運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1975-11-11 第76回国会 衆議院 物価問題等に関する特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年十一月十一日(火曜日)     午前十時三十分開議  出席委員    委員長 横山 利秋君    理事 越智 通雄君 理事 竹内 黎一君    理事 橋口  隆君 理事 松浦 利尚君    理事 山中 吾郎君 理事 小林 政子君       愛野興一郎君    加藤 紘一君       深谷 隆司君    山崎  拓君       加藤 清政君    和田 貞夫君       有島 重武君    石田幸四郎君       和田 耕作君  出席政府委員         経済企画政務次         官       安田 貴六君         経済企画庁長官         官房参事官   朴木  正君         資源エネルギー         庁長官     増田  実君         資源エネルギー         庁石油部長   左近友三郎君  委員外出席者         参  考  人         (石油連盟会         長)      石田 正實君         参  考  人         (全国石油商業         組合連合会副会         長)      笹野 好男君         参  考  人         (社団法人全国         燃料協会会長) 野尻 東一君         参  考  人         (宮城消費生         活協同組合連合         会事務局長)  釜萢 勝宏君         物価問題等に関         する特別委員会         調査室長    芦田 茂男君     ————————————— 十一月六日  公共料金等値上げ中止に関する請願太田一  夫君紹介)(第一五七〇号)  同(福岡義登紹介)(第一五七一号)  同(田中美智子紹介)(第一六七三号)  同(中路雅弘紹介)(第一六七四号)  同(野間友一紹介)(第一七一七号)  公共料金値上げ反対等に関する請願平田藤  吉君紹介)(第一五七二号)  同(栗田翠紹介)(第一七一八号)  同(小林政子紹介)(第一七一九号)  同(田中美智子紹介)(第一七二〇号)  同(庄司幸助紹介)(第一七二一号)  同(中路雅弘紹介)(第一七二二号)  同(野間友一紹介)(第一七二三号)  公共料金抑制等に関する請願東中光雄君外  一名紹介)(第一六七五号)  同(庄司幸助紹介)(第一七一五号)  同(寺前巖紹介)(第一七一六号)  インフレ物価抑制に関する請願内海清君紹  介)(第一七二四号)  同(小沢貞孝紹介)(第一七二五号)  同(玉置一徳紹介)(第一七二六号) 同月十日  公共料金抑制等に関する請願渡部一郎君紹  介)(第一八三八号)  公共料金等値上げ中止に関する請願野間友  一君紹介)(第一八三九号)  同(林百郎君紹介)(第一八四〇号)  同(増本一彦紹介)(第一八四一号)  同(三浦久紹介)(第一八四二号)  同(山田太郎紹介)(第一八四三号)  同(石母田達紹介)(第一九〇八号)  同(梅田勝紹介)(第一九〇九号)  同(紺野与次郎紹介)(第一九一〇号)  同(田代文久紹介)(第一九一一号)  同(中路雅弘紹介)(第一九一二号)  インフレ物価抑制に関する請願折小野良一  君紹介)(第一八四四号)  同(小宮武喜紹介)(第一八四五号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  物価問題等に関する件(灯油価格問題)      ————◇—————
  2. 横山利秋

    横山委員長 これより会議を開きます。  物価問題等に関する件、特に灯油価格問題について調査を進めます。  本日は、灯油価格問題につきまして、参考人として、石油連盟会長石田正實君、全国石油商業組合連合会会長笹野好男君、社団法人全国燃料協会会長野尻東一君、宮城消費生活協同組合連合会事務局長釜萢勝宏君、以上の方々に御出席をいただいております。  この際、一言ごあいさつを申し上げます。  参考人各位には、御多用中のところ御出席をいただき、まことにありがとうございます。  灯油価格等の問題につきましては、十月一日からOPEC原油価格一〇%の値上げがなされ、わが国内においても、国民生活と密接な石油製品価格動向は、国民の最も深い関心を集めているところであります。  かかる大幅な値上げに対応するため、政府としても目下石油審議会を通じて新価格体系づくりの作業に取り組んでおり、需要期を目前に控えた住民は、灯油価格動向、その安定確保について不安に駆られております。  昨年の灯油価格については、指導価格の浸透により一応の混乱は避けられたものの、今期は、灯油備蓄確保観点から、政府は、六月一日、元売り仕切り価格撤廃を行い、その後じり高傾向をたどり、十月には全国平均十八リットル当たり店頭渡し価格六百六十五円になっています。一方、去る十一月七日から開かれた全国消費者大会においても、民生用灯油価格引き上げに反対する諸要望がなされております。  灯油問題は、需要期を控え、国民の最も関心の深いものでありますので、この際、石油精製元売り業界流通業界及び消費者代表方々に、それぞれの立場から、実態と対策について御説明、御所見を伺い、灯油動向を明らかにいたしたいと存じます。何とぞ本問題について忌憚のない御意見をお述べ願いたいと存じます。  次に、議事の進め方でございますが、最初増田資源エネルギー庁長官から家庭用灯油供給価格の安定について説明を聴取した後、石田参考人笹野参考人野尻参考人釜萢参考人の順序で、お一人十分程度要約して御意見を賜り、その後、委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。  なお、念のため申し上げますが、参考人委員長の許可を得て御発言を願い、また、委員に対しては質疑ができないことになっておりますので、さよう御了承ください。  まず、政府から説明を求めます。増田資源エネルギー庁長官
  3. 増田実

    増田政府委員 石油及び石油産業現状から簡単に御説明いたしたいと思います。  石油をめぐります最近の状況を見ますと、昭和四十八年末のOPEC値上げ以来、原油価格は四倍強と大幅に上昇いたしました。一方、石油製品価格につきましては、昨年の八月に、それまで行ってきておりました指導撤廃いたしまして、原則として自由となりましたが、産業活動全般にわたる停滞等のために、原油代上昇等を十分に償うまでの水準に至らず、このため石油企業は、昭和四十八年度下期以降三期連続の大幅な赤字を計上しております。  さらに、本年十月一日以降再びOPECによる原油値上げが行われ、このままで推移すれば、わが国の総エネルギーのうち七八%を占める石油製品安定供給、ひいては産業活動及び国民生活の基盤が大きく揺らぐ危惧さえ生じております。  当省といたしましては、このような状況にかんがみまして、十月一日以降のOPEC諸国値上げを踏まえて、今後の石油製品価格あり方につきまして、現在石油審議会において議論をいただいており、十一月末を目途に結論を得ることとしております。さらに、石油産業構造問題等石油政策全般の見直しにつきましても、現在総合エネルギー調査会石油部会におきまして種々の検討を行っているところであります。  次に、家庭用灯油につきましては御説明申し上げますが、家庭用灯油につきましては、当省としては、一般消費者、特に寒冷地域における消費者にとって必要欠くべからざる物資として、従来からもその供給価格の安定に細心の注意を払ってきたところであります。その際、家庭用灯油季節商品という性格を有していることもあり、量と価格バランス確保がとりわけ困難な問題となりますが、当省といたしましては、全力を挙げてこれに取り組んでまいりました。  過去の経緯を踏まえて具体的に申し上げますと、すでに昭和四十八年の九月、これは石油危機以前でございますが、買い占め及び売り惜しみ行為が生じないよう生活関連物資等の買占め及び売惜しみに対する緊急措置に関する法律の対象物資として指定を行っており、また石油危機直後の四十八年十一月には、価格高騰を防止するため、末端小売り価格につきまして十八リットル店頭売りを三百八十円となるよう指導を行い、さらに翌年、四十九年一月には、この水準国民生活安定緊急措置法に基づき標準価格として設定いたしました。  この標準価格の設定に対応して、元売り仕切り価格につきましても、四十八年十一月の水準各社平均一万二千九百円、これはキロリットル当たりでございますが、一万二千九百円で凍結することとし、この指導は四十九年三月に他の石油製品につきまして平均八千九百四十六円、これもキロリットル当たり平均八千九百四十六円の引き上げを認めました際にも、家庭用灯油のみは需要期が続いていることにかんがみまして、六月まで据え置くこととし、需要期の終わった六月に軽油A重油工業用灯油等の他の中間留分価格水準を勘案いたしまして、各社平均キロリットル当たり二万五千三百円となるように指導内容を変更いたしました。なお、その際、小売り標準価格につきましては、供給の安定により異常な価格変動が避けられるとの判断により、これを撤廃いたしました。  昨年の需要期におきましては、このような措置により需要期まで十分な在庫量確保するよう強力に指導しました結果、小売り価格は比較的平穏に推移し、需要期の終わりには十八リットル入り店頭価格で六百円を割るなど、おおむね良好な結果を得ることができました。  この間、元売り仕切り価格につきましては、先ほど申し上げましたように、各社平均キロリットル当たり二万五千三百円にとどまるように指導を行ってきたわけでございますが、その間に原油代値上がり等コスト上昇があり、二万五千三百円という水準平均コスト相当に下回るというようになりました。  一方、工業用灯油軽油A重油等はある程度値上げが実現され、本年五月ごろでは家庭用灯油価格との間に三千円から四千円以上の格差が生じ、家庭用灯油の他の中間留分への横流れ等のおそれも生じてまいりました。  このような状況にかんがみまして、本年六月、本需要期に対する十分な在庫量確保する観点から、元売り仕切り価格に関するそれまでの指導撤廃し、市場の実勢にゆだねることにいたしました。しかしながら、指導撤廃後も家庭用灯油価格が不当に値上げされないように、元売り仕切り価格につきましては、工業用灯油軽油A重油等中間留分価格と適正なバランスを保たせるという観点から指導を行ってまいりました。  また、末端小売り価格につきましても、便乗的な値上げを極力行わないよう販売業者に対し要請をいたしますとともに、不当な値上げがあった場合は、都道府県、通産局とも連絡をとりつつ個別に指導を行ってまいりました。  さらに、家庭用灯油が重要な生活物資となっております北海道あるいは東北地方につきましては、本来ならば輸送距離等のためコストがよりかかるという面もありますが、元売り仕切り価格北海道におきましては本土並みとするように指導を行いますとともに、道庁、通産局とも連絡をとりつつ、共同購入大量割引積極的活用を奨励してまいりました。  一方、家庭用灯油在庫量につきましても、産業活動停滞等により全体の原油処理量が落ち込んでいる中で、得率アップ等措置により十分な灯油在庫確保されるよう、個別に企業指導を行ってまいりました。  ところで、現在家庭用灯油動向を見ますと、価格につきましては、元売り段階ではキロリットル当たりほぼ二万九千円ないし二万九千六百円となっており、これはさきに述べました当省の指導方針、つまり中間留分のほかの品種との間のバランスを維持するという指導方針に沿ったものとなっております。また末端小売り段階では、当省のモニター調査によれば、十月現在で十八リットル店頭売り価格が六百六十五円となっております。さらに在庫量について申し上げますと、石油供給計画で想定いたしました九月末五百九十二万キロリットルを上回る六百万キロリットルを超える水準確保し、本需要期における今後の生産と相まちまして、量的不足は生じないと考えております。このように、これまで家庭用灯油については、価格面におきましても、また量的にも種々政策的配慮を加えてまいりました。  なお、今回のOPEC値上げの問題につきましては、先ほど申し上げましたように、現在石油審議会において、十一月を目途石油製品全体の価格あり方が検討されており、家庭用灯油についてもその一環として議論をいただくこととなっておりますが、いずれにいたしましても、家庭用灯油については、民生必需品であることにかんがみ、今後とも不当な値上げ買い占め売り惜しみ行為が行われないように十分監視指導をしていくことといたしております。     —————————————
  4. 横山利秋

    横山委員長 次に、参考人各位の御意見を賜りたいと存じます。  まず、石田参考人にお願いいたします。
  5. 石田正實

    石田参考人 私、石油連盟会長石田正實でございます。  本日は、灯油問題に関し意見開陳機会を与えられましたことを厚く御礼申し上げます。  本題に入ります前に、わが国石油産業現状と当面する問題点につきまして説明さしていただきたいと存じます。  すでに御案内のことと存じますが、石油精製元売り業界は、昭和四十八年の秋にOPEC諸国原油価格を一挙に約四倍程度引き上げましたにかかわらず、これを販売価格に転嫁できない等の事情によりまして、今日まで石油業界連続四期赤字決算ということになりまして、膨大な累積赤字が出ておるわけでございます。なお、その逆ざやはまだキロ当たり約千五百円というのが残っておるというような状態でございます。しかもこの九月二十七日にはOPEC諸国標準原油のアラビアンライトで約一〇%の値上げを行いましたわけでございまして、この値上げによりまして、このままですと石油会社赤字というものはいよいよ大きくなりまして、破滅状態に陥るということが予想されるわけでございます。  もとより私ども企業社会的責任については十分自覚しておりまして、いたずらに価格引き上げを行って過剰な利益を追求しようという気持ちは毛頭ありませんが、企業経営が長期にわたって赤字のまま推移する場合にはこれに対する社会的信用を失いますし、また企業としての存立もむずかしくなるということでございまして、私ども、何とかして企業存立が可能な最低限の販売価格を実施したいと懸命に努力しているところでございます。  そもそも石油製品の八割というのが原油価格でございまして、その原油価格が、前述しましたように、OPECという世界的な強力なカルテルによって独占をされておるわけでございますので、私ども合理化の余地というものがほとんどないわけでございまして、今後ともわが国石油安定供給するためには、OPECによって引き上げられました価格をどうしても広く需要家各層に負担願うよりほかに方法がないわけでございます。  次に灯油の問題について説明します。  御案内のとおり、石油というのは連産商品でございまして、原油を処理しますと一定の割合でガソリンとかナフサ灯油軽油重油さらにはアスファルト等各種石油製品が生産されるわけでございます。したがいまして、このうち灯油だけを低価格に抑えるということになりますと、ほかの石油製品値上がりせざるを得ないわけでございます。たとえば軽油でございますと、軽油はバス、トラック用でありますので、その値上げは、結局公共性の高い輸送費高騰を招く原因になるわけでございます。またA重油値上がりは、漁業活動とか野菜のフレーム栽培等農業活動にたちまち影響してまいります。またナフサ値上がりは、都市ガス価格引き上げることになりまして、国民生活に大きな影響を及ぼすわけでございます。なお重油値上がりは、電力コスト上昇あるいは他の重要物資コスト上昇を初めといたしまして、結局国民経済に強い影響を与えるということになるわけでございます。  この点から考えますと、灯油一般家庭で直接消費されるわけでございますので、家庭の方には大変気の毒な感じがするわけでございますが、この世界石油情勢、なお灯油というものがほかの石油製品連産品であるということを十分御理解願いたいと存ずるわけでございます。  なお、灯油価格につきましては、欧州諸国から見ますと、欧州では、連鎖反応が少ない商品としまして、政府指導によって多少価格を高くしていると聞いておりまして、それによりまして国民エネルギー節約を求めておるという実情でございます。この点、わが国灯油価格は国際的に見まして相当割安になっておるわけでございます。  なお、冬の暖房費として灯油をほかのものと比べてみますと、都市ガスの約二分の一、プロパンの三分の一、電気の四分の一程度値段であるわけでございます。これは千カロリーで換算した値段でございますが、そういうことで相対的に灯油はまだまだ安いということが言えると思うわけでございます。  なお、灯油はほとんど暖房用厨房用でございますので、この需要季節によって非常に違うわけでございまして、実際に年間の消費から見ますと、夏場が一に対しまして冬場が三倍になるというような数字になっておるわけでございます。したがいまして、われわれ石油業界としましては、この冬の需要のために相当大がかりなタンク能力を持ちまして、そしてあらかじめ冬の需要に対して備蓄をするわけでございます。今年も九月末で約六百万キロの在庫をしておるわけでございまして、これは冬場の千二百万キロの約半分でございますので、この冬の供給については十分安定供給ができるものと考えておるわけでございます。しかし、そのように備蓄するためにはタンク設備だとかその金利というようなものが非常に大きなものになりまして、灯油というものはそういうために相当高い備蓄費用がかかるということを御承知おき願いたいと思うわけでございます。  以上のとおり、私どもOPEC値上げ影響を全面的にかぶってきまして、企業存続の限界まで来ておるわけでございますので、どうしてもここで価格の是正が必要ということになるわけでございます。もちろん、私ども大口消費者であります電力、鉄鋼、石油化学等の各業界に対しても強く協力を求めておるところでありますが、同じく家庭皆さん方に対しましても、家庭用灯油がある程度値上がりすることについては、やむを得ないこととして御理解を賜りたいと思うわけでございます。  繰り返して申しますが、世界石油情勢は、OPECの協定によるたび重なる原油値上がりによりまして、全くその様相を一変し、世界じゅうの石油消費者はすべて何らかの負担増ないしは節約をせざるを得なくなっておるわけでございます。御承知のとおり、日本ではその石油の九九・七%、ほとんど一〇〇%近いものが輸入されておりますし、また石油エネルギー中における約八〇%に近いものを占めるというような現状でございます。それだけに、世界的に見ましても、日本石油に非常に依存しておるわけでございます。したがって、この石油による国民経済に対する影響というものは非常に大きいわけでございますが、何分この石油基礎物資でありますことを考えまして、安定的確保のためには、どうしてもそのコスト国民全体で広く負担していただかなければならないものと考えておるわけでございます。  何とぞ私どもの意のあるところを御理解賜りますよう心からお願い申し上げる次第であります。
  6. 横山利秋

