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1975-10-20 第76回国会 参議院 災害対策特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年十月二十日(月曜日)    午後三時四十分開会     —————————————    委員の異動  十月二十日     辞任         補欠選任      園田 清充君     青井 政美君      佐藤  隆君     大島 友治君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         和田 静夫君     理 事                 上田  稔君                 高田 浩運君                 青木 薪次君                 藤原 房雄君                 神谷信之助君     委 員                 青井 政美君                 大島 友治君                 上條 勝久君                 川野辺 静君                 古賀雷四郎君                 寺本 広作君                 桧垣徳太郎君                 八木 一郎君                 松本 英一君                 春日 正一君                 柄谷 道一君    国務大臣        農 林 大 臣  安倍晋太郎君    政府委員        国土庁長官官房        審議官      紀埜 孝典君        農林政務次官   河本嘉久蔵君        農林大臣官房審        議官       杉山 克己君        農林省農林経済        局長       吉岡  裕君        農林省構造改善        局長       岡安  誠君        農林省農蚕園芸        局長       澤邊  守君        食糧庁長官   大河原太一郎君        通商産業政務次        官        嶋崎  均君        中小企業庁計画        部長       織田 季明君    事務局側        常任委員会専門        員        村田 育二君    説明員        厚生省社会局施        設課長      水田  努君        農林省農林経済        局金融課長    若林 正俊君        中小企業庁計画        部金融課長    安田 佳三君        建設省住宅局住        宅総務課長    吉田 公二君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○天災による被害農林漁業者等に対する資金の融  通に関する暫定措置法及び激甚災害に対処する  ための特別の財政援助等に関する法律の一部を  改正する法律案内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 和田静夫

    委員長和田静夫君) ただいまから災害対策特別委員会を開会いたします。  天災による被害農林漁業者等に対する資金融通に関する暫定措置法及び激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。安倍農林大臣
  3. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 天災による被害農林漁業者等に対する資金融通に関する暫定措置法及び激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び主要な内容を御説明申し上げます。  天災融資法は、昭和三十年に制定されて以来、天災による被害農林漁業者等に対する資金融通に大きな役割りを果たしてきております。その間、農林漁業経営動向に即応し、天災による被害農林漁業者等経営の安定に資するよう、前回昭和四十六年の改正に至るまで、数次にわたる改正が行われてまいりました。  しかしながら、最近における農林漁業経営の推移に伴い、現行の貸付限度額では、農林漁家災害時に必要とする経営資金等需要に対して、必ずしも十分に対応し得ているとは言いがたい面も生じてきております。特に、本年八月には、集中豪雨台風五号及び六号により、各地で農林漁業経営等に大きな被害が発生し、これら被害農林漁業者等需要に十分対応した資金融通が要請されております。  一方、昭和三十七年に制定された激甚災害法におきましても、農林漁業者中小企業者等の最近における経営動向及び経済規模拡大等からみて、同法に基づく被害農林漁業者被害中小企業者等に対する貸付限度額引き上げが必要となっております。  以上の観点から、農林漁業者中小企業者等災害による資金需要の増大に対処するため、これらの者に貸し付けられる資金に係る貸付限度額引き上げ内容とする法律案を提出することとした次第であります。  次に、法律案の主要な内容について御説明いたします。  まず、天災融資法改正でありますが、第一点は、被害農林漁業者貸し付けられる経営資金貸付限度額引き上げであります。すなわち、従来、都府県にあっては四十万円、北海道にあっては七十万円、政令で定める資金の場合は百万円、政令で定める法人貸し付けられる場合は五百万円、漁具購入資金の場合は一千万円と定められている貸付限度額を、いずれも二倍に引き上げることとし、それぞれ八十万円、百四十万円、二百万円、一千万円、二千万円とすることであります。  第二点は、被害を受けた農業協同組合森林組合水産業協同組合等貸し付けられる事業資金貸付限度額引き上げであります。すなわち、従来、単位組合にあっては五百万円、連合会にあっては一千万円と定められている貸付限度額を、いずれも二倍に引き上げることとし、それぞれ一千万円、二千万円とすることであります。  次に激甚災害法改正でありますが、その第一点は、激甚災害における天災融資法特例措置に関する規定を改め、激甚災害の場合の経営資金及び事業資金貸付限度額について、いずれも従来の二倍に引き上げることとし、経営資金につき、都府県にあっては百万円、北海道にあっては百六十万円、政令で定める資金の場合は二百四十万円、政令で定める法人貸し付けられる場合は一千万円、漁具購入資金の場合は二千万円とし、事業資金につき、単位組合にあっては二千万円、連合会にあっては三千万円とすることであります。  第二点は、中小企業者等に対する資金融通に関する規定を改め、従来、激甚災害を受けた中小企業者については二百万円、協業組合及び中小企業等協同組合その他の団体については六百万円と定められている貸付限度額を、いずれも二倍に引き上げることとし、それぞれ四百万円、一千二百万円とすることであります。  なお、経過措置といたしまして、この法律施行前に災害資金融通措置を講ずべく指定された天災及び災害につきましては、なお、従前の例によることといたしております。  以上がこの法律案提案理由及びその主要な内容であります。  何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
  4. 和田静夫

    委員長和田静夫君) これより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言願います。
  5. 上田稔

    上田稔君 天災融資法につきましては、昭和三十年に制定されましてから、経営資金融資を通じまして被害農家の再生産確保に大きな役割りを果たしてきたと思うのでありますが、前回においてこの天災融資法改正されましたのはたしか昭和四十六年であったと思うのでありますが、今回はその貸付限度額を二倍に引き上げようとしておられるのでありますけれども、その根拠がどういうふうになっておるのか、また、それによって農家資金需要に十分こたえられるものであるかどうか、その点をまず御質問をいたしたいと思います。
  6. 吉岡裕

    政府委員吉岡裕君) 今回貸付資金枠の約倍の引き上げお願いをいたしておるわけでありますが、この天災融資法によります貸付枠考え方といたしましては、まず農家災害によって農作物の減収を来たしまして、そのために農業収入が減るということがございまして、翌年の再生産に必要な現金経営費が不足をする状態になり、これを自分が持っております貯蓄でございますとか、他の収入で賄い得ないというふうな状況になりました際に、低利な融資をすることによりましてその経営の継続を援助しようというふうな趣旨でできておるわけでございます。したがいまして、そういう観点から貸付限度額というものを定めてまいるわけでございますが、その際にやはり農家経済動向、特に生産のための現金経営費というものがどの程度であるかということを基本的な尺度にいたしまして、現在、先ほど先生からお話のございましたように、四十六年の法律改正当時のそういう現金経営費状況を前提にいたしまして現在の枠が決まっておるわけでございます。その後農家経済動向を見てみますと、この現金経営費というものが最近では約倍程度農家経済上大きくなっております。したがいまして、今回はこのような農家経済状況対応いたしまして、貸付限度を二倍にしようということを考えておるわけでございまして、このような貸付限度枠を設けることによりまして、被害を受けました農家資金需要に十分対処できるであろうというふうに私どもとしては考えておる次第でございます。
  7. 上田稔

    上田稔君 ただいまのその現金経営費というのは、何かこれは根拠になるものがありますものでございましょうか。
  8. 吉岡裕

    政府委員吉岡裕君) 農林省統計情報部におきまして農家経済調査というものを、全国の農家からサンプルをとりまして毎年調査をいたしておりますが、この農家経済調査によります農業経営現金部分というものを私ども基本指標として使っておるわけでございます。
  9. 上田稔

    上田稔君 その調査は何月に出るんですか。
  10. 吉岡裕

    政府委員吉岡裕君) 会計年度、つまり毎年四月から三月の期間をとりまして一年度といたしまして、毎年調査をいたしております。最近時点では、昭和四十九年度の農家経済調査結果というものの速報が最近出ております。
  11. 上田稔

    上田稔君 この天災融資法による資金であるとか、そのほか農業はいろいろ資金関係援助をしていただいておるのでございますが、見ていただいておるのでございますが、この資金関係というものをちょっと教えていただきたいと思います。
  12. 吉岡裕

