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1975-12-17 第76回国会 参議院 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年十二月十七日(水曜日)    午後一時三分開会     —————————————    委員異動  十二月十六日     辞任         補欠選任      阿具根 登君     喜屋武眞榮君      藤井 恒男君     柄谷 道一君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         古賀雷四郎君     理 事                 稲嶺 一郎君                 松岡 克由君                 鈴木美枝子君                 相沢 武彦君     委 員                 今泉 正二君                 岡田  広君                 佐藤 信二君                 高橋雄之助君                 林田悠紀夫君                 亘  四郎君                 川村 清一君                 戸叶  武君                 野田  哲君                 立木  洋君                 柄谷 道一君                 喜屋武眞榮君    国務大臣        国 務 大 臣        (総理府総務長        官)        (沖繩開発庁長        官)       植木 光教君    政府委員        防衛施設庁施設        部長       銅崎 富司君        沖繩開発庁総務        局長       山田  滋君        沖繩開発庁振興        局長       井上 幸夫君        外務政務次官   羽田野忠文君    事務局側        常任委員会専門        員        伊藤  保君    説明員        総理府北方対策        本部審議官    田中 金次君        環境庁大気保全        局特殊公害課長  酒井 敏夫君        国土庁土地局国        土調査課長    高田 徳博君        外務省欧亜局外        務参事官     木内 昭胤君        文部省初等中等        教育局中学校教        育課長      白井  實君        厚生省医務局医        事課長      古賀 章介君        厚生省保険局国        民健康保険課長  舘山不二夫君        農林省農蚕園芸        局果樹花き課長  北野 茂夫君        農林省畜産局流        通飼料課長    金田 辰夫君        農林省食品流通        局砂糖類課長   牛尾 藤治君        水産技術会議事        務局研究総務官  鈴木 章生君        水産庁漁政部長  森実 孝郎君        通商産業省産業        政策局沖繩国際        海洋博覧会管理        官        増山 孝明君        運輸省港湾局技        術参事官     鮫島 泰佑君        運輸省鉄道監督        局国有鉄道部施        設課長      田中 和夫君        労働大臣官房参        事官       石井 辰治君        労働省労働基準        局監督課長    倉橋 義定君        日本電信電話公        社業務管理局長  川崎鋼次郎君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○北方領土返還促進に関する請願(第一一〇七  号) ○沖繩及び北方問題に関しての対策樹立に関する  調査  (沖繩における米軍基地公害及び騒音問題に  関する件)  (北方領土及び漁業問題に関する件)  (沖繩における失業対策に関する件)  (パイン等沖繩農産物振興対策に関する件)  (地籍問題に関する件)  (沖繩国際海洋博覧会会場跡地問題に関する  件)  (国鉄導入及び医療問題等に関する件) ○継続調査要求に関する件     —————————————
  2. 古賀雷四郎

    委員長古賀雷四郎君) ただいまから沖繩及び北方問題に関する特別委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  昨十六日、委員具根登君及び藤井恒男君が委員を辞任され、その補欠として喜屋武眞榮君及び柄谷道一君が委員に選任されました。     —————————————
  3. 古賀雷四郎

    委員長古賀雷四郎君) これより請願審査を行います。  第一一〇七号、北方領土返還促進に関する請願議題といたします。  まず、専門員より説明をお願いします。
  4. 伊藤保

    専門員伊藤保君) お手元に文書表を複写いたしましたものを御配付申し上げておりますが、ただいま委員長から御紹介がありましたように、本委員会に付託されました請願は、一一〇七号、北方領土返還促進に関する請願一件でございます。請願者岩手県議会議長でございます。内容は、歯舞群島、色丹島、国後島、択捉島がいまなお日本の主権を離れて存在することは遺憾であり、その早期返還実現は国民の悲願であるから、政府はこれらの北方領土わが国固有のものであるとの基本的認識に立ってその返還早期実現のため最善の努力を払われたいという内容でございます。なお、これは請願元木とほとんど同文でございます。  説明を終わります。
  5. 古賀雷四郎

    委員長古賀雷四郎君) 速記をとめていただきます。   〔速記中止
  6. 古賀雷四郎

    委員長古賀雷四郎君) 速記を起こして。  それではお諮りいたします。  ただいまの協議のとおり、本請願ば、議院の会議に付するを要するものにして内閣に送付するを要するものと決定することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 古賀雷四郎

    委員長古賀雷四郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 古賀雷四郎

    委員長古賀雷四郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  9. 古賀雷四郎

    委員長古賀雷四郎君) 次に、沖繩及び北方問題に関しての対策樹立に関する調査議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  10. 稲嶺一郎

    稲嶺一郎君 最初に申し上げておきたいことは、まあ長官がおられるのが時間に制限がありますので、私、長官にお尋ねすることだけを一、二いたしまして、その後でまた時間を見て御質問をいたしたいと存じております。  それで、まず最初に、沖繩農林水産問題について、農林省それから沖繩長官にお伺いいたしたいと存じます。  内閣総理大臣官房広報室が去る六月下旬に行いました沖繩県民の意識に関する世論調査がありますが、これによりますと、その中で、産業開発のためどの産業に最も力を入れるべきかという質問に対しまして、農林水産業と答えたのが圧倒的に多く、三六%で一位を占め、次いで観光一八%、工業一四%、伝統工芸の順になっております。このように、県民の農林水産業に期待する声は非常に強いのでございます。しかしながら、各団体あるいは個々について私がいろいろと農林水産の問題について意見を交換いたしましたところが、どうも具体的なものがない、皆抽象論で第一次産業を盛んにすべきだということでございます。  私は従来沖繩産業についてはいろんな方面から検討したりしておりますが、沖繩にとって一番大事なのは、亜熱帯産業を確立するということが第一ではないか。本土とも気候的にも違いますし、同じような形における農林水産業ではいけないのだというふうに常々考えておりまして、私自身が試験場を持ってやったこともございます。それで、この亜熱帯産業の確立に一番必要なことは、沖繩における試験場充実、拡充するということが大事じゃないか。現在農林省が八重山の方で熱帯農業研究所を持っておりますし、また県においても農業試験場水産試験場等がございまして、おのおの研究を進めておりますが、まずお伺いいたしたいことは、熱帯農業研究所においてはどういうふうな研究をやられ、また、今後どういうふうな方向に指導していきたいか。また、県の農業試験場あるいは水産試験場においては今日までずいぶん長い時間をかけて研究をいたしておりますが、その成果はどういうふうになっているか、これをまずお伺いいたしたいと存じます。
  11. 北野茂夫

    説明員北野茂夫君) 技術会議関係の人がいま向こうを出ているようでございますけれども、到着いたしておりませんが、熱帯……(「そんなばかなことがあるか」と呼ぶ者あり)
  12. 古賀雷四郎

    委員長古賀雷四郎君) 速記をとめて。   〔速記中止
  13. 古賀雷四郎

    委員長古賀雷四郎君) 速記を起こして。
  14. 稲嶺一郎

    稲嶺一郎君 それでは海洋博の後利用計画についてお伺いいたしたいと存じます。  道路、港湾、その他社会施設充実に大きな役割りを果たした沖繩海洋博も残すところあと一ヵ月となりまして、跡地をいかに利用していくかは沖繩県民にとりまして最大の関心事一つでございます。この問題につきましては関係省庁が一生懸命に御尽力くださいました結果、記念公園として再出発するという企画立案がなされていると承知いたしておりますが、この後利用計画具体的内容及び進捗状況について長官にお伺いいたしたいと思います。
  15. 植木光教

    国務大臣植木光教君) ただいま稲嶺委員からお話のございましたように、この跡地海洋博記念公園にいたしますことに、七月十五日の閣議において決定をしているわけでございます。そこで、公園区域及び存置します施設、そしてまた、何をどのように利用、活用していくかということにつきまして、関係省庁及び県当局との間で繰り返し協議を重ねてまいりました。その結果、区域といたしましては、記念公園予定地面積は七十二万平方メートルとすることにいたしまして、県等が独自の利用計画を立てまして、公園区域から除外いたします区域は十八万平方メートルというふうになったのでございます。そして、存置いたします施設といたしましては、海洋博という国家的行事のモニュメントとしてふさわしく、かつ公園施設としても適切なものにするということで合意を見ました。ただいまのところは、海洋文化館、水族館、海浜公園人工ビーチ及び県出展施設沖繩館について設置をするということを考えております。他の建物につきましても、いまいろいろ検討中でございます。  なお、本年度開発庁特定開発事業推進調査費が一億円計上されておりますので、そのうちの二千五百万円をもちまして、学識経験者方々に参加をしていただきまして、公園整備具体的構想及び周辺地域開発との関連等につきまして、建設省が専門的調査を進めるという段取りをつくりまして、すでに現地の調査も終わった次第でございます。私どもといたしましては、国と県の出資いたします財団法人を新たに設置いたしましてこれに当たろうというふうに考えております。
  16. 稲嶺一郎

    稲嶺一郎君 ただいま開発庁長官お話をお伺いいたしまして、国と県の方におきまして現在十分に計画をやっているというお話をお伺いいたしたのでございますが、私は、海洋博の開催という目的が沖繩振興計画に資するというのが大きな眼目になっておりますので、ぜひ振興計画につながるような形においてこの問題を考えていただきたいと存じます。  次に、私が仄聞するところによりますと、一月十八日の終了から記念公園としてオープンするまでに大体八ヵ月間かかるということですが、その八ヵ月間というものは海洋博記念会場を全面的に閉鎖をするのかどうか、これについてお伺いいたしたいと存じます。
  17. 井上幸夫

    政府委員井上幸夫君) 事実問題でございますので政府委員から御答弁申し上げます。  御指摘のとおり、一月十八日に海洋博が終了いたしましてから後六ヵ月の間にあそこの建物を全部撤去するというスケジュールはもともとございます。したがいまして、六ヶ月間は、何といいますか、安全確保のためにも一般観客は入れられないというふうに考えますが、県が存置いたしますエクスポランド人工ビーチにつきましては特に安全保持の問題がございませんので、これは入園が可能かというふうに考えております。
  18. 稲嶺一郎

    稲嶺一郎君 この点について、まあ私いろいろ考えております、またいろいろと陳情もございますのですが、実は約八ヵ月の間もし完全に閉鎖される場合においては、これから受けるところの損害というのはきわめて大きくて、回復するにも大変じゃないかということを言われているのでございます。それで、現在の私の調査したところによりますと、地元町村のホテル、旅館の数が七十軒、ベッド数にして六千七百五十九、従業員数千四百十五人、民宿の数が百二十八軒、ベッド数が三千六百四十六、従業員数が二百三十一人となっております。関連事業を含めますと大体二面億が投資されているのではないか。そうすると、この八カ月間に完全に観光客はなくなると、そういう場合においては受ける打撃というのはきわめて大きいものになるんじゃないか。そういう意味におきまして、いろいろと問題があるかもしらないのですが、できるだけ損害を少なくするような形において観光客の誘致も考えるべきじゃないか。余り官僚的な冷たいような行き方でいくんじゃなしに、温かい御配慮を願いまして、その間でも業務が継続してやれるような形においてこの問題を取り上げて検討をしていただけないかと、これを総務長官にひとつお願いする次第であります。
  19. 植木光教

    国務大臣植木光教君) ただいま政府委員からお答えをいたしましたように、一月十八日後は、海浜公園人工ビーチでございますが、とエクスポランド利用できるという状況でございます。したがいまして、私どもといたしましては、せっかくあの本部において海洋博覧会が開かれ、これを契機といたしまして旅館民宿等宿泊施設が整備せられましたり、あるいはその他のいろいろな中小企業方々受入態勢をつくられたわけでございますので、また地方団体もそのとおりでございますので、観光客収容力が大幅に増加しているのを遊ばせるということは非常に大きな問題であろうと思うのでございます。したがいまして、できるだけ多くの観光客海洋博の後周辺に誘致いたしますように県とともに努力をしてまいりたいと存じます。そしてまた、これらの業者方々がいろいろ具体的に投資をせられましたためにお困りになっているというようなことにつきましては、その実情に応じました融資措置を講ずるように指導をしてまいりたいと存じます。さらにまた、転業をせられるという者に対しましても最大限配慮をいたしてまいりたいと存ずるのでございます。仰せの御趣旨を生かしながら、県と十分連絡をとり、対処してまいりたいと存じます。
  20. 稲嶺一郎

    稲嶺一郎君 業界におきましても、独自の調査をし、また案も持ってくると思いますが、その場合におきましては、ぜひ開発庁におきましても、また関係省庁におきましても、十分に業者意見をくんでいただいて、できるだけ損害を少なくするような方法でひとつ解決していただきたいと存じます。それはもう要望ですから。  それから、さっきの農林省の方にお聞きしたわけですが、あんまり繰り返すのもどうかと思いますので、簡単に、農林省熱帯農業研究所の今日までの研究成果、それから農業試験場並びに水産試験場研究成果をひとつぜひお伺いいたしたいと存じます。
  21. 鈴木章生

    説明員鈴木章生君) おくれまして申しわけありません。  ただいまの熱帯農業研究センター沖繩支所昭和四十五年に設置されまして、ここにおきまして現在研究室が四つ、研究員は十二名で研究を実施しておりますが、その一つ南方等各種作物導入に関する研究、それから病害虫等に関します研究、さらには基礎的な育種に関連するような研究を実施しておる次第でございます。特に沖繩に直接関係のございますものは、ただいま申し上げました南方系植物導入に関しまして、特に暖地型の牧華等わが国に適すると思われる外国車種を一次検定を行っております。これらの中から沖繩に適応すると考えられる草種の選定を行うように現在努力しておるところでございます。  それから病害虫に関しましては、沖繩で特に問題になっておりますところのミバエ類研究、これに関しましては病害虫防除事業が実施されておるわけでございますが、ミバエのいわゆる人工飼育増殖と申しますか、実験用の手段としてミバエを人工的にふやします。その研究が一応成功いたしまして、現在病害虫防除事業に大きく貢献しているわけでございます。  それから育種関係では、もちろん、パイナップルあるいはサトウキビ等の問題について基礎的な研究を実施しておるわけでございますが、特にサトウキビにつきましては、この花粉のいわゆる裂開をするそのメカニズムが育種研究上非常に問題になっております。その究明を現在行っておるわけでございます。成果と申しますか、その辺はまだ十分出ておりませんが、サトウキビ育種に関する研究を現在実施しておるということでございます。  それから、熱帯農業研究センターは、御案内のとおり、熱帯地域の諸外国に対します研究協力あるいは技術協力としての支えということで研究を実施しておるわけでございます。したがいまして、一〇〇%沖繩研究をしているというわけではございませんが、亜熱帯地域ということで日本の最南端に位する関係から、その地を利用いたしまして日本に取り入れる技術あるいは持ち出す技術等についての中継的な役割りを果たしておるわけでございますが、現場におきますところの問題点も当然含んで実施しておるということでございます。  なお、研究成果というお話でございますが、私どもの方といたしましては、沖繩県に対しましては特に、先ほど申し上げましたような病害虫問題等につきまして種々の研究沖繩県に助成しております。たとえば、いま申し上げましたミバエ類の問題もございますが、特に沖繩県基幹作物でございますサトウキビのいわゆる生産阻害要因として一番重要視されております害虫防除、特にサトウキビ主要害虫でございます甘庶のコバネナガカメムシあるいはイワサキクサゼミあるいはトノサマバッタ等研究につきましては、指定試験ということで昭和四十七年から実施しておるわけでございます。さらに本年度からは野ネズミ野鼠でございますが、野鼠につきましても研究を実施しております。これらにつきましては、いわゆる生態上の問題あるいは生育の密度の問題あるいはその密度がどういった要因によって変わるか、その要因究明、そういったものを行っておるわけでございます。いま申し上げましたミバエはそういうことでございます。  それからさらに、そのほかにつきましても、わが国のいわゆる育種基本計画に基づきまして、飼料作物等あるいは野菜等につきましても抵抗性品種等導入をするということで、沖繩県も当然研究の対象になり、その研究成果を適用しているということでございます。  なお、水産に関しましては私どもの方で精査してまいりませんでございましたので、ちょっとここで申し上げる……
  22. 稲嶺一郎

    稲嶺一郎君 いや、まだ水産は聞いてない。
  23. 鈴木章生

    説明員鈴木章生君) そのほか、設備等に関しましては、特に沖繩県に対しましては、試験研究の基礎でありますところの試験場施設を整備するということで、研究のレベルアップを図るために、四十七年から本年まで五億五千万の、特別の補助率を持ちます、十分の十の補助率を持ちます施設投資をいたしまして、現在農業試験場、畜産試験場及び家畜衛生試験場等を助成しておるわけでございます。そのほか、研究員の資質の向上のための研修を図るということで二分の一の補助で実施しております。また、機械機具等備品等につきましても特別な配慮をいたしまして、充実を図っておるところでございます。  また、研究につきましては、沖繩県要望に基づきまして、先ほど申し上げましたような病害虫問題等につきましては特に総合助成という制度をもちまして研究を実施しております。現在実施しておりますのは、植物器生性線虫、ネマトーダの研究でございますが、これもサトウキビパイナップル等線虫研究を実施しております。あるいはトマト、キュウリというような野菜類土壌病害防除に対する研究総合助成試験におきまして実施しておるところでございます。  なお、そのほか飼料作物等につきましての特性検定試験あるいは奨励品種適性調査というようなものも実施しておる次第でございます。
  24. 稲嶺一郎

    稲嶺一郎君 時間の都合がございますので、この問題に余り時間がかかりますといけませんので後に保留いたしまして、長官に対する私の質問はこれで打ち切りたいと存じます。
  25. 川村清一

    川村清一君 私は最初委員長に御要望を申し上げておきたいのですが、前の委員会でも私たしか委員長要望申し上げたのですが、実は私は本日の委員会では、近くソ連政府グロムイコ外務大臣が訪日されるということを新聞で見ましたので、北方領土の問題についていろいろお尋ねしたい、かように考えておりました。さらに領海十二海里宣言の問題についても詰めたいと思っておったわけであります。しかし、この二つの問題はもう行政ベースではどうにもならぬ、政府の政治的な判断、そして強い行動によってやらなければ実現しない問題でございますので、やはり最高の責任者である外務大臣にいろいろお尋ねをしたいと、こう思っておりましたが、外務大臣はただいま国際会議外国にいらっしゃってお留守である。外務大臣代理三木総理大臣でございますので、総理大臣と思いましたが、総理大臣を出席要請してもこれは実現はできないだろうと、こう思ってあきらめたわけでありますが、国際会議に出ておる外務大臣をけしからぬと言うわけにもいかないわけでございますし、したがいまして、私の委員長にお願いすることは、前にも申し上げましたように、この委員会を開催するときには必ず外務大臣がおいでになるとき、外務大臣が出席できる、そういう状況の中で委員会を開いていただかなければこれはどうにもならない、私の尋ねたいという問題を詰めることはできないわけですから、この点、十分心得てこれからの委員会の運営をしていただきたいということを特に強く要望申し上げておきます。  そこで、私はきょうは沖繩サトウキビのことにつきまして農林省の方にちょっとお尋ねいたしたいと思います。  沖繩農業基本作物であるサトウキビが現在重大な問題を抱えて、耕作農民が深刻な苦悩に直面しているということを聞いて非常に私は心配しておるわけであります。そういう立場でお尋ねするわけでありますが、御案内のように、砂糖価格が不況の長期化深刻化に伴って低迷を続けておるわけであります。このような市況の影響を受けて、国内製糖企業採算点を大幅に下回りまして、政府指導価格を百円以上も割り込む異常な事態を続けていると、こう言われておるわけでございます。この状況がまともに甘味資源生産農民にしわ寄せされておりまして、沖繩サトウキビは一月十日ごろから刈り取りが行われるので、現在耕作農民製糖会社との間で価格交渉がいろいろ行われておりますが、会社側は、現在の企業採算の上から、とうてい政府指導価格である一万六千百円で引き取ることはできない、早く言えば拒否すると、こういうような態度で、交渉が行き詰まっていると、こう聞いておるわけであります。もしこれが事実とするならばこれは大変なことでございまして、原料サトウキビを耕作する農民にとってはまさに死活問題です。一万六千百円でも農民要求価格をはるかに下回っておりまして、生産費及び所得を補償するというものではとうていございません。再生産に大きな支障を与えておるわけでございまして、もし政府指導価格でも引き取られないということになりますれば、沖繩農業の基幹であるサトウキビ農業の多くを崩壊させる、農民の生活を根底から破壊するわけであります。したがいまして、私どもとしてはこれは見逃すわけにはいかない重大問題であるわけであります。たとえ一万六千百円という価格でも、農民が要求した価格から見れば、はるかに下回っておるわけでございます。こういうような状態というものを農林省は一体把握されているのかどうか、知っておるとするならば、これに対してどういう対策をとろうとしておるのか、これをまずお尋ねいたしたいと思うわけでございます。
  26. 牛尾藤治

