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1975-11-18 第76回国会 参議院 運輸委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年十一月十八日(火曜日)    午前十時四十三分開会     ―――――――――――――    委員の異動  十一月十一日     辞任         補欠選任      山崎 竜男君     鍋島 直紹君  十一月十二日     辞任         補欠選任      鍋島 直紹君     山崎 竜男君  十一月十八日     辞任         補欠選任      戸田 菊雄君     鈴木  力君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         宮崎 正義君     理 事                 黒住 忠行君                 平井 卓志君                 前川  旦君                 三木 忠雄君     委 員                 石破 二朗君                 今泉 正二君                 江藤  智君                 岡本  悟君                 佐藤 信二君                 橘  直治君                 宮崎 正雄君                 山崎 竜男君                 青木 薪次君                 戸田 菊雄君                 岩間 正男君                 和田 春生君    国務大臣        運 輸 大 臣  木村 睦男君    政府委員        運輸大臣官房審        議官       中村 四郎君        運輸省海運局長  後藤 茂也君        海上保安庁長官  薗村 泰彦君    事務局側        常任委員会専門        員        池部 幸雄君    説明員        行政管理庁行政        監察局監察官   近藤 輝彦君        水産庁研究開発        部漁場保全課長  森川  貫君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○油濁損害賠償保障法案内閣提出、衆議院送  付)     ―――――――――――――
  2. 宮崎正義

    委員長宮崎正義君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。  油濁損害賠償保障法案議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。木村運輸大臣
  3. 木村睦男

    国務大臣木村睦男君) ただいま議題となりました油濁損害賠償保障法案提案理由につきまして御説明申し上げます。  わが国は、年間二億六千万トンに及ぶ石油を輸入しておる世界でも有数の石油輸入国であり、多数のタンカーわが国の沿岸を航行しております。  これらのタンカー安全確保につきましては、構造及び設備の改善、交通ルールの確立、航行環境の整備など各般にわたり努力しておりますが、万一タンカー事故が発生した場合には、早期に適切な防除措置を講じて油濁損害の拡大を防止しなければならないとともに、油濁損害被害者が適切な救済を受けることができるような制度を確立することが必要であります。  わが国現行法制度では、民法及び商法不法行為に関する規定が適用されるとともに、これによる船舶所有者損害賠償責任につき、船体等の権利を被害者側に移転することにより責任を免れるいわゆる免責委付制度が認められております。  しかし、国際的には、一九六七年に英仏海峡で発生したトリーキャニオン号事件契機として、油濁損害賠償責任について行為者故意または過失の存在を前提とする不法行為責任一般原則によることは適切でないとの反省のもとに、その賠償の万全を期するため、一九六九年に油による汚染損害についての民事責任に関する国際条約が、また、一九七一年には、この条約を補足するために油による汚染損害補償のための国際基金の設立に関する国際条約が、それぞれ成立をいたしております。  わが国といたしましても、万一油濁事故が発生した場合にはできる限り被害者救済を図る必要がありますので、現行法制度を改め、他の先進海運諸国と同じく両条約内容に沿った国内法を整備するため、油濁損害賠償保障法を制定しようとするものであります。  次に、この法律案概要につきまして御説明申し上げます。  本法案は、両条約内容国内法化するため、第一に、タンカーによる油濁損害について、戦争、異常な天災地変等の例外的な免責事由に該当する場合を除き、船舶所有者が無過失賠償責任を負うこととしております。  第二に、油濁損害賠償責任について、船舶所有者は、自己に故意または過失がある場合を除き、船舶トン数に約四万八千円を乗じた金額最高限度は約五十億円に責任制限することができることとしております。  第三に、責任制限を認められておる金額まで船舶所有者賠償能力が確保されるように、二千トンを超える油を輸送するタンカーについて、責任保険契約等の締結を義務づけております。  第四に、国際基金に対して、被害者は、損害額のうち、船舶所有者等から十分な賠償を受けられなかった部分補償を請求できることとし、また、タンカーによる油濁損害が生じた場合、船舶所有者等は、一般船舶所有者責任に比して責任限度額が倍加されることとなるので、その加重された責任額の一部の補てんを請求できることとしております。  第五に、国際基金がこれらの補償及び補てん事業を行う財源として、石油事業者等年間十五万トン以上の海上輸送された油を受け取った者は、国際基金拠出金を納付しなければならないこととしております。  以上のほか、船舶所有者責任制限する場合の手続罰則等、所要の規定を整備することといたしております。  以上がこの法律案を提案する理由であります。  何とぞ慎重御審議の上、速やかに御賛成いただきますようお願い申し上げます。
  4. 宮崎正義

    委員長宮崎正義君) 引き続き、本案に対する質疑を行います。  御質疑のある方は順次御発言を願います。
  5. 青木薪次

    青木薪次君 大臣に質問いたしますけれども、まず、この一九五七年の船主責任制限条約について、簡潔に説明をしていただきたいと思います。
  6. 後藤茂也

    政府委員後藤茂也君) 御説明申し上げます。  ただいまお話に出ました一九五七年の船主責任制限条約、これはただいま御提案申し上げております油濁損害賠償法案の根底を流れております船主責任金額制限主義といったものを一般的に取り決めたものでございます。  で、この一九五七年条約は、もともと船舶所有者責任につきましては、伝統的に各国とも責任を何がしかのかっこうで制限をするという制度が古くから行われておりましたけれども、この制限態様につきましては、歴史的にいろいろな形がございました。戦前、一九二四年にブラッセルにおきまして作成、採択されました国際条約――海上航行船舶所有者責任制限に関するある規則を統一するための国際条約というのがございまして、この戦前国際条約では、船主責任制限態様金額主義船価主義併用制度といった形で取り決めております。この制度は、実際には若干の国に批准されましたけれども海運の実際界において現実に広く行われるに至らず第二次大戦を迎えたわけでございます。第二次大戦後、さらに国際間の、この間の制度国際的に合理化する動きというものが台頭してまいりました。その動きは、一九五七年のブラッセル海事法外交会議で結実し、この条約採択されたのでございます。現在すでに二十七カ国がこれを批准し、国際的に一つの有効なる条約として作用をしております。この条約は、航行中の船舶所有者等が船客、積み荷、あるいは他の第三者に与えた損害賠償責任を払うにつきまして、その制限態様金額制限する。その具体的な方法は、一トン当たり千金フラン、一フランを二十四円程度と考えますならば約二万四千円でございますが、一千金フランということで制限をする、人損がございましたときはまた別の数字でございます。こういった金額による船主責任制限制度というものを内容としております。  さらに、従来の制度との比較について御説明申し上げますならば、従来、現在の日本商法規定しておりますが、このような責任制限態様としては、古く委付ということが行われております。委付は、実際にその問題の衝に当たった船舶及び運送賃というものを船舶所有者被害を受けた人のために放棄をして、その限りにおいて自分のそれ以上の責任を免れるという方法でございまして、これもまた一種責任制限制度でございますが、その委付された時点におきます具体的な船の破損の程度とか、船齢の新しい、古いとか、そういったようなことで、事故態様と無関係に制限される事実上の額が非常に大小があるという不合理がございました。また、そのほかにもいろいろな方法がございますけれども、ここでとられました金額制限主義、それを船のトン数に関連づけてその金額を決めるという考え方は、現在いろいろと方法のあるうちで世界的に認められた合理的な方法であると認められているものでございます。この五七年条約取り決めております金額責任制限主義というものが、御提案申し上げております油濁損害、非常に広い意味での船主責任のうちの油濁による損害というものに限りまして新たなる条約が決められましたときも、このいま御説明申し上げました五七年条約の基本的な考え方が基本になってその油濁損害の六九年条約ができ、そして、ただいま御提案申し上げております法律案は、その六九年条約並びにその基金に関する七一年の補足条約、この二つ国内法化するものでございます。
  7. 青木薪次

    青木薪次君 ただいまの説明にもあったわけでありますが、日本世界屈指海運国でありながら、事故が起きた場合に、明治以来、商法六百九十条による免責委付主義をとってきた。被害者船舶所有権の移転をすれば免責になるという、まさに船の大小によって被害者の損得にかかわる方法なのでありますが、この原始的方法をとってきたことについて、何としても改正をしなきゃならぬということになったわけでありますが、じゃ、一体わが国批准がなぜおくれたのかという点について説明をしていただきたい。
  8. 後藤茂也

    政府委員後藤茂也君) この五七年の条約ブラッセルにおきまして採択をされた時期でございます、ただいまから十八年前でございますが、この条約採択をされました時期は、まだ戦後わが国の壊滅した商船隊の再建に非常に努力しておった時期でございます。で、海運企業経営というものはなお十分なる基盤の上に通常の形の経営がまだできていなかったという事情もございまして、このような国際的な取り決めで、金額責任制限をするこの取り決めに直ちに参加するだけの、日本海運界にそれだけの実力がなかったという事情一つございます。事実その当時、日本船主団体は、直ちにこの条約批准するということにつきましては余り賛成でなかったというのが事実でございます。ただその後、漸次日本海運業界世界並みに成長してまいりました。いろいろな問題がございますにしても、その経営基盤も漸次確立してまいりました。で、そのような空気はだんだんとなくなってまいりました。したがいまして、すでに昭和四十二年、いまから八年前でございますが、すでに私ども運輸省におきましては、この条約批准のための準備を開始し、法務省と御相談を始めております。また、私どもから直接に御説明申し上げる筋合いのことでないかもしれませんが、現在の商法規定というものを改正して、そして委付主義金額主義に改めるような国内法制度改正ということにつきましては、また事務的にも内容的にもいろいろと検討に日数がかかったということでございます。で、昭和四十六年に法務省におきましては、法制審議会におきましてこの船主責任制限制度小委員会というものをおつくりになりまして、その検討をお進めになりました。そして、二年後の昭和四十八年には、この批准に必要な日本商法改正に関する船舶所有者等責任制限制度に関する要綱案というものを法制審議会で御決定になった。それに基づきまして政府法案を整備し、前通常国会政府から御提案申し上げ、そして、現在のこの国会におきましても、衆議院の法務委員会で現在御審議をいただいている、こういう経緯でございます。
  9. 青木薪次

    青木薪次君 一九六九年のこの民事責任条約は、一九六七年の英仏海峡におけるトリーキャニオン号事件発端となったというように言われているわけでありますが、タンカー大型化に対する油濁損害の大規模化による被害者救済にあるということも言われているわけです。その内容について説明してもらいたい。
  10. 後藤茂也

