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1975-12-18 第76回国会 衆議院 物価問題等に関する特別委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年十二月十八日(木曜日)     午前十時十二分開議  出席委員    委員長 横山 利秋君    理事 越智 通雄君 理事 加藤 六月君    理事 橋口  隆君 理事 山下 元利君    理事 山中 吾郎君       加藤 紘一君    深谷 隆司君       三塚  博君    山崎  拓君       加藤 清政君    中村  茂君       和田 貞夫君    野間 友一君       石田幸四郎君    和田 耕作君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      福田 赳夫君  出席政府委員         公正取引委員会         事務局長    熊田淳一郎君         経済企画庁調整         局長      青木 慎三君         経済企画庁国民         生活局長    岩田 幸基君         経済企画庁物価         局長      喜多村治雄君         大蔵政務次官  森  美秀君         農林政務次官  江藤 隆美君         通商産業政務次         官       渡部 恒三君         資源エネルギー         庁石油部長   左近友三郎君         中小企業庁計画         部長      織田 季明君  委員外出席者         大蔵省銀行局銀         行課長     宮本 保孝君         農林大臣官房審         議官      森 宏太郎君         農林省農林経済         局統計情報部園         芸統計課長   五十嵐 暹君         農林省食品流通         局市場課長   岡田 明輝君         通商産業省産業         政策局産業構造         課長      佃  近雄君         通商産業省生活         産業局窯業建材         課長      中村  清君         物価問題等に関         する特別委員会         調査室長    芦田 茂男君     ――――――――――――― 十二月十五日  公共料金等値上げ中止に関する請願沖本泰  幸君紹介)(第四一五二号)  同(瀬野栄次郎紹介)(第四一五三号)  同(松尾信人紹介)(第四一五四号)  同(松本忠助紹介)(第四一五五号)  同(矢野絢也君紹介)(第四一五六号)  同(山田太郎紹介)(第四一五七号)  同(渡部一郎紹介)(第四一五八号)  同(瀬野栄次郎紹介)(第四二九〇号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 十二月十五日  公共料金値上げ反対に関する陳情書外二件  (第三五二号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  閉会中審査に関する件  物価問題等に関する件  物価安定対策推進等に関する件  請 願   一 公共料金抑制等に関する請願小林政     子君外二名紹介)(第六〇九号)   二 公共料金等値上げ中止に関する請願(     赤松勇紹介)(第一〇九八号)   三 同外二件(久保等紹介)(第一〇九九     号)   四 同(竹村幸雄紹介)(第一一〇〇号)   五 同(細谷治嘉紹介)(第一一〇一号)   六 同外一件(村山富市紹介)(第一一〇     二号)   七 同(山本弥之助紹介)(第一一〇三     号)   八 同(湯山勇紹介)(第一一〇四号)   九 同(辻原弘市君紹介)(第一一六七号)  一〇 同(永末英一紹介)(第一一六八号)  一一 同(原茂紹介)(第一一六九号)  一二 同(馬場昇紹介)(第一一七〇号)  一三 同外二件(八木昇紹介)(第一一七一     号)  一四 同外一件(阿部未喜夫君紹介)(第一二     一八号)  一五 同(田口一男紹介)(第一二一九号)  一六 同(山田芳治紹介)(第一二二〇号)  一七 同外一件(阿部喜男紹介)(第一二     八二号)  一八 同(上坂昇紹介)(第一二八三号)  一九 同(角屋堅次郎紹介)(第一二八四     号)  二〇 同(横山利秋紹介)(第一二八五号)  二一 同(阿部喜男紹介)(第一三五八     号)  二二 同(中村重光紹介)(第一三五九号)  二三 同(森井忠良紹介)(第一三六〇号)  二四 同(阿部喜男紹介)(第一四五九     号)  二五 公共料金値上げ反対等に関する請願(     野間友一紹介)(第一五三五号)  二六 公共料金等値上げ中止に関する請願(     太田一夫紹介)(第一五七〇号)  二七 同(福岡義登紹介)(第一五七一号)  二八 同(田中美智子紹介)(第一六七三     号)  二九 同(中路雅弘紹介)(第一六七四号)  三〇 同(野間友一紹介)(第一七一七号)  三一 公共料金値上げ反対等に関する請願(     平田藤吉紹介)(第一五七二号)  三二 同(栗田翠紹介)(第一七一八号)  三三 同(小林政子紹介)(第一七一九号)  三四 同(田中美智子紹介)(第一七二〇     号)  三五 同(庄司幸助紹介)(第一七二一号)  三六 同(中路雅弘紹介)(第一七二二号)  三七 同(野間友一紹介)(第一七二三号)  三八 公共料金抑制等に関する請願東中光     雄君外一名紹介)(第一六七五号)  三九 同(庄司幸助紹介)(第一七一五号)  四〇 同(寺前巖紹介)(第一七一六号)  四一 インフレ物価抑制に関する請願(内海     清君紹介)(第一七二四号)  四二 同(小沢貞孝紹介)(第一七二五号)  四三 同(玉置一徳紹介)(第一七二六号)  四四 公共料金抑制等に関する請願渡部一     郎君紹介)(第一八三八号)  四五 公共料金等値上げ中止に関する請願(     野間友一紹介)(第一八三九号)  四六 同(林百郎君紹介)(第一八四〇号)  四七 同(増本一彦紹介)(第一八四一号)  四八 同(三浦久紹介)(第一八四二号)  四九 同(山田太郎紹介)(第一八四三号)  五〇 同(石母田達紹介)(第一九〇八号)  五一 同(梅田勝紹介)(第一九〇九号)  五二 同(紺野与次郎紹介)(第一九一〇     号)  五三 同(田代文久紹介)(第一九一一号)  五四 同(中路雅弘紹介)(第一九一二号)  五五 インフレ物価抑制に関する請願折小     野良一君紹介)(第一八四四号)  五六 同(小宮武喜紹介)(第一八四五号)  五七 同(河村勝紹介)(第二〇二五号)  五八 公共料金等値上げ中止に関する請願(     枝村要作紹介)(第二一〇一号)  五九 同(津川武一紹介)(第二二〇〇号)  六〇 同(枝村要作紹介)(第二二四一号)  六一 公共料金抑制等に関する請願多田光     雄君紹介)(第二二四二号)  六二 同(塚田庄平紹介)(第二五七四号)  六三 同(多田光雄紹介)(第二六三〇号)  六四 同(塚田庄平紹介)(第二六三一号)  六五 同(塚田庄平紹介)(第二六九一号)  六六 公共料金等値上げ中止に関する請願(     紺野与次郎紹介)(第二六三二号)  六七 同(柴田睦夫紹介)(第二六三三号)  六八 同(庄司幸助紹介)(第二六三四号)  六九 同(多田光雄紹介)(第二六三五号)  七〇 同(津金佑近君紹介)(第二六三六号)  七一 同(津川武一紹介)(第二六三七号)  七二 同(中川利三郎紹介)(第二六三八     号)  七三 同(平田藤吉紹介)(第二六三九号)  七四 同(松本善明紹介)(第二六四〇号)  七五 同(米原昶紹介)(第二六四一号)  七六 公共料金値上げ反対等に関する請願(     梅田勝紹介)(第二六九二号)  七七 同(瀬崎博義紹介)(第二六九三号)  七八 同(瀬長亀次郎紹介)(第二六九四     号)  七九 同(中島武敏紹介)(第二六九五号)  八〇 同(野間友一紹介)(第二六九六号)  八一 同(山原健二郎紹介)(第二六九七     号)  八二 公共料金等値上げ中止に関する請願(     広沢直樹紹介)(第二八〇三号)  八三 同(岡本富夫紹介)(第三〇九五号)  八四 同外一件(鬼木勝利紹介)(第三〇九     六号)  八五 同(坂井弘一紹介)(第三〇九七号)  八六 同(大橋敏雄紹介)(第三二八〇号)  八七 同(沖本泰幸紹介)(第四一五二号)  八八 同(瀬野栄次郎紹介)(第四一五三     号)  八九 同(松尾信人紹介)(第四一五四号)  九〇 同(松本忠助紹介)(第四一五五号)  九一 同(矢野絢也君紹介)(第四一五六号)  九二 同(山田太郎紹介)(第四一五七号)  九三 同(渡部一郎紹介)(第四一五八号)  九四 同(瀬野栄次郎紹介)(第四二九〇     号)      ――――◇―――――
  2. 横山利秋

    横山委員長 これより会議を開きます。  物価問題等に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出かありますので、順次これを許します。中村茂君。
  3. 中村茂

    中村(茂)委員 建設資材関係についてまず冒頭お聞きしたいと思います。  特に建設資材セメント合板、小棒、グラスファイバーについて不況カルテル申請が相当なされております。それで、すでにセメント、小棒、グラスファイバーについては公正取引委員会認可されたというふうに聞いておりますし、合板についても農林省認可になったというふうに聞いておりますが、簡潔で結構ですけれども、その内容についてひとつお知らせ願いたいと思います。
  4. 熊田淳一郎

    熊田政府委員 セメント合板、小棒、ガラス長繊維不況カルテルにつきまして、簡単に御説明を申し上げます。  小棒から申し上げますが、小棒につきましては、三回にわたりまして申請がございました。まず第一次は、五十年の九月九日から認可をいたしたわけでございますが、これは八月八日に申請がございまして、まず生産数量制限、これを四半期百二十万トンとする、それから実施期間認可の日からことしの十二月末まで、こういうことでございました。これに対しましては、四半期百二十万トン、しかも上下二割の範囲で修正をできるようにしたいということでございましたが、その上下二割の修正をするのは適当でないということで、月四十万トンという生産数量制限が適当であるというふうに認めまして、期間も、十二月までというのはやや長過ぎるということで、十一月末までということで、第一次の認可をいたしたわけでございます。続きまして十一月八日になりまして、生産数量をさらに縮小したいという申し出がございました。月四十万トンを三十五万トンまで減らしたい、こういうことでございまして、十一月十五日から十一月末までの間、月三十五万トンを目標にすることに認可をいたしたのでございます。さらに第三次といたしまして、十一月十二日になりましてカルテル期間をさらに延長してほしいということと、生産数量制限を四十万トンから三十万トンに縮小したい、こういう申請がございました。認可の日から一月末までという申請でございまして、そのとおり、十二月一日から一月末まで、生産数量三十万トンということで認可をいたしました。  次にセメントでございますが、セメントにつきましては、十月九日に申請が出てまいりまして、生産数量制限設備制限を実施したい、認可の日から五十一年の二月末まで認めてほしい、こういうことでございました。生産数量は、五十一年の一月末在庫を二百八十万トンにするために、三ヵ月間に七十八万トン生産数量を減少させたい、それで、それに対応いたしまして設備を封印するようにしたい、こういうことでございました。この期間につきまして、二月末までという要請でございましたけれども、これは第四次不況対策の今後の効果の出方というようなものも含めて勘案をいたしまして、二月末は長過ぎる、一月末までが適当であろうということで、十一月十一日から来年の一月三十一日までの期間カルテルを認めることにいたしましたのでございます。  次にガラスの長繊維でございますが、これは十二月九日に申請が出てまいりまして、ガラス長繊維の原繊維、これの三ヵ月間の生産限度量を一万三百九十五トンとしたい、実施期間認可の日から来年の二月末まで、こういう申請でございました。これに対しまして、やはりセメントと同じように一ヵ月短縮をいたしまして、その認可期間は一月末まで、十一月十一日から一月三十一日まででございます。それから限度量はさらに縮減をいたしまして八千五百九十二トンに縮減すべきである、こういうことで認可をいたしたのであります。  次に合板は、これは農林省から認可をされたわけでございますが、公取に協議がございました。私どもといたしまして、十二月から一月末まで、一ヵ月間に休日のほかに三日ないし七日間の操業停止をするという申請内容でございまして、その案を認めるのが適当であろうというふうに農林省回答をいたしたわけでございます。  以上でございます。
  5. 中村茂

    中村(茂)委員 長官にお聞きしたいのですけれども、特に建設資材中心に十一月から十二月、また一月にかけて不況カルテル申請がすっと出てきたわけですけれども、特に不況対策ということで住宅問題、それから公共投資、ここに重点を置いてきたわけですね。ところが、そこへ重点を置いてくれば、そしてそれが効果が出てくれば、建設資材関係不況カルテルをこういうふうに一斉にこの時期に申請してくるということにならなかったのではないか。しかし、この時期に建設資材が集中的に不況カルテル申請になってきたということは、どういうところに原因があるのか、その点についてひとつ御見解をお聞きしたいと思います。
  6. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 建設資材はいろいろありますが、その中でも木材あるいはセメント、こういうものの市況が非常に悪いわけであります。そういうようなことで、一面におきまして家を建てようというような方々はこれを非常に歓迎しておるわけでございまするけれども企業側の立場から言いますると、この企業というものがどういうふうになっていくんだろう、その企業の基盤を揺るがすような状態にもなってまいりまして、いま経済界では非常にばらつきの多い状態でございますけれども、ただいま申し上げましたような品種に特に不況色が出ておる。これを何とか経済の立ち直りができるまでの間つながなければならぬ。  つなぐ方法はどうだ、こう言いますると、やはり不況カルテルというのも一つ方法になってくる。そういうようなことで、ただいま御指摘のような建設関係にかなり多くの不況カルテル申請が出ておるんだ、こういうような認識でございます。
  7. 中村茂