    説明員(牛尾藤治君) 沖繩サトウキビの製糖企業の引き取りの問題でございますが、十月末にサトウキビの最低生産者価格はトン当たり一万二千三四十円、こう決めたわけでございます。ただ、そのサトウキビの最低生産者価格はブリックスが十九度以上のものについて適用されておりまして、十六度以上十九度未満のサトウキビにつきましては、千三百円を引いた一万一千四十円というのが政府の決めました最低生産者価格でございます。それに、先ほど先生御指摘になりましたように、トン当たり三千七百六十円の奨励金を企業に支出してもらう、こういうことでございますので、政府指導といたしましては、ブリックス十九度以上のものにつきまして一万六千百円、十九度未満十六度以上について一万四千八百円、こういうのが政府指導価格になるわけでございます。  そこで、いま先生おっしゃいました一万六千百円についての取引に問題があるとおっしゃいましたのは、恐らく分蜜糖工業会、つまり製糖企業側におきまして、ブリックス十九度未満のものについては一万四千八百円という指導価格を適用いたしたい、こういうことを沖繩の農協の中央会の方と交渉中である、私どもこう聞いておりますので、恐らくそのことではなかろうかと思われるわけでございます。この点につきましては、政府指導価格はブリックスによりましては一万六千百円と一万四千八百円があるわけでございますから、分蜜糖工業会の主張が必ずしも誤りであるというわけにはいかぬ問題があると思いますけれども、少なくともここ数年間分蜜糖工業会は、そのブリックスのいかんを問わず十九度以上と同じ値段で引き取ってきたという実績がございます。また、一万四千八百円という価格水準そのものは昨年の同じブリックスのトン当たり一万五千円に比べて二百円低い、これは確かに一つの問題があろうかと存じます。したがいまして、この問題、現在分蜜糖工業会側と沖繩の農協中央会の間で折衝中でございますので、私どもはその成り行きを注視しておる、こういう状況にございます。
  27. 川村清一

    川村清一君 いま私は、ブリックス十九度がどうとかこうとかという、そういうような問題にまで発展させて議論している時間がないので、端的にお聞きしているわけです。端的にお答えいただきたいのです。私のお聞きしたいことは、政府指導価格というものは一万六千百円、それを分ければ、いまあなたがおっしゃったように、公示価格は一万二千三百四十円、それに対する生産奨励金が三千七百六十円、これプラスされると一万六千百円、このことを言っているのであって、要すれば政府指導したこの一万六千百円という価格でもって農民が刈り取ったサトウキビを引き取ってもらえるのかもらえないのか、こういうことなんです。政府指導価格を決めたんだから、農民の手には一万六千百円が入るのか入らないのか。政府は責任を持ってそれを払いますと、こう言ってくれればそれで済むわけです。
  28. 牛尾藤治

    説明員(牛尾藤治君) 先ほど申し上げましたように、政府指導価格はブリックス十九度以上と十九度未満によって違うわけでございます。ただ、これも先ほど申し上げたわけでございますが、昨年までは数年間にわたりまして製糖会社側はブリックスのいかんを問わずに十九度以上の価格を現実に支払っておったという、こういう経緯が税にあるわけでございます。そこと両方勘案しまして、いま両当事者間で折衝が行われておりますので、私どもはその成り行きを見てみたいと、かように申し上げたわけでございます。
  29. 川村清一

    川村清一君 それだから、当事者間でもって話し合いをしておるが、なかなか妥結しないということで前段申し上げておるわけでありまして、その中で一月十日からもうサトウキビの刈り取りが始まる。この農民政府指導した一万六千百円が払われるのか払われないのか。いわゆる当事者間の交渉が妥結しなかったら、政府がその中に入って、そうして一万六千百円を払うような方向にこれを妥結させるのかどうか。会社がなかなか支払い能力がなければ資金繰りも政府は心配してやらなければならないだろうし、それからこの奨励金の三千七百六十円というものを政府の方はこれは六月ごろに会社に支払うわけでしょう。そういうような中で、とにかく私の言うのは農民の立場に立って聞いているのであって、農民に一万六千百円というものが支払われなければ、もうサトウキビ産業というものはだめになってしまう。農民の死活問題ですよ。だから、これはもう政府指導価格を決めたんだから、この価格でもって引き取らせると、こうあなたが一言言えばこの問題は済むわけです。
  30. 牛尾藤治

    説明員(牛尾藤治君) 現在沖繩農協中央会の方からはまだ、政府といいますか、役所側にその仲介、あっせんを求めるような段階にまでは至っておりません。もし両当事者が話がつかぬような場合には、確かに政府といたしましても、先ほど申し上げましたように、指導価格、たしか二本ございますけれども、従来の慣行もあると、そういうことでどうすべきか、その時点で判断いたしたいと思っております。
  31. 川村清一

    川村清一君 私は、ブリックス十九度未満だ、以上だなんということをここで長々と議論しておれば問題があるので、それには触れないんで、昨年どおりひとつやってもらいたい。そうして政府指導価格をせっかく決めたんだから、この一万六千百円でも沖繩農民はまことにまことに不満なんだ。この価格でも再生産を補償できる価格ではない。生産費と所得を補償した価格ではないわけであります。それから、沖繩農業ではこれ以外にないんだ。これとパイナップルしかないわけです。ですから、これがだめになったということになったら、沖繩にとっては大変なことになるんです。でありますから、両当事者間の間に話がなかなかつかない場合においては、政府がそこの中に入って、そうしてせっかく政府が決めたところの指導価格一万六千百円でもって農民からキビを買い取らせるような、そういう強い行政指導をやっていただきたいというのが私の質問なんです。私の考え方なんです。これ、やってくれますね。
  32. 牛尾藤治

    説明員(牛尾藤治君) 製糖企業と農家の間の話がつかないような場合には役所が中に入らなければならないと思っております。その際には、先生のような考え方は確かに一理あるわけでございますので、そのときの両方の言い分をもちろんよく聞かなきゃいかぬと思いますけれども、基本的には従来までの慣行というものは相当尊重しなきゃいかぬものと私どもも考えております。
  33. 川村清一

    川村清一君 それはあなた課長ですから、責任を持ってそういうことをなかなか答弁できない。その点は私どもわかりますよ。で、課長でできないんなら農林大臣に来ていただいてお聞きしなければならないわけですが、農林大臣は来られないそうですから課長でもよろしいと私は言っているんですから、どうかひとつ、いま言ったことを実現されないような、そういう事態が発生したならば私としてはこれは納得できませんから、ぜひお願いいたします。  それからもう一点続いてお聞きしたいのは、一体何でこんなような問題が起きているかということをいろいろ調べてみると、沖繩製糖会社というのはもう皆中小企業である。これがそれぞれ本土の親会社の系列に属している。本土の製糖メーカーが沖繩のメーカーに対して市価の二十五円引きでしか買えない、こう圧力をかけている。こういうことなんです。もしも沖繩のメーカーが二十五円引かれて本土の親会社に引き取られるというようなことになりますれば、沖繩のメーカーの赤字が約四十億近くになる、そうすると沖繩の中小の製糖メーカーはみんな倒産してしまう、こういう事態になると、こう言うんです。このことがすなわち沖繩のこのサトウキビ耕作農民にしわ寄せされて農民を圧迫している大きな要因になっておると、こう開いておるわけであります。これがもし事実とするならば本土の製糖大企業はまことにもってけしからぬと私は思うわけであります。農林省はこの本土のメーカーに対し強い行政指導を行うべきであると私は思いますが、これに対する農林省の御見解を伺いたいと思います。
  34. 牛尾藤治

    説明員(牛尾藤治君) 一月からの製糖を控えまして、ただいま先生おっしゃいましたように、本土といいますか、精製糖企業の方とそれから沖繩の産糖業者の間で取引条件の折衝中でございます。現在御承知のように精製糖業の方も相当の赤字でございます。砂糖の価格は国際糖価に比べてなお相当暴落をし、原糖を相当程度在庫を持っておりますし、一方砂糖の需要が前年に比べて二割から三割減退しておる。こういう中で現在沖繩の製糖業者に対して、いま先生おっしゃいましたように、二十五円引きというふうな案を提示したことは十分承知いたしております。この二十五円引きの価格が仮に実現したとしますれば、これまた先生おっしゃいましたように、国産糖の企業の方は、これは会社が倒産に追いやられることは間違いないという感じでございます。  そこで、現在製糖業界は全体として二十五円引きという折衝のときの条件を提示いたしましたので、現在製糖会社とリファイナーには個別の間に親子関係といいますか、系列関係といいますか、従来からのいろんなつながりがございます。そこで個別の企業間で現在鋭意折衝を進めておりまして、私の聞いた限りにおきましては、二十五円引きというその数字そのものにはかなり妥協の余地はあるように把握をしております。ただ、現在両当事者がこれで納得するという状況にはまだまだ立ち至っておりません。そこで私どもといたしましては、まだこれは、先ほど申し上げましたように、親子関係といいますか、系列化といいますか、両当事者間の長いつき合いといいますか、そういうものがあるわけでございますので、仮に話がつかない場合にはこれまた役所が中に割って入らなきゃいかぬと思いますけれども、一律に決めることが適当であるかどうかという問題もあろうかと思います。そこで、いま私ども考えておりますのは、もう少し最初の折衝の様子を見ました上でなかなかまとまらないということでありますれば、役所側として、両方の話し合いの基準となるような事項といいますか、考え方を提示いたしまして、その上で両当事者の話し合いが促進できるような方法を考えたい、現在こういうふうに考えております。
  35. 川村清一

    川村清一君 まあ砂糖をめぐる問題は非常に大きな問題がありまして、国際価格の問題であるとか、あるいは豪州からの多量の輸入であるとか、それから、何といいますか、たくさん原料を持ち抱えておるといったような実態から、それから消費需要が非常に減ったことによって砂糖価格が非常に下がったといったもろもろの問題がありますが、これらの問題はいまここで議論しておってもしようがございませんので、いずれ私ども農林水産委員会なりその他の委員会で詰めたいと思いますが、要すれば、この沖特の委員会で私の言いたいことは、とにかく沖繩農民を苦しめて、そして沖繩の一番大事なサトウキビ農業というものを根底から破壊して農民の生活を苦しめるというようなことだけはいかなることがあっても避けてもらわなければなりませんし、せっかく糖価安定法とかという法律もあり、それから政府が、農林省が価格を告示する、あるいは指導価格を決めるといったような行政をやっておるわけでありますから、その上に立って、やはり農林省としては責任をもって私の要望をしておることをぜひ実現してもらいたいということを申し上げて、終わります。
  36. 野田哲

    ○野田哲君 私は、沖繩の基地で発生している労働災害、この経過なりあるいはその対応策等について、それぞれ関係各省に伺いたいと思います。  去る八月に、沖繩の牧港補給基地から流出されている、米軍の基地からの投棄されている薬物から、水質汚濁防止法の一千倍、はなはだしい場合には三千倍という状態の六価クロム、あるいは鉛、カドミウム、総水銀、砒素、こういう薬物が検出されたということで、沖繩の基地に働く労働者だけでなく、県民にも大変な衝撃を与えているわけであります。実は公にされたのは、去る八月にこれは沖繩県調査によって明らかにされたわけでありますけれども、基地で働く労働者からは、前々からこの問題につきましてはそれぞれ指摘がされていたところでありますけれども、なかなか基地という特殊な環境にあるところであるために表ざたにならない、公に取り上げられない、こういう状態が長く続いていたわけであります。一つの私も現地で聞いた話でありますけれども、牧港基地の構内をパトロールする米軍のパトロール用の軍用犬、この軍用犬が、あるとき、これはずっと以前のことでありますけれども、中を歩いていて足の裏の皮が全部焼けただれて歩行ができないような状態になったということで、以来この基地の構内をパトロールする軍用犬は、犬がくつをはいている、こういう状態で防護策がとられている。ところが、この基地で働いている労働者に対しては何らの安全策が講じられていない。こういう状態の中で、去る八月に、牧港基地の流出物質の中で県が調査をしてそういう事実が発見をされ、公表された、こういう経過になっているわけです。  そこで、現地で非常にこれは重要な問題になって、九月ごろに労働省がこの件について現地の調査を行ったというふうに伺っているわけでありますが、その調査、どこの基地をどういう状態で調査をしたか、この点をまず労働省の方から伺いたいと思います。
  37. 倉橋義定

    説明員(倉橋義定君) ただいまお話のございました沖繩の牧港補給地区についての立入調査でございますが、労働省から本省係官三名、私を含めまして三名現地に派遣されまして、現地の沖繩基準局の職員とともに九月十七日及び十八日の両日にわたりまして地区内に立ち入り、作業現場及び関係者からの事情聴取を行ったわけでございます。  現在の地区内におきます作業は、自動車の部品の洗浄及び組み立て、そのほか倉庫の積み上げ積みおろし作業等が中心でございまして、それらの作業につきまして、十ヵ所の作業現場に立ち入りまして調査いたしました。調査内容につきましては、現在は非常に那覇におきます活動も停滞ぎみと申しますか、一時よりも下火になっておりまして、自動車の洗浄作業、組み立て作業につきましても週数回というような状況でございます。しかしながら、そこでいろいろ作業の状態、設備の状況を点検したわけでございますが、取り扱い物資につきまして、米軍のコードナンバーのみが表示されて、その物質が何であるかというような表示または取り扱いの注意事項等の明示等がなされないまま労働者が作業をしておるというような状態も見受けられます。また、有機溶剤等を使用している実態がございますが、これに基づく所定の健康診断が実施されていないという実態もわかったわけでございます。そういう所要の事項につきましては、現場で口頭によりまして是正の勧告をするとともに、後日、現地の局長から文書によりまして、その是正方の勧告を司令官あて提出しているところでございます。
  38. 野田哲

    ○野田哲君 いまの報告で十ヵ所の調査をやられたということですけれども、あなたの言う十ヵ所の調査というのは、この牧港補給基地の六一五、こういう建物の中の十ヵ所と、こういう意味ですか、どうなんですか、その点。
  39. 倉橋義定

    説明員(倉橋義定君) 牧港地区におきます六一五、五〇八等、中に相当数の建物、作業場がございます。それの建物につきまして十ヵ所という意味でございます。
  40. 野田哲

    ○野田哲君 そういたしますと、この牧港補給基地以外のところは、これは調査をされなかった、こういうことですか。
  41. 倉橋義定

    説明員(倉橋義定君) 私、本省から派遣されました調査団は牧港地区だけでございますが、同日、現地の職員が嘉手納基地に立ち入っております。そのほか、後日その他の地区につきましても立ち入っているわけでございます。
  42. 野田哲

    ○野田哲君 この牧港補給基地の場合には、いま言われたように、自動車を中心にしたエンジン等車体の解体、洗浄等をやっておるわけですね。ところが、同様の作業形態、そして同様の薬品を使っているのは、それ以外にも空軍基地、嘉手納の第十八戦闘支援隊とか、あるいはダイナレクトロンという業者がおりますね、ダイナレクトロンの作業現場、これは嘉手納の空軍基地、それから普天間のマリン航空基地、ここでそれぞれ飛行機のエンジン等のいわゆるボーリング、解体修理をやって、同様の作業形態がとられているし、薬品も同様な薬品を使われている。それから那覇ポート、ここも上陸用舟艇等のエンジン等の同じ解体、洗浄等が行われている。こういうわけでありますから、あなたは牧港補給基地だけを現地調査やられたということで、あとは現地の係官がそれらのところへ行かれた、こういうことでありますけれども、起こっておる状態、あるいは労働災害についての過去における状態、こういう点については、これらのいま申し上げたような空軍基地あるいはダイナレクトロンの職場、那覇ポート、こういう点についても同様の状態にあるという認識を労働省は持っておられるのかどうか、この点を伺いたいと思います。
  43. 倉橋義定

    説明員(倉橋義定君) ダイナレクトロンにつきましては、当日現地の係官が立ち入りましたところ、すでに作業施設等は撤去いたしまして他の方面に運んでしまって、現地には何にもないわけでございますが、過去におきまして航空機のエンジンの洗浄作業が行われたことは確かでございます。その洗浄作業の使用物質につきまして調査いたしましたが、どういう物質を使ったかということの究明ができない状態でございますが、まあ考えられるところ、通常使うような洗剤を使って作業を行っていたというふうに推測しておるところでございます。
  44. 野田哲

    ○野田哲君 私は、あなた方が行かれた直後に行って、この牧港補給基地、それから空軍基地やダイナレクトロン、これらのところで働いていた、現に働いている軍の労働者、あるいはすでに退職をしている方々に会ったわけなんです。で、これは労働省の皆さんに一言言っておきたいと思うのですけれども、あなた方が調査に行かれるということで、その直前に、いま言われたコードナンバーだけを使って、薬品の成分を表示したようなものは一切ないという状態でいろんな薬品、溶剤が使われているわけです。この危険な物については、あなた方が行かれる直前に全部使用していたのを中止をして、そして物陰の方へ、あなた方の目に触れないところへ全部隠してしまった、こういうことを私は現地の労働者から聞いているんです。ですから、まずあなた方の調査については、そういう状態で調査が行われたんだということを認識をしてもらいたいと思うわけなんです。  そこで、この調査について聞きたいわけでありますけれども、この作業に使っている薬品の品名なり、あるいはコードナンバーなり、その成分については労働省の方ではある程度の把握をされたわけですか。この点はいかがですか。
  45. 倉橋義定

    説明員(倉橋義定君) 立ち入りに際しまして、どういう有害物が使われているかどうかということをあらかじめ把握した方が非常に何かと便利だということで、あらかじめ法令等で規制されております物質を書き出しまして、これの使用の有無を当日回答を求めたわけでございます。米軍といたしましては、何せ急な話で全部が全部チェックができないということで、当日提出はございませんが、後日、沖繩基準局を通しまして使用物質につきましての名称を報告が出てきております。そういう点で、現在の状態といいますか、過去及び現在使っていた物質につきまして、米軍から報告を受けたものは持ち合わせはございます。
  46. 野田哲

    ○野田哲君 いま私が申し上げたような職場では、この作業に使用する薬品の影響だと思われる症状というものが非常に多発をしておる。自覚症状としては、鼻血が出る、あるいは非常な目まい、それから吐き気、喀血、耳鳴り、皮膚炎、こういう状態が非常に多発をしているわけでありますけれども、現地の実情を聞きますと、いま課長が言われたように、取り扱う薬品についてはコードナンバーだけで、製品の成分は何ら労働者には表示をされていない。それから作業をするに当たって、安全対策として一応形の上では、ひどい職場についてはマスクあるいは手袋等が形式的には備えられているような状態になっているそうでありますけれども、何しろアメリカ人の規格に合わしたマスクでありますから、マスクというものは実際はもう使用できない。顔にかぶってもすき間だらけのふかふかの状態、手袋についても実際は使いものにならない非常に大きな状態ということで、その点が非常になおざりにされている、こういう作業形態であるというふうに聞いておるわけですが、現地を調査をされて、こういう作業状態の実情が労働基準法に違反をする状態にあるという認識を持たれたかどうか、この点いかがですか。
  47. 倉橋義定

    説明員(倉橋義定君) 主として使われております化学物質につきましては、有機溶剤が多いわけでございます。有機溶剤によりましては保護具の着用等が義務づけられているわけでございます。立入調査に当たりまして、保護具の装備状況及びその着用状況につきまして点検をしたわけでございますが、いわゆる装備の整備の状況につきましては、特に違反の状況は見られませんでした。ただ、関係労働者の方から平素からサイズが合わないというような声を聞いておりますので、私、五、六人の労働者から保護具のマスクを出してもらいまして、私自身装てんをしてみましたところ、私の顔にはまあ大体合う。米軍にこの点、日本人のサイズに合うものはないのかという話をしたわけでございますが、米人側といたしましてもいろいろ顔かたちが違うので、必ずしも個人別に対応した保護具というのはむずかしい、それぞれすき間が出たような方は脱脂綿等で詰めているので、米軍人もそうしているというような話を受けたわけでございますが、そういう点で、必ずしも個々の人にぴったり合ったという保護具が行き渡っているという状況ではないことは確かでございます。ただ、これ自身につきましては、法違反をもって是正させるというような筋合いじゃございませんで、むしろそこは関係労働者と、よくその装てん方法、着用方法につきまして十分指導をするという領域かと思いまして、十分着用について指導をするようにという指摘をしたわけでございます。  なお、保護具の着用につきましては、非常に、装備はしておりますが、現に働いている労働者がつけていないという実態が多かったわけでございます。したがいまして、そのような有害物質を取り扱う場合にはマスクの着用を励行するようにということを口頭及び文書で指示しているところでございます。
  48. 野田哲