    政府委員後藤茂也君) お話しのとおり、今度は一九六九年条約でございます。大臣の御説明にもございましたように、この条約発端になりましたのは、その二年前の一九六七年三月のトリーキャニオン号事件英仏海峡英国側の一番南西の岬でございますランズエンドというところでございます。そこにリベリア籍トリーキャニオン号が座礁いたしまして、大量の油をそこから流し出し、英国側及びフランス側の海岸を広範囲にわたって汚染をし、当時の社会問題となったわけでございます。で、これを契機といたしましてIMCO――政府間海事協議機構は直ちに臨時の理事会を招集し、引き続きまして法律委員会をつくりまして、このような事故というものを未然に防止し、かつ起こってしまった事故というもののいろんな処理をするために、その当時においては余り完全じゃなかった各種措置というものを国際的につくり上げる努力を始めたわけでございます。この努力の一方は各種公法条約となってすでに日本におきまして国内法化されております。他方、損害賠償措置、いわば民事法関係条約というものに対する努力というものが今日実を結んだのが六九年条約であり、かつその補足条約として一一年条約二つ条約があるわけでございます。  この六九年条約につきましてその概要を御説明申し上げます。六九年条約につきましては、これは先ほど申し上げました一般的な船舶所有者等他人に与えた損害というものの中から、タンカーが油を流出いたしまして、それが海水、あるいは陸岸汚染をして他人に与えた損害というものだけを取り上げております。いわゆる油濁損害を特に取り上げております。そして、この油濁損害につきましては第一に、まず責任原則につきまして、船舶所有者無過失責任ということの原則を立てております。多少の例外を除きまして、故意過失――過失のないところに責任がないという一般原則に対する特例を設けまして、この油濁の損害については、船舶所有者無過失責任という原則が立てられております。  第二に、この責任を問われる主体というものは船舶所有者、このほかには船舶賃借人、あるいは傭船者、その他いろいろな船舶に関連する主体があるわけでございますが、この責任主体船舶所有者という者に集中をするという制度をとっております。  第三に、先ほど申し上げました金額責任主義でございますが、その制限することのできる制限の額を、通常一般原則トン当たり千金フランというものを、一方で二倍に上げた二千金フラン、ただしこれにつきましては総額二億一千万金フランという一つ限度を設けておりますけれども金額制限制度をとりながら、制限すべき金額を特殊に、つまり倍に上げております。  第四に、この条約では被害者救済というものを確保するために、船舶所有者がそれの支払いに充てるための保険契約を締結するということを条約の上で強制をしております。  それで、大体このような制度を設けることによりまして油濁損害、これは従来の常識では考えられない広範な、したがって大規模損害というものを一般の方に起こす可能性がある、従来の制度ではそのことに対する被害者救済が十分でないということに着目をいたしまして、いま申し上げたような内容条約というものを採択したものでございます。
  11. 青木薪次

    青木薪次君 そこで、一九七一年の国際基金条約へ進むわけでありますが、その内容について簡潔に説明してください。
  12. 後藤茂也

    政府委員後藤茂也君) 引き続きまして七一年条約でございます。七一年条約は、先ほども申し上げました六九年条約補足条約という性格のものでございます。六九年条約はいま御説明申し上げましたように、船主に対して通常の場合の責任限度額を設けるという規定を置きましたけれども、それで十分に被害者救済されるかどうかというものに対しては、まだまだ若干の疑問がある。したがいまして、かつこの六九年条約考え方は、通常原則に従いまして、船舶所有者がみずから賠償の責めに任ずるものでございまして、たとえば原子力船、その他の制度で若干取り入れられておりますけれども、こういった大型タンカーの運航によって、一般的に通常利益を受けてあるいわば荷主でございます。石油屋さんでございましょうか、そういった方々がこの問題について何ら負担をしていないのはおかしいじゃないかという考え方、この二つ考え方がもとになりまして、六九年条約採択の際の一種附帯決議というものがございました。その考え方に基づきまして、二年後の七一年にこの条約採択されたわけでございます。これは六九年条約制限をされ、そのもとにおいて賠償を受けた被害者が、それではまだ十分に被害が償われていないという場合に備えて、石油類を船でもって運んでもらっておる荷主、その人たちが平常時から一つの金を出し合って、そこに基金を形成し、その基金が、被害者が十分に船舶所有者から補てんしてもらっていない部分について支払いを行うという制度でございます。この基金支払います、カバーをいたします賠償額は、金額にして、円にすれば約百八億円程度限度として被害者救済カバーをするということになっております。その金額は今後運用によりまして、この協定が発効後の話でございますが、総会の決議によりまして、ただいま申し上げました百八億円という限度はさらにその二倍まで多く支出することができるような規定になっております。
  13. 青木薪次

    青木薪次君 そこで、この両条約外国における批准状況についてどうなっているか説明してもらいたいと同時に、この発効要件についてどうなっているか説明してもらいたいと思います。
  14. 後藤茂也

    政府委員後藤茂也君) 発効要件でございます。六九年条約は、百万総トン以上のタンカーを有する五カ国を含めまして八カ国が批准した日の以後九十日で発効することになっております。六九年条約は現在発効しております。で、その状態は、現在リベリアフランス、スウェーデン、イギリス、ノルウェー、西ドイツ、それにオランダ、そのほか十八カ国がすでに批准をしておりまして、このうち百万トン以上のタンカーを有する国が相当数を占めております。で、この条約は、この条件に全く合致いたしましたのが今年の三月でございました。今年の六月十九日からは、これら十八カ国の間で、すでに成立をしております。このほかに、わが国を含めまして七カ国がこの批准手続を進めております。  それから七一年条約でございます。これはまだ発効しておりません。で、この発効要件は、八カ国が批准をいたしまして、それらの国の年間の受け取りの石油類の量が、全体で七億五千万トンを超えたことが判明した日の九十日後に発効するということになっております。で、この条件はまだ実現しておりませんが、実際の状況はどうかと申しますと、すでに批准をしました国が六カ国でございます。で、いま申しました七億五千万トンというのには、これらの批准国石油の引き取り量は非常に少のうございまして、まだ非常にその数が少のうございます。で、このほかに現在七カ国が批准手続を――日本を含めて七カ国でございますが、手続を進めております。日本英国西ドイツ、アメリカ、イタリー、ポーランド、東ドイツ、これらの国々でございます。で、これらの国々が仮に全部批准をいたしますと、ほぼ七億五千万トンすれすれという感じでございます。で、いま申し上げましたすでに批准をした六カ国、手続を進めている七カ国、そのほかにもさらに批准の方針は決めておる、近く手続に入るであろうという国が四カ国ございます。したがいまして、この七一年基金条約も遠からず発効するものと予想されます。
  15. 青木薪次

    青木薪次君 現行の油濁損害に対する担保措置として、PI保険TOVALOPとかCRISTALがあるわけでありますが、一応説明してもらいたい。
  16. 後藤茂也

    政府委員後藤茂也君) 御指摘のよきに、この条約発効するに先立ちまして、各種のいわば民間の保険制度が、この種の油濁損害というものの賠償責任カバーするために機能しております。  で、第一に御説明申し上げるべきものは、いわゆるPI保険でございます。PI保険と申しますものは、何も油濁損害に限りません。通常商業保険会社カバーをしない、しかし、船主がだれかに向かって賠償責任を負わなければならない責任というものを、船主相互団体をつくりましてカバーをし合うものとして歴史的に成立をしましたものでございます。  日本におきましても、日本PIというのは、船主相互保険組合法という法律に基づきまして、同じ名前組合として昭和二十五年以来機能しております。で、このPI保険日本で言う船主責任相互保険組合、これは加盟者が、もし油濁損害第三者に向かって与えた場合には、その損害カバーするものとして機能しております。このPI保険の油濁損害に対する付保、あるいは加入の状況というものは、日本に限って申せばほぼ一〇〇%でございまして、日本タンカー船主日本PI、あるいはものによりましては、外国PIに直接入っているものもございますが、このような保険というものを利用いたしまして、これで不幸にして油濁損害第三者に与えた場合の支払いに利用しているわけでございます。  第二に御説明申し上げるべきは、TOVALOPと称する、タンカー会社が油濁損害の一部のてん補に充てるために、トリーキャニオン号事件以来の世論高まりというものを背景にして組織をした保険機構がございます。このTOVALOPというのは、船主組合であるという点においてはPIと同じでございますけれども、これは油濁の損害を中心にして、タンカー船主が集まった集まりでございまして、これがてん補いたしますのは、通常PI保険で十分にカバーするかどうかに若干制度運用上疑いのあるというものについて、タンカー船主団体であるTOVALOP、これは世界的なタンカー船主集まりでございますが、これが機能しております。で、このTOVALOPは一件一千万ドルを限度といたしまして、関係政府が油濁の防止措置に対して支払った防除費用といったようなものにつきまして支払うということになっております。このTOVALOPに対しましても、日本タンカー船主に関して申し上げまするならば、ほとんど大部分船主がこれに加盟しております。  第三に御説明申し上げるべきは、これは今度は荷主団体でございまして、石油屋さんの団体でございまして、名前CRISTALと申します。これはやはりトリーキャニオン号事件以降世論高まりというものを背景にして、世界石油屋さん、石油荷主が集まってつくりました一種保険団体でございます。この保険団体の機能は、これはやはり現在、御説明申し上げましたPIクラブ、それからTOVALOP、こういった保険機構でなおかつカバーし切れない油濁損害につきまして、石油業者が集まって、これが総額で三千万ドルを限度といたしましてこれをカバーするという考え方で設立され、すでに日本にもその支部として機能する団体がございまして、有効に機能しております。  これを要するに、現在の制度で機能しております油濁損害についての各種保険機構は、一般的にまず船主PI保険、それからタンカー船主が集まったTOVALOP、それから石油屋さんが集まったCRISTAL、この三本立てで油濁損害というものは保険されているわけでございます。
  17. 青木薪次

    青木薪次君 いままで局長が説明されたのは、主に民事責任法だと思うのでありますが、原因者不明の油濁損害に対する賠償方法について対象とはしていないようであります。現状において、漁場の油濁の被害等に対して、対策は非常に必要を増してきていると思うのでありますが、この種の被害の発生件数と被害額、あるいはまた、その対策といったものについて簡潔に説明してもらいたい。
  18. 森川貫

    説明員(森川貫君) 御質問の、油濁による漁業の被害について御説明いたしますと、私どもが、各都道府県から報告を求めまして得ました資料によりますと、油濁も含めた水質汚濁による突発的被害は、全体で発生件数にいたしまして百三十六件ございます。被害額が三十七億となっております。このうち、油濁による被害は、発生件数が五十八件、被害額にいたしまして十七億六千八百二十二万九千円となっております。また、四十五年から四十八年の四年間について見てみますと、件数にいたしまして二百五十一件、被害額にいたしまして約六十四億円というふうになっております。このうち、船舶によって起きました油濁による漁業被害は、件数で全体の三六%、九十二件、被害額にいたしまして六一%、三十九億、件数のわりに被害が大きいのが特徴でございます。  また、原因者の不明の油濁によります漁業被害につきましては、ただいま申し上げました全体の中で、件数で約半分、百二十一件、被害額にいたしまして三分の一、約二十億というふうな実情にございます。  第二の御質問の点でございますが、原因者不明の油濁による漁業被害の対策につきましては、近年その漁業被害が大変多く発生している現状にかんがみまして、運輸省、環境庁等の関係省庁と協議いたしまして、関係都道府県、経団連及び漁業者団体の協力を得て、五十年の三月に、暫定対策といたしまして、原因者不明の油濁による漁業被害救済する財団法人漁場油濁被害救済基金を設立いたしております。同年四月から同基金によりまして、原因者不明の油濁により被害を受けた漁業者の救済事業を開始いたしておるわけでございますが、同基金による救済事業といたしましては、原因者不明の油濁により汚染された漁具、漁船、漁獲物等の損害及び漁場油濁による休漁の損害等に対しまして救済金を交付する、また、原因者不明の油濁による漁場の汚染の防除、清掃費等を助成するというものでございます。
  19. 青木薪次

    青木薪次君 いま説明にありましたように、日本の海は非常に汚れていると思うのでありまして、その対策は非常に急がれていると思うのであります。当面の対策とせずに、制度化すべきだというように思うのでありますが、どういうふうにお考えになっておりますか。
  20. 森川貫

    説明員(森川貫君) 先ほど説明いたしましたように、原因者不明の油濁による漁業被害救済につきましては、現在暫定的な措置といたしまして、財団法人漁場油濁被害救済基金に助成をいたしておるわけでございますが、今後の制度化につきましては、環境庁に設けられております物的被害救済に係る費用負担等検討委員会におきまして、原因者不明等の公害による財産被害救済の範囲、救済方法、費用の負担等の基本的事項の検討を進めております。また水産庁におきましても、昭和五十年度の環境保全総合調査研究促進調整費によりまして、公害による漁業被害の事例調査を行っておりまして、これらの結果を踏まえまして、運輸省を初めとする関係省庁の協力を得ながら対処してまいりたいというふうに考えております。
  21. 青木薪次

