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1975-12-09 第76回国会 参議院 社会労働委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年十二月九日(火曜日)    午後一時五分開会     —————————————    委員異動  十一月十九日     辞任         補欠選任      松岡 克由君     斎藤 十朗君      橋本  敦君     沓脱タケ子君  十一月二十日     辞任         補欠選任      沓脱タケ子君     安武 洋子君  十一月二十七日     辞任         補欠選任      安武 洋子君     沓脱タケ子君  十二月九日     辞任         補欠選任      神田  博君     岩男 頴一君      鹿島 俊雄君     坂野 重信君      浜本 万三君     野田  哲君      星野  力君     橋本  敦君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         村田 秀三君     理 事                 玉置 和郎君                 丸茂 重貞君                 山崎  昇君                 小平 芳平君     委 員                 石本  茂君                 岩男 頴一君                 上原 正吉君                 小川 半次君                 斎藤 十朗君                 坂野 重信君                 高田 浩運君                 徳永 正利君                 森下  泰君                 片山 甚市君                 野田  哲君                目黒今朝次郎君                 柏原 ヤス君                 沓脱タケ子君                 橋本  敦君                 柄谷 道一君    国務大臣        内閣総理大臣   三木 武夫君        大 蔵 大 臣  大平 正芳君        農 林 大 臣  安倍晋太郎君        運 輸 大 臣  木村 睦男君        労 働 大 臣  長谷川 峻君        国 務 大 臣        (総理府総務長        官)       植木 光教君    政府委員        内閣官房長官  海部 俊樹君        内閣審議官    吉野  実君        内閣法制局長官  吉國 一郎君        大蔵大臣官房日        本専売公社監理        官        西沢 公慶君        林野庁長官    松形 祐堯君        運輸省鉄道監督        局長       住田 正二君        運輸省鉄道監督        局国有鉄道部長  杉浦 喬也君        労働大臣官房長  桑原 敬一君        労働省労政局長  青木勇之助君    事務局側        常任委員会専門        員        中原 武夫君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○労働問題に関する調査  (公共企業体等職員労働基本権に関する  件)     —————————————
  2. 村田秀三

    委員長村田秀三君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告をいたします。  本日、星野力君及び浜本万三君が委員辞任され、その補欠として橋本敦君及び野田哲君が選任されました。また本日、神田博君及び鹿島俊雄君が委員辞任され、その補欠として岩男頴一君及び坂野重信君が選任されました。     —————————————
  3. 村田秀三

    委員長村田秀三君) 労働問題に関する調査のうち、公共企業体等職員労働基本権に関する件を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  4. 玉置和郎

    玉置和郎君 総理、ぼくはいま日本の国のいろいろな実情考えてみて不幸なことは、これは常に二つ国民が存在するということなんです、二つ国民が。それはどういうことかと言いますと、働く人は階級だというふうに規定をして、そして階級闘争理論というものを振り回しておる。それが経済の面におきましては労使対決となる。それが政治の場に入ってきては、外交におきましても、教育におきましても、防衛論議におきましても、常に二つ国民という形で分かれて対決姿勢をとっていくというこの中に日本の混迷があると、こう思うんですね。それの象徴的なのが今度のスト権ストですよ。  私は、ここでちょっと私自身新宿の街頭でやったことを御披露申し上げますが、私の宣伝カーを持っていって二日間やってみた。そうすると何と一万人以上の人が集まった。それはもう大変なものでした。あれだけ拍手受けたことはなかった。中には青嵐会がんばれという激励まで受けた。反対する者はほとんどなかったです。これが国民の私は素朴な感情だと思うんです。  私はここでお聞きします。これはまず運輸大臣にお聞きしますが、前の予算委員会関連質問で私は国労の持っておる綱領、それから動労の持っておる綱領、この中に社会主義的な政権ができるまでわれわれは闘い抜くんだと、こうあります。  私は、今度のこのストというのも単にスト権を取るという段階だけでなしに、その背景にはやっぱり社会主義政権をかち取るんだというふうな意欲がはっきり出ておるというふうに思うんですね。その点について、あんたどうですか。
  5. 木村睦男

    国務大臣木村睦男君) 国労あるいは動労綱領の中には、いま玉置委員指摘されたような事柄が載っております。しかし、私は国労といえども、あるいは動労といえども、国有鉄道の中の労働組合でございますから、やはり国民の負託を受けて輸送使命を達成しようとしております日本国有鉄道の業務の刷新あるいはサービスの向上、そういうことのためにこれは労使ともに一体となって邁進すべきである、これが大前提でなければならないと、かように考えております。
  6. 玉置和郎

    玉置和郎君 いや、問題はね運輸大臣、あれが政治目的を持ったストであるかないかという判断なんですよ。国務大臣として、あんたは単に運輸大臣だけでなしに、その以前に国務大臣です。国務大臣としてあなたの所見を伺いたいということを言っておるんですよ。
  7. 木村睦男

    国務大臣木村睦男君) 今回のストは、スト権を獲得するという政治目標を持ってのストでございますから、御指摘のように政治ストであると、こう私は判断いたしております。
  8. 玉置和郎

    玉置和郎君 これは明らかに政治ストであるということ、それは四十一年のまた四十四年の最高裁判決に基づきましても、三つ挙がっておりますが、その第一に政治目的を持ったストというのはこれはいかぬということ、これははっきりしております。  そこで、私はもう一つ聞きたいんですけれども、あなた革マルというのを知っていますか、どうですか。
  9. 木村睦男

    国務大臣木村睦男君) 知っております。
  10. 玉置和郎

    玉置和郎君 労働大臣革マルというのは大体どういう性格を持つもんですか。
  11. 長谷川峻

    国務大臣長谷川峻君) 非常に現体制破壊のために暴力もいとわないと、こういうふうに解釈されております。
  12. 玉置和郎

    玉置和郎君 そうでしょう。  そうすると、あの判決の第二番目にある暴力行使ということはこれは違法であると、これは何人といえども左右の暴力はいずれもこれは民主主義破壊者です。それだけに暴力行使ということになってくると、こういうものに所属をする者が動労幹部であるということになれば一体どうなりますか。——どっちでもいいや、労働大臣、あんたの方がいいな。
  13. 長谷川峻

    国務大臣長谷川峻君) 内部組織については私詳細に承知しておりません。
  14. 玉置和郎

    玉置和郎君 承知してないと言うんだったら、あんた予算委員会で、衆議院で眠っておったということなんだ。そういうこっちゃいけません、国務大臣はもっと目をあけてよく耳澄まして聞いておらにゃいかぬ、それが国務大臣の責務です。ちゃんとわが党の代表質問奥野代議士が、ゲバ事犯で抗争を続けておる革マルの副議長松崎明という人が動労東京地方本部執行委員長であるということは、これは国会会議録にはっきり出ておるじゃないですか。あんた聞いておったでしょう、どうですか。
  15. 長谷川峻

    国務大臣長谷川峻君) 聞いておりました。
  16. 玉置和郎

    玉置和郎君 はっきりしたでしょう、あなた眠ってないということもはっきりした、これで、そうなのにこういう人が動労という非常に国民生活影響を与える、東京のしかも本部長執行委員長であるということ、この事態をどう考えますか。
  17. 長谷川峻

    国務大臣長谷川峻君) 組織内部の比重とか、そういうものは私は承知してないというつもりで承知してないということを申し上げたわけであります。私はどんな労働運動でも暴力で一切を目的遂行するというふうな姿勢というものは、これは許されないものだ、こういうふうに考えておるわけです。
  18. 玉置和郎

    玉置和郎君 運輸大臣、あなたはいま労働大臣が答えましたように、暴力を常に行使をして、そうして警察でも、いわゆる司法関係でも常に注目をしている、国民がもう非常にこわがっておるこういう革マルの副議長をやっておる人が、あなたが所管するところの動労の、いわゆる動脈を握っておる動労のこれが東京地方本部長である、執行委員長であるということについては、監督大臣としてそれがいいことか悪いことかはっきりしてください。
  19. 木村睦男

    国務大臣木村睦男君) 組合代表的地位に立つ人がどういう思想的立場、どういう信条を持っておるかということは、これは一応自由だと思いますけれども、しかし組合としてはやはり憲法の枠内において、また法律を守って組合としての行動をとるということは、その代表者がどういう思想的立場なり信条なり持っておるかということとは私は無関係でなければならない、かように考えております。
  20. 玉置和郎

    玉置和郎君 それは運輸大臣、ちょっとおかしい。少なくとも革マルですよ。革マルという暴力集団は、何人ともこれは否定しない。みずからも暴力をもって革命をすると言っておる、その副議長である者が国民生活に非常な影響を与えている動労東京地方本部長であるということ自身は、これは重大なことですよ。あんたみたいに、組合幹部思想信条については言わないというふうな、私はそれはいいですよ、いいですが、現実に革マル自身が一体何をやっておるかということわかっておるでしょう。これは総理どう思いますか、——総理、むずかしい顔せぬで、あんたはっきり答えなさい。
  21. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 暴力によって、暴力によってといいますか、目的のために手段を選ばず、これはもう民主主義と両立をしないわけであります。そういう意味であるわけでございますから、これは民主主義を健全に育成しようとするわれわれの考えとは真向こうから衝突する考えである、こう思っております。
  22. 玉置和郎

    玉置和郎君 運輸大臣、いま聞かれたとおりですよ。少なくとも革マルという集団のしかも副議長であるという人が、この革マルという常に暴力を振るって国民に大変な迷惑をかけておる、そういう者がおるということ自身がおかしいんですよ。それに対しておざなりの答弁国民は納得するはずがない。これに対してはっきりあなたが答弁をしてもらわなかったら、それこそ野党が常にやる休憩を私は言わざるを得ないですよ。これはいまのような答弁じゃ承知しない、はっきりしてください。
  23. 木村睦男

    国務大臣木村睦男君) 私が申し上げましたのは、いまの日本憲法下では思想信条等は自由でございますから、これに対してどうこうということはできません。しかし、暴力を行為の上であらわすということになりますと、これは法律の禁ずるところでございますから、これはやってはいけない、そういうつもりで申し上げたんでございまして、しからば、思想信条の中において暴力行使してたとえば革命を行うとか、そういったことを信条としておる人がそういう一つ組合代表的責任者地位にあることがおまえはどうかと、こう問われれば、私は適当であるとは思いません。
  24. 玉置和郎

    玉置和郎君 私はね、その言葉をはっきりやっぱり国民の前に示したかった。それであなたがまたやっぱり国鉄総裁に対して、そういう人物が依然として動労の中におるということは、これは動労性格を私は国民がまた大変危険なものだというふうに認識をするから、ひとつ国鉄総裁に対してあなたがそういう考え方をはっきり示すこと、それで善処さすこと。——私は実はね、これは余談になりますが、目黒君、ここに来るまで、このやろう一回来たらどっかでぶったたいてやろうと思った、これは暴力行使いけませんけどね。とにかくしかし、つき合ってみたら、これほどまたいい男はないです。しかし、頭に動労というシャッポをかぶったらとたんにこれおかしゅうなる。人間的には実に愛すべき人だし、りっぱな人です。それだけに、どうかそういう危険な人物はあなたもやっぱり、目黒参議院議員国会議員として善処していただくということを私はここからひとつ要請をしておきます。  そこで労働大臣、あなたは今度、まあ三つ聞きますが、国労動労、いわゆる国鉄関係、それから全電通——電電公社関係、それに郵便——全逓関係、これは賃金カットがどうなっておるか、簡単にひとつ報告してください。
  25. 長谷川峻

    国務大臣長谷川峻君) 違法ストでございますから、これはストライキの間は賃金は払えない、ノーワーク・ノーペイ、こういう原則が成り立っておると、こう思っております。
  26. 玉置和郎

    玉置和郎君 いや、その数字ですよ。数字わかりませんか。わからなかったら私自分で言うんですが、これね、私言います。これ、総理ね、大体国会というのはわかっておってわからぬようなふりして聞くんです。これ、間違っとるんです。国会議員というのは、あんたたちを呼んで、それであんたたちに質問するのはこれ間違っとるんだ、こんなことを。しかしみんなやれやれ言うから仕方なしにこれやっとるんです。国会議員というのは国権の最高機関であって、常に国家の最高意思を創造するのが国会議員であって、行政府をしばりつけて、そこに座らして、そしてぎゅうぎゅうぎゅうぎゅう言わしてよがっておるのが国会議員じゃ間違っとるんです。やっぱりこんな問題は常に国会議員同士が政党の立場でもって、論議をする、その結論に従ってあなた方がやりゃあいいんですよ。これが三権分立のたてまえなんです。だから、今度なんかは違法ストだと言ってやっとるんでしょう。スト権ストというのは、みずからスト権がございませんと、法律的にはございませんから、これをストという形で取りますというのがスト権ストですよ。私は新宿の駅前で一万人集めたときにこう言った。これはたとえば簡単な例ですが、どろぼうが、どろぼうしちゃいかぬということはよく知っとるんだ、これはどろぼう君も。それは法律にちゃんと書いてある。そのどろぼうがある日出刃包丁持って他人の家に押し入ったら、そこの主人がおまえには金出さぬ、物出さぬと言ったら、それでは警察署長にね、仲へ入れと言ったのが、あんた、ちょうど警察署長と同じなんですよ、いま。総理に仲へ入れと言ったのと一緒ですよ。法を守る一番大事な内閣総理大臣に対して仲へ入れと言うたんですよ。今度はあんたが提案を仕方なしに、国民生活を守らにゃいかぬというのでこれは出した、あれ、五項目ですよ。そうしたら、そんなものおれは聞けねえと、ウイスキー出せ、つまみ出せと言って畳に出刃包丁突きつけてあぐらかいて居直り強盗になったというのが、これが公労協ですよ。私の友人の山崎昇先生も、大変これは尊敬していますが、今度だけはやっぱりいかぬ。今度だけはやっぱりいかぬ。それだけに、これに対してやっぱり賃金カットはしっかりせにゃいかぬ。賃金カットはね、ぼくは不思議に思うのは、電話はどれだけ迷惑かかったのか。そう大して迷惑かかっていませんよ、電話。私の事務所なんかちっとも迷惑かかっていない。それから郵便も、これはやったら後また配達せにゃいかぬですよ、これ。だから労働過重になる。ただ、それが残業ということで賃金カットされたよりよけいくれるそうですけれども、しかしこれもまあ大したことはない。問題は国鉄ですよ。国鉄関係国労動労ですよ。その電電公社関係者は、労組の方はあれは確か十八億だったかな。郵便の方は確かに十六億一千五百万だと思った。あれだけ八日間ストを打ち抜いた動労国労が何と二万人しかやっていないという、そうして賃金カットは八億円だという、これはどこに原因があるんですか。これ運輸大臣よく知っているでしょう。どこに原因あるんですか。こんなことは国民感情として許されぬですよ。
  27. 木村睦男

