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1975-12-16 第76回国会 参議院 商工委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年十二月十六日(火曜日)    午前十時十九分開会     —————————————    委員異動  十二月十三日     辞任         補欠選任      対馬 孝且君     竹田 四郎君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         林田悠紀夫君     理 事                 熊谷太三郎君                 楠  正俊君                 小柳  勇君                 須藤 五郎君     委 員                 岩動 道行君                 小笠 公韶君                 剱木 亨弘君                 斎藤栄三郎君                 菅野 儀作君                 福岡日出麿君                 矢野  登君                 吉武 恵市君                 阿具根 登君                 鈴木  力君                 竹田 四郎君                 森下 昭司君                 桑名 義治君                 中尾 辰義君                 安武 洋子君                 藤井 恒男君    国務大臣        通商産業大臣   河本 敏夫君    政府委員        通商産業政務次        官        嶋崎  均君        資源エネルギー        庁長官      増田  実君        資源エネルギー        庁石油部長    左近友三郎君        中小企業庁長官  齋藤 太一君        中小企業庁小規        模企業部長    栗原 昭平君    事務局側        常任委員会専門        員        菊地  拓君    説明員        中小企業庁計画        部金融課長    安田 佳三君        運輸省港湾局技        術参事官     鮫島 泰佑君        海上保安庁警備        救難部航行安全        企画課長     馬場 一精君   参考人        石油開発公団総        裁        倉八  正君        石油連盟会長   石田 正實君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○派遣委員報告石油備蓄法案内閣提出衆議院送付) ○中小企業信用保険法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 林田悠紀夫

    委員長林田悠紀夫君) ただいまから商工委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る十三日、対馬孝且君委員を辞任され、その補欠として竹田四郎君が選任されました。     —————————————
  3. 林田悠紀夫

    委員長林田悠紀夫君) 産業貿易及び経済計画等に関する調査議題とし、先般、当委員会が行いました委員派遣について、派遣委員報告を聴取いたします。阿具根君。
  4. 阿具根登

    ○阿具根登君 北海道炭礦汽船幌内炭鉱災害に関する委員派遣報告を申し上げます。  幌内炭鉱災害委員派遣の概要を御報告申し上げます。  日程ば十二月五日、六日の二日間でありまして、現地では札幌鉱山保安監督局北海道炭礦汽船株式会社労働組合職員組合北海道三笠当局から、それぞれ災害実情等について説明並びに要望などを聴取してきました。  派遣委員は、高橋委員対馬委員相沢委員安武委員三治委員及び私の六名でありましたが、小笠原委員現地参加しました。  まず、災害の概況についてでありますが、すでに通産省から本委員会報告がありましたので省略させていただきますが、罹災者三十一名のうち、行方不明者十三名はなお坑内に残されたままになっております。  災害原因につきましては、ガス爆発であることは明らかですが、坑内にまだ十三名の遺体を残したまま六片に現在注水が続けられており、四片風道坑内火災も消火されておらない現状で、目下遺体の収容に全力を挙げておりますので、災害原因究明にはまだ至っておりません。  次に、現地における要望事項等について申し上げます。  労働組合からは、保安監督員制度根本的見直しと一元的な保安監督体制確立深部開発に伴う重大災害を防止し、保安技術向上を図ることを目的とした国立鉱山保安技術開発センター設置閉山に追い込まないよう災害復旧のための国家資金投入等十二項目の要望があり、職員組合からは、深部開発対策遺家族対策幌内炭鉱再建対策等について要望が、また、道並びに三笠市からも、深部採掘に即応した保安監督指導体制確立幌内炭鉱再建等についての要望がありました。  われわれが現地に参りまして感じましたことは、当幌内炭鉱一般炭を採掘しており、ガス量通常は少ないとはいえ、炭鉱が古く、現在一千メートルの深部開発を行っており、ともすれば深部開発に伴う保安体制並びに対策研究がおくれがちであり、今回のガス爆発を機に、保安法規の改正、国立研究機関設置保安予算の増額など国のより積極的な対策が望まれます。  また、新石炭政策が近く発表されようとするとき、今回のような重大災害の続出が業界関係当局に対しその前途に暗い影を投じないよう、特に一部にうわさされておるような幌内炭鉱閉山が絶対にあってはならないので、これに対する政府当局の一段の配慮を強く要望いたします。  なお、労働組合等から出されました要望書につきましては、別途文書をもって委員長に提出することにいたしておりますので、よろしくお取り計らいをお願いいたします。  以上御報告申し上げます。
  5. 林田悠紀夫

    委員長林田悠紀夫君) 派遣委員報告は、これをもって終了いたしました。     —————————————
  6. 林田悠紀夫

    委員長林田悠紀夫君) 石油備蓄法案議題といたします。  本日は、本案について参考人方々から御意見を聴取することといたします。  参考人として、お手元の名簿のとおり、石油連盟会長石田正實君、石油開発公団総裁倉八正君の御出席をいただいております。  この際、参考人方々一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、皆様には御多用中のところを本委員会に御出席いただきまして、まことにありがとうございます。本日は、ただいま議題といたしました法案につきまして、それぞれのお立場から忌憚のない御意見を賜りまして、今後の本案の審査の参考にいたしたいと存じておりますので、何とぞよろしくお願いいたします。  なお、参考人方々には順次それぞれ二十分程度陳述をお願いし、その後、委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。  それでは、まず石田参考人からお願いいたします。
  7. 石田正實

    参考人石田正實君) 石油連盟会長石田でございます。本日は、わが国石油産業現状並びに石油備蓄法案に対する意見開陳の機会を与えられましてまことにありがとう存じます。  私がまず最初に申し上げたいことは、ここ数年来、わが国石油産業産油国の結束によるOPEC攻勢契機といたしまして、かつてない重大な危機に遭遇しておるということであります。とりわけ四十八年秋の石油危機以来、石油産業は、危機以前と比べまして約五倍に達するOPECの驚異的な原油値上げに当面しながら、一方、日本経済界を取り巻く深刻な不況状況等によりまして、これを製品価格に転嫁することができぬまま、いわゆる逆ざやとなりまして、大幅赤字経営を余儀なくされまして、四十八年下期以降、実に四期にわたりまして巨額赤字決算に追い込まれ、特に本年の上期、九月の決算状況は一千億を超える大幅赤字となって、いまや経営危機状況に呻吟しているところであります。  これに加えまして、本年十月には、さらにOPECによります約八%に及びます原油値上げがあったばかりでなく、最近、御承知のとおりのような円安状況となりまして、石油産業を取り巻く環境は一層深刻化しておりまして、現在私ども石油業界は、この不況脱出を図るため必死の努力を傾注しておる現状でございます。  備蓄国家的事業でありまして、その性格上国責任をもって行うべき性質のものと考えております。やむを得ずその一部を民間ベースで行わざるを得ないとしましても、よほどの手厚い助成がなければ、以上申し上げましたような石油業界現状から見まして、民間でこれを行うことはとうてい不可能であると申し上げざるを得ないのでございます。  次に、備蓄につきましての希望並びに意見を申し述べたいと思います。  備蓄増強は、もともとナショナルセキュリティーの観点から国民全体のために行うものでありますから、本来金融ベース民間ベースに乗せにくいものでありまして、国みずから直接備蓄を行うか、国が備蓄施設建設しましてこれを民間に払い下げまたは貸与するなど、国みずからの役割り明確化及び強化する必要があるものと考えるのであります。石油産業といたしましては、備蓄重要性を痛感いたしまして、政府指導によって今日まですでに通常ランニングストック——四十五日分でございます——を超える備蓄を行っているところであります。通産省では五十四年度末までに石油備蓄水準を九十日分まで増強することを考えておられますが、最初に申し上げましたような石油産業実情からいたしまするならば、今後この備蓄増強を行うためにはさまざまな困難な問題が山積していることを指摘する必要があると思います。その主な点について申し上げたいと存じます。  まず、備蓄に要する資金について申し上げます。  備蓄に必要な土地代タンク建設費備蓄原油代等備蓄資金は莫大な額に達するものであります。十万キロタンク一基を例にとりましても、この建設に要する資金土地代を含めて約十八億円、このタンクに貯油する原油代が、貯油率八割といたしまして約二十億円、合計三十八億円に達するものであります。今後の九十日分備蓄を達成するためには、わが国全体で約三千万キロリッターの備蓄積み増しが必要とされておりまするが、これをもとに計算いたしますと、所要資金の総額は、現在の物価水準のままといたしまして、約一兆四千億円に及ぶ見込みであります。こうした莫大な額の資金は、備蓄がもともと国民全体のためのものであり、かつ通常金融ベースコマーシャルベースには乗りにくいものであることを考慮いたしますならば、当然国の財政資金で賄うべきものと考えられます。  しかしながら、本年度につきましては、政府による助成措置といたしましては、原油購入資金につきましては、債務保証として二ないし四%の利子補給が行われる程度のものでございまして、肝心の購入資金そのもの調達につきましては、石油会社コマーシャルベース民間金融機関から調達するほかはないのでございます。しかも、政府助成借り入れ期間を三年に限り、あと一括返済ということでそれ以降の借りかえにつきましては、そのめどもなく、またそれに対する助成もございません。本年度はこの程度助成措置のもとにおいて、私ども備蓄増強に取り組まざるを得ない状況にありますが、来年度以降備蓄増強計画が本格化いたしますならば、とうていこの程度助成措置では計画を遂行することは不可能でありますので、今後は、たとえば備蓄のための公債の発行等政府において強力かつ抜本的な構想を打ち出され、現在のような不安定な資金的措置ではなく、長期かつ安定的な資金の裏づけをぜひとも実現していただくよう、強く要望するものであります。  次に、備蓄に要するコストについて申し上げます。  九十日分備蓄の場合、物価動向は現在の水準のまま移動いたすといたしましても、減価償却費金利保険等よりなる備蓄コストは、備蓄油を一カ年間寝かせていくだけで、キロ当たり約五千六百円に達するものであります。しかもこのうち現在政府の行っております助成措置は、キロ当たり約千百円にすぎませんので、結局業界負担キロ当たり四千五百円に及ぶものであります。前述したとおり、ただでさえ大幅な累積赤字を控えております石油会社にとって、備蓄をすればするほど赤字をますます増加させる結果となるようでは、備蓄増強の遂行はとうてい不可能であるわけでございます。  さらに、備蓄用地の問題について申し上げたいと思います。  用地確保することが備蓄推進の上で最大の難関となっております。今後九十日分まで備蓄を増強するためには、前述のように約三千万キロの積み増しが必要とされますが、その前提として計算いたしますと、十万キロタンク八割の貯油率といたしまして三百七十五基、所要の面積約五百万坪に達するものと思われます。特に、今後たとえば消防規制の改定、コンビナート防災法等の成立により、保安防災対策を一層強化しなければならない事情を勘案いたしますれば、備蓄増強のための用地を今後短期間確保することは、よほどの対策が講じられなければ現状では不可能であります。  用地確保のためには、地元コンセンサスを得ることが先決必要の条件でありますから、そのためには朝野を挙げて、全国民的な備蓄推進コンセンサスを形成するための強力な措置を実施していただくとともに、国及び地方団体による抜本的な支援体制が講じられることが何よりも必要であると考えます。こうした国民的合意、抜本的な支援体制がなければ、備蓄増強を予定する期間内に、計画的に達成することはとうてい不可能であると申し上げざるを得ません。  最後に、備蓄に関する国の役割り国民的合意について申し上げます。  石油備蓄法案には、国の施策として同法案第三条には、「石油備蓄円滑化を図るための施策を議するとともに、石油備蓄確保必要性について国民理解を深めるよう努めなければならない。」と規定されておりまするが、この規定が単なる宣言的な規定に終わることなく、この規定によって実効のある各種の具体的措置が国によって実施されることを強く望むものであります。  繰り返して申し上げますならば、本法案は、私ども石油業界に対して、今後永久にわたり厳しい義務づけを行うものであり、私どもがその義務を遂行するためには、必要にして十分な国の強力な、積極的措置が必要であります。このためには、いままで申し述べてきたとおり、石油産業に対する助成措置画期的強化、立地の確保及び備蓄コスト負担等につきましてはもちろんのこと、国みずから備蓄を行うか、あるいは国が備蓄施設建設しまして、これを民間に払い下げ、または貸与することなど、国みずからの責任役割り明確化及び強化される必要があると考えるのであります。  以上、本日の陳述を終わるに当たりまして一百申し上げますが、一昨年来の石油危機契機といたしまして、石油開発備蓄増強推進が今日ほど要請されている時期はないと思われます。もとより私ども石油業界といたしましても、これらの問題に対し、前向きで努力を傾注しなければなりませんが、先ほどるる申し上げてきましたとおり、石油産業体質は著しく脆弱化しておりまして、まさに危機の様相を呈しておりますので、備蓄増強民間ベースで行わざるを得ないといたしましても、経営危機に落ち込んでいる石油産業体質強化が実現しない限り、これを実行することはとうてい不可能であります。業界立ち直りに必死に努力中の石油産業を取り巻く環境づくりについて、国会皆様方を初め、国民各位の十分なる御理解と御支援を心から要望するものであります。  以上。
  8. 林田悠紀夫

    委員長林田悠紀夫君) ありがとうございました。  次に、倉八参考人にお願いいたします。
  9. 倉八正

    参考人(倉八正君) 倉八でございます。石油備蓄必要性、あるいは業界が非常に困っている現状についての大きい問題点につきましては、いま石田参考人から申し上げられましたので、私はできるだけ重複を避けて申し上げさしていただきたいと思います。  日本エネルギー構造というのが、石油に非常に依存しておりまして、御承知のように、七六、七%ぐらいを石油に依存しております。その石油のほとんど全部を海外から仰いでおるというのが日本の非常に弱いところでありますが、もしも一昨年の危機のようなことが起こり、あるいはそこまで至らないとしましても、OPEC諸国生産制限に遭って、日本石油が十分確保できないという、そういう緊急状態に際しまして、われわれは何をすべきかということを考えますと、まず第一に、節約を図って、できるだけ石油を食い延ばすという方法もありましょうが、しかし、より有効なことは、常時石油備蓄いたしておりまして、そういう緊急状態が発生したならば、それを取り崩しまして、国民生活の安定、あるいは経済活動維持ということに努めるのが一番適切な策かと思います。こういう意味におきましても、日本よりもはるかに恵まれておりますヨーロッパ諸国におきましても、ある場合には法的措置により、あるいは政府の諸施策によって着々と備蓄をいま進めておるのが現状でございます。  いま出されております備蓄法というものは、九十日という目標を掲げて、これを年度別に段階的に積み増していき、また、その維持を図るというのが今度の法案の私は趣旨かと思いますが、ただ、備蓄といいましても、備蓄一般に共通する問題でございますが、特に石油備蓄につきましてはきわめて巨額事業でありまして、土地にしましても、さっき説明がありましたように、四百九十万坪も要るとか、あるいは三百七十五基の十万トンタンクを要するというような、非常なる巨額な金を要する国家の大事業であります。それから、この備蓄性格が非営利的な性格を持つものである上に、絶えず備蓄のために大量の原油を抱え、あるいは製品を持っておりますと、市況圧迫という問題に絶えず備蓄義務者というのはさらされる、こういう非常なる苦難の面が責任者にはあろうかと思います。しかしながら、備蓄というのが国家目的である以上、何とかしてやらなくてはいけないというためにはどうするかというのが一番大きい問題でありまして、そのためには、備蓄責任者に対してできるだけの負担を軽くして、そうして円滑なる実施を図るように政府施策をとるということが一番必要でありまして、いわゆる備蓄義務者政府施策というこの唇歯輔車の関係におきまして行うべきであろうかと私は考えます。  政府助成措置といたしましては、やれ金融面あるいは財政面によりましていろいろの資金を供給する、あるいは税制によりまして特別償却をやる、あるいはまた、それに対する固定資産税の減免を図る、いろいろあるわけでありますが、私がいま預かっております石油開発公団といたしましては、二つのことをお引き受けいたしまして、助成する柱ができておるわけであります。  第一の柱は、さっきもお話ありましたように、膨大なる原油購入して、それをためておくということには巨額資金を要するわけで、その資金に対しましては政府保証による市中借り入れによりまして九割の融資をいたします。そうしてさらに、金利補給四%——六十日を超すものについては四%、六十日までにつきましては二%という金利補給石油特別会計からいたすわけであります。これが、第一の柱。  それから、第二の柱といたしましては、共同備蓄会社に対する出資及び共同備蓄会社がやられます施設に対する援助、これがございます。共同備蓄会社と申しますのは、備蓄をおやりになります複数の企業がひとつ共同して備蓄をしようじゃないかと、こういう場合に、石油開発公団といたしましてはこれに半額の出資をいたします。また、この共同備蓄会社がさらにタンクをつくり、その他の施設をやられるという場合におきましては、八割の融資比率で私の方からそこにお出しする、こういう仕組みになっております。もちろん共同備蓄会社をつくるにしましても、大事なことは保安の問題であり、あるいは環境保全の問題に第一に留意するということは当然でございます。  こういうことを私の方で助成さしていただくことになりましたのも、先生方に御努力いただきまして、先般の国会石油開発公団がそういう備蓄の仕事もやれるということになりまして、つい先般、私のところに備蓄部というのをつくりまして、着々と体制を整えております。いずれにしましても、備蓄というのが国家目的の大事業である関係上、国民の本当なる心からなる御支援と御理解がなければとうていやっていけません。さっきお話のありました費用を分かち合うという意味におきましても、また、基地をつくるという場合におきましても、地元皆さん方あるいは地元のみならず、各先生方の心からなる御支援をいただきたいと思います。  私はいま、そういう備蓄の話をいたしましたが、私の立場からさらに申し上げれば、何とかして日本周囲石油を出したいというのが非常なる願望であります。北海の油田のごとき、一九六二年から始めまして、来年では五十五万バーレルと、イギリスの大体二七%ぐらいは自分の庭先から出るということになりますと、これが何より安定した備蓄であるわけであります。しかしながら、なかなかおいそれいきませんが、その方面においても皆さん先生方の御支援を特にちょうだいいたしたいと思います。  なお、備蓄に関連する予算は、いま公団予算につきましても政府にすでに出しておりますから、近く始まる予算折衝におきましても、各先生方の御支援と御指導をお願いいたしたいと思います。  簡単でございますが……。
  10. 林田悠紀夫

    委員長林田悠紀夫君) ありがとうございました。  それではこれより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  11. 小柳勇

    小柳勇君 御苦労さまでございました。  石田会長にはこのことを一言お聞きしたいんですが、石油業界の再編成に対する会長のお考えはいかがでしょうか。  それから公団総裁には、備蓄財源調達手段の一つとして石油公団債考えられますが、総裁のお考えはいかがですか。一問ずつ質問いたします。
  12. 石田正實

    参考人石田正實君) お答えします。  石油業界集約化の問題につきましては、現在エネルギー調査会石油部会で検討中でございますが、まだ業界としましてははっきりした成案ができたわけじゃございませんけれども、しかし、石油業界は非常に大小さまざまの会社がある。ほかにまた民族系外資系があるということで、非常に過当競争的な体質になっていることはこれはもう否めない事実だと思います。そういう意味で、やはりある程度集約化するということは必要であるというふうに思うわけでございます。  現在まで、エネルギー庁の方から集約化方法等につきましては、いろんな備蓄とかそれから原油購入とか、それから輸送方法とかいうようなものについて共同化をやったらどうかと。それから第二段階といいますか、その次としては、そういうようなのを共同事業化する、グループ化しまして、その中で共同化でやっていくと。共同備蓄という問題がいま出ておりますけれども、そういう問題をやっていくとかいうようなことでだんだん共同化集約化していくというような方法がいま言われておりますが、あした実は石油部会が開かれるわけでございまして、それでさらに政府の方からどういう案が示されますか、またそういう方針が示されるのじゃないか、こう思っております。業界というのは、先ほど申しますような非常にいろんな外資系民族系、しかも、大小いろいろあるというようなことで、そこら辺をある程度集約化して、そうして業界全体の体質を強くするということが、これは対外的に原油購入する場合におきましても、また、国内の市況是正という面から見ましても必要ということだけは言える、こう思うわけでございます。  以上でもって一応私の意見を終わりたいと思います。
  13. 倉八正

    参考人(倉八正君) お答えいたします。  原油購入資金に充てるために、石油開発公団債を来年は千百十四億発行したいと思っております。それは市中引き受けと資金運用部引き受け、おのおの半分ずつでありまして、十年償還という公団債を発行したい、こう考えております。
  14. 桑名義治

    ○桑名義治君 御苦労さまでございます。  石油備蓄というものは、わが国にとりましては非常に大切なことであるわけでございますが、いずれにしましても国民の生活を安定をさせるためには、この石油備蓄もさることながら、先ほど公団総裁が言われましたように、日本の近海から、いわゆる日本の国から石油を産出するということが最も大事なことであるというふうに言われました。それと同時に、やはり供給源の多角化ということは、これはどうしても進めていかなければならない事実であります。  そうやった立場から考えますと、現在日本が置かれている立場から物を申しますと、中国からの石油の輸入ということが非常に重大になってくると思うんです。そうやった立場からいろいろとマスコミでも論議をされておるわけでございますが、石油業界の中ではこれに賛成する方向と、それから反対をする方向と両方に分かれているということがよく報道されております。この事柄について、もちろんいままでの石油の質が重質の分と軽質の分と、こう分かれているために、設備の面からこうやった事柄が論じられておられることと思いますけれども石油業界全体としてどのような方向で今後考えていかれようとしておられるのか、石田参考人からお伺いしたいと思います。  それから、もう一点でございますが、九十日分の備蓄を達成をするためには三百七十五基、五百万坪のいわゆる土地が必要であるというお話でございました。そこでこの五百万坪というのは、現在の業界で持っていらっしゃる基地、それにはまだ多少の余裕があると思うんです。その余裕を埋めてさらに五百万坪の土地が必要なのかどうか、その点について伺っておきたいと思います。
  15. 石田正實

    参考人石田正實君) お答えします。  まず最初の中国原油の問題でございますけれども、御承知のとおり、日本の輸入は全部ほとんど一〇〇%近く海外から輸入しておるわけですが、その約八〇%というのが中近東に依存しておるわけでございます。この中近東だけに依存しておるということは、中近東の政情の不安というようなことから考えまして、これはできるだけやっぱり多角化するということが必要になると思います。そういう意味でマラッカ海峡から以東と申しますか、そういう面でインドネシア原油、それからマラヤの原油とか中国原油というのが、これがだんだんふえてくると思います。これは日本原油の入手の安定という面から見ましても必要だと考えるわけでございます。インドネシア原油の方は、前から相当入ってきておりますが、幸い今度中国原油の方がだんだん増産になりまして、まあ毎年二〇%ぐらい生産がふえておるようでございますので、これを日本に持ってきますことは、これは距離的に非常に近いということと、それからまた、日中の貿易の拡大という面からしましても、これはやはりふやすことが望ましいというように考えられるわけであります。  ただ、石油業界としますというと、実はいま八百万キロぐらいことしは入れるわけでございますけれども、この油が非常に重質油でございまして、特徴は硫黄分は〇・一以下でございまして、これは非常に結構でございます。それから重質油、ワックスが非常に多いために、また非常に流動点が高い。普通の温度では凍るというような、固まっておるというような状態でございます。ですから、石油日本の需要にマッチする原油としましては、いまのままの状態ですと、これはもう相当数量が制約される。現在、少なくともあと二百万トンもふやせばいっぱいじゃないかという感じでございますが、しかし、これがまたいろいろ石油の精製の方法がございまして、いわゆるハイドロクラッカー——水素添加の分解方法というものがございます。そうしますというと、そういうふうな重質油の油を軽い油に変えることができるわけでございます。そういう方法をやりますというと、この原油をかなり相当ふやして入れることができる、そういうふうに考えられるわけであります。  ただしかし、軽質化するためには、先ほど申しますようなハイドロクラッカーというかなり高い、これは数百億かかる装置でございますが、そういうものを今後ふやしていかなければならないわけでございまして、そういうものをふやしていくということを一緒にして今後のやっぱり増量を考えていくというほかはないと思うわけでございます。  業界全体としては、私、別に反対というような意見は聞いておりません。最近、外資系の方もだんだん中国原油を入れるというような希望のようでございますので、まず石油業界全体としては、中国原油が今後ふえてくることにつきましては相当理解がある。ただ、先ほど申しますように、現在の装置ではちょっといまわれわれ日本のこれの需要とマッチしないものがあるもんですから、そういう装置をできれば政府助成等によりましてつけていくことによりまして、中国原油をふやしていくということが可能であるわけであります。そういうことを業界としては希望しているような状態でございます。  それから先ほど、三千万キロリッターにするために大体五百万坪要ると申しましたが、五百万坪、これは十万キロ一基に対して一万三千坪ですか、それだけ要るという計算でやっておるわけでございまして、そういうために約五百万坪要るわけでございますが、しかし、石油業界でいま手当でしている分でまだ余地が百七十万坪ありますので、実際にこれから必要なのは三百三十万坪ということになるわけでございます。  以上をもって終わります。
  16. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 二点ほど伺っておきたいと思いますが、正直のところ石油業界としてはこの備蓄法に賛成なのか、反対なのか。賛成の場合は、条件つき賛成なのかどうかという点をまずお伺いします。正直に答えてください。
  17. 石田正實

