運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1975-11-20 第76回国会 参議院 運輸委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年十一月二十日(木曜日)    午前十時三十一分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         宮崎 正義君     理 事                 黒住 忠行君                 平井 卓志君                 前川  旦君                 三木 忠雄君     委 員                 石破 二朗君                 今泉 正二君                 岡本  悟君                 佐藤 信二君                 橘  直治君                 山崎 竜男君                 青木 薪次君                 杉山善太郎君                 鈴木  力君                 瀬谷 英行君                 岩間 正男君                 和田 春生君    国務大臣        運 輸 大 臣  木村 睦男君    政府委員        内閣官房長官  海部 俊樹君        内閣審議官    吉野  実君        運輸省海運局長  後藤 茂也君        運輸省鉄道監督        局長       住田 正二君        運輸省鉄道監督        局国有鉄道部長  杉浦 喬也君        運輸省自動車局        長        高橋 寿夫君        運輸省航空局長  中村 大造君    事務局側        常任委員会専門        員        池部 幸雄君    説明員        大蔵省理財局地        方資金課長    高倉  建君        自治大臣官房地        域政策課長    久世 公堯君        自治省財政局財        政課長      石原 信雄君        日本国有鉄道総        裁        藤井松太郎君        日本国有鉄道旅        客局長      馬渡 一真君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○油濁損害賠償保障法案内閣提出、衆議院送  付) ○運輸事情等に関する調査  (国鉄職員スト権問題に関する件)  (国鉄料金値上げ等に関する件)  (花巻空港の拡張整備計画に関する件)  (道南バス株式会社経営状況に関する件)     —————————————
  2. 宮崎正義

    委員長宮崎正義君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。  油濁損害賠償保障法案議題といたします。  本案に対する質疑前回をもって終局いたしております。  これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにして御発言を願います。——別に御意見もなければ、討論は終局したものと認め、直ちに採決を行います。  油濁損害賠償保障法案を問題に供します。本案賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手
  3. 宮崎正義

    委員長宮崎正義君) 全会一致と認めます。よって、本案全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 宮崎正義

    委員長宮崎正義君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
  5. 木村睦男

    国務大臣木村睦男君) ただいまは油濁損害賠償保障法案について、慎重審議の結果、御可決をいただきましてまことにありがとうございました。
  6. 宮崎正義

    委員長宮崎正義君) ちょっと速記をとめてください。   〔速記中止
  7. 宮崎正義

    委員長宮崎正義君) 速記を起こして。     —————————————
  8. 宮崎正義

    委員長宮崎正義君) 次に、運輸事情等に関する調査議題といたします。  御質疑のある方は順次御発言を願います。
  9. 青木薪次

    青木薪次君 官房長官がまだ見えていないわけでありますが、運輸大臣に質問をいたしたいと思います。  一九四八年以来二十七年の間、連合軍の占領以来認めておりましたストライキ権が、マッカーサーによって剥奪されてから、公共企業体関係労働者公務員関係労働者は、スト権労働者基本的権利であるという立場に立ちまして、国民生存権と同じだという立場から、営々としてスト権の回復を目指して、国民と歴代の政府に対して運動を起こしてきたことについて、どういうように運輸大臣は理解されるか、その点、御質問申し上げたいと思います。
  10. 木村睦男

    国務大臣木村睦男君) ストライキ権は、申すまでもございませんが、労働者の基本的な権利として現在民間企業においてはこれを認めておるわけでございますが、いまお話しのような経緯をもちまして、公共企業体、あるいは政府機関についてはこれが認められていないのが現状であるわけでございます。これにはいろんないきさつが御承知のようにあるわけでございますが、概括して申し上げれば、国鉄のような公共企業体、あるいは国の事業、そういったものは国全体、国民全般に及ぼす影響の非常に大きな事業なり企業をやっておるわけでございますので、これがストライキによって一時間、一日、機能が停止するということは、はかり知れざる悪影響国民生活並びに国民経済に与えるものであるということから、現状ではこれが認められていないわけでございます。ただし、このストライキ権というものは、団体交渉における補完的な機能を持つものでございまして、ストライキそのもの目的ではないわけでございます。公共企業体といえども団体交渉権は認められており、今日まで団体交渉が行われておるわけでございます。団体交渉の結果をストライキという事態までに追い込まないで、うまくこの結果を実現するように労使ともに努力をしていこうという前提のもとに、今日までストライキ権が認められないままに団体交渉が行われておる、こういうふうに理解しておるわけでございます。
  11. 青木薪次

    青木薪次君 国鉄総裁にお伺いいたしたいと思いますけれども、総裁は、スト権については、条件づきではあるけれども付与論というものを、かつてわが党の堀政策審議会長衆議院予算委員会で質問したときに認めているわけでありますが、この中で、特にけさ新聞紙上等もにぎわしておりますように、民営移管というようなことを前提としていろいろ議論をされているようでありまするけれども、このことは国鉄経営実態というものを全く見ない、まさに木によって魚を求むるのたぐいのような議論をされているわけでありまして、われわれ運輸事情について若干なりとも考えている者にとっては、まさに荒唐無稽きわまりないというように考えているわけでありますが、この点について、スト権に対する条件づき付与論というものについては、これは将来とも変わりはないか、あるいはまた、専門懇議論されておりますように、地方交通線系の一万一千キロについては他の経営形態、たとえば民営論というようなものについて、これをすることが妥当だというようなことを意見としてまとめたかのごとき新聞がここ一週間以来ずっと続けてやられているわけでありますが、この二点についてひとつ詳細に経過を報告し、意見を出していただきたいと思います。
  12. 藤井松太郎

    説明員藤井松太郎君) お答え申し上げます。  まず第一点の争議権の問題につきましては、過日の予算委員会その他でもお答え申し上げましたとおり、当事者としての私どもの経験から、国鉄といたしましては次のように考えております。すなわち、現行法制のいわゆる行政処分だけでは争議行為抑止効果はもはや限界にきているのではないかと考えられます。したがいまして、国民の迷惑を最小限にする、ストを一回でも減らすという現実論から出発しますと、現状のままでいくよりも、一定条件をつけまして、いわゆるスト権を付与することは好ましいと同時に現実的である、かように考える次第であります。  次に、第二点の国鉄民営論につきましては、これも過日参議院予算委員会その他でお答えしたのでございますが、次のように考えております。すなわち、民営企業における能率性であるとか、自主性であるとか、弾力性といった面につきましては、参考にすべき点が多々あると思いますけれども、仮に国鉄民営とした場合、採算性が強調される結果、営利性の高い部門のみが重視されまして、不採算路線などは軽視されるに至る弊害を生ずる懸念が多分にございます。また、分割して民営にしたらどうだというようなお考えもございますけれども、全国的なネットワークを分割することからくる非能率性利用者の御不便ということの懸念が生まれると、かように考える次第であります。したがいまして、以上を総合して考えますと、民営では国鉄本来の使命達成がむずかしくなり、公共企業体としての現体制のままで民営の長所を取り入れながら運営していくということが、きわめて現実的でもあり望ましいと、かように考える次第であります。
  13. 青木薪次

    青木薪次君 運輸大臣にお伺いしたいと思いますけれども、いまの国鉄総裁が、国鉄としての立場からこのスト権について、あるいはまた、民営移管の問題について意見の開陳があったわけでありますが、スト権問題や当事者能力の強化について、運輸大臣所管大臣として、これらについてどう考えておるか。運輸大臣の所信の表明というものを、まだかつて聞いたことがないわけでありますが、主管大臣として、このことについて意見表明をしないということは、いささか無責任のそしりが免れないというように考えているわけでありますが、この点どう考えますか。
  14. 木村睦男

    国務大臣木村睦男君) いま国鉄は未曽有の時局に直面をしておりまして、この再建問題に腐心をいたしておるところでございます。で、その再建の方向といたしまして、私は二つの柱があると、こう考えておりますが、一つの柱は財政——もとより財政再建でございます。もう一つの柱は、やはり精神面における国鉄再建、この二本が一体となって初めて国鉄再建ができると、こういうふうに考えておるわけでございます。財政面再建につきましては、いろいろ現在検討をいたしておるところでございます。精神面再建について私は、これはもっぱら国鉄自体考えるべき問題であると、かように思いまして、総裁にもこの点については十分方策考えるように私は話しておるわけでございますが、いまの当事者能力の問題でございますが、財政再建をいたしますにつきましても、やはり労使一体となってこの再建に取り組んでもらわなければ再建はできない、その労使一体となって取り組む面は、やはり財政の面と精神的な面と両方あると思うわけでございます。ことに財政面等につきましては、職員給与改善、その他財政的な支出を伴うような団体交渉でございますが、この団体交渉等につきまして、公正に平等に交渉ができ、しかも、その場で妥結した項目につきましては、両当事者とも責任を持ってこれが実行できるような仕組みにしなければいけないと考えておるわけでございます。  そういう意味におきまして、現在この団体交渉の場で、いろいろ経済的な負担を伴う話が妥結いたしましたとしましても、予算あるいは運賃、そういう面におきまして、現在では国鉄総裁権限だけではどうにもならない面が非常に多うございます。国鉄監督をしております運輸大臣においてすら、全部運輸大臣責任ででき得る問題でもないというほどいろいろな制約があるわけでございますので、私は、国鉄再建に当たって、やはり当事者能力というものは、でき得る限り広範囲に当事者側にも与えるように処置すべきである。もちろん国民生活に重大な影響を持つ一つ企業でございますから、すべて総裁に任すというわけにもまいらぬかと思いますけれども、しかし、再建ということを考えます場合に、私は国鉄総裁にできる限りの、現在以上の権限を与えるべきであると、かように考えておるわけでございます。  スト権の問題につきましては、先ほど私が申し上げましたように、これはあくまでも団体交渉の補完的な機能を持つものでございまして、スト権そのもの目的で云々される問題ではないということはもう御承知のとおりでございます。したがって、労使交渉の場におきまして、まず団体交渉で約束されたことが、いずれも責任を持って実現できるということが、まず私は前提として必要ではないか、そういう背景の上に立ってスト権の問題、労働基本権の問題も考えらるべきである、かように物事の考え方の順序としては、私はそういうふうに理解をしておるわけでございます。  さて、しからば昨年来問題になっておりますこのスト権問題をどう処理するかということでございますが、ことしの秋ごろまでに結論を出すように努力するということで政府はお約束をして、今日検討いたしておるのでございますが、事のきわめて国民生活国民経済に及ぼす影響の重大であることにかんがみまして、この問題について結論を出しますために、現在関係閣僚協議会の中に専門家をお願いいたしまして、専門委員による懇談会というものを設け、そこでこの春、あるいは昨年の暮れ以来鋭意検討をしていただいておることは青木委員も御承知のとおりでございまして、この専門委懇談会結論もどうやら近々出そうな状況で、精力的に作業を進めてもらっております。これが出ますというと、関係閣僚協議会がこれを受けまして、協議会協議をし結論を出すということになろうかと思います。もとより運輸大臣は当面の協議会の一員でございますので、いま私の一人の考えで、このスト権問題をいかにするかという意見表明するのは適当ではない、かように考えて差し控えておるようなわけであります。
  15. 青木薪次

    青木薪次君 新聞報道によりますと、政府の、いま大臣の言われた公共企業体等関係閣僚協議会専門委員懇談会専門懇においては、十一月二十五日にも政府意見書を提出するということが言われているわけでありますが、この意見書内容は、経営形態を変えない限りスト権を与えるべきでないという分離付与論、これが多く、そうしてまた、一定条件をつけた上で、三公社現業に一括してスト権を与えるべきだという条件つぎ付与論意見をつけると言われているわけであります。このような意見書は、今日労働組合を納得させることができるかどうかという点について、大臣としてどうお考えになりますか。
  16. 木村睦男

    国務大臣木村睦男君) 専門懇結論が近く出るということで、いろいろ専門懇の中におきます各委員等意見等につきまして、新聞報道がいろいろされておりますが、これはあくまでも新聞報道でございまして、専門懇としてどういうふうな結論が出るかということは、われわれもまだ存じていないことでございますので、これが出ます前に、新聞でいろいろ言われておる一つ一つについて、所管大臣として論評を加えるということは差し控えるべきではないか、かように思っておりますので、ひとつ御了承を願いたいと思います。
  17. 青木薪次

    青木薪次君 大臣、それは答弁にならないですよ。やっぱりいまあなたの前段におっしゃったようなことでは、労働組合納得するだろうかどうだろうかというような点について、所管大臣としてもう少し中に立ち入った議論をしてもいいじゃないか。あなたも有力な三木内閣閣僚なんですから、しかも、一番重要な国鉄問題に対する責任者なんですから、スト権問題の解決というのは、たとえば国鉄とか郵政とか、こういう一番専門懇としてはスト権を与えたくないと言っている組織の皆さんに対して解決しなければ、国民世論はもとより、スト権問題の決着ということはあり得ないではないか、現実問題としてですよ。そういうように考えるけれども、所管大臣としてどうお考えになりますか。
  18. 木村睦男

    国務大臣木村睦男君) これは専門懇結論が出まして、その結論が即スト権に対する政府の見解ということには必ずしもなる仕組みになっておりませんので、専門懇専門懇としての意見が出まして、それを受けて閣僚協でいろいろ検討をし、その結果、この問題についての政府の最終的な結論を出すことになっておりますので、そういう仕組みでいま専門懇でいろいろ議論が闘わされており、その議論につきましても正式に専門懇から発表されたものでも何でもございません、新聞による推測の記事でございますから、そういう報道のされ方の中で言われておることについて、閣僚協でもって最終的な結論を出す、その閣僚協の一人である運輸大臣として、これについていまいろいろと意見を言うということは、これはやはり私は適切ではないと、こう思っておりますので、その点はひとつ御了承願いたいと思うわけでございます。
  19. 青木薪次

    青木薪次君 大臣、私は内容に立ち至ってどうこうといま言っているんじゃないんですよ。そうじゃなくて、国鉄とか郵政とか、あなたの所管としては国鉄なんですから、国鉄問題の、どういう形にしろ結論が出ない限り、スト権問題という三年越しの一番大きな課題であるこの件の解決はなり得ないということを考えるけれども、どうかということを言っているんですが、その点どうですか。
  20. 木村睦男

    国務大臣木村睦男君) とにかく、スト権問題についてどういうふうに結論を出しますか、これからの問題でございますが、一般に言われておりますのは、単純にストを認めるべきであるという意見、認めるべきでないという意見、また条件をつけて認めるべきであるという意見、その条件内容についてもいろいろ差別がございます。また、三公社あるいは五現業等について一括して認めるべきであるとか、認めるべきでないという議論、また、分割してその事業体によって区別すべきであると、まあいろいろいま分析すれば意見があるわけでございますから、それらについていま私がどう考えるかということは、やっぱりこの際責任大臣としては言うべき時期ではない、かように思っております。
  21. 青木薪次

    青木薪次君 けさ新聞に、専門懇国鉄分離論というようなことが出ておって、そのことについて自民党大勢として——これは新聞ですよ——自民党大勢としては、これは条件を厳しくつけて、そうして一括付与論ということが正しいじゃないかという意見が相当出てきているということを聞いているわけです。  で、いまのこの専門懇のメンバーをずっと見てまいりますると、これは官房長官も見えたから聞き直してもいいと思うんですけれども、労働問題について過去も現在も全くゆかりのないような人をほとんど大多数出しておいて、そうして、このことをもってどうこうと、専門懇結論を尊重して、閣僚協議会としてはスト権問題に対する決定的な要素とするような従来の言い方について相当問題があると思うのでありますが、副長官いかがですか、その点。
  22. 海部俊樹

    政府委員海部俊樹君) 専門委員懇談会委員二十名を委嘱いたしますときの経過については、私も就任時に事務局から詳しく意見をとったわけでございますけれども、各界各層代表の方から広く、高い次元に立っての意見を聞きたいということで御委嘱を申し上げたわけで、現場労働組合のことをよく知っていらっしゃる委員の方もおいでになれば、全くそういう現場組合とは関係のない学者、あるいは新聞論説委員の方などなど、各界各層から委員の方を御委嘱申し上げたというふうに承っております。
  23. 青木薪次

