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1975-10-30 第76回国会 衆議院 農林水産委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    国会召集日昭和五十年九月十一日)(木曜 日)(午前零時現在)における本委員会は、次の とおりである。    委員長 澁谷 直藏君    理事 今井  勇君 理事 笠岡  喬君    理事 坂村 吉正君 理事 中川 一郎君    理事 藤本 孝雄君 理事 井上  泉君    理事 芳賀  貢君 理事 津川 武一君       足立 篤郎君    愛野興一郎君       伊東 正義君    上田 茂行君       片岡 清一君    金子 岩三君       吉川 久衛君    熊谷 義雄君       佐々木秀世君    島田 安夫君       白濱 仁吉君    染谷  誠君       中尾 栄一君    丹羽 兵助君       本名  武君    粟山 ひで君       渡辺美智雄君    角屋堅次郎君       柴田 健治君    島田 琢郎君       竹内  猛君    野坂 浩賢君       馬場  昇君    美濃 政市君      米内山義一郎君    諫山  博君       中川利三郎君    瀬野栄次郎君       林  孝矩君    稻富 稜人君       神田 大作君 ――――――――――――――――――――― 昭和五十年十月三十日(木曜日)     午前十時三十一分開議  出席委員    委員長 澁谷 直藏君    理事 今井  勇君 理事 笠岡  喬君    理事 坂村 吉正君 理事 中川 一郎君    理事 藤本 孝雄君 理事 芳賀  貢君       足立 篤郎君    愛野興一郎君       加藤 紘一君    片岡 清一君       吉川 久衛君    熊谷 義雄君       佐々木秀世君    中尾 栄一君       渡辺美智雄君    角屋堅次郎君       柴田 健治君    竹内  猛君       野坂 浩賢君    馬場  昇君       美濃 政市君    諫山  博君       瀬野栄次郎君    林  孝矩君       稻富 稜人君  出席国務大臣         農 林 大 臣 安倍晋太郎君  出席政府委員         農林政務次官  江藤 隆美君         農林省農林経済         局長      吉岡  裕君         農林省構造改善         局長      岡安  誠君         農林省農蚕園芸         局長      澤邊  守君         農林省食品流通         局長      今村 宣夫君  委員外出席者         沖繩開発庁振興         局振興第二課長 安達 弘男君         農林水産委員会         調査室長    尾崎  毅君     ――――――――――――― 委員の異動 十月二十三日  辞任         補欠選任   諫山  博君     田代 文久君 同月二十四日  辞任         補欠選任   田代 文久君     諫山  博君 同月二十七日  辞任         補欠選任   瀬野栄次郎君     正木 良明君 同日  辞任         補欠選任   正木 良明君     瀬野栄次郎君 同月二十八日  辞任         補欠選任   諫山  博君     津金 佑近君 同日  辞任         補欠選任   津金 佑近君     諫山  博君 同月二十九日  辞任         補欠選任   諫山  博君     田代 文久君   林  孝矩君     正木 良明君 同日  辞任         補欠選任   田代 文久君     松本 善明君   正木 良明君     林  孝矩君 同月三十日  辞任         補欠選任   上田 茂行君     加藤 紘一君   松本 善明君     諫山  博君 同日  辞任         補欠選任   加藤 紘一君     上田 茂行君     ――――――――――――― 九月十一日  国が行なう民有林野の分収造林に関する特別措  置法案(芳賀貢君外十名提出、第七十一回国会  衆法第一七号) 十月十一日  昭和四十四年度以後における農林漁業団体職員  共済組合からの年金の額の改定に関する法律等  の一部を改正する法律案内閣提出第二六号) 同月二十七日  農産物価格安定法の一部を改正する法律案(神  沢浄君外三名提出参法第六号)(予)  砂糖の価格安定等に関する法律及び甘味資源特  別措置法の一部を改正する法律案神沢浄君外  三名提出参法第七号)(予) 九月三十日  酪農経営の安定に関する請願鈴木善幸君紹  介)(第六七号)  漁業経営危機打開に関する請願鈴木善幸君  紹介)(第六八号)  圃場整備事業通年施行奨励金制度継続に関す  る請願鈴木善幸紹介)(第六九号)  大阪京橋地区場外馬券売場設置反対に関す  る請願稻富稜人君紹介)(第一二六号) 十月六日  漁業経営安定対策に関する請願關谷勝利君紹  介)(第二三二号)  大阪京橋地区場外馬券売場設置反対に関す  る請願東中光雄紹介)(第二六〇号)  同(井岡大治紹介)(第三三六号)  かんしよ及びかんしよでん粉価格引上げ等に  関する請願山中貞則紹介)(第二六一号) 同月十三日  乳価引上げ反対及び二重価格制度制定に関  する請願中路雅弘紹介)(第六〇二号)  同(増本一彦紹介)(第六〇三号) 同月十六日  乳価引上げ反対及び二重価格制度制定に関  する請願石母田達紹介)(第六九六号)  昭和五十年産米穀政府買入れ数量限度引上げ  に関する請願伊東正義紹介)(第七五〇  号)  大阪京橋地区場外馬券売場設置反対に関す  る請願浅井美幸紹介)(第八〇三号) 同月二十八日  水田総合利用対策における葉たばこの取扱いに  関する請願鈴木善幸紹介)(第一一五六  号)  太平洋中型さけます流し網漁業に係る漁獲物  の陸揚港の選定に関する請願鈴木善幸君紹  介)(第一一五七号)  昭和五十年産予約限度超過米政府買入れに関  する請願鈴木善幸紹介)(第一一五八号) 同月二十九日  中国輸入羊腸消毒免除に関する請願(吉田  法晴紹介)(第一三五四号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 十月二日  農業基本政策確立等に関する陳情書  (第七〇号)  圃場整備事業通年施行奨励金制度継続に関す  る陳情書外三件  (第七一号)  農業構造改善事業充実強化に関する陳情書外  一件  (第七二  号)  市等公共用地取得促進のための農地法施行令  の改正に関する陳情書  (第七三号)  沖繩県産とうきびの最低生産者価格に関する  陳情書外十九件  (第七四号)  麦の生産振興に関する陳情書  (第七五号)  果樹所得共済制度実施に関する陳情書  (第七六号)  てん菜振興に関する陳情書外三件  (第七七号)  国内産そば増産対策に関する陳情書  (第七八号)  漁業経営安定対策確立に関する陳情書外九件  (第七  九号)  林野事業振興対策に関する陳情書  (第八〇号)  林業労働者救済対策に関する陳情書  (第八一号)  大阪京橋地区場外馬券売場設置反対に関す  る陳情書  (第八二  号) 同月二十一日  荒廃農地活用対策確立に関する陳情書外一件  (第一三一号)  農業災害補償法改正に関する陳情書外一件  (第一三二号)  水稲のかめ虫被害対策確立に関する陳情書  (第一三  三号)  果樹所得共済制度実施に関する陳情書  (第一三四号)  沖繩県産とうきびの最低生産者価格に関する  陳情書外三件  (第一三五号)  昭和五十年産てん菜及びばれいしよ等の価格に  関する陳情書  (第一三六号)  昭和五十年産てん菜最低生産者価格等に関する  陳情書  (第一三七号)  昭和五十年産いもでん粉基準価格等に関する  陳情書  (第一三八号)  中国羊腸輸入消毒免除促進に関する陳情書  (第一三九号)  水産食糧資源の確保及び安定供給に関する陳情  書  (第一四〇号)  漁業経営安定対策確立に関する陳情書  (第一四一号)  水源県の造林事業に対する国の特別財政措置に  関する陳情書  (第一四  二号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  国政調査承認要求に関する件  昭和四十四年度以後における農林漁業団体職員  共済組合からの年金の額の改定に関する法律等  の一部を改正する法律案内閣提出第二六号)  農林水産業振興に関する件(大豆いも及び  てん菜価格問題等)      ――――◇―――――
  2. 澁谷直藏

    澁谷委員長 これより会議を開きます。  国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。  一、農林水産業振興に関する事項  二、農林水産物に関する事項  三、農林水産業団体に関する事項  四、農林水産金融に関する事項  五、農林漁業災害補償制度に関する事項以上の各事項について、衆議院規則第九十四条により、議長に対し、国政調査承認を要求することといたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
  3. 澁谷直藏

    澁谷委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、その手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
  4. 澁谷直藏

    澁谷委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう取り計らいをいたします。      ――――◇―――――
  5. 澁谷直藏

    澁谷委員長 農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  大豆基準価格、芋の原料基準価格及びてん菜最低生産者価格決定等について、政府から説明を聴取いたします。澤邊農蚕園芸局長
  6. 澤邊守

    澤邊政府委員 先般十月二十日に大豆基準価格決定をいたしました。  お配りしてございます資料をごらんいただきますと、基準価格は、前年比一〇九・三%、一俵、六十キログラム当たりでございますが、九千六百七十二円と決定をいたしました。御参考に、前年は八千八百五十円というのが掲げてございます。  なお、本年産は、価格の適正な引き上げを行うために、算定方式てん菜カンショ及びバレイショの場合と統一をいたしまして、次のように改めて算定をいたしております。  従来方式といいますのは、基準年次、三十一年-三十四年の販売価格平均に掛けますことの基準年次、同じく三十一年-三十四年の平均パリティ分のごく最近月のパリティ、当時でございますと八月までわかっておりますので、八月をとるという方式をやってみますと、一〇六・七%という引き上げ率になりますが、今回その算定方式を改めまして、前年の基準価格、昨年決定いたしました基準価格に、分母として昨年の四月から八月まで、といいますのは生育期間でございまして、生育期間はもう少しございますけれども、分子にとります今年度が八月分までしかとれませんので、一応四月から八月までを生育期間を代表させまして、昨年の生育期間パリティ平均に対する今年の四月から八月までのパリティ平均分子といたしましたものを掛けまして、九・三%の引き上げということに決定をいたしたわけでございます。  以上でございます。
  7. 澁谷直藏

  8. 今村宣夫

    今村(宣)政府委員 まず芋の原料基準価格決定につきまして御説明を申し上げます。  カンショ及びバレイショ原料基準価格は前年比九・三%のアップということで決定をいたしまして、お手元資料にございますように四十九年カンショ一俵当たり六百八十四円を七百四十七・三円、バレイショにつきましては一俵当たり七百二十円を七百八十六・六円ということにいたしたわけであります。従来のパリティ方式でいきますと上げ幅が非常に低うございますので、生育期間中のまるまるのアップ率を見るという趣旨におきまして、政令に所要改正を加えて、四-八分の四-八という形の方式といたしたわけであります。  でん粉につきましては、それぞれお手元資料にございますような引き上げを図ったわけでありますが、芋の取引価格については関係者において最善努力を行うということで、指導価格を、昨年は一千円であったわけでありますが、農家手取り額としまして一千五十円として所要指導を行ってまいりたいと考えておる次第であります。このため、国といたしましては、十億円を目途とした臨時特例的な助成措置を講ずることにいたしますと同時に、関税割り当て制度の適正な運用に努めると同時に、また、需給上過剰となりますでん粉につきましては、必要があれば政府買い入れを行いたいと考えておる次第でございます。  次に、てん菜でありますが、てん菜最低生産者価格は九・二%アップの一万二千百四十円といたしたわけであります。次の算式にございますように四-八分の四-八ということで算定方式改正をいたしてございます。  てん菜糖事業団買い入れ価格は十八万八千六百円ということで、買い入れ価格アップ率は一三・三%ということでございます。  しかしながら昨年御存じのとおり三千八百六十円の奨励金を加えまして農家手取り価格水準を一万五千円といたしておったという経緯もございまして、この価格に昨年と同額の奨励費を積みまして、てん菜農家手取り価格水準というものを一万六千円といたしたわけであります。  このてん菜奨励金支払いにつきましては、国と企業責任を持つ。といいますことは、企業支払いができない場合にありましては、国がその全部または一部を支払うという形の方針といたしておるわけでありまして、糖価安定事業団の売買を通じます適正な運用と相まちまして、今後の事態に応じ、政府としましては所要措置を検討してまいりたいと思っておる次第であります。  以上でございます。
  9. 澁谷直藏

