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1975-12-10 第76回国会 参議院 公害対策及び環境保全特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年十二月十日(水曜日)    午後一時十五分開会     —————————————    委員異動  十二月十日     辞任         補欠選任      橋本  敦君     近藤 忠孝君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         藤田  進君     理 事                 森下  泰君                 山内 一郎君                 栗原 俊夫君                 内田 善利君     委 員                 井上 吉夫君                 金井 元彦君                 菅野 儀作君                 原 文兵衛君                 藤井 丙午君                 神沢  浄君                 浜本 万三君                 福間 知之君                 小平 芳平君                 沓脱タケ子君                 近藤 忠孝君    国務大臣        国 務 大 臣        (環境庁長官)  小沢 辰男君    政府委員        環境庁長官官房        長        金子 太郎君        環境庁企画調整        局長       柳瀬 孝吉君        環境庁企画調整        局環境保健部長  野津  聖君        環境庁大気保全        局長       橋本 道夫君        環境庁水質保全        局長       堀川 春彦君    事務局側        常任委員会専門        員        中原 武夫君    説明員        厚生省環境衛生        局食品化学課長  宮沢  香君        厚生省薬務局安        全課長      代田久米雄君        通商産業省基礎        産業局基礎化学        品課長      石原 純徳君        通商産業省基礎        産業局化学製品        課長       太田 耕二君        工業技術院標準        部繊維化学規格        課長       森川  武君        運輸省航空局飛        行場部長     梶原  清君        労働省労働基準        局安全衛生部労        働衛生課長    山本 秀夫君        消防庁予防課長  永瀬  章君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○公害及び環境保全対策樹立に関する調査  (合成洗剤含有成分及びJIS規格に関する  件)  (塩化ビニルによる環境汚染及び健康被害に関  する件)  (苛性ソーダ製造法に関する諸問題に関する  件)  (大阪国際空港周辺の騒音問題に関する件)     —————————————
  2. 藤田進

    委員長藤田進君) ただいまから公害対策及び環境保全特別委員会を開会いたします。  委員異動について報告いたします。  本日、橋本敦君が委員を辞任され、その補欠として近藤忠孝君が選任されました。     —————————————
  3. 藤田進

    委員長藤田進君) 公害及び環境保全対策樹立に関する調査を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 森下泰

    森下泰君 私は、本日、合成洗剤の問題につきまして御質問をいたしたいと存じますが、その前に、私ども公害及び環境委員会をやらしていただいておりまして、考え方について、特にこの機会に委員といたしまして発言をさしていただきたい。きょうは環境庁長官おいでをいただいておりますので、特に私なりに考えております基本的な立場につきまして、−この際発言をさしていただきたいと思います。  要点は三つございます。  一つは、この一年半、当委員会でいろいろ諸先生方の御意見を承ってまいりました。また私も一、二度質問さしていただきましたが、おしなべて、伺っておりまして、特に野党の先生方の御意見を承っておりますと、私なりに非常に納得のいかない考え方がございました、大変失礼ではございますが。それは経済成長というものが望ましくないものであると、かような御見解を多々伺ってまいりました。またその内容として、企業は悪である、産業あるいは企業というものが、その存在自体あるいは活動自体そのものに問題があると、かような御指摘が多々ございました。裏を返しますと、福祉国家あるいは福祉社会というものの建設が最優先でありまして、また公害対策環境改善ということが非常に大事である、その裏を返しますと、経済成長あるいは産業企業というものがよろしくない存在である、黙って伺っておりますと、さように解釈をせざるを得ないような御意見が多々ございました。私は、その点につきまして、まず率直に申し上げますが、もとより社会福祉あるいは公害対策が必要でありますことには異論はございません。当然それぞれに対して措置を行い、前向きに建設をしていく、もとより賛成でございますが、だからといって、経済成長あるいは企業あるいは産業というものをないがしろに考えるのは間違いではないか、むしろ逆に経済成長あるいは産業界企業がしっかりし、発展をしますことによって、社会福祉公害対策現実——観念ではなくて現実解決がされ、望ましい発展が行われるのではないかと、かように考えてまいった次第でございます。  第二は、その内容としての成長でございますが、先般の予算委員会におきましての赤字国債の論議を伺っておりましても、このたび非常に多額の赤字国債が発行になります。いまから十年前の昭和四十年に三千億の赤字国債が発行されまして、しかし、それはその後十年間の経済成長、それに伴う財政規模拡大によりまして三千億の赤字国債はみごとに消化をされ、償還をされました、処理がされてまいりました。大変結構でございました。ところが問題は、このたび三千億ではなくて五兆四千八百億という赤字国債が発行されますと、これをこれからどうやって償還をし、消却をしていくかでありますが、そのためには昭和四十年代の少なくとも十倍から十五倍の経済成長がありまして、財政規模拡大をし、経済発展をいたしまして、初めて完全に償還をされ、消却をされるべき性質のものでございます。そういたしますと、この際むしろ経済は大きく成長発展しなければ、その問題につきましても解決しないのではないか。先ほど申し上げました福祉の問題にしてもそうでありまして、福祉国家福祉社会建設は非常に結構であり、またそうでなければなりませんが、しかし、それは何が原資として行われるかと言いますれば、経済成長し、その余力をもって福祉が実現されるのでありまして、経済成長なくして福祉は実現できないのではないか。率直に申せばさようにまで申したい次第でございます。  なお、公害につきましても、実は公害基本法経済との調和という言葉がなくなりましたことは、それは経済との調和が必要ではないというのではなくして、もっと基本的な問題として当然のことでありまして、当然のことでありますから特に記載を要しない、こういう考え方であの字句が削除されたものであると私は解釈をいたしております。また、そうでなければならぬのではないか、経済の問題を捨象いたしまして、ただ公害対策あるいは社会福祉と申しましても、問題のいかなる具体的な解決もないのではないか、あえて申し添えておきたい次第でございます。経済成長のためには、当然に必要なことといたしましては資源確保があります。資源確保されなければ、日本のように資源のない国といたしましては発展をいたすことができません。具体的には石油の問題あるいは食糧の問題がございまして、このことにつきましては、きょうはそれが主題ではございませんが、私は、国の力というものが大きく強くなってもらわないと資源の問題のいかなる解決もない、かように考えます。実は、この八月も世界を一周をいたしてまいりましたが、どこへ参りましても、どの国も、さような形で国の力を強化するということが一斉に行われておりまして、私は、この日本につきましても、資源確保という点で国の力をもっと考える、認識をするということが必要ではないか、かようにあえて申し上げたい次第でございます。なお、経済成長のためには申すまでもなく生産性向上生産性向上によりまして輸出市場が健全に改革をされる、一方で国の力、他方におきまして経済基本的な力、それは付加価値をつくります生産性向上、他の国に比しましての優位というものが絶対に必要でございまして、さような努力が今後行われてまいりませんと、日本経済発展どころか沈滞あるいは低下をせざるを得ない。経済沈滞低下をいたしまして、いかなる福祉もいかなる公害対策も不可能ではないか、特に申し添えておきたい次第でございます。  第三の問題は、企業でありますが、この企業が戦後の三十年間、あえて私自身企業人でございますので特に申し上げたいのでありますが、企業がこの三十年間日本の国、社会全体の経済成長を支えてまいりました。そればかりではもちろんない、悪い面もあるということにつきまして認めるのにやぶさかではございませんが、しかし、この日本の戦後の三十年を支えてきましたのは、私は、企業であり、産業界である、ほかにももちろんございますけれども、大きく産業界企業の力があずかって力があったのである、かような認識を持ってまいりました。その点につきまして、さらに申し上げたいことは、企業そのもの幾ら努力をいたしましても、消費者あるいは国民、社会の御理解と御支持をいただかなければ、企業あるいは商品というものは成長をいたすものではありません。勝手につくりましたり、勝手に値段を上げまして、商品製品が売れるものではありません。したがって、常に企業社会性を持つ、社会性を持たなければ発展ができないというのが現在の日本自由社会体制基本原則でありまして、したがって、企業が何でも悪いことをする、存在が悪なんだという考え方は、その点におきまして根本的な認識が、私から言わしていただけば少しく間違っておるのではないか。企業そのもの社会性を持ち、社会性をとるようにいたしまして初めて発展をいたし得ます。基本的に善である、社会性を持っておる、持っておらなければならない、持っておらなければ発展ができない、かように申し上げておきたい次第でございまして、ただそこに企業のサイドにおきまして、あるいは産業界におきまして行き過ぎがありましたり、あるいは個別企業におきましてのよろしくない問題が存在いたしますことはこれまた申すまでもありません。その点につきましては、当然国会あるいは行政府がその場合に修正をする、これが必要であることにつきましては異論はございません。ただ基本的に現在の自由社会体制におきましては、企業社会性を持たなければ発展をいたしませんし、常にそれが基本であり、本質である、かように申し上げたい次第でございます。  その問題の最後といたしまして公害でございますが、特に公害につきましては、現在の一般的なと申し上げると語弊があるかもわかりませんが、私が当委員会で承ってまいりました諸先生方の御意見を承っておりますと、残念ながら私には納得のいかない点がたくさんにございます。それは一言で申せば角をためて牛を殺す、角をためて牛を殺すという結果になるのではないかというような私ども認識でございまして、実は具体的にはこの十一月でございますが、文藝春秋という雑誌が出まして、その十二月号に魔女狩り云々という論文が載っておりました。このことにつきまして一言申し上げておきたいんですが、私はあの論文内容全体が正しいというふうに考えるものでは決してございません。もしあの論文内容全体が正しいものでありますれば、大変失礼でございますが、いろいろの方面に問題が発生をいたしまして、たとえば現在までの政府、特に厚生省あるいは環境庁施策自身につきましても大きな間違いがあったということになりまして、ゆゆしき事態ではないかと、かように考えます。したがって、あの文春記事自体がすべて正しいとは私は決して考えておりません。しかし、そうした意見が出てきますと、あるいはああした考え方もあるということにつきましては、この際私は検討を要するのではないか、特に当委員会におきましてお取り上げをいただきまして、諸先生方の御意見をいただくべきではないか、あるいは政府に対しまして問題の内容をただすべきではないかと、かように申し上げたい次第でございます。あえて申せば、あの文藝春秋は御案内のとおり前に田中金脈問題を取り上げられまして、そしてそれが端緒になりまして、しかじかの経過がいたしました。御案内のとおりでございました。したがって、あの場合も同様に、あの田中金脈問題を取り上げました文春論調自身が全部正しいものではないと、私はさように考えます。しかしまた同様に、それを端緒にいたしまして、そこから問題を取り上げるという対象には値するものではないか、かように申し上げたい次第でございます。したがいまして、今後の当委員会におきまして、私は私なりにあの文藝春秋に載りました諸問題、実は、きょうはその中から合成洗剤問題だけを取り上げさしていただきまして、そうして問題として提起をいたし、その事態の本当の解明に少しでもお役に立ちたい、かような考えを持ちまして実は本日の質問お願いを申し上げた次第でございます。  以上はなはだ言葉は過ぎましたが、私なりの考え方基本をあえて申し上げさしていただきました。  それでは具体的な質問につきまして、お願いを申し上げます。全部で十点ございます。  第一点は、ただいま申し上げましたかような考え方から、特に合成洗剤につきまして、まず環境庁の御担当官にお伺いをいたしますが、現在の合成洗剤に含まれております燐の問題でありますが、これが富栄養化原因とも言われておりますが、この点につきまして環境庁の御意見を承りたい。つまり燐を減らすのはどうして減らす必要があるのか、あるいは富栄養化は燐だけの問題であるのか、あるいはそれ以外にも要素があり得るのか、この点につきまして環境庁お願いいたします。
  5. 堀川春彦

    政府委員堀川春彦君) お答えを申し上げます。  合成洗剤には燐分が入っておるわけでございますが、これらが窒素などの他の元素の問題と同様、栄養塩類といたしまして水域に流入蓄積されました場合に、それがいわゆる水域富栄養化という現象を呈するというふうに言われております。具体的には、その結果といたしまして赤潮とかアオコ、こういったようなものが発生をいたしまして、そうして水産物被害が生ずるというふうに考えられております。したがいまして、富栄養化原因物質といたしましては燐ばかりでございませんで、窒素も同様に並んで大きな発生源であろうと思います。これらの富栄養化原因となる物質が、それではどこからどういうふうに出てくるかという問題になりますと、これは発生源といたしましては多種多様でございまして、工場排水によるもの、農地排水によるもの等もございまするが、過去の私どもの集積いたしましたデータによりますと、たとえば琵琶湖では燐の場合に四割ぐらい、霞ケ浦では三割ぐらい、諏訪湖では五割ぐらい、ややデータは古うございますが、瀬戸内でも五割ぐらいが家庭排水によるものというふうになっております。したがいまして、こういった家庭排水から出てくる燐をいかにして公共水域に入る場合に少なくするかということについていろいろの対策が総合的に講ぜられる必要がございます。いまのところ下水処理等の点につきましては、大変下水普及率も悪うございまするし、それからまた下水処理によりましてこの窒素燐等を除去をするということが技術的にもまた経済的にもかなり困難な面があるというようなことがございまして、下水整備は一般的に水質をきれいにするために大いに今後力を入れて進めていかなければならぬわけでございますけれども、また別途この家庭排水の中におきましては、合成洗剤の中において含まれておりますところの燐のウエートというものがきわめて高い、いろいろ調査がございますが、三割ないし五割くらいになるのではないかという推計もございますので、したがいまして、合成洗剤対策をやりまして、できるだけ洗剤の中に含まれる燐の量を少なくして、そしてなおかつ洗浄能力のあるような合成洗剤技術開発の結果生み出していくということが大変基本的に重要ではないかというふうに考えております。
  6. 森下泰

    森下泰君 こう解釈してよろしいんですか、燐は少ないほどいいんだと、それで合成洗剤にも入っておるから、それも減らした方がいい、こういうことですね。
  7. 堀川春彦

    政府委員堀川春彦君) これは主として水産物関係から論ぜられるウエートが高いわけでございます。水産物関係では、これは水産関係の方で用いております水産環境水質基準ということからすれば、燐の場合には〇・〇一五ppmというような数値もございます。したがいまして、これはそういう環境水準を超えますと水産関係に悪しき影響が出てくるという観念で設定をされているものというふうに理解をしておるわけでございますが、それじゃ少なければ少ないほどいいかという話になりますと、やはり一定量栄養塩類が水の中に溶けてあるということがプランクトンの一定量発生を促し、それが逐次生物の循環を経まして魚のえさになっていくという関係がございますので、燐が絶無の方がいいというふうには言い切れないと思うわけでございます。
  8. 森下泰

    森下泰君 わかりました。それはその程度で結構でございます。  次に、通産省にお伺いをいたしますが、合成洗剤にはなぜ燐が必要であるか、具体的にちょっと御説明をいただきたいと思います。
  9. 太田耕二

    説明員太田耕二君) お答えいたします。  燐が、具体的に燐と申しますが、具体名を申し上げます。トリポリ燐酸ソーダという形で含有しておるわけでございまして、この燐酸トリポリ燐酸ソーダ役目でございますが、簡単に申し上げますというと、洗浄助剤という形になってまいります。  それをもっと具体的に機能的に御説明申し上げますというと、まず第一番目、硬水キレート能と称しまして、これは結局硬水、すなわち重金属類トリポリ燐酸ソーダが吸収をいたします。そういたしますというと水が純粋に近くなってくる。そうしますと洗剤溶けぐあいがよろしくなってまいります。ちなみに、化粧石けん等をおふろ場でお使いになりますというと、石けんあかが出てまいりますが、そういった石けんあかが出るのを防ぐ役目のことを申し上げておるわけでございます。二番目は、衣類から取れました汚れを水の中に安定的に分散して保っておくというふうな能力でございます。簡単に申し上げますというと汚れ分散能力と申します。三番目は若干のアルカリ性を付与いたしますから、アルカリ性それ自身がいわゆる人間の汚垢——汚れあかでございますが、それを溶かす性質がございますから、そういった機能を付与する。それから、その他いろいろございますが、それ自身若干の洗浄能力、これはアルカリ源としての作用も含めまして洗浄能力がある、こういった性質がございます。そこで、これは世界各国で一番いい洗浄助剤として広く使われている品物でございます。
  10. 森下泰

    森下泰君 よくわかりました。  それでは、先ほど環境庁の方から燐がなるべく少ない方がいいということで、燐の入っておる諸製品についてはできるだけ少なくするように考えた方がいいと、こういうことなんですが、そういうことで通産省の方では合成洗剤の中に入っております燐について現在どのような行政措置をとっておられますか、簡単にちょっとお話しいただきたい。
  11. 太田耕二

    説明員太田耕二君) 実は昨年でございますが、環境庁の方から強い要請がございまして、燐をできるだけ減らすように業界を指導してほしいということでございました。それに基づきまして、実は昨年でございますが、昨年の時限におきましてまず業界にそういった環境庁の趣旨を正確に伝えますと同時に、業界をして五十年から一五%以下に燐分をする、これは無水燐酸の形で一五%以下にするということで、その後もなお一層減らすように、こういうふうな形に業界申し合わせをやらせたわけでございます。ことしに入りまして、さらに一五%を一二%以下に五十一年からさせるというふうな申し合わせをやらしたわけでございます。一五とか一二とかというふうな数字を申し上げましたが、現在JISの方ではマキシマム二〇%までいいことになっております。したがって、それを一五にし、さらに一二にするというふうなことを現在やらせているわけでございます。
  12. 森下泰

    森下泰君 それでは通産省に重ねてお伺いをいたしますが、いまの一五%、一二%あるいは二〇%の問題ですが、最近に業界で発売されましてテレビのコマーシャルその他に乗っておりますが、例の濃縮洗剤の問題なんですが、この濃縮洗剤の中には従来の洗剤より多くの燐が入っておるのではないか、あるいは濃縮洗剤の中に入っておるいわゆるP2O5ですが、その含有率について各製品含有率が若干違いますね、これについてちょっと各製品別のP2O5の含有率を御報告いただけませんか。
  13. 太田耕二