    政府委員吉岡裕君) いま先生お話しのとおり、農業というのは非常に自然的な条件に影響を受けやすくございますし、また、経営規模といたしまして、いわば中小経営規模に属するような企業形態でございますので、いわば非常にそのような災害に対する抵抗力が弱いという宿命を持っておるわけでございます。したがいまして、いろんな面から、これら農業経営が受けます特に災害に対しまして、措置を準備をいたされておるわけでありますが、特に金融面について、この災害対策を御説明いたしますと、まず経営資金、大きく分けまして災害を受けました農家が必要といたします金融としましては、先ほど申し上げましたような経営資金とさらに農家が持っております施設に対する損害があった場合の施設資金をどうするかと、こういう二つのタイプに分かれようかと思うわけでございます。  まず、経営資金の方でございますが、これは先ほど申し上げました天災資金、それから今回御審議を願っておるわけでございますが、この天災資金とさらに自作農維持資金というのがございます。それから施設資金災害を受けました施設に対する金融といたしましては、農林公庫施設災害復旧資金というものがございます。天災資金につきましては、先ほどもちょっと申し上げましたように、経営資金に対する援助でございますし、その内容といたしましては、主として肥料とか、農薬とか、えさといったような資材の購入資金というものを主にいたしておるわけでございます。それから自作農維持資金でございますが、これはいわば自作農被害を受けまして、その経営維持するためには農地を手放さなければならないというような状況になりました際に、そういう農家に対して特に資金の使途を限定をいたしませんが、主として経営維持のために使われる資金として自作農維持資金というものを出しております。これは農林漁業金融公庫から貸し付けるものでございます。この考え方としましては、まず被害農家の必要な資金としては、まず天災融資法によります経営資金優先をいたして考えまして、さらにその後の状況として過去の負債の多い少ないという状況あるいは被害程度といったようなものから、農家経済の再建に非常に長期に必要とするような資金というものを自作農維持資金ということで貸し付けるわけでございます。  以上がいわば経営的な資金でございますが、最後に、農業施設災害を受けました際の復旧資金といたしましては、農林漁業金融公庫から施設復旧資金というものを貸し付ける道が開かれておるわけでございます。  以上が災害に関します金融制度の概況でございます。
  13. 上田稔

    上田稔君 農業関係につきましては、いろいろとそういう金融面におきまして手当てをしていただいておるのでありますが、農業者にとりましてはこういうものをうまくかみ合わしていただくということが非常に必要ではなかろうかと思うのでございます。そのほか近代化資金というものがたしかあったと思うのでありますけれどもハウス園芸なんかをやっておられる方は、そういうものが壊れた、災害を受けた場合におきまして、やっぱり別のところにでももう一つつくらなければいけないというようなこともございますし、近代化資金なんかもこれに関係してくるんじゃないかと思いますが、こういうものをかみ合わして災害に十分間に合うようにひとつやっていただきたいと思うのでございます。ことしはこの天災融資法を二倍に上げていただきましたが、他の資金につきましてもそういったような面を十分お考えをいただいて農林省の方ではひとつ御検討をいただきたいと思う次第でございます。お願いを申し上げまして質問を終わります。
  14. 青木薪次

    青木薪次君 青木であります。  天災融資法融資枠が倍に拡大されたということについては、大変これは結構なことだと思うのでありますが、この天災資金、この金融制度仕組みについて概略御説明願いたいと思います。
  15. 若林正俊

    説明員若林正俊君) 制度仕組みでございますので、私から御説明いたします。  天災融資制度は、融資をします機関農業協同組合等協同組合が中心になります金融機関でございます。この金融機関組合員であります農家等被害に対して災害資金融通するというのを骨格にいたしますが、何ぶん災害を受けた農家でございますので受信力が乏しいということから、市町村がこの受信力の乏しい農家に対しまして損失補償をいたします。さらに金利につきましても、市町村がこの金利を低下すべく利子補給をいたします。この地元での対応を基礎にいたしまして、この損失補償及び利子補給につきまして、国、県、これが助成措置を講ずる、こういう仕組みででき上がっている制度でございます。
  16. 青木薪次

    青木薪次君 天災融資法によるところの災害資金貸し付け対象は、たとえば被害農業者あるいはまた被害漁業者林業者によって大分違うと思うのでありますけれども、その基準についてひとつ説明してください。
  17. 若林正俊

    説明員若林正俊君) 天災融資法におきます個別の農林漁業者への対象は、農業漁業林業を主として営んでおります個人経営者、あるいはこれらの人たちによって構成をいたしております農林漁業生産法人でございます。それぞれの農業者被害を受けました場合には、被害程度に応じましてそれぞれの金利償還貸し付け条件が異なっておりますが、被害農林漁業者当該作物において三割以上の被害を受けた場合であって、年間の所得において一割以上の損失を受けた人を対象にいたしております。
  18. 青木薪次

    青木薪次君 林業者は。
  19. 若林正俊

    説明員若林正俊君) 同じ考え方対応いたしておりますが、若干、施設災害につきましては被害程度引き上げておりまして、林業者につきましては、被害を受けました時点の価額の半分以上の損失があった場合、被害漁業者につきましても、被害時点の時価の半分以上の損失を受けました場合に施設の点については対象にいたしておりますが、そのことが所得の面では農業者と同じように一割以上の所得損失対象にすることにいたしております。
  20. 青木薪次

    青木薪次君 今回の改正によって、天災融資法激甚法に基づくところの融資の枠が倍になったわけでありまするけれども、たとえば今回の経営資金増枠の分をとってみても、天災融資法のもとで八十万円、それから激甚災指定を受けて百万円ということなのでありまするけれども激甚災指定した場合には、相当その環境も荒れているわけでありますから、もっと増枠措置が講ぜられてしかるべきだと思うんでありますが、当局はどう考えますか。
  21. 吉岡裕

    政府委員吉岡裕君) 先ほど説明を申し上げましたように、この資金枠考え方としては、農家経済現金経営費部分を賄えるようにというようなことで考えておるわけでございますが、御承知のように、被害程度にはいろいろな被害程度があるわけでございまして、この激甚指定の場合の考え方といたしましては、いわば全損的な被害を受けた場合においてもこれをおおむねカバーし得るというふうな考え方激甚災の枠を考えておりますので、大体これによって激甚被害の場合には農家経済の再生産確保という観点からは対応し得るのではなかろうかというふうに思っておるわけでございます。
  22. 青木薪次

    青木薪次君 天災融資法適用になっても、個々農家の場合については、現在借金を抱えておってとてもこれを借りるわけにいかないというような非常に悲惨な農家があると思うんでありますが、それらの場合に対しては個々に、たとえば従来の関係等について何か手当てを、これを借りかえをしてやるとかなんとかというような考え方というものはお持ちですか。
  23. 吉岡裕

    政府委員吉岡裕君) ただいま先生お話しになりましたような状況になる被害農家というものも相当あろうかと思うわけでございます。したがいまして、そういう重ねて被害を受けましたような農家につきましては、既存の、すでに借りております貸付金償還条件緩和というようなことが非常に必要なことになっているわけでございます。したがいまして、農林漁業金融公庫資金等を借りております農家につきましては、その被害者の実情あるいは被害程度というものにもよるわけでございますが、中間据え置き期間を設けるというような条件緩和、その他の条件緩和公庫はできることになっておりますし、また先ほどお話しのございました近代化資金につきましても、法令の範囲内で貸し付けをしております農協等が、そのような条件緩和ができるわけでございまして、この点、経済局長名をもちまして、九月十一日でございますが、既存貸付金償還条件緩和措置でございますとか、あるいはつなぎ資金対策について関係融資機関に対しまして、十分農家状況対応し得るようにという指導をいたしておりますが、今後ともそのような農家が、資金を円滑に借りることができますように指導をしてまいりたいというふうに思います。
  24. 青木薪次

    青木薪次君 そこで私は八丈島台風十三号の災害復旧の事情について聞いたわけでありますが、瞬間風速六十七・八メートルですか、玄関で戸を押さえておっても、すぐ屋根ともすっ飛んでしまうというような状況がありました。しかもこの地域における農作物被害は、特にここは観葉植物が多いわけでありますが、これに従事する住民が多いだけに私は深刻だと思うのであります。これは天災融資法対象となるでしょうか。
  25. 吉岡裕

    政府委員吉岡裕君) 天災融資法発動条件いかんということになるわけでございますが、これは天災融資法にも決めてございますとおり、国民経済的に見まして、相当重大な損害が発生をしたような、そういう天災一つ一つ天災として指定をいたすということになっておりまして、先ほどお話しのございました八丈島については、被害額等から見まして、地域的には確かに相当な被害が出ておるというふうに思われますが、天災融資法発動条件といたしましては不十分であるというふうに考えられますので、その災害対策のために必要な融資その他の措置につきましては、別途の対策によって対応をしていただく必要があろうというふうに考えておりまして、私どももそのような方向で種々対策を講じてまいりたいというふうに思っておるわけでございます。
  26. 青木薪次

    青木薪次君 これは国土庁の方に聞いた方がいいと思うのでありますが、公共災害が少なければ、いま局長のおっしゃったように、なかなか天災融資法対象というものは個人に対してはまことに厳しくなっている。自力復興というものについての原則というものがこれに貫いておるわけです。したがって、八丈島個人災害がひどくても、天災融資法適用対象にはならないというように解することができるといまの答弁を聞いて思ったのでありますけれども、もう少し、公共災害優先主義というよりも、個人災害等について救済する道についてどう考えていらっしゃるかお伺いしたいと思います。
  27. 紀埜孝典