    ○野田哲君 現地の労働者が保護具をつけていないというのは、これはちょっと課長の認識が違うと思うのです。これはね、つけても意味をなさないからつけないというふうに私は聞いているわけなんです。ことさらに保護具の必要があるにもかかわらずルーズに保護具を労働者がつけていない、こういう状態ではない、こういうふうに聞いているわけです。  それから、当然非常に有害物質を扱っているわけでありますから、先ほど課長が指摘されたように、これについてはその成分、そうして扱い要領、これをやはり労働者に周知徹底をしておくことが当然労働基準法を守る立場にあると思うのです。そういう点が、コードナンバーだけでなされていない。そうして扱い方についても、全く危険を防止するための具体的な要領が労働者に示されていない。こういう実情にあったことは、あなたも現地の調査を行って承知されたと思うんですが、いかがですか。
  49. 倉橋義定

    説明員(倉橋義定君) 先生のおっしゃるとおり、コードナンバーのみが表示されまして、それがどういう有機溶剤で溶かれた塗料であるか、または洗浄液がどういうような有害作用をなすかというような表示は一切なされておりませんし、取り扱い上の注意事項につきましても掲示等が行われておりません。
  50. 野田哲

    ○野田哲君 そこで、そういう事実調査に基づいて、労働省としては、現地の軍の労働者の訴え等もあって、最近検診を行われたというふうに聞いておるわけであります。これは現に就労しておる場合には当然の措置でありますけれども、現地で一番やはり不安を持っているのは、人員整理等によって大量の解雇者が年々軍の労働者には出ているわけでありますが、退職者の中で相当な症状を訴える者がたくさんいる。この人たちが一番不安を感じているわけであります。そこで、現に働いている労働者、これに検診を行われたということでありますけれども、どのぐらいの人員を対象に検診を行われたのか。そしてまた、すでに離職をしておる人たちに対して労働省としてどういうふうに考えておられるのか。この点を伺いたいと思います。
  51. 倉橋義定

    説明員(倉橋義定君) 現地の調査によりまして、現在及び過去に有機溶剤等を使用して洗浄作業に従事した労働者に対しまして、所定の健康診断が行われていないという事実がわかったわけでございまして、直ちに米軍に対しまして健康診断の実施を求めたわけでございます。現在のわが国の法令によりますと、健康診断の実施につきましては、現に雇っている者について実施をするという義務がございます。したがいまして、米軍といたしましては、現に従事している者につきましては、過去にその作業に従事していた場合で現在は他の職場に転換している者についても所定の検診を実施をするということで、九月の二十九日から十月の二十四日までにおきまして、対象労働者二百三十一名につきまして検診を実施し、その旨、沖繩県知事を通しましてわれわれの方に連絡が行われてきたわけです。  元従業員、すでに退職された方の健康診断につきましては、この者の健康診断を実施をする場合の実施主体というものは必ずしも明確でないわけでございます。従来、たとえば小松川でクロムの問題でいろいろ社会問題になりましたが、そういう場合におきましては、日本化工に対しまして、過去の従業員につきましても検診を実施するようにという行政指導によりまして、離職者につきましても会社の費用をもって実施させているという経験があるわけでございます。そういうことで、私どもといたしましては米軍にその実施方を要請したわけでございますが、それはなかなか入れられない状況でございます。しかしながら、もとの従業員で離職された方々におきましては、有機溶剤等を取り扱ったために現在の健康に自信がない、不安を持っていられるという話も聞いております。現在働いている方のみを健康診断を実施し、離職された方につきましてはそのまま放置しているというわけにまいりませんで、理屈は抜きといたしまして、当面緊急の措置として、労働省といたしましては、牧港地区で洗浄作業に従事していた退職者の方につきまして検診を実施するということに踏み切ったわけでございます。  現在、そのリストをつくりまして準備の段階でございますが、百六十一名につきましてリストアップを終わり、過去にこういう作業に従事したということが明白になっておりますから、二十四日から健康診断に移りたいと思っております。今年は二十四日、二十五、二十六日の三日にわたりまして一日おおむね二十名程度、残りの方は来年になるかと思いますが、一月早々に残りの方につきまして健康診断を実施をしたい、かような予定をもちまして現在準備を進めているところでございます。
  52. 野田哲

    ○野田哲君 いま言われた、就労者の場合と、それから元従業員を緊急措置として百六十一名予定にしている。これはあれですか、牧港の補給基地に現に働いており、あるいはまた過去に働いていた対象の職場としては牧港補給基地だけを対象にしているわけですか。どうなんですか、その点は。
  53. 倉橋義定

    説明員(倉橋義定君) この百六十一名につきましては、牧港地区におきまして洗浄作業等を中心に行っていた従業員を対象といたしております。
  54. 野田哲

    ○野田哲君 その就労者については、どこの職場を対象にしているわけですか。
  55. 倉橋義定

    説明員(倉橋義定君) 先ほども申し上げました二百三十一名の現職者につきましては、牧港地区で現に働いている、在籍している者でございます。
  56. 野田哲

    ○野田哲君 そういたしますと、これは扱いとしては牧港補給基地だけがこの対象になっているようにうかがえるわけなんですが、先ほど言ったように、他の基地についても同じような状態の作業というものが行われているわけですね。あなた方の方でも現地の係官が他の基地についても立ち入って調査をしたということを言われたわけでありますが、なぜこの牧港だけを対象にして、他の基地については対象にされないのか。これは対象にする必要がないと判断されたのですか。その点、いかがですか。
  57. 倉橋義定

    説明員(倉橋義定君) 労働省といたしましては、在職者につきまして所定の法定検診を実施するのは当然使用者としての義務でございますから、これにつきましては、他の基地につきましても強く実施を求めてきているところでございます。現に他の基地では、この問題が生ずる前にすでに実施を終わっているところもございます。また全然行っていないところもございまして、労働省といたしましては、法定の検診につきましてはすべてにわたってやるべきであるということで勧告をしているところでございます。  なお、ダイナレクトロンにつきましては、検診を実施した形跡は見受けられない。結局やっていないわけでございますが、これにつきましては、すでに使用者等が国内におりませんで、その実施の確保ができない状況でございます。
  58. 野田哲

    ○野田哲君 沖繩の基地で使用されている有機溶剤等について、これはアメリカの方でも、基地で使っている薬品については六価クロムが混入されているということは発表した経過がありますね。この点は労働省御存じですか。
  59. 倉橋義定

    説明員(倉橋義定君) 牧港で流出いたしました廃液の中に六価クロムが混入されるということからいろいろ問題になったわけでございますが、その流出のもとになりました洗浄液、その原液中に六価クロムが含有されていたかどうかということにつきましては、私ども調査が入りました段階でも明確でなかったわけでございます。その際、米軍からその使用をされる前の原液の提出を求めまして、労働衛生研究所で分析いたしましたところ、六価クロムが六三二PPm検出したわけでございます。従来、米軍といたしましては、六価クロムはこの原液中には含まれていない、作業工程の中で何らかの形で混入してきたんではないかというふうな説明を受けたわけでございますが、私の方の分析の結果、原液中に入っているということが明らかになったわけでございまして、そういうことから米軍の理解とは違うというようなことで、米軍と折衝いたしましてメーカーに当たったわけでございます。米国本土のメーカーに当たりましたところ、これはさびどめの目的をもって必要量混入をしたということがわかりまして、そういうことで米軍も初めて六価クロムが原液中に混入していたということを知ったというふうにわれわれの方に言っております。
  60. 野田哲

    ○野田哲君 先ほど言われました就労者については九月二十九日から二百三十一名を対象に検診を行ってきたということでありますが、この結果はもう明らかになりましたか。なっておれば、どういう状態か、報告をしてもらいたいと思います。
  61. 倉橋義定

    説明員(倉橋義定君) 十一月の二十五日に沖繩の知事から完了したという報告を受けておりますが、その内容につきましては、いま検診機関、医療機関におきまして検討をしているということで、その結果につきましては明春一月になるというふうな連絡を受けております。
  62. 野田哲

    ○野田哲君 時間がございませんので、この件につきましては、引き続いて労働省に対してこの作業過程において労働基準法を厳守をするための必要な監督等をぜひ今後とも厳重に行ってもらいたいと思うし、それから部外への流出、これについても、これは労働省の所管ということではないわけでありますけれども政府の方として厳重に措置をして防止策を講じてもらいたい。あわせて、この影響を受けて症状を訴えている労働者あるいは元従業員等に対する措置、これにぜひ万全を期してもらいたい。このことを要望いたしまして、次に、土地問題について防衛施設庁と、それから国土庁の関係者に伺いたいと思います。  沖繩の基地が返還をされている個所が幾つかあるわけでありますけれども、これが戦争中の被害によって、土地の所有を証明をする土地台帳とか登記簿、こういうものが失われている。そして基地に使用されて土地の形態がかなり変わった状態になっている。そういう状態の中で返還をされることになって、この土地の境界、地籍を定める手順というものが非常に問題になっている。せっかく返還をされても使えないという状態が続いている。こういうことにあるわけでありますが、この返還になった場合の地籍の決定なり、あるいは原状と大きく変わっていることに対しての原状回復の措置、あるいはその後の利用計画、こういう点について防衛施設庁なりあるいは国土庁としては、どういう手順なり、どういう計画を持って現在進められているのか。その点についてそれぞれ伺いたいと思います。
  63. 銅崎富司

    政府委員銅崎富司君) 施設区域等として提供されまして、復帰後におきまして返還になりました土地につきましては、これは土地の賃貸をしてあります場合は、賃貸借契約書におきまして原状回復費をお支払いをして原状に回復するということになっておるわけで、それに基づきまして地籍の、地籍と言いますか、土地を返還するわけでございますが、先生御存じのように、沖繩におきましては、お話がございましたように、その土地の境界なり各人別の地籍の確定ができないという状況になっておるわけでございます。したがいまして、私どもとしてはその境界の確定ができるだけ可能になるようにいろんな資料を準備しなきゃいかぬだろうということで、四十九年度におきましては、施設区域、それからその周辺を含めました航空測量をいたしまして、その航空測量によりましてできました航空写真とか、航空写真に基づく現況の測量図というものをつくり、それから戦災前の航空写真がございますので、そういう航空写真等の資料を関係の土地所有者に提供しているわけでございます。  それで、そういう資料に基づきまして地主さんあるいは代表、その代表として市町村にお願いしておるわけですが、そこで市町村界、大字界、小字界と逐次範囲を狭めていきまして、小字の中もさらに地形地物をもとに区画測量するわけでございますが、この測量費につきましては、先ほど申し上げました原状回復費の中に境界設定費というものを計上してございますので、この費用をこれに充てていただくわけでございますが、そういうことで小字内の細かい区画測量をする。その先の作業になりますと、土地の各人別の境界を確定するということは、やはりこれは所有権に関する問題でございますので、私どもといたしましては所有者の方がお互いに協議して合意していただく。それを集団和解と称しておるわけでございますけれども、そういう形で逐次境界を確定していただく。そのそれぞれの段階におきまして、現地にあります那覇防衛施設局は、市町村それから地主の方々に協力援助しまして、たとえば技術的な問題がありましたら、そういう技術面の御援助を申し上げる、それから測量会社等につきましてもごあっせん申し上げるという形で、積極的にこの境界の確定をしていきたいと思っております。  現状はまだ余り進んでおらないわけでございますが、と申しますのは、先ほど申し上げました航空写真なり現況測量図というのは、ことしの六月ごろから各市町村にお渡ししたばかりでございますので、これからは進んでいくと考えておりますが、返還になりました施設で境界確定ができておりますのが四カ所、それからいま作業中のが二カ所ということで、全部で境界確定をするのが現在のところ二十一ございますが、これは逐次そういう資料をもとにお話し合いをして、できるだけ御援助申し上げて、それで積極的に進めていきたいと、こういうふうに考えております。
  64. 野田哲

    ○野田哲君 では、最後に国土庁と、それから沖繩開発庁長官に伺いたいと思います。  一つは国土庁に対して伺いたいと思うんですが、いま言われたような形で基地が返還されているところが、あるいはこれから予定をされるところがあるわけでありますけれども、これについて集団和解という方式で境界、地籍を決めていくという作業がいま進められているわけでありますけれども、やはりこれについての利用計画というものについても、長期的な計画をもって合理的にされることが必要なんじゃないかと、こういうふうに考えるわけであります。そこで、国土庁としてこの沖繩における基地の返還された地域の計画的な利用計画といいますか、そういう点について何か考えをお持ちであれば、この際伺っておきたいと思います。  それから開発庁長官に最後に要望し、なお考えがあれば伺っておきたいと思うんですが、いま防衛施設庁の方から話がありましたように、返還された土地についてはアメリカの航空写真と原状の航空写真とを照合したような形で、集団和解という方式をとられて、その和解のために必要な手順等についてはほとんど市町村長が集団和解の代表者のような形で、実質的にはこの集団和解に至る、地籍決定に至る事務を市町村長に委任をした形で実務を市町村にやらしている、こういう状態になっているわけです。ところが、この仕事については、これは地方財政計画の対象になっていないのではないかと思うんです。したがって経費については、わずかに何か防衛施設庁の方で本当の申しわけ程度の手数料的なものはあるようでありますけれども、実際はこの会議を何回も会合をやり、そして現地の調査を行い、測量をやり、こういう仕事が全部市町村の負担になって、経費的な裏づけが何にもない、こういう状態にあるわけでありますので、これは開発庁長官としても自治省なり大蔵省なり協議をされて、これに必要な財政負担というものを当然されるべきではないか、こういうふうに考えておるわけでございます。要望と同時に、考え方があればこの際伺って、私の質問を終わりたいと思います。
  65. 高田徳博

    説明員(高田徳博君) 米軍の返還跡地につきましての具体的な土地利用計画を国土庁で考えておるかという御質問でございますが、私、国土調査課長でございますが、その跡地の効率的利用ということについては慎重に考えていかなければならないと思いますが、その辺つきましては、沖繩開発庁が所管をしておりますし、開発庁とも相談して話していくということになろうかと思います。
  66. 植木光教

    国務大臣植木光教君) 先ほど防衛施設庁の方から復帰後に返還されました土地の調査について説明がございましたが、開発庁といたしましては、復帰前に返還されました土地につきまして、沖繩県とともに境界明確化のための所要の調査を進めているところでございます。現在は、西原村におきまして関係地主の確認、合意のための努力をいたしております。これもいわゆる集団和解方式でございますが、現地に境界を設定いたします際には、昔の道路でありますとか、水路でありますとか、井戸などの物的証拠に基づきまして、客観的な妥当性のある字あるいは小字、筆の境界の発見に努めておりまして、私も現地を調査をしてまいりました。これらの境界をもとにいたしまして、できるだけ当該地域を小さいブロックにしていきまして、そして和解当事者の範囲を極力しぼりながら、和解の促進と円滑化を図っているというのが現状でございます。和解がどうしても困難な土地につきましては、和解阻害要因といいますか、原因と申しますか、それぞれの具体的な問題を究明をいたしまして、極力和解促進を図っているというような状況でございます。  このように、開発庁がいたしております仕事につきましては全額国費をもって、県とともにこれを行い、また市町村の御協力を得ているという状況でございます。何しろ私権にかかわる問題でございますのでいろいろ困難な状況下にありますけれども、私どもといたしましては、すでに関係省庁間におきまして協議会をつくりまして、常に連絡を密にしながら努力をしているところでございます。したがいまして、いま御指摘がありましたような点につきましても、私どもといたしましては積極的に、早急に問題は処理せられなければならないのでございますから、取り組んでいくということをここでお答え申し上げておきます。
  67. 鈴木美枝子

    鈴木美枝子君 先ほど長官から沖繩海洋博跡地については伺いましたけれども海洋博、五十年の七月二十日開催されてから五十一年一月十八日の閉会までに投下された公共事業費三千億円、それに三千億円の事業費が投下された中で、海洋博をつくる第一の目的としては、あのときいろんな問題が出ましたけれども、とにもかくにも県民が潤うということを大きく打ち出していらしたと思います。そして同時に、本土との格差を是正するんだと、沖繩二十七年間の苦しみに対し、県民に対して償わなければならない問題として本土との格差是正を打ち出し、生活基盤を正すんだ、産業基盤を整備するんだと、こういう要点を打ち出しておりましたし、そういうことをまた信じながら、委員会で幾度か討論をされました。また政府は、海洋博をつくることによって大きなメリットを生むんだという言葉もよく言っておりました。確かにそのメリットの中では、道路がよくなったという部分もございましょう。全体ではございません、部分がよくなった、海洋博の現場付近。それから交通の機関はふえたけれども、あそこは自動車が多くてとても混乱をしていましたけれども、交通、道路がよくなったことによって少しは変わりました。その中で一番いま問題になっている農業問題とか失業者の方たちの問題が、海洋博をきっかけにして三千億円投下された問題と、そのアンチテーゼの形で失業者の方たちの問題に対して長官は多分全責任者として苦脳をお持ちだろうと私は思います。数字は、いつも皆さん研究していらっしゃる方たちですけれども、一度議事録に記録するために数字も申し上げなければならないと思います。  沖繩県人口、百四万二千四百五十二名、五十年度調査。十二月六月現在で失業者数二万四千人。これは新聞に全部出ておりますから皆さん御存じだと思います。失業率六%。日本全県、四十七都道府県失業率で言えば一・七%から一・八%に比べて六%、非常に高いということになります。そして、毎日職を求めて職安の前に立っている人、毎日でございます、一万七千七百七十八人と言われております。失業者二万四千人のうち、軍の労働者、解雇者一万五千三百十一人と言われております。   〔委員長退席、理事稲嶺一郎君着席〕 最初に申し上げました、今日までに投下された公共事業の三千億円に対して、県民が潤うために、二十七年間苦労した県民が潤うためにやられたこの海洋博が、こういう状態をきょう呼び起こしていることについて、長官は多分悩んでいるだろうと想像しながら私は申し上げているのでございます。  この海洋博を通して、三千億円のこのものが、本土資本の流通するパイプになってしまったんじゃないか。これは、以前東京のオリンピックあるいは大阪の博覧会をつくると同じ姿勢で、沖繩の祭、海洋博を同じ質でつくるとしたら大きな間違いなんじゃないか、大きな間違いの結果がここへ生み出されてきたというふうに私には思われます。つまり、三千億円の投下されたものは本土の資本の通り道をつくってしまった。土地問題にしましても、あるいは三井、三菱、日商岩井、トーメン、資本参加がうまくいっちゃった。土地、不動産も完全に本土企業に組み込まれていった。つまり、沖繩県民の生活にしましても、たとえば、小さいものがいっぱい集まって沖繩県の人たちの生活が成り立っているんでございますけれども、おみやげ品を売るにしましても、いままでは税なしの外国製品を売ることによって他から来る人たちに大変喜ばれたということもございますけれども、そのおみやげを売る店でさえも本土の商品がほとんどに変わっていったために、つまり小さいお店もつぶれるような結果が生まれてきている。この失業者政策に対して長官はどういうお考えを持っていらっしゃいますか、お伺いいたしたいと思います。
  68. 植木光教

    国務大臣植木光教君) 海洋博覧会に関連をいたしまして、いろいろ公共投資が行われたことは御指摘のとおりでございまして、これが沖繩県民にとりまして生活基盤あるいは産業基盤の整備につながるものであるということにつきましては、ひとつ長い目で見ていただきたいと思うのでございます。短期的に、道路、港湾あるいは上下水というような整備が海洋博だけの考え方で考えられますと、非常に大きな投資をして、むだ遣いをしたのではないかというようなお考えもあろうかと存じますけれども、将来にわたってお考えいただきましたならば、必ずこの公共投資というものは県民の生活あるいは経済活動にとってメリットがあったというふうにお考えいただけるのではないかと存じます。   〔理事稲嶺一郎君退席、委員長着席〕 しかしながら、海洋博覧会そのものが予期されておりましたような状態でいま運営されていない。すなわち、これはもう景気状況とも関係がございますけれども、そしてまた非常に遠隔の地でこの博覧会が行われたというような点もございまして、海洋博を観覧いたします入場者につきましても、予想を下回るというような状況になっております。その点につきましては、私どもといたしましては非常に遺憾に存じているところでございます。また、先ほども稲嶺委員からお話がございましたように、いろいろな投資海洋博覧会に関連をいたしまして民間で行われまして、それが十分に元が取れないままで今日に至っているというような点もございます。こういう点につきましても、いわば思惑がはずれたという点もございまして、私どもといたしましてはその救済のために全力を挙げつつあるところでございます。  そういうような状況の中で、いま御指摘のように、全国一の高い失業状況が起こっております。この状況は、労働人口四十万人に対しまして完全失業者二万四千人、失業率六%というのは十月現在の状況でございまして、全国平均一・九%に対しまして相当高い数字となっております。これは地元産業の脆弱性を背景にいたしまして、雇用需要が乏しいという点がございます。さらに、長期にわたる不景気の影響を受けまして生産規模が縮小されまして、企業の整理に伴いまして一層雇用環境が厳しくなってきている。また、在駐米軍基地からの離職者も依然として発生をし続けているというようなのが主な原因でございます。こういう事態に対処いたしますために、労働省とも連絡をとりまして、広域就職あっせんのためのいろいろな努力をしているのでございますけれども、なかなかはかばかしく推進されません状況でありますので、私どもは基本的には地場産業の振興に努めるとともに、新規産業の積極的な導入を図ることが必要である、これがなかったならば、依然としてこういう状況は続くであろうというふうに考えているのでございます。したがいまして、第一次産業の振興、また雇用効果の大きい工業、それから観光業、各般にわたる産業の振興をしなければならないと存じているのでございます。  御承知のように、復帰いたしましてから沖繩県の経済は急速に成長を遂げておりまして、県民所得も全国水準に迫っているという状況の一方で、御指摘がありましたような失業者がたくさんいるというような状況でございますから、私どもといたしましては、何とかしてこの成長を図ってまいるとともに、その中に失業者を吸収してまいりたいと、このように考えているわけでございます。本土資本が入っていって、いろいろな海洋博関連工事の中でも沖繩経済を、いわば本土の資本が吸い上げてしまったというようなお話がいまございましたが、そういう点が確かにございました。したがいまして、私どもといたしましては、五十年度の予算におきましては、そういうことがございませんような公共事業の推進あるいは教育、医療の充実、離島振興策というものを考えてまいりましたし、今回の補正予算の編成に当たりましても、地元の方々、まず県が財政状況の苦しい中でございますから、県費負担をなるべく避けまして、国ができるだけ直轄して全体の事業をやれるような予算を組みまして、五十一年度の予算編成に当たりましても、いま申し上げましたような考え方で大蔵省と折衝をしているのでございまして、そういう中で沖繩の振興開発が推進せられて、その中で失業者方々を吸収してまいりたいと、こういう基本的な考え方でございます。
  69. 鈴木美枝子