    参考人石田正實君) 条件つき賛成ということでございます。
  18. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 その条件というのは、どういう条件ですか。
  19. 石田正實

    参考人石田正實君) 非常に率直に申しますならば、政府の方でいままでのランニングストックといいますか、それはもちろん六十日分までいまやっておりますから、これはいいとしまして、あとの三千万キロなどは政府でできれば土地を獲得してタンクをつくって、そして後貸していただくか、払い下げていただくか、そういうような方法でございますし、油などの融資の問題も、先ほど申しますように、この利子補給は二%とか四%ついておりますけれども、これはもう別枠になっておりませんから、結局われわれが市中銀行に頼みまして、われわれの持っておる短期の資金を逆に長期に切りかえるようなことでやっと切り抜けているようなわけでございまして、これは市中銀行のわれわれの、簡単に言いますと枠の中でやっているというようなことでございますので、銀行はこの備蓄というものに対しまして非常に反対しているような状況でございます。  これはもう申すまでもなく、備蓄そのものは石油業界にとって何にも得にならないものでして、非常な負担こそなれ、利益にはつながらないわけでございます。そういう意味からも、ただ資金的には非常にわれわれを圧迫するというようなことでございますし、特に最近は銀行が資金繰りが非常に苦しいものですから、銀行あたりでは、この備蓄の問題に大分反対しているというような状況でございます。
  20. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 あなたのさっきの最初の話を伺っていると、ややもするとこういうふうに聞ける点があるんですね。この備蓄法国家的な利益の立場に立って行われている、自分たちは企業本位に考えておるというふうな、こういう意味——私の理解が正しいかどうか、聞きそこないがあるかどうかわからないんですが、そういう意味にとられる言葉があったように思うんです。私は、やはり企業といえども国民本位の立場に立つのが本当の企業だと思うんです。国民の利益を度外視した、企業の利益のみに堕するということは、これは私は正しくない、こういう見解を持っていますので特に聞くわけなんですが、それでは備蓄しないで済む方法があるかということです。皆さんはどういうふうに考えておりますか。
  21. 石田正實

    参考人石田正實君) それは現在のところこういう、ことに中近東の政情がああいうふうでございますので、これは備蓄をやらないということはできないと思います。やはり少なくとも九十日ぐらいの備蓄は、国としてこれから考えなきゃならないというふうに考えます。
  22. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 そうすると、もう一遍言葉を返すと、備蓄をやる場合には企業本位で備蓄をやってもらいたいと、こういうことですか、どうなんですか。
  23. 石田正實

    参考人石田正實君) いや、企業本位というわけではございません。これはそういうふうな国家的性質のものであるということを申し上げたわけでございまして、それについて石油業界が協力する、これについては何ら異存があるわけではございません。
  24. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 それじゃ、企業として企業立場に立った条件などということはどういうふうに理解していっていいんですか。何だか企業の利益がまず優先して、その次に国家的な見地というような言葉がくるように私は聞き取れるのですが、あなたの言葉から。というのは、この前の石油問題の起こったときに、千載一遇のチャンスだと言っにべらぼうに値を上げて国民を苦しめたという石油業界の悪徳が今日までやっぱりずっと私たちの胸の中にありますから、だから改めて私はその点を伺っておこうと思うのです。やはり国家的な見地に立って国民の利益をまず優先して考えるべきであって、企業の利益を優先させるべきでない、こういう私は考えを持っていますので、あなたたちの意見を伺っておくわけです。
  25. 石田正實

    参考人石田正實君) 申し上げます。  私どもはしかし、自由主義経済の中におきまして会社を経営しているわけでございまして、そういう意味では、やはり資本とかそれからその経営、それからある一定の利潤というものは、これは当然考えなきゃならない前提でございます。そういう枠の内において社会的責任を果たすということがわれわれの責任じゃないか、こういうふうに考えるわけでございます。
  26. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 これ以上……
  27. 林田悠紀夫

    委員長林田悠紀夫君) もうその程度で……。
  28. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 わかりました。あなたとここで議論する時間もありませんから私はしませんけれども、やはりあなたたちの頭の中には企業本位がまず優先して、国民の生活というものは第二義的になっていく傾向があるわけですね。だから私たちこの備蓄法を審議するに当たっても、やはり備蓄法を審議するのは国民の生活本位、国民の利益本位で考えていこうというのが私たちの考え方なんです。そこらであなたたちの考えとはどうも一致しない点が出てくる。そこであなたたちの本当の考え方をちょっと伺っておきたいと思ったわけです。よろしゅうございます。
  29. 林田悠紀夫

    委員長林田悠紀夫君) 他に御発言がなければ参考人方々に対する質疑はこれにて終了いたします。  参考人方々には、御多用中、長時間にわたり御出席をいただき、また、貴重な御意見を拝聴させていただきましてまことにありがとうございました。委員一同を代表いたしまして厚くお礼を申し上げます。  石油備蓄法案について質疑を続けます。
  30. 鈴木力

    ○鈴木力君 大分質問がずっと進んでおりましたので、各方面にわたっての前の質問がずっとありましたので、できるだけ重複をしないように若干の問題についてお伺いしたいと思います。  その第一は、まず、直接この法案とは関係がございませんけれども、いまのエネルギー問題という大きな問題の中で地熱開発、この問題が一つの大きな問題といいますか、一つの課題になっているふうに私も承知しております。これも歴史は浅いことでもありますし、恐らくこれからの問題だとば思いますけれども、全体のエネルギー政策の中における地熱の位置といいますか、政府はどのようにとらえておりますか。同時にまた、現状なんかもお伺いしたいと思います。
  31. 増田実

    政府委員(増田実君) わが国エネルギー構造が非常に石油に依存しておりまして、これが今後のエネルギーの安定供給につきまして種々な不安な問題点を残しておるわけでございます。そういう意味で今後のエネルギー政策といたしましては、できるだけ石油依存度を減らす、また、その際には国産エネルギーというものをできるだけ活用する、こういう基本的な方向に基づきまして、いま先生からお話のありました地熱発電というものを振興しなければならない、こういう立場に立っておるわけでございます。  ただ、地熱発電の振興につきましては、現在はまだ非常に初期的な段階にありますのと、それからもう一つは、地熱発電のための立地につきまして、大部分が国立公園、国定公園の地域にあるということで、ここの環境との調和問題というものを図らなければならないわけでございますが、これらの問題につきましては、いろいろと環境を保全しながら地熱の利用を行う、こういうことで、私どもといたしましては、昭和六十年度に地熱発電を相当程度振興いたしまして、二百十万キロワットの規模にまで引き上げたい、こういうことで考えております。これにつきましては、八月に、総合エネルギー調査会におきまして長期エネルギー需給計画が策定されたわけでございますが、ここにおきましても、二百十万キロワットの地熱発電を昭和六十年度に達成するということを目標として掲げておるわけでございます。
  32. 鈴木力

    ○鈴木力君 それで、いまの御答弁のとおりだと思いますけれども、将来の展望を考えてみますと、六十年度で二百十万キロワットを計画をしておる。しかし、いま御答弁にありましたように、これはもうでき上がっているといいますか、実験済みというのは岩手県の松川ですか、あるいは、そういうところから進んでおるわけですけれども、先ほど以来の石油備蓄でも、参考人の方の御意見もあったように、私はむしろ地熱資源の開発なんかにつきましては、それこそ企業ベースということよりも、国家主導型にといいますか、そういう形の方向にもう少し力を入れていくといいますか、環境の調和問題はもちろんでありますけれども企業化の促進という方向へも、やはり具体的にもう国がそれぞれの施策を施して促進をしていく段階に来ているのではないか、そういうふうにも考えられるのですけれども、そういう点についての御所見をひとつ承っておきたいと思います。
  33. 増田実

    政府委員(増田実君) ただいま先生からおっしゃられましたように、地熱発電の現状につきましては、現在まだ四発電所を合計いたしまして出力が五万キロワットということで、先ほど申し上げましたように、まだ初期的段階にあるわけでございます。  ただ、これにつきましては、国産エネルギーの活用ということからもこれを振興をしていきたいということを、先ほど御答弁申し上げたとおりでございますが、これにつきまして、国のこれに対する各種の促進策はすでに行っておるわけでございまして、昭和四十八年度を初年度といたしまして、三カ年計画で全国地熱包蔵量調査という基礎調査を行っております。また、この基礎調査の結果を踏まえまして、精密調査あるいは環境調査を昭和四十九年度から実施しております。この精密調査につきましても、これは国の金で行っておりまして、昭和五十年度予算は約八億円ということになっております。また、五十一年度、これをさらに拡大するということで、予算の要求中でございます。  ただいまおっしゃられました企業の促進化ということにつきましては、いま申し上げました基礎調査を行いまして、地熱発電の適地を探す、その基礎調査の結果、相当な適地があった場合は、それをさらに精密に調査をするということで、従来ですと企業がみずからこの基礎調査、精密調査を行っておったわけでございますが、これにつきまして相当多額の国の資金を投入いたしまして、そういう基礎的な調査を行うということでやっておるわけでございます。この結果、従来は、先ほど先生から御指摘のありました、たとえば松川の発電所も、この基礎段階から相当な時間がかかってようやく企業化された、こういう実情でございますが、いま申し上げました基礎調査、精密調査を行うことによりまして、従来企業が行っておりました調査期間が非常に短縮され、その結果、企業化が相当促進されておるという結果が出ておるわけでございます。  また、今後の課題といたしましては、たとえば調査井のボーリングなどを行いますにつきまして、これを助成するというようないろんな方向を考えております。  そういうことで、私どもとしては、地熱発電というものがエネルギーの中で非常に貴重な国産活用のエネルギーであるという観点から、その促進を図り、企業化についてできるだけ早く実現するような方策を講じていきたい、こういうふうに考えております。
  34. 鈴木力

    ○鈴木力君 それで、いま伺いましたのは、たとえばボーリングならボーリングということについて、私はこの技術的なことわからぬですけれども、いま使っておるボーリングの機械ですか、装置ですか、設備と言ったらいいのかわかりませんけれども、非常に旧式だという話を私は伺っておる。そうすそと、もう少し高能率のものに切りかえないと、事実上いま進行しておる過程においても非常に障害があるということを聞いております。もしそれが本当だといたしますと、新しい、能率のいい機械が開発されておると思うのですから、それが導入されるためにも、それだけじゃありませんでしょうけれども、多額な資金という問題がまた出てくる。伺いますと、そういう精密調査も含めまして、通産省とかエネルギー庁が地熱資源開発促進センターの設立を準備中であるというふうに伺っておるのですけれども、いま申し上げたようなこの一連の——時間がありませんから、一つ一つでなしに、このセンターの構想と、それからいま申し上げたような諸点についてひとつお伺いしたいと思います。
  35. 増田実

    政府委員(増田実君) ただいま鈴木先生からおっしゃられました地熱資源開発促進センター、これを明年の四月を目途として発足させようという計画をいま私ども持っております。これは現在準備段階でございますが、需要家その他の協力と、それから国の助成ということで、地熱資源開発促進センターというものを発足させたい、こういうふうに考えております。  この地熱資源開発促進センターの業務といたしましては、先ほど申し上げました基礎調査につきましても、この促進センターに委託をするということを一部考えておるわけでございますが、それとともに、いま御指摘のありましたボーリングの機械の購入資金が、これは相当多額の資金量になっておりますし、また、このボーリングにできるだけ新しい優秀なものを使うということから、このボーリングを企業購入いたしますときの債務保証というものをこの地熱資源開発促進センターが行うということを、一つの新しい業務としてつけ加えるということで考えておるわけでございます。
  36. 鈴木力

    ○鈴木力君 まあ、短時間でありますから細かくは伺いませんが、いま大体の構想は伺ったわけでありますけれども、いま長官がおっしゃるように、やっぱりこの地熱資源開発というのは非常に重要な任務を一つ持っておるのではないか。いまのところはまだ始まったばかりですから、全体からのエネルギーのパーセンテージが大きい、小さいという議論ではなしに……。  そういたしますと、やはりいま地熱開発センターの準備中であるというふうに伺いましたんですが、何か公共的な機関を強化して、そしてやっぱり国の方針で、何といいますか、力強く推進をするというそういう方向を、筋道を立ててやっていくべき時期に来ておるし、いまいろいろな具体的な施策がそれぞれ予算要求等もあるようでございますけれども、これはもう相当将来の展望をされました計画を立てて推進をしていただくように、私の方からも御要望申し上げたいと思うんです。  ただ、大部分が国立公園の中にあるということでありますから、たとえば、いま具体的に私の郷里の松川が運転を開始しておる。それから葛根田がいま工事中であります。あの岩手山ろくそのものも、他の開発の入り込んだこととお互いに影響し合って、そうして開発ということに対するアレルギー的な住民感情を誘いがちであるわけです。したがって、そういう点については、調査の項目にも相当環境調査というものに重点を置いておられるようでありますから、なお一層この点につきましては、ここで、スタートで狂いを来しますと、将来に相当大きな影響を及ぼす恐れがあるんではないか、私はそういうふうにも考えられますので、念には念を入れられまして、少なくとも住民、地域との間に正解、誤解がさまざまありますけれども、そういうような形での障害条件というものはいまの初期の段階で完全に除去して進んでいただくということをひとつお願いをしておきたい、こう思うわけです。  それで、地熱資源の方は以上で終わりまして、その次に石油関係でもう一つ私がお伺いいたしたいのは、コンビナートリファイナリーの問題であります。きのうもコビナートリファイナリー対策懇談会ですか、結論を出されたという新聞記事が出ておりますけれども、どうもコンビナートリファイナリーの現状が今日のようになったということを、私もよくわからぬのですけれども通産省はどうとらえておりますか。  たとえば、鹿島コンビナートの中における鹿島石油を見ましても、昭和四十七年には五百十三万四千キロリットルでありますか、そのうち原油の生だきというのが四十七万一千キロリットルであった。ところが、四十八年になりますと五百六十七万九千キロリットルのうち、百四十万四千キロリットルが原油の生だきとして供給されておる。四十九年になりますと、全体の量は幾らも違わないのに、この生だきの方が百七十三万五千キロリットルというふうになっておる。これは私が聞いた例でありますから、数字は多少違うかもしれませんです。ところが、それと収支の決算がちょうど合っておるわけですね。このことはもうナフサやC重油を供給するよりも、原油をそのまま供給する方が、これは石油会社にとっては収支が合わないということになるのは常識でありますから、そこでそういう形にいまなって、たとえば鹿島石油にいたしましても、四十九年には膨大な赤字決算という形になっておるわけです。  私は、いまこういう傾向を考えてみて、問題になっておったのに、このコンビナートという一つの構想が、これは少し軽率だったのではないか。あの鹿島コンビナートなんていうのは、全国的に住民の反対運動があれだけ大騒ぎをした地域なんですけれども、あのコンビナートをつくった。いわゆる高度成長時代に、これならという形でつくったけれども、無理してつくってみたら、事志とは大分違ったという形になるだろうと思うんですけれども、これらの点についての通産省考え方をひとつお伺いしたいと思います。
  37. 増田実

    政府委員(増田実君) コンビナートリファイナリー、これは鹿島以外にも八社ございまして、大体私どもコンビナートリファイナリーと言っておりますのは九社あるわけでございますが、それがいずれも現在収支状況が非常に悪化して、そのために累積赤字がふえて、その存立さえ問題にされている、こういう現状でございます。  これにつきまして、コンビナートリファイナリーを建設させました当時とそれから現在の状況と、これは激変しておりますためにこういう状況が生じたものと私ども理解しておるわけでございますが、コンビナートリファイナリーを建設いたしましたときには、いわゆる成長率が非常に高く、高度成長時代であったわけでございます。そのために、電力用の重油の供給、あるいは石油化学の原料でありますナフサの供給というものが年年非常にコンビナートにおいてふえる。そのためにC重油とナフサを供給するための精製設備、いわゆるリファイナリーというものを建設し、毎年急速に増大する石油需要を充足するためにこのリファイナリーが設置されたわけでございます。  ところが最近におきまして、特にC重油及びナフサの需要が激変いたしております。これは一つには、電力会社におきます発電量の伸び率が非常に落ちたことと、それからもう一つは、C重油以外の、ただいま先生からも御指摘のありました、たとえば原油の生だき、あるいはナフサを燃料用に使うこと、さらにはLNGを使うということで、これは公害規制というものに合わせるために、従来のようにC重油だけというわけにはまいらなくなったということで、C重油に対する需要が大幅に減っておるわけでございます。それからまたナフサにつきましても、石油化学の製品に対します需要が急速に落ち込んでおりますために、ナフサの需要が、これは最近は前年同期で約二割近く落ちている、こういう状況になっております。したがいまして、C重油及びナフサを主力として供給するコンビナートリファイナリーの経営状況が非常に悪化するという結果になっております。その上に、この二品目についての価格が、原料の原油が大幅値上がりしたにもかかわらず、なかなかそれに追いついて製品価格が上がってないということから、収支が非常に悪くなっておるわけでございます。  こういうような経緯で、やはり成長率が高かったときにコンビナートが建設され、そのコンビナートが必要とする原料であります重油及びナフサを安定的に供給できるという趣旨で設立されたわけでございますが、現在のように経済が非常に停滞いたしますと、特にC重油及びナフサにそのしわ寄せがかかってくるということから、石油業界一般が非常な苦境にあります中で、特にコンビナートリファイナリーの状況が悪化している、こういうことでございます。
  38. 鈴木力

    ○鈴木力君 これにはいろいろな問題があるような気がいたしますけれども、私はいま申し上げたかったのは、いま長官もおっしゃいましたように、確かに経済の成長期にあったからそうなんだ、いまは逆の現象になっているからこうなんだというだけで済まされるのかどうかということなんです。  私はこの石油備蓄法案を読んで見ましても、将来の展望というものを、そのときそのときに展望していろんなことをやってみても、あとで間違ったときに、ああしまったといって済まされるかどうかということが出てくる。全く素人の考え方で言えば、私は正直言いますと、鹿島コンビナートには反対した一人なんです。私の言うことを聞いておれば、こういう問題が起こらなかったんじゃないかと言いたいぐらいの気持ちで実はいま質問をしているんですけれどもね。そういうやはり将来の展望といいますか、ややそのときの思いつきみたいで、時の勢いで走ってしまったというのは、これはやっぱり政府としても私は反省をしておくべきことではなかろうか、こう思うんです。  それから具体的に、たとえば原油の生だきをやった、これが四十七年から八年、九年と急速にふえてきておる。これは恐らく環境衛生の問題から、少なくとも要請をされておる。一番手っ取り早いのは、少なくともC重油よりは軽度であるという形になって、パイプでこう流しただろうと思いますけれども、一面から言うと、いま石油備蓄という大きな問題を抱えておる。それも三年前にはそうじゃなしに原油を生だきしてというような、言えばきわめて乱暴なと言いたいようなことをやっておった。それが今度対策で懇談会が結論を出した。新聞だけでしかわかりませんから詳細わかりませんですけれども、後でそれがまた石油部会ですか、そちらの方に問題を移して検討するというけれども、新聞の報ずるところだけから言いますと、それで収支償わない会社はコンビナートから離れたらいいじゃないかとか、さまざまな意見が出ておるわけです。  そこから私はいま心配されるのは、またぞろそういう形で国が誘導して、そういう方向へ持っていって、だめになったからまた転換をしろと、これもまた、国がある程度資金的な援助から何からしなければ、これは企業にとってはたまらない話であります。先ほどの議論じゃないけれども、国の方針に協力をしましたら、こういう結果になって追い出されましたという形になろうと思いますから。そうすると、それに国がまた手当てをする。結局はいろいろなことを言われますけれども、そういう点ではむだ使いが相当に多いのではないか。  それからもう一つは、備蓄という一つの方向から考えられると、それだけから言えば生だきということは、余りどう見ても私は素人考えですけれども、結構なことではない。それでナフサや重油の価格調整をして、収支償うようにして、そちらに戻していきますと、また公害という一つの問題がもう一遍もとに戻ってきやしないか。もっとも電力会社の方はいま石油離れという方向に、いわゆる液体ガスですか、というような導入があって、ますます石油の方からの比率は減っているとは聞きますけれども、同じことを行ったり来たり、何遍も戻った問題を抱えていっているということについては、私は根本的に検討をし直すべきではないのか、こういうふうに考えますけれども、こういう点につきましては、長官からも、大臣からもひとつ御所見を承っておきたいと思うのです。
  39. 増田実

    政府委員(増田実君) まず、私から昨日のコンビナートリファイナリー懇談会の御報告を申し上げたいと思います。  このコンビナートリファイナリー毅談会を開きましたのは、先ほど申し上げましたように、石油業界が一般的に非常に経営が悪化いたしておるわけでございますが、その中でもコンビナートリファイナリーの度合いが非常にはなはだしい、こういう観点で、コンビナートリファイナリーの問題を集中して取り上げまして、これに関します学識経験の委員方々に、八月から昨日まで六回にわたりましてこの懇談会を開催し、いろいろ御審議を願ったわけでございます。その間、コンビナートリファイナリー各社からの実情の聴取をいたしますとともに、また需要業界、あるいはコンビナートリファイナリーの株主であります需要会社からの考え方の聴取もいたしました。昨日一応報告書という形でこの結論を出したわけでございます。  先生からいまおっしゃられましたように、コンビナートリファイナリーにつきましては、従来のようなC重油及びナフサを主力とする形で存続できるものと、それから存続できないものという、やはり二つに分かれるわけでございまして、なかなか存続できないというものを、今後いかにこれを取り扱っていくかということが一つの議論の焦点になったわけでございますが、これにつきましては、コンビナートリファイナリーをやめるということではございませんで、むしろコンビナートリファイナリーを一般石油精製に近い形に持っていく。具体的に申しますと、いわゆるガソリンとか、あるいは中間留分の生産をもう少しふやす、それによって生きる道を探る、こういうことでございます。ただ、これにつきましても非常にいろいろな問題点がございまして、現在ガソリンも過剰でございます。そういうところへコンビナートリファイナリーがさらにガソリンの生産をふやすということにつきましては、全体の中の需給バランスという問題がございます。  そういうことで、この問題につきましては総合エネルギー調査会石油部会で、石油産業全体のあり方というものの中で、いま申し上げましたコンビナートリファイナリーの生きる道をさらに取り上げて検討しようということになっております。  この、石油部会と申し上げましたのは、現在の諸般の情勢のもとにおいて、石油産業のあり方、先ほど石田参考人からもいろいろ御答弁申し上げました、いわゆる石油再編成、私ども石油産業体質強化の方策と言っております中で、このコンビナートリファイナリーの今後の取り扱い方というものをさらに審議していく、こういうことになっております。そういう意味で、いまも御指摘がありましたように、高度成長時代に発足いたしましたコンビナートリファイナリーのあり方というものを、今後の安定成長下において、いかにこれを活用していくかという道を今後求めて、その結論をできるだけ早く得たい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  40. 河本敏夫

    ○国務大臣(河本敏夫君) 昭和三十年代の後半に石油業法ができましてから、現在まで十二、三年たつわけでありますが、その間通産省の、また政府のとってまいりましたエネルギー政策、また石油政策には、いま問題点を二、三御指摘になりましたが、そういう問題点ももちろんでございますが、そのほかにもやはり反省をしなければならぬ点が幾つかあったと思います。ただしかし、中には一昨年の石油ショック以来、世界経済が大混乱に陥りまして、いま世界経済全体が大不況に見舞われておるわけでございますが、これが新しい秩序が成立といいますか、回復をいたしますと、自然に解決できる問題もあるわけでございますが、しかし、いずれにいたしましても私はこれまでのやはりエネルギー政策、石油政策には反省すべき点が幾つかあった、こういうことを考えております。
  41. 鈴木力

    ○鈴木力君 これはまた、その将来を見なければわからないことでありますけれども、いずれ私は、全く素人の心配なんですが、たとえばきのうの懇談会の結論なんかも、一部の新聞記事だけですからあれですけれども、何となしに、石油企業の収支をどう賄うかというところにポイントが置かれているみたいな感じがするわけです。もちろん石油企業の収支というものを度外視しては、これは仕事にならないことは先ほどの議論にもあったとおりであります。私はもう少しコンビナートそのものの、石油だけではなしに、たとえば鹿島なら鹿島にしても、製鉄あり、電力あり、あるいは石油化学があり、そうしたコンビナートそのものの仕組みというものといまの石油問題というものの総合的な検討ということをやっぱりやってみる必要があるのではないか。最初の仕組みは、特に新しいのが鹿島だと思いますけれども、あそこだけでというふうな形になってくる。そうすると、今度は一般的な企業としてのガソリンなりという軽い油の方向に持っていくと、あのコンビナートの中では需要というものがそんなに要求はされないわけであります。そうなってくると、つくった当初のコンビナートの趣旨と違った性格のものをつくり出さなきゃいけないことになるだろうと思うのです。  それから、電力なら電力の方は、もう石油離れ、どこまで離れていけるかは別としましても、そうなってくると、コンビナートそのものの検討といいますか、再検討といいますか、もっとも今後新しくああいうコンビナートをつくるというふうには余り考えられないのでありますけれども、それにしてもやっぱりあり方というものは私は、もう少し幅を広げたところからの検討ということも通産省としてやってみるべきではないのかというように感じたわけでありまして、そんな気持ちでこの点を伺ったわけでありますが、いずれにしても、いま申し上げたような点の同じことをサイクル的に繰り返して行きつ戻りつということは、もうこの辺でやめたらよかろう、そのための御検討はひとつお願いを申し上げておきたい、こう思うわけであります。  余り時間がありませんから、もう一つだけ法案の回りから関係をしましてお伺いをしたいのは、備蓄計画についてのいろいろな計画はお伺いいたしましたけれども、具体的にこれを実行していきます場合に、港についての計画はどうなっておるのかということをまず最初に伺いたいわけです。つまり、いまのところは好むと好まざるとにかかわらず輸入に頼るわけでありますから、そうすると、現状原油なら原油の輸入の港湾施設、設備、それで備蓄計画というものが押していけると通産省は計算をしているのかどうかです。その辺についての御見解をまず伺っておきたい、こう思います。
  42. 増田実