    国務大臣木村睦男君) この問題について国鉄当局からいろいろ説明を聞いてみたわけでございます。  まず第一に郵便その他と違いますのは、御承知のように国鉄一つの線を持って国鉄が運営されているわけでございますから、一番その効果の多いところの拠点といいますか、そこがサボタージュをやれば相当広範囲に汽車はストップするというのが鉄道輸送実情でございます。したがって、そういうふうな一番効果の多い拠点スト指令を出してサボタージュをするということによって全国鉄が麻痺するということになるわけでございまして、そういうふうな方法でやってまいりますというと、ごく少ない人数で国鉄は麻痺することができると、これが一番国鉄というものの運営上出てくる事情なんでございます。しかも、三交代勤務というふうな変則勤務鉄道輸送上は必要でございますので、三人の人が一日ずつ勤めればいいというふうなことで勤務に出るべくしてスト指令で出ないという人がさらに減っていくと、こういうような事情がそこにあるわけでございます。
  28. 玉置和郎

    玉置和郎君 問題は、運輸大臣長々説明いただいたんですが、これですよ。職員服務規程の中にあるんですよ。職員服務規程の中の勤務休暇規程の第六条第十三項にあるんです。これは十三項読みますと、「交通機関事故等不可抗力原因による、所属長において必要と認める時間の欠勤」、いわゆる「交通機関事故等」というのは、自分たちが一割それやったんですよ。それやったら「所属長において必要と認める時間の欠勤」扱いして、これがやっぱり必要と認めた場合にこれは出勤扱いになる、これは。これですよ、問題は。これをうまく利用してやられておるんですよ。だから、こういうふうな勤務休暇規程というふうなものもこの際見直しをするということにはっきりここで約束してください。あなたがやっぱり国鉄総裁としてやらすと、やらさぬような国鉄総裁だったらもうやっぱりやめてもらうのが一番いい。これはやるのかやらぬのか、あなたが国鉄総裁にそれを言うのか言わないのか、それだけ答えてください、時間ないから。
  29. 木村睦男

    国務大臣木村睦男君) この問題はすでに国鉄総裁と話をし合っております。
  30. 玉置和郎

    玉置和郎君 総理、あなたに最後聞きます。私は国会に、ここへ持ってきたわけです。これが正常な姿だと思うんです。だから、ここまで来たら議論のために共通の場をつくるべきだと思うんです。その前提になるのは、まず第一に、法を守るということですよ、法を守る。あなたがよく言っている法を守る。二番目には、やっぱり民主主義とは一体何かということなんですよ。民主主義とは一体何か。それはもう他人に迷惑をかけないという、これはもう原則なんです。三番目には、あくまでもやはりわれわれは、公務員というものは、国民生活を守るということなんです。この三つを前提にしていくならば、あなたが言っているように公労法の改正もしましょう。関係法規見直しもやりましょうということなんです。そこで私はこの四つの点を提案をいたします。  アメリカで一九四七年から一九七五年まで、約三十年の間に二十九回のストライキがありました。そのストライキのときに大統領の要請によって裁判所はストを中止しております。すべてがそれに従っております。それだけに、こういった問題についてどう考えるか。  二番目には、民主的な労働組合というものは、これは日本でも民間ではやはり二分の一、半分の賛成がなければこれはストに入らない。日教組でさえも、これは鈴木君来ておるかなあ、——とにかくあれだってやっぱり二分の一賛成しておるのですよ。今度は何もやっていませんよ、そんなこと。投票をやっていない。民主的な投票をやっておるところもあるけれどもやっていないところがほとんどなんだ、これは。だからこういうことはやっぱりいかぬ。こういうことはやっぱり制度化するということなんです。郵便——あなたの方はやっておるよ。あんたのところはやったけれども、国労動労はやっていないのだ。やっていないところはたくさんあるの知っているがな。だからこういうことをやっぱりちゃんとさすということ。それからこれは西ドイツなんか四分の三以上の賛成がなければストに入れないのですよ。これをちゃんと法制化しておる。また予告制をとらすということ。  それから、最後にはやっぱり最高裁判決が出ておるように、政治目的を持ったスト、二番目には暴力行使、三番目には社会通念に違反をしたという、いわゆる国民生活に重大な影響を与えたという、そういうことをやった場合には刑事罰を科すというはっきりしたものを、もしこの議論の中でやるという、そういうことがやはり私はスト権をやるのならそういう議論が尽くされなければならぬ。  そのかわり私は提案をしますが、このスト権ストにぼくは入るなということを山崎さんにも私は目黒さんにも言ったのですよ。小柳さんにも言った。こんなばかげたものをやったらあんたらこれはまんまと共産党にしてやられるよと、——まんまとしてやられたのだ、共産党に、これ。だからこんなばかなことをやらぬで、りっぱな野党第一党として育ってもらいたいということを私は願望した、にもかかわらず、こんなばかげたことをやってしまった。それだけにここで私は提案をしますが、やっぱり公労協に対しても野党第一党の社会党に対しても、この案が出てくるまで、いろいろ国会議論を尽くすまで、これはやっぱり二年なり三年なりかかると思うから、その大体の期間を総理は大体の腹づもりでいいから、どのくらいかかるかということを明示をここでするべきです。公労法見直し、それで関係法規見直し、これをどのくらいのめどを立ててやるのか、これをやっぱりここではっきりすべきです。それでないとこの悪循環がやっぱり断ち切れない。私はそう思う。そうしてやっぱりこれはあくまでも国会でやるべき事項です。法定主義を廃するとかあるいは民間に移行するとか、こういうこともやっぱり法律があってやっておるのですから国会事項ですよ。それだけに国会の中に、民社党の諸君がよく言うが、やっぱり正式な機関を設けて、各党がそれぞれの意見を持ち寄って、十分討議をしたその成果を、あなた方はそこでオブザーバーで聞くんだ。何も答えなくたっていいのだ。大体答えさすのが間違っておるのだ。われわれが決めたことをあなたらがしつかり守ってやればいいのだ、これは。それを何でもかんでも総理を引き出さなければいかぬ——総理はランブイエへ行ってしっかりやればいいのだよ。だからこんなところへ引き出して一々総理結論を求めるなんというのは間違っておるのだ、これは。だからあなたが総裁として、総理としてより総裁として自民党にもそういう姿をとらせるし、国会全体もやっぱりそういうふうな運営に持っていかすという方向で努力をするかしないか、はっきりここで答弁してもらいたい。
  31. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 玉置君の御指摘になったやはり法を守る、民主主義を守っていくということは、私もこれは私の長い議員生活を支えてきた信念である。法を守るということは、立場によってその法律は悪法であると考える人があるでしょう。それはやはり法律が改正されるまでは、現在ある法律を守るということでなければ社会の秩序は維持できないし、法治国家でもないわけですから、玉置君の言われるとおりだと思う。また民主主義というものは、結局は革命主義とどれだけ違うかと言えば、革命主義は目的のためには手段を選ばぬということが革命主義なんです。そういう議会政治革命を予定してないわけであります。やはり合法的に手続を経て改革していく。革命でなくして改革が議会政治一つの大きな枠組みでありますから、そういう意味で、悪法だから法律は守らないとか、目的のためには手段を選ばぬということは、法治主義にも民主主義にも反するものだという意見は全く同感であります。だから、これからはいろいろなこの問題に対して検討を進めていくについては、組合側にもこういう考え方を私は捨てなければならぬ。いまの政治形態を変えなければ労働条件は改善されぬという物の考え方を捨てなければいかぬ、これはね。またもう一つは、そのために政治ストはやってもいいん、だという考え方は捨てなければならない。その次には、やはりストというものは団体交渉の結果、どうにも打開の道のない最後の手段である。それをあらかじめスケジュールを設けて、スケジュール闘争というものをやることはよくない。こういうことが、こういう日本労働組合運動というものを、組合側もいま言ったようなことをやらないという保証がないと、それは玉置君なんかも労働基本権を最大限度に尊重しようという論者でしょう。その論者もこういうストが繰り返されてきますと、反対する人を説得する説得力が弱まってきます。そういう点で、まず日本労働運動というものを健全にするためには、組合側もこういう点に対して、これからの労働運動について何らの保証があれば、労働基本権を最大限度に尊重すべしという論者は決して少ないものではないと思う。ところが、こういうスケジュール闘争、政治スト違法ストを繰り返されてくると、そうなってくると、そういうふうに条件つきなら条件つきでスト権を与えても、その条件を守るという保証はどこにあるのかと、こう言われたときに、なかなかこれに対して反論がむずかしいと、そういう意味において、今度のストというものは私は不幸なストであったと思うんです。非常な労働基本権というものを尊重しようとする人たちにも何かこれは不安を与える材料になった。だからストに入る前に、ストはやめてもらいたいということを組合側に私は何回も要請をした理由であります。だから日本労働組合運動というものは、独特の労働組合運動になっておる。これはいろんな経緯がありますよ。戦前、戦中、労働組合運動を弾圧したという歴史もあるでしょう、一つのね。それから急速な経済発展ということも一つあるかもしれない。しかし、やはりそのために、そういうことからして、ILOでも労働組合運動としては保護されてないスケジュール闘争、政治闘争というものが繰り返して行われているという、この労働組合の運動に対して、ここらでこの今度の一番長期なストライキ、これを転機にして新しい労使関係を築き上げることが、われわれやはり国会議員としての大きな使命であり、責任だと私は思うわけです。玉置君がこの国会において十分にこの問題について論議を尽くして、新しい健全な労使関係を確立すべきだという点には全く同感であります。私も、だからいま期限を切れということでございますが、このやはりスト権の問題というものは、当事者の能力もあるでしょうし、ストというものが最後の手段だとするならば、労働条件の改善について、当事者は能力を持たなければならない。国鉄なら国鉄はいま持っていませんわ、当事者能力を。あるいは企業のあり方ということもやっぱり問題になってくる。いろんな前提条件というものが検討されなければ、いまスト権だけを取り出してきて、これを与えるんだ、与えないんだという議論は地につかぬ感じが私はするわけです。それで、私はこれをいままでのように延ばそうとは思っていないんだ、自分三木内閣の間に何とか新しい労使関係というものを確立できないかと、それでなければ日本が安定しないですからね、こういう紛争が繰り返されておったのでは。そう思っているんですよ。しかし、期限を切るということについては、これはいろんな前提条件がございますから、何年以内ということは、もしそういう期限を切りますと、まだやっぱり検討しなければならぬことがたくさんありながら期限に追い込まれるということは、やはりこれは国民生活に重大な影響を与えるものでございますから、そんなに私がこれを引き延ばすために期限をつけないのではないんだという点について御理解を願って、できるだけ衆知を集めて日本独特の労働運動というものを、国際的なそういう余り特殊な労働組合運動というものを、いろんな歴史的経緯はあるにしても、これを新しい労働組合運動というものに打ち立てていくと、——そういうふうにやっぱり流れを変えていくことに対して私は責任と使命を感じておるものでございます。  また、アメリカの例をとって、いろいろ裁判所のスト停止命令があるがということ、ちょっとアメリカと日本とは裁判所の仕組みが違っておるわけでございますから、これをいまの場合に裁判所にスト停止の命令を求めるということは日本の仕組みではちょっと無理がある。  ストをやるには過半数の賛成というのは、これはやはり違法ストですからね。労働組合運動の枠内でないですからね。そういう何も規定なしにやっておるわけですから、こういう点については、やはりこれがこの問題に対して違法ストでなしに、スト権に対して結着がつければ当然に組合員が、——これだけの強大な権力を、二、三の幹部さんとは言えないにしても、幹部の人だけが決行するということはそれはやっぱり健全な民主主義のルールでないですからね、これは当然にやはり過半数の同意を得ることは当然だと思います。いまスト権を与えられてないだけに、この問題がまだどうだこうだという段階ではないということでございます。  私の補足する点がありましたら……。
  32. 玉置和郎

    玉置和郎君 総理、終わりですけれども、問題はね、スト権をやるというときの話ですよ、それは。いまどきらはそんなスト権投票なんというのはあるものか……。
  33. 村田秀三