    横山委員長 ありがとうございました。  次に、笹野参考人にお願いします。
  7. 笹野好男

    笹野参考人 私は、ガソリンスタンドの全国団体でございます全国石油商業組合連合会の副会長笹野好男でございます。  本日、灯油問題につきまして、流通販売を担当しております私ども意見を述べさせていただける機会をお与えくださいましたことを感謝申し上げます。  灯油問題につきまして、需給の関係やあるいは新価格体系に伴う今後の元売り価格動向につきましては、ただいま資源エネルギー庁長官または石油連盟会長等の御説明がございましたので、私ども流通秩序を担当しております関係で、その立場において実情説明申し上げまして、そして灯油につきましては、特に流通経費適正化をお願い申し上げたく存じます。  われわれの灯油販売機構は、全国二千万世帯に及ぶ一般家庭へスムーズな供給確保するために、密集地とか過疎地を含めてきわめて膨大な数の販売拠点が必要でございます。一部には流通簡素化が叫ばれておりますが、二千万消費者のあらゆる要請にこたえるためには、おのずから毛細血管のような配給機構が必要でございます。  そこで、先ほどもお話がございましたように、昭和四十九年一月十四日、標準価格三百八十円ということが通産当局によって設定されまして、その場合のいわゆる元売り仕切りでは、十八リッターかんに直しますと二百三十二円、流通経費は百四十八円でございました。その後四十九年の六月一日に、やはり元売り仕切りが上がりましたので六百三円、これも通産の御指導でございましたが、その後八月の十六日に小売指導が解除になりまして、そして元売り仕切りがまた五十年の六月に二万九千九百円から三万円近くに上がったわけでございます。  しかし、この間、われわれは、モニターにもございますように、大体百四十八円という経費昭和四十八年の十一月ぐらいからこれを実施しておりまして、その元売り仕切りが上がるたびにわれわれといたしましてはやはり経費がふえてまいっておりますので、お願いをしておりましたのですが、実際にはそれが、通産の極力それを抑えるという御指導のもとに忠実に守ってまいりました結果、依然として現在百四十八円程度のものでございますが、それから考えますと、その後実際には物価あるいは人件費等が三〇%、三二%あるいはすべて上がってまいっておりますので、一年間の据え置きではとうていやっていかれないというのがわれわれの販売業界実情でございます。三三%流通経費を上げますと大体四十九円になりますので、それは十八リッターになりますと百九十七円になります。したがって、そういうものを加味しますと七百三十円から七百四十円ぐらいのかっこうになるんではないか。したがいまして、流通経費はあくまでも極力抑えるという御指導に沿いながら現在までやってまいりましたが、零細な企業でございますので、なかなかその経費が賄っていかれない。したがって、この中には、従来のような安値は何といっても政府値上がり抑制方針小売業者が忠実に守った結果でございまして、これは私どもの身を削るような犠牲の上に立ってこの灯油配給がなされていると言っても過言ではないかと思います。  いずれにいたしましても、われわれとしてお願い申し上げたいことは、従来の百四十八円が据え置きであれば、おそらく十八リッターかんで六百八十八円ぐらいな、従来どおり現在の価格でまいりますれば、やっていけるかと思いますが、それはとうていかなわないというような現状でございますので、少なくとも四十九円、五十円程度のものをプラスしていただいていかないと、スムーズな流通がなされないのではないかというふうに考えております。全国の三千万と言われる灯油消費者家庭に密着しております小売店あるいは零細企業でありますわれわれに対しまして、適正な生活の糧を得さしていただきたいというのがわれわれの願いでございます。  大体そのような形で推移いたしておりまして、もちろん国の政策をわれわれは十分忠実に守っていくことには少しも変わりませんが、そのような形で廃業する者も相当続出してきているというような現状から見ますと、何といってもそういうような形は、われわれといたしましても見ているわけにはまいりませんし、われわれ自体が困窮いたしておりますので、そういった今後の価格等についての御理解をいただきたいと、かように考えておりますので、よろしくお願いいたします。
  8. 横山利秋

    横山委員長 ありがとうございました。  次に、野尻参考人にお願いいたします。
  9. 野尻東一

    野尻参考人 全国燃料協会会長野尻東一灯油の問題特に家庭用灯油につきまして意見を述べさしていただきます。  まず、家庭用灯油流通経路につきましては、大体十三の元売り会社がありまして、そこから特約販売店に流れまして、それから小売商に流れます。その間にまた仲卸商なども入るのでありますが、大体そういう経路が一番多いのであります。  で、特約販売店はどういう企業かと申しますと、大体いままでの燃料問屋、要するに炭問屋であります。そのほかに練炭のメーカー、また石油の専門店もあります。また商社もあります。それらが特約販売店となりまして小売商の方へ流します。小売商には、大体三十三年ごろから炭屋さん、要するに燃料商の木炭が斜陽になりましたので、それにかわって灯油家庭の燃料として販売したということで、大体最初は燃料商が開拓もし、大部分を売っておったのでありますが、その後酒屋さん、荒物屋さん、米屋さんあるいは臨時アルバイト、あるいはガソリンスタンドというものが小売商として直接消費者の方に接するようになったわけであります。そしてこの小売商が十万店以上ありまして、消費者の間に毛細管のように密接して配給しているわけであります。このほかにもいろいろな経路はありますが、大体そうなっております。  それから、それでは運搬の方法はどうだということであります。結局、石油基地、製油所から十キロローリー車で小売店へ参ります。小売店で十キロローリー車を全部タンクへとってしまう能力のあるお店は少ない。中にはありますが、少ない。これが一番理想的でありますが、ただしその小売店消費者と至近距離にいなければ何にもならぬということでありますので、なかなかむずかしい。十キロタンクを持っておりましても、その中に二キロ、三キロ残っておりますと十キロ全部はとれないということでありまして、二軒であるいは三軒で分けなければならないというようなことであります。また道路が狭いために十キロローリー車が直接そのタンクのところへ寄れないときは、一度問屋のタンクに入れまして、そしてそれを小分けしてローリー車で分ける。また地下タンクも都心あたりですとなかなか設備が困難でありますので、それがないとドラムかんに二百リットルを入れてこれを持っていくということをやっております。またある小売店では、十八リットルかんを問屋へ持っていって、それに詰めてもらって、それを持ってきて売っているというようなことであります。御承知のように、家庭用灯油は冬季大変需要があります。そして危険物でありますし、流体物でありますので、たくさんの備蓄はできないので、どうしてもこの輸送が毎日かあるいは一日置きか、あるいは一日に数回もそこのうちへ持っていかなければ間に合わないという状態であります。  次に、今冬の需給の見通しはどうだ。先ほど長官あるいは石連の会長から十分間に合うようなお話ですが、われわれ配給業者としては全部安心するわけにはいかない、こう思います。いままでいつもこの冬の灯油は間に合うということでありましたが、たびたび間に合わなかったことがある。先ほど五百九十二万キロ、九月末に在庫ができたと言うけれども、これから先、やはり需要供給関係がありますので、はたして十分にできるかどうか、私は心配するものであります。特に精製会社が赤字生産をしているという問題がありますので、これを非常に心配するものであります。特に不足したときに最も困るのはわれわれ流通業者であります。と申しますのは、いつもなくなったとき報道陣が通産省へいろいろ聞きに行きますと、いままでの歴代の長官は、なに十分間に合っているわけだ、こう言います。それから石連あたりに聞きに行きましても、前年比こうだから足りないわけはないと言うけれども、実際に足りなくて、消費者と接しているわれわれはいつも困るわけでありまして、どうか、ただ九月末の在庫が間に合ったから今度は間に合うというような安心した気持ちでやっていかないようにひとつお願いしたい、こう思います。  次に、流通経費の問題ですが、先ほども全石の副会長が話されたと思いますが、簡単に申し上げますと、四十八年仕入れが十二円九十銭のとき三百八十円、それから四十九年二十五円三十銭に上がったときこれが六百三円。本年の五十年になりまして二十九円七十銭、このときが六百八十三円、こういう十八リットルの相場が大体できたわけであります。この相場につきましては、あるときは禁止令で大臣発表、あるときは石油業法による標準価格、あるときは指導価格ということでいろいろやってきましたけれども、いずれにいたしましても、この流通経費元売りから業者を通しまして消費者に行く全部の流通経費が百四十八円ということになっております。御承知のように、人件費は中小企業でも六八・一%、労政局の発表でも上がっております。われわれは三年間も同じマージンでは人も雇えない、自分たちも廃業していかなければならないというような情勢になっております。現にわれわれ燃料関係で、四十八年以後七十九軒の店が廃業いたしました。ことしあたりはまたほかの副業にやっておられる方も、どうも灯油については経費が出ないということで、相当やめられるのじゃないかと思うものであります。  では、標準価格でなくて指導価格ならば適当に売ったらいいじゃないか、どうして高く売れないのかというような御質問があると思います。それにつきましては、まず第一に通産省といたしまして、常にわれわれに前年度の流通経費より極力上げないようにという御指示があります。われわれはこの御指示を受けまして、協会員に全部その趣旨を通知いたします。次に灯油生活必需品として非常に重要なものになっておりまして、四十八年度に不当にも安く三百八十円に決めたということのために、消費者がそれから値が上がるのに対して非常に抵抗が強いということであります。そのほかに消費組合のいろいろな働きがありまして、われわれ非常に販売に苦しんでおります。たとえばわれわれ業界の仲間で、このくらいに売らなければやっていけないじゃないか、このくらいに売ろうじゃないかと言えば、公取に違反でつかまります。逆に消費者はみんな共同して、これ以下で買おうじゃないか、たとえば団地あたりで消費者が連合いたしまして、おまえのところこれ以下にしなければ買ってやらないぞ、灯油ばかりじゃない、ほかのものも買わないぞとおどかされれば、何としてもこれをよろしゅうございますと言って売らざるを得ないということであります。また、われわれがいろいろ物を買いますのに、それの原価というものはわかりません。幾らで買っているかほとんどわからない。ほかの店より安いからまあ安いだろうということで買いますが、灯油につきましては原価、元売りサイドから出る値段がすぐ公表されます。だから、非常に、もうけてはいけない、このくらいにしろということを消費者に言われるわけです。またこれが生活必需品でありますので、目玉商品に使われる。金物屋さんなども灯油はもうからなくてもいいのだ、損しても売る、そうすれば金物が売れるじゃないかというような政策でやられるわけです。またテレビあるいは新聞なども、できるだけ上がらないように、消費者の味方といいますか、安く報道いたします。それからモニターども、どうも安いところ、安いところと調べてやっているわけであります。  ここに一つ日刊新聞がありますが、ここに「灯油高値」と大きく出ております。「早くも六百六十五円 一かん・全国平均 昨年より六十円高通産省の調査 在庫は十分なのに?」こういう記事が出ております。いかにもわれわれが六十円よけいもうけて最近売り出したというように感じるように書いてあります。しかしながら、われわれの仕入れは四千四百円ぐらい、キロで上がっておりますので、結局十八リッターで八十円上がっております。それなのに、六十円上げては非常に不当であるというようなことを書いてありますので、非常にわれわれが苦しんでいる次第であります。  最後に、消費者と申しますか、国民の皆さんにお願いしたいのは、家庭用灯油が余り高くならないということは、われわれも努力いたしますが、元売りさんが赤字、逆ざやで精製している、販売しているということでは、安定供給に対してはどうも責任を持ってもらえないというような気がいたしますので、多少高くてもがまんしていただきたい。また、流通業者に対しては、最低の賃金ぐらい確保するようにお支払いを願いたい。一家庭で一月の消費量は大体四かんであります。百円上がりましても、大体一家庭で一月四百円であります。しかしながら、北海道あたりの極寒地は、それの比例にはならないと思いますが、それにつきましてはいろいろ特別なる配慮と申しますか、企業側としても越冬燃料資金とかいうものをふやしていただかなければならないとは思います。それで、この百円上げましても決して家庭用灯油は局くない。物価指数から申しましても、ほかのものと比べて決して率が上がってない。ほかのものよりも物価指数で低いところにいる。また、同じ燃料関係都市ガス、電気に比べましても、灯油が百円といたしますと、それだけのカロリーを出すのには都市ガスは百八十円、電気は三百十二円というような計算も出ておりますので、どうかそういうことをひとつあれして、がまんしていただきたいと思うものであります。  それから最後に、消費者の大多数の人が家庭用灯油を買うのに、どういうことを希望しているかということでありますと、必要なときに必要な量だけ一番手近なところから買いたい、これが多くの一般家庭の主婦の考えであります。たとえば必要なときというのは、きょうなくなる、今晩までに持ってきてください、これをお願いしたい。いろいろ何曜日に集まりますから、何曜日に配給がありますからということは余り好まない。自分がいつでも欲しいとき、また必要な量だけ  結局一かんあればいいわけです。それを三かんとか五かんとかまとめてとりなさい、そうすれば安いということは、非常に消費者、一般の家庭の人は喜ばない。特に、消防方面でも、余り安いからといって多く買わないようにという指導があります。一家庭で五かんずつも買って、マンションあたりで百軒もあって五百かんも入れたらば、火事のときどうするんだというようなこともよく言われておりますので、そういう点もお考え願いたい。そうして、どこどこへかんを持って集まれということも困る。自分の近所にお願いしておけば、持ってきて自分のかんに入れてくれるというようなことを希望している、こう思いますので、大多数の人がこういう意見であるということもひとつ記憶していただきたい、こう思います。  いずれにいたしましても、石油は大多数が輸入品であります。石油パニックもいつ起こるかわかりません。危険物でありますので、石油に対してはある程度流通機構の制度化も必要じゃないかと存ずるものであります。  長い間ありがとうございました。
  10. 横山利秋