    澁谷委員長 以上で説明は終わりました。     ―――――――――――――
  10. 澁谷直藏

    澁谷委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。美濃政市君。
  11. 美濃政市

    美濃委員 ただいまの報告につきまして若干の質問をいたします。  まず第一に、でん粉指導価格についてお尋ねをいたしますが、この指導価格というのはどこまで行政上の責任を持つという考えに立っておるのか、それをもっと明確にお伺いしたいと思います。
  12. 今村宣夫

    今村(宣)政府委員 お話指導価格は、別に法制上のいろいろな要請あるいは根拠があるわけではございませんけれども、やはりでん粉生産及び需要その他の諸般状況考えまして、また国の現在あります諸般制度の適正な運用を通じてその程度水準農家手取りとして所得できるようなことにいたしたいという、そういう趣旨もとに、国がそれぞれ所要関係団体要請をいたしまして、関係団体としてもそのような努力をするということに相なっておる価格水準であるというふうに考えております。
  13. 美濃政市

    美濃委員 関係団体努力をして、まあ指導価格ですから、原料バレイショあるいは原料カンショについては指導価格支払いなさい、こういうふうになるわけですが、ここに告示価格が出ておりますが、そうすると指導価格にして計算すると、カンショバレイショでん粉は何ぼになるのですか。
  14. 今村宣夫

    今村(宣)政府委員 指導価格ベースにしましたでん粉価格は、いま数字をチェックいたしておりますので、それができますれば申し上げますが、先ほどの御説明に敷衍しまして、若干申し述べさせていただきますと、私たち指導価格千五十円を農家にお払いするということにつきまして、実は全農系統とも十分その点をお話し申し上げたところであり、また農協系統以外の全澱連商人系統工業組合とも十分お話しを申し上げ、それから同時にでん粉を使いますブドウ糖工業界の方とも十分話をいたしまして、なかなか本年は苦しいけれども、千五十円を支払うようにするというベースの上に立って、指導価格を千五十円といたしておるわけでございまして、あるいは非常なへんぴなところでございますとか、そういうところはなかなか千五十円を払うことはむずかしいかと思いますけれども、主要なる主産県及び大部分の地域におきましては、そういう水準価格が支払われるものと考えております。  なおまた、そのためには、国といたしまして十億円をめどとして所要奨励措置を講ずると同時に、でん粉需要状況によりまして、たとえばバレイショでん粉を数万トン買うということによって市場価格を維持するというふうな措置も講ずる。あるいは、御存じのとおり、カンショでん粉につきまして糖化用関税ゼロのコーンスターチを割り当てておるわけでございますから、そういう割り当て比率の適正な運用等によりまして、そういう水準が維持されるように努めてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  15. 美濃政市

    美濃委員 いまのお話の中で政府一定量を買い上げる、私の想定でもそうなるのではないかと思うわけですが、その場合、千五十円の原料価格で計算すると、バレイショでん粉は大体一トン十五万円ぐらいになるのではないかと思うのです。ここに書いてある五十年の政府買い入れ価格は十一万一千五百四十円、指導しておるのだから十五万円で買うということですか。それともこの差額はどういう方法政府は見るという考えですか。
  16. 今村宣夫

    今村(宣)政府委員 御存じのとおり、農安法政府過剰でん粉を買い上げますときには、告示価格でしか買えないという状況に相なっております。したがいまして、政府買い入れますバレイショでん粉について申し上げますと十一万一千五百四十円で買う、こういうことに相なります。そうしますと、原料につきまして申し上げますと、千五十円をたとえばホクレンが払わなければいけませんときに、政府の馬でんに見合いますバレイショ原料価格は七百八十六円ということでございますから、千五十円と七百八十六円との差額は埋まらないということに相なります。しかし買い入れます政府でん粉は一部でございますから、たとえばそれが五万トンであるといたしますれば、全体のうちの五万トン分はそこに穴があきますけれども、そのほかのでん粉販売努力によりましてそれをカバーして、共同計算によりまして全体が千五十円の水準が払われるように私たちとしても御協力をするし、ホクレンとしても販売努力をしていただく、かように相なっておるわけでございます。
  17. 美濃政市

    美濃委員 そういけばいいのですけれども、いかなかった場合どうなるのですか。いま局長の答弁のようにそのとおりいけば、それは千五十円というのを払って生産できるからいいですけれども、いかなかった場合、その指導価格について、買い入れのほかについてはどういう措置をしようとしておるのか。いけばそれでいいのです。いかなかった場合です。そうならなかった場合です。
  18. 今村宣夫

    今村(宣)政府委員 私たちとしましては、関係者努力及び私たちの行政的な努力によりまして、そのようなことが実現することに努めてまいりたい、かように思っておるわけでございます。
  19. 美濃政市

    美濃委員 くどいようですが、そう一方的に局長は言い切ってしまうが、ここではっきりしておかねばならぬと思うのです。それだけ局長自信があるのであればこれ以上言わなくてもいいのですが、いかなかった場合に、いわゆる指導した農林省責任というもの、これを私どもは追及をする。いけば追及する根拠はなくなる。根拠というよりも、これは経済問題ですから、追及する必要はなくなる。しかし、いまの情勢から見ると、いわゆるこの指導価格でん粉を売れるかどうかがなかなか困難な情勢にあると私は思うわけです。  結局販売量をしぼっていけばある程度価格の維持はできると思うのです。残れば政府に売り渡す。一応端境期に昨年残ったものとことしの新物を合わせれば、北海道バレイショでん粉供給量が十九万トンというふうに言われておりますが、十九万トンがどれだけ売れ残るか。三万トン残るのか五万トン残るのか。まあ五万トン以上は残らないだろう。私もそういうふうに思っておりますけれども、これを十一万一千五百四十円で売り渡すと、五万トンであれば四万円の差が出ると二十億という差損が出るわけですね。それをどうするかと聞いておる。しかし局長はそうならないようにすると言うが、本当に自信がありますか。具体的な責任体制はここで聞かぬでもいいですから、ならなかった場合には絶対責任をとりますか、これを一言聞いておきたいのです。なれば責任追及はいたしません。なったのですから追及する根拠がないし、また追及する必要はないですから。絶対するとあなたは言うのですから、絶対すると言ってならなかった場合、いやならなかったから仕方がないのだ、それでは済まされぬと思うのですね。どうですか。
  20. 今村宣夫

    今村(宣)政府委員 この千五十円を決めます過程におきましては、先ほども申し上げましたように、全農ホクレンを初めとします系統団体あるいはまた工組糸と言っておりますが、商人系統でん粉製造業者のそれぞれの責任者、あるいはまた消費者であるブドウ糖業界とも十分話し合って、最善努力をして、こういうことにいたしたいということにいたしたわけでございます。もとより、先生の御指摘のようにこの水準を確保することは容易なことではないと私も思っております。しかし、そういう関係団体の一致した努力によりましてそれを実現をいたしたいというふうに考えておるわけであります。たとえば、具体的な方法としまして、いま申し上げました政府買い入れでありますとかあるいは三月以降の関税割り当て制度運用におきます、たとえばコーンスターチ割り当て数量をどうするかという問題もございます。あるいはまた甘でんにつきまして言えば、その抱き合わせ比率をどうするかという問題もございます。そういう問題につきまして、今後の市価の水準をよく見ながら、関係団体十分話し合って、そういう政府としてできます最善のことはいたしながら、その努力を続けてまいりたいというのが私の気持ちでございます。
  21. 美濃政市

    美濃委員 この問題はこの程度にしておきます。ここでこれ以上論議を続けることは避けまして、お手並みをひとつ拝見しておるということにいたします。お手並みがうまくいかなかった場合にはその結果によってまたやります。  ここで大切なことは、北海道バレイショでん粉については、御存じのようにほとんどもう九〇%は農協体制ですから、決めた指導価格で大体買い入れをやっております。買い入れというよりも、共販ですから、一応芋代金を払っております。ところが、鹿児島県その他のわが党の議員から聞いた話では、九州地方業者は買わないと言うのですが、それに対する指導はどういうふうにするのですか。千五十円で買えないと言って買わない、これが実行されていないというのですが、これは決めた以上は実行させなければならない。指導して実行さしせなければならぬと思うのですが、それに対する対策はどういうふうに考えておりますか。
  22. 今村宣夫

    今村(宣)政府委員 甘でんにつきましては、全農系統の方におきましては千五十円の農家手取り価格をわりあい早く決めてもらったわけでございます。系統として決定をしてもらったわけでありますが、私たち工組糸と申しておりますけれども、商人系統でん粉製造業者におきましては、告示価格以上は払えないということを当初からずっと主張をしてきたところであります。しかし、やはり系統と同じような扱いをしてもらいたいということで、私たちとしましては県を通じ、あるいは直接いろいろそういう要請をいたしまして、非常に苦しいけれども千五十円を支払うということに相なっておるわけであります。もとより、それができるためにはブドウ糖工業界でそういう需要がなければいけませんので、そちらの方とも十分話し合って千五十円を支払う、もちろんこれはすべての県ではございませんで、鹿児島、宮崎あるいは長崎、千葉といったでん粉主要主産県におきましてはそういう水準で払うということの決定をいたしておりますので、私としましてもその線に従って十分指導をしてまいりたいと考えております。
  23. 美濃政市

