは、私どもからまだ御説明いたすわけにいかないということでございます。事実、答申をいただいてないわけでございます。
  55. 森勝治

    森勝治君 そんなら、いま野村専務がおっしゃったことはどういうことですか。答申内容について概要を御報告しますと言われたのですよ。NHK食い違いがあるじゃないですか。副会長が拒否される、専務はあんたしゃべると言っているのですよ。  私はかたく言っているんじゃないですよ。当委員会ですから、調査会の結論が間もなくまとまるというお話、あるいはまとまったのでしょう。ですから、大まかについて説明をしてくださいと言っているのだよ。そしたら、それはできないと言うから何事ぞと言っているのですよ、そうでしょう。皆さんは全部御承知でしょう。それは答申内容そのものは二十六日答申されるわけですから、内容そのものについては、それはここで説明できないのは当然でありましょう。しかし、特徴的な問題をたくさんはらんでおるでしょう。たとえば今度の答申の中であなた方が最も期待されている値上げ問題についても言及をされているでしょう。基本的な問題が数項目あるでしょう、そうでしょう。こういう問題は大体大筋はこうです、こうですと、なぜそういうことが言えないのです。私は全く不思議ですね、なぜそういうことが言えないのです。民主的な運営が期待されるNHKで相も変わらずそういうことでは困るんじゃないでしょうか。  そんなら会長帰ってくるまでこの委員会やめましょう、そういうことをおっしゃるのなら、そんな木で鼻をくくったようなことを言うなら。答申されていないのだから、答申内容を逐一聞くと言っているのじゃないのだ。だからいいですよ、ここで休憩をお願いします。
  56. 藤根井和夫

    参考人藤根井和夫君) 私は、多少先生のおっしゃることを誤解があったかと思いますが、答申そのものについて内容を言うようにというようなふうに私とりまして、失礼いたしました。  もちろん、その調査会の中で重要な問題についてどういう議論が行われたかということについては御説明申し上げたいと思います。
  57. 茜ケ久保重光

    ○理事(茜ケ久保重光君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  58. 茜ケ久保重光

    ○理事(茜ケ久保重光君) 速記を起こしてください。
  59. 森勝治

    森勝治君 いいですか、NHKさん、よく聞いてくださいよ。私は、本件の一番最初の質問で、審議内容についてお答えくださいとお願いしておるんですよ。いいですか、答えてないじゃないですか、そのことに。答えないから、私は重ねて具体的にと言ったじゃないですか。さっきはさっさと通り過ぎてしまったでしょう、あなた方。いいですか、審議内容についてお聞かせ願いたいという質問を私がすでにもう試みておるんですから、それを黙ってほおかぶりして次へ移ろうとするから、私のいまのような質問が出たんです。  いいですか、審議内容と言っているんですよ、それでいて最初の質問には知らぬ顔して次へ移ろうとして、重ねて私が今度は具体的にと言ったら、それはできませんと言ったでしょう、二回言ったでしょう。そうしたら三度目に野村さんが説明すると言うから、私が抑えたんですよ、そうでしょう。なぜそう言わないで、いま再度質問してできるなら、最初のときになぜしてくれないんだ、それじゃ。そうでしょう、明快じゃないか。最初に言ったんだ、私は審議内容と言っているのに、説明しないとは一体何を言っているんだ。いまになって説明するとは何事だ。そんな失敬なことはないだろう。私は無理に言っているんじゃないですよ、審議内容と言っているんだ。
  60. 藤根井和夫

    参考人藤根井和夫君) まことに御趣旨を取り違えまして失礼いたしました。先生の御指摘の点につきましては深くおわびをいたします。  内容につきましては、野村専務より詳しく御説明申し上げたいと宜じます。
  61. 野村忠夫

    参考人(野村忠夫君) 現在まで八回の審議を行いまして、第一回から第三回までは、NHKの過去における業績並びに現状についての資料を配付いたしました。その中には、当然のことながら、この参議院の私どもの予算、決算の審議の概要を含めまして、現在国会方面でどのようなことが問題点になっているかということを御説明いたしたわけでございます。大ざっぱに申しまして、過去におけるNHKの業績ということに関連いたしましては、各委員から、これはNHKだけの問題じゃなくて民放の問題が絡んでいる。民放とNHKのこの二本立ての現行放送法というものは、一体、日本においてはうまく成功したのであろうかというような質疑がございまして、これは大方の皆様が現在の放送法は非常にうまくいっているという御判断でございます。  で、その間、NHKの仕事として最も評価していただいたのは全国普及の義務でございます。ラジオ及びテレビにおいてNHKが現在余すところテレビにおいては九十万世帯まで全国の普及義務を果たしたという仕事については高く評価していただきました。それから番組につきましても、現在NHKがやっております番組の大方においては評価をいたしてくださいました。ただ、番組の中で、NHKが報道、教養、娯楽等各分野の仕事をしておりますが、その個々の番組につきましては非常にたくさんの御意見が出ました。  一番私どもの過去の業績において不評判だったのは、経営のPRでございます。NHK国民NHKという観点から仕事をしているけれども、どうも一般国民NHKの性格なり本質を余り理解していない。そういう意味で、もっと国民に対するPRをすべきではないか。それは放送を使ってもいいじゃないか、あるいは印刷物、パンフレット、各種の集会等においてNHK経営についてもっと国民に明らかにすべきではないかという点では、多少私どもには手痛い御批判が下されたわけでございます。  で、九月に入りましてから、これからの経営ということで、先ほど来森先生がお示しになった資料を含めまして御論議をいただきました。この御論議の中心の中で、まず中山会長としては、NHK国民にどのような放送を要求されているかという点を諮問した際に、ほとんど全員の方は現在のラジオ三波、テレビ二波、国際放送、それからそれに付帯するNHKの仕事は大体においてそのまま存続すべきである。ただ、問題は、NHKは確かに過去においては非常な高度成長をした。しかし、これからの経営においてはこの高度成長の惰性は許されない。そういう意味で、ここはNHKの大きな反省点である。したがって今後の経営が志向すべき方向というものは効率的かつ合理的な経営に徹すべきであって、NHKはこれ以上膨張すべきではない。仕事としてはこれ以上当面はふやすべきではないというような御意見が出ております。方向としてはそのような方向でございます。  で、しからば、このNHKが今後仕事をする上において、どういう財政的基盤が考えられるか。この財政的基盤の検討については当委員会においても附帯決議におきまして、幅広く検討せいという趣旨の決議をいただいたと思いますが、調査会におきましても受信料以外にNHKは広告を取ったらどうであろうか、あるいは現在の受信料制度というものにはいろいろ問題があるから、この際、多少税金的な性格に変えたらどうか、いろいろ御意見が出ました。しかし、最終的には、この受信料制度は守っていくべきであるというのが結論でございます。  ただ、この受信料を守っていく際にも、たとえばNHKがホールをいま運営しておりますが、このホールでいろいろ催し物がございます。ある種の公開番組につきましては聴視者をそこへ無料で入れまして番組をつくっておりますが、その場合でも、たとえ百円でも二百円でも公団番組の場合でも収入を図ったらどうか、そういう御意見もございました。また、NHKは非常に資料をたくさん持っているはずだ、これは技術的な資料あるいは番組的な資料、いろいろな資料がある、その資料を国民に公開して実費を取ったらどうだ。あるいは番組の二次使用について収入を図ったらどうだ、このような御意見が出ております。しかし、最終的な段階になりまして、このような収入を図り将来の経営を展望した場合、受信料を精力的に取っても、現行の受信料額では赤字は解消できないという認識に到達いたしまして、この認識については皆さん一致しております。  しからば、この赤字をどういう形で処理すべきであるかという点について御議論がございました。一つは、国が当然持つべきであろうと思われるようなもの、たとえば国際放送のようなもの、あるいは場合によったらば、ただいま免除しております受信料免除の問題についての国庫負担の問題、そういった種類のものはできるだけ国によって補てんしてもらったらどうだ。  それからもう一つは、現在の私ども経営において最大の問題は、難視解消が僻地に及んでいて、しかもこれが相当膨大な経費がかかるという事実でございます。国鉄でいいますといわゆる赤字路線でございます。この問題については、調査会としては、現在のような非常に山間僻地の末端に行った場合のNHKの難視対策というものは、技術的にできるだけ経費の少ない開発をすべきである。それからもう一つは、放送衛星によってできるだけ救済すべきである。しかし、現在のところ、やはり国とか地方行政機関の補助を受けてもいいではないか、そういう面について検討したらどうだという御意見をいただきました。  そのようないろいろな問題点を抱えてなお赤字の処理につきまして、借金でいったらどうだという議論は、要望としては出ませんでしたけれども、逆の立場で、NHKはそのような赤字の場合借金でいくべきではない、国鉄の二の舞を演ずべきではない。国からも金をもらうべきではない。そうしてやはり受信料ということで国民から直接——NHKの本来の立場から受信料問題に取り組むべきである。そういうたてまえから、一部新聞にも出ましたように、最終的なこの財政基盤の確立につきましては、受信料の値上げも大体やむを得ない。いろいろな表現はございますけれども、基本的にはそれ以外には道はないというぐあいに調査会の方向は固まったようでございます。  そのような発表を中山会長はいたしましたので、一部新聞はそういう報道をいたしました。また、その際、中山会長は、その基本的な方向は固ったけれども、表現においてまだ多少問題があるので、これは二十六日に譲りたいという発言がありましたので、それに重点を置いた新聞は、二紙ほど、結論が出ずという形で持ち越しという新聞記事になってあらわれております。  大体、以上がいままでの大ざっぱな概要でございます。
  62. 茜ケ久保重光

    ○理事(茜ケ久保重光君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時に再開することとし、休憩いたします。    正午休憩      —————・—————    午後一時七分開会
  63. 竹田現照

    委員長竹田現照君) ただいまから逓信委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、日本放送協会昭和四十七年度財産目録貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書議題といたします。  質疑のある方は順次御発言願います。
  64. 森勝治

    森勝治君 午前に引き続いて質問を続けたいと思うのです。  概要について先ほどの質問に対するお答えがあったわけでありますが、その内容をお伺いしますと、値上げ問題については、まあいわゆる値上げ幅ですか、についてはNHKに一任するというようなお話の模様でありますけれども、しかし、これもただすんなり一任なら一任、NHKの諮問もっともだということにはならないんじゃないか、それは相当異論が出され、議論が交わされたやに聞いておるわけでありますので、その辺の議論の内容を、特徴的な問題で結構ですから、お聞かせを願いたい。
  65. 野村忠夫

    参考人(野村忠夫君) 財政基盤の確立を期するための論議が交わされまして、その中の議論としては、大まかに言いますと、一つは、現在の受信料収入の枠内で一体どれだけの仕事ができるか、つまり金の収入をめどにして中の仕事を考えたらどうであろうか、それはとうてい現状の仕事を維持できないだろうけれども、できないならできないという結果をはっきり国民の前に示すということがまず先決条件ではなかろうか、そういう御議論が一つ。  もう一つは、やはりNHK放送法で定められている国民に対する放送文化、福祉を図るために設立され、全国普及の義務を持ってこれこれ、これこれの放送番組を出せと言われておるんだから、まず国民のニーズを求めて、国民が真に欲するところのものをもとにして料金を計算したらどうだ。つまり出るを先に考えて、その上合理化を図って入る方を計算したらどうだ、この二論がございました。  もう一つの議論は、そういう検討をしても、結局、現状から見れば赤字はそう簡単には解消しない、世の中の趨勢というものをやはり横目でながめて見る必要がある。たとえばNHK受信料を据え置いたこの八年間に、ほかにどういう物価が上がっているか、鉄道、新聞あるいは同業である民放の広告料、電波料、諸物価あるいは人件費、そういう世の中の趨勢を基礎にしてやはり赤字の問題、財政基盤の問題を考えるべきではないか。  この三論が出まして、その三論が出た結果、先ほど来のような結論になったわけでございますが、この三論の共通した点を申しますと、やはりNHKは今後は効率的、合理的な経営姿勢で臨むべきであるという点では一致してございます。
  66. 森勝治

    森勝治君 答申が出ました暁には、その問題についてはいずれ後刻質問をしたいと思うのでありますが、これらに関連して、中山会長の記者会見の席で、何か受信料制度研究会の設置を勧告するなどと報道をされておるわけですが、その意味はどういうことなのか、NHKがどうこの問題を把握されておられるかお伺いをしたいのです。
  67. 野村忠夫

    参考人(野村忠夫君) その記者会見にも同席していたわけですが、その際の中山会長の御意見はは、先ほどの御質問にもお答えしましたように、NHKの問題を突き詰めていくと、やはり一つの大きな問題点は受信料制度であると。民放は過去において電波料、広告料合わせて過去十数年前にはNHK受信料と同額であった、今日見ると民放の収入はNHKの五倍になっている。受信料制度というものは、なかなか受信料を毎年上げるわけにはいかない。そういう趨勢をながめていくと、民放とNHKの収入の差は将来非常に開いてくるだろう、ここに受信料制度の一つの問題点がある。  それからもう一点は、受信料制度そのものは国民を基盤とする財源であって、これはNHKとしては絶対に守っていかなければならない制度ではあるけれども、現在、いわゆる不払いの問題が世上論議されているけれども、この社会的不公平感をどう処理するか、これはやはり制度の問題である、こういう観点からお話が出まして、ただ、この問題はNHK経営の問題とは別である、やはりNHKを超える立法の問題あるいは行政の問題ということであるから、もしその方面において検討が行われたならば、NHKとしても、やはり部内に研究会などをつくってそれに備えておく必要があるのではないか、これは中山先生の個人的な所感でございまして、調査会との関連ではございません。  ただ、中山先生としては、調査会の報告書を提出した際、調査会会長を初め、各委員がその機会にそれぞれ所感を述べ合ったらどうであろうかという御意見がありましたので、中山先生としてはそういう所感を、その際、個人的に述べてみたい、こういうぐあいにおっしゃっておりました。
  68. 森勝治

    森勝治君 副会長に質問するわけですが、いまお答えがあったわけでありますが、この受信料制度研究会、違った角度でといういまお話がありましたが、NHK自身もこういう受信料制度研究会、これは仮の名でありましょうが、これを設置する意思がありますか。  それから、これは電波理局長で結構だが、省の所管としてそういうことを省自身が検討するつもりありますか。
  69. 藤根井和夫

    参考人藤根井和夫君) NHKといたしましても、必要があれば設置したいというふうに考えております。
  70. 市川澄夫

    説明員市川澄夫君) 郵政省といたしましても、ただいまお話がございましたように、法律面でいろいろ検討を必要とする事項があろうかと存じておりますが、今後、放送法電波法の改正を含めまして、広い立場から検討をいたしてまいりたいと考えております。
  71. 森勝治

    森勝治君 副会長、どうも先ほどのこともありますから、私はここでいまのお答えに重ねて言及することは若干ちゅうちょされるのでありますが、あえて申し上げます。  必要とあれば設置しますというのはお答えにならぬのですよ、いいですか。それはなるほどいまの野村専務のお話ですと、会長の個人的ないわゆる所感としておっしゃったという意味のことを言われておるわけですが、かりそめにも調査会会長が記者会見で個人的見解として表明されたにしても、影響するところは大きかろうと思うのであります。したがってNHKとしてはそういう必要性を認めておるのか、一笑に付するのか、一笑ということは失敬でしょうからそういうことは別として、必要ないのか、必要とあらば設置するのじゃなくて、いまとにかく個人談話としても調査会長がそういうことを記者会見で述べておられるのですから、それをNHKがどうとらまえるかという質問をしているわけですから、ですから、必要があるならある、ないならない、もっと具体的にお答えを願えないでしょうかな。
  72. 藤根井和夫

    参考人藤根井和夫君) 設置したいと考えております。
  73. 森勝治

    森勝治君 それでは、設置したいということですから、恐らく実現するでありましょう。  しからば、いまNHKが一連の世上喧伝される値上げの正当性を裏づけると言われている各種の動きというものは、つまるところ、山中会長が記者会見で述べられたこの受信料制度研究会の設置を勧告するという意を受けて、NHKでもこの種の機関を設けるとかという意思表示をされました。くどいようですが、大事なことでありますから私はいまオウム返しに申し上げたわけでありますが、しからばNHKの今後における料金というものは、この研究会が設置され、その活動の結果を待ってから改めて料金制度についての態度というものを決めていかれるだろうと思うのでありますが、そのとおり理解してよろしいですか。
  74. 野村忠夫

    参考人(野村忠夫君) 中山会長のおっしゃる研究会の設置の所感は、これは長期的かつ包括的な問題提起でございまして、当面私ども財政基盤の確立を期して、この予算編成までにしている作業とは全く別個の動きであると考えております。
  75. 森勝治

    森勝治君 そういたしますと、いま中山会長の個人的所感として記者会見で発表されました受信料制度研究会なるものは長期展望に立つものであるから、当面するNHK赤字克服のための素材たり得ることはできない、こういうことでありますね。  しからば、逆問いたしますが、ならば、この二十六日に答申されるであろう答申内容が来年度の予算編成に重大な影響を及ぼすということをはしなくも説明されたと私は理解するのですが、そのとおり理解してよろしいでしょうか。
  76. 藤根井和夫

    参考人藤根井和夫君) 調査会答申内容につきましては、来年度の予算編成、中期の見通しに対して徹底的にわれわれとしては参考にしていきたいというふうに考えております。
  77. 森勝治

    森勝治君 ちょっと質問が前後するわけですが、NHKの内部に経営改善委員会というのですか、仮名称ですね、そういうのをすでにもう先刻設置されておりますね。この中ではどういう検討をされ、何が中心で運営されておられるんでしょうね。
  78. 藤根井和夫

    参考人藤根井和夫君) 経営改善委員会につきましては、先般の五十年度の予算を国会で御審議いただいた際の参議院の附帯決議におきましても、協会経営の現状にかんがみて一層経営効率の向上に努めるようにと、また、今後における財政基盤確立のための方策を多角的に検討せよというような御決議もございました。これを受けまして、四月に、私を長といたします経営改善委員会を設置いたしたわけでございます。  協会内の組織としましては、理事会のほかに、組織上、経営企画会議というのがございまして、協会全般にわたって重要な事項についていままでも検討いたしておりますが、特に現状にかんがみまして特別プロジェクトとしての経営改善委員会を四月から設置したわけでございまして、内容としましては、協会業務の全般の見直しを行う、それによって一層業務の効率化を進めるということ。それから今後協会としてどういう事業を進めていくかということをもう一度原点に立ち戻って洗い直して、将来目標とその実現の方法を考えていきたい。それからさらに、財政の健全化の方向、これについて検討を進める。大体、大きく言いますと、その三つの柱に目標を置きまして、四月以来検討をいたしておるというのが現状でございます。
  79. 森勝治

    森勝治君 この経営改善委員会というのは、失敬でありますが、いま第三点で説明されました財政立て直しを目標とする、中心とする改善委員会のような気がしてならぬのです。したがって財政が危機になったからといって、この種のものをやはり設けるということでは料金値上げが目標だと、こういうそしりを免れることはできないんではないでしょうか、私はこう思うのです。  したがいまして、今後、こういう委員会をどう活用されていかれるのか、それと第三者機関に似通ったたとえば調査会のようなもの、そういうものとのこの種の関連というものをどうマッチさせていかれるのかお伺いをしたいと思います。
  80. 藤根井和夫

