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1975-12-11 第76回国会 参議院 地方行政委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年十二月十一日(木曜日)    午前十時四十五分開会     —————————————    委員の異動  十二月九日     辞任         補欠選任      岩男 頴一君     神田  博君  十二月十日     辞任         補欠選任      神田  博君     岩男 頴一君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         原 文兵衛君     理 事                 金井 元彦君                 安田 隆明君                 野口 忠夫君                 神谷信之助君     委 員                 安孫子藤吉君                 井上 吉夫君                 岩男 頴一君                 夏目 忠雄君                 橋本 繁蔵君                 小山 一平君                 福間 知之君                 和田 静夫君                 阿部 憲一君    国務大臣        自 治 大 臣  福田  一君    政府委員        内閣法制局長官  吉國 一郎君        農林大臣官房審        議官       杉山 克己君        通商産業政務次        官        嶋崎  均君        自治大臣官房審        議官       横手  正君        自治省行政局長  林  忠雄君        自治省財政局長  松浦  功君        自治省税務局長  首藤  堯君    事務局側        常任委員会専門        員        伊藤  保君    説明員        大蔵省主計局主        計官       藤井 裕久君        大蔵省主税局税        制第三課長    水野  勝君        文部省初等中等        教育局財務課長  別府  哲君        文部省体育局ス        ポーツ課長    望月 健一君        文部省管理局助        成課長      西崎 清久君        厚生大臣官房会        計課長      松田  正君        厚生省環境衛生        局水道環境部水        道整備課長    国川 建二君        食糧庁業務部需        給課長      宮崎 武幸君        資源エネルギー        庁公益事業部計        画課長      柴田 益男君        運輸省鉄道監督        局民営鉄道部財        務課長      中村  徹君        建設大臣官房会        計課長      伊藤 晴朗君        会計検査院事務        総局第四局長   東島 駿治君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○地方行政改革に関する調査  (地方行財政等に関する件)     —————————————
  2. 原文兵衛

    委員長原文兵衛君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。  地方行政改革に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  3. 小山一平

    小山一平君 去る八日に、全国知事会臨時地方行財政基本問題研究会、ここから、「地方行財政に関する今後の措置についての本報告」、こういうものが発表されております。そして、新聞の報ずるところによりますと、大蔵大臣諮問機関である財政制度審議会が、同じく八日に開催をされて、地方財政を扱う第一部会社会保障を扱う第二部会が来年度予算編成に向けてそれぞれ報告書骨子を取りまとめたと、こういうふうに報じておりますが、新聞ども報道しているように、この二つの報告は大変対立的な見解を浮き彫りにしておりまして、特に知事会は、私の見るところでは、いままで国に対して対立的な姿勢を示すとか、不信をぶつけるとかというようなことは非常に少なかったように思うんですけれども、最近次第に不満とか不信とかというようなものが高まっているようです。このことは大変憂慮すべきことでございまして、これは一体的に取り組むべき関係にあるのに、不信不満で対立するというようなことは大変望ましくない、そう思うんですが、大蔵省はどのようにお考えですか。
  4. 藤井裕久

    説明員藤井裕久君) ただいま御指摘の十二月八日の財政制度審議会、確かに新聞の報ずるとおり開催いたしまして、この日は骨子を取りまとめたと申しますよりは、委員皆様方自由討論をいただいたわけでございまして、まあその自由討論に基づいてこれから骨子をまとめ、報告にまとめていくと、こういう段取りになっております。  そこで、そのときの大方の皆様方の御意見は、五十一年度地方財政、非常に厳しいと、しかしながら、やはり地方財政と申しますか、地方行政住民福祉に非常に直結した問題であるので、これの着実な充実は図らなければならない。そこで、地方財政について硬直化の打開というような観点も十分考慮してもらいたいが、同時に適切な地方財政運営ができるような措置は講ずるようにと、こういうことがございました。と同時に、その適切な措置というものについては、国も厳しい財政事情にあるのだから、ある程度借り入れ中心措置にならざるを得ないというような御意見もございましたことは事実でございます。私どもといたしましてはそのような御意見を踏まえ、また正式の答申はこれからいただくわけでございますけれども自治省の方とも十分協議いたしまして、五十一年度地方財政対策については遺憾なきを期したいと考えております。
  5. 小山一平

    小山一平君 この審議会がいろんな答申をまとめるに当たって、私は当然大蔵省が細かい数字などを含む資料提出をして、それに基づいて検討されているものとこう考えます。そこで、私が審議のために必要な資料として提出したものを私にもいただきたいと要求をしたところが、そういう資料は出しておりませんと、こういうことでいただくことができませんでしたが、大蔵省はこういうこの大事な審議審議会お願いをして、しかもこの財政問題などが中心ですから、いろんな数字というものが基礎になるはずなのに、実際に資料は出さないんですか。
  6. 藤井裕久

    説明員藤井裕久君) 財政制度審議会は秋以来四回、自由討論を加えて開催をいたしておりますが、委員皆様方からこういうことはどうなっておるのかというようなことをいろいろ御質問ございます。それにつきましては、いろいろこちらでまとめられた資料は出しております。ただいまのお話については私どもちょっと存じませんでしたが、そういうことであれば、なおどういう部分とかというようなことで内部でひとつ協議をさしていただきたいと思いますが……。
  7. 小山一平

    小山一平君 それは大変おかしな話で、私は調査室を通じて、私にもその資料をほしいと、こういうふうにお願いしたんですよ。そうしたら、口頭説明だけであって資料は出ておらない、こういうお答えでしたから、私は常識として、この種の審議会が重要な問題を検討するのに、資料なしなんということがあろうはずがない。資料を出さないということであれば、その内容は何か作為があって、人に見せては都合が悪いからだと勘ぐらざるを得ないと思っておったんですが、それではその私の要求した資料をもらえなかったというのは、何か大蔵省調査室間の手違いでもあった、こういうふうに解するわけですか。
  8. 藤井裕久

    説明員藤井裕久君) 私は、実はいまのお話は初めて伺いましたので、ちょっとその事情はつまびらかにいたしておりません。
  9. 小山一平

    小山一平君 それではひとつこれは大変重大なことで、だれがどういう立場資料は出さなかったというふうに調査室の方へ言われたのか。だれかが独断で、資料は出さず口頭説明であるということで資料提出を拒むようなそういうやり方をとったのか、これははっきりしてもらわないと、いまあなた初めて聞くというようなことでは大変困るわけですよ。で、委員長お願いしますけれども資料は出ていると言うんですから、その資料はひとつ提出をさしていただけるようにお取り計らいを願いたいし、大蔵省としては、そういう手違いなのか、勘違いなのか、行き違いなのか、そのことについて調査をして納得のいくように解明をしていただきたいと思いますが、よろしゅうございますか。
  10. 藤井裕久

    説明員藤井裕久君) そのように考えております。
  11. 小山一平

    小山一平君 まだ、この審議会答申報告書というものが正式にでき上がっておらないから、それを見ることはできないわけですけれども、私ども新聞などの報道、それから知事会報告書などを対比をして検討をいたしてみますと、全国知事会に限らず、市長会町村会などおおむね一致した方向で多くの要望意見を出しておるわけです。これと対比をしてみると、大蔵省審議会考え方というものが非常に食い違いあるいは対立といったような要素が実は感じられてならないわけです。たとえば来年度財政が大変厳しいことは明らかなんですが、ことしの補正予算と同じように、たとえば交付税特別会計資金運用部資金借り入れる、そうして措置をしていくというようなことがとられるとすれば、それが地方責任になるような扱いになっては困るというようなことも強く警戒をしておりますね。それから地方税の落ち込みに伴う財源補てん債などについても非常に多額になることが予想されるので、これまたこの地方債の償還が地方自治体の全責任にされるようなことになっては困るという、こういうことも強く要望しているわけです。  ところが、審議会の第一部会は、地方債の増発に重点を置いて措置をしていく。その内容を今後どうやるかということは明らかでありませんけれども、どうも地方にしわ寄せされるような印象が強い。また第二部会社会福祉関係においても、老人医療費の一部負担の導入だとか、遺族年金給付水準の据え置きだとか、保育所入所基準厳正化だとか、こういう福祉行政の後退になるのではないかというようなことが提言されているように察せられます。そうすると、不況になりますと失業者は出る、内職はないといったようなことで、むしろ福祉に力を入れていかなければならないときなのに、そうしてそれを地方自治体は強く求めているのに、これとも大きく対立するような意見になってくるのではなかろうか。  したがって、今後大蔵省が来年度予算編成をしていく場合に、知事会市長会町村会地方団体のさまざまな要望意見というようなものを十分尊重をしていただかないと、この審議会答申の方に余りに偏るというようなやり方をされると、国と地方との関係がいよいよ悪化をするおそれがある、こういう実は心配を私はしているわけです。  そこで、先刻もお話がございましたけれども大蔵省は今後これら地方団体のさまざまな要望意見などというものをどういうふうに受けとめて取り組まれるつもりなのか、その点をはっきりお聞かせをしていただきたいと思います。
  12. 藤井裕久

    説明員藤井裕久君) 六団体を初めといたします地方団体団体の御意見、十分私たちも承っておりますが、これにつきましては自治省当局からも公式にいろいろな形で承っております。今後予算編成に当たりまして自治省当局と十分そのあたり御相談いたしまして、先ほども申し上げましたように、五十一年度地方財政対策、適正な運営が図れるように適切な措置を講じたいと考えております。
  13. 小山一平

    小山一平君 ちょっと厚生省お尋ねをしておきたいと思うんですが、いま申し上げたように、財政危機に際会をして、せっかく前進してきた福祉行政が後退するのではないかというような心配がいま出てきております。これは大変な逆コースでございますが、厚生省とすればいままで進めてきた福祉行政を後退させるようなことが断じてあってはならないと私は思うんですが、厚生省がどういう決意福祉行政を進めていくおつもりであるかという点をお聞きをしておきたいと思います。
  14. 松田正

    説明員松田正君) 五十一年度予算編成につきましては、すでに夏の時点で厚生省の基本的な考え方を明らかにいたしておるわけでございますが、社会保障社会福祉に関する諸施策につきましては、本来国民生活の安定ということに不可欠の諸施策ばかりでございます。したがいまして、どのような財政事情あるいは経済事情のもとにおきましても、これらの施策につきましては、着実に整備を図っていく必要がある性格のものだという基本認識を持っておるわけでございます。したがいまして、現在の厳しい財政事情ということの視点を忘れることはできませんけれども、これらの施策につきましては、真に必要なものについて将来とも計画的あるいは積極的に整備を図っていく必要があるというふうに考えております。今後ともこうした立場を堅持しつつ、わが国の福祉水準維持向上には最善の努力を尽くしてまいる、こういう考え方でございます。
  15. 小山一平

    小山一平君 そういたしますと、いままで進めてきた福祉行政水準を低下させるようなことは断じてない、こういうふうにお聞きをしておいてよろしゅうございますか。
  16. 松田正

    説明員松田正君) 従来進めてまいりました施策はもちろんでございますけれども、やはり必要なもの、それぞれその当時の国民の需要にこたえつつ、積極的に福祉水準向上には格別の努力を払いたい、かように考えております。
  17. 小山一平

    小山一平君 特に厚生省当局には、福祉行政を後退させるような逆コースは断じてとらない、こういう決意で今後取り組んでいただきたいということを要望しておきます。  それから次には、年内に予算編成を終わる、こういうふうに言われておりまして、目下いろいろ検討中のことでしょうから、細かいことを十分お聞きすることは、これはとうていできないと思いますが、来年の予算編成に当たって、大体地方財政がどんな姿になっていくだろうかというようなことを少し具体的にお尋ねしてみたいと、こんなふうに思います。  国の財政規模地方財政計画も、恐らく今年度に比べると、ある程度の伸びを避けることはできないと思いますが、おおむね何%ぐらいの伸びになるだろうと予測をされているか。
  18. 藤井裕久

    説明員藤井裕久君) これはもう十分御承知のことと思いますが、現在検討中でございますし、一番問題であります経済見通し、これがまだ決まっていない段階でございますので、これをもとにして、一体来年度の税収がどうなるか、あるいはそういう経済見通しのもとで財政のスタンスをどう置くかとかいうようないろいろな問題があるわけでございまして、せっかくの御質問でございますが、現在、まだそこいらのあたりは決定していないと、こういうふうに申し上げざるを得ません。
  19. 小山一平

    小山一平君 いや、決定しているという意味でお聞きをしているわけじゃないんですよ。相当の伸びは避けることができないだろうと、こういうふうにお聞きしたわけですから、決定していないにしても、いや、ことしの予算総額を下回ることもあるかもしれないなどという予測はないんでしょう。
  20. 藤井裕久

    説明員藤井裕久君) ただいま申し上げたような事情でございますが、まあ常識的にことしの予算額を下回ることはないというふうに考えていただいてよろしいと思います。
  21. 小山一平

    小山一平君 そこで、地方財政計画も、少なくとも私はことしの一五、六%ぐらいの伸びは当然見られるのではないかというふうに、非常にこれは粗雑な見解として思うんですけれども自治省いかがでしょうか。
  22. 松浦功

    政府委員松浦功君) 地方財政計画伸びというものは、御承知のように国の財政をどう組むか、予算をどう組むかということと直接関連をするので、一五になるのか二八になるのか、私どもまだよくわかりませんが、いずれにいたしましても、国の方が大幅に交付税歳出が減るということを考え伸び率が出てくると思うので、したがって、地方財政計画は国の予算よりは伸び率は上回る、相当上回るだろう、こういう推定だけは申し上げ得るかと思います。
  23. 小山一平

    小山一平君 ことしの計画から展望してみますと、私はどうしても二十四、五兆の間ぐらいにおさまってくるような気がするんですがね、そんな見当でよろしゅうございますか。
  24. 松浦功

    政府委員松浦功君) 二十四兆から五兆の間ぐらいという先生お尋ねは、私ども、私が頭の中で描いているのと余り何か食い違わないような気がします。
  25. 小山一平

    小山一平君 そうですが。そうなってきますと、歳入見込みというものは非常に厳しい、これはもう財政の厳しさというものは、明年度はことしよりはるかに厳しいということがこれ明らかになってくるんですが、そういう展望からいくと、地方税の落ち込み、地方交付税の落ち込み、その他若干ふえるものもあるにいたしましても、穴のあく分はどう考えても三兆円というような非常に大きな数字が出ざるを得ない、こんなふうに思われますが、この考えはいかがですか。
  26. 松浦功

    政府委員松浦功君) 公共事業費をどう伸ばすかということが非常に大きく歳入不足の額に影響してまいりますが、仮に公共事業が二〇%程度伸びるということを前提に置いて計算をすれば、大体そのぐらいの不足額は出てくるんじゃないかという推計を立てております。
  27. 小山一平

    小山一平君 そこで地方団体が非常に心配をしておるのは、この三兆円の穴をどういう方法措置することになるだろうか、下手をすれば今後の地方自治の命運にもかかわるようなことにもなりかねないという実は心配があるのは、私はこれ当然のことだというふうに思います。そこでいろいろな方法がこれから検討され、取り上げられるだろうと思いますが、地方団体がこぞって、これはいままでもそうですが、要望している交付税引き上げ、このことは大蔵省自治省もそれはやらないんだと、こういう方針を出していますけれども、しかし、自治体が地方債などという、そういう非常に将来にかかわるような部分をできるだけ少なくして、そして心配のない一般財源を確保したいという立場から地方交付税引き上げ要望する、これは私は地方団体にとっては当然のことだと、こういうふうに思います。いかがですか。
  28. 松浦功

    政府委員松浦功君) 私どもも基本的な考え方としてはそうありたいと願っております。ただ、ただいま先生御指摘いただきましたように、私ども交付税率引き上げは要求いたしておりません。来年度交付税率引き上げを要求するということになれば、その分だけ国が赤字国債を増発しなければならない。国の方にばっかり借金が片寄ってしまうという形では、国、地方を通ずる財政びっこになるだろうという考え方からでございます。  ただ一般論としては、当初にお答えいたしましたように、先生のお考えのように、なるべく一般財源で与えるということが望ましいということはよく承知をいたしております。しかしながら、いま申し上げましたような事情でそれができない場合においても、財政計画の策定を通じて、ともかく地方公共団体が五十一年度、四十九、五十年と同じようにちゃんとやっていけるようにだけは財源を確保する、これは毎回大臣お答えを申し上げているとおりでございます。それが借金であるか借り入れであるか、いろいろ地方団体心配なさる向きがございますけれども、それらはいずれも後年度財政計画歳出なり歳入なりできちんと措置をいたすと、これが自治省責任であると思っておりますので、地方公共団体におかれても、毎年度保障された財源を有効に使っていただいて効率的な行政運営をやっていただく、後の始末のことは、口幅ったいような言い方でございますけれども、やはり政府として責任があることでございますから、自治省はきちんと措置をするということをお約束するということ以外にお答えのしようがないと、このように考えておるところでございます。
  29. 小山一平

    小山一平君 大臣がお見えになったからそのことでちょっとお尋ねしたいんですがね。これはいまもお尋ねしているように、もう地方団体はこれ何年にわたって、そして特にこの財政危機になってからはこの交付税率引き上げという問題を必死になって叫んでいるわけです。そこで、大蔵省自治省も、いまのお答えのようにこの引き上げをやる考えはないと、大変大きな壁になっているわけですけれども、あれだけ悲痛な要望を出しているんですから、そのことについてもう少し前向きで具体的に実施の方向検討をするという態度はやっぱり必要のように思うんですが、大臣どうですか。
  30. 福田一

    国務大臣福田一君) お気持ちはよくわかっておりますし、また知事会その他からも強い要望があることは十分承知をいたしておるのでありますが、この前の委員会においても申し上げたところでございますけれども赤字が二年間続いて三年目もそういうことになるということであれば、これは当然法律的に処置をいたさなければならないわけでありますが、来年度予算編成の場合において国においても非常な赤字をしょっておるというような段階、背負わざるを得ないような段階においてこの問題を取り上げることがいいかどうかということについては、いろいろわれわれとしても考えてはみたのでありますが、やはりこの際はこの問題は取り上げないと。しかし、臨時特例交付税というようなものについては、これはひとつ強く要望をいたしまして、できるだけ地方負担を軽減するようなことはこれはわれわれとしても強く主張をしてまいりたい、こう考えておるわけでございます。
  31. 小山一平

    小山一平君 このことは幾ら言ったって、これ一方交通でどうしようもないんですが、決してこの要望をあきらめるわけでも断念するわけでもありませんけれども、積極的にひとつ前進さしてもらわなくちゃ困ると、こう思います。  そこで、交付税税率は据え置かれ、そしていままで交付税として受け取っていた一般財源の比率というものは相当な部分があるわけですね。そこで、それがさらに拡大をするということですから、その穴埋めを、臨時特例交付金といったことを当然五十一年度にもお考えをいただいて相当部分をそれで対処をするということにならざるを得ないと思うんですが、そういうふうに考えてよろしゅうございますか。
  32. 松浦功

    政府委員松浦功君) これはどうも私どもが一方的に決めることのできる問題ではございませんので、明確にどうするということをお答えできないのが残念でございますが、臨時特例交付金という形で交付税額をふやしたといたしますれば、税率引き上げた場合と同じようにやはり赤字国債は出さなけりゃならないわけでございます。そこいらとの兼ね合いがございますから、臨時特例交付金大蔵省に一部お願いをするということは私どもはいたしたいと思っております。その残余のものについては、どういう形にするかは検討いたさなければなりませんが、いずれにいたしましても必要な交付税額地方公共団体に現ナマで配れるようにいたしたいというのが私ども考え方でございます。先般の衆議院の委員会でもお答えを申し上げたところでございますが、借り入れによる交付税であるか、あるいは繰り入れによる交付税であるか、臨特による交付税であるか、本来の法律に基づく交付税であるかについては別に金に印はついていないわけでございます。したがって、財政計画上に挙げた交付税は、そういう基本的な問題を抜きにして地方団体としてはそのまま返さない金として一般財源として使えるわけでございますから、そういう措置をとって地方団体財政運営に支障がないようにしていく。それが国からの借り入れであるというような場合でございますと、将来返さなければならないという問題が出てまいりますが、返した上でなお必要な交付税を先の年度において確保するという対策がとれれば心配ないわけでございます。その対策をとるということはこれは自治省責任である、私どもはそういうふうに理解をいたしておりますので、その点についてはひとつ御了解をいただきたいと、こう考えております。
  33. 小山一平

    小山一平君 局長大分責任持って対処してくださるということですが、したがって、二十四兆五千億になるか二十五兆になるかわかりませんが、地方財政計画が策定をされて、その中に三兆であろうが三兆何千億であろうが、不足分が生ずる部分については国の責任地方団体運営ができるように必ず措置をする、こういうふうに了解してよろしゅうございますね。
  34. 松浦功

    政府委員松浦功君) これは毎回大臣からお答えを申し上げているとおりでございまして、地方財政計画を策定する際に歳出規模を圧縮するというような、そういう手段を用いないで、いままでどおりにきちっと算定をして、それに対する財源は一文も穴をあけないという形で措置をする。しかも、それが借金であったり、地方債であったりする場合があると思います。それの将来の償還については、また後年度地方財政計画にぴちっと理屈が合うようにしてまいりたい、地方団体に対するそれが自治省の責めだということを毎回繰り返して申し上げておりますので、そのようにお受け取りをいただいて結構でございます。
  35. 小山一平