    中村(茂)委員 こういう状態が出てきたことの見解については私なりに調査して持っていますけれども、後ほどまた申し上げるとして、セメントについて私のところにこういう手紙が来ているのです。十一月二十一日よりセメント袋物一〇%値上げをすることは通産省認可のもとに全国一斉に行うので、当面必要数量は二十一日までに発注してほしい、こういうふうに言われた。それから、やはり同じような内容なんですけれども、十一月二十九日に建材店より請求書が来ましたが、その中に別文書で、一〇%から一五%を十二月一日より値上げするという通告書が入っていました。それからもう一つは、建材を扱っている会社からお得意さんへこういう「お願い」という手紙が届いたわけであります。「セメントの値上通告が仕入先より再三にわたり申入れがあり、極力おさえて参りましたが、残念ながら値上のやむなきに至りました。誠に申訳ございませんが来たる五十年十二月一日より一〇%~一五%程値上させて頂きたくよろしくお願い申上げます。」  先ほど、不況カルテル申請が行われて、十一月十一日より来年の一月まで生産調整について在庫調整をするために不況カルテル認可になった、こういう報告がございました。不況カルテル価格カルテルじゃないわけですが、ちょうど生産調整カルテル申請がなされた時期に一斉に一〇%から一五%全部十二月一日から、こういうふうに末端で値上げが起きているわけですけれども、こういう実情についてまず公正取引委員会ではどういうふうにお考えですか、見解をお聞きしたいと思います。
  8. 熊田淳一郎

    熊田政府委員 私どもまだ、ただいま先生から御指摘のございましたような十二月一日から一斉に一割ないし一五%の値上げをするというような情報については入手をいたしておりませんが、価格動向につきましては旬別に、認可をいたしました後、報告を求めております。それによりまして価格推移を見ておりますし、その報告から見るところによりますと、これはメーカーによりまして差がございまして、認可の後も価格が全く動いておらないというところもございますし、若干ふえておるというところもございます。しかし、一般的にいいまして一斉に値が上がってきておるというふうには見られないのであります。これは日経新聞が発表しておりますばらの庭先渡し価格で見てみましても、九月末、十月二十八日、十一月二十六日のこれは数字でございますが、東京、大阪ともほぼ価格は横ばいで推移をいたしております。これは十二月以降の数字はないのでございますけれども、以上のような状況でございます。  私ども数量及び設備制限につきまして認可をいたしましたが、それが価格に異常に反映をして悪影響を及ぼすというようなことのないように監視をずっと続けております。ただいま先生おっしゃいましたような現象が本当に全国的に一斉に行われておるということになりますと、これは問題でございまして、決して私ども価格カルテルを認めたわけではございませんので、この点につきましては、さらに監視をし、実情を把握したいというふうに考えます。
  9. 中村茂

    中村(茂)委員 いまの点につきまして通産省にお聞きしたいと思います。  十一月十三日に全建総連の皆さんが、建設資材がそれぞれカルテル申請がなされて値上げになれば自分たちが仕事をしていく上にこれは大変だ、こういうことで通産省におじゃまして、そのときに生活産業局総務課長が、特に建設資材について石油製品値上がりと非常に関係が深いので、石油が上がり業界も困っている、したがって適切な新価格体系に移らざるを得ない、その際若干の値上げもやむを得ないと思っている、こういう発言をしたというふうに言われているのですけれども、そこで一斉に建設資材不況カルテル申請がなされた。そういう中で新価格体系への移行ということで、一斉ではありませんけれども、先ほど申し上げましたようなセメントについても一〇%から一五%の値上がりが現実に現場で出てきている。  ですから、そういう全体のものを含めて、通産省としてはこの状態をどういうふうにお考えなんですか。ひとつ見解を明らかにしていただきたいと思います。
  10. 佃近雄

    佃説明員 私どもの担当しております不況カルテル全体につきまして、通産省としての検討をするということでございます。不況カルテルは、不況によりまして経営の悪化した企業が、いわば緊急避難的に生産調整等の措置を行うということを認められた制度であると理解いたしております。したがいまして、これが不況対策として有効であり、適切であると考えられる場合には、機動的に活用してしかるべきもの、さように考えております。  現在の不況は非常に深刻であるわけでございますが、こういう中で業界不況カルテル締結を希望いたします。そうして、実態独占禁止法に定められております不況要件に適合していると判断される場合には、通産省としてこれを支持するというのが基本的な考え方でございます。  先ほど御指摘のありました通産省関係の三品目、具体的には小棒、セメントグラスファイバーでございますが、このそれぞれにつきまして実態を私どもといたしましても検討いたしまして、需給の関係在庫状況あるいは価格コスト動向というような点を検討いたしまして、それぞれ不況カルテル締結不況対策として適切であるという判断をいたしました。したがいまして、公正取引委員会からの協議に対しても当省として異議はないという回答をいたした次第でございます。  その後の状況、御指摘のような点でございますが、個々の品目については必ずしも私のところではつぶさには承知をいたしておりませんが、セメント関係につきましては、担当課長も参っておりますので、続きましてお答えをするようにいたしたいと思います。
  11. 中村清

    中村説明員 先ほど先生お話の中にございました油の値上げの問題でございますが、セメント工業では重油消費量が非常に多うございます。端的に申しますと、石油一キロリットル千円上がりますと、セメントコストに百円響くというのがセメントでの燃料でございます。そういうことで、今後の石油値上げに伴いましてどうしてもそれだけの値上げをせざるを得ないというのがいまの現状かと思います。  最近の価格動きにつきましては、先ほど公正取引委員会の方からお話がございましたように、特に近畿地方におきまして、全国ベースというよりは、むしろ近畿地方は従来から価格が他の地区に比べて安いという地区でございますが、そのあたりに値戻しの動きが現在出ているというふうに私どもも伺っております。
  12. 中村茂

    中村(茂)委員 いまずっと建設資材中心不況カルテル、その不況カルテル内容も全部生産調整を行う、こういうかっこうに全体になってきている。先ほど申し上げましたように、不況対策ということで住宅問題、公共投資中心にやってきて、その重点にやってきた政策の中で一番消費しなければならない建設資材がこういう状態になってきている。これは大変なことじゃないか、こういうふうに私は思うのです。  そこで、いろいろ調査してみたわけですけれども、特に住宅について、新設住宅建設戸数状態がどういうふうになっているかということを調査してみますと、四十六年には百四十六万四千戸、四十七年には百八十万八千戸、四十八年には百九十万五千戸、四十九年には今度ずっと下がって百三十一万六千戸、そしてことしの五十年、これは暦年でありますけれども、したがって、十二月で締め切りになって、八月までの累計は出ておりますが、九月以降は大体見通しとして五十年度は百三十万戸、四十九年度と何ら変わりはない。こういう新設住宅建設戸数状況であります。  それから、それではそれを建設する場合に土地をどのくらい使ったかというか、どのくらいの土地建設されたかということを見てみますと、四十七年には二億四千二百三十万九千平米、四十八年には二億八千百七十五万一千平米、四十九年には今度これはもうずっと下がって一億九千八百五十五万九千平米、五十年度は四十九年度と大体同じ。  この統計を見てみますと、建設住宅については四十九年、五十年は四十六年以前の状態だ。そして四十七年、四十八年の一番ピークのときよりも相当下がってきている。ですから、大体四十四年、四十五年程度の住宅建設が四十九年と五十年になされている。それから、そこに使った土地についてはなお下がっている。しかも戸数がこういう状態でその比率よりも下がっているということは、土地をそう使わないで、住宅ですから、大きな、土地を多く使うような建設がほとんど減ってきているのではないか、こういうふうに思うわけであります。  それから個人住宅、これは金融公庫個人住宅ですけれども、先般、松浦委員の方からも若干話がありましたけれども、特に不況対策の柱として予算を追加してこれを進めてきたわけですけれども、十月現在で契約戸数がまだ五〇%に行っていません。そして十月現在で資金交付がどのくらいなされているかというと、契約されたものの三五%、契約が五〇%なされていないわけでありますから、その交付金額が三五%ですから、今年度消化しようとする全体のものからいけば、資金交付はまだ一六%しかなされていない。しかも四月に行われたこの個人住宅について全部まだ契約が行われていない。したがって、十月の第二次の分については、まだ十月の段階ではもちろん契約が全然なされていない。では、この十月のときの、これから契約なされて資金交付がどのくらいなされるかというと、大体三月から四月、五月ころにならなければ交付がなされない。ですから、不況対策だ、不況対策だと言っても、それが効果が出てくるのは半年から七、八ヵ月たたなければ、資金交付の状態が出てこないというのが現実の姿になっているわけであります。  だから、そういうことを考えてみると、この建設資材が、確かに公共投資住宅ということで不況対策の柱にやってきているけれども、全体としてはまだ四十九年度の一番下がったものと大体同程度であるし、そういうことを考えてみると、この不況対策について住宅なり公共投資中心にして進めていく、また五十年度の予算についても、不況対策と絡めて公共投資中心の予算編成を行って不況対策に織り込んでいく、こういう政策中心のようでありますけれども、この状態を見て、不況対策でやっていくというのには相当な公共投資住宅建設ということにしなければ、四十七、八年のレベルにまではとても行かないわけでありますし、四十六年のレベルまでも行っていない。そういうことを考えてみた場合に、この公共投資中心不況対策ということについても私は疑問を持たざるを得ないわけでありますけれども、その点について長官のお考えをひとつ伺いたいと思います。
  13. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 不況対策といいますのはどういうことかと言いますれば、これは仕事をつくる、そういうことになるわけです。  仕事をつくるための有効なる手段は何だ、これはいろいろ選択しなければなりませんけれども、やはり一番有効な道は公共投資である、こういう認識でございます。最終需要項目としては、あるいは国民の消費もあります、あるいは設備投資もあります、あるいは輸出もあります、あるいは民間の住宅投資ということもある、さらに在庫投資ということもあります。ありますが、どの要素を考えてみましても、人為的にこれをさらに補強するという手段はそうはないのです。結局、政府が直接できる公共投資、こういうことになってくる。  しからば、政府がこの公共投資を選んで、ほかに政府が直接できる道は何か考えられるか、そういうことを考えますと、いわゆる公共事業のほかに、学校の建設だとか病院の建設だとか、そういうようなこともありましょう。しかし、そういうものを含めまして公共投資を拡大する、こういうことが一番有効である。同じ財源を使ってやるこの景気政策とすると、それが一番手っ取り早く、かつ有効じゃないか。  わが国におきましては、御承知のように、生活関係の社会投資、これが非常にたちおくれておるわけです。わが国における生活環境の諸施設、これは先進諸国に比べまして非常な立ちおくれになっている。こういう際にこそ公共投資を起こして、そしてそのおくれの取り戻しをすることが妥当である、そういうような見解に基づきまして公共投資、これは公共事業ばかりじゃありません、いろいろな社会諸施設を含めましての公共投資、これを拡大するという方法において最終需要全体の盛り上げに資する、こういう考え方になるわけでありますが、いま見通しといたしましては、輸出はこれからだんだんと明るくなっていく、こういう見通しです。  それから設備投資、これもことしあたりはずいぶん前に比べまして落ち込んでおりますけれども、これはことしよりは若干ふえていく傾向をとるであろう。  それから個人消費、これはかなり伸びてきておるわけでありますが、この伸びという傾向もまた続いていくであろうし、景気が回復すれば若干の改善を見るであろうが、それにしてもそれだけの要素では望ましい経済の活力というものが出てくるのに十分でない。その十分でないところを埋めていく手段といたしましては、財政がその役割りを担当する、その財政の役割りの主軸は何であるかというと、公共投資にこれを期待する、こういう考え方です。そういう考え方に基づきまして昭和五十一年度予算を編成するというのがただいまの見解でございます。
  14. 中村茂

    中村(茂)委員 そこで、五十一年度の予算編成期に入っているわけですけれども、この編成の基礎になるそれぞれの考え方についてちょっとお聞きしたいと思うのですけれども経済成長率を何%に見て予算編成をしようとしているのか。  それから、消費者物価をいろいろいままでお聞きしてきましたけれども、この予算編成期に当たって、五十一年度はどういうふうに消費者物価を抑えていこうとしているのか。  それから、完全失業者が百万を超したわけですけれども、これは不況対策関係があるわけですが、この予算編成とあわせて、この失業者をどういうふうに抑え込んでいこうとしているのか。  それから企業の稼働率をどういうふうに考えているのか、この四点について、予算編成の基礎になる考え方だというふうに思いますので、長官の御見解を承りたいと思います。
  15. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 予算編成の前提となり、背景となる来年度の経済の見通しにつきましては、まだ固まった考え方を持っておりません。まだ数字でこれを申し上げるという段階になっておりませんが、傾向を申し上げますと、実質成長は大体五%台になるのじゃないか。  それから消費者物価水準、これは五十年度は五十一年三月、つまり年度末におきまして年間上昇率を九・九、こう言っておるのですが、大体これは実現できる見通しでありまするし、またいたしたい、こういうふうに考えております。それを受けまして大方二%くらいは政策努力をいたしまして引き下げたい、こういうふうに考えております。  したがって、名目成長率は一体どうなるかというと、これは一三%台くらいになるのじゃないか、そんな感じがいたしております。まだ最後の詰めになっておりませんけれども。  それから、そういう際に稼働率指数は一体どういうふうになっているか。製造業稼働率指数ですね。これは私の考え方といたしましては、五十一年度という年はいわゆる調整期間の最後の年になる。そこで望ましい稼働率指数というところに何とか泳ぎ着きたい、こういう感じでございますが、五十年度下半期の景気回復、これが第四次不況対策、その効果の浸透状況等を見ますと、多少これが考えておったよりも立ちおくれておるという押せ押せの関係もありまして、さて望ましい製造業稼働率指数といわれる九五、これまで五十二年の三月の時点で行き得るかどうか、若干まだ疑問を持っておるわけでございますが、まあ、これはまだいろいろ検討してみたい、こういうふうに考えております。  その際における雇用情勢は一体どうなるか、こういうことでございますが、これはそういう経済の上昇傾向を受けましてかなりの改善ができる、こういうふうに見ております。
  16. 中村茂

