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1975-10-17 第76回国会 参議院 議院運営委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年十月十七日(金曜日)    午後二時二十四分開会     —————————————    委員の異動  十月十七日     辞任         補欠選任      戸塚 進也君     岡田  広君      上林繁次郎君     藤原 房雄君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         鍋島 直紹君     理 事                 土屋 義彦君                 寺本 広作君                 細川 護煕君                 森  勝治君                 安永 英雄君                 黒柳  明君                 塚田 大願君                 中村 利次君     委 員                 岡田  広君                 上條 勝久君                 佐藤 信二君                 坂野 重信君                 高橋雄之助君                 中西 一郎君                 林  ゆう君                 福岡日出麿君                 山崎 竜男君                 大塚  喬君                 片岡 勝治君                 沢田 政治君                 竹田 四郎君                 内田 善利君                 藤原 房雄君                 内藤  功君         —————        議     長  河野 謙三君        副  議  長  前田佳都男君         —————    国務大臣        内閣総理大臣   三木 武夫君        国 務 大 臣        (内閣官房長        官)       井出一太郎君    政府委員        内閣官房長官  海部 俊樹君        内閣法制局長官  吉國 一郎君    事務局側        事 務 総 長  岸田  實君        事 務 次 長  植木 正張君        議 事 部 長  鈴木 源三君        委 員 部 長  川上 路夫君        記 録 部 長  江上七夫介君        警 務 部 長  指宿 清秀君        庶 務 部 長  前川  清君        管 理 部 長  佐橋 宣雄君        渉 外 部 長  武田  實君    法制局側        法 制 局 長  杉山恵一郎君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○国務大臣発言に関する件     —————————————
  2. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 議院運営委員会を開会いたします。国務大臣発言に関する件を議題といたします。  本日は、三木内閣総理大臣が本委員会出席されておりますので、去る十月十二日の青森県下における仮谷建設大臣発言に関し質疑を行うことにいたしたいと存じます。  順次御発言を願います。安永君。
  3. 安永英雄

    安永英雄君 十月十二日の青森における仮谷発言というのは、これはもう明らかに国会軽視もはなはだしい、あるいは憲法違反、私はそう思います。こういったことは、三木さん、あなたの任命された現職の閣僚、これがやったことなんです。  本委員会におきましては、もちろん質問あるいは追及という形であるけれども、少なくとも、そういう形になっておっても、発言を求めて積極的に私は総理の方から堅頭内閣の、あるいは総理大臣としての本問題についての反省なりあるいは措置なり統一見解、こういったものを明確にまず示すのが本当だと思うんです。そういった意味で、総理見解あるいは処置、こういったものについてどうお考えなのかお聞きする次第です。
  4. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 安永君の、本会議の議場などにおいて私のこの問題に対しての反省言葉があってしかるべきではないかと、私もそういう機会を持ちたいと考えておるわけでございます。  また、国会答弁というものについて、私は非常にこれを重要視するものであります。国会答弁を通じてみずからの信念、政策内容について議員皆さん国民皆さんに理解してもらうこれは重要な場であるから、国会答弁というものはきわめて厳粛なものでなければならぬと、まあ私はそういう考えのもとに、三木内閣政治姿勢にこの考え方を反映さすべく努力をいたしてまいったわけでございます。しかし、去る十二日の仮谷発言というものはきわめて軽率な発言であって、これははなはだ遺憾に思って、私の期待に反する発言であると、去る十四日の閣議の後に仮谷建設大臣が私に対して、非常に自分の発言は軽率な発言であったと深く反省をしておる、以後国会軽視疑いを持たれる発言は、再びそういうことをいたさないようなことを誓うということを、私に仮谷君からそういう反省言葉がございました。私も厳重に注意をいたしたわけでございます。まあ、この国会における批判、この軽率な発言に対する批判に対しては、単に仮谷君のみならず、総理総裁としての私自身あるいはまた全閣僚への戒め言葉であると私は受け取ると、したがって、今後の言動を通じて国会尊重の精神が発揮できますように私は心してまいりたいという反省をいたしておる次第でございます。
  5. 安永英雄

    安永英雄君 いまおっしゃったことは、仮谷建設大臣、あるいはまたあなた自身も、全閣僚戒めなきゃならぬとおっしゃっておるけれども、いま私が質問をしたのは、これについて内閣反省なりあるいは措置というものはどういうふうにしていくお考えを持っておられるのか聞いたわけなんです。いまお聞きすると、いま出た言葉の中で、遺憾とか反省とか注意とか、そういった言葉だけであって、あなたの内閣で起こった問題、これは初めてじゃないんです。稻葉さんの問題もあるんです。ここで私は、あなたは本当国会に対して、あるいは国会を通じて国民に対して、いまの言葉本当陳謝をされておるのか、あるいはまた、何といいますか、こう言いわけをやっておられるのか、釈明をされておるのか、一つもわからない。私はもう少しまとめて言ってもらいたかったんです。と申しますのは、先ほども言ったように、まあ、とにかく質問があれば答えてやろうという態度は、これは不届きですよ。いまぐらいの簡単な言葉では納得がいきませんよ。いまの言葉はどういう意味なんです。どういう性格のものなんです。はっきりしてください。
  6. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) きわめて遺憾であるという私の意思を述べまして、今後の言動を通じて、再び国会軽視のそしりを受けるような言動は厳に慎んでまいるという反省を私は申し述べたのでございます。
  7. 安永英雄

    安永英雄君 いまも言ったように、稻葉法務大臣、この問題のときでも、私はあのときも追及したんだけれども、ちゃんとした——内容は別としても——政府見解というものをはっきり出された。私は、いまのような形で、通り一遍の遺憾であるというふうなことでこの問題は済まされる問題じゃないと思うんです。そこで私は、全く誠意が見えない。だんだん質問してみろ、答えてやるからということじゃだめなんです。そういった意味で、私は当初にこの仮谷問題について、内閣の確固としたこの問題に対処する基本的な態度政府統一見解というものについて文書ではっきりいただきたい。この点、約束できますか。
  8. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 本会議の席上において私の考え方を述べるつもりでございます。
  9. 安永英雄

    安永英雄君 私の言っておりますのは、文書でいただけるかということなんです。
  10. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 本会議の席上において両院において言おうというんですから、これはもう文書も同様なものでございます。
  11. 安永英雄

    安永英雄君 私は、稻葉問題のときに政府見解というものが出された。そうしてそれをめぐってやはり互いに論戦の中から、これはやっぱり結果としては満足じゃないと思うけれども、いろんなやっぱりこの統一見解というものの文書をめぐって非常に私は効果的であったというふうに考えるから私は言っておるのですが、再度お聞きしますけれども、どうですか。
  12. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 総理大臣が、両院の本会議で私が述べる、その上に文書というものは私は必要ないと思いますが、本会議の席上で述べようというのですから、したがって、そのことがもう文書と何も変わらぬものであると御承知を願いたい。
  13. 安永英雄

    安永英雄君 それでは、具体的に聞いて本論に入ります。  私はやっぱり先ほど言ったように、この青森県連の主催の政経文化パーティーの席上における、「国会答弁のようないいかげんなことは言わない」と、こう力を込めて発言したという仮谷建設大臣は、明らかにこれはもう国会軽視——あなたもきのうは「国会軽視」という言葉も使われた。不謹慎である、これはもう議会制民主主義ルールを踏み外したことは間違いない、もう閣僚としての資格はない、これは辞任すべきであるという私は考え方を持っているし、総理に対しては、罷免すべきだ、そうして辞任をこれは勧告すべきだ、勧めなさいと、私はそういう立場を持っておるわけであります。総理は、私がいま言ったようなことについては先ほど触れなかったけれども、こういった点についての所見を伺いたい。
  14. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 私自身としても、この国会を軽視する思想を持っておる者を閣僚に置いておくわけにはいきません。しかし、仮谷君は国会を軽視するという考え方はないので、私どもいろいろ彼の発言なども調べてみましたが、安永君、こういう発言もあるわけです。社会党の沢田政治君は、これはことしの七月一日の建設委員会沢田政治委員は、私もこの委員会で七代ぐらいの大臣審議をさしていただいたわけでありますが、特に仮谷大臣が非常に前向きで、逃げの答弁ではなく前向きに答弁されていることについて、非常に真剣な方であるという私は深い感銘を受けました、まあ、こういうことで、仮谷自身もそれに対して、私はこの場限りの答弁で逃れたらいいというような考えではなしに、法案が成立し、実行していくために、本当誠意を持って期待にこたえるよう最善の努力をいたしてまいります、まあ、こういうこともあるわけで、私自身は、仮谷自身国会軽視という考え方は持っていない。ただ、どうしてああいう軽率な発言をしたのかということは、本人としても非常に反省をして、今後再びこういうふうなことを、過ちを繰り返さないということを誓って、内閣自身としても今後全閣僚に対して、いやしくもそういう疑いを持たれるようなことのないように戒めてまいりたいと私が言っておるわけでございます。仮谷自身がそういう思想を持っておるならば、これは閣僚にとどまってもらうわけにはいきませんが、彼の本来の思想というものは、当選回数も重ねておりますし、議会を尊重するということで今日までやってきておったのにどうしてこういう軽率な発言をしたのかということに対して私は非常に遺憾には思いますけれども、彼の本質が国会を軽視しておる人間であるというふうには私は思っていないわけでございます。
  15. 安永英雄

    安永英雄君 たまたま国会の中の建設委員会のわが党の沢田さんのこの例を引いておっしゃったけれども、しかしこの問題は、青森でこの発言をしたというのは、これは国会の中でたまたま幾らかそういうことがあったかもしれないけれども、しかし、これはもうはっきり閣僚としての資格はない、まあはっきりしたこの本人の本性を出したものというふうに受け取っているからこそこれは問題になるし、あなたもここに来て釈明されておる。だからといってこの問題が相殺されるものじゃないわけなんです。  そこで、あなたのいまの言葉を聞いていますというと、結局断固これを処置をするというふうな言葉は一切なくて、むしろ、いままでそういったことがあるのでということでまあ相殺したいというふうな気持ち、許すというような気持ちを多分に含めたいまの発言ですけれども、これは許されない。で、本人も、これは新聞の報道ですけれども、弁解余地はないと、こう言っているし、あなたも、これは昨日のわが党の藤田議員質問に対して、国会軽視と受け取れるような態度なんだというふうにはっきりおっしゃっておる。処置について当然明確にすべきじゃないか。どのような措置をして国会国民に対してあなたの政治姿勢というものを示すのか、もう一回お聞きします。
  16. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) このことが仮谷自身のみならず三木内閣閣僚に対しての深い戒めと受け取って、今後の言動を通じて、そしていやしくもそういう疑いを差しはさむような発言をしないと、こういうことにおいて今後においてこの今回の責任を果たしてまいりたいという所存でございます。
  17. 安永英雄