    青木薪次君 いま言われたように、原因者不明の油濁損害賠償の対象についてでありまするけれども、これはもう水産関係とか、観光資源まで達しているのではないかというように思われるわけです。そういう点について運輸省とか、建設省、農林省、環境庁、自治省に至るまで関係があると思うのでありまするけれども、そのように考えていいかどうか、お聞きしたいと思います。
  22. 後藤茂也

    政府委員後藤茂也君) 御指摘のとおりでございまして、油濁の損害というものは、原因者がはっきりしていようがあるいはいまいが、当面漁業に与える損害というものが非常に現在クローズアップされておりまするけれども、それは御指摘のように、漁業に対する損害にとどまらないと思っております。したがいまして、それらの問題につきましては、ただいまもいろいろとお述べになりましたような関係官庁ともいろいろと相談をいたしまして、適切な措置を講ずるように検討する必要があると思っております。
  23. 青木薪次

    青木薪次君 その適切な措置でありますが、具体的に運輸省としては、当面一番中心的な所管省としてどういうように考えておられるか、もう少し説明してください。
  24. 後藤茂也

    政府委員後藤茂也君) はなはだ申しわけございません。水産業に対する被害というものにつきまして、ただいま水産庁からるる御説明がございました。その点につきましてまず第一歩を踏み出すについて、ただいまいろいろと御苦労を願っておるわけでございます。  御指摘の水産業以外の問題につきましては、関係官庁、環境庁を中心にいろいろと相談はいたしておりまするけれども、この席で具体的にこういうことが考えられておりますというところまで私が御説明申し上げるところまでいっておりませんことをおわび申し上げます。
  25. 青木薪次

    青木薪次君 これは将来ひとつ宿題として検討してもらいたいと思っております。いいですね。  それから、油濁損害賠償法案によりますると、油濁損害賠償責任に関して無過失責任主義の制度を採用したというが、その理由説明してもらいたい。
  26. 後藤茂也

    政府委員後藤茂也君) この条約無過失責任主義が採用され、したがいまして、お願い申し上げております法案でもそういう考え方に立っておるということにつきましてはいろいろの理由がございます。  第一に、タンカーが油濁損害を出すというのは、従来の常識を越えた広範囲、かつ、したがって金額的に大変な損害でございます。で、従来の民法の不法行為の法理というものによりまして、過失なきところに責任なしという法理をかたくなに守りまするならば、ものといたしましては、膨大に広範囲にあらわれます被害者というものを救済するのにこれは妥当でないという考え方一つございます。  それから従来の金額責任主義、五七年条約についてるる御説明申し上げましたこれらの海事法における責任というものの法意は、これはいわば船主あるいは荷主といった大企業間、かつての大企業間の相互の関係というものを主として念頭に置かれて立てられたものだというふうに理解されまするけれども、この油濁損害というものは全くその船の運航とは関係のない、いわば無関係の第三者というものを大量に巻き込むものでございます。そういったような体系のもとで、あるいは大貿易商、大船主といったようなものを歴史的に念頭に置きながらでき上がってきた船主責任制限制度というものを直ちに適用するということが適当でないという考え方もございます。  第二に、こういったタンカーの油濁事故という特殊な損害というものに着目しまして、船舶所有者無過失責任を採用するにつきましては、若干の類似の例というものを引用しながら御説明することができるかと思います。たとえば、原子力船についての条約が同じようにその物自体が危険を包蔵しながら存在しておる、運航しておるというものでございます。航空機が墜落をして下の人に損害を与えたと、この航空機の場合もこれがやはり落っこちるという危険を包蔵して、そして運航されるものでございます。こういったタンカーの場合にも、これと直ちに同じと論ぜられるかどうか、いろいろと議論があると思いまするけれども、一たん事故があれば、油を流出して汚染事故を起こすという物理的な危険性というものをもともと包蔵して、そしてやっておるものでございます。危険責任主義とでも申しますか、そういった場合に、具体的な過失というものを論ぜずして、この人に対して責任を負ってもらうという考え方がございます。また、このタンカーもそうでございます。あるいは原子力船、航空機の場合も同じでございますが、これらの危険を包蔵しながら運航されておるものは、それによって企業としての通常の場合利益を得ているわけでございます。その利益を得た人たちというものに対して、過失の有無ということを論ぜずして、支払いをしてもらうという考え方もございます。報償責任主義とでも申しましょうか、そういったようなことで、そういう考え方がいろいろございまして、六九年条約におきましては、このタンカーの油濁事故については無過失責任主義を採用するという方針がとられ、したがいまして、ここで国内法でも、そのような考え方でできているものでございます。  別の観点から御説明申し上げますれば、このようにして船舶所有者無過失責任主義というものの原則一つの規制を行うということについては、先ほどからるる御説明申し上げておりますように、その船舶所有者については責任限度額という制度を設ける、被害者救済についてはその国際基金制度を持つということでもって、その責任を問うことが著しく片へんぱにならないようにということが配慮されているものでございます。
  27. 青木薪次

    青木薪次君 登録国のタンカー民事責任条約だけの締約国において油濁損害を与えるという場合に、その場合の被害者に対する賠償とか、船主補てん等について聞きたいんでありまするけれども被害者船舶所有者に対して賠償請求はできるのかどうなのか。それから、船舶所有者国際基金補てん請求できるのかどうか、そういう点について説明してもらいたい。
  28. 後藤茂也

    政府委員後藤茂也君) つまり、五七年条約の締約国であって、六九年、七一年条約の締約国でないという国の領域で油濁損害を起こしたという、そういう例でございます。この場合には、この損害を受けた被害者と、損害を請求される人との間にはこの条約規定は働きません。したがいまして、先ほど船舶所有者責任を一元化する云々というふうなことを申し上げましたけれども、そういうことになりません。一般的な、その国の法律がどのような規定をしているかにもよりまするけれども、もし日本で申しますならば、過失のある船舶所有者、あるいは傭船者云々という人が責任を問われることになると思います。で、この責任を問われるタンカーが、事故は非締約国で起こしたといたしまして、その登録されている国がたとえば六九年、七一年の締約国であるということでございました場合に少なくとも――失礼いたしました。やはり、この場所が非締約国の領域であるという場合には、船の登録国がいずれかであるとを問わず、ただいま御説明申し上げたようなそういう関係になります。
  29. 青木薪次

    青木薪次君 油濁損害賠償保障契約の目的について聞きたいのでありまするけれども、どうなっているか。  そしてまた、二千重量トン以上の対象タンカーの隻数と総重量トンについてあわせて聞いてみたいと思います。
  30. 後藤茂也

    政府委員後藤茂也君) 油濁損害賠償保障契約、これは法律規定し、条約規定しているものは、油濁による損害賠償支払い義務というものをてん補するということを約束する内容のものであるならばこれはいかなる――まあ政令でいろんな保険者というものが規定されまするけれども、その形式というものについて大きな制約はないわけでございます。ただ、それは現在、先ほど御説明申し上げましたPI保険といったようなものと法律上の性格はきわめて類似したものになろうかと思います。  それから二千トン以上のタンカーでございますが、二千重量トン以上のタンカーは、五十年度六月末におきますわが国の統計では、千六百九十五万総トンでございます。
  31. 青木薪次

    青木薪次君 保障契約の証明書の発行がおくれますと、締約国へ入港する場合に支障が生ずることが考えられるのでありまするけれども、この点はどうか。  それからまた、対象船舶数は大体幾らぐらいか、この点についてもお聞きしたいと思います。
  32. 後藤茂也

    政府委員後藤茂也君) 御説明いたします。  先ほども説明申し上げましたように、この六九年条約はことしの六月に批准国相互の間において発効いたしました。で、これらの相互の国におきましては、保険契約を締結しているということの証明書を備えつけている者でなければその国に入港できないということになるのは御指摘のとおりでございます。で、ただいま日本タンカーは、いろいろと英国なりフランスなり、そういった国に当然商売上の目的で毎日毎日入港する必要があるわけでございますけれども、こういった場合の取り扱いにつきましては、関係国の間でいろいろと協議をいたしました。現在のところ、まことに遺憾な事態でございまするけれども日本タンカー英国政府から、日本タンカー保険契約をだれだれとしているということについて証明書を出してもらっておりまして、その英国がこの場合に六九年条約の締約国でございますが、英国政府日本タンカーに出したその証明書というものを持って、英国及び英国以外の締約国に入ることについてそれが認められておるということでございます。こういった事態は、一日も早く日本国が堂々と証明書を発給できるような体制に持っていきたいと念願いたしております。  先ほどの対象船舶でございますが、それは先ほど私が申し上げました二千トン以上の日本タンカー、千六百九十五万総トンと申しました。隻数でことしの年央の統計で五百六十六隻でございます。あるいはただいまちょっと御説明申し上げましたように、もしかしたら、今度は日本の国に証明書をもらいに来る外国タンカーがあるかもしれませんが、それは数えませんで五百六十六隻でございます。
  33. 青木薪次

    青木薪次君 いままでは油濁事故が起きた場合のことを中心に質問したわけでありますが、今度は、油濁事故の起きないための対策というものが非常におくれていると思うんでありますが、この点について説明をしてもらいたいと思います。
  34. 薗村泰彦

    政府委員(薗村泰彦君) 先生御指摘のように、タンカーの安全対策ということは、まず、いま御論議をいただきました油濁事故が起こったのでは遅いんで、その予防手段として十分方法を尽くしておかなければいかぬということでございまして、運輸省全体としては、まず船舶航行の環境を整えなければいかぬということで交通施設、航路標識、その他十分に施設面で整備をしていきたい。それから予防のためには、交通のルールを整備しなけりゃいかぬということで、海上交通安全法によって、特別なふくそうする十一航路については、交通ルールを守らせるように法律に基づいて指導しております。  それから海上保安庁は、巡視船艇が現在三百隻余りと飛行機が三十数機で、これはもちろん警備救難ということもやりますけれども、海上交通安全のためのそういった法律に基づく指導というものをやっているということでございます。また、船舶の安全の面から言いますと、船舶の構造の改善という面もございます。これは船舶安全法その他の諸規定によって、さらに船舶の安全面の構造の管理を十分にしていくということでございます。もちろん船員関係の法令によって船員の資質の向上というようなことで、事故防止に尽くしていくということも方法だと思います。  そういったことを総合的に考えて、海上交通の安全ということで大事な務めを果たすように努力しているというのが運輸省全体だろうと思っております。
  35. 青木薪次

    青木薪次君 私は、これで最後にしたいと思うんでありますが、マラッカ・シンガポール海峡で、わが国大型タンカーがときどき座礁、あるいはまた事故を頻繁に起こしているんでありますけれども、このためにロンボック海峡を回れという声は相当国際的な、ある意味では世論になっている。また、沿岸三国の中でいろいろ対応の仕方はあるわけでありますが、ロンボック海峡におけるいろんな交通安全という面において、いろいろ問題点があると指摘されるんでありますけれども、この点はいかがですか。
  36. 薗村泰彦

    政府委員(薗村泰彦君) ロンボック・マカッサルを日本船が通るか通らないかという問題は、海運局長の方からいろんな点からの御見解を申し上げると思いますが、ロンボック・マカッサルの調査につきましては、インドネシアの政府がやるということで、私どもの方に協力を求められまして、それに調査員を出して協力をしているというところで、この五月からやりまして夏過ぎに一応の調査を終わったということですが、インドネシア側調査に協力するということがございますから、資料その他の解析はインドネシアの国に任してあるという現状でございます。
  37. 後藤茂也