    政府委員(増田実君) 備蓄基地を建設いたします際には、これはタンクが主体になるわけでございますが、いま御指摘のありましたように、原油あるいは製品を受け入れますための港の設備というものが大部分の備蓄基地については必要でございます。そのためには、港湾の建設あるいはシーバースの建設ということがこれに伴うわけでございまして、港湾につきましては、これは港湾法あるいは港則法等の規制によりましてそれぞれの認可、許可を得て各種の安全対策保安確保というものを確保しながらこれを建設する、こういうことになっておるわけでございます。
  43. 鈴木力

    ○鈴木力君 私が通産省に伺ったのは、港湾は運輸省ですからわしゃ知らぬと、いまの御答弁はそういうふうに聞こえるんですね。しかし、いまの備蓄計画で六十日から九十日分にふやすというときに、通産省は港のことは担当が違うからわしゃ知りません、タンクからそっちだけやっているんです、こういうことになっているのか。大体計算をしてみると、いまのタンカーで運んでくる受け入れの港湾の規模なり設備なりというものがどうなければならないかということは、通産省だって恐らく、そこをわしゃ知らぬとは言っていないだろうと思う。だから、その辺は新しく港をつくるべき必要があるのかないのか、あるいは現在のある港の拡大なら拡大ということはどの程度の要求をされているのか、それを伺いたかったわけです。
  44. 増田実

    政府委員(増田実君) 石油備蓄基地を建設いたしますときに、原油その他の受け入れのための施設、また、これを出荷いたしますための施設といたしまして、港の設備あるいはシーバースの設備というものは、これは当然石油基地建設には随伴するわけでございます。そういう意味で、私ども備蓄基地建設計画の中には、それぞれそれに伴います港湾施設等につきましての計画については十分これの説明を受けまして、その上で港湾の所管官庁であります運輸省と十分協力をしながらその建設の促進を行うということでございます。  そういう意味で、港湾の問題は運輸省の問題であるから私どもの方は知らない、こういうつもりは全くございません。港湾の問題につきましても、各種の保安の問題、航行の安全の問題その他を伴うわけでございまして、備蓄基地を建設いたします中のきわめて重要な一環だと考えております。ただ、これにつきましては所管官庁である運輸省と十分協力しながらやっていく、こういうことでございます。
  45. 鈴木力

    ○鈴木力君 運輸省来ていますか。——そういういういまのやりとりで、それでは運輸省に伺いますけれども、この備蓄計画によっての港湾の拡大なり施設改善なり、具体的にどういう計画をお持ちになっておられますか。
  46. 鮫島泰佑

    説明員(鮫島泰佑君) 石油備蓄のための港湾の施設でございますけれども、新しい施設をつくったり、あるいは港湾を改良するというようなことが当然出てくるかと思いますけれども、現段階では、具体的にどのような港でどういうふうにというお話は私ども伺っておりません。そういうようなものが個々の具体的な場所におきまして話が出てまいりました場合には、港湾法の考え方に基づきまして、まず港湾管理者がそういうようなものを入れました港湾計画を立てるというところから、要するに個々の港の問題としてそれを取り扱っていくことになるだろうと思います。しかし、現在のところ具体的な計画としては、私ども承知しておりません。
  47. 鈴木力

    ○鈴木力君 一方では、いま実量は違うにしても、法律の骨子では六十日から九十日になる、五〇%増ですね。素人が考えてみると、五〇%増というのはこれは大変な量の増だと思うんですよ。そう簡単なもんじゃない。ところが、その五〇%増ということになると、現在の港湾の施設設備でいいのか悪いのかという検討をせずに、こちらの方の計画が進んでいくというのは私は片手落ちではないのかということなんです。いまの運輸省の御答弁でも、具体的な計画はまだない、具体的にここという問題が出てくれば、それから運輸省としては港湾法によって取り組むんだ、それはそのとおり、行政の筋道はそうだと思う。しかし、私は素人ですけれども、たとえばあるところに、ここに港が必要だと決めてから、この石油備蓄計画は四年だ、二年ぐらいたって港が必要だとなって、あと完了期間までに港ができるとは私は思わぬのです。そうすると、いまのような受け入れの計画が具体的になくて、そうしてこっちの方でやっているというこの計画というのは、私はどうも本気なのかどうかということを正直言って伺いたいんです。いかがですか。
  48. 増田実

    政府委員(増田実君) 六十日備蓄を九十日備蓄までに四年間の間に計画的に持っていくというのが、現在の備蓄増強計画でございますが、これに伴いまして、当然港の設備につきまして新設その他が要るわけでございます。ただ、この六十日分の中で必要な備蓄基地、これはもう先ほど石田参考人からも御説明ありましたし、また、私も前回の商工委員会で御答弁申し上げましたように、今後の備蓄基地といたしまして、土地としては大体坪数で五百万坪の土地が要るわけですが、そのうちの百七十万坪は石油会社が隣接の土地として、すでにタンク用地として確保している土地がございます。その場合には港湾施設につきましては、従来の港湾施設にそれだけ受け入れの増を行うということで、場合によりましては港湾施設の拡充というものが必要なわけでございます。  それから、その残ります大体三百三十万坪につきましては、これは新規立地になるわけでございますので、これは新たな港、大部分はこれはシーバースという形になると思いますが、その建設が必要なわけでございます。そういう意味で新しい備蓄基地ができましたときに、これを受け入れますためのシーバースの建設が新しく必要になる、こういうことでございまして、私どもの方はこの備蓄基地の建設につきまして、いろいろの計画を現在ヒヤリングをいたしておるわけでございますが、これにつきましては、それに伴うシーバースの建設が付随しておるわけでございます。これにつきまして今後具体化するに当たりましては、先ほど申し上げましたように、事前に運輸省と十分相談いたし、これの保安確保その他の問題につきまして十分慎重に取り扱っていきたい、こういうことでございます。   〔委員長退席、理事楠正俊君着席〕
  49. 鈴木力

    ○鈴木力君 運輸省の方にお伺いしますが、このシーバースの建設というのは、着手してから完成まで何年ぐらいかかるのですか。
  50. 鮫島泰佑

    説明員(鮫島泰佑君) 全くその周辺の地形とかあるいは地質とかという状況によると思います。たとえば、外海に面しているようなところでは、防波堤等が必要になるような場合には非常に年数がかかると思いますし、比較的そういう点が恵まれておりまして、いまおっしゃいましたようなシーバースをつくるということが仕事の大部分であるというようなところであれば、相当短期間にやるということも……
  51. 鈴木力

    ○鈴木力君 短期間というのは、一番短い期間でどれくらいですか。
  52. 鮫島泰佑

    説明員(鮫島泰佑君) これはその場所によりまして、見当が全くつきませんが……
  53. 鈴木力

    ○鈴木力君 だから、一番いい条件のときには一番短い時間でどれくらいかかるんですか。
  54. 鮫島泰佑

    説明員(鮫島泰佑君) これはちょっと責任を持ったお答えではございませんけれども、感じといたしまして二年以内に建設が可能な場合もあるかと思います。
  55. 鈴木力

    ○鈴木力君 どうも私は心もとないですね、いまのこの問題は。長官、いま一番いいところでは二年以内にできる。ところが、ほとんど防波堤も要らず、そういうところに受け入れをつくるということになったら、新しく基地をつくるなら、これは大ごとになりますよ。幾ら何でもその立地という問題は、もう前の質問者で議論されましたから蒸し返しませんけれども、恐らくこれから新しく土地を探すということになれば、そんなにいい条件のところにそんなにそろってはいないだろう。そうすると、どこかわからぬけれども、一番いい条件では二年だ、防波堤をつくるか何かしたら、常識からいったら四、五年かかるんじゃないですか。それが、いま発足をしてことしを含めて五年間でしょう。そういう計画を一方にしておいて、基礎的な備蓄の入れる条件のところについては、どうも私は手落ちがあったみたいな気がしますけれども、いかがですか。
  56. 増田実

    政府委員(増田実君) 備蓄基地を建設いたしますのは、たとえば非常に外洋に面して、そして新しい防波堤で包んだシーバースが必要だという場合は、確かに非常に年限がかかります。そうなりますと、今後約四カ年間でこれは九十日備蓄達成は非常にむずかしい、こういうことに当然なることだと思います。ただ、現在私どもがいろいろ計画しております備蓄基地は、外洋に面してそのためにそれを包む防波堤が必要である、そのために数年の工事が要るというところではございませんで、大体ツーバースと、それから若干の着岸設備というものをつくれば備蓄基地ができるというものを考えておるわけでございます。そういう意味で、このシーバースの建設につきましてはいろんな例がございます。先ほど運輸省、専門の方でございますから、二年以内のものもあると言われますが、私どもは、大体そういうものを大部分は対象にして考えていきたい、こういうことでございます。   〔理事楠正俊君退席、委員長着席〕
  57. 鈴木力

    ○鈴木力君 これは具体化してみないと、正直言いまして、いまそれならばどことどこをねらっていると私が聞きましても、それはもうどんなことがあっても口を割らぬというのが大体の政府の態度でしょうからそれは伺いませんよ。それを伺わないと本当はいまの問題は、私はすっきりは理解できませんですね。ただ心配なのは、それほど心配しなくてもいいところをねらっているということになれば、これは相当いまもう漁業なら漁業の基地になっているところとか、あるいは住民のいるところ、いずれ石油からのさまざまの問題を、人間がおって醸し出す地域をねらっているというふうにしか聞こえないんですよ。そうしてくると、いままでの質問者でずいぶん繰り返された立地あるいは住民の意思、こういう問題については私は、相当問題を抱えながらやる気だなというふうにしかどうも思えない。この辺はやっぱり、この計画を仮に二年やそこら延びることがあっても、そういう問題の処理についてはもっと慎重にやるべきだというふうに私は思いますよ。そういう点の検討、検討といいますか、それは私の意見として申し上げておきたいと思うんです。後でどっちが正しかったかというのは、四年後になればわかる話なんです。  それからもう一つ、私は港湾の問題で心配なのは、それなら、現状で一体石油が入ってくる港湾が安心できるのかということなんです。海上保安庁の方にもおいでいただいておりますけれども、たとえば、海員組合で調査をした資料なんかもありますが、いまあるコンビナート、それから隣接港なんかについてはほとんどこれで十分だという報告は出ていないわけです、私が聞いた限り。だから、石油については特に安全ということが非常に大きな課題になっておって、これはもういままでの質問者も全部それに触れてあるし、政府の答弁も、公害対策あるいは安全ということは重要な柱として御答弁いただいておるわけですから、考え方に相違はない。考え方に相違はないけれども、海員組合の調査なんかによりますと、現在の港でもきわめて改善を要する、不完全だ、こういう報告が出ているわけです。これは念のために海上保安庁の方からひとつその実情等をお伺いしたい。
  58. 馬場一精

    説明員(馬場一精君) 海上保安庁でございますけれども、いま御指摘の全日海の指摘等は、こういうパンフレットかと思うわけでございます。われわれもこれについては十分承知いたしておりまして、検討さしていただいておりまして、特にこの中で問題になるのは、いま先生御指摘の余裕水深かと思いますが、われわれは、大型タンカーがこういう千葉あるいは川崎等の港に入港するに際しましては、潮どき、潮高を勘案いたしました上で、喫水一〇%以上の余裕は必ず持つようにということで着桟を指導しております。  また、それと同時に、こういう港に入ります場合には水先人乗船を勧奨する、あるいは夜間は入港を制限する、それから、十分な引き船を準備させる、それから警戒船または消防船を配備する、それから着桟速度の制限、それから気象、海象不良時入港の制限というようなものをやらせることによって、安全を確保しておるということにいたしております。  また、着きました場合に、バース間距離というものもこの点検の中で一応してきておりますけれども、これにつきましては、われわれのいまの考えは、バース間距離につきましては三十メートルの距離は必ずとらせるということを指導いたしております。その上で先ほど申しました指導、あるいはそれに加えましてオイルフェンスの展張、油処理剤の準備、それから火気使用の制限、夜間荷役の制限等というようなことを指導しまして、安全の確保を図っておるということでございます。
  59. 鈴木力

    ○鈴木力君 時間がないそうですから繰り返しませんけれども、私がいま伺った限りにおいては、どうも港の問題は、石油備蓄がなくても安心できない。私どもが聞いておる限りは、現在でも石油を運んでくるタンカーの港への入れ方が、保安庁ていろいろな条件を出しておる、それを満たすために綱渡りみたいな形で入れておる。そういうところが全部だというと少しこれはオーバーな言い方ですが、そういうところが相当にある、こういうふうに聞いておる。それが今度増強ということになりますと、これでも間に合うんだということになれば、どうも私は九十日備蓄という三十日分というのはどっかに仕掛けがあるのか、まゆつばかと。本気に三十日分ふやすということになれば、そういう必要な関係する条件までもう少し綿密な計画があってしかるべきだろうという心配があって、いまのようなことを申し上げたわけであります。  なお、時間がありませんから、運輸省の方にこれは要望申し上げておきます。  いまのような点から、やはり関係する港湾については再点検をしてほしいし、事故が起こってから騒ぐということは、もういままでの経験でいいということにしまして、再点検をしてほしいし、必要なものについては、やはり積極的に改善ということに取り組んでほしいという要望を私は申し上げておきたい、こう思います。  最後に、港湾について、これはもう時間がないそうですから、私の意見だけを申し上げておきます。  その一つは、これは大臣に聞いていただきたいんですけれども、この法律を私が何遍読んでみても——おまえは頭が悪いと言われればそれまでですが、わからないのは、どの条文にも省令、省令とあるということなんです。わからないものが各条項に一つずつ入っておって、これを読んでわかれと言う方が私は無理だと思う。これは私も、他の委員会等でもいろいろな法案を審議しましたけれども、こういう場合にはよその省では——もちろん省令は法律が通ってからつくるんですからそのとおりですけれども、一応のここにいう省令とはこういうことを考えていますということが、審査に先立って議員には説明がされておるのが親切だと私は思うんですね。この法律が通りさえすれば後は通産省が全部やるから、お前たちは賛成しろというふうにどうも見えてしようがない。法案の出し方についてはもう少し通産省は親切な、議員に審議のできるような手がかりをつけた出し方を、ぜひひとつお願いしたい、そう思います。  それからなお、政令の中身につきましては、きょうその中身がないから審議しないとかするとかいうつもりで言っておりません。できるだけ早く、でき上がらなくてもいいから、これはこういう考えなんですということを私どもには教えてほしいということを申し上げておきます。  それからもう一つは、基地をつくるところの地域に対する助成金のあり方、これも通産省だけけしからぬと言うつもりはございません。ただ私は、たとえば防衛庁なら防衛庁が基地をつくると、防衛施設周辺整備法とか環境何々ということで防衛庁の助成金が要る。今度は火力発電もそう、通産省からの法律に基づく助成金が要る。こういうことが各省で全部行われてまいりますと、何となしに市町村というのは、あるところは通産省立何々村が出てみたり、防衛施設庁立何々町というものが出てみたりというような、地方自治と地方財源の問題については相当に大きな行政的な問題をはらむのではないか。これは現状では各省とともそういう仕組みですから、これ自身通産省をいまけしからぬと言うつもりで言っているんじゃありませんけれども、これは大臣にひとつ、政府全体としての交付金のあり方というものを検討してみないと、このままずるずるいったら、それぞれの省直轄の市町村が出てしまう。地方自治の上から見ると相当に問題が拡大するのではないかというふうに私は考えます。これから政府全体としてひとつ御検討をいただきたいと思います。  それから三番目には、この法律を読んで、これを実施していく場合の責任がどこにあるかということがどうも私にはわからない。最初のうちの提案理由なんかを読んでみると、国の責任という形になるけれども、後はさっきの議論じゃないけれども企業の方にどんどん責任がいっているみたい。あるいは、土地の取得なんかは市町村に地方自治体に責任がいっているみたい。この法律一つによって責任が分散をしてしまって、いざ何か出たときはどこが責任とるのか、あるいは実施できない場合にはどこがどうなるのかといったようなことがどうも私にははっきりしないと思う。いままでの他の先輩の議員の御意見にもありましたように、私は、やっぱりこういう種の問題につきましてはもう少し国家責任というものをはっきりすべきだ、こういう部分についてはですね。国家責任というものをもう少しはっきりしながら、全体の利益という方向に進んでいくべきなのではないか、そういうふうに感じますので、こういう点にりいてもひとつはっきりとするように私は御要望申し上げておきたいと思います。  時間ですので、私の意見を申し上げました。これで終わります。
  60. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 まず最初通産省要望しますが、答弁はできるだけ簡潔に要領よく、はっきりと答弁してください。  まず質問の第一、いろいろな問題ずいぶん議員先生たちがいろいろ質問されましたから、私はちょっと方向を変えて、法案を主に質疑をしていきたいと思います。  法案第二条第四項の「省令で定める要件」とは一体何か、その点を聞かしていただきたいんです。この中には団地などの生活協同組合などが入るのかどうか、その点を簡明にお答えを願いたいと思います。入るか入らぬか、はっきり言ってください。
  61. 増田実

    政府委員(増田実君) 法案第二条第四項の「石油販売業者」の中に生協は入っておりません。
  62. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 なぜ生協がこの中に入らないのかということも一つの質問。  それで、取り扱い量が省令で定める要件を超えた場合でも生協は対象に加えないのかどうか、その点。
  63. 増田実

    政府委員(増田実君) この二条第四項に掲げております「石油販売業者」は、いわゆる元売専業者というものを予定いたしております。元売には、精製とそれから元売と両方やっておりますものもございますが、この両方やっておりますのは、第二条第三項の「精製業者」で読むことにいたしまして、元売のみを行っている、いわゆる元売専業者というものをここの「石油販売業者」として読む対象にいたすわけでございます。  それから、この元売と申しますのは、つまり精製業者から直接石油製品購入いたしまして、これをいわゆる特約店あるいは小売店というものへ卸していくわけでございます。  今回の「石油販売業者」といたしまして私が申し上げました元売専業者は、事実上石油精製工場から出ましたものを一括して取り扱い、これをいわゆる中間段階あるいは最終段階に流すということで、石油製品の取り扱いの一時的な段階にあるものを指すわけでございます。  今回の備蓄義務につきましては、この段階だけに課しまして、いわゆる特約店あるいは小売店というものには備蓄義務を課すという対象にはいたさないということにいたしたいと思っているわけです。そういう意味で、先生お尋ねの生協はこの対象にはならないわけでございます。
  64. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 取り扱い量が省令で定める要件を超えた場合でも、やはり生協は対象に加えない、こういうことですか。
  65. 増田実

    政府委員(増田実君) この第二条第四項に、「石油の販売量及び石油精製業者との取引関係」というものを省令で規定することになっております。そういう意味で、石油販売量を規定いたしましたときに、たとえば、生協の取り扱い高が非常に大きくなってこの販売量を超える、そうすれば対象になるのではないだろうかという問題が出てくるわけでございますが、これはもう一点、「石油精製業者との取引関係」で、ただいま申しましたように、一時的に石油製品を受けるというものを対象にいたすわけでございます。具体的に言いますと、石油精製業者が生産いたしました石油製品を直接受け取って、そして自己のブランドで売るところの、いわゆる元売業者というものを対象にして備蓄義務を課する所存でございますので、生協が非常に取り扱い量が多くなった場合におきましても、これはここの「石油販売業者」としては読まない、こういう取り扱いにいたしたいと思います。
  66. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 その議論はそこでとめておきましょう。  次の質問ですが、生協の問題に関連して伺いますが、通産省は、日本生活協同組合連合会の要請を受けて、石油業界に対して、灯油の価格について生協と価格について交渉すること、交渉がまとまるまでは値上げをしないことなどを内容とした行政指導をしたと聞いておりますが、事実であれば、業界の回答と実施の状況がどうなっておるのか、聞かしておいていただきたいと思います。
  67. 増田実

    政府委員(増田実君) 先生のただいまおっしゃられました生協と、それから元売会社関係は、六月にいわゆる行政指導価格を外しましたときに、生協との間の話し合いでなっておる内容だと思います。それにつきましては、生協と元売会社との間でことしの冬の灯油の価格についての値決めがなかなか行われないということで、これは生協側からいろいろお話がございました。そういうことで私どもの方から生協とよく話し合って、できるだけ早く値決めをするようにということで、元売業者を指導いたしたわけでございます。これにつきましては、現在もそういうことでやっておるわけでございます。
  68. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 今日でもその状態はずっと続いておるし、今後もそういう状態を続けていこう、こういうことですね。
  69. 増田実

    政府委員(増田実君) 元売業者に対しまして、生活協同組合との間の協議につきましては、誠意をもって話し合いに応ずるようにということで行政指導をいたしてきましたし、また、今後もいたすつもりでございます。
  70. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 法案の第七条第一項から第四項までに定める省令の内容をひとつ聞かしてほしいと思うんです。この法案の一番重要な個所だと思いますので、この点、明快にお答えをしておいていただきたいと思います。
  71. 増田実

    政府委員(増田実君) この備蓄法案の第七条に、基準備蓄量を通産大臣が毎年石油精製業者等に対しまして通知することになっております。これにつきましては、その前年度におきます石油精製業者等の石油製品の生産量あるいは販売量、輸入量を基礎といたしまして算定をされた結果の数字を出すことになっております。これにつきましては、備蓄義務石油精製業者、元売業者及び輸入業者にそれぞれ課すわけでございますが、それぞれにつきまして、やはり負担の公平というものを考えなければならないという点から、その省令で算定基準というものを設けるわけでございます。それで、これにつきましては……
  72. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 法案の一番中心的な重要な点ですから、はっきり答えてください。この法案を守っていこうとしたって守れない場合が起こってくるんです。ここをはっきりしておかぬと……。
  73. 増田実

    政府委員(増田実君) それで七条の第二項におきまして、いま申し上げました石油精製業者等に対しまして、この通知をいたしました基準備蓄量を保有させるということになっております。これがいわゆる保有命令ということで、先生の御指摘のように、この法案におきまして、この第七条が最も重要な規定の一つでございます。  それから、この省令の内容でございますが、第七条の第一項におきますこの算定数量の基準でございますが、これにつきましては、通知いたします総量が七十日分から九十日分になるように算定するわけでございまして、これにつきましては、法案の第七条第四項に掲げておりますが、合計数量が七十日分から九十日分になるということで計算いたすわけでございます。
  74. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 これは罰則まで設けておる条項ですから、だれが読んでもはっきりと把握できるように、明快な説明が必要と思うし、また、そういうことを政令に譲らずに、できれば法律の中に書き込むのが私は当然だ、こう思っておるんです。それをそういう重要な問題になると、法律の中に入れないで省令で決める、省令で決めるということになってしまうから、解釈するのに業界が非常に苦労するわけですよ。だから、せめて答弁で明確に、明細に答えておく必要がある、私はこう思うんですが、私が懸念するような点をもう一遍はっきり答えておいてください。
  75. 増田実

    政府委員(増田実君) 第七条第一項におきましては、先ほど申し上げましたように、前年度の生産量、販売量、輸入量を基礎にいたしまして、精製業者それから元売業者及び輸入業者にそれぞれ基準備蓄量を通知する、こういうことになっております。  それで、先生のお尋ねは、これは各業者、つまり精製業者、元売業者及び輸入業者に何日分の数量を基準備蓄量とするかということを具体的に答弁せよ、こういうお尋ねだと思います。これにつきましては、現在私どもの方は最終結論は出ておりませんが、精製業者につきましては六十日前後、それから石油販売業者につきましては十日前後、それから石油輸入業者につきましては三十日前後の備蓄義務を課する、こういうことで考えております。大体その線で、従来の実績あるいはタンク設置状況その他から見て私どもはいけると思っています。  それから、第七条第二項に、「通商産業省令で定めるところにより」ということで、これは、備蓄します石油の保有の形態というものをこの通商産業省令で定めるわけでございます。これは原則としてはタンクに貯蔵されておるということでございますが、ただ問題になりますのは、原料タンクからまた製品タンクへ運ばれる途中のいわゆる内航船に入っておりますもの、これを中に入れるか入れないかという問題があるわけでございます。それでこれにつきましては、すでに国内に入りましてこれが製品化されて、そして内航船によってまた油槽所へ持っていかれるというものは備蓄に数えるべきではないかということが議論されておりますし、また私は、備蓄法目的その他に照らしましても、この内航船で運んでいる分についてはむしろ算入するというのが実態に合うんではないかと思います。そういう意味で、ここに書いてあります通商産業省令といいますのは、つまりタンク及び内航船で輸送中のものというものを考えております。また、それ以外にそれに準ずるようなものがありましたらこれを省令で追加いたしたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  76. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 いまそういう備蓄量というものは、原油の産地で船へ積み込んだ、その船に積み込んだその量も備蓄に入るのか、それが国内に運ばれて国内のタンクに入ったとき備蓄量に入るのか、そこをちょっと簡単に……。
  77. 増田実