    青木薪次君 先ほど運輸大臣にも質問したわけでありますが、現実にこの三年越しスト権問題の決着ということは、国鉄とか郵政とか、こういうものの解決なくしてスト権問題の、どういう形になるか知りませんよ、解決はあり得ないと思うんですが、その点いかがですか。
  24. 海部俊樹

    政府委員海部俊樹君) これはやっぱり率直に申し上げまして、国民生活影響を及ぼすストをどうしたらなくすることができるだろうかという角度、あるいはもっと別に言えば、いろんな意味から、どうしたらこういった違法な行為をなくすることができるだろうかと、いろんな角度から、いろんな問題を通じて審議を進め、解決をしていかなきゃならぬことは、これは御指摘のとおりだろうと思います。
  25. 青木薪次

    青木薪次君 先ほどもちょっと聞いたわけでありますが、三木総理参議院予算委員会で、民営移管はこれは全く考えてないということを言ったわけでありますが、この点は海部長官もお認めになりますか。
  26. 海部俊樹

    政府委員海部俊樹君) それは総理のおっしゃるように、総理自身も現在は考えていらっしゃらぬだろうと、それでそういうお答えをなさったと、こう考えております。
  27. 青木薪次

    青木薪次君 三木さんは、言ったことは必ず実行すると、実行しないことは言わないと、こういうことを言っているが、そのとおり確認してよろしゅうございますか。
  28. 海部俊樹

    政府委員海部俊樹君) いつもそう申されております。
  29. 青木薪次

    青木薪次君 ストライキ処分、またストライキといったようなこの悪循環を断つことが何としてもこれは重要なことだということは、これは総理も、あるいはまた関係大臣も、国鉄総裁もおっしゃってきたとおりでありまするけれども、スト権を与えずに、この問題についてそのことを解決する方法ということについて、何かお考えがあったらひとつ聞かしてもらいたいと思います。
  30. 海部俊樹

    政府委員海部俊樹君) これは大変僭越なことを申し上げるかもしれませんが、スト処分悪循環を断ち切るために、スト権を与えずして解決する方法があるかとおっしゃいますと、これは話し合いによって労使問題を片づけていただければ、言葉をかえれば、ストをおやりにならなければ処分というものもないわけでございまして、できれば話し合いによって解決がしていただければなくなると、私はそう思っております。
  31. 青木薪次

    青木薪次君 これは、まあ副長官実態を見ないで、非常に苦しい答弁だと私は思うのであります。現実的に、私も関係してまいりましたけれども、労使関係というのはもちろん信頼関係が根底になきゃなりません。しかし、そのことだけではないんですね。私の田舎はミカン栽培地で、非常に過剰生産で困っておる。それで私はよく農村へ行って言うのでありまするけれども、青い実がなった木を切って、そうしてなるべくいい木を少なくして価格を維持しようとする。労働者が、自分のこの労働に対する対価が正当に買われない場合に、最終的に話し合いがどうしてもつかない場合に、ストライキが整然と行われていいじゃないかというように私は考えております。ミカンが、これはそのままどんどん町へ売っていけばミカン価格は安くなる。消費者は助かるわけです。ところが、あえて、なった木を切って、しかも、生産量を少なくして価格を上げたいという、これも一つストですよ、考えてみれば。そういうようなことが私はやはり国民基本的権利としてなきゃならないということを言っているわけです。その点についていかがですか。
  32. 海部俊樹

    政府委員海部俊樹君) そういう点に関しまして、まさにいま専門懇各界のいろんな御意見も出つつありますし、それから閣僚協も、そういう専門懇の集約したお答えが出てきますと、それを踏まえて関係閣僚議論をしていただくことに相なっておりますので、スト権の問題について、いまここで私がああだこうだと申し上げることは、やっぱりいまの状況から言って適当でないと思いますので、どうぞその点は御勘弁いただきたいと思います。
  33. 青木薪次

    青木薪次君 二十六日から大規模な、史上空前ストライキが行われるということについて、副長官もごらんのとおりだと思うんでありますが、きのう何かテレビで聞きますと、公労協との間における話し合いが決裂したとありますけれども、これはいかがですか。
  34. 海部俊樹

    政府委員海部俊樹君) 私は決して決裂をしたというような受け取り方をしておりませんし、きのう私が公労協代表の方と政府側窓口としてお目にかかりましたときも、前回首脳会談に飛び立つ前の十三日に公労協の方とお目にかかって、帰ってきたら直ちに組合の方に閣僚協として聞く会談の日時をセットしろと、こういうお申し出がありまして、私も一昨日夜帰ってきまして、直ちに長官事務局長と相談をしまして、明二十一日でいかがでしょうかという時間割りをセットして、それを閣僚協の窓口として公労協の皆さんに御返事をした。公労協の皆さんもきのう、それじゃ二十一日十時から来よう、場所はどこだ、われわれの言うことはどんなことでもいいのかというような内容についてのやりとりまでいたしまして、それでは来るからということでお帰りになっておりまして、私はあの雰囲気を必ずしも決裂したものだとは受け取っておりませんが、ただ一点私が答えの中で、二十五日までにそれじゃ結論を出すと、何でもいいからとにかく結論を出すということを約束せいとおっしゃったんですけれども、昨日の段階でとても二十五日にそれじゃ出しましょうと言って胸をたたける状況じゃございませんので、全くわかりませんので、二十五日に出せとおっしゃることだけは、これは、二十五日出しますというお答えはどうしてもいたしかねますが、なるべく早くやるように努力しておる最中ですので、その努力はお認めくださいと、こういうことで別れておりまして、明日は公労協代表の方にもおいでを願って十時から、これは官房長官労働大臣に出ていただいて御意見を聞くということがきのうセットされておりますので、決して決裂したという受け取り方を私はいたしておりません。
  35. 青木薪次

    青木薪次君 テレビの報道でありますから、私はいまの官房長官答弁の方を了といたします。二十五日までに結論を出すということについて、官房長官としても当面の責任者として、絶対に二十六日以降のストライキを回避するためにも、全面的に英知をしぼって解決するという信念に基づいてやっておられますか、どうですか。その点をお伺いしたいと思います。
  36. 海部俊樹

    政府委員海部俊樹君) もうそれは仰せられるまでもなく、そういう気持ちで皆が取り組んで努力もしておりますし、専門委員懇談会の方へも早く結論をお願いしますということも申し上げておりますし、明日組合側の御意見を聞くために閣僚の時間を供出してもらって、そういった場を組んでおりますことも、なるべく早く——お約束はできませんが、できれば二十五日までにできるだけのことはまずしてみようと、結論が出る出ないは別にして、できるだけの努力を示していこうということでありまして、まさにそのつもりでやっておる最中でございます。
  37. 青木薪次

    青木薪次君 時間がありませんからはしょりますけれども、二十三日、四日と連休でありますから、この前後に何としても三木内閣が、この二十六日以降、もう私どもと話をして、労働組合自身もなるべくストライキをやりたくないということで努力を重ねてきて、三年越しのこの結論について、専門懇が全くこのさっきも私は木によって魚を求むるのたぐいだと、いわゆる国鉄民営移管なんという問題を、これはもう二十九年以来ずっとやっているんでありまするから、こんなことをいま持ち出すなんということについては全く荒唐無稽な議論だと言ったんでありまするけれども、そういうことまでしてスト権を与えたくないというウルトラ組の意見というものが、今日本物の議論としてよもや聞いておられないと思うのでありまするけれども、この二十六日以降の問題について、何としてもこの一定の誠意ある回答、感触というものを、お互いにひとつ大人同士ですから与えて、そうして国民に安心させるようなことを、これは敢然としてひとつ副長官やってもらいたいと思いますけれども、いかがですか。
  38. 海部俊樹

    政府委員海部俊樹君) 閣僚協議会に所属される閣僚の皆さんにも当然そのことは御理解願っておると思いますので、閣僚協誠意を持って結論を出すように努力を続けていただきます。
  39. 青木薪次

    青木薪次君 国鉄や電電や専売等のいわゆる公社三当局が、現状のままで条件つきストライキ権を与えない限りやはりうまくないと、問題の解決はあり得ないということを言ったことについて、政府はこれをほんとうにこれらの回答については、いわゆる全体の意思であるということについて確認をしておりますか。
  40. 海部俊樹

    政府委員海部俊樹君) 場所は衆議院の予算委員会だったと思いますが、三公社総裁がそれぞれそういう発言をなさったということは、国会の場でもございますから十分承知をいたして、そういう意見を三公社総裁が持っていらっしゃるということは知っております。
  41. 青木薪次

    青木薪次君 十分までですから余り時間がありませんけれども、このストライキ権の問題等については前の内閣におきまして、内閣官房長官を長とする関係閣僚協議会を設置することにしたということは、労働基本権問題を真剣に検討する姿勢であるということがまず第一点であります。しかもこの協議会においては、「三公社現業等争議権等及び当事者能力強化の問題の解決に努力する」んだ、「この協議会における結論は可及的すみやかに」、このときに組合側は昭和五十年三月末日までに結論を出してもらいたいと言ったけれども、政府は二年を目途として五十年秋ごろ——すでにこの「秋」という解釈については副長官、もう十一月も真ん中を過ぎたわけですから、この問題についてはむずかしい問題であるだけに、三木内閣の将来を私は占うものだというように解釈しておりますから、その点について、言うばかりだ、有言不実行の内閣だというようなことをさらに言われないように、ひとつこの問題については二十六日以降の重大な情勢ということを考慮に入れながら、随時労働側の意見を聞きながら、誠意を持ってとにかく解決するようにしてもらいたい。しかも、この問題は酒、たばこ、郵便の問題なんという問題以上に重大な問題ですからね。ですから、そのことについてあえて私は質問したわけでありますが、その点でひとつ決意を最後に聞かしてもらって私の質問を終わります。
  42. 海部俊樹

    政府委員海部俊樹君) 口頭了解事項については私も十分に承知をいたしておりますし、また、その趣旨に沿って結論をなるべく早く出さねばならぬという考えで日夜仕事に取り組んでおりますので、鋭意努力をしておるということをここに申し上げまして御了承をいただきたいと思います。
  43. 青木薪次

    青木薪次君 忙しかったら私はこれであなたに質問終わりますから……。  そこで、私は運輸大臣に質問したいと思うんでありますけれども、公共企業体経営形態の変更について、国鉄総裁も、民営移管では国鉄として本来の使命は達成できないということをおっしゃっているわけでありますが、運輸大臣はその点についてどういうようにお考えになっていますか。
  44. 木村睦男

    国務大臣木村睦男君) いま私が主宰をいたしまして国鉄再建問題懇談会というのを開催をいたして、いろいろ再建について意見をお聞きしておるわけでございますが、委員の中でのお話の中にも、再建との関連において経営形態等も検討すべきであるという意見は確かに出ております。また、そういうことを主張される意見の中にも、われわれも大いに耳を傾けなければならないなというふうなこともあります。したがって、国鉄経営形態をどうするかという問題は、決して固定した観念としてあるべきものではなくて、常にこれは検討をし、研究をすべき問題であろうと私は考えております。  ただ、現状どうであるかということにつきましては、先般も、総理予算委員会の席上で明確に答弁しておりますように、現状では経営形態を変える意思はないとはっきり総理も言っておりますが、私も現状ではそう考えております。しかし、こういう問題は常に研究をしていくべき問題であると、こう考えております。
  45. 青木薪次

    青木薪次君 私は、ここで各種審議会が国鉄問題等についていろんな提言を、特に昭和二十九年の十一月も臨時公共企業体合理化審議会等が開かれ、会長は原安三郎さんでしたが、それ以降ずうっと今日まで国鉄問題というものについては何とかひとつ、いまの赤字問題という中において約二万一千キロの中における一万一千キロの赤字線区の問題等についてどうしたらいいのか。これは運賃を上げようが合理化しようが、どうしようが全くの赤字だ。しかも、中には百円もうけるために三千八百五十九円ですか、そういうような投資をしなければならぬ、経費を使わなければならぬというようなところさえある。こういうところを民営に移管するなんということについては、全く暴論だと言われても仕方ないわけでありますが、それくらいまで提言をしながら、実はスト権を与えたくないという問題に結びつけるという点について、当事者能力とよく言われますけれども、当事者能力ということを言われるのだったら、今日の国鉄財政再建の長期債務の問題とか、あるいはまた各種補給金だとか、この赤字線をどうするとかといった問題や、各種の利子をどうするかといったような問題や、工事をどうしていくんだというような問題等を私は議論してしかるべきだと思うのでありますけれども、その点について大臣の所見をお伺いしたいと思います。
  46. 木村睦男

    国務大臣木村睦男君) 現在の国鉄の赤字の状態、収支の現状、こういうものを考えてみますときに、ただ単に、簡単に赤字のところを切って捨てたらいいではないかという議論がよく行われておりますが、それには私は加担するわけにはいかぬと思います。  ということは、なぜ赤字が出てきたかという、よってもって来る原因があるわけでございまして、その原因を検討をして、その対策を考えた上で、なおかつ経営上非常に収支のバランスがとれないというときに、初めてそこで、そういった赤字、どうしても赤字から黒字に転換できないような路線について、どう処理するかということを考えるべきであると思いますし、また、いままで幾多のいろんな委員会、あるいは審議会等で、いま青木さんのお話のようないろんな意見が出ておりまして、私もそれを一つ一つ丹念に検討をいたしておるのでございますが、それらの意見もいろいろございます。非常に貴重な意見がたくさんその中にございますので、それらもいま検討しながら、再建策の中身をできるだけ早くつくり上げて成案を得たい、かように考えておりますので、いまお話しのようないろんな問題についても十分検討いたしておるわけでございます。
  47. 青木薪次

    青木薪次君 最後でありますけれども、国鉄の問題については、これは小委員会でさらにひとつ煮詰めていきたいというように考えておりますけれども、大臣も、いま海部長官がもう積極的に努力するということを言明して帰ったわけでありますが、あなたも、くどいようでありますけれども、国鉄とか、また郵政もそうでありますけれども、とにかく国鉄問題の解決がない限りスト権問題の決着はあり得ないという立場に立って、非常にいろんな珍論やしんにゅうのついた迷論とか、いろんなのが出てくると思うのでありますけれども、これを一々ひとつ退けていただいて、閣内でがんばってもらいたい、こう思いますが、よろしゅうございますか。
  48. 木村睦男

    国務大臣木村睦男君) やはり国鉄が一番私は国民の日常生活、国民経済に大きな影響を持っておる公営企業事業であろうと思っておりますので、その点につきましては、今回の問題の解決の対象としては、やはり国民国鉄を一番にいろいろと注目をしておられることであろうということは私も同感でございますので、そういう点は十分に踏まえて今後の問題に取り組んでいき、できるだけ早く結論を出すように努力いたすつもりでございます。
  49. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 国鉄総裁に一、二問御質問したいと思いますが、スト権問題についていま青木委員からいろいろと大臣並びに官房長官にも質問があったわけですが、国鉄総裁としては、これからの国鉄考えていく場合には、やはりストライキを公然とできるかできないかというだけの問題と切り離して、スト権の問題は、国鉄自体のいまの当事者能力をどうするか、どうあるべきかということについても当然考えておられると思うんです。  それと同時に、財政の問題についても考えなきゃならぬだろうと思うのです。きょうから急行料金と特急料金、寝台料金等が上がるわけですね。しかし、これは国会の審議を経ずにできることになっておりますけれども、この特急料金、急行料金等の値上げによって、一体どのくらいの収入増が見込まれているのか。これが国鉄財政にとってどの程度の潤いになっているのか。これで一体間に合うというふうにお考えになっておるのかどうか。とてもだめだというふうに思われるならば、なおかつ来年度はどうしなければならぬというふうにお考えになっているのか、その点をお伺いしたいと思います。
  50. 藤井松太郎