    美濃委員 次に、てん菜の問題でお伺いいたしたいと思いますが、この今回のてん菜価格決定に当たって、昨年は国際糖価が異常に暴騰しておったという関係もありまして、いわゆる糖業から奨励金を出させるというような習慣、習慣といいますか、そういう方法を昨年からとり始めておる。しかし、御存じのように急激に変動するこの国際価格を対象に奨励金を上積みするとかしないとかというような決定方式というものに、まず第一番に問題がある、こう私は思います。こういうことは長く続けるべきではない。また、非常に変動の高い国際糖価を対象に国内――サトウキビについても同様です。ビートとサトウキビは同じように解釈をしてもらいたい。両方ともそういう考え方で生産価格決定されていくという方式は、ことしも一部そういう方式をとられておりますが、これは早期になくして、特に今度のサトウキビはまだ決まっていないわけですから、サトウキビを決める段階では、この方式は間違いであるという考えに立って、いわゆる国内産糖が、農林省で計画しておる自給率が順調に保てるように、ということは、再生産が可能である価格でなければならぬということでありますから、国内のサトウキビの再生産可能な価格算定して決めていく、こうしなければならぬと思うわけです。  同時に、私どもは今回の国会の日程の都合もありまして、参議院には社会、公明、民社三党共同提案で糖安法の改正を出しておるわけです。二十一条を改正して生産費所得補償方式にせよ、その他の改正点もありますけれども、きょうは時間がございませんから、価格問題を重点に質問したいと思いますので、その他の改正点には触れませんが、早期に二十一条を改正していわゆる所得を補償しなければ、一定の国内の産糖量を確保していくということは、行政的にあるいは観念的にはそういうことを言っても、実際に耕作する農民はつくれない。所得を得られない作物を耕作して生活をすることはできないわけですから、これについてどうお考えになっておるか。まず、ビートの価格決定はやはり間違いであったという観点に立って、サトウキビの決定の方については、いま申し上げた点を、二十一条をいま直ちに改正してサトウキビを決めるというのには間に合わぬですから、二十一条は改正しなくとも、やはり法律は幅を持たしてあるわけで、単にパリティだけで決めるとはなっていないわけであって、いわゆる物価その他の経済事情を参酌して、甘味作物の再生産を確保することを旨として定めるということになっておる。再生産ができない価格を決めて、それでいいとは法律に書いてないわけですね。それをどうお考えになっておるか。
  24. 今村宣夫

    今村(宣)政府委員 昨年一万五千円という農家手取り水準といいますか、そういうことにいたしましたのは、これを上げ幅で言いますと五〇%上がったというかっこうに相なっております。     〔委員長退席、藤本委員長代理着席〕 当時そういうことができましたのは、非常な輸入糖の高水準、しかもその後輸入糖の価格は高い水準を維持するであろうということの前提の上に立って、そういう一万五千円ということが決められたものであろうというふうに推測をいたすわけでありますが、今後国際糖価がどういうふうに動くかということはなかなか予断を許しませんけれども、昨年のようなことはない、むしろ弱含みであるということの前提に立ちますと、こういうふうな奨励金の出し方は、私は必ずしも適当であるとは考えておりません。しかし糖価いかんによりましては、やはり精糖企業もビートの生産振興に何らかの役割りを果たすべきものであるということもまた事実であります。したがいまして、必ずしも最善方法とは考えませんけれども、やはり砂糖という一つの状況をとらえてみます場合にあっては、少なくとも昨年のような状況においては一つの方法であった。またことしといたしましても、たとえばそういう農家手取り額を下げるというわけにはまいらないわけでございます。むしろ何とかして、これを上げていかなければいけないという状況を踏まえますと、必ずしも最善方法とは考えられませんけれども、今年のてん菜価格決定につきまして、御承知のような経緯のもとに一万六千円ということが決定されたわけでございます。  今後どういうふうにやっていくかは先生御指摘のようにいろいろな問題がございます。ただ単に生産価格決定方式の問題だけではない。上下する輸入糖の価格変動というものが、いまの糖安法によりまして価格の世界ではなるほどある程度ならされて国内に入ってまいりますけれども、国内の糖業界の事情、あるいは砂糖の需給ということ全体をにらみ合わして、今後どのようにしていくかということの問題につきましては十分慎重に検討してまいる必要があるというふうに考えております。
  25. 美濃政市

    美濃委員 いまお話を聞いておると、確かに昨年、これは告示価格を上げたわけじゃないわけですけれども、一万五千円を奨励金をつけて実現した。それは従来の価格から見れば五〇%の引き上げである。しかし昨年の告示価格一万一千百十円という価格そのものが――統計情報部の生産資料によりましても一万一千百十円で生産された四十九年度てん菜に対するいわゆる一日当たりの家族労働報酬は千二百何ぼとか書いてありますね。これはまた前食品流通局長の森局長が何回も言っております。計算の中で何か置き忘れたものがある。たとえばパリティの計算とか、そういうものに過去通算してきた計算上の不備がある、著しく低い。そのことは昨年の小委員会でも森局長は言っておりますね。各農産物の中でこれは一日当たり家族労賃何ぼになるかというわが党の芳賀委員の質問に対して答弁しておる中でも、これは全然生活できる所得にはなっていないということを前局長は表現しておる。そういうことがあって一万五千円という――まあたまたま国際糖価も高かったということで糖業から出させた。しかしこれは国の制度でやっていかないといけない。いま局長の言われたように、何らかの形で糖業もてん菜振興に一役買う必要がある、それはそのとおりだと思うのです。そのとおりだとは思うけれども、片や国際糖価の管理をやはり輸入も一元管理体系にして、たとえば国内産糖と輸入糖とをECのようにプール価格で市場へ出すような強力な機能でも糖価安定事業団に持たして、そして事業団の調整でその条件を解消するからという裏づけでもあればいいですけれども、現在の国際糖価と国内糖価との関係の中において、糖業に何らかの責任があるといって糖業にことしは三千八百六十円出させるわけですが、しかしそのとおりに国際糖価がいかなかった場合には――これはなると思うのですね。で、こういう決定ではだめだと思うのです。ですから私がいま申し上げておるのは、てん菜決定したわけですからてん菜だけを申し上げておるのでなくて、こういうことではだめだということです。これから決めるサトウキビについてはこういう考え方を改めて、二十一条を直ちに改正して決定するということは間に合わぬわけですけれども、改正しなくともここに書いてあるわけですから、この二十一条の趣旨を実態に合うように判断すれば、ことしの決定であれば、この方式を準用して、このてん菜糖を決めたガイドラインをサトウキビにかぶせて計算してみれば、およそ出てくるわけですね。それでは一時間当たり家族労賃は五百円程度になってしまうと思うのです。それを上回るということはないです。一時間当たり五百円という労賃は、いま補正予算も出ておりますけれども、高校卒初任給です。一年間の支給額を二千時間で割れば五百円ですよ、初任給は。これでは、全部農家は家族を構成しておるわけですから、親たちや子供を扶養するに足る労賃ではない。だからこれはつくれないということになっていくわけですね。そこに問題があると思うのです。  それからもう一つは、このパリティに問題があります。ことしの米の生産者米価を決めたとき全農あるいは通産省で公表しておる農業生産資材の値上がり率は、化学肥料が二七%、農薬が一七・七%、輸入大農機具が一五%、国産の大農機具が一〇%です、それに対して米の場合多少ごまかしておりますね。米価の決定のとき肥料は二四で計算しております。ここで食糧庁が言ったわけです。速記にも載っておりますが二四%、農薬は一四%、大農機具八・六%。公表されておる値上がり率を下回ってことしの米価が決定されておる。  ところがてん菜に至っては、これはサトウキビに準用するしかないかわからぬけれども、てん菜決定をサトウキビに準用するとしたら九・六でしょう。農業生産の重要資材で九・六%の値上がりというものはないんですよ。こういうものが前局長の言うておったいわゆる何か置き忘れたものがある。パリティパリティというけれども、こういう経済が著しく変動するときにはパリティそのものでは間に合わぬわけですね。そういうものを全然修正しようとしない。全く実情に合っていない価格決定だということが言えるわけです。  サトウキビはどう決めるのか。いま北海道てん菜生産者は本当に心理的に動揺しております。北海道の寒冷地作物として、輪作計画上あるいは経営上、畑作専業農家というものは、てん菜という作物を経営上から外すということは、非常に経営の安定を欠くということになるわけです。しかし、価格上これではもうつくれない。つくっても生活ができない。サトウキビがまた同じ条件に置かれていくわけですね。ここでサトウキビが直れば、来年決めるときにはビートも直るだろうということで、来年の生産意欲も出ると思うんです。  ところが、このてん菜を決めたガイドラインで同様にサトウキビも決めてしまうということになれば、もうこれは国内産糖自給確保は放棄したということになるのではないですか。放棄の政策だということになると思うんです。将来の展望として、国内産糖は農林省の発表でも八十万トンくらいの構想は持っておるわけですね。また、そのくらいは生産していかなければならぬと思うわけです。八十万トンあれば国民一人当たり八キロありますから、経済的な変動や、あるいは将来どういう変動が起きないとも言えないし、また、つい最近ロンドン市場で六百ポンドまでもいったわけですが、ああいうことがまた重ねて起きないとも言えない。将来の問題としてそういう経済上の問題もあるでしょうし、また、国際的には事変的な問題で輸入がストップすることもないとは言えないわけですね。そういう場合においても、国民一人当たり八キロの自給率を持っておれば、乳児用や病人用の最低自給の確保には通ずると思うんです。いまアジア地域の発展途上国の国々では、六キロ、八キロという国民一人当たりの消費量の国も相当あるわけですから、最低自給率は確保できておるということになると思う。最低自給率というか、最低必要量は確保できておるということになる。  それをするには、やはりいまの政策じゃだめだと私は思うのです。何としてもいまの考え方、こういう政策で、その自給率を確保すると行政屋や政治家が口や頭で描いて放言しても、実際に耕作する農民は生活できないからその政策には同調することができない。つくりたいんだがつくれないということになるわけですね。どういうふうにお考えになっておりますか。サトウキビの価格決定はどうしますか。ガイドラインをかぶせるというか、時期がもう迫っておるんだから、あなたらの構想の中にはあると思う。ビートと同じガイドラインをかぶせて決めるというのか、それとも新たな観点に立って、再生産可能な価格で決めるというのか、ここではっきり答弁してもらいたいと思う。
  26. 江藤隆美

    ○江藤政府委員 政府価格算定の仕方がことごとく誤っておったというふうに聞き取れるわけですけれども、私はそうは思ってないのです。昨年は、御存じのように、生産者団体の要求はトン当たり一万五千円でした。そこで、一万五千円をまるまるのもうではないかといって一万五千円にしたわけです。北海道は、御案内のように、十勝地方が天候その他の関係で残念ながら反別が減りまして、価格だけではなかなか増反はできないものだという一つの教訓を私どもは与えられたと思っております。しかし、御存じのように、サトウキビにおいては、鹿児島県は作付反別は六%伸びておるわけです。沖繩県では一八%伸びておるわけでありまして、私どもは、昨年の価格決定のやり方というのは間違っていなかった、このように思っております。  ことしの決め方等につきましては、ビートがすでに決まったことでありますから、それらのことも参考にしながら、周囲の、置かれておる状況もよくよく勘案して、適正な価格に決めてまいりたいということで、いま政府部内で鋭意検討をしておるさなかであります。  御案内のように、昨年決めますときには、いま美濃委員もおっしゃったように、国際糖価が、一年間のうちに、トン当たり九十ポンドしておったのが、五百ポンドにも六百ポンドにもなるという異常な状態でありました。国内のいわゆる原糖価格が空前絶後、それこそお互いがびっくりするほど高くなった。そういう中にあって、企業も国内産糖によって利益を得るであろうというようなことから、あのような措置をしたわけでありますが、今日はそうした国内の経済情勢はともかくとして、海外のそうした置かれておる情勢というのは全く違った状況にあります。下がったときには百六十ポンドにもなっておりますし、きのうくらいは恐らく百七十ポンド前後しておるのではないかと思います。そういう非常に異なった経済情勢がありますから、そこいらも勘案しながら、残された日はわずかでありますから、今後の価格を決めてまいろう、このように思っておるところであります。
  27. 美濃政市