    委員長村田秀三君) 玉置君の質疑は終わりました。  次に目黒君。
  34. 目黒今朝次郎

    目黒今朝次郎君 自民党の玉置委員が質問をするということをけさ聞いたものですから、彼の持論はいま言った政治スト革マル暴力あるいは云云と、こういう彼一流の構築だと私は聞いてまいりました。  それで総理並びに労働大臣運輸大臣よく聞いてください。今回の春闘並びにスト権ストについて、現在の組合員がどのような反応を示しているか。これは全体投票をやっているんです。いいですか。国労が八九%、動労が八六%、全逓が八〇%、全電通九二%、全林野八七%、専売八九%、それから全印刷が七九%、造幣が八六、アル専が八四、総体でほとんど八五%以上の賛成投票をやっておるわけなんです。ですから、いま玉置委員が言うようなからくりではなくて、どうして労働者をここまで追い詰めてしまったかという自民党の歴代の弾圧あるいは公約を破った、私は歴史の積み重ねがこうなっていると思っておるわけなんです。ですから、そういう点ではこれらの問題について労働行政なりあるいは運輸行政などを通じてあなた方が現に反省する気持ちはあるのかないのか、それをまず第一に聞きたいと思います。労働大臣運輸大臣。ここまで追い込んでしまった……。
  35. 長谷川峻

    国務大臣長谷川峻君) 目黒委員にお答えします。  内部事情はどうあれ、私はやはりそういうふうなことであっても、やっぱり違法ストを、政府が今年秋までに答申を出すという前に、やはり以前に違法ストを構えたということは一番これは致命的な国民の批判を買っているゆえんじゃなかろうかと、こう思っております。
  36. 目黒今朝次郎

    目黒今朝次郎君 もうこの議論をやっても議論のすれ違いですから、これ以上は言いませんが、結局二十七年間のあなた方自民党政治の悪政、弾圧の積み重ねが今日公労協の諸君をここまで追い込んでいるということをじっくりと確かめてほしいと思うんです。  それから総理大臣にお伺いしますが、あんたは決断を迫られた段階で、独裁者じゃないということをまあテレビを通じてお得意に述べておったようでありますが、私は今回のストライキの混迷の原点は総理の優柔不断な態度だと、自民党派閥の中に巻き込まれたあなた自身の指導力の低下だと、こう思うんでありますが、私は総理大臣というのはこの憲法七十二条に従って内閣総理大臣は議案を国会提案すると、こういう提案権をあなたが持っておると思うんです。独禁法の問題についても党内のいろんな反対を押し切って、あなたは七十五国会提案したじゃありませんか。あるいは租税特別措置法の医者に対する特例法の問題についても、医師会の武見会長の圧力によって何回も国会を裏切っているではありませんか。こういう点から考えますと、事スト権だけに関してあなたが提案権を発動する、そういう方向性も提示できなかったという点はあなたの怠慢であり、三木総理自体がもう自民党の中にその指導力を失ったと、こういうあらわれなんですか、どうなんですか、総理大臣の見解を聞きたい、こう思うんです。
  37. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 私は目黒君にも言いたいのは、お互いに党派は違っても議会制民主主義を守るということについては共同の責任を持っておる。そうでなければ議会制民主主義は維持されていきませんよ。与野党政策の違いはあっても共通の土俵として議会制民主主義は守っていこうということがなければ議会制民主主義というのは維持できるもんじゃない。その場合に、目黒君は、私があれだけのストの圧力に屈してスト権は与えます、そして国会に提出しますというような返事をしていいんでしょうか。そういうことで議会制民主主義というのは維持できるでしょうか。そうなればそれは三木という総理は何かこう圧力、大衆の圧力を持っていったら、議会の手続を経ず、自分たちの要求を通し得るのだという、そういう総理大臣はあなた望まれるですか。私はそうでない。やはりこれは、ああいうストを組んで、圧力をかけて、それにイエスと言えということは、まさしく民主主義のルールにも、あるいはまた法治国のルールにも反します。やはりそういうことは、議会、この一つのこの合法的な手続を経てこういう問題は解決しなけりゃならぬ。何かこう大衆の圧力によって私は信念を曲げることはできない。私の指導力が衰えたとかどうだとかいろいろお話しあったけれども、私は何人にもこれは牽制を受けたんでない。私はやはり議会制民主主義を守るということに対しては私の信念なんだ、これは。三十八年の議会政治を支えてきたものはその信念なんだ。この一点に触れることに対して私は妥協できぬということです。
  38. 目黒今朝次郎

    目黒今朝次郎君 三木総理、あなたはね、この問題がここ一、二年、突然出てきたものじゃないんですよ。参考までに、これは公労法が制定されて、十七条、十八条が出た、いわゆるその当時の国会の議事録などを調べてみますと、あなたが党首であった国民協同党の大島多藏さんという方がこの公労法の制定についてはこういう言葉を使っている。「かかる過渡的、一時的な国辱的法案の撤廃されんことを切望して、本法案に賛成するものであります」と、——ちょっと聞いてください。総理——総理、そういうことをあなたの代理として国会で討論している。それから、現在の自民党は民主党、自由党の集まりだと思うのでありますが、民主党の川崎秀二さんも、この現業職員の争議権はやはり保障さるべきであると、しかし、どうにもならぬから過渡的にやるのであって、一日も早くこの回復を期待すると、こういうことを賛成討論で述べているんです。そうすると、議会っ子を自負する三木総理、あなたは本音は賛成だけども自民党の玉置さんを含めたタカ派がうるさいからどうにもならないのだという心境が本当の心境じゃないんですか。そうすれば、議会っ子としてあなたは途中で、どの時点でこの代表討論の操を曲げたんですか。その考え方を聞かしてもらいたいと、こう思うのです。
  39. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 私は、何人にもこの問題に対しては私の考え方を公式に発言したことはないんです。私もやはり公共の福祉に反しない限りは労働基本権を最大限に尊重したいという私は論者です。しかし、やはりそのためにはいま私が玉置君の質問に対して答えたように、やはり法律は守ると、民主主義のルールは守ると、こういう前提がなければ、これはやはり私自身でも不安を感じますね。したがって、今度の事件で、私は相当に幅広く労働基本権を最大限度に認めよという論者もあったけれども、その人間のこの説得力を薄めてしまったと私は思う、不幸な事件だと私は思っております。そういうことで私は何人の牽制も受けたんではないと、私の政治家としての信念に反する行動に出たために妥協はできないという態度を堅持したわけでございますが、しかし、この問題がいつまでも放置していいと私は思ってない。だから、今後、この問題に対して真剣に取り組んでいこうと言っておるわけでございます。また、いままでのこのいきさつを、こう私も、まあマッカーサー書簡以来のいきさつというものをよく調べてみましたが、とにかく何回かそれは占領中のことでございましたが、法案としては、たとえば二十七年の公労法の改正、三十一年の公労法の改正、また四十年の公労法の改正、そういう都度に国会においていろいろ論議をされておるのですね。だから、初めは書簡であったけれども、国会論議、しかもそれは最初の場合は労働関係法令審議委員会という、こういうこう第三者構成のこのいろいろ各方面の意見も聞き、第二回目は臨時公労法審議会という審議会を設けて各方面の意見を聞き、第三回目は労働問題懇談会というのを設けて各方面の意見を聞いて、国会の審議、またそういう審議会とか委員会とかを開いて、この問題に対していろいろ議論はされたんでありますが、第十七条の削除すべしという答申は出てこなかったわけでございます。だから、この問題については長いいきさつはあるけれども、その間この問題を自民党が放置しておったんではない。問題の一つの意識として持ち続けて、こういう手続を経たけれどもいま言ったような結論になったということで、ただ自民党が怠慢でこれを引き延ばしてきたということではないということを事実に基づいてお答えをいたしておくわけでございます。
  40. 目黒今朝次郎

    目黒今朝次郎君 その問題については後ほど専門懇の問題の関係もありますから、野田先生からお願いするとして、私は専門懇だけについて一点だけ。  労働大臣、私は七十五国会の二月の二十七日の本委員会で、専門懇のメンバーから見るときわめて偏っていると、そうして大体の方向性については経営問題を主体とした分与論が出るんじゃないかと、こういうことを言った覚えがあるんですが、この専門懇の過程において労働省はどういう役割りを果たしたのか。聞くところによると、十月九日の公社側の副総裁事情聴取をした後の専門懇の運営は完全に労働省の管理をボイコットしたという形で進められたという話を聞いているんですが、この事実があったかどうか、労働大臣にこの専門懇の運営について見解を聞きたい、こう思うんです。
  41. 長谷川峻

    国務大臣長谷川峻君) 内閣に置かれた委員会でございまして、労働省は資料その他提出要求されたものは出しながら審議に御協力申し上げてきたところであります。
  42. 目黒今朝次郎

    目黒今朝次郎君 そうすると、ボイコットされた事実はないということですな。
  43. 長谷川峻

    国務大臣長谷川峻君) 閣内、内閣のことでございますから、そういう事実は私は承知しておりません。
  44. 目黒今朝次郎

    目黒今朝次郎君 それからもう一つこの専門懇でお伺いしますが、専門懇の提出時期についていろいろ言われておりますが、十月の二十五日、山崎委員野田委員と私と三人で川島副長官に会った際に、専門懇の結論は十三日から十五日、遅くも十五日には出すと、それで、今次の国会が二十四日までであるから、十分に閣僚協で相談する時間的余裕があると、そういうことを社会党の代表に対して正式に川島副長官答弁しておるわけですが、これが延びた原因は何なのか、この点について非常にいまだにわれわれがわからない。したがって、国民の前にこの延びた理由を明らかにしてもらいたいし、これだけ大事な問題を抱えておってNHKの小野座長が外国に出張しているという点は一体国民無視の私は専門懇のあり方ではないかと、こう思うんですが、この関係をぜひ明らかにしてほしいと、こう思うんです。——関係ない、責任者出せ、責任者を。総理大臣、あんたがしょっちゅう言っていることだから答弁しなさい。
  45. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) それは専門懇も私は今秋に政府の方針を出したいと繰り返し言ったんですから、今秋と言えば十一月末までと考えられるわけですから……
  46. 目黒今朝次郎

    目黒今朝次郎君 そんなことはない。国会中だ、国会中。
  47. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) そういうことで、私自身はできるだけやはり専門懇の意見書というものに対して早く督促する立場にあったわけですが、まあ専門懇自身のいろんな事情——きょうは閣僚でないと答弁しちゃならぬということですから、その事情をよく知っている者の答弁の方法はございませんが、故意に引き延ばしたんではないということを目黒君ひとつ御理解を願いたいわけでございます。
  48. 目黒今朝次郎

    目黒今朝次郎君 私はあんたがそう逃げると思ってだね、海部副長官もここにおられるんですが、私はきちっとこの関係社会党として官房長官を通して言ってあるはずなんですよ。この問題に対する事実関係はどうなんですか。官房長官いないか。——もう、じゃ時間待ちますからね。——じゃ、これは保留しておきますから、後ほど社会党の答弁の際に明らかにしてもらいたいと思います。時間がありませんから、もったいない。  それから次に、私は三公社の総裁がああいう意思表示をしておるわけなんですが、これをお伺いしますが、海部副長官おりますか。十二月の二十四日の社会党と政府の交渉の際に、官房長官は三公社総裁国会における言明は重要な判断の材料として閣僚協の段階で十分に努力しますと、こういう答弁をしておるわけでありますが、閣僚協の段階でこの官房長官社会党に対する約束に対してどういうふうに配慮されたのか、総裁からじかに聞きたい、こう思うんです。——総理総理、あんたが座長ですから。
  49. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) これは私も、目黒君、聞いておったんですよ、予算委員会で。だから直接に私は耳から聞いたんですから、これはよく言として理解できますが、国鉄総裁という現場の一つの当局の責任者からの言でございますから、当然に参考にすることは当然でございますが、またしかし国鉄の視野と、私ども政府としては国民全体の利益といいますか、公共の一つの利益というものを守っていく責任があるわけでございますから、したがって、国鉄総裁の意見が即政府の意見だというわけにはいきません。これはやはり国鉄国鉄という範囲内で総裁考えることは当然ですが、総理大臣はやっぱり国民生活全体という見地から見て調和をとるということが総理大臣の職務でございますから、国鉄総裁の言、即政府の考え方ということは即断に過ぎると。しかし、これは現場の最高の責任者の言でありますから十分参考にいたすことは当然でございます。
  50. 目黒今朝次郎

    目黒今朝次郎君 総理ね、この問題をすりかえないでくださいよ。私が言っているのは官房長官がわれわれ社会党の代表に重要な判断の材料にしますと、そういう答弁したんですよ。十一月二十九日にも同じような答弁をわれわれにしているんです。ですから、あなたたちに聞いたのは専門懇の報告が出たと、閣僚協で検討の段階に入ったと、そういう段階で、この重要な判断の材料ということがどのように生かされたのですかということを聞いているんですよ。抹殺されたのか、この分は生かしましたと、こう言っているのか、その点のことを聞きたいんです。総理、答えてください。
  51. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 目黒君御承知のように、政府のこの基本方針はスト権を与えるべきだ、与えてはいすないと、そういう結論に至ってないわけです。いろんなその前提条件があるから、そういう前提条件もひっくるめてこの問題は慎重にこの問題に対して検討を加えて結論を出そうということでございますから、あの政府の基本方針の中にはどのように取り入れたかというお答えをする段階になってない。今後やはり政府が国会に対して法案を提出せなけりゃならぬわけですから、公労法の改正を行うということを言っておるんですから、その場合のこれは参考になることは明らかでございます。
  52. 目黒今朝次郎

    目黒今朝次郎君 あなたは参考参考と逃げますがね、官房長官は重要な判断の材料と言っているんですよ。これは確認していいですか。
  53. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 官房長官の言のとおり御理解願って結構でございます。
  54. 目黒今朝次郎