    説明員藤井松太郎君) お答え申し上げます。  第一点の当事者能力につきましては、私が申し上げるまでもなく、労使の問題は団体交渉で処理するというのがこれは原則になりますので、当事者能力の付与といいますか、強化と申しますか、これはきわめて望ましい、かように考えておる次第であります。  それから第二段の、いわゆる料金の問題でございますが、実は今年度の予算の見込み方が悪かったというようなおしかりもございましょうけれども、国鉄の収入がわれわれの予期以下に下がりまして、大体七百億ぐらいの収入に穴があく。と同時に、仲裁裁定などでも五、六百億の穴があくということになって、再建の問題を離れましても、今年度を切り抜けるのには国民各位に忍べるだけ忍んでいただいて、ああいう処置をとらざるを得ないというようなことで、あえてお願いしたような次第でございますが、しからば国鉄再建するのにどうだということになりますと、これも大問題でございますが、来年度はやっぱり根本的な問題を御検討願いまして、国鉄が自立できるという基盤を、料金のアップとは別個の問題としてひとつ御論議願いたいと、かように考える次第であります。
  51. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 まあ、大した足し前にはならぬだろうと思うのですよ、この急行料金、特急料金の値上げは。しかし、これは細かい点については、こう言っちゃ失礼だけれども、総裁に余り細かい点を聞いてもおわかりになるまいと思うから、その点は局長に聞きますが、きょうから値上げをされる特急、急行料金の値上げでありますけれども、やはり金を取る以上は、余り人をばかにしたことをしちゃいかぬと思うのです。たとえば、特急料金を上げる、だけれども、その特急が急行と実質的には大してスピードに変わりがない、こういうのは、やはり人をばかにしたことになるわけです。それから、急行料金を上げる。ところが、その急行が各駅停車と変わりがないということになると、これまた利用者をばかにしたことになる。そういう具体的な個々の問題については後ほど質問いたしますが、そのような、たとえば各駅と変わりのない急行から急行料金を取るというようなことは改めるべきではないかと思うのです。  たとえば関西では、京都−大阪間を新快速という電車が、急行料金を取らないのが十五分間隔で時速八十何キロで走っています。ところが、上野から北の方へ参りますとぐっと変わってしまって、これを大宮−上野間に例をとりますと、時速五十三キロですよね、急行が。時速五十三・四キロという急行が、なおきょうから変わった急行料金、値上げされた急行料金を取りながら走る。こんなことは、これはどう考えてみても不合理な話だと思うのです。  だから、どうしてもスピードが出せないという物理的な理由があるならば、五十キロの急行からは急行料金を取らないというようにすべきではないかと思うし、いわんや各駅よりも急行の方がのろいというような場合には、それらの急行は急行としての扱いをしないとか、あるいは銭を取るならば、せめて六十キロ以上のスピードで走らせるとかいうようなことを考えるべきではないかということが、私が総裁に対してお伺いしたいことなんです。総裁のお考え方をお聞きいたしまして、なお細部についてはまた御質問いたします。
  52. 藤井松太郎

    説明員藤井松太郎君) 御指摘のごとく、御利用者国民から料金ないし運賃をちょうだいするのでありますから、お支払い願う方の納得のいく線じゃないと困るということは、原則的にお説のとおりでございまして、最後にいろいろ御指摘があったような面は、これは急行料金であるとか、基礎運賃であるとかなんとか、距離の幾らから幾らまではこうだとかいう小さい規定をいたしますと、何といいますか、その境におきまして、全体的としては筋は立っておるんですが、その境において、何か遅いのに急行料金を取られたり、速いのに料金を取らなかったりすることも、これはまあやむを得ずと申しますか、生まれてくることがある。こういうようなことでございますし、いずれにしましてもこういうことは、御指摘のように、国民の御納得を得ることがきわめてむずかしい問題でございますので、改善すべきものは皆さまの御意見を伺って漸次改善していきたい、かように考えるのでございまして、原則は先生の御指摘のとおりでございますが、その境目において何とか説明のつかぬようなものが生まれたというふうに私は承知いたしております。よろしく、どうぞ。
  53. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 それじゃ、一つ一つの具体的な例については、担当者に私質問いたします。  しかし、現実に急行の方が各駅よりのろいといったような事例が出ている場合ですね、これはもう乗る人は気がつかないで乗るかもしれない。しかしよく調べてみると、そういう事実があったという場合には改めるべきだと思うのですよ。いたずらに格上げをして特急にしてみたところで、急行と変わりはない。あるいは、急行だけれども各駅よりのろい。こういうのは明らかに看板に偽りありということなんです。そういう看板に偽りのあることをこれ以上許しちゃいかぬと思うのです。それは改めさせると、そういう例は。境目の問題じゃない。たとえば、のろいけれども幾らか急行の方が速かったというならまた別ですよ。明らかに各駅よりのろいというような急行は、これは急行としての資格を備えさせること自体がこれはまあ詐欺みたいなもんですからね。そういう詐欺類似行為国鉄はやっちゃいかぬということを、これは総裁としても約束をしてほしいということなんですが、いかがですか。
  54. 藤井松太郎

    説明員藤井松太郎君) 詐欺行為に類するような解釈ができるようなことがあるとすればきわめて遺憾でございますので、こういうものは十分検討いたしまして、国民の御利用者の納得のいくような形に漸次持っていきたいと、かように考えております。
  55. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 じゃ、総裁結構です。あと、局長、あるいは担当者の方に質問したいと思うのです。  きょうから特急料金、急行料金、寝台料金、いろいろ上がりましたけれども、ダイヤそのものはちっとも変わっていないわけです。料金が上がったがサービスもよくなったというわけじゃない。サービスの悪いものは悪いままで料金だけ上がっておるわけです。  そこで、急行料金を取るというのは、一体どういう場合に取るのか。快速列車というのがあって、さっきもちょっと申し上げましたけれども、やっぱり急行のように速いスピードで走る——もっとも、速くなければ快速という名前がつけられませんけれどもね。急行だって急いで行くというふうに書くのだから、これも速くなければ急行の価値はない。で、どういうところに急行料金を取る根拠があるのか、あるいはまた、快速という名前をつけて急行料金を取らないという理由はどういうわけなのか、その辺をお伺いしたいと思う。
  56. 馬渡一真

    説明員(馬渡一真君) 御説明申し上げます。  急行列車の使命と申しますか、これはある程度以上の距離、中長距離のお客様をお運びするという目的で設定をいたしたものでございまして、その場合におきまして、その列車の始発から終着までの全体の時間が普通列車より早いという形で設定されておるわけでございます。普通列車の場合は、快速を含めまして、主として近距離のお客様、それぞれの区間で御利用になるお客様の輸送を目的として設定をしておるものでございます。  で、原則で申しますれば、当然急行列車は普通列車よりも速くなければならないということでございますが、具体的な問題になりますと、実はそこに非常に問題がございまして、ただいま御指摘のような結果が生まれておる区間がございます。それを特に高崎線に例をとって申し上げますと、実は四十八年の十月のダイヤ改正以前と以後とで考え方を多少改めたわけでございます。と申しますのは、急行列車、あるいは特急列車等と普通列車——通勤、通学輸送を含めました使命を持っております普通列車のそれぞれを、二本の線路の中でどのようにして両方を生かしていったらいいのかということで、線路のぎりぎりの使い方を研究した結果でございまして、それまでの、四十八年以前の場合を申し上げますと、普通列車は高崎−上野間で二回急行列車に追い抜かれるという形で設定をしておりましたけれども、やはりそれでは、余りに普通列車の方が遅くなり過ぎるではないかという御指摘がございました。それを一回を原則にするかっこうで、普通列車の抜かれる回数が一回という形での設定に変えたわけでございます。  その結果は、普通列車をそれまで以前よりは大分速くいたしましたけれども、逆に急行列車の場合は、そのようなダイヤを考えました場合は、速度を余り上げてまいりますと、前の普通列車にぶつかってしまうというようなことでございまして、むしろその区間だけをとりますれば、普通列車と余りスピードにおいて大差のないかっこうでダイヤができ上がっておるわけでございます。で、その場合に朝、特に通勤時間帯等は通勤列車のみを設定して、急行ないしは特急列車は東京方面に入れないという配慮もいたしておりますが、それ以外のところでは、やはり中長距離のお客様の層が相当厚いことでございますので、これらを無視してはダイヤはできないわけでございますから、どうしてもいまおっしゃいましたようなかっこうで、ある時間帯は普通列車を優先し、ある時間帯は中長距離の列車のために時間をあけるというようなかっこうで考えてまいらざるを得ないということでございます。なお、普通列車でも非常に朝早くとか、それから夜遅い場合に他の列車に邪魔にならない、邪魔になる列車がないというような場合は、これは走れるだけ走ろうというかっこうで走らしております。それがただいま御指摘になりました区間におきまして、非常に急行よりも場合によっては速い速度でその区間を走っておる列車があるというのも現実でございます。
  57. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 高崎線の例を調べてみましたけれども、高崎−上野間で所要時間がどのぐらいかと思うと、一つの時間帯の中だけを取り上げてみましても、あかぎ二号というのが一時間四十三分、信州二号と信州三号が一時間四十四分、あかぎ三号が一時間四十分、このぐらいの所要時間なんです。ところが、各駅停車のこの間にはさまっております八六六Mというのを見ますと一時間五十分です。百キロの間で六分か七分しか違ってないんですよ、これらの急行列車の所要時間というものは。そうすると、百キロで六分ということになりゃ五十キロで三分しか違わぬということになるわけですね。こういうのが急行列車として急行料金をちょうだいしますということを言っていいものかどうかということです。  特にこの列車が大宮−上野間に参りますと、急行の方が大宮−上野間三十分かかっておるわけですね。これは信州二号と、あかぎ二号というのを例にとりますと三十分かかっておるわけです。各駅の場合が二十六分で走っておる、こういう例がある。ところが、大宮から上野の間といえども、急行列車は急行料金をちょうだいしますと言ってホームで放送し、車内で放送し、また車掌が検札をすると遠慮なく急行料金をもらっております。ところが、大宮から乗るお客さんにしてみれば、横浜から横須賀線に乗るようなもんですね、これは。あるいは、湘南電車に乗るようなもんです。そういうつもりで乗るんだろうけれども、これは急行だから急行料金ちょうだいする。席がなくて立っている状態でも急行料金取るわけです。こういうのはどう考えてみても不合理じゃないかという気がするんですね。各駅の方が速いのに、こっちは急行だから急行料金取るというわけですよ。急行料金取るだけじゃない。定期のお客さんは急行料金だけいただくんじゃだめだというんで普通運賃まで取るわけですね。ごく三十キロ足らずのこの首都圏の中でこんなことをやるというのは、いかにもこれは国鉄のやり方があくどいというふうに思われてもしようがないと思うんですね。こういうことは、私はやめるべきじゃないかと思うんですがね。これは仕方がないというふうに見られるのか、こういう点を改めるというような考え方がないのかどうか、その点をお伺いしたいと思います。
  58. 馬渡一真

    説明員(馬渡一真君) 原則的にはその状態のままで置いておいていいということではございませんで、当然改めてまいりたいという気持ちは十分持っております。  ここでそこまで申し上げていいのかどうかわかりませんが、やはり中長距離輸送というものを使命といたします急行なり特急というものを、いまの同じ線路の中で普通列車と競合した形で運転するというところに、やはりどうしても無理な状態が出てまいるわけでございまして、その意味で新幹線をつくってということで、東北なり上越の新幹線をただいま工事を急いでおるわけでございまして、そのような形で長距離のお客様、中距離のお客様をそちらでお運びすることができるようになりますれば、当然現在の線路を、ただいまおっしゃられましたような区間を動かれるお客様のために全面的に使うことができるわけでございまして、ただいま大阪付近でやっておりますような各駅停車、あるいは快速、新快速というように、その区間でもそれぞれのお客様の御要望に従った列車の体系というものが可能になってまいるというふうに思っております。将来の方向としては当然改めてまいりたいというつもりでございます。
  59. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 それは線路容量が足りないから動かせないのだと言えばそれまでなんですがね。しかし、そういう場合には、どうしても物理的に急行を速く走らせることができないのだというならば、急行料金を取らないようにするのが本当じゃないかと思うんですね。もうこれは線路容量が足りないということはいまに始まったこっちゃないわけです。二十年も前から言われていることです。二十年も前から現場でも指摘をされていることをやってこなかったというのは国鉄の怠慢なんです。今日高崎線が黒字だ、いつの場合でも黒字のその筆頭におるということは、それだけやるべきことをやってなかったということにもなるだろうと思うのですね。  具体的な例を申し上げましたけれども、私も調べてみたんですけれども、熊谷−上野間でも急行、列車が一時間六分かかる、あるいは一時間三分か二分かかる。ところが、各駅で一時間二分、一時間三分で走ることはできるわけですね。こういうのろい急行に乗っけられて、そして急行料金だけちょうだいをするなんていうことは、どう考えたってあこぎなやり方ですよ。これは二級酒に特級酒のレッテルを張って余分な金取っているのと同じだ。さらに、これが大宮−上野間に参りますと、よくこれは学生なんかも乗るのでありますけれども、検札に会うと、これは急行だから急行料金のほかに普通運賃までもらう、こう言うのですよね。これは今度は定期券じゃ乗れないのだと、こう言うのです。それで普通運賃まで取る。しかも、この間の所要時間なんていうのはちっとも各駅と変わりはない。まごまごすると急行より各駅の方が速い、こういう状態なんです。この辺でこういう金の取り方するのは、これは二級酒に特級酒のレッテル張るよりもっとたち悪いです。ビールびんに小便詰めて売るようなものです。こういう、人をだますようなまねを、私はやむを得ないでもって見過ごしていちゃいかぬと思うのですよ。  今度の、きょうからの料金改正で、いままで二百円だったのが今度三百円に上がるだけです。この種のもう明瞭な不合理、矛盾に対して、何らの手を打たないということはいかぬと思う。だから、これはこの種の、のろい急行は、急行としての扱いをしないと、まあ各駅にとめたって時間が変わらない場合は、各駅停車に変えてしまう。あるいは、関西にあるような快速列車という形でもって急行料金を取らないようにするというようなことをやらないと、これは利用者をだますことになるんです。これから来年度について、いろいろと財政再建についてお願いしたいと、こう言っておりますがね、そういうことを利用者に対してお願いをしようと思うんならば、利用者をだますようなそういうまねは、私は速やかに改めるべきではないかと思う。そういうことをやらずに、漫然と現行のまんま高い料金を取るということについては、私は少しは良心的に考えたらできぬことだと思うが、どうですか。
  60. 馬渡一真

    説明員(馬渡一真君) 先生のおっしゃるようにその区間だけをとって、たとえば、いまおっしゃいましたような大宮−上野間だけをとりました場合は、本当に特急も急行も、あるいは普通列車も全く並行ダイヤで設定をいたしておりますために、時間差はもちろんないわけでございますけれども、やはりそれぞれの列車が目的地まで参りますということで考えた場合の時間差というのは、それぞれの列車ごとに、やはりその使命を達成するだけの時間差は持っておるわけでございまして、いまの東京付近の現状で申しますれば、東北線の場合は宇都宮から東京にかけまして、それから上越線の場合は、高崎からやはりこちら側に向かいまして、それから東海道新幹線が開通いたしますまでの東海道線におきましては、熱海から東京にかけまして同じようなかっこうで並行した時間ダイヤで、時間に差のないかっこうでの列車設定で、できるだけ多くの列車を走らせるべくダイヤをつくりました結果がそのような姿になっておるわけでございます。  ただ、それだからと申しまして、いま先生がおっしゃいましたように、その区間だけを利用する方に、急行列車に急行料金なしで乗せるというような形をとりました場合に、実はまあそれぞれの列車ごとに非常に乗車効率等の差もある場合もございますけれども、平均して急行料金を払って乗っていただいておりますお客様の数がやはり定員の前後、場合によっては定員オーバーをしておるような列車が現行でも相当ございますんで、やはりお払いいただいている方の方に、払っていただかない方が同時に乗り込んでくるというかっこうで、まあ混乱と申しては何でございますが、そのような形はやはりとりたくないというふうに思っておりまして、ただいま御指摘のようなかっこうは、やはり輸送そのものを直していきたい。やはり急行列車として設定をいたしたものにつきましては、それぞれの目的地へ行くための列車の使命というものを優先して考えてまいりたいというふうに思っておる次第でございます。
  61. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 結局、局長のいま言うのは、その長距離のお客から急行料金を取っておる場合と、近距離の客がただで乗る場合、ごっちゃになったんじゃ、金を取っているお客さんに申しわけないと、こういうことなんだけれども、それじゃ、私がさっき指摘したあかぎ号、信州号なんていう急行は、長距離と言えるかと言うと、百キロですよ、たかだかね。高崎まで、あるいは前橋あたりまでしか走ってないでしょう、あかぎ号なんていうのは。そうすると、この百キロの間で、さっきも言ったけれども、この急行と各駅でどのぐらい時間が違うかと言うと、六分か七分しか違わない。片っ方は一時間四十三分か四十四分、片っ方は一時間五十分で行けるようになっている。そうすると、金取ること自体が間違いじゃないかということになるわけです。  特にこれは快速列車というのと対比をしてみると、快速というのは金を取ってないでしょう。同じ東京から出る列車でも内房、外房といったような総武線関係、千葉の先へ行く場合も快速が走っておるわけです。それから中央線も快速が走っておるわけです。常磐線も、まあ快速のようなかっこうで走っておるわけです。ところが片っ方、高崎線、東北線だけは、わずか三十キロでも急行料金をがっぽり取られるということは、これは矛盾することになりやしないか。あるいは、このたかだか、高崎、宇都宮というと百キロぐらいですね。この間、なぜ上野から北のお客だけはこの区間——ほかのところでは取らない急行料金を、ここだけ取らなければならぬというのはどういうわけなんですか。上野から東北、高崎にかけて走る利用者に何か恨みがあるのかですね。この前もちょっと陳情団が言っておりましたが、御維新の戦争のときに、どうも上野から北の方は賊軍についたものだから、その恨みがまだ残っていて、こっちの方にだけ特別にサービスが悪くなっているんじゃないかと、こういう話がありました。こういうあからさまな差別というものは、これは改めるべきじゃないかと思う。理屈が通らぬと思うのですが、その点どうですか。
  62. 馬渡一真