    参考人藤根井和夫君) 経営の危機になったから設けたという、まあちょっと言葉が足りなかったかもしれませんが、そういうことではございませんで、先ほど申し上げました経営企画会議ではこういった問題については常時いままでも検討を続けてきたわけでございますが、御承知のようにに、三次にわたる長期計画、その後三カ年の見通しというような状況のもとで五十年まで推移したわけでございまして、五十一年以降の予算編成あるいは中期の見通し、そういったものに取りかからなければならないという状況のもとで経営改善委員会というものを設けたわけでございまして、この中でいま申し上げましたような目標について継続的に今後とも検討していきたいというふうに考えております。  また、経営改善委員会の中でいろいろまとめましたものにつきましては、現在の基本問題調査会にも御提出申し上げて御審議をいただき、部外の方々の御批判も受けているというような状況でございまして、今後、さらに何らかの部外的な調査会を設けるということにつきましては、これもちょっと言葉の上でまたおしかりを受けるかもしれませんが、必要であれば、やはりそういったこともやらなければいけないんじゃないかというふうに思っております。
  81. 森勝治

    森勝治君 経営委員会のあり方について、ちょっと質問をしてみたいのです。  私も先ほど指摘いたしましたように、NHK自身が率直に告白されておられますように、NHK経営の最大のいわゆる危機がますます深まっていくような気がしてなりません。したがって、こういうときにこそ経営委員会としての手腕力量が期待されるときはないと思うのでありますが、一体、経営委員会というものは、この最大の危機に直面しているNHKの中で果たす役割りというものは当然法によって定まっておるわけでございますが、寡聞にして活躍らしい活躍の御報告に接したことはないのであります。したがって、この際、NHK運営の責任と権限をお持ちの経営委員会の活動についてひとつお聞かせを願いたい。先ほども指摘いたしましたように、四十七年度赤字以来ずっと赤字が累増しておるわけでありますから、当然、経営の立て直し等の問題についてもこの経営委員会の中で議論が交わされてしかるべきだった。しからばどのくらいこういう問題について討論が、いわゆる議論が交わされたのか、ひとつその辺もお伺いしてみたいのです。  そこで、さらに具体的にこの私の質問に補足をいたしますが、たとえば昭和四十七年の業務報告を見ましても、経営委員会の会議は年に十三回ですね、その他原則として月二回在京の委員による会合をお持ちの模様でありますが、経営委員会の全体の会合が年に十三回ということでは、月に一回ですから、これでは一体実質的な効率のある経営委員会としての実効を上げることは不可能ではないか、またそれを期待するのは無理ではないかと思うのであります。したがって、もちろんこれは経営委員会NHK事務局から諮問をして初めてこたえるかっこうに、あるいは指針を出すかっこうになっておるのだろうけれども、その辺の活動状況をもう少しつまびらかにひとつ報告をしていただきたいと同時に、それでは今年度、五十年度どのようなお仕事をおやりになり、どのような会合を開かれておるのか、この点もひとつお伺いしておきたい。
  82. 藤根井和夫

    参考人藤根井和夫君) 経営委員会は、法律にも定められておりますように、協会経営に関する最高の議決機関として定められておりまして、私ども執行部はその議決になったものにつきまして執行の責に当たるということでございますが、議決の内容としては協会の重要事項をほとんど網羅して議決されるわけでございまして、審議の日程としましては確かにいま御指摘のような回数ではございますが、毎月本会議は二回、二日にわたって開かれておるわけでございます。非常に突き詰めた議論が二日間行われております。そのほかに、御指摘のように毎月在京につきましては二回お集まりがあり、また地方につきましては、各地方在住の委員が局に参りまして執行状況を聞くというような形をとっておりまして、これが一応二回とはなっておりますが、そのほかに個別にも協会においでいただきまして、いろいろ活動状況について聴取しているというような状況でございます。  具体的な内容につきましては、重要事項は、人事のほか番組の編成の方針とかあるいは国際放送の編集の方針とかあるいは業務執行上のいろいろな重要な問題とかございますが、特に予算の関係につきましては、予算決定をする月だけではなくて、その前、まあ三カ月ないしは四カ月前から事前に詳しく内容について事情を聴取したり説明を申し上げたりして、最終的には十分検討の上で予算をお決めいただくというような形をとっております。内容的には、特に業務の中でいつも議論になりますのは、収入についてもう少し確保できる道がないかといったような議論、あるいは執行上合理化を図るべき点がないかといったような点が常に中心になって議論されているところでございます。  五十年度につきましては、十月までに七回経営委員会が開かれておりますが、これは特に現在のような情勢でございますので、いままで御説明申し上げましたような経営改善委員会の検討の内容あるいは調査会の中で議論されたこと、そういったものを逐次御報告申し上げて、これに対してその都度いろんな御意見を賜っているというような状況でございます。
  83. 森勝治

    森勝治君 いまのお答えの前段は、四十七年度のことをお答えになったんでしょうか。月二回委員会を開催するというのは四十七年度のお答えでおっしゃったんでしょうか。
  84. 藤根井和夫

    参考人藤根井和夫君) 四十七年度も含めましてでございます。四十七年度も含めまして、月二日、回数としては一回でございますが、二日にわたって議論を……
  85. 森勝治

    森勝治君 あなたの方の業務報告書を見ても、月二回経営委員会を開いたというようにはなってないでしょう。経営委員会は月に一回で、一年間十三回というんでしょう。そのほか在京委員による打ち合わせが月二回行われているのが皆さん業務報告じゃないですか。だから経営委員会月二回というお答えは納得できません。
  86. 藤根井和夫

    参考人藤根井和夫君) 月二回というふうにお答え申し上げたとすれば誤りでございます、訂正します。月一回でございますが、会議は二日間にわたって行われるということでございます。
  87. 森勝治

    森勝治君 けちをつけるわけでありませんが、もう少し私は経営委員会というものが手腕と力量を発揮してもらいたいと思うのですね。特に、いま世界一になったNHKであります。   〔委員長退席、理事茜ケ久保重光君着席〕 しかし、不払い問題やその他放映の問題にいたしましてもいま関心の的なんでありますから、当然、これは経営委員の諸君が率先してやっぱり陣頭に立ってNHKのこれからのあり方については隔意ない意見とよき方策というものを十二分に私は出してもらいたいんです。どうも私がこう期待するのは少し期待が強過ぎるのかもしれませんけれども、ぜひともあるべき姿をひとつ発揮していただきたいことを私はこの席上をかりて委員皆さん方にお願いをしておきたいと思うのです。  そこで次の問題に移りますが、いまお話しがありましたように、そしてまた指摘をいたしましたように、経営委員会自身がいわゆる積極的にその役割りを果たしてきたというふうには私はどうしても理解ができないんであります。具体的に私は二度ばかり数字というものを申し上げました。たとえば委員会の会議、審議日数等、開催等を申し上げましたが、これではいま言ったこの危機に直面するNHKとしての経営委員としては私は少しどうかなと思わざるを得ないんであります。  前段に、その委員会の機能の積極さを期待したわけでありますから、これ以上私はこの件には触れませんが、ただ、この際、私は所管の大臣としての郵政大臣から、いま私が指摘したような問題がどうしても介在しているような気がしてなりません。すなわち、もう少し機動力を、機能力ですか、経営委員会の機能を発揮してもらいたい、私はそう思うわけであります。すなわち経営委員会のあり方というものがいま問われているような気がしてならぬわけであります。したがって所管大臣としてその指導をどうされるか、この点ひとつ御意見があればお聞かせいただきたい。
  88. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 経営委員は、公共の福祉に関して公正な判断をすることができ、広い経験と知識を有する者のうちから、両議院の御同意を得て、内閣総理大臣が任命しているものでありまして、御指摘のとおり、経営委員会NHK経営方針その他業務運営に関する重要事項を決定する権限と責任を持っておるきわめて重要な役割りをいたしておるところであります。  したがいまして経営委員会のあり方につきましては、昭和三十九年に出されました臨時放送関係法制調査会答申におきまして、各地区から選出される委員については、教育、文化、科学、産業等の「社会分野の代表性は考慮しないこととする。」ということでありまして、また、委員会に直属の事務局を設ける等の方策が述べられております。  昭和四十一年、第五十一回国会に提出されました放送法改正案におきましては、社会分野の代表性及び地区代表性を廃止し、広く人材を求めることとしておりましたが、会期の満了により同法案は審議未了、廃案となりましたことは御承知のとおりであります。  郵政省といたしましては、その後、経営委員会のあり方につきまして放送法改正に関連する主要事項の一環として検討を続けておりますが、いまだ結論を得るに至ってはおりません。しかしながら、現行法のもとにおきましても経営委員会の果たすべき役割りはきわめて重要でありますので、同委員会がその機能を十分に発揮し、国民の信頼にこたえてもらいたいと考えておる次第であります。
  89. 森勝治

    森勝治君 次の問題に移ります。  NHKのあり方については最近特に批判の対象になってきましたし、また、なりがちであります。そこで私はあえて申し上げるわけでありますが、NHKの現況というものをやはり視聴者にわかってもらうような努力を積極的にやることがNHK国民を結ぶことになるだろうと思うのであります。かつて四十三年にブルーブックのようなものを発行したわけでありますけれども、これをもう一度おやりになったらどうでしょうか。これは四十七年の予算の審議の際だと思いますが、いまおやめになりました前の前田会長がブルーブック様のものをひとつ出してみたいとみずから発言をされておるわけでございますので、そういうこともあるし、NHKとしても、もちろんパンフレットその他はありますけれども、いま私が申し上げたような形態のものをお出しになったらどうか、御意思があるかどうか、ひとつお伺いをいたします。
  90. 藤根井和夫

    参考人藤根井和夫君) 御指摘のように、NHKについて国民の理解を深める方法が非常に足りないというようなことは私ども十分反省しておるわけでございますが、先生の御指摘のようなブルーリポートにつきましては、現在、基本問題調査会においていろいろ御討議をいただいており、その答申が今月末に出るわけでありますので、この答申と、それに対応するNHKの予算編成あるいは中期見通しについての立場、そういったものを含めてこの調査会答申を活用さしていただいて、先生の御指摘のような国民の方々にNHKを理解していただくような方法をとりたいというふうに考えておるわけであります。
  91. 森勝治

    森勝治君 郵政大臣にお伺いをしたいのでありますが、これは電波局長で結構ですが、四十七年度のNHK業務報告書に対する郵政大臣の見解が述べられております。  第四項、財政の欄でありますが、時間がかかりますから読み上げませんが、何かこの赤字を出したのがりっぱだと、こうほめているのですね。赤字は縮小したという表現を用いていますが、こういうほめ方はないのじゃないでしょうかね。赤字を克服して黒字にしたというならいいでしょうけれども経営努力をしたものと認められて非常におほめの言葉をされているんですね。第一項、第二項、第三項、第四項、いずれもほめてあるんです。ほめられた途端に赤字がますますふえてきたというんです、NHKは。どういうことでこういう意見書をつけられたのですか。
  92. 市川澄夫

    説明員市川澄夫君) ただいま先生の御指摘郵政大臣の意見書につきましては、収入と支出、事業収入事業支出を対比いたしました場合に五億六千六百万の欠損が出たわけでございますが、当年度の予算におきまする欠損の見積もりといたしましては八億二千万の欠損を見積もっておったわけでございます。そのような予算と決算を対比いたしました場合に、当初の予算におきまして見積もりました欠損額を下回る決算をいたしたと、この点につきましては経営努力の結果であろうと、このように考えたものでございます。
  93. 森勝治

    森勝治君 あなたがいまおっしゃいましたね、具体的に。予算の見積もりのときに八億二千万欠損を見積もってきたって言うんでしょう、そのときになぜ指摘しなかったのですか。あなた方が「おおむね妥当」であるというのが国会に出したあなた方の添え書きですよ。八億二千万も当初予算で欠陥が見込まれるならば「おおむね妥当」であるという大臣の意見は出されないはずでしょう。当初予算のことを言っているんです、いいですか。あなたがいま当初予算で八億二千万赤字が出る予定が五億六千万になったからほめたと言っているんですよ、そうでしょう、あなたそう言ったのでしょう。それならば当初予算で欠損の見積もりが八億二千万もあるそういうNHKの予算が「おおむね妥当」だとなぜ国会に出してきたと、おわかりになりますか。
  94. 市川澄夫

    説明員市川澄夫君) ただいま手元に予算につけました郵政大臣の意見書を持ち合わせておりませんのではっきりしたことは申し上げられませんけれども、確かに先生指摘のように予算案に対しまする郵政大臣の意見に際しましては「おおむね妥当」であると、このような意見を付したと記憶をいたしております。ただいまの「おおむね妥当」という意見は、事業収支業務計画その他全体を含めましたものを一括いたしまして「おおむね妥当」であるというような意見を付したわけでございまして、この収支の八億の欠損が出る予算につきましては経営の合理化を図って予算の節約を図ってもらいたいというようなことで、特にこれについてのコメントはいたさなかったと記憶をいたしております。
  95. 森勝治

    森勝治君 NHKにお伺いするんでありますが、「四十七年度財産目録貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書」を読みますと、四十七年度は五億六千六百一万一千円いわゆる赤字だと言われていますね、いまも話がありましたように。で、この場合、たとえば減価償却費が大分四十七年度はふえているわけですね。これはあれですか、減価償却の単金か何かが変わってこんなに著しく減価償却の額がふえたのですか。
  96. 山本博

    参考人(山本博君) これは従来どおりの方式、すなわち法人税法に基づきました償却方法をとりまして、ただ財産がふえたという結果こういう数字になったということだけでございます。
  97. 森勝治

    森勝治君 四十七年度当時の財産が増加したのは、どこが増加したのでしょう。
  98. 山本博

    参考人(山本博君) 細かい一つ一つの内容をもう少し調べないと具体的にお答えできませんが、一般的にお答えをいたしますと、その当時いろいろ土地並びに建物、こういうものを地方の放送会館その他に力を入れておりましたので、その部分が一般的にはふえたという内容でございます。
  99. 森勝治

    森勝治君 ならばお伺いしましょう。  福岡県の新庁舎造成のために購入されましたあの土地はいつまでほうっておくんですか。四十七年のときにそれを買ったとか何とかということは申し上げません、ちょっといつ買ったか私はわかりませんが。減価償却だ償却だと言いながら、いつ建てるか当てもないものをどんどん買い込むということで、赤字がどんどんふえたから料金値上げと言われても国民は迷惑をするのではないでしょうか。もしNHKが本当に経営の合理化をしようとするならば、当初計画どおり福岡の放送局を実現しなければならぬのじゃないですか。あれだって当分いつ建てるかわからぬでしょう。土地は買いました、新しい土地の税金はふえる、古いところは狭くて困るということになってくるでしょう。ですから、もっと効率的に乏しい予算を運用するんですから、財産がふえたから減価償却だ償却だと言われただけでは、表面上ますます赤字が出るだけじゃないですか、私はどうもこの辺が合点がいかないんですがね。具体的に私はいま福岡放送局の例を申し上げたから、福岡放送局の例をとってお答えをいただきたい。
  100. 山本博

    参考人(山本博君) ただいま御指摘がありました福岡の土地の問題は、四十七年度に購入をしたものでございます。今日までやはり建物はそこへ建つという手順を踏んでおりません。その後、四十八年以降に建設費関係が必ずしも潤沢にまいらなくなりましたものですから、福岡につきましては御指摘がありましたように今日まで工事が進むという段取りなっておらないのは、御指摘がありましたように、大変これは申しわけないことだと思っております。  これは計画が多少予定よりも延びたということになりまして、それが必ずしも効率的ではないではないかという御指摘につきましては、私たちも十分心がけて、この問題をできるだけ早く解決をいたしたいと思います。
  101. 森勝治

    森勝治君 いま福岡の例を私はとりましたが、そこへ入る過程は旧庁舎があくわけでしょう、合理化ということならば不要になったものを売りさばけばまたNHK赤字が埋まるんじゃないでしょうか。買い込むことは買い込んで資産をふやしておいて、やりくりつかないから値上げ値上げと何でもかんでも結びつけられるのは迷惑ですからね、この点は御注意をいたしておきます。  いまの問題ですね、この五億六千六百万円ですから、減価償却で十四億ふえているわけですね、そうでしょう、減価償却で四十七年度は十四億ふえたわけですよ。まあ法定で償却したとおっしゃるけれども土地購入等の減価償却というのはそうないわけですね、建物でしょう、建物が減価償却の額がかさんでくるんでしょうが、四十六年度と四十七年度、十四億も減価償却費が違うということは、そんなに物価変動があったのですか、ないはずでしょう。だから減価償却——これは私はよく見てない、不勉強のそしりを受けますかもしれませんけれども、十四億も四十六年度を上回る減価償却をしなければ五億六千六百万という赤字は克服できたのではないでしょうか、率直に聞きます。私のあるいは勘違いかもしれませんが、教えてください。
  102. 山本博

    参考人(山本博君) 四十七年度に減価償却費がふえました一番大きな原因は、東京の渋谷の現在の放送センターの分がふえたわけでございます。福岡の部分ではございません。  しかし、その減価償却費をただいま御指摘がありました五億六千万に振り向けられるかといいますと、そういう連関というのは必ずしもつけにくうございますので、直ちに減価償却費の分をもって経常事業収支の五億六千万を埋め切れるというような形にはなれなかったと思います。
  103. 森勝治

    森勝治君 それでは受信料問題に移ります。  四十七年度以降の収納状況と原因別滞納の状況について、概略でいいですから、ひとつ御説明をいただきたい。
  104. 川原正人

    参考人(川原正人君) 四十七年度以降の受信料の収納状況でございますが、パーセントで申し上げますと、四十七年度につきましては、初年度の収納が九七・八%、これをさらに翌年度も回収に努めますので、最終的には九八・七%の収納でございます。それから四十八年度は、初年度が九七・二%、それを最終的には九七・九七、ほぼ九八%という状況でございます。四十九年度につきましては、現在、初年度を経過したところでございますが、初年度九七・〇一で、現在、その未収金の回収に努めているところでございます。  それから滞納受信者内容でございますが、現在、四十九年度末——この三月でございますが、いわゆる滞納受信者は約五十五万人でございます。この内容といたしましては、一番多いのはなかなかお目にかかれないで、いわゆる不在と申しますか、収納に至ってない受信者の方が全体の七割近くで、約三十八万でございます。そしてその次に、物理的ないろんな御事情があって、それを理由に滞納になっている受信者、つまり航空騒音であるとか、あるいは都市の受信障害等が原因になっておられる方が七万五千。それであと九万五千の方がいわゆる意図的と申しますか、協会の立場をなかなか御理解いただけないで不払いになっておられるのが九万五千と、こういう状況でございます。
  105. 森勝治

