運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1975-12-17 第76回国会 衆議院 農林水産委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年十二月十七日(水曜日)     午前十時三十分開議  出席委員    委員長 澁谷 直藏君    理事 今井  勇君 理事 笠岡  喬君    理事 中川 一郎君 理事 藤本 孝雄君    理事 井上  泉君 理事 芳賀  貢君    理事 津川 武一君       愛野興一郎君    伊東 正義君       上田 茂行君    片岡 清一君       金子 岩三君    吉川 久衛君       熊谷 義雄君    佐々木秀世君       島田 安夫君    中尾 栄一君       角屋堅次郎君    柴田 健治君       島田 琢郎君    竹内  猛君       馬場  昇君    美濃 政市君      米内山義一郎君    諫山  博君       中川利三郎君    瀬野栄次郎君       林  孝矩君    稲富 稜人君       小宮 武喜君  出席国務大臣         農 林 大 臣 安倍晋太郎君  出席政府委員         内閣法制局第四         部長      別府 正夫君         農林大臣官房長 森  整治君         農林省農林経済         局長      吉岡  裕君         農林省構造改善         局長      岡安  誠君         農林省農蚕園芸         局長      澤邊  守君         農林省畜産局長 大場 敏彦君         農林省食品流通         局長      今村 宣夫君         農林水産技術会         議事務局長   平松甲子雄君         食糧庁長官  大河原太一郎君         林野庁長官   松形 祐堯君         水産庁長官   内村 良英君  委員外出席者         法務省民事局参         事官      吉野  衛君         法務省刑事局刑         事課長     吉田 淳一君         外務省アジア局         外務参事官   枝村 純郎君         外務省欧亜局外         務参事官    木内 昭胤君         大蔵省主計局主         計官      宮下 創平君         文化庁文化財保         護部記念物課長 澤田 道也君         厚生省児童家庭         局母子衛生課長 北川 定謙君         農林省農蚕園芸         局植物防疫課長 本宮 義一君         自治省財政局地         方債課長    花岡 圭三君         会計検査院事務         総局第四局長  東島 駿治君         農林水産委員会         調査室長    尾崎  毅君     ――――――――――――― 委員の異動 十二月十二日  辞任         補欠選任   馬場  昇君     井岡 大治君 同日  辞任         補欠選任   井岡 大治君     馬場  昇君 同月十七日  辞任         補欠選任   神田 大作君     小宮 武喜君 同日  辞任         補欠選任   小宮 武喜君     神田 大作君     ――――――――――――― 十一月十九日  昭和五十年産米事前売渡申込限度数量増枠  に関する請願中村茂紹介)(第三〇八二  号)  乾繭絹撚糸絹紡糸絹織物等輸入規制に  関する請願中村茂紹介)(第三〇八三号)  全国農村保健研修センター設置助成に関する  請願中村茂紹介)(第三〇八四号) 同月二十日  配合飼料価格の安定に関する請願諫山博君紹  介)(第三二五七号)  配合飼料配合割合公開に関する請願中川利  三郎君紹介)(第三二五八号)  同(柴田睦夫紹介)(第三二五九号)  基準繭価引上げに関する請願諫山博君紹  介)(第三二六〇号)  野菜生産出荷安定法改正に関する請願柴田  睦夫紹介)(第三二六一号)  同(津川武一紹介)(第三二六二号)  用水事業農民負担軽減及び畑地灌漑促進に関  する請願柴田睦夫紹介)(第三二六三号)  蚕糸業振興に関する請願(林百郎君紹介)(  第三二六四号)  同(津川武一紹介)(第三二六五号)  加工原料みかん価格安定制度改善に関する請  願(中川利三郎紹介)(第三二六六号)  乾繭絹撚糸絹紡糸絹織物等輸入規制に  関する請願諫山博紹介)(第三二六七号)  昭和五十年産予約限度超過米政府買入れに関  する請願中川利三郎紹介)(第三二六八  号)  みかん栽培農家の経営安定に関する請願中川  利三郎紹介)(第三三一四号)  超過米全量買上げ等に関する請願(林百郎君  紹介)(第三三一五号) 十二月九日  中国食肉輸入禁止解除に関する請願加藤  清政紹介)(第三四一五号) 同月十二日  蚕糸業振興に関する請願(林百郎君紹介)(  第三六〇八号) 同月十五日  中国食肉輸入禁止解除に関する請願赤松  勇君紹介)(第四二六五号)  同(有島重武君紹介)(第四二六六号)  同(竹内猛紹介)(第四二六七号)  同(山田太郎紹介)(第四二六八号)  国内産いもでん粉対策に関する請願丹羽兵助  君紹介)(第四二六九号)  農林漁業危機打開等に関する請願梅田勝君  紹介)(第四二七〇号)  同(寺前巖紹介)(第四二七一号)  同(山田芳治紹介)(第四二七二号) 同月十六日  農林漁業危機打開等に関する請願外一件(玉  置一徳君紹介)(第四五〇五号)  りんご腐乱病黒星病樹改植等促進事業措置  法制定に関する請願(林百郎君紹介)(第四五  〇六号)  軽種馬生産者生活及び経営安定に関する請願  (多田光雄紹介)(第四五八二号)  超過米早期全量買上げ等に関する請願中川  利三郎紹介)(第四五八三号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 十一月二十日  漁業経営安定対策実現等に関する陳情書  (第二四三号)  食糧管理法完全実施による米の全量買上げ実  施等に関する陳情書外四件  (第二四四号)  水稲等かめ虫防除対策確立に関する陳情書  (第二四五号)  農業共済団体事務費国庫負担金増額等に関す  る陳情書外一件  (第二四六号)  牧草被害等による越冬用飼料確保等に関する陳  情書外一件  (第二四七号)  乾繭絹撚糸絹紡糸絹織物等輸入規制に  関する陳情書外二件  (第二  四八号)  松食虫防除対策強化に関する陳情書  (第二四九号)  山村振興事業促進に関する陳情書外一件  (第二五〇号) 十二月十五日  食糧管理法完全実施による米の全量買上げ実  施等に関する陳情書外三件  (第三二四号)  農業災害補償制度における補償水準引上げ等に  関する陳情書(  第三二五号)  国営大規模灌漑排水事業促進のための特別促進  対策実施に関する陳情書  (第三二六号)  水田総合利用対策対象作物として葉たばこ認  定に関する陳情書  (第三二七号)  乾繭絹撚糸絹紡糸絹織物等輸入規制に  関する陳情書外一件  (第三二八号)  畑作農産物価格制度確立等に関する陳情書外  五件(第三  二九号)  漁業経営安定対策確立に関する陳情書外二件  (第三三  〇号)  北海道沿岸海域漁業生産拡大対策確立に関す  る陳情書(第三三  一号)  第三種漁港整備事業に対する国庫補助率引上げ  に関する陳情書  (第三三二号)  木材行政施策充実強化に関する陳情書  (第三三三  号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  閉会中審査に関する件  農林水産業振興に関する件  請 願    一 酪農経営の安定に関する請願鈴木善      幸君紹介)(第六七号)    二 漁業経営危機打開に関する請願(鈴      木善幸紹介)(第六八号)    三 圃場整備事業通年施行奨励金制度継      続に関する請願鈴木善幸紹介)(      第六九号)    四 大阪京橋地区場外馬券売場設置反      対に関する請願稲富稜人君紹介)(      第一二六号)    五 漁業経営安定対策に関する請願(關谷      勝利君紹介)(第二三二号)    六 大阪京橋地区場外馬券売場設置反      対に関する請願東中光雄紹介)(      第二六〇号)    七 同(井岡大治紹介)(第三三六号)    八 かんしよ及びかんしよでん粉価格の引      上げ等に関する請願山中貞則君紹      介)(第二六一号)    九 乳価引上げ反対及び二重価格制度の      制定に関する請願中路雅弘紹介)      (第六〇二号)   一〇 同(増本一彦紹介)(第六〇三号)   一一 同(石母田達紹介)(第六九六号)   一二 昭和五十年産米穀政府買入れ数量限      度引上げに関する請願伊東正義君紹      介)(第七五〇号)   一三 大阪京橋地区場外馬券売場設置反      対に関する請願浅井美幸紹介)(      第八〇三号)   一四 水田総合利用対策における葉たばこの      取扱いに関する請願鈴木善幸君紹      介)(第一一五六号)   一五 太平洋中型さけます流し網漁業に係      る漁獲物陸揚港の選定に関する請願      (鈴木善幸紹介)(第一一五七号)   一六 昭和五十年産予約限度超過米政府買      入れに関する請願鈴木善幸紹介)      (第一一五八号)   一七 中国輸入羊腸消毒免除に関する請      願(吉田法晴紹介)(第一三五四      号)   一八 乾繭絹撚糸絹紡糸絹織物等の輸      入規制に関する請願小沢貞孝君紹      介)(第一四二四号)   一九 同(唐沢俊二郎紹介)(第一四二五      号)   二〇 同(吉川久衛紹介)(第一四二六      号)   二一 同(小坂善太郎紹介)(第一四二七      号)   二二 同(羽田孜紹介)(第一四二八号)   二三 同(倉石忠雄紹介)(第一五一五      号)   二四 同(中澤茂一紹介)(第一五一六      号)   二五 同(原茂紹介)(第一五一七号)   二六 昭和五十年産米事前売渡申込限度数      量の増枠に関する請願小沢貞孝君紹      介)(第一四二九号)   二七 同(唐沢俊二郎紹介)(第一四三〇      号)   二八 同(吉川久衛紹介)(第一四三一      号)   二九 同(小坂善太郎紹介)(第一四三二      号)   三〇 同(羽田孜紹介)(第一四三三号)   三一 同(倉石忠雄紹介)(第一五一八      号)   三二 同(中澤茂一紹介)(第一五一九      号)   三三 同(原茂紹介)(第一五二〇号)   三四 全国農村保健研修センター設置助成      に関する請願小沢貞孝紹介)(第      一四三四号)   三五 同(唐沢俊二郎紹介)(第一四三五      号)   三六 同(吉川久衛紹介)(第一四三六      号)   三七 同(小坂善太郎紹介)(第一四三七      号)   三八 同(羽田孜紹介)(第一四三八号)   三九 同(倉石忠雄紹介)(第一五二一      号)   四〇 同(中澤茂一紹介)(第一五二二      号)   四一 同(原茂紹介)(第一五二三号)   四二 漁業経営安定対策に関する請願(多      田光雄紹介)(第一五一三号)   四三 漁業生産拡大対策に関する請願多田      光雄紹介)(第一五一四号)   四四 昭和五十年産米事前売渡申込限度数      量の増枠に関する請願下平正一君紹      介)(第一八九四号)   四五 乾繭絹撚糸絹紡糸絹織物等の輸      入規制に関する請願下平正一君紹      介)(第一八九五号)   四六 全国農村保健研修センター設置助成      に関する請願下平正一紹介)(第      一八九六号)   四七 乳価引上げ反対及び二重価格制度の      制定に関する請願田中美智子君紹      介)(第二〇六九号)   四八 同(田中美智子紹介)(第二一四二      号)   四九 農林漁業団体職員共済組合法改正に      関する請願瀬野栄次郎紹介)(第      二一七五号)   五〇 まぐろ類輸入規制等に関する請願      (瀬野栄次郎紹介)(第二一七六      号)   五一 全国農村保健研修センター設置助成      に関する請願(林百郎君紹介)(第二      二三四号)   五二 超過米全量買上げに関する請願(佐      野憲治紹介)(第二二三五号)   五三 同(古川喜一紹介)(第二二三六      号)   五四 同(古川喜一紹介)(第二二七四      号)   五五 中国食肉輸入禁止解除に関する請      願(竹内猛紹介)(第二二三七号)   五六 農業災害補償制度改善に関する請願      (湊徹郎紹介)(第二三〇七号)   五七 昭和五十年産予約限度超過米政府買      入れに関する請願湊徹郎紹介)(      第二三〇八号)   五八 乾繭絹撚糸絹紡糸絹織物等の輸      入規制に関する請願湊徹郎紹介)      (第二三〇九号)   五九 同(林百郎君紹介)(第二五三四号)   六〇 昭和五十年産米事前売渡申込限度数      量の増枠に関する請願(林百郎君紹      介)(第二五三五号)   六一 農林漁業団体職員共済組合法改正に      関する請願諫山博紹介)(第二五      三六号)   六二 乳価引上げ反対及び二重価格制度の      確立等に関する請願多田光雄君紹      介)(第二六二五号)   六三 昭和五十年産米事前売渡申込限度数      量の増枠に関する請願中村茂君紹      介)(第三〇八二号)   六四 乾繭絹撚糸絹紡糸絹織物等の輸      入規制に関する請願中村茂紹介)      (第三〇八三号)   六五 全国農村保健研修センター設置助成      に関する請願中村茂紹介)(第三      〇八四号)   六六 配合飼料価格の安定に関する請願(諫      山博紹介)(第三二五七号)   六七 配合飼料配合割合公開に関する請願      (中川利三郎紹介)(第三二五八      号)   六八 同(柴田睦夫紹介)(第三二五九      号)   六九 基準繭価引上げに関する請願諫山      博君紹介)(第三二六〇号)   七〇 野菜生産出荷安定法改正に関する請      願(柴田睦夫紹介)(第三二六一      号)   七一 同(津川武一紹介)(第三二六二      号)   七二 用水事業農民負担軽減及び畑地灌漑      促進に関する請願柴田睦夫紹介)      (第三二六三号)   七三 蚕糸業振興に関する請願(林百郎君      紹介)(第三二六四号)   七四 同(津川武一紹介)(第三二六五      号)   七五 加工原料みかん価格安定制度改善に      関する請願中川利三郎紹介)(第      三二六六号)   七六 乾繭絹撚糸絹紡糸絹織物等の輸      入規制に関する請願諫山博紹介)      (第三二六七号)   七七 昭和五十年産予約限度超過米政府買      入れに関する請願中川利三郎君紹      介)(第三二六八号)   七八 みかん栽培農家の経営安定に関する請      願(中川利三郎紹介)(第三三一四      号)   七九 超過米全量買上げ等に関する請願      (林百郎君紹介)(第三三一五号)   八〇 中国食肉輸入禁止解除に関する請      願(加藤清政紹介)(第三四一五      号)   八一 蚕糸業振興に関する請願(林百郎君      紹介)(第三六〇八号)   八二 中国食肉輸入禁止解除に関する請      願(赤松勇紹介)(第四二六五号)   八三 同(有島重武君紹介)(第四二六六      号)   八四 同(竹内猛紹介)(第四二六七号)   八五 同(山田太郎紹介)(第四二六八      号)   八六 国内産いもでん粉対策に関する請願      (丹羽兵助紹介)(第四二六九号)   八七 農林漁業危機打開等に関する請願      (梅田勝紹介)(第四二七〇号)   八八 同(寺前巖紹介)(第四二七一号)   八九 同(山田芳治紹介)(第四二七二      号)   九〇 農林漁業危機打開等に関する請願外      一件(玉置一徳紹介)(第四五〇五      号)   九一 りんご腐乱病黒星病樹改植等促進      事業措置法制定に関する請願(林百郎      君紹介)(第四五〇六号)   九二 軽種馬生産者生活及び経営安定に関      する請願多田光雄紹介)(第四五      八二号)   九三 超過米早期全量買上げ等に関する請      願(中川利三郎紹介)(第四五八三      号)      ――――◇―――――
  2. 澁谷直藏

    澁谷委員長 これより会議を開きます。  農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  麦の政府売り渡し価格及び昭和五十年産予約限度超過米取り扱いについて、政府から説明を聴取いたします。大河原食糧庁長官
  3. 大河原太一郎

    大河原(太)政府委員 まず、当委員会においてもしばしば御論議を賜りました昭和五十年産予約限度超過米取り扱いについての政府方針が決まりましたので御報告申し上げます。  本年の相当量発生いたします予約限度超過米につきましては、集荷団体でございます全農あるいは生産者団体の全中等と十分話し合いを行いまして、全量集荷の上、自主流通米として販売いたすというのを基本方針といたしまして、これに関する助成措置を決定したわけでございます。  お手元に一枚紙で「昭和五十年産予約限度超過米取扱いについて」という資料を差し上げてございますので、便宜それに即して簡単に御説明申し上げます。  五十年の予約限度超過米につきましては、全量集荷の上、自主流通米と同じ販売ルートによって、極力全農等指定法人保管販売をいたすということでございますが、本年はその予約限度超過米数量相当量に上りまして、その販売については格段助成を要するということでございまして、次のような助成措置を決めたわけでございます。  まず、販売促進費、これは保管販売の金利、倉敷料でございますが、実績といたしまして一カ月一俵当たり百十三円を交付する。  それから流通促進奨励金、これは本来の自主流通米につきましても本年度は千六百五十円の流通促進費が出ておりますが、前例にかかわらず本年は千三百円を交付いたすということにしたわけでございます。  次に、今年はまた超過米の処理についてはいろいろ格段努力を要するということで、本年に限りまして(三)に書いてございますように、全農等指定法人予約限度超過米を円滑に販売できるようにするため、一俵当たり二百円を交付いたすということでございます。  なお、目標達成奨励金でありますが、本来の自主流通米についてもその達成数量によって目標達成奨励金というものがついておりますが、これは六十キロ当たりにして約三百六十円に相なりますが、超過米販売量についてもこれを交付いたすということにしたわけでございます。  冒頭に申し上げましたように、全量集荷全量自主流通ルートによる販売消化というたてまえでございますが、われわれとしては現段階では、ほぼこれによって全量自主流通ルートによる消化を期待し、またその可能性を信じておりますけれども、なお残量が生じた場合においては、自主流通ルートによる販売実態を踏んまえ、その段階政府において必要な措置をとるというふうに決めたわけでございます。  自主流通ルートによる販売実態と申しますのは、自主流通ルートによって超過米販売されます場合におきましても、その産地なり銘柄によりまして価格差がいろいろございますが、それらも踏んまえて、また自主流通ルートによって努力をいたして販売した農家の方々の手取りとの均衡ということも考えまして措置をいたしたいというふうに考えておるわけでございます。  以上、簡単でございますが、予約限度超過米取り扱いについての決定した方針を御報告いたします。  次に、昨日、米価審議会を開きまして麦の政府売り渡し価格について諮問をし、答申をいただいたわけでございます。  諮問につきましては別途、昨日資料をお手元に差し上げてございますが、最近におきます国内供給の麦の大宗を占めます外麦については政府買い入れ価格が大幅に上がり、売り渡し価格は据え置かれているため、五割ないし六割の逆ざや関係にある。これは財政面だけではなく、外国農産物に対して助成をしているというような、食糧農業政策上もいろいろ問題があるという視点と、また最近の家計の動向もある程度の引き上げを許容するところにあるというようなことにかんがみまして、平均二〇%政府売り渡し価格を引き上げるということにしたわけでございます。  もちろん、全体の逆ざやはこれによって解消するわけではございませんが、段階的になるべく早くその逆ざやを解消いたしたいという方針諮問をしたわけでございますが、昨日の米価審議会におきましては、お手元答申で見られるように、物価対策の観点から慎重な配慮という若干の御意見もございましたが、審議会全体といたしましては、この答申に見られますように、食糧農業政策のあり方から見て逆ざや是正の要があるとする意見が有力でございまして、政府諮問の二〇%は適当であるというふうな御答申を得たわけでございます。  なお、関連製品便乗値上げ等についての政府側の監視、指導の必要性も指摘されたわけでございます。  なお、答申と関連いたしまして、やはり最近の食糧需給から見て、食糧自給度の向上のための諸施策をこの際一層充実すべきだという意見消費者側委員等からも出ましたし、今回、外麦については、その実際の輸入価格と現行の種類別売り渡し価格との間に銘柄間格差が設けられておりますが、現実の輸入価格との乖離がはなはだしいわけでございまして、その是正を図りたいということで売り渡し価格の決定をいたすわけでございますが、一方その格差についても適正な価格の設定について検討を加えるべきであるというような建議を同時に受けたわけでございます。  以上、簡単でございますが、御報告いたします。     ―――――――――――――
  4. 澁谷直藏

    澁谷委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。芳賀貢君。
  5. 芳賀貢

    芳賀委員 ただいま食糧庁長官から説明のありました昭和五十年産米予約限度を超過した産米取り扱いの問題と、政府が買い入れいたしました外麦並びに国産麦売り渡し価格の問題についてまずお尋ねいたします。  いま食糧庁長官から説明のありました五十年産米予約限度を超過した分についての取り扱い方針でありますが、これが実行されるといたしますと、政府が管理する米の取り扱いというものは、まず第一に政府の直接買い入れ米と、それから当然でありますが政府の管理する自主流通米と、それから今回の予約限度数量を超過して生産された産米取り扱いということになるわけで、結局三段階方式というようなことになるとも考えられますが、その点はいかがですか。
  6. 大河原太一郎

    大河原(太)政府委員 先生のお話のとおりでございまして、予約限度制を導入いたしました際におきまして、直接政府買い入れ米と、それから自主流通米及び限度を越えたものについては自主流通ルート販売させるという三段階が現在の食管制度においては制度としても構成されておりまして、今回も先生のお話のとおりの取り扱いになると思います。
  7. 芳賀貢

    芳賀委員 それは長官、おかしいんじゃないですか。われわれ社会党としては、いわゆる事前割り当ての予約制度というものに対しては、政府が政令改正をする場合に、これは食管法に照らして違反の政令であるということで反対しておるわけです。しかし、今回三段階でございますというのはおかしいじゃないですか。少なくとも生産された産米全体に対して政府として食糧管理法に基づいて全面管理をするということは、これは変っていない点ですからね。そうなると、無理にこれを区分しても、政府の直接買い入れする分と、それからさらに自主的な販売促進するが、それはあくまでも政府の管理の枠内に置くということでやってきたわけですから、それからさらにはみ出したもう一段階の制度がありますというのは、これはおかしいじゃないですか。
  8. 大河原太一郎

    大河原(太)政府委員 御説明を申し上げたのは舌足らずでございますが、御案内のとおり、直接政府が買い入れて売り渡す政府米と、それから自主流通米、これは直接全農等指定法人が集荷計画に基づいて卸売業者等に販売いたしますが、これも食管法上配給計画に入っております。今回の限度超過米も、食管法上これも配給計画に入れまして全体としての管理をいたすということに相なっております。
  9. 芳賀貢

    芳賀委員 そうなれば、運用上は直接買い入れと、それ以外の分についてはできるだけ自主流通米のルートに乗せて政府の管理下に置いてこれを処理するということに間違いないですね。
  10. 大河原太一郎

    大河原(太)政府委員 お話しのとおり、国全体の米穀の需給計画は、直接政府管理のものと、それから自主流通計画によって集められた米も配給計画に入る、それから超過米についても、これは集荷計画が固まりますれば配給計画に入れてそれで配給する、全体として政府の管理のもとに置くということは先生のお話しのとおりでございます。
  11. 芳賀貢

    芳賀委員 そうなると、最近の割り当て方式というのは、耕作前に政府が一定の計算に基づいて目標を示すわけですから、それがその年の生産状況の変化あるいは天候等によって大きく左右されることは当然あり得るわけですね。そうなると、ことしは大豊作によって、百万トンの生産調整をやっておりながらなお千三百万トンというような高度の生産を確保したわけですから、それをもって事前割り当てに対応させるということになれば、いわゆる長官の言われる超過分というものは当然計画を変更して、直接買い入れの数量を増加するかあるいは自主流通米の計画数量を増加して変更するか、いずれかによるのが当然だと思うのです。本来、何か余って困った、恩恵を施すような形でこういう取り扱いにしてやるというようなことは、これはわれわれとしては了承できないのですけれども、その辺を農林大臣から明快にしてもらいたいと思います。
  12. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 今回の豊作につきましては、私たちもこの不況時において米が豊作であったということは大変結構なことであるという基本的な考え方を持っておりますが、この限度数量を超えました過剰分につきましては、いま食糧庁長官が申し上げましたように、まず第一にできる限り自主流通ルートに乗せてそしてこれを消化する、こういう基本的な考え方でいろいろ措置を講じたわけでございまして、団体側としてもこの余剰分については自主流通ルートで全力を傾けて消化をしていくということで御協力を賜っておるわけでございまして、その点はわれわれとしても喜んでおる次第でございます。最終的には四月の段階でないとわからないと思いますけれども、どうしてもやはり自主ルートに乗せ得ない米ができてくるわけでございますが、その米につきましては、政府としても責任をもって何らかの措置を講ずるというのが私たちの基本的な考え方でございます。
  13. 芳賀貢

    芳賀委員 そこで今回の措置は、自主流通米数量の増加、変更というように明確になっていないが、これは結局はその実績というものが自主流通米数量に加算されておることに結果的にはなるのじゃないですか。そうならぬですか。     〔委員長退席、今井委員長代理着席〕
  14. 大河原太一郎

    大河原(太)政府委員 お答え申し上げます。  先生のおっしゃるとおりに、正規の予約限度内の自主流通米の上の超過米でございますが、配給上の視点からいたしますと、自主流通米の上に加算されるということに相なるわけでございます。
  15. 芳賀貢

    芳賀委員 そうなれば、結局昭和五十年度の政府買い入れ米、それから自主流通米の計画の中に実績として織り込まれるわけですね。
  16. 大河原太一郎

    大河原(太)政府委員 これは先ほど先生の御質問にございましたけれども、予約限度数量といいますか、限度を決めて買い入れております数量は、その年の需給、消費の数量から見て決められてくるわけでございます。それが政府買い入れ米自主流通米と合わせて今年度は八百八十五万トンでございますが、超過米は配給計画としてはその上に乗っかる。したがって、やや御質問から過ぎるかもしれませんけれども、配給上政府の売却操作、その他配給上においては繰り込みますけれども、自主流通米超過米の関係は、あくまでも限度の一線ということで、それを超えるというわけでございます。
  17. 芳賀貢

    芳賀委員 これは長官、政令の内容においても、事前割り当てですから、絶対これは間違いない、収穫の暁にも狂いがないというものじゃないでしょう。とにかくまきつけ前に割り当てるわけだから、したがって数量の改定もできるということにこれはなっておるわけです。問題は、私が繰り返し言っておるのは、国内で生産されたすべての産米というものは、食糧管理制度の枠内に置かれるわけでしょう。たとえば長官の言う限度を超過した米といえども、これは食管制度の規制の枠外だということにはならぬでしょう。枠外にしないというのであれば、これは食管制度の枠内において当然処理すべき問題であって、処理方針としては、政府の直接買い入れ方式と後は自主流通米によってこれを販売するという以外に方法がないわけです。だから、たとえば当初計画より超過したとしても、政府買い入れ数量を増加しないというのであれば、結局この自主流通米の中に――そのルートでこれは販売しなければならぬということになるわけでしょう。当初にそうするべきであるが、いまそれができないでおるわけだけれども、しかし、時間がたてば、結果的には実績としてその分は全部自主流通米としてこれだけ販売しましたということになるじゃないですか。
  18. 大河原太一郎

    大河原(太)政府委員 先生のような御議論もございますが、現在のたてまえといたしましては、国といたしましては、主食の需給操作上と申しますか、全体の在庫の積み増しとかあるいは配給とかを含めまして年間の必要量を想定する。そのために政府の買い入れる数量が八百八十五万トンである。これを前提といたしまして、それぞれの県なり市町村、農家の方々に予約限度を指定いたしまして、予約の数量を決めておるわけでございます。したがいまして、それを超える米につきましては、政府の需給操作を超える米でございます。しかし、できました米につきましては、やはり食糧管理のもとにおいてこれを一定のルートによって処理して適切な配給に向ける必要があるというようなことで、自主流通ルートによって集荷いたしまして、配給計画に入れまして処理しておるわけでございます。したがって、その場合はその分がふくらむわけでございますので、政府の売却数量その他によって米の配給部門等を操作いたしましてこなしておるというような形でございまして、出発が、われわれの方といたしましては需給操作上必要な数量をまず定めて、それからそれぞれの段階、平年作を前提としていろいろ数字を組み立てておりますけれども、それを超えた、本年のような豊作によって生じた米については、自主流通ルートによって処理いたすというようなたてまえをとっておるわけでございます。
  19. 芳賀貢

    芳賀委員 きょうは時間に限定があるから、これだけを議論するわけにいかぬが、いままでの長官並びに大臣の答弁によりまして判明した点は、結局、現行の政府の運用方針の中においても、政府の直接買い入れと自主流通米の二本立てである、それ以外の方法はないということははっきりしたわけですから、ことしの超過米といわれるものも農家が生産した米ですから、当然その中で適正にこれは処理されなければならぬと思うわけです。これは結局来年以降政府の米の管理行政というものをどうやるかということにかかわりがあるわけだから、私はこの時点で尋ねておるわけです。いまの政府のやり方は、もう明らかに食管制度の運用に混迷を起こしておる。これは長官も認めておると思うのです。いつまでもごまかしていけるものではない。これは昭和五十一年度の国内の産米に対する政府の需給計画というのも当然出てくるわけだし、それからことしの秋に農林省として大臣の手元で策定された「総合食糧政策の展開」においても、五十一年度以降は米の生産についても、従来五カ年間継続したいわゆる減反政策、つまり生産調整という形はとらないということを明らかにしておるわけです。それがまた、ことしの幸いの豊作によって生産調整を強化する、減反政策をさらに続行するというようなことを考えておるのではないか。その点、われわれは全面的に政府を信用できないから、来年の点について、これは大事な点ですから、農林大臣から明確にしておいてもらいたいと思います。
  20. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 五十一年度の米の需給計画、さらにこれに関連をする五十一年度予算のあり方につきましては、いまお話がございましたように、五十年産米が豊作でございまして、したがって、五十一米穀年度末の古米の持ち越しが、われわれが当初予想をしておりました予想を相当大幅に上回ることになるわけでございます。やはりそれを踏まえて見直しをしなければならない段階に来ておるというふうに判断をいたしておるわけでございます。そうした観点から、転作目標につきましても、いままで予定をしておりました規模、これは大体通年施行を含めて八十万トンという予定をしておったわけでございますが、これをふやさざるを得ないものであるというふうに考えておるわけでございます。     〔今井委員長代理退席、委員長着席〕  しかし、その場合におきましても、水田の総合利用という観点から、米につきましては需要に応じた計画的な生産という点にもちろん十分な配慮をしなければならぬわけでございますが、さらに、今後生産振興の必要な飼料作物、大豆等の食糧農産物を中心として、水田における生産振興措置を講じ、わが国の総合的な食糧自給力の向上を図るという水田総合利用対策の基本的な考え方というものは維持していきたい、こういうふうに考えております。ただ、ことしが非常に豊作であったという点で、来年度の転作目標等につきましてはある程度の見直しをしなければならないのじゃないかというふうに判断をしておるわけでございます。
  21. 芳賀貢

