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1975-11-05 第76回国会 衆議院 農林水産委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年十一月五日(水曜日)     午前十時三十分開議  出席委員    委員長 澁谷 直藏君    理事 今井  勇君 理事 笠岡  喬君    理事 坂村 吉正君 理事 井上  泉君    理事 芳賀  貢君 理事 津川 武一君       足立 篤郎君    伊東 正義君       片岡 清一君    吉川 久衛君       熊谷 義雄君    佐々木秀世君       中尾 栄一君    丹羽 兵助君       渡辺美智雄君    角屋堅次郎君       柴田 健治君    島田 琢郎君       竹内  猛君    野坂 浩賢君       美濃 政市君   米内山義一郎君       中川利三郎君    瀬野栄次郎君       林  孝矩君  出席政府委員         北海道開発庁総         務監理官    黒田  晃君         防衛施設庁施設         部長      銅崎 富司君         外務省欧亜局長 橘  正忠君         外務省条約局外         務参事官    伊達 宗起君         農林政務次官  江藤 隆美君         農林大臣官房長 森  整治君         農林省農林経済         局長      吉岡  裕君         農林省構造改善         局長      岡安  誠君         農林省構造改善         局次長     福澤 達一君         農林省農蚕園芸         局長      澤邊  守君         農林省畜産局長 大場 敏彦君         農林省食品流通         局長      今村 宣夫君         食糧庁長官  大河原太一郎君         食糧庁次長   下浦 静平君         林野庁長官   松形 祐堯君         水産庁長官   内村 良英君  委員外出席者         防衛庁経理局施         設課長     小谷  久君         外務省欧亜局外         務参事官    木内 昭胤君         厚生省児童家庭         局企画課長   加藤 陸美君         農林大臣官房総         務課長     増田 甚平君         海上保安庁警備         救難部警備第二         課長      田中 睦穂君         自治省税務局固         定資産税課長  川俣 芳郎君         農林水産委員会         調査室長    尾崎  毅君     ————————————— 十一月四日  乾繭、絹撚糸絹紡糸絹織物等輸入規制に  関する請願小沢貞孝紹介)(第一四二四  号)  同(唐沢俊二郎紹介)(第一四二五号)  同(吉川久衛紹介)(第一四二六号)  同(小坂善太郎紹介)(第一四二七号)  同(羽田孜紹介)(第一四二八号)  同(倉石忠雄紹介)(第一五一五号)  同(中澤茂一紹介)(第一五一六号)  同(原茂紹介)(第一五一七号)  昭和五十年産米事前売渡申込限度数量増枠  に関する請願小沢貞孝紹介)(第一四二九  号)  同(唐沢俊二郎紹介)(第一四三〇号)  同(吉川久衛紹介)(第一四三一号)  同(小坂善太郎紹介)(第一四三二号)  同(羽田孜紹介)(第一四三三号)  同(倉石忠雄紹介)(第一五一八号)  同(中澤茂一紹介)(第一五一九号)  同(原茂紹介)(第一五二〇号)  全国農村保健研修センター設置助成に関する  請願小沢貞孝紹介)(第一四三四号)  同(唐沢俊二郎紹介)(第一四三五号)  同(吉川久衛紹介)(第一四三六号)  同(小坂善太郎紹介)(第一四三七号)  同(羽田孜紹介)(第一四三八号)  同(倉石忠雄紹介)(第一五二一号)  同(中澤茂一紹介)(第一五二二号)  同(原茂紹介)(第一五二三号)  漁業経営安定対策に関する請願多田光雄君  紹介)(第一五一三号)  漁業生産拡大対策に関する請願多田光雄君紹  介)(第一五一四号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  農林水産業振興に関する件      ————◇—————
  2. 澁谷直藏

    澁谷委員長 これより会議を開きます。  農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  サトウキビ最低生産者価格決定について、政府から説明を聴取いたします。今村食品流通局長
  3. 今村宣夫

    今村(宣)政府委員 サトウキビ最低生産者価格決定につきまして御説明を申し上げます。  お手元に一枚紙の資料を差し上げてございますが、サトウキビ最低生産者価格は、トン当たり一万二千三百四十円といたしたいと思っております。これは前年度対比一一〇・二%でございます。パリティは御存じのとおり九・三%でございますが、生産費を参酌しまして一〇・二%の引き上げといたしたわけでございます。  なお、この価格は、ブリックス度が十九度以上のサトウキビ価格でございまして、ブリックス度十九度未満十六度以上のサトウキビ価格は、この価格から千三百円を差し引いた価格でございます。  甘蔗糖事業団買い入れ価格は、鹿児島産糖が十八万一千四百円、前年度対比六・八%のアップであります。沖繩産糖が十八万一千三百円で、前年対比一二・四%のアップといたしたわけであります。  サトウキビ取引価格は、最低生産者価格生産奨励金三千七百六十円を加えまして、トン当たり一万六千百円、前年度の一万五千円に対しまして七・三%のアップといたしたわけであります。この奨励金の原資につきましては、事業団買い入れ価格の中に集荷費として約九百円程度織り込むと同時に、事業団売買売り渡し価格国際糖価相当といたしましてこれを引き下げるという操作を行いますと同時に、残りの部分につきましては、資金手当てその他によりまして農家に支払うと同時に、もしそれによって赤字を生ずるような場合には、国が責任を持って手当てをするということに相なっております。  なお、生産対策を講じまして、サトウキビ生産合理化近代化を図り、生産費を軽減する必要が特にございますので、今後三年間で十五億円を目途としてサトウキビ生産合理化近代化等を図り、生産費を軽減することを目的とする生産対策を講ずることにいたしたいと考えておりますが、その内容につきましては、今後速やかに農林大蔵両省協議の上、決定することといたしてございます。  以上でございます。
  4. 澁谷直藏

    澁谷委員長 以上で説明は終わりました。     —————————————
  5. 澁谷直藏

    澁谷委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。芳賀貢君。
  6. 芳賀貢

    芳賀委員 この際、当面する重要な問題について質問をいたします。  まず第一に、十月の二十三日に国会承認いたしまして発効をした日ソ漁業操業協定に関する問題について、きょうは農林大臣参議院予算委員会出席中でございますので、所管の水産庁長官並びに外務省欧亜局長中心質問をいたしたいと思います。  日ソ漁業操業協定が十月二十三日で効力発生したわけでございますが、その後も依然として北海道太平洋沿岸における、特に襟裳岬の漁業海域中心にしてソ連船団による被害が後を絶たない状態でありますが、どういうような実態になっているか、これは水産庁長官手元においても実情を十分調査しておると思うわけでございますが、その事故発生しておる実態と、この協定発効したわけでありますが、これは経過的には、ことしの四月に日本政府並びにソ連政府において協定調印が行われて、前の七十五通常国会におきましては、この協定承認について衆議院段階においては全会一致でこれは通過をしたわけでございますが、参議院の会期末において本会議が開かれぬというような事情等もありまして、ついに前国会においては協定承認を見ることができなかったわけであります。ですから、政府間における調印が行われてからの期間というものは約半年を経過しておるわけでありますから、協定発効後においても依然としてソ連トロール船団によって日本側沿岸漁業に対して大きな損害を与えるというような事態はもう生じないというふうにわれわれは考えておったわけでございますが、依然として後を絶たないということについては、果たして今度の協定というものが実際に効果を発揮できるものかどうかというところにも問題があると思いますので、それらの点についても明快に説明を願いたいと思います。
  7. 内村良英

    内村政府委員 ただいま先生から御指摘がございましたように、日ソ漁業操業協定は、国会での承認を得まして十月の二十三日に発効したわけでございます。この協定は、公海における日ソ両国漁業調整を図るためにいろいろな操業に関する規則を定めているわけでございます。したがいまして、あくまで公海における漁業操業調整目的になっております。そこで、この協定を実施するにつきまして、たとえば標識をつけるとか、夜の灯火をどうするとか、それから操業の場合に、日本の定置網がある場合には、ソ連トロール船はそれから千メートルなり千五百メートルなり離れて操業しなければならぬとか、いろいろな操業調整に関する約束がしてあるわけでございます。  そこで水産庁といたしましては、現在、協定の細目を現地説明し、その周知徹底を図っているところでございます。北海道につきましては、十月の末にすでに説明会を終わりました。それからさらに、わが国漁具にいろいろ標識をつけたりしなければなりませんので、補正予算でも、協定上、漁船漁具等設置する必要がある標識について短期間にこれを整備する必要がございますので、必要な補助措置予算上計上しております。  それからさらに、この協定では漁業操業の取り決め以外に、損害が起こった場合に一応損害賠償請求委員会というものをつくりまして、その委員会がいろいろ損害について審査するということになっております。そこで、この委員会設置につきましては、委員選任等事務手続を現在進めておりまして、ソ連側委員東京に来る——これは両国二名ずつ出すことになっておりまして、モスコー、東京に設けるわけでございますが、東京委員会を担当するソ連委員東京赴任を待って早急に委員会が活動を開始するように努力しているところでございます。  そこで、協定はまだ発効後二週間足らずでございますので、水産庁といたしましては、しばらく協定実施状況につきまして注意深く見守っていき、ソ連側協定違反の事実がある場合には厳重に抗議する等の方針で、協定発効後のいろいろなソ連操業実態につきまして、特に北海道庁その他の関係機関に、現地状況をよく把握し報告するように要請しているところでございます。  そこで、協定発効後の事故発生がどうかということでございますが、私どもに来ております報告によりますと、十月の二十四日におきまして約十五万円、それから十月の二十五日約十万円、十月二十六日約三万七千円の事故が起こっております。これはスケソウの刺し網に関する事故でございますが、事故の起こりました距離は大体距岸十二海里から十七海里のところに起っているわけでございます。  そこで、私どもといたしましては、今後、協定発効後におけるソ連操業実態をよく見守りまして、ソ連協定違反の事実があれば厳重に抗議するということで、この協定の厳正な運営をして紛争を避けるように努めたいと思っているところでございます。
  8. 芳賀貢

    芳賀委員 今度の協定内容については水産庁長官が述べるまでもなく、国会において協定内容を審議したわけでありますが、特にこの協定の前段に、本協定適用海域は、日本国沿岸地先沖合公海水域とし、領海の範囲及び漁業管轄権の問題に関し、この協定は両政府立場に何らの影響をも与えるものとみなしてはならないということがわざわざ明記してあるわけですね。ここにこの協定の有効な運営というものが十分できないのではないかという一つ問題点があるわけでございますが、この協定の中においても、協定効力発生の直前の二年間の間に生じた被害については、内容委員会において調査をして、確認されたものについては損害賠償を行うということが明記されておるわけですから、発効後の被害ももちろんでありますが、さかのぼって二年間にわたるこれに該当する被害というものは水産庁としてはどのように掌握しておるわけですか。
  9. 内村良英

    内村政府委員 被害金額でございますが、四十七年の被害金額は千三百九十九万円、四十八年の被害金額は六千四百三十三万円、四十九年の被害金額は三億四千万円でございます。
  10. 芳賀貢

    芳賀委員 次に、問題の発生を防止するということになれば、日本側関係沿岸漁民に対してもこの協定内容というものを十分周知させる必要があるが、むしろ被害を惹起しておるソ連側の集団的な漁船団に対して十分に協定内容等遵守すべき操業上の事項というものを熟知させなければ、いつまでたっても根本的な被害の防止というのはできないと思うのです。ソ連政府においてはそういうことをやっているのですか。北海道へ行って長官説明会を開いたといっても、被害をこうむっておる日本側関係漁民に対して説明したわけでしょう。むしろわが方へ被害を与えておるソ連側漁船団に対して十分説明し徹底させる必要があるのではないですか。それはどうなっているのですか。
  11. 内村良英

    内村政府委員 ただいま先生から御指摘のございました点は非常に重要な点でございまして、協定上もソ連側協定遵守する義務を負っております。そこでことしの九月に、この協定発効前であったわけでございますが、この協定運用に関する専門家会議モスクワで開いたわけでございます。そのときソ連側の極東の船団長の連中も会議に参加しておりまして、いろいろ説明を聞いているわけでございます。したがいまして、私どもの承知しているところでは、ソ連政府としても関係船団長等に本協定周知徹底させる努力はしているというふうに思っております。  ただ、私がモスクワに行って感じたわけでございますが、ソ連漁業の場合には各船団ノルマ達成というものは非常に厳しい条件になっているようでございまして、ノルマ達成のために現場船団長が非常に無理な操業をするというようなことがことしの春の操業ではあったように向こうから聞いたわけでございますけれどもソ連側といたしましても、協定遵守については船団を指導しているということは、私ども専門家会議に参加した代表の者も感じとって帰ってきたわけでございます。
  12. 芳賀貢

    芳賀委員 とにかくわが国の場合はいまだに領海三海里ですから、三海里の中の領海においての問題は起きないとしても、結局、日本の場合は、自国の法律に基づいて、たとえば漁民に対するあるいは漁業協同組合に対する漁業権の許可という問題があるわけです。したがって、漁業権に守られて漁民が適法に沖合いにおいて操業する。それははり領海の外の公海においても漁業権というものは設定されておるわけですから、そういう事情も相手方に十分理解させる努力というものは必要なんですよ。この協定内容においても両国政府においてそれぞれ情報の交換であるとか協定遵守のための相互協力をするということになっておりますが、現に問題の発生するいわゆる操業海域において、洋上において、両国政府協議をして、何らかの監視的な体制を整えることができないのですか。その違反を摘発するとかどうかということでなくて、協定相互協力遵守されるようにするためにはやはり現場において両国政府協力をして、指導をあるいは取り締まりをするということは必要だと思うのですが、これは協定にはないのですね。効果的な方法というものを考えてやらなければいかぬと思うのですが、どうですか。
  13. 内村良英

    内村政府委員 ただいま御指摘があった点も非常に重要な点でございます。そこでわが国の底びき禁止規則等公海にも及んでいるところがございます。そこで、そういう海域については先般の専門家会議でも十分説明いたしまして、日本トロールを禁止しているのだからそちらもトロールはやめてくれというようなことを申し入れてあるわけでございます。  ただ、これにつきましては公海漁業でございますから、ソ連側としては日本との合意というような形ではそれはとてもできない、しかし日ソ間の国交ということも非常に大事なことだし、日本沿岸漁民の感情をそう刺激する気は全くない。そこで、ソ連側の一方的措置としてある程度の自粛措置をとるということをソ連が約束したわけでございます。  それからこの協定運用についてもっと緊密な連絡をとってできないかという点でございます。この点につきましては、実は先ほど御答弁申し上げましたように、東京損害賠償請求委員会ができますと、二人の委員が来るわけでございます。現在のところ在京ソ連大使館には漁業専門家は一人もおりません。そこで今度来る二人は漁業専門家が来るわけでございます。そこで先般六月にイシコフが来たときに言っておりましたのは、漁業専門家を二人出す、これはもちろん委員会仕事が主たる仕事であるけれども大使館の館員になって漁業を担当するから、いろいろトラブルが起こったときにはその人によく話をしてくれ、そこで場合によってはその担当官から現地船団に直接注意を喚起するというようなことまで考えてもよろしいというようなことをイシコフがそのとき言ったわけでございます。そこで、まだ実は委員が、協定発効がおくれましたので来ておりません。いつ着任するかわかりませんけれども、なるべく早く来てもらいまして、私どもとしては在京ソ連大使館との間にそのような関係をつくって、一々具体的なケースについて十分相談しながら、紛争が起こらないようにしていきたいという体制をつくりたいと思っております。  なお、専門家会議のときにソ連が申しましたのは、これまではソ連がそういった操業協定遵守するために特別な監督官等を派遣してないけれども、今後はソ連監視船を出して、ソ連側十分協定遵守するように指導するということを言っております。そういうようなことも、協定発効いたしまして、だんだん効果が出てくるのではないかというふうに私どもは期待しておるわけでございまして、今後のソ連側のやり方というものを注意深く見守りながら、向こう違反があれば抗議するということで改善を図りたいと思っているわけでございます。
  14. 芳賀貢

    芳賀委員 長官も御承知のとおり、ソ連の場合は漁業生産についても民営でなくて国営方式ですから、農業のコルホーズ、ソフホーズと同じような方式漁業操業が行われておるわけですから、日本のように国営でもないし、道営でもないし、自営船中心にした、沿岸ですから漁業協同組合による協同した漁業が行われておるわけですからして、両国間で締結した協定目的や趣旨を徹底させるということになれば、むしろソ連側の方が国営ですから十分に徹底できるし、指令も届くと思うのです。そういう点は、内村長官農林省の中でも国際派と言われている人ですからよく事情がわかっているわけだから、そういう点をやはり積極的に、日ソの友好というものを基礎にして、協定というものが十分所期目的を達することができるように一段と努力すべきだと思うわけです。  それからもう一つは、やはり農林省にしても外務省にしてもそうですけれども沿岸漁業よりもむしろ遠洋漁業を重視するというような、そういう弊風があるのではないですか。海洋法会議が、来年は最終段階会議が三月にニューヨークで開かれるわけですから、大勢的には、この最終段階の第三次海洋法会議において、経済水域二百海里の問題にしてもあるいは領海十二海里の問題についても、日本政府の意思にかかわらず、これは世界の大勢としてはそこに落ちつくのではないかというふうにわれわれは判断しておるわけですけれども、そういう将来を展望した場合においても、やはり国内における漁業たん白資源確保する、生産量確保するということになれば、やはりいままでと方針を変えて、沿岸漁業中心にした漁業生産拡大に力を入れるべきだと思うのです。どうも資本漁業に力を入れて、沿岸漁業に対しては政策的にも行政的にも努力が足らぬという点が一番欠点じゃないですか。その盲点をつかれたのが今度の日ソ漁業操業協定実態じゃないかと思うのです。どう考えていますか。外務省から欧亜局長来ていますか。——両方から答弁願います。
  15. 内村良英

    内村政府委員 水産行政遠洋漁業に偏しているのではないか、沿岸軽視ではないかという御質問でございますが、水産行政のねらいというのは、私は大体二つあるのではないかと思っております。一つは、関係漁業経営の安定を図って、漁業の健全なる発展を図るということと、もう一つは、日本国民生活に対して動物性たん白質を供給するという、二つの役割りがあると思うわけであります。  そこで、前者の点につきましては、私どもいろいろ、価格政策あるいは漁港の整備その他をやっておりまして、漁業経営の安定、漁業発展に努めておるわけでございますが、後者の点につきましてちょっと申しますと、現在わが国漁獲は一千万トンでございます。そのうち二百五十万トンが沿岸でとられておりまして、七百五十万トンは沖合い遠洋でとられておるわけでございます。したがいまして、物的な供給という点から見ると、残念ながら遠洋の比重が大きいというのが、わが国漁業の現状でございます。  もちろん、今後のことを考えますと、私どもといたしましても、沿岸資源をふやしていかなければならぬということで、昨年の国会で御承認いただきました沿岸漁場整備開発法基礎にして、今後沿岸漁場整備その他に大いに力を入れていこうと思っておりますけれども、私どもの計算では五年間で五十万トンぐらい、沿岸資源がそれによってふえるのではないかと期待しております。しかし、いずれにいたしましても、絶対量としては沖合い遠洋に依存するところが多いわけでございまして、海洋法会議の結果それがなくなってしまうということは、日本国民生活に非常に大きな影響が起こってくるわけでございます。もちろん、海洋法会議の結果、わが国沖合い遠洋漁獲が全部なくなるというようなことは考えられませんけれども、やはりその沖合い遠洋漁業の持っておるウェートというものを考えますと、海洋法会議におきましても、わが国沖合い遠洋漁業漁場確保というものには努めなければならないわけでございます。これについては、先進国とは二国間ないしは三国間あるいは多数国間の交渉でやっていく、それから開発途上国沖合いにつきましては、場合によっては入漁料を払い、援助をして、漁場確保していくというようなことを考えまして、ポスト海洋法におきましても、わが国沖合い遠洋漁場確保には努めてまいるわけでございますが、同時に、従来以上に沿岸資源の培養ということには力を入れたいというふうに考えておりまして、決して水産行政沖合い遠洋偏重ということでやっておるわけではございません。その辺のバランスをとりながらやっていかなければなりませんし、またそのようにしているつもりでございます。
  16. 橘正忠

    橘政府委員 水産に関します面につきましては、ただいま水産庁長官からお話がありましたような、わが国水産行政の見地を踏まえて、当然外務省わが国立場、それからそれに関連する相手国立場との調整という観点を一つの拠点、基礎として外交をやっておるわけでございますが、同時に、先生の言及されました海洋法関係では、そういう水産の面あるいは漁業の面以外にも、非常に多くの海に関する問題が幅広く提起されておりますので、そうした面もあわせて総合的に、わが国の国益を守るように対処しておるという実情でございます。
  17. 芳賀貢

    芳賀委員 今回の日ソ漁業操業協定効果的な運用についても、一番ネックになるのは領海の問題です。たとえば、ことしの通常国会における安倍農林大臣政府を代表した意見を聞くと、農林大臣としては速やかに領海十二海里の宣言を行いたい、しかし政府部内でいろいろな意見もあるので、なかなか農林大臣の考えどおりいかぬということも、しばしば述べておるわけです。何も、来年三月の第三次海洋法会議の中において領海問題を処理しなければならぬということではないでしょう。日本が独自に領海宣言をすることができるわけですからね。今回の場合に、国内の沿岸漁業がこぞって速やかに十二海里の領海宣言をしてもらいたいという、また国民全体としても当然そうすべきだという圧倒的な国民の意思がもう表明されておるのです。農林大臣は早くやりたいと言っているのはこれはうそじゃないと思うのですね。  では、政府部内でいろいろ意見があるのでということになれば、各省に分かれておる中で、速やかに十二海里の領海宣言をするということに一体どこが一番異論を唱えているのですか。本来であればきょうは担当の農林大臣あるいは外務大臣の出席を求めて政府方針を明確にさすべきですが、参議院予算審議の関係で担当局長に出てもらっておるわけですから、水産庁長官にしても欧亜局長にしても、これはれっきとした政府委員ですから、その点の政府の内部事情というものをここで明らかしておいてもらいたい。
  18. 伊達宗起

    ○伊達政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生の御質問は、なぜ直ちに十二海里の領海宣言を行わないのかということでございますが、これは先ほども先生海洋法会議等のことを言及なさいましたが、現段階におきましては、私どもといたしましては、海洋法会議におきまして領海十二海里の問題だけではなく、それらと関連いたしまして経済水域の二百海里でございますとか、それから国際海峡の通航の問題でございますとか、そういうものが一つの問題として各国間で新しい海洋法の秩序をつくろうということで検討し論議されている段階でございます。したがいまして、私どもといたしましては、現段階で十二海里の領海拡張の一方的な措置をとるということは、これらの国際間における協調の雰囲気と申しますか、協調の努力というものに対してそれを阻害する要因になる。したがってそれを避ける、阻害しないようにするためにも、やはり海洋法会議におきまして一つの議論の方向というものがまとまってきた時を考えなければならないのではないかというように考えているわけでございます。単にそのような見地ばかりではなく、水産漁業という観点から考えましても、先ほども水産庁長官から御説明もございましたように、経済水域二百海里の問題でございますとか、それからさらに日本は、非常に多量の船腹を保有しております商船隊も持っておりますので、それらの世界各地における国際海峡の通航の問題、そういうような種々な問題を抱えているわけでございまして、これらの観点からいたしましても、直ちに十二海里の宣言をすることにつきましては、十分慎重に考えてまいりたいという立場でございます。これは単に外務省だけの立場ではございませんので、農林省も含めまして関係省庁の方々とも十分協議した上でこのような見解をとりつつ、現在海洋法会議の趨勢その他国際的な動向というものを十分注視しつつ、この問題を検討していくということでございます。  私外務省でございますから外務省から申しますと、沿岸漁民の方々の御苦労といいますか、ソ連船の操業によって被害をこうむっているという状況から考えますれば、確かに十二海里宣言をするということももちろん考えなければならない問題であるということは、十分認識しておるつもりでございます。
  19. 芳賀貢

    芳賀委員 いまのはこれは外務省としての見解だと思うのですが、とにかく安倍農林大臣が、国会の公式な場を通じて、農林大臣としては速やかに日本として十二海里の領海宣言を行うべきだと考えておる、政府部内にもいろんな意見があるので、できるだけそれを取りまとめて、海洋法会議を待たないでも宣言をしたいということは、これはもうはっきり言っているわけですからね。それは外務省も知っておるわけでしょう。それから、三木内閣総理大臣も、先日の参議院予算委員会において、わが党の川村清一議員の質問に答えて、日本政府としては来年三月の海洋法会議を待たなければ領海問題の決定ができないとは考えていない、しかしいろいろ問題もあるので、どうしたならば速やかに領海宣言をすることができるかということについて、十分政府部内において努力するということを、これは参議院予算委員会を通じて国民に明らかにしているわけでしょう。それを外務省だけが、外務大臣だけが、この十二海里宣言を速やかに発するということについて異論を唱えているというわけでしょう。そうじゃないですか。政府のどこが反対しているか、異論を唱えているかということを、きょうはその点だけ明らかにしておいてもらいたい。
  20. 伊達宗起

    ○伊達政府委員 お答え申し上げます。  先ほども私の御答弁の中に申したつもりでございますが、政府のどの省庁が反対して、どの省庁が賛成しておるということはございませんで、やはり行政府全体といたしまして領海十二海里を行うことについての得失というものを十分検討していこうではないか、その検討の要因といたしましては、私が先ほど述べたようないろいろな要因があるわけでございますが、そういうふうにして、国際的な動向と海洋法会議の趨勢というものを見きわめながら、片や十二海里領海の拡張についての沿岸漁民の方々の御要望というものも考えながら、慎重に検討していこうという段階にあるわけでございます。
  21. 芳賀貢

    芳賀委員 私はあなたと議論する考えはないですよ。しかし、国会の答弁の中で三木総理大臣も、安倍農林大臣も、積極的に十二海里宣言をやりたいということを表明しているわけですから、そうなると、外務省がこれに対して、いや三木総理大臣や安倍農林大臣国会答弁というものは、仮谷建設大臣が青森で述べたようにいいかげんなものだというふうに役人としては考えておるわけですか。どうです、それは。
  22. 伊達宗起

    ○伊達政府委員 お答え申し上げます。  法律的な問題でございますれば、私は、十二海里の宣言をただいま日本が行ったと仮定いたします場合に……(芳賀委員「そういうことを聞いているのじゃないよ、総理や安倍農林大臣が言っているのはいいかげんなものかと聞いている、そこだけはっきりしてもらいたい」と呼ぶ)総理や農林大臣がお答えになっているのは、できる限り早いうちに十二海里宣言をやる、しかも海洋法会議の結論を待たなくても法律的にはできることであろうということを含んだ上での御答弁だと私は推察するわけでございまして、決して大臣の申し上げたことと私の申し上げていることと食い違っているわけではございません。
  23. 芳賀貢