    小山一平君 時間が余りないので先へ進めさせていただきますが、いずれにしても、その財源措置が将来の地方自治をできるだけ健全なものにしていくことができるような、そういう内容のものにしていただくように、特に自治省には御奮闘をお願いをしておきたいと思います。  それから、こういう財政危機の折に、いろいろ今度は税金の取れるものは取らなければならないということは当然でありますが、きょうの新聞などを見ますと、不況対策の一環として国民の消費活動を刺激するというようなことで、かなりの所得税減税などということが言われていたけれども、もうそれはやらない、こういうことになったというような報道が出ておりましたけれども、そのとおりですか。
  36. 水野勝

    説明員(水野勝君) 来年度の税制改正につきましては、現在税制調査会におきまして御審議を願っているところでございまして、なお審議中の段階でございますので、どういう結論になりますかは私どもとしてはお答えできる段階にはないわけでございます。  ただ一つの点といたしましては、所得税につきましては、連年の減税によりまして、課税最低限をとりましても世界の中でも最高の部類に来ているという点もございますし、所得税減税が、果たして現在の消費の動向からいたしまして、減税が景気刺激にどの程度効果があるかという点につきましても非常に議論の多いところでございまして、税制調査会の結論にまつところではございますが、私どもの気持ちといたしましては、財政事情からいたしましても来年度の所得税減税は無理ではないか、またその必要性もいかがかと、こんな気持ちでおるわけでございます。
  37. 小山一平

    小山一平君 地方税対策としてこれも強く出ている問題で、法人事業税に外形標準課税を採用すべきである、こういうことが言われております。なるほどそこに何百、何千の従業員がいる工場なり会社なりがあっても、いまのような制度では、黒字が出なければ均等割りを払うだけだ。ところが自治体は、上下水道からごみ処理から、その企業があるために莫大な財政需要を背負わなければならない、こういうことですから、そういう要望が出るのは当然だと思いますが、来年はこの制度を採用することになりますか。
  38. 水野勝

    説明員(水野勝君) 地方税の問題でございますが、便宜お答え申し上げますと、税制調査会におきましてもこの点を現在検討中の段階でございまして、過日もいろいろ審議が行われまして、賛否こもごもの御意見があったところでございまして、これも五十一年度税制改正の方向の中でどう位置づけられるかは今後の税制調査会の御審議の次第であると、こんなふうに思っております。
  39. 小山一平

    小山一平君 いろいろ税金関係でお聞きしようと思ったんですが、なるほど結論が出ていないから言えないと、こういうことならば、これは聞いてみたって意味のないことで、結論は出ていないけれども大体こういう方向をとるべきだと思っているぐらいのことは言ってもらわなければ、これはお聞きをしても意味のないことになるので、それは結論を聞かせろなんて、そんなむちゃなことをお尋ねしているわけじゃないですから、大体のお考え方、いま進んでいる現況、こんな点は、もう少しはっきりさしていただいてもそう差し支えはないと思いますから、もう二、三だけお聞きをいたしたいと思います。
  40. 福田一

    国務大臣福田一君) 外形課税の問題については、われわれとしては何か考えていいんじゃないかという考え方を持っております、考え方としては。しかし、これ、いまも政府委員が申し上げましたように、税調の方でいま審議いたしておる段階でありまして、われわれとしてはそれをこの際に強硬に推し進めるのがいいかどうかということについてはまだ判断をいたしておらない。しかし、考え方として、あなたの御意見に決して私自身は反対ではございません。そのことだけは表明さしていただきます。
  41. 小山一平

    小山一平君 それから自動車関連の諸税の引き上げということが、これはもうずいぶん取りざたをされておりますが、来年度は相当部分引き上げがあると、こういうふうに考えてよろしゅうございますか。
  42. 水野勝

    説明員(水野勝君) 大変恐縮でございますが、同じ御答弁になるわけでございますが、税制調査会で鋭意審議されている段階でございます。  ただ自動車につきましては、来年度財政事情等と関連いたしまして、経済情勢からいたしますと、国税、地方税を通じまして一般的に増税をするというような経済情勢ではなかなかなさそうに思われますけれども、そういう情勢の中におきまして、少しでも財政の充実という点から現在の経済情勢に余り影響のない点で増収を図る道があれば、それは当然そういう努力をいたさなければいけないわけでございまして、そういう中の一つの方向として自動車関連諸税につきましての負担を、若干の負担増を求めてはいかがかという考え方があることば事実でございます。
  43. 小山一平

    小山一平君 これは自治省の方へお尋ねしたいんですが、今後自動車関連税が引き上げになる場合に、市町村にもこの分配をもう少し考えてもいいではないかと、私どもそう思うんですよ。道路も最も長い延長を持っているのは市町村ですから、そこへこれらの税金のある部分を配分をしていく、こういうことをぜひやっていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  44. 松浦功

    政府委員松浦功君) 一つのりっぱな私はお考え方であろうかと思います。税制全般、それからほかの地方税伸びぐあい、そういったものとの関連も出てまいりますので、御意見として承らせておいていただいて、十分自動車税が引き上げられる際の検討材料にさせていただきたいと思います。
  45. 小山一平

    小山一平君 いろいろ租税特別措置の問題とかその他のことをお尋ねしたいんですが、時間が制約されておりますから先へまいりたいと思います。  地方財政がいま大変厳しい。地方財政計画の範囲においては、いろんな問題はあるにしてもそれぞれ措置されたけれども、もう大変苦しい、どうにもならぬという原因の一つに、これはよく議論になっているところですけれども地方財政計画と実際上の決算との乖離というものがいままでは相当あった。四十八年度にも二兆四千億もあったと、こういうふうに言われておりまして、それが血となり肉となっていて、ただ節約とか制度の改善とかというようなことだけではとうてい処理のできないというこれが分厚い部分になってきている。こういうことが地方財政を非常に行き詰まらせている点だというふうに思うんです。そしてこれは当然私は地方自治体のいろんな合理化を図ったり改善を図ることは当然だけれども、それにはどうしても超過負担——超過負担という定義もいろいろございます。国の方ではそれは超過負担ではないと言うけれども地方ではそれを超過負担だと、こういう部分もございますけれども、いずれにしても、地方自治体負担をすることは適当でないというような部分の解消というものを国の方で積極的にやっていただかないと、なかなか地方団体責任だけでこれが処理できるというなまやさしいものでは私はないと思うんです。この点について、まあかねてから自治省見解は聞いているんですけれども、来年もっともっと厳しくなるだろうという見通しの今日、もう一度念のため、それらの点についての御見解を聞いておきたいと思います。
  46. 松浦功

    政府委員松浦功君) 私がお答え申し上げることを先に先生がおっしゃったわけですが、超過負担という概念をどうつかまえるかということが非常に問題でございます。私ども、狭い意味で単価差というものはこれは国の責任で完全に解消すべきものだと思っておりますので、これまでも繰り返してまいりましたように、逐次実態を調査をいたしました上でこの単価差の解消に努めるということは当然であろうと思っております。  なお、国庫補助負担金にかかわります補助対象範囲の問題とか補助数量の問題とか、広い意味の超過負担ではあろうかと思いますが、現実に一つの基準が決まっているのに、基準を超えてつくったような部分を超過負担という形で処理することが妥当かどうか、こういう問題がございます。私ども狭い意味での超過負担とは考えておりませんが、しかし、そういった基準もやはり地方の実情にマッチし、あるいは社会経済状況の変化に対応してこれを改善していくという努力は当然繰り返していくべきだと思います。たとえば具体的に申し上げますならば、本年度、いままで屋体の標準の補助対象面積が六百平米でございましたものを七百二十平米に大蔵省お願いをして改めてもらう、こういう努力を年々繰り返していくということについてはやぶさかではございません。明年度も、いま申し上げましたような考え方で単価差についてはとにかく見つけたものは全部消してもらう、それから基準あるいは補助対象範囲あるいは補助数量、そういったものについては大蔵省の方の金の相談もあろうかと思いますが、無理をしてでも一歩でも前へ進めてほしいという形で大蔵省お願いしてまいる、また関係各省にも御要求をしていく、こういう態度で臨みたいと思います。
  47. 小山一平

    小山一平君 これは各省にまたがる問題で、各省がその気になって一緒に努力をしてもらわなければ解決のできない問題であろうかと思いますが、そこで、自治省にも認識を深めておいていただきたいと思いましてまあ文部省からも来てもらったんです。  それで、この前の通常国会の折にも、ここで私が文部省に建築基準の問題やあるいは定数外の職員の問題についてお尋ねをいたしました。そこで、いま地方では学校建築というのがもう地方財政の最大のこれが重荷になっているんですよ。文部省の示す基準で学校をつくってそれで足りるということであれば、これはそんなに苦しまないでも済むんですけれども、とうていそれでは間に合わないので無理をして基準以上のものをつくらざるを得ない。まあ中には、それほどにする必要もないではないかというようなぜいたくをやるものが全くないとは私は言いませんけれども、まあおおむね最小限の教育活動に必要な範囲としても相当のこれは負担がかかる。そのことは文部省も認めますか。
  48. 西崎清久

    説明員(西崎清久君) この問題につきましては、先生御指摘のとおり、五月に一度お尋ねをいただいております。そのときに私からお答え申し上げましたように、現在文部省は学校教育運営上の必要な最低基準を決めて、そして学校運営に必要なものとしての学校施設をつくっていただくというふうな形でやっております。ただし、これは補助算定上の問題としてやっておるわけでございます。  先生御指摘の点、ちょっと速記録を読み返してみたわけでございますが、若干私どもお答えが食い違っておったと思います点を補足さしていただきたいわけでございます。先生から先般御指摘がございましたのは、望ましい姿というものがあるではないか、その望ましい姿というものと補助の基準というものについて文部省はどう考えるかというふうな御指摘であったかと思うわけでございます。その点、望ましい姿というものについてはいろいろな考え方もございますし、過去にさかのぼりますと、昭和四十二年ごろに適正基準というものを参考として公にしたことがございます。そのころの適正基準は、当時の補助基準面積と比べますと小学校で二八%ぐらい、中学校で二五%ぐらい違っておったわけでございますが、その差を埋めるべく四十八年に基準面積の改定をいたしまして、それぞれ二〇%ずつの改定をいたした、そこにおいて補助基準においては最低必要な限度としての姿を設けたわけでございます。したがいまして、今後の課題としてできるだけ補助基準をアップしていくべく努力するということは、私どもとしても課題として心得ておるわけでございますが、やはり全体の事業量でありますとかいろいろな関係もございますので、その時期等につきましては全体との兼ね合いでいろいろ検討させていただきたいというふうに考えておる次第でございます。  以上でございます。
  49. 小山一平

    小山一平君 いずれにしても、学校をつくっても門は対象にならぬとか、へいは対象にならぬとか、なくてもいい物ならいいけれども、なければならない物であるにもかかわらず対象にならないというような部分がたくさんあるわけですよ。  そこで、前にも私は要望いたしましたけれども、文部省も地方の教育委員会などと十分な協議をして、そして少なくとも、市町村が義務教育で必要な学校をつくるのに、文部省の基準が市町村でどこでも確保をする面積からはるかに下回っているなんということはこれは大変まずいことですから、そういう合理的な適正規模というものはどうあるかというようなことをもう少し御検討をいただいてこれを発表されるというようなことは、今後こういう問題の改善のための基礎として重要だと思うんですよ。そういうのをやってくれますか。
  50. 西崎清久

    説明員(西崎清久君) 先生お話しの点でございますが、校舎基準を四十八年に改定いたしまして、ただいま自治省財政局長からお話ございましたように、屋内体育館につきましては四十九年、五十年と二ヵ年かかって、本年度におきまして校舎、屋体の基準改定を終えたわけでございます。したがいまして、御趣旨とするところはよく私どもも理解し、今後の課題として努力いたしたいと思いますが、いましばらくは、ただいまの最低基準で学校建築の補助につきましてはやらせていただき、なお検討課題として残させていただきたいと思います。そして今後、単価であるとか事業量の面なお努力すべき点がございますので、その点につきましてあわせて全体の姿としての、何と申しましょうか、拡充ということに力を注いでいきたいというふうに考えております。
  51. 小山一平

    小山一平君 そんなこと言っているともう来年度あたりから、特に貧弱な市町村なんかでは学校なんかつぶれても建てられないというようなことになるおそれがあるんですよ。だから、文部省がそういう点についてもう少し積極的な取り組みをぜひしていただかなくちゃならぬと思います。そして地方もそればぜいたくでない最低限度で、そして持ち出しなどが過重にならないこの基準というものは、もう少し科学的に民主的に作成をすると、これだけはぜひやっていただきたいと思います。  それからこの前同じく私が問題にしましたのは、市町村費支弁の学校職員、特に養護教諭、小さな学校にいくと専科の先生も含まれますが、事務職員、こういうものがたくさんある、このことを私がこの場で申し上げました。自治大臣、学校の職員で文部省が県へ割り当てる人員が決まっている。県はその範囲でなければ配置ができない。そのために特に規模の小さいような学校においては学校運営ができない。事務職員がいない、養護教諭がいない。こういうようなことで、やむを得ず市町村が——好きこのんでじゃないですよ、物好きにそんなことやるものはないんですよ、泣く泣く派遣をしている職員が私は全国で数万に及ぶと思っているんですよ。これは自治省立場から見ると地方財政計画の枠の外にあるものでしょう。だから、こういう点の解消をやってもらわなければ地方自治体はとてもやっていけないわけですよ。  そこで私は文部省に要求したいんですが、全国それぞれどういう形でもいいですけれども、無差別抽出でその実態を文部省自身の手で調査をして公表すべきである。自治省もひとつそういう地方自治体の不合理な人員の問題というようなものを把握していただきたい。こう思うんです。文部省、いま言ったようなことで、そういう市町村支弁の学校職員、市町村が負担すべきでない職員の数、そして大まかなそれによる財政内容、こういうようなものを調査してくれますか。
  52. 別府哲

    説明員(別府哲君) 学校の事務職員等につきましては、前回、五月の下旬の本委員会におきまして、年次計画をもって充実を図っているところについては御説明をしたところでございますが、市町村費支弁の職員につきましては、現在地方交付税で各学校に事務補助員その他の形で財源措置が行われ、それに基づいて市町村が相当数の職員を配置しているところでございます。その地方交付税の積算基礎につきましては、自治省におきまして詳細な地方財政の実態を把握されてこれを積算されていると思いますが、私たちの立場といたしまして、この積算基礎についての、さらに改善をお願いするための材料としてきめの細かい各実態というものを把握する必要があるというふうに考えておりますので、目下、昭和四十九年度の決算状況につきまして、全国の悉皆調査はなかなかむずかしゅうございますので、小中学校、交付税積算で申しますと、標準規模としてとらえられております小学校十八学級、中学校十五学級の学校について、それぞれ五十校程度の学校の市町村の学校運営費の実態というものを把握するようにいま教育委員会お願いをしているところでございまして、そういった実態に基づいてさらに国としてやらなければならない点を十分に措置をし、また交付税として積算をしていただく、その内容についての改善をお願いすべき点は自治省のほうにそれをお願いするという準備を進めているわけでございます。
  53. 松浦功

    政府委員松浦功君) ちょっと、私ども、文部省の意見に必ずしも同調できませんので一言申し上げておきますが、用務員等の問題については義務教育国庫負担から外れておるんで、これは交付税で見ることは私ども異存ございません。文部省が養護教諭や事務職員の増員をはかるという方向をとらずに交付税にこれを持ち込むことについては、私どもは反対でございます。地方団体の共有財源で何も食う必要ございません。その点ははっきり自治省見解だけ申し添えておきます。
  54. 小山一平

    小山一平君 文部省わかりましたか。私の要求したのは、調査をしなさいと。十八学級の標準規模のところなんか調査したって意味ないんですよ。標準から外れているようなところに大きな問題があるんですよ。ですから、特に過疎の、しかも面積の広い市町村で学校規模が小さい、学校の数が多い、こういうところにそうした職員を派遣せざるを得ない部分がうんとあるわけです。ですから、文部省は五十校でも百校でも、全国、人口の稠密のところ過疎のところ中間のところ、いろいろで選択をして調査をして、一体養護教諭は全国で大体何名ぐらい市町村が負担をしているだろうか、事務職員は何名不当な負担を強いられているか、こういうことを調査をして、文部省の責任でその措置をするというのがいまの自治省見解から言っても当然でしょう。その調査をしなさいよ。やるとここではっきり約束をしなさいよ。
  55. 別府哲

    説明員(別府哲君) ただいま行っておりますのは、いま申し上げましたように、標準規模についての学校を各県で抽出をしていただきまして、いま調査をしていただいている最中でございますけれども先生御指摘のように、小さい規模の学校等の実態も把握する必要があると思いますので、さらにそれらのものについても実態を把握するように努めたいと思っております。
  56. 小山一平

    小山一平君 これは明確にしておきたいと思いますが、ただ中くらいな調査をやるんじゃなしに、何校をどういう規模からどういうふうに摘出をして調査をしたら、その数は、そしてまた区分はどういう実態であったか、こういう結果をこの委員会を通じて報告をする、これだけのことをぜひやっていただきたいと思います。その約束だけは——そんなことはできないなどと言わせませんよ。その調査は必ずやって実態の報告をいたしますと。そしてその時期も、三ヵ月なりあるいは六ヵ月なり時期を切って約束をする。約束しますか。
  57. 別府哲

    説明員(別府哲君) 標準規模についてはいま調査をいたしておりますけれども、いま御指摘のありました、それ以外のものについてはこれから検討いたしますので、時期は若干おくれるかと思いますけれども、そういった点についての調査をいたします。
  58. 小山一平

    小山一平君 何かどうも歯切れの悪いお答えですがね。私の要望、要求をしているとおりに計らうるわけですね。そしてこれはそんな時間かからないです。これは自治省見解もいま明らかにされたように、自治省ではこれはとうてい市町村にそのめんどうまでは見てもらえないし、また見るべき筋合いのものではない、こういうことがはっきりしているんですから、これは時期がそう長くなっても困ります。そうですな、ことしの十二月までと言っても無理だろうから、まあ来年の三月、この会計年度内に必ずその調査の結果を報告をする、こういうことだけ念を押しておきます。  どうも時間が来てしまったようで、厚生省のほかの係の方にも来ていただいているんですが、せっかく来ていただいて大変恐縮ですけれども、予定の時間を圧縮されたものですから、大変恐縮ですが、これでやめますのでお許しをいただきたいと思います。  それじゃ、残念ながら以上をもって終わります。
  59. 夏目忠雄

    ○夏目忠雄君 実は文部省に関連質問をしたいんだけれども、どうも同じ党派でないと関連質問ができないというから、残念ながらこの次に譲ることにします。  それでは、最初に会計検査院にひとつ。ことしの春、いわゆる破砕米の横流し事件が各地、局部的でありまするがございまして、会計検査院ではその実情調査に乗り出したというお話をお聞きしておるのでありまするが、大体その検査の経過をひとつ御報告お願いしたいと思います。
  60. 東島駿治

    説明員(東島駿治君) お答えいたします。  先生御指摘の横流し問題等につきましては、われわれも当初捜査である程度知っておりまして、これについてまあわれわれとしても予定を多少変更いたしまして検査したわけでございまして、破砕精米の工場につきましては五十工場のうち十六工場、それからこの破砕精米を買い受けます業者につきましては六十九工場について調査いたしましたが、私ども調査した範囲におきましては、会計経理上特に不当と認められるような事態は見受けられなかったような次第でございます。
  61. 夏目忠雄

    ○夏目忠雄君 特に問題にする点は見つからなかったとおっしゃるので再度御質問いたしまするが、当時いろいろうわさされておりましたいわゆる横流し事件というものは具体的に把握できなかったと、こういうことですか。
  62. 東島駿治

    説明員(東島駿治君) それにつきましては、加工業者及び実需要者につきまして私どもの権限の許す限りの調査をしたつもりでございますけれども、現実にそういう事実にぶち当たらなかったという次第でございます。
  63. 夏目忠雄

    ○夏目忠雄君 これは私は、局地的に米の値段に直接響いているのですから、横流し事件があったということは私は疑いないと思う。ただ、会計検査院の性質上、警察じゃありませんからそこまで御調査がいかなかったのだと、非常に好意的に解釈するわけでございまするが、しかし、会計検査院の権能の範囲内であっても、現在農林省が精米工場に出しておりまするいわゆる目減りの問題、これもやっぱり当時非常にやかましかったのでありまするが、これは適当であるかないかというような判断は会計検査院として十分なされるはずだと思うのですが、いかがでございましょう。
  64. 東島駿治

    説明員(東島駿治君) 加工の契約から、破砕米としての政府に、食糧庁に納入するまでの工程におけるいろいろの歩どまりの問題、これは加工経費の算定に相当関係ございますので、その点も、まあ十六工場という非常に少ない数でまことに申しわけございませんでしたが、その範囲内で見ましたところ、私ども調査官からの報告にはその点まで十分把握できなかったような状態で、まことに申しわけないと思っております。
  65. 夏目忠雄