    鈴木美枝子君 十二月の九日付新聞で、福田副総理が沖繩へ参りましたとき、記者会見をしている。その御発言の中に、農業問題、「一次産業といえば農業しかない。」と。「それもサトウキビ中心だ。野菜やみかん、鶏にいたるまで本土に依存している。もう少し農業に力を入れたらよいと思う。開発の余地もある感じだ。」、こういう御発言、基本的な考え方なんですけれども、「サトウキビ中心だ。」——パイナップルもございます。そして、沖繩農業が本土に頼っていると、こういうふうに書かれているんですけれども、この基本的な考え方——沖繩の亜熱帯農業は、日本の中で、どこの県にもなくて、沖繩県だけの産業でございますから、日本の全体としては重要な産業だと私はとらえるのと、本土に頼ってやっている産業だと言うのとでは、基本的に、行政的にも変わってくるんじゃないかというふうに思います。  で、サトウキビあるいは本土の米、塩、この人間に絶対に必要なものを、外国ではある点保護をしてやっているという国はいっぱいございますけれども、そのサトウキビである砂糖の問題も、保護をするというよりは、本土に頼って、その資金の入るのを待っているなどという考えは沖繩の人には私はないんじゃないかと思う。ただ、海洋博をやることの三千億円のそのパイプが通ったので、沖繩県農業の人たちの上に重い石がかぶさってきて、そしてその重い石をのけるという時間が、祖国復帰三年間の間では、もうどうにもならなかったという、そのことを踏んまえての上で農業をまた考えていかなきゃいけないと思うんです。  長官も御存じでしょうけれども、パインの意見書をお読みになっていらっしゃると思います。十一月二十一日に陳情にまいりましたでしょう。御存じでございますね。その意見書、これも書きとめていただきたいので読み上げますけど、意見書をもって与野党全会一致、沖繩県の県議会で決めて、代表団を派遣した。「今日ほど基幹産業としてのパイナップル産業が危機にひんしているときはない。価格が未決定であることやパッカーからの青果代支払いがなされず、農家は収入が断たれて困っている。またパッカーも累積赤字をかかえて、融資も受けられない状況だ。経済情勢の悪化だけでなく流通機構も整備されず、価格も適正ではない。適正な価格が合意決定されるまでは、外国パイナップルかん詰めの輸入割り当てを中止すべきである」という説明をしながら、「沖繩パイナップルかん詰めの適正な価格が合意決定されること、輸入業者沖繩パイナップルかん詰めを全量引き取ることを確約」してもらいたいこと、こういう意見書をお受け取りになっていらっしゃると思います。そして、そのパイナップルでございますけれども農業をやっている、パイナップルをつくった人たちに青果代未払いが続出していて、その未払い総額が沖繩県下全体で十億六千六百万円、これではパイナップルをやっていらっしゃる農業の人たちの日々の生活、耐えていくことさえもできなくなるところへ追い詰められているのではないかと思います。  そしてまた先日、衆議院で上原先生が通産省に対して御質問をしておりましたけれども、このパイナップルの在庫品ですね、それも読ましていただきました。そうしますと、在庫品、四十九年度残り分九十三万三千八百ケース、五十年度百六十万八千五百五十六ケースが残っていると。政府の御答弁では、四十九年度残り分については、ほぼ本土に引き取ったと。そして五十年度分については五十万ケースは年内に引き取る——年内と申しましてもあと二十日ぐらいしかございません。その五十万ケース年内に引き取るという御答弁と、その在庫品そのものが、私がまた別に聞くと全然違うんですね。いろんな言葉で出てくる。だけど、引き取るけれどもこれはどうしたらいいかというのを、商社というだけじゃなくて、私は、たとえばこのパイナップルを——長官、大事なところですから聞いていただきたいと思うんです。これは小学校、中学校の給食にでも、公共事業費三千億円投下ということもございますんですから、給食のためにも引き取るということはできないんでしょうか。パイナップル産業——これはいま残った在庫品だけじゃありません。これからも続くだろう沖繩県パイナップル生産に対して、ただ売るだけ考える、そして売れないんで在庫して沖繩県に残しているだけじゃなくて、子供にミカンを給食に与えていますね、パンが米に変わりましたね、という政策はある、この残ったかん詰め−残ったものを子供にやるというんでは言葉の質が違いますけれども、そういうお考えを持つことによって、本土との交流、他県との交流、あるいは沖繩の子供さん、パイナップルを給食に与える、それを文部省あるいは通産省とうまく話し合えるという、そういう機構はそちらにないんでしょうか。それに対してお答えください。
  70. 植木光教

    国務大臣植木光教君) いまお話のありました。パイナップル及びサトウキビ沖繩農業部門におきまして非常に大きな比重を占めているだけではありませんで、沖繩県産業全体の中でも大きな比、重を占めております。そのほかにも畜産もございますけれども。したがいまして、私どもといたしましては、これらの振興につきまして、農林省あるいは通産省と連絡を密にしながら努力をしているところでございます。問題は、その沖繩県の農家経済は全国の平均及び他県と比べまして零細かつ粗放的な姿でございます。したがいまして、土地基盤の整備でありますとか経営規模の拡大等の構造改善策の拡充をやらなければいけませんし、適地適作あるいは農業技術開発普及等の生産政策並びにいまも御指摘ありました流通政策を体系的に推進していく、こういうことが基本的に大事なことでございます。したがいまして、そのためにいろいろ努力をしているところでございます。  パイナップルの問題については、輸入につきましては通産省が大変協力をしてくださっておりますし、またこれの買い上げ等につきましては農林省でも努力をしていただいているところであります。で、開発庁自身としても何かやれないかということで、いまいみじくもお話がありました学校給食でございますけれども、学校給食にこれが利用せられるようにということで、私どもは、いま直接担当の振興局長もおりますけれども局長みずからと申しますか、自身が文部省や給食会にかけ合いまして、何とかこれを消費してほしいという要請をいたしました。ところが、御存じかと存じますが、いま学校給食では。パイナップル利用しているのでございます。しかも、給食会といたしましては、この給食会自身がパイナップルの在庫品を大変抱え込んでおりまして、これ以上買い取ることができないというような状況でございます。したがいまして、いまお話がありましたようなことも実は私ども努力をしているところでありますが、何しろもういまのところ給食会自身が大変な在庫を抱えているという状況でありますので、これ以上無理に押しつけるわけにもいかないというようなことがございます。その他、刑務所でありますとか、いろいろな大量消費せられますところに対しましてパイナップルの消費についていろいろ努力をしているというのが私どもの現状でございます。その他、まあこの消費につきましていろんな御高見をいただきますれば、私どもといたしましては県民のためにも努力をいたしたいと存じますので、御教示をいただきたいと存じます。
  71. 鈴木美枝子

    鈴木美枝子君 これで私終わるわけでございますけれども、そちらではもう給食のことは考えていた、こういうふうにおっしゃいました。いま在庫品がうんとあって、現実にその日を食べていくのに困るという零細企業でいらっしゃる農業の方たちがこれだけの生産をしている、これだけの生産を挙げているということは零細企業の人とは言えない、それを近代化するためにもつと農業をやめなきゃならないという例は日本にございますね。こちら側にありました、オリンピックをやる前に。減反をして、そして労働力をオリンピック工事の方へ集めていったという例もございますから、近代化という言葉の中につぶれていく農業というものがいままでに経験されたことは幾つもございますから、近代化ということの中では私は余り乗れないんですね。ですから、いま具体的に余った多量にあるパイナップルのかん詰めを子供さんたちに提供することを私は確約していただきたいと思います、長官に。その御返事を確認して、私はやめます。
  72. 植木光教

    国務大臣植木光教君) ただいま申し上げましたように、私どもとしては、文部省あるいは学校給食会に対しましてパイナップルの消費を要請しているわけでございます。何しろ要請をしております給食会にパイナップルの在庫品が山積をしているという状況でございますから、これはできるだけ消化されまするように要請をしますとともに、引き続きまして給食にパイナップル利用せられますように努力を続けてまいります。
  73. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 北方領土問題でいろいろお尋ねをしていきたいと思います。  ことしの一月宮澤外務大臣が訪ソをなさって以来、日本政府としては百三にわたってソ連のグロムイコ外相に対して訪日を促してきたわけでございますが、ソ連は何度も引き延ばし作戦で回答を渋っていたわけであります。ところが、先日十二日に、突然、来年の一月の早い時期にグロムイコ外相が訪日するという回答がもたらされましたが、これは領土問題解決を目指す日本にとっては非常に好ましいニュースでございますが、なぜこれまで逃げ回っていた、回答を渋っていたソ連から急にこのような回答が出されてきたのか、その辺の背景について外務省はどのような見解を持っていられるか、お聞きしたい。
  74. 羽田野忠文

    政府委員羽田野忠文君) この問題は、いま先生御指摘のように、本年一月の宮澤外務大臣訪ソの際に、グロムイコ外相が本年中に訪日するという話し合いができたわけでございます。私の方も、もう本年というのが残り少なくなりましたので、できるだけ早い時期に訪日ということを期待をいたしておりましたところ、まあ本年中の訪日が、いろんな先方様の事情もあったと思いますが、できないということで、年は越すけれども一月の早い時期に参るということを伝えてきたわけでございまして、特別な事情で急に訪日するというようなことを言ってきたような状況ではございません。
  75. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 グロムイコ外相と日本政府との日ソ平和条約交渉の再開に当たりまして最大の争点は、懸案になっている北方領土問題でございますが、ところが、すでにマスコミ等でいろいろ報道されておりますように、本年の十月にグロムイコ外相は、ソ連の党機関誌「コミュニスト」に、日本側の北方領土返還の要求は根拠のないもので、当然の反撃を受けようというような趣旨の論文を発表しているわけでありまして、これはもう七三年当時のソ連側の見解から見ますと非常に後退になるわけでありますが、せっかく日本政府としてはこの領土問題を交渉のテーブルの上に乗っけてほっとしていたわけでありますけれども、こういう事態を踏んまえて、来年一月グロムイコ外相来日のとき、どのような形でこの領土問題を話し合いのテーブルにつかせるのか、その準備についてお伺いしたい。
  76. 羽田野忠文

    政府委員羽田野忠文君) いま御指摘のグロムイコ外相が例の「コミュニスト」に発表した論文の問題でございますが、これは御承知のようにソ連の党機関誌でございまして、直接日本に向けてこの意思表示をしたというよりも、グロムイコ外相が党機関誌に一般的な外交問題についての論文を発表して、その中にわが国の主張している北方領土問題に関する記事も出たわけでございます。これは結局こういうふうに書いてあります。先生御指摘のところだけあれしてみますと、日本では特にいわゆる北方領土に対する根拠のない権利主張を行ってソ連との関係強化を阻害しようとする勢力が活発化しておる、こういう言い回しをしているわけであります。日本が根拠のない権利主張をしているというふうには書いてないわけでございますが、この点につきましてわれわれが考えておりますのは、一昨年十月に田中総理が訪ソした際の日ソ首脳会談におきまして、日本並びにソ連の最高首脳部の間で北方四島の返還問題は戦後の未解決の諸問題に含まれるということを双方で認め合っておるわけでございまして、わが方の認識も主張もこの点は一歩も変わっていないわけでございます。したがいまして、今回グロムイコ外相が日本に参られると、こういう問題を含めての平和条約の継続交渉その他あらゆる問題が討議されますが、この平和条約締結の前提としていわゆる北方四島の一括返還というわが国の本来の主張、そうして両首脳間で合意された問題について、これを起点として、あくまでこの日ソ平和条約締結の条件を満たし、そして早く締結するという方向で話し合いを進めていくというつもりでございます。
  77. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 「コミュニスト」にこういう論文が載った一つのきっかけになったのは、例の平沢論文が影響しているというような考えは持ちませんか。
  78. 羽田野忠文

    政府委員羽田野忠文君) 日本のジャーナリストであります平沢和重氏がアメリカの雑誌に一つの論文を掲げております。そしてその論文の中には、北方領土、いわゆる四島に対する日ソ首脳における合意並びに結局それと同じ日本のいままでの主張というものと違うような論文が掲げられております。しかし、これはわが政府の見解でもなければ、政府の全く関知するものではない、いわゆる平沢和重氏個人の考え方を個人として発表したものでございまして、この論文がいわゆる「コミュニスト」に掲げられたグロムイコ・ソ連外相の論文と関連ありゃどうかということについては、私のほうでもこれちょっと推測をしかねる状態でございますが、いずれにしましても、この平沢論文というものはわが日本政府の態度とは全く関係のない状態で表明されたものであるということは明らかに申し上げたいと思います。
  79. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 個人の資格で出されたというその平沢論文、非常に日本政府としては迷惑をこうむり、また四島一括返還を目指す関係者の人たちにも大きな憤激を呼んだわけでありまして、一方ではそういう事情もありますが、またこの平沢論文を契機に日本の四島返還要求を再度確認し、またそういう世論が高まろう、こういうソ連にとっては逆の効果になるというようなことも考えられるし、また一方、それに対して、またソ連側がこの世論の高まりに対するいら立ちから、いろいろと厳しい態度に出てくるのではないかということも予想され、非常に来年一月の会談は前途厳しいものがあると思われるのでございます。  十一月の十四日に、ソ連の政治外交問題誌「新時代」というのがありますが、この四六号に、外務大臣もお読みになったと思うのですが、各紙に出ましたけれども、「これがクリールだ」と題して三ぺ−ジにわたる特派員のルポが掲載されているわけであります。このルポ記事には特に国後、色丹の両島が漁業中心に目覚ましい発展を遂げているという現地の状況を詳しく報じておりまして、さらにこの両島が最近ソ連国民の新たな観光ルートに加えられているということも伝えられておりまして、察するところ、日本北方領土要求牽制のために特別に企画されたんじゃないか、こういう見方が強いわけでありまして、先ほど申し上げましたグロムイコ外相の「コミュニスト」の論文といい、また今回のこのルポ記事といい、ソ連の巻き返し、こういったことで会談の成果というのが非常に心配でありますが、外務省自身も非常に今回の会談に当たって厳しい見方をされているようでありますが、ソ連側の領土問題に対する出方をどのように分析されているのか。それから七三年の日ソ共同声明の時点より具体的な日ソ平和条約の交渉進展を全国民が期待をし、希望するわけでありますが、外務大臣代理としてきょう御出席の政務次官の決意を伺っておきたいと思います。
  80. 羽田野忠文

    政府委員羽田野忠文君) 先生御指摘のいろんな現象として現在出てきておりますことについては、わが外務省といたしましても非常に重大な関心を持っております。先ほど問題に出ましたその平沢論文、これはまあわが国が御承知のように言論の非常に自由な国でございますので、個人がそういう意思を表明しようかというても、これにとやかく、けしからぬとかなんとか、いわゆる政府サイドで容喙すべき問題ではございませんが、グロムイコ外相のいわゆる「コミュニスト」に掲載された論文につきましては、これは少なくともソ連外交の責任者たる外相が表明されたものでありますから、これに対してわが方が、何もわが国にあてたものでないからというて、そのままにしておくわけにはまいりませんので、御承知のように、トロヤノフスキー大使に外務省に来てもらって、この点については両首脳の間の合意と違うじゃないかという注意も喚起をしておるような状態でございます。それに引き続いて先ほどのルポ記事、こういうふうなものを考えますと、いわゆるソ連側の情勢としてはなかなか厳しい状態があるというような感触も、わが方として必ずしも全く持たないという状態ではございませんが、少なくとも一九七三年に日ソの両首脳間において、先ほど申しましたような、この北方四島の問題は戦後の未処理案件なんだ、だからこれを解決して平和条約を早く締結しようじゃないかという合意がなされておる。これをわが国が一歩も退くというようなことは全く考えておりませんし、この基礎の上に立って早くこの問題を解決して平和条約を締結するという方向に、今度幸いにグロムイコ外相が参りますので、両外相間においてその話を根強く推し進めていくという考え方でございます。
  81. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 あくまでも領土問題は未解決である、また再度共同声明あるいは共同発表等で確認を目指す政府の決意はわかりますが、あの事件以来、やはり現地の関係者の人たちは非常に不安がっているし、また、これまでも何回となく要望をされており、また私どももこの委員会を通じて申し上げてきたんですが、やはり一回担当外務大臣が現地の根室を訪れて、政府代表として政府の方針、決意を述べて、それでグロムイコ外相との会談に臨んでほしい。今回二回ぐらいですか、少なくとも三木総理と一回、外務大臣とは二回ぐらい会談される予定だと聞いておりますけれども、来年一月早い時点に来られるというわけでありますから、国際経済協力会議から帰国したら直ちに根室の現地へ行かれることが望ましいと思いますが、いかがでございますか。
  82. 羽田野忠文

    政府委員羽田野忠文君) まさに先生御指摘のとおり、この北海道の現地の方々わが国のこの固有領土の返還を望むことの非常な熱烈なことは、ことしの一月宮澤外務大臣が訪ソされる直前に、横におられます植木総務長官が現地の実情を視察し、また親しく現地の方々の御意見を承るためにおいでられましたが、そのときに外相が一緒に参りませんでしたので、私が外相のかわりに植木総務長官と一緒に現地に参りまして、実情をつぶさに見、また皆さんの熱情を聞いてきてそのまま外相に御報告申し上げ、外相はそれをはっきり受けとめてソ連に参られたわけでございます。今回おいでられる前に外相が現地に行って現実に現地の情勢を確認をしてグロムイコ外相との会談に臨めという御意見、まさに私はそうすべきであると思います。いままでも外相は機会あるごとに一度現地にお伺いしたいということをたびたび申しております。ただ、非常に困難なことは、外相はもう国際会議にいまも行っているようなことで、非常に日程が取りにくうございますが、できるだけ実現をしていただきたいと私も念願をいたしております。先生のきょう御要望なさったことにつきましては、外相がお帰りになりましたら必ずお伝えして、なるべくグロムイコ外相とお目にかかる前に現地に行って実情を見、そして現地の人の生々しい熱意を承って会談に臨んでいただくように先生の御要請をよく伝えます。
  83. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 三月二十八日にも羽田野さんは同じことをおっしゃっているんですわ。よく伝えますと言っているんですよね。まあ大蔵大臣、外務大臣となりますと、国内だけにとどまらず、海外まで出かけなければならないことが多いので、非常に日程御多忙なことはもう重々承知でございますけれども、ぜひ実現させていただきたいと思うんですね。外務大臣もよく、一度は行かなきゃならぬと、行きたいんだと、こうおっしゃっているそうでありますが、どうも省内に帰られると、相手は外国なんだから現地の人たちから声を聞いたって実際には何も足しにはならぬのだというようなことを漏らしたとか漏らさないとかという話も聞き伝わっているんですが、本当だとしたらけしからぬ話でありまして、総務長官もこの間現地へ行かれたんですが、きょうお二人そろって、必ず宮澤外務大臣を、グロムイコ外相との会談前に、現地へお供をして三人そろって出かける、あるいは二人お供がいなくても単身でもいいから、一日で行ってこられるんですから、行かせるという、ここで決意表明してください。
  84. 植木光教