    目黒今朝次郎君 じゃ、確認します。  それからもう一つ、これは運輸大臣に聞きたいんですが、国鉄総裁は十二月の二日ですか、ストライキの真っ最中に国労動労委員長を呼んで、そして改めて総裁は決意表明をしておるわけなんです。いわゆる総裁としてはいろんな事情があるけれども、職を賭してもこの問題については努力をするから職場に復帰してほしいと、もう悲痛な問題提起をしているんです。この総裁を中心とした国鉄全体の幹部諸公のこの気持ちをあなたはどういうふうに受けとめていらっしゃるのか。そうして国鉄の再建という問題について、マル生問題で非常に深い傷がついた国鉄労使関係が藤井総裁を中心に何とか正常化していこうと、そういう真剣な努力が労使でされていると、そういういままでの現状を踏まえますと、これだけ職を賭してもやるのだと言っておる総裁の気持ち、あるいは国鉄全体の幹部の皆さんなり、この問題についてはいま総理国民国鉄の範囲は違うなんて、そんなちゃちゃな答弁では事態収拾ができないような私は深刻な問題と考えていると思うんです。監督大臣としてこの問題をどのように処理しようとするのか、あるいは一部自民党のタカ派ではないと思うんでありますが、玉置さんはなかなか慎重な方ですからそうは言わないと思うんですが、この際国鉄総裁を首を切ってしまえというのが自民党の中にあると、そういう話も聞くのですが、藤井総裁を首を切って果たして国鉄総裁として現在の労使関係をまとめる人がいるかどうかという点を考えますと、私は三木国鉄総裁でも出現するかと思うんですが、それ以外にいないというくらい深刻に考えているのですが、この問題について監督大臣としてはどう考えていらっしゃるか、あるいは三木総理も改めてこの十二月二日の国鉄総裁の声明を受けてどういう気持ちでいらっしゃるか、改めて両大臣から聞きたいと、こう思うんです。
  55. 木村睦男

    国務大臣木村睦男君) いままでにない長期の違法ストがあったわけでございますので、国鉄総裁以下当局者は非常に心を痛めておりまして、政府の方針もすでに出た後でございます。国鉄総裁といたしましては、これほど長期にわたって、しかも政府の方針が出た後にまで違法ストを行うということは国民に大変な迷惑をかける、そのことを従業員諸君に本当に心から総裁が訴えた、それが二日の日の総裁の従業員に対する訴えであるわけでございまして、私は総裁として当然のことをやったと思っております。しかも、今後の問題につきましては、なお一層労使一体となって大変な国鉄の再建に総裁は率先陣頭に立って取り組んでもらわなければならない、かように思っておりますので、総裁を首を切れとかなんとかいうふうなことは毛頭考えておりません。
  56. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) やはり国鉄総裁、最高の現場の責任者ですから、これは毎日のように組合に説かなければいかぬ、やめてくれということを。国民は非常に冷静に対処はしてくれましたけれども、どれだけのやっぱり国民がこれに対して被害を受けたかということは目黒君も御承知のとおりです。現場のやっぱり国鉄総裁は、毎日のようにやめてくれということを問うだけの責任を国鉄総裁は持っておるというその責任を果たした一つの場面だと思っております。
  57. 野田哲

    野田哲君 まず最初に労働大臣並びに総理に対して事実を確めておきたいと思うんですが、先ほど労働大臣は専門懇が答申を出す前に公労協違法ストを構えた、こういうことで公労協を非難をされておりますが、総理も何回かそういう意味のことを発言をされたというふうに聞いておるわけですが、先ほど目黒議員も質問をいたしましたように十月二十五日に社会党の代表としてここに三人並んでおります山崎議員、そして目黒議員、そして私と三人が専門懇の事務局を担当しておる川島副長官と会見をした際に、川島副長官は、専門懇の結論は十一月の十三日、遅くとも十五日までには結論を出します、すべては小野会長の外遊の日程があるので、その前に十五日までには専門懇の作業は終了いたします、閣僚協はそれから十日間あれば十分結論は出せます、したがって、十一月二十四日、国会の会期の末ということに当時はなっていたわけでありますが、それまでには閣僚協としても結論を出す、こういうことを私たちに明言をされているわけであります。この事実を労働大臣総理大臣は承知されていなかったのかどうか、この点をはっきり一言で答えてもらいたいと思います。
  58. 長谷川峻

    国務大臣長谷川峻君) 簡単にお答えします。私は承知しておりません。
  59. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 私も川島副長官から目黒君などにそういう答弁をしたということは承知しておりません。報告を受けておりません。
  60. 野田哲

    野田哲君 そういたしますと、事実はわかりました。結論から言えば、川島副長官がわれわれに答えたことは、閣僚協の中心的なメンバーである労働大臣やあるいは総理大臣は何ら承知していないで答えた、そしてあなた方は副長官がそういう答え方をしているということを知らないままに公労協を一方的に非難をした、そういうことであるということをまず確認をしておきたいと思うんです。  そこで、次に総理に伺いたいと思うんです。  三木総理は、昭和三十九年九月に臨時行政調査会が十六項目にわたる行政改革の意見書を提出をしている、この中には「公社・公団等の改革に関する意見」あるいは「公務員に関する改革意見」、こういう内容のものが含まれているということを承知をされておられますかどうか、この点をまず簡単に答えていただきたいと思うんです。
  61. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) そういうものも含まれていると考えます。
  62. 野田哲

    野田哲君 次に、総理に重ねて伺いたいと思いますが、昭和四十七年の十二月二十二日、−当時の田中内閣総理大臣から国有林野事業の改善について林政審議会に対して諮問を行って、同日付で、つまり昭和四十七年十二月二十二日付で答申が行われている、この事実を承知されておりますか。——総理大臣答えてください。いや、知らないなら知らないでいいんです。
  63. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) いま御指摘のとおりでございます。
  64. 野田哲

    野田哲君 総理はいままでそのことは承知されていなかったわけですね。
  65. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 私はこの問題に対してはできるだけ調べもして、ある程度の知識を持っておると思いますが、場合によれば三木内閣の閣僚がお答えするという場合は、それはやはり、これもいかぬ、全部総理に答えろということは、それはやっぱり今後のいろいろ御質問が展開されるについて各省大臣から答弁した方が適当だと思われることもございますから、それはお許しを願いたいと思います。  農林大臣も言われたとおりだと思います。
  66. 野田哲

    野田哲君 それでは安倍農林大臣に伺いますが、あなたは昭和五十年十一月十九日付の衆議院の農林水産委員会で、このただいま言った林業基本法に基づいて林政審議会から「国有林野事業の改善について」という答申が行われておる、この問題について第四項で「経営組織」について、こういう項目がある、これについて芳賀議員の質問に答えて、国有林野事業の使命を果たす上において現行の特別会計方式を基本にし、その欠点を是正をする方向が適当である、こういうふうに答えておられますが、そのお考えは今日依然として農林省の方針として堅持をされている、こういうふうに理解をしていいわけですか。
  67. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 昭和四十七年に行われました林政審議会の答申は、一年有半にわたりまして審議を重ねられました結果行われた答申でございます。この答申を尊重していくのは農林省としてあたりまえのことだと思っておりますし、現在におきましても現行の特別会計方式を基本といたしまして、その欠点を是正をする方向で努めておりますし、考えは変わりません。
  68. 野田哲

    野田哲君 わかりました。  そこで、そういたしますと、いま農林大臣がお答えになった点と、このたびいわゆる専門懇の意見書が出されておるわけですが、この二十三ページの末尾に国有林野事業の経営形態の移行と、こういうくだりがあるわけでありますが、この専門懇が国有林野事業に対しての経営形態に触れておるこの内容と、いま農林大臣が答えられた林政審の答申を尊重していくと、こういう点とはかなり食い違いがあると、こういう点は確認をしていいわけですか、いかがですか。
  69. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) いまお話がございましたように、このたびの政府の基本方針によりまして、政府全体として三公社五現業等の経営のあり方等について検討されることになったのでありますが、その中にありまして、これからの検討の中にあって、先ほど申し上げましたような農林省としての意見を述べながら、妥当な方向で政府の結論が出されるように私としては対処してまいりたいと、こういう考えでございます。
  70. 野田哲

    野田哲君 大蔵大臣に伺います。  先ほど、三木総理が承知をしておると言われた昭和三十九年九月の臨時行政調査会の「公社・公団等の改革に関する意見」、この第二編で「日本専売公社の改善について」こういう項目がある、このことを承知しておられますか。
  71. 大平正芳

    国務大臣(大平正芳君) はい、承知しております。
  72. 野田哲

    野田哲君 この点についてもこの専門懇の意見書ではたばこ専売事業については分割をして民営移管、こういう趣旨が述べられている。この臨時行政調査会の意見とかなりこの点についても方向が違う、私どもはそう思っておりますが、大蔵大臣はどうこれを感じておられますか。
  73. 大平正芳

    国務大臣(大平正芳君) 仰せのように、臨時行政調査会の御意見といわゆる専門懇の御意見との間には違いがあるように見受けられます。専門懇の意見はいま野田さんが言われたように公権力にかかわる部分と、いわゆるたばこの製造販売の業務とを区分する考え方が述べられておりますので、この意見は確かに傾聴に値する意見だと考えております。
  74. 野田哲

    野田哲君 大蔵大臣に伺いますけれども、この昭和三十九年の臨時行政調査会の専売公社に関する意見書では、現行経営形態を基礎にした中でそれぞれ改革すべき点を触れられておりますが、あわせて労使関係の問題については労働基本権を付与する方向で拡大をする、こういう点で触れられているわけでありますが、この点も大蔵大臣としては承知をされているわけですか、いかがですか。
  75. 大平正芳

    国務大臣(大平正芳君) 答申は承知いたしております。
  76. 野田哲

    野田哲君 植木総務長官に伺いますが、同様にこの臨時行政調査会の意見書ではその答申の第十六項目の中において「公務員に関する改革意見」これを出されています。その中の「労使関係労働基本権」という項で、やはり同様に労働基本権問題について「政府と公務員との間に相互理解と信頼とが確保されなければ、公務の能率向上は期しがたい。ゆえに、勤務条件の改善、人事管理の基準等につき、常時意見の交換を行なう慣行を制度化するとともに、原則として労働基本権を認めることとすべきである。」こう述べているわけでありますけれども、その点は総務長官は承知をされていますか。
  77. 植木光教

    国務大臣(植木光教君) 承知いたしております。
  78. 野田哲

    野田哲君 総理大臣に伺いたいと思うんです。以上申し上げたような形で、昭和三十九年の臨時行政調査会は、いま大きな議論になっている三公社五現業等あるいは公務員等の問題について経営のあり方、そうして労使関係のあり方等について、広範にしかも長期にわたる実態調査を行ってそれぞれ意見を答申として出しておられるわけであります。共通していることは、労使関係についてはそれぞれ労働基本権を拡大をして争議権を付与する方向でこれを検討すべきである、こういうふうに共通して述べているわけであります。こういう内容を持ったこの臨時行政調査会の答申が今日まで十年間、その間にちょうど、この期間に公務員制度審議会の審議に始まって今日に至っているわけでありますが、政府はこの臨時行政調査会の答申に対して今日までどういう処置をとってこられたのか、この点を総理みずから明確に答えてもらいたいと思うんです。
  79. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 臨時行政調査会のほかに公制審もございましたね。いろんな、政府はこの問題を重要視してそういう各方面から検討を加えたわけでございますが、公制審なんかも、あれは八年かけてそして出た結論は三論併記というような形になっていましたね。結論がやっぱり一方的な結論は出ていないわけです。そういう、この問題はなかなかやはり、一つ労働基本権というものが一方において国民共同の利益というものとの調和を図るという点に非常に問題の複雑さ困難さがあって、政府はそれを怠慢にしておるわけではないわけです。いろんなそういう審議会などについて検討をし続けてきたわけでございますが、なかなかやっぱり結論に達しないというわけですから、今度はこの問題に根本的にメスを入れようという考えですから、これを先へ延ばすというようなために政府がああいう基本方針を出したのではないと、もうこの機会に労使の悪循環を断ち切りたいということで、今度の場合はこの労使関係の根本にメスを入れてみようというわけでございますから、いままでとは、いままでというのはいままでの経緯を踏まえて、そしてこの問題を参考にしながら結論を出したいと考えておる次第でございます。
  80. 野田哲

    野田哲君 総理、端的に答えてもらいたいと思うんです。いまずっと各大臣が述べられたように、臨時行政調査会の答申が現にそれぞれの三公社五現業の分野にわたってあるわけです。国有林野の問題については林政審議会の答申があるわけです。そういうふうに臨時行政調査会がそれぞれの事業別の諮問機関があって、それぞれ答申が出てるわけです。特に私が総理に端的に聞きたいのは、臨時行政調査会というのはこれは臨時行政調査会設置法という法律に基づいて、法律に基づいて設置をされた機関です。委員はこれは国会の承認人事です。国会で決められた人たちが就任してやっているのです。この臨時行政調査会の答申と専門懇、こういう関係閣僚協議会の中の一付属機関、これの意見書と一体どっちが権威があるのか、どっちを尊重されるのか、この点ずばり答えてください。
  81. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) まあ、専門懇の場合は、ごく最近まで一年何ぼかかって、現実を踏まえて出された答申でありますから、貴重なものである。政府は、これをできるだけその趣旨を尊重していきたいと思っておりますが、しかし、いままでいろいろなこの問題に関して政府が調査会とか審議会等で、この問題を検討した結論もございますから、それを全然無視するというわけのものではございません。一番最近では専門懇の意見書であると、これは最も現実的な視野に立って出された意見書でありますから、尊重はいたしたいと思いますが、これの考え方が一から十まで政府はこれで拘束を受けるというような性質のものではございません。これはやっぱり参考といたすということでございます。
  82. 野田哲

    野田哲君 最後に、一言。専門懇はそれぞれ実態を踏まえてやられたからというふうに言われましたけれども、臨時行政調査会も二年七カ月かかってそれぞれ関係者の意見を聞き、そうして、多くのスタッフを使って資料を調べて、その結果法律に基づいてこれは答申をしているのです。この臨時行政調査会の答申と、専門懇の意見書とどっちが制度的に権威があるのか、どっちを尊重されるのか、この点を一言で答えてもらいたいのです。
  83. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 臨時行政調査会のことを、法律によってと言われておりますが、公制審も法律によっているわけです。
  84. 野田哲