    説明員太田耕二君) ただいま先生指摘の件は、実はことしの七月下旬でございますが、花王石鹸が「ザブ」という商品名の新しいタイプのものを発表いたしました。これは旧来のものでございますというと、燐分が、まずトリポリ燐酸ソーダで申し上げますというと一七から二〇%、燐分で申し上げますというと一二%未満というふうなことで入っておったわけでございますが、この新しい「ザブ」の品物トリポリ燐酸ソーダで二八ないし三〇%、したがいまして、燐酸分で一七ないし一八%入っておるわけでございます。その数字は確かにただいま申し上げましたいわゆる通産省を通して業界にやらしめております行政指導の線、すなわちことしは一五%、来年は一二%という線から逸脱いたします。この辺の履歴を申し上げますというと、実は来年から一二%にしようというふうに申し合わせましたのがことしの六月の下旬でございます。その後花王が新しいタイプのものを発表したという形になっておりますが、この六月に申し合わせましたときは、この新しいタイプというものは、実はマーケットに出る前であったわけでございます。この新しいタイプは従来のものに比較いたしまして約三分の二の量で済む、これは重量で三分の二です、ボリュームで約半分になる、こういうことでございます。そういたしますというと、当初の燐を減らすという目的は、これは合成洗剤を使用することによって下水等を通って公共用水域に排出される燐量を減らすというふうな目的でございますから、その配合比率といたしましては確かに新しい製品業界申し合わせ事項を逸脱しておりますが、使用量が約三分の二、正確に申し上げますというと六二・五%になりますんですが、これは四十グラムから二十五グラムに減ったということによって生ずるわけでございますが、その辺のファクターをかけますというと、大体において一一%の無水燐酸になるわけでございます。そういたしますというと、総量的には一応業界申し合わせに満足いたしますが、最終的にはそういったものはやはり配合率といたしましても、この業界申し合わせの一二%以下にするのが至当であろうというようなことで、当業者、すなわち花王石鹸でございますが、今後技術開発を進めて、この配合規制をも満足する形の新製品をつくって、なるべく早く減らすように努力するように強く申し入れしてございます。
  14. 森下泰

    森下泰君 ただいまの御説明でよくわかりましたんですが、私がパーセンテージ——配合率行政指導を拝見しておりまして、いままでは二〇%、一五%、一二%というように、配合率行政指導が行われてきたわけですね。ところが、いまおっしゃるように、二十五グラムで四十グラムの目的を達するんだから、したがって、率としては一一%に下がるんだと、こういう考え方配合率規制から絶対値の総量規制の方に、考え方に変わるということを意味いたしますね。で、いまのお話では、それはそうではないんだと、あくまで配合率規制が通産省としての規制指導の方針であると、かように認識してよろしいですか。
  15. 太田耕二

    説明員太田耕二君) 配合規制、総量規制というのは便宜使わしていただきましたわけでございますが、この花王石鹸が発売いたしました新製品業界申し合わせ事項を逸脱しておるというふうなことが起こっておるわけでございます。それに対しまして燐の総排出量を減らすというのが実は当初の目的であったわけでございますから、その目的は、そういった総量規制の考え方、排出総量という考え方にいきますというと、一応は満足しておると考えられるということを申し上げまして、しかしながら、最終的にはやはり燐はできるだけ減らすべきである、したがって、方向といたしましては配合規制をも、配合基準的なものをも満足する方向にいくべきであろう、それが非常に決め方としても簡単でございますし、それがその当初の燐量をできるだけ減らすという目的にも合致するわけでございますから、最終的にはもっともっと減らす必要がある、その一つのワンステップと申しますか、それといたしまして、この配合基準をも満足するような形でもってより努力する必要があるということの意味でございます。
  16. 森下泰

    森下泰君 大体私が申し上げておるのと同じお考えだと思うのですが、もう一回確認いたしますけれども、いまの私の言葉で言えば、配合率規制で来ましたものを、ある時点で、ある製品につきまして総量規制にその点だけ妥協するというのでは、やはり消費者納得がございませんし、実際上消費者は、この製品は何%、この製品は何%ということで、実際は混乱が起こるのではないかとも考えられますし、それから、これから一二%を、さらにパーセントを下げていくという場合にもいろいろ問題が出てくると思いますので、したがって、いまの御意見は、あるいは通産省のお考えは、もう一回確認いたしますが、このように理解してよろしいですか。たとえば一言で申せば、濃縮洗剤という別個の新しい製品ができたんだ、いままでの洗剤については一二%でなければならない、しかし新しくできたのは量を使うのは少ないんだから、だから一八%でもいいんだということになってきますね、いまのお考えでいきますと。将来の問題として製品別に全然別個の製品と考えて、いままでの合成洗剤ならば一二%、新しいものについては、この場合一八%、あるいは細いこと言ってさましたら三五%とか、あるいは逆に五%とかいう場合もあり得る、もし含有率で規制をしていくのでしたらそういう考え方でなければならぬはずでございます。そうですね。その点を、もう少しはっきりしていただきたい。
  17. 太田耕二

    説明員太田耕二君) 配合基準値をいかにするかというふうな件につきましては、実は正直申し上げまして確たる成案はまだ得ておりません。なぜならば、これはJISで最終的には決まる問題でございます。JISの方にそういった実情を話して、JISの実情に、そしてまた将来施行する目的に沿って改正していただくように現在検討中でございます。私どもといたしましては、先ほどから申し上げておりますのは、暫定的に新しい品物ができたのであるがゆえに、燐量を減らすという当初の目的をまた満足しているがゆえに、暫定的にはこれは認めても差し支えなかろう、しかしながら目標といたしましては、やはりこの配合基準値とした一二%をも満足する方向にいくべきであると、こういう考えでございます。
  18. 森下泰

    森下泰君 よくわかりました。  これは通産省に希望でありますけれども、一方におきましては、先ほど初めに私が申し上げましたように、また先ほど課長のお話ありましたように、合成洗剤日本の国民生活に洗浄、洗剤という意味で非常に大きな社会的貢献をいたしておるわけです。それからまた、今後ともにしていただかなければならない。あるいは国際的な輸出その他の問題もございます。したがって、不必要な規制あるいは行き過ぎた制約というようなものはあくまでも間違いでありまして、先ほど環境庁の御意見もありましたが、現実に燐が全部なくなったらええというものでもないんだと、こういうお話でありましたが、それがある一定量超えますれば問題である。その一定量につきましては、私が先ほど指摘をいたしましたどこかに常識的な線がありまして、ただ一部の見解がぎゃあぎゃあ言ったから規制しなければならぬのだということでは、非常に行政としては私は間違いではなかろうかと思います。したがって、通産省が権威のある御見解で、そして必要な最小限度、あえて申し上げますが、必要な最小限度に規制をしていただくという方向で考えていただきたい。と同時に、いま一つは、いまるる御説明ありました、あるいは私が申し上げたように、国民にわかりやすい、あるいは納得のしやすい、だれが聞いてもそれはそうじゃないかというような形での規制が具体的には必要ではないかと御指摘をいたしておきます。残念でありますが、四十グラムにすればこう変わるのだとかいうようなことでは、実際の国民が、消費者が間違いをいたしまして混乱が起こるのではないか、論理としては通らないのではないか、かように考えますので、特に御質問さしていただきました。  次に、同じく通産省伺いますが、四十七年の八月に実施されましたJISの規格の中で医療用合成洗剤の品質についてP2O5が八から二〇%というふうに表示がされております。先ほど御説明があったとおりです。それで伺いたいことは、現実には、これも先ほど御説明があったように、各メーカーともにあの四十七年八月一日のJIS規格のように努力をして、内容を改善いたしまして生産が行われておるはずでございます。その製品にどうして現実にはJISマークがついておりませんのか、この点についてひとつ御説明願いたいと思います。
  19. 森川武

    説明員(森川武君) お答え申し上げます。  JIS規格は強制規格ではございませんで、わが国の工業製品の目安でございます。で、合成洗剤の場合は大部分が大手メーカーによって生産されておりまして、現在非常に不良品が出回っているとかそういったことはございませんので、JISマーク指定商品として消費者保護を図ると、そういう考え方からは非常に重要性が低い、そういうふうな立場から現在JIS指定商品にはしてございません。
  20. 森下泰

    森下泰君 それはよく知っておりますが、それならば現時点で各メーカーがJIS規格に合格をしておる製品について希望あるいは申告をいたしますと、通産省としてはそれをお認めになるというお考え方ですか。
  21. 森川武

    説明員(森川武君) 現在JISマーク指定商品に指定しておりませんので、JIS規格の規定を満足した製品が出ておりましても、その製品JISマークを打ってもらうということは、現在の制度ではできません。
  22. 森下泰

    森下泰君 それもよくわかっております。したがって、JISマーク記載製品に今後しようというお考えはございませんか。特にいま論議をされておりますように、いろいろ問題が発生をしておりまして、消費者が安心をして使っていただけるということが世論としていま要望されておるんではないかと、かような立場から御質問いたします。
  23. 森川武

    説明員(森川武君) 合成洗剤そのもののJIS規格につきまして、従来、先ほどからの御指摘ございました洗剤中の燐分の問題とか、そういったことで改正作業を進めておりまして、その段階におきまして改めてJISマーク指定商品にするかどうかということを検討していきたいと考えております。
  24. 森下泰

    森下泰君 よくわかりました。  それでは、かように解釈をしてよろしゅうございますね。現在新しくJIS規定のいま改善が行われておる、改正作業が進んでおる、それが進みました段階で、マークの記載につきましても前向きに新しく考えることをその内容として検討が行われておる、かように解釈してよろしいですか。
  25. 森川武

    説明員(森川武君) はい。
  26. 森下泰

    森下泰君 ありがとうございました。  次に、環境庁にお伺いをいたしますが、いま通産省からお話のありましたように、JISの品質表示につきまして前向きに検討が行われておる、新しく設定がされると、かような様子でございますが、その場合に合成洗剤専門委員会の構成メンバーに環境庁からどなたかがお入りになるという御予定がございますか、お伺いをいたします。
  27. 堀川春彦

    政府委員堀川春彦君) こういった規格の問題を審議するための機関にどういう人を充てるかということは、これは通産省の問題でございまして、私どもの方の関係者に入ってもらいたいけれどもどうだということであれば検討いたしますが、現在までにそのようなお話はございません。私どもといたしましては、そういう場の中に直接的に私どもの担当のたとえば職員が入っていくことが適当かどうかということも、もしお話があれば検討したいと思いますが、そういう場に入らなくても、私どもといたしましては、こういった合成洗剤中に含まれる燐の環境に及ぼす影響ということから重大な関心を持っておりますので、いずれにいたしましても、通産省とはこういった問題、規格の問題も含めまして、十分私ども考え方も反映さしていただけますように努力をしてまいりたいと思っております。
  28. 森下泰

    森下泰君 よくわかりました。  通産省に最後にお伺いいたしますが、いま環境庁としてはさような御意見で、もちろん喜んで進んで参加いたしたいということのようですが、いままで私の知っておる範囲では、厚生省からは入っておられたはずだと思うんですが、環境庁の方からも入ってもらい、そして合成洗剤専門委員会が各省間の緊密な連携のもとに検討を加えていただくということについての現在の御方針はいかがですか。
  29. 森川武

    説明員(森川武君) お答え申し上げます。  合成洗剤の専門委員会の構成は、メーカーの方、それから消費者の方、それから学識経験者の方と、こういった三つの分野から専門委員お願いしておりまして、現在の専門委員会には厚生省から入っていただいておりまして、環境庁からは入っていただいておりませんけれども、現在JIS規格の原案がほぼでき上がっておりまして、いま専門委員会委員の選定をこれから行う段階でございますけれども環境庁にもぜひお願いしたいと、こういったことで事務局では準備を進めております。
  30. 森下泰

    森下泰君 ありがとうございました。  私の御質問をいたしたかったことは以上でございますが、最後に環境庁長官お願いを申し上げます。これはお願いでございますので、御回答はけっこうでございますが、一番初めに申し上げましたように、私は例の公害基本法経済との調和という言葉の削除につきましては、それは基本的な問題であるので特に記載を要しない、かような解釈をいたしておりまして、そして、どうしても日本経済自体が発展をいたしませんと公害、環境問題につきましても具体的な解決はできないのではないか、したがって、どちらが優先するとすれば、経済成長あるいは産業発展という方が優先をいたしまして、その力をもって社会福祉公害、環境の改善が行われるべきではないか、極端に言えばさようにまで考えておる一人でございまして、したがいまして環境庁、環境行政につきましてもそうした考えが強くある、特に産業界におきましては強い主張を持っておる、あるいはそれと正面から産業界自身が善意をもって取り組みまして、そしてよろしくない問題の解決産業界自身努力をして解決をしていくという前提のもとに、さようなお考えで今後の環境行政につきましてもお考えをいただきたいという強い希望を持っております。最後に希望だけ申し上げまして、終わります。
  31. 福間知之

    ○福間知之君 私は塩ビモノマーの問題を中心に時間の制約がございますんでしぼって御質問をしたいと思います。  その前に、いま森下委員からあえて高邁な公害問題と産業経済調和、こういう点についての御見解の表明がございました。なかなか含蓄ある御発言だと思いますので、私もあえて反対的な意見を申し上げる気はありませんけれども、時間があれば後ほど述べさしていただきたいと思います。ただ一言、今日までのわが国の公害問題は世界でもきわめて注目をされてきたという、また、それに値するまさに公害大国の名にふさわしい危害を私たちの肉体なり生活なり社会生活全般に投げかけてきたということを忘れてはならないと思うわけです。したがいまして、基本法の文言の修正が行われたということについては、必ずしも私、森下委員のおっしゃるようなことではないのではないか、それに対する一つの反省が私はあったんじゃないか、そんなような気がするわけであります。それはともかく、公害はやはり未然に防止をするということが私は何よりも大事だし、私たち国会の場でもそういう意気込みでこの関係法案の徹底したひとつ施行、実践というものを監視し、追及をしていくべきだろうと、こういうふうに私は思うわけであります。  さて、塩ビレモノマーの問題でございますが、比較的新しい公害としてクローズアップをしてきたわけでありまして、十分に実態が判明していないと私は思います。そこで、まず最近における塩ビ公害によって死亡した、あるいはまたその影響をこうむっている関係現場作業労働者、あるいはまた徐々に明らかになりつつあるようでございまするが、富山県における大気の汚染だとか、あるいはまた千葉県の一部における水質の汚濁だとか、そういう点にまで発展をしつつあるやにうかがえるわけでございます。したがって、厚生省の方になるかと思いますが——労働省はまだお見えじゃないようですね。三井東圧その他塩ビ製造現場における被害の実態、その後かなり拡大をしているやに伺っているわけですが、十月の二十四日に亡くなった森さんという労働者、それに付随して三井東圧ではすでに六人亡くなっていると聞いているのですけれども被害の実態というものをあらかたお聞きをしたいと思います。
  32. 小沢辰男

    ○国務大臣(小沢辰男君) これ、労働省が来ておりませんので……。
  33. 福間知之

    ○福間知之君 じゃ、それは後回しにいたしましょう。  じゃ、厚生省関係でお聞きをしたいんですけれども、アメリカの薬品局の方で十一月から規制を強めようとしていた容器の使用禁止ですね、これは十二月に延びたと伺っておるのですが、わが国の場合はどうなんでしょうか。
  34. 宮沢香

    説明員(宮沢香君) ただいまの先生の御質問についてお答え申し上げます。  実は塩ビ製の食器、容器につきましては、一昨年アメリカでウイスキーなどの酒精飲料の中で妙なにおいがするという事件が起こりまして、それは一体何だということで実際いろいろ研究してみたわけですが、そうしましたら相当量の塩ビモノマーが酒精飲料中に溶出しておったということでございます。さらに、それがイタリーのマルトニ教授の大量連続一年間吸入させた実験でございますが、肝臓の血管肉腫が高濃度の投与群に見られたというようなこともございまして、ことしの九月三日に、こういった硬質の塩ビ製の樹脂容器は、食品容器に使う場合には成分に溶出してこないような規制をする、こういう提案をいたしまして、十一月三日まで延期をしておったわけです。私ども実はアメリカの一昨年のそういう事件がございますので、塩ビ容器業者に対しては食品に出てこないような、こういう良質のものをつくるように指導はずっとしてきておったわけですが、昨年からずっとどういう材質を使ったら食品に出てこないかということを繰り返し繰り返し国立衛生試験所で実験をしておりまして、ほとんどその成案を現在得ております。したがいまして、アメリカのそういった、今度また十二月十二日まで延びたというように聞いておりますが、そういう動きとは別に、私どもは近く消費者の不安を除く意味におきましても食品中に塩ビモノマーが溶出してこないような容器、包装を市場に出回らせるような規制を加えていきたい、こういうことで進めております。
  35. 福間知之

    ○福間知之君 ことしの八月に例の都の衛研が、八十八検体ですか、調査をして一つの結果が判明しましたね。そのときに、かなり高い数値が検出されたわけですね。たとえば酒びんあたりで一四二ppmですか、あるいはサラダオイルびんで二九ppm等一応の結果が判明したんですが、前回の委員会でしたかで、厚生省の方はわりあいにそれは少なかったと、さらにまた古い容器であったということを強調されたように思うのですけれども、果たしてそうなのかどうか。その後厚生省の方は——私はある程度、都衛研のその調査と結果は非常に重要な意味合いを含んでいると思うんです。というのは、先ほどちょっと触れました、現場における被害者が、やはり死に至るまでの期間が十年ないし十五、六年かかっているというふうな実態のようなんですね。これが私は問題だと思うんです。潜伏期間が非常に長いということが非常に恐ろしいと思うんです。そういう点で私がお聞きしたいのは、都衛研のそういう結論というものを非常に深刻に受けとめておられるのか、そうじゃないのかということですね。非常にこの点が姿勢として私は問題があると思うんですが。
  36. 宮沢香

    説明員(宮沢香君) 国立衛生試験所の実験では、大体どういう食品容器のどういう品質のものだったら出てこないというようなこと、非常に過酷な、たとえば五十度の温度に放置して四週間も八週間も置いといて、それでなおかつ検出されないと、こういう材質のものはどういうものだというような、こういう研究をしておったわけです。そしてまた、同時に、こういう材質の物に切りかえるように昨年の暮れ以来指導も徹底しまして、私どもとしましては、アメリカの提案があったので、とりあえず国立衛生試験所の周辺のスーパーマーケットからしょうゆであるとかソースであるとか、あるいは食用油とかマーガリンとか、そういうようなものを十数点買ってきまして実験した結果、食品中から全く検出されなかったと、こういう結果を得ておったのですが、ただいま先生指摘のような、東京都で全部で百四十検体ぐらいだったと思いますが、そのうち八十八件分析、いま中途の段階で発表しました中で、たとえばしょうゆの中で、材質中からは一〇〇ppm以上があって、しかもそのびんに入れたしょうゆからは〇・二ppmぐらい検出されたと、こういうような事実に接しましたので、引き続き国立衛生試験所にこういった東京都の実験結果と、実際まだこんなものが市場に果たしてあるのかということでクロスチェックをさせておったわけでございます。その結果はまだ完了はしておりませんが、確かに非常に山奥まで行って買ったような古いような物には材質に不適な物があったり、そして若干食品中にも見られる例もある、現在整理中と聞いておりますが、そういうこともあるので、私どもとしましては、そういうことのないように早急に適切な規制を加えていきたいと、こういうふうにして現在作業を進めておるわけでございます。
  37. 福間知之