    国務大臣植木光教君) 外務大臣に対しましては私から再三にわたって納沙布岬を中心とする現地に行かれることを要請をいたしております。また、外務省の欧亜局を初めといたします関連の事務当局からも外務大臣に対して、そのことにつきましての要請をしておられることを私承知いたしております。羽田野政務次官とともに、外務大臣が帰られましたならば直ちに、これは北海道民のみならず全国民的な課題なのでございますから、現地視察を行われるように強い要請をいたします。
  85. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 外務調査会なんかの見方によりますと、明年グロムイコ外相が来日したときに、恐らく向こうとしては、懸案であるシベリア開発の問題等も議題として出してくるんではないかと、こういうことが予想されているわけです。ソ連は十四日に第十次経済五カ年計画を発表しましたけれども、八〇年の工業生産目標で石油生産量は六億二千万から六億四千万トンという計画案も打ち出しておりまして、西欧諸国ではすでにバンクローンで約百億ドル近い協力を約束しているということも聞き伝えておりますが、もしこのシベリア開発等の経済問題について話が出た場合に、政府としてはどういう対応をされるおつもりでございますか。
  86. 木内昭胤

    説明員(木内昭胤君) シベリア開発は、先生御指摘のとおり、日ソ間の非常に重要な問題でございまして、グロムイコ外相が見えましたときは、宮澤外務大臣から当然このことについて触れられることは明らかでございます。現実には、すでに森林開発あるいはヤクートの原料炭開発のプロジェクトが進行中でございますし、それから、最近樺太の石油ガスについての借款契約にも調印を見ましたし、依然として懸案としては、ヤクートの天然ガス、これは非常に膨大なプロジェクトでございまして、アメリカの参加をも得て日米ソ間でやろうということで懸案になっております。このようなことから、政府といたしましても積極的に取り組む、ソ連側としてもシベリア開発には多大の関心を持っておるということでございます。
  87. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 ソ連側とすれば、このやっかいな領土問題はできるだけ会談の時間を少なくして、経済問題を持っていきたいというような腹があるんじゃないかと思うんですが、話し合いは結構でありますけれども、将来にわたってわが国の国益のためにどう対処するのがいいのかということを十分慎重に御判断いただきたいということ、経済協力は進むが北方領土の方はたな上げされてしまうんじゃないかという心配もまた一部にございますので、これを重々そういうことのないように慎重に取り組んでいただきたいということ、要望として申し上げておきます。  以上で、政務次官結構でございます。ありがとうございました。  次に、北洋安全操業問題等でお尋ねをしたいと思いますが、最近、日本近海のソ連漁船団の進出対策に追われるようになりましてから、どうも北洋の安全操業問題というものの取り組みがなおざりにされているというようなきらいがあるんではないかと、このように感じるわけでありまして、六月のイシコフ漁業相訪日の際、共同声明で、別途合意される水域について継続して交渉することになってはおりますが、その後、この問題は全く進展を見せておりません。領土、領海と複雑な問題が絡まる非常に困難な課題ではありますけれども、現実に北洋海域におきましては、いまだに拿捕、抑留、そして船体の没収、あるいは接触によるところの日本漁船の沈没等、こういう悲劇が繰り返されている以上、日本政府としては漁民の安全確保のために執念を持ってこの問題に取り組まなきゃならない、このように思います。具体的な交渉につきましては、ソ連の漁業相、日本の農林大臣、この間で行うことになっておるわけでありますが、外務全般にわたって責任を有しているところのグロムイコ外相の来日を契機に、この問題もあわせて取り上げて、一歩でも現状を打開し前進させるべきであると思いますが、この問題に関しまして、外務省、それから農林省、それぞれに見解を承っておきたいと思います。
  88. 木内昭胤

    説明員(木内昭胤君) 私どもとしましては、四島一括返還で平和条約締結ということになればこの拿捕の問題もなくなるわけでございまして、それを一番念願するものでございますけれども、御承知のように、この平和条約交渉には今後数年間かかると、そこで暫定的な措置として安全操業協定を取り決めたいということで、先般櫻内農林大臣、それからその後安倍農林大臣とイシコフ漁業相との間でもこの問題について取り上げられておるわけでございます。今度グロムイコ外相が訪日されたときには、当然日ソ間の大きな問題としてこの点に積極的に取り組みたいというふうに考えております。
  89. 森実孝郎

    説明員森実孝郎君) 北方周辺水域の安全操業問題、この早期解決という問題は、人道的にも現実的にできるだけ早く処理しなければならないという基本方針でございます。したがって、先生御指摘のように、昨年の六月のイシコフ漁業相と安倍農林大臣の交渉においても引き続き継続されることを指摘しているわけでございますが、グロムイコ外相来日の際にも一つのチャンスとして本問題が話し合われるよう強く農林省としても関係方面に希望いたしたいと思っております。
  90. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 外務省結構でございます。御苦労さんでした。  あと農林省に三点お尋ねいたしますが、ソ連漁船団の日本近海操業について、道南、銭州、大室出等の重要漁場での操業自粛、この問題につきまして、六月のイシコフ漁業相訪日の際にも、八月に開催された日ソ専門家会議でも図面まで示して詳細な説明が行われたと、こう言われております。特に専門家会議では船団長も列席しまして、ソ連側の理解もだんだん深まっておると、こう言われておるんでありますが、それにもかかわらず、日ソ操業協定締結後も、北海道の南部海域、ここにおいては自粛されてない。結局これはソ連漁業が国営企業で、船団長にある漁獲のノルマが課せられているんじゃないかという見方もされておりますし、また、ソ連は農業の不振のために畜産が現状ふるわないし、結局動物性たん白源を水産物に求めているというふうに最近伝えられております。これまでの例でも、不作の翌年は飼料の制約のために家畜を屠殺すると、こういう傾向が強かったと言われておりますし、最近明らかにされた第十次五ヵ年計画案でも、肉あるいは乳製品工業の伸びを二〇%から二二%ということに対して、水産物は三〇%から三二%、このように大幅に引き上げているわけでありまして、これを見ても、ソ連政府がいかに水産に力を入れているかということがわかるわけであります。勢い、そうなりますと、わが国近海でのソ連の漁船団によるところの操業というものは一層激化する傾向になるであろうと思いますが、日本政府としては、十二海里の領海の早期宣言、これも踏み切らざるを得ない段階に来ているわけでありますが、さらに政府の本腰を入れて取り組む一環として、グロムイコ外相に、イシコフ漁業相との間に取り交わされた共同声明、また専門家会議での合意議事録、こういうものを今度来た時に見せ、確認をして、北海道南部海域あるいは銭州、大室出等の優良漁場等における操業自粛の具体的な保証を取りつけさせる、そういうところまでがっちりと構えてやるべきじゃないかと思いますが、その点について御答弁いただきたい。  それから二つ目の問題は、損害賠償請求処理委員会の運営の問題でありますが、ソ連漁船による日本漁船、漁具等の被害、これは漁業者がソ連文字を読めない、それからまた夜間に非常に被害が多い、こういうために立証困難なものが多いわけであります。委員会の運営が厳密さを要求するものになりますと、きわめてこの取り決めも効果の薄いものになるおそれが強いわけでありましてこういった被害の実証は弾力的な取り扱いがなされなければ意味をなさないと、こう思うわけであります。この漁業特有の被害実例の立証がむずかしいという困難さをグロムイコ外相にも説明して、弾力的に運営がされるように、ソ連側に対する影響を持たせるように、その点についての交渉等も行うべきじゃないか。この点についての御見解を伺いたい。  それからもう一つ。さきに戦後三十年間の懸案でありました北方海域における漁船、漁民の被害についての国家補償、これが補正予算に計上されました。総額七十七億六千二百九十一万五千円という金額であります。関係漁民にとっては非常に朗報でございますが、これの支給の実務は北海道庁が委託を受けるというふうになっておるようでありますが、この委託の方法について若干御説明をいただきたいということと、それから、この支給については五十一年度内に完了すればいいんだということになっているそうでありますが、まあ年末を控え、漁民たちは早く支給を受けたいということでありまして、年内に支給が大体全体の何割ぐらい行われるように準備が進んでいるのか、その点を確認しておきたい。
  91. 森実孝郎

    説明員森実孝郎君) まず第一点は、日本近海におきますソ連の底びき網漁業の操業自粛の問題であります。
  92. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 時間がないから簡単に。
  93. 森実孝郎

    説明員森実孝郎君) はい。これにつきましては、ソ連側が、銭州の周辺水域におきましては産卵期、それから北海道の南部の一部水域においては周年、操業自粛することを専門委員会が勧告し、ソ連の漁業省自体も船団に指示をしていることは事実でございます。ただ、私どもとしましては、私どもの、当方の主張が十分に先般の専門家会議実現されたとは思っておりません。現実がそこで終わったということが偽らざる現実だろうと思います。その意味で、先生御指摘のように、今後とも操業自粛の問題について、わが国の漁業を守る立場から、機会をとらえて交渉していきたいと思っておりますが、ただこの問題は高度に専門的技術的な側面がございます。したがって、一般論として話題に供することは差し支えないと思いますが、特に具体的、専門的に交渉の対象として、グロムイコ外相の訪日をその機会とすることはいかがなものか、かように思っております。  それから二番目は、公海上における操業、ソ連漁船の近海操業による被害の救済という問題でございます。まさに夜間操業がかなりございますし、航行もございますので、原因者の証明という問題が、恐らく新しく発足しました委員会——正確に申しますと、まだ正式に発足しておりません、日本側の委員の任命だけが済んだだけでありますが、委員会として一番大きな課題だろうと思います。漁業の実態に即して、挙証方法をある程度画一化、迅速化する問題は、ソ連側委員の着任を待ちまして、委員会が本格的に動き出しましたら、私どもとしてはまず重要な事務的処理のポイントと申しますか、核心として、できるだけの努力をいたしたいと思います。挙証方法のできるだけ集団的、画一的なルールをつくるということが非常に重要な課題だろうと思っております。  最後に、総額七十七億の四島周辺水域の拿捕漁船に対する特別交付金の交付手続でございます。これは、従来のこの種のものの例に準じまして、関係県に交付事務は委託して行うことになっております。この方がはるかに事務としてはスムーズに進むという見方をしております。私どもとしてはできるだけ早く支給される努力はいたしたいと思っておりますが、遺憾ながら、先生御指摘のように、十二月中に末端まで支給するというところまではなかなか無理ではないだろうか。現在、関係各省庁で話し合いをつけまして、交付基準、要綱、要領等は大体策定いたしましたが、近々水産庁から説明を行い、通達を出すつもりでございます。その後、事務処理については、できるだけ督励し、またすでに準備も進んでおりますので、ある程度スピードアップされると思いますが、年内は困難だと思いますが、一月ないし二月ぐらいまでには少なくとも大多数の人に現金が交付されるよう努力いたしたいと思っております。
  94. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 総務長官にお尋ねいたします。  日本固有の四島返還促進をするためには強力な外交交渉が当然のことでありますが、それを支える国民世論の盛り上がり、結集ということが非常に大切であろうと思います。四島返還の問題は、北海道という一地域だけの問題でなく、また、かつて四島に住んでいた人だけの問題ではなくて、全国民的な問題であるということを広く認識させなきゃならないと思います。  そこで、全国民に対する啓発運動が重要になるということで、五十年度予算では啓発運動として、印刷物の発行、講演会、研修会、あるいは署名運動、キャラバン隊の派遣、こういった従来の活動のほかに、テレビ放送番組による啓発が新たに行われたわけでございますが、一番効果が上がったと思われる運動は何であったでしょうか。それから、ことしは昨年度に比べて三八・二%増の一億六千七十万円の予算を計上してきましたが、来年度は、この啓発運動は何%増で、幾ら概算要求をしているのか、お答えをいただきたいと思います。
  95. 植木光教

    国務大臣植木光教君) 啓蒙宣伝というものが非常に重要であるということは御指摘のとおりでございまして、私どもといたしましては、あらゆる媒体を利用をいたしまして広報活動を図ってまいっているところでございます。新聞広告、週刊誌等の紙面を利用するということもいたしましたが、テレビ放送を新たに行ったことは御承知のとおりでございまして、全国放送十五分番組、一系列二十五局を通じまして三カ月間放送いたしましたのに対しまして、非常な反響がございました。このほかにも、総理府広報室の提供番組を通じまして、やはり北方領土を取り上げたのでございますが、これに対しても大変大きな反響がございました。私どもとしましては、五十一年度にはこのテレビ番組をさらに一系列ふやすことも含めまして、五十年度予算の一八五%に相当いたします三億九百万円を要求をしているところであります。
  96. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 いま長官から御答弁のように、このテレビ番組放送は非常に反響が多かったようでございます。今年度は、三ヵ月間の予算で、毎週一回十五分番組、番組の内容についての御意見やら批判が寄せられたり、あるいは北方領土問題の資料希望者が——前もって言いますと、この放映が終わった後から資料要求が殺到したり、あるいは領土返還促進の標語募集数も昨年に比べて約倍近い二千数百件が寄せられたということで、非常に効果が多いわけでございます。  長官、ちょっとここでお聞きいたしますが、この放送番組で長官自身気づかれた点、感銘された点がありましたら伺っておきたいと思います。
  97. 植木光教

    国務大臣植木光教君) ただいまお話しのように、大変反響がございまして、放送局のみならず、協会あるいは総理府に対しまして投書が殺到いたしました。また、資料要求がございました。大変感銘を受けたのでございますが、特に感銘を受けたものといたしましては、この番組を学校の教材として活用をせられた学校があるということでございまして、こういう活用の仕方をしていただきますならば、北方領土問題についてほとんど何も知らない子供たちに対しまして非常な啓発になるということを強く感じております。さらにまた、この番組を見られました方が、非常にお年寄りの方でございますけれども、貯金の一切をはたいて、これを北方領土返還運動の一助にしていただきたいといって御寄付をいただくというようなこともございました。私どもといたしましては、このような大きな輪を広げていくための最大の努力をいたしたいと存じます。
  98. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 それで長官に希望を申し上げるわけですが、長官みずからひとつごらんになって自分の見た上で感銘をした点をより多くの人に訴えていただきたい。私も、この番組ですね、皆さん方に、ぜひごらんいただけるように呼びかけております。  それから放映時間の問題で、担当している人たちから、現在まあCタイム、土曜日の十一時半から十一時四十五分までの間、これでもかなり反響があったわけで、これをさらに二時間延ばして一時半から一時四十五分という時間帯に持っていけますと、勤めからお帰りになった人たちが見れるんではないか。相当広範囲の立場の人たちにごらんいただけるということで、この時間になりますとBタイムで若干費用がかさむわけでありますが、ぜひ先ほど概算要求された三億九百万、これを確保し、さらにまたふやす努力をして、放映時間をさらに効果ある時間にできるようにがんばっていただきたい。  それから、もう一点だけで終わりますが、今年度新しく設けた制度として、全国四十七都道府県にそれぞれ地方推進委員を置いておりますが、これは各団体間の連絡調整を図って北方領土返還運動の推進を目指すということで、十月に始めて今年度中にその設置を終わりたいという内容でありますが、人員は全部そろったのでございましょうか。  それから、時間がありませんので質問してまいります。  北方対策協会は中央において全国に向けてのPR活動というものをやる、それももちろん大事でありますけれども、地に足をつけた、いわゆる地方における活動、四十七都道府県が同じように四島返還の促進運動を図っていく、下から、各地域から盛り上がる運動というのは非常に大事であると思います。そういったことで、これまで地方における組織活動というのが余りなかったわけでありますが、この地方推進委員の活動をより強化して、各種団体と共闘体制をとって各県においてそれぞれ領土返還の県民大会が行われる、こういうとこまで発展をさしていくべきだと思います。やはり人と人との交流によって、対話によって初めて運動の輪というものが広がっていくと思うわけでございます。ところが、いろいろ係の人に聞いてみると、人員がなかなかそろわぬらしい。ボランティア活動の一環としてほとんど無料奉仕に近いということでお願いしているらしい。実質月五千円も謝礼がいくかどうかというような予算だと聞いております。七千円という額面だけれども実際には五千円ぐらい。一県小さくても六十から七十の町村があるわけですから、交通費も非常にかさむと思うわけでありまして、今後この面の地方推進活動のための予算計上も考えてみるべきではないかと思いますが、この点についての御答弁をいただいて質問を終わります。
  99. 植木光教

    国務大臣植木光教君) 国民的課題でございますから、全国においてこの運動が盛り上がってまいりますように努力をいたしております。本年は宮城県あるいは静岡県におきまして大会を開いていただいたというような状況でございます。現在のところ、全国四十七都道府県のうち、東京都議会を除きまして、全部他の道府県議会においては北方領土一括返還の御決議をいただいているのでございます。また、町村段階におきましても次々に決議をしていただいているところでございます。東京都の都議会に対してもこれを要請いたしますとともに、他のあらゆる手段も考えながら国民運動の盛り上がりのために努力をいたしたいと存じます。  なお地方推進委員につきましては政府委員から答弁いたします。
  100. 田中金次

    説明員田中金次君) 地方推進委員についてお答えいたします。十月から設置を予定しておりましたが、十月現在におきまして、十の府県におきましてすでに設置を見ております。なお十二月末で見ますと約三十の府県で設置が見込まれます。さらに残りの都道府県につきましては、目標を二月末日ということでいま鋭意人選を行っております。年度内に全都道府県に地方推進委員が設置できる見込みでございます。  なお先生から御指摘ございました推進委員の謝金等、処遇の問題でございますが、予算的に月七千円、わずかではございますが、一応ボランティア活動の趣旨も含めまして月額七千円を支給いたしたい。それから、なお通信費といたしまして月に千円という形で手当を本年度これは考えております。しかし、先生御指摘のような地方推進委員役割りの重要性にかんがみまして、北方対策本部といたしましても、来年度これの充実、さらに活動の強化ということをねらいまして、所要の予算の裏づけを図ってまいりたいということで、いま財政当局と折衝を重ねておるところでございます。
  101. 立木洋

    ○立木洋君 本日は、沖繩での航空機騒音の問題についてお尋ねしたいと思います。  この問題につきましては、この委員会でも質疑が行われまして、沖繩の航空機騒音の問題に関しては長官も御存じのことだと思います。  去る十一月二十七日の日に、大阪空港の公害訴訟の高裁の判決が出されました。沖繩の航空機騒音の問題と関連しまして、この大阪空港公害訴訟の高裁判決について、長官どのようにお考えなのか、まず最初に、長官の御所見を伺っておきたいと思います。
  102. 植木光教

    国務大臣植木光教君) この騒音問題につきましては、防衛施設庁、運輸省、環境庁が所管官庁でございます。今日まで各省庁が協力をいたしまして、学校、幼稚園、公民館等の防音工事を積極的に実施し、また本年度から住宅の防音工事、移転措置等をも着手をするというような防音対策を推進をしているところでございます。また、飛行規則については地元側からの強い要請もございますので、実態調査の上、本土の横田や厚木における騒音規則に準じた措置がとられるよう、アメリカ側の協力を強く要請をしていくという考え方で政府は臨んでいるわけでございます。私も、沖繩開発庁長官といたしまして、これらの省庁とともに、住民の騒音公害による被害を軽減をいたしますために努力をいたしたいと存じております。
  103. 立木洋

    ○立木洋君 いまの問題ですが、大阪の高裁判決に関して環境庁のお考えを聞いておきたいと思います。
  104. 酒井敏夫

    説明員(酒井敏夫君) 環境庁といたしましては、このたびの判決は、当日長官談話をもって明らかにいたしましたとおり、被害者保護あるいは環境保全の見地から思い切った判決がなされたという基本的な理解をいたしております。  この判決を機といたしまして、四十八年に航空機騒音に係る環境基準が告示されておりますが、これが達成されますように、今後さらに航空機騒音対策を拡充強化いたしまして、空港周辺の生活環境が保全されますよう音源対策、周辺対策その他の対策を総合的に推進されますよう、関係省庁協議の上、環境庁といたしましても最大の努力をいたしたい、こういう立場にございます。
  105. 立木洋

    ○立木洋君 沖繩の航空機騒音の問題に関しては、実態を調査されておられると思いますが、その実態調査と被害の状況等々、調査された結果を詳細にちょっと御報告いただきたいと思います。
  106. 銅崎富司

    政府委員銅崎富司君) 嘉手納飛行場におきます最近の状況を申し上げますと、本年の一月から九月までの離着陸回数の月平均をとってみますと約九千百回になっております。それから騒音の状況でございますが、実は嘉手納におきましては、嘉手納村と北谷村、二カ所に騒音測定器を常置しておりまして、それで騒音を測定しておるわけでございますが、嘉手納村の屋良地区、これは滑走路北方一・五キロでございますけれども、最高音が百七ホン、それから北谷村の砂辺地区、これは滑走路南西の、先端の〇・五キロですが、最高音が百十九ホンということになっております。  それから、大きなところで普天間飛行場では離着陸回数、同じく本年の一月から九月までで月平均約五千八百回でございます。騒音の状況は、嘉手納飛行場のように騒音測定器を常置しておりませんので、ここで学校の防音工事あるいは学習等供用施設の建設をする際に測定しましたのを参考にして申し上げますと、最高音で約九十ホン出ております。  以上でございます。
  107. 立木洋

