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1975-11-06 第76回国会 衆議院 農林水産委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年十一月六日(木曜日)     午前十時二分開議  出席委員    委員長 澁谷 直藏君    理事 今井  勇君 理事 笠岡  喬君    理事 坂村 吉正君 理事 中川 一郎君    理事 芳賀  貢君 理事 津川 武一君       愛野興一郎君    伊東 正義君       片岡 清一君    吉川 久衛君       熊谷 義雄君    佐々木秀世君       島田 安夫君    中尾 栄一君       丹羽 兵助君    粟山 ひで君       角屋堅次郎君    柴田 健治君       島田 琢郎君    竹内  猛君       野坂 浩賢君    馬場  昇君       美濃 政市君    中川利三郎君       瀬野栄次郎君    林  孝矩君       稻富 稜人君  出席政府委員         厚生省環境衛生         局長      松浦十四郎君         農林政務次官  江藤 隆美君         農林大臣官房長 森  整治君         農林省農林経済         局長      吉岡  裕君         農林省構造改善         局長      岡安  誠君         農林省農蚕園芸         局長      澤邊  守君         農林省畜産局長 大場 敏彦君         農林省食品流通         局長      今村 宣夫君         農林水産技術会         議事務局長   平松甲子雄君         食糧庁長官  大河原太一郎君         水産庁長官   内村 良英君  委員外出席者         環境庁水質保全         局企画課長   西村 純幸君         文部省体育局学         校給食課長   加戸 守行君         厚生省環境衛生         局食品衛生課長 仲村 英一君         農林大臣官房審         議官      小笠原正男君         農林省農林経済         局統計情報部長 有松  晃君         郵政省郵務局業         務課長     永野  明君         建設省河川局水         政課長     佐藤 毅三君         日本専売公社生         産本部長    今川 演祐君         農林水産委員会         調査室長    尾崎  毅君     ————————————— 本日の会議に付した案件  農林水産業振興に関する件      ————◇—————
  2. 澁谷直藏

    澁谷委員長 これより会議を開きます。  農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。柴田健治君。
  3. 柴田健治

    柴田(健)委員 時間の制約がありますから簡潔に質問申し上げたいと思いますので、答弁者側もひとつ要領よく簡潔に御答弁願いたいと思います。  まず、カメムシの問題で技術会議事務局長にお尋ねを申し上げたいのですが、このカメムシ発生については、五年前に北海道にも出た。そしてちょこちょこ全国的に発生はしてまいったわけでありますが、特にこの二、三年、広島、島根、鳥取、岡山というところに異常発生をした。この異常発生をした理由、そしてこのカメムシ種類は本当に何種類あるのか。六十とか九十とか百五十とか、いろいろ憶測があるのですが、本当に専門的な立場から言えばカメムシ種類は何種類あって、それから生息実態はどうなのか、たとえば卵はどこで産むのか、害虫はどこで育つのか、成虫になったらどこでどういう行動半径を持っているのか、そういう種類生息実態、それをまず御説明願いたいと思う。
  4. 平松甲子雄

    平松政府委員 先生指摘のとおり、カメムシ北海道で最初に異常発生いたしまして、それ以来漸次全国に蔓延しておるというふうな状況でございますが、元来カメムシと申しますのは、水田だけの害虫ということでなしに、むしろ雑草であるとかあるいは林木であるとかの芽を食うというような形で広く存在しておったものでございますけれども、最近水田に入って水稲に害をするというふうな状況にあるわけでございます。  カメムシ種類が何種類くらいあるかというお話でございますが、大体二百種くらいあるのではないかというふうに考えておりますけれども、その中で水田生息するものが約九十種くらいではないか。その中でも水稲に害を与えるものと、斑点米原因になるということがはっきりわかっております種類で約四十四、五種ぐらい、それからそういうことの可能性があるのではないかと思われるのが十四、五種類、合わせて六十種類ぐらいあるのではないかというふうに考えております。  異常発生した原因でございますけれども、いま申し上げましたように雑食性のものでございますが、最近は水田畦畔等雑草管理が不十分であるとか、あるいは休耕地がふえた、そういうふうなこと、あるいは中国筋ではササの一斉開花、結実があったというふうなことが原因ではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。  生態でございますが、ただいま先生がおっしゃいましたように、必ずしも分明していない面もあるわけでございますけれども、本来は水田生息するということでなしに、雑草の中に生息しておる、むしろそちらの方を好むというような虫でございまして、成虫期間も非常に長い、それから産卵も断続的に累次にわたって産卵をするというふうな状況にあると私ども考えておる次第でございます。
  5. 柴田健治

    柴田(健)委員 この撲滅方法というのはいつやれば一番いいのか、要するに産卵の時期、そしてまた害虫の時期、成虫の時期、そして越冬の実態はどうなのか、あなたは試験研究最高責任者なんだが、もう発生して長期間になるわけですが、いま説明を聞いておりますとそれらのことはまだはっきりしていないのですね。はっきりしていないということは、正直に言ったらまだ十分研究していないということじゃないですか。自信を持って答弁できますか。試験は万全な対策でやってきたとか、手落ちがないという自信がありますか。
  6. 平松甲子雄

    平松政府委員 ただいまもお答えいたしましたとおり、まだ生態について研究が十分でないという面があることは、先生指摘のとおりでございます。  産卵でございますが、産卵もむしろ水田にある期間よりも雑草の中に生息しておる期間産卵をする、しかもそれが断続的、累次的であるというようなことでございまして、この防除水田にある間に防除をするということよりも、むしろ雑草の中に生息しておる間に防除をする、しかもその生息しておる範囲が非常に広うございますので、その防除方法の徹底というのはなかなかむずかしい問題があろうかというふうに考えております。
  7. 柴田健治

    柴田(健)委員 この虫は成虫になったらどの程度行動半径を持っておるのですか。たとえば四キロも飛ぶとか十キロぐらい飛ぶとか、いいかげんな憶測を言うのですが、大体技術会議の方の試験体制というものはなっていないと思うのです。これは重大な責任があると思うのです。
  8. 平松甲子雄

    平松政府委員 先ほどお答えいたしましたとおり、カメムシ種類も非常に雑多でございまして、種類によって行動半径も異なりますけれども、おおむね数キロの範囲内というふうに私ども考えております。
  9. 柴田健治

    柴田(健)委員 雑草地域発生原因生息原因の主体になっておるということになれば、これはひとえに生産農民だけに責任を転嫁させるというのは私はおかしいと思う。たとえば水田だけに発生をするなら、肥培管理をする生産農民責任だ、こういうことが言えますけれども、いま御答弁されたように、雑草地域ということになると、非常に広範囲になるわけですね。たとえば休耕田にしても、これは農民がみずから休耕田にしたわけではない。これは農林省責任休耕田にしておる。岡山県でも三千七百ヘクタールいま休耕田がある。京阪だって七千三百ヘクタールぐらいある。これは農民責任になるかもしれない。けれども、国道なり、県が管理しておる道路河川、そして建設省管理しておる一級河川、いま河川管理状態なり道路整備状態を見て、また原野においてもそうですが、雑草地域というのは農民責任を全部持たなければならぬのかどうか。財産権からいったらどうなるのか。この点の責任はだれが持つべきか、その点どうですか。
  10. 澤邊守

    澤邊政府委員 ただいま話がございましたように、雑草地、林地を含めまして、あるいは農道だとか休耕田等、耕作をしております水田以外が発生源になっておる。そこから水田に飛来してくるということでございますので、もとを断つ必要があるということでございますが、これにつきましては、農道等につきまして水田の近傍のところは農家みずからの責任で当然やるべきだと思いますが、それ以外のところにつきまして、河川管理者でありますとかあるいは鉄道用地管理者等関係機関協力も得て防除をするというように今後してまいりたいということで、関係者話し合いをしておるところでございます。
  11. 柴田健治

    柴田(健)委員 岡山県の場合は、ことしこの農薬を三回散布して、三回の農薬の数量、金額にして約十五億。十五億も農薬を使ったというのは前代未聞なんです。それからバイバッサだとかスミバッサだとかスミチオン系農薬なんですが、一回ぐらいなら余り人体影響がないという。ところが三回散布したために農民が大変な皮膚病というか、いろんな形で弊害を起こしておる。短期間の間にこういう三回連続にやると人体影響がある。そうすると、これを散布して、後遺症というかそういうものが米に残るのか残らないのか。これは消費者影響するという問題もあるわけですが、今度のスミチオン系バイバッサなりスミバッサ農薬の品種は人体には絶対影響がないものかどうか、これをまずお答え願いたいと思う。
  12. 澤邊守

    澤邊政府委員 バイジット粉剤とかバイバッサ粉剤等を用いるわけでございますが、厚生省食品衛生法に基づきまして残留基準を定めておりますので、それに合うような使用方法についての安全使用基準というものを農林省で定めております。これは細かくいろいろ決めておりますけれども使用期間だとか使用方法等を決めておりますが、例を申し上げますと、バイジット粉剤につきましては収穫前十四日前までに用いる、それ以降は用いないというようなこと、あるいはバイバッサ粉剤につきましては収穫前七日前までで、それ以降は使わない、しかも使用回数は六回以内、五回以内というようなことによりまして、生産物に対して毒性が残留しないようにというような指導をいたしておるところでございます。
  13. 柴田健治

    柴田(健)委員 それなら残留性は絶対ないというように自信を持ってあなたはお答えになりますな。
  14. 澤邊守

    澤邊政府委員 これは厚生省ともよく相談をいたしまして、食品残留基準厚生省が定めておりますので、これは正しいという前提で農林省は考えておるわけでございます。それに対しまして、ただいま申しましたような使用基準によって用いればその残留基準に合格をするというようなことを試験、実験の結果に基づいてやっておりますので、私ども食品残留基準には違反することはないというふうに考えておりますが、もちろん追跡調査等もやっておりますので、いまのところ、そういう安全使用基準に基づいて使用した場合に、食品残留基準を超えるというような事例はございませんけれども、なお今後も追跡調査もいたしますので、もしそういうことがあればさらに改定するということはあり得ると思いますけれども、現在のところそのような事実はございませんので、現行の使用基準で大丈夫だというふうに考えております。
  15. 柴田健治

    柴田(健)委員 現在のところはまだ収穫、これから米をつくって出すわけですから、わかるはずはないと私は思う。それはそうかもしれないけれども、万一これが残留性として社会問題となってきた時分には、農林省は重大な責任をとらなければならぬと思う。その点は十分考えておいていただきたい、こう思います。  同時に、二度とこういう虫を発生をさせてはならない、これ以上農薬散布するということは危険性がだんだん高くなるので、どうしてもこれは撲滅をしなければならぬ。この撲滅方法についてどういう考え方があるのか、どういう対策を今後やろうとするのか、農林省の見解を聞いておきたい。
  16. 澤邊守

    澤邊政府委員 先ほど技術会議事務局長の方からお答えしましたように、生理なり生態が十分判明しておらないという事実がございますので、一〇〇%撲滅ということにつきましてはなお問題が残ると思いますけれども、私どもといたしましては、現在発生予察事業というのを各種重要な病害虫についてやっております。適時適確にどのような方法防除したらいいかというようなことについての発生予察方法について現在特殊調査を実施しております。これは残念ながらまだ数年かかると思いますけれども、それらによりまして予報を出しまして、農家にいまこういう方法防除をするのが適期である、こういう方法が適当であるというようなことを情報として提供するようなことを早くやりたいというように考えております。  なお、先ほど来話が出ておりますように、雑草地の除草をする、あるいは雑草地において薬剤散布するということ、これは関係機関協力も得なければいけないと思います、それから農家自身の御努力にももちろんまたなければいけないと思います。それから水田に飛来した場合にはもちろんそこで撲滅するために薬剤散布ということも必要になると思いますので、それらの各種の対策研究を進めながら実施をして、できるだけ発生を抑制するように努力をしたいと考えております。
  17. 柴田健治

    柴田(健)委員 もう発生して長期間になるわけですが、いまの御答弁の中ではもう数年かかるだろう、こういうのんびりした言い方なんですが、それでは農民の方ばたまったものじゃないのですね。  いままで五年間どういう試験撲滅対策をやったのか、その点はひとつ経過というか、御報告願いたいと思うのですよ。どういう試験をやってどういう方法撲滅対策をやったのか、そういうものをひとつ具体的に説明願いたい。
  18. 平松甲子雄

    平松政府委員 先に試験研究の方から申し上げたいと思いますが、四十七年と四十八年に技術会議の方では斑点米に関する緊急調査というものも実施いたしまして、四十七年に北海道における斑点米がアカヒゲホソミドリメクラガメというカメムシによることがはっきりわかったわけでございまして、その虫による食害からどういうような形で斑点米ができるかというような形のことを四十七、四十八と続けてまいりまして、その後も試験研究機関といたしましては農業技術研究所なりあるいは関東東山農事試験場なりあるいは各県の農事試験場生態なり生理なり防除についての研究を加えてまいっておる。で、各県の試験研究機関との間には地域連絡会議であるとかあるいは部門別総括会議であるとかそういうところで総括的な検討をいたしておるということでございますし、今後につきましては、この十八、十九日に各県の試験研究機関方々と国の試験研究機関と相寄りましていままでの発生状況なりあるいはそれに対する防除対策なりという情報を持ち寄りまして、その中から有効な防除対策についての手がかりをつかむというような形で検討を進めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  19. 柴田健治

    柴田(健)委員 農林省の中には食糧庁があるわけですが、食糧庁の方は、もうカメムシ着色米が出るということは予測されて、検査規格も変えて、千粒に対して八粒以上あったらだめだ、こういうことで、もうちゃんと虫が出てきて食うということは食糧庁の方がわかって、ちゃんと検査規格も変えてある。上部の方ではそういうものを予測してちゃんと規格を変えているわけですね。ところが、本当に責任持ってそうした病害虫防除対策をしなきゃならぬ片一方が、農林省の任務を持っておるにもかかわらず何にもやらないというのはおかしいと私は思う。これは農林省全体の私は責任だと思う。食糧庁だけ責めてみたところでしょうがないけれども、とにかく食糧庁の方は二年前にちゃんと検査規格を変えてある。虫が出ることはわかっておる。それなら防除対策の方も並行して考えるべきではなかったか、この点について政務次官、ひとつお答え願いたいと思う。
  20. 江藤隆美

    江藤政府委員 カメムシ被害については、私どもも心痛をいたしておりまして、これが撲滅について、足らざる点はあるかと思いますが、まことにけしからぬ虫でありますが、なかなか容易にこれをとつつかまえて全滅するというふうにはまいらないわけであります。したがって、これから先も御指摘のようなことを十分踏まえまして、これが防除対策について十分に取り組んでまいりたい。例年のことでありますので、一刻も猶予できないことだと思います。  なお、検査規格に書いてあって、片方ではやらぬじゃないか、こういうことでありますが、検査規格は、御存じのようにこれはその他万般の検査の標準を定めたものでありまして、片方消費者もおることでありますから、カメムシ被害等についてのこの検査規格を定めておるわけであります。したがいまして、繰り返して申し上げますが、今後さらに試験研究あるいは防除対策等についてできる限りの努力を払ってまいりたい、このように考えます。
  21. 柴田健治

    柴田(健)委員 これは二度とこういうことを起こしてはならないという自覚の上に立って十分防除対策をやってもらいたい、それは農林省責任でやってもらいたい、こう思います。  同時に私は、この今度の事件で農民が非常に疑問を持っておるのは、公共用地、その雑草地域における駆除対策、そこまでやれ。いや、あれはもうよその土地だ、あれは鉄道用地だ、あれは河川用地だ、こういうことで財産区分というものが農村には明確になっておりますから、財産区分から判断をした場合に、よその区域まで、たとえば三キロ入りの一袋が六百九十円から七百五十円までするような薬を自腹を切ってまで散布すると言うのは、なかなか農民立場から言うと割り切れない、非常に矛盾を感じる、抵抗を感じる、こういう考え方から、なかなかこの防除対策が十分できなかった。この点について、国は、公共用地については、この防除費について関係機関が全責任を持つ、こういう体制をつくってもらいたいと思うのですが、いかがですか。
  22. 澤邊守

    澤邊政府委員 河川管理者あるいは鉄道用地管理者等公共機関管理をしておる用地等につきましては、国鉄当局等、あるいは建設省等にもすでに相談をしておりまして、できるだけの協力は現地で得られるようにしておるところでございます。さらに徹底するように話し合いを進めていきたいと思っております。  なお建設省とか国鉄とかいう例を挙げましたけれども、それ以外にも、個人の所有で、しかも水田作農家でないという方々用地もあるわけでございますので、これらにつきましても、地方公共団体等においてすでに農薬の助成をするというようなこともやっておられる例もございますが、それらの問題、やり方も含めまして、今後の発生状況を見て、国としてどのような措置を講ずべきかという点はさらに検討したいというふうに思っております。
  23. 柴田健治

    柴田(健)委員 ただ検討しますというのではなく、責任持つということを言うてくれなければ困るのですよ。検討します、いつもあなたはそんなことを言う。検討するというのが本当はしないということなんです。するということをはっきり言うてもらいたい。  食糧庁長官大河原さん見えていますが、今度はこれだけの農薬散布防除対策をやったわけですから、余り着色米は出ないと思うのですが、万一出た場合に、食糧庁はあくまでもいまの検査規格基準に置いて、良質であってもただ汚染米が何粒かある、七粒以下ならいい、八粒になったらだめだという検査規格を盾にしてあくまでも等外に落としてしまうのか、思いやりを持って情状酌量して、別の方法農民を救済するというお考えがあるのか。ここにいる人、私は尋ねているのはやんわり申し上げたので、厳しく言うてないので、その点は高度の政治判断で処置できるのかどうか、食糧庁長官にお尋ねしたい。
  24. 大河原太一郎

    大河原(太)政府委員 お答え申し上げます。  カメムシ被害に基づきます着色米については、先生からもしばしば御指摘を受け、その食管法上の取り扱い検査上の取り扱いについては御指摘を受けておるわけでございますが、検査規程そのものについては、まあ理屈を申し上げるわけではございませんが、先ほど政務次官が申し上げましたように実需者なり消費者の好みと要望というものを一つの大きな要素にせざるを得ない、全国的な画一的な基準であるというようなことから、地域的な問題についての特別な配慮という点については、これは制度としてはなかなか困難であるというふうに申し上げざるを得ないわけでございますが、仮にこれが発生した場合におきましては、仕分け選別をしていただいて、自主流通米等によって、たとえば酒米掛け米というようなものについて過去においても処理された例がございますので、そういう取り扱いとして、被害を受けられました農家についての何と申しますか、損害と申しますか、それの軽減については最大限努めてまいりたいと思います。  なお補足させていただきますが、幸い各地域の非常な努力による防除によりまして、ただいまのところカメムシ被害による規格外等外という問題については起きておらない。恐らくことしは昨年に比べて非常に軽微であろうというような見通しを持っておるわけでございます。
  25. 柴田健治

    柴田(健)委員 まあ長官は、農民が犠牲にならないように最大の配慮をするという答弁をいただいたのだから、その点、そこから先は高度な行政、政治両面判断で処置してもらいたい、こうお願いしておきます。  この件について、農民の方からは検査規格を変えてくれ——ところが農産物の検査法から言うと、当該年度のこの検査規格を改定する場合は、新米出荷前の一カ月前に告示しなければならぬという大体の内規があるようですので、今年度はどうにもならないのですが、明年度この検査規格生産農民立場に立って変えてもらいたいという気がするわけです。ただ消費者だけいいというのではなしに、消費者のことも考えなければならぬでしょうが、生産農民立場からも考えて、検査規格をもっと検討してもらいたいというのが第一点。  それから、いまの農業災害補償法から言うと、収穫前の被害というか、要するに収穫前にいろいろ調査をして、被害があれば農業共済適用ということになるわけですね。ところが、こういう虫が発生したり、また大災害、水害を受けたりして、収穫をしてみなければわからないという、収穫後における所得補償という面から言うと手落ちがあるというか、片手落ちになっているのではないか、こういう気がいたしますが、この所得補償という立場から言うと、収穫後における減収に対して補償制度を考える必要があると私は思うのですが、この点について次官のお答えを伺いたい。
  26. 江藤隆美

    江藤政府委員 ことし長雨から台風がずっと続きまして、私はそのときも事務当局十分検討を加えてみたわけでありますが、現在のこの共済制度というのが収量共済になっておる。ところが、長雨穂発芽をしてずいぶんと品質が落ちて、実質は収量はそれほど減ってないけれども、今度は収穫面で言うと、いわゆる金額面で言うと莫大な被害をこうむっておる。こういうふうな問題等から、実は収量共済ではなくて収穫共済ということもひとつ考えてみたらどうであろうか、そういうものは制度に乗らぬのかどうかということも実はいろいろと検討してみたわけであります。ことしは全国的な被害のあった年ですから、これはちょうどいい機会だと思いまして、いろんなそういうカメムシ等の問題もございますし、検討をしたのですが、やはりなかなか困難な問題がたくさんございます。御存じのように、生産費所得を補償するような共済制度、こういうことになりますと検討しなければならない問題がたくさんございますし、いま行われておる価格制度自体に影響することもある。こういう諸般の情勢を考えながら、私ども制度の改正について検討を加えていかなければならぬと思っておりますが、まだまだ解明されなければならぬ問題がたくさんありますから、今後ともに検討を加えていこう、こういうふうに思っておるところであります。
  27. 柴田健治

    柴田(健)委員 これは次官、大いに検討して今後解決してもらいたいとお願いしておきたいと思います。  次は、次官にお尋ねしたいのですが、いま農業後継者の問題でいろいろな地域で大きな悩みの種なんですが、昨年は一万四千名が農業後継者として農村に残った。今年五十年度は一万人だ。明年は何人残るのかわからないわけですが、こういうふうに農村に若い人が定着しないという理由はいろいろあるわけですが、これは何としても定着させていくような政策をとってやらなければ農村に若い人が残らない。農村の若返り法、農村に若さを取り戻すということは農業を発展させる一つの基本である。これはだれが考えても当然なことなんですが、この農業後継者の対策についていろいろ施策を、微々たる点をやっているわけですが、いまやっているこのやり方では若い人は残らないだろうと思う。私は、思い切って農業後継者の育成強化について抜本的な対策を考えるべきじゃないか、こういう意見を持っておるわけです。  明年は税制改革をどうしてもやらなければならぬときに来ていると思うのですが、たとえば個々の固定資産の再評価の問題も来年やる、そのときにこの農村の若い人に対する施策の一環として税制面から見る考え方、税制的にどう優遇していくかということを第一点として考えなければならぬだろう、こう思うのです。  それから農業者年金制度、特に若いときから農村に定着して、使命感と愛情に燃えて農作物に取り組んでいく、そういう長い間の苦労の年限を考えたら、もう少し農業者年金制度の中で後継者対策についての優遇措置というものを考える必要がある、これが第二点。  それから第三点は、資金政策なんですが、金融政策の面から見て、いま農業改良助長法から見て、改良資金融資の中で、後継者で二十万、四十万、八十万という制度をつくっている。こんなちっぽけな額では、いまの通貨の価値観から言うて話にならぬ。これを抜本的に変えるべきだ。大幅に引き上げる。そうしてこの利子を思い切って補給していくという、金融政策面から考える必要があるのじゃないか。この三つの点で当面明年度からひとつ検討を加えて改革してもらいたい、これをお願いしたいのですが、次官、どうですか。
  28. 江藤隆美

    江藤政府委員 私は、これからの農業政策の一つの大きな問題は、農業金融と税制であるというふうに、ある一面からはとらえておるわけであります。したがいまして、後継者が御案内のように均分相続の制度によって非常に零細化されていくという、そういう面をやはり防いでいかなければいけないということから、御案内のように、生前一括贈与の制度あるいはただいまずっと検討し、進めてまいりましたいわゆる相続税の猶予制度、そういうものを通じて農業後継者というものが安心して親の財産を引き継いで今後農業をやっていける、そういうものを税制面からも制度上からも確立する必要があるということから、これらの改正を実は進めてきたところでございます。  それからもう一つは、ただいま御意見のありました年金等の問題についても、一定水準の規模以上を持つ者に対して、本人が希望すればこれは年金に加入することができるという道も開いて、給付水準のいわゆる引き上げあるいは物価スライド、そういう制度を導入することによって年金制度の充実というものを図り、そうして将来の安定した生活の道を開いていく、こういう一つの考え方がございます。  それから改良資金については、まことに少ないではないかという御意向でありますけれども、これは無利子の制度でございまして、いま百五十万でありますけれども、来年度はこれを二百万に引き上げていこう、こういうことも実はいたしております。しかしながら、何といってもやはり農村というところは自分が独立独歩、自分でもって一つの農家を守っていく、生産を上げていく、そういう気持ちの問題もありますので、これをアシスタントする農業改良普及員制度等も今後改革を図りながら、よき農村青年の相談相手をつくって、そうして農村青年が定着ができるような道を開いていきたい、こういうふうに考えておるところであります。
  29. 柴田健治

    柴田(健)委員 国立大学をこの基準に比較をして言うのはどうかと思うのですが、国立大学、たとえば東大で一人当たり若い諸君がどれだけ国の恩恵を受けて学問に励んでおるか、それも国のためになるだろう。けれども、農業というじみな産業の中で、あの悪条件の中で苦労している若い諸君、一生をささげていこうという崇高な精神の持ち主に対して、もう少し考えたらどうか。同じ青年で私は不公平だと思う。そういう農村に残る若い人の取り扱い方が国の政策上大きな社会的不公平というか、そういう不公平の中から、いろいろ若い人が残らないという、何というか矛盾を感じて飛び出してしまうという気がするのです。やはり農村に残る若い人に対して、そういう点も農林省としては十分考えてやるべきではないかと思いますので、十分配慮願いたい、こう思います。  次に、私たち、農村の健康保険制度の問題、国民健康保険制度の中でいろいろいま問題を摘出しておるわけですが、その中で近ごろ特に顕著にあらわれておるのは、農家の主婦の健康の問題です。昔から言うと、だんだん農家の主婦が体を悪くしておる。なぜこんなに悪くなるのか。過重労働なのか、その他栄養の面から来るのか、要するに食生活の面から来るのか、われわれは専門家でないからよくわからないけれども、どうも農家の主婦の健康管理が十分でない。この点は生活改良普及員、農業改良助長法から制度ができて第一線で苦労されておる生活改良普及員がおられるわけですが、こういう方にもう少し何とか行動費というか研究費というか、予算をもっと大幅にふやしてあげる。それから若い人をもっとふやして、まあいまの古い人は役に立たぬと言えばおしかりをこうむるかもしれないが、男子、女子を含めてだんだん改良普及員も高齢化しておる。もっと若年の、若いぴちぴちした人をひとつ第一線に入れて、農家の主婦の健康管理なり食生活の改善なりにもつと積極的に相談に応じる、指導していく、助言をしていくという、そういう行動ができないのか。これは園芸局長の担当だと思うのですが、局長からこの考え方を明らかにしてもらいたいと思います。
  30. 澤邊守

    澤邊政府委員 農村のいわゆる農夫症の問題、特に婦人の労働力が農業経営においてウエートを高めることに伴いまして、婦人の農夫症の問題等が最近深刻な問題になってきておるわけでございます。全国的な調査をしたことはございませんけれども、農夫症の有症者数といいますか、そういう症状の出ておる農家の数を調べてみますと、これは全面的な調査でございませんけれども、男子と並んで女子の場合も四八%ぐらいという事例もございます。これは全国的な調査でございませんので、私どもが事例的に調べたものでございます。まあ肩こりだとか腰が痛いとかしびれるとかいうような症状が幾つか同時に出ておるというような場合、農夫症と言っておるわけでございますが、それが四八%ぐらいというような高い数字が出ております。  それに対しまして、生活改良普及員、約二千百名おるわけでございますが、農村の健康問題というものは特に重要な課題として取り上げております。普及員の質の向上を図ると同時に、それらの普及員を通じた農業者の健康モデル地区の育成事業というようなものも今年度から新たに実施をしておるわけでございます。この点については今後さらに重点を置いた指導をしたいと思います。  原因といたしましては、栄養問題ももちろん、栄養が偏っておるというような問題、あるいは最近のハウス等の施設園芸に伴いますハウス病といったようなもの、あるいは機械を運転することに伴います振動、その他の症状、あるいは酪農等につきましては、かなり婦人労働が従事しておるわけでございますけれども、いわゆる休みがないというようなことに伴います過重な労働時間の問題等、いろいろ原因はあるわけでございますが、それぞれ地域、経営の実態に合わした細かな指導をいたしております。  例を申し上げますと、たとえばハウス病等につきましては、非常に温度の高いハウスで長時間労働した上で外へ出るというようなことは、一気に気候が下がるわけでございますので、非常に神経痛の原因になるとかいう障害が出ます。それに対しましては、たとえば中間気候室ということで、温度を一気に下げずに、途中の段階まで下げたような部屋をつくって、そこにしばらく休養した上で出るとか、これは例でございますが、こういうきめ細かな指導をやっておりますが、さらに今後とも強化をしてまいりたいというふうに考えております。
  31. 柴田健治