    森勝治君 私は、かつて料金滞納トラブル等の問題について、当時、いまの会長が副会長時代、質問をしたことがあるのです。  それはどういう質問かと申しますと、このままでまいりますと、国民NHKのトラブルというものが、なるほど無理解から生まれた誤解もあるでありましょうが、不払いというものが横に広がっていくおそれがあるのではないかという意味の質問をしたら、当時の副会長の小野さんは、一握りの諸君のことですから御心配には及びませんと言って、お答えになったのであります。ですから、私は、すかさず、そういうふうな答え方でよいのですかとまぜっ返したことを記憶しているのです。ところが、数年たった今日はどうでしょうか、堂々と不払い同盟なんというものができているわけです。  私は、こういう一連の動きを見るときに、いま無理解の方が九万五千という数字で御説明になりましたが、あながち無理解や誤解に基づくものばかりでなくして、NHKの努力に、協力要請にどこか欠けておるところがあるのではないかと思わざるを得ないのです。たとえば、当時も私が指摘いたしました全国のホテル、旅館等における徴収はどうかという質問もいたしました。関東周辺は大分進んでいる、北海道なども進んでいる模様でありますが、全国的にはまだまだそこまではいってない模様であります。しかし、まあそういう特殊なものはさておきまして、このままでまいりますと、ビル陰の受信の不完全受信という問題もありますから、どんどんどんどん広がって、受信料で賄っているNHK経営というものが根底から覆されてしまうようなおそれを私はいまひしひしと感じているわけです。  これらの問題について、たとえば経営改善委員会とか幹部会議とか経営委員会とかでは、どういう基本的な御論議をされておるのか、ひとつお伺いしたい。このことは経営全般のことを申し上げているんじゃないんです。受信料の徴収の問題についてであります。もちろん滞納もあります、不払いもあります、そういう問題についての質問ですから、お答えをいただきたい。
  106. 藤根井和夫

    参考人藤根井和夫君) いま御指摘のことにつきましては、経営委員会、理事会、それから経営改善委員会でも十分論議をいたしておる問題でございます。  私どもといたしましては、まあ数としましては少数ではございますが、しかし、これをそのままにしておいていいという筋合いのものではなく、また御指摘のように、これが場合によっては広がってくるということも考えられるわけでございますので、基本的にはやはり協会の全力を挙げましてこうした方々に御理解をいただくような基本的には方策をとっていく、そのためには全力を挙げて説得その他の方法によりまして御理解をいただくということも一つでございますし、また、その原因になっておりますものにつきましては、いろいろな物理的な問題もございますし、そのほか番組上の問題もございますし、そういった面、原因になるような点につきまして、できるだけこれを除去していくというような方法をとるというようなことで、種々検討しておるというのが現状でございます。
  107. 森勝治

    森勝治君 いまもビル陰の問題にちょっと触れましたが、ビル陰とか航空騒音、そういうものによる受信障害などというものは、難視聴解消という問題について後刻質問をするつもりですから、そのときお伺いすることにいたしますが、先ほどもお話がありました無理解ですね、また意図的な不払い、この問題について質問をしたいわけであります。  四十八年の三月でも無理解なのは五万六千、四十九年の三月で七万七千、ことしの三月で九万五千と、無理解というものの数がだんだんだんだんふえてまいります。いまもちょっと触れましたが、この不払い同盟という、たとえば「NHKを私たちのものにするため値上げに反対する連絡会議」などというものがあるそうでありますが、こういうものが結成されたと、こう聞いているわけですが、まあこれはいま一つ仮の名前を申し上げましたが、この種のものが全国に幾つあるのか、このことをお伺いしたい。かつて東京のど真ん中でNHK料金不払いと言ってある団体がデモ行進をされたことも聞いたわけでありますが、このままでまいりますと、まさに燎原の火のごとく拡大されるであろうと数年前私が指摘をした線が残念ながら現実の姿となって広がっていくような気がしてなりませんので、ひとつこのことをお伺いをしておきたい。
  108. 川原正人

    参考人(川原正人君) ただいまの御指摘のような不払いの運動を団体として展開しているものは、私どもの承知している限り三つ承知しております。これは先ほど森先生指摘になりました「NHKを私たち」云々というこの中の構成の団体のようでございます。ようでございますと申し上げますのは、必ずしもその中の実際の組織の様子というものは私どものところではなかなか正確につかみかねて、実際会合等がございましたときの集会の模様では四、五十人のお集まりだったというふうに承知しております。団体としては以上の三つでございます。  そのほかに、地方におきまして、これは個人でございますが、いま現在はさほどのあれはございませんが、いろいろとその種の運動を展開してこられた方が私どもの承知している限りで三名ないし四名ございます。この方たちがいろいろな時期に、たとえばこういうシールを張っておけば払わないで済むんだというようなことを展開されたのは事実でございます。
  109. 森勝治

    森勝治君 受信料の不払い・拒否というものが堂々と頭をもたげて公然と叫ばれているこの現状というものを非常に私は残念に思うわけです。しかも、この拒否の理由としては、視聴者の声がNHK放送に反映できないとかいろいろあるわけでありますが、これらのこうした方々を一概に無理解だとか、わからず屋だと言ってきめつけるのには私はちょっとちゅうちょをせざるを得ないのであります。その前に、NHKが打つべき手が何かあるんではないかと私は率直にそう思うのです。先ほどもこの点について質問をいたしたわけですが、お答えがないわけでありますが、どうすればこういうものを防ぐことができるか、解消することができるか、どう御努力なさっておられるかひとつお答えをいただきたい。
  110. 川原正人

    参考人(川原正人君) 確かに私どもも無理解と言ってきめつけるだけで能事終われりとしているつもりはございませんが、実は、つい最近もこの特定のこういう運動を展開しておられる方たちと私どもの方の担当のセクションの者でかなり長時間にわたって面談をした事実もございます。ただ、基本的にこの一部の、このいまの私が申し上げました運動を展開しておられる方たちは、とにかくNHKを解体しなければいけないんだ、そのためには不払いをやるんだということで、基本のベースのところでどうもかみ合わない点があります。  非常に極端な御意見の方はそうとして、もしもそれに同調されるような方がさらにあるんだとすれば、これは私どもとしても大いに反省をしなければならない点があろうというふうに考えまして、すでにもう数年前から、実はその聴視者の御意向をもっといろんな経営全般、番組も当然でございますけれども反映させなければいけないということで、たとえば全国の各放送局に相談室あるいは相談センターというものを設けたり、あるいは聴視者懇談会というものを年に数百回開いたり、各種の方途を講じまして聴視者の意向は十分に吸収するように努力してまいったつもりでございます。ただ、先ほど来のお話のように、まだ至らない点があるという御指摘が非常に強いので、さらに一層勉強をいたしていきたいと考えております。
  111. 森勝治

    森勝治君 いまのお話にもありましたように、視聴者の声を放映に反映させよう、あるいはまた経営に反映させようというたてまえから、本部には相談センター、地方局には相談室を設けたり、直接視聴者の意見を聞くために番組のあり方では聴視者懇談会、また経営のあり方についてはNHK懇話会や特別視聴者懇談会等が開催されているというふうに聞いていますけれども、世評ではこれはNHKの隠れみのだという評判が残念ながら高いのであります。  そこで私はお伺いするわけですが、一体、これらの二座談会や懇話会に出てくる人選というものはどういう形で進められておるのか、NHK好みのカラーを出さない人でなければそこへ登場させないのか、無作為抽出でお選びになっておられるのか、ちょっとお伺いをしておきます。
  112. 川原正人

    参考人(川原正人君) ただいま申し上げました各種懇談会等は無作為抽出というやり方はとっておりません。といって決してこちら好みというつもりはございませんで、いろんな地方で年に八百回前後開催いたしますので、それぞれの土地で聴視者の御意見を比較的よく御存じだと思われる方、各階層の方、ときにそれは聴視者団体の代表の方あるいは労働組合の代表の方もいらっしゃいます。そういう方をこちらからお願いをいたして御意見をちょうだいしているような次第です。
  113. 森勝治

    森勝治君 以上列挙した、私が申し上げた各種の懇談会やそういう聴視者の会というものでNHKの考え方を国民に知らせ、国民の声をブラウン管に反映のできる体制が全く完成したと、こう思っておられるのでしょうか。私はそんなふうには思っておらないのです。  なぜならばと申しますと、おやりになっているというけれども、たとえば四十八年度で懇話会の開催の数は東京で十一回、地方本部では十四回で合計二十五回だけであります。特別懇談会は十二回、員数は百十七名、懇談会は全放送局で八百二十一回で一万四千人、これで視聴者の意向を吸い上げて経営全般に及ぼすことで十分であろうかどうかと考えると、これはおよそそういう問題と縁が遠いような気がしてならぬのです。したがって、これはさらにこの線を広げるか、別の方途をもって視聴者の声を吸い上げることに努力していかなければならぬと思うのですが、今後、どうおやりになりますか、お伺いをしたい。
  114. 野村忠夫

    参考人(野村忠夫君) NHKの広報並びに聴視者からの意向聴取、先生がおっしゃるとおり非常に足らないという批判がございます。先ほど来のNHK基本問題調査会の論議の中にもそのような御意見もあり、また、私どもの役員である経営委員会の中にもそのような御意見がございます。  したがいまして、現状を事足れりとせず、さらに国民に開かれた経営という意味で努力したいと思いますが、その一つの努力の一番の手だてとして有効なのは、やはり私ども放送を利用することでございます。NHK放送は主として番組を放送するのがたてまえでございますけれどもNHK自体の経営について国民に知らせなければならない義務も放送法で負っております。したがいまして、私どもとしては、現状でもわずかな時間ではありますけれどもNHKガイドとかその他番組の間を利用しまして国民の皆様方への理解を促進しております。また同時に、御指摘の各種懇談会以外に、世論調査所を使いまして、聴視者の意向調査あるいは視聴率調査あるいは生活時間の調査、こういう科学的な世論調査をしまして、これは同時に番組にも生かして実際に使わさせていただいております。  それから、最近、この九月になりましてから聴視者委員会というものをつくりまして、これは全国の私どもの相談室に年間約三十七、八万の問い合わせ、意見が舞い込んでまいります。この三十七、八万の聴視者からの声を私どもは私どもなりに番組に反映し、あるいは経営に反映しているつもりですが、それをもう一度聴視者の方に検証していただこうということで、毎月毎月のそういう問い合わせ、照会、質問等の相談室に寄せられました御意見を整理いたしましてこの聴視者委員会に御報告し、その措置状況等も述べて御批判を仰いで、さらにこの点を推進していこうという措置も講じております。  なお、基本問題調査会の御意見、あるいは当委員会の御意見を今後十分参酌いたしまして、新しい年度には新しい施策をつけ加えていきたいと思います。
  115. 森勝治

    森勝治君 小野会長が二年前に会長に就任された際、視聴者とNHKを結ぶパイプ役として社外重役制を採用したいと言明されておられましたが、その後、どうこの問題を実現されるのか、そのまま立ち消えになってしまったのか、いきさつをひとつお聞かせ願いたいと思います。
  116. 藤根井和夫

    参考人藤根井和夫君) 小野会長が就任のときに、国民の意向を吸収あるいは反映するための施策の一つの考え方として社外重役といったようなものを設けてはどうかと考えているというようなことを言ったわけでございますが、その後、内部的にこれについては検討をいたしましたが、一方に国民代表としての経営委員会という議決機関もございますし、また役員の定数の問題とか、あるいは場合によってはこれは法律改正を要する問題にもなるわけでございますので、現在のところ、これについては見送っているというのが現状でございます。
  117. 森勝治

    森勝治君 最近、何かNHK聴視者委員会というのですか、それを設けられた模様ですが、これはどういう意図に基づいて設けられたのですか、ひとつお伺いしたい。所管は何局ですか、これは。
  118. 川原正人

    参考人(川原正人君) 先ほど野村専務からもちょっと触れましたが、この九月からNHKの聴視者委員会という制度を設けまして、仕事を始めさしていただいております。  これは数年前から、全国の各放送局に設けました相談室あるいは東京の相談センターに、毎年、一番新しいところでは昨年度三十七万件余りの聴視者からのいろんな御意見あるいは苦情、もちろん単純な問い合わせもございますけれども、寄せられております。協会にはそのほか直接番組セクションとかいろんなところに直接来る意見もさらにあるわけでございますが、いま私が担当しております相談室、相談センターにもそれだけございますので、これは従来ともそれを即刻御意見があったものは各担当のセクションに連絡をいたしまして、しかるべくその聴視者の御意見にこたえるよう、あるいは御要望を生かすように手配はしておりましたけれども、これを協会の中だけで処理していて果たしてよいものかどうか、その辺にも聴視者の方からごらんになるとNHKの存在がやや縁遠いという、あるいは何か意見を言っても手ごたえがないというお感じになるのではないかと反省いたしまして、実は、そのいただいた御意見をもう一度、聴視者のことをよく御存じの聴視者の代表と思われるような方にごらんいただき、かつまた、私どもがそれをどう処理したかということをその代表の方に見ていただいて、もう一度そこでそれは適当であった、いやそれは不適当であったという御意見もちょうだいして、より一層聴視者の意見を経営に反映させたいと考えて、つくったものでございます。
  119. 森勝治

    森勝治君 NHKが聴視者委員会というセクションを設けたという裏には、いままで相談室に投書が大分来るそうでありますが、それらの投書が十分生かされてなかったと、こう勘ぐる向きもある模様であります。しかし、時期が時期だけに、この聴視者委員会というものは、NHKがいま世上もくろんでいる、目指していると言われている受信料値上げのための何かこうカムフラージュというか世論工作というか、そういうふうに世人の目が向けられがちでありますが、こういううがった批判にNHKはどう対処されようとしておるのか、お伺いをしたい。
  120. 川原正人

    参考人(川原正人君) 確かにそういう聴視者委員会についてのさらに御批判をいただいたことも私ども承知しておりますが、私どもとしては、そのようなつもりは全くございませんで、従来のやり方についてもっとNHKは聴視者の意向を反映すべきだという厳しい御意見がありますので、常に前進するという意味で、相談室、相談センターに加えてさらにそういう組織をつくったつもりでございまして、もちろん、この委員会は暫定的とか、期限のあるものではございません、今後ずっと続けていくつもりでおります。その辺の誤解はできるだけ解いてまいりたいと考えております。
  121. 森勝治

    森勝治君 私は、重ねてNHKの不払い運動について申し上げておきたいのでありますが、不幸にして、そういうことでNHKと見解を異にされる動きがあることは非常に残念でありますが、これに対処するNHKの進んで御了解を求める努力に私は欠けてる点がありゃせぬかと思うのです。すべてそうだというふうにきめつけるのは早計ですから、そこまでは申し上げませんが、そういう問題が起こらないようにひとつ十分対策を講ずる必要があると思うので、重ねて聞くわけですよ、いいですか、どうこの対策を進められるか、お伺いをしたい。
  122. 川原正人

    参考人(川原正人君) 私ども、本来が放送事業をしておりますし、広い意味で報道なり言論なりそういう機関でございますので、できるだけやはり協会の立場、放送法趣旨というものを御理解いただいて、そして全部の聴視者の方に公平に受信料を負担していただく、これが大原則だと思います。  したがいまして、たとえどのような繰り返しがございましても、こういう方に対してはできるだけ説得の手段を講じてまいりたい。それから、先ほど御指摘のとおり、やはりごく極端な御意見をお持ちの方は別として、いろいろ事情がおありでその受信料が納めていただけないという方もございますので、こういう方に対しては、当然のこととして、たとえば絵が見えにくいとか騒音がどうとかということであれば、当然その対策をまず考えていかなきゃならぬと思っております。あるいはたまたまお会いできないというような事情のためにもし滞っていることがあれば、これは私どもさらに努力を重ねまして、休みの日でも、あるいは一部早朝あるいは夜間になりましてもお伺いして料金をちょうだいする、あるいは手紙等をもっと活用して文書等によって料金をちょうだいする、こういう努力もさらにもっと重ねてまいりたいと思っております。
  123. 森勝治

    森勝治君 私は、ここでまた残念なことをもう一つ申し上げなきゃなりません。それはNHKの元集金人が受信料不払い運動を提唱して運動を展開し、北海道では三千世帯に上るそうでありますが、これに賛意を示したと聞いているわけですが、一体、この元集金人といいながら、いわばこれは内部からNHKのこの問題について批判の手が挙がったと指摘せざるを得ないのであります。ですから、もうやめてしまったんだから知らないというわけにはいかない。それは余りにも深い根底があるような気がしてなりません。  私は、この方に直接会った経験はないんでありますが、漏れ聞くところによりますと、この人は一生懸命NHKの先端に立って聴視料を集めようと努力したけれどもNHK本部はこれにこたえてくれなかったというのが不払い運動につながる一つの動機だとかということも聞いているわけであります。直接でないですから正確さは求めるすべがまだありません。しかし、かりにも元集金人がこのように堂々と不払い運動を提唱し、これを行動に移し、これが拡大されているという姿を聞くだけでも、私は余りよい感じを持つわけにはまいりません。したがってNHKはこれらの問題にどう対処されるのか。私はこれは内部からの協会批判の一つの典型的な姿ではなかろうかというふうに考えざるを得ないんでありますが、この点についてひとつ御意見をいただきたい。
  124. 川原正人

    参考人(川原正人君) 北海道にそのようなことがあったのは事実でございます。私どもも非常にこれは残念に思っております。協会の職員ではございませんでしたが、協会の委託契約で集金をするシステムがございます。この委託契約を請け負っておる者がさらに再委託といいますか、人を委託して仕事をすることは、これはそういうことも認めているわけであります。その再委託していた者がそのようなことを最近になっていたしておる、もちろんその前にやめているわけでございます。  いま御指摘のように、一生懸命集金をしようとしたが認めてくれなかったという点につきましては、ちょっと私どもは見解を異にしておりまして、まあその方がある時期一生懸命やってくだすったことはもちろん評価——認めているわけでございますけれども、実は途中でいろいろな問題がございまして、最終的にはちょっと金銭上の事故めいたものもございまして契約は解いた——どもは直接ではございません、もう一人中間に委託契約を引き受けた者がございまして、その者との関係になるわけでございます、間接になるわけです、そういうことがあったということ。それから、まあいろいろその方の御意見も伺いましたけれども、いかんせんいまのNHKの集金の中ではそういうことはとれないというような行き違いもございまして、そういう結果になったわけで、その後、NHKに金を払う必要はないんだということをその方が宣伝いたしまして、ある程度同調した者もあるというのは事実でございます。その後、私どもは決してそのまま野放しということではございませんで、実は担当の地元の局の営業部長が一回ないし二回、それから局長自身も二回ほどその方と直接面談いたしまして、かなり長時間にわたって協会の立場等を御説明したんですけれども、どうしてもその辺が理解していただけないということが続きまして、若干のそういう問題を生じているのはそのとおりでございます。
  125. 森勝治

    森勝治君 金銭的なトラブルということを初めて聞きましたが、そういう問題じゃなくて、NHK経営の基本に触れる問題の批判がなされておるんではないでしょうか、これはNHKとしても避けて通れないでしょう。  たとえば、自分がまじめに集金に行く、言を左右にして払ってくれない、こういう者がおるかと思うと、母子家庭では子供の貯金までおろして払うのもおる。この現実というもの——強い者あるいはまた取り合わない者にはNHKは目をかさずにだ、弱い者から、まじめな者からばかり取る傾向がある、こういう制度はばかばかしくて耐えられないと、これもやっぱりNHK不払いの批判の一環じゃないでしょうか。もし、これがすべてじゃないとしても、いま私が申し上げたようなことがこの不払い運動の一つの原因だと、理由だとするならば、これはNHK経営の根本に触れる問題ですから、たとえ北海道でわずか三千世帯がこれにくみしたとしても、それはおろそかにするわけにはまいらぬのです。  ですから、重ねて川原さんに聞きますが、これはNHK経営の基本に触れる問題じゃないでしょうかね。それは人間ですから金のことで多少そういうこともあり得るでしょうが、それより先にあるのが、NHKが、たとえばそんなの知らないといってけとばす者はなおざりにしておく、まじめに払う者あるいはまた弱い者は、出しなさい出しなさいとこれはやる。これじゃあなた強い者が得だと、わがままが通るじゃないかということになるんですよ。こうなるとNHKの今度は法に基づいてNHKが聴視料を取るというこの法の基本にも触れてくるような気がしてならぬのですよ。だから私はあえて——この問題は正直言って余り持ち出したくなかったのですが、経営の将来の基本に触れる問題ですから、私はここでいま質問しているわけです。
  126. 川原正人