    政府委員後藤茂也君) ロンボックをタンカーが通過するという問題は、マカッサル海峡は日本タンカーに限りませず、どういった条件で、どういうふうな運航の仕方が安全であるかどうかということ、また、それにはどういうことが必要であるかというようなことが関連づけられると考えております。  マカッサルにつきましては、従来からこの関係沿岸三国の政府というものといろいろと相談をいたしまして、この航路の精密な調査というものにつきまして、マラッカ海峡協議会を主体にいたしまして、保安庁筋の協力を得まして、これまで四回にわたる精密なる測量というものが行われております。また、それに関連いたしまして灯標、灯台その他のものを、このマラッカ海峡の必要な個所に寄贈するというようなことも行われております。ただいまこの沿岸三国でいろいろと相談をいたしまして、この海峡の航行をより安全にするための分離航行方式というものの具体案を練っておられるというふうに私どもは承知しております。こういったような方法というものがだんだんと設備が進み、調査が進み、そしてマラッカ海峡はどういう程度タンカーであるならば安全に通れるんだということが明らかになるにつれまして、先ほどお話のロンボックに回る船というものについての具体的な問題が生じてくる。これは先ほど保安庁長官から御説明申し上げましたように、いずれにせよ、現在でも若干の船がロンボック海峡を通っているわけでございます。それの安全の問題というものにつきましては、また別個にいろいろと関係国の政府と相談をしながら、調査あるいは施設といったようなものについても考慮をしてまいらなければならないかと存じております。
  38. 青木薪次

    青木薪次君 このロンボック・マカッサルから、ずっと太平洋の西の部分ですね、フィリピン並びにミンダナオ付近にこのごろ海上のギャング等が出没して、タンカーあるいはまた漁船等の船員がいま拿捕されているわけでありますが、これらの関係等については、海上交通安全に重大な支障が実はあると思うんですが、これらの点について運輸省としてはどういうような対策を進めていく気持ちがあるのか、これはひとつ大臣に質問したいと思います。
  39. 木村睦男

    国務大臣木村睦男君) 一般的に海上の航行の安全ということからいいますというと、いままで長官なり局長がいろいろ申し上げておりますような対策を講じておるわけでございますが、それ以外に、いまお話のございましたミンダナオ島の事件、これは非常に特殊な事件でございまして、現在また一つ事故が起こっておりますが、その前にも日本の漁船がああいう事故を起こした、この事故はまことに異例といいますか、特殊といいますか、ちょっと一般の海上の事故ということで律するべき問題ではないような気がいたしておりまして、ことに外交問題も絡んできておりますし、治安の問題でもあるわけでございますし、同時にまたフィリピンという一つ国内の問題に非常に深い関係を持っておりますので、これは軽々に一般海上交通の安全という見地からなかなか律しにくい問題であろうと思いますが、しかし、まあミンダナオ島のみならず、ああいうふうな、いわゆる海上で治安そのものが十分でない地域はほかにもあろうかと思います。したがいまして、あらかじめそういう地域はわかる場合が多いわけでございますから、航行上そこはなるべく避けて通ると、しかし、そこに寄らなければその輸送の目的は達せられない、ミンダナオ島のごときはまさにそれに該当するわけでございます。そういう場合には、そこの領域でございます当該国と、外交を通じまして安全について十分の保障をしてもらうように外交交渉でやっていかなければいけないと、かようにも考えておるわけでございます。  同時に、一般的に申し上げますというと、今回のこういった条約、五七年以後六九年、七一年と、こういうのが、法律なり条約なりというものが講ぜられてきておるわけでございますが、これは一つは、やはりわれわれ地球上の人類が経済的にも、あるいは産業の上からもだんだん発展していくために起こるいろいろなこういう事故について、従来のように原因者に対する責任を追及するという考え方からだんだん変わりまして、よってもって起こった被害者をいかに救済するか――いかに救済するかというその中には、原因者に対して責任を追及することによって救済するのには限度があるし、またそういう原因を与えたことについては、やはり社会的な責任も大いにあるではないかというふうなことから、こういった無過失賠償責任制度であるとか、あるいは基金制度であるとか、これはすでに陸上においても日本でもやっておるようなわけでございますが、そういう方向に、いわゆる一つのこういった交通上のいろんな被害――海上汚染を含めまして、こういうものは、やはり社会的責任として被害者救済に重点を置いていこうというところにだんだん世界的に思想の転換が行われつつある、これがやはり世界共通の繁栄のための方策であるというふうにわれわれも理解しなければならないのではないかと、かように考えておるわけでございまして、まさにこれらの条約もそういう方向にのっとっての一つの前進であると思います。従来は、海商法委付制度というものが長い間海上の事故賠償関係の一つの原理として支配しておったんでございますが、やはりそれでは不十分であるというふうな、社会的な発展に即応した新しい制度に移行しつつある、そういった中で、今回の条約を受けまして国内法改正もやらなければならない、こういうふうに変わってきておるものだという認識でわれわれも対処しなければならないと思っておるわけでございます。
  40. 宮崎正義

    委員長宮崎正義君) 午前中の質疑はこの程度にとどめます。午後一時から再開することとし、それまで休憩いたします。    午前十一時五十四分休憩      ―――――・―――――    午後一時二十分開会
  41. 宮崎正義

    委員長宮崎正義君) ただいまから運輸委員会を再開いたします。  午前中に引き続き、質疑を続行いたします。
  42. 岩間正男

    ○岩間正男君 法案質疑に入るに先立って、まず関連する二、三の前提的な問題について質問したいと思います。  まず第一に、わが国周辺の海洋汚染について、最近の実態はこれはどうなっておるのか、まずこの件数についてお聞きしたいと思います。
  43. 薗村泰彦

    政府委員(薗村泰彦君) 最近のわが国周辺におきます海洋汚染の発生状況を申し上げますと、四十四年が三百八件、四十五年が四百四十件、四十六年が千六百二十一件、四十七年が二千二百八十三件、四十八年が二千四百六十件、四十九年が二千三百六十六件でございます。四十九年度は二千三百六十六件でございますが、やはりこの汚染の現状を申し上げますと、東京湾、伊勢湾、大阪湾、瀬戸内の四海域に約六〇%以上のものが集中しているという状況でございます。  それから、排出されている排出源の別に申し上げますと……
  44. 岩間正男

    ○岩間正男君 それはいいですよ。件数だけでいい。
  45. 薗村泰彦

    政府委員(薗村泰彦君) はい。
  46. 岩間正男

    ○岩間正男君 いま報告ありましたように、前年度よりは四十九年度は多少これは減少していると、こういうことになっているんですが、しかし、依然としてこれは高い水準にあると思います。昭和四十五年に比べますというと、四百四十件に対して、まあ五倍以上になっておる。これは非常に重大な問題だと思うんです。さらに海域が、これは北海道沿岸、あるいは日本海沿岸などにも非常にこの種の汚染が広がっている。しかも深まっている。こういう点で、これは汚染に対する対策というものがやはり十分でない。まあ、その後の海洋の非常に最近のふくそうしている問題もありますけれども、この対策そのものも問題があると思うんです。  次に聞きたいと思うんですが、原因ですね。その汚染の原因として汚染の種別、それから排出源、これの最近の状況について報告いただきたいと思います。
  47. 薗村泰彦

    政府委員(薗村泰彦君) 汚染の原因の種類別に申し上げますと、油によるものが二千三百六十六件の全体のうちで千九百八十五件で、八四%ぐらいで一番多うございます。油以外のものが三百八十一件、そのうちには赤潮が百七十五件ございます。  それから排出源別に申しますと、船舶からのものが千二百十四件、五〇%強でございますが、その中でも船舶の油によるものが千百七十一件と、一番多いものでございます。
  48. 岩間正男

    ○岩間正男君 これをさらに日本船と外国船に区別した場合、これはどうなりますか。
  49. 薗村泰彦

    政府委員(薗村泰彦君) 先ほど船舶からの汚染が千二百十四件と申しましたが、大体その三〇%に当たります三百六十六件というものが外国船からの汚染の件数でございます。
  50. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは率にしたらずいぶん外国船の方が多いんじゃないんですか。われわれの調べたところでは、日本船の年間の入港隻数は百万五千六百四ですか。そのうち汚染件数が八百四十八、したがって、〇・〇八四ということになっていますが、外国船の場合は、入港隻数が五万一千二百八十四、それに対して三百六十六件、率にするというとこれは七・一四%、こういうことになるわけですね。したがって、非常に日本船よりも八・五倍ものこれは汚染率を持っている、こういうことですね、それでいいですか。
  51. 薗村泰彦

    政府委員(薗村泰彦君) 入港隻数と事故の件数で比較してみますと、先生おっしゃるとおりになると思います。
  52. 岩間正男

    ○岩間正男君 外国船に対する汚染防止ですね。この対策という点で、やはり問題になっているのは便宜置籍船の問題ですね。これはどういうようにつかんでおられますか。これに対する対策をやっぱり明確にしないというと、一般外国船といっても、これは全体の量からいっても便宜置籍船と言われるものが非常に多いのじゃないか。しかも、非常にやはりいま日本の、当委員会でも問題になったように、これは性格としても非常に不明な点がある。責任の所在というものも非常に不明確な点がある。そういう点が汚染を大きく発生さしている根源になっているのじゃないか、これについてどのように考えておられますか。
  53. 薗村泰彦

    政府委員(薗村泰彦君) 外国船舶の海難事故が多い、やはり日本の近海が海象、気象とも複雑な状態でございますので、どうしても事故が多いということは避けられないと思います。したがって、私どもとしては、まず外国船の海洋汚染に対する取り締まりは厳重にやる体制にしてございます。  それから、やはりその事故をできるだけ予防しなければいけないということでございますから、取り締まりを立ち入り検査その他で厳重にやりますと同時に、外国船主集まりであります協会等に、日本近海に来ての事故防止に対するパンフレットを配りましたり、また直接船舶に赴いて指導をするということをやっております。最近もこの十一月十七日から二十一日の間に外国船の漏油事故防止推進期間として集中的に立ち入り検査、臨船指導を行うつもりでおります。
  54. 岩間正男

    ○岩間正男君 先ほど言いましたように、外国船の汚染率は、これは日本船に比べまして八・五倍にも及んでいる。そうして、その外国船の大部分が、いま言ったような便宜置籍船になっているわけですね。そうすれば、特別にこれに対する対策ですね、これを明確にする必要があるんじゃないか、方針として。これについて、いま対症的なこの対策について二、三お話がありましたけれども、これをもっと意識的に明確にする必要があると思うのですが、この対策、方針についてどうですか、当委員会にもっと報告する必要があると思うのですがね。特に留意をして、どういう点をどうするかというようなそういう方法ですね、これはありませんか。明確になっておりますか。ただケース・バイ・ケースというようなことでもだめですし、もっと検討する必要があるんじゃないかと思いますが、その点いかがでしょう。  それから、当委員会にそのような、あなたたちの方針というものをやはり報告する考えがあるかどうか。どうです。
  55. 薗村泰彦

    政府委員(薗村泰彦君) この便宜置籍船という問題は、特別に便宜置籍船というものがどういうことであるかという実態がまず明らかにならないと非常にむずかしいと思います。われわれは、われわれの事故の中に、かなりリベリア、パナマの船籍の船が多いということは事実でございますけれども、果たしてそれらが全部便宜置籍船ということで特に特殊扱いをするべき船であるかどうかということは、ちょっとこれはわれわれにはわかりません。われわれは起こった事故の取り締まりを厳重にするということでありまして、先ほど申し上げましたとおり、外国一般日本の気象、海象に気をつけるように、公害の事故を起こさないようにということで十分指導していくということを今後とも続けていきたいと思います。
  56. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは運輸大臣、どうですか。運輸省の方針として。海上の保安、汚染防止の立場からもっとここを明確にする必要がある。ここのところは非常に漠然としている。そういうために、外国船に汚染が非常に多くなってきておる。これについて特別に対策を強化する必要があると思いますが、どう考えておられますか。これは検討しておられますか。
  57. 木村睦男