    芳賀委員 結局、いま大臣が言われたとおり、ことしの米の生産状況から見て、せっかく国内の食糧の自給度を向上させるという総合食糧政策というものを安倍農林大臣のもとで打ち出したわけですけれども、正常な生産性の向上によって千三百万トンを超える米が確保された。その途端に、またそれに驚いて、じゃ以前のように生産調整をやらなければならないということになれば、いつまでたっても国内の食糧農業の発展を期することはできないと思うのです。これは来年度の予算編成並びに食管特別会計の編成あるいはまた米の五十一年度の需給計画の中に出てくる問題ですが、この点は国民に失望を与えないようにぜひやってもらいたいと思いますが、この点について大臣の考えを伺っておきたい。
  22. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 おっしゃるように、当初考えておりました水田総合利用対策の中における転作の規模等につきましては手直しをしなければならぬ。これはやはりことしも含めての米の需給の厳しい情勢というものを前提としてそうせざるを得ないと思うわけでありますが、いまお話のありましたような点は十分踏まえまして対処しなければならぬと思いますし、私は二百万トンの米の備蓄というものを数カ年計画で達成したいということを一つの方針にしておりますが、このテンポも早めざるを得ないのじゃないか。そういう心構えで対処していかざるを得ないと思いますし、またそういうふうにしていくのが今日の米の需給関係から見てやむを得ないことである、こういうふうにも考えるわけであります。
  23. 芳賀貢

    芳賀委員 次に、麦価の問題についてお尋ねしますが、政府方針は、麦類の政府手持ちの売り渡し価格を二〇%上げるということでありますけれども、ただいま食糧庁長官から説明のあった米審の答申においても、麦の標準売り渡し価格については逆ざや現象の是正を行う必要があるということが強調されておるわけですが、輸入麦の逆ざや是正するということになれば、今回の二〇%引き上げで是正されるわけじゃないと思うのです。輸入麦についての逆ざや是正ということになれば、価格を現行よりもどれだけ引き上げる必要があるのか伺っておきたい。
  24. 大河原太一郎

    大河原(太)政府委員 お答えいたします。  今回の米審に諮問いたしました場合におきましても御説明を省略さしていただきましたが、要するに輸入価格は、こんなことを言うと申しわけございませんが、国際相場が変動しております。したがいまして、食管の輸入麦買い入れ価格も期間の取り方によって変動するわけでございますが、最近三カ月のその関係を申しますと、輸入麦の買い入れ価格は六万七千二百六十円でございます。それに対して政府の管理経費等がございますので、コスト価格は七万三千百五十円でございます。それに対して売り渡し価格は四万六千五百六十七円でございますから、二万六千五百八十三円というのが逆ざや額ということになっております。したがって、今回の平均売り渡し価格は、現行の四万六千五百六十七円から五万五千八百八十円にいたしましたので、その差し引き額といまの価格との差額をなお是正しなければならないということに相なるわけでございます。
  25. 芳賀貢

    芳賀委員 これも長官、大事な点ですよ。この逆ざや解消ということであれば、現行売り渡し価格に対して何十%上げというようなことをはっきりしなければならぬでしょう。それが担当の長官の頭にない。ただ二〇%だけ上がればいいというようなことじゃ――一体どれだけ是正すればいいというのか。
  26. 大河原太一郎

    大河原(太)政府委員 お答え申し上げます。  ただいまの計算でございますと、逆ざや率が五七・一%でございます。したがって、五七・一%上げますと、逆ざやが完全に解消されるということになります。
  27. 芳賀貢

    芳賀委員 大臣にお尋ねしますが、今後もこの麦類の輸入数量というのは、一遍に大幅に縮減することはできないとしても、当然方向としては輸入数量を縮小するという方向に行ってもらわなければならぬと思うのですが、そのためには、国内の麦の増産計画を積極的に進める必要が出てくるわけです。少なくとも国内で生産されてなおかつ不足する分について補完的に外国から輸入するという方針にしなければいけないと思うのです。そういう場合、その輸入する食糧について大幅な逆ざやをつくってまで、あくまでも安売りをする必要があるかないかということが、今後の国内の食糧増産を進める場合の大きな問題点になると思うのです。  ただ、この答申の内容も特に重要なものは何もないですけれども、とにかく逆ざや是正の要があるというのと、今回の値上げによって便乗値上げ等が生じないようにするという二点だけにしぼられておるというのか、これしかわからぬのか、それはわからぬですけれども、これもやはり来年以降の予算の編成とか総合食糧政策の進め方に重大な関係があるわけですから、今回二〇%の値上げでとどめたが、将来の問題として基本的には、輸入麦の売り渡し価格というものは逆ざやの生じないように、年間において変動はあるが、やはり一応の平均的な価格水準というのはわかるわけですから、そういう点の根本的な是正というものを一体やるのかやらぬのか、日和見的にやっていくつもりか、その点はどうですか。
  28. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 政府が今回米価審議会に二〇%の諮問をいたしますに当たりまして、関係省庁等ございますので、これについて政府部内でいろいろと調整をいたしたわけでございますが、そこで統一した考え方として決められたのは、麦の逆ざやについては段階的にこれを解消していくという基本的な考え方に立って今回二〇%、こういうことで決まったわけでございます。したがって、政府全体としては、段階的にこれを解消するという基本方針でございますが、私といたしましては、これは米価審議会におきましても申し上げたわけでございますが、数年のうちに、早い時期にこの逆ざやは解消をしていきたいということを申したわけでございます。したがって、農林省としてはそういうふうな早期逆ざや解消というものを目標にして今後努力をしていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。  麦については、いまお話しのように、やはりこれは今後とも輸入は続けざるを得ないということでございます。しかし、これはやはり本来的には、いまお話しのように、補完的に輸入するというのがそのたてまえでなければならぬわけでありますし、過去はそうであったわけでございますが、最近におきましてはもう大半が輸入にまたなければならぬというふうな状況でございます。したがって、私たちは総合食糧政策の推進を行う中にあって国内の自給力を高める、その最大の目標をこの麦に置いておるわけで、麦につきましてはあらゆる施策を強力に行って、そして麦の増産というものを積極的に進めたい、こういうふうに考えるわけでございます。  同時にまた、今回の値上げを行いました理由としての主な原因は、ただ単なる逆ざや解消だけでなく、私は、それに加えて、やはり米との対比におきまして麦が低い、そういう点がやはり国民食生活の中にあって麦に傾斜をしていく、こういうふうな傾向も出ておるわけでございますので、やはり主食である国内の農産物であるところの米の消費を拡大していかなければならぬ、そういう農政上の判断からも、やはり麦については逆ざや解消とともに、米の消費拡大といいますか、米との対米比価といいますか、そういう対米価比等の非常に不均衡のあり方等も是正をして、正当な米の位置づけもしなければならぬということも私の考えの中にあったわけであります。
  29. 芳賀貢

    芳賀委員 いま農林大臣の言われた米の価格と麦の価格の均衡の問題は、私どもとしてもしばしば委員会で強調した点なわけです。従来、ことさら麦の売り渡し価格を下げて米との選択の中で麦の消費が拡大されるようなそういう行政を進めてきたことは否定できないと思うのです。そうして一方においては、いつまでたっても米の過剰傾向がとどまらぬ。先般農林大臣は、文部大臣あるいは大蔵大臣に対して、今後の学校給食に対して米飯を全面的に実施するようにしてもらいたいと要請された、これは結局米の消費拡大の一つの方策として考えておられると思うのです。本当に子供の成長とか教育ということよりも――それもあるでしょう、米の飯を食った方が優秀な子供が育つことは間違いないわけだから。それまで苦労してやっているわけですから、やはり四百五十万トンに及ぶ輸入麦をできるだけ抑える、それは国内において麦の消費が減退するように仕向ければいいわけです。そうすれば自然に米の消費が拡大する。無理な生産調整をする必要がないということになるので、この点はぜひ自信を持って今後進めてもらいたいと思います。  次にお尋ねしたいのは、ことしの十月に政府が決定されました芋、でん粉の価格あるいはまたてん菜、甘蔗の原料価格並びに砂糖の政府買い入れ価格等に関係した問題であります。ことしの畑作農産物の価格決定が非常に低い水準で決められたことはもう改めて議論する余地はないわけですけれども、その結果として来年以降の農民の生産意欲に重大な圧迫を加えておるということが非常に懸念されるわけです。  そこで、この点を中心にして来年度の関係予算の編成等とあわせてお尋ねしたいわけでございますが、一つは、国産のでん粉にしてもその原料価格についてはバレイショあるいはカンショに対して原料芋として六十キロ一俵当たり千五十円の取引価格、手取り価格を実現させる。そのためにはでん粉の販売促進とかいろいろな対策を講ずる必要があるので、それに要する経費としてはおおよそ十億円を確保して全面的にこれを実行するという付帯的な決定が行われておるわけであります。  そこで、まず第一に、農林大臣が決定された原料取引価格の六十キロ当たり千五十円というものは実際現地において実行されておるかどうかという点をまず明らかにしてもらいたいと思います。
  30. 今村宣夫

    ○今村(宣)政府委員 御指摘のようにバレイショの原料基準価格は七百八十七円といたしまして、指導価格ということで千五十円を定めまして、そのうち政府が十億円を目途として金を出しまして指導価格を守っていくという処理をいたしたわけでございますが、大体その十億円を目途としての一応の一俵当たりの単価を三十五円出したいと思っております。したがいまして、千五十円から三十五円引きますと千十五円ということに相なるわけでございますが、北海道のような場合におきまして、北海道のバレイショでん粉を基準価格見合いで政府が買い入れるという措置が必要でございますから、北海道等にその金を支出をいたします場合には、政府の一定量の、たとえば五万トンなら五万トン政府が買い入れるといたしますならば、それと千五十円見合いのでん粉価格との加重平均価格を守っていただければ、その金を支出するというふうな考え方に立っております。そういうことで、一応北海道のバレイショでん粉につきましても一定数量を買い上げるということに処理をいたしまして、おおむね千五十円か払っていただけるものと考えておるわけであります。  カンショにつきましては、大体南九州につきましては経済連及び工組系とも千五十円を支払うということで処理をいたしておるところでございます。
  31. 芳賀貢

    芳賀委員 ことしももう年末ですから、原料生産者としては、たとえば低い政府の指導価格であっても、やはり千五十円が年末に精算されることを希望しておるわけですから、果たして農林省の方針というものが全国的に末端まで徹底して、製造業者あるいは全農、ホクレン等においてもその趣旨を体して実現に努力しているかどうかという点についても十分調査を行って、その結果を資料として提出してもらいたいと思うわけです。いいですか。
  32. 今村宣夫

    ○今村(宣)政府委員 御趣旨のようなことを調査しまして御説明申し上げたいと思います。
  33. 芳賀貢

    芳賀委員 次に、てん菜並びにてん菜糖の問題ですが、これは関連して当然サトウキビ及び甘蔗糖にもかかわることになるわけでございますが、まずてん菜の関係については、十月九日に農林省としててん菜の原料価格並びに製造されたてん菜糖の事業団の買い入れ価格を決定されたわけでございます。この決定の際に算定要素として用いた反収あるいは収穫量、それから歩どまり等についても、現在の状況というものは当時と相当相違しておる点が見受けられるわけであります。そうなりますと、これは決定時の、特に事業団の砂糖買い入れ価格等についても大きな価格上の影響が出てくるわけでありますが、これに対する検討については実際に行われたかどうか、その結果について説明をしてもらいたいと思うわけでございます。  それから第二の点は、原料価格並びに事業団買い入れ価格を決定する際の政府の国内糖価水準の安定については、農林省が適宜決定して指導しておるいわゆる消費者価格といいますか、一キロ当たり二百六十円台を維持することによってことしの原料価格並びに砂糖の買い入れ価格というものを適正水準に維持できるということでありましたけれども、現在においては国内の砂糖の市況が大体キロ当たり二百円程度に低迷しておるわけです。そうすると、農林省が行った指導価格二百六十円という価格帯というものは実際に維持されておらぬということになるわけです。その原因は、輸入粗糖の国際価格が低落をしておる。大体百五十ポンド程度に低迷しておるわけでありますから、精製糖業者は予想外の極度に安い原料を買い付けしてくるわけです。安い原料で精製糖の生産を行えば当然生産費が低減するわけですから、国内の砂糖市況というものを引き下げるということが現象として出てくるわけです。しかし、国産糖の場合においては、政府が決定した原料基準価格、あるいは非常に不当に低い価格でありますけれども、生産者の取引価格としてトン当たり一万六千円というものを実行さしておるわけです。そういう国内糖と輸入糖との間における価格の混乱というものは、どうしても国内の砂糖市況の中にあらわれてきておるわけです。それを農林省として的確に安定措置を講ずる責任があると思うわけですが、この混迷というものをなかなか整理、調整できないでおるわけですね。その苦心はわかりますけれども、これがまた来年の北海道あるいは沖繩等における甘味資源の生産等に対して致命的な減産の影響を与えるということになるし、そうなれば国内の製糖事業というものが大きく陥没をするということになるわけですね。そういう点に対して農林省として、本年度の問題と来年以降の原料の生産対策あるいは国内における砂糖生産の自給度向上の方針等についてどういうふうに考えておるのか、時間の関係で大事な点だけ先に質問したのですけれども、これは昨日質問要旨をそちらへ伝えておるわけですから、この項目に分けて明快な答弁をしてもらいたいと思います。  それからあわせて農林大臣にお尋ねしておきますが、これらの困難な問題を解決するためには従来の行政方式を温存した形では解決できないと思うのです。たとえば国内の甘味資源の増産体制をとるとしても、当然財政的な措置というものは必要になってくるわけです。そこで、これは私の構想を申し上げますと、現在糖価安定事業団というものがあるわけですが、これが効果的な機能を発揮していないことは大臣も御承知のとおりです。しかも、「総合食糧政策の展開」で見ると、この糖価安定事業団を改組して、輸入大豆等を中心とした備蓄機構というものを法律の制定等を行って実行するということになっておるわけですから、その構想を実現する自信があるとすれば、この機会に砂糖類の取り扱いについても、一つは輸入粗糖についての買い入れ売り渡しというものを、国産糖と同じように糖価安定事業団に瞬間タッチでもいいですからやらせる。国産糖はやっておるわけですからね。あるいはまた、農林省所管の畜産振興事業団もこれは現物の取り扱いをしておるわけですから、これを実行するということにしなければなかなか国内産糖の振興対策を進めることはできないじゃないかと思うのです。需給と価格安定を農林省が責任を持って調整するということになれば、現行の糖価安定事業団の機能を根本的に改革してこれを活用する、そういうやり方が一つと、もう一つは、国内の石炭振興対策の事業として石炭及び石油対策特別会計という制度があることは大臣も御承知のとおりであります。これに対して昭和五十年度一年間に、重油関税を中心とした原重油関税収入のうちから、石炭勘定で九百七十一億、石油勘定で四百四十二億、合わせて一千四百十三億円程度の関税収入を国内の石炭並びに石油の振興対策のために特別会計を受け皿にして、これはもうすでに実施しておるわけですね。そういう実例もあるわけですから、ことしの秋の、糖安法に基づく砂糖価格の上限価格と下限価格の引き上げを行った結果、大体砂糖の輸入関税は年間に一千億以上収益が出るということが見込まれておるわけですから、その全部を国内の甘味対策や国産糖の振興対策に使う――それほど膨大な金は要らぬですけれども、少なくとも三百億程度は、砂糖関税の三〇%程度は、これに関する特別会計というものを設置して、そうして糖価安定事業団の根本的な改組を通じて運営を進めるというような両々相まった方式によって、国内のてん菜あるいはサトウキビの増産を進めていく、そうして国内の砂糖の自給度の向上を図るというような施策を実行すべきであるというふうに考えるわけです。  以上が、この甘味対策についての質問の内容ですけれども、これに対して明確なお答えをお願いしたいと思います。
  34. 今村宣夫

    ○今村(宣)政府委員 まず今年度のてん菜糖の生産の状況から見てコストが上がっておるではないかという御質問でございますが、確かに反収を当初四・一トンと見込みましたが、現在の状況ではどうも三・六五トンぐらいの程度になっておるようでございますし、歩どまりがまだ確定はいたしておりませんが、メーカーの推定では当初一三%程度の想定をいたしておりましたが、どうも一二・六七%程度ではないかというふうなことも言われておりまして、そういう要素から、てん菜糖の政府買い入れ価格のコストは、買い入れ価格を定めましたときよりもコストが上がる要因がございます。  したがいまして、まず第一は、その奨励金を会社の負担で出せるかどうかという問題がございます。これは今後の糖価のいかんにもよるわけでございまして、現在のような糖価のもとにおいて会社負担ということはなかなか困難な状況にあると思っております。その場合に、会社が負担できないときは国がこれを負担するという形でございますから、そういう意味合いにおきまして、来年度の糖価関係の予算につきましては十分な配慮を必要とするというふうに考えておるわけでございます。そういうふうにコストの上昇の要因がございますのに、御指摘のように糖価は低迷をいたしておるばかりでなく、だんだん糖価は下がって二百円台に近くなっておるという状況でございます。  したがいまして、何よりも私たちとして当面急がなければならないことは糖価の安定であろうと思っております。糖価は、この前の価格のときに御説明を申し上げましたが、大体奨励金込みのコストとして考えますと、二百五十八円程度の糖価水準であれば会社は奨励金込みでコストを賄うことができるであろうというふうに想定をいたしたわけでありますが、現在は二百五円、最近ちょっと上がりまして二百八、九円、こういうふうな水準に相なっておるわけであります。そこで私たちは現在、生産者による最低コストで糖価安定事業団が買い入れまして、売るときは市価見合いで売るわけで――大体、売りますときには、通常の売り戻し価格よりも、特例を設けまして、二百十一円ぐらいで売り戻すべきところを二百五円程度で売り戻しておるわけでありまして、そこで事業団売買としての会社の負担低減といいますか、事業団売買を通じます会社への援助は、現在大体キログラム当たり二十四円程度に相なっております。しかしそういたしましても、たとえば二百五円に二十四円を足しましても二百二十九円、約二百三十円の水準であるわけでございますから、二百五十八円と二百三十円程度の約二十八、九円の差というものが、現在の状況では会社の負担になってまいるわけであります。  そこで、まず第一は、糖価の安定を図りまして、たとえば糖価を十円上げますと会社の負担が二十二億助かるわけでございますから、どうしてもこれは糖価を安定させなければならない。しかし糖価はなかなか現在の糖業界の状況なり、あるいは現在の在庫の状況なり、あるいは輸入粗糖の成約の状況なりを見ますと、在庫は現在でも大体通常在庫の二倍を持っておる、製品でも約通常在庫の二倍を持っておる。現在の成約がずっと入ってくるといたしますならば、来年の三月末では通常在庫の約二倍であり、一年先には通常在庫の三倍以上のものが入ってくるという状況に相なるわけでございます。これは私たちの推定でございます。  そこで、まず第一番目にやらなければいけないのは、各精糖会社相互間の協調による生産調整であろうと思っております。これは、場合によっては業界の話し合いが進めばカルテルを申請しまして、農林省としましてはこれに積極的に対応をしていくというつもりでおりますけれども、現段階では、なかなかそこまでいく協調が整う状態にはございません。もしそれが整いまして生産調整が行われたといたしますと、あとはそれぞれの商社の結びつきがございますから、秩序ある輸入といいますか、輸入の安定化といいますか、そういうことを今度は同時に図っていかなければ効果が上がらないのではないかというふうに思っております。そういう意味合いにおきまして、私たちとしましても十分業界を指導して、糖価の安定と秩序ある輸入という面につきまして努力をしてまいりたいと考えておる次第であります。そういうふうにいたしまして、両々相まって、ビート会社が一万六千円の奨励金を払って、恐らく赤字を出さないということはなかなかむずかしいかと思いますが、とにかくこういう非常の事態でありますから、会社として成り立っていくように措置をする必要があると思っております。  そこで、来年度以降の対策はどうかということでございますが、現在のような状況を踏まえて考えますと、奨励金を会社の負担で出さすというふうな措置は適当ではない。それからでん粉についても同様でございますが、でん粉につきましても、ただ単に指導価格というふうなかっこうで千五十円ということをやることも適当ではないと思っております。これを是正すると同時に、今後の糖価安定対策を踏まえての全体的な甘味資源の研究は、相当腰を据えて検討していく必要があると考えておる次第でございます。
  35. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 砂糖情勢というものはまさに混迷に次ぐ混迷を重ねておるというふうに私も思っております。砂糖業界一つをとってみましても、狂乱物価の当時は大変な利潤を得たわけでございますが、その後国際糖価が下落をいたしまして、もろにそれをかぶった砂糖業界は、いま負債が積み重なって倒産寸前というふうな状況にもあるわけですが、これはやはり非常に振れの大きい国際糖価というものから来ておるわけでございます。そうした状況の中にあって有効に機能しなければならないのが糖価安定法といいますか、糖価安定制度でなければならぬわけでございますが、そうした余りにも大きい振れのために結局その機能を失ってしまっておるというのが今日の状況ではないだろうかとも思うわけでございます。  そういうふうな情勢にあって、やはりわれわれとしては生産者を守っていかなければならぬのは当然でありますし、二割を切っておる国内の甘味資源の振興をここで図っていかなければならぬことも、食糧自給力の向上というわれわれの基本的な政策から見てもこれまた当然のことでございます。  そうしたことでいろいろな情勢がございまして、必ずしも生産者の皆さんの御期待どおりにはいかなかったわけでございますが、今回は、ビートの価格にいたしましても一万六千円、あるいはまたサトウキビにいたしましても一万六千百円という生産者農家の手取りだけは何としても確保しなければならぬということで努力して今日に至ったわけでございます。  また同時に、糖価の安定につきましても、いま局長が申し上げましたように、いろいろとわれわれとしては努力を続けておる今日でございますが、先ほどからおっしゃいましたようなそうした全体的な情勢を見ますと、どうもいまの糖価安定制度というものがうまく動いてないというところにも大きな原因があるのじゃないかと私は率直に思うわけです。したがって、この糖価安定制度全体を再検討するといいますか、そういう時期に来ているのじゃないかというふうに私は考えておるわけでございます。  それからまたさらにいまの関税につきまして、石炭及び石油対策特別会計等でそういう石炭産業の振興に関税を使うという例もあるわけだから、この砂糖関税を甘味資源の振興対策にそのまま使ったらいいのじゃないかというお考えも私は一つのお考えであろうと思うし、心の中ではそうしたことができればしたいという気持ちもあるわけでございますが、なかなかこれは特定財源だけに、いまの砂糖関税を使えるというシステムになっていないわけでございますので、その辺は今後われわれとしても生産対策は進めていかなければならぬわけでございますから、どういうふうな形で財源を確保していくかということについては、今後とも政府として、特に農林省としてその点については力を注いでいかなければならぬ。関税を充てるということは今日の段階ではなかなか困難な状況じゃないかと思いますが、来年度予算には、少なくとも一般会計の中にあって、この生産対策の予算確保というものについて努力をしなければならぬというふうに思うわけであります。  それから同時に、備蓄につきまして大豆の備蓄を進めるという構想をわれわれは持っておるわけでありますが、この大豆の備蓄をする場合に、糖価安定事業団を使うということを一つの構想として私たちは考えておることはそのとおりでございますが、これにつきましては、財政当局との間にもいろいろと議論を行っておるわけでございます。この構想が実現できるかあるいはその他の方法で備蓄をやっていくか、いずれにしても大豆につきましては、私は備蓄を本格的にスタートさせたいという熱意を持っておりますので、何らかの備蓄の制度を来年度からスタートさせたいとは思いますが、糖価安定事業団によるところの備蓄になっていくのか、あるいはまたその他の方法によって備蓄を行うということになるのか、いまのところはいろいろと各方面とも折衝中でございまして、ここでどちらにするのだということをはっきり申し上げられる段階にはないわけでございますが、いまのお話は、そうした備蓄について糖価安定事業団の制度そのものの機構を改組するというふうな構想がもしあるならば、その機会を通じて全体的にやったらどうかという御意見でもあるかと思うわけですが、それはそれとして、私たちは糖価安定制度については再検討はもちろんしなければならぬ、それからいまの備蓄制度については本格的な実施をスタートさせたいと思います・が、糖価安定事業団によるところの備蓄でいけるかどうかということについては、目下検討中というところでございます。
  36. 芳賀貢

    芳賀委員 すでに約束の時間になりましたが、もう一点。国有林野事業特別会計の内容の改正を行って、四年来の懸案事項である現在の国有林野事業勘定とそれから治山勘定、そのほかに公益勘定を新たに設定して、そして自然環境の保全あるいは国民の健康、保養等の公益的な、つまり林野事業として収益の上がらない部分であって、なおかつ国有林野事業として農林省が実行しなければならぬ点については、他の特別会計と同じように、あるいは治山勘定と同じように、必要な経費を一般会計から国有林野特別会計の公益勘定に導入して、十分国民の期待にこたえる国有林野の経営あるいは特別会計の運用をすべきではないかということを毎年のように、これは社会党としても促進しておるわけでありますが、いよいよ予算編成の時期に当面しておるわけでありますから、ぜひ来年から、会計法の改正も伴うわけでありますが、安倍農林大臣の手元においてこれは必ず実現するように努めてもらいたいと思うわけでありますが、この点だけをお尋ねして質問を終わります。
  37. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 私は御指摘の点はもっともなことであると思っておるわけでありまして、実は来年度予算におきましても、この公益勘定の新設につきましては、農林としては要望いたしておるわけでございます。この問題なかなか困難な情勢にはあるわけでございますが、できるだけひとつ努力をしてみたいと思っておるわけであります。
  38. 澁谷直藏

    澁谷委員長 美濃政市君。
  39. 美濃政市

    ○美濃委員 私の質問時間は非常に短い時間でございますので、農林大臣に、さっき芳賀委員から質疑が行われておりましたが、甘味対策につきまして五点ほどお尋ねいたしたいと思います。  第一点は、糖価の安定というよりも適正価格の維持対策と私は考えておるのです。まず最初に、輸入糖価ですが、これは私から申し上げるまでもなく、オーストラリア等におきまして、御存じのように非常に国際糖価が高かったときにああいう契約が行われておる。いまになってみるとあの契約そのものが百ポンドぐらい高い。しかし去年のいまごろから見れば、いま起きてきておる国際糖価の水準というものが、砂糖産出国のコストから見て果たして正しい水準であるかどうかということも私は問題があると思う。私の推定では、オーストラリアと契約した価格というようなものがやはり適正なものでないかとも思われるわけです。それからまた日本の国際信用においてもあの契約をほごにすることはできないだろう。そうすると、先ほどお話があったように、カルテルだけでこれはやれるのかどうか。もう一歩進んで、たとえばどこに水準を置くかは別といたしまして、いまここでどこに水準を置くという結論は無理だと思いますけれども、たとえばオーストラリアとの契約、二百三十ポンド程度が適正水準と思えばそこに一つの下限を置いて、輸入弾力関税なり課徴金制度で調整をしていく、こういうことが必要ではないかと思いますが、その点につきましてこれからどうお考えになるのか。  それから第二は、沖繩においてはこれから甘蔗糖の操業に入るわけですけれども、聞くところによると、粗糖について親会社といいますか、本土のいつもの取引先がありまして、本土の精製糖業者と取引をするわけですが、その取引契約がいまだに成立していない。いわゆる指導価格でキビを買わなければならぬわけですが、親会社との契約が成立していないのが現実でありますが、これを早く契約が成立できるようにしなければ、操業を控えて重大な支障が起きると思うのです。  それから第三点。てん菜糖につきましては、糖業の奨励金込み価格で原料の買い付けば終わった。しかしその結果が先ほども局長から言われておりましたように、糖価安定事業団が買い入れ売り戻しの措置をとっても、なおかつさっきの話を聞いておると二十八円、二百五十八円から見れば二十八円ですね。操業度やあるいは歩どまりが落ちておりますから、実質はキロ当たり三十円以上、糖価安定事業団が買い入れ売り戻しの措置をとったとしても、それだけ損失になっていく。その損失は指導価格によって政府が見る、こういうことになっておるのですが、その見る時期なり見方の方針を明確にしてやらぬと、これだけの損失が起きてきますと金融が行き詰まってしまう。いわゆる政府の態度が明確でないと、倒産に該当する損失になってきますから、金融機関は不安で融資を切りますので、融資を切ると手形の不渡りというのが起きますから、政府は、最終指導価格については政府が責任を持つんだから心配ないということで、金融機関が金融措置ができるだけのことを明らかにするということが必要だと思うのです。ただめんどうを見ると言っても、どういう方法でいつの時期にめんどうを見るのか。たとえば、価格は変動がありますから、最終操作があれば最終操作で必ず政府が責任を持つということを、大きな宣伝も要りませんから、対金融機関に対して明確な措置をとる、こういう必要があろうと思います。  それから第四点は、来年度の対策でありますが、生産者はことしの価格決定について非常に不信感を持っております。これは砂糖類課長が現地を三日ぐらい見に行ったそうでありますけれども、ものすごい不信感です。甘味対策はこのようなやり方では挫折すると思うのです。抜本的に来年度対策は考え直してもらわぬと、ことしのような状態では恐らくキビも北海道のてん菜糖も大幅に作付が減少してしまう。これは必ず起きてくると思います。これに対する対策を早急に進められたい。  それから第五点はバレイショ問題でありますが、特に北海道のバレイショが当初十九万トンと見込んでおりました生産量は、二十万トン近い生産になるようです。一万トンぐらいふえそうです。あるいは六、七千トンぐらいの増加で終わるかもしれません。約一万トンぐらい増加するだろうというのがいまの最終見込みになってきておりますが、それと昨年の販売量が残っております。でん粉会計年度において三万トン余残っておりますが、こういうものを合わすと、従来どおり抱き合わせとかそういう販売をしていっても、ここでバレイショでん粉について早期に約七万トン政府が買い上げをしなければ、いままでのやり方ではいわゆる需給の処理がついていかないと思うわけですが、この点どういうふうにしてやるお考えか。私は、ここではっきりと、年が明ければ七万トンだけは早期に買い上げをする、あとは従来方式でいく、こういう措置をとるべきであると思うのです。  以上の五点について、時間がございませんのであと再質問ありませんから、大臣から――局長からでもいいです、明快な答弁をお願いします。
  40. 今村宣夫