    ○夏目忠雄君 それでは二番目に、農林省から当然その破砕の限度があるわけですが、その破砕の限度は守られておりましたか。
  66. 東島駿治

    説明員(東島駿治君) 私どもが検査いたしました範囲ではそのような報告を受けております。  それから、先ほどちょっと失礼いたしましたが、破砕米の流通の実態から見て、変形加工の方法、破砕精米の売り渡し方法ということに重点を置いて検査いたしましたので、そういう点で必ずしも十分でないというふうに認められるものもございましたので、今後も十分注意して検査していきたい、このように考えております。
  67. 夏目忠雄

    ○夏目忠雄君 まあ御調査に乗り出したのが七月、八月のようでございまするから、時期としてはちょっと遅く、したがって、検査時におきましては大体破砕規格といいますか、それに合っていたと私も推察されます。しかし、二割という目減りが適当であるかないか、こういったことは、会計検査院の権能としてもちろん私は結論を出すべきだと。それも出せないようなら一体何のための会計検査かわけがわからぬ。ぜひひとつ、まだお聞きしますと調査中、続行中だそうでございますので、ぜひそういった点については、会計検査院——もちろん原料の関係やら各工場によっての工程の問題があって、正確にこれだという数字は恐らく会計検査院でも出せないでしょうけれども、しかし、現行制度がちょっと甘過ぎるのじゃないかとか辛過ぎるのじゃないかという結論は会計検査院として当然出すべきだと思う。ぜひ引き続き御調査の上、またひとつ結果をお聞かせ願いたい、かように思います。
  68. 東島駿治

    説明員(東島駿治君) ただいま先生の御指導の点を十分踏まえまして今後の検査に処していきたい、このように考えております。
  69. 夏目忠雄

    ○夏目忠雄君 そこで、検査院の方、非常にやはりこれも私ども関心の深い問題でございまするので、ひとつ会計検査院としては独自の与えられた権能に基づいて公平な御調査をされんことを強く期待申し上げるものであります。以上で検査院の方結構です。  そこで、農林省にお聞きしたいのでありまするが、最初にお礼を先に言っておきまするが、みそ用の——信州みそというのは、御存じのように、京浜、阪神等の大消費地に対してはほとんど六割以上を供給しておる、まあ日本人のみそにとっては非常に欠くべからざるものでありまして、このために、長野県におきましても、信州みそ検査条例という県の条例までつくってその品質の確保に努力しておるのでありまするが、昨年の十月にトン当たり原料払い下げ米が六万八千円、これがことしの九月になりますると十三万八千円。約倍以上、非常に上がっておるんです。これはまあそれでも普通のお米に比べれば安いんでありまして、安い米を無理してお与えくださっていることにはお礼を申し上げるわけですが、お礼はお礼として、みそ用の古米をなぜ破砕して払下げるのか。通常の常識で考えると破砕する必要は毫もないのに、わざわざ金をかけて破砕して払い下げておるというのはどうしても私どもの常識から考えてうなずけない。その点の理由をひとつ御説明願いたいと思うのです。
  70. 宮崎武幸

    説明員(宮崎武幸君) 御案内のように、破砕米の制度ができましたのは、実は昭和四十三年ごろから急激にたまりました過剰米の処理の一環ということで始めたわけでございます。そのときに、約一年分近くの過剰在庫をどう処理するかということで、輸出なりあるいは動物のえさに使う等の用途とともに、これをみそあるいはせんべい等の原材料用にも使おうということで始めたわけでございますが、輸出あるいはえさに使う場合にはこれはもちろん砕いてやります。みそ等の原料にいたしましても、物といたしましては二年あるいは三年程度の古米でございますから、十分一般主食用としても使えるというふうな物でございます。したがいまして、これが万一流通ルートが乱れまして、横流れということになりまして一般の配給用の主食のルートに入りますと非常な混乱が生じます。そういうことで、私どもといたしましては万全を期しまして、横流れがしない、あくまで原材料用は原材料用としまして主食用のルートに横流れしない、そういう対策のために、あえてこれを破砕してしかる後に実需者の方にお渡しする、こういう制度をとったわけでございます。
  71. 夏目忠雄

    ○夏目忠雄君 いきさつから言って、横流れを防止するためにわざわざ破砕しておやりになる、つまり横流れさせないためにと、こういうのがほとんどの理由のようです。それでは、私ども考えてみますると、横流れの防止ということはそれはもちろん大切なことではありまするが、みそ屋は横流れのおそれがあって精麦業者は横流れのおそれがないのか、一体そこはどういうことなんだ。現に、精麦業者に渡したのがただいま会計検査院が乗り出してお調べになっているぐらいあるわけです、事実のものはわからんとしても。みそ屋では横流れするおそれがあるが、精麦業者は横流れするおそれがないと判定されるのはどういう理由なんでしょうか。
  72. 宮崎武幸

    説明員(宮崎武幸君) 精麦業者につきましては、これは私どもがいわゆる委託加工をさせておる委託先だということになっておりまして、当然その間におきましてはまだ政府の所有に属しております。したがいまして、現在委託しております五十の会社に対しましては、食糧事務所の職員が立ち会いをやっております。そういうことで、私どもといたしましては、これは単に委託先の精麦業者が自由にやっているわけでは毛頭ございません。原材料の搬入から、これが実需者のもとに送り出されるまでは、事務所の監督及び立ち会いのもとにやっておりますので、そういう問題は万ないというふうに考えております。  なお、先ほど検査院の方からもお話がございましたが、そういううわさが立ちましたので、食糧庁といたしましても、食糧庁は食糧庁といたしまして、団体等にも強く申しつけまして、あるいは食糧事務所自体におきましても、急遽全工場の内容をさらにきびしく調査等いたしましたけれども、幸いにも、どうもうわさだけであったという感じで、私どもとしては、現在のところそういった不正な事実はなかったというふうに理解しているわけでございます。
  73. 夏目忠雄

    ○夏目忠雄君 そこが私はお役人さんの論理だと思うのです。みそ屋にやれば売り渡しだから横流れのおそれがある、精麦業者だと委託だから横流れのおそれがないというのは、これはお役人さんの論理でありまして、私にはうなずけないんです。  まず、そういう業者の話は別にしまして、国民経済という大きな立場から考えてみても、まるの方が便利なのをわざわざ金をかけて破砕しておやりになる。これがただ単に横流れ防止のためならば、私に言わせれば、みそ屋なり何なりが横流れをした場合、これは会計検査院がお調べになるのは、会計検査院には、そこへ行って帳簿なり売り渡し先なりもしくは金の入金先なりを——警察権限をもって調べればこんなことは簡単なんですが、会計検査院はそこまでやれない。個人の業者ですからそこまでやれないのですが、横流れを調べようと思えば、警察権力をもって調べれば楽に出てくるわけで、そこで、私は横流れしたような業者には配給を停止するという、国にとっては一番確実無比な手段がある。その確実無比な手段があるのに、わざわざりっぱなお米をつぶしてお売りになっている。これは国民経済から言うても、わざわざ工賃をかけて破砕するというようなばかげたことをなぜおやりになっているか、どうも私は納得いかないんであります。いかがなものです。
  74. 宮崎武幸

    説明員(宮崎武幸君) まことにごもっともな御意見ではないかというふうに考えておりますが、特に破砕米につきまして横流れ防止ということを非常に神経質になっておりますのは、実は先ほども先生お話しございましたように、実はこれが非常に安いわけでございます。ただいま一般の主食用でございますと、精米に換算しましてトン当たり二十五万程度でございますが、それを現在では十三万六千八百円ということで渡しております。仮にこれが二年ばかりの古々米であるということではございますけれども、非常に安い。そういうことで、こういう安いものが動きますから、特に破砕精米につきましては、破砕をして横流れを防止するというふうな措置をとっているわけでございます。  そこで私どもといたしましては、先ほど申し上げましたように、この制度はあくまで過剰米の処理ということで始めたわけでございますので、過剰米の処理は本年の三月をもちまして一応終了いたしました。その時点におきまして、この制度をやめようかという議論を内部におきましても十分検討いたしたわけでございます。しかしながら、これをすぐやめますと、実需業界にとりましては、直ちに別の原料米をどこからか、どういうルートか手当てする。しかし、それば非常に高い。主食用と同じような値段でございます。そこで、生活必需品でありますみそあるいはその他の加工品の価格が急激に上がるということば、これは物価対策上も望ましくないという結論になりまして、そこで、一挙にやめることはやめるが、今後少しずつこれは収束する方向に持っていこう、基本的に将来に向かってはこれはだんだん縮小し、やめていく、こういう方向で対処しようということになったわけでございます。そういうことで、数量的にも、それから価格面におきましても、先ほどお話ございましたように、価格は計画的に、段階的に上げていきまして、一般的なお米の値段に近づけていく、そういうことによりましてこの制度の収束を図りたいというふうに考えておるわけでございます。
  75. 夏目忠雄

    ○夏目忠雄君 弱ったことをおっしゃるな、実際。  ことしの三月、こういうやり方はまずいから、古古米がなくなったからやめようという議論がおたくの方の内部にも出てきた。私は非常にきわめて正論だと思うんですが、それと、みそは非常に生活必需物資だから、一般二十万円前後、こういうものを十三万八千円で、特にみそは生活必需品だから安くやろうという政策は、これは別だと思うんです。みそ用は、みそは生活の必需品だから特に安くしましょうというんなら、特に安くして売ればいいんで、何も破砕してまでやることはないじゃないか。破砕しなければそんなみそ用玄米は安く売れないというその理屈が、なぜそんなところに固執しなさるのか、私には不思議でかなわない。みそは生活必需品だから、その原料の分だけは特別普通の価格より安く売ろうというのはこれはりっぱな政策だ。りっぱな政策だから最初にお礼を申し上げた。りっぱな政策だけれども、安く売るために破砕しなければならないという理屈が一体どうして立つのか、私はそれをお聞きしたいんですが、しかし、こんなことをお聞きしても行ったり来たりですからやめましょう。  そこでひとつ、当分二、三年は破砕しなければならぬならならぬでやむを得ないとして、ちょっと実情を農林省の方にお聞き取り願いたいと思うんでありまするが、それは現在長野県のみそ屋さんが相当あるが、この原料の破砕米を買い入れる工場が、とにかく愛知県、静岡県、それから、県内にはただ破砕工場が一つきりで、三重県に二ヵ所、岐阜県に一ヵ所、愛知県に三ヵ所、静岡県に一ヵ所、山梨県に二ヵ所というふうに、ほとんど大部分は県外の工場から破砕米を買わなければならぬわけだ。で、長野県自体はどうかというと、長野県自体は米はどちらかというと余っている県で、わざわざよその県の米を静岡県だとか愛知県だとか山梨県の破砕工場にやって、それをみそ業者はまたその破砕工場まで買いにいく、こういう不合理なことは何とかおやめになれないか。県内に破砕工場を適当なものを何かそこにふやして、なるべく長野県産の米を当てて、そしてみそ用の原料にお渡しになれば、それだけでもずいぶん違うんじゃないか。それをみそ屋に計算させますると、年に約一億程度のよけいな出費らしいんですが、実際さもあろうかと思われます。特に現在食糧事務所の方の会計のやり方として、食糧事務所に現金を持っていかないと破砕米が買えないもんですから、みそ屋さんはその時期になりますると、何億という現金をかばんの中へ入れて、静岡県や山梨県、愛知県へ行って食糧事務所へ納めて破砕米を買ってくる。こういうようなことは十分農林省の操作の中で私はできる点だと思う。いま言ったように、県内にもう少し破砕工場をふやして、そして県外にこれだけ頼らないようにできないものか。それからいま言った会計の方法に何か改善の方法はできないものか。この二点をひとつ。
  76. 宮崎武幸

    説明員(宮崎武幸君) 現在のいわゆる加工工場、委託しております加工工場の数は全国で現在五十工場でございます。平均しますと、一県一つ程度。ただし、これもある程度それは地域的な散らばりはございまして、全く加工工場のない県もたくさんあるわけでございまして、これもいま先生がおっしゃいました実情につきまして、私どもも、先ほど申しましたように、本年の三月にこの制度をどうするかという検討とともにいろいろ内部で検討いたしたわけでございますが、基本的に今後縮小廃止の方向に持っていきたいという制度でございますので、この段階におきまして新たに指定工場をふやしていくということはこれは基本的に問題がある。そういう破砕をやっていただきます以上、それ相応の機械設備等が要るわけでございますので、そういった機械設備をまた装置するというふうなことを考えますれば、これから漸次縮小廃止の方向に持っていくという方針にはそぐわないということで、これは新しく工場をふやしていくということはやめようということにいたしたわけでございます。  さらに実態を申し上げますと、現在私どもこの原料用として政府が出しております量は、精米といたしまして大体年間二十一万トンぐらいでございます。それに対しまして五十工場が持っております能力ば約四十九万トンぐらいございます。したがいまして、能力的に見ますと、現在の五十工場で優に二倍以上のものを持っておる、こういう状況でございます。もちろんこれは全国的でございますから、個々の地域ごとに見ますと、ただいま先生御指摘になりましたような、そういった地域的なアンバラということもございますが、総体的に見ますと、能力は非常に大きな過剰状態にございますので、そういった実態面から見ましても、これ以上ふやしていくということは適当でないというふうに考えたわけでございます。
  77. 夏目忠雄

    ○夏目忠雄君 どうも既存の精麦業者をちょっと温存させるというか、そういう思想がお話を聞いていて非常に強いように思って私は残念なんで、三年か四年のうちにやめたい方向でいっているから新しい業者はふやさないというのは一見ごもっとものように聞こえるけれども、実際にいままでのみそ屋さんが下請させておる工場は幾つでもあるんだ。何も新しい工場をつくって機械買ってやらなくたって、既存のものが一ぱいあるんです。そこにただいま言ったように全般の運賃がかかり過ぎて、あっちの物をこっちへ持っていったり、こんなぐるぐる回ししないでおやりになったらどうだ。既存の業者はなるほどそれだけ減るでしょう。愛知県なり静岡県の業者のあれは減っていくでしょうけれども、これはもともと先ほど委託と言われたんですから、政府がそれほど責任をお感じになる必要はない。それをやめたらこの業者が困るだろうというところまで私はお考えになる必要ないんであって、全般的な運営からお考えになったらどうだろうか、ぜひひとつこれは御考慮を願いたい、こう思うんですが、いかがですか。
  78. 宮崎武幸

    説明員(宮崎武幸君) 新しく工場をふやしていくという点につきましては、先ほどから申し上げましたような事情にございますので、いま直ちにお答えはいたしかねるわけでございますが、長野県の実情は十分ただいま拝聴いたしました。原料米の配置状況等の実は考慮事項もございます。確かに長野は生産県ではございますが、実は中身は、いわゆる食糧に供せられる、一般の主食用として食べられるようなものが主でございまして、破砕精米の原料になるような、いわゆる品質が一段落ちるといいますか、非銘柄米等につきましては、それほど能力があるわけではございません。そういうこともいろいろ勘案いたしまして、私といたしましていま申し上げられますことは、長野県内の破砕の数量と申しますか、県内処理の数量をできるだけふやすというふうな方向検討させていただきたいということでございます。
  79. 夏目忠雄

    ○夏目忠雄君 まだ申し上げたいことはたくさんありまするが、まあひとつ考えてください。場合によってはまたもう少し時間をかけてと思いまするが、きょうはこれでやめます。  あと、文部省の方ちょっとお願いします。文部省で、来年度予算からスポーツ振興のために、スポーツクラブに一ヵ所七万円か何かでもって、半額助成でもっておやりになるというのをテレビで見たんですが、そういう計画がおありなんですか。
  80. 望月健一

    説明員(望月健一君) 明年度予算要求といたしまして、いま先生お話のような大体の趣旨のことで、クラブをこれからつくっていこう、あるいはクラブにまとまっていこうというところで教育委員会がぜひこれをもっと育てたいというところには、そのクラブが負担する三分の一ぐらいの経費を国も教育委員会に、市町村に補助いたしましょうという要求をいましているところでございます。
  81. 夏目忠雄

    ○夏目忠雄君 そこでまた例によって、その補助金を出すのにはこういう基準によらなければならないという、その基準はどんなことなんです、おありなんでしょうが。
  82. 望月健一

    説明員(望月健一君) 基準といま考えておりますのは、一応は既成のクラブ——前段ちょっと申さしていただきますが、私たちの調査をしたところによりますと、抽出ではございますけれども約十九万二千クラブぐらい全国にある。そのクラブはもうすでに相当計画的、自主的にどんどんやっている、そういうところに対しては、施設をつくる、あるいは大会の経費を出す、あるいは講習会、指導者養成、そういうところでサービスをしていきたい。ところが、スポーツは自主的、自発的にやる性質のものでございますから、地域住民の場合には。そうしますとやはり一人でおやりになるよりはグループでおやりになった方が永続性もあるし興味もわくと、そしてグループをもっとつくっていきたいということが、私たちも考え市町村の教育委員会でもお考えになっていただいているところです。  それで、その十九万のほかに、これからスポーツが生まれよう、あるいは十九万の中でもまだ十分な組織的活動ができていないというところには、自前の会費などを出しながらやって一生懸命組織化していこうというところがありまして、そこに約八割の教育委員会は何らかの形で援助をしているわけでございます。そうすると、その教育委員会が出されているお金の裏金みたいなものを、その教育委員会の出された半分ぐらいは国でも応援してやりましょうというような考え方でいまやっております。  条件とするところは、一人では困るのでございまして、大体二十人ぐらいのまとまりで年間に計画的に数十回練習なり試合なりするというような形をとっていただくところでないと、組織化への、クラブをつくっていくためには効果はないのではないか、まあその程度の考え方でございまして、ただ、これは一つは、クラブがまとまっても自前でどんどんできるということであれば、そこまで追っかけてやろうというわけではなくて、できれば一年、その該当クラブが一年間で、あるいは二年ぐらいできちんとした自主的なクラブになるように、そう応援したいな、そういうつもりの要求でございます。
  83. 夏目忠雄

    ○夏目忠雄君 大変結構な趣旨のようなんですがね。実際にはそいつをやられると困る。というのは、困るというとおかしな話ですけれども大蔵省の方から何ぼ金取れるか知らぬけれども、たとえてみれば、私ども長野市にすれば恐らく五、六ヵ所も来ればいい方なんじゃないですか。もっと来るんですか、二百ヵ所も三百ヵ所も。そうじゃないでしょう。恐らく五ヵ所か六ヵ所しか来やしない。いまスポーツクラブというのは十九万何ぼといったって、このごろ大分違ってきましたから、どんどん雨後のタケノコみたいにふえる一方なんです。長野市だけにしたって、恐らく千から二千ぐらいクラブがあるだろう。そこへ三ヵ所か四ヵ所に七万円くれるから適当に選べなんて言われたって迷惑至極だ、正直言うと。というのは、いままでスポーツクラブについていろいろと、こっちも金がないから、ピンポンやるならピンポン買ってやる、ママさんバレーやるならバレーボールとネットを買ってやるというふうに、せい、せい一ヵ所五千円とか一万円以下でもって何とかかんとかやって育ててきているわけなんです。みんながそうやっておるところへいきなり三ヵ所だけが七万円だなんて、どうやっていいんだかわからぬ。これはかって厚生省が老人クラブに補助金出したときも全く同じことをやられて、同じ迷惑をこうむったんですよ。わずかばかりの金を持ってきて、これだけには老人クラブは国から半額助成するからなんて言われるもんだから、たくさんある老人クラブはどうやっていいんだかわからない。スポーツクラブなんといったって、そんなにたくさんある中から、何百という中から三つや四つ選んでやれば、あのやろうは何だ、コネがあってああいうことやったんだろうというんで、スポーツクラブ全体につまらぬ話ですよ。せっかく市町村がそれほど金をかけないで一生懸命で効率的にやっているものでありまするから、補助金をお出しいただくということは非常に結構ですから、その補助金はどういうふうに分けるか知らないけれども、たとえ一ヵ所の市町村に五万にしかならないか、十万円にしか——もっとなるんですか。二十万ぐらいになるんですか、三十万ぐらいになるか知りませんけれども、二十万なら二十万として、二十万はじゃこれはスポーツクラブの振興費として市の方で適当にお使いなさいというような補助金にならぬですか。一々皆さんの方へ、これだけの資格は備えていますから、ぜひこれについてやってくださいという書類を出して、そしてそれではこれとこれとはよろしい、これとこれはいけないというような、いままでの補助金の出し方をこの際文部省は考え直されて、そしてこのお金はわずかだけれども、市町村のスポーツクラブに対するあれだから、市町村の方ではその旨を体して適当にひとつお使いくださいというような形態の補助金に、文部省ひとつ皮切りやってくれないかな、そういう補助金を。どうです。
  84. 望月健一