    横山委員長 ありがとうございました。  次に、釜萢参考人にお願いします。
  11. 釜萢勝宏

    釜萢参考人 消費者立場から家庭用灯油価格について意見を述べさせていただきたいと思います。  新聞等での談話を拝見いたしますと、しばしば今日の石油業界赤字家庭用灯油が安いために、これが主な原因であるかのように言われておりますけれども、しかし、これがそうでないということは、これまでの国会等の審議の場を通じても明らかになっていることではないかというふうに思います。  今日のいわゆる赤字の原因は、電力や鉄鋼、セメント、紙パルプなど、いわゆる大企業向けの油種のナフサ、C重油等の油種が、元売りメーカーの思いどおりに値がとれていないということであります。これはたとえば今年六月五日の当委員会での資源エネルギー庁左近石油部長の答弁、最近では十一月四日の参議院予算委員会での河本通産大臣の答弁などからも明らかになっていることと思います。生産得率で五〇%を占めるこれら二つの油種が日本経済の不況で販売が不振である、したがってまた値取りが不十分である、こういう状況が経営に否定的な影響を与えるのは当然でありまして、ここに赤字の最大の原因があるというふうに私どもは考えております。  そしてまた、業界を一まとめにしての赤字論にも私は問題があるというふうに存じております。十月三十日発表の日本石油の本年度上期の中間決算では、税引き後利益は八億八千五百万円、為替の差益が六億六千万円、一株当たり三円の配当、新聞によりましても好決算という表現を用いているのであります。こういう黒字経営の会社も含めて業界赤字論が振りまかれていることは、かなり意図的なものが底にあるのではないかというふうに判断せざるを得ません。  それでもどうしても赤字だというのであれば、経営をオープンにして原価を公開し、消費者に対してむしろ積極的に納得を得る努力をすべきであります。それをこの六月以来、私どもが各地方での元売りの支店等と話し合いを持ちましても、いわゆる通産省のお墨つきをもらったと称して、消費者の声は聞く耳は持たぬという態度は、私はとうてい容認しがたいものであります。  論を元に戻しまして、今回の販売価格の標準額の設定をも一含む再値上げの問題であります。  これは十月三十日の石油審議会で了承されたナフサ、C重油値上げ参考値も十分に達成し得ないのではないか、この未達成分も見込んで家庭用灯油にもその分を負担させる形で値上げが企図されているのではないかという点で、私は理屈に合わないものであるというふうに考えます。したがって、家庭用灯油についてはこれ以上手をつけるべきではないというのが全国消費者の声であります。  次に、家庭用灯油価格決定に当たっての消費者立場について述べます。  さきに述べた大口需要家向けの油種価格は、その決定に当たっては実におおようなものであると言わざるを得ません。たとえば、前年の上期に納入したものが次年度の下期になってもまだ価格の折り合いがついていないという例もあるいわゆる後決め方式であります。これほど待っても、今日の状態が示すように、大企業の抵抗に遭って値上げができないでおります。  これに対して国民のほとんどが需要者である家庭用灯油の場合はどうでしょうか。流通機構の違いがあるとはいいながら、値決めのための相談を私どもは一度も受けたことはございません。どうして決められたのかわからない価格が、勝手に決められた期日からほとんど一〇〇%値上げが通ってしまうのが家庭用灯油であります。ましてや今回のように、ナフサ、C重油を中心に、行政当局の手で引き上げようということに及んでは、これでは行政の不公正、片手落ちであると私は思っております。物価抑制と社会的不公正の是正、これを最大のスローガンにして登場した現内閣のすべきことではございませんというふうに私は申し上げたい。この意味で、きわめて抵抗壁の弱い消費者が使う灯油は、政治の力でこのまま据え置くよう強く主張したいと思います。そして元売りメーカーに対しても、安易に通産省の手を借りて値上げに走るのではなく、まず消費者と納得のいくまで十分に話し合え、それから相談に来い、こういうふうに指導するのが行政の姿ではないでしょうか。  全国消費者は、六月の元売り指導価格撤廃があって、その後もう今需要期途中での値上げはないというふうに信じていました。事実エネルギー庁との話し合いでも、これからはあっても実勢にゆだねた微調整であろう、こういう発言を信じ切っていたわけであります。需要期中途での値上げは過去にも例がありません。これがやられれば、各地の団地生協を初めとする共同購入を初めとして、大きな混乱が起きることは目に見えております。  勤労者の今春のベースアップは一三%そこそこであったものが、これをすでに上回って一七%以上も灯油は上がっております。ここで再値上げされても、私どもは来年の四月を待たなければ賃金のアップはございません。それもこの不況下でベースアップ一けた台論が早くも出るなど、先行きに大きな不安を持っております。この点からも、最低でも来年三月までの据え置きを主張するものでございます。  全国消費者は四十八年からの石油パニックをまだ忘れてはおりません。病人や赤ん坊を抱えた家庭では、灯油が来ないために近所に配られたたった十八リットルかんから一升びんに分け合って、そこの家庭に届けたという例も私どもは経験しております。国会の場で明らかになった千載一遇のチャンスやにせの通産省の通達、売り惜しみなど、政府みずから、諸悪の根源と言ったほどでございます。そして四十八年十二月から翌年一月までのわずか二月間で、通産省が公表しただけでも六百億円もの不当利益を上げた石油業界消費者への罪滅ぼしは、基本的にはいまだ終わっていないというふうに考えております。この意味からも、OPEC値上げがあったとしても、最低明年三月までの据え置きを強く主張するものでございます。  宮城県議会が政府へ送った低水準価格を求める意見書や、あるいは北海道の副知事を先頭に八月中旬に上京した陳情団の要請文は、一致して家庭用灯油は積雪寒冷地の住民にとっては主食にも匹敵する生活必需物資であるということを指摘しております。これは高いからといって使わないわけにはいかない商品であります。節約にも限度があります。宮城県の消費流通課の調査によっても、実に八八・七%の人が何らかの意味で節約をしております。多少の不便をしのいでむだを省いているとか、あるいは暖房効果が上がるような手を加えているとかいうことを県民のほとんどがしております。また、この商品は代替のきかないものでもあります。東北や北海道の住民にとっては、地方公共料金的性格を持つものと言っても過言ではございません。高くて買えないということがもしもあれば、生きるか凍え死ぬかの問題でもあります。  くどいようですが、どうか最低でも今需要期明年三月までは、現在の元売り価格をこのままの価格で凍結する措置関係各位の御努力でとっていただきますことを心からお願いする次第でございます。  以上でございます。
  12. 横山利秋

    横山委員長 ありがとうございました。  以上で参考人各位の御意見の御開陳は終わりました。     —————————————
  13. 横山利秋

    横山委員長 これより質疑に入ります。質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山崎拓君。
  14. 山崎拓

    ○山崎(拓)委員 それぞれの参考人の方にお伺いをいたしますが、私がお聞きする観点は、ただいまの最後の参考人のお話の中にも出てまいりましたが、この灯油価格というのは公共料金的な性格があるということは確かに間違いないことでございまして、そういうことからいわゆる灯油適正化コストを抑えていってメーカーの仕切り価格は一体どれくらいが適正か、それから流通段階における経費あるいはマージンというものは一体どれくらいが適正か、そして最終的にこの消費者向けの価格は、できるだけこれは安いにこしたことはございませんが、どのくらいに抑えられるか、こういう観点から、この価格はすでに行政指導がなされておることでもございますし、抑えられていかなければ、チェックされていかなければならない、こういう基本的な考え方を持っておるわけでございます。  そこで、まずメーカー段階でございます石連の会長にお伺いをいたしますが、先ほど来お話の中で、非常に大きな赤字が、これはもう巷間かなり知れ渡った実情だと思うのでありますが、最後の参考人のお話の中で九月末の決算で日石は黒字経営ではないか、こういう御指摘もあったわけでございます。そこで各社九月末の決算の状態というものが出てまいっておると思うのでございますが、赤字の実態をひとつ九月末の決算という時点でお話しをいただきたいのであります。
  15. 石田正實

    石田参考人 先ほど私、石油関係がこの九月で連続四期非常に大きな赤字を抱えたということを申し上げたわけでございますが、その原因でございますけれども、実はこれ昨年の三月十八日にさかのぼるわけでございまして、御承知のとおり、一昨年の四十八年の暮れに四倍に原油値上がりをしたわけでございます。それで大体去年の一月一日から四倍の原油になったのでございまして、一月の末にはその高い原油が入ってきた、こういうことでございます。それで私どもとしましては、できるだけ早くこの四倍になった原油というものを上げさせてもらいたいということを政府にお願いしたわけでございますが、政府の方では、物価政策の問題という点から、これが三月の十八日まで決定が延ばされたわけでございます。しかもその金額がキロ当たり平均八千九百四十六円というふうに、われわれの計算した数字から見ますと、相当低いところに抑えられる。  それからもう一つ、油種的にいろいろなアンバランスの問題がありまして、ガソリンが非常に高くて、そして重油安というようなアンバランスが出るようになったわけでございます。しかもこのために石油業会は非常な苦境に入ったわけでございますが、そのままの価格で昨年の八月十七日まで実際ずっとこられたわけです。しかも、八月の十七日解除になりましたが、政府の方では、物価問題もあるので、二カ月くらいはできるだけその価格にしてもらいたいという今度は行政指導でございます。そういうことで、実は九月末まで八千九百四十六円という値段で来たわけです。しかもこの間OPECの方では二回くらい値上げをやっておったわけでございまして、その値上げの分をしますというと九月末のわれわれの逆ざやというものは相当な、キロ四、五千円になっておったというふうにわれわれは考えるわけでございます。  それで、十月からわれわれ値上げにかかったわけでございます。ところが、すでに一般産業界が非常に不況に落ち込んでおりまして、しかも総需要抑制という政府の強い方針がございましたために、なかなか値上げができないというようなことで、極力値上げに努力しましたが、実際の三分の二くらいが値上げできなかったということで、先ほど申しましたように、会社によって違いますけれども、大体キロ当たり千五百円から二千円くらいのものが逆ざやになって今日まで来たというのが現実です。  そういうために、この石油業界赤字が、これは政府の発表された数字でございますけれども、四十八年の下期で百十億、四十九年の上期で二百二十七億、四十九年の下期で、ことしの三月がそれですけれども、九百二十九億、そのトータルがこの三期で千二百六十六億という赤字になっているわけです。しかも五十年の上期、この九月の決算でございますが、これは中間決算になっておりまして、これはある程度予想、推定の数字を含みますけれども、大体これが一千億というような赤字になっております。合わせますと二千三百億くらいのものが、この四期石油業界で負担した経常の損益の段階における赤字でございます。  しかし、実際は、このほかに株券を売ったり土地を売ったりというような資産の売却をやるとか、それからあるいは一部たな卸しの方法を変えるだとか、いろいろなやりくりをやっておるわけでございまして、そういう点から見ますと、実質的な赤字というものはこの赤字相当上回る膨大な赤字になっておるというふうに推定されるわけでございます。  そういうふうに、私ども業界は今度非常に大きな赤字を抱え込んだ。これはもちろん先ほど申しますような昨年の三月十八日以降の政府石油政策というものに起因するところが非常に大きい、こういうふうに私ども考えておるような次第でございます。  以上でございます。
  16. 山崎拓

    ○山崎(拓)委員 ただいまのお話によりますと、二千三百億という膨大な赤字の累積というお話でございますが、先般十月三十日に資源エネルギー庁で新しい価格体系、これはナフサ、C重油についてそれぞれ値上げのガイドラインが出たわけでございますが、これについてその後どのような状況になっておるのか。また、さらにOPEC値上げの問題があり、石油審議会で新しい価格体系の検討中であるということですが、OPEC値上げ状況はどういう内容になっておるのか。また、そのことの灯油価格への影響をどのように見ておられるか。以上のような点について、石田参考人にお伺いしたいと思います。
  17. 石田正實

    石田参考人 ちょっと済みません、もう一回御質問をお願いします。
  18. 山崎拓

    ○山崎(拓)委員 ただいまのお話で、非常に大きな累積赤字があるということでありましたが、これにつきましては資源エネルギー庁で先般新しい価格体系を示された。これはナフサとC重油に限ってでありますけれども、これに関してその後値上げ状況はどうなっておるのかということが一点。それからその次に、続いてOPEC値上げの問題があるわけであります。これについては石油審議会で現在新しい価格体系について検討中であるということでありますが、OPEC値上げ影響について石連ではどのように考えておるのか。どのような計算になっておるか。また、その中で灯油価格への影響についてどのように考えておるか。その三点。
  19. 石田正實

    石田参考人 わかりました。お答えします。  この前の十月三十日の石油審議会ナフサとC重油につきまして、いわゆる参考価格というものが示されたわけであります。これは先ほど申しましたように、石油業界は、昨年から引き続いてでございますが、キロ当たり千五百円ないし二千円というものが赤字になっておるわけでございます。これが回収につきましては、鉄鋼、電力、紙パ、セメント、それから石油化学、こういう各業界に対しまして極力値上げ要請しておったわけでございますが、何ぶん一方のユーザーの業界の方も非常な不況というようなことで、なかなか値上げが達成されないというような点もございましたし、一方われわれ石油業界としましては、だんだん赤字が重なっていくというようなことでございます。この点、エネルギー庁としましては、石油業界にこんなに赤字が累積されていきますと、結局石油安定供給に支障を来すのじゃないかというような観点から、この逆ざやになっておる千五百円ないし二千円というものをどういうふうにしたならば回収することができるかというようなことをいろいろ考えられまして、結局ナフサ価格で、いま大体二万五千円見当でございますけれども、これを二万八千三百円という値段、二千六百円上がりの値段で決められる。C重油を——いま一万七千円、これはまあサルファ分によって違いますが、三・〇のサルファで一万七千七百円というような値段でありますが、これを約二万円にするというような一つの参考価格というものを決めていただきました。これがキロ当たり二千三百円の値上がりになりますが、もちろんこれはエネルギー庁としましては一つの参考価格であって、交渉は石油業界需要家の方でひとつ話をしてもらいたいというようなことでございました。そういう価格体系が発表されまして、私ども業界にそれぞれその値段をもとにしまして値上げの交渉を目下やっておるというような状態でございます。先方に申し入れしまして時間が余りだっておりませんので、それに対する反応はまだ十分ありませんけれども、なかなか業界の方も非常に不況の折でございますので、これがどのあたりまで達成できるか、これを非常に疑問にしておるところでございます。  それから、その参考価格のときに、もちろんほかの灯油軽油A重油あるいは中間留分というものでございますが、そういうものについては業界自身で値上げをすべきじゃないか、こういうふうに指導されているわけでございます。そういう点で、一部灯油軽油A重油というものの値上げが行われておると思います。  それから第二点の、今度のOPEC値上げでございますが、この九月二十七日にOPECのウィーンの本会議で、スタンダードの石油でございますアラビアンライトを基準にしまして一〇%の値上げ、バレルとしますと一ドル五セントというふうな値上げが決まったわけでございます。それを基準にしまして各国それぞれ、サルファ分、比重、それからもう一つは運賃差、こういうようないろいろな条件を勘案しまして調整をやっておるわけでございまして、最終的にはまだ決まっていないようでございますけれども、今日までの状況で見ますと、日本に対する影響は大体八%前後じゃないか、初め一〇%というふうに見ておりましたけれども、結局そういう微調整で八%前後じゃないか、こういうふうに見られているわけでございます。  結局、そういうことを計算してみますと、これは油種によって違いますけれども、そのために、三百三円の為替レートで、しかもその八%上がりますと、精製費が上がる、それから金利が上がるというようなことを加えますと、大体二千円見当の値上がりになるんじゃないか、こういうふうに見ているわけでございます。これは各油種平均下期が大体一億五千万キロの数字でございますので、二千円としますと全体で約三千億という金になるわけでございまして、このまま放置されると、結局、またいまのような赤字の上に三千億というものを石油業界で負うというような形になるわけでございます。これを何とかして早く政府の方で値上げの方法を考えていただきたい。  同時に、この前の昨年の三月十八日におきます石油値上げというものが、いろいろ油種間におけるアンバランスがございます。そういう点も一緒にくるめて、この点を何とかひとつ示してもらいたいというようなことでお願いしておりましたが、この前の十月三十日の石油審議会で、結局、その新価格体系というものは、いわゆる石油業法による標準価格によってひとつやっていきたいというようなエネルギー庁の意向でございますので、目下審議会でそれが審議されておるわけでございまして、いずれその審議会で、どういうふうな値上がりになるのか、これが決まってくるだろうと思います。  結局、この標準価格というものは、石油業法にありますように、通産大臣がその価格を決められたものについて告示をするわけでございますが、しかし、これに対する罰則規定というものはもちろんございません。したがってその法律による効果といいますか、その点については、マル公とかそういうものと全然違うということでございます。結局、その値上げというものは、消費者の方の御理解にまつほかはない、こういうふうに考えておるわけでございます。  それから、これに関連しまして、第三点の灯油の問題でございますが、灯油の問題につきましては、これは全国消費者の方が非常に関心を持っておられることは、われわれも十分承知しておるわけでございます。しかし、先ほどるる申し上げましたとおり、このOPEC値上がりというものは、そのままわれわれの製品の価格に八割というものが影響するわけでありまして、石油業界で吸収する、合理化するというのは二割しか残っていないわけでございます。二割の中に運賃が入っておりますし、精製費が入っておるし、それから内地における輸送費、転送費、それから金利、人件費、こういうものがその二割の中に含まれているような状態でございます。これは業界で吸収するという余地がほとんどないと言ってもいいと思うわけでございます。しかも、先ほど申しましたように、数千億に達する赤字を抱えておる業界としましては、何とかして国民全般にこれを負担していただくほかはない、こういうふうに考えるわけでございます。  灯油は直接家庭の方に影響するたために、家庭の方がいろいろな負担を感ずることは非常に強いだろうと思うのですけれども、先ほど申しましたように、石油連産品でございますので、灯油だけを凍結するというようなことになりますと、ほかの石油を自然上げなければならない。ほかの石油を上げますと、軽油にしますと、バス、トラックの運賃にはね返るし、重油にしますと、電力影響するし、ナフサ値上げしますと、それだけ都市ガス値上がりするというようなことで、結局は国民全般に影響するというようなことでございます。  そういう意味からも、ある程度価格体系の中に灯油値上がりも含んでくるということが考えられるわけでございますが、この点はひとつ以上述べましたような事情を御賢察くださいまして御理解を賜りたい、こういうふうに存ずるわけでございます。  以上でございます。
  20. 横山利秋

