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1975-12-11 第76回国会 衆議院 物価問題等に関する特別委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年十二月十一日(木曜日)     午前十時十五分開議  出席委員    委員長 横山 利秋君    理事 竹内 黎一君 理事 橋口  隆君    理事 松浦 利尚君 理事 小林 政子君       愛野興一郎君    深谷 隆司君       三塚  博君    吉永 治市君       中村  茂君    和田 貞夫君       三浦  久君    有島 重武君       石田幸四郎君    和田 耕作君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      福田 赳夫君  出席政府委員         経済企画庁調整         局長      青木 慎三君         経済企画庁国民         生活局長    岩田 幸基君         経済企画庁物価         局長      喜多村治雄君         経済企画庁総合         計画局長    小島 英敏君         経済企画庁調査         局長      宮崎  勇君         運輸省鉄道監督         局民営鉄道部長 高橋 英雄君  委員外出席者         水産庁漁政部長 森安 孝郎君         運輸大臣官房審         理官室長    福田  稔君         物価問題等に関         する特別委員会         調査室長    芦田 茂男君     ――――――――――――― 委員の異動 十二月十一日  辞任         補欠選任   野間 友一君     三浦  久君 同日  辞任         補欠選任   三浦  久君     野間 友一君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  物価問題等に関する件      ――――◇―――――
  2. 横山利秋

    横山委員長 これより会議を開きます。  物価問題等に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松浦利尚君。
  3. 松浦利尚

    松浦(利)委員 三木政権が発足してちょうど一年を経過したわけでありますが、その中心経済担当大臣として努力してこられた副総理の方針として、物価問題については一応鎮静の方向でほぼ当初の目標どおり達成をしてきたわけでありますが、逆に、その反動というわけではありませんが、景気がどうも伸びないあるいは低調である、そういった問題がいま来年度予算編成をめぐってとかく新聞報道等でもいろいろ議論をされておるところでありますから、一応来年度予算編成と絡ませながら、今後の経済運営あるいは景気見通し物価見通し等について、忌憚のない大臣の御見解をひとつ承っておきたいと思うのであります。  まず、第一点としましては、経済企画庁月例報告でもすでに明らかなように、個人消費あるいは民間設備投資といった最終需要がどうも不振である、鉱工業生産指数横ばい、こういった状況から見て、率直に言って、第四次不況対策を立てられたわけでありますが、当初、下期の実質成長率は六・二%、年に直して二・二%、こういう発表をなさったのであります。しかし、こうした経済企画庁月例報告から見て、この目標というのはもう絶望的ではないかというふうに考えられるわけでありますが、大臣の御見解を承っておきたいと思います。
  4. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 景気回復、足取りがどうも思わしくないというのは御指摘のとおりでありますが、これは年度全体を通じてみますと、当初見通しておった高さの半分ぐらいですね、二%前後の成長という改定を行ったわけなんです。しかし、それでも世界先進諸国の中ではただ一つプラス成長国ということになるわけでありまして、世界が総落ち込み状態だものですから、どうもわが国だけがそう高い成長を実現し得なかった。しかし、それにいたしましても遺憾なことだ、かように考えております。  そこで、下半期につきましては、どうも多少ずれが出てきておる、こういうふうに見ておりまして、下半期全体といたしまして実質六%まで行けるかな、行けないかな、こういうことが危ぶまれるような状態であります。ただ、年度問としてこの二%実質成長という線がどうかということにつきましては、この達成は可能である、そういうふうな見解でありまして、まあ、数字は多少変化があるかもしれませんけれども、傾向といたしましては、下半期はとにかく上昇過程に堅実に乗っていくという方向が実現されるであろうということにつきましては、これはそのとおりに考えております。
  5. 松浦利尚

    松浦(利)委員 これは経済企画庁から八月にいただいた推移試算表なんですが、これにずっと八、九、十という鉱工業生産指数グラフ追加してみたんですが、いま大臣が言われたように、ずっとこういう実績が横ばい状態で続いておるわけですね。いま言われたように、確かに上昇傾向にあると言えばそういうふうにも解釈できるかもしれませんが、実態として、その二・二%という発表なさった数字というもの、成長というものが確保できるのかどうか。このグラフで見ていっても横ばい状態が続くという状況ですから、非常にむずかしいのではないかという気がしてならないのです。  そこで、これは河本通産大臣がしょっちゅう言われるのですが、どうも景気回復時点がずれる、五十一年度の後半に大幅にずれ込む、ずれ込むということを盛んに最近新聞等で発表しておられるのですが、このグラフで見てまいりますと、四十八年の十一月をピークにして、十五ヵ月で一番底に来て、それからじわじわと上がってきておるんですが、その下落した率と同じようなスピードで仮に回復するとすれば、五十一年の五月にはほぼ四十八年十一月に回復する。もう一つは、これは経済企画庁試算した数字ですが、四十六年不況回復スピードでいけば五十二年の八月だ。そうしますと、この鉱工業生産指数というのは大体どの辺で、何月ごろで引き上がってくるのか。いまの大臣見通しとしては、数字的には別として、感じとして大体どの辺で鉱工業生産指数というのはグラフ上で上がってくるのか。これが第一点であります。  それからもう一点は、この四十八年十一月のピーク時は、これは高度経済成長下でありますから、ここに回復するということは恐らくむずかしいのではないかという気かいたしますが、それでは一体どの辺まで、このグラフで棒が上がってきた場合に、回復したというふうに理解をされるのか、その点を、いまグラフ大臣にお渡ししましたから、それを見ながらひとつお答えいただきたいと思います。
  6. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 私は、いまの不況実態というものはマクロ的にはそういう状態でなくて、いわゆるミクロ的、つまり個々企業について不況実態が存在している、こういうふうな見方をしているわけです。それで、マクロ的には経済上昇過程にあるものの、それじゃ、ミクロ的に、つまり個々企業について不況状態であるというそのわけは何だ、こう言うと、四十九年度における経済活動落ち込み、これが非常に深刻なものである、そこで、その尾がずっと引かれておりまして、今日なお企業操業度、これが低位にある、そこが問題である、こういうふうに考えておるわけなんです。操業度は上昇しつつあるものの、なお相当大幅な不稼働設備、不稼働人員企業が抱えておるというところに問題がある、こういうふうな見方をしておるわけであります。  私は、調整期間つまり経済を大体安定という粗ごなしをするその必要な期間は三ヵ年、こういうふうに申し上げておったのですが、大体五十二年三月、つまり五十一年度末、その辺を目標にいたしまして、ミクロから見ての問題つまり稼働率を大体適正な水準に達せしめるというふうにいたしたい、かように考えておるわけであります。  製造業稼働率指数について言いますと、ことしの三月が底でありまして、七七ポイント、これがだんだんと改善されまして、この九月には八四というところまで来ておるわけであります。これをこれから一年半かけまして大体九五、つまり望ましい製造業稼働率指数というところまで持っていくように経済政策を誘導したい、かような考えをいたしておるわけであります。  そういう状態を実現するには一体どうするかというと、いま松浦さんの御指摘のように、鉱工業生産が上がる必要がある。つまり、これは最終需要と非常に関連の深い傾向になるわけでありますが、その辺で過去のピーク時というか、その辺に近接していくであろう、鉱工業生産はそういう趨勢になっていくだろう、こういうふうに見ておりますが、いずれにいたしましても、私どもが見詰めておる一点は、企業操業度が一体どういうふうな推移を示すか、その操業度をおおむね適正な水準に戻す時期、それは五十二年三月を目標とする、こういう御理解を願います。
  7. 松浦利尚

    松浦(利)委員 その五十二年三月を目標にして操業度を九五。そうすると鉱工業生産指数はどのくらいのところにこれは上がるのですか。
  8. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 大体、製造業稼働率指数鉱工業生産傾向を同じくする、そういう性質のものでありますが、五十二年三月の時点における製造業稼働率指数、これが九五である、こういうふうに申し上げましたが、その時点における鉱工業生産指数は大体一三〇ポイントという程度になろうか、かように考えます。
  9. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それで、さらにお尋ねをいたしますが、実はこの前副総理は、景気が思わしくないのは住宅投資関係がどうもおくれておるのじゃないかという談話を出しておられるのを拝見したわけでありますか、実は建設省の方から、特に住宅金融公庫公庫住宅推移というのが、公的なものあるいは民間によるもの、こういったものを相互に引っ張っていくということですから、公庫推移というのがどうなっておるのかということを、資料をとったわけであります。ところが、第三次不況対策その他にも、明らかに住宅建設促進というのが不況対策目玉に挙がっておったのですが、その契約戸数状況を見てまいりますと、五月に十三万四千八百三十戸割り当てたものを、十月末でやっと契約戸数十一万六千七十七戸。この数字というのは、これは建設省から持ってこさしたグラフですが、この二枚目のグラフでもおわかりのように、景気対策と言いながら、実際に契約戸数というのを見てまいりますと、山が過去の山と一つも変わっておらないわけなんですね。なるほど宣伝では、不況対策だ、住宅促進して早く不況目玉として云々と、こう言われるけれども、実際の行政ペースとしては全く従来のパターン公庫契約がなされている。それに引きずられるように公的なものも民間的なものも動いておる。こういうことで、率直に言って、第三次までの不況対策というのは、住宅に関する限り、従来と全く同一の歩調をとったということなんですね。先般十月に不況対策として追加があり、十四万四千六百五戸の追加があったわけでありますけれども、この追加が過去と同じパターンで動きますと、極端に言うと、せっかく目玉として、第四次不況対策の柱として立てた住宅という問題が景気に連動してこない、ずれ込むというふうになるわけですが、こういう問題を本当に景気対策とするためには、どういうふうに副総理としてお考えになっておるのか。このグラフからいけば、従来と全く同じパターン推移してしまう。その点をどういうふうに考えておられるのかということを副総理の方からお聞かせいただきたいと思います。
  10. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 最初の「鉱工業生産稼働率指数試算」という企画庁からの資料でごらんになると非常に明瞭に出ておりますが、どうも八、九月ごろになるとちょっと景気上昇のテンポが停滞を示しておる。その原因は何だと言いますと、やはり財政景気を動かす上に非常に大きな影響があるわけでございますが、この財政、第一次対策、第二次対策、第三次対策、繰り上げ執行早期執行ということで公共事業促進に努めたわけでありますが、それが種切れになる、そして第四次が働くまでに一つ谷間が出てくる、こういう時期に特に九月辺が相当するんじゃないか、そういうふうに見ておるのであります。その中でも住宅につきましては、いま御指摘建設省資料一というのでごらん願いましても、公的資金による建築の着工が八月、九月、こういうところで非常な停滞を示しておる。こういう状態で、いま申し上げましたように、第四次対策執行されるまでの谷間に該当する時期でそういうふうになったと見ておるわけでございますが、建設省にもお願いいたしまして、なるべく早期にこれが実施されるように、特に本年度中には必ずこれが完全消化されるようにということを期待いたしておるわけでありますが、せっかく第四次という住宅政策中心とする施策が決められたわけでありますので、この点につきましては特に留意してまいりたい、かように考えております。
  11. 松浦利尚

    松浦(利)委員 副総理、少しくどいようですけれども、実は四月に住宅金融公庫の受付を開始しまして、四月の二十八日にはもうすでに申し込みを締め切ったわけです。それからずっとずれ込んできて、実際に最終的に契約を終わるのが十月あたりにずれ込んできておるのですね。そうすると、いま、十月に募集を開始して、実際には十月の十三日にすでに第四次不況対策の割り当ての申し込みの締め切りは終わったのですが、これが同じようなパターンで動いていきますと、住宅金融公庫自体にもあるいは建設省にもいろいろな行政上の隘路があるとは思うのですが、住宅に関する限り、さらに谷間が続くようなことになりかねないのですね。これを早く働かせるためには、契約というものをもっと早くする、個々人の契約を早めるということがなければ、結局第四次不況対策というものもずれ込んでしまうのではないかと思うのですね。その点について、具体的にそれでは、年度内と言われたら来年の三月ですね、しかし、私は十二月なら十二月までには契約というのはできるだけ終わらせてしまうべきだと思うのですが、そういう手だてをぜひやるべきだと思うのですが、大臣の御見解を承っておきます。
  12. 青木慎三

    青木(慎)政府委員 住宅金融公庫契約状況でございますが、御指摘のとおり、第一次の分は十月ぐらいにほぼ終了しております。  今後の見通しでございますが、現在、貸付契約が十一月末現在で一〇%ぐらいに達しております。建設省の方の計画によりますと、十二月末までに約五〇%完了、一月末までに九〇%まで完了する、三月末までには完全消化する、契約は終わるという計画でございます。  御指摘のとおり、なるべく早くこれを消化することが望ましいので、手続その他を極力急いで、早く契約を終了し金が出ていくという方向で、建設省にも要望してまいりたいと思います。
  13. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それからさらに、大臣が言っておられる公共事業関係伸びでありますが、特に五十年度建設省関係で、直轄事業あるいは補助事業公団事業等契約状況を見ますと、確かに十月末で七〇%を超えておるわけでありますか、地方財政悪化を反映いたしまして、県単事業というのはほとんど見送られておる。直轄事業とか補助事業公団事業によってやっと公共事業が支えられておって、従来の県単による公共事業というのは全く停滞をしておる。五十年九月分の公共工事着工統計速報というのが建設省調査統計課から発表されておるのですが、これを見ますと、九月で対前年度比で二一・五%も都道府県段階で落ち込んでおる、あるいは市町村段階で九・五%も落ち込んできておる。逆に国の機関としては四二・六%ふえておる。トータルすると、実質的には余り大きな働きをしておらない。ですから、いま景気対策をやる上で公共事業ということの目玉も確かに重要ですが、その目玉裏づけになるべき地方自治体財政というものをもっとはっきりさせておかないと、せっかく不況対策だということで御宣伝なさっても、その効果が生まれてこないのではないかという気がするのですね。  ですから、いま大切なことは、この受けざらである地方自治体公共事業にたえ得るための財政措置を一体どうするのか。先般地方財政に対する特例法が衆参通ったわけでありますが、しかし、これをもってしてもなおかつ地方財政悪化というのは防げないということになれば、第四次不況対策効果というのはむしろ削減をされてしまう。この点について大臣はどういうふうにお考えになっておるのか、お聞かせいただきたいと思います。
  14. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 確かに景気対策側面から見ますと、地方補助事業、またさらには単独事業がどういうふうになるかということか大きな問題だろうと思うのです。御指摘のように、九月の統計によりますと、国の直轄事業の方は前年同期に比べまして二二・六%ふえる、公団事業団の方は三四・四%ふえる、政府企業は四二・六%もふえる、そういう状態です。反面におきまして、都道府県の方は二一・五%減る、また市町村の方は九・五%減る、こういう状態でありまして、これ全体としますと、微減ではありますが、とにかく減少だ、こういうことになるので、財政主導型という経済政策をとる、その中で地方事業が思ったように進捗しない、こういう点にこの政策の遂行というものが非常にむずかしい隘路を持っておる、こういうことが言えると思うのです。  それに対して、それは一体どういうことであるかということを考えてみると、やはり地方財政もまた国と同様に財源落ち込みというものがある。それに対する手当て、これは補正予算中心といたしまして対策を講じたわけでありますが、それを受けて地方が、国の期待する事業、特に補助事業執行するというのがかなりおくれちゃうのです。つまり補助事業執行するためには、国のそういう政策裏づけといたしまして、臨時県会を招集する、そして臨時県会において地方補正予算議決を要する、あるいは条例の決定を要する、こういうことが当然随伴するわけです。それが大体十一月ごろに都道府県議会が招集をされるというようなことになりますので、そこで、かなりのおくれがその面から出てきているということは否めないのです。そういう問題が一つ。  それからもう一つは、財源が乏しゅうございますから、補助事業につきましては都道府県議会議決を経て執行するというが、単独事業になりますと、かなりこれを押さえ込む傾向が出てくる。これは当然そういうふうになるだろうと思うのです。また、国の補助事業につきましても、これは全部政府資金じゃない、一部地方銀行等からの借り入れに依存する、こういう面もありますので、その辺で地方においてやや執行について逡巡をするという向きもまた多少はある、こういうようなことで、地方の方のおくれというものが景気対策上非常に大きな隘路となる。  そこで、こういう政策を実行する上におきましては、地方財源対策ということにつきましてむずかしい問題のある際には、自治省あるいは大蔵省、そういうところでかなり意を用いていく必要があるのではあるまいか、そういうふうに考えております。
  15. 松浦利尚