    ○今村(宣)政府委員 大臣の御答弁の前に、状況につきまして簡単にお話し申し上げます。  まず豪州糖でございますが、豪州糖の引き取りにつきましては、日本の各社と豪州の公社との契約を政府がエンドースしておるような形でございますので、この問題につきましては、先ほど豪州の砂糖部長が参りまして、私もよくお話をいたしましたが、年明けにわが国の代表団を派遣いたしまして、取引条件、取引量等について十分話し合いをいたしたいと考えております。これに対して相手方がどういうふうに対応するかはわかりませんけれども、当方といたしましては国際的なそういう長期契約は遵守するというたてまえに立ちながら、当方の実情に即応するように相手方に了解をしてもらう努力をいたしたいと思っております。  それから第二の、サトウキビの引き取りについて、親会社と子会社がいま引き取り条件についていろいろ話し合いをいたしておりますが、親会社といたしましても、現在のような糖価の状況でございますから、なかなかいい返事をしない。同時に子会社の方としましては一万六千百円を農家に払わなければいけないし、つくりました砂糖のコストは高い。したがって、できるだけ有利な条件で買ってもらいたい。こういうことで、なかなか話し合いがつきません。しかし、それぞれ親会社と子会社には事情がございまして、いままでの取引条件も必ずしも一律でないわけでございますから、政府はこの間にあって一律に条件を決めるということは必ずしも適当かどうかという問題は一つありますが、こういう事情のもとでございますから、政府がその取引の基準となるような事項につきまして、政府の考え方といいますか、農林省の考え方を提示いたしまして、両者の話がさらに進むように努力をいたしたいと考えております。  それから第三番目の、奨励金の見方の問題でございますが、これは毎度申し上げておりますように、会社が支払えるときは会社に支払ってもらうし、会社が支払えないときには国がかわって支払うという方針でございます。そういう方針は関係方面にもよく話をしてございますし、お話しの資金手当ての面につきましても、私の方としましてはそれぞれ取引銀行につきまして、会社から話がございますれば、そういう話をいたしてございますので、その点は理解されておるものと思います。  問題は、どういう時期にどういう払い方をしていくのか。これは糖価が今後ずっと回復していきますればその問題は解消するわけでございますから、今後の糖価の推移とも関連をいたしまして十分検討をいたしてまいりたいと考えております。  それから、価格決定につきまして非常な不信感があるというお話でございますが、この点は制度につきまして抜本的に来年度の対策を検討すべきものではないかと考えますが、一つは制度的な問題でございますし、あれだけ大きな糖安法全体の制度をどうするかという問題でございますから、検討は非常に積極的にやらなければいけませんが、同時にその扱いについては十分な検討を必要とすると思っております。したがいまして、私たちとしましては腰を落ちつけて、しかし十分熱意を持って検討を続けてまいりたいと考えております。  バレイショの買い入れでございますが、ホクレンの方からは七万トンの買い入れの要望がございますけれども、私たちは、いま七万トンをどうだこうだということではないのではないか、しかし需給事情その他を考えますればやはり五万トン程度は政府が買い入れる必要があると思っております。その買う時期をいつにするか。なるたけ早い方がいいと思いますが、年度内に一遍に買っていくのかあるいは年度内に三万五千トン程度買い、四月の予算の成立後一万五千トンぐらいを買うのか、その買う時期についてはなお十分検討いたしておるところであります。  以上が現在の状況でございます。
  41. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 いま御質問の諸点については局長から具体的に答弁したとおりでございますが、私は、先ほども芳賀委員の質問にお答えいたしましたように、今日の混乱を続けておる砂糖の現状を踏まえて糖価安定制度自体についても見直しをするというふうなことを考えなければならぬ時期に来ておると基本的に思っておるわけでございますし、同時にまた、国内の甘味資源対策としては少なくとも自給力二割を確保したい、そのための諸措置については、明年度予算も含めてきめの細かい積極的な施策を講じなければならぬと思うわけでございます。いまお話がございましたように、ことしのビートの価格あるいはサトウキビの生産者価格について不満があるのでなかなか生産意欲に結びついてこないという御指摘もあったわけでございますが、去年と違いましてことしは砂糖を取り巻く情勢が大変悪い。そういう中にあって、私たちは生産者価格の手取りは少なくとも一万六千円、一万六千百円にしなければならぬということで、その点についてはいろいろとむずかしい問題も相当あったわけでありますが、農林省挙げて取り組んだわけでございまして、その経過につきましては御評価もいただきたいと思っておるわけでございます。ベストを尽くしたわけでございまして、今後の生産対策ともあわせて、生産者の皆さんの生産意欲が生まれるようにもちろん努力は続けていきたいと思っております。  それからオーストラリアとの間の長期協定の問題ですが、これは私は非常に重要視しているわけでございまして、これからのわが国の農産物の安定輸入を図っていく中におけるこのオーストラリアとの間の長期協定というのは、いわばパイオニアの役をしておるわけでございますが、この長期協定自体が崩壊をするということになりますと、これからわれわれが考えておる長期安定制度、長期安定輸入の体制を築き上げる上におきまして非常に支障を来すわけでございます。確かに現在は二百二十九ポンドの価格が長期契約の価格から見ますと百四、五十ポンドというようなことになっておりまして、大暴落をしておるような状態で、この長期契約自体がよかったか悪かったか、悪かったんじゃないかというふうな論もあるわけでございますが、長期的に見ればこうした長期安定契約というものは進めていかなければならない、そういうふうに思うわけでございますので、せっかく結びましたこの長期安定輸入、これは民間でございますが、この道を閉ざさないような方向で政府はできるだけ協力もしなければならない、そういうふうに思っておるわけであります。
  42. 美濃政市

    ○美濃委員 終わります。
  43. 澁谷直藏

    澁谷委員長 柴田健治君。
  44. 柴田健治

    柴田(健)委員 時間が非常に制約されておりますから簡単に御質問申し上げたいと思いますので、答弁側も簡明にお答え願いたいと思います。  まず予算関係なんですが、二十二日に大蔵原案が出るというようなことで年内予算編成の方針であるようでありますが、私たち、地方財政の問題を含めて総合的に考えなければならぬと思うのでありますけれども、まず農林省、たとえば農業基盤整備事業を四十八年から十カ年計画で十三兆円の投資というのが、このままでいくと大きく計画が狂うという判断をせざるを得ないわけであります。そうすると攻めの農政がますます後退、後退の農政になるので安倍農林大臣の存在価値がなくなると思うので、これは思い切ってやってもらわなければならぬ、こういう気持ちでお尋ね申し上げるのであります。  まず、受け皿、要するに地方財源の方がいま大変なことになっておる。これを解消するにはいろ  いろな問題がある。起債の増額であるとか、税制改革であるとか、また交付税の増額であるとか、また超過負担の解消であるとか、いろいろな問題がいま提起されておるわけですが、そういうことを論議する時間がございませんから、まず私は、農業基盤整備事業の位置づけの問題を農林大臣はどう考えておるか。土地改良法によるあの選挙制度は公職選挙法適用でありますから、土地改良法から見る農業基盤整備事業全般は完全なる公共事業である、私たちはこういう位置づけをしておるわけです。公共事業ならもう少し適債事業として、自治省と話し合いをして、もっと地方債をふやすということが当然の措置ではなかろうか。その努力を農林大臣はしていないんじゃないか。いまささやかに治山関係だけは四〇%の起債を認めている。これだけでも全額起債を認めさしていくような努力を農林大臣はすべきではないか。要するに公共事業として、適債事業としてもっと地方債を認めさしていくという努力をする必要があると思うのですが、この点について農林大臣の見解を聞きたいと思う。
  45. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 私は、これからの農政を進めていく基本的な考え方は「総合食糧政策の展開」の中に示しておるわけでありまして、そういう方向で進めていくわけでありますが、その中で最も重要な課題が基盤整備を推進するということでございます。  確かに、御指摘になりましたように、新土地改良計画を初めとして長期的な計画等もその進度がおくれておることも事実でございますし、また総需要抑制という大きな枠の中にあって、基盤整備事業全体が伸び悩んでおるということも事実でございますが、来年度は、まず景気回復のために財政主導型の予算をつくるということが大体政府部内で合意されつつあるような状況にあるわけでございますから、そういう中にあって、この際こそ農林関係の基盤整備事業を思い切って推進をしなければならない。そのためにいろいろと工夫もいたしております。  たとえば財政投融資資金を有効に活用するための特別会計制度の新設等もいま考えて、財政当局とも折衝しておりますが、まず全体的に基盤整備の予算をふやしていかなければならない。公共事業の予算をふやしていかなければならぬわけでございまして、これは国全体の公共事業の中の一つの配列もあるわけでございますが、しかし、食糧自給の重要性というものは、政府全体の中で理解されつつあるわけでございますから、そういう中で農林関係の基盤整備事業というものには特段にひとつ、これはまあ政府全体として取り上げていただかなければならぬということを力説をして今日に至っておるわけでありまして、さらに全力を尽くしていきたいと思っております。  同時に、基盤整備事業について、いま地方自治体の財政が逼迫しているので、これは適債事業にすべきであるという御指摘はもっともなことであると思います。補正予算におきましては、すでにこれがすべて適債事業になったことは御案内のとおりでございますが、一般予算の中においても適債事業になるようにいま各方面に対して積極的に働きかけております。  実は、農林水産関係の基盤整備事業というのは、いま政府がやろうとしております景気対策の上から見ても一番適しておる事業であるというふうにも思うわけでございまして、特に地方財政逼迫しておりますが、そうした地方の行政当局の声としても、自分たちの財政は苦しいけれども、しかし、農林水産関係の基盤整備事業だけは苦しい中においてもぜひやらなければならぬ、財源はどうしても確保したいからということで、非常に御要求が強いわけでございますから、そういうこともわれわれは関係当局にもよく説明をいたしておりますが、そういう点も踏まえて、来年度の予算においては農林水産関係の公共事業全体の枠をふやすとともに、これが着実に実施されるような地方財政措置というものがとられるように、これは私も決意を新たにしてがんばってまいりたいと思っております。
  46. 柴田健治

    柴田(健)委員 決意を新たにしてというが、いまに始まった――もう農林大臣に就任されて大分になるわけですからね。  自治省の地方債課長見えていると思うのですが、たとえば河川や港湾のようなものはいつも適債事業として位置づけをされておりますから案外やりやすい。農林関係はその都度政治的な折衝を重ねていかなければ、少しずつと言うより、補正で少し認めたという程度で、これは長期にわたって適債事業として自治省の方も優先的に認めるべきではないか、こういう判断をしておるわけですが、きょうはまあ財政局長見えておらぬようですから、地方債課長の方からこの点についての取り扱い、新年度の予算を迎えておりますから、一言だけ見解を聞きたいのです。
  47. 花岡圭三

    ○花岡説明員 御承知のように一般的に地方公共団体の農業関係経費につきましては、借金で財源措置をいたすよりも一般財源で措置することが適当である、こういう考え方で、農業関係経費につきましては交付税上の措置を講じておるわけでございまして、その意味から地方債の措置を講じていない、そういうシステムにしております。  ただ、明年度につきまして農林省その他から適債事業にしてくれというふうなお話がございます。私ども、考え方といたしましては、従来どおり、一般財源を削って起債に回すよりは一般財源で措置した方が適当であるというふうには考えておりますけれども、明年度の財政は非常に苦しいわけでございまして、御承知のように今回の補正予算で措置いたしましたように、地方財政が非常に苦しくて一般財源で措置できない場合には地方債で措置することもあり得る、かように考えております。
  48. 柴田健治

    柴田(健)委員 掘り下げて論戦する時間がございませんので次に進みます。  次に、農林漁業団体職員共済組合の育成強化、これはわれわれ委員会でも決議をし、国会でも決議をした。まあ農林大臣が議会を尊重するという姿勢があるなちばこの問題は解決すると思うのであります。農林年金制度ができてもうまる十七年、三十三年に厚生年金から分離されたわけですが、その時分に給付費の国庫補助率が一五%から一八%になったのですが、一方分離した本家の厚生年金の方は国庫補助率が二〇%、それから農林年金の方は依然として一八%。もう十七年間戦争をやっているのですよ。そしてこれはもう国会でも決議されておるわけですから、ことしの予算で、こう不況になればやはり所得分配をどうするか、社会保障制度をどうするかということが、不況計策の中で真剣に考えられなければならぬ問題なんです。この農林年金の国庫補助率を、ことしの要求は六十八億九千七百万円くらいだと思うのですが、まあほかの農林年金に対するいろいろな補助運動があるわけですけれども、とにかくこれだけはぜひ解決しなければならぬ。これだけは長年の懸案であるから、これはもう安倍農林大臣が歴史的な農林大臣として名前が残るかどうかということがかかっておると思うのですよ。これだけはぜひひとつ、今度の五十一年度の予算で解決してもらいたい。厚生年金と同率にすべきだ、こういう見解なんですが、とにかく安倍農林大臣が歴史的に安倍という名前が残るかどうかの問題だから、ひとつお答え願いたいと思う。
  49. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 一八%の補助率を二〇%にするというのは、農林省も歴史的にこれを要求しているわけでありますが、今回ももちろんやっております。しかし、まあ国全体の予算編成、相当厳しい情勢にあるわけでございますので、なかなか困難な点もあるわけでありますが、せっかくの国会の決議ももちろんあるわけでございますし、歴代の農林大臣が努力いたしましたように、私もこれにはひとつ努力をしなければならぬ。同時にまた、補助率の問題とあわせて全体の財政方式を検討するということにもなっておりますので、そういうことも含めて今回の予算折衝等において力を尽くしたいと思っております。
  50. 柴田健治

    柴田(健)委員 決意、決意と大臣はよう言われるのですが、これだけは絶対に後に引けない。社会的不公平を是正するというのは三木内閣の大スローガンです。一片のスローガンではないのですね。その一翼を担っておる農林大臣、しかも農林大臣が全国に号令をかけて、よく働きよく動くというあらゆる農業団体の職員の皆さんの社会的不公平をイの一番に直してやる、これだけの基本姿勢というかそういうものを持って――たった六十八億九千七百万円ですよ。国家財政の規模から言えば、それは赤字公債を出さなければならぬような財政不如意ということはわかりますけれども、六十八億の予算、これだけは今度の五十一年度予算で何が何でも絶対に解決する、こういう決意をもう一遍聞いて次に進みたい。
  51. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 先ほど申し上げましたような考え方でひとつ努力をいたします。
  52. 柴田健治

    柴田(健)委員 まあいずれ大蔵原案が出て、最終的には大臣折衝になると思いますから、われわれはよく監視をしたい、こう思います。  次に、農協の運営全般にわたってお尋ねしたいんですが、近ごろ農業協同組合は残念なことにいろいろな事件が正直に言って多過ぎる。大筋に分けてみると、たとえば不動産にまつわるいろいろな事件、そして職員の使い込み事件、それから役員その他関係者の不正融資事件、その他農協運営について組合員からいろいろ批判がある。さらに農業近代化資金の運用の面のあり方等いろいろありますけれども、農業協同組合の一般の組合員から批判を受けるような事件が余りにも多過ぎると私たちは受けとめておるわけです。農林省の方はその点はどういうように受けとめておるのか。これの予防措置についてどういう考えを持っておられるのか。たとえば財務処理基準令を大幅に手直しをしてやるとか、たとえば役員、職員の研修のあり方をどうするとか、また都道府県の農業団体指導係の職員の拡充をやって指導強化をするのか。余り内政干渉もできないでしょうけれども、やはりモラルの問題だと思うので、農業協同組合の不正事件をこれ以上ふやしてはならないという考え方に立ってどういう予防措置をされるのか、ひとつ簡潔に大臣からお答えを願いたい。それで、きょう具体的にできなければ、いずれ文書でこういう構想を持っておるということを明らかにしてもらいたい、この点をお答え願いたいと思います。
  53. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 最近、農協を中心とするいろいろの事件が続発をいたしまして、私も心を痛めておるわけでございます。これの原因はどういうところにあるのか。いろいろと考えられるわけでありますが、まずやはり一番大事なことは農協の関係者のモラルの問題が一番大事なことではないか。これはわれわれが何だかんだと言う以前に、やはりモラルの問題につきましては農協の関係者として姿勢を正していただかなければならぬというふうに考えるわけでございます。同時に、また農協も相当規模が大きくなってまいりまして、そういう中でいろいろの事務が膨大になってきた。それに対応することが非常にむずかしいような、整備が進んでいないというふうな面も農協としてはあるのじゃないかというふうにも考えるわけでございます。  農協の指導につきましては、農林省の基本的な指導方針に基づきまして、具体的には全国連及び県連につきましては農林省が、また単位農協につきましては都道府県が分担をして認可、検査、指導等を行い、農協が農民の要請にこたえてその使命を果たすように図ってまいってきたところでございますが、近年における、先ほど申し上げましたような農協の事業内容の多様化と事業量の拡大、さらには一般経済社会情勢の著しい変動等が見られる中にあって、農林省としても、かねてから所管連合会及び都道府県知事に対して再三にわたりまして通達を出しまして、特別調査等を通じまして指導に努めてまいったわけでございますが、そのほかに連合会に対する検査につきましても、本年度は御案内のように新たに信連、共済連を対象として特別検査を実施する等、検査体制の整備強化に努めてまいったわけでございますが、都道府県におきましてもこれに即応して、単協に対する検査、指導を強化いたしておるわけでございます。  これらの措置にもかかわらず、いろいろな問題が起こっております。モラルの問題等ももちろん重要な問題でございます。したがって、今後農協が自主的に組織体制を整備し、事業運営の適正化を図ることが肝要であることは当然でございますが、農林省としてもさらに指導を強化する、そして検査の充実を図るということに主眼を置いて努力を続けてまいりたいと思っておるわけでございます。  なお、当面のいろんな問題に対する事態については、信用事業が中心でございますので、信用事業の適正化に関しまして貸し出し審査体制の充実強化等、事業執行体制の整備、それから担保物件に足る土地評価の見直し、延滞債権及び限度超過貸し出しの総合点検など、事業運営の適正化を内容とするところの指導通達等も行ってまいっておるわけでございます。
  54. 柴田健治

    柴田(健)委員 時間がございませんからあまり深く議論できませんが、この問題についてはいずれ論戦をしなければならぬと思うのです。たとえば役員の任務分担、そして法的な問題、そういう点で私たちは農協の役員選挙はあくまでも公職選挙法を適用しなさい、こういう考え方に立って言ってきたのですが、いまの国の補助政策の流し方その他を考えた場合には、完全に一つの公的機関という位置づけにみなされるのではなかろうか、こういう気がするので、今後大いに論戦しなければならぬと思います。  次に、法務省刑事局長が見えておると思うのですが、これは水産庁とも関係あるのですが、御承知のように三菱のあの石油事件に関係して四県にわたる漁業関係者に漁業補償をされたわけですが、どうも残念なことに、香川県の一部の漁連、単協なり漁連の役員が不正事件を起こした。それがまじめにやっておる漁協の組合員にまで精神的に悪影響を及ぼした。うちの組合の幹部もしておるのじゃないかというような不信感が非常に広がっておる。これはゆゆしき問題であり、組織防衛の問題から見ても許すことができない、早く結末をつけなければいけないんじゃないか、こういう気持ちで申し上げるわけですが、とにかくなぜああいうものが起きたのか。漁連が持っておる体質の問題か、個人のモラルの問題か。そうしてまたあの中身は、適正な補償金をもらっておるのにそれをピンはねをしたのか、水増し請求の横領なのか、この点ひとつ法務省の刑事局の方から、いまの捜査の経過、中身、それをお答えを願いたい、こう思います。
  55. 吉田淳一

    吉田説明員 お答えを申し上げます。  お尋ねの事件につきましては、現在高松地方検察庁において捜査中でございます。現在まで三名を公判請求しております。罪名は、そのうち一名につきまして業務上横領と贈賄でございます。それからほかの二名につきましては、業務上横領ということで公判請求をしております。これはいずれも香川県漁業協同組合連合会の役員等でございまして、そのうち一名については、津田漁業協同組合長をしております大江という者につきまして、お尋ねの三菱石油水島製油所重油流出事故に伴うところの流出油防除作業費名下に受け取りました金を横領したという事案でございます。そのことで現在、六百十三万円を横領したということで起訴しております。その他はただいまの事故とは関係のない、漁業協同組合内部の金をいろいろ横領した、あるいは贈賄をしたという事案でございます。贈賄の関係は、県の経済労働部水産課の職員に対して七回にわたって供応したという事案でございます。  この事件がどうして起きているのかというお尋ねでございますけれども、まだ現在捜査は続行中でございまして、なお余罪等について捜査を続けておる段階でございます。したがって、まだ全貌が明らかでございません。そういう関係から、この事件についてどういう理由で起きたのかということをいま直ちに申し上げるのはやや軽率になりますので、できたら差し控えたいと思うのでございますが、もちろんこれだけの事件が起きる以上は、お尋ねのような協同組合の内部の問題、あるいはその犯した被告人たちの問題、こういうのがあるかと思います。  この流出油防除作業費の関係の横領につきましては、その手段は、水増し等の手段によっているということでございますが、なおその内容については、捜査の内容でございますし、これからいよいよそれについて裁判が行われるわけでございますが、水増し等の手段によって横領を行ったというふうに報告を受けております。
  56. 柴田健治

    柴田(健)委員 農林大臣、漁業協同組合、農業協同組合は大体大臣の所管でありますが、これらについて今後どういう指導をしていくのか、もっと明確に見解だけ聞いておいて、いずれ改めてまた論戦をしたい。時間が参りましたから、一言だけを答えを願いたいと思います。
  57. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 先ほど農協の問題につきましても申し上げたわけでございますが、漁協につきましてもそういう不正事件等が起こっておる。これについてはやはりまず第一に漁協自体のモラルの問題があると思います。やはり漁協の幹部の人たちは、自分の職責に思いをいたして姿勢を正していただくことを切に祈っております。同時に、また漁協に対するところの検査体制等につきましては、水産庁の長官名をもって各都道府県知事に通達等も出しておるわけでございますが、さらに整備点検を行って検査体制も充実していき、この種の事件が続発をしないような防止体制はこれから進めていきたい、こういうふうに考えます。
  58. 柴田健治

    柴田(健)委員 終わります。
  59. 澁谷直藏

  60. 米内山義一郎

    ○米内山委員 青森県の脇野沢という村でニホンカモシカというけだものと人間が生存権の争いをやっております。その際に、けだものの方は法律的に十分な過保護の状態に保護されているが、被害を受けている農民側は政治や行政の保護を全く受けていない。受けている損害というのは単に物的問題だけじゃなしに、精神的にも非常ないろいろな屈辱を感じているような事態があります。というのは、法律によって特別天然記念物というものが指定されるわけです。その中にニホンカモシカというものがあるわけですが、カモシカを保護するということ、それは一つの目的のあることだが、法律の不備あるいは行政の行き届かない点があるために、農民が非常な被害を受けているとした場合には、これは国家が、政府が責任をもってそれを償うか、あるいはそれを防除する対策が必要だと思うのですが、農林大臣はこの点についてどうお考えになりますか。
  61. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 青森県を初めといたしまして、全国各地におきましても、カモシカの被害によって農家が農作物に打撃を受けておるということを私も報告を受けておるわけでございます。これは関係農家にとりましては深刻な問題でございますので、このカモシカに対する対策をどうするかということにつきまして、目下関係各省庁とも検討をいたしておるわけでございます。
  62. 米内山義一郎

    ○米内山委員 文化庁にお尋ねしたいと思うのですが、ニホンカモシカを保護するという目的は一体どこにあるのか。日本じゅうにいるカモシカを至るところで保護しなければならないのか、それとも、日本列島をカモシカの繁殖基地にしてこれを家畜の代用にしようとしておるのか。そのいずれか、その目的をはっきりさせていただきたいと思います。
  63. 澤田道也

    澤田説明員 お答えいたします。  カモシカは昭和九年に天然記念物として指定をしたわけでございまして、昭和三十年に特別天然記念物という指定をしたわけでございますが、これは指定基準の分類によりますと、「日本特有の動物で著名なもの」ということで、ニホンカモシカというのは日本特有のものでございますので、指定をしたわけでございます。
  64. 米内山義一郎

    ○米内山委員 その点はわかります。日本特有のものだから保護するということならば、別に全土をカモシカの繁殖地にするということじゃなかろうと思うのです。この問題のそもそもの問題点は何かというと、特別天然記念物は石をぶっつけることもけしからぬというような保護を加えて、日本全土を同一の枠でやっているところに問題点があると思うのです。ですから、特別天然記念物として指定をするならば、その中に一般的な指定地域というものと特別な指定地域というものがあってしかるべきである。特に今度現地を調査してそういう感を深くせざるを得ない。そしてこれをいまのままに放任するならば、保護の目的さえ達成できない。なぜならば人間とカモシカの戦でありますから、最終的には人間が勝つに決まっているのです。したがって、人間はどうでもいい、カモシカだけ保護されればいいという考えじゃなく、カモシカも人間の暮らしも、農業も、農民の生活も、両方を両立させるような解決方法が必要だと思うのですが、政府としてはその点どうお考えになっていますか。
  65. 澤田道也

    澤田説明員 文化庁としての考え方といたしましては、いままで天然記念物の指定には、いま先生のお話のございましたようにカモシカのように種というものを指定して全土一般的に指定しているものと、それから生息地というものとあわせて地域を定めて指定しているものと方法は二つございます。そうしてこのカモシカにつきましても、種の指定と同時に、新潟の笠堀という地区については地域指定で一種の特別保護地区というような地域指定をやっております。したがって、いま先生のお話がございました地域指定、一般的な指定ではなくて特別の地域を設定した指定ということが現時点においていいではないかという考え方につきましては、これは一つの検討の方向として十分考えられ、今後考えて検討できることであると考えております。
  66. 米内山義一郎

    ○米内山委員 農林大臣にこの点お願いの意味でも申し上げたいのですが、これは過疎の村と申しますか、下北半島の両南端に突出した非常に不便な村です。     〔委員長退席、今井委員長代理着席〕 人口わずか四千というのは青森県でも一番小さいし、五百町歩足らずの田畑を九百戸余りの農家がやっているわけですし、いままでは成り行きに任せた農業をやっておったのですが、このままでは立ち行かなくなるというので村ができて初めて農業振興計画というものを立てたのです。そうして桑畑を二十五ヘクタール、北海道の札幌へ売り牛を見つけてミョウガを十二ヘクタール、こういう振興計画を立てたのがこの村の歴史始まって以来の出来事なんです。あとは漁業、林業をやっておったのです。ところが、この努力というものと希望というものはこの保護されているカモシカのために完全に粉砕され、絶望状態なんです。しかもこの村の地籍の九割は大臣所管の国有林なんだ。鴫野沢に国有林があるというよりも、国有林の中に脇野沢がある。したがって、国有林の経営というものから考えてみた場合にも、財源のために木を切ればいいというだけじゃないはずです。そこに住む人も自然環境もともに営林局の林業経営の中に含まれてやられているはずなんですが、ここにだれも責任がない。林野庁自体、営林署自体は被害者のつもりでいるのですが、このカモシカの宿主は営林局なんです。国有林なんです。国有林がカモシカを養っている。空き家を置いてどろぼうに宿を貸しているような因果関係があるわけです。しかも、この問題はどう考えても、農林省が解決の前面に立ってもらわない限り解決のしょうがないと私は現地で考えてきました。要すれば、天然記念物の保護は文化庁だ、鳥獣の保護は環境庁だ、わしの方の所管外だとおっしゃるかもしれないが、それは間違いなんです。あなたの所管事項の中には第一番に農業の振興、農民の生活を発展させるという目的があるわけですから。そういうわけで考え方さえはっきりしていただけば、後はやり方はきわめて簡単です。どうです、農林大臣、そういう問題は農林大臣が攻めの立場で前向きに処理するというお考えがおありでございましょうか。あなたのお考えを聞きたい。
  67. 松形祐堯

