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1975-12-17 第76回国会 参議院 交通安全対策特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年十二月十七日(水曜日)    午前十時三十一分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         吉田忠三郎君     理 事                 黒住 忠行君                 中村 登美君                目黒朝次郎君                 阿部 憲一君                 栗林 卓司君     委 員                 加藤 武徳君                 山東 昭子君                 山崎 竜男君                 小柳  勇君                 前川  旦君                 太田 淳夫君                 河田 賢治君                 安武 洋子君    政府委員        内閣総理大臣官        房交通安全対策        室長       竹岡 勝美君        警察庁交通局長  勝田 俊男君        運輸省鉄道監督        局民営鉄道部長  高橋 英雄君        運輸省自動車局        整備部長     田付 健次君    事務局側        常任委員会専門        員        池部 幸雄君    説明員        警察庁刑事局捜        査第一課長    鎌倉  節君        環境庁企画調整        局環境保健部保        健調査室長    五十嵐 衛君        厚生省公衆衛生        局難病対策課長  林部  弘君        建設省道路局企        画課長      浅井新一郎君        日本国有鉄道運        転局長      今野  尚君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○交通安全対策樹立に関する調査  (交通事故による被害者救済対策に関する  件)  (交通安全施設等整備に関する件)  (新幹線木曾川鉄橋上における列車妨害事件に  関する件)  (高速バス安全対策に関する件)  (近鉄京都線安全確保に関する件)     —————————————
  2. 吉田忠三郎

    委員長吉田忠三郎君) ただいまから交通安全対策特別委員会を開会いたします。  交通安全対策樹立に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  3. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 私の方から、時間もないようですから、若干一般的な問題について御質問いたしますので、関係者の簡潔な答弁をお願いしたいと思います。  まず、交通安全対策特別委員会の最大の任務は、毎年一万人を超す事故死減少させるという点が大きな役割りであると思っております。ことしも対昨年の五%減ということでいろいろ関係者努力しておるわけでありますが、十二月の七日の段階で一万人を突破したという記事が出ておるわけでありますが、これはやはり一万人台というのは昭和三十四年以来連続した悲しい記録になっている、こういうことであります。しかし、一日平均二十九・四人という点から見ると、昭和三十六年以降初めて一日三十人台を割ったという点については喜ぶべき現象だと思っておりますし、一日四十五・九人出た最高の昭和四十五年に比べると四割減という著しい傾向にあるわけであります。しかし、いろいろこの問題点などを見てみますと、今回の十二月七日に一万人を超した段階で点検をしてみても、幾つかの問題点がある、こう言われているわけでありますが、一つは、ことしは特に十二歳以下の幼児子供さんが非常に多い。それから、レジャーに行っているマイカー事故死がきわめて目立っている、こういう記録があるわけであります。昨年に比べまして自転車の子供さんが二百五十人と、前年に比べて四十三人増、歩行中の子供さんが九百七十人で、前年同期に比べて十九人の増、マイカー皆さんが千三百三十一人で六十二人増、こういう特徴を示しておるわけでありますが、この特徴に対してどういう点が問題であるか、これをなくすためにどういう対策が今後必要かというお考えがあったらぜひ聞かせてもらいたい、こういう点が質問の第一点です。よろしくお願いします。
  4. 勝田俊男

    政府委員勝田俊男君) 本年の事故特徴として、われわれの重点としている学童、幼児、これの死者が、全般事故減少している中でも増加しているということは大変残念に思うわけであります。特に、そのうちで幼児死者がふえておるということでございまして、幼児死者につきましては、保護者がそばにおって事故が起こるという例も決して少なくないわけで、幼児単独の場合のほかに、保護者がおっても気がつかない。それで、幼児と同時に保護者についての安全教育を徹底していく必要があろうか、こういったことで、各府県で、県なりあるいは市町村なりと共同いたしまして幼児安全クラブ幼児母親と一緒に来てもらいまして、交通安全についていろいろと教育を徹底していくという方針をやっているわけでございまして、四十九年末現在でそれぞれ九十万余り、それがことしは百二十万人を超えていると思います。幼児保護者ともに合わせまして二百四、五十万。全体の対象者から見ますと、これも一〇%を超え一二、三%がこのクラブに入ってきていると思います。この教育を今後ともさらに徹底していくことが必要じゃなかろうか。  それから、何と申しましても、家の付近五百メーター以内の地区で事故が起こっているのが非常に多いわけでございます。そういった面で、住宅地域等についても、車を入れないような住宅ゾーン生活ゾーン対策、こういった点についての徹底を今後図っていく必要があろうかというふうに考えております。  それからもう一つ特徴として同乗者の一件当たり死者がふえている。時期的に見ますと、八月とか十一月、こういったいわゆるレジャー行楽時期に同乗者死者がふえている。同乗者死者率は年間を通じますと、全体の死者の一二、三%でございます。ところが、八月には一八%、十一月の初めも大体それぐらいの率が出ているわけでございまして、家族そろって行楽に出て一挙に数人が亡くなっているという事故がふえている。こういった点につきましては、やはりたまに日曜になって運転するというような問題もありますので、そういった面についての安全教育と、それから行楽地域における安全対策というものを今後徹底していく必要があろうかというふうに考えております。
  5. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 特に歩行者の中で六歳以下の子供さんが非常に多いという記録は、やっぱりお母さん方教育というか、道路を歩きますと車の走る方に子供さんを置いて肝心かなめの方にお母さんが歩いているという点をちょいちょい見かけるのですが、ああいうことなどについても、やはり母親教育が大事じゃなかろうかという点で、今後の特段の配慮をお願いしたい、こう思うんです。  それからもう一つは、都道府県別に見ますと、増加のパーセンテージで多いのは、佐賀県が三五・七%、実死亡では長野県が四十人、減少の方ではパーセンテージでは島根県が三八・六%、実員の方では東京が五十四人というふうに非常に都道府県アンバランスがあるんですね。隣の県では非常に減少して、隣の県ではものすごく増加しているという点で、全国的な指導面アンバランスがあるのか、指導が徹底してないのか、ちぐはぐになっておる点が非常に多いのですが、こういう点はどういうふうに受けとめておるか、今後こういう減少する方に指導強化すればいいのですから、この点に対する考えでもあればお聞かせ願いたいと、こう思うんです。
  6. 勝田俊男

    政府委員勝田俊男君) 本年の十二月七日現在で、昨年に比べまして増加しておる県が十三県あるわけでございます。県によってそれぞれ事情が違うと思うわけでございますが、中には昨年非常に大幅に減少して、ことしなかなか減少がむずかしかったという県もあるわけで、そういった県につきましては、やはり本年だけでなしに、いままでの状況から見まして、ピーク時に比べて現在何%ぐらいまで減っているかという点からも、いままでの努力積み上げを見てやらなければいかぬと思いますが、しかし、何と申しましても、年々少しでも減少していく方向に持っていくべきであろうというふうに思うわけでございます。  それから県間の格差という点から見ますと、その増減だけでなしに、十万人当たり死者が各県によってもどの程度違うかという点も注目せにゃいかぬと思うわけでございますが、たとえば一番十万人当たり死者の低い警視庁の例をとってみますと、本年の十二月七日までで十万人当たり死者が三人でございます。それから大阪が四・八人、神奈川が六人というふうに、この辺が非常に低いわけでございます。大都市におきましては、かなり安全施設その他も定着しておりまして低い死者率である。一方、一番高いのが茨城県が十八・三人ということでございまして、それ以外の県におきましても、山梨が一六・一とか、高知が一五・一とか、五倍以上の格差があるわけでございます。各死亡率の高いところをとにかくいいところに近づけていくということが今後の課題であると思います。  そこで、この格差是正方向でございますが、県の置かれている状況もあると思いますが、一つの大きな要因は安全に対する投資、これについてかなりの格差があるということでございます。これは県の財政事情等も影響していると思いますが、死亡率の低い上位の数県と死亡率の高い下位の数県との安全施設に対する投資率、特に信号機舗装道路当たり信号機設置率を見ますと四倍ないし五倍の差がある、こういったことがこの格差になっている一つの大きな原因じゃなかろうか。そういった面で、今後格差施設の面からも是正していく必要があろうというふうに考えているわけでございまして、交通事故要因となります各種の資料を集めまして八種平均値というようなものをわれわれ考えておりますけれども、その八種平均値に見合って平均した安全施設が整備されるというような方向で今後の補助事業あるいは単独事業等につきましても努力をしてまいりたいと考えておるわけでございます。
  7. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 それで、来年、毎年五%減の目標を立てておられるんですけれども、私はやっぱり少なくとも一万台を割るというところに大目標を置いて、あらゆる、いま安全設備投資の問題、信号とかそういういろんなことがありましたけれども、そういう点を、やっぱり人命に関する問題ですから、少なくとも一万台を割るというところに特段目標を設けて、そのために内閣全体がやっぱり努力するという方向性が必要であろうと、こう思いますので、ぜひそういうことについて決意のほどをお願いしたいと、こう思うんです。
  8. 竹岡勝美

    政府委員竹岡勝美君) 昭和四十六年以降本年までの第一次の交通安全基本計画を五ヵ年進めてまいりまして、幸い昭和四十六年以降毎年連続減少を続けてきたわけでございます。本年終わりますので、来年度から第二次の交通安全基本計画をいま各省庁ともにやっております。それで少なくとも、来年はあるいは無理かもしれませんが、再来年には一万人以下を突破する、そして最終年度の五十五年には、大体最盛時——、昭和四十五年の約一万六千七百人でございますが、その半減を目指しまして、八千人台にまで持っていこうということで各省庁とも努力してまいりたい。安全施設歩道等倍増あるいは横断歩道倍増というような意欲的な計画で取り組んでまいりたいと思っております。
  9. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 特段努力をお願いいたします。  次は、事故死の後には遺族の問題が必ず来るんですが、交通遺児を励ます全国協議会の第三回交通遺児母親全国大会が十二月八日東京で開かれまして、母子家庭が二百世帯、遺児約三百五十人が集まって、不況、首切り、賃金カットなどの深刻な世相にどう対峙するかと、こういう集会が開かれておるわけであります。同時に、東京交通遺児と母の会が、これも十二月七日発表したものによりますと、非常に母子家庭生活に困っておる。就職の障害の最も大きいのは四十歳以下という年齢制限が三七%もある、あるいは職場の安定した官公庁に勤めたいという希望が三七%もある。しかし、年齢制限があるのにかかわらず母子家庭の七〇%が四十歳を超えていると。非常にちぐはぐな環境にあるんだと。同時に、健康関係を調べてみると、健康と答えた方が五七%で、病気と答えた方が四〇%、約半分近くの方が四十歳を超えて病気をしながら生活を守っていると、こういうことが記録として発表されておりますが、このような実態調査について関係者の方で十分掌握しているかどうか、その対策について考えがあればお聞かせ願いたいと、こう思うんです。
  10. 竹岡勝美

    政府委員竹岡勝美君) 先生指摘のとおりに、先般財団法人交通遺児育英会の方に、高校三年生あるいは中学一年生等のサンプル調査交通遺児実態調査をやっていただきました。先生指摘のとおり、相当悲惨な生活状況のように見受けられました。昭和四十八年の厚生省調査によりますと、交通事故により父親と死別いたしました母子家庭は約五万五千世帯あるわけでございます。前に先生からも植物人間等の御指摘がございまして、とりあえず補償額を厚くすることということで各省庁と協議いたしまして、本年の七月から、御承知のとおりに自賠責の保険限度額を一千万円から一千五百万円に引き上げるということをまずいたしました。それからあと交通遺児に対します育英資金につきまして、交通遺児育英会並び運輸省所管自動車事故対策センターそれぞれに対します補助金を増額いたしまして、そして一件当たり奨学金の金額を、たとえば交通遺児育英会ですと高校生五千円を原則一万円に上げる、あるいは事故対策センターにおきます育成資金につきましてもそれぞれの増額をいたしまして、対象人員もふやすということで、とりあえず本年度やりました。また、一番母子家庭要望が出ております寡婦雇用促進法の制定という要望が非常に強いわけでございますが、これは労働省等でいろいろ検討いたしまして、とりあえず本年度雇用保険法をつくりまして、そして寡婦を雇用いたしました事業主には奨励金を出すという手だては一応やっております。今後寡婦雇用促進法をつくるかどうか、いま労働省の方では十分検討しておるようでございますが、一般交通遺児のみにかかわらず母子家庭全般に対します福祉施策につきましては、本日厚生省もお見えになっておると思いますけれども、それぞれの年金制度等の一層手厚い方法政府としては考えるべきであろう、このように考えておるわけでございますが、とりあえず保険限度額を上げるとか、あるいは育英制度の充実ということで、総理府としては手だてをしておるつもりでございます。
  11. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 何か出席した方の話によりますと、中曽根幹事長自民党を代表して演説をされて、いまお答えがあったような当面の措置などではどうも不十分であるから、いわゆる遺児家庭母親雇用促進法——必ずしも交通遺児だけに限定しないと思いますが、精神は母子家庭母親雇用促進法と、こういうものをいま検討しておると、早い機会国会に出したいんだと、そういうことを公開の席で発言されてまあ公約したということが言われているんですが、この辺の事情について詳しくわかっておれば、要点だけで結構ですから、どんな内容でいつごろ国会に提案する気持ちがあるのかお聞かせ願いたいと、こう思うんです。
  12. 竹岡勝美