    野田哲君 専門懇と比較をしているんだ、おれは。
  85. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 公制審、だからいろいろな過去のそういういきさつというものに対しても法案提出を政府がやるわけですから参考にしなければなりませんが、一番新しいのは専門懇の意見書ですから、そういう点でこれが非常に貴重な意見だと思っておりますから、十分尊重したいと思っておりますが、ただ、申し上げておきたいことは、政府がこれは責任を持っているわけですから、国会に法案を提出する場合に政府が判断をいたすわけでございますから、もうこの答申、どちらの方が、どの答申が優先的に考えなければならぬかというようなことについては、これは政府が判断をする場合に、政府自身として判断の場合にいろいろとそういう過去のいきさつというものも頭に入れて判断の有力な材料にしたいと思っております。
  86. 小平芳平

    ○小平芳平君 三木総理に伺いますので、端的にお答えをいただきたい。きわめて私も専門家ではありませんので端的にわかりやすく御答弁をいただきたい。  最初に三木総理は、国会の場において解決すべき問題だということを再三言われておりますが、それは国会の場において法律改正は審議されるということは十分承知しております。ただ従来政府がこの秋までに結論を出そうという努力は、具体的にこの争議権、当事者能力、こうしたことについての結論を具体的にこの秋までに出そうという努力をなさったのかどうか、その点いかがですか。
  87. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) しばしば小平さんも御承知のように、私はストと処分の悪循環を断ち切りたいと考えておったわけですから、何か政府の結論がもう少しやはりはっきりした形で出ることを私自身も希望したわけでございますが、しかしいろいろと専門懇の意見書というものも御承知のようなこれに対して明白なこうよりほかにないというような結論とは承知してないわけです。いろんな前提条件を挙げておるわけで、その言われることにはもっともな点もあるわけですね。たとえば当事者能力というようなものもこれはやはり争議に至るときにはその前に平和的に解決するという努力がなされることは当然ですから、ストライキ目的でないんですから、手段であって。そういう意味で——ところが国鉄の場合、当事者能力といってもほとんど労働条件の改善に関してというと当事者能力というものはないに等しいわけでございますから、そういう前提条件、また企業のあり方というものにも問題は関連してくるわけですから、これはやはり国民生活にこれだけ重要な問題であるので、ただ単にストだけを取り出してきてスト権を与えるか与えないかという、そういう端的な結論を出すということは、これは慎重を欠くのではないかと、そこで政府は今後もう少し時間をかけてそうしてこの問題に対して回答を出したいということで、いろんないままでの意見書の内容も踏まえ、いままでの経緯も考えまして、あのように政府が今後できるだけ早く政府の部内にも何かのやっぱり機関を置くかもしれません。政府自身でもこの閣僚協でこの問題を真剣に取り組んで、そしてもっと明白な結論をできるだけ出したいと思いますが、あの時点、十二月の一日に出したわけですが、政府の方針を。その十二月一日では結論を出すに至らなかったということが事実でありまして、延ばすためにしたんではない、私はこれを解決しようと思っているんですから。
  88. 小平芳平

    ○小平芳平君 要するに、政府としては争議権、当事者能力等について具体的な結論をもっと出そうという目標は、考えは持っていたが、十二月一日の閣議決定の抽象的な線に落ちついてしまったことははなはだ遺憾である。ちょっと心外である、こういうことですか。——いや、向こうの意見聞いているんです。
  89. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) これはやはり小平君お考えになっても、あの雰囲気というものは、何かこの問題を冷静に考える雰囲気ではなかったですね。やはりこう違法ストということで、そうして三木総理決断せよといって迫ってくるわけですから、それに私は答えるという、すべき性質のものではないですね。そうなってくると、やはり直接な行動によって総理大臣の判断を狂わすことができるのだと、狂わすというか、判断を違えさすことができるのだということは、これはもう議会制民主主義の根本に触れますから、時期としてもああいう雰囲気のもとにおいて、いままでの経緯が出せるような段階ではなかったことと、時期としても非常にやっぱり適当な時期でない。もう少し冷静な雰囲気でみんながこの問題、重大な問題ですから、真剣に検討し、国会においても今後御議論を願いたいし、政府の方としても全力を傾けてこの問題を解決することが必要であると、こういうことでございます。
  90. 小平芳平

    ○小平芳平君 そのことはもう繰り返してお述べくださらなくても、もう衆議院から私ずっと聞いておりますので、で、私も冷静になった立場で質問をしているわけですから、そういう異常な雰囲気の云々はもう結構なんです。私がここで申し上げて御意見を承りたいことは、そういう争議権あるいは当事者能力等々の問題について具体的な結論をもっと出そうという努力があったのか、考えがあったのか、それが一つなんです。それから、具体的に結論を出そうということになりますと、少なくとも昭和二十三年政令二百一号当時のこの国鉄の輸送体系に占めている役割りと今日の国鉄の輸送体系に占めている役割りと比較した場合、そこに違いがあるわけです。したがいまして、この問題についての労働基本権を制約する、規制するということは少なくとも昭和二十三年当時の社会情勢に比較して今日ではもっとこの規制が緩められる方向であるべき、規制が弱められる方向であるべきだと、それを逆にもっと規制を厳しくするというようなことは全くあり得ないと、こういうふうに考えますが、いかがですか。
  91. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) いま私が申したように、この問題の完結には前提条件があると思うわけです。法律は守るということ、それから手段はやっぱり合法的な手段による、目的のために手段を選ばずというようなことはしないと、政治スト、スケジュール闘争というようなことはやらないと、こういう前提がないとなかなかやはり結論というものに対して、この結論というものが非常にいま小平さんの御指摘のように、非常にこれを緩めてどうだという、緩めるとか、これを強めるとかいう前の前提として私はこの三つのことが非常に大事だと思っておるわけでございます。
  92. 小平芳平

    ○小平芳平君 それじゃ、その三つの前提が守られるということならば条件つき付与という三公社の総裁の御意見のように政府も努力すると、こういうことですか。
  93. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) いまそこまで私の話は発展してないわけです。やはりそういう、私は三つ挙げましたけれども、そういうことが保証があり、国民もこれになるほどこれだけの保証があれば大丈夫だという、国民に不安を与えないようなことになればいろいろの世論ということも私は変わってくると思いますが、いまのところはそういう結論を出す前の前提条件というものをいろいろもっと検討してみたいと、当事者能力とか、あるいは企業のあり方とか、料金の法定制度というものも検討しなきゃならぬでしょう。そういうことで、そういうことをひっくるめて、そういう上に立ってこの問題に対して決着をつけたいということでございますけれども、この段階で、条件つきでスト権を与えるという政府は考え方かということに対しては、この段階ではまだ申し上げる適当な機会ではないと思います。
  94. 小平芳平

    ○小平芳平君 それでは三公社の総裁は内閣が任命する、あるいは大蔵大臣が任命する、このように法律でなっております。その三公社の総裁が、たとえば日本国有鉄道法第十三条「(総裁等の職務及び権限)」と、こうなっております。しかるにそういう、その三公社の総裁が条件つきながらスト権付与、その方が単に労使関係だけでなくて、国民生活の上にもプラスになるという観点から述べておられると思いますが、そうした意見は政府は尊重しないんですか。それについて先ほど来参考にするというふうにおっしゃっておりますが、それでは総裁の職務及び権限というものはどうやって認められているんですか。かえって総裁の職務権限を無視して政府が独走するというようなことになりませんか。
  95. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 総裁はむろん現行の法律によって国鉄の運営は当たらなければならぬわけです。将来の考え方として自分の意見を述べたわけでしょうが、その国鉄総裁の意見即政府の意見だというわけにはいかぬ、しばしば申し上げておるように、やはり政府は国民全体の利益を守るという責任があるわけですから、だからそういう国鉄自身考え方と国民全体の利益を守るという政府本来の職責、こういうものとの間にどうして調和をとるかということがこの問題の重要点でありますから、国鉄総裁が十分自分はこういうふうに思うという意見を述べることは自由でございますが、その意見が即政府の見解であるということにはならぬわけです。国鉄総裁総理大臣とはおのずからやっぱりこう一つの責任の範囲も違うと私は思うわけでございます。
  96. 小平芳平

    ○小平芳平君 それもさんざ衆議院で繰り返しておりましたが、じゃ、三公社の総裁国民の利益を考えてないというのですか。ただ自分たちの仲間の利益しか考えてないというのですか。じゃ、そういう人をどうして任命したのですか、あるいは任命した人の意見と任命された人の意見が合わないというのは、どうするのですか。
  97. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) それはやはり国鉄総裁として、現場の責任者としてこうしたらいいんではないかという意見は、質問を受けたから答えたのでしょうが、そういう意見を持つことは自由ですが、このことはやはり法律の改正も必要とすることですから、最終的には国会の御論議と議決を得なければ決まらない問題でもございますので、やはり国鉄総裁として希望を述べることはよろしいですけれども、最終の法案を提出するときには、政府がいろいろな全体国民生活を守るという責任は政府にあるのですから、そういうことと組合運動の現状等も勘案しながら国民生活全体を守るという見地から政府は判断を加えまして法案を提出するわけでございまして、国鉄総裁が現場の最高責任者としていろいろ自分の希望を述べることは一向差し支えない、それと政府の意見とが食い違うでないかという、そういうふうには考えないわけでございます。
  98. 小平芳平

    ○小平芳平君 単なる評論家の意見じゃないわけです。国鉄総裁は現場の責任者としての意見を述べているのです。それに対して国鉄総裁が仲間のことしか考えてない、政府だけが国民の全体のことを考えている、おかしいでしょう。そういうことを御自身繰り返しておりながら、おかしいとは思いませんか。それで、これは十一月二十二日の讀賣新聞の社説ですが、「当局側が、現場の実情を踏まえて「条件つきスト権付与」の方向を出した以上、その見解は、最大限尊重されねばならない。」これが、こうした社説の意見というものは多くの国民に支持されている意見だと、ですから、国鉄総裁、三公社の総裁の意見は最大限尊重されなければならないという、これに対してどう考えますか。
  99. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 国鉄総裁の意見は、繰り返して申すように、重要な参考にはいたしますけれども、やはり国鉄総裁も国全体のことを考えてないというわけではないわけでございますが、政府というものの持っておる責任というものは大変に重いわけですからね、今度の場合でも小平君も公明党が条件つきでスト権を与えよということであったわけでございますが、やっぱりああいう違法ストが長期にわたって続けられて一遍またストを途中でやめるというのをまた戦術を強化して十日間というストをやるということになりましたらば、小平君自身でも説得力が弱まったと思いますよ、国民に対して。国民はやはり何か不安に思って、もう少しやっぱり保証がないと非常にこれは不安だなあという気持ちを国民に与えたと思いますよ。ストのない前にあなたがそういう意見を言われるのと、このストを経て言われるのとでは同じ小平君の発言でもやっぱり説得力が弱まったんじゃないかと、それだけに私は非常に不幸なストであったというわけでございます。
  100. 小平芳平

    ○小平芳平君 そういうように同じことを繰り返さなくて結構ですと申し上げているんです、ですから。私たちは条件つき付与あるいは一時休戦を要請する、そういうようなこともありましたが、この問題は、労働基本権の問題は、これは三木総理がいつも言われる民主主義の基本でしょう。ですからそれを考えていただきたい。  そこで、じゃもう時間がありませんので、次に経営形態について先ほども質疑がかわされましたが、三木総理は、公共企業体について政府は民営移管は考えておりませんと、このようにわずか一カ月くらい前にはっきり国会答弁しておりますが、これもじゃ今度のストで変わったんですか。変わりませんか。
  101. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 私は三公社を民営に移すという論者ではないわけですが、やはりこの民営論もあるわけですね、いろいろと世間には。そういうことで、私自身はそういうふうに考えておりますが、この問題もこれはやはり非常に重要な問題点であって、そしてまた、当事者能力というものにも関連を持つわけですからね。そういうことでこれは十分御検討を願いたいと思っております。私の考え方が変わったという意味ではありません。しかし、いろんな答申の中には民営論というものも相当あるんですね、全部が全部でないまでも。そういうことでありますから、これは十分今後検討の課題であると思っております。私の考え方は変わったわけではない。
  102. 小平芳平

    ○小平芳平君 そうしますと、基本方針ですね、十二月一日の閣議決定あるいはこの専門懇の答申も、意見書もやはりそういうものがあったにもかかわらず三木総理としては民営論者にはなっておりませんと、こういうことですね。  それで、じゃ次にこの政府基本方針が一番結論をいつ出すかということがはっきりしないという点、しかもどのような機関を設けるのか設けないのか、国会でやるのか内閣でやるのか、あるいは内閣でも内閣官房でやるのか労働省でやるのか、こうした問題は、労使関係の法制に関するようなこうした問題はやはり労働省で従来とってきている労・使・公益の三者構成ですね、こうした場で論議が始まるのが当然のことだと思うんですが、そういうような具体的な触れ方が全くされておりませんが、いかがですか。
  103. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) この問題は、政府はこの問題を解決しようと考えておるんですから、そういう専門の委員会の設置ということも考えておるわけでございますし、そのときには労働組合側の意見も十分に聞かなけりゃならぬと思っております。どういう機構にいたしますか、閣僚協においても相談をいたしましてできるだけ近くこの問題を、この方針を決めたいと思っております。
  104. 橋本敦