    柴田(健)委員 もう時間がありませんが、最後に畜産局長にお尋ねしたい。  ことし私たちは非常に矛盾といら立ちを感じたのですが、飲用乳の乳価の交渉の方式なんです。加工乳の方は二月段階で確定をした。価格の高い安いはあっても確定した。その後、飲用乳については、六カ月間も七カ月間もメーカーと生産農民との自主交渉に任せる。それで当時、畜産局の課長諸君がいろいろ苦労されて、いや八月の十二日には解決しますとか、いや二十日には解決しますとか、いろいろ答弁だけはうまくしてくれたんですが、依然として解決しなくて、最終段階は九月、それも額はもう話にならぬ。われわれはペテンを食うたような感じがした。こういう飲用乳の価格自主交渉の方式が、いまのままがいいとお考えになっておるのかどうか、まずその点をお聞かせ願いたい。
  32. 大場敏彦

    ○大場政府委員 飲用乳の価格形成につきましては、やはり本質的にはメーカーとそれから生産者、これは生産者価格でございますが、それから卸売価格につきましてはメーカーと小売、こういった当事者の間で解決するのが事柄の性質上本筋だと私どもは思っております。
  33. 柴田健治

    柴田(健)委員 ことしの形態は、小売業者が前面に出てきてメーカーが後押しをする、これはメーカーと小売業者が内部で同じ流通系列ですから。何も生産者の価格交渉に小売、メーカーが前面に出てくる必要はないと思う。それが前面に出てきたところに、私は、もう作為的に、政治的に農林省がやらしたんじゃないかという気がする。生産農民は非常にそういう矛盾を感じて、抵抗しておるわけです。農林省はもはや信用しない、こう言っている。こういう自主交渉の方式を続ける限り、今後ますますこの組織分断というか、内部混乱というか、いろいろな混乱が起きる。これで公平な畜産行政を進めておるとは言えないと私は思う。これはもう酪振法を変えるべきである。酪農振興法十八条、十九条、これをもっと生産農民とメーカーとが権威ある交渉ができるようにいまのようなやり方を抜本的に改めるべきだ、こういう気がするのですが、酪農振興法の改正をあなた方は考えておられるかどうか。なければ、われわれはもう酪農振興法の改正を議員立法として出そう、こういう考え方に立たざるを得ない。この点についてお考えを伺いたい。
  34. 大場敏彦

    ○大場政府委員 ことしの乳価は非常に難航したわけでございますが、やはりその一つの要因として、小売の段階で生産者価格、それから乳業者、こういう値上げが参りまして、小売の段階でこれを吸収するのはなかなかむずかしい、こういう意向が強く反映して、ときによってはいろいろ激しい議論もあったわけでありますけれども、それがもとで難航した、これが一つの事由だろうと思っております。しかし、私どもの考えといたしましては、生産者乳価はやはり生産者とメーカーとの間で、それから卸売価格はメーカーと小売の間で決めるというのがあくまで原則でありまして、農林省としてそれに介入する、あるいは不当に介入するという気持ちは毛頭ございません。ただ、ことしみたいに交渉が延引いたしまして、いろいろ問題が出てくるということは好ましいわけではございませんので、できるだけ当事者間の話し合いがスムーズに行われるよう側面からこれをいろいろ支援する、お世話をするというようなことは必要でありますし、今後もしていきたいと思っておるわけでございます。ただ、その場合に、いろいろ独禁法とかそういった問題がございますので、そういった独禁法に抵触しないように取り運ぶように留意することは当然のことであろうかと思っております。  それから、法を改正して乳価形成の仕方を何か考える必要があるのではないか、こういった御指摘でありますけれども、いろいろことしの乳価交渉に見られる事態の難航性、そういったことからわれわれいろいろ反省して、今後の乳価形成はどうあるべきかということにつきましては、内部でいろいろ検討し勉強もしているわけでございます。いろいろな意見がある中で、たとえばガイドラインを政府自身つくったらどうかというような御意見もあるにはあるわけでございますが、これにつきましては、また、それはそれなりのむずかしさがありまして、たとえばそういったものは非常に価格がフラクチュエートするといったものに限られるとか、あるいは企業そのものが許可制にかかわっているものでないと、なかなかそういったガイドライン的なものは設定できないのではないか、こういった議論もあるわけでありまして、そういったいろいろむずかしい問題がありますが、そういった問題をいろいろ判断の要素に入れながらいま検討中でございます。
  35. 柴田健治

    柴田(健)委員 時間がまいりましたから、次官に最後に乳価の問題について。  いま大体どこの国でも生産農民の手取りというものが五〇%皆超したわけですね。日本だけがいま四四%というこの生産農民の手取りの配分率ですが、この五〇%超すぐらいの配分を考えるべきではないか、こういう気がするのです。その点がら言うとやはり乳価交渉そのものを根本的に改めない限り、この生産農民の配分率は高まらない、こう思うのです。この点について、私たちは酪農振興法の手直しをして酪農民に本当に安心して酪農振興ができるような方途を講じてやるべきではないか、こういう気がいたします。そういう点で次官は畜産の大家だから、あなたよく知っておられるのだから、要するにいまの法の矛盾というものを早急に改正をして、法的に措置をする、そういう努力をしてもらいたいし、さもなくばわれわれは先ほど申し上げたように法律の改正を議員立法として出さざるを得ない、こういう考え方をいま持っておるわけですが、ひとつ次官の見解を開いて、私の質問を終わります。
  36. 江藤隆美

    江藤政府委員 この飲用乳の乳価形成につきましては、実を言いますと昨年も若干混乱を来たしましたから、私どもはやはり農林省がある程度介入して、そして適切な価格を決めるようにしたらどうだろうかということを検討しなかったわけでもないわけであります。ところが、実は公取の独占禁止法に抵触するおそれがあるということでありますので、政府みずからがそのようなことをするわけにもまいりませんので、ただいま局長が申し上げましたように、法律に抵触をしない限度内で私どもはできるだけの協力をしょう、こういうことで行いました。ことしは残念ながらああいうふうに交渉が長引いた、こういうことであります。  そこで、市乳、飲用乳について一体そういう法律の制度上に入れた方がいいかどうかという問題があるわけですが、これは御存じのように、ただいまもお話がありましたが、大体この市乳、いわゆる飲用乳の手取りというものは四五%程度でありまして、あとは大体加工費あるいは販売経費等に実は食われておるわけであります。したがいまして、四五%しか占めないものに対してそういう不足払い制度なりその他の方法を考えることは、恐らく全体のためにも決して前進することではないのではないか。したがって、もともとこの飲用乳については需給によって決まるわけでありますから、今後のいわゆる加工の合理化あるいはまた販売の合理化、流通経路のそういうふうな整備等によって生産者の手取りがふえるように私どもは今後も努力をしていく必要がある。ただ、ことしの経験にかんがみまして今後のこの決定方式について私どもは十分に前向きに検討すべきものは検討する、こういうつもりでいま取り組んでおりますことだけは御了承いただきたいと思います。
  37. 澁谷直藏

    澁谷委員長 野坂浩賢君。
  38. 野坂浩賢

    ○野坂委員 政務次官から聞きましょう。  昨日もいろいろと米の問題等について議論がございました。私は今度の国会は国民の皆さんによくわかりやすい国会にしなければならぬということを議運の皆さんから確認をされておるわけでありますが、そういう意味でわかりやすく答えていただきたいと思うのです。  ことしの八月に「総合食糧政策の展開」というような農林省の案が出されております。その中で稲作の転換、これが図られておるわけでありますが、これは具体的にどういうことをいっておるのか、政務次官にまず聞きたいと思います。
  39. 江藤隆美

    江藤政府委員 米というものが現在なおかつ過剰傾向にある、こういう認識の上に立って、米は国民の生活を支える基本的な食糧である、したがって、単年度の需給を十分に図りながら、今後安定的に国民に米を供給するという役割りを私どもは果たしていく。そのためには今後どのようなことをすべきかということでいわゆる米という問題を取り上げておるわけであります。
  40. 野坂浩賢

    ○野坂委員 そうしますと、米の需給の関係からそういうことを考えたのだ、稲作の転換を図っておるのだということであります。したがって、毎年毎年稲作の転換の対策がございますね。すると当初植えつけをするまでにどの程度稲作の転換をやる、こういうことをお決めになって、そしてその実績というものが出てくる、毎年そういうことをやる、こういうふうに思うのですが、それは現状どのようになっておりますか、予定と実績は。
  41. 澤邊守

    澤邊政府委員 明年度の稲作対策といたしましては、ただいま政務次官からお答えいたしましたように、水田総合利用対策という考えに基づきまして、米の単年度需給を確保する、さらに必要な備蓄を確保するという前提で水田の全体の生産力を米以外の重要な食糧農産物の生産に振り向けるという考えで、現在検討を進めておるわけでございますが、具体的にいつごろ、どのような数字をおろすかということにつきましてはまだはっきりしたスケジュールを持っておるわけではございませんけれども、これまでの稲作転換対策も大体最終的に目標数量を決めまして、各県ごとの目標数字をおろしますのが一月末から二月でございますので、遅くともそのころまでには具体的な数字を固めたいというように思っております。現在考えておりますそれらの具体的な数字の前提になります大きな数字といたしましては、現段階では八十万トンについて調整をするということで、現在細部を検討しておるわけでございます。各県との具体的なめど等については、資料の提出を求めて現在検討を始めておるところでございます。
  42. 野坂浩賢

    ○野坂委員 私の言い方が悪かったと思うのですが、稲作の転換は、四十九年は当初百十八万トン、通年施行を含みますと百三十五万トンじゃないですか。実績は、通年施行を含めれば百二十九万七千トン、これが実態の数字とは違いますか。
  43. 澤邊守

    澤邊政府委員 四十九年産でございますか。——これは、実績は百二十九万七千トンでございます。九八%の達成率ということでございます。
  44. 野坂浩賢

    ○野坂委員 ことしは、五十年は稲作転換は九十万トンで、六月の見込み実績は百二万三千トン、こういうふうに理解していいですか。
  45. 澤邊守

    澤邊政府委員 通年施行の八万三千トンを除きまして、稲作の転換は百二万三千トンでございます。
  46. 野坂浩賢

    ○野坂委員 通年施行を含めれば百十万六千トンということになっておりますね。そうすると、あなた方が予定しておったよりも米というものは転換を図られたということになるわけですね。そういうことになりますね。
  47. 澤邊守

    澤邊政府委員 農林省で当初立てました目標は百万トンでございますので、それ以上の調整数量になるということでございます。
  48. 野坂浩賢

    ○野坂委員 食糧庁長官にお尋ねをしますが、食糧管理法の精神というのは、農家の皆さんは、米は政府及び政府の指定したところに売らなきゃならぬ、政府はその米は責任を持って買わねばならぬ、これが一貫して流れた精神だ、こういうふうに考えておりますが、そのとおりですか。
  49. 大河原太一郎

    大河原(太)政府委員 お答え申し上げます。  先生の御案内のとおり、食糧管理法につきましては、国民食糧の確保と国民経済の安定ということを旨として、それを図るために主要食糧につきまして需給なり価格の調整を行い、また配給の統制を行うというたてまえになっております。したがいまして、そのために買い入れ、管理する必要があるものにつきましては、御案内のとおり食管法第三条第一項によって生産者にも売り渡し義務を課し、政府もこれを買い入れる。それ以外の米につきましては、譲渡規制その他流通の規制をしておりますが、御案内のとおり、これについては一定の流通ルートを法的に制度として設けまして、自主流通米というような流通も図っております。これはもちろん配給の統制という意味で配給計画の中に組み入れて行っているというのが食管法の基本でございます。
  50. 野坂浩賢

    ○野坂委員 長く答えていただかなくてもいいのですよ、大河原さん。自主流通米というのがあって、いろいろあるのだ、それはわかっているのです。けれども、この管理法の精神は私が述べたとおりでしょう。簡単に答えてください。違うなら違うと言ってください。
  51. 大河原太一郎

    大河原(太)政府委員 食管法の基本というものについては、先ほど申し上げましたように、食糧の確保と経済の安定のために、主食についての配給、需給の調整と価格の調整を行う、それから必要な配給の統制を行うということでございます。
  52. 野坂浩賢

    ○野坂委員 政府が米の生産調整をやるために、年初めに稲作の転換の方向を打ち出して、百万トンなら百万トン出して、それ以上農民はこたえた。その数量というものは、面積が規定されるわけですから、その面積の中で最高度に農業技術を生かして、また十分の施肥等をして、精進をしながら米をつくった。そのことは、きのうも政務次官は喜ぶべき現象である、こういうお話をしていただいたわけですね。だから、政府が考えておった面積が生産調整をされ、それだけの数量も決められ、そして米は買うのだということが決まっておる。そして予約限度数量の超過米というものが出てくる。これはまあ喜ばしいことだ。そうすると、やはりすべての面で政府の政策、施策に農家の皆さんが協力をしてきた。その中で生産性を向上させてきた。それを政府が受けるということは、子供が聞いても当然だと思いますし、何も言うことを聞かないからこうだということじゃなくて、すべてのことをやってのけた後のことなんですから、これは喜ばしい現象だというお話があったのですが、それは当然買ってもらえるでしょうね。どうでしょう。政務次官食糧庁長官、どっちでもいいのですが……。
  53. 大河原太一郎

    大河原(太)政府委員 お話しのとおり、農家の生産努力なりあるいは天候というようなことで生産が上がったということについての米の取り扱いをどう考えるべきかというお話だと思いますが、これは先ほど少しくどく申し上げて恐縮でございましたが、やはり国は、米につきましても、食管制度の目的を達成するために、必要な数量の買い入れについては、生産者にも義務としてお願いし、また国もこれを買い入れる義務がございますが、全量米を買い入れるということは食管制度のたてまえになっておらないわけでございまして、需給上必要な米につきまして生産者にもお願いし、国がこれを買い入れる。ただ、それ以外の米はどうするのかという問題で、先ほども申し上げましたように一定のルートを規制して、これはしばしば言われる自主流通ルートでございますが、それによる販売の道を開いてそれをこなしていただくというような制度のたてまえに相なっておるわけでございます。
  54. 野坂浩賢

    ○野坂委員 超過米は結局自主流通米に回せということですか。
  55. 大河原太一郎

    大河原(太)政府委員 四十六年、予約限度制が導入されまして以来、各年産超過米が出たわけでございますが、ただいま申し上げましたように、自主流通ルートによって、必要があればこれについて国がその消化のために必要な助成をいたしてこなしていただくというふうなことで従来こなしてきたわけでございます。
  56. 野坂浩賢

    ○野坂委員 自主流通米という一つの流通機構に乗せてこなしてきた。どこかで売られておるわけですね。それならば、こんなにごたごたしなくても、政府かきちんとして——たとえば私たちが農村を歩いてみますと、予約した日に検査があると言って持ってくる。縁側に米がたくさん積んであるのですね。これはどうかというと、これはまだ予約限度数量の外だ、だからいつかは持って出るだろうと思って待っておる、こういう非常に不合理な点があるのですね。何回も行ったり来たりしておるのです。だから、そういう点についてはやはりきちんとしてもらわぬと、いや超過米はどうだとか毎日、新聞に出ておるじゃないですか。この辺はやはりはっきりしてもらう。自主流通米、五十万トンなら五十万トンが、たとえば悪い言葉で言えば余り米だ、それはどこか指定したところで消化をするんだ、そういうことで指定をされれば、政府がいわゆる標準米を買い入れる、そのためにどっちみち響くんですから同じことなんでしょう。だから、たとえば例として、五十万トンの超過米というものは食糧庁はどういうふうにいたしますか。自主流通米にするのですか、買い入れをしますか、いや、去年やってみたら五十万トンと言ったけれども七万三千トンだった、だからそのくらいならどうするかというようなことをはっきりしなければ、いつまでも子供がだだをこねて困らせるようなことを言わないで、この辺できちんとされたらどうなんですか。余ったら余ったように、足らないなら足らないように。しかもこの展望にはちゃんと書いてあるじゃないですか。給食も米にしますよとか、五十二年からは二百万トンを目標に備蓄をいたしますとか、そういう想定があるわけですから、それにきちんと合わせたらどうなんですか。
  57. 大河原太一郎

    大河原(太)政府委員 お答え申し上げます。  昨日も政務次官なり私からお答え申し上げましたように、現在は出回り最盛期でございまして、いわゆる超過米が全体としてどの程度出るかという点については本月の中下旬以降でないと確たる数量は的確につかみがたいという点が第一点でございます。その場合におきましても、例年のとおりこれについては県間調整、県によっては枠の余る県が出る、それを超過する県にお回しして、それによってその限度内にその米を入れて本来的な予定どおりの流通をしていただくというのをたてまえにしておりますが、現時点では、先生おしかりかと思いますけれども、まだその的確な数量の把握ができかねるということでございますので、その数量の的確なる見きわめをし、県間調整等をした上で、従来の取り扱いの例でございますと自主流通としてこなしていただくということでございます。  ただ、多少先生から現地に即しての御指摘なりおしかりがあったと思いますが、特定集荷業者としての単協段階で、生産者との間で、買い入れ基準数量という基本的な生産者の売り渡し数量の中で、政府米と自主流通米とを振り分けるということが行われるわけでございますが、全農等指定法人の自主流通米の集荷計画が末端に届くのがことし若干おくれた、したがって、農家が持ち込んだ米がそこで検査がおくれたというような事例を私どもは多少聞いておりますので、その辺の事情もあるのではないかというふうに思っております。
  58. 野坂浩賢

    ○野坂委員 えらいしつこく恐縮ですが、まだ実態の数量がつかめないということが一つ。たとえば高知県とかその他で災害が起きた、そういうところは非常に枠よりも減るだろう、それを調整する、そういうことは毎年のことですからわかっておるわけです。しかし、各県の相殺は別にして、全体的に超過米が出た場合は、政府は責任をもってそれを処理してやる。すべて稲作の転換も思うとおりに、それ以上にしているわけですから、全部言うことを聞いてそれでもいやだということにはならぬわけですから、政府は責任をもって農家の米は何らかの方法で買い上げる、こういうふうに言ってもよろしゅうございますか。政務次官どうです、その辺。
  59. 江藤隆美

    江藤政府委員 この稲転事業も、おっしゃいますように、全体としてはなるほど一〇〇%以上達成しておるわけでありますが、中には目標に達してない県も若干あるわけであります。そこで、きのうから繰り返し申し上げておりますけれども、政府米は御存じのように五十年度は六百三十五万トン買い上げるということで、実はすべての自主流通米とあわせて需給計画というものが立っておるわけであります。したがいまして、長官が申し上げましたように、去年でも二十万トン余ると言ったのが逆に二万トン足りなかった、あるいはおととしは四十万トンと言ったのが実際は七万トンしかなかった、こういうこと等もありますから、大体十一月一日現在のいろいろな集計が、長官が申し上げましたように中下旬には集まる予定であります、そうしますとおおよその全容がつかめてまいりますから、その中で県間調整をするものがどの程度出てくるか、そしてさらに超過する分については今度は自主流通米でこれを消化していく。その場合に政府がどのような援助をしたらいいのか。それは自主流通米の売れ行き、数量その他万般のことを考慮して最終的にはこの超過米の問題が片づくように私どもはやっていきたい、こういうことで現在取り進めておるところであります。
  60. 野坂浩賢

    ○野坂委員 いろいろ長くお話しいただきましたが、政府がつくったものは責任をもって処理する、こういうことであるというふうに考えていいわけですね、いまの御答弁は。
  61. 江藤隆美

    江藤政府委員 将来の需給計画等もございますし、あるいはまた今後の稲転事業の推進等もありますから、そういうこと等も私どもは考えまして、現段階では、とれたものは全部買います、こういうことを申し上げる段階にないことはいまほど申し上げたとおりでありますが、できるだけ御迷惑のかからないように私どもはこの問題を片づけてまいりたい、こういうふうに思っております。
  62. 野坂浩賢

    ○野坂委員 時間がありませんから……。本当はちょっと「できるだけ」にひっかかるんですよ。その辺をとってもらえばいいんですよ。しかし信頼をして、農家の皆さんが困らないように政府は責任をもって処理をしていただきたいと思います。  それから、この生産調整に伴う稲作転換について今度は農林省は食糧等に限って奨励金を出すということになりそうですね。話が進められておる。  専売公社の方いらっしゃいますでしょうか。稲転によって水田のたばこを耕作され、奨励金をもらっておるのは現在どの程度なんですか。
  63. 今川演祐

    ○今川説明員 お答えいたします。  四十九年度の実績で、葉たばこ耕作面積の中で水田耕作が約一万一千六百ヘクタールございます。そのうちで転作奨励金の恩恵にあずかっている面積が六千七百ヘクタールということに相なっております。
  64. 野坂浩賢

    ○野坂委員 そのうちの小作地はどの程度ですか。
  65. 今川演祐

    ○今川説明員 お答えいたします。  六千七百ヘクタールのうちで約三千八百ヘクタール、これが借り入れ水田ということになっております。
  66. 野坂浩賢

    ○野坂委員 私どものところも、鳥取県なんですが、水田に稲作の転換で相当面積葉たばこをつくっておるわけです。ところが従来奨励金を約四万円程度もらっておったわけですね。それを、地主といいますか所有者に対して、その上に一万五千円とか二万円くらいを上乗せして借りる、こういうことをやっておりました。ところがこれが、奨励金をもらえなくなっても、そうこの金額は下におりぬ。一万円や二万円ということにならぬ。こういうのが現状で、葉たばこを耕作するのに対して大きな支障が出始めておる、こういう現況にあります。  そこで、専売公社はこの稲転奨励金についてどのように考え、どのように対処をされようとしておるのか、またされてきたのか、その点を伺っておきたいと思うんです。
  67. 今川演祐

    ○今川説明員 お答えいたします。  先生のおっしゃるように、私どもの方といたしましても、従来から転作奨励金の恩恵にあずかりまして、相当大きな実績を持ってまいっております。で、今回転作奨励金から葉たばこが除外されますと、その結果として、地代の高騰によりまして生産規模の縮小なり、あるいは生産コストの増加なり、そういうことが考えられます。したがいまして、公社といたしましては、今回新たにできます総合水田利用対策の中で、特に作物として採用方を繰り返し現在農林省に要請をいたしてまいっておるという状況にございます。
  68. 野坂浩賢

    ○野坂委員 もう一言。  いまたばこの値段が国会で問題になっておりますが、いま国内産葉が七割で外葉がたしか三割程度です。専売公社は、今後も面積を拡大をして国内産葉をふやす、去年はたしか三千ヘクタールくらいふえたはずでありますが、ことしも値段によってはふえるんじゃないか。私たちの方はひょう被害で余り収穫はなかったんですが、全体的にはよかったわけですから、見通しはどうでしょう。なぜ三千ヘクタールもふえたのかということを聞きたいのです。
  69. 今川演祐

    ○今川説明員 葉たばこの生産面積につきましては、従来から産業構造の変化の中で減反の方向を示してまいっておりましたが、五十年度から上向きに変わってまいっております。  その一つの大きい要因といたしましては、四十九年産葉の大幅な価格のアップがあったと思います。それから、最近不況の中でUターン現象があるというふうなことも一つの要因であろう、かように考えております。特に葉たばこ以外の農作物がわりによくなかったというふうなこともございまして、葉たばこの生産面積の拡大なり、あるいは新規の耕作者なり、そういう方々がふえてきたというふうな状況にあると思います。  ただ、今後の見通しといたしまして、それではそういう状況で耕作面積がふえていくんだろうかということについては、いまの段階ではきわめて流動的でございまして、即断はできない状況にあろうかと思います。公社といたしましては、従来から公社の原料調達の基本的な方針といたしましては、国内産葉を中心に、国内産葉に代替できない特質を持った葉たばこを輸入するというふうな状況で推移いたしております。ただ、製造たばこの需要が大変伸びておりまして、そういう意味では、需給のバランスの中で、国内生産の葉たばこで代替できない特質を持った葉たばこ以外につきましても、絶対量が不足ぎみになっておるというふうな状況がございまして、国内産葉に代替できない葉たばこ以外も一部輸入で賄わなければならないというふうな実況にございます。  ただ、私どもといたしましては、今後も国内産葉を重視していくという立場は変わっておりません。したがいまして、一つの問題として、国内産葉が海外産葉に比べて国際的に価格が大変割り高になっているという現象もございますし、今後そういう問題の解決を図りながら、しかも、葉たばこ生産者にとって魅力のある葉たばこ耕作体系にしていかなければならないというふうなことを痛感いたしておりまして、そのために大幅に生産性を向上してまいりまして、葉たばこ耕作そのものを近代化していくというふうな方向で施策を検討実施していきたいというふうにいませっかく考えておるところでございます。
  70. 野坂浩賢

    ○野坂委員 構造改善なり近代化をやるということですが、奨励金がなくなると、それだけは農家の負担になるということになれば、生産葉の値上げといいますか、その方によってくるというのは当然ですね。そういうことも考えられて農林省と折衝をされておるということだと思うのですが、農林省の反応はどうなんですか。専売公社の方に聞きます。
  71. 今川演祐

    ○今川説明員 お答えいたします。  まだ結論に達しておりませんし、現在の段階では難航しておるという状況であろう、かように把握しております。
  72. 野坂浩賢

    ○野坂委員 どのあたりで難航しておるのかわかりませんが、政務次官もここにおいででありますから、できる限りこの問題は——たばこの需要は年五%ないし六%ふえておるわけですから、それがまた生産が減になってくれば外国から輸入する、こういう結果になって、国内産葉中心というのが消えてくる。米は先ほど議論したとおりです。そうすれば、日本経済全体を考えてみても、奨励金というものは考えてもいいではないか、一つ一つ押さえてみますと私はそうなると思うのです。それについては事務レベルで話があったと思いますが、植えつけ期も来ますから、もう政治的に判断をする時期じゃないか、それについては政務次官はどのようにお考えですか。
  73. 江藤隆美

    江藤政府委員 ただいまの御意見のように、稲転の奨励金が出ないということは生産者の負担になる、こういうことであります。たばこは御存じのように去年四四・三上げて、ことし一四・九上げました。したがって、ずいぶんとたばこ耕作の方々がいま定着しつつあるということは事実であります。そこで、この奨励金がなくなったならば、生産者の負担になるということであるならば、本来それは葉たばこ価格の中に取り入れて検討されるべきもの、私はそれが本筋だと思っておるのです。今後の水田総合利用対策というものを、稲転事業にかえて、名前を変えてあと三年継続する、こういうことにしておりますが、いつまでも稲作転換で見なければならぬということでは定着しないことになるのではないか、三年たっても同じことじゃないか、こういう問題が一つあります。  それからもう一つは、たばこの問題に今後奨励金を交付するということになりますと、実はこれにくっつきましてイグサの問題が出てきます。これは御存じのとおりであります。そうすると、新潟県あたりのニシキゴイも一緒に入れてくれという話が実は出てまいりまして、いままでの稲転事業と全く内容の変わらないものが継続される、こういうことになりまして、私どもが進めておるいわゆる食糧の総合的な自給度の向上というものからすると外れてくるのではないか、こういう問題があるわけであります。しかしながら、たばこ耕作農民とても同じ生産者農民でありますし、今後の予算編成等のからみもありますが、そこいらのことを万般考えながら来年度の予算編成を目標にこの結論をつけてまいろう、こういうことで各方面の資料をまとめあるいはまた御意見を聞きながらいま準備を進めておる段階でございまして、いまのところ、こういたしますという方向を申し上げる段階にございません。
  74. 野坂浩賢