    松浦(利)委員 いま大蔵省自治省等で配慮をせざるを得ないんだ、こう言われたのですが、しかし、実際問題として、地方自治体財政が極度に悪化しておることは、副総理が先刻御承知だと思うのです。しかし、大蔵省なり自治省云々と言われても、これまた財源対策が右から左へ出てくるはずはないんで、率直に言って、こうした隘路を副総理としてはどういうふうに克服されようとするのか。景気というものと地方財源というものが非常に密着してきておりますので、特に財政主導型における地方自治体財政強化という問題について、来年度なら来年度、あるいはどういうふうにお考えになっておるのか、その点を副総理の立場でひとつお聞かせいただきたいと思います。
  16. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 来年度地方財政につきましては、まだ政府部内で相談をいたしておる、こういう段階でありますが、今年度の問題といたしましても、ただいま申し上げましたように、問題があるのです。補助事業につきましても、一部は政府資金だ、一部は民間資金だ、こういうことになる。政府資金の方につきましては、これは責任を持って政府調達します。しかし、民間資金になりますと、これは都道府県について言いますれば、当該都道府県地方銀行などに協力を要請するということになるのでありますが、国全体といたしますと資金の需給はうまくいく計算ではございまするけれども、地域的にかなりでこぼこがありまして、都道府県個々のものにつきまして見るときに、当該地域地方銀行などにおきまして資金が不足する、こういうものも出てくるのです。  そこで、全国的にこう見回しまして、資金地域配分が適正にいきませんと、どうしても補助事業民間資金依存部分調達が窮屈になる、こういう現象が出てくるわけでありまして、そういう事例なんかにつきましては自治省に申し出てください、あるいは大蔵省に申し出てください。その際におきましては、国あるいは日本銀行協力も得まして、その資金調達につきまして協力いたしましょう、こういうふうにしておりますが、そういう協力をさらに強化いたしまして、地方補助事業執行促進してまいりたい、かように考えております。
  17. 松浦利尚

    松浦(利)委員 第四次不況対策まで実施しましたが、確かにマクロ的には上昇傾向にあるけれどもと、こういうふうに先ほど言われました。この前、本委員会でも、副総理は第五次不況対策として来年度予算というものに大きくウエートを置きたい、ですから来年は積極的な予算を計上する、こういうふうに御答弁なさったわけでありますが、そうなってまいりますと、来年度予算の背景になります経済見通し、いま新経済五ヵ年計画を立案中だと思うのでありますが、やはり来年度経済見通しが決まらなければ、予算というものは私は決まってこないというふうに思うのです。  これは新聞等で見たのですが、大体当初、経済企画庁の方は五ヵ年間の平均実質成長率を六・七%ぐらいに見ておられた。ところが、実際問題として、こうした本年度景気のあり方から見て五・五%あるいは五・七%ぐらいのところに置かざるを得ないというふうなことをちょっとお聞きしたわけでありますけれども、来年度実質経済見通しというのはどれくらいのところでいま経済企画庁としては見ておられるのか、その点をひとつお聞かせいただきたいと思います。
  18. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 来年度景気が一体どうなるか、これは私はかなり本年度に比べて上昇する、こういう見方をしているのです。  そのわけは、世界貿易がことしは大変な落ち込みでありましたが、来年はそれが明るい見通しになる。まあ、実質四、五%ぐらいはふえるであろうという説が有力でございますが、輸出は、とにかくそういう世界環境の中で、かなりわが国としてもふやし得る、こういうふうに考えるわけであります。それから設備投資は、ことしも貿易同様大変な落ち込みでございまするけれども、来年は、輸出が明るいとかそういう環境の中で、これも微弱ながら上向きになっていくんじゃあるまいか。それから個人消費につきましては、これはそういままでと伸びにおいて変化がない、着実な伸びを示していくのではあるまいか、そういうふうに思うのです。ですから、財政側面つまり国地方公共団体の喚起する物資需要、そういうものを除いて考えますと明るい要素が総体として考えられるわけであります。  そういう中において来年の経済成長を一体どういうふうにとらえていくか、それをいま関係各省やあるいは経済審議会等の意見を聞きながら最後の詰めに入っておるという状態でございますが、来年の成長を幾らに見るかということになりますと、ただいま申し上げました貿易だとかあるいは設備投資だとか個人消費だとか、その見通しと並行いたしまして、一体、財政、特に財政の中で資本的支出部面の量、金額をどの辺にするか、これは財政自体のたてまえもあります。つまり赤字公債を一体どの程度まで発行し得るか、こういう問題もありまして、その辺を詰めなければならぬ。その辺の詰めができますれば、大体来年度は総体として何%成長ができるんだ、こういうふうになろうかと思います。  努力目標といたしましては、私、先ほど申しましたように、五十一年度末、つまり五十二年の三月時点における企業操業度稼働率指数から見て九五・〇という辺に持っていくようなことが可能になるような高さの成長、その成長を実現するための財政、こういう考え方を基本にしてまいりたい、かように考えています。
  19. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それは大体何%ぐらいになるのですか。
  20. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 まだ何%ということを申し上げられない段階でございますが、財政をどういうふうに見るかという最後の詰めをいたしました上で見当をつけたい、こういうふうに考えています。
  21. 松浦利尚

    松浦(利)委員 実は来年度予算規模について常識的なところでいろいろいじってみたのです。名目成長率を大体一三%に置くのか、いろんな考え方があるわけでありますが、いずれにしても、名目成長率を一三%程度に抑えて、予算伸びもその一三%ぐらいにしますと、来年度予算というのは大体二十四兆近くになる。すると、逆に今度は税収の伸び、これはいろいろな見方がありますけれども、今日のように景気が大変落ち込んでおるということを前提にして見た場合に、税収というのが大体十五兆程度になるのではないか。ということになりますと、その差額の約九兆ないし八兆というものが公債依存ということにならざるを得ない。ですから、率直に言って、いま大臣がいろいろ言われましたが、財政の面から見ますと、当初の予算伸びを一三%に抑えてみても、なおかつ約九兆近くの赤字公債を発行せざるを得ないという条件が生まれてくるわけでありますが、大臣として、来年度予算は積極的に財政主導型の景気刺激策をとっていくんだ、こういう発言をしておられることから見て、公債依存率というのは来年度予算で大体何%ぐらいを見込んでおられるのか。  御案内のとおりに、この計算でいきますと、来年度の公債依存率というのは二九%台という状況になってくるわけですね。しかも、御案内のとおりに、民間なり資金運用部で多額の国債を消化する能力というのは、率直に言って、来年度は非常にむずかしい状態が生まれてくるわけでありますから、積極財政と言われてみても、赤字公債発行という面でおのずから限度がある。ということになれば、来年度予算規模をどれぐらいにするかということが非常に大きな問題だと思うのですね。同時に、その裏づけになる赤字公債を幾らにするのか、片一方で健全財政という問題もあるわけですが、大体公債依存率というのは来年度何%くらいになるのか、経済成長は言われなかったのですが、それでは大臣としては依存率を何%くらいに抑えようというふうに考えておられるのか、その点くらいはひとつお聞かせいただきたい。
  22. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 公債の問題につきましては、公債の発行額の問題とまた予算における公債依存度の問題と両面考えていかなければならないだろう、こういうふうに見ておるのです。そういう両面を考えながら、景気政策つまり、先ほど申し上げましたが、とにかく来年は国全体の経済といたしまして稼働率指数を五十二年の三月までの時点に九五というところに近接する、そのようなものにいたしたい、こういうふうに考えておるのでありまして、そのためには財政というものが、お話しのように、主導的な役割りを演じなければならない、こういうふうに考えておるのです。そういう考え方のもとに財政との調整をしなければならぬ。その場合に、公債の発行額を総額としてどの程度にすることが妥当であるか、また財政の中における依存度をどの辺にするかということを両々にらみながら最終的な額を、見当をつけなければならぬ、こういうふうに考えておりますが、いまその辺の経済政策財政政策との調和、その辺について大蔵省と話し合いの最中であるというので、まだこの席でどの辺になるだろうという見当はとてもつかないそういう段階でございまして、いずれ来週はそういう見当をつけなければなりませんが、まだ今週のこの段階におきましては、どうも責任のあるお答えはいたしがたい、こういう段階でございます。
  23. 松浦利尚

    松浦(利)委員 承るところによりますと、来年度は非常にこういった赤字公債の依存率が本年よりも高くなるということから、所得減税ということは行わないのだ、こういうことをもうすでに大蔵省筋では明らかにしておられるわけでありますが、所得減税というのはもう全く考慮の余地がないのか、物価調整減税すらも来年度はやる意志はないのか、そういう点も目下詰めておる最中でございますか。
  24. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 率直に申し上げまして、財源難、つまり、先ほど申し上げましたように、公債をどのくらい出すことになるか、その辺と増減税の問題というものは関連してくるわけです。そこで、大蔵省の方としては、とてもいま減税というようなことを考え時点ではない、五十一年度段階におきましては減税というような考え方を打ち出すことは不可能であろうというような空気でございますが、とにかく公債の額を一体どうするか、また公債の依存度を一体どういうふうにするか、そういうことも総合的に考えて最後の結論を下さなければならぬことでありますが、そういう公債の発行額とにらみ合わせまするときに、財政政策とすると減税は来年度はむずかしい、大蔵省が言うようにむずかしい年だなという感じがいましております。
  25. 松浦利尚

    松浦(利)委員 来年度は根本的な税制の見直しはやらない、ただ、不公平税制の面の租税特別措置等の見直しを若干するということだそうでありますが、大蔵大臣は五十二年度からは公債の依存率をできるだけ減らしていきたいということを言われたわけです。しかし、率直に言って、先ほど大臣が御答弁になりましたように、景気回復そのものが五十二年というふうに言われたわけでありますが、そうなってきた場合に、公債依存率を減らしていくためには歳出を切るか、あるいは歳入増加を図る以外に方法がないわけですね。率直に言って、歳出をカットするといっても、これはなかなかむずかしい問題ですけれども、逆に歳入の面というのは新税を求めればいいわけです。ただ、ここで大臣に率直にお尋ねをしたいのですが、五十二年あたりで付加価値税の導入というものを考えておられるのかどうか。十月の経済見通しを変更なさいましたときの個人消費が大体八十四兆だったと思うのです。それを粗く計算しまして、それに付加価値税を仮に一〇%掛けたとすれば、もちろんこれは大まかな意味ですが、約八兆四千億の税収がある。それを五%にしても四兆近くの歳入がある。そうすると、国債依存率を低めるためには、大きな税収を求めなければならぬわけでありますから、そうなってくれば、将来、五十二年以降、付加価値税の導入というものを恐らく大蔵省なりは考えておると思うのです。そのことは、逆に言うと、物価に非常に大きな影響が出てくるわけなんですね。  そこで、大臣にお尋ねをしたいのですが、この付加価値税というものについて、物価対策の立場からどう見ておられるのか。財政面から見ると窮屈だから、新税として付加価値税、こうなるのですが、物価対策上から見た場合に、それじゃ付加価値税というのはどういう位置づけを持つのか、その点について大臣としてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  26. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 本年度の一般会計予算の公債依存度は二六%です。五十一年度はそのパーセントがかなり上がるのじゃないか、そういうふうに思いますが、いずれにしても、そういう状態が長続きをするということは健全な状態ではありませんし、長続きするという態勢になりますと、これはいろいろな弊害を醸し出す、これは速やかにそういう状態を改善しなければならぬ、こういうふうに考えます。  そこで、それにはどうすればいいかというと、経費の増加をなるべく抑制するという考え方をとると同時に、やはり新しい財源を模索しなければならない、そういうふうに思うのです。そこで、新しい財源といったら一体何だ、こう言いますと、余りこれという名案も実はない。付加価値税論というのが数年前から浮上いたしまして論議をされておりますが、付加価値税を実行するということになると、松浦さん御指摘のように、これは物価政策と非常に矛盾をしてくることになるのです。そこで、付加価値税というようなものを採用するかしないか、まだこれからの問題ですが、いたすといたしましても、物価情勢というものがかなり定着した時点でないとなかなかむずかしいじゃないか、そういうふうに考えます。  そこで五十一年度、さしあたって調整期間内である五十一年度の問題といたしまして、付加価値税というものは考えられない、こういうふうに考えておりますが、五十二年度以降の問題として、とにかく何か公債を減らす財源を模索しなければならぬ。その場合の一つの有力なるアイデアとしてこの問題はそれ以後検討さるべき問題である、こういうふうに考えておるわけでありまして、今日この段階では、付加価値税を採用する、そういう方向を決めておるという段階ではまだございません。
  27. 松浦利尚

    松浦(利)委員 いま大臣から、付加価値税というのは物価が定着したとき、安定したときというふうに言われたわけですが、まさしくそのとおりだと思うのです。が、ただ問題は、財政という問題がらみがやはり物価にある意味で影響をしてくるんじゃないか。  そこで、大臣にお尋ねをしたいのは、新経済五ヵ年計画をいま作成中だとお聞きをしておるのですが、物価の位置づけをこの五ヵ年の間にどういうふうにしようとしておられるのか。前、私たちが本委員会でお聞きをしておりましたのは、五十一年度に預金金利以下にやりたい。そうすると、預金金利が一%下がりましたから六・七五%、非常に厳しい数字が出たのですが、この前の本委員会の質問で、預金金利という数字を若干引き上げられて八%、こう言われたわけでありますが、新経済五ヵ年計画の中で一体物価というものをどういうふうに位置づけておられるのか、そういう点ははっきりしておりますですか。もしはっきりしておれば、そのことをお聞かせいただきたいというふうに思います。
  28. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 物価問題の将来につきましては非常に流動的な要素があるわけなんです。いま御指摘の付加価値税を、どういうふうな取り上げ方になるかというような問題もあります。それから資源有限時代の中で海外の物価が一体どういうふうな動向になるのだろうか、そういうようなことを考えますと、そう楽観的要因ばかりじゃないのでありまして、物価政策を阻害する要因というものの方がむしろ多いわけです。そういう中ではありますけれども、私がかねがね申し上げておる消費物価の上昇率、これは定期預金金利水準以下であるべきだ、こういうことなんで、この考え方は私は変わりません。  ただ、五十一年度という時点においてはそれを実現したい、こういうふうにかねがね申し上げておりましたけれども、この定期預金の金利というのがこの十一月から一%引き下げになった、そういうこともありまして、五十一年度にそういう水準を実現することはちょっとむずかしいことになった、私はこういうふうに考えておりますが、新中期計画、その過程におきましては、そういう状態をぜひ実現をいたしたいものだというふうに考え、いまあれやこれや勉強しておるという最中でございます。
  29. 松浦利尚