    参考人(川原正人君) 確かにこの問題の側面というか、本質の中にいま御指摘のようなことはあろうと思います。これは一つの深川の問題ということを離れまして、協会にとりまして真剣に考慮しなければならない問題であると承知いたしております。今後、事態のさらに変化によりましては、私どもとしても、さらにいろいろな場合のことを慎重に検討して対処していかなければいけないというふうに考えております。
  127. 森勝治

    森勝治君 次に移ります。  ここ数年来、受信契約は目標に達していない模様でありますが、四十七年以来のひとつ実績をここでお聞かせ願いたい。
  128. 川原正人

    参考人(川原正人君) 契約の目標との関係でございますが、四十七年度につきましては、目標を八十六万と、これは契約の総数でございます、カラー・普通契約両方入れまして増加の目標は八十六万と設定いたしまして、実績が八十四万、達成の率から言いますと九八%ということになっております。それから四十八年度は六十三万六千という端数がつくのですが、それに対しまして四十二万二千ということで、達成率としては六六%。それから四十九年度は六十七万の目標に対しまして七十二万、一〇七%という率でございます。
  129. 森勝治

    森勝治君 未契約世帯というものが約二百五十万あると、こう言われておるわけですね。これを減少させるためにわれわれもしばしばこの委員会で問題を提起をしてまいりましたから、皆さんも大変御努力をされているわけでありますが、その一つの方法として前納もしくは振替口座等を進めてはどうかという主張をしたことがあります。  前納の場合には一年間で一割、半年で五%という、そうでしたね、割引の制度を持ちましたが、その際も私が申し上げた口座振替というものですね、口座振替というものを活用して、この口座振込者に対してやはり割引制度というものを設けて、そうして納入の率を高めていくようにしたらどうだということを申し上げたのでありますが、その際、これはNHKでは十分検討してみるというお約束があるわけでありますが、その後音さたなしでありますので、この席上でお伺いするわけですが、どうされるおつもりか、この辺でお答えをいただきたい。
  130. 川原正人

    参考人(川原正人君) 前々国会でその御示唆をいただいて、その後検討してまいりまして、それはもう御指摘のとおりでございます。実は直接御説明あるいはおくれたことはおわびしなければなりませんですが、これにつきましてはなお検討をいま続けておりますが、実際にこの種の問題を実効があるようにするためには、どうも事前に解決しておかなければならない問題がまだ多々ございまして、いますぐこれを実施するというわけにはなかなかまいらないというのがいままでの検討の現段階でございまして、もう少し時間をおかしいただきたいというのが結論でございます。
  131. 森勝治

    森勝治君 私がなぜこういう一つの案を提示するかと申しますと、こうして収納力を増加させて、その余力を、余力というのはちょっと失礼かもしれませんが、それらに費やした力というものを新規契約の方に、集金の方で余った力をそちらへ振り向けたらどうか、いわゆる営業活動の方に回したらどうかと、こういう趣旨で言っているわけであります。  そこで次に移りますが、オイルショックの際、短縮になりました放送時間というものはもとに戻ったのかどうか、これちょっと料金とかけ離れておりますが、このことをちょっと聞きたい。  それからもう一つは、時間短縮でカットした番組、当時出ましたね、フランス語か何かの教養講座は非常にいいとか何とかで特に残したとか復活したとかいうお話がありましたけれども、時間短縮でカットした番組がすべて復活したのかどうか、これは放送局長ですか、ひとつお答えを願いたい。
  132. 坂本朝一

    参考人(坂本朝一君) 時間短縮を実施いたしました当初は、総合テレビ、教育テレビ両方の波の中で時間短縮をいたしましたけれども、その後、いま先生の御指摘のような聴視者の反響、御要望等がございまして、教育テレビにつきましては全時間復活いたしまして聴視者の御要望に沿い、現状では事業計画どおり十八時間放送いたしております。総合テレビにつきましては、やはり全般的な資源エネルギー節約の問題も踏まえまして、午後十一時十五分から十二時まで、月曜から金曜と、それから土曜日を飛びまして日曜日、一週間六日間だけ一日四十五分時間短縮を実施いたしております。土曜日だけは事業計画どおり十二時まで実施いたしております。
  133. 森勝治

    森勝治君 オイルショック以前に戻すのには、あとどのくらいかかるのですか、当然、この際旧に復したらどうですか。
  134. 坂本朝一

    参考人(坂本朝一君) 放送時間の問題につきましては、確かに御指摘のようにオイルショック当時の状況からはいろいろと改善すべき点もございますけれども、その後、一般的な聴視者の御反響なりあるいは基本問題調査会等での御討議等につきましても、やはりいま程度の時間短縮というのは考えられてしかるべきではないかというような御意見も強くいただいておりますので、状況といたしましては、放送時間のあり方として、いましばらくこの状況でおるべきではないだろうかというふうに判断いたしております。
  135. 森勝治

    森勝治君 それは旧に復さないというわけではないが、せっかく時間短縮をしたのだから、当面現状をもって当たると、こういうことですね。別にそれは幹部会議でガチャンとコンクリートで固めたようにかたい意思ではないのですね。
  136. 坂本朝一

    参考人(坂本朝一君) いま先生のおっしゃるように非常にスタティックに考えるということではないんですけれども、いましばらくこういう状況でおってもよろしいのではないだろうかと、したがいまして、実は、来年度の事業計画等も策定する段階になっておるわけでございますけれども、そういう点を基本問題調査会等の御答申をいただいた暁に、やはり最終的な判断をしなければいけないのじゃないだろうかというふうには考えております。
  137. 森勝治

    森勝治君 一部には深夜放送をやるなという御意見もあることは事実です。ただ民放で夜遅くまでやるのだから料金を徴収するNHKだってやってもよいじゃないかという考え方のあるのもまた事実です。そこで料金値上げ、値上げと言いながら、オイルショックに名をかりて放映を短縮しておりながら、それをもとに復さないで料金値上げの方ばかり先走るのはどうかなという意見があることも事実です。ですから、その辺のことを十分ひとつ考えて的確な措置を図ってもらいたい。  次に移ります。これは難視聴の問題であります。  御承知のようにテレビは国民の日常生活にとって欠くことのできないマスメディアであることはもう皆さん御理解願えるわけでありますが、したがいまして難視聴解消も重大な課題になって、われわれは数年来この席で議論を交わしているところであります。郵政省では、おととしからですか、難視聴対策調査会ですか、設けて、ずっと検討をされてこられた模様でありまして、何か先ごろこの調査会から報告書が出されたようでありますが、その報告書の概要をお聞かせ願えれば幸いです。
  138. 市川澄夫

    説明員市川澄夫君) お答え申し上げます。  ただいま先生の御指摘のとおり、先般、郵政大臣に対しましてテレビジョン放送難視聴対策調査会から報告書の提出がございました。  報告書の概要といたしましては、大きく分けまして辺地と都市の二つの地域におきまするテレビジョン放送の難視聴解消の促進方策につきまして、各種の提言がなされております。  まず、民放の辺地難視聴解消の促進方策として取り上げられました事柄は、民放がみずから難視聴を解消することを期待する範囲を設定してはどうか。第二番目といたしましては、中継局の建設関係経費等に対しまして国庫助成を行うことを検討してはどうか。第三番目といたしましては、放送事業者以外の者が中継局を設置するような方法を検討してはどうか。第四番目といたしまして、いわゆる親局と中継局を一括して免許をすることによりまして中継局の促進を図る方法を導入してはどうか。第五番目といたしましては、民放が難視聴解消計画をみずからまたは関係の地方公共団体の長と協議して策定して、それを国が公表をする方法をとったらどうか、このような提言がなされてございます。  それからNHKの辺地難視聴の点につきましては、当面、NHKが中継局の設置等をさらに促進をいたしまして難視聴の解消を図ることにするということでございます。  第二点の都市の受信障害の解消方策といたしましては、御承知のように最近都市におきましては高層建築物が林立をいたしておる状況でございますが、このような状況が将来さらに広範囲に受信障害を発生する原因を起こすという想定のもとに、このような都市におきまする受信障害の解消に当たりましては、建築主、住民、放送事業者、国及び地方公共団体がそれぞれの責任と受益に応じまして何がしかの金員を拠出をいたして、その金員を基金といたしまして受信障害の解消に責任を負いまする公的な主体——調査会の報告書の中では受信障害解消基金という名前をおつけになっておられます、このような公的主体を設立することについて検討をしたらどうか、このような御提案がございます。そして具体的な受信障害の解消に要する経費はこの設立をいたします受信障害解消基金から支弁をする、このようにしてはどうか、こういうことでございます。  それから三番目といたしましては、受信障害解消の技術的な方策といたしましては、さしむきは共同受信施設の設置によることが適当である、このように触れられております。  第四番目といたしましては、受信障害の認定をめぐる紛争、このような紛争を処理するために第三者機関の設立が必要ではないか、このよな提言がなされておるということでございます。  概要、ただいま申し上げたとおりでございます。
  139. 森勝治

    森勝治君 そこで郵政省に重ねてお伺いします。重ねてというよりも、改めてお伺いいたします。  このテレビ難視聴の解消に当たって、郵政省は、加害者すなわち原因者負担主義をとるか、受益者負担主義をとるか、お伺いをしたい。これは大臣
  140. 村上勇

    国務大臣村上勇君) お答えいたします。  都市受信障害の解消施策といたしまして、テレビジョン放送難視聴対策調査会の報告書におきましては、受信障害の解消に責任を負う公的主体を設置することが提言されております。この制度を実施いたしますためには、建築主その他の受信障害関係者からの拠出金が確保されることが先決でありますが、そのためには関係者の費用負担のあり方及び費用負担の割合等につきまして関係各方面と十分調整を行う必要があります。このほか、この制度を実施に移すためには客観的な受信障害認定基準をどのようにして設定するか、制度的に受信障害を解消する地域の範囲をどのように決めるかなどにつきましても慎重な検討を要するものと思います。  郵政省といたしましては、八月二十九日、省内に事務次官を長とする難視聴対策委員会を設置いたしまして、受信障害解消施策を実施する上での問題点等について検討を進めているところであります。
  141. 森勝治

    森勝治君 質問しているんだから、質問に答えてくれないとしようがない。
  142. 茜ケ久保重光

    ○理事(茜ケ久保重光君) 質問者は大臣にと言っいるんだから、大臣から答弁を。
  143. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 従来は建築主が負担することになっておりましたが、この報告に書によりまして、それぞれその受益者と申しますか、関係者が負担するようにというように考えております。
  144. 森勝治

    森勝治君 それは省議で決定したのでしょうか、大臣、重大なことなんです。
  145. 村上勇

    国務大臣村上勇君) そういう点を次官を委員長とする、その省内の対策委員会でそういう点を検討しておるところであります。そういうような方向に向かって検討いたしております。
  146. 森勝治

    森勝治君 大臣は人柄抜群ですからね、大臣とこの問題を議論したくないのです。しかし、大臣、加害者すなわち原因者負担主義というのは一貫した省の方針でしょう、NHKにも今日までそうさしてきたんでしょう、それがどうして急にこんなに変わるんです。これはもう定説になってきたんじゃないですか、原因者負担主義というのは。定説になってきたんでしょう。それを省内の次官を長とする委員会で決めたからと簡単にこの原因者負担主義というこの定説を覆されて、受益者負担主義だなんてやられたらたまったものじゃないんですよ。この点、明確に——。  いいです、大臣は答えなくていいです、大臣に答えをもうこれ以上求めない。大臣に答えを求めようとはいたしませんが、しかし、いま言ったように原因者負担主義というものは一貫した方針ですから、受益者負担主義なんて出てきませんよ。新宿で先般起こった問題についてだって、郵政省がだれか係官立ち会ったでしょう、あそこだって原因者負担主義で指導してきたんでしょう、現実に全国至るところで原因者負担主義の指導をしているわけですから。原因者にばかり金かけちゃ大変だから受益者にも持ってもらうという議論の交わされたという事実は、私もそういうことはあったろうけれども、省の方針でないわけですから、また、それは——いいです、大臣、答えなくていいです。省の方針は原因者負担で一貫しているのですから、いままで。いいですか、この定説を覆されちゃ困ります。  大臣がまたしゃべると私がまたしゃべる、そうすると私の持ち時間が切れる、延びる、郵便法にも入れない(笑声)、こういうことになりますから、そういうことで、私はこの点は明確に指摘をするわけです。いいですか、この問題は次でもまた議論いたします。  次の問題に移りますが、郵政省の考え方、特に難視聴調査会の中で議論が出されたものは、公害と同様な方法を難視聴対策の構想に盛っておられる模様でありますが、先ほども大臣が私が質問する前にもうお答えになってしまったから、重ねて今度私がまた質問すると、もう一遍それをいまお答えしてもらわなければなりませんから、そういう失敬なことはいたしませんが、建築主の負担額とか基金の規模またいろいろな問題が残されておるわけです。したがってこれは郵政省ばかりじゃなくて、建設省その他の省との協議もやっぱりしなければなりません。したがって立法化には大変だろうと思うけれども、しかし、どこかでだれかがこれを処理しなければ、特に大都会における難視聴は解消できませんから、郵政省がせっかく前向きで難視聴解消に立ち上がったわけですから、ですから受益者負担ということだけはいただけませんが、原因者負担主義の思想を貫いてやっていただけるよう、いま何か法の制定をするというお話ですから、それをひとつ実現をしてもらいたいのです。  したがって立法化には一体どのくらい期間がかかるのか。立法化をしようとしても、いま言ったように建設省その他の問題があるわけです。分担金の問題でも大変な問題があって、これはなかなか幾山河を越えていかなければならないような気がするわけですが、郵政省でせっかくまとめられたわけですから、私はくどいようでありますが、この受益者負担主義というのは反対であります、従来と考え方、指導が違ってまいりますから。ですから、それを除いては、そういうことでおやりになることは結構です。結構ですから、一体、いつごろこれが表へ出て法制ができるのか、そのお見通しをひとつ聞かしてほしい。
  147. 市川澄夫

    説明員市川澄夫君) ただいま先生が御指摘になりましたように、先ほど申しました調査会の諸提言を具体化いたしますためには、いろいろな方面と今後折衝を重ねていかなければ、その実現ができない問題が多かろうと存じております。  現在、一つの問題といたしまして提起をされております基金の設立の点につきましても、受信障害関係者の費用負担のあり方の考え方、あり方をどのように考えるかという考え方の問題、それから具体的な地域の範囲の決定というようなものにつきましてもやはり法制的な措置をまずいたさなければならないということでございますが、この点につきましては、建設省、自治省あるいは財政当局等との調整が必須のことでございまして、これらの方面と今後鋭意折衝を重ねたいと考えておるところでございます。  それから立法論といたしましても、放送受信というこの利益を保護いたしますことと建築主の所有権の制限との問題をどのように立法論として処理をするか、このようなことも非常に多くの問題を含む検討を要することであろうと考えております。  したがいまして、いろいろむずかしい問題がたくさんございますし、御相談を申し上げなければ郵政省単独では結論の出せない問題も多々ございますので、現段階におきましては、ただいま御質問の立法化の時期等については明確な見通しを申し上げる手だてがないわけでございます。郵政省といたしましては、ただいま先生のお話にもございましたように、できるだけ早く諸方面との検討を促進いたしまして実現に努力をいたしてまいりたい、このように考えております。
  148. 森勝治

    森勝治君 そういう形でいくことには賛意を表しますが、ただ、考え方の点では、幾たびか指摘をしなければなりません。  先ほども受益者負担を出しておりましたが、この報告書ですか、この要約はどうも相矛盾するところがあるのです。たとえば受信障害については国は従来からいわゆる原因者責任の考え方で建築主等を指導するとともに、NHK受信指導等を行うことによりと、こういうふうにあります。これが従来の国の方針、郵政省の指導方針でございました。ところが、今度は、次の「受信障害関係者の責務」または受益という欄の第二項で、住民は放送受信に通常必要とされる費用相当分を負担することが受益者負担の考え方に適合すると、こうあるんですね。こんな観念の飛躍というのは恐らく郵政省をもって、まあこの調査会をもって嚆矢とするんではないでしょうかな、余りにも急旋回じゃないでしょうかね、ですから私はこの点もこだわりますよ。原因者負担主義か受益者負担主義かということは大変な天と地の相違でございますから、こういう相矛盾することを出されておるわけですから、成文化についても制度についても十分指摘した点をひとつ検討をしてください。  私は、この点について、きょうはNHKの決算の質問ですから、余りこういろいろと、放送の全般に関することだからやってできないことはありませんが、時間がかかりますから後日に譲りますから、私の指摘したところは十分ひとつ考えて記憶にとどめておいてもらいたいのです。  そこで次に移りますが、今度はさらにこの問題の具体的な問題に入ります。先ほどもちょっと触れたわけでありますが、新宿の副都心の超高層ビルによる、特に従来はCAテレビは新宿の駅の東側でございましたが、今度は淀橋浄水場の跡の西側の問題できょうは申し上げてみたいのでありますが、電波障害の救済を求める住民と建築主の間で話し合いが行われてきている。この中では何か郵政省もそれとなく表か陰かどっちかとにかくおやりになった模様でありますね、表も裏もおやりになったのかもしれませんよ、それは。直接出向いた場合と間接的な問い合わせと、こういう意味ですよ、いいですか。しかしそれは不調になってしまった模様ですね、不調になった。それは一部には何か金一千万か何かですか、「企業独自で一千万円」「チラチラTVで〃“迷惑料”」なんて出ていますね、いろいろと。出てますが、一千万払ったと、その谷間の人はそれでよいが、今度はそのビルによって放射線状に描かれるところはだめだと、あれでは銚子の先までだめだとありますね。本当に調子の悪い話を私は質問せざるを得ないのでありますが、その区域、一千万の金もらった以外の人は、たとえば東中野あたりの人はこれは非常に不平が出されているというわけですね。したがってこの問題について郵政省はどういう指導を行ってきたのか、このことですね。ほかにもありますから、またあと聞きますが、いまわかりましたね、ちょっとお答えください。
  149. 鴨光一郎

    説明員(鴨光一郎君) お答えいたします。  郵政省としましては、従来から、高層建築物等によるテレビジョン放送受信障害につきましては、いま先生からお話ございましたように、関係者が話し合いの上、原因者負担のたてまえで解消すべきであるという考え方で指導してまいっております。  で新宿地区につきましても、建築主と障害の発生している新宿区の西側、それから中野区の南部地区、これらの地域の障害の発生している地域の住民との間で十分話し合いをしていただくように指導してまいっているわけでございます。特に建築主側からは障害解消のための技術的方策等についてたびたび相談を受けているわけでございますが、これにつきましてはNHKの協力を得るというふうなことで必要な助言をしてきているという状況でございます。  それから、先生お話しのように、折衝が完全に行き詰まったというふうには考えていないわけでございます。  以上でございます。
  150. 森勝治