    ○福間知之君 それは、ぜひひとつ規制を強めると同時に、積極的に業界、製造業者に対しても——これは容器の製造業者と食品の製造業者、両方が心しなければならない問題だと思うんです。徹底してひとつお願いをしたいと思います。  マメリカの場合、私はいろいろ調べておるんですけれども、海のかなたのことでなかなか詳しくはわからないんですが、非常に厳しい姿勢が見られるわけです。たとえば、その容器の、硬質の塩ビなんかを使った容器の製造を禁止するとか、かなり厳しい姿勢をとっている。日本の場合に、他の一般的な公害もそうなんですけれども、何か被害がかなり拡大しないと規制措置がとられないという後追い的な規制になることが多いわけで、この問題については、六価クロムだとか、あるいはまた水銀による水俣病だとかいうふうな苦い経験を持っていますから、いまからひとつ関係当局の方で厳しい行政的な指導というものを強めていただきたい、そういうふうに私は思うわけであります。  それから、これは環境庁の方になるのかしれませんが、同じように現場の——労働省お見えになったようですから、少し被害の状況を先にお聞きをしたいと思います。
  38. 山本秀夫

    説明員(山本秀夫君) 先生の御質問の一点、私おくれまして申しわけございません、ただいままでに今回の問題に絡みまして労災の申請がありましたのが七件でございます。これは三井東圧から出ておるものでございます。そのほかのものにつきましては現地でまだなお調査中でございます。いずれも出てまいりましたものは労働省の方で専門家会議を設けておりまして、そこで慎重に審議するというたてまえにしております。なお九月にはすでに塩ビによる門脈圧高進症を一例認定しておりまして、したがいまして、はっきりしているものが一例、それから、いまこれから審理するというものが七例でございます。まずその点を申し上げておきます。  それから次に規制のことでございますが、私どもも昨年問題が起こりまして、直ちにアクションを起こしまして、まずアメリカの状況をよく把握するというために専門家を派遣いたしましたり、それからその結果に基づきまして専門家会議を開きましたりいたしまして、六月に環境改善のための、あるいはまた健康診断のための緊急通達をした次第でございます。その後、現場の実態把握を鋭意行いました結果、まだかなりやはり塩ビの環境中濃度があるというようなことがわかりましたので、それからまた技術的に果たしてどこまで有害だということがよくわかっておりませんけれども、とにかくできるだけ現場濃度を下げるということで、労使ともども協議をいただきまして、その結果二ppmというようなレベルではできるではないかということで、また、ことし通達をし、かつ今度は安全衛生法に基づきますところの特化則にこの物質を追加をいたしまして、厳に規制を強めたところでございます。その後実態はいかがかということで調査をいたしましたが、その調査の結果によりますというと、われわれが規定いたしました二ppmのレベルをオーバーしている事業場は九月現在でございますが、まずないということであります。それから一番問題なのは重合がまの中の作業でございますが、これにつきましては専門家会議の御答申は五ppmというものを限度とすると、それからその作業時間もできるだけ減らすようにという御答申でございましたので、そのような規制もし、かつ指導もしております。これもまた現実にはかなりよく守られておるというふうに聞いております。  次に、健康障害があってはいけませんから健康診断も項目を規定いたしまして、やらせておる結果を見ましたら療養を要するような者は見当たりません。ただ、やはり肝臓だとかいうようなところで少し機能の障害が多少あるというような者もあります。ただし、これは塩ビによるかどうかはまだはっきりいたしておりませんが、まあ要注意という程度の者が十八名ほどいることがわかっておる現状であります。
  39. 福間知之

    ○福間知之君 数字の上ではいま労働省が発表された限りでは少ないのですけれども、私は水俣病のときのことを思い出しましても、ごく限られた関係の職場だけの調査というものではわりあい少ないのですね。ところが、その専門のお医者さんが地域の調査をやった場合に、非常にたくさん被疑者が出てきたというふうな経過がございました。私、塩ビの場合も東圧の森さんが亡くなったことに絡んで、名大の稲垣助教授ですか助手ですか、かなり専門的に追及をされたようですが、そういう全員検査というのを定期的に——しかも労働省の発表された検査内容では不十分だという専門家の意向があるのですが、それは経済的にも技術的にもいろいろ制約のあることですから、まずベターな内容でもって定期検査を全員にわたって危険を予想される作業場あるいはその周辺に対しては行う、こういうふうな私は姿勢をとっていただきたい、こういうふうに思うわけです。  そもそもこの塩ビの公害が明らかに感知されたというのは労働省の資料によりましても昭和四十四年ごろでしょう、いただいた資料によりましても。四十四年ごろに塩ビの協会に対して一つの行政指導をやっていられる、やり出しているわけですね。それからもう六年たっておるわけですよ。したがいまして、かなりいままでの行政指導というものが、言葉は悪いですが、しり抜けの部分があるのじゃないか、そういうふうな感じがするわけです。したがって、この際はひとつ徹底してやっていただきたいと思います。しかも調べたところによりますと、労働省の労働衛生研究所の坂部労働生理部長さんですか、これがアメリカへ行ってニューヨークのアカデミーで日本におけるポリ塩化ビニール製造に関しての労働者障害について報告されているわけですね。そういうことをやっていられるほどのことですから、国内においてはやはり外国に負けないだけのひとつ指導を強めていただかなければならない、そういうふうに存ずるわけであります。  それから最近この化学関係の労働組合が政府あるいは各政党に対しましても一つの要請をしてきておるのです。これはこの塩ビにかかわりませず、化学薬品あるいは化学製品の製造プロセスにおける労働者被害、あるいはまた関係製品社会的な一つの公害というものを未然に防ぐという意味で、関係化学企業の内部で、労使でこの種の問題について事前に研究をし、あるいはまた必要な措置を知恵を出し合ってひとつ講じていこうじゃないか、その限りにおいて関係省庁あるいは科学技術庁あたりまでも含めていろいろな協力体制をとってほしい、こういう要請が来ておるわけであります。このことは塩ビの問題に関しましても実は実例があるわけです。ドイツのBGCという化学工業職業同業組合というのがあるのですけれども、そのドイツの化学工業職業同業組合の方でやはりこの塩ビ関係に対する対策をかなり積極的に講じている。それはまず企業内、職場内における定期検査はもちろんのこと、地域の大学病院とのタイアップによって精密な検査を実施している。さらに、それが発見された場合にはもちろん日本流でいう労災の認定あるいは治療あるいは補償というものまで社会的に講ずる、こういうような姿が一つあるのですけれども、ぜひこれはわが国におきましても大事な参考としていただきたい、そういうふうに思うわけであります。業界なりあるいはまた該当企業に対する指導だけではなくて、それに従事している当該労働者の組織である労働組合も含めた未然の対策というものにもっと力を入れることが、決定的な一つの社会的損失をもたらすこの公害を防ぐ上で非常に重要だと、これは先ほど事前に労働省の担当の方おいでになりましたので、労働衛生課の担当じゃないでしょうが、ひとつ心していただきたい、われわれもこれは側面からひとつバックアップしたい、こういうふうに考えておるわけであります。  次に、環境庁の方へちょっとお聞きをしたいんですが、新潟で、例の電気化学何というのですか、田海工場というのですか、そこで、これ塩ビじゃないのですが、例のクロロプレンモノマーというものが発見されたと、こういう報道があるんですが、結果として周辺の水質が汚染されている。この点についてつかんでおったら事情をお知らせ願いたいのですが。
  40. 堀川春彦

    政府委員堀川春彦君) ただいまの件につきまして、ちょっと承知をいたしておりませんので、早速調べてみたいと思います。
  41. 福間知之

    ○福間知之君 どうもこいつもえたいが少しわからないのですが、やはり有機塩素系の化学物質だそうでして、われわれ生物体に蓄積する親溶性が非常に高い、こういうことのようであります。すでにソ連では、このクロロプレンを使用する工場で肺がんや皮膚がんが多発しているということが動物実験でどうも判明しているようでございますけれども、わが国においても塩ビモノマー並みに未然にこの点対策を講じていかなければならぬのじゃないかというように考えます。まだつかんでおられなかったら、ひとつ早速調査お願いいたします。厚生省、ひとつお願いします。  塩ビの大気汚染ですね、これは横浜の環境化学研究グループが高岡で行ったようですけれども、事実つかんでいられますか。
  42. 橋本道夫

    政府委員橋本道夫君) いま御質問のございました塩ビの大気汚染の問題でございますが、環境庁の方といたしましては、塩ビの大気汚染の問題につきましては、環境庁におきましては、四十九年にアメリカで塩ビが問題になりましてから、早速、一体大気中に塩化ビニールモノマーがあるのかどうかということが問題になったと思います。先ほど先生の御指摘の水俣云々という問題がございましたが、水俣の場合には環境が徹底的に有機水銀で汚染しておったということでございまして、今度の塩ビの場合には工場の中が非常に汚れておったということでございます。そこで、私どもは大気中にあるのかどうかということを確かめるのがまず先決であるということになりまして、四十九年度におきましては、大気中の塩ビをどのような測定分析方法で分析できるのかということに取りかかったわけでございます。これは御承知のように有機塩素系のものでございますから、そのほかに有機塩素系の物質はいろいろあるわけでございまして、その中でこの問題とする塩ビモノマーが、果たして非常に微量なものを検出できるかということでやってみましたところ、大体その測定分析方法というものが四十九年度の調査研究結果で明らかになってまいりました。  で、この調査研究結果は、先生いま御指摘のございました横浜国立大学の加藤先生の研究発表された場所と同じ場所で、それを担当した地方の公害研究所の方からも環境庁の研究費としてやったものが発表されております。そのデータによりますと、これはまだ測定法のテストのものでございますから汚染がこうだと断言するわけにはまいりませんが、工場外の一般環境でppm単位で見つかったと、ころは一カ所もございません。全部ppb、しかも非常に低いオーダーでございます。ですから、あったかというと確かにあったということでございます。そういうことでございますが、非常に低い単位でございまして、問題となるような一ppmを超えるようなものは一切検出されておらないわけでございます。そういうことで、五十年度におきましては、四十九年度のこの確立しました測定分析法の検証を兼ねまして、少し規模を大きくいたしまして調査をいたしておりまして、五十一年度には発生源からすべての体系を完全に調べ上げましで、規制が必要ならば規制を加えるということを検討しておるところでございます。
  43. 福間知之

    ○福間知之君 その量が少ないということですね。これが一つのくせ者だと思うんですが、前回もそういうことをおっしゃっていられたと思うんですけれども、塩ビの生産は日本世界で第二位だと言われているわけです。塩ビのポリマーを一トンつくると大体二、三%モノマーが消えてしまう。どういうプロセスかで、どういう影響かでどこかへ飛んでしまっていると、こういうのがわからないんですけれども、年間に百五十万トンポリマーがつくられておってその二、三%だと三万トン以上のモノマーがどこかへ飛散しちゃっているということになるんじゃないかと思うんです。要するに発がん物質がわからないままに飛散しちゃっている、こういうことだと思うんです。高岡の場合でもあるいは千葉の市原の場合でも、これも調査が行われたようですが、やはり周辺の空気が若干汚染されている、こういうことですね。だから、問題は、微量であっても大気がそういうことで汚染されるということになるとその影響が懸念されるわけですから、これを防ぐ方法がないものかどうか。微量だと、少ないんだということで放置しておくことは私は少し問題がありはしないかと、こういうふうに思うんですがね。これは環境庁の方でももちろん考えられなきゃならぬでしょうが、第一、現場の問題でもあると思うんですがね。アメリカでも、何かグットリッチケミカル社の工場の周辺では肝臓障害が見られるということも報告されているようですが、日本も微量だから、被害がいまのところ出てないから大丈夫だとは私は言えないと思うんですが、環境庁の方だけではどうにもならないというんであれば関係省庁と協議をして、微量でも出ているということが事実だとすれば、それはどういう原因でなぜ出ているんだと、どうすれば防げるのかということまで追及していかなけりゃならぬと思うんですが、いかがでしょう。
  44. 橋本道夫

    政府委員橋本道夫君) いまの御指摘のような問題があるので、実は私たちも非常に関心を持って調査をいたしておるわけでございます。そういうことで、アメリカの工場周辺の人の例を御指摘ありましたが、未確認情報として、たしか、そういうのは一例ですか二例ですかあるということは存じておりますが、これは全く未確認のもので学問的に確かめられておらないというぐあいに私どもは承知をいたしております。ただ、われわれの測定は非常に高感度なもので、従来ならば全くわからないようなものを必死になって求めておるということでございまして、微量でも出たらすべて危ないという立場はとっていませんが、いま御指摘のように、ぐあいの悪いものが外にも出ておるということは、これは確かに事実でございます。そういうことで、私どもは、工場の中の工程から最終的にどういうぐあいにして出るのかということをはっきり確かめるのが、全部確認できるのが、五十一年度までかけて確認をいたしていこうということでございまして、それによって、必要なものならば法律で規制をちゃんと加えていこうというような角度で取り組んでおるわけでございます。
  45. 福間知之

    ○福間知之君 それはそれで私ぜひひとつ厳しい姿勢でもって、やはり問題から目をそらさないで、環境庁としては特にそういう問題についての担当省庁でございますので、お願いをしたいと思うのです。で、ついては、これは私、現場における作業工程あるいはまた関係設備機器というものに問題があろうと思うんです。そういう点で、これは通産省になると思うんですけれども関係工場というものがいま全国でどれくらい存在をしておるか、あるいはまた、いままですでにこの危険が指摘されて以来、どういうふうに設備機器の、あるいは製造工程の改善に対して対処をされてきたか。
  46. 太田耕二

    説明員太田耕二君) 今回問題になりましたのは、塩化ビニールをモノマーからポリマーにする工場の従業員でございます。で、その対象となる会社は現在十八社、二十七工場、これはポリマーの工場がございます。で、先ほど労働省の方から説明がございましたんですが、実は、昨年の初めにアメリカで指摘されましてから再三労働省の指導等もこれあり、私どもも当業界に対していろんな措置をするようにということで、ただいま現在では労働省が決められましたいわゆる労働衛生基準を満足しているような形になっておりますが、現在、私どもはさらに万全を期す意味におきまして、このモノマーの局所廃棄装置、それから回収装置等、今後とも十二分な設備をするようにということで、開銀融資等も現在あっせんするべく検討をしております。したがって、こういった労働衛生環境の基準につきましては、その基準を守るための工事につきましては、原則として来年の三月までに全部終了するように、ただいま現在一応は満足しておりますけれども、念には念を入れて、もう絶対大丈夫だというような形にするための工事を来年三月までにするようにというふうなことを指導しておるわけでございます。  それからもう一つ、塩化ビニール樹脂は粉の形、いわゆる白い粉末でございまして、その中にごく若干量の塩化ビニールのモノマーが吸着いたしております。で、その残留モノマーにつきましても安全なレベルまで来年中ぐらいに下げるように、そういった工事を極力進めるように、こういうふうに実は業界に対しまして督促している次第でございます。
  47. 福間知之

    ○福間知之君 私も専門家じゃないんで、その装置、設備のことについて余り詳細はわからないのですけれども、モノマーガスが逃げるということを防ぐというふうな装置なんですか、そういうふうな改善なんですか。あるいはまた、重合がまを扱う、特に内部の清掃をする、そのことによって被害者が出ているわけですが、そういういままでの手作業を改善するというふうな、そういうふうな試みなんですか。その両方なんですか。少しく興味が私ありますのでお聞きをしたいわけです。けさの新聞でしたか、モノマーじゃありませんが、苛性ソーダの製造業者に対して製造法の転換を環境庁が推進してこられた。ところが報道によりますと、いままでの製造工程が水銀法だと言われているのが隔膜法への転換をすると、こういうことで指導をされたそうです。それに対して、業界の方では全部が全部なかなか応じない。さらに新しい製造方法というものが一つ出来るのを、無意識的か意識的か、とにかく待ってるというふうな状況だと報道されているのですけれども、塩ビについてはもう少なくともそういうことじゃなくて、いまのお話のように、かなり期限も決めて厳しく推進する、また開銀の融資百三十億円の何か要請が塩ビ協会あたりからあるそうですけれども、そういうものもバックアップする、こういうことが、来年の三月ということでかなりそれは明らかな見通しは立っておるわけですか。
  48. 太田耕二

    説明員太田耕二君) まず第一に、このモノマーが出ないようにというのは具体的にどういうふうにするのかという御質問でございまして、それはまあいろんな部分から漏れないようにというのが第一。それから、残った重合がまのもので未反応の塩化ビニールモノマーが当然どうしても出てまいりますので、それを十分回収して、いわゆる作業環境に漏洩しないように、それから、ポリマー中に吸着しております残留モノマーをバキューム等にもう一度かけましてそれを集中的に回収する。そういった工事につきまして必要な、先ほど先生おっしゃられました百三十億等につきまして開銀融資をあっせんするなどして、早急にその工事の進捗を図るように督促をしている次第でございます。
  49. 福間知之

    ○福間知之君 これは厚生省ですか、環境庁ですか、この塩ビのモノマーの問題と関連しまして、最近私たちの住宅の建材に塩ビがかなり使われておると、こういうことですね。この塩ビ樹脂を基材とした建築材、これはどれぐらいあるのでしょうか。あるいはまた、それの耐火性とか、あるいはまた毒性の高い低い、そういう問題について関心を持つ必要があるのじゃないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  50. 太田耕二

    説明員太田耕二君) 建築資材の関係につきましては、実は、これは建設省が建築基準法の方でいろんな基準を設定いたしまして監督しておるわけでございまして、私ども実は所管外でございますが、塩化ビニールが建材に使われている量、ただいま現在、私正確な数字は持っておりません。で、後ほど調査いたしますけれども、一応、一番主として使われますのは、波板と称しまして青色の色をつけました山型のストレート、いわゆる塩化ビニールの硬質の板がございます。それとか、雨どい、それから住宅の中にまいりますというとタイル等がございます。そういったものがおのおのの分野で、数字の統計がございませんのではっきり申し上げられませんけれども、相当量、すなわち十万トンを超える量が使われているだろうというふうに、ただいまラフな数字で申し上げておきたいと思います。
  51. 福間知之