    政府委員紀埜孝典君) お答えいたします。ただいま御質問いただきました個人災害についてどういうふうに考えるかというお考えのようにお聞き取りしたのでございますが、政府では先年来、個人災害につきましてはいろいろ御意見政府部内にもありかつ議会のほうからもいろいろ御意見を承りまして、二カ年にわたり総理府等調査等もいたしたのでございますが、いろいろの意見が出たあげく、共済制度等も研究したのですが、それにもいろいろ意見があり、ついに弔慰金それから貸付金と、こういうので四十八年に一応の解決をさしていただいた、こういう経過をたどっておりますので、よろしく御了承いただきたいと思います。
  28. 青木薪次

    青木薪次君 そうしますと、この八丈島の島民の居住の現況と応急仮設住宅整備状況等についてはどうなっておりますか、お伺いしたいと思います。これは、建設省ですか。
  29. 水田努

    説明員水田努君) 先般来八丈島の町長にもお会いいたしまして、私どもといたしましては、必要な応急仮設については、十分それにこたえるように対処してまいりたい、このように御返事を申し上げているところでございまして、現在のところ私どもは、都庁を経由して応急仮設住宅については三十八戸の需要があるやに聞いておりますので、これが確定しましたら十分に対応してまいりたい、このように考えております。
  30. 青木薪次

    青木薪次君 住宅金融公庫災害復興のための資金貸し付けについて、貸し付け条件なり貸し付け資金枠はどうなっておりますか、お伺いいたします。
  31. 吉田公二

    説明員吉田公二君) 住宅金融公庫災害貸し付けにつきましては、一般貸し付けのうちから、こうした特別のものに留保していたそのいわゆる特枠融資と、それから災害貸し付けと申しまして一般貸し付けよりも、貸付限度額でございますとか、据え置き期間でございますとか、そうしたいろいろな点で有利な条件貸し付けと二通りございます。従来この貸付条件というものが、貸し付け対象限定が非常に強い限定であったわけでございますが、本年の災害の多発の状況、それぞれのケースにおきます復興についてのいろいろの御要請を受けまして、建設省ではことしの九月に住宅金融公庫法施行規則改正を行いまして、大幅に災害救助法の発動された災害につきましては、原則として災害貸し付けをするということに踏み切りましたので、八丈島の場合私ども聞いている範囲では、全壊家屋三百二十九、半壊四百九十等の報告を受けているわけでございますが、これらにつきましては希望する方につきましては、すべて災害貸し付けという資金で、希望する方すべてに融資をするということに決めて、公庫に具体的の手続について指導しておるところでございます。
  32. 青木薪次

    青木薪次君 この激甚災指定関係でちょっとお伺いしたいんでありますが、激甚災指定されるという一つの基準は、全国的な大規模災害、局地的な災害と二つに分けられておりますけれども、付近の住民感情としては、こんなに全面的に厳しいけれども、その地方公共団体の標準税収入との関係でこれは切られてしまうというような場合が非常にあったりして、非常に問題が大きくなっているところもあるわけでありますが、激甚災指定する場合の基準について簡単にひとつ説明してください。
  33. 紀埜孝典

    政府委員紀埜孝典君) お答えいたします。  御存じいただいておりますように、激甚災害を受けました場合には、いま御質問いただきました趣旨は、地方公共団体の財政が非常に急激な被害をこうむるから救済してまいると、こういう形で激甚災害に対処するための法律ができたわけでございますが、その特定地方公共団体は標税で落ちるといいますのが法律に書いております特定地方公共団体。都道府県で申しますと標準税収入の二〇%、それから市町村で申しますと標準税収入の一〇%と、こういうふうな形で法律でお決めいただいて、それで特定地方公共団体を指定していくと、こういう手続をわれわれさしていただいておるわけでございます。
  34. 青木薪次

    青木薪次君 被害額が標準税収入の二〇%ということについては、非常に厳しい基準だとお思いになりませんか。
  35. 紀埜孝典

    政府委員紀埜孝典君) これは先ほどからの激甚災害をどういうふうに考えていくかというふうな考え方によるかとも思うんでございますが、当時お決めいただきました法律趣旨から申しますと、国民経済に相当の打撃力を与えるといいますか、そういうふうな場合に対処するためにと、そういう思想のもとに当時二〇%、一〇%が議論されたのだろうと、こういうふうにまた私らも先人から聞かされておるわけでございます。
  36. 青木薪次

    青木薪次君 将来の課題としまして、いま申し上げましたように、激甚災指定基準を緩和する、それから天災融資法関係等については、激甚災指定になった場合においては農民並びに漁民、林業者等の農業関係者、農林関係者に対する貸付枠拡大等についてこれからひとつ検討してもらいたいということを強く要望いたしまして私の質問を終わります。
  37. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 本日の質疑は、天災融資法融資枠を倍にするというわけでありますから、このことについては時宜を得たといいますか、遅きに失した面もあるかもしれませんが、実際、被害を受けた農家の方々にとりましては、長い間待望しておったものだと思います。このことについては私も異議をはさむものではございませんが、それに関連いたしまして、この激甚災指定とかまた融資のあり方等について若干御質問をしたいと思うのであります。  いまもいろいろ議論がございましたが、激甚災害法指定を受けるということになりますと天災融資法、特に激甚災害法、公共事業、また農家経営なさっておる方、それぞれの立場立場でこの災害を受けた方々に対しての措置がとられておるわけでありますが、何といいましても現在このような非常に物価高の中での不況という地方自治体におきましては、また大変な地方財政の逼迫した現況の中にありまして、本当にわらをもすがるといいますか、国に少しでもめんどうを見てもらいたい、こういう気持の強いのはよくおわかりのことだと思うのでありますが、ことしも台風の数は、少なかったとは言いながら、やはり大きい被害をあちこちにもたらしました。五号、六号台風、これが北海道の石狩、高知を初めといたしまして東北地方、北海道に大きな被害をもたらしたわけでありますが、この五号、六号台風の後に、九月の四日から九日にわたりまして秋雨前線の停滞によります被害というのが、一週間かそこら足らずの間にあったわけであります。市町村といたしましても、また被害農家といたしましても、また中小企業者にいたしましても、こういう経済情勢の中にありますから、現在のある法律の中で天災融資法激甚災害法適用を受けて、少しでも復興を早くしたい、また国にほとんど融資をしてもらいたい、こういう気持ちのあるのはこれは当然のことだと思います。五号、六号台風につきましては、この激甚災指定については、非常に大きな被害があったことは、これはいろんな数字から言ってはっきりしておるわけでありますけれども、九月の初旬にありました四日から九日にわたります北海道の西部地方、中央部、ここにおきます秋雨前線の停滞による被害については、どうもこの激甚災指定の中には入るかどうか非常に危ぶまれているという、こういうことを聞き及んでおるわけですが、この間のことについて御説明をお伺いしたいと思います。
  38. 紀埜孝典

    政府委員紀埜孝典君) お答えいたします。  いま先生からお聞きしました事情は、地元の方からもいち早くいろいろそういう御意見を承り、私の方の国土庁長官の方へもおいでいただきまして、つぶさに五号、六号と現地から見たいろいろの、その同じ場所がまたやられているというふうなお話等もお聞きいたしまして、それを踏んまえまして、現行われわれに与えられております制度の中で、どういうふうに運用するかというのを、各省お集まりいただいて、いろいろ協議をしたのでございますが、いまの制度では、一つの災害という主として気象上の条件から申しまして、北海道の秋雨前線の被害は、激甚災害として指定することができなくなったわけであります。そういうことも踏んまえまして、以後これからまだ局地激甚の指定という作業も残っておりますし、それから特にそういう事情も踏んまえまして、私の方の大臣から政令制定の閣議の折に、特に各省大臣の方ででき得ます財政金融上の措置はひとつよろしく講じていただきたいというふうな御発言もしていただいて、ただいままで作業が進んできておるのが実情でございます。よろしくお願いいたしたいと思います。
  39. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 一つの災害ということですから、台風によるんじゃない、その後、日にちを置いてあったということですけれども、しかしこの六号台風の影響、相当な雨をもたらし、地盤が緩み、そういう中でまだ十分に復興しないところにこの秋雨前線の被害があったという、こういう地域もございまして、いまお話がありましたように、被害も重なったところも現実あるわけで、また被害総額も、地元といたしましては決して少ない被害ではない、こういうことで地元から強い要望が出ておるわけであります。それは十分御存じのこととは思うんでありますが、その点のことについても、いろんな角度から御検討なさったようでございますが、この激甚指定というものを地元が強く望むのは、やはりこの激甚の指定になりますと、いわば大きな網がかぶって、その中でいろんな配慮がなされるわけでありますけれども、別の金融措置とか何かということになりますと、やはり網から漏れる方々が出てくるという、こういうことを心配するわけなんで、できるだけ激甚災か何らかの大枠でこの被害を受けた地域の人たちの希望に漏れなく沿えるような融資制度や、またその復興のための措置のとれるように、個人農家にいたしましても、また地方自治体にいたしましても、こういう経済状態の中にあるわけでありますので、当局としましても、特段の御配慮をぜひひとつしていただきたいと、こう思うわけであります。その点についてはよろしゅうございますか、まあさっきお話あったけれども
  40. 紀埜孝典