    説明員(望月健一君) いままで進めているやり方をちょっと御説明さしていただきますと、クラブにしたいということでスポーツ教室というのをやっております。これはスポーツはやりたいけれども、場所がなかなか自分で見つからない、あるいは仲間がいない、あるいは指導者がいないということで、スポーツ教室というものに補助金を出して、そしてある一定の時間、大体二十時間でございますが、練習する。しかし、それを終わってしまいますと、今度はそれが解散してしまったんでは意味がない。そういうところにはやはりまとまりがつくようにまた応援したいなというのが、一つの考え方もここにあるのでございます。先生のおっしゃるように、これまとめて何でもよろしいというのは、まだいまのところ補助金の執行の仕方として私たちもそこまで考えが及んでおりませんのですが、私の方の考えているのは、いま言ったような、これから育とうというところを、まあ長野市を例にとれば一千というお話がありますけれども、それを幾つかを選んで次々回していただきたいなという気持ちでおります。
  85. 夏目忠雄

    ○夏目忠雄君 スポーツ教室といったって、ちょっと勘定したって二、三十あるよ。それでそいつが出たところで、じゃ長野市にたとえてみれば何ヵ所ぐらい来るんです、その七万円のやつは。三つか四つですか、もっと来るんですか。ようやく三つか四つでしょう。そうスポーツ教室といったって、いま言ったように、私どもはもう全部やっておる。テニスから始まって野球だ、水泳だ、へったくれだといっていっぱいある。それにと言うて——どうも私もたかがこんなことで大きな声を出す気持ちはないんだけれども、国の補助金の出し方というものが、従来自分の方でかってに基準を決めておいて、そうしてスズメの涙みたいな補助金を申請してくれば上げますぞといって、こんなかっこうしてやって、それでスポーツが振興できるなんと思うのはちょっといかぬのだ、やっぱり本当に。やっておるのは市町村がやってるんだから、そこへ、軽少ではあるけれどもこの三十万をそっちの方へお使いくださいと言った方が、実際にどのぐらい役に立つかわからない。それからいま言ったように、何百とある中から三つか四つ選べなんて言われたって困る。そこの事情もよくお考えになって、そして何とか補助金の出し方を、どうだい、文部省さん。これは何も文部省だけじゃない、ほかのこともたくさんあるわけだ、補助金全部。全部いま言ったようなやり方で出しておるので、私は非常に不満なんだ。それでちっともそれが、私が不満ならかまやしないけれども、実際の行政をかえってまずくするんだから。私はどうしても、いわゆるつかみの補助金というとなかなか皆さん賛成しなさらないが、目的をぴちっと決めておいて——ほかへ使っちゃいかぬわな、スポーツヘくれるというのを道路へ使ったんでは、それはまずいから、スポーツでくれるやつはスポーツに使って、そしてあと細かいことは言いません、細かいことは言わないが、これでもってやってくれと、こういう補助金を新しくひとつつくれよ、どうだね。
  86. 望月健一

    説明員(望月健一君) いまのような御趣旨のものはもう一つ別にございまして、これはもうすでに執行されておりまして、地域スポーツ振興指定市町村というのがございます。これは中で大会をやろうが、広報宣伝、スポーツに限って、町ぐるみでやっていただこうというのをスポーツ振興に関して一定のやつをやっております。これの分は新しい要求でございまして、まず予算が確定しないうちにもう何にもできないわけでございますが、いまのは、先ほど前段に申し上げましたように、すでに八〇%の、先生も御承知のように、多くの市町村がそのクラブ育成にずいぶんお力をいただいている、それについて後応援したいという基本的な考え方でございますので、補助要綱その他についてはもう少し中は検討する必要があるかもしれませんが、そういうことでやっていきたいというふうに思います。まず取ることが先でございますので、どうぞよろしくお願いいたします。
  87. 夏目忠雄

    ○夏目忠雄君 指定市町村政策ぐらいばかげた政策はないですよ。指定されたところはいいけど、指定されなかったところはどうするのですかと言いたい。能のないやつほど指定地区、モデル地区というものをやるんだ、お役人さんは。能がないのは、みんなやりようがないものだからモデル地区として指定する。そんなことをやったら指定されないところはどうなんだということを言いたい、そんな逃げないで。補助金の出し方というのは、私は本当にわずかな金で、こんな程度のものなら大蔵省もぎゃあぎゃあ言わないだろうから、わずかの程度のスポーツ振興資金みたいな人の目につかないようなものでぱっとやるという制度の先鞭を文部省がつければ、文部省の体育局は全国の市町村から非常に感謝の的になると思うのです、二十万や三十万の金じゃなくて。どうなんですか。ひとつ省内でもう一遍研究してみてくれませんか。永井さんに直接やるか。実際、これは私はちょっとくどいようだからもうやめるけれども、本気になって、もっとも課長さんには、それじゃ承知しましたとあなたもここでは言えないのもわかるが、そういう声が地方行政委員会で非常に強い、何とか細かい、手足を縛るようなことをなるべくしないでやっていこうということを、省内でもひとつ十分御検討くださることを希望いたしましてやめます。ありがとうございました。
  88. 原文兵衛

    委員長原文兵衛君) 午前中の質疑はこの程度とし、午後一時三十分まで休憩いたします。    午後零時三十二分休憩      —————・—————    午後一時三十八分開会
  89. 原文兵衛

    委員長原文兵衛君) ただいまから地方行政委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、地方行政改革に関する調査について質疑を行います。
  90. 和田静夫

    ○和田静夫君 ちょっと二点だけ、午前中と重複する点があるかもしれませんが。  まず第一は、昨日の松浦財政局長地方制度調査会研究会における来年度地方財政についての見通し——それじゃ、大臣お急ぎのようですから、実は三兆円を超える財源不足というものが見通されるようだという発言が財政局長からなされていまして、そこで五十年度に次いで五十一年度赤字財政になる、地方財政がいよいよ危機的になる。それを解消される努力をされていることをいささかも疑いませんが、非常な私は抜本策が必要になってきてるんだろうと思うのです。地方債依存度が急速に高まってくる。そういう規模や範囲、制度などについて、財政局長からの考え方や地財法五条との考え方などというものをただしたかったのですが、どうも手違いがあったようでありますが、五十一年及び五十二年度についても赤字になりそうだと。ということになりますと、前の特例法の審議のときにも論議をしたんですが、大蔵省の側からも自治省の側からも、見通しについて一向に出ないわけですね。  そこで大臣、率直な話、腹のうちを聞かしてもらいたいのですよ、どうされるのか。具体的な数字のことは、もう財政局長いませんからやりませんから。同時に大蔵省も腹のうちを。
  91. 福田一

    国務大臣福田一君) どうも腹のうちをと言われても、あんまり腹の中にないかもしれませんからあれですが、しかし私の感じですね、これは。腹のうちというと一つのあれになるから、感じを言えとおっしゃるんなら申し上げたいのです。  私は、何としても景気浮揚をして、五十一年にはある程度の税収入がふえる形に持っていくように、いま予算の編成を努力をしておるということでございます、これはもう皆さん御承知のとおり。そこで五十一年に相当程度の税収が見込まれることになり、また五十二年度にもそれがますます、一応六%とか七%という一つの上昇過程をたどって、そしてそれがまた税の面にも好影響をもたらすというように期待をいたして、今年度予算を組もうといたしておるというのがいまの実相であります。しかし、実際にそういう予算を組んでみましても、五十一年度の夏から秋にかけて、どうしてもどうもそれほどの税収増が見込めないというようなときになったならば、これは財政経済運営についても、財政計画についても、国としては思い切った措置をとっていかなければならない。そのときには当然交付税率の問題等も十分考えて処理をしなければいけない、こういう感じを持っておると申し上げるよりほかに、私は見通しというほどのえらそうな経済通でもありませんから、ちょっとそこまでは申し上げることは困難でございます。
  92. 和田静夫

    ○和田静夫君 いま交付税率の問題にまで触れられて一応の感じを述べられたと、率直にそれを受けとめておいて、これは前のときにも財政局長との論議で、二年間の見通し、局長の方は三年目を見通している。私の方は二年間継続した場合、一割以上の落ち込み、交付税率は当然動かなければならない。けさ小山委員の質問に対しては、来年度については考えていないと。しかし、いまの自治大臣のお言葉を聞いておりますと、その後の年度については、やはり見通しがなければ税率変更あるいは法に基づいた制度変更、こういうことが当然抜本策としては起こり得る、こういうことに理解をしておきたいと思います。  もう一つの問題は、十二月四日の日経のトップで、大臣の非常に大きな写真入りで出ておりますが、自治省は新税を積極的に認めていく方針であると書いてあります。これはすでに決まった内容大臣何かお持ちですか。
  93. 首藤堯

    政府委員(首藤堯君) その新聞記事の問題でございますが、御案内の法定外普通税に対します地方団体の研究が、ただいまのような財政状況ないしは行政サービスと住民負担との関連、こういう問題で研究が進んでおるわけでございます。ごく最近の事例といたしまして、前々から検討がされておりました熱海市の別荘税と申しますか、マンション税と申しますか、こういったものについての法定外普通税の研究が大分進んでまいっております。そこで、こういったたぐいの法定外普通税に対して自治省としてはどう考えていくか、こういうことを大臣としては御発言になったものと私ども承っておるわけで、前々から申し上げておりますように、法定外普通税の新設につきましては、財政需要のあり方とか、その負担のあり方について住民のコンセンサスが得られ、法定の要件にも該当するというようなことであれば、私どもとしては前向きの姿勢でこれの許可に対しては対処をしてまいりたいと、こういうことを大臣御発言になったものと心得ております。
  94. 和田静夫

    ○和田静夫君 大臣局長答弁でよろしいですか。
  95. 福田一

    国務大臣福田一君) ただいま局長が申し述べましたような考え方でおるわけでございます。
  96. 和田静夫

    ○和田静夫君 もう一つは事業所税の拡大の問題ですが、これは明確に法改正は三十万都市という形でなされる御用意がおありですか、この前からの経過から言って。
  97. 首藤堯

    政府委員(首藤堯君) 前々から私ども申し上げておりますように、私どもとしてはぜひことしお許しをいただきましたこの事業所税を三十万以上の市にまで拡大をするのが適当なのではないか。平たく申しますと、そうさせていただきたいという願望を持っておるわけでございます。いずれにいたしましても、そのような方針でただいま税制調査会の審査が進行中でございます。そのような意見も添えまして、ただいま審査を賜っておる最中でございますので、結論はどうなりますか、ただいまのところでは申し上げられる段階ではございません。
  98. 和田静夫

    ○和田静夫君 これは大臣、論議の経過がありますからね。大臣の政治力でやはりそこに落ちつく努力というものは当然なされてしかるべきだと、こう思うのですが、そういうおつもりで御努力になりますか。
  99. 福田一

    国務大臣福田一君) これは相当かたい決意で実現をする覚悟でございます。
  100. 和田静夫

    ○和田静夫君 先日、昭和四十九年度の「地方公営企業決算の概況」、すなわち地方公営企業の白書が発表されましたが、経営状況についてかいつまんでちょっと、時間がもう非常に制限されましたので、要点だけ。
  101. 横手正

    政府委員(横手正君) 先日、昭和四十九年度末における公営企業の決算概況がまとまった次第でございますが、概要を申し上げますと、四十九年度末における公営企業の数は、法適用企業が三千百十八、非適用の企業が三千八百七十七、合わせて六千九百九十五事業になっております。  決算規模は総額五兆四百十六億円で、前年度と比べますと二二・六%の増加というような状況でございます。  公営企業のうち法適用企業の経営状況を申し上げますと、四十九年度の総収益は一兆八千四百八億円、総費用は二兆七百三十九億円、純損失は二千六百八十五億円と、前年度よりかなりふえております。また純利益、これは三百五十四億円というようなことで、前年度からは多少減少しております。また、累積欠損金でございますが、総額が六千四百十七億円、前年度に比べましてかなりの増加を見ております。  そのほか、法非適用企業の経営状況でございますが、これは総収益三千百四十五億円、総費用千九百二十一億円、収支差し引きは千二百二十一億円の黒字というような状況になっております。
  102. 和田静夫

    ○和田静夫君 そこで、法適用企業を見てみますと、総収益対総費用が八八・八%、収支の均衡点を大きく下回っている。また、累積欠損金を有する事業は全体の半数を超えて五二・八%、千五百九十五事業に及んでいる。不良債務を有する業務は三四・八%、千九十一事業。五九%、約六割が赤字事業。この経営悪化の要因として三つ、すなわちインフレ、料金適正化のおくれ、経営合理化の不徹底が挙げられています。しかし、私はそれだけだと考えることはどうしてもできない。赤字事業が半分を超え、六割になっているということは、何かやっぱり制度的な要因があるだろうというふうに思うのです。地方公営企業法施行以来二十数年、四十八年には公営交通について健全化促進法が施行されるなどしましたが、これまでも制度面などにおいて改善の努力をされなかったと私は言いませんけれども、この際、改めてやっぱりここのところの再検討をする必要があるのじゃないかと思うのですが、そういうお考えはありませんか。
  103. 横手正

    政府委員(横手正君) 四十九年度の決算状況は先ほど申し上げたとおりでございますが、どちらかと言いますと、四十九年度自体、これは異常な年であったというふうに理解しております。御承知のように、石油ショック以来の諸物価の高騰、その影響を公営企業がもろにかぶってきておるというふうに考えております。各事業体とも、その点、五十年度に入りまして料金の適正化等、これに取っ組んでおるわけでございまして、恐らく五十年度末には、料金の適正化はといいますか、調整は相当程度進んでまいろうかと思います。私どもは、むしろ幸いに諸物価も鎮静化の傾向をたどっておりますし、五十年度の状況を見ながら、安定した経済成長下においてなおかつ公営企業面に非常に経営悪化の要因が生ずるとすれば、その原因を究明してかかりたいと思いますが、さしあたっては従来からとってまいりました各種の措置、その拡充強化、必要なものはその点努めてまいりたいというふうに考えております。
  104. 和田静夫

    ○和田静夫君 法改正を含めて、私は抜本的な改革をやっぱり検討すべきだと思っているし、五月二十二日、左藤自治政務次官は、衆議院地方行政委員会では、「この問題については十分検討すべきであるとわれわれは考えます。」と、そう答弁されています。これはもう簡単に言って、このまま確認しておいていいわけですね。
  105. 横手正

    政府委員(横手正君) 先般の政務次官の御答弁は私も拝見いたしましたが、法改正の必要の有無について検討される、こういう御趣旨だったと存じます。ただ、私ども現在のところ、やはり公営企業は受益者負担の原則のもとに今後も引き続き運営されるべきものというふうに考えておりますので、その面についての法律改正はにわかに必要とするものではあるまいというふうに考えております。  ただ、ほかの点から法改正の必要があるとすれば、それは十分今後も検討してまいりたいというふうに思います。
  106. 和田静夫

    ○和田静夫君 私は、やっぱり制度的な、もう少し抜本的な改革に向かっての検討というものが今日なおざりにされてはいけない、こういうふうに考えています。そこの点は、私が述べた趣旨も十分に含みながら、いまの答弁とあわせて、とにかく着手すべき改正作業に着手をしていただきたいと思います。それはそう理解しておいてよろしいでしょうか。
  107. 横手正

    政府委員(横手正君) 私も、現在の法律がもし周囲の情勢に対応できない、あるいはできなくなっておるとすれば、これは公営企業法に限らず、ほかの法律も同じことだと存じます。ただ、先ほどもちょっと御説明申し上げましたように、原則的な面につきましては、私ども相変わらず、引き続き従来の原則に従って考えてまいりたいというふうに思っておりますので、その面についての改正の要はいまのところないかと思いますが、全般的な検討というのは、これはやはり絶えず続けていく必要があろう、その過程で改正の必要の面があれば、やはりそれは検討する必要があるんではないかというふうには考えております。
  108. 和田静夫

    ○和田静夫君 再建団体の再建計画変更に当たって、団体自治省とで事前協議が行われていますが、ここで地方公営企業労働者の人件費の抑制などがもし指示をされるとすれば、これは適切ではない。御存じのとおり団交権を持っているわけですし、協約締結権も持っているわけであります。一般の行政職とは違うわけであります。したがって、この地公企体の労働者とその使用者との間で適正に決められたそういう性格の合意ですね、そういう合意の事項が再建計画で一方的にひっくり返る、こういうようなことは許されることではないと思っていますが、それはそう理解しておいてよろしいですか。
  109. 横手正

    政府委員(横手正君) 私ども事前協議の段階で、そういうような一方的に、いまお話しのありましたようなことを指導する考えはございません。もちろん再建企業でございますので、企業内部では十分そうした面、使用者あるいは当局側も、あるいは企業職員も、十分自体の事業内容、そうしたものを理解しまして、間違いないような運営方向へ持っていかれるはずでありますから、そうした方向への指導というものは、私ども、また続けてまいりたいというふうに思います。
  110. 和田静夫

    ○和田静夫君 地方公営企業の労働者の賃金というものが一般地方公務員の賃金と差が開くというようなことが起こらない努力というものは、これはあわせ行われるべきだと、こう思います。それはもう当然のことでしょう。
  111. 横手正

    政府委員(横手正君) 企業職員といえども地方団体の公務員でございますし、その給与についても一般職の職員との均衡、こうしたことは図られることが望ましいというようには考えておりますが、企業経営の特殊性といたしまして、やはり民間の対応の職種の実態やら、あるいは企業の経営の状況、こうしたものにつきましては十分考慮が払われる必要があろうというふうに考えております。
  112. 和田静夫

    ○和田静夫君 したがって、団交権を持ちながら進めている自主的な労使の賃金決定に対して、それを逆ねじを上から食わすような形のことは決してあり得ない、それはもう当然、そう理解していいですか。
  113. 横手正

    政府委員(横手正君) 再建団体にありましては、当局側も、それから企業職員側も、おのずと良識を持って話し合いをされるものと思いますし、そうあることを期待しております。
  114. 和田静夫

    ○和田静夫君 地下鉄の建設の補助金について、運輸省の高橋民営鉄道部長は、三年もたちましたので運輸省としてはこれを見直してみたいと私に答弁をされております。これは確認しておいていいですね。
  115. 中村徹

    説明員(中村徹君) 五十一年度予算要求におきまして、先生いま御指摘のように、地下鉄の補助制度について見直しをする、検討をするという答弁を民鉄部長がいたしたことば事実でございます。五十一年度予算要求に当たりましてその点の検討はいたしまして、私ども検討によりますと、この時点におきまして補助制度をさらに改定しなければ経営が成り立たないというような結論には達しなかったわけでございますが、実は予算要求にいたしませんでした大きな理由と申しますのは、財源的に非常にむずかしいということでございました。五十一年度予算要求におきまして、地下鉄に関する補助金は、額の点におきまして約二百九十億から三百八十億というように、九十億実は増加要求をいたしております。これは前年度に比べますと約三〇%の増加になるわけでございますが、御承知のとおり予算要求の枠というのが非常に厳しく制限されておりますために、実質的に要求することが非常にむずかしかったということも一つの大きな理由になっております。今後とも建設費がどのように変化していくか、それが経営の収支にどのように影響してくるか。また国の財政事情地方財政事情、そういったものを勘案して今後の検討課題にいたしたい、私どもそのように考えております。
  116. 和田静夫

    ○和田静夫君 したがって、前に答弁があった、いわゆる見直していくという努力はしていくということですね。余分に大蔵省のふところの中を考える必要は余りないんだと思うんですよ、私の方は。しかし、いまはもう時間がありません。そんな論議はしませんから、基本的に約束をしたことについては、その姿勢は変わっていない、こう理解しておいてよろしいですね。
  117. 中村徹

    説明員(中村徹君) はい、今後とも努力を続けたいと考えております。
  118. 和田静夫

    ○和田静夫君 ところで、現行の補助金の算式についてちょっと説明してもらいたいんですよ。
  119. 中村徹

    説明員(中村徹君) ただいまございます補助金の制度は、事業の建設費に対しまして自己資金充当分約一〇%をまず控除いたしましてそれから間接費相当分を控除いたします。それに対しまして六六%の補助金を六年に分割して補助する。この六六%の補助金は国が二分の一地方が二分の一の割合で負担いたす、このような制度になっております。
  120. 和田静夫

    ○和田静夫君 そこで、初めに総額から一〇%いま言われる自己資金、というのは地方公共団体の出資金として引くわけですね。それはどういう根拠なんですか。
  121. 中村徹

    説明員(中村徹君) これはその事業費につきまして、事業を実施するに当たりまして、たとえば東京都地下鉄営団の場合におきましても、東京都及び国鉄からの出資がございまして、自己の資金というものをまず持っておりまして、それに対して、それを事業にしてさらにいろいろな地下鉄の営団債というようなものを出してやっておるというような制度と同様に考えておりまして、自己の資金を何らかの形でまず一〇%調達していただくと。これはどのような形にして調達するかというのは、先生いまおっしゃられたように、一般会計から出しておりましたり、あるいは不用財産の売却等によって調達しましたり、そのようにしてやっていただいておるわけでございます。
  122. 和田静夫