    政府委員竹岡勝美君) 先般の交通遺児を励ます会で、自民党から中曽根幹事長が出まして、寡婦雇用促進法というものについて、先ほど私が申し上げましたとおり、とりあえずは雇用保険法でやっておるけれども、今後、寡婦のあるいは種類なり、寡婦をどのように限定するとか、いろんな問題がございますので、いま労働省としては前向きで検討しておるという発言をしていただいたと思っております。
  13. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 じゃこの件は、きょう大臣がいないで、私の方にも手違いがあったようですから、厚生大臣なり労働大臣検討してもらって、しかるべき機会にまた考え方を聞かせてもらいたいと、こう要請しておきます。  次に、時間が参りますから、いま出た植物人間関係ですがね。私もことしの予算委員会で取り上げて厚生省側にいろいろ要請をしたんですが、厚生省が来ておれば、その予算委員会で問題提起した後のことについて、たとえば田中厚生大臣が現地をよく見てみようと、こういうことも私に約束しておるわけですが、厚生機会がなかったので、この交特では、植物人間の大体六割から七割は交通事故の方々が植物人間だと、あと部分は労災であるとか個人の病気、こうなりますから、大部分交特関係する因果関係病気ですから、関係者がおったらその後の経過を知らしてもらいたいと、こう思うんです。
  14. 林部弘

    説明員林部弘君) いま先生の御指摘のございました件でございますが、植物人間と申しますのは実は医学的な用語じゃございませんで、一つ状態をあらわしておるわけでございます。この植物人間に至ります原因としては、ただいま先生もお示しございましたような交通事故とか労働災害もございますが、そのほか卒中でございますとか、脳腫瘍でございますとか、いろいろな病気の終末的な姿と申しますか、そういう形でこの植物人間という状態になるわけでございます。これを特別な病気、つまり私ども難病対策課の方で所管しております特定疾患として特定をいたしましてとらえるということには、なかなかむずかしい問題もございますので、その辺は現在も東北大学鈴木次郎教授を班長といたします研究班の方で御研究をいただいておる。  それから患者数などについての調査も同時にいただいておるわけでございます。そちらの方は引き続き、ことしで三年目でございますけれども、調査研究が行われておるという状況でございます。  それから先生の方からもう一つ指摘のございましたいろいろと費用がかかるということについて、たしか五月の二十七日の参議院社労でございましたか、先生社会局長、それから厚生大臣との間で質疑がございました。その辺の福祉手当問題等につきましては、先生からいろいろ御指摘等もございましたし、大臣からも前向きの御答弁を申し上げているわけでございまして、一応運用の中でこれを取り込む方向検討しておるというふうに、私直接の所管課でございませんけれども、そういうふうに聞いております。前向きに施策検討が行われている段階であるというふうに申し上げることができると思います。
  15. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 これは厚生省関係でいくと非常にいろんな関連の疾病が多いために、一般論扱いになって、なかなか難病の中でも、果たして難病かという議論が、むしろ学理的な問題が先行しちゃって問題が進展しないきらいもあるものですから——、ただ、私は先ほど言ったとおり交通事故が大体三分の二という点は、全国約二千人おる病気原因を調べてみますと、東北大学鈴木教授の発表でも大体三分の二は交通事故とこうなっておりますから、家庭におる方もおるわけですね、今度。病院じゃなくて、家庭に。家庭におる方も大体同数ぐらいおるのじゃなかろうか。そうしますと、私は、交通事故でなくなる、あるいは遺児、そういう方もありますが、この植物人間状態でおる方は家族ぐるみで犠牲をこうむると、こういう点でありますから、時間がありませんが、ぜひ交特厚生あたりで関連して、やはり数が少なければ扱いが軽率になるという点は余りよくありませんから、実態調査などについてぜひ今後とも考えてもらいたいと、こういうことを要望しておきます。  時間が参りましたから、あと六分しかありませんから、トラック関係、ちょっと運輸省来てますか。——トラックの過積みと安全の問題について、これは運輸省トラック積み防止装置研究委員会というものがつくられたと聞いているのですが、その後どんなふうに運営されておるかひとつ簡単に聞かしてもらいたいと、こう思うんです。
  16. 田付健次

    政府委員田付健次君) いま先生からお話のございました貨物自動車の過積載防止装置委員会でございますが、かなり前から活動を開始いたしております。関係者が集まりまして、いろいろな装置可能性について検討を進めておる段階でございます。現在までに何種類かの案が出ましたけれども、バネを使って荷重を自動的にはかるという方法につきましては、やはり誤差が非常に多い。それから使っておりますと、わりに劣化の速度も速いものですから、実用に供し得ないのではないかというような中間結論になりまして、したがって現在はストレンゲージ方式というものを検討を進めております。それで、このストレンゲージ方式というのは、わかりやすく言いますと、一種の針金みたいなものを張りつけまして、それに力がかかったときに流れます電圧とか電流の変化を知って荷重を間接にはかるという方式でございますが、これはいまイギリスのものと日本のものと二つありますので、それの実験室的な検討を進めまして、一応の問題点の追求ができましたので、今後これを実際の車につけまして耐久試験等をやっていきたい、こんな段階まで来ております。
  17. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 この過積みは非常に危険なもので、現場トラック関係労働者皆さんも何回かの実地試験をやっておりますので、早急にこれは急いでもらいたいと思うんです。  それから、やっぱりそういう点と関連して、過積みに対する摘発をされる際に、ダンピングなどで業界の皆さん無理無理運転手に過積みを強要していながら、現場を発見されるとその運転手刑事罰対象になるという点が非常に不合理だと思うんですよ。これらの問題については、もうきょう時間がありませんから引き続いて今後検討しますが、この過積み研究委員会摘発と責任の所在、これが三位一体にならなければ、十分な私は過積み防止安全対策という点ができないと思いますから、これらの問題については今後十分に。ピッチを上げてひとつ御検討方要望して、このトラック関係だけは終わります。  最後に国鉄警察庁にお伺いいたしますが、私も前々回の委員会列車妨害の問題を取り上げてやった記憶があるんですが、きょうは時間がありませんから、羽越線列車妨害のその後の調査がどうなっているかについては、この次の委員会あたりでぜひ聞かしてもらいたいと思うんですが、たまたま十二月十四日、今度は新幹線ですね、新幹線に鉄片を使って、これは完全な転覆だと、こう警察自体も断定しているんですが、一宮署新幹線木曾川鉄橋列車妨害捜査本部というものを設けて、これは悪質な列車妨害だ、こういうふうに断定して捜査を始めておるわけですが、列車列車だけに、高速高速なだけに大変なこれは事件になりかねない。しかも年末、年始という段階になり、あるいは労働紛争が非常に出ておる段階でこういう問題が出るというのは、やはり労働組合に対する——松川事件なり下山事件をこの体で体験してきた者として非常に危惧を感ずるんですが、これに対する国鉄側の見解なり、あるいは警察当局の今後の対策などについて見解があれば聞かしてもらいたい、こう思うんです。
  18. 今野尚

    説明員今野尚君) 国鉄の立場からただいまの先生お話に対しましてお答え申し上げます。  まず概況でございますが、この事故は十二月八日の発生でございまして、夜の二十一時十分ごろでございます。場所は岐阜羽島名古屋の間で木曾川が流れておりまして、その橋梁の名古屋寄りの出口のところで起こったものでございます。乗務員が異音を感知いたしまして、直ちに列車を停止させまして調べたところ、一両目と二両目の床下の機器に打痕がありましたが、一応運転には差しつかえないという判断で名古屋駅まで運転してまいりまして、そこで必要な仮手当てを行いまして、お客様はそこで後の列車に乗り移ってもらっております。そういうことで、この列車は一時間ほどおくれて東京回送になったわけでございますが、一方下り線でも事故現場付近でインピーダンスボンドが破損いたしまして、軌道回路が短絡いたしまして列車ありの状態になりましたものですから、下り列車につきましても非常運転を行いまして、約十三本の列車が最高一時間くらいおくれたという事故でございます。  なお、現場を取り調べましたところ、線路に厚さ二十ミリ、大きさは大体週刊誌大程度の鉄板と、それから直径が三センチ、長さ四十センチぐらいの鉄棒が散乱しておりまして、これらの遺物につきましては、国鉄の車あるいは線路などを保守するものには使わないものでございまして、妨害であるという判断から、警察署とも連絡をとりまして捜査していただいておる段階でございます。  なお対策でございますが、この事故発生後、全線にわたりまして立ち入り防護さくの再検討を行っております。現場付近につきましては、早速防護さく、その他の補強をいたしております。  なおまた、国鉄の保安係によります重点的な巡回も行っておる次第でございます。
  19. 鎌倉節

    説明員(鎌倉節君) ただいまの事件につきましては、非常に悪質な妨害事件であるということで、愛知県警におきましては所轄署に四十名から成ります捜査員を編成いたしまして特別捜査本部を設け、国鉄側とも緊密な連絡をとりながら、現在実況検分、あるいは検索、付近の聞き込み、あるいは妨害物件と出所の追及等、鋭意捜査を進めておるところでございます。もちろん、こういたしました列車妨害事件というのは、大量の人命にかかわる非常に重大な問題でございますので、今後とも鉄道公安本部等と十分な連絡をとりながら警戒体制をとるとともに、対策といたしましては初動捜査体制の充実強化、あるいは徹底した鑑識活動による資料の収集というようなことで続発防止に努めたいというふうに考えております。
  20. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 捜査段階ですからなかなか大変だとは思うんですが、やはり私はこの種の問題でこの安全を確保するということと、これらの問題が変な大衆運動に悪用されないと、この二つの面を私は十分に守ってほしいと、こう思うんです。同時に、これらの列車運転等については、毎日運転している乗務員の意見なり、あるいは線路巡回をしている、線路の補修を担当している方方、信号の補修をやっている方々、そういう現場労働者現場の従業員の意見を、十分に人権を尊重しながら聞いた中で適切な判断をしてもらいたいと、こう思うんです。これらの事故が起きますと、たまたまこれを運転手が発見したからいいけれども、運転手の発見がおくれて脱線転覆したら、しょせんは乗務員の不注意というところに戻ってきているのがいままでの例ですから、そういうことを繰り返さないためにも十分な措置をお願いしたいと、こういうことを要望いたしまして、この次の委員会では——この前の羽越線事故についても、ここで要望を申し上げて、しかるべき段階で御報告をすると、こうなっていますから、それらの問題も含めて次回に譲りたいと思います。  時間が参りますから終わります。
  21. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 総理府の交通安全基本計画というのがありますが、交通に関する各省庁は、この計画に基づいて来年の新計画を立てているように承っていますけれども、まず初めにこの交通安全基本計画について、現在までの経過と今後の見通しについてお伺いしたいと思います。
  22. 竹岡勝美