    ○立木洋君 それは一つの実態の側面だと思うのですが、つまり、そういうふうな百七ホンあるいは百十九ホンというふうな被害が出ておる。こういう騒音公害によって住民がどういうふうな被害を受けておるのか、そういうような点についての調査の結果はどうでしょうか。
  108. 銅崎富司

    政府委員銅崎富司君) 騒音によります被害につきましては、これは本土の、東京の病院に委託して、現在健康、体にどういう影響を与えるかということを数年来委託しておりますが、まだはっきりした結果が出ておりません。現在も続けておるところでございます。ただ、沖繩におきましては、いろんな学校当局とか村当局から、たとえば児童が夜眠れないとか、授業時間中に居眠りするとか、耳が遠くなったとか、そういう実態の報告は受けておりますけれども、それが騒音とどういう関係にあるかというのは、実は現在本土の病院に委託して調査しておりますので、その結果どうであるということを申し上げる段階にまだなっておりません。
  109. 立木洋

    ○立木洋君 長官、この問題に関しては、三月二十八日のこの特別委員会におきまして問題になったわけです。そしてその当時政府委員の答弁では、いわゆる騒音の実態、さらには被害の状況、この問題については直接調査をしたことがございませんというふうなお話があって、そのときに喜屋武委員の方から、これはいまからでも遅くないから、私は強く要請します、調査の結果はこうであって、被害もこうであったということを自信をもって答えてもらいたいという質問をされたわけです。それに対して政府の方では「五十年度、四月に入りましたら、できるだけ速やかに本格的な騒音調査をいたしまして、その実態を把握をいたしたい、かように考えております。」というふうに述べたのが三月の二十八日の当委員会での答弁であります。もうすでに何ヵ月間かたっておる。問題は、どれだけの騒音があったのかということも、これもちろん十分に調査しなければなりません。しかし問題は、それが人間の健康や、いわゆる居住環境として実際どうなのかということも十分に調べないと、やはりどういうふうな対策をするかということが手につかないと思うのですよ。この点はもう何ヵ月間かたっているわけですから、速やかにということだけではなしに、やはりいついつまでにそういう実態を調査をして、それに対する対応策を立てるというふうなところまで御答弁をいただかないと、前の繰り返しのようになるので、その点明確にしておいていただきたいんですが、私の質問しているのは無理ではないと思うので。
  110. 銅崎富司

    政府委員銅崎富司君) 航空機騒音が人体にどういう影響を与えるかという問題でございますけれども、これにつきまして先ほど申し上げましたように、東京の病院に委託してすでに調査は数ヵ年やっておるわけでございます。この問題につきまして、実際に調査をするにいたしましても、その委託する委託先、それから児童生徒、対象をどうするかというような点もいろいろあろうかと思いますが、私どもとしましては、現在委託しております結果等を見てどういう調査をしたらいいかということを慎重に検討し、各機関ともよく協議を.いたしまして実施する場合には実施に踏み切りたいと、こう現在考えておるわけです。
  111. 立木洋

    ○立木洋君 いや、その答弁ではやはり十分納得することができないのですよ。もう七ヵ月余りたっているわけですから。もちろん一定の期間、調査をして結果を出すというのには時間がかかるということは私もわかりますし、きょうからすぐあしたというふうなことを言っているわけではないわけですけれども、しかし、前回喜屋武委員質問されてからもう七ヵ月余りたっているわけですから、実際に沖繩に住んでいる方々がこの騒音のためにどれほど悩まされておるか、大変な状態なんです。現地に行って聞いていただければわかると思いますけれども、そういうやっぱり人命、健康にかかわる問題ですから、これは速やかにやらなければならない。その点やはり沖繩開発庁長官としてのお考えと、どういうふうに対処されるのか。もちろん開発庁が直接手を下してどうこうするということではありませんけれども関係省庁にも督促して速やかにやらせるというふうなお考えをお聞きしておきたいと思うんです。
  112. 植木光教

    国務大臣植木光教君) 先ほど防衛施設庁の方から御報告がありましたように、その騒音の度合いといい、また離着陸の回数といい、きわめて高く、また多い状況でございまして、これによる被害の実態というものは究明せられるべきであり、また、早急に対策が行われるべきであると私も思います。したがいまして、関係省庁に対しまして、ただいまの調査及び対策確立につきまして私から強く要請いたします。
  113. 立木洋

    ○立木洋君 速やかに。
  114. 植木光教

    国務大臣植木光教君) 速やかに実現を、また努力をいたします。要請をいたします。
  115. 立木洋

    ○立木洋君 施設庁の方で、先ほどお話のありました一月から九月まで、月平均すると嘉手納では九千百回というお話がありましたが、これは平均されるとわからないので、当初一月、二月、三月ごろはどういう傾向で、あるいは七月、八月、九月ごろにはどういうふうになっていたか。私は回数がふえているというふうに感じているんですけれども、その辺はどうでしょう。
  116. 銅崎富司

    政府委員銅崎富司君) 月ごとの細かいものは、実は手元に資料がございませんが、一月から三月までが約八千三百回、四月から六月までが八千百回、七月から九月までが約一万回ということでございます。
  117. 立木洋

    ○立木洋君 特に七月以降、嘉手納での航空機の離着陸というのは非常に回数が多くなってきております一これは、私たちが調べた点でもはっきりしているわけですが、たとえば十一月の三日、これは九月までというふうに言われていますが、十一月三日の日に、午前十一時十五分から午後四時四十五分まで五時間三十分の間に何回離着陸があったかというのを現地で計算しました。その五時間三十分の間に離着陸した回数は百十三回なんです。そして、そこから一キロから一キロ半離れた地点で百ホン以上の状態になっている。大阪空港の訴訟で問題になりましたのは、一日に二百回ということで大変な問題になったわけです。大阪空港の場合には、午前七時から午後十時まで十五時間でつまり二百回、ここは五時間三十分で百十三回、そうしますと、ここで十五時間という時間帯にしますと三百回以上になる。これは大変な状態だと思うんです。それが嘉手納等々の場合では昼間だけ、いわゆる十時以降は行われないというふうな状態ではありませんし、夜間も行われている。特に、現地の人々の実情を聞いてみますと、午前二時、三時、いわゆるエンジンの調整をやるわけです。これが大変な騒音なんです。ですから夜間ですら眠れない。こういうふうな強い状況が現地からは訴えられているわけです。ただ単に、いわゆるホン数がどうかという問題だけではなくして、時間帯の調査、深夜まで行われているという問題もあるわけですし、それから回数等にしても、特に大阪空港等とは比較にならない状態になっているということを考えてみますと、住民の方寸がどれほどこの騒音に悩まされておるかということは十分にわかっていただけると思うんです。  ここで、大阪空港との関連で出されておりますが、こういう投書がある新聞に載っておりました。ちょっと読んで、お考えいただきたいんです。  「私ば沖繩県嘉手納村に生まれ育った者ですが、憲法に擁護された本土国民の恵まれた境遇にうらやましさを禁じ得ません。」、これは、大阪空港の問題の高裁判決が出されたことについてです。「本土では国民が日常使用する民間空港の公害問題がこれだけの社会問題になり、裁判にまで持ち込まれて勝訴する。しかるに嘉手納はどうであろう。住民の生活とはまったく関係のない米軍用機が昼夜を問わず飛び交いエンジン調整の轟(ごう)音とガスを吐き出す。学童は数年前できた密閉された教室で息苦しい授業を受ける。住民はまったくの無防備、無賠償である。あの音やガスが人間の心身におよぼす影響は今さら説明を要しないことであろう。嘉手納の人たちは大阪空港周辺の住民以上に生活権や人格権を侵害されているのである。」「この問題にしても国家間の条約の前には沖繩県民の権利主張はどうしようもないことなのであろうか。いったいいつになれば私たちも本土の人と同じように自己の人間としての権利を合法的に振りかざし、国に認めさせ、静かな生活ができるようになるのであろうか。」。  こういう投書がある新聞に載っているわけです。ある新聞と言いましても、これは私たちの機関紙ではございません。一般の新聞でございますが、こういう状態を考えてみますと、この問題については早急にやはり解決しなければならないというふうに考えるわけです。  それで、対応措置の問題について幾つかお尋ねしたいわけですが、基地の騒音、排気ガスについての対策がどのようになっているのか、この点、防衛施設庁ですか、お答えいただきたいと思います。
  118. 銅崎富司

    政府委員銅崎富司君) 米軍の飛行場に関しましては、日米合同委員会の下部組織として設けられております騒音対策分科委員会というのがございますが、そこで、厚木につきましては三十八年の九月、横田につきましては三十九年の四月にこの航空機騒音についての合意がなされております。それから四十年の十二月に、この内容は他の飛行場にも準用されるという旨の米軍からの報告を受けておるわけでございますが、飛行時間の規制につきましては、たとえば離着陸の場合を除いて人口秘密地域の上空での低空飛行は禁止する、飛行場周辺上空での曲技飛行を禁止する、飛行筒度につきましても、五百メートル以下で飛行してはならない、これはしかし、特別の訓練の場合を除きそういうふうになっておりますが、そういう規定です。  それから、エンジンの試運転の規制につきましては、効果的な消音器を使用することと、それから厚木と横田で若干違いますが、厚木の場合は運用上必要な場合を除き、ジェットエンジン試運転は十八時から翌朝八時の間は実施しない。横田につきましては、運用上やむを得ない場合を除き、次の時間には作業を実施しないということで、ジェットエンジンの試運転場では高出力の場合に五時から翌朝の七時、その他の場合は夜の六時から翌朝の七時というような取り決めがなされておるわけですが、いろいろ地元等から非常にうるさいという話がありますので、随時米側に対しましてはこの合意の中で取り決められた内容を順守するように申し入れているところでございます。
  119. 立木洋

    ○立木洋君 横田、厚木の場合はそういう点になっているということはわかるんですが、沖繩の場合にはどういうふうになっておりますか、具体的には。
  120. 銅崎富司

    政府委員銅崎富司君) 沖繩につきましても、復帰後、日本に駐留する在日米軍になったわけでございますので、外務省からも、防衛施設庁本庁におきましても、出先の那覇防衛施設局からも、この合同委員会で決められました規定を守るように申し入れを行っております。
  121. 立木洋

    ○立木洋君 一つこの点を伺っておきたいんですが、防衛施設周辺の整備等に関する法律というのがございますが、それによりますと、この騒音の防止の問題に関連して、いわゆる八五WECPNL以上の第一種区域においては住宅の防音工事の助成を行う。九〇WECPNL以上ですか、第二種区域あるいは第三種区域の場合には、移転の補償などを行うというふうにこの法律によって定められているわけですが、環境庁の方で公害対策の基本法に基づいて出されておる航空機騒音にかかる環境基準というものは何WECPNLになっているのか、環境庁の方でちょっと。
  122. 酒井敏夫

    説明員(酒井敏夫君) 四十八年に告示されました航空機騒音にかかる環境基準におきましては、地域類型を二つに分けまして、地域類型の一、簡単に申し上げますと、もっぱら住居の用に供するところでございますが、この場合の地域にありましては、七〇WECPNL以下とする。地域類型I、簡単に申し上げますと、商工業地域でございますが、これは七五WECPNL以下にする。それから、それぞれの飛行場の種別ごとに達成期間がございまして、中間の改善目標というのがございますけれども、たとえば十年で達成すべき飛行場にありましては、「五年以内に、八五WECPNL未満とする」、あるいはまた、八五以上の地域にありましては「屋内で六五WECPNL以下とする」というように、中間改善目標並びに最終目標——最終目標が先ほど申し上げました基準値でございます。こういうたてまえになっております。
  123. 立木洋

    ○立木洋君 先ほど古いました防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律では、八五WECPNL以上が騒音防止の対象になる、いわゆる助成策をとるとかいうふうなことになっているわけですが、環境庁の方で出されております昭和四十八年十二月二十七日のこの「環境基準について」では、もっぱら住宅地域では七〇WECPNL、その他の地域では七五WECPNLというまでになっているわけです。そうすると、経過措置はあるにしても、八五WECPNL以上にはいろいろ騒音の防止に努力する、だけど住宅地域では基準は七〇WECPNLだ。そしてこの差は、経過措置があるにしても、事実上は八五WECPNL以下の、たとえば八四WECPNLなんかの場合だったらこういう防止策がとられない。これは一つのやっぱり矛盾ではないかと思うのです。環境華華がこう決められてあるならば、七〇WECPNL以上の場合にはどういう防止措置をとるというふうなことが決められるべきだと思いますが、その点はいかがですか。
  124. 銅崎富司

    政府委員銅崎富司君) 生活環境整備法の規定では、区域の指定は、「防衛施設長官が指定する防衛施設周辺区域」ということになっておりまして、その内容は総理府令におきまして、法四条に指定する第一区域は云々となっているわけでございまして、法律のたてまえ上できないということではないと私は考えております。  それから環境基準との関係でございますが、それは告示の中に、「自衛隊等が使用する飛行場の周辺地域においては、平均的な離着陸回数及び機種並びに人家の密集度を勘案し、当該飛行場と類似の条件にある前項の表の飛行場の区分に準じて環境基準が達成され、又は維持されるように努めるものとする。」ということになっておりまして、私どもこの環境基準の達成ができるように、いまいろいろと努力し、検討しておるところでございます。
  125. 立木洋

    ○立木洋君 もう一つ問題点に感ずるのは、先ほど申し上げました法律で、防音工事などで騒音の防止に努力するということでありますが、これは根本的な音源対策と言いますか、いわゆる騒音源に対する根本的にメスを入れるということにはなっていない。いわゆる騒音源はそのままにされておって、その間、周辺を何とか防御するというふうな状況になっているわけですね。今度の大阪空港での高裁の判決というのが、騒音源にまでメスを入れたという点に問題点があるわけであって、そういう点はやっぱり根本的に考えていく必要があるのではないかというふうに思いますけれども、その点はどうでしょう。
  126. 銅崎富司

    政府委員銅崎富司君) 運用の問題につきましては、私から答えるのが適当かどうかわかりませんが、ジェット戦闘機の場合に民間機のように消音装置を工夫をするというのがなかなかむずかしいことではございます。その点についての研究はやっていく必要があるのではないかということで、防衛庁の技術研究本部でも研究はするというふうに聞いております。
  127. 立木洋

    ○立木洋君 研究しても先ほどみたいに長引いてしまって、結局いつまでたっても研究研究では困るわけですから、やはり根本的に騒音が出ないよにするということが環境基準を守っていく上できわめて重要だと思うのです。  それで沖繩における、特に嘉手納、普天間周辺の住民の方々、あるいは沖繩県、あるいは基地を抱えておる市町村等々では、この騒音問題に関してどういう要望が具体的に出されているのか、その要望内容について述べていただきたいと思います。
  128. 銅崎富司

    政府委員銅崎富司君) 嘉手納飛行場周辺につきましては、これは従来からでございますが、小学校、中学校、幼稚園、公民館等、学習等共用施設というようなものでございます。  それから五十年度、本年度からは住宅の防音工事の要望が出されておりまして、現在四十五件につきまして、住宅を持っておられる方といまどういう工事をしたらいいかということを話し合っているところでございます。  それから移転につきましては、砂辺地区でございますが、三戸の住宅と土地が一件ございますが、四件の要望が出ておりまして、これは五十年度にその移転を実施したいというふうに考えております。  それから、これは本土の基地でも行われておりますけれども、NHKが行っておりますテレビ受信料の減免、この減免した額につきまして当庁からその分の補助、半額の補助をいたしております。  それから、大変騒音があって、電話の使用にも事欠くということでございますので、騒音用の電話の設置の助成をいたしております。
  129. 立木洋

    ○立木洋君 それは私は県民の要求する一部だと思うのですよ。もっと問題になっているのは、いわゆる騒音源に対する要求というのが、県民から当然出ておるはずです。この問題に対して、その問題を特に施設庁が避けたとすればこれは問題ですが、避けたのでなければ、その点明確にしていただきたい。  これは特に、御承知のことだと思いますけれども、いわゆる今度の航空機騒音基準設定の際の、中公審の答申の中にもこの問題が出されておりますし、課題について、音源対策の強化を図る、「騒音の影響を減少するため、滑走路の方向及び使用方法の改善、離着陸回数の抑制等の措置を講ずること。なお、自衛隊等が使用する飛行場についても、これらに準じた音源対策を講ずること。」というふうな答申が出されているわけですし、これは県民の方々からも、いわゆる騒音源そのものに関する要求も当然出されていると思うんです。その点についての要望と対応策をちょっと述べていただきたいと思います。
  130. 銅崎富司

    政府委員銅崎富司君) 先ほど御答弁申し上げましたように、騒音対策分科委員会を通じていろいろな申し入れをしておるのとあわせまして、現地の局でも、現地におります米軍といろいろ折衝しておるわけでございます。  先ほど申し上げました騒音測定器を常置しまして、絶えず音をとっているわけでございますが、この音を記録したものを持ちまして、局から嘉手納の飛行場の司令官に会いまして、こういうふうに騒音がひどいという実情をそのデータをもって示したわけでございますが、それによって米側は、嘉手納村からなるべく離れたところに、たとえばエンジンのランアップをやるために飛行機を持っていくというような措置を講じております。  それから、嘉手納の飛行場の周辺の市町村と米軍との間で定例的な昼食会が行われているわけでございますが、その際に嘉手納村長から、ゴールデンタイムの飛行の規制、夜間、早朝の飛行規制等について米側に考慮してほしいという発言があって、嘉手納司令官から後日回答しましょうということで、その回答の内容が那覇防衛施設局の方にも連絡があったわけですが、それによりますと、先ほど申し上げました、なるべく離れたところに飛行機を持っていくということで、駐機場の位置を遠くに持っていったということが言われております。それから、エンジン調整も特定の区域を指定してそこでやるというような内容になっておりまして、その中で言われています最も大きな事柄は、基地の飛行部隊の代表者から成る航空管制調整委員会というものが設置されておって、ここで騒音軽減のいろんな問題を討議しておる。その委員会で討議した決定としてとった措置が幾つか挙げられております。  その一つは、嘉手納村の上空を通るヘリコプターがあったわけですが、その飛行ルートは廃止する。  それから、夜十時から翌朝六時までにおいては必要とするエンジンのランアップだけに限定して行う。  それから、安全または運営上の必要がある場合を除いてはアフターバーナー、このアフターバーナーを使いますとまた音がひどくなるわけでございますが、この使用は禁止される。  それから、離陸するときには、人口密集地域を離れた地点に達するまでは航空機は迂回することは許されない。  それから、大型機ではございませんが、F4ファントムのエンジンテストについては、その騒音を軽減するために特別の消音器、現在すでに使用しているそうでございますが、その消音器を使用してやると。  それから、夜の十時から六時までのエンジンのランアップをする場合は、必要な場合にのみ実施され、整備副司令官の許可がなければできない。  こういうようなことをこの航空管制調整委員会で定期的に会合して決めてきておる。  それから、米軍としては、この騒音レベルを規制するために積極的な計画をやっていくことをお約束しますということを言っております。  私どもは、こういうことを承知いたしましたので、やはり現地においても再度申し入れますし、本庁におきましても米側にいろいろと騒音につきまして格段の配慮を持った措置をするように申し入れる所存でございます。
  131. 立木洋