    芳賀委員 委員長に申し上げますが、この問題は非常に重要な問題ですから、きょうの質問はこの程度にして、来週農林水産委員会を開くことになっておるわけですから、その際、安倍農林大臣並びに外務大臣の出席を求めて、政府の確固たる方針を当委員会を通じて明らかにしてもらいたいと思いますが、その点を含んでおいてもらいたいと思います。
  24. 澁谷直藏

    澁谷委員長 善処いたします。
  25. 芳賀貢

    芳賀委員 それでは、漁業協定の問題はこれでとどめておきたいと思いますが、ただ一点だけ水産庁長官に申しておきたいのは、日本側漁船においても、操業する漁船に対して標識を付するとか、漁網、漁具等についても相手方の漁船から識別できるような明確な標識をつけるということになるわけですが、日本沿岸漁業の場合は非常に零細な資本力で小規模な漁業をやっておるわけですし、相手は千五百トン、三千トンという漁船が二十隻もそれ以上も船団を組んでやってくるわけですから、相手方に十分識別させるような標識操業の場に設置するということは容易でないと思いますので、これらについては、やはり協定の当事国である日本政府において、自分の国の漁民沿岸漁業を守るという立場に立って、これは財政上、予算上の問題が伴うわけですが、できるだけ沿岸漁民に負担をかけない方法というものを考究して、速やかに効果の上がるような行政的な努力をすべきだと思いますが、その点はどうですか。
  26. 内村良英

    内村政府委員 四十九年、五十年におきましてもそのような補助措置をとっておりますし、さらにただいま国会で御審議を願っております補正予算でも、そのような標識等を整備するための補助を要請しているところでございます。
  27. 芳賀貢

    芳賀委員 次に、大河原食糧庁長官にお尋ねいたします。  第一の点は、今年の水稲の実収調査の結果といたしまして、総体で千三百十万トンを超える米が生産されるということが明らかになりまして、これは日本の農業生産力がいまだ衰えていないということを示す証左にもなると力強く感じておるわけでありますが、これを政府が現在行っておる予約限度数量の事前割り当てから見ますと、いわゆる予約限度を超過する米の数量というものが少なくても五十万トンを上回っておるというふうにわれわれ承知しておるわけでございます。  そういたしますと、この限度数量を超過する産米の政府買い入れの問題というのが当然出てくるわけでございますが、これほど大きな数量ということになれば、単に自主流通米に乗せるというだけでは問題の解決はできないと思うのです。したがってこの際、限度超過の産米について、政府として明確な買い入れ方針というものを示す必要があると思います。まずその点について政府方針を明らかにしてもらいたいと思います。
  28. 大河原太一郎

    ○大河原(太)政府委員 お答え申し上げます。  お話しのとおり、先般の十月十五日現在の作況では一〇六でございまして、千三百十万トン、したがって計画生産量その他から考えると、計算上は五十万トン前後の、いわゆるお話しの予約限度超過米が出るというようなことも考えられるわけでございますが、端的に申し上げますと、ただいまのところ大部分の地域においては出回り最盛期でございます。したがって、その確実な数量については現在われわれとしてもまだ把握できないわけでございまして、十一月中旬以降十二月にかけてこの数字を的確につかみたいというふうに考えておるわけでございます。  ことしの作柄につきまして、私どもは超過米の発生について楽観をしているわけではございませんけれども、実は例年、たとえば四十八年も最終作況指数が一〇六でございました。それで、当時、一昨年のその時点では約五十万トン程度の限度超過米が発生するのではないかと言われたような事態がございましたが、最終は七万トン余というような数字になっております。もちろん本年の作況について楽観的な見方を持っておるわけではございませんが、そういうことでございまして、われわれとしてはできるだけ早期に的確な数量を把握いたしまして、それによって、従来でございますと、県間調整を十分いたしまして、その結果どの程度の数字が出るかということによりまして、いま先生からもすでに御指摘ございましたように、自主流通ルートでこれを消化したいというふうに考えておりますが、いずれにいたしましても、限度超過米の数量の早期的確な把握ということによって適切な対応をしてまいりたいというふうに考えております。
  29. 芳賀貢

    芳賀委員 そういたしますと、結局十一月の中下旬には都道府県別の超過数量等の実態がわかるわけですから、いままでの例からいっても、県間調整をまず行ってなお完全に超過するという分については、従来の方法としては、自主流通米に乗せて不利益にならぬような販売を促進するとかいうことをやってきておるわけですが、最近の実態から見ると、結局は食管制度の本質に戻って、やはり政府として直接買い入れを発動するべきでないかというふうに考えておるわけですが、そういう点もあわせて速やかに政府方針を明らかにして、そして少なくとも十一月中には生産努力した全国の生産者に対して、こういうふうにいたします、心配かけませんというふうにする、それはできるわけですかどうですか。
  30. 大河原太一郎

    ○大河原(太)政府委員 お答え申し上げます。  先ほども申しましたように、できるだけ早期に的確な数量を把握いたしまして、適切な取り扱いをいたしたいという考えでございまして、その点で、特に豊作という事態で超過米が出るのではないかというような不安を農家の方々が多数持っているような地域については、できるだけ早くその取り扱い方針を決めまして、心配がないようにしたいというふうに考えておりますが、十一月いっぱいというふうな厳密な——逃げたり事を糊塗する意味ではございませんけれども、できるだけ早くその数量を把握して取り扱い方針を決めたいというふうに考えております。
  31. 芳賀貢

    芳賀委員 次に、五号台風、六号台風あるいはまた北海道においては九月上旬の大雨の被害等によって水稲地帯も相当激甚な被害を受けておりまして、その結果として、収穫された産米が被害米として、検査法から見ればこれは規格外の米ということになるわけでございますが、これについても農林省においては毎年適宜な措置を講じてきておるわけですが、特に検査規格等についても、これを取り扱うために規格外米の検査等級等を設定して、そして被害農家の生産した米の販売等についてもできるだけ有利な販売ができるように措置をしてきておるわけですが、ことしの場合にもやはりこの対策は非常に大事だと思うわけです。  それからもう一つ長官も御承知と思いますが、北海道中心としてモチ米に黄色粒が混入しておるというような声が大分出ておるわけです。これは以前発生しました黒色米を電子選別機で選別して販売するなんというよりもまだむずかしいと思うのですね。そういう点もあるので、これらも被害米の政府特別買い入れ措置の問題とあわせて、この被害を受けたモチ米についても適宜の買い入れ方針というものを立てて善処すべきではないかというふうに思いますが、この点はいかがですか。
  32. 大河原太一郎

    ○大河原(太)政府委員 お答え申し上げます。  先生の御質問は二点にわたると思いますが、第一点は台風六号等によります北海道の災害米の取り扱いについてであると思います。この点につきましては、従来の経緯等もございますし、今回の発生の態様についてもわれわれ十分調査を重ねてこの取り扱いの結論を急いでおりますが、主食用として流通可能なものが大体二千トン程度ではないかというふうにホクレン等からの報告を受けております。これにつきましては、まず農家手取りの確保ということから、選別をできるだけよくいたしまして、自主流通米としての販売をまず最大限にやっていただく。その後、諸般の制約からこれについての取り扱いが自主流通米としても限度がございますれば、災害県でございますし、また従来の経緯もございますので、これについての政府買い入れ等の取り扱いについても検討しなければならぬということで、ただいま最終の数量の確定という点等について準備を急いでいるわけでございます。  それから第二点の、お話がございました黄色米と申しますか着色米がモチ米について発生しておるということは、現地の検査を通じても私ども承知しております。その数量が相当になるのではないかということも、われわれのきのう現在の数字では千二百トンというふうに聞いておりますが、これも規格外といたしまして、自主流通として、その実需者と結びつけて処理したいということでございまして、これは食糧庁としても、指定集荷業者であるホクレンと加工業者との間に積極的にあっせん等に努めておりまして、その話し合いが相当進んできておるというふうに承知をしております。いずれにいたしましても、その処理については遺憾のないようにしたいというふうに考えております。
  33. 芳賀貢

    芳賀委員 もう一つ長官にお尋ねしますが、結局ことしは約百万トン転作を中心にして生産調整をやっておるわけですから、これが全面的に耕作された場合には一千四百万トン以上の米が明らかに生産されることになるわけですね。ですから、今後の食糧対策としても、農林省においてはすでに総合食糧政策というものを発表して、来年度の予算編成を目途にして具体的な案を固めておるときですが、結局国内における食糧の備蓄問題ともあわせて、やはり米の消費拡大というものについて一段と努力すべきだと思うのです。結局、米を国民がよけい消費すれば外麦の消費が減るということは当然のことでありまして、そういうことは頭を働かせばわかると思うのです。  たとえば価格問題にしても、ことしは消費者米価については一九%の引き上げを七月下旬にやっておるわけでしょう。ところが輸入麦については、今年度の価格決定については据え置きと決まったわけではないが、いまだに価格改定を全然やってないでしょう。そうなれば、消費者米価を大幅に値上げをして外麦の払い下げ価格はむしろ低く抑えるというような行政をやれば、国民の選択としてどうしても外麦とかそういう食品に依存することになるんじゃないですか。そうさせるように農林省が食糧行政を進めているということになると思うのです。これは大きな間違いだと思うのです。何も国内の米や食糧の消費者価格だけ上げるのが長官仕事じゃないと思うのです。この点はお考えもあると思いますので、米の消費拡大とあわせて今後の輸入麦の価格問題あるいは消流対策に対して根本的にはどう考えておるかという点をこの際明らかにしていただきたいと思います。
  34. 大河原太一郎

    ○大河原(太)政府委員 食糧政策全般の問題と関連いたしまして、米、麦価等の売り渡し価格関係について適切な配慮をしてそして米の消費の拡大を図れという御質疑だと思いますが、お話のとおり外麦については現在大幅な逆ざや関係にありまして、千三百七十五億の財政負担をして、そのために麦の対米比価が、昭和四十年当初等に比べますと麦の割合が非常に下がっておるというような事態でございます。これについてはやはり食糧、農業政策上、われわれとしてはぜひともその点のバランスについては適切に措置をしていかなければならないというふうに考えております。本年六月の麦の米審の際もわれわれとしてもいろいろ検討したところでございますが、輸入麦の国際価格が非常に変動しておるという点も一つ問題点でございまして、国際価格の動向というようなものもはっきり見定めて、どの程度の売り渡し価格の改定をすべきかという点について現在検討しておるところでございます。いずれにいたしましても、不自然な価格というものが米の消費に対して影響するという点については、十分踏んまえまして、今後の食糧政策の進め方についての第一義にしていきたいというように考えております。
  35. 芳賀貢

    芳賀委員 次に構造改善局長にお尋ねいたします。  一つは、すでに五号台風、六号台風は激甚災害としての指定が発動になって、北海道を初め内地七県にわたって激甚地域の指定が行われたわけです。その関連で、たとえば構造改善局担当の農地及び農業用施設の災害復旧に関する暫定法の運用についても、すでに農林省としても災害の現地査定あるいは復旧に対する計画の認定とか工事の発注等に対して迅速な作業を進めておると思うわけですが、この関係についてはどういうことになっていますか。
  36. 岡安誠

    ○岡安政府委員 いま先生質問の台風六号それから九月の低気圧によりまして北海道は災害を受けたわけでございます。  道内の災害復旧につきましては、まず査定を先行しなければならないということで、道内の技術者の応援体制を固めまして鋭意査定をやっているわけでございますが、私どもの予定では、十一月の十日までにはすべての査定を完了したいということで作業を進めてまいりまして、大体そのような予定で完了するものというふうに考えております。  そこで、査定が終わりました後は復旧工事にかかるわけでございますが、まずやはり来年度の作付に影響のないように応急的な工事を行いまして、用水を確保するということを私ども考えておりまして、それも今年度中にはほぼできるというふうに考えております。  なお、ほかの河川とか道路というような復旧工事と関連するものもございます。これらにつきましては、それらの関連を十分考えながら調整をとりまして復旧をいたしたいというふうに思いまして、現在作業を進めている次第でございます。
  37. 芳賀貢

    芳賀委員 災害対策の諸問題については、今明日災害特別委員会の審議が進められておるので、問題になる点は明日災害特別委員会で若干質問したいと思いますが、この際、実例を一つ挙げて、農林省としての方針を明確にしてもらいたいと思います。  これは九月の二十二日、二十三日の両日にわたって衆議院の災害対策特別委員会北海道の激甚災の現地調査を行ったわけでありますが、その調査の中で、地域としては旭川市の地域内でありますが、石狩川本流が流れておりまして、その石狩川本流に石狩川頭首工というのが戦後そこに構築をされて、この頭首工から約六千ヘクタールに及ぶ水田の灌水をしておるわけですが、この頭首工が先般の災害によって大きく損壊しまして、使用にたえないという状態になっておることは、これはもう農林省においても十分承知のところでございます。そこで、これが来年の水稲の耕作期までに完全に復旧しないと、六千ヘクタールに及ぶ水田の耕作ができないという事態になるので、現地においても緊急に復旧工事を単年度で進めてもらいたいという強い要望があります。  そこでこれがどこまで作業が進んでおるかという点と、もう一つは、たまたまこの頭首工がもう耐用年数を過ぎたような状態になっておるので、これについては国営の直轄灌排事業といたしまして、この頭首工についてもことし新規着工の予定で、まだ工事着手には至っておりませんが、三億円の工事費がすでにもうついておるわけです。そうしてまた、農林省並びに北海道開発庁としても、来年の予算要求の中にこの石狩川頭首工の継続事業費として五億円の概算要求を出しておるという経過があるわけであります。したがって問題は、当然その激甚災による災害復旧としてこの頭首工の緊急復旧事業をやらなきゃならぬ。もう一つは、これにかわる新規の頭首工をことしから着工しているわけですから、同じ個所に二つの頭首工、一方は復旧、一方は新規の建設というものが進むわけでして、両方ちゃんとやってもらわなきゃならぬ。災害復旧を急ぐということに名をかりて、この新規のものをまた延ばすなんということになれば、これは大変な事態になるわけです。まあ珍しい事例かもしれぬが、この点について間違いのない方針で、既定計画どおりぜひこれは進行すべきでないかというふうに思うわけです。この点について岡安局長並びに開発庁の総務監理官からそれぞれ明確にしてもらいたいと思います。
  38. 岡安誠

    ○岡安政府委員 いま御質問の頭首工は、恐らく石狩川の共栄近文という頭首工だろうと思います。これは御指摘のとおり、もうすでに現存いたします頭首工は老朽化いたしておりますので、現在私どもとしましては、その下流百五十メーターくらいのところに新しい頭首工をつくるということで、本年度着工いたしておるわけでございます。古い頭首工が御指摘のとおり先般の台風で被害を受けまして、水たたきとか護岸の一部が決壊をいたしたわけでございまして、このまま放置いたしますと、来年の取水に差し支えがあるということで、すでに私どもは査定も完了いたしましたので、来年度の取水に支障のないようにこれは復旧をいたします。そういうことで進めております。  それから新しい頭首工は、これは災害を受けたこといかんにかかわらず、やはり老朽化しておりますので、新しい頭首工をつくる必要があるということで今年度着工いたしましたけれども、この工事は河川に関連する工事でございますので、そう長く工事期間をかけるというわけにもまいりません。私どもは、来年度予算要求におきましては債務負担行為の要求もいたしております。それで、できるだけ短期間にこれは完了するようにという計画は、古い頭首工の災害復旧のいかんにかかわらず、影響されないように進めたいというふうに考えております。
  39. 黒田晃

    ○黒田(晃)政府委員 近文の問題につきましては、先ほど農林省から御答弁がありましたように、開発庁といたしましても、所定の工期内に完成するように私どもも考えておるわけでございまして、できるだけ早期に完成をしてまいりたいと思っております。  なお、災害復旧の問題につきましては、開発庁の直接の所管事項じゃないわけでございまして、これは農林省の御答弁のとおりだろうと思うわけでございます。
  40. 芳賀貢

    芳賀委員 せっかく開発庁の総務監理官が来ておられるので、この際もう一つ問題をお尋ねします。  それは、石狩川の支流に美瑛川という河川がありまして、この美瑛川の堤内に河川敷地があるわけでございますが、これは戦後開拓者が入植して、堤内の河川敷を肥沃な土地に開拓をして、その後二十年来耕作を続けておるわけであります。数年前に、建設省といたしまして、美瑛川の八号放水路関係の河川敷地を公用廃止することに方針をもうすでに立ててあるわけです。それで、二十年来この土地を農地に造成して耕作しておる関係農民が、一日も早く、公用廃止に基づく農地の耕作者に対する優先的な払い下げをしてもらいたいという要請を、地元の旭川市役所を通じてたびたび繰り返しておるわけでありますが、これがなかなか実現に至っていないわけです。別に複雑な問題があるわけではないわけです。例の新潟県の金脈問題なんかとこれは全然違うわけですから、方針が決まっておる場合には迅速に公用廃止の手続を踏んで、二十年来の耕作者に対して所定の手続で払い下げをすべきであるというふうに考えるわけです。この点について責任官庁は建設省だと思いますが、北海道開発庁にも建設省から出向しておるわけですから、開発庁段階でこれがわかればこの際明らかにしてもらいたいと思います。
  41. 黒田晃

    ○黒田(晃)政府委員 ただいまの御質問の美瑛川の件でございますが、これは北海道全体といたしまして例の河川法に言いますみなし区域というものの処分の問題でございますが、大体五十二年度末までにそういうみなし区域に該当するところを解消してまいりたいということで、現在北海道各地においてそういう解消するための調査をしておるわけでございまして、できれば五十二年度末までに全体をそういうみなし区域から外してまいりたいというように考えておるわけです。  なお、その美瑛地区につきましても、そういう全体の中においてすでに調査に着手しておるわけでございまして、調査が完了いたし次第廃川敷地処分の方向に持っていくということになっておるわけでございます。
  42. 芳賀貢

    芳賀委員 監理官、そういうことを聞いているのじゃないですよ。そういう抽象的なことをわざわざこの大事な委員会で聞く必要はないのです。美瑛川河川敷に特に八号放水路を予定して河川敷地を建設省が確保しておったのだが、今度はそれを行わないことにして、堤内排水施設については管を敷設してそしてポンプアップで本流に内水排除をするという方針が決まったから、この地域の公用廃止の方針決定になっておるのですよ。だからあとは実地の測量とか実地調査を進めて、その調査が終わった場合においては、それぞれの地域ことに結果を取りまとめて——何も最終年の五十二年にならなければ、北海道関係は処分してはならぬというわけではないでしょう。だから、延び延びになっておるのはどういうわけか、そしてこの美瑛川関係調査とか取りまとめはどうなっておるかということを聞いておるのです。  これは無理にあなたに答弁してもらわぬでもいいですよ。建設大臣でなければわからなければ建設大臣から直接答弁してもらえばいいわけですし、それから建設省の河川局長でなければはっきりしたことが言えぬとすればこれは別の機会に明確にすればいいのだから、何もあなたに無理にわからぬことを言えと言っているわけではないのですから、本当にわかっておるなら、こうなっていますということを言っていただけばいいですし、わかりませんと言うなら別な機会に明確にするわけだから、ここで遠慮なく言ってもらいたいと思うのです。
  43. 澁谷直藏

    澁谷委員長 黒田総務監理官、簡潔に願います。
  44. 黒田晃

    ○黒田(晃)政府委員 先ほど申し上げましたように、すでに調査に入っておるわけでございます。これがおくれてまいりましたのは、先生御存じのように改修方式をどうするかということで若干おくれておりましたが、その結論が出たために、それを踏まえまして現在現地において測量その他の調査に入っておるわけでございます。したがいまして、この調査が恐らく年度内には終わると思います。したがいまして、それが終わり次第、河川管理者との協議、あるいは工事期間が若干ございますので、そういうようなことで、いまいつということははっきり申し上げられないわけでございますが、恐らく来年度中にはそういうようなことに相なるのじゃないだろうかというように考えております。
  45. 芳賀貢

    芳賀委員 これは九月から実測に入っておるのです。だから、少なくとも十一月いっぱいにはもう実測が終わって結果の取りまとめができるわけでしょう。それは北海道にも、開発庁の出先機関では必ずしもないが、北海道開発局というのがあるでしょう。開発局の中にたとえば札幌の開発建設部とか旭川建設部というのがあって、これが実際に業務を担当してやっておるわけでしょう。その開発局とか建設部に農林省または建設省から担当者が出向してやっておるわけであって、開発庁というのは独特な性格を持った役所ですから、現場の手足がないのです。そこはわかっているから、開発庁において公用廃止の場合の農地の払い下げ等については一体どうなっておるかということを聞いたわけですが、いまの監理官の説明は、もうずっと昔のことですから無理にあなたを追及する考えはないが、出先の開発局あるいは旭川建設部に対して、降雪期も迫っているわけですから、測量作業等は迅速に進めろというように指示をしておいてもらいたいと思うのです。あなたからできなければ、建設省から指示をさせるということでいいですか。
  46. 黒田晃

    ○黒田(晃)政府委員 早くそういう調査を完了するようには前々かち申し上げているわけでございますが、若干手続関係に時間がかかるわけでございます。その点ひとつ御了承をいただきたいと思います。
  47. 澁谷直藏

    澁谷委員長 芳賀君、時間が参りました。
  48. 芳賀貢

    芳賀委員 あと農林経済局長にお尋ねする予定でありましたが、大分時間が経過しましたので、経済局長については、災害関係の問題ですから、明日災害対策委員会で私が質疑をすることになっておるので、その際御苦労ですけれども災害対策委員会質問をしたいと思うので了承を願います。  以上できょうは終わります。
  49. 澁谷直藏

    澁谷委員長 竹内猛君。
  50. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 休会中に各地で起きている幾つかの問題と当面の問題について、関係者に質問したいと思います。  まず最初に、先日私は同僚の議員とともに農民の要求に基づいて長野県の高冷地野菜地帯の調査をいたしました。上田、小諸というような地域を含めて二市四町村でありますが、その中で幾つかの問題が出ておりますから、これを逐次質問してまいります。  まず最初は、野菜と果樹に関する病虫害の処置の問題であります。長野県の御代田町は高原野菜が盛んでありまして、農業収入の約九割というものは高原野菜によって占められている。その作目は白菜でありキャベツでありレタスでありますが、この地域の集荷所やあるいは予冷倉庫等々については、国、県そして農業団体の指導と助成によってりっぱにできております。流通経路もできているが、問題は作物に対する病気が最近頻繁に起こっておりますが、その病気が根こぶ病という病気であります。この原因並びに対策について国はどういうふうな指導をされているのか。今日まで県なり国なりからは若干の農薬の補助金を出した、しかしながら、最近はそれを打ち切ってしまっているということがありますけれども、ここらの取り組みについてまず最初にお伺いします。
  51. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 根こぶ病についてのお尋ねでございますが、近年野菜について土壌病害虫の発生が増加をする傾向がございまして、特に秋、冬季のキャベツ、白菜に大きな被害を与えております根こぶ病の被害発生をしております。  最近の数字で申し上げてみますと、四十九年に全国でキャベツについて根こぶ病の発生いたしました面積が約三千ヘクタール、それから白菜につきましては六千六百ヘクタールという数字を把握をいたしております。発生面積率で見ますと、キャベツについては七・四%、それから白菜については一五・四%というような数字を私どもで把握しております。  この病気の防除法といたしましては、無病の苗を植えるということ、あるいは病株を早期に発見をして抜き取るとかあるいは発生圃場の周辺で排水溝等を設置いたしまして汚染した土壌が入ってくるのを防ぐとかあるいは堆厩肥、石灰等の施用によって土壌を改良するとか、アブラ菊科作物との連作を避け輪作を行っていくとか、あるいはまた薬剤を散布するとかというような方法がいろいろあるわけでございます。先ほど御指摘ございましたように、野菜栽培がだんだん主産地化をしていきますと、その中でまた経営面積が比較的小さいということで連作をどうしてもやるということになりまして、適切な輪作が行われない、連続して同じ作物をつくるということのために、主として農薬に依存する防除が行われているという弊害が若干出ております。これはやはり基本的には、輪作をやることによりまして耕種的な方法によって病害虫の発生を防いでいくという方法をやる必要があるというふうに考えております。農薬を多用しますと、安全性の問題からいいましてもいろいろ問題がございますので、われわれといたしましては輪作その他の方法によります総合的な防除対策を進めていかなければならないというように考えております。  なお、これは一種の地力対策になるわけでございますが、そういう面では、五十年度から、これは私どもの方といいますよりも食品流通局の野菜担当課で、主産地を対象といたしました生産安定対策をやっておりますけれども、その中で土壌病害虫の防除というようなものに対しても助成をするというような道を講じております。
  52. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 私の地域の茨城県の下妻、岩井、結城郡、猿島郡等は秋季の白菜の産地でありまして、長野県の高冷地野菜は主として京阪神に向かうわけでありますが、この地域は東京中心に横浜、千葉といったところに出てまいりまして、それがやはり市場の六三%を占めている。ところがここで、十月二十七日現在で四千数百万トンの減収となり、金額でも二億三千万円を超している。この結果、十月の段階では東京の白菜の値段がキロ二十一円のものが五十円に上がる、こういうような結果になっておりますが、これは軟腐病というような病気が原因だと言われている。この問題についても、同じような形でぜひ調査をし処置をしてもらいたいものだと思います。  ところで、いま澤邊局長から話がありましたように、原因は確かに連作でありあるいは化学肥料であり、そしてまた土壌の問題にあると思います。この土壌を直すためにいろいろな努力がされておりますが、特に堆肥の問題について、長野県の高冷地では大変な努力をしております。むしろ野菜を売って堆肥を買う、あるいはわらを買うというような努力をしておりますが、特にここでは、いま話にはなかったが、堆肥を得るために畜産を入れる、その畜産を入れるためにはどうしても面積の拡大をしなければならない。そういうことから長野県の御代田町の馬瀬口農協では、国有林を利用させてもらいたい、こういう要請を出しているはずです。  この国有林の問題に関しては、かつて群馬県の嬬恋村で、これはやはり全国でも有名なキャベツの産地ですが、ここでも同じような問題が起こって、実力者の代議士が二人そろって林野庁に要請をして国有林を払い下げをしたら、畜産をやらないで依然としてキャベツをつくったという例があるそうですね。これでは困るので、やはり国有林を要求しておりますが、その利用なり指導については目的に沿うような方法で行ってもらいたいと思いますが、国有林を払い下げをしてもらえば結構だけれども、できなければ国有林を利用さしてもらいたい、こういう要望について林野庁の方ではどういうふうにお考えか伺いたい。
  53. 松形祐堯