    説明員(馬渡一真君) いま具体的にお挙げになりました線区で快速が走っておりますけれども、実は快速というかっこうで設定をしたものではございませんで、一部総武線には、はっきり快速として設定したものございますけれども、ただ普通、国電の停車駅を全部飛ばして歩いておるというかっこうでの設定でございまして、その意味で申しますと、大宮−上野間における現在の高崎線、あるいは東北線の普通電車の場合でも、各駅停車の国電よりは、やはり停車駅の少ないかっこうで運転はしておるわけでございまして、その点の差はないというふうに思っております。ただ御指摘のように、総武線の場合、千葉から先に快速を、この前の電化完成後に設定をいたしております。そのような意味考えますと、やはり高崎線あるいは東北線、常磐線等同じような趣旨で考えたらいいではないかと御指摘されるのも、私どももそういうことは当然将来考えてまいりたいという気持ちでおるわけでございまして、ただ現在の「あかぎ」なり何なり、百キロぐらいの距離の急行がどうしてできたのかということでございますが、これは逆に、その地域からの御要望が非常に強かったということで、設定当時の趣旨はそういうことでございましたけれども、ただいまの状態でそれから急行という名前で急行料金を取ることがいいのかどうかという点は、先ほど総裁お答えいたしました点にも該当すると存じます。これからの研究課題として取り組んでまいりたいと思っております。
  63. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 初代のあかぎ号というのは急行料金取らなかったですよ。快速列車と言った。ところが、途中でもって欲が出てきて、急行というレッテルを張れば急行料金が取れるという考え方に変わってきて、そうして、最初は金を取らなかったのが最近は金を取るようになった。ところが、近ごろの急行は特急のために十分もとまるなんというのが出てきた。あるいは、十一分もとまるというのがある。そういうことをやるんだから、もう各駅と余り変わりはなくなってしまった。だから、それは物理的にこれ以上速く走らせられないというならば、時速五十何キロだと、明治時代の急行と変わりないのだというならば、急行料金を取らないようにするのが本当なんです。関西じゃ八十何キロでもって急行料金取らないで走っているわけでしょう。何で五十何キロでもって急行料金を取らなければならぬか。それは山間、僻地でもって、勾配があり、カーブがあり、スピードが出ないというところならしようがないですよ。関東平野というのは別に山があるわけじゃないし、勾配があるわけじゃない。平野という点では関西なり名古屋近辺と条件はちっとも変わりはない。それなのに、単に線路容量が足りないというだけで、過密ダイヤだというだけで、のろのろ走っているわけです。のろのろ走っているのは利用者責任ではない。国鉄責任なんです。国鉄責任でゆっくり走らせざるを得ないんならば、急行料金を取るということがこれはまさしく詐欺類似行為になるじゃないかということを私は指摘したいのです。  そういうインチキなことをやっておって、新幹線に御協力くださいなんというようなことを言って、地元の住民が納得するわけはないでしょう。新幹線がいま問題になっている。新幹線を走らせれば何とかなりますと言う。だけれども、在来線をこういうばかにした状態において、新幹線の方だけ御協力ください、ただし新幹線が走ったって、あんた方にはちっとも利用価値はございませんよと言うんですから、これは地元が納得するわけはないんですよ。そういう地元を納得させようと思ったならば、この在来線のダイヤというものを、利用者に納得のできるような形にすべきじゃないかと思うんですね。特に急行、特急のために十分も途中で待たなきゃならぬといったようなのは、これは通勤ダイヤの中にそんな列車を設定するのは間違いだと思うんですね。これは、やはり改めるべきじゃないかと思う。  特に長距離の急行の利用者にしてみれば、何も十八時から十九時までの通勤ダイヤに乗らなくったっていい場合が多いんですから、こういう通勤時間帯、特に下りの通勤時間帯に特急、急行を割り込ましておくということは、これは通勤者にしてみればいまいましい限りなんです。そういう点は現行ダイヤを改善をするということを国鉄としても約束をすべきだと思うんですね。これは速やかにやるべきであろうと思うんです。それができないということになれば、これは新幹線の問題も地元の抵抗はますます強くなるということになる。その点をどういうふうにお考えになっていますか。
  64. 馬渡一真

    説明員(馬渡一真君) ただいま御指摘の場合は、夕方の帰りの通勤と長距離を走ります特急等の問題で御指摘と存じますが、朝につきましては先ほど申しましたように、長距離の列車は完全に二時間の時間帯を避けて東京に入れるようにいたしております。しかし、夕方の時間帯の場合は、当然夕方、東京まで来て仕事をされて、そして上越線の場合で申しますれば、長野なり新潟なりまで当日のうちに帰れる時間帯ということになりますと、ただいまの御指摘の時間帯にちょうど競合してしまうわけでございまして、列車本数等は数をなるべくこれ以上は入れないというつもりで考えておりますけれども、最低の本数だけはそれぞれの列車は各方面に出しておる次第でございます。  その場合に、先ほど御説明いたしましたように、普通列車がそれまではもっと悪かったのをある程度は直したというふうに申し上げましたけれども、これ以上の点を修正いたしますれば、完全に並行したダイヤでしか走れなくなるわけでございまして、ただいまの夕方の時間帯の列車設定につきましては、私どもとしては各方面それぞれの御意見はあろうかと思いますけれども、ただいまのところやむを得ないというふうに思っておるわけでございます。ただ、だからといって、全部何もやらないのかということではございませんで、先ほど私御答弁申しましたように、部分的な——部分的なと申しますか、非常に距離の短い急行等につきましての措置は検討させていただきたいと申し上げたわけでございまして、料金を本日から上げさしていただいたわけでございますが、それと同日には、やはり検討期間を要しますので、若干時間をいただきたいと思いますけれども、検討すべき点はあるというふうに思っておるわけでございます。
  65. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 運輸省の方にちょっとお聞きしたいんですが、この急行、特急料金の値上げ、ごく簡単に運輸審議会ではすらすらっと通ってきちゃった。今日、運輸審議会というのが値上げの隠れみのじゃないかということまで言われるようになっておるんですけれども、運輸審議会の構成そのものが、まあわりあいと一方的な構成になっておるということも考えざるを得ないんじゃないかと思う。そこで、何といったってこれは運輸省自体が認可したことなんですから、この急行料金の設定に当たって、単にこれによってどれだけの収益を上げる、率をどのくらいにするということだけを考えて、個々の問題について考えないというのは私はおかしいと思う。やはり監督官庁としては、明らかに指摘できるような矛盾点はこれは改めさせるというくらいの力がないと、これは監督官庁は単なる飾りになっちまうと思うんですがね。これはその点、運輸審議会でかなり突き詰めた論議が行われているのか、あるいは、その場合に附帯決議のような形でもって注文がつけられているのか、過去においてそういう注文なんかついたことはないと、イエスかノーかで単に決まっちまったということなのか、その点は一体監督官庁としてはどうなのか、お伺いしたいと思うんですがね。
  66. 住田正二

    政府委員(住田正二君) 運輸審議会では運賃の額、この場合は料金——急行、あるいは特急の料金の額について審議をしていただいているわけでございますけれど、これに関連いたしまして、ただいま問題になっておりますダイヤ設定の問題についてもいろいろ御意見が出ているわけでございます。で、ダイヤ設定の問題、いまお話がございました特急と急行、それから急行と普通列車との間の特に時間差の問題について非常に不合理な点が多いんじゃないかということは、これまでこの委員会でも御指摘を受けておりますし、また衆議院の方でも、運輸委員会でいろいろ御指摘を受けているわけでございます。また、利用者の方からもいろいろ疑問が出されておりまして、私どもといたしましてもその点はいろいろ検討はいたしているわけでございます。  今度の料金の公聴会でも、幾つか事例を挙げて公述人が不合理を指摘いたしております。たとえば、いま御指摘の高崎線に関連する問題でも、これは臨時急行でございますけれど、特急に一本、それから急行に二本抜かれる急行があると、これはおかしいんではないかというような御指摘も受けているわけでございます。で、確かに特急、急行、普通列車の間にアンバランスがあることは事実でございまして、まあその中にはやむを得ない事情によるものもあろうかと思います。たとえば、特急などの例をとりますと、地元の要望でぜひ特急を設定してもらいたいということで設定している、しかし時間的にはそう余り変わりがないというような問題、また、ただいま問題になりましたような普通の汽車と優等列車とが並行して走っている並行ダイヤをとっているようなところにおきましても、いま問題になりましたような、スピードは出せないということで余り差が生じないということもあるわけですが、しかし、先ほど来国鉄の方から御説明申し上げておりますように、急行には急行のやはり使命があるわけで、したがって、たとえば上野−高崎間はただにするということになりますと——ただにするといいますか、急行料金を取らないということになりますと、一般のお客さんが乗られる、そういたしますと、大体急行というのは二百キロぐらいを対象に設定されているわけでございますので、その二百キロぐらいのお客さんが座れないと、まあそういうお客さんにとっては非常に不便な結果も生ずるわけでございまして、上野から水上まで行くのに、高崎までは普通でその先は急行になるということも、やり方としては考えられないことではないわけでございますけれど、そういたしますと、水上まで行くお客さんはなかなか座れないということで、そういう利用者にとっては逆に不便な場合もあろうかと思います。  しかし、先ほど申し上げましたいろいろなアンバランスの中には、説明のつくものとつかないものとあるわけでございまして、この説明のつかないようなものについてはどう解決したらいいか、今後いろいろ検討はいたしたいと思っておるわけでございます。特に今回の運輸審議会の審議におきましても、いま申し上げましたような点が指摘されておりまして、私どもといたしましても、国鉄をこれから指導いたしまして善処するということを運輸審議会の方に申し上げているわけでございます。
  67. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 それは、この線路容量が足りなくて、過密ダイヤでどうにもならぬという場合には、そこでもって特急優先主義をとるから間違いになるんじゃないかと思うんですね。そういうところは、特急だからといってむやみやたらと何個列車も待たしておくということをしないようにすべきだと思うんですよ。これは道路だってそうですよ。渋滞する道路じゃ幾ら急いで走ろうったって走れないです、これはね。道路があいてくれば自動車だってスピードが出せるわけです。線路だって同じことなんです。込み合っている線路でもって特急だけ走らせようとすりゃ、ほかの列車は犠牲にするほかない。  私も何回か経験しておりますけれども、特急がおくれて来ると、そのために急行列車であっても、普通列車であっても待避させられる。そうすると、いまのダイヤは高崎線に入って上越線と信越線の両方の急行を並べて走るようになっている。どっちかがおくれて来ると、十分とまるところを二十分とまらなきゃいけない。こういうことがちょくちょくあります。こういうようなことはちょっとおかしいんじゃないかと思うんです。特急がおくれたんなら、そのおくれは特急だけにとどめておいて、ほかの列車まで道連れにしないようにすべきではないかと思うんです。ほかの列車まで道連れにするということになると、これはもう迷惑をこうむるものが何倍にもなるわけですね。そのくらいの配慮をこの過密ダイヤの、この線路容量の足りない線区では当然考えるべきだ。それが困るんならば複々線にするとか、線路容量をふやす工夫をするとかいうことを当然やるべきですよ。それをやらない以上は、このダイヤの面で無理をしないということを当然考えるべきじゃないですか。  さっきちょっと触れましたけれども、あかぎ二号、あるいは信州二号というように、百キロの区間でもって各駅停車と六分か七分しか違わない。これが熊谷−上野間になると各駅停車よりものろくなる。大宮−上野間になると、これまた各駅停車よりものろくなる。こういう事例があるんですからね。こういう事例がある以上は、これは、たとえば行政不服審査等でもって訴えられた場合に取り上げられるかどうか。その点は運輸省としての見解はどうですか。
  68. 住田正二

    政府委員(住田正二君) ダイヤの設定につきましては、運輸省は許認可をいたしておるわけではございませんで、単に届け出の受理ということになりますので、行政不服審査法の対象になる問題ではないというように考えております。
  69. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 ダイヤのことを言っているんじゃないですよね。今度運輸省が認可した急行料金が上がったわけでしょう。その急行料金に相応する急行列車であるかどうかということについて訴えられた場合にどういうことになりますか。
  70. 住田正二

    政府委員(住田正二君) いまの問題は、料金の額が高いか安いかという問題ではなくて、ダイヤの設定が妥当であるかどうかという問題であろうかと思います。
  71. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 私がダイヤのことを例を挙げたのは、これはいままでから不合理だったんだけれども、それに対して急行料金が今度上がるわけですよね。三百円に上がるわけです。そうすると、たとえばこの三十キロの間、時速五十何キロの急行列車に対して三百円の急行料金を取るということは、これはちょっとおかしいじゃないかという問題が出てくるわけです。そういう点、運輸省の方では機械的にこれを見過ごしてきたわけなんだけれども、しかし、他との比較等を考えてみた場合にこれは明らかに矛盾しているんじゃないか、合理的であるというふうに考えられれば別だけれども。いま局長自体が言っておるように、確かにこれはおかしい点があるということになれば、これは問題になりはしないんですか。
  72. 住田正二

    政府委員(住田正二君) ダイヤ設定の問題について先ほど申し上げましたように、いろいろ利用者の方から御不満が出ているわけでございまして、その中には先ほど申し上げましたように、説明のつくものもあれば説明のつかないものもあろうかと思いますので、そういう点については今後国鉄を指導いたしまして善処をしたいと、かように考えておるわけでございます。これはあくまで行政指導の問題であって、行政不服審査というような問題ではないというように理解いたしております。
  73. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 行政指導が的確に行われりゃいいけれども、行政指導が、これから善処いたしますということだけで何も行われないということになると、やはりこれは行政当局の、監督官庁としての責任問題にもなるんじゃないかということになると思うんですがね。その点はどうでしょう。
  74. 住田正二

    政府委員(住田正二君) 運輸省が国鉄に対して一般的な監督権を持っておりますが、その監督の中身というのはいろいろあるわけでございまして、ダイヤについては、先ほど申し上げましたように、国鉄は運輸省に対して届けだけをするということでありますので、その届け出されたものについて行政指導をする、それによって運輸省の責任はその程度の責任であるというように考えているわけでございます。
  75. 宮崎正義

    委員長宮崎正義君) 午前中の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午後零時六分休憩      —————・—————    午後一時四分開会
  76. 宮崎正義