    松形政府委員 お答え申し上げます。  ただいまカモシカにつきまして国有林の中に住んでいるということでございますが、まさにそのとおりだと思っております。ただ、このカモシカにつきましては先ほど御答弁もございましたように、文化庁あるいは鳥獣保護の関係から環境庁、またそれらとの関連におきまして林野庁ということでございますが、林野庁といたしましては、そのような法律に基づくいろいろな施策に対しまして協力を申し上げるという立場でございます。したがって、森林の伐採とかあるいはそれらの関連した仕事等につきましても、そのような保護林を設けるとかあるいは鳥獣保護区、国有林約八百万へタタール弱ございますけれども、鳥獣の保護区は六十四万ヘクタールもとっているわけでございまして、そういう形で私ども御協力申し上げているのでございます。今後関係省庁とも十分御連絡申し上げながら、そしてカモシカ等の生息状況あるいは生態等の調査等も現在行われているわけでございますから、それらを踏まえて十分関係省庁との検討を進めさしていただきたいと思うわけでございます。
  68. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 カモシカによりまして農作物が被害を受け、農民の方々が非常に困っておられるということでございまして、この点につきましては農林省としても農民を守るという立場から何とかしなければならぬわけでございますが、しかし一面においては、カモシカは先ほどからお話がございましたように天然記念物であるということで法律に基づいて保護されるわけでありますから、この間の調和をどういうふうに持っていくかということでございまして、その点については農林省だけで解決できる問題ではないわけで、関係各省庁との間でこのカモシカ対策につきましてはさらにひとつ十分連絡をいたしまして、そして何らかの、農民も被害を受けないで済む、そしてまたカモシカも天然記念物として自由に生存できる、こういうふうな方向に何とかひとつ対策を進めなければならぬ、私はそういうふうに考えるわけであります。
  69. 米内山義一郎

    ○米内山委員 とにかく、これはだれが行ってみても、政治の面から見ると日本の政治や行政のお粗末さを漫画にかいたようなものにも見えるし、また村の人たちの努力というものがけだもののために阻害されて、まるで絶壁にぶら下がって努力しているような村にこういう無責任なやり方でやっていることは、これは許されないと思うのです。農林省は盛大な農業地域には億単位の金で構造改善事業などをやりますが、機械化しようにも機械化するようなたんぼもない、辛うじてこの地域は日本海を北上する対馬暖流の影響でその地域でも霜の降らない期間が長いということを見つけ出して、過去にはなかった養蚕などを始めた。ところがつけてみたらすぐカモシカにやられる。二十五町歩の計画が十二町歩でストップするというような事態なんです。農民を守る方法としては、これに完全な防護さくをつくりさえすれば解決できることなんです。そのために人間が大事かカモシカが大事か。国はけだものを大事にしてわれわれを粗末にするのかというような問題になっている。そして、他県では捕獲、ここでは射殺、こういうふうなことなんです。しかも十数回にわたって東京に陳情に来ているそうです。青森市へ出るにも一日がかりの不便な場所の人たちがもう矢も弾も尽きた、何とかならぬかというようなせっぱ詰まった訴えをしておるのです。この点を速やかに調査してしかるべく対策を住民にかわって要求したいと思うのです。環境庁か文化庁かしれないが、防護さくの経費は五〇%補助します。こう言っていますが、一億円かかるのに五百万円出して補助率が五〇%だということで、これは何にも効かないことなんです。もっとこれは計画的にやるべきだと思うのです。そうして下北のあの環境を見るならば、あの地域を特別保護地域にしてそれに要する経費を全額国費で持つならば、これは人も立つしカモシカも保護されると思う。農林行政の上からも重要なことですから、農林大臣が中心になって農業、農民の問題としてこの鳥獣保護と両立するようにひとつ積極的な御尽力をお願いしたいと思うのです。大臣の御所信をひとつお承りしたい。
  70. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 農作物に対してこれ以上被害を与えないように農林省としても文部省あるいは環境庁にもお願いをして何らかの対策を講じていただかなければならない、こういうふうに思っておるわけであります。
  71. 米内山義一郎

    ○米内山委員 じゃ大臣の言明を信頼して質問をこれで終わります。時間がありませんからあとは省略します。
  72. 今井勇

    ○今井委員長代理 島田琢郎君。
  73. 島田琢郎

    島田(琢)委員 余り時間がありませんので、通告をいたしました半分くらいしか質問ができないと思いますけれども、いずれ残りました分は次に譲っていくことにして、時間が参り次第私の質問は打ち切らせていただきますので、ひとつ手際よい答弁をお願いしたいと思うわけであります。  きょう私が質問をいたしますのは、先月酪農近代化基本方針の第三次計画策定に当たって現状置かれている問題点を幾つか提示をして、それらを踏まえて第三次計画に盛るべきだ、こういう考え方を被露したわけであります。その後開かれました畜産振興審議会の懇談会におきまして出されました第三次計画を見まして、私が指摘をしました点が必ずしも的確に盛られていない。しかも、日本の酪農の将来を考えるときに非常に重要な問題点を幾つかそのまま放置して第三次の計画がつくられたということについて、私ははなはだ不満に思う一人であります。したがって、きょうはその幾つかの点を指摘をして、ぜひひとつ今後これが都道府県、市町村の段階で十分検討、協議がなされて、最終的には大臣が公表するわけでありますけれども、それらの十分な対応をひとつしていただきたい、こういう点でひとつ申し上げてまいりたいと思うのであります。  まず第一点はこの第三次酪農近数本方針を立てるに当たっての基本的な考え方というものが畜産局から示されております。それによりますと、第一の「生乳の地域別の需要の長期見通し」というこの見通しの持ち方について私はいささか私どもが認識していることとずれがあるように思います。  その第一は、「日本人の体位等からみて、すでに実質的には欧米諸国の水準に近いものとなっている。」という認識でありますが、果たしてそうでしょうか。同じ農林省が中心になってまとめております資料によりますと、必ずしもそのように認識している点が裏書きされていないのであります。むしろ逆です。  たとえば「国民一人当たり供給食糧の国際比較」というのが一つでございます。これは穀物から始まって動物たん白に至るまでいろいろあるのでありますけれども、この中の牛乳、乳製品だけを抽出して比べてみますと、年間供給量一番多いのはニュージーランドで六百十三キログラムであります。その次がフランスで、三番目がスイスあるいはデンマークと続いて五百キロ台であります。ずっと下がってきて日本はどれくらいになるのかというと十五番目で、牛乳、乳製品の供給量はニュージーランド、フランス、スイスのこれら先進国に比べてわずかに十分の一という低さです。さらにまた、カロリーで見てみますと、一番高いのがアメリカの三千三百四十五カロリーでありますけれども、日本はこれまた十四番目、二千五百二十六カロリーというのが現在のカロリー摂取量であります。さらにたん白質に限定をして見ますと、供給たん白質量これまた日本は西ドイツ、オランダ、スウェーデンと続いて十二番目、七九・四グラムであります。そのうちの動物性たん白質をまた抜き出して比較してみますと、これがまた驚くなかれ十三番目、こうやって並べてみますと、いわゆる国民の栄養の一つのバロメーターと言われております動物性たん白質、これを並べてみただけでこれだけ国際的には見劣りがするわけですね。何をもって国際水準に達したという判断が出てくるのか、どうも私はわからないのでありますが、局長、これはいかがですか。
  74. 森整治

    ○森(整)政府委員 数学的に御指摘のございましたのは私どもの手元にある数字と全く同様でございます。基本的な問題といたしまして、結局まず第一にはやはり体位と申しますか、そういう問題があろうかと思います。それからもう一つは、やはり食糧の消費というものがそれぞれの国の伝統なり風土からまいるものでございまして、そういうことから考えますと、確かに、日本はむしろでん粉質に非常に頼っておるということで、カロリーの水準が国際的には、たとえて言いますと、よくイタリアみたいな国に近いといわれるよう左性格を持っておると思うのでございます。それで、動物たん白なり乳製品の消費につきましては、日本の場合には米を主食といたしまして植物性の食品を大量に摂取している、そういう食生活のパターンに属するということで、欧米諸国と直接比較することにつきましてはいろいろ問題があるというふうに考えておるわけでございまして、そういうことからいたしますと、カロリーにしろたん白の摂取量にしろ、その中の動物たん白にいたしましても水産物を半々という目標を立てておりますが、そういう食生活全体のパターンからいたしまして、われわれは現在の、また今後考えております水準というものが一応妥当な線ではないだろうかというふうに考えておるわけでございます。いずれにいたしましてもそういう特殊なわが国の食生活というものが、いろいろいままで欧風化ということで言われてまいりましたものがこのまま続くかどうかということにつきまして、基本的にはやはりわが国独特の食生活パターンというものがあるのではなかろうかというふうに考えて、いろいろ見通しを立てている次第でございます。
  75. 島田琢郎

    島田(琢)委員 いまここで日本人の体位の議論をする余裕も時間もないから、私はその点は、いま官房長がお話しになった点は若干保留にいたしておきますけれども、しかし私は、なぜここで国民一人当たり食糧の供給量について世界各国との比較を持ち出して議論をしようとしているかと言いますと、ここのところの認識が違っていると、特に動物性たん白質、この問題で認識が狂ってくると、次に来る日本の畜産、酪農の問題に大きなそごを来してくるから、私はあえてこの問題を持ち出しているのです。ここのところが非常に大事な点だと私は思うのです。なるほど日本人の体位から言うと、いま農林省は成人は大体六十三キロから六十五キロぐらいを想定しているというお話でありますけれども、その議論はまた別におきたいと思うのです。しかし私は、こうした認識についてひとつもう少し十分な検討をしてもらう必要があると思う。農林省独自のひとりよがりで、日本人の体位はまさに国際水準に達したなどというような言い方をしないで、これは所管の厚生省の意見もあるでしょう、あるいはそのほかまた意見のある機関もあると思います。そういうところともひとつ大いにこれから検討を進めるということでやってもらわないと、重大な過ちを犯しては困ると思うのであります。しかし次に進ましていただきます。  さて、同じこの基本的な考え方の中の二番目以降で需要と供給の関係について触れております。特に、どうもいまの官房長のおっしゃり方から言うと、日本人の動物性たん白質の消費量というのは大体現在水準で頭打ちである、こういう印象に聞こえるのであります。そういうことがあるのかどうかわかりませんが、飲用、加工用、その他と合わせて八百十四万五千トンを五十二年の目標に掲げて第二次計画が出されました。今回昭和六十年を目標にしているとはいうものの、第三次計画によって牛乳の需要の見通しを立てている数量は七百六十八万トンであります。その中の飲用牛乳については、この基本的な見通しの中で安定的に増加するという見通しを立てながら、現実には第二次計画の五百十万トンの目標より七十二万トンも低い四百二十八万トンの飲用乳の目標を立てているというのは、そういう点では、先ほど動物性たん白質の摂取量についてはもはや頭打ちであるという考え方に立って、八百十四万トンを七百六十八万トンに削ったという説明であるなら、私はこれはそれなりに筋が通っていると思いますけれども、現実にはそうではなくて、見通しの中ではまだこれから若干伸びていく部分はあるということを言いながら、現実には大幅に目標数量を削っている。しかも一番大事な飲用牛乳については、第二次計画の五百十万トンの目標に対して四百二十八万トンと七十二万トンも低く見ているというのは、私はこれはうなずけない。  それから、もう一つ重要な点は、そもそも酪農振興法によっても、あるいはまたその後分離をいたしました不足払い法によっても、その精神としねらいとするところは、日本の生産された牛乳については飲用乳を拡大していくということを目標に置いてこの法律ができ上がっている。その後においても、飲用乳をできるだけ拡大していくという点でいろいろな制度が持ち出され、また対策が打ち出されてきている。特に最近は農林省内に、畜産局長の私的諮問機関と言われておりますけれども、市乳化促進問題研究会を設置して、これらの中間答申がすでに六月に出ている。一体、こういう一連のいままでの方針なり政策の方向というものは、今回これをあきらめたのか、それとも方向転換をしようとお考えになっておるのか。この点が、この第三次計画の中の大きな矛盾点であり法律に逆行し、日本の酪農政策の方向に逆行するものではないかと思うのですが、この点についてのお考えはいかがですか。
  76. 大場敏彦

    ○大場政府委員 第一番目のお尋ねは、今回の第三次の酪近の試案と第二次の酪近と比べまして飲用乳の需要見通しが少なくなっている。七十二万トンと先生おっしゃいましたが八十二万トンでございますが、かなり下がっている、これは矛盾ではないか、こういった御指摘であろうと思います。     〔今井委員長代理退席、委員長着席〕 私ども今回の試案を策定するに当たりましては、過去の第二次酪近の実績というものも踏まえまして、それから現在時点におきまする酪農を取り巻くいろいろな環境を冷静にながめまして、そしてもう一回見直しをした結果そのようなことになっておるわけでございます。第二次の基本方針では、先生御承知のとおり飲用乳の伸び率は年率八・九%というぐあいに見込んでおったのでありますが、現在までのところおおむね年率四・一%という形で推移しておりまして、四十年の前半の毎年一割近く伸びておったという環境とはかなり最近の状況は変わってきている、いわばさま変わりしているといった状況が出ているわけであります。それからまた、最近の牛乳消費の伸びを見ましても、従来の高度成長から安定成長へ経済全体が移行している、あるいは最近の食糧消費動向の変化等も反映いたしまして、そういった情勢を見まして、四十年の前半ではただいま申し上げましたように一〇%近い需要の伸びが毎年、毎年あったというのが、最近では四・一%くらいにダウンしている、こういったこともあるわけであります。  そういった事情を踏まえまして今回見直したわけでありますが、率直に申し上げまして、前回の需要見通しはかなり意欲的であった、かなり力んだ見通しであったということが言えるわけでありまして、そういう意味で前回の見通しよりはかなり低く、そういう意味ではかたい見通しを立てたというふうに考えているわけであります。もちろん今後飲用乳の伸びは、所得水準の上昇だとか、あるいは都市化の進展に伴う地域格差の縮小等によりましてかなり期待できるわけでありますけれども、前回の八・九というのは無理でありまして、やはり最近の情勢を踏まえまして、年率三%程度の水準で安定的に増加するというふうに見込んだわけであります。そういう意味で、決して後退したというような意味で私ども考えているわけでありませんで、堅実な需要の見通しをこの際立て直したいということであります。  それから、第二番目の御指摘は、飲用乳は減っておって乳製品は逆に増加しているのは、これはあるいは還元乳の原料等に回るおそれはないのか、生乳で飲用乳を賄うのは基本原則であるのに、それに逆行しないか、こういったお尋ねであろうかと思いますが、これにつきましても、乳製品の需要を増加させましたのは、やはり最近の需要の伸びというものをベースにいたしまして、それを将来に投影させた結果でございまして、別に作為とかそういったことはございません。長期見通しでは、飲用乳の伸びが年率三・三%、乳製品の伸びは年率二・九%というぐあいに、決して高い、無理に上げた数字ではございませんので、結果としてそういったことになっているということでございます。  それから、先生御指摘になりましたように、本来飲用乳は生乳で賄うのが基本でございます。これは何も変えているつもりはございません。今回の六十年見通しにおきましても、第三次の酪近の試案におきましても、六十年には加工乳、還元乳というものはゼロである、すべて飲用乳は生乳で賄うという形で案なり見通しは立てているわけてあります。
  77. 島田琢郎

    島田(琢)委員 局長は御親切に私の質問しないことまで答えてくれたので時間が大分省けたのでありますけれども、次の点、加工乳の問題は私はこれからやろうと思ったんですよ。しかしお答えになったからそれでわかりました。わかりましたが、私は納得しておりません。  そもそも、目標は高く掲げて、できるだけそこに近づけるという努力があって、初めて政治であります。しかし、第一次、第二次のこの十カ年間を通して考えてみますと、なるほど高邁な目標を掲げて計画は出発いたしましたものの、その達成率はまことにお粗末な結果に終わった。その反省の上に立って、現実的な面をよく多く取り入れた第三次計画であるという御説明だと思う。しかし、目標に対して努力する、政策的に誘導する、こういうことがなければ、これは目標が達成できないことはおっしゃるとおりであります。その一番大事なのは、せっかくの目標を掲げながらそれに近づける政策的努力を怠ったという点は、これは私が指摘をしても大臣も局長も反論できないと思うのです。その点が私は最後に厳しく指摘をしたい点だったのですが、すでにいまお話の中に出てまいりました。  そこで、少し実情を踏まえて、今後飲用乳で三・三、加工乳で四・五、総体で三・七%の年伸び率をもって六十年の目標を達成したい、こういうお話にも触れていまお答えになっていますから、この五カ年間を振り返ってみて、果たしてあなたがおっしゃっているような結果になるかどうかという点について、黙っておいたら絶対にならない、こういう点だけは厳しく指摘をしておきたい、こう思うのです。昭和四十五年から四十九年までの統計しかございませんから、この五年間にひとつ限定をして見てみますと、生乳生産の実数は昭和四十五年で四百七十六万一千トン、前年対比で五・六%の伸び率であります。四十六年は一・五%の伸び率。四十七年は一・五。同じようにそれだけしか実は伸びていない。四十八年からは前年の一〇〇を割って、九九・四しかない。四十九年はさらに下がって九九・一しかない。これを平均値で見ても、大体一・五%いってないのであります。  それを、今後年平均三・七%で乳量を増加させていくなんということは、いまのままほうっておいたら果たしてできる数字かどうかというのは、これは私は大いに疑問のあるところだと思う。いま申し上げていることと、実は、目標として高く掲げた、前回よりも引っ込んだとは言いながらこの七百六十八万トンというのは、なかなかにして問題のある点だと思うのですけれども、そういう点については、果たしてこの具体的な三・七%の年増加率を見込んでいる政策というものが一体伴っていくかどうかという点が一番大きな問題になる点ですけれども、その点についてはどういう分析をされてこのような数字をはじき出されたのか、その点ひとつ明快にお答えを願いたいと思うのです。
  78. 大場敏彦

    ○大場政府委員 ただいま御指摘になりましたように、生乳生産の動向を対前年比で見ますと一四十五年以前には平均して七ないし八%の増加を示していたわけでありますが、御指摘になりましたように、四十八年、四十九年には前年をむしろ下回った、停滞的に推移した経緯があります。そういったことで、過去五年間で限って見ますと、生産の伸びの年率は二%切れる、こういった状況でございます。これにつきましては、いろいろ先生御承知のように、兼業化の進行に伴う零細飼養層の離脱の問題だとか、あるいは飼料の生産基盤の問題だとか、あるいは配合飼料価格のアップとか、そういった経営環境の悪化ということが作用して、残念ながらそういった停滞を示したことになっているわけであろうかと思います。  しかし、最近見てみますと、ことしに入りまして、近年停滞しておりました乳牛の飼養頭数も、五十年二月で見ますと、幸いに前年に比べまして一〇二%というぐあいに上回っております。それから、それを反映いたしまして、生乳の生産も次第に回復してきている。本年七月以降の生乳生産量は、対前年同月比で一〇〇%台にアップしてきておりますし、このままでまいりますと、年度内には恐らく五百万トンになんなんとするような有史以来の生産を記録するのじゃないだろうか、こういったことを見通しているわけであります。最近の停滞傾向は停滞傾向として見直さなければなりませんが、同時にまた、日本の酪農というのはまだまだ、やりようによっては力があるのじゃないか、私はこういうふうに思っているわけであります。  先ほど、かなり高い見通しではないか、こういう御指摘でございますが、私ども決してこれはイージーゴーイングな対応ではそう簡単にできるものだとは思っておりません。かなり意欲的な政策努力というものを積み重ねていく必要があるだろうと思っております。
  79. 島田琢郎

    島田(琢)委員 時間がなくなっちゃったので、最初申し上げたように、言いたいことはたくさんあるのですけれども、これはまた次の機会に譲ることにして、しり切れトンボですけれども、一応これで質問を終わります。
  80. 澁谷直藏

  81. 竹内猛

    竹内(猛)委員 時間の関係で、予定したものをずいぶん整理をいたしますが、まず農林大臣のこれからの農政に対する姿勢の問題と、それから農林予算の問題と、それから会計検査院の報告に関する問題、こういうことで質問をいたします。  まず最初に、十二月九日の新聞の伝えるところによると、自民党では農業団体の要請を受けて、農業基本法を改正をするため党内に特別委員会を設けるということを発表した。このことについて、十一日の参議院農林水産委員会で、わが党の鶴園委員の質問に答えて安倍農林大臣は、党はそういうことを決めたけれども何の相談もなかったということを答えておりますけれども、その後もその考え方は同様なのか、その後何か変化があったかどうか、農業基本法の再検討というものをやられるのか、その点どうですか。
  82. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 党の方で農業基本法につきまして委員会を特別に設けて再検討するということを決めたというふうには私はまだ承ってはおらないわけでありますが、そういう議論があったということは承っておるわけでございます。私は農業基本法につきましては、かねてから申し上げておるわけですが、これは農政の基本的な考え方が広い角度から織り込まれておるいわば農政の憲法のようなものでありまして、その基本的な考え方は現在においても十分適合性を持ったものと考えておりますし、これの取り扱いについては軽々に扱うべきではないという考えでございます。ただ、その運用面におきましては、その時代の社会経済情勢に応じて具体的な施策を展開していく必要があることは言うまでもないわけでございまして、現に政府は農業基本法に基づくところの「農産物の需要と生産の長期見通し」におきまして、農産物の自給力の向上を政策目標として掲げ、また、農政審議会の建議の方向に沿いまして今後の政策を打ち出しておるところでございます。なお、その政策の方向につきましては、内閣で開催をした国民食糧会議におきましても国民的合意が得られておるものと考えております。したがって、農林省としては、目下この政策内容を織り込んだ明年度予算が編成できるよう全力を傾注しておるところでございまして、特に農業基本法を改正をする必要があるものとは考えていないという私の考え方には変わりはないわけでございます。
  83. 竹内猛

    竹内(猛)委員 大臣はそうおっしゃるけれども、自民党が党として決めたら、自民党に所属する大臣だから党が決めたら従わざるを得ないと思うのですね。それで特別委員会をつくるということですが、われわれが長い間議論をして、いろいろ問題はあるけれどもすでに六十年展望の方針を出している、あるいはそれと関連をして国土庁でも最近は農業見直し論を出している、こういう一連のものが出ているときに、われわれはあの農業基本法がそのとおりになっていないということは前から言っているとおりだけれども、何か選挙を目標にして当面特別委員会などをつくって農民の目をごまかそうというような方向があるとすればこれはけしからぬことであって、農林大臣が言うように、そういうことをするよりも農林予算をもっと充実させろという要求の姿勢は、いろいろなことがあっても承認できる、こういうように私は思っているわけなんです。  そこで、まだ大蔵省は見えていないと思うけれども、農林予算の問題に関して、私は前にも言ったけれども若干大臣に要望をしておきたいことがある。その一つとして、ことしは世界的に食糧危機の問題が問題になった。そこで大臣もアメリカに行き、ソ連に行き、その他海外に自分でみずから行ってある一定の約束もしてきたし、話し合いもしてきたと思うのです。国内においても、諸般の展望なりあるいは国民食糧会議などというものもつくって努力をされた。こういうことは認めるわけですが、そういう中から、何としても備蓄問題というものを考えなくちゃならないということで、農林省内に食糧備蓄のための特別の部屋までつくって、そこに人間を集めて努力をされた。そこで、備蓄法案を今度の国会に出すか出さないか。これはどうですか。
  84. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 私は、今日の世界的な食糧事情、今後の食糧事情というものを判断するときに、食糧についての最大の輸入国である日本としては、どうしても備蓄につきましては、本格的に着手をしなければならない時期に来ておるというふうに考えておるわけでございます。もちろん政府としても、過去二年間にわたりまして備蓄の推進に努めてきたところでありますが、来年度から本格的な備蓄のスタートを切る必要があるというふうに思っております。ただ、このやり方につきましては目下いろいろと検討中でございまして、備蓄の規模、備蓄の方法、備蓄物資の性質等に応じて決めることがもちろん適当でございますし、その場合に、国が行うということも一つの方法でございましょうが、民間をして行わせることも十分考えられますので、総合的に検討して、現実可能な方途を講じていきたいということで、各方面と鋭意折衝を進めておる段階であります。
  85. 竹内猛

    竹内(猛)委員 その備蓄の方向はわかるけれども、この重要な問題に対する方向を明らかにするという意味において、法案としてこれを出す意思があるかどうかということです。
  86. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 法案を出す必要があるかどうか、その辺のところも検討の結果を見ないとはっきりしないわけでございます。先ほども芳賀委員にお答えをいたしましたが、たとえば大豆について糖価安定事業団に行わせるというふうなことになりますれば、これは法律要件にもなってくるかとも思うわけでございますが、あるいはそういう法律を出さないでも、民間等に行わせるというふうなことで備蓄を進めていくことができることも十分考えられます。いずれにしても法案を出すか出さないかということは、今後とも各方面との折衝の結果を待って決めたい。ただ、備蓄については本格的に着手する方向で進めたいというふうに思うわけであります。
  87. 竹内猛

    竹内(猛)委員 大蔵省見えていますか。
  88. 澁谷直藏

    澁谷委員長 まだだそうです。向かっているそうです。
  89. 竹内猛

    竹内(猛)委員 それでは、この問題については、大蔵省並びに公取の中でいろいろ意見があるようだから来てから聞くことにして、次の問題に移ります。  従来から問題になっている農地課税の問題についてですが、A・B農地については三大都市圏においてのそれはまだ保留をされているけれども、C農地に関しては考えなきゃならぬというような話が一部ある。あるいはまた、一般農地の固定資産税の問題が三十八年で据え置かれているのに対して、これの見直しをしなければならないというようなことで、農業団体、農民団体からいろいろの要請があります。そういうときに農林省の方では、農業を発展させる立場あるいは優良な農地を確保するという立場、農民に対して生産意欲を高めるという立場、そういう立場からするならば、一般の土地の値が上がったから税金を上げるということではなくて、やはり収益があって初めてそれに対して一定の課税がかかるわけなんだけれども、そういうようなことじゃなしに、何か一般とのつり合いがどうだのこうだのというような形で非常に歯切れが悪い。その歯切れが悪いのには後に何らかの約束があったのではないか、こういうことさえもいまささやかれている。あるいは取引があったのではないかということがささやかれているのだが、そういうような問題を解消する意味においても、もう予算編成の直前だから、この農地課税についてはひとつ明確に答えを出していただきたい。
  90. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 農地課税について従来約束があったかあるいは取引があったのではないかという御指摘でございますが、私はそういうふうなことは一切聞いておりません。私としては、やはり市街化区域内の農地につきましては、その税制上の取り扱いは市街化区域外の農地と全く同じに取り扱うことは、都市計画制度の精神等から見ましても問題があるとは考えるわけでありますが、しかし現に市街化された区域内であっても、農業が営まれておるという実態、あるいはまた担税力の問題、あるいは市街化区域内の都市的機能の充実が必ずしも順調に進んでいないこと、実態上補助金等によりまして御案内のように還元措置を講じておる例があることなど、種々の問題がございますが、これらの問題を踏まえて、現在問題となっておるところの宅地並み課税の見直しに当たりましては、慎重に対処していかなければならぬというふうに基本的に考えておりまして、話もだんだん進んでおるわけでございますが、そういう基本的な考え方で農林省としては最後の詰めを行っていきたいと思っております。
  91. 竹内猛

    竹内(猛)委員 C農地はそのまま前のとおりにするかわりに、一般農地に対しては、現在の評価額、平均して水田が四百九十一円、畑が百七十五円というものに関して、五十一年、五十二年、五十三年というように三割ぐらいずつ上げていく、こういうこともある一部のところで話をされているということを聞いているけれども、そういうようなことに大臣あるいは農林省は承諾を与えているのか、これはどうですか。
  92. 岡安誠

    ○岡安政府委員 御指摘のとおり、一般農地につきましては三十八年以来課税額は捉え置きということになっておりますが、三十八年度以来、大分物価その他が上昇いたしておりますので、ほかとの権衡の問題等も考えまして、現在再評価の時期に来ておりますので、どうするかということは確かに問題になっております。ただ、つり合いの問題はありますけれども、やはり現に農業が行われておるようなところにおきまして、その対象となる農地についての課税が、急激に農家の担税力を無視して上がるということは私どもとしては賛成できないわけでございまして、それらにつきましては、自治省とも十分相談をいたしながら、農家の担税力、また今後の経営能力に支障のないように、重大な影響を与えないような方向で対処したいということで現在交渉を行っているという実情でございます。
  93. 竹内猛

    竹内(猛)委員 これは農民としては非常に重要な問題だから、農林省は農民の立場に立って考えてもらいたいということを要望しておきます。  そこで、大蔵省が見えたようですから、先ほどの問題に続いていきますが、いま大臣に質問したのは、食糧の備蓄の問題に関連をして、もし食糧備蓄に関する法律を出すということになれば、世界でも余りやったことがないし、日本でも歴史的に初めてだと思うのです。それは備蓄をしなければならないというのは、われわれにとってみれば不幸なことなんですね。食糧というものは、備蓄をしなくても、完全に一億一千万の国民に一定のカロリーが供給できるんだ、こういうことであるべきなんだ。ところが、それが不安定なものだから、備蓄という発想が出るし構想が出る。その備蓄に対して、その財源をどう負担するかという問題に関連をして、大蔵省から意見がある。あるいはまた、その備蓄をした物の販売の問題をめぐっては公取から意見が出る。この二つの意見が主たる理由で、その法案が出なくて、行政で、あるものは国が、あるものは民間にやらせるというようなことで、きわめてばらばらなことをやろうとしているようにさっきの答弁で感じられたのですが、大蔵省は、これに対してどういう考えを持っておられるか伺っておきたい。
  94. 宮下創平

    ○宮下説明員 お答え申し上げます。  備蓄の問題は、御承知のように、農林省から来年度の重点項目の一つとして要求が出されております。備蓄につきましては先ほど来御議論があったようでございますが、国民食糧の安定的供給の確保という見地から見まして、輸入の安定化、多角化等、あるいは国内自給率の向上等々の手段と相まって、これらを補完するものとして備蓄の重要性というものはわれわれも認識しているつもりでございます。ただ、明年度出されておる要求につきましては、ただいま御指摘のございましたように、目的税的な収入を確保して、その上に立って備蓄をやろうというように承っておりますが、その税の問題あるいはその備蓄の主体でございますが、これらにつきましていろいろ私ども現在検討中でございますけれども、何せこの備蓄というのは保管する場合の金利、倉敷の負担等が非常にたくさんかかりますので、そういう点を考えますと、何らかの意味でそういう財源確保がなされませんと、いまの一般的な財政事情の苦しい中でなかなか容易なことではないと考えておりますが、これから予算の内示、復活折衝の段階におきまして農林当局の方ともよく御相談してまいりたいと思っております。
  95. 竹内猛