    橋本敦君 端的にまず総理に伺いたいのですが、この公務員労働者を含むスト権問題、この問題については政府自身がこれを解決するという重大な政治的責任を負っている、この自覚は総理としても当然おありだと思いますが、この点は間違いございませんでしょうね。
  105. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 公労法の改正を行いたいと思っておりますから、法案は政府が提出をしたいと考えております。
  106. 橋本敦

    橋本敦君 私はまず政府が政治的責任のある重大な問題であるという自覚をお持ちになっておられるかどうか、これを確認したいと、こういう質問なんです。  で、そういう立場で私は端的に総理に伺いたいのです。この大きな問題となったスト権問題を政府がその負っている政治的責任で解決する、まさにこのためにこの間政府は基本方針を政府声明の形で出された。そこで総理に伺いたいのは、政府が出したこの基本方針によってこのスト権問題は解決されたというようには、新聞論調を見ても国民から見てもだれもそう思っていない、この点は総理もお認めになりますか。
  107. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) そのとおりでございます。
  108. 橋本敦

    橋本敦君 そうしますと、政府が基本方針を声明で出したけれども問題の解決には至っていないことを率直にお認めになったということは、まだこれを解決していく責任が政府に依然として残されている。そうなりますと、総理としては今後これをどのように解決するという政府の所信なのか、この点を具体的に明確になさることが組合国民に対する責任、これを明らかにする道である、当然私はそう思いますが、この点を総理は、せっかく国会で審議しているきょうこの段階で明確になさる責任がおありと思うので、この点を明確にしていただきたいと思います。
  109. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) しばしば申し上げておりますように、憲法で保障された労働基本権は、これはできるだけ最大限度尊重していきたい、ただしかし、公共の利益との間に調和を図らなければならないということでございます。そういうことで、どのような調和を図っていくかということがこれからの問題で、労働基本権というものを尊重するという考え方は変わらない。しかし、その基本権が絶対のものである、すべてのものに優先するとは考えていないわけです。やはり全体の利益、国民全体の利益との間に調和を維持しなければこれはやはり新しい労使関係の確立にはならない、どう調和を図るかということがこれからの課題であるということでございます。
  110. 橋本敦

    橋本敦君 いま総理がおっしゃった問題を逆の立場で明確にしていただきますと、総理労働基本権を尊重する、しかし絶対のものでないということを公共の福祉、国民の利益からおっしゃっている。逆に言いますと、公共の利益や国民の利益というものが絶対であって、だからしたがってスト権は全面禁止をする、こういうことを総理考えておられるのではないか。あなたは調和とおっしゃった、そう理解してよろしいわけですか。
  111. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) それは少し結論が早過ぎるんじゃないですか、結論が。そういうことを言っておるのじゃないんです。労働基本権というものは憲法で保障されておる基本権だからこれは尊重をいたします、したいと思っておるが、それがすべてに優先するという考え方は持っておりません。国民全体の利益との間にどう調和を図るかということがこれからの政府が検討をしようとする課題の中心でございますと、こういう答えでございますから、少しいまの結論は現状とはやはり飛躍し過ぎた結論であると思います。
  112. 橋本敦

    橋本敦君 総理ね、私が申し上げたのは、あなたが国民の利益との調和を図るというようにおっしゃった。そこで私が指摘をしたいのは、調和を図るということの当然の論理の前提としては、労働者、——公労協の労働者はストライキ権を持つと、そのストライキ権を持つというそのストライキ権と国民の利益との調和という、こういう問題が調和という問題の本質ではなかろうか。これを明らかにしないで、調和、調和とおっしゃっても、内容のない調和でしかないわけです。だから、あなたが調和を図るとおっしゃる以上は、公労協の労働者は憲法二十八条に基づいてストライキ権を保有する、二十八条の適用を受ける、それを承認する、その上で国民の利益との調和を図る、これでこそ調和ということの本当の意味であると私は思いますが、総理のお考えはいかがでしょう。
  113. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 非常に、橋本君も御理解願えると思うんですが、私はこの問題が戦後二十七年ですか、このいきさつというものを知っておるわけです。ずっと議員であったわけです。この問題、やっぱり解決をすべき問題だと思いますよ。思いますけれども、その一つ前提として、私がよく言っているでしょう。やはり、自分は悪法であると思っても、法律を守るということでなければ、法治主義というものは成り立たない。それから、目的のためには手段を選ばぬということなら、革命でもいいということですから、だから、目的のためには手段を選ぶ、合法的な手続によると、こういうことの大前提が、その保証というものがいろいろ政府の結論の上において影響を与えると思うんですよ。それで、今度のストというものを、長期のストを見まして、少なからずこの国民に不安を与えたことは事実ですよ。そういうことでございますから、私の考え方は、いま申したようなことを前提にしながら、どういう保証がそれにある、だろうかということも検討の一つの材料でございますから、いますぐにスト権を与えるとか与えないかという結論には達していないわけでございます。
  114. 橋本敦

    橋本敦君 そういう前提総理はしきりに強調されるけれども、そういう前提を理由にして総理がおっしゃった国民との調和、そして労働基本権の尊重という問題に入らないということでは、これは十分国会審議が理論的に尽くされるということにならぬのですよ。だから私は、その点、総理の見解をはっきり聞いている。たとえば、あなたは衆議院におきましてわが党の石母田議員の質問に対して、私は刑罰で労働組合運動を規制しようとするような刑罰論者ではないと、こうはっきり答弁されておられる。私は、その答弁でしたら結構だと思うんですよ。だから、刑罰で労働組合運動を規制しようというような考えの持ち主でないとおっしゃった総理に私は重ねて聞くんですけれども、ストライキ権を有無を言わせず全面的に禁止してしまっているという、こういう法体制が問題になっているわけですから、スト権問題として——あなたは刑罰論者でないことはわかりましたが、ストライキを何はともあれ全面的に禁止をするという、こういう論をあなたはおとりになっておられるのかどうか、この点はいかがなんでしょう。
  115. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 先ほどの質問にも私が言ったように、いままで公労法の改正というのは三回ほど機会があったんです。このやはりスト権問題というのはいつも論議されたわけですが、やはりこのスト権を全面的に与えろというような見解にはいずれの場合にもなってない。公労法の改正の場合には国会論議されたわけですから、それはやはり労働組合運動のあり方とも関連をしてきたと思うんですが、そういう二十七年を顧みて、日本労働運動の上においては何かいままで労働組合運動というものがどろ沼に入ったような感じを私はするわけです。したがって、今度は、もう少しこういうときに根本的にこの問題を掘り下げて、関連する事項も十分に検討して、すっきりした結論を出したいと願っておるので、それが、いま、スト権を与える方向か与えない方向かという、そういう判断の段階には達していないということでございます。
  116. 橋本敦

    橋本敦君 何度もあなたはそのような現状で判断に達していないということを前提論を理由におっしゃるんですけれども、それでは問題の解決には何もなっていないことをあなたもお認めになっているんですよ。これからの課題があると、政府の責任として。そして、あなたはスト権の問題に関して、私は刑罰を主として規制する刑罰論者でないということもはっきりされているんで、私は、その次に最大のこのスト権問題の論議の中心であるストライキの全面禁止、これをあなたは支持する論者なのかどうか。あなたは憲法に照らして労働基本権を尊重するということをおっしゃっているわけですよ。だから、具体的にストライキの全面禁止というこのことを支持する論者かどうか、あなたのお考えを聞かしてください。端的に答えてほしいわけです。
  117. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) それは橋本君、ちょっと無理ななにでございまして、われわれはこれから政府の方で十分な検討を加えて結論を出したいと、できるだけ早く出したいというんですから、まだ結論が出てないわけですから、検討をこれからするわけですから、いまの段階で結論的な発言を私に求めましても、これはちょっといまの時期としては適当でないということでございます。この検討が進んでまいりますれば、政府の方向というものを述べる場合もあるかもしれません。しかし、いまの段階では、端的なこれに対してノーかイエスかというふうなお答えをすることは適当でないと考えるわけでございます。
  118. 橋本敦

    橋本敦君 私は、ノーかイエスかを端的に言えということまで言っているんじゃないですよ。将来政府が政治的責任があるとお認めになったこの解決の方向に関連をして、総理のお考えストライキ権を全面禁止をするという考えの支持者なのかどうかということを私は聞いているわけですよ。おわかりでしょう、質問の趣旨は。それがいま言えないというのは、私はこれは内閣の責任として将来この問題を解決する責任があるとおっしゃりながら、実際はその責任を果たすという積極的姿勢、ある意味で言えばそういう姿勢がないということを端的に表明している、政治的責任をとられないということではないかと、こう思うんですよ。たとえばあなたは石母田議員の質問に対してもこうおっしゃった。もともと公務員労働者はわが国の戦後の民主的再建と憲法のもとで三年間ストライキ権を保有しておった。それが奪われたのはまさしくマッカーサーのレターに基づく、メモランダムに基づくことであって、その経過はあなたは承知している。そこで、あなたはこうおっしゃってますね。その経過、つまりスト権が剥奪された経過は踏まえなければならないということもおっしゃっているんですよ。それを踏まえるならばですよ、それをお踏まえになるならば、まず道理としては当然憲法に基づいてスト権があったものを異常な事態のもとで剥奪をされたんですから、その奪われたスト権——与えるんじゃないですよ。与えるということは私はきらいです。回復をすると、こういう方向でまさに論議を進めるのが道理に沿う道ではないか、こういうふうに私は思います。あなたは、そういうような歴史的な経過に基づく道理の方向として、当然スト権憲法に基づいて回復するという方向が必要だということをお認めになりませんか。総理、いかがですか。歴史的経過の認識からですよ。
  119. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 橋本君ね、私もあのさなかに逓信大臣をしておりました。逓信大臣。非常にこうヤマネコストというものが起こりまして、そして非常にもう国民生活——郵便がとまるわけですから、拠点ストをやるわけですから、麻痺状態になってですね、いや為替が来ないで学生が困る、いろんな点で国民生活に非常な打撃を与えました。そういうのだから、まあ公労法というものによってスト権を禁止されたわけですけれども、もとはマッカーサーの書簡であっても、それには労働組合運動のあり方とも関連なしには考えられない。マッカーサーは、由来みんなやっぱりこう労働組合運動というものをできるだけ自由にしようという論者ですわね。それがやっぱりそういう書簡を出したという背景の中には、あのときは、もう私自身もまだ若かったけれども逓信大臣として、初めて大臣になって、全く毎日労働問題の処理に明け暮れしたわけで、そういう労働組合運動のあり方というものとも関連があるということは、やはり労働組合側でも、それはわれわれも反省するにしても、労働組合側の反省もあってしかるべきだと思います。悪いのは全部政府だというふうに一方的に断定をすることは新しい労使関係を築き上げようという上において、必ずしも建設的ではないと思うんです。
  120. 橋本敦

    橋本敦君 そういう経過に問題をそらされないために、私はさらに一つの問題を指摘します。  衆議院の石母田議員も言いましたけれども、あなたの国民協同党の大島議員がこの問題に対して国会議論されたときにそういう経過などは一切触れないでこう言っておられますよ。この公労法ストライキ禁止法ですね、これについては憲法に保障された数々の基本的人権を侵害するものではないかと思われる規定を発見するんだと、こう言っていますよ。これは総理、つまり当時国民協同党、あなたが責任者であったわけだ。国民協同党でさえ、この公労法スト権全面禁止は憲法に違反するということを、これは考えていた証拠だと、こう言っていいですよ。そういう立場で現在お考えになって公労法十七条がやっぱり憲法に違反する問題のある法律だと、だからこれだけ大きな問題になった、政府は政治責任でこれを解決しなきゃならない、こうなるのではありませんか。これがまさに歴史の経過ではありませんか。現在どう考えておられますか。
  121. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) それはやはりいま私が申したように、労働組合、そのときの組合運動というものは、私自身が身をもって体験しておるわけです。そういうことですからね、やはり労働組合運動というもののあり方も、やはりそのときは非常にこう健全なあり方ということとは——健全なあり方であると国民の目に映らない姿があったことも事実ですわね。こういうことで、そういう過去のことについては、やはりわれわれお互いに反省を加えて新しい労使関係を、後ろ向きで大島君の、初めの方は何を言っておるのか、こう演説のちょっと一つの節だけを取っていろいろ言われますけれども、いろんな前提があるんだと思いますが、とにかくそういう過去のことをこういう、協同党のおまえは委員長だったじゃないか、こういう発言をしておるという、そのことも必要ではございましょうが、問題はもう少し前向きに向かってお互いにこの問題を解決することが必要であるという私は考え方です。過去のいきさつはやはり政府ばかりでなしに労働組合運動の実態についてもいろいろその当時は問題があったんだというふうに考えます。
  122. 橋本敦

    橋本敦君 まさに総理、前向きに解決するための議論を私やっているつもりですよ。その例証として現在前向きに解決するために指摘をしただけなんです。まさに今日のこの大きなスト権問題を前向きに解決をするとおっしゃった、その前向きの方向とは、あなたがいま判断できないとかなんとか前提つけておっしゃいますけれども、まさに憲法原則に基づいて近代民主国家の多くが公然と現業公務員労働者のスト権を認めているという大勢が示しているように、そういう方向へ向かう、これがまさに民主主義原則ではないか、前向きとはこれではないか。御存じのように、世界の進んだ資本主義国では、アメリカを除いて全面的にストライキを禁止している国はほとんどないですよ。韓国の朴大統領下の政権だとか、軍事クーデター後のチリ政権だとか、こういう軍事ファシスト政権は別ですよ。だから前向きに問題を解決するというのは、まさに憲法二十八条の原則に基づいて、労働者には当然憲法に基づく労働基本権、とりわけストライキ権、これを与えるという方向で真剣に議論をする、この姿勢が前向きである、こうなりませんか。総理のお考えいかがですか。
  123. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) まあ、前向き、後ろ向きといっても、やっぱりその前提は法治国として法律を守る、目的のためには手段を選ばぬようなことはしない、この前提があり、これが保証があるならば、この問題に対する国民の反応というものは違ってくると私は思いますよ。だから、民社でもそうでしょう、民社でも公明党でも、条件つきスト権付与論者であったわけです。このストライキを見て非常にやっぱり、なかなか何というんですかね、皆に対して、国民に向かって説得するのに説得力が弱まったと思いますよ。そういうことですから、それが大前提である。その前提というものが保証があるということがこの問題の解決の大きな前提であるということを私は強調したいのです。やっぱり法治主義、議会制民主主義というものが守られなくて、それを犠牲にしてこのスト権というものを解決しようという考えではな  い、私は、やはり議会制民主主義を守る、その枠内でこの問題を解決したい、枠内で解決するためには、いま言ったような二つのこの前提というものがきわめて大事である、こう言うのでございます。
  124. 橋本敦