    委員長宮崎正義君) これより運輸委員会を再開いたします。  運輸事情等に関する調査質疑を続行いたします。
  77. 鈴木力

    ○鈴木力君 私は、いま問題になっております花巻空港のあり方についてお伺いをしたいと思うんですが、実はちょうど大臣がいらっしゃらないもんですから、最初に私の御質問申し上げる意図を先に申し上げておきますけれども、いわゆる当局の何といいますか、法律に基づく手続なり、あるいはそういう仕組みの中のどうこうと、そういうことを言うつもりはございませんで、そうではなしに、いまの現状でおやりになっていることが、政治的に言っても妥当なのかどうかという点からの御質問を申し上げたいわけで、したがいまして、あとで大臣にもそういう点でお伺いしたいと思いますが、まずもって、よけいなことは余り申し上げませんが、たとえば花巻空港の今度の拡張整備計画にいたしましても、県内でもずいぶんいろいろな意見がありまして、賛成論もあれば反対論もある。いずれにいたしましても、四十六年度の計画が非常にいままでずるずる延びておるわけです。その延びておるにはそれなりの理由があって延びておるわけではありますけれども、そういうさまざまな問題を抱えておりながら、たとえば、せんだって公聴会を強引にやったわけであります。そういう形で花巻空港の拡張を急がなければならないという理由といいますかね、あるいは花巻空港の拡張をしなければならないという理由、これがどうも、もう局長さんもすでに御存じのはずなんですけれども、たとえば岩手県の地方紙なり、あるいは東京紙の岩手県版なりのそれぞれの論評も、その点に非常に大きな疑問を持っておる、県民もそこに非常に大きな疑問を持っておるわけなんです。したがって、そういう観点から花巻空港の拡張を必要とする理由、そういう点についての説明を、まずひとつしていただきたいと思います。
  78. 中村大造

    政府委員(中村大造君) 現在の花巻空港を、岩手県が申請をいたしておりますようなかっこうで拡張することが妥当かどうかと、こういう点については、これは現在その申請事案について審査をいたしておる段階でございまして、いまだその結論は出ていないわけでございます。ただ、第二次五カ年計画以来、航空の将来ということを考えました場合に、花巻空港について考えますと、これをジェット化する必要がある、こういうことは第二次五カ年計画においてもその方針が打ち出されておるわけでございますし、また、第三次の五カ年計画は現在これは策定中でございますけれども、その中で将来の需要予測というものをいたしました場合に、またいわゆる航空のネットワークというものを形成するための一つの基盤というものとして考えた場合に、花巻空港というものが、ジェット化する必要があるということは言えると思うわけでございます。ただ、それをどのようにやるかということについて、具体的に県当局の申請事案をどう処理するかはまだ結論を出していない状態でございます。
  79. 鈴木力

    ○鈴木力君 もう少しざっくばらんな話をしていただかないと、私が一番先に申し上げたように、手続的にどうこうということを言うつもりはございませんと申し上げたので、まだ決定をしていない、しかし、県の計画を運輸省が公聴会を主宰してやっているわけですから、そうすると、その第二次五カ年計画の中に花巻も入れておるわけですから、そうすると花巻なら花巻というものに対する一つの見解というか、将来の計画なりそういうものがあるはずなんです。もう少し一般的でなしに御説明をいただきたい。
  80. 中村大造

    政府委員(中村大造君) 第二次五カ年計画で考えておりますジェット化計画というものは具体的に先ほど申し上げましたように、現在の滑走路をどのようにやって、空港の規模をどのようにするというところまで決めておるわけではございませんので、ただ最初申し上げましたように輸送需要、これは新幹線というものが開通するということも前提といたしましても、やはり東京−岩手ゾーンと、そういうものだけをとってみても、現在のYS11の今後のあり方を考えますと、やはりジェット化する必要がある。花巻空港を維持するという前提に立つ以上はジェット化する必要がある。そういう前提で第二次五カ年計画に取り上げておるということでございます。
  81. 鈴木力

    ○鈴木力君 もう少し具体的に私は聞きたいのですよね。まず、最もしろうとっぽい話から、それなら聞いてまいりますが、県民が疑問にしていることの一つは、いまプロペラ機が飛んでおる。これは乗車って言いますか、飛行機に乗る時間から含めて一時間二十五分ですか、到着するまでにですね。それがジェット機になると一時間になる。大体飛んでおる時間の差が二十分か二十五分のはずなんです。そうすると、岩手県の人々は、一体二十五分を争わなければならない人はどういう人がいるんだろうか、これが第一の疑問なんです。ジェット化しなければいけないということを時間帯から物を説明をしていくと、そういう疑問が出てくる。したがって、問題は時間帯ではないところに理由があるはずなんです。そこを言っていただきたいと、こういうことなんです。
  82. 中村大造

    政府委員(中村大造君) この時間の短縮というものは、もう先生よく御承知のように、距離が長くなるほどその差が大きくなるわけでございますから、その点に関する限りにおきましては、東京−花巻間の距離におきましては、この時間短縮の程度というものは、さらに遠距離のものに比べると小さいということは言えると思います。ただ、現在のプロペラ機、YS11機というものは、これは物理的にも、また経済的にも、そのいわゆる耐用命数というものが近い将来くるということでございまして、しかも、その後継機というものは、このプロペラ機についてはこれは見出すことができないわけでございます。したがって、そうなると物理的な耐用命数、経済的ないわゆる効率性ということを考えましても、これはやはりジェット化しなければならない、そういうジェット化した場合には当然一機当たりのいわゆる搭乗人員というものはふえるわけでございますので、そういう面から言っても経済的な効率が高くなると、こういうことになるわけでございます。したがって、単に現在花巻だけについて考えますと、現在の一時間二十分がそれを何分短縮すると、これだけのためにジェット化をするということではございません。  それから、これはまあ将来のことでございますからわかりませんけれども、必ずしもこの花巻空港がジェット化した場合に、その路線というものは東京−花巻ということだけに限度するわけではございませんので、やはり全国的な航空ネットワークというものを形成することになろうと思いますので、そういう点でのメリットというものは将来出てくると、こういうふうに考えておるわけでございます。
  83. 鈴木力

    ○鈴木力君 話はあちこちになりますけれども、いまの御答弁のうちから将来の予想があるわけですね。搭乗人員の予想をこの計画をつくる資料として出しているわけです。必ずしも東京−花巻だけじゃない、他の都市からの花巻と結ぶという計画もある、これはまあ当然そういうことになると思いますが、この第二次計画の、その計画の最終年度の搭乗人員の予想を東京−花巻、あるいは大阪−花巻というように、どこからどこまで何人という予想をしておられるわけですか。
  84. 中村大造

    政府委員(中村大造君) 第二次五カ年計画におきましては、東京−花巻の想定輸送需要を百万人、それから花巻−千歳につきまして二十五万人、こういうふうな予想をいたしておったわけでございます。もちろんこれは第二次五カ年計画の全体の輸送の想定自体が、現状におきましては相当これを修正しなければならないということは当然でございまして、第三次の五カ年計画におきましては、新しいいわゆる経済見通しというものを前提にいたしまして、新しい輸送需要の想定をいたしておる、こういうことでございます。
  85. 鈴木力

    ○鈴木力君 その新しい予測というのはどれくらいになっているのですか。
  86. 中村大造

    政府委員(中村大造君) これは現在作業をいたしておる段階でございまして、まだ確定したわけではございません。ただ、現在作業をいたしております段階での一応の想定といたしましては、東京−花巻間が、昭和六十年度でございますけれども、今後十年先には約四十万から四十二万程度になるんではないか、こういうふうな計算がされておるわけでございます。
  87. 鈴木力

    ○鈴木力君 その他の地域は……。
  88. 中村大造

    政府委員(中村大造君) それから花巻−千歳が十万、それから花巻−大阪が約七万強でございます。そのような一応の計算をいたしておるわけであります。
  89. 鈴木力

    ○鈴木力君 つまり、六十年というのがいまの第二次計画の最終年度になるわけですね。といいますか、花巻空港でいいますと、五十年から六十年までというのを見てやっておるわけですが、そこで、まず第一の疑問は、この搭乗人員の見通しにつきましては、最初に昭和四十六年に計画を立てたときの昭和五十年現在は、いまの三万幾らというはずじゃなかったわけですね、それは幾らになっておりますか。
  90. 中村大造

    政府委員(中村大造君) 第二次五カ年計画を策定いたしましたときにおける五十年度のいわゆる旅客数は十八万人を見込んでおりました。
  91. 鈴木力

    ○鈴木力君 そうでしょう。十八万人を見込んで計画をスタートしたわけです。その計というのが幾らかといいますと、昭和四十八年度で四万七千、それから四十九年度は大体三万八千人くらいと、こう見られておる。そうすると、十八万の計画が狂いも狂ったり、四分の一になっているわけですね。もっともそれは、理由は皆さんの方は挙げられるわけです。要するに便数が少ないから、そして羽田の空港が満杯だから便数をふやすわけにはまいりませんという説明があるわけですね。したがって、YSの搭乗人員が、定員が少ないものですからこういう数字になる。そういう説明は一応は成り立っている。しかしそれにしても、まず第一回目の予測が四分の一ぐらいに狂っている。そういう羽田が満杯になることなんかは四十六年度に見通しがつかなかったはずはない。いわば需要数をふやして拡張計画を持っていこうとする、私に言わせれば、県民に大げさな数字を示して、必要度をもって誘い込もうとしている手のうちだったというふうに見ているんです。そういう見方をする人が岩手県には非常に多い。  でありますから、今度、いまお伺いしましたように、昭和六十年度に四十万人とかいう数字を挙げたにしても、これが狂わないというような、あるいはほぼ正確にいくんだという根拠は何もないわけでしょう。それは便数を幾ら飛ばすとかいう紙の上に書いたものは出てくる。特に私は——私はというよりも、これは岩手県民がほとんど共通して言っていることは、東京−花巻はなるほどそうだけれども、よそもありますと、こう言う。よそもありますと言うけれども、いま伺っただけでも、たとえば千歳−花巻間が十万、計画どおり動いたにしても四分の一ですね。大阪−花巻間が仮に運航をしたにしても七万、こういう形になってまいりますと、ほとんど大部分は東京−花巻です、比率からいいますと。昭和六十年度にはどんなことがあっても新幹線が通る。ですから、航空局で恐らくいまの、さっきの時間にしますと計算済みだと思いますよ。新幹線が通りますと、果たしてこの計画がこのとおりいくかどうかということですね。これはもちろん、時間がありませんから、山陽新幹線が通ったので中国や九州の空港等の飛行機の利用者がどれだけ減ったかということはもう省略をいたしますけれども、あの実績だってもう明らかなんです。  特に花巻の場合は、何か学問的な数字で、五百キロからは飛行機の搭乗者が多くなるという数字が出ている。出ているけれども、花巻というあの空港の場所と盛岡という関係から見ると、ほとんど盛岡に行くということを、一応のどこか基準をつくるためにはそうつくらなけりゃならないわけですから、そういうことになりますと、時間がどうなる——これは一応県が計算したものがあるのですが、岩手県の。霞が関から岩手県の県庁まで行く時間は、現在の列車、特急を使った所要時間でいいますと七時間五分、それから新幹線が出たとしての時間帯からいいますと三時間二十分、これは霞が関から県庁までですよ。それから現在のYS11で、飛行機を使ったとして三時間五十分。ジェット機になって三時間。そうすると、新幹線とジェット機になった飛行機との間に、霞が関から県庁までは二十分しか違わない。そういう現状のときに、どうして一体いまの航空需要者を確保できるのか。  これは、私は統計的には余りその資料を持っておりませんけれども、いまのYS11がいつでも満杯になって、そうしてなかなか座席をとることが困難だ、それはそのとおりです。ですから、便数をふやせという声は確かにあります。ただし、満杯になっていった、搭乗者がふえていったカーブと、恐らく東北本線の満席になっているこれとは大体一致しているのじゃないかという感じがしますですね。たとえば私個人のことで申し上げますと、私は空港からうちが近いものですから、県庁へ行くよりはもっと時間が縮まりますけれども、それにしても東北本線のいま特急列車というのはほとんど満席が多いわけです。そのために飛行機をという、これが相当にいまもあるわけです。だから、いまのこの数字に狂いがないかということが、計画どおりに数字がこう並んではくるけれども、そんなことにはならないじゃないかという疑問が非常にある。これはしかし、局長さんの方は、いや正しいんだと言うけれども、その正しいんだということは将来のことですから、これはすれ違いの議論をするしかないのかもしれません。そういうことが一つある。  だから、恐らく第二次整備計画では全国で一億三千万人を見ておる。しかし、第三次ではこれの半分程度にこれを手直しするということになっているんでしょう。いまの数字はあるいは手直しした結果ということになるかもしれませんですけれども。そうすると、花巻も当初百三十万ですから六十五万人というふうに手直しをする。これは機械的に全国平均で、全国が半分に手直しをするから花巻も半分に手直しをするという形のものは、私は少しきめの荒い物の言い方だと思うんです。そうでなしに、私がいま申し上げたような花巻なら花巻という地域の特徴を、地域性をもう一つ見なければ即断ができないのではないか、そういうケースをもって計算をすると、この数字はきわめてあいまいだ。それは一遍十八万と出して三万七千という現状であるということからいっても、恐らく局長さんは、鈴木力さんはけしからぬという攻撃はできないはずです、実績持っているんですから。そうでしょう。  そういう中で、もう一つ私はお伺いしたいのは、この際いろいろな新聞等にもいろいろ出ておりますけれども、六十年という年数をこれから将来を見ておると、新しい飛行機の開発ということが考えられるはずです。たとえば、アメリカのS何とかというのがありましたですね。それからオランダですか、オランダのフォッカーというようないろんな飛行機がもうすでに、滑走路の短いので旅客用飛行機がいま開発をされつつあるわけです。そうしますと、どうしていまそれを無視して、県民がいろいろな問題を抱えておるときに、あわてていまこれをむりやりやらなければならないのかという疑問が一つあるわけです。そういう点についてはいかがですか。
  92. 中村大造

    政府委員(中村大造君) いわゆる滑走距離の短いジェット機が外国において検討され、開発されつつある、また現に千五百メートル程度の滑走距離で離発着し得る、こういう性能を持った航空機が現に存在することば確かでございますけれども、やはりわが国において考えました場合にいろいろな条件があるわけでございまして、そういう条件のもとでしか千五百メートルの滑走路が使えない、こういうことではやはり一般論としてはいけないのではないか。これは将来の技術開発の問題でございますから、私も今後五年先にそういうものが絶対あらわれるはずがないということは断言できませんけれども、現在航空局の技術陣で検討しておる限りにおきましては、たとえば花巻の千二百メートルの滑走路において、現在開発されておるジェット機がいかなる条件下においても安全に離発着できる、こういう保証はないということでございますので、現在の段階で考える限りにおいては、やはり二千メートルに延長するということが妥当ではないかという結論にならざるを得ないということでございます。  それから、先生先ほど需要予測についていろいろ御指摘がございまして、これは将来のことでございますから、私もこれが必ず間違いないということを言うつもりはございませんけれども、しかしながら、決して東京−花巻の輸送需要というものを第二次、第三次の全体の輸送需要の伸び、輸送需要の予想から逆算いたしまして、きわめて単純に何分の一にしたとか何とかということではこれはもう絶対ございませんで、その予測の仕方、計算方式、どういう条件をどのように入れておるかという点については後ほどまた御説明を申し上げますけれども、各路線ごとに、各地域ごとに、その将来の流動予想を想定いたしまして、また、他の交通機関というものとの関係も十分具体的に配慮して割り出した予想がこのようなものであるということでございます。  それから航空というものについては、やはり鉄道輸送、その他の陸上交通輸送と比べた場合には、これはもう量的に言って比較にならないわけで、陸上交通の輸送量の何%だとかといいましても、これはもう微々たるものでございますけれども、御承知のように伸び率というものを見ると、やはり航空の伸び率というものは他の交通機関に比べて飛躍的に伸びておると、こういうことでございますので、私は、航空の将来をどう考えるかということでございますが、やはり私どもが予想をいたしておるような需要というものは、他の条件において大きな変動がなければ、私は荒唐無稽なものではないというふうに申し上げられると思います。
  93. 鈴木力