    政府委員竹岡勝美君) 先ほど目黒先生の御質問にも若干お答えいたしましたと思いますが、昭和四十五年に従来の各省庁の行っております交通安全対策を総合的に一本化して、政府として、あるいは地方自治体として一本化した交通安全基本計画をつくるべきであるということで、交通安全対策基本法というものを制定いたしました。そして、それに基づきまして、昭和四十六年度を初年度といたしまして、昭和五十年までの五ヵ年を見通しました交通安全対策基本計画というものをつくりました。それによりまして、国の方の各省庁もそれぞれの基本計画をつくっております。また地方自治体におきましても、この五年間の交通安全基本計画をつくっております。そしてこの五年間、毎年一年ごとの業務計画あるいは実施計画というものを、各省庁は総理大臣、各地方自治体は府県知事にそれぞれの承認を得るようにして、調整をさしております。それで、第一次の交通安全基本計画を現在まで進めてきたわけでございますけれども、このうちで最も力を入れておりますのは、やはり交通環境の整備ということで、安全施設の整備計画、これを同時に五ヵ年計画で並行して促進されております。大体、これは一〇〇%以上の達成率が見通しがついております。  それから、この第一次の基本計画のときには、昭和四十六年でございましたけれども、昭和五十年には自動車が三千万台になるであろう、そして当時は非常に毎年交通事故がふえておりましたので、このままいきますと五十年には負傷者は百七十万人出るであろう、死者は二万人が予想される、そのうち歩行者が八千人ということを予想した。そして、この第一次の基本計画でせめて歩行者、予想されます八千人を五十年には半分、四千人台にまではもっていきたいという計画でこの第一次の五ヵ年計画を進めてまいりました。おかげさまで、幸いもう昨年、四十九年末で歩行者死亡事故が大体四千百人ぐらいまでにまいりました。そして百七十万と予想しておりました負傷者は六十五万人まで落ち込んでまいりました。この成果を踏まえまして、いま先生指摘のとおり、来年から第二次の五ヵ年計画も始まりますので、いま各省庁がそれぞれの基本計画をつくり、いま私の方へ持ち込んでおりまして、いま調整しながら来年早々には第二次の基本計画をつくりたい、このように考えております。
  23. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 この新しい——いままでの基本計画が非常に成功して、計画以上に成果を上げたことは非常に喜ばしいことだと思いますが、それに引き続きまして、来年から行われるこの基本計画につきましては、それ以上の成果を望んでいるわけでございますが、これにつきまして警察庁並びに建設省方面に具体的な内容をお決めになった分がありましたらば伺いたいと思いますが。
  24. 勝田俊男

    政府委員勝田俊男君) 来年度から新五ヵ年計画をお願いをしたいということで、いま関係省庁と折衝中でございますが、新五ヵ年計画では補助事業といたしまして二千九十五億、それから地方単独事業としまして三千十九億、五千百十五億の事業につきまして折衝を続けているところでございます。現行の五ヵ年計画と比較いたしますと、事業費では、補助事業が三・五倍、地方単独事業では二・八七倍、その間物価の上昇もございますので、事業量については一・六八倍という量になるわけでございます。その中で補助事業として中心に行いますのは、信号機が三万七千余り、それから交通管制センター新設三十一都市、拡大三十一都市、こういったものを中心に五ヵ年間に整備をいたしたいというふうに考えております。
  25. 浅井新一郎

    説明員浅井新一郎君) それでは引き続きまして道路関係の新しい五ヵ年計画考え方について概要を御説明いたします。  五ヵ年計画の新しい中身といたしましては、まず交通事故の約半数を占めている歩行者、自転車利用者の安全対策を最重点に考えておりまして、五ヵ年計画の期間中に、一般道路の改築事業とあわせまして歩道等の整備、延長を現在の倍にふやしたい、倍増したいという考え方を持っております。  それから、そのほか山地部等で転落事故防止を目的としました防護さくを効果的に、局所的に設置していくということのために路肩改良を考えております。  それからあとは、身体障害者等の利用に配慮しまして交通安全施設の整備、そのほか道路交通の安全と円滑化を図るための防護さく、道路標識、交通情報管理施設といった道路付属物の整備を積極的に行うことにいたしておりまして、計画の規模といたしましては全体で道路管理者分が七千億ということで考えております。現行の五ヵ年計画が二千二百九十三億でございまして、それの約三・〇五倍の規模のものを考えたいということで、現在財政当局等とお諮りしておるところでございます。
  26. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 この整備事業の五ヵ年計画を策定するに当たりましては、特定事業を実施する道路の指定基準を緩和して指定路線の延長を図ることが望まれていますが、これについての見通しはどうでしょうか。
  27. 浅井新一郎

    説明員浅井新一郎君) 今回五ヵ年計画の改定の際に、従来から御要望のありましたそういった指定路線の拡大、指定基準の緩和ということもあわせて考えたいということでございまして、現在の指定延長を約五割方ふやすということを考えております。一応数字といたしましては十三万五千キロ、現在が八万九千二百キロの指定延長でございますが、これを約五割増の十三万五千キロにすることを一応予定いたしております。
  28. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 整備事業を推進する上におきまして一つの障害がありますが、それは現行の国庫補助対象の範囲では関連事業を十分にカバーできずに自治体の持ち出しが非常に多額に上っております。したがって、この国庫補助対象範囲の拡大については、これの関連においてどのように考えておりますか。
  29. 浅井新一郎

    説明員浅井新一郎君) 交通安全事業のうち第一種事業につきましては、補助率が二分の一ということで現在実施されております。この交通安全事業の趣旨が、交通事故が多発している道路その他緊急に交通の安全を確保する必要がある道路につきまして、緊急対策として国と地方公共団体が一体となってこの交通安全施設の整備を促進するという考え方でございまして、道路事業全体の一環としてやる場合の補助率の考え方は、特改——特殊改良事業と同じように二分の一ということで考えておりまして、地方財政負担に対する配慮といたしまして、御承知のように特定財源としては、地方道路譲与税だとか、軽油引取税、あるいは石油ガス譲与税、自動車取得税、自動車重量税の譲与税といったようなものが充当されておりまして、一応の裏づけがございますので、現在この補助率はこのままにしていくつもりでございますが、ただ中身といたしまして、今度の五ヵ年計画の中で現在補助対象としていない道路標識、あるいは先ほど申し上げました交通情報施設といったようなものについては、新たに補助事業として取り上げて、地方財政負担の軽減を一部図っていくようなこともあわせて考えていきたいということでございます。
  30. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 申し上げるまでもなく、地方財政が非常な危機に陥っている現状でございますので、交通安全施設の整備事業についての超過負担というものは、これは自治体にとっては非常に大きな問題になっておりますのは御承知だと思いますが、先般の全国知事会での発表で五十年、本年の調査信号機の設置費、これの超過支出率が四〇%にもなっている、こういうことが報告されておりますが、この自治体の財政が非常に厳しい状態であります現在でございますので、こういった地方自治体が犠牲になるようなことでは十分の安全施設というものは望まれない、こう心配されるわけでございますが、警察庁としてもこのような超過負担について、いままでもいろいろと御考慮なさっていたと思いますが、特にこのような厳しい現状でございまするから、地方自治体に超過負担をさせないように、要するに超過負担そのものを完全に解消できるようなそういうようなお考え方でもって仕事に当たってもらいたいと思いますが、この辺についてのお考えいかがでしょうか。
  31. 勝田俊男

    政府委員勝田俊男君) 信号機の単価につきましては年々アップを考えているわけでございまして、四十九年度は二九・八%、五十年度は二三・六%のアップを考え、来年度の予算では一〇%アップでお願いをいたしたいというふうに考えているわけでございます。そこで、地方自治体に超過負担をかけないというような面から、現在大蔵、自治とも共同いたしましてその実態も調査いたしておりますので、さらにその結果を待って超過負担解消に努力をいたしたいと考えております。
  32. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 交通安全施設を充実させることは最も大事なことでございますが、同時に、いま申し上げましたように、地方自治体に非常な負担を強いるようなこと——これは言いかえるならば施設の充実ということが、またそのために阻害されるということにもなりますので、その辺のところをひとつ留意の上、実施なさるように希望いたしておきます。  さて、環境庁にお伺いしたいのですが、一番の公害都市と言われる川崎ですね、川崎などで主婦を対象に車公害の健康調査をされたようですが、これについて状況はどうなっておりますか。
  33. 五十嵐衛

    説明員(五十嵐衛君) お答え申し上げます。  御指摘のございました川崎地区におきましては、東名高速道路の川崎料金所周辺地域、それから兵庫県下の西宮市それから芦屋市の、これは兵庫県下におきましては連続した国道四十三号線沿いでございます。この二つの地域を対象といたしまして、特に高速自道率道路等のかなり交通量の多い沿線におきます地域住民にどのような健康影響が起こっているかという実態を把握するための調査をいまやっているところでございます。それで具体的調査は、本年医学的な内容を調べる調査、それからいわゆる質問票によります調査、それから環境調査といたしましては大気の汚染物質の状況それから騒音レベルこういった内容の調査を実施しているところでございます。すでに十月から十一月中旬にかけまして具体的なその調査の内容は終了しておりまして、現在そのデータの取りまとめ中でございます。
  34. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 まあ、取りまとめられた上には、また本委員会にも適当の時期に御報告願いたいと思います。  地域住民の健康問題、これは今後もますます重大な問題となってくると思いますが、全国で二千六百万台と言われるような車から出ます排気ガスと騒音が人体に及ぼす影響は非常に大きいわけでございます。警察庁の方でことしの四月からスタートしました交通総量削減計画ですね、この交通総量削減計画ではこういったことも加味されておりますかどうか。ちょっと計画の内容についてお教え願いたいと思います。
  35. 勝田俊男

    政府委員勝田俊男君) 交通総量の削減は、交通事故、渋滞あるいは騒音、排気ガスこういった交通の過密化から生ずる問題について対策を立てるためには一つ一つ対策ではだめである、結局交通量が非常に過密になり過ぎているというところにも基本的な原因がある。そういった面から、交通の総量を削減するためにいろいろな規制を組み合わせて都市総合交通規制というような形で交通量の削減を図っていく。その主たる内容としていますのは、やはり現実にある交通の需要、それをとめますと社会活動がとまってしまうということでありますから、交通需要を満たしながらしかも交通量を減らしていく、輸送の効率化を図っていくといいますか、大量輸送機関をできるだけ利用してもらうような誘導を交通規制を通じてやっていくという方法を講じているわけでございます。そういった面から言いますならば、一つマイカーができるだけ利用しにくいような方向ということで、駐車禁止・規制を都心部において大幅にかけて強化をしていく。一方、大量輸送機関を優先するということでバス優先あるいは専用レーン、こういったものを大幅に強化をしていく。それ以外に、短距離交通については自転車の利用がしやすいように自転車の歩道通行可とか、そういった規制もあわせて行なう。  そういったいろんな規制を組み合わせると同時に、交通の流れをできるだけよくすることによって排気ガスの量を少なくしていこうということで、現在都市においても管制センターによって交通量の適正化を図っておりますが、こういった制度も今後強化をしていきたい。特に非常に交通の過密な十大都市については、こういうた施策を組み合わせて具体的に一割の排気ガスの削減を目標にした計画を現在推進をしておるところでございます。
  36. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 この排気ガスの問題につきましては政府が規制を緩められたことは非常に残念に思っておりますが、これは漸次強化されていくだろうということを期待していますけれども、この対策一つとして、やはり自動車そのものから悪質なガスを出さないような工夫、そういったことから当局の運輸省あるいは通産省の方でもいろいろ検討されておりますが、これについての公害の低いいわゆる低公害バスですか、あるいはまた電気自動車というようなことについても開発をなさっていると伺っていますが、現在これらの開発の状況はいかがでしょうか、簡単に御説明願いたいと思います。
  37. 田付健次

    政府委員田付健次君) 運輸省でございますが、私どもの方では四十八年度から五ヵ年計画をつくりまして、三十人乗り程度のミニバスで低公害のものができないだろうかということで現在作業を進めつつあるわけでございます。初年度基礎調査をやりました後、そのスペックを決め、さらに試作車をつくり、最後は実際に使ってみて評価をするという順序でやってまいりまして、今年度一応試作車ができ上がる形までこぎつけてきております。  ねらいは、やはり都市交通の中にかなり出てきます自家用の動きをできるだけこの程度のミニバスに吸収しまして、そしてなるべく交通を円滑にすると、できればそのことによる都市のガスの量も減らせないだろうか、騒音も減らせないだろうかということもねらっております。それから、このバス自体もいろいろ問題がありますので、このバス自体のガスを減らす、騒音を減らす、さらには乗りやすいということもねらってみれないだろうかというようなことで、実は夢をたくさん持っておりまして、いまのところ大体仕様書がまとまりましたバスの姿は、二十五人乗り程度で非常に床を下げまして、歩道の縁石と同じぐらいの高さにまで下げられるというような低床式のものにしたい。そしてエンジンはディーゼルを使いまして騒音と排気ガスをうんと減らすということの見通しがほぼ立ちかけてきております。私どもとしては、これをことし試作いたしまして、来年それの評価に入るという状況までまいってきております。
  38. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 電気自動車について何か見通しは。
  39. 田付健次