    美濃委員 いま政務次官の百七十ポンドとか百八十ポンド、それは私も覚えておりますけれども、そういう極端に変動のある価格を加味して近く決定しようと言う、そういう極端な価格変動を国内産糖価格算定基礎の参酌事項に持ち込んでくるということ、そのことが価格決定の過ちである。  有利に決めたと言うけれども、しからば、一万五千円に決めたならば、五十年度の価格算定する基礎は一万五千円でなければならぬでしょう。一万一千百十円を基礎にして計算しておるのですから、一万五千円というのは砂糖が高いからたまたま糖業者に出させたということであって、政策的な裏づけが何もないわけだ。算定の基礎は一万一千百十円にしておる。そこでどういう結果が起きておるかというと、これはサトウキビにも大体同様の結果が出てくるわけです。私の言うことが違うと思ったら、統計情報部から情報をとってください。北海道てん菜は先ほど申し上げたように肥料、農薬、油類も上がっておりますから、そういう生産資材の値上がりによって生産費、物財投下費は十アール当たり五千円以上増加しておる。一応ここでは五千円と申し上げておく。五千円を下回ることはありません。それに対して、去年農家手取りは一万五千円でしょう。ことしは一万六千円なんだ。四トンとって四千円しか上がらない。現実に家族労賃は十アール当たり十円去年より安い価格でビートの取引が現在行われておるわけだ。この現実というものを認識してもらわなければ、いま言ったように安い国際糖価の変動価格も加味するのだなんていって決定したのを見ると、本当にこの物価高の中で、サトウキビやてん菜生産しておる農家の所得は、現実に十アール当たり千円、二千円減るような価格決定されておることは事実なんですよ。それで間違いがあるとは思いませんと政務次官がそこで胸を張ってマイクの前でしゃべっておったって、農民はそんなこと納得しませんよ。現実を知らぬからそういう答弁が出てくると思うのですね。だから困るのですよ。そういう現実を知らない者が政治をやって、りっぱなことをやっておるのだ、五〇%も上げたではないか。なるほど起きておる現象はそうなんですけれども、現実はそういうふうにならないということは、いわゆる過去における歴史、価格算定の積み残しといいますか、もう一回繰り返しますけれども、前局長がいつも何か計算上の不合理性があるということを公式の会場で言っておるわけですね。そういうものがあるから、五〇%上げてもいま言ったような状況にしかならないわけです。どの作物よりも所得補償は低い。率直に申し上げて、今回決まったバレイショ指導価格よりも所得は低いです。奨励金を含めた大豆よりも低い。とにかくことしこういうビートで決めたガイドラインで決めるのであれば、サトウキビもてん菜も一時間当たり家族労賃所得補償は五百円以下になるわけですから、五百円などという労賃はないわけですからね、世帯を構成しておる労賃で。それではできないということははっきりしておるわけなんだ。それで政務次官は、りっぱなことをやっておるのだ、ある程度のことをやっておるのだ。それはあなた、現実を知らぬからそういう答弁をするわけです。
  28. 江藤隆美

    ○江藤政府委員 私が申し上げておるのは、昨年の生産者の要求は一万五千円でありました、その一万五千円に所得を補償したわけでありますから、間違っておるとは思っておりませんと言っておるわけです。あなたは、おまえは現実を何にも知らぬとおっしゃいますが、私はあなたほどは存じておりませんけれども、ビートのことは六年間やっておるつもりであります。しかも私は二年間小委員長も務めまして、北海道にも何回も行ってきました。あなたほどは存じませんけれども、いささかなりとも勉強はいたしておるつもりでありますから、何も知らぬというきめつけ方は私は適切ではない、このように思います。
  29. 美濃政市

    美濃委員 実情を知らないと私は重ねて言います。あなたがそれだけ言うならば、その一万五千円を政策的にやったのであれば、ことしの価格算定基礎をどうして一万五千円にしないのですか。一万一千百十円でしょう。あなたはそう言うけれども、一万五千円を現実に法律上の政策から認めていないじゃないですか。それではやれていないと私は言いますよ。それはたまたま砂糖が高かったから、糖業から出させて一万五千円手取りにしたという現実、これは認めるし、去年の要求は一万五千円だったのだ、それはあなたの言うとおり認めますよ。何にも知らぬとは言いません。それをあなたが胸を張ってそこで言うならば、われわれ野党と違って政策を担当しておるのだから、どうして一万五千円をことしの基礎価格にしないのですか。一万一千百十円にそろばんを入れるのですか。その一万五千円を、去年やった現実は間違っておるとは言いません、それはあなたの言うとおり認めますよ。要求価格は一万五千円。それならなぜ一万五千円からことしの算定をしないのですか。一万一千百十円ではじいて、その改定そのものが、さっき申し上げたように、農業資材の現実の値上がり率とパリティは合っていない。そういう不合理性の中からことし決まった価格、それはビートを同じガイドラインをサトウキビにかぶせたら、全く農民は生産意欲をなくし、農民は生産していけない価格になる。これは間違いありません。それを知らぬのであれば、あくまで政務次官はそういう現実を知らぬから、こういうガイドラインをかぶせてビートの価格決定された、これは何回でも言いますよ。  しかし、時間がありませんからもう平行線は言いませんけれども、それを言っておるわけですよ。一万五千円ということと今回決まった価格とは差があるのですよ。答弁は要りませんから、その一万五千円を現実の政策に生かしなさいよ。それも生かせぬで、一万五千円やったのだからおれは覚えておると言ったって、そんなことは覚えておると認めるわけにはいきません。
  30. 江藤隆美

    ○江藤政府委員 何回もおっしゃると言いますけれども、私もおまえ何も知らぬと言われたら、何回でも知っちょりますと言います。
  31. 美濃政市

    美濃委員 以上で終わります。  最後に言っておきますが、やはりその点だけは間違わないように、感情的にならぬように。一万五千円だとあなたが胸を張って言うなら、一万五千円をやはり基本価格にするだけの政策も誠意も持たぬで、一万一千百十円では一万五千円は死んでおるわけだから、生かしていないわけだから、それを生かさぬで価格を決められるところに問題があるわけです。
  32. 藤本孝雄

    藤本委員長代理 諫山博君。
  33. 諫山博

    諫山委員 政務次官に質問します。  政務次官は南九州の出身だから、カンショの事情にお詳しいと思います。でん粉工場か鹿児島県に大体八十七ぐらいある。来年の六月から水質汚濁防止法によって規制が厳しくなりますから、このままであればほとんどすべてのでん粉工場がこの規制を受けて操業できなくなるのじゃないかという深刻な状態です。これが操業できなくなると、南九州のカンショというものは壊滅的な打撃を受けざるを得ない。  そこで、ことしの十月七日に私たち共産党国会議員団は、甘味資源の振興についていろいろ申し入れをしたのですが、その中に、でん粉工場の公害防止施設に対して国が助成措置を講ずるべきだ、一工場六千万円程度あれば足りるというからやる気になればそう困難ではないのじゃなかろうか、こういう申し入れをしたのですが、農林省としてはこの点どのように検討されているのか、まずその点をお答えください。
  34. 江藤隆美

    ○江藤政府委員 ただいま御指摘のように、南九州のでん粉工場が水資汚濁防止法の適用を受けると、これは操業が非常に困難になる。特にこれは零細な資本力でありますから、御指摘のとおりであります。六千万円でできるものもありますし、私が承知しておりますのには、完全な汚水処理をやると二億円もかかるのではないかと思われるものもあるようであります。そこで、ただいま環境庁とこの問題を一体どうするか、そのままかぶせてしまうとでん粉工場というものはもう資本的にも経営的にもやっていけなくなるということで、いま鋭意環境庁と相談をいたしておるところであります。まだ結論を見るに至っておりません。しかしながらこれは重要な問題でありまして、ことしはこのままいくにしましても、来年はもう特に商業資本系統企業というものはまいるのではないか、こういうことを念頭に置きながら環境庁と十分相談を詰めていきたい、こう思っております。  それからもう一つは、国がそうした私企業に対して直接の助成をしていくということもなかなか困難な問題もありますので、そういう施設等に対する融資も現在やっておるわけでありますが、この内容等についても私どもは今後さらに十分考慮をめぐらしていこう、こういうふうに考えておるところであります。
  35. 諫山博

    諫山委員 私たちは、汚水を出すような工場は、工場の責任でこれらの防止措置を講ずるのが原則だと思っています。ただ、南九州のでん粉工場というのはほとんどすべて零細な工場ばかりで、どうしても国の強力な補助が必要だという立場から申し入れをしたわけですが、環境庁と交渉中だということで、いまの実情はわかりました。農林省としては、どういうふうにしてもらいたいという交渉、申し入れをしているのでしょうか。
  36. 今村宣夫

    今村(宣)政府委員 現在の暫定基準が切れます場合におきましては、先生御指摘のようないろいろ困難な問題を生じますので、現在の暫定基準をできれば延ばしてもらうような扱いにいたしたいと思っております。  しかし、これは環境庁といたしましてはいろいろな業種を抱えておるものでありますから、でん粉のみの扱いということについては非常に問題意識を抱いておるようであります。そこで、もし延ばしてもらえないならば、どの程度の基準であればまだやっていけるかという問題もあわせて、私どもの方としましては検討いたしておるところでございます。
  37. 諫山博

    諫山委員 私はそういうことを懸念したから質問したわけです。実施期日を延ばしてくれとか基準を緩和してくれというのは全く後ろ向きの姿勢であって、私たちとしてはとうてい賛成できません。来年の六月、こういう状態になるということはずっと以前からわかっていたんです。私もこの委員会で、この基準に適合できるような状況を工場自体がつくり出すような努力をすべきだ、研究ももっと進めるべきだというような提案をしたんですが、いまに及んでもっと実施期日を延ばしてもらうとか基準を緩和するというような交渉をするというのはとうてい私たちとしては承服できないわけです。  そこで、政務次官にもう一遍お答え願いたいのですが、そういう後ろ向きの姿勢ではなくして、ちゃんと公害も防止できる、そしてでん粉工場も運営できるというような立場からこれを処理しなければ、農林省の政治姿勢というのは全国民から非難を受けるということにならざるを得ないと思うのですが、そういう前向きの交渉をするつもりはないのかどうか、御説明ください。
  38. 江藤隆美

    ○江藤政府委員 でん粉汚水という問題が政治の非常な話題となり、また住民の関心が寄せられるようになったというのは、たしか十二、三年前からではなかったかと思います。自来、このでん粉公害ということは、地域産業であるからこれを存続しなければならないという立場と、それからやはり環境を守っていかなければならないという立場から種々議論をされてきたところでありますが、私どもはただこの規制の緩和を求める、実施期日をずらしていく、そういうことばかりを考えておるわけではございません。さっき申し上げましたように、私企業でありますから、国が直接に助成をしにくい面もありますけれども、しかし長期資金あるいは低利資金その他諸般のことでどのようにしたならばそういうことが可能になるであろうかということを検討しておりますが、まだ御報告を申し上げる段階に至ってない、こういうことを御答弁を申し上げたわけであります。
  39. 諫山博