    ○野坂委員 一応政務次官のお話は私もわかるのです。たとえば農業、葉たばこが三年たっても五年たっても定着しないじゃないか、それならばそれ以外にということならわかるという理屈だと思うのですがね。たとえば私たちのところにも、酪農で裏作に飼料をつくっておる。いままでは地方競馬全国協会から四千円程度もらっておった、それに県も単独でまたこれを補助しておったということをやっておったのです。五年やったから定着した、だからやめる、だからそれ以上にふえたところについては改めて十アール当たり五千五百円程度出すよ、こういうことなんです。ところがもともと定着をしていない、そういうことがあったからやめてしまう、こういうのが日本農業の現実の姿である。そのためにいま柴田君も言いましたように、後継者が昭和四十九年の三月には学卒者のうち一万四千あったものが現状では一万人、あと三、四年すればなくなるのじゃないかというふうなことまで言われておる。いわゆる農業を見直す時代なんですから、そう理屈どおりにはなかなか進んでこないというのが私は農業の実態だろうと思うのです。そういう点を十分踏まえて、いまよりも生産が落ちないように、たとえば四四・三葉たばこが上がった、あるいは一四・九上がった。四四・三上がったから引き合うと見て三千ヘクタール上がったのですよ。ことしはまたもたもたしておるのですよ。下がるということになれば、引き合わなければやめなければならぬ。だから幾らつくれと言っても、その体制をどう受けざらをしてやるかということが一番重要だ、私はこういうふうに思うのです。その点を十分踏まえていただきまして、いろいろありましょうが、稲作の転換を第一義的に考え、あるいは他のものも外国から輸入をしないで済んで日本経済に大きなプラスになるとするならば、十分考えていただきたい、こういうことを政務次官あるいは政府の皆さんに要求しておきます。  次に、いまも言ったのですが、緊急の粗飼料の場合、いまの土地の利用効率といいますか、外国から輸入をしておりますのが大体六〇%もあるわけですから、それを八〇%にまでもあるいは九〇%までにも持っていくということになりますと、現在の土地の使用効率をどの程度まで政府は引き上げるとお考えでしょうか。指数で示していただけば結構です。どなたでも結構です。
  75. 江藤隆美

    江藤政府委員 指数ということでありますから、事務当局で少し整理をさせましてお答えをさせたいと思います。大変恐縮でありますが、これは官房長だと思いますが、いまちょっと席をはずしておりますので、後ほどに御猶予をいただきたいと思います。
  76. 野坂浩賢

    ○野坂委員 それでは、この問題は保留しまして次をやります。  先ほど岡山県の柴田議員からもお話があり、わが県でも非常に大きな被害が予想されておりましたカメムシの問題についてお尋ねしたい。  私のところは、去年、食糧庁長官、いまの三善次官ですか、あのときにやって、くず米業者が大挙来襲してきまして、一俵当たり一時期四千五百円から五千円程度で買うようなことがあったのです。それをいろいろと御配慮をいただいて自主流通米に乗せたわけでありますが、このカメムシ被害による金額が去年大体一億六千万円程度ございました。ことしは一生懸命に指導していただきましたし、県市町村一体となってやりました。農薬代が約六億円必要でありました。ずいぶんかかって、一俵当たり二千円上がった米の値段というものは、カメムシ対策でパアであります。  そこで、このカメムシ防除に対する農薬の補助問題について聞きたいわけでありますが、いままで農林経済局としては調査をしたり指導したりする程度だった。そういう大きな金額でありますから、植物防疫法の第二十五条なり第二十三条にも補助が出せることになっておるわけですから、これについて考えたらどうですか。
  77. 澤邊守

    澤邊政府委員 植物防疫法の規定上、指定有害動植物というものの指定をいたしまして、そのような指定有害動植物につきましては発生予察事業というのを県の協力を得てやる。まず発生予察事業をやりまして、それの予察の結果に基づきまして防除計画というものを立てて防除を実施する。その防除を実施した場合には農薬等について補助することができるというような規定になっておるわけでございますが、指定有害動植物といいますのは「国内における分布が局地的でなく、且つ、急激にまん延して農作物に重大な損害を与える傾向があるため、」特別の対策を要するとして農林大臣が指定するというようなたてまえになっておるわけでございます。  そこで、カメムシにつきまして指定有害動植物に指定したらどうか、こういう御意見が当然出るわけでございますけれども、これは現在全体で二十七種指定をしておりますけれども、稲につきましては大体七種を指定しておるわけでございますが、先ほど申しましたように全国的に普遍化したような有害動植物をこれまでは指定しておるという点からいたしますと、カメムシは中国地方を中心にして現在ふえておりますけれども、全国的に大きな被害を与えているというところまではいっていないというようにも見られますし、さらにまた先ほども申しましたように、指定をいたしますと発生予察事業というのを実施をすることになります。それに基づいて計画を立て実施した場合に助成する、こういう仕組みになっておりますが、現在のカメムシ実態といいますか生理生態が必ずしも十分に判明しておらないという段階におきましては、発生予察事業方法が未確立でございます。  したがいまして、昨年度から農林省におきまして県の協力を得まして特殊調査といいまして、発生予察方法を確立するための調査事業をやっております。これは残念ながらなお数年かかる見込みでございますので、現在直ちにカメムシについて発生予察事業を実施するというわけにはまいらない、こういう技術的な段階にあるわけでございます。したがいまして、それに基づきます防除計画とか、それに基づく防除実施という、法に基づくものとしては行うのが非常に困難な状態にあるわけでございます。  それからまた別の観点から申し上げますと、仮に発生予察事業として明らかになりましても、現在は、発生予察事業を行う方法も確立いたしまして、これの防除につきまして、わが国の場合、この法律立法当時から見ますと、農薬も相当進歩しましたし、防除器材も非常に普及をしておりますし、作物を栽培する場合に、稲作に限りませんけれども防除を実施するというようなことはほぼ定着をしておる。防除をすればそれだけの収益も上がるというような状態になっておりますので、これを直ちに国が助成をするというようなことにつきましては、なお検討すべき問題が多々あるというように考えております。
  78. 澁谷直藏

    澁谷委員長 簡潔にお答えください。
  79. 澤邊守

    澤邊政府委員 もちろん中国地方を中心にいたしまして発生が多くて、地方公共団体で助成しておる面もありますので、私どもといたしましては今後の発生状況を見ました上でさらに検討はしなければいけないと考えております。
  80. 澁谷直藏

    澁谷委員長 官房長の答弁の用意ができたそうですから、官房長。
  81. 森整治

    ○森(整)政府委員 六十年見通しで耕地、飼料作物等につきましての見通しがどうなるかということでございますが、四十七年飼料作物が七十六万八千ヘクタール、六十年になりますと百四十六万九千ヘクタールという見込みを立てております。したがいまして、その場合の耕地の面積は五百七十二万九千ヘクタールから六十年が五百八十四万六千ヘクタール、耕地の利用率について申し上げますと、四十七年が一〇二・一%、六十年が一一四・三%という見込みを立てておる次第でございます。
  82. 野坂浩賢

    ○野坂委員 時間がありませんから……。  日本の農業の場合、土地の使用率の一番高かったころは一六〇%というのがありますね。いまはほとんど裏作がないということを示していますね、一〇二・一。そこで、私たちは酪農その他をやらなければならぬということでいろいろと話し合っておるわけですが、なかなかいい耕地がない。しかも政府はいままであったものも定着したとして取り上げてしまいますから、やめなければならぬということでいろいろと話し合った結果——建設省の方はいらっしゃいますか、あなたのところの一級河川河川敷にずいぶんと草地造成なり利用するところがたくさんある、こういうふうに考えるわけです。     〔委員長退席、坂村委員長代理着席〕 ところが、なかなかめんどうですね。建設省は占用願を出しても、右や左いろいろ言われる、こういうことを聞いておるわけですが、それについては、国策としても、そういう自給率を高めるためにも積極的に提供をすべきだ、こういうふうに思うのでありますが、御見解いかがですか。
  83. 佐藤毅三

    ○佐藤説明員 お答え申し上げます。  先生御承知のように、河川敷地は公共用物として一般公衆の自由な使用に供するということを原則にしておるわけでございます。しかし占用の申請がありました場合には、治水上または利水上支障を生じないかどうか、河川の一般の自由使用を妨げないかどうか、河川及びその付近の自然的及び社会的環境を損なわないかどうかというようなことについて判断をいたしまして、それらの点から見て支障がない場合には許可をするという方針でございます。  それからもう一つの考え方としましては、公共性の高いものがあればそれを優先をするという考え方をいたしております。  そういうことで処置をいたしておりまして、採草放牧地につきましては、現在のところ一級河川で約七千四百件、一万一千ヘクタールの占用を許可しておるところでございます。
  84. 野坂浩賢

    ○野坂委員 ありがとうございました。時間が来ましたので、土地改良の問題等その他若干の通告をしておりましたが、この次にいたします。  最後に、カメムシ被害で去年以上に農薬等を使いまして、わが県の農民は非常に苦しんでおりますから、政務次官に頼んでおきますが、特交等でこういう問題についてはできるだけ配慮をしてもらうように自治省とも連絡をとっていただきたい。  また、局長十分検討するということでありますから、検討というのは前向きで善処するということを前提に検討していただきたい。後ろを向かないように、真っすぐ前に歩いていただくことをお願いをいたしまして、私の質問を終わります。
  85. 坂村吉正

    ○坂村委員長代理 この際、午後一時再開することとし、暫時休憩いたします。     午前十一時四十六分休憩      ————◇—————     午後一時三分開議
  86. 今井勇

    ○今井委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。中川利三郎君。
  87. 中川利三郎

    中川(利)委員 ことしの産米につきまして、政府が当初見込みました以上の、つまり生産調整一一四%の超過達成をしたわけでありますが、それでもなおかつ一〇六の大変な豊作、きのうの委員会でこれを政務次官は豊作米ということを言いましたが、そういう状況になったわけであります。つまりこのことは、このことの今後の処理を含めて農民自体に責任は全くないものだと考えますが、この点について政務次官の御意見をお伺いしたいと思います。
  88. 江藤隆美

    江藤政府委員 ことしは作柄が非常によくて、予想以上の豊作を悪天候の中にもかかわらずおさめたということは、私ども御意見のとおり大変喜ばしいことだと思っております。したがいまして、生産調整を十分行って、なおかつ増収をしたその分については、それはもちろん農民側に責任はないものと私どもは思考いたしますが、中にはこの達成率が十分でない県もありまして、そういう問題はまた別のことであろうかと思っております。
  89. 中川利三郎

    中川(利)委員 いずれにいたしましても、政府が当初生産調整というか、転作奨励をやったわけでありますが、これだけやってくれれば単年度の需給は大丈夫だ、こういうことで政府が責任を持って示したのがあの数量なわけですね。それをそれ以上に農民協力しているわけですね。私のところでは一一八%。全国的には先ほど言いました一一四%でありますが、これがいま農民責任の中で何か押しつけられて解決されようというような、そういう気配が感じられるわけでありますが、いずれにいたしましても、これは一〇六の作況でありますから、数量的に見ますと七十五万トンの超過米が予測されるわけであります。  私のところは御承知のとおり出かせぎ地帯でございまして、いまじりじりしながら出かせぎに行かなければならない。さて、この問題をどうしたらいいのか。もう早いのは、せんだってテレビでも皆さんごらんになったと思いますが、もう第一陣が集団で汽車で出発しているわけであります。そこで、七十五万トンというように予想されております超過米について、こういう出かせぎ農民を控えた農村地帯として一体どうしてくれるのか、こういうことが最大の課題になっているわけでありますが、これについてひとつ御意見を承りたいと思います。
  90. 江藤隆美

    江藤政府委員 超過米を早く処理するということは、これはもう御意見のとおりであります。ところでことしは、御案内のように政府米が六百三十五万トン、自主流通米が二百五十万トンと見込みを立てまして、それで単年度の需給計画というものを立てておるわけでありまして、目下農林省において十一月一日現在の集計が間もなく実は出ようというところであります。いま米の最盛期でありまして、出荷が盛んに行われておりますから、これらの調査結果と相まって、私どもはなるべく早く処置するようにいたしたいということで、鋭意取り組んでおるところであります。
  91. 中川利三郎

    中川(利)委員 ただいま鋭意調査中だ、その結果を待ってなるべく早くひとつ政府の対応を決めたい、こういう御返事でありますが、それはいつごろのことなんですか。時間的にはいつのことです。
  92. 大河原太一郎

    大河原(太)政府委員 ただいま政務次官お答え申し上げましたように、本年は作の進み方も早い、検査なり出回りも比較的早い、したがって例年よりは早くその超過米の数量の的確な把握、対策の前提となります超過米の把握は可能であろうということで鋭意努力をしておるわけでございますが、やはり西と東との作が非常に違う。したがって、そういう全体を見ますと、十一月の中旬以降、やや幅を持って恐縮でございますが十二月の初めにかけてというふうに確かなるところは申し上げざるを得ないと思っております。
  93. 中川利三郎

    中川(利)委員 先ほど言いましたように、出かせぎという問題を皆さん控えていらっしゃるわけですね。そういうことに対して十一月の中旬以降だあるいは十二月の初めだということは、一体これはどういうことですか。同時に、あなたは十一月中旬以降に超過米対策を例年より早くやるんだと言っていますけれども、十一月中旬以降十二月初めということは、この間で県間調整をやるということですか。
  94. 大河原太一郎

    大河原(太)政府委員 お答え申し上げます。  事柄としては二つあると思います。  一つは、作が進んでおって出回りも早いと申し上げましたが、政府の末端の買い入れなりあるいは自主流通の前提となる検査状況なりあるいは政府米の買い入れ状況を見ますと、まだ東北全体といたしましても四割程度でございます。だからそういう意味で、やはり全体の——個々の農家にとりましてもあるいは農協別にとりましても、その点の数量と最終の数量までにはなお時間があるということを申し上げたわけでございます。  それから後段は、県間調整もその間に済ますのかという御指摘かと思いますけれども、これは的確な数量で県別の数量というものの把握をする段階でございますので、きょう時点ではいつごろということは申し上げかねるわけでございますが、この超過米の処理をできるだけ早くいたして、末端の農家の方にも御不安をかけないという点からいえば、可能な限り早めて行いたいというふうに考えております。
  95. 中川利三郎

    中川(利)委員 可能な限り早くやる、きのうの質問の中でも、県間調整を待たなければ、あるいは調査実態を把握しなければだめだ、それを待ってということでありますけれども、そうすると、そういう実態調査が十分把握され、県間調整が段取りされるというのは一体いつごろになるのですか。
  96. 大河原太一郎

    大河原(太)政府委員 県間調整の終了はやはり来月の初めになるかと思いますが、事柄の処理といたしましては、大体県間調整もやっぱりこれは超過米と同じ問題でございまして、県別のどの程度予約限度数量のすき間があるか、要するに県間調整に回し得る数量があるかというものの見通しは、実際の県間調整以前に超過米の数量の把握を早急にやる、的確な把握を早急にやると同様に、できるだけ早くつかまえたいということでございます。数量の把握と県間調整の可能性の見通し、この二点から本年の超過米そのものの取り扱いを決めるべきものだというふうに考えております。
  97. 中川利三郎

    中川(利)委員 そうしますと、超過米の数量把握が一つですね。それから県間調整の可能性の見通し、それが二つ目、それを含めて判断する。私の持っておる資料によりますと、四十八年、四十九年の県間調整の経緯というものを書いたのには、これは皆さんの資料でありますが、四十八年産米は第一回が十二月二十六日になっておるですね。第二回が四十九年の一層二十四日、第三回が二月十四日、第四回が三月二十五日、つまり三月二十五日までかかっておるんですね。四十九年を見ましても、十二月十六日が第一回で、最終の四回が二月の二十四日なんです。あなたのいまのお話だと、そういう何というか、来年の二月か三月にならなければ実態の把握ができないということになるわけじゃないですか。県間調整を待ちなさい、出来秋調整を待ちなさい。農民は一体どうしてくれるんですか。
  98. 大河原太一郎

    大河原(太)政府委員 申し上げます。  実際の県間調整として正式に各県に、この県に対しては超過がこのくらいあるけれども、よその県から枠のゆとりはこれだけだからこれだけ差し上げる——差し上げるという言葉は過ぎるかもしれませんが、回す。それからまた、この県は当初の予約限度数量はこれこれであったが、実際の出回り状況はそこにあれがあるからその枠を返してもらうというようなことを行いまして、最終的に正式にその数字をお示ししたのがただいまの時期でございます。  実態を申し上げますと、各県とも最終的には、予約限度数量を余す県につきましてもやはり出回りがすべて出回りませんと、そこにいろいろ見通しの懸念等もございます。したがって、私のところは限度枠から相当の、このぐらいの余裕が出そうだということを県の方からおっしゃっていただく時点というものがずれるというような経緯もあるわけでございますが、先生のただいま問題にしておりますのは、やはり発生が大量に見込まれそうだという超過米の処理だということになりますと、その数量いかんがその処理方法その他についても非常に関係するわけでございまして、それについてはその数量自体の見通しとともに、非常に関係する県間調整の見込み等についても、本年は特別な年でございますので、最大限の努力をいたしたいというふうに申し上げているわけでございます。
  99. 中川利三郎

    中川(利)委員 いまのお話聞いたって、別に期限の問題は何も正確に答えていらっしゃらないわけですがね。できるだけ早くということですね。  私の方の秋田県で言いますと、今年度の予想される超過米が六万四千七百トンあるんですね。これだけ出るということになっておるのですよ。これは七十五万トンの全国的な超過米の約一割弱でありますけれども、日本最大なわけであります。一一八%も生産調整に協力して、そうしてこういう結果にわれわれは陥れられる。しかも出かせぎはいまもう目と鼻の先に来ている。そういう状況の中で、いつどうしてくれるのか。もうすでに秋田県からはこれだけ出ますよと、はっきり言うてきているわけですよ。だから、そういう点で県間調整云々ということをあなたはおっしゃいますけれども、もう早急に対策を立てなければならない。東北全体で言えば三分の一、三分の二ですか、あれは東北ですね、二十二万トン出ると言っていますからね。しかもおたくの書類によりますと、「水陸稲の作況調査方法」という、なぜ作況調査をするかというその方法を書いた文書がありますが、この「調査の目的」を見ますと、「農作物の作柄概況、予想収穫量及び収穫量を早期にかつ正確には握して、応急技術対策、食糧の需給調整、農産物価格の安定、」云々ということが書いてあるのだね。だから、県間調整とかなんとかということは必要なくて、いまさしあたりこういう点であなた方が応急の見通しを立てなければ、何のために大枚の金をかけてこの作況調査をしたのか意味がわからなくなるじゃないですか。
  100. 大河原太一郎

    大河原(太)政府委員 本年の強い作柄、特に東北なり秋田等の作況の良好さからいろいろな御指摘があるかというふうに思うわけでございますが、十月十五日現在の作況から予約限度数量を引いたものが即、果たして超過米に実際なるかどうかという点については、例年の例も結果においていろいろ変動いたします。したがって、現実の出回り量はどの辺であるかという点についてわれわれが判断いたすのについては、まだなかなかむずかしい事情があるということでございまして、るる申し上げているわけでございますが、その点で先生は秋田の作況指数から予約限度数量を超えた数字としていまの数字のお話があったかと思うわけでございますけれども、集荷量が秋田もたしか、私ちょっとあれでございますけれども、約四割程度の検査数量、政府米、自主流通米の出回り状況でございまして、そういう点から見ますと、豊作から農民農家方々あるいは農業団体の方々が非常に懸念いたしまして、いろいろそういう数字をおっしゃっておるというふうにも受け取られるわけでございまして、私どもとしてはその点については繰り返すようでございますけれども、できるだけ早期に的確な数量を把握したいというふうに考えております。
  101. 中川利三郎

    中川(利)委員 できるだけ早期と言ったって、そういうことではどうにもならないという現状がここにあるわけでしょう。しかもあなたは、結果において変動するのだと言うが、どのように変動するのですか、結果において。政府の買い上げ数量というは決まっておるでしょう。あるいは自主流通米向けというのは決まっておるでしょう。どこで変動するのですか、それは。
  102. 大河原太一郎

    大河原(太)政府委員 この辺の事情については十分御案内のことと思いますけれども、予約限度制がしかれました四十六年以降、特に最近の両二年、三年を見ましても、やはりこの超過米が発生はしております。四十八年、作況指数がこれは一〇六でございました。本年と同じ最終作況指数が一〇六でございましたが、その作況指数の場合におきましても、その後の諸般の事情から当初見込んだ数字等もいろいろあれをしておる。したがって、その対策の講じ方も数量のいかんにもよるというのが第一点。それで、過去の例におきましては、御案内のとおり自主流通ルートでこれを全量片づけていただきました。そういう点もございましたので、いずれにいたしましても数量の的確な見通しいかんという以外にはないというふうに考えておるわけであります。
  103. 中川利三郎

    中川(利)委員 四十八年も一〇六であった、結果的には七万三千トンだか少ししか残らなかった、なぜそうなったのですか。結果が何となくそうなったということですか。政府の買い入れ数量が決まっておるのでしょう。自主流通米向けも決まったでしょう。それなのに、当然余るべき約四十万トン、三十九万何ぼと言っていましたが、それが七万三千トンになったというのでしょう。なぜそうなったのですか。何となくそうなったのですか、どうなんですか。
  104. 大河原太一郎

    大河原(太)政府委員 お答え申し上げます。  この点についてはわれわれもいろいろ過去の事情を考えて検討しておるわけでございます。御案内のとおり、四十八年にも計画生産量を三十万トン以上超えた実収量がございました。四十九年はそれほどでございませんが超えました。その場合に、四十九年は結果として超過米が出なかったわけでございまして、われわれの見方では、これは農家段階の処理と申しますか、あるいは在庫を増すとかあるいは豊作の年でございますと物々交換とかあるいは贈与とかいろいろな形で、過去の実例から見ますとそこでの数量の増減というようなことがございまして、結果においてその数字が、要するに生産量マイナス出回り量というものが農家の段階の数量の変動によって調整されたというふうにわれわれとしては思っております。  これは、かつて非常に供出制度がきつくて食糧事情がきつかった場合におきましても、本来の生産量と農家の消費の積み上げの数字よりも政府の買い得る数量が少なかった、買い入れ比率が少なかったわけでございまして、そこの実態は一応前提として物を考えていきたいというふうに考えております。
  105. 中川利三郎

    中川(利)委員 私は何を言っているかさっぱりわかりませんよ。つまり四十八年で言いますと、水稲収穫作況指数は一〇六だ、いま言ったとおりですね。水稲、陸稲合計でこのときは千二百十四万四千トンなんですね。そして政府の計画数量は千百七十五万トンですから、超過米はちょうど三十九万四千トンなんです。ところがおたくは、やってみた結果実際は七万三千トン、何となく現実的にはそうなったということで、その理由を農家消費がいろいろ変わったのだ、こういうふうに言っているわけですね。農家消費のどこが変わったのですか。つまりあなたは物々交換したとか言うが、物々交換して三十万トン近いものがなくなるのですか。
  106. 大河原太一郎

    大河原(太)政府委員 これは私が先生の御質問に対してやや先の方まで申し上げた理由でございまして、二十年代、三十年代の初めの義務供出制の非常に強い時代におきましても、農家の段階で動いた数量は、生産量から農家消費を差し引いた以上のものがあったというふうに考えております。したがって、これは農家の段階で言いますと、買い入れ基準数量でございますが、この買い入れ基準数量は政府に売るか自主流通で回すかという数字でございますが、それを超えた場合には、そのときの農家判断取り扱いをしておる。過去には農家の消費の変動が需給上非常に響くということで、われわれ食糧庁としてもいろいろの例を一貫して調査をしておりますが、豊作の年等においては必ずしも系統を通して正規の販売をしないような農家も実はある、あるいはいま申し上げましたように、ちょっと例示的に申し上げましたような物々交換とか、贈与とか、そういうようなかっこうで相当の数量が豊作の年には動くというふうにわれわれ承知しておるわけでございます。
  107. 中川利三郎

    中川(利)委員 四十八年で言えば、三十九万四千トン余り米の予定が七万三千トンあったというから、残りの三十二万トンはどこかへ消えたわけですね。農家消費そのものは、おたくの資料にもありますけれども、三%くらい減っているのですよ。だから農家が腹一ぱい食べるということでもない。しかも、いまあなたははしなくも系統を通して販売しない農家もあると言うけれども、これはやみ米を流している農家もあるということですか。やみ米をあなた方は認めたというか、そういうことを暗黙の中で当然だとしていらっしゃるのですか。
  108. 大河原太一郎

    大河原(太)政府委員 この点については、食糧管理制度のたてまえから言いますと、売り渡しなり譲渡については規制がございますが、現実の問題として、われわれが生産統計と政府の買い入れ統計という二つからその集荷実績、行政上把握し得る集荷、これは自主流通米なり政府買い入れ、それと、それから統計情報部の推定実収量、そういうものから見ますと、そこに数字もある。それから先生指摘のように、農家の消費、食べる量と、以外を考えてみても、そこに差がございますので、その部分について申し上げているわけでございます。
  109. 中川利三郎

    中川(利)委員 何だか苦しいような答弁だけれども、私は四十八年だけの例で言っても、三十二万トンというものはどこかへ消えてなくなったのですよ。よけい農民が食べたということでもないのですよ。あなたは物々交換したと言うけれども、三十何万トンも交換できるわけがないでしょう。そうするとこれが当然おたくのようないまの施策の中ではやみ米に流れていかざるを得ないということになっているのじゃないですか。その部分が結果として七万三千トン何とかなったということの中身じゃないか、この点はっきりしてください。  同時に、こういうやみ米で流れていくことを政府は黙って当然だとしているのですか。この二つについて答えてください。
  110. 大河原太一郎

    大河原(太)政府委員 お答え申し上げます。  推定実収量と、食糧庁として把握しております出回り量との差という問題をどう見るかというお話でございます。これについては、供出制度のきつい時代からいろいろその実態というものを見てきたわけでございますが、先ほど申し上げましたような農家が手持ちをする、在庫としてふやすとか、あるいはただいま申し上げましたような処理とか、あるいは一部恐らく不正規米に回る部分もあるだろうという、いろいろな要素のことでございまして、先生おっしゃるように、一概に全部それが自由米に回る、不正規米に回るというふうにはわれわれとしては承知しておりません。
  111. 中川利三郎

    中川(利)委員 いろいろな要素がという、そういうあいまいなことで……。  そうすると、結果的には何とかなりました、県間調整やってみたら七万三千トンくらいしかなかったなんというようなことで、そのこと自体が大変な問題を含んでいるのじゃないかということで聞いているのですよ。いろいろな要素という、その中には大きな部分がやみ米に流れている。むしろ政府はそれを奨励しているというかっこうにならざるを得ないのじゃないですか。  そこで、そういうことだと思うのですけれども、現にあなたにいま質問した中で答えていないのは、政府はやみ米そのものをちゃんとその部分に流れるだろうということを織り込んでいるのじゃないですか。この点について返事がなかったのですから……。
  112. 大河原太一郎

    大河原(太)政府委員 農家が現実に政府売りの義務数量を果たした後の米の取り扱いという点については、われわれは四十八年には自主流通ルートで超過米の販売の道を助成して開きましたが、それを選択するか、あるいは在庫を増すか、それはやはり農家の選択にもよるわけでございまして、われわれとして、先生のお言葉のように、やみ米を助成してその形で行政の責任を逃がれるというようなふうには毛頭考えておらないわけでございます。
  113. 中川利三郎

    中川(利)委員 一定の義務を果たした後の選択は農家の勝手だ——あなたは一方では生産調整ではわずかのあれだというので青田刈りさせたり、ものすごく厳しいのですよ。もう厳重きわまるものでしょう。農民を泣かしているでしょう。片っ方で超過米が出た、これは一定の量の外側だから適当に取り扱ってもいいということであれば、実態としては、政府が県間調整だ、出来秋調整だなんてことで先延ばし延ばしていると、やみ米に流れざるを得なくなるんじゃないですか。だから客観的にはおたくはこれを奨励して、これを計画に組み込んでいるのじゃないかということを聞いているのですよ。その点をはっきりしてください。
  114. 大河原太一郎