    政府委員紀埜孝典君) 先ほども申しましたとおり、各省につきましては国土庁長官からも特に財政金融面措置でできる限りのことはしていただきたいということを御発言していただいておりますので、各省でそういうふうなお考えで進めていただけるものと思っておりますので、よろしくお願いいたしたいと思います。
  41. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 それから今度二倍ということで、われわれはそれは結構なことでしょうというふうになっていたわけでありますが、これも被害を受けた方々につきましては、長い間望んでおったことであります。非常な狂乱物価の後でもございますし、まあ一日も早くこの融資枠を拡大してもらいたいという、今回そのときが来たわけでございますが、多いにこしたことないわけで、その実情にはよるわけですけれども、必ずしも三倍にしろ、四倍にしろ、そういう倍率だけを私は言うわけじゃ決してありませんけれども、このたび二倍にするというには、それ相当の算定の基準があって二倍になさったことだと思うのでありますが、一昨年の狂乱物価を経まして諸物価の大きな高騰の中で今回二倍にしたという、ほんとうならば三倍ぐらいでもよかったのかもしれません、これは三倍にしたということについての算定なさったお考えの基準はどこにあったのかということと、先ほど先輩議員のお話にございましたが、この天災融資法とそれから激甚法指定になりましても、融資枠そのものは八十万と百万、あまり差はないわけでありますけれども、これはまあほかの部門につきましては地方公共団体のいろんな被害復旧につきましては、いろんな差があるんですが、農家の方々については、激甚災指定を受けても二十万多くなるというだけということになるわけですね。また利息につきましても天災融資法で特別地域になれば三歩ということもございます。この激甚というのは相当、いまも冒頭に申し上げたように、一つの災害ということで、台風の後に来たやつだからそれは激甚災に入らぬぞ、こういうことで非常に厳しい条件がある。そのほか国民経済に大きな影響を及ぼす云々と、法に基づいての条件があるわけですけれども、こういう激甚の指定を受けても、農家を実際なさっていらっしゃる方が受ける融資にも激甚と天災融資法ではあまり差がなかったり、利息の上においてもあまり優遇といいますか、非常にひどい条件被害を受けておる方々に対してのことですから、もう少しこの融資枠の上においてもまあ大きく被害を受けた方には見る方法、それは農家農家によっていろんな方がいらっしゃいますから、おれはそんなに要らぬという方もいらっしゃるかもしれませんけれども被害の大きい方についてはやはりこういう人たちが立ち直っていけるような枠を拡大するとか、利率の上において少しめんどうを見る、こういうことで天災融資法激甚災との間にも同じ被害を受けた方々ではありますけれども、相当な、この被害を受けた方々に対する激甚災指定を受けた方については、もう少し考慮をすべきではなかったかというふうに考えるわけでありますけれども、この二点、ちょっとお伺いいたします。
  42. 吉岡裕

    政府委員吉岡裕君) 先ほどもちょっと申し上げた次第でございますが、昭和四十六年に前回天災融資法貸付枠改正をいたしました。そのときも同様な考え方でございますが、まあ天災を受けました農家が翌期の再生産を続けてまいりますために必要といたします現金経営費というものをどう低利の融資で見ていくかというのがこの天災融資法融資考え方でございます。したがいまして対象といたしておりますのは主として資材の購入費等をその貸し付け内容としておるわけでございますが、この四十六年当時の農家経済調査によります農家の平均現金経営費というものが最近の四十九年度の農家経済調査によって見ますと、ほぼ倍の規模になっておるわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては以上申し上げましたような考え方によりましてこの融資枠をおおむね倍程度にすれば農家現金経営費部分はカバーできるであろうというふうに考えまして、今回の枠の拡大をお願いをいたしておるわけでございます。  第二点との関係でございますが、この被害程度にもいろいろ農家によってあるわけでございまして、非常に軽度な被害から非常に大きな全損的被害にまで及ぶいろんな被害程度があるわけでございますが、この激甚災の場合の融資枠の加算部分を考えました際に、今回の改正で大体先ほど申し上げました農家経済調査から見ました現金経営費についてほぼ全損的な状況になってもおおむねカバーできるというふうに私どもとしては考えておりまして、そういう観点から、今回の通常の天災状況のもとにおきます枠及び激甚災害の場合の枠の考え方を決めた次第でございます。
  43. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 この天災融資法については現実被害を受けていらっしゃる方々がいらっしゃるわけなので、一日も早くということで過日は衆議院で、また本日は参議院で、本来ならばこの災害の問題につきましてはいろんな角度から論議しなければならんわけでありますが、このたびのこの法案を早く被害を受けた方々のために成立させなければならんと、こういうことで私どもはいま審議をしておるわけでありますが、これが成立をいたしましたら直ちにこの法律を発動して、そして処置をする、そういう準備につきましては——準備といいますか、手だてにつきましてはこれは事務当局としては十分になさっていらっしゃることだと思うんですが、確認の意味でお伺いしたいと思うんです。  それから、いままでの実績を見ますと大体わかるんですけれども、ことしはこういう被害を受けた年でもございますので、大きな被害を受けておりますので、個別に融資枠が倍になるということでございますが、それに対処して融資の枠というものが、それに対する政府のお金の準備といいますか、それに対処する体制というものができておるのかどうか、法律はできたけれどもなかなか物事が進まぬという、こんなことのないような処置をとっておることを私は確信しておりますけれども、確認の意味でちょっとお伺いしたいと思います。その辺の事情をちょっと御説明ください。
  44. 吉岡裕

    政府委員吉岡裕君) この法律改正の御審議を願っておりますが、これが国会の方で成立をさせていただきますならば、その法律の公布施行日の直後にできるだけ早く施行のための政令を出さしていただきまして、融資を待っております農民に対しまして十分早く資金措置ができますように、準備をいろいろと関係各省等の間あるいは都道府県等の間で現在進めておるところでございます。  なお、必要な融資枠につきましては地方からの積み上げの要請、あるいは全国的な統計情報部の方の被害情報、結果等によりまして資金融資枠というものを考えまして、そういう要請に関係各省との調整も経ながらできるだけ沿えるようにということで私ども融資枠を確保したいというふうに考えておるわけでございます。
  45. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 実際被害を受けた方々につきましては、もう寒さも迎えているわけでございますので、明年の計画なり、早期にしなきゃならぬということで待ち望んでおる方々もたくさんいらっしゃるわけですが、ただいま十分に早くという話ですけれども、いつごろをめどに御努力なさっていらっしゃるのか、これは一日も早いことにこしたことはないんですけれども、その辺についてはどういうふうになっているか、ちょっと御説明お願いします。
  46. 吉岡裕

    政府委員吉岡裕君) 私どもといたしましては、法律の公布施行後一週間以内に政令を制定いたすということをめどといたしまして準備をいたしております。  なお、先ほど説明申し上げました中に融資枠の御説明がちょっと足りませんと思いますので申し上げますが、地方からは約七十億程度融資枠の希望が参っております。
  47. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 時間もございませんので簡単にいたしますが、次は融資対象ですね。これは先ほどもちょっと論議があったと思うんでありますが、先ほど来御説明ございますように、現金経営費についてということでございますけれども融資対象を拡大するということもまた被災農家にとりましては、これは自作農維持資金があるとか、いろんな系統資金があるわけではございますけれども被害を受けておるところというのは比較的二度、三度被害を受けやすい条件にあるという、そういうことをよく御経験なさっていらっしゃることだと思います。三年ごとに被害を受けるとか、比較的被害を受けやすい地域というのはあるわけでありますけれども、そういう方々に対しては、先ほど質問もありましたけれども、かさ上げをするとかいろんな処置がとられているようでありますが、最近この農業経営もだんだん多様化してまいりまして、ビニールハウスとか、いろんな形のものが出てきているわけですね。ですから、ただ単に、現金経営費ということでそれだけに限定をするということで考えて、それでいいかどうかという、こういう時代になったらそれ相応に融資対象というものについても検討しなきゃならぬじゃないかと、こんなことで農林省としまして今日までそういうことの融資対象についての枠を、対象を拡大するということについての御検討を今日までなさったことがあったら御説明いただきたいと思うんですが。
  48. 吉岡裕