    諫山委員 次に、カンショ買い入れ価格の問題です。  さっきの答弁の中で、千五十円で買い入れるように指導しているんだというふうな説明がありました。この問題で私のところにもいろいろ要請が来ているんですが、農民側としてはこの価格で将来買ってもらえるということを期待していいでしょうか。そのことだけお答えください。
  40. 今村宣夫

    今村(宣)政府委員 先ほども御説明を申し上げましたように、関係団体その他農林省努力によりまして、そういう農家水準を維持するということでございますから、今年産でん粉につきましては、全農農協系統は全体的な共販体制に乗るものについて、それから工組の系統につきましては、主要主産県におきますでん粉の引き取りについては千五十円で農家から引き取るという話に相なっております。
  41. 諫山博

    諫山委員 次に、サトウキビの問題です。  この問題では、農民団体あるいは製糖工場で働いておる労働者その他たくさんの関係者からいろいろ深刻な実情について私も陳情を受けました。この問題で私が非常に懸念しているのは、甘味資源審議会ではいろいろ長期の生産目標を出しているわけですが、いまのままではとうていこの生産目標というのは達成できないだろう。政府としての長期見通しも恐らく達成できないだろうということを懸念します。たとえば砂糖の自給率を向上する、昭和六十年度には自給率二八%にするという方向が打ち出されていますが、実情を見ていると、砂糖の自給率は年々低下して、昭和四十九年ではすでに一五%以下というような状態です。サトウキビの生産量にしましても、審議会の昭和五十三年度の生産目標は二百九十七万四千トン、ところが五十年の実績というのは二百一万七千トンしかない。相当長期の目標ですから、いずれそのうちに達成できるのだというような説明をされるかもしれませんが、長期計画というのは、やはり年度、年度着実に前進するということでないとできないわけです。こういう状況になった一番大きな原因は、やはり生産価格が十分引き合うものになっていないというところに原因があると思います。もちろん、もっと生産性を向上させるというような問題も解決しなければならないわけですが、当面、価格生産費を償う十分なものでなければならないということが非常に切実に訴えられております。その観点から、価格算定方式についてパリティ方式ではだめだという強い要求があることは御承知のとおりです。これはもう数年来の要求ですが、農林省としては、少しは前向きに結論を出しつつあるのかどうか、御説明ください。
  42. 今村宣夫

    今村(宣)政府委員 砂糖の自給率が下がっておるのではないかというお話でございますが、確かに御指摘のとおりでございますけれども、これは四十九年度におきましては、総需要量も下がりましたけれども、てん菜につきまして申し上げますと、四十八年には三十六万八千トンのてん菜糖生産があったわけであります。ところが、四十九年は非常な異常天候もございまして、四十九年度のてん菜糖生産量は二十五万八千トンということで、てん菜が約十一万トンのダウンに相なっておるわけであります。  それから甘庶糖につきましては、御案内のとおり、糖度が必ずしも十分でなかったということでありまして、四十八年の六十万四千トンから四十四万四千トンというふうに下がったわけであります。私は、これは四十九年度の非常な異常天候の状況による要素が相当大きいのではないかというふうに考えておるわけであります。五十年度におきましては、てん菜の作付面積はごくわずかしか増加をいたしておりませんが、甘庶糖につきましては、ある程度の作付面積の増加が見られております。今後歩どまりがどうなるかということは重大な関心でございますが、私といたしましては、こういう四十九年のような落ち込みは異常な天候の状況による要素が非常に大きいものであるというふうに考えておるわけでございます。  それから、今後甘蔗の価格をどういうふうに決めていくのかというお話でございますが、御案内のとおり、甘蔗は沖繩及び奄美大島における最も重要な農産物でございます。したがいまして、その生産が図られますように十分私たちとしては考慮、検討をなすべきものであると思いますが、同時に沖繩、奄美の製糖工場といいますか、製糖会社といいますものは、これは非常な離島の中小企業でございます。したがいましてビート会社もなかなか経営が苦しゅうございますけれども、何といいましても会社が大きく、しかも系列がしっかりしておるということが言えるわけでありますが、奄美、沖繩におきましては必ずしもそういうことが言えないということでございますので、私たちといたしましては昨年の手取り価格の一万五千円のうちの奨励金の三千八百円をいかに処理をするかということがまず農家手取りを落とさない最もむずかしい重要な問題であろうと思います。さらにまた、その一万五千円をいかにして上げていくかということがあわせて重要な問題でございます。  そういうふうな価格上のいろいろなむずかしい問題がありますが、同時に基盤整備その他の生産対策につきまして、奄美、沖繩につきましては特におくれておるところでございますので、そういう部分にも力をいたしまして生産性の向上を速やかに図っていく必要があるというふうに考えております。  生産費所得補償方式をとるべきではないかという御指摘のことにつきましては、私たちとしましても十分そういうことはよく伺っておるところでございますが、しかし、農産物のそれぞれの特性、流通の状況その他を考えまして、一体どういう算定方式が最もいいのかということはなかなか断定的には申し上げかねるわけでございまして、そういう問題も含めまして今後十分検討していくべきものであるというふうに思っておる次第でございます。
  43. 諫山博

    諫山委員 最後に一つだけ要望をします。  沖繩はいま非常に物価高騰で困っております。たとえば政府の統計でも、昭和四十五年と比べて、全国の消費者物価指数は一七一%、那覇市の場合は二〇八%、それだけ生活が困窮しているということをあらわしているわけです。いまサトウキビを生産している農民が心配しているのは、ちょうど美濃委員が指摘されたように、奨励金を次の価格決定の場合に全く基礎に取り入れずに無視するのではないか、そうすると非常に深刻な事態が起こるのではなかろうか、そうなると沖繩のサトウキビはどうなるかわからぬというような心配をしておりますから、ぜひ私たちの主張している、少なくとも都市勤労者並みの労働報酬が保証されるような価格ということを要望いたします。  以上です。
  44. 藤本孝雄

  45. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 昭和五十年度産サトウキビの最低生産者価格等について質問をいたします。大変時間が制約をされておりますし、重要な問題でありますので、要点を申し上げますから簡潔明快にお答えをいただきたいと思います。  まず最初は、生産費所得補償方式によってぜひ本年度産のサトウキビの価格決定していただきたい。最低生産者価格決定はぜひとも生所方式でということで、しばしば政府に対しても、またわれわれ国会議員に対しても現地の屋良知事を初め、各種団体、農協等から要請があったことは十分御承知だと思いますが、この生所方式については去る八月二十二日、政府は新しく「総合食糧政策の展開」というようなテーマで新しい今後の農政のビジョンを示しておられます。その中で、従来の生産費所得補償方式は米には適用してもその他の農産物にはパリティ方式で臨むというような基本姿勢を持っておられるようでありますけれども、このことは実に農民を無視したけしからぬ問題であると私は思う。その辺と、キビは沖繩のいわば米に当たるいわゆる基幹作目であります。そういったことから生産費所得補償方式によってぜひとも今後検討する、こういうふうに政府考えを進めていただきたい、かように思うのですが、その点、冒頭まず答弁を求める次第であります。
  46. 江藤隆美

    ○江藤政府委員 サトウキビを生産費所得補償方式にというのは、これはもう仰せのとおり前々から御要請のあるところであります。いまのところ私どもはその以前に一つ問題を実は考えておりまして、実を言いますと生所方式パリティ方式――パリティ方式は悪いというふうに頭から決めつけるべきものではないのであって、パリティ方式にはいい面もありますし、生産費所得補償方式にもまた十分でない面もあります。一長一短あるものと思っております。  そこで、農産物を含めて農畜産物というものがいろいろと算定の仕方が違っておるというところに私は非常に混迷を生む原因があると思う。したがって、できることならば、この農畜産物の価格算定方式というものが統一できないものか。米を除いてその他のものは統一できないものかどうか。それからもう一つは算定の時期を価格決定の時期と大体一緒にやれないものかどうか。これには関連をしておるそれぞれの法律もありますし、いままでの長い歴史もございますから、なるべく早く結論を出したいということで、これは検討を進めてきたわけでありますけれども、まだ結論を得るに至っておりません。そういう全体の中での今後の検討事項になろうか、こういうふうに私は考えておりまして、サトウキビだけ、今度はビートだけ、あるいは畜産物、乳価だけ、あるいは大豆だけというふうに、そのときそのときにその計算方式をというやり方を何とか統一したいものだ、こういうふうに全体として考えておりますので、その点をまず御了承をいただきたいと思います。
  47. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 沖繩または鹿児島、西南諸島の皆さん方は昭和五十年産のサトウキビの価格は一トン当たり二万一千円以上で決定してほしいという強い要求を出されております。いろいろビートとの関係もあって、私は私なりにその後積算をして計算をしておりますけれども、どんなに譲っても、私はトン当たり一万七千六百円は正当な本年度の最低キビ価格である、かように実は試算をいたしております。  ちなみに申しますと、キビの場合、パリティ方式でまいりましても四十八年、四十九年の価格算出をいたしますと、パリティ方式価格では四十九年告示が一万一千二百円、それに掛ける経費増が一・〇九八二%、そうしますと告示目標というものが一万二千三百円でございます。これは鹿児島、南西諸島、沖繩の統一目標になっておりますが、推定生産経費をちなみに言ってみますと、一万三千七百三十一円、これが南西の経費でありますが、沖繩経費の場合を見ますと、一万五千七百九十四円、これを足して二で割りますと、平均が一万五千三百円、こういうふうなことになるわけです。それで先ほど申しましたパリティ価格の一万二千三百円と推定生産経費一万五千三百円、これを足して二で割りますと、一万三千八百円というのが単純計算で告示すべき価格として出てまいります。突然でありますので、またいずれ後で検討いただきたいと思うのですが、そうしますと、四十八年と四十九年はこの告示目標数字に政治加算を追加してキビ買い入れ価格決定しております。四十八年告示価格が八千七百円で奨励金が千三百円でしたから一万円、昨年の四十九年は告示価格が一万一千二百円に奨励金三千八百円で一万五千円、こうなっていたわけであります。  そこでいま申し上げたような計算からまいりますと、五十年度のキビ価格はいわゆる告示すべき価格である一万三千八百円プラス奨励金三千八百円としますと一万七千六百円、農民要求は二万一千円以上になっていますけれども、私たちの計算では、少なくとも最低一万七千六百円は正当な最低のキビ価格である、かようにわれわれは思うわけです。ビートは一万六千円で決定した、だからサトウキビはそうはいかぬとおっしゃるかもしれませんけれども、ビートの場合とキビの場合は全然趣が違います。てん菜の場合は、四十九年の例で見ますと、十アール当たり生産費が四万八千六百七十一円ですけれども、サトウキビの場合は、沖繩県で八万六千六十一円、鹿児島県で八万八千六百二円。またトン当たり生産費を見ましても、てん菜、四十九年の場合、一万一千四百八円、サトウキビは鹿児島県で一万二千百十一円、沖繩県で一万三千八百二十二円。家族労働報酬の推移を一日当たりで見ましても、四十九年、てん菜で二千百六十一円、サトウキビの場合は鹿児島県が二千三百五十七円、沖繩県が二千三百五十四円。奨励金を入れても、てん菜が六千五百八十六円、鹿児島県が四千二百六十七円、沖繩県が三千七百四十一円、こういうように低いのであります。こういったところから見ましても、当然このサトウキビの五十年度最低価格は一万七千六百円、これを下回ることがあってはならぬ、かように私は試算しておりますけれども、これに対して政府当局の御見解を承りたいのであります。
  48. 江藤隆美