    安永英雄君 これは、あなたが先ほども言ったように、あなたのこの内閣で初めてのことじゃない。いまさっきから聞きますというと、この処置措置というものは全くとらない。ただ、ひたすら反省をするというだけでは、これはたびたびいまから起こってくる問題ですよ。たとえばこの前の稻葉さんだって、あなたの言葉の中に「注意」ということを言われるけれども、注意をされたら、また何日かしたところがまた発言をするというふうなことでさらに紛糾したことを覚えておりますか。注意ではだめなんですよ。これは本当に何らかの注意だけで後々本当措置というものはしないのかどうか、もう一回お聞きします。本当にしないのか。
  18. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 私は、こういう事件にかんがみて、きょうの閣議でも全閣僚に対して、こういういやしくも言動というものに対して疑いを持たれるような発言というものは、そういうことがあるようなことがあってはいけないという注意を与え、また仮谷君に対しても厳重なやっぱり注意を与えたわけであります。彼は非常に反省をして、もう二度とこういうことは繰り返さないということを誓ったわけでございまして、私は将来に向かって、内閣としては、この受けた誤解に対して、われわれとして現実の言動を通じてこれにこたえてまいりたいという考えでございます。
  19. 安永英雄

    安永英雄君 あなたはもうこの措置をしない、処置をしない、こう言われるけれども、これは処置をしないんじゃなくて、できないんじゃないですか、あなたの立場から。これが本当じゃないですか。これでは政治の大道は歩けませんよ、あなたの言われる。こんな新聞等報じておる派閥の問題とかなんとかいう他の問題でこれだけの問題を処置ができないということであれば、これはあなたが言う「議会の子」が泣きますよ。本人弁解余地はないと、そして辞任したいんじゃないですか。とめておるのはあなたじゃないですか、抑えておるのは。これは私は先例にならって断固たる措置ができないという理由をもう一回言ってくださいよ。
  20. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 先ほどから申し述べておりますように、将来に戒めていきたいと、いやしくも二度と再びこういう疑い国民に与えるようなことは厳に慎んでまいりたいと、こう言っておるわけでございます。
  21. 安永英雄

    安永英雄君 これはもう政治的な、道義的な問題からも当然罷免をしなきゃならぬというんですが、これも先ほどちょっと言ったけれども、憲法六十三条のはっきりした違反ですよ。あなたどう思いますか、この点。それでもやっぱりやれませんか。ただ注意で、深く反省をしておるということでこの問題をとどめようとされるけれども、全くもうしないんですな。はっきりしてください。
  22. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) この国会答弁というものが厳粛なものであるということは、これはもう憲法の条章を引用する必要もないわけであります。そうでなければ、やっぱり議会制民主主義というものは維持できるわけではないのです。まあ、憲法六十三条という御指摘でございましたが、憲法六十三条は、国務大臣国会出席に対しての権利義務というものを規定してあるわけであります。それが即憲法六十三条がこの場合に直接に引用されるということには私は無理があると。あれは、閣僚がいつでも国会に対して出席をして議案に対して説明ができ、国会から要求があったならば、やはり出席をしてこの説明をしなければならぬという閣僚国会出席に対する権利義務を規定してあるわけでございまして、直接にこの憲法六十三条というものがかかわり合いを持つとは思いませんが、そういうものがあるなしというんでなしに、これはもう議会制民主主義一つの大きな基本であります。したがって、このことは私は厳に慎しまなければならぬ問題であると考えております。
  23. 安永英雄

    安永英雄君 あなたのそういうような、たとえば憲法六十三条の解釈、そういうものから仮谷発言などというこの暴言が出てくるんですよ。あるいは、処分を全然しないで注意ぐらいにとどめておくから、二度目の問題がまた起こってくる。三度目が起こってくるわけです。あなたもいみじくもおっしゃったけれども、仮谷自身の問題ではない。全閣僚の問題ですよ。私の問題だとおっしゃったが、そのとおり。起こるべくして起こった問題で、基本はあなたの政治姿勢にあるわけですよ。今度の臨時国会、この問題、非常識な暴挙をどんどん、どんどん重ねてきておる。国会で、衆議院各党一致で送ってきた独禁法、この提出をサボったり、あるいは衆議院の議運や大蔵委員会逓信委員会だまし討ちの強行採決をやってみたり、あるいはまた不況に苦しむ国民のためになる補正予算審議というものを優先すべきであるのにかかわらず、酒、たばこ郵便三法、こういったものの値上げを意地になって出してくる。まあ、こういうとにかく数々のことを今度の臨時国会でもやられておる。こういうのも重なって私はきておるわけでありますから、政治姿勢をあなたは大転換しないというと、これは次々に起こる問題なんです。あなたが、この基本姿勢を変えない限り、第二、第三の仮谷大臣が出てくる。あなたがまた先ほど言ったように、陳謝とかこういうことだけにとどめるというならば、まずこの政治姿勢を転換して出直してくる、こうしなきゃならぬと私は思うんです。まあ「いいかげん」という言葉が出てきますけれども、あなたはたてまえと本音というものをよく使い分ける。ここらあたりが私はこの仮谷発言に出てくると思うんですよ。  私、時間が余り先ありませんから聞きますが、あなたにまずお聞きしたい。独禁法を再提出するという考え方は非常にあいまいだ。ここがいいかげんなんですが、この問題についてどうお考えか、まずお聞きしたい。
  24. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 独禁法は、衆議院では全党一致のもとに可決となって参議院提出をされたわけですが、これは一日も早く参議院審議を願いたいと思ったわけですが、ああいう状態で審議が全然行われなくて廃案になったわけで、新たなる出発をしなければならぬことになって、しかも、この国会景気対策であるとか、財政特例法であるとか、酒、たばこ郵便料金値上げとか、いろんな重要な財政危機に直面する問題を抱えておりますから、だから、やはりこの問題によってほかのそういう重要法案審議に支障を来すようなことがあってはいけないということで、いま自民党内部においてこれを再調整をいたしておるわけでございます。したがって、これが再調整の結果を待って独禁法提出をいたしたいと考えておる次第でございます。
  25. 安永英雄

    安永英雄君 再調整、再調整と言われますけれども、それでは、全野党が一致してこの独禁法提出した場合には、あなたはどういう立場をおとりになりますか。
  26. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) それは、いまわれわれとしてはこの独禁法の再調整をやっておるさなかでございますから、その再調整の結果を見てこの独禁法改正に対する態度を決めたいと考えておるわけでございます。
  27. 安永英雄

    安永英雄君 まずこの問題につきましては、あなたはとにかくはっきり自由主義経済にとっては一定のルールが必要、その意味から独禁法改正するという方向でこれはぜひやらなければならぬとはっきり言明されておって、しかも九項目にわたる具体的な附帯決議がついているのですよ。そういった問題を内部調整ということで、その内部調整が終わらぬ前にいまの野党のこの独禁法についての提案がなったと、こういった場合にあなたはどうする。いまの話では、何かこううちのところがもたもたしょるということになってくると、あなたはもう今度の国会の中ではこの独禁法は全く出さないというふうに決めているのじゃないですか。ここらあたり、あなたは非常にあいまいなんだ。はっきりしてくださいよ、そこ。
  28. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 私はいまこう申しておるわけですが、調整をしておるから、その調整の結果を得てこの独禁法改正というものは取り扱いたい。私自身が、自由経済体制を守っていく上においてルールが必要であるという考え方は私は捨ててはいないのです。したがって、そういう意味におけるルールづくりというものは今後も貫いてまいりたい考えであります。しかし、その内容については、この国会において、やはり自民党内部においてもいろんな意見を持っておる人がございますから、そういうことを調整する必要があるということで現在再調整をいたしておるわけで、独禁法改正する必要があるという私の所信は何ら曲げてはいないということでございます。
  29. 安永英雄

    安永英雄君 私は今度の国会のことを聞いておるのです。具体的に聞いているのですよ。あなたは、いつもたてまえというものと、いま具体的にどうしようという問題については切り離して考えている。その間に間を置いている。そこがとにかくあいまいになるのですよ、そこが。それをいま聞いているわけです。これもあいまいですよ。まだまだあいまいだ。  次に、参議院におきましても、酒、たばこ郵便法、この値上げ三法というものはこれはさきの国会審議未了廃案になっている。これは国会意思ですよ。これを、もうとにかく優先させるということで必死になっておられるようですけれども、この点は撤回するという考え方はないかどうか、ここらあたりもはっきりしてくださいよ。
  30. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 撤回するという考えはありません。これは御承知のように、本年度の予算の中に計上をされて予算案両院議決を得ておるわけで、その裏づけでありますから、予算案というものは国会の承認を受けておるわけなんです。その裏づけとしてのこの酒、たばこ郵便料金値上げである。予算案は通って、その裏づけ財源措置というものは通らないということは、予算編成のたてまえから言って、これはやっぱりプリンシプルに関係する問題である。ぜひこれは御審議を願いたい。衆議院においても御承知のように附帯決議までつけて酒、たばこ郵便料金値上げ法案はこれは通ったわけです。参議院においては、もう少しあの場面を考えて、もう少し時間があればこの問題は最後の決着がつくまで行っておったわけですから、五十時間という長い時間御審議を願った法案でございますから、この問題は、廃案にはなりましたけれども、ぜひとも御審議を願って、こういう財政非常事態でもありますから、この議決を願いたいと望んでおるものでございます。
  31. 安永英雄

    安永英雄君 これは私は、自民党総裁というふうな立場からただしてみたいと思うのですけれども、今度の国会でも、審議を急に打ち切ったり、抜き打ちに強行採決等をやるわけです。あなたはいつも野党との対話、協調というものを言われるけれども、今度はこれ、やってしまったわけですが、ここらあたり、あなたのたてまえと本音の問題が出てくる。これがあいまいなんです。二度とこういうことはしないという約束がはっきりできますか。必ずこれは議会の問題ですからと逃げられるけれども、自民党総裁としてお聞きしたい。
  32. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 私は、単独で採決するということはいいことだと思ってない。しかし、やはりこれは議会の、議会制民主主義というものを守っていくためには、自民党ばかりの私は責任ではないと思う。野党もやっぱり節度を持たなければいけないと、これは。そうでなければ、もう一〇〇%自分の言うことが通らなければ、これはもう国会審議というものは、正常な審議というものはなかなか応じていかないのだということでは、私は議会制民主主義というものはこれはやっぱり健全に育っていかないと思う。一〇〇%でなくても、やはりある程度の節度を持ってこの法案に対して処理していくということでなければ、これはどうしてもやはり自分の意見というものが一〇〇%通らなければ絶対に反対だということでは、これはやはりなかなか国会は円滑に運営されないですから、これは自民党も責任を感じますけれども、やはり議会議会制民主主義を擁護していくためには、野党もまた重大な責任を持っておるのだということを考えていただきたい。私もまた、自民党が多数を持っておる政党でありますから、自民党自身が節度を守らなければならぬということは、これは私自身も常に心しておるわけです。だから、いきなり、もういきなり単独で採決するということはしていないのです。いろいろなこう手続を踏んで、どうにもならぬというような場合にそういうことをいままでにもやった例がございますけれども、これはやはり与野党で、もうひとつ意思の疎通を図らなければ、皆やっぱり自分の言うことに対してオールーオア・ナッシングという考え方では議会制民主主義というものは育っていかないわけです。また、与党も反省はいたしますよ。しかし野党の方々も、やはりお互いにこう議会政治というものが能率のある運営をしていかなければ国民期待にこたえられないわけでありますから、これはやはり与野党の間でもう少し国会の運営というものに対して意思の疎通した私は話し合いがこの問題については要ると思っています、この国会の状態を見て。そうでなければ、これは国民は、いまこういう不況のもとにあって景気対策その他財政措置というものが一日も早く国会議決されることを望んでおるのですから、そういうことを考えてみると、やはり国会がもう少し国民期待にこたえて能率のある運営をしなければならぬわけですから、これは与党自身も十分に反省はいたしますけれども、全部の責任は自民党にあるというように、そういうふうな立場からだけではなくして、野党自身も責任を持っておるのだということに思いをいたされまして、これは与野党の間でもう少し議会の、国会の運営が円滑に行われるよう、これは将来の私は大問題であると考えておる次第でございます。
  33. 安永英雄