    政府委員田付健次君) 通産省の方がお見えになっておられれば……。
  40. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 ああ、そうですか。  次に、去る十日に起きました東名高速国鉄バス追突事故についてちょっとお伺いしたいと思いますが、最近の高速道路におきますバスの交通事故の実態、最近出ましたのと去年とことしについて、どんなふうな状況でございますか、ちょっとお伺いします。
  41. 勝田俊男

    政府委員勝田俊男君) 四十九年中の高速道路上の事故でございますが、全般としては死亡事故が百十三件、百三十二人出ているわけでございます。  事故全般の中でバスだけを取り上げますと、死亡事故は出ておりません。重傷事故が二件四人、軽傷事故が十七件百十七人、それ以外に物損が四十一件ということで、六十件の事故で百二十一人の方が負傷されておるという状況でございます。
  42. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 そういうことですか。それじゃ、それにつきまして、いま申し上げました国鉄バスの追突事故ですけれども、この原因が居眠り運転ではないかというようなことを言われておりますが、この辺のところはいかがなものですか。お調べになりましたか。
  43. 勝田俊男

    政府委員勝田俊男君) この事故は、十二月十日の午前二時三十分ごろに焼津市内の東名高速道路の下り車線において起きた事故でございまして、時速八十キロの速度で西進中に運転を誤って路肩に停車中の普通貨物自動車右後部に追突した事故でございます。  原因につきましては、運転を誤ったということでございまして、その就労状況から見ましても、前日の十二月九日は十一時五十分に自宅を出発し、十五時三十分高速定期バス運転、十八時四十五分静岡インターチェンジ着で下車、十九時三十分から一時半まで仮眠なり乗車準備ということで、二時十五分に本件バスの運転業務につき、二時三十分に事故発生という状況でございますので、そういった状況から見て居眠り運転ではいまのところないんじゃないかと、居眠り運転という事実は捜査の結果としてはまだ出てきていないということでございます。
  44. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 そうすると居眠り運転ではなくて、とまっている自動車にぼんとぶつかるというのはちょっと考えられないのですが、局長はどういうふうにお考えですか。
  45. 勝田俊男

    政府委員勝田俊男君) まだ捜査の結果が最終的に出ていないと思うわけでございますが、やはり人間でございますから、ちょっとした過失で、かなりの速度が出ておりますので、ちょっとしたハンドル操作の誤りというようなことが思わない事故になるということもあり得るかと思うわけでございます。
  46. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 この事故についてもうちょっと伺いたいんですけれども、高速バスにはシートベルトがついています。そこで、乗客の人たちはほとんど座席から投げ出されちゃっているわけですね。そうするとベルトをつけていなかったということになりますが、この辺の状況はおわかりになりますか。
  47. 勝田俊男

    政府委員勝田俊男君) 運転者のお話によりますと、東京において発車直後に乗客に対してシートベルトを着用するよう車内放送を行ったということでございますが、シートベルトを着用しているのを確認したのは一人であって、ほかの人が着用しておったかどうかはわからないという状況のようでございますが、実際にも着用していなかったのであろうというふうに思います。
  48. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 まあ、これは乗客の方も不注意だったということになりますけれども、こういった事故が起きますと、結局お互いに大きな損害を受けるわけでございまして、もう少し徹底したらと思いますが、それにつきましてもシートベルトが普通の乗用車とバスとでは違いがあって、バスの場合には余り効果がないというふうにも言われておりますが、この辺のところを専門的にどういうふうにお考えになっておりますか。
  49. 田付健次

    政府委員田付健次君) 実は、従来、私ども高速道路日本に発達してまいりましたのに伴いまして、どんどんシートベルトの装備を義務づけてまいりました。それは主として乗用車を中心にしまして、トラック等も含めて、いままでに三回ばかり強化をしながら図ってまいりました。バスにつきましても、当然実は研究課題であるということで私どもは意識いたしております。おりますが、技術的に申し上げますと、乗用車のようなシートベルトをお考えいただくとわかりやすいわけですが、実際に衝突したときに、人間の体をその位置に保持してもらわないと困ります。したがって、そこにかかった荷重をシートベルトがきちんと耐えてもらわなければいけないということになります。現在、乗用車用のシートベルトには、約二トンないし三トンの力がかかっても切れないという条件を実はつけませんと安全なシートベルトとは言えなくなっておるのが状況でございます。  バスの場合を考えますと、一車十列座席があるといたしまして、四人がけとしますと、四十人、あるいは五十人ぐらいの座席の定員のバスもございますが、このバスが、一人ずつ二トンないし三トンの力を同時にかけられますと、百トン近い力が実は床板にかかってしまいます。果たして、そういう荷重がかかったときに、バスの車体構造上問題はないのかどうかということが、実は正直言ってまだよくわかりません。実際には、ある程度減速をしますので、五十キロないし四十キロぐらいまで下がってきてからどんとぶつかるような分には、シートベルトがあった場合には使っていた方がもちろんいいと私は思います。ただ、さっきお話したような状態、百キロで高速道路を走りますので、最悪の場合を考えましたときに、百トンの力で床板を引っ張り上げてしまったときに、バス自体がどうなるかが、ちょっとまだ実際の実車試験ができておりませんので、この辺が研究課題だということになっておるわけでございます。その辺の技術的な詰めをこれからいろいろとやっていかなければならないというふうに思っているわけでございますので、その点について、もう少し研究の時間を与えていただきたい、こういうふうに思うわけであります。
  50. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 このシートベルトの取り付けにつきましては、道路運送車両の保安基準というものの二十二条の三によって制限を受けているようですが、いまお話のように、高速道路の場合には、ほとんど効果がないというようにも思われますが、やはり、構造上の問題ですが、これだけ、いま東名あるいは名神というふうな主要な高速道路を初めとして、至るところに高速道路がどんどん敷設されましたし、またこれからも敷設されるわけですが、そうしますと、そこに走る乗用車は、いま申されましたように、ある程度シートベルトでもって事故防止することができますが、バスの場合には、なかなかいい決め手がない。ということは、結局、高速道路を走らせるバスそのものの構造をそれに適応したものに改造しなければならないと思いますけれども、それはいまあなたがおっしゃったとおりだと思いますが、これにつきましても、運輸省なり、あるいは通産省なりでもって早急に対策を立てて、そしてこのような乗客の安全というものを図っていただきたいと思いますが、この辺についてのお考えいかがですか。
  51. 田付健次

    政府委員田付健次君) 現在、シートベルトの問題点は、私どもの方は、ただいま先生からお話がありましたようなことで、保安基準に逐次装備を義務づけておりますのですが、残念ながら、それを乗っている方たちが使ってくれないということが、やはり一番基本的な原因でございますので、これは何とかして私どももPRをして、実際にお乗りのときにはシートベルトを着用するという癖をつけていただくことが第一かと思うのです。したがいまして、シートベルトそのものを使っていただければ、これは十分効果があるわけです、乗用車の場合は。ただ、バスの場合は、先ほどお話したようなことがちょっとありまして、これはやはり実車試験をするか何かして、実際の人間ではこれは危ないですから、人形を使いまして実験をするようなことを繰り返しやっていきませんと、ちょっと技術的にも確かめられませんので、この辺は、先ほどお話したようなことですが、ひとつ私どもの方も検討してまいりたい、こういうふうに思います。
  52. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 最後に、それじゃ警察庁にお伺いしますが、自動車のナンバープレートのことですが、最近よくナンバープレートに見られるようになりました夜間に光るナンバープレート、これがついていますが、これについてはどのような御見解をお持ちですか。
  53. 田付健次

    政府委員田付健次君) 実は、ナンバープレートの様式といいますか、どういうふうなものでつくるかということは、運輸省の方で実は決めておりますので、お答えさしていただこうと思いますが、最近二種類のものが話題になっておりますが、一つは自動車部品なんかを売っております小売店等に、その数字の形に、もうあらかじめ切り抜いたスコッチテープが売られております。これを自分のナンバプレートの上へ張りまして、後方からライトで照らしますと、その数字のところが明瞭に反射して浮かんでくるというタイプのものと、それから、まだこれは検討中なんでありますが、諸外国で少しずつ使い始めたのは、ナンバープレート全体を反射式にしまして、逆に文字のところを抜いてしまう、ですからバックグラウンドが全部光りまして、文字のところが逆に光らない形で見えると、こういうのと二種類ございます。  いま、町の中に出ております、その文字型の、あらかじめ数字を切り抜かれたものをぺたぺたっとこう張る方式が実は問題でありまして、私どもの方としては、法務省と相談をし、関係の行政庁にもお願いをしておりますが、あれはぜひ取り締まってほしい。といいますのは、善良な場合はそれほどではないのかもわかりませんが、あれを悪用いたしますと、昼間は一番と見えていても、そこへ三を張られてしまいますと、夜、光ると三に見えてしまうということで、もう明らかに意識的に犯罪をしようとしますと、そういう危険性が出てまいります。車両法には、そういう偽造、変造してはいけないことになっておりますので、この点は、いま関係省庁の方に御連絡をいたしまして、街頭で取り締まっていただくということの段階になってきております。  もう一つのタイプの方は、実は外国でぽつぽつ使われ始めておるんですが、実は自動車の後面には、御承知のように制動灯もあります、尾灯もあります、さらには反射器もつけておりますので、果たして日本の場合、あれ以上にいろんなものを光らせなければならないかどうかということで、実は私どもはちょっと疑問を感じておりますので、検討をしている段階なんです。といいますのは、アメリカの車は御承知のようにわりあいに後面が明るいんですけれども、日本の車は、それを見習った関係で、どちらかというとアメリカのように後面はわりに明るい車が多うございます。ところが、ヨーロッパへ参りますと、わりあいに尾灯、制動灯は小さいものを使っている、まあスマートな車があるものですから、夜間かなり見にくい点があるのではないだろうかと、多少、そういう自動車の使われております地域の特殊事情などが影響してきて、先ほどお話した第二のタイプのものはわりあいにヨーロッパの方で少しずつこう使われ始めているようなんですが、そういうようなことも考えられますので、この問題、第二の形式の問題については、私どもの方でいま技術的に検討しているという状況でございます。
  54. 阿部憲一

    ○阿部憲一君 いまのお話しで、この反射ナンバープレートのことですけれども、これはオーストラリアでは、何か最近、調査によると追突が六〇%減ったというふうにも言われておるんですけど、この辺からいいますと、ある点の効果もあるというふうにも思います、要するに事故防止のために。そうも思えられますので、その点について御検討願いたいと思いますが、いま私が質問申し上げましたナンバープレートは、やはり費用も相当かかりますので、普及ということもそう急には望めないと思いますけど、ナンバープレートそのものは、結局、反射ナンバープレートにもいろいろマイナスの面もありますが、プラスの面も相当あるようにも思われますが、この点について、警察庁に、いわゆる効果の点と申しましょうか、交通事故防止上の効果の点がどんなふうに期待できるか、また、どういうふうにお考えかというようなことについて、御意見を承って私の質問終わります。
  55. 勝田俊男

    政府委員勝田俊男君) いまお話しがありましたように、オーストラリアで使っていて、安全協会の方がオーストラリアに行かれまして、現地を見てこられたということで、追突防止についての効果があるという話も承っております。また、警察的に見ますと、交通だけじゃなしに、一般的にも見やすいと、夜間なぞ見やすいという面が、いろんな事象が車を通じて行われているということでございますから、そういった面でプラスの面はあろうかというふうに思うわけでございますが、なお十分に、まあ整備部長からもお話がありましたように、別の面もあろうと思いますので、なお十分に検討し、運輸省の方にも、われわれの方として、ぜひとも、そういうことであれば、また御要望なり御連絡をするようにしてまいりたいと考えております。
  56. 河田賢治

    ○河田賢治君 きょう時間が非常に短いことでもありますし、私の質問も、きわめて具体的な問題でお尋ねしますから、簡潔に答えていただきたいと思います。  近畿日本鉄道ですね、近鉄ですか、営業のキロ数五百八十八・五キロ、四十九年度集計による輸送人員は年間七億五千万、運賃収入は五百四十億、従業員の数は一万二千八百名、このいずれをとりましても、日本の民間鉄道の中ではトップの座を占めているわけですね、これはあなたの方からいただきました資料によるものですが、これは間違いないですな。
  57. 高橋英雄

    政府委員(高橋英雄君) 近畿日本鉄道が、大手私鉄の中で、そういったような営業キロ数その他におきましてトップの地位を占めておるということは、ほぼそのとおりでございます。
  58. 河田賢治