    松浦(利)委員 仮定の問題ですから、もうこれ以上はお聞きいたしませんが、いま歳入の面からいろいろとお尋ねをしたのですが、逆に今度は歳出の面から、ある意味でこれからの財政の中でカットをしていく部分というのがたくさん出てくる。その代表的なものが、実はもうすでに言われている受益者負担という考え方、酒、たばこ、郵便料金、いま参議院にひっかかっておりますが、来年度予算編成に当たって 国鉄あるいは電信電話料金、塩、大学授業料、医療保険の患者負担、そういったもろもろの受益者負担というものが当然として出てくるという場合に、これがやはり福田総理物価政策というものに非常に大きな影響を与えてくるのではないか。場合によると、言葉は悪いのですが、景気を刺激するためにはある程度の赤子公債はやむを得ない。しかし、だからといってむやみやたらに財政を膨張させることは現実としてむずかしいということになれば、歳出をカットする。歳出をカットするとなれば、いま言ったようなところで公共事業を受益者負担の方に切りかえていくということになりますと、極端に言うと、物価だけが置き去りにされるのではないかという危機感が国民の間にはあるわけです。ですから、こういった公共料金を引き上げていく、この前三年一巡方式と言われたのですが、現状としては三年一巡ではなくて、一気かせいにやろうという動きは財政の面から出てきておるのですが、こうした問題を含めて物価というのは一体どうなるのだろうか。  大臣は先ほど、定期預金金利が、七・七五が一%下がったから非常にむずかしくなったと言われましたが、逆の面で言うと、こういった公共料金からくる物価に対する押し上げというものが当然出てくるのじゃないか。一体大臣としてはこういう矛盾をどう解決しようとしておるのか。現に中山教授でありますが、この方の発言の中に、もう福田総理の言う物価一けた台論というのは一面で成功したんじゃないか、だから逆に言うと、仮に物価が二けた台になったとしても、もう効果は十分あったというふうに理解をすべきだ。逆に言うと、これは景気問題を中心にして、物価を切り捨てたような発言なんですが、こうした中山教授の発言等も踏まえて、一体公共料金との関連をどう見ておられるのか。その点をひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  30. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 当面の物価政策は、私は公共料金問題がなければ非常に気が楽なんです。公共料金の問題もしなかりとすれば、もう来年は確実に定期預金以下の消費物価水準というのが実現されるだろう、私はこういうふうに見ております。しかし、国家財政という立場からいたしますと、公共料金問題はもう速やかに決着をつけなければならぬ、そういう時期に来ており、それが物価政策を非常に重苦しいものにしておる、こういう実情でございます。  そこで、財政つまり公共料金問題と物価政策との調和ということが問題になる。そこで、私は、基本的には、これは三年一巡、その考え方でいこう、こういうふうに考えておるのです。いま物価政策の見地からいって、公共料金問題を一挙に解決する、これは物価政策から見て非常に厳しいことになるわけであります。  いまお話がある中山先生の、二けたでも構わぬ、こういうような物価政策という問題、これはもう経済政策の中での旗として持ち続けるべきものじゃない、こういうような御説であるとすれば、私はそれは反対です。やはり消費物価が落ちついていくということは国民生活の安定の基礎なんですから、この考え方はどこまでも持ち続けます。そしてその考え方と財政政策、公共料金政策との調和を図っていく、こういうところでなだらかな安定基調の定着ということをねらっていきたい、こういうふうに考えておるわけであります。  財政との調和の問題、それは十分検討いたしまして、物価政策はいままでの考え方をさらに推し進めてまいりたい、こういう見解でございます。
  31. 喜多村治雄

    ○喜多村政府委員 中山発言でございますけれども、いま大臣の御答弁で結構なんでございますけれども、中山先生の御発言のときに私、陪席しておりましたので、その辺のムードをちょっと申し上げまして、御了解いただきたいと思います。  中山先生とても、CPIはどうなってもいいということをおっしゃっているわけではございませんで、年末年始あるいは今後の年度末における物価はそれほど安心した状況にはないということは十分知っておられますが、それにもかかわらず、物価をもう一義的にしゃにむにやっていくという姿勢は、多少そこは拡大したのではないか、こういう御趣旨で申されたのでありまして、CPIはもうこの際捨ててもいいという御判断でないということだけ、私からちょっと申させていただきます。
  32. 松浦利尚

    松浦(利)委員 私もそういうように理解をしておるつもりですが、わかりました。  そこで、もう一つの問題は、実は歳出面でカットをするということになると、福祉関係予算というのをカットしてくるのではないか。従来、三木内閣の経済政策中心として、福祉型予算ということを盛んに言ってこられたわけですが、景気との兼ね合いから、福祉型予算というのは今年度、五十年度でおしまいになるのではないかというようにすらとれる面もあるんですね。ですから、景気も刺激していかなければならぬ、福祉もということになれば、これは大変大きな受けざらが要るわけですが、こうした福祉型予算について来年度はどういうふうな方向づけをしようとしておられるのか、その点もひとつこの際お聞かせいただきたいと思います。
  33. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 私は、これからの日本経済、日本財政は、成長中心から生活中心へという基本的な考え方でやっていかなければならぬというかたい考えを持っておるのです。したがって、成長の速度が鈍化をする。ですから、予算についてこれを申し上げますれば、従来のいわゆる生活関連部面への配分、これは伸び率から言いますと、鈍化をすると思うのです。しかし、国財政全体の中におけるシェアというか、そういうものにつきましては、これを増進させるという考え方に当然なってくるわけなんです。乏しいながら、生活方面にはかなり重要な配慮をするという形の扱いになるであろう、こういうふうに考えております。
  34. 松浦利尚

    松浦(利)委員 もう私の時間が来ましたから、最後に、具体的なことで大臣の御見解をちょっと承っておきたいのですが、一番新しい数字統計にあらわれた完全失業者が百三万人ですね。完全雇用政策をとってきたものがこういう状態にいまなってきたのですが、この失業問題に対して、これは非常に消極的な対策になろうかと思うのですが、こういう状況が仮に続くとするならば、この際、西ドイツ等でも行っておる失業保険の給付期間の延長といったようなことを当然政府としても考えるべきではないかというふうに判断をするのですが、その点、大臣としてはどういうふうにお考えになりますか。
  35. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 経済政策の運営上、企業操業度を上げるということをかなめとして考えているということを申し上げましたが、それは遊んでおる人、企業の中で遊びが出る、こういうような状態を早く解消したい、こういうことなんです。先ほど申し上げましたようなテンポで経済回復されるということになりますと、これは雇用関係には非常にいい影響があるだろう、こういうふうに見ております。その影響がどういう数字となって出てくるか、その辺の検討まではまだ用意しておりませんけれども、かなりいい結果が出てくる。それが逆に悪化するというようなことになれば、また雇用問題の側面から制度上もいろいろ考えなければいけませんけれども、私といたしましては、大体いい影響が出てくる、そういうふうな判断をいたしておりますので、この際はそっちの方に主力を挙げる、こういうことにいたしたい、かように考えます。
  36. 松浦利尚

    松浦(利)委員 有効求人倍率がずっと落ち込んできておりますね。ですから、仮に、いま言ったような大臣見通しどおり動かなかった場合というものを想定したときに、失業保険の給付期間の延長ということは、やはりある程度政策的なものとして考慮されておっていいんではないか。いつやるかは別にしまして、そういう点のお考えは全くございませんですか。
  37. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 いま私どもは雇用は改善されると、こういうふうに見ておるわけであります。しかし、これが逆に実際非常に悪化だ、こういうようなことになれば、制度上もいろいろ考えなければならぬ、こういうふうに思いますけれども、今日この時点におきましては、改善されるに違いない、どの辺まで改善されるか、そこまではまだ詰めが終わっておりませんけれども、改善されるという確信を持っておりますので、いま制度上の改善につきましては、当面は二の次の問題だ、こういうふうに考えております。
  38. 松浦利尚

    松浦(利)委員 終わります。
  39. 横山利秋

    横山委員長 次に、有島重武君。
  40. 有島重武

    ○有島委員 この前の物価特別委員会の質問のときに、来年度消費物価の値上がり七%から八%の間にしたいというようにお答えになったわけでございますが、物価と金利との関係について、ことしの二月でございましたか、この委員会で預金金利以下にしたいというようなことをはっきりと言われた。今度七%から八%と言われますけれども、一年物の銀行定期預金金利が六・七五%ということになりますと、物価高による目減り、これは国民生活に及ぼす影響というものがやはり重大なことになろうかと思うわけです。     〔委員長退席、松浦(利)委員長代理着席〕 四十九年の国民生活白書を見ますと、四十八年度において家計の貯蓄の目減り、減価が非常に大きかった。大体二十一万九千百十七円というのが世帯平均である、そういうふうにありますけれども、これは四十八年ですけれども、四十九年及び五十年、それからまた五十一年もしこの八%程度になるとすると、国民生活に与える損害額が大体どのくらいになるのであろうか、これは経済企画庁の方から答えていただきたい。
  41. 岩田幸基

    ○岩田(幸)政府委員 先生御指摘の四十八年の家計単位での貯蓄の目減りでございますが、御指摘のように、一世帯当たりで二十一万九千円、一二・六%ということでございましたが、同様の計算をいたしますと、四十九年中につきましては、金額といたしましてはやはり二十一万九千円ですが、全体の貯蓄残高がふえておりますので、減価率といたしましては一一・三%程度。それから五十年はデータの関係で八月末までしか計算ができませんけれども、八月末までについて同様の計算をいたしますと、家計単位で一万九千七百円の減価、減価率として〇・八七%ということで、物価が落ちつくとともにかなり減価率も低下をしてきているということでございます。なお、五十一年につきましては、この計算は、御承知のように、貯蓄デフレーターという特殊なデフレーターを使っておりますので、同様の計算はちょっと推定できないという状態でございます。     〔松浦(利)委員長代理退席、委員長着席〕
  42. 有島重武

    ○有島委員 それで福田総理のお考えとして、物価と金利の関係についてどのように考えていらっしゃるか、以前にお話しなのと同じように考えていらっしゃるか、やや変更がおありになるかどうか、その辺を承っておきたいと思います。
  43. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 私はかねがね、消費物価水準を定期預金金利の水準以下に持っていきたい、こういうことを申しておるわけです。そこで、二月ごろでしたか、当委員会におきましても、五十一年度においてそういう水準をその辺まで持っていきたいということを申し上げたわけですが、その後定期預金金利、当時は一年物で七・七五%です、二年物で八%、それを頭に置きながら、五十一年度時点ではその辺まではぜひ持っていきたいということを考えておったのです。ところが、その後定期預金の金利が下がった。いま一年物で六・七五%、二年物で七%というところまできておるわけで、その下がった水準ということになりますと、なかなか来年はむずかしゅうございます。どうもそこまでは行きかねる。しかし、旧水準ですね、七・七五%、八%、その辺までは持っていきたいなということを考えておるわけでございますが、それがどの辺まで持っていけるかということにつきましては、これは公共料金を一体来年どうするかという問題、それから来年あるであろう春の賃金決定がどういうふうな推移をたどるであろうか、こういうふうなこととも深く関連をするわけなんですが、気持ちとすると、そういう七・七五%、八%周辺という気持ちでございます。
  44. 有島重武

    ○有島委員 そういたしますと、物価上昇率を預金金利以下にするというような原則とは違ってくるわけですね。この前のは、大体七・七五%を胸に置いてそのようなことを言ったんだということになりますと、それは何か固定化された数字を胸に置かれておった。これは原則的に預金金利以下というような――これは預金金利というのは変わるわけですから、将来もまた預金金利は下がるかもしれない。そうなったら大臣のおっしゃっている目標の方は、これはちょっと無理だ、以前の預金金利のことを胸に置いておいたんだというようなことになりますと、これはだんだん話としては原則論から外れてきてしまうというようなことになろうと思うんですけれども、それはどう考えたらいいんですか。副総理としては、どこどこまでも預金金利以下にしたいという原則なんですか。いまのお話では、もうその原則は放棄したというように聞こえる。どっちですか。
  45. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 気持ちはおわかりになってくださるんじゃないかと思うんですね。つまり物価上昇の率が預金金利の水準を超えるという状態は、これはいい状態じゃございません。預金金利と消費物価の上昇という比較、これは非常に重要な問題だ、こういうとらえ方をしておるのでありまして、どうしても消費物価水準というものが預金金利以下であるということが好ましい、この旗は私は下げないですよ。下げませんけれども、来年度目標といたしましてこれが実現できるか。預金金利の方は下がっちゃったんですから、預金金利の方は政策的にこれは下げ得る。ところが、消費物価の方はそう簡単に動かないですよ。これは公共料金政策というような面で政府の決定に影響されますが、同時に賃金という問題がある。これが一体どういうふうな動きになるか。そういうことを考えますと、来年度目標といたしましては、今日新しく決まった預金金利水準以下に消費物価を抑える、これはとうてい不可能である。しかし、気持ちはそういうところにあるわけでありまして、先々将来に向ってそういうことは努力していく、こういう考えでございます。
  46. 有島重武

    ○有島委員 景気刺激ということについて、大蔵省は公共投資を中心考えておる、通産省の方では、最終需要と言いますか、二兆円ほどの減税を考える、一兆円は公共事業であるというようなことを言い出したというように聞いておりますけれども、こうした動きといま言われました八%目標ということの兼ね合いについて、大臣、どのようにお考えになるか。
  47. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 通産省は、企業に非常に近い関係の行政をやっておりますものですから、やはり企業実態を見ると非常に操業率が悪い、したがって経理内容が悪化するというようなことで、大変やきもきしているのだろうと思います。そういうことで景気回復を速やかにする、そのためには公共投資で赤字がふえても構わぬ、こういうような姿勢をとるのじゃないかと思いますが、そう一方的な考え方をとるわけにはまいりません。国全体の秩序という問題がありますから、秩序が破壊されたら、これは根こそぎ日本社会の混乱に通ずるわけですから、その辺は十分総合的にバランスがとれ、インフレを起こさないで経済回復するという道を探らなければならぬ。そういうわけですから、必ずしも新聞等に散見される通産省の積極説というものが妥当であるというふうには考えておりません。インフレもまた景気もと、両面作戦でいきたい、かように考えております。
  48. 有島重武