    安永英雄君 私は、あなたの対話と協調という問題については、はっきり言って限界がある。そう、あなたが総理になられたときに国民に言われた、あるいは議会のわれわれに言われたような対話と協調という精神じゃないのだということが明らかになってくるわけです。いつもたてまえですよ。たてまえはそういうことです。しかし実際は野党の責任みたいなことを強調される。そこらあたりにあいまいさがあるから、閣僚のだれだって、このくらいなことは言ってもいいだろうということになるわけですよ。あいまいさがそこから出てくるわけですよ。私はこれは納得できない。  さらに、きのうあたりから報道されておるところによりますというと、今度の国会だって、もはや自民党の中では会期延長という話が出ているようですが、あなたはこの会期延長の問題について絶対にしないという考えがありますかどうか、この点、はっきりお答え願いたい。
  34. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) この臨時国会は会期を決めたわけですから、会期の範囲内においていろんな法案議決をしてもらいたい、そのことをひたすら願っておるわけでございます。
  35. 安永英雄

    安永英雄君 三木総理は、いまの大体私は五点あたりを出してみてこのあいまいさというものを聞いてみましたが、これは非常にますますあいまいさが出てきたような気がするのですよ。  私は、現在問題になっている田中金脈問題、これあたりでも、うわさによりますというと、三木総理総理になられたということは、この田中金脈問題を結局あいまいにするために出てきた総理だというふうなことを書いたのも見たことがありますけれども、あなたがここで仮谷暴言というものをあいまいに処理してしまうということは、ますますあいまい内閣になってしまいますよ。三木さんが総理になられる以前に掲げてきたこの政治理念に私は非常に尊敬した面があったわけでありますけれども、あなたのいまの総理になられて、しかも稻葉問題今度の仮谷問題、これを通じて・いま私は短時間でありますけれども聞いていきますというと、これが三木さんかと私はいうような気になってくるのですよ。これは具体的に時間があれば、かつてのあなたの言われたことと、それと現在内閣総理大臣になられてやられたこととは雲泥の差ですよ。この仮谷さんの問題をあなたが先ほど言ったように注意というくらいでかばっていくということになれば、あなたの真価というのはいよいよなくなってしまう、こういうふうなことになるじゃないですか。陳謝にはなっていないし、あなたはとにかく弁解余地はないのですよ。資格もない。私は、ここであなたは解散をして国民の信を問うなり、退陣すべきではないか。私はあなたの長い間のかつての経歴なり信念などということをよく研究してもみましたけれども、実に私は惜しいと思うのです。あなたは、とにかく身動きできないような立場にいま入っている。だから、仮谷さんの首もはねられない。はねたくてもはねられないという、あなたの政治信条が発揮できないという立場に追い込まれておる。そのことは、あなた自身も不幸だが国民自身も不幸なのですよ。この毎日新聞の世論調査をちょっと見たんですけれども、ここに書いてあることは、支持率の低下を見て総理は、評判の悪いことばかりやっているからなとあなたはつぶやいたそうですけれども、対話も協調もできなくなった三木さんは何もないんですよ、これはもう後。仮谷建設大臣もろとも退陣したらどうですか。あるいは解散をしたらどうですか。国民に改めて信を問うて、あなたが本当に発揮できるような立場に持っていったらどうですか、国民のためにもなると思うのですが。退陣する意思があるか、解散する意思があるか、この点についてお聞きします。
  36. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 今日の日本は、戦後初めてこういう困難な局面に当たったわけでありますから、したがって、私は、日本の財政経済におけるこの困難を克服して、日本の経済を安定をさせ、雇用を確保せなければならぬ、こういうことに全力を傾けて自分の責任を果たすという考えでございますから、退陣とか解散とかいうものはこの時期に考えてはおりません。
  37. 安永英雄

    安永英雄君 退陣も解散もやらないで、そして仮谷さんのこの処分もやらない。とにかく何とか稻葉さんの問題は切り抜けた。今度も何とか切り抜けはできないかということなのだろうと思いますけれどもね。これは第二、第三は先ほど言ったように起こりますよ。実際にあなたの場合調べてみますと、明確なことを言っておって、それがうやむやになってしまう。これを次々繰り返されたらこれは国民はたまったものじゃないのですがね。たとえば政治資金規正法の問題にしましても、四十九年の七月二十六日、「企業による献金を禁止し、個人の献金に切りかえていくことで企業と自民党が癒着しているという国民の疑惑を取り除く」、これははっきりおっしゃって内外に声明をされたわけですけれども、これは結局は、あなたはこの五十年の一月になってしまうというと、「企業が民主政治、自由経済の健全な発展を願うために献金をするのは悪いことではない」というところまでこれはもう落ちてしまうのですね。ここらあたりはあなたはどう思いますか。あるいは排気ガスの問題あたりが端的にあらわしていると思いますけれども、四十九年の環境庁の長官の時代、「環境行政の最高責任者として国民の健康保護のために何とか既定方針に従って解決するように最後までやってみます」、こう言って、私の責任だ、これは国民に対する私の責任だと、こういうふうに強調をされておりますけれども、四十九年の十二月の十日——これは初閣議なんですよ。そのときにはもうすでに「自動車の排気ガスの五十一年規制は国民的関心の高い問題であり、三木内閣の姿勢を示す目玉とも言えるので、国民立場に立って」と、ここではさらに強調しているけれども、「二年延長したものの、今後はできるだけ努力していく」というふうにだんだんだんだん下がっていく。あなた、ここらあたり国民知らないと思いますか。こんなふうにしてだんだんだんだんあなたのたてまえと本音というのは、これはもう国民はいやというほど知らされてきておる。せめてあなたのいまの救える道は、仮谷問題について厳然たる態度をとって処分をする、こういったのがせめていまのあなたのやらなきゃならぬ私は道だと思うんですけれども、再度お聞きしたいと思うんです。
  38. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 私の申したことは、私は所信を曲げるつもりはない。ただ、私の申しておることで時間的にずれることは、これは御理解を願いたい。しかし私は、申したことに対してはその方向を私は変えることはない。排気ガスの問題もありましたけれども、私は環境庁の長官をやめる直前まで、何とか自動車の業界を呼んで、そしてこれに、目標に近づけたいということの努力をしたことは安永君も御承知のとおりであります。しかし、窒素酸化物に対しての技術の開発というものがどうしてもできないと。アメリカなどはこれは無期延期したわけですからね。そういうことで、世界的にもまだ技術の開発ができない。日本だけでこれを開発しなきゃならぬ困難がありまして、その時期は少し延ばしましたけれども、この一たん掲げた目標を私はこれを曲げるという考え方はないわけです。  政治資金規正法にしても、これはできれば企業が献金をするということが悪いことだとは私は思わないけれども、しかし、そういうことが国民に対して、何か政治不信というようなことにもつながる面もありますので、やはり個人献金で政党の経理は賄っていくことが好ましいと私は思っておるわけです。しかし、まだ日本にはそういう社会的慣習というものが育ってないわけですから、いきなりここでそれを切りかえるということは政党の運営にも差し支えますから、自民党は三年後には党の経常費は個人献金による、企業献金を受けない、こういうことの党議で決定をして、そうしてその間に個人献金の所得税の優遇処置もとられておりますし、そういうことの社会的な慣習が育っていったならば、現在の公職選挙法あるいは政治資金規正法の場合に三年後には法律を見直すということになったわけでございます。だから、自分の掲げておる方向を私は曲げることはない。ただ、それへ行くまでの間にできるだけ私は早く持っていきたいというのは、いろんな客観的な情勢からして多少時間的にずれることはあっても、私の所信というものは曲げない。このことだけは、たてまえと本音とが違うんでない、それを実現するまでの間の時間的ずれはこれは理解を願いたいと、私の方向は曲げるものではないということを明らかにしておきます。
  39. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 沢田君から発言を求められております。沢田君。
  40. 沢田政治

    沢田政治君 総理、わが党の安永議員が、仮谷建設大臣を罷免すべきだと理由を挙げてあなたに求めておるわけです。それに対して大臣が、これはずっと前の国会において私と建設大臣のやりとりをとらえて、人となりをほめ上げて、反省でいいんだという材料に使っておるようですが、それとこれは違うと思うんです、これはね。本件の以前の問題です、これはね。いま問題になっておるのは、仮谷建設大臣の過去とか将来のことではなくて、青森で行った言動に対して問題になっておるということを理解してもらはなくちゃ困ると思うのです。その際に、建設大臣が私とのやりとりの際に、私は全力をふるって、いいかげんなことは言いません。もう渾身、全身をふるって政策を実行しますということも、青森発言がこうであったということをますます証明立てているではありませんか。そうしてまた、きのうの衆議院の議運委員会において総理が、仮谷発言を擁護する意思は毛頭ないと、こう言い切っているわけですね。擁護しないとするならば罷免以外にないじゃありませんか。おわびで許してやるというのは、これは擁護ですね。この点ははっきりしてもらいたいと思うのです、擁護するかしないか。擁護しないとするならばどういう手段があるのか。私どもの頭脳では、擁護しないということになると罷免以外にないと思うのですね。そうでしょう。御答弁願います。
  41. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 沢田君の質問を引用したのは、私は、仮谷君は国会軽視という考え方を常日ごろ持っておるとは思わないんです。そのやりとりの場合を見ても、そういうことが仮谷君の答弁の中にも出ておりますし、国会を軽視する男だと私は思ってないんです。それだのに、どうしてああいう発言をしたかということは、まことに彼としても不本意なことでありましょうが、彼自身思想国会を軽視する考え方を日ごろ持っておるのではないと、そのことを沢田君の質疑応答の中に、非常にそれを端的にあらわしておりましたから、私は引用したわけでございまして、だからといって、この問題が、この軽率な発言というものに対して、それが帳消しになるという考えではないわけです。ただ、しかし、日ごろ彼は国会軽視という考えの持ち主ではないということの、端的にそれがあの質疑応答の中に出ておりましたから私は引用したまででございます。それが今度のことで、それだからいいんだというふうには言ってない。きわめて遺憾なことであると申しておるわけでございます。
  42. 安永英雄