    ○河田賢治君 このようなトップの地位を占めておる近鉄が、保安対策事故防止対策についてもやはりその位置にふさわしい対策、またそのような営業に基づくいろいろな施設がなされていなきゃならぬと考えるわけです。   〔委員長退席、理事目黒朝次郎君着席〕  ことしの四月十七日ですか、近鉄の京都線、京都府相楽郡精華町の新祝園五号踏切で脱輪して立往生していた乗用車に急行電車が衝突、六十七名の乗客が重軽傷を負うという大きな事故が起こりました。転覆した車両が並行して走っている国鉄の片町線線路に横転して、あわやダブル事故の危険性があったわけですが、これがありますと非常なまた大きな大惨事になったことと私たちは思うわけです。  この種の事故は、踏切事故としては、これまで何回となく繰り返されてきたものですが、近鉄当局の保安対策事故防止対策に重大な欠陥があることを示しているわけですが、これらのことは、踏切の装備率が他の会社に比較しましても非常に欠陥がある。たとえば、近鉄は装備率が六九・三%に対して、阪急は九〇%ですね。京阪が九〇%ですから、京阪神の中でも近鉄は非常におくれているわけです。それから、いわゆる四種の踏切の割合を見ましても、近鉄は約三〇%が四種になっているわけです。西武では一一%、阪急は七%、阪神は八%。これらを見ましても、踏切の四種というものが非常にまだ残されておる。こういうことがあります。  ですから、こういう点から見ましても、特に近鉄でも、大阪から出る方は比較的いろんなところでは注意もしておるようですし、設備もまた多少は改善されておるようですが、京都線になりますと、これはもうだんだんと観光客なんかで多少乗客もふえ、沿線も最近はずんずんふえておりますけれども、そういういわゆる支線のような考えを持っていますから、この方の対策が非常に私たちはおくれておると思うわけです。  つい先日、共産党の調査団ができまして、それで近鉄のいろんな個所を調べました。これを見ますと、こういう結果が出ているんですね。たとえば踏切の関係では、六十八ヵ所のうち幅二・三メートル以下の狭いところが四十ヵ所、警報機なしが二十三ヵ所、古いまくら木の使用が四十一ヵ所、危除個所四十三ヵ所。田辺町の興戸と三山木というごく狭い、百五十メートルですが、ここを調べましたら、腐ったまくら木が二百五十二本のうち四十三本、手で抜ける犬くぎが六本に一本の割合である。これがその写真なんです。ちょっと見といてください。まるっきりこのまくら木なんかへ幾ら打ちましても何にも効いてないんですよ、それじゃね。こういう状態が現に近鉄の京都線ではあるわけですね。ですから、保安要員にしましても、奈良電鉄当時は、三十八年以前は、八ヵ所に作業所があって、それで五十名、六十名の保線の要員があったわけです。ところが、四十五年に近鉄は作業所を五ヵ所にして切り詰めた。現在一ヵ所、八名だけなんですね、まあ外注作業員が十五名ぐらいおりますけれども。このようにして保線の要員というものは非常に減ってきている。ですから、おたくの方から出されましたこの保線工事費を見ましても、余り伸びてないんですね。ここのところ、ほとんど同じなんです、物価も上がったりしていますが。ですから、ほかの線から比べますと、ほかの会社から比べますと、こういうところは非常になおざりにされているということが言えるわけです。彼らの方では、会社では、機械化してだんだん、マルチプルタイタンパーですか、で仕事をやるから間に合っているというようなことを言っておりますけれども、とにかくこういう事情があるわけなんですね。全くこれがレールの真ん中辺だったら、少々抜けてても大したことはないと思いますけれども、これが接続する近くでこんなことになって、ちょっと振動でレールが横へ曲がったら大事故になってしまうのですね。こういうふうなことが現に近鉄で行われておる。  共産党の調査団も、こういう問題に対して会社当局に会ってはいますけれども、少なくともあなたの方も、民鉄をいろいろな問題について指導をされておるわけですから、やはりこの実情をもう少し——書面だけじゃないかと思うのですが、これは大変なことになると思うのですね。こういう点があるわけなんです。  ですから、この民鉄を行政指導される方は、やはりそこの事情というものを本当に、毎月毎月やらぬでもいいわけですけれども、少なくとも年に何回かは調べてみる。特にこの人口が稠密になり、あるいは踏切が非常に——周囲に家が建って大きくなるとか、それから家が建ちますと、従来は野原を走っているのが左右を見ればわかったわけですけれども、このごろは線路わきまで家が建ちますね。そうすると線路に乗りかからなければ上から上り下りの電車も見えない、そういう危険があるわけなんです。ですから、そういう点の実情なんかを通じて、そうしてその会社の計画もあるでしょうけれども、しかし計画のないところもあります。だから、こういう問題について事故を少しでも防ぎ、また健全な安全対策を講ずる上からも、実際特別の行政指導、これを私はおたくの方で早くやっていただくことが、必要じゃないかと思うわけです。沿線の住民からも、かなり要求を出しておりますけれども、会社というものはなかなかそうはい、はいと言って聞かぬわけですね。こういう点で、ひとつあなたの方のまず一般的なお答えを願いたいと思うのです。
  59. 高橋英雄

    政府委員(高橋英雄君) 民鉄各社に対します安全対策の問題につきましては、運輸省としましては、地方の陸運局等を通しまして、ある程度定期的に保安監査というものを実施いたしております。回数としましては、各線につきまして二年に一遍程度というふうなことに相なっておりますけれども、先生指摘のような特に問題点があるところにつきましては、特別な保安監査をするというふうなこともいたしておるわけでございまして、御指摘の京都線等につきましては、私どもの方におきましても、実情を調べまして、おっしゃるような危険なことがまだ残っておるということでございますれば、その辺につきまして特別な措置をとるような検討をいたしてみたいと、かように考える次第でございます。
  60. 河田賢治

    ○河田賢治君 当地の住民の要望ですか、具体的な改善要求として、とにかく現在京都線にある二十七ヵ所の四種踏切を設備を強化をして一種に格上げしてもらいたい。現在、近鉄全体では一種が九百七十一、京都線で六十九あるわけですね。二種はどっちもゼロ、ゼロです。三種は六十六に対して二、それから四種が七百八十二のうちの二十七まだ京都ではあるわけですね。こういうふうに、京都線は非常に短い区間ですけれども、とにかく多数のあれがあるということ。それから非常に人口の急増地帯になっておりまして、御承知のとおり城陽市ができる。年に、四十五年と比べまして、三万から四万ふえるとか、あるいはある町では二万もふえるとか、こういうようにしてどんどんふえております。特に近鉄が最近、御承知のとおり、奈良と京都の間に大きな土地を買いまして住宅を目指しているわけですが、どんどんいま奈良の方から大きな都市計画できております。そうすると、もう住宅がずっと建ってくるわけですね。これに応じて、やはり乗客に対するサービスも適応したやり方をやってもらわなくちゃならぬと、後で通勤の問題も述べますが。こういうふうに人口急増地帯の踏切について特別なやはり措置をやっていく必要があるだろう。  それから、廃止についてなかなか地元と証し合いがつかぬと、地元負担ということもありますし、またここを廃止してもらっちゃ困ると、こういう要求があるわけですけれども、これを話がまとまらぬからと、言っていつまでも野放しにしてそのまま置かれるということじゃ事故防止が本当にできないわけですから、こういう点もひとつ行政指導の上からも措置を講じてもらいたい。  それから危険個所については障害物検査装置ですね、これは取りつけると。これは非常にまだ少ないわけですよ。わずか二ヵ所ですかな。近鉄の京都線では十条と伊勢田の二ヵ所しかないわけですね、障害物検査装置というものは。一台の費用が千二百万円かかると言われておりますけれども、これはやはりある程度こういう新しい施設をつくって、そうして乗客に安全な交通を図っていくということが必要であると思うんですよ。ですから会社の方で多少のこれはありましょうけれども、やはりこういう人口の急増地帯、それから将来に向かってどんどんその辺の地域が変化するというような場合、先立ってやはり会社が住民から言われぬでも本来はやっていただく、またあなたの方もそういう指導を実は強めてもらいたいということなんです。  それから、自動車通行の多い狭い踏切に早急に脱輪防止——これは簡単なものなんですから、やはりまくら木なんかも利用したりして、車がわあんとおりたり上がったりせぬでも、すっと平行に通るというような装置をつくるぐらいは大した金もかかるもんじゃないんですし、やはりそういうようにして少しでも安全に人も渡れ、また電車も走れるというふうな当面の具体的な改善要求というものを住民がいまやっているわけです。若干会社の方でも、まあ住民の要求を入れてやっているところもありますけれども、まだまだ渋いところがあるわけです。こういう点をあなたの方でひとつ特別行政指導をしていただきたいということです。これについてちょっと御返事を承ります。
  61. 高橋英雄

    政府委員(高橋英雄君) 運輸省としましては、一般的な踏切事故防止対策ということにつきましては、四十六年に総理府の交通対策本部で決定をいたしました踏切事故総合防止対策という対策に基づきまして、立体交差、それから構造改良、それから踏切保安設備の整備、それから踏切道の整理統合、あるいは交通規制というふうな対策を進めておるわけでございます。  御指摘の近鉄の京都線につきましても、その対策に基づきまして踏切保安設備の整備として一種化を二十七ヵ所、あるいは整理統合が五ヵ所、それから交通規制を十ヵ所、そのほか拡幅等の構造改良を六ヵ所行っておりまして、現在の状況としましては京都線には踏切が九十八ございます。そのうち先生もおっしゃいましたように一種が六十九、三種が二、四種が二十七ということでございまして、四種の数が京都線自体だけ取り上げてみますと、必ずしもほかの会社に比べてまだ多過ぎるというふうには思いませんけれども、ただ京都線につきましては、先ほどもお話ございましたように、ことしの四月の十七日に、新祝園五号踏切で踏切事故があって列車が脱線するというふうなこともございましたので、特に幅員の狭い踏切の安全対策ということについて運輸省としましても重点的に指導を行ってきたわけでございます。近鉄におきましては、その後幅員の狭い踏切の整理、あるいはそういう踏切の交通規制という問題につきまして、これは私鉄事業者だけでは思うようにまいりませんので、関係の地方公共団体なり、あるいは警察等とその点について協議を続けておるというふうな状況でございます。また、非常に幅員の狭い二メートル未満というふうな踏切につきまして自動車の通行を禁止することができないというふうな場合には、少なくとも踏切の幅を二・二メートル程度には拡幅するというふうなことで、現在四十ヵ所前後について整備の計画を立てまして、一部についてはすでに実施しておるというふうな状況でございます。  なお、全般的には、先生おっしゃいましたようないろいろな問題点につきまして、私どもとしましても今後強力に安全対策についての指導をやりたいと、かように考えておる次第でございます。
  62. 河田賢治

    ○河田賢治君 次に通勤の問題なんですけれども、御承知のとおり、さっき申しましたように、ずいぶんと京都のいわば近郊地域として住宅や通勤者がふえてきている。ところが、ここの会社の方は、ことしの十月の車の回数なんですけれども、七時から八時、九時までの間を見ましても、七時の時間帯で特急が三回、急行が六回、普通が十一回なんですね。それから八時の時間帯で、特急が三回、急行が四回、それからまた普通が七回と。九時の時間帯で、特急が四回、急行が三回、普通が六回と、こういうふうになっているんですね。他にもありますけれども、時間の関係でここだけにしますけれども、新田辺と京都の駅ですね、非常に特急と急行が多いわけなんですね。ところが、御承知のとおり、通勤客がどんどんふえて、これを利用する人がふえている。だから、通勤者の方から、ラッシュ時はできるだけ増車とか車両の増結ですね、これを強く要求しているわけです。たとえば新田辺から京都行きのラッシュ時は、いまさっき話したとおり、非常に普通の割合が少なくて特急が多い。ですから、特急列車が通ったりすると、小倉とか新田辺などでは十分以上も待たされるというのですね、通勤時間に。そういう状態ができているんです。ですから、特に通勤者は毎日毎日通うことですから、勤めなければならぬわけですから、こういうのを三重の賢島ですか、あるいは奈良の方に行く特急なんかもある程度少し、ずらすとか何とかして、やはり通勤者の足を確保するというところに会社の方も重点を置かすようなあなた方の方の指導を私たちは望むわけです。ここの会社は国会議員でも百円か二百円特急料金は出さんならぬです、国鉄はただになっておりますけれどもね。そういうところなんですよ。ですから、非常に近鉄というのはそういう点で、もう少し大衆の足を本当に確保していくという立場に立っておりませんから、この辺もあなた方の方で、乗客の増減がどんなとかいうようなことも調べていただいて、やはりできるだけ通勤者の対策を早急に改めるように指導していただきたいということが一つ
  63. 高橋英雄