    中村(茂)委員 先ほど建設資材関係をいろいろ御質問して、私が建築戸数状態、それに使われた土地状態、こういう数字を申し上げて、五十一年度の予算編成の基礎になる数字をいまお聞きしたわけです。先ほど長官も、個人消費について若干でも伸びてきている、こういうお話がありましたが、私はやはりこれだけの経済成長、まあ、五%台に持っていく、稼働率も五十二年の三月、五十一年度の末には九五%台に持っていきたい、こういう経済の展望を見た場合に、公共投資中心経済運営だけではここまで押し上げる経済の活力というものが全体にして出てこないのじゃないか、やはりもっと個人消費を高めるような、そして全体の経済に活力を入れていくような経済運営がこの際必要ではないか。  そこで、ことしの労働者の賃金の引き上げの状態考えてみるわけでありますけれども、政府は五十年度の経済運営の中で、労働者の賃金を一五%のガイドラインという方向で希望しながら、実質的には全国の平均が一三・一%程度になった。これは私はやはり個人消費を抑えているし、それから所得税の税収入にも影響してきていると思うのです。ですから、経済全体の活力を小さく小さく、そういうところからなってきているんじゃないか。こういうことを考えてみた場合に、これだけの経済の発展をしていくということになれば、労働者の所得をどういう程度まで引き上げて、そういう中から個人消費を求めて経済全体の活力の基礎にしていくということを考えなければならないと思うのです。  したがって、五十一年度の予算編成の面から見て、明年の労働者の賃金はどのくらいなベースアップというものが期待されるのか、またはどの程度にして経済全体に活力を求めようとしているのか、その点について長官の考え方をひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  17. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 賃金問題には政府は介入しない、これはもう中村さんもよく御承知のとおりでありますから、私が賃金はどの辺の水準がいいのだなんということを申し上げますと、これは大変問題になると思います。政府の態度として妥当でない、こういうふうに考えますので、賃金水準は申し上げません。  しかし、ことしはとにかく世界じゅうがもう総落ち込みです。先進諸国どの国をとりましてもみんな赤字である。けさのパリ電報、新聞にも掲載されておりますが、プラスであるという国は諸外国一つもないのです。その中でわが国がとにかく二%台のプラス成長だ。これは名目にすると九%台になってくるわけでありますが、そういう状態です。  それはなぜそういうことになっておるのだ。名目アベレージの成長ですね、これが九%台だというときに、消費が非常に大きな役割りをしているのです。消費が一五%がらみの伸びを示しておる。それから政府の第一次、第二次、第三次、第四次、この財政施策、これがやはり一五%程度の伸びを示しておる。これが支えとなって、世界不況の影響を受けて輸出が伸びないあるいはそれとも関連をとりながら設備投資が非常な不振の状態である、それを補って、そしてとにかく経済活動全体としては三月以降生産も伸びる、出荷も伸びる、稼働率も上がってくる、そういうことを背景としてプラス成長ということになっているので、個人消費が沈滞沈滞と言いますが、私は伸び悩みだとは思うのですよ、しかし、沈滞あるいは非常な沈衰の状態だというふうな状態ではないのです。  私は、経済全体が発展過程に乗りまして、そして自然に個人消費というものが伸びること、これはそのようになることを期待しておりますけれども、ここで何らかの個人消費を刺激します施策をとってさらに個人消費を伸ばすという考え方は、これは非常に考えてみなければならぬ、考え方である、そういうふうに思うのです。  個人消費を伸ばす手とすると減税ということになりましょう。さあ、減税をするといえば財源が要る。一兆円の財源が要るのです。その一兆円の財源を使って景気という局面から見ると、何がいいかというと、それは個人消費、そういうことを刺激するという意味での減税。それじゃなくて、直接物財の需要を喚起する、直接労働の需要を喚起する。いま雇用問題も大事です。そういう上に大きな効力を持つ公共投資住宅だとか下水道でありますとか道路でありますとか農山村の諸事業でありますとか、そういうところに使う方がどのくらい効果的であるかということを考えてみますと、選択の結果はおのずから明らかである。ましていま大変な赤字公債を出さなければならぬ。五兆五千億円の公債です。これをどうやって一体消化するのかと言いますれば、これは個人の貯蓄、これにまつほかないのです。国民が公債を買ってくれる、真接買う方法もありましょうし、あるいは銀行に預金してその銀行が買うという方法もありましょうが、要するに、これは個人の貯蓄以外に道はないのでございますから、その個人の貯蓄と相反するような方向のこの消費の奨励、刺激という考え方、これはそんな踏ん切り方はなかなかできないのですよ。  そういう意味において、政治家といたしましては、減税なんというのはぜひやりたい、そういう気持ちはありますけれども、本当に国家のことを考え、どういう道が正しいかということを考えますと、気分的なことでこの問題の決着をつけるわけにはいかない。本当に真剣に考えて、そしてこの道こそは今日大事な道だということで私として考えますと、これは減税はいまやる時期ではない、そういう見解でございます。
  18. 中村茂

    中村(茂)委員 減税についての長官の考え方はもう何回かお聞きしました。それで減税の面からではなくて、政府が確かに労働者の賃金の引き上げについてどのくらいというガイドラインを示すことはこれは間違いでありますし、それを私は別に求めているわけじゃありません。ただ、これだけの五十一年度の予算、この予算の基礎になる成長率なり企業の稼動率をどういうふうに持っていくか。それには、先ほどもいろいろ数字を示しましたけれども経済全体の活力をここまで持っていくには、民間の一般の需要にもう少し何かで活力を与えていかなければ、公共投資だけではGNPをこれだけ上げることはむずかしいじゃないか。こういう意味で、労働問題というようなことを抜きにして、労働者なり勤労者の所得というものが相当上がるような施策をとって、それが消費に回り経済の活力になっていくというような政策をとらなければなかなかむずかしいじゃないか。  こういう考え方から、これだけの予算規模にする場合、労働者の賃金というものがどのくらいな上昇を期待するのが一番妥当か、どの程度だろう、こういう観点で、もう少しそこのところをしぼった長官の考え方を聞きたいのです。
  19. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 先ほどから申し上げておるように、賃金は労使の話し合いで決まるべきものであって、その妥当な方向は何であるかというようなことを政府が示唆するということになると、政府が賃金問題の決定に介入したというようなことでまたおしかりを受けるだろう、こういうふうに思いますので、私、非常に注意深く申し上げているのです。  しかし、いま中村さんは、財政だけであるいは公共投資だけで景気回復ができるか、こういうお話ですが、そんなことを私は考えているのじゃないのですよ。財政主導型である、財政が中心になるんだ。それで、先ほどから申し上げているとおり、最終需要項目はいろいろある。いろいろある中で、世界景気はとにかくこれから明るくなるという展望だ。そういう中でわが国の輸出、これはいろいろ政策努力もするんです。輸銀の資金を充実するとかいろいろ手を講ずるのですよ。輸出について全然関心を持たないというわけではないのです。それから設備投資につきましても、経済団体といろいろ話し合ってみております。あるいは通産当局とも話し合ってみておる。しかし、その結果はことしのような落ち込みはない、これはどこの見方もプラス要因になってくるわけなんです。五十一年度というものは、マイナスからプラスになるという設備投資面では非常に大きな変化があるわけなんで、決して財政ひとりであるということじゃないんで、財政主導型、財政にアクセントを置く、こういう考え方を御理解願いたいのです。  さて、個人消費の面につきまして、これを人為的に刺激するかというと、私は先ほど申し上げましたような理由で、人為的に刺激するという考え方にはなれない。賃金問題は労使の間で決められるべき問題で、政府が介入して賃金を上げなさいなんというわけにいけるものじゃないわけでございます。まして、いま日本の経済は、微弱ではありますけれども、上昇過程にある。そういう中で個々の企業をとってみると、非常な不況で深刻な状態です。それはなぜ深刻なんだと言えば、人手が余っているんですよ。その余っている人手に対して企業が支払いをしておる。企業の支払い能力にも限度がある、余力の人に払うのですから、動いている人と合わせると相当の過剰な支払いをしておるというような状態になり、それが企業を圧迫しておる。これがいまの不況の一番大きな原因だろうと思うのです。そういう際に賃金を上げなさいなんという呼びかけは、これは政府としてはできない。まあ、賃金問題につきましては、私が見解を申し上げますることは、これはまた政府、賃金問題に介入というような意味合いにおきまして妥当ではありませんので申し上げませんが、財政ばかりじゃないんだ、他のあらゆる項目について景気上昇の期待はしておるんだ。しかし、中心というか、政府が直接できることは財政で、その直接できる財政を軸として他の需要項目の上昇に補足してもらって、そして来年の景気を正常な軌道に乗せていきたい、そういう考え方であることを申し上げます。
  20. 中村茂

    中村(茂)委員 次に、石油製品の標準額についていろいろお聞きしたいと思ったのですけれども、もう時間がございませんから一、二点だけお聞きしたいと思いますが、先般、石油審議会から答申のあった石油製品の標準額について、これを見ますと、キロリットル当たりですけれども、金利が千二百六十円、利潤が百八十円。それで「金利等」という、ふうになっていますが、この「金利等」というのはどういうものか。それから金利というものについてどういうふうに見ているのか。また、このキロリットルで百八十円という利潤がよくわからないのですけれども、利潤というものを大体どの程度に見たのか。それと、標準額算定基礎というものを発表して、その中から三種目だけ引き出して標準額としたわけですけれども、どうして標準額算定基礎というものをこのように全部発表したのか、その点について、簡潔で結構ですから、明らかにしてください。
  21. 左近友三郎

    ○左近政府委員 お答え申し上げます。  まず金利の点でございますが、「金利等」といたしましたのは、この企業の会計の中で受取利息と支払い利息の差という形で出しましたので、「金利等」という言葉を使っておるわけでございます。  それから金利の内容につきましては、原油を輸入するときに払いますユーザンスの金利、それから設備資金の金利、その他の金利というふうにいろいろまざっておりまして、金利も長期、短期に分かれておりますので、いろいろ種類がございますが、平均しますと大体九%前後、これは各社の実績を調べまして、その実績からとった数字でございます。ただ、将来、十二月以降金利が低下するという見込みがございましたので、その九%程度から〇・七%ポイントくらいの減少といいますか、金利の低下を見込んだ数字でございます。  それから利潤でございますが、これは石油企業が安定供給を図るために最低限度の利潤というものを織り込みたいということでございまして、実は公共料金等の場合にもフェアリターンという形でこれが織り込まれておるわけでございますので、これを織り込んだわけでございますが、極力切り詰めまして、現在の利潤は、石油業会の、これも現実の石油企業の自己資本に対して八%の配当が可能な水準ということで、百八十円を見込んだわけでございまして、先般、昨年の三月に八千九百四十六円の値上げを認めましたときにも利潤を織り込んだのでございますが、あのときは二百五十円見込んでおったのですが、今回はもう少ししぼりまして百八十円ということにしたわけでございます。  それから第三の御質問の、標準額は三品種に限定したのになぜこの算定基礎を全種について出したかという御質問でございますが、この点につきましては、石油製品というのはいわゆる連産品と申しまして、原油を分解いたしますといろいろなものが一緒に出てまいります。したがいまして、全体の価格の振りかけを見ませんと個々の価格も決まりません。つまり、三品種をどうして算定したかという算定根拠がないと納得的でございませんので、これを出したわけでございます。  ただ、われわれが標準額ということで、石油業法の趣旨に伴ってこの程度の引き上げが必要だというものを通産大臣が告示をいたしますのは、三品種に限定してやるのが適当だと判断いたしまして、あとの品種については別に行政的な介入はしない、単なる算定根拠であるということにしたわけでございます。
  22. 中村茂