    ○福間知之君 毒性が非常に高いのじゃないかということが最近言われているのです。で、その毒ガスの一つであるホスゲンとかいうふうな物質が含まれている、あるいは、もちろん言うまでもなくビル火災なんかでよく言われている一酸化炭素が含有されているということが言われておるわけなんです。最近かなり大量に生産され、出回っておりますだけに、これは建設省の方はきょうはおいでではございませんが、環境庁厚生省ともどもにひとつ十分監視をしていただきたい。事故が発生した場合にそこまでなかなか追及はしにくいわけでございますので、事前にひとつ——私、毒ガスの原料が含まれているということを物の本で読みまして実はびっくりしておるのです。これは必要であれば、この問題は今後また当委員会においても関心事であろうと思いますので、取り上げていってもいいと思います。建築資材として塩ビを使ってはいかぬということではなくて、そういうふうな有毒物質が含まれており、あるいはまた、火災だとかあるいは老朽化が進むにつれて、そういう悪害物質が露呈してきたら、露出してきたら困る、こういう意味合いで私言っているのでありまして、どんな商品でも、つくる企業、メーカーというのは、もちろんライブテストをやったり、いろいろ検査はしますけれども、それならば、このようないままで問題になっておる公害はなかなか起こるはずがないのでありまして、起こるところに問題が実はひそんでいるわけです。建築資材なども、塩ビ容器と同じように、私は私たちの生活に欠かせない日常的な製品だけに大いに関心をひとつ高めていただきたい、こういうことを御要望しておきたいと思うわけであります。  それから、先ほど公害問題につきまして森下委員からも御意見がございましたけれども、私は、環境庁が設置された意味からしましても、公害を防止するという、そういう、これはたてまえも本音もありません。あるいはたてまえであり本音でなかったりしてはいけないと思うのです。そういう意味では公害というものは、あるいは環境破壊というものは未然に防止する、それは塩ビ製品であろうが、あるいはまた六価クロムの問題であろうが、何であろうが、公害なり環境破壊は未然防止ということが本当に大事だと、そういうふうに思います。そのために、私は御要望を最後に申し上げたいと思うのです。私は、四つの考え方なり原則というようなものがあるのじゃないかと考えます。  一つは、被害というものの実態を徹低的に、そして総合的に把握をしていくという必要があるのじゃないか、こういうふうに思うのです。そのことは、当然、なぜ公害が起こったのかという、その問題についての因果関係というふうなものを明確にする必要があると思うのです。そういうところに経済性という観念が入ったり、合理性という観念が必要以上に入ったりしてはいけないと思うのです。因果関係を徹底的に明確化する、これがやはり公害というものに対する科学の前進をもたらすだろう、こういうふうに考えるわけでございます。そのためには、国民の肉体的なあるいは精神的な健康状態、あるいは動植物の生態というふうなものを十分に調べなきゃならない。さらにはまた、往々にしてこれは見過ごされるのでありますが、二千数百年という古い私たち伝統を持つ日本社会においては、貴重な文化財も存在をしているわけです。そういう文化財の状況等につきましても、全的な調査というものをやることから出発すべきだ、要するに被害の実態を総合的に徹底して調べる、こういうことが非常に私は公害問題に対処する上での基本的な姿勢として大事だろう。現実に、公害の実態はまだ私よく調査されていないと思うのです。塩ビ問題だけじゃありません、いろんな問題が私は十分な調査が行われていないと思うんです。そのためには、もちろん調査の体制、また、その財政的な措置とか、いろんな問題があると思いますけれども環境庁、特にこの点については来年度の予算編成も間近でございますので、ひとつ勇気を持って被害の実態を一応調べる、そこから公害対策は出発する、こういうように私は考えておるわけです。  それから二番目には、例の被害者に対する救済の措置を徹底して行うということ、それは私は単に補償金を出せば済むというふうな考えは安易だと思うんであります。そうじゃなくて、やはり被害の救済という考え方は、原則は、たてまえは、原状を回復するということだと思うんです。なかなか被害を受けた肉体的な健康というものは回復が困難であると、こういうことが間々あります。しかし、それがゆえに先ほど来、私、御質問申し上げたように、被害が非常に微弱なときに徹底した検査をやり、あるいはまた、症状が軽微なときにひとつ回復に向って治療を施していく、こういうことが私は絶対必要だろう、こういうふうに思うわけであります。肉体問題、健康問題だけじゃなくて、たとえばヘドロで海水が汚染されたとするならば、このヘドロを除去して、そうしてもとの美しい海に戻すという、それが私は被害の救済だと思うのです。単にそれは一部の地域住民に対する救済にとどまらず、私たち愛する国土全体をみんなで守っていくという意味において、社会的な私は救済ということに連なると、このように考えるわけでありまして、金銭の補償というのは救済のごく一部でしかないのだ、こういうことを十分ひとつ含んでいただかなければならないかと、こういうふうに思うわけであります。もちろん、すべてその救済は国が行えというふうに私は言ってるんじゃありません。これはPPPの原則がございまするので、原因者が原則として負担する、こういうことがもちろん必要でございましょう。それに対して国が一定の協力をしていく、こういうふうにあるべきだと考えるわけであります。  それから三つ目、したがって、私は公害に対する規制というものはその次にどうしても必要になってくると思います。公害の規制は、言うまでもなく、これまた未然に発生源において防止をする、こういうことが第一義ではないかと考えるわけであります。現実的には、技術上の問題、あるいはまた経済的な問題等に限界がございますので、一〇〇%、一二〇%といっても、なかなかむずかしい面があるんですけれども、それだけに行政的な措置、規制のための基準というものは厳格性を持たなければならぬ、こういうことではないかと考えるわけであります。厳密な、ひとつ厳格な環境の基準だとか、あるいはまた公害を出した企業に対しては厳しいひとつ罰則を科していくというようなことが必要ではないか、そういうふうに思います。  また、特に大気の汚染等につきまして、汚染源が、この排出の濃度を規制するというふうな措置がいままでとられてきているようであります。しかし、排出の濃度よりも、やはり総排出量の規制ということの方が有効ではないのか、こういうふうに私のいままで多少かかわってきた経験から感ずるわけであります。また、たとえば非常に害毒を含んだところのばい煙をこう拡散するというふうな場合に、かつて、御承知のとおりに高い煙突を使って拡散をしておるというふうな方式がベターだと言われてとられてきたんですけれども、それはいまやもう噴飯物になってきましたですね。あるいはまた、水が汚染される場合でも、そういう害毒を含んだ溶液を薄めて海水に流していく、こういうふうな希釈方式というものがとられてきたようですけれども、これもやっぱり最近の水俣病等の事例からいっても、あまり効果的ではない、やはり排出する量的な面からの絶対規制というようなことがどうしても必要になってくるのじゃないか、水質の汚濁に対しても、大気の汚染に対しても、効果を上げるために、排出量の規制ということを厳しくやっていただく方がいいんじゃないかと、こういうふうに考えるわけであります。  最後に私、四つ目に、公害に対してはいままで申し上げてきた予防措置というものを強めていくことが絶対に必要だろうと思います。公害というのは、御案内のとおりに、言うならば絶対的損失といいますか、個人的にも、社会的にも、経済的にも絶対的な損失を含んでおるわけでございます。発生さしておるわけでございます。したがって公害が出てからでは遅過ぎる。たとえば私たちが——お互い生身の体です。たばこを吸って仮に肺がんの危険がある、あるいは最悪肺がんになったとなったら、治る程度のものであればいいですけれども、治らない場合だってある。治ったってそれでもともとだということであります。公害というものは私はそういうものだろうと思うのです。それを出してしまって、それに対する補償だとか、あるいはまたその予防措置に対する経済的な社会的な損失を考えますと、やはり未然に防ぐというために努力する方が得であるということであります。したがって、公害というものの予防が何としても公害対策の決め手だろう。環境庁はそのために大いにひとつ活躍を願わなければならぬのじゃないか、私はそういうふうに思います。一般論でございますけれども、そのためには、特にこれからは経済の大きな転換期でもございます。しかし私は、経済も、その量的な、質的な発展と改善ということはやっていかなければならぬと思うのです。森下委員じゃないですけれども、私もそれは原則としてはそう思うのです。その場合にやはり経済開発をする上でのアセスメントと公害予防というものをどう結びつけていくのか。いままで日本経済政策なり社会開発政策なりというようなものの中にはそういう発想は私はないと思うのであります。経済開発のアセスメントに公害予防というものをひとつ織り込んでいくという思想、そういうものをぜひ採用を願いたいのであります。さらにまた、最近では、結果として公害発生したら、必ずその関係地域におきまして、あるいはまたその他の場面で住民がこれに対して参加をしてまいりました。したがって、住民参加という方式も事前に経済開発の中で取り入れていって、その上での評価を下していく、こういうことがやっぱり必要ではないかと、私はそういうふうに考えるわけであります。このことは、言葉をかえれば、国民経済全体として見た場合にやはり産業構造をどうしていくのか、あるいはまた自動車等の問題につながる交通構造というものをどうしていくのか、交通体系をどうするのか、そういうふうなことにもなってまいると思います。あるいは一般国民の立場で言えば、したがって、それらの構造改善の影響によって生活の様式をもある程度将来的には転換を図っていく、こういうことがどうしても付随してこようと思います。したがって私は、公害の予防とかあるいは環境の保全というふうな問題は、何といっても産業上、経済上、あるいはまた地域的な構造の改革というようなものを伴わねば、本来的にはなかなか首尾一貫しないのではないだろうか、そういうふうに考えるわけであります。  また、先ほど来問題にしてまいりましたような私たちの日常生活物資、物質、まあ自動車もこれも含まれます。塩ビ製品の多くのものも含まれるわけでありますけれども、そういう公害の危険をはらんでいる製品については、生産者の側もあるいは消費者の側も、あるいはそれをつくる場合、そして売る場合、また使用する場合にコストはどうしても安くはならないのだよ、コストは高くつくのだよ、こういう考え方、これはやはり価格政策の中にも、税制の政策の中にも、財政政策の中にも私は採用していい時代ではないだろうか、こういうように考えるわけであります。  自動車の問題、ここで余りよく申し上げる余裕もございませんけれども、皆さん御承知のとおり、過ぎたるは及ばざるがごとしで、自動車の量的な増大に正比例して交通の渋滞なり、あるいは排気ガスの増大なり、交通事故の犠牲者の増大なりというものが続出してきたわけでありまして、これに対して最近では来年度の予算で自動車諸税の引き上げという問題が出ておりまするけれども、これは十分に私は検討に値する課題だと個人的には思っておるわけであります。  申し上げたいのは、これからの近代的な製品というものは、多かれ少なかれ、進んだ高度な科学技術を盛り込んだプロセスを通じて出てくるわけでありまして、公害が結果として発生をする危険を含んでいるということを念頭に置かなければなりません。したがって、そういう製品をつくって売る、あるいは使うという場合にコストが高くなるということであれば、私は結果として今日国民的課題である資源の浪費を防ぐということにも行く行くはつながっていくのじゃないか。たとえば電力にしても、水にしても、ガスにしてもそうなんです。これを大口に使う企業については、いままでは単位費用、単価は割り安になっておったわけですけれども、この考えを少し改めていかなければならない、そういうふうな時代が来ていると私は実は思っておるわけです。  そういうふうにいろいろ考えてみますと、公害を予防する上では、単に生産過程の規制を強めるというのみじゃなくって、もっと社会経済的広範囲な転換というものを、政策の転換というものを伴わねば本当の予防というものには役立たないのじゃないか、そういうふうに考えておりまして、今後私自身も当委員会を通じて大いにひとつ問題の追及なり改善に微力を尽くしたいと思う次第であります。  環境庁長官、何か御意見があったらひとつ。
  52. 小沢辰男

    ○国務大臣(小沢辰男君) ただいま最後に数点お挙げになりました御高見、私まことに同感でございまして、私が今後環境行政を進めるに当たって大変参考に相なったと思います。心からむしろ感謝を申し上げます。  最後の、あらゆる面で産業構造、あるいは交通体系全般、あるいは生活様式全般についてのいろいろ構造改革をやっていかなければいけないということについても、特に、これは私一人の力ではできませんけれども、非常に傾聴いたした次第でございまして、今後ともそういうような考え方を十分私ども尊重して努力をしていきたいと思うわけでございます。
  53. 内田善利

    ○内田善利君 私も引き続き塩ビモノマーについて若干質問したいと思います。  その前に、塩ビについて本委員会質問しました件についてもう一度確認したいと思いますが、第一は、先ほど福間委員からも質問がありましたが、建材中の塩ビの件、それと塗料に使われている塩ビ、これの被害といいますか、毒性といいますか、とにかく塩ビ製品の廃棄物を焼却するときには塩化水素と塩素等のガスが相当出るし、また先ほどもお話がありました火災の場合もひどいガスが出るわけですが、これに対する規制をしますという建設省の答弁がそのときあったわけですが、これがどうなっているのか御存じでしょうか、通産省
  54. 太田耕二

    説明員太田耕二君) 私、承知いたしておりません。
  55. 内田善利

    ○内田善利君 通産省御承知ないようですが、それと今度は重金属安定剤として塩化ビニールに使われるすずとかカドミウムとか鉛とか、こういった重金属の添加ですね、これについて一番心配したのは、食品容器の中にこういう重金属が溶出してこないかどうかという問題をその当時提起したわけですが、こういったことについて厚生省の方ではどういうデータを持っていらっしゃるか、お聞きしたいと思います。
  56. 宮沢香

    説明員(宮沢香君) お答え申し上げます。  ただいまの塩ビ樹脂に使われますブチルすずのようなものとか、あるいはカドミウムとか、そういった化学物質につきましては、私どもとしては一部のものは使用してはならない、材質中にそういったものは検出されてはならない、それからまた、あるものについては溶出は何ppmだというふうにして品質として最上なものを要求するような食品衛生上の面からの規制を加えております。
  57. 内田善利

    ○内田善利君 それでは容器そこものはカドミウム、鉛、またすずを安定剤として加えてもいいわけですね。いま答弁は何ppmとかというような言葉を使われたんですが、まあ余りppmは聞きたくありませんけれども
  58. 宮沢香

    説明員(宮沢香君) 有機すずは安定剤として使用することは禁止しております。
  59. 内田善利

    ○内田善利君 それではカドミウム、鉛は使用することを許可しているわけですね。
  60. 宮沢香

    説明員(宮沢香君) バックグラウンド値を定めておりまして、したがいまして、こういったものを実用上こういう樹脂に使用することはできないような、そういう規制でございます。
  61. 内田善利

    ○内田善利君 使用することはできないと、こう  いうことですね。
  62. 宮沢香

    説明員(宮沢香君) お答えいたします。  バックグラウンド値という非常に少ない値しか検出しちゃならないとなっておりますので、事実上そういう量を使っても全く意味をなさないということで、事実上使用はできないようなことになっております。
  63. 内田善利

    ○内田善利君 そういう答弁が返ってくると時間が長くなるんですがね。東京都は塩ビモノマーを検出して報告したわけですが、この場合若干出ておりますね。塩ビモノマーが溶出しておりますね。それから金属の場合はどうか、これもやっぱりやっております。金属の場合やっておりますが、材質の中に鉛もカドミウムもすずも入っているわけですね。私は入っていることが問題だと思うんです。どんな金属でも水の中につけさえすれば金属は出てくるわけですから、いかなる場合も。ブリキのかん詰め製品だってふたをあければ、真空状態からふたをあければすずの金属が出てくることは皆さん化学をやった方は全部御存じです。必ず出てくる。ですから、厚生省の方では材質を使うことは禁止してあるといま言われましたが、東京都の検査では鉛もカドミウムもすずも出ているわけですね。
  64. 宮沢香

    説明員(宮沢香君) 東京都のそういった分析は承知しておりますが、これは私どもが四十八年の六月二十二日に現在の基準をきめる以前の状態をいろいろチェックした、そういう分析結果でございます。
  65. 内田善利

    ○内田善利君 そうじゃないですよ。塩ビモノマーの場合はそうですけれども、金属の場合はそうじゃないです。こういうことをやっていると私の本論ができませんから、これでやめますけれども、それともう一つは、今度は可塑剤として使うフタル酸エステル、これはどのようにされておりますか。
  66. 宮沢香

    説明員(宮沢香君) 可塑剤として使われますフタル酸エステル類につきましては何種類かございまして、その一つだけをきちんと取り出すということは現在の実験上できないので、可塑剤として溶出してくる量というものを抑えておりまして、その値は三〇ppm以下と、こういうふうに規制をしております。
  67. 内田善利

    ○内田善利君 この三つの点について本委員会質問したんですが、全然これが取り入れられていないということですね。私はなぜこういうことを申し上げるかというと、われわれ国民が食べる食品の容器に使われているということです。まず発がん性のある塩ビモノマー、それに問題になっているカドミウム、鉛、すずを含んだ重金属を安定剤として塩ビ製品に使われておるということ。それからフタル酸エステルも、これはビルマで問題になった。アメリカの兵隊さんが、注射、血液をその中に、塩ビの溶器に入れた、そのときにフタル酸エステルがあったためにショックを受けた。そういうことからフタル酸エステルも問題になっている。そういうものがわれわれの口から入るその食品とそういう容器との関係、まして火災のときに非常に危い建材の中にも塩ビが入っている。こういう塩ビが本当に大丈夫かというのが私たちの公害特別委員会委員としての心配なんです。もちろん先ほどお話がありましたように、企業発展してもらい、経済成長もしなければなりません。一遍もこの委員会でそういうことを言ったことは私はないと思いますけれども、私たちが念願するのは、そういう国民に影響を与えるようなことがあってはいけないという立場から質問をしているわけです。そういうことについて何もやられてないと、そういう感じがするんですが、いかがですか。
  68. 宮沢香

    説明員(宮沢香君) お答え申し上げます。  先ほどのような重金属類については事実上使用はできないと、こういうような規制をしておりますが、フタル酸エステルにつきましては現在のところ溶出する量が三Oppm以下と、こういう規制をしておりますけれども、毒性等について問題になっておりますので、昨年以来国立衛生試験所において、蓄積性であるとかその他の一般毒性を現在実行しておるところでございまして、その結果を待って、さらに規制する必要があればその規制を加えていくと、こういうようなことで現在作業を進めております。  それからもう一つ、容器中に塩ビモノマーが残存している量につきましても、私どもは昨年来からずっと衛生試験所におきまして、どういう材質になったら食品中にそれが溶出してこないかというようなモデル実験を繰り返しやってきたわけでございまして、たまたまアメリカからああいう提案があったわけですが、私どもとしては、こういう食品の容器、包装の安全性を期するためにずっとそういった努力は続けておるわけでございます。
  69. 内田善利

    ○内田善利君 アメリカは十五年も前から食品容器については規制措置をとっているわけですが、日本の場合は、溶出の可能性の段階じゃなくて、もうすでに溶出があった、しかも健康被害があった、そういう段階でもまだ規制されてないと。まあ重金属は使わないようになったということですが、私はそういうことまだ聞いておりません。材質の中には安定剤として使っている、そういうふうに聞いております。その安定剤としては、かわりにそれでは何を使っているかということまでも聞きましたが、それも鉛とカドミウムとすずは使っている、そういうことなんですね。ですから、やはりわれわれの口から入るものについては、食品容器については十分ひとつ検討を今後加えていただいて、健康被害が出る前に厚生省としては措置をとっていただきたい、そのように要望しております。  私、きょう質問したいのは、塩ビモノマーについて質問するわけですが、本年度の予算委員会におきまして、わが公明党の桑名委員質問しました、その点についてさらに追加して質問していきたいと、このように思います。あるいはその当時答弁された分も出てくるかもわかりませんが、よろしくお願いしたいと思います。  まず最初に、厚生省としては四十九年六月一日、薬務局長通知で塩ビ入り殺虫剤の回収を指示されております。この回収総数を四十九年十二月現在で教えていただきたいと思います。
  70. 代田久米雄

    説明員代田久米雄君) ただいまお話がございましたように、昨年の六月に回収を指示しておりますが、五十年の十一月一日現在の数字でございますと、約二千二十六万本ということで都道府県からの報告を受けております。
  71. 内田善利