    松形政府委員 お答え申し上げます。  ただいまの御代田町の場合について具体的な問題として私まだ承知しておるわけではございませんが、一般的に申し上げまして、国有林野の活用につきましては、御承知のような活用法に基づきまして私ども積極的に進めておるわけでございます。特に野菜栽培等の農用地等の関係につきましても、農林業の構造改善事業等に資するための積極的な推進をしておるのでございまして、今後とも国有林野の管理あるいは経営、そのような事業の適正な運営との調整を図りながら適切な処置をしてまいるつもりでございます。  なお、ただいまお話のございましたように売り渡しの場合と貸し付けの問題がございます。そのような場合は地元の農家の方々の要望というものを尊重いたしまして決定いたしているような次第でございます。  なお、御代田町につきまして、私の調査いたしましたところでは昭和四十五年のようでございますけれども、そのような要望があった。これは口頭だったと思うわけでございますが、その対象地が大体九十ヘクタールの浅間山の国有林でございまして、その場所がたまたま全域水源涵養保安林になっておりますと同時に、上信越の国立公園になっておる。さらに一部は鳥獣保護区というようなものもかぶさっておるというようなことでございまして、やや問題があるということでとんざしているのではないかと思っておるわけでございます。
  54. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 いま長官からお話があったようなことになっているのかもしれません。しかし、それは別に木を切り倒してしまうわけじゃない、下草を牧野に使うわけですから。この点についてはなお文書で要請があると思いますので、善処してもらいたいと思います。  それから澤邊局長の方には、農薬の問題に対する補助が出ていたということなんですけれども、これは打ち切られたということですが、そういうことについてなお考慮の余地があるかどうかという問題。  それから次に、上田市の周辺にリンゴ園がありますが、このリンゴの幹に最近腐乱病という病菌がついて、これは人間のがんみたいなもので、それを切り取るとまた次に別なところに移っていく、そして最終的には木が枯れてしまうということです。     〔委員長退席、坂村委員長代理着席〕 こういうようなきわめて困難な病気の処置について研究をし、それの克服のために努力をしてほしい、こういうことを要望したいし、答弁を求めたい。
  55. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 腐乱病でございますが、そちらから先にお答えさせていただきます。  これは古くから寒冷地のリンゴ栽培地帯において発生しておりまして、最近各地で発生が増加の傾向にございます。全国的には主産県を中心にいたしまして——主産県だけの調査でございますが、五十年度は約一万二千三百ヘクタールぐらい発生しておる。特に北海道、青森、岩手、長野等に発病が多いということでございます。  対策といたしましては、病患部を削り取ったり、あるいは冬季、春季の休眠期なり、あるいは春夏季においてそれぞれ薬剤を散布するとか、あるいは耕種的な方法といたしましては、罹病した木を抜き取って焼却するとかあるいは皮を削り取るとかというようなことを指導しておるわけでございますが、国といたしましては、発生予察事業というものもこれについてもやっておりますので、適時に適確な防除ができるように情報を流すということをやっておるわけでございますが、特に最近、農家の労力不足ということで管理の悪い園に発生する場合が多いわけでございます。そういう点で個人ごとの防除だけでは不十分であるということで、来年度から地域全体として抜き取りを含めまして防除対策をやるということで現在検討いたしておるところでございます。  それから野菜についてのお尋ねでございますが、ただいまお尋ねのございましたものについて国から直接薬剤が出ておったかどうか私、ちょっといま資料を持っておりませんけれども、あるいは県段階で出ておったのではないかというように思いますが、地力対策、堆厩肥等の有機質を入れるとか、あるいは輪作対策、そういう対策を含めまして総合的な予防あるいは防除対策をこれから促進してまいりたいというふうに思います。
  56. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 次に、上田市の東部地区が四十九年度に農村総合整備モデル事業地域に指定をされた。そのこと自体は現地では大変喜んでいるわけですが、五十年、ことしから着工するわけですけれども、約束のとおりに金がこない。これはいつになったらできるのかという形で、現在の政局じゃないけれども、視界ゼロに等しいというわけだ。現在きている金は六十五分の一だ、こう言われている。いろいろ尋ねてみると、四年間に約十億の予算によって、国が五〇%、県が二〇%、それから市町村なり地元で三〇%、こういうことになっているようですが、これの根拠法、それから実施過程における問題点、それから今後の展望、いつになったらこれはできるのか、こういう点についての方向を明らかにしてもらいたい。
  57. 福澤達一

    ○福澤政府委員 上田東部の農村総合整備モデル事業につきましての御質問でございますけれども、その前に、まず農村総合整備のモデル事業というものにつきまして簡単に御説明申し上げますと、本事業は全国でおおむね四百地区を対象といたしまして昭和四十八年度から新しい事業として発足したものでございます。そして、その目的とするところは、農業の近代化を図るための農業生産基盤の整備と一体的に農村の生活環境の整備を行うという目的を持ちまして新しい制度として発足したわけでございます。当初は、これは団体営程度の規模のものでございまして、四年程度で終わらせるというような計画でございましたけれども、しかし、その後御案内のとおりの総需要抑制という問題あるいは工費の高騰というようないろいろの問題が生じまして、発足間もない事業でございますので、進捗率が非常におくれておるというわけでございます。それで、私どもといたしましては、そのおくれを何とか取り戻そうといたしまして、昭和四十九年度におきましても対前年比一九〇%、それから昭和五十年度におきましても二五四%と、対前年比の大幅な予算の拡充に努めてまいっております。  しかし、ただいま申し上げましたように、まだ完了地区が一地区もございません。発足間もない地区でございますので、それぞれの地区の進捗が非常におくれておるというような実態がございます。私どもはさらにこれを五十年度におきましても補正予算を大幅に予定するという形を考えておりまして、五十一年度予算の概算要求も含めまして、この事業の進捗を図ろう、こういうように考えておるわけでございます。  当面問題になりました長野県の上田東部の地区でございますが、これは五十年度、本年度新規に着工を採択した地区でございまして、採択の初年度におきましては予算措置というものも十分でございませんし、実施設計を中心とするような内容でございますので、ことしの予算は非常にわずかなものでございます。したがいまして、今後来年度以降におきましてもこういう予算措置をできるだけ充実をさせまして、地域の住民の要望と期待にこたえるようにしてまいりたいと思っております。
  58. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 問題を明らかにして、ぜひ進めてもらいたいということが要望ですから、重ねて要望して次に移ります。  続いてやはり同じ地域において浅間山ろく広域農道の問題があります。この問題については特に上田を通って東部町から小諸、軽井沢に通ずる道ですが、この問題は、農民の立場からするならば、農民自体が使う道でありますから坪について六千円で協力した。しかし、その近くを通る国道十八号線に関しては坪二万円で売買をされている。こういうぐあいにして協力しているにもかかわらず、いまだに神川を中心とした上田市の笹井、野竹、林之郷というような地域については、川の手前まで来てその道路はとまってしまっている。そして川に橋をかけて、さらにその続きに今度はトンネルを掘らなければ通じないという状態で大変金がかかることもわかるけれども、これは一体いつごろになったら通ずるのかという形で、大変農家の人たちは政治に対して疑問と不信を持っているわけですが、この問題の見通しについて明らかにしてもらいたい。
  59. 坂村吉正

    ○坂村委員長代理 簡潔に願います。
  60. 福澤達一

    ○福澤政府委員 広域農道の浅間山ろく路線につきましての御質問でございますが、本地区につきましては御案内のとおり上田市を起点といたしまして軽井沢に至るまでの十一・八キロをその計画の路線としておるわけでございますが、昭和四十七年度に着工いたしました後、四十八年度あたりから小諸市以東の地域につきまして、地域の地権者を含めまして反対者が出てまいりました。そのためにそれらの説得工作、地元の調整工作等が非常に時間を要しまして今日に至ったわけでございます。したがいまして、四十九年度、五十年度予算につきましては、事業の進捗というのが非常に阻害されておるということでございます。  なお、先生からお話がございました架橋の地点についての路線の問題は、たまたまそこが墓地というようところに路線を選定しておりまして、そのためにそれらの調整に非常に問題がありまして、地権者との間に意見のそごを来しておくれておるというような事態になっております。私どもは、これは地域の要請に従いまして行った道路でございますので、地域の意向というものを十分聞いた上で、県営事業でございますので、長野県当局とも十分その調整を図りながら、一日も早く事業の軌道に乗るような推進を考えて指導していきたいと思っております。
  61. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 次いで、これは茨城県の問題に入りますが、茨城県の水海道市から下館に通ずる——これはもっと先の方へ行きますが、国道の二百九十四号線、これと関連をして小貝川という川があり、その真ん中に今度常総バイパスというものをつくるという計画があります。この常総バイパスに関して、ある地域では一部着工しているようですが、多くのところではこれは現在までに土地改良を進め、圃場整備をやってきたところです。水海道のあるところでは、それをやると二十七町歩の熟田、美田がつぶされる。せっかく土地改良をして機械が入り、近代化ができるようになったときに道路のためにたんぼが二つに割られていくということは好ましくない、賛成できない、こういう声が強い、これは当然だと思うのです。そこには六軒堀川という川があり、あるいは小貝川のふちというものもありますが、いずれにしても、道路が込んでいることはわかるから道路をつくることはいいわけです。これは建設省、農林省関係すると思うのですが、農地をつぶして道路をつくる、こういう問題に対する処置をどうしたらいいのかという点についてお答えをいただきたい。
  62. 福澤達一

    ○福澤政府委員 ただいま先生の御指摘の問題につきましては、御案内のとおり、取手−下館間の常総バイパスについての国道の計画でございますが、たまたまそこに県営の圃場整備事業地区がございまして、石下地区を通るところの路線は約五・五キロ、用地面積にいたしまして十六・五ヘクタール、水海道地区の路線が約六・七キロ、用地面積にいたしまして二十ヘクタールで、これらの路線のうち七キロにつきましては路線の決定を見ておる、その間にある用地の大部分は農地である、こういう実態でございます。このうちすでに用地買収になっておる面積が石下町の二・五ヘクタール、下妻、千代川地区につきましてはまだ路線は未決定であるというように私どもは聞いておるわけでございます。  それで、国、地方公共団体あるいは道路公団等の道路の建設につきまして、農地を取得する場合には、道路建設の公共的な必要性が高いということ並びに用地選定の任意性が乏しいということ等からして、農地制度上許可が必要でない、こういうことに実はなっておるわけでございます。しかしながら、私どもは、優良農地を確保する、農業の生産性を高めるための基盤整備事業を実施しておりまして、圃場整備をやっておるわけでございます。それらの優良農地がせっかく成形されたものが、いたずらにまた壊廃されて異形を起こすというようなことでは私ども目的と意に合わないという点が出てくるわけでございます。したがいまして、こういう路線との調整というようなことにつきましては、私ども優良農地の確保という観点から、それぞれ各県の農林部局に対しまして、十分調整を図って遺憾のないように指導をしていっていただく、こういう指導をしておるわけでございます。  たまたまここの場合につきましては、そういう事態が起こっておるということでございますが、今後とも優良農地を確保するという観点から私どもは地元との調整、県の中における連絡の適正さを期して、そういうことが各所で起こらないように指導してまいりたいと思っております。
  63. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 いまの答弁よく理解をしますが、要するにこの地区はこの地方における米の中心地ですから、せっかく土地改良をしてまだその金が払い終わらないうちに今度は建設省がそこに道路をつくる、そのために転用の許可もなしにそれは取得できるのだというようなことでは、これは農林省としても困るわけであって、やはり道路をつくるべき場所があるはずだから、路線の変更なり何なりをして、道路をつくること自体に反対をするわけじゃないんだから、せっかく土地改良をし圃場整備をしたその農地を割ること、あるいは代替地を出すにしても代替地がない、そして結局農家の経営を狭めていくということは、これは好ましい方向ではないですから、ぜひその点についてはいま言った答弁の線を堅持してやってもらいたい、こういうことを要望します。  次いで、これは林野庁、畜産局、構造改善局、防衛庁、自治省の関係質問しますが、現在茨城県の勝田市にあるところの自衛隊の爆破訓練場が十王町に移るということをめぐって、地元では大変大きな問題が起きておることについて質問したいと思います。  まず、防衛庁はどんな方法で県やあるいは町や地元の地権者に対してこの問題についての説明をされたか、そこからお伺いします。
  64. 銅崎富司

    銅崎政府委員 お答え申し上げます。  現在陸上自衛隊の施設学校で使用しております長砂訓練場は、昭和四十八年の三月に防衛庁長官と茨城県知事との間で締結しました協定書によりまして、使用期間を三年としまして、これを更新、延長しないという約束のもとに使用いたしております。その期限が明年の四月十四日に来るわけでございまして、このために、これにかわる代替地を探して選定をしておったわけでございます。数カ所の候補地の中で、十王町の高原地区が周辺部落との距離から見ても安全で、また騒音も少ないと考えまして、代替地としては適しているという判断をしたわけでございます。  本年の六月ごろ、訓練場候補地としてこの土地が適しているかどうかということを、従来図面上で探しておりましたので、実地につきまして調査し検討する必要があるということで、地元の有志の方、精通者の方と接触をいたしました。それからさらに九月の中旬ごろ、地元の有志、精通者の方、その他の方々を現在使っております長砂訓練場に御案内しまして、爆破訓練を見ていただきました。それからまた九月の中ごろですが、県当局に長砂訓練場の移転問題について一般的なお話をしたわけですが、その内容は、面積としまして大体二百ヘクタールぐらいが必要である、それから盆地のようなところで比高差が五十メートルくらいあるところが望ましい、それから部落との距離も、安全、騒音のことを考えまして二キロメートル以上あるところ、それから勝田の施設学校で使いますので、施設学校から片道一時間以内のところを現在候補地として探しておるのでよろしく協力をお願いしたいという話をいたしました。  これらの経緯を経まして、県及び十王町当局に公式に申し入れましたのは十月の四日でございまして、口頭で申し入れております。この土地に訓練場を設置したいんだということで協力を要請したものでございますが、その後十月六日、七日には、土地の所有者、部落の関係の方々を相馬ケ原演習場に御案内いたしまして、演習場周辺でのいろいろな対策事業を見ていただき、また町当局の要請によりまして、町議会のメンバーの方を十月十一日には長砂訓練場に御案内し、それから十月十四日には町議会のメンバーの方々が独自に計画されまして、相馬ケ原演習場を視察しておられます。それから茨城県知事には十月十三日に口頭でこれまでの経緯をお話をし、協力を要請いたしました。  以上、概略申し上げました。
  65. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 計画は大体わかりましたが、それではその次に、使用の目的内容、それから期間、この三点について伺いたい。
  66. 銅崎富司

    銅崎政府委員 今回取得しようとしております十王町の高原長久保地区の訓練場用地は、先ほど申し上げましたように長砂訓練場の代替地として考えておるものでございまして、その所要の面積は約二百ヘクタールでございます。使用の目的は、陸上自衛隊の施設学校におきます爆破作業等の教育訓練の目的で使うということでございます。それから年間使用を予定しております日数は約百十日でございます。
  67. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 年間の期限じゃなくて、一たん借りれば将来永久にやるのかどうかということです。
  68. 小谷久

    ○小谷説明員 施設学校の教育訓練の場といたしまして永続的に使用いたしたいと考えております。
  69. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 永久的に使用するわけですね。
  70. 小谷久

    ○小谷説明員 恒久的に使用いたしたいと考えております。
  71. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 次いで、防衛庁関係者は現地に行って説明するときに、爆破訓練場をつくると十王町にたくさんの金が交付される、大変メリットがある、こういうぐあいに説明をしている。ある者は一億円ぐらいおりるのではないか、こういう説明をしているが、一体現在の法律の中で、どういう法律に基づいてどれだけの金が交付されるのか。その点を、その法律と、その金について計算をしているはずだから、それを明らかにしてもらいたい。
  72. 銅崎富司

    銅崎政府委員 地元に行っていろいろとお話し合いをする中で、どういう対策事業がやってもらえるんだろうか。先ほどもちょっと御説明申し上げましたが、相馬ケ原演習場等に行きまして実際やられた周辺対策事業等を見てこられて、十王町にはどういうような対策ができるだろうかというお尋ねがあったわけですが、私どもの答えは、防衛施設周辺の生活環境整備法というのがございまして、この法律に基づきまして周辺対策の事業ができることになっておるわけですが、この中の第三条、第八条、第九条にそれぞれ該当することになれば、そういう事業を実施することができますということをお答えしているわけでございまして、現在私どもが聞いております地元からの要望の事業を申し上げてみますと、一つは農業経営の阻害に対する農業施設等の設置の助成事業、それから部隊車両の通行に対する交通安全等のための道路の改修事業、それから演習通報の周知徹底、火災予防等の措置、これは無線放送とか消防施設等の助成事業になりますが、そういうもの、それからその他の民生安定事業、具体的には出ておりませんが、あるいは河川の改修等が考えられるかと思います。  それから、ただいま申し上げました三条、八条に基づく事業がどれくらいの金額になるかということでございますが、これは現在地元からこういう大まかな要望として出ておりますので、今後十分協議を重ねまして、その上で、具体的な計画に基づいてどれくらいの予算を計上するかということになろうかと思いますので、現在のところ金額を申し上げる段階にはなっておらないわけでございます。  それから第九条では、特定防衛施設として指定をしまして、特定防衛施設の関連市町村として指定いたしますと特定防衛施設周辺整備調整交付金を交付することができるわけでございまして、そういう方向で現在検討を進めておるというところでございまして、これも金額は現在まだ申し上げる段階ではございません。
  73. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 そうすると、いままで現地でいろいろ説明して、あれもやるこれもやるという、何千万、何億という数字がやたら飛び出してくるけれども、ああいうのはみんなうそだね。
  74. 銅崎富司

    銅崎政府委員 うそかどうか、私もどういうところからそういう声が出たか承知しておりませんのですが、話し合いはあくまでも町当局と具体的な対策事業について御相談をして、その金額を積み上げていくことになると思いますので、そういう金額が出る前にいろいろなことが言われるというのは私としては単なるうわさではないかというふうに考えております。
  75. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 自治省にお伺いしますけれども、もしもこのいま防衛庁の方が説明したような施設ができたときに、基地交付金の対象になるかどうか、なった場合にはどれくらいの金がおりるのかということを自治省の方に求めます。
  76. 川俣芳郎

    ○川俣説明員 現在基地交付金は、自衛隊の場合におきましては自衛隊が使用いたしております飛行場、演習場の土地、建物、工作物、さらには自衛隊使用の弾薬庫、燃料庫の土地、建物、工作物につきまして交付をいたしておるわけでございます。  ただいまお話しの長砂演習場の移転の件につきましてはその詳細を私どもといたしましては現在承知をしておらないわけでございますが、これが国有財産でございまして、自衛隊の使用いたします演習場に該当するということになりますれば、当然将来基地交付金の対象になるというふうに考えておるわけでございます。  詳細を承知いたしておりませんので、基地交付金の額がどの程度になるかは、現在のところ申し上げることができないわけでございます。
  77. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 いままで聞くところによると、一年間に百十日、約四千人がそこで訓練をする、建物は一切建てない、そこに迫まるところもない、したがって防衛施設周辺の環境整備法によるところの九条の四項、四つの項目があるけれども、その中には含まれないということで、弾薬庫もできるわけじゃないのだから、だからそういう点については一つの原野であるから、何らそういうものに補償がないというようにこれを理解をするわけですけれども、その点はどうですか。     〔坂村委員長代理退席、今井委員長代理着席〕
  78. 銅崎富司

    銅崎政府委員 十王町に設置しようとします爆破訓練場は、陸上自衛隊の施設学校が爆破訓練を行うことを目的として、約二百ヘクタールの規模をもって計画しておるものでございます。  当施設が設置運用されました場合に、周辺地域の生活環境及び開発に著しい影響を及ぼすことが考えられます。したがいまして、当十王町の区域内において行う公共用の施設の整備については、特に配慮する必要があるというふうに私ども判断するわけでございまして、この爆破訓練場と先ほどお話のございました弾薬庫でございますが、現在弾薬庫で指定をされておりますものは、人口密度が百人以上で約二百ヘクタールの弾薬庫であれば、関連防衛施設として指定し、そこに所在する市町村を関連市町村として指定しておるわけでございますが、それとの関連等を考慮しますと、これは十分に該当するというふうに考えるわけでございまして、現在法律、政令段階で読めるかどうかという問題がございますので、政令改正を含めまして検討しておるところでございます。
  79. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 もう一つ質問しますが、仮にそこに移った場合に、事務委託費というものは交付されるのか、されるとすれば幾らか。それから、すでに前例があるのですから、それに対しては、その前例との関係でどうなるのか、この点を回答してください。
  80. 銅崎富司

    銅崎政府委員 お答えを申し上げます。  事務委託費は支出されると思いますが、これは演習場があるために町の職員の方々がいろいろな連絡事務とか、いろいろな文房具その他かかりましたものを見て決めるわけでございますので、額がいまどの程度になるということは申し上げられません。普通の市町村の例で申し上げますと、五十万から百万前後ではないかと思いますが、これは感じで申し上げていますので、実際には先ほど申し上げましたいろいろな、事務にどれくらいかかるか、連絡費にどれくらいかかるか、そういうことを見て決めるわけでございます。
  81. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 その地区には私有地というか民有地がありますね。その民有地の取り扱い、これはもしその所有権者が売り渡す場合には、どういう基準でこの土地を買われるのか、どれくらいの価格で買われるのか、その点について伺いたい。
  82. 銅崎富司

    銅崎政府委員 土地を買います場合の評価額でございますが、これは公共用地の取得に伴う損失補償基準要項というのがございまして、これに基づいて、買収時点における正常な取引価格によるということになっております。  具体的には、近傍の売買実例、あるいはそれがない場合、あるいはあわせてでございますが、不動産鑑定士の鑑定評価額というものをしんしゃくしまして決めるということになっております。  現在どういう額を出しておるかということですが、まだ所有者の方との話し合いもついておりませんし、評価額を決めるという段階になっておりません。
  83. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 今度は林野庁の方にお伺いしますが、林野庁に対しては防衛庁から何か話があったかどうか、その話の内容と、あそこには分収造林、部分林があるはずだけれども、その現状はどうなっておるか伺いたい。
  84. 松形祐堯

    松形政府委員 お答え申し上げます。  ただいまめ問題になっております爆破訓練場として十王町の国有林の一部につきまして使用したい旨、十月四日林野本庁とこれを管理いたしております東京営林局に申し入れがございました。なお、この約二百ヘクタールの中には、ただいま御指摘の分収契約によります部分林と称しておりますが、これがございます。この部分林は二百ヘクタールのうちの約十三ヘクタールでございます。二件になっておりまして、一件四・三三ヘクタール、もう一件は八・五一ヘクタールとなっておりまして、大越友美さんほか十五名の分収契約になっております。一つは六十カ年、一つは五十カ年契約、こういう分収契約になっておるわけでございます。
  85. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 構造改善局にお尋ねしますが、二年前に私どもは、本委員会で農用地開発公団法をかなり長い時間をかけて審議をし、これを通過させたわけです。そのときに、全国の五つの地域の一つとして、阿武隈・八溝地域を決め、将来有望な対象地域である、これは畜産基地として非常に重要だということを記録にもとどめたし、議論したことがあるけれども、やはり現在でもそのことについては変わりはないと思うがどうか。
  86. 福澤達一

    ○福澤政府委員 阿武隈・八溝の地区につきましては、現在におきましても、従来どおり農用地の開発をいたすことによりまして濃密の畜産団地を建設するという考え方には変わりはございません。
  87. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 今度は畜産局に伺います。  その地区は畜産の盛んなところであります。戦前には馬をたくさん飼育をした、そういう牧場がいまでも残っておる。そういうところであり、特に現在自衛隊が移ろうという高原地区はその重要な地域になっている。県はその話のある前に、五十年の六月の段階で、高原地区における牧場の建設を進めるために、町と県が立ち会って地元の入植予定者を四人現地に案内をしている。もちろん現地には道路もつくらなければならないから金も多少はかかるけれども、二十四歳の若い前途有望な青年もそこに行っているのに、いつの間にか畜産団地というものに対して、断わりもなしに今度は自衛隊を入れるというような話をしたというんだが、これはわれわれが二年前にここで大いに議論をして、日本の畜産の振興のために、全国でも幾つとない地域の一つとしてこれを考えて、いろ  いろ努力をしたことときわめて矛盾をする。畜産局としてはこういう問題についてどう考えるのか伺っておきたい。
  88. 大場敏彦

    ○大場政府委員 まあ騒音が問題になるだろうと思うのであります。騒音の問題につきましては、内外、実は試験では必ずしも多くございませんが、乳牛なんかの場合には乳の出が悪くなる、それから豚につきましては産肉能力はそう落ちない、しかし鶏なんかの場合には産卵機能が音によっては低下する、こういった例がございます。  本地区の場合には、先生御承知のとおり、昔は馬産地でございましたが、現状は主として肉牛の放牧地というかっこうで利用されておるというふうに聞いております。そういう意味で、騒音による直接被害は、乳牛等の場合に比べましてそうないのではないかというふうに判断いたしておりますけれども、しかし、いずれにいたしましても、現地の畜産的利用ということはもちろん重大な事柄でございますから、訓練場の設置の問題と地元の営農上の調整の問題は、よく地元民の理解を得て話し合いの上で円満に解決されることが望ましい、かように思っておるわけであります。
  89. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 私は、以上事実の問題について経過をたどりながら一つ一つ確かめてまいりましたが、実際防衛庁の人々が現地に行って役場やあるいは賛成をするであろうと思われる人々に話していることと、ここで話していることは全く違う。金額は一つも出ておらないですね。にもかかわらず、現地ではあれもやるこれもやるとすべて空手形のような架空な話をしている。しかし、現実にあの地域は確かに過疎地帯であり、何か開発をしなければならないことはわかっているけれども、地元はそんな音の出る、何のためにそれをやるかわからないようなものを求めておるわけじゃない。ここでは将来畜産を振興して国民の食生活を満たしていきたい、こういうことでわれわれも議論してきた。特にいま日本は、食糧の問題から言えばアメリカから千四百万トンの飼料穀物を長期に買うという約束をしている。しかも牛肉については最も日本では足りない状態にある。そういうときに、爆破訓練のために二百町歩という広大な土地が、しかもその関連地域がいろいろな迷惑をこうむるようなことについては、これは断じてやめてもらわなければ困る。私は、何のために訓練をするか、そういうことについては問わないけれども、いまそんなものを訓練しなければならないほどの緊急性はない。われわれの緊急な問題は、むしろ牧草をつくり、牛を飼い、魚の面でも失われていくこの動物性たん白を大いに国民に供給するというところに重要な問題点があるはずだ。そういう点からいって、地元にもう大変強力な反対の運動が起こっておりますが、私はやはり、そういうような運動に対して非常に共鳴をするものであります。したがって、この問題については、もっと現状を認識をし、親切な答えをしてもらわなければ、全然違ったことではどうにもしょうがないじゃないですか。  この問題についてはこれ以上のことは問いませんし、この問題はまたいずれ別な機会に別な場所で質問していきたいと思います。  そこで、時間も迫ってまいりましたから、食糧庁に、先ほど芳賀委員の方からいわゆる余り米の問題についての質問がありました。現在のわが国の米の生産量は、食糧庁が期待をしているような状態ではなしに、やはり生産が伸びている。この生産が伸びているという現状について、これを喜ばしいと考えるのか、それとも困ったことだ、こういうふうに思っているのか、まず食糧庁の答えを聞きたい。
  90. 下浦静平