    大河原(太)政府委員 お答え申し上げます。  繰り返しになりましておしかりがあるかと思いますけれども、われわれの方といたしましては、先ほど申し上げましたように、超過米については、食管制度のたてまえとして政府売りか正規の自主流通ルートの道を開いておるが、さらに超過米が発生した場合の取り扱いとしては、自主流通ルート、これは食管法なり……(中川(利)委員「聞いたことに答えてください」と呼ぶ)ええ、自主流通ルートの道を開いて、農家の選択によりましてその処理が可能な道を開いておるわけでございます。ただ、この場合はやはりその年の需給の状況その他から、これに対して国が必要な助成をしてこの処理を図るというふうにいたしておるわけでございまして、先生がおっしゃるように、全く農家に対してこれは他の方法で片づけろというふうには考えておらないわけでございます。
  115. 中川利三郎

    中川(利)委員 そういう食糧庁が、「食糧管理月報」というものがあるね。これはこの三月号だ。これは編集者が、食糧庁内食管月報編集委員会で編集しているものですね。おたくのこの文書を見ますと、こう書いてあるんだ、ことしのことで。「最近の米の需給事情」という解説が書かれていますが、この「需要量」のところで「農家消費等は三百五十万トンで、」そのとおりになっていますね。「その内訳は自給消費二百四十万トン、自由米百十万トンである。」農家消費の内訳を書いてある。このとおり。これは大変なことですよ。それでそのほかに、「過去のトレンドから一人一年当り消費量は年率三%減少して五十年度は百十七・〇玄米キログラム」云々と言うて、その消費が農家の中で落ちていることが書いてある。「自由米は、その性格から発生量がつかみにくいが、平常年における発生推定量百十万トンと見込まれた。」あなたの計画の中に見込んでいるということです。「需給計画樹立に当ってどの程度織込むか苦慮するところである。」その見込み方の苦慮のその中身まで、苦心惨たんのところまで書いてあるのですよ。これは一体どうですか。おたくでこういうものを、ちゃんと「自由米百十万トン」と書いてあるじゃないですか。
  116. 大河原太一郎

    大河原(太)政府委員 これは先ほど、やや冗長になりますけれども、二十年代の供出制度のもとにおきましても、政府が厳しい環境の中で需給操作をするためには、政府の買い上げ比率が非常に問題でございました。したがって、農家の保有高の調査について、一定の統計調査方法に基づきまして調査をしてきたという数字の一つの継続的な数字でございますが、政府販売米、自主流通を含めた政府販売米とその他販売というようなことになっておりますが、これは、その自由米という、その他販売という言葉自体、先ほどそんなばかなことはないではないかと先生から御指摘がございましたように、物交とか贈与とか、その他一切の政府売り以外のものの処理をやったわけでございまして、それらを含んでいる数字というふうに承知しておりますし、過去のトレンドから見ましても、昭和二十年代あるいは三十年代におきましてもそのような実態に相なったということでございまして、まあ農家の本来政府に対して自流米なり政府米として売る以外の数量というものについて農家の選択によって処理されておる分だというふうに考えておるわけでございます。
  117. 中川利三郎

    中川(利)委員 あなた何を言っているんですか。つまり、おたくの方の食管のこの「食糧管理月報」を見ましても、やみ米を含めた需給計画を立てるに当たって、どの程度それを織り込めばいいか、大変頭が痛いところだと書いてあるわけですね。しかも百十万トンだ。あなた、何か贈与が多くなったなんて、何も客観性のない、物的証拠のないような発言でごまかしたって困りますよ。あなたのようなやり方をするからこそやみ米が出て、またどんどんやみ米を奨励して、何とかふえないか、ふえないかということのために、県間調整だとか出来秋調整だとか、そんなことを口実に持ち出しているにすぎないんじゃないですか。
  118. 大河原太一郎

    大河原(太)政府委員 直接の前段の部分についてお答え申し上げますが、農家保有等、農家消費等というのが全体需給の際の数量の見方でございますが、この数量につきましては現実の全体需給を考えますので、正規の政府流通以外にその部分をある程度見ざるを得ない。ただし、それをどう見るかという点についてなかなかむずかしい問題があるということを、その「食糧管理月報」の数字は申しておるというふうに私ども承知しております。
  119. 中川利三郎

    中川(利)委員 あなた、私の質問に答えていませんな。答えられないということは、これはもう現実にそうならざるを得ない状況をあなた方つくり出しているということの証明以外の何物でもないと思いますね。だから、たとえば日本経済新聞の十月三十一日、「市況展望」というのがありまして、自由米のことが書いてあります。「収穫期が終わり、十一月は年末を控えて農家の資金調達が本格化し、余剰米が自由米市場へ相次いで流れ込むことは必至。」なんということが書かれてあるんですね。こういうことを堂々と書かれているということについて、あなた方はいまの話のとおりのようなあいまいなやり方をしておったならば何ら農民立場に立っていないし、まことに私は不当なやり方だと思います。  同時に、この問題だけで時間とってもなにですから次に移りますけれども、今度あなた方、先ほど、自主流通米ルートに乗せるんだ、こう言っていますけれども、これを乗せて消化できるという自信なり確信なりありますか。
  120. 大河原太一郎

    大河原(太)政府委員 お答え申し上げます。  自主流通米につきましては、四十四年から発足いたしまして、当初足踏みをしておりましたが、四十七年、八年、九年というふうに、先ほど政務次官おっしゃいましたように本年は二百五十万トンでございますが、四十八年、九年、それぞれ目標量を上回った自主流通米の流通が達成されたわけでございます。したがいまして、たとえば数字に即して申し上げますと、四十九年は目標の二百四十万トンに対して二百七十万トンの指定法人からの卸売業者に対する売り渡しがあったという点から見ますと、本年の二百五十万トンのわれわれが予定しております目標についてはそう過大ではないではないかというふうに考えております。もちろん最近の諸般の情勢から、自主流通米の売れ行きという点についていろいろの懸念する向きもございますけれども、この自主流通米制度の定着と本年の予定している数量という点から見れば、われわれはその目標は達成可能と思っておるわけでございますし、農業団体なりあるいは卸売業者等関係者も、その目標達成に努力しておるところでございます。
  121. 中川利三郎

    中川(利)委員 「市況展望」、先ほどの日経のあれを引き出すまでもありませんが、こう言っているのですね。「消費者米価引き上げに伴う仮需要の余韻で十月も四十九年産米中心に食糧事務所の売却計画が達成出来ず、大阪の一部登録卸は三〇%ものわく返上に乗り出すなど予想外の売れ行き不振が続いた。流通段階には値上げ前の安い米が滞留、白米の需要不振もあって在庫整理が大幅に遅れたためである。現在、業者が手持ちしている古米の消化には十一月いっぱいかかる見通しである。」こういうふうに書いてある。また、政府が百六十八万トンの自主流通米云々ということを言っておりますが、肝心の全農に聞きますと、百四十七万トンしかさばくことができないのだ、それ以上は困難だと言っているのですよ。それに対してさらにこの超過米が追い打ちをかけられたら、全くお手上げだということを言っているのですよ。だからあなた、何の根拠で、ただ前の年がそうであったからというようなことで、これはそういうことではごまかすわけにはいかない問題だと思うのですね。この点どうですか。
  122. 大河原太一郎

    大河原(太)政府委員 自主流通米が四十八、四十九、相当伸びたが、最近の需要というものについては地合いが重いと申しますか、その伸びが鈍化しておる。それについての話は私ども承知しております。先生のただいまの日経新聞の御指摘の点などもその一つかと思うわけでございます。ただ、これにつきましては先ほどの御質問にお答えしたとおりでございますが、飯用ウルチ米の集荷と消化の問題について先生から百四十七万トンというふうな非常に具体的な御指摘があったわけでございますが、私どもとしては、四十九年度は百七十九万トンというような指定法人から卸売業者への売り渡しの実績を持っておりますので、この百六十八万トンの集荷なり消化という点については、現段階で先生指摘ほどの悲観的な見方をしておらないわけでございます。  もう一つは、自主流通米の上乗せをして自主流通ルートに販売いたすという場合の数量でございますが、これはもう初めから申し上げておりますように、いかなる程度の数字がわれわれとしてこなすべき数量として出てくるかということとも関連するわけでございます。
  123. 中川利三郎

    中川(利)委員 百四十七万トンという非常に具体的な数字を私は挙げた。全農から私は呼んで聞いたのですよ。ここに全農の「自主流通米の情勢(五十年産米)」という印刷物がありますが、それを一つ一つ見ながら聞いて、肝心の自主流通米を押しつけられるというか、責任を持たせられる全農側がこういう発言をしているということですよ。この点、政府は何も責任ないから勝手なことを言うていいかもわかりませんが、肝心の当事者がこう言っているということを、あなたひとつはっきりしていただかなければならないと思うのですね。  同時に、あなたが売れない自主流通米をどこまでも売ろうというようなことをやるものですから、どういう悲惨なことが末端で起こっているかということです。きょう私のところへ福島県の会津の新鶴村のある関係者農民の方から手紙が来まして、これによりますと、これは福島県経済農業協同組合連合会の便せんを使っていますけれども、ここの福島県の経済連ではこういうことを言っているのです。「五十年産米の国の需給計画」と書いて、前段省略しますが、「以上のことから、自主流通米計画二五〇万トンの達成見とおしがつくまで、政府買入計画数量は一〇〇%検査させないで、自主流通米の検査を促進させるため、検査指図をおさえている。」これは国がこういうことを末端に流しているのですよ。だからこういう通達みたいなものが経済連から出ているのですね。それから「今回の見とおし」という欄を見ますと、「政府米として売渡ししようとしても、その分の検査は、全国での自主流通米集荷見とおし(二五〇万トン)がついた後でないと検査は出来ないものと思われる。」、これは一体何ですか。  さらにせんだっての新潟県の新潟日報というものの十月十六日号にはこう書いてある。「買い入れ限度数量内での今年の本県米の検査は、政府米向けが予想以上に出荷されたのに対し、自主米向けが思うように出ないアンバランスを生み、政府米向けの検査がストップして問題になっているが、県農協中央会は十五日、役員会でこの問題を協議した結果、県経済連から示された「自主米向けの米の不足分二万四千トンは政府米向けの米を自主米向けとして集荷したい」との方針を了承した。」、これは大変なことじゃないですか。つまり非銘柄米であろうと何であろうと、もう政府があれだけうるさくやるから何でも押し込めてしまわなければならないという、こういうことがいま現実に行われているということでしょう。現に先ほどの前段の福島の会津高田農協の場合では十月二十九日から政府米の検査がストップしている。本日、十一月六日ですが、きょう自主流通米を出さないと政府米分を検査しないということをはっきり告げるんだと言っているのです。こういう事態が末端で起こっているということについて一体どう考えるかということです。しかもこの中で零細な農民方々は金が入ってこないものですから、もう毎日の生活にも事欠く状態に陥っているという問題が出ているのですよ。どうですか、これは。
  124. 大河原太一郎

    大河原(太)政府委員 お答え申し上げます。  御案内のとおり、自主流通米は全国団体としての系統では全農でございますが、その全農がその五十年産米の自主流通計画を県別に立てまして、県別にこれを示して、指定集荷業者である県連では、単協にその目標をおろす。そして生産者の段階では、予約制のもとで買い入れ基準数量というものがございまして、生産者はこれを政府米と自主流通米に売るわけでございますが、単協としては、その系統全体の自主流通の計画のその単協分ということで仕分けをするわけでございます。この点については、本年はやや残念ながら中央から下へおりる自主流通計画がおくれたという事情がございまして、しかも出回りが早かったという点から、末端では単協がそれを振り分けまして、政府米としての検査請求あるいは自主流通米としての検査請求をいたしておるということに相なっておりますが、その辺のことで地域によって混乱があったというふうに承知しておりますが、われわれといたしましても御指摘の新潟県とか、その他山形県とか、そういうような現地からの話も聞いておりますので、いろいろ自主流通の目標の末端までの徹底と、またいたずらに検査のストップをしているというような印象を受けないような、政府米への買い入れ指図というようなものについても現地の実情に応じて努めているというのが実情でございます。
  125. 中川利三郎

    中川(利)委員 あなたは単協の振り分けだ、単協の主体的な、自主的な振り分けによってそうなっているんだと言うが、とんでもない責任のがれですよ。現に経済連の文書を見てもそうではなくて、おたくのそういう姿勢がこういうところへ農民をみんな追い込んでいる、農協を含めて。だからこういう問題が起こっているわけでしょう。しかも非銘柄米まで自主流通米に押し込めるなんということは、まさに混乱を大きくさせる一番の大もとであって、これが福島や新潟だけでなくて、千葉でも起こっているし、方々に起こっている。茨城でも起こっています。こういう状況で、これから注意しますとか指導しますなんてとんでもない話ですね。根本にはおたくのそうしたやり方が問題になっているということは当然ではありませんか。  しかも私聞きたいことは、たとえば私の方の秋田県ではキヨニシキという銘柄米がございますけれども、これは当初の自主流通米に回すのが一万トンでしたね。ところが、後から三万トン上積みされた。なぜそうなったかというと、つまり新潟県の方で何か大量に農民方々が抵抗した。このこと自体、いいことですよ。しかし、その三万トン分をすっかり秋田の方へ回されて自主流通米分として四万トンだというのですね。ところが、これがキヨニシキだけ二十万トンつくられているわけでありますが、残りの十数万トン、四万トンを除いて十六万トンですか、これが政府米になるわけですね。そうするとどういうことが起こるかというと、同じ銘柄が二つの価格を持つということですね。そうすれば安い政府米が売れて、自主流通米の分は安くしない限り売れ残ることになるのは当然です。だから、大体一物二価というのは商品経済の基本から見て一体どうなんですか。一物二価、どこにこんなばかなことがあるものかとわれわれは思いますけれども、あなたは賢明な方ですから教えてください。
  126. 大河原太一郎

    大河原(太)政府委員 お答え申し上げます。  銘柄制度の導入については、もう相当時間もたちますが、銘柄制度消費者の良質米に対する要求に応じた、しかもそれによって、いわば自主流通ルート等によって、消費者の選好に応じた流通が行われ、しかも農家においても政府の買い上げ価格よりも有利なメリットが得られるというようなことで進んできたわけでございますが、現実の銘柄米の指定を見ますと、やはり銘柄だけではなくて、優良米としての適格可能性というような分まで判断いたしまして、銘柄の指定が全量自主流通に回るというようなこと、またその銘柄については政府も六十キロ当たり四百円等の奨励をしておりますので、その作付が非常にふえておる、したがって、自主流通として本来こなせられる以上の作付が行われて、それが政府米に回ってくるというようないわば現実の姿があるわけでございます。  先生の御指摘等の方向を発展いたしますと、自主流通に回るもの、売れるものだけを銘柄米とすべきではないかというようなお話もございますけれども、銘柄については六十キロ当たり四百円というような奨励金等もついておりまして、農家のそのような銘柄を政府米とすると、自主流通に乗りにくいような産地銘柄、品種銘柄をつくっておられる地域農家にもいろいろ影響をするというようなことでございますけれども、本来の制度というものから今後十分検討すべき問題であるというように考えております。
  127. 中川利三郎

    中川(利)委員 一物二価なんということは商品経済のたてまえから言ってもおかしいわけで、そういう点で自主流通米そのもののあり方がいま問われているのです。したがって、こういう事態が当然起こり得るわけであるから、あるいはことし流通米分は売れる努力をすることは当然でありましょうけれども、こういう状態の中では、自主流通米が売れるまで政府米の売り渡しを控える措置をとるとかというならばまだ話がわかるわけですが、この点はどうなんですか。  時間のこともあるから、ついでに少し言っておきますが、その点が一つと、秋田では四十九年産米で自主流通米に回したものがUターンしてまいりまして、キヨニシキだけで二月末で四万二千トン、俵数にして七十万俵、九月末になりましたら一万四千二百五十九トン、俵数にして二十三万七千六百五十六俵、これがUターンしてまいりましたものですから、県経済連がこうむった損失だけでも一億四千四百万円だ、これを何とかしてくれというような悲痛な叫びがいま上がっているわけですね。こういうことはことしの米についてはちゃんとなくなるのですか、はっきり約束していただけますか。
  128. 大河原太一郎

    大河原(太)政府委員 御案内のとおり、自主流通米につきましては、指定法人の集荷団体である全農と卸業者等の実需者話し合いをして、本年は全体として自主流通目標をどの程度に立ててどうだ、これは大体政府の需給計画の方向にのっとった数字になるわけでございますが、それによって自主流通米の集荷が行われるわけでございますが、やはり指定法人、全農等が卸に対してその約束の数量を確保するためには、玉ぞろえをやや多目にいたすというふうな取り扱いになっております。その結果全部が消化されないというような事態が起きて、その顕著な例が先生指摘の秋田の例ではないかと思うわけでございます。  本年は、そういう事例もございますので、全農が全国的な、その自主流通の集荷計画にいたしましても、また各県も、その点については十分実情に見合った集荷をいたすというふうに指導いたしておりますので、またと再びそのような事例は起こらないようにいたしたいというように考えております。
  129. 中川利三郎

    中川(利)委員 問題は業者と全農の話し合い、政府は何ら責任がない、こういうことに聞こえるわけでありますが、その全農さんでさえも、ことしの米については百六十八万トンと言うけれども、百四十七万トンしか売り上げがやれないのだ、そのほかの超過米なんというのはとんでもない話だということを言っているということを、先ほど来私、口を酸っぱくして申し上げておるわけでありますが、そういうものをごり押しをする皆さん方の姿勢が、末端でいろいろな悲劇をたくさん生んでおるわけです。いずれにいたしましても、政府に責任のあるものを、農民や全農や卸業者にしわ寄せしているわけですね。そういうことでなくて、あくまで政府が基本を貫いて、やはりやみ米をなくしていく、食管の根幹を守る、無理な自主流通米をやめさせて、政府価格でそれを買い入れるということが何としても根本になるのです。それでこそ初めて正しいルールに乗っていくのだということ、私が先ほど来強く主張したことはそこにあるわけであります。時間の関係もありますから、この点についてあなたのひとつ御答弁をいただきたい。  それから、消費拡大の問題もありますが、きのう次官は学校給食にひとつ全面的に米を取り入れたい、五年後にはそういう事態が全国的に普及するようにしたい、こういうふうにおっしゃっておったわけでありますが、それについて私は、全国的に普及すること、そのことには異議が一つもないけれども、さしあたって希望する学校には米飯給食をすぐにやる、そのためにはいろいろな問題があるわけでありますが、とりあえずそれが高ければ父兄負担がかかるわけでありますから、学校給食用の米は小麦並みにいくかどうかは別にしまして、その程度熱意を持って安く配給してやる、こういうことなのかどうか。そういうことでなければ単なる空念仏に終わるわけでありますから、そこの点をはっきりしていただきたいということと、きょうは文部省も来ているようでありますが、わが農林政務次官は、きのう学校給食について大変な確信あふれる御発言があったわけでありますが、文部省として何ぼかのネックもあるようなことも漏れ承っているし、しかしそうでもないというようなことも聞いているわけでありますが、こういう農林省の意欲に対してどうこたえていくのか、この点をはっきりしていただきたい。  それから、備蓄問題がきのうからも出ているわけでありますが、政府が在庫しない限りどこかにしわ寄せがいくのです。やみ米に流れていくか、あるいは業者の手持ちになるか、農民の手持ちになるか、だれかがその分を負担しなければならないということになるわけです。つまり、先ほど冒頭に政務次官が、これは農民責任ではないのだ、こういうことをはっきりおっしゃっておりますにもかかわらず、結果としては、政府が責任を持たないから、末端のいろいろな一般庶民というか業者というか全農といいますか、こういう方々が肩がわりさせられているということですね。こういうことではなくて、政府がやはり在庫をふやしていく。私の方の土肥大四郎という経済連の会長もおりますけれども、せんだってわれわれ懇談会を開いても、何よりも先に秋田県農民の意思はこうなのだということをやはり力説しているわけですね。これは国民の合意を得られるものだと思うのですが、この点についてどうかということです。  以上、時間の関係でまとめてお聞きしたわけです。
  130. 江藤隆美

    江藤政府委員 文部省がきょうはお見えになっておるそうですから幸いでありますが、全部米にかわりましても学校給食は十七、八万トン程度であろうかと思います。しかし、それは及ぼす影響が大きいわけでありますから、努めてこれが全面的にかわるように、実は私どもはぜひ御協力方をお願いしたい、こういうことでありまして、特にきのう私は申し上げませんでしたけれども、長い歴史がありますから、三千軒ほど学校給食をやっておるいわゆるパン屋さんがありまして、零細であるだけにその転業あるいは事業の縮小等にかなりの問題点のあることも、これも十分考慮に入れておく必要があると私は思っております。したがいまして、これから先、パンから米にかわる場合に非常に負担がかかるではないか、こういう問題が出てこようかと思います。したがいまして、米飯の学校給食については、その政府売り渡し価格等について私どもは十分に前向きに検討する用意がございます。したがいまして、負担がふえるから米にはかわらないのだということではなくて、私どもも十分研究いたしますので、これはぜひひとつそういうことに進めていただきたいものだ、このように考えておるところであります。
  131. 加戸守行

    ○加戸説明員 お答えいたします。  学校給食への米飯導入の問題につきましては、文部省といたしましても学校給食の食事内容を豊かで魅力ある、バラエティーに富んだものとする、そういった観点からも好ましいものだと考えておりますし、また日本の主要食糧でございます米食の正しいとり方を学校で教える、そういう意味におきましても教育上有意義だと考えておるわけでございます。     〔今井委員長代理退席、委員長着席〕 したがいまして、農林省からも米飯拡大の申し入れがございましたときに、それには協力する態勢、方向で検討させていただいたわけでございますが、施設、設備の問題、あるいは調理従事員の負担増の問題、あるいは栄養上の格差補てんの問題、その他各種の問題もございます。また、先ほど農林政務次官からお話ございましたような製パン業者との関係、その他各種の問題がございますので、無理なく段階的に学校給食の中へ取り入れていく、そういった方向に向かいまして現在検討を進め、保健体育審議会の学校給食分科審議会におきましてもいろいろ御意見をちょうだいしておるわけでございまして、できる限り早急に結論をまとめましてその方向に向かっての結論を出したいと考えておる段階でございます。
  132. 中川利三郎

    中川(利)委員 米の問題は、さきに青刈りで農民が苦しめられ、豊作だといえば超過米でまた苦しめられる、自主流通米でさらに追い打ちをかけられる、もう惨たんたるものです。しかも、米だけがただ一つ何ぼか間に合う作物だ、こういうことになっている、その米がいま攻撃を受けているということです。三木内閣がいろいろなことを言っておりますけれども実態としてこういう状況があらわれておる。だからこそいま農民闘争がどんどん全国的に起こって、まさに三木内閣そのものの本質が問われているというところが今日の事態だと思います。私はあとは質問いたしませんが、このようなことは一日も早くなくして、本当に農民が安心して営農できる、それだけ努力すればそれが報いられる、こういう政治を私はあくまでも闘い取るためにがんばっていくことを申し上げたいと思います。  以上で私の質問を終わらしていただきます。
  133. 澁谷直藏

    澁谷委員長 林孝矩君。
  134. 林孝矩

    ○林(孝)委員 昨日それからきょうと議題になっております超過米について、私も質問をしたいと思います。  最初に、安倍農林大臣が十月三十一日の閣議で報告した、いわゆることしとれる米の作柄概況、これによりますと、予想収穫量が千三百十万トン、これは史上第四位ということで非常に今日まで議論を重ねられているわけです。そのような最高の収穫量となる見込みだ。ところが、五十米穀年度における政府の予定数量は、自家消費三百五十万トン、政府買い入れ米六百三十五万トン、自主流通米二百五十万トン、合計千二百三十五万トンである、こういう報告がなされたわけです。それを契機にしてこの超過米という問題が浮き彫りにされているわけでありますけれども、基本的な物の考え方、姿勢として、こういう超過米、言葉は別にして、こういうものが出る、これは喜ばしいことと考えられておるのか、それとも非常に悲観論的な被害者意識に立って考えられておるのか、そうした基本姿勢をまず明確にしていただきたい、このように思うわけであります。
  135. 大河原太一郎

    大河原(太)政府委員 お答え申し上げますが、これは大臣なり政務次官からお答え申し上げるのが筋かと思いますけれども、私ども関係者といたしましても、昨日政務次官が豊作米というような言葉をお使いになったように、やはり主食である米が需給が十分ゆとりができるような作柄を得たということは、またそれによって最小限平年作以上の米作農家所得が確保されるというような点から申しましても喜ぶべきことだというふうに考えております。
  136. 林孝矩

    ○林(孝)委員 その喜ぶべきことが喜べないような状態に置かれているという最大の問題点というのは一体どのように受けとめられておりますか。
  137. 大河原太一郎

    大河原(太)政府委員 お答え申し上げます。  四十六年から米の生産調整を行って五十年で終わるわけでございますが、また明年度からは先生御案内のとおり米の総合対策として水田の総合利用というようなものを打ち出すわけでございますが、主食である一番大事な米でございますが、今日のわが国の食生活、主食の消費状況からいって、やはり高い生産力に対しまして需給が過剰基調にあるという点がいろいろ問題でございまして、その過剰基調というものを一層促進することがないように、しかも現実に出た国の全体の需給を超える数量をどうこなすかという点であるかと思うわけでございます。
  138. 林孝矩

    ○林(孝)委員 その問題について後で具体的にお伺いすることにして、まず、政府のそうしたことしの予想収穫量が需給見込み数量を七十五万トンも上回る、こうした食い違いの原因がどこにあったのかという点を具体的に示していただきたい。
  139. 小笠原正男

    ○小笠原説明員 種々の要因が絡み合っておると思いますが、基本的には、ことしは梅雨明けが非常に早く、それからその後の高温多照なり、特に出穂期後の好天候によって登熟が順調に進んだ、あるいは災害等による被害が例年に比べて発生が少なかったということ等、天候による作柄が良好であったということが大きな要因であるというふうに考えております。
  140. 林孝矩

    ○林(孝)委員 まず天候のことにつきましては、天気予報もしばしば外れることもあるわけでして、非常に自然環境の影響を受ける農作物でありますから、なかなか予想しがたい。しかし、それ以外のいわゆる技術的な原因、こうしたものに関しては当然農林省としても見込みを立てるときに予想することが可能な問題ではないか。したがって、その予想の食い違ったということは、天候、自然環境、そうしたものは別にして、これから将来の日本の食糧の問題を考えるとき、あるいはまた来年度の米の生産予想、収穫予想というものを考えるときに、同じことを繰り返して、また来年ここでそうした議論をするということを極力避けていくためにも、やはり的確な予想というもの、これは農林省としては当然考えるべきであると思うのです。その点ことしの、この議題になっております見込み違いというものは、当然農林省においてもフォローできた部分が相当あるのではないか、そういう面での反省といいますか、そういうことを農林省はどのように考えられておるのか、お伺いしたいと思います。
  141. 小笠原正男

    ○小笠原説明員 例年、たとえば統計情報部におきまして平年収量などを算定いたします場合に、いまおっしゃられました要因等について極力織り込むように努力をしているつもりでありますが、本年の場合は特にそういう予想以上に天候がよく、作柄がよかったということが基本的な要因であろうというふうに考えております。
  142. 林孝矩

    ○林(孝)委員 わかりやすく言って、私はこういうことを聞いているのです。ことしの米の需給計画それ自体の情勢分析に甘さがあったのではないか、こういうことを聞いておるわけです。
  143. 有松晃

    ○有松説明員 お答え申し上げます。  この予想収量を見込む場合に、平年収量というものが基準になるわけでございますが、この平年収量は過去二十年の収量のトレンド、趨勢を基準にして農林統計審議会の議を経て決定をしておるわけでございます。その平年収量を決めるに当たりましては、もちろん技術的な進歩ということは、これは趨勢の中にすでに反映をされておるというふうに考えておるわけでございますから、したがいまして、平年収量の算定については私どもはおおむね妥当なものであったというふうに考えておる次第でございます。
  144. 林孝矩