    ○和田静夫君 ここのところも実は根拠そのものについてはまだ大きく論議のあるところです、問題は残しますが。そして残りの九〇%のうちから八五%が対象になる。さっき言われたとおり、この一五%の関連経費の中身というのは何かというのは大変不明なんですね。いわゆる一〇〇マイナス一〇で九〇、それに八五を掛けて補助率六六、五〇・四九%、こういう算式になるわけですが、細かいことは余り言うつもりはないんですけれども、実質上の補助率というのは、これはどこから見ても総額の六六%ではないわけですよ、こうして計算してみれば。もっと低いことになっているわけですから、いろいろと控除していく率をなくして、そして総額に対する補助率にする。一挙にしろとここで言ったところで、あなたがここでやりますとなかなか言える筋合いじゃないでしょうから、少なくともそこに近づけるという努力は今日の現況から言ってされるべきだと思います。いかがですか。
  123. 中村徹

    説明員(中村徹君) 補助率の引き上げをする場合に、先生御指摘のように、間接費を少なくしていく、あるいはそういう控除の分を少なくしていくというふうに言いかえるべきであるかもしれませんが、そういう方向考えるべきか、あるいは補助率そのものを六六%からさらに上げていくという方向考えるべきか、この二つの方法があるかと存じます。私どももちろんこれは今後の検討課題でございますので、いまここでどちらの方向がいいと、こういうふうに申し上げるわけではございませんけれども、やはり補助率の引き上げについて、間接費を少なくしていくということについてはかなり問題があるように考えております。
  124. 和田静夫

    ○和田静夫君 再建団体のバスについてですがね、この補助対象額は実勢価格で出すのが適当でしょう、これ。ところが自治省は八百五十万を対象額とする。そこから一〇%を引いた残りの二分の一を補助する。そうすると、一〇%を引くのは、耐用年数を五年と見て、どうもスクラップにしても一割の値打ちがあるという考え方のようなんですね。いま実勢価格というのは一千万ぐらいに近いのですから、できる限り対象価格を高く上げるべきじゃないでしょうかね。また、非再建団体にもこのことが適用ができる努力というものをされるべきじゃないだろうかということを考えますけれども、そういう御用意はありませんか。
  125. 横手正

    政府委員(横手正君) 実勢価格が八百五十万円とお話しございましたが、現在六百五十万円ということでございます。まあ実例を見ますと、六百五十万円前後のところがかなり多いというようなこともございますので、引き上げ前の非常に低かったときと比べますと、著しくその面は改善されておる、かように思います。また、最近の購入実例等を見ますとやはりかなり高くなってきておりますが、しかし一千万までという例は余りないようでございます。ただ、私ども引き続きこの面につきましては、実際の購入価格等を参考にしながら、明年度もその価格の引き上げ、これについては努力をしてまいりたいというふうに思います。  なお、再建団体以外のところというお話もございまするが、再建団体以外の公営バス事業、あるいはそういうことになりますと民営も含めて検討せざるを得ないということになろうかと思いますが、これはやはりそういうことになりますと、自治省の方でと言いますよりも、運輸省の方で運輸行政の中の一環として検討されてしかるべきではないかというふうに考えられますので、私どもとしては、当面、再建企業に限って取り組んでまいりたい、かように考えております。
  126. 和田静夫

    ○和田静夫君 前段の部分は、私の言った金額というのは、あなた方が五十一年度に要求された八百五十万という意味で、したがって、実際額を二百万上げるからそれは努力をしたのだということの答弁ですか、いま。そういう意味ですか。  後段の部分については、運輸省はどうお考えになっているかは運輸省の方から答弁してもらいますけれども
  127. 横手正

    政府委員(横手正君) バスの購入補助につきまして、従来三百八十万円だったと思います。これを六百五十万円までに引き上げております。明年度はこれをさらに引き上げるように努力いたしたい、こう考えておるということでございます。
  128. 和田静夫

    ○和田静夫君 それは幾らにされるおつもりですか。
  129. 横手正

    政府委員(横手正君) もう間もなくの予算折衝で価格も決まってまいろうと思います。私どもとしては購入価格の実例等も調査をいたしております。おおむねの団体が購入できるような価格までは確保いたしたい、かように考えております。
  130. 和田静夫

    ○和田静夫君 私が述べた八百五十万というのはちょっと高過ぎるのですか。いや大体まあそれを上回る、まあその辺だと——あなたの顔色、さっきの大臣じゃないけれども、見通しよりも感触で言えばそうだと、そう理解しておいていいのですか。
  131. 横手正

    政府委員(横手正君) 八百五十万円というのは非常に高過ぎるのじゃないかというふうに考えております。六百五十万円ではまた当然実情に合わなくなってきております。恐らく二割近いものが上がっておるのではないかというふうに思いまするが、個々の団体をながめてみますと、わりあい高い価格で買っておる例もあれば、ほどほどのところで購入している例もございますので、そこらをにらみながら考えてまいりたいというふうに思います。
  132. 和田静夫

    ○和田静夫君 運輸省の自動車関係はいないですか。——後でちょっと運輸省の考え方を私に教えるように言っておいてくれませんか、自動車関係
  133. 中村徹

    説明員(中村徹君) わかりました。
  134. 和田静夫

    ○和田静夫君 路面電車の補助についても、今年度予算では何か三市が予算要求をしたようですね。熊本、函館、鹿児島ですか。ところが査定はゼロになった。その際、来年度検討事項にしたいというふうに答えられた。そうすると、最低限度この要求の出ている鹿児島市なら鹿児島市、これについてだけは実現をされる、こういうことで予算要求の方針というのを理解をしておいてよろしいですか。
  135. 中村徹

    説明員(中村徹君) 鹿児島市について予算要求をいたしておりますので、その実現に努力いたしております。
  136. 和田静夫

    ○和田静夫君 それでは公営企業の関係は以上にしまして、地方自治法の百条、地方議会の調査権の問題について論議を進めますが、最近この調査権を発動して問題化している事例が二つばかりあるんです。  まず、法制局長官にお尋ねをしたいのは、百条一項中の「当該普通地方公共団体の事務に関する調査」というのがありますが、これは地方自治法の二条二項の事務で、それはおおむね第三項に例示されているような事務であると解してよろしいでしょうか。
  137. 吉國一郎

    政府委員吉國一郎君) 地方自治法第二条では、第二項において、普通地方公共団体の事務一般を規定をしておりまして、第三項でその事務を例示しております。したがって、第三項の事務に限られることはございませんけれども、第二項の事務が普通地方公共団体の事務に当たるということは言えると思います。
  138. 和田静夫

    ○和田静夫君 「当該普通地方公共団体の事務に関する調査」と規定をしているわけですが、この趣旨は何でしょうか。当然のことですが、この調査からいわゆる除外をされているものがあると考えておいてよいわけですね。
  139. 吉國一郎

    政府委員吉國一郎君) これは普通地方公共団体の事務に関する調査でございますから、当該地方公共団体と申しますか、その議会の権限に属する事項と全く関連のないような事項というものは入らないことは当然であると思いますが、地方公共団体の事務に関する限りは、地方公共団体の長の権限に属する事務ばかりでなくて、地方公共団体の長から独立して職務を執行する特別委員会の所掌に属する事務にも及ぶことは当然のことであろうと思います。
  140. 和田静夫

    ○和田静夫君 当然憲法に規定されている基本的人権を侵害するような調査は、これはもうできないと解釈をすべきですね。
  141. 吉國一郎

    政府委員吉國一郎君) これは憲法第六十二条で認められております国会のいわゆる国政調査権、これに基づいて国会法第百三条、第百四条及び議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律の運用につきましても、おのずからそこには限界があるという議論が、先般の衆議院の国政調査の際にも論ぜられたことがございまするが、このおのずからなる限界というものは非常に微妙な問題でございまして、基本的人権に関することであればすべて除外するということではなくて、その調査の結果によって、憲法で保障するような基本的人権が侵害されるようなことになってはならないという趣旨でございますので、基本的人権に関する事項であればすべて除外されると言うことはできないと思います。
  142. 和田静夫

    ○和田静夫君 調査の結果、しかし基本的人権を侵害するようなことになってはいけないことは明確ですね。
  143. 吉國一郎

    政府委員吉國一郎君) それは、この第百条の規定が制定せられました趣旨、これ当初は第百条の一項だけでございました。それが昭和二十二年の改正で、先ほど申し上げました国会の両議院の国政調査権の規定にならいまして、第二項以下の手段を規定したわけでございます。で、その国政調査なり、あるいは地方議会における調査を行うに当たっては、これがまさに国会の両議院なり地方議会におけるその担任せられる職務を整々と遂行するために認められたことでございますので、おのずからその目的に使えるように行使されるべきことは当然でございます。その結果として、国会の国政調査につきましては、先般も議論がございましたが、たとえば他の機関の権限を侵してはならないというような問題もございますので、その運用に当たってはおのずから慎重なる配慮をなすべきであるということは一般的に言えると思いますけれども、その配慮の一つといたしまして、基本的人権を侵害するような結果を来すことははなはだ運用としてよろしくないということは言えると思います。
  144. 和田静夫

    ○和田静夫君 公務員の争議権について、あえてきょうは私触れませんが、公務員の現業においても、団結権、団体交渉権は認められています。で、議会の調査はこの労働基本権を侵害するということは認められない。いま基本的人権の論議でお示しになりました見解と同様だと理解をしておいてよろしいでしょうか。
  145. 吉國一郎

    政府委員吉國一郎君) 労働基本権を侵害するようなことがあってはならないということは、それは当然であろうと思います。
  146. 和田静夫

    ○和田静夫君 たとえば組合の幹部が、職員団体の幹部が次々に呼び出されて、そして組合活動について調査を受ける、聞かれる、組合の内部事情についても聞く、今後の交渉内容について聞くなどということについても、これは労働基本権との関係において、いわゆる違法などという言い方はしませんが、大変不当なことであるということは言えませんでしょうかね。
  147. 吉國一郎

    政府委員吉國一郎君) それは、その当該地方議会がこの第百条の調査権を行使されるに当たりまして、そういう問題についてどういう仕方で、どういう態様で、またどういう人に対してそういう調査権を行使されるかということによって具体の問題が決定されるべきものでございまして、その調査調査権の運用に当たっては、労働基本権も、これも憲法第二十八条で国民に保障された基本的権利の一つでございますので、それを侵害するようなことがないように配慮をしなければならないということでございまして、ただいま和田委員がお挙げになりましたような事項について調査するに当たっても、そういうようなことを念慮しながら調査権を発動されるべきであるということは言えると思います。
  148. 和田静夫

    ○和田静夫君 個人の行動につきましてもこの調査が認められないのではないかというのは、これは私の見解ですけれども、ということは、たとえばその思想、信条あるいは組合活動をおまえはどうしているかという、こんな調査なんというのはこれは非常に不当ではないでしょうか。
  149. 吉國一郎

    政府委員吉國一郎君) それも、あくまで先ほど申し上げましたような、地方議会の調査権の運用に当たっての十分なる配慮ということによって尽きると思いますが、個人の思想、信条にわたって調査をするということになれば、これはもう重大な問題になることは当然のことであろうと思います。しかし個人の行動であっても、内面的活動ではなしに外形的活動、これは個人といえども社会的な存在でございますので、社会一般にどういう影響を及ぼすかということはあり得るわけでございますので、その社会一般に及ぼす影響という面から考えて、その個人の行動について調査をするということはあり得ることではないかと思います。
  150. 和田静夫

    ○和田静夫君 ちょっと私が言ったのは、思想、信条について調査をされるということは、これは非常に不当でしょう。
  151. 吉國一郎

    政府委員吉國一郎君) 思想、信条と申しますのは、これはもう人間の内面的な活動に属するものでございます。そういうものについて調査を及ぼすということは、これは不当であることはもう申すまでもございません。
  152. 和田静夫

    ○和田静夫君 広島県の府中市で、八月九日から職員の執務状況を調査事項とする百条特別委員会が設置されたのは自治省御存じだと思うんですが、十月二十日に六人証人喚問している。その一人は府中市の職員である保母さん。証人出頭請求書を見てみますと、証言を求める事項として、「子どもの未来を保障する保育行政の確立を」というビラについて、第一に保育児に持って帰らせた行為について、第二にビラの内容について、こういうふうに書かれているんです。この保母さんは出頭しなかったわけですけれども、この調査については大変な疑問が私はあると思う。すなわち証人喚問六人のうち四人は組合活動家なんです。そして組合活動について個々の組合員を一人一人呼んで聞くという、こういうことが一つの疑問です。それからビラの内容について調査しようとしていることなんですがね。ここに私このビラの写しを持っていますが、ビラの内容について一個人を呼んで調査をするというのは、これは憲法にさえ抵触するんじゃないだろうかと思うんです。すなわち十九条の思想、信条の自由、いま法制局長官が述べられた、そういう意味のもの、あるいは二十一条の表現の自由、いま私は仮に手段の違法性、そんなことは問いません、そういうふうに思いますが、これは法制局長官、そう理解しておいてよろしいでしょうか。
  153. 吉國一郎

    政府委員吉國一郎君) その調査が、個人の内面的活動であります思想、信条がいかなるものであるかというようなことに及んでくるときには問題でございますけれども、これが、先ほども申し上げましたように、個人の行動であっても、社会的存在である以上は社会に影響を及ぼすことが、外形的な活動については社会に及ぼす影響という点から調査されるべきことはあり得ると思います。ただ、具体的なその調査方法がどういうやり方をやったか、また調査の、何と申しますか、やり方と申しますか、態様と申しますか、そういうようなものについても詳細に点検をしなければ、具体的な判断は下せない問題であると思いますが、要は、先ほど申し上げましたように、個人の基本的人権を侵害するようなことがないように配慮しつつ調査を行うということが、この調査権を行使するに当たっての基本的な考え方の一つであろうということは間違いないと思います。
  154. 和田静夫

    ○和田静夫君 第百条第四項にわざわざ公務員に対する調査について規定がございますね。この公務員はどういう意味ですかね。いわゆる身分上のこと、公務執行上のことに限定をされると考えていいわけでしょう、このところは。
  155. 吉國一郎

    政府委員吉國一郎君) その四項では、「公務員たる地位において知り得た事実については、」とございますので、公務員たる地位を持っているからその事実がその当人に、関係人に知得し得たということでございますので、ほとんどの場合は公務員の本来の担任する職務に関連するものであることが通常の場合であろうと思います。しかし、公務員たる地位において知り得るということは、その公務員が本来担任する事務に関連をして間接に知り得るということもあると思います。公務員が種々の事務を担任しておりますが、その直接みずからの所掌する事務の範囲内のことということではなくて、その事務に関連をして知り得た事務というものがあり得ると思いますので、本来公務員の所掌として、あるいは何々課長であるとか何々課の係員であるとか、あるいは何とかの班長であるとかいう非常に限られた担任の事務がございますが、その事務に関してだけということはあり得ないと思います。それよりもやや広いものであろうと思います。
  156. 和田静夫

    ○和田静夫君 これは、一時も休まずに成長し続けている子供の保育権を確立をして、その将来を保障するために、保育所職員の増員やら教材やらあるいは給食内容の充実を願って私たちは国や市に訴えていきますというような、そういう趣旨のビラをまいているわけですね。それがいかぬと言って呼ばれているのですから、これは非常に陳腐な話なんですけれども、そのビラがたまたま「府中市職員労働組合保育所分会」というビラであったがゆえにどうも問題にしているらしいんですね。で、組合活動に対する調査、個々人の行動、いわゆる組合活動を含めて。それに対する調査、これは私は議会の調査権限ではないと思う。国会の調査権だってそんなことはできないんじゃないかというふうに考えておりますが、明確に憲法に抵触する可能性——まあ抵触する可能性と言ってしまうと、これは法制局長官すぐうんと、そのとおりだとは言えないでしょうけれども、したがって、やっぱり世の中の常識にはちょっと外れている、そういう意味での不当性というものがどうもある、こういう感じなんですがね、いかがです。
  157. 吉國一郎

    政府委員吉國一郎君) 地方議会の議員も住民の厳正なる選挙によって選出をせられて地方議会を構成されているわけでございますので、その社会一般の良識をもって行動されるような代表的な方がその議会の構成員になっておられると思います。したがって、その議会が判断をして行動せられることについて、私が外部から批判をするということは非常に不穏当であろうと思いますが、要はこの第百条の調査権の運用についても、憲法の基本的人権を尊重するばかりでなくて、あらゆる良識をもって行動されることは必要であることはこれは一般論としては言えると思います。
  158. 和田静夫

    ○和田静夫君 名古屋の市議会でも最近また同じような事例がありましたね。これは十一月二十六日の実力行使をめぐって、名古屋市職員の労務管理調査特別委員会が設置をされた。これはいまの趣旨とは違うと言えば違います。ところが、これは理事者側に圧力をかけることによって組合側に揺さぶりをかけようというような意味の調査権になっている。まあ自由民主党の皆さんが乗り気でなかったような状態でも、あの辺の政治事情はよくおわかりでございますからあれですが、そういう状態の中でとにかくでき上がった調査委員会のようです。ここは世に言う革新市長になっていますからそういうことなんですが、組合の上部機関からのスト実施の指令書の写しあるいは組合意思決定機関の名称、人員、場所、時期についての資料、労働組合規約の資料など、これを市側に要求されているんですよ。この市議会議員、どこの党かということは言いませんけれども、まあきのう社会労働委員会で、三木総理、あなたも野党の御一人じゃありませんかといさめられたいきさつがあったようですけれども、そこの政党にかなり関係があるような風聞であります。いまそれを問題にするのじゃないのですが、この市側に対してこういうような調査というのは認められますか。
  159. 吉國一郎

    政府委員吉國一郎君) 私は、地方公共団体における内部の法律的な事務分配じゃなくて、実態上の事務処理はどういうふうに行われているかということについては全く不案内でございますのでわかりませんが、市の理事者にそういう資料の要求があったとすれば、市の理事者としては、自分みずからが管理している範囲内において、その理事者として法律上処理し得る範囲内においてお答えをする以外には方法はないかと思います。他の風聞によってお答えをするというようなことはこれはあり得ないことであって、これは国会においても同様でございまして、たとえば、ある省の大臣なり、局長なりに御質問があっても、その御質疑に対してお答えすべき所管事項ではないというような場合には、これはお答えを申し上げないということによってこれが一つのお答えになるということは、先般の国政調査の場合にも私お答えしたこともございますが、それと同様でございまして、市の理事者側に御要求があったとしても、市のおのずから所掌事務がございますから、その所掌事務で処理し得る範囲内のことしかお答えできないことは、これは言うまでもないことであろうと思います。
  160. 和田静夫

    ○和田静夫君 結局、もし組合活動に議会が調査という名目で関与しようとする、それはやっぱり調査権の逸脱だというふうに私たちは深く考えますけれども、これはそういうことですね。まあここは答弁求めません。  そこで、お忙しい法制局長官にわざわざ来ていただいて、以上の討論を経ながら自治省に最後にお尋ねをいたしますが、いま取り上げましたような観点で申し上げるのでありまして、これは広範に解釈をされて答弁をされますといろいろなことがありますからですが、かなりの疑問がやっぱり出ますよ。思想、信条の問題であるとか、それからやっぱり労働基本権の問題であるとか、人権に関する問題であるとか、あるいは後者の部分については労働組合運動——いや市側に対して労働組合運動に対してのいろいろなことを調査をするとかというような形のことですね。こういう調査はやっぱり私は法を逸脱していると、こう考えますが、もう少し緩めた表現で言えば不適当である、不当である。そういう不当性が多々ある。特に労使間の問題とすべきこと、また組合内部の個人の問題等について調査をしようとするのはこれは適切ではない。適切ではないということ、したがって、やっぱり自粛が望ましいということぐらいのことは自治省見解が出されてしかるべきだと思うんです。私は、百条の調査権そのものは重要な規定でありますから、何もそれを否定して言っているのではありません。それは行政局長そう理解しておいていいわけですか。
  161. 林忠雄

    政府委員(林忠雄君) 要は適正な調査かどうかということは、調査の態様にあると思うんです。どういうふうに調査を運用するかということで、その調査をする場合に、これは当然議会に与えられた権限であり、しかもその調査対象がその地方公共団体の事務であれば当然調査対象になりますから、しかし、なるからといって、どんな調査の仕方をしてもどこまで調査してもいいということではない、おのずからの限界はあると思いますけれども、しかし、同じ一つのことでも、それが地方団体の個人の思想、信条に当たるという見方をすれば当たるかもしれませんが、逆にこれは服務規律の問題だとして取り上げれば対象にならぬとは言えないというケースも多々あると思います。そこで、調査を進めるについては、さっき法制局長官も言われましたような、本来の良識に基づいた適正な進め方をしていただくことをこれは地方団体に私は期待しておるわけでございます。
  162. 和田静夫

    ○和田静夫君 今度の特に二つの問題というのは、やっぱりいろいろ皆さん方通達出されるわけですから、もっとこれで通達出せなんというようなことは言いませんけれども、少しやっぱり自粛を喚起するような形でのそういう何というんですか、指動はあってもいいんじゃないですか。
  163. 林忠雄

    政府委員(林忠雄君) 現在この二つの委員会がどういう姿でどういう調査を進めているか、なお詳しく様相をとっているわけじゃございません。この百条調査というのは、やはり地方団体にとって重要な権限でもございますので、それぞれの現在起こっている例、その他今後もあるいはいろんな面であるかもしれませんが、その運用の実態というのは常に注意して注視していきたいと思っております。
  164. 和田静夫