    政府委員(高橋英雄君) 近鉄京都線列車の運行の状況につきましては、場所によりまして、あるいは時間帯によりまして、その運行の本数等は異なってまいりますが、私どもはラッシュの一番の混雑時間で、そしてまた一番混雑する区間というもの、これは小倉と桃山御陵前という間が最混雑区間ということで、ラッシユの一番多い時間は七時半から八時半ということでございますので、その区間についてその時間帯の列車の運行状況等を調べてみましたんですが、特急が三本、それから急行が六本、準急が六本、普通が六本合計二、十一本というふうなことになっております。そのうち特急は別にいたしまして、急行以下につきましてその混雑率というふうなものを計算いたしてみますと、平均しまして一八一%というふうなことでございます。これを列車別に見ますと、特急が一〇〇%、急行が一八〇%、それから準急が一八八%という数字に対しまして、普通が一七〇%というふうなことになっておりまして、したがいまして現在の時点で特に優等列車の本数を減らして普通をふやすというところまでは考えておらないようでございますが、なお今後につきましては、旅客の需要の動向なり混雑率の動向というふうなものに応じまして、そういった列車の編成を通勤、通学の方に便利になるように行政指導をしたいと、かように考えております。
  64. 河田賢治

    ○河田賢治君 通勤者の問題で、いま、これは単に私鉄だけでなく、国鉄の場合も非常に近郊都市で余り住宅地までバスがないというような問題で、自転車で駅まで通勤する人が多いわけですね。この近鉄が共産党の議員団に答えた中にも、大阪の方はかなりそういう自転車置き場はつくれていると、京都の方はほとんどさっぱりできてないらしいですよ。そういう問題があるんです。これは国鉄にも本当は関係して、埼玉あたりでもずいぶんと、私、行きましたらそういう要望がありましたが、やはり現在の交通事情からしまして、駅へ自転車で来て、それからまた駅から自転車で帰るという通勤者が非常に多くなっているわけです。ですから、何としても駅のそばにできるだけ自転車置き場を、これはいろいろ費用の負担やなんかもありましょうけれども、大体において自治体、それから駅なんかと相談して土地を提供したりして、無料でそういういわゆる沿線の会社なり、あるいは国鉄がサービスする意味で、そういう置き場というものが、いまだんだん要求に応じてつくられつつあるわけですね。こういう点も京都あたりの方では比較的おろそかにされておりますので、こういう問題についても、これはただ単に近鉄だけの問題じゃないんで……。  それから総理府なんかも、この問題について、御承知のとおり、いろいろ交通対策関係から計画もおありだと思うんですが、こういう点でひとつ運輸省の方とそれから総理府の方からこの問題についてお聞きしたいと思うんです。とにかく、ことしの九月決算でも三十四億円の利益を上げているんですからね。それで値上げもしましたし、政党の献金もありますし、ですから少々の、駅に自転車置き場をつくるぐらいなことは大したことじゃないわけなんですね。こういう点でひとつ御答弁をお伺いしたいのです。
  65. 高橋英雄

    政府委員(高橋英雄君) 最近自転車が相当復活と申しますか、普及してまいりまして、列車を利用されるお客さんの中に自転車で駅まで来られて電車に乗るという方が非常にふえてまいりまして、そして各地で自転車置き場というふうなことが問題になっておることは私ども承知いたしております。ただ、こういった自転車置き場というのは、一体だれが整備するのかという点については非常に問題点が多うございまして、果たして私鉄事業者だけが自分の負担でやるべきものなのかどうか。場合によっては、そういう自転車置き場ができますと、私鉄を利用されない方もそこへ自転車を置かれて買い物に行くなり何なりに利用されるということもありまして、こういった問題は私鉄事業者だけではなしに、やはり地方公共団体なり警察なり協力してやるべき問題ではなかろうかと、基本的には私どもそんなふうに考えておりますが、ただ、そんな議論をしている間にどんどん自転車の利用者はふえるわけでございますので、私鉄におきましてそういう駅の周辺にたまたま自分の土地を持っておるというふうな駅につきましては、できるだけそういう土地を提供して警察等と協力して自転車置き場をつくるというふうな方向で、現在もそういう対策を進めつつございまして、ちょっと最近の実績の数字はいま手元に持っておりませんけれども、置き場の数も徐々にふえておるというふうな状況でございます。
  66. 竹岡勝美

    政府委員竹岡勝美君) 先ほど警察庁の交通局長が答えましたとおり、今後の都市におきます自動車交通公害防止という面等々から考えまして、自転車利用というものは促進すべきだと思います。現に非常にふえてきつつある。先生指摘のとおり、いま一番問題になっておるのは自転車の駐車場なんです。各地方自治体から非常にこれの要望がございます。大体自転車を置くようなところは用地が非常に高いという問題もあります。あるいは駅前広場あるいは鉄道の高架等の問題、これに対して使用料を払うべきかどうか、無償で提供すべきかどうかという問題が非常に高まってきております。四十八年から五十年まで総理府の方で各省庁と連絡いたしまして六十四の自転車モデル都市というものを設定いたしました。この計画にも、五百九十九ヵ所の自転車駐車場を設ける、六十八億円の金をかけてやろうということでいま計画を進めておりますが、現在まだ四割四分ぐらいの達成率なんです。やはり非常にむずかしい問題がある。それで一方、建設省の方が、道路管理者の方も、道路に付属して置く駐車場は道路の付属物として道路財源をもってこれを今後ふやしていこうという方針も打ち出してくれましたけれども、問題はやっぱり国鉄なり私鉄なりの駅前、駅の駐車場だと思います。これを私の方で各省庁集めましてプロジェクトチームをつくりまして、その費用分担の問題とか、あるいはだれが責任持ってどう管理するとかいう問題をいま詰めつつある段階でございます。もうしばらく時間をかしていただきたいと思います。非常に大きな問題だと思います。
  67. 河田賢治

    ○河田賢治君 時間がもう来ましたので、これ一問で済みますが、踏切の改善の費用負担について、これはどこでも、さっき阿部さんの方からもそういう話がありました。特にこれは踏切の問題ですね。よく高架にしますと踏切はなくなると。ところが、私鉄なんかになりますともう二、三%、ときによれば高くても五%ぐらいしか費用を持たぬ。全部国なりあるいはまた地方自治体が持つわけなんですね。国鉄の場合でも全体の七%と言われているのです。この踏切あるいは交通の改善等で近代化を促進するにしましても、今日の地方自治体は非常にまあ御承知のとおりそう豊かでもないし、ますます交通量が激しくなればそういう改善をしていかなくちゃならぬ。ところが、このような負担を負わされるということはもうたまらぬわけですね。片方はもう営利事業ですから、一時、金は出しましても、長くそれをやっていれば、踏切がなくなる、車は高架でだあっと走り出すことができるとかいうふうにして、かなり将来に向かっては会社が一時的な金よりもそれ以上に上げる、そういうものができるわけですね。ところが地方自治体になりますと、その見返りというものは大してないわけなんで、この点で、どこでもいま地方自治体はこういう踏切の改善などの費用の負担について困っているわけです。だから、これはすぐにというわけにはいきませんけれども、少なくともいま、こういう国鉄と建設省あるいはまた自治体、自治省等とそれぞれの話し合いにならなきゃならぬと思いますが、少なくともこの自治体の負担をできるだけなくして、国鉄であればこれは建設省と国鉄が持つようにするとか、あるいはまた地方自治体のところであれば地方自治体の負担を自治省の方で持つとかして、これは交通関係といいましても本当にもうそこだけ通るようじゃないので、全国もうやはり一つのずっと流れになっていわゆる交通というものあるものですから、こういう点のやはり抜本的な見直しをされる時期じゃないかと思うわけです。これについて大臣でないから直接お答えになるのはちょっとむずかしいかと思いますけれども、とにかくいまこういう踏切の改善などをする場合の負担を何らかの方法で大改善をしていくと、そういう考えについてひとつお聞かせを願いたいと思います。これで私のお答えをいただいたら質問を終わります。
  68. 浅井新一郎

    説明員浅井新一郎君) お答えいたします。  先生御承知のように、踏切道の改善につきましては、踏切道改良促進事業ということで、全国の危険な踏切を、危険な度合いに応じて逐次指定して、それの改良を進めてまいってきておるわけでございますが、御指摘のこの改良事業に伴う地方公共団体の負担の軽減ということでございますが、地方公共団体に対する道路事業全体としての費用負担の軽減ということもやはりわれわれ考えていかなきゃならないわけでございまして、踏切道もその中の一つでございますが、まあ事業量といたしましては、全体の道路事業の中でそれほど多くないわけでございまして、全体の公共事業をこなす上で地方公共団体の負担というものが非常に大きくなっております現状から、全体の問題として取り組んでまいりたいと思います。まあ踏切道改良促進法に基づく事業も、一応本年度で期限切れになることでございますので、まあこの機会運輸省とも十分協議してまいりたいというふうに考えております。
  69. 河田賢治

    ○河田賢治君 運輸省の方はどうですか。
  70. 高橋英雄

    政府委員(高橋英雄君) 踏切道整備につきまして、費用負担の問題はいろいろなケースがございまして、連続立体にする場合、それから単独立体交差の場合、それから構造改良をする場合、あるいは踏切の保安設備を整備する場合、それぞれにつきまして、いろいろな費用負担の方法を決めているわけでございますが、これにつきましては鉄道側と道路管理者側の負担を決める。と同時に道路管理者側の負担の中で、国と地方とのまた負担割合を決めるというふうな、いろいろややこしい制度になっております。まあ保安設備の整備の場合には、これは国と、地方と、それから鉄道事業者が三者で負担するというふうなことになっておりまして、それぞれの負担の割合というものは、踏切道改良促進法に基づきます政令で決められておるというふうなことで、現状として直ちにこれを改めるということは困難かと思いますけれども、先ほど建設省からお断りになりましたように、今後の地方の財政事情なり、国の財政事情なりを勘案しながら、改善すべき点があれば検討していくということではないかと存じます。
  71. 河田賢治

    ○河田賢治君 総理府の方はどうですか。
  72. 竹岡勝美

    政府委員竹岡勝美君) 先ほどから建設省、あるいは運輸省等が述べておりますとおり、踏切問題は昭和三十六年の踏切道改良促進法、これができましてから計画的に進めております。御承知のとおり、三十七年当時は約七万個所の踏切があったわけでございますけれども、統廃合いたしまして、現在約五万を少し割っているようなところにまできております。また、一種踏切につきましても、当時は四千五百ぐらいしがなかったのですが現在は約一万七千、あるいは危険な四種踏切も当時六万一千あったものが、現在二万三千を割っておりますということで、全般的には非常に進んできている。そのために、たとえば事故にいたしましても、四十四年の踏切事故の死傷者が二千八百六十四人あったのですが、去年は千八百六十五人というような減少にまで行っております。だから、ちょうど今年でこの改良促進法の五ヵ年計画が終わりますので、来年度以降また第二次の五ヵ年計画運輸省、建設省ともどもに進めてまいりたいと思います。で、費用の負担につきましては鉄建規定とがございまして、運輸省並びに建設省とも十分打ち合わせができておると聞いておりますので、今後もし問題があるようでございましたら、われわれも中に入って調整したいと思います。
  73. 河田賢治