    ○林(孝)委員 そのおおむね妥当であったのが結局違っておったのですね、結果的に見た場合に。そのことはそれまでにしますけれども、こういう見込み違いというものが与える影響というのは非常に大きいわけです。その認識をまず持たなければいけないということと、それから今度はいわゆる超過米、五十万トンに及ぶと思われるわけでありますけれども、その対策についてであります。今度は長官ですけれども、国民に納得のいく有効な対策というものを考えるべきだと私は思うわけです。そういう対策について今日まで本委員会においていろいろ議論を重ねられてきたわけでありますけれども、まだ何か国民に納得のいく有効な対策というふうに受けとめられていない。そういう面においてもう少し説得力のある、納得のいく対策をこの委員会を通して国民の前に明らかにすべきではないかと思うわけですが、いかがでしょう。
  145. 大河原太一郎

    大河原(太)政府委員 お答え申し上げます。  先ほど来るる申し上げておりますように、豊作に基づく非常な高い生産量が出てまいる。したがって先生お話しの予約限度を超えた超過米の発生が予想されるというわけでございますが、現段階では、事実を糊塗するわけではなくて、まだ出回りの途中でございます。したがって、その出回りの、ほぼ収量の見通しのついた時期において一体超過米がどの程度出るか、それによっていろいろ取り扱いの方針も決めていかなければならないということでいろいろ申し上げておるわけでございまして、その時期として、先ほども御指摘があったような時期、十一月中旬以降十二月の初めにかけてはほぼその取り扱いの前提としての超過米の数量等も固まる。また、先ほども申し上げましたように、作況のその後の推移その他は大きくはないかもしれませんが、県によっては予約限度の数量を余すというような県も出てまいりまして、それを足りない県にお回しするというような県間調整、その可能性というようなものを見まして最善を尽くしたいというわけでございまして、四十八年の例にこだわるわけではございませんが、四十八年も作況指数が一〇六というような、全国的に非常に高かった。これも、それにこだわるというわけではないことをお断り申し上げますが、十月末現在から十一月にかけては五十万トンぐらい超過米が出るのではないかというようなことも言われておったわけでございます。したがって、まだその気配と見込みで議論しておるわけでございます。もちろん出た場合の対策等については早急にいまから検討しておかなければならないという点については先生指摘のとおりでございますが、いずれにいたしましても、それらの納得がいけるような政策前提となる事実を早急につかんで適切に対応したいというのが私どもの現在の考えでございます。
  146. 林孝矩

    ○林(孝)委員 過去の例から言いますと、いまお話のあった県間調整、それから自主ルートで販売する、こうした過去の例があるわけです。その過去の例以外に農林省として新たな、数量が過去と全然違いますから、今回の場合多いですから、斬新な企画といいますか、蛮勇をふるって断行するというような発想で考えられておる計画といいますか、こういうものは全然ありませんか。それとも、少しそういうものを考えてみなければいかぬというような心境に立っておられるのか、あくまでも過去の例に従わざるを得ないという心境なのか、その辺非常に大事なことでありますので明確にしていただきたいと思うわけであります。
  147. 大河原太一郎

    大河原(太)政府委員 お答えを申し上げにくいお話でございます。と申しますのは、先ほどもるる繰り返しておりますように、先生は断定的に、また先生の御心証なりいろいろな事実を見ての御判断、これも一つの御判断だと思いますが、非常に膨大な超過米が出るだろう、したがって過去の例にとらわれない一つの施策を早急にもう検討を始めよというようなお考えかと思うわけでございますが、われわれの方としては、ただ過去の例にとらわれているわけではございませんけれども、その数量とか県間調整の可能性を見ませんと具体的な大方の御納得を得られる施策を立てにくいというのが現段階でございまして、政務次官も申し上げましたように、できるだけ早急にその実態の把握に努めて、そしていたずらに時を送ることなき対策を立てたいというのが現在の気持ちでございます。
  148. 林孝矩

    ○林(孝)委員 たとえば農林省の事務レベルで考えられる範囲のこと、それから農林大臣のレベルで考えられる範囲のこと、それから総理が結論を下さなければならないという高度な政治判断を要するもの、この一番最後のような範疇の問題として把握されるという、こういう可能性はどうですか。
  149. 大河原太一郎

    大河原(太)政府委員 先生のお話でございますけれども、われわれとしては本年の超過米の発生いかんとその納得のある処理というようなことでございまして、その数量なりその解決の方向いかんによって、それぞれの段階の御判断を願うという性質だと思っておりますが、ただいま私どもの農林大臣に対しましても御判断を仰ぐべく、基礎データというものを私が責任を持って申し上げるという段階にまだなっておらないというのが実情でございます。
  150. 林孝矩

    ○林(孝)委員 そういう現状は理解できますけれども、過去の歴史をずっと振り返ってみて、いわゆる日本の食糧の自給という問題、これについては米をつくる立場農民の人たちの心証というものは非常に悪いわけですね。なぜ悪いかというと、たとえば生産調整ということで政府の指導に従って一〇〇%を超える協力がなされた。そして生産面積がそれだけ縮小されているわけですけれども、しかし、その中で一生懸命日本の食糧自給のために汗を流してつくった。ところが、でき過ぎたらでき過ぎたでまた農民が悩まなければならない、こういう心証の悪さなんですね。ですから、過去の例に従って、いままでどおりの考え方、発想でこうした問題の処理に当たるとすれば、その心証はやはり解消されないであろうと思いますし、次の食糧自給のための汗を流すということについても、やはり一つのちゅうちょといいますか、抵抗といいますか、そういうものも出てくると思うわけです。  もう一つの問題は、過去の例を全然無視して新たなということでは私は多分なかろうと思うのですけれども、県間調整ということを例にとってみても、具体的な数字が把握されてないからという前提で全部処理されるとこの議論はできないわけでありますけれども、しかし、県間調整ということを考えてどれぐらい処理できるかという問題、それから自主ルートに押し込んでした場合にどれだけ処理できるかという問題と、もう一つは流通の過程においてどういう問題が考えられるか。起こるかもしれないという問題ですね。その点はどのように考えられておりますか。
  151. 大河原太一郎

    大河原(太)政府委員 お答え申し上げます。  これもせっかくの先生の御質疑で恐縮でございますけれども、県間調整の見通し、これは非常に大事な要素でございます。今回の超過米をこなす場合においても大きな要素でございますが、これについては、一つは基本的に、出回り量が最盛期でまだその見通しを立てる段階までに行っておらぬということと、もう一つは、これは現実問題としてやや枠のゆとりを残しそうだと思われる県におきましても、最終の出回りの見通しを立てませんと、国から県にお示しいたしました枠のゆとりについてお返しと申しますか、そういうものをなかなか得られないというような問題がございまして、せっかくの先生のお話でございますけれども、その辺の数量の県間調整はどの程度の枠で振り回しができるかという、過去と同じようにできるかというような点については、実は率直に申し上げますとお答えをできる段階ではないというのが事実でございます。したがって、その点では、まあ過去の例を見ましても、現時点の計算上出てくる超過米と実績との変動が非常にあるということと、県間調整はいま申し上げましたように数字としてはまだ未知数だ、そういう点から申しますと、正規の自主流通に上乗せしてこなし得る数量はどうかというような点についても、まだ確たる御返事を申し上げかねるわけでございます。  ただ、最後の点で先生からお話があった点は大事な点でございますが、やはり正規の自主流通がある、それに、自主流通ルートに乗せて、その上に超過米を乗せてこれをこなすという場合におきましては、正規の自主流通米の販売と超過米の処理というものを十分調整のとれた形にしなければいけないし、また自主流通ルートに乗せる超過米についてどのくらい国がてこ入れをしてこれをやっていくべきかというような点については、その超過米の数量と、こなれ方の可能性のいかんを見て早急に検討していかなければならないというように考えております。
  152. 林孝矩

    ○林(孝)委員 最後の問題についてはもう少し具体的にお話を伺いたいのですが、現在自主流通米に対して消費が縮小しておるということの指摘があるわけです。そうしますと、それだけ流通過程に多くの量があるということですね。そこに自主流通ルートで超過米が入っていく、さらにそれが拡大する、消費は拡大しない、こういう相反する問題が流通過程に起こるわけですね。たとえばそういうことが想定されるわけですから、当然農林省の皆さん方は、大体どれぐらいの自主流通米がいまあるのかということを調べられておろうと思いますけれども、その数字ははっきりわかりますでしょうか。
  153. 大河原太一郎

    大河原(太)政府委員 お答え申し上げますが、御案内のとおり四十九年産の自主流通は百七十九万トン、これは指定法人である全農なりあるいは全集連、商人系の団体から卸売業者に売り渡されたわけでございますが、一方これが末端における自主流通ルートの消化の伸びの鈍化というものを反映して流通在庫が相当あるのではないかというお話でございますが、残念ながら私どもの方では、政府米、政府の売却米がございまして、それと自主流通と合わせた期初の、毎月の初めの在庫量は報告を受けておりますので、自主流通米としてどの程度の数量が残っておるかという点については公の場で——個人の観測とか推計とかそういうものはわれわれ関係業界からもいろいろ話を聞きますけれども、数字として先生に対して申し上げるような数字は持っておらないわけでございます。
  154. 林孝矩

    ○林(孝)委員 それがちょっとおかしいわけですよね。販売業者の月初めの手持ち数量というのは、政府配給米と自主流通米の合計の数量でしょう。合計ということは、政府の配給米に自主流通米を足さなければ合計にならないわけですよね。足す方がわからないということは、これはXということですか。
  155. 大河原太一郎

    大河原(太)政府委員 恐縮でございますが、申し上げますと、卸なり小売の在庫でございます。これは売却を受けた政府米と、それから指定法人から中央の卸が売り渡しを受けた自主流通米と両方を含めたものが合体して在庫になっておるということでございまして、両者の仕分けをした調査を私どもしておりませんので——おりますれば、はっきりこれは申し上げます。したがって、それぞれの卸、小売段階の在庫量は、何月末なり何月初めにはどのくらいあったかということは数字としてつかんでおりますけれども、自主流通米だけを引き抜きまして何ぼというような調査なり統計を持っておらないということを実は申し上げているわけでございます。
  156. 林孝矩

    ○林(孝)委員 そうしますと、自主流通ルートに超過米が流れた場合に、それとの競合という問題に対しては判断する、試算を出す材料がないわけですか。
  157. 大河原太一郎

    大河原(太)政府委員 この点につきましては、先ほど実は多少触れたところでございますが、五十年産米の自主流通計画は百六十八万トンということになっております。昨年、四十九年産米が百七十九万トン、その一部が流通在庫として残っておるのではないか、その数字がはっきりしないじゃないかというただいまおしかりを受けたわけでございます。飯用ウルチ百六十八万トン、酒米ですとか原材料用米を含めますと全体では二百五十万トンでございますが、これは四十八、四十九の自主流通米の流通実績から見ますと、たとえば四十九年度は飯用ウルチで申しますと百七十九万トン、計画目標は百六十三万トンだったわけでございます。それから見ますと、そう過大な数字ではない。したがって、自主流通米が鈍化しているとはいえ、そう大きな目標について無理やり流通消費に押し込む数字ではないのじゃないかというのが私ども偽らざるただいまの感じでございます。
  158. 林孝矩

    ○林(孝)委員 それで農林省が八月にまとめた「総合食糧政策の展開」の中で、「五二年度以降両三年間に古米持越量が二〇〇万トンに達するまで若干づつ在庫積増しを行う。」このようにあります。現在は百五十万トンだ、こういうことでありますけれども、これは一つの方策として、ことし出るであろう超過米の全量買い上げを行って、その備蓄達成年次を繰り上げて備蓄に回す、こういう考え方もあるわけです。これに対しては、こういうことを検討されたりあるいはこれに対する農林省としての考え方をお持ちかどうか、お伺いしたいと思います。
  159. 大河原太一郎

    大河原(太)政府委員 お答え申し上げます。  これは先生から端的なおしかりを受けるかと思いますけれども、実は超過米でございます。御案内のとおり五十年産米におきましては五十一米穀年度末に百五十万トンの——このつい先日、十月三十一日で終わりました五十米穀年度では百十三万トンの在庫を予定どおり持てました。したがって、五十年産米では生産調整をかげんしまして、三十五万トンの在庫積み増し分をことしつくってもらったわけでございます。その結果、来米穀年度、五十一年十月末には先生お話しのような百五十万トンの在庫積み足しができるということになっております。さらに内外の食糧需給その他から見まして、計画的に二百万トンまで在庫造成をいたしたいということで検討しております。これはもちろん財政負担その他を伴いますので、これから予算編成の過程で財政当局ともしっかりした議論をしなくちゃならないというふうに思っておりますが、そういう考えでございます。  しからばこの二百万トンはどういう意味を持っているかと申しますと、もう先生御案内と思いますが、現在でございますと食管の比較的楽な需給操作としては、二カ月分の百万トンありますと大体十分だ。特に最近は作柄が早くなりまして、新米の出回り期が非常に早くなって、九月、十月で二百五十万トンくらいの当年産の米もできる。したがって需給操作は十年くらい前に比べますと非常にゆとりができておるわけでございますが、ゆとりを持ちたいということで百五十万トン、さらに二百万トン、これは大体四カ月分の在庫積み増しということに相なるわけでございます。四カ月分の在庫積み増しがございますと、これはわれわれが検討した際の計算でございますが、四十年代の最大の不作の年、これは御案内のとおり四十六年でございまして、作況指数が九三、ラウンドで申しますと減収量が八十万トン減というような数字になる。したがって、最近十年で経験いたしました不作が二年連続続いても十分ゆとりが持てるというような数量でございまして、計画的な備蓄としてはこのくらいで行けるのではないかということでございます。  それからもう一つ、これは恐縮でございますが、備蓄と申しますと、これはほかの鉱工業製品と違ってセット・アサイドするわけではございませんで、新米に置きかえながら常にそれで持っておるということでございます。したがって、古い米を配給に回すと申しますか、消費者に食っていただかなくちゃならない。古米充当率がある。その古米が充当されますと、やはり米の消費との関係、いまや盛んに御指摘を受けております米の消費拡大という点から申しましてもなかなか限度がある。現に生産調整をやらざるを得ないところに参りました四十年の初めにおいては、最終は七百万トンも在庫量を持っちゃったのですが、三、四百万トン持ちますと相当な古米充当率になるという問題もある。実は私ども現実の配給操作、需給操作をやり、米の消費についての配慮という点についてもそういう点もあるということでございます。いずれにいたしましても、超過米と備蓄の関係につきましては、先生の御意見も一つの御意見でございますけれども、やはり余ってきたらそれを備蓄に回すというようなわけにはいかない。過剰基調が現在前提でございますので、計画的備蓄という点について配慮しながら進めなければならないというふうに思っておるわけでございます。
  160. 林孝矩

    ○林(孝)委員 そうしますと、さらに自主流通ルート、まあこれが非常に重きを持ってくると私は考えられるわけですけれども、その場合に、現在の自主流通米と同様の助成措置、自主流通米と同額の流通促進費であるとか流通販売費、こうした支給を当然行うということが考えられるわけです。その意向があるかどうかという点についてお答え願いたいと思います。
  161. 大河原太一郎

    大河原(太)政府委員 自主流通ルートで超過米を適切に処理いたすという場合におきまして、それに対する助成の問題をどう考えるかというお話かと思います。この点につきましては、先生すでに御案内と思いますが、四十八年産の超過米につきましては当時の流通促進費の半額とか、あるいは通年販売促進費、これは金倉——金利、倉敷料でございますが、その助成とか、あるいは正規の自主流通米の目的を達成した場合に出される奨励金というようなものについていろいろ配慮いたしまして、その消化と申しますか最終の取り扱いが行われたわけでございます。本年につきましても、言われるような相当な程度の超過米というものが発生すれば、その程度についても考えるというようなことでございます。端的に申し上げると、また初めに戻っておしかりがあるかと思うのですが、数量のいかんとか消化の難易とか、それを見まして、国はやはりこれは責任を持って行う問題でございますから、十分考えなければいけないというふうに考えております。
  162. 林孝矩

    ○林(孝)委員 それから次に需要の面についてお伺いしますが、先ほど学校給食に米飯を導入するという話がございました。私は賛成でございますけれども、昭和四十五年以降五年間にわたって実験校で無償で米飯の給食を実施する、こういう実験が行われているわけですけれども、この五年間の実験の結果というものをどのように判断されておるか、その点についてまず最初にお伺いしたいと思うのです。
  163. 大河原太一郎

    大河原(太)政府委員 お答え申し上げます。  先ほど政務次官が申し上げましたように、学校給食を進める上に非常に大事な点でございまして、五年間実験校で行っておりますが、その結果について今後本格的にこれを進めるために、農林省としては実は給食校の約一割程度のアンケートをやらしていただいたわけです。その結果を見ますと、条件さえ整えばなお米飯給食を進めたいという回答が過半を占めておるというようなわけでございまして、もちろん先ほども文部省の方からも申し上げましたように、条件の整備ということが大事でございます。が、われわれとしては、この点ではやはり実験校等によって下地をつくり、また実験校でなくても、米産県等の地域で主食としての米の評価を学童時代からあれするというようなことから取り入れておるというようなことから申しまして、私どもとしては実験校による一種の普及効果というものは十分あったのではないかというように判断しております。
  164. 林孝矩

    ○林(孝)委員 文部省にお伺いしますけれども、学校給食に米飯を導入するということになった場合に、先ほど指摘された問題点、たとえば施設の問題であるとか、あるいは製パン業者の問題であるとか、その他もろもろの問題が解決されるということを前提に進められると思うわけです。それは農林省で行うわけですか、それとも文部省がその解消に当たるわけですか。
  165. 加戸守行

    ○加戸説明員 お答えいたします。  この問題につきましては、農林省サイドと文部省サイド、それぞれいろいろな分野において努力をする必要のある分野が多うございます。文部省サイドで申し上げますと、たとえば施設、設備の問題につきましては、国庫補助金を増額して御要望にこたえられるような施設、設備の充実の問題、それから献立面につきまして栄養上の格差を埋めるような指導、そういった点、あるいは給食費の関係も出てまいるかもわかりません。それから米の価格の問題といたしましては農林省の御協力をいただく分野でございます。それから自治省の領域も若干ございまして、調理従事員の増員を図るとするならば地方交付税の問題、その他いろいろな、各省にわたる諸般の分野があると思います。
  166. 林孝矩

    ○林(孝)委員 たとえば学校給食法施行規則がございますが、その第一条の中に、学校給食についてはたしかミルクとそれから麦が出ていたと思うのですが、米が出ていないわけですね。そうすると、この学校給食法施行規則の第一条の改正というものを当然行わなければならないと思うのですけれども、そうした考え方はありますか。
  167. 加戸守行

    ○加戸説明員 先生指摘のとおり、学校給食法施行規則の中では、完全給食の定義をいたしまして、「完全給食とは、」「パン、ミルク及びおかず」、パンに括弧いたしまして、「(これに準ずる小麦粉食品等を含む。)」こういう定義の仕方をしておるわけでございます。したがいまして、パンが原則である。終戦後から二十数年パン基本路線で参ったわけでございまして、お米はどういう読み方をしているかと言いますと、パンに準ずる小麦粉食品等の「等」という言葉で読んでいるわけでございまして、ただ、運用の問題としましては、現実に昭和四十五年に実験校制度を発足させました翌年四十六年に、文部省で定めております学校給食におきます標準食品構成表を改定しまして、パン、ミルク、おかずの場合に合わせまして、米飯、ミルク、おかずの献立の基準を定めておりまして、運用の問題としては現実に今日に至っているわけでございます。しかし、パン並みに米を扱うという観点からいたしますれば、いまの定義は不完全でございますので、いま米飯給食導入の声が強く出てまいりますけれども先ほどお答え申し上げましたように、米飯を本格的に取り入れるような形での方向づけがもしされるようになるとするならば、当然いまの完全給食の定義もそれに合わせて変えるということになろうかと思います。
  168. 林孝矩

    ○林(孝)委員 時間が参りましたので、あと一つお伺いして終わりますが、そのめど、いわゆる時期的な問題です。米飯導入の時期を、大体どのような時期を目途とされておるかという点、その点を明確にしていただきたい。こういうことと、農林省の基本的な物の考え方として、今回のこの超過米の扱いについては、食糧自給の問題、また将来の日本の食糧事情というものを考えあわせ、また今日まで戦後三十年の間にいわゆる高度経済成長政策のもとで斜陽化してきた農業の復興ということ、最近やっと第一次産業に対する見直しが一つの傾向としてあらわれつつあるときでありますから、そういう点を十分考慮して対策を講じていただきたい。こういうことで、いまお伺いした目途の点について明確にしていただいて、私の質問を終わります。
  169. 加戸守行

    ○加戸説明員 制度的に申し上げますと、現在農林省と協議をいたしまして方向づけを考えております目途としましては、五十一年四月、つまり来年度早々、新学期からという方向で検討を進めているというのが現在の段階でございます。
  170. 林孝矩

    ○林(孝)委員 終わります。
  171. 澁谷直藏

    澁谷委員長 島田琢郎君。
  172. 島田琢郎

    島田(琢)委員 最初に、郵政省の皆さんにまずお尋ねをしたいと思います。  特に私はこの場で郵政省の考え方をぜひ明らかにしてもらいたいと思っておるのでありますが、郵便料金をめぐります問題は、ただいま参議院が舞台になってこの問題についての議論が交わされているところでありますが、私はこの席では、第三種郵便物の問題を中心にして皆さんにぜひひとつ私どもの考えております考え方を理解してもらいたいし、また今日の置かれているこの第三種郵便物をめぐります農村地帯における状態というものをしっかりと理解をしてもらいたい、こういう考えがあってこの問題を提起するのであります。  申し上げるまでもなく、今回の郵便料金の値上げに当たっては、全体的に物価の問題とかあるいはインフレの問題であるとか、つまり国民生活をきわめて圧迫していく要因になるであろうと言われております公共料金の値上げについて、私どもは党を挙げて闘いを進めてまいっておりますし、そのことは郵政当局も十分理解を持っていると思うのでありますが、このいわゆる法律条項でない第三種郵便物の問題につきましてもあわせて今回相当大幅な値上げをしようとしていることは、その理由と言いますか、値上げしなければならないという根拠についても、ただ今日の郵便事業が赤字だからというそれだけの、通り一遍の経済合理主義によって大幅な値上げを強行しようとする、こうした態度について、私どもは非常に理解ができないのであります。  そもそも、長いお話をする必要はございませんけれども、今日のこの第三種郵便物の占めておりますいわゆるシェアの中でも、特にだんだん農村あるいは町村によっては過疎化が深刻になってまいっておりますし、つまり文化とかあるいはそのほか教育とか、こういったような面というものが、都市と特に農村を中心にした過疎地域の間には非常に大きな格差が生じつつあって、これは私どもも長い間過疎対策として取り組んでまいりました中でも、今日の社会的な不公正の広がりというものについては、きわめて憂慮すべきものとして、この実態を早期に解消するべく努力を続けてまいっているところなんでありますが、今回のこうした第三種郵便物が直接的にそんなに大きな影響を持つのかというような議論も一部にはあるようでありますけれども、これは心理的にも、また唯一の活字を通して得る農村地帯、特に過疎地帯の教育、文化の面におけるこうした大事な一面福祉とも思える面に大なたをふるう、こういう態度に私どもは大きな疑問と不満を隠すことができないのであります。こういう点、どういう理解の上に立って今回第三種郵便物の大幅値上げに踏み切ろうとされているのか、これはもっと早い時期にこの問題は議論すべきであったと思います。ですから、衆議院をすでに通過した段階でこの問題を持ち出すというのは時期としてはきわめて不適当であるのかもしれません。しかし、まだ依然これから参議院においてこの闘いが進められておりますわが方の立場から言えば、政令事項で政府がかってに上げたり下げたりすることのできる第三種、第四種郵便物、これらについてはまだ十分再考する余地があると私は思いますので、まず冒頭に責任ある——これはどこの課に責任があるのかちょっとわかりませんけれども責任ある窓口になっているところから、いま申し上げました第三種郵便物の値上げをやろうとする理由、それからそれらを取り巻く背景についてどういう理解をしていたのか、その点をまず第一点にお尋ねをしたいと思います。
  173. 永野明

    ○永野説明員 お答え申し上げます。  御承知のように、郵便事業は郵便の収入によりまして業務の必要な支出を賄うという、いわゆる独立採算制をたてまえとして運営してまいっておるわけでございますが、最近の人件費の高騰等によりまして、昨年度から非常に巨額の赤字を生じてまいっております。四十九年度におきましては、約千二百五十億円という赤字を生じておりますし、本年度もこのまま料金の改正がございませんとさらに大幅な赤字を生ずるということが予想される次第でございます。さようなことから、昨年の末に郵政審議会から郵政事業の財政立て直しということにつきまして、料金の改正をするのもやむを得ないという御答申をいただいたわけでございますが、それに基づきまして第一種封書、第二種はがきの料金につきましては、ただいま御指摘がございましたように、郵便法の改正案ということで参議院で現在御審議をいただいているところでございます。  ただいま御指摘をいただきました第三種の料金につきましても、昨年、郵政審議会から御答申をいただいているわけでございますが、現在第三種の料金は、たとえばはがきの一枚十円ということに比較いたしましても非常に重い一般新聞紙等が八円で送れるというようなことになっておりまして、非常に低料金でございます。これから生ずる赤字が現在の郵便事業財政赤字の非常に大きな原因になっておるわけでございます。そういった実情を踏まえられまして、郵政審議会では、第三種の料金を少なくともその毎日毎日配達等を行うのに必要な直接の経費程度は料金で賄っていただくのが必要であるという、さような考え方から昨年答申をいただいたわけでございます。私ども第三種郵便物の長年の歴史的、沿革的な意味というものは、ただいまおっしゃいましたように理解をしておるつもりでございますけれども、ただいま申し上げました非常に大きな負担を郵便事業財政がこのために負っておるということからいたしまして、ある程度適正な水準に改める必要がある、かように考えておる次第でございます。
  174. 島田琢郎

    島田(琢)委員 まあ経営論的に独立採算制の中からもうどうしても上げなければならぬところにきたんだという、こういう話のようであります。しかし私は、確かにこれは独立採算の是非はあると思うのです。私に言わせれば、郵政事業というのはこれは郵便事業ばかりじゃなくて、三つで成り立っているわけでありまして、簡易保険事業、郵便貯金事業は黒字なんですから、だからちっとはこっちに持ってきたっていいじゃないか。共通経費全部含まれてこういうふうな計算になっているという御説明、御説明というか、いままでの資料による郵政省の宣伝はそうなっていますね。しかし、私は、もっとこの郵便事業の持っております世界でも冠たる国家事業体としての任務があると思うわけです。たとえば郵便法第一条には基本任務としてこううたっているわけですね。これはもうあなたに申し上げる必要はないんですけれども、「郵便の役務をなるべく安い料金で、あまねく、公平に提供することによって、公共の福祉を増進する」、この文句は私はあだやおろそかなものじゃないと思うのです。まああなたの説明は、そこを基本にしてやってもなお赤字なものだから仕方がないから皆さんに負担してもらうのだという説明ですけれども、しかしそれにしてはやはり比率の上からいって五倍なんというのは、これは常識ではとても考えられない。ここのところが、いままでの六円が三十円になったというそれだけの受けとめ方ではなくて、やはりどうしてもこの帯封に頼って新聞を毎日読んでいる人たち、あるいは第四種郵便物ですと一カ月に一遍刊行物として来るというようなものがありますね。こういうものというのは、農村のいまの状態の中で毎日宅配でない人の方がうんと多いのですよ。ところがこういうふうに六円がいきなり三十円になったら、お金の問題というよりも国のいわゆる郵政事業に対する不信感というのが逆に生まれてきます。都会に住んでいる人たちにはいろいろな恩典があるけれども、われわれのところにはなぜこんな冷い仕打ちをするのか、ここのところが私は非常に問題にしたい点なんです。そうでなくても農業全般のことを、まあ郵政省のお役人のあなたに申し上げたって十分理解できないところがあるかもしれませんが、この農林水産委員会でいつも議論していることは、もうどんどん農家が減っちゃって農村が過疎になり、しかもこれ以上離農が進んでいけばその町の形成さえ成り立たなくなるという危険な状態にいま落ち込んでいるところの農民の気持ちをどうやって明るくして、そしてその町の発展のためにお互いに力を合わせてやることができるかということで、非常にみんな苦労しているときです。こんなささいなことと言うかもしれませんけれども、こういうのはささいなことではないわけです。非常に大きな重圧になって、心理的にも経済的にもかかってきますよね。そうすると、まず国に対しては、そんな五倍も上げるような不親切なやり方ということで、これは政府に対する不信感がまず芽生えてくる。そのうちには、わずか三十円と言うけれども、毎日毎日の三十円ですから、積み上げれば大変な額になっちゃうわけです。だから経済的にもとても負担にたえ切れないから、もう新聞を読むのやめた、雑誌はお断りだということになって、私も農民の一人ですし、第三種、第四種郵便物に頼って生きているところに住んでいる、非常に過疎の深刻な町に私はいまおります。私のうちの大半は全部郵送でございます。手配りは、わが日本社会党の「社会新報」だけが手配りであって、あとは全部郵送に頼っている。大変な金額になるんですよ。そうすると、新聞を読む意義なんというのも、いまさらあなたに申し上げるのは釈迦にお説教しているようなかっこうになるからなるべく差し控えますけれども農民のわれわれは、新聞を読むのやめた、雑誌読むのをもうやめましたと言うても、それじゃテレビがあるからと言ったって、テレビで流されてくるニュースの時間帯に合わせて野良から上がってきてきょうのニュースを承知するなんというのは、いまの農村というのはそんな簡単にはいかないんです。ですから、食事しながらでも、夜寝る前ででも、ちょっとした休憩のときでも活字からきょうの出来事を承知するというのは、これはわれわれの農村の生活にとって大変楽しみの一つなんですよ。夢なんですよ。それまで奪っちゃうから、私は極端な意見かもしれないけれども、われわれの知る権利あるいは承知する権利、自由というものを奪うのか、こう郵政省に開き直りたいくらいなんであります。この辺の理解が郵政省の皆さんにおありでしょうかね、どうですか。
  175. 永野明