    森勝治君 そこで、この話をさらに進めていきたいんでありますが、郵政省の、先ほど私が質問いたしました難視聴調査会の結論と申しましょうか、方針というのは、共聴方式によればよいと、こう言われているわけですね、そういう結論が出されている。ところが、この新宿地区の受信障害につきましては、建築主側は共聴方式では多額の金がかかってしようがないので、UHFによって中継局の設置を郵政省に陳情している、こういうことでありますね。ところが郵政省がこれから固めようとする方針が共聴方式でありますから、これまたここでいろいろ建築主と郵政省の間での意見の違いが出てまいりますね。これはどういうふうに対処されますか。
  151. 鴨光一郎

    説明員(鴨光一郎君) 確かに先生指摘のように、新宿副都心の超高層ビルの建築主からはお話しのように無線の波を使えないか、電波を使えないかというふうな御要望が出ておるわけでございます。具体的にはUHFの波を使った中継局を使うことはできないかという要望でございます。  ところが京浜地区におきましては、周辺の地域におきまして地形から生じる難視聴を解消するためにたくさんUHFの中継局を設置をいたしております。いわゆる辺地の問題解消のためでございます。そういうことで新宿にUHF帯の電波を割り当てる余地がないわけでございます。それで当面の技術的な解消方策といたしましては、先ほどのテレビジョン放送難視聴対策調査会の報告書にもございますが、当面は共同受信施設の設置が適当であるし、特に新宿の場合には共同受信施設の設置以外に方法がないというふうに考えております。したがいまして超高層ビルの建築主側には私どもの方からそのように伝えているところでございます。
  152. 森勝治

    森勝治君 そのように伝えておるというけれども、いま調査会が出された、この出されたばかりの方針と現実にもう相対する案というかな、困るという意見が出ますね。余りにもそれは理想かしらぬが、金がかかり過ぎて困るという意見が出されてまいります。ですから、これからこれを法制化するなんということは大変なことじゃないかと思うのですが、これはどこまでもどこまでも共聴方式でなければならぬという指導をするんですか。
  153. 鴨光一郎

    説明員(鴨光一郎君) いまお答えいたしましたように、調査会の報告書でもそういっておりますし、また具体的な新宿につきましては当面は共同受信施設による方策しかないというふうな状態にあるわけでございますが、同時に、調査会報告書の中でも別途指摘されておるところでございますが、先生お話しのように無線によることがより経済的だというふうな場合もあり得るわけでございまして、この点につきましては、当面のということではございませんが、これから先の検討としては、無線電波を使うことも検討してはどうかということが報告書の中では提言をされております。郵政省といたしましても、この提言を受けまして、場所にもよりますけれども、別途電波を使うことができるかどうかというふうなことを具体的に検討してまいりたいというふうに考えているところでございます。
  154. 森勝治

    森勝治君 それでは、こういうことですね。畳みかけて恐縮ですが、この難視調査会で出した答申——これ報告書が正しいですか、答申ですか。
  155. 鴨光一郎

    説明員(鴨光一郎君) 報告書。
  156. 森勝治

    森勝治君 報告書ですね。じゃその難視調査会が出した報告書を郵政省はただうのみするんでなくして、郵政省の考え方でそしゃくするものはそしゃくする、未消化のものは分離するなら分離をして、より国民電波が十分公平に行き渡るように努力するためにそういう立場で法制化をするということですね。
  157. 鴨光一郎

    説明員(鴨光一郎君) おっしゃいますように、私どもといたしましては、調査会の提言をいただいております。特に、いまお話のございました技術的な解消方策等につきましてもいろいろな考え方があるわけでございまして、これらの考え方、実際的にはいろいろ技術的あるいは法制的にも詰めなければならない問題ございますので、これらの問題を先ほど審議官からお答え申しましたような省内の対策委員会というものの中で郵政省といたしまして検討いたしました上で、具体化をしてまいりたいと、こういうように考えているわけでございます。
  158. 森勝治

    森勝治君 この新宿副都心の誕生に伴って次から次へと高層ビルが建てられる、そのことによる電波障害によって、この高層ビルに突き当たった波がまたはね返って、一説によると五万八千世帯あるいは十万世帯に被害を及ぼすと、こういわれているんですが、郵政省としてはどのくらい被害が出ると推定されておるんですか。
  159. 鴨光一郎

    説明員(鴨光一郎君) いま御指摘のお話の中で二つございます。  新宿副都心の高層ビルによりますビル陰障害の影響によりますものは、副都心に隣接する新宿区の西部の一部、それから中野区の南部の一部、合わせまして約二万五千というふうに推定されております。  それからもう一つの反射によりますもの、これは新宿副都心を中心に東方向の江東区、江戸川区等の一部、それから北東方向の北区、足立区等の一部、南西方向の世田谷区、横浜市等の一部において、新宿の副都心の超高層ビル、それと他の建築物等の複合によって生じたと推定される反射障害があるわけでございますが、いま申し上げました地区内の世帯数は約三万というふうに推定をいたしております。
  160. 森勝治

    森勝治君 郵政省、この問題どうされるんですか。いま現実に起こっていますね、努力するとおっしゃってもそれだけじゃだめですね、これ。具体的にもうぶつかりますね、共聴方式。いま言ったような、そうじゃないということになりますね、現実に起こっていることですよ。  そうすると、やっぱり調査会はまだ報告したばかりですから、これは具体性がないでしょう、まだ理論の場でしょう、机の上にあるだけでしょう。そうすると、現行のいわゆる受益者負担的な考え方でなくして原因者負担的な指導、まだ少しも郵政省の方針は変わっていないんだから、新宿副都心のこの難視聴解消もそこの方向で進めていかなきゃならぬでしょう。現実のものとしてぶつかって、このままでいくと告訴騒ぎになりますよね。郵政省の的確な指導が待たれるんだと思うんですがね。これはですからじんぜんと日を費やしてはならぬ問題ですから、これはなかなかそう簡単にいかない問題かもしれません。いろいろ利害得失というものが交錯していますから大変かしれませんが、大変だからといって所管省としてほっておくわけにはまいりませんから、これいつごろめどでけりつけようとしていますか。
  161. 鴨光一郎

    説明員(鴨光一郎君) いま申し上げました中の反射障害についてでございますが、技術指導等の結果によりまして、たとえばアンテナの調整というふうなことで一部解決されたものもございますけれども、御指摘のように大部分の地域につきまして受信障害解消のための経費の負担問題といったものが未解決なために、まだ解善をされていないという状態がございますことは事実でございます。  調査会の報告書の中でも提言の中でいわれておりますような公的な基金といった制度が確立されるまでの間は、受信障害の解消が停滞することのないように、国が、当面の施策として、建築主と住民、この両者の当事者間解決に当たって参考となるような基準的な考え方を示すということなどで行政上適切な措置を可及的速やかに講ずるように要望するということが言われております。私どもとしましては、もちろんのこと、このような考え方を受けまして、できるだけ速やかに手当てをしたいと思っておりますが、先生のお話のございますように、非常にむずかしい問題がございますので、いまのところ明確なめどは申し上げられない状態にあるわけでございます。
  162. 森勝治

    森勝治君 くどいようでございますが、この高層ビルが建たなけりゃこういう問題が出てこないのです。したがって住民は平穏にそれぞれのテレビ局の放映を満喫することができるのです。突然として高層ビルができるから困るんですから、その原因を除去するということは、いわゆる原因者の方に責任を持ってこなきゃならぬ。これを受益者負担で平等に分けて、資金を平等に拠出しようなんてことは、これは間違いのもとですから、やめていただきたい。これは新幹線等あるいは基地周辺における放送聴視料の減免の問題のときにも、政府は終始一貫として原因者負担説をとっているから自衛隊でもその原因者としてNHKに金を支払っているという厳たる事実もあるわけですから、それを今度受益者負担も入れるんだぞということで、年じゅうぐるぐるぐるぐるこの方針というものがぐらつかないように、空めぐりのしないように御注意を申し上げておきます。  そこで時間ありませんが、後二、三点で終わりますが、次に、いま申し上げた新幹線等の問題、いわゆる新幹線による騒音等について申し上げてみたいのです。  新幹線や航空機による障害は原因者も明確であるという見地から必要な対策がとられてまいりました。これは従来どおりの措置でよいとされております。しかし、少なくとも騒音障害については視聴者は受信料の軽減措置だけで恐らく満足している人はないと思うのであります。したがって今後この騒音対策について積極的な施策が必要だと思うのであります。従来は、私も申し上げたように新幹線、基地周辺の航空機の騒音等すべて原因者負担主義をとって政府が指導をしてきておるわけでありますが、いま申し上げたように積極的施策をこれをさらにとる必要があるわけですが、このことについて郵政省はどういう考え方で今後対処していかれようとするか、お答えをいただきたい。
  163. 市川澄夫

    説明員市川澄夫君) ただいまの問題は、先生かねてからいろいろと問題提起をされ、私どもに対しましても検討の御指示があった問題でございます。  御承知のように、現在、基地及び民間の飛行場周辺の受信障害につきましては金の面で受信料の減免措置を行うあるいは助成金を出すというようなことを実施しておりますけれども、実は、この減免を行うあるいは助成をするということだけでは本質的な解決にならないことは申すまでもないわけでございまして、幾ら受信料の減免をいたしましても、相変わらず飛行機の騒音によりましてテレビが見にくくなるというようなことが解決しないことは申し上げるまでもないところでございます。したがいまして受信料の免除あるいは助成等のほかに、良好なテレビジョンの画像を楽しんでいただけるように何か方法はないかということでNHKとも密接に連絡をとらせていただきまして、技術的な諸検討を進めているところでございます。  これまでに航空機によりまする画像の乱れを防止するためのアンテナ、フラッター防止つきのアンテナの開発をいたしまして、若干のものにつきましてはこのアンテナを装置しているところも現にあるわけでございます。それから航空機の騒音の音の高さに応じまして受像機の方の音量のかげんを操作する装置というようなものにつきましても、現在、研究開発を進めておるわけでございます。その他、技術的な問題について今後とも関係方面と十分密接な連絡をとりまして、受信の向上に努力をしてまいりたいと、このように考えております。
  164. 森勝治

    森勝治君 先ほど申し上げました難視調査会の提言の中で、先ほどは都市難視聴の問題に触れましたが、辺地の難視聴解消にミニサテライトを活用をする、こういうふうに触れておるわけですが、さて、それではその施策は現在どのように進んでおるのか、この点一点お伺いをしておきたい。
  165. 市川澄夫

    説明員市川澄夫君) ただいま御指摘の辺地難視聴のためにいわゆるミニサテライト放送局がきわめて有効な手段であるというようなことが調査会の報告に触れられておるわけでございます。先生御承知のように、ミニサテ局、これは役所では極微小電力テレビジョン放送局、このように名づけておりますけれども、このミニサテ局につきましてはNHKがかねてから研究開発を進めてこられまして、昭和四十七年以来、全国の約二十数カ所におきまして実際に電波を出しまして実験を重ねてまいったわけでございます。その実験の結果、非常に良好な結果が得られまして、このほど実用に移しても受信者に迷惑をかけないというめどがつきましたので、現在、郵政省といたしましては、このミニサテ局を実用局として免許いたすために必要な関係省令の改正の手続を取り運び中でございます。予定といたしましては来月早々には規則の改正が行えるようになるんではなかろうかと思っておりますが、そのような規則の改正が行われますと、今後は、NHKのみならず、民放につきましてもこのミニサテ局を利用することによりまして辺地の難視聴の解消の促進に非常な効果をもたらすのではなかろうか、このように考えております。
  166. 森勝治

    森勝治君 いま後段で民放と協力してという言葉がありましたが、これは難視調査会の中の提言の一環ですね、そうでしたね、NHKは自主的に解消することはもちろんだが、民放と協力して事に当たりなさいというのが提言の一つですね。  だとするならば、今後、NHK中継局の設置についても何かしかるべき措置をしていかなければならぬのではないかと思うので、その対応策についてお伺いをしたい。
  167. 市川澄夫

    説明員市川澄夫君) ただいま御指摘のように、調査会の報告書の中におきましても辺地におきまする難視聴の解消を一層促進するという見地からは、NHKと民放が歩調を合わせて中継局をつくることが妥当であろうと、このように述べられておるわけでございますが、これまでも郵政省といたしましては、辺地におきまする中継局の設置にあたりましては、できる限りNHKと民放がいわゆる共同建設をすることによりまして経済的な置局を行う、あるいはNHKと民放とが同時に聴視者に放送をすることができるようにしようということで、各地域地域ごとにそれぞれの民放、NHKが話し合いの場を持っております。郵政省といたしましても、このような方向で共同建設の合理的な効率的な促進のために積極的に協力をいたしてまいっておりますけれども、今後とも、このような協力の実を上げるように配慮してまいりたい、このように考えます。
  168. 森勝治

    森勝治君 私は、以上、NHKにつきましてあれこれ愚見を交えて申し上げましたが、受信料値上げ必至と、こう言われている折からでありますから、仮にNHKが値上げをするのだという方針で、今後の事業運営が立たないとするならば、それ以前にNHK自体としても経営全般について洗い直す必要があるのではないかと、私はそういう考え方に立って以上御質問を申し上げた次第であります。  ましてや、この不況とインフレの中、公共料金を初めとする諸物価が高騰をしまして国民生活が日増しに苦しくなっている現今であり、そしてまた悲しいことには自殺などをする方々が出ておるわけでございますから、それらの生活困窮の人にさらに追い打ちをかけるがごとく料金値上げという形をとることは決して得策でないし、また、もしそういうことをやるならば国民の指弾と反発を受けることは必定でありましょう。したがいまして私はNHKがそのような方策をとることのないように、新しい時代に対処していただいて、いわゆる視聴者の意向を十分尊重した経営方針を打ち立てていただくことをお願いするとともに、調査会の提言等につきましても、受信障害救済の実態から見て早急な対策をお願いをし、国民のためによりよい放送の実現を図られんことを希望いたしまして、以上で質問を終わります。
  169. 茜ケ久保重光

    ○理事(茜ケ久保重光君) 速記をやめて。   〔速記中止〕
  170. 茜ケ久保重光

    ○理事(茜ケ久保重光君) 速記を起こして。
  171. 矢原秀男

    矢原秀男君 午前中、郵政大臣から日本放送協会昭和四十七年度財産目録貸借対照表及び損益計算書の概要についての御説明を受けました。そしてまたNHKからも補足の説明をいただいたわけでございます。  で、先ほども同僚議員からも質問がございまして、重複する点があろうかと思いますけれども、そういう点は極力簡略に申し上げたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  まずNHK財政事情でございますけれども、四十七年から赤字になりました。で四十七年につきましてはただいま御報告をいただいたとおりでございますが、本年は二百十六億円という赤字が計上されているわけでございます。まあこういうふうになりますと財政の建て直しが当面の課題になっておることはこれは論をまたないわけでございます。NHKでは財政基盤の確立方策を初め、経営の基本に関する問題について調査会を設けて種々御検討されたことは先ほどのお話でも伺ったとおりでございますが、何といいましても経営をどうするかという問題、この経営の基本的な構想についてまずお伺いをしたいと思います。
  172. 藤根井和夫

    参考人藤根井和夫君) 経営の基本的な方向につきましては、やはり私ども何と申しましても放送を出すということが使命でございまして、特に現在の時代が非常に大きな転換期に入っておる、高度成長から生活水準の向上というような後を受けまして、非常にいろいろな問題、公害とかあるいは資源とかエネルギーとか、いろいろな問題についてむずかしい時代に入っております。今後は、安定成長と国民生活の本当の意味の充実といった方向に進まねばならないというこの時代の中で、いま私ども最大の任務として、やはり国民のニーズにこたえまして、情報の提供とかあるいは問題解決への提起とか、あるいは国民生活の潤いのある手段の提供とかというものを使命としていかなければならないというふうに思っております。  この目的に全力を挙げることがわれわれの使命だと思っておるわけでございますが、ただ、やはりわれわれを取り巻く経済環境というものは非常に厳しいものがございますし、NHKとしましては受信者の皆様方からいただく受信料をもって維持されている、国民的な基盤に立っているというようなことを勘案いたしますと、こういった事態を十分認識しながら、NHK使命を遂行するということを最高の目的として掲げながら、経営的にはコンパクトな、また引き締まった経営を遂行していきたいというのが私ども経営の基本方針並びに基本的な構想でございます。
  173. 矢原秀男

    矢原秀男君 いま基本的な構想を伺ったわけでございますが、ちょっと具体的な数字についてどうするのか、こういう点をもう一度伺いますが、予算計上の段階で、いまも少しやりとりがございましたが、四十七年が八億二千万円、四十八年が九億九千万円、四十九年が四十五億五千万円、五十年度が二百十六億円という赤字というものが計上されたわけですね。で四十七年については、先ほどの当期欠損金では五億六千六百万、こういうかっこうでおさまった、こういうふうになっているわけでございますが、こういう数字を年度から追っていきました場合に、四十九年までは東京放送会館の売却で穴埋めされたと思うわけでございますが、その点と、五十年度の二百十六億、この具体的な数字、これについて重なる御答弁をいただくかと思いますけれども、もう一度お伺いしたいと思います。
  174. 藤根井和夫

    参考人藤根井和夫君) おっしゃるとおりでございまして、四十七年以来、毎年度の赤字がふえてきているというのが現状でございますが、基本的には、収入の面で受信契約者数の伸びの鈍化、それから支出の面では石油ショックを初めといたしますいろいろな問題によっての諸経費の増高といったことによりまして、いまおっしゃられたような赤字で推移してきたわけでございますが、四十七年から四十九年にかけましては放送会館の売却代金などによりまして一応バランスはとってきておるわけでございます。ただ五十年度につきましては、二百十六億につきまして、いままでのような売却代金自体のバランスというわけにはいかないというような事態になってまいりまして、放送会館の売却代金のうち借入金の返済に充てるべきものを一部使用し、そのほかのものは実質的には借入金というような形で事業支出資本勘定との間の相殺バランスをとって五十年度の予算を組んだというのが現状でございます。
  175. 矢原秀男

    矢原秀男君 新聞でも、受信料の値上がりというふうなことで国民の大半の方が非常に心配をされていらっしゃるのも事実でございます。こういう方たちの心配されていらっしゃいますのは、やはり単なる酒やたばこや郵便とか、そういうものの値上げではなしに、そういう値上げと一緒に、便乗値上げであるとか、そうして波及的ないろいろなものをこれらの公共性の料金というものが誘発して家計に赤字のしわ寄せをするのではないかという全体的な大きな立場から心配をされておられるのも事実でございます。だから、私も、局部的なものの考え方と総合的なものの考え方、こういうふうな観点の中でうまくミックスした議論が、考え方が出ていかなくちゃならないと思います。  NHKの場合でございますが、いま具体的な数字を申し上げましたけれども、長期的な計画であるとか、それとも短期の計画であるとか、そういうふうな財政計画というものはどの程度まで皆さん方に御披露されていらっしゃるのか、その点をお伺いしたいと思います。
  176. 藤根井和夫