    竹内(猛)委員 これはずっと長い間の農政の中で、やはり何と言っても高度経済成長の中で重化学工業に重点があり、その結果食糧の危機をもたらしたわけですから、これは政治の責任なわけだから、その政治の責任を消費者やあるいは利用者に負担をさせないようにしていくということが大前提でなければいけない、こういうふうに考えるわけです。後で私は補助金の問題について触れますけれども、そういう意味で、やはり重要なことですから法律を出して、法律で国が責任を持ってこの問題に対しては取り上げるような方向で努力をしてほしいということを要望する。これ以上のことは、時間がありませんから申し上げません。  そこで、もう一つ大蔵省にお伺いするんですが、もう予算の編成期で、ここで何か明確な答えを出せということは非常に無理かもしれない。無理かもしれないけれども、少なくともこれだけの国内外の農業をめぐる諸情勢の中で食糧危機が言われているとき、政府でも国民食糧会議を開き、六十年見通しを立て、国土庁もまた食糧の見直しをしているときに、農林予算を組み立てていく思想、そういうものは一体どういうところに置いていかれるのか。従来と同じような形なのか、それとも何かここにやはり新しいものを立てて、それに向かって進めるのか。農林省では新総合食糧政策というものを出しているわけですけれども、この辺について、従来と同じなのかどうなのか、この辺の基本的な考え方を伺いたい。
  96. 宮下創平

    ○宮下説明員 お答え申し上げます。  農林予算は国民食糧の確保という点からきわめて重要でございます。自給率の問題、いろいろ論ぜられておりますが、私どもといたしましては、こういった重要性にかんがみて、特に私農林担当でございますので、極力本当に実のある予算にしたいと考えておるわけでございます。農林省からは、来年度の重点施策として、御指摘のような新農政というようなことで各種の施策が要求されておりますけれども、これらにつきましても、やはりその精神なり趣旨をよく勘案いたしまして重要視する方向で検討してまいりたい、かように思っております。
  97. 竹内猛

    竹内(猛)委員 去年は予算の編成のときに総括して二五%の枠、ことしは一五%、去年の場合には農林予算は一九%にとどまった。そうですね。それで四十九年は全体の総予算の中で一〇・〇七というのが農林予算の枠であった。五十年は一〇・〇二、これに補正をしていますから、最終的にはもっとふえていますが、ことしは一〇%を割るのじゃないかという危惧さえ一部から聞かれている。だから、そういうことであるとすれば、いまの思想に反するわけだから、少なくとも食管の問題でもかなり農林省は努力をしているんだから、あるいは土地改良の問題にしても、広く早く完成をするような方向で努力をしてもらわないと、農家自体の生産意欲を失うことになるから、この点は再度簡単でいいからお答えを求めます。
  98. 宮下創平

    ○宮下説明員 お答え申し上げます。  御指摘のように、昨年度の一般会計に占める農林関係予算のシェアは一〇・二でございまして、ここしばらく一〇%台を確保してまいっております。しかし、その内容を見ますと、やはり食糧管理費の増高がかなり大きな影響を与えておりまして、それが一般会計における農林関係予算のシェアを引き上げているのじゃないかというように考えております。来年度の予算の中でシェアがどのくらいかということにつきましては、これから折衝するわけでございますので、何とも申し上げかねますけれども、来年度の予算は食糧管理費が、幸いと申しますか、昨年の両米価の改定によりまして少なくとも逆ざやは不拡大ということに相なっておりますので、来年度の予算の食糧管理費の伸びはほとんどないものというように私どもいま理解しておりますが、そういう姿の中においても、なお公共事業、農業基盤等を初め、その他経費の充実については、食糧問題の重要性にかんがみまして、格段努力を払いたい、かように考えております。
  99. 竹内猛

    竹内(猛)委員 会計検査院が来ていると思いますが、補助金の問題、これは農業に限らず補助金、交付金、助成金、いっぱいありますね。私は三年前に、櫻内農林大臣のときにもこの問題について質問をして中途半端になってしまったんですが、きょうもこれはこれからやると中途半端になるから、総論のうちの総論、全くの入り口として、この問題については今後相当の時間とそれから努力をして、この補助金の問題に関する効率なり効果なりこういうものについては詰めていきたいと思うのです。  この制度が始まって以来、今日までの検査院の報告を見ていると、大体同じような傾向の指摘がされております。それが依然として改まっていない。もちろん、これは数少ない検査員が広範なところの検査をやるわけでありますから、当然一挙に全部を調査するわけにいかないから、同じようなことが出るのは無理もないと思うけれども、とは言え、このように同じ傾向のものが何十年も繰り返し繰り返しやられているということは、そのメカニズムなり何なりに問題があるのじゃないか。この点をまずお聞きをしながら、時間がないからもうあれはできませんが、第一にそのことについてお聞きしたい。
  100. 澁谷直藏

    澁谷委員長 東島第四局長、簡単に答えてください。
  101. 東島駿治

    ○東島会計検査院説明員 御指摘のように、私どもが検査いたします検査報告にはいつも数多くの指摘事項が掲上されておりまして、これにつきましていま先生の御質問の原因というものをいろいろ考えてみますと、事業主体側におきまして補助金に対する認識が非常に欠如している、あるいは事業実施体制が非常に不完全である。特に町村におきましては、現場担当の職員が少なかったり、あるいは技術関係の職員が非常に少ないというような状況もございまして、そういうところに原因があるのじゃないか。また、都道府県側におきましては事業主体に対する指導監督が非常に徹底を欠いている。そのようなところに毎年後を絶たない原因があるのじゃないか、このように考えております。
  102. 竹内猛

    竹内(猛)委員 私はこの補助金自体そのものを否定をしているわけではありません。けれども、この補助金が、法律によるところの補助金があり、予算による予算補助金があり、その他行政によるいろいろなものがあって、これだけの金が動いているのに、これを適正に監視するとか、それを効果的にやるとかということについては必ずしも機構が十分じゃないのじゃないかという感じがする。  そういう点も含めてこれからいろいろやっていきますけれども、そこで補助金に関するいろいろな学者の学説もあります。これは東畑精一博士の学説もあるし、大内力さんのあれもありますけれども、資本主義制度の中の小経営の中においては補助金というものはやむを得ないものだ、価格の上にプラスするものだというようなことが言われていますが、そういうことをいつまで続けておっても、これは農民の自立精神を損なうし、依存心だけが強くなる。自治体においても中央に依存する。その間に団体がはびこりボスがはびこる。決して民主化に役に立たないから、そういう意味においては、今後補助金の問題についてのあり方等については、別な機会にこれは改めて徹底的に討議をしていかなければならないと思いますので、これはきょうだけでなく今後も取り上げてまいります。時間がないからこれで終わりますが、そういうことについて農林省の方としても、これを担当する場所で十分にこの問題については資料を整理していただきたいということを要望をしたいと思いますが、これはどうでございますか。
  103. 森整治

    ○森(整)政府委員 先生御指摘の点は非常に重要な問題でございます。私どもも十分検討させていただきたいと思っております。
  104. 竹内猛

    竹内(猛)委員 終わります。
  105. 澁谷直藏

    澁谷委員長 井上泉君。
  106. 井上泉

    ○井上(泉)委員 まず第一番に私は、高知県のマグロ漁船がインドネシアに拿捕されてからもう今日二十日近くになったわけですが、その後の経過がどうなっておるのか。この点外務省なりあるいは水産庁なり、今日の時点でわかっている範囲を簡明にお答え願いたいと思います。
  107. 枝村純郎

    ○枝村説明員 ただいま御質問の高知県室戸市の第十一晃久丸のことでございますが、この船は十一月三十日にインド洋での操業を終えてハルマヘラ島西方の沖合いを航行中、インドネシア海軍警備艇により拿捕されたわけであります。それが十二月二日に現地のアンボンの名誉領事からアンボンに抑留されておるということが確認されてまいりました。その後私どもといたしましては、直ちに訓令をいたしまして、現地の大使館からインドネシア側の各方面に即時、早期の釈放方を申し入れておるわけでございます。これは大使、書記官あるいは総領事それぞれのレベルで過去十数回にわたって申し入れを行っております。それから先方の申し入れ先につきましても、外務省あるいは軍関係にとどまらず、国会方面、水産庁方面その他大使館として接触のあります関係の方面にいろいろな形で申し入れておりますし、また文書による申し入れも何度も行っておるわけでございます。  他方、現地の状況でございますが、十二月二日の在アンボン名誉領事からの報告でも、船長以下乗組員の皆様は全員無事であるということでございましたが、なるべく早い機会に正規の外交職員がこれと連絡をとれますように、在スラバヤ領事館の館長領事であります寺田領事を現地に派遣いたしまして、漁船員の援護並びに現地当局との折衝に当たらせたわけでございます。その後大分日もたちますので、在インドネシア大使館の小嶋書記官をこれに交代させまして、これはインドネシア語の専門家でございますが、現地でも折衝に当たらせ、かつ船長以下の皆さんの援護に当たっておる、こういう状況でございます。  私どもといたしましては、こういった申し入れ、接触が実を結びまして早期に釈放されることを希望しておるわけでございまして、現在のところ、ああいうチモール問題というようなこともございますが、まだはっきりいつということを申し上げられる状態にはないということでございます。
  108. 井上泉

    ○井上(泉)委員 この前現地に船主が行った、それで向こうから罰金を要求をしておるとかいうような新聞報道がなされておったわけですが、これは十二月二日から今日までこんなに日がたっておるわけですが、その後の事態の進展が全然ないし、向こうがどういう意向も示されないということは、私は国際外交上こういうことがあり得ることだろうか、こういうように思うわけですが、外務省どうですか。
  109. 枝村純郎

    ○枝村説明員 御指摘のとおり船主の方はたしか十二月十二日に東京をおたちになりまして、インドネシアへ赴いておられます。そして先ほど申し上げました小嶋書記官とともに現地のアンボンに行っておられるわけでございます。今後の折衝の進め方としまして、どういう交渉の仕方をするか、われわれとしまして罰金を払うということを前提にしてインドネシア側といわば示談に持っていくということで事をおさめるかどうか、ここら辺のところが折衝のなかなか機微な点でございまして、その辺のところは私どもないしは現地で船主の方とお話ししながらなるべく早期の解決を目指すということで御了解を願いたいと思う次第でございます。
  110. 井上泉

    ○井上(泉)委員 私はこの問題は、どういう事件でどういう状態で拿捕されたかという状態くらいは的確にそしてまた迅速に把握をしてやらないと、あの地域にはずいぶんたくさんのマグロ船が行っておるのですから、このマグロ船の操業の安全を守る意味においても、もう少し外務省が力を入れないといかぬじゃないか、こういうふうな気がしてならないわけです。  それと同じように、せっかく日ソの漁業操業協定が結ばれても、ソ連の漁船の横暴が相次いで、その協定なんかないも同然だ、こういうことで、まさに私はソ連漁船の横暴というものが、新聞報道で見る限りにおいては目に余るものがある。これは特に海上自衛隊がその現状というものを把握したのを朝日新聞でも載せておるのですから、これは事実だと思う。そういう点、やはり外務省がソ連外交にいたしましてもあるいはインドネシア外交におきましても、何か積極性がないんじゃかいか、こういうように思うわけですが、どうですか。
  111. 枝村純郎

    ○枝村説明員 ただいまの御指摘の点でございますけれども、インドネシアというのは私どもと違いまして、例の群島理論というようなことで、特定の法的な主張をしているわけでございます。したがいまして、あの辺に出漁していただく漁船に対しては、たとえば漁具の格納というようなことについても格別の御注意をいただくように水産庁を通じてお願いしておるわけでございまして、今度の晃久丸の事件につきましても、もちろん拿捕されました位置その他につきましてはインドネシア側の主張あるいは船長の主張、食い違いがございますが、漁具が格納されておらず甲板上に出ておった、それが雨のためにぬれておったというようなことで、容疑事実をインドネシア側として確認したと主張しておるわけでございます。外務省の姿勢につきましては、先ほどから申し上げましたように、こういった事件が発生いたしますやいなや先方に対する申し入れあるいは現地での援護というようなことにつきましては私どもとして万全を尽くしておるつもりでございます。
  112. 井上泉

    ○井上(泉)委員 万全を期しておるつもりということですけれども、そのつもりが効果を奏さないというと非常に残念ですから、なおひとつ積極的にお願いをしたいと思いますが、ソ連漁船の横暴という実態は外務省はどう認識をし、それに対してどういう外交措置を講じようとしておるのか、承りたいと思うのです。
  113. 木内昭胤

    ○木内説明員 十月二十三日に日ソ操業協定が発効いたしましてからその後も、新聞に報ぜられておりますとおりいろいろな事故それから被害が生じていることについてははなはだ遺憾に思っております。ただ、数字的に見ますと、仮に十一月の例を四十九年と本年度とを比較いたしますと、件数については四十九年の六十八件が五十五件に減っております。
  114. 井上泉

    ○井上(泉)委員 減っているとか減っていないかいうような、そんなことはいいです。こういう事態に照らしてどうするかということです。協定ができる前よりは減っておったらいいということですか。
  115. 木内昭胤

    ○木内説明員 金額にいたしましても、昨年の千三百万円以上に対しまして、本年は七百万円台ということで、協定の抑止力の効果はそれなりに期待いたしております。  それから、この協定の発効に伴いましてわが方の委員も発令になっておりますし、早晩ソ連と話し合いの場ができれば、一層被害、事故件数を減らすことができるものと、非常に期待いたしております。ただ、このソ連側と委員会の場において話し合いがいまだ開始されない段階におきましては、新聞に報ぜられておりますもろもろの事故につきまして、ソ連側に対しては十分話し合いをいたすつもりでございます。このことは、仮に一月にグロムイコ外務大臣の来日を見ましたときにも十分話題になる問題でございます。
  116. 井上泉

    ○井上(泉)委員 いまの外務省の答弁を聞いて水産庁はどう思いますか。マグロ漁船のそういう拿捕の問題は、この高知県の船だけではないのです。そうしてそのたびに罰金とかいろいろな形で処理をされているケースがあるわけです。マグロ業界というものが大変な不況に嘆いておる現状から見ても、私はもうちょっと水産庁なり外務省なりがこういう遠洋漁業者に対する配慮というものをなされてしかるべきだと思うのですが、どうですか。
  117. 内村良英

    ○内村政府委員 先生御指摘のとおり最近マグロ漁船の拿捕等が起こりまして、非常に厳しい状況になっております。これはインドネシアが群島理論を一方的に使いまして、特定の航路じゃないと通っちゃいかぬというようなことをやっていることがございます。これに対しまして私どもは、外務省を通じまして抗議をしているというような状況でございますが、一方マグロ漁業が非常に経営が苦しいというようなことも先生の御指摘のとおりでございます。したがいまして、私どもといたしましては、五十一年度予算におきまして、これまでのいろいろな負債を一応たな上げして再建計画ができるような経営安定資金、さらに構造改善を進めるための構造改善資金、さらにマグロ業界は三年間に現在の漁船を二割ぐらい減らそうということを考えておりますので、それのとも補償のための資金措置等、いろいろ五十一年度予算で現在要求中でございまして、そういった施策によってマグロ業界の建て直しを図りたいというふうに考えているところでございます。
  118. 井上泉

    ○井上(泉)委員 委員長、大臣はいつ来るのですか。
  119. 澁谷直藏

    澁谷委員長 速記をとめて。     〔速記中止〕
  120. 澁谷直藏

    澁谷委員長 速記を始めて。
  121. 井上泉

    ○井上(泉)委員 大臣が来ましたので、時間がないのでこの問題はまた次の機会にいたします。  大臣は攻めの農政ということで華々しく登場したわけですが、この一年を顧みて、攻めの農政が詰めに来た、よくやった、こういうように考えておりますか。
  122. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 私はもちろん微力でありますけれども、全力投球いたしまして、いろいろの困難な問題につきましてもその解決を図るために努力をしてまいったわけでございまして、来年度予算を一つの起点として、「総合食糧政策の展開」という一つの長期的な視点に立った新政策をその結果打ち出したわけでございますので、来年度予算につきましては、われわれの一年間のこれまでの努力というものが打ち出されるということのために、今後とも全力を尽くしてまいりたいと思っております。
  123. 井上泉

    ○井上(泉)委員 そこで、大臣は攻めの農政、これは農業関係だけでなしに水産業関係でも非常に結構な見解を示してきたわけですが、その中で一番問題になるのは領海十二海里の問題ですが、大臣はもう数回にわたって、領海十二海里は宣言をすべきだ、こう言ってきたのですけれども、いまだにそのことが実行できないわけで、これは攻めの農政の中の非常な失点ではないか。その失点を取り返すためには、早く領海十二海里を宣言をして、そして日本の沿岸漁業というものを守らなければいかぬと思うのですが、これは一体いつごろまでにめどをつけますか。
  124. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 この領海十二海里の問題につきましては、私はもちろん漁業を守るという立場からこれを早期に実現をしなければならないという考え方は変わっていないわけでございますが、各省庁とのいろいろの調整があるわけでありまして、農林省の所管の問題とも言えない面もありまして、これは各省庁間の調整で今日まで結論が出てこないという状況にあるわけですが、だんだんと周囲の情勢からその調整も煮詰まってきておるというふうに見ておりますので、これから最後の調整が成果を生むように努力をしていきたいと思っております。
  125. 井上泉

    ○井上(泉)委員 日本の水産業界というものが非常にいま厳しい条件の中に置かれておる中で、沿岸漁業というものは、農薬が非常に制約をされた関係で、淡水魚にいたしましても、あるいは沿岸の魚類にいたしましても、非常に明るい状況というものが出ておるわけです。その明るい状況が出てきているところへもってきて、領海三海里のために、私が前段申し上げたようなソ連の漁船団がいまでも六十何隻というものが日本の近海におる。こういう現状から見ても、これは早く十二海里を宣言をしないと大変なことになるじゃないか、こういうように思うわけでありますが、いま大臣は各省との関係もあるから、こういう話もされたのですけれども、農林省としてはこれを積極的に推進をする腹であるかどうか。あなたもこれをちゅうちょする側にあったら、これは全国の漁民は失望するのですから、あなたは十二海里を早くやれ、こういう閣議なりその他の機関に対しても推進をする立場をとるのかどうか、その辺をひとつ攻めの農政の真価として御答弁を願いたい。
  126. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 現在ソ連の漁船団が日本の太平洋沿岸で相当大量に漁労いたしておる。そしてその被害も起こっておる。もちろん昨年に比べてはその被害額も少ない、あるいはまた、われわれが交渉してまいりました結果、ソ連もある程度の自粛はしておるとは存じておりますけれども、しかし、被害が出ておるという現状というものは十分認識もいたしております。あるいはまた、ソ連の最近の五カ年計画等の発表を見ますと、来年度はさらに漁獲につきまして三〇%程度の水産物の漁獲増を図っていくというふうなことが打ち出されておる。そうなってくると、またソ連の漁業による圧力も相当強くなってくるのじゃないかというふうな判断もいたしておるわけでございます。そういう中にあって、沿岸十二海里は何としても早くこれを実現したいということで、これは調整問題があるわけでございますが、今後とも積極的に努力をしたいと思っております。
  127. 井上泉

    ○井上(泉)委員 それでは、その農林大臣の言に期待をして、一日も早く十二海里が実現をするようにお願いをしておきたいと思います。  そこで、今年度の予算は農林大臣も直接手がけたものではないわけですが、来年度の予算につきましては非常に前向きな見解を表明されたわけですが、食糧関係の中で農作物と水産物とは切り離すことのできない関係の中にあるわけですが、水産関係全体についても、かなり積極的な取り組みを来年度の予算の中でもやる決意であるのかどうか、そのことを承って私の質問を終わりたいと思います。
  128. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 水産関係予算は全体の枠が非常に少ないわけでございまして、まずそのかさ上げをしなければならぬということでございますが、そういう方向で来年度予算には努力をしていきたいと思いますし、また、水産の来年度予算の施策の中におきましても、たとえば漁家の経営安定といったような問題は今日の非常に緊迫した課題でございますし、あるいはまた魚価安定の問題も大きく取り上げなければならぬ課題であろうと思っております。あるいはさらに、沿岸の漁場開発といったことも、国会で沿岸漁場整備開発法等の成立が行われたわけでございますから、その法律に基づいて、いよいよ本格的な実施に入っていかなければならない事態だということで、来年度の水産関係予算には重点を置いてまいりたいと思います。
  129. 井上泉

    ○井上(泉)委員 終わります。
  130. 澁谷直藏

    澁谷委員長 この際、午後二時三十分再開することとし、暫時休憩いたします。     午後一時五十七分休憩      ――――◇―――――     午後二時三十八分開議
  131. 今井勇

    ○今井委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。津川武一君。
  132. 津川武一

    津川委員 大臣がちょっとおくれるそうですから先に政府委員にお尋ねしておきます。  一つはコドリンガですが、山形や山梨、福島、青森などのサクランボ栽培農家はアメリカからのサクランボの輸入を非常に心配しておりますが、これはやはり輸入してはいけないと思いますが農林省いかがでございますか。
  133. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 アメリカからのサクランボの輸入につきましては、現在コドリンガの発生地であることのために植物防疫法上の輸入禁止区域にしておりますのでその寄主植物でありますサクランボについても輸入ができないということになっております。数年前からアメリカからサクランボの対日輸出の要請がございますが、これに対しましては、ただいま申し上げましたような理由で禁止は解除できないということを言っておりましたところが、コドリンガの消毒方法につきまして、薫蒸によりまして消毒するわけでございますが、こういうように技術的にできるようになったからぜひ輸出できるように植物防疫法上の禁止を解除してほしいという要請がございます。これにつきましては種々データを取り寄せ、また私どもの専門官をアメリカに派遣すること等によりまして検討はいたしておりますが、まだ消毒方法が確立したという判定までには至っておりませんので結論を出しておりません。
  134. 津川武一

    津川委員 そこで、アメリカにコドリンガがいる、消毒法が完全になれば入れてもよろしい、こういう意図のようですが、消毒は科学であって万全でない、したがって私は、アメリカにコドリンガがいる限り、はっきりと学的な証明が、植物防疫学上の間違いのない証明がない限り輸入してはいけないと思いますが、この点重ねてお尋ねします。
  135. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 現在の植物防疫法上の措置につきましては、わが国に侵入をいたしました場合大きな被害を与えると思われる有害な病害虫がおります場合にはその寄主植物の輸入を禁止するということをやっておるわけでございますが、これはあくまでも植物防疫法上の輸入制限ないし禁止措置でございますので、消毒方法等が確立いたしますれば少なくとも植物防疫法上の措置としては禁止を続ける理由がなくなりますので、それはそのような場合には十分科学的な根拠、技術的な検討を加えた上で大丈夫だということになりますれば、そのような消毒措置を輸出国がとることを条件にいたしまして、またわが国からも検疫官を派遣をして消毒に立ち会いをさせるというようなことまでやりました上で輸入の禁止を解除しておるというのが、これまでの例でございます。  わが国は国際植物防疫条約にも加入しておりますが、植物防疫条約によりましても、検疫上の理由で禁止する場合、植物検疫のために必要な限度を越えてはならない、通常の国際貿易に大きな支障を与えるようなやり方をしてはいけないという趣旨の規定がございまして、わが国もそれに加入しておりますし、そのような国際的な条約に基づく方法を守ってやっておりますので、ただいまお尋ねがございましたアメリカからのサクランボの輸入につきましても、技術的に消毒方法が確立をいたしまして、わが方が見て大丈夫だということになりますれば、植物防疫法上の輸入禁止を継続するということは困難になろうかと思いますけれども、現段階ではそのような結論はまだ得ておりません。
  136. 津川武一

    津川委員 そこで、消毒法、アメリカの方で大丈夫だと言った、日本がこれを無条件に大丈夫と受け取るのか。私は、日本の学問において、これを政府の責任において、日本の学界の権威において追試して、初めて安心できるものと思います。この点の見解いかがでございます。
  137. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 もちろん日本といたしまして自主的な判断で決定をすべきことでございますので、アメリカの今回のサクランボの問題につきましても前々からアメリカはもう大丈夫だということを盛んに言っておりますけれども、私の方ではまだ十分ではないということでいろいろ注文をつけておる。このデータでは不十分である、こういうようなことをやっておる経緯がございます。お説のとおり、わが国の自主的判断によって決めるべき問題だというふうに考えております。
  138. 津川武一

    津川委員 そこで大臣、サクランボの輸入、日本の地域特産物の一つであるサクランボを守るために、この際は輸入すべきでない。しかしサクランボが貿易の自由化品目になっている。そこで防疫上、検疫上問題がある場合には入れてはいけない、その次には消毒法に、こちらで追試して心配ない状態でなければ入れてはいけない、こう思うし、局長もそう答弁したと私とりますが、この点大臣の見解を重ねて明らかにしてください。
  139. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 サクランボにつきましては、これは自由化品目でございますから、貿易上はこれを阻止することはできないわけでございますが、御存じのとおり防疫上の立場からこれに対して制限を現在加えておるわけでございます。実は私がアメリカに八月に参りました際もアメリカの農務長官からサクランボの輸入を促進してほしいという要請があったわけでございますが、私はこのサクランボの日本に対する輸出については、政治的にこれを解決すべき問題でないことは当然のことであって、あくまでも防疫上の見地に立って技術的に全然問題がないという結論が出なければ、日本としてはこれは輸入を認めるわけにはいかない、こういうふうに答えたわけでございまして、現在その防疫の上からアメリカ側に対してもいろいろの資料を要求したり、あるいはまた日本の技術者を派遣をしたりいたしまして、いろいろの点で検査、調査をいたしておる段階でございますが、しかしこれが万一、仮に防疫上の見地から全く差し支えないというふうな段階になれば、あえてこれを阻止することはできない、こういうことでございます。防疫上の問題につきましては技術的な問題でございますが、これは念には念を入れてやるように指示をいたしておるわけであります。
  140. 津川武一

    津川委員 次にリンゴについてのコドリンガ、これについて若干お尋ねします。  朝鮮民主主義人民共和国、いわゆる北鮮にコドリンガはいないと政府が言って、この間室蘭に一次、二次の朝鮮民主主義人民共和国からのリンゴの輸入を許可したわけですが、このいわゆる北鮮にはいないという根拠、私ここに皆さんからいただいた文献も持っておりますが、いま時間がないので、この文献のどこをどのように読んで、いないと判断したのか、私に下さったこの三つの英語とフランス語とロシア語の文献以外に文献を見たのか、たった三つの文献であったのか、国際的にたくさんの文献があると思うが、その文献のすべてにわたって調べて初めていないと判定したのか、きょうは時間がないから文書で正確に報告していただきたい。  二つ目。先般室蘭に朝鮮民主主義人民共和国からのリンゴが輸入されて陸揚げされた、そのときの検疫に当たった高田技官という人から私直接伺いましたが、これもやはりだれかの追試が必要となる状態です。そこで、どんな検疫をしたか、だれが検疫したか、どんな写真をとったか、後日証拠として残るものは何があるか、顕微鏡写真をもひっくるめて、これを後日文書で提出していただきたい。いま時間がないからこれを論争することができないので、この二つの点、まず出してくれるか、答えていただきます。
  141. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 提出いたします。
  142. 津川武一

    津川委員 そこで農林大臣、政府はいないとして輸入許可した、いないと検疫して入れた。リンゴは入っております。そこで、日本のリンゴにコドリンガは現在いないが、日本のリンゴに発生したとき、政府に責任があると思います。この責任の内容については私は出てからまた問題にしますが、政府はこの点で責任を負うべきだと思います。農林大臣いかがでございます。
  143. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 植物防疫について万全を期さなければなりませんから、いろいろの措置は講じてきておると思うわけでございまして、私は日本の植物防疫の技術の水準から見て、北鮮のリンゴを輸入した、そうしてそれによってコドリンガが発生するということは万々ない、こういうふうに考えておるわけでございますが、もし万一発生するような事態になればこれは大変でございますから、そういう際には防疫措置を緊急にとらなければならない、こういうふうに思っておるわけでございますが、そういうふうな事態になることはないというふうに考えております。
  144. 津川武一

    津川委員 ないという確信、私も了承します。そこではしなくも大臣言われたが、万が一にも出たとき、責任内容を私はここで問いませんけれども、政府に責任があると私は思うが、いかがでございます。
  145. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 そのようなことがないように万全を期するつもりでおりますが、人間のやることでございますから、万々が一ということが全くないとは否定できないと思います。そのような場合に、適正な検疫措置を講じたかどうかということによりまして、国の責任というような問題もあるいは出る場合もあると思いますが、それは法律上の問題は別といたしまして、行政的な責任は当然免れないと思います。そういうことのないように万全を期するとともに、もし発生いたしますれば、直ちに撲滅するということについて最大の努力をしたいと思っております。
  146. 津川武一

    津川委員 行政上の責任があるとすればそれでよろしいが、そうですが。民事上の責任ではなく行政上の責任はあると思いますか。
  147. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 検疫が適正を欠いたということであれば責任は免れないと思います。
  148. 津川武一