    ○下浦政府委員 稲作転換対策をただいま実施中でございますけれども、作付をいたしましたものにつきましてはやはり豊作が望ましい。その意味におきましては、本年は大変喜ばしいと思っておりますが、それに伴いまして、反面、悩みがあるということでございます。
  91. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 政務次官は農政のベテランだから政務次官に聞きますけれども、私は超過米とか余り米とかいう言葉を余り使いたくない。いままで土地改良あるいは品種改良、灌漑排水、機械化、集団化というような、国を挙げて米づくりに努力をしてきた。そして生産調整という人為的な方法によっていろいろやろうとしているけれども、天候とそれから従来の努力によって米はますますできるようになっている。しかし、この米が、現在私の県などではいい米が売れない、そして農家が非常に困っている。そこへもってきてやみ米屋が入ってきて、また買い出してきた。一方においてはやみを育成するような状態がある。こういうような状態の中で、これはいま政治問題になっている。行政からいえばもうどうにもならないことだけれども、政治的に見て、いまつくった米を政府が全量を買い上げるかどうか。現在、食管法のたてまえからするならば、米は全量国が買わなければならぬことになっている。にもかかわらず、その米を自主流通米あるいは政府米というようにいろいろ米に差をつけて、そして二段米価のような形でやっていこうという、このことについて、私はこれは大変許せないことだと思うのです。政務次官はこういう状態に対してどのような答えをされるかお聞きしておきたい。
  92. 江藤隆美

    ○江藤政府委員 私も、余り米という考え方は余り賛成じゃないわけでありまして、本当から言うとことしのは豊作米でありまして、天候に恵まれ、これはまさに天の恵みでありますから、先ほど次長が申し上げましたように大変結構なことであります。  しかしながら、御存じのように米が過剰傾向にあるということから考えると、なかなか、いろいろ問題がある、こういうことになろうかと思います。  しかしながら、私は、やはりこれだけの狭い国で、一億の国民を養って、なおかつ食糧が十分それを満たして余りあるというぐらいの日本の農民のエネルギーというものは、これは諸外国に見ない、高く評価すべきものであろうと思っておるのです。したがって、もう釈迦に説法でありますが、米は十分生産があるわけでありますけれども、総合的な食糧面から見ますと、必ずしもこの自給率が高いわけではありませんから、政策の誘導によってそれらのエネルギーというものを足らざるものに振り向けていく、そういうふうに私は政策を展開していくということが適当であろうと思っております。  それから、私の記憶が間違っておったら恐縮でありますが、食管法にはつくった米は政府が全部買わなければならないという明文化はしてないのではなかったかと思います。しかしながら、ことしの問題はたくさんありますので、御存じのように五十万トンよけいあるあるいはまた六十万トンよけいあると言われる人もおります。しかし、去年でも実はずいぶん出ると言われて大騒動したのですが、結果的にはかえって二万トンへっこんだ。おととしは四十万トンから五十万トンあるではないか、こう言われたのですけれども、実際最後にやってみると、五十万トン、四十万トンではなくて、七万三千トンしかなかった、こういうこともありますから、この県間調整あるいは自主流通米の奨励等を通じて今回のことは十分に処置するように、いまいろいろ対策を講じておるところであります。
  93. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 もう時間がないから最後にちょっと申し上げますが、つくった米は国が全部買わないと言うけれども、食管法のたてまえからすれば、これは国に売らないでどこへ売るのですか。勝手に売ったらこれは処罰されるでしょう。だからそれはやはり私はそのとおりには聞けないと思うのです。それはいろいろな形で一粒でも国に売らなければならぬだろうと思う。だから国は自主流通米あるいは政府米として、それで余ったものの価格は一万一千円ぐらいでもいいじゃないか、それは余分にとれたのだからいいじゃないかというような形で、二段米価というような形で、米の価格に差をつけて、それを買おうというようなことがあるとすれば、これはけしからぬ話だけれども、またあしたあたりわれわれの仲間がいろいろ質問すると思うから、それは私は言いません。  そこで、これからの問題として、一つは学校給食にこの米を回すというような方向、あるいはまたこの備蓄の問題がことしは出てくるでしょう。だから買い上げをしてもみで貯蔵して備蓄をするということ、それにも最近の乾燥状態からいろいろ意見があるだろうと思うが、それは指導によればできるはずだ。もみで貯蔵して、そしてそれを考えるということはできないか。  なお、この米ができるというのは、米以外の作目が割りに合わないから米に集中するのだから、二年なり三年なりの間に米以外の作目に思い切って所得補償、価格保証の処置をとって、自主的に米から別な作目に転換をするような指導を精力的にやらない限り、これは毎年同じことが起こりますよ。そうじゃないですか政務次官。そういうことだから、ひとつ前向きにこれを処理するようにしないと、これは抑えてもだめなんだよ。いままで努力してきたのだから、その努力の成果から来ているんですからね。ひとつそういうふうにやってもらいたい。
  94. 江藤隆美

    ○江藤政府委員 米というのは日本の民族が三千年来つくってきた、農民ならばだれでもできるという、それだけの長い歴史と伝統を持っておると私は思っておるのです。生産調整をやりながら転作奨励を五年間やってきたわけでありますけれども、しかしながら、やはり野菜にしてもあるいは果樹にしても畜産にしても、努力をしてそれが十分報いられた人と、まだ経験その他の、私どもの施策の十分でなかった点もあるかもしれませんが、十分この成果をおさめなかった点もあると思います。  しかしながら、いずれにしても今後ともにこの米は過剰基調にあるということは、これはもう否定できないことでありますから、そうした転作というものが十分に実を結びますように、今後、来年度の予算を通じても積極的に進めていきたい、こういうことでいま予算の準備等もいたしておるところでございますので、また御協力をいただきたいと思います。  同時に、たまたま学校給食の話がありましたが、これはぜひ私どもは文部省あるいは関係の機関とも御相談して、せっかく国内でとれる米でありますから、子供たちに外国の食糧を学校給食しておるような国を私は寡聞にして存じません、したがって、できるだけひとつ学校給食が今後推進できるように、また国会の諸先生方にも御協力を賜りたい、こういうふうにお願い申し上げる次第であります。
  95. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 終わります。  厚生省の方には申しわけないが、ひとつまた別の機会にいたします。大変申しわけありません。
  96. 今井勇

    ○今井委員長代理 米内山義一郎君。
  97. 米内山義一郎

    ○米内山委員 いまの豊年米というか超過米というか、余り米とも言われているが、この問題について三木内閣の考え方をまずお尋ねしたいと思います。  農民は、政府が、三木内閣が、この農家の心配に対してどういう心配をして対応しようとしているかみんな聞きたいと思っているわけです。近ごろ非常に三木内閣の信用が落ちている上に、余り米の処理をいいかげんにするならば、三木内閣はもちろん自民党も没落せざるを得ないと思うのだが、そういう意味で、近く選挙もあるだろうし、あなたも政治家だろうから、政府としての、自民党としての考え方をまず明白にしていただきたい。
  98. 江藤隆美

    ○江藤政府委員 大きく三木内閣と言われますとちょっと困るわけでありますが、農林省の考え方を申し上げてみたいと思います。  私は大臣とも御相談をいたしまして、農業団体等からよく余り米、余り米と言ってきますから、余り米というのは何か厄介者扱いみたいなことで、そういう言葉は少なくとも使うべきではない、これは、努力の集積でありますから、豊年米とは言わないまでも予約限度数量超過米、超過米という言葉がいいのではないか、こういうことに実はいたしておりますが、第一番にこれは幸せなことでありまして、とにかく今後十一月から十二月の初めにかけましてだんだんずっと供出が進んできますと実態がわかります。七十五万トンではないかと言う人もおりますし、五十万トンではないかと言う人もおりますし、六十万トンではないかと言う人もおりまして、なかなかその実態の把握に苦慮しておるわけでありますけれども、しかし、私どもはなるべく早い機会にこの超過米数量の実態を把握をして、これを一体どう処置して農民の皆さんの御苦労に報いるか、こういうことを具体的に検討してまいりたい、このように考えておるところであります。
  99. 米内山義一郎

    ○米内山委員 あなたは農林政務次官だから、農林省を代表して農林省立場をお話しになると思うのだが、われわれはもう農林省という行政レベルの話は信用しなくなったんです。最高責任者としての内閣の方針というものをまず聞いておかなければいかぬ。先ほども、うれしいにはうれしいが悩みがあるなんと言うが、うれしい中の悩みというのは一体どういうことを農林省が悩んでおるのです。
  100. 江藤隆美

    ○江藤政府委員 三木内閣の農政は農林大臣が全責任を負うているわけでありますから、あえてお許しいただければ、農林省の考え方は三木内閣の考え方である、こういうふうに御理解をいただいてもいいのではないかと思います。  よけいとれ過ぎたから幸いなことだけれども悩みはある。それは御案内のように、つい四、五年前に約七百万トンの古々米を政府が抱えたときがあります。それから、実は、本当に残念でありますが、稲作転換というものを、生産調整というのをやらなければいけなくなったわけでありまして、しかしこの七百万トンの古々米を処分するのに当時政府は約一兆円の金を使っております。詳細は私存じませんが、米価も上がり、金利、倉敷も上がった今日においては、同じ数量を持つとするならば恐らくその倍近くのものがかかるのではないか、私はこう思っておるところであります。したがいまして、これはもうできたものは全部買ってやる、政府が買いますよということも大変いいのでありますが、無制限に買って、またもや数年前のようにそういう古米、古々米を抱え込むということは、大変な財政負担をこうむることにもなるし、当時議論されたように、国民の消費者の皆さんは、せっかく新米がとれたのになぜ新米を食わせないで古々米を食わせるのだという御批判もずいぶんと賜ったわけであります。そういう万般の財政上あるいは経済的いろいろな問題もございますし、また同時に、せっかく進めておる転作という問題等の将来もありますので、喜んでばかりはいられないと言ったのはそういう意味でありまして、心底は大変結構なことだな、よかったなと私どもが考えておることには間違いはございません。
  101. 米内山義一郎

    ○米内山委員 実はことしの五月、六月の気象というのは、東北あるいは北海道ではとても米のとれるような天気じゃなかったのです。あのときまでの気象の経過を見ると、恐らくは大正二年の状態だろう、こういうふうに地方の新聞も大々的に書いたし、稲の生育もまたそれなりのものだったのです。それが幸い九月、十月の天候回復によって、歴史的な、過去に経験したことのない豊作になったのは事実なんですよ。そうすると、農家から見ると、天候が悪くて不作だとそれなりの心配をしなければならぬ、天候がよくて豊作になるとまた不安があるというような、これが農家の心境、いまの心配なんです。この心配に対して三木内閣がどうしてくれるかということをいま聞きたいのです。そのことをひとつ明らかにしていただきたい。
  102. 江藤隆美

    ○江藤政府委員 先ほどちょっと御説明を申し上げましたように、昨年は二十万トン超過米が出るのじゃないかと言っておりましたら、県間調整をやっておりましていろいろ進めた結果は、逆に二万トンへっこんでしまった。おととしは四、五十万トン超過米が出ると言ったものが、実際やってみますと七万三千トンしかなかった。     〔今井委員長代理退席、笠岡委員長代理着席〕 こういうことでありますから、ことしも私どもはまず実態を把握することが一番大事である、それは遅くとも十二月に入りましたならばほぼ大体の数量がまとまるはずでありますから、その政府買い上げ米のほかに出てきたものについてはまずもって県間調整をする。各県の間で割り当て数量がございますから、県間の調整をまずやってみる。そうしてなお消化できない場合には、自主流通米として極力これを消化できるように努力をする。そういうことで消化をしていきたい、このように考えております。
  103. 米内山義一郎

    ○米内山委員 十二月になればわかる、正確な数字がつかめると言うが、いまのところ五十万トンと言われているが、十二月までいってこの狂いというものは一体どのくらいに出るか。これは過去の統計あるいはかなり進んだ統計技術もありますから、そんな大きな差は出るはずはないと思うのですよ。現に東北など、もうすでに収穫、脱穀が済んで、ほとんど米を精米所へ持っていって政府に売り渡しを始めています。その実情を見ると、たとえば私の村ならば、いままでは豊作の年で九俵しかとれなかったようなところが十一俵とれている。しかも、七〇%くらいは四等ないし五等であるが、ことしは八〇%以上は二等、三等なんですよ。それだけことしの東北の米というのは、山形、秋田、青森、岩手、宮城もそうだろうと思うのですが、もう決まっているわけですよ。それなのに十二月まで正確な数字がつかめないということは、ちょっと農林省の無知であるのか駆け引きであるのか疑わしい点がある。わからない理由というのはどこにあるのです。そうして今後どういう手段、どういう調査をやれば正確な数字がつかめるというのですか。
  104. 江藤隆美

    ○江藤政府委員 実を言いますと、私もそういう感じを持っておりまして、何をやっているんだと言ってずいぶんと食糧庁を責めてきたわけであります。しかし、実際によくよく聞いてみますと、これは東北、北海道だけではございませんで、全国のいわゆる政府の売り渡しが終わりませんと、先ほど申し上げましたように、去年でも二十万トンあるぞ、おととしでも四十万トンから五十万トンあるぞ、これは出荷のさなかに、やはりいまごろ言われたわけです。ですが、実際にやってみると、そういうふうにはない、こういうこと等もあります。  また、いろいろなことをやりますと、財政問題も伴ってまいりますし、あるいはまた今後の需給計画等も伴ってくるわけでありますから、そういう全体の動かないものをちゃんとつくりませんと、当てずっぽうでそういうものを方針を出してやるということは、かえって御迷惑をかける、こういうことでありますから、正確を期するために、いま慎重に、しかも急いで集計をするようにということをやっておるところであります。
  105. 米内山義一郎

    ○米内山委員 食糧の不足のときは、とれないものまでもとれたはずだと言って種もみまで供出させた時代もあるんですよ。それから、やはり去年もおととしも目算の狂った事実はありますけれども、これは何かというと、農家が困るのです。たとえば私の町の役場や農協から聞いたところによると、いままで政府に十万俵ぐらい売る町なんですが、ことしはもう確実に二万五千俵余る、いわゆる超過米が出るというのです。こうなると、農家はもとと違って家を小さくしているんです。置き場所もないものなんです。政府が買ってどこかに輸送してくれなければ置き場もないというのが実態なんですよ。おまけに金繰りの問題があるでしょう。ですから、この問題について速やかに政府が考えをはっきりして、こうやるんだということを明示する必要がある。この点、農林省としてはどう考えますか。  最終的に四十万トンになるか三十五万トンになるかは、十二月でもいいのです。ことしの米だけは食管法に基づいて——政務次官は、みんな買わなければならないと明文化してないとおっしゃる。そのとおりだが、じゃ農家が余ったものを勝手に売っていいか、売ってはならぬのです。食管法違反になるのです。そうすると、政府みずからが買うか、その他の施策でだれかに買わせるかという以外にないわけなんだが、この問題は食管法の精神そのものなんですから、そういうたてまえからいくと、最終的にどういうふうに落ちつけるかということぐらいはいま農家に明示する必要がある。そうしないと混乱が起きることは明らかなんです。
  106. 江藤隆美

    ○江藤政府委員 申し上げましたように、政府売り渡しが大体終わる段階になると数量がはっきりしてまいりますから、まず県間の調整をいたします。県と県、全国各県の間の調整をいたしますというと、東北のように、先生の村のように、二万五千俵もよけい出る、こういうところもありましょうし、あるいは、予想しておったけれども実際の数量が出なかった、こういうところも出てきますから、まずそういう終わる段階でずっと県と県の間の調整をして、それで一回ならしをしてみる。どうしてもこれはそれでも実際は超過米が出そうだ、こういうことでありましたら、今度は自主流通米でもってこの消化をするということを第二段に考える。その場合に自主流通米に回る数量というものが一体どの程度になるか、あるいは自主流通米の出回り量あるいは自主流通米の消化量、そういうものを見ながら政府がどういうことをやってあげたらいいか、こういうこと等を決めて御心配のないようにしたい、こう思っておるところです。
  107. 米内山義一郎

    ○米内山委員 ことしの東北の米というのは、品種、銘柄にかかわらず、とてもうまい米なんですよ。粒は小豆ほど大きくないが、米としては最高にふくれている。ぬかは少ないし、光沢がいい。特に東北の米で東京周辺の人は生きているわけなんだから、こういうところに、ことしのようなときにいい米を腹いっぱい食わせることは消費者のためだし、それくらいの思い切ったことをやる必要があると思うのです。たとえばあなた方のやっていることは、農家を喜ばせようとする考えはもう三木内閣にはない。農林省にもないのです。特にことしの稲作期間中、全国の稲作農民がどん左気持ちで農林省の食糧政策というものを見ているか。たとえば青田刈りをさせたでしょう。あんむむごいことを農民が見たらどんな思いがするかということです。こういう米づくりというものに対して苦労も何も理解しない、血も涙もないような、後でこういう豊作になったものだから、果たして農林省政府はどうするのかということに非常な疑いを持ちながら心配しておる今日なんです。ですから私は、数量の問題は後でも決まるでしょうけれども、この喜ぶべき豊作に対して農林省は農民に何をもってこたえようとするのかということを聞きたいのです。
  108. 江藤隆美

    ○江藤政府委員 お言葉を返すようですけれども、血も涙もないとは私どもは考えておりませんで、私は大臣の命を受けまして幹部の諸君といつも話をしておるわけでありますが、農林省は農民に奉仕する役所でなければならない。農林省があるために農民があるのではないのであって、農民があるから農林省という役所がある。したがって、これは何としてもそういう方々の御期待に沿うように、私どもは全力を挙げて大臣を中心に、日本の農政をお預かりをしていこう、こういう心構えで臨んでおりますことは御理解を賜りたいと思います。  ただ、大変おいしい米がたくさんできた、私どももそういう東北のおいしい米をぜひちょうだいしたいと思うわけでありますが、たとえば九州あるいは四国の一部のように、長雨が続いて台風がずっと連続して参りましたために、恐らくこの予約限度数量に達しないのではないかと思われるような県もあるわけであります。いままで目算が狂ったというのは、やはりそういうところがあって思いどおりに出てこなかったということなんです。ですから、ちゃんと政府米の買い上げ限度数量があるわけですから、それに達するまでは少ないところを結局多いところで補っていく、そして政府米の限度いっぱいいっぱいにこれは買っていく。ですから、先生の町が二万五千俵余るとおっしゃいますが、どこかで足らないところがあれば、目標に達しないところがあれば、そういうものに回して調整をしていく、そういうことを実は私ども県間調整と申し上げておるわけでありまして、そしてその上でどうしてもまだなおかつ数量があるということならば、今度は政府も十分にそれに対応する考え方を明らかにして、そして自主流通米でこれを消化するようにしよう、そして結果的にはなるほどことしの豊作というものが十分報いられた、こういう結末を得たいものだと、こう念願をいたしておるわけであります。
  109. 米内山義一郎

    ○米内山委員 それじゃ農民の要求することと非常に時間的なずれがあって、むだな不安、心配を重ねていくわけですよ。  そこで、仮に三十五万トンでもいいですが、余剰が出たときはこれをどうするつもりか。第一は備蓄に回す必要があると思うのです。ことしの豊作を幸いに、いわゆる主食糧備蓄第一年にする考えはありませんか。
  110. 下浦静平

    ○下浦政府委員 米の備蓄につきましては、私ども計画を持っております。これは来年の十月末、米穀年度末でございますが、その時点におきまして百五十万トンまで持っていこうということでございます。それからなお両三年のうちに二百万トンまで持ってまいろうというぐあいに考えておるわけでございます。来年の十月末までの百五十万トンというのは本年十月末に百十五万トンまで持ってまいるということでございますが、本年は大体その数量に近いところに落ちつくのではないかというぐあいに見込んでおる次第でございます。ことし大変豊作であったからこれを備蓄に回したらいいではないかという先生の御指摘でございますけれども、やはり備蓄というものは計画的にやっていくべきものではないかと私ども考えております。これは先ほど政務次官からも御説明がありましたが、過去におきまする七百万トンを超えますいわゆる過剰米の発生というような事態を踏まえまして、そのような事態の再来を避けるという意味からも必要なことではないかと考えておりますので、豊作であったから直ちにこれを備蓄に回すというようなことは、先ほども申しましたように、本年の食管特別会計の積み増し数量がほぼ見込みどおりにいきそうだということもございまして、現在のところは考えておらない次第でございます。
  111. 米内山義一郎

    ○米内山委員 いまの話はおかしい。内容を詳しく聞きたいのです。ことし、来年、何十万トンなり何百万トンを備蓄するとおっしゃるが、どこ産の何を備蓄するのです。本当の余裕というのはこういう豊作のときにこそ余裕があるので、あなた方の買う計画は計画として欲しい分買うかもしれないが、計画どおり生産できないものなんです。五%や一〇%の振れというのは、農業である限り当然ある。増もあれば減もあるのだ。そうすると、余裕のあるときにたっぷりためる必要があると思うのです。  そこで食糧庁の次長さん。いま言った目標の内訳は何なんです。家畜のえさなんですか。輸入麦なんですか。それとも国内産の水稲なんですか。
  112. 下浦静平

    ○下浦政府委員 これは国内産の米でございます。私、備蓄という言葉を使いましたのがあるいは若干悪かったかと思いますけれども、これは食管特別会計の年度末の古米持ち越し数量を何万トンと押さえるかという形で私ども備蓄ということを考えておるわけでございます。  そこで、これはただいま稲作転換対策実施中でございますけれども、ほうっておきますれば何万トンぐらいできるかという数字と、それから国内で需要量がどのぐらいあるかという数字と、これを差し引きまして大体稲作転換の数量を決めておりますけれども、その数字から食管の年度末積み増し数量を差し引きました数字を実は稲作転換対策の数字といたしておるわけでございますので、大体年度末になりますれば、その積み増し見込み数量が食管において積み増される、そうして備蓄を形成する、こういうことに相なるわけでございます。
  113. 米内山義一郎

    ○米内山委員 はっきり聞きたいのは、備蓄の内容ですよ。いま政府が計画している、さっきおっしゃった数量は、国内産の米で何年に何万トン、何十万トン、そういう数字の総合でしょう。その中で、いまの計画の内容、国内産の米をどれだけ一年、二年、三年に備蓄しようと考えておるか聞きたい。
  114. 下浦静平

    ○下浦政府委員 五十米穀年度末、つまりことしの十月末でございますが、この時点におきまして百十三万トンという計画でございまして、これは国内産米をもって充てておりますが、この数量はほぼ達成できる見込みでございます。それから五十一米穀年度末、これは五十一年の十月末でございますが、この時点では百五十万トンの計画をいたしております。さらに、五十二米穀年度から五十四米穀年度にかけまして、五十四米穀年度末、すなわち五十四年十月末におきましては二百万トンの食管在庫ということにいたしたいという計画を持っておる次第でございます。
  115. 米内山義一郎

    ○米内山委員 そうすると、あなた方の言う備蓄というのは、毎年数十万トンあるものをさすのですか。いまわれわれの言う備蓄というのは、非常に長期的に世界的な気象の不安時期にも入っておるし、それから食糧の需要がふえているし、特にことしのように、ソ連一国だけで二千万トン以上の穀物の不足があるという場合に、いままでのように国際的に自由に金があればいつでも買えるんだという状態があるのかないのか。金があれば買えるかもしれないが、それじゃ金のある国だけが腹いっぱいに食って、金のない国の民族は餓死してもいいということにもなるんです。そういう意味で、どのような事態——戦争などは考える必要はないが、そういう意味で備蓄するということならば、あなたの話はいままでも通常ある備蓄でしょう。それと違いますか。
  116. 下浦静平

    ○下浦政府委員 ただいまの先生の御指摘でございますけれども、米穀年度末の食管在庫数量というのは、過去の実績を見てみますとかなりでこぼこがございまして、つい最近でも六十五万トンぐらいで終わってしまった年もあるわけでございます。したがいまして、食管の米の操作上、通常必要とされます数量はまあ大体百万トン程度あればよろしいという経験則がございますけれども、これを五十四米穀年度末におきましては倍程度まで持ってまいりまして国内での米の不作時に備えよう、こういう考え方でございます。  なお、ただいままで米ばかりのお話を申し上げましたけれども、麦類につきましては、これは輸入麦でございますけれども、これも食管の会計年度末持ち越し数量、これをただいま二・三カ月分と置いておりますけれども、これを三カ月まで持ってまいろうという計画を持っておる次第でございます。
  117. 米内山義一郎

    ○米内山委員 まあ過去に古米とか古々米といって本当に余って腐るような状態にした経験があるから、あなた方は備蓄というものを迷惑ものに考えるかもしれません。そこで、備蓄というものをやっていくには常に更新ということを考えないと、古米が古々米になり古々々米になったりして家畜のえさにもならぬような事態になるのです。ですから、特に政務次官は先ほど、日本人は三千年来米を食ってきたとおっしゃるけれども、三千年はともかくとして、日本人に一番適した米をどんな事態に立っても不安がないようにする必要がある。  それから四百万トンという主食用の麦の輸入というものを考えた場合に、国民経済の上から考えても米の消費を拡大する政策がとり得ないものか。とれるはずなんです。食糧庁として米の消費拡大について何か考えがありますか。まるっきりないのですか。
  118. 江藤隆美