    参考人藤根井和夫君) 過去の経緯におきましても、私ども、単にその時点時点の予算なり計画なりをもって推移したわけではございませんで、昭和三十三年以来三次にわたる長期計画をつくりまして、それに基づいて業務運営をしてきたわけでございます。また四十八年以降は三カ年の経営見通しを立てまして、それに基づきまして今年度まで運営をしてきたというのが実情でございまして、これらの内容につきましては国会審議におきましても内容について申し上げておりますし、また、いろいろな機会を通じまして国民の皆様方にも計画の内容はお知らせ申し上げてきております。  これから五十一年度以降どうするかということについて、いま検討をいたしておるわけでございますが、できれば五年ぐらいの見通しということは気持ちでございますが、実際上は、いまのような情勢でございますので、少なくとも三年ぐらいの見通しはつけたいということで検討いたしておるという実情でございます。
  177. 矢原秀男

    矢原秀男君 非常に最近の新聞では値上がりだというふうな、そういうニュアンスのものがあるわけでございますが、いずれにしても国民の理解と納得を得るためにいわゆる経営の合理化という問題から考えましたときに、どういうふうな努力をされていらっしゃるのか、こういう点簡単に——
  178. 藤根井和夫

    参考人藤根井和夫君) NHK運営につきましては、おっしゃるとおり何といっても国民の理解というのが第一でございまして、この点につきましては、まだ答申を得ておりませんが、調査会の議論の中でも、第一にやはり国民の理解を得ることが必要であろうということは各調査会のたびごとに出ておった議論でございます。もちろん、そのためにはNHK経営的な効率化といいますか合理化の努力をどうしたかとかどういうふうにしてきたかということがやはり第一の問題になろうかと思いますが、これにつきましては過去三次の長期計画あるいはその後の見通しなどにつきましても、今後の中期見通しを立てる際にも、また業務運営に当たっても十分検討していきたいということでございます。  過去の経緯を申し上げますと、合理化という面から申しますと、やはりそれによって金と機材と要員というものを効率的に運営するというのが主体であろうかと思いますが、具体的には組織の効率的な運営を図る、あるいはコンパクトな組織をつくっていくということが一つ。それから経営的に仕事のやり方を効率的に進めていくということが一つ。それからやはり近代的な技術を利用してできるだけ機械化し効率的にやっていくということが一つであろうかと思います。そういう面では個々の問題につきましてかなり突っ込んだ検討も行ってきております。  たとえば一つの例を申し上げますと、コンピューターの導入につきましても、これは経理関係とか、あるいは給料関係とか、あるいは放送の送出とか制作面に対する自動化の問題とか、これにつきましてはコンピューターを導入しまして非常な効率を上げてきておるというのが現状でございます。  また、いろいろ問題になっておりますテレビの放送センター建設につきましても、結論的には、これは集中することによって効率化を図ろうというねらいでああいうふうな形をとったものでございまして、数字で申し上げますと、たとえば要員で申し上げれば、過去十年の間に、業務量から申しますと五千数百名の要員増加でなければならないものを、三千数百名の効率化を図って、実際には千五百名の増加を図ったというような現状でございます。そのうち、大部分は地方の要員の増加であるというようなことで、できるだけ効率的運営を図っていくということでやってきております。  今後につきましては、同じような基本的な考えに基づきまして、組織の面また仕事のあり方の面あるいは自動化の面をさらに積極的に進めまして、少なくとも要員の面では現行の要員を上回らない、現行の要員の範囲内でやるというようなことで仕事を進めていきたいというのが現在の考え方でございます。
  179. 矢原秀男

    矢原秀男君 いま私推定でございますけれども、契約者が約二千五百万人と私承知しておるわけでございますが、未収の受信料の収納状況を見ておりましても、四十七年が一・二九%ですね、受信料に対する割合。四十八年が一・五〇になっているわけでございますが、大体契約者人数でやりますと四十万人ぐらいだと、いまもお話が、やりとりがあったと思いますが、そういう中で滞納契約者の数の理由は先ほどもあったわけでございますが、航空騒音による難視聴の問題、受信障害等による難視聴の問題、無理解、支払い遅延の契約者数、こういうふうな問題が出てくると思うんですが、いま一度やはり消費者サービスという立場の中から、こういう方々に対してどういうふうに理解と、そして努力をしていくか、こういうふうな点をまとめてお伺いしたいと思います。
  180. 川原正人

    参考人(川原正人君) ただいまの御指摘のとおり、数字的にはわずかでございますが、欠損の割合がふえていることは事実でございます。これもいま御指摘のとおり、この数字のもとは契約者でありながら支払いが滞っているという面が原因になるわけでございます。その原因はやはり私どもとしてはできるだけ分析をいたしまして、それに対応する処置を考えていきたい。  総じて申せば、協会NHKの役割りといいますか、存在価値についての理解をできるだけ聴視者の各位にいただくことがもう大原則だと思います。その面では、私どもといたしましては、まず放送番組、私ども最大の事業であります放送番組そのものが聴視者の期待にこたえるということも当然のことでございますが、さらにそのことをまた個々に御理解いただくようにいろいろなPRというものにも力を入れてまいりたい。それから聴視者の御期待にこたえるという意味では、聴視者の希望あるいは御意見が番組あるいは番組以外の各種の経営全般に十分にはね返るということをしなければならない。これはし過ぎることはないわけでございまして、ここ数年来、各種のPR、先ほども答弁申し上げましたけれども、世論調査等による聴視者の意向の把握あるいは個々の聴視者から具体的にお寄せいただく年間数十万に上る御意向を的確に業務に反映していくための各種の相談センター、相談室等の組織並びにそれを運営いたすための聴視者の方の、具体的には地方で行っております各種懇談会等を通じて意見を聞くことに今後とも力を入れてまいりたい。  ただ、現実にお払いいただけない方につきましては、事情によりまして、一番多いのはこちらが集金にお伺いしましても会えない。特に最近の都市部におきますいろんな住宅事情あるいは核家族と申しますか、共働きの方々あるいは独身の世帯等が非常にふえております。こういうところでなかなかお会いできないというのが受信料の滞る一番大きな原因になっております。この点に私どもいま最大の力を注ぎたい。それには昼間通常の時間帯にお伺いしてなかなかお目にかかれなければ、多少夜分にわたってその聴視者の方にはあるいは恐縮なんでございますけれども、御自宅を訪問するというようなこと、あるいは休日等も、これもこちら側の働く人間につきましてもいろいろ問題はありますけれども、そういう場合にもこちから積極的にお伺いするというような方途を講じたい。なおそれでもお目にかかれない方には、ここ一両年いろいろ手を尽くしている一つには、文書、お手紙を差し上げまして、その中に郵便の振替用紙等を同封いたしまして差し上げております。これもかなりの数その振替用紙を使ってお払いいただけるケースも出ておりますので、今後ともこういうものに力を入れていきたい。一番滞っている一番大きな原因はそれでございますので、それに力を注ぎたい。  それから、いま御指摘受信障害といいますか、絵が見えにくい、あるいは騒音でうるさいという、それが原因というか理由でなかなかお支払いいただけないという方につきましては、とにかくその原因を除くことがまず第一だろう。これは実を言いますと、NHKの力では手の届くところと届かない範囲とあるわけなんで、その中でもNHKが手の届く範囲は極力一軒一軒お宅を訪問いたしまして、細かい話を申し上げればアンテナの向き一つ変えることによってあるいは見えるようになる場合もありますので、できるだけのサービスをしていきたい。それから私どもの手の及ばないところはその原因が何かあるはずでございますので、原因を調べまして、その原因をつくっておられる、あるいは原因をなしておられるところにひとつその対策をしていただきたい。これもNHKの一つの仕事としていま非常に力を入れているところでございます。  それからもう一つ、どうしても、そういう事情でなくて、いろんなお立場から無理解といいますか、あるいは一つの物の考えをお持ちになってどうしても払えないという方は、これはもうなかなかそういうて力づくというわけにまいりませんので、繰り返し説得をして払うようにお願いする。しかし、どうしてもできない場合は、これは今後の事態の推移でございますが、またそれを見ていろいろな対策を考えていかなきゃならないというように考えております。
  181. 矢原秀男

    矢原秀男君 いま受信料の問題が出ておりますので、基本的なことをお伺いしたいと思いますが、受信料のことではいろいろ地域や町内やいろんな形のお話を私たちも伺っております。そこで、いつもこれは明確にしておかなくてはいけないなと思うんですけれども受信料というのは、一体、何かという問題がやはり出てくるわけなんですね。ですから映像を買う意味であるのか、それとも受信機を持った場合、所持したら会費のように支払わなくてはならないのか、こういう二点の問題をいま設定したわけでございますが、こういう点についてはどういう見解を持っていらっしゃいますか。
  182. 市川澄夫

    説明員市川澄夫君) ただいま御質問のNHK受信料の性格につきまして、放送法に定めております受信料の規定の解釈といたしましては、昭和三十九年の臨時放送関係法制調査会答申におきまして、受信料の性格が次のように述べられておるわけでございまして、受信料は、独特の法人として設けられましたNHKに徴収権が認められたところのNHK維持運営のための「受信料」という名の特殊な負担金と解すべきである、このような見解が表明されておりますが、郵政省といたしましても、受信料の性格につきましてはただいま申し上げたような解釈に立つのが妥当であろう、このように考えてございます。
  183. 矢原秀男

    矢原秀男君 なかなか切り口上でむずかしい。  郵政大臣、ちょっとお尋ねしますけれども国民の方が伺っておりましても四角四面で非常にわかりにくいのが法律なんですけれども、端的に国民皆さん受信料とは、あなたがテレビを持っているから会費のように払ってもらうんだとか、そうして映像を買っていただくんだとかいう二点に具体的にわかりやすいような質問をしたのでございますが、この二点の範疇の中で、簡単に郵政大臣はどういうお考えなのか、もう一度お伺いします。
  184. 村上勇

    国務大臣村上勇君) これはもうごく簡単なことでありまして、NHK維持運営のための特殊な負担金であるというように解釈していいんじゃないかと思います。
  185. 矢原秀男

    矢原秀男君 じゃ次に移りますけれども、具体的な質問だけ一つしてまいりますけれども、企業関係というよりホテルの場合を設定しますけれども、これはホテルの部屋数とそうしてそれに対する受信料、そういうふうな場合に所有台数というものをどういう形で見ておられるのか、そういう点をお伺いしたい。
  186. 川原正人

    参考人(川原正人君) ホテルの部屋数とテレビの設置台というのは、これは大変むずかしい問題でございまして、私どもとしましてはいろいろな推定調査等をやっておりますが、大きいホテル等におきましては、ホテルの方といろいろ話しますと、部屋は非常にいい部屋になりますと二部屋でもって一人の泊まる分、だから部屋数だけはないという御説明もあるし、事実そういう場合も多いわけでございます。それにしましても大きいホテルでございましたら、まず大多数の部屋にはあるであろうという推定をいたしております。ただし、いろいろなビジネスホテルから小さな旅館等になりますと、必ずしもそれほどの設置台数はないということで、私どもとしましてはその部屋数に対します推定は非常にむずかしいので、確たる数字は必ずしも持っておりません。まあ大体その六、七割ぐらいが平均ではなかろうかという気持ちは持っております。  いま実際に私どもが契約をちょうだいしておりますのは、その推定の数に対しましては大体八割方は契約はいただいているというふうに推定をいたしております。
  187. 矢原秀男

    矢原秀男君 やはり国民の方でございますと、買われたときはきちっと手続をしてください、こういうことで一〇〇%に一応届けはなっているわけですね。いま御答弁いただきますと、推定調査六割から七割方の気持ちである、しかし八割方はもらっているんではないか、こういうふうなことであってはちょっと承服しかねるわけでございますが、もう少し具体的に明確にぴしっと答弁をしていただきたいと思います。
  188. 川原正人

    参考人(川原正人君) 実は、私どもで、ホテルの全国におきます数、それからそのホテルでのテレビを設置していると推定される数、それから推定の台数、これはいろんな手法を講じまして調査いたしました。  四十九年度末で私どもがいろんな統計数字等から推定いたしましたものを申し上げますと、全国でホテル、旅館という事業所数が約八万五千ございます。そのうち非常に小さな本当に家族労働でおやりになっているようなところを除きまして、いわゆる私どもが非世帯契約の対象とすべきものは約七三%、六万二千ぐらいであろうという推定を持っております。それに対しましてはまず九割方テレビを置いておられる。それからテレビの設置台数、これは大きいところ小さいところいろいろございますので、全部合わせまして大体三十万ないし三十一万台のテレビがそういうホテル、旅館等に置いてある。それに対しまして四十九年度では約二十五万の契約をいただいておりますので、この割合が約八〇%になる、こういうことでございます。
  189. 矢原秀男

    矢原秀男君 ホテルも企業と一緒で、中小零細とかそして大きな企業とかあるわけでございますが、ホテルだけを限定した場合に、百以上の個室を持ったいわゆる大資本経営される方でございますが、百以上の個室を持っていらっしゃるホテル、それが何カ所あって、そうしてそれについてパーセント的にどれだけあなた方が確認をされているか、それに限定して答弁いただきたいと思います。
  190. 川原正人

    参考人(川原正人君) いまの部屋数百というので、申しわけありません、資料を持っておりませんが、いま、私、東京都内の三百室以上の大きなホテルについてのを持っております。これについて申し上げますと——個別のがありまして、全体のトータルがございませんので、後で全体のトータルでまた割り算して差し上げますが、一、二例を申し上げます。  たとえば一番大きなホテルでございますと、部屋数千二百九十三、有名なホテルで部屋数千三百もございます。それから千以上のものが六つ東京にございますが、大体におきまして契約の割合は部屋数に対しまして八〇%、一番高いところは九八%の契約をいただいております。それからそれ以外のところでも、これはいろいろございますが、部屋数に対しまして一〇〇%のところが、三百以上のホテル十幾つでございますけれども、五つございます。それからあとは大体七〇%ないし八〇%の契約をいただいております。これは部屋数に対してでございます。
  191. 矢原秀男

    矢原秀男君 で、いま都内の千以上の部屋を持っているところが六カ所、三百以上のところ十幾カ所という話の中で、パーセント的なお話を伺ったわけでございますが、千以上のところ六カ所のうち八〇%というのは何カ所なんですか。
  192. 川原正人

    参考人(川原正人君) いま申し上げておりますのは、これは具体的にその個別のホテルにつきままして部屋数と契約数とを調べてある分でございまして、冒頭申し上げました約千二百九十三という部屋数のホテルでございますが、これにつきましては部屋の仕切りの問題がございますけれども、仕切りを実際に換算いたしますと九七・八%契約をいただいております。それからその次のホテルは、八〇%のホテル二カ所でございます。それから同じく七八%のところ、こういうふうになっております。これは現実に契約をいただいている数でございます。
  193. 矢原秀男

    矢原秀男君 まず千以上のところで質疑したいと思いますけれども、片方では九七・八%、で一方では八〇%、もう一カ所では七八%。私たちが料金を払うときには自由に調べに来ていただくし、そうして書類の中できしっとして、やはりいま郵政大臣からお話ございましたような法律ございますので、きしっと御協力をというあれで、国民の方々が、だからこれは一〇〇%ですわね、確認もされるのですから。あなたの場合は、これ推定というのが最初から出ていますから、ではあなた方は行かれないのかどうか。経営者の方から聞かれて、ああそうですかと、それどちらかということですよ。
  194. 川原正人

    参考人(川原正人君) いま後段の方で私が具体的に数字を申し上げている分は、これは推定ではございません。それぞれの個別のホテルに参りまして、設置台数、契約数等を全部お話しをしていただいているものでございます。  それで、いま私が部屋数と契約の数との割合を申し上げましたけれども、ホテル側の説明は部屋全部にテレビは置いてないと。先ほど申し上げましたように、非常に大きい部屋等は二室、三室つなげておるけれども、そこに一台しかない場合があると。それからシングルルームの一部にはテレビを置いてないと。それから一部のホテルは、これは貸事務所となっているので、ホテルとしての部屋数には入っているけれども、そこにはテレビがないと。こういうことで私どもはテレビのあるところは全部契約をいただいていると、こういう確信を持っております。ただし、それが部屋数との比較で申しますと、いま言ったような割合になっている、こういうことでございます。  それからなお、私ども、率直に申しますと、いまの放送法では、個々の御家庭なり世帯の場合でも中に立ち入って調査するという権限はございませんので、あくまでもその経営者のところに伺いまして実際の数をお伺いし、その部屋のどことどこにテレビがあるのかというのをお伺いして、その上で契約をしていただく、こういうことになっております。
  195. 矢原秀男

    矢原秀男君 いまのあなたの御発言ちょっと食い違ってる、答弁が食い違っているのですが、最初は推定と言われたのですが、部屋数と数が何もぴたっと合う必要はないと思います、現実にあるものだけ受信料は払えばいいわけですから。で最初は推定というふうな形で言われて、後は一応きしっと調べてやってますいうふうな発言をされて、三番目には、そういうふうに個別に入るような、そういう法的な権限もないから、経営者からの御報告を伺って、そうして料金徴収をされていると、こういうふうに私解釈をしたのですけれども、その点どうですか。
  196. 川原正人

    参考人(川原正人君) ホテルの全国の数字について申し上げますと、冒頭申し上げました、私推定と申し上げましたのは、全国のホテルにあるであろうそのテレビの台数、それに対してどの程度契約がとれているかと、こういうふうに御質問の意義をとりまして、それにつきましては、率直に申しまして、私どもとしては、一軒一軒お伺いしてあるだけはいただくたてまえでやっておりますけれども、やはりいろいろな私どもの調査、推計等からいいますと、なお契約していただけないものが正直言ってありそうだと、その数字を推定で申し上げまして、恐らく設置台数のうちの八割方は私どもいただいているけれども、どうもまだ二割方はいただけないでいるのではないかと、こういう意味で申し上げました。  それから、後段の方で申し上げました東京都内の三百以上の室数のある、いわば大きなといいますか、著名なホテルにつきましては、これは一軒一軒を当たった結果についての数字を申し上げました。この点も、部屋数と契約ということでいいますと多少のずれのある場合があると、でそのずれを申し上げたわけですけれども、この著名な大きなホテルについてはほとんどいただいているものと私どもは考えております。
  197. 矢原秀男

    矢原秀男君 受信料が、やはり国民の方々の場合、そうして大きな資本経営されている場合、こういうふうなことで結局御家庭には一〇〇%並みのやはりいろんな手が値上げにされても伸びるわけでございますけれども、いまあなたの最終的な御答弁をいただきますと、調査、推計の中で漏れているのがありそうだという御発言、答弁をいただいたわけですが、国民の御家庭皆さん方の場合に、もしこういうふうな、あれですか、現実的にはありそうだでなしに、いやおたくも持っていらっしゃいますね言うて、もう玄関口に入っただけでも、もうアンテナとか、ラジオ屋さんから伺いながらぴしっと——どうしてもこれ不公正なあり方というものが出てくるのですが、こういう点どうなんですか、御家庭と比べた場合に。その点お伺いします。
  198. 川原正人