    中村(茂)委員 特に標準額算定基礎を発表して、その中からというふうに言ったのは、非常に誤解を招きやすいのです。  どういう意味で誤解を招きやすいかというと、エコノミストの十二月二十三日号の五十ページに「記者の耳」というのがあるのです。これは新聞記者の方がいろいろな状況について書いている項目ですけれども、ここでこういうふうに言っているのです。「石油審議会で一一月末、灯油の元売り仕切り価格のキロリットル当たり二五〇〇円値上げが認められたが、この値上げお墨付をきっかけに、一二月にはいって一八リットル一カンの末端小売価格は、一部で七三〇-七六〇円もしている。」ずっと続いているわけですけれども、ここで私が言いたいと思いますのは、ここのところで発表した標準額算定基礎ですね、ここのところまで「値上げが認められたが」こう言っているわけです。それで皆さんの方の参考資料として出してある「石油製品価格の現状」と「標準額算定基礎」というもので、灯油の価格差が、ここで言っている二千五百円という数字になっている。こういうものを発表するから、全体にはここまで値上げしてもいいという石油審議会のお墨つきだ、これはこういうことに詳しい新聞記者の書いた記事です。これは全部標準額になったのではなしに、この中から三つだけを引き抜いている。いま言った灯油は標準額になっていないわけであります。皆さんが答申するときに、参考の標準額というものを何か出したらどうだというような意見もあったようですけれども、ちょうど結果的にはそういうかっこうになっているわけですよ。  確かに算定資料は必要でしょう。必要でしょうけれども、やはり算定を明らかにする場合には、標準額を決めたものについて明らかにすることは結構でしょう。しかし、全部こういうものを明らかにしているから、これは全体としてはもう石油審議会の値上げのお墨つきだということになる。そういうものにあわせて灯油がまたじりじり上がってきていますけれども、いま私が申し上げたこの資料について、皆さんがどういうふうにお考えであるか、それから、そういうふうに全般が受け取っていることについてどういうふうにお考えですか。
  23. 左近友三郎

    ○左近政府委員 御指摘の点ですが、先ほどの私の説明が至りませんで申しわけございません。  実は、石油審議会でこの価格を決めますときもその点をはっきりいたしまして、この標準額として決めたものが三油種、その他は全くの算出根拠でございますので、何ら行政手段を講じないということでございますが、灯油だけは別でございますということを申し上げてございます。  といいますのは、灯油は、ほうっておきますと、ことに需要期には上がります。したがいまして、灯油については従来から抑制的な指導をやっておりまして、つまり標準額と趣旨の違う行政指導をやっておるわけでございます。それは再々申し上げておりますように、中間留分の価格とのバランスを確保して、それ以上上げさせないという方針でやっておりますが、これを続けていくわけでございます。したがいまして、二千五百円の値上げを認めたということは全くございません。今後も類似油種の価格とのバランスの確保ということで、抑制的な指導をしていくということを考えております。
  24. 中村茂

    中村(茂)委員 ですから、二千五百円値上げを認めたわけじゃないでしょう。私が言っているのは、そうじゃないんだけれども、こういうものを発表してしまうと、実際にはこれだけになるのだということになってしまう。標準額を三種だけ決めて、その中のものを全部発表してあるわけで、灯油については現状の価格より二千五百円ちょうど上がった数字が出ているわけですよ。だから、全般的には、ははあ、ここまで値上げしてもいい数字だなということになって、ちょうど標準額を決めたと同じ――標準額というのも告示たけして強制するものじゃないのですが、それと同じ効果をあらわすようなことになってしまう、値上げの引き金になってしまう。  だから、こういうものについては本当の資料なんだから、標準額を決めた三種については発表するのも結構ですけれども、そのほかについては、こういうものを発表しない方がいいのではないか、こういうふうに質問したわけですけれども、その点についてどういうふうに考えますか。
  25. 左近友三郎

    ○左近政府委員 御指摘の点もごもっともな御意見だと思いますが、先ほど申し上げましたように、石油価格というのは、それぞれの価格がどういう比率で決まるかということが価格を決める前提になります。したがいまして、まず平均のコストを算出し、そのコストをどのように各油種に配分するかを決めて、それから各油種の値段が決まります。したがいまして、その中間的な資料を全然公表しないということは非常に納得的でないという非常にむずかしい問題がございます。したがいまして、今回はやむなく公表いたしました。  ただ、その点について、それが通産省値上げを認めたというふうな印象にとられましたことはわれわれ遺憾でございますが、そういうことでないということは今後も力説をいたしたいというように考えております。
  26. 中村茂

    中村(茂)委員 終わります。
  27. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 中村さん、先ほど私、五十一年度の名目成長率を一三%台と申し上げましたが、これは一三%前後というふうに訂正させていただきたいのです。
  28. 横山利秋

  29. 野間友一

    野間委員 きょうは野菜の流通問題について少しお聞きしたいと思います。  消費者物価指数の速報、これの十一月分によりますと、東京都の区部の指数は総合で一七六・四、野菜は一七二・五となっております。対前年同月比で見てみますと、総合が八・八%、野菜か一七・七%、去年に比べまして野菜の値上がりの異常な激しさ、これがこの指数の上であらわれておると思います。  野菜価格の安定問題は大変古くて新しい問題であります。農林省も最近、食品流通局長の諮問機関であります野菜制度研究会、これからの報告を受けたり、あるいは「生鮮食品流通の現状と今後の方向」という文書を出したりしております。  そこで、まず最初にお聞きしたいのは、野菜価格安定のための現在の重点施策は一体どういうものであるのか、このあたりからお伺いしたいと思います。
  30. 森美秀

    ○森説明員 お答え申し上げます。  野菜価格の物価における比率等にかんがみまして、また、国民食料として野菜が日常非常に重要な位置を占めていることにかんがみまして、野菜を所管いたしております食品流通局といたしましては、野菜制度につきまして見直しを行う必要がある、そういう観点に立ちまして、ことしの七月から、ただいま先生からお話しのございましたように、野菜制度研究会という食品流通局の諮問機関を設置いたしまして、七月以来四回にわたりましていろいろ御検討いただいたわけでございます。  かいつまんで、その中で主要事項について研究会の御答申と、それからそれに基づいて現在食品流通局といたしまして野菜政策にどういうふうに取り組もうとしているかという点を申し上げたいと思います。
  31. 野間友一

    野間委員 簡単にお願いします、持っていますから。
  32. 森美秀

    ○森説明員 はい。  研究会が設けられました趣旨は、一つは、十ヵ年間にわたります従来の野菜の生産供給安定法の運用の実績にかんがみまして、野菜生産出荷安定法をこの際根本的に直す必要があるのではないかというような観点で実は研究会にもお諮りをしたわけでございますが、研究会の結論としては、現段階で直ちに野菜生産出荷安定法に基づく現在の制度を全面的に根本的に改正するまでのことは必要ないのではないかということで、現在の制度を相当改善はいたしますけれども、手直し程度にいたしたいという考え方が出されたわけでございます。  主なる事項を申しますと、やはり従来の野菜生産出荷安定法は、どちらかと申しますと、生産者サイドに立っての施策、ここに重点が置かれておったわけでございまして、消費者サイドの野菜の価格安定等の措置につきましては、制度的に法律的に必ずしも十分織り込まれていなかったということにかんがみまして、いままで公益法人として野菜価格安定基金協会というのがございまして、これが主として消費者サイドの野菜の価格安定対策を国の委託を受けましてやっておったわけでございますが、こういうような形では不十分ではないかということで、現在、生産者サイドの、野菜が暴落した場合に生産者のために価格を補てんする措置を行います野菜の生産出荷安定資金協会という特殊法人、認可法人でございますが、これは法律に基づくものでございますけれども、これといま申しました財団法人の野菜価格安定基金協会を統一したものとして、生産者サイドのみならず消費者サイドのものもあわせて一本とした、法律に基づく新しい機構をつくる必要があるのではないか、そういうような点が一つの御指摘の点でございます。  それからもう一つ重要な点は、指定消費地域という制度がございまして、大都市とその周辺の野菜の消費地域につきまして指定産地、いわゆる大産地と結びつけまして、その大都市及び周辺地域におきます消費の安定あるいは価格の安定を図る意味の地域指定を行っておりますけれども、これを単に大都市のみならず、今後はより地方の拠点都市まで広げる必要があるのではないか。それは野菜の消費が非常に全国的に平準化してまいっておりますので、そういう観点においてそういう御指摘があったわけでございます。  そのほかいろいろ御指摘、御答申をいただいた事項はございますけれども、要点としては以上の二点で、どちらかといいますと、従来生産者サイドに片寄っておりました野菜対策を消費者サイドの方にも重点を向けてまいりたいという考え方の御答申でございます。  それで、いま食品流通局といたしましては、その御答申を受けまして、同じような方向でいま法案生成の作業を鋭意進めている段階でございます。
  33. 野間友一

    野間委員 いままでの施策が必ずしも生産者サイドとは言い切れない疑問が私はあるわけでありますけれども、いずれにしても、遅まきながら消費者の立場からのそういう施策を法の改正ということも含めて考えるということですね。それの方向についてはまた後でお伺いしたいと思います。  野菜価格について、先ほど非常に暴騰しておるというふうに申し上げたわけですが、「生鮮食品流通の現状と今後の方向」というものの中にも「生鮮食品価格の持続的上昇傾向」こういう表現があるわけですね。非常にうまい言葉で、異常に高い上昇が続いているということですが、この値上がりの原因については、根本的には、今日までとられた自民党政府の経済政策が大企業本位であった。そういうことの中で大都市への異常な人口集中、それによる需要の増加、あるいは農家が安心して野菜をつくるという価格保障などを含めたこういう制度がなかった、ということについてはわれわれも何度も指摘したわけですが、依然として都会あるいは消費地の高値と同時に、それじゃ、生産者が本当に高い価格で売っておるかというと、決してそうじゃなくて、暴落の中で大変困るという状況も随所に起こっております。  野菜の価格の安定について一言言いますと、第一に、生産者が安心してつくれるというような保障をつくるべきである。生産費を償える価格保障、こういうものもやる必要があるということと、第二に、流通機構について言いますと、大企業に牛耳られるということのないような、いわゆる国民生活本位の流通機構の整備、これがぜひ必要だというふうに考えるわけです。  第一の問題については、全体的な農業政策そのものにかかわりますので、きょうは流通問題、野菜の価格の問題について焦点を合わせて少しただしたいと思います。  まずお聞きしたいのは、野菜の生産量あるいは流通量、これの推移あるいは流通システムごとにどのような流通量になっておるのかということについて少しお伺いしたいと思いますが、時間がありませんので、ひとつ簡潔にお答えいただきたいと思います。
  34. 森美秀

    ○森説明員 御質問の、野菜の生産量の最近におきます推移でございますけれども、野菜は年々生産量がふえてまいっておりまして、たとえば十年ほど前におきます生産数量は千二百八十三万一千トンでございましたが、その後四十八年の数字で約一割増の数字になっております。千四百六十万トンほどの数字に相なっております。  それから野菜の流通機構でございますけれども、これは私が特に御説明申し上げるまでもなく、生鮮食料品の流通の機構といたしまして、その大宗が中央及び地方を通じます両者の卸売市場という機構によりまして、生産地から出荷団体により出荷した物が市場に出荷されまして、市場において価格形成が行われ、また分化が行われまして、仲卸業者並びに小売り業者を通じまして一般消費者に流通されておるわけでございます。
  35. 野間友一

    野間委員 農林省数字によりましても、たとえば中央卸売市場、四十七年が占有率が数量で四〇・九。四十八年になりますと四三というふうにふえています。しかも中央卸売市場以外の市場の合計、これの方が全体の割合から見ますと占有率が多いわけですが、ただ、数から言いますと、中央卸売市場の占有率が非常に高い、これは当然のことだと思います。したがって、こういう点からしても、中央卸売市場の果たす役割りというものは大変重要なものであるということが明らかになると思うのです。  そこで、中央卸売市場がどういうふうに、存在状況と申しますか、幾つくらいあるのか。全国でどのくらいあって、それから各都道府県全部あるのかないのか。この整備が急がれると思うのですけれども、私の調査では、生鮮食品全体について言いますと七十九市場、これは四十四都市。これが野菜について言いますと六十四市場で四十三都市ということで、都道府県にはないところもあるわけですが、これはそのとおりですか。
  36. 森美秀

    ○森説明員 ただいま中央卸売市場の設置状況につきまして、先生指摘のとおり、現在七十九の市場が中央卸売市場として設置されておりますが、一県において複数の市場がございますので、また逆に、いま先生お話のございましたように、これが設置されていない県もございます。山陰等裏日本方面では特に多いわけでございます。
  37. 野間友一

    野間委員 この卸売市場の増設と、それから中の機構改革なり民主的な整備が急がれるわけですが、この卸売市場の開設、これは卸売市場法という法律がありますが、これは農林大臣の認可ということになっておりますね。開設区域を設けた理由は一体どこにあるのかということについて、いかがですか。
  38. 森美秀

    ○森説明員 お答え申し上げます。  卸売市場の開設区域の設置の趣旨と申しますか、理由と申しますか、これはあくまでも、主としてその卸売市場において各種の青果物でございますとか水産物でございますとか、そういう商品がその卸売市場に集荷され、あるいはそこから売られていくという、いわばその商品の流通が円滑に行われるようなことを前提といたしまして、主として取り扱う区域というふうなことで設けられた趣旨と考えております。
  39. 野間友一