    津川委員 ここに昭和五十年の四月二十七日、青森県リンゴ試験場「コドリンガ」というパンフレットがございます。これはことしの四月二十七日に出てきておって、やはり心配されておる。その中には幾つかほうっておけないことがあります。一つはコドリンガが青森県に侵入した場合には一年に二回発生することが予想される。これが一つ。二つ目、コドリンガが青森県に侵入、定着したとすれば、アメリカシロヒトリ、コロラドハムシ、マメコガネムシなどのあのすごい被害を再現する可能性はきわめて高いと考えなければならない。この理由は省きます。三つ目、モモシンクイガとコドリンガが共存することになり、両者に共通して効果ある薬剤の検索、そのつくり出しにはかなりの期間を要し、また今日のように農薬の規制の厳しい中で有効な薬剤を見出すことは因難と考えられる、このように書いてあります。皆さんからいただいたこの資料を見ますと、ヨーロッパから東に来て、日本みたいな温帯のところには必ず行く。時期の問題だ。直接行くか、船で行くか、汽車で行くか、そういう心配があることも指摘されてあります。りんご試験場もこのとおり心配をしている。とすればいまからこれに対する対策、準備、防除の方法、いろいろな試験研究の体制を前もって準備しておかなければならないと思いますが、一地方県のりんご試験場がこんなに心配されておるわけです。この点いかがでございます。
  149. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 私どもは北朝鮮にコドリンガが発生をしておらないという前提で輸入を認めておるわけでございますけれども、一部の文献には朝鮮半島においてコドリンガの発生が見られるというような記載がされた例もございますけれども、これにつきましては、私どもといたしましては、そのような文献をいろいろ検討しました結果、文献の引用の仕方等につきましてもいろいろ問題がありますので、従来の考えを変えておらないわけでございますが、そういうような不安を産地の皆さん方が持っておられるということは事実でございますので、北朝鮮の政府が出しますいろいろな証明書を十分点検をするとかあるいはこちらへ輸入をいたしました際の検疫につきましては特に注意をしてやるということによりまして、侵入を未然に防遏をする努力をいたしておるわけでございますが、今後万が一入った場合には敏速にこれを撲滅するというような対策につきましては十分に準備をし、検討をしていきたいというふうに考えます。
  150. 津川武一

    津川委員 この青森県りんご試験場の書類でも皆さんの持っておるこの書類でも、こう書いてあります。一九六二年十二月の分布では、ソ連のハバロフスク、朝鮮との国境周辺のシベリア、それから南に向けた中国の五省に認められている。そしてだんだん東に進んで温帯の中を通って進んでいる。とすれば、日本に来ると思う。来させないために全力を尽くす、このための措置をわれわれは皆さんに求める。と同時に、りんご試験場で言っているとおり、必要な防除体制をつくるために長い期間がかかるという。さあ入ってから、長い期間ですったもんだするよりかは、すでにこれに対する対策の研究、そういう防除などということの検討を始めた方がよろしいかと思うのです。入れたくない、この点皆さんと同じです。局長の言うように、入ってからやるのでは遅い。事前の準備が必要かと思うのですが、この点いかがでございますか。
  151. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 事前の準備を、そのような事態も想定をいたしまして十分検討したいと思います。
  152. 津川武一

    津川委員 今度は食糧庁です。きょうの報告で昭和五十年産予約限度超過米取り扱いについて、こういう処置を聞きました。これが出たのは十一月二十七日ですか、二十八日ですか。そこで、十二月十日の全国農業委員長大会において特別決議として、超過米の全量買い上げを要求して決議している。したがって、皆さんのきょう説明された取り扱いは必ずしも十分でない。そこで、私は全量買い上げが必要と思いますが、いま超過米がどのくらい出ているのか、現状での把握、それから超過米の中で限度内調整がどのくらいできるのか、この点、ひとつ明らかにしてください。
  153. 大河原太一郎

    大河原(太)政府委員 お答え申し上げます。  本日当委員会の冒頭におきまして、政府の五十年産米超過米処理方針を御説明申し上げましたが、十一月二十八日にこれを決定したわけでございます。そのいきさつは、例年ですと超過米の処理方針がもっとおくれますが、当委員会においても早急にこの方針を決定しろ、いわゆる自由米その他の横行が豊作に伴ってある、これは流通秩序を乱すし、いろいろ問題だ、農民も不安を感じておる、したがって、早急にこの処理方針を出せというようないろいろな御指摘もございましたので、われわれとしてはもう少し超過米の的確な数量、最終的な数量、あるいはただいま先生がおっしゃいました県間調整の限度内の枠の最終的な確認をした上で例年では行っておるわけでございますが、本年はこれを早期に決めたといういきさつがございます。十一月末にこの方針を決めました際は、なお西の方の、作が例年も遅いところ等の超過米の発生なりあるいは限度枠を余す県の数量等も的確でございませんでしたが、われわれとしては生産者団体なり、われわれの組織でございます食糧事務所、また都道府県というものの諸般の事情を総合いたしまして、限度超過米はおおよそ四十万トン程度であろう、県間調整の枠は十万トン程度出るのではないかというようなことで、おおよそ三十万トン程度が超過米として本年度は処理を要するのではないかということで、本対策を決めたわけでございます。  なお、農業委員会の決議のお話がございましたが、われわれといたしましては、自主流通ルートに乗せる以上は生産者団体の自主的な判断が前提でございます。したがいまして、全農あるいは全国農協中央会というような生産者団体十分話し合いまして、超過米についての全量集荷、並びにそのための条件としての助成というようなことについては十分話し合ったつもりでございます。
  154. 津川武一

    津川委員 そこで、十二月の中旬に一応全国的なものをつかむと言った。まだつかんでいない。話で聞くと十二月下旬。ところが青森県の西郡、北郡というところでは一俵一万一千円から一万二千円で、指定集荷業者でない人が米を買っていっている。農協、経済連では一俵一万円の仮渡し金を出しておる。そこに皆さんが千三百円の奨励金を出す。全然奨励金を出していないところもあります。全県全部一万円の仮渡し金。こういう状態の中にあって、生産者は農協にやろうか指定業者でない人に渡そうか、こういうこともあるのです。農協は一生懸命集荷しています。これは涙ぐましい集荷をしている。そこで早く県間調整をやって、やったものは十二月中旬と言わないでできるだけ早めて内示する必要があると思うのです。内示はできますか。
  155. 大河原太一郎

    大河原(太)政府委員 お話でございますが、超過米につきましては早急にそれぞれ指定法人全農あるいは県で言えば経済連、単協と一体となりましてこの流通計画を立てまして、そして卸業者との間でその取引を行って値段を決めていくという関係にあるわけでございます。したがいまして、できるだけ早くそれぞれの部門の流通計画による促進ということが第一義だと思うわけでございます。そのためには県間調整もできるだけ早急にしなくてはいかぬというようなことも当然かと思います。北の方ですでに作が固まった地域からは県間調整の余り枠と申しますかそういうものも報告を受けておりますが、最終的に西の方からどのくらい出るかということが――われわれとしてはただいまそれを把握するために全力を挙げているところでございまして、その量が把握され次第、お話のとおり早急にやらなければならないと思っております。
  156. 津川武一

    津川委員 その次に、具体的な去年の例で言うと、銘柄米は山形県は五十数万トン、青森県三千トン。非銘柄米は超過米になったときに売りづらい、処分しづらい米だと思うので、この点の処理について特別配慮が必要かと思うのですが、ここいらの見解はどうでございますか。
  157. 大河原太一郎

    大河原(太)政府委員 今回の超過米三十万トン以上と申し上げましたが、この超過米につきましては優良銘柄等、俗によく言われますコシとかササとかいうような優良銘柄と、あるいは中間銘柄、非銘柄、さらに、言葉があれでございますけれども、制度上の減額米というように、本来の政府価格よりも割り引いた買い入れ価格が定められておる青森県のようなところとか、いろいろあるわけでございますが、それぞれその米の市場評価によって売り渡されるというように承知しておりますが、特に減額米等で売れにくい米の地域等につきましては、指定法人全農その他と十分話し合いまして、特にこの流通販売についての努力生産者団体としても自主的にやってもらうし、われわれとしてもその処理等については協力をいたしたいと考えております。
  158. 津川武一

    津川委員 最後に農林大臣に。  三十万トン、これを千三百円の奨励金でなくて、千三百円と政府買い上げ額との差額、二千円ぐらいなんです。これを三十万トンに出すと百億なんです。これを出されたらいかがです。というのは、いま、超過米が出ると農民が米づくりに対して来年の意欲が減る。来年またつくったときに、超過米になって苦労する、そんな米づくりはやりたくないというわけだ。この際、いまの点もう百億円出して全量政府買い上げ米と同じ水準にするとまた米に対する励みが出てくる。お米は日本の農業の基幹なんだ。お米に励みが出るとほかの作物に励みが出てくる。農民の農業意欲を奨励するとすれば百億は非常に安い経費だとぼくは思う。いまの日本にとって一番大事なのは生産意欲を増させること、刺激すること、生産意欲を殺さないこと、育てること、こう思うのですが、大臣、いかがでございます。  これで私質問を終わります。
  159. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 御趣旨は御趣旨でわかりますが、われわれとしては、超過米につきましてはこれを自主流通に乗せるということで農業団体との間も合意に達しまして、そしてわれわれのできる限りの助成措置をとってきておるわけでございますし、農協を初めとする団体側もこれを了承しておる。そして、少なくとも全量を自主流通のルートで処理していくという熱意を持ってやっておられるわけでございます。したがって、いまお話しのようなさらにその上に助成を加えるというふうなことは考えてはおりません。
  160. 津川武一

    津川委員 終わります。
  161. 今井勇

    ○今井委員長代理 諫山博君。
  162. 諫山博

    諫山委員 私たちの党は今月の三日、全国の米穀小売販売店の組織である日米連と救国と革新の国民的な合意を目ざす立場から懇談会を行いました。共産党が日米連と正式に懇談会を行ったのは初めてで、私たちも大変勉強になったわけです。そこで出された幾つかの問題、私たちも共産党としていろいろ討議し、政策として練り上げたわけですが、それに関連して幾つかのことを質問します。  第一は、本来お米は登録された小売店から買うという仕組みになっているはずですが、全国的に登録されてない米穀小売商が非常に多いということが指摘されております。神奈川県の場合は登録された小売店が三千であるのに、登録されてない小売店が約三千。全国的に同様の傾向がだんだん顕著になってきたということが指摘されているわけです。これは食糧管理法の厳正な実施という点から見てもきわめて重大だと思います。現在、無登録の米穀小売販売店がどのくらいあると見ているのか、そしてこういう無登録の米穀小売販売店はどういうところから、どういう方法で米を手に入れているのか、農林省の現在の認識を説明してください。
  163. 大河原太一郎

    大河原(太)政府委員 お答え申し上げます。  米穀の配給につきましては、食管法の定めるところによりまして、都道府県知事の登録を受けた業者でなければこれを取り扱えないことはお話しのとおりでございます。最近におきまして、無登録業者の米穀の取り扱いということについては、この数年来いろいろな方面からも指摘されております。  お話は神奈川県の例がございましたが、神奈川県等においてそれが顕著であるというようなことも承知いたしておりまして、最近におきましても、知事並びに食糧事務所等、特に権限を持っております知事からそれら業者に対して重大な警告を発したというような事態もあるわけでございまして、このようないわゆるやみの流通ということについては、食糧管理制度に照らしましてもまことに遺憾であると思いますが、ただ諫山先生おっしゃいますように、その数とかあるいはそれがどういうルートかというようなことについてはわれわれとしても十分承知しておらないわけでございます。
  164. 諫山博

    諫山委員 農林大臣に質問します。  食糧管理法が終戦直後非常に厳正に適用されて、たくさんの農民が処罰を受けた、刑事罰を受けたということは御承知のとおりです。いまの説明によりますと、無登録の小売店が全国どのくらいあるのか把握していない。たくさんあることはわかっているけれども、数字はわからない。また、どういうルートで米が集まっているかもわからないというのでは余りにも無責任過ぎはしないかという気がするのですが、食糧管理制度の根本に触れる問題として、大臣どのように考えておられますか。
  165. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 これは、現在食管制度というりっぱな制度がある以上、その法律の網をくぐってそういうふうなやみ米業者が存在するということは違法な状態でございます。これが大量な取引をするということで、非常に悪質であるということで表に出た場合は、もちろん処分をしなければならないわけでございますが、あくまでもやみでございますから、なかなか政府としても実態がつかめない点もあるのじゃないかと思うわけでございますけれども、しかしできるだけ実情は把握するようには努力はしていかなければならぬ、こういうふうに思うわけです。ただ、やみですから、なかなかつかめないのがやみじゃないかと思うので、その辺は、悪質なものが出たときには、これはやはりやらなければならぬ、そういうふうに思います。
  166. 諫山博

    諫山委員 現にたくさんのやみの小売店がいるわけで、これをどうせよというような問題についてはなかなか微妙だと私は思います。しかし、政府がみずから食糧管理法をじゅうりんしている、政府食糧管理法を尊重してない、こういう指摘には大分異論があるようですが、現にそういう観点から被告として国が訴えられるというような問題まで出ているわけで、そういう緩んだ行政の中からいまの事態が生まれてきているんだということをもっと検討して、この点は実態をつかむべきではないかということを要望したいんですが、いかかでしょうか。
  167. 大河原太一郎

    大河原(太)政府委員 確かに、食管制度における流通秩序の確保のためにそれぞれの措置をとるべきであるという点についてはお話しのとおりでございますが、われわれといたしましても、この点については、たとえば各都道府県におきましても、これは月並なとおっしゃるかもしれませんが、消費者に対する呼びかけというようなことで、チラシなりビラあるいは広報紙等の利用によってこれを訴える、あるいはやみと言われる無登録業者に対して登録業者から流れた事例があるというふうにも承知しておりますので、むしろ正規の登録業者に対してもその点についての指導、監査をわれわれとしては厳重にいたしたいということでございます。  それから神奈川県等の例でございますが、いわゆるやみ業者に対しましては都道府県知事から警告とか取り扱い中止要請というようなことを行っておりますし、またこれは当然食管法違反でございますので、取り締まり当局への依頼、これは最近におきましても北海道等でございましたし、福島県においては、特に大量、悪質なものについての告発をするというような事例もございまして、需給の緩和した今日でございますので、食管制度の厳正な運用等についても、ただいま御指摘のような点について種々な問題を生ずる条件というものが多々あるわけでございますが、われわれといたしましても、流通の秩序の維持ということについては、これからも一段と努力してまいりたいというふうに思うわけでございます。
  168. 諫山博

    諫山委員 いま北海道の例が指摘されましたが、北海道新聞では「米のやみ販売手入れ、 道警」という見出しでこの問題を非常に大きく報道しております。しかし、これが例外的な現象かというと、決してそうではないというところに問題の重大性があるわけです。現在でもさまざまな形で業者が農家の庭先にトラックをつけて米を買いあさっているという状況があります。これがいわゆるやみ米として流れていくわけです。そういう実態、農林省としてはつかんでいるのでしょうか。米穀販売店などは、こういうやり方が行われるから米の流通が乱れてしまうんだ、食管法の権威がますます落ちるんだという指摘をしているわけですが、こういう形でことしどの程度のやみ米が流れようとしているのか、食糧庁つかんでいますか。
  169. 大河原太一郎

    大河原(太)政府委員 先ほどもお答え申し上げましたように、いわゆる自由流通米でございますので、やみでございますので、その数量、形態等についてはなかなか把握しがたいということを申し上げたいわけでございますが、特に需給が緩和しているものですから、この点について行われやすいような条件ができておるということでございます。また、本年は豊作というようなことから、その超過米の中で自由米に流れるような可能性もあるわけでございます。  この数量いかんと言われましても、先ほど大臣もお答え申し上げましたように、数量は的確につかめない。ただ、そういうような本来の正規のルートに乗らないような米が今年は非常に多い。したがって、これについての対策を急げというようなことは、先般も当委員会におきまして中川先生その他からも御指摘を賜ったところでございまして、そういう意味でも例年よりも早くこの超過米対策を打ち立てまして、正規のルートでこの米の本年の豊作等に対処して、一段と流通秩序について悪影響をもたらすことを避けたいというような措置をとったわけでございます。
  170. 諫山博

    諫山委員 私がいまの時期にあえてこういう問題を提起するのは、やみで売ったり買ったりする人を処罰しろという観点からではないのです。こういう問題が起こるというのも、農家がつくったお米を政府が全量買い上げようとしないというと、ころから出てくるのだ。ぜひすべての米を買い上げてもらいたいし、どうしてもそれができないというのであれば、いま津川委員が指摘したように、事実上それにひとしいような金が農家に入るような措置を講ずる。そういうことをやることによって、こういうやみ米が流れなくても済むような状況を政治的につくり出すのが農林省の責任だという観点で論議しているわけで、処罰しろというのじゃありませんから。そういう観点から根本的に解決しようとするなら、いまの食管法に対するルーズな農林省の態度を根本的に検討し直す必要があるというふうに思うわけです。農林大臣が言うように、やみだからよくわからないのはあたりまえだという式の議論は、こういう状態をつくり出したのが農林省の責任だという点を全く感じてないように思うのですが、長官、どうですか。
  171. 大河原太一郎

    大河原(太)政府委員 お話でございますけれども、私どもといたしましては、全体の米の流通につきましては、先生御案内のとおり、政府の買い入れ、直接管理によって配給に回すものと、それから自主流通ルート、すなわち全農等指定法人が末端の単協を通じて農家からこれを買い入れて、国の配給計画のもとに卸売業者に渡すというものがあるわけでございます。超過米につきましても、食管法あるいは施行令で自主流通ルートに乗せるような制度の仕組みを立てておりまして、これもきょう午前中も御質疑がございましたが、配給計画に組み入れてこれを流通させるというように、流通秩序の維持についてはそれぞれの措置を講じておるつもりでございまして、その的確か実施ということによって食管法の一つのかなめでございます流通秩序の確保という目的を達し得ろのではないかというように考えております。
  172. 諫山博

    諫山委員 第二番目の問題、デパートやスーパーが米の小売をしているという点について質問します。  もともとわが国では、デパートとかスーパーが米の小売をするというようなことは以前はなかったのです。ところが、いまはこれがあたりまえになっております。そして小さな米の小売販売店を非常に圧迫しておるわけです。この前の参議院選挙のときに、私たちの党は「米穀小売商の繁栄を」という政策を発表したのですが、その中では「百貨店・大スーパーが米穀小売の分野に進出することを規制し、百貨店・大スーパーでの米穀販売は、販売地域などの制限をきびしく守らせます。」というふうに打ち出しております。大デパート、スーパ一と小売店との関係というのはすべての業種で問題になっていますが、米の場合は小売店の登録という制度をとっていますから、規制しようと思えば簡単に行政措置規制できるわけです。私は、特別な法律がなくとも、長い間いわゆるお米屋さんとして市民に親しまれてきた小さな米穀小売店を守るためには、デパート、大スーパーのお米の小売というのは当然極力規制すべきだと思うのですが、農林省としてはどういう方針でこの問題に臨んできたのか、説明してください。
  173. 大河原太一郎

    大河原(太)政府委員 お答え申し上げます。  米穀小売業者の登録という問題につきましては、やはりわれわれとしては、何といっても小売販売業者の適正な配置によりまして消費者の利便に供する。またある程度の競争もあり、販売業の合理化、効率化を図って、末端の小売価格というものが合理的に形成されるということを本義とすべきではなかろうかと思います。したがいまして、その視点に立ちまして、登録に関するもろもろの施策を進めていかなければならないというふうに思っておりますが、御案内のように、四十七年に物統令が廃止されまして、消費者価格の末端が値上がりするというおそれがございましたので、新規参入の制度をとりまして、ある程度の新規参入を認めたという経緯がございます。これによって相当数の新規参入がございましたが、過当競争を惹起するような事態も出てまいりましたので、四十八年には制度を変えまして、都道府県知事の判断でございますが、これ以上の新規参入を認める必要がないという場合には、毎年たてまえとしては新規参入の登録の受け入れをするということになっておりますが、農林大臣の承認を得て延期しているというような制度も導入しておりまして、その点の適正な配置――適正な配置ということは、ただいまお話がございましたような競争力の強いデパートなりスーパーが、その力を借りて、いきなり米穀小売の分野に進出するというようなことに対する適正な規制にも通ずるというようなこともございます。ただ、申し上げたいのは、生活協同組合その他の自主的な組織からは、むしろ新規参入をもっと強化しろというようなお話もいろいろ出てまいりまして、それらの点についても、やはり消費者に対する利便からの競争原理の確保というようなことも一面では配慮しなければならないということもございまして、諸般の条件を加味しながら、これについての施策を進めていきたいというふうに考えております。
  174. 諫山博

    諫山委員 農林大臣に質問します。  大デパート、スーパーの進出で零細小売店が打撃を受けるような場合は、通産省もいろいろ行政指導をするわけですね。お米屋さんの場合、似たような条件でデパート、スーパーと普通の個人が申請してくるというような場合には、なるべくデーパートやスーパーは認めないというような方針はとってないのでしょうか。私は当然そういう方針をとるべきだと思うのですが……。
  175. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 現在の段階におきましては、農林省としては、新規参入につきましては抑制的な方向で対処しておる、こういうことであります。
  176. 諫山博

    諫山委員 どうも明確ではないのですが、これはやはり本当に零細な小売店を守るという立場からぜひ検討してもらいたいと思うのです。大スーパー、デパートと小売店の関係は決して通産省だけの問題ではない。農林省の関係でも起こっておるという点で検討を求めます。  同時に、特にスーパーで起こっておるのですが、米をおとり商品として使う。常識では考えられないような安い価格で米を販売するということが小売店の間で大変問題になっております。もともと、米とか牛乳というのは一般に価格が知られておりますから、おとり商品としてはきわめて利用しやすい品目だというふうにいわれているわけですが、これについて実態を農林省はつかんでおるのか、何らかの規制措置を考えているのか。これはいかがですか。
  177. 大河原太一郎

    大河原(太)政府委員 お答え申し上げます。  標準価格米等につきましては、必要最小限度のマージンを認めて、末端の小売価格として販売しております。したがいまして、さらにそれを値引くというようなことはなかなかむずかしいと思いますが、それをあえて行うということについてはいろいろ問題があるかと思います。特に巨額な財政負担をして政府売り渡し価格を決め、政府が売り渡しを行っているということでございますので、この点については、不当な目玉商品的な廉売ということについては問題があると思います。それを四十円値引きしておるとか百二十円値引きしておるとかというようなことの事例的なお話は、先生がいろいろおっしゃいました日米連等からわれわれもいろいろとときどきの事情聴取で聞いておりますが、さらにこれらの事情については末端の食糧事務所等を通じて把握いたしまして、異常な、不当な廉売等につきましては、これはデパート、スーパーといえども登録小売業でございますので、厳重な監査、警告をいたして指導いたしたいというふうに思っております。
  178. 諫山博

    諫山委員 スーパーで米を安く売る、その面だけを見ればいかにも消費者に利益のように見えるのですが、大局的に見るとこれは決して消費者に利益ではないということはもうしばしば指摘されているとおりで、ぜひこれは実情を調査して厳正な措置をとるということを要望します。これは小売販売店の利益を守るだけではなくて、消費者の利益も守るということになると思いますが、そういう積極的な措置を検討していただけるかどうか、説明してください。
  179. 大河原太一郎

    大河原(太)政府委員 お話しのとおり不当廉売、米のような主食で、しかも配給のルートにあり、巨額の財政負担をして末端消費者価格を引き下げているというようなものにつきまして、不当廉売というようなものが行われていることはまことに遺憾でございますので、さらに実情を調査いたしまして、この点について、もし仮にそういう事例が見受けられた場合においては是正措置をとることは当然だと思います。
  180. 諫山博

    諫山委員 三番目に新規参入の問題です。  さっき新規参入の問題に触れられましたが、この点で特にいま問題になっているのは大都市指定区域の問題です。食糧管理法施行規則の第十九条で大都市指定区域と人口増加等指定区域ということが規定されているわけですが、私たちこの問題を検討しまして、人口増加地域、これに新規参入を考えるというのは非常に合理性があると思うのです。ところが、人口が増加しているかしてないかに関係なく、大都市の特定の地域の場合に、新規参入の条件にするというのは、大都市であれば必ず人口が急増していたという時代であれば合理性があるかもしれませんが、現在すでに合理性をなくしたのではないか。たとえば東京都の墨田区の例が説明されているのですが、墨田区ではまさに大都市指定区域ですが、米屋さん一軒当たりの消費者は平均千三百人程度になってしまった。こういう中で新規参入の要件にこれを加えるのはいまの時点では合理性を欠くのではないかと私たちは考えているのですが、いかがでしょう。
  181. 大河原太一郎

    大河原(太)政府委員 お答え申し上げます。  先ほど申し上げましたように、四十七年に物統令を廃止いたしました際に、末端の小売価格の、米の消費者価格の値上がりということから新規参人制度をとったわけでございますが、その際全国で約四千店の小売業の参入が見られましたが、それによって新規参入についての目的がほぼ充足されてきておる。さらにこれ以上の新規参入を認めることは、過当競争によって米の小売業の経営条件も悪化して、かえってマイナスの要因もあるというような問題もございましたので、四十八年におきましては、大都市地域におきましては都道府県知事の判断で、たてまえとして従来毎年新規参入を受理するという立場を改正いたしまして、都道府県の知事の判断で登録申請の受理を一年ごとに延期できるという制度に切りかえてまいりまして、その実情に即するようにしておるわけでございますが、さらに進んで、新規参人制度、これを全く認めないことにするかどうかという点については、やはり一方においては、消費者サイドからの競争条件をできるだけ整備して米屋さんのサービスを求める声も非常に強く、先ほど申し上げましたように、大都市の生活協同組合等からは、まだ新規参入のただいま申し上げましたような一年延期制度についてもなお非常に問題があるというような指摘も他方では受けておるというのが率直な事情でございますので、この点について先生御提案のような方向をとるべきかどうかという点についてはまだ慎重な検討を要するものというふうに考えております。
  182. 諫山博

    諫山委員 将来新規参入を全く認めないという立場が実情に合うかどうかというのは、私も検討を要すると思います。しかし、少なくとも小売業者が言っている大都市条項というのは、すでに合理性を欠いているという気がいたしますから、この点はぜひ検討していただきたい。  次に、小売店と卸業者の問題です。  現在小売店は一つの卸売業者からしか買えないという状態が出ております。これはどう考えても不合理なわけです。ある卸売業者がすべての品種の米を取り扱っているわけではありませんし、また消費者は自由に小売店を選べるという点から見ても、小売店も複数の卸売業者から仕入れることができるようにすべきだというふうに考えます。  私たちの党の参議院選挙のときの政策でも、「消費者の要望にそった品質の自主流通米を供給できるようにするため、複数の卸会社から仕入れられるように」しようという提案をしているわけです。この点は業界での要望でもあるんですが、いかがでしょうか。
  183. 大河原太一郎

    大河原(太)政府委員 はっきり申し上げますと、この点については単に卸の商権擁護というような意味ではなくて、やはり米が統制的な配給計画に基づいて行われるものである。したがって、国が月別の配給計画を立てて、それによって、自主流通米は直接でございますが、政府管理米を売り渡しておるというようなことでございますので、配給人口あるいは小売店の取り扱い高、さらにそれと結びつきました卸売業者の取り扱い量というものを見てこの売り渡しを行うというわけでございまして、いろいろ小売業の立場からの御要請があるかもしれませんけれども、やはり一つの管理の物資でございますので、その自由な小売業の選択というものについてはむずかしいものというふうに思うわけでございます。
  184. 諫山博

    諫山委員 私のいまの問題点提起は、小売店の利益という観点からだけではないのです。共産党の政策では、もう一遍読み上げますと、「消費者の要望にそった品質の自主流通米を供給できるようにするため、」まさにこれは消費者の利益のために必要だという主張なんです。つまり日本国民全体がこのことを求めているんじゃないかという立場です。食糧管理法を厳正に実施するということは結構ですが、これは小売店が複数の卸会社から仕入れることによって困難になる問題ではないと思いますから、ぜひ検討してください。(「時間」と呼ぶ者あり)
  185. 今井勇

    ○今井委員長代理 諫山君に申し上げますが、時間でございますから……。
  186. 諫山博

    諫山委員 わかりました。  次に、小売店の手数料の問題です。これは一昨年津川委員農林水産委員会で質問して、そのとき杉山食糧庁総務部長が安過ぎるということは認めるという趣旨の答弁をしておられます。とりわけ標準価格米のマージンだけでは企業としては採算が取れないだろうというようなことも認められ、検討するということになっていたはずなんですが、どのように検討され、どのような結論になっているのか御指摘ください。ちなみに言いますと、普通の商品のマージンに比べれば三分の一程度のマージンしかもらっていないのですね。これでは米穀販売店が非常に困るということになるのは当然ですから、どのような検討をされたのか伺いたい。
  187. 大河原太一郎

    大河原(太)政府委員 お答え申し上げます。  標準価格米等のマージンにつきましては、いわゆる手数料につきましては、賃金、物価の動向を考慮いたしまして、四十九年四月と売り渡し価格の改定時の十月と、四十九年は二回にわたって改定しております。それから本年の九月一日の消費者米価の改定の際も一七・四%、一俵当たり千五百九十四円という改定をいたしまして、それぞれの物価、賃金の動向というものの実情に合うように措置しておるつもりでございます。
  188. 今井勇

    ○今井委員長代理 もう時間になりました……。
  189. 諫山博

    諫山委員 最後にもう一言聞きます。
  190. 今井勇

    ○今井委員長代理 簡潔にしてください。
  191. 諫山博

    諫山委員 私たちはことしの十二月十二日に消費者麦価の引き上げについてやめていただきたいということを農林大臣に申し入れました。ところが農林省としては来年の一月二十日ごろ平均二〇%引き上げるという方針を決めたということが報道されているわけです。私たちは食糧管理法の立場からいっても、国民生活の安定を図るという観点が第一ですから、とうていこれは認められることではない。農林省はいろいろ値上げの理由を弁解しているわけですが、その弁解が正しくないということを私たちの党はきょうの赤旗の「主張」の中で述べております。「酒、たばこに続く麦の値上げ」という問題で、このたびの値上げ計画がどのくらい実情を無視した不合理なものであり、食管法のたてまえから見ても許されないものであるかということを指摘しているわけですが、この点について農林大臣、それでもやはり上げるのかどうか説明してください。
  192. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 きょうすでに手続を終わりまして、実は一月二十日から麦の政府売り渡し価格につきましては二〇%上げることを決定いたしました。われわれは米審の御答申も得、この御答申につきましては、逆ざや解消のために二〇%の値上げをすることは適切であるという一本化答申も受けたわけでありまして、現在の外麦の大幅な逆ざや、六〇%に及ぶ逆ざやから見れば、この二〇%の値上げ幅は妥当なものであるというふうに考えております。
  193. 今井勇