    ○永野説明員 ただいま先生が御指摘なさいましたような実情が農村ではあるいはあろうかと思います。私、そういった事情につきまして疎い方でございますが、そういう農村の振興等につきまして農林行政の立場からいろいろと手を尽くしておられるのではないか、かように私感じております。  ただ、今回の郵便の料金改正の影響と申しますか、これを一般論として申し上げても、ただいま先生が御指摘くださいましたようなお答えにならないかと存じますけれども、第一種、第二種等全体を含めまして消費物価に与える影響が〇・二%ということになっておりまして、まあ第三種の料金改正による影響等もそういった中である程度はあろうかというふうには思いますけれども先ほど申し上げましたように、郵便事業財政全体が非常に極度に窮迫した状況でございますので、その辺の立て直しということで、私ども料金の改正をお願いしている次第でございまして、その辺につきましてはひとつぜひとも御理解をいただきたい、かように考える次第でございます。
  176. 島田琢郎

    島田(琢)委員 第三種の取り扱い数量は、昨年の実績でどれぐらいになっているんですか。
  177. 永野明

    ○永野説明員 昭和四十九年度におきます第三種郵便物の引き受け物数が約十二億二千万通になっておりまして、郵便物全体の引き受け物数に対しまして約八・七%という数字になっております。
  178. 島田琢郎

    島田(琢)委員 全体に占めるシェアなんて第三種郵便物は大したことないですね。そうすると、さっき全体で千三百億と言いましたか、これが赤字になっているんだということですが、これは計算すればわかるのですけれども、第三種郵便物の昨年十二億通による全体の収入は幾らになるのですか。
  179. 永野明

    ○永野説明員 お答え申し上げます。  昨年度の第三種郵便物によります収入額は約百三十億円でございます。
  180. 島田琢郎

    島田(琢)委員 そうですね。千四百億程度の八・七%というのは計算上そういうことになるわけですね。  この中で大口引き受けの割引制度というのがありますね。これはどれぐらいになりますか。
  181. 永野明

    ○永野説明員 第三種郵便物につきましては大口の引き受けであるからということで割引ということはいたしておりません。
  182. 島田琢郎

    島田(琢)委員 まあ百三十億と言えばそれは小さくはないのかもしれぬけれども、この百三十億を負担されているのは大半が農村ですね。第三種郵便物は農村地帯に多いと思います。町の人は第三種郵便物に頼っているというのはほとんどないんですから、全体のまず八割以上は、これは過疎地帯と言われる農村の人たちの負担です。これぐらいのものは農村の育成、さっきぼくが言った知る権利、見る権利、こういった点のいわゆる農村に対する温かい政治の思いやりがあるなら、こんなところからまで値上げしてお金を取らなくたっていいじゃありませんか。そこのところをあなた方が理解しながら、今度の郵便料金値上げの問題を検討されたのかどうかに私は疑問があるから、きょう改めてこの問題をお尋ねしたのです。一体、これはどうしてもやはりやる気なんですか。
  183. 永野明

    ○永野説明員 ただいま百三十億円の負担というふうにおっしゃっておられますが、先ほど申し上げた百三十億円は第三種郵便物による収入額でございまして、第三種郵便物取り扱いのために生ずる全体の赤字は二百五十億円ということになっておりますので、まずその点を申し上げておきたいと思います。  第三種郵便物の料金改正をやるのかという御質問でございますが、先ほど来るる申し上げておりますように、郵政事業財政の重い負担、沿革的にも余りにも低い料金に抑えられておるというようなことから、やはり適正な料金に改正をさせていただくことはぜひとも必要である、かように考える次第でございます。
  184. 島田琢郎

    島田(琢)委員 どうしてもやるといいますか、予定どおり三十円にするという意味ですか。
  185. 永野明

    ○永野説明員 ただいまおっしゃっております三十円あるいは三十五円という数字につきましては、先ほど申し上げました郵政審議会の昨年の答申の料金案の骨子でございます。私どもこの答申の趣旨を尊重いたす考えでございますが、またその後も、前回の衆議院あるいは参議院等いろいろな段階でさまざまな御意見をいただいておるわけでございますが、そういった数々の御意見を参酌させていただきまして、郵便法の改正が成立しました後におきまして郵政省令をもって慎重に決定をさせていただく考えでございます。
  186. 島田琢郎

    島田(琢)委員 課長に幾ら言ったってだめなことは私もわかっているのです。しかし、農村の実態をあなた方も知っていてもらわぬと困るのです。だから、この問題で一番鉛筆をなめているのは恐らくあなたでしょう。村上さんが鉛筆をなめて決めているのじゃないのだ。そういう農村の実態、第三種郵便物がいまどういう状態にあるかということは、私が言うまでもなく、十分調査されていると思うけれども、いま私とのやりとりの中では、そういう過疎地域に対する実態を承知の上でやられるとすればきわめて不親切だし、また知らなくておやりになっているとすれば、これまたきわめて軽率だと思うから、あえて私は第三種郵便物に限って——これは法律条項ではないのですから、上げなければ上げなくたっていいのです。ですから、これは上げるな、私は時間がないから最後にそれだけ申し上げて、あなたに対する質問を終わりたいと思います。  それでは畜産局長。さっき柴田委員からも酪農振興法の問題について触れておりましたが、来年は酪農近代化基本方針の改定の年に当たっておりますね。まずそういうことで理解は違っておりませんね。
  187. 大場敏彦

    ○大場政府委員 酪振法によりますと、酪農近代化基本方針をおおむね五年というインターバルで決めていくということになっておりまして、前回は四十六年でございましたから、ちょうど来年が五年という期間で申し上げれば改定期に当たるわけであります。
  188. 島田琢郎

    島田(琢)委員 酪農振興法によりますと、酪農近代化基本方針を立てるに当たって考慮すべき点が幾つかございます。酪農近代化基本方針が昭和四十年に作成されて以来、私はこれを推し進めようとする政府の姿勢に対して非常に強い疑問を持っている点があるのです。それは何かというと、一つのきちっとした目標を掲げてそれに近づけていくための努力が忘れられているのじゃないかと私は思う。一応の目標を出したら、その目標に近づかなかったら次の年度途中でも実勢値に合わせて改定をしていくというやり方をいままで繰り仮してきましたね。今度もそういうことになりそうなんです。私がなぜそういうことを言うかというと、いろいろ統計数字を見てみましたら、酪農の場合なんか酪農近代化基本方針から見るとずいぶん後退なんです。達成率が低いのです。昨年、四十八年から四十九年の一年間だけで区切ってみましても、たとえば乳用牛は近代化計画で言えばもう二百万頭ぐらいになっていなければならないのに、実際には百七十八万七千頭と非常に低いのです。つまり、七〇%台ぐらいの達成率でしかないのです。これは単に単年度のこれを見ただけでありません。時間がないからずっとみんなお話しすることはできないので、それは畜産局長もおわかりになっているから一つだけ指摘しておけばあとはおわかりいただけると思うから申し上げたのですが、このように近代化計画に対して達成率が非常に低いのです。それは今度が低いだけではなくて、昭和四十年に酪農振興法ができて、近代化方針が立てられた後、ちょうど私そのころ地元の酪農組合の仕事をやっていたのです。このとき、三年たったら近代化方針にそぐわなくなったので訂正をする、直す、直すということは実勢値に合わせて訂正をする。また、酪農振興法の中にはそれができると書いてあるのです。書いてあるからやったのでしょうけれども、そうやって毎回毎回手直しというのは目標のバールが上に上がるのではなくて、実勢値が計画よりも低いものだから、それより下げて計画をつくり直してきたという経過なんです。そのことが一つ問題である。  もう一つは、それじゃ一体計画なり目標なりをわれわれが立てるということは、そこに近づけていく、近づこうとする努力や誘導があって初めて目標を立てた、計画を立てたことの意義があると思うのです。実勢値に合わせて計画を変更していくのなら、そんなものは計画でもなければ目標でもないのです。努力しなくていい、低い数字に合わせればいいのですから、できなかったらできませんでしたと合わせればいいのですから。こういうやり方だと、日本の酪農はだめになってしまうのではないかということを、さっき四十八年と四十九年の前年比でちょっとお示ししたとおり、酪農家戸数において一万六千戸も一年間に減りました。一日当たりに直しますと、四十三・八戸ずつ、 百六十五日毎日牛飼いをやめたという統計数字になっている。確かに規模は九・八頭から十一・二頭と若干の上昇はしました。しかし戸数も減るわ、頭数も余り大きくは伸びないで横ばい状態を続けているばかりか、酪農近代化基本方針から言えば七〇%の達成率でしかない。  こうなってまいりますと、来年に向けていまこの次の五カ年の目標を立てようとしている。どうやら目標は、六十年という目標が去年の暮れに出されていますから、そこへ一つの尺度を当てて近代化基本方針をお立てになるというお考えのようです。それは十年でも五年でもいいのですけれども、物の考え方がそこできちっとしておりませんと、五年先でさえもわからないのに、十年先のことまで計画を立てていくということになりますと、よほどしっかりしたデータと、あなた方がこれを推進していくための具体的な何かがないと、この計画、幾ら立てたって、またぞろ三年ぐらいしたら手直しせぬければならぬという結果にしかならない。法律があるから仕方がなくて計画を立てるのだという程度にしかならないのなら、それは前向きの行政とは言えないんじゃないですか。だから、この際何とか——日本の酪農、こうなっているのではなくて、下に向かって下り坂になっているのです、残念ながら。二百五十万頭以上の牛を飼って国内の自給率を九五%程度まで持ち上げていかなければならぬという大変な事業の目標を持っておりますのに、ただそういうおざなりに計画を立てればよろしいだけでいくのだったら、この先の日本の酪農家はどこに頼り、どこに目標を置いて進んでいけばいいのか、努力をしていけばいいのかがわからなくなってしまう。だから大事な時期ですから、局長としてのお考えをぜひ聞かしてもらいたいと思うのです。
  189. 大場敏彦

    ○大場政府委員 過去に酪農近代化方針を立ててその達成率が非常に低いじゃないかという御指摘がございましたけれども、その達成率が十分でないということは私どもも率直に反省いたしております。たとえば、牛乳生産量で申しますと、酪農近代化方針と比べて現在時点における達成率は全国で大体七五、六%、それから乳用牛の頭数で申しますとこれもやはり七一、二%、こういったところで決して高くはないというようなことで、この点につきしましては御指摘のとおりだと思います。  今回酪農近代化方針を私ども改定いたしたいというふうに考えておりますゆえんは、五年という期間があることも一つの要素ではございますけれども考え方といたしまして、外的要因として全体の日本の経済がいわゆる安定成長へ移行してきている。それから世界的な穀物の需給状況も非常にさま変わりのステージに入ってきている、こういったこともございますし、それから酪農の内部の要因について分析いたしてみますと、これも三十年代あるいは四十年代の前半とかなり変わってきておりまして、牛乳の需給は決して従来みたいなかっこうで伸びてきていない、かなり変わってきているというようなこともございます。それから先生指摘のありましたように、乳用牛の飼養戸数の減少というものも、一方におきましては経営規模拡大という進展もございますけれども、そういった傾向も顕著になってきている。かなり酪農をめぐる内外の情勢が変わってきておりますので、そういった情勢に着目いたしまして、この際全体のステージなり段階が変わってきておりますので、現実に即応いたしました長期的な、誘導的な指標というものがこの際必要ではないだろうか、こういった観点から、所要の手続をとって、本年度中に酪農近代化方針を策定いたしたい、こういうことで現在作業中でございます。  考え方といたしましては、現実になじむというようなことではなくて、やはり農林省といたしまして、というよりも政府といたしまして、今年の五月に生産及び需要の長期見通しを策定いたしまして世に問うている次第でございますから、この酪農近代化方針の中に盛り込みます生産及び需要につきましても、それに沿った形でこの際見直して中身を固めていきたい、かように思っているわけでございます。  それから、具体的にそれを達成する方途、これは非常にむずかしい、かなり意欲的な努力を要するわけでございますが、単一の手法だけではなしに、それは飼料基盤の確保の問題から、あるいは価格対策の問題から、あるいは経営対策の問題、これは釈迦に説法でございますが、種々の生産、価格、構造政策というものを総合的に進める必要があるわけでございますが、そういったものをこの際もう一回現実に即して見直して、一歩一歩足を踏み固めて強力にしていきたい、かように考えておりまして、そういう意味で、過去の努力の足りなさというものは反省しながら、今後、将来を見詰めての意欲を固めていきたい、かように考えておる次第でございます。
  190. 島田琢郎

    島田(琢)委員 まあこれは五分や十分の議論で終わらせるような、そういうなまやさしいものではありませんが、きょうは時間がありませんから、近くこの作業に入られるというふうに実は仄聞をしていたものですから、いま局長考え方を開いたのでありますが、これは畜産振興審議会にかけて決定をしていくという作業の取り扱いが必要でありますけれども、どうかひとつ、私が前段少し長く申し上げたように、今日の酪農はこれは大変危機状態に入ってきたと私は見ております。したがって、私は私なりに調査をしたいろんな資料がありますけれども、それはまたいずれ局長とぜひやりたいと思いますが、この際は、長期見通しを立てられるに当たって、いままでみたいに法律があるからつくったんだ、つくってみたけれども実情にそぐわぬから直したんだ、こういうやり方の弊害はひとつ改めよう、こういう考え方できょうは問題の提起をした、それだけにとどめておきたいと思います。  そこで、実は一昨年、澤邊局長時代に牛肉のあのような状態が出てくるに及んで、これらの特別融資対策を含めて今日の牛肉の生産基地、育成基地におきます困難な実態を解消しようということで融資制度を設けたわけでありますけれども、いよいよこれが来年の三月支払いの時期に入ってくるわけであります。これはきわめて短期融資であって、短期融資の割りには大型である。ですから、これを返すということになりますと、これはなかなか現地の事情としてはむずかしいようです。こういう点の調査などは進めておられますか。
  191. 大場敏彦

    ○大場政府委員 先生の御指摘になりましたのは、肉用牛の肥育経営資金でございますか。——それにつきましては、来年そろそろ償還期に入ろうとしているわけでございまして、これの償還を、経営の実態から延期してもらいたいという希望はあちこちで私ども聞いております。まだ大蔵省とのかけ合いはしておりません。おりませんが、ただ現実を見ますと、枝肉価格は非常に上がってきている。子牛価格は必ずしも上がってきておりませんけれども、枝肉価格は上がってきている。いま非常に好条件下にあるようなことでございまして、また資金の性質が、生産物を販売すればそれの代金が入るということで、それで償還し得る、そういう事柄にも通じますので、いまこの償還を延期することは非常にむずかしい、こういうふうに思っております。思っておりますが、別途、肉用牛の肥育経営の経営のむずかしさということはいろいろあちこちから私どもの耳に入っておりますので、何らかの形で対応したいとは思っていますが、現在のところではまだ結論を得ておりません。
  192. 島田琢郎

    島田(琢)委員 その時期が近づいてからでは大変これは問題がたくさん出てくるというふうに私は受けとめているのです。どうやら局長も私と受けとめ方において大差がないようですが、時期が近づいてからがたがたとやるということでなくして、そういう実態を十分ひとつ承知願っておいて、これから幾つかの対応策を考えていっていただきたい、こう思いますので、次に進ましていただきます。  さて、砂糖の関係についてですが、食品流通局、今村局長おいでですが、この間砂糖一連の、サトウキビに至るまで大変努力をしていただきましたから、その限りにおいては御努力に敬意は表しますが、口が腐ってもありがとうと申し上げるような価格でなかったのは私はまことに残念であります。そこで私は、早速選挙区へ帰りまして、私どもの地元のビートつくりの皆さん、いま小雪あるいはみぞれの降る中でビートの掘り取り作業が行われております、その現場でいろいろと皆さんからおしかりもいただいてきました。一万六千円とは何たることか、来年のビートはもうつくらぬ、こういう声が大半なんです。いま私は考えてみますのに、昭和五十一年度、つまり来年度のビートについて、私はしばしば言ってまいりましたけれども、四万七千ヘクタールまで落ち込んだビートは、本当の話は、もう五十年度において五万二、三千ヘクタールまでせめて復活していないと、政府が考えております七万七千ヘクタールのビートの面積を確保するということは至難だ、こう思うのです。私は、この決まりました農家手取り価格一万六千円、一万二千百四十円というこの基礎価格は、来年のビートを大きく飛躍させていく役割りを果たすとはどうしても考えられません。そういたしますと、私は、来年の耕作は大幅に落ち込んでいくだろう、こういうふうに予測をしている一人なんです。  時間が余りないから、私は一つだけ提案をして、局長考え方を聞かしておいてもらいたいと思うのです。というのは、ぜひひとつ畑作全体の問題としてビートを、しかも北海道のいわゆる寒冷地作物の一つとしての位置づけを明確にしていく必要があると思います。これらの作業については、私は私なりにまた幾つかの問題をまとめて整理をしてみたいと思っているときなんですけれども、ぜひそういう考え方に立って、これは今村局長のところの食品流通局だけではなくて、そこに審議官もお見えですけれども、農蚕園芸局としても、これは畑作の振興という面では大いに働いてもらわなければならない窓口だと思うのです。ここのところをずっとお互いのなわ張り、変ななわ張りじゃなくて、それを排除しまして、北海道の畑作、そしてその中におけるてん菜はどういう位置づけになるのかという点を早急に、私は来年の春ごろまでには整理をしてもらいたいと思うのです。それはやれやれと言うだけではなくて、私自身もひとつまとめてみたいと思います。  さて、私の二つ目の提案ですけれども、二つ目は、恐らくさっき言ったようにビートの面積が大幅に伸びるなどということは予測できないと思います。それで、大体私ども農家は、年明けて正月中に営農設計をいたします。遅くとも二月中にはおおよそ五十一年の耕作の内容が明らかになってくると思います。ここのところで一度食品流通局所管のバレイショとビート、この総体のいわゆる耕作に対する様相をこの時点で一回つかまえるということはいかがでしょう。そして、そういう中で、あなた方がお考えになっているように五万、六万と面積が伸びていっていれば、これは言うことはありません。しかし、そのときに大幅に落ち込んでいる、ことしよりもさらに落ち込んでいるというような事態が明らかになったときには、奨励措置を特別に講ずるぐらいのことはやってまいりませんと、北海道のてん菜はなくなってしまう、私はこう思うのですが、その時点で一度北海道全体のてん菜の経営計画、いわゆることしの耕作計画なるものを掌握するということをぜひやってもらいたいと思いますが、この提案については局長いかがですか。
  193. 今村宣夫

    ○今村(宣)政府委員 鳥田先生の貴重なる二つの御意見につきまして、私といたしましても非常にありがたく思う次第でございますが、第一点の御提案の北海道の畑作全体の問題をよく考えるべきではないかという御指摘は、私もそのとおりだと思います。北海道の畑作は、全体で七十八万ヘクタールぐらいのところへもってきまして、草地を除きますれば約四十万ヘクタールでございますから、その四十万ヘクタールの畑地をどういうふうに有効適切に北海道の輪作体系の中で利用するかという問題に帰着をすると思います。その問題を片づけなければ、お互いにそれぞれ作物の相互間で競合をしておるということでございますから、北海道の畑作経営全体がよくならないのではないか。そういう意味合いにおきまして、ビートの作付におきましても、北海道の畑作経営の中にこれを取り入れて、着実に伸ばしていくという方策を講ずべきものであろうと思います。  その観点からいきますれば、一つはやはり相対価格の問題がどうしても出てくるのではないか。相対価格を適正に、これはなかなかむずかしい問題でございますが、適正に考えていくという問題と、同時に農家所得の確保をどういうふうにしていくか。たとえば一定面積の畑作の農家所得をどういうふうに考えていくかという所得確保の観点からの対策が要ると思います。相対価格の問題と所得確保の問題をあわせまして、農林省としましても畑作全体の経営問題としてこれをとらえまして検討をしていく態勢にございます。価格の検討委員会を設けまして、事務次官を長とし、関係各局長を入れまして、そういう問題を早急に検討をしてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。  第二の点の、二月には五十一年の耕作の計画が行われるわけでありますから、それについての詳細な様相を把握をして、その落ち込みぐあいによって価格を考えるというふうにすべきではないかという御提案につきましては、それによって直ちに価格をどうこうできるかどうかということはもとより問題ではございますが、そういう農家の作付意欲あるいはまた作付計画におきますその増減の問題は、これは生産面と同時に価格面につきましても向後検討をしていかなければならない問題であると思いますので、御提案の第二点につきましても十分検討さしていただきたい、かように考えております。
  194. 島田琢郎

    島田(琢)委員 重ねて今村局長に、実は私は尋ねすると同時に十分検討しておく必要がある思うのでありますが、マッシュポテト、これはどこですか。マッシュポテトになったら食品流通でないんだね、でん粉でないんだね——ではいいです。  それでは今村局長に続けていまのことでお尋ねというよりも私の考え方を述べまして、これはこういう公式の場で議論しただけでは前に進みませんから、ぜひひとつ真剣になって協議してみたいと思っているのですが、私は倉石前農林大臣のときに、果たして北海道のてん菜について大臣真剣にこれを発展させていくというお考えがあるのですか、こういう話をしたことがございます。大臣の当時の答弁では、七万七千ヘクタールまで北海道のてん菜を伸ばしていきたい、砂糖全体の自給率は二七、八%まで引き上げたい、それは早急にそういうことにしていきたいのだ、こういうことを言いました。私は、それは目標としてわかるけれども、それでは具体的にどういうプロセスでそれを実現されようとお考えなのかと詰めたら、一つもこれが出てこなかったのです。最後は、北海道農民の皆さんのビートに対する認識をぜひ高めていただいて、皆さんの御努力によってとか、こういったようなことで、ついに具体策というものを聞くことができないで終わっておりました。私は考えてまいります中で、いま北海道のビートにしてもバレイショにしても、主産地形成あるいは選択的拡大というような要素もあって、必要以上にローテーションを崩している場所もあると思うのです。それがことしあたり雨害とか湿害とかいろいろな外的要因も加わって、ひどいところは三トン五百もいかない。つまりヘクタール当たり三十三トンか三十四トンしかとれない。おしなべてヘクタール当たり四十トン以上は収量を見込むことができないという状態にいまあるのです。私はこれは土地の問題、いわゆる土壌の条件というようなものについても十分精査をしていかなければならない点だと思うのですけれども、さすれば、倉石前大臣が言ったように七万ヘクタール、八万ヘクタールまでもこの面積を持っていくのだとしたら、ただ普通のさっき申し上げた畑作の全体だけ見ていてできるということではないわけです。したがって、どこかにいわゆる新しい視点を求めていかないと八万ヘクタールなんという膨大な面積を確保することは至難なわざなわけです。暖地ビートにはなりませんから、青森の方に持ってきて植えるなんということにはならないわけでありますから。そうでなくても北海道でさえ南からだんだん北の方に移行しているのでありますから、そういうことになってまいりますと、ここでもう一度やはり酪農とビートという問題を考えてみなければならないのではないか。これはいままでもずいぶん研究検討がなされてきたのですが、委託栽培のようなかっこうでいまテストが行われていますね。でも、もうテストの段階は過ぎて、やはり急いでそれがそういう地帯に伸びていくように具体的に施策として盛り込みながらやっていかなければならない大事な時期にきているのではないか、こう思うのです。ですからそういう意味で、てん菜のこれからのやり方について思い切った発想の大転換が必要ではないか。私が前段第一の提案の中で、そういういま申し上げたような意味を含めてひとつこれから検討しようじゃありませんかという提案をしたのは、そういうことなんです。これは新局長、あなたにはいろいろな砂糖に対する抱負がおありのようなんで、いままで十分聞く機会がありませんでしたけれども、もう時間がなくなってしまいましたから余り長く答弁いただくことはできませんけれども、こうした面もひとつ取り組んでいきたいと思うのですけれども、いかがです、取り組んでいこうじゃありませんか。
  195. 今村宣夫

    ○今村(宣)政府委員 お話のとおりであると思いますので、十分御意見を拝聴しながらそういう問題に取り組んでまいりたい、かように考えております。
  196. 島田琢郎

    島田(琢)委員 舌足らずで終わらなければなりませんが、時間が参りましたのでこれでやめたいと思いますが、一言次官に。  さっきちょっと畑作の関係で申し上げたマッシュポテトですけれども、マッシュポテトに亜硫酸ナトリウムという問題がありまして、それが非常に外国から入ってくるときの問題になるということで、私どものポテト工場なんかは非常に脅威を感じているんですよ。この問題についても私余り中身について詳細承知をしているわけではないのですが、これは公害上の問題としてもゆゆしき問題だと思いますし、食品の、特にバレイショの加工物でありますから、これはひとつ十分気をつけていただいて、万が一にもそういう公害に類するようなマッシュポテトが出回るようなことがないように厳重規制を行っていくべきだと思うんです。国内ではないんです、外国から入ってくるやつなんですから。  そこで、現地ではそういうことについてかなり心配をする向きがあって、私にもそういう言づてがいっぱいございました。いままで私自身もよくわからなかったけれども、そういう状態になっているとすれば、放置しておくわけにはいかないだろう。特にマッシュポテトというのは、国内においての生産が頭打ちの状態にありまして、余りむちゃくちゃつくって、むちゃくちゃ売れるという状態ではありませんから、産地では生産者価格にもかなり影響を及ぼして、売れるときと売れないときによって差が出たりして苦労しているものなんですが、十分御配慮を願いたい。最後にこれをお願い申し上、げておきます。
  197. 今井勇

    ○今井委員長代理 稻富稜人君
  198. 稲富稜人

    ○稻富委員 食糧庁長官を中心にひとつお聞きしたいと思うのです。  私は、大体本年度の残り米の問題を中心にお尋ねしたいと思っております。これはすでに昨日から本日にかけまして同僚議員からいろいろ御質問があっておるようでございまして、私、不幸にしておりませんでしたので、重複する点は簡単に御答弁を願えば結構でございます。そのつもりでひとつ御答弁願いたいと思います。  一番最初にお尋ねしたいと思いますのは、これは形式的な問題でありますけれども、本年度の米の生産目標をどのくらいに今日見ておられるかということを承り、それからこれに対する本年度の政府の買い上げの目標というものをどのくらいに考えておられるか、その点を承りたいと思います。
  199. 大河原太一郎