    国務大臣木村睦男君) わが国の港湾、その他沿岸におきまして海上汚染状況は、いま保安庁長官が申し上げたように、外国船による汚染原因がかなりあるということは事実でございますが、これは繰り返してしょっちゅう来ている外国船であれば、状況にも慣熟しておりますから、日本船と変わりはないと思うんですが、やはりその中には回数が少なくて初めて来るというふうなのも多いわけですので、そういった汚染の原因もいろいろあると思うわけでございます。それらにつきましては、いま保安庁長官が申し上げたように、いろんな方法を講じて注意を喚起し、その防止に努めておるわけでございますが、外国船の中にはもちろん便宜置籍船もあるわけでございます。そういう汚染事故を起こした場合に、特にそれが便宜置籍船であるからこうだという関連のある状況はまだわれわれも把握しておりません。恐らく便宜置籍船であるとないとによって、外国船の中でも海上汚染態様が違うとはちょっと私は考えられないと思うのでございます。やはり一様に日本事情、海象あるいは気象等にしょっちゅう習熟していない外国船なるがゆえに、いろんなそういった事故による海上汚染が多いんじゃないかと、かように考えますが、これらの問題もさらに一瞬調査をしてみなければ何とも言えない問題でございます。ただ具体的には、先ほど申し上げたように、いろんな方法を講じて防止の指導はいたしておりますが、今後一層そういう点も強化していきたいと思っております。
  58. 岩間正男

    ○岩間正男君 汚染の問題を解決するそういう対策の中で必要なのは、やはり汚染の把握の問題ですね。だから把握の体制、それから把握の仕方、科学的な調査とかいろいろあると思いますがね、そういう点についてもっとやっぱり私はこの点、このような日本の現状から考えますというと、政策としては強化する必要がある。それがなされていない。そういうところに行管あたりからもこれは最近指摘があったんだと思います。これは後で触れますけれども、こういう問題についてもっと明確にしてほしい。単に研究してみますぐらいのことじゃ済まないんじゃないかというふうに思います。  そこで、こういう汚染のためにいろいろな被害が起こっているわけであります。先ほども、これは午前中の質問の中にも出てきたわけですが、その中で、何といってもたん白資源の五一%を占めている日本の漁業ですね、漁業被害が非常に多くなっていると思う。  で、水産庁にお伺いいたしますけれども、この汚染の現状、被害の現状、被害の最近の、ここ三、四年の年間状況、それから被害額、こういうものについてお知らせをいただきたい。
  59. 森川貫

    説明員(森川貫君) 午前中にもちょっと申し上げましたが、この油濁にかかわります漁業被害の発生状況を四十五年から四十八年の四年間を見てみますと、件数にいたしまして二百五十一件、被害額にいたしまして、総計いたしまして約六十四億円という額になっております。これをさらに四十八年について見ますと、これもやはり全国の都道府県からの報告によりまとめたものでございますが、四十八年におきましては、発生件数が海面――内水面を含めまして六十六竹、このうち被害額が不明なものが二十件ございますが、それを除きました被害総額が十七億八千百五十六万円となっております。また、この中で原因者不明の油濁による漁業被害につきましては発生件数で二十三件、被害額は二億四千百三十七万円というふうになっております。なお、四十九年の被害につきましては現在集計中でございます。
  60. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは午前中の質問の中で、こういう漁業の油濁被害に対する救済措置として暫定的に被害救済基金が設置されていると、こういうことであったのでありますけれども、これは漁業の場合ですが、その中で廃油ボールによる海津汚染の場合、こういうものはこれはどうなるのか。これは鹿児島県からの請願でありますが、今度の請願の中に、昭和四十二、三年ごろから廃油ボールの沿岸汚染が非常に進行している。特に大隅半島、薩摩半島、奄美大島、屋久島等、鹿児島県沿岸が非常に汚染されてきている。で、その被害は海草、それから漁業はもとより観光地、それから海水浴場など生活環境にも大きな影響を与えている、こういう現状が述べられている。これに対して政府の対策を要求してきております。で、私はお聞きしたいんですが、海上保安庁として海洋汚染の監視、取り締まり体制及び防御体制をどう充実強化しようとしているのか。これはこの問題と関連するんですが、まず最初にこの点お聞きします。
  61. 薗村泰彦

    政府委員(薗村泰彦君) 海洋汚染の防止につきましては、私どもは三百隻余りの巡視船艇と三十数機の航空機を使いまして、できるだけ汚染の取り締まりを厳重にするということでやっております。特に航空機によるところの汚染状況の発見、取り締まりということが大事でございますので、全国の海域を四海域にランクづけをいたしまして、一番大事な東京湾だとか、瀬戸内だとか、伊勢湾だとかというようなところは一日に二回、それから次の第二海域は一日に一回、それから第三海域は二日に一回、その他の第四海域は三ないし五日に一回というようなことで、航空機で監視、取り締まりをいたしまして、海上にいる、これも大事なところにはそのために常時一隻配備しております巡視船艇と連携をとらせて、両方で取り締まりができるような体制をとっております。
  62. 岩間正男

    ○岩間正男君 いまの請願と関連してですが、水産庁にお伺いしますが、漁業の被害について本年三月に設定された、先ほども申しました漁場油濁被害救済基金、これは現在は適用されていないと思いますが、鹿児島から申請があった場合、この被害についてはこれは当然適用されると思うのですが、どうでしょう。
  63. 森川貫

    説明員(森川貫君) 御指摘の廃油ボールによります漁業被害につきましては、この廃油ボールが漁業被害を伴うものでありまして、かつ原因者が不明な場合にありましては、さきに御説明いたしました財団法人漁場油濁被害救済基金がこの漁場の清掃、防除等を行いました経費を助成する、それとともに廃油ボールによりまして起こった漁業被害に対して救済基金を支給するということができるようになっております。したがって、申請がございますれば、審査の結果救済が行えるはずでございます。
  64. 岩間正男

    ○岩間正男君 いまのところ確認しておきたいと思います。  第三にお聞きしますが、これは運輸省と水産庁にお聞きしたいんですが、廃油ボール等を除去するために多くの費用がかかりますね。この財政援助をこれはどうするのか、この点について両者からお聞きしたいと思います。
  65. 森川貫

    説明員(森川貫君) 水産庁の方では、先ほど申し上げましたこの基金に対しまして、国といたしまして清掃、防除のために七千七百十六万四千円を拠出しております。これに対しまして関連する都道府県が同類を出しまして、一億五千四百万の防除、清掃の事業を行えるような形になっております。
  66. 岩間正男

    ○岩間正男君 ということは、財政援助が可能だということですね。いいんですね。これは運輸省いかがですか。
  67. 後藤茂也

    政府委員後藤茂也君) 水産庁から御説明申し上げましたように、原因者不明の油濁損害についての問題については、水産庁からの御説明で実際上の政府措置は尽きていると思います。で、原因者がはっきりしている場合につきましては、これは午前中からいろいろと御説明申し上げておりますような他の、民間の賠償措置でもって処理するという考え方でございます。
  68. 岩間正男

    ○岩間正男君 この廃油ボールの除去の問題ですよ、いまお聞きしているのは。
  69. 後藤茂也

    政府委員後藤茂也君) したがいまして、廃油ボールによる損害というものにつきましては、事柄の性質上、その原因がどの船から出ているかということが明らかでないケースに該当する。したがいまして、水産庁から御説明されたその問題でで、政府措置というものはそれだけであるということでございます。
  70. 岩間正男

    ○岩間正男君 水産庁からのいまの方針でいいというわけですね。どうなんですか、運輸省の立場としては。あんた、もう少し大きい声で言ってください。聞こえないよ。
  71. 後藤茂也

    政府委員後藤茂也君) そのとおりでございます。つまり、この法案で御説明申し上げておりますものは、原因者のはっきりした油濁損害の案件の処理の問題であるということでございます。
  72. 岩間正男

    ○岩間正男君 この点は実際の適用の中でいろいろ問題があろうと思いますが、廃油ボールというのは原因がはっきりしたのだけかどうかというのがね。これは長く海洋に漂流するでしょう。いろいろ潮流の関係でこれは出てくる。そういうものの除去費を自治体なんかが賄うことがありますよ。そういうような場合に、原因がこれは不明だからというので放置する、こういうことでは、本当に汚染を除去する対策としては不十分になると思うんです。この点どうなんですか。原因がはっきりしなければこれは財政の援助はできない、こういうことですか。水産庁のお考え、どうですか。
  73. 森川貫

    説明員(森川貫君) 先ほど申し上げましたように、廃油ボールの場合は多くの場合原因者が不明というケースが多いと思いますが、原因者が不明であって、かつそれが漁業被害を与えるという実態がございます場合には、この基金制度によりまして助成をするということになっているわけでございます。
  74. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは生活環境が非常に破壊されるんですからね。水産庁だけに任せられる問題じゃないと思うんです。これはそういう点で運輸省のこれに対して、あるいは環境庁――きょうは見えておりませんけれども、こういう点について十分にこれは今後検討する必要があるのじゃないかと、こう思っております。  時間の関係から次に行きますが、とにかくいまこの油濁賠償法案審議しているんですが、発生してからでは遅いので、未然に防止する対策、これが十分でない、こういうふうに思うんですね。そこで、四十五年に制定されて四十七年から実施されている海洋汚染防止法、これは、現在この法律は十分に実施されておりますか。概括的に言ってどうでしょうか。
  75. 薗村泰彦

    政府委員(薗村泰彦君) 四十七年以来海洋汚染防止法は全面的に実施されてすでに定着をして、それによる取り締まりの効果は上がっていると思っております。
  76. 岩間正男

    ○岩間正男君 そういうふうに言えるかどうかですね。  私は、そこでお聞きしたいんですが、本年の七月十二日に行管庁からこれは運輸省、農林省、環境庁に対して勧告が出されていますね。出されてすでに四カ月ですか、これに対して検討をされておると思うのですが、まずお聞きしたいんですが、行政管理庁はこのたびの勧告ですね、どういう点から出されたか、その主要なところをここで説明してほしいと思います。
  77. 近藤輝彦

    説明員(近藤輝彦君) まずどういう点からという点につきましては、先ほどからいろいろ背景事情について議論がなされているとおりでございまして、わが国の周辺の海域におきまして、船舶等から出ます油による汚染がかなり多くなっておりまして、また、これによります漁業被害もかなり増大しておる。一方、第三次国連海洋法会議におきます討議の内容を見てみましても、わが国のように動物性たん白質の供給源の多くを水産製品に依存している国にとっては非常に海洋環境の保全を図ることが重要であるということを背景事情としまして、この観点から行政観察を実施したわけでございます。  なお、主な勧告項目としましては、一つが海洋汚染の把握に関する調査をなお推進する必要があるということでございます。第二点としまして、船舶からの油の排出につきまして、規制基準を強化することと、ないし公害監視をなお充実する必要があるということでございます。それから第三点としまして、廃油処理対策を充実すること。特にスラッジの処理体制を整備すること。第四点としまして、大規模な油流出事故に対処するための法令の整備及び油回収設備の配備基準を明確にする必要がある、おおよそこういう点について勧告しております。
  78. 岩間正男

    ○岩間正男君 いまの勧告の、四項目挙げられましたが、非常に海洋汚染防止法、これが十分でないということの反証でしょう。そう思って差し支えないと思うのです。私たちも出された勧告、これを調査したわけですけれども非常に不十分です。具体的にこれを論議することは時間的にできませんけれども、こういう点でどうですか、海洋汚染の把握の問題、これは保安庁長官どういうふうに考えておられますか。十分だと思っておられますか。
  79. 薗村泰彦

    政府委員(薗村泰彦君) 私どもは海洋汚染の実態を先ほども触れさせていただきましたが、船艇、航空機の現在の装備で、できるだけ早くそれを見つけて被害の拡大を未然に防止をします。それから原因者をできるだけはっきりさせて、その原因者に防除体制を早くとらせるということでございまして、そういった面での整備は今後とも続けていきたいと思っております。
  80. 岩間正男