    参考人(川原正人君) 確かに普通の御家庭の場合は、私どもの職員なり委託契約としての集金人の者がお伺いいたしまして、これはまあ率直に申しますと、アンテナのありなしとか、大体いま普通の世帯ではほとんどもう九八%までテレビをお持ちなので、まずあるということが確実に外からも見えますし、なお推定もできるわけでございます。しかも世帯の契約の場合、個人の世帯でございますと一世帯一台という契約ということになっておりますので、とにかくおありになれば契約をしていただきたいということで、かなり話がひざ詰めの話になりまして、私どもとしてはかなり確実にちょうだいできているわけでございます。  ホテルの場合等になりますと、そのホテルにテレビがあることはほぼ間違いなくわかりましても、幾つ部屋があって何台テレビを置いておられるかという点になりますと、先ほど言いましたようになかなか中に入ってまでの調べということは私どもできかねますので、いろいろパンフレット等を見て部屋数幾つで全室テレビありと、こう書いておられるではないか、その限りではこれは全部いただかなければというような交渉をいたしまして、できるだけちょうだいしておりますけれども、部屋がこれだけあるけれどもテレビ置いてないんだとどうしても言い張られますと、そこでなかなか難渋するのが現実でございます。しかし、それでいいとは私ども決して思っておりません。できるだけのいろんな方途を通じまして、やはりあるからにはそれは契約をしていただかないと不公平になるということで、この種のところにはいろんな手だてを講じまして契約の勧奨に行っております。特に集金の者が直接伺っただけではなかなか契約がいただけないような場合には、やはりしかるべき協会の責任者かあるいは営業部長とか営業所長というものがそのホテル等の責任者にお目にかかりまして、放送法趣旨から受信料のたてまえあるいは公平負担の原則等を時間をかけて御説明して、それによってお話をわかっていただける場合もございます。そういう手だてはいまも講じておりますし、今後もさらに構じなければならないというふうに考えております。
  199. 矢原秀男

    矢原秀男君 いま私が申し上げておりますのは、都内だけでも千以上が六カ所、で三百以上が十幾カ所云々されておりましたけれども、やはり八〇%であるとか七〇%の推定、そういうふうなことになると、やはり御家庭の方々と非常に一つの大きな問題点が出てくると思うんです。  で郵政大臣、こういう問題については、その程度のパーセンテージでいいんだと、それが正しいんだと、そういうふうにお考えなのか、そのことだけをお伺いします。
  200. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 正しいとは申しませんが、私はいまの説明を聞いておって、よく取れておるなあと、私の考え方というものが甘いのかもしれませんが、なかなか八〇%も九〇%も取っているということはよく取れているなあという感じを受けたわけです。
  201. 矢原秀男

    矢原秀男君 どうも郵政大臣の、私御答弁いただいたんですが、よく取れてるなあ言うて、国民の御家庭は一〇〇%に近い捕捉率はあるんです、そうでしょう。でホテルは七〇%とか八〇%のそういう推計の確認で郵政大臣がよく取れているなあというふうなことで料金の値上げが行われたら、国民皆さんから見ると、なかなかおおようで赤字と違うんではないのかというふうな点も私出てくると思うんですね。しかし、本当に郵政大臣ね、よく取れてるなあという、これは実感でございますか、もう一回お伺いします。
  202. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 決して満足すべきことではありませんが、これはもう一〇〇%取るということが第一要素であります。しかし、一般の家庭にしてもお部屋が五つも六つも七つもある家があって、そこから一台分しかいただけない。ところがホテルの場合に、ホテルの部屋数を三つに一つとか、あるいは二間続きとかいうような、その部屋数からすれば私は比較的取れているんじゃないかと、こう思っておるわけです。実際に百台使っているものを八十台徴収する、これは二十台というものが取れないのですから、これは私は遺憾だと思います。ただ部屋数というものを対象にして説明があったから、部屋数ということになれば二〇%なり一〇%減ということはやや妥当でないかと、満足すべきものじゃないですけれども、やや妥当ではないかなと、私はそう思って聞いておったわけです。本当は一〇〇%取るのが原則でありますけれども、そういう部屋数の関係で、そういうこともあり得るだろうと、こう思ったわけです。
  203. 矢原秀男

    矢原秀男君 いま私が申し上げておりますのはは、部屋数が千ほどあるからテレビは千台あると、だから取りなさい、そういうあれじゃないですよね。いま部屋数があって、そうしてテレビが実際にそこにある。そういうふうなときにはやはり経営者の方ときちっとして正確な数字が取れるようにしていかなくちゃいけません。いま部屋数とテレビの問題から入っておりますのは、やはり具体的に話を進めていく上で話をしているわけでございますけれども、これが部屋数の八〇%か七掛けであるとかいうことで今後とも済まされるという問題になると必ず問題起きてきますよ。  ですから、ここでNHKの方に最終的にこの問題をお伺いしますけれども、このやり方で今後もずっといかれるのかどうか、それとも、お伺いする方法を、そうして経営者の方とやりとりする間も本当に誠意と誠意の中でもう少しこういう形で力を入れようと、そういうことを考えていらっしゃるのか、それとも現在みたいにこのとおりでいいのだというのか、その点についてお答えください。
  204. 藤根井和夫

    参考人藤根井和夫君) 多少川原理事からの説明が十分でなかった点があるかと思いますが、私ども、このホテルにつきましても現在のままでいいとは思っておりません。これはホテルを含めまして非世帯の契約の問題については委員会から何回も御指摘もあったことでございますし、いままでもその御指摘を受けてかなりの努力を重ねてきておりますし、またそれなりの効果も上げておりますが、決してこれでいいとは思っておりません。今後ともさらに取るべき契約数はぴしっと押さえて、またいただくべきものは払っていただくという方向で進んでいきたいと思っております。
  205. 矢原秀男

    矢原秀男君 経営者の方もみんな良心のある方ですからぴしっとお話をしていただければ、これはもう喜んで協力していただけること間違いないわけですから、いま御発言のとおりにしていただきたいと思います。  それから、先般も中山会長の発言というものがあったわけですね。そういうようなことで新聞の中にもいろいろと出ているわけでございますが、受信料制度に真っ向から批判というので、これはNETの社長さんですか、発言をされておりますね。それからまた小林さん、民放連の会長、この方も、NHKの徴収する受信料というのは、NHK放送受信に対する代価ではなく、全民放をも包括したすべての放送受信に対するものと考えるべきだと、この受信料を独占するNHKは、当然、広告収入に頼っている民放とは違った社会的責任を負っている云々等の発言があったわけですけれども、先ほども質疑があったと思うのですけれども、この点については時間の経過もありますので、郵政大臣、率直にこの発言についてはこう考えているのだと、そういうふうに端的に御答弁をお願いしたいと思います。
  206. 村上勇

    国務大臣村上勇君) NHK受信料につきましては、昭和三十九年に出されました臨時放送関係法制調査会答申におきまして、受信料は、国家機関ではない独特の法人として設けられたNHKに徴収権が認められたところのその維持運営のための「受信料」という名の特殊な負担金と解すべきであると述べられておりまして、省といたしましても、受信料の性格をこの答申に述べられているように考えております。したがいまして現行法上の受信料は、民放を含むすべての放送受信に対する受信者の出捐ではなく、NHK維持運営のための特殊な負担金であると考えております。
  207. 矢原秀男

    矢原秀男君 次に、モントリオールの五輪大会の中継取材のことがいろいろと取りざたされておりますけれども、これも民放と関係があるわけでございますが、共同取材団を派遣することになっておりますけれども、その詳細の経過と、また費用の分担の算出、こういうふうな点についてお話しいただきたいと思います。
  208. 坂本朝一

    参考人(坂本朝一君) モントリオールのオリンピックにつきましては、御承知のように、いち早くアメリカのABCが二千五百万ドルの放送権料でその独占権を獲得いたしましたので、その後、先方の方でいろいろ他の放送機関に対する放送権料の要求がかなり多額に要求をされまして、それについてやはりわれわれ放送事業者としては、不当のつり上げというようなことについてはあくまでも拒否すべきではないかと、こういうことでEBU——ヨーロッパ放送連盟並びに東側のOIRT、それからNHKが所属しておりますABUその他の放送機関五機関でこのモントリオールのオリンピックの放送権料交渉を一括してやってまいりまして、つい最近、最終的にはEBU、OIRT、ABUその他五機関で九百三十三万ドルということで合意に達しました。そして現在、そのうちのABUの分担の部分が二百十三万ドルということになりまして、その二百十三万ドルのABUの中でNHKが分担いたします分が百三十万ドルということで、この数字につきまして、実は現在、会長が出張しておりますABUの総会で最終的に確認されるという段取りになっておる次第でございます。  したがいまして、この百三十万ドルというのは、ミュンヘンのオリンピックのときに日本のNHKが分担いたしました放送権料が百五万ドルでございますから、それに見合いまして大体二四%ぐらいの上昇ということになろうかと思うんでございます。そしてこのような形で落着いたしましたのも、いま申し上げました五つの放送機関が一致して事に当たったということと、日本の場合には、民放とNHKがこの件につきましてはいわゆる競争しない、権料交渉についてはNHKに一任する、こういうことでございましたので、日本の国内においてのこの交渉の窓口が一本になりましたので、そういう点についてははなはだうまくいったんではないかというふうに思っております。  そして最終的に、今度、日本の国内の民放との共同体制ということに御相談申し上げまして、ミュンヘンの場合にはNHKが代表取材して、そして民放に映像をお流しするという形式をとりましたが、今度は御一緒にチームをつくって、いわゆる日本チームで取材に当たろうではないかということを御相談申し上げまして、民放側もこれに合意されました。そして現実には、いま申し上げました百三十万ドル、これは一ドル三百円で計算いたしますと大体三億九千万ぐらいの邦貨になろうかと思うんでございますが、それに対して民放側からは一億七千万円分担していただく。そして取材いたしますチームといたしましては、大体、六十名程度現地に派遣したいというふうに考えておるわけでございますが、そのうち四十一名をNHKから出し、十九名を民放から出していただいて、総計約六十名というチームでもって取材に当たろう、こういうことでございます。具体的には、来年の七月半ばから八月上旬にかけてモントリオールで行われるわけでございますが、初めてNHKと民放と共同取材するということになった次第でございます。
  209. 矢原秀男

    矢原秀男君 どうもありがとうございました。  じゃ次に入りますが、NHKの予算に対する附帯決議というのは、参議院で昭和四十七年、そうして衆議院でも四十七年、四十八年、四十九年、五十年と、常に附帯の決議がつけられているわけです。その中には、一つは先ほども御質問がございましたが、難視聴の解消対策はさらに積極的に推進すること、これはもう毎年ずっと出ているわけですね。ですから予算、決算を問わず、すでに非常に話が出ているけれども、なかなか受信者の方々の御要望にこたえることができない。まあこういうふうなことやら、そうして事業安定資金の効率的な活用と経営努力によってできるだけ長期にわたって受信料の値上げを回避すること、こういうように衆議院や参議院で話がずっと出ているわけでございます。ですから、この点について具体的な質問をしたいと思います。  まず最初でございますが、いま滞納契約者の数の中で航空機騒音、まあこれが一つに出ているわけでございますが、この問題についてちょっと具体的に質問したいと思います。  いま伊丹の国際空港でございますけれども、WECPNLの、これは加重等価平均の騒音レベルでございますが、まず、この騒音レベルを策定する場合に、日本の政府では、東大の五十嵐教授——人たちの意見をお伺いになっているのか、それとも代表的な学者の名前を、五十嵐さんだけであればそれでもよろしいし、また二、三別にも参考にする意見の学者の方々がございます、こういうことであれば、そういう点、まず学者の問題、専門家のですね、どういう方々の御意見を参考にされているのか、その点をお伺いします。
  210. 梶原清

    説明員(梶原清君) 当省で航空機騒音対策を実施しますための指定区域というのがございますが、そのための騒音調査は運輸省独自でやっております。
  211. 矢原秀男

    矢原秀男君 ここで受信障害の問題をNHKにもちょっとお伺いしたいと思っておりますけれども、現在、行政管理庁から行政監察に対する報告、これが五十年の六月に出たわけでございますが、その中には、航空機騒音対策の一環として騒音コンター図の公開を要請をされております。で、このことについては伊丹市を中心とする川西や尼崎、宝塚、そういう方々、大阪の一部もございますけれども、出て騒音のコンターというものを地元でつくっていらっしゃいます。で、また国の方でもつくっておられるわけです。そのトレーシングをぴたっと合わしたときに、八〇以上の場合、七五以上の場合みんな違うわけです。どちらが正しいのかいう問題については、地元の方は被害者の立場からわれわれの方が正しいと主張されておられますし、政府の方は政府の方でいやうちの方が正しいんだというふうな感触かと思います。そういうふうな中で、今回、行管庁のいわゆるそういう指示が出ておるわけでございますが、そういう点についてはどういうふうに受け取って実施されようとされているか。
  212. 梶原清

    説明員(梶原清君) 御案内のとおり、昨年三月、大阪国際空港につきまして、第一種地域、第二種地域、第三種地域の区域指定を行ったわけでございます。この私どもが指定をいたしました区域と地元の大阪国際空港騒音対策協議会いわゆる十一市協で実測されましたコンターとの間に若干の食い違いがあるということが御指摘をされたわけでございまして、昨年十月から十二月にかけまして関係市の職員の方と当方の職員とが共同でもちまして環境庁方式で共同で騒音調査をいたしたわけでございます。で、その結果をコンピューターで集計いたしまして、本年一月には、関係市なり関係の府県にお渡しをいたしたわけでございます。  その後、この結果が年間を代表する値であるかどうかということにつきまして統計的な検討を加える必要があるということで、私どもその後また検討をしてまいりました。その解析結果も関係市あるいは府県にすでにお渡しいたしておりまして、これらの検討の結果につきまして関係市及び府県と検討会を持って調整することにいたしているわけでございます。
  213. 矢原秀男

    矢原秀男君 現在、八〇以上は国と市がそれぞれ補助を出しておるわけでございますが、それは九万件に及んでいるわけですね。で、これを七五以上にした場合に、まずNHKの技術関係でお伺いしたいんですが、テレビの映像、どういう形に出ておるかですね、そういう点お伺いしたいと思います。
  214. 藤島克己

    参考人(藤島克己君) 航空騒音と映像とはいま直接には関連はないと思いますけれども、航空騒音がひどいというところは必然的に飛行機の飛しょうが非常に頻繁なところでございますから、そういう意味で航空機からの反射によるフラッターといいますか、電波の乱れがございますので、そういう意味で航空騒音の激しいところはしたがって映像の乱れも多いところだというふうに考えざるを得ないと思っております。
  215. 矢原秀男

    矢原秀男君 いま私お伺いをしておりますのは、そういう影響があるから八〇以上のこのレベルは国や市で補助をしているわけですね。で八〇から七五までを限定した場合に範囲が広がるわけですね。そこはいま何もされていないわけでございますが、まあ私は周辺に住んでおりますから、テレビの影響はやっぱり飛行機のときあるわけですね。ですから技術的に見て、皆さん方専門家から見て七五から八〇までのこの騒音レベルという段階の該当の方々、それが具体的に簡単にですけれども、どういう形で映像が乱れるんだというようなことおわかりであれで、もう一度お伺いしたいと思います。
  216. 藤島克己

    参考人(藤島克己君) ただいま申し上げましたように、騒音とテレビの電波との直接的な関連はございませんが、確かにおっしゃるとおりに騒音が激しくなりますと、航空機の発着が激しいところでございますから、電波の乱れの範囲も広がると、当然だと思いますけれども、ただいま残念ながらその細かい数字を持ち合わせておりませんので、後ほどまたよく検討いたしましてから御返事いたしたいと思います。
  217. 矢原秀男

    矢原秀男君 で騒音のひどいところはいわゆる電波障害あるわけですから、これはNHKでもぴしっと今後調べていただきたいと思うんですが、もう調べていらっしゃればいいけれども、調べておられなかったら、この七五以上の騒音レベルいまから問題点になってくるわけです、ですからいままでに調べていらっしゃらなければ調べていただきたいし、実際は部内で調べているんだということであれば、まあその点だけをはっきりお伺いしたいと思うんですが。
  218. 藤島克己

    参考人(藤島克己君) お説のとおり、NHKは、結局騒音にいたしましても電波の乱れにいたしましても、いずれにいたしましてもNHKが契約している受信者受信機に大変な御迷惑を与えているわけですから、この問題につきましては技術研究所が中心になりまして以前からこの騒音の問題、それから電波の乱れの問題についてかなり細かい研究もいたしております。したがいましてこれをNHKが独自に現場に参りましていろいろ測定をしたり対策を打ったりということはできませんものですから、先ほど運輸省からいろいろお話がありましたような航空機騒音防止協議会と申しましたか、そういうものに対する研究員を特に派遣いたしまして、技術的な検討の場合の参考になるようなことをいろいろ言わしていただいております。  それから、さっき出ておりましたWECPNLという騒音の単位でございますけれども、これも従来いわれているような何ホンという単純単位ではなかなか正確な実態はつかめませんので、こうういうふうな特殊な単位を使いまして、単なる雑音の大きさだけではなしに、それが昼発生しているのか夜発生しているのか、あるいは一時間のうち何回発生するかといういろいろ係数を織り込んだ雑音、騒音の検討をすべきだというようなこともいろいろ研究所を通じまして御協力申し上げておりまして、これと電波の乱れとの関係は直接的には先ほどから申しているようにございませんけれども、いずれそういう場所ですから電波の乱れに対するデータもかなり正確にはつかんでおりますけれども、それが私どもだけの単独の結論では公表するわけにもまいりませんので、もし御必要ならば多少そういうデータも私どもとすれば研究的にはつかまえておるわけでございます。
  219. 矢原秀男

    矢原秀男君 で今度地元で問題になりますのは、騒音レベルが七五から八〇までの間、やはりテレビのこの受信映像というものが飛行機の発着で乱れてくる、こういうことで八〇以上のところまではいかなくても、何とかこれは国のほうで手を打っていただかにゃいかぬじゃないかと、こういうふうなことを兵庫県だけでも、伊丹や川西、宝塚、尼崎のかかっている部分では、もちろん大阪も含めてでございますけれども、非常に空港撤去というのがあの御近辺に住んでいらっしゃる方は世界で一番の過密のところですから、これは撤去してもらうのが最終的な願いであると、こう言われておりますけれども、それがある限りは何とか具体的に少しでもいろんな形のものを負担を少なくしていかなくちゃいけない。そういうことで、いま、きょうはNHKの問題でございますのでテレビ関係だけを出した話をしているわけなんですが、騒音とはやっぱりいろんな関係がありまして、そういう問題が出ているわけです。  そういう点について、将来、近き将来になるかと思いますけれども、運輸省の方ではどういう見解を持っていらっしゃるのか、それをお伺いしたい。
  220. 梶原清

    説明員(梶原清君) テレビの受信障害対策につきましては、四十三年から財団法人航空公害防止協会の手を通じてやってまいりました。四十七年から大体現行制度になったわけでございます。   〔理事茜ケ久保重光君退席、委員長着席〕  現行制度と申しますのは、四十九年度まではWECPNL八〇以上につきまして国と地方公共団体で五〇%補助をさしていただく、こういう制度でまいっておったわけでございますが、本年度に入りましてから、この国の補助率を二五%から四五%まで引き上げる、それから補助の対象区域につきましても、先生いま御指摘のようにWECPNL七五から八〇の地域につきまして四分の一の補助をいたしたい、かように考えておるわけでございます。さらに来年度の予算要求におきましては、この国の補助率を一〇〇%にしたい、現在は補助額の九〇%が国の補助率になっておりますが、これを一〇〇%まで引き上げるべく予算要求をいたしておるわけでございます。
  221. 矢原秀男