    安永英雄君 私は、先ほどお聞きしましたが、結局自分の信念なり、あるいはたてまえというものは絶対に変えないのだと言いますけれども、現実の問題との間には非常にギャップがある。あなたはそれを年月やら時間でとにかくつなごうとする。これが私は問題だと思うのですよ、現実をどうするのだという。あなたの内閣が何年続くか知らないけれども、あなたがどれだけ生きるかも知らないけれども、それは政治家の道としてはおかしいじゃないですか。ただ、自分では、とにかく持っておるけれども、一つも実現もできない。その間あいまいさというのがその時間の経過でしょう。そのことを私どもはあいまいさと、こう言っているわけですよ。それがあなたのこの内閣の中でこういう発言が出てくる問題なんで、この人生観を変えなければいかぬと、私は若輩のくせにいうのはあれですけれども、常にそこのところがあなたのこの内閣についてたてまえ論とこの問題が出てくるところです。  だから、私はもう時間がありませんから、最後にこの政治家というものの出処進退というものはどういうものか。節度ある言動に徹すべきであると私は思うのです。節度がなければならぬと思うのですよ。私はその点について、この三木さんのあれを私はよく研究もしてみましたが、岸内閣の成立に際しては、亡くなられた池田さんらと一緒に反対しながら、そして第二次岸内閣では経済企画庁長官になって、例のこの三十三年の警職法をめぐって辞任をされた。ところが、池田内閣の成立に当たっては石井さんと組んで反対し、そうしてまた第三次の池田内閣では幹事長の要職につかれておる。さらに池田さんに対抗する佐藤さんに反対し、しながら、池田さんの病死後は突如として佐藤さんを推して主流派におさまって、佐藤政権の人気が落ち始めるというとこの佐藤政権阻止の動きをしてくる。そうして、四十七年には、「政治姿勢から見て福田派との連合はあり得ない」、こう断言して田中派の主流派になる。そして反田中を標榜してその副総理辞任する。今度は福田さんと組んで総理の座に着いた。とにかく私は、その継ぎ目、継ぎ目はあなたが言う信念、節度あるいはたてまえというものはその都度その都度あるのはある。けれども、現実の問題としてはとにかく飛び乗り、飛び降りの名人と言われる。ここらがいまの内閣のあいまいさの、あなたの持って生まれた性格だろうと思うんですよ、私は。そういう意味から私は退陣しなさいと言うんですけれども、そのあかしを立てるためには、はっきりとにかく仮谷さんを切りなさいと、このことが私は決め手だと思うんですよ、この問題の解決の。何も派閥が何のかんの言ってあなた身動きもできぬことになっておると言うけれども、このぐらいのことはあなたはきちっとやることによって私は首尾、つじつまが合っていくと思うんです。私は、そういったことで、あなたの政治哲学という問題と仮谷さんの処分の問題という問題について、もう一回政治哲学をお聞きしたい。この点をお願いします。
  43. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) いろいろ私の政治行動、その都度、都度私は自分の信念によって行動したので、私の過去の政治経歴、何にも私自身は悔いない考え方を持っておるわけでございます。そのときの信念に従って私は行動をしたと、またこの内閣も、要するに、私が言ったことを実現しようとして努力をされたことは、皆さんが、野党の諸君がお考えになってもおわかりのとおり、改革案をあんまり一遍に出し過ぎるという非難を受けたぐらいであります。しかしできるだけ改革を要するものは改革しようとして、公職選挙法、政治資金規正法——、いまだあんな改正はやったことはないんですよ。大変な改正である。これはやはり改正を前国会議決を得てこれが成立したわけなんです、独禁法だけはこれは廃案になりましたけれども。それで、これはやっぱり多少物の改革に対しては、改革というものは抵抗も起こるわけですから、そういうことでありますから、この改革には多少のやっぱり時間的余裕というものがこれはやはり与えられなければ、一遍に私の思うとおりというものは、これはやっぱり民主政治のもとでありますから行われないが、私は自分の言った言動に対して責任を持とうとして全力を傾けてきた考えであります。私の言っておることは、多少の時間的余裕をいただけるならば、私の所信はこれは貫いていくということは申し上げておきたいのでございます。  稻葉問題に、あるいはまた仮谷問題等に対していろいろな御批判がございましたけれども、私はやはりまあ政治家がもう自分の発言に対して責任を感じて、二度と再びこういうことはもう繰り返さないということを誓っておることに対して、これはその将来の言動を通じて責任を果たすことを見守っていこうという考え方であるわけでございます。
  44. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 安永君、時間が参りましたからちょっと……。
  45. 安永英雄

    安永英雄君 最後に、私はいままでのわずかな時間でありますけれども、論議を聞いておって、総理答弁を聞いておって、総理仮谷発言に対する私は事の重大さという認識にはっきり欠けていると思うんですよ。だから、結局その処置についても私は誤っておると思う。また、よって来った三木内閣反省の一かけらもない。したがいましてわが党は、今後さらに予算委員会等あらゆる審議の機会をつかんで、徹底的にその責任を追求しながらその処置を迫るということを付言して私の質問を終わります。
  46. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 安永君の質問は終わりま  した。  黒柳君。
  47. 黒柳明

    ○黒柳明君 わが党は、今回の仮谷失言というものは、個人の問題としてではなくて、やっぱり三木内閣全体の弛緩からくるんだと、政治のたるみからくるんだと、こういうふうに認識しているんです。そこでまあ冒頭に、総理大臣になられてやがて一年になりますですね、あと一カ月ばかりで。この一年弱振り返られて、ひとつ総理大臣としてこの席を通じて国民皆さん方に振り返ってみずから評価する点、あるいはみずから反省すべき点、どういう功罪があるか、三木内閣の。あるいは国政に関与して、その最高の総理総裁の座を占めて一年弱においての反省と評価をひとつこの席からしてください。
  48. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) まあ、私のこの三木内閣が誕生いたしまして以来、国民に約束したこと、インフレを抑制して物価を鎮静さす、また一方においては金権政治というものを打破してそして政治の信用を高める、また、対話と強調の政治を通じて国会の運営というものを円滑にやっていきたいというようなことを申したわけでございます。  まあ、第一番のインフレの抑制、物価の鎮静ということに対しては、政府が目標としてきた目標を達成されつつあるわけでございます。その間不況という問題が起こってきて、これに対して物価鎮静の見通しがつきましたので、一応そういう見通しも持たれる今日でありますので、今後は景気対策、不況の克服に全力を挙げていこうということで、今回の補正予算などにもそういう目的のもとで景気対策を盛り込んだわけでございます。  また、この金権政治というものに対して金で政治が支配されるという風潮が起これば民主政治というものはこれは維持していくわけにはいきませんから、そういう風潮というものをなくしていきたい。そのためには、まあ選挙等にもなるべく金のかからないように、きれいな選挙ができるようにと、政治資金の集め方、使い方に対しても節度を持とうというようなことでこの二法案国会で成立をしたわけでございます。これなども、先ほども申しましたけれども、いままで一回もこんな改正はないのですから、大変な改正であります。あるいは黒柳君はまだ非常に手ぬるいとおっしゃるかもしれませんが、なかなかやはりこういう歴代の内閣においてもそういうことを志しながらできなかったことをなし遂げたわけでございます。  また、対話と協調というのは、これは必ずしもうまくはいってないですけれども、私はやはり対話と協調というのは、私だけができるわけでもない。それはやはり黒柳君の方でも応じて、やはり一つの、何と言うんですかね、節度といいますかね、もう一〇〇%自分の言うことが通らなければとことんまで反対するということでは私は議会政治というものはうまくいかない。皆それぞれ一〇〇%でなくても、五〇%であっても、そこでやはり健全な妥協が行われないと私は議会政治はうまくいかない。私自身も対話と協調——対話と協調でなければ議会政治はできないですよ。これはもう力の対決で議会政治はできないのですが、しかし、野党の諸君も与党をそういうところまで追い込まないようにやはり話し合って、そして円満な解決をするということで、私は議会というものを守っていくためには、自民党、与党ばかりの責任だとは思わない。ことに参議院においては保革接近しておるのですから、議会政治を守る片棒を担いでおるものは野党である。この節度がなければこれはもう議会政治というものはうまくいくわけにもいきませんから、この国会などを通じての経験に徴して、この国会の対話と協調という路線をもっと回復できるように、私は各党間でもこの問題は真剣にお話をしたいと思っておる課題でございます。
  49. 黒柳明

    ○黒柳明君 反省反省
  50. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 反省の点については、いまいろいろお話がございましたが、とにかく私が申しておるような方向、その方向に到着するのに時間的なずれがある。やっぱり自分が言ったことが直ちに実行されるというようなことにはやはり時間的な少しのずれがあるということについては反省をいたしておる次第でございます。
  51. 黒柳明

    ○黒柳明君 十点満点で何点と評価しますか。
  52. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 私は自分で百点であると……。
  53. 黒柳明

    ○黒柳明君 もうこれはあまりにもずうずうしい。三木さん、こう周り見てごらんなさい。ここは予算委員会室ですけれども、いつもだとそちらにとげとげしい——まあ失礼ですけれども——本庁の局課長が並んでいるのです。きょうは河野議長以下、わが参議院の非常に温和な部課長さんですよ、並んでいるのは。聞いてごらんなさい。私がどれだけ対話と協調でこの理事会を運営しているか全く知らない。だから、野党の心を知らずして、それでみずからが独善で、おれはやっているのだけれども野党がと、これから改めなければ根本的にこの問題の解決はない。これからの三木内閣の推移というものは、私は非常に憂える。世間で何と言っていますか。三木内閣、風鈴内閣、涼しさがないと、音だけだというのです。言うことは言っても何にもやらないと。まあ確かにうまいこと言ったと、こう思います。いいですか、私は残念ながら三木さんができるのかできないのか、いろいろな圧力もあるでしょう。周囲への気がねもあるでしょう。しかしながら、やっぱり野党に対してそういうものの言い方をする限りにはうまくいきませんな。対話と協調ということを看板にして、実は与党の中、派閥の中で足を引っ張られて首だけ前にいっていると、こういう姿。漫画見たことありますか。  そこで、私は問題に徐々に入っていきましょう。ここに本来ならばいるべき人がいなければならないのですな。三木総理、どうですか、さびしくないですか。
  54. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) さびしいとか、さびしくないという……。私に出てこいという御要求でございましたので出てまいったわけでございます。
  55. 黒柳明

    ○黒柳明君 と言う。私は自民党総裁として、ここにいらっしゃる自民党の理事さんが、何とか仮谷建設大臣を出さしてそして陳弁させたいという意図を自民党として拒否したいということですよ。どうですか、総裁として。
  56. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 私は議運の決定に従って国会を尊重するという意味から、国会の議運で、総理大臣が出てこいということで私が出てまいったわけでございます。
  57. 黒柳明

    ○黒柳明君 そうじゃない。これは違うぞ。そうじゃないぞ。呼び出しは何回もかけた、三人の方。ちゃんと、いまさっき終わったばかりの議運で討論したんですよ。自民党の方から拒否された、党の方として。はっきり記録に残っていますよ。党の総裁でしょう。なぜ拒否したんですか、当事者を。失言の当事者である建設大臣を、怒られるなら二人並べた方がいいじゃないですか、こう案分されて。官房長官だってやがていきますよ。暇じゃないですよ、用意しておいてくださいよ。どうです。自民党総裁が拒否したと。わが党初め、ほかの党が出なさいと、当事者じゃないですかと、稻葉さんの例——また全部のほかの例もそうでしょう。むしろ総理大臣を——失礼な言葉ですけれども、引き出すのは大変ですけれども、当事者はいつも出てきている。あたりまえ。今回はどうかわからない。大物の総理大臣がのこのこお出になって、当事者がどこか隠れちゃっている。しかも自民党の理事が一生懸命やった。間違いないですよ、どうですか。総裁として、なぜ失言した当事者を出させないんですか、ここに。
  58. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 私が仮谷君を出さないというのではなくして、議運でそういうことでございましたので、それは各党がどういう御意見であったかどうかは詳細に知りませんけれども、議運でそういうお話でございましたので、私が出てまいったということでございます。
  59. 黒柳明