    政府委員(増田実君) 日本へ到着するまでの分は、これは算入しないということで考えています。ですから、日本に到着いたしまして、その後国内で運ばれている途上、しかもまた次の元売のタンクに入るという分については、先ほども申しました内航船で輸送中のものは算入する。したがいまして、先生からお尋ねの日本へ到着するまでの分は、これは輸送中で当然日本へ着くわけでございますが、これは備蓄の対象にはしない。
  78. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 法案の第九条第二項の最初の「省令で定める」内容は一体何なのか。また、この場合の責任はどこが持つのか伺っておきたい。「取引関係にある二以上の石油精製業者」というふうになっていますからね。
  79. 増田実

    政府委員(増田実君) この第九条は、基準備蓄量につきまして、石油精製業者等の間での相互変更と申しますか、それを二つ以上の業者が持っておりますのを共通して計算するという場合をこの第九条に掲げておるわけでございます。  これは具体的に申しますと、石油精製業者がありまして、それの専属の元売業者があるというときに、精製業者の方にはタンクが非常に多くて、元売の方は少ないというときに、これは系列になっておりますから、当然共同して使う。本来は一つの会社でいいわけなんですが、これが具体的に言いますと、たとえば日本石油日本石油精製というのがございまして、このタンクにつきまして両方を別々に計算するのはむしろ実態に合わないのじゃないかということで、取引関係にある二つ以上の石油精製業者等につきましては、両方を一緒にして計算でき得るということをこの第九条で定めておるわけでございます。
  80. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 わかりました。  そうすると、この場合の責任ですね、責任は両者が持つ、そういうことですね。はっきり答えておいてください。
  81. 増田実

    政府委員(増田実君) そのとおりでございます。
  82. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 さきの国会で、私が増田長官に備蓄問題で質問しました際に、長官は、積極的に住民の意思を尊重して進める旨の答弁をされておられますが、その保証があるのか、この法案のどこにその保証が定めてあるのか、ひとつはっきりと聞かしていただきたいと思います。
  83. 増田実

    政府委員(増田実君) 私が、この石油備蓄を行うために住民の意思を尊重し、また、その住民からの理解と協力を得て、その上でこの備蓄政策を推進いたしますということを申し上げたのでございますが、これにつきましては、今後の石油備蓄計画は、住民の理解と協力なくしては達成できないと思っております。またそのための努力を重ねたい、こういうふうに思っております。  この法律案は、御存じのように、石油備蓄法ということでくくっておりますが、内容といたしましては、石油備蓄を九十日まで持っていくための計画的な運用と、それから、備蓄されましたものを石油精製業者等が保有する義務を課する、この二点を内容とする法律でございます。  そういう意味で、備蓄につきましてはほかにもいろいろの問題がございます。たとえば防災の問題その他ございますが、それは、石油コンビナート防災法あるいは消防法によって行われるということでございます。  ただ、この法案の問題、あるいは住民の方々理解の問題が非常に大切であるということで、第三条に「(国の施策)」という条文がございます。ここでは国の姿勢というものを示しておるわけでございまして、ここに掲げておりますように、「石油貯蔵施設についての保安確保に配意しつつこの法律による石油備蓄円滑化を図る」ということを掲げておりますとともに、また、「石油備蓄確保必要性について国民理解を深めるよう努めなければならない。」という、政府の姿勢、責任をここに示しておるわけでございます。
  84. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 願わくは、私が先ほど質問しました精神ですね、国民に対するいろいろな配慮ですね、この前あなたが答弁されたように、国民の生活の保障とかいろいろな点を完全に守るのだ、それが第一だということをおっしゃったら、その点をこの法案の中に、どこにでも、そういう言葉で、国民が最も理解しやすい言葉で、変な解釈のできない言葉ではっきりと書き込まれるのが本当じゃないか、私のこれは意見です。それがないからこういう質問になるんですから、そういう精神は必ず守っていくということはここではっきりおっしゃることができますね。一言で答えてください。
  85. 増田実

    政府委員(増田実君) 守っていきます。
  86. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 石油備蓄基地をどこにつくるのかと、先ほども鈴木委員がちょっと触れましたが、まず通産省調査や、国の開発計画などで適地と見ているのは一体どこなのか、これが一つです。  第二は、石油会社地元との話し合いが進んでいて、かなり建設が望める地域はどこなのか、これが第二。  第三は、石油会社が候補地に挙げているが、話し合いはまだなかなか進んでいないというところがある、それは一体どこなのか。通産省には恐らく業界から相談がきているはずですから、ここでその点を聞かしてほしいと思います。
  87. 増田実

    政府委員(増田実君) 石油備蓄の候補地というものにつきましては、これは石油会社も各種の調査を行っておりますし、また、石油備蓄の適地と思われるところの町長さんとか村長さんが私どもの方でいろいろ相談をされているのもあります。ぜひ私どものところにその石油備蓄の可能性について検討していただきたいというのもあります。そういう意味石油基地の候補地というものはいろいろございますが、ただ、この問題につきましては、須藤先生よく御存じのように、やはりそこの住民の方々の賛成を得て行わなければ、これが進め得ないわけでございます。また、その町長さんがぜひしたいということでありましても、これは町議会に諮ったりいろいろ今後行わなければならない点があります。また、海に関連いたしますので、そこの漁業権者、漁業の方と各種の補償の問題その他を進めなければならないわけでございます。そういう意味で、ただいま御質問のありました非常に可能性が出てきた地域、その他を具体的に挙げますことにつきましては、これははなはだ恐縮でございますが、御勘弁をお願いいたしたいと思います。ただ、備蓄についての重要性その他から、いわゆる候補地というものについての話し合いその他はいろいろ進んでいるという事実だけを御答弁申し上げて、具体的な地域については、またいろいろ関係方面に御迷惑もおかけすることにもなります。これが全部話し合いが終わりましたら、私どもの方はできるだけ早くそれを発表いたすようにいたしますが、現段階では全部の話し合いの進んでいるところはまだございません。
  88. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 それじゃ、話し合いがついて、もうあすの日にでも工事にかかれるというようなところにはまだ至っていない、こういうふうに理解していいわけですね。
  89. 増田実

    政府委員(増田実君) そのとおりでございます。
  90. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 私は聞くところによると、奄美大島の南方の方の問題になっているところ、島の名前は言わなくてもあなたはおわかりだと思うが、あすこでもいろいろの問題が起こって、漁民が反対運動をやっておるということを聞きました。しかし、何だか聞くというと、工事に取りかかれるような状態に進んでいるということを聞いたりしましたが、そういうことは絶対ないですね。
  91. 増田実

    政府委員(増田実君) 私どもの方は、これにつきましてやはり地域の住民の方々理解と協力がなければ、これは無理に進めてもできるものではないと思っております。そういう意味で、地域の方々の御賛同を得てからこういうものの工事には取りかかるということでございます。ですからそういう意味で、いま先生がお挙げになった地点、その他もまだ問題点が残っているわけでございまして、これにつきましてはさらに説得と、それから問題点の解消に努めていきたい、こういうふうに思っております。
  92. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 決して無理をしないで、住民との話し合いのもとに了解をとって、それでなければ工事を進めないという、その態度を堅持してもらいたいと思います。  それから、次に行きますが、石油タンク建設する土地は、すでに百五十万坪ないし百七十万坪は石油企業が取得している、こういうことを聞いておりますが、その場所、企業名、面積等について聞かしていただきたいと思います。これはもう言ってもいいでしょう、ちゃんと決まっているのだから。
  93. 増田実

    政府委員(増田実君) いまの百七十万坪と申しますのは、石油精製工場の隣接の地帯で、すでにその会社が将来のタンク用地として持っているわけでございますから、何も秘密ではもちろんございません。ただ、私いま聞きましたら、その資料を持ってきていないようですから、後ほどまた御説明いたしたいと思います。
  94. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 それでは後ほどその名前を私の方に届けてください、坪数と会社名。  それじゃ次の質問に移りましょう。  備蓄基地を建設するために何か助成措置考えているように聞き及んでいるわけですが、その内容を具体的に聞かしておいていただきたい。
  95. 増田実

    政府委員(増田実君) 備蓄基地の建設のために各種の助成措置というものは、これはすでに昭和五十年度から始まっておりますが、それに加えまして、昭和五十一年度予算要求の中に、石油備蓄施設立地促進交付金という制度を新たに設けたいというふうに考えております。  それで、この制度について簡単に申し上げますと、この備蓄基地が建設されます当該市町村及びその隣接市町村に対しまして、公共施設の整備に充てるための必要な資金を交付金として交付する、こういう内容になっております。  さらに具体的に申し上げますと、石油備蓄施設の貯油能力一キロリッター当たり四百円という計算で、当該市町村及び周辺市町村に対して交付するということでございます。これによりまして、いわゆる、国の経済的安全保障というものを達成するための備蓄に協力してくださった市町村の公共施設の充実をこの交付金によって行いたい、こういう考え方でございます。
  96. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 いまのお話を伺っておりますと、発電用施設周辺地域整備法と同じような考え方がその中にあると思うのですが、そのとおりでございましょうか。それならそうと答えておいていただきたいと思います。
  97. 増田実

    政府委員(増田実君) そのとおりでございます。
  98. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 そうすると、そのような助成措置をとる法的根拠が一体どこにあるのか、その点を伺っておきたいのです。発電用施設周辺地域整備法では、国の助成措置を明確に定めておりますが、この法案にはそのような規定がないんですね。これでも助成措置がとれるのですか、どうでございましょうか。
  99. 増田実

    政府委員(増田実君) これにつきましては、現在大蔵省に対しまして予算要求中でございますが、これが私どもは実現を願っているわけでございますが、予算が一応内定いたしましたら、これに必要な法的整備を行いたいと思っております。
  100. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 石油備蓄は、いわゆる業界再編成にどのような影響があると通産省は見ていらっしゃいますか、この際伺っておきたいと思います。
  101. 増田実

    政府委員(増田実君) 石油備蓄につきましては、これは直接業界再編成とは関係はございません。ただ、けさほど石田参考人からもお話がございましたように、現在石油業界は非常な経営の困難を感じておりまして、この石油備蓄を行うための力が弱いということをしきりに訴えておられたわけでございます。石油業界の再編成というものは、基礎的なエネルギーを供給いたします石油産業体質強化して、安定供給の責任を果たさせるための施策でございます。そういう意味で、この再編成ができれば、これは備蓄についての力も出てくるということで、そういう意味では関係があるわけでございます。
  102. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 政府考えは昭和五十四年九十日備蓄という話です。こういう話が出ておりますが、それから先は一体どうなるのか、ここでちょっと聞かしていただきたい。
  103. 増田実

    政府委員(増田実君) 昭和五十四年度末、つまり昭和五十五年三月に九十日にまで持っていくということを現在計画しておるわけでございますが、それ以後につきましては、現在まだ計画が策定されておりません。  九十日というもので備蓄数量として昭和五十五年において適正かどうか、諸外国の動きその他を見まして、あるいはそれを百日にふやすのが適当かどうかという問題もございます。ただ、私どもがいま考えておりますのは、昭和五十四年度末において九十日備蓄が達成されましたら、少なくともその備蓄数字、つまり九十日というものを維持していきたい、こういうふうに考えております。恐らく五十五年度以降は石油の絶対量がふえていきますから、そういう意味で、九十日備蓄維持するためにはさらにやはり備蓄基地の建設が要るということになっていくものと思います。
  104. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 九十日を維持して、九十日以上にふやしていくという考えはやはりいまのところない、こういう理解ですね。そのとおり理解しておきますよ。  それから、昭和五十年から五十四年までの石油供給計画によりますと、昭和五十三年から五十四年の一年間の伸びは、原油だけでも一千七百万キロリットル以上になると思います。このことは、昭和五十四年以降毎年少なくともこの数字の四分の一に当たる四百万キロリットル以上を積み増す計算になると思うんです。これらの分はどうやって確保するのか。現在進めようとしているものもうまくいかないように聞いておりますが、それにこういう計画が立てられて、実際にできるのかどうか、この点。
  105. 増田実

    政府委員(増田実君) 先生からいまお話ございましたように、昭和五十五年度以降四百万キロリッターの備蓄増というものが計算されるわけでございます。そういう意味で、九十日という線を維持するためにもさらに備蓄基地をふやさなければならない、こういう状況になるわけでございます。その時点でいろいろ考えなければならない点でございますが、私どもは、昭和五十四年度末に九十日に持っていく計画は、これは全部国内で備蓄するということを考えておりますが、場合によれば、五十五年度以降につきましては、海外備蓄というものを含めて考えていきたいというふうに考えております。
  106. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 きょう私、時間があったら、将来にわたる建設的な意見を述べ、大臣の意見も伺っておきたい、こういうふうに思っておったんですが、備蓄に直接関係のある法案はもう二、三で終わるわけですが、私の考えですね、宇宙は無限大だということば、これはもう皆さん、宇宙が無限大であるがごとく宇宙の持っているエネルギーというものも無限大だ、こう私は理解するんです。その無限大のエネルギーをどういうふうに使うかということが、これはわれわれに課せられた最も重要な問題だと私は思っておるのです。  そこで、石油備蓄する、備蓄するということばかり考えて、公害を起こしてでも何でもとにかく備蓄するんだ、そういう方法で今日まで日本石油政策はきていると思うんです、エネルギー政策は。石炭を掘れば一キロも二キロも深いところを掘って、今度の幌内炭鉱のようなああいう問題を起こす。また、石油備蓄は瀬戸内海といわず、東京湾といわず、大阪湾といわず、そういう内海にまで備蓄をして、そうしてタンクの故障でああいう問題を起こしておる。備蓄だけできているわけです。この石油の使用量をどうしたら減らしていけるのかという、そういう研究をやっておりますか、政府は。やっておりますならば、その成果について私は伺いたいのです。  この間、私は田無に行ってきました。そして太陽熱発電のあれも見てまいりました。地熱発電もあるでしょう。また、波の力を利用したそういうこともあると思うんです。鳴門潮流をどういうふうに使うかということもわれわれに残された研究だと思うんですが、そういう研究で一体どういうふうな成果が今日あるかということを、ひとつお答えいただきたいと思います。
  107. 増田実

    政府委員(増田実君) 石油にかわりますエネルギーの研究のために、これは通産省で、先生御存じのサンシャイン計画ということで、新しいエネルギーの開発研究が行われておりますし、また、科学技術庁を中心といたしまして新しい原子力核融合の研究も行われておるわけでございます。ただ、これらにつきましては、今後十年間あるいは十五年間にはエネルギーの大宗になるということは、これは非常に困難でございます。恐らく十年後、十五年後は依然として石油がエネルギーの大宗になっていくということが予想されるわけでございますが、しかし、石油も有限でございますので、将来のわれわれの子孫のためのエネルギーとして新しいエネルギーの研究開発を強力に推し進めなければならない、こういうふうに思っております。
  108. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 十万トンの貯蔵タンクですね、これをつくるのに金は幾らかかるのですか。
  109. 増田実

    政府委員(増田実君) タンク建設費だけで言いますと十億円要します。
  110. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 土地抜きですね。土地を入れればどういう見当ですか。それは場所によるけれども、いま計画を進めているのは。
  111. 増田実

    政府委員(増田実君) 土地とそれから港湾その他を全部計算いたしまして、つまり、タンク建設以外に要りますのが大体二十億円ということになります。
  112. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 十万トンのタンク一つつくるのに二十億円要る。それじゃ新エネルギー研究費で一体いま政府は幾ら使っておるのか。この間、私は田無へ行きまして、太陽熱発電のあれを見ましたよ。見たところはまだちゃちですね。それは費用がないからだ。ああいうところへもっとたくさんの研究費をつぎ込んで、そして単に石油に頼らなくても、今後何年でも無限大にある宇宙のエネルギーをどうわれわれが使っていくかという、それはこの際私はもっと研究を進めるべきだ、こう思いますが、どうですか。大臣、この点どうお考えになるんですか。
  113. 河本敏夫

    ○国務大臣(河本敏夫君) まだこのサンシャイン計画研究開発費はそんなに多額ではございませんが、実はいまお話の田無の研究所あたりも筑波へ移す計画を進めておりまして、これの移転には非常に莫大な資金を必要とするわけでございますが、着々いま建設も進んでおります。建設が進みまして設備が一段落をいたしますと、飛躍的な研究体制ができ上がりますので、そういう研究体制に応じまして、今後のサンシャイン計画に必要とする開発資金研究資金、これも飛躍的にふやしていきたい、こういうふうに考えておるところでございます。
  114. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 十万トンのタンク一つで十億円ですね。これから九十日分を備蓄しようと思えば、べらぼうな費用がかかるわけですね。だから一基でも十億円かかるのならば、将来性のあるエネルギー研究費としてはもっと金をつぎ込まなきゃ本当のものにならない、こういうふうに私は考えるんですが、どうぞ大臣、そういう方向で新しいエネルギーの開発のために予算を惜しげなくつけて、そして将来のために尽してもらいたい、これがわれわれ国民の願いだということをこの際申しておきますが、どうですか、大臣。
  115. 河本敏夫

    ○国務大臣(河本敏夫君) そのつもりでおります。
  116. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 最後に、この法案はアラブ産油国などに対決するIEAの石油備蓄計画推進するものであり、石油問題の根本的解決には私はならない、こう考えております。また、住民の反対によって進んでいない石油備蓄基地の建設を、石油企業にはさまざまな助成措置をとる一方、交付金をてこに自治体住民を懐柔してその建設推進しようとするものだ、そういうふうに私は理解しております。  だから、先ほども業界の代表にそういう点で私はちょっと質問を試みたのです。彼たちは、やはり企業の利益を第一義的にして、国の利益とか国民の利益、そういうことは第二義的に考えているように私は受け取りました。その点に立ちまして私は、建設推進しようとするこの法案には賛成ができないんです。反対をするということをここで申し上げておきたいと思います。  これで私の質問は一応終わります。
  117. 林田悠紀夫

    委員長林田悠紀夫君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  118. 林田悠紀夫

    委員長林田悠紀夫君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。——別に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  119. 林田悠紀夫

    委員長林田悠紀夫君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  石油備蓄法案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  120. 林田悠紀夫

    委員長林田悠紀夫君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  小柳君から発言を求められておりますので、これを許します。小柳君。
  121. 小柳勇

    小柳勇君 私は、ただいま可決されました石油備蓄法案に対し、自由民主党、日本社会党、公明党、民社党の四党共同による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗続いたします。  以上です。
  122. 林田悠紀夫

    委員長林田悠紀夫君) ただいま小柳君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  123. 林田悠紀夫

    委員長林田悠紀夫君) 多数と認めます。よって、小柳君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの附帯決議に対し、通産大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。河本通商産業大臣
  124. 河本敏夫

    ○国務大臣(河本敏夫君) ただいま議決をいただきました附帯決議につきましては、その趣旨を尊重いたしまして、万全を期する所存でございます。
  125. 林田悠紀夫

    委員長林田悠紀夫君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  126. 林田悠紀夫

    委員長林田悠紀夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  それでは、午後一時五十五分まで休憩いたします。    午後零時五十五分休憩      —————・—————    午後二時五分開会
  127. 林田悠紀夫

    委員長林田悠紀夫君) ただいまから商工委員会を再開いたします。  中小企業信用保険法の一部を改正する法律案議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  128. 森下昭司

    ○森下昭司君 まず最初に、時間がございませんので、この改正案を中心にいたしまして二、三お尋ねをいたしておきたいと思うわけであります。  その最初は、いわゆる今回の改正案に出されました特別小口保険の保険限度額の引き上げですが、これは政府が言う中小企業に対する信用保証の推進のため、また一層の円滑化を図るという観点に立って私は提案をされたのではないかと思うわけでありますが、今回の提案について、特別小口保険だけに限定されて提案をされているわけであります。それゆえかどうか存じませんけれども、衆議院におきましては、無担保・無保証のいわゆる現行五百万円を八百万円に引き上げるという修正がなされたわけでありますが、私は、衆議院の修正等を考えてまいりますと、この不況下におきまして中小企業の振興というたてまえに立ちますと、特別小口保険の限度額の引き上げ以外に、やはり一般の保証保険でありまするものの限度額の引き上げも同時に提案をすることが妥当ではなかったかと思うのでありまして、最初にその理由をお尋ねいたしておきたいと思います。
  129. 齋藤太一

    政府委員(齋藤太一君) 現在の信用保険におきます各保険限度額は、実は昨年の通常国会で限度引き上げをやっていただきまして、従来、特別小口は百万円でございましたものを百五十万円に引き上げていただきまして、また、無担保保険につきましては三百万から五百万円に、普通保険につきましては三千五百万円から五千万円に引き上げをしていただいたわけでございます。その後、不況が深刻化してまいりまして、大変この保証が活用されまして、その結果、信用保険の付保も急激に増加をいたしておりまして、昭和四十九年度で約六割増の保険の増額に相なっております。  ただ、各種の保険の利用状況を見てみますと、一番伸びが高いのが特別小口でございまして、倍以上に保険額が総額としてなっております。四十九年度で普通保険は約五割増でございますが、特別小口は二倍、無担保保険は八割六分増といったような増加額でございます。これは総額でございますが、特に一件当たりの利用状況を見てみますと、特別小口の場合には、平均いたしますと一件当たり九十六万九千円でございましたけれども、金額別の内訳で見ますと、百四十万円から百五十万円といった額におきます付保の状況が、ことしの五月で見まして全体の付保件数の約三割を占めております。こういうところから見ますと、特別小口につきましては、いわゆる天井に張りついておるものが非常に多いということがうかがえるわけでございまして、そういう意味合いで頭打ちになっておる感が強うございますので、最近の不況の状況、利用状況等も勘案いたしまして、限度額の引き上げを御提案いたした次第でございます。  ところが、普通保険と無担保保険の場合には、一件当たりが限度額に対しましてまだ相当余裕を持っておるように見受けられるわけでございます。  まず、無担保保険から申し上げますと、限度が一企業者当たり五百万円というのに対しまして昭和四十九年度の一件当たりの平均の付保額は百九十二万円でございます。約三百万円強の余裕があるように思われます。  それから、普通保険の場合には五千万円の限度額に対しまして、昭和四十九年度におきます一件当たりの平均付保額は五五八十八万円でございまして、限度額の一割ちょっとぐらいしか達していない、こういう状況でございましたので、普通保険と無担保保険はまだ限度額に相当余裕があるというふうに判断いたしまして、今回は限度の引き上げにつきましては提案を見送った。いま頭打ちの状況にございます特別小口について、緊急に必要なものというふうに考えまして、この臨時国会に引き上げ方をお願いをいたした次第でございます。
  130. 森下昭司

    ○森下昭司君 そういたしますと、いま長官のお話を聞いておりますと、衆議院の修正は無用の長物とは申しませんけれども、やや早期に失した感があるのではないかというような印象を私受けるのでありますが、その点について率直な御回答をいただきたいと思うんです。
  131. 齋藤太一

    政府委員(齋藤太一君) 政府といたしましては、あるいは次の国会あたりでも一応間に合うんではなかろうか、こういうふうな判断をいたしまして、今回は御提案しなかった次第でございますけれども、衆議院におきまして、平均の数字は私がただいま申し上げましたようなことでございますけれども、やはり中を見ますと、三百万円から五百万円といったような付保のものも全体の中で件数で見ますと約一割、金額で見ますと二四%といったようなものもございましたので、そこら辺を勘案されまして修正ということに相なっておるのではないかというように考えております。
  132. 森下昭司

    ○森下昭司君 私は、やはり今日のこういう不況の中から脱出をするということで、第四次の不況対策の中に、特別小口保険の限度額の引き上げということがうたわれておりました関係もありまして、政府が改正案を提出されたのではないだろうかというふうに思うわけであります。しかし、やはりいまお話をお聞きいたしておりますと、普通保険等におきましても、一応金額について三百万ないし五百万円の占める割合が二四%あるというようなお話がありますれば、私は、中小企業振興というたてまえからいけば、衆議院の修正は妥当ではなかったかと思うわけでありまして、やはり政府自身の中小企業振興政策の熱意というものの差が、そこにあらわれておるのではないだろうかというような感じが実はいたすわけであります。  いまお話を聞いておりまして、一応二百五十万、この限度額が十分であったかどうか、逆に言えば十分であるかどうか、若干私どもそうとも言えない点があるのではないだろうかと思うわけであります。現に中小企業団体でありますとか、あるいは中小企業団体の集まりでありまする中央会等が大会等におきまして、特別小口保険につきましては三百万円まで限度額を引き上げてもらいたいという大会決議等が実はあるわけであります。そういった点からまいりますと、一応二百五十万円に限度額のラインを引いたというのは何か理由がどこにあったのか、具体的に私はひとつお尋ねをいたしておきたいと思うわけであります。
  133. 齋藤太一