    ○鈴木力君 私が申し上げますのは、もう時間が余りないものですから細かい議論をする時間がないわけです。また、細かいことを伺う時間も実はございませんですが、ただ、いまの需要見通しにつきましては、どう考えても、一律じゃないとは言うけれども、平均のところに持ってきていることは間違いないですね、花巻を。つまり、全国で一億三千万人というのを見ている。それを第三次で半分の六千五百万人ですか、そこに修正をしている。花巻の方は、当初は百三十万と言われておったわけですね。それが今度は六十五万人という数字で出してある。という形になると、全国の平均で持っていってるわけです。そうすると、その計数というのはどういう形で生み出したのかということのもっと点検をする必要があると思うんです。これは正直言って、私は一番先に言いましたけれども、第一回目の計算が十八万人ということでスタートをした。実績は三万七千人。羽田が満杯で便数をふやせないものですからという理由だけでは、なるほどそうですがと言える数字には少し、余りにも数字が違い過ぎると思うんですね。  そういうことが私どもはまだあると思うんです。それは何かと言いますと、さっきから言いましたような五百キロという距離というものは、すれすれの五百キロの距離に花巻は置いておるけれども、花巻−盛岡間ということも計算をしなければいけない。新幹線というものも見なきゃいけない。そういたしますと、もちろん私は航空需要がこれから減っていくなんというような乱暴なことを言うつもりはありません。それからまた、航空政策といいますか、航空事業をさらに整備し、拡大をして、時代の要請にこたえていかなければならないということに反対するつもりは毛頭ございません。そういう中で、しかし、その地域に見合ったものに持っていく行き方が無理をしないようにということだと思うんです。その辺の点検がということで、私は最初に申し上げたように、なぜことし無理してやらなければいけなかったかというところに一番の疑問を持っておるんですが、時間の都合もありますから。  もう一つの重要な理由があると思うんです、私の方の申し上げている理由の。理由といいますのは、私は取り急ぐべきではないという立場で物を言っているわけですから。それから航空局の方は、できればことしでも認可するんだという構えなわけですから。できたら私は、いまの千五百メートルなら千五百メートルの滑走路で離着陸できる航空機が開発をされておる。航空局の方では採用するつもりはありませんと言うけれども、新聞報道によりますと、航空会社の方からこれを採用してくれという要請があったという記事さえあるんです。飛行機を運航する方はそういうことを望んでいる。これは滑走路が延びるのがおくれているからという理由もあるらしいけれども、技術的には可能だということにもなっておるわけです。そういう点の見通しといいますか、もう少し推移を見てということでも、私は、花巻の方は仮にジェット化するにしでも、その他の手だてをしてからでも間に合う、そういうことで申し上げておるわけでありますが、そのもっと大きな、もっと大きなといいますか、もう一つの理由は財政ですよ。  この計画によりますと、全体の計画が百六十八億円ですね。ところが、昭和四十六年の計画では、最初の計画では六十一億円だったんですね。六十一億円の財政規模の計画でスタートをして、そして今度公聴会でかけられた計画は百六十八億円。まあ狂乱物価を経て日本列島改造論のあおりがこういう形になって出たといえばそれまでの話ですよ。ところが、そういう百六十八億円という事業費のうち補助金は幾らでしたっけ、二十何億かでしょう。——まあいいですよ。大体百四十六億円が県費負担になるわけですね。でありますから二十二億が補助金です。そうすると百四十六億円が県費。しかもそのうちの、県費の直接の持ち出しは七億円でありますから、百三十九億円が起債財源になっておる。こういう膨大な数字になっておる。しかも、その百三十九億円というこの起債財源も、大体の計画を聞いてみますと、第一期工事の終わる五十二年までの計画なんです。そうすると、六十一億で発足した計画が百六十八億円になってるように、その第二期工事のあたりからはこれでいけるという保証は、これもまたないわけです。  まあ一応そこは抜きにいたしましても、岩手県は、よその県よりもなお一層地方財政がいま困窮を来しているときなんです。こういうときに、あえてことし無理に強行しなければいけないという理由がどうしてもわからない。それはさっき私が言いましたように、需要見通しからいいましても、あるいはまあYS11が製造禁止になっておって、もうプロペラ時代は物理的にもたないんだという説明もあります。しかし、この計画を見ますと、昭和六十年でもYSを使う計画になっておるんですから——もちろん全部じゃありませんけれども。YSはまだそこまでは使える形にはなっておるわけです。そうして、昭和六十年度にそういう状態の計画であるのに、花巻空港の完成は昭和五十六年度を見ておるわけでしょう。そこにまだ四年間のゆとりというものがあるわけです。その四年間を前に持ってきていろんな条件検討するということもあり得る。そういうことから考えて、私はいまのこの需要——需要といいますか、財源の逼迫しておるときに、しかも当初の計画の三倍を超えている金額をいま強引に決めなければいけないというのがどうしてもわからない。  それで、きょう、実は自治省の方においでいただいておるわけですし、大蔵省の方にもおいでいただいておるわけでありますが、余り自治省、大蔵省の方を長くお引きとめしてもぐあいが悪いから、もういまの点についてひとつ先にお伺いしておきたいんですけれども、まず自治省からお伺いいたしますが、こういう莫大な起債の認可ということを自治省は、ことしの地方財政を締めているときにどう見ておりますか、まず伺いたい。
  94. 石原信雄

    説明員(石原信雄君) 花巻空港の整備に関連いたしましては、岩手県当局から現在地方債本年度分として五十三億三千七百万円の申請が出てきております。で、この起債申請についてどうするか、現在まだ内部で検討中でございますが、最終的な結論を得る前提といたしましては、運輸大臣の施設変更許可がなければ起債許可ができませんので、施設変更許可があった段階で、財政状況等をも勘案の上で許可をするかどうか判断したいと、このように考えております。
  95. 鈴木力

    ○鈴木力君 私は、手続のことを聞いているんじゃないということを最初から言っているんです。もちろん大臣の許可がないところに起債認可するなんてばかなことを自治省がするとは思って聞いているわけじゃありません。そうじゃなくて、地方財政がこれほど困っているときに、たとえば、自治省は何かというと、すでに人件費どうのこうのと大騒ぎをしておるときに、そういうときに、私に言わせれば空港がまだ二年や三年はそんなに急がなくてもいい。仮に航空局長答弁されているような計画が必要であったとしても、それにしても二年や三年はあわてなくてもいい。それなのに、この莫大な起債をする用意があるかないかじゃなしに、そういう起債をした事業をいま地方が興すということを自治省がどう見るのかということを聞きたいんです。たとえば、知事にも、あるいは管理職にも人件費を何%か返上、これは自治省が指導したわけじゃないにしても、それほどまで追い詰めて、それから人件費も一つ一つ点検して高いとか安いとか言っておる。人事委員会の勧告どうのこうのと言っておる。そういう中で、こういう事業をいま興させる時期なのかどうかということなんです。いかがですか。
  96. 石原信雄

    説明員(石原信雄君) 御指摘のように、地方財政現在大変窮迫しております。それだけに、私どもは一般的な指導方針として、その地域において真に必要とする事業、緊急に必要とする事業に重点をしぼって事業を執行するようにということを、財政運営のあり方として御指導申し上げております。ただそうした中で、個々の団体がどのような事業を選択するか、どのような事業に優先度を与えるかということになりますと、最終的には、やはりその地域の団体の判断の問題になると思います。その執行当局及びこれを審議する議会の場において論議されて、将来県民の負担になる事業として何が必要であるか、何が優先さるべきかということの結論が出されるものと考えております。そういう意味で、私どもといたしましては、県当局が最終的に、どうしてもこれは県民のためにこの事業が最優先であるという判断で申請してくれば、その意見を尊重して判断をせざるを得ないと、このように考えております。
  97. 鈴木力

    ○鈴木力君 こういう御答弁をいただきますと、私は課長さんじゃだめです。最初から政府委員と申し上げたのですけれども、課長さんでなければ都合が悪いとおっしゃるからそれでもいいと言ったけれども、いまの御答弁——もっとも課長さんの答弁としては私はごりっぱだと思うんですよ。答弁けしからぬと言っているわけじゃないんです。そうじゃなくて、こういう議論になると、もっと議論を広げなければいけないということなんです。  もし県当局がそういう判断をするなら自治省はそれを認めるということが、自治省全体でそういう方針であるなら、余りにもことしは人件費がどうこうというようなことの干渉が多過ぎやしませんか。それが県の、自治体の選択なんですということなら、自治省のやっていることはいまおっしゃったとおりやっていないことがあるでしょう。そういう面から考えて、いまのような、しかもこれは新規の事業ですからね。継続事業じゃないんです。新規の事業に対してこう莫大な起債をしようというとき、しかも県費から七億も持ち出そうとするとき、適当な年なのかどうかということを私は聞いている。県から来ればそれになんぞというような手続論を聞いているのじゃない。手続論は私も法規を指導してもらえばわかるんです。どうですか。
  98. 石原信雄

    説明員(石原信雄君) 私ども財政運営のあり方としまして、ただいま御指摘ありましたように、人件費などについても、もちろん現在の地方公務員法、あるいはその他の法規のたてまえと、それから現在の財政制度の原則に従って、地方団体としてはどうあるべきかという御指導を申し上げておるわけであります。具体的にたとえば給与をどうするか、個々の指導というのは申し上げておりません。一般的なたてまえ、一般的なあり方を御指導申し上げておる次第であります。  建設事業につきましても、私どもとしましては個々具体のプロジェクト、個々具体の事業計画が国の立場からいいか悪いかというような判断はできるだけ避けるようにいたしております。もちろんその事業計画の際の財源の見通しとか、あるいは将来の負担とかについてはわれわれとしての意見、見通しなどは申し上げますけれども、最終的にその事業をその団体の許された財源の中で選択するかしないかというところまでまいりますというと、やはりその団体の判断が中心にならざるを得ない。国の立場からこれはこの際やめておいたらどうだというようなことば差し控えるべきではないかというように考えておるわけであります。
  99. 鈴木力

    ○鈴木力君 そうするとあれですか。新規の事業を持ってきて県が出した場合には、県の要求してきた起債というのは一切認可になるものと聞いていいですか。
  100. 石原信雄

    説明員(石原信雄君) 私ども各自治体の申請される事業につきまして、もちろん地方債計画の枠、あるいは国全体としての事業の方針、こういったものがありますから、それとの関連で判断してまいります。どんな事業でも自治体が持ってくれば認めるということではございません。ただ、まあ……
  101. 鈴木力

    ○鈴木力君 わかったよ。委員長、時間がありませんから。  そこで、私は聞いているのは、しつこいみたいだけども、どんな事業でも県からくれば認めるわけじゃございませんというのは最初に言ってもらいたかったんです。そこで、この事業が適当な事業なのかどうなのかということを私は聞いているわけです。来た場合にどうするとか、そんなことを聞いているんじゃない。いまこの財政が逼迫しているときに、新規にこういう膨大な起債をする事業を興させることが自治省としては適当なのかどうかということを聞いている。それだけ聞いている。よけいなことを言わぬでほしい。
  102. 石原信雄

    説明員(石原信雄君) 空港整備事業、特に今回の花巻の空港の拡張事業が必要かどうかということは、運輸大臣事業の認可等によって判断せざるを得ないと思います。
  103. 鈴木力

    ○鈴木力君 そんなこと決まっているんだ。そんなことわからぬで聞いているんじゃないですよ。
  104. 石原信雄

    説明員(石原信雄君) はい。私どもがこの事業がいま適当であるかどうかという判断は差し控えさせていただきたいと思っております。
  105. 鈴木力

    ○鈴木力君 こういうことでしょう。課長さんの守備範囲で言えることと言えないこととあるだろうから、それは私はわかっていて聞いているんですからね。結局空港の認可は運輸省がやることですから、それは自治省が認可していいとかいけないとかいうことは言わなくてよろしい。また言うべき筋合いでもないし、言う立場にない。おっしゃることよくわかる。ただ、だから、この事業がもし延期してもよろしいという場合には、延期する方がよろしいのが自治省の本音なんでしょう、いまの財政の緊迫しているときに。延期することが是か非かは自治省が決めることじゃないにしても、少なくともそういう条件なしに財政事情からすれば、できれば延期してほしいというのが自治省のいまの財政指導の本音じゃないですか。私はそれを聞いているんです。どっちなんですか。
  106. 石原信雄

    説明員(石原信雄君) 私どもこの花巻空港の整備事業が現時点で、いまの財政状況の中で延期すべきかどうかという点については、やはり最終的には岩手県当局の御判断に待たざるを得ないと、自治省がどうすべきかという判断はすべきでないと、このように考えております。
  107. 鈴木力

    ○鈴木力君 だから、そうなってくると、いまのような財政需要が逼迫しているというけれども、県が必要と認めて最終的に決めてくれば起債は認可されるものと、これは花巻空港に限らぬわけですよ。いまそういう状態なんですかということを聞いているんです。どうです。
  108. 石原信雄

    説明員(石原信雄君) 現在の財政状況全体の中で、確かに御指摘のように地方財政非常に緊迫しております。ですから、その中で選択さるべき事業というものは、真にその地域の住民のために必要であるということに一般的にはなると思います。ただ具体的に、この花巻空港の拡張事業がそれに該当するかどうかという判断になりますというと、自治省の判断じゃなくて県当局の判断にならざるを得ないと思います。
  109. 鈴木力

    ○鈴木力君 何遍も言うように、最終的な判断を課長さんにしてくれと私は頼むつもりはないんですよ。最終的な判断は運輸省がするだろうが、財政を預かるというか、指導の責任者である自治省とすれば、でき得れば延ばしてほしいというのが本当じゃないのかということを聞いているんです。延ばさぬでもいいということですか。でき得ればということをつければ自治省だって言えるはずだ。どうです。
  110. 石原信雄

    説明員(石原信雄君) 先生、一般的な財政考え方ということであれば、私どもとしては、今日の財政状況のもとでございますから、本当にその地域として必要な、緊急性を有する事業に重点をしぼった事業を執行していただきたいということば常に申し上げておるところでございます。
  111. 鈴木力

    ○鈴木力君 後で、もう別の機会にでも、また地方財政の問題、別のテーマででもお伺いしなければいけないんでしょうが、大蔵省からもおいでいただいておるんですけれども、いまの、大蔵省の立場からしたら、これも一つの仮定の上ということになるから、あんまり先を見通してお答えにならぬで素直に、簡単にお答えいただきたいんですがね。つまり私は、国の財政から言いましてもことしは、大騒ぎをしておるこの特例法まで出して、赤字公債まで発行しなければいけないというようなそういう状態になっているときだけに、これは少なくとも私は緊急やむを得ない、どうしてもことしやらなければどうにもならぬという事業は別にしても、そういう場合は別にしても、延ばし得るならやっぱり延ばすべきという指導が——指導がと言いますか、大蔵省もそういう立場だろうと思うんですけれども、どうでしょう。しかし、いや、来れば資金はたっぷりありますからと、そう言うならそれでもよろしいですけれども、大蔵省の考え方をお伺いしたい。
  112. 高倉建

    説明員(高倉建君) ただいまの御質問の趣旨が国の財政という問題でございますと、私、予算を預かっておりませんものですから、その立場からはお答えはしかねます。  地方債の許可に絡む狭義の立場ということでございますと、先ほど石原財政課長からお話しありましたとおり、なかなか大変な時勢でございますので、極力緊急必要なもの、優先度の高いもの、地域の住民生活に必要なものというのに厳選をしていただきたいというのが、私どもの考えられることば先生御指摘のとおりでございます。ただ、国の財政と同様に地方の財政もなかなか大変な時勢でございまして、いわゆる借入財源に相当よっていかなきゃならぬということは事実でございます。したがいまして、国債だけを優先させるというようなことではなく、適正な地方行財政運営上必要な地方債につきましては、自治省とも十分御相談しながら認めてまいらなければならぬというのが基本的な立場でございます。
  113. 鈴木力

    ○鈴木力君 だから、もしも、いまおっしゃったことに、本当は大体もうそういうことだろうと思いますけれども、たとえば、いまのこの花巻空港なら花巻空港ということに限って言いますと、私はどうしてもその、ことしこれだけ財政が逼迫しておるときに、どうして無理してやるんだろうというふうに見るもんですから、したがって、できればこれを延ばした方がいいんじゃないかということで運輸大臣に物を言っておるわけです。大臣にはこれから申し上げますけれども、航空局長さんにそう言っておるわけです。やっぱりいまの財政という立場に立ったら、あるいは資金という立場に立ったら、延ばし得るものは延ばすべき時期だと私は認識しておる。これは大蔵省の御見解も同じだ。そういう意図でいまの御答弁があったと思いますけれども、念のためにもう一度伺います。
  114. 高倉建