    ○江藤政府委員 生産費の一万五千三百円というのは、これは農林省が正式に出したものではありませんで、あるいはどこかで十分御勉強になってお示しになった数字ではないか、こう思います。  そこで、瀬野委員御存じでありましょうが、経済作物でありますから、私どもはそれだけに固執するというつもりは全くないのですけれども、御参考に申し上、げておきたいと思いますのは、いま大体国際糖価がトン当たり百六十ポンドぐらいになったといたしましたときに、国内の砂糖というのは同じだったらどのくらいで買えるんだろうということを計算してみますと、実は国際糖価百六十ポンドに匹敵する国内のサトウキビ価格というのは、トン当たりおおよそ九千円くらいになるのではないかと私は思うのです。本来経済作物ですから、国際商品でもありますから、九千円でしか買えないというサトウキビを、この南西諸島の特殊事情等も十分考慮しながら、どうして生産者の所得を補償し、さらにまた今後の作付を伸ばしていくか。ことしも鹿児島で六%、沖繩で一八%、その作付が伸びたわけですから、ポスト海洋博を私どもは考えながら今後どうサトウキビを伸ばしていくか、こういうことを念頭に置きながらこの価格を決めていきたい、こういうふうに実は考えておるところであります。
  49. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 これは明日には決まると思うのですが、十分検討していただきますように、ただいまの試算等もいろいろ参考にされて沖繩農民の要求にこたえられるような価格決定なさいますように、きょうは強く要望しておきます。  時間の関係もありますので若干はしょって質問をいたしますが、圃場整備事業の推進、これがまた沖繩の大変大きな問題です。沖繩は戦後二十七年間日本農政の適用を受けず、非常におくれております。せめて本土並みの基盤整備を進めていただきたいというのが沖繩の切なる願いであります。  ちなみに鹿児島の現状と比較してみますと、農道についても鹿児島が七九・六%、沖繩が五一・三%。これは四十八年度の試算ですけれども、灌漑排水が鹿児島が二七・五、沖繩が一四・四、いわゆる農場の圃場整備等を見ましても鹿児島は三二・六、沖繩は八・二というような低い率であります。この基盤整備のために力を入れてもらうと同時に、特に問題になっておるのは休耕補償をしていただきたいということです。御存じのように、サトウキビは植えつけてから最低一年半たちませんと収穫ができない。半年圃場整備をしますと二年かかる。仮に圃場整備が通年施行ですと二年半。この二年ないし二年半というものは、本土の米作の場合の圃場整備と違いましてかなり長期であります。この間の補償がないために圃場整備がおくれているのが最大の要因です。詳しくは申しませんけれども、そういった意味でどういうふうに検討をされ、考えておられるのか。ぜひともこの対策については強力に進めてもらいたい、かように思うわけです。政務次官からの答弁を求めます。
  50. 江藤隆美

    ○江藤政府委員 サンゴ礁にサトウキビをつくるわけですから、農業基盤の整備ということが必要なことは、これは論を待ちませんで、御案内のように五十年度も国の全体の基盤整備事業の伸び率は一〇三でしたけれども、沖繩においては特別に一四五、こういうふうにいたしまして、来年は約一七八%くらい、そういう伸びにして、大規模な国営の基盤整備事業もいよいよ始まるわけでありますが、まず水の問題を片づけていきたい、あるいは省力化、機械化等を進めていきたい、全体のサトウキビが近代作物となり得るような下地を私どもはつくりたい、こういうふうに実は考えて、この基盤整備事業も含めて取り組んでおるわけであります。このサトウキビの基盤整備期間中においての休耕補償をどうするかという問題については、いろいろ議論のあるところであります。これは本土におきましても、たとえば桑ですとかミカンですとかお茶ですとか、そういうものに休耕補償をやるべきではないか、こういう御要請もありますが、沖繩は暖かいところでありまして、東北地帯のように冬場、仕事ができぬというところと違いますから、十分その辺のやり方等について考慮をめぐらしながら、実際の農家に対する迷惑がかからないように、そういうことも含めてやっていきたい、こういうふうに考えておるところです。
  51. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 時間が参りましたので以上で終わりますが、せんだってから申し入れをいたしておりますように、昭和五十年産甘庶糖の価格は、原料価格に適正な製造コストを加えた価格決定してもらいたいということと、さらに高性能収穫機械の導入事業の拡充、これもぜひやってもらいたい。またキビの優良品種の開発等のために沖繩に糖業試験場をぜひつくってもらいたい。さらには、黒穂病及びガイダーの駆除について格段の注意を払っていただきたい。このことを強く要望しまして、いずれまた詳しくは直接申し上げることにしまして、時間も参りましたので質問を終らせていただきます。
  52. 藤本孝雄

  53. 稲富稜人

    稻富委員 私は持ち時間が七分でございますので、余り詳しく質問いたしておりますと、それで終わりますので、要点だけを、しかも現在の緊急な問題に限って質問をいたしたいと思います。  私は、沖繩の農業の将来の問題につきましては、先般農林省関係にはいろいろ質問いたしておりますので、本日は沖繩開発庁お見えになっておると思いますので、開発庁にまずお尋ねいたしたいと思います。  私がまず開発庁にお尋ねいたしたいと思いますことは、沖繩の農業開発に対してもいかなる考え方を持っていらっしゃるか。私たちは、沖繩の農業というものは、亜熱帯地方としての日本の特殊農業として将来進めれば、将来性のある農業がそこでできるんだ、それがためには、ただいま農林次官も言っておりましたような基盤整備であるとかあるいは水の問題とか、こういうものをあわせてやらなければできない問題であると思うのでありますが、将来の沖繩開発のための農業対策として、どういうような構想を開発庁として持っておられるか、この点をまず最初に承りたい。
  54. 安達弘男

    ○安達説明員 非常に大きい問題でございますが、当面存じておりますことをお答え申し上げますが、御案内のとおり、沖繩復帰時点におきまして沖繩振興開発計画を策定しておりまして、十年間、昭和五十六年度までに少なくとも復帰がおくれたことに伴う本土との格差の是正を早急に図るということを構想し、政府としても決定されておることでございますが、その中で、農業につきましては、まず優良な耕地を確保いたしまして、また荒れております農地の利用を考えるということを前提にいたしまして、基盤整備等を含めまして諸般の政策を急いで施行する、また手厚い助成をやるというようなことを考え、また、関係省にもお願いしているところでございます。
  55. 稲富稜人

    稻富委員 それで、ここで開発庁にお尋ねしたいと思いますことは、今日、沖繩における農業の最も基幹的産業というものはサトウキビであるということは御承知であると思うのでございます。したがいまして、サトウキビに対しては価格の問題というものが一番大きな問題である。ビートの価格というものはすでに決定されている。恐らく沖繩のサトウキビというものをビートに準ずるような価格で決められるということは、沖繩の農業開発あるいは農業の将来性に大きな影響を来すものであるということをわれわれは考えるわけでございます。私先刻から同僚の質問を聞いておりませんからどういうような御答弁があったか存じませんけれども、私の察するところにおいては、農林省としては、ビートの価格というものが決定されたので、サトウキビの価格もこれに準じなくちゃいけないというような考えをあるいは持っていらっしゃるかわからないと思うのでございますが、そういうようなことで沖繩の農業開発、農業というものは立ち得るかどうか。沖繩には沖繩としての、あるいは労賃の問題であるとかいろんな特殊の事情があるから、この点を勘案した上の価格対策というものをやらなければならないのじゃないか。これは沖繩開発の将来のために、私は特段の政治的配慮というものがあらなければならない、かように考えますが、これに対しては開発庁はどういうお考えか、承りたい。
  56. 安達弘男

    ○安達説明員 おっしゃるとおり、サトウキビ、特に沖繩のサトウキビの特性を十分考慮した価格奨励金も含めまして価格決定をお願いいたしたい、そのように私どもとしても考え、お願いしているところでございます。
  57. 稲富稜人

    稻富委員 農林省にお伺いしたいのでありますが、沖繩のサトウキビの価格という問題に対してはそういうような特殊の事情というものを勘案して価格決定をすべきである、こういうようなふうに開発庁としても考えておるということでありますが、農林省としてはこれに対してどういうお考えであるか承りたい。
  58. 今村宣夫

    今村(宣)政府委員 サトウキビは沖繩、奄美におきます重要な基幹作物であることはお話しのとおりであります。したがいまして、そういう観点は十分念頭に置いて価格考えるべきものでありますが、同時にまた、ビートとは異なります沖繩、奄美の非常な特殊性がございます。それは何かと申しますと、ビートは北海道御存じのとおり三社でありますが、沖繩、奄美には十数社という中小の製糖企業があるわけでございます。したがいまして、ビートのように三千八百円を会社が負担をし、会社が負担ができないような場合にあってはこれは国が責任を持つ、そういう形はなかなかとりにくい状況にございます。したがいまして、私たちといたしましては、農家手取り価格の一万五千円を下げないためには、その奨励金の三千八百円の処理をどうしてもしなければいけないという、そういうビートとは違います特殊事情がございます。その上にもっていって生産者の価格を上げる、水準を上げるという問題がさらに付加されておるわけでございますから、そういう事情も十分踏まえましていろいろ価格の検討をいたしてまいらなければならないというふうに考えておるわけでございます。
  59. 稲富稜人

    稻富委員 そうすると、ただいまの御答弁を要約いたしますと、ビートには準ぜないで、沖繩のサトウキビの価格は別個な考え方によって、沖繩の実情に合うたような価格決定する、こういうような政府の意向であるか、その点を念を押しておきます。
  60. 今村宣夫

    今村(宣)政府委員 昨年の農家手取り価格は、ビートにつきましても一万五千円、それから甘蔗につきましても一万五千円ということで横並びであったわけであります。したがいまして、横並びであったということは一つの事実でございます。したがいまして、そういう関係を離れることもなかなかむずかしい問題があろうかと思います。  それから同時に私が申し上げましたのは、三千八百円の奨励金をどのように処理をするかということも、これはビートと違う、むしろマイナスといいますか、ビートと違う困難性を持っておるということを申し上げたわけでございまして、そういう奨励金の処理も含めまして、どうするかということを検討してまいりたい、こういう意味合いでございます。
  61. 稲富稜人