    政府委員(齋藤太一君) 御指摘のように、利用される側から申しますと、限度は高ければ高いほどいいというような見方も成り立つかと存じますけれども、これは無担保で、かつ保証人もなしで信用保証協会が保証をするものでございまして、各種の保険の中では一番危険度の高いものでございます。保険公庫の場合からもてん補率が八割ということになっておりまして、普通保険等よりも事故が起こりました場合のてん補率も高い、こういうリスクの高い保険でございますので、保険の、あるいは保証協会の収支という問題もございまして、一応いろいろな利用状況等を勘案いたしまして二百五十万円という限度を考えたわけでございますが、従来の改正の経緯から見ますと、最初五十万円でございまして、それが八十万に引き上げられまして、さらに百万に上がりまして、百五十万になりまして、今回二百五十万というふうな改正の経緯をたどっておりまして、百五十万から二百五十万というのは、引き上げの幅としては、率としましても、過去の引き上げのケースに比べまして一番大幅な引き上げをいたしたところでございます。
  134. 森下昭司

    ○森下昭司君 いま二百五十万の御説明をいただいたわけでありますが、私は愛知県でありますけれども、また、中小企業信用保険公庫の月報の十一月号に偶然出ておりますが、愛知県の信用保証協会におきましては、昭和四十九年から現在の限度額を、従来二百万円でありましたのを三百万円に引き上げているわけであります。これは四十九年十二月から実は実施をいたしているわけであります。国の政策が、地方公共団体が出損をいたしておりまする信用保証協会のその制度より限度額が低いというようなことは、私はやはり中小企業振興というたてまえに立った場合に、政府の積極的な姿勢がそこで欠けておるのではないだろうかというような実は感じがいたすわけであります。  私は、一つの例といたしまして愛知県の信用保証協会の例を申し上げたのでありますが、全国五十二の信用保証協会の中にはこれに類するような制度を取り入れて、積極的に無担保・無保証制度の推進拡大というものを図っておみえになりまする協会が他にあると思うのでありますが、一つの事例として、具体的な愛知県の例をいまお示しをいたしたわけでありますが、こういう地方の補完制度としての信用保証協会が、政府の二百五十万円という、今回の改正が行われて二百五十万円でありますが、もう一年前から三百万円を実施しておるというようなことをどうお考えになっておみえになるのか、そのことをひとつお尋ねをいたします。
  135. 齋藤太一

    政府委員(齋藤太一君) 先生御指摘のように、府県におきまして国の制度よりも前に、保険の限度は百五十万円でございますけれども、百五十万円超の保証を実施をしておられる府県の協会は幾つかございます。私どもの調べでは、現在十六の協会が百五十万円を上回った保証をしておられます。そのうち六つの協会が二百五十万円を上回っております。したがいまして、十の協会は今回の二百五十万円への限度引き上げによりまして全部カバーされる、こういうことになるわけでございます。残りの六つの協会は、三百万円までの限度を設けてやっておられますけれども、ただ、そのうちの大部分は、条件が、対象事業者が従業員二十人以下というようなところが多いわけでございまして、この特別小口保険は従業員製造業で五人以下、商業、サービス業の場合は二人以下といったいわゆる零細企業者、小企業者を対象にする制度でございますので、府県でやっておられます三百万円といった大口の無担保・無保証の保証は、ちょっとその対象である中小企業者の範囲が違うように考えられるわけでございます。  ただ、愛知県と名古屋市におきましては、この保険の制度と同じように、製造業で五人、あるいは商業、サービス業で二人以下という層に対しまして、県独自で三百万円まで保証をやっておられるわけでございまして、大変進んだ制度をおとりいただいておるところは敬服をいたしておる次第でございますが、国の制度としましては、一挙に余りに拡大というのも経理面でいろいろ問題がございますので、その全体の八、九割をカバーするところということで立案をいたした次第でございます。当然愛知県の場合でも、このうち二百五十万円までは保険に移行されるということに相なろうかと思います。
  136. 森下昭司

    ○森下昭司君 経理上問題がある、無理があるというお話でありますが、時間がありませんので、具体的内容をお尋ねいたしませんけれども、全国的に見まして、特別小口保険の利用率というものはどの程度になっていますか。
  137. 齋藤太一

    政府委員(齋藤太一君) 利用状況でございますが、四十九年度が約三万件でございます。四十八年度が約二万件。四十八年度は景気のいい時期でございましたので、保証の利用が少なかったわけでございますが、三万件の利用でございますので、大体三百三十万ぐらいの事業所がございますから、約一%弱といった利用率かと存じます。
  138. 森下昭司

    ○森下昭司君 まあ業者数から比べますと一%弱でありますが、これをいま申し上げたような信用保険の全体の、いわゆる無担保保険だとかいろんなものがたくさんありますが、そういうものの中で特別小口保険の利用率というものはどの程度になりますか。
  139. 齋藤太一

    政府委員(齋藤太一君) 四十九年度で申し上げますと、特別小口保険の構成比は全体の約一%でございます。
  140. 森下昭司

    ○森下昭司君 これも月報でまことに恐縮でありますが、先ほども私、愛知県の一つの例として月報の話をいたしましたが、この月報の中にも書かれておりますが、いま申し上げた愛知県の無担保・無保証の信用保証、言うならば、小口保険を中心にいたしましたものは、県の信用保証協会の保証全体に占める、承諾全体に占める割合は四十九年度が件数で一〇・八%、金額で四・五%、五十年度では件数の一四・九%、金額で七・四%、いまお話がありました保険全体の、全国の立場からまいりますと一%というお話でありますが、愛知県はいま申し上げたように、零細企業が多いという点もありましょうが、私はやはり昭和四十九年十二月から三百万円を限度として実施してきたその姿勢と、政府のいわば消極的な姿勢との差がここにこういう結果を生んでおるのではないだろうかというような感じがいたしますが、長官はどうお考えになりますか。
  141. 齋藤太一

    政府委員(齋藤太一君) この各保険におきまして、先生御承知のように、各種の制度融資を実施をしておられます。つまり、府県の資金金融機関に預託をされまして、一定の条件でその何倍かの融資をさせる。この場合に、大体信用保証につけるのが融資の条件になっておるのが多いようでございますが、その制度保証の非常に充実しておると申しますか、熱心な府県とそうでない府県との違いによりまして、こういった無担保・無保証の保証制度の違いもあるように存ずるわけでございます。従来、特別小口等の保険の限度を上げますと、府県の方がまたその上の保証限度に持っていかれるという若干追いかけっこみたいな経緯がございまして、そういう意味で保険の方が若干後追いをしているようなきらいがございますけれども、今回は約七割強の大幅な引き上げを限度としてはいたした次第でございまして、私どもとしては、過去の経緯に比べますと相当大幅な引き上げをしたつもりでございます。
  142. 森下昭司

    ○森下昭司君 いろいろ御説明がありましたけれども、この制度全体を広く理解されて、そうしてやっぱり利用率を高めていくというような運用をしていく必要が私はあるのではないだろうかと思うわけであります。この特別小口保険の利用率の低いのは、一つには限度額の問題もありましょう。それからもう一つの点については、この省令の要件の中に、「一年以上引き続き同一の都道府県の区域内において同一の業種に属する事業を行なっていること。」と規定されているわけです。  たとえば、他の都道府県の区域から移転をしてきて、事業を行おうといたしました場合でも、その区域内で一年以上事業を行っていないと、この保険が利用できないわけであります。また、こういう零細な、特にサービス業関係におきましては、零細な業者であればあればこそ、開業時、あるいは開業後数カ月、あるいは半年後という状態の中におきまして、一番融資を必要とするような状況下にあるのではないかと思うわけであります。でありまするから私は、この要件の同一都道府県内で一年以上引き続き云々と、しかも同一の業種に属する事業を行っている者ということは、特別小口保険制度の趣旨からまいりますと、いささか要件としては厳し過ぎるような感じがいたします。したがって、こういうような要件の期間を、一年を六カ月に短縮するとか、あるいはまたいわゆる他の都道府県で行っていて、その実績をある程度加味して審査を加えるとか、いろいろの行政上の裁量権があっていいのではないだろうかというような感じも私はいたします。  現に、また愛知県の話をして恐縮でありますが、愛知県は一年以上ではなくて、六カ月以上引き続き云々ということでありまするから、省令要件からまいりますと、愛知県の信用保証協会は半年間という期間で、いわゆる融資の保証の対象にしているというようなことが実は行われているわけであります。これは私は、行政裁量権の中で行われているというふうに理解をいたしておるわけでありますが、この省令の期間短縮、それから同一業種云々とか、あるいは同一府県内だとかというような点についての制限緩和の問題について、御見解があるならばお尋ねしておきたいと思います。
  143. 齋藤太一

    政府委員(齋藤太一君) この特別小口保証は、無担保で保証人もなしで保証をするという、非常に保証をお受けになる側から見ますと有利な制度でございますが、同時に、その事業の安定性とか収益性等につきまして、実態的な審査をいたしませんで、形式的な審査でこれを審査をいたしております。  その形式審査の要件といたしまして、居住要件と納税要件を二つとりまして、これを満たしておれば自動的に事業が安定し、収益になるというふうに推定をするといたしておるわけでございます。もし、この居住要件等を緩和するとか、あるいは納税要件を緩和するということになりました場合に、保証協会なり保険公庫の経営の安定という面からの要請との兼ね合いで、実態的な審査をするというようなことになりますと、かえってこの制度の利用の趣旨からしますと、逆行することになる面もございます。そういう意味で、いまとっておりますこの形式審査というのは、むしろ利用者の方の便宜を考えて採用しておる方法でございますけれども、それの期間をもう少し短縮をしたらどうかといったような御提案につきましては、今後さらに検討いたしたいと存じます。
  144. 森下昭司

    ○森下昭司君 期間問題について将来検討いたしたいというお話でありますが、具体的にいま申し上げましたように、名古屋市、愛知県は、たしか六カ月間引き続き事業を営んだ者に対しまして保証をするということを実は行っているわけであります。これが省令に違反しているとか、違反していないとか、いろいろの問題があるかもしれませんが、それはやはりその地域、地域の経済の実態、実情、それから私が先ほど申し上げた行政裁量権の枠の中で行われておるものだというふうに理解をいたしておるわけでありますが、少なくともこういった制度自体は、私は非常に望ましいものではないかと思うわけです。  一年よりも六カ月、確かに長官が言われますように、無担保・無保証、保証人なしでありますから、非常に危険度もあるでしょう。後ほど事故率の問題についてお尋ねをいたしたいと考えておりますが、私はやはり操業時、つまり一定の安定した状態をつくり出す時期に金融措置が必要だというような考え方を実は強く持っております。そういう点について検討なさるというお考え方がございましたが、少なくともいま地方の保証協会で行われておりまする、六カ月引き続き云々という点についてはどう考えますか。
  145. 齋藤太一

    政府委員(齋藤太一君) 居住要件につきまして、今後検討いたしたいと存じますが、ただいま申し上げましたように、それの緩和は同時にやはりリスクの増大という面と密着をいたしておりますので、どういった緩和が可能か、事故率の趨勢等ともにらみ合わせながらやる必要があろうと存ずるわけでございまして、両方の面から検討をいたしたいというふうに考えます。
  146. 森下昭司

    ○森下昭司君 そこで、いまお話のありました事故率の問題について若干お尋ねをいたしておきたいと思うんでありますが、昭和四十六年度から四十九年度における保険利用件数に対する保険事故発生件数を見てみますると、私の数字に間違いがなければ、普通保険につきましては二上ないし二・三%、無担保保険については二・二%ないしは二・八%、特別小口保険につきましては二・二%から五・五%となりまして、やや特別小口保険が、長官の指摘するように、リスクがあることがわかるわけであります。無担保保険と特別小口保険につきましては、年を経るごとにその事故率が減ってきておるというふうに理解をいたしておるのでありますが、今年度は従来に比較をいたしましてどの程度の事故率の発生になっているのか、その状態をまずお尋ねいたします。
  147. 安田佳三

    説明員(安田佳三君) 保険収支の事故率につきましては、これは単年度をもちましては算定がきわめて困難でございまして、一サイクル、約十年ほど経過する必要があるかというふうに存じております。しかも、付保年度ごとにそのときの状況等の関係もございますので、いろいろ変動がございまして、一概には御説明申し上げにくいわけでございますが、確かに先生のおっしゃるように、年によりましては特別小口保険など、たとえば四十二年度付保分につきましては五・一五%程度の事故率を出しております。その前の年におきましては四・二三%ということになっておりますが、最近ではこれが少し下がっている向きもございます。ただ、四十五、六年以降のものにつきましては、まだ最終の結果が出ておりませんので、最終的にどうかということはちょっと申し上げられない段階でございます。
  148. 森下昭司

    ○森下昭司君 過去の保証の審査経過から見まして、十年一サイクルというお話がありましたが、この月報の中にも経過年度別事故率というものが出ておりまして、その率を並べてみますると、初年度、保険をつけて貸し出しをいたしました後に、二年目が大体最高の事故率を示し、三年度、四年度、五年度とわたってまいりますと事故率がだんだん減ってまいりまして、六年度あたりからやや事故率がゼロに近くなってくるというグラフ統計が実はあるわけであります。ただ、昭和三十九年度だけはこういうような傾向とは別にいたしまして、やや急激に三年度以下が事故率が減っているわけでありますが、要するに、四十一年度付保険の場合は三年目ないし四年度目、あるいは四十二年度付保険の場合は二年度目ないし三年度目、四十三年度付保険の場合は初年度目ないし二年度目が一番危険であるというような、いわゆる過去の事故の統計等が出ております。この統計をながめてみますると、貸し出しを終わった後二年目、三年目が一番危険度が多いというような感じがいたしますが、三十九年度は除きますが、各年度同じような事故率の趨勢をたどっておりますのは、何かこれは原因があるわけですか。
  149. 安田佳三

    説明員(安田佳三君) これは、貸し出しの期間がある一定の年限がございまして、その返済を始めた後二年度目ぐらいに返済不能になる例が多いという、通常一般の返済の態様に基づくものではないだろうかというふうに推測いたしております。確かに三十九年度におきましては、三年度以降において非常に急激な特異なカーブを示しておりますが、その他の年におきましては、おおむね二年度が一番事故発生の度合いが多いというカーブになっております。  二年度目の事故率につきましては、特別小口保険をとってみますと、四十四年から二年度の単年度における事故発生状況を見ますと、四十五年度におきまして〇・九九、四十六年が一・二〇、四十七年が一・〇八、四十八年が〇・八九という状況になっております。四十六年がその中では一番高くなっており、四十七、四十八と低下いたしておりますが、四十九年度付保のものにつきましては、まだ実績があらわれておりません。一般的に申しますと、先生御指摘のとおり、ほぼ同一のパターンの事故率発生状況でございます。
  150. 森下昭司

    ○森下昭司君 本来から申し上げますと私はそう思うのでありますが、経済の情勢というものは毎年毎年違ってまいりまするから、実際事故率の発生のグラフが同じような趨勢を示すということは、私はやはり統計上の結果とはいえ、やや異な感じが実はいたします。  というのは、やはりそういったことは逆に翻してみますると、保証協会自体が保証いたしますときに相当、長官等のお話とは別にして厳しい選別的な審査、選別的な融資を行うための保証というようなものが行われておるために、経済の実情とは別にいたしまして、事故率のカーブがここ十年来少しも変わってないというような結果を生んでいるのではないだろうかというような実は感じがいたします。景気のいいときにはお金を借りる必要はありませんし、また、借りたものはすぐ返せます。景気が悪くなれば、借りたものも返せないというのが私は素朴な原則だと思うんであります。その事故率が経済のそういった景気、不景気に惑わされないで、ずっと昭和三十七年度から、いま申し上げた三十九年度は別にいたしまして、同じようなカーブを描くなんということは、私はやはり審査の段階で相当厳しい選別的な保証審査が行われているのではないだろうかという感じをぬぐい去ることができ得ないのであります。  このように事故率が、たとえ二年目にしろ、三年目にしろ発生する度合いが大きいのでありますが、年々いまお話がありましたように、たとえば小口保険なんかでは減少しつつあるようでありますが、こういう減少している理由というものは具体的に言うと何なのか。たとえば企業が非常に健全化してきた証拠なのか、あるいは経済の実態に見合ってそうなっているのか、あるいはまた、いまも私が申し上げた選別企業審査が厳重なためにこういうような結果になってきたのか、その点ちょっとお尋ねいたします。
  151. 齋藤太一

    政府委員(齋藤太一君) 保証協会も、事故が起こりました場合には代位弁済をいたしまして、その分保証料の収入等で間に合わない場合には、十分蓄えております基金等に影響がくることになるわけでございまして、そういう意味合いでは、全く無審査で持ってこられたものをそのままうのみというわけにはまいらない面もあるわけでございます。もしそういったやり方をとりますと、逆に保証料をもっと引き上げなければならない、こういったこともございますので、極力保証料を安くして皆さんに利用をいただくという面におきまして審査をいたしまして、逆に、まじめにやっておられる方がそうでない方の迷惑をかぶるということがないようにという面もあるわけでございまして、その辺の兼ね合いはなかなかむずかしい点があろうかと存じます。  ただいま先生の御指摘の、景気の循環と余り関係なしに、最初の保証年度から経過年度によるパターンが同じような図柄を描くのはいかがかという御質問で、これは非常に原因の分析はむずかしい面がございますけれども、審査のときに問題のあるようなものは最後にやはり事故が出るというような意味での、審査が同じレベルで行っておりますと、やはり似たような結果が出てくるのじゃないか。つまり、最初に持ち込まれたときの内容自体にそもそもの問題があるものの率というのは、余り変わっていないのじゃないか、こういうふうなことの反映ではないかと私は想像をいたしておりますが、この分析はなお詳細な分析をしないと、私も自信はございません。
  152. 森下昭司

    ○森下昭司君 最後に、詳細な分析をしなければ自信がないというお話でありますので、私もその点は同感であります。  というのは、いま長官がお話しになりましたように、審査をするレベルが一緒だとか、あるいは持ち込まれるものが同一条件ではないだろうかという一つの前提をお話しになりましたが、保証協会は五十二ありまして、実際間道といたしまして職員の研修でありますとか、あるいはまた職員の資質向上のための何らかの制度というものは、実はいまのところ制度化されておりません。もっと言葉を悪くして言えば、五十二の保証協会が独自、独自で行い得るような状況下にあるわけであります。したがって、ある協会の力のあるところはともかくとして、力のないところはなかなかそこまで手が回らないとか、私、統計表を見せていただきますと、人件費の占める割合がやや年度別に大きくなりつつありますけれども、一般論といたしましては、職員の数はややふえておりますけれども、その伸び率というものは非常に低く抑えてあるということで、保証協会自体が、経営をいたしてまいりまする場合に、一番金のかかりまする人件費に大きな関心を持って処しておるということは理解できるのでありますが、いま申し上げたように、五十二の保証協会はそれぞれ独自の立場でおやりになっているんで、全国レベルからまいりますと、北海道から沖縄まで職員の資質が一緒だとは考えられないことなんです。ですから、いまお話があったように、審査の内容を同じようなレベルで行われておるとか、何とか云々ということは私非常に疑問を持ちます。  しかし、原因については、長官自身が最後に言われましたように、もう少し深く検討してみなければわからないという点については同感でありますので、私は、やはりこの信用保証制度、あるいは特別小口保険なり普通保険なりを推進していくためには、事後の結果というものを十分ひとつ御調査いただきまして過ちのない対策を立てでいただきたい、かように実は存じておるようなわけであります。  次に私は、時間がありませんのでお尋ねいたしておきますが、実際問題として、保証協会なり市町村の窓口を通じて保証を申請をするわけであります。その申請をいたしますと相当な日時がかかるわけであります。ところが、普通の金融機関を通じまして、私どもの方の県では簡易保証という呼び方をいたしておりますが、やりますと、一日や二日ででき上がってしまうというようになっているわけなんです。ところが、実際問題として金融機関を通じて簡易保証をとれる企業というものは、企業といいますか、小規模企業も含めてですが、中小企業というものはそういう金融機関と従来から実は取引があるわけであります。実際特別小口保険の制度を利用する小規模零細企業は、日ごろからそういう金融機関とややもすれば取引のないところが多いわけであります。  そういうことを考えてまいりますと、私は、特別小口保険制度を広くPRをし、これを利用して迅速な融資を行うということは、やっぱり当面の急務ではないだろうかというような実は感じもいたしますが、全国的に見まして、愛知県のような簡易保証制度による保証件数と比較をいたしまして、信用保証協会に直接申し込むなり、あるいは愛知県の場合は県下の市町村が窓口でありますが、そういうところへ持ち込まれて特別小口保険制度を利用してもらいたいといって持ち込まれる件数が多いのか、全国的にはどの程度の割合になるんでしょうか。
  153. 齋藤太一

    政府委員(齋藤太一君) 銀行の方に先にお見えになりまして、銀行から保証協会の方に回ってこられるケースが全体の七割ぐらいでございます。三割は先に保証協会の方にお見えになる、こういう割合でございます。  いま保証の事務手続の期間のお話がございましたけれども、特別小口は形式審査でやっておりますので、大体二日ないし三日で事務処理を終わっております。  それから、すでに前に保証をお受けになりました方の場合には、特別小口でない普通保証等の場合も大体二、三日で済んでおりまして、そういうことでなくて、全く新規にお見えになりました場合には、担保の設定等の期間も含めまして七日から八日ぐらいで事務処理を終わっておるというのが、全国の平均的な数字でございます。
  154. 森下昭司

    ○森下昭司君 そこで、特別小口の問題と関連をいたしますが、すべてのいわゆる保証つき融資の問題ですが、いまもおっしゃいましたように、金融機関を通じて出されましたものは、金融機関承知の上で保証協会の保証があれば融資をいたしますという承諾書がついておるわけでありますが、直接保証協会等の窓口へ出しますものは、そういったものはついておりません。中には信用保証協会が保証を与えたものであっても、いざ銀行で融資の段階になりますと拒否をされる場合が一つ。  第二は、拒否をされない場合でも、保証額以下に切り下げを受けて、これこれならば融資をいたしますというのが第二。  第三は、歩積み両建てではございませんが、何らかの拘束性預金を要求をされて全額を融資をする。  大別をいたしますと三つの分類になるのではないかと思うのでありますが、そういった点について、中小企業庁として全国的に問題はないとお考えになっているのか。もっと言葉をかえて言えば、そういった事例はないとお答えができるのか、実態についてまず最初にお尋ねいたします。
  155. 齋藤太一

    政府委員(齋藤太一君) 保証つきの場合には、金融機関としましては、貸し倒れ等のいわゆるリスクが全くないわけでございますので、保証がついておるにかかわらず金融機関融資をしないというケースは、きわめてまれだというふうに私ども承知をいたしております。  ただ、まあ金融引き締め時におきましては、金融機関自体の総体の貸し出しの枠につきましていろいろ制約がある場合がございますので、そういう場合にはソースである資金の枠自体に余裕がないといったようなことで、先に延ばしたりするケースも、特に引き締め時におきましてはあろうかとも存じますけれども、一般的には保証がついておりますと、まず融資を断られるケースというのは非常に少ないというふうに思います。
  156. 森下昭司

    ○森下昭司君 私どもの実態からまいりますと、長官の答弁とはやや反するようなことが事実行われているわけであります。率直に申し上げますと、たとえば、保証協会でいま申し上げたいわゆる特別小口保険、あるいは普通の無担保保険等を行いまして、まず名古屋にありまする東海銀行、都市銀行でありますが、東海銀行へ、いわゆる保証協会の窓口で提出をして、それで保証協会が判こを押して東海銀行に回すという例はほとんどない、ゼロですよ。  まず、県の保証協会なり市の保証協会、どこへ出すか、信用金庫ですね。五人とか三人の零細サービス企業なんかが窓口へ行って、特別小口保険をお願いいたします、いま長官の言った手続を経て保証します、じゃ保証協会はどこへ融資のあっせんを頼むか。東海銀行に絶対頼みませんね、出したって受けないです、向こうが。信用金庫です。そうすると、さっきも言った第三のケースがは第二のケースが多いんです。そうして、都市銀行の東海銀行なんかへ回せば第一のケース、拒否です。これが、今日の信用保険法の補完制度としてでき上がっておりまする信用保証協会が保証しても、零細企業に本当の意味で金が回っていない  いうのが実態なんです。  東海銀行は報告書を出します。大蔵省の銀行局なり、また中小企業庁に出すでしょう。特別小口保険でこれこれやりました、それは、先ほど私が申し上げた東海銀行と従前取引のあった業者が特別小口保険を申請いたしますと、その者に対しては東海銀行は貸し出すわけであります。この弊害を一掃しなければ、本当の意味の特別小口保険制度の趣旨が生かされないと私は理解をいたすのでありますが、こういう実態について御承知かどうか。また、承知していないとするならば、こういう事態についてはどういうようなお考えを持っているのか、お尋ねいたします。
  157. 齋藤太一