    ○和田静夫君 時間を半分に削られたものですからもう時間が来ちゃったんですが、さっき向こうの答弁者側がいなくてちょっと二、三分、こうなっておりますから。  財政問題に触れようと思ったら、財政局長何か手違いであれになったようですからあれですが、再建団体の問題でひとつだけ法制局長官にお尋ねをすることを含んでおきたいのですが、たとえば大分県の竹田市であるとかあるいは福岡県の豊前市であるとかいうような形で再建団体に指定をされるところがたくさん出てきております。たくさんと言ってはまた語弊がありますが、十二月一日の朝日新聞の記事によれば、「破産一号豊前市の苦悩度 余力十分の黒字倒産」、事実とすれば再建団体の指定はおかしい、こういう形のことなんですが、私はしょせん、これら両市の問題を考えてみて、内容をいま触れませんが、問題の一端は起債行為にあることが明らかなんです。  そこで財政再建計画が組まれました。これは自治大臣のお言葉をかりれば、いや下からちゃんと上がってきたのだからそれを受けてというだけのことなんだと言われるんですが、それはそんなことでないことはだれしもが知っているのであって、答弁している大臣も御存じなんで、何遍も行ったり来たりこうやりながら、意見調整がなったところで、意見の調整がなったところでというのは自治省の指導を深く受け入れたところでと、こうなるわけですけれども、その中で人件費の抑制というものが大変先行するのですね。ある意味では住民も求めていなかったようなデラックスな物すごい庁舎を建てた、そのために起こっているような財政事情なんというものをほっぽらかしてしまって、人件費だとこうなる。特に昇給など給与の制度にまで立ち入る。これは大変不適切な指導だと、こう思う。私は法的な根拠は一体何なんだろうということを非常に疑問に思っておりまして、これを約一時間ぐらい実はきょう質問を自治当局とやろうと思って用意しておったのですが、不服を言っても始まりませんから、理事会の決定を尊重いたしましてここでやめるのですが、法制局長官に後の論議の参考のためにここでお聞きをしておきたいんですが、組合員の既得権が制限をされるというようなことが伴う、そういう再建計画が一方的に盛り込まれるということは私は問題だと、こう思うのです。明文化されたものあるいは慣行上のもの、いずれにしろ、労使間で決められたことについて地方財政再建促進特別措置法で一方的に制限することは、労働基本権との関係から言っても法的には大変私は疑義があるとこう思っておる。特に竹田市の場合を考えてみますと、これは現存する職員組合に対して、再建計画に対しては一度も相談がないんですよ、一度も相談がない。組合員の生活に関することに全く相談をせずにいったということは、生活権の侵害でもあります、一方では。そうして相談をしなかったばかりではなくて、相談を求めるところの職員組合の行動を抑えるために機動隊が二回も実は入れられて、そうして合意の十分でない計画の承認という形になるわけですね。これは一連述べていることは事実関係を述べているのですが、法制局長官、これはちょっと法の趣旨から言って好ましいことではないんじゃないでしょうか。
  165. 吉國一郎

    政府委員吉國一郎君) 私は全く実態、実情を存じませんので、抽象的に申し上げる限りでございますけれども地方財政再建促進特別措置法の第二条の第三項で地方財政再建計画内容が規定してございますが、その経費の節減という項目、その経費の節減の一つの方法としてそれは掲げられんだろうと思いますが、それを掲げるについてはもちろん十分いろいろ配慮をしなければならないことは言うまでもございませんけれども、具体的にどういう配慮をするか、どういう話し合いをするかということまで、どうも法律的に私はお答えする限りではございませんので、まあそれは実態はできるだけ適正に地方の行政が執行されることが望ましいということ以外には言いようがないと思います。
  166. 和田静夫

    ○和田静夫君 一言ですが、法の趣旨から言って、やっぱり労働基本権に対して、労働組合が存在をしているんですから、それには事前の協議というものがやっぱり生活権に関することに関しては行われて、そうして合意が成った上で計画が進むというのは法の趣旨にかなっているでしょう、そのことは。
  167. 吉國一郎

    政府委員吉國一郎君) 既得権という言葉はこれはいろいろむずかしい議論がございますけれども、最終的には地方公務員の給与は条例で定めることになっております。条例の制定の場合に、金額を減額することは全くできないことであるかどうか、これは法律的には不可能ではない、事情によっては不可能ではないと思います。そういうこともございますので、法律的のぎりぎり詰めた議論として、ただいま和田委員が仰せられましたような方向でなければならないということは言い得ないと思いますけれども、これは都道府県なり市町村なりの理事者として十分な配慮をした上で諸般の事項を処理しなければならないということは、これはもう行政事務ばかりじゃなくて、あらゆる社会の事象の処理に当たっては必要なことでございますので、十分な配慮をして行わなければならないということはもう言うまでもないと思いますが、ただ、それが法律的な要件であるかどうかということになると、これはまたいろいろむずかしい議論のあるところでございますので、法制局として申し上げることではなしに、私も一個の社会人として申し上げれば、社会人としての通常の良識を持って市の理事者も行動されることが望ましいことであるということに相なると思います。   〔委員長退席、理事金井元彦君着席〕
  168. 安孫子藤吉

    安孫子藤吉君 私は、当面のことだけお尋ねしておきたいと思います。大変忙しいところを建設、農林から来てもらってありがとうございます。  公共事業の執行状況が一体現在どうなっておるのか、その辺の実情を聞かしてもらいたい。
  169. 杉山克巳

    政府委員(杉山克巳君) 十一月末現在の契約実績で申し上げますというと、補正後の予算原額に対しまして、これは七二・九%ということになっております。当初予算だけと対比してみますと、この契約実績の額は八二・二%になります。
  170. 安孫子藤吉

    安孫子藤吉君 両方やってもらえますか、建設省と。
  171. 伊藤晴朗

    説明員伊藤晴朗君) 建設省の所管の公共事業の契約実績につきましては、実は十月までしか確定的な実績の数値が出ておりませんで、十一月末は一応の推計でございますが、十月末現在で、これは当初予算に対する比率でございますが、七三・三%の、十一月末の推計におきまして七九・二%の契約率になっておるのじゃなかろうかと推定するわけであります。
  172. 安孫子藤吉

    安孫子藤吉君 それで、相当各地方団体でばらつきがあるだろうと思うんです。恐らく東北なんかは十二月にはもうほとんど事業費は計上していないはずであります、西の方はまた別といたしまして。それから事項別にもいろいろ差があるんじゃないか、こう思っております。  建設省でございますけれども、直轄の状況とか補助事業の状況とか、あるいは道路、河川の状況、それから、一体本年度完全に消化できるのかどうか。その辺の見通し、もちろん予算が確定していないであろうと思いますけれども、大体予算は編成を終わっておるだろうと思いますけれども、その辺のキャッチしておる状況をひとつ聞かしてもらいたい。
  173. 伊藤晴朗

    説明員伊藤晴朗君) まず、事業の種別ごとの建設省所管の公共事業の執行状況についてでございますが、ただいま申し上げました十月末、確定的な数字の十月末の数字で申し上げますと、先ほど申し上げました当初予算における契約率七三・三%のうち、まず事業主体別に考えますと、直轄事業が七五・九%、公団の事業が七四・三%で、いずれも総体よりも進んでおるわけでございますが、その率が低くなっておりますのは、補助事業の関係で七一・五%と率が落ちておることがうかがわれるわけでございます。  さらに事業種別で申し上げますと、この中では特に住宅関係の補助事業いわゆる公営住宅の補助事業が六二%、それから道路整備の補助事業が六九・八%ということで、補助事業の中でも特に住宅の補助、道路の補助事業が落ちておるのではなかろうかと思われるわけでございます。  これにつきましては、私ども年度上半期の契約率をほぼ七〇%と目標を設定いたしまして、各事業主体に公共事業の推進方をお願いしたわけでございますが、同じように直轄事業、公団の事業におきましてほぼ目標を達成したにもかかわらず、補助事業のほうで六五%強と相当落ち込んでおる状況がうかがわれるわけであります。もっとも、この全体の本年度公共事業の契約の状況は、これまでの平均はもちろん、過去の公共事業の促進をかけました四十六年並びに四十七年の水準を全体としては若干進んでおることでございますが、やはり補助事業の関係は落ちております。  また、今後の見込みについてでございますが、十一月に成立いたしました補正予算による追加事業につきましての都道府県関係補正予算等の問題もございますのですが、まず、これを当初予算関係から申し上げますと、当初、建設省で本年度の補助事業全体として都道府県に内定の通知をいたしました事業費、これは補助事業だけでございますが、約一兆二千四百六十八億円余になります、補助金の額でございますが。これにつきまして、現在まで九月の議会を終わりました段階での県の予算措置状況は、マクロで申し上げまして九七・三%ということになっております。もっともこの中では、公園、下水、住宅等、生活環境関係の基盤整備につきまして若干一〇〇%を超えておる計上もございまして、公共事業の大宗をなします道路、河川事業等につきましては九五%程度の計上になっておるわけでございます。この計上されていない、未計上の残余につきましては、当然に十二月の議会、三月の議会での補正を期待いたしておるわけでありますが、現段階におきまして、各都道府県から聞いた限りでは、三月までいきましても計上の予定のないものが、道路、河川等それぞれたとえば〇・六%、〇・七%、金額にいたしますと、合わせまして大体約百億程度の計上しがたい状況にあるというようなことも聞いております。  また補正予算につきましても、都道府県の計上につきましては、積寒地域等におきまして若干臨時県会を開いて計上したところもあるようでございますが、西日本、表日本の方でおおむね十二月の県議会で計上するという予定になっております。ただ、これにつきましては、御承知のとおり、裏負担分につきまして自治省の方で特段の措置を講じておいていただいていることもございまして、計上率は一〇〇%と予想しておる次第でございます。
  174. 安孫子藤吉

    安孫子藤吉君 これは建設省で押さえておられるかどうかわかりませんけれども、単独事業というものはどうなっておるんでしょうか。傾向をひとつお聞かせいただきたい。
  175. 伊藤晴朗

    説明員伊藤晴朗君) そのために特に数字的な把握をしっかりやったわけじゃございませんが、県段階において約一割、これは全政府でございまして、建設省だけではございません。それから市町村段階において約一兆五千ほどの単独事業が例年行われておるように聞いております。このうち、私ども大体の数字がわかっておりますのは、建設省所管分の県事業の単独事業、大体例年は六千五百億円程度の計上が普通予定されておるわけでございますが、今年度の場合、計上の予算額はおおむね例年どおりの予算が計上されておるように伺っております。  しかしながら、例年と若干様子を異にしておりますのは、その計上した予算につきましていわゆる執行保留と申しますか、現実に執行をしないで、財源の補てん状況等を見守るというような措置が各県において行われているようでございまして、その執行保留の額、正確につかんでおりませんが、本当の達観的な言い方で大体二割から三割程度、これは都道府県段階でございますが、あるんじゃなかろうかというふうに想像いたしております。
  176. 安孫子藤吉

    安孫子藤吉君 景気浮揚の問題はいろいろ複雑な様相がありますからこれだけが決め手というわけじゃありませんけれども、まあ一つの方策ではあるわけです。で、これの執行状況が必ずしも円滑にはいってないと言えるんじゃなかろうか。来年度になりますと、さらに景気浮揚のためにこの点に重点を置いていきたいという方向承知しております。したがって、各省はこの点についての相当な計画を持って予算要求をされることになるだろうと思いますが、従来の傾向を見ますと、これは何ヵ年計画というようなものがいろいろございますが、その際に自治省と協議をしておるだろうと思いますけれども地方負担分について各省はルーズに考える。国の予算の獲得には重点を置くけれども、その足らず前は大体地方負担というようなことで全体計画を組み立てるという傾向があります。まあ農林、建設じゃありませんけれども、たとえば交通整備五ヵ年計画なんというものを見ますというと、地方負担分にほとんど足らず前を回しましてそして全体計画としては実にりっぱなものができる。国庫の方は十分じゃない。そういうものを地方団体は常に負担をしてやってきたわけですが、いまやその余力はない、こういうことであります。来年度になりますればさらにその状況が顕著になるだろうと、こう思うんです。したがって、中央でどういう計画を立てようと、地方団体負担をし得る力がなければ机上の計画になる、こういうことを痛感しておるわけであります。したがって、各省は、各省の予算要求には熱を入れられますけれども、来年度は特にそれが、円滑に事業が執行できるような地方団体財源についての付与を、やはり自治省と相協力して要求をし、また計上してもらわなければ、来年度はとうてい地方団体で消化できない、こういう事態になることをおそれておるわけであります。財政局長もお見えになっておりますけれども、その辺について、自治省は非常に努力をされるわけでございましょうが、感覚、その辺の模様をひとつ、漠然とした話ですが聞かしてもらいたい。
  177. 松浦功

    政府委員松浦功君) 全く御指摘のとおりでございまして、公共事業費を多額に国庫予算に計上いたしましても、それが現実の担い手である地方公共団体において予算化されない、あるいは執行されないということがあってはこれはどうにもならないわけでございます。それらの点は十分自治省として地方公共団体に指導助言をすると同時に、どういうふうにその財源を確保したらいいかということも私どもとしてはあわせて明示をしながら、万遺漏のないようにいたしたいと思っておりまするが、ただいま先生から御指摘をいただきましたように、各省が御計画をおつくりになられるときにいつでももめるのは単独事業の問題でございます。道路なら道路という専門的な見地から、これこれが必要だということまではわかるのでございますが、それをみんな地方の単独事業に持ち込まれるということになりますと、地方税なり交付税なりというものがよほど増強されない限りは計画どおりいかないという一面が出てきます。そういう面についても各省に十分御理解をいただいて、計画をつくる際にも、本当に絵にかいたもちにならないように努力をすると同時に、各年度ごとにそれらの計画が十分実施できるような方向に、ただいま申し上げたような努力をしてまいりたい、こう思います。
  178. 安孫子藤吉

    安孫子藤吉君 きょうは当面公共事業の消化状況が一体どういうことになっているんだろうかということを聞きたいと思ってわざわざ来ていただいたわけですが、私は先ほど言いましたように、来年度予算編成——これからでございますから、従来のように、自分の省だけの予算獲得ということだけではとうてい来年は円滑な執行ができないことが顕著でありますので、地方財政の問題、自治省が恐らくこれから計画されるであろうところの補てん対策等にも、各省ひとつ幹部にもお話し願いまして、全面的な協力をしてもらうようにお願いをいたします。私はこれで終わります。
  179. 神谷信之助

    神谷信之助君 それじゃ、時間がありませんから答弁の方はひとつ簡潔にやっていただきたいと思います。  先ほども話がありましたが、四十九年度地方公営企業決算の概況が明らかになりましたが、その中でとりわけきょうは水道事業を中心に議論をしたいというふうに思います。  そこで、この概況の中で、水道事業の経営の状況と、経営が大分苦しくなってきていますからその経営危機の原因について、自治省の方、どのようにお考えか、できるだけ簡潔に答えていただきたいと思います。
  180. 横手正

    政府委員(横手正君) 水道事業の状況を申し上げますと、法適用の事業数は千七百八十七事業、この中に簡易水道三十団体を含んでおりますが、千七百八十七事業でございます。で、四十九年度の損益収支を見ますと、約六割が赤字を出しておりまして、その額は九百六十億円、事業数にしまして千二十五事業でございます。累積欠損金も千百七十五億円と、こういうふうにふえてまいってきております。  こうした経営が悪化いたしております原因としましては、やはり四十八年暮れの石油ショック以来の狂乱物価の上昇、これによります諸経費が増高してまいったということが大きな原因だと存じます。それに対しまして料金改定がおくれておったというようなことがございます。そのほか一部の団体には、なお経営の合理化について努力を要する団体も見受けられるかと存じます。主な原因はそういうことでございますが、五十年度に入りましてようやく諸物価も鎮静の方向をたどっておりますし、各市町村とも、料金の適正化といいますか、新しい料金体系への移行調整期にございます。恐らく本年度末までには一応その調整は終わろうかと存じますが、その段階になりますと、五十年度以降は、水道事業につきましてもかなり経営面につきましては好転してまいろうかというふうに見ております。
  181. 神谷信之助

    神谷信之助君 いまの話ですと、結局料金の改定をずっと行うことによって経営は健全化の方向に向くだろうというのが結論になるわけですね。これは私はちょっとおかしいんじゃないか。具体的に、一体コストがどういう要因で——いろいろ要因はたくさんありますからね。しかし、どうも筋の通らぬ要因のためにコストアップにつながっておるという、そういうものが実際ないのかどうかというような点なんかをやっぱり明らかにして、その部分については改善をしていくということにしないと、逆に安易に利用者に負担をかけてしまうということにしかなってこない、こういうように思うんですね。  ですから、そういう観点から幾つかの問題を取り上げてみたいと思うんですが、一つは水需要が特に大都市を中心にして年々ふえてきておるわけですね。したがって、その設備投資とそれから起債償還額というのはどんどん膨大化してきておるという事情は御承知のとおりだと思う。  具体的に一つ京都市の場合を取り上げてみますと、水の年間使用量が三十七年の八千三百万立米、これが四十七年には一億六千二百五十万立米と、大体十年間で倍に使用量がふえています。そして今後の状況は一体どうかということで、京都市の計画では、一日の給水量は恐らく四十七年の七十万立米から五十五年には百五万立米が予想されるだろう。したがって、そのためには事業の拡張計画をやらなければいかぬ、当然そうなるんです。それを見越していまから準備をしなきゃならぬ。そうしますと、その事業費というのは、四十七年当時の見込みで四百八十二億円という見積もりをしているわけですね。非常に膨大な事業費を必要とするというのが一つ明らかになります。  同時に、大都市の水道事業の場合は、水道管がもう古くなっていますから漏水が非常に多いわけです。ですから、これの取りかえのために年間少なくとも十億円以上必要だということ、それを最近までやってきて、三十七年のいわゆる有収水量——実際に有効に水の量というのは、三十七年は五九・三%だったのが、四十七年は七七・九%まで引き上げると。だから水のむだ遣いは大分改善をされてきておるわけです。  こういう起債の元利償還のために、したがって水道料金に占める元利償還金の割合というのが、四十三年の四二・五%から四十八年には五八・一%というように大きくなっているんですね、料金に占める公債費。したがって、これは他のコスト要因と比べてみますとはるかに大きく上回っているというように考える。これはいまもおっしゃったように狂乱物価による物価上昇というのが非常に大きい原因になってます。ですから、特に工事費の上昇が響いておって、口径三百ミリの配水管十メートル当たりの工事費が三十九年度十二万円、四十五年度は十七万円ですが、四十七年度になりますと三十一万円というように、倍近く急激に上昇してます。しかし、そう値段が上がったからといって取りかえばやらないというわけにいかぬ、こういうことで、拡張工事をやらないといかぬということですから、どうしてもこの設備投資に対する政府の補助の強化というのが非常に強い要望になっているわけですが、この辺については自治省のお考えはいかがですか。
  182. 横手正

    政府委員(横手正君) 先生の御指摘がありましたように、水道建設事業につきましては建設コストがかなり上昇してきております。ただ、水道事業はやはり独立採算制のたてまえで考えてまいる必要がございますので、本来的にはそうした建設費も料金収入をもって賄っていくのがたてまえというふうに考えております。ただ、最近のように水源開発のためのコストが非常に割り高になっておるというような傾向があるわけでございますが、そうした意味から、水源開発関係の経費に対する国からの助成措置、こうしたものにつきましては拡充強化の必要があろうかというふうに考えております。  なおまた、水道事業の経営合理化、これを進めてまいりますために、ある程度広域化と、広域経営というようなことも考えてまいる必要がございますが、そうしたものを奨励する意味合いで、そうした面の助成措置、これも現在行われておりますが、この面もさらに充実してまいる必要があろう、かように考えております。その他の経費につきましては、やはりたてまえ上料金によって賄うのが筋ではなかろうかというふうに考えます。
  183. 神谷信之助

    神谷信之助君 そこで、じゃ厚生省の方ですが、いまの話で、水源開発や広域水道関係の方の補助率のアップについて厚生省の方の見解、それからいまの来年度予算についての要求の状況、それからさらに、これが予算補助になっていましたね、法律上この補助を明確にしてもらいたいという、そういう要求も強いわけですが、これらについて一体どういうようにお考えか。
  184. 国川建二