    稻富委員 それで、せっかく政務次官おいでになっておりますので、ただいま局長から言われましたように、沖繩のサトウキビの価格というものは、非常にこれが基幹産業である、もちろん私は、沖繩の農業の問題につきましてはいずれゆっくり時間をいただきまして、基本的に沖繩農業をどうするかということに対しましては、先刻次官からお話のありましたような水の問題あるいは土壌改良の問題、こういうことと、亜熱帯地方としての沖繩の特殊農業というものをどうやるか、こういうことに対してはもっと掘り下げましてお尋ねをいたしたいと思うのでございますが、大臣が見えたそうでございまして、私の質問はやめろということでございますので、これで最後ですが、いまも局長から話がありましたように、ただビートの右へならえではなくして、沖繩の農業を発展せしめるのだという、あるいは奨励であるとかあるいはそういうような政治的な含みを持った本年度の価格をひとつ決定していただきたい。価格として決定されないとするならば、沖繩の将来の発展性に対して沖繩農民に希望を持たせるのだという奨励の意味からでもいいから、こういう特段の措置を講じていただきたい、このことが現在の目睫の間に迫った問題である、将来の農業の問題に対しては改めてこれは検討しなくちゃいけないど思いますが、その点をひとつ十分考えてもらいたいということを私述べまして、次官の意のあるところを承って、私の質問を終わります。
  62. 江藤隆美

    ○江藤政府委員 ただいまの御意見も十分私ども念頭に置きまして今回の価格決定をいたしたい、こう思っております。
  63. 稲富稜人

    稻富委員 終わります。      ――――◇―――――
  64. 藤本孝雄

    藤本委員長代理 昭和四十四年度以後における農林漁業団体職員共済組合からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案を議題とし、趣旨説明を聴取いたします。安倍農林大臣。     ―――――――――――――  昭和四十四年度以後における農林漁業団体職員共済組合からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案     ―――――――――――――
  65. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 昭和四十四年度以後における農林漁業団体職員共済組合からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び主要な内容を御説明申し上げます。  農林漁業団体職員共済組合制度は、農林漁業団体職員の福利厚生の向上を図り、農林漁業団体の事業の円滑な運営に資するための制度として実施され、その給付内容も逐年改善を見てまいりました。  今回の改正は、その給付に関しまして、恩給、国家公務員共済組合制度その他の共済組合制度の改善に準じて改善を図ろうとするものであり、その内容は、前通常国会提出し審議未了となった法律案と同一でありまして、法律案の附則につきまして若干の条文の修正を行っております。  今回の主要な改正点は、次の三点でございます。  改正の第一点は、既裁定年金の額の引き上げであります。これは、退職年金等の年金額の算定の基礎となった平均標準給与を、昭和五十年八月分以後二九・三%引き上げ、さらに昭和四十四年度以前に給付事由が生じた既裁定年金につきましては、昭和五十一年一月分以後六・八%を限度として引き上げることにより、年金額の増額を行おうとするものであります。  改正の第二点は、退職年金等についてのいわゆる絶対保障額の引き上げであります。  改正の第三点は、掛金及び給付の額の算定の基礎となる標準給与の月額の下限及び上限の引き上げであります。  その他恩給、国家公務員共済組合制度等の改善に準じ、障害年金の受給権の消滅について猶予期間を設けるとともに、八十歳以上の老齢者に対する退職年金等について算定上の特例措置を講じようとするものであります。  以上がこの法律案の提案理由及び主要な内容であります。  何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上、げます。
  66. 藤本孝雄

    藤本委員長代理 以上で本案の趣旨説明は終わりました。
  67. 藤本孝雄

    藤本委員長代理 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。芳賀貢君。
  68. 芳賀貢

    芳賀委員 ただいま提案されました農林年金法の一部改正案につきましては、すでに前国会におきまして当委員会において慎重に審議した結果、委員会としては特に附帯決議を付して成立させた経緯がありますので、私ども社会党としては、この改正案をおおむね可として今国会において速やかにこれは両院で可決、成立すべきものと考えておるわけでございます。  そこで、この際、農林大臣に年金制度に関連して質問をいたしますが、すでに政府におかれましては、昭和五十一年度の予算の編成に着手をされておるわけでございまして、農林省といたしましても、八月いっぱいで概算要求を取りまとめて大蔵省に提出しておることはわれわれ承知しておるわけでございます。  そこで、来年の昭和五十一年度は各種公的年金の全面的な改正が期待されておる年でございますので、特に明年度における農林年金法の改正の基本的な方針と、当然その裏づけとしては予算措置というものが必要になるわけでございますので、この改正に向かっての重点的な目標と、特に五十一年度の年金関係の予算要求の概要等について、きょうは時間の関係がありますので、重要な点に限定して、農林大臣から答弁を願いたいと思います。
  69. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 ただいま提案理由の説明をいたしました農林年金改正案につきましては、前回の国会におきまして審議を尽くしていただいたわけでございまして、そういう関係で、今回またその成立につきまして御協力をいただきますことに対して心から感謝を申し上げる次第であります。  いま御質問がございました来年度における年金の改善対策についてはどういうふうな基本的な考え方を持っているか、さらにまた、概算要求としてどういう方向で進んでおるのかという御質問でございますが、私といたしましても、明年度におきましても年金制度につきましては改善を行わなければならないという基本的な方向で目下概算要求をいたしておるわけであります。その内容につきましては、経済局長から御説明を申し上げさせます。
  70. 吉岡裕

    ○吉岡(裕)政府委員 ただいま大臣から御答弁申し上げましたように、御承知のように財源率の再計算が目下年金でいろいろ行われておりまして、その結果はまだ出ておりませんので、農林省から大蔵省の方に提出をいたしました予算案におきましては、一応一定の考え方のもとに予算要求をいたしておるということでございますが、その主なものを以下申し上げますと、まず定率補助につきましては、現在現行給付費の一八%ということになっておりますが、これを一応二〇%に引き上げるという要求を出しております。  それから、御承知の財源調整費の補助でございますが、これは現在給付費の一・七七%ということになっておりますが、これを近年の制度改正に伴う不足財源等を考慮いたしまして、三%に引き上げたいということで要求をしております。  さらに五十一年度の制度改正分といたしまして、既裁定年金の額の改定でございますとかあるいは旧法年金者の最低保障額の引き上げというふうなものを盛り込んでおりますほか、国家公務員共済制度等の制度改正がいろいろ検討されておりますので、こういうものと並行いたしまして、給付内容の改善を図るというふうなことで予算を考えております。  なお、事務費の補助につきましても、単価の引き上げを要求しておるということでございます。
  71. 芳賀貢

    芳賀委員 ただいまの説明の中で、特に大臣に申し上げておきたいのは、かつて農林大臣が農林政務次官を担当された時代から、この国の補助率については二〇%以上を毎年予算要求をして今日に至っておるわけでありますが、これは形式的に予算要求だけしておるせいかしれませんが、いまだに法律改正で二〇%以上の改定ができていないわけであります。だから、今度はぜひ、その概算要求の出しっ放しでなくて当然これは法律改正を伴う点でございますので、この国庫補助率を法改正で二〇%以上に引き上げる点、それから、これは六十二条第一項ですが、第二項の財源調整費の国の補助についても、いま局長の言われたとおりこれもやはりこの法律の条文の中で定率化する必要があると思うわけでございますので、こういう点に対する実現の努力、それからもう一つは、毎年の審議の際に指摘している事項でありますが、すでに農林年金の掛金、保険料負担については千分の九十六を団体と組合員が折半負担しておるのですが、これは負担の限界に達しておるわけでございますから、これ以上に負担の増額にならぬような配慮と、それから団体と組合員の掛金負担区分についても、少なくとも団体六、組合員四というふうに、やはり折半負担を改善する必要があると思うわけでございます。  それから次に、もう一点、この際大臣から明らかにしてもらいたい点は、前国会の審議の際に、農林年金の福祉事業を委託事業として行っておるわけでございますが、この委託を受けて福祉事業を行っておる農林年金福祉団について、この年金の組合員資格が生ずるように措置をすべきであるという点でございますが、これが今日までどのような検討が進められたかという点であります。もちろんこの農林年金福祉団等を年金加入者とする場合においては、方法としては年金法第一条の改正によって加入資格を与える方法と、さらに法第十四条の組合員資格の拡大的な解釈によりまして、特に年金の行う事業として第十九条の組合員に対する給付の事業はもちろんでございますが、第五十三条に基づく組合員に対する福祉事業、この福祉事業については、農林大臣の指定した法人が農林年金の組合の委託を受けて福祉事業を行うことができるということになっておるわけでありまして、しかも農林年金福祉団は、法に基づく農林大臣の指定によって委託事業を行っておる法人でございますので、この法人の中で忠実に業務に携わっておる職員等については、第一条の改正によるよりも、むしろ第十四条の適切な解釈に基づいて資格を付与する道があるのではないかということを、前回私は大臣に率直に申し上げたわけでございます。こういうような点についてもいま直ちに結論を求めておるわけではありませんが、その後積極的な検討をされたかどうか、それらの点についてお答えを願います。
  72. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 農林年金の内容改善につきましては毎年毎年改善が行われてはきておりますが、いま御指摘がございましたように、補助率の問題であるとかあるいは財源調整費の問題であるとか、農林省が概算要求をしながらも十分目的を果たせなかった面もあるわけでございます。来年度もこれまでのように、一八%の補助率を二〇%にするというようなこと、さらに財源調整費等につきましても、つかみ金でない形で法的な確定をしたいということで要求もいたしておるわけでございますが、これは毎年のことでなかなか困難な面はあると思いますが、われわれはこれを実現するために今後とも最大の努力を払っていき、そして年金の目的を果たさなければならない、そういうふうなりっぱな制度にしなければならないという考えを持っておるわけでございます。  また、いまお話がございました農林年金福祉団につきましては、これは前回もお答えをいたしたわけでございますが、この福祉団の設立の目的、業務の実態から見ましても、農林年金の福祉団は農林年金と密接な関連を有する団体であると思っておりますが、厚生年金の加入団体が農林年金に加入する場合の両年金の財務、業務運営に及ぼす影響、厚生年金に加入している他の類似の団体との兼ね合い等も考慮しながら、関係者とも協議の上十分検討しなければならぬ問題でございますが、前回の御審議で御指摘も受けましたし、私の答弁をしたことに基づきまして、局長に対して指示をいたしておったわけでございまして、したがって局長は、その後この問題につきましていろいろと検討を進めておると思いますので、局長からその点については経過について御説明を申し上げさせます。
  73. 吉岡裕

    ○吉岡(裕)政府委員 先生おっしゃいました第十四条で読めないかという話でございますが、この十四条の書き方が、農林漁業団体または組合に、組合と申しますのは年金でございますが、それらに使用される者で、農林漁業団体等から給与を受ける者に対して年金が適用されるという形になっておりまして、この法律の条文からいきますと、一条の農林漁業団体に入るか、あるいは組合と申しますのは年金共済組合であるというふうな定義が法律の中に規定してあるものでございますから、この十四条の関係でいま先生がおっしゃいましたようなことを読み込むのはちょっとなかなか困難ではないかというのがいまのところ私どもの検討しましたところでございます。
  74. 芳賀貢