    政府委員(齋藤太一君) 相互銀行、信用金庫は中小企業専門の金融機関でございます。都市銀行の場合には相当な大口の金融も行っておるわけでございまして、そういう意味合いから、非常に零細な小口の保証の要求がございました場合に、専門の金融機関の方にまずこれを推薦をするというのも一つの行き方と申しますか、金融の実情に合った措置ではないかと考えるわけでございますが、ただ問題は、相互銀行、信用金庫はそういった小口が多いために金利が高いという面がございます。利用者からいたしますと、金利のなるべく安いところに推薦をしていただくというのが望まれるかと存じますけれども、同時に、ただいま申しましたようないろいろ資金量の余裕の問題もございますので、そこら辺を勘案をいたしまして、保証協会は御推薦をしておるんじゃないかと考えておるわけでございますが、いずれにしましても、まず融資を受けられることが第一かと存じますので、資金の余裕のあるところに推薦をされるということにつきましては、それ自体やむを得ない面もあろうかと存じますが、拘束預金の問題でございますとか、あるいは保証つき融資につきまして金利を安くするといった面につきましては、従来から大蔵省の方にその指導方をお願いいたしておりますけれども、さらにそういった事例が出てきませんように、指導強化してまいりたいというふうに考えております。
  158. 森下昭司

    ○森下昭司君 銀行にはそれぞれ機能があるという長官のお答えでありますが、私は、都市銀行の東海銀行も、何も中小企業に、あるいは零細企業に金を貸しちゃいかぬという銀行法なんてありませんから、積極的に貸し出す方向に行政指導をしてもらわなくちゃいかぬと思うんです。現にいま長官自身御指摘になっているように、信用金庫だとか相互銀行というのは、都市銀行に比べて利息が高いんです。零細企業にとってみれば、利息の安いことが望みなんですね、ですから、おたくの方も三カ年計画で保証料を全国平準化するために、少なくとも一%にしろということを御指導なさっているんです。それはいま申し上げたように、やはり、保証料というものが零細企業に対しまして、いわゆる負担増になるおそれがあるという点も考慮されての処置ではないかと私は思うんであります。  そのために、逆に言いますれば、信用保証協会の基本財産の増加をどうしていくのか。また、経営基盤をどう安定さしていくのか、いろいろな問題が実は提起をされているわけでありますが、政府が出しておりまする補助金というのを、一応五億円というものを、地方の自治体の出資補助といたしまして保証協会に出しておるようでありますが、これは五十二の保証協会の五億円ですから、配分はいろんな基礎によってなされると思いますが、大したものではないと、失礼ですがそういう表現が妥当ではないかと思うんであります。また、地方財政が危機にある今日におきまして、地方公共団体等がいわゆる保証協会等に出捐金を出すことは非常にむずかしい問題でありまして、今日の状況からまいりますれば、地方公共団体に対しまして、今後出捐を大きく期待することは困難な状況下になっているということ等を考えてまいりますと、やはり、各県あるいは市にございまする五十二の信用保証協会に対しまする国としての補助、出捐、助成対策強化というものをまず私は要望しておきたいと思うわけであります。  そこで、時間がありませんが、いわゆる各県の保証協会はそれぞれ定款倍率というものによって、その定款倍率の保証限度の中におきまして保証業務というものを実は行っているわけであります。私の手元に、ことしの八月の基本財産倍率の実情という資料を持っておりますが、大体全国的に見まして定款倍率の限度額いっぱい保証いたしておりまして、産業や経済の非常に進展をいたしておりまする地方公共団体の区域におきましては、もう定款倍率を改正をしなければ何ともならぬような地区も実はあるわけであります。  したがって、定款倍率の問題について一般論として申し上げますと、各保証協会自体が全部すべてまちまち、特に沖縄県の協会の場合は、定款倍率が一番低くて三十倍です。全国平均では四十七倍という数字に実はなっておるわけでありますが、この定款倍率が基本財産に対しまして何ほどの倍率を持つのが一番妥当だとお考えになっているのか。定款倍率の一応の考え方についてお伺いしておきたいと思います。
  159. 齋藤太一

    政府委員(齋藤太一君) 現在定款倍率は、高いところは六十倍から、低いところは沖縄が一番低くて三十五倍でございます。確かに御指摘のようにいろいろ差がございます。一番望ましい倍率は何倍かという御質問でございますけれども、これはそれぞれの協会の基本財産、経営基盤の実情でございますとか、過去の事故率の状況等々によりまして出てくるわけでございまして、なかなか一概にこういう倍率が望ましいということも言いにくい状況にございます。全国平均の定款倍率は現在四十八倍ぐらいに相なっておりますが、この個個の協会によりましては、現在の定款倍率で大分余裕が少なくなっておるというところもあるわけでございます。そういうところにつきましては、定款倍率が加算になりまして、そのために保証ができにくい、こういうことは絶対に避けなければなりませんので、定款倍率の引き上げにつきまして、実情に応じまして、申請を待ちまして認可をいたしておるところでございます。  ただ、この場合に倍率の引き上げを申請されますと、やみくもに倍率の引き上げを認めるというようなことではございませんで、やはりそういう場合には、まずみずからの基金を増額をして、経営基盤を強化するという措置をとっていただきまして、それと同時に定款倍率の方も引き上げるというようなことで、両々相まちまして保証の充実を図る、こういった運営をいたしておるわけでございます。
  160. 森下昭司

    ○森下昭司君 私は、まず定款倍率は、実際問題としていま長官がお答えになりましたように、どの程度のものが望ましいかということはなかなかむずかしい問題だと言われましたが、こういういわゆる基本財産との関係、それから、信用保証協会自体が行いまする保証業務の実態と密接な関係にありまするこの定款倍率が各県まちまちで、望ましい倍率というものはむずかしいということでは、私は問題が残ると思います。また、定款倍率も私の知るところでは、根拠法、つまり基本財産が何億円以上とか何十億円以上は何倍とか、何百億円以上は何十倍だとかいうような定款倍率を出しまする基礎になる法的根拠すらもないというように、実は承知をいたしておるわけであります。  これは定款倍率のやり方によりましては、言うなら水増しと一緒ですね。基本財産がたとえば一億円でも、倍率を百倍にすれば百億円です。三十倍だったら三十億しかできないのです。沖縄県が三十倍、わが愛知県が六十倍です。こういういわゆる倍率が地域、地域の信用保証協会によって違う。しかもいま申し上げたように、基本財産によって区分がされているわけでもなし、保証件数とか保証金額によって区分されているわけでもなし。私はやはり一つの問題点として、こういった点は、将来基本財産のあり方と定款倍率のあり方は、何らかの標準的な物差しなり標準的なめどをつけて、そして、中小企業者の保証に対しましてこたえていくというような体制というものをつくっていく必要があるのではないだろうかというふうに私は考えているわけであります。  そして私は、やはり一つの問題といたしまして、今日いろんな面におきまして限度額を設けておりますけれども、そういった限度額は産業経済の実態に合わせて余裕を持ってふやしていく。具体的には、先ほど最初に御質問いたしましたように、衆議院におきまして無担保保険が現行の五百万から八百万円に修正された。長官は政府提出にしなかった理由をお述べになりましたけれども、やはりそういうように前へ前へと積極的な姿勢を向けていくことが、私は行政としても政治としても必要ではないだろうかというふうに思うわけでありまして、定款倍率の点については長官から、それから、信用保証協会の今後の向かっていくべき方向と申しますか、そういうものについて通産省大臣としてどうお考えになっているのか、最後にお尋ねします。
  161. 齋藤太一

    政府委員(齋藤太一君) 定款倍率の点は、基本財産との関係だけでは決められない面がございます。と申しますのは、非常に事故率の高い協会の場合には、やはり定款倍率はやや低めに抑える必要があるわけでございまして、そういう意味で、基本財産の充実の状況と過去の保証の状況をかみ合わせましたものとして基準といったものを検討してまいりたい、かように考えております。  なお、国の保証協会に対する助成といたしましては、現在融資基金千二百億円強を各保証協会に低利で預託をいたしておりまして、保証協会がそれを定期預金等で運用をして、その利ざやが保証協会の経理面へ寄与をいたしておるわけでございます。  そのほかに、先生御指摘のように、今年度特に基金の補助ということで、当初予算で四億円、今度補正予算で五億円合計九億を計上をいたしております。これは特に最近、いわゆる倒産関連保証がふえておりますので、保証協会の事故率も高まるのではないかということを考えまして、そういう措置をとったわけでございます。  本来、保証協会の基金というものは、府県なり金融機関なり、保証協会自体で強化すべきものだというふうに私ども考えておりますが、こういった不況が続きます限りにおきましては、保証協会の基金を強化するための国の助成というものも、今後やはり継続していく必要があろうというふうに考えております。
  162. 河本敏夫

    ○国務大臣(河本敏夫君) 現在の経済情勢にかんがみまして、政府の方では、中小企業対策というものを最大の政策課題と心得ておりますが、その中におきましても、この小口保険制度というものは非常に大きな柱になっておるわけでございます。今後とも、この制度を一層充実してまいりたいと存じております。
  163. 桑名義治

    ○桑名義治君 私は、中小企業信用保険法の一部改正法案を審議する前に、今回のこの法改正は、もちろん不況対策の一環としてなされたということが理解できるわけでございます。そうやった立場から、いわゆる今後の景気の動向並びに中小企業対策という根本の問題から、まず質疑を進めていきたいと思います。  政府は、ことしに入りましてから、一次から第四次までの不況対策を打ち出したわけでございますが、不況の実態から見ると、第四次対策だけでは景気の本格的な回復を図るのは非常にむずかしい、こういうふうに考えられるわけでございます。  そこで、帝国興信所あるいは東京商工リサーチの発表を読んでみてもわかりますように、十一月度は千三百十五件、負債総額は二千四百十八億三千六百万円というような状況に落ち込んでいるわけでございます。そういうことから考えてみますと、さらに積極的な施策を織り込んだ第五次対策が必要ではないか、こういう意見も非常に強く、また、報道機関によりますと、通産大臣は、第五次不況対策は必要であるという考え方であるというふうにわれわれは承っているわけでございます。政府としては、大蔵大臣と通産大臣の話し合いの中では、第五次不況対策は必要ではないというような考えの方向のようでございますけれども通産省もしくは大臣としては、どういうふうにこの点についてはお考えになっていらっしゃるのか、まず、冒頭にお伺いをしておきたいと思います。
  164. 河本敏夫

    ○国務大臣(河本敏夫君) この九月十七日に第四次の景気対策を決めましたときに、十一月の下旬にその波及効果等を詳細調査をいたしまして、そうして経済対策閣僚会議に報告をいたしましょう、景気の動向いかんによっては、そのときに必要な措置を考慮しなければならぬだろう、こういう趣旨のことを私は発言をいたしまして、経済対策閣僚会議の了解を得ておったわけでございますが、そのときの申し合わせに沿いまして、去る十一月二十日現在の景気動向を通産省の機関を総動員いたしまして、詳細に調査をいたしました。  その結果は、九月、十月と比較的順調に回復を続けるように見受けられました景気の動向も、先ほどお話がございましたように、倒産等も非常に十一月になってからふえましだし、それから貿易の状態も十一月になってから伸び悩む、さらにまた雇用関係もよくない、いわば足踏み状態になったわけでございます。そこで本日、経済対策閣僚会議を開いていただきまして、その実情を詳細に報告をいたしました。  何らかの対策が必要でございますが、実はこの第四次対策も、いまのところ非常におくれておるんです。まだ部分的な実施しか進んでない。一つには、地方の財政が御案内のような状態でございますので、そういうことも一つの条件ではありますけれども、また、赤字公債等を出す体制も整わない。こういうこと等も重なりまして、四次対策が非常におくれておるわけです。でありますから、いまの段階でなすべきことは、おくれておる四次対策をとにかく一刻も早く全面実施をする、こういうことである、こういうことを私はきょう、強く主張をしておいたわけであります。  同時に、来年度予算を編成し、御審議をいただいて、仮にこれが三月末に通ったといたしましても、いまのようになかなか実施がスムーズに進まない、こういうことですと、景気対策が実際は進められないわけですね。したがって、来年度予算の運営についても、予算が通った場合には、直ちにこれは実施に移されるような事務的な準備をいまからすべきである、こういうことも主張をしたわけでございます。  ただ、いまお話しの第五次対策は、この第四次対策がまだ完全実施をされてない、こういう実情でございますし、しかも、そこへ来年度予算編成の大きな作業が入っておる、こういうことでございますので、そこへ第五次対策を入れるということは、時間的に非常にむずかしいので、実質上の第五次対策というものは来年度予算で実行する、こういうことにしてはいかがか、こういうふうに私どもはいま理解をしております。  ただしかし、それまでの間、相当なまだ時間的な余裕もございますし、このままほっておくわけにはいきませんので、緊急の金融対策、これをやはり考慮する必要があるのではないか、こういうふうに実は考えまして、その必要であるということも、実は本日強く発言をしたわけであります。  緊急の金融対策はどういうことかといいますと、一つは、いまお話がございました、中小企業関係がやはり一番の打撃を受けておりますので、中小企業関係の金融について、格段の、しかもきめの細かい配慮を払っていくということが、これはもうぜひ必要であるということが一つだと思います。  それから第二は、いま景気を振興させる一つの大きな柱は、やっぱり貿易を伸ばしていくことだと考えておるわけでございますが、貿易を伸ばす場合でも、商品で、つまり商品貿易で無理やりに相手国へ売り込むということになりますと、トラブルが発生をいたしますので、そこでプラント輸出を中心に貿易を伸ばしていく、これが非常に必要である、そのためにはやっぱり相当資金が要るわけですね。でありますから、そういう資金だけではなく、貿易を伸ばすために必要な資金の手配、金融対策については、これまた弾力的に、かつ機動的に配慮を払っていくということ、これが必要であるということだと思います。  それから第三は、これまで四回公定歩合を下げたわけでありますが、それに見合う実質上の金利が下がっておらぬわけです。これは大変残念なことだと思いまして、実質上の金利、実効金利の引き下げということについて、やはり政府は全力を挙げてこれの実現を図るべきである、こういうことを内容とする一連の緊急の金融対策考えていって、そして五次対策ともいうべき、来年度予算が成立するまで、積極的なひとつ第四次の補充対策としてやっていくべきである、こういう趣旨の発言をいたしまして了承を得たわけであります。そういうことでございますので、いまのお話の五次対策というものはやりませんけれども、実質上の四次の補強あるいは五次対策、こういうことはいま申し上げましたようなスケジュールで実行に移していきたいと考えております。
  165. 桑名義治

    ○桑名義治君 実際には五次対策はやらないけれども、いま大臣のお話のあったように、いわゆる金融政策でもってこれを補完をしていきたい、特に中小企業あるいは貿易の拡大あるいは公定歩合の引き下げによる実金利の引き下げと、この大きな三つの柱をお話しになったわけでございますが、これは大きな柱としては理解はできるわけでございます。そうした場合、具体的にはどういうふうな方法でこの三つを推進をしていくかという具体策について、早急に手を打たないと、結局は来年の三月に、年度末になるわけでございますので、これは手おくれになるおそれが十分あるわけですが、具体的にはどういうふうなことをお考えになっていらっしゃいますか。
  166. 齋藤太一

    政府委員(齋藤太一君) 中小企業金融について申し上げますと、まず年末融資関係といたしましては、年度当初の二兆五千億の融資枠に対しまして、四千八百億の追加をいたしまして、ほぼ三兆円の年間の融資枠ということになっております。このうち第三・四半期分といたしまして約一兆二百億円くらいの資金枠を用意をいたしております。  それから、民間金融機関にお願いをしまして、十−十二月の中小企業向けの貸し出し増加分といたしまして三兆五千二百億の融資目標を設定をして、大蔵省の方から指導をいただいておるわけでございます。  それから、金利の引き下げといたしましては、政府系三機関につきましては、中小公庫と国民金融公庫は、十一月の初めから〇・五%の引き下げをいたしました。商工中金につきましては、一年未満の短期のものは一%の引き下げ、一年超の中長期のものにつきましては〇・五%の引き下げを十一月から実施をいたしておるわけでございます。  それからもう一つは、返済猶予の点でございますけれども、これにつきましては極力弾力的に取り計らうようにというように指導をいたしておりまして、事実非常に活発に返済猶予が実行されております。たとえば、ことしの上半期の返済猶予は件数にして二万件、金額で千三百億円でございまして、昨年が年間で三万件の千六百億円でございましたのに比べますと、ほぼ半年で去年の一年分に近い額を返済猶予をいたしております。それから、特に最近御要望のあります担保切れの問題につきましては、担保の徴求につきまして、これも極力弾力的に計らうようにという通達を、今月の初めに政府系三機関に出したわけでございます。その中におきまして、担保の評価あるいは担保の対象となる物件の範囲あるいは担保の順位、こういうものにつきまして極力弾力的に計らうように、こういう指示をいたしたわけでございます。  そのほか信用保証の活用、特に保険限度の引き上げにつきましては、この御審議を終え次第直ちに施行いたしたいというふうに考えております、
  167. 桑名義治

    ○桑名義治君 いま具体的なお話があったわけでございますが、いずれにしましても、財源不足を補完するために、補てんするために、国債の発行あるいは地方債の一兆四千億の発行、こういうことで、市中金融機関が引き受けることによって中小の資金が非常に大幅に吸い上げられる結果になる。そうしますと、市中金融が大きく圧迫をされまして、特に中小企業金融への影響が懸念をされるわけでございます。そうやった立場から、この点については十二分にひとつ留意をしていただきたい、これをまず要望しておきたいと思います。  そこで、中小企業庁は十二月四日に政府系の三機関に対して、担保評価の見直し、それから担保評価に当たってきめの細かい配慮をすること、それから三番目に、担保物件の対象範囲の弾力化などについて一応配慮をしておりますし、担保余力が低下をしております中小企業者に対して金融の円滑化を図るよう指示を出しております。こうした処置によりまして、貸し出しが伸びることが一応予想されるわけでございますが、融資枠をさらに増額をする必要があるのではないか、こういうふうに思うのですが、この点についての手当てはどういうふうにお考えですか。
  168. 齋藤太一

    政府委員(齋藤太一君) 融資の枠につきましては、先般、第三・四半期に四千八百億の年末追加を決定をいたしまして、政府系三機関の融資枠といたしまして一兆二百八十億円の融資枠を用意をいたしております。  一方、資金の需要の方でございますけれども、こういった不況の状況で、生産水準も昨年のいまごろに比べまして約六、七%低い水準にございまして、操業率も七五%ぐらいでございますので、前向きの増加運転資金あるいは設備資金需要は余り活発でございません。一方、後ろ向きの資金の方が資金需要の中心をなしておりますけれども、ずっと減産をいたしておりますので、在庫調整は漸次進捗を見ておりまして、十月の在庫水準は去年の十月に比べますと、やはり七、八%減少しております、そういう状態でございまして、資金需要の方は、申し込みの状況で見ますと、去年のいまごろに比べましてほぼ七、八%増ぐらいの申し込み状況でございます。  したがいまして、現在用意しております第三・四半期の追加も加えまして、融資枠は昨年の額に比べまして約一割、二%ほど高い枠を用意しておりますので、現在の申し込みの状況でありますれば、何とか間に合っていくんじゃないか、かように考えておりますが、今後国債の発行でございますとか地方債の発行等が予想されますので、それによります資金の需給の逼迫ということも、場所等によりましては起こり得ることも考えられますので、なおこの辺は成り行きを十分慎重に見守りまして、必要に応じて、また、もし現在の枠で不足するようなときには必要な措置をとらねばなるまいというふうに考えておるわけでございます。  なお、先般公労協のストによりまして、中小企業者が一部資金繰りの逼迫を来したところがございますが、こういう方々につきましては、政府系の三機関に対しまして特に融資面でめんどう見るように指示をいたしております。こういう関係で第三・四半期の資金枠が不足するというような事態が出ます場合には、第四・四半期の分を先食いをするというようなことによりまして、資金のショートを来たさないように三機関には指示をいたしておる次第でございます。
  169. 桑名義治

    ○桑名義治君 総括的な質問は一応これで打ち切らしていただきまして、いよいよ保険法の方に入っていきたいと思いますが、先ほどからの質問の中で、重複した分は極力避けていきたいと思います。  そこで、特別小口保険の付保限度額の引き上げに伴ういわゆる予算措置については、補正予算に一応組み込まれている、こういうふうに言われておりますが、百万円の引き上げによって新たにどれだけの予算が必要となっておるのか、まず伺っておきたいと思います。
  170. 齋藤太一

    政府委員(齋藤太一君) 大体保証をいたしますと、それによりまして、事故が出まして代弁済をする、その結果保険公庫が保険金を支払うというのは、ややそれよりもおくれまして、大体一年後ぐらいにそういった事故となってあらわれてまいりますので、当面、今年度の保険公庫等の予算につきまして特別の手当ては必要はないかと、かように考えまして、予算面では今年度の分については特別の手当てはいたしておりません。
  171. 桑名義治

    ○桑名義治君 そこで、衆議院におきまして無担保保険の付保限度額の引き上げが急にでき上がったわけです。これは、政府としては一応予定がなかったのじゃないかと思いますが、そのためによる、いわゆるどの程度予算を必要とするのか、また、どの程度の金額を大体想定していらっしゃるのか、また、すでに補正予算が成立しておる現在、その予算措置はどのような方向でなされるのか。前の答弁で、今年度じゅうには必要ないのじゃないかというようなお話もありましたけれども、それは前回のいわゆる特別小口保険の付保限度額の引き上げ、この問題での質問でございましたので、この両方重なりましたので、この点についての資金の手当てをどういうふうに扱うのか、伺っておきたいと思います。
  172. 安田佳三

    説明員(安田佳三君) 御説明さしていただきます。  今回の改正が行われますにしても、保険金の支払いといたしましては、本年度内におきましては、大きな支払いは起こらないというふうに考えております。ただ、明年度予算におきましては、特別小口保険、または無担保保険の限度の引き上げによりまして、それぞれの保険種別ごとの保険金の支払いが増大するものと思われますので、その点につきましては、五十一年度予算要求を改要求をいたしております。
  173. 桑名義治

    ○桑名義治君 次の問題でございますが、倒産関連保証については、通常の保証のほかに、別枠として同額の保証が行われることにはなってはおりますが、今回の改正で特別小口保険及び無担保保険の付保限度額が引き上げられることに従い、倒産関連保証のいわゆる別枠分についても自動的に増額されるのかどうか、この点について伺っておきたいと思います。
  174. 齋藤太一

    政府委員(齋藤太一君) 倒産関連保険は、通常の場合の倍額まで保証が受けられることになりまして、それを保険で引き受けることになりますので、今回、通常の保険の方につきまして限度が引き上げられますれば、倒産関連保証の方も当然自動的にその分だけ引き上げられることになるわけでございます。
  175. 桑名義治

    ○桑名義治君 次に、保証料、保険料の引き下げについてちょっとお尋ねをしておきたいと思いますが、五十一年度までに信用保証協会の保証料率を四十八年度の一・二八%、これは全国平均でございますけれども、それから一%に引き下げる計画になっている、こういうふうに聞いておりますが、現段階での状況及び目標達成の見通しはどのように踏まえておりますか。
  176. 齋藤太一

    政府委員(齋藤太一君) このところ毎年〇・一%ずつぐらい保証料の引き下げを実施をいたしております。四十八年度は一・二八%でございましたが、四十九年度は、これは全国平均でございますけれども、一・一八%になっております。今年度は大体一・一一%でございます。
  177. 桑名義治

    ○桑名義治君 各保証協会の間で、保証料率に一%から一・三%と、こういうふうに差が見られるわけでございますが、これをできるだけ平準化させる必要があるんじゃないかというふうにも考えられるわけでございますが、保証料率の決め方についていままでどのような御指導をなさってこられたのか、この点について伺っておきたいと思います。
  178. 齋藤太一

    政府委員(齋藤太一君) 先生のお話のように、一番安いところは、五十二協会中一%のところがすでに七協会ございます。一方高いところは一・一五以上というところもございますが、まあ保証協会の成り立ちがそれぞれ府県等の援助を得まして、別々に成立をしたという経緯もございまして、各保証協会の経理内容、あるいは財政基盤の状況等が一律でございませんので、その経理内容の好転の度合いに応じまして引き下げを指導をいたしておったわけでございます。全体としてなるべく下げるという方向では進めておりますけれども、みんなを平準化して一律にするということにつきましては、やはり相当時間がかかるのではないかというふうに考えております。  いずれにしましても私ども保険料率の引き下げでございますとか、あるいは先ほど申し上げましたような低利の資金を保険公庫から保証協会に貸し付けるということによりまして、その利ざやで経理面の維持をする、こういう措置をいろいろ強化することによりまして、保証料の一層の引き下げを図ってまいりたいというふうに考えております。
  179. 桑名義治

    ○桑名義治君 そこで、信用保険公庫の保険料率を引き下げるということが、すなわち協会の保証料率を引き下げることに役立つ、こういう関連にあるわけでございますが、この保険料率の推移というものがどういうふうになっているのか、また、その引き下げについてどういう対策を講じられておられるのか、この点について伺っておきたいと思います。
  180. 齋藤太一