    ○黒柳明君 委員長、これちょっと時間とめなさい。同じ質問だから、ちょっととめなさい。いいですか、委員長
  60. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) はい。なるべく簡単にしてください。
  61. 黒柳明

    ○黒柳明君 いま終わったばっかし。確認した、何回も何回も。三人ともしっかり要求した。努力するだけした。党としてそれを出さないと言ったんだ。そうですね、委員長。——そのとおりです。だめだ、インチキなこと言っちゃ。議運の決定じゃないじゃないか。、だめだ、インチキ言っちゃ。なぜ拒否したんですか、党として。変なこと言っちゃだめです。
  62. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 私は詳細にどういうやりとりであったかは存じていないわけで、これは急であったわけですから、時間も。そういういろいろな、どういう議運でやりとりがあったかを詳細には承知しておりませんが、私には議運に出てくるようにというお話があって出てまいったということで、どういうやりとりが議運にあったかということは、正直に申して私はよく承知していないわけでございます。
  63. 黒柳明

    ○黒柳明君 結構。立ちませんよ、立ちません。時間とめてください。それじゃないですよ、私言っているのは。いいんです。議運のことを総理大臣が一々する必要ないじゃないですか、官房長官だって出てこない。官房長官たまに出てくるだけ。結構ですよ。そうじゃなくて、一生懸命要請した、野党の要請にこたえて自民党の理事さんも。その結果、党として出しませんと拒絶されました。だから、党の総裁じゃないですか、党の総裁としてなぜ党として出さないんですかと、当事者を。そう言っているんですよ。議運のことをしろと言っているんじゃないですよ。議運の要請なんかないんですよ、そんな要請は。議運の要請はむしろ自民党の理事さんからあった。そういうことを言っているのよ。
  64. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 黒柳君、一々のことに対して私自身が決定を下すというわけではなくして、実際問題として、黒柳君も政党の領袖としておわかりでしょうが、一々の問題について私が全部決裁するという形はとっておりませんので、私はこの問題についてどういういきさつがあったかはよく存じませんが、とにかく、私が出てくるようにということで出てまいったということが正直な私の答えでございます。
  65. 黒柳明

    ○黒柳明君 これだけね、国会を軽視しません、国会に対しての軽率な発言でした、陳弁します——まあ、この点については私は後で言うんですけれどもね。そう言いながら、これだけの重要な問題について、私は知りません——党の総裁としてそんなこと許されません。あるいは自民党政府の打ち合わせにそんなこと許しません。さんざんそのために衆参議運で練ってきたんです。そんなことでは、私は決定権はありません、それだったら無視していることじゃないですか、この問題を。この問題をおろそかにしていることじゃないですか。それは総理自体、総裁自体とは言えないかわかんない。党、政府かわかんない。でも、だめですね、こんなことは。そんなばかな質問できません、続けて、こんなことなら。党であるか政府であるかどこかであるか、わかりません、そんなこと。あるいは総理総裁が無視しているのかわかんない、知らないのかわかんない。だけど、どこかにおいて無視しているんです、軽視されているんです。総理のところまで行ってない、あるいは行ってるか、全くわからない、われわれ。議運では決定——自民党の人が一生懸命要請した、にむかかわらず党でノーと言ったというんですから、その責任者でしよう。その責任者の耳まで行ってない。と、だれかがこれを——責任者出しなさいそれじゃ、知っている人。はっきりしなけりゃだめだ、これ。
  66. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) これはまあそういうことが議運において党の意思表示があったとするたらば、やっぱり党としてそういうふうな、党の党務の上から、また適当な機会があるであろうということからそういうことになったんだと思いますが、詳細には私は聞いておりませんが、とにかく衆議院においても私が出てまいったし、また参議院にも私が出てまいって皆さんの御質問に答える、そういうことでよろしいんだろうと思って出てまいったわけでございます。無論、その決定に、最終的には、私も総裁でございますから、責任は負わなければなりませんが、そのいきさつは私は聞いてなかったわけでございます。
  67. 黒柳明

    ○黒柳明君 そんなことを繰り返したって同じ。聞いてごらんなさい、すぐ。官房長官、すぐ行って聞いてきなさい。どうして出さないんですか、党として。党の責任者、その次は幹事長でしょう。ね、総裁の次は幹事長だ。幹事長まで行っているんでしょう。あるいは行ってないのか。聞いてごらんなさい、早く。そこは大問題。それで理事会ではがたがたこうして今日まで延びてきた。聞いてごらんなさい、党でなぜ出さないのか。
  68. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 黒柳君に申し上げますが、いまの質問の問題は総理の御答弁のとおりで、お聞きになったと思います。そこで、自由民主党がどういうわけで仮谷君を出席させないか、拒否したという点につきましては、今日問題にしておいて、あるいは官房長官から後ほどお答えすることにして、そうして次の質問へ移っていただけませんでしょうか。
  69. 黒柳明

    ○黒柳明君 後ほどってあと何分過ぎ。だって委員長、私、言うまでもなく、一番苦慮した点でしょう。建設大臣が出るか出ないかで、さんざん御迷惑かけるところにかけたわけじゃないですか。それを後でと言ったって何分後よ。まあ、いいじゃないですか。どっちみちここまできたんだから、ゆっくり休まれているんですからいいじゃないですか、お互いに。まだ時間も早い。四時前だ。
  70. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) まあ、問題はそういうことですから、次の質問にこれは懸案として残しておいて。
  71. 黒柳明

    ○黒柳明君 残すと言ったって、いつ出てくるの、返事が。
  72. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) いやいや、この委員会中にお答えが出ると思いますから。
  73. 黒柳明

    ○黒柳明君 ここの前に進まないよ、そうしたら。そこがはっきりしないと。わが党の一番大切な主張じゃないですか、それが。国会軽視しないとかなんとか言いながら、党の責任者がそんなことも知らない。一番の失言した張本人は出てこないで、どうなったのかなんて、気にもしないのかね。むしろ、君、出なさいよと一言ぐらいかけないのかね。
  74. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 官房長官から答弁をいたします。
  75. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) 黒柳さんも御案内かと思いますが、本日、本会議が開かれまするならば、総理大臣並びに仮谷建設大臣、それぞれ、本会議におきまして釈明、陳謝、これをいたす予定でございますので——参議院の方も……
  76. 黒柳明

    ○黒柳明君 そんなことになる——それは重大だそ。もう一回、はっきり聞きましょう。聞きましょう。聞きましょう。聞きましょう。——聞かしてください。聞きましょう。
  77. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) まあ、それは私の理解でありますが、そういう方針のように聞いておりますので……。
  78. 黒柳明

    ○黒柳明君 おう、おう、おう——早く、座るなら座りなさい。いいですか、おしまい……早く。それは大変よ、委員長。何だ、発言どうなった。取り消すのか。何言ってるんだ。そんな発言の途中で取り消すなんて——取り消すなら取り消しな。問題だぞ、いまのことば。どこでそんな話してんだ。どこでそんな話した、どこで。変なことばっかしやるからこうなるの、総理大臣。変なことやるから。頭を抱えたってだめなの。変なことばかりやるからこういうことになる。
  79. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 速記をとめておいて。   〔速記中止〕
  80. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 速記を起こして。  ただいま官房長官発言は、まだそういうおつもりがあるかどうかわかりませんが、発言通告は来ておりませんので、それは官房長官答弁は一応取り消します。
  81. 黒柳明

    ○黒柳明君 これほど重大な場でそんなに重要な発言して、取り消すとは何だ。すぐ速記録を回しなさい、野党に。休憩、それまで。とんでもない話だ。そんな重大な場所でそんな重大なインチキの発言して、私が言わなかったらそれを言うでしょう、そのままの。私が中間で言ったから、いまの委員長発言になった。でたらめ、こんなのは。こんなでたらめな政府があるか。これで国民に顔向けできるか。だから、悪いことをやるなってんだよ。裏でがたがたやるからちぐはぐになる。休憩しなさい、委員長。それで、議事録回しなさい、すぐ。悪いことやるから。議事録回してください。見てから。検討してから。とんでもない。
  82. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 速記とめて。   〔速記中止〕
  83. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 速記起こして。  それじゃあ暫時……。
  84. 黒柳明

    ○黒柳明君 休憩。速記録つくりなさい、すぐ。
  85. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) ちょっと、ちょっとお待ちください。
  86. 黒柳明

    ○黒柳明君 早くしましょう。  いまの官房長官の速記とってあるんでしょう。その速記早く見せなさい。いま言ったことがくるくる引っくり返っちゃ困る。国会軽視しない。発言についてはきちっと責任を持つ。何だ。
  87. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) それでは、委員長としましては暫時休憩をして理事間においてお話し合いを願いたいと思います。  暫時休憩いたします。    午後三時四十七分休憩      ——————————    午後九時四十九分開会
  88. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 議院運営委員会を再会いたします。  休憩別に引き続き質疑を行ないますが、内閣総理大臣及び内閣官房長官から発言を求められておりますので、これを許します。三木内閣総理大臣
  89. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 仮谷発言に対しては軽率であったということを再三確認しております。また、本問題に対する政府の姿勢についても国会軽視のそしりを免れません。今後再度このような失態を繰り返さないよう、繰り返した場合は総理大臣として厳重に対処いたします。  このことを申し上げる次第でございます。
  90. 鍋島直紹

  91. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) 先ほど答弁で、参議院の方にもすでに建設大臣から発言通告がなされているかのような発言をいたしました。これは私の勘違いでありました。  不適当な答弁でございましたので、改めて取り消します。おわびをいたします。
  92. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 黒柳君。
  93. 黒柳明