    ○江藤政府委員 私は、米を食ったら健康を損なって美容を阻害される、血圧が上がって糖尿病になるという、そういう誤った宣伝に乗せられてきた面が多分にあるのではないかと思っておりますが、それが事実ならば、日本人は三千年の間にきわめて低能な民族で、そしてみんな高血圧になり、そして美貌と健康を誇る人はいなくなったであろう。しかし私は、米というのは日本人に一番適した食糧である、こう思っております。先ほども申し上げましたように、今後一番大事なことは、私どもは、やはり日本人の食糧というのは米だ、この基本方針を確立をして、そして国民の皆さんに御理解をいただくということが一番だと思っております。一万キロも海を隔てて世界で足りない麦を日本が金を出して買ってきて、そして学校給食までもそれを食わす、あるいは千四百億の財政負担をして小麦を安売りする、そういうような政策というものもいかがであろうかと思っております。まず手始めに、子供が一番でありますから子供の学校給食にぜひ米を取り入れてもらうように、これから私どもはもう全力を挙げていこうと思っておるわけです。しかしこれはひとり農林省が息巻いてもできないことでありまして、文部省初め各都道府県、市町村あるいは教育委員会あるいは父兄の皆さんからの御協力がないことにはできないわけでありますが私は、何とかして五年間ぐらいの間にはこの学校給食が米にかわるようにならぬものだろうか、こういうことをいろいろと御相談をいま申し上げておるところであります。子供たちが米を食べるということは家庭もそうなっていくし、同時に将来米消費人口が確保されるということであります。  もう一つは、ただいまおっしゃいましたように、主食用四百万トンの小麦の輸入量の取り扱いについてでありますが、やはり先ほど申し上げたように、こうした財政窮迫のときに、いままでのように外国産の小麦に奨励金を出してそれを国民の食糧として提供する、そうして一方では米の生産ができるものを抑えていくという考えは、これは農政上通用するものではない、こう私は思っております。したがいまして、この小麦の消費量をできるだけ減らすということを考えます場合には、国民の皆さん方の御理解を得ることもまず第一番でありますが、一方においてはそういう多額の財政負担というものを調整する、価格面からの一つ調整というものも必要であろう、こう私は思っております。したがいまして、できることならば来月ぐらいにはこの小麦の政府売り渡し価格の改定について、また御相談を申し上げたい、このように実は考えておりますので、その節は御理解と御協力を賜りたいと思います。
  119. 米内山義一郎

    ○米内山委員 私は、次官のその学校給食に米を採用するという考え方には大賛成なんです。ぼくは米作農民としてあなたを強力に支持したい。ただ、それをやるかやらないかは三木内閣の責任になる。  そこで、PTAや文部省の了解を得ながらと言うが、それは間違いなんです。パンを全国統一的に子供に食わせるのは、われわれが相談にあずかったものじゃないのです。アメリカの占領政策の時代にできたもので、決して日本の子供も父兄も、パンの方が簡略だからパン食にしてくれと言って望んだ事実はないのです。ただ、いまはならされたにすぎない。こういうことで、都市はどうか知らないが、全国の農村部ではそれを望んでいるわけです。ですから、それも消費拡大一つの方法でしょう。それは間違いないが、そこでもっとないか。特に、ことしとれ過ぎて米の買い上げのために財政負担が心配だということなら、同じ金を消費拡大にかければもっとふえる可能性があると思うのだが、食糧庁、何かお考えないですか。
  120. 下浦静平

    ○下浦政府委員 米の消費拡大でございますけれども、これは私どももできるだけ推進をいたしたいと考えておりまして、本年度も実は学校給食関係で四千万ほどの予算を組みまして、鋭意実態調査を初めPR等もやっておる次第でございます。  それから、やはり先ほど来先生がおっしゃっておりますような、こういう国際的な食糧事情あるいは国内の事情等を広く消費者の皆さん方に知っていただくということも、これは非常に大きな力になろうかと存じておりまして、これに対しましてもテレビを通じまして一億数千万円の予算を組みましてただいま五十年度実施をいたしておるわけでございまして、これらのことにつきましては、来年度以降も継続をしてまいりたいと考えております。
  121. 米内山義一郎

    ○米内山委員 超過した場合、その超過分をことしの場合どの程度自主流通米に持ち込める見通しがあるのですか。限度を超えると自主流通米制度そのものもパンクするし、ひいては食管制度そのものの根底に問題が起きる可能性があるのですが、その際、自主流通米に押し込める限界というのを食糧庁としてはどの程度に考えていますか。
  122. 下浦静平

    ○下浦政府委員 自主流通米についての御質問でございますけれども、自主流通米の四十九年産米の実績と申しますか、これは二百七十万トンほどいっております。昨今におきましては、こういう不況からまいりますけちけちムードと申しますか、そういった関係で高いものは敬遠されるということもございまして、売れないという声が一部にありますけれども、これはまだ全体的に数字の上では出てまいらない程度でございますので、私どもの考えでは、五十年産米の計画は二百五十万トンというぐあいに踏んでおりますが、これはそれを目標にいたしましての集荷も大体その線で進んでおりますし、まず大体消化は可能ではないかというぐあいに考えております。  なお、どのくらいぎりぎりまで行くかということにつきましては、これは限度超過米がどのくらい出るだろうかということとうらはらの関係になろうかと存じますけれども、もうしばらく模様を見ませんとちょっと私どもまだ予測をしがたいところでございます。
  123. 米内山義一郎

    ○米内山委員 そうすると政務次官に最後にお尋ねしたいのですが、とにかく米が余っている。余っている米を農家に手持ちさせる方法がないのです、金が急ぐから。したがって、農協初め集荷業者が、政府に売る分は売って、それから超過したものを預かる以外に方法がないのです。そのためには倉庫の問題、倉敷の問題、金利の問題が当然出る。これに対して勝手にしやがれと言うのか、それとも何とか善処しますと言うのか、その点をひとつはっきりさせてもらいたい。
  124. 江藤隆美

    ○江藤政府委員 最近の農家というのは昔のように大きな納屋を持ったり貯蔵庫を持っておりませんから、なかなか手元に置くことができないということで、たんぼから真っすぐ持っていくというのも実は近ごろずいぶん多いわけでありまして、こういう豊作の年にはいまお話のありましたように、農協の倉庫にでもという問題が出てくるのはしごく当然のことであるというふうにも理解をされます。四十八年度に実はこういうことがありまして、先ほど申し上げましたが、四十万トンくらいだろうと言ったのが七万三千トンくらいになったわけでありますけれども一そのときにはやはりおっしゃるような場合に金利、倉敷料を見た前例がございます。したがいまして、ただいまのことについては私どももこれは前向きに取り組んでいきたい、このように考えております。
  125. 米内山義一郎

    ○米内山委員 いまの次官の言明はよくわかります。  そこで、備蓄に回すという場合のことなんですが、これは早くやる必要があるのです。と申しますのは、米を古米にし古々米にしてまずいまずいと言わせ、食えないものにしたのは全部玄米にするからなんです。あれをもみで貯蔵するといいものなんです。現に農家は一年間食う米を収穫の秋に玄米にするものじゃないのです。一年に四回か五回精米所へ持っていって一カ月分か二カ月分をいまずり米として食うんです。ですから、備蓄に回すというならばもみで貯蔵すべきものが本当なんです。もみで貯蔵するには、いまのうちにその方針を明白にしないと玄米になっちゃうのです。これはわずかのことだが重大なことなんです。ですから農林省のいまの官僚は、口で何と言っても、農民があるから農林省があるというのは言葉だけで、農業の実態から離れてしまっている食糧管理なんというのはおかしいものなんです。だからこの食糧備蓄ということを考えるならば、もみ貯蔵というものはこれはもう当然のことなんですから、この問題を早く農家に政府方針を明示する必要があると思うが、いかがなんですか。
  126. 江藤隆美

    ○江藤政府委員 私たちが小さいころには農家でみんな米びつというのがありまして、農家がみんな持ったり、あるいはまたかますに入れて屋根裏に四年もの、五年ものというのを実は持っておったものでありますが、近ごろは脱穀技術が非常に進んできて、農家自体がやはり持ちたがらない。本当は私はやはり農家が持つことが一番いいんだろうと思うのです。そうすると備蓄の問題は片がつきます。しかし、そういうわけにもまいりません。これはもう経済作物でありますから、どうしても政府に買ってもらいたい、こういうことになってくる。そうすると、いまの農業倉庫で十分これを賄えるか、こういう問題が一つあります。  それからもう一つは、米の品質について、ことしは二等米、三等米ばかりだとおっしゃいましたが、一体米の等級をどうつけるか、これはすってやってみればいいじゃないかということになりますが、しかしなおかつ、大量になりますと、これは自分たちはそれでは納得せぬという問題も出てまいります。そういういわゆる米の検査上の技術、あるいはまた最近は御存じのように米の品質をずっと一定に維持していこうということで、昔と違いまして非常に低温倉庫というのが普及をいたしております。それらの問題があります。それから品質をどう保持していくか、こういうこと等もありまして、もみ貯蔵、もみで保管をするということについては、農林省もあの過剰米を抱えた時期から検討も加え、また研究もし、ずいぶんと取り組んでおるわけでありますけれども、残念ながら、いろんな状況を考えてみると、政府がそれを政府米として買い上げて、そうして貯蔵していくという段階にはなかなか至らないというのが現在の状況であります。
  127. 米内山義一郎

    ○米内山委員 これはやろうと思えば簡単にできるのです。たとえば日本は経済大国だ、こういうのですが、朝鮮民主主義人民共和国はもみで買って、そうしてサイロに入れて、空気を通して乾燥させながら貯蔵して、常にいまずり米を配給しています。これは全国的に例外がない。日本でそれができないということはおかしい、やらないだけの話なんです。  それからもう一つは、農家は以前は新しい米の見通しがつくまでは米を全量売らなかったんです。ことしは大丈夫だというときに、家族が一年食う分は残しておったのを売ったものだが、いまはそういうものはまるきりないんだから、物が不足だと言えば都市だけでなく、農村にも不足が起きるわけですから、貯蔵というものは心理的にも重要だし、また実際問題として、国民の暮らしの安全保障のためなんですから、けちなことを言わずに、財政上の負担なんというならば、別な方にまだむだがあるんだから、せっかくとれた米を粗末にするようなことのないような農業政策を日本の農民は農林省に強く要求しています。農林省としても、いままでのような安直な考え方では問題があると思いますので、その点政府の考えを最後にはっきりしていただきたい。
  128. 江藤隆美

    ○江藤政府委員 食糧というものが及ぼす影響がきわめて大きいということを自覚しておりますから、私どもはきわめて慎重にこの政府買い入れ自主流通米の奨励あるいはまた在庫の積み増し、将来の見通しというものを実はやっておるわけでありまして、それが直ちに、何と申しますか、御心配されておる農民の方々からは御理解できない面があるいはおありかと思いますけれども、しかし、一時ではなくて、農業というのは将来ともに継続していく問題でありますから、将来の展望を十分見きわめながら、私どもはことしの超過米については御心配がないようにこれからも十分に対処してまいりたい、こういう決意でおりますので、御了承をいただきたいと思います。
  129. 米内山義一郎

    ○米内山委員 三木内閣の仮谷大臣が青森へ行って、国会の答弁というのはいいかげんだよというようなことを言ったわけだが、いまの答弁はいいかげんでないでしような。慎重にやるということと同時に、大胆にやるということがなければ、口先だけの問題で、いいかげんになるのです。こういう時期にこそ大胆な転換が必要だと思うのですが、御答弁を願います。
  130. 江藤隆美

    ○江藤政府委員 ことしの米の問題は、好むと好まざるとにかかわらず、私は避けて通ることのできない問題だと理解をいたしております。しかも、このことはやがて年内には結論を見ることであります。したがいまして、国会でせっかくけさから諸先生からも御質問をいただいたようでありますが、あるいは御満足いただけない点があるとするならば、私どもが慎重にして大胆にやりたい、こう思っておるというふうに御理解を賜りたいと思います。
  131. 米内山義一郎

    ○米内山委員 終わりました。
  132. 笠岡喬

    ○笠岡委員長代理 津川武一君。
  133. 津川武一

    ○津川委員 私たち日本人の栄養の中で一番大事なたん白質、これを私たちは半分以上魚介類からとっております。これは非常に大事なことで、これを維持しなければならないのですが、最近海洋法会議などあって、この魚介類の供給にかなり困難が予想されております。それは主として遠洋漁業の規制が心配だからであります。とすれば、沿岸漁業役割りがいよいよ重要になってきたのですが、最近、北海道南部、八戸沖、岩手沖、銚子沖、伊豆半島の周辺にソ連漁船団操業して、漁民に不安と損害を与えております。  そこで、きょうは、沿岸漁業漁民ソ連漁船団から守るために、この間成立した操業協定、不十分ではあるがこの操業協定を十分守らせるためにはどうしたらいいか。日ソ漁業操業協定で不十分の部分がありますので、これは日ソ両国の外交折衝で問題を片づけるようにしなければならない、これが二つの問題。それでもなお漁民被害が救われない場合がありますので、これは国内法を新たに立法してでも、漁民に安心して安定した漁業を営むことができるようにしなければならないと考えています。  きょうはそういう点で若干の質問をしてみます。  この点で、事が重大なので、ぜひ農林大臣には出席していただいて質問しなければならないのですが、きょうは参議院予算委員会に出ているというのでいたし方ないが、そこで、とりあえず委員長に、この重大な問題、農林大臣出席される委員会を開いて討議する、そういうことをつくってくださるよう要請します。
  134. 笠岡喬

    ○笠岡委員長代理 わかりました。
  135. 津川武一

    ○津川委員 そこで、ソ連漁船が最近北海道沿岸のどのくらいの距離まで来ているか。これは停まって停泊しているのはどれくらいの距離、そして、来て実際に漁業操業をしておるときどのくらいの距離まで来ているか。また、漁探機を持った船なども動いているようですが、これが日本沿岸のどのくらいのところまで来ているか。まず、これは海上保安庁が一番のベテランだと思うので、海上保安庁の方から、調べて現在持っておる資料で説明していただきます。
  136. 田中睦穂

    ○田中説明員 ソ連船が昨今姿を見せております海域は、主として日高、胆振、恵山沖、いわゆる渡島海区でございまして、きのうもその周辺に三十隻前後来ております。十勝沖にもやはり二十隻前後来ております。  それで、大体通して見ますのに、北海道南岸に来ております漁船操業状況につきましては、従来十七、八マイル前後のところが多うございましたけれども、最近は少し中に入ってくる傾向がございまして、一つの例といたしましては、十月二十三日に浦河の沖六マイルに六隻の漁船が来て操業しておりました。それから、最近では十一月の四日に、これは恵山の沖でございますが、四・二マイルに二隻の漁船が来て操業しております。そういうものを含めまして、私の方の巡視船、航空機が視認した範囲では、三十九隻ばかりの船がある程度近く入っておるというふうな報告が来ております。そのほかは大体十二マイル以上の沖合い操業しているというのが実態でございます。
  137. 津川武一

    ○津川委員 これは停泊ではなく操業しているのがこの距離まで来ている、こういうことでございますか。
  138. 田中睦穂

    ○田中説明員 そのとおりでございまして、荒天避泊とか、停泊していろいろ修理しているというのは十一月の三日ごろ、広尾の沖五マイルというデータもございまして、かなりそういう船舶も接近をしておりますけれども、これは停泊をしておるだけでございます。
  139. 津川武一

    ○津川委員 そこで、いま大臣がいないから水産庁長官、あなたは十月十八日の外務委員会で、操業しているのは十七海里、十八海里、こう答えておる。きょうもこの委員会で十二ないし十七海里と答えている。この政府の答弁が漁民を落胆させている。漁民を怒らしている。政府はうそついている、もっと現場を見ろ、政府が十二海里ないし十七海里、十七ないし十八海里と認識しているから、ソ連との交渉も思うようにいかないんだ、こう言って、正直なところ怒っているんです。     〔笠岡委員長代理退席、今井委員長代理着席〕 水産庁長官、話に聞くと現地も見たそうですが、この間、十月の二十九日、三十日でしたか、浦河で水産庁説明会やっている。そのときに平井課長が十分で逃げている。佐伯さんという調整官が一人で四苦八苦苦労して答弁している。この姿も、漁民がやっぱり怒っている。そこで、いままであなたが十二海里ないし十七海里、十七ないし十八海里と答弁してきたこのことについてどう考えるのか。いま海上保安庁がはっきりと四・二マイルとまで言っている。ここいちをどう認識されるのか。この状態を速やかに水産庁自身がつかまなきゃならない、こういうことなんですが、農林省方針はいかがでございます。
  140. 内村良英

    内村政府委員 ソ連漁船操業実態につきましては、私どもの方は海上保安庁及び水産庁調査船、それから北海道監視船の情報を得ているわけでございます。  そこで、十月十八日に私が外務委員会で大体ソ連漁船操業は十五海里から十七海里にあるということを申したわけでございますが、そのときまでの情報では大体操業はそういうふうなことになっております。それから、十二海里の中に入っておるという情報もございます。特に十月十五日の日に恵山沖に五海里のところに五隻の船がいるという情報がございましたけれども操業しているという情報がなかったわけでございます。それはその後操業していることがわかったわけでございます。そこで、十月十七日以降の情報を見ますと、たとえば十七日の午前中でございますが、浦河の灯台沖六・七マイルのところでトロール船のTB−〇二二二というのが操業しているとか、いろいろ情報がございます。いまの海上保安庁から御答弁のございました四・二海里の話は十一月になってからの話でございます。  私が十月十八日に御答弁申し上げたときにはまだ入ってなかった。その後入ったという情報は私ども持っておりますし、沿岸課長以下担当官現地説明会を兼ねて派遣して、いろいろ担当官からの報告も聞いております。したがいまして、私どもは現在のところ正確な情報を把握しているというふうに思っております。  それからなお、説明会の際に、沿岸漁業課長が十分で退席したというお話でございますが、沿岸漁業課長からの報告によりますと一現場を見てくれということがございまして、強い要請があったために船に乗って現場を見に行った、そのために説明会担当官に任せたんだというような報告を受けておりまして、漁民の方々から逃げ出したというようなことは全くないというふうに承知しております。
  141. 津川武一

    ○津川委員 きょう午前中に芳賀委員があなたに質問した。あなたはいま、そこに近いところに入っておる資料を持っておる。芳賀委員には十二海里と言っている。したがって資料を突きつけられないと正確なことを国民に話さないのか。この態度が漁民を怒らせているのです。北海道漁民にきょうあたりの答弁——いまのあなたが出した資料なら漁民が納得する、午前中の芳賀委員に対する答弁なら納得しない。この点、重ねて漁民に何と申し上げるか、私に対する答弁を通じて北海道漁民に答えていただきます。
  142. 内村良英

    内村政府委員 ただいまの御指摘の点は非常に誤解がおありになるのではないかと思います。けさ、この委員会芳賀委員の御質問に対して御答弁申し上げた十二海里ないし十五海里は、十月二十三日協定発効後の被害について御報告申し上げたわけでございます。そのときに、十月二十四日には二件被害があって、約十五万円である、十月二十五日には被害が三件ございます、それらの被害を受けた場所が、まず最初に十月二十四日の第一のケースは距岸十七マイル、第二のケースは十四マイル、十月二十五日の第一のケースが距岸十二マイル、第二のケースが十二マイル、第三のケースは十六マイル、十月二十六日の被害は十七マイルということで、刺し網被害が起きた地点について申し上げたわけでございまして、ソ連船の操業の位置についての説明ではなかったわけでございますので、その辺は誤解がおありになるのではないかと思います。
  143. 津川武一

    ○津川委員 私は現地に行ってみました。現地の漁協の幹部たちは、日本ソ連との約束がある。襟裳沖からの東では十二海里以内には入らない、襟裳沖の西側には六海里までは入るけれどもその中には入らない——いや、逆です。襟裳沖の向こうの方では六海里まで入る、襟裳岬の西側には十二海里までしか入らない、こう言っているのに、水産庁はこれを覚えているのに、こういうふうに入っていることを隠しておくから、十二海里以内に来ているということを言えないんじゃないか、こう言っているのです。この点はいかがです。
  144. 内村良英

    内村政府委員 ただいまの御質問は、ソ連船の行動のことについてだと思います。  先生も御案内のように、ことしの九月に、協定発効前でございましたけれども、モスコーで専門家会議を持ちまして、わが方の専門家が先方の専門家といろいろ話し合いをやったわけでございます。六月にイシコフソ連漁業大臣が参りましたときに、一応公海における操業協定であるけれども日本の場合は沿岸に、あるところは七海里、あるところは十二海里、一番大きいところで十七海里、十八海里の沿岸に底びき禁止区域というものをつくっておる。そこで、日本の底びきも認めないわけであるから、ソ連も底びきをやめてほしいという話をしたわけでございます。これに対してイシコフ漁業大臣は、それはひとつその方策について専門家で検討させようという話があったわけでございます。  そういった事実がございまして、九月に専門家会議をやったわけでございます。そこで、わが方から、わが方の沿岸における底びき禁止の規則について詳細な説明をいたしました。しかしながらソ連は、依然といたしまして公海漁業は自由である、この原則はソ連として崩すわけにはいかない、日本の底びき禁止区域について漁業をやめるわけにはいかぬということを非常に強く言ったわけでございます、これはもうソ連の基本的立場であると。そこで、いろいろやりとりがあったわけでございますが、最後に、この問題は日ソ間の国交にもいろいろ影響のある話だ、それからソ連側としても、日本側沿岸漁民の感情をいたずらに刺激するということはやはり避けなければならぬと思っておる、そこで、ソ連側として、日本政府と合意したということではなしに、ソ連の一方的措置として北海道の南部の一部水域については操業を多少差し控えようということを言ったわけでございます。しかし、これは決して日本政府との合意ではないということは向こうもはっきり言ったわけでございまして、わが方も若干の説明は受けておりますけれども、これは合意されたものでもございませんし、向こうが一方的に行う措置でございますので、それが守られているとか守られていないとかいう問題にはならぬわけでございます。
  145. 津川武一

    ○津川委員 そこで日本漁民が本当に安心して漁業をやりたいと言っているのだ。こちらの方は十トン以下、向こうは母船が一万トン以上、操業船が二千ないし三千、四千というのが大体皆さんの常識なようだが、向こうはそれでやってくるのだ。こちらは十トン以下なんだ。とてもとてもおっかなくて、手を挙げるにも文句を言うにも、こちらが行ったらこっぱみじんなんだ、逃げる点で精いっぱいなんだ。せっかくの漁場を失ってしまったばかくささに涙を流して夜ばかくさがっている。この漁民の悲痛な気持ち。そこで、安定した、安心した操業というものが漁民の要求なんだ。とすれば、せっかくソ連が何か考えてあげると言っている北海道南岸はどこでございますか。襟裳の向こう側は六海里、襟裳岬のこっち側は十二海里までしか入らない。したがって、こっちは十二海里までは安全だ、襟裳の向こう側は六海里以内は安全だ、こういうふうに漁民は必死になって情報を探りにかかっている。あなたがいま持っているその情報、どこであるか、何海里であるかということをここで明示しなさい。漁民としても対応の策を持っていなければならぬ。一番大きな情報を握っておるのはあなただ。その情報は、漁民に隠されている情報が一つもあってはいけないのです。どのくらいまで専門家会議で話し合いになられたのですか。
  146. 内村良英

    内村政府委員 北海道南部沖という一部水域は日高、胆振、恵山沖の一部水域でございます。先ほども御答弁申しましたように、本件はソ連側が一方的な自粛措置としてとるわけでございまして、日本政府との間に別に合意があるわけではございませんから、ここということは私どもは責任をもって申し上げることはできないわけでございます。
  147. 津川武一

    ○津川委員 そうすると、いま言った中での胆振、渡島、どこかということはいま水産庁長官はわかってないというわけですか。
  148. 内村良英

    内村政府委員 繰り返し申し上げますけれども、これはソ連側が自分たちの漁業をやる場合に、日ソ間の国交あるいは日本沿岸漁民との問題を考えて自粛する海域でございますので、日本政府との合意に基づく海域ではございません。したがって、私どもは大体こんなところということは専門家会議では聞いておりますけれども、こういった公式の席上でこの海域ということを責任をもって申し上げられるような性質の問題ではないわけでございます。
  149. 津川武一

    ○津川委員 水産庁だけが持っておって、肝心の、命をかけて繰業している漁民がわからないということはどういうことなんですか。漁民にこれは報告するのが国政の重要な任務だと思いますが、いかがでございますか。
  150. 内村良英

    内村政府委員 私ども水産行政を預かるものといたしまして、日本漁民立場は非常によくわかりますし、常に日本漁民立場も考えて行政を運用させていただいておるわけでございます。したがいまして、正確に合意された海域だったら当然言わなければなりません。しかし日本政府ソ連政府の間の合意された海域というものはございません。ソ連が一方的に自粛措置をとる海域でございますので、ここということを言って、仮にそれが守られていないというような場合には非常な混乱も起こりますので、申し上げられるだけのものを実は私どもは持っていないわけでございます。しかしソ連側からの心得として、こんなところを考えたいということは聞いておりますけれども、絶対にそこを守るということは向こうは言っていないわけでございますから、申し上げるとかえって誤解を招くのではないかというおそれがあるわけでございます。
  151. 津川武一

    ○津川委員 私は、いまの水産庁長官が言ったことをこの委員会で正確に報告することを求めます。  そうして、時間がないから進みますが、委員長、次の理事会でこの問題を委員会に報告していただくよう、委員会から政府に善処を求めることをひとつ論議していただきたい。委員長にこれをまず要求します。
  152. 今井勇

    ○今井委員長代理 この取り扱いにつきましては、理事会で協議いたします。
  153. 津川武一

    ○津川委員 実際に行ってみましたが、漁民はこう言っています。沖に出てみて漁するに、魚がとれなければとれないで、それはあきらめがつく。だが、ソ連船が一ぱいで、気持ち悪くて、おっかなくて出ていけない。漁がなければなかったであきらめはつくが、私たちの庭だと思っている海に出ていけないというのが残念でしょうがないと言う。襟裳の漁民は、十一月からのカレイの刺し網も、出したらいいものか出さないでいたらいいものかという点で迷っておる。そのために、子供が高等学校に入っているが、この子供に漁をさせていいのか悪いのかという、そこのところまで来ているわけであります。この出ていったらいいか出ていかないがいいかという、十一月のカレイの刺し網について漁民から私相談を受けた。これは水産庁は何と答えてあげますか、答弁願います。
  154. 内村良英

    内村政府委員 ただいま御指摘のありました事実は、私ども非常に頭を痛めている問題でございます。先生も御案内のように、今日、公海漁業は自由というのが国際法の原則でございます。そこで、わが国沖合いであっても、わが国領海外は公海になるわけでございます。そこで、外国の漁船操業するということについて、それを取りやめさせるということはできないわけでございます。その結果、具体的にはソ連の船が北海道の沖から、先ほども指摘がございましたように、三陸沖、千葉沖、銭州あたりまで来ているわけであります。そこで、公海漁業についての操業の約束を、操業協定でしたわけでございます。したがいまして、わが方の刺し網がそこに入っている。昼間も標識が出、夜は灯火がついているというようなものについては、ソ連側はそれを避けて操業することを協定上約束しているわけでございます。したがいまして、私どもは、そういった約束事を守って日本漁船操業すべきである。確かに相手が二千トン、三千トンのスタントローラーで、こちらが五トン、十トンの漁船の場合には非常に恐ろしいというのはよくわかります。しかし、だからといって漁業をやめるという必要はございませんので、刺し網をそこへ設定して必要な標識をつけておく、それを違反した場合にはソ連側に抗議を申し込むと同時に、損害賠償を請求するということになるわけでございまして、この非常にむずかしい公海漁業について、いままでは何らの取り決めがなかったわけでございますが、完全に自由だということだけであって、何らの取り決めがなかったわけでございますが、一応の取り決めをつくりましたので、わが方としてもその取り決めを遵守しながら操業するということでいかなければならないというふうに考えているわけでございます。しかし、いずれにいたしましても、漁船の規模が違うという問題は、これは非常にむずかしい問題を包蔵していることは私どもよく知っております。
  155. 津川武一