    政府委員(齋藤太一君) 保険料率は、この三年間毎年引き下げをいたしておりまして、昭和四十七年度には総合の保険料率が〇・六七七%でございましたが、それを四十八年度に〇・六一九%に引き下げました。さらに四十九年度は〇・五六一%に引き下げ、本年度は〇・五三七%に引き下げをいたしております。この保険料引き下げをてことして、保証料率の引き下げを推進をいたしておるわけでございます。
  181. 桑名義治

    ○桑名義治君 次に、保険てん補率の引き上げについて伺いたいと思いますが、現行の信用保険の保険てん補率は、普通保険七〇%、無担保及び特別小口保険が八〇%、こういうふうになっておるわけでございますが、これをさらに引き下げるよう検討する必要があるというふうに思うわけでございますが、この点はどのようにお考えですか。
  182. 齋藤太一

    政府委員(齋藤太一君) 特に危険度の高い特別小口保険でございますとか、あるいは倒産関連関係の保証分の保険につきましては、八割を保険公庫が保証協会にてん補をいたしておるわけでございます。つまり保証協会のリスクは二割でございまして、相当国がこのリスクを負担しているというふうに私ども考えるわけでございまして、ただいまのところ、この八割の国のてん補率をさらに引き上げるということは予定をいたしておりません。
  183. 桑名義治

    ○桑名義治君 先ほどもちょっとお話が出ておったわけでございますが、信用保証協会に保証を申し込む場合、金融機関が保証協会の保証があれば融資をするという条件で、金融機関の窓口を通す場合は、保証がつけば金融機関は確実に融資をしてくれるわけでございますが、直接保証協会の窓口に行って保証をとった場合には、往々にして金融機関がその保証つきの案件についても融資を断るという事例があるという、こういう実情は先ほどもお話が出ておりましたが、やはりあるわけです、地方地方には。この点については、説明の中ではそれぞれの銀行の性格をお話しなさって、小口と大口というふうに分けて説明があったわけでございます。しかし、それにしましても私たちとしてはこれは納得できないわけですが、今後こうやった問題について、通産省は積極的にやっぱり取り組んでいく必要があると思いますが、この点どうですか。
  184. 齋藤太一

    政府委員(齋藤太一君) 全く先生の御指摘のとおりでございまして、保証つきの場合には、金融機関側に何も貸し出しについてのリスクはないわけでございますので、保証つきのものをお断りするということは私どもも納得がいかないわけでございまして、保証つきは皆融資をしていただくように、さらに大蔵省等を通じまして、民間金融機関指導するように努力してまいりたいと考えます。
  185. 桑名義治

    ○桑名義治君 この問題については、緊急性のある場合もございますので、そうやった意味から、そういう苦情が上がってきた場合には、一件一件もう即座に手当てをしていくという、そういう態度で今後臨んでいただきたいと思いますが、どうですか。
  186. 齋藤太一

    政府委員(齋藤太一君) 非常に緊急な資金等で、そういう保証があるにかかわらず、融資が断られたというような事例がございましたら、ケース・バイ・ケースで直ちに融資を行うように、いろいろ御相談があれば金融機関指導してまいりたいと存じます。
  187. 桑名義治

    ○桑名義治君 この次の問題も、先ほどからちょっと出ましたけれども、いわゆる保証協会の基本財産の充実ということでございます。  信用保証協会の保証枠を拡大をし、中小企業者の需要にこたえるためには、保証協会の基本財産の充実を図る必要があるということは、これは当然のことだと思います。そのために、保証協会に対する地方自治体の出指金を増大をさせるということは望ましいことではございますが、現在の自治体の状況から考えますと、これは非常に財政的に困難である。そうしますと、国の補助金のいわゆる拡大が必要というふうに思うわけでございますが、この点についてはどういうふうに対処なさろうとお考えでございますか。
  188. 齋藤太一

    政府委員(齋藤太一君) ことし、九億円の保証協会の基金に対する補助金を出す予定をいたしております。この補助金は、一つは府県等の出捐を促進する目的と、一つは、最近の倒産関連保証の激増に伴いまして非常に保証協会のリスクが高まっておる、それの将来の損失をおもんばかりまして経営基盤の強化を図っておこうという、二つの趣旨から補助金を計上をいたしたわけでございます。  もともと保証協会は、府県等が中心になりまして設立した機関でございますので、その基金は、府県なり現在の出捐者であります金融機関等が出捐をされるべきものというふうに考えておりますが、最近のような府県の財政の困難ということを考えますと、その出捐の誘因剤といたしまして、国の補助が府県の出捐に応じまして一定割合補助金が出るということは、県の出絹を促す上に非常に効果的かと存じますので、明年度もぜひこの補助金を継続をいたしたいというふうに考えております。
  189. 桑名義治

    ○桑名義治君 いまの御答弁で前向きのお話が出たわけでございますが、いずれにしましても、今回は保証協会の出資金の補助として総額五億円、五億円としますと、いわゆる全国五十二の保証協会に振り分けると、一協会当たり一千万円程度になるわけです。現在のような不況の状況下の中では、スズメの涙と言ってもこれは言い過ぎではないと思います。今後ともこういった関係自治体に対する交付金というものを永続をするということになれば、これはメリットが出てくると思いますが、いずれにしましてもこの程度の補助金では、これはどうしようもないと思うんですが、今後の考え方としてはどの程度というふうには言いにくいかもしれませんが、増額をしていく方向を考えているのか、その点についてちょっと伺っておきたいと思います。
  190. 齋藤太一

    政府委員(齋藤太一君) 今回の補助金の趣旨が、一つは出捐の促進でございますけれども、同時に、不況下での倒産関連保証の増大ということに対しましての保証協会の経営面へのてこ入れ、こういう趣旨でございますので、明年度はことしと違いまして景気が漸次正常化し、回復するというふうに見ております。今後ずっと景気が正常に戻りました場合にもこの補助金を継続するかどうかにつきましては、いろいろまだ議論のあるところでございまして、将来の問題は今後なお検討をいたしたいと考えておりますが、少なくとも不況がまだ残ると思われます明年度につきましては、相当額の補助金を計上して、保証協会の経営基盤の強化に資したいというふうに考えております。
  191. 桑名義治

    ○桑名義治君 特別小口保険にかかる保証を利用すれば、中小企業あるいは零細企業者は民間金融機関から無担保・無保証ということで融資を受ける道が開かれることになるわけでございますが、しかしながら、政府系の中小企業金融機関においては、国民金融公庫による中小企業経営改善資金制度、これを除けば、無担保・無保証で利用できる一般貸し付け制度は一応ないわけです。そういうふうに考えますと、政府金融機関の貸し付け制度においても無担保・無保証ものを検討する必要があるのじゃなかろうか、こういうふうに考えるわけでございますが、この点はどういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。
  192. 齋藤太一

    政府委員(齋藤太一君) 政府系の無担保・無保証融資としましては、いま御指摘がございました経営改善資金制度がございます。これは、国民金融公庫から二百万円を限度といたしまして無担保・無保証融資を行っております。この資金につきましては、年々資金枠を大幅増額を図っておるところでございますけれども、明年度もさらに総体の資金量の増大、それから融資条件の改善につきまして、実現を図ってまいりたいというふうに考えております。  それから、国民金融公庫に無担保融資制度がございます。一応原則は三百万円まででございますけれども、ケース・バイ・ケースで五百万円まで無担保融資を行っております。これは保証人はとりますので、無担保・無保証というわけではございませんけれども、これも大変中小企業の方には役に立っておる制度ではないかと考えております。  こういった制度のほかに、もう一つ無担保・無保証の融資制度をつくる予定はないかという御質問でございますけれども、ただいま申しましたように、幾つか現にそういう制度がございますので、零細な企業の方はそういった制度を御利用いただきたいというふうに考えておるわけでございまして、いまあります制度のほかに、もう一つ重ねて無担保・無保証の融資制度というものを創設する予定は、ただいまのところは持っておりません。
  193. 桑名義治

    ○桑名義治君 いずれにしましても、いまから先の中小企業育成という立場からも、この制度は非常に大きなメリットがあるというふうに考えられるわけでございますが、先ほどからるるその運用面についての欠陥なり、あるいはまたこの制度そのものの改善なり、これについていろいろと質疑が行われたわけでございますが、そういったものを一つ一つ改善をして、大きく前進をさしていっていただきたいと思います。  質問はまだあったわけでございますが、ダブりもございましたので、それを一切打ち切りまして、これでやめさしていただきます。
  194. 安武洋子

    安武洋子君 いま中小企業が不況といいますのは、政府は、全般的に緩和の方向に向いている、こういうふうに言われておりますけれども、やはり依然として深刻で、とりわけ、年末を控えて金融の逼迫というのはきわめて厳しいものがあると思うわけです。この中で、中小企業信用保険法の改正案については、中小業者の間で非常な関心が高まっております。そうして、この法案の一刻も早い成立を願うという声が私のところにも多数寄せられているわけです。現にきのうも、北海道それから兵庫からも問い合わせが来ておりますけれども、年末の倒産の激増も予測される中で、本法案の一刻も早い成立と、そしてその運用の強化が同時に望まれるというふうに思います。  この法案については、私どもの党では早くから中小業者の要望実情に合ったように改正すべきだ、こういうふうなことで法改正を提案してきたわけですけれども、わが党案というのは、無担保保険五百万から一千万に、それから特別小口保険百五十万から三百万に、こう提案してきたわけです。これは四十九年度の信用保証業務概況の金融別保証承諾の構成、これを見ましても、百万円以下の小口ものが減少しているのに反して、中口の三百万円超というのがいずれも前年比の七〇%超で、大幅の伸長を示している。特に一千万円超というのは二倍以上となっているわけです。保証の大型化傾向が続いている。そして四十九年度の一件当たり保証金額、これは前年に比べますと、前年度の二百五十三万円に対して二八・八%増の三百二十六万円、こういうふうな数字が上がっているわけです。この数字を見ましても、私どもの党の案が中小業者の要求に沿っているという根拠の一つになろうかと思うわけですけれども、幸いにも衆議院において、きわめて不十分な政府原案が五党一致で修正可決されたわけです。  それで、年末を控えましてやはり本法案強化と運用の強化、これが強く望まれているという立場から私はまず質問をしたいと思うわけです。  その第一といいますのが、二条四項に基づく倒産関連中小企業、いわゆる不況業種ですね。この指定が、十月以降二十一業種も指定解除されているわけですけれども、その間の事情はどういうことなんでしょうか、それをお伺いいたします。
  195. 齋藤太一

    政府委員(齋藤太一君) いわゆる倒産関連保証の面におきます不況業種につきましては、三カ月ごとに見直しをいたしております。先般の見直しは九月に行いまして、その結果若干業種を削除をいたしますと同時に、新たに不況色が強くなりました業種を追加をいたしたわけでございます。削除いたしました業種は、それが以前に比べまして景気の回復の度合が顕著と申しますか、だいぶ景気がよくなってきたと申しますか、生産等の回復が見られました業種につきまして削除をいたした次第でございます。今度は、今月現在の指定業種の一応の期限が参りますので、再度見直しをいたす予定でございますが、業種によりまして景気がさらに悪くなったところとよくなりつつあるところとございますので、今回も若干の入れかえがあろうかというふうに思います。
  196. 安武洋子

    安武洋子君 では、具体的にお伺いいたしますけれども、金属洋食器、それから一般製材業の場合、これはどういう理由でございますか。
  197. 安田佳三

    説明員(安田佳三君) 御説明申し上げます。  まず、金属洋食器製造業でございますが、現在アメリカ向け輸出に回復の兆しが見えまして、出荷数量あるいは生産数量等とりますと、前年に比べましてほぼ前年並みの水準を回復したという状況になっておりますので、九月の場合におきまして指定から削除いたしましたし、また今回、十二月末をもってさらに見直しを行います場合におきましても、金属洋食器製造業はほぼ回復しているということで、指定の対象にはなりがたいんではないだろうかというふうに考えております。  また、製材業につきましては、出荷、生産数量等見ますと、ほぼ前年並みまで回復いたしております。また、価格等につきましても横ばいを続けておりまして、これも九月三十日で指定期限が切れたわけでございますが、いまの数字から判断いたします限り、一月一日における再指定は、これも困難ではないだろうというふうに判断いたしております。
  198. 安武洋子

    安武洋子君 金属洋食器の場合、燕を例にとりますと燕全体の負債ですね、これは民間金融機関約七百五十億円ですね。それで政府関係、これが三百億、合計一千億以上の負債残があるわけです。  それから、燕市の洋食器の製造能力というのは九千万ダースですけれども、四十九年度の実績というのは七千五百万ダースなんです。一千万ダース以上の余剰の能力を抱えているわけなんです。  それから製材の場合ですけれども、一般製材の場合、生産水準というのは四十九年は四十三年並みなんですね。これは林野庁の「木材市況月報」から見た数字なんですけれども、この四十三年並みに対して、四十九年といいますのは前年に比べますとマイナス一〇の生産、それから、四十九年に対しまして出荷額というのはマイナス一一%、五十年は、四十三年並みの四十九年よりもまだどの月も生産水準は低いわけなんです。こういうふうな状態の中で、いま一般的に景気の回復の兆しが見えたからというふうなことで、前年並みになったんじゃないかと、一概にこう言われて不況業種から外されるということについては、大変疑問があるわけなんです。しかし、業界の方では強い不況業種の指定の要望がないというふうなことも、通産省の方では言われているわけですけれども、これは不況業種指定をされても、非常にメリットが少ないというふうなことがあろうかと思うわけです。  この木材の件につきましても、林野庁は、官庁統計ではよいデータが出ないので、データをそろえるようにと全木連の業界に言っておられますけれども、それほどまでにしても、本当に担保も底をついてしまった。別枠で倍額借りられる、倍額保証が受けられるというだけで、非常にメリットが少ないというふうに業界が言っているわけです。この不況業種指定というのを、本当に中小業者の不況打開のために実効ある措置をすることがいま強く求められている、こういうふうに私は思うわけなんですけれども、この金属の洋食器、それから一般製材業の例、これを見ても明らかだと思いますけれども通産省はいかがお考えでございましょうか。
  199. 齋藤太一

    政府委員(齋藤太一君) 不況業種に指定をされました場合のメリットといたしましては、いまお話ございましたように、保証を受ける場合に倍額まで保証が受けられるということが第一のメリットでございますが、同時に、事故が起こりました場合の保険公庫からのてん補率が、通常七〇%のところを八〇%になりますので、保証協会としても保証しやすいという面がございます。  もう一つは、保険公庫の保険料が通常の場合に三分の二に下がることになっておりますので、その面でも保証協会としては保険を利用しやすいということで、保証をやりやすいという面がございまして、こういった制度によりまして、不況業種の方が保証を活用されて融資をお受けになるという面でのメリットは、大変多いのではないかと考えるわけでございます。  いま御指摘の二つの業種、私どもずっと最近の生産、出荷の趨勢を見まして、ほぼ昨年の状態に戻ったんじゃないかというふうなことで、一応対象業種から外したわけでございますけれども、その後の推移にもよりますが、再指定を一切やらないというわけではございません。その内容によりましては、再指定になる業種もあるわけでございますので、今後の生産、出荷の状況をさらに見てみたいと考えております。
  200. 安武洋子

    安武洋子君 不況業種の指定を受けても、この業界が不況から真に脱却をしていない、脱却できないというところに、私はやはり不況業種指定を実効があるものにする必要がさらに問われているんじゃないかというふうに思うわけです。  そこで、ひとつ私どもは金融の問題、金利の問題、これについても考えなければならないんじゃないかと思いますけれども、いま金融の中で中小業行では一番深刻な問題としては、金利の問題が大きく言われているわけです。これは太陽神戸銀行がアンケート調査をしておりますけど、このアンケート調査を見てみますと、金についての悩みの中で金利負担が重荷、こう回答している人が調査人員の五割を占めているわけなんです。石油危機以来、私どもとしては四十八年の十二月、民間金融機関によって始められた中小企業の救済特別融資制度ですね、これは資金量は三千二百億、この資金なんですけれども、これがいまどれくらい消化されているか、こういうことをまず最初にお伺いいたします。
  201. 齋藤太一

    政府委員(齋藤太一君) 民間金融機関によります中小企業救済特別融資制度は、ことしの春までに約二十億融資を終わりまして、本年度五月にさらに五百億の追加をいたしまして、現在ほぼ二千五百億円の融資を行っております。
  202. 安武洋子

    安武洋子君 まあ数一億の残があるということでございますが、いままで中小企業信用保険法に基づいて、不況業種の指定で新しく追加指定されたものに対しては、民間金融機関による中小企業救済特別融資制度の指定業種にして、比較的低利で貸し付けを行ってきたわけなんですけれども、十月に追加された四業種については、この制度は全く運用されていないと思うわけですが、これはどういう事情なんでしょうか。
  203. 齋藤太一

    政府委員(齋藤太一君) この信用保険におきます不況業種の中から選ぶような形で、民間金融機関によります中小企業救済特別融資制度を運用してまいっておりますが、いま御指摘の、先般追加をいたしました業種についてこの救済融資制度を適用するかどうかにつきましては、まだ実は検討中でございまして、結論を得ておりませんが、よく関係の向きと相談を進めてまいりたいと考えております。
  204. 安武洋子

    安武洋子君 これはぜひ適用をされて、そして、この四業種に対してもこの制度を運用されるように要望いたしますが、そうしていただけますでしょうか。
  205. 齋藤太一

    政府委員(齋藤太一君) 従来やっておりますのは、一回に大体五百億ぐらいの単位でやっておりまして、その業界の規模の問題が一つと、それからもう一つは金融情勢の関係もございます。最近、十二月は別といたしまして、一般的にはやや金融が、資金需要が落ちつく傾向にございまして、そういった状況等も勘案して、なお特別救済融資制度を適用するかどうか、もう少し関係方面と相談をしてみたいと考えております。
  206. 安武洋子

    安武洋子君 じゃ、この四業種ということを外して、制度そのもの自体はこの年末もおやりになりますか。
  207. 齋藤太一

    政府委員(齋藤太一君) 民間金融機関側と最初にお話をいたしました予定額は三千二百億円でございまして、現在まで実行いたしました額が二千五百億ですから、まだ七百億円ほど残しておるわけでございます。そういう意味では非常にぴたりの業種と申しますか、非常に不況色の強い業種が出てまいりますれば、さらにこの制度を発動いたしたいというふうに考えておりますが、金融機関の方の一般的な融資で間に合うような状況であればこちらの方は発動しない、こういうふうな兼ね合いになっておりますので、全般の金融の成り行きと業種の不況の度合いによりまして勘案をいたしまして、残りの七百億を適用するかどうかは考えてまいりたいと考えております。
  208. 安武洋子

    安武洋子君 いや、年末の金融逼迫の折から、この七百億未消化があるわけですけれども、年末のこの時期にこれを直ちにお使いになるという、そういうことはなさらないわけですか。
  209. 齋藤太一

    政府委員(齋藤太一君) これは、受け付けましてから実際の融資までに、やはり事務的に一カ月以上の時間がかかります。この年末につきましては、一般的には政府系の三機関一兆二百億円、それから民間金融機関の三兆五千二百億円、こういうもので中小企業の方の所要資金は賄ってまいりたいと考えておるわけでございまして、ことし、あと半月ほどでございますけれども、この民間の特別融資制度を年内に発動するということは、いまのところ予定はいたしておりません。
  210. 安武洋子

    安武洋子君 では、十一月十八日、衆議院での佐野質問に長官自身が御答弁なさっておりますけれども、これはどういうことになるんでしょう。これは年末における中小企業対策について各種の対策を講じているけれども、「特に不況業種向けの民間の中小企業救済特別融資制度、こういうものを活用いたしまして、特に資金の繁忙な年末を乗り切ってまいりたいと考えておる次第でございます。」これは長官御自身の御答弁でございます。この御答弁といまの御答弁がうんと食い違いますけれども、これはどういうことでございますか。
  211. 齋藤太一

    政府委員(齋藤太一君) この制度も、一応中止をしたわけではございませんで、今後も金融の状況とそれから不況業種の実情によりましてまた発動いたしたいと考えておりますが、ただいまのところ、年末につきましては予定をいたしておりません。
  212. 安武洋子

    安武洋子君 これは年末対策として御答弁になっております。何でしたら沈んでみましょうか。これは、「これと民間金融機関の中小企業向けの融資、あるいは特に不況業種向けの民間の中小企業救済特別融資制度、こういうものを活用いたしまして、特に資金の繁忙な年末を乗り切ってまいりたいと考えておる次第でございます。また、資金繰りが困難で過去の借入金の返済の困難な中小企業につきましては、政府系の貸出分につきましては極力返済猶予等を弾力的に配慮するように、数度にわたりまして重ねて政府系三機関に指示をしてございます。」云々で、ずうっと年末対策としてということでお答えになっていらっしゃる。じゃこれ、衆議院の方の御答弁は取り消されるわけですか。
  213. 齋藤太一

    政府委員(齋藤太一君) 各種の施策をいろいろ併用いたしまして年末を乗り切ってまいりたいというふうに考えておったわけでございますが、金融の面につきましては、政府系に四千八百億円の追加をいたしましたり、それから民間金融機関——一般の金融の方でございますけれども、中小企業向けに三兆五千二百億の融資枠を、目標を設定をしてやりましたりいたしました関係で、一応この年末につきましては、ただいまのところでは中小企業救済特別融資制度は事業予定をいたしておりません。
  214. 安武洋子

    安武洋子君 委員長にもお願いしたいんですけれども、衆議院で御答弁なさったことと参議院で御答弁なさることがこんなに食い違っては、何を信用してよいかさっぱりわからなくなりますので、私は、こういう食い違いの答弁をしていただいては困るということを申し上げたいと思います。委員長の方で私は適当な処置をお願いしとうございます。
  215. 林田悠紀夫

    委員長林田悠紀夫君) ちょっと速記とめて。   〔速記中止〕
  216. 林田悠紀夫

    委員長林田悠紀夫君) 速記起こして。
  217. 齋藤太一

    政府委員(齋藤太一君) ちょっと私、その十一月のときにあるいは言葉が足らなかったかと存じますが、こういったいろんな制度を必要に応じまして活用をする、こういう趣旨で申し上げたつもりでございましたが、このうち特に中小企業救済特別融資制度につきましては、もちろんこれでもう今後やらないという意味ではございませんけれども、年末につきましては、各種の他の措置を講じましたので、一応予定は年を越したと申しますか、明年に持ち越した、こういうことでございまして、その点、ちょっと私の言葉が足りませんでした点はおわびを申し上げます。
  218. 安武洋子

    安武洋子君 これね、じゃ、衆議院で御答弁なさったことが間違いだったということですね。
  219. 齋藤太一

    政府委員(齋藤太一君) 必要に応じてただいま申し上げましたような各種の措置をとるというように申し上げたつもりでございましたが、言葉の足りませんでした点はおわびを申し上げます。
  220. 安武洋子

    安武洋子君 では、こういうあいまいな御答弁をもうしていただかないように私強く御要望しまして、それと、いいようにあいまいに御答弁していただいたらいいわけですけれども、衆議院で御答弁なさったより悪いわけですから、これは大変困るわけです。こういう資金需要の逼迫しているときに直ちにこういう制度を、まだ数行億も残っているわけですからね、なぜなさらないのか。早急に検討をなさって、年末手続で一カ月もかかるとおっしゃっていますけれども、本当に急いでいただければ年末に間に合わすということだってできると思うんです。だから、この衆議院の方の御答弁を生かされて、どうしてもこれをやっていただきたいということを強く私は御要望して、押し問答しておりましてもしようがないので、後で会議録を見ていただいて、ちゃんと御答弁なさったことを実行していただくということにしていただきとうございます。  それで、次なんですけれども、やはり私はこういうことを強く申し上げているのは、第四銀行というところでは十一月の一日から十二月の三十一日までの期間地元中小企業に対して年末特別融資を実施しているわけです。この条件というのは、金利が年七・七五%で、政府系より低金利なわけですね。これは業界がやはり必要としているからこそとられた措置であると思うわけですので、私は、先ほどの救済融資についても、銀行側に再度協力を要請をされて、ぜひこの年末に間に合わせていただきたいということを、再三でございますけれども要望させていただきます。  その次なんですけれども、先ほど御答弁もなさっていらっしゃいましたけれども、特別小口、これは通常なら二、三日程度、担保設定する場合でも全国平均で七日か八日ぐらいだろう、こういう御答弁でございました。ところが、兵庫県信用保証協会の姫路支所、ここでは四市二十一町を管内に持っているわけなんですけれども、ここでいままで申し込みをしますと、大体一週間以内に調査に来ていたわけです。遅くて二週間以内、こういう状態だったのが、十月ごろから大変おくれ出しまして、現在十一月半ばに申し込みしているのに、いまだに調査に来ていない。こういう年末を控えて業者の方は大変お困りなわけなんです。こういう状態について、一体どういうふうにお考えでございましょうか。
  221. 齋藤太一

    政府委員(齋藤太一君) 年末は非常に資金の申し込みが殺到いたしますので、事務処理の関係があるいはおくれておるのかとも存じますが、至急に調べまして、改善方を指導するようにいたしたいと存じます。
  222. 安武洋子

    安武洋子君 姫路支所以外にも、全国平均云々とおっしゃいましたけれども、こういう状態のところがありますので、姫路支所以外にもこのようなところがあっては、大変業者の方もお困りでございますので、私、ぜひ全国的に調査をしていただきたい、こう思いますが、これはいかがでございましょうか。
  223. 齋藤太一