    野間委員 確かに、法の七条、これによりますと、この開設区域の設置については、開設区域内の流通の円滑化ということになっていますね。これは換言すれば、地場流通の円滑化ということにもなろうかと思うわけです。この中央卸売市場がその地場流通の円滑化、その一定のですね、そういう目的を十分果たしているのかどうかということが問題になると思うのですね。  そこで、ずいぶん前から問題になっております転送の問題についてお伺いをしますが、この転送というものはなぜ生ずるのか、いかがですか。
  40. 森美秀

    ○森説明員 転送につきましては、昭和四十六年に施行されました現在の卸売市場法の以前の中央卸売市場法、旧法でございますが、その時代から転送という事実はございまして、それの経済的な理由ということは必ずしも一義的には申し上げにくいわけでございますけれども、いずれにしても、新法、現在の四十六年の卸売市場法におきましては、この経済的な事実を事実として認め、これにつきまして制度的に一定のルールのもとにこれを法律上認めるという形に相なっております。先生も御存じのように、法律の二十四条におきまして、一定の場合におきましては転送を前提として、もちろんこれは自由に転送を認めるわけではございませんで、開設者の許可――これは法律そのものには直接的に書いてございませんが、法律に基づく施行規則、通達等によってそういう扱いをとっておりまして、一定のルールのもとに転送を新しい法律では認めるというたてまえになっております。  ただ、先生の御質問の御趣旨かと思いますけれども、転送が、あるいはいたずらに価格形成上引き上げの要素のみに働くというような、そういう弊害が起こるようなことはあくまでも避けねばならないわけでございますので、いま市場開設者が転送を許可するに当たりましては、市場関係者その他各般の意見を十分吸い上げました形の取引委員会等の協議機関において十分意見を聞いた上で許可をするなり、あるいは転送のルールを定めるなりというようなことをやっておるわけでございます。
  41. 野間友一

    野間委員 いま、法二十四条と言いましたが、これはルールの二十四条ですね。
  42. 森美秀

    ○森説明員 失礼いたしました。法は三十七条でございます。
  43. 野間友一

    野間委員 この実態については後でまた触れますが、転送量が非常にふえておるという傾向があるわけですが、これは果たして卸売市場法の目的から見てどうかということなんですがね。恐らくこの転送問題についての一つの機能としては、大都市の中央卸市場が集散市場というような機能があって、要するに共同販売ですね、共同出荷あるいは共同選果といろいろありますけれども、こういうところで荷が大都市に集中する。これはロット化していますからね、どうしてもそうなると思うのですが、その結果、大都市というか消費地以外の中央卸売市場あるいは地方の卸売市場、ここでは集荷しにくくなる。こういう一定の場合に限って、法やルールのもとで転送というものを例外的に認め、そしてまたその機能を、私はもちろん否定はしないわけですがね、見ますと、非常にふえていますね。こういう傾向をどういうように考えているのか、一言でひとつ。
  44. 森美秀

    ○森説明員 お答え申し上げます。  最近、先生指摘のとおり、中央卸売市場におきます転送の数量あるいは価格が年々増加する傾向にございまして、たとえば農林省統計情報部の調査結果によりますと、全国の転送量の動向でございますけれども、この十年近い期間に大体転送量は約三倍にふえております。これは野菜でございます。それから果物も大体倍にふえておりまして、卸売総量に占める割合といたしましては、数量では野菜が、四十八年でございますけれども、五・五%、十年ほど前の四十一年では二・六%であったものが五・五%のウェートになっております。価格ですとさらにこれが七%というウェートになっております。果実におきましても数量で六・六%、価格で六・九%というウェートになっております。そのほか東京都の中央卸売市場におきます転送の数量統計などを見ましても、そういう傾向にございます。  この転送がふえております原因といたしましては、ただいま先生からもお話がございましたような都市化の進展に伴います産地の大型化、そういうことによります大都市市場の集散機能の拡大ということが一つでございますし、また一方、地方の市場におきます荷を消化するあるいは吸引する力が必ずしも十分でないというようなことが原因ではなかろうかと思っているわけでございます。  ただ、最近におきます増加傾向にかんがみまして、これを将来このままで果たしていいかどうかという問題は、私ども農林省といたしましても慎重に検討する必要があるのではなかろうかと考えております。たとえばその対策といたしましては、やはり地方卸売市場の力をつける、これは御承知のように、零細、老朽したものが多いわけでございます。そういうようなことから荷が十分吸引しにくい、特に大都市の周辺の地方卸売市場にそういう傾向がございます。そういうようなことで、卸売市場の、特に地方卸売市場の計画的な整備に今後十分力を入れてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  45. 野間友一

    野間委員 転送についてこれは原則として禁じていますね。この法律上の根拠は、先ほどから出ております法の三十七条、それからルールの二十四条あるいはこれに基づく行政指導というふうに考えておりますけれども、間違いありませんか。
  46. 森美秀

    ○森説明員 ただいま先生おっしゃいましたように、転送の法律的根拠、先ほど私、ちょっと間違えて申し上げまして恐縮でございましたが、法律は三十七条でございます。なお、法律に基づく規則におきましては二十四条に規定がございますし、またこの通達におきまして、これは新しい卸売市場法の施行されは時期に出されました食品流通局長の――当時はまた食品流通局はこざいませんでしたが、担当局長の通達が四十七年の四月十日に出されております。それらによりまして転送についてのルール化ということを行っているわけでございます。
  47. 野間友一

    野間委員 その法やあるいはルール、さらには通達等、そういうものが果たして守られておるのかどうか、この実態を把握しておるのかどうかということですけれども、いかがですか。
  48. 森美秀

    ○森説明員 先生が御指摘の現在の法規あるいは通達等が十分守られているかという点ございますが、私どもその実態についてなお十分把握する努力をしなければいけないと思っておりますが、各卸売市場におきます転送は、先ほど申しましたように、開設者の許可にかからしめているわけでございまして、したがいまして、各中央卸売市場等におきましては、卸売業者の許可申請というものに基づいて転送の許可を行っておりますので、転送の数量等は許可の申請の書類上から一応把握できるということになっております。  ただ、先生指摘の、その現実に転送しておるものが、必ずしも全部そこの許可の中で把握できておるものと合致するかということにつきましては、私ども実態の把握になお今後さらに努めてまいらなければならないと思っておるものでございます。
  49. 野間友一

    野間委員 その青果物の転送について調査していますね。
  50. 森美秀

    ○森説明員 はい。
  51. 野間友一

    野間委員 ことしの三月に出したものですが、これは調査期間は四十七年一月から十二月及び四十八年の一月から十二月までの二ヵ年間、こうなっています。これは間違いありませんね。
  52. 森美秀

    ○森説明員 ただいま先生お話の点は間違いないと私、思いますけれども、一応担当は統計情報部の担当の調査になっておりますので、これは担当の園芸統計課長が参っておりますので、重ねて確認の意味でお答えをしていただきたいと思っております。
  53. 野間友一

    野間委員 期間だけですよ。
  54. 五十嵐暹

    ○五十嵐説明員 四十七年の数字、四十八年の数字、歴年で一月から十二月までの年間の集計でございます。
  55. 野間友一

    野間委員 審議官にお伺いしたいのは、その転送についての規制、先ほどから私、何度も申し上げておる三十七条とかルール二十四条、これはいわゆる中央卸売市場の卸売業者、これが転送するという場合についてのチェックですね。
  56. 森美秀

    ○森説明員 これは卸売業者が転送する場合のチェックでございます。御指摘のとおりでございます。したがいまして、卸売業者が開設者に対して許可申請をいたしまして、そうして転送するということになるわけでございます。
  57. 野間友一

    野間委員 つまり卸業者が委託して販売、競りにかけるわけですが、競りにかけずに先取りして転送するという場合に、価格形成等々について非常に悪影響を及ぼすということなどから、これは規制しておるわけです。ですから、この点についてその転送の実態がどうであるのか、それが価格形成にどのように影響しておるのかということが、農林省の特に生鮮野菜の価格形成についての調査のねらいでなければならない、こう思うのですね。ところが、先ほど統計の方から言われた調査、これは先ほど審議官の言われたのは四十八年ですか、五・五%という転送の比率を言われましたけれども、その卸売会社が転送したものが、その実態が果たしてこれは調べたのかどうか。そうでなくて、競りにかけて落とした、たとえば仲卸業者、あるいは買参人と言いますけれども、そういう者が競りにかけて落としたものをほかの市場にやったということだけの調査であって、法が本当に規制し、法が禁じておる卸売会社からの転送について調べたかどうか、この点、いかがですか。
  58. 森美秀

    ○森説明員 ただいま先生が御指摘統計情報部がやっております青果物の転送量の調査でございますが、これは青果物の卸売市場におきまして卸売されたものが、仲卸業者の手を経まして再び他の卸売市場に上場され、卸売された青果物の転送量についての調査でございます。したがいまして、いわゆる法律においてチェックいたしております卸売業者の転送というものとは合致をしない面がございます。  私、先ほど統計情報部の統計調査によりまして、野菜、果実の転送数量五・五%、六・六%と申し上げましたが、これに対しまして、卸売業者が開設者の許可を受けまして転送を行ったという数量につきまして、東京都の中央卸売市場におきます事例は、これは東京都の方の統計でございますが、これによりますと、たとえば四十八年におきますものが野菜では二・一%、果実では一・八%という転送比率になっております。これは卸売業者が許可を受けて転送したものでございますから、統計の場合とは調査の基礎が違っておりますけれども、こういう別途の統計は開設者の統計としてございます。
  59. 野間友一

    野間委員 いや、私が聞いておるのは、調べたという報告書を読みましたけれども、じゃ、聞きますが、買参人が競りにかけて落としたものを転送するということは、法の規制の対象になっているかどうか。
  60. 森美秀

    ○森説明員 ただいま先生が御指摘の仲卸業者または買参人が競り落としたもの、これをさらに買ったものを転送するというケースにつきましては、実はいまの卸売市場法の規定では何ら特段の規定がございません。したがって、これは法の規制をしているという領域ではございませんで、事実上の経済行為としてそういう仲卸業者あるいは買参人の行為が行われているということでございます。
  61. 野間友一

    野間委員 ですから、法が規制していないものについて調べているわけですよ。そうでしょう。この調査調査対象、調査方法あるいは転送量ですね、この本の中にもありますけれども、要するに、それだけ調べているわけですよ。肝心の問題は、卸売業者が転送する、これは法は規制しておる。ルール二十四条でもきっちり規制しておる。それについて全く調べていないわけでしょう。それが問題なんでしょう。だから、合法的にできるものについて調べて、実際に調べなければならぬもの、これを調べていない。これはどういうことでしょう。
  62. 森美秀

    ○森説明員 私、ちょっと御説明があるいは不十分であったかと思いますけれども、先ほど東京都の中央卸売市場の、卸売業者が転送に当たって開設者に許可を受けまして転送したものの事例的なものを申し上げましたけれども、実は私どもの市場課におきまして別途、東京都に限らず全国的なものといたしまして、卸売業者が法律に基づくあるいは規則に基づく規制に従いまして転送したものの統計も一応とってございます。それによりますと、これは金額でございますけれども、四十八年度における転送比率と申しますのは二・九%、それから四十九年もとってございますけれども、三・三%となっております。
  63. 野間友一

    野間委員 それは納得できませんね。ずっと農林省からヒヤリングしていろいろ実態も聞いて、転送の調査について聞かしてほしい。持ってきたのはこれだけなんですよ。いわゆる卸売会社からの転送について初めていま聞きましたが、それはいつ、どのようにして調べたのか。
  64. 森美秀

    ○森説明員 ただいまの調査につきましては、担当の市場課長の方でその調査の経緯等十分存じておりますので、市場課長の方から答弁させていただきたいと思います。
  65. 岡田明輝

    ○岡田説明員 事実関係でございますので、私から答弁させていただきます。  私どもの方では、各中央卸売市場で業務をいたしております卸売業者から毎年事業報告というのをとってありますが、この中で開設者の許可を受けて転送をいたしました数量を聴取しております。  御説明の段階で、統計調査部の転送量の調査というのがお目にとまったように伺っておりますが、これは別途の目的をもちまして、私どもの方で、禁止しているか禁止していないか、そういう観点からではなく、統計調査部の方で転送量として別途の定義づけで調査をなさったもの、こういうふうに理解しております。
  66. 野間友一

    野間委員 だから、いつ調査したのか聞いておる。
  67. 岡田明輝

    ○岡田説明員 これは毎年定期的に事業報告書をとることになっております。その毎年の調査でございます。
  68. 野間友一

    野間委員 じゃ、ここ数年、五、六年で結構ですから、それの統計の資料をぜひ当委員会に出していただきたいと思います。
  69. 岡田明輝

    ○岡田説明員 かしこまりました。
  70. 野間友一

    野間委員 それじゃ続けますが、そうすると、要するに、報告を求めて市場から出してきた報告、これだけと違いますか、農林省が独自に調査したのかどうか。
  71. 岡田明輝