    ○岩間正男君 第一に、調査の機構が充実していない点が指摘されていますね。それから非常に調査の連絡が十分でない。そこで調査できない、いわば空間みたいなそういうところが出るわけですね。全然調査の対象になっていない。そういうような点で非常に全体として不十分な体制だ。科学的に調査の体制も十分に整えられていない。そういう点から海洋汚染の調査を調整して、そうして総合的な体制をとる必要がある。そういう主管が十分でないので、これをやっぱり総合的なものにする必要があるということ。  それから連絡協議会のようなもので運輸省、環境庁、農林省、その他関係行政機関がそういう協議会を設けて調査海域の設定、調査方法、それから調査項目等をもっと調整し、本当にこの実態を把握できるような体制をとるべきだということが指摘されておると思うのですが、この点はやはりいろいろ不十分な抜け穴があるわけでしょう。こういう点どうですか。
  81. 中村四郎

    政府委員(中村四郎君) 海洋汚染の把握につきまして、私どもとしましては、海洋汚染状況の正確な把握ということが海洋汚染の防止のいろいろな施策の基本になるという認識のもとに従来から調査を行ってきたわけでございます。  ただいま先生が御指摘ございましたような連絡協議会の設置の件につきましては、環境庁を中心といたしまして運輸省、農林省等と協議を行いまして連絡協議会というものを設けることといたしました。それによりまして調査範囲の明確化、調査海域の設定、調査方法、調査項目等につきまして総合的な調整を行って、全般的な調査について重複を避け、あるいはお互いに補完するということを確実にやってまいりたい、こういうことでございます。
  82. 岩間正男

    ○岩間正男君 総合的な中枢機関ですね、これをつくる必要があるということが指摘されておるのですが、この点については運輸大臣いかがですか。これは運輸大臣だけの権限に属するものじゃないと思いますが、国務大臣としてあなたはこういう問題について提案して、それでやっぱり総合的な、科学的な調査体制を確立しなければ、現状が把握できないのじゃ本当にこれは病気の治しようがないわけですから、ここのところに非常な抜け穴があるわけですよ、いろいろな点で。これは詳細にやっている時間がありませんから大綱だけ申し上げているわけですけれども、これに対してはっきりどう適用するのか。間もなくこれに対する回答も出さなくちゃならないのだと思いますが、この回答とも関連してどういうふうに考えておられるか、お伺いしたいと思います。
  83. 木村睦男

    国務大臣木村睦男君) ことしの七月に出されました行政管理庁の海上汚染に対する勧告は、およそ海上汚染に関して多くのものを網羅をして指摘をされておるわけでございますが、その中ではすでに――たとえば航空機による監視基準を強化するとか、あるいは廃油処理事業者に対して適切な指導を行うとか、すでに実施をしてまいっておるものもございます。その他、これはいま岩間さん御指摘のように、一省庁だけでできない問題も相当たくさん含んでおるわけでございます。そこで、それらの問題につきましては、やはり各関係省庁が一緒になりましてこの対策を立てて、それぞれの分担に従って実施をしていくという体制をもってやらなければ万全は期せられないと考えておるわけでございまして、そういう問題につきましては関係各省、ことに私は全般的には環境庁中心で、それで運輸省、あるいは農林省、あるいは地方自治の関係もありますから自治省、そのほかにもあろうと思いますが、そういった関係官庁が一緒になって一つ機関をつくってこの対策を講じていくという必要があろうかと思いますので、私も国務大臣の一人として、そういう方向で今後努力をしていくつもりでございます。  なお、海上汚染のみならず、これらを含めまして海上の保安行政の徹底、あるいは防災等につきましては、すでに地区別にその地区の関係各機関との協議体のようなものをつくって随時協議をしながら実施をしてまいっておりますけれども、それはそれとして、こういった機能をさらに一層強く発揮するようにいたすとともに、やはり根本的にはそれぞれ関係官庁を網羅をいたしました一つの協議機関のようなものをつくって対策を講じていく必要があろうかと考えております。
  84. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは閣議なんかの問題になるんでしょうが、そういう中枢的な総合的な機関ができる。そうして関係官庁は、運輸省を初めとしまして農林省、環境庁、気象庁ですか……これは運輸省に入っておりますが、そういうところですね、そういうものを総合した体制がとられる、そういうことを含めた回答書になりますか。もう二カ月後にこれは回答を出さなくちゃならないと思うんですが、行管に対して。そういうことになると、現在そういう問題について検討をされておるのか。それで、運輸大臣はそのイニシアをとってこれは明確にしていくのかどうか、この点はどうなんですか。つまり、行管の勧告というのは出しっ放しのことが多いので、これが実態に追って、しかも被害を受けているのは沿岸の漁民を初めとして、大変海洋の汚染、こういう点は非常に深い関係を持つわけですから、こういうものに対決しなくちゃならない、そういう非常に重大な問題を持っているわけですからね。これをやはり明確にする必要があると思いますが、もう一度その点について御見解をお聞きしたいと思います。
  85. 木村睦男

    国務大臣木村睦男君) この勧告の内容を実施しますのには、法令の改正等も必要なものもあるようでございますし、また、先ほど申し上げたような関係各省庁間でいろいろ協議を進めてまいらなければならない問題もございまして、現在その協議を進めております。したがって、これは運輸大臣だけの考えでいつ幾日、どういうふうに関係各省の協議体制というものをどういたしますということは言い得ませんけれども、関係各省で現在協議を進めておりますので、いずれ行管の勧告に対しては回答を出さなければなりませんので、できるだけその結論を急ぐように努力いたします。
  86. 岩間正男

    ○岩間正男君 見守りたいと思います。回答書が出るだろうから、回答書の段階でもわれわれ検討したいと思います。  その中で特に、排出油防除対策の問題に属しますけれども、その中で油回収船の配置ですね、それからこの回収船がどのように現在持たれているか、こういう問題について聞きたいと思うのです。先ほど問題になりました海洋汚染防止法、あれには油回収船についての規定はあるんですか、ないんですか。
  87. 薗村泰彦

    政府委員(薗村泰彦君) 現在七十一隻ばかりの油回収船が全国に配置をされております。大体回転板方式というもので、回転板に付着させて油を吸着するという方式と、それから水と油とを吸引して油水分離をして油を回収するという方法と、大体二通りのものが全国に配置をされております。
  88. 岩間正男

    ○岩間正男君 私の聞いている質問に答えてください。海洋汚染防止法ですね、この中には油回収船の規定というのはあるか、ないかと聞いているのです。ありますか。
  89. 薗村泰彦

    政府委員(薗村泰彦君) 油回収船というものを直接書いておる規定はございません。
  90. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは、排出油の防除資材としてはオイルフェンス、それから油処理剤、それから油吸着材、この三点については規定があるわけですね。しかし、一番大切な回収船についての規定がない。これはやっぱり法の抜け穴じゃないかと思うのです。どうなんですか。  私、具体的にお聞きしますが、水島のあの三菱石油の油流出事故というのは、最近最もこれは衝撃を与えた大きな問題になっているわけです。あのとき回収船が動員されたと思うのですね。七十一隻というふうにさっき話ありましたが、そのうち何隻動員されたのか。それから動員された動員先ですね、これはどうなのか。それから、その回収船の能力ですね、性能はどうなのか。こういう点についてお聞きしたいと思います。
  91. 薗村泰彦

    政府委員(薗村泰彦君) 現在全国で七十一隻油回収船があるということを申し上げました。水島のときに動員されました状況を申し上げますと、直ちに事故直後に手配しましたのが三隻でございまして、坂出、徳山、姫路からそれぞれ現地に向かうということで三隻を事故直後に手配をいたしましたが、その後極力その稼働隻数をふやしまして、二十四隻というときが一番多い隻数でございました。これは大阪湾、瀬戸内方面から集めたものでございます。それで、延べ稼働は三百六十二隻という稼動状況になっておりまして、それらが水島の防除活動に従事したわけでございます。
  92. 岩間正男

    ○岩間正男君 九州あたりからもこれは集めたと聞いておりますけれどもね。それで、二十四隻ですか、三十隻前後とわれわれ聞いておりますが、その点は正確にしていただきたいと思います。  さて、その油回収船の性能はどんなんですか、これは。民間にある、企業でいま持っている油回収船というものの性能ですね。これはとにかく回収船はある、しかし性能が悪いんじゃしようがないと思う。いま油事故がこんなに激発している中で、つまり性能が非常に大きな問題になるわけですが、どんなものですか。
  93. 薗村泰彦

    政府委員(薗村泰彦君) 先ほども申しましたように、現在七十一隻の油回収船は、回転板方式というのと吸引式ということに大きく二つに分けられるものでございますけれども、大体その性能は、私どもで持っておりますロッキード式の回転板方式の油回収船について申しますと、最高で毎時七十五トンという回収能力がございます。一般に回収船の性能としては、毎時十トンないし三十トンの回収能力があるということでございます。
  94. 岩間正男

    ○岩間正男君 この程度のことでは、ことにあの水島のような、大変な流出をやったのですが、とてもこれは間に合わなかったと思うのですね。どうなんですか。  だから、どうしてもここで問題になるのは、やはりもっとこの配備を十分にすることですね。ここに私たちの資料がありますけれども、この資料によりますというと、もう非常にむらがあるんですね、配備に非常にむらがあります。これは海員組合の調査によるものですけれども、これによりますというと非常にむらがあって、それでなかなか集中力も十分でない。こういうことになりますから、重大な事故が起こった場合には、とてもこれは間に合わないということになってきますね。こういう点についての十分な検討があるのかどうか。  それから、わずか十トン程度の回収力じゃとてもこれはだめなんで、この性能について十分に検討する。  さらに一番問題なのは、これを義務制にするということじゃないですか。つまり、一定の油の仕事に携わるそういう営業所とか、それからそういう関係部門ですね、そういうところではどうしてもこの回収船を設備するのだ、こういう義務制にするということは非常に重要な問題だと思うのです。この点についてどうですか、行管の勧告があると思うのですが、行管はどのような勧告をされておるか、油回収船についての勧告をお聞きしたいと思います。
  95. 近藤輝彦

    説明員(近藤輝彦君) まず、勧告いたしました趣旨といたしましては、もともと油というのは物理的に回収することが一番望ましいわけなんで、油を物理的に回収する回収設備を十分配置する必要がある。特にいま先生もおっしゃっておりましたように、現在の回収船の配備は若干偏った点もございますので、そのあたりを考慮しまして、配備の基準を明確にする必要があるというふうに勧告しております。
  96. 岩間正男

    ○岩間正男君 この勧告文、そこにあるでしょう、それをちょっと読んでもらうと一番正確だがね。
  97. 近藤輝彦

    説明員(近藤輝彦君) 最初からでございますか、結論のところだけ……
  98. 岩間正男

    ○岩間正男君 重要なところでいいです。
  99. 近藤輝彦

    説明員(近藤輝彦君) 結論のところを読みます。「したがって、運輸省は、排出油を物理的に回収するための油回収装置(船)について、なおその性能の向上を促進するとともに、油回収能力を見極めた上で、一定の海域等ごとにこれを備え付けさせる基準を策定するための措置を講じて整備の推進を図る必要がある。」  以上でございます。
  100. 岩間正男