    ○有島委員 公共料金の問題、先ほどもちょっと出ましたけれども、十二月以降、来年度に値上げが予定されていると言いますと、酒税、たばこ、郵便料金、これをわれわれ抑えていこうと思うけれども、政府の方はどうしてもと、こう言っておるわけですね。私鉄、それから麦価、国鉄運賃、電力・ガス料金、それからNHKの受信料、電報・電話料金、国立大学の授業料、それから公団の家賃だとか医療費だとか、消費者米価もあるでしょう。このほかに地方自治体におけるいろいろな料金というものがございますね。そういうことでもって、この値上げが国民生活を非常に圧迫するであろうということが非常に懸念される。  消費物価のウェートというものは大体公共料金が二〇%くらいだということですけれども、先ほど三年で一巡というようなこと、もう一つ物価財政との調和ということを言われましたけれども、それをもっと具体的に、じゃ、どういうふうに調和を図っていくのか。料金体系のあり方というようなことをもう少し突っ込んでいかなければならないのじゃないか。公共料金を抑えるということが一つあるけれども、一歩譲ってこれがどうしても避けられないことであるといたしますと、にもかかわらず国民生活を守っていくということになりますと、その料金体系のあり方ということについて相当これから考えていかなくてはならないのじゃないかと思うわけですけれども、大臣のお考え、いかがですか。
  49. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 ただいま御指摘のように、公共料金は物価混乱時にずっと抑えてきておるという関係がありますので、それが改定をしなければならぬという時期に迫られているわけなんです。改定をしなければならぬものがたくさんあるわけであります。しかし、これを来年五十一年度に一挙に積年の積もり積もった料金不足を解消する、こういうことになりますれば、これはまた物価にかなりの影響がある。そういうふうなことで、一挙に何もかにも五十一年度にやっちゃう、こういう考え方は、私は、物価政策、その調整ということを考えますと、これはそう簡単なものじゃない、こういうふうに考え、しかし、これを長くほうっておくわけにもまたいかぬ。  そこで、私は、公共料金の均衡を回復するという作業は、これは三年がかりでやるのだという考え方です。つまり、公共料金の改定、これは財政の立場が主でありますが、それと物価政策との調和、これをとりながら、物価政策もまた財政政策も満足されるような状態でこれらの問題の結論を出していきたい、そういうふうに考えています。
  50. 有島重武

    ○有島委員 ちょっとわからないところがあるのだけれども、たとえば国鉄なんか、五十一年、五十二年に分けて値上げをする、そんなことを考えていらっしゃるわけですか。
  51. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 まあ、三年一巡ということにいろいろやり方があると思うのです。いろいろ五つも六つも公共料金を改定しなければならぬというアイテムがある。それを、二つはことしだ、二つは来年、三つは再来年だという考え方もありましようし、あるいは一つ一つの具体的な公共料金問題を二年がかりでやるのだという考え方もありましょうし、その辺は、全体の差し迫った公共料金全部を並べてみまして、どうするのがいいかということの具体的結論を得なければならぬだろう、こういうふうに考えております。まだ今日は抽象的なお答えをするにとどまる、こういう段階でございます。
  52. 有島重武

    ○有島委員 でも、副総理がそうやっておっしゃっているのは、これは久しく承っているわけでありますから、これから並べてみてあれこれ考えるなんということは、ちょっと承服できないと思うのですけれども、いまの国鉄の振り分け値上げということについてはどう考えていらっしゃるのですか。五十一年、五十二年に分けて値上げをしようというようなことを考えていらっしゃるのかどうか。
  53. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 来年の公共料金全体といたしましてどういう扱いをするか、そういう点につきましては私もだんだん頭を固めておるのですが、これは関係各省もあるし、それと相談を要する、そういう問題で、私だけの考えで動いていくわけにはまいらないのです。私がいま言い得ることは、一挙にいま御指摘のような公共料金諸項目を、各省が言うように、全部決着をつけるということは、これは妥当ではない。やはりなだらかな形でこの公共料金問題は解決され、したがって物価にもそう大きな支障ないようにするという配意、これをぜひいましたいものだというふうに考えております。
  54. 有島重武

    ○有島委員 私がお聞きしたのは、もうちょっと、個々の料金体系のあり方、水道なんか料金体系は大分変わってまいりました。そういった全般をスライドして値上げをしていくということ、それから値上げの仕方そのものをもう一遍突っ込んで考え直してみなければならないのじゃないか、そういうような問題についてどう考えていらっしゃいますか。
  55. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 公共料金の値上げをする以上、その企業の経営の合理化とかそういうことにつきましては当然考えなければならぬ問題だと考えます。それは公共料金を改定するその前提だというふうにも考えるわけでありまして、企業経理の刷新、合理化、これはぜひそういう際をとらえてやっていきたいと考えます。  同時に、公共料金の料金そのものにつきましても、その体系でいいのかどうか、いいという結論が出るものもありましょうが、改めて検討し、そしてその引き上げ幅等について最終的な決定をする、そういうことにいたしたいと思います。
  56. 有島重武

    ○有島委員 これは副総理によく知っておいていただきたいと思ってちょっと調べてきたわけなんだけれども、総理府の家計調査年報を見ますと、生鮮魚介をどのくらい食べたかということなんですが、昭和四十七年には家当たり二万四千七百二十九円という数字が出ているわけなんです。四十九年になりますと三万四千二百八円ということになっているわけです。ですから、価格の上ではずいぶん大幅にふえている。これは第一分位に関してです。ところが、食べたキロ数でもって見ますと、減っているわけなんです。四十七年が四十九・八キロ、四十九年は四十九・一キロと減っているわけですけれども、価格は大幅にふえている。この傾向は、四十七年から四十九年でございますけれども、五十年も非常に国民生活は圧迫されているのじゃないかということは十分考えられると思うのですね。ちなみに第五分位でございますと、四十七年が四万二千九百円というのが四十九年には六万円に大幅に伸びている、それから数量も伸びている、こういった状況があるわけです。それから特に保健医療なんかの場合ですと、第一分位は四十七年のときには二万二千七百六十九円であったのが四十九年には二万一千四百十五円と減っているわけですね。こうした中で、いまも公共料金の話が出ましたけれども、確かにそれは上げなければやっていかれないんだということはあるわけですが、それから料金体系のことを申し上げたときに、企業としての都合でこうだ、これは考えるのが当然だというようなことを言われましたけれども、国民生活を守るという方向での発想で考えなくちゃいけないんじゃないかと私は言いたいわけなんですよ。もう一遍さっきの公共料金の体系のあり方について承っておきたいと思うのです。
  57. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 経済政策といい、財政政策といい、これはもちろん国民生活を守る、こういう見地なんですが、その方法なんです。国鉄の赤字があんなに驚くべき数字になる、これを放置しておく、こういうことになりますと、国家財政全体としても大変なことであり、同時に、これは企業の経営の面から見ましても重大問題だ。さて、その国鉄が必要とするいろいろな安全の施設だとかあるいは新規路線の開設でありますとか、そういうこともできない。こういうことになった場合に、一体それは国民のしあわせからいってどうだ、こういう問題も起こるし、また今度、国家財政がそれを補給するのだという際に、本年度だけいっても五兆五千億円の公債まで出さなければならない、しかもその中には多額の赤字公債が含まれておる。そういう状態をほっておいて一体社稷が守れるか、こういう問題もあるわけでありまして、考え方としては国民生活を守るということでありますが、いかにして国民生活を守るか、こういうことになると思う。  いまあれだけの赤字をほっておいたら、これはもう財政を揺るがせ、また交通の安全にも影響する、こういうような事態です。でありますので、国鉄の料金問題は早晩解決しなければならぬ、こういう二とになってきておることは御理解願えると思うのです。他の料金問題につきましても同じような問題があるわけです。しかし、お話のように、これを一挙に倍にするとか何とかということをしていいものかどうか。これはまた国民生活の角度から問題がある。財政もまた国民生活の当面の問題も両々相立つように調整していくということが正しい行き方ではあるまいか。そういうふうな考え方のもとに、具体的な個々の結論を出していきたい、こういうことを申し上げているわけです。
  58. 有島重武

    ○有島委員 ちょっと話が抽象的になるから、これでとめます。  話がちょっと変わりますけれども、サケの価格について水産庁の方に聞いておきたいのです。サケは年末年始の食品の中で代表的なものですけれども、いま北海道の沿岸におきましてサケ漁が史上最高であると聞いている。これが豊漁であるにもかかわらず、余り下がらぬというのです。いま実際に余り下がっていないようです。これはどうして下がらないのか、それからまた、下がるという確実な見通しがあるかどうか、そういうことについて承っておきたい。
  59. 森安孝郎

    ○森安説明員 お答え申し上げます。  サケ・マスの需給でございますが、ことしは確かに、御指摘のように、わが国の河川に遡河いたします日本製のサケ・マスは非常に増加しております。しかし、御案内のように、北洋での国際的な規制がございますので、全体としてそう目立った増加というほどにはなっておりません。  それから価格の問題でございますが、わが国は全体としてみれば若干の供給増加でございますが、国際的にはことしは非常な不漁でございます。そういった関係がございまして、産地価格が当初から強含みで推移した経過がございます。そこで、小売価格でございますが、いままでのところは水産物価格の中でも比較的安定的な推移だったと思いますが、昨今若干の上昇を示したことは事実でございます。しかし、見通しといたしましては、需要も停滞ぎみでございますし、先ほど申し上げましたように、内地に遡河いたしました塩ザケが増加しておりますので、私どもの見通しとしても、十二月以降若干弱含みに推移するのではないか、このような見方をしているわけでございます。
  60. 有島重武

    ○有島委員 もう一遍伺いますけれども、当初の浜値段が高かったと言われるのですね。現在になってみると、その浜値段はどういうふうに推移しているのかということ、それから弱含みということですけれども、年を越えると安くなるというような見通しを持っていらっしゃるということですね。
  61. 森安孝郎

    ○森安説明員 御質問の点でございますが、産地価格につきましては、当初はかなり強含みであったものが、御指摘のように、内地、北海道の定置でかなりたくさん採捕されましたので、若干弱含みになっている、こういうことでございます。  それから、小売価格の問題につきましては、シーズン的な問題もありまして若干十一月に上げたことは事実でございますが、十二月、一月と、必ずしも年が明けてからと私どもも思っておりませんけれども、実際の取引価格は下がっていくんじゃないだろうか、むしろ弱含みではないだろうか、このように見ているわけでございます。     〔委員長退席、松浦(利一委員長代理着席〕
  62. 有島重武

    ○有島委員 関連質問の石田幸四郎委員にかわります。
  63. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員長官 先ほどの予算編成の問題について、若干繰り返しになって恐縮でございますが、お伺いをしたいと思うわけです。  きょうの新聞報道等によりましても、公債の発行を全体的に三〇%くらいに抑えたいということで、かなり行政予算が圧縮をするようなニュースが出ているわけなんですけれども、この間も総理はテレビ出演におきまして、来年の予算編成景気刺激型の予算編成になるであろうというような、そういうニュアンスが報道されておるわけなんです。物価抑制との関連もあると思うのでございますけれども、大筋として、経企庁長官とされて、景気刺激型にならざるを得ないというふうにお考えなのか、あるいはむしろ否定的な御意見を持っていらっしゃるのか、この点についてまずお伺いをしたいと思うのです。
  64. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 まあ、刺激型と言うとどうかと思いますが、財政主導型の景気対策ということを考えているのです。そういう考え方のもとに来年度予算を編成するという考えでございます。
  65. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 財政主導型ということになりますと、いずれにしても、今日の景気停滞回復しょうという流れは否定できないだろうと思うのでございます。  先ほど来お話を伺っておるのでございますけれども、いま予算編成に当たって、景気回復させるために、大蔵省はやはり公共投資を中心に、通産省の方は個人消費を刺激しなければならぬというようなニュアンスがあると思うのでございますけれども、これに対して、長官とされてはどういうところにウェートを置いて景気回復をしようとしていらっしゃるのか、まだ明確な御意見が余り新聞等においては拝見できないわけなんですが、やはり景気回復させるためにはあくまでも公共投資を中心にしていかなければならないものか、あるいは個人消費も若干でも刺激をする必要があるとお考えになっていらっしゃるのか、ここら辺の御意見はいかがでしょうか。
  66. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 結論から言いますと、やはり仕事をつくる。仕事はどうやってつくるかというと、これは公共投資などの政府資本支出、そういうことが中心になるのが一番効果的である、こういうふうに考えておるのです。  個人消費を刺激したらどうだという意見もありますが、これは私は妥当ではない、こういう見解です。つまり、いま最大の問題は何といっても雇用問題なんですから、個人消費を刺激してすぐ雇用問題につながっていくかというと、回り回ってそれは雇用問題にもつながっていきますけれども、これは公共投資等をやりましてすぐ雇用の問題に影響するというのとは非常に開きがあるわけです。  それからもう一つは、何か政策手段を講じてまで個人にひとつ消費をしてくださいと、こういう政治の姿勢が一体どうかということも考えなければならぬわけです。いまこれから省資源、省エネルギー時代に入ろうとしておる。そのときかなり堅調に動いておる消費をさらに刺激して、そうして景気政策ですよ、どうぞひとつ御協力くださいというような、そういう考え方は、もう本当に世界の流れ、またその中におけるわが日本の正しい行き方と全く反した行き方になってくるのだろう、こういうふうに思うのです。そればかりじゃない。財政の見地から見たって、いま公債を五兆五千億円出します。地方債もそのくらいの額が出る。それを完全消化しなければ、これはインフレなんですよ。その公債が完全消化されるというためには、貯蓄が伸びるというほかはないのです。貯蓄が伸びるということは、個人消費を節して、そうして金を蓄積するということなんですから、この財政政策の本当に大事な一点と相矛盾することになる。  そういうことを考えると、消費をここで特に刺激するのだという考え方は、私はこれはもう非常に妥当性を欠いた考え方じゃないか、そういうふうに思います。それよりも公共投資を興す、その結果、国民経済全体が向上して、そうして国民の家計も潤う、その影響として消費が自然に盛り上がってくる、こういうことが望ましい。いまだって消費は決してそう落ち込んでおるわけじゃないのです。いま設備投資が潤わぬ、輸出が大変な落ち込みだ、そういう中で景気がとにかくプラス成長であるというゆえんのものは何だと言えば、これは個人消費なんです。個人消費が支えになっておるのですから、そういう勢いの個人消費政策手段をもってひとつ刺激するのだ、こういう考え方は私は受け入れることはできない、そういう考えです。
  67. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 そういたしますと、財界等においても、赤字国債を増額してまでも減税をというようなニュースも出ているわけなんですけれども、来年度は減税という問題については余り重きを置くべきではないというふうに長官はお考えでございますか。
  68. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 非常に一般的に申し上げれば、たとえば社会政策的目的だとかいうようなことで減税といいますか、税制の手直し、そういうようなことは抽象的一般論としては考えていいと思うのです。しかし、景気を刺激するのですよ、ですから減税をするのですよという、そういう発想の考え方というものは妥当ではない、こういうふうに申し上げているわけなんです。
  69. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 それからもう一点お伺いをしたいのでございますけれども、財政主導型のこういう景気回復の方法というのは、私も確かに効果はあると思うのですけれども、効果の出方が非常に遅いということで、これは果たして長官の分野であるかどうかわかりませんけれども、そういった意味においては、もう少し中小企業が潤うような、いわゆるそういう公共投資のやり方を、中身をやはり若干変える必要があるのではないか、こういうふうに思うわけなんです。たとえば新幹線に一千億くらいつぎ込んでおるわけでございますけれども、新幹線の大型工事を受けるのは大企業ということになります。それで下請、孫請というふうにだんだん財政投融資の影響が出てくるわけなんですけれども、もう少し生活関連の公共事業を振興させれば、そういう景気回復に早く役立つのではないかというような議論がかなりあるわけですね。そこら辺の中身をもう少し検討する必要があるのではないかと思うのですが、これはいかがでしょうか。
  70. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 考え方はまさにそのとおりです。つまり住宅ですとか住宅関連でありますとか、そういう点に重点を置いての公共事業であるべきだ、こういうふうに考えます。  ただ、だからといって新幹線、いま東北と上越とやっているが、これをストップするわけにもいかぬと思うのです。これはもう途中まで工事が進んでおる。それをストップしますと、東北だけでも一万人を超える失業者が出るだろう、こういうふうにも言われるのです。そういう当面の雇用、それから国民経済的な立場ということを考えると、やはり継続中の新幹線などの工事も私はやる必要があるだろうというふうに考えておりますが、考え方の中心は生活関連中心方向でやっていきたいと思っています。
  71. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 問題をひとつ変更いたしまして、経企庁の中で組まれております国民生活安定特別対策費五十億、これは今年度どういうぐあいに支出されてきたか、この内容についてお伺いをしたいということと、それから、きょうの新聞等によりますと、やはり行政費をできるだけ圧縮したいというようなことがございます。社会生活そのものが生き物でございますから、いつ何どき何が起こってくるかわからぬというようなことも考えますれば、私はやはりこの国民生活安定特別対策費というのは十分な予算を確保しておく必要があるというふうに思うのでございますけれども、これの確保については心配がないかどうか、お尋ねをしたいと思うのです。
  72. 喜多村治雄