    ○津川委員 そうすると、このカレイの刺し網漁民に、出漁すべきだ、公海だから行きなさい、何か事件が起きたら操業協定で処置してあげます、こう解釈してよろしいわけですか。
  156. 内村良英

    内村政府委員 漁期が迫ってまいりまして、それに大きく収入を依存しているというような漁業の場合には、黙っていても漁民の方はそういうふうに漁業なさると思います。
  157. 津川武一

    ○津川委員 これは今度浦河で沿岸漁民の漁協や漁民さんに集まっていただいて懇談会を開いた。いろいろな話が出た中で、ソ連の船が来てから漁民にお嫁さんの来手がなくなった。これまた大変な話を聞かされちゃった。そこで、政府は、こういったことに御心配してくださいますかというわけです。水産庁長官に嫁探せとは言えないけれども、ここいらに対する政府の愛情、思いやりはいかがでございます。
  158. 内村良英

    内村政府委員 当然われわれといたしましては、漁業だけでなく、漁民の生活というものについても十分関心を持って行政を運用しなければならぬというふうに思っております。
  159. 津川武一

    ○津川委員 次はソ連船団による日本漁業漁業者に対する被害でございますが、四十八年度と四十九年度どのくらいになっていますか。ことし五十年度になってから現在までどのくらいになっておられます。
  160. 内村良英

    内村政府委員 四十八年度の被害、この四十八年度といいますのは、四十八年の十月から四十九年の三月までの漁期でございますが、六千四百三十三万円。それから四十九年が、同じく四十九年の十月からことしの三月までで三億四千万円という被害になっております。それからことしに入ってからの被害でございますが、北海道庁からの電話連絡等による分でございますが、十一月四日までの数字でございますが、累計千二百十三万円ということになっております。
  161. 津川武一

    ○津川委員 この被害は漁網の被害ですか。被害内容を教えていただきます。
  162. 内村良英

    内村政府委員 主として漁網の被害でございます。
  163. 津川武一

    ○津川委員 そこで、網がやられた、引かれて持っていかれた、そのために漁業ができなかった、その直接の損害があります。その網をおろした損害。その後、網がないために今度は漁をできない被害が出てくる。おっかなくて行けないような被害が出てくる。こういう被害を私は仮にここで関連被害と申してみます。この関連被害がどのくらいになっているのか、勘定されたことはあるのかどうか教えていただきたい。  私は十月二十九日、虎杖浜で高田さんという漁業協同組合理事や二、三の理事さんたちが、実際に漁して帰ってきたその現場でいろいろ話し合いしてみました。そうすると、ここでたとえば高田さんで言うならば、ソ連船が来る前はこの前浜で二百箱から三百箱とれる。去年は一日四百箱とれた。それで生産調整やった。こういうときに、十月十二日からソ連船が前浜にやってきて、十月十四日は——ことしても一番多くとれたのは三百二十六箱。それが十四日に十八箱、十六日に四十五箱、十七日に二十箱、十九日に十二箱。これが不漁になってきた損害。つまり網をやられたために、そのときおろして、その網でやろうと思っていた被害一つ。網がなくなってしまったための被害一つ。網を修理して持っていっても、このとおり減収になってくるということが一つ。おっかなくて出ていけない、出漁できない損失。この損失を政府は数えたことがありますか。いつも被害というと漁網のことを出す。政府は一体これを御存じなんだろうか。これがわかっていたら、もう少し対策があるんじゃないかということなんですが、この関連被害がどうなっておりますか。
  164. 内村良英

    内村政府委員 関連被害につきましては、ただいまのところ数字がございません。
  165. 津川武一

    ○津川委員 長官、これ聞いたら漁民は何と思います。漁民の受ける被害は、前浜で百万円漁網がやられると、いろいろな損失は五百万円だと言っている。浦河の指導漁連のところに行ってみた。そうしたら、あの人たちはちゃんとこういう損害の表を持っている。五十年一月から五十年の二月上旬まで一億二千七百九十五万円。これで漁網の被害が一億二千万円になってくると、専門家が数えてみると、不漁、休漁なんというものが一億九千四百三十万になる。いろいろなことを言っていくと、結局逸失した損失、失われた損失は一億二千万。素人勘定で言うと、百万に対して五百万。指導漁連におった人たちがよく調べてみたら、一億二千万に対して失われた損害が一億九千四百万。いろいろなものを数えて、出なかった人件費なんか、食べなかったものがあったりするから、逸失された損害が一億二千万、こういう考え方をしないと行政が立たないんじゃないか。この点で、いま資料を持っていないということに対して長官がどんなふうに考えられるか。速やかにこの関連被害を把握して、これに対する対策を打つべきだと思いますが、この二点、重ねて答えてもらいます。
  166. 内村良英

    内村政府委員 関連被害の把握につきましては、把握の方法その他いろいろ問題があるかと思います。しかしながら、私どもといたしましても、極力そういったものを把握するように努力したいと思います。  それから、網がなくなって漁業ができないという話でございますが、確かに御指摘のとおりだと思います。漁家の多くの人は予備網を持っております。しかし予備網ももう足らないというようなことを考えまして、実は四十九年の被害について対策をとりましたときに、網のリース制度をやったらどうかということも検討いたしました。すなわち、組合が網を特っておりまして、そういった場合にすぐ網が貸せるというような制度はできないかということで、組合がそれを希望するところはそういった措置もとれるというような補助措置をとったわけでございます。ただリース制度というのは非常になじみがたい面もございまして、それをとったところは余りございませんけれども、そういったことも制度として考えなければならないんじゃないか。  なお、間接被害につきましては極力これを把握するように努力はいたしますけれども、やはり算定の方式その他、いろいろこれは問題があるのではないかと思います。
  167. 津川武一

    ○津川委員 そこで、この被害は今度発効した協定損害賠償の請求ができますか。
  168. 内村良英

    内村政府委員 協定上は請求できることになっております。
  169. 津川武一

    ○津川委員 とすれば事は重大だ。この被害を算定する方式水産庁が、政府が持っていない。漁民はどうなります。これで出てきている被害がことしだけでも一千二百何万ある、これは漁網費として。これの関連被害水産庁が持っていないとすれば、これからモスクワに二人日本から行く、向こうから二人こっちに来る。この人たちとどんな話し合いができますか。こういうことになるのですよ。したがって、この評価の基準をどのようにしていつまでにつくられるか。四十九年度の三億四千万の被害の関連被害が幾らであったか。いつまでに算定して私たちに、国民に教えてくれますか。それによってかなり北海道漁民の気持ちも変ってくると思うのです。このおおよそのタイムリミット、被害の算定に対しては、関連被害の算定の方法は早急にやらなければ、もう発効したのだからこれはあすにでも出てきます。この二点重ねてお答え願います。
  170. 内村良英

    内村政府委員 その点につきましては、形式的に申しますと請求があって審査ということになるわけでございます。そこで請求する場合に請求者が一応計算することになるわけでございますが、やはりこういった事の性質上、何か統一した標準的な基準というのが必要かと思います。したがいまして、そういったものについて至急検討を加えてみたいと思います。
  171. 津川武一

    ○津川委員 国政としても被害の全額を握らなければならぬ。三億四千万の漁網被害として、関連被害をいつごろまでに出してくれますか。
  172. 内村良英

    内村政府委員 検討を加えてみたいと思います。
  173. 津川武一

    ○津川委員 この国会があるうちに出してくれますか。
  174. 内村良英

    内村政府委員 今日までのところ間接被害についての報告というものは全然来ておりません。したがいまして、これの計算をどうするかという問題が恐らくあるのではないかと思います。したがいまして、私どもといたしましては今国会中というようなことをこの場所で明確にお約束することはできません。  ただ、そういった問題があることはわかっておりますし、それについて標準的なものが必要かもしれませんので、関係者と十分相談してみたいと思いますが、いつまでに出すということは事の性質上ちょっとお約束いたしかねます。
  175. 津川武一

    ○津川委員 わかりました。  そこで、この間接被害を把握するために作業を起こしますね。この点だけ答えていただきます。
  176. 内村良英

    内村政府委員 間接被害の把握につきましては、計算の仕方自体にもいろいろ問題がございます。したがいまして、そういう点も十分検討してみたいと思います。
  177. 津川武一

    ○津川委員 いまの答えは作業を起こす、仕事をやる、事を始めるというふうに解釈するのですが、そうであるかどうかということをもう一回答えていただいて、時間がないので、それはこの次の答えと一緒にしてもらいますが、今度は資源の問題でございます。  あの胆振の漁民たち、本当に感心しました。戦後の食糧不足のときに乱獲して、底びきであそこみんな取っちゃった。それで今度なくなって、密漁を盛んにやった時代がありましたが、その敗戦後のあの乱獲から立ち直るために、四十年ごろからみんなで相談して、とりあえず底びきをやめたそうだ。底びきをやるならオホーツク海に出なさいというふうに規制して、これが成功した。国も援助して底びき規制のところも出た。非常によかったと思います。それから小さな魚をとっちゃいかぬといって網の目も九センチにした。小さなものは逃げるように網の目も規制した。網の高さも規制した。そしてさらに一腹運動という運動をやった。これはとってきたスケソウをやると、卵が二百万粒入っている。これに白子の精液をかけて一応泳げるようになってから海に放した。この一腹運動に対してはいろいろな意見もあるかもわからぬけれども、一腹運動や網の目を規制すること、網の高さを規制すること、そして底びきをやめることによって、あそこにスケソウの大豊漁地域ができた。とうとう生産調整するまでになったわけです。これが漁民の実際の運動です。  本当に私は頭が下がりました。それを、そこに来て、あの三千トンでこうやって持っていってしまっている。きのうまで三百箱とれたものが、きょうは十七箱だ。こういうことが、水産庁は御存じだろうと思うのですが、もちろんそうだと思いますが、ソ連の方にわかっているのかどうかというのです。  ソ連というのは社会主義の国だ、話せば労働者の声を、零細な漁民の血みどろの闘いというものを評価する点についてやぶさかでないだろうというのが、あの人たちのソ連の社会主義に対する期待である。ところが、私たちがソ連大使館に行くと、ソ連大使館の方にやられるのです。おまえらのあのカムチャッカやあっちの方で入ってくる網、何だ、大漁業、あれでむちゃくちゃにとっておいて、おまえ、自分の鼻の前浜に魚の操業の網を張っておいて、おいらの方は日本北海道の南に出てくるなというのは何ごとかというのがソ連の言い分なんです。  そこで二つ目の問題は、一体水産庁ソ連の近海に行ってとっておる大漁業家と、ここの胆振、日高、十勝の零細漁民を一緒くたに考えているのではないのか。皆さんの説明によってソ連さえそう思っているのではないのか。ここのところがはらからしぼり出てくる漁民の声なんですが、この点はいかがでございますか。  外交交渉の中で、この間の専門家会議の中で、モスクワソ連の船長たちが来て一生懸命メモしたそうですが、ここいらあたり明確に説明されてあるのかどうか。こういう認識を水産庁は持っているのか。この認識のもとにソ連説明してあるのか、この点でございます。つまり三点になりましたね。前の問題と、どうぞお答え願います。
  178. 内村良英

    内村政府委員 間接被害につきましては、請求上もいろいろ問題がございますので、いろいろ検討を加えてみたいと思います。  次に、資源の問題でございますが、実はことしの春、胆振沖、日高沖で非常にソ連トロール操業があったわけでございます。そこで、ただいま先生から御指摘がございましたように、あの海域は底びきとその他の漁法との伝統的な競合がございまして、その調整をした有名な漁場でございます。したがいまして、その資源にどういう影響があるかということは、われわれ水産関係者として当然関心を持つべき問題でございます。そこで水産庁の研究所、北海道の試験所等に依頼いたしまして、どういう影響があるだろうかということを調査を依頼しております。それから、ことしまた漁業をやっております。そこでこれの資源に対する影響がどうかということは、私どもは十分把握してかからなければならぬ問題でございますので、それについては、その方針関係の研究機関に指示してございます。  そこで、そういったことについてソ連説明したかという点でございますが、歴史的な漁業上の争いの地域であること、その他あの海域における漁業調整規則につきましては細かい説明ソ連側にしてございます。  資源の問題については、実はソ連トロール漁業による影響というものについて、生物学的にこれを説明するだけのデータをまだ持っておりません。したがいまして、至急それを私どもは把握しなければならぬわけでございますが、一般論としてソ連側資源問題について話し合うということは約束しております。ただ、ソ連側資源問題に関連して場合によってはスケソウも日ソ漁業条約の対象魚種にして共同規制をしようじゃないかということになってまいりますと、これはわが国沿岸漁民沖合い遠洋漁業にも重大な影響を与えますので、その辺のところは慎重に検討してかからなければなりませんけれども資源問題について一応意見の交換をするということは話し合いができております。
  179. 津川武一

    ○津川委員 スケソウでソ連資源の分配をせよというのは私は言わない。ただ、事実はこのようにして漁民が育てているという事実、この事実は私は何物にも隠すことのできない明々白々の事実なんで、この現実をソ連にどう教えるかと言ってその話をされたとき、あの人たちから私は日ソイシコフ・安倍共同発表を見せられて覚えていたんだけれども、そこで何と言っているかというと、安倍、イシコフ両相は、「日ソ漁業操業協定の規定に基づき、かつ、日本国において有効である漁業規制措置を考慮に入れ、日本国沿岸地先沖合公海における漁業操業に当たって紛争発生の可能性を除去するため、方策を講ずることに合意した。」したがって、スケソウなどという点でもこういう現実を話して、一つの合意が成り立たないかということですね。あの産卵期におけるニシンをとることではちゃんと日ソ協定ができている。現実に日本は守っているでしょう。そこでスケソウでもカレイでもそうだ。刺し網をおろしていくと、ずうっといって一つの水域ができ上がる。漁民はちゃんと魚道やどこへ魚が動くか覚えている。カレイの場合もスケソウの場合もそうだ。そこで、ここのところを一つのゾーンディフェンスとして水域をはっきり守っていくことがこの共同声明によってできるんじゃないか、これが端的な意見なんです。共同声明でこううたったのですから、そういう意味合いのソ連との外交交渉がひたすらに求められているわけなんですが、これはいかがでございますか。
  180. 内村良英

    内村政府委員 そういったことをやりますためには、やはり生物学的なデータを十分整えてかからなきゃいかぬわけでございます。あの海域の出物学的なデータは十分持っておりますけれども、ただソ連トロール操業による影響ということについて、まだ始まったばかり、ことしの春からこういうように始まった漁業でございますので、まだその影響についての的確な把握ができてないわけでございます。したがいまして、これを至急把握しまして、非常に悪影響があるというような場合にはそのデータに基づいてソ連側と話をしなければならぬのは当然のことでございます。そこで、現在鋭意そういったデータをつくるべく努力しておりますので、ことしの漁期が済めばある程度の影響調査というのはまとまるかと思います。
  181. 津川武一

    ○津川委員 どうものんきで、やっぱり漁民が怒るのも無理ないわ。前は三百、四百箱とっておったのが、一日に二十箱くらいしかとれない。彼らの言葉で言うと、山側に箱がいっぱい積まれているのだ。浜側に箱が積まれればおいらが生きていけるというのだ。箱に用がないから山側に積まれているのだ。そういう現実が出ているときに、まだ資源の研究が足りないと言う。私、水産庁はいままではずいぶんいいところと思っていたんだけれども、びっくりした次第でございます。作業急いでくださいね。これは期限つけない。  そこで、時間も大分迫ったので、賠償を要求すべき損害についてですが、加害者の確認があの協定を見てみてもかなりめんどうなんです。というのは、先ほど話したように、底びき、まき網、これは船がしょっちゅういるから相手がいつでも確認できる。この点で加害者を確認して請求を起こすことができるが、刺し網、カレイもそうだ、スケソウもそうだ、かご、エビかご、タコかごもそう、なわ、はえなわ、タコなわ、これでやってきて帰るのですね。ときによると夜設置して帰ってくる。そこへソ連船が来てうわっと網まで切って持っていかれたという事件が起きるんで、どうして確認させるかということが非常にめんどうになっているのですが、この確認をさせる点について政府は何らかの施策を持っているか。海上保安庁はこれに対して何か考えていることはあるのか。それをやらないと協定の一番大きな問題は泣き寝入りだという。恐らく二割以上は刺し網では泣き寝入りになるでしょう。こういうことなんです。この点に対する対策を農林省と海上保安庁にお尋ねします。
  182. 内村良英

    内村政府委員 ただいま御指摘のございました刺し網、特に刺し網について夜間の被害の確認の問題でございます。これは実は私ども非常に頭を痛めている問題でございます。  まず第一に、現在協定で定まっているような完全に灯火がついてないところもございます。したがいまして、わが方といたしましてまず第一に灯火を整備しなければならぬ。これにつきましては現在補正予算でも補助金をお願いしておりますけれども、とにかく灯火をつける。それから監視船、海上保安庁の監視船水産庁の船、道庁の船等が大体七、八隻おりますので、それが極力確認事務に当たる。それからもう一つ、これはやはり沿岸漁民の方々もできれば自警船みたいなものを出していただいて、その監視をしてもらうというようなことでやりませんと、この刺し網被害の夜間の確認、かごなんかもそうでございますが、これは一番むずかしい問題でございます。御指摘のとおりです。これにつきましては私どもといたしまして、実はこの前沿岸課長説明会に行きましたときも、その点が一番問題になった点でございます。そこで、これは関係漁業者の方々あるいは道庁等とも一体になってなお検討を進めなければならぬ問題だという問題意識は十分持っております。しかし、ただいま申し上げましたような方策で、まずとにかく灯火を整備することが最初であり、それから役所側の監視体制を強化する、同時に自警的な船も出していただいて被害を防止するというやり方が、とりあえず考えられる方策ではないかというように考えております。
  183. 田中睦穂

    ○田中説明員 ただいま先生指摘のように、海底の被害につきましては非常に確認が困難でございまして、昨年も最盛期におきましていろいろと努力してまいったところでございますけれども、一例としまして、向こう漁船漁具を揚げるときに被害が直接わかる。そういうふうな事例のときには確認行為ができましたのですけれども、そのほかは海底の事故として被害の確認はきわめて困難であるというふうに思っております。
  184. 津川武一

    ○津川委員 そこで今度協定標識をつけることになりましたね。それから灯火をつけることになった。ところが、この標識は風で流れていったんです。私も船に乗って直接ソ連船を見たいと思ったけれども、前の日非常によかったのだ、次の朝だめなんだよ。今度こんな日はどうかというと、標識はみんな倒れてしまうという。標識には氷がつく、着氷する。夜は見えない。灯をつける、それでもまた霧のときは見えない。ちょうど浦河で説明会をやっていたら、商魂たくましい人たちが標識と灯を売りに来ているわけなんです。これでもうびっくりしましたが、そこでその灯は一マイルも見えないそうですよ。これは今度は二マイルでしょう。こんなものをつけてどうなるかという話なんだ。しかも、一隻で刺し網をやると六十本、それからイカのやつでいくと二千四百なわ、一組二十四なわで三つの標識、合わせて百組三百本、これだけつけなければならない。しかも二マイル向こうから見えるとすれば、どのくらいのお金がかかるのか、一体どうなんだろうということなんですが、海上保安庁、これは専門家だろうと思いますので、夜三百本標識をつける、二マイルから確認できる、これはどのくらいかかりますか。
  185. 田中睦穂

    ○田中説明員 標識、灯火につきましては、種々いろいろなものを現在使われておるようでございまして、当庁が十月二十六日に巡視船によりまして調査した範囲でお答えしたいと思いますけれども、当庁が調査した範囲では五キロの白色灯火を用いているのがございます。これを注意深く双眼鏡で見ますと大体三千六百ぐらいは見える。肉眼では二千百メートルぐらいは見えましたということでございまして、これにはいろいろ気象条件とかあるいは電池の衰耗その他あるいは気温の低下等によりまして、いろいろデータとしては、これだけではないかと思いますけれども、当時こういうデータを入れております。それからまた、それより小さい三・八キロという白灯も用いておるそうでございますが、これにつきましては当時ちょっと視認し得なかったのではっきりしたことは申し上げかねますけれども、これも大体こういう比率で見えるのではないかというふうに考えております。
  186. 津川武一

    ○津川委員 時間がないので、海上保安庁、協定どおりに決めた標識と灯火をカレイの刺し網とスケソウの刺し網、それからタコのタコなわでやるとすれば、どのくらいかかるかね。ひとつ検討して、試算して、私たちにも教えてくださいませんか。この価格はかなりかかるというのです。これで政府が三分の一、道が三分の一、漁民の負担が三分の一でもつけられないというわけなんですが、こういったものができた場合に、この際だからぼくは道と自治体と政府で全額負担してあげた方がいいと思うのですが、いかがでございます。——試算して教えてくれればいいですよ、協定で決まったとおりのものが……。
  187. 田中睦穂

    ○田中説明員 ただいまの件は水産庁の方からお答えをお願いいたします。
  188. 内村良英

    内村政府委員 補正予算で要求しておるのは、先生ただいま御指摘ございましたように、三分の一補助になっております。これを全額にするかどうかにつきましては、今後協定運用状況その他いろいろ見まして検討してみたいと思います。
  189. 津川武一

    ○津川委員 これは実際かなり高価なものになるらしいので、政府でさらに補助というものを考えていただくよう要求して次に入ります。  海上保安庁、北海道の南から八戸沖でしょう、岩手沖でしょう、銚子沖でしょう、そして伊豆半島周辺でしょう、銭州でしょう、これに全部今度またがっていくわね。これをどう監視するかという問題なんです。十月には釧路沖に出る、十一月には襟裳沖に出る、十一月から一月には八戸、岩手沖に出ていく、一月には伊豆の銭州付近に出ていく。しかも、一カ所でなくてまたがるときもあるのです。いま話を聞くと、海上保安庁が巡視船を四隻か五隻出すと言っておるのだが、これで間に合うのか。ヘリコプターでもうんと飛ばして、毎日でも写真も撮っておく、こっちであるときは、そうすべきだと思うのですが、これはいかがでございます。
  190. 田中睦穂

    ○田中説明員 海上保安庁は、ソ連船が沿岸漁業を開始しましてから日本漁船操業の競合する区域に対しまして巡視船、航空機を従来から派遣いたしまして、ソ連漁船実態に応じましてその体制を整えておるところでございまして、現在は主として道南地域に出ておりますので、この地域に常時四隻の巡視船を派遣して警戒に当たっております。なお、航空機も飛行の都度そのチェックをするということになっておりまして、ソ連船の状況いかんによってはこの増加その他についての体制の強化を検討したいというように考えております。
  191. 津川武一

    ○津川委員 時間が来たのではしょりますが、外務省おいでになっていますね。  この間、十月十八日の外務委員会で答弁されている、協定発効前の被害は民事権があるからこれは賠償請求に適用されない。したがって、協定発効前の損害をどうするか、これが一つ。  第二番目には、いま話があったように、あのスケソウの刺し網、それからカレイの刺し網、タコなわ、二割ぐらいしかつかまえられないんだな、相手が。そうすると、これを請求することができないんだ、証明がないから。この損害に対してどうするかという点で、民事がおるからといってこの間外務委員会では逃げているんだがな。そこで、加害者不明の油濁被害に対してはその補償のために基金をつくっているんだ。今度集団暴力なんかで三菱重工業がやられたときなんか、たくさんの被害が起きているね。加害者が弁償する能力がない場合に国家賠償するということが考えられているわけなんだ。したがって、この点で国内立法することがぜひぜひ必要だと思うのです。この点外務省水産庁に意見を伺います。
  192. 木内昭胤

    ○木内説明員 お答えいたします。  協定の規定どおり……(津川委員「前の説明は要らないよ」と呼ぶ)通常の請求権はございます。  それから、協定発効前二年分の事故については委員会で審査できるということは、先生御承知のとおりだと思います。  それから、ただいまの基金の問題につきましては、実行可能であるかどうか、水産庁とよく相談して検討いたしたいと思います。
  193. 内村良英

    内村政府委員 加害者不明の油濁事故につきまして基金を設けましたのは、一応財界その他からの基金を得ましてそういった措置をとったわけでございまして、法律上当然賠償義務があるかどうかということについてはまだ結論を得ておりません。したがいまして、そういった問題につきましては、環境庁に予算を取りまして、現在法律学者と公害の専門家その他が集まりまして、加害者不明の油濁事故について補償はどうなるのかということを制度的に検討しております。したがいまして、こういった問題もそういった検討結果を待って解決を図るべき問題だと思います。
  194. 津川武一

    ○津川委員 これは来週また農林大臣も相手にもう一回やりますけれども、やはりソ連に対して民事権があるなら国家がかわって、これは国際法上で訴訟でも起こしてとっていく、そういうたてまえが必要だと思うので、これは要求しておきます。  そこで、それがとれない場合は国がやはり何らかの形で国内法をつくって救ってあげなければならぬ。というのは、意外に、網だけでなくて精神的な被害の大きいのには私も参ってきたんです。その点はぜひひとつ——いま検討すると言うから検討を待って……。  時間が来ましたが、最後に十二海里の問題。  なぜ外務省は直ちにこれを宣言しないのか。先ほどからの答えがあったからぼくは繰り返しません。農林省はやってもよろしい、やった方がいいと言っている。そこで、通産省も聞くところではやってよろしいと言っている。海上保安庁もやってよろしいという気持ちらしい。防衛庁さえやってもよろしいと言っているのに、なぜ外務省だけが十二海里即時宣言にこだわるのか。海洋法会議関係もあるけれども、アメリカ、メキシコ、アイスランドなどは専管水域二百海里を宣言しているんだ、十二海里じゃなく。こういう情勢にあるとき、なぜ外務省が固執するのか。  そこで、農林省とこの問題でどんな折衝をしたか、通産省とこの問題でどんな折衝をしたか。そして海上保安庁、運輸省とこの問題でどういう折衝をしたか、防衛庁とこの問題でどういう折衝をしたか、知っているはずだが、この点ひとつ答えていただきたい。だめならば文書でもよろしい。  第二の問題、十二海里宣言できないのは非核三原則と関係あるのかどうか。十二海里宣言すると、津軽海峡をアメリカの原子力を装備した潜水艦が通れなくなるなどという非核三原則の問題との関連があるのかどうか。  この二点を答えてもらって私の質問を終わります。
  195. 伊達宗起