    ○岩間正男君 いまの勧告について、これはどうですか。
  101. 薗村泰彦

    政府委員(薗村泰彦君) 油回収船をどういうふうに配置をしたらいいか、一部偏在というお話が出たのですが、さしあたってやはり大事な海域に重点的に配備していきたいということでございます。現に私どもでロッキード式の油回収船を海上保安庁としては二杯持っておりますが、それは水島と横浜に置いてございます。そういう点でやはり重点的に配備をしていくということでございますが、事故が起こったときにどういうふうに役立てるかということ、いろいろ全国的な配備は今後考えていくというつもりでございます。
  102. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは配備の状況、あなたの方で資料ございましょうね。どこにどう配備されて、どのような性能のものがあるか。この勧告とも関連して、重要港湾の中で現在は二十六港湾に四十七隻が配備されている。それから、そのうちの四十一隻の一時間当りの油回収能力は十キロから三十キロリットルだと、こういうふうになっているが、しかし、非常に港湾別、海域別に見て偏在している。それから油関係事業者の一部のものが配備しているにすぎずしてその整備は十分でない、こういうことから、これは緊急の事態に即応できないという問題が出てくると思うんです。これに対してやっぱり万全を期すということが少なくともこの中で、この海洋汚染防止法ですね、こういうものを骨抜きにしない、単にたな上げの法律にしない、こういう点から言えば非常に重要な課題だと思うんです。これについて一体どのような対策をいままで進めてこられたのか。すでにもう防止法が実施されてから三年になります。三年の間に不十分だった。そして、水鳥事故のような、あのような大きな課題に対してこれは対応ができない、そういう問題が発生したわけでありますから、したがって、行管の勧告になっているわけです。こういう一連の事態を考えれば、これに対して当然やはりはっきりした対処をする、これが重要になってきていると思うんです。この点いかがでしょう。これは運輸大臣に御答弁いただきたい。
  103. 薗村泰彦

    政府委員(薗村泰彦君) 私どもも海上における防災体制を充実していきたいということは十分考えております。油回収船は重点的なところに現在七十一隻配備されております。水島の事故が起こって、石油のコンビナート側としても油の回収船をある程度備えつけるというように現在国会に上程されている法律案の中ではなっているようでございます。したがいまして、それらの油回収船の準備とともに、港の中においてどういう体制をしいていったらいいかということを私どもも十分考えて防災体制の確立に準備をしていきたいと思っております。
  104. 木村睦男

    国務大臣木村睦男君) 水島の事故は、いまだかつてない大変な事故でございまして、事実あのときには、わが国が民間あるいは官庁とも持っておりますこういった油回収船、その他こういった装備が足りていないということは率直に認めざるを得ないと思うんです。これは今後とも民間におきましても、あるいは政府側におきましても、回収船その他こういった機具の整備は図っていくように、われわれとしても来年度予算においてもいろいろ要求をいたしておりますが、ただ偏在ということを行政管理庁で指摘をされておりますが、十分なものを公平に配備できておればもちろん偏在ということもないんですけれども、不十分なものを重点的に、運輸省あるいは海上保安庁が考えて必要だというところに配備しておる、その配備の仕方が本出はそう必要でないところにやっておるとか、あるいは不必要なところにたくさん配備しておるとかいう意味で偏在ということであれば、それは個々に行政管理庁から具体的にこうであるから偏在であるということを聞かないとよくわかりませんですけれども、われわれとしては、現有の勢力をもって事故の起きやすい、あるいは航行の非常にふくそうしておる、危険性の多いところに重点に配備しておるつもりでございますが、その点、行政管理庁は何をもって偏在というふうにおっしゃっておるか、これはよく聞いてみぬとわからぬと思います。
  105. 岩間正男

    ○岩間正男君 勧告に対するこれは反論があったわけですが、当然資料出さなくちゃね、行管に。どういう調査をやって、それであなたの方が勧告した。それから、現状についてもどういうふうになっているのか。大手の石油関連企業の場合を見ても、各事業所別に桟橋やバースを中心にして考えた場合、十分にこれは配置されているのかどうか、現状を資料としてこれは出していただく。いいですね。海上保安庁が出してやる、その性能についても出してやる。両者をこれは対照してみて、そしてその中で、やっぱり非常にこの汚染防止法のいわば一つの眼目になっておる問題ですから、この問題を明らかにする必要があると思う。いかがですか。
  106. 木村睦男

    国務大臣木村睦男君) いまの問題は、私は詳しいことを知りませんから、あるいは事務当局同士で照らし合わせて話しておるかもしれませんですから、その点は私ちょっと知っておりませんので、全然話し合いができていないのかどうかもわかっておりませんから、念のため。
  107. 薗村泰彦

    政府委員(薗村泰彦君) 恐らく行管で平時四十七杯とお出しになった……。
  108. 近藤輝彦

    説明員(近藤輝彦君) はい、そうですね。
  109. 薗村泰彦

    政府委員(薗村泰彦君) これも私どもからの資料でお出しになったんで、趣旨はそんなに違っていない、見解は違っておりません。その後、きょうは先生のお話ございますと承りましたんで調べてきた結果、七十一杯ぐらいにふえているのじゃないかということで、現状は七十一杯をもう一度再調査いたしまして、できるだけの資料を先生のところにお出しをいたします。現状は七十一隻だと思いますけれども、その資料を出させていただきます。
  110. 岩間正男

    ○岩間正男君 この法案に義務規定としてオイルフェンスとか、その他のものはうたっているんだが、回収船について明確にこれをしていない、こういうところはこれは非常に一つの抜け穴になっていると思うのです。この原因はやっぱり回収船を設備するには相当な金がかかる、こういうことなんですか。どうでしょう。
  111. 薗村泰彦

    政府委員(薗村泰彦君) いずれにいたしましても、油回収船を防災のために備えていかなければならないという必要性は十分ございますので、それをどういう方法でどういう地帯別に整備をしていったら一番有効適切であるかということを考えて整備に今後努めていきたいということを考えております。
  112. 岩間正男

    ○岩間正男君 義務規定にしたらいいんじゃないですか。義務規定にして、これだけの事業所に、一定の量のとにかく油をこなすそういうところは、もう必ず回収船を設備しなきゃならぬ、こういう義務規定になれば、いまの問題を法的にも解決できるわけですね。ところが、実際金かかるんじゃないですか。これは保安庁の持っている回収船はどれぐらいか。大体一隻三億ぐらいというふうに聞いていますね、民間の企業が持っているのは。しかも性能は非常に不十分だ。それが非常に経済負担になりますから、なかなかそれができないでいるというように思うんですけれども、いかがですか、その点は。
  113. 薗村泰彦

    政府委員(薗村泰彦君) 先生お話しのように、この油回収船についてはかなりいろんなバラエティーがございます。私どもが先ほど申しましたロッキードという回転式でつくったのは一億数千万円ということです。それから来年度、油の回収装置ということで実は巡視船艇の横にくっつけまして海水を吸収して、それから油分を抜き取っていくというような装置、たしか一式千五百万円ぐらいの装置を船につけるというものもございます。いろんな値段のものがいろんな性能で分かれておりますので、そういった点を踏まえて、全国的に防災の観点からどういうふうに配置していったらいいか、どういうお金のかけ方が一番全国的な防災体制の整備としてふさわしいものであるかということを今後よく検討させていただきたいと思います。
  114. 岩間正男

    ○岩間正男君 検討と言いますけれども、やはりもうこの油による被害を、とにかく発生したらそれを最も早い機会に回収をするということが何と言っても一番重大な問題だと思うんですね。したがって、それを法制化するという問題が非常に重要じゃないかというふうに思うんで、どうでしょうかね、この点について。まあ一定以上の油を処理する企業に対しては、これは事業所に油回収船の設備を義務づける。その際は性能についても規定する。単に船があった、しかし、その性能は非常に劣っている。これじゃだめですから、一定の性能を備えたもの、さらにコンビナート等においても有機的な配置を検討して規制する、これらのことを実施することが非常にやはり私は海洋汚染を本当に有効ならしめるためには必要だというふうに思うんですけれども、この点どうですか。法制化する、法の上に規定する、そういう考え、どうですか。
  115. 薗村泰彦

    政府委員(薗村泰彦君) ただいま先生がお話しの件は、石油コンビナート等災害防止法案ということで国会に提案されております法律の中にある程度出ておるというふうに私、承っております。
  116. 岩間正男

    ○岩間正男君 しかし、これで本当にできるんですか。このコンビナート防災法ですね、これで義務づけると。で、陸上の企業について、これは第十五条ですか、「特定事業者は、その特定事業所に、主務省令で定める基準に従って、特定防災施設等を設置し、及び維持しなければならない。」と、こういう規定があるわけですが、しかし、これに対する自治省側の意向を聞いてみますというと、何も内容については明らかにしていない。だから、そういう点については、これは非常に明確になっていない、それからどういう基準でこれは義務づけるのか。それから事業規模と隻数の問題とか油回収力、さっきから言いました性能の問題とか、それから各企業間の協力連携から見た隻数の問題、こういうような問題について、これは詳細な具体的な内容を持っていないんじゃないか、これはどうなんです。単にまあうたってはいるということでありますけれども、この裏づけはないというふうに考えられるんですが、この点いかがですか。果たしてこれを本当に実施していく、そういう積極的な意思を持っているのかどうか。
  117. 薗村泰彦

    政府委員(薗村泰彦君) この石油コンビナート等災害防止法案というのは、実は自治省の方から提案されておることは御承知のとおりでございまして、いま私、ちょっとその原文を拝見いたしましたんですが、特定の事業者は、自衛防災組織に、政令で定めるところにより、必要な自動車だとか、回収船だとかを備えなければならないと書いてありますんで、恐らく法律審議が進んで、政令でいかに決めるかということを考えるということであろうと思いますが、実は私どもが所管している法律案ではございませんので、明確にお答えしかねると思います。
  118. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは、海上防災法というのは考えておられますか。
  119. 薗村泰彦

    政府委員(薗村泰彦君) 私どもも海上防災について何らかの法律的な制御をしていきたいということを考えておりまして、できるだけ早くそういうことで国会にお願いしたいということを考えております。
  120. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは原案を持っておられるというのですか。腹案ですか、まだ。どういう形……。
  121. 薗村泰彦

    政府委員(薗村泰彦君) かなりむずかしい法律案になると思います。災害対策基本法などの関係もございますし、現に先生からいまお話しの出ました、陸上における石油コンビナート等災害防止法案との関係もございますので、その辺を極力詰めて国会にお願いしたいと思っておりますが、いまのところ、ここで申し上げるような段階に立ち至っていないということでございますが、できるだけ早くそういった面での成案は得たいということを考えております。
  122. 岩間正男

    ○岩間正男君 できるだけ早くというのは国会用語でして、これではもうだめなんですよね、これだけ必要に迫られている。その中で回収船の問題を規定する考えを持っておられますか。
  123. 薗村泰彦

    政府委員(薗村泰彦君) それらも含めまして、どういうかっこうで防災体制を整備したらいいだろうかということをいま研究をしておる。それをできるだけ早い機会に成案を得て国会にお願いをしたいと思っております。
  124. 岩間正男

    ○岩間正男君 どうも何ですね、そういう点についての処置が十分でない。しかし、まあ現実はどんどんどんどん悪化しているのですから、これに対する対策をもっと早急にやる必要があると思うのです。  時間がありませんから大体以上の質問で、最後にこの法案に対するわれわれの態度、いま問題になっている油濁損害賠償保障法ですね、この点については、われわれは油濁損害被害者補償について無過失責任を導入したと、また石油会社の拠出した基金補償に充てる、その被害者救済する、こういう点では一定の改善がなされている、こういう点で改善を認めて、この法案については、大局的にはこれは賛成をする、こういうことであります。ただ原因不明の場合、つまり油を流出した船舶が不明な場合に、その油の汚濁損害について、賠償の対象になるのかどうか、この点がやはり非常に重大な問題だと思うのです。というのは、日本の海洋の汚染の場合、このような油を出した船が不明な場合というのは相当多いわけです。ですから、この辺での救済規定というものは欠けているのですが、この辺はどういうふうにこれは考えておられますか。
  125. 後藤茂也