    ○河田賢治君 終わります。
  74. 安武洋子

    ○安武洋子君 交通安全施設等整備事業五ヵ年計画について先ほど御答弁をなさっておられましたけれども、来年度から発足する新たな五ヵ年計画なんですが、その実施に当たってここにひとつ要望があるわけです。  その策定に当たってはぜひ各方面、自治体とか、住民の要望とか、そういうものが反映をされるものであってほしいということと、事情に合ったもので、内容をぜひ充実させていただきたいと思うわけです。先ほども出ておりましたけれども、死亡者件数は減ったとはいいながら、全結核死亡者数をわずかですけれども上回っているというまだ実情がございますし、ことしの五月から六月にかけて、総理府が世論調査を行っておりますけれども、この中でも国民が最も不安を抱いているのは、交通事故で、子供交通事故と答えている人が七二%なんですね。自分自身の交通事故と答えている人が六一%もあるということで、国民は非常に交通事故に遭うということを恐れている、不安を抱いているというわけなんです。この不安にこたえるためには、私は思い切った交通安全の手を打つべきだというふうに思うのですけれども、この交通安全の問題といいますのは、施設を充実するというだけではなくって、規制や教育というふうなことも重要ですし、それから抜本的には都市計画とか、公営交通の拡充とか、そういうことも必要だろうと思うわけです。総理府としても、警察庁としても、安全施設の重要性ということをずいぶんと訴えてこられているわけですけれども、先ほど、現在の五ヵ年計画の進捗状況、それから効果は、成果をおさめたと、こういうふうに御答弁をなさっていらっしゃいましたけれども、交通安全の施設につきましては、これをもっと増強してほしいという声が依然として強いわけなんです。ことしの八月にNHKが世論調査を行っておりますけれども、これは身の回りの交通事情に対する世論調査の答えなんですが、歩行者を守る施設が十分でない、こう答えている人が首都圏で六六%と最も多いわけなんです。金沢地域というふうなところに行きましても五八%の人がやはり安全施設が不十分だと回答しているという、こういう実情もあります。私自身も兵庫県の数ヵ所を交通事情調査のために回りましたけれども、関係者お話を聞いても、この施設の充実ということが非常に強い要望があるというふうなことなんです。新五ヵ年計画の中には、やはりこういう要望をぜひ反映していただきたいということを強くお願いするわけです。  具体的にお伺いいたしますけれども、新五ヵ年計画で現行の計画を改善するというふうに聞いておるわけですけれども、どういう点を改善して、それからどういう事業を新たに実施されるのかということをお伺いいたします。
  75. 勝田俊男

    政府委員勝田俊男君) われわれがいま考えております事業で、新たにやりたいというものにつきましては、バス優先対策を徹底していこうということから、バス感知信号機といったようなものをこの事業の中に取り入れていきたい。あるいは、盲人用の信号機、これは全国にまだございますけれども、これをさらに拡充し、その規格も統一したものにしてまいりたい。それからチャッターバー方式による中央線変移というようなことについても検討を進めていきたいというようなことを新たにつけ加えていきたいというふうに考えております。また、標識等につきましても、大型標識については今度は補助対象にしていくと、従来可変標識だけが補助対象でありましたが、そういった補助対象もふやしていきたい。  なお、この計画をつくるにつきましては、特に第一線からそれぞれの要望を取りまとめまして、その要望を十分に組み入れた上で計画をつくったわけでございます。そういった面で第一線の実情も十分に取り入れた計画であるというふうに考えております。
  76. 安武洋子

    ○安武洋子君 第一線の要望をお聞きになったということですけれども、私はその中では補助率についての強い要望もあったというふうに思います。私自身のところにも、ずいぶんと補助率についての要望も来ているわけです。新五ヵ年計画というのは、これは一たん樹立されますと、その計画の進行途上でこれを変更するということは、補助率一つをとってみても大変困難なわけなんです。ですから、この際、補助の問題も自治体の意見を反映するというふうなことで、思い切ってやられるべきではなかろうかというふうに思うわけです。現行の五ヵ年計画の進捗状況というのは、事業費で達成という部分もあると思います。しかし、事業費で一定の進捗をしていても、必要なのは施設なわけですから、私は、そういうものは事業量で見なければならないというふうに思うわけです。で、事業量ということになれば、物価の上昇とか、それから資材の高騰とか、土地代の急騰、こういうことで歩道を見てみましても六八%にとどまっているという状況があるわけなんです。で、事業量は先ほどふやすという御答弁をなさっておられましたが、一・六八倍ですか、私はこれぐらいでは少ないのじゃないかというふうに思うわけです。とりわけ、いま地方自治体の単独事業というのは深刻な事態に立ち至っているわけですから、国の大幅な援助を行わないと、新しい計画を立てても、新計画の膨大な事業量を賄い切れないんじゃないかというふうに思う。で、目的の半分も達成できないという事態を招くおそれもあると思います。で、施設関係の国の負担、これは補助率ですね、北海道は除きますと、指定区間の国道と通学路、これが三分の二負担ですね。で、ほかのところは二分の一の補助率と、こういうことになっておりますけれども、建設省の道路整備特別会計の補助率、これはほとんどが三分の二以上になっております。道路をつくるのには高い補助を出すけれども、その道路の通行の安全施設の補助は低いというのは、私はこれは問題だろうと思うわけなんです。この点、改善する必要があると思うんですけれども、どういうふうにお考えでございましょうか。これが一点です。  それからもう一点、やはり自治体の中でも、現場でも強くこの補助率は三分の二にしてほしいという要求がございます。これがもう本当に要求の中の一番の大きな要求じゃなかろうかというふうに思っておりますが、この点についてどうお考えでございましょう。二つお伺いいたします。
  77. 浅井新一郎

    説明員浅井新一郎君) お答えいたします。  交通安全事業に対する補助率の問題でございますが、実はこの交通安全事業が、事故が多発している道路、その他緊急に交通の安全を確保する必要がある道路について、まあ国と地方が協力して応急的に急いで仕事を、交通安全施設の整備をやるという考え方の事業でございまして、まあ道路事業全体から見ますと、補助率は非常にまちまちで、いろいろございます。御指摘のように一般の地方道の改築事業等には三分の二の補助というようなことでやっておりますし、これは全体の事業を通じて、やはり地方財政に対する負担の重い軽いが言われるわけでございますが、まあそこへいきますと、交通安全事業そのものは、事業の量としてはそれほど大きくないわけで、地方財政に対する負担をかけないような、いろいろな措置については、ほかの事業もあわせていろいろやっております。ただ、全体の補助事業として、体系として考える場合に、まあ交通安全事業は先ほど申し上げましたようなことで、道路の改築とは違うわけでございます。特改というのがございます。特別改築事業というのがございまして、これはまあ道路構造令によらない局部的な改築が中心でございますが、そういった事業に見合うものという従来の扱いで、こういう補助率の二分の一というものを慣例的にとってきておるわけでございますが、この補助率は、今度の五ヵ年計画について特に変えるということは考えておりませんが、しかし、まあ五ヵ年計画の中身の措置といたしまして、先ほどもちょっと申し上げましたが、新しい補助事業を加えていって、幾らかでも従来補助していないものを補助対象にするということで、地方財政の負担の軽減を図っていくということを考えておりまして、その対象事業としては、道路標識については従来補助しておりませんでしたが、これを取り上げていきたい。あるいは交通情報施設といったものを新しく補助事業対象として取り入れることを現在要求中でございます。そういった事情でございます。   〔理事目黒朝次郎君退席、委員長着席〕
  78. 安武洋子

    ○安武洋子君 いま地方自治体から大変補助率の引き上げについて強い要望があるのは、いまの地方自治体の財政難の中で、そういう補助率でなければ、やはり事業が進まないというふうな現状があるわけなんですね。で、いまこの目的をおっしゃいましたけれども、緊急に交通の安全を確保すべき道路における交通環境の改善を行って、そうしてそこで交通事故防止するというのが私は目的だろうと思うわけです。で、交通の円滑化ということもありますけれども、交通安全施設について、新五ヵ年計画の策定についてという文章の中で、「事業規模を飛躍的に増大させ、その整備を促進したことが、四年間に一万五千二十一人を交通事故死から救ったものと考えられる。」と、こういうふうに述べておられますけれども、事業規模の増大がいかに必要かということを、おたくの方でも認めていらっしゃるということだろうと思います。私は、やはりこの四年間に一万五千二十一人を救ったと考えられるということは、大変重要なことだと思うわけです。私は、やはり人命はこれはかえられないと思うわけです。ですから、どうしてもこの事業を飛躍的に増大させるためには、いまのままでは地方自治体が本当に目的の半分も事業量がいかないのじゃないかというふうなことも案ぜられるわけですから、ぜひ補助率の引き上げという面を再検討していただきたい、こう思いますが、いかがでございますか。
  79. 浅井新一郎

    説明員浅井新一郎君) 交通安全事業の拡大に対する一般の御要望は、先生指摘のとおりでございまして、私どももそういう認識の上で新しい五ヵ年計画を思い切って大きく持っていきたいというふうに考えて、先ほど御説明申し上げましたような三倍程度の規模のものを考えておるわけでございます。  まあ、規模が大きくなりますと、確かに地方公共団体の財政負担もそれなりに大きくなるわけでございますが、これについては地方道路特定財源として、地方道路譲与税とか、あるいは軽油引取税、石油ガス譲与税、自動車取得税、自動車重量譲与税といったようないろいろな措置が講ぜられておりまして、一応足りないながらもそういう財源強化が図られておりますので、そういったものの実態をよく見ながら、必要なものについては、この交通安全事業だけでなく、ほかの補助率ともあわせてやはり十分検討してまいらなければならないというふうに考えております。
  80. 安武洋子

    ○安武洋子君 先ほど引用した新五ヵ年計画の策定についての中でも、「安全施設の整備ペースを落とせば事故は再び増勢に転じることは明らかである。」と、こう言っておられるわけです。  私は、さらにお伺いいたしますけれども、二種事業ですね、これについても交通安全特別交付金を出しているからと、こういうことだけでなく、何らかの補助を行うべきでないかと、こう思うわけです。それが一点です。  それから第二点には、事故とか、それから事故による死傷者の件数が非常に多いところがあるわけなんです。こういうところの自治体に対して、抜本的な措置というのも、これはバイパスをつくるとか、いろいろあるわけですけれども、当面の措置として、既成安全設備の緊急の強化が必要だと思うわけなんです。この事故の急増自治体に対して特別の財政援助措置を考える必要があると思うんですけれども、これについてはどうお考えか、二つお伺いいたします。
  81. 浅井新一郎

    説明員浅井新一郎君) 二種事業につきましては、お説のように道路の付属物関係の交通安全施設ということで道路標識だとか、あるいは防護さく、それから予防施設、そういったものを二種事業として分けておるわけでございますが、付属物関係施設ということで、従来、扱いは維持管理上の施設という考え方で、これの整備については地方公共団体に任せたような形になっておりまして、これも道路の補助率体系の全体のバランスからそういう扱いをいたしておるわけでございます。これにつきましても、先ほど言いましたように、一部特例措置として、道路標識あるいはその他の情報管理施設について新たに補助として取り上げることも考えております。逐次必要なものについてそういう方向に持っていきたいというふうに考えておるわけでございます。  それから、交通事故の急増県あるいは市町村といったようなところに特別な財政補助ということでございますが、これはやはり急増するところには当然それなりの施設がよけいに要るわけでございまして、交通安全事業実施上の中身といたしまして、急増地域には当然そういう施設が手厚く整備されるという形になろうかと思います。したがいまして、その裏財源といたしましては、実態に応じてやはりほかの道路事業の実施状況、それによる裏負担の圧迫、そういったものとにらみ合わせながら、やはり考えていかなきゃならぬと思いますので、実態を十分調査いたしまして考えてまいりたいというふうに思っております。
  82. 安武洋子

    ○安武洋子君 ぜひ検討をお願いいたします。  それから、次に移りますけれども、歩道をつくる、こういうことをいまやろうと思いましても、都市の中心部では非常に困難になっているところが多いわけなんです。用地の買収費、これが伴う場合もありますし、非常に事業費がかさんできているという実情があるわけです。歩道をつくる際に、道路の改築工率をしなければならぬ場合もあるわけなんです。側溝をつくるとか、側溝を移動さすとか、それから道路の傾斜を改善するとかというふうなことがあるわけですけれども、この道路の改築工事費も歩道事業の単価に当然含めるべきだ、こういうふうに思うわけですけれども、どうお考えでございましょうか。やっていただけるでしょうか。
  83. 浅井新一郎

    説明員浅井新一郎君) 従来、交通安全事業でやっておりました歩道は、既設の道路の中で狭い歩道をつくるような、若干姑息な方法でやられておりました。御指摘のように、一部側溝等をいじりながら、もう少し幅の広いものをつくるというようなことも現実に必要になってまいりました。新しい交通安全事業では、その辺も採択基準等を大幅に緩和しまして、その周辺もいじりながら歩道をつくるというようなこともできるように単価の上で十分考えていきたいというふうに思います。
  84. 安武洋子

    ○安武洋子君 地方六団体がこの十三日に発表した地方公共団体の四十九年度の超過負担額、これは警察関係の交通安全施設整備事業、これだけで百四十一億円、大変驚くべき数字なんです。それで、やはりいま必要なことは、実情に合致した基準に是正するということと、この超過負担の解消をすべきだというふうに思うわけです。それで、自治省自体も、単価差というのは国の責任であるとして完全解消に乗り出すというふうなことを言っておりますけれども、こういう超過負担についてどういうふうに解消なさるかということをお伺いいたしとうございます。
  85. 勝田俊男