    ○黒柳明君 私の、総理大臣、持ち時間はまだ十九分と二十秒あるんです。だけど、いろんな問題で、後が詰まっているんで、私一言でやめます。  そういう態度で処すべきです。たとえ野党が、三木総理大臣がさっき言ったように、強引であったとしても、もし政府が、三木内閣が一歩じゃなくて半歩譲った姿勢になれば、野党は何も対決姿勢ばかしいる党じゃないんです。三木内閣より対話と協調でやろうという党があるんです。ところが、さっきみたいに野党は悪いんだと、私がやっているところは全面的にいいんだと、十点が満点だと、こういう姿勢で今後三木内閣が臨むならば、これはもう最大の三木総理政治姿勢に対する根本的な欠陥ですよ。私は何も揚げ足を取って是を非と、そんなことを言ってません。あくまでも非は非としなさい、欠点は欠点としなさい。率直に認めれば、野党だって三木さん以上に、三木内閣以上に対話と協調で——日本のためですよ、日本の国ですよ。何とかこの不景気を打開しよう、わが党は少なくともどこの党よりもどこの議員よりも意欲的です。そのためには、まず力を持っている、そのためには多数である自民党が——全部譲れとは言いません——結果を認めなさい。国会軽視のそしりは免れないんなら、免れませんと認めなさい。私たちは、それをさらに大きくカバーしていきます。追及しません。もし三木さんがその態度だったら私たちは欠点の穴を埋めて、そして政治をやっていきます。後押ししていきます。そういうつもりでいるんですよ。いいですか三木総理今後も私が何も押す押さないなんていうのは、こんなことは三木さんにしたら勝手なことだと思いますけれども、もう惜しむらくは、私の心からの叫びとして、三木内閣は強気の姿勢結構、だけれども、言ったことをどんどん実行に移し、何一つやってないで、時間、時間と、そういうことを主張するだけじゃだめだということを私は老婆心ながらこの際希望もするし、心からの叫びとして三木内閣総理大臣に忠告します。いいですか、官房長官、いいですね、大番頭として。勝手なときにうろちょろ出てこないこと。いいですね。衆議院でも問題になった。誠意はわかりますよ、誠意はわかりますよ。もっとも官房長官も一生懸命やっていることははだに感じますよ。ですけれども、一言言いたい。変なところでごちゃごちゃやるから本心がぽこっと出ちゃうのです。そこで失敗するのです。やめなさい。もしクリーンの三木であったならば、変なところの取引やめなさい。あるかどうかわかりません、うわさだ、世間の。私はないと思います。あるからいま言ったような本心がちょこっと出ちゃう。惜しみます、私は。公明党、そして私たちは本当に純真に真心込めて何とか日本の政治をやっていこうと、こういう気持ちですわ。まあ すいませんな、あれから十九分二十秒と言ってもう二分二十秒過ぎました。一言ずつ所信を述べて私はこれで時間をあっさりと他党に譲ります。
  94. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) このまあ知事会議にしましても、あるいは国民の声も、一日も早く景気対策を講じてこの不況克服に取り組んでもらいたいというのが国民の声であります。したがって、一日も早くその御審議を願いたい、補正予算の御審議を願いたいと思っておるにかかわらず、こういう仮谷発言によってこういう時間をとりまして、野党の各位に対してもいろいろ御批判を受けるようなことになりましたことに対しては、私も深刻に受けとめておる。深刻に受けとめておる。今後十分にこういう点に対しては私自身戒めてまいりたい所存でございます。
  95. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) ただいまの黒柳さんの御発言は、私に対する御忠告として十分に受けとめる所存であります。
  96. 黒柳明

    ○黒柳明君 以上。  どうもすいませんでした。(拍手)
  97. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 黒柳さん、もういいですか。
  98. 黒柳明

    ○黒柳明君 いいですよ。
  99. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 塚田大願君。
  100. 塚田大願

    ○塚田大願君 私はこの仮谷問題の質問に入る前に、本委員会の持ち方について一言申し上げたいと思うのであります。  仮谷問題が起きましてから、わが党は衆参両院で最初から一貫してこの仮谷発言の重大性を指摘して、この問題を究明するためには全閣僚、もちろん仮谷本人も含めて全閣僚出席のもとにしかるべき委員会でこの問題の集中審議をすべきであると、こういうふうに主張してまいりました。ところが、きょうは御承知のとおり仮谷建設大臣本人出席もない。これでは全く問題の究明ができないのは、これは明らかであります。なるほど総理大臣が御出席した。任命権者としての総理大臣が出ているんだからいいではないかでは済まないと私は思うのであります。これは議運の理事会でも私はしばしば論議をしてまいりましたが、とにかくこういうやり方では問題の核心というものを究明することができない。総理大臣出席して御答弁なるのはこれはそれとして結構ですが、問題が違うのでありますから、やはり本人が出るべきだと、しかも、いま国民がこの仮谷問題が起きましてからやはりこういう事態の究明に対して国会に大きな期待を持っていると思うのであります。にもかかわらず、仮谷建設大臣が出ないこういう委員会が開かれておると、私は大変これはやはり先ほどから論議されておりますように、国会運営の面における軽視、やはり国会軽視というものではないかと、これではやはり国民期待に沿うことはできないと私は考えるわけであります。そういう意味で、まずこの点を国会の運営においても十分国会を尊重すると、国民の声を尊重するという立場を貫くべきであるということをまず最初に指摘しておきたいと思うわけであります。  次いで質問に入ります。  総理は、一年前の組閣の当時、「信なくば立たず」という言葉を好んで使われました。いわば総理の信念を吐露されたもんだと思っていますが、ところが一年間、三木内閣の支持率というものは急速に低まったことは総理も御存じだろう。ある新聞では四七%から二三%になってきておる。私はこのことを直接総理に聞こうというわけではありません。問題は、そういうときにあの仮谷建設大臣のような発言が起きた、ますますもって政治不信というものが強まってくる、これで果たして総理が言った「信なくば立たず」という、つまり民の声を、民の信を本当につなぎとめることができるのか。きのうからもいろいろ論議されても、総理は罷免もしようとしない、辞任勧告もしないと、こう言っておられる。これでは、やはりいままあ総理が釈明をされましたけれども、本当仮谷発言のこういう国会軽視発言に対して、政府として、総理として本当に厳しく対処するという態度ではなかったと思うんです。そういう意味で、やはり私はまず総理にこの「信なくば立たず」という信念をあなたは本当に貫くつもりがあるのかどうか。言葉だけは大変美しい、かっこうもいい。しかし、それで本当に日本の政治をやっていく自信があるのかどうか、まずお聞きしたいと思うんです。
  101. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 「信なくば立たず」ということは私の変わらない信念でございます。また、私は今日まで議会制民主政治というものに対する健全な発展のために私が寄与したのが過去における私の政治の歴史であったと思っております。ただ、そういうことからいたしまして、仮谷発言というものはまことに遺憾なことだと思っておりますから、そういうことの再び言動三木内閣のもとにおいて繰り返されることの絶対にないように、私自身はもちろん、また閣僚にも戒めてまいりたいと申し上げておる次第でございます。
  102. 塚田大願

    ○塚田大願君 では次にお伺いしますが、今度のこの仮谷発言がなぜでは起きたのかというこの問題でありますが、総理は昨日から、どうして仮谷君があんなことを言ったのかということを繰り返して述べられておる、どうも理解ができないというように言っておられますが、どうもそれを聞くと、何か偶然にこういう問題が起きたんだと、決して三木内閣の姿勢の問題ではないんだと、たまたまそういうふうに起きたというふうな感じでお話ししてありますが、私はそうではないと思うんです。やはり、これは非常に本質的な問題である三木内閣の本質的な問題だと思っていますが、その点はどうでしょうか。
  103. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) この仮谷発言というようなものが本質的なものから出たものだということには断じて承服することはできません。私は先ほども申し上げましたごとく、議会制民主政治の健全な発展というものに対して、だれにも劣らずそれをこいねがっておるものでございます。そのために今日まで努力をいたしてきたわけでございます。そういう意味において、これは三木内閣の本質から出たものだというふうには私は考えておらないものでございます。
  104. 塚田大願

    ○塚田大願君 では、過去においてこの一連の失言問題、罷免問題があった。もちろん三木内閣以前の自民党政府を通じてやはりそういう一連の不祥事件がありました。こういうふうにこの点を考えてみますと、やはりどれもこれも大体国会軽視つまり国権の最高機関としての国会を軽視した発言がほとんどである。一体、なぜじゃそういう事件が頻発するのか、やはり私どもは考えて、やはりそこに自民党の反民主的な体質、つまり憲法たんかあまり尊重しない、あるいは主権者である国民立場というものを無視する、こういうことが重なって国権の最高機関である国会を侮辱するような発言がしばしば起きた。私はこれは事実として総理は認めてもらわなければならないと思うんです。たとえば、過去において、国会大臣は並び大名と同じであるとか、いや、予算などは居眠りしていればいつの間にか成立するんであるとか、私はそれほど国民を尊敬してないとか、現行憲法は欠陥憲法であるとか、まあ、とにかく実にでたらめな発言があったと思うんです。私は、やはりこれは自民党の体質から生まれているのであってほかにはない。つまり、自民党の体質が国民を無視して財界とアメリカ本位の政策をとっておる、そこにこういう憲法無視や国会軽視発言が生まれるんではないか、そこにこういう問題の土壌があるのではないかと私は思うのですが、その点、改めてお聞きしたい。
  105. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 自民党という政党のよって立つ基盤は、自由と民主主義を守るというためにこの自民党はあるわけであります。この自民党基本、これが崩れてくるということなら、自民党の存在価値はないわけであります。われわれはあくまでも自由と民主主義を守り抜く政党として今日までやってまいりましたし、また、今後もそういう党の使命のためにわれわれは今後とも努力をしていくという考え方でございます。
  106. 塚田大願

    ○塚田大願君 本当に自由と民主主義を守るという立場が貫かれているなら、どうしてこういう一連の失言事件や罷免事件が起きるのか。解釈、どう考えても説明にならないと私は考えます。  そこで、今回の仮谷発言でありますけれども、この仮谷発言にいたしましても、総理は、不用意の発言である、軽率の発言であると、いかにもこれを軽くお考えでありますけれども、私はやっぱりこれは本音だったと言いたいのであります。総理は新聞で仮谷発言をごらんになったと言いますが、御承知のように、青森自民党の資金集めのパーティーのときに仮谷大臣発言をしたのでありますが、この約束は国会答弁のようないいかげんなものではないというこの発言の前に何を言っているか、総理、御存じでしょうか。
  107. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 私は、その詳細は速記録のようなものを読んでおりませんけれども、青森県が非常な災害を受けまして、これに対して災害の対策を熱意を持って当たるというような話をした後において言われたものだというふうに記憶しております。速記録は読んでおりません。
  108. 塚田大願

    ○塚田大願君 仮谷氏はこのパーティーでこういうことを言っているんです。長くなるから要約いたしますが、要するにポイントは、私の出身地高知県と青森県が今度の災害でひどい打撃を受けた。いつの世も東北と四国はおくれがちだが、今回は、西日本はさておいても、東北のために全力を挙げて災害復旧を行うべく努力していると、こう述べた後で、最善の努力を約束する、この約束は国会答弁のようないいかげんなものではないと、こう言ったわけであります。非常に具体的な問題を取り上げて、これは国会答弁のようないいかげんなものでないと、こう言われた。たまたまこの単語だけをどこかでぽこっと言ったというような、そんなものではないんです。だとすると、やはりこれは本音、大まじめ、政策を述べた中でこう言うわけですから、私はそう見るべきだと思うんです。だから、大まじめであればこそ問題なんであって、これをなおかつ総理は不用意なものであったと、軽率な発言であったというふうに断定できますか。
  109. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 先般も私がちょっと引用した中に、仮谷建設大臣がこの国会において答弁をしておる中に、私はその場限りの言い逃れの答弁をするようなことはいたさないということを国会で述べておるわけですね。私は、やはり長い政治経歴を持つ仮谷君が国会でいいかげんな答弁をしていいというふうに私は彼の本質は考えてない。この国会答弁したことが彼のやっぱり考えておることを率直に述べたものだと受け取っておるわけです。また、その仮谷自身国会答弁予算委員会などで見ましても、彼はかなり積極的に、ただ言い逃れというような答弁ではなくして、積極的に前向きの答弁をしておると私は考えておるわけで、そういう意味において、ああいう発言をしたことが彼自身国会を軽視する思想の持ち主だと私は断定しにくいと考えておるわけでございます。
  110. 塚田大願