    説明員(高倉建君) お言葉ではございますが、実は花巻空港の起債の件につきましては、私ども、先ほど自治省の財政課長からもお話がありましたとおり、自治省からまだ御相談を受けてない。手続の点になって申しわけございませんが。と言うよりも、実は先ほど先生がお話しになりましたような計画自身実は私どもは承知しておりません。したがいまして、その花巻空港の起債の件云々につきますと、それは私ども今後自治省から御相談があった場合に改めて検討いたしたいということでございます。
  115. 鈴木力

    ○鈴木力君 そういうことだろうと思うんです。ですから、私はいま大蔵省の方には花巻空港をどういうつもりだということを御質問申し上げるつもりはない、御質問申し上げる方がむしろ無理だということはわかっております。ただ、いまのような、私は自治省とのやりとりもしましたけれども、大蔵省だってそんなに資金がことしはたっぷりあるはずはない。それにしても、資金がないからといって緊急やむを得ないもの、あるいは本当にことしやらなければ将来に大きな影響を及ぼすものという場合にはこれは認可せざるを得ないんだろうし、出さなけりゃいけない性格のものだとは思います。一般論として伺ったわけです。わかりました。  それで、あと自治省にもう一つだけ伺っておきたいのは、この空港に限ってというわけじゃありませんが、大分関係がある。正直のとこ、こういうことじゃないんですか。余り着物を着ないで物を言いますと。いろんな理屈はつけるけれども、たとえば自治省の方でどれだけ把握をしておりますかね。岩手県ですと、いわゆる土地開発公社というものがありますですね。この土地開発公社がいろいろな必要な土地を先行取得をしておるわけです。こういうことについて一体どういう御指導をなさっているのか。たとえば、岩手県の土地開発公社ですと、何か四十九年度の事業計画は一兆六千億を超えている。そうしてこの花巻空港につきましては、五十何億かはもう先行投資をしておるわけです。五十六億だったと思いますけれども。多少数字は違うかもしれません。こういう形で先行投資をやらしておりますから、これを県は最終的に負担しなきゃいけません。いま年間で四億ぐらい銀行に利子を払っているわけですから、この開発公社が。こういう形のこの行政と、それから公社との関係でずうっと進んでいったらおかしいことになってくる。あの、民間ですけれども、興人という会社が破産をした。これも土地に手を出して破産をしておるんですけれども、地方自治体が開発公社から破産をするということになりはしないか、こういう点についての自治省の御見解はどうなんですか。
  116. 久世公堯

    説明員(久世公堯君) ただいまの御指摘の点でございますが、岩手県土地開発公社は岩手県が設立をしている団体でございまして、いま御指摘がございましたが、四十九年度の事業の実績によりますと、全体で七十三億円の事業をいたしております。その七十三億円の中で花巻空港の用地買収費は約三十三億円でございます。御承知のごとく、土地開発公社は公有地拡大法に基づいて設立される特殊法人でございまして、これは設立団体でございます岩手県が十分に監督し、予算あるいは事業計画等につきましては知事の承認を得ることになっているわけでございます。またこの資金につきましては民間資金を、特に銀行からの借入資金によるわけでございますが、これにつきましては県が債務保証をしているわけでございまして、その点につきましては、設立団体である岩手県が十分なる監督のもとに行っているわけでございます。
  117. 鈴木力

    ○鈴木力君 三十六億ですか、あの花巻空港に投資しているのは……。
  118. 久世公堯

    説明員(久世公堯君) 四十九年度事業が三十三億でございますが……。
  119. 鈴木力

    ○鈴木力君 現在の累計が五十億六千万円になっていますね。
  120. 久世公堯

    説明員(久世公堯君) 現在の、五十年度も含めました事業の実績が、十一月現在で約四十二億円でございます。
  121. 鈴木力

    ○鈴木力君 ちょっとおかしいんじゃないかな。公社が取得をした土地面積が七十二万千八百平方メートル、この金額は五十億六千万円、これは県議会に報告をした数字なんです。これは、もし違えば調べてみていただきたいですな。
  122. 久世公堯

    説明員(久世公堯君) 公社は毎年度当初におきまして事業計画、すなわちその一年間に実施をする予定である事業計画を行うわけでございますが、これは資金の状況、あるいは土地買収の交渉状況等によりまして、事業計画より実績は若干ダウンをするのが一般的でございます。また、現在まだ年度途中でございますので、そういう意味におきましては中間かと思うわけでございますが、一応今年度の事業計画によりますと、五十年度は三十六億円の事業計画を立てておるわけでございまして、昨年分の実績三十三億と合わせますと、あるいはいま先生が御指摘になりました六十九億円になるかもしれないわけでございます。しかし、現在までに買収した実績によりますと、四十九年度が約三十三億円、それから五十年度が約九億円でございまして、現在のところ四十二億円と了知しておるわけでございます。
  123. 鈴木力

    ○鈴木力君 この数字の違ったのは後で調べればわかるはずですから。ただ私は、地方自治体がこういう形で先行投資をしていって、そして、その利子をどんどんどんどん払っていく、これがまた県財政に響く影響というのは非常に大きいわけですね。だから、こういう点については、いまのままの指導を、自治省はやっぱりそれでいいというふうに認めておられるのかどうかですね。  ついでですから、これはいま御答弁できないかもしれませんけれども、全国でどれだけの規模でいまこういう形での先行取得をして、金額と土地がどれだけになっておるのか、おわかりだったらひとつお知らせをいただきたい。というのは、空港もそうですけれども、たとえば岩手県ですと、企業誘致計画に基づいての土地の先行投資なんかもずいぶんある。しかし、計画どおり企業が来ない。その土地の借金で公社がまた利子を払うのに四苦八苦している、こういう現状が多いわけです。したがって、これはもし、いまでなければ後でも結構ですけれども、全体のそういう数字がわかっておれば教えていただきたい。
  124. 久世公堯

    説明員(久世公堯君) ただいまの御質疑の点でございますが、四十九年度の事業の実績によりますと、全国の土地開発公社で約九千六百二十七億円の事業をいたしたわけでございます。で、この中にはただいま御指摘がございましたように、道路とか、あるいは空港も含めて、国あるいは地方公共団体の公共用地、公有地というものがかなりの部分を占めるわけでございますが、同時に、いわゆるプロパー事業ということで、土地開発公社が独自でやっております工業団地の造成、あるいは埋め立て、あるいは住宅用地、流通業務団地等、かなり多範にわたるわけでございます。この点につきましては、現在の公有地拡大法の趣旨に基づいて、それぞれの設立団体の判断と監督に基づいて行っておるわけでございますが、最近の傾向といたしましては、若干この工業団地等の比率が下がっているのが実態でございます。
  125. 鈴木力

    ○鈴木力君 それで、こういう傾向でこのままで推移していって心配ないと自治省おっしゃるんですか。たとえば、いまそのうちの遊んでいる土地がどれだけあるかということをついでに聞きたい。
  126. 久世公堯

    説明員(久世公堯君) ただいまの御質疑の点につきましては、先ほど財政課長が御答弁申し上げましたように、それぞれ設立団体の知事が適切な判断と監督のもとに行っているわけでございますので、自治省といたしましても、一般的な指導につきましては先ほど財政課長答弁しましたとおりでございます。
  127. 鈴木力

    ○鈴木力君 そうすると、県が適切に監督しておるから心配がない、こういうことなんですね。つまり、いまの開発公社が買い上げている土地が、現在新しく使用される段階になったときには、少なくとも買い上げたそのときの値段よりは相当安くなっている傾向が出てきている。あるいは安くはならぬでも、利子分だけはまるまる損をしなければいけない。このままに放置しておいたら、土地を買い過ぎて、企業がいつ来るかわからぬ土地を遊ばせておいたら、これは県が財政的に破綻するような、破綻と言うと極端な言い方ですけれども、非常に大きな影響を及ぼすことになりはしないか、私どもは横から見てそう見ている。特に公社の中には、市町村にも公社を持ってやっているところがありますからね。こういういまの地方自治体が、こういう逼迫した中でこれをこのまま放置しておいたら、人件費やなんかの騒ぎじゃないじゃないかと思っているのですけれども、いまのおっしゃるとおり、自治省はきわめて楽観的にこう見ていらっしゃるならそれはちょっと私は心配なような気がしますが、もう一度御答弁いただきたい。
  128. 久世公堯

    説明員(久世公堯君) ただいまの御質疑の点でございますが、私どもといたしましても最近における経済の情勢、あるいは特に地価の動向等につきまして判断をいたしまして、土地開発公社に対して、設立団体である長を通じまして指導通達、その他指導を行いまして、特に最近の地価の動向等の関連における土地取得の必要性があるかどうか、それが適切であるかどうか、あるいはまた、その国なり地方団体等による土地の買い取りの見通しはどうだということにつきまして、一般的に通達を出しますとともに、特に工業団地及び住宅団地等につきましては、その処分の見通しにつきまして十分地方団体と相談の上買収をするようにという指導通達を出して指導しているわけでございます。
  129. 鈴木力

    ○鈴木力君 大臣ですね、いまの花巻空港のところにもう一度話が戻りますけれども、率直に言ってあれじゃないですか、大臣というより局長さんにまず伺いたいんですがね、どうしてこの花巻空港の拡張整備計画を実施を急がなければならないのかと言いますと、りっぱなことを何とかつじつまを合わせてそっちこっちで言っているけれども、本音は五十何億かという土地の先行投資を二年がかりでやった、これのもう利子が毎年ふくらんできてどうにもならぬ、早いところこの整備計画の許可を取って補助金を取り、起債を取って始末してしまわなければ県が大変だ。こんなことから県もあわてる、運輸省も気の毒だと思ったりして何かということが本音じゃないですか。これは本当のことを言ってください。
  130. 中村大造

    政府委員(中村大造君) 実はこの申請は昨年の九月に出てきておるわけでございまして約一年間、その後県としてこれをどうするかということについての照会もしておったわけでございます。その後県としてはさらに計画を変更いたしまして、滑走路の長さ、あるいはその広さ等について変更をいたしまして、そして、この計画をあくまでも実行するんだと、したいと、こういう非常に強い要望を県当局からも受けてございます。したがいまして運輸省といたしましては、いずれにしてもこの空港についてジェット化が望ましいということは、これはもうわれわれとしては考えておるわけでございます。したがって、そういうジェット化の必要性ということと、それから計画の妥当性、それから県のいわゆるこれを行おうとする意思、そういうものを勘案いたしまして、終局的には法律に定められた許可基準によって判断をすることになろうということでございまして、決して急いでこれを処理しようとか、意識的にそういうことを考えたわけではございません。
  131. 鈴木力

    ○鈴木力君 これから後はもう大臣にお伺いしたいのですけれども、いままで大臣おいでにならなかったものですから、いままでのやりとりについてもお聞きいただかないんですが、いま花巻空港の整備計画、第二次計画から第三次計画と——国の計画は第三次ですけれども、花巻はほぼ第二次計画の延長と思いますけれども、いまやられておる。そして、十月の二十三日に公聴会をやって、あとは運輸省が許可をするかどうかという、手続的にはそこまでいま進行しておるわけです。ただ、その手続的にどうこうという、それにもずいぶん文句を言う人もありますけれども、ここできょう私はそういうことを言うつもりはありませんが、ことし、あるいは来年着工しなければならないという理由がどう見ても私にはぴんとこないわけです。  その一つの問題は、いま大臣がおいでになってからもやりとりいたしましたけれども、たとえば岩手県の全体の予算は百六十八億が必要予算ですね。そうして国の補助が二十二億円でありますから、そういたしますと大体百三十九億ぐらい、数字は多少違うかもしれませんけれども、そういう金を起債をしなければいけない、それから県費から七億独自の持ち出しをしなければいけない、こういう状況なわけなんです。それで、いままで実は自治省、それから大蔵省の方にもおいでいただいて、国の財政から言いましても資金量は、財政が逼迫しているが金はありますというわけにはいかないと思いますから……。それから自治省の地方財政状況も伺った。  そういたしますと、どう見ても、もし——もしですね、これは自治省も大蔵省も、もちろんそこまでは言い切れる立場じゃありません、権限は運輸省ですから。もし、これを一年なり二年なりでも延期できるとすれば延期する方が財政的には望ましい。そうははっきりと課長さんおっしゃらないけれども、気持ちはそうだと私は伺った。財政的に言えばそうだ。それから県民もそういう感じを非常にいま強く持っておる。これだけ人件費を削れ、何も削れと言って地方自治体の財政が逼迫逼迫と騒いでいるときに、これは延ばせるなら延ばした方がいいんじゃないか。もちろん私個人は、いま無理してこの計画を進行する必要はないと思っているけれども、そこまでは言わないとしても、そういう気持ちを持っている。  それから私の方も、何もことしやらぬでもいいじゃないかというのは、第二次の計画を見ましても、昭和六十年という一応見通しを持っている。昭和六十年の輸送計画というものに見合った計画になっておるわけなんで、早ければ早いほどいいと言えばそれまでの話ですけれども、そういう計画の中でことしもしスタートをしますと、五十六年度に完成をするというそういうスケジュールになっておりますが、少なくとも私は、YS11ならYS11が物理的にもうどうにもならないということを見ても、六十年にもYSの運航計画を持っているわけですから……。  それからもう一つは、この十年間にそれほど大きな空港を、いまいきなりどうこうしなければいけないという要請というのは、大きな変化はないだろう。むしろ、いま岩手県で空港に対する緊急の要請といったら、ジェット化にするよりも、これは本当の緊急の要請なんですけれども、要求なんですけれども、ジェット化にするよりは便数をふやせという要求が非常に強い、とりあえず。将来どうこうするというのはまた別の議論にしても……。YS11が昼間一便飛んだり、あるいは一・五便になりますかね、いま。結局ひまな人しか飛行機を使えないんですよ。忙しい人は夜汽車でないと用事が足りない。東京と岩手県の関係で言いますとね。よっぽどひまな人でもなければ飛行機を使って行ったり来たりすることができないという状況なんです。むしろ、いまの緊急な要請はそちらの方が、一遍に何十倍にしろとは言わないにしても、たとえば二便にして、朝早いのと夕方もう少しとか、そういう要求の方が強いので、それをやめてジェット機を早くやってくれ、最低でも昭和五十六年度、これから六年後にできることをいま早くやってくれという要求は県民感情としてはないわけです。そこは二、三年おくれてもということの方がむしろ要求が強いわけです。そういうときだけに私は、さっきから申し上げておるように、簡単に認可をするということではなしに、そういう条件を十分に勘案しながら、できれば何年か延期して、もう少しそういう情勢を見るとかという指導をしてもらいたいというのが私のきょうの質問の趣旨なんですけれども、大臣の御答弁をひとつ伺いたい。
  132. 木村睦男