    横山委員長 ちょっと申し上げますが、きょうは本会議が二時の予定でございます。各党各委員の御質問もございますので、御質問はもちろんでございますが、御答弁を、恐縮ですが、簡明、率直にお願いをいしたい。
  21. 山崎拓

    ○山崎(拓)委員 次に全石商の笹野参考人にお伺いをしたいのですが、先ほどのお話を承っておりますと、流通経費適正化をひとつ考えてくれという趣旨のことだったと思うのであります。  経過を聞きますと、標準価格三百八十円が四十九年一月に設定されたときのいわゆる流通経費の試算が百四十八円である、その後引き続いて百四十八円という行政指導の中での流通経費の抑えられ方をしてきた、こういう御発言であったわけでございますが、その結果、五十円程度はアップしてもらわないと適正な流通経費確保できない、こういう御意見でありますけれども、その約二百円という流通経費の根拠ですね、どういう根拠でそういうふうな数字を出しておられるのか、お伺いしたいと思います。
  22. 笹野好男

    笹野参考人 お答えします。  ただいまの四十八年から四十九年並びに五十年、ことしまで流通経費が百四十八円に抑えられたという結果、その間におきます人件費、設備費、その他の経費のアップがほとんどなされてない、したがってそれを三二・五%上げますと大体五十円ぐらい、こういうことでございますので、よろしくお願いします。
  23. 山崎拓

    ○山崎(拓)委員 ただいま三二・五%というお話があったわけでございますが、その三二・五%はどういう根拠でおっしゃっておるのか、その辺のところを……。  確かにこの二年間にわたりまして百四十八円というこの経費、これは通産省の方でお出しになった適正経費の計算の根拠があると思うのでありますが、そういうことで今日までこの百四十八円という経費据え置きになっておるという実態についてはよく理解がいくわけでございます。さすれば、それを三二・五%上げてもらいたいと——感じとしては非常によくわかるのですけれども、この流通段階、全燃協のお話の中にもありましたように、きわめて複雑でございます。特約店、それからさらに中卸、一般小売店小売店にもいろいろな形態がある、こういうお話です。そういう複雑な流通経路がある中で、特約店としての立場でお話しになったわけでございますが、特約店として百四十八円を三二・五%アップしなければ適正な流通経費と言えないという根拠をやはりある程度お示しにならないと、これはなかなか消費者にも御理解をいただくことはむずかしいのじゃないかと思うのですが、いかがですか。
  24. 笹野好男

    笹野参考人 ただいまの内訳を申しますと、大体五十年におきまして人件費で四三%、設備費等で一一%、その他で一九%ぐらいございまして、大体三三%になります。したがって、これは消費者に渡るまでの経費でございます。
  25. 山崎拓

    ○山崎(拓)委員 それでは、全燃協の野尻会長にお伺いをいたしますが、先ほどのお話の中で、小売商、いわゆる灯油の店が相当やめていっておる、こういうお話がありました。これはいまの流通経費の問題と関連するわけでございますが、全燃協傘下の業者、灯油の店の適正マージン、これはいまのお話のたとえば二百円というお話でございましたが、その中で一体どの程度を占めるものであるか、どの程度あればいいとお考えになっておるか、その点についてお伺いしたいと思います。
  26. 野尻東一

    野尻参考人 四十八年に大臣が三百八十円と発表したとき、われわれはその前に事細かに原価計算をいろいろいたしまして、どうしても四百円にならなければやっていけない、そのときの通産省にもお願いして大体了承を得たつもりであります。ところが、大臣が三百八十円に発表したということで、われわれはそのときやむを得ず二十円安くさせられたということであります。  原価計算につきましては、なかなか細かいので非常にむずかしいのでありますが、要するに、先般、五十年八月二十六日にわれわれが資源庁長官に対して陳情いたしましたのも、最小限度一昨年比三〇%値上げ方を御了承願いたい、こう書いてありますが、結局三〇%値上げということは、百四十八円ですから、大体五十円ぐらい上がるわけであります。  そうすると、小売商は大体二人いるわけですが、冬場五十回しか配達できません。そしてさらに、配達料として五十円もらいますと、二人でお店開いて冬場、普通のお勤め人より一生懸命よけい働いて一万二千五百円にしかならない。しかしながら、それが全部もらえるものじゃなくて、卸マージンとしてリットル二円ぐらい取られます。そうすると、それから三十六円引かれますので、大体そこいらのところがもう最低限度じゃないか、こう考えるものであります。  原価計算につきましては、いろいろ計算の仕方がありますので、御要望があれば改めてお出ししたい。ここで細かくお話ししても、そのほかの副業との絡み合いもありますし、また夏と冬との関係もあって非常にむずかしくなっておりますので、ひとつ御了承願います。
  27. 山崎拓

    ○山崎(拓)委員 最後に、消費者の代表たる釜萢参考人にお伺いをしたいのです。  まず第一点は、先ほどのお話で灯油価格体系に余り通産が介入することは好ましくないという趣旨の御要旨があったと思うのでありますが、一方では、これはいわば地方公共料金的な性格を持っておるという趣旨のお話もあったわけでございます。  そこで、私個人といたしましても、冒頭で申し上げましたように、これはマーケットメカニズムでこの価格が決められてはまずいのではないか、消費者にとってきわめて、特に寒冷地においては重要な生活物資でございますから、したがって、これについてはしかるべき行政措置が行われるのが私は正しいと考えておるわけでございまして、その場合にももちろん、ただいまメーカーそして卸、小売流通段階の業者がおられますが、やはりそれぞれ生きていかなければなりませんから、それらの各段階における適正な経費、マージンというものが確保されて価格が決まってくるということは当然のことではないだろうか、こういうふうに思いますので、そういう点についてどう考えておられますか。  先ほどの議論の中で、たとえばその他の油種に関する値上げができないでおるのは、大企業の抵抗に遭って値上げできないのだというお話があったわけでございますが、これはむしろマーケットメカニズムがそこに働いておるから上げられないという面もあるわけです。したがって、マーケットメカニズムでやるべきなのか、それとも行政指導公共料金の一種だと考えてある程度措置がなされるべきであるのか、こういう点について聞きたいわけです。  それから第二点でありますが、灯油が非常に重要な生活物資であることは私も全く同意いたしておりますが、灯油の家計費に占める割合はどの程度のものになっておるのか、消費者の代表としてもしお調べになっておりましたら、ひとつ教えていただきたいと思います。
  28. 釜萢勝宏

    釜萢参考人 お答えいたします。  先ほど私の発言の中で舌足らずの点がございまして、幾分矛盾するような点があるのではないかというふうな御指摘の向きかと思いますけれども、結論から申しますと、家庭灯油についての値の決め方というのは、積極的に行政指導で低廉な価格水準に決められるべきものであるというふうに私は考えております。  ただ、ここで私が一言申したいのは、いろいろな場面がございまして、端的に申しますと、それが高値の安定になるような、下支えするような役割りを果たすものであってはよろしくないということでございます。  次に、各段階への適正なマージンはどれくらいかという御質問であったかと思いますけれども元売りあるいは中間の卸の方のマージンについてこの場で申し述べるのは私は適切ではないのではないかと思います。むしろ私が申したいのは、宮城県の場合、共同購入方式をとりまして、地域を一定のブロックに分けて、そこのところへは二週に一遍の配達で、一回の配達は二かん以上取りなさい、アパートへは二階以上には上げません、一階に置いておきなさいというやり方をとっております。この場合の私どもが適正な価格として出しておりますのは、そこの業者さんが仕入れる油代プラス百円見当であるというふうに私どもは考えて、十月の初めに値を決めております。  生計費に占める割合は、宮城県の場合ですと、私ども調査によりますと、大体一カ月百三十一リットル一般の家庭消費しております。これは十八リットルかんに直しますと約七・二三かんでございます。これが生協を利用した場合六百五十円でございますので、一カ月大体五千円見当。これの家計支出に占める割合となりますと、ばらつきがあるかと思うので、正確な比率はお出ししかねますけれども、出る額としてはそれくらいであるということでございます。  以上でございます。
  29. 横山利秋

    横山委員長 松浦利尚君。
  30. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 意見は申し上げません。若干疑問に思いましたことがありますので、それぞれ参考人の方にお聞かせをいただきたいと思います。  まず第一点は、石田石連会長さんにお尋ねをしたいのですが、あなたの先ほどの御説明に、誤解かもしれませんが、わが国灯油は非常に安いんだ、ですから価格を上げることによってエネルギー節約の方法を考えるべきじゃないかというような御発言があったと記憶するのですが、石油審議会でもそういうことを言われる人がおられるそうですけれども、石連全体としては、この際エネルギー資源節約のためにわが国灯油ももっと上げたらどうかというお考えがあるのかどうか。あなたは欧州の例を引いて言われたのですが、誤解であれば、この際訂正をしておいていただきたい。事実ならば、そのままで結構です。  第二点は、山崎委員の質問にあなたお答えになったのですが、この前ナフサとC重油について通産省がガイドラインの行政指導をした場合に、灯油については業者自身が勝手に決めればよいというふうに通産省は言われた、そういう指導があったと言われたわけでありますが、そういう事実があったのかどうか、その点をひとつ正確にお聞かせをいただきたいというふうに思います。  そこで、石連の会長さんに、そういうことがあるのかどうかは別にいたしまして、お考えをお聞きしたいのですが、先ほど消費者代表釜萢さんの意見を聞かれても御承知のように、どうも大企業に対するナフサとかC重油等については価格の交渉が持たれる、しかし灯油については一方的に業者が決めるではないか、これを何とかしなければ、消費者としてはどうも理解できないんだ、こういう不満がやはり消費者全体の気持ちの中にあると私は思うのですね。ですから、少なくとも石連としてはこうした消費者の考え方をこれからの価格の中にどのように生かしていこうと考えておられるのか、その点を御検討なさったことがあるのかないのか、あったとすれば、消費者とのコンセンサスを得る方法としてどういう方法をお考えになっておられるのか、この際お聞かせをいただきたいというふうに思います。そのことをまずお聞かせください。  それから、時間がありませんから、全部一遍に各参考人の皆さんに質問を申し上げておきます。  笹野さんのところと野尻さんのところはやはり末端供給業者であることに変わりはない。ところが、野尻さんの方は細分化された小さな毛細血管といいますか、そういう状態だ。そうしますと、実質的に流通マージンは相当違いがあると思うのですね。そういうものについて、石商連と全燃協との間である程度の話し合いというのがあったのかどうか。逆に言いますと、流通経費というのは高いところについていくわけですね。全部がバランスできるようにというので、安くできるところの分も高いところに流通経費として合わされていくという傾向がありますね。そうしますと、笹野さんのところは非常にもうかるわけですね。安い流通コストであるにもかかわらず、高いコストが回ってくるわけですから。平均化すると野尻さんのところで困るというような意味で、そういうことについてお互いにお話し合いになったことがあるのかどうか。もしないとすれば、笹野さん自身はどうお考えになるのか、野尻さんとしてはどうお考えになるのか、この際お聞かせいただきたいと思います。  釜萢さんに最後にお尋ねしておきたいのですが、この灯油価格決定について、あなたは原価の公表をやるべきだというふうに主張しておられるわけですが、原価の公表以外に、消費者団体と石連との間にどういう方法をやれば、消費者意見も生かされていくと考えておられるのか。要するにあくまでも原価公表だけなのか、それとも原価公表が認められない場合にどういう方法が具体的にあるのかということをお聞かせいただきたいと思います。  最後に通産省に、長官がおられませんから部長にお尋ねしておきますが、OPECの一〇%値上げに伴う石油関連製品の値上げについて家庭灯油もその中に含めておるんだ、こういうふうなことを明確に言われたわけですが、据え置きという考え方は全くないということですね。  もう一つ、二千三百億の赤字の中に占める灯油据え置きによる赤字の比率は何%ぐらいになるのか、このことをひとつお聞かせいただきたいと思います。  以上です。
  31. 石田正實

    石田参考人 お答えします。  先ほど申しましたのは、わが国のことではなくして、ヨーロッパの状況を申し上げたわけでございます。ヨーロッパの方では暖房用厨房用、こういう油につきましては、民生用をできるだけ高くして、そして一般工業用を抑える、こういうような方針がとられたと聞いているわけであります。実際向こうの値段を見てみますと、そういうふうにほかのものに比べまして暖房、厨房用相当高くなっている。これは石油審議会に示されたエネルギー庁の資料でございますけれども、暖房油でございますが、これは日本では灯油——日本灯油というのは脱硫をやりまして非常に手数のかかったいい油なんですけれども、ヨーロッパの方はむしろ軽油に近い未洗い灯油のようなものを指しているのでありますけれども、ことしの四月現在の値段でございますけれどもキロ当たり日本では二万一千百円、イギリスでは三万四千四百円、フランスでは三万五千百円、西ドイツでは二万七千四百円、イタリアでは三万四千八百円というような値段であります。それからまた、暖房、厨房用に向こうはよく軽油を使うわけなんですが、軽油値段を申しますと、日本が二万九千三百円、イギリスが三万五千五百円、フランスが三万一千六百円、西ドイツが四万六百円、イタリアが三万二千三百円、こういうような値段になっておりまして、日本と比べてみますと相当割高になっておることは御了承いただけると思います。  それから第二の問題でございますが、これはちょっと私、舌足らずであったかと思うのですが、先ほどからずいぶんお話がございましたように、四十八年の九月に一万二千九百円、これは元売りのわれわれの段階でございますが、現在の灯油はそういう値段に抑えられ、昨年の六月に二万五千三百円は上げていただいてことしの六月一日に解除になったわけでございます。いまのところは一応自由価格というような形でございますが、先ほどエネルギー庁の増田長官から話がございましたように、灯油値段というものはほかの軽油A重油、われわれ中間留分と申しておりますが、その価格と非常に関連がございますので、その中間留分を上回らない程度、こういうようなエネルギー庁の現在の行政指導でありまして、それでいまのところ大体二万九千円から二万九千五、六百円というのが元売り段階値段じゃないかと思うわけでございます。そういうふうな行政指導があるわけでございまして、その枠内でわれわれはやっておる、こういうことでございます。  それから、消費者に対するコンセンサスは得ているのかというお話でございます。これはいろいろ前からの商慣習もございまして、大体ガソリンとか灯、軽油、一般大衆のものでございますけれども、こういうものはそのときどきエネルギー庁の指導を仰ぎながら大体値段を決めているようなわけでございます。もちろん、工業用の灯油につきましては、それぞれ需要家と交渉するというようなことをやっておりますし、灯油の問題は、先ほど言うように、ほとんど一昨年の九月から行政指導ないしは法律による標準価格というような状態できている状況でございまして、石油というのは石油業法というのがございまして、そういう意味からもエネルギー庁の行政指導ということによってきてるようなわけでございます。  以上であります。
  32. 横山利秋