    ○塚田大願君 総理、まさにその問題なんです、私がこれからお聞きしたいのは。言い逃れのようなことはしない男だと、まじめな答弁をしているじゃないかと、国会で。じゃ、そこで私お聞きしましょう。四十九年、昨年の十二月二十四日、参議院建設委員会において仮谷大臣がわが党の上田議員質問に対してどういう答弁をしているか、その具体的な問題でお聞きいたしましょう。  この上田議員質問は、前の建設大臣でありました亀岡大臣のときに、あの長岡の信濃川河川敷の解除は、事態を究明するまでは軽々の措置はとらないという約束をしたんです、亀岡建設大臣が当時。そこで仮谷大臣になりましてからこのことを確認の質問をした。そしたら仮谷大臣はこう言ったのです。「私は前の大臣がそういう約束をしておるとすれば、前の大臣の方針をもちろん踏襲いたしましてお約束を実行するということは当然なことだと思っております。」と、大変前向きに聞こえる発言をされた。ところが総理、事態はその後どうなったんですか、長岡の河川敷の問題は。もうこれは新聞その他でずいぶん出ておりますから御承知でしょうけれども、先般長岡の小林市長が上京いたしまして田中前首相と会って、河川敷を買い占めた室町産業のあの河川敷を長岡市に有償で適切な価格で払い下げるという約束をして、これが建設大臣仮谷氏の報告されたときに、仮谷氏は、土地整備計画ができれば廃川敷処分にするということを言ったと。これは新聞の報道ですけれども、そういう約束をした。前は、これはもうその前の亀岡さんのときからの申し送りだから軽々な処分はしないと言っておった。ところが、田中さんと長岡の市長が話し合ったときには、今度もう整備計画ができればよろしいと、払い下げてあげる、廃川敷にすると。要するに、払い下げをできるようにしてやると、こういうことを言っておるのですよ。  だとすると、国会における答弁なんかも、決していいかげんなことを言わない男だとか、本当にまじめな真剣な答弁をする男だなどということにはならないんです。言っていることとしていることは全然逆になっておるのだ。この点で、どうです、なおかつ仮谷大臣を擁護することができますか。
  111. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 河川敷のいまの御指摘の問題は国会でもしばしば問題になりまして、私自身が、建設大臣として私に報告して最終的に了承を得なければ処置はしてはいけないということになっておるわけでございますから、まだ私のところへ報告が来ておりません。したがって、この問題についてどういう処置をするかということの最終的な決定には至っていないというのが実際でございます。
  112. 塚田大願

    ○塚田大願君 そういういいかげんな答弁をされるから事態が一つも究明にならない。本人呼んでこなきゃわからないということになるんです。だから、われわれは最初からそれを主張しておる。  そこで総理、信濃川河川敷の問題が出ましたから総理自身の問題でも一つだけ、まだたくさんあるんですけれども、一つだけ聞きますが、総理はこの河川敷問題についてはもう何回も国会では答弁された。ついこの間も、九月二十日でありますか、参議院の本会議で信濃川河川敷の問題は「国民の疑惑を残さないような適切な処置をいかすことにする」と、こういうふうに本会議総理は述べられた。これは速記録です。ところが、事態はやはりいま申し上げましたように、とっとことっとこ廃川敷の方、室町産業に払い下げる方向に進んでいるじゃありませんか。適切な処置なんか何にもとられていないです。疑惑を深めているだけです。これは、もう地元では大変な騒ぎにかってきておる。したがって、やはり問題は非常にうやむやにされておると、私はこの問題で言えば、一時間ぐらい総理質問することができます。私も郷里の問題でありますから、よく知っております。もう大変な騒ぎになってきている。これなどを考えましても、私は、総理本当仮谷建設大臣のことのみならず総理自身の姿勢、約束が本当のものかどうかということについてやはり非常に問題を残しておると思うんですが、この廃川敷の問題で、簡単でよろしゅうございますから、一言御答弁願いたい。
  113. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) それは最終的な決定というものが出てまいりましたならば、十分な私の発言に対して、私はこれに対して発言にこたえ得るような措置をとりたいと考えております。
  114. 塚田大願

    ○塚田大願君 そういうことでは、実際問題として、あなたが国会答弁された、発言されたことを本当に保証するということにならないと思うんですね。実際もう出てきたと、役所の書類が全部できてきたと、さあ三木さん、とめようと思ったってもうとまらないことだってあるかもしれない。あるいは、知らないですっと行っちゃうかもしれない。大体さっきも総理総裁として質問されたとき、いや、私はそんな細かいことは聞いておりません。もっともなところもある。一々その建設省の書類が全部総理のところへ来るなんという保証は果たしてあるのかどうか、それは疑問だと思う。だから、そういう点で私は、やはり最初に戻りますけれども、仮谷発言というものはそう偶然に起きたものではなくて、自民党のその体質からやはり起きてきている。ここをはっきりさせなければ、私は三木さんのここでの答弁を信用することができないことになります。  そこで、こういう具体的な問題はたくさんございますが、きょうはこういう事態で時間も切迫しておりますから私は次に進みますが、こういう問題を踏んまえて私、一つ提案をしたいんです。で、これは昨日、衆議院委員会でもわが党の東中君が提案をしたはずでありますが、それに対して総理から明確な答弁がなかったので改めてお聞きいたしますが、三木さんもおっしゃっているように.国会答弁というものはやはり議会制民主主義基本にかかわる問題であると、非常に重要な問題だ、そうおっしゃっている。それはそのとうりなんです。ところが、実際にいま言ったように、いいかげん答弁というふうなことがぽんぽん出てくるというこの実態の中で、実際にこの国会答弁のあり方をこの際はっきり改革をしていくということを三木さん、約束してもらいたいと思うんです。それは非常にむずかしいことではありません。あたりまえのことを私は言うんですが、そのあたりまえのことができてないからああいう不祥事件が起きる。そこで第一に提案をしたいのは、この国会におきまして議員質問者が質問をした場合に、その関係大臣が当然それは答弁に立つと、これはあたりまえのことで、いままでだってやっていますが、にもかかわらず、質問者の了解もなく政府委員がしゃしゃり出てきて代理答弁をするということがしばしばありますね。予算委員会なんかになったら極端ですわね。ああいうことは、絶対に質問する議員の承諾なくしてやるべきでないということです。きのうも三木さんは何か少し勘違いをされて、いや、政府委員答弁するのは別に違法ではないじゃないかとおっしゃったようだが、その違法かどうかなんて、そんなことを聞いているんじゃないんです。政府委員政府委員資格を持っていますから。そうじゃなくて、やはり三木さんがおっしゃったように、政府答弁はみずからの信念、政策を国民に訴えると、大臣が。そういうものでありますから、これは政府委員によってかえられるものではない。政府委員国会法第六十九条で大臣の補佐であるという規定があるんですから、大臣にかわって答弁なんかできるものでない、事務的な補佐だけしかできないわけでありますから。そういう意味で、こういうことをはっきり守りていただきたい。実行していただきたい。当然のことでありますが、今後ひとつ三木内閣でその努力をしていただけるかどうか、まずお聞きしたいと思うんです。
  115. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 各省の基本的な問題については大臣が当然に答えなければならぬ。しかし、具体的ないろいろな問題について、全部、大臣がその問題に対して詳細にそういう問題を十分に承知しておらない場合もあると思います。今日、国会質問というものは、皆、野党の各位も非常に御勉強が進まれて具体的な問題が相当に出されますから、一々それに対して大臣が全部知っておるということは無理でして、私も各国の議会制度というものを直接見たりあるいはまた聞いたりしたわけですが、それはもう文書で、その場合に答えられぬ場合には、後日調べて答えますと、これでもう野党も追及しないんです。それは皆、全部が大臣が知っておるというわけではないんです。
  116. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 答弁を簡単に願います。
  117. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) それからまた、文書提出したりして、そういうふうで、こう、攻める者も守る者もそういう事情をよくのみ込んで国会の運営をやっておるようでございますから、なるべく大臣が答えられるにこしたことはないんでしょうが、一々答えられぬ場合は、政府委員の場合もありましょうし、あるいは文書で出したり、あるいはまた、後日調べて答えるということに対しても、野党の各位が寛大な態度をとってもらいたいと願うわけでございます。
  118. 塚田大願

    ○塚田大願君 野党議員が寛大な態度をとれなんて、そんな問題じゃないんです。それは、野党議員はみんな良識があります。決して事務的なことまで大臣にやらせようなんていう人は私は一人もいないど思うんです。しかし、大事な問題について、特にこの政策や信念の問題については、これはもう聞きたいときに何か官僚が代理答弁をする、そういうことをやめなさいと、こう言っているわけで、大臣総理自身答弁がそういうふりなあいまいさを残しますから、依然としてその悪習が直らないということだと思うので、この際、こういう大きな問題を抱えて大臣の失言問題が起きておるというふうなこういう事態では、もっと大臣の監督を厳しくして、大臣もっと勉強させなさい。そんないいかげんな大臣を任命するからそういう事態になって、いつまでもずるずると、そしてとどのつまりああいう発言になる。とんでもないことです。  それから第二番目の提案底これもきわめて常識なことでありますが、政府答弁をされました場合には、私はそれについて責任を持っていただきたい。先ほど仮谷さんそれから三木さんのその発言について質問いたしましたが、その後どうなっておるのか、こうやってこの時点で聞いても何も御存じない。そんな無責任な答弁では、私は本当国会を重視したということにならないと思うそういう意味では、やはり政府は、答弁した以上責任を持って、その後それがどういうふうに実行されたかということを絶えず点検をして、そして質問者の要求があるとなしとにかかわらず報告をすると、そのぐらいの義務は当然あってしかるべきだと私は思うんですね。しかも、それがまたやはり自分の勉強のためにもなる。国会議員は選挙区へ行けば、自分が何をやったかということを詳細に一々聞かれなくたって報告しておるでしょう国会報告というものを。大臣だってね、国会に対してそういう義務を負っていいと思うんですよ。そういうことがおろそかになっているから、非常に国会軽視というものがおのずからだんだん雰囲気になってき、しまいにはいいかげん答弁ということになると、こういうふうに私は思うんで、この点をひとつ三木さんもう一つはっきりさしていただきたい。
  119. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 国務大臣国会答弁をしたことに対して責任を持てということに対してはお説のとおりに考えております。
  120. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 塚田君、時間でございますから……。
  121. 塚田大願