    矢原秀男君 そういう点でよろしくお願いします、本当に大変でございますので。  じゃ次に参ります。  次は、放送大学の件でございますけれども、文部省、来ていただいておりましたら、NHKとの関係もございますので、まず文部省としては放送大学についてどう考えて、NHKとの連携というものの成果がどの辺まできているのかということを御説明お願いしたい。
  222. 勝谷祐一

    説明員(勝谷祐一君) 放送大学につきましては、かねてから文部省に調査会を設けまして検討をいたしてまいっておるわけでございますが、昨年の三月に基本構想というのを一応とりまとめまして、そこではいまお尋ねの点に関して申し上げますと、特殊法人をつくりまして、そして大学を設置し、かつみずから放送局の免許も受ける、そういう体制で放送大学をつくるということを考えておるわけでございます。  その後、調査会によりまして、いま申し上げました基本構想をさらに具体化して、放送大学の具体的な活動の内容であるとか、あるいは規模等につきまして、計数的にも明らかになるような基本計画をつくろうということで、ただいま作業を急いでおるわけでございます。
  223. 矢原秀男

    矢原秀男君 放送大学の項を、NHKの計画、ちょっと読ましていただいておりましても、もう一つ積極的でないなと思うわけですね、これがずうっと前からやられておりますが。  私は、現在の大学教育の中で、いわゆる放送技術を取り入れて、それをやはり単位として認めなくてはならないと、将来、思うんですね。ですから、そういう形でいきますと、特別の大学をつくる必要もございませんが、家にいて、テレビにおいて授業を受けることのできる、いわゆる単位が取れる、そういう将来構想でないと、単なる教養番組の中で流していくということだけで終わっていく放送大学であっては私ならないと思うんでございますが、そういういま私が申し上げた一面というものも加味していただかなくちゃならぬなと私は思うんですけれども、そういう点はどうでございましょうか。
  224. 勝谷祐一

    説明員(勝谷祐一君) 御指摘のとおりでございまして、放送大学をつくります場合に、これは正規の大学としてつくるということを構想いたしておりまして、そこで勉強される方は、その放送によりまして講義を聞く、あるいは見るということと同時に、地方に設けます地域の学習センターによりましてスクーリングもする、あるいはまた、あらかじめ配布されておりますテキストによりまして自学自習もする、そういうことを兼ね合わせました教育方法によりまして正規は大学教育を受ける、そして個々の科目につきましてちゃんと履修したときには、試験に合格すれば単位も認定される、また所定の単位数を満たせば卒業資格も取れる、そういうことを考えておるわけでございます。
  225. 矢原秀男

    矢原秀男君 やはり生涯教育の観点から非常に大事なことだと思うんですね。ですから、国民皆さん方にサービスをという立場としては、もう画期的な努力をこれはしていかなくちゃいけないと思うんです。  ただ、現在、放送大学の構想というものが、実際には学校教育の上からいきますと、まあイギリスとか西ドイツ、こういうふうな場合は非常に大学の大衆化というものも進んでおりますので、いろいろな形で考えなくちゃいけないと思いますが、現実面ではやはり放送大学への進学希望者が確かに少ないと思います。そういうふうなことで、なかなか見通しというものも明確ではないかなと思うんですけれども、私は、こういう問題についてはやっぱり放送大学が成功する、単位も取れるようにする、そういうようになるためには、まず魅力のある内容というものが大事だと思うんですね。それからカリキュラムをきちっとつくって、そして正規の大学的な役割りと市民大学的な役割りというものが果たす両面というものがありますけれども、やはりこの点をどう重視するか、調整するか、こういうようなこともありますけれども、そういう点で、もし編成する予定が具体的にあれば、どういうふうな形になるのか、もう一回ちょっと伺いたいと思います。
  226. 勝谷祐一

    説明員(勝谷祐一君) いま申し上げました基本計画を近々、まあ十二月に入りますれば公表いたしまして、各界の御批判を仰ぎたいと考えておるわけでございまして、その中でお尋ねの点も明らかになるというふうに考えておりますけれども、いままでの検討の中でおよそ浮かび上がっておりますことを申し上げますと、普通の大学と申しますか、通常の大学にございますような学部学科の枠にとらわれないような、もっと幅の広い、学際的なものも含めた総合的な教育課程を組む。したがいまして教養学部というような考え方に近いようなものになろうかと思います。そういう考え方が一つございます。  そこで、その中身といたしましては、幾つかの課題と申しますかコースと申しますか、あるいは専攻というようなものに分かれてまいると思うわけでございますけれども、生活科学と申しますか日常の生活に密着したような事柄を学問的に掘り下げるというような領域が一つあろうかと思います。それから産業社会の問題あるいは工業技術の問題、そういうものを具体的に、自分の職業人としての生活の中で具体的な問題意識を持っておる方々にそれを解決する手がかりを与えるというようなことを目指す領域もあろうかと思います。あるいは人間観とか世界観というような問題、あるいは宇宙の問題というような、非常に根本的な人間の探求とか自然の理解というものを基礎的にやる、そういう領域もあろうということを考えておるわけでございます。
  227. 矢原秀男

    矢原秀男君 いま文部省の方では相当具体的な構想でございますが、受けてNHKの方、どういうふうに対処されているのかお伺いします。
  228. 坂本朝一

    参考人(坂本朝一君) NHKといたしましては、放送大学の件につきましては、当初文部省から委託をお受けする際に、これはあくまでも制作上の問題点、それから効果その他に対する調査研究という観点で番組の制作の委託をお引き受けした次第でございます。そして毎年その問題点あるいは効果その他の調査研究を取りまとめまして文部省にも御報告申し上げている次第でございますが、NHK自身といたしまして、放送大学を実施する、あるいは放送大学を経営するというような考え方を持っておりませんので、一応四十九年度に実施いたしました放送大学の実験の結果を文部省に御報告して、この問題はピリオドを打っているというふうに考えておる次第でございます。
  229. 矢原秀男

    矢原秀男君 じゃこの辺ぐらいにしまして、最後に、いま社会党の方からも御質問ございましたが、どうしてもいまテレビ文化の中で一番問題点になりますのは、難視の問題をどうするか、まあここに集約されると私は思うのですね、辺地の場合と都市において。  で、私は、都市の問題について一問だけ質問をして終わりたいと思うのでございますが、まあ結論から先に申し上げますと、日本の中でいま一番問題になっていますのは新宿副都心の現況でしょうね。で、ここでNHKの方にちょっと技術的にお伺いしたいのでございますが、西の方には実際にこのテレビ障害というのがどの範囲までなのか、そうして東の方ではどこまで及んでいくのか、まずそういう具体的な点をお伺いしたいと思います。
  230. 藤島克己

    参考人(藤島克己君) ただいま御承知のとおり新宿を中心としました都市の受信障害が大変問題になっておることは事実でございますが、これは二通りございまして、一つは、高いビルができまして完全にそのビルの陰になってしまって電波が入らないというものと、それからもう一つは、あちこちのビルで反射してきた電波が直接来た電波と干渉をいたしまして複合障害を起こす場合と二通りございますけれども、前者の方の場合は、これは単純と申しますか、わりと区域も被害の程度も明確でございますので対処もしやすいし、それから当事者のいろんな話をしてもわかりやすい、納得を得られる話ができるわけでございますけれども、後者の方の複合障害ということになりますと、どこまでが障害なのか障害でないのかという認定そのものが客観的に立証することが非常にむずかしい。要するに画質という一つの主観的な中身を言っているわけでございますから、ある人はこれでいいじゃないかと思っても当人にしてみればこんなんじゃとても話にならぬというようなことで、非常に主観的な要素が入ってまいりまして、どこまでということを非常に申し上げにくい。またそれがチャンネルの種類によりまして、たとえば一チャンネルはよろしいけれども五チャンネルはだめだとかいろいろございまして、大変複雑でございます。  大体のその傾向から申しますと、新宿で起きている障害でいま問題になっているのは、西の方で言いますと、多分、中野駅付近までがそういう影響をかなり受けているんじゃないかということでございますけれども、中野駅までまいりますと、もうよく映っているところもあるわけでございまして、その中の世帯数は全部で一万数千世帯だということを申し上げてみましても、その中のうちに見えるところもあるし見えないところもあるわけですから、この辺の選別その他も非常に問題がございまして、いまいろいろ検討され、打ち合わせをしておるわけでございますが、傾向で申し上げますと、西側は中野方面ぐらいまでだろうということでございます。  それから南側で申しますと、鶴見あたりまでも影響が出るんではなかろうかといっておりますけれども、これも果たして新宿の影響だけか、あるいはほかの問題が入っているかということになりますと非常に判別がむずかしくなってまいります。  東側で申しますと、東京を越えて船橋あたりまでも影響が出ている、部分的に出ているところもございますし、大部分は見えているというところもございます。  それから北側で申しますと、葛飾、草加付近までもそういう現象が出ているということが事実報告されておるわけでございますけれども、これが必ずしも新宿だけの問題かといいますとその辺の選別が非常にむずかしいものですから、当面、一番問題になっている新宿のビルを中心としたそのごく近い周辺のところをいま処置をしようということで、ビルの建築主と住民との間でいろいろ話し合いがなされておりますし、私どもは当然その仲へ入りまして技術的な解消の方法その他についていろいろ御懇談申し上げているところでございます。
  231. 矢原秀男

    矢原秀男君 いまお話を伺いましたが、まあ私素人でございますけれども、私は別な専門家からお伺いをしておりますと、NHKを中心とする日本の技術陣の中で、余り明確に問題点を出すといろいろ資金的な面で大変な状態になると、こういうふうなことで一部私は伺っているわけなんですね。  きょうは時間ございませんので、これはまた後日にしたいと思うのですが、いずれにしましても私の考え方は、現在、受信障害に対する現行法制というものがないのです、はっきり言って救済方法がね。だから、いま話し合いとかというふうな問題が出ているわけでございますが、電波法の立場から、それから放送法の立場から、建築基準法の立場から、明確にこの点についてはこう改正するんだと、こういうふうに、郵政大臣、私、あの難視聴対策調査会のいまいただいておりますけれども、そういう具体的なものが余り出ていないのですけれども、そういう問題についてどうするのか、簡単にお答えをしていただきたいと思います。
  232. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 省内に委員会を設けまして、そこで慎重に今後検討をして結論を得たいと思っております。
  233. 矢原秀男

    矢原秀男君 大臣、いまの日本の社会的な要求の中で無制限にいろんなものが建っておりますけれども、法的なそういうふうな救済措置は被害者の方にはないのです。そういうような中で、民間のたとえばビルを建てる人、いわゆる業者ですか、そこには発注者ございますわね、それと受信をして被害を受けている方だけでやりなさいと、責任の問題を、こういう形が全国で見えているわけですね。  私は、国や地方公共団体、これも私は責任があるのではないかという考え方なんです。こういう法律が無制限に網目の抜けている中で常に被害者の方が困っている。そうして泣き寝入りか、時間がかかる。で国や地方公共団体は私たちは関係ないんだという立場で、あるときには仲に入ったり、入らなかったり、こういうふうなやり方ではなしに、国とか地方公共団体というものも、そういう問題点ができて、法の網の目をくぐって施工とかいろんなことをやられた場合にはわれわれも責任があるんだと、こういう立場で、こういう解決を、難視聴の被害者救済というものを考えなかったら、現行法規がだめだからな、どうするかなと——それは答申見たら何も出てないです。おたくの方でさあやろうとしても、金かかるからまあこの程度にということになると、私、先がわかるわけです。ですから、責任のあり方としては、こういう社会的な中で国や地方自治体、まあきょうは国でいいですけれども、国は責任ないのかどうか、その点をお伺いしたいと思うのです。
  234. 村上勇

    国務大臣村上勇君) 私は、国もあるいは地方自治体も幾らか責任があると思います。  そこで、先ほど私は受益者負担ということでしかられましたが、私はそれは言葉が足りなかったので、調査会の報告によれば、受益者も負担するということになっておりますが、しかし、もとよりこれは原因者が負担し、原因者も受益者も両々相まってこの難視問題を解決するというのでなければいかないと思っております。そういう意味で、いま御指摘の国は知らぬ顔していいかということから考えますと、私はやはり国も、その程度は別といたしまして、いささかの責任があるのではないかと、かように思っております。
  235. 矢原秀男

    矢原秀男君 いや、いま大臣、お伺いしまして、こういう被害者の場合ですね、テレビで、方々に建物が建つ、そういうときやはりあれですか、受信者も責任があるというのは具体的にはどういうことなんですか。お話をちょっと詳しく話していただきますと、どういうことなんですか、その内容
  236. 市川澄夫

    説明員市川澄夫君) ただいま大臣が申されましたのは、去る八月に郵政大臣に提出をされました難視聴調査会答申の一部といたしまして、今後の難視聴方策の一つとして関係者から金員を拠出いたしまして一つの基金をつくりまして、その基金の金をもって具体的な難視聴解消の促進を図るということを考えたらどうか、こういう御提案があったわけでございます。  それで、その基金に金を拠出する対象といたしましては、まさしくただいま先生が御指摘になりましたように、電波行政あるいは都市行政を行っておる立場からの責任があるんだから、国もそういう基金に金を出すことが適当ではなかろうか、地方自治体もやや同様な考えでこれに参加することは適当ではなかろうか。それから、大臣ただいま申されましたように、建築主もそのビルによりまして障害を与えている原因者でございますから、これも当然応分の負担をしてもらうことはあたりまえであろう。それから受信者につきましては、仮に受信障害がない場合でございましてもテレビを受信いたします場合にはアンテナを立てることが必要でございますから、障害のない状態におきましても通常受信者が負担をいたすであろう程度の分につきましては、これはやはりある一部につきまして受信者の方に御負担をいただくということが適当ではないか。  こういう意味提案調査会の報告書に盛られておるわけでございまして、先ほど来大臣からのお答えにもございましたように、郵政省といたしましては、この調査会答申を現在どのように具体化をするかということで鋭意検討をいたしておりまして、まだ郵政省としての見解を公にするまで検討が煮詰まった段階はございませんけれども、そのような答申を踏まえまして、これからいろいろな面について具体策を積極的に検討していきたい、こういうふうに考えておる、こういうことでございます。
  237. 矢原秀男

    矢原秀男君 いまお話を伺いましたが、現在、原因者と被害者の中で共同受信施設方式、こういうあれで都市難視の救済というのは限界は見えてます。しかし、そうだからといって被害者の方にあんたたちも被害者だけではなしに協力しなさい、そう言う前に、もう一つあるんです、もう一つ。それは技術革新に努力をされているかというんです。  それをし過ぎるとお金がかかるからというふうなことで、この程度にとどめていく場合は困るし、そうして法的な規制というものも本当に抜け穴にしておいて、さあ建ったからすべてのものがだめになっている。いまからさあきちっと法的な規制の網を張りめぐらす、こういうあれでは、やはり国民の方で被害を受けた方も、だったら力の強い者が勝ちじゃないか、こういう意見が出るはずなんです。だから、やはり御家庭の被害を受けられた方々にこういう話を持っていく場合には、やはり国の方でもそうしたきちっとした努力をしてみて、それから話が移っていかないと私いかぬと思うんです。  そういう面から考えますと、技術開発の面では——私、具体的に言いますから答えていただきたいんですが、兵庫県に芦屋浜というところがあります。ここではやはり五十メーター近くですか、とにかく高層のビルが七つか八つざっとあるわけですね。それを専門的に調べていただくと、大阪の池田の方まで電波障害というのは、それは複合的なものが途中でございますけれども、そこの高層のあれではずっといくんです。そうなってくるとと、これを解決するためには六甲の上にNHKのものはございますけれども、民放ではお金がない。で御家庭の方は民放もチャンネルを回されるわけですから、そういうふうなことでその被害を受けられる方々に対してこういう技術的な問題を解決するためには、六甲の中にNHKか国の力でやはりそういうアンテナというものを、NHKだけではなしに、民放用として二つのものをつけていただければカバーできるんではないかという、全部一〇〇%解決ではなしに二〇%ぐらいで最小限その被害を抑えることができる、こういうふうなこともあるわけなんです。  ですから、そういうふうな問題と、そうして一つは、国として、NHK——画期的な技術開発、たとえば宇宙衛星とか、そういうふうなものでどうなんですかね、こういうふうな高層化、都市過密の中で複合的なそういう障害の中で技術的にはもうすでに限界が来たんだと言われているのか、それとも技術的に実際は可能なのか。そうしていま私が神戸の例を出しましたが、そういうふうに六甲でどうしても民放用としても必要である、そういうときに国がある程度は補助するのか、NHKもそんな援助するのか、そういうふうな問題の二点です、お伺いしたい。
  238. 市川澄夫

    説明員市川澄夫君) まず前段の御質問でございますが、ただいま御提起のございました六甲の民放の問題につきましては、早速事情を十分調査をいたしまして、民放とも打ち合わせを行いたいと思っております。ただし、先生おっしゃいますように、現時点におきまして六甲の民放の局の建設に当たりまして国庫をもってこれを賄うということは法的にも不可能でございますので、ただいままでとっておりますような、やはり自主的な放送事業者に建設意欲を持っていただくことによりまして、できるだけ早く受信者の皆様方に御迷惑をおかけしないような手だてを講じたいと考えております。  それから後段の新しい技術によりまする難視聴解消の問題でございますが、これもまさしく先生がお触れになりました宇宙衛星を利用いたしますところの難視聴解消というのが今後におきまする非常に大きな放送界の問題として出てまいると思います。郵政省といたしましては、昭和五十二年に実験用の放送衛星を上げまして、その放送衛星を利用いたしまして実験をいたし、難視聴解消に衛星放送がどのように役立つかということを実験をいたしたい、こういうことで現在その衛星の製作を行っておる段階でございますから、そのような実験の結果等も踏まえまして、今後の衛星利用等の問題につきましても積極的に取り組んでまいりたい、このように考えておるわけでございます。
  239. 矢原秀男

    矢原秀男君 最後にもう一問だけ、この点で。いま申し上げておりますNHKの主要な中継局の中に民放の中継局を同居せしめて、いろいろな形の障害を半減と、こういうふうな可能性も言われておるわけでございますが、そういうふうなことは将来はどうですか、全然ございませんか、
  240. 藤島克己

    参考人(藤島克己君) 前々からNHKが置局をします場合は、同時に民放の方にも話しかけまして共同建設ができるような素地を醸成してまいったわけでございますけれども、いろいろな条件で全部がそうなっておらないわけでございます。現状で申しますと、NHKの置局した場所の数は約二千地区ございます。それから民放関係は約八百地区になっておりますが、この八百地区のうちの二百五十地区ぐらいは共同建設ですでにやっております。今後置局するものにつきましても、従来の方針どおり、できるだけ民放の方にも話しかけて、共同建設が可能になるように私どもは努力をいたしたいと思います。
  241. 矢原秀男

    矢原秀男君 じゃ、これで要望して終わりますけれども、都市難視の問題も先ほどまでいろいろ申し上げております法規の問題、現実の補償問題、技術の問題、こういうふうな問題等を含めてまた機会があるごとに皆さん方と質疑を交わしてまいりたいと思います。  きょうは、これで終わります。
  242. 竹田現照

    委員長竹田現照君) 本件に対する本日の質疑は、この程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時十一分散会      —————・—————