    ○今井委員長代理 再度申し上げますが、きょうの理事会の申し合わせを守っていただきたいと思います、各党皆守っておりますので。
  194. 諫山博

    諫山委員 これは強く抗議するということで、きょうの赤旗にそのことを詳細に書いておりますから、ぜひお読みいただきたいと思います。  終わります。
  195. 今井勇

    ○今井委員長代理 瀬野栄次郎君。
  196. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 農薬禍問題について農林大臣、法務省、内閣法制局、厚生省に対して質問いたします。  奇形児激増とその対策について、まず最初に厚生省にお伺いをいたします。  国立がんセンターの統計によると、最近の傾向として小児がんの発生率が異常に多くなり、これに加えて奇形児、一つ目、手足の指の曲がった者、肛門のない子、心臓奇形など、さまざまな異常な後期死産がふえ続け、この二十年間に十一倍というまことに戦慄するような奇怪な現象が発生しております。過去に比べてこのような悪性疾患が激増していることについて、厚生省当局はどのような見解をお持ちであるか、またそれに対してどういう対策をとっておられるか、最初にその点を御答弁いただきたい。
  197. 北川定謙

    ○北川説明員 先生お話の新生児あるいは死産の場合におけるいろいろな先天異常の発生が増加しているということは、数字の上では、たとえば昭和二十五年には八百八例、昭和三十五年には一千百八十一例、四十七年には二千四百七十六例、四十八年には二千五百五十四例、四十九年はやや減りまして二千五百七例という数字が出ております。この先天奇形、異常がふえているということにつきましては、専門家の間でもいろいろな議論がございます。一つは、環境の変化等によっていろいろな悪い影響が及んでいるのではないかという考え方もあるわけでございますけれども、それに対しては、むしろそういうことははっきりしていないという考え方を持っておられる先生もございます。  その理由といたしましては、医学が進歩するに従いまして医師の診断に対する的確さというものが非常に厳密になってきているということ。それから、昔はそういうことに対して一般の家族の方々もなるべく隠したいという傾向があったものが、最近ではだんだん合理的な思想の発達に伴って、そういうことについても隠さない傾向が出てきておるというようなことでございまして、この数字が実質的にふえているかどうかということでございますけれども、こういう点につきましては、なおいろいろ検討、研究をする必要があるということでございます。厚生省といたしましても、各種の研究班を組織いたしまして、こういう問題について対処をしているわけでございます。  それから発生の防止ということにつきましては、これは一般に母子衛生の水準を高めていくという必要があるわけでございますが、一つは、お母さん方の日常の健康管理あるいは医薬品あるいは放射線等、こういう異常を起こす原因と考えられているものに接触することをなるべく少なくするような行政指導あるいは衛生教育というようなことをやっておるわけでございます。  また、小児のがんあるいは先天異常を持って生まれた不幸な子供さん方に対しましては、適切な医療の提供の機会をふやしていく、あるいは医療費の一部負担をしていくというようなことで対応しているわけでございます。  以上でございます。
  198. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 厚生省がまとめた事故件数を見ますと、昭和二十八年から四十八年までの二十一年間だけでも、死亡事故が一万四千九百四十六人、一年平均七百十一人、中毒事故が一万三千五十人、一年平均六百二十一人という膨大なものであります。四十九年、五十年の死亡事故、中毒事故はまだ数字を私承知しておりませんけれども、すでにもう四十九年はわかっているのじゃないかと思いますけれども、私が申し上げた数字に間違いないかどうか。また四十九年の死亡事故、中毒事故を含めるとさらに驚くべき数字になると思うのですけれども、その点はどういうふうに現在掌握しておられるか。その点簡潔にお答えいただきたい。
  199. 北川定謙

    ○北川説明員 先生のいまおっしゃられた数字がどういう数字であるか、いまちょっと手元資料がございませんので、正しいかどうかについてはお答え申しかねますけれども、恐らくそういうことはあるのであろうというふうに考えます。
  200. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 農林大臣、後でいろいろお伺いしますので、よく聞いておいていただきたいためにいま申し上げているわけでございます。  手元にないがそうであろうと思いますということですけれども、そのとおりなんです。厚生省がまとめた事故件数の報告を私持っておりますが、はっきりとこういう数字が出ております。いま申し上げましたように、毎年農薬による死亡事故は、もちろん自殺とかいろいろな間違った事件も若干はありますけれども、農薬によって死亡事故を起こした者が年平均七百十一人、中毒事故が年平均六百二十一人という、先ほど申し上げましたような数字が出ておるわけです。まことに驚くべき数字であります。  そこで、今度は農林省に伺いますが、農薬の混用指導を政府はやっているかどうかということをお尋ねするわけですけれども、最近農薬の混合使用によって急性中毒の事故が相次いで多発しております。農林省は農薬の使用に当たって、殺虫剤、殺菌剤、抗生物質などの混合使用を指導奨励しておるのか、あるいは民間が勝手にやっておるのか、この点どういうふうに農林省は考えておられるのかお答えをいただきたい。
  201. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 最近、農村におきます労力不足等もございまして、殺菌剤と殺虫剤を混合して用いるという例はございますけれども、農林省といたしまして、特にそのような用い方をするのが望ましいという意味での奨励はいたしておりません。殺虫剤、殺菌剤それぞれ防除適期がございまして、一緒に使うのは防除効果という点から見ますといろいろ問題がございますので、農林省としてそのような指導はいたしておりません。
  202. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 それでは民間が勝手にやっている、こういうふうに理解してよろしいですか。
  203. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 全般的に実情を把握しているわけではございませんけれども、先ほど申しましたような理由で農家が自分の判断で混用しておるという場合もございますし、農業団体あるいは県当局の第一線で、そのような防除作業の効率化といいますか、そういう観点から要請があったような場合、そのようなやり方を指導といいますか、指示をしておるという例はなくはないというように思います。農業協同組合系統におきましても、必ずしも混用を奨励するというわけではございませんけれども、こういうものについては混用すると薬効がなくなるとかあるいはいろいろな障害が出るとかいうような指導はいたしております。それは逆に言えば、それ以外のものについては混用してもそれほど弊害がないというようにもとれるわけでございますので、そのような事実はあろうかと思います。
  204. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 この辺は重大な発言なので、農林大臣よくお聞きおきいただきたいと思います。  いま農蚕園芸局長がおっしゃったことをそのとおり繰り返すことはできませんが、混用指導については、特にそういう用い方が望ましいということでの奨励はしていない、農家は自分の判断でやっている、防除作業の効率化というような観点から要請があった場合には云々とおっしゃって、指導というか指示している例はなくはない、そのような事実はあろうかと思うというような言い方をなさっている。これらは大変重要な問題になってくるわけでございます。  そこで、さらに農林省にお伺いしますが、農薬登録は混用を前提としているというふうに私は見るわけであります。そういった意味でお尋ねしていくわけですが、全購連の資材部技術普及室では、四十六年八月に、都道府県、市町村の末端農協に至るまで、農薬の混合使用を徹底指導しております。これは信慢性を深めるために全購連から特にきのう資料をとってまいりました。四十六年八月に全購連資材部から「農薬混用表」というのが出されて、「水稲農薬 やさい農薬 柑橘農薬 落葉果樹農薬」ということについての表が出されております。そして、この中に各種薬品がたくさん並べられておりまして、マルは「混用してよい。」三角は「物理性、薬害、効力低下の点で問題がある。」それからペケは「混用してはいけない。」このように明確にして出されております。当然農林省も、指導的立場にあるのですから十分御承知であるはずであります。つまり「水稲農薬混用」「やさい農薬混用」「柑橘農薬混用」「落葉果樹農薬混用」に区分し、それぞれの区分別に表を作成し、農薬の混合使用を積極的に指導しておるということになるわけであります。しかも、この表の作成は、農作物に対する薬害があるかどうかの配慮だけで、人間や家畜に対する混合毒物の相加、相乗毒性について何らの考慮も払われていないために非常に危険であります。  そこで、いわゆる農薬の登録に当たって農林省は混合使用を前提としておるのか、その点について説明を願いたい。
  205. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 ただいま御指摘のございました全農のつくっております「農薬混用表」についてでございますが、これは私どもが聞いておるところでは、先ほども申しましたように、農家の農作業上、労力の点から混用して同時に散布したいというような要請が昔からございますけれども、最近でも非常に強くなってきておるという事実がございます。それを受けまして現地で農家が混用する場合、薬害が出て作物が枯れたり、あるいは薬剤が沈でんしたり分解したりして薬害を起こすとか、あるいは効力が低下するというようなことがございますので、混用しても差し支えないというものについての表を混用表という形で示しておるということでございまして、ただいま申しましたように、混用することによっていろいろな弊害が出るのを回避するために、混用の仕方についての要望がいろいろございますので、それにこたえる意味でつくっておるものでございまして、これを直ちに全農が混用を非常に奨励しているといいますよりは、農家自体で省力化するためにそういう要請があるのに対してこたえているというように聞き及んでおるわけでございます。  そこでお尋ねにございました、農薬を混合して用いると相乗作用によって毒性が増す場合があるのではないか、そういう点について農薬取締法でどのように取り扱い、またどのような指導をしておるかという御趣旨かと思いますが、農薬を混合して用いますと毒性が増すのではないかという意見もありますけれども、これにつきましては、毒物学的な観点から未解明の点が多いというふうに聞いております。このような情勢から農薬取締法におきましては、二種以上の農薬が混合されている製剤についての安全性の検査に当たりましては、毒物及び劇物取締法における毒物及び劇物については、その製剤中のいずれか強い毒性を有する農薬を基準にいたしまして当該混合農薬の安全評価を行い、所要の表示指導をいたしておるわけでございます。  また、一方、農薬を農家における使用に当たりまして混合して用いるということについては、その毒性程度の強い農薬に準じて適正な使用が励行されるよう指導の徹底を図っておるところでございます。  なお、二種以上の農薬が混合して使用される場合のいわゆる相乗作用の検定法が確立されておらないという現状にかんがみまして、現在環境庁においては、昭和四十八年度から当該評価技術の検索が実施をされているという現状になっております。
  206. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 いろいろごたごた言っておられるけれども、要するに農薬は単独登録である、こういうふうに思うのですが、それは間違いないかどうか。もう時間がないから、ひとつ簡単にお答えいただきたい。
  207. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 単用のものもございますし、混合しておる農薬につきましても登録をいたしております。その際、先ほど申しましたような安全性の検査につきましては、毒性の強いものを基準にして検査をいたしておるわけでございます。
  208. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 ほとんどが農薬は単独登録である。それは一部、ほんのわずか混用のものがある、こういうことだと思うのだが、農薬の単独登録については、あれとこれをまぜろという条件はないはずだと私は思う。もし混用登録になっておるならば、それはどういうものがあるか述べていただきたい。
  209. 本宮義一

    ○本宮説明員 具体的な問題でございますので私からお答え申し上げますと、一例でございますが、ディプテレックスとマラソン水和剤をまぜた水和剤がデプソン水和剤という形で登録になって販売されておるというような事例は、ほかにも多々ございます。
  210. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 幾つあるのか。三つか、四つか。
  211. 本宮義一

    ○本宮説明員 ちょっと数の方はあれですが、相当多数でございます。
  212. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 この問題は一週間前から通告して、材料をやってあるんだから的確に答弁できそうなものだけれども、どうしてもこういうところではっきり答弁ができないわけですね。これにこだわっていると後の大事な問題が時間がなくなるので、こういった問題もいずれまた機会を見て細かく追及することにいたしますが、農林大臣に一応いまのやりとりの問題を聞いておいていただきたいと思う。  そこで、もう一つ農林省に聞くけれども、皆さん方、低毒性、低毒性と言うけれども、低毒性という農薬はどういうものを低毒性と言うのか、定義をまず簡潔にお答えください。
  213. 本宮義一

    ○本宮説明員 一般的には、低毒性というのは毒劇物取締法の対象になっていない一般の農薬。ですから、普通で申しますと、経口毒性LD50が三十から三百ミリグラム・パー・キログラム程度以下のものがいわゆる低毒性、普通の薬剤というふうにわれわれは常識的に言っております。  それで、私、先生の先ほどの質問にお答えしておりませんのを、いまここで申し上げさせていただきますと、殺虫剤と殺菌剤とをまぜましたものは五百十四件ございます。殺虫剤の単剤が二千四百三十三件、殺菌剤が八百七十六件ございまして、いま申し上げましたように、両方の薬剤を合わせましたのが五百十四件でございます。
  214. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 そこで、全購連の資材部で出している資料、「水稲農薬混用表」とか「やさい農薬混用表」、あるいはまた県によっては「病害虫防除員必携」というものを出していますが、こういうものを見ますと、その中に同じようなことがいっぱい書いてあります。この中には当然単独登録の農薬がいっぱいあります。これは相当量ありますから全部言うわけにはいきませんが、そういったものがいわゆる低毒性ということで混用して使われている。県も指導しているし、また全農においてもこういう指導をしている。そういう事例がいっぱいあります。農林省知っているはずです。一々例を挙げると大変なので、何なら後で資料を全部見せます。  そこで質問の筋を逃がさないように、私の尋ねる内容に的確に答えてもらいたいのですが、この混合によって低毒性が猛毒性になるということはもう明らかであります。毒物は単独では低毒性のものでも複合体になった場合は猛毒性を発揮するのであります。これは東京歯科大の上田喜一教授の小動物実験のデータを私あえて引用いたしますが、一つ一つではまさに非常に低毒であると言われておりますし、安全であるとも言われておりますけれども、ディプテレックスとマラソンの二つを、二五%致死量、つまり四分の一量ずつ混合した場合は一〇〇%死亡したデータが出ております。その三分の言一里でも一〇〇%死亡しております。五分の一で七〇%死亡するということが確認されて公表されております。  つまり、低毒性と低毒性の農薬を混合することによって毒性は十二倍も強いものとなり、低毒性ではなく猛毒性になることが実証されておるのであります。これは農林省もよく知っておられると思う。最近、農薬散布中急性中毒を起こして、散布機を背負ったまま水田にうつ状せになって死んでいた大分県の国東半島の例や、また一日に一部落で共同防除でもないのに三名も意識不明となって倒れた熊本県の飽託郡天明町の例がございます。この種の農薬事故が全国的に頻発しております。また、農薬散布作業によって頭痛や吐き気が出て寝込む者が多く、疲れまたは貧血による目まい、腰痛を訴える者が異常に多く、農村医学会の調査でも、農薬作業に従事した人数の八〇%を超えているということが言われております。このような危険な毒物の混用方法は、私は安全性が確認されない限り直ちに禁止すべきである、こう思うのです。その点農林省はどうですか。
  215. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 先ほどもちょっとお答えいたしましたけれども、農薬を混合して用いると毒性が強まるという御意見もあるわけでございますが、これにつきましては、毒物学的にはなお未解明の点が多いというようにわれわれは聞いております。したがいまして、これも先ほどお答えしましたけれども、二種以上農薬が混合した場合の相乗作用の検定方法等も確立しておりませんので、現在環境庁において、昭和四十八年度からその評価技術の検索が行われているということでございます。  農薬に関しまして、ただいま先生が御指摘になりましたデータは私は初めてお聞きしたわけでございますが、混合使用によりまして、特にそれが原因で事故が起こったというようなはっきりした話は私どもではまだ十分聞いてはおらないところでございます。今後研究成果等が明らかになりまして、そういう危険があるということでございますれば、われわれとしても適切な措置をとらざるを得ない、かように考えております。  なお、死亡事故が非常にふえているあるいは中毒事故が非常にふえているというふうに御指摘になりましたけれども、これは先ほど厚生省にお尋ねになりました点の資料を私の方でいただいておるのをもとにして申し上げれば、死亡につきましては、もちろん散布中の死亡は四十九年は一名ということでございまして、これまでに比べますればかなり急速に減っておる、あるいはまた、散布中の中毒事故も三十五、六年ごろに比べればかなり減ってきておる。それなりの成果は私どもとしては上がっておるのではないかと思っておりますが、もちろんこれで十分だというわけではございませんので、さらに農薬の安全性の確保につきましては研究成果を待ちながら、一層徹底を期していきたい、かように思っておるわけでございます。
  216. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 いまいろいろ申し上げてきましたが、これは一々反発したいことがいっぱいあるのですけれども、重要な問題を大臣に伺いたいので、その点はまた次回に細かく追及するとして、次に安全性の問題についてお伺いしておきますけれども、政府昭和二十四年から有機塩素系のDDT、それからBHC、ドリン剤の使用を奨励して、昭和四十四年に禁止した。また昭和二十七年から有機燐剤。パラチオン、ホリドールの使用を奨励し、昭和四十四年にこれまた禁止をした。さらに昭和二十八年から有機水銀剤セレサン石灰、ウスプルンの使用を奨励し、セレサン石灰は昭和四十三年、ウスプルンは昭和四十九年に使用を禁止した。これはもう当然御存じですから、間違いないですね。
  217. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 そのとおりでございます。
  218. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 禁止の理由は、農薬毒性による人命事故や中毒事故が多発し、さらに食品中に残留したり、環境汚染等の弊害が多発し、政府として安全性の保証ができなかったから禁止したものと私は理解しておるが、それで間違いないか。
  219. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 国民の健康に対する安全の問題あるいは環境の汚染の防止の問題等、特に国民的な関心も非常に高まっておりますので、その後の研究成果等も踏まえまして、ただいまおっしゃったような趣旨で禁止をしたわけでございます。
  220. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 政府ともあろうものが、いま明らかに答弁があったごとく、奨励して禁止をするということはけしからぬことだと思うが、どうですか。これは大臣からお答えください。     〔今井委員長代理退席、委員長着席〕 さっきからいろいろ言っているのは、あんたたちがいろいろ言うから、こういう事例をもってこうだ、こうだと私は言うわけですよ。これは絶対に逃げられない。公表されたデータだからはっきり言うのです。大臣からお答えください。
  221. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 いろいろと事故等もあってこれが禁止になったというふうに判断をいたしておるわけでございますが、政府といたしまして、こうした農薬事故を防止するためには、低毒性農薬の開発、普及と適正な使用方法の推進が重要であるというふうに考えておるわけでありまして、そのために昭和四十三年以降、作物または土壌に対する残留性が強くて人畜に被害を生ずるおそれのある農薬についてはその使用の規制を行い、四十六年に農薬取締法を改正して、農薬の登録に当たって毒性及び残留性に関する厳正な検査を実施してきておるほか、食品衛生法に基づき定められた農薬残留基準を超えることのないよう農薬安全使用基準を定め、その指導の徹底を図っておるところであります。さらに農薬の効率的使用、天敵利用等によるところの防除方法の確立等をも推進しておるところでありまして、今後とも安全な農薬の開発、被害の防止につきましては一層努力をしてまいりたいと考えております。
  222. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 さて農蚕園芸局長、いま大臣から答弁があったけれども、さっきぼくが言ったように、これはまことにけしからぬことだと思うがどうか。
  223. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 先ほどもお答えいたしましたように、いろいろな事故が発生をし、あるいは国民的にも健康の問題あるいは環境汚染の問題等要請が非常に強まってきておるという情勢のもとにおきまして、これまで使用を認めてきておりました農薬につきましてさらに厳重な規制をするという角度から見直しをいたしまして、使用の禁止あるいは販売の禁止等の措置をとっておるわけでございます。
  224. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 いま大臣からも局長からも答弁があったけれども、ひっくるめて、なぜ事前に調査して登録しなかったか。大変な事故また中毒死が起きておるわけです。いまも現に続いておるわけです。そこで、前のことをさかのぼって言うということは、そう言わなければ皆さん方は信用しないから言うわけで、そういうふうに奨励しながら禁止した例が幾らもある。こういったことについてなぜ事前に調査をしていわゆる登録しなかったか。これについてはどういうふうに農林大臣は弁明をされますか。
  225. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 これは、農薬というものが不可欠であることは御案内のとおりでございます。したがって、農薬の使用ということにつきましては、農林省としてもこれが適正に使用されることを望んでおるわけでございますが、しかしいろいろと問題が、先ほどお話しのように起こっておるということにつきましては、農薬取締法等の厳正な適用ということにさらに気をつけまして、そして今後問題や事故等が起こらないように、これはやはり事前に調査等もやはり続けていかなければならないことは当然であろうと思うわけであります。
  226. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 農林大臣はいまのことについて、農薬というのは不可欠であるからやむを得ないというふうな意味のことをちょっとおっしゃったけれども、要するに適正に使用されることを望んでおる、厳正な適用にさらに気をつけていかなければならぬ、問題や事故を起こさないように事前に調査するのは当然だ、概要こういうことをおっしゃった。このことはようく覚えておいてもらいたい。おっしゃったとおりのことを全部申し上げる時間はございませんけれども、そういった意味のことをおっしゃった。  そこで、農薬事故の責任というものは、これはもう農林大臣にあることは当然であるということを私は申し上げたいのだが、政府が禁止せざるを得ない、つまり安全性の保証ができないような危険物を奨励して、その間に多数の死亡事故、中毒事故が出たのであります。数字は先ほど言ったとおりであります。当然これらの犠牲者に対しては責任の所在を明らかにしておく必要を痛感したので、昭和四十一年の三月十六日、第五十一国会の参議院予算委員会でわが党の宮崎委員が、農薬で病虫害の根源を断つということは不可能と思うし、農薬によってとうとい人命事故等の弊害が多くなっているが、この責任はだれがとるようになっているのでしょうか、こういうふうに質問したのに対して、当時の坂田農林大臣は、どもりながらであったけれども、「だれが責任をとるかということになりますと、この奨励――奨励と申しますか、これを奨励しておりまする農林大臣が責任を負うています。」と答弁されています。農林大臣はその後何回もかわったけれども、農林大臣がかわったからといってこの答弁が変わるということはないわけです。  そこで、これら事故者の中には農薬の誤用、他殺、自殺なども先ほど言われておりましたように若干含まれておりますけれども、毒物を野放しにしているような取り扱いのずさんさが簡単に自殺や他殺に用いられることになるので、いまのままではいけない。また防除作業中に倒れた者、中毒が慢性化して廃人同様になり十年間も入院し続けている者も現におります。これは熊本県の熊本市内の鹿帰瀬というところでいわゆるディプテレックスという農薬のふたをとっただけでこれがばっと噴き上げまして、顔全部がやけどし、そして失明し、篤農家の婦人でありますけれども、まじめにやっている婦人がもう十年間も廃人同様で寝たままになっております。こういうような例が現にあるわけでございまして、こういった問題を踏まえ、私はこれら事故者の遺族あるいは農薬被害者に対して、この十年間に政府としてどのような責任を果たされたか。また調査経過もあわせて具体的に説明を承りたい、かように思うわけです。要するにこういったことについては農林大臣の大きな責任であるということと、それからどういうふうな調査をされ、具体的に手を打ってこられたか、こういったことについて、農林大臣からお答えをいただきたい。
  227. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 四十一年の国会におきまして、当時の坂田農林大臣が、ただいま仰せられたような趣旨の発言をされておるわけでございますが、そのようなことにもかんがみまして、農林省といたしましては、もちろん政府全体といたしましても、農薬の事故を防止するために低毒性の農薬の開発とか、適正な使用方法につきまして特に対策を強化をいたしておるわけでございまして、先ほど御指摘ございましたような各種の農薬について、使用の禁止あるいは販売の禁止等の措置をとりましたし、また昭和四十八年には農薬取締法の改正をいたしまして、これまで余り問題にしておらなかったような農薬の残留性につきましても安全性の角度から規制強化するというようなこと、あるいは使用中の危害防止を図るために安全使用基準を定めてこれを徹底させるとか、あるいは危害防止運動を援助するというようなことで、安全性につきましてはさらに一層強い規制を加えるとともに、これが適正に使用されるような指導につきましても格段努力をいたしておるところでございます。
  228. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 農薬事故の責任について農林大臣はどういうふうに考えておられるか、改めてお伺いします。
  229. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 農薬の取り扱いにつきましてはきわめて慎重にやらなければならぬことは当然でございまして、過去の事故の例等にもかんがみまして、漸次農薬使用についての厳正な規制は行ってきておるわけでございますが、今後ともこうした農薬によるところの事故が起こらないようにいろいろの面で十分注意をし、指導をしてまいりたいと考えております。
  230. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 農民の主管大臣として、農林大臣はこういったことについては責任を感じておりますか、全然責任は感じておりませんか、どうですか。
  231. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 個々の具体的な例につきましては私もよく承知いたしておりませんが、農薬についての使用上のいろいろの問題もあると思うわけでございますが、しかしそういうふうに事故が起こっておるということ、さらにそれによって一部の農薬が禁止をされてきたということ等にかんがみますれば、やはりそうした禁止をされた農薬の取り扱い等につきましては、農林大臣としては残念に思い、責任を感じておるわけであります。
  232. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 内閣法制局の別府正夫第四部長にお伺いします。  いま大臣も責任を感ずるという答弁がございましたが、これは事例がたくさんあるのですけれども、時間の制約があるものですから一々全部申し上げられませんので概要をはしょって申し上げましたが、大臣に責任あることはもう当然です。先ほど申しましたように、昭和四十一年の三月十六日、第五十一国会でも農林大臣はそういうふうに答弁しております。また、これは農民の主管大臣として当然のことです。そういった意味からあえて私は申し上げるのですけれども、憲法第十三条には、「すべて國民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に封ずる國民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の國政の上で、最大の尊重を必要とする。」とあっていわゆる個人の尊重と公共福祉ということが定められております。禁止せざるを得ない物を奨励したのは、いま大臣も認められたように、反省をしておる、また責任を感じておるとおっしゃったけれども、これはまさに政府の怠慢であり、手落ちであると私は指摘したいのであります。それによって多数の死者、先ほど言いましたように一年平均七百十一人、中毒患者が一年平均六百二十一人も毎年全国的に発生し、今後ますます続発の傾向にありますのに、調査も行わず、遺族に対する補償もせず、死亡者、中毒者のすべてを誤用、自他殺の事故として責任を回避するようなことでは相なりません。国民は個人として尊重されていないし、国政の上で最大の尊重をされていないので、憲法条項に違反する行為と私は指摘せざるを得ない。この点、別府第四部長、見解を述べていただきたい。
  233. 別府正夫

    ○別府政府委員 お答えいたします。  農薬による被害の防止という点から見ますと、現行の農薬取締法なりその運用が、いま挙げられました憲法第十一条なり第十三条の趣旨に照らして適切を欠くという御指摘のように伺いましたけれども、憲法十三条がいわゆる自由権的基本権というふうに言われておりますが、その保障に関する国政の基本的方向を定めたものであるということは言うまでもないことでございまして、その点農薬の取り締まりにつきましても、その趣旨を十分尊重して行われるべきことは当然だ、そういうふうに考えております。
  234. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 不満でありますけれども、時間の関係で、あとの問題も関連するので申し上げてまいりますけれども、これはまた来年度の予算委員会等でこの問題については詳しく追求する考えでおりますが、重要な発言として一応承っておきます。  そこで、取締法を無視した農薬行政について農林省にお伺いしますけれども、農薬取締法の第二条では、農薬業者の農薬登録手続に際し、「人畜に有毒な農薬については、その旨及び解毒方法」を記載することを義務づけております。しかしながら、実際には人畜に有毒な農薬であるのに、ほとんど解毒方法不明のまま登録しておることは、昭和四十三年四月五日、参議院の予算委員会でわが党の宮崎委員政府に対して質問したときの答弁によりますと、「使用の実態等を見まして初めてその毒性なり何なりがあらためてわかる場合もあるわけでございます。」というようなありさまでありました。直接人命事故や中毒事故につながる重要な事項を、解毒剤の問題も無視して、おまけに使用の実態を見て初めて云々というに至っては、まさに日本の国民はモルモット扱いをされていると私は指摘するわけです。そういった意味で、農薬取締法の規定を無視してこのような危険なことを平気でやっている、こういったことはまことにけしからぬ。そこで、解毒方法不明のまま登録しているという実態、これについてどういうふうな見解を農林省は持っておりますか伺いたい。
  235. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 法第二条第二項第五号に、ただいま御指摘のように、「人畜に有毒な農薬については、その旨及び解毒方法」を申請書に記載することを義務づけており、また登録された後の表示についても義務づけておるわけでございますけれども、私どもはこの解毒法というのは必ずしも解毒剤がなければいけないという前提では考えておらないわけでございまして、解毒法というのは、解毒剤がある場合はもちろん解毒剤もそれを用いることは解毒法の一つになりますが、しかし、解毒剤がない場合でございましても、他の対症療法的な応急措置等につきましても、それがありますれば解毒法の記載として十分ではないか、十分であるというように考えております。  たとえばダイアジノン粒剤というものにつきまして、一例でございますが、「解毒法」といたしまして現在書いております例を申し上げますと、「万一中毒を感じた時は直ちに次の応急処置を行ない、すぐに医師の手当を受けて下さい。」というような記載がございまして、そこに  (1)体、特に顔、手足を石けん水で洗い、新鮮な     空気の所で安静にすること。  (2)誤って飲んだ時は、繰り返し濃い食塩水を飲     んで胃の中の未吸収物をはき出すこと。  (3)医師には有機りん剤による中毒の旨申出るこ     と。  (4)解毒剤には、アトロピンやパムが有効です。こういうような記載をしておるわけでございますが、一番最後に申し上げたのは解毒剤でございますが、(1)から(3)までは広い意味での解毒法に入りますので、解毒剤がない場合は申請ができないとかあるいは登録ができないというような解釈はいたしておらないわけでございまして、解毒剤があるものはもちろんでございますが、ない場合でも解毒法その他の方法がありますればこれを記載することをもって足る、こういうように解釈をいたしております。
  236. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 解毒剤の問題については、これは後でこの分だけ時間をとっていろいろまた質問申し上げたいと思います。  要するに、登録制度というのは、使用方法についてはその登録した農薬のみについて安全だということで登録しているのではないか、かように私は思うわけです。そういったことで、全農などもいわゆる混用使用なんかもしておりますし、解毒剤のことも明記していないということになっております。これにも大変問題があるわけです。これはまたいずれ詳しく政府の見解を聞くとして、もう一点、内閣法制局の別府第四部長にお伺いします。  いろいろ申し上げてきましたけれども、憲法第十七条でも、国及び公共団体の賠償責任ということがございます。そういったことで、まず法律を守らないということになればこれは犯罪につながるということからお尋ねするわけです。私は、いまいろいろ指摘してまいりましたけれども、理由のいかんにかかわらず、農薬取締法第二条、第三条が守られていないことは事実であって、公務員の怠慢であり、不法行為になる、かように言えると思うのです。  そこで、憲法十七条にも「何人も、公務員の不法行爲により、損害を受けたときは、法律の定めるところにより、國又は公共團體に、その賠償を求めることができる。」と定められております。農薬取締法第二条、第三条が忠実に守られていたからば人命事故や中毒事故はほとんど出てこないということになるわけですけれども、私は、先ほどからのいろいろな答弁によってもこれまた憲法違反になる、かように思うのですが、いまいろいろ質問のやりとりを聞いておられて、内閣法制局の見解はいかがですか。
  237. 別府正夫