    大河原(太)政府委員 五十年産米につきます全体需給計画は、生産調整の関係もございまして千二百三十五万トンの計画生産量。それで、十月の作況は、先生御案内のとおり千三百十万トンというのが予想収穫量で出ておる。それから、政府の関与する予約限度数量でございますが、これは、政府買い入れ量は六百三十五万トン、それから自主流通が二百五十万トン、合わせて八百八十五万トンというのを予約限度数量として予定しておるわけでございます。残りが農家消費等でございます。
  200. 稲富稜人

    ○稻富委員 そうすると、その残り米というのはどういうふうに処置しようという考えを持っていらっしゃるか、それを承りたい。
  201. 大河原太一郎

    大河原(太)政府委員 お答え申し上げます。  これについては、たびたびのお尋ねでございますが、予約限度の超過米につきましては、四十八年のケースもそうだったわけでございますが、正規の自主流通ルートと同じルートで集荷団体を通じて卸売業者に販売する、自主流通米と全く同じ取り扱いとして処理したい。また過去においても処理いたしたということでございます。
  202. 稲富稜人

    ○稻富委員 この点につきまして、食糧庁長官に特に私お尋ねいたしたいと思いますことは、御承知のとおり食糧管理法の第三条に、「米穀ノ生産者ハ命令ノ定ムル所二依リ其ノ生産シタル米穀二シテ命令ヲ以テ定ムルモノヲ政府二売渡スベシ」ということになっております。これは「命令」というものがあって政府の逃げ道をつくってある。これに対してどういうような解釈をされておるか、この点を率直に承りたいと思うのです。
  203. 大河原太一郎

    大河原(太)政府委員 お答え申し上げます。  先生、食管制度の基本に即した御質問でございますが、食糧管理法の第一条の、国民食糧の確保、国民経済の安定を図るために主要食糧の管理をいたす、その場合に、主要食糧につきましては、主要食糧の需給なり価格の調整及び配給の統制を行うということを目的としておるわけでございます。そのために必要とする主食、米なら米につきまして政府が買い入れ、管理するというわけでございます。その需給上必要な米については生産者にも売り渡し義務をお願いする、そして政府もこれを買い入れるというたてまえになっておるわけでございまして、食管法第三条第一項を根拠に置きまして予約制等を規定しておりますいわゆる米穀の政府売り渡しに関する政令で取り扱って  おるわけでございます。
  204. 稲富稜人

    ○稻富委員 そうすると、政府は生産者に米穀を売り渡す義務は与えるが、政府の買い上げる場合は法律に基づいているから買い上げる義務は持たない、こういうような考え方でありますか。
  205. 大河原太一郎

    大河原(太)政府委員 これは御案内のとおり食管法の三条一項で需給上必要な米穀については生産者に売り渡し義務を課しておる。義務を課す以上、それに伴って政府の買い入れ義務もあるという問題と、もう一つ食管法九条等におきまして、米穀の生産者についての譲渡その他一切の規制をしております。施行令で、その米穀の生産者が売り渡せる場合は、政府に売り渡すかあるいは自主流通米として指定集荷業者に売り渡す場合というふうに限定をしております。そういうように流通規制をしておる以上、また特定の場合を除いては政府が買い入れておるということでございます。
  206. 稲富稜人

    ○稻富委員 食糧庁長官も非常に苦しいような答弁をしていらっしゃるようでございますが、生産者は、生産したる米穀は政府に売り渡すべしということにはっきりなっておる。ということは、当然政府も買い上げる義務があるということはやはり考えなければいけないのじゃないかと思うのです。そうしなければ、これはもう御承知だと思いますが、かつて米が足らなかった場合は相当にひどいことをして供出命令をして、家宅捜索をして、これに違反をしたる農民は相当な罰に処せられた。  私、ただいま「司法統計年報」の「刑事編」を見ますと、食糧管理法違反といたしまして、昭和二十三年に供出をしなかったということで罰せられた農民が十万七千七百七十二人おるんです。昭和二十四年は十三万六千二百五十三名おる。昭和二十五年になりますと十一万九千七百七十七名になっております。昭和二十六年は九万三百七十八名、昭和二十七年は六万七千九百六十一名、昭和二十八年は四万六千二十名、こういうように、食管法違反として処分をされた米穀生産者というものが多数あるということなんです。米の生産者というものは生産したる米穀は国に売り渡すべしという義務をつけられたがために、農民は非常に過酷な取り扱い方を受けておる。担当しておる農林省としては、こういうような農民の実情というものは好むことではないと思う。農民にこれほど過酷なる命令をし、過酷なる処置をとるとするならば、農民がつくった米穀というものは政府が買い上げるということが当然行われなければいけないのじゃないかと思うのです。これをやらないで、法律の定めるところにより足らないときは過酷にこれを買い上げておいて、余ったから今度は買わないのだということは、これはあたかも農民の人格を無視した行いであり、封建制度時代の農民に対する政治のあり方と一つも変わらないと私は思う。この点をこれでいいと農林省自体がお考えになっておるのであるか、農民に済まないという考えを持っていらっしゃるのであるか、農政を預かっている農林省、政府において農村に対してどれほどの良心があるか、この点を私は承りたいと思う。これはできることならひとつ大臣に承りたいと思いますので、まず次官から大臣の代理として、こういう行為がいままで行われているというこの事実の上に立って、どういうようにお考えになるか。農林次官は農村の問題には相当に農民の側で好意を持たれているということも私は知っておりますので、率直に承りたいと思います。
  207. 江藤隆美

    江藤政府委員 私は、日本の農民は三千年の長い間米をつくってきて、腹いっぱいにその米を食べることができなかったのが日本の農民の歴史ではないかと、日ごろそう思っております。米をつくりながら米を十分腹いっぱい食べることができなかった、それが長い歴史の中における日本の農村であろう、こう思っております。ただいま御指摘のような、戦時中から戦後にかけて国の命令の定むるところによって食糧の不足時代に食糧の供出等において非常な無理があったと思われるようなことは、私は大変痛ましいことだと思っております。私の家も同じ農家でありますから、そのような家宅捜査を受けたことはありませんけれども、割り当て供出等でずいぶん苦しんできたわけでありまして、身にしみてそうした時代の痛みというものは私自身も感じておるつもりでございます。
  208. 稲富稜人

    ○稻富委員 感じておるばかりではしょうがないので、要するにこういうようなことがいいか悪いかということをまず考えて、その上に立って今後どうするかということをひとつ考えていただきたいと私は思うのです。単にこれは痛ましいことだということでは葬り去れない問題なんです。本当に農民に気の毒であるし、農民がそれがために痛ましいと思うのであれば、農民が米を営々と生産し、そしてその生産した米が余るとするならば、これは全量国が買い上げるというこの親心。農民が国に売らなくちゃならないという義務があるならば、政府もその法律の定めるところによって買い上げる義務というものを持つことが当然ではないか、これが農民に対する農政の心遣いではないか、私はかように考えますので、その点の考え方を率直に承りたいと思うわけです。
  209. 江藤隆美

    江藤政府委員 先ほどのお尋ねは、そういう過酷な行政に対してどういうことかということでありましたからそう申し上げたわけでありますが、戦後の苦しかった時代に、つくる方も大変でしたし食糧の足りない方も大変でした。一粒の米でも欲しいという人、それから一粒でも自分の家に残しておきたいという農民、そういう中にあって国民を守っていくという、食糧を供給していくという立場からそういういろいろな罰則の適用に至ったことは、いまにして思えばまことに私は残念なことだと思っております。  そういう過去の上に立ってこれからの昭和五十年度において生産された米の処置をどうするかという問題でありますが、私どもは繰り返して申し上げておりますように、政府としてはただいま十一月一日現在の諸般の調査をいたしておりまして、実はまだ米の集荷も四〇%程度であります。まだ全容が実はつかめておらぬわけであります。したがって、私どもはなるべく早くその実態の把握に努めて、そうして出っ張るところもありましょうけれどもまたへっこむところもございますから、県間の調整を早急に行う、そしてできるだけこれをならしていく、もしそれでできない場合には努めて自主流通米でもってこれを処置していく、こういう方針でただいま臨んでおるということであります。
  210. 稲富稜人

    ○稻富委員 それでは、食糧庁長官がその事務的な問題は当然取り扱われるわけでございますのでここで承っておきたいことは、本年度生産の米に対しましては、たとえ政府が買い上げようとする目標よりも余った場合でも、その余り米の不安を農民に与えないような何らかの処置をやる。自主流通米であるかあるいは買い上げるか、その方法は知りませんが、農民には不安を与えない、こういうことをやるということだけはここではっきり明言されますか、その点を承りたい。
  211. 大河原太一郎

    大河原(太)政府委員 この点につきましては、的確な数量の把握と県間調整等の適切な措置をとった上で、これで最終的に農民に不安を与えないような措置をとるということの心構えで、諸般の事情をただいまできるだけ早期につかんでその適切な対策を講じたいというふうに考えておるわけであります。
  212. 稲富稜人

    ○稻富委員 では農民にそれで一切不安を与えたいということになれば、農民は非常にこれを心配いたしておりますので、私たちも農民に非常に心強く思わせることができると思います。  それで、ここでさらに私申し上げたいと思うことは、こういうような余り米というものができますと、あるいは米の備蓄対策等も当然考えなくちゃいけないだろうと思うのでございます。幸いに備蓄しなくても流通できれば結構でありますが、この備蓄米制度に対してはいかなる考えを持っておられるか、この点も承りたいと思います。
  213. 大河原太一郎

    大河原(太)政府委員 お答え申し上げます。  四十七年以来の国際農産物需給の大きな変化から、相当量を海外に仰がざるを得ない、あるいは主食としての米の作柄変動に対して対応しなければいけないというようなことで、備蓄については本格的な在庫造成という形で乗り出しておるわけでございまして、しばしば申し上げておりますように、五十米穀年度末、この十月三十一日現在では百十三万トン、それから明年度は五十年産米の生産調整を調整いたしまして、在庫造成を三十五万トンいたしまして来年度は百五十万トンというふうにしておりまして、さらに今後の大きな変動の諸要因等を考えて二百万トンの造成を年次計画をもって進めたいというふうに考えております。この二百万トンという数字の意味は、大体需給操作上は百万トン、月五十万トンでございまして、二カ月分あれば通常の場合の需給操作は可能でございますが、大きな作柄変動等があった場合にも対応できるというようなことで二百万トン、四カ月分の在庫積み増しを行いたいというふうに考えております。ただ計画的な備蓄でございますので、この点については先生また御議論があるかと思いますが、米の過剰基調は現在も続いております。したがいまして、その過剰基調に対する配慮をしながら計画的に備蓄を進めていくというのが私どもの基本的な考えでございます。
  214. 稲富稜人

    ○稻富委員 備蓄をされるという場合に、備蓄の方法はいろいろあると思うのですが、本来なら御承知のとおり、次官なんか田舎だからよく御存じでございますが、備蓄の方法というのはもみで備蓄したのが一番米の品質が変わらない。やはり空気の通わない袋に入れるということは、米の品質を非常に殺すことになる。そういうような点で、備蓄する場合は御承知のように昔は全部もみで備蓄したものなんです。各個人個人の家にもみびつというものを持っておった。非常な旧家なんかに行きますと、もしも不作の場合に種がなくなったらいけないというわけで、種をちゃんと倉庫の二階に下げておったのです。これは何年も死なないのです。何十年も前のやつが芽を出す。こういうような方法で備蓄をするというか、品質の変わらないような備蓄の方法等も十分検討しなければできないと思うのですが、こういうことに対しては何かの配慮をしてあるか承りたい。
  215. 大河原太一郎

    大河原(太)政府委員 備蓄につきましては、生産者の方御自身あるいはそれぞれの段階で備蓄をするというような問題もあるかと思いますが、政府が責任を持って一定量、ただいま申し上げましたように私どもとしては二百万トン程度は今後計画的に造成したいというふうに考えておりますが、その場合に、もみ貯蔵がしかるべきだというお話をしばしば承ります。ただ、この点につきましては先生指摘のような戦前の状態と少し違っておりまして、戦前は天日乾燥、人力によるあれでもみが傷んでおらなかったという事例でございます。したがいまして、長期の保管がきくという事態があったわけでございますが、御案内のとおり、最近の機械化による収穫乾燥等によってもみが果たして長期貯蔵に耐え得るかどうかというような問題も、これは技術的に私ども真剣に検討させていただいておるわけでございます。  したがって、その長期の保管等についての問題も一つございますし、もう一つは、普通の玄米を低温倉庫に貯蔵する場合に比べてスペースが二倍以上かかるというような問題も、実はあるわけでございます。したがって、現在の私ども考え方としては、玄米を低温倉庫によって保管するのが一番実際的ではないかというふうに考えておりますが、もみ貯蔵については各方面からいろいろ御議論も承っておりますので、その検討課題の一つではございますが、私どもの実際に即した考え方はただいま申し上げたとおりでございます。
  216. 稲富稜人

    ○稻富委員 貯蔵方法に対しては、将来検討する余地はずいぶんあると思いますので、十分検討していただきたいと思います。  それから御承知のように国際食糧会議が開かれております。この国際食糧会議において日本が、あるいは未開発地帯に対する食糧を供給しなくてはいけない、こういうようなことを決定されるというような見通しがあるかどうか、この食糧会議に対する日本への食糧の提供、これに対する見通しを、どういうような状態になっておるか、この機会に承りたいと思います。
  217. 大河原太一郎

    大河原(太)政府委員 お答え申し上げます。  私の所管を離れる部分もございますが、全体として申し上げますと、昨年秋のローマの世界食糧会議において、援助も含めた備蓄問題というものがアメリカのキッシンジャー構想として提案されまして、それは大まかな提案でございまして、その場合に、パーマ提案という一つのガイドラインを示しての備蓄構想も示されておりましたが、本年秋になりまして、アメリカから国際小麦協定の準備理事会におきまして小麦二千五百万トン、それから米五百万トンについて輸出国及び輸入国の負担においてその備蓄をする、その中には開発途上国に対する援助も取り入れた備蓄構想ということが実は提案されたわけでございますが、     〔今井委員長代理退席、笠岡委員長代理着席〕まだこれについては提案されたばかりでございまして、関係国に持ち返りまして検討しておるというわけでございますが、私どもとしてはやはり小麦等については大輸入国でございますから、その輸入国についての非常な場合の安定供給、必要量の確保というような点、また価格についてもある安定的な価格で供給されるという問題、この二つの問題等についてはなお検討をして進めなければならないというわけでございまして、なお今後の検討課題ということになっておるのが実情でございます。
  218. 稲富稜人

    ○稻富委員 ここで承りたいのですが、先般来農林大臣がアメリカに小麦の買い付けに行かれたという報道を聞いておりますが、それはいま長官からお話がありました小麦の買い付けというのは、二百五十万トンを目標として小麦の買い入れをやろう、こういうことでございますか。
  219. 大河原太一郎

    大河原(太)政府委員 お答え申し上げますが、先般、八月の安倍大臣の訪米は、この備蓄その他とは無関係でございまして、やはり安定供給ということで、今日数量等について一番安定的に供給を受けている米国におきまして、今後三年間、小麦三百万トンそれから飼料穀物八百万トン、それから大豆三百万トンをめどにして安定供給を確保するというようなことでの話し合いをやってきたというわけでございまして、直接備蓄とは関係なく恒常的な、コンスタントに、大体アメリカからの輸入量も三百万トンを超えておりますので、その程度はこの三年間、また年々の事情によってレビューはいたしますが、そういうような目的でこちらも買い付けるし、向こうも安定供給に努力するというような内容のものとして話し合ってきたわけでございます。
  220. 稲富稜人

    ○稻富委員 備蓄問題とは関係なくして、本年度においては、今回はアメリカから小麦はどれだけ買い付ける、こういうような目標を立てておられるかということを聞いておるわけです。
  221. 大河原太一郎

    大河原(太)政府委員 年によって振れがございますが、最近の日本の輸入量というものを見ますと、大体三百万トン程度年々の買い付けを行っておるわけでございます。
  222. 稲富稜人

    ○稻富委員 そうすると、来年度の米の生産調整を二百万トン程度やろう、こういうさっきの御答弁があったが、来年度は米の生産調整をやる、こういう御意向があるようにこの間新聞で承ったのですが、どのくらいの生産調整をやろうという考えですか。
  223. 大河原太一郎

    大河原(太)政府委員 お答え申し上げます。  明年度も現在のところでは千三百万トンを超える潜在生産力が米についてあるわけでございますが、需用量がほぼ千二百万トンだろう、その差については他の必要な作物をつくっていただくという、従来の言葉で申し上げますと生産調整をいたすということに相なっておりまして、その数字は、在庫造成分はよけいつくっていただかなければなりませんので、計画としては生産調整数量は八十万トンということに、現段階ではそういう数字としてあらわしております。いずれにいたしましても、とりあえずの八月の数字でございますので、なお検討しなければならないというように考えております。
  224. 稲富稜人

    ○稻富委員 局長農民の納得のいかないところはここにあると思うのですよ。日本で生産される米を八十万トン生産調整をして、そしてアメリカから三百万トンの小麦を買ってくる、こういうようなことをやって、果たして日本の農政というものに対するどれほどの熱意があるかということが、端的に言って農民の一番納得のいかない点である。なぜそういうことをやらなくちゃできないのであるか、この点を詳しく——時間がないから次の機会に譲りますけれども農民が一番納得のいかないのはここなんですよ。アメリカからは三百万トンの小麦を買ってくる、そして、日本の八十万トンの米の生産調整をやる、なぜこういうことをやらなくちゃいけないか、ここなんです。どういう事情なんですか。この点をひとつ承りたいと思います。
  225. 大河原太一郎

    大河原(太)政府委員 お答え申し上げます。  先生御案内のとおり、戦後のわが国民の食生活については、主食は米でございますが、パン食その他粉食も食生活としてはほぼ定着しておるわけでございます。したがって、一方的に粉食の消費を規制して、それで強制的に米に置きかえるということは、これは議論としては考えられると思いますけれども、なかなか一挙にというわけにはまいらない需要があるかと思うわけでございます。したがいまして、先ほどもしばしばお話が出たように、米の消費の拡大に対するあらゆる施策、あるいは長期をおもんぱかっての学校給食における米飯の導入というようなことから、生産力を十分持った米の需給がとれるような需要を伸ばしていくというふうにすべきではないかというのが基本的な方向ではないかというように思っております。
  226. 稲富稜人

    ○稻富委員 もう時間がありませんので結論だけ申しますが、私たちが納得のいかないのは、こういうような粉食になれさせたというのはいままでの日本の政治のあり方に大きな問題があったと思うのです。御承知のとおり、高度経済成長政策をとって、農業の国際分業論から出発して、なるたけ海外に食糧を依存しようという考え方、その海外に食糧を依存するためにはやはり粉食になれさせなくてはいけない、こういうような考え方もあったと思う。その粉食になれさせるためには子供の時分からパン食になれさせる必要があるということで、学校給食をわざわざこの粉食でやらした、これはこじつけかもしれませんけれども、そういうようなことも否定できないと私は思うのです。そして一方では、米を食べると太り過ぎるんだ、血圧が上がるんだというような宣伝をする。これは時間があったら厚生省も呼んで十分聞こうと思ったけれども、果たして米というものがそんなに人間の体に害を与えるものであるか。いかにも米を食べたら太り過ぎるんだ、あるいは米を食べたら血圧が上がるんだというような宣伝を一部にやらして、そして一方ではパン食になれさせるというような政策がやられたということは、食糧の国際分業論から出発した政治のまずさがそこに非常にあらわれていると私は思うのです。こういう問題はこの際思い切って直さなくてはいけないんじゃないか。従来粉食になれておるからやはりそれを守るためにはこれは否定されないんだというようなことでは片づけられないと私は思う。私が考えることは、米のみならずすべての農業というものが、野菜にいたしましても何でも今日のような農業でいいかということを考えなくてはいけないときに来ていると思うのです。農業そのものがすべて原点に立ち返って、日本の農業をどうするかということを考え直さなくてはいけないときがいま来ておると私は思う。粉食というものを否定されないからそれによって小麦も買わざるを得ないんだというような惰性の農政というものはこの際考え直さなくてはいけないと私は思うのです。これは農林省ももっと決断を持ってやらなくてはいけないと私は思うのです。しかも、生産調整の問題でもどういうような生産調整をやられるか、こういうことに対してもいろいろ議論がありますが、時間がありませんからまたの機会に譲りますけれども、いまあなたが言われるような粉食になれているからこれを否定するわけにいかないから小麦も買わざるを得ないんだ、そうして一方では米の生産調整をやらなくてはいけないんじゃないか、こういうような考え方農林省が農政に対処されるところに大きな間違いがある、私はかように考えます。こういう問題は、原点に立ち返って日本の農業というものをもっと考え直さなければいけない、検討しなくてはいけないんじゃないか、こういうことを強く私は要望しておきます。時間がありませんのでこれに対する農林省としての決意のあるところを承りたいと思います。
  227. 江藤隆美

    江藤政府委員 食糧庁長官が申し上げましたのは、アメリカの穀物相場等が変動いたしますので、そういうことがあってはいけないということで、実は大臣が長期契約を行いに行ったということでありまして、米を食わさずに、片方で生産調整をして外国の小麦に補助金を出す、そういうやり方というのは誤りだと私どもも思っております。しかしながら、それにはそれなりの歴史的な過程があるわけでありまして、いまおっしゃったように美容と健康に悪いからというようなことがありましたが、どうも農林省も宣伝が下手くそでありますが、私は、学問的に言って米は日本人にとって最高の食糧である、こう強く信じています。米を食っておる国民は穏和な国民だそうでありまして、粉食にいたしますと非常に凶暴になるというような統計もあって、余りインスタント物を食っておりますと、食物に変化がありませんので犯罪に結びつく、そういう議論もあります。あるいはまた、いま外交官が非常に新しい病気にかかっておりますけれども、日本のあと十年先の国民の健康というものは、粉食と肉食、そういう高カロリーのものを食ってだんだんああいうふうになっていくんじゃないかというような説を唱える者も実はおります。ですから、米というのは日本人の胃袋、腸、体の構造に一番適した食糧である、民族が英知を傾けてつくり上げた食糧である、こういう原点に立ってこれから先のそうしためん類あるいはパン食、その他の小麦製品に対する対策というものを考えていく、学校給食もその一つであります。そういうことで、きのうも申し上げましたけれども、適当な時期に、やいと言って取っつかまえるわけにもいきませんので、適当に小麦の値段を、逆ざやだけは解消して、そういうところから農業の本当の予算というものを生み出してもいこう、食糧の需給の調整もしていこうと考えておりますので、また御協力をいただきたいと思います。
  228. 稲富稜人

    ○稻富委員 いろいろお尋ねしたいこと、また意見もありますけれども、時間がありませんので……。  幸いに次官が非常に米を食っていらっしゃるそうで、米を食っていらっしゃってもあんな気の強い人もおるわけなんで、非常に心強く思いました。私、いずれまた時期を改めましてこの問題につきましてはお尋ねすることにいたしまして、本日はこれをもって私の質問は終わります。
  229. 笠岡喬

    ○笠岡委員長代理 馬場昇君。
  230. 馬場昇

    ○馬場委員 少し古い話になりますけれども、昭和四十二年に、カネミ油症事件の直前にPCBの入りましたダーク油をまぜました配合飼料で西日本一帯に鶏が大量死したという事件がございました。当時農林省はブロイラーで百万羽、その他の成鶏で百十万羽、二百十万羽の被害を受け、その中で四十万ないし五十万羽が死亡したという発表をしておられます。これは飼料中毒ではまさに日本で最大のものであり、こういう大惨事というのは世界的にもまれではないかと私は思うのですが、最初お尋ねしておきたいのは、二百十万羽が被害を受けて、そのうち四、五十万羽が死亡したと農林省は発表されておりますが、それは事実でございますかどうですが、お答え願いたい。
  231. 大場敏彦

    ○大場政府委員 被害鶏でございますが、被害鶏の数は、最近私どもがカネミの患者さんたちの御要求に基づきまして再調査いたしました結果、百九十万羽というものが被害鶏になっておる、そういう調査結果が出ております。
  232. 馬場昇

    ○馬場委員 私が聞いたのは、四十三年に二百十万羽被害を受け、四、五十万羽死亡したという発表をなさっておるが、それは事実かということを聞いたわけです。いまのお話では、最近調べたところ百九十万羽だということで、そう変わりませんけれども先ほどの質問は、四十三年そういう発表をしたかどうかということでございます。  そのことに正しく答えてもらいたいと思うのですが、それから、いま出ましたように、最近四十三年から五十年ですか、七年ぶりですけれども、七年ぶりにその被害状況について追跡調査をやっておられますね。この追跡調査を七年ぶりになぜやられたのか。追跡調査をどういう意味でやったのか。このこともあわせてお答え願いたいと思うのです。
  233. 大場敏彦

    ○大場政府委員 先ほどのお尋ねで、二百十万羽というのは当時いろいろ公の場でお答えしております。それから先ほど、いま改めて調査したのはなぜか、こういったことでございますが、最近、この九月、十月とカネミの患者の方々、それから支援団体の方々、いろいろ農林省にお見えになりまして、お話し合いの結果、その御要望もありまして、改めてできるだけの調査をするということで、十六県に照会いたしました結果、その追跡調査をいたした次第でございます。
  234. 馬場昇

    ○馬場委員 これは患者さんとかその支援の方々の要望もあって改めて調査をしたということですが、要望があって、なるほどそうだということで、農林省の主体的な考えに基づいて調査をされた。いまの話を聞きますと、まあ大体する予定はなかったんだけれども、要望があったからしたんだというようなことに聞こえるのですけれども、その調査に対する農林省の主体的な物の考え方、こういう目的で、こういうことをやるために調べたんだという主体的な目的をまず聞いておきたいと思うのです。追加して答えてください。  それから、この被害追跡調査で四百四十二戸の被害戸数のうち三百五十一戸を調査されておりますが、被害羽数が七十六万六千七百四十九羽、このうちブロイラーが五十九万四千六百四十九羽、採卵鶏が十七万二千百羽、こういう被害羽数であったということが発表されておりますが、これに間違いはございませんか。
  235. 大場敏彦

    ○大場政府委員 調査をいたしましたのは患者の御要望もございました。ございましたが、やはり農林省としてもそういう調査はしておくべきであるという判断でいたした次第でございます。  それから、関係十六県に依頼してこの九月から十月に調査いたしました結果は、把握できました被害羽数は、ブロイラーが五十九万四千六百四十九羽、採卵鶏が十七万二千百羽、合計七十六万六千七百四十九羽であります。
  236. 馬場昇

    ○馬場委員 そういたしますと、四十三年度に大体二百十万羽の被害があったと発表しておられる。今度七十六万六千七百四十九羽被害があったという調査になっておる。この差はどうなっておるわけですか。
  237. 大場敏彦

    ○大場政府委員 今回の調査は、八年も経過いたしておりますので、当時の記録がほとんどございません。そういう事柄上、関係メーカーの当時の被害農家の名簿とか、あるいは当時の販売等からの聞き取り等によりまして被害農家をリストアップして、そうしてそこに県の職員が戸別訪問して聞き取り調査をする、そういった形をとったわけであります。したがいまして、当時の被害農家のすべてについて調査がなされたというふうには言いがたい事情がございまして、それからまた調査結果によりましても、被害農家の方で当時の資料がほとんどございません。主として記憶に頼ったという形の調査でございますので、全部を調べ上げることはできなかった、そういったことで、対象羽数も私どもが把握いたしましたのは、当時、公の場所で申し上げました二百十万羽というのに比べまして、約七十六万羽であったということでございます。
  238. 馬場昇

    ○馬場委員 そういたしますと、真実はどちらですか。本当に被害があった羽数というのは、二百十万羽が正しいんですか。この発表というのは、今度追跡調査で出てきたのがこれだけである、本当は二百十万羽被害を受けたのであるけれども追跡調査では七十六万羽だ、こう理解してよろしいんですか。
  239. 大場敏彦