    ○喜多村政府委員 事務的な問題でございますから、私からお答えをさせていただきます。  昭和五十年度の国民生活安定特別対策費五十億でございますが、これは補正後四十二億五千万ということに相なっております。現在まで使用いたしました金額は、十二月十一日現在で二十億三千八百万と相なっております。  どういうものに使ったかということでございますが、御承知のように、この予算は四つの項目で使えるようになっておりまして、一つは、国民生活安定緊急措置法に基づきます緊急措置の実施ということでございます。第二番目は、買占め売惜しみ防止法に関します緊急措置の実施ということでございます。第三番目は、物価対策に資しますパイロット事業、先ごろスト対策に使わせていただきました緊急輸送、それから生活必需物資等の需給、価格の監視、これは関係各省庁でやっていただきますものあるいは地方公共団体でやっておりますようなものでございます。第四番目は、物資の価格及び需給に関する国民の理解を深めますための情報提供。この四つになっております。したがいまして、先ほど申し上げました二十億三千八百万はすべてそういったものに充てられております。  項目が非常に細こうございますが……(石田(幸)委員「簡単で結構です」と呼ぶ)まず、生活関連物資等の買占め売惜しみのために四億五千万、国民生活安定緊急措置法の施行費で六千三百万というようなものが大物でございまして、あとは、最近の緊急輸送費が二億五千九百万、こういったものがございます。以上が主なものでございます。
  73. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 この予算は、いま御説明いたしたとおり、物価対策上非常に重要な役割りをしてきておると思うのです。この上ともこの予算物価政策上十分に働けるように確保してまいりたいと考えております。
  74. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 予算の全体の規模が一三%程度伸びということで目安をつけていらっしやるようでございますけれども、この対策費については圧縮される心配はございませんか、あるいは多少とも伸びが期待できますか、この辺の問題は、経企庁としてはどのようにお考えになっておりますか。
  75. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 これは予算全体のスケールの中でどういう位置づけをしますか、ことに一般予備費は十分とってあるかどうかという点とも関連しますが大体、ただいま申し上げたように、年間を通じていろいろ不時の対策を必要とするわけでございますから、それの対策には支障のないようにいたします。
  76. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 終わります。
  77. 松浦利尚

    松浦(利)委員長代理 午後零時四十分から再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後零時六分休憩      ――――◇―――――     午後零時四十分開議
  78. 横山利秋

    横山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。三浦久君。
  79. 三浦久

    三浦委員 私は、まず運輸省にお尋ねをいたしたいと思いますが、私鉄運賃の値上げについて、いままで国民からさまざまな疑惑が提起されておったわけですね。今回の値上げに当たっては、若干いろいろな点について手直しをしたと言っているけれども、根本的には改善されていないと私どもは考えているんです。  運輸大臣は、十二月の二日の運輸審議会の答申を受けて、五日に答申どおり値上げを認可いたしたわけなんですが、その答申の出る前日、共産党は三木総理大臣と運輸大臣あてに、大手私鉄十四社運賃値上げ認可に反対する緊急申し入れというのを提出いたしております。私どもは前々から運賃の値上げはすべきでないという申し入れをいたしておりましたけれども、緊急申し入れというところに意味があるわけですが、これはお読みいただけましたでしょうか。
  80. 高橋英雄

    ○高橋(英)政府委員 読ませていただいた次第でございます。
  81. 三浦久

    三浦委員 この申し入れが全く無視をされて、そして運賃の値上げが認可されたわけなんですけれども、運賃の値上げを検討するに当たってさまざまな資料を検討すると思うのですが、その資料というのは、古い資料に基づくのではなくて、最新の資料に基づいて検討すべきだというふうに思うのですが、いかかですか。
  82. 高橋英雄

    ○高橋(英)政府委員 その点はおっしゃるとおり、できるだけ新しい資料に基づいてやるというのかたてまえかと思います。
  83. 三浦久

    三浦委員 そうしますと、大手私鉄十四社の今年度の九月期決算、これは、昨年の七月に運賃の値上げが認可をされたその影響というものが全面的にあらおれる、そういう決算だと思うのですよ。これは十一月の二十八日の日に決算が各社から出そろっているわけですね。これは当然運賃値上げに際しては検討しなければならない問題だというふうに思うのですが、いかがでしょうか。
  84. 高橋英雄

    ○高橋(英)政府委員 私どもといたしましても、五十年の九月期の決算の状況については検討の対象にいたした次第でございます。
  85. 三浦久

    三浦委員 そうすると、今年度の九月期決算の数字、これは今回の値上げをするに当たって検討されたということですか。
  86. 高橋英雄

    ○高橋(英)政府委員 一応検討はいたした次第でございます。
  87. 三浦久

    三浦委員 いつ検討したんですか。
  88. 高橋英雄

    ○高橋(英)政府委員 私どもの今回の運賃改定につきましては、申請が八月の末に出ておりますので、それ以後改定についてのいろいろな作業を進めてまいったわけでございますが、十一月の末に、先生おっしゃいましたように、五十年の九月期の決算が出そろいましたので、その数字もその段階では検討をいたした、こういうことでございます。
  89. 三浦久

    三浦委員 運輸審議会の方お見えになっておられますね。  運輸審議会で審理をするに当たって五十年九月期の決算というものは検討されたんですか。
  90. 福田稔

    福田説明員 運輸審議会におきましては、今回の改定の事案の審議におきましては、四十九年度の実績をもとに検討いたしまして、平年度として五十一年度ということを想定しておりましたので、先生のおっしゃる資料につきましては、説明は聴取いたしておりません。
  91. 三浦久

    三浦委員 運輸審議会は五十年九月の決算は全然検討していない。それで運輸省は検討したと言う。しかし、値上げの認可というのは答申どおり出ているのですよ。そうすると、その答申を作成するに当たって最新の資料である大手十四社の九月期の決算が全然参考にされてない。これはさっきの民鉄部長のいわゆる最新の資料に基づいて検討するという言葉と非常に違うのですね。審理の経過から見ても――審理は十回やっているでしょう。公聴会は四日やっている。聴聞会は三回やっているのです。会社を呼んだのは十一月の二十一日だけです。十一月二十七日には審理が終わっているのですね。そうして大手十四社の決算が出そろったのが二十八日で、早いのでも京成電鉄の十一月二十七日、東急が十一月二十七日、あとは全部二十八日なんです。この二十七日、二十八日に取締役会議にて承認されているのだ、こういうことなんです。そうして、今回は商法の改正があったので決算書を作成するのに二ヵ月近くかかった、普通は一ヵ月くらいだ、こういうのですね。それで数字が出そろうのも大体四、五日前くらいだ、こういうのですよ。ですから、こういう経過から見ても、運輸審議会でもっていわゆる大手十四社九月期決算を検討してないというのは明瞭なんですよ。  この九月期決算ではどういうことが述べられているかと言いますと、鉄道部門だけの営業損益では百二十七億八千二百万円の利益を計上しているわけですよ。昨年九月期と比べまして二百三十四億五千四百万円も利益が上がっているのですね。鉄道部門だけじゃなくて全事業の収益を見ますと、これも昨年九月が四百九十一億四千五百万、本年の九月期決算を見ると六百二十二億八千三百万円。利益だけでも百三十一億三千八百万円も増加をしているのですね。  そうしますと、こういう最新の決算資料というものを全く考慮しない答申というものが尊重に値するものなのかどうか。運輸省の見解を聞きたいと思う。
  92. 高橋英雄

    ○高橋(英)政府委員 運輸省としましては、十一月の末に各社の五十年度の九月期の決算が出そろいましたので、早速これを各社から運輸省に五十年度上期の収支の概況を報告させまして、その数字を私ども参考に検討いたしたわけでございます。  今回の運賃改定は五十一年度の収支を均衡させるという目標のもとに作業を行ったわけでございますが、その五十一年度の収支の推定の途中経過と申しますか、投影と申しますか、そういうふうな形で当然に五十年度の収支の推定というものも出てまいるわけでございます。そこで、その九月期の決算の収支の概況を、私どもが行いました五十年度の収支の推定と比較をいたしまして、その収支の推定が妥当であるかどうかというふうなチェックをしたわけでございます。ただ、年度の収支と半期の収支でございますので、厳密な比較をするということはなかなか困難でございますけれども、過去におきます実績の傾向等を参考にいたしまして比較をいたしました結果、私どもの作業におきます五十年度の収支の推定はほぼ妥当なものである。したがって、五十一年度の、平年度の収支推定をあえて変える必要はない、かように判断をしたわけでございます。したがいまして、運輸審議会に対しましては、特に追加あるいは補足の説明をするということはいたさなかったということでございます。
  93. 三浦久

    三浦委員 運審に聞きますけれども、運審の方ではどうしてこの九月決算を参考にしなかったのですか。これを取り寄せるということはできたんじゃありませんか。
  94. 福田稔

    福田説明員 今回の運賃改定につきましては、年度間の最新データといたしましては四十九年度のデータを基準にいたしまして、五十一年度を平年度ということで慎重な審議を行いましたので、特にその必要を認めなかったものと考えております。
  95. 三浦久

    三浦委員 しかし、四十九年度までの実績をもとにしてやるのと、九月期の決算というのはついこの間出ているんだから、それをもとにして推計していくのと、全然基礎が違ってくるわけでしょう。そうでしょう。当然九月決算を私は検討すべきだと思うのです。あなたたち自身がそういう資料事業者に対しても要求することができるし、運輸省に対しても要求することができるんでしょう。それを必要がないと言うのは、どういう意味なんですか。最新のデータをもとにして運賃の値上げが妥当かどうか、また値上げ幅をどうするかということを検討しなければならないとさつき民鉄部長がおっしゃいましたけれども、運輸審議会はそういう考え方を持っていないということなんですか、ちょっとお尋ねしたいと思うのです。
  96. 福田稔

    福田説明員 できるだけ新しい資料に基づいて審議をするのが当然のたてまえだと思いますけれども、審議会といたしましては、今回は四十九年度のデータに基づきまして慎重な審議をした、こういうことでございます。
  97. 三浦久

    三浦委員 それじゃできるだけ最新のデータで検討するということはやっていないということじゃありませんか。あなたたちが答申を出したのは二日なんですよ。十一月二十八日には決算が出そろっているわけなんですから、そうすれば自分たちの進めておった作業が妥当なのかどうかということをもう一度検討し直すということは当然しなければならないはずなんです。それを何でしないで、急いで予定どおり答申を行ったんですか。その理由をちょっと聞きたいんです。
  98. 福田稔

    福田説明員 運輸審議会といたしましては、諮問を受けて以来十数回にわたりまして審議会を開催いたしまして、公聴会等におきましても関係者の御意見を伺うということで、慎重な審議を行いました結果、結論に到着いたしましたので、十二月の二日に答申をした、こういうことでございます。
  99. 三浦久

    三浦委員 全然もう答弁になってないですね。運輸審議会が全然検討してなかったということがはっきりしましたし、そういうきわめて不確定な要素を基礎にして推計をして、そして今回の運賃の値上げをやった。これはでたらめだと思うのですよ。それをそのまま運輸省もうのみにして答申どおりの認可をしたということ、このことは私は今回の値上げの問題について非常に不明朗なものを感じています。しかし、そういう事実が判明しただけでも、今度の運賃の値上げというものが全くでたらめだということが判明したと思うのです。  次に、質問を続けます。私鉄運賃の値上げというのは運輸大臣の認可になっておるわけですが、実質的には政府を構成している自民党、これが認可の権限を持っていると思います。そして値上げ時期になると政治献金がふえる、私いままで指摘してまいりましたけれども、こういう傾向がずっとあるわけですね。きょうの報道によっても、自民党が年内に五十億円の借金を返すんだ、その政治献金を割り当てられた大手私鉄十四社に一億円の割り当てが行われている、こういうことなんです。それで、私どもは、自民党自身が運賃の値上げの認可権を持っていながら政治献金を受けるというようなことは、その政治献金と運賃の値上げとの間に因果関係があるんじゃないか、何か臭いぞ、そういう疑惑を国民が持つので、こういういわゆる私鉄大手十四社みたいなところからは政治献金はもらうべきではないということをずっと主張してきたわけなんです。  きょうは運輸大臣がいませんので、その辺はあなたに質問してもしようがないから御質問しませんけれども、幾らやめろと言っても、いままで政治献金をしてきたわけですね。しているだけじゃなくて、それを損金に算入までしているのです。そうして運賃の中に入れ込んでいるわけでしょう。原価の中に入れているのです。こんなでたらめなことをやっている。自民党の政治献金まで国民が運賃というかっこうで負担しなければならない、こういうことが行われてきたわけでしょう。私も運輸委員会で何回も追及して、ようやくこの前は税法上損金に算入できる、そこまで圧縮したんだというようなお話がありましたけれども、今回はこの政治献金というのは、原価の算入に当たってどうなっているのですか。ちょっとお尋ねしたい。
  100. 高橋英雄