    橋本敦君 最後に、総理、議会制民主主義ということを擁護せよと私たちも積極的に言っていますよ。このストライキ権問題についても国会論議をしましょう、審議すべきだと積極的に言ってきました。あなたがおっしゃるように違法なストライキ、これをやる限りは問題は前進しないということを幾ら言っていても問題が解決しないことで今日まで来たんですよ。労働者は、政府にどれだけ弾圧されても、それを耐え抜いて今日やっぱりスト権回復の闘いをやっていますよ。百年の労働運動の歴史を見ても、みんなそうですよ。こういう歴史の経過を踏まえてまさに前向きにこれを解決する、この方向はやはりわが国の最高法規である憲法原則に立ち戻ると、憲法に違反する法律は無効だというのは憲法九十八条が明記しています。この問題の公労法十七条がまさに憲法に違反する違憲無効の法律ではないかということが、これが論議の焦点になります。労働者はそれを確信して闘っているんですよ。そういう方向で前向きにやるということになれば、当然今回のストライキについても処分してはならぬ、積極的に憲法に基づいて前向きに検討する、このことをはっきりおっしゃっていただきたい、そのことを総理に要求して私の質問を終わります。
  125. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) これはやはり一つの、どこでも闘争によって闘い取っているのだと、私はそう思わないんです。日本の議会制民主主義というものは、もう少し話し合ってこういう問題も解決できるというふうなことにしなければ、いままではやっぱりマルクス主義的な考え方からして階級闘争というようなものが正当づけられてきたですけれども、いまはそういうイデオロギーの時代ではないと思いますから、この問題というものはやはり国会の場においても十分に御審議を願いたいし、政府もこの問題を根本的に解決したい。この問題、いまのような労使関係をどろ沼に入れたような形から、日本の安定というもの、真の安定はかち得られないと、こう考えておるんですから、これは政府自身もこの問題の解決、抜本的解決を図ろうと考えておることは事実でございます。それは野党の諸君にも御協力を願っておきたい。これを、いまの法律が、いま橋本君の言われるようにこの法律が初めから間違っておるのだから守らなくてもいいんだというふうになってくると、私もやっぱりこの原則に触れるわけです。間違っておると思う者は、その法律自分が間違っておると思う者は法律を守らなくてもいいんだという論理がまかり通ったならば、法治国というものは成り立たない。それは改正すべきであって……
  126. 橋本敦

    橋本敦君 もういいですよ。
  127. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 自分が悪法と思っても、それは法律がある間は守らなければいけない、そういうことであって……
  128. 橋本敦

    橋本敦君 勝手に話しちゃ話にならぬですよ。委員長、質問時間くれますか……。
  129. 村田秀三

    委員長村田秀三君) 柄谷君。
  130. 柄谷道一

    柄谷道一君 簡潔にお答えを願いたいと思います。  私は、今回の公労協ストは、悪法たると否とにかかわらず公労法の存在を無視した違法ストライキであり、国会の立法権に挑戦する政治ストであると思います。また、通勤者、通学者の足を奪うことはもちろん、雇用不安を控えて年末の苦しい中でその不況の打破に腐心いたしております中小企業団体、中小企業零細企業者、民間組織労働者、農漁民等に大きな被害を与える反国民的な行為であり、またつぶれる心配のない公共企業体の上にあぐらをかく組織エゴだと思います。私は、中小企業団体から、その被害を訴える多くの文書をいただいておりますけれども、それは時間の関係で触れないこととしても、きょうの「よみうり時事川柳」に「完全失業一〇〇万よそに日の丸ボーナス」「ストをした手にボーナスがこそばゆい」、まさに庶民の痛烈な批判であろうと思うのであります。さらに今回のスト権回復を強く求めながらも、現在の法秩序を守り、正常な業務の遂行に献身しております電労連、鉄労、全郵政、日林労等の民主的労働組合に対するこれは挑戦であり、かつその正当な要求を解決する時期をおくらせ、また大きく後退さしたということを考えます。私はそのような面において、いかにそれが労働者の基本権にかかわるものとはいえ、正当な行為と認めることはできないと思いますが、総理の簡潔な答えを求めます。
  131. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) まあ、民社も野党でございますが、野党の中からこういう何か労働運動を健全なものにしたいという熱意、柄谷さんの御質問の中から十分にくみ取ることができます。私も全くそのように思います。
  132. 柄谷道一

    柄谷道一君 われわれは現行公労法を改正して、一定の条件のもとにスト権が法的に公認されるべきである、この主張は従来から一貫して持っております。しかし、その主張は主張として、政治ストライキによってこの問題を解決することは法秩序の破壊につながると主張してまいりました。私は今日までの段階は、いま三木さんは民社も野党だと、こう述べられたわけでありますけれども、私は決して政府・与党対野党、保守対革新という立場ではなくて、議会制民主主義を強く擁護しようというグループと、そうして理由を構えて法を軽視してもいいというグループの対決ではなかったかと私は思うのであります。その意味で、私は今回政府の発表した基本方針の前提が法の秩序をすべての前提とする、そう言っておられることにつきましては評価いたします。今回の違法ストの処理や今後の法の取り扱いの問題について当然この基本方針は堅持されるものと思いますが、いかがでございますか。
  133. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 法治国家である以上は、この方針はやはり貫かれなければならぬと考えております。
  134. 柄谷道一

    柄谷道一君 しかしながら、三木さん、今回のストライキが中止されたのは政府の基本方針の発表がもたらしたものではありません。またそのスト終結に当たっての公労協の声明やその後の総括を熟読してみますと、公労協の諸君がその遵法の精神に徹してストライキを中止したというものでもありません。したがって、これは端的に言うならば、国民の批判に押されてストライキが一応中止されたというのが現状の認識であって、今後とも違法ストライキが再発し、繰り返され、そしてそのたびに国民が大きな被害を受ける可能性を強く残しているというふうに認識いたしますが、いかがでございますか。
  135. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 私は労働組合側も今度のストというものに対してはいろいろ内部的にこれから総括が行われるでしょうが、反省があると思います。だから私としてはやはりこういうストは繰り返して、この被害を受けるのは国民ですからね、こういう物価高と不況に悩んでおる国民にこれは追い打ちをかけるようなものになるわけですから、どうか労働組合側の人たちも、こういうストを再び繰り返して行わないことを強く訴えておきたいと思います。
  136. 柄谷道一

    柄谷道一君 私はそういう精神的な訓話や哲学的な発言で今後の違法ストライキが繰り返されないという保証をすることは総理としてきわめて甘い判断に立つのではないかと率直に思います。とするならば、この違法ストライキの再発を今後いかにして防止すべきか、そこに立法府たるわれわれの果たさなければならない責任があるのではないか、こう思うわけであります。従来のパターンによりますと、ただいまの答弁もありましたように、政府が速やかにと言っていますけれども、目標も指示されていない。一定期間政府の手によって法案の検討が行われる、その間立法府は手をこまねいて政府提案の提出されるのを待つ、そして一たん政府の提案が出されますと、政府は被告、野党は原告、与党は弁護士、こういう立場に立って不毛のすれ違いの議論を展開する。その間また、あってはならぬことだと思いますが、野党の一部がその違憲性や今日までの経緯を理由にストライキ是認の言動を行う。そういう状態の中で、結果して数によってそれが決せられる。私はそのような従来の国会運営のパターンを繰り返す限り、この違法ストイキの再発を防ぐということとはとうていならない、こう思うのであります。そういうような意味から考えますと、行政府の検討は検討であります。しかし、立法府みずからが各党がいま抱いているスト権問題の処理に関する対案を全部出し合って、一つの場で、特別委員会という場でお互いに横の議論を深める、そしてその審議の期間に一定の期間的な目標を置く。特にその特別委員会も、総理がたびたび指摘されますように、三公社五現業の性格や、また経営形態や、さらには当事者能力という問題まで問題が発展するとすれば、この社労委員会一委員会の処理できる問題ではない、当然に国会の中にそのような特別委員会を設けて国民合意を得るための審議を直ちに開始する、わが党も積極的に理由を明らかにしてスト権に対する一定条件のもとでの付与論を述べましょう、こういう審議を果たすことが私はいま立法府がとらなければならない最大の任務である。こういう立法府の努力というものを背景に、それまでの間、違法ストライキの再発はすべきでないということを国民世論の支持を得て公労協に強く訴えるということがあって初めて違法ストライキの再発が防げるのではないか、こう思うのであります。あいまいな答弁ではなくて、明快に自民党総裁としてお答えを願いたい。
  137. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 柄谷君の御説、私もごもっともだと思います。これは与野党の駆け引きの問題ではないわけですから、これからの日本労使関係というもの、政府は健全な労使関係を確立したいと願っておるわけですから、これはもう政府、野党とかいう関係を離れて、大いにやっぱり各党が日本の健全な労働運動の秩序を確立するために御協力を願わなければならぬ。柄谷さんの御提案になっておるいまの国会内で特別委員会を置けばどうかという説は、私もそういうものが各党の同意によって置かれれば非常に結構なことだと思います。自民党はむろん賛成をいたします。
  138. 柄谷道一

    柄谷道一君 自民党としても前向きにこの提言を受けとめて、各党に対して強くその実施のために努力を求めるという姿勢と解してよろしゅうございますか。
  139. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) これは柄谷君も大いに、やっぱり野党の各派との間にいろいろ会合もあるわけですから、野党側の意見はみんなまとまるということも大事ですから、われわれも努力をいたしますけれども、柄谷君においてもひとつこの問題が国会の場で審議の場がつくれるようにお力添えを願いたいと思う次第でございます。
  140. 柄谷道一

    柄谷道一君 ストライキの再発を防ぐためのもう一つの要件は当局の姿勢であろうと、こう思います。たびたび総理が尊重すると言っておられます専門懇の答申の中にも、「使用者当局は民間企業の場合のような倒産の危険がないために、一家意識から労働組合と安易に共同歩調をとりやすく、違法を違法とする姿勢に欠けていたと」思われると、明らかに記載されております。私は特に今回のスト権ストに当たって国鉄当局姿勢について若干触れたいと思うのであります。  金沢、新潟、仙台等で一部列車の運行が行われたというものの、ほとんどの全列車が停止したにかかわらず、スト参加者に対する賃金カットの対象は延べ二万人である。このような事態をもたらしたのは国労動労拠点移動ストによるものでありますけれども、このような行為に対して、当局は私の要求しました資料による答弁によりますと、たとえ違法な争議行為であっても、当局は事業所閉鎖で対抗できず、就労の意思を表明した者には、ストを理由に就労を拒否できない、こう回答してきております。いわば拱手傍観あるのみであります。また、国労動労とのトラブルを防止するためという理由のもとに、運転要員の確保等の経営努力を行うことなく、大体三時間ないし四時間前に運転休止指令が出されております。また、動労の一部が運転休止指令が出されたことを確認の上就労の意思を表示する、俗にこじきストと言われておりますけれども、そういう手段に出られても、まことに遺憾であるというのみで対抗策がありません。また、民間、−私もこの八日間、バス、私鉄を使って国会に登院いたしましたが、あらゆる通勤者は万難を排して通勤してきたわけであります。国鉄ストで通勤できないという事情を述べれば、賃金づき自宅待機の形が直ちにとられる。私はこのように内規がどうかどうかということは別です。少なくとも民間産業や国民の良識をもっては理解できないような当局の姿勢、それがこの専門懇の指摘しているそのものではないかと思うのであります。私は運輸大臣にお伺いしたいわけでありますけれども、確かにロックアウト権はありません。しかし、現行法をもっても対抗できる当局の姿勢、意欲があればできるものがあるわけであります。たとえば列車だとか、それは国労動労機関決定で行われたわけです。機関の意思として列車をとめようということです。少なくともその構成員を全員ストライキ突入の対象者とみなすことも可能であります。また、一般の場合、たとえば信号を無視して踏み切りに乗用車が入る、衝突事故を起こして列車がとまった、子供がいたずらに線路の上へ石を置いて列車がとまった、当局はシビアな損害賠償請求を行っておられるわけであります。また、公労法第十八条に基づいた対抗策もあるわけであります。私は、このように現在の特に国鉄当局姿勢というものについて、この専門懇の指摘というのがまさに今回のストライキで露呈されたと思うのであります。主管大臣として当局の姿勢を正すために、今後具体的にどのような対処をしようとしておられるのか、明確にお答えを願います。
  141. 木村睦男