    ○岡田説明員 そのことだけを目的に特別な調査をやったわけではございません。
  72. 野間友一

    野間委員 四十七年の五月に行管から転送について指摘を受けていますね。どうですか。
  73. 森美秀

    ○森説明員 その点につきましては、先生の御指摘のとおり、四十七年の五月、行政管理庁の方から「転送および先取りの規制の適切化について」という御指摘を受けておりまして、農林省の方でいろいろ検討いたしまして四十八年の一月に回答を行っております。
  74. 野間友一

    野間委員 じゃ聞きますが、先ほどから毎年受けておるというふうに言いました。しかも農林省は独自に調査していない。そうすると、毎年上がってくる報告ですね、それはそのままうのみにしておるのですか。それは相当であるというふうに考えておるのかどうか、判断どうですか、農林省
  75. 岡田明輝

    ○岡田説明員 お答えいたします。  取り扱い数量に占める割合からいたしまして、中央市場における価格形成の適正かつ健全な運営、これを妨げる程度の量ではないというふうに判断をいたしまして、その数字をとらえて特に多過ぎる、少な過ぎるということで調査に乗り出すということはいたしておりません。
  76. 野間友一

    野間委員 数字あるいは率じゃなくて、実際に転送が行われておるのは、報告か上がった、それが果たして本当かどうかということについてあなたの方では何とも思わないかどうかということです。それはそのまま適正であるというふうに判断したのかどうかということです。
  77. 岡田明輝

    ○岡田説明員 お答えいたします。  御質問の点を取り違えてお答えしたようでございますが、転送の許可要領に定める基準に、実際に行われている転送が合致しているかどうか。この点につきましては、私どもは一応、市場の運営というのは開設者であります地方公共団体に任しておるわけでございますが、私の方で検査をいたすことになっておりまして、私どもところにおります検査官が定期的に開設者の業務の運営が適正に行われているかこれをチェックすることにいたしております。こういう機会に、実際の転送が取り扱い要領、転送許可要領に合っているかどうか、この点のチェックもあわせて行っております。
  78. 野間友一

    野間委員 それなら、行管から指摘を受けるはずがないでしょう。これによりますと、「卸売業者の転送および仲卸業者または売買参加者の先取りの規制について」云々、こういう書き出しでありますね。そして、行管の判断としては、「適切でないと認められるもの等の事例が認められる。」ということで、それについて積極的に指導しろという行管の指摘がありますね。つまり、これは転送等について適正であるかどうか、あるいは報告をもし受けておるとしたら、その中身が果たして正しいものであるかどうか。正しければこういう指摘も受けてないわけです。しかもこれは、たとえば東京の場合に二・一%という報告がありましたけれども、これが果たして事実であるかどうか、その疑いはないのかどうかですね。こういう判断を、チェックしたと言いますけれども、どうなんでしょうか。どういう判断をしておるのか。
  79. 岡田明輝

    ○岡田説明員 お答えいたします。  ただいまの行政管理庁の御指摘でございますが、これは御承知のとおり、四十六年に現行の卸売市場法というのができましたが、それまでの間、転送の規制に関しましては法律上明確な規定はございませんで、通達等によって私どもの方で指導はしてまいりましたけれども、一部の市場についてはその運用に必ずしも十分でなかったという点がございますので、新しい市場法になりました機会に、基準を設けまして、ブロック会議等を開いてこの趣旨を説明して、厳正に行われるように指導をいたしました。
  80. 野間友一

    野間委員 先ほど数字の挙がりました、東京都の二・一とか云々という話がありますけれども、こういう数字を果たしてそのまま信じておるのかどうか。これはあなたの方では誤りない、これは全体の物の動きからして転送の比率はこうである、正しいという判断をしておるのかどうか。
  81. 岡田明輝

    ○岡田説明員 ただいま御指摘のございました東京都の二・一%という数字でございますが、これは開設者が責任を持ってチェックしておるはずでございますし、一応正しいと判断しております。
  82. 野間友一

    野間委員 農林省の蚕糸園芸局から「野菜対策」というのを出しております。これは大成出版社から出ております。これは御存じですね。
  83. 森美秀

    ○森説明員 ただいま御指摘の資料は、農林省の編集によります一般の出版物でございますけれども、資料の所在は認識をいたしております。
  84. 野間友一

    野間委員 これによりますと、こういう指摘があります。これは二百十四ページですが、「六大都市の中央卸売市場卸売数量全国の卸売市場総卸売数量に占める割合をその開設都市の総人口に対する人口構成比と比較すると、卸売量構成比は三〇・五%で人口構成比一八・一%を大きく上まわっており、相当量が域外に転送されていると推測される。」こういう指摘がございますね。つまり、卸売量の構成比が三〇・五、人口構成比が一八・一、この中ではかなりの量が域外に転送されておるというのは当然でしょう。これと二・一とかいう比率は一体どういう関係があるのか。  さらに、続いて言いますと、同じ二百十四ページの一番下の行ですが、「卸売数量に占める転送量の割合は昭和四十一年の二・六%から昭和四十五年には四・五%になっており」これはいわゆる卸売業者からの転送は含まれてないパーセントでしょう。この転送量、五十年三月で出したこの中で、このパーセントと同じパーセントがここに指摘されておる。つまり、こういう数字が挙がっておっても、正しいかどうかはともかくとして、卸売業者から先取り転送をやった分、これは全然含まれてないのじゃないですか。そうでしょう。しかも、この量と人口の構成比からして異常な乖離があるわけでしょう。しかも、相当量が転送されておるということまで農林省は推測されておるわけでしょう。ところが、実際の公的な文書によりますと、合法的な仲卸業者等からの転送しか挙がっていません。しかも、この「野菜対策」の中でも、二・六とか四・五、これはまさに合法的な転送しか挙がってないわけですね。一体これはどういうことですか。
  85. 森美秀

    ○森説明員 ただいま「野菜対策」という資料の中での数字の卸指摘でございますが、私どもその「野菜対策」という資料の中にあります数字の根拠等をちょっといま現在で直ちに認識をしておりません。ただ、先生の御指摘のように、現在卸売市場の開設者が転送の許可をした上で転送を認めているという実態と、それから実際の転送数量というものとの間の乖離があるのではないかという御指摘の傍証として、いまの「野菜対策」の中の数字を御引用なさったわけでございますが、先ほど市場課長からもお答え申し上げましたように、私どもの市場行政、農林省が直接行っておる分野は限られておりまして、やはり地方公共団体の開設者の市場運営上の責任を信頼いたしまして行政を行っております。したがいまして、卸売市場の開設者が許可をした上で転送を認めているわけでございますし、また、その許可に基づきまして、その転送の数量は開設者が把握しているわけでございます。これを全国的に私どもの市場課が集計をいたしまして、全国的な転送の数字をつかんでいるわけでございます。したがいまして、先ほども市場課長の方からお答え申し上げましたように、市場課の中には検査官もおりますし、また定例的に地方公共団体の方に出向きまして、開設者の市場の監督状況あるいは許可が真正な許可であったかどうかということもチェックをいたしております。そういうことで、私どもは開設者である地方公共団体が転送の実態数字を把握しているものを信頼をいたしているというわけでございます。
  86. 野間友一

    野間委員 信頼しておっても、農林省は専門家でしょうが。専門家がみずから監修した本の中で、素人が考えたって乖離が明らかにわかるものが、そのまま信用するというのはどういうことなんですか。転送の問題は、これはあなたたちは専門家ですからね、よく知っておるはずだと思うのです、実際そんなものかどうか。これは開設者に全部任すというようなそういう態度で農林省がおる限り、この転送の問題は解決がつかないのは当然じゃないですか。  それから、先取り転送の場合の価格はどう決まるかということですが、これは当日の競りの最高直ということになっておるが、そうですね。
  87. 岡田明輝

    ○岡田説明員 御指摘のとおりであります。
  88. 野間友一

    野間委員 たとえば東京の神田市場、ここでは先取り転送が非常に多い。こういうのがあります。現場でいろいろ話を聞いたわけですが、これは築地のケースで一つ典型的なのを出しますけれども、全量先取りへ回してしまって競りができない、したがって値段が決められないために、あわてて他の都内の市場に電話をして、そして適当に価格を決める。現場の人たちの話だと、ここの場合には三〇%がキャパシティーですね、決められていますけれども、実際上はとらえようがない、こう言っておるわけですよ。つまり、残品転送と先取り転送、こういうものは後で整理するわけですから、これをチェックしなければどんどん先に抜かれてしまう。ですから、いまの築地の場合でも、荷がなくなって値がつけられない、ほかへ電話で聞いて値をつける、こういうケースがあるわけですよ。これは知らないはずはないと思う。  さらに、時間がないからあわせて言いますけれども、Uターン転送、こういう言葉を知っていますね。神奈川の野菜を東京の市場に出荷して神奈川にUターンさせる、これはよく問題になりますね。あるいは水戸のニンジンを東京に運んで、同じトラックで水戸に持って返る、これは随所に出ていますね。ですから、転送の量なりパーセントは全く誤まっておるということ。具体的には、競りの高値で決めますから、中央が集散市場化して、それが地方へどんどん高値で運び込まれる、そして地方の卸売市場の価格をつり上げている、こういう実態を知らないことはないと思うのです。いま私は二、三指摘しましたけれども農林省はこの点について全然把握してないということ、これでは中央卸売市場を設けても何の役にも立たない、これは当然じゃありませんか。私は和歌山でありますけれども、大阪と和歌山で同じ問題があります。どうでしょうか、これを解決をつけなけなければ、消費者サイドの野菜価格の安定などというのはあり得ないでしょうが。しかも、Uターンして持って返りますから、これが市場のほかの荷の価格形成に大きな影響をもたらすことは当然です。私も幾つか市場に入りましたけれども、みんなそう言うのですよ。農林省はそれでも知らないわけですか。あなたの方では開設者から資料をもらって、これで許容量の範囲内でやっておる、これは卸売市場法の三十七条あるいはルールの二十四条、この範囲内で価格形成も適切にやられておるというふうに本当に思っておるのかどうか、聞かせてください。
  89. 森美秀

    ○森説明員 先生指摘の「野菜対策」の資料の数字については、私ども後ほどその根拠等を調べてみたいと思います。  ただ、転送以外に先取りという措置が、これも法律上一応特別な場合において認められておるわけでございますが、それとの関連もあって数字がいろいろ食い違っているのかとも思いますけれども先生の御指摘のように、私どもいろいろ把握に努力しておるわけでございますけれども、現在の転送なりあるいは先取りの数量の現実の実態を正確にすべて把握しているということはあるいは必ずしも言えないかと思うわけでございます。問題は、転送物あるいは先取り物が市場の取引を混乱させあるいは価格形成に悪影響を及ぼすというような事態が生ずることになりますと、市場の適切な運営上好ましくないわけでございますので、そういう悪影響が起こるようなことのないように、今後とも十分努力をしなければならぬ、かように考えておるわけでございます。  私ども現在の転送の実態は、転送する側だけでなしに、いわゆる地方の卸売市場等の転送を受ける側の実態あるいは経済的な実情というようなこともあわせて十分検討をする必要があろう、かように考えております。したがいまして、先ほどちょっとお答え申し上げましたが、地方卸売市場の今後の整備に当たりましても、いま御指摘のように、これが地方卸売市場の価格形成に悪影響を及ぼすようなことにならないように、できるだけ地方卸売市場の強化に努め、そういう影響を未然に排除するというような形で努力をしてまいりたい、かように考えております。
  90. 野間友一

    野間委員 時間が参りましたので、最後に長官に質問したいわけですけれども、お聞きのとおりなんです。  要するに、中央卸売市場がロット化しまして、集散市場化しまして、そこに全部集荷される。結局、値段だけつり上げて、そこからまた地方に持って返ってくる。和歌山などでも、大阪中央卸売市場と和歌山の卸売市場で同じような事態が出ておるわけですね。車で運んでいって先取り転送で持って返ってくる。これでは高くなるのはあたりまえなんで、しかも転送量についても、実際にその数字からすればこれはおかしいと思うのがあたりまえですけれども、それすら上がってきたと言いますけれども、その報告をうのみにしておるというのが実態なんですね。しかも都道府県には中央卸売市場がないところがある。これを整備しなければならぬのと、卸売市場そのものをガラス張りに、しかも民主化しなければ、結局、消費者の立場に立てば、こういうことではたまったものではない。それでは生産者は高い価格で売れるかというと、そうじゃなくて、中央に出した物については一部高値で確かに引き取られるかもわかりません。しかし、そうでない物が地場にあるわけですから、結局、仲買い等はそれをミックスして価格をつけますから、要するにあとの物については買いたたかれる、これは生産者に対してもちっとも利益になっていない。ここにメスを入れなければ、野菜価格の安定なんというのは言ったって口だけの話で、農林省も全然実態を把握していないということなんですね。  そこで、最後に、農林省に対しては、この実態を私が指摘したことも含めて調査をして報告してくれというのが一つ。  それから、長官には、流通機構の整備について、私が指摘したようなことをひとつ実態把握してもらって、ぜひこういう点の是正をしていただきたいということを最後に質問しまして、終わりたいと思います。
  91. 森美秀