    ○高橋(英)政府委員 今回の運賃改定の申請に当たりまして、申請をしてまいりました事業者の申請書の内容の中におきまして、政治献金というのは原価から削除されておるというふうになっております。
  101. 三浦久

    三浦委員 それはいまの御答弁ですと、政治献金は全部削除されているということですね。それは運輸省自身がそういうふうに指導したのですか。
  102. 高橋英雄

    ○高橋(英)政府委員 事業者がそれぞれ自分の意思によってそういうふうに判断をして申請をしてきたものでございます。
  103. 三浦久

    三浦委員 そうすると、運輸省は全然指導してないということですね。おかしい話ですね。そうすると、大手十四社が政治献金を原価に算入してくれば、それはそのとおり認める、除いてくれば、それもそのとおり認めるという、何にも運輸省は定見がないのです。原価に算入しない方がいいと思っているのですか、算入した方がいいと思っているのですか。運輸省としてはどっちなんですか。
  104. 高橋英雄

    ○高橋(英)政府委員 私どもとしましては、私鉄の各社が政治献金をすることがいいか悪いかという問題については、これは高度の政治的な判断も加わる問題でございますので、私どもからお答えするのは控えさせていただきますけれども、少なくとも鉄道事業のコストとして政治献金等を含めるのは、世論の批判もあり、また疑惑もあるので、やめた方がよろしいというふうに考えておるわけでございます。
  105. 三浦久

    三浦委員 そうしますと、いつまた値上げの認可申請をするかどうかわからないけれども、今度認可申請をするときに政治献金を原価に算入してきたら、それは取り除くように指導しますか。
  106. 高橋英雄

    ○高橋(英)政府委員 今回の運賃改定の認可に当たりまして、私どもは査定の基準というものを一応報道機関等にも公表しておりますけれども、その中でも政治献金の関係は除くというふうなことをうたっておりますので、今後とも政治献金が原価計算の中に含まれてくるということはないだろうと思います。
  107. 三浦久

    三浦委員 報道によりますと、今回、さっき言った五十億円の政治献金のうち一億円が民鉄協会の方に割り当てられている、こういうことなんですがね。各社別の内訳を調査して報告してもらいたいと思いますが、いかがですか。
  108. 高橋英雄

    ○高橋(英)政府委員 この点につきましては、私どもの方で監督する権限外のことでございますので、御趣旨にこたえることは困難かと思います。
  109. 三浦久

    三浦委員 どうして監督権限外ですか。あなたたちは、いわゆる地方鉄道、それに軌道法に基づく鉄道、こういうものについては監督権限があるでしょう。たとえば地方鉄道法を見ると、あなたたちはいろんな意味で監督権限がある、また認可権もある、それからまた会計について監査をするという権限までありますね。そうでしょう。そうすると、私鉄がいま赤字だ赤字だと言っておるわけですよ。それが自分の経営能力に相ふさわしくないような膨大な政治献金を自民党にした、またしょうとしている。こういうようなときに、それをチェックするような、いわゆる行政指導できるようなそういう権限というのはないのですか。私はあると思いますがね。ですから、地方鉄道業会計規則というものの中にもちゃんと別表の中に交際費であるとか会費であるとか、いろんなものが細かく規定されておるでしょう。あなたたちはずっとそういうものを見ることができるわけでしょう。そして不当な支出については行政指導することができるんじゃないですか、どうですか。
  110. 高橋英雄

    ○高橋(英)政府委員 私どもとしては私鉄の事業者を指導監督する権限はございますけれども、それは私鉄の経営全体ということではなしに、鉄軌道事業の面に限って指導なり監督をしておるわけでございまして、主として経理の点につきましても細かく、たとえば寄付金がどういうふうなことに使われたかというところまでを一々監督するというふうなことはやっておりません。私どもとしては鉄道なりあるいは軌道の事業が法律に従って適確に遂行されるという意味で監督をしておるわけでございまして、どういうふうな寄付金をしているかどうかということを特に監督するつもりはございません。
  111. 三浦久

    三浦委員 そんなことはないです。それは法律上できないということじゃないのだ。自民党に怒られるからやらないというだけじゃないの。会計規則の中に細かく会費だとか交際費だとかいろいろな項目でずっと出てますでしょう。あなたたちそれを見ているわけだ。じゃ、何でそんな項目をきちっと挙げて、そしてそれをあなたたちが知らなければいけないのですか。やはりそういうものが不当な額が支出されていればチェックする、指導するということでそうなっていると思うのだ。あなたたちが法律上権限があるのにやりたくないというふうに私には聞こえるのです。私は、ひとつあなたの方の部内で検討をして、各社ごとの政治献金の割り当て、これを明らかにしてほしいと思います。私たちに言わせると、こういうことはやはり反社会的なことですよ。ですから、早急に調べて御報告いただくようにお願いしたいと思うのです。  次に、利息の配分の問題についてお尋ねいたしますけれども、いままでの配分のやり方については、不動産事業での借入金の利息というものが不当に鉄道事業部門の方に負担させられているじゃないか、こういう疑惑が非常に多かったわけで、私どももたびたびそのことを指摘してきたわけです。今回は販売用土地建物の評価、このやり方を変更してきましたね。結構なことだと思うのです。その結果、鉄軌道部門が負担する利息というものが少なくなってきました。  私、お尋ねしたいのですが、運輸省としては、今回のように販売用土地建物の評価方法を期末簿価方式をとること、このことが望ましいというふうに考えているのかどうか、お尋ねします。
  112. 高橋英雄

    ○高橋(英)政府委員 大手私鉄の運賃改定に当たりまして、過去の実績を評価する場合に、支払い利子の配分の基準ということが従来から問題になっております。従来は、商品不動産を固定資産とみなす場合のその額の評価におきまして、売買残高方式という方式をとっておったわけでございますが、今回の運賃改定の申請に当たりまして、申請者におきましては、過去の実績の評価の場合、商品不動産の評価については期末簿価方式をとってまいりました。私どもとしましては、従来の売買残高方式をとった場合には、土地の販売価格が簿価に比して著しく高いというふうな場合には必ずしも妥当でないというふうな判断をして、事業者がそういうふうな計算をしてきたものというふうに考えます。運輸省としましては、この期末簿価方式についても必ずしも問題がないというわけではございませんけれども、この方式は第三者にも比較的わかりやすいというふうなことがありまして、現時点ではこの方式がより妥当な方式だというふうに考えておる次第でございます。
  113. 三浦久

    三浦委員 これはやはり運輸省が指導したのですか。それとも私鉄大手十四社が申請のときにこういうふうにやってきた、いわゆる期末簿価方式をとってきたのですか。
  114. 高橋英雄

    ○高橋(英)政府委員 運輸省が全く指導しないというとうそになりますけれども、前回の改定のときにおきますいろいろな議論なり批判なり、そういうものを事業者としてもよく承知いたしておりまして、その後いろいろと検討の結果、今回のような方式で申請をしてきたものというふうに考えられます。
  115. 三浦久

    三浦委員 民鉄の理事長の深草という人がいますね。「月刊政策」の十一月号でその点についてこう言っています。「ただ各部門別の金利配分をどのように配分するか、というような問題で、私どもまだ理論的には確立されておりませんけれども、現時点考えられるベストの計算方法を標準としてやっている。」何か運輸省は指導しているんだか指導していないんだかわけがわからぬ。民鉄がある一つの方式をとってくれば、それを認める。変えてくれば、それを認める。全く自主性がないと思うのですね。前回の値上げのときでも、いまのいわゆる期末簿価方式というものをとって利息を計算しますと、かなり利息の配分が少なくなるのですよ、鉄軌道部門に対する配分が。どのくらい少なくなりますか。
  116. 高橋英雄

    ○高橋(英)政府委員 四十七年度の収支の実績は、おっしゃるような売買残高方式で計算されております。それを期末簿価方式で計算をいたしますと、約九十億円、十四社全体で利息が少なくなるというふうに計算されております。
  117. 三浦久

    三浦委員 そうすると、そういうことは、この前のときには九十億円よけいに利息を配分した。それで、その分だけよけいに運賃値上げをしたということなんですよ。これはけしからぬ話だと思うのです。私、おたくからも資料をもらっておりますけれども、各社別にこの四十七年度の実績を、今回やったような期末簿価方式でやった場合に、どのくらいの差が出てくるのかということなんですが、これは計算していただいたのがあるのですけれども、この資料に基づいて計算しますと、たとえば西武、それから京王、小田急、近鉄、これは前回の値上げ申請のときには黒字だったのです。たとえばあなたたちがこの前大手十四社で三百四十二億円赤字だ赤字だと言って宣伝をしましたね。この三百四十二億円の中には赤字企業なら払わなくてもいいような配当、法人税、こういうものまで全部含めておったわけでしょう。私、各社ごとにずっとその赤字額から配当と法人税の額を引いてみました。そして、今度の期末簿価方式をとることによって減少する利息の配分、これも引いてみました。そうしましたら、西武というのは二億七百万円黒字だったのです。それから京王が七億八千百万円黒字です。小田急が五億二千百万黒字、近鉄も十一億五千百万黒字なんです。黒字なのに、そういう利息の配分方法をちょこっと変えて出してくることによって赤字だ赤字だ、まさに赤字をつくり出して、そして鳴り物入りで古伝をし、政府もその宣伝に加担し、そして運賃の値上げをやっておるわけですね。いま私が言ったような数字は民鉄部長さんはお認めになりますか。
  118. 高橋英雄

    ○高橋(英)政府委員 先生がいまおっしゃいました数字そのものは、私どもも計算した結果同様な結果を得ております。  ただ、申し上げたいことは、鉄道の運賃といいますものは、御承知かと思いますけれども、能率的な経営のもとにおきまして、適正な原価プラス適正な利潤を確保するものでなければならないということは、私ども基本的に従来から変わらず考えておるところでございまして、そういう意味では、ただいまおっしゃったように、確かに四十七年度の経常収支では黒字になる会社もございますけれども、やはり適正な利潤という意味で、配当所要額なり、それからそれに伴う法人税なりも鉄道事業としては負担できなければいけない、そういう見地から、そういったものを加えて計算をしますと、やはり四十七年度も各社とも収入か足りないというふうな状況に相なるわけでございます。  それからもう一点、こういう売買残高方式なりあるいは期末簿価方式と申しますものは、過去の実績を評価する場合の方式でございまして、将来の運賃改定をするための推定を行う場合には、利息等につきましては事業報酬方式をとっておりますので、運賃改定にはその点は影響はないというふうに考えております。
  119. 三浦久

    三浦委員 適正な利潤というものを私どもは否定しているのじゃない。しかし、会計原則からいって、いわゆる配当ができないから赤字だとか、法人税が払えないから赤字だとか、そんなことは言わないでしょう。これが赤字と言う場合には、やっぱり収入不足ですよね。収入が結局経費を賄い切れぬという場合に言うわけであって、本来鉄軌道部門以外、たとえば不動産でがぼっともうかった、全体で私鉄は大もうけした、そういう場合に、そういう配当金であるとか法人税だとかというものも平等に、結局固定資産税の評価に従って、鉄軌道部門に配分をして、その分だけ赤字だ赤字だとあなたたちは宣伝するでしょう。これは企業会計原則上の赤字じゃないのですよ。それははっきりしているじゃないですか。それをあなたたちはお認めになっているでしょう。私が何回も御説明し、追及して、そして言い方を変えましょうとまで言っている。最近は収入不足というふうに言葉を変えられているでしょう。赤字というふうには言ってはならないというふうにあなたたちもお考えになっているのですよ。であれば、私が言ったように、あなたもお認めになったけれども、四十七年度の申請のときには、企業会計原則上は黒字だったそういう会社が、赤字だ赤字だというふうに宣伝をして、そしてうまく運賃の値上げをせしめた、そういう結果になっているのですよ。これは私はいままでの運賃値上げのやり方が不明朗だったということを典型的に示すものだと思うのです。  それで、今後の問題ですが、深草という民鉄協会の理事長も、まだこの利息の配分の問題については理論的にしっかりしたものがないのだということをおっしゃっているわけですね。これは運輸省もそう思っているだろうと思う。しかし、今回の期末簿価方式というのがより妥当ではないかということは、民鉄も運輸省の方も考えていられるようですがね。そうすると、民鉄の方で今後売買残高方式というようなものをもって販売用土地建物を評価するというようなことをやってきた場合に、これは期末簿価方式で指導するというふうに承ってよろしいのでしょうか。
  120. 高橋英雄

    ○高橋(英)政府委員 現在の時点の判断としましては、おっしゃるように指導をする所存でございます。
  121. 三浦久

    三浦委員 それじゃ、次にお尋ねしますけれども、鉄道抵当法という法律がありますね。鉄道財団をつくって、それを担保にして資金を借りるという制度ですね。この鉄道抵当権を設定する場合には、運輸大臣のたしか認可事項だと思いますが、そうですか。
  122. 高橋英雄

    ○高橋(英)政府委員 おっしゃるように、運輸大臣の認可事項になっております。
  123. 三浦久

    三浦委員 そうすると、その認可申請書には、そのお金の使い道、何に使うのか、使途、目的ですね、これははっきり記載されているわけでしょう。いかがですか。
  124. 高橋英雄

    ○高橋(英)政府委員 記載をされております。
  125. 三浦久

    三浦委員 そうすると、認可をするに当たってその使用目的というものも考慮されるのだと思うのですが、どういう使途の場合に運輸省は認可をされているのでしょうか。
  126. 高橋英雄

    ○高橋(英)政府委員 法律上は使途について特段の制限はございませんけれども、運用としては、主として鉄道の設備投資に使われるとい、う場合に限って認可をするようにいたしております。
  127. 三浦久

    三浦委員 そうしますと、借りる方もそのことはわかっているわけでしょうね。いかがですか。
  128. 高橋英雄

    ○高橋(英)政府委員 もちろん承知しておるわけでございます。
  129. 三浦久

    三浦委員 東急がこの鉄道抵当法に基づいて鉄道財団を担保に入れてお金を借りているわけです。これを鉄道の設備投資に使っていないでよそに流用しておるという疑いが、私どもの調査で明らかになっているわけです。たとえば、昭和四十年の三月時点からことしの三月まで、その資金運用というのがどれだけ増加したのかということを調べてみました。また、増加した資金資金源、使途ですね、これはどうなっているのか。そうしますと、資金の増加額十年間でこれは使途と源泉両方とも二千三百二十六億円になるんです。この内訳は全部言いませんけれども、鉄軌道財団を担保に入れて運輸省の認可を受けて、そして借り入れた資金の増加額がこの十年間に九百三十七億円です。ところが、その使途の増加額のうちで鉄軌道への設備投資として増加した分は七百三十二億円なんです。これは社債なんかも発行していますね。社債もこの鉄軌道財団が抵当に入っているわけですね。同じように、やはり鉄道設備に対する投資というふうに使途が限定されていると思うのですが、この社債も六十五億六千万円あるんですよ。鉄軌道財団の借入金だけ見ても九百三十七億円で、鉄軌道の設備投資分よりも二百五億円多いんですね。そうしますと、この二百五億円というのは、流用されているというふうに見なければいかぬと思うのです。これはあなたの方でどういうふうにお考えになっていますか。
  130. 高橋英雄