    政府委員後藤茂也君) 御審議をいただいております法案は、るる御説明申し上げましたように、原因者がはっきりした場合の油濁損害賠償措置について定めたものでございます。先ほど水産庁から御説明いただきましたように、御指摘のような原因者が不明の場合の油濁損害につきまして、漁業の関係につきましては、これに対する対策の一つとして、財団の設立その他のことが現在検討されております。  また、さらに漁業以外の問題につきましても、御審議いただいております法案とは一応別個の問題でございますけれども、今後の問題として、運輸省も環境庁、水産庁その他と御相談いたしまして、しかるべき対策を検討していく必要があると考えております。
  126. 岩間正男

    ○岩間正男君 しかるべき対策と言うのですが、その具体的内容はどういうことなんですか。
  127. 後藤茂也

    政府委員後藤茂也君) この問題につきましては、今後これから検討して、現在検討はしておりますけれども、この席で具体的にこういうふうな考え方でまいりたいと思いますというようなことを、具体案をお示しする段階に至っていないことをまことに遺憾に存じます。
  128. 岩間正男

    ○岩間正男君 現状から見て原因者不明の場合に、この汚濁が非常に多いわけですね。これが放置されているというと、この法案も非常に重要な点でやはり不十分なことになるわけですから、この点についてもっと対策を十分考えて、ここは当然そういうふうにいってほしいというふうに思うんです。この希望を述べまして私の質問を終わります。
  129. 黒住忠行

    ○黒住忠行君 まず、法案内容につきまして簡単に質問をしたいと思いますが、第三条第一項第三号に「悪意により生じたこと」というあれがありますが、国際条約と関連があるので一概に言えないけれども、重過失はどういうふうに考えておられますか。
  130. 後藤茂也

    政府委員後藤茂也君) 恐れ入ります、もう一度御質問を……。
  131. 黒住忠行

    ○黒住忠行君 三条の第一項第三号に「悪意により生じたこと」というのがありますね。市過失というのは、あれはどう考えるかということです。
  132. 後藤茂也

    政府委員後藤茂也君) ただいまの点でございますが、いわゆる重過失というものは、ここに言っております「悪意」には含まれないというふうに解釈しております。
  133. 黒住忠行

    ○黒住忠行君 第四条に「被害者故意又は過失により油濁損害が生じたときは、裁判所は」と規定があります。これはいわゆる過失相殺の規定だと思います。それでこの場合、加害側に過失がなかった場合、実際問題としてはこの視角は働くとすればどのようになるか、お答え願います。
  134. 後藤茂也

    政府委員後藤茂也君) 過失相殺という観念でこの条文を御理解いただいたように私いま伺いましたけれども、御説明申し上げておりますように、船舶所有者の側から見れば、これは若干の例外を除いて無過失責任という考え方をとっております。したがいまして、被害者の側に故意または過失がある場合、加害者の方に過失があるなしというものをここでは問題にいたしておりません。で、一方的に被害者の方に故意または過失がある場合に、この責任の額を定めるについてしんしゃくをするという趣旨でございます。私の理解するところでは、いわゆる言葉の過失相殺という観念と直ちに同じような観念でここに規定しているものではないように理解しております。
  135. 黒住忠行

    ○黒住忠行君 しんしゃくした結果どのようになるかということをお聞きしておるわけです。
  136. 後藤茂也

    政府委員後藤茂也君) この加害者の側が無過失で負う賠償額というものが、そのしんしゃくの程度に応じて若干減額をされるというふうに理解しております。
  137. 黒住忠行

    ○黒住忠行君 次に、国際基金規定で、二十二条の場合に国際基金から賠償を保障をされるわけです。「国際基金条約第四条第一項に規定する補償を求めることができる」こととするという二十二条の条文がありますが、一応このような場合、このような場合ということでちょっと列挙していただきたい。
  138. 後藤茂也

    政府委員後藤茂也君) この二十二条で「賠償を受けることができなかった」場合でございます。一つは、加害者の方が無過失責任を食うのが一般原則でございますけれども、この条文のところで、加害者の方で免責を主張する場合がございます。具体的に申しますと、この法律案の第三条の第一項の二号、三号、四号、「異常な天災地変により生じた」場合、「専ら当該船舶所有者及その使用する者以外の者の悪意により生じた」場合、「専ら国又は公共団体の航路標識又は交通整理のための信号施設の管理の瑕疵により生じた」場合と、こういった場合には、この無過失責任一般的な原則が適用いたしませんで、加害者である船舶所有者賠償をしないということを主張することができることが定められております。この、いま私が述べましたようなそういった場合には、この加害者である船舶所有者から賠償が受けられない場合でございまして、その基金に対して被害者賠償を請求できる一つのケースでございます。それから一般的に申しまして、二千トン以上のタンカーにつきましては保障契約の締結が義務づけられております。しかし、また事実二千トン未満のタンカーにつきましても、実際は法律上の義務はございませんが、保険契約損害賠償義務というものはカバーされております。しかしながら、理論的にそれが保険契約がないという場合もございますし、それから現実に起こりました損害の額がここで言うところの金額というものを上回る、あるいは保険カバーできないという場合がございます。これは一つの、この法律のこの基金による賠償を求めるにあらずんば被害者として十分なる救済ができない場合でございまして、この場合も基金に対して請求ができると思います。それから第三に、また非常にこれは希有な例かと思いまするけれども、加害者側の船舶の登録国がこの六九年条約、あるいは七一年条約というものの批准国でございませんで、しかしながら、午前中にいろいろ御説明いたしました五七年条約一般的な船主責任制限条約の締約国である場合には、この加害者である船舶所有者は、もしここに過失があるといたしましても、この法律規定しております相当高額な金額制限でなく、比較的低い金額制限を主張することがこの法律のもとではできることになっております。この場合も、その足らざる部分被害者は直接基金に請求することができると思われます。
  139. 黒住忠行

    ○黒住忠行君 三十条で「国際基金に対する拠出」というのがございます。その場合に、年間十五万トン以上の量の海上輸送された油を船舶から受け取った者は、というふうになっておるわけですが、この場合の金額、その他国際条約との関係について御説明していただきたい。
  140. 後藤茂也

    政府委員後藤茂也君) 具体的にこの国際基金条約というのが発効いたしておりませんし、ただいま御質問の点のような詳細な規定はもともとの条約規定がございません。で、午前中も御説明申し上げましたように、この基金条約はいずれ発効すると思われますけれども、この発効した暁に、締約国の総会において、実際に最初にどの程度金額を徴収するかといったようなことを含めて詳細が取り決められることが予想されております。ただいまの段階ではそういった具体的なことにつきましては取り決まりはございません。
  141. 黒住忠行

    ○黒住忠行君 そうすると、今後はそれに臨む態度ということも必要になると思いますし、それをどうやって担保するかというふうな問題もひっくるめて、これは将来の検討問題ですか。
  142. 後藤茂也

    政府委員後藤茂也君) これは御指摘のように、将来の検討さるべく残された問題でございます。ただ技術的に申しますと、これはやはり一種保険でございまして、午前中の御説明でいろいろ触れましたけれども、このような種類の石油の受け荷主が金を出し合ってこの足らざる損害賠償部分カバーするということは、いわゆるCRISTALという組織でもって現実にただいま行われているわけでございます。このCRISTAL考え方もそうでございますけれども、最初にいわば滑り出しの金をある程度拠出しておいて、それから具体的な案件が起こって、そこから支払っていくその実績をながめながらその次の拠出金を決めると、こういうふうなやり方をCRISTALではやっておるようでございますけれども保険というか、技術的な運用としてはそういうものと余り大差のない運用がこの基金運用についてもなされることになるのではないか、これは単なる予想にすぎませんが、そういうことでございます。
  143. 黒住忠行

    ○黒住忠行君 まあいま、現有のCRISTALの場合は石油業者の自主的協定ですね。今後、基金の拠出について法律規定していくわけですから、確実に拠出を担保するということでなくちゃならぬと思うわけですけれども、それともう一つは、賠償の額、保険の額、そして基金の額等、まあいろいろ世界的に物価問題、その他があるわけでございますけれども、これでおおむねカバーできると考えていいわけですか。
  144. 後藤茂也

    政府委員後藤茂也君) この六九年条約がこの金額を定めましたのは、まさに六九年でございます。ただ、この定め方は、御承知のとおり金フランと申しますか、ポアンカレ・フランと申しますか、金の重量でもって、これを基本的な単位としてこの金額を定めております。したがいまして、通常のドルだとか、円だとかで定めている場合に比べますと、今後の一般の通貨変動に対するいわば対応の力というものは相当に強いものと思われます。また現実に、その六九年に定められましたこのトン当たり二千フラン、四万八千円、最高額が五十億円、あるいは基金の一応の限度額、賠償限度額を百八億円と、こういった数字を、具体的に現実に起こりました油濁損害と、それに基づいて支払われました賠償額というものを比較してみますと、これは大部分の油濁損害――私ども日本で承知します油濁損害のうちの大部分のものはこの制限金額カバーされておりまして、この制限金額の算定の方法というのは、ただいまの時点においてもおおむね妥当かつ合理的なものではないかと思っております。
  145. 黒住忠行

    ○黒住忠行君 最後に、大臣にちょっと御所見をお聞きしたいと思いますが、この国際条約――一九五七年の国際条約は一九六八年に発効いたしまして、二十七カ国が批准をしているように聞いております。そして、タンカーの油濁損害の場合におきます一九六九年の条約は本年の六月十九日にすでに発効をしております。批准のための手続を進めている国の中に日本が入っておるわけでございます。同時にまた一九七一年の国際基金条約、これは八カ国が批准するということと、それらの国の年間受け取りの油の量が合計七億五千万トンを超えるというふうな条件があるわけでございますけれども、すでに五カ国は批准をし、日本を初めいま批准の準備が進んでおりますので早晩これも発効すると、こう考えていいわけでございますが、いわゆる日本海運国でもございますし、最近におきますところの油濁問題等を考えまして、一刻も早くこれは批准をし、国内法を整えていくということが必要であると思うわけでございまして、その点の御所見を承りまして私の質問を終わります。
  146. 木村睦男

    国務大臣木村睦男君) 午前中にも私申し上げましたように、こういった海上汚染問題等につきましては、やはり原因者の責任追及というよりも、被害者をいかに救済するかというところに重点が移りつつあります。これは経済活動が盛んになればなるほどわれわれの生活その他も豊かになってくる、そういう社会進歩の一つの大きな責任ではなかろうかという思想からそうなってきておるのでございます。従来は委付主義をとっておりましたものを、被害の額のだんだん大きくなってくる実情にかんがみてこういう新しい六九年、七一年の条約へと発展してまいってきておるのでございますので、世界海運国の中でも最も大きなウエートを占めておりますわが国といたしましては、できるだけ早くこれらの条約批准し、そして、これらの条約発効することがやはり世界全体の海運の振興のために、また世界民族のためにも非常に大切なことであろうと思うわけでございます。したがって、われわれとしては一刻も早く条約批准ができ、またそれに対応いたしました御審議をいただいておる国内法もそれと同時に成立いたしまして、世界海運国の名にふさわしい期待にこたえたい、かように考えておる次第でございますので、ひとつ、何分よろしくお願いを申し上げたいと思います。     ―――――――――――――
  147. 宮崎正義

    委員長宮崎正義君) この際、委員の異動について御報告いたします。  本日、戸田菊雄君が委員辞任され、その補欠として鈴木力君が委員に選任されました。     ―――――――――――――
  148. 宮崎正義

    委員長宮崎正義君) ほかに御発言もなければ、本案に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  149. 宮崎正義

    委員長宮崎正義君) 御異議ないと認めます。よって、本案に対する質疑は本日をもって終局いたしました。  なお、討論、採決は後日に譲ります。  本日はこれにて散会いたします。午後二時四十九分散会      ―――――・―――――