    ○伊達政府委員 お答え申し上げます。  外務省といたしましても、この領海十二海里拡張の問題につきましては、ソ連漁船の近海における操業等によって被害をこうむっております沿岸漁民の方々の利益を守るという立場から、十二海里問題も真剣に検討しなければならない、その必要性はよくわかっているところでございます。これは当然のことながら、領海問題として持ち上がってまいりまして、以来、外務省関係省庁、ただいま先生がお挙げになりました省庁と何遍か協議をいたしているところでございます。  そこで一つ政府立場といたしまして、何と申しますか、統一的な立場をとるべく努力した結果、現在のところはその必要性は確かにわかるし、また緊急性もよくわかっているけれども、しかしやはり海洋法との関連の問題、御承知のように、二百海里の経済水域でございますとか、それから国際海峡の通航の問題でございますとか、そういう問題と領海十二海里の問題とが一つの一括した交渉として現在海洋法会議で行われている。(津川委員「そんなことを聞いているんじゃないです。各省庁と折衝したことを教えろと言っているんです。ここで答えられなかったら文書で答えろと言っている」と呼ぶ)それでは簡単に申し上げますと、その各省と折衝した結果といたしまして、わが国といたしましては沿岸漁民の利益を守る見地から言えば、領海十二海里を直ちに実現することも考慮すべきであるが、海洋法の諸問題との関連でございますとか、それから日本船舶の国際海峡の通航問題、外国船舶の日本周辺の国際海峡の通航問題等、諸般の問題をわが国全体の立場から総合的に判断しなければならない。したがって、政府としてはこの問題についていましばらく国際的な動向を見きわめつつ慎重に検討すべきであるという結論に達したわけでございまして、この結論は現在において政府の一貫した立場で、関係省庁とも協議をしたところでございます。  非核三原則につきましては、非核三原則があるがゆえに領海十二海里の宣言ができないというように間々巷間伝えられているようでございますが、そういうことはございません。したがいまして、国際海峡の問題と非核三原則の問題とは関連いたしますけれども、しかし国際海峡と申しますのは実は先生も御承知のように現在議論されているところでございます。国際海峡というのはもともとあったもので、今度の海洋法会議ではどういうふうなステータス、法律上の地位を国際海峡というものに与えるか、それは従来の領海三海里から十二海里に全世界的に拡張するということとの関連において国際海峡の通航の問題というのが上がってきているわけでございます。したがいまして、この新たな国際海峡の制度というものがどのようなものになるか、それに伴いましてこの非核三原則の問題というものが解決されていかなければならない問題である、そのように考えているわけでございます。
  196. 津川武一

    ○津川委員 北海道、三陸、千葉沖の沿岸漁民の安定した安全な操業のために政府としても全力を尽くすことを要求して質問を終わりますが、次の農林大臣の出てくる委員会にはぜひ外務大臣の出席を求めてくださることを委員長に要請して、質問を終わります。
  197. 今井勇

    ○今井委員長代理 瀬野栄次郎君。
  198. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 財団法人日本動物愛護協会、略称はJSPCA、こう言いますが、この協会の問題について農林省当局に質問いたします。  財団法人日本動物愛護協会は同協会内に付属動物病院を持っております。この協会は寄付行為ができることになっておりまして、昭和三十年十一月二日農林大臣が認可し、さらに昭和三十二年七月十七日一部変更農林大臣認可となっているもので、東京都渋谷区千駄ケ谷三丁目一番地に所在しておるのであります。  戦後マッカーサー総司令官夫人や日本駐在の英国外交官夫人らが主唱者になって設立されたものであります。この協会は、戦後の混乱がおさまっていない昭和二十三年五月発足したわけでありますが、食うのにも事欠いていた日本人が、とても犬やネコなどの動物にまで手が回らないのを見て、マッカーサー夫人や動物愛護の伝統が深いと言われる在日英国外交官夫人らが呼びかけて設立されたものと言われておりまして、いわば戦後の文明開化の一つと言われてきたのであります。財界に寄付を呼びかけたり、本国で募金運動をしたりして資金を集め、東京都渋谷区千駄ケ谷三丁目一番地、明治通りに面した土地約一千平方メートルを手に入れて、現在経営をいたしております。しかして、昭和二十六年に社団法人、昭和三十年に財団法人となっております。  ところが最近、この財団法人日本動物愛護協会及び同協会経営の付属動物病院——ちなみに申しますと院長は前川博司でありますが、この協会及び付属動物病院の移転をめぐって、同協会、開業獣医、移転地周辺住民と三者をめぐり犬・ネコ紛争が起こっておるのであります。反対派の方々は、動物愛護の精神を忘れて営業主義に走り、開業獣医の生活権を侵害する、さらには、今後移る場所は千駄ケ谷よりも建設用地が狭くて、騒音、悪臭がひどくなる、さらに日照被害をこうむるなどなど、反対を訴えております。そして、この紛争は日を追うにつれてますます大きくなる一方でございます。移転地の新宿区大京町三十一番地周辺の住民も、反対の請願書を新宿区議会に提出し、反対の闘争に入っているが、この問題について逐次順序を経て政府に見解をただしてまいりたいと思います。  まず以上のことを前置きいたしまして最初にお尋ねしたいことは、いま申し上げましたこの財団法人日本動物愛護協会の目的等について、冒頭簡潔に当局の見解を承ります。
  199. 大場敏彦

    ○大場政府委員 御指摘になりました財団法人日本動物愛護協会の目的でございますが、これは寄付行為に記載してありますとおり、動物愛護の趣旨を広く社会一般に徹底し、一切の動物虐待を防止する、あるいは病気になったけだもの、家畜等の手当て等の知識を普及する、こういったことによりまして、動物愛護の精神を広く世間に徹底したい、こういったことであるといういうふうに理解しております。
  200. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 大場局長も就任早々で従来からのいきさつはわからずに、にわか勉強か何か知りませんけれども、この問題はいずれ農林大臣を迎えてまた厳しく追及もしますが、今後解決までしばしば取り上げる予定でございますので、慎重に聞いていただくと同時に、真剣に取り組んで、従来からの経緯もすべて、四、五日前から通告しておきましたので勉強してもらったと思うのですが、さらにごまごまと勉強を続けて問題解決に当たってもらいたいということをつけ加えて申し上げておきます。  いま申し上げました財団法人日本動物愛護協会は、昭和四十八年十一月、大手の婦人服メーカーで東京に本社がありますところの東京都中央区日本橋浜町三ノ二十ノ三にあるイトキンに敷地を十億二千六百十五万四千円で売却しているが、農林省は主務官庁として、基本財産である土地の処分について当然かかわり合いを持っているわけでございますので、この売却については、どういう理由で売却したのか、その点明らかにしていただきたい、かように思います。
  201. 大場敏彦

    ○大場政府委員 動物愛護協会は、ただいま御指摘になりましたように、東京都の渋谷区千駄谷に約一千平方メートルの土地及び施設を持ちまして、動物の収容ないしは動物の診療を行ってきたわけでありますけれども、市街化が周辺地域で進みまして、そのために移転という問題が起きました。そういったことで土地を売却したわけでございますが、これは同財団法人の寄付行為に基づきまして、昭和四十九年一月二十九日付で基本財産の処分につきまして農林大臣承認をしたわけであります。農林大臣承認といたしましては、同協会の寄付行為の規定に基づいて、協会財務の健全性の確保という観点からわれわれは差し支えない、特に支障はないと判断して許可いたした次第でございます。
  202. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 処分の最大の理由としては、資金不足というようなことが言われているのですけれども、その点はどうですか。
  203. 大場敏彦

    ○大場政府委員 私どもが聞いております処分の理由は、先ほど申し上げましたように、周辺の市街化が進んで高層建築物等が増加した、そういったために町中で動物の収容等の業務に適さなくなった、こういったことで、動物収容所等につきましては郊外等に移転するというようなことで、そういう目的のために現在ある敷地につきましては売却する、こういったことの申請があったわけで、そういう意味で私ども許可いたした次第であります。
  204. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 このことで論議していますと時間がかかるので、余り突っ込んでやりたくないのですが、いまのその問題は、確かにいままでも市街化で相当騒音公害問題があったわけですけれども、いままでのところは一千平米あったのです。今度移るところはいままで以上に住宅が立て込んで、そして高速道路のそばであるし、三方が道路で、しかも今度面積は二百八十八・二一平方メートルと、ずっと極端に小さくなるのです。そういうわけで、そんなこと言ったって理屈に合わないのだ。そんなこと一々取り上げてもしょうがないので、大場さんも局長になったばかりだから、わからなければ課長に答弁させてもいいが、ひとつ言うだけ言っておくので、その点はまた後でよく勉強してもらいたいと思う。これにひっかかっているとあとが進まないから続けてまいります。  そこで、かわりに新宿区大京町三十一番地の用地、これはいまも申しましたように二百八十八・二一平方メートルを約二億円で購入している。昭和五十年三月十九日登記しております。この計画によりますと、鉄筋六階、一部七階建ての動物愛護センターを建設し、拡充強化する、こういう計画であります。この場所が、いま言ったように三方道路で、相当立て込んでおるし、いままで以上に狭いし、またいままで以上に騒音公害がひどいというので、地元が大変反対運動しているわけであります。  新しく建設する動物愛護センターというのは、この計画を見ますと、今度病院、事務所のほかに貸しビルも併設し、その貸し料をのら犬や迷い犬、ネコの収容施設の運営費に回し、有料診療をするやに聞いておりますけれども、これが問題である。仮に、場所はともかく、貸しビルを併設して、その貸し料をのら犬や迷い犬、ネコの収容施設等の運営費に使うということは、この程度は許せますけれども、有料診療するというのは大変問題になっておる。いま地元の各種団体から強烈な反対運動が沸き起こっているわけです。  すなわち、反対の主なるものを挙げますと、動物愛護協会の診療行為反対同盟というのが結成されました。これは五十年九月三日結成、五百人今員を集めておりまして、委員長が辻弘一さん、それから全日本小動物臨床獣医師協議会、これは全小協と言いますが、二千二百人、これまた理事会で決定して、この反対同盟と共闘するということで、五十年九月十五日に発足しております。それから東京都獣医師会、千三百人、これは会長は杉山文男さん、それから四番目に、東京都新宿獣医師会、山本茂会長、五番目に、地元大京町三十一番地に動物センター建設反対同盟、委員長増本勝さん以下十六名。これはその周辺の立て込んでいるいわゆる今度つくる予定地の周辺の方が主体であります。六番目に、新宿区大京町住民、地域住民約六百人が反対に立ち上がっております。こういったぐあいに、もう各種団体また地元というようにものすごい勢いで反対ののろしを上げておりますが、当局も十分このことは承知しておられると思うけれども、どうですか、このことは承知しておられますか。
  205. 大場敏彦

    ○大場政府委員 新宿区の大京町に移転を予定しているわけでございます。これは事務所と診療所でございますが、移転を予定しているわけでございます。それに関しまして、診療行為を行うということにつきまして、獣医の方々からの反対の意見がございます。それは承知しております。  それからまた診療所を設置することに伴いまして、いろいろ環境問題が起こる。たとえばけだもののにおいの問題だとかあるいは音の問題だとかそういったことが起きまして、いろいろそういった環境問題に着目いたしまして、地元の住民の方々から反対の意見があるということは承知しております。
  206. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 新宿区区議会が九月三十日開かれたが、その議会で六党満場一致で請願書を受理し、そして建設委員会に付託になりました。さらに新宿区議会建設委員会は十月十八日、地元新宿区大京町三十一番地の住民からの請願に基づいて初めて現地を視察し、住民から意見を聞いたのであります。  そのときの状況は、動物病院を通でることは無理であるという意見が大勢を占めたと言われておりますし、また同協会と地元との話し合いは進んでいない、また話し合いがつくまで当然延ばすべきである、こういうような現地視察の意見等が出された、こういうふうに仄聞いたしております。  同建設委員会は、このことについて許可をおろすべきでないという意見が強いとされておりまして、さらに来る十一月十一日、本件に関する第二回目の委員会を開催するということで審議を進めることになっております。こういった動きについてはどうですか、当局は御存じでございますか。
  207. 大場敏彦

    ○大場政府委員 あらましは存じております。それで、ただいま御指摘のありました事柄でございますが、一つは、愛護協会が動物病院の経営をすること自身についていろいろ反対する御意見があるということでございますが、その御意見につきましては、病院自身を経営するということ自体は特に私ども問題はないと考えております。ただ、その移転に伴いまして、現在都会の獣医師が密度が非常に過密でございます。いなかにおきまして過疎という現象があるのと対照的に過密になっておりますから、場所によりましては、その移転に伴いまして地元の開業獣医師の利益が著しく阻害される、こういったことも間々あり得るわけでありますが、そういったことは必ずしも好ましくないと考えております。そういう意味で、協会に対しまして、地元の獣医師会と十分話し合いをして円満な解決が望ましいというぐあいに私どもは指導している次第でございます。  それから一方、地元の獣医師会関係者に対しましても、やはり病院の経営をすること自身、協会は何も不当なことをするわけではありませんから、そこらの点につきましては、やはり一方的に反対するだけではなしに、一部の理解はすべきじゃないかというふうに考えて指導いたしたいと思っているわけであります。  それから、環境問題についての地元の住民の問題は、これら先ほど申し上げましたいわば動物の病院をつくることに伴ういろいろな問題と、それから高いビルをつくりますから、日照権とかそういった問題もあるいは絡んで議論がされているように聞いております。日照権等の問題につきましては、これは私どもの所管ということではございません。いわば建築基準法の問題として東京都の方面におきまして解決していただかなければならない問題と思っております。  それから地元の環境問題、住民との話し合いにつきましては、これは農林省が特に有権的にどうするという事柄では本来的にございませんで、むしろ協会自身が自分自身の問題として地元の住民とよく話し合った上で円満裏に解決すべき問題だというふうに考えておる次第でございます。
  208. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 江藤政務次官、いまいろいろ聞いておられたと思うが、あなたは去る九月二十六日、反対同盟の方やら獣医師会等の代表から次官室においてこれらの問題について要請を受けられて、その節、あなた自身も憤りを感じられ、ここは立て込んでおるのにけしからぬというようなことで、十分善処する、こういうふうな御回答があったわけですけれども、あなた自身はどういうふうにこれに対処してこられたか、あなたの打たれた対策をここで答弁していただきたい、かように思います。
  209. 江藤隆美

    ○江藤政府委員 この問題については何回か状況を聞いておりますし、その都度、畜産局長を初め担当課長にその内容についての検討方を実は求めてきたところであります。したがいまして、先ほど一夜づけで局長は出てきましたと言いますけれども、一夜づけではありませんで、何十日かづけにはなっておるはずであります。  そこで、この問題は、私は本質から言えば、世の中にはどうもこういうたてまえと本音のあるものがずいぶん多いのじゃないかという気がしていかぬのでありますが、本来から言えばその目的を十二分に果たして、そうしてなおかつ余力があり、かつまた関係方面の要望もだしがたきときにそういう付帯事業というものをやるのが私は本来のことではなかろうか、そういうふうに考えております。  局長も申しましたように、東京都内は開業獣医師もずいぶんと数が多うございまして、言うならば過密地域であります。したがって、そういう住宅地の中心でそういうふうないわゆる病気の家畜を集めたり、あるいは飼い主不明のものを集めたりすることが果していいものかどうかということについては、私はいささか疑問を持っております。実は、そういうことも含めまして、省内で検討をいたしておるわけでありますが、これは農林省としてもたびたび協会の幹部を呼んで事務当局でいろいろな事情説明を求め、また諸般の注意事項もいたしておると報告を受けております。  そういう私どもの本来の行政の分野でやるべきことと、それから協会そのものが、先ほど幾つか羅列をされましたようなそういう関係の諸団体、住民と十分話を詰めていく、その二つとが私はあると思っておりまして、そのいずれもないがしろにしてこうした事業というものを強行することは、私は余り好ましいことではないのではなかろうか、このように考えておるところであります。
  210. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 江藤政務次官も同じ九州で隣県でありますし、あなたも獣医師をやっておるし、十分含みのある話のようでもあったが、立場上、歯切れの悪いところが大分ありますけれども、全国の開業獣医師等がこれに対して注目しておるし、猛反対をしいているわけです、一部だけを申しましたけれども。  そういった意味で、このような反対について当局も十分知っているわけですから、先ほど申しましたように、新宿区議会も十一月十一日、第二回目の委員会を開いて、恐らくこれは否決する、承認されないという方向で検討されると思うのですが、この点もあわせて十分見ながら、農林省当局も地域住民のことを考え、また仮に移るにしても、必要最小限のものを適当なところへ移転を検討するように、十分な指導をする、こういうふうに特段の配慮をお願いしたい、こう思います。  そこで、時間の関係もあるので、少しはしょって申していきますが、大場局長も先ほど申しましたように新しい局長になられたわけでありますし、増田大臣官房総務課長もこのことは余し詳しく御存じないと思うが、政務次官も獣医師としての立場もあるし、十分ひとつ聞いてもらいたい。  全くこの日本動物愛護協会というのは、日本動物愛護協会でなくて、日本動物虐殺協会であるというふうにいわれております。この動物を虐待する、いわゆる虐殺をしている実態について、私は若干のことを申し上げたい。  たしか三十年の五月と思いますが、協会内の外人と日本人の間で、運動をめぐって意見の対立がありました。御存じのようにこれはマッカーサー夫人やら英国外交官夫人等がつくったということで、ただみたいな安い土地を買って始めたといういきさつがあって、外人と日本人が同居してともに経営をしておったのです。ところが、その協会内で余りにも日本人がでたらめをやるので、もう耐え切れずに外人は出ていった。いわゆる病院の経営が行き詰まってもきたということで、意見が対立したわけであります。そうしたことから外人は分かれて、日本動物福祉協会をつくった。だから設立当時から、まさにここらからおかしくなってきたわけであります。そして日本人が経営した次の日から、いままでは愛護という意味から施療といって無料でやっておった治療を、今度は有料診療に切りかえてきた。これはまさに、施療といって無料でやるのが当然の協会のなすべき本来の姿であります。それがすなわち基本財産が危うくなったので、手っ取り早いから有料診療で金を取るようになって、現在に至っている。維持会員とかいろいろ会員をふやすことなんか一つもせずに、当然維持会員をふやして愛護思想を普及すべしというのが本来の仕事でありながら、そういうことはもう一つもせずに、こういうことをやっている。  このような営業を続けていけば営利団体になるわけです。そこで、営利を目的とすれば当然経費のかかることは省いて営利に走るために、もうけるようなことだけやる、もうけのないものは虐殺するというふうなことになってくるわけであります。こういったことが動物虐待のいわゆる因になっております。  初期には、動物愛護の見地から、たとえばマンション、アパートなどで飼えなくなった人の動物を引き取る、また事情があって一度にたくさん生まれた犬やネコを愛護協会に持っていけば、里親を探していただける、かわいがってくれるだれかに、この犬やネコをもらってくれる人に必ずやってくれる、こういうふうに思って、殺すのもかわいそうだし、かといって養うと相当えさ代もかかるし自分が大変だというので、持っていくわけです。ところが、協会内には事実寄付金の箱が置いてありまして、備えつけてある。持っていった人が、かわいそうなものですから、いま言ったようにお世話になるし、また当分の間のえさ代ということで、二千円から三千円、場合によっては五千円というふうなお金を入れて、そしていわゆる自分が持っていった犬の里親が見つかるまでの食餌代、また管理費といったことで置いてくるということだったのです。  四十九年度の決算書を見ると、この動物収容所の寄付金だけでも二百五十六万円の収入になっております。年々これ以上の収入になっております。これはかなり持ち込みがあるということになると思うわけです。このことは移転問題が具体化してまいりました四十九年二月ごろまで続いておるのであります。もちろん移転せずにおればいまも続いておったわけです。収容施設といっても数多くあるわけではなく、この協会の中にはわずかでありまして、特別広くもないのに一カ所に何十頭と入れるので、不衛生きわまりないのであります。しかも、えさは小学校の残飯を与えていることが多いと言われております。大型犬などが持ち込まれますと、場所をとってえさをよけい食うものだからやっかい者扱いをして、愛護協会が愛護するどころか、今度は注射でもって即日殺してこれを葬り去る、こういうことをしておる。これは内部の人の証言です。いやしくも公開の席で私がうそを言うわけがない。ある学生、名前は特に言いませんが、修学旅行で一たん協会に犬を預けに持っていった、ところが都合で旅行を一日繰り上げて早く帰ってきて、翌日犬をとりに行ってみたところが、今度はその次の日にはもうすでに殺されちゃって、あなたの犬は殺しました、こういう言われてがっかりして子供が帰ってきたということを証言しております。生まれて間もない幼熟動物は、病院内規で原則的には一週間置くことになっておりますけれども事情によってはその日に殺すと、内部からの証言が出ております。動物愛護協会の看板を掲げたのがこんなことをするとはけしからぬと、関係者は批判をしております。  そればかりか、あとの犬やネコは、バキュームすなわちドラムかんの中に動物をいっぱい入れまして、養うとえさ代もかかるので、せっかく里親を見つけてもらおうと思って持ってきたものを、今度は愛護どころか虐殺するために、減圧機により、パイプモーターで真空にして一度に何十匹と屠殺をする。むごいやり方をしている。外人が協会を出て、別れて日本動物福祉協会をつくったが、外人がいなくなったのですぐさまこのようなやり方をした。こういう内部の証言があるのであります。  子ネコなど一匹一匹火葬にするのがたてまえでありまして、外人は一匹一匹毛布に包んで火葬にしておりますけれども、この日本動物愛護協会では一キログラム幾らで出すという契約でやっておるありさまです。子ネコの場合、五十匹で十五キログラム、これが一箱、こういうような単位になっておりまして、これも証言がありますけれども、世界動物友の会からの報告によると、「日本動物愛護協会付属病院との取引に関する件」として、一、取引開始年月日、昭和四十八年八月二日。二、取引実績、期間、四十八年八月二日から四十九年二月十日、取り扱い数九十一箱、単価三千円、全体の金額二十七万三千円で契約しておる。さらにその後、期間、四十九年二月十一日から五十年九月十二日、取り扱い数四百三・五箱、一箱が十五キロというのはさっき言ったとおりです。単価三千九百円。これは四十八年は一箱三千円が、四十九年は物価高騰の折から三千九百円に、九百円上げております。こういうようなことで契約して殺しておる。  バキュームから出したものは今度はどうしているか。火葬している。四十八年八月から五十年九月までの間に七トンも焼いたと言われております。全くあきれたものです。けしからぬ。こういったことを農林省はどうして知っていないのか。知っておるならば明らかにしてもらいたい。  また、死体処理なども手間のかからぬ方法でやっておる。昭和四十五年ないし四十六年ごろ働いていた人の証言によると、死体をポリバケツに入れてエナ処理場——エナ処理場というのは、人間の汚物だとかいろいろなおしめ、こういったものを処理するところを言うのですが、ここに捨てている。すなわち、おむつ処理に等しい方法をとっておる。このことは今日まで内密にされておった。私の今回の発言によってこういったことが全部出てきた。動物の愛護を目的とする協会がこのようなことでよいのか。まことにけしからぬことである。憤りを抑えることができない。  ちなみに、東京都獣医師会やら現在開業医をやっておる皆さん方は、去る九月のあの動物フェスティバルで、九月二十一日、一日だけでも犬やネコなど五百匹近いものを預って、そのうちの三百四十数頭を里親にやったりしております。また、年間七、八百頭は里親を探してこれを皆さんに提供し、動物愛護の真の精神に沿ってやっておるにもかかわらず、この協会は里親を探すことなどほとんどしていない。たまたまよい犬やネコの子がおれば、人がもらいに来ると今度は逆に金をもらって渡すという。また、いい犬がおると自分で手入れをして自分のうちに持って帰って、今度は自分が売るというようなことをしている。こんなことまで内部の者は言っておる。言語道断である。恐らく年間三千頭は殺していると言われておる。まさに日本動物虐待協会であると巷間から言われておるゆえんがここにあるわけです。  いろいろ言うと切りがないけれども、こういった実態農林省はつかんでおるのか。われわれもいままで日本動物愛護協会、名前がいいものですからだまされておった。こういうことではまことに相ならぬ。私はこの協会に猛省を促すために指摘しているわけですけれども、こういうのをほうっておくわけにいかない。この実態農林省は知っているかどうか、どう見ておるか、お答え願いたい。
  211. 大場敏彦

    ○大場政府委員 幾つかお尋ねがあったかと思うわけでありますが、まず最初に、動物愛護協会が収益事業として動物病院を経営していること自身おかしくはないか、こういうお尋ねが最初にあったように記憶しております。それにつきましては、一般に協会が対価を徴しまして動物の診療行為そのことを行うということ自身、寄付行為に定められておりますることと抵触するわけではございませんので、私ども正当な業務であると解釈いたしておる次第でございます。  それから二番目に、動物愛護協会におきましていろいろ動物を収容するわけでございますが、その中に、一般の方々に里親として再配布する、そういうこともやっておりますが、再配布しない場合、いわば不要の動物収容所を設置運営しているわけでございますが、分譲希望がなかった犬、ネコ等につきましては、確かに御指摘のとおりに廃用処分をも行っているというふうに承知いたしております。その場合に、分譲する場合にはたてまえとしては無料であるというふうに聞いております。ただ、ケース・バイ・ケースによりまして、事実上寄付を仰いでおるというようなケースも、先生指摘になりましたが、あるように私どもは聞いておる次第でございます。しかし、たてまえとしては無料だというふうに聞いているわけであります。  それから、最後に御指摘になりました廃用処分の方法がいかにも残酷ではないか、動物愛護協会の名前を掲げておってその実態はむしろ逆ではないか、こういう御指摘でありますが、私どもが聞いております範囲で申し上げますと、廃用処分の方法につきましては、同協会からの報告によりますると、結局安楽死を旨として処分するということになっておる次第であります。  具体的に申し上げますれば、ネコだとかあるいは犬でも小さな犬、こういった小動物につきましては薬剤で注射をする、麻酔薬の一種でございますけれども、薬剤で注射をする。それから大きな犬、そういった大動物につきましては、注射するために押さえておくことが非常に困難でありますから、御指摘のありましたように減圧装置、気圧を大幅に減らしました装置を用いまして意識不明に陥らせたまま死に至らしめるという方法を用いている、こういうふうに聞いているわけであります。  これらの方法が残虐であるかどうかといった判断の問題でございますけれども、私どもの聞いております範囲では、諸外国の動物愛護団体におきましてもこれらの方法を採用しておる。それから現在動物愛護協会におきまして、薬剤につきましては英国の団体から寄贈されておるものを用いておるし、それから大きな犬等を殺す場合に用います減圧装置につきましては、アメリカの動物愛護団体から寄贈されたものを用いているというふうに聞いているわけであります。  しかし、この点につきましては、先生の御指摘もありましたので、まさに動物愛護協会がその実、動物を虐待するようなことがあってはなりませんので、念入りに、さらに改めて私ども調査をいたしたい、かように考えている次第でございます。
  212. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 念入りに調査するとおっしゃるが、協会が自分で悪いことを言うわけはないですよ。皆さんもそうでしょうが。だれだって、役人でもわれわれでも、人間ならば自分の悪いことは隠したい、恥ずかしいことは隠したい、言いたくないというのが普通でしょう。それはわかる。わかるから、あなたは協会から私が聞いている範囲ではとおっしゃるが、聞いている範囲ではいいかげんなものです。それじゃ困る。だから、こういうような廃用処分または私がいま指摘したこと、いやしくも私は公開の席で言ったのですから、そういったことの実態を今度調べてもらいたい。そして、いまも薬剤注射をするとかなんとか言っているけれども、そういう丁寧なことをしやしない。何千匹か何万匹のうちに一匹や二匹はするかもしれぬ。とにかく内部の人が耐え切れないと言っている。だから外人も出ていくのですから、そういったことで、表向きの決算書、表向きの報告だけではならぬから、ここでわざわざ公開の場で指摘をして、新進気鋭の大場局長なんだから、ひとつしっかりやってもらいたい。もし反論があれば反論してもらいたい。私はそういうふうに調査してもらいたい。局長、もう一回よく調べてみますね。
  213. 大場敏彦