    政府委員吉岡裕君) ただいまの御質問の点につきましては、私どもとしてもかねがね種々研究をいたしてきております。ただ天災資金が、先ほどから申し上げますように、その趣旨といたしまして経営資金ということでございまして、やはり主体としては農業資材的なもの、あるいはそういう経営資金としての延長線上にあるような、非常に施設性の軽いと申しますか、そういうふうなものに性質として、質として限定されざるを得ないという関係がございます。したがいまして、本来施設資金ということになりますと、先ほど申し上げました農林漁業金融公庫の普及施設、普及資金ということになるわけでございますが、しかし、最近の農業経営状況が、ただいまお話がございましたように、非常に多様化してきておりまして、やはり非常に構造上災害を受けやすいと、しかも施設というのには少し担保価値が薄いというふうな問題がございまして、必ずしも農林漁業金融公庫施設資金にも乗りにくいというふうなものがあることは事実でございます。そうしてまた地方からもそういうものに対して天災資金貸し付けをするようにという御要望が非常にあるということも私どもはよく承知をしております。したがいまして、今日の天災融資法の中にいろいろ例示がございまして、「その他農林漁業経営に必要な資金」というふうな規定もございますので、この規定をできるだけ弾力的に考えまして、先ほど申し上げましたような農林漁業金融公庫融資との調整というものも図りながら、なるべく被害農家の要請に沿えるように種々前向きに検討をしてまいりたいというふうに思っておるわけでございます。
  49. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 きょうは時間がありませんから、具体的なことについてはもっといろいろ——われわれも現地で要望されたことや、また当然そうあるべきだと思うこともたくさんあるわけですが、それは後日に譲りたいと思います。  最後の質問になるわけでありますが、中小企業のことについて。中小企業業者の方、また協同組合の方々に対して被害を受けたときに貸し付ける、まあ今度は限度額が倍になったわけでありますが、中小企業につきましてはいろんな制度があるわけなんで、中小企業金融公庫災害復旧貸付制度、また国民金融公庫には災害貸付制度激甚災指定になったときには商工中金、こういうようなことだろうと思うのでありますが、これらの貸し付け制度にはそれぞれの制度発足の趣旨があるだろうと思うのでありますが、この関係はどうなっているのか、またこれらのものの併用というものが可能なのかどうか、この辺ちょっと御説明いただきたいと思います。
  50. 織田季明

    政府委員(織田季明君) 激甚災害における政府系の中小企業三機関の低利融資につきましては、商工中金は激甚災害法第十五条の規定に基づきまして行っておるわけでございますが、他の中小公庫あるいは国民公庫につきましては、法律改正を必要といたしませんで、閣議決定に基づきまして六・二という低利の融資をすることができるようになっている次第でございます。したがいまして、今回の法律改正に基づく施行を行います場合には、閣議で商工中金と同じような利子で融資できるような決定を中小公庫並びに国民金融公庫につきましても行う予定でございます。  なお、併用のことでございますが、併用自体は可能でございますが、特別貸付限度、現在で言えば二百万円、また団体は六百万円でございますが、これにつきましては三者合わせても二百万円並びに六百万円。改正後は四百万円、千二百万円を超えることはできないというふうになっている次第でございます。
  51. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 これもいろいろ論議のあるところですけれども、一点だけ聞いておきますが、とかくにわれわれは災害というと農林漁業、そういうものに目が奪われるわけでありますが、やはりこの中小業者も、この間の北海道におきましても、また各地におきましてやはり中小業者が大きな被害を受けておるわけでありますが、今日まで——ここにもちょっとはデータがあるようですが、簡単で結構ですから御説明いただきたいと思うのですが、今日までの貸し出しの現況ですね、この激甚災。どういう災害のときにどのぐらいどうしたかというデータがあるようなんですけど、ちょっと御説明いただきたいと思うのですが。
  52. 織田季明

    政府委員(織田季明君) 融資実績でございますが、初めに融資実績について申し上げますと、四十九年におきまして中小公庫が九十三億八千九百万円、国民金融公庫が七十六億円、商工中金が百二十四億円というふうな数字になっているわけでございますが、そのうち数といたしまして激甚災害関係融資が中小公庫で八十七億九千五百万円、国民公庫が六十九億九千九百万円、商工中金が百二十三億一千万円というふうになっておる次第でございます。
  53. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 ちょっと範囲が相前後して申しわけないのですが、中小企業のことにつきましては粗々わかりました。  次に、ちょっと前後するんですが、農業のことを中心にさっきもお伺いしましたけれども漁業につきましても、林業につきましても今度相当被害があって、特に漁業につきましても、地域によりましては養殖漁業等がございまして、それによります被害も出ておるわけですが、そういうことから、いつも言われることですが、共済というものをやはりだんだん広げていかなければならぬ、こう思うわけであります、共済制度。きょうはそれはちょっとこの法律には直接関係することではないかもしれませんけれども、このたびの北海道における被害では、噴火湾のホタテなんかは大変な被害を受けておるわけです。こういう養殖漁業の、これはワカメとか何か、共済制度のあるものもございますけれども、こういう多様化する時代に即応したやっぱり研究というものもぜひ進めていただきたいということと、それから北海道におきます今回の被害で酪農家が牧草地をやられて、そのために大変な牧草を買わなきゃならぬ、そのための運送費とか、飼料がいま高いということで大変な経営危機を招いているわけでありますが、そういうことに対する処置とか、これは前の災害対策特別委員会で、私も北海道等における酪農、こういう酪農における牧草等についてもやはり共済のような形のものを考えなきゃならぬ、こういうことを提案したことがございましたけれども、まあ米を中心として、稲作を中心としての共済制度というのはありますけれども、やはりその地域その地域には大きな範囲にわたって主産地のような形になっているものもあるわけでありますし、漁業のように養殖というものが盛んになって、過日はさほどでもなかったものが最近では大きくこれを、その地域としては大きな生産高を上げておるという、こういうものも出てきておるわけです。こういうことから、共済制度につきましても、対象をさらに拡大するということについても鋭意努力をしていかなきゃいかぬ、こういうことを前にも申し上げたわけでありますが、この法案に直接には関係ないかもしれませんけれども、やはり被害を受けた立場の農家漁業者という立場、また中小業者という立場に立てば、何らかのそういう思いがけない天災の場合に処置する対策を講じてもらいたい、こういう声が非常に大きいわけであります。いま申し上げた養殖漁業とか、また牧草等、こういうような問題につきまして今日まで御検討なさっていらっしゃるようでございましたらひとつ御説明いただきたいと思うんですが。
  54. 吉岡裕

    政府委員吉岡裕君) 農業共済制度につきましては、今日までのところ米麦あるいは蚕繭、家畜、果樹というふうなものについては共済制度を本格実施しておりますし、畑作物、それから園芸施設などにつきましては、現在共済の試験実施をいたしておるというふうなことでございます。農作物が保険の手法にどうなじむかというふうな点はいろいろございますが、私どもとしましてはいろいろと研究を深めまして、共済制度の中に適切に必要な農作物を入れることができますようにという方向でこれからも種々検討を続けてまいりたいと存じます。     —————————————
  55. 和田静夫

    委員長和田静夫君) 委員の異動について御報告いたします。  本日、佐藤隆君及び園田清充君が委員を辞任され、その補欠として大島友治君及び青井政美君が選任されました。     —————————————
  56. 春日正一

    ○春日正一君 きょうは法案について聞いてくれという理事会の要請なんだけれども、法案についていえば、融資額を二倍に上げたということは一定の改善ということで評価できるんですけれども先ほど来問題になっています融資発動条件融資対象、こういうものはさらに検討すべきものが残っているんじゃないかというふうに思います。そこで、先ほど来の話もありますけれども融資適用条件として、法律には、国の経済に重大な影響を及ぼすような災害ということになっていますから、そういうことになるとかなり大きなものということになると思うんですけれども、しかしいろいろお聞きしてみますと、政令で決まったとかどうというものでもないけれども、とにかく現在では二県以上にまたがる災害と、そして被害の額が六十億以上というようなことをめどにして適用しておるということなんですけれども、その根拠はどこにあるんですか。
  57. 吉岡裕

    政府委員吉岡裕君) 天災融資法の発動要件といたしましては、ただいま先生からお話ございましたように、天災による被害が非常に著しく、また国民経済に及ぼす影響が大であるというふうに認めて政令指定をするということになっておるわけでございます。その際のいろいろこれを具体的に動かします運用の方針といたしましては、過去数カ年にわたります発動の状況災害の態様というふうなものを考えまして、おおむね六十億程度災害農作物についての被害があった場合には先ほど申し上げたような一つの発動要件に当たるものであるというふうなことで運用をいたしてきておるわけでございます。
  58. 春日正一

    ○春日正一君 言ったことがそのまま返ってきたようなもんで、その根拠、六十億というふうにどうして決めたんだと、それ以下じゃどうしていけないんだという説明ですね、あるいは二県にまたがらなきゃなぜいけないんだと、そこを聞かしてもらいたいんです。
  59. 吉岡裕

    政府委員吉岡裕君) まずその天災を受けました際の農家等被害対策と申しますか、資金対策等を含めての対策といたしましては、まずその範囲によって農家が自力で自分の蓄え、貯金その他の収入によって再建のきっかけをつかむということがまず基本であろうかと思います。そうしてそれでも及びません場合に、そういう状況にあります農家等の数がかなりあるということになりますと、市町村という自治体がそのまず第一次的な対策考える、それがさらに範囲が広がってくれば、都道府県という段階で考えてもらう、そこがどうしても都道府県という範囲では対応できないというような状況になった場合に、国がその援助の手を差し伸べるというのがこの天災融資法考え方になっておるわけでありまして、そういう意味でやはり一つの県に限られるような災害については、おおむねその県として対応できる規模の場合が多うございますし、そういうことで対応をしていただく、やはり国がこういう制度のもとに援助をしていくためには、二県以上に原則としてまたがることが必要であろうと、こういう考え方でいま申し上げました二県以上にまたがるようなものを天災融資法対象災害として指定をする、こういう考え方で従来きておるというふうに理解しておるわけでございます。
  60. 春日正一