    政府委員勝田俊男君) 従来から、単価につきましては単価アップを続けてまいってきているわけでございまして、五十年度につきましても三三・六%の単価アップをやったわけでございます。  なお、現在大蔵省、自治省とも共同して実態の調査をやっておりますので、その結果を待って超過負担の解消に努力をしてまいりたいと思います。
  86. 安武洋子

    ○安武洋子君 こういう実情があるんです。信号機や標識についてももっとふやしてほしいという要望がたくさんあるわけなんです。兵庫県では、ところが信号機の単独計画というのはゼロなんです。ですから、全国的に調べてみましても、五ヵ年で、全国で、地方単独では百八十五基しか新設されておりませんですね。ですから、指定道路になっていないところで新しく学校ができる、それから住宅ができる、団地なんかができるという場合があるわけですけれども、こういうところへ信号機をつけたい、こう思いましても、つけることができないわけなんです。そうすると住民は非常な危険にさらされ放しと、こういうことなので、仕方がないから兵庫県の尼崎では二百五十万円を使いまして信号機をつくった、そしてそれを市がつくって警察に寄付をすると、こういう形をとりまして、市民の安全を守らざるを得ないというところに追い込まれているわけなんです。これは公安委員会の地方単独計画の強化とそれから指定道路のあり方と、こういう両面から検討しなければならない問題だと思うわけですけれども、そこで私二つお伺いしたいと思うんです。  指定道路については、先ほどの御答弁で延長とか、緩和とかいうふうなことを考えているとおっしゃっておりましたけれども、それだけでなしに、指定道路の見直し、これを常に行うべきではないかというふうなことが一点なんです。  それから信号機の設置の住民要求、これにすぐこたえられるように地方単独計画、この強化についても少しずついままで補助率アップしてきたというふうな御答弁ですし、実態調査をして、その結果を見てから超過負担を解消していきたいという御答弁でしたけれども、地方の実情というのは大変深刻なわけです。ですから、一刻も猶予ならないというふうな中で、もっと強力な施策を実行すべきでないかというふうに思いますので、御答弁をお願いいたします。
  87. 勝田俊男

    政府委員勝田俊男君) 信号機につきましては、この五ヵ年計画では指定道路につけると、指定道路が補助対象になる、特定事業としては。こういうことになっておるわけでございまして、五ヵ年計画を制定した当時からのいろいろと事情も変わってきて、いま御質問のようにその後学校ができたというようなことで、信号機をぜひつけてほしいというような要望も出てきているようでございます。そういったことから、今回の五ヵ年計画につきましては、先ほど建設省の方から答弁がございましたように、各県からいろいろと事情も聞きまして、指定道路を約五割ふやしていくということで、もう大体賄えるんじゃなかろうかというふうに思っているわけでございますが、やはりわれわれが現在予測しておる状況が五年後にまた変わった状況が絶対ないということではなかろうと、そういった面で、この五ヵ年計画の範囲内において指定道路の見直しというようなことについても検討できるような方法考えてまいりたいというふうに考えております。
  88. 安武洋子

    ○安武洋子君 いまのお答えは五ヵ年計画の範囲内でなければ指定道路の見直しはやらないわけですか。五ヵ年で見通したそういう事態以外に、やはりいま五ヵ年の間の事態の進展というのは急速ですから、思いがけないところに団地ができる、思いがけないところにやはり学校を建てなければいけないというふうなことも十分考えられるわけなんです。そういうときには思い切って指定道路に指定をするという道を開いておかなければならないと思うんですけれども、その点いかがでしょうか。
  89. 勝田俊男

    政府委員勝田俊男君) そういった状況が出た場合に、そういった道路も指定道路にする方法を弾力的に考えるようなことを検討してまいりたいと思っております。
  90. 安武洋子

    ○安武洋子君 総理府にお伺いいたします。  幼児の交通安全の問題についてですけれども、政府の基本的な交通安全対策を決める中央交通安全対策会議、これは会長は三木総理ですけれども、四十七年四月五日付で幼児の交通安全対策について教育の組織化の促進とか、それから都道府県、大都市での職員の配置を行うようなこういう方針を出しておられます。それから、四十八年五月五日には幼児の交通安全教本を発表されて、その中でも幼児の交通安全クラブの結成を図るように、こういうふうな要望をされているわけです。先ほど勝田交通局長は、こういう教育を徹底していくというふうな御答弁をされておりましたし、全国的にもクラブの結成が進んでいるというふうなことをおっしゃっておられました。兵庫県でも、尼崎市を含んでですけれども、阪神の七つの自治体が「うさちゃんクラブ」というグループを結成しているわけなんです。これは幼児と父母の安全指導をするためにということで結成したわけなんですけれども、これは総理府の呼びかけで始まったにもかかわらず、このグループに対しては何の補助もないわけなんですね。私、ここにこういうふうに持ってきておりますけれども、こういうかわいい袋に入れまして、中にいろんな教材を入れているわけです。ずいぶんと効果も上がりまして、地元でも高く評価をされているというふうなことで、ずいぶん教材もそろえているわけなんです。ところが、人件費を除きまして——人件費を除いているわけです。この教材、これは阪神間には各市町村七十五のクラブを抱えているわけですけれども、昨年度は八百九十五万円を投入しているわけなんです。この幼児母親と一組について二千百円かかった勘定になるわけなんですね。もっと指導をしたいが財政が苦しいと、教材をそろえるのにも制約があるというふうな声が上がっているわけなんです。非常に苦しいと。子供交通事故防止が叫ばれている折からなんですけれども、どうしてもこういうものに対して私は補助が必要ではなかろうかと。当面交通安全特別交付金ですね、この補助対象にすべきではないかというふうに思うわけなんですけれども、この点いかがでしょうか。
  91. 竹岡勝美

    政府委員竹岡勝美君) 御指摘のとおり、尼崎市は非常に熱心にやっていただいておりますが、先ほど警察庁の交通局長から答えられましたとおり、四十七年から総理府、各省庁指導いたしましての幼児交通安全クラブは、おかげさまで一万クラブ以上の組織ができ上がってきております。非常に熱心にやっていただいております。これに対しまして、これは本来やはり地方自治体がやっていただく交通安全活動であろうということで自治省と折衝いたしまして、自治省の方で地方交付税でそういった幼児クラブの育成について単位費用として見ようということで、たとえば昭和五十年度、今年度でございますけれども、市町村につきましては人口十万人という市町村、標準団体につきましては幼児交通安全クラブ指導報酬あるいは幼児交通安全クラブ関係のPR費等、一標準市町村当たり四十二万円という地方交付税を見ております。あわせまして都道府県には、標準府県につきましては約九十三万円ほどの交付税を単位費用として見ておるということでございます。それ以外に交通安全関係一般としましても、やはり地方交付税で見ておるわけでございます。先ほど先生指摘のとおり、さらにいわゆる反則金を財源にいたしました交通安全の特別交付金をこういった安全活動に充てるべきではないかという御意見、これは各地方公共団体からも聞いております。しかし、この交通安全の特別交付金は昨年で約四百億ほどあったと思いますけれども、これは最初から一応交通安全施設の整備費に充てようと、特に地方公共団体におきます交通安全施設、これの整備の財源に充てようということで進めております。もちろん、最近におきましては救急車両なんかもこの財源にしておりますけれども、とりあえず、まだ第二次のこれから交通安全基本計画、しかも先ほど先生指摘のとおり、まだまだ信号機等々が要りますので、交通安全施設整備が相当財源が要りますので、まだ当分の間は、この交通安全の特別交付金はやはり安全施設重点で置いてやるべきではないだろうか。一般の交通安全関係につきましては、先ほど言いました地方交付税等で見てやっていきたいと、このように考えております。
  92. 安武洋子

    ○安武洋子君 いま幼児交通事故というのが大変大きな問題になっておりまして、兵庫県の場合でも、これは九月二十九日付ですけれども、幼児の負傷が千八百九十五人、三十人が死亡しているんですね。いま交通事故が少しずつ減っているというふうな中で、幼児死亡というのは去年をオーバーしているわけなんです。ここの、いま私はいかに莫大な費用が要って、それが負担になっているかというお話を申し上げましたけれども、もうこのグループはこれ以上抱え切れないというふうなことで、いまグループの結成が進んで大変いいことだとお答えになっておられますけれども、地方ではもうグループ化をこれ以上進められない、もうついて回るのはお金だと、これ以上抱え切れない、こういう切実な声が上がっているわけなんです。これに対して、じゃどうおこたえになるのかということなんですが、この点いかがなんでしょうか。
  93. 竹岡勝美

    政府委員竹岡勝美君) 幼児事故がふえておるということで、幼児の交通安全クラブあるいは交通安全の母親組織というものの育成に応援しておるわけでございますけれども、いま言われました財源的な問題につきましては、さらに交通安全幼児クラブもますますふえていくようでございますので、自治省と折衝いたしまして、財源措置にできる限りの努力をしたいと思います。
  94. 安武洋子

    ○安武洋子君 ぜひ検討をお願いしたい。  それにつけ加えてもう一つ検討をお願いしたいのは、民間の交通指導員、これですね。これもあわせて自治省に折衝なさって、補助金が出るようにというふうなことで検討していただきたいと、こういうことを申し加えて、御回答いただいて私の質問を終わります。
  95. 竹岡勝美

    政府委員竹岡勝美君) 先般私の方で、市民の方々で自発的にボランティア活動として朝晩の通学路等に幼児の交通誘導等に立たれておられますいわゆる民間交通指導員、これは全国で大体約三万四千人おられると思います。現在そういった者が置かれております県が、全国の全都道府県に置かれておるわけじゃございませんので、すなわち皆さんの自主的な立場から活動しておられますので、組織的に置かれておりますのは全国で三十四の道府県でございまして、あるいは市町村が委嘱しましたり、あるいは交通安全協会が委嘱したりしております。まだ全府県には及んでおりませんけれども、年々これもふえつつはございますので、まだ三十四の道府県ではございますが、来年度の地方交付税の電位費用に、これに対します——あるいは現在府県では、被服費の補助とか、あるいは交通の保険関係の保険料の補助とか、いろいろやってもらっておりますので、こういう実態を踏まえまして、国としても、自治省の方からもこれに対する支援をしてもらうべく、来年度予算でいま要求をしておるところでございます。
  96. 吉田忠三郎

    委員長吉田忠三郎君) 予定質問者が終わったんですが、特に中村君から発言を求められておりますから、これを許可いたします。
  97. 中村登美

    ○中村登美君 交通局長さんが見えておられますので、一つ参考のために伺わせていただきたいのでございますが、国の交通事故死の数などがこの間じゅう発表されておりまして、私どもの県も、茨城県ですが、第四位というまことに名誉じゃない順位をいただいておりますようなんでございますが、その事故の多い県ですね、大体何か共通するような、原因と申しますと何ですけれども、何か欠陥と申しますか、そういう考えられますような点がございますでしょうか、もし思い当たる節がございましたらば伺わせていただきたいと思いましたのでございますが。私どもの県は鉄道の入っておらない地区がございまして、まあそういうのも一つ原因かしらなどとも考えておりますけれども、そういう点、何か共通するような原因が、思い当たる節がございましたらば、ひとつ伺わせていただきたいと思います。
  98. 勝田俊男

    政府委員勝田俊男君) 茨城県の例で申し上げますと、非常に道路延長が長いわけでございますね。それからほかに交通機関がない、通過交通が非常に多い、そういったことで、全国で一番十万人当たり死亡率が高くなっているという状況でございます。それと、安全施設の面から言いますとやはりよくないわけでございますね。東京とか大都市等に比べますと安全施設に対する投資がかなり低い。それと致死率がわりに高い。県ごとに事故が起こって何件に一件人が死ぬかというのを致死率と言っておりますが、致死率がこれまた東京あたりに比べますと非常に高いわけでございます。そういった面で、救急施設その他についても問題があるのじゃないかというような気もいたします。まあいろんな要素があると思いますけれども、そういった点について、今後安全施設の整備等につきましても、国としても重点を置いて対策を講じていきたいというふうに考えているわけでございます。
  99. 中村登美

    ○中村登美君 ありがとうございました。
  100. 吉田忠三郎

    委員長吉田忠三郎君) 本件に対する本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会をいたします。    午後零時五十分散会