    ○内田善利君 四十九年十二月現在ということは五十年一月ですね。一月の現在で二千二十六万本。  消防庁、お見えになっていますか——消防庁の方で同じく同じ時期に立ち入り調査をされておるわけですが、そのときに掌握をされた本数は何本でしょうか。
  72. 永瀬章

    説明員(永瀬章君) 先生お尋ねの昨年の十二月の数字、これは厚生省の方からの御連絡を受けまして十二月の末に調査いたしましたのは約千百二十万本でございます。
  73. 内田善利

    ○内田善利君 同じ時期に調査されて、厚生省の方では二千二十六万本、消防庁の方では立ち入り検査をなさって千百二十万本。そうしますと約九百万本の差があるわけですね。この九百万本はどこに行ったか、厚生省の方では掌握されておりますか。
  74. 代田久米雄

    説明員代田久米雄君) 私先ほどちょっと時期を間違えまして回答を申し上げたかと思いますが、四十九年の十月一日現在ですと約千九百万本でございます。それでただいまの数字の差の御質問でございますが、実は昨年の六月に回収を指示いたしましてから非常に回収の本数も膨大でございまして、時期が時間的になかなか一度に回収するということは実際には不可能でございました。それでこの十一月時点におきましてはまだ百万本単位に及ぶような回収が行われていた最中でございまして、便宜その回収の途中で手近な営業所であるとかあるいは問屋の倉庫であるとかそういうところに一時的に預け入れているという分があったと思います。そういうことで、そのものにつきましても厚生省に対してはすべてを集計して報告がされておったものと考えられておりますが、消防庁に対する届け出につきましては、最終的に回収する見通しを立てた上でしかるべき倉庫へ移すということを考えていたものと思いますので、一部の届け出の、そういった回収途中での届け出の漏れがあったかと思いますが、そういう点で数字の差があったというふうに考えておりますが、いずれにしましても、私どもとしましては、私ども数字もあるいは消防庁に届け出られた数字もその時点では、そういう意味では正しい数字だったというふうに考えております。
  75. 内田善利

    ○内田善利君 その回収された塩ビ入りの殺虫剤ですね。これがいまおっしゃったように途中にあったと、倉庫に入る前にあったということなんですけれども、消防庁の言う適格な規制どおりの倉庫に入っていなかった分があるので、その分が報告されておるということですが、それちょっとおかしいような感じがするのですがね。というのは、この塩ビ入りの殺虫剤が不法に投棄された事実があるように私は聞いているんですが、その一つの例が千葉県の問題ですけれども、これも厚生省も消防庁も御存じのようですが、その経過を簡単に御説明お願いしたいと思います。
  76. 永瀬章

    説明員(永瀬章君) 先生お尋ねの千葉県に所在しましたエアゾール製品が不法に投棄されたんではないかというお尋ねを受けまして私どもの方調査いたしましたが、千葉県の市川に、実は第一薬品産業という会社と正興運輸倉庫株式会社市川営業所と、この二カ所に塩ビモノマーのスプレー形式のあのかんがございまして、その中で第一薬品産業、ここから神奈川県の横浜市港北区勝田町の富洋金属に一時第一薬品で持っておりましたものを移した事実はございます。そうしてここにおきましてどうも調査いたしますと、中から液を抜き取って、そして約三万本でございますが、内容物の大部分をもとの第一薬品に返したということが調査の結果出てきております。
  77. 代田久米雄

    説明員代田久米雄君) 事実関係につきましてはいま消防庁からお答えになったとおりでございます。それで、この保管中であった約三万本のものを処理した件につきましては、私どもといたしましてもこの第一薬品産業に対しまして一応てんまつ書を徴し、責任者に厳重に注意をいたしております。
  78. 内田善利

    ○内田善利君 四十九年六月五日の厚生省の薬務局長の通知ですかの中に、総量五百リッターを超えて貯蔵した場合、消防法第二条第七項の危険物として規制を受けるので十分注意すること、そして通知をされておるわけですが、この点は守られておるかどうか。
  79. 代田久米雄

    説明員代田久米雄君) 確かに消防法におきましては灯油類の五百リッター以上のものにつきましてはそういう扱いをするという定めでございますので、私どももその保管につきましては十分関係業者の注意を喚起をしたところでございます。そういうことで、先ほど流通過程にということでございますが、流通過程にあるものにつきましては、回収の過程でございますので一時的にそういう事態が起きたということで御説明申し上げたわけでございます。
  80. 内田善利

    ○内田善利君 消防庁にお聞きしますけれども、この貯蔵状況ですね、それと貯蔵実数、内容についてお伺いしたいと思います。
  81. 永瀬章

    説明員(永瀬章君) 先ほど先生からお尋ねがございました四十九年の末の数字は申し上げましたが、先般の予算委員会の後で再度緊急に現地調査をさせました結果では、本数といたしますと大体千九百六十万本が貯蔵されているということを把握いたしておりますが、それの内容といたしましては、前回の予算委員会において長官が申し上げましたように、当時の、昨年の数字としましても、許可施設に入っているのが三十二カ所でございまして、それ以外の無許可施設が実は四十八カ所昨年あったわけでございます。で、ことしの調査につきましては、ちょっと個所数をまとめてございませんが、許可施設で本数といたしまして約千百四十九万本、それから無許可施設で七百二十五万本ございまして、なお無許可施設に貯蔵をされているものにつきましては、極力許可施設に移すか、あるいは合法的な手続をとっていくか、いずれかを強く指導してきているところではございますが、現在なおこのような本数が無許可の状態で一般倉庫、あるいはその他に入っている状況でございます。
  82. 内田善利

    ○内田善利君 これは私こういう質問をなぜするかといいますと、やっぱりこういう塩ビモノマーが問題になっているときでありますし、消防法によってきちっとするように通知を厚生省では出しておられながら、いまの説明によりますと、約半数近くですね、半数近くが無許可の貯蔵になっておると、こういう事実があるわけですが、これについて厚生省としてどこが責任を持つのかですね、どこが行政責任を持つのか、その点お伺いしたいと思うんですけれども
  83. 代田久米雄

    説明員代田久米雄君) まあ私どもといたしましては、塩ビモノマーが人体に危険を及ぼすことであるということでございますので、そういう観点からまずこれを家庭内から一日も早く回収するということが基本的に必要であるという観点からやったわけでございます。ですから、そういうことで一時的に非常に無理が重なったことは事実でございます。それてまあこういう問題につきましては、いずれにしましても、私どもとしても合法的な措置をメーカーに要望といいますか、要請しておるわけでございまして、それにつきましては、消防庁から十分の御指導をいただいた上で、的確な方法で貯蔵していただくというふうにわれわれも考えております。
  84. 内田善利

    ○内田善利君 この半数近くの無許可貯蔵については、消防庁が責任を持つわけですか。
  85. 永瀬章

    説明員(永瀬章君) 危険物の規制に関しましては消防法の規制でございますので、私ども責任を当然負うことに相なるわけでございまして、調査いたしました間におきましても、無許可施設か許可施設に移したもの等が追跡調査の間で出てきておりますが、こう長く無許可が続きますと、私どもとしましても、やはり違反処理をして厳正な処置をせざるを得ないと考えております。
  86. 内田善利

    ○内田善利君 厚生省としては、そういったものがいま許可施設にしろ無許可施設にしろ、これはいつまでも置いておくわけにはいかないと思うのですが、これに対する処理、これはどのように考えますか。
  87. 代田久米雄

    説明員代田久米雄君) 昨年六月に回収をいたしましてから直ちにこれのいわゆる廃棄処理という問題に取り組んでおるわけでございます。それで、実は業界の中にも技術委員会を設立いたしましたし、私どもの方も実は科学技術庁から研究費をいただきまして、これの廃棄処理につきまして専門家の研究を依頼いたしまして、要するに、厚生省といたしましても最大の努力を払ってきましたし、また業界の内部の技術委員会におきましても、いろいろな方法を検討をしております。それで、できるだけ早く、そういった消防庁の方にもいろいろ御迷惑をおかけすることになりますので、一日も早くこの廃棄物の処理については実現をしたいということで現在も努力を重ねているところでございます。
  88. 内田善利

    ○内田善利君 中身を抜き取ってどこに行ったかわからないような、そういうこともあるわけですから、この処分については厳重にひとつやっていただきたいと思います。  もう一つお聞きしたいことは、殺虫剤を回収した後、塩ビ対策協議会から、この製品を外国に売却していいかどうかということを厚生省に申し入れておるわけですね。その点はどのようになっておりますか。
  89. 代田久米雄

    説明員代田久米雄君) その申し入れの事実については、ちょっと私は前任者であったのでわかりませんけれども、外国へ輸出する点につきましては、これは私どもとしましても、日本の国内としては非常に危険なものであるということで回収までさしてあるものでございますので、それが直ちに外国に輸出していいかということになりますと非常に問題があるだろうということで、外国の人々に対しても同じような危険があるのではなかろうかということで、この点につきましては、私どもはむしろ非常に慎重に考えております。
  90. 内田善利

    ○内田善利君 これは慎重にして、日本で悪いものを外国に売ることを許可するなんて大変なことだと思いますから、この処理については十分ひとつ注意していただきたいと思います。この八百万本の行方を、一体どこに行ったのだろうと、恐らく外国に行ったのではないかという疑いがあるもので質問しているわけですが、そういうことのないように厳重にひとつ注意をしていただきたいと、このように思うのですが、この殺虫剤の処理方法ですね、この処理方法について厚生省としては二通りの方法を考えておられると、あるいは実施をしておられると、このように聞いておりますが、そうですか。
  91. 代田久米雄

    説明員代田久米雄君) これは厚生省が指示しているということではございませんけれども厚生省のサイドでいろいろ研究いたしました方法と、それからメーカーサイドの技術委員会で検討しました方法がいろいろあるわけでございます。それで、実は厚生省の方で研究費を投じて研究しました方法は、いわゆる塩素化法と通称申しておりますけれども、塩ビモノマーに塩素を付加いたしまして回収をしようと、これがトリクロルエタンに変化するわけでございますが、そういう形で塩化ビニールを回収しようという方法でございます。  それからもう一つ検討された結果実施可能であるという方法といたしまして、水中燃焼法と言っておりますが、水中でこのモノを圧をかけて吹き出しまして、それで燃焼させる、そういう方法も、これも技術的に無公害で安全な方法であるという検討がすでになされておりまして、この二つの方法につきましては、現在実現し得る方法ということで進めております。
  92. 内田善利

    ○内田善利君 六月五日の薬務局長の通達ですが、これに回収製品等の処理方法を報告するように言っておられますね。この「回収製品等の処理方法(具体的方法)」としてあるわけですが、具体的にどういうふうな処理をしていると、あるいはしたと、そういう報告はあっておりますか。
  93. 代田久米雄

    説明員代田久米雄君) これまで回収いたしました後、具体的に処理したところはございませんので、このモノについての方法の報告はございません。
  94. 内田善利

    ○内田善利君 まあ、いまだにそういう報告がないということは、処理したところがないということですね。  それからもう一つお聞きしたいのは、ここにケイ・アンド・エルという会社があるわけですね、御存じと思いますが。この会社は本体は貿易会社のようですね。貿易会社ですが、廃棄物処理もしておるということなんですけれども、この許可を廃棄物処理法によって許可を得るようになっておりますが、そういう許可を受けているのかどうか、この点はいかがでしょう。
  95. 代田久米雄

    説明員代田久米雄君) まあ詳しくは存じ上げませんが、まだそういったものは受けてないと思います。
  96. 内田善利

    ○内田善利君 そういう許可を受けてない、恐らく許可を受けていないんじゃないかと思いますが、そういう貿易会社がメーカーと契約を結んで前金まで取ってるわけです。この辺の事情はどうなっておりますか。
  97. 代田久米雄

    説明員代田久米雄君) まあ経済的な面につきましてまで私どもは介入は一切しておりませんけれども、そういったことで、要するに処理業者と、それから処理を依頼する、いわゆる廃棄すべき殺虫剤を所持しておる者との間の経済的な契約でございますので、その辺については、私どもメーカーなり民間サイドの商習慣にのっとってやっておるというふうに理解をしております。
  98. 内田善利

    ○内田善利君 この地方自治体も清掃業者としての許可は与えてないということですね。ですから、地方自治体が許可を与えていない、そういう貿易会社のようですが、事業案内には、ここにありますけれども事業案内には、廃棄物の処理、処分に関連する事業をやると、こう書いてあるわけです。そういう会社がメーカーと契約を結んで前金も取っておるそうですが、この危険物を、塩ビモノマー入りのスプレーを動かしておると、こういう事実があるようですが、この点についてはどのように把握しておられますか。
  99. 代田久米雄

    説明員代田久米雄君) いずれにしましても私どもは、こういったものを廃棄する段階におきましては、関係の法令に従った合法的な処理をするようにということを再三私どもは指導しておりますので、たとえばいまのお話あった会社につきましても、都道府県の許可が必要な段階であれば、当然そういうものはとることになるでしょうし、あるいは合法的な範囲の中ですべて行うというふうなことは当然のことだと考えております。
  100. 内田善利

    ○内田善利君 地方自治体は許可しないわけですね、許可してないわけです。清掃業者としての許可はしてない。その業者がメーカーと契約を結んで、そしてこの危険品を処理しようとしているわけですね。それは勝手にやってよろしいというわけですか、やむを得ないということですか。
  101. 代田久米雄

    説明員代田久米雄君) その辺の法理的な解釈については詳しく検討してみなければわかりませんけれども、少なくとも都道府県の許可が必要な段階になれば、そういったものは当然許可をとって行うということになると思います。
  102. 内田善利

    ○内田善利君 これは許可を得てないわけですよ。確認しております。許可はしておりませんと地方自治体は言っておるわけですね。そういう会社が、塩ビスプレーを回収した、厚生省に命じられて回収したそのものを、約束して、廃棄物処理するとして、ほかの関連企業にきょう渡しているはずです、きょうは十二月十日ですから。こういうことが行われているが、厚生省は関知しないわけですか。
  103. 代田久米雄

    説明員代田久米雄君) まあ、この処理の経過につきましては、私どもも必要な範囲で報告は受けておりますけれども、まだ都道府県の許可を受ける前の段階で、たとえばそういう処理に入るとか、そういうことは、少なくとも法律の認めるところではないということは、やっていないというふうに考えております。
  104. 内田善利

    ○内田善利君 どうもよく答弁がわからないんですが、東京都は許可していないわけですね。これは貿易会社です。この貿易会社は処理施設、こういった消防庁で定められた処理施設も、処理方法——その二通りの処理方法があるとおっしゃった、その処理施設何も持っていない。自分のところの会社は貿易会社です。で、メーカーからの回収品をこちらに移動しようとしているわけです。そういうことが行われているんですが、それでいいかどうかという問題ですけれども、許可がある以前であればそういうことはいけないと思いますという御返事ですけれども厚生省としては、産業廃棄物処理法あるいはもとの清掃法に基づいて、こういうことは関知しないでいいかどうかという問題です。
  105. 代田久米雄

    説明員代田久米雄君) まあ関連する法律としましては、いまおっしゃいました産業廃棄物の法律であるとか、あるいは保存につきましては消防法の関係だと思いますけれども、少なくともそういう法律の範囲において違反をしていないということでこの仕事が進められるということをわれわれは最低限要求しておりますので、そういう形で仕事が進められるというように考えております。
  106. 内田善利

    ○内田善利君 で、その回収した品物は一体どこに行くのか、どういうふうに処理されていくのか、私はそこまで厚生省が責任を持つべきだと思うのですが、まあ家庭内にあるものを回収した、ここまではいいと思います。その後これをどうするかというところまでやらないと責任を持てないのじゃないかと思うのですが。
  107. 代田久米雄

    説明員代田久米雄君) いま先生の御指摘の点につきましては、六月五日の通知でも、毎月一応何といいますか、回収本数というようなものはきちっと報告をさせておりまして、その点の把握は十分やっておるつもりでございます。
  108. 内田善利

    ○内田善利君 この処理をする会社も、名前は言いませんけれども、固形物の圧縮処理の許可は与えておるそうです。固形物の圧縮処理の許可は与えているが、こういった液体とか、ガスのこういう処理施設はないそうです。ですから、どうするのかなあと、また抜き出すのかなあと、こう思うのですけれども、その辺までやっぱり厚生省は把握する必要があるんじゃないでしょうか。
  109. 代田久米雄

    説明員代田久米雄君) そういう点につきましては十分私どももフォローをしていきたいと考えております。そういうことで許可が足らないものについては、さらに許可をとるとかいうことも十分指導していきたいというふうに考えております。
  110. 内田善利

    ○内田善利君 消防庁はどのようにお考えでしょうか、こういった点について。
  111. 永瀬章

    説明員(永瀬章君) 実際の貯蔵が行われたり、あるいは取り扱いが行われたりいたしますと消防法の違反になってまいりますので、当然その際には、恐らく許可が必要な量だろうと思いますので、当然許可を事前にとることが必要だと思いますが、事実については、いま先生お話しの点は、まだ把握いたしておりません。
  112. 内田善利

    ○内田善利君 それともう一つ申し上げたいことは、こういうせっかく回収したものがどこに行くのかわからない。また、いまの廃棄物処理法が完全に各自治体でもなかなかむずかしくて、いろいろな問題があって、これを実施するのがむずかしいことも聞いておりますが、処理業者として、またこういう報告に実際やるんだということを書いておると、メーカーはもうすぐ持っていくと思うのですね。そういうところをやってくださるならばお願いしますと、すぐこの契約は成り立つと思うのです。ですから、そういう契約が成り立つ場合に、この品物がどういうふうに処理されていくかという監督は、やはりどこかがやらないと、また製品の中身を抜き取ってどういうように処理されていくのか、ここまでわからないと大変だと思うのですね。いままでが、そういったことについて、非常にどんどんどんどん生産するというところはいいんですけれども、あとの処理がやはりいままでよくなかったと、そう思うのですね。ですから、こういった点十分監督官庁の方で、回収だけではなくて、回収した後の処理、こういう点まできちっとやっていかなければならない、そのように思うのです。厚生省いかがでしょう。
  113. 代田久米雄

    説明員代田久米雄君) いま御指摘の点につきましては十分監督し、指導してまいりたいと思っております。
  114. 内田善利

    ○内田善利君 実際、貿易会社がそういうことをやっているということになりますと、あらぬ疑いをしなければならぬ、こういうことになってくるわけですね。ですから十分ひとつこの点については注意をしていただきたい。環境庁長官、いかがでしょうか。廃棄物処理法、産業廃棄物処理という面から、いまのこういった事実をどのようにお考えでしょうか。また、どのように対策を講じていくべきであるとお考えでしょうか。
  115. 小沢辰男