    ○立木洋君 騒音源の問題に関しては、最後まで施設庁は避けられたわけですが、県民から出ておる要望の一番強いのは、騒音源そのものをなくす、これは基地をなくすということですよ。そういう要望が出ておるのです。これは施設庁の方御存じだろうと思う。繰り返して二回聞いたけれども、あなたはその問題について言わなかった。だけど、この問題については、米軍の基地を撤去せよと言ったって、もうお答えはわかっておりますから、この問題をここで取り上げて私は議論しませんけれども、これはやはり最重要な問題として県民の方々が望んでおるんだということは忘れていただいたら困るのです。  まず最初に述べられたのは、騒音源の問題を抜きにして、騒音を受けた場合にどう環境を防衛するかという問題だけを述べられた。騒音源の問題について私が聞いたら、それについて米側と話し合った内容、その問題だけが述べられた。しかし、問題は騒音を起こしておる基地そのものをなくしてほしいというのが県民の根本的な要求だということを政府としては忘れていただいては困ると私は思うので、その点だけは明確にさしておきたいと思います。  これはここで議論をすれば、このこと自身がまた大変な議論になって、政府の御答弁は繰り返しお聞きしておりますからわかりますけれども、しかし、少なくとも幾つかの点で私はあれしたいのは、先ほど言われました十時以降午前六時まで騒音のあれはできるだけやらないようにする、これは嘉手納村との間でも同基地の司令官との間で昭和四十八年八月三日に約束がされているわけです。ところが、現実には守られていないんですよ。夜中の午前二時、三時までどんどんやりますし、大変な状況になっている。特に、ことしの七月以降は離着陸の回数も多くなっておりますし、それだけに大変なことになってきているわけです。だから約束したことは守ってもらうということは少なくともやらさなければならない。向こう側がそれを認めないというなら別の方法があるでしょうけれども、一たん約束しているわけです。  それからもう一つの点では、先ほどファントム機に関してはトムバトム式の消音装置ですか、これが使われておるというふうに言いましたけれども、ファントム機のいわゆる騒音よりももっと騒音の激しいのはKC135なんですよ。ところが、このKC135についてはこの消音装置は使えないのです、機体が大きくて。依然として現在その消音装置というのはこのKC135には使っていないのですよ。そういう問題もやはりあるわけですね。だから、ファントムについては消音装置がとられておるからそれで了解しましたというふうなことだけでは困るわけで、もっと具体的な調査を十分にやっていただいて、可能なところについてはやはり具体的に詰めて、いわゆる騒音源をなくしていく、そういう努力が私は具体的に必要だと思うのです。  これは特に、最後に長官とそれから羽田野外務次官にお願いしたわけですが、こういう騒音の問題というのは、いま質疑をしまして、内容については御理解いただいたと思うのですけれども、大阪空港の比ではない、大変な状態なんです。これは本当に人が話をするのでも大変な状態である。そこに常時生活している人にしてみれば、これは生きていくこと自身の問題となって重大な問題になっているわけです。基地撤去の問題については政府としていろいろお考えがあるでしょうけれども、少なくとも騒音源を少なくしていく、それをなくしていくための努力というのは私は積極的に米軍側と直ちに交渉して、ひとつ具体的に詰めていただく、そういうことを関係省庁の方に強力にお願いをしていただきたい。沖繩の実態を踏まえて、そういうことを特に最後に長官と外務次官にお願いをしたいわけですが、その点についての決意のほどをお聞きしたいと思うのです。
  132. 植木光教

    国務大臣植木光教君) 先ほど来関係省庁が御答弁をいたしておりますように、それぞれの立場においていろいろ努力をしているところでございます。  沖繩県の基地そのものの問題につきましては、いつも申し上げておりますように、政府といたしましてはできるだけ整理統合をするという方向でアメリカ側との折衝に当たっているわけでございます。その点について、さらに努力をいたしますとともに、騒音問題につきましては、先ほど申し上げましたように、その実態の把握を急ぎますとともに、対策を確立をしていくということについて、関係省庁とともに最大の努力を続けてまいりたいと存じます。
  133. 羽田野忠文

    政府委員羽田野忠文君) 飛行機の騒音公害という問題につきまして、先般、大阪高裁の判決が出ましたが、高速輸送機関としての飛行機、これはもう近代生活になくてはならないものでございますが、それによる飛行場周辺の生活をしている人の環境破壊、この問題もまた非常に重要な問題でございます。その両方の調和をとったのが大阪高裁判決で、これは非常に私は考えさせられる問題であると思います。  沖繩のアメリカ軍基地の航空機騒音の問題にいたしましても、基地使用そのものが安保条約地位協定に従ってわが国施設を自由使用しておる。また、それを使用しておることそれ自体が日本の安全に得与するとか、あるいは極東における国際平和、安全の維持に寄与しているという面と、もう一つは、そのアメリカ軍の飛行機の騒音によって基地周辺の住民が大変な苦労をしておる、いわゆる生活環境の破壊を受けておる、この調和をどうとるかという問題でございますが、その被害の実態というようなことも、いま質問、答弁の中で十分聞きましたが、なおこれ、厳しくその実態を御調査いただくという総務長官の御答弁もありまして、その実態を把握した上で、どういうふうにすることによって基地周辺住民の騒音公害というものを軽減していくかという方法論に真剣に取り組んでいかなければならないと思います。  外務省といたしましても、その実態を把握し、方法を検討した上で、アメリカ軍との、アメリカ軍だけには限りませんが、外交ルートを通じて、アメリカ側との騒音その他の公害を少なくすることに対する交渉というものを真剣に検討してまいりたいというふうに考えております。
  134. 稲嶺一郎

    稲嶺一郎君 先ほど、試験場の問題について触れたのでございますが、なぜ特に私がこの問題について触れたかと申しますと、御承知のように、沖繩の場合はサトウキビパイナップルが支柱になって農業が成り立っている。沖繩の第一次産業の振興という観点から考えると、この二つの作目だけでは限度があるんじゃないか、ほかに新しい作目を考えなければ農業の振興、第一次産業の振興といってもむずかしいことじゃないかということで、私自身が、実はこの問題についてはずいぶん考えました。沖繩の気候と似たところ、大体東南アジアからアメリカのフロリダ、プエルトリコまで参りまして研究をしたのでございます。それで、若干私の意見を申し述べまして、ぜひこの研究項目の中にこれを入れていただきたいというふうに考えております。  沖繩は、実はプエルトリコ、フロリダの方と大体緯度が同じでございまして、現在わが国にはグレープフルーツやオレンジ等、あるいはレモンがずいぶん入っておるのでございますが、私は、沖繩にはこういう作目が案外適当しているんじゃないか。だから、これをひとつ御研究を願いたいということでございます。  それから、私は本土における熱帯農業研究所はほとんど回っております。東大の小岩の研究所から伊豆の研究所、あるいは宮崎、鹿児島等、みんな回っておりますが、私がその間に感じましたことは、薬草の研究が東大においてやられておりますが、なかなか露地栽培ができないために温室栽培をやっている。これじゃなかなか研究に時間がかかるのじゃないか。沖繩では露地栽培ができる・から、熱帯の薬草のようなものは沖繩でやったらどうか、私自身が腎臓結石に効くインドネシアの薬草をつくっておりますが、これが非常に沖繩ではいい、このために好評を博しておりまして、恐らく農林省の皆さんが考えておる以上に、私は大きな効果を発揮するんじゃないかと思っております。ひとつ、ぜひこの薬草問題は研究題目の一つにしていただきたい。  次に、もう一つ、私は植物性の飼料が今後日本にとっては非常に重要なる問題の一つになるのではないか。実は、飼料としてペルーのカタクチイワシがずいぶんわが国に輸入されておりますが、これが漁不漁によって非常な差が生まれてくる。こういうことを繰り返すことは余りよろしくない。また、今後はハマチの養殖のごときも、将来ハマチを養殖するのにイワシをもってするがごときは恐らく不可能な時代になるのじゃないか。現在の海洋法の問題が実施された場合において、たん白資源に対して重大な影響を与える。その意味からいたしましても、ひとつ植物性の飼料を研究したらどうか。これについては沖繩では植物の繁茂が大体北海道の三倍になるので、この点をひとつ御研究を願いたい。  それから、アメリカにおいては一番いいのがアルファルファということになっておりますが、実は私はネピアグラスをハワイ大から持って来まして、現在沖繩全般にこれを普及させております。最近発見したことで、エジプトの方に一つあるんですが、エジプトでバーシームという牧草がございまして、これはアルファルファよりもいいと言われておりますので、こういう研究もひとつぜひ実行に移していただきたい、これをお願いをいたしまして、時間がないものですから、お答えはいただかなくていいですから……。  次に、畜産問題に移っていきたいというふうに考えております。  先ほど申し上げましたように、この沖繩の県民の意識に関する調査におきましては、農林水産業を第一に挙げている。また、この畜産を考えました場合、これはもう沖繩にとっては戦前からの非常に大きな産業一つでございます。ところが、価格の変動が激しいために非常に農民は困っている。畜産業界は困っている。これを一体どうしたらよかろうということでございまして、これについてはいろいろな案があるようでございますが、沖繩県におきましては、この畜産の総合的価格政策と、また今後の畜産振興を図ろうという目的をもって公社の新設を計画いたしております。これを何とかして早く発足しようとしているのでございますが、いま地方自治体の財政の問題等困難に遭遇しておりますので、せっかくいい案であるにもかかわらず、これがなかなか実現を見ない。これに対して政府としても補助を与えるとか、いろんな方法によってこれの早期実現を図っていただきたい。これについての政府の御見解を承りたい。
  135. 井上幸夫

    政府委員井上幸夫君) 総括的に沖繩開発庁からお答え申し上げます。  御指摘のとおり、沖繩の畜産物の生産額は、沖繩県におきます農業生産額の、年によって浮動いたしますけれども、三五、六%占めております。そういう意味では農業の中の最高生産を上げておる作目でございます。自然条件、それから牧草の生育条件がよろしゅうございますので、今後ともに沖繩の畜産業は成長の可能性のございます産業でございまして、われわれといたしましてもその振興をするという方向で考えておりまして、予算額で申し上げまして、農林省及び沖繩開発庁両所管にまたがっておりますけれども、畜産振興関係経費が五十年度で七億でございますけれども、五十一年度は、概数にいたしまして両省庁所管合計で十億円近い予算要求をいたしておるところでございます。ただし、現状ではなかなか幾つか問題がございまして、農業基盤の整備その他の基礎条件の問題、流通その他の何といいますか、一種の環境条件の整備が非常におくれております。そういう問題につきましても引き続き国、県双方で努力をいたさなければならないかと、かように考えております。  それから、ただいま具体的に御質問のございました公社の問題なんですけれども、これにつきましては、ただいま起債の方向で県と自治省との間で折衝が進められているようでございまして、われわれといたしましてはその結果を待っております。  以上であります。
  136. 稲嶺一郎

    稲嶺一郎君 畜産問題、きわめて重要でございますので、この公社の果たす役割りがきわめて大きいと考えられますので、ぜひ県の方と十分に意思の疎通を図って、早急にこれが実現ができるように図っていただきたいと存じます。  次に、復帰特別措置によりまして、御承知のように畜産物が優遇されて輸入をされております。ところが、最近新聞等を見ますと、生産者と消費者との間に非常な意見の対立があり、大騒ぎをしているという状態のようでございます。これはまことに残念なことでございますが、せっかく復帰の段階においてよかれと思ってやったところが、生産者と消費者がお互いに意見が合わないで相論争するという事態になったということは、まことに残念でございます。私どもも当初この問題に関係した者として、何とかこれがうまく解決できないかというふうに考えている次第でございます。  それで、私の一つの見解ではございますが、特別措置によりますところの輸入全畜産物に対して一定の調整金を付加して、これを畜産振興基金の財源の一部とする。で、畜産農家の基盤整備や畜産加工業の保護育成、それに今後の需給計画と並行した価格安定策を講じたらどうかというふうに考えているのでございます。そして、この特別措置を論争の極に使うのじゃなしに、これをうまく利用しながら畜産を盛んにするという、対立じゃなしに、お互いによく話し合って、これでどうかというふうにりっぱな案を両者でつくり上げていくということが大事じゃないか。どうもいままでのところは両方とも歩み寄りがないような形で、いまのままだったら沖繩の畜産というものはなかなか発展がむずかしいのじゃないかというふうに考えますので、この点についての、調整金の問題についてひとつ私の考えに対する政府農林省並びに開発庁の見解を承りたいと存じます。
  137. 山田滋

    政府委員(山田滋君) 開発庁からまずお答え申し上げますが、先生御指摘のように、復帰特別措置の中におきまして、ハム、べーコン、ランチョンミート、この問題につきましては大変生産者側の立場と消費者の立場一応対立いたしておりまして、従来の制度の趣旨がやはり県民生活の安定といいますか、消費の立場から安定を図っていきたいという面も相当強うございますので、開発庁としては大変苦慮いたしているところでございます。県としましては大体、内部でいろいろディスカッションいたしまして、できれば早い機会に、生産者側の立場を主としてとりまして、期間を短縮したいというふうな意見が出つつあるやに陶いております。しかしながら、この点につきましても、なお一部には消費者団体もその意見に同調するというふうな空気があるということも聞いておりますけれども、問題は、やはり先ほどお話の畜産公社といいますか、そういうものができまして、安定的な供給ができるという体制と、同時にまた価格が低廉になりまして、消費者としてもまあ忍び得るという保証がなければ非常に危険だと思っております。したがいまして、県と寄り寄り協議中でございますが、やはりいま御指摘のように、せっかく真剣な討議がなされたわけでございますから、これが積極的に将来よい結果を生むように、単なる論争ではなくて、そこから何物かを生み出すような、そういうふうな方向へ私ども指導してまいりたいと、かように存じております。したがいまして、ただいま御指摘のありました調整金というふうな御発想、これも十分ひとつ参考にさせていただきたい、かように存ずる次第でございます。   〔委員長退席、理事鈴木美枝子君着席〕
  138. 稲嶺一郎

    稲嶺一郎君 そして、いまの論争をできるだけ早く解決しまして、畜産の振興が軌道に乗るように、ひとつ開発庁農林省も一緒になってがんばっていただきたいと存ずる次第でございます。  次に、畜産と関連のある飼料の低廉安定供給の問題でございますが、県内における配合飼料の年間消費量は約十六万トンでございます。その投入率は、鶏が一〇〇%を筆頭に豚が八〇%、牛は二〇%で、多頭飼育を前提に制度資金を借り入れした農家はほとんど配合飼料に依存しております。畜産に占める経費の七〇%を飼料で占め、飼料価格の値上がりが面接コストに響きまして畜産農家を圧迫をしておるのでございます。飼料価格の高騰は全国的なものではございますが、沖繩県は離島でございまして、地理的に輸送経費が非常にかかる。そのためには臨海型の飼料供給基地、飼料センターが必要じゃないか。実は、これは沖繩の農協中央会あたりではずいぶん長い間叫ばれておりますが、今日に至るまでこれが実現を見ません。これについてはひとつ開発庁の方も農林省の方も、ぜひこれが一日も早く実現するように御尽力を願いたいと存じます。これに対する農林省並びに開発庁の御意見をお伺いしたいと思います。   〔理事鈴木美枝子君退席、委員長着席〕
  139. 金田辰夫

    説明員(金田辰夫君) お答えします。  配合飼料の原料の大半は輸入に依存しておりまして、かつ現在ほとんどバラ化されておるというふうな事情でございますので、流通の合理化を図る上で港湾のサイロ建設を促進することはきわめて重要なことは、先生の御指摘のとおりだと思います。したがいまして、沖繩県におきましても、大型サイロ建設につきましては、一九七一年に経済運が中心となりまして、中城港の食品コンビナートの建設の一環として取り上げられた経緯がございますが、この計画はその後進んでいないことは事実でございます。しかし最近、県庁に発足を見ました中城港港湾開発構想調査委員会というものは、今後の地域開発計画の関連としまして、サイロ建設につきましての飼料工場の立地条件あるいは物流体系等の関係で、十分サイロ建設を織り込んでおるというふうに伺っております。したがいまして、農林省としましても、この計画に即しまして、国の助成についても沖繩県と十分な連絡をとって促進を図ってまいりたいというふうに考えております。
  140. 稲嶺一郎

    稲嶺一郎君 ただいまの政府お話をお伺いいたしまして、十分に御配慮されているというお話をお聞きいたしました。ぜひこれが早く実現するように御配慮を願いたいと存じます。  次に、電話架設の問題でございますが、実は沖繩の場合は非常に電話加入の申し込みをやってから時間がかかるというので、いま非常に大きな問題になっております。十月二十三日付の琉球新婦の紙上によりますと、九月末現在、電話加入を申し込んでおる人が県内に六万二千人いる。そして、電話加入を申し込んでから架設されるのが、大体五、六年かかっているのもあるということ戸ございまして、どうしてそんなに長くかかるか、まことにどうも理解に苦しむことでございます。これにつきましてひとつ御説明と、それから一体これに対する、関係当局の方がどういう計画をもってこれが解消に当たろうとしておるか、御意見を承りたいと存じます。
  141. 川崎鋼次郎

    説明員川崎鋼次郎君) 沖繩県昭和四十九年度におきます新規の電話の申し込み数が二万でございまして、それに対しまして四十九年度は一万一千加入をつけまして、同年度末の加入数が十万五千になりました。しかしながら、積滞数はただいま御指摘のように非常に多うございまして、六万であります。五十年度に入りまして、上半期の新規申し込みは一万一千でございまして、増設は六千となっております。それで積滞数が若干ふえまして、六万四千というふうになっております。  それから、申し込みましてから架設するまでの期間につきまして、局情によってまちまちではございますけれども、それを実査いたしますと、大体二十ヵ月から四十五ヵ月というふうになっております。こういうような積滞の期間が長いことに対しましては、われわれは決してそれで満足しておるわけじゃございませんで、いろいろと対策を考えまして、増設数をふやしていくように努力をいたしております。  それを年度別に申し上げますと、四十七年度の増設数、復帰のときでございますが、三千でございましたが、四十八年度は六千、四十九年度は一万一千と、倍、倍にふえております。現在五十年度は約六千でございますが、五十年度いっぱいには約二万まで開通できるであろうというふうに思っております。
  142. 稲嶺一郎

    稲嶺一郎君 いまお話をお伺いいたしておりますと、なかなか実際の申し込みには応じ切れないような状態でございますので、もっと早くこれを促進する方法をひとつ御研究を願ってやっていただきたいと存じます。  それからもう一つ最後に、あと一件でございますが、実ば本部半島の北部に八重岳というところがございまして、そこに米軍のレーダーがございます。これは私、去る一月にも参りましたし、それから二ヵ月前にも行ったのですが、そこはいま二ヵ所ありまして、一つはレーダーとして使っておりますが、一ヵ所は全然使ってないのでございます。ただ政府の係官がここを管理しておるという状態でございます。私どもといたしましては、この八重岳というところは戦前からずいぶん観光としてはすばらしいところで、何とかしてこの使ってないところをひとつ開放して、これを使わしてもらえないかというのが地元民一般の念願でございます。特に、正月なんかになると那覇方面からも参ります。朝の御米光を拝むというほどに有名なところでございます。これが現在使用もされていないのに、ただこのままあるということは、まことに理解に苦しむことでございますので、ぜひこれができるだけ早く開放されるように関係官庁において御尽力を賜りたいというふうに考えております。
  143. 銅崎富司

    政府委員銅崎富司君) この八重岳通信施設につきましては、名護市からの返還要望と、それから本部町から国民宿舎建設のためにアンテナ地区を返還してほしいという要望をお聞きしておりますが、現在使っておらないというお話でございますけれども、これは米軍が本土と沖繩を結ぶ通信の中継所として現在使用しておりまして、常駐しておる兵隊も約十名ばかりおるわけでございます。したがいまして、このアンテナ地区ということでありますと大変むずかしいかと思いますが、とにかく御要望の線に沿いまして現在米側と交渉しておりますので、なお一層の調整を図ってまいりたいと考えております。
  144. 稲嶺一郎

    稲嶺一郎君 どうも私が見たところは、素人でよくわからないんだが、何かただ監督官がいるだけで使っていないように思われますので、ぜひアメリカ側の方と交渉されて、早い機会にこれは解決されることを要望いたしまして、私の質問を終わります。
  145. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 どうも総務長官が不在で残念でありますが、ひとつ総務長官にかわって責任ある回答をお願いいたします。  沖繩というところは問題が余りにも多過ぎてたくさんありますので、幾つかにはしょって申し上げたいと思います。あらかじめ御了承を願いたいことは、きょうは幾つかの問題に掘り下げていくというよりも、政府当局の基本姿勢を確認して、それに基づいて次々とまた掘り下げていきたいと、かように思っておりますので、そのように御答弁をお願いいたしたいと思います。  まず第一点は、海洋博跡地利用についてであります。  海洋博の評価につきましては、私の聞く範囲内におきましては、いわゆる観光的立場から見てきた人の評判は、大変よかった、すばらしかった、こういう評価がほとんどであります、私の聞く範囲におきましては。ところが問題は、県民の立場から評価した場合には、いろいろと複雑な問題があることは御承知だと思います。言葉で表現するならば、だれのための海洋博か、何のための海洋博かという、こういう評価があるわけなんです。  そこで、長い目で見るという先ほどの話もありましたが、長い目で見たいけれども、それまでは待てないという緊急事態が連鎖反応的に展開してくるということなんです。倒産、あるいはもうすでに自殺した悲劇もあることは御承知だと思います。さきの沖特委の中で植木長官は、大阪万博の反省に立って、経済の落ち込みと物価高を心配しておるということをあの時点で話されておったと思う。そういった問題も含めてお聞きしたかったのですが、私は海洋博については、まず原点に帰れと、こういうことを強く要望したい。原点に帰れということはどういうことかというと、これは復帰記念祝賀行事であるということなんです。としますならば、結果的にも復帰してよかった、海洋博を催してよかったという、そして沖繩の平和経済開発の、言い古されてきた起爆力となるんだ、こういうことが建設の過程においても、開催の半カ年の期間においても、こうあってほしかったんですが、現実はそうではない。  しからば、私は将来に向けて、跡地利用に向けてということがすなわち長い目で見ればということになると思うんですが、跡地利用関連事業が非常に大事であると思いますが、この沖繩国際海洋博覧会記念公園として整備するということは、たしか七月十日の閣議で決定した、こう私は記憶いたしております。その決定に基づいて、一つ、管理運営の主体はどこか。二つ、公園として整備する区域はもう決まっておるのであるか、これから決めるのであるか。このことについて、そして決まっておるとするならば、公園内で残す施設は何何か、公園外で残す施設は何々か、このことももし決まっておったら簡単に御報告をまず願いたい。
  146. 井上幸夫