    国務大臣木村睦男君) いま柄谷委員が御指摘になりましたようないろいろな事実がこの八日間の違法ストということを通じて、私たちもそのことを痛感をいたしております。賃金カット、当然やるべき対象の人数が非常に少ない、これは先ほど玉置議員の質問でもお答えいたしましたように、重要な拠点を押えていけば、きわめて少人数で国鉄の全線が麻痺でき得る鉄道輸送というものがそういう実態を持っておるわけでございます。そういうところからくるいわゆるスト指令を受けてストに参加して働かなかったという人の賃金カットの人数は非常に少ないということがいい悪いは別として事実でございます。それから、しかし全線が動いていないので、勤める、働かなければならない人が列車のストップのために家で休んでおる。事前に届け出をしておけばこれは自宅待機の勤務と同じように扱われるという問題もあるわけでございます。これらはやはりいままでのそういう場合の規則についても見直しをすべきであると私は考えておりますし、また国鉄自体も今回のこの長期にわたる違法ストを将来に生かしていくためにもいろいろと検討をいたしておるわけでございまして、損害賠償問題も研究をいたしておるわけでございますし、またスト指令を受けていない自宅待機等の諸君に対する給与の支払いに対してどういうふうにこの損害を補てんするかという問題も、損害賠償の一環として検討をいたしておるわけでございます。なお、明確にストに入った者については厳格に賃金カットをやるということも、国鉄がみずから検討をいたしておるわけでございまして、私はそういうことを生かすことによって、今後常に違法によるいろいろな行為をなくしまして、そして合法のもとで国鉄の運営ができるように期待をいたしております。なお、石川県あるいは青森県等におきまして、ごくわずかでございましたけれども、あの期間中も列車が一部が動いておりまして、これらにつきましてもいろいろ当局のこれに対する対し方についていろいろな批判や問題が出ておることも承知いたしておりますので、この点も十分に真相を明確にするように注文をいたしておりますので、いずれはっきりした上で適当な処理をいたしたいと、かように考えております。
  142. 柄谷道一

    柄谷道一君 今回列車がとまった、それは国労動労ストライキによるものである。しかし、それはそのことによって運転が不能になったということであって、形式には当局の手によって運行休止指令が各列車ごとに出されて形はとまったという形になっておるわけです。そういうことをやらざるを得ないといういろいろの理由は理由で私は承知しております。しかし、そのために当然なされるべき業務執行に対する意欲が喪失されていいというものでは私はないと思うのであります。今回の計画運休の実態について、時間がありませんからきょうは触れませんけれども、所管大臣として十分に御調査の上、今後のそういう矛盾を改善する方策というものを十分に御検討願いたいと思います。  最後に、私は違法が違法としてまかり通る、行政府も立法府も、これに対して従来のパターンを繰り返して、そしてそのことにより甚大な被害を国民に与えるストライキが再発をする。私はそういうものによってもたらされる政治不信、これこそ議会制民主主義の危機につながると思うのであります。総理は議会制民主主義ということを非常に強調されます。しかし、それを守るためには行政府、立法府が今回のストライキを契機として猛省し、新しい道を歩むという私は意欲を示さなければならぬと思います。また、私も長い間労働組合幹部をやっておりましたけれども、こういう問題を契機に、民主的な労働運動に悪影響を与える、はなはだ失礼な言い方かもしれませんが、仮りにも悪貨が良貨を駆逐して同じスト権の回復を求めている電力労働者によって違法争議が行なわれるということになり、八日とは言いません、一時間日本国内の電気がスイッチオフされたら一体どういうことになるのですか。私は、特にこういう問題について深い思いをいたすべきではないかと思うのであります。  最後に、総理及び労働大臣に対して、違法ストライキというものを今後再発せしめないためにいかになすべきか、これに対するその所信とその対策を求めて私の質問を終わります。
  143. 長谷川峻

    国務大臣長谷川峻君) どんな時代でも健全な労使関係をつくっていくために努力しなければならぬと思っております。先生のおっしゃっているように雇用問題が非常に悪化しておるとき、特に親方日の丸と言われる諸君がやったということに対する社会の批判というものは、これはもう目を覆うわけにはいきません。そういうことからしまして、このたびの政府基本方針の決定、これらを基礎にいたしまして総理がおっしゃるように、前向きの姿勢でいろいろな問題を考えつつ、ずっといまから先もやってまいりたい、こう思っております。
  144. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) それについては柄谷君の、国会内でそういう特別委員会を置けということも一つの案でございましょう。しかし、政府は、こういう問題を対決によって解決しようとしてない三木内閣でありますから、これはやはり組合側としても良識を持った人たちがたくさんおるわけですから、組合の中に、ああいうストライキの中でも職場を守ろうとした組合員もあるわけですから、そういう良識の人たちに働きかけて、そして組合としてもこれを一つの転機にして日本労働運動を健全な方向に持っていこうじゃないかという一つの説得というものも重要な問題だと思います。それがまあストのけじめをはっきりつけるということもそうです。
  145. 柄谷道一

    柄谷道一君 抽象的ですが、時間が来ましたから……。
  146. 山崎昇

    山崎昇君 大変時間が過ぎてまいりまして、各委員からそれぞれ発言がございました。私は、少し説明不足になろうかと思いますが、本日の委員会を総括をしてみまして私どもの見解をまとめておきたい、そういう意味で、あえて私は総理答弁は求めませんが、私どもの見解を述べておきたいと思います。  私は、けさ来のこの質問応答を聞いておりまして大変残念に思いますのは、今日まで政府は積極的にこの問題を解決するという姿勢がなかった。これは何とあなた方は強弁しようとも否めない事実ではないだろうか。なぜならば、この公労法の制定当時のいきさつはもう改めて申し上げません。私はここに当時の議事録全部を持ってきております。これを見ましても、賛成、反対いずれにいたしましても、憲法に疑いを持っておったことは事実であります。また、日本の経済を復興させるために一時的に労働組合の運動を何とか制限したいという考えがあったことも事実であります。そういう意味で私は、この公労法がもし制定されたとするなら、あなた方が言われますサンフランシスコ条約で日本は占領政策から憲法政策へ転換を図ったわけでありますから、独立をしたわけでありますから、第一に私は、政府はこの昭和二十六年でみずからこの法律について検討すべき時期ではなかったのか。これを怠った罪は大きいと思われる。  第二は、この制定当時言われましたように、日本の経済を復興させるという、あなた方の出されました経済白書によりますというと、昭和三十年の経済白書で、「もはや戦後ではない」という、日本の経済は戦前に復帰したという。ならば、一歩下がったとしても、この制定理由がここでまた私はなくなるのではないだろうか。そういうならば、政府はこの昭和三十年の初頭において、当然この公労法について検討すべき責務があったのではないか。これもまたあなた方が怠ったと言わざるを得ない。  第三は、昭和三十九年九月二十九日、先ほど野田委員から種々議論のありました臨時行政調査会は、私もこれは昭和四十三年三月十五日、参議院の本会議で質問いたしました。当時は、総理大臣が佐藤榮作さんであります。この臨時行政調査会の答申は改めて言うまでもなし、和製フーバー委員会と言われて、延べ百三十八名のスタッフ二年七カ月、そして当時の金で二億円かけたと言われる。この結論についてあなた方は一つも審議したことがない。野党は、これについて質問を展開したが、あなた方は的確な答弁をしたことがない。この中には労働基本権もありますが、国鉄の経営形態、どういうサービスをすべきか、あるいは料金をどういう形で検討したらいいか、あるいは政府の統制は余りにもきつ過ぎるから、具体的提言としては監理委員会を設けてはどうか、あるいは一般公務員の労使関係についてはイギリスのホイットレー方式を考えてみてはどうかとか、具体的な提案ありますが、一体、あなた方はいつ、これ審議したことがありますか。これまたあなた方は、これだけ膨大な金をかけて法律で設置をしたこの審議会というものを全く無視をしたではないでしょうか。ここにまた私は三つ目の問題点としてあなた方の怠慢を責めておかなきゃならぬと思う。  四つ目は、昭和四十年、御存じのとおり、ドライヤーさんが参りまして、ドライヤー報告という膨大なものが出されました。これもたくさんの問題があります。私は一々申し上げませんが、わけても、労働組合関係する事項としては、四点指摘をしています。  第一は、日本における官公労働者のストライキを一律に禁止することは妥当でない。  第二は、懲戒処分は人間的考慮を十分尊重し運用されること。——言葉をかえて言えば実損回復について考えよ。  第三点は、日本の複雑な法規そのことが法律主義であり、労使の相互信頼にとって障害となっている。——日本法律万能主義に対して痛烈な批判をしている。  第四点は、人事官、及び人事委員任命に当たっては、労働者の発言をもっと入れなさい、と述べておる。  今日、これらを考えてみるときに、いずれも中途半端であり、何にも解決されていない。こう考えるときに私は、この国際的なドライヤー勧告というものに対してあなた方は一片の誠意をも示さなかったということを指摘をしておかなければならぬと思うのです。そういう意味で言うならば、あなた方は今日、労働組合だけを責める資格はない。政府みずから私は反省をして、その非を自分に求めるべきではないだろうか、こう私は考えざるを得ないのです。そういう意味で私は、今日までの経過から言って、この大筋四点について指摘をしておきます。  第五に、あなたに申し上げておきたいのは、今日、あなた方は結論を出されました。しかし私は、この結論を出すに当たって四つの欠陥があるのではないだろうか。  その第一は、公社当局の意思を完全に無視したこと。これは私ども社会党は、十一月二十四日、十一月二十九日の二日間にわたりまして官房長官と折衝いたしました。そのときに官房長官は、先ほど述べられましたように、重要な判断の材料にするとわれわれに約束をした。二十九日には、十分あなた方の意見を尊重して、当局の意見を聞いてみたいとわれわれに言った。しかし、これは完全に無視されて、言うならば、わが日本社会党に対する背信行為とも言うべき結果ではないでしょうか。こう考えるときに、なぜ、あなた方はこの当事者の意見というものを十分にあなたみずから聞いて、決断を下さなかったのか。これが第一の欠陥であると思う。  第二の欠陥は、この七四春闘で、五項目の合意の一つの当事者は労働省であります。この労働省が、すっかり外されちゃって、つんぼさじきになって、労働大臣の言葉をかりれば、「私は貝になりたい」という、こんなばかな話がありますか。私は、少なくとも労働問題を扱うときに、労働省がなぜ、もっと積極的に、総理はなぜ労働大臣の意見をもっと尊重しなかったのか。言うならば、今日までの労働組合との経過をあなたみずから否定したではないですか。これが第二の欠陥。  第三は、あなた方の声明を見ると、事前に、労働組合に対する話し合いもない。私ども社会党の交渉団に対する話し合いもない。言うならば、一方的声明であって、こんなものを今日までの運営の経過として認めることはできない。これが第三の私は欠陥だと思う。  第四の欠陥は、昭和四十九年十月十一日、労働法関係者——これは学者ばかりでありません。裁判官も、あるいは行政官も含めまして、約五百名と聞いておりますが、万場一致でいまの公労法十七条はこれは違憲ではないかという結論を出しています。こう考えるときに、なぜ日本のこれら労働関係法律を扱う方々の意見というものをあなたは尊重しないのでしょうか。これは、私が、あなたが結論を出すに当たってやはり欠陥として指摘をしておかなければならぬと思うんです。特に最高裁判決があります。だが、盛岡地方裁の判決でも、昭和四十九年九月六日、公労法十七条は明確に違憲だという判決すらある。たとえ地方裁の判決でありましても、違憲という判決が厳然として存在することをあなたは心に銘記すべきではないだろうか。こう考えるときに、私は、あなたが結論を出すに当たって、きわめて欠陥が多かったんではないかという点を第五として指摘をしておきます。  第六は、日本のILOに対します態度です。日本は昭和二十六年にILOに復帰をいたしました。そしてILO憲章に従って、ILOから出されますいかなる責任も負い、いかなる義務をも果たすと固く誓ったはずであります。だが、皆さん、このILOに誓った言葉とはうらはらに、ILOから出されております条約百三十八本、いま日本で批准されたものわずか三十一本、国会で審議されているもの一本です。百二号条約もやがて生まれるでしょう。これが日本の現状です。あなたは先進国六カ国会議に行きました。経済的に政治的には日本は先進国だと言う、ILOで見る限り後進国ではありませんか。こういうことを考えるときに、特に昭和四十二年、ILO設置五十周年を記念いたしまして、人権に関する十七の条約については早く批准をしてもらいたいとこのILOは述べております。日本はわずか七本、十本は未批准ではないでしょうか。私はILOに対する政府の態度がきわめて不明確であり、消極的だということをここで指摘をしておかなければなりません。そういう意味で言うならば、いま申し上げましたように、政府のいまの態度はきわめて消極的であり、この問題解決への熱意なんぞはどこにも見当たらないと指摘をしておかなければなりません。そしてあなたはこの間の最後の声明の中でこう言っておられます。第五項ですか、「以上につき、できるだけ早急に結論をまとめ、行政上の改革及び法案の国会提出を行う。」とある。先ほど来、期限は明示できないと言う。あなたの任期は、自民党総裁の任期は三年という。もうすでに一年経過いたしました。あと二年しかありません。三木内閣が、あなたが責任を持ってこの結論を出すというならば二年以内に出さなければ無責任になりますよ。そういう意味ではあなたは言わぬでもおのずからあなたのとるべき期限というものは、二年以内で、あなたの在任中に出さなきゃならぬというのがおのずからこれから出てくる結論ではないでしょうか。それが本日の国会でも依然として明記されない。私はきわめて遺憾だと思います。そういう意味で、私は時間がありませんからもうやめますが、いずれにいたしましても今日の政府の態度は、重ねて申し上げますが、労働組合だけを責める資格がない、自分の非を反省をして、今日まで消極的だった態度を放てきいたしまして、一日も早く公労法十七条廃止等を含む公労法の検討に責任ある態度をとられますように、心から私は切望して、あなたの答弁を求めませんが、総括的な意見として指摘をしておきたいと思います。  以上で私の意見を終わります。
  147. 村田秀三

    委員長村田秀三君) 本件に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時四十五分散会      —————・—————