    ○大場政府委員 御指摘のとおり、よく調べてみたいと思います。  それから、当協会の財務状況につきましても、年度内に検査をいたしたいと思っております。
  214. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 さて次に、日本動物愛護協会は、付属動物病院の実態を見ますと、一年間の診療頭数が、五年間平均でちょっと計算してみますと二万八千七百頭、このうち施療、すなわち無料でやっているのが千七百頭、あとは有料診療で二万七千頭やっている、こういうような概数が出てくるわけです。  また一方、予算を見ますと、四十八年度は四千百万円、このうち病院経費が三千五百万、一般寄付行為が三百万、収容所収入が二百五十六万、合計四千百万円とこうなっている。これは四十八年の例ですけれども、毎年おおむね若干上がる程度で、こういうものです。それで、愛護事業にはどれぐらい出されておるかと調べてみると、四十八年を見てもわずか三百三十万円、毎年似たようなものです。全体の八%しか使っておりません。日本動物愛護協会と言いながら、何たることかと言いたい。もうお話になぬ。これは理事長の名前はあえて言わぬけれども理事長もこういうことは知らないんです。全く申しわけない。職員は二十人ぐらいと、こう言われています。給料、手当で二千百万円使っている。地元やら関係者に言わせると、こういったことを言っちゃ失礼だけれども、寄ってたかって食っている、こういうふうなことを言われるぐらいで、けしからぬというような声が返ってくる。  一方、私は、東京都獣医師会なんかのやっている、先ほど申しました去る九月二十日から一週間行われた動物愛護週間の中で、九月二十一日の動物フェスティバルの一日だけの経費を見てみましても、表彰とか何かを含め、七十万円もする盲導犬なんかを寄付しておりまして、一日だけで動物愛護のために五百万円も使っている。一日五百万円に対して、年間三百三十万しか愛護協会という名のもとの協会は使っていない。これは全く堕落し切っている。この協会の運営はどうなっているか、この実態を知っているか、簡潔にひとつ局長からお答えいただきたい。
  215. 大場敏彦

    ○大場政府委員 この協会の運営は、先ほど申し上げましたように診療収入というものが収入の過半を占めておりまして、支出の方では病院の運営費、これが過半を占めております。大部分を占めております。一部、そのほか動物愛護のためのいろいろな趣旨の徹底、広報活動事業をあわせ行っている、こういった財務状況でございます。
  216. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 局長、まだいろいろ勉強してもらいたいが、言うだけ言っておくからしっかり勉強してくださいよ。農林省はこの協会が愛護事業に年間どのぐらい金を使っているか、それは大体わかりますか。私が言っている三百三十万というのは間違いですか、どうですか。一億ぐらい使っていますか、
  217. 大場敏彦

    ○大場政府委員 先ほど申しましたように、病院費が非常に多うございまして、四十九年の経費の明細で見ますと、約六千万。六千万のうち病院費がほとんどその七割、一般事業費は六百数十万といったところでございます。あと人件費が残余でございます。
  218. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 局長、しっかり勉強してもらわぬといかぬが、農林省は監査したことはありますか。もう二十年も監査しておらぬのですか。
  219. 大場敏彦

    ○大場政府委員 御指摘のとおり民法に基づく法人でございまして、主務大臣は農林大臣でございますから、これは監査をしなければならないのでございます。残念ながら現在までのところ、監査はいたしておりません。
  220. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 江藤政務次官、しておると言ったら注意しようと思ったけれども、素直にあやまったからもうこれであれしておくけれども、監査していないわけですよ。だから問題なんだ。政務次官、監査をすぐさせていただきたいです。ひとつあなたの決意を言ってください。
  221. 江藤隆美

    ○江藤政府委員 長い間、主務大臣が監査をしていないということはきわめて遺憾なことであります。したがいまして、近き将来において必ず監査、これは経理、業務を含めまして監査を実施をいたしたい、こう思います。
  222. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 早急にいままで指摘したことを、またいまから言うことも含めて、ひとつ十分監査をして抜本的なメスを入れてもらいたいと思う。  そこで、農林大臣は、四七−畜一三第一五四〇号で、公益法人の取り扱い及び指導監督の改善強化についての通達を出しておりますが、内容を簡潔に言ってもらいます。わからなければ私の方から言いますが、どうですか。
  223. 増田甚平

    ○増田説明員 簡単に申し上げますと、監督を強化するために、検査の実施あるいは法人の台帳の整備、それから実態調査の実施ですか、そういうことを内容にして法人の監督について十分目の届くようにしようという趣旨でございます。
  224. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 局長も、皆ひとつ聞いておってもらいたいんですがね。これは時間があれば徹底的にやりたいんですが、言っておきますからね。いま資料がないので簡潔に言っているが、この通達は公益法人の指導要項でありまして、内容は大きくは三つになっている。  一つは、本来の事業に比べて付帯事業が過大でないこと。この場合ですと、日本動物愛護協会の付属動物病院を指すわけです。すなわち収益事業を指しているわけです。二つには、公益法人としての社会的信用を傷つけるような内容の事業でないこと。三つには、その他本来の事業に支障を及ぼすおそれのないこととなっております。これは、動物愛護協会はこの指導要項に反している、問題であります。  ちなみに申しますと、動物愛護協会の年間決算額を見ますと、たとえば四十八年度決算を一つ調べても、七千二百六十二万七千四百五十八円となっております。この中に三千万円——これは後で問題にしますが、日照権の金三千万円が入っておりますので、これは特別でありますから、これは毎年ない金でございますから、三千万円を引くと四千二百六十二万七千四百五十八円となります。そのうちに占める年間の動物病院の収入は三千五百六万四千四百三十円となって、いわゆる付帯事業の方が七百万円も四十八年だけでも過大になっている。これは農林省通達にも違反しておるし、毎年違反しております。これは監査していないからわからぬわけです。また動愛は——これは日本動物愛護協会のことを指しておるのですが、この動愛は動物愛護思想の普及が本来の目的であり、これを達成するために法人格を付されたものであります。にもかかわらず、これらは努力しないで、付属動物病院の収益向上のために精力を傾けている、こういうことになっております。実態はそういう状況であります。しかも動物の治療費は実費診療であると決算書に報告され、かつ宣伝されております。四十八年の避妊、去勢総頭数九百七十八頭を除いた一般診療頭数が二万五千七百十三頭の診療総額は三千六十九万円で、一頭当たりの平均治療額は千二百円となっております。この治療費は一般開業獣医師の基準料金と同じで、実費診療と言っておりますけれども、何ら実費診療にはなっていない。あたりまえに取っているのです。動物愛護協会が収益率を上げるために開業医との間にトラブルが絶えない、これは問題であります。本来の動物愛護の普及に専念すべき協会が、しかも公益法人でありながらそのような運営のやり方は適当でない、私はこれは通達に反する、かように指摘せざるを得ません。  また、二番目の公益法人としての社会的信用を傷つけるような内容の事業でないことということに対しても、いま東京には過密であるが五百軒開業医はおります。六百五十ありますけれども、実際に営業していない、税金を納めていない方もおりますので、五百軒と言われております。また、一説には五百三十軒とも言われておりますが、この五百ないし五百三十軒の開業医は、大体五百メートルに一軒ずつありまして、患畜の苦痛をやわらげてやるための、苦痛を取り去るための仕事が十分できるようになっております。また、こういった公益性を持った動物愛護協会と競合したり絡むようなことにはならぬようにちゃんと配置されております。そういったことは農林省もよく知っておられるはずです。こういう通達に対して、まことに反しておる。監査していないからこれ以上言ってもしようがないが、監査をすればこういったことが明らかになりますから、十分対処してもらいたいと思うが、政務次官なり局長からお答えいただきたい。
  225. 江藤隆美

    ○江藤政府委員 公益法人がその定款あるいは寄付行為の定める範囲内において合法的に業務を遂行するということは、私はそれは適切なことであると思いますが、それを逸脱するものについては十分に監督官庁として今後の指導あるいは育成を図っていく必要があると思います。先ほど申し上げましたように、できるだけ早い機会に監査等もいたしまして、今後の指導監督を十分に行っていきたい、こういうふうに考えます。
  226. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 江藤政務次官からできるだけ早く監査をして、指導監督を十分にやっていくということですが、その一言で通じますけれども、監査したけれども、あと何もやらなかったのじゃ困るので、もう少し監査の際に十分調査されることを申し上げておきます。  現在、日本動物愛護協会には会員が五百人おります。動物愛護普及のために会費を出して専念するのが当然であります。維持会員を全国的にふやしながら会費で運営するというのがたてまえであります。八割は病院収入でやっておりますが、会員は設立当時の五百人からこの二十年間一人もふえていない。一人ぐらいふえたかもしらぬが、五百人からふえていない。全く仕事が怠慢だ。動物愛護というのは維持会費もふやして、いま年間千円ですが、場合によっては千円を千五百円ぐらいにするとか、維持ができなければまた少し上げるとかして、二十年も据え置きでなくて、維持会費も上げながら会員をふやす。そうすることが日本動物愛護協会の動物愛護普及の真の目的なんだ。これを理事長以下どういうぼんくらかしらぬけれども、何もやっておらぬ。  しかも、この協会は財団法人でありますから税金は免除されております。だから開業医は怒るのです。確かに付帯事業については、協会の規約を見ますと、道義的に若干やってよいことにはなっております。ところが付帯事業だけに力を入れている。発足当時は完全に無料で、施療でありましたけれども、現在は有料であります。まことに逸脱している。その後方針は変わって有料診療が主になってしまっております。  ネームが、いわゆる動物愛護協会で名前がいいために、開業医全般に影響して、国民もあそこの協会だからということでネームで安心してみんな持ってくるものだから、処理できないからすぐばくんとやる、こういうことになるのです。動愛の近所でも開業医がもう二軒、最近つぶれてしまった。新宿に開業医が十六軒あるが、愛護協会という名前がいいものだから、名前が売れているので、患畜、いわゆる病気にかかっている犬、ネコの七〇%は、実態は虐待協会ですけれども、愛護協会に持っていくわけです。獣医師会とは真っ向からぶつかっている。  農林省は獣医師を大事にしないといけない。獣医師が一日、二日ストライキをしたならば、日本国民は食糧もなく食べることができず、全く困ってしまいますよ。獣医師の本当の立場を尊重して待遇改善をしなかったら大変だ。戦医師も人間の医者と同じように四年制を六年制にしてプライドを持たせて、資格を持たせてやっていこうというので、四、五年前から一生懸命唱えて、ようやく六年制に踏み切る段階になってきておりますが、こういったことに力を入れないと、本当に獣医師の犬、ネコの治療が何か日陰の医者みたいになって、私はけしからぬと思う。年間二千五百頭の患畜を協会が診ておると言われておりますけれども、実際は四万頭ぐらい扱っておる、一日平均百五十頭くらい診ておると言われております。この辺もよく監査で見てもらいたい。  いろいろ申し上げたいが、こういったことをよく監督指導して、早急に手を打つとおっしゃるので省きますけれども、動愛法にも照らして、開業医も動愛の皆さん方も目的は同じで、動物を愛護する気持ちには変わりはないわけですが、獣医師と公益法人の動愛が競合するということになりますと、開業医によって動愛法も目的達成することが不可能になってくる。協力をしなかったら大変なことになります。動愛法もざる法だとか言われ、いろいろ問題はありますけれども、せっかくできた法律でありますら、何としても一歩一歩前進させてりっぱなものにしなければいかぬ、かように思っております。動愛法は獣医師の役割りを期待しておるわけです。競合することは動愛法の目的達成することにはならない、こういうふうに思うわけです。  そういった意味で、この点も十分にひとつ監査の対象としてやっていただきたい、そして、いま申しましたように、協会の維持会員を全国的にふやしていく、こういったことについても努力をしていただきたい、かように思うわけであります。  なお、日本動物愛護協会では、目玉商品としてネコ、犬の手術が最近ふえてきました。従来は犬が多かったけれども、一、二年前からネコがふえてきまして避妊のための去勢手術がはやっております。雄の場合は四千百円、雌が五千五百円、こういうような治療費。一般開業医は犬の雄が六千円、雌が一万円、ネコの雄が六千円、雌が八千円ということになっているので、この額が少し安いためにこれを目玉商品にして、これによって一般の診療も全部集めてやる。こういうふうにして有料診療、そして過大経営になっている。その辺も指摘したいところでありますが、時間の関係でおきますので、監査の対象として十分検討して善処してもらいたい、かように思います。  そこで、いまのに関連しまして、日本動物愛護協会の附属動物病院は施療、有料診療を一切やってくれるなというのが、開業医または団体の切なる訴えであります。いわば動物の結婚相談所のようなものでありますから、里親を探してやるということがこの愛護協会の最も大事なことであります。すなわち新しい飼い主を探してやることであります。一カ所に多くの動物を収容することは好ましいことではないのです。  そこで、先ほどのに関連して申し上げますけれども、維持会員の姿勢を正してもらいたい。さっきから言うように現在は仮事務所で、移転のために協会を小さくしておりますからいまはやっておりませんけれども、実際には維持会員を今後どんどんふやしていくことに力を入れてもらう。それで東京獣医師会の会員が五百人おりますけれども東京獣医師会も全員この維持会員に入っていいというのです。ところが協会は、発足当時からいままで五百人で、一人もふえてないのです。二十年もかかって一人もふえていないのだが、獣医師会も五百人全員入っていいというのです。一人が十人の会員を募集すると五千人になります。また協会におる五百人が仮に十人ずつ募集すれば一万人になる。相当な維持会費が上がるし、また維持会費千円を千五百円に上げたら、相当な収入になる。それだけで、施療、有料診療をやらずに十分にPR、普及活動ができるわけです。こういったことをよく指導し、指摘してもらいたい。  ところが、向こうに言わせると、向こうは言い逃れで一自分たちがうま味がないものだから、有料診療をやってやはりうまい汁を吸おうと思うから、どうしてもこういうふうに言う。協会側は、開業医を全部維持会員に入れるといずれ乗っ取られると言うのです。開業医は、そんなばかなことをするかと言っている。動物愛護普及は協会の仕事であるから、これは愛護協会に任せるのだ。開業医は自分の生活がかかっている、自分の生活が大事だ。万一乗っ取られるという心配があれば、全員乗っ取らぬという誓約書を書いてもいいし、また協会が言うような、絶対乗っ取らぬような方策があれば、判をついてでもその方針に応じると言っているのです。にもかかわらず、乗っ取られる、乗っ取られると言って、自分たちは甘い汁を吸おうと思ってそういうことをするのです。この点もよく監査の対象にして指摘してもらいたい。本来の正しい姿勢に返れということで農林省は指導すべきである、私はかように思うわけです。  局長、いまいろいろ申しましたが、余りしゃべっているとまた忘れるといかぬから、この辺でひとつ決意を聞きたい。
  227. 大場敏彦

    ○大場政府委員 ただいま御指摘になりましたように、協会が家畜の病院を設置運営すること自身、私はそのこと自身は問題はないだろうと思います。ただ問題は、その規模がどの程度になるか、あるいはその内容運営の仕方がどういうような形になるかによりまして、それは財団法人としての目的にそぐうかそぐわないかというような問題が出てくるわけでありまして、その点の運営につきましては十分に注意していきたい、かように思っております。  それから開業獣医の問題については、地元の開業獣医の利益を著しく損なうということがあっては好ましくありませんので、両者の間で十分によく話し合いをするよう、重ねて指導いたしたいと思います。
  228. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 これを締めくくりにして、あとわずか二、三問お尋ねして終わりにするのですけれども、一番大事なことを申し上げましたが、財団法人日本動物愛護協会の寄付行為の第四条の二に「動物治療のために病院及び収容所を設立してこれを維持経営し、特別の事情ある者のために無料診療を行い、必要の場合苦痛を与えることなく動物を処理するための設備をなすこと。」これがくせ者なんです。これをとにかく見てもらいたいが、農林省はよく監査をする、監査をするとおっしゃるのだから、監査をして、いまの寄付行為の第二章「目的及び事業」の中の第四条二項の診療行為、すなわち施療と有料診療、こういうことについての項目を外す。監査の結果、こういうふうにひとつ指導してもらいたい。この条項が問題なんです。局長また政務次官、よろしくその点検討願いたいと思うが、御答弁願いたい。
  229. 江藤隆美

    ○江藤政府委員 外すか外さぬかということは、私は今後の運営問題にかかっておると思っております。  それは、まず私は常識的に考えるのですが、愛護協会の中にも熱心に診療行為をやっておる人がいるのではないかと思うのです。ですから、少なくとも東京に獣医師会があれば、その獣医師たる者は獣医師会に加入もして、そして技術者同士として獣医学の向上のために一つの獣医師会の中でお互いに意見の交流、人事の交流というものをやっていくという姿勢というものがやはりなければいけない。私はやはり基本的な問題はそういうところであろうと思います。  それから、そういう無料診療という項目については、実態について、どのように運営されておるかは私はつまびらかではありせんが、しかしながら中には持ち主のないものもありましょうし、あるいは資力のないものもありましょうし、そういう場合に治療費を取ることができないもの、飼い主が明らかでないものでけがをしたり病気をしたものは無料になるということはあり得ることでありまして、あながちその項を取ってのけなければ、今後の協会の姿勢が正せないという問題ではなかろう、挙げて今後の姿勢、今後の運営方針にあるのではないか、私はそういうことも十分に勘案をいたしまして今後の行政指導を行ってまいりたい、こういうふうに考えます。
  230. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 時間が参りますので、急いではしょって言いますが、後でまた政務次官にはいろいろとそのことについては申し上げますけれども、いまおっしゃったように、十分監査の結果検討してもらいたい。私が指摘したことはよくわかっておると思いますので、この四条についてはひとつ十分対処していただきたいということを重ねてお願いしておきます。  そこで、公益法人ということについて、これは大場局長、あなたに認識をしてもらわなければいかぬので、だめ押ししておきますけれども、公益法人というのは、一定の財産の収益によって賄っていく、そして運営していくというのがたてまえであります。いま一定の財産を握ったことは、本来の立場に返るよい機会だ。十億余の金で土地を売っているわけですから、いい機会である。  そこで、公益法人としては、この売り上げた十億、実際には十億二千六百十五万四千円。もう二億円は新しい土地を買っている。それからまた、いまちょっと指摘しますけれども、どうも黒い霧と言われる二億円の土地がまた神奈川県に買われている。だから、四億を引いても六億ある。だから、六億を預金すると預金利子が入る。それから債券を買ったり、貸しビルを今度するわけですが、貸しビルの賃貸料も入る。さらに維持会員を、二十年間も五百人というようなことでなくて、一万人、二万人にふやすのが仕事ですから、ふやせば十分経費は賄っていけるのです。開業医を苦しめたり、よけいな、虐殺するようなことをしないようにして維持経営し、本来のPRの仕事ができる、動物愛護の普及に専念できる、こういうふうに言いたいわけです。そういったことを十分検討してもらいたい。  そこで、こういった問題について十分これまた監査をし、指導をしてもらいたいと思うが、公益法人については、いまぼくが言ったことは、そのように理解していいか、間違いがないかどうか、時間があれですから、簡単にひとつ確認の意味でお答えいただきたい。
  231. 大場敏彦

    ○大場政府委員 公益法人の行う収益事業につきましては、これは公益法人の目的に差しさわりのない範囲内で行うということは容認さるべきものだと考えております。ただ、先ほど来先生が御指摘になりますように、公益法人の性格上その運営について一定の限界があるべきだということは、これもまたそのとおりだと思います。
  232. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 あとわずかですので、簡単に申しますので、ひとつ御協力いただきたいと思いますが、実は最後に三点締めくくりで申し上げるのですけれども、この件について早急に監査をし、対処をし、指導をするということでありますので、これはもうこの次追及するつもりでおりますが、問題だけ提起しておきます。  明星食品株式会社というのがございますが、これから日本動物愛護協会が日照権として三千万円を取ったということになっております。この「昭和四十八年度事業報告書」八十二ページ、「監査報告書要旨」ということで、ここにはっきりうたって書いてあります。これは、協会は日照権の一部として四十八年八月中旬に三百万円を受け取り、さらに十月十五日に残金の二千七百万円を受け取っております。  まあ、さらっと言うておきますから、後で議事録を見て、またよく監査の対象にしてやってもらいたいと思います。  しかるに協会は、その一カ月も前の九月中旬に、その日照権の対象となる土地を競売に出し、十月の初めにはすでにイトキン株式会社と売買の仮契約をしております。したがって、この日照権はイトキン株式会社にあるのは当然であります。  しかも、当時明星食品株式会社の本社建設予定地は、四十八年十一月一日より建築基準法の改正によって九階以上の建築不能になるため、十月末日までに動愛——動物愛護協会ですが——との話し合いがつかぬ場合は、予定の十一階を断念しなければならぬ状況にありました。  協会は、この機会を多分に利用し、理事長の地位を利用し、明星食品に対し、社会常識では考えられない三千万円を取ったものであります。  そこで、私はこれは聞きたいところでありますが、更地に対し、売りにかけているもの、もともと居住者のいないのに日照権を取ることは、道義上許されてよいものか。これはこの次また質問することにして問題提起だけしておきますので、ぜひひとつ監査して調べてもらいたい。  二つ、日照権を取る団体が公益法人の日本動物愛護協会とはけしからぬと、こういうふうに関係者は言っております。すなわち、個人企業ではないと思うがどうか。  問題の三番目は、日照権を、この監査報告によりますと、これは「移転補償金含む備考参照」こういうただし書きがあって、雑収入としてこれを書いておりますけれども、こんな監査でいいのか。これは農林省としては十分監査してもらいたい。さらに私はこれに対して申し上げたいことは、その日照権の費目がこういうふうに雑収入になっていて、費目そのものにもこれは問題がある。こういう費目で処理していいのか、こういうふうに私は言いたいわけです。こんなものが堂々と通ることはできない。まかり通っております。けしからぬと思う。  そこでもう一つは、日照権等を、居住者がいないのに過大に取ったことは、日本動物愛護協会のいわゆる公益法人としての性格からいえば、品位があるわけでありますから問題がある。この費目の雑収入とともに、私は、こういったことははっきりすべきである、かように申し上げたい。このことも、もう答弁を聞いておると時間がたちますので、ぜひひとつ監査の対象として調べて回答願う。その上でまた再度質問することにします。  もう一つ問題がございます。これももう時間の関係でさらっと言っておきますけれども、二億三千万円で、先ほどもちょっと申しましたように、神奈川県厚本市の七沢地区に約一万平方メートルの土地を購入した問題でございます。名目は動物愛護要員養成及び自然林保護。今度動物愛護協会が、十億二千六百十五万四千円手に入ったものだから、ただみたいな土地だったのがこれだけ入ったものだから、二億円で東京都新宿区の大京町三十一番地に二百八十八・二一平方メートルの土地を買う。そしてまた今度は、動物愛護のためにということで神奈川県にも土地を買っています。これはどういうことかといいますと、協会が四十八年神奈川県厚木に、約三千坪になりますけれども、一万平方メートルの土地を買った。目的は動物愛護要員の養成と自然林の保護ということになっているけれども、地理的条件あるいは地形またはその購入方法及び価格についてきわめて疑問点が多い。公益法人の監督官庁としても一応取り調べる必要があると思う。これも監査の対象として調べてもらいたい。これは、公益法人の財産処分に当たって監督官庁の許可が必要である以上、当然その資金の使途及びその運営についても指導に当たるべきだ、こういうふうに私は思うわけです。  「昭和四十九年度事業報告書」の五十ページ、「監査報告書」というのが昭和五十年二月七日に出されています。この二番目に、四項目並べて書いてありますので、もう一々申しませんが、これもひとつよく調べてやっていただきたい。  この二つについて当局から答弁と言うと時間がかかりますので、あと資料要求だけで終わりにしますので、どうかこれに対しては十分監査の対象として調べて、後日また回答いただき、質問の機会を与えてもらうということにしたいと思うので、その点ひとつ答弁をお願いしたいと思う。
  233. 大場敏彦

    ○大場政府委員 ただいま御指摘のありました件につきましては、監査の対象にしてよく調べたいと思います。
  234. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 最後に委員長にお願いします。  はしょっていろいろ質問しましたが、問題が多くありますので時間の制約で十分できませんが、時間が参りましたのであと資料要求だけして終わりたいと思います。  財団法人日本動物愛護協会付属動物病院を監査し、動物病院の実態の詳細な資料の提出をお願いしたい。特に施療の内容と頭数、不用動物の引き取りと里親の実態、不用動物の処分の方法について、そしていま私が指摘しました明星食品の日照権三千万円の問題と、二億三千万円のいわゆる神奈川県厚木市七沢地区の一万平方メートルの土地買収にまつわる問題、これらをひとつ調査の上、資料として提出してもらいたい。  いろいろ申し上げましたけれども、時間も参りましたし、これ以上時間をとることは恐縮でございますので、委員長に最後にそれだけの資料を要求しまして、私の質問を終わることにします。
  235. 今井勇

    ○今井委員長代理 ただいまの御発言に対しては、理事会で検討いたしまして処理いたしたいと思います。
  236. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 以上で質問を終わります。
  237. 今井勇

    ○今井委員長代理 次回は、明六日木曜日午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時一分散会