    説明員(国川建二君) 水道の施設整備の中で特に建設費が著しく上昇しておりあるいは緊急に事業を進めなきゃならないものは、ただいまもお話しございましたように第一に水源の問題だと思っております。したがいまして、水道事業そのものは一応独立採算制をたてまえとして運営されるべきものだと考えておりますけれども、特に水源の確保と広域的な施設整備の点につきましては、昭和四十二年以来新たに国庫補助制度を創設いたしたわけでございまして、その後年々その助成額の増加と内容の改善を図ってきているところでございます。特に、近年ますますそのような傾向も著しいことにかんがみまして、実は明年度予算要求におきましては、水源の開発費の補助率につきましても、従来の三分の一と申しますのを実は三分の二という形で予算要求を行っているところでございまして、そういう手だてを講ずることによりまして、水源の負担の軽減と申しますか、ということを強力に進めてまいりたいと、こういうように考えております。  また、広域化の施設整備につきましても、同様の観点から、特に都道府県と申しますか、全域を一応見渡しまして、できるだけ合理的な施設整備を進めることが妥当だと思いますので、そういった形で進められる広域化事業につきましても補助率等の改善をいたしたいという考えをもちまして、明年度予算を一応要求いたしているところでございます。  また、現在のところ一応予算補助という形で行われているところでございますけれども、これは地方公共団体等の御要望等もございますし、今後制度等の改正に当たりましては、十分そこらも踏まえまして検討してまいりたい、このように考えております。
  185. 神谷信之助

    神谷信之助君 この補助率のアップもさることながら、自治省の公営企業関係の担当の課長なんかのいろんな御意見を文書で見ますと、特にいわゆる例の超過率とか着工率ですね、これが問題だと。補助率をアップしても結局そのところで足を切られてしまうということではこれはぐあい悪い。しかも事業量自身は非常に膨大ですから、原水単価三円以上とか、あるいは給水量の制限ですね、超過率あるいは着工率の問題。こういった点については自治省のお考えは、課長さんの文書なんかではそういう意見が出ているんですが、そのように受け取っていいわけですか。
  186. 横手正

    政府委員(横手正君) 現在、水道事業に対してなされております国の補助につきまして、着工率等補助の足切りといったような形のことが行われておりますが、やはりこれは補助するからには十分な補助をすべきであって、足切りのような細かいことは行うべきではないというのが私どもの方の考え方でございます。したがいまして、こうした補助対象の取り上げ方、こうしたことにつきましても改善されるよう厚生省の方へも申し入れもいたしておる次第でございます。
  187. 神谷信之助

    神谷信之助君 さらに、工業用水の補助の制度と、それから上水道の補助の制度、これの違い、その理由ですね。  もう一つは、下水道の補助について、自治省の方でも、下水道の補助率が大幅に上がったということで画期的だという意見も部内にはあるわけですが、その自治省の中の意見の中にもあるんですが、これも一つの理屈だというふうに思うんです。どういうことかというと、きれいな水を流すのには補助が水源地に限られている。それを使った汚れた水を流すのには補助がいろいろと充実をしておる、これはおかしいじゃないか、同じ水じゃないかと。だから下水道と同じように上水道についても補助制度をもう少し拡充すべきじゃないか、そういう意見もお聞きをしているんです。先ほど横手さんの御返事もありましたけれども、そういう意見も事実あるんですがね。この辺についてはどういう御見解ですか。
  188. 横手正

    政府委員(横手正君) 水道事業に対しましての国からの助成措置が十分でないというような観点から、よく工業水道なりあるいは下水道との比較論がなされるわけでございます。ただ、それぞれの事業に対する補助の仕組み、これは長年の経緯等を経てきておるわけでございまして、抜本的にこうしたあり方をそれぞれ適切な方向へ改正するということも非常に困難なことかと存じます。ただ、水道事業に限って申しますと、やはりこれは受益者がはっきりしてまいっておりますし、利用者負担というたてまえで考えていくべき筋のものというふうに考えております。したがいまして、先ほど申し上げましたような水源の開発なりあるいは水道の広域化、こうしたような経費等につきましては、十分なる助成措置、特に足切り等を行わないようにもうちょっと内容も充実していく必要があろうかというふうには考えておりますが、本来的には、先ほど申し上げましたような、利用者が負担するという形で考えていくべき筋だろうというふうに考えます。
  189. 神谷信之助

    神谷信之助君 水源地とかそれから広域水道化のためには補助制度を立てるにしても、あとは料金でひとつ賄えというんですがね。しかし、先ほども言いましたように、水道管だけでも非常に工事費がうんとかさんできているわけですよね。しかし、起債措置でやっても三十年ですかね、いま一番水道の関係でやってるのは。それから四十年あるいは五十年の耐用年数を持っているのがありますね、水道管には。ですから、さらに償還期限の延長とか、それから起債の良質化とか、こういうものも一緒に同時に考えなければ、受益者負担が原則だからということだけではこれはもう大変な負担になってくるわけですね。ですから、こういった点もひとつ考えてもらわなければいかぬ、考慮されなければいかぬ。この辺については自治省の方では努力していただけますか。
  190. 横手正

    政府委員(横手正君) 当然良質な地方債を確保するということにはできる限りの努力をいたしてまいりたいというふうに思います。  なお、資本費コストが非常に割り高になっておるということでございますが、やはり四十七年度ぐらいまでは、資本費のコストも計数原価に占めるウェートはそれほど極端な上昇をしていないわけでございます。やはり四十八年、四十九年、こうした経済の大きな変動の影響がありまして、ここ二、三年の資本費の増加は大きいというふうに思いますが、経済が安定してくれば、また従前のような形の推移をたどっていくんではないかというふうに考えておるわけでございます。
  191. 神谷信之助

    神谷信之助君 いずれにしても、だから急激な物価上昇に伴っての資本費の増大、それはとにかく、一斉にいま軒並みにといいますか、料金の値上げというやつで処理をするという形になっているわけですね。これは、これからは経済が安定すれば資本費の比率はまた安定するだろう、あるいは下がっていくだろうということは、料金自身も上げたわけですからそういうことで考えられると思いますけれども、しかし、この段階において急激に必要とした膨大な起債についての援助措置という、あるいはできるだけそれの影響を緩めるという方法ですね、この努力というのはぜひやってもらいたいというように思います。  それから、厚生省の方は、先ほどもありましたが、そういう超過率、着工率というような足切り、これについての不満は非常に強いわけですね。三分の一補助とか何とか言われて、実際にはそういう足切りでもらえる予定のものがもらえない。だからこれをひとつ改善をするというそういう努力、さらに、先ほどおっしゃったそういう水源地などに対する補助率のアップ、こういったものについての努力については一体どのようにお考えか伺います。
  192. 国川建二

    説明員(国川建二君) 御指摘のありました補助対象事業から計算の過程におきまして使っておりますのは率の問題でございますけれども、いわゆる超過率と申しますのは、先ほど来お話しございましたように、地方の水道事業は独立採算制をたてまえとしているということから発した問題でございまして……
  193. 神谷信之助

    神谷信之助君 いや、理由はもうわかっています。時間がありませんからね。だから解消する意思はあるかないかということだけ。
  194. 国川建二

    説明員(国川建二君) 私どもといたしましては、着工率等は当然でございますけれども、こういったものの中身、内容の改善についてはできるだけ改善を図っていきたい。明年度予算におきましては、一応私どもは補助率という形で取り組みたいと思っておりますけれども、御指摘の点等につきましては前向きに検討したい、こう思っております。
  195. 神谷信之助

    神谷信之助君 時間がありませんから次に移りますが、次のもう一つのコストアップ要因として、いわゆる水道事業で使う電気料金の問題なんですが、特に電気料金が四十八年度、四十九年度にかけて大幅にアップをされました。それに伴って動力費が急上昇しております。  これは阪神水道の例ですが、阪神水道企業団は四市の地域における水の卸をやっているわけですね。ここをずっと調べてみますと、四十二年以来財政健全化計画を立てて、四十六年度の末には不良債務は五億四千万円に抑えるということで計画を最初に立てた。恐らくそのころには原水の水質が汚濁をして、そのためにコストアップになって料金改定をしなければならぬだろうという見込みだったわけですね、それだけの不良債務額に抑えてきても。ところが、用地の売却なり、あるいは企業の努力によって、五億四千万円の不良債務を予定をしておったけれども、それをさらに下回って一億七千万円の不良債で終わった。だから料金改定は見送ったと。そして、さらにそれを今度は四十七年度から四十九年度にかけて引き続いてこの企業の健全化計画を進めるということで努力をしてきて、それで五十年度末には不良債は大体六億円に抑えられるという予定をしておったと。   〔理事金井元彦君退席、委員長着席〕 そういう努力の結果、四十七年、四十八年度は大体計画をしておった不良債の計画額を下回っておったけれども、四十九年、五十年度にかけて、いわゆる四十八年から四十九年にかけて二回の電気料金の改定が行われた。そのために四十九年度末の不良債は一挙に十三億七千五百万円にはね上がってしまった。せっかく営々と財産処分なり企業努力なり、あるいは人件費を抑える努力も調べてみればやっておりますが、そういう努力をしたけれども、結局この電気料金の値上げのために不良債務の一挙の増額になってしまった。だから、四十九年度現在で見ますと、動力費は計画額では四億四千二百万円に対して決算では十億五千五百万円と、二・四倍にはね上がっておる。それから浄化費はこれは一・二倍です。それから施設管理費は一・六倍、人件費は一・三倍。だから計画額に対して決算はそれだけはね上がった。だから、確かに物価は全体として上がっていますから上がるが、同時に電力費、動力費だけがはるかに大きくはね上がってきているというのが事実なんですね。  そこで、それじゃどういう電力の料金改定が行われたかと言えば、四十八年の九月に平均二二・三%のアップで、この場合、大口消費のところは三〇・七%のアップ。四十九年の六月は平均四六・三%のアップに対して大口消費は七〇・〇%と、いわゆる福祉型料金の方に移行しようということですね。そういう料金改定があった。それ自身はいいんです、それ自身はね。ところが、大口消費に公営水道も組み込まれておって、利潤を追求をしている一般企業並みに割引きなしに電気料金がかけられる、こういう状況になってそのまま水道事業にも適用されるということですから、これは大変なことになってきたんだというふうに思うんです。  しかも、この四十九年の改定のときにはどういう電気料金の決められ方がやられたかというと、四十九年四月末契約をしておった動力量を基準動力量として、それを超過した分については二〇%の割り増しというわけですね。だから、四十九年の四月末現在の量からさらに上回っていったら、それ以上に超過使用すれば二割増しの電気料金。ですから、そのために阪神水道では、使用している電力の二四%が基準量をオーバーして二割増しの料金を払わなければならないということですから、これは大変なことになってきて、とうとういわゆる阪神水道の料金改定をやらなければならぬということで、倍近く、十六円八十五銭から二十八円六十五銭に引き上げなければならぬ、そういうことになってきたわけです。これは水道事業は電気を大分食いますから、特に阪神水道の場合は淀川から導水していますからね。ですからよけい電力を消費をする。それから琵琶湖、淀川の汚染がひどいですから、そのためにもよけい電力を必要とするんですが、しかし、水道事業全体としても共通の問題じゃないかと思うんです。  しかし一方、水道の方は、厚生省の方も一生懸命努力をしてそうして普及に努とめてこられておって、現在普及率は八五・七%になっている、近くは九〇%を超えるという状況になって、まさに国民の命の水になっているわけですから、そういう事業に対して私は、公営水道の電気料金に対してこれは政策料金といいますか、特別措置を講ずるのが当然じゃないか、こういうように思うんですが、この辺はひとつ通産省の御意見いかがでしょうか。
  196. 嶋崎均

    政府委員(嶋崎均君) 電気料金を何か特別な需要者の性格に応じて、たとえば公益的な部面において安くしたらどうかというような御意見でございますが、国民生活が非常に複雑、有機的になっておる中で、何が非常に有益、公共的であるかというその定義はなかなかむずかしいと思うんです。  今度のいろんな電力料の改定の問題は、御承知のように、非常に大幅な石油価格の引き上げというもので、急速な形でエネルギー価格の改定、あるいはそれを基本とするいろんな諸物価の新価格体系への移向という、まだそれも十分に完結をしていないというような考え方ももちろんあるわけでございますが、大部分はそういう形で転化をしてきたというところに非常に大幅な引き上げがあったわけです。従来余りそういう点について格別な議論がなかったわけですが、余りにも大幅な引き上げだったためにいろんなそういう議論が出るんじゃないかと思うのでありますが、しかし、御指摘のように、何で優先的に電気料金について格別の配慮をしなければならないのかというようなことになりますと話が非常に複雑になりまして、何か需要者ごとにその供給の価格を変えていくということは基本的には余り適当なことではない、また技術的にもなかなかできない問題ではないかというふうに思っておる次第でございます。
  197. 神谷信之助

    神谷信之助君 一般的に何がどれだけ公益性があるかとか何とかいうことなんですが、しかし、通産省の方に来てもらっていろいろ話を聞きましてもそういう御意見ですよね。ですから、国鉄であろうと何であろうと一切そういうことはしてない、原価主義でございますと。しかし、たとえば電力会社の人が国鉄乗ったからといって特別のサービスしてもらってないんだから、だから国鉄と電力会社との関係は、それは別に料金を安くしてやるという必要もないかもしれない。しかし、自治体と電力会社との関係考えたら、大変なサービスをしてもろうているのじゃないかと私は思うんですがね。たとえば電力会社の場合、いろんな引当金、準備金による減免措置というのがあって適用されて、そして特別償却もなされるということになっていますから、これだけでも地方税に大きな影響しますね。あるいは固定資産税でも、送電施設の償却資産は、当初の五年間は課税標準が価格の三分の一、その次の五年間は三分の二というように、それだけまけてもらっているでしょう。あるいは公害防止施設については、課税標準は価格の三分の一だし、それから電気・ガス税、これは非課税措置でまいった。それから今度できた事業所税も非課税措置、あるいはさらに新産工特の方に電力事業が進出をしたらさらに減免措置、優遇措置をとられるわけですから、だから一方では、国の政策によって自治体の意思いかんにかかわらず税金はまけてもらう。当然入るべき地方税が入らない。こうやっていろいろな面で自治体から電力会社は公益事業だということでサービスを受けておる。そして片一方、地域住民のための給水事業について、水道事業に対して、電力会社は一般の利潤を追求している企業と同じように料金をとる。至れり尽くせりのサービスを受けながら、そうして電力料金は何の恩典も与えないで、そしてそれは全部料金として住民に転稼をされる、これではちょっと私は社会常識から言っても、通念から言っても、ちょっと筋が通らぬじゃないか、この辺はひとつそういう意味も含めて検討してもらうという必要があるんじゃないかと思うんですが、どうでしょう。
  198. 嶋崎均

    政府委員(嶋崎均君) せっかくのお話でございますけれども地方自治団体等のいろんな課税問題とかといったような例を挙げられて、地方自治団体でいろんな意味で電力会社の管理運営について寄与をしておるんだから、だから自治体のやっておる公営企業の電気料金はまけてしかるべきであるというような論理につきましては、余り賛成いたしかねるというふうに思っております。
  199. 神谷信之助

    神谷信之助君 その賛成いたしかねるという理由はどういうところにあるんですか、このネックになっている問題は。
  200. 嶋崎均

    政府委員(嶋崎均君) 詰めて大論文を書いたりあるいは考えたこともありませんのでよくわかりませんが、まあ大方この議論を聞いておられる方でも、常識的にそういうことだということは答えとしておわかりだと思うんです。自治体が特定の課税源について、いま挙げられたもののすべてが私は必ずしも電力会社の恩典であるとばかりは言えないものもあると思うんです。またいろんな特別償却その他の問題とか、あるいは電気料金の算定の原価のとり方とかいうのは、この国会でもいろいろ議論をされたところであります。まあ公益事業である電気事業については、できるだけ低廉な価格で公平にだれにも供給をするという基本的な性格を持っておるわけでございます。そういう意味でいろんな保護、助成の策があるということがある反面、一つは供給義務といったようなものも課せられておるわけでございます。そういう電力会社の性格が一つあると思うんです。  それからもう一つは、自治団体がいろいろな行政上それぞれのお立場、あるいは国がそれぞれその電力会社についてのいろいろな対策をとっておる、それの見返りというんですか、そういう形で、公共団体がたまたまそれを運用しておる——まあこれもまた国民に低廉で、安い生活必需の水を供給するということですから、たまたまじゃなしに、当然そういうことになるわけでございますけれども、そういうことをやっておるということと見合いに料金を引き下げてしかるべきだというのは、私は論理的に、いまの社会の体制から、せっかくの御意見でございますけれども、非常にまあいまの常識には合わない御議論であるというふうに思います。
  201. 神谷信之助

    神谷信之助君 次官の常識には合わぬかもしれないけれどもどもの常識には合うんですがね。  まだもう一つ、その問題はその問題で、もう一つの問題があるんですよ。  というのは、御承知のように、自治体では公営電気事業をやっていますよね。ただ、この公営電気事業をやっているんですが、これの今度は電力会社への売り値というのがまたべらぼうに安いですね。ですから、自治体が公営水道をやっているときの電気料金というのは一文もまけない、しかしサービスは人一倍よけい優遇されてもうけておる。この自治体が電気つくった。これは売るのはもう電力会社しか売れない。自分で送電すれば大変なことになる。だからほとんどは電力会社に売るでしょう。売らざるを得ない。買ってくれなきゃしょうがない。だからべらぼうに低い、こういう状況があるんですね。  ですから、時間がありませんから少しはしょっていきますが、そういう点でちょっと自治省の方に先にお伺いしますが、公営事業いろいろありますけれども、公営電気事業の性格は、他の公営、たとえば水道事業とか交通事業とは若干性格を異にする。そういう意味で、公営電気事業についての性格といいますか、自治体側のメリットの点は一体どこにあるのかという点についてちょっとお聞きしたいと思います。
  202. 横手正

    政府委員(横手正君) ただいま先生からのお話がありましたように、公営電気事業につきましては、これは直接的に住民にサービスの提供を行うというものではないという面では他の公営企業とはやや性格を異にいたしておると思います。ただ、電力の需要にこたえる一環として、間接的には一般への貢献、これもあろうかと、かように考えております。
  203. 神谷信之助

    神谷信之助君 「地方財政」という雑誌に、これは去年だったと思いますがね、「公営電気事業をめぐる最近の問題」というテーマで、自治省財政局の公営企業第一課長の坂田さんというのが書いております。それにはこういうように言っているんですがね。「もともと公営電気事業は、水道や交通、病院のような他の一般の地方公営企業と異なり、地域住民の生活と直接結びついたものでなく、電力会社に発生電力を売るという卸売事業であるため、少なくとも黒字の経営によって他の行政部面に余裕資金を貸付運用する等間接的に貢献する面が無ければ、少なくとも赤字を生じてまで県営電気事業を実施する必要はないという意見も出てくるわけである。」ということで、せっかく府県が電気事業をやる。それは直接地域住民に売るわけじゃない、供給するわけじゃない。いまおっしゃるような間接的に貢献するんだと。しかしまあ間接的にといっても、全体の電力の量から言うと五%足らずでしょう、公営電気の生産量は。だからきわめて微々たるものですよね。しかし、それでもやる。それはやっぱりそれによって、そのまま直接利潤を得て一般会計へ繰り入れるということは仮にしないにしても、それによって貸し付け運用ができるようになる。会社だって、一定の電気事業をやることによって直接的に地域住民に利益がもたらされるということがあって初めて、私は無理をして電気事業をやるというメリットもあるというように思うんですよね。ところが実際現実には、この決算報告を見てみましても、四十九年度で不良債務を持っておる事業数は六事業というように出ていますね。だから赤字まで出してやらなきゃならぬ、不良債務を抱えてまでやらなきゃならぬということになると、何のために電気事業をやっているかわからぬという意味もある、こういうように思うんですが、その辺はいかがですか。
  204. 横手正

    政府委員(横手正君) 公営電気事業につきましても、先ほど来申し上げておりますように、経済界の異常な変動の影響があったわけでございますが、売電単価につきましては、一応そうした物価変動に係るものにつきましてはすでに必要な単価の是正がかなり早く行われておりまして、経営収支も四十九年度で一応三十四事業のうち三十二事業は単年度で黒字を出しておりますし、三十億円というような黒字を計上いたしておりまして、一応黒字基調で推移してきておるわけでございます。ただ、お話にありましたように、剰余金についての取り扱いといいますか、効果的な運用、こうした面につきましてはやはり十分検討されることが望ましいというふうに考えております。
  205. 神谷信之助

    神谷信之助君 単年度ではまあ確かに四十九年にあと二つになりましたね、単年度赤字は。それから不良債務は六事業ですね、まだ。それで利益があるといまおっしゃったように、三十億足らず、二十九億九千八百万ですかね。ですから、一事業所当たりにしたらもう微々たるものですよ。かろうじて、まあ何とか黒字と言えるような黒字ではないですよね。一億足らずですから、平均しますと七、八千万円の黒字ということですから。ですから、これではどうにもこうにもならぬじゃないかというのが、私は、この坂田課長の「公営電気事業をめぐる最近の問題」の中で提起をしている、いろんな問題出されていますが、非常に大きな問題じゃないかというように思うんですね。だから、自治体財政自身も非常に窮屈になって、法定外普通税もどんどん知恵をしぼってつくらなきゃならぬという状況ですからね。公営電気事業をやらなきゃいかぬ。やった。ところが、ちょっと油断をしたらば、宮崎のように、まあほかにもいろんな原因もありますけれども、負債を抱え込んでしまう。よけい苦労せんならぬ。やらなきゃよかったということになってしまう。  ですから、これはひとつ、私はいまおっしゃった中でもちょっと気になるんですが、単価の決定については問題がないかのような発言があるんですけれども、私はそうじゃないと思うんですがね、明らかに。というのは、通産省の方で決めておられる総括原価計算の方法が実情に合っていないわけでしょう。従来は十年単位ぐらいですけれども、これから先十年を見越して、そうして見積もりの原価計算をやりて、それに基づいて料金を決める。ですから、その間の人件費の上昇やその他で、どうしたってもう売電単価は低くなってしまう。最近は二年ないし三年のようにやっと短縮されるようになってきたわけですね。しかし、それを見ましても余り上がっておらぬのですよ。たとえば京都府の府営電気ですが、これは三十六年は三円九十銭です。四十九年の十一月二十七日に通産省に申請をして承認してもらった今日の単価は四円十二銭です。十四年間でたった二十二銭しか上がってないんです、十四年間で。こんなばかな話はないじゃないか、何でそうなるのかという問題ですね。この点ちょっと通産省にお答えいただきたいと思います。
  206. 松浦功