    国務大臣木村睦男君) 花巻空港の設備の拡張問題については、いろいろ私も話を聞いておりますし、また実情もある程度知っておるつもりでございますが、御承知のように、こういう空港は県当局が設置、管理をするわけでございますね。そこで、事の始まりは、やはり県としてどうするかということの方からスタートしまして、運輸省としては全体の国内の航空の実情、輸送の需給、いろんな点を勘案しながら、申請に対してこれを認めて新しい設備にするかどうかということを認可するわけでございますが、それにはいろいろと考慮すべき事柄が多いと思うのです。現実のところ、花巻への航空客は相当ふえておるようでございます。いまのお話のように、便数をふやす方が先決だ、こういうお話もございます。しかし、便数をふやすのには、花巻が幾らあいておりましても、出発の方の羽田が今日のような状況でございますので、ここの便数をふやす余地がないとか、いろいろなからみがございましてながなかそうもいかない。  そういうふうないろんな実情の中で、県としても設備を拡張し、滑走路を延長して将来に備えよう。かたがた一方、航空会社の方といたしましては、御承知のようにYS11が輸送効率も悪いし経済性も低いので、できるだけ早い機会にこれらをジェット機に切りかえたいということを言っておるわけでございます。そうすると、受ける方の地元といたしましては、それが実現した場合に受け入れ体制ができるようにということをいろいろ考えて工夫をこらしておるわけでございますが、この花巻の場合には、前からの県の計画であり、方針でありまして、申請が出ましたのが昨年の九月でございます。出ましてから後も、いろいろ地元の反対等がございました。それに対しては県もいろいろ努力をしておったようでございますし、運輸省の方も反対の方ともいろいろ折衝をしたり、県とも話し合いをしてきておりまして、そして先般公聴会を開いたということでございますので、昨年の九月からことしの十月、一年以上経過しておりますので、なぜ花巻空港のこういう処理をあわててやるんだやるんだと、こうおっしゃるが、他の場合と比較してみますと、決してあわててやっておる時間的な計算にはならないので、一年前にすでに申請が出ておるのにいまだにそれに対して処分ができていないというのは、むしろ、あわてておるというよりも、いろいろその間にそういう反対があって遅くなっておると言った方が実情に合うのではないかという感じがしております。  また一面、いま各県とも非常に財政上困っておるわけでございますので、その点から考えれば、こういう莫大な投資は差し控えるべきではないかという御意見もあると思います。この問題については、県の上部機関である自治省で、いろいろ御判断なりお考えがあろうかと思いますが、まあ、県の方としても、同じ県として必要なこういった公共投資等についてのおのずから優先順位、取捨選択というものがあろうかと思うわけでございます。岩手県が今日に至るまでこの空港の拡張という方針を堅持し、それの実現を期しておるということは、やはり県としては、いま言いましたような優先順位等の選択において、やはり空港の滑走路の延長が必要なんだという認識の上に立ってやっておるのだろうと思います。したがって、それらの問題について県と自治省の間でいろいろな話があって、これはいかぬからやめろというふうなことになればこれは話は別でございましょうが、運輸省としては、県の選択が変わらない限りにおいては出された申請を受けて、そして普通の順序でもって処理をするのが責任ではないか、かように思って処理をいたしておるわけでございまして、決して非常に急いで、何でもかんでも花巻だけはスピードを出してやろうということではございません。公聴会もやっと済んだばかりでございますので、まだこれから運輸省としてもいろいろ調査すべき事柄もあろうかと思うわけでございますので、決して、特に急いでやるというふうなことではございませんことだけは申し上げておきたいと思います。
  133. 鈴木力

    ○鈴木力君 なかなかうまくできておるものでしてね。いま大臣がそういうふうにおっしゃる。自治省と県で相談をしてもっともであると思うならばとおっしゃる。ところが、自治省からさっき御答弁をいただいたのですけれども、自治省の方は——私は自治省のおっしゃる方が本当だと思う。この行政の権限は運輸省でありますから、運輸省と県の協議の上にこれは許可が出て、県が選択をすれば自治省とすれば起債の認可のためにはその方向で努力をするといいますか、最初からこの花巻空港に限ってということになると、自治省が適当だ、適当でないというのを言うことが適当でないというふうにさっき御答弁を伺った。ところが、運輸省の方は、自治省と県で相談をするのでありましょうからと、こういう形になってしまうと、どこが責任かわからなくなってしまう。私はやっぱりこれは運輸省が責任を持つべきだと思うのです、運輸大臣責任を持つべきだと思う。これはいかがですか、大臣
  134. 木村睦男

    国務大臣木村睦男君) これはそれぞれ分担、任務が決められておるわけでございますので、運輸省側は、いま私が申し上げたような申請を受けて処理するということでございます。それには事業計画がいろいろあるわけでございます。事業計画の中では、県の負担部分もあるわけでございます。それらについて、県が負担する覚悟で申請をしておるわけでございますので、それから先は、やはりこれは地方の財政監督の問題であろうかと思いますので、自治省が運輸省の権限だとおっしゃるのは、認可権限が運輸省だという意味でわれわれは理解しておりますので、われわれが県の財政内容まで立ち至って、とても無理ではないかとか、あるいは、じゃ、空港の計画をやめて、それじゃこっちの方の別の道路計画をやれとかいうふうなくちばしを出すべき筋合いのものではございませんので、その辺、やっぱり県と自治省との関係ではないかと、こういう意味で申し上げておるわけでございます。
  135. 鈴木力

    ○鈴木力君 いまの問題は、自治省の方に後で大臣かどなたかにおいでいただいて、もう一度この委員会で御質問をさしていただきます。そうでないと、これ以上は進まないわけです。  それで大臣、なかなか機械的にそういう御答弁をいただくのですけれども、どうも急いだ、急がないとか、あるいは反対者ともよく話し合ったかどうかというような、そういうことをいろいろ伺うけれども、私は制度的に再検討するものがありはしないか、この仕組みで。たとえば、空港なら空港の拡張をするための手続につきましても——私はいまの決まっておる手続で誤ったということを言っておるのじゃありません。これはさっきも一番最初に申し上げたのですがね。ただ、いま決まっておるこの手続に問題がありはしないか、これは大臣にひとつ御検討いただきたいんです。  その一つは、何といっても私は、この許可をとる前の土地の確保ですね、これはいま航空法だかによって申請を出します場合には、土地の確保の、あればかっきり土地を確保してしまえとは書いていなかったと思うんですけれども、見通しかなんか、土地が確実に入手できるという、それが一つ条件になっています。ところが、その確実に入手できるという航空法の条件が、今度の岩手県でやったような、いわゆる地権者をいろんな形で、まあ人によれば圧力をかけられたとか、かけたとかという話もありますけれども、それはともかくとして、土地の先行取得という形になってあらわれてくるわけです。  そうしますと、岩手県側に言わせると、とても、さっき数字は少しは違ったんですけれども、五十何億かもうすでに先行投資をして土地を買っておる。しかも、その土地の買い方なんかにつきましても多少問題があるんですよ。たとえば、最初に公社が地権者に示した土地の価格は、十アール当たり二百二十万円で示しているわけですね。ところが、それが結局は三百七十万円に飛び上がった金額でこれを買収をしておるわけです。そういう金を多少無理をしているわけです。これが急いだと私は言うのです。時間的なことを言うのじゃない。その準備の仕方に相当無理をしておるということ、その無理の結果が五十何億とかという、公社のこのための借金となって残っておる。そうして、数億という利子をいま県が負担しなければならない。とてもじゃないが、知事が五%給与を返上したって、そんなことじゃ追いつかないですよ、こういう形になってくると。  だから、そういうところに持っていく行き方については、これは運輸省だけじゃなくて、いま、どこでも大体そういう形に、たとえば学校をつくるときにしても、大学をつくるときには用地の、設置法が決まる前に、もう用地を獲得してしまったり、いろんなことをやっておるわけですけれども、こういうことについては、私はやっぱり検討し直す必要があるだろうと思う。そういうことが、こういう事情があるもんですから、これはもちろん表に正直に言うわけにはいかないにしても、どう見ても——私どもは仮に三年おくれても、花巻空港の場合には何とかやっていける。と申しますのは、いまから始めたって、ジェット機が来るのはずっと先なんですから、それまでの間には成田空港だって動くでしょう。そうすれば羽田からの便数もふえてくる。そういう将来の見通しだってあるんですから、何もいま、ことし無理してあわてなくても、こんなに財政の逼迫したときに、県民に心配をさせないでやらなくてもできるはずです。  しかし、そういう中で、土地の先行取得に非常に無理をして借金がたまる。早いところ認可をとって起債をして始末しなければというところに追い込まれているわけです、県は。これは知事はそうは言わないと思うけれども、私どもが見るとそう見えてしようがない。そういう形に追い込んでおって、百方無理をして、反対の人たちに納得をさせるのじゃなしに、反対運動をあおっているというのがいまの行政の行き方です。これを私はもう少し検討してみる必要がないかということを申し上げる。  それから、公聴会にいたしましてもそうですよ。公聴会に、運輸省の課長さんが行って、なかなか民主的にやろうとおやりになって御苦労したことは私も聞いております。これは非常に御苦労なさったということはよく聞いておる。しかし、結果的には反対者——まあ入るには入りましたけれども、本当の反対者の人たちとの間の話がつかなかった。あるいはこういう状態でなしに二、三日延ばせば、われわれも公聴会に入って物を言いたいからというところまで話がついてもとうとうだめなんだ。あるいは機械的には市長が公聴会の公述の申し入れをした。これは公聴会の前日までに届かなかった。申し込み期日までには届かなかった。しかし、期日がおくれても受け付けますと言っても、市長の分は受け付けにはならなかった。しかも、それはいろいろな政治的な御配慮を下さって、市長が賛成者だから、賛成者を入れるとまた刺激するだろうというような——これはちょっと配慮のし過ぎなんですね。受け付けの締め切りが過ぎても入れますと言ったら、出した人は入れるべきだと思う。  いずれにしても、この公聴会をせっかく設定をして、機動隊を入れて公述人を入れれば、これはしめた、もうやっちゃえという姿勢が、やっぱりあそこには、せっかく現地に行った課長さんの努力にもかかわらずそういう形には見えてくる。無理をしているのです。だから私は、そういう無理をして物事を進めていくというのは——まあ許可する立場で県がどうこうと言えばそれまでの話だけれども、やっぱり許可する立場からすれば、そういう点の配慮が必要だと思う。  そういう意味では、特に公聴会というのは、いままで反対の公述があっても、公聴会の結果によって計画変更されたというためしがないことも、これはみんな知っておりますよ。ですから、そういうような運営についてもやっぱり私は検討してみる必要があると思う。これは花巻の公聴会をやり直せと私は本当は言いたいのです。あるいは、公聴会は手続的には有効だとおっしゃるなら、別の形でもう一遍何かのかっこうで、反対期成同盟なら反対期成同盟会の人たちとの間のもう一度、公聴会ではないけれども、制度にはないけれども、もう一遍話を聞いていきましょうかというぐらいの、そういう姿勢をもって臨んでもらいたい、こう思うのです。  でありますから、私に言わせるといろいろな問題がある。特に一番ひっかかるのは、私はやっぱりこの財政の逼迫しているときになぜということなんです。そして空港に対しては——さっき私は、大臣おいでにならなかったけれども時間の話をしましたです。新幹線ができたときの、あるいはいまの列車で行くときの、それからプロペラのYSで行くとき、ジェット機になったとき、これの霞が関から盛岡に到達する時間の差なんかもさっき申し上げたのです。そうすると、さしたる問題ではなくなってくる、時間の問題ということは。  だから、そういう点で、私は時間がありませんからこれでやめますけれども、大臣にひとつ強く御要望申し上げておきたいのは、手続的に事務的に処理をするというような形でやることば決してこれはプラスにならない。ですから、そういう点のいろいろな事情というものを、もう一遍真正面からひとつ検討してみながら扱っていただきたい。まあきょうは、許可するなと言ったって、認可するなと言ったって、わかりましたと言うはずもありませんし、その点のシロかクロかというようなことを私も御答弁ちょうだいするつもりはありませんけれども、そうしたいままでのいきさつの中のものを解きほぐしてみるというそうした時間と、そうした慎重さをもって事に当たってもらいたい。私が申し上げました問題点については、運輸省御当局としてもひとつ御検討をいただきたいと思うのです。  特に新しく開発をされる飛行機については、何か滑走路千五百メートルまでのVSTOLとかなんとかを、航空会社もこれを使いたいとさえ言っているということも私どもは聞いておるのです。そんなことを聞くと空港の計画に邪魔になるからしばらく聞かないというような、政策的にそんな見え透いた手は使わずに、真正面からひとつこれに取り組んでほしいということも御要望として申し上げまして、きょうは終わります。
  136. 木村睦男

    国務大臣木村睦男君) いま先行投資のお話がございましたが、やはり少々の金ではございませんし、長期にわたっての工事でもございますので、やはりそういう事業を申請をし、また認可する際には、申請する側としては、それまでに必要な用地の確保等はある程度見通しを立てておくということは当然のことだと思いますし、また認可する側から考えましても、何もそれまでに準備がなくて、紙切れ一枚の認可申請があってそれで処理するというわけにもいきませんので、やはり私はこういう問題のときには、ある程度用地の確保等の見通しを立てた上の申請ということは、これは当然ではないかと思うわけでございます。今度は、財政問題については先ほど申し上げたようなことでございます。  それから公聴会の問題も、問題になって利害が対立する、賛成反対があるというような中での公聴会が公聴会の普通の形でございますから、公聴会につきましても利害が相対立する。両方とも民主的にこれはやるということが前提でないと、公聴会もできないと思うわけでございます。そのためには、公聴会に所要ないろいろの手続も、ちゃんと最小限度の担保として決めてあるわけでございますが、それのとおりにやっても違法ではないのですが、花巻のときのような場合には、さらに一層反対等が強いという空気の中でございましたので、この辺は運輸省もいろいろ配慮をいたしまして、規則の上でいくと十日前の告示でいいのを一カ月前にやるとか、告示の方法につきましても、官報だけで違法ではないのをいろいろなところに張ったりしていろいろやったわけでございます。  それから反対する人たちにも、反対ならば公聴会に出てその反対の理由を堂々と述べてもらいたいということも話したわけでございますが、やっぱりあの公聴会は、両方が民主的な精神とルールをわきまえてやらなければ、公聴会もできないようになってしまうというようなことがいろいろあるわけでございますが、先ほど申し上げたように、公聴会がいま終わった段階でございますので、いま鈴木さんのいろいろな御意見も十分わかりましたので、その辺も心にとめ置きながら今後の処理をやっていきたいと、かように考えます。
  137. 鈴木力

    ○鈴木力君 委員長一つだけ。  誤解してもらっちゃ困りますが、先行投資ということと、土地の確保の見通しということと私はイコールでないと思うのですよ。もしもこの許可を受ける条件、認可を取る条件に土地を確保する見通し——これは大臣のおっしゃるとおりですね、全然見通しのない許可願、認可願、認可申請が来たって、これは認可できるもんかということになりますから。ただ、先行投資をやってしまって、制度の上から言うと、申請が出れば認可するんだというなら別だけれども、制度上からすると、認可する場合もあり、認可しない場合もあるということなんでしょう、本当は。そのときにもう土地を買ってしまってというところに、にっちもさっちもいかないところに追い込んでいる。だから、そういう事実からすれば、申請も公聴会も意味がないという空気が住民の間に出てくる。これはもう役所と県民の間の既成事実だということになってしまう。それでは民主的な行政じゃないんじゃないかということなんです。だから、その辺の指導というものは、もう少しきめの細かな指導があってよろしいのではないかということを申し上げたわけです。
  138. 岩間正男

    ○岩間正男君 道南バスの倒産問題をめぐりまして大変に問題が起こっているわけであります。この道南バスは日高、胆振地方、七市二十一町村の広い範囲内に及ぶ北海道民の足として重要な役割りを果たしており、一日十万人の利用者がいると言われております。いまその十万人の足が奪われるかどうかというような問題を抱えているので、この問題に対して、地方住民の足を確保するという、こういう立場から考えましても、徹底的にメスを入れて、再びこれを繰り返さないような方法をはっきり確立することを道民は心から望んでいると思うんです。私はそういう立場から、この問題をめぐる問題についてお伺いをしたいと思うのであります。  最初にお聞きしたいと思いますのは、この事件の概要、その後の経過、これはどうなっているか、こういう点についてあらましこれは御報告をいただきたいと思います。
  139. 高橋寿夫

    政府委員(高橋寿夫君) まず会社の概要から御説明申し上げます。  会社は、室蘭市に本社のございます資本金三億円の会社でございまして、設立は昭和十九年でございます。経営をしております事業は、いわゆる乗り合いバス、貸し切りバス、この二つであります。いずれの事業も、室蘭市を中心とする付近の各市町村をかなり手広くカバーしておる会社でありまして、車両数は乗り合い、貸し切り合わせまして二百九十両余り、九百人余りの従業員数を抱え、年間に最近で約三千五百万人の乗り合いバスのお客さんを運んでいる非常に北海道道南地方の重要な交通機関をなしている会社でございます。
  140. 宮崎正義

    委員長宮崎正義君) 速記をとめてください。   〔速記中止
  141. 宮崎正義

    委員長宮崎正義君) 速記を起こしてください。  暫時休憩いたします。    午後二時四十三分休憩   〔休憩後開会に至らなかった〕