    ○高橋(英)政府委員 ただいま先生御指摘の点につきましては、私どもいま鋭意調査をいたしておりますので、調査の結果が判明しませんと何としても申し上げかねる次第でございますけれども、ただ、先生がいまおっしゃった中で、財団抵当によります借入金と、それから鉄道関係の財産のふえ方との比較、それの差か二百五億円程度あるというお話でございますけれども、これは全部調査をしませんとわからないのでございますけれども、財団抵当で借り入れた場合でも、市中から借り入れる場合には、これは余り好ましいことではございませんけれども、やはり歩積み両建てというふうないわゆる拘束性の預金がございます。したがいまして、財団抵当で借り入れた金の一部については、やはり預金の方にも含まれておるものが相当あるのではなかろうかというふうに思いますが、いずれにいたしましても、この点については目下鋭意調査をいたしておりますので、きょうこの席でお答えすることは差し控えをさせていただきたいと思います。
  131. 三浦久

    三浦委員 もう十日も前にこのことはあなたたちに言っているのですよ。これは増減法で計算すればいいのでしょう。一時間あればこんなものはすぐできるじゃありませんか。それをもう、こっちが何回催促しても、きょう質問すると恐らくそういう答弁が出てくるだろうからびしっとした計算を出せということで、何回催促しても逃げの一手、まだ計算中であります、計算ができておりません、こんなものはすぐできるじゃありませんか。何でそんなに慎重に考えなければできないことですか。私ども素人でも計算すればすぐできるものです。これは私はやはり重要な問題だと思うのですね。運輸省が行政指導として、鉄道の設備投資以外には使ってはいかぬ、そこに使うのだということに、使途を限定して認可しておるわけですね。これはやはり鉄道事業の健全な発展ということを、鉄道事業の持つ公共性という観点からあなたたちはおもんぱかってやっていることだと思うのです。それにまた開発銀行からだって借りているわけです。この鉄軌道財団を抵当に入れて、低利で長期で国の金を借りているわけです。そういうものをもうけ本位次第に不動産事業にどんどん流用してしまう。そんなことは好ましくないことは明瞭でしょう、そういう投機的な事業に使って、下手に失敗すれば、今度、鉄道を売り飛ばされることになるのですから。そういうことのないようにあなたたちが監督している、認可しているのだと思うのですよ。  それからまた、こういうことが判明すれば、これは詐欺行為ですね。鉄道の設備投資以外には使ってはいけないのだということを知っていながら、ほかの目的でもって申請すれば認可は出ないのだということを知りながら、ほかの使途に使うのだということを考えて、そしてあなたたちをだまして金を銀行から借りて、それを別の目的に使う。これはだまされた人間と金を交付する人間は別人かもしれないけれども、りっぱな詐欺ですよ。これから調査しますというような問題じゃ済まされないのじゃないですか。それは運輸省の監督不行き届きだと私は思います、あなたたちが認可しているのだから。その認可した金の使途がどうなっているのかということを監査したらいいじゃないですか、監督したらいいじゃないですか、疑いがあったら、指導したらいいじゃありませんか。その点はどうですか。
  132. 高橋英雄

    ○高橋(英)政府委員 私どもといたしましては、そのようなことが行われるとはよもや考えておりませんので、従来は特段にチェックするというふうなことはやっておりませんでしたけれども、今後は、今回の調査とも関連がございますが、もしそういう事実があれば、強力に指導をするとともに、何らかチェックするいい方法があればそういうものを検討したい、かように考えております。
  133. 三浦久

    三浦委員 いままで企業というものを過信しておったんじゃないですか。企業というのは悪をなさずとか、そんなふうな考え方があるから、私は油断をしておると思うのです。やはり私どもがいま具体的に提案いたしましたように、東急ではそういう事実が出てきている。この問題で消団連が東急と交渉しているのです。一部流用しているかもしれないということを東急自身が認めているのです。それはあなたも御存じでしょう。そういう事実があるのですから、東急問題については早急に調べて、その結果を私どもの方に、国会の方に報告をしていただきたいと思いますが、いかがですか。
  134. 横山利秋

    横山委員長 三浦君に申し上げますが、持ち時間が余りありませんけれども、長官に御質問がございましたらなるべく早目にお願いします。
  135. 三浦久

    三浦委員 ございません。
  136. 高橋英雄

    ○高橋(英)政府委員 十分調査をいたしまして、結果が判明いたしましたら御報告申し上げたいと思います。
  137. 三浦久

    三浦委員 終わります。
  138. 横山利秋

    横山委員長 小林君。
  139. 小林政子

    ○小林(政)委員 残された時間が十分ということでございますので、二点にわたって長官にお伺いをいたしたいと思います。  まず第一にお伺いいたしたい問題は、これは後日改めて時間を十分とって御質問しなければというふうに考えておりますけれども、御承知のとおり、公正取引委員会が高炉メーカーの鋼材値上げについて、昨日、同調値上げの問題、これはやみカルテルの疑いが非常に強いという内容の発表を公表いたしたわけでございます。この内容は、たとえば新日本製鉄が七月七日、また日本鋼管が七月八日と、それぞれの各製鉄メーカーが全く同額の値上げを実施いたしているという数字がここにずっと書かれております。それと同時に、またこの値上げ額は結局九千八百円、そして妥結額は第一次としては六千八百円で、その他の額については三ヵ月後に云々ということが  全く同じなんですね、この値上げの内容が。これは長官、御存じだと思うのです。これは独禁法改正の問題のときにも同調値上げということで大きな問題になりましたけれども、しかもほとんど同時期の同額値上げ、そしてしかもこの値上げ額についても確たる算出の根拠もない。新日鉄が決めたものに同調して全部上げているということが、報告書を見ますと、ずっと詳しく書かれています。しかも、各社がそれぞれユーザーと交渉はしているけれども、実際にはこの報告の中にも、その態度は非常におざなりであって、そしてトヨタと新日鉄とのこれに同調して、同額で同時期に値上げを行っているという、こういう公取の今回の発表ですね。  この問題について、価格の決め方という点から考えて、需要と供給との関係で価格は決まるということを長官は常に言っておりますけれども、こういった価格の決め方という問題について、長官、どのようにお考えになるのか。そして、これからの価格の決め方の中で次々とこういう形が今後生かされていくという点について、独禁法の改正の問題等について、この問題については具体的にどのような見解をお持ちになっていらっしゃるのか、この点をまず一点お伺いをいたしたいと思います。  それから時間がございませんので、続けてもう一点お伺いをいたしますけれども、十二月の月例経済報告、これを見てみますと、この中に書かれておりますのは、これは違う問題でございますけれども、最終需要はいまだに盛り上がりを欠いているため景気回復は弱いということが書かれております。しかも、長官は、今回の景気回復については、物価の問題については配慮しながらも財政主導の形で景気対策を行っていくんだ、こういう基本姿勢をずっと言われてまいりましたけれども、いま本当に国民生活の立場に立って景気回復していくという点で、どう最終需要を拡大し、景気回復していくということが最も望ましいと長官は考えていらっしゃるのかどうか。この月例経済報告の中を見てみますと、結局、失業者は、十月の数字では百三万人、そしてまた月間の有効求人数は、昨年の十月に比べて今年の十月は三十四万六千六百四十七人という非常に減少ですね、減った数です。有効求人数が減っているというこういう数字も出ておりますし、十一月はもっと失業の状況というのが出てきているんではないだろうか、私はこのように思います。  こういう立場から、私は、これは提案もひとつ含めますけれども、政府が実際に雇用対策、あるいはまた雇用の失業保障の確立という点について、失業がこのように多発している現状を認識した上で、やはり政府の独自の事業をこの際興して、そして救済も行うと同時に、また景気の浮揚という形にもつなげていくということがいま非常に重要な段階に来ているんではないか、このように考えておりますけれども、この二点について御回答をいただきたいと思います。
  140. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 いま鉄鋼値上げに関連して公取が動いておるということは、私も話を聞いております。聞いておるだけに、あの値上げの態様が妥当であるかどうかということについての私の見解をこの際申し上げるということは、これはまた微妙な影響もありはしないか、そんなような感じがいたしますので、あの値上げの仕組みについての私の意見、感想、そういうことにつきましては、大事なときですから、ちょっと差し控えさしていただきます。  それから雇用の問題ですね。これにつきましては、これは非常に大事な問題だというふうに考えているのです。さらばこそ仕事をつくるということを考えなければならぬ。その仕事をつくるには一体どうするかというと、さしあたってはこれは政府がつくるほかない。これは小林さんのおっしゃるとおりに考えておるわけです。  そこで、第四次景気対策、これも政府が仕事をつくるということを中心にいたしまして、ああいういろんな施策を実行しょうということを考えておるわけですが、ただ、公定歩合の引き下げがおくれましたり、それから補正予算も成立がおくれたり、それからまた、それと相関連して地方事業を行う地方の臨時議会、これがおくれておるというような関係がありまして、多少のずれがあるんです。ずれはありまするけれども、見通しといたしましては、あの第四次景気対策はかなりの効果を発揮いたしまして、今後活発な経済活動が展開されるということを期待いたしておるわけであります。そのような動きになるであろう、こういうふうに思っております。したがって、それは雇用の情勢にもかなりいい影響をもってあらわれるであろう、かように考えています。
  141. 小林政子

    ○小林(政)委員 時間が超過して皆さんにも大変申しわけないと思っておりますが、一つは独禁法の改正問題ですね。この中で、あれだけ問題になりました同調値上げ、しかも管理価格、独占価格と言われるようなあり方について、いまここで、このような価格の上がり方、決め方というものについて何とも言えないと長官はおっしゃったわけですけれども、これは今後の独禁法の改正の中で、この問題について長官自身がどういう見解を持っているのか。こういう形で価格が決められていく、決められ方ですね。同調的な値上げ、これは明らかにやみカルテルだと、公取の委員長もはっきり指摘している。こういう問題について、私は積極的な姿勢をもって長官に臨んでもらいたい。独禁法の改正については、長官はおやりになるとおっしゃっているのですね。この前の委員会でもそうおっしゃっておりました。次の機会に、次の定例の国会では決めたいと。この場合に、こういった問題で、私は、長官としてどういう見解をもって臨もうとしているのかということを、ぜひひとつ積極的な姿勢を御答弁でいただきたいというふうに思います。  それからもう一つは、いま雇用の問題は本当に深刻です。私は職業安定所の窓口へ行ってみました。十一月には仕事がもうほとんどありません。たまたま私が行った日には、どしゃ降りの雨の日でした。二百人からの人たちが仕事を求めて来ておりましたけれども、その日の求人数はわずかに二十人にすぎませんでした。これはある一地域の安定所の一つ実態でありますけれども、全国的にも相当深刻な事態を迎えておりますので、失業が多発しているいまの現状の中で、地方自治体に仕事を起こさせ、政府がその資金面を見るという形で救済措置をとるということは、これは国民生活の立場に立ってこの景気浮揚を行っていくという上でも、また雇用対策の解決の方向を出すという上からも非常に重要な問題ではないだろうか、私はこのように思いますので、この二点、もう一度御答弁を願って、質問を終わりたいと思います。
  142. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 第二のお尋ねの点は、これはもうそういうふうに考えております。地方の議会の方でも大体議決なんか進行しておりますので、かなりその影響は顕著に出てくると、かように考えます。  それから、独占禁止法の改正につきましては、この国会は臨時国会であり、しかも景気対策中心とする国会であるというこの国会の性格上、独占禁止法のような基本的な問題を十分審議するという場としてはなじまない、さように考えておるわけですが、この次開かれる通常国会には出していきたいというふうに考えておるのです。  そこで、そういう機会に、御承知のように、自由民主党の方でいろいろまた意見があるのです。この前、衆議院の方は各党一致で通りましたけれども、参議院の方でああいう形で廃案になった。それは自由民主党内の調整が十分なかったという点もあるわけで、その調整をしなければならぬだろう、こういうふうに考えておりますが、その中で寡占価格の問題をどういうふうにするか、非常にむずかしい問題だ、こういうふうに考えております。これは十分に検討いたしまして、検討の結果がまとまりますれば、独占禁止法に織り込むということになる。  それから、独占禁止法だけでまたこれを解決できない面もあると思います。そういう面につきましては、これは行政上の諸措置等で対処しなければならぬかなと、こういうふうに考えております。
  143. 小林政子

    ○小林(政)委員 終わります。
  144. 横山利秋

    横山委員長 和田耕作君。
  145. 和田耕作

    和田(耕)委員 副総理としての御答弁を期待しておるわけでございますけれども、昨年の暮れから今年にかけてのかなり厳しい、つまり物価抑制政策の柱になられた副総理経済指導、これはいろいろな点から抵抗が、現にあると思いますし、政党の方からも財界の方からもあったと思います。この経済指導については一つのりっぱな見識だという感じを私は持っているのですけれども、きょう私、新聞を見てあらっと思ったのは、日本経済新聞のトップに、来年の三月期の収支予想が載っておるのです。ごく一部鉄鋼とかその他の不況の、つまり赤字の業態は別としても、大部分の業態が、黒字とまではいかないけれども、この九月に比べてかなり大きな収益を上げるような見込みだという予想が載っておるのです。これをどのように評価するかによっていろいろ対策は違うと思いますけれども、この問題についての副総理の御見解。これが本当に水面下からずっと景気が上がってきているものと見ていいのか、あるいは特殊な事情、たとえば外国の一部の国の繁栄というものに引きずられておるというふうに見ていいのか、あるいはいままでの不況対策が徐々にではあっても効いてきていると見ていいのか、いろいろな評価があると思うのですけれども、副総理の御見解をお伺いしたい。
  146. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 日本経済の記事、詳しくは読んでないのですが、ざっと見出しそれから数字の大要をちょっと見たところでは、私の感じでは、傾向としては私の見ておる感じをかなり裏づけるというか、そういうような性格のものであるような感じがするのです。つまり、いま経済活動が徐々にではあるけれども回復過程に向っておるわけなんです。これは上半期と下半期あるいは第四次というのが少しずれておる関係がありまして、端境期的な現象はありますけれども、これからずっと景気は上昇していくだろうし、また上半期も上昇を続けたわけなんです。そういう中で、私が問題にしておる企業操業度、これは製造業稼働率指数で見ると、七七から、九月期これは八四まで改善をされておる。しかし、望ましい操業度というのは九五と、こういうふうに見ておるわけですから、まだなおずいぶん開きがあるのです。でありますけれども、だんだんと操業率が上がってきておる。これは企業内容がそれだけ改善されておるという傾向にあると思うのです。ですから、水中のどん底からだんだんと水面に接近しつつある。もっともばらつきがありますので、その中には水面に頭を出したというものもあるわけでありますが、なお逆に水中奥深く低迷しておるという企業もある。しかし、総体として見るときには、水面にだんだん近づきつつある状態にある、こういう観察をしているのです。あの数字のとおりであるかどうか、これはいろいろな見方がありましょうけれども、傾向としてはあのとおりの状態を動いておる、こういう見解でございます。
  147. 和田耕作