    ○別府政府委員 お答えいたします。  憲法第十七条は、先生御指摘のとおり、「何人も、公務員の不法行爲により、損害を受けたときは、法律の定めるところにより、國又は公共團體に、その賠償を求めることができる。」と規定しておるわけでありますが、「法律の定めるところにより」ということで、御存じのとおり国家賠償法という法律がございまして、国家賠償法では、一条で「国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によって違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体が、これを賠償する責に任ずる。」と規定してございまして、いま瀬野委員の御指摘のような事例が故意または過失により違法に損害を与えたということになるかどうかという点については、これを十分検討する必要があるというふうに考えられますので、ただ、簡単に第二条に違反しているという先生の御指摘だけで、国または公共団体が損害賠償の責任を負うということになるかどうかという点については、ここで簡単に判断をしかねるというふうに考えております。
  238. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 これは慎重に検討すべきと思うとおっしゃるが、そのようにひとつ検討してもらいたい。これはいずれ七十七国会の予算委員会等でまたお尋ねしたいと思います。  そこで、法務省、せっかくおいでいただいておるが、いまの問題について、政府は速やかに農薬事故の実態調査して積極的に遺族や中毒者に対する補償を行うべきである、かように私は思うわけですが、時間も迫ってまいりましたので、法務省の吉野参事官、このことについていままでやりとりした内容からあなたの見解を承っておきたいと思います。
  239. 吉野衛

    ○吉野説明員 お答えいたします。  先ほど別府第四部長が御答弁いたしましたように、国家賠償法の第一条を見ますと、「国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によって違法に」損害を与えたという要件がございませんと、国が損害賠償の責任に応ずるというたてまえにはなっておらないわけであります。  ところで、農薬取締法の規定をちょっと私拝見したのでございますが、その二条によりますと一応農薬についてはいわゆる登録主義がとられておりまして、登録されていない農薬についてはこれを販売してはならないというたてまえがとられております。そして、登録するためには、まず当事者が申請をし、そして一定の要件を農林大臣が審査する。その場合に、たとえば二条二項の四号につきましては適用病害虫の範囲とかその使用方法、それから五号につきましては先ほど申しましたような人畜についての問題、それからさらに八号につきましてはその使用に当たっての注意事項、そういったものが当然申請に当たっての申請書の記載事項ということで要求されておりまして、それについて農林大臣が十分審査をするということになっているわけであります。したがいまして、その申請に基づいて登録の処分を行う際に、過って登録をしてしまった、つまりそのときの科学水準によれば、これは人畜に有害な農薬であって、通常の危険防止法をとってもなおかつ人畜に有害な結果をもたらすということがわかっておるにもかかわらず、農林大臣が過ってこれを登録して、そして販売をさせた、こういうような場合には、農林大臣の過失によって被害者に損害を与えた、こういうことになりますから、国家賠償責任が生ずる場合があるであろうというふうに思います。しかしながら、そのときの科学水準をもってしてもなおかつ当該農薬がそのような有毒な薬品であるということがわからないというような場合には、これは農林大臣に過失があるというふうに申し上げるわけにはいきませんから、したがって、たまたまそれを使用して、後日結果的には被害が生じたという場合であっても、その農林大臣の登録処分が違法であるというわけにはまいらないのではないかと私は思います。  そのような場合は一体どうするのであろうかということが次に法律上の問題になるわけでございますが、農薬取締法の第六条の三という規定があるようでございまして、その規定によりますと、たとえば一定の期間継続使用の結果人畜に有害な結果をもたらすというようなときには、その登録事項の変更を職権でし、あるいは場合によってはその登録を取り消してしまうというようなことが認められております。したがいまして、そういう事態が判明した段階で、なおかつ農林大臣が依然として農薬の販売をそのまま放任しておった、つまり登録事項の変更処分をとるとかあるいは農薬の登録の取り消し処分をしない、そういうようなことが行われますと、そういう不作為の違法というものがそこで問題になりますので、さような事態がございますると、やはり国家賠償法の一条の問題ということで国の損害賠償の責めが生ずるということが出てこようかと思います。しかし、そういうような事実関係がない場合には国が損害賠償責任を負うというふうにはまいらないのではなかろうかと思います。したがいまして、いまの農薬の被害の問題につきまして、国が損害賠償責任を負うかどうかということは、具体的な事実関係を審査しましてケース・バイ・ケースで判断していかなければならぬというふうに私どもは思います。
  240. 澁谷直藏

    澁谷委員長 瀬野君、時間が参りました。
  241. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 時間が参りましたので、それでは最後に農林大臣に一言だけ。  これは膨大な内容でございまして、半分程度質問を残しました。重要な点の前半だけいま質問を終わったのですけれども、農林大臣、いろいろ聞いておられましたが、いずれにしても大変重要な問題がこれに入っていることは事実であります。会議録を見てまたいろいろと次回に改めて追及することにしまして、人命尊重のたてまえから農薬取締法の規定に基づいてこれを厳守すべきである、混用の問題とかまたは解毒剤の問題とかたくさんいろいろな問題がありますが、こういったことを十分に検討して、すでに登録されている農薬を全部洗い直す、すなわち総点検をするというこうなことをぜひやってもらいたい。そうしてきょうの質問を十分踏まえて、今後国民の健康の上から慎重に対処してもらいたい、かように思うので、その点最後に農林大臣の決意を承って、質問を終わりたいと思います。
  242. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 人命にも関する問題でもございますので、農薬の取り扱いにつきましては、その安全性につきましては常にわれわれとしては検査をしながらやってきているわけであります。今後とも農薬の使用につきましては、事故が起こらないように万全の措置を講じてまいりたいと考えております。
  243. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 残余の質問は次回に譲って、以上で終わります。
  244. 澁谷直藏

  245. 小宮武喜

    小宮委員 私は、国有林野行政について若干質問します。  国有林野事業は、行政として国有林野の四五%を占める保安林経営と公共企業体としての企業経営の二面を持っておると思いますが、林野庁はどちらに重点を置いておられるのか、その点まず冒頭お答え願いたい。
  246. 松形祐堯

    松形政府委員 お答え申し上げます。  御指摘ございましたように、林野庁といたしましては、森林の持っております木材供給機能並びに森林を中心といたしました公益的機能の両機能を充実させるということのために調和ある行政ということで施行いたしておるわけでございます。  何と申しましても、この国土保全とかあるいは水資源、環境保全、そういう公益的機能がございますが、私どもといたしましては活力のある森林を常につくっておくということが木材生産機能をも果たす、こういうことを考えておりまして、常に森林計画等を中心といたしまして計画的な長期的な森林の充実ということを視点としてやっているわけでございます。
  247. 小宮武喜

    小宮委員 保安林の整備計画を実施するに当たって民有林野の買い上げはどれくらい進んでおるのか、その点いかがですか。
  248. 松形祐堯

    松形政府委員 お答え申し上げます。  保安林の整備第一期、第二期、現在が第三期に入っておるわけでございますが、第一期以来保安林の買い上げは二十五万五千ヘクタール、その金額約百五十億円を投じまして保安林の買い入れをいたしておるわけでございます。
  249. 小宮武喜

    小宮委員 民有林の買い入れに要する資金は特別会計から支出されておるのか、その点いかがですか。
  250. 松形祐堯

    松形政府委員 特別会計から支出いたしております。
  251. 小宮武喜

    小宮委員 この国有林野の売却代金は幾らくらいあるのか。国有林野活用法の第八条によれば、収入の使途については民有林の買い入れ、交換に要する経費に充てることになっておりますが、その売却代金は別途別枠として積み立ててあるのかどうか。
  252. 松形祐堯

    松形政府委員 お答え申し上げます。  先生御承知いただいておりますとおりに、昭和四十六年度から活用法の適用をいたしておりまして、四十六年度から四十九年度に及びます国有林野の活用による売り払いの対価は約五十七億でございます。
  253. 小宮武喜

    小宮委員 それでは先ほど民有林の買い入れに要した資金は百五十億だ、今回国有林野の売却代金は五十七億だ、それが特別会計から支出されておるということになるわけですが、やはり国有林野事業の現状、非常に経営が悪化しておるというときに、この民有林の買い上げに要する資金については一般会計から賄うような措置がとれないかどうかという点についていかがですか。
  254. 松形祐堯

    松形政府委員 お答え申し上げます。  先ほど第一期から第三期にかけて二十五万五千ヘクタール、約百五十億と申し上げたのでございますが、これは昭和二十九年度から保安林整備臨時措置法等によりまして整備いたした合計でございまして、私ども活用法以降で申し上げますと、四十六年度から四十九年度にかけまして先ほど申し上げましたように売り払い代金は約五十七億、買い上げに使いましたものは二十一億でございまして、実はこの売り払い対価の方、収入の方が多いわけでございます。ただ、長期的に見ますと、法律の第八条に、御指摘のような活用の収入は買い入れに充てなさい、こういうことになっておりますが、このような実態でございますけれども、長期的に見ますとこの金で売り払った金に見合うような国有林のあるいは保安林とか林野整備による買い上げというようなことをしてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  255. 小宮武喜

    小宮委員 私が言っておるのは、非常に国有林野事業が悪化しておるという中で、いま国有林野活用法ができてからは売却代金が五十七億だ、一方民有林の買い上げは二十一億だ、それだからむしろ売却代金の方が多いんだというような説明のようですけれども、ただ問題は、長期的に見た場合にいまの国有林野事業は非常に極度に財政が悪化しておるということを考えた場合に、やはり民有林の買い上げに要する資金というのは一般会計から賄うようにできないかどうかということを言っておるわけであって、まあ先に進みますが、そういうふうな意味では国有林野特別会計の悪化に伴って林野庁は五百億の長期借り入れを検討しておるようでありますが、この特別会計の収支状況と借入金の返済のめどはどうなっておるのか、その点いかがですか。
  256. 松形祐堯

    松形政府委員 お答え申し上げます。  そのような保安林の買い上げにつきましては、一般会計から何とか導入したいというようなことで現在せっかく検討中でございます。  なお、国有林野事業の特別会計の状況でございますけれども、四十八年あるいは四十九年につきましては木材価格の高騰等がございまして一応黒字計上いたしておりますけれども、先ほど来申し上げておりますような公益的な要請等にこたえまして伐採量が減るとかあるいは材価の低迷等がございまして、現在収支がきわめて悪化いたしておりまして、いままでの貯金の持ち越し現金等をその赤字補てんに充てておる、こういう実態でございます。将来とも伐採量の縮減とかあるいは人件費の高騰ということが続く限りにおきましては、長期借り入れというようなものを考えませんとこの公益的な機能の大事な森林の維持、管理、造成というようなものがなかなかできがたいというようなことがございまして、現在この長期借り入れにつきましても大蔵省とせっかく交渉をいたしておるところでございます。
  257. 小宮武喜

    小宮委員 長期借入金の返済のめどはどうなるかということと、いまいろいろ説明がありましたように、大体三年くらい前までは国有林野事業というものは四Kと言われるくらい非常に悪化しておったのが、一昨年来の石油ショックによって木材価格が高騰したということで一時的には救われているわけです。しかしながら、今後さらに長期的に見た場合に、国有林野事業というのはますますこれから相当長い期間やはり経営は赤字になっていく、また悪化していくということが考えられますので、その点もし五百億という長期借り入れをしたとしてもそれが返済のめどがあるのかどうかということをお尋ねしておるわけです。  それと同時に、そういった返済のめどと関連をして、木材の伐採量の今後の推移はどうなるのか、あるいは木材価格の動向が今後どうなっていくのか、そういっためどを林野庁として立てておられるのかどうか。その点もし立てておられるならば、ひとつ説明をしてもらいたいということと、さらにいわゆる特別会計がそういった今後の動向を見きわめながらいつになったら黒字に転ずるのか、その点いかがですか。
  258. 松形祐堯

    松形政府委員 お答え申し上げます。  先ほどお答え申し上げましたように、いろいろな意味から伐採量の減というものがございます。特に森林法の一部改正とかあるいは自然環境保全法に基づく保全地域を指定するとか、さらには第三次の保安林の整備計画に基づきましてある種の制限のある保安林等の指定増があるとかいうことで伐採量が減になるわけでございます。この伐採量の減の見通しの数字でございますけれども、昭和三十八年でございますけれども、そのころ二千三百万立方程度切っておりまして、現在四十八年度が大体千六百万立方でございまして、今後、その計画の立て直しを現在やっている最中でございますが、概算見通しが千四百万立方くらいに落ちるというふうなことがございます。このことは収入の大部分を伐採収入に依存いたしております特別会計といたしましては、赤字基調ということでございますが、長期借り入れをいたしましても――戦後植えました、相当植林をいたしておるわけでございますが、十数年たちますと大体伐採する時期が参るわけでございます。そのころをめどにいたしました経営改善促進するとか、それぞれの合理化は進めながらある程度その辺にめどを置きまして黒字に転ずるということを私どもは考えておりまして、そのころから借入金の返済ということを考えておるわけでございます。
  259. 小宮武喜

    小宮委員 時間がないので詳しくやりとりする時間がございませんが、いま言われたように、かなり長期にわたって国有林野事業というのは経営が悪化していくというのが当然考えられるわけです。そういった意味では、今回の長期借入金の五百億にしても、これだけで済むのかどうかという考えすら起きてくるわけです。  しかし、それはそれとして、林野庁は財政悪化に伴って五十八歳以上の職員に対して退職勧奨を行い、もし勧奨に応じなければ定昇ストップだとかベースアップストップだとかいう手段を考えておるやにも伺っておるわけですが、これは事実ですか、どうですか。
  260. 松形祐堯

    松形政府委員 お答え申し上げます。  ただいま御指摘ございましたような高齢職員の退職というものが実は円滑に進んでないわけでございます。そして年々高齢職員が増加いたしております関係から、定員の関係で新規採用も極端に抑えているというようなことがございます。将来的な人的な構成から見ましても、なかなか問題が多いわけでございます円したがって、ただいまお話しのような内容を現在両組合に提案いたしておりまして、国鉄等の先例を参考にいたしているわけでございますが、せっかく現在組合と協議いたしておるところでございます。
  261. 小宮武喜

    小宮委員 国有林野事業の財政の悪化の原因については、これは巷間いろいろ言われておるわけですが、やはり当局の場当たり的な親方日の丸主義の経営姿勢に問題があるのではないか、こういうような見方もあるわけですが、経営に対する責任体制はどのようにしておるのか、その点いかがですか。
  262. 松形祐堯

    松形政府委員 お答え申し上げます。  先ほど来申し上げておりますように、売り払い代金が主たる収入源でございますので、そのような動向にかんがみまして私ども合理化とかいろいろな努力をいたしておるわけでございます。しかし、この合理化をいたすにいたしましても、四十七年の林政審議会で一年半もかかりまして一つの方向を決めていただいておりまして、その線に沿いながら、私ども国民の負託にこたえ、また国有林の与えられた使命を達するべく誠意をもって努力をいたしているところでございます。
  263. 小宮武喜

    小宮委員 直営による素材の生産事業については所定の生産計画の達成が収支に大きな影響を及ぼすことは言うまでもないわけです。したがって、ことしの一月以降八月末までにおける直営事業並びに請負事業における生産計画と達成率はどうなっておるのか説明を願いたい。
  264. 松形祐堯

    松形政府委員 お答え申し上げます。  五十年度の直用事業の十一月末の新しい数字がわかっておりますが、計画量にいたしまして約八 〇%の達成率でございます。そしてその二〇%に相当いたしますおくれが、全体といたしましては六十万立方ぐらいおくれておるわけでございます。なお、このおくれを取り返すべく請負事業等、あるいは立木処分というようなかっこうをとっておりますけれども、請負事業はほぼ計画どおりに進んでおるわけでございます。
  265. 小宮武喜

    小宮委員 直営事業と請負事業との達成率はそれぞれどうなっておるかということを聞いておるわけなんです。
  266. 松形祐堯

    松形政府委員 お答え申し上げます。  直用での素材の生産計画でございますが、四百十八万立方でございまして、十一月までの計画量は二百七十五万、十一月までの実行量が二百十六万でございまして、実行率が約八〇%、請負は、年計画量といたしましては八十四万立方でございまして、十一月末までに七十三万立方生産する予定でございましたが、それが実行量といたしましては八十五万立方まいっておりますので、一一七%の進捗率、こういうことでございます。
  267. 小宮武喜

    小宮委員 直営事業の方は生産計画が達成されておらないという理由はどこにありますか。
  268. 松形祐堯

    松形政府委員 直営事業がおくれている主な理由といたしまして、実はかねがね問題になっております振動障害等がございます。したがって振動障害の対策といたしまして、チェーンソーを使わないで、間伐材等につきましては手のこを一部使用するということがございますと同時に、操作時間等をある程度短縮いたしております。その影響も一つでございますと同時に、ことしの悪天候と申しますか、災害多発というようなこと等の影響もございます。また一方では、賃金の支払い形態によります労使間の多少の紛争がございまして、その関係の影響。大きく見ますと大体三つくらいかと思っているわけでございます。
  269. 小宮武喜

    小宮委員 振動障害というのは大体どれくらい発生しておりますか。それほど大きく生産達成に影響を及ぼすということになれば、これはやはり振動障害に対して根本的な対策なり取り組みをやっていただかねばならぬわけですが、大体どれくらい発生しておりますか。
  270. 松形祐堯

    松形政府委員 国有林野全体で伐木等にチェーンソーを使っている人たちが大体五千六百から六千人程度でございますが、職業病として認定されております者が約二千七百名という人数でございます。
  271. 小宮武喜

    小宮委員 生産計画そのものに無理はなかったのかどうか。その点いかがですか。
  272. 松形祐堯

    松形政府委員 お答え申し上げます。  生産計画を立てます場合、たとえば五十年度の計画を立てるという場合、森林計画というのがございまして、その中で個所ごとに大体年次別に指定してございます。そういう計画があると同時に、過去における継続の問題とかいろいろ考えまして、そして計画量というものを立てるわけでございまして、私ども適正な計画を立てたつもりでございますが、先ほど申し上げましたような理由というものが、当初から予定されてないものが出てきたというようなこと等がございまして、予定どおり生産できてない。何とかしかしこれもある程度の――全量を回復するということはなかなか困難ではございますけれども、私どもせっかく努力しながらその生産のおくれを取り返したいと現在やっているところでございます。
  273. 小宮武喜

    小宮委員 振動障害の問題にしても、こういった生産計画の策定にしても、国有林野事業の中で労使の協議体制、労使協議制というものは制度として確立されておるのかどうかということです。
  274. 松形祐堯

    松形政府委員 私ども労使の関係の健全な正常化ということは常に心がけておるところでございまして、労使協議制等の問題につきましても、昭和四十年来日林労の方で御提案等がございます。あるいは全林野も同じように事前協議制の問題として要求が出されておるわけでございます。その後両組合ともいろいろ協議を重ねておったのでございますが、日林労とは昭和四十一年以来定期会談方式でお互いの意思疎通を図っておるということでございまして、各営林局におきましても同様の方法によりまして意思疎通を図っておるわけでございます。また全林野につきましても同様な方法をとっておるわけでございますが、必ずしも定着はいたしておりませんけれども、今後ともこのような努力をしながら、お互いの意思疎通に努力してまいりたいと思うのでございます。  当然、労使の経済的な問題につきましては、自体交渉というような手段があるわけでございまして、常にその辺で検討をし、協議を進めておるということでございます。
  275. 小宮武喜

    小宮委員 生産計画を達成するためには、何といっても労働側の協力が必要ですから、やはり制度として労使協議制を確立してもらいたいということを要求しておきます。  それから国有林野事業における製品の生産事業実施については、出来高払い制がとられておるわけですが、この出来高払い制は今後も継続するのかどうか。またこの出来高払い制は臨時作業員の常勤化にどのような関係を及ぼしておるのか。いわゆる常勤化の条件となるのかどうか、その点いかがですか。
  276. 松形祐堯

    松形政府委員 お答え申し上げます。  林業労働と申しますと大体屋外が中心でございまして、しかも広い山に散して仕事をするというかっこうになっておりまして、その成果は計量化しやすいという特質がございます。したがって、能率性を確保するということと、労働の成果に応じた公平な賃金の支払いという両面の観点からいたしまして、今後とも能率給制は維持したいという考えでございます。  また、御指摘のような新たな雇用制度の中におきましても、このような方向で検討をする考えでございます。
  277. 小宮武喜

    小宮委員 いま三公社五現業に対するスト権付与の問題が大きな政治問題になっておるわけですが、国有林野労働者に対するスト権付与について、農林大臣としてどのように考えておられるのか、ひとつ大臣から御答弁を願いたい。
  278. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 この問題につきましては、国有林野事業を含めまして三公社五現業全般にわたる問題でございまして、政府としては、先日公表いたしました基本的な方針に沿いまして、できるだけ早く結論を出すべく鋭意検討をすることになっておるわけでございます。したがって、現在の段階で私の考え方を述べることは差し控えさしていただきたいと思います。
  279. 小宮武喜

    小宮委員 私は、大臣から、やはりここの場で明確に、たとえばスト権付与問題に当たっての経営形態の問題、当事者能力の問題、こういったことについて、大臣としての立場から、もっと明確な答弁を期待しておったわけですが、そういったことであれば、なかなか慎重のようですからこれ以上は追及しませんけれども、その問題については働く人たちの気持ちも十分考え、その上に立って検討してもらいたいと思います。  それからもう一つ聞いておきますが、つい最近、鹿児島の下屋久営林署で、やはり振動障害で五十三歳になる人が亡くなったわけですが、この人に対して補償問題を含めてどのような措置をとったのか、その点お尋ねしておきたいと思うのです。
  280. 松形祐堯

    松形政府委員 お答えを申し上げます。  一昨日の新聞でございますが、屋久島で四十五年にレイノー患者としての指定がございまして、その方が十二月に退官されておるわけでございますが、一昨日死亡されたということで、大変遺憾に思っておるわけでございます。何分一昨日のことでございまして、どのような勤務をされたのか、あるいは退官後どのような療養を続けられたのか、その後の対策等につきまして現在調査中でございまして、その調査を待ちましてそれぞれ対処してまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  281. 小宮武喜

    小宮委員 時間が刻々迫ってまいりますので、最後に原子力船「むつ」の問題について若干質問します。  政府は「むつ」総点検・改修技術検討委員会が十一月二十五日に原子力船開発事業団の総点検改修基本計画を承認したことによって、近く「むつ」問題関係閣僚懇談会を開いて、長崎県佐世保市に「むつ」の修理受け入れを要請する方針を決めたということが報道されておりますが、この問題について、特に地元の漁業団体では、ただ単なる修理港としてではなくて、母港の問題にしても修理港の問題にしても絶対反対を叫んでいるわけです。水産行政の最高責任者である農林大臣として、この「むつ」問題の佐世保要請についてどのような態度で対処しておられるのか、その点いかがですか。
  282. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 原子力船「むつ」の今後の取り扱い等に関しまして、原子力船関係閣僚懇談会が十二月十二日に開かれまして、原子力船「むつ」の総点検改修計画の実施について安全の確認がなされるとともに、修理港を含めた今後の取り扱いにつきまして、内閣官房長官、運輸大臣及び科学技術庁長官が中心となって取り進められることに決まったわけでございます。私も当日出席をいたしたわけでございますが、その際、いまお話しのように「むつ」の寄港地として佐世保が決定をされたということはありませんでした。  農林省といたしましては、従来の経緯にかんがみまして、その安全性の確保というのが第一でございます。長崎県等におきまして、原子力船「むつ」の寄港を予想して漁業関係者が非常に反対を強めておられるということも、やはり安全性の確保というのが一番大きな問題でございますから、これは安全性の確保を第一として、漁業者と十分話し合いを行いながら取り進めていくことが必要であるというふうに考えておりますので、この方向で関係庁が取り進められるよう要望してまいるつもりでございます。
  283. 小宮武喜

    小宮委員 その安全性の問題が確認されればということですが、本当に安全性が確認されるのかどうかということについてもいろいろ疑問があるし、またどういう方法で確認するかという問題があるわけです。そういう意味で、閣僚懇談会あるいは今後の閣僚会議でこの問題はいろいろ問題になると思いますが、農林大臣は、その安全性が確認されるまでは漁民の側に立って反対するのだというように理解していいですか。
  284. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 十二日の閣僚会議では、「むつ」の今後の取り扱いにつきましては、実は先ほどお話をいたしましたように、官房長官、運輸大臣、科学技術庁長官の三者にその方向づけを一任したということでございます。私はそのときにも発言もいたしたわけでありますけれども、やはり原子力船の寄港ということになると、これまでの経過から見て漁業者との関係が非常に大きな問題になってくるのだ。これは青森県においてもそういう現実があったわけであるから、まず第一にはやはり原子力船の安全性というものを確認をするということが第一であって、そしてその確認に基づいて漁業者との間に本当に納得のいく話し合いが進められることが先決ではないだろうか。ですから、今後その取り扱いを進める段階に当たって、漁業者に対する説得あるいは理解というふうなことを徹底的に行う必要があるということを力説をいたしたわけでありますが、今後とも農林大臣としてはそういう方向で関係各省庁等にも連絡をとりながら、この問題が円満に進んでいくように期待をしているわけであります。
  285. 小宮武喜

    小宮委員 最後に確認しておきますが、それではいまの大臣の答弁によれば、やはり徹底的に漁民の方々と話し合いをして、それで理解してもらうというような表現のようで、そうであればそういった漁民の反対がある間は、結局佐世保港なら佐世保港に対しての修理港としての正式要請はしないというように理解していいですか。
  286. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 まあ私は主管の大臣ではございませんが、漁業者というのはやはりわれわれが大事にしていかなければならないこれからの日本の沿岸漁業を守っていただく人でありますから、そういう漁業者の立場というものも十分私たちは踏まえて、そして漁業者の方々が納得されるような形で、やられる場合はその話し合いをしてもらわなければ困る、漁業者の皆さんが理解をされるような方向で交渉してもらわなければ困るということを、私としては強く言っておるわけであります。
  287. 小宮武喜

    小宮委員 時間が来ましたので、いろいろ言いたいこともございますが、これで質問を終わります。      ――――◇―――――
  288. 澁谷直藏

    澁谷委員長 請願の審査に入ります。  今国会において本委員会に付託になりました請願は、全部で九十三件であります。  本日の請願日程第一から第九三までの請願を一括して議題といたします。  各請願の内容につきましては、請願文書表等によりまして、すでに御承知のことと存じます。また、先ほど各党理事間におきましても慎重に検討いたしましたので、この際、各請願についての紹介議員からの説明等は省略し、直ちに採決いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  289. 澁谷直藏

    澁谷委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  これより採決いたします。  先ほどの理事会において協議いたしましたとおり、本日の請願日程中、第一ないし第三、第五、第一四、第一八ないし第二五、第三四ないし第四三、第四五、第四六、第五一、第五六、第五八、第五九、第六四、第六五、第七五及び第七六の各請願は、いずれも採択の上内閣に送付すべきものと決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  290. 澁谷直藏

    澁谷委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  ただいま議決いたしました各請願に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  291. 澁谷直藏

    澁谷委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ―――――――――――――     〔報告書は附録に掲載〕     ―――――――――――――
  292. 澁谷直藏

    澁谷委員長 また、本委員会に参考送付されました陳情書は、農業基本政策の確立等に関する陳情書外四十二件でございます。  右、御報告いたします。      ――――◇―――――
  293. 澁谷直藏

    澁谷委員長 この際、閉会中審査に関する件についてお諮りいたします。  すなわち、  芳賀貢君外十名提出、国が行なう民有林野の分   収造林に関する特別措置法案  角屋堅次郎君外三名提出、飼料の需給及び価格   の安定に関する法律案  角屋堅次郎君外三名提出、飼料作物生産振興特   別措置法案  農林水産業振興に関する件  農林水産物に関する件  農林水産業団体に関する件  農林水産金融に関する件  農林漁業災害補償制度に関する件以上の各案件につきまして、閉会中もなお審査を行いたい旨、議長に申し出たいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  294. 澁谷直藏

    澁谷委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ――――◇―――――
  295. 澁谷直藏

    澁谷委員長 この際、一言ごあいさつを申し上げます。  今国会も余すところ数日をもって終了いたしますが、委員各位の御協力によりまして、公平かつ円満な委員会運営ができましたことを心から御礼申し上げます。  どうもありがとうございました。(拍手)  本日は、これにて散会いたします。     午後五時十五分散会