    ○大場政府委員 ただいま申し上げましたように、われわれが把握できました被害羽数は七十六万羽だけだったということで、それがすべてであるということを申し上げているわけじゃありません。それ以上に被害羽数があったということは容易に推定できるわけでございますが現在把握できたのは、いまの時点では七十六万羽であったということであります。
  240. 馬場昇

    ○馬場委員 そういたしますと、四十三年に発表いたしました二百十万羽というのは、これは正しいんですか、正しくないんですか。
  241. 大場敏彦

    ○大場政府委員 当時のメーカーからのいろいろ聞き取りを集計いたしましたのが二百十万羽だということで、当時そういう数字を発表いたした次第でございまして、それ自身間違いではなかったと思っております。
  242. 馬場昇

    ○馬場委員 あれだけ世界的な大惨事というか、日本のこういう飼料中毒では最大のもの、それの数字を、二百十万羽というのを国会で発表しておられるんです。それをメーカーの資料だけによったというようないまの答弁では、はなはだおかしい。当時は農林省としてはメーカーの資料に基づいてそれを言ったということですか。国会の議事録によりますと、私ども農林省調査では二百十万羽の被害があったと言っておられるんですよ、どうですか。
  243. 大場敏彦

    ○大場政府委員 その当時、メーカーは被害農家に対しまして被害があった鶏に対しまして補償をいたした経緯がございます。そういったことで、メーカーを通じていろいろ報告を聴取した。それからもちろんメーカーだけではございません。いろいろ県からも事情は聴取したということはしたわけでございますが、そういったことをあわせまして二百十万羽ということを当時御発表申し上げたという経緯でございます。
  244. 馬場昇

    ○馬場委員 わからないんですけれども、だから農林省は、農林省が主体的に調査機能を発揮して調べたのか、メーカーが言ったからということなのか、その辺をはっきりしていただきたい。そうしなければ、前のはメーカーが言った数だ。今度調べた七十六万羽が正しいのだ。これは調査漏れもあるとおっしゃいましたけれども、そういうことで、結論的には、前は農林省が十分調べていなかったということと理解していいんですか、メーカーの報告だけだということで考えていいんですか。
  245. 大場敏彦

    ○大場政府委員 二百十万羽というものは間違った数字だということを申し上げているわけじゃございません。それはその当時農林省が、方法はいろいろな方法をとったと思いますが、農林省がいろいろ情報を収集して調査した結果の数字でございます。今回の七十六万羽は、いまの時点で改めて調査した結果、私ども調査のリストに上ってきたのは七十六万羽だけであったということであります。
  246. 馬場昇

    ○馬場委員 わかりました。二百十万羽被害を受けたのは正しいのだけれども、今度の調査では七十六万上がってきたということですね。  それでは次に、今度の調査によりますと、斃死した鶏の処分状況が書いてございます。だから、この数字は、いまの理解から言いますと、二百十万羽被害があったけれども調査したのが七十六万だ。だから半分も被害が表に出ていないという中の数字であるわけでございますけれども、この死んだ鶏を三十九万九千百九羽埋めたということになっております。そして七万六千二百四十五羽、これを焼却したということになっておるわけでございます。これはもう資料ではっきり発表されておりますから、あと確認を願いたいのですが、私は間違いはないと思うのです。そういたしますと、この三十九万九千百九羽を埋めた。これはどこに埋めたのですか。その調査がありますか。埋めたとしますと、土壌が汚染される、たくさんのPCBを含んでおるわけですから、そういう土壌汚染の危険というのはないのか。どこに埋めました、危険がありますとかないとか、はっきり答えてください。そしてまた、焼いたといたしますと、大気汚染という心配はなかったのか。これについて、埋めたあるいは焼いたということについての事実関係と、どこに埋めたのか、汚染の心配はないのかということについて答えてください。
  247. 大場敏彦

    ○大場政府委員 斃死した鶏につきましては、処分の方法といたしまして、先生が御指摘になりましたように、埋めたりあるいは焼却したりいたしてございます。  それからどういうところへ埋めたのかというのがございますが、それにつきましても調査いたしました結果、自己の所有地内に埋めたというものがかなり多うございます。その他というところがございますが、その他の中身はいま手元にございません。  それから処分はだれが実施したのかということにつきましても、養鶏場あるいは農協、そういったものがやったというような調査はございます。  それから埋めたことに伴うPCBによる土壌汚染、あるいは焼却しても、それは大気中にPCBが逸散する、そういったことによる大気汚染、そういった問題につきましては、これはあり得ると思います。ただ、それがどの程度のものであるかということにつきましては、残念ながらいま手元にデータは持ってございません。
  248. 馬場昇

    ○馬場委員 これは土壌汚染、大気汚染はあり得るということで、手元にデータは持っていないとおっしゃいましたけれども、そういうことについて調べてあるのですか。そしてまだ調べてなかったら、将来お調べになりますか。これは農林省に聞きたいのです。  環境庁、来ておられるですね。このような処置についての環境庁の物の考え方ということもあわせてお聞きしたいと思うのです。
  249. 西村純幸

    ○西村説明員 お答えいたします。  本件に関しましては、昭和四十三年時点のことでございます。実は環境庁まだ発足していなかった時点でございますが、何分八年経過していることでもありますので、まあ、いま農林省の方からいろいろお答えございましたけれども、処分の状況等、まあ実情、実態なかなか把握しがたい条件があると思いますが、これらの省からよく状況を聞きまして、今後の対策について協議してまいりたい、こう考えております。
  250. 大場敏彦

    ○大場政府委員 埋めた場所あるいは焼却した場所、まあ焼却した大気中のものへの逸散の問題は、現状においてはなかなか把握はできないだろうと思うのでありますけれども、土壌汚染があったかどうかということにつきましては、わかっております場所につきましては、それは調査可能性はあると思います。しかし、残念でございますが、かなり古い時点でございますので、当事者の記憶もかなり逸散しておりますので、全部が全部必ずしもフォローはできないと思っております。
  251. 馬場昇

    ○馬場委員 聞きたいのは、埋めたというところがもうわかっているところも大分あるわけですから、そこの土壌がどう汚染されておりますかということを私は聞いておるのですけれども、どうやら調べてないようでございますから、いまのお答えは、わかっておるところは汚染状態を調べてみます、そういう答弁か。それに対して環境庁の答弁は、農林省相談をして調べるという方法をとりたいというぐあいに理解していいのか、端的に農林省から答えてください。
  252. 大場敏彦

    ○大場政府委員 今後調べるか、こういうことでございますが、わかっておるところにつきましては環境庁とも相談して調べてみたいと思います。
  253. 馬場昇

    ○馬場委員 次に、ダーク油をカネミからメーカーが買っているわけでございますが、これが全部メーカーで使われたとは思えませんし、余っておったんじゃないかと思うのです。まだ使わないものがあったと思うのですが、そういうダーク油の処分はどうなったのか。それから、このPCBを含んだダーク油を入れました配合飼料が出回っておったわけですね。この飼料は、農林省は回収を指示されております。この回収された飼料はどうなったのか、どう処分されたのか。ついでと言っちゃなんですが、厚生省も来ておられると思いますから、厚生省は、まあライスオイルも大分保健所なんかにも事件が起きた後持ち込まれたと思いますが、この保健所なんかに持ち込まれました、あるいは回収という形になりましたライスオイルはどう処分されたのか、これは厚生省にお聞きします。
  254. 大場敏彦

    ○大場政府委員 配合飼料の回収をさせたということでございますが、私どもすでにカネミオイルが、PCBのこの油症が発生する以前、四十三年三月時点におきまして、ダークオイルの使用をえさとして使うことはやめろ、そういうことをいたさせましたし、それからいま先生のお話しになりましたように、すでに販売済みの配合飼料の回収を行わさせました。その回収した飼料につきましては、これはメーカー等が適当に土地を選定して処分しているというふうに把握しておりますが、どこで捨てたかということにつきましては、これはいま手元には資料はございませんが、つかんでおります。
  255. 仲村英一

    ○仲村説明員 お答えいたします。  回収されましたPCBの混入またはその恐れのありますカネミライスオイルにつきましては、北九州市がこれを確認したわけでございますが、燃料等の工業用に転用させております。
  256. 馬場昇

    ○馬場委員 飼料を回収したものにつきましては、メーカー等が土地を選定してどこか処分したのだろうということですが、これははっきり調べてどうしたかということを確認してください。  それからいまのライスオイルですけれども、工業用に転用したということですけれども、私が聞いたところによると、石けんに使ったとかあるいは川に捨てたという事実なんかも私は聞いているのですけれども、工業用というのは何に使ったのですか。
  257. 仲村英一

    ○仲村説明員 重油にまぜて燃料として使ったというふうに聞いております。
  258. 馬場昇

    ○馬場委員 これはまあ石けんなんかにも使ったんじゃないか、あるいは川にも捨てたんじゃないかということを私は調査して知っているのですけれども、いま重油とまぜて燃料に使ったということですけれども、これも大気汚染という問題もあるんじゃないかと思うのです。だから、この点についてはさらに、私が指摘した石けんに使ったとか川に捨てたとかということがなかったかということを確認をお願いしておきたいと思うのです。  次に、汚染された鶏の肉、汚染された鶏が産んだ卵、これが相当市場に出回っておったわけでございます。それが今度の調査でもはっきり出てきております。半分以下の調査によりましても、食用肉としてブロイラーが、これは採卵鶏も含んでいるのですけれども、十一万八千九百四十五羽、PCBで汚染された鶏の肉がこれだけ市場に出回っております。これは調査の半分以下の数字ですから、正しい数字はこの倍以上あるんじゃないかとも思われます。  それから採卵鶏十四万二千五十羽から卵を産ませて、PCBに汚染された卵を市場に出しておる、こういう事実が出ておるわけでございますが、これはもう皆さんの発表された、農林省の発表した数字ですから事実だろうと思います。これは事実でなければ訂正願いたいのですが、事実であればそのままで結構です。  これについて、カネミオイルと同じくらいの濃度のPCBがダーク油に入っているわけですから、カネミオイルと同じくらいな濃度です。これを食った鶏の肉が市販されたということですから、このことは人体影響があるのかないのか。いまのは厚生省に聞くのです。  それで厚生省は、この汚染された肉、卵を市販されたという事実があるのですが、これに対して何か対策を立てたかどうかということを厚生省に聞きます。
  259. 仲村英一

    ○仲村説明員 お答えいたします。  そのような鶏肉あるいは鶏卵が市場に出回ったという事実は、最近農林省が行いました調査の結果を見て私ども初めて知ったわけでございまして、当時は何ら対策をとっておらなかったのではないかと考えられます。  それから、鶏肉、鶏卵を摂食いたしまして何らかの症状を呈した人がいるという報告は、これまでに聞いておりません。
  260. 馬場昇

    ○馬場委員 二百万羽が被害を受けた、四、五十万羽が死んだ。まさに日本で最大のこういう被害、世界的にも余り例がない。そういうときに、それが売られたというようなことを全然知らなかった、調査もしなかったというのは、後でまた厚生省責任は追及したいと思うのですが、まさにおかしいと私は思います。  そこで、事実関係だけを先に質問していきたいと思いますが、農林省厚生省の関係についてちょっとお尋ねしたいのです。  古い話よりも現時点に引き戻しまして、この追跡調査農林省がやったということと、その結果の連絡が厚生省にございましたか。あれば、いつ連絡があったという日時を厚生省の方からお聞きしたい。
  261. 仲村英一

    ○仲村説明員 調査の結果を私ども農林省の方から事務的にお聞きいたしましたのは四十五年十月九日でございます。
  262. 馬場昇

    ○馬場委員 質問をよく聞いておってもらわなければ困る。追跡調査をした結果をいつ聞いたかというのです。追跡調査はこの間、九月ころやっているのだから、四十五年にそれを聞くはずはないでしょう。いつ追跡調査の結果を知ったかということです。
  263. 仲村英一

    ○仲村説明員 大変失礼いたしました。昭和五十年十月九日の間違いでございます。
  264. 馬場昇

    ○馬場委員 十月九日に聞いておられる。きょうはもう十一月ですね。  では、このことでいま言いましたような汚染された肉とか卵が出回ったということを知られたわけですけれども、それを知った後、厚生省はいまこのことについてどういう対策を立てようと考えておられるのか、現在の対策をお聞かせ願いたい。
  265. 仲村英一

    ○仲村説明員 ダーク油の中のPCBが、鶏卵あるいは鶏肉にどの程度移行するかという問題等、まだ未知の問題がたくさんございますので、農林省からさらに詳しい資料を得た上で慎重に検討してまいりたい、こう考えております。
  266. 馬場昇

    ○馬場委員 何にもしておらぬということじゃないですか。とにかく農林省は、もう肉を十一万八千九百四十五羽売ったんだ、十四万二千五十羽から産まれた卵も売っているんだ、これはダーク油が入った配合飼料を食った被害を受けた鶏だとはっきりしてあるわけですよね。そういうことをきちんと言ったのに、これは大変な一いま対策は何も考えていない。どういうことを農林省に聞くのですか。農林省食品衛生のことはやらぬわけでしょう。だから汚染された食品ですから、食品を売ったという事実が出たのだから、これを調べるのは厚生省責任じゃないですか。農林省にもう聞く必要はないんじゃないですか。それとも農林省の資料がでたらめだと思っておられるわけですか。  ついでに、あなたは四日の日にはどこにおられましたか。話は非常に違いますが、それも含めて答えてください。
  267. 仲村英一

    ○仲村説明員 先ほどお答えいたしましたが、ダーク油を混合いたしました飼料を食べた鶏の肉の中にどれだけのPCBが移行するかというふうな科学的な生物学的なデータがないという意味で、さらに詳しい資料を求めていろいろ検討をいたしたいと、こう申したわけでございます。  それから、お尋ねは十一月四日のことだと思いますが、会議に出ておりました。
  268. 馬場昇

    ○馬場委員 いまあなたが言うた調査は、農林省に聞くんじゃなしにあなた方が主体的にやるべき筋合いのものじゃないですか。特にあなたの方の課できのう、おととい患者さんの代表とかいろいろの人とちょっとトラブルがあったように聞いておりますけれども農林省からこういう追跡調査の資料が厚生省に来ておるでしょうという質問があなたのところに行われたときに、あなたのところのカネミ油症の担当官なんかは、そういうことは初耳だ、聞いていないということも言っております。そしてさらに、農林省からそういう資料が来たでしょうと言ったら、農林省からそういう資料が来たか来ないかということは答えられないということも言っておられますが、非常に国民が、特に当該西日本地区のこういう心配をしておる人たちが心配して質問をするのに、そういうのには資料が来たか来ないかも答えられない。これはそういう秘密の問題ですか。  それからまた、質問をしたものに対して、そういうのは担当官が初耳だと言う。こういうことを合わせて、厚生省のこの問題に対する取り組みが非常におざなりで、しかも熱心さを欠いていると私は思うのです。  そういう意味で、いま言いました担当官がそういうのは初耳だと言ってみたり、答えられないと言ってみたり、そういう行政が国民に向かっていいか悪いかという反省を含めて、こういう調査をあなたの方が主体的に、もう食品ですから、やるべきじゃないかということについて答えてください。
  269. 仲村英一

    ○仲村説明員 鶏の飼料から生きておる鶏にどの程度PCBが移行するかという問題につきましては、家畜衛生試験所その他農林省のお持ちの研究を私どもは引用いたしたいと、こういうふうに考えておる次第でございます。
  270. 馬場昇

    ○馬場委員 応対の仕方についてどうですか。
  271. 仲村英一

    ○仲村説明員 担当官が知らなかったというふうなお答えをしたかどうか、私その場におりませんでしたが、初めて知ったというお答えは少なくともしなかったというふうに聞いております。
  272. 馬場昇

    ○馬場委員 あなたはあなたの返答として農林省から資料をとったかどうか答えられないということを人づてにそういう人たちに答えておる、そういう応対の仕方がいいかどうかということも次に答えてください。  時間がありませんので、ちょっと急いで申し上げますが、また厚生省に聞きますけれども、カネミ油症の患者が十月現在何人認定されておりますか。  その中で、よく聞いておってください。カネミオイル患者はカネミ油を食用したということが明らかになった人だけですか、それともカネミ油を食うたか食わぬかわからぬけれども、カネミ油症患者だと認定された者がおりますかどうか、そういうことが第二です。  第三は、カネミの油症発生当時で油症ではないかと届け出をした人が一万四千人を超えたと私は聞いております。ところが、いま認定は私が調べたのでは千四百人近くでございますが、一割も満たしていないのです。だから、あとのたとえば一万人あるいは一万四千人ぐらい届け出たのですけれども、認定は千四百人ぐらい、残りの人はどういうことで認定をされないのかということです。  それから非常に認定率が少ない。厚生省は患者発掘の努力をしておるのかしていないのか、この点について端的に答えてください。
  273. 仲村英一

    ○仲村説明員 カネミ油症患者の昭和五十年四月三十日現在の患者数は千二百九十一名でございます。それから、対象といたしまして検診をやっておりますのは、当時カネミライスオイルを食べたと届けられておる患者以外に、患者の家族等を含めて現在発掘検診と申しまして各県でお願いいたしまして検診をやっております。
  274. 馬場昇

    ○馬場委員 あなたは十月現在を聞いたのに四月現在を答えている。ないならないと言ってはっきり答えてください。それから私はいま四点ぐらい質問したのです。二つにしか答えていないじゃないですか。だからあとでさっきの二点だけは追加して答えてください。  次に、もう一つ質問を追加いたします。  ダークオイルには、私が農林省試験場なんかで調べたのを見ますと、一三〇〇PPMから三〇〇PPM、これは飼料でそういうPPMのPCBが入っている。ダーク油だけならば一万PPMという数字も私は聞いております。そういう非常に強い濃度のまじった配合飼料、そしてそれの肉を売った、卵を売ったという中から人体に入ってくるわけですね。  これは私が知っているところでは、PCBはネズミ等の実験によりますと、六、七割はお乳に入ってくるとか、人間でも黒い赤ちゃんを産んだならばPCBの値は低下するという大学の学者の検査の意見もあるわけです。だから結局、肉を食い、卵を食い、それが人体に入ってきた。だからカネミ油症患者というのは、まだ質問に答えがないですけれども、カネミオイルを食ったという証明がなければ患者になれないのかということで、もしカネミ油を食ったという証明が、あるいは周囲の状況があってカネミ患者に認定をするというルールであるとするならば、いま一つここに飼料で汚染された肉、卵を食ってカネミ油症患者になるという一つの発症経路があるのではないか、たくさん売られているわけですから、私はこういうぐあいに思うわけです。だからここで聞きたいのは、そういう肉を食い、卵を食ったカネミ油症患者の発生ということが考えられる。そういうのも検査によっては患者と認定することができるのだ、こういう考え方厚生省は持っておられるかどうかということを聞きたい。
  275. 仲村英一

    ○仲村説明員 カネミ油症の認定は、油症研究班の決めております診断基準に基づいて認定されておりますので、その中にはカネミライスオイルを食べたという条件が加えられております。
  276. 馬場昇

    ○馬場委員 時間も過ぎておるので、たくさん言いたいのです、資料も持っているのですが、端的に聞きます。  カネミライスオイルによる中毒患者をカネミ油症患者と言うのか、さっき言ったような経路をたどってきた人でもカネミ油症患者と言えるのか、どっちを厚生省はとっているんだ、こういうことでございます。
  277. 仲村英一

    ○仲村説明員 カネミ油症患者というのは、先ほど申し上げましたが、ライスオイルを食べたという人、それの届け出のあった方が約一万四千人ございますが、その中で希望者について検診を行いまして、認定された患者というふうなことで決められておりまして、その診断基準につきましては、油症研究班等と相談をしてみませんと、私どもとしてはただいますぐに御返事を申し上げられないということでございます。
  278. 馬場昇

    ○馬場委員 そこで自信がないような答えをぼそぼそと言っている、それじゃ国民の健康を守るという厚生行政がなっていないと思うけれども、はっきり聞いておきます。  だからいまのところカネミライスオイルを食べたというのがカネミ油症患者であるけれども、私が言ったような経路で売られておるわけです。それは農林省とも相談して調査するとおっしゃいました。そしていまの答えでも油症研究班と相談してそれはさらに検討するということできょうは受け取っておきたいと思うのです。  最後に、このダーク油事件の責任について申し上げたいと思います。全部質問申し上げますので端的に答えてください。  結局ダーク油にどうやってPCBが入ったかというその原因が、七年たった今日といえどもまだわかっていないのです。これは農林省は迷宮入りさせるのか、これをさらに徹底的に調べるのか、端的にひとつ答えてください。  それからもう一つ、四十三年の三月の中旬に福岡の肥飼料検査所がカネミに入っているのです。そうして東急エビスもカネミに対してダーク油は大丈夫かという問い合わせもしております。このころ、大体ダーク油に鶏の死ぬ毒性があるということがわかっておるのです。そういうことでカネミ倉庫には大体三月中旬ごろライスオイルは大丈夫かということを農林省の係官が言っている事実もございます。ところが農林省は、カネミの方はたとえば米ぬかからダークオイルも出てくるわけですし、ライスオイルも出てくるわけですから、そのダークオイルの方に鶏が死ぬという毒性が入っているというならば、まず米ぬかを調べ、その主製品であるライスオイルも当然調べなければならない。ところが、三月ごろ、ライスオイルの方は大丈夫かということを言っている。ところが、それについてカネミ倉庫は、心配はないと突っぱねておる。それ以降農林省は何も言っていない。そのときライスオイルも危ないと調べてみたら、五月ごろから売られたもので発症しておる者がたくさんおるわけですから、カネミ油症患者は非常に数が少なくて済んだのではないかと私は思うのです。そういう点について農林省のカネミ倉庫に対する行政指導というのに非常に手落ちがあった、あるいは緩やかであった。そういう裏には、カネミ倉庫が食糧庁の指定モデル工場であったとか、また、そこの常務、専務というのが農林省の職員であったとか、あるいは山口という食糧センターの所長も農林省の職員であったとか、こういう農林省の天下り的な役人がたくさんカネミ倉庫に入っている。こういうことがあって、カネミ倉庫に対する農林省の行政指導というのは非常に甘かった。本当に三月時点でライスオイルが大丈夫かと見てそれを調べておれば、カネミ油症患者はそういまのように出なくても済んでいた、こういうぐあいに思うわけでございます。それで、そういうことに対する農林省の現在の反省といいますか、態度についてお聞きしたいと思います。  それからいま一つは、農林省は三月時点でこれを厚生省に知らせていない。厚生省に知らせておけば、厚生省がさらによく調査をして、さっき言ったような汚染された肉とか卵とかいうのが市販されずに済んだのかもしれない。厚生省に対する連絡というのが非常におそかった、こういう問題点もあると思います。  そうして、私は結論的に言いますと、厚生省にも連絡せずに農林省が独断でカネミ倉庫を追及もせずに、うやむやのうちにこの問題を片づいたんだという形にしてしまったところに非常に大きい問題があろうと思うのです。  それから厚生省にも聞きますけれども厚生省農林省から言われなくてもちゃんと二百万羽も死んだというような事実はわかっているわけですし、これが世界的な飼料中毒であるということもわかっている。三月とか四月とか五月にも新聞にもこれは載っておる。ところがこれを農林省から言ってくるまで何ら知らなかったといって自分から乗り出そうとしていない。国民の健康を守ろうという立場厚生省としても積極性を欠いでおる、こういうことだろうと思うし、本当にダーク油事件について適切な措置を農林省並びに厚生省がうまく連携をとって進めておれば、今日のような人間の被害というのは最小限度に食いとめられた、この行政の怠慢というか不十分さが非常に被害を増大した、こういうぐあいに思うのです。そういう点について、いろいろな質問をしておりますと本当に連絡も不十分です。なわ張りも非常にあるようでございますが、これでは国民の命と健康は守れないと思うのです。  いま私が言いましたことについて農林省厚生省の反省を含めた御答弁をお願いしたいし、最後に、これについては次官がおられますから、次官の方からも——本当にうまくいっていない、農林省とか厚生省、環境庁とかのなわ張り主義、そしてまた非常にカネミ倉庫には遠慮もしておる、行政指導が不十分だったということもあります。担当官の答弁の後に、こういう事件を二度と起こさないという立場において、次官の総括答弁もお聞きしたいと思います。
  279. 大場敏彦

    ○大場政府委員 私からは昭和四十三年三月に農林省の肥飼料検査所が立入検査をしたときに、なぜ食用油の方まで手を伸ばさなかったのか、それについて遺憾な点があったのじゃないかという御指摘と、それからもう一つ、その際にあわせて厚生省にもよく連絡しておくべきではなかったか、こういう御指摘について考え方を申し上げます。  最初の肥飼料検査所の調査はその当時の調査目的が鶏の事故原因の究明のための配合飼料原料としてのダーク油をチェックするということでございましたし、その調査範囲もしたがってダーク油に限定されておったというきらいがあるわけであります。そういう意味からすれば、当時の関係当事者の対応というものは、調査の目的とか、あるいは当事者の権限、あるいは能力とか有害物質に関する当時の知見というものから考えまして、通常期待される努力は払っておったというふうに考えられるわけでございますけれども、しかしやはりいま御指摘がありましたように、現実に食用油工程の一分子としてダーク油が生産されていたということから見まして、また油症事件が発生し、原因物質も判明した時点でいろいろ振り返ってみますと、調査方法についてより適切な方法をとるべきではなかったかという反省はいたしております。  それから厚生省に特に連絡しなかった点につきましては、やはりその当時の知見等から考えれば、そこまで考えが及ばなかったわけでございますけれども、現時点から考えれば食用油との関連性に配慮してこれを行った方がより適切であったというふうに考える次第でございます。  したがいまして、総じて私ども考え方といたしましては、鶏の大量死があった、そういう事柄を単に鶏とえさとの関係ということだけに限定せず、人間との関係、人間の健康に関する影響というより広範な観点からこれをとらえるべきであったというような反省はいたしております。
  280. 仲村英一

    ○仲村説明員 当時はそういうことで、先ほどお答えいたしましたように連絡がなかったということで何ら対策を行わなかったわけでございますが、今後は農林省とも十分連絡を密にいたしまして、このようなことのないように努力してまいりたいと考えております。
  281. 江藤隆美

    江藤政府委員 いろいろ御指摘のとおり、厚生省との連絡等についても不十分な点があったということは、いまにして考えますと御指摘のとおりであります。したがいまして、こうした反省の上に立ちまして、御案内のように、ことしは国会でも御審議をいただいて、こうした飼料が家畜の体を通って人体影響をするということもございますから、飼料の品質改善に関する法律というのを、一部手直しを実は国会でお願いいたしまして、飼料の安全性の確保及び品質の改善に関する法律、こういうことにいたしまして、こうした飼料そのものが今後家畜を通って人体影響の及ばないように、実は国会の御審議も煩わしまして先般成立をいたしたばかりであります。しかしながら、私どもは単に配合飼料のみを考えるということではなくて、これはあらゆるこうした食料と人体との関連は切り離せないものでございますから、食品衛生全般につきまして、今後足らざるところは十分に反省をし、また厚生省初め関係当局との連携も密にするように、今後努力をしてまいりたい、このように思っております。
  282. 馬場昇

    ○馬場委員 大体同じ製造工程の中で副産物に毒が入っておった、じゃ主製品には入っていないかと考えるのは、これは常識の問題ですよ。そして主製品こそライスオイルですから、人間が食うわけですから、そういうときにちゃんと農林省調査官もライスオイルの方は大丈夫ですかということは言っているのです。当然副産物の飼料に問題があれば、主製品のライスオイルに問題があると考えるのは常識ですから、調査の目的がそこになかったからということでは済まされない問題であるというふうに私は思います。  それから厚生省の方は、いまの答弁を聞いていても農林省と連絡をとってから——片や副製品の方に毒があったなら主製品の方は食料ですから、毒がありゃせぬかとみずから進んでそれを調べるというのが厚生省の行政じゃないですか。それを全然やらない。今度この期になっても農林省相談をしている。自分から進んでやらなければいけないと私は思います。  そういう意味におきまして、いま次官から答弁していただきましたので、まだまだこの問題は大きい問題を含んでいるわけでございますから、次の質問に譲るといたしまして、ぜひよろしくお願いして質問を終わりたいと思います。
  283. 笠岡喬

    ○笠岡委員長代理 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時九分散会