    ○春日正一君 そうすると二県以上にまたがるということと、六十億以上であるということ、これはペアでなければいけないのですか、どっちか片方だけの条件があればいいということなんですか。
  61. 吉岡裕

    政府委員吉岡裕君) 私どもとしては一応そのようにペアで動いていくということで運用をいたしております。
  62. 春日正一

    ○春日正一君 そうするとおかしなことになるのですよ。たとえば一つの県で百億以上の被害が出たという場合に、二つの県で六十億といえば、一つの県では三十億出れば適用になるものが、一つの県だけで特殊な事情によって百億以上の被害が出たという場合には、天災として適用されないというようなことはきわめて不合理なことになるのじゃないですか。
  63. 吉岡裕

    政府委員吉岡裕君) いま私御説明申し上げましたのは、天災融資法発動の原則的な考え方として申し上げたわけでございますが、もちろんいまお話しのように一つの天災によりまして受けた被害が非常に深刻であり、著しいかどうかというふうなことは、単に金額のみでは判断できない場合がございます。したがいまして、その天災の規模とか、あるいは深度とか、あるいはその種類、それからその災害によって受けました農林漁業者被害程度といったようなことを総体的に判断をいたしまして天災融資法の実際の発動の可否が検討されるというのが実情でございます。
  64. 春日正一

    ○春日正一君 どうも正面から答えてくれていないのですがね。つまり二つペアでなければならぬという、ペアにすれば六十億が、一つでは三十億あればもう条件が整うわけです。ところが一定のそれは自然的な条件によって一つの県だけで百億というような大きな被害を受けたと、個々農家もそれだけのものを受けているというものに対しては、だから基準の三倍以上の被害を受けているものに対してはこれが適用できないというような、しかも政令にも決まってなければ法律にも決まっていないというようなものを何でそう固執されるのか、そこらの辺について大臣おいでにならないから、次官の方にお聞きしますけれども、政治家としてどう考えますか、これ。
  65. 吉岡裕

    政府委員吉岡裕君) 先ほどちょっと申し上げ足りない点がございましたので、追加さしていただきますが、通常、先生がいまお話しになりますような程度被害ということになりますと、大体二県以上にまたがって発生をするというのが通常の姿でございますので、そのような形で運用をいたしますれば、大体災害の実態に対応できるのではないかというのが私ども考え方でございます。
  66. 春日正一

    ○春日正一君 具体的に言いますけれども、こういう問題を私どもの方は相談を受けておるんですけれども、千葉県ではことし七月から九月まで大変な干ばつを受けた、被害は百億に上る、そこで天災融資法ということで申請をしたんですか、県当局として。ところが、一県だけだからだめだといって却下されておるという事実があるんですわ。だから私はそれを聞いているのです。事実がある。二県にわたらぬでもその一県だけでそれだけあって、一県がお願いしますと言ってきたらどうしてくれるんだと、その点について次官もちょっとお答え願いたい。
  67. 河本嘉久蔵

    政府委員河本嘉久蔵君) 春日先生の御質問、大変むずかしい問題でございますが、運用の問題でございますので、なかなかむずかしい問題で一つの課題を投げかけているように私は感ずる次第であります。
  68. 春日正一

    ○春日正一君 じゃ、局長ひとつ答えてください。
  69. 若林正俊

    説明員若林正俊君) 千葉のお話がございましたので、状況を御説明したいと思います。  おっしゃるように、千葉県を中心にいたしましてかなり深刻な干害状況が出ておりますが、干ばつの特性といたしまして被害額は相当の額に達するわけでございますが、薄くて広いのが干ばつの特徴でございます。で、従来も四十八年干ばつも八百億というような被害が全国的に出ましたことがございますが、非常に薄い被害になっておりまして、個別の農業者資金需要への対応というのは一部が非常に深くてほかがずっと薄いというのが干ばつ被害の特徴でございます。天災融資法を発動いたしました場合においても、資金需要といいますか、具体的に貸してくれと、こう言ってまいります資金額が被害額に比べましてきわめて少なくて、干ばつの場合には一%ぐらい、普通の災害ですと七、八%ぐらいというのが最近の実情でございます。千葉の点につきましては八街町を中心にいたします野菜地帯で相当深い被害が出ておりますことは承知いたしております。先般も八街町の町長さん初め富里の町長さん、議長さんからも実情を伺いましたところ、いろいろ伺いますと非常に深く被害を受けております方々への措置といたしまして、天災融資法による天災資金は、御承知のように現金支出部分に限定をいたしておりますのと、その償還期限は単なる経営資金でございますので、六年以内の償還期限になっております。それと先ほども御説明しましたように、地方自治体と国とが合わせて半分ずつの利子補給の負担をするという仕組みになっております。そこで、それらを御説明いたしましたところ、一方自作農維持資金というのがございます。自作農維持資金は五%の資金で、償還期限二十年という長期にわたってその負債を返済するということが可能でございます。自作農維持資金のことを十分御承知でありませんでしたので、その点御説明いたしましたところ、農家資金需要対応するには自作農維持資金が一番対応しやすいというお話がございまして、そういう点も含めまして、資金需要として地元から積み上がっております具体的な資金需要がございますので、個別に御相談をして自作農維持資金対応するという御説明をいたしましたところ、その方が実情に合っているというお話がございました点などを勘案いたしております。もちろん当方の運用基準といたしまして、二県以上にまたがるという基本的な考えはあったわけでございますが、ただいま局長が御説明いたしましたように、災害は単なる金額だけでも判断できるわけでございませんので、災害ごとによく事情は伺っております。千葉県の干ばつにつきましては、そういう事情から県とも現在話し合っておりますが、自作農維持資金対応で、その方が県としては望ましいと、こういう考えになっているように感じております。
  70. 春日正一

    ○春日正一君 ちっとも片がつかないんですがね、つまり、自作農維持資金の方が得だからと言われて、言われてみればそうだったと。それじゃあそうしましょうといって取り下げたということであって、実際に一つの県で三十億以上あるいは五十億、百億というような被害があった場合に適用しないというような基準に固執されるということは不合理ではないかというふうに私は思うのですよ。  その点について、もう一つ今度は別な問題でお聞きしますけれども八丈島先ほど出た問題ですね。この被害というものは非常に深刻なものです、島としては。島の町の当局から出てきた資料を見ても、被害総額が四十億、これは基準財政需要額の数倍に及ぶ金額ですね。それから、農産物被害が五億九千万円。そして、昭和四十八年の農産物の全部の出荷額が八億ですから、これは相当大きな被害というふうに言えると思うのです。そういうふうな島、あの島自体として見れば、この法律に言っているように、国民経済に重大な影響を及ぼすというようなことは、極端な言い方をすれば、あの島の経済全体が全滅したって、そういうふうな判断にはならぬと思いますけれども、しかしあの島の住民にとって見れば、そして島の農業にとって見れば、今度の十三号台風による暴風被害というものは、きわめて大きな深刻な被害になっておるということなんですね。そうすると、そういう規模の小さいところでも、そのような深刻な被害が起きておるというなら、そこにやはり天災融資法による融資というようなものが適用されてしかるべきじゃないかという考えも出てくるわけです。先ほどあなたは被害の実情と言った。そうして、千葉の場合は被害が大きいけれども、非常に広くて浅いと言われた。八丈の場合は、狭いけれども非常に深刻だということは、これは否定できないと思うのです。そういうものに対して適用するということですね、これ考えていいんじゃないかというふうに思うのですけれども、その点どうですか。
  71. 吉岡裕

    政府委員吉岡裕君) 八丈島状況が、八丈島といたしまして、いろいろ非常に深刻な問題があろうということは、先生の御発言によりましてもわかるわけでございますが、ただ繰り返しになるようでございますが、天災融資法発動条件というものを、法律の発動要件として欠いておりますようなことで運用をいたします場合には、やはり適用をするということは非常に困難ではないかというふうに思うわけでございます。ただ、それでは現実にございます農家災害復旧のために必要な資金に対してどう対応するのかという点は、もちろん別途あるわけでございまして、この点につきましては、先ほどお話がありましたような自創資金適用の問題でございますとか、あるいは東京都がすでに農業近代化資金の上に利子補給を重ねて融資制度を設けておるというふうなこともございまして、こうした措置をいろいろととることによりまして、現実の農家災害復旧のための経営資金に対しては、対応を私どもとしては一生懸命してまいりたいというふうに存ずるわけでございます。
  72. 春日正一