    ○塚田大願君 はい。  じゃあ最後に、いまの三木さんの発言本当にこれはもう公度は私ども厳しくここでの公式の発言を重視して、これからもその点を追及していきますから、覚悟しておいていただきたいと思うんです。  それで最後に、もう時間になりましたから、私は締めくくりを申しますが、要するに、今度のこの仮谷発言の問題については、三木さん言を左右にして、仮谷建設大臣辞任、罷免、これについてははっきり約束されない。いや、約束されないんじゃなくて、これをなおかつ擁護しようとするようなそういう発言をしておられますけれども、これは政治というものを国民にわかりやすくするためには、政治本当にこの主権者である国民に返していくためには、どうしても私はこの仮谷大臣辞任を含めた、辞任勧告を含めた罷免をすべきであるということをはっきり最後に要求しておきたい。しかし、三木さんは恐らくその点については同じような答弁をされると思うんですが、私どもはそういう答弁には納得いたしません。あくまでもこの問題は今後とも追及するということを考えておりますが、その最後の質問三木さんの御答弁をお願いしたい。
  122. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) しばしば申し上げておりますように、仮谷建設大臣は自分の軽率を認めて、再びこういうことを繰り返さないことを誓うと言ったわけでございますから、厳重に彼の今後の言動を見守っていきたいというのが私の心境でございます。
  123. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 塚田君の質問は終わりました。  中村利次君。
  124. 中村利次

    ○中村利次君 私は時間をできるだけ短縮するつもりで、すでに各議員からいわゆる仮谷発言そのものについてはいろいろ質問がございましたし総理答弁もありましたから、これを省略します。仮谷発言があって、それに対する政府及びこの政府を助ける立場にある与党の政治的な政治姿勢について伺いたいと思うんです。  仮谷発言があって、それで国会でこれが取り上げられましてから、官房長官は、しかるべき時期にしかるべき方法で仮谷建設大臣本人にこれはまあ陳謝、釈明をさせるといいますか、そういう意味のことを公式に発言をなさっているんですが、このことは間違いありませんね。
  125. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) 機会があればそういうふうにいたしたいと、こう申し上げました。
  126. 中村利次

    ○中村利次君 ということは、これは官房長官の公式発言というのは、政府の公式見解ですね。ところが、その後この衆参両院でいろんな議論が行われました。ところが、三木内閣の公式見解を代表する官房長官のそういう発言があったにもかかわらず、仮谷建設大臣は出さない、本会議にも出さない、この委員会にも出さないということで、大変混乱をしたんです。いろいろ二転、三転がありました。大体、三木内閣の公式見解として官房長官が言っておることが守られないというのは、これは総理、どこに原因があるんですか。
  127. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 仮谷建設大臣はこれだけの問題を起こしたわけでありますから、適当な機会に本人が、このことに対して彼の釈明が当然になければならぬと、そういう機会があったならば、内閣として当然、彼はそういう自分の軽率な行為に対して陳謝の機会を持つことが適当であろうと考えております。
  128. 中村利次

    ○中村利次君 いや、それは、まあ官房長官三木内閣の公式見解として言われたことですから、これはそのとおりです。そのとおりだとすれば、やっぱり本会議仮谷建設大臣陳謝、釈明をしなさいという要求、あるいは議運の委員会陳謝釈明をしなさいという要求、出なさいという、これは当然政府・与党によって受け入れられてしかるべきことなんですよ。そのほかに適当な時期と場所がありますか——ない。あるなら伺いたい。にもかかわらず、やっぱり委員会にも建設大臣は出さない、本会議にも出さないということであったんです。これはどうしても納得できない。政治姿勢としてひとつ伺いたいと思うんです。
  129. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) それは仮谷建設大臣政府出席を拒むというようなことはありません。われわれとしても、本人がそういう機会を持って、この問題に対する仮谷建設大臣自身の釈明なり陳謝なり、そういうものはあってしかるべきだと思いますので、そういうことがございますならば、これはしかしわれわれとしては、それぞれの手続を経てそういうことの段取りがとられるならば、これはもう進んで出席をいたしまして本人がそういう発言の機会を持つことにいたしたいと思っております。
  130. 中村利次

    ○中村利次君 これは答弁にならないんです。私は、やっぱり総理はそういう点では、まあ言うならば大変お気の毒だと思いますよ。そういう答弁をしなければならない。ところが、答弁にならないほど事実は違っておるんです。しかし、これ以上のことは申し上げますまい。しかしこれは、最終的には二転、三転、いろいろ変化がありました。初めは確かに出さないということだったんですよ。しかし、衆議院には、いわゆるこれは国会法七十条に基づくものですか、国務大臣発言通告をされておるというんですが、これは間違いありませんか。事実ですか。
  131. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) さような手続を進めました。
  132. 中村利次

    ○中村利次君 これは結果してそういうことになったんです。これは当然衆議院発言通告をされたということは、参議院に対しても発言通告をされるか、あるいはすでにされておるかと思うんですが、現在ただいまの時点でどうですか。
  133. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) ただいまの時点ではまだそこまで至っておりません。
  134. 中村利次

    ○中村利次君 私は当然それは発言通告をされるものと解釈しますが、そう解釈してよろしいですか。
  135. 井出一太郎

    国務大臣井出一太郎君) 議運の方のお話し合い等もございましょうから、準備だけは進めておるということでございます。
  136. 中村利次

    ○中村利次君 国会法七十条はまことに明確に、国務大臣発言するときには、会議の場合には議長に通告するものとするとある。それは議運に諮っておやりになったんですか。衆議院では議運の結論を得てお出しになったものですか。——いいです。私はやっぱり三木内閣政治姿勢が明確になれば——いいですよ、もう苦しい答弁をお伺いしなくても。どうもやっぱり政治姿勢で、それは三木総理は対話と協調を提唱され、やっぱり物事を達していくためには時間が必要だと、そういう点ではなかなか思うようにいかないものもあるという、そういうことをおっしゃっている。まあ非常に簡単に言えば、こういう国会で大問題になり、審議がストップするような重大な問題については、確かに御本人辞任をされるか、総理が罷免をされるか、それが一番責任の所在もはっきりしますし国会の運営そのものも実にこれはさっぱり、すっきりするんです。ところが、それができない。まことに私は、こういうことはまあ総理に対して失礼だと思いますが、新聞によれば、三木内閣にとっては、仮谷建設大臣は、トカゲのしっぽではなくて心臓であるということを言われておりますよね。これは佐藤内閣が、いろんな問題を閣僚が起こすと、閣僚を罷免をして、これを世の中では、いわゆるトカゲのしっぽを切ると称してきたんですがね。三木内閣はそれすらできない。いわゆる与党としての自民党における基盤がきわめて脆弱であるということが言われておる。どうですか、これは総理
  137. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) それはいろいろな御批評に任せますが、私はやはりこの事件というものを軽く受けとめておるのではないんですよ、この補正予算というものの審議を。きょうもやっぱり衆議院が待っておるわけですからね。それだからもう一刻も早くやはりそういう、補正予算審議に入ってもらいたいと願っておるわけです。それがまあこういうふうに問題になるわけですから、この問題を軽々しく受け取ってはおらない。だから、こういう問題が、将来、仮谷自身もそういう誓いをしておるし、三木内閣の全体としても、深い戒めとしてこういうことを再び繰り返さないということを、将来の言動を深く戒めたいと受けとめておるわけでございます。
  138. 中村利次

    ○中村利次君 これは答弁になっていません。しかし、まあ言いたいことは言えないんでしょうから。私もね、本当に、持ち時間は五十五分までありますけれども、早く切り上げるつもりです。ですから最後に——これはやっぱり三木内閣政治姿勢ですよ。まあいろんなことはありましたけれども、九月の十一日に召集をして——これはやっぱり三木内閣の重大な政治姿勢に関連します。現在まで一ヵ月以上、やったのは何がありますか。その中で、やっぱりトラブルによって起きた空白期間というものは、本当にわずかなものですよ。ということは、やっぱり当初言われたように、九月の十一日の召集そのものに無理があったと。政府の姿勢そのもの。やっぱり、どうしてもやらなければならない第四次不況対策、補正予算審議等々については、やっとこれから入れる状態でしてね。初期のころの空白期間というのは明らかに三木内閣国会召集のタイミングというか、そういうものを誤っていたということは、もう一月以上のこの空白期間によって何とも釈明する余地のないほど歴然たる私は事実だと思う。ですから、こういうことをやっぱりおやりになっていて、国会答弁を、何とか野党の攻勢を切り抜けようというような姿勢では、これはやっぱり問題があるんですよ。どうしても野党につかまるということにならざるを得ない。もっとやっぱり姿勢を正して、そしてそういう無理なことはなさらない。腹をくくってやるべきところをおやりにならない。そして、やらないでもいいところは無理をして、やっぱりそういうぐあいに条件のない、条件が整わないにもかかわらず、むちゃな召集をされる。こういう姿勢についての私は厳しい反省がなければ、今後の国会の運営というのはスムーズにいかないと思いますが、この点についての三木総理、ひとつね、まあそれはなかなか言いにくいこともあるでしょうけれども、性根を据えて答弁をしていただいて私の質問を終わります。早いもんでしょう、これは、まだ。大変に残しましたよ。
  139. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) この補正予算国会提出というものは、われわれとしても一日も早く提出したいと。これは実際から言えば、補正予算ももっと早く提出されればそれは一番好ましい形だと思うんですが、しかし、補正予算はいろいろ関連するところも多いわけでございますから、国会の開会から相当時期がたったわけですが、その間、われわれとしては、前国会の酒、たばこ、あるいは郵便料金、この問題は、まあ中村さんの場合からいろいろ御意見もあるでしょうが、政府立場からすれば、今年度の予算の中にすでに計上されておるわけですね。それは国会を通過しておるわけですね、国会議決されておるわけです、予算案は。その予算案裏づけになる一つの財源というものが今日までまだ国会の御審議を願っていないということから、政府としてはその問題をできるだけ——これは前回ではほとんど、国会両院審議というものは相当進んでおったわけです、ちょっとしたいろいろな行き違いからああいうことになったわけですから。しかし、これは出発点に戻るわけですから、相当まだ時間もとらなけりゃならぬ。いろいろ野党の各党として御議論のある法案でございますから、相当時間もとらなきゃならぬので、まあ国の財政に責任を持たなければならぬ政府としては、御議論が起こるでしょうから、なるべく御審議に時間もかけなければならぬという配慮からああいう召集になったわけでございまして、一緒に出されればそれは一番好ましかったと思いますが、しかし、いま言ったような、政府としては財源の裏づけですから、そういうことで、また野党各派とも反対の立場をとられておりますから、相当な審議の時間が要るという考え方からそういう召集をいたしたわけでございます。
  140. 中村利次

    ○中村利次君 財源の裏づけあるいは予算裏づけというと大いに議論があるのです、時間をかけてやれば。別の機会にやりましょう。そういう答弁をなさるからこれはおかしくなる。やっぱり値上げ法案を先に片づけたかった。値上げ法案だけじゃなくて先国会の積み残し法案を。それは政府の意欲としては私はわかりますよ。しかし、やっぱり政治姿勢について言えば、政府はそれができるのかできないのかという判断を誤っていらっしゃるから、これを一月以上も何もしないまま空白国会になったということになるのですから、だから、それは総理の言い分はわかりますけれども、政治姿勢というものは、そういう政治的な判断、与野党に対する見方、あるいは国会に対する判断、そういうものを含むんですから、やっぱり政治姿勢としてこの十一日は早期に過ぎたというのは、ここへ来てますますはっきりしているんですよ。  私は、もう答弁も要りませんし、これ以上質問はやめます。  以上です。
  141. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 質疑は終了いたしました。本会議の都合もありまして、休憩いたします。    午後十時四十五分休憩   〔休憩後開会に至らなかった〕