    政府委員松浦功君) 料金のことは私よくわかりませんけれども、ただ、電気事業というものの基本を、坂田君はそういう説もあるということで書いてあるんであって、私どもは必ずしもそのように考えておらない。電気事業というのはもうけるためにもともと興した事業じゃございません。むしろ、川の水がはんらんをするからダムをつくる、あるいはそこから農業用水を取る、水道用水を取る、それを基本の目的にして、できるだけそれらの経費を安くするために費用をアロケートして電気事業でその分を消化していく、こういう考え方から出発したものでございます。したがって、先生のおっしゃるように、採算がとれるようにするということは私どももそうあるべきだと思います。ただ、もうけるために興した事業だというふうに一概に言ってしまうことはちょっと問題があるんじゃないかという気がいたしますので、それだけひとつ坂田君のために弁明をさしておいていただきたいと思います。
  207. 嶋崎均

    政府委員(嶋崎均君) 御指摘のように、非常に逐年その見直しはやっておるようでございます。また、申請に基づいて検討はしているようでございますけれども、現在のところ水力関係のものにつきまして、というのは、この公営の電力企業というのは皆水力でございますから、先ほど自治省財政局長からもお話のありましたように、補完的な意味でできておる形のものでございます。したがって、水力のみでございます。したがって、この水力のコストがどの程度になっておるかということを考えますと、まあ途中いろんなことがあったのかもしれませんけれども、現在のところ、先ほど来御説明がありましたように、単年度でほぼ収支がとんとん、あるいはわずかに黒字であるというような形で運用されておるわけです。  それで、御承知のように、電気事業法の料金の決め方につきましては、能率的な運営のもとで適正な原価を考え、それに一定の利潤というものを考えてそしてその価格を決定するという大原則を立てておるわけであります。その原価の見積り方につきまして、確かに最近油の価格の高騰というようなことで非常に電気料自体は大幅に上がっておりますけれども、水力のコスト自体はそう上がっておるわけではないわけで、したがって、いまの料金体系から言いますと、能率的な経営のもとにおける適正な原価にある程度の事業報酬という、一般電気事業の場合にはそういうものがあるわけでございますが、それに見合うような形の利潤分というものを認めたもので価格を決定しておるというのは、いまの体系から言って当然相違のあることだと思います。  もう一つは、一般買い入れ、卸売業者でございますから一般の電力会社がそれを買うわけでございますけれども、一般電力会社の価格を考える場合にもやはりそのコスト主義というものをとっておるわけでございます。  そういう意味合いから言いまして、この部分だけについてもっと高い価格でというのは、まあこの電気事業法の考え方には少なくとも合わないというように私は理解をしております。
  208. 神谷信之助

    神谷信之助君 松浦さんの先ほどの話ですが、確かに防災上と、それからあるいは農業上の利水のためにダムをつくるという問題が起こってきた、ところが実際はなかなか経費が大変ですから電気事業でそれを補おうというのが出発ですよね。それは知ってます。ただ問題は、その防災上のダムに電気設備を一緒にやりますと、実際には洪水調節の役を果たさないという、そういう学者の見解も非常に多くあるわけです。だから、多目的ダムが、実際防災上の見地で初めはつくるんだけれども、それぞれの費用をつくるために発電施設をつくる。今度は発電施設をつくると、洪水調節でおろさにゃいかぬときには流せない、発電施設をつぶしますから。ということで実際は洪水調節の役をなさぬ、そういう経過なんですね。ですから、このごろはそういう多目的ダムについての住民の、特に下流住民の不安というものは非常に大きいんですよね。  まあしかしそういう経過は経過として、できて、それでそれが日本の電力量全体の非常に大きな部分を占めるというなら、それのコストアップというのは確かに大きな影響を与えるでしょうね。しかし実際上はそういう大きな事業になっているわけじゃないんだから、これはひとつ私はメリットのある事業にしないとだめだろうと。ぎりぎりとにかく若干のプラスになっておるという程度で、何とか維持をするというのは大変なことです。この辺がひとつ私の意見としてはあるんです。それが坂田さんのところにも引用されているように、私だけの意見じゃなしに、そういう意見も出ておるということですよね。問題は、この坂田さんの論文の中では、そういう単価決定についてのいろいろな問題点は具体的に事実に基づいて提起しているでしょう。私はこれは全部が全部とは言いませんが、幾つかの点は納得できるものを持っているように思うんですよ。ところが、いまの政務次官の話ではなかなかそうはいかぬわけですがね。  そこで具体的に、三十九年の七月十一日に電気事業法が制定をされて、四十年七月から施行されていますが、その電気事業法の十九条二項には、「通商産業大臣は、前項の認可の申請が次の各号に適合していると認めるときは、同項の認可をしなければならない。」として、その一号で、「料金が能率的な経営の下における適正な原価に適正な利潤を加えたものであること」、こういうようになっている。三十九年にその法律ができたのですが、それ以前は、三十五年三月三十一日付で通産省が出された「公営電気事業者の電気料金算定要領について」、こういう通達があります。この通達は三十五年に出ているのですが、三十九年の電気事業法で、料金というのは「能率的な経営の下における適正な原価に適正な利潤を加えたものであること」というようになったわけですが、それに基づいて三十五年の通達というのは変更になったのかなっていないのかという点をお聞きしたいのです。
  209. 柴田益男

    説明員(柴田益男君) 三十五年の通達につきましては、電気事業法改正後も内規として現在も活用しているというところでございます。
  210. 神谷信之助

    神谷信之助君 その中で二つ私はちょっと考えてもらいたい、通産省でも検討してもらいたいというように思うので、問題二つ出しますが、一つは、事業報酬として支払い利息、それから減債積立金、特別積立金が算定要領で決められております。ところが実際の実情はどうかといいますと、先ほどからよく引用している坂田課長さんの論文を見ても力関係がやっぱり電力会社の方が強い。そういう力関係で決まってしまうので、自治体による、事業報酬について積み上げでずっと計算をされるという状態ではなしに、最終の契約料金を幾らにするかという結論がまず出て、そしてその料金決定を見た上で逆算をして各事業報酬の項目に振り当てられる、こういう状況になっている。しかも、それが何で正しいか、まかり通るのかというと、この算定要領の中の九号で、「特別償却費減債積立金および特別積立金は、三の(3)七及び八により算定することとするが、これらはいずれも供給を受ける電気事業者が経営上契約しうると認められる料金の範囲内で決定するものとする」、こうあるわけですね。だから、いま言いました特別償却費や減債積立金及び特別積立金についての算定要領は決まっているんです。それが決まっているものに基づいて計算をされるのじゃなしに、実際には、その後段にある「供給を受ける電気事業者が経営上契約しうると認められる料金の範囲内」、こういうことで、だから今度は先に料金が決まって、ずっと後割り振りをされる、こうなるでしょう。ですから、この坂田論文の資料によりましても、たとえば関西配電なんかは特別償却はゼロ、それから減債積立金は〇・七六、特別積立金はゼロというような割り振りになってしまっておるんですね。そういうことが明らかになっておるんです。この経営上契約し得る範囲内というために、この電力会社の圧力が一層大きくなって、しかも正当化される。ところが、先ほど言いましたように、電気事業法では適正な原価と適正な利潤というものをちゃんと保証しているのですが、この点について、いわゆる適正な利潤はどうして保証されないのか、この辺は一体どういうことでしょう。
  211. 柴田益男

    説明員(柴田益男君) 一般電気事業者の場合、九電力の場合におきましては、適正利潤といたしまして、事業報酬、現在八%でございますが、事業報酬を認めているわけでございまして、この事業報酬八%の内容は支払い利息と配当に該当するわけでございます。  一方公営事業につきましては、支払い利息のほかに、一般電気事業者に認められない、いま先生のおっしゃいました減債積立金とかあるいは特別積立金の積み上げを別途認めているわけでございまして、その点は、一般電気事業者よりも有利になっていることでございます。ただ、この電気事業も売りと買いといいますか、相手方、買う人があって初めて成り立つわけでございまして、この一般電気事業者とは別の、特に有利に認めておる減債積立金あるいは特別積立金につきましては、一応限度を算定要領で書いてございますけれども、その中をどの程度認めるかにつきましては、一般電気電業者との契約の内容によって認めていくというたてまえをとっているわけでございます。
  212. 神谷信之助

    神谷信之助君 実際には、先ほど言いましたように、そういうものを含まれておると言いながら単価は十四年間で二十二銭しか上がっていないという計算にしかならない。これ、どう考えてみても腑に落ちないのですが、そういう正当な適正な利潤というものも加えて料金決定をされたのですか。いろいろな算定基準というものはそれぞれ一応ありながら、しかも最後のところではちゃんと経営上契約できる範囲内。それでいまの御答弁ですと、これは売りと買いがある、買い手がなければ売れないというお話。ところが買い手がよけいあるんじゃないですから、たとえば京都府営電気ですと買い手は関西電力しかない、こうなります。東北電力に売るというわけにいかぬでしょう。ですから、この辺はひとつどうなんでしょうね、通産大臣の許可になっていますが、自治大臣意見も聞くとか何とかして、売り手の方が弱いんですからね、圧倒的に。この立場もちゃんと補強するようなことを考えるというのは、自治大臣、どうですか。ちょっと自治体の側に立って少し協力援助をしてやってもらわないとこれは大変じゃないかと思いますが、どうですか。
  213. 嶋崎均

    政府委員(嶋崎均君) ただいまのお話でございますが、非常に、御承知のように、水力関係は電気会社自身が開発した水力もあり、それから公営の水力もありといったような形、そういうときにやはりある程度電気会社の採算というようなものがあっていまのような縛りが多分できたのだろうと、私は当時いたわけじゃありませんけれども、やっぱりそういうバランス問題というものが一つあるのだろうと思います。最近の実情につきましては、御承知のように油の価格が非常に上がって、火力の原価というものが非常に高くなってきている。それに比べて水力につきましては相対的に非常に安い形になっておるということは現実だと思います。したがって、それぞれの自治体から出していただいた場合に、よく電気事業法の精神にのっとりまして、十分個別の原価というものを適正に洗い直して、そして適正な料金設定をするということについては今後とも通産省努力をしていきたいというふうに思っております。
  214. 神谷信之助

    神谷信之助君 後でまた聞きますから、自治大臣のほうはもうちょっと後で。  もう一つは標準修繕費の問題です。これは三十二年の七月にこの単価が決定をされて以後改善がないということですが、いかがですか。
  215. 嶋崎均

    政府委員(嶋崎均君) 御承知のように、こういう施設というのは最初できたときには余り修繕をするということにならないわけで、新しい間は故障が少ないというんですか、そういうことでありますけれども、従来からのいろんな事例等から見まして、ある程度水力の規模に応じて単価を想定をして原価計算の中に入れておるわけでございます。したがって、電気の価格というものは長期に安定をしているということを前提にしまして、できたときには引き当てという形で、必ずしもその時期にはその発電所に必要でないものもコストとして見ている。それをずっと積み立てておいて、時期がたってさましたら今度はそれを取り崩して修繕をやっていくというような形になっている。したがって、いままでのところ、私の聞いている限りにおいてはある程度修繕引当金というものが残っておるというような感じになっておる。ただ、時期がだんだん過ぎており、また新しく公営の電力、水力の開発というのが少なくなって、まあ総体的な問題は別にしても、個別には時期がたっている。そして修繕単価というものがその後合わなくなって、コストを見直ししなきゃならないというような段階になってくれば見直ししていいと思っております。いままでのところは、ともかく当初長期に見て引き当てておった修繕引当金、その範囲内で大部分のものは処理されてきた。いよいよ引当金というものも枯渇をしてくると、現実、当時設定をした単価というものは適当じゃないということになれば、そこは十分ひとつ実態を調査いたしまして直していくべきである。また長期の採算を考えて、ある程度初めの間は引き当てが少したまるように、長期においてバランスをするような単価を決めて対処するということが必要だと思います。そういう意味での検討は引き続いて行っていきたいというふうに思っております。
  216. 神谷信之助

    神谷信之助君 民間の電力会社の場合は、料金改定のたびにこの標準修繕費の引き上げがありますね。ところが、公営電気事業の場合は、先ほど言いましたように、三十二年の七月以来据え置かれていると。ですから、公営電気事業経営者会議、これは当時の神奈川県の知事であった津田さんが会長で、通産省に対して、五十年度の料金改定の際には修繕費の見直しを配慮してほしいという申し入れに対して、そういう連絡を民間会社に非公式に行われたという回答をなさってますね、通産省の方から。実際これは京都で調べてみましたが、いままでで七百六十三万円を修繕に必要として使っておる。したがって、修繕費の積立金というのは一千万円しかないと。この六、七年に一回の分解修繕やるだけでも二千万円もかかるという状況になってきているんですね。だから、公営電気の方は設備がまだ平均十三年ぐらいでしょうか。ですから、まだ新しいわけではありますがそれなりに必要になってきているわけですから、しかもそういう要望も出ているんで、いま次官、見直しをするような意味の御発言でしたが、これ急いでどうですか、五十一年度に向けてこの修繕費の見直しをやってもらうということはお約束いただけますか。
  217. 嶋崎均

    政府委員(嶋崎均君) 私も細かい点まで十分承知をしておるわけじゃありませんが、仕組みがそういうことでございます。したがって、この修繕、特に安全を大事にする電気のことでございますから、修繕に差し支えがあるようなことになっては大変なんで、できるだけ早くそういう検討を進めさせたいというふうに思っておりますけれども、さてそれが、五十年度にやるのが適当であるのかどうか、よくひとつ各社別にもその修繕引当金の状態といいますか、そういうものもよく見まして、検討さしていただきたいというふうに思います。
  218. 神谷信之助

    神谷信之助君 もう時間がありませんから、二問にしたいと思いますが、この電気、水道問題で最後の質問にしたいと思いますが、そこでいままでずっと明らかにしてまいりましたように、公営水道における電気料金のアップに伴う影響というのは非常に大きい。まあ企業ごとに差はありますけれども、非常な影響を持っています。先ほど言いましたように、しかし、自治体の方からすれば、いろいろな面でサービスもしておるじゃないか、それから電力は安定的に低廉な料金で供給せにゃいかんというようになっていますが、同時に水道、水の方も安定的に低廉な料金でやはり供給しなきゃならぬ、これはあたりまえですね。  そこで、それを抱えている企業というか、親方の方の財政状況はどうかというと、水道なり電気事業をやっている自治体の方はもう火の車。これは次官御承知のとおりですね、現在火の車だ。ところが、電力会社の方はそんな火の車の状況じゃないじゃないか。たとえば関西電力の引当金の状況を見ても、四十九年の九月期末の残高は六千八百五十九億円でしょう。五十年三月期では七千百七十七億円。だから、社内留保の資金としてはどんどん着実にふえてきている。実際に公営水道で使う電気料金を少々割引をしたって、そんな大きな、それで赤字になってどうにもこうにも電気料金を上げなきゃならぬというような問題でもないあるいは売電価格を少々、一円上げた、二円上げたといったってそう大した大きな問題じゃない。  だから、この辺はひとつ理屈はどうのこうのじゃなしに、一般の住民の常識から言ってもどうにもならない。三円九十銭か四円ぐらいで電気を買うて、家庭へ送電するときは十五円、十六円で売られると、なおも関電はほろもうけじゃないかということに単純になって、実際はそんなことじゃない、もっと複雑なものがあるでしょうけれどもね。片一方では税金はいろいろまけてもろうたり、サービスしてもらいながら、しかし電気代は一円もまけぬと、こういうのが、何といいますか、常識的になかなか理解できない。私この辺ひとつ、これはでかい問題ですからすぐどうのということはできないと思いますが、ひとつ次官なりあるいは自治大臣の方から、今後そういう問題についての検討をして、だれが考えても納得のいくような方向というのを出す必要があるんじゃないかと思うのですが、この辺についての御見解を聞きたいということです。
  219. 嶋崎均

    政府委員(嶋崎均君) 公営電気事業の卸売料金をどうするかという問題につきましては、電気事業法の考え方もあるわけでございまして、そういう精神にのっとって適切に処理をしていきたいというふうに思っておるわけでございますけれども、いま先生御指摘の、それと、自治団体がやっておられる、いま端的に言えば公営の水道料金の基礎になる電気料をまけるという話とは、私は検討してみてもなかなか結びつきを見つけていくのには困難なところが非常に多いというふうに思います。しかし、せっかくのお話でございますから、中でいろんな論議をさせてみますけれども、私は非常にむずかしい話ではないだろうかというふうに思います。  それからもう一つは、何か片方、電力会社の方は相当余裕金があるから、少々思い切って値段を払ってもいいではないかという論理につきましては、これは総括原価方式、われわれはやっぱり電力会社の査定をするときには、それはやはり一生懸命に適正なものはどうするかという、小さい項目でも見落としなく処理をしていかなきゃならぬという立場にあるわけでございますから、基本的に事業の精神をよく踏まえて事柄の処理を今後やっていきたいというふうに思っている次第でございます。
  220. 福田一

    国務大臣福田一君) どうも私はいま聞いてまして、実は電気の問題は私はずいぶん長い間関係しているんですよ。実は終戦後に電気をつくったのは私がつくったと自分で思っているくらいで、このエネルギー問題については私は一つの——わりあいに初めから勉強しておったと申しておるんですが、いまあなたのお話を聞いておって、水道の料金の——公営企業の水道関係が電気料金をその関係の分は高く買わしたらいいじゃないかという御議論のようなんですが、大体ああいうものを設計するときには、水道をぜひやりたいと、水道をやりたいが、それだけやったんじゃ分が悪いから、電気を起こしてそれを買ってもらおうじゃないかというのが、地方でやっている計画のスタートが大体そうなっているんですよね。そのときには、大体これくらいの電気料金で買ってもらおうということでスタートしているんで、何も電力——まあ私は水をむだに使うということはこれは非常に損なことで、国の経済から言って非常に損ですから、だからせっかく水道のためにダムならダムをつくって、それでその水を使ってまた電気を起こすということ自体は私は意味があることであると思っておるわけですが、いま通産政務次官が言うておりますように、その問題と電気料金の問題とを直接に結びつけて問題を考えていくということがどういうことになりましょうか。ちょっと私もいまあなたのお話を聞いておっただけでは判断に苦しんでおるようなわけですが、まあせっかくのお話ですから、もう少し自治省としても勉強さしてみようと思います。
  221. 神谷信之助

    神谷信之助君 最後にしますが、きょう例に出しました阪神水道企業団ですか、そこの当局の方も、また議会の方も、この水道事業における電気料金についての特別の措置というのは、議会でも議決をして強く要望をしておるんですね。これは私、いまふっと覚えてますのはそれだけですが、ほかにまだ二、三あります。しかも、今度は水質汚濁に伴って塩素をどんどん投入しなきゃいけませんから、しかもそれが今度、例の水銀法から隔膜法に変えなきゃいかぬですね。これ隔膜法に変えるとさらにまた電気の需要が多くなる、電気代がさらにかさむわけですね。約三割ぐらい上がるだろうと言ってますね。ですから、これは水道料金のコストにとっては非常に大きい部分を占めていくと。片一方、こっちの電力会社の方の公営水道に対する電気料金の占める比率というのはきわめて微々たるものですね。片一方の方はその地域住民全体にコストとなってはね返る。そういう影響が大きいものですからね。この辺はひとつ、まあ水道を利用する者に全部料金として負担をせい、それがあたりまえだと言うだけじゃなしに、そういったいろんな諸点を一遍考えてもらいたいと。そうするとまあいろんなことが考えられるんじゃないかということで、県営電気の単価の問題や、それから自治体が電力会社にやってるサービスの問題やら、いろいろな問題を出しているわけです。これらを勘案をして、どのように考えて、そして公営水道の経営を守っていくか、発展をさせるかということをひとつお互いに考えようじゃないかということで提起をしてるわけですからね。そういう立場から両省ともひとつさらに検討をしてもらいたい、直接の厚生省の方もそういうことでひとつ考えてもらいたいということを要望しておきたいと思います。  きょうは財政問題もやる予定をしておったんですが、半分に減らされまして、残念ながら大臣局長と議論をすることができませんが、また次回に譲りたいと思います。
  222. 原文兵衛

    委員長原文兵衛君) 本日はこれにて散会いたします。    午後四時十五分散会      —————・—————