    ○春日正一君 いまの話も、別途救済の道があるということなんですけれども、しかし物の考え方として、この法律どおりにいけば、この天災融資法というのは八丈には適用しようがないでしょう、これは。国民経済に重大な影響を及ぼす程度災害というのですからね。八丈島農業がみんなつぶれたってそういうことにはならぬのだから。しかし、激甚災害というものも以前はそういう規模で考えられておったのですね。今度の五号、六号みたような相当広い範囲にわたって、しかも大規模な災害があった場合に激甚災害として指定されるということで、一つの村とか、一つの盆地とかというようなところで激甚災害を受けた場合にはこれは適用にならぬということで、これじゃ不便で困る困るということがさんざん問題になって、結局局地激甚という概念ができてきたわけでしょう。それでそれによって救われる。そういうことになると、この天災融資法というものもやはり激甚災害とあれはくっついたようなものでしょう、天災融資法というものは、そもそもの成り立ちは。だから当然、そういう局地でも非常に深刻な被害が起きたいというような場合に、これを適用して有利なものなら適用をすべきじゃないか。先ほど説明では、これは適用しなくても自作農維持資金もあるし何の資金もある、そういうことで間に合うからいいんだ、間に合うからいいんだという論で説明しているのだけれども、私はここで法律をつくっているのだから、法律の論としてそういう運用の立場というものも考慮に入れておく必要があるのじゃないかと、そう言っておるわけです。そこらどうですか大臣、政治論として考えを聞かしてもらえませんか。
  73. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 前の議論をよく聞いておりませんが、天災融資法を一県のみでも、非常に八丈島のような激甚地に対しては適用すべきじゃないか、こういう御意見だろうと思うわけでございますが、この天災融資法につきましては、先ほど提案理由説明いたしましたように、いままで何回も改正をしてまいったわけでございますし、適用も毎年適用が行われておるわけでございますが、その過程の中において、両県、二県以上にまたがる地域ということで適用して被害者に対する融資措置を講じてきておるわけですが、ですからこれまでの経過措置として、一県の場合は適用しない、そしてその場合は自創資金等による資金制度を大いに活用して被害者のために対策を進めてきておる、こういうことで来ておるわけでございまして、法律的にはいろいろと今後議論していただく上においては問題点になるとは思うわけでありますが、いままでの過程はそういうことでありますし、いまの政府の運用としては、二県以上にまたがるということで天災融資法を今後とも発動していきたい、こういうふうに考えておるわけであります。
  74. 春日正一

    ○春日正一君 それでこの問題では、八丈の問題で、とにかく自作農創設資金なりその他の資金でまかなっていけるという——私は災害対策委員会に初めて出てきたので、素人ですから素朴な聞き方をしますけれども、そうすると自作農創設資金がある、これは使える。それにかぶって天災融資法資金は使えるんですか。自作農で借りたらこっちは使えないというようなものなんですか。どういうことなんですか。
  75. 若林正俊

    説明員若林正俊君) 先ほど資金制度説明の際にございましたが、ともに経営資金融通する制度でございます。ただ自作農維持資金の場合は負債整理も含めまして幅広く使える制度になっておりますので、制度的には資金使途の制限がない。私ともの考えとしては、まず現金支出部分には天災資金をもって対応する——両方か適用される場合にはまず天災資金対応していただく。どうしても天災資金対応し得ない、たとえば深い被害ですから償還期限はもっと長くなければいけないというようなケースにつきまして自作農維持資金を活用してまいる、このような運用方法でおります。ところが、全国には天災融資資金融資されないような小規模のあるいは部落内だけの、または町村単位の被害はしばしば発生しているわけでございます。こういう災害に対しては天災資金が出ないわけですので、自作農維持資金の有効な活用を図るということで、これは政令などの発動条件がございませんので、現実の災害の実態に応じまして行政的に県及び市町村長と協議の上これを活用していくということで対応いたしております。  なお八丈島の件につきましては、先ほど言いました小災害はできるだけ市町村、また市町村でたえられない場合には都道府県の段階で対応できるだけは対応していただく、こういう仕組みにいたしておりますことから、東京都においては独自の災害対策金融考えを持っておりまして、まず農業近代化資金という制度がございます。これは災害対策資金ではございませんが、災害の復旧に当たる農家に対しても貸し付け得るわけですが、東京都は国の補助にさらに上乗せの利子補給をいたしまして、通常四%の資金対応しておりますのを八丈島については三%まで上乗せの利子補給をしょう。また都自身の運転資金制度を持っており、まして、この運転資金として三%の運転資金を有効に活用しよう。農業被害観葉植物中心に五億数千万円——失礼しました。最近の報告によりますと約七億円というふうに伺っております。これらの資金需要に対しては、地元の町と東京都と私どもと、いま言いましたような三つの資金を活用し得るわけでございますので、十分要望にこたえていきたいということで、東京都と町と農林省とで緊密に連絡をとり合いながら対策を講じております。
  76. 春日正一

    ○春日正一君 そういうことで実際に間に合うのかどうかですね。地元の方は非常に深刻な実情を訴えて、私どもの方にも町長、町議会超党派で陳情にも参っておりますし、だから、この点では政府としても十分そういう大きな被害に対してめんどうを見ていただきたいし、私どももその成り行きは十分見ながらこれからもいろいろ政府の方へ注文をつけていきたいというふうに思いますけれども、しかし適用条件の問題では私は納得しておりません。これはしかし、これ以上ここで議論してもまだあれですから、またこの次の機会に譲るとしまして、やはり適用条件の問題、二県にまたがる、六十億以上というような基準に固執するということはこれは無理があるという点だけ、私の気持だけ言って次に移ります。  そこで、次の問題ですけれども先ほど藤原委員の方から一刻も早く適用してほしいという要望が強いけれども、いつごろできるかという質問に対して、法がこれは施行されてからですか、一週間以内というお答えありましたね。それからこの上限が二倍になって総枠はどの程度考えておるかという点については七十億程度というふうにお答えがあったので、私もこの点お聞きしようと思っておったんですけれども、そういうお答えがあったからこれは確認して、必要な資金だけは必ず確保するように努力してほしいということを希望しておきたいと思います。  それでもう一つ、これと関連して、私たくさん準備しておったのですけれども、きょうはあれだと言うから、これと関連してぜひ聞いておきたい問題が一つあるわけです。これは、被災による規格外米の全量を政府で買い上げてほしいという要望ですね。ここに私は陳情書を持ってきていますけれども、道それから各関係の自治体でもこれは一致して要望しておるし、農民もそれを望んでおります。ところが、いままでのお答えでは天災融資法適用するということにならぬと買うか買わぬかということは決められないんだというお答えだったわけですわ。だから、非常に農民は不安を持ってきょうの日を見詰めておるわけですから、それで私はこの場でお聞きするわけですけれども、これが施行され適用されるということになっていよいよその方も口が開けるわけですから、だから、この全量買い上げの問題について政府がどのように考えておいでになるのか、被災地のその後の作柄がどうなっておるのか、特に規格外の米がどのくらい出ると予想されておるのか、農林省としてどういう把握をしておいでになるか、お聞かせ願いたいんですが。
  77. 大河原太一郎

    政府委員大河原太一郎君) お答え申し上げます。  災害に伴う規格外米につきましては災害に伴う特例を取り扱っていることは御案内のとおりでございます。まず御質問趣旨でございますが、第一点として、災害に伴う等外規格外米の発生はどの程度あるかという点でございますが、これは先生のお話は、本年の、過去の災害全部であるのか特定の地域であるのか……
  78. 春日正一

    ○春日正一君 いや、今度の。
  79. 大河原太一郎

    政府委員大河原太一郎君) これはまず七月以来の経過を見ますと、長雨及び台風等の九州等において規格外米等の発生が言われておったわけでございますが、これについては後でも申し上げますが、自主流通米として……
  80. 春日正一

    ○春日正一君 ちょっと待ってください。私、北海道限定して聞いていますから。
  81. 大河原太一郎

    政府委員大河原太一郎君) 先にそのお話を承れば北海道だけ申し上げたのですが。  北海道につきましては、六号台風等によって規格外米の発生が予想されまして、当初は一万トンを超えるというようなお話でございましたが、現在は、生産者の五等以上の規格米にしようという調整の努力その他で流動的でございますが、最近の時点でわれわれが承知しておりますのは、主食用として配給可能な数量が約二千トンであろうと、それ以外に主食として配給がむずかしいというものが千トンを超えるのではないかというような数字を報告を受けております。
  82. 春日正一

    ○春日正一君 そうすると、その規格外の米はあれですか、農民が全量政府で買ってほしいと、自治体もそういうように陳情しておるわけですけれども政府としてはどういう方針ですか、お聞かせ願いたいのですが。
  83. 大河原太一郎

    政府委員大河原太一郎君) お答え申し上げますが、これにつきましては、従来、災害でない場合は、規格外米でございますとくず米なり特定低品位米として生産者が実需者に直接売り渡しまして処理しておりますが、災害でございますのでこれを政府としても処理しなくちゃいかぬ。その場合にはやはり自主流通米として規格を設定して農家に売っていただく方が、政府が規格外米として買い入れるよりも農家の手取りが多いというようなことで、まず自主流通米として処理していただいているというのが取り扱いでございまして、現在の北海道なりその他のその以前に起きました各被害県におきましてもそのような措置をとっておるわけでございます。
  84. 春日正一