    ○国務大臣(小沢辰男君) スプレーの問題は有害だというので回収を命じたわけでございます。しかも、その処理方法については、科学技術庁の技術的な検討も国の予算をもちましてやりまして、処理方法は二つ、これならば安全だろうという処理方法も確定をしたわけでございます。したがって、その処理方法によって全く他に二次公害を及ぼさないような処理のできる能力のあるものでなければ、これはやっぱりやっちゃいかぬと思うんです、有害だから回収したんですから。したがって、恐らくいま厚生省課長が申し上げているのは、確かにまだ処理施設を持っていないような、当然処理業者として十分認可できないようなものがやった私法上の契約まで立ち入ることができないが、しかし、その契約の履行としての処理は当然官庁が認可した処理施設を持ってからでないと許さない、こういうことになると私は思います。またそうしなけりゃいかぬと思うのでございまして、したがって、私どもも、二千万本に及ぶ処理でございますから、非常になかなか困難だとは思いますが、もし第二次公害等を起こすようなことがありますと、今度は一般環境汚染あるいは健康被害につながってくるものですから、私も厚生大臣とよく相談をしまして、適法に、しかも安全のいく方法がせっかくできたわけでございますから、そういう方法で十分行政庁の監督、指導のもとにこれが処理されるように、私としても厚生大臣とよく相談をいたしまして善処をいたします。
  116. 内田善利

    ○内田善利君 塩ビについてはこれで終わりますが、とにかく塩ビという品物は非常に有用であると同時に、安定剤として重金属、あるいは可塑剤としてフタル酸エステル等、あるいはまた入ってくる塩ビモノマー等、非常にわれわれの健康に関係のあるものが多いわけですね。十分この取り扱いについては注意していかなきゃならない、このように思いますので、そのように要望しておきたいと思います。  もう一つ質問したいのは、通産省にちょっとお伺いしますけれども、大学の工業化学で使う水銀あるいは工業高校の工業化学科等で使う水銀、これの扱いについてはどのように指導がなされており、どう処置されているか、御存じでしようか。
  117. 石原純徳

    説明員(石原純徳君) それはフォローしておりません。実情わかっておりません。
  118. 内田善利

    ○内田善利君 大学の工業化学の教室では、水銀化合物の実験をしたり、取り扱いをした場合は水洗から流さないのです。そして、必ず水銀だめというのに全部入れます。そして、業者のところに持っていって水銀は回収している、こういうふうに指導もされ、そういうふうにやっているわけですね。ところが、一たん社会に出ますと、水銀を取り扱っても、どんどんどんどん海へ川へ排水口から流してきた。で、学校では、大学では、あるいは工業専門学校あるいは工業高校等では、水銀は有毒だから、これはほかの物質と違って水洗から流さない、必ず水銀だめに入れると、厳しい指導をやっているわけです。  それで、せんだって第三水俣病関係で水銀が非常に問題になったときに、クローズドシステムにするということで、その年の十二月までに水銀法による苛性ソーダ工場は全部クローズドシステムにしたわけですね。学校ではそういうふうに水銀の取り扱いを厳しく指導し、企業の場合はどこの企業も、あの当時の説明によりますと排水口から流してたということを、私は非常に社会的なモラルの問題として大きな責任があると、こう感じたわけですが、クローズドシステムにするということになりまして、企業は全部クローズドシステムになった。ところが、企業内で水銀を取り扱う以上は外に排出するものよりもさらに十分注意しなきゃならないわけですね。そういったことで、製品も悪いしまたコストも高いあえてそういう隔膜法に切りかえられた。そのコストも高くなる、また製品も悪くなるということをあの当時通産省の方では説明されました。それでも隔膜法にするんだと、もうそういうことで私たちも説明を聞いておったわけですが、予算委員会内容を、九月三十日までに三分の二はやると、そう約束なさり、それが六ヵ月先に延びたわけですが、この点について企業名も、通産省の方では九月三十日までに完了できなかった企業についても発表になりませんでした。ところが、きょうの新聞見ますと環境庁の方で発表になっているわけですが、私もその全部の資料と一つ一つチェックしてみました。融資を受けた企業、そして、これやっているかどうかチェックしてみましたが、その一つ一つについては私は何も申しません。ただここで考えなきゃならないことは、コストも高くなり、製品は水銀法よりも劣る、そういう製品をつくるプロセスにあえて変えた、そういう行政の姿勢があったわけですが、それが今日こうしてだんだんだんだんおくれておる、物価高その他社会的な影響、経済影響もあるかと思いますけれども、そういうことを私たちは納得します、もしそういう事情でできないということであれば。しかし、約束をされた水銀追及の、なくしていく、そういう行政指導通産省の場合と環境庁の場合とどうも違うような感じがするんですが、この点はどのようにお考えでしょうか。
  119. 石原純徳

    説明員(石原純徳君) まず先生指摘ございましたように第一期計画がおくれていることは事実でございまして、この点はまことに遺憾だと思っております。私ども今後鋭意転換計画の促進を努力しておるわけでございますが、まず一期計画のおくれから申しますと、これは環境庁の方からも極力促進方を進めるようにと強い御要請もございますし、私どもとしましても各企業のおくれがどういうところにあるかということを一社一社全部詰めまして、たとえばある会社が三カ月かかるというのを機器メーカーの方へ聞いて二カ月ぐらいで注文を届けるとか、一社一社指導を行うとともに、その事情がはっきりするまでは開銀融資をとめておりまして、一社一社事情を聴取した上で開銀融資を行うというふうな状況でございまして、鋭意促進方努力をいたしております。  それから第二期計画でございますが、これはただいま先生指摘ございましたように、隔膜法につきましては品質の問題その他いろいろございまして、特にユーザー、業界からも懸念の声があったわけでございますが、幸いなことにイオン交換膜という新しい技術の開発が進みつつございまして、一部の企業はもうすでに実用化の段階に入っているというふうなことでございますので、恐らく二期計画にはこれがかなり利用できるのではないか。そういう事情を考えますと、二期計画五十三年三月末完成という計画に相なっておりますが、これは予定どおり進められるのではないかということで、私どもは確認ということでございますが、業界にもそういうことでやるということを周知徹底をさせておりまして、実は来年の早々、三月、年度末いっぱいぐらいかけて二期計画を具体的にどう進めるかというのを各社ごとにまたヒヤリングを進めていこうと思っている段階でございます。
  120. 内田善利

    ○内田善利君 そうすると、二期計画は来年の三月末日までに完了できる見通しですか。
  121. 石原純徳

    説明員(石原純徳君) これは環境庁の方の御発表なさいましたデータにもございますが、こういう二十一工場程度のものが遅延をしているわけでございます。私どもといたしましては、先ほど申し上げましたように、一社一社詰めて、おくれの原因から、今後どのくらいおくれがかかるかというふうなことを詰めておりますと、実は正直申しまして三月でもややむずかしい工場もございます。たとえばこういうケースがあるわけでございますが、隔膜法に転換をいたしますためには、隔膜法の苛性ソーダは濃度が薄いものでございますから、蒸発管というものをつくりまして煮詰めなきゃいかぬ。濃度を上げるために。そうしますと、当然ボイラーの設置とかそういうものが必要になってまいりまして、SOxであるとかNOxの問題が起こってくる。結局、地元と大気汚染に関する公害防止協定を結び直さなけりゃいかぬというようなことがございまして、すったもんだすったもんだもめまして、たとえば一番遅いところでございますと、ことしに入ってから公害防止協定の改定が落着をしたと。そういうことから起算をいたしますと、着工期日から私ども一年半ぐらいかかるというふうに普通見ております。が、ちょっと三月でも間に合わないというような工場も中にはあるかと思います。ただ、大勢といたしましては、私ども三月末までには第一期計画の大勢は完了するというふうに了解をいたしております。
  122. 内田善利

    ○内田善利君 基本的な問題として聞きますが、苛性ソーダは言ってみれば硫酸とか塩酸とか硝酸とかいうように化学工業界における基礎的な物質だと思うんですね。これを利用していろんな物ができていくわけですが、この苛性ソーダが全部隔膜法に切りかえて、品質も劣る、コストも上がるというようなことですが、それでいいのかどうか。いまになってこういう質問をするのはちょっとおかしいですけれども、もっと品質のいい苛性ソーダは必要はないのかと、あるいは隔膜法でつくった苛性ソーダをよりピューリティーを上げていくのか、その辺はどうなんですか。
  123. 石原純徳

    説明員(石原純徳君) 御指摘のような問題がございまして、先ほどの繰り返しに若干なるかと思いますが、私ども二期計画はおそらくイオン交換膜法が中心になると思います。品質的に言いますと、現在隔膜法のものでいきますと塩の混入率が一%ぐらいあるわけでございますが、これではたとえばレーヨンでございますとか、化繊業界では使えないというふうな話もございまして、非常に懸念をしておったわけでございますが、幸いイオン交換膜も先ほど一部実用段階に入ったと申しましたが、そういうデータを見ますと、これは一応化繊業界でも使えるというふうなデータももらっておりますし、私どもも自分のところの試験所で検査をしましていけるという確信を持っておりますので恐らく第二期計画というものが大勢としてイオン交換膜に進むことは間違いないだろうし、そういう形でおそらくユーザーとの関係も一応対処できるんではなかろうかというふうに考えております。
  124. 内田善利

    ○内田善利君 この全くいまだに手がついていない十四社十六工場ですね、全然やっていないこの工場は五十三年三月までに転換できるのかどうか、この点の見通しはどうなんですか。
  125. 石原純徳

    説明員(石原純徳君) これはあるいは環境庁さんの方から補足説明があろうかと思いますが、全くやっていないというのは、全然工事を進めていないという意味ではございませんで、全然まだ転換の成果があらわれていないという、つまり新しい工場が動いてないという意味でございます。で、現実には、もちろん会社によって、たとえばことしの春着工したようなところはもちろんおくれておりますから、進行状況はそれぞれ違いますが、着工してないというところはございません。
  126. 内田善利

    ○内田善利君 それでは全部着工していると、ただし一部まだ転換していない部分と、それから全部完了した部分、そういう区別ですね。わかりました。  まあ、いずれにしても、いまのお話を承りますと、五十三年三月までには完了できるということですね。そして品質の面でも、イオン交換膜の方が完成しこれに切りかえていけば品質の方も心配はないと、こういうことですね。
  127. 石原純徳

    説明員(石原純徳君) 一期計画でございますが、先ほど申し上げましたように、私ども、全部三月に完了できるかと言われますと、これは正直言って自信はございません。ただし、先ほど申しましたように、そういう工場は、先ほどの事例で挙げましたような工場はむしろ例外的でございますから、大勢としては三月までにできると、こういうふうに考えております。それから二期計画については、先生からお話ございましたように、イオン交換膜というかっこうで進んで、ユーザー側にも迷惑をかけない形で転換が進められるはずであるというふうに考えております。
  128. 内田善利

    ○内田善利君 それじゃ、以上で苛性ソーダについての質問を終わりますが、水銀問題も、さっき私一番最初に申しましたように、水銀汚染ということでまだ未解決な問題がいっぱいあるわけです。そういったことで、こういったクローズドシステムに入り、プロセスの転換をしていくということですので、私たちもこれを見守っていきたいと思いますが、通産省ももう少しオープンになって、私たちにも資料をいただき、私たちも協力するところは協力していきたいと、そう思いますのでそういったひとつ行政面の転換をしていただきたいと、そのように要望して私の質問を終わります。
  129. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それじゃ本題に入る前に、先ほど森下委員の御発言の中で、本委員会における野党委員発言というのは納得ができないということで、いろいろ御趣旨の御発言がありましたので、念のためにちょっと申し上げておきたいと思うわけです。  といいますのは、私ども委員会公害対策を推進するための発言をし、あるいは政府に対して施策を迫っているというのは、公害を未然に防ぎ、そして人間の命と健康を守っていくために必要な施策を迫るという立場を常に堅持をしているわけで、その限りにおいて、少なくとも経済発展が望ましくないだとか、あるいは企業は悪だとかいうふうな立場で問題を論じておるというわけではないという点をひとつ十分御理解をいただきたい。  それからもう一つは、公害基本法経済との調和論の問題ですね。調和条項の削除の問題について、これは経済との調和というのは当然の問題なので、記載がなくても当然のことだというふうに理解をするというふうな趣旨の御発言がありましたけれども、御理解になるということはこれはもう御自由でございますけれども、これは経済との調和条項というのが基本法にうたわれていた従来の時期が一体どんな時期であったか、御承知のように、いわゆる高度成長が非常に急がれている余りどういったことが起こっていたかというのは、これは森下委員も十分御承知のとおりです。いわゆる企業産業活動によるたれ流しの結果があの悲惨な水俣病になってあらわれ、あるいはイタイイタイ病の悲惨な被害があらわれ、あるいは大気汚染によって人命が損なわれ、あるいは健康が損なわれるというふうな大変な事態になって、昭和四十四年の公害国会において、少なくとも公害対策基本法というのは経済との調和が最優先ではなくて、人間の命と健康を守り得る生活環境の保全というのが第一であるということが規定をされたというふうに私どもは考えておりますし、事の経過はそのとおりだというふうに思っておりますので、そういった法の基本精神に基づいて少なくとも審議に参加をしているということを明らかにしておきたいと思うわけです。そうして、お話の中に出てまいりました文藝春秋の十二月号におきまして「現代の魔女狩り」というふうなセンセーショナルな題名でもって、大変な記事が記載されておるのは私も拝見をして、よく存じております。しかし、あの中で私つぶさに触れるつもりはありませんけれども、特に悪質だと思いますのは、私ども近藤議員あるいは神崎議員を名指しで、あの中では事実に基づかない勝手な中傷誹謗に属するような記事が記載をされております。そういった点については近くこれは当然のことといたしまして反論の記事を文藝春秋に記載をするということになっておりますので、これはわが党の名誉のためにも一言申し上げておきたいということでございます。  本題に入りたいと思うわけでございますが、初めに大阪空港の騒音公害問題、特に今度の高裁での判決に関連をいたしましてお伺いをしたいと思うわけでございます。  去る十一月の二十七日に大阪の高裁判決で本当に百七十万被害住民の先兵として、そうして原告団が長年にわたって苦労をして闘っておられた裁判闘争が、本当に地域住民のささやかな要求、これが公式の場でそのささやかな要求が認められたということは近来にない私ども朗報だと思って大変喜んでおるわけでございます。  そこで、まず最初にお伺いをいたしたいのでございますけれども、そういった住民の被害についてかねがね深いかかわり合いを持っておられましていろいろいままでも折衝も重ねてこられました環境庁長官ですね、私は最初にお聞きをしたいと思うんです。本来なら行政的に、——こういったものは記法権の立場で明らかにされるまでもなく、住民の健康やあるいは生活権にかかわる重大な問題なんだから、行政的に措置をされるべきであったであろうと思うんですけれども、いよいよ裁判という公式な席上で、ああいった判決があらわれたわけでございますけれども、こういう判決に基づきまして環境庁といたしましてはどういう態度で今後の処置を、今後の対処をなさるのか、基本的な方針ですね、まず最初にお伺いをしておきたいと思うわけです。
  130. 小沢辰男

    ○国務大臣(小沢辰男君) 私は、この判決の出る前から夜間についてはできるだけ生活環境を、静かな環境を保障してやる意味において、できるだけひとつ時間を短縮したらどうだということを、いろいろと運輸省側に申し入れをしたりお願いもしたりしてきました。判決の出るずっと前でございますが、九時半ないし三十五分ぐらいなら何とかできそうだという話もありました。しかし、それじゃなかなかあれだろう、もう少しならぬかとかそういうことでいろいろ努力もしましたし、また周辺対策あるいは飛行機の機材等の改良、それから減騒音のためのいろいろな対策等についても運輸省と相談をしまして、できるだけ努力をしてまいったわけでございますが、何しろ空港の需要というものが非常に多いものですから、しかも、一つの空港だけで解決できない問題もたくさんあるわけでございまして、そういうような意味で運輸省も努力はしつつも今日まで経過をしてきたわけでございます。しかも、第一審では十時ということでございましたんで、あの第一審の後、三木長官時代、できるだけ減便をするようにということから、大分減便も実も実績を上げてきましたし、夜間については特に九時以降の便について、約半分ぐらいにたったと思うんですが、そういうように努力をしてまいったわけでございまして、決して手をこまねいてそれまではできるだけがんばっておくというような姿勢ではなかったわけであります。判決が出ましてから、あの判決の中には若干私問題点があるということを——法律当局である法務省あるいは実際の飛行関係の責任を持つ運輸関係の運輸省、そういうようなところで判断をされる以外に、私どもとして、たとえば健康被害を広く推認し過ぎているきらいがあるという点については若干疑問を持ったわけでございますが、しかし、できるだけ生活環境を保全する私どもの立場ですから、これはひとつ判決を上告するといういろいろな政府部内で相談の結果なったときにも、それとは無関係に九時だけは何とかひとつ守ったらどうだというのでいろいろ議論いたしまして、運輸省にも文書をもって申し入れもしまして、国際線はなかなかいますぐはできぬだろう、だから少なくとも国内線だけはぜひやってくれということから、結果的には九時以降の便もやめるという行政措置を国内でとることにしていただいたわけでございます。  その他のいろいろな問題点について、上告審においてどういうように最高裁でおとりになりますかわかりませんが、私どもそういうものとは別個に、たとえば他の空港についても改善すべき点を行政措置としてできるだけ先行してやると。そうして大阪に見られることの最も私は残念だと思いますのは、住民と政府側といいますか、当局との間のどうも信頼関係が全然ない、もう少しお互いがお互いの立場を理解しつつ、そうして生活環境を守っていくための話し合いをひとつ本当に虚心になってする、説明をする、そうして要求も聞きながらそれを実行していくようなそういうもっと温かい心の通いがあってよかったんじゃないか。これがやっぱり非常に一つの大きな支障になっておったんじゃないか。これからはぜひ運輸当局にも、ことに今後はエアバスの問題等もありますので、十分よく話し合いをしていただいて、そうして納得をしていただいた上でひとつぜひやりませんと、トラブルをしょっちゅう起こすようなことになってはいけません。またさらには音源対策なりあるいは周辺対策をできるだけやっていくように努力もあわせてやっていく、こういう考えでございます。
  131. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 これは第一審のときには、現在の総理の三木さんが環境庁長官でおられたんですね。第一審の判決後も、私も原告団と一緒に三木長官——当時の三木長官のお話などを伺いましたけれども、大阪空港というのは欠陥空港だからできるだけ住民の被害をなくするために努力をしていきますよという友好的な話し合いもある部分にはあったわけです。そこで、私は環境庁の任務として、これはたまたま森下委員の御発言があって、私先ほど申し上げましたけどね。公害対策基本法という立場に立脚をして、環境庁として、それじゃいままで原告団に代表される住民の要求ですね、たとえば、せめて夜の九時以降は一般の国民並みに静かな夜を過ごさしてほしいという、夜の九時以降の飛行を何とかやめてくれというふうな、ああいうささやかな要求を長官としては一体いままではどうお考えでしたか。私、こんなことはせめて長官から運輸省に、こんな判決出る前に、せめてこのくらいのことやったらどうだとおっしゃっていただいて当然ではなかったかというふうに、いまにして思いますならば非常に残念だと思うんですが、どうですか。
  132. 小沢辰男