    横山委員長 石田さん、いまの最初の質問の要旨は、外国に比べて安いということは認めるが、石連及びあなたの考えの中に、値上げをすることが節約に通ずるという考え方があるのかないのかという質問でした。
  33. 石田正實

    石田参考人 現在のところ、われわれはそういう考えを持っておりません。ただ、ヨーロッパの方でそういうことでそういう値上がりになった、こういうふうに申し上げたわけであります。
  34. 笹野好男

    笹野参考人 お答え申し上げます。一先ほどの、話し合いをしているかということでございますが、それは木炭業者の方その他とは話し合いをしておりませんし、それと、マージンといいますか、経費は各段階に、ガソリンスタンド等におきましては二社、三社ございますし、末端まで参ります間に同じような形がございます。したがって、そういった環境から、やはりマージンが従来お決めいただいた百四十八円ではとてもやっていかれないということは当初からわかっておりましたのですが、そういう形で従来しんぼうしてきたのでございます。したがって、それがどうしても安い方、安い方に経費が落ちついていってしまう。これではとてもやっていかれないというような現状でございますので、何とか人件費等がある程度上がっていかなければわれわれの経費は賄っていかれないというふうに考えておりますので、それぞれの原価計算は、私たち石油組合あるいはそれぞれにございますと思います。そういった細かい点も、もし御必要があれば、御提示いたしたいと思います。
  35. 野尻東一

    野尻参考人 小売で売っている場合、ガソリンスタンドから小売するのと、それから燃料商から小売するのとどっちが有利であるかということでありますが、仕入れの問題につきましては、大体ガソリンスタンドの方が、いまのところは幾らか安く仕入れているのじゃないかと思います。  と申しますのは、灯油が売り手市場のときと買い手市場のときとがあります。それで、余っているときは要するに問屋がたくさん買いまして、そして炭屋の方へ流す、それでもガソリンスタンドが仕入れているよりも安いときが往々あります。それから、非常に少ないようなときは、たくさん買ってもなかなか安くしてくれない。それでガソリンスタンドの方が安いこともあるということであります。  しかしながら、小売価格というのは決まっておりませんので、話し合わなくても自然に同じようにいく。ガソリンスタンドは地下タンクをみんな持っておりまして——持っていないところは取り扱っておりませんが、持っているところもありますが、十キロ以内しか持てないわけです。そしてそこからやっておりますが、ガソリンスタンドでも余り灯油を売りたがらないところがあるわけです。というのは、若い人を頼んで配達などしても合わない。炭屋は要するに三ちゃん商いと申しますか、家内の人が給料もろくに考えずにやっているということで、炭屋の方が有利な点もあるし、またガソリンスタンドも有利な点がいろいろありますが、売り手市場と買い手市場のときで多少その仕入れ価格が違うということをお答えいたします。
  36. 釜萢勝宏

    釜萢参考人 お答えいたします。  私は、灯油価格が地方公共料金的性格を持つということにかんがみて、この価格を審議するような場所を設けてはいかがかというふうに思います。これは、たとえば地方公共団体におきましては石油の需給のための審議会を設けたりしております。その場合は、元売りあるいは卸の方、小売店の方、消費者、学識経験者、そういった人たちの構成でやっておりますけれども、そういう方法が中央でも必要でありますし、またそういうところがない地方公共団体においては条例を設ける等の措置を講じるなどして、私はそういう方法が一つあろうかと思います。  それからもう一つは、現在の石油審議会の構成メンバーでございますけれども、私の手元にあります資料によりますと、二十名の方がおりますけれども消費者代表ということでは一名も委員として参加しておらぬ、これでは私は片手落ちではないか。少なくとも消費者代表として委員に参加させるべきではないかということからも、ただ単に私が言っている原価公開のみの一本やりではないということからいけば、私は、そういう方法を十分に検討して実現されるよう希望したいということでございます。
  37. 左近友三郎

    ○左近政府委員 お尋ねの第一点の灯油価格の問題でございますが、前回の本委員会でも申し述べましたように、現在石油審議会で検討中でございますので、われわれとしてはその審議会の結論にまちたいと思っておりますが、通産大臣等も予算委員会でも答弁しておりますように、灯油というものが生活に直接関連しておるという現実から、やはりこの価格を決めるときに十分配慮いたしたいということでございます。したがいまして、値段の決め方について極力抑制という形で持ってまいりたいというふうに考えております。  それから第二点の、赤字負担の中で灯油の分がどの程度あるかという御質問でございますが、これは累次申し上げておりますように、石油製品というのはいわば連産品でございますので、個々の油種の原価計算というものができないような形になっております。したがいまして、確定的に申し上げることははなはだむずかしいわけでございますが、一つ推測する方法といたしましては、いわゆる得率、つまり原油を蒸留いたしまして出てまいります比率が灯油については大体九%になっておりますので、全体の利益の中であるいは全体の損の中で九%分が灯油というふうな類推もできるかと存じます。  以上でございます。
  38. 横山利秋

    横山委員長 関連質問の要望があります。和田貞夫君。
  39. 和田貞夫

    和田(貞)委員 簡単に申し上げますが、石連の方にお尋ねします。  三期連続、四期連続赤字だということですが、赤字の部分だけ——赤字の実態も私はわからぬのですが、ただ赤字だということを聞くだけの話で、その以前はかなりもうけておったということを全然言わぬ。赤字になった決算期のことだけを言うておる。それぞれのメーカー側の系統立ったガソリンスタンド等、かなりずっと投資をやっておるというようなことを全然言われてないのです。それを合わしたらどうなるのですかいまの時点で。三期連続、四期連続赤字だけれども、過去さかのぼって石油業界というのは、それじゃどうなのかということをひとつお聞かせ願いたい。  それから、販売の方ですが、特に石油スタンドの場合に、たしか去年だったと思いますが、大阪で起きた事件ですが非常に苦しい苦しいと業者が言うておられる。しかし、大阪で起きた事件で、灯油軽油に衣がえをして、そしてガソリン税を脱税しておる。こういう大口の脱税の事件が去年大阪で出たわけです。私は、単にそれは大阪に起きたあのガソリンスタンドだけではなくて、大なり小なりそういうようなことをやっているというように私は思っておる。あなたの方も、そういう苦しい苦しいと言いながら、片方では脱税行為をやるようなことをして商売をなさっておられる。非常に商業道徳に反したことをやっておる。そういうようなところはやはり自覚を促さなければいかぬわけですがね。そういうようなこともこういうところでは言って、やはり消費者の皆さんに納得のいけるようなこういう意見開陳というのが必要だと思うのです。お尋ねしたい。
  40. 石田正實

    石田参考人 先ほどの石油危機以前の収益がどうであったかという御質問でございますが、いま手元に詳しい資料がございませんのですが、石油業の収益率というものが、一般の製造業の平均に比べまして大体二分の一から三分の一という非常に水準の低いものであったということだけは、ここではっきり申すことができると思います。たとえば、これは三十七年からの数字でございますけれども、大体石油の収益率は三十七年度では〇・五%というような、一般の製造業の五%ぐらいの利益があるのに対して石油業は〇・五というような数字、一番高いので四十年度でございますが、四十年から四十一年に石油はわりに利益を上げておりますが、これでも大体四%、これで大体製造業とちょうど一緒ぐらいでございまして、その後は製造業と非常に開きまして、製造業は大体五%から六%というような高い水準でございますが、石油の方はその四%というのが一番高い水準で、あとはもう三%、二%を下回るというような数字になっておりまして、大体一般製造業の平均から比べますと、相当低い水準であったわけでございまして、おっしゃるような石油業界というのが利益を上げていないことは、これで御推察願えるのじゃないかと思うわけでございます。
  41. 笹野好男

    笹野参考人 お答えします。  ただいまのいわゆるガソリンに灯油を、あるいは軽油をまぜる、こういうようなことは全然ないわけではございませんで、往々にして一部、アウトサイダーと申しますが、われわれ行政指導によってスタンドの建設を許可されておりますが、その規制を越えて無印というスタンドにおいてやはりそういう問題が見られる。したがって、われわれ商業組合といたしましては、十分そういうものを品質検査をいたしまして、お客様に対して御迷惑がかからないように、そしてなお脱税の問題等については、大蔵省へ申請しまして課徴金を取っていただくとかそういうような形も追跡してやっておりますので、そういうことはわれわれとしてはまことに不本意で、申しわけないことだと思っております。
  42. 横山利秋

    横山委員長 もう一人関連質問、山中吾郎君。
  43. 山中吾郎

    ○山中(吾)委員 石田参考人エネルギー庁の部長にお聞きしたいのですが、結論的には、原油がまた一〇%近く上がるという情勢の中で、寒冷地域を中心として民生灯油だけは現行の価格据え置きをすべきではないかというのが私の希望でもあり、意見なんです。石田さんにお聞きしたいのは、新しい価格体系、もちろんコストプッシュがあるのですから、価格体系も当然出てまいりますが、しかし、企業社会的責任というものも含んで石田さんの御意見を聞き、また石油部長の御意見を聞きたいのですけれども、それは、現在の石油の総生産量の中で民生灯油の占めるものは六%だ。この間石油部長からの答弁で聞いたわけであります。たった六%であるということ。それから、石油製品コストの構成は、あらゆる製品に共通した原油価格、これが大体八〇%を占めておる。残り二〇%だけが製品別の価格構成になっている。それが一つ。それから、現在の価格体系は経済成長型。だから、企業に有利な価格構成になっている。しかし、日本全体の経済政策は、成長型から安定型に移行するというときでありますから、新しい価格体系は、成長型の価値観でなくて、安定型の価値観で新しい価格体系をつくるということがわれわれにとっての大きい任務なわけですね。  そこで、私は企業社会的責任論も含んでお聞きしたいのですが、仮に一〇%近く輸入原油価格が高くなっても、石油全体の構成の中で、各製品ごとにコスト構成を占めておる二〇%の割り振りを、いままでの経済成長政策型の企業に安くするという価格にプラスエックスをして、民生灯油の構成の分は二〇%にするのを一五%にする、ほかの分は二三、四%にすることによって、企業全体としては採算がとれる。しかし、その新しい価格構成の理念は、成長型から福祉安定型に移すというふうな考え方が、こういう大きな日本の経済に影響を与える石油関係企業の責任者である石田さんがお考えになるべきものではないかと思うのです。むちゃは言ってない。  そこで、石油部長の方で行政指導として、現在の政治思想がみんなそうなんですから、成長に対する反省のもとに安定に持っていこう、政治、経済、教育、あらゆるものをそこに持っていこうというのが国民の責任であり、そういう立場に立って新しい価格体系を考えるについても、行政はそういう指導をすべきではないか、お聞きしたい。  その指導があったときに、業界石田さんの方では、それを受けて、それに応じて考慮する意思があるかどうか。これは一番大事なことだと思うのであります。  さらに、そういうことを考えながら、原油が高く入ってくるについても、現在ストックが相当ございます。したがって、また向こうの高くなった原油を買っても、日本に着くまでは二十日間という輸送の日時がある。安く買ったストックになっておる石油を使い尽くすまでは、少なくとも民生灯油は便乗値上げをすべきではないのではないか。恐らく一月、二月ごろまではストックで、安いもので処理できるのであるから、少なくとも生活関連物資灯油は上げるべきではない。東北の方に行きますと、三月、四月ごろが一番底冷えのする感じで、民家が困るときなのです。その一番需要の多い、家計に大きい影響を与える三月、四月ごろが、東北の住民からいえば、灯油価格値上がりについては非常に鋭敏である。少なくとも五月の花の咲くころまでは現在の灯油価格でできるだけ維持していくという方針は、私のいまのような分析から言うと可能でもあり、またそれが企業の最低の社会的責任ではないかと思うので、このことを含んで行政当局と石田参考人の御意見をお聞きしたいと思います。
  44. 石田正實

    石田参考人 お答えします。  私、いまの御質問の趣旨の内容がちょっとはっきりしなかったのですが、石油の製品はそのうちの八〇%が原油価格で、あとの二〇%が精製費その他流通経費だ、こういうことでございます。(山中(吾)委員流通経費じゃありません、精製の費用」と呼ぶ)精製費用、それから流通経費、それから金利等を含めましてそれが二〇%。それでわれわれとして非常は問題になるのは、この八〇%の原油値上がりということでございまして、これはOPECの方からの、世界的に強力なカルテルでございますから、この値上がりというものをわれわれは阻止することができないわけでございます。ある程度品種の選択をやって、できるだけ安く、しかも日本需要に合うような原油を選択することはしておるのでございますけれどもOPEC値上がりというものはほとんど絶対的と言ってもいいくらいの値上がりで来るわけでございまして、それであとの二〇%も、われわれの石油工場をごらんになるとおわかりになると思うのですけれども、ほとんどオートメーションで人数も非常に少ないし、合理化の余地がない、こういうような条件になっておるわけであります。輸送のタンカーなども大体二十万トンとか三十万トンというような大型になっておりまして、これは蛇足かもしれませんけれども、中近東から日本までトン当たり五百円から六百円というような非常に安い値段で来ているわけで、しかもいまタンカーは一番安いときでありまして、運賃も最低というような状態、そういうような、ほとんど業界としては合理化されておる値段になっておるわけでございます。これをわれわれの業界で吸収するということは非常にむずかしいので、この八〇%の原油値上がりとそれから二〇%のいろいろな日本におけるコスト、これはやはり国民全般でひとつ負担してもらうということをお願いしたいわけです。
  45. 山中吾郎

    ○山中(吾)委員 私の質問の答弁にはならないのです。それは後なんです。
  46. 横山利秋

    横山委員長 最初の質問は、日本価格も成長型から安定型へ価格の体系が変化してきておると思うがどうか、こういう重要な意味の質問がありました。
  47. 山中吾郎

    ○山中(吾)委員 時間の節約上、いまの八〇%が原油価格、それはわかっておるのです。あと二〇%合わせて石油価格が構成される。そういうことの上に新価格体系というのが——私は経営が成り立つ立場は否定はしていない。経済成長政策の物の考え方の上に立てば、いままでは企業を発展さすために企業用の価格を安くして、生活関係灯油その他には考慮をしない価格体系であった。しかし、日本の現在の経済成長政策が破綻をして、安定成長に持っていこうというときであるから、新しいコストというもの、コスト割れにならないことを前提として——むちゃを言っているのじゃないですよ。前提として、企業がまた一〇%以上も発展することを前提とするような安い価格を修正して、生活安定に必要な灯油価格についてはその分を安くして、いわゆる全石油生産品の価格全体の体系の中で、企業として成り立つことを前提として、灯油価格については安くすべきではないのか。そういう行政指導があったら、あなたは服するのが最小の日本の経済の中にある石油業界社会的責任ではないか、そういう思想をお持ちにならないのかと聞いておるわけです。わかりますか。
  48. 石田正實