    政府委員井上幸夫君) 御指摘のとおり、海洋博会場跡地利用といたしまして、あの当該地域を公園にするという閣議決定は七月十五日になされております。それで約九十万平米の敷地のうち、公園にいたします地域は七十二万平米、残りは県独自での利用計画がございますので、残り十八万平米は当該公園から除外いたします。これは決まっております。それで、残します施設といたしましては、ただいまのところ人工ビーチ、それから水族館、それから沖繩館、それから日本政府出店でございます海洋文化館、それから国際三号館、こういうものが大体決まっておるというふうに申し上げていいかと思います。  なお、公園外に残ります十八万平米の沖繩県自体において利用する部分でございますけれども、この中にはいわゆる現在のエクスポランド、それから県が経営しておりますロイヤルビューホテル、こういうものが公園計画区域外に残るとお考えいただきたいと思います。  それから管理運営の主体の問題でございますけれども、これは御承知のように、都市計画法に基づく国営公園、こういう形で整備をしていくということは閣議決定がなされております。それで、やや細かくなりますけれども、都市計画事業でございますので、計画自身の発議者は都市計画法に基づきまして、たしか沖繩県知事、こういうことになろうかと思いますが、それを計画として認可するのは建設大臣、こういうことでございます。あとは国みずから直轄で行う事業として、公園整備事業は国の直轄であります。そのいわば結果といたしまして、管理運営主体は国ということに相なるかと思いますが、事実上、本土にございます国営公園の例にならいまして、細部の管理は新たに、仮称でございますけれども、管理運営財団をつくりまして、そこに委託するというかっこうになろうかと思います。ただし、これは委託でございますので、責任の主体はどこかと言われると、国だと申し上げるのが正確なお答えだと思います。
  147. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 大体あらましはわかりましたが、私が気になりますのは、公園として残すということになりますと、公園法に制約を受けて、残したいけれども、その面からこれを撤去しなければいけない、こういう問題が出てくると困るがなという点と、それから、どうしても跡地利用というのは沖繩開発、平和経済開発につながるものでなければいけませんので、やっぱり済んだ後も目玉施設というものが大事である。そういった目玉的なものがいろいろあるわけですが、私はその目玉をしぼって、何としてもアクアポリスだと。  一時は撤去するということもあったものですから。そのアクアポリスは、済んだ後も国際的に呼びかける目玉施設ではないか。それで、水族館は全国的に呼びかける一つの目玉でないか、沖繩館は県民的に呼びかける目玉でないか、このように私は評価いたしておりますが、それを中心として、さらに残すべきものをできるだけ残していってもらいたい。  こういうことと、それからもう一つ、これは私の要望も含めて、初めての沖繩での海洋博でありますので、それを永遠に記念するシンボルを残しておくということが、私は沖繩の永遠の繁栄につながる大事なことであると思うのですね。そういう点からは海洋総合研究所の新設をしていくということと、それから観光客の誘致という面から沖繩の、すばらしいと言わしてもらいたいが、すばらしい芸能文化を、まあ地場産業の育成も強調したいのですが、芸能文化を、誘致する国際あるいは全国的なこの呼びかけに結びつけて紹介していくところの、こういう国立劇場に値する文化会館と申しますか、そういうものもどうしても必要だ。こういうことを、計画があれば幸いだが、なければそれを私は要望して、いまの問題につきましては一応終わりたいと思いますが、もしありましたらお答え願います。
  148. 井上幸夫

    政府委員井上幸夫君) 約七十二万平米の土地につくる公園でございます。できるだけ私どもはオープンスペースをとりたいわけでございます。ただし、その中で初めから恒久施設としてつくられておりますものにつきましては残す。そういうことで、ただいま申し上げましたように海洋文化館沖繩館、水族館というようなものを存置する、こう考えたわけでございまして、公園の機能、おのずから一つ公園の機能でございますので、そこに余りにもいろいろな目的を持ち込むことはかえって問題かというふうに考えております。したがいまして、そこに劇場をつくるという構想はございません。  それからあとアクアポリスのお話なんですけれども、これは先ほど申し上げました公園区域の中に含まれておりませんので、これはおのずからお話の、何といいますか、今後の進展は別の問題かと思いまして、ただいまのところ私ども政府内部の分担といたしましては、アクアポリスの問題は通産省が担当するということになっておりますので、通産省にお尋ねいただきたいと思います。
  149. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 通産省、お願いします。
  150. 増山孝明

    説明員(増山孝明君) アクアポリスは海洋博の目玉の一つとして非常に高い評価を受けてまいったわけでございますが、沖繩県の方ではぜひこれを残していただきたいという非常に強い御要望があるということで、県民の御希望が強いということを県の方から私どもは聞いております。県の方では、この県民の御要望にこたえまして、県の責任においてこれを維持管理してまいりたいという御意向が非常に強いということでございますので、私どももこの県の御意向が実現できるように、目下関係方面と折衝しておりますし、予算要求もいたしております。
  151. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 それじゃ、もし私がいままで要望したことでまだ未計画なものは、ひとつもう一遍取り上げて再検討していただきたいということを要望しておきます。  次に移ります。  いま沖繩に起こっておる深刻な問題、先ほどからほかの委員も述べられましたが、失業対策の問題、これは十月現在で二万四千人、六%、そして本土の一・三倍以上。これはまさにもう異常であります。調査によると、完全失業率五%以上の社会は暴動の起こる要因があると、こう言われておるんです。それほど沖繩の失業問題は深刻その極に達しておるわけなんですね。ここに社会不安があるわけなんですが、現実の問題としていろいろのケースで犯罪が多発しておる。これもきょうは詳しくは述べませんが、そういった不健全な社会の基盤からもろもろの形で犯罪が続出しておる。こういうことが一つの重大な社会問題である。しかも、六%のうち男が六・四%になっておりますね。女が五・三%、平均六%と、こういう状況でありますが、私はこの失業問題は、このことを特に強調しておきたいが、憲法の保障する生存権、生活権につながる重大な問題であるということなんです。  どうかそういうお立場から、この失業対策の問題は労働省が中心として具体的に取り組んでおられると思いますが、そのことをお聞かせ願う前に、私は次のことを強調しておきたいと思います。  これはいろいろの要因があります。たとえば不況の長期化あるいは企業の経営不振、企業の倒産、あるいは当地労働者に対する一方的大量解雇、いろいろと沖繩の特殊事情からくる要因が一ぱいあるわけですが、特に私がここで政府に申し上げたいことは、日本経済の不況の規模とそしてその深さ、これを立ち直らせるいわゆる不況対策の弱さと遅さ、ここに一つの重大な問題がある。それを沖繩が濃縮した形でもろに浴びておる。  第二点は、安保体制のもとで、基地合理化のために国内法や労使慣行を無視した米軍の一方的な労働者の解雇を認めておる日本政府は、沖繩の失業者が深刻な事態に追い込まれておるにもかかわらず、何らその対策をとろうとしていない。何らその対策をとろうとしていないと言うことは少し言い過ぎかもしれませんが、それほど言わざるを得ないまでに沖繩の失業問題は追い込められておるということを私は強く促すために、それを申し上げた次第であります。  この失業問題について、労働省として取り組んでおられる、これも詳しいことはもう時間がありませんので、その基本的な姿勢、問題だけでも結構ですからお答え願います。
  152. 石井辰治

    説明員(石井辰治君) 沖繩県の雇用状態を改善していくためには、私ども恒久的な方策と緊急の方策と、この二点に分けて考えております。  まず恒久的な方策でございますが、これにつきましては、何と申しましても県内に雇用機会をつくり出すということと、もう一点は本土就職を促進する、この二点に尽きようかというふうに考えております。  そこで、第一番目の雇用機会の創出の問題につきましては、基本的には沖繩県内における産業の振興を図るということでございまして、こういう意味におきまして、最近、沖繩県におきましていわゆる第一次産業の見直しが行われ、あるいは工業開発地区の指定が進められてきておるということについて大きく期待をしておるところでございます。  それからもう一点は、しかしながら、こういった施策がにわかに効果を上げるとは考えられませんので、当面は、県外就職の可能な方につきましては広域職業紹介を推進していくというふうに進めております。広域職業紹介の問題につきましては、実は沖繩県と十分な協力をとることが必要でございまして、その前提のもとにいろいろな就職援護措置の活用なりを通じまして行うことにしております。なお、本年十月からは沖繩県全域を職業安定法第十九条の二の規定による広域職業紹介送り出し地域として指定をしております。  それから、これにあわせまして、いわゆる公共専業の増大ということが必要であるわけでございますが、公共事業につきましては、私ども、いわゆる失業者の吸収の問題につきまして努力をしてまいりたいと思っております。こういった施策にあわせまして、各種の職業紹介なり職業訓練の体制を強化するということにも努めてまいりたいと思います。
  153. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 ひとつ一刻も猶予できませんから、急いでください。  第三問に移ります。次には混血児の問題、これがまた沖繩の特殊事情で深刻でございます。その混血児の実態についてもいろいろ述べたいのですが、時間がありませんので問題だけ提供いたします。  ざっと三千名の混血児がおりますが、児童扶養手当、これは幸いに十月一日から適用されておる。これは非常に喜んでおります。児童扶養手当一万五千六百円、ここと同様ですね。特別児童扶養手当も重障が一万八千円、中障が一万二千円。この二つが去る十月一日から適用されておりますが、ここでお願いしたい二つの問題は、医療保険の適用がなされていない。ところが、市民の立場から理解ある沖繩市や那覇市はそれを適用するようになっておりますが、まだ全面的に適用されておりませんので、その医療保険の適用もしてほしいということと、第二点はアメリカンスクールを卒業して、日本の高校や大学への受験資格が与えられていないということなんですね。アメリカンスクールを出て日本の高校、大学に入りたいが、その受験資格が与えられていないので、ぜひ与えてほしい、こういう強い要望がございます。この混血児の問題はまた他の面からも社会問題、大変な問題がいろいろあるわけでありますが、この二つの点について、これは厚生省ですか、ひとつ。
  154. 舘山不二夫

    説明員舘山不二夫君) お答えいたします。  混血児の国民健康保険の適用につきましては、現行法体系のもとでは各市町村が決めるということになりまして、現に沖繩県では、那覇市初め四市が子供たちの国民健康保険の適用を認めているわけでございます。そのほかの市町村につきましても、現在適用を認める方向で動いております。私どももその方向で指導いたしてまいりたい、かように考えております。
  155. 白井實

    説明員(白井實君) 御質問のございましたアメリカンスクール卒業者の高校への入学でございますけれども、これは現行法令上では、高校への入学はちょっと不可能な状況でございます。  混血児につきましてでございますが、日本籍の者につきましては、これは当然小中学校に入学できる。アメリカ籍等の外国籍の者につきましても、現在沖繩県では希望があれば入学を認めておる状況でございます。したがいまして、混血児でも、アメリカンスクールの場合には、それは申し上げたようにちょっとむずかしい状況でございますけれども日本の小中学校へ入学してくれれば当然行けるという状況でございます。
  156. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 医療保険の点はひとつ積極的に行政指導をしていただくよう要望しておきます。  それからいまの、アメリカンスクールを出て、希望があれば高校、大学へ行けるとおっしゃるんですか。
  157. 白井實

    説明員(白井實君) いえ、アメリカンスクールを卒業した場合には、アメリカンスクールは各種学校でございますので、ちょっとむずかしいということでございます。ただ、混血児の方でも、日本の小中学校へ在学した者は当然高等学校へ行けるということでございます。
  158. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 そうしますと、アメリカンスクールは各種学校だから、いわゆる学校教育法の適用する学校を出ておれば当然高校、大学にも進学できると、こういうことなんでございますね。
  159. 白井實

    説明員(白井實君) そういうことでございます。
  160. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 わかりました。  次は、またこれも緊急な問題、沖繩の心臓病の子供の処置の問題でありますがね。沖繩の心臓病患者救済、従来、沖繩の心臓病の子供の検診を政府から派遣して、そしてそれをリストをつくって本土へ送っておったが、今回は、報ずるところによりますと、枠から外されて、これは予算の面からかどうか知りませんが、厚生省派遣、医の枠から外されて、九月以降患者送り出しが事実上不可能になっておると、こう報じておりますが、これが事実であるかどうか。もし事実であるとするならば、これはもう大変な問題であります。多分事実だろうと、こう思いますのは、もう待てないから心臓病の子供を守る会沖繩支部では独自の費用で専門医を招いて、去る十日から十二日の間に検診をコザの中央病院で行ったと、中部のですね、こういう報道があるわけなんですが、この検診を行ったことは事実だと私は認めますが、枠からはずしてもこれは専門医の派遣を中止すると、厚生省はそういう態度をとっておられるのであるかどうか、そのことをはっきり伺っておきたいと思います。
  161. 古賀章介

    説明員古賀章介君) 沖繩県に対します医療援助につきましては、沖繩県からの医師等の派遣要請計画というのが出てまいりまして、それに基づきまして専門医などの派遣を行っておるところでございます。また、緊急の派遣要請がございますれば、これも予算の枠内で許す限り専門医の派遣を行っておるわけでございます。いま先生御指摘の心臓疾患児の集団検診のための専門医の派遣につきましては、これも県からの要請に基づきまして従来派遣をいたしておりますし、今後とも継続して派遣する予定でございます。
  162. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 そうしますと、独自で招聘してやったということは、政府が予算の都合で無理だからできない、枠からはずす、こういうことではないとおっしゃるんですね。従来どおりずっとやる意思があるとおっしゃるんですね。
  163. 古賀章介

    説明員古賀章介君) 先生のおっしゃられるとおりでございます。本件につきましては、沖繩県の方に事実を確認したわけでございますけれども、県の方から私どもの方に派遣要請がございませんでした。
  164. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 わかりました。  次に、沖繩返還軍用地の地籍問題について、これは私案は、質問主意書を出してありますが、回答が遅いものですから、全部については触れませんが、どうしてもここで明らかにしておきたい点がありますので、これは開発庁、防衛施設庁になりますか、一つだけお尋ねします。  それは第二の昭和四十九年の十二月十八日の私の、質問に対して、政府はこう答えております。境界不明土地問題の対策を統一的に推進するため、中央に関係各省庁による沖繩境界不明土地問題対策連絡会議をつくる。現地には関係行政機関、沖繩県関係市町村及び関係地主による魔界不明土地対策現地連絡会議を設置するところでありますと、こう一年前に回答しておられる。これら二つの連絡会議はいつ設置されたか、これが一つ。二つ、その構成はどうなっておるか。三つ、その権限はどういうものであるか。また、これらの連絡会議は設置以来今日まで全く機能していないとの批判も聞いておりますが、現在までいかなる活動をしてきたか。また、政府としてこれらの機関を十分活用してきたと考えておられるかどうか。まずそのことを一問だけ。——予定の時間が来たようでありますので、続けて問題だけ提示しまして、答えはそれぞれの関係で……。  次の質問は、国鉄の導入について。国鉄の導入について沖繩県国有鉄道導入調査委員会調査の結論によりますと、早く鉄道を導入すべきであると、県民世論認否の八六・九%が導入を希望しておるというこの世論と結びつけて結論を出しております。それからフジミックの実施した国鉄導入アンケートの調査によりましても、八六・九%という積極導入の答えが出ております。この世論の上に立って、私としましては国鉄の恩恵のない沖繩のこれは当然の要求だと思っておりますので、これに対する御見解。  最後に、これまた大変であります。これは公有水面埋め立てに関連する問題でありますが、よくお耳に入っておると思いますが、CTSの問題に関連した六十四万坪の埋立地、それから海中道路の問題が東海岸にあることはおわかりだと思いますが、三菱の公有水面埋め立てによる環境破壊調査について、私要望がございます。  と申しますのは、その場所は、あるいはおわかりの方もおると思いますが、ここに地図も持っております。あるいはおわかりでない方もおるかもしれませんが、勝連村の浜比嘉を中心に調査をした結果であります。予想以上の破壊である。海底から取り出したどろ、ヘドロですか、これが大変である。それから浜比嘉の陸地、たんぼが二百坪海没しておる、沈没しておる。そこでこの事実の判断が、現地で調査した結果によると、海没が埋立地によるものであるかどうか、二つ、埋立地の両端では潮位に差があるということがはっきりわかる、三つに、埋め立てで潮流に変化があることは農民も確認している、こう素人調査も出ておるわけなんです。それから現地の政党も調査しておるようでありますが、そこで私お願い申し上げたいことは、これは運輸省になりますか、あるいは建設省になりますか、関係省庁は話し合っていただきたいと思いますが、速やかに建設省あるいは運輸省、関係省から専門家を派遣して調査をしてもらえるかどうか。調査してもらいたいという、確答をいただきたいということと、いつまでに調査を派遣されるか、そのこともはっきりしますればなおよろしい、こういうことです。  以上申し上げまして、それぞれの立場からの御回答をお願いします。
  165. 山田滋

    政府委員(山田滋君) 第一点の地籍問題につきまして私からお答え申し上げますが、御指摘のような連絡機関ですね、中央におきましては沖繩境界不明土地問題対策連絡会議というのが昭和四十八年四月に発足いたしております。それから現地におきましては境界不明土地対策現地連絡会議、これは昭和四十九年六月に発足を見ておりまして、その構成は、中央におきます会議は防御施設庁、沖繩開発庁、国土庁、それから法務省、これがメンバーになっております。それから現地の連絡会議は那覇防衛施設局、沖繩総合事務局、那覇地方法務局、それから沖繩県、これが構成メンバーでありますが、必要に応じまして関係市町村長あるいは関係地主の出席を求めまして、意見を聴取いたしておるのでございます。権限と申しましても、これはやはり連絡協議機関でございますので、あくまでもこの沖繩における境界不明土地問題を速やかに、しかも統一的に推進するために連絡調整を行う、そういうものでございます。  それから、どのように活用しているかということでございますが、これは実はこの問題につきまして、当然現在開発庁とそれから防衛施設庁で地域を分けまして分担をいたしておる関係もございますし、それから法律的な問題その他当然国土調査等の関係もございますので、国土庁あるいはまた法律的な問題につきまして法務省等の見解が調整されなければならないのでございます。したがいまして、従来必要に応じまして中央の会議あるいは現地の会議を随時開催いたしておりまして、ごく最近におきましても、私も出席いたしまして相当真剣な討議を交わしておる次第でございまして、この会議を十分今後とも活用してまいりたいと、かように思っております。
  166. 田中和夫

    説明員田中和夫君) 沖繩におきます国鉄の鉄道の敷設につきましてお答えいたします。  沖繩本島に国鉄新線存建設いたしますことにつきましては、現在まだ考えてない段階でございます。今後、沖繩周辺を対象にいたしましたモノレールの建設計画との関連、あるいは道路の現状、またその整備計画、こういった他の交通施設の整備状況あるいは計画というものを十分しんしゃくいたしますとともに、住民の足の確保あるいは地域開発効果、こういった観点に立ちまして今後慎重に検討してまいりたいと考えております。
  167. 鮫島泰佑

    説明員(鮫島泰佑君) 金武湾のCTSの埋め立てに関係いたします影響につきましては、沖繩県も現在十分に実態を把握していないという状況でございますけれども沖繩県といたしまして今後調査を行いたいということでございます。したがいまして、運輸省といたしましては、沖繩県及び沖繩開発庁協議をいたしまして、必要に応じまして調査に協力をしていきたいという考えでございます。
  168. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 ひとつこれも急いでください、もし現地からの連絡がおそいなら。
  169. 鮫島泰佑

    説明員(鮫島泰佑君) 早急に協議をしていきたいと思います。
  170. 古賀雷四郎

    委員長古賀雷四郎君) 本件の調査はこの程度にとどめます。     —————————————
  171. 古賀雷四郎

    委員長古賀雷四郎君) 次に、継続調査要求に関する件についてお諮りいたします。  沖繩及び北方問題に関しての対策樹立に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じます。御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  172. 古賀雷四郎

    委員長古賀雷四郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、要求書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ若あり〕
  173. 古賀雷四郎

    委員長古賀雷四郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時四十九分散会      —————・—————