    ○国務大臣(小沢辰男君) 私先ほどもそれについてもお答えをしたつもりでございまして、九時三十五分の経過もあったようなことも申し上げたわけでございますが、やはり空港は大阪空港だけ取り上げて、九時といいますと行き先のこともあり、また出る先のこともあるわけでございますから、私どもは、もちろんもう公害問題あるいは騒音問題考えますときには、実際九時といわず、七時でも六時でも、また極端に言えばない方がいいに決まっておるわけでございますが、ただしかし、それだけではやっぱり人間生活全体が成り立っていかないわけで、また現実にそれがとにかくあらゆる社会活動の要素になっているわけでございますから、経済との調和を優先して考える考え方はありませんけれども現実にはそういう事態があるという現実はやっぱり無視簡単にはできない。したがって、できるだけの要望をしてまいりましたんですが、第一審の判決、私は着任しまして一年前のことを聞きましたら、判決でも十時ということだったということですから、しかし、控訴審では九時だということで争っているので、せめてどうだ、九時半ごろまで何とかならぬかというような努力はしたことは事実なんです。しかし、いま言ったように大阪空港だけで解決できない問題もいっぱいありますので、そういう点で努力が足らなかったという——判決後、できることなら前からできたんじゃないかとおっしゃられるかもしれませんが、そうなかなか現実に、ことに、新幹線は夜走らせないということなんですから、いろいろ考えますと、結果的には、それは確かに努力は足らなかったかもしれませんが、そういう点は十分頭に置きながらやってきたつもりでございます。
  133. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 私は、法廷で地域住民のこの耐えがたい苦痛というのは具体的に承認をされて、で、人間の命や暮らしの問題について、その命や健康を守り得る生活環境保全を第一義的な目的とするこの環境庁長官がその悲惨な実情を早く先にやっぱり認めなかったという、認めることができなかったという点では、これは大いに反省してもらわにゃならぬ点ではないかというふうに思うんですよ。そこで、これは政府、運輸省は十二月二日に上告をされましたね。上告をする前に関係閣僚会議がやられているようでありますけれども、そこで長官、それじゃどうなんですか、そこでは一体どういうお立場をおとりになったんですか、私はそれを聞きたいと思うんです。
  134. 小沢辰男

    ○国務大臣(小沢辰男君) 私は九時以降国内線やめろという申し入れをあの閣僚が相談する前に運輸省にやりまして、運輸省もそれじゃ何とかそれにこたえますと、こういうことだったものですから、国際線は無理、いますぐは無理だということはわかりますので、したがって、その基本的な問題が私の希望を入れていただいた以上、他のいろいろな法律論について上告をするという理由があるんならこれはやむを得ぬだろう、こういう態度で終始したわけであります。
  135. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 そうすると、あの九時以降の差しとめということについて了解をされたので、その他のことで上告をしなければならないならやむを得ないというお立場で、せめてその高裁の判決どおりもう政府が受諾して長い間の住民の苦しみというのを何とか基本的に、せめて裁判所で決定した範囲、判定した範囲で解決しようという強い態度はおとりにならなかったと、こういうことですな。でも、ごくわずかな話だと思うんですよ、あの中身だってね。だって過去分のあれでしょう、九時以降の差しとめと過去分の損害賠償、それから将来分については話し合えということなんです、実際。何百億金積みなさいという話と違うんですよ。将来分については話し合いなさいと、こうなっている。そんなに大それた中身でもないのに、九時以降の差しとめが済んだからまああとは野となれ山となれではちとつれな過ぎますよ。それはどうですか。
  136. 小沢辰男

    ○国務大臣(小沢辰男君) これは私が主張できるやっぱりある一定の限界というのがあるわけですから、法律論争になればこれはやっぱり法務省の見解が一番の当事者でございますし、それからわれわれの点から見ると、最初に私が申し上げたように、若干やっぱり解明をしてもらいたいという気持ちになる点があるわけですね、環境庁の立場から見ても。最高裁でどういう結論になるかわかりませんけれども、詳しいことはもしお尋ねがあればまあ担当局長からお話ししますけれども、何か健康被害まで、現実に及ぶあらゆる健康被害の点までを広く推論、推認し過ぎているようなきらいが——どうも私とも健康被害の、公害による健康被害という点の、まあやっぱりこれはある程度医学的な正確な判断というものを求めなきゃいかぬような点について、それをどうも一般的なこの生活の環境を侵されている、それから安眠ができない、あるいはそのためにいらいらするという問題にさらに広くそういう直接的な健康被害について推認をしている点については、これはやはりもう少し明確にジャッジを求めたいという気持ちを持った点も私の所管の点についてはあった、率直に私は申し上げます。
  137. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 いや、私は健康被害の問題等について私も知らないわけじゃないんですよね。で、これは運輸省でも早いこと解明をするべきだと、現実被害はあるんだから。現在因果関係がよくわからぬということでもう続いているわけでしょう。こんな被害を受けた住民がその原因を解明しなきゃならぬという責任はないですからね。そうでしょう。それがおくれているからということで、解明がおくれているからということで、これですっきりせぬとかなんとかという話はこれはやっぱり当たらぬと思うんで、私はこの問題もまだ残されていると思いますよ。しかし、私は環境庁長官に環境行政を進めていく基本姿勢として切望したいと思うんですよ。少なくとも住民の被害、切実な被害、苦しみというのがこの環境行政の最高責任者である長官よりも司法の分野で認められたというふうなことは、これは決してほめられた姿じゃない。こんなことにならないようにこれは他山の石にしてもらわなきゃならぬというふうに思うんですよ。で、少なくとも運輸省は、環境庁が言うたけれどもきかなんだと言うんなら、これはまた話別ですわ。しかし、運輸省どうも住民との間でぎくしゃくしてかっこうつきにくいしというふうな御意見もありましたけれども、やっぱり長官よりも法廷で、別の公式の場で悲惨な被害というのが認められたというふうなあたりというのは、これはもう重大な問題だというふうに私はまず感じた。そこで、上告をされたということについては、私はけしからぬと思うんですけれどもね。長い間がたがたやって、住民の意見や状況というのも運輸省は御存じないわけでもないのに、にもかかわらず、ささやかな要求が法廷で認められたからと言って、上告をされた。こんな、やめなさい、やめるべきです。で、長官だって、判決後、全力を挙げて対策も進めていきたいとおっしゃっておられるなら、これは上告を取りやめさせるべきだと思うんですが、どうでしょう。
  138. 小沢辰男

    ○国務大臣(小沢辰男君) 先ほど来申し上げていますように、上告を取りやめさせろとおっしゃいましても、これはいろいろな政府部内の相談の結果でございますので、いま私ここで、先生に賛成をするわけにいかないのでございます。しかし、とにかく、上告をしていようと、判決が最終的にまだ確定しない現在であっても、私の立場からする被害者の方々を守る、生活環境を守り、健康被害を守るという意味における行政はやはりどんどん進めていかなきゃいけないわけでございますから、それはそれとして、別に十分責任を果たす意味における努力はいたしたい、かように考えております。  それから先ほど裁判に出る前におまえさんがこういうことはちゃんとやるべきじゃないか——それはそのとおりだと思うんです。しかし、なかなかそうはいかない現実先生は知っての上でのお話だろうと思うんですが、私環境庁という——ほかの役所は自分の責任と自分の範囲のことを自分だけでやれるわけなんですけれども環境庁というのは自分だけで九時以降やめろと言ってみても、実際実行するのは別のところでやるわけでございますから、やはり住民の立場を考えながら環境行政の本当の目的達成のために絶えず努力はしますが、やはりそちらの方の全く事情は私どもは何も知らぬわけですね。どこの空港で何時からどうなっているのかもわからぬ。そういうような行政の各省のそれぞれの責任というものもやはり考えていかなくちゃいけませんものですから、確かにそういう点ではあるいは歯がゆいかもしれませんが、一歩一歩必ずひとつ努力をして改善いたしていきます。
  139. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 私、知った上で言うているわけじゃないんですよ。そうすると環境庁長官がやれ言うても、たとえば今度の場合、直接主務省である運輸省はなかなか聞いてもらえぬという関係があるということになったらこれは事だ。私は先ほど冒頭に申し上げたように、本当に被害住民の苦しみというものを解決をしてやる、していかなきゃならぬという立場にお立ちになっておるんなら、これは先ほど長官もおっしゃったように、あの判決後十二月一日ですね、上告の前日に運輸大臣あてに「大阪国際空港における当面講ずべき措置について」という文書をお出しになっておられますね。これももうへっぴり腰なんですよ。何ていうて書いてあるかというたら、これはこういうふうに言われているんですよ。「大阪国際空港周辺地域における航空機騒音による広範かつ深刻な被害にかんがみ、当面下記の措置を講ずるよう申し入れる。おつて、講じた措置については、その都度報告するようお願いする。」というふうに書いて、「記 1、大阪国際空港においては、現時点をもつて夜9時以降、少なくとも国内線は飛行中止をすること。」、これはおっしゃったとおり。二番目にはこう書いている。「政府において上告問題について決定がなされた時点において、次に掲げる事項について実施すべき対策を公表すること。」、上告が前提になっているんです、この文章ね。これもそれで私はお聞きをしたんですよ。そのことは先ほど済みましたから、一応。で、こういうふうに「対策を公表すること。」というふうな申し入れをされているんですが、この後の一、二、三の音源対策、空港周辺対策、それから環境基準の達成状況の点検、この三項目についての公表というのはこれはなされたんですか。
  140. 橋本道夫

    政府委員橋本道夫君) いま先生の御指摘になった問題点の最初のパートでございますが、上告が決定とは書いてございませんで、上告問題について決定がなされた場合ということでございまして、上告するかしないか決定された場合ということで、きわめて慎重にこのような文面にいたしたということでございます。そういうことで私は長官の命を受けまして、この問題もきわめて重要な問題だと、非常にどちらに決定するかということは慎重に対処するように強調せよという私は命令を受けまして、各省会議の中では非常にそういう環境庁の立場ということで事務的なベースでは完全にそれを貫いてきたことは事実でございます。  それからもう一点は、環境庁長官が先ほどおっしゃいましたように、判決の出る前に長官として、一回ぜひ現地を見てこい、私、命令を受けまして、おまえは現地に行って見てきて一体どういう態度を最終的に決したらいいかということを調べてこいという命を受けまして、私は勝部も利倉も晩三時間立っておりました。それからあちらの川西の方も、そこへ行きまして住民の話も聞き、帰りまして早速長官に、伊丹の空港というのも全くひどい特殊な問題であるということを申し上げて、長官は早速——これはまだ判決の前ですけれども、運輸省に厳しくそのことを口頭でまず言えということで、その事情を運輸省に参りまして、長官はとにかく言っておられる、九時以降という問題については非常に強い姿勢を持っておられる、そのことはよく考えて運輸省として判断してくれ、こういうことを申し上げたわけでございます。
  141. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 私はそのことを聞いておるんじゃなくて、公表したかどうか。
  142. 橋本道夫

    政府委員橋本道夫君) 公表したかどうかという点でございますが、まず政府見解を出した後に運輸省の見解というのを出されまして、これは非常に粗いポイントは明らかにされたということは事実でございます。発表されてから運輸省の見解というものは私どもにもいただきました。それから、しかしその後、きのうもまた新しく対策としてはスケジュール等が変更になっておりますので、やはりその点についてはまた改めて私どもの方に知らせていただくということが至当だと思います。  それから空港周辺対策等につきましては、現在までの経緯、予算の計画等の資料をお持ちになって当庁にお見えになって御説明になったということは事実でございます。後の達成、点検につきましてはむしろ今後の問題であるということでございます。
  143. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 これは「公表すること。」というのは一般に公表するという意味でしょう。環境庁説明に行かれたという範囲で公表はされていないんですか、されたんですか。
  144. 橋本道夫

    政府委員橋本道夫君) この第一の点につきましては、運輸省としては公式見解としてお出しになったことで公表になっておると思います。  それから第二の点につきましては、抽象的ではございますが、あの見解の中に述べておられるということは事実でございます。そういうことでございます。
  145. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 私はね、わざと上告問題という問題を抜かして言うたんです。わざわざ「上告問題」と書いてあるとおっしゃった。せめて上告をせずに、運輸省は判決の節囲で住民の長年の苦衷を察して直ちに対処するべきだぐらいの見解をぱちっと二番目にでも書いているというなら話はわかるということを先に申し上げた。これ、それ以上蒸し返そうと思いませんが、時間の関係がありますからその後の経過に関連してお尋ねをしていきたいと思いますが、一昨日、八日ですね、大阪の高裁の民事九部で国側がお出しになったいわゆる差しとめの停止をする申し入れ、これに対する判決が下っておりますが、この内容を見ますと、現在午後九時から十時までの間に運航されている国際線定期航路の航空機の発着に限り、これは国際線に限り五十一年五月末まで延期をする。それから二番目は、国は地元住民の承諾を得ずに同空港にエアバスを導入しない。三つ目は七時から九時までの発着回数を現状より増加させてはならないという三点の決定がなされたわけでございますけれども、そこでお聞きしたいのは、九時以降を廃止して九時までに繰り上げたりなんかして増便するなという点については、これはきょうの新聞報道等でも拝見をいたしましたけれども、決定の範囲内の運航計画をお立てになったのですか。
  146. 梶原清

    説明員(梶原清君) 去る十一月二十七日に御案内のとおりの控訴審の判決がございまして、私ども運輸省としましては、先ほども指摘がございましたように十二月二日に上告をする措置を決定をしていただきますと同時に、九時を過ぎる国内線のダイヤを削減する——国際線は国際関係その他の非常に重要な問題もございますので国際線はおいておきまして、国内線のダイヤを削減する。国内線のダイヤは六回あるわけでございます。六回を削減するという措置を十二日から実施をしたいということにいたしたわけでございます。それと同時に、それに関連をいたしましてエアバスの導入という三つの方針を決定をし、実行をしてまいりたい、かように考えておったわけでございますが、先ほど御指摘のございましたように、八日の日に私どもから申し立てておりました強制執行停止の申し立てにつきましては先生指摘のとおりの決定があったわけでございます。現在それに対応いたしまして省内においてどのようにするか検討中でございまして、できるだけ早く結論を出したい、かように考えておるわけでございます。  で、六便を削りますために内部で相当の作業をいたしまして五十何本と、正確に記憶いたしておりませんが、相当数のダイナをいじる作業をしてまいったわけでございまして、今回の強制執行停止の申し立てにつきましてあのような決定がございましたので、今後どうするか相当慎重な検討を要するのではないかと、かように考えておるわけでございます。
  147. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 そうすると、九時以降の分はカットして九時までの分は——九時までと言ったら不正確なんですね。八時五十九分までの発着の分を増便してはならないという点についてはその決定のとおり計画をお組みになったわけですね。
  148. 梶原清

    説明員(梶原清君) この決定につきましては国際線を除きまして国内線について九時以降のものを削れということになっております。国際線を五月末まで一応引き続き運航するということにつきましては、先ほど申しました期限等条件がついておるわけでございまして、この条件では申し立て人すなわち私どもにおいて被申し立て人らの承諾を得ない限りエアバスの導入をしない、それから午前七時から午後九時までの離発着回数を現状より増加しないことという決定がついておりますので、それを増加することは考えていないわけでございます。
  149. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 そうすると、きょうの新聞報道なされている範囲内で増便せずにカットするという運航計画になっているというふうに理解していいわけですね、国内線については。
  150. 梶原清

    説明員(梶原清君) それにつきましては、決定の趣旨に沿いまして私どもの内部で早急に結論を出したいということで検討しておるわけでございます。
  151. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 そうしますと、もう一つの国際線ですね、週十一便就航されております国際線については五月末までということになっておりますが、これについてはどういう御計画で具体的に進められるのか。それについて、ちょっと伺いたい。
  152. 梶原清

    説明員(梶原清君) 国際線につきましては世界的な慣行というのもございますし、外交問題という重要な問題を控えておるわけでございますので、この判決がありました趣旨につきましては関係の航空会社に念達をいたしておるわけでございます。今後この国際線の扱いにつきましてどうするかということにつきましては、先ほどの問題と同様に政府部内で早急に検討したい、かように考えておるわけでございます。
  153. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 そうすると、国際線の関係会社には判決の通知をしているわけですね、こういう判決が出たと。で、通知をしただけで大体向こうは勝手に対処してくれますか。その辺の見通しなど、これを伺っておかないと困るのですね。
  154. 梶原清

    説明員(梶原清君) 現在の時点におきましては、先ほどお答えいたしましたとおり、関係の航空会社に判決の内容を知らせて事情を知らせたという状態にとどまっておるわけでございます。
  155. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 いや、私が聞いているのは、航空会社に通知をしたら——こういう判決が出ましたという通知をしたんでしょう、通知をしたら、向こうがその運航計画をその判決に基づくように勝手に変更してくれますか。そうならもう話は別なんです。その辺を聞きたい。
  156. 梶原清

    説明員(梶原清君) 非常に外交上の問題でもございますので、現在のところ、私の承知しておる限りにおきましては、先ほどお答え申し上げましたこと以上にお答えできませんことが残念でございますが、お許しをいただきたいと存じます。
  157. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 じゃ、外交上の問題を伴うなら、それこそ当然二国間の協定の問題でも条約の問題でも、これは国内法を遵守してもらわなければ困るわけですからね、そういうことになっとるんやから。懇切丁寧に、こういう事情でございますから何とか御協力をいただきたいんだということを、外交問題としてでも具体的に対処をしていくということを進めておられるのかどうか。むずかしい問題だというのは私らも知っていますがな。全然知らぬで聞いているわけじゃないので、だから通知をしたら勝手に変えてくれるというふうな簡単なものではないだろう。だから、運輸省としてはどういうふうに対処をするのか。運輸省が勝手に外国へ行って交渉するわけにいかぬでしょうから、どういうふうに外務省なら外務省へお願いをして、どういうふうに進めていきますと、せめてそのぐらいのことは言ってもらわぬと、そんな、むずかしゅうございますだけでは話にならぬですよ。
  158. 梶原清

    説明員(梶原清君) 今日の段階におきましては、先ほどお答えいたしました域を出ておりませんので、今後政府部内で検討いたしたいと存じております。
  159. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 運輸省が独自におやりになるんですか。
  160. 梶原清

    説明員(梶原清君) 運輸省とこの航空協定上の問題になりますと外務省が担当されるわけでございます。
  161. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 私ちょっと心配していますのは、当然外務省がかむのはあたりまえですよね、外交問題ということになれば。たまたまそういう時期にやられている日英航空交渉の席上で、この問題は議題でないから全然出していないと、こういうふうに言われているんでしょう。こんなことでは裁判所が命令しようが、判決がどのように出ようが、これはやる気がないとしか思えないですよ。だから聞いている。運輸省としてはどういうふうに対処するのか、このことをお聞きしているわけですよ。どうなんですか。
  162. 梶原清