    石田参考人 よくわかりました。先ほど申しましたように、現在の石油価格というのは昨年の三月十八日に行政指導で決まったわけですが、それからずっと尾を引いてきているような状態でございます。これはガソリンが非常に高いのでありまして、そして重油が安い、いわゆる非常な傾斜をしているわけです。これは国際価格から見ましても、石油危機の前もそんなに傾斜があったわけではなくて、ガソリンは高いのは高かったのですけれども重油ども原油価格から割るというようなことはなかったのですけれども、昨年三月十八日からいまの重油値段というものは原油価格を割るというようなことになっているわけです。これは石油業界では非常に不満なわけです。そこら辺を今度の新価格体系ということでエネルギー庁にお願いしておるようなわけです。  結局言いますと、ガソリンとか灯油とかいう白物をできるだけ抑えておいて、原油価格を割っている重油とかそういうものを上げてくれ、われわれはこういうような要請をしているわけであります。だから、灯油の問題につきましても、その価格体系の中で石油審議会で審議してもらっておるわけでございまして、大体そういうふうな傾斜した形になってくる、そういうふうに思うわけでございます。灯油につきましても、今度のOPEC値段がどれくらい前に反映されますか、それは審議の過程で決まっていくだろうと思いますが、全般的には今度の方は重油がなるたけ上がって、白物のガソリンとか灯油というものは上がりが少ない、こういうふうに予想しておるわけでございます。
  49. 左近友三郎

    ○左近政府委員 価格体系の問題は、御指摘のとおり、従来のような油種別の価格の考え方についていろいろ配慮を加えなければいけない点が出てきております。その第一回のあらわれが、先般われわれが石油審議会に報告いたしましたように、ナフサとかC重油というものの価格是正が望ましいということの意見を出したあらわれでございますが、このOPEC値上げを反映した値段については、現在石油審議会で審議中でございますので、その中で十分そういうことも含めて審議をしていただきたいというふうに考えております。  民生用灯油の問題につきましては、確かにこの値段について累次私どもが申し上げておりますように、十分な配慮を加える必要があると思いますが、特にいまお話がありましたように、消費者方々のお話を聞いておりますと、やはり需要期の最中に値が上がっていくということが一番不安であり、かつ問題であろうかというふうに考えております。過去のわれわれの行政指導のやり方も、大体昨年、一昨年いずれも需要期を通して余り値段が変動しないような配慮を続けてまいったわけでございますので、今回の場合も、単に値上げ幅を極力抑制するというだけではなしに、この需要期が安定的に推移するような方策を考えていきたいというふうに考えております。もちろんこれは値段だけではなくて、供給量を豊富にするということも関連いたしますので、それもあわせてその問題の解決に努めたいというふうに考えております。
  50. 山中吾郎

    ○山中(吾)委員 いま行政当局がそういう思想を述べられて、それが審議会の過程の中で、新しい価値観に基づいた新しい価格体系の結論が出る。傾斜価格ですね、生活灯油関連はなるたけ安く——いままで余り成長し過ぎたからそう安くしないという企業のところは、そういうものに服されるお考えがあるかどうかだけ聞いておきたいと思います。
  51. 石田正實

    石田参考人 それはもちろん、審議会でそういう標準価格が決定されますと、業界としては従う考えでございます。
  52. 横山利秋

  53. 小林政子

    小林(政)委員 まず最初に、石連の石田参考人にお伺いをいたしますけれども、先ほど来赤字の内容について、OPEC原油価格が四倍に上がったとか、あるいはまた、石油連産品であって、したがって灯油価格を抑えると他の油種にこれが影響していくとか、あるいはまた、ナフサなどを上げれば結局都市ガスその他のこういったものなどに値上げを来たすとか、いろいろな理由を述べられておりますけれども、一体赤字の原因を石連として本当にどう具体的に分析をしているのかということ、これをやはりはっきりさせていかなければいけないのじゃないか。私どもいろいろと調べてみますと、政府の方から提出をされました資料などを見ても、五十年八月時点の原油のCIF価格平均して二万二千十八円、そうしてその中で五〇%を占めると言われております重油、特にその中でも四〇%を占めておりますC重油の場合には、卸売統計の数字を見ましても一万九千二百六十円、これは原油のCIF価格よりもキロリットル当たり二千七百五十八円も低い価格で実際には売られているわけです。しかも、その量は、灯油と同じようなわずかな量ではなくして、それこそ全体の五〇%近くを占めるというような、こういう大量の産業向けC重油相当CIF価格以下で売られているということは、私はこれは一つ大きい問題だと思いますけれども、この点についてどうお考えになっているのか。  また、石油審議会等にも提出されたこの資料によっても、製品別の製造工程費を見ても、結局C重油の場合は、他の油種に比べて製造工程でかかる経費は、キロリットル当たり八千円、一番高いんですね、製造工程の中で占めるコストが。C重油が産業向けには比較的安く売られていながら、工程費はこのように高い。私は、こういう問題について、実際に産業向けに安い現行体系というものをここで本気になって変えていく、こういう価格体系、これを石連は具体的にどのようにおとりになろうとしておるのか、本気になってやろうとされているのかどうなのか、この点がまず第一点です。  したがってまた、灯油を見てみますと、灯油の場合には先ほど来得率約九%と言われていますけれども、この資料によっても灯油は二千百七十四万一千キロリットルであって、わずかに九・〇八%というふうに言われていますけれども、これの価格を上げたところで、一体C重油に比べればごくわずかなものにしかならない。私はこういう灯油などの問題は、やはり政策的な、社会的なそういう料金として、価格については据え置くというのは当然じゃないだろうか、このように思いますけれども、この点についてお答えをいただきたい。  それから、時間の関係もございますので、次に、これは笹野参考人並びに野尻参考人にお伺いをいたしたいと思いますけれども、先ほど来流通経費の問題ということで、具体的な数字を挙げてのお話がございました。私どもも、確かに小売価格が三百八十円のときに末端の小売屋さんの取り分はわずか八十三円であった、元売り仕切り価格から小売に至るまでの中間取り分というのは百四十八円だった。それが標準価格六百円になったときも、これも実際に調べてみますと、小売屋さんのマージンはやはり八十三円、中間取り分はやはり全体で百四十八円、こういう状況でございますし、私ども、こういう中で本当に小売マージン等について、いま皆さんから述べられた苦しい実情というものは十分理解することができるわけです。しかし、経営が成り立たないというような状況についていろいろと述べられたわけでございますけれども、同時にまた、これは消費者の方も、先ほど来、灯油価格が上がれば家計に対する影響というものは非常に大きいものだという意見も述べられておりますけれども、私は、やはりこういう中でむしろ流通経費というものを営業が成り立つという立場確保する、そういうことを支持すると同時に、実際にもっと元売り仕切り価格というものがどうなっているのかということを、消費者と一体になって皆さんは今後いろいろとおやりになっていくということが必要ではないだろうか、このように考えるものですけれども、この点についていかがお考えをお持ちか、お聞かせをいただきたいというふうに思います。  それから、消費者の代表でございます釜萢参考人にお伺いをいたしたいと思いますけれども、いまOPECが一〇%の値上げということで、それに基づいていろいろと石油審議会も開かれ、恐らく灯油価格が上がるのではないかというようなことが町にも流されております。こういったような中で、いままで灯油の契約運動をずっと続けてこられたわけですけれども、この問題をめぐって時期的に何かいろいろやりにくい面あるいはお困りになっていらっしゃる点、そういったような点はどういうことなのかということと、それからもう一点は、値上げされた原油日本へ入着をしてそれが消費されるのは相当後になるわけですね。     〔委員長退席、山中(吾)委員長代理着席〕 こういうことを考えますと、この分については値上げの根拠というものが今需要期ないのじゃないかというふうに私ども思いますけれども消費者立場でこの点についてどのようにお考えになっていらっしゃるか、お伺いをいたしたいと思います。  それから、最後に石油部長並びに、これは石油部長だけではなくして、各参考人の方にもお答えをいただければというふうにも思いますけれども、いまOPEC値上げ分について石油業法に基づいて標準価格が設定をされるというようなことが言われているわけでございますけれども、私は、標準価格というのは、これは石油部長にお伺いしますけれども、一体どのような場合にこれは適用するのか。石油業法の十五条によりますと、「通商産業大臣は、石油製品価格が不当に高騰し又は下落するおそれがある場合において、石油の安定的かつ低廉な供給確保するため特に必要があると認めるとき」、このときに十五条を適用するのだ、こういうことが書かれているわけですけれども、実際にいまの時点でそういうことが適用されるのかどうなのか、これは一体どういう時点で業法が適用されるのか、この点が一つと、それから過去昭和三十七年に標準価格が一度設定されたことがありますけれども、そのときには業界が過当競争で、結局は製品がダブついて、ほっておけばどこまで落ちていくかわからない、こういったような状況のもとで適用されたわけですね。     〔山中(吾)委員長代理退席、委員長着席〕 いろいろ調べてみますと、ガソリンなど三十五年当時はキロリットル当たり一万四千円であったものが、三十六年には一万一千余円に下がっていく。また三十七年には一万円余というような状況で、どんどんと下がっていく。しかし、いまの状況は、五十年の一月に八万六千三百七十円のガソリンが二月に八万七千四百八十二円になり、三月には八万八千八百八十三円になるという形で、下がるどころか、どんどんと上がっていくわけでしょう。確かに需要供給とのいろいろの問題はあるにしても、こういう状況のもとで業法を適用するということは、結局は、先ほど来消費者の代表の方が言われていたように、何か政府がこういう時点でてこ入れをして値上げをしているのじゃないのか、援助をしている、そういうことではないのか、こういうふうな御意見が出てくることは、これは私は当然のことじゃないかというふうに思うのです。  こういう点について、今回の業法の適用について、各参考人の皆さんが、いま石油審議会で論議をされておりますこの問題について、どのような受けとめ方をされていらっしゃるのか。この点についてお伺いをいたしたいというふうに思います。
  54. 石田正實

    石田参考人 お答えします。  いまお話のございましたC重油原油価格を割っているじゃないかというお話、これはまさにそのとおりで、先ほどお話ししましたように、これは去年の三月十八日の行政指導でそういうものが決まりまして、それからずっと後を引いておるというような現実でございます。これはもうわれわれとしては、おっしゃるとおり、得率の四〇%、五〇%を占めるものがこういうふうな原油価格を割っておるというようなことは、非常に業界としても忍べないところでございますので、これは一日も早く値上げをしてもらいたいということで、エネ庁の方にそういうふうに極力交渉しておるわけです。結局、今度石油審議会の新価格体系ということでそれが是正される、こういうふうにわれわれ期待しておるわけでございます。  それから、先ほどC重油が八千円もかかっているというお話でございますけれども、これは脱硫重油の場合には脱硫コストが、これはもうさすがに高いものでございます。しかし、脱硫しましたローサルファの重油というものは三万九千三百円という値段ですが、そういう意味からいきますと、これはかなり、原油が二万二千円しますと七、八千円の開きがあるわけですが、大体これはコストを補えるのではないか、こういうふうに考えておるわけでございます。  それから、灯油が九%くらいの得率なんだから全体の中ではそれほど大きな割合を占めているのじゃない、だから据え置きしたらどうか、こういうような御意見でございます。灯油というものは生活必需物資というふうな見地から考えますれば、そういう議論もできるかと思うのですけれども、しかし、われわれの業界から見ますというと、やはり九%というような非常に大きなものを占めるわけでございます。先ほども、何回も申しますように、石油というのは連産品でございますので、やはり灯油の方も、比率はどういうふうになるか、これは考え方もいろいろあろうと思いますけれども、このOPECの約二千円キロ当たり値上げというものは、これについてもある程度やはり消費者の方に負担していただきたい、こういうふうに考えるわけであります。何分、石油はすでに過去四期赤字に泣いております。今後またこの二千円というものが解消されないと、もうほとんど瀕死の状態というような石油業界状態から見ましても、ぜひひとつ消費者の皆さんの御理解をいただきたい、こういうふうにお願いするわけでございます。  それから最後に、標準価格の問題ですけれども、これは石油業法の十五条に載っているものです。その問題につきましては、先ほど申しますように、昨年の三月十八日の行政指導以降、そして半年間凍結されるというような、しかもその間にOPECが二回も値上げしているというようなことを見まして、むしろ石油業界の今日の赤字というものは政府のいわゆる石油政策というものに非常に起因している、こういうふうに考えるわけでございます。したがって、今日われわれ、できるだけ値上げの努力はしておるのですけれども、やはりここら辺は石油政策というものを根本的に是正してもらう、政府の見解でそういう製品のアンバランスというものはぜひひとつ解消してもらっていきませんと、業界の力ではこれはできないわけでございますので、その点、これは標準価格をぜひひとつ決めていただいて、政府の方針というものを国民全般にそういう意味からはっきりしてもらいたい、こういうふうに考えております。
  55. 笹野好男

    笹野参考人 お答えします。  先ほどのお話もございましたように、三百八十円から、そのとき仕入れが一万二千九百円、現在は二万九千九百円近くになっておりますが、したがって、それでも百四十八円という形になりますと、逆算していきますと、三百八十円のときには三八%の利益といいますか経費をいただいておりましたものが、だんん下がってまいりまして、現在二一・五%という形で、先ほど申し上げましたように、大変経営が苦しいということを申し上げておりますので、消費者の方にも御理解をいただくような方向はわれわれとしても努力したいと思っております。
  56. 野尻東一

    野尻参考人 先ほど小売マージンが非常に少ないという御同情をいただきまして、まことにありがとうございます。今後標準価格などが出たときはできるだけ引き合うような、最低値にもらえるようにひとつ御尽力をお願いしたいと思います。  それから、家庭用灯油を安くするように元売りとかけ合ったらいいじゃないか、こういうお話ですけれども、それが先ほどから聞いておりますと、九%、九%と言っておりますが、これは九%だけの問題じゃないと私は思います。と申しますのは、家庭用灯油を安くすれば業務用の灯油との関連もあります。またA重油との関連もあります。軽油との関連もありまして、家庭用だけ灯油を安くするということは、ほかの油にも関連があますので、これはなかなかむずかしい問題で、家庭用だけ安くする、それは九%だけの問題だということじゃないと思いますので、それもひとつ御了承願いたい、こう思います。
  57. 釜萢勝宏

    釜萢参考人 お答えいたします。  OPEC値上げを前にして何か困っている点はないかという御質問でございますけれども、これはすでにもう各地に出ております。私どもの契約いたしました業者にいたしましても、すでに、何か十一月末に出る審議会で大幅値上げが決まっているかのようなことを前提にいたしまして、盛んにこの契約は本年いっぱいであるとか、あるいはいま持っておる量はこれこれなので何キロリットルに限ってだけこの価格で契約したいとかいうことがあります。あるいは岩手県や青森の一部の業者さんでは、いまだに、価格の交渉すら持ちかけても、いや待て、OPECに関連する審議会での値上げが出てからにしてくれというふうなことで、なかなか契約が進まないということで困っておるということが盛んに出ております。  それから二つ目ですけれども、御指摘の今需要期値上げの根拠というのはないのではないか、全く私は同感でございます。理由としては、四十日以上かかって中東からタンカーで運ばれてくるものが製品化されるにはそれくらいかかるし、九月末在庫も六百三万キロリットル見当の備蓄があるということでございますので、今需要期値上げをする理由はないのではないかということでございます。ましてや原油というのは、統計などによりますと、何か日本株式会社というのが一つあって、それが一括窓口になって仕入れているような統計が出ておりますけれども、仕入れ先あるいは各社によっても条件によってさまざま違いがあるであろう、そういうようなのを一括して値上げをするために手を引っ張るというやり方はすべきでないというのが私の考えでございます。  標準価格の適用についての質問でございますけれども、私はいま言ったような理由ですべきではない。むしろ、やるのは、家庭用灯油について行政指導で現在の元売り価格を現在のままで凍結する、そういうことをやっていただきたいということが私の意見でございます。
  58. 左近友三郎