    ○森説明員 ただいま先生の御指摘実態の把握のための努力につきましては、私ども早急に検討いたしまして、早速何らかの実態把握の調査等の計画をつくりまして、また、その上で先生にも御連絡申し上げたいと思います。
  92. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 長い目で考えた場合の消費者物価対策、その中では流通の近代化、合理化、これが最大の問題だ、こういうふうに考えるのです。そういう中で、卸売市場の機能をどういうふうに改善、改良するか、これは一番大きな問題だろう、こういうふうに思うのです。  いろいろ貴重な御所見を承ったわけでございますが、実態の把握、それに基づく改善、改良、これにつきまして鋭意努力する、こういう考えでございます。
  93. 野間友一

    野間委員 では、後またいろんな資料を出してもらった上でさらにこれをフォローしてやっていきたいということをつけ加えて、終わります。
  94. 横山利秋

  95. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 それでは最初に、下請代金の問題について若干質問を申し上げたいと思います。  去る十一月二十五日、建設大臣、公取委員長名で下請取引の適正化について通達を出されておりますね、七百五号、六号。最近の下請取引の適正化問題については、経済情勢がこういう状態であるだけに非常に厳しいものがあるわけです。したがって、こういうような通達が出されたのだろうと思うのでございますけれども、この通達を出されました基本的な実態調査、そういうものがあってこの通達が出されたのだと思うのですけれども、公取の方に伺いますけれども、この通達が出された根拠、これについて報告できますか。
  96. 熊田淳一郎

    熊田政府委員 最近の書面調査をいたしておりますその結果によりますと、下請代金の支払い状況でございますが、やや遅延の傾向が見られます。  また、手形の期間につきましても長期化する傾向が見られるわけでございます。たとえて申しますと、滞留月数の推移を見てみますと、ことしの一月と四月の時点では、平均で見まして〇・七八ヵ月ぐらいでございましたが、七月時点におきましては〇・八五ヵ月というふうに、若干滞留の度合いがふえておるのでございます。それからまた、百二十日を超過する手形を交付いたしました事業所の割合、これで見ますと、ことしの一月が二三%、四月が二七%、七月は三三%というふうに、やはり長期手形を交付しておる事業所の数もわりあいにふえております。  そういうような状況でございまして、しかも年末になりますと金融が困難になるという時期でもございまして、それと関連をいたしまして下請取引の支払い状況がさらに悪化するおそれがございますので、そういうことのないようにということで、私どもといたしましては、下請法の運用を十分厳格にやってまいるというつもりでございまして、その私どもの方針と、さらに関係親事業者の団体に対しまして、そういう私ども考え方に協力をして下請取引の順便を図っていただくようにという趣旨から、この通達を出したわけでございます。
  97. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 もう一点お伺いしますが、この下請代金の問題につきましては、私も当委員会におきまして調査の仕方についていままで――というのは、ともすれば上の方のいわゆる親企業からの調査に基づいた結果を把握しておられるように聞いておったわけですが、そのときにも、いわゆる下請企業の方からの調査をやるんだというようなお話がたしかあったはずなんです。しかしながら、それに基づいた結果報告というのがなされてないように思うのでございますけれども、この点はいかがでしょうか。あればまた資料をお願いしたいんですけれども
  98. 熊田淳一郎

    熊田政府委員 私どもは親企業調査だけではございませんで、下請事業の調査もいたしております。今年度に入りましても、二千八百十一の下請事業者につきましてすでに調査をいたしておるわけでございます。そういうことで、親事業者だけではなしに、下請事業者の方からも実態を把握したいというふうに考えておるわけでございます。  そういう結果からかどうかは存じませんけれども、この下請事業者からの申告件数というのが最近では若干出てきております。従来はほとんど出ておりませんで、ことしの四月から九月までを昨年同期と比較してみますと、昨年は一件しかございませんでしたが、ことしはすでに七件出てきておるような状況でございます。
  99. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 中小企業庁に伺いますけれども、中小企業庁においても、同日付で中小企業者団体に対して、下請取引の適正化について通達を出しておりますけれども、中小企業庁としてはこういう実態調査をしておられるのかどうか。資料要求した段階においては、当該通達を出すに至った背景を記した資料というのは特別ない、例年出しておるんだから、ことしも出しましたというような言い方をされたのでございますけれども、そういうようないいかげんなことでは困るのであって、中小企業庁においても、これらの調査についてはひとつ万全を期してもらいたいと思いますが、簡単に御答弁ください。
  100. 織田季明

    ○織田政府委員 お答えいたします。  公正取引委員会と十分打ち合わせをして、一緒になってやっております。
  101. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 この問題はこの程度にしまして、大蔵政務次官に来ていただいておりますので、早速お伺いをしたいのでございますが、去る十二月の八日、日経新聞におきまして、拘束預金の日経新聞社の調査によるところの結果が発表になったのは御存じだと思うのでございますけれども、これによりますれば、拘束預金は全体で二兆三千五百億と、大変な拘束預金が行われておるわけでございます。大蔵省におきましては、ことしの二月二十二日、拘束預金について銀行局長通達が出されておるわけでございますけれども、それから約十ヵ月を経過しておるわけでございますから、そういたしますと、銀行局長通達が出されてから十ヵ月を経過しても、なおかつこれだけの多額の拘束預金がなされておるということについてどうお考えなのか。特にこれは上場有力会社百社についての調査でございますから、中小企業等におきます拘束預金を考えますと、恐らくこの倍以上になることは明らかではないか、こういうふうに思うわけなんです。  そういった意味におきまして、一つは、この日経の調査内容について、その信憑性についてどういう認識を持っておられるか。それから、先ほど申し上げました銀行局長通達というものが、私の判断では効果が上ってないように思うのでございますけれども、これに対してどうお考えなのか。まずこの二点から伺います。
  102. 森美秀

    ○森(美)政府委員 ただいま石田先生お話でございますが、十二月八日の日経新聞の拘束預金の記事につきまして、大蔵省といたしましても早速調査を個別にしたわけでございますが、新聞に出ておりましたような拘束預金の実態というものが発見されなかったわけでございます。  これにつきまして、細部について、二、三、会社の現況につきまして説明員の方からお話を申し上げたいと思います。
  103. 宮本保孝

    ○宮本説明員 日経の記事につきまして、私ども主として金融機関を監督いたしております関係で、企業直接には実はいろいろヒヤリングをしたことはなかったわけでございますけれども、今回特に企業にも御協力をいただきまして、来ていただきましてヒヤリングをいたしたわけでございますけれども、主として大企業の場合でございますけれども、大体預金が常時、たとえば千億なら千億、千五百億なら千五百億ある場合に、どうも日本経済新聞の場合には、その常時置いてある預金が何か全部拘束されておるというふうな感じで記事に出したようでございますけれども企業側から聞きましたところ、それは当然企業の取引なりあるいは経済実態からいいまして、その程度の預金は当然置いておくのが至当であると考えておるし、自分たちは金融機関側からそれを拘束されているというふうには認識していないというふうな回答が返ってきておりまして、その辺のいわゆる拘束性預金と常時置いておる預金との違いが数字として出てきたのじゃないかというふうな気がいたしておるわけでございます。
  104. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 そのお話は余りいただけない話でございましてね。  大蔵政務次官にお伺いをするわけですけれども、しかし、銀行といわゆる企業側、大企業の場合はそういうように従来ともに巨額の預金をするのが日本の企業のやり方のように、そういう習慣で来ておりますのでね。しかし、中小企業等の実態を見ますと、これはいわゆるリスクの多い金融ということもあるのでしょうけれども、そういったところからやはり拘束預金を、早く言えば、強制的にさせられておるのが実態だと私は思うのですよ。そういうようなわけで、その次の日の日経新聞によりますと、大蔵省においても実態調査をする準備を進めているというような、そういう銀行局長の談話も載っているわけなんですけれども、これに対する実態調査をおやりになる決意があるのですか、いかがでしょう。
  105. 森美秀

    ○森(美)政府委員 実態調査につきましては、検査を通じまして大蔵省も十分やっておるつもりでございます。今後とも検査は厳重にやらなければならない、特にいまのような経済情勢におきましてはいま石田委員のようなお話が多分に可能性があるわけでございますので、私ども指導に十分注意したいと考えております。
  106. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 じゃ、もう少し角度を変えてお伺いしたいと思いますが、公取にお伺いします。  公取におきましても、この拘束預金の実態については五月三十一日現在の問題としてアンケートによる調査の結果報告をしていらっしゃいます。それを十一月に発表されておるわけでございますが、この実態調査の特徴、特に公取がお感じになっておられる特徴をまずお聞きをしたいと思うのです。  それからもう一つ、いまの日経新聞の発表と対比をしまして、日経新聞の発表の信憑性という問題についてはどのようにお感じになっていらっしゃるか、御答弁をいただきたいと思います。
  107. 熊田淳一郎

    熊田政府委員 公正取引委員会は毎年五月及び十一月の時点におきまして拘束預金の実態を調べております。これは製造業、建設業、卸、小売、サービス業、この五業種につきまして資本金五千万円以下の法人または個人企業者の中から約八千社任意抽出をいたして調査をしておるのでございます。つまり中小企業者に対しまして調査をいたしておるわけでございます。  このことしの五月の時点におきます調査結果でございますが、これは前回と比較をいたしましてほとんど動きがございません、横ばいでございます。これは広義の拘束預金と狭義の拘束預金と二つ調べておりますが、狭義と申しますのは、借入金または手形割引に関連をしまして質権の設定とか預金証書の差し入れとかあるいは念書、口約束等によって拘束をされておる預金、これの借り入れ総額に対する割合でございます。これが三・二%でございます。それから広義の拘束預金、これはただいまの狭義の拘束預金に事実上引き出せないようになっておる預金を加えたもの、これの借り入れ総額に対する比率でございます。これは一六・八%でございまして、前回に比べまして〇・一%ふえておる。まあしかし、ほぼ横ばいという状況でございます。  なお、このほかに改善状況につきまして幾つかの項目について調査をいたしておるのでございますが、拘束預金の状況が一年前に比べて改善されたかどうかということを調べておりますが、これは改善されたとするものが前回一三・六%でありましたのよりも三・八%もふえまして一七・四%というふうによくなっております。  それから拘束通知の実施の状況でございますが、最近半年の間に通知があったとするものが全体に対する割合で七七・五%と前回よりも四・一%増加をしております。  これは一、二の例を挙げたわけでございますが、拘束預金率からいいますと横ばいでございますけれども、この拘束預金の実態というのは改善の方向にあるというふうに見受けられるわけでございます。
  108. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 日経新聞の問題についての意見はどうですか。
  109. 熊田淳一郎

    熊田政府委員 日経新聞に報道されましたものは大企業の拘束預金の状況でございまして、私どもが調べております中小企業の拘束預金の実態とは恐らく実情が異なるのではなかろうかというふうに私ども推測をいたしますけれども、これは実態を私どもが把握をいたしておるわけでございませんので、これについての論評は差し控えさしていただきたいと思います。
  110. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 政務次官、いま公取の方は特に中小企業を対象に調査をしたということで、拘束預金の問題については多少改善をされつつある、こういう状況報告があったとおりであります。ところが、金融機関別に見ますと、都市銀行、地方銀行、相互銀行、信用金庫、信用組合、こういうふうに見てまいりますと、たとえば都市銀行が拘束預金率、狭義の場合で三・二%、それから信用金庫等になりますと七・二%と増加をするわけです。広義の場合でも地方銀行が一三・一%でございますけれども、相互銀行になりますと二〇・六%、信用金庫になると二一・三%、信用組合に至りますと二四・七%というふうに、やはり中小零細金融になればなるほど拘束預金率というものは拡大をしておるということなんですね。だから、今回、日経の問題は上場会社百社に対する調査でありますけれども、公取の方の指摘によりますれば、やはり零細金融に対する拘束預金率が大きいということは、それだけ経営が苦しいということなんだと思うのですね。  こういう面の改善、特にこういった中小零細企業向けの金融に対する改善を要望しておきたいと思いますが、御意見はいかがでしょう。
  111. 森美秀

    ○森(美)政府委員 これは実態先生のおっしゃるとおりになっております。このことについてはやはり改善されねばならないことだと私は考えております。
  112. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 もう一度お伺いするわけですが、そういうわけで、やはり大蔵省としても年一度の調査だけではなくて、この拘束預金の実態調査を明確にやるべきじゃないか、こういうふうに私、思うのです。  と申しますのは、仮に日経の発表されたものがオーバーだといたしましても、相当な金額に上ることは疑いないわけでありまして、特に景気回復のためには企業の金利負担を軽減しなければならないというのはこれは原則だと思うのですね。そういう意味で、公定歩合も第四次にわたって引き下げがあったわけでございますから、この拘束預金というものを改善させるということは、いわゆる企業の実質的金利負担を下げることになります。それだけ経済に対する刺激を与えることができるわけでございますので、これの急速な改善ということは、今後の経済運営の上にも非常に大きな影響を与えるのではないかと私は考えるわけなんです。  そういう意味で、もっと的確な調査をされて、そしてその改善方について明確な御指示をするということが必要だと思うのですけれども、そういうような調査を明確になさるおつもりはございませんでしょうか。
  113. 森美秀