    政府委員(齋藤太一君) 全国的な様子を至急に調べまして、おくれておるような状況がございますれば、年末でもございますので、改善方を指導いたしたいと思っております。
  224. 安武洋子

    安武洋子君 それはぜひ実行してください。そうして早急に出すようにという指導とあわせて、先ほどから再三出ておりますけれども、担保の再評価、洗い直しですね、もうほとんど担保がないというふうなことで不況業種に指定されましても、それが十分に利用できないという面がございます。それから金利、先ほど申し上げましたけれども金利負担が大変重いというふうなことで、いままでも、再三弾力的な特段の配慮をというふうな指導をしたと、こうおっしゃっておられますけれども、この担保の件とか、それから金利の面ですね、これについては特段の配慮をするようにということを重ねて通達を出していただきたい、こう思うわけです。これは簡単にできることだと思いますので、いまの中小業者の方の苦況を考えるなら、これはまさか大臣も拒否されないと思います。大臣、いかがでございましょうか、お尋ねいたします。
  225. 齋藤太一

    政府委員(齋藤太一君) 担保の弾力的な取り扱いにつきましては、実は今月の二日に通達を出したばかりでございまして、十分徹底方を図ってまいりたいと考えております。  金利の点につきましては、政府系の三機関は先月から引き下げをいたしたわけでございますが、民間金融機関の実効金利の引き下げにつきましては、大蔵省の方からの御指導にまたなければならない問題でございますけれども、先般来大蔵省としてもそういった指導をしておられますし、私どもも機会あるごとに、大蔵省の方にはそういう指導方をお願いをいたしておるわけでございます。さらにただいまのお話の御趣旨の点は大蔵省の方に伝えまして、指導方を強化されるようお願いをいたしたいと思います。
  226. 安武洋子

    安武洋子君 その御答弁で結構なんですけれども、こういう年末で差し迫っておりますし、それから中小業者の方の不況というのは大変深刻なんですね。ですから、通達一本出すぐらい、非常に簡単にできることですので、それでより徹底が図られますので、まさか大臣も拒否されないと思いますので、大臣の答弁いかがでございましょう、やっていただけますでしょうか。
  227. 河本敏夫

    ○国務大臣(河本敏夫君) 中小企業金融、年末を控えまして万全を期さなければなりませんので、資金の量を確保するということはもちろん大事でございますが、返済猶予であるとか、あるいは担保の見直しであるとか、あらゆる角度から万全を期していきたいと考えておりますが、先ほど来、一部おくれておるというお話もございましたしいたしますので、十分調査をいたしまして、さらに一層万全を期していきたいと思います。
  228. 安武洋子

    安武洋子君 大臣、私の質問を聞いてくださってなかったんでしょうか。担保の洗い直しとか、それから金利とかいうことでいままでいろいろとやられてこられているわけです。長官の方からも御答弁がありましたんです。それをやったとおっしゃいますけれども、非常に年末で中小業者の方もお困りだ、だからよりさらに徹底を図るために、もう一度ここで通達を出していただいて徹底を図ってくださいと、こんな簡単なことをお願いしているんです。大臣の答弁、ちょっと横を向いておりましたので、もう一度お答えくださいませ。
  229. 河本敏夫

    ○国務大臣(河本敏夫君) 担保の問題は、先ほど長官が言いましたように、通達を出したばかりでございます。
  230. 安武洋子

    安武洋子君 それをもう一度とお願いしているわけです。
  231. 河本敏夫

    ○国務大臣(河本敏夫君) いま出したばかりでございますから、よく様子を見まして十分徹底をするようにいたします。  それから、金利の問題につきましては、大蔵省ともよく相談をいたします。
  232. 安武洋子

    安武洋子君 一生懸命本当に困っている中小業者の方が、大臣、そんなのんきな答弁をされているのを聞かれたら私は怒られると思うんです。本当に大臣としてすぐにできること、そしていま非常に効果のあること、それで徹底が図られるということをなぜすぐにさっとお答えいただけないのか大変不思議ですので、しぶといようですけれども、もう一度お伺いいたします。
  233. 齋藤太一

    政府委員(齋藤太一君) 今月の二日に通達を出したばかりでございまして、十分その趣旨を会議その他で徹底を図ってまいりたいと考えております。同じ趣旨の通達をもちろん出してもいいようなものでもございますけれども、同じ内容を余り頻繁に出しますことは、その通達自体の権威にもかかわることにもなりますので、さらにその内容の徹底を会議その他を通じまして図ってまいりたいと考えております。
  234. 安武洋子

    安武洋子君 通達を出すのが、何がそんなに悪いのかと思って大変疑問を感じますけれども、しかし、厳重に徹底を図っていただきたいということを強く申し入れます。私、通達が出せないというのはやはりおかしいと思います。  それから、先般の補正予算ですね、そこで信用保証協会に対する基金補助金というのが五億円追加されておりますけれども、この基金補助金の累計といいますのはいままでどのぐらいになっておりますか。
  235. 齋藤太一

    政府委員(齋藤太一君) 前に、ドルショックのときに二回にわたりまして合計三億出しておりまして、今回は年度初めに四億円の予算を組んで、さらに補正予算で五億組んでおりますので、今年度が九億円でございまして、合計十二億円でございます。
  236. 安武洋子

    安武洋子君 いま大変中小企業の不況が深刻化している中で、保証額それから代位弁済、これが増大して、信用保証協会の中では保証枠が限度いっぱいになって経営状態が非常に悪化している、こういうところがあるわけなんです。おのおの地方自治体の出損金などで危機をしのいでいるわけですけれども、いまの地方財政の困窮の中で、信用保険公庫の融資はもちろん基金補助金の交付、これは積極的に行っていく必要があるのではないかというふうに思うわけです。  特に北海道信用保証協会では、聞くところによりますと、経営難のもとで労働者に対して二重本俸制を導入している、こういうことも聞いているわけです。埼玉県の信用保証協会では、八月に保証限度額が九三%までに達した。急遽銀行とか市町村などの出損金を要請して危機を脱出したというふうなことが報道されております。このような状態というのは、結局中小業者に悪影響を与えてしわ寄せをされるということになるわけですね。ですから、たとえば東京都の信用保証協会の常務理事の青木久さん、こういう方は経営の効率化のためには大口偏重になるのもやむを得ない、こういう趣旨の発言を労働組合との交渉の場でなさっていらしゃるわけですけれども、やはりこういう状態をなくしていかなければならないと思うわけです。  政府は、基本補助がわずかいままででしたら十二億ですね。十二億しか出していない。こういう金額は私は非常に少ないと思うのです。来年度の概算要求でもわずか六億円。いままで十二億円で今度六億円ですね。先ほどの御答弁を伺っていましても、景気回復を見込んでこういうものをいつまで続けるかもわからないというふうなことでしたけれども、私は、やはりこの不況の深刻な中では思い切って基金補助を増額すべきでないか、こういうふうに思うわけですけれども、いかがお考えでございましょうか。
  237. 齋藤太一

    政府委員(齋藤太一君) 保証協会に対します政府の援助といたしましては、保険公庫を通じまして保証協会に低利な金の融資をいたしております。この金額がすでに千二百億円を超えておりまして、ことしも百八十億円を国から保険公庫に出資をして、それをストレートに各保証協会に配分をいたしておるわけでございます。  保証協会自体は、地方でそれぞれ府県等が出捐をされて設立された民間の機関でございまして、本来保証協会自体の基金は、そういった協会を構成しておられます府県なり金融機関の出捐によって基金の増強は図られていくべきものというふうに私ども考えておるわけでございますが、特にことしは、こういった倒産関連保証というようなものが非常にふえておりますので、保証協会の経理の悪化等も考慮いたしまして、特に基金の補助金を計上をいたしたわけでございます。そういう意味で、国の補助の基本は千二百億円に達します融資基金の融資制度にあるわけでございまして、国としてもできるだけの援助は保証協会に対していたしておるつもりでございますが、府県も財政難の折から、府県の出捐をより促進しますためのただいま申しました基金補助につきましては、明年度につきましてもこれを継続いたしたいというふうに考えておる次第でございます。
  238. 安武洋子

    安武洋子君 私どもは、この法案の一刻も早い成立を願って賛成法なんでございます。ですから、一刻も早い成立ということで私は質問時間を短縮するということでも協力いたしとうございます。しかし、お願いしたいことがあります。先ほどのあいまい、いいかげんな答弁をなさっていらっしゃいますけれども、もうそういうことがないように、厳重にやはりやっていただきたいということ。  それから、中小企業の救済特別融資制度ですね、これをやはり私が先ほど要求しましたように、中小業者のために本当に役に立てていただくという姿勢で、この年末に間に合わすという検討を始めていただきたい。そして、通達もいまなかなかお約束していただけませんでしたけれども、先ほどの趣旨の徹底、これを巌重に図っていただきたい。  それから、先ほど申し上げました全国的な調査ですね、あれもやっていただきたい。そして、おくれている分については適正にやるようにという指導もしていただきたい。  こういうことを最後に申し述べまして、私の質問を終わります。
  239. 齋藤太一

    政府委員(齋藤太一君) ただいまお話ございました担保の徴求の弾力方につきましては、さらに徹底方を期したいと存じます。  それから、保証協会の事務処理のおくれにつきましては、早速調査をいたしまして、おくれておるところには促進方を指導をいたしたいと存じます。  なお、民間特別融資制度につきましては、最近の不況業種につきまして適用するかどうか検討いたしたいと考えておりますが、年末まであと二週間でございますので、年内に融資等を実行するというようなことはちょっと無理かと存じますが、こういった制度をさらに適用するかどうかにつきまして、至急に検討をいたしたいと考えます。
  240. 藤井恒男

    ○藤井恒男君 本法案は、全会一致の賛成法案でございますので、極力時間を短縮して、同僚委員の述べたことは全部省略して、数点に限って御質問いたします。  最初に大臣にお伺いいたしますが、前回の委員会で、一般質問の折にも私申し上げたことでございますが、景気浮揚策の問題について、大臣は依然として財政主導、金融を従とする浮揚策を図りたいというふうにおっしゃっておるわけです。大臣も業界の出でございますので、実態をよく御存じだと思いますが、昨今の状況は第四次不況対策が効を奏していない、景気回復もはかばかしくない、したがって中小企業はおろか、大手の企業においてもこの中期決算、そして次の決算などを見通しても、非常に危険な状況に入っておるわけです。これはもう大臣もよく御存じだと思います。この景気浮揚策を、財政、金融だけで乗り切れると本当に思っておるのかどうか。やはり何らかの形で需要を創出しなければだめだと。  きょう、桑名君の質問に、輸出についてプラント輸出等を図っていきたいというふうにおっしゃっておられますが、これはもう大手でも全部やっておることでございまして、プラントだから、一般の輸出がはかばかしくないからプラントがいいのかといったらそうはいかぬ。しかも、それはもう現に手がけておるわけでございまして、これではどうしようもない。したがって、通産当局としてもっと積極的に大蔵あるいは経企等に対して発言していくべきじゃないか。需要創出という面からいくと、やっぱりドラスチックな形で減税という方法をとらざるを得ないんじゃないかという気がしてなりません。これは前回の委員会でも申し上げたところです。この辺のところをもう一遍聞かしてもらいたい。  それから、これも前回私申し上げたことだけど、実効金利を引き下げる努力をするというふうにおっしゃっておられますが、これはもう当然のことでございまして、それと引きかえに、拘束預金の問題がやはり重要なことじゃないだろうか。資本金の八割が寝ておらなければいかぬというようなことではどうしようもない。寝ておる金利を払えばどれだけの事業活動ができるのかということにもなっていくし、これは企業にとってはもうきわめて重要な問題でございます。そういった点を含めて、もうちょっとざっくばらんに、通産当局として考えておる景気浮揚についての、あるいは需要創出についての考え方を聞かしておいてもらいたいと思います。
  241. 河本敏夫

    ○国務大臣(河本敏夫君) 景気の実情につきましては、いまお述べになったとおりだと思います。私どもも、足踏み状態が続いておりますので、非常に心配をしておるわけでございます。ただ、いよいよ昭和五十一年度予算編成にいまかかっておりますが、昭和五十年度予算編成をいたしました一年前に比べまして、非常に大きく予算編成の前提条件として変わった点が二つあると思います。  その一つは、昨年のいまごろは卸売物価が三五%、それから消費者物価が二五%前後上昇しておりまして、いわゆる狂乱物価と言われる状態でございましたが、それがほぼおさまった。したがって、昨年は総需要の抑制ということを中心といたしまして予算編成をいたしましたけれども、今回はそういうことは一切考える必要はない、景気の回復ということだけを焦点にやっていけばいいのではないか、こういうふうに事情が相当変わっておる点。  もう一つは、国際的に見た場合に、先般のフランスにおける国際会議におきまして、六カ国が、それぞれ景気回復のためにひとつお互いにできるだけの努力をしようじゃないか、こういう打ち合わせをいたしまして、それが合意に達しておるということ。こういう点は、私は昨年、一年前の予算編成当時と比べまして、根本的に変わった点でなかろうかと思います。でありますから、そういうことを前提として来年度の、昭和五十一年度予算編成はすべきであるということを、本日も主張してきたわけでございます。  そこで、しからば対策として、財政だけで景気浮揚はできるかということでございますが、やはり国民経済全体から見ますと、財政の果たす役割りというものはさほど大きなものではありませんししますから——もちろん財政が非常に大きな役割りを果たすということは当然のことでございますけれども、そのほかに、昭和五十年度は沈滞をいたしておりました設備投資なども、相当やはり来年度はふえるようにいろいろ工夫をしていく必要があるのではないか、こう思います。  それから貿易等につきましても、昭和五十年度は予定よりも輸出、輸入ともほぼ二割近くも落ち込んでしまいましたけれども、それでも昭和四十九年度に比べますと大体横並びの線までいったわけですけれども、五十一年度は、やはりこれは大幅に伸びるようにいろいろ工夫をしていく必要があるのではないか、こういうふうに思います。  それから個人消費、いわゆる国民消費でございますが、これが五〇%を相当超えておりまして、そのシェアが近来になくふえておりますししますから、この動向が非常に大きく景気に作用いたしておるわけでございますけれども、そのためにはいろいろの対策考えられると思うのです。減税なども有力な一つの方法だと思いますが、ただ、ただいままでのところは、大幅な減税をするという方向にはいっておりませんで、増税、減税とも大幅なことはしないが、手直し程度のことはする、こういう方向でいま進んでおると思います。  いずれにいたしましても、これまでのように財政一本の景気対策ということではなくして、総合的なやはり景気対策を立てるということが非常に必要になっておる、こういうことを痛感いたしておるわけでございます。
  242. 藤井恒男

    ○藤井恒男君 輸出も、東南アジアあるいは中近東の状況を見ると、そう期待することにもならぬし、また、輸出それ自体の占めるウエートもせいぜい一七、八%だし、設備投資といっても、民間の場合十七兆円から二十兆円の需給ギャップのある中で、設備投資なんてとってもじゃない、これはできるものじゃない。そうなってくると、もう需要創出効果というのは、五二、三%の個人消費をいかにして刺激するかということに私は尽きるであろうというふうに思うし、その面あまりかたくなに考えずに、やはり減税などの措置をもっとドラスチックな方法でとっていくべきだというふうに思います。  しかし、時間もないし、これはもう討論みたいなことになるので、以上の点を要望して、若干の質問をいたします。  一つは、無担保保険と普通保険の利用金額が少ないというふうに言われておるのだけど、これはどこに原因があるのかということです。中小企業の方たちが過去に、普通保険にかかる保証について全部取りつけてしまって、もうそのために利用度が少ないのかどうか、この辺のところを聞かせてもらいたい。  それからもう一つは、項目が変わりますが、特別小口保険の適用を受けるための条件として、一年以上引き続いて同一の都道府県の区域内に業を営む者ということになっておるわけだけど、これはどういうことか。もうちょっとこれを短縮するとか、便宜措置が講ぜられぬものか否か、この点を聞いておきたいと思います。
  243. 齋藤太一

    政府委員(齋藤太一君) 無担保保険なり普通保険の一件当たりの利用額が低いのは、借り入れる側の担保がなくなったとかいったような状況によるものではないかという御質問でございましたが、確かにそういった面もある程度はあろうかと存じます。それは国民金融公庫あたりの融資が最近若干小口化をいたしておりまして、これはだんだん担保を使いまして、その担保の余力が減っておるということで追加で借り入れる分が小口化する、こういう状況を反映しておるのではないかと考えますが、こういうことにつきましては、政府系機関の担保の徴求等につきましては極力弾力化を図るように、先般通達をいたしたわけでございます。保証協会が無理やり保証する際に、借り入れの要望がもっと大きいにもかかわらず、低い額に押えておるのではないかという御趣旨であるとすれば、その点は保証協会としましては、いろいろ資金需要を考えまして保証をしておるわけでございますので、理由もなく、特に無理やり借り入れ希望を保証の面で押え込む、こういうことはないのじゃないかというふうに考えておるわけでございます。  なお、普通保険の場合に、平均で見ますと五、六百万でございますけれども、中身を金額別で見ますと、やはり三千万から五千万といった層の保証が、金額で申しますと全体の三%ぐらいあるわけでございます。  それから、特別小口の場合の審査の要件として設けております、居住要件と納税要件でございますけれども、これは借り入れ希望者の方の事業の収益性、安定性をはかる形式的な一つの要件として、これを目安にしておるわけでございまして、ただいまのところこの要件を緩和することは考えておりませんが、一年以上同一都道府県で同一事業行っておるということが非常に障害になっておるようでございますれば、少し研究をしてみたいと思います。
  244. 藤井恒男

    ○藤井恒男君 定款倍率のことについて、桑名君、安武君からの質問がありましたから、それを省いて、定款倍率の問題についてお伺いしますが、すでに限度額いっぱいに達しておるところ、沖縄なんかの場合ですともういっぱいですね。それから神奈川、静岡、茨城、宮城、岩手、こういったところを具体的に、まあ定款倍率それ自体の仕組みについては、桑名君の質問でお答えになっておりましたが、このような限度いっぱいになっておるところを、保証引き受けの円滑を図るためにどんな施策があるのか、どうするのか、これはもう喫緊の問題だと思うんですが、どうでしょう。
  245. 齋藤太一

    政府委員(齋藤太一君) 定款倍率のもう限度に近いところまで保証をして、この定款倍率も限度を上げるか、基金を増額をしないとそれ以上の保証ができにくい、こういう状況のところにつきましては、適宜定款倍率の引き上げにつきまして所要の認可を行いますと同時に、できれば基本財産の増強をお願いをいたしておるわけでございます。  いまお話のございました幾つかの協会でございますが、宮城県は今月、定款倍率の増加について認可をいたしました。神奈川県は十月。静岡県も今月。沖縄県の場合には九月に、従来の三十倍から三十五倍に拡大をいたしております。茨城県につきましては、今年度中に出捐金の増加がある予定でございまして、定款倍率の引き上げについて現在検討中でございます。このように、定款倍率が限度になりまして、保証に差し支えがくるというような協会につきましては、機能的に倍率の引き上げと同時に、基本財産の増強をお願いをいたしまして、保証の面で支障がないようにいたしておる次第でございます。
  246. 藤井恒男

    ○藤井恒男君 中小企業者に対する保証協会の審査基準ですね、これは金融機関の審査基準よりも担保評価その他緩和されておると思うんですが、実際にはそういった指導をしておるのかどうか。あるいは、中小企業庁が四日付で政府系三機関に対して担保評価の見直し、担保物件の範囲の拡大などについて配慮するような指示をしておるわけですが、保証協会も、当然保証について同様の配慮をするものと私は思っておるんですが、この点についてどういう措置を講じておるか。  それからもう一つ、不況業種に指定された場合に、指定された企業の信用度は通常の場合よりも明らかに劣位にあるわけですが、不況業種に指定された企業に対する措置、それは格段のものを講じておるのかどうか。  最後に、三つ目ですが、これもどなたか質問なさっておったことですけど、今度のストによる中小企業の売り上げ減による直接的な被害、あるいは代金回収の遅延による間接的被害、入出荷面での被害、それぞれ具体的に被害が出ておるわけです。これらについては特別の枠を設定しておるのかどうか。ひっくるめて配意するように言っておるのかどうか。  以上の点を質問して、私の質問を終わります。
  247. 齋藤太一

    政府委員(齋藤太一君) 保証協会につきましては、政府系の三機関と同様に担保をとります場合にも、極力弾力的に計らうように従来から指示をいたしておるところでございます。  たとえば、具体的な運用状況を見ましても、評価基準でございますと、民間金融機関ですと、まあ六割ぐらいの掛け値を見るわけでございますけれども、保証協会の場合には悪くても八割、それからお困りの状況に応じまして一〇〇%掛け値以内というような評価をいたしております。それから、担保の対象としましても、たとえば借地権等も担保として評価するとかいったような、いろいろ便宜を計らっておりまして、金融機関の場合とは相当違った緩やかな、借りる方の身になった評価をいたしておるというように私ども了解をいたしておりますが、さらにその点弾力的に計らうように指導をしてまいりたいと存じます。  それから、この信用保険法上の不況業種、不況業種と申しますのは俗称でございますが、倒産関連保証の制度におきます業種指定をいたしますと、その効果といたしましては、通常の場合の倍額まで保険が引き受けるということと、それから事故が起こりました場合に保証協会が代位弁済いたしました額の八割までを保険公庫がてん補をする。通常の場合には七〇%でございますが、八〇%までてん補をするということ。それから、保険に保証協会が掛けます場合の保険料が、通常の場合の三分の二という安い保険料にいたしておりまして、そういったことで保証協会の負担が軽くなるということを通じまして、保証をしやすくいたしておるわけでございます。  なお、中小企業救済特別融資制度という、民間の低利によります融資制度も別途運用しておりますが、これは制度として、信用保険の不況業種と直接の制度上の結びつきではありませんけれども、運用といたしまして、この保険法の不況業種の中から選び出して民間の救済融資を行っていく、こういうふうな運用をいたしておるわけでございます。  それから、先般の公労協によりますストによりまして、たとえば集金に出ておった方が集金に回れなくなりまして、集金が予定どおりいかなかったとか、あるいは郵便で手形を送っておりますのが、その手形が届かないとか、あるいは駅の近辺の商店街、駅ビルにあります商店等々が非常に売り上げが減少をしたとか、あるいは貨車からトラックに切りかえました関係で非常にコスト高になったとか、そのトラックの手配がつかないために在庫がふえまして生産を落としたとか、原材料の入手が困難になりまして、そのために生産を落としたとか、いろいろ影響がございましたが、特に集金ができなかったとか、手形が入らないために手元の資金が狂ったとか、売り上げが減少いたしましたとか、こういうことによりまして資金繰りに困難を来した向きにつきましては、政府系三機関で特別に配慮をして、そういった中小企業の方に融資面でめんどうを見るように指示をいたしてございます。  幾らという枠は設定をいたしておりませんが、一応第三・四半期に予定いたしました資金枠の中から融資は行っていくわけでございますけれども、その枠で不足する場合には、第四・四半期に予定をいたしております資金枠から繰り上げて使用するように、こういうふうな指示をいたしておるところでございます。
  248. 林田悠紀夫

    委員長林田悠紀夫君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  249. 林田悠紀夫

    委員長林田悠紀夫君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。——別に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  250. 林田悠紀夫

    委員長林田悠紀夫君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  中小企業信用保険法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  251. 林田悠紀夫

    委員長林田悠紀夫君) 全会一致と認めます。  よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  小柳君から発言を求められておりますので、これを許します。小柳君。
  252. 小柳勇

    小柳勇君 私は、ただいま可決されました中小企業信用保険法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、日本社会党、公明党、日本共産党、民社党の五党共同による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。   中小企業信用保険法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)  政府は、長びく不況に対処し、中小企業の健全な発展のため、本法施行にあたり、特に次の諸点につぎ適切な措置を講ずべきである。 一、特別小口保険をはじめとする各種保険の付保限度額及びてん補率についての引上げを今後ともはかるとともに、特に普通保険の付保限度額を引上げるよう早急に検討すること。 二、信用補完制度の趣旨が十分生かされるようその運用に留意するとともに、迅速な保証を行うため、申込手続の簡略化、審査期日の短縮等に努めること。 三、信用保証協会の基本財産に対する保証倍率の引上げ及び信用保証協会に対する基金補助の増額をはかるとともに、保証にあたつては、特に小規模企業者に配慮すること。   右決議する。  以上です。
  253. 林田悠紀夫

    委員長林田悠紀夫君) ただいま小柳君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  254. 林田悠紀夫

    委員長林田悠紀夫君) 全会一致と認めます。よって、小柳君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議にすることに決定いたしました。  ただいまの附帯決議に対し通産大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。河本通産大臣。
  255. 河本敏夫

    ○国務大臣(河本敏夫君) ただいま議決をいただきました附帯決議につきましては、その趣旨を尊重いたしまして、万全を期する所存でございます。
  256. 林田悠紀夫

    委員長林田悠紀夫君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  257. 林田悠紀夫

    委員長林田悠紀夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時四十分散会      —————・—————