    ○左近政府委員 標準価格の問題につきまして、石油業法第十五条はいまお話しになったとおりでございます。この第十五条の考え方は、石油価格が下落いたしましてコストが償えなくなった、そういうことになりますと、石油産業の経営が安定しない、それはひいては石油の安定、低廉供給に支障があるという場合に標準価格をつくるという条文でございます。現在の時点で考えてみますと、問題になりますのがコスト上昇でございます。これは産油国が値上げを一方的にしてまいります。それは需給要因と関係なく決められます。したがいまして、総体的にコスト上昇ということから逆ざやが発生いたしまして、石油産業の経営が不振になるということでございますので、この十五条を今回の場合に適用していいのではないかというふうにわれわれは考えておりますが、いずれも、この適用の有無そのものも含めていま審議会で御審議を願っておるわけでございます。  それから、その性格でございますが、われわれはこの場合に、ほかの油種とそれから灯油については、値段を決める場合もやや性格を異にする必要があるのではないかというふうな配慮はいたしたいと思います、すなわち、ほかの油種は現在需給関係、不況の関係等々からなかなか値が通らないということでございますけれども灯油につきましては、需要期に入りましたので放置しておけば上がる傾向になる。したがいまして、われわれがやります価格、これは標準価格で決めようと行政指導価格で決めようと、いずれにしても灯油については、ほっておけば上がる価格を一定の水準に維持して、そして消費者の方に御迷惑をかけないというふうな性格を持つ行政指導ではなかろうかというふうに考えております。
  59. 小林政子

    小林(政)委員 石連の会長にお伺いいたしますけれども、先ほど質問いたしましたいまのような価格体系をやはり変えていく、産業用向けは比較的安く、そしてもちろんA重油軽油あるいはまた灯油というような、生活と密接しているこういったものはどちらかというと高くなっている、こういう体系をほんとに変えていくというような基本的なお考えがあるのかどうなのか、この点が先ほどお答えいただけなかったわけですけれども、これをもう一度お伺いをいたしたいと思います。
  60. 石田正實

    石田参考人 いまの御説のとおりでございまして、そういうふうに答えたつもりでございます。これは国際価格から見ましても、ガソリン、灯油重油というものは非常に安くなっておるわけです。それをできるだけOPECの——前はそう余り傾射のひどいものじゃなかった、そういう意味からも、ぜひひとつ価格の改正をやってもらいたいということを、極力審議会でもわれわれ主張しておるようなわけでございます。
  61. 小林政子

    小林(政)委員 もう一点だけ。石油の問題につきましては、業界が四期連続赤字である、こういうことが言われておりますけれども、私どもとしても、実際原油のCIF価格の中で、いま幾つかの例を挙げたわけですけれども、本当に業界がその問題を国民の前に明らかにして、そして実際こういう時代になっているのだ、だから私どもとしてはこうしていかなければならないのだという点を、私はもっと公開されたらいいと思うのです。石油といえば非常に重要な資源物資です。そういう中で、本当に赤字だ、赤字だとおっしゃるなら、私はそういう点をもっとオープンに、具体的な資料の公開や、原価等も含めて国民の前に明らかにして、実態はこうなっているということを明らかにした上で、十分民主的に審議をして、いろいろと決定をしていくということが筋道ではないだろうか、こう思いますけれども、この点について石連の立場でどのようなお考えをお持ちなのか、お伺いしたいと思います。
  62. 石田正實

    石田参考人 お答えします。  石連としましては、極力その点は皆さんにお話しておるつもりでございます。ただ、御承知のとおり、石油連盟というものの性格から申しまして、実際の販売価格とか生産計画、そういうものは、御承知のとおり、いま独禁法で裁判を受けておりまして、連盟というのはそこら辺を余り突っ込んでやれないような性格のもので、その点から見ますと、第三者の方はちょっと何か不十分だという気がされるかもしれませんけれども、独禁法の関係でなかなかそれができないということで、ひとつ御了承願いたい。できる範囲内において、先ほど申しますように、日本石油価格体系というものが非常にゆがめられておるということについては、十分これはPRしておるつもりでございます。
  63. 横山利秋

  64. 石田幸四郎

    石田(幸)委員 それでは石連の会長さんに三点お伺いいたします。  新聞等でも発表されているわけでございますが、現在標準価格づくり諮問が行われているわけであります。そして石油業界値上げ要望に対して、需要業界の方におきましては軒並み企業赤字であるという点から、なかなか希望どおりに受け入れるようなことはできない状態であろうかと思うわけでございます。そこで問題になりますのは、今回の一〇%値上げの問題に伴って、さらに赤字が各メーカー、元売り業者等において拡大をするわけでございますけれども、その赤字を補てんするというようなことになりますれば、かなり利潤を見込まないと赤字は補てんできないのは道理でございます。しかし、前段に申し上げたとおり、需要業界というのはそういう状態にない。私は、国民生活全般の状況を考えたときに、あるいはまた会長さんも御存じのとおり、いまの政府の経済運営のやり方というのは、一般消費者需要をあおるようなことは絶対にしたくない、何とかして来年三月までに物価一けた台に抑え込もうというような、そういう政策のもとに進んでおるわけでございますので、やはり石油業界としても、この利潤の問題についてはかなり低位に抑え込むんだという決意をしなければ、いまの経済政策には合わないし、また需要業界に対してこたえることもできないというふうに思うわけでございます。そういった意味におきまして、この利潤の問題についてどう考えておられるのか。私はやはり非常にそれは低位に見込まなければ、また大きな混乱が起こるのじゃないかと思いますので、その御決意のほどを伺いたいと思うわけです。  それから第二点といたしましては、やはり九月末現在灯油が五百九十二万トンもしくは五万トンとも言われておりますけれども、これは先ほど御指摘がありましたように、いわゆる原油値上がりが一〇%値上げ前の問題でございます。このことは先回の物価委員会でも話題になりまして、エネルギー庁としましては、値上げ前と後というものは分けて考える要素は確かにある、こういうような御返事があったわけでございますけれども、私も当然これは分けて考えなければならぬと思うのですけれども業界としてもそういうようないろいろな要素はございましょうけれども、この問題については配慮をすべきではないか、この点の御決意を承りたいと思うわけでございます。  それからもう一点、先ほど全国燃料協会の会長さんの方から、こういうような九月末現在の備蓄量があるけれども、なお品不足については心配がある、こういうようなお話があったわけでございます。しかも、新聞等の報道によりますと、エネルギー庁の方におきましてある課長さんが、灯油と性質がほとんど同じなので、高値の軽油A重油灯油が化ける心配があるというようなこともおっしゃっておる。こういうようなことは言うべきじゃないんだけれども、しかし、これはやはり私は業界の道義的な責任という問題にかかっているだろうと思うのですね。やはりこれは業界の決意いかんにかかっている。したがって、品不足のおそれはないような万全の体制をとってもらわなければならぬわけです。  同時にまた、先回の石油ショックの状況を見ましても、その流通経路が詰まっておったんでは、これはどうにもならぬわけですね。そういうことで先ほどの御心配の提起がなされたと思うのでございますけれども、この問題についてお伺いをしたいと思います。  それから、石油商業組合連合会笹野参考人並びに全国燃料協会会長野尻参考人にお伺いをしたいわけでございますけれども、一つはこういう例が実は発表になっているわけですね。  公団住宅の関東自治会の協議会加盟の百合丘団地、川崎にございますけれども、千七百戸あるそうです。今度の冬季の灯油購入価格を、各棟の階段まで運んで一かん六百十円とすることで燃料店側と合意を見て契約をした。これはいわゆる実勢価格から見ますと、百円ぐらいの格差があるわけですね。百円近い差が出てきているわけでございますけれども、そういう燃料を扱っていらっしゃる業界としまして、消費者と直結していらっしゃる業界としまして、一体どのような量であればこの程度になり得るのか、あるいはまたその場合、卸売業とかあるいは元売り業、これがある程度燃料店と交渉がなされなければここまで安くできないのではないか。言葉をかえて言えば、卸売、元売りも、業転物かどうかはわかりませんけれども、この場合は安くしているんではないだろうかというふうに私には考えられるわけですけれども、この点に対する御意見を承りたいわけです。  それからもう一点、この灯油等を直接売っていらっしゃるお二人にお伺いしたいのでございますが、四十八年の石油ショックのときに大幅な手形サイトの短縮が行われたわけです。かなり強引に行われたわけですね。そういうようなことを見てみますと、今回の一〇%値上げに対してやはりそういうようなことが傾向としてあらわれてきているのではないのかという気がするのですね。この点があるかないかお伺いをいたします。  それから最後に、エネルギー庁の方にお伺いをするわけでございますが、持にこの灯油値上げの問題については、少なくとも業界でその値上げ幅を決めていくわけでございます。ところが、各需要業界、いわゆる工業界においては使用する量が多うございますので、個別に交渉して、いわば交渉権を持っておると言って過言でないと思うのですね。ところが、一般消費者の場合は、これは交渉権が、単位も小そうございますし、ないわけですね。そういう状態を見ると、少なくとも公正ではないなというふうに思わざるを得ないわけでございまして、国民生活安定のためにはやはりエネルギー庁がそれに対する十分の配慮をしなければならぬ、こう思うのですね。ただ、その配慮も、抽象的ないろいろなものを勘案してこういう値段に決まっていくでしょうとか決まりますとか、そういうようなことではなくて、こういうような業界の要望もあったけれども、やはり交渉権のない一般消費者のことを配慮して、こういうような経過でこういうふうになりましたというような明快な、国民生活安定という方向からのそういうものが示されなければいかぬと思うのですね、いま経済政策の原則論も申し上げましたけれども。そういった点でのことをどういうふうな形であらわされるのか、この点をお伺いしたいと思うわけでございます。
  65. 石田正實

    石田参考人 お答えします。  第一点の利潤の問題でございます。石油業界は、先ほど申しますように、四期連続赤字というような状態でございます。これも非常に大きな金額になっておりまして、いまその金利負担等が石油業界を非常に圧迫しておるような状態でございますので、できればこれは何とか今度の標準価格に入れてもらいたいという希望は持っているわけでございますけれども、おっしゃるとおり、業界消費者、ユーザーの方が非常に不況でもございますし、また政府物価安定という一つの政策もございますので、この辺はある程度われわれは圧縮しなければならぬというふうに考えております。同時に、この標準価格の中にある程度の利潤は織り込んでもらえると思っておりますけれども、これも膨大なものじゃない、石油業界として何とか償っていける利潤というようなことになるのじゃないか、そういうふうに考えておるわけであります。決してこの際に赤字を一遍に回復するとか、それから特にこれで利益を上げる、そういうような考えは毛頭ございません。  第二点の、安い原油で買ったのが六百万トンも備蓄されておるじゃないか、こういう御指摘でございます。これは確かにわれわれ、六百万トンというのは、夏場と冬場といいますと、夏場が一に対して冬場が三というような状態で、灯油というのは非常に季節的な変動の大きいものでございます。これは需要に応じた生産というのはなかなかいきませんので、夏場で灯油はためているわけでありまして、六百万トンですと、この下期の冬場の、大体千二百万トンの半分を備蓄している状態でございます。これは一にかかって消費者方々供給に不安を感じさせない、迷惑をかけないという意図から出ておるわけでございます。  これは、しかし、われわれの業界から見ますと、この備蓄をしておるというのは非常な経費を食うわけでございます。それで、この六百万トンに対してどのくらい経費がかかるかといいますと、タンクをやったり、その間の金利を半年間負担しなければならぬということで、この備蓄しておる油については大体キロ当たり四千円近い経費がかかるわけですね。しかし、これも全体の一年間にならした、冬場の千二百万トンで割りますと、——いや、さっき六百万トンと言いましたが、四百万トンに対して、大体四千円くらいかかる。これを千二百万トン割りますと、千四、五百円という経費がかかるわけですね。これは備蓄の費用がかかっているわけでございます。それともう一つは、先ほど申しますように、石油業界、現在千五百円くらいの赤字になっておるわけでございます。この赤字はやはり何とかして解消しませんというと、これはいよいよ赤字が大きくなってくるという問題を抱えておるわけでございます。  そういう問題で、確かにその備蓄をした原油というものが、安いと言えば安いのですけれども、そういうふうな赤字千五百円、備蓄費用が千五百円といいますと、優に三千円というものがかかる。これに今度のOPEC値上がり等が二千円かかってくるという問題もございますので、そこら辺が、全部灯油というわけじゃございませんけれども、やはりそういうことをお考えいただきまして、この審議会でそこら辺の灯油値段が決まるのじゃないかと思うわけでございます。業界としましてはそういう立場で審議会に臨む考えでございまして、ある程度やはり灯油値上がりというものはやむを得ぬのじゃないかというふうに思うわけでございます。  それから第三点の、灯油を抑えるとほかの軽油A重油に非常に関連した値上がり——まあ値上がりしたり値下がりしたりするわけでございまして、そういう意味からも、灯油を非常に抑えられてきましたために軽油とかA重油というのが値上がりしない。これは業界としては非常に苦しいわけでございます。それが、先ほど申し上げますように、この灯油とか軽油とかA重油というものは代替することができるわけでございます。それで、灯油値段が安いというとほかの物も結局引きずられて安くなる、こういうようなわけでございます。そこらは石油業界の道義的な責任でそういうことを避けたらどうかということでございますが、これはわれわれ元売りとしましては、販売店ないし消費者の方に渡してしまいますと、後は消費者立場でどういうふうに使われるかということはわれわれは追跡できないわけでありまして、そこら辺が、いろいろな方面に灯油軽油の代替に使われ、A重油の代替に使われるというようなことがありまして、そこまでの流通段階に最後までわれわれ追跡することはちょっとできないわけでございます。  以上でございます。
  66. 笹野好男

    笹野参考人 ただいまのお答えを申し上げますと、四十八年のときは元売りがその取引条件を短縮いたしましたけれども、今回はまだそういうことは伺っておりませんので、いまのところはないのじゃないかと思っております。  それから、一括購入がどのくらいにすれば安くなるかという御質問でございますが、これはいろいろ納入の場所とかあるいは取引条件がいろいろございますが、いまの川崎の場合は本当に特殊なケースじゃないかと思いますので、われわれちょっと考えられないのでございます。
  67. 野尻東一

    野尻参考人 申し上げます。  神奈川県の六百十円の記事は、あれはうそ八百を並べてあります。はっきり申し上がます。お役所で業者と消費者を呼んで話をしたそうです。そして、業者とすると七百円ぐらいと言ったそうです。消費者とすると六百十円ぐらいということで、結局決まらなかったそうです。そうして業者が帰ったらば、あしたの日になったら六百十円に決まったと新聞に出て、けしからぬと怒っております。これはお役所にもねじ込んで、どうも行き過ぎだということを言っておるそうですか、確かに私は確信を持って申し上げますから、どうぞお取り下げを願います。  それから、手形サイトの短縮というのはありません。いつも大体一月半とか二月とかと決まっておりまして、同じようにやっております。ただ、値上がりのとき、いろいろいままで先取りしはしないか——この前のショックのときに、山にドラムかんを百本も積んでごまかしたという話がよくありますが、結局、キロ千円上がったとしても、ドラム一本で五本にとれますから、二百円しか上がらないわけです。それでドラムかんが三千円も四千円もするもので、山の中へシートをかけて置いておいたらオシャカになっちゃいます。決してそんなことはしないで、売る人は、金もうけというよりも、そういう少ないときにいかにしてお得意に間に合わせるかという考えの方が多いということを、ひとつ御記憶願いたいと思います。
  68. 石田幸四郎