    説明員(梶原清君) 御指摘のとおり、日英航空協定の問題につきまして打ち合わせを進めておることは間違いございませんが、この問題につきましては、そのテーマには出していないわけでございます。ただ、こういう判決がありましたということは航空会社を通じましてよく伝達をいたしておるわけでございます。
  163. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 これは環境庁長官、往生際悪いと思うんですよ、大体。国内線は長いことかかって、うじゃうじゃ言いながら、やっと九時以降はカットするというところへ追い込まれたみたいなもんですよね。環境庁長官が段平抜いて、かちっととめたら、これは国民がものすごく信頼しますがな。そんなふうにやってほしいということを先ほど要望したんだけれども。国際線といったらわずか一週間に十一便ですよ。国内でも、こういった事情で国内線はこうしているんだと、せめて、ひとつ御協力をいただきたいということを運輸省がもじゃもじゃしていて、ようやらぬのやったら、住民の生活環境を守るために長官ひとつネジ巻いたらどうですか。解決するように推進をせめてしたらどうですか。だって国側の高裁に対するお願いだって来年の五月までと言っているんだから、そない無制限にほおかむりでいかぬでしょう。やはり具体的な道筋というのは明らかにしていただきたいと思うんですよ。むずかしいから、むずかしいからでは、だんだん空港周辺対策みたいになりますしね。その辺はっきりしてもらいたいと思うんです。
  164. 小沢辰男

    ○国務大臣(小沢辰男君) 私、昨日衆議院の公環特で公明党の岡本先生からも同じようなあれがありまして、ダイヤというのか、あれを見ますと十一便、大体台北から大阪へ来る。それから香港から大阪へ来る。それから、こちらから台北へ行くのと、この三種類なんです。まあちょっと台湾から少し早目に出てきたらどうかと、あるいは香港からちょっと早目に出てくれば解決するかなというふうにも素人考えで実はするわけなんですね。それだから運輸省にどうだそれぐらいちょっと、ちょっとの関係だから、あれだけ長い飛行時間の間だから——しかし、これはそうやっぱり素人が考えるような簡単な問題ではないようです。いろいろ他の飛行場なりいろんな国際協定というものは、航空協定というものは非常に利害がふくそうする問題でございますから、したがってそういう困難はわかっておりますが、私としてはできるだけ努力するとお答えをしております。ただ、実は上告をいたした後でございます。政府として決定をしたわけでございまして、この二十七日の控訴審判決をどういうふうに最高裁として判断をされるかと、やはりこの点もいろいろございますので、いま国際線十一便、一日平均にしますと二便だけなんですが、その問題についてやはり外国と交渉しましても、上告審で上告をしまして最高裁の判断を求めている政府側として、なかなかその面ではいろいろ相手国との交渉の場合にいろんなやはり問題点もあろうかと思いますので、私としてのいろんな努力はいたしますが、それやこれやあることだけは御認識願っておきたいと思うわけでございます。
  165. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 私も時間の関係もあるからくだくだ言うのはいやだと思って冒頭に長官からいろいろと御見解を伺ったのですがね。あれですよね、九時まてとにかく——これは十二月一日に運輸大臣に申し入れておられるのでも、まあ「国内線」と書いてありますよ、確かに。「国内線」と、申し入れには。だけれども九時まで、九時以降の発着というのがとまったという基本的な問題があるので、後の上告問題については公的なかかわりがあるならということで消極的な態度をおとりになったということを言っておられるのでしょう。国際線だって九時以降の問題が問題になっているのだから、せめてその基本的なささやかな要求を実現させるという立場では、これはまあ上告をしているのだから最高裁の結審が出るまではやむを得ませんという態度では、これは住民としては納得しがたいと思うのです。少くとも国側がお出しになって大阪高裁での決定だって来年の五月ということに期限も切られているわけでしょう。せめてそれを実現するためのスケジュールぐらいは、困難はいろいろあろうと思うけれども、こういうふうにやっていきたいぐらいのことは表明をされてあたりまえだと思うがな、実際には。上告をしておるのやから、それなら国内線も九時以降ほっといてもよろしいのやというのと変わらへんですよ、そこは。せめてそのぐらいの態度はお示しをいただきたい。いますぐにということじゃなくたって、スケジュールをこういうふうに国際線のエアラインなり各国とこういうふうに進めていきたいと思って外務省とどういう相談をしているとか、そういう話にでもせめてなってこないと、これは大体どうなるのやわからぬなということになりますよ。まあ長官自身が住民との信頼関係がもう一つといっておっしゃっているように、言うておられたでしょう、冒頭で。その辺、はっきりしないから信頼関係がぴったりいかぬようになるわけですよ。またあれ何をするやわからぬという疑いが持たれるわけですから、せめてこれだけはっきり言われていることについては、こういうプロセスでこういうふうに進めていきますと、しかし外交問題は話がつかぬで残るという場合はあるかもわからぬですよ。そうでしょう。しかしこれ、かくかくしかじかのプロセスで努力を進めていきますと、せめてそのくらいのことは言うてもいいでしょう。慎重に対処しますではわからへんです。
  166. 小沢辰男

    ○国務大臣(小沢辰男君) 私が基本的に最初に申し上げたように、それも、国際線も努力をするということを申し上げておるわけです。ただ何もほったらかしておく気持ちはありません。しかし政府全体として上告を一方においてはしながら、一方においては外国に向かって、これはやめなさいというようなことは、向こうから見ればおかしいじゃないかということを言われるようなこともあるから……。
  167. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 そんなことを言えと言ってないです。
  168. 小沢辰男

    ○国務大臣(小沢辰男君) 努力は別にしますよ。きのうもお答えして、各党からもお話がありました。努力はしますが、運輸省と相談をしてかくかくしかじかのスケジュールで全部こうやりますなんということは、いまここで私は申し上げるような段階ではないということだけは、上告の問題と外交交渉の問題と、すべてを総合的にお考えくださって御理解をいただいておいて、それとは別個に私としては努力をいろんな角度からやってまいりますということを申し上げておるわけです。
  169. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 これは運輸省の意見も聞きたいけれども、もう大臣でないからなかなかそう思っていても言えぬでしょう。だからその問題はやめて、時間の関係があるから、もう一項目のエアバスですね、十二月二十日から乗り入れるって決定しましたね。一昨日の決定によりますと、住民の了承、承諾なしには入れてはならぬということになっておりますが、これは二十日から乗り入れるということは見合わせましたか。これはどうですか。
  170. 梶原清

    説明員(梶原清君) このエアバスの導入につきましては、御案内のとおり、発生源対策として非常に有効な、そして重要な騒音対策でございます。私どもそうした見地からエアバスの導入を図るべく地元の理解を得て導入をしたいということで努力してまいったわけでございます。十二月二日の際には、運輸省の方針といたしまして、二十日から一部導入し、来年の一月十日から相当回数のエアバスを入れるという計画を発表したわけでございますが、環境庁さんからの照会事項が同日付で参っておるわけでございます。環境庁さんとよく詰めた上で、この対処方につきましてできるだけ早く結論を出したいと、かように目下考えておるところでございます。
  171. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 そうすると、二十日に就航させるという決定は、環境庁の照会等があるので、そこで見解が一致しなかったらやらないということですか。
  172. 梶原清

    説明員(梶原清君) お言葉でございますが、環境庁さんの障害というふうには認識をいたしておりませんで、環境アセスメントにつきまして十分詰めなきゃいけないという立場で十三項目につきまして目下——いままでもかなり御説明は申し上げたりしてまいっておりますけれども、十三項目に改めましていろいろ資料をもちまして詰めさしていただくことに相なっているわけでございます。エアバスにつきまして、いろいろと排気ガス等の問題について地元の方から疑問を持たれておるわけでございますので、その点をまず明らかにいたしたいと、かように考えておるわけでございます。
  173. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 そうすると、十二月二日にお出しになった、この環境庁の大気保全局長から出された十三項目の申し入れというのは——環境庁に聞きたいんですよ、返事が来て納得がいかなかったら就航は見合わしてもらいたいという立場をおとりになるんですか。
  174. 橋本道夫

    政府委員橋本道夫君) 環境庁自身としては、そういうことを言う権限はございませんが、衆議院の委員会のときでも私どもの大臣も、これがちゃんとやっぱりクリアできなければできないのではないかという気持ちの感触を述べております。向こうの局長もやはりそういう感触の答弁をしておられることは事実でございます。ですから、エアバスを関係者が見てどうだったかと、要するに運輸省と全然見解が違いますということではやっぱり運輸省の方が地元の方に承諾を求めるというのもとうていむずかしかろうと、また、私の方も地元の人に聞かれた場合にはっきり説明できるという確信がつかなければ、なかなかそこはこれでクリアできたとは言えないのではないかと、こういう意見を持っています。
  175. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 そうすると、これはまあ原告団との交渉の席上では、航空局長は、環境庁と見解の一致がなければ政府間で意見が違うのに入れるというわけにはいかぬと、一致を見なければということの御発言があるわけですが、これはそのとおりですな。これは言われた局長と違うからまああれだけど、部長どうですか、それを確認してください。
  176. 梶原清

    説明員(梶原清君) 先ほど橋本局長からお答えされましたとおりでございまして、私どもとしましては、非常に効果的であると、騒音対策としまして非常に効果があるというふうに認識をいたしておりますけれど、排気ガスの問題等について疑問が地元から出されておりますので、その点もクリアして実施をさしてもらいたい、こういうように考えておるわけでございます。
  177. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 そうすると、環境庁の十三項目の詰めの話はわかりました。  もう一つは、一昨日の高裁の決定ですね、いわゆる住民の承諾なしには入れてはならぬと、この御理解はどうなんですか。もう時間余りないから端的に言いますと、きのう現地の住民が現地の空港長と交渉して、いや、これはもう了承を得ているから入れるんやって言うているんですが、どうなんですか。
  178. 梶原清

    説明員(梶原清君) エアバスの導入につきましては、先ほども申し上げましたように、地元の理解を得るということが私ども基本的な考え方でございまして、原告の方のみならず十一市協初め関係の地域の方々の理解を得べく目下努力しておるところでございます。
  179. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 十二月二十日に入れるという方針は変えてないんでしょう。というのは、住民の了承を得たと、承諾を得たというふうに御理解になっているんですか。承諾を得ていないから、環境庁との話もさることながら、住民の承諾を得ないで入れてはいかぬと、こう言われているんだから、その点についてはどうなんですか。そこをはっきりしてください。
  180. 梶原清

    説明員(梶原清君) 私どもこの数年地元の理解を得べく努力を続けてきておることは先生案内のとおりでございますが、すべての方につきまして御説明をし理解を得るに至って——すべての人全部につきまして理解を得られない状態にあることは間違いございません。しかしながら、このエアバスにつきましての非常に音源対策上の効果があるということにつきましては、大方の御理解が得られておるんではなかろうか、こういうように私ども考えておるわけでございます。
  181. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 大方の御了解を得られているんではないかと考えていますというのは、住民の承諾を得ないで入れちゃならぬということとは全然事情が違う。これははっきりしておかなければならないのは、きのうの現地でのおたくの空港長の交渉で了解が得られているという理由を四つ挙げているんです。その一つはどない言うたかいうたら、調停を受けた人が多数おると、こう言うているんです。この人たちの中で、エアバスについては入れてもろうては困りますというて反対署名運動をずっといまやっていますよ。こんなもの了承したと思っているというのは認識のあれで誤認もはなはだしい。それからもう一つは十一市協ですよ。十一市協も了承していませんよね。先週また改めてエアバス導入については反対決議をしているわけです。もちろん、大阪府の知事が了承したというふうなことを私ども伺っておりません。一体だれが了承したというふうに——これは運輸省は大方の御理解が得られているというふうに理解をしておりますと、その理解は何ですか、何が論拠で理解をしておられるか。
  182. 梶原清

    説明員(梶原清君) 大阪の空港周辺には相当たくさんの住民の方がいらっしゃるわけでございまして、その方々の承諾なりあるいは了承を取りつけるということは非常にむずかしいことかと存ずるわけでございます。しかしながら、私どもにとりましては、世界の各国を飛び交い、わが国でも七つの飛行場にすでに入って騒音対策上の効果を上げておりますエアバスにつきまして、住民の方々の御理解を得るという努力を続けてまいっておりますし、今後も、この環境庁さんからの御照会もございましてその点の詰めをいたしたい、かように考えておるわけでございます。
  183. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 私は、エアバスが、運輸省が言うておられるように音源対策で効果があるかもわからぬというふうな問題、あるいは排ガス等についてはどうなのかというふうな問題、あるいは減便に役に立つかもわからぬといういろんな可能性はあると思うんですよ。あるけれども、住民の了承を得た上だと、承諾を得た上でなければ入れてはならぬと言われておるということに対処する対処の仕方についておかし過ぎると言うんです。現に調停団だってね、調停のときにもエアバスについては話し合え言うておるんですね。それに勝手に、話し合いもせぬで勝手にやったと言って調停団怒っているんですよ、現に。で、十一市協からも決議をしたということで改めて運輸省へも来ているでしょう。尼崎の市議会も改めて来ているでしょう。住民の自治会連合も改めて来ているでしょう。住民の承諾が得られていないという実態というのはいま運輸省で毎日のようにあらわれているじゃないですか。それに大方の御理解を得たと了解をしておりますと、そんな詭弁ですよ。一体何と心得ているんですか。あなたのところね、あれでしょう、差しとめの、仮執行をやられたら困るというんで、それ差しとめてくれ言うて訴えたんでしょう。その返事が住民の承諾なしには入れてはならぬという命令でしょう。腹立ってもあれでしょう、上告でけへんですよ、これは。従わなきゃしょうがないんでしょう。そうしたら住民の承諾というのは大方の御理解をいただいておりますというふうな勝手な解釈に基づいてもらったら困る。少なくとも関係府県の知事が承諾をしたという文書が要る、あるいは関係十一市協が承諾をしたという文書あるいは関係住民団体の承諾をしたというふうな具体的な形のある承諾でなければこれはならぬです。この点について一体どう考えていますか。
  184. 梶原清

    説明員(梶原清君) エアバスの導入につきましては、先ほども申しました十二月二日の方針を——十二月二日に運輸省の方針を発表したわけでございますが、同時に環境庁さんから先ほどのように御照会がございますので、それに対する詰めをしなければいけないと、また御指摘のとおり八日に御案内のとおりの決定がございますので、そういうのを踏まえまして、また先生指摘のような地元の動きもあるわけでございます。そういうのを踏まえまして、目下政府部内で、運輸省内部で検討しておるところでございます。
  185. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 検討しておるということだから、私は、長官最後に、もう時間ないんですわ、最後に、こんな、もうこれも上告しますと言うてもできぬような決定を受けておるんですからね。少なくとも長官もおっしゃったように信頼関係がぎくしゃくするということのないように、せめて決定の線を具体的な形のあるものにして推進できるように、これはおたくの方も十三項目出しているし、そういった検討の過程で住民の了解を得て事を進めていくように、円滑な行政の推進方に長官ひとつ、心をひとつ、力を尽くしていただきたいと思うんですが、決意を伺いたい。
  186. 小沢辰男

    ○国務大臣(小沢辰男君) 私、昨日も十一市協の代表の方とそれから別に町内会長さんですか何かのそんなお集まりの方にお会いしまして、で、皆さんの理解と協力なくしては、これはエアバスは私の方としてはやらしたくないと。で、ただお願いをした、そのときお願いしたのですが、最初から反対だというのじゃ話し合いできないんですね。で、持ってこられたのを見ますと、自分たちとよく話し合って了解の上でやってくれと、こうなっておるわけです。だから私は、それはごもっともじゃないか。ただ両方とも何か反対を決めて、それでということじゃなかなか運輸省と話できませんから、で、私の方が問題の大気の汚染状況について確たる見通しをつけて、そうすれば騒音にはプラスになることは事実だし、全体の公害としてもよくなるということであるなら、やはり公共輸送力の確保という一つの社会目的というものがあるのだから、そういうことでもうぼくは運輸省でも、ぼくらの方だれか行ってもいいと思うのですよ。そうして皆さんと話合って本当に理解を得てやらないと、これは空港ですから、また成田みたいな変なことになっちゃいかぬので、やはりそういうことは大事だと思う。それには先生方もぜひ協力を願いたいと思うのです。最初からあれを入れないのだ、入れさせないのだ、反対だということでは話ができないので、やはりなるほどという数字が出て、公害全体として確かにプラスになるのだということであれば九時以降もやめるのだし、国際的にもひとつ一生懸命努力しますよ。そうしたらやはり輸送力、これはあの地区の全体の方々、広く関西全体の方々から言えばやはり輸送力の確保というものは相当私は必要だし、またそれを願っておられるのじゃないかと。そのために公害が増加しちゃいかぬ、むしろ減るような努力をしているわけですから、その成果を御納得いただければぜひひとつ納得していただきたいし、そのデータが出なければわれわれ行けませんよ、行ってお話し合いをして了解得ようと思っても、われわれ十三項目についてのいろいろなデータをいただいて、そうして環境庁が大気の問題でもこれならもういまからうんと悪くなって人の健康に害を及ぼすようなおそれはないという判断をして、それを持ってひとつやはり行かなくちゃいかぬと思っているわけですから、ぜひひとつ先生方もそういう意味で、理論的に私どもが正しくなければこれはいろいろ言われても仕方がないと思いますが、そういう材料をごらんいただいて、なるほどこれならまあまあひとつ協力しようじゃないかということになるように私も努力しますし、またなるように希望するわけでございます。どうぞよろしく、ひとつ。
  187. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 最後ですから……。私は、環境庁さえいま十三項目をお聞きをして検討せにゃならぬという段階で、住民に理解がいっているとか、求めると言ったって無理ですよ、実際には。だから二十日を固執するということをやらずに、そういうふうに政府部内で御検討いただいておるのなら、そういう点について十分政府部内でも検討を深められ、住民にも承諾の得られるように、二十日というのにこだわらずに検討を進めてもらいたいと思うのですよ。そこをはっきりしてほしいということを申し上げたのです。
  188. 小沢辰男

    ○国務大臣(小沢辰男君) 私は運輸大臣でありませんが、ひとつこの問題は私とやはり運輸大臣が腹を合わせなければできない問題でございますから、かわりの答えでありませんけれども、私の所見ですが、二十日というのはやはり運輸省が九時以降を全部やめてしまうということで、輸送力をある程度需要に、公共性を満たしていくための責任を果たす意味で、二十日には何とかしたいなあということだと思うのですよ。何も二十日にあらゆる点の何といいますか、大気の問題でも何でももう詰めば何にも終わらぬうちに、いや、もう二十日と言ったんだからあくまでもやりますというようなことじゃないと思うのです。ですから、私は運輸省にもそんなにこだわらぬでいいじゃないか、それまでに間に合って、それまでに理解と協力を得ればこれにこしたことはないし、もし一日や二日や、あるいは若干ですね、狂ったってそれはひとつしんぼうしてやったらどうだというふうに私は考えております。そういう意味で運輸大臣ともよく話をいたします。
  189. 藤田進

    委員長藤田進君) 本日の調査はこの程度とし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時九分散会      —————・—————