    和田(耕)委員 それと関連してもう一つお伺いしたいのは、総理も四月からずっといまの稼働率あるいは生産指数は上がってきているということをお述べになっておられたのですけれども、八月、九月、十月、十一月期はこれが停滞ないしは逆に下がっておるということを示すような、たとえば失業率の問題もそうですか、いろいろなデータが出てきたのですけれども、つまり、九月の補正予算のあの問題を含めて、これは大変だと思ったあの三月くらいのダウンというのをどういうふうに御判断になるのか。
  148. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 経済諸指標をずっと見ておるのですが、十月にちょっと落ち込んだ、それからその前後ちょっと低迷しておるという感じでございます。それは財政の繰り上げ支出とか、そういう第一次、第二次、第三次、これが響いて上半期はずっと上昇過程に乗った日本経済が、そういう施策の種切れをした、そして第四次が動き出す、その端境期の現象としての景気停滞である、こういうふうな見方でございます。
  149. 和田耕作

    和田(耕)委員 もう一つ関連して。  このいろいろな解説を見ますと、アメリカでの景気回復という要素が幾つかの業界の好転した理由になっているようですけれども、いま水面下からずっと堅実に上がってきているというふうにごらんになると、外国の要素とかあるいは一次から四次にわたる不況対策が効いてきたとかいうような問題は、どのように御判断になっておるのか。
  150. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 外国の影響というと輸出面になりますけれども、これは現実的な影響が出てきておるという判断まではまだいかないのです。結局、上半期の上昇、これは財政中心とする政府対策の影響である、こういう見方でございます。
  151. 和田耕作

    和田(耕)委員 この前の委員会で幾つかの事情――先ほど松浦君からの質問がありましたので、私、繰り返しては申し上げませんけれども、なかなか景気対策が実際の効果をあらわしてこないというのが各方面から言われておったし、いまの地方財政の問題とかあるいは個人消費の問題、設備投資の問題等を含めて、いろいろそういうふうなことを言われておったんです。しかし、これで見ると、いま副総理もおっしゃるように、相当の業界が目に見えぬところでずっとよくなってきておったんだということを物語る一つのデータであるわけですが、もしこれがそういうものであれば、いま政府がお考えになっておられる不況対策という面について、かなり違ったニュアンスが出てくるのではないかと私は心配するのですけれども、その点いかがでしょうか。
  152. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 いま日本の企業は、一般的に言うと、水面に頭を出したという状態ではないと思うのです。水面に近づきつつある、そういう進行形の状態にいまある、こういう判断でありますが、水面に近くなるから収益は徐々に改善はされまするけれども、非常に経営状態が悪くて赤字にのめり込んだという企業が赤字を脱する、頭を並べてそういう状態になるというような状態じゃないのです。そういう水面から頭を出すという状態は、企業操業度から言うと、稼動率指数にして九五というところまでいかなければならぬ、それがまだ八四、そういうところで低迷しているという状態にある、こういうふうに思うのです。そうしますと、企業内容は改善されつつあるものの、まだ望ましい状態ではない。そうすると、前からの企業経理の重圧、これが押せ押せになってきておるのです。そこへ、軽減されておるとはいうものの、まだ企業経営のマイナス面が強く出ておる、こういう状態でありますから、時間の経過とともに企業の重圧感、こういうものはなかなか解消されない状態にあるのじゃないか。まあ、水面に頭を出す、そういう状態に大方の企業がなって初めて好況感というものが出てくるんじゃないか、そういう認識でございます。
  153. 和田耕作

    和田(耕)委員 私、この内部を詳しく読んでいないのですけれども、いま財界では石油パニック以後、新価格体系といいますか、価格水準という言葉を副総理は使っておられるのですけれども、これを早く修正したところがよくなってきておるという感じはないのでしょうか。
  154. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 そういうことは私はあると思います。あると思いますけれども、これは何せ物の価格は需給によって決定せられるものでありまするから、需給の状態が非常に緩んでおるというものにつきましては、なかなか価格修正が行いがたかったのだろうと思います。これから企業操業度が改善される、そうすると、一方においてはコスト圧力が軽減をされるわけです。他方においては需給がややきつくなってくる、こういう面もありまして、景気回復過程にあるからといって物価が上がるとばかりは私は見ておりません。上がる要素、下がる要素、これが相殺されていくのだろう、こういうふうに思いますが、これで徐々に需給が緩和状態から正常の方向に回っていくということになりますれば、価格修正、そういうものも当然あり得ることだと思いまするけれども、逆に今度は、大量生産だ、適正生産だ、そういうことになりますので、コスト面は軽減されるということになって、価格問題というものは平静に動いていくだろう、こういうふうに見ております。
  155. 和田耕作

    和田(耕)委員 公共料金の問題でも、今年も相当のものですが、来年はっまり大物の国鉄運賃とか、いま残っておるやつがわっと出てくるという可能性もあるわけだし、そうしてまた、いまの景気回復に向かった企業の幾つかを見れば、価格を修正したところがやはり伸びてきているという感じから見れば、おくれておる産業の製品の価格のアップという状態も、公共料金の全面的なアップという問題と並んで出てくるのが来年の三月、四月期――まあ、公共料金はもっとおくれますけれども、これを上げるということは大体予算その他にのってくるわけですから、そういう時期に集中してきて、物価が再び上がるという時期も案外早まってくるんじゃないかという感じさえするのですけれども、まだそれは何ぼになるかわからぬが、少なくとも今年よりははるかに多い赤字国債というような問題も含んでおり、そこらあたりをどういうふうにごらんになるのでしょう。
  156. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 公共料金の方は、これは独占価格といいますか、統制価格でありますから、需給に関係なく決定されるわけです。しかし、一般の商品の方は需給要因によって多く左右される。コスト要因ももちろんありまするけれども、今日の状態では需給の方がむしろ強く響いておる、こういう状態であります。そういうことで需給が緩んでおる今日の状態、また来年度もまだ緩んでおる、こういうふうに思うのです。そういう状態で公共料金が決定される、こういうことになりましても、一般の商品に対する影響というのは、コスト面における影響があるものの、需給が緩んでいることによってその影響はかなり緩和されるであろうというふうに見ておるのです。  ただ、心理的に、公共料金があれもこれも上がったということになりますと、そういうことからかなり影響があろうというふうに思いますので、公共料金の扱いにつきましては、各省では所管の公共料金についてあれもこれもという要求ではございますが、それは物価政策の見地から見て、総合的に慎重に最終的な処理をしたい、こういうふうに考えております。
  157. 和田耕作

    和田(耕)委員 これはきょうの新聞報道を見て私もあらっと思ったので、御質問申し上げておるわけでございますが、副総理はよく、三年計画でこの狂乱物価以後の異常な状態を平常に戻して、安定成長に乗せるということをおっしゃっておられるのですね。来年はその三年目になるわけです。そうなりますと、こういうふうにいままでのような不況対策効果を示して、ずっと堅調に回復しているという状態が進んでいきますと、何もかにもうまくいくという予想も成り立たぬではないのですけれども、なかなかそうはいかないのではないかという感じがするのです。  たとえば、いまの新価格水準という問題を考えても、もう来年に総仕上げをしなければならないという問題が出てくるわけですね。そして、いま需給が緩んでいると申しておりましても、景気がよくなってまいりますと、この三月期で相当回復してくる。今度九月期に向けて相当の勢いで回復してくるということになると、なかなかそうはいかない問題が出てくるわけだと思うのです。したがって、副総理は、いまの新聞報道はかなり前向きの評価だと思うのですが、現段階は、私は物価政策景気政策の絡み合いの正念場だと思うのです。この場合に、いまの一般の感じは、物価は少々上がっても景気をよくしろという景気中心の姿勢が、政府の中にもあるし、一般の人の中にも、組合の中にもあるわけです。こういう姿勢を変更する必要があるとお思いになるかどうかということです。いまこの日経が示しておるような状況を土台にして考えてみて、少々ぐらい物価が上がっても、このあたりで何とか景気をてこ入れをして、無理して大赤字国債も出してやらなければいかぬというふうにお考えになっているのか、あるいはもっと締めかげんの方がいいとお思いになるのか、その判断を副総理としていまどういうふうにお考えになっておられるのですか。
  158. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 確かに、いま景気調整期でありますので、そのかじの取り方はなかなかむずかしいわけでありますが、同時に、これは臨機応変というか、施策は硬直化した姿勢であってはならぬと思うのです。しかし、同時に、経済政策のねらいというものは明確に持ってこれを揺るがしてはならぬ、こういうふうに思うのであります。結局、ねらうところは、物価の安定もまた景気の上昇もということなのです。景気上昇さえすればそれでいいというふうには一度も考えたことはないのです。ただ、景気の方が定着しつつあるものですから、むしろ今日この時点では景気政策の方へウエートを置くべきだ、こういうふうにただいまは考えておるわけです。とにかく物価も安定させなければならぬ、同時に景気もよくしなければならぬ、その両方が実現するためにはどうするか、こういう構えで臨機応変の施策を展開していくという方針でございます。
  159. 和田耕作

    和田(耕)委員 そこのところをもう少し具体的にお伺いしますけれども、物価景気も、それはよくわかるのですが、景気中心とした政策に転換してやっていかれて、仮に物価が一〇%を超えるという段階になれば、再び物価政策中心に変わっていくという感じの姿勢だと見ていいのでしょうか。
  160. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 物価もまた景気も、両々相立つような政策誘導をしたい。そういう考え方で施策をしていく中で、物価が一〇%を超えるようなところへ持っていったら、その過程において政策上の誤りがあったということだろうと思うのです。そういうことのないように未然に諸般の施策を講じていかなければならぬというふうに考えているのです。  先ほど和田さんは日本経済の新聞記事から話を始められましたが、確かに日本経済はマクロとしていい方向に動いておる。そういう中で経済界が非常に苦悩を続けておる。そういう相矛盾した傾向が二つあるわけでございますけれども、しかし、基本的には矛盾してないと私は思うのです。矛盾しているかのごときかっこうだけれども、根本においては矛盾していない。ミクロでもいい方向に動いているのです。動いているのだけれども、まだ好ましい状態まで達しない。そういう状態にミクロの企業というものがある。こういう状態だと私は見ておるのです。  ですから、いい方向に向かいっっある。あるが、なお頭を水面に出し得ない状態でありますので、今日の状態は非常に苦しい状態だと見るのでありまして、私の考えとしては、来年度くらいはかかると思うのですが、大方の企業が頭を水面の上に出すという状態に持っていきたい。その間物価政策につきましても十分配慮しながらやっていく。そういう観点において公共料金政策につきましても、これは十分慎重を期さなければならぬという見解でございます。
  161. 和田耕作

    和田(耕)委員 いまの不況対策は非常に不十分なのでもっと強化しろという意見の中には、減税政策をとれあるいはもう一%ぐらい金利を下げろという有力な主張もあるようですけれども、こういう種類の主張は、副総理としては余り好ましくもないし、やる必要もないとお考えだろうと思うのですが、その点はいかがかということと、業態別に見れば非常にめんどうなむずかしい問題がたくさんあるから、必要なところに重点的に不況対策を実施する、つまり一般的な不況対策はこの程度にしておいて、困難なところに集中して不況対策をやるというお考えで今後の政策を実行なさるように私には思えるのですけれども、いかがでしょう。
  162. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 事は、総合的な経済運営という局面から見るのが基本だろうと思います。そこで、先ほど来申し上げておるとおり、調整期間第三年目である五十一年度中には、とにかくインフレのない成長、それの粗ごなしの基盤をつくり上げたいという見解でありますが、そういうことで経済の安定工作は実現し得ると私は思います。しかし、個々企業としてみると、それにはまだ十五ヵ月かかるじゃないか、その間待ち切れるかというような問題があるのです。非常に健全な経営をしてきた、まじめな企業運営をやってきたそういう人が、時間的関係なんかで待ち切れないという問題もあるのです。そういうような面につきましては、金融政策、これなんかずいぶん貴重な役割りを演じなければならぬだろう、こういうふうに思うわけですが、ミクロ的には出てくる、待ち切れない、こういうようないろいろな現象に対しましては、これはケース・バイ・ケース、適当な対策を講じなければならぬ、こういうふうに考えています。
  163. 和田耕作

    和田(耕)委員 じゃ、もう一点。いま福祉関係の人たちは非常に心配しているんですね、国家財政あるいは地方財政の逼迫のツケが結局自分たちのところへ回ってきやしないかということを。社会保障の中でも幾つかの柱があるわけですけれども、といって、赤字でもってとても金がないという場合もありますけれども、社会保障の中心的な問題を賄うための目的税のような発想というものが必要になってきやしないかという感じがするんですけれども、これいかがでしょうか。
  164. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 社会保障を充実しょうとしますと、やはり財源が要るわけですね。その財源につきましては、どうしても低成長時代に入りますので、そうパイ全体が大きくはならない、そういう中ではありますけれども、その配分につきましては社会保障に傾斜をした割り振り方をしなければならぬ、こういうふうに考えておるんです。  しかし、それでも足りない、こういう事態が起きてくるかもしらぬ。それに対しましては、新しい負担を国民に求める。たとえば保険料の引き上げをするとかなんとか、そういう問題が起きてくるだろうと思うのですが、その社会保障費の負担をどうするか、そういう問題につきましては、国民の気持ちの動き、そういうものもよく見詰めなければならぬと思います。  まあ、低成長化に移るパイの中で、なるべく社会保障という方面にはそのシェアを拡大はするものの、成長それ自体、パイ自体が小さくなりますから、いままでのような大幅な伸び率ということに全体としてならない可能性があるわけです。それを補足するために特別の負担制度を設けるか設けないか、これは国民がどういうふうにそういう施策をながめるか、国民から見て、いい面もあるし、また悪い面、つまり負担の増加という面もあるわけですから、重要な選択課題になってくると思うのです。国民の意向なんかも十分くみ取りながらこれは結論を出す問題だろう、こういうふうに考えております。
  165. 和田耕作

    和田(耕)委員 非常にむずかしい局面だと思いますけれども、物価の安定というのは――この間どこかの世論調査を見ても、こういう不景気で雇用不安のときでも、やはり物価の安定というのは国民の一番大きな関心になっているという数字を見たことがあるのですけれども、やはり全体として物価が安定するということは非常に大事なことだと思いますので、ひとつ……。といって、景気の問題を、雇用を含めた問題を軽視すると非常に冷たい政治になると思いますから、必要なところには十分な機動的な政策を打ちながら、ひとつ物価の安定をしっかり見守ってやっていっていただきたいと田ひいます。  これで質問を終わります。
  166. 横山利秋

    横山委員長 次回は、来る十六日火曜日、午前十時から理事会、午前十一時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会をいたします。     午後二時十五分散会