    石田(幸)委員 エネルギー庁の方に、先ほど石連の会長さんの方からお話がございましたので、それもあわせてお答えを願いたいわけですが、いわゆる品不足の問題ですね。やはり流通の問題であるから、石連の方はそこまで責任を持てないというようなことをおっしゃっておりますけれども、こうなりますと、これはもう、先ほど燃料協会の会長さんが心配になった品不足という問題がやはり話題になってくるかもしれませんね。これに対する対策をひとつ明確にお示しをいただきたい。  それからもう一つ、現在備蓄している約六百万トン分の問題については、やはり一〇%の値上げ前、値上げ後と分けて考えることはできないというようなお話です。備蓄経費がかかるとおっしゃっておりましたけれども、これはちょっといただけない議論じゃないかと私は思うのです。これは従来ともかかっているものでございますので、今回だけがかかってきたわけではありません。その点がこの前の御答弁と、業界の考え方がかなり違うようですね。この点について再度見解をあわせてお願いをしたい。
  69. 左近友三郎

    ○左近政府委員 お答えを申し上げます。  第一の灯油については、需要家は供給者に対する交渉権が薄いのではないか、また薄いから対策を考えるべきではないかというふうなお話でございますが、確かにそのとおりでございまして、石油製品は非常に広範な需要家を抱えておりますけれども、その中でも一番そういう点で需要家との交渉がやられていない分野であろうというふうに思います。したがいまして、通産省といたしましても、これに対していろいろ行政指導を通じて問題の解消に努めておるわけでございますが、その内容、それからまた皆様方の意見を聞くということについて今後も十分努力してまいりたいし、またいろいろ工夫もしてまいりたいと思いますが、当面は、毎月、消費価格モニター価格を発表いたしまして、その際兵現在われわれがとりつつある灯油の対策についていろいろ御説明を申し上げているという措置をとっておるわけでございます。  それから第二点の品不足の問題でございますが、われわれといたしましては、昨年の経験にかんがみまして、この六百万トンのストックというのは昨年よりも多いということで考えておりますので、まず心配はないと思っております。  ただ、六百万キロリットルと申しましても、大体下期の需要量の三八%、約二・二カ月分でございます。したがいまして、残りはやはりこの下期になって生産するものとこのストックと合わせて供給するわけでございますからこの下期の生産が順調に行われなければいけないということは当然でございます。したがいまして、今後この六百万キロリットルの備蓄に安心することなく、今後の生産を円滑に進めるという対策は十分に講じてまいりたいというふうに考えております。先ほど御指摘がありましたのも、そういうところの生産がおろそかになると危ないのではないかというふうな御指摘であったように私は感じております。  それから、ストックの問題と価格の問題でございますが、これは先般、私、御説明申し上げたとおりでございまして、この値段をわれわれがいま考えておりますのは、五十年度、ことしの四月から来年の三月までの会計年度といたしまして、その中でのコストがどうなるかという試算をしておりますので、その場合に、原油価格それから在来の貯蔵品の価格というものはそれぞれ評価をして決めることに相なるというふうに考えております。そういうものは当然そういう評価で決められていくということでございますので、この点についてはわれわれとしては十分その点も考えてみたいというふうに考えております。ただ、実際問題といたしまして、全体のコスト、つまりストック分が計算に入りますけれども灯油だけを抜き出してみますと——なかなか抜き出しがむずかしいというのは先般お話ししたとおりでございますので、今後の、先ほど申し上げました計算が一たん出てきました後で灯油について配慮をいたすときに、そういう点も織り込んで考えていきたいというのが先般お答えしたことでございますが、現在もそういうふうに考えております。
  70. 横山利秋

    横山委員長 和田耕作君。
  71. 和田耕作

    和田(耕)委員 ちょうど二年前のあの石油パニックのときのこのような会合の議論等を思い浮かべまして、非常に状態が変わっておるという感じを持っております。このごろでは、ガラス張りとまではいかないんですけれども、やはり石油をめぐっての各担当業界等の役割りというものが大分はっきりしてまいっておりますので、二年前のような疑い深い、あいつ、よけいもうけているんじゃないかというふうな感じの議論が非常に少なくなっていることは非常にいいことだと考えております。それだけに、通産省の行政指導というものは非常に重要な役割りを演じてくるわけでございまして、また、いま審議されております石油審議会の構成等についても新しい考慮をする必要があるのではないかという感じが深いのでございます。  そこで、二、三お伺いしたいのは、石油連盟の石田さんからのお話がありましたけれども、二千三百億の累積した赤字がある。これは、まあ政府石油政策の間違い——間違いとは言えなくても、その結果出ておるから、何とかこの問題について考えてほしいということと、今度の一〇%値上げOPECの決定、これに基づく新しい価格体系の設置というものがダブルになってこの要求がなされておると思うのですね。確かに、いまいろいろと御質問なされたように、六百万トンに上る備蓄されたものについては、一〇%のアップがないわけですから、それだけの考慮をして、この分については引き上げをしないという配慮は必要だと思うのですけれども、いままでの二千三百億の赤字についてのカバーをこの際やるということになると、そういうところの問題についての通産省の判断というものが大事になってくるわけだと思うのですね。やはり一〇%上がれば、それらしく消費者も負担するということはやむを得ないと思うのですね。ただ、一〇%上がってない分でいままでの二千三百億の赤字分をどうカバーするかというような問題になると、これは通産省としても国民生活を考えた上での配慮が必要になるというふうに思うのです。  そこで、先ほど釜萢さん、生活協同組合の事務局長さんの発言の中に、消費者代表がしかるべきところにいないし、そして適当な発言をする機会がないというお話があったのですけれども、これはやはりこの段階でよく考えてみる必要のあることだと思うのですが、釜萢さんにお伺いしたいのは、消費者代表をどのようにして選ぶかということですね、いまの段階で。これが非常に選びにくいということも、いろいろな審議会とかそれに入っていない一つの理由だと思うのですが、これは私はそういう状態ではいけないので、合理的な選ぶ方法があれば、やはり消費者代表というものをできるだけ関係の機関に入れていく必要があると思う。これは通産省等にも強く主張したいと思うのですが、といって、どういう方法で選んだらいいかということになると、私自身もちょっとうまい方法が浮かんでこないという感じですが、その点についてお聞かせをいただきたいと思います。  それから、先ほど野尻さんからのお話の中で一番最後のお言葉に、流通制度の改革というものも考えなければならぬという感じの御発言がございましたね。これは具体的にどういうふうなことを意味しておられるのか。先ほどからるるとお話がありましたとおり、三百八十円段階の百四十八円、これが三年間据え置かれておるということは、だれが考えてもこれは余り適当なものではない、是正しなければならないという感じがするわけなんです。そういうことといまの流通機構等の問題は、当然いろいろの問題を含めて議論されなければならないと思うのですけれども、何とおっしゃいましたかね、流通機構の制度化という言葉をおっしゃったと思うのですが、どういう具体的な内容を持っておられるのか、お聞かせをいただきたいと思います。  先ほど小林君が質問しました、いまの段階の石油価格を、標準価格を設定するという形で解決するのはどうかなという感じを私も持っておるのです。標準価格というのは、あの石油二法のときの審議に私ども参加したわけですけれども、やはり何ともならない物価の変動というものが前提にされているわけでございまして、いまがそういう時期であるかどうかということは、これは検討を要する問題である。しかしながら、標準価格というものを目標にしない価格論議というものが公取との関係でどういうことになるかという問題もあって、いろいろ苦労なさっておると思うのですけれども、あの石油二法の中に盛られた標準価格の制度を余り便宜的に使っちゃどうかなという感じを持つわけです。そういうことを含めて、正しい行政指導という面がますます必要になるということと関連して、再度お答えをいただきたいと思います。  以上です。
  72. 石田正實

    石田参考人 お答えします。  備蓄になっております六百万トンの灯油については原油値上がりはないのじゃないかということと、それから二千三百億の赤字をこれにかけているのは筋違いじゃないか、こういうような御質問だったと私思うわけでございますが、この点二千三百億というのは過去四期の数字でございまして、いま現在われわれで見ておるのは、先ほど申しました千五百円というのは、ことしの四月以降千五百円ほど、各油種平均でございますけれども、不足しておるということ、それからもう一つは、六百万トンというのは約半年間というものを備蓄していて、その間の備蓄費用がかかっておるというようなことから、もともと安い原油だから値上げの必要はないのじゃないかとおっしゃられると思うのですけれども、そういうような各油種千五百円の赤字と、それから備蓄費用が、先ほど申し上げましたように、キロ当たり大体千五百円ぐらいに当たると思います。都合三千円くらいのものが、都合といいますか、灯油に関しては考えられるわけでありまして、この点をどこら辺まで価格にしますか、これは一にかかって今後石油審議会でお決めになりますので、それに従っていきたい、こういうふうに考えております。
  73. 釜萢勝宏

    釜萢参考人 お答えいたします。  消費者代表の選び方でございますけれども、現在全国的な消費者団体の連合組織といたしまして、全国消費者団体連絡会というのがございます。これは地域の婦人会やあるいは団地の自治会、公団の自治協あるいは日本生協連合会等を広範に参加させております団体でございます。これが中心になりまして、御案内の十一月に全国消費者大会というのがやられたわけでございますので、そういう意味からいたしますと、私はこの全国消費者団体連絡会から適当な人間をということがこの場合一番適当なやり方ではないかというふうに考えております。
  74. 野尻東一

    野尻参考人 流通機構の制度化につきましては、石油はほとんどが輸入商品でございますので、いつまた石油パニックが来るかわからない。そういうときはやはり取扱者をある程度決めておかなければいけない。これは許可制にするか登録制にするか、いろいろあると思います。また、石油は危険物でありますので、やはり取扱者は一つの資格を持っていなければいけない、こう考えます。また、いろいろ取り扱いいたしますのに設備が必要であります。どうしてもある程度、たとえばタンクを設備しなければいけない、そういう条件も必要と思います。ただ、都心におきましてはなかなかタンクの設備ができない。それでいままで長い間業者が取引していた、販売していたという点もありますので、そういうところはいろいろ御考慮願って、ある程度どうしても何かここに制度化をしていかなければ後で困るんじゃないか、こう考えます。
  75. 左近友三郎

    ○左近政府委員 標準価格の問題につきまして申し上げたいと思いますが、われわれといたしましては、灯油につきまして行政指導をずっとやってまいったわけでございますし、今後も必要な指導を続けてまいりたいというふうに考えておりますが、石油価格全般につきましてやります行政指導もやはりなるべく——行政指導と申しますものは臨機応変ということでそれはそれなりの特長もございますけれども、やはりオープンなものにする必要があろうかというふうに考えております。したがいまして、石油業法の標準価格が適用し得る場合には、やはり石油業法の手順に従って審議会の審議を経てやった方がよりオープンな決め方になるかというふうに考えて、現在標準価格でやるのはどうかということで審議会にお諮りしておるわけでございます。  それから、標準価格の運用の仕方等々は、先ほども申し述べましたように、特に灯油についてはどういうふうに持っていくかということは特に注意を払わなければいけないと思っておりますし、先ほど参考人の方からもお話がありましたように、それがまた下支え価格になるということでは本来の趣旨にも反しますので、そういう点も十分考慮した上で運営してまいりたいというふうに考えております。
  76. 和田耕作

    和田(耕)委員 一つだけ補足の質問をいたします。  いま野尻参考人から流通過程の制度化という問題の内容のお話がありましたが、私も、ここで聞いている限りでは、ごもっともな御意見だというふうに思うのですけれども、石連会長石田さんと通産省はこの問題どういうふうにお考えになるのか、ちょっと御意見をお聞きしたいと思います。
  77. 石田正實

    石田参考人 これはこの前の石油危機のときに問題になりましたのですが、これは元売りの方におきましても輸入計画がはっきりしないという面もあったわけでございますけれども、大部分は流通過程で非常に混乱を生じたということが言えるのじゃないか。そういう意味で、流通過程である程度制度化されるということが非常に必要だと思います。また現にガソリンなどでは業転物もかなり出回っておるようであります。これは販売業界相当の市況の混乱を生じております。そういう意味からも、してまいりたい。  それから、やはり今後石油は、われわれ備蓄もやっておりますけれどもOPECがどういうふうな、中近東でどういう問題が起きるかわからない状態でございますので、そういう場合も想定しますと、やはりこの前のパニック、石油危機のときの繰り返しをやらないように、何とか早く流通関係を整備することがより必要だと思っております。
  78. 左近友三郎

    ○左近政府委員 いま石連会長も申されましたように、石油危機というふうな緊急事態を考えますと、やはり政府流通段階を十分把握しておく必要があるということがございますので、われわれもその点からいろいろ現在研究中でございます。  ただ、流通段階では、やはりいろいろなシステムを考えまして、合理化をするという必要がある部面も相当ございます。したがいまして、その制度化が流通段階を固定化いたしまして、結果として消費者にメリットをもたらさないということになりますと、これまた問題でございますので、いろいろなサイドから流通段階自身の問題あるいは消費者からの希望というようなものも踏まえまして、十分検討した上でこの問題の結論を出したいということでございまして、われわれといたしましても検討課題として現在やっておるところでございます。
  79. 横山利秋

    横山委員長 委員長からちょっと伺いたいのですが、経済企画庁にまず伺いますが、民生用灯油が一〇%上がれば消費者物価指数を〇・〇五%押し上げる、二〇%上がれば消費者物価指数を〇・一%押し上げると言われていますが、その数字、間違いございませんか。
  80. 朴木正

    ○朴木政府委員 OPEC値上げが一〇%であると仮定をいたしました場合は、CPIには〇・五%の影響があると言われております。これは電力料金その他もろもろに石油値上がりが波及した時間的なものを織り込んだ場合の数字でございます。
  81. 横山利秋

    横山委員長 もう一つ伺いますが、通産省に対して民生用灯油価格抑制についていままでも何らかの申し入れをしたことがありますか。また今後申し入れをする予定がありますか。
  82. 朴木正

    ○朴木政府委員 OPEC値上げが発表されましたときに、今後の石油製品、特に灯油影響等を考慮いたしまして、通産省に対しましては民生用灯油に十分配慮していただくということをお願いしてございます。
  83. 横山利秋

    横山委員長 通産省にちょっと伺いますが、先ほど笹野参考人の話によれば、スタンドについては行政指導で建設を許可されている状況である、こういう発言がありますが、そのとおりですか。
  84. 左近友三郎

    ○左近政府委員 現在行政指導の一環といたしまして、スタンドを一定の要件を満たさなければ建設しないというふうな指導をやっております。
  85. 横山利秋

    横山委員長 重ねて伺いますが、憲法二十二条で職業選択の自由があり、スタンドをつくるかつくらないかということについて、法律によらずして通産省がそれの許可権限を持っておるという法的根拠は何ですか。
  86. 左近友三郎

    ○左近政府委員 この行政指導は、石油業法によりますと、スタンドは一定の数量以上扱いますと届け出制になっております。その届け出制を円滑に運用する意味において、従来約十年間行政指導をしてまいったわけでございます。この行政指導あり方につきましてもいろいろ御意見がございます。したがいまして、われわれといたしましてもこの行政指導を、先ほど議論がございました制度化の問題と絡めて、現在検討しておるところでございます。
  87. 横山利秋

    横山委員長 これは憲法上の疑いがありますから、ぜひとも御検討を要望します。  いま皆さんの御意見、御質問をいろいろ伺いましたが、委員長から注意を喚起いたしたいと思うのですが、御質問、御意見がございました中で、今年九月の在庫分六百万キロリットルについては現行価格のまま据え置きを要望するという意見がきわめて強いこと、残余の今期必要量六百万キロリットルを確保し、新価格体系への誘導においても、民生用については格段の配慮をしてもらいたいという要望が非常に強いこと、また、消費者意見を反映させるために、石油審議会委員消費者代表の参加を考慮してもらいたいという要望が非常に強いこと、そのほか数々の意見がございましたし、また皆さんのお答えもございましたが、十分この御意見について反映をしていただくよう政府においても善処を要望したいと思います。  これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人各位には、お忙しいところ貴重な御意見をお述べくださいまして、まことにありがとうございました。ここに委員会を代表して厚くお礼を申し上げます。  次回は、明十三日水曜日、午後一時三十分から理事会、午後二時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後一時五十一分散会