    ○森(美)政府委員 現在までにやっております検査というのは相当な厳重なる検査でございます。しかし、おっしゃるような問題も出ておりますので、なお一層検査を厳重にしてやってまいりたいと考えております。
  114. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 長官にお伺いをしたいと思いますが、日経新聞の調査、いろいろ主観的な問題もあろうと思いますから、必ずしもこれが実態のすべてではないと思うのでございますけれども、いま公取の調査発表の内容におきましても、拘束預金というものがかなり各企業の経営を圧迫していることは事実なわけです。  それで、日経産業新聞によりますれば、こういう指摘があるんですね。「今回の調査でも、百社合計の支払金利・割引料の合計額は年換算で二兆千百二十六億円に達する。」それから「通常の営業活動によって得たもうけである営業利益の一兆八千七百十一億円を一割強上回る水準である。」したがって、企業はその営業活動でもうけた利益だけでは金利も賄えないというような状態になっておりますので、そういった意味で、拘束預金の改善というものが、私は、これからの安定成長期に対する経済の中にあってはきわめて大きな問題として取り上げられなければならないのではないか、いまも申し上げましたように、景気回復、景気対策の上からいきましても重要な課題になるのではないか、こういうふうに思うのです。  これは御存じのとおり、金融というのはそれぞれの企業と金融会社との関連において行われているわけですから、一概にこれを規制することはできないということも私もよく承知はいたしておりますけれども、いままでのいろいろな発表を見ますと、ある銀行なんかは、拘束預金を入れて一三%以下の金利になるようなことにしてくれればいつでも貸しますよというようなことも言われておるわけですね。これではどうにもならぬというふうに思うんです。  非常にこの改善策はむずかしいと思うのですけれども、ひとつこれは経済運営の原則からもう一遍洗い直して見る必要があるんじゃないか、こういうふうに思うのでございますけれども、いかがでございましょう。
  115. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 拘束性預金という問題は、これは古くてかつ新しい問題でございます。まあ、債務者預金ですね、これは経済活動上ある程度必要だと思います。しかし、それが拘束性を持ってくるというところに問題があるわけです。  そこで、私も、大蔵大臣をしておりましたときから、この拘束性の預金というものにつきましては特に着目をいたしまして、これが減少するようにという努力はしてきておる。それでその結果、もう毎年この拘束性預金というものは減ってきておる、そういうふうに確信はしておりますが、しかし、今日拘束性預金がなくなってしまったかというと、四%程度の拘束性預金というものか存在するということはまた事実なんです。  これは大蔵省の検査やあるいは日本銀行の検査を通じましてこれが整理をすることができるようにという努力をずっとやっておる。検査のときもこの両当局がこの点には特に目を配っておるのですが、何せ全部の調査をする、それはとても不可能なものですから、そこで、徹底はしないというきらいはある、こういうふうに存じますが、これは御指摘のとおりです。  経済を正常化させるという上、特に中小企業の立場から見ました場合に重要な問題と思いますので、大蔵省や日本銀行を通じまして、これがさらにさらに改善されるように努力をするというふうにいたしたいと存じます。
  116. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 政務次官にもう一つお伺いしますが、今度の公取の調査結果を見ますと、いわゆる景気のいい時代においては拘束預金がふえておるわけですが、景気の悪い時代になりますと、だんだん減少をしてきているわけなんです。四十七年、八年のようなそういった状況には再びならぬとは思いますけれども、これがやはり五十一年度後半というようなことになりますと、いまの政府の方針からいきましても、かなり景気が回復するであろうというふうに私どもも思うわけでございますけれども、景気が回復された時点においてやはり銀行が積極的にこの拘束預金をまた奨励するというような形になってしまったんでは、これはいかぬと思うのですよ。  そういった意味において、さらに減少をさせるという方向でいくべきだと思うのですけれども、そういうような見通しで果たしていけるものかどうか、この点についての御意見を承りたいのです。
  117. 森美秀

    ○森(美)政府委員 ただいまのお話でございますが、私ども調査によりますと、手元には四十二年からのものがございますが、漸次拘束預金は比率は減っておりまして、経済の好、不況とはそう関係ないと考えておりますが、その点も十分もう一度調査してみるつもりでございます。
  118. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 これは長官にお伺いをしたいのでございますけれども、基本的には、こういう拘束預金の発生というのは、やはり企業の資本力が弱いというところから発生してくるんではないかと思うんですね。どうしても経済が拡大をされてきますと、無理して商売をやってもうけようというような姿勢になってくるのは当然なんですが、同時に、銀行が預金高をふやそうというので、そういうような拘束預金あるいは他人名義の預金でもいいからというようなことで拘束させるという形がいままでかなり積極的に行われてきたと思うんですね。  しかしながら、こういう問題を考えてみますと、企業を運営する人たちのそういった自己資本率を高めていこうというような努力がなければ、本質的にこの問題は解決できないんじゃないかというふうに私は思うのでございますけれども、そういう面への行政指導というものは不可能なものかどうか、これに対する御意見をお伺いしたいと思います。
  119. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 企業の自己資本比率は今日もう惨たんたる状態になってきているのです。これが私は今日の不況、これの根本的原因の一つである、こういうふうに見ておるのです。  つまり、いま日本の経済は全体としては世界の中でただ一つのプラス成長国である。それにもかかわらず不況だ、こういうのは人件費の問題があります。遊ぶ人手に対して終身雇用体制というので金利を払っておる。それからもう一つは、遊ぶ設備に対して金利を払っておる、こういう問題ですね。  そこで、この問題はとにかく不況の二つの大きな原因の一つであると私は見ておるわけでありますが、こういう状態になったのは一体どうしてそういうことになったのかと言いますと、私は高度成長だと思うのです。余りすばらしい勢いで企業が発展した。その資金を調達するのに、自己資本を中心にすべきなんですよ。そのいとまがない。そこで金融資金に依存する。こういうことになって、さあ、今日になってみると、金融資本比率というものが非常に高い。八割五分だというようなところまで来ちゃったということで、これはやはり経済政策全体が安定成長基調ということになると、この問題はかなり是正される、こういうふうに見ております。また是正しなければならぬ、そういうふうに考えますが、また、いろいろな税制だとかいろいろありますが、そういう政策面におきましても、とにかく企業は自己資本中心で動くという体制にいま誘導するための努力はぜひしてみたい、かように考えております。
  120. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 それでは最後に、もう一遍政務次官にお伺いをしたいわけですけれども、拘束預金のせいもありまして、金利負担というのは非常に高い。これは日本が国際的にも金利水準が高いというようなこともありますけれども、それだけに国際競争力との関連もございますし、こういうような高金利負担という問題を軽減する。  それには幾つもの方法があると思うのでございますけれども、いま大蔵省として一番力を入れていかなければならない問題は何か。最近ではもう一%ぐらい金利を下げてもらいたいというような経済界からの要求もあるわけでして、これから高金利負担を脱却する方策というのは一体どういう方向でいまお考えになっているのか、最後にお伺いをしておきたいと思います。
  121. 森美秀

    ○森(美)政府委員 不況を脱出するというのはいろいろな要素を兼ね備えなければならないと思いますが、もちろん、おっしゃるような金利の問題も念頭に置きながらいろいろのバランスをとって不況を脱出していくべく、いま政府は一生懸命やっております。
  122. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 終わります。
  123. 横山利秋

    横山委員長 午後三時三十分再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後零時五十二分休憩      ――――◇―――――     午後四時十一分開議
  124. 横山利秋

    横山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  物価問題等に関する件について調査を進めます。  この際、橋口隆君外三名より、自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党の四派共同をもって、物価安定対策推進等に関する件について決議を行うべしとの動議が提出されております。  まず、提出者から趣旨の説明を求めます。橋口隆君。
  125. 橋口隆

    ○橋口委員 私は、提出者を代表して、物価安定対策推進等に関する件について決議をすべしとの動議を提出いたします。  その趣旨の説明にかえ、案文を朗読いたします。    物価安定対策推進等に関する件(案)   一昨年来のはげしい物価高騰は、最近ようやく鎮静化の方向にはあるものの、消費の低迷等最終需要が停滞し、政府の四次にわたる景気対策にもかかわらず、企業倒産の増加と雇用事情の悪化を招く等、不況は長期化し、今や深刻な段階にある。これが克服策の遂行にあたっても、物価の安定が不可決の要件である。最近における国鉄料金、私鉄運賃等の改定をはじめ、今後予定される国鉄運賃、消費者麦価等各種の公共料金の改定、さらには大量の公債発行の物価に及ぼす影響等について、国民はインフレ再燃を警戒し、先行き不安感を強めている。   よって政府は、速やかに景気を回復し、経済を安定成長の軌道に乗せるため、今後の経済の展望を具体的に明らかにするとともに、次の物価安定等の諸施策の充実強化を推進すべきである。  一、公共料金値上げは、他の物価に波及し、国民生活に重大な影響を与えるので、極力抑制すること。  一、公正取引委員会は「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律」等を厳正かつ機動的に運用を強化し、価格協定その他の競争制限的行為及び不当表示等の排除に努め、違反行為の告発等積極的に行うとともに、事業者に対し公正競争規約を設定するよう適切な指導を行うこと。    このため、独占禁止法を改正し、公正取引委員会を改善すること。  一、生鮮食品等の価格の安定を図るとともに、中小零細企業の経営の安定に配慮しつつ、市場等流通機構の整備、合理化を促進し、特に小売店の協業化、近代化をさらに推進すること。    なお、最近特に価格高騰の著しい牛肉については、「価格安定制度」の実をあげるよう輸入肉の適正な保管、放出を図る等速やかに価格の沈静を図ること。  一、本需要期における民生用灯油については、需給動向に注視しつつ量の確保はもとより、価格の安定についても特段の配慮を行うこと。    なお、灯油の値上りは、特に寒冷地の消費者の家計を圧迫するので、元売仕切価格、末端小売価格について引き続き十分な監視を実施するとともに、必要に応じ抑制的指導を行うこと。  一、マルチ商法等特殊販売については、その弊害を除去するため、現行法の運用はもとより、被害の未然防止の観点から早期立法措置につとめ、その他強力な規制を行うとともに、被害者の救済についても適切な措置を講ずること。  一、年末、年始における生鮮食料品、調味料、加工食品等生活必需品について、その需給動向等を厳重に監視し、輸送の確保等の対策を講じ、値上げを抑制するとともに、年末、経営に苦しむ中小企業の安定を図るため、積極的に融資、助成を行うこと。  一、資源制約、安定成長等の経済環境の変化に即応し、消費者安全の一層の徹底、消費生活の合理化を図るため、国民生活センター等の充実、消費者の自主的な組織活動の促進、生活協同組合の育成等必要な助成を行うとともに、地方自治体の物価行政、消費者行政に対し、積極的な指導と必要な助成を講ずるよう努めること。    なお、単位価格表示を推進し、消費者被害の救済制度の確立等についても、速やかに検討を進めること。    右決議する。 以上であります。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
  126. 横山利秋

    横山委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。     ―――――――――――――
  127. 横山利秋

    横山委員長 採決いたします。  橋口隆君外三名提出の物価安定対策推進等に関する件を本委員会の決議とするに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  128. 横山利秋

    横山委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  本決議に対しまして経済企画庁長官から発言を求められておりますので、これを許します。福田経済企画庁長官。
  129. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 ただいまの御決議に対しましては、その御趣旨を尊重いたしまして、物価の安定を図り、国民生活の向上を実現するよう、さらに一層の努力をいたす決意でございます。
  130. 横山利秋

    横山委員長 ただいまの決議について、議長に対する報告及び関係当局への参考送付等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  131. 横山利秋

    横山委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ―――――――――――――
  132. 横山利秋

    横山委員長 本日の請願日程全部を一括して議題とし、審査に入ります。  各請願内容につきましては、文書表で御承知のことでありますし、また、先日来理事会において御検討願いましたので、この際、各請願について紹介議員よりの説明聴取等は省略し、直ちに採決に入りたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  133. 横山利秋

    横山委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  お諮りいたします。  本日の請願日程中、インフレ物価抑制に関する請願、日程第四一ないし第四三、第五五ないし第五七の請願六件及び公共料金等値上げ中止に関する請願中、日程第五八、第六〇、第六六ないし第七五の請願十二件の各請願は、いずれも採択の上内閣に送付すべきものと決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  134. 横山利秋

    横山委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、ただいま議決いたしました各請願に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  135. 横山利秋

    横山委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ―――――――――――――     〔報告書は附録に掲載〕     ―――――――――――――
  136. 横山利秋

    横山委員長 なお、本委員会に参考送付されました陳情書は、お手元に配付いたしておりますとおり、公共料金値上げ抑制に関する陳情書外三件でありますので、この際、御報告いたします。     ―――――――――――――
  137. 横山利秋

    横山委員長 次に、閉会中審査の申し出の件についてお諮りいたします。  本委員会といたしましては、閉会中もなお審査を行うため、第七十二回国会松浦利尚君外四名提出、総合商社の事業活動の規制に関する法律案及び物価問題等に関する件につきまして、議長に対し閉会中審査の申し出をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  138. 横山利秋

    横山委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、議長への申し出に関する手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  139. 横山利秋

    横山委員長 御異議なしと認めます。よってさよう決しました。  本日は、これにて散会いたします。     午後四時十九分散会