    ○春日正一君 つまり、自主流通米として売ることを農家にも奨励し指導しておいでになるし、同時に、卸売業者というんですか、そういう方にもそういう形で指導しておいでになるということは聞いているんですよ。だから、それで、政府に売るよりはいい値段で全部売れてしまえば問題ないわけですけれども、しかし、残ったものはどうするかということですね。
  85. 大河原太一郎

    政府委員大河原太一郎君) 段々のお尋ねがございますが、天災融資法適用を受けるような被害地域等におきましては、自主流通米によって最善の努力をしていただいてもなおその処理が困難な主食用の配給可能な米につきましては、政府としても、従来もそうでございますが、一定の規格を設定してこれを買い入れて被災農家の方に御不安を与えないというような処理を進めておるわけでございまして、今回も、北海道被害米の処理の実情を見まして適切に対処いたしたい、このように考えております。
  86. 春日正一

    ○春日正一君 私、これを準備する過程でお聞きしたんですが、まあ、食糧になる分は買うというふうに聞いたんですよ。食糧にならぬ分がどうなるか、それがまあ農民が一番心配しているんでしょう。自主流通で売れていく程度のものなら心配ないけれども、もっと被害が大きくて食糧として売れないと。しかも、自主流通みたいな形で出せば、いわゆる鳥のえさか豚のえさというようなことで安く買いたたかれてしまいはせぬかというようなものに非常な不安を持って政府に救済を求めておる。そういうものはどう扱うつもりですか。
  87. 大河原太一郎

    政府委員大河原太一郎君) お答え申し上げます。  食糧庁、食管の方で買い上げますのは、やはり、たてまえとして主食として配給可能なものということで、従来は等内あるいは規格の適格米を買い入れるわけですが、繰り返すようでございますが、災害でございますので規格外のものを設定して買うと。そのような主食として配給も可能でないものにつきましては、やはり特定低品位米その他として、あるいは米の米粉とかあるいは菓子とか、そういう実需者にこれを売り渡すような指導をしておりますし、従来もそれで片づけてきたということで、その場合においては、現地の食糧事務所におきましてもあっせんなりあるいは品質区分等の指導というようなことに万全を期しまして処理してきたというのが、従来もそうでございますし、今回もそのような措置で取り扱いたいというように考えております。
  88. 春日正一

    ○春日正一君 そうすると、二つありますけれども、一つの方は、食糧として配給できるものは政府が買い上げになると、そういう場合に値段はどのくらいでお買いになるんですか。
  89. 大河原太一郎

    政府委員大河原太一郎君) これは等外規格外米でございますので、やっぱり一等から五等までの本来の政府買い入れ価格の規格よりも——その被害米の混入率とかあるいは未熟米の混入率とか、いろいろな農産物検査規程に照らした規格を設定して、その規格に基づく価格を決めるということになっておりますが、最近の例をちょっと申し上げますと、従来、四十九年度も若干のその災害米を買っておりますが、その災害米に生産者価格の本年のアップ率、そういうものをめどにいたしまして価格を設定しますが、規格米よりも品位が落ちますので、その点は割り引かれるということはやむを得ないことだと思います。
  90. 春日正一

    ○春日正一君 大体五等米というのが一番低いんでしょう。それかそれに準ずる程度の値段では買ってあげられるというふうに理解していいですか。もっとうんと低いんですか。
  91. 大河原太一郎

    政府委員大河原太一郎君) 大体、この数年の例を見ますと七割程度でございます。
  92. 和田静夫

    委員長和田静夫君) 時間ですから……。
  93. 春日正一

    ○春日正一君 ええ、私もうまとめます。  それで、災害を受けて非常な打撃を受けているわけですわ、農業経営の上でも。だから、そもそもこの災害は、ということから論じなければならぬことですけれども、もう時間ですから省きますけれども、今度の災害ね、これは大臣も聞いておいてもらいたいんですけれども、というのは、私現地へ三日行って聞いてきました。自治体でもまた農民でも言っておることは、とにかく石狩川の堤防の整備が悪いということと、内水排除の設備が不十分だということだと、しかもその不十分な施設さえ十分な管理運用がなされてなくて、そのミスなんかのために余分な被害も起こしておる、そのために堤防を切らなければならぬような事態も起こっておると、そういう意味で現地の農民も言っておるし、自治体の人々も言っておるけれども、これは単なる天災ではないと、もちろん天災というものはあったんだけれども、それにプラス政治の災い、政災だというふうに言っておりますよ。だから当然政府としてこの被害を受けた農民に最低限の救いをするというだけの責任は私はあると思うんですよ。だから当然——この論はもうやりませんけれども、そういう責任はあるはずだということなら、この災害被害を受けた、水につかったために質が悪くなったお米を、まあ一等米の値で買えとは言わぬけれども、せめて最低の五等ないしそれに準ずる若干安い程度のお金で買ってあげるというのが政府の責任ある態度じゃないのか。もう一つは、それでも売れない、いわゆる何と言うんですか低品位米ですか、そういうようなものにしても、まさにこういう米ができたってことが最大の被害ですわ。米の質が悪くなって売り値が下がったということが被害程度をはかるものなんだから、まさにそういう一番悪い米が出た人たちが一番の被害者なわけですわ。そうしたらその人たちを救うという手だてを考えるのが政治というものじゃないのか。だからそういう意味で、私はこの米というのがあれにも入らないのですよ。もうこれ以上、私、もっと詳しく立ち入って言うつもりでしたが、大分時間も経過して皆さんに御迷惑をかけているからここで打ち切ろうと思いますけれど、この問題だけははっきりしておきたい。つまり、そういう低品位米ができても、農業共済の場合、これは共済の対象にはならないのですね、実際問題として。そうして政府の買い上げの対象にもならぬということになれば、踏んだりけったりじゃないですか。だから、そういうものこそ政府が適当な値段で買い上げて、そうして農民に対して損失をできるだけ少なくしてあげると、そうしてそういうものを政府が製粉業者にでも製菓業者にでもさばいたらよろしい。だからそこらの辺ですね、そこらの辺の考え方、これは政治の問題ですから大臣にお聞きしますが、局長に聞いてもあれですから。そういうふうな問題、つまり災害を受けて米の質が悪くなったと、それをまあ食糧になるものは買うとすれば、悪くはなっておるけれども相当いわゆる歩をつけて買ってあげなきゃならぬ筋のものだろうと、食糧にならぬような、米にひどい災害を受けた人には、やはりそういうものを救うという意味で、適正な値段でこれを政府が買い上げてやると、そうしてそれをまあ製菓業者なり何なり使えるところへ政府として売ってやると、そうしてその差額は一般会計で埋めていくというようなことを考えられないのか。一千トンとしてみたってですね、それで一万円としてみたって一億数千万で済む計算でしょう。だからそこらの辺を政治としてどうするかと、その答えを農民は期待しておるわけですが、そこをお聞きして私は質問を終わりたいと思いますから、ひとつお願いします。
  94. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) まあ天災といいますか、災害を受けられたこの被害者の皆さん方が大変お気の毒であるわけでございます。特に農民の皆さん方にとりましては農作物が甚大な影響を受けるわけですから大変お気の毒でありますし、まあそういう方々の御要望にこたえてわれわれとしても災害対策を進めておるわけでありますし、この天災融資法改正お願いしておるのも、現在の情勢から見て融資限度も倍額に上げなきゃならぬと、それも六号、五号にさかのぼって適用すべきであるという考え方から実はお願いをして、こうして御審議をいたしていただいておるわけでございますが、そういうことですから、いろいろと問題はあるわけでありますが、政府としては、この災害に対する対策としては、できる限りのことはしなきゃならぬと思っておるわけでありますし、先ほど食糧庁長官が申し上げましたような等外規格外米につきましても、食糧になるものは、食糧庁としてはこれまでの被害災害のときもそうですが、積極的にこれを買い上げると、その他の米についてはあっせん等を積極的に行うということになっておるわけでありますが、しかし、これはただこういうことで食糧庁として努力しておるだけではなくて、農済制度等もあるわけでありまして、災害が起こった場合においてはそれを救済するという制度等もあわせてこれを運用いたしまして、そして農民の皆さんの被害ができるだけ少なく、さらにこれが救済されるように全力を挙げておるわけでありますし、この最近に起こった天災等につきましては、そういう考え方から全力を尽くしておるのが今日の現状でございます。
  95. 和田静夫

    委員長和田静夫君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  96. 和田静夫

    委員長和田静夫君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。——別に御発言もないようですから、これより直ちに採択に入ります。  天災による被害農林漁業者等に対する資金融通に関する暫定措置法及び激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  97. 和田静夫

    委員長和田静夫君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  98. 和田静夫

    委員長和田静夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時三十八分散会      —————・—————