    芳賀委員 いまの局長の答弁は、歴代局長が法文を読み上げたとおりですが、きょうは議論する時間がないので、これは後刻適当な機会に、また来年の法改正までの間に十分な検討をしていきたいと思います。  最後に、同じ農林省所管の年金法でございますが、大臣にお尋ねしたいのは、農業者年金については五十年度改正がなかったわけでございます。明年、五十一年度には当然農業者年金についても広範な改正が行われるとわれわれは確信しておるわけでございますが、昨年の農業者年金改正の際に、当委員会において一部修正を加え、附帯決議を付して、これは成立をさしたわけでございます。その際特に問題になりましたのは、現在は、離農年金制度というものは相当農業者年金制度の中の比重を占めておるわけでありますが、現在の農業事情から見ると、先般農林省が発表した一九七五年の農業センサスの結果を見ても、基幹的な農業従事者が激減をしておるわけですね。とてもその中から離農を勧めるなんというような状態ではないわけです。むしろ、どうしたならば基幹的農業従事者を確保することができるかというところに、人材確保の重点を向けなければならぬわけでございますし、もう一つは、先日農林省が発表いたしました、ことし三月の新卒の中の農業に就業した者の数は、全国でわずか一万人ということになっておるわけです。四十九年が新卒の就業者が一万四千人、ことしはまた四千人減って一万人ということになったわけですから、この傾向でいくと、あと三年ぐらいでもう農業の後継者は一人も出ないというような絶滅の状態にもなりかねないわけでございますから、よほど安倍農林大臣の攻めの農政というものを積極的に進めていかなければ悔いを千載に残すことになると思うわけでございます。このような基本的な事情を踏まえて、今後の農業者年金のあり方をどうするかということは、当然いまから検討を進めておかねばならぬ点であるというふうに考えるわけであります。  そこで問題点としては、農業者老齢年金水準引き上げを行う。第二は、農業者の保険料負担をできるだけ軽減する配慮の上に立って、国庫負担の積極的な引き上げを行うべきである。第三点は、これは一番大事な点ですが、農業に従事する農業経営者の配偶者、つまり経営者の妻ですね。それから農業経営者の直系卑属である後継者とその配偶者については、当然これは加入資格を与えるべきであるということが、昨年の国会審議においても重点になったわけでございますが、これは当然農業者年金制度の根本に触れる問題になるわけでございます。この点はぜひ農林大臣において重点的な検討を加えて実現の方向に進んでもらいたいと思います。  それからもう一つは、これは加入要件に関する問題でありますが、年金の加入要件の一つとして、経営面積の下限の規制があるわけでございますが、これらについても、できるだけ農業者については農業年金に加入できる道を開く必要があるわけですから、この下限面積の緩和措置等についても十分な配慮をしていくべきであるというふうに考えるわけですが、これらの点について農林大臣から御答弁をお願いします。
  75. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 私は、現在の農業を取り巻く諸情勢の中で農業者年金制度改正を行わなければならない時期に来ておるというふうに判断をいたしております。したがって、農業者年金制度改正につきましても、現在積極的に検討を進めさしておるわけでございますが、その改正をするに当たりまして、いまお話がございました諸問題、これは昭和四十九年四月二十四日、衆議院の農林水産委員会の附帯決議に盛り込まれた内容が中心でございますが、私もこの附帯決議の趣旨を今後やはり農業者年金制度の中に積極的に生かしていくということが必要であるというふうに思うわけでございます。したがって、事務当局に対しましても、この附帯決議の趣旨を十分に尊重して法律改正の検討を進めるように指示をいたしておるわけでございまして、いまの御指摘の線に沿って努力をいたします。
  76. 芳賀貢

    芳賀委員 ちょうど申し合わせの時間が参りましたので、これで終わります。(拍手)
  77. 澁谷直藏

    澁谷委員長 諫山博君。
  78. 諫山博

    諫山委員 私の割り当てられた時間は八分ですから、簡単に二点だけ質問します。  私もこの改正案の速やかな成立を希望しておるものですが、しかしそれにしても、遺族年金の額が退職年金の五〇%では安過ぎる、これは八〇%まで引き上げるべきだ。それから遺族年金の受給資格を六カ月とすべきだ、一年では長過ぎる、こういう要求が労働者から出ています。これは厚生年金との比較から見てもきわめて妥当な要求だと思うのです。厚生年金の場合には受給資格が六カ月になっている。もともとこの年金昭和三十四年に厚生年金から分かれてできたものだという経過を考えますと、以上、遺族年金の額及び受給資格を改善せよという要求は妥当だと思うのですが、いかがでしょうか。
  79. 吉岡裕

    ○吉岡(裕)政府委員 遺族年金の問題でございますが、遺族年金につきましては、受給資格につきまして実は四十八年度の改正によりまして、組合員期間十年以上というのを組合員期間一年以上というふうに短縮をいたしましたし、また四十九年の改正におきまして、扶養加算制度というふうなものも創設をいたしまして、農林年金といたしましていろいろ改善を図ってきておるというふうに考えておるわけでございます。ただ遺族年金の支給率等を引き上げるということにつきましては、今後の農林年金制度改正の重要な課題であろうというふうに私どもも考えておりますが、御承知のように、当年金だけで独自に行うというふうなことも非常に困難な点がございますので、今後農林省といたしましては、関係各省庁と十分協議をいたしまして、慎重に検討を進めてまいりたいというふうに思っておるわけでございます。
  80. 諫山博

    諫山委員 その点についての要望ですが、受給資格については、厚生年金との比較から見ても六カ月とするのが妥当だ。さらに、年金額を引き上げるということは、新聞報道によれば社会保障制度審議会でも同様の立場から論議されているということのようですから、ぜひ本格的な検討をお願いしたいと思います。  次に第二番目。前国会での衆議院における附帯決議の中で、七項、「掛金の負担割合については、組合員の負担軽減の方向で改善措置を検討すること。」というのがあります。例年同じような決議がされて、恐らくきょうも同様の決議がされると思うのですが、どうもこれが決議のしっ放しで具体化されていない。果たして具体化するための努力が本気でなされているのかどうかということを私は疑わざるを得ないわけですが、農林大臣として、この附帯決議を生かす立場からどういう努力をするつもりなのか、御説明ください。
  81. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 国会の附帯決議はもちろん国会の意思でございますから、これを尊重していかなければならないことは当然でございますし、年金制度の改善等につきましては、毎年毎年附帯決議をいただき、その線に沿って努力もし、改善も着実に行われておるわけでございますが、しかし全面的に、先ほどからも申し上げておりますような、補助率にいたしましても、負担率の問題にいたしましても、財源調整費の問題にしても、全面的な実現というところまでは至ってないことは非常に残念でございます。しかし農林省としては、附帯決議の線に沿って毎年政府部内において強力に交渉を続けてきておるわけでございますが、今後とも、実現をすべく万全の力を注いでまいりたいと考えております。
  82. 諫山博

    諫山委員 日本の年金制度が全体として非常に劣悪だ。他の発達した資本主議の国に比べてもお話にならないということはもうしばしば論議されているわけですが、その中でも農林年金がとりわけ劣悪だということも、この委員会で何回か取り上げられました。非常に遅いテンポではありますが、給付が改善されつつある。私たちはこれは改善の速度が遅過ぎると思うのです。しかし、それと対応して掛金の増額とか、いろいろ労働者の負担がふやされるということをみんな大変心配しております。ですから、恐らくきょうもこの附帯決議が決まると思いますから、この問題は真剣に取り組んで農林年金の改善のために努力していただくということを要望して、質問を終わります。
  83. 澁谷直藏

  84. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 農林年金の一部改正法律案について農林大臣に御質問いたします。  去る六月の十七日、十八日に当年金についてはいろいろ審議をして、大臣にも御答弁願ったわけですが、御承知のようにわが国の年金制度については、公的年金の基幹である厚生年金及び国民年金も財政再計算期に入り、本来であれば昭和五十三年度が再計算の時期であることは御承知のとおりでありますが、経済情勢の変動の激化で二年も待ってはいられないということで、繰り上げて五十一年にはわが国国民年金制度の総合的な見直しが行われるということになっております。農林省もこれに沿って、農林年金も当然ことしの三月末時点を基礎として財源率の再計算をいたすことになって、計算をしておられると思うのでありますが、農林年金そのものの財政方式、それから掛金率、他共済制度の検討、こういったことが十分検討されて、本年度すでに組まれた予算の概算の中にも盛り込まれて、抜本的な検討がされておると思うのですけれども、これらについて農林省はどういうふうに検討され、五十一年度予算に反映しておられるか、その点明快に農林大臣からお答えいただきたいと思います。
  85. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 農林年金制度につきましては、これまでも他の共済制度におくれをとることなく所期の目的を達成するようその内容の改善、充実に努力をしてまいったところでございますが、来年度の制度改正につきましては、いまもお話がございました農林年金の財源率につきまして、現在、昭和四十九年度末の数値を基礎にして再計算を行っておるところでございます。農林年金の財政方式、掛金率、国庫補助のあり方等などを総合的に再検討すると同時に、他の共済制度制度改善の方向等も十分見きわめて、農林年金がその本来の目的である農林漁業団体の職員の福利厚生を図り、団体の事業の円滑な運営に資するように制度改善に取り組んでまいる考えでございます。
  86. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 特に、農林年金では財源率の再計算、これが一番今回大きな問題である。と同時に、国庫補助の大幅な助成というものが問題でありますので、その点は大臣も十分心しておられるようでありますが、来年度ひとつ反映されるように、さらに格段の努力をお願いしたいと思います。  もう一つお尋ねしたいことは、旧法年金については新法年金との均衡を配慮しながらその格差是正をするようにということを、先般来大臣にもお願いをしておったわけですけれども、この点についてはどういうふうな検討、進捗の度合いを見ておられますか、あわせて御答弁いただきたい。
  87. 吉岡裕

    ○吉岡(裕)政府委員 新法、旧法の間に格差があるということは、いろいろ改善を図られてきておりますけれども事実でございまして、私どもとしては、この問題については、共済制度共通の問題としてぜひ改善されるように最大限の努力を払ってまいりたいと思っております。
  88. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 もう一点お伺いしますけれども、組合員の掛金負担の軽減を図るために、私学共済と同様に都道府県補助その他の公的な財政援助措置の導入の実現をやれということで、六月の十七日にも政府に強くお願いをしたわけですけれども、これについてはその後どういうふうに検討され、農林省としては煮詰めておられるか、その点明らかにしていただきたい。
  89. 吉岡裕

    ○吉岡(裕)政府委員 本件は来年度以降の制度問題とも絡みまして、基本的な国庫補助率なりあるいはその他の財源率の計算とも非常に関係のある話でございまして、私どもとしましては、都道府県関係を担当しております自治省等との――非常に強い考え方はいろいろあるわけでございますが、今後予算の策定過程等を通じて、いろいろ自治省側に困難な問題があると思いますが、農林省としてはぜひ積極的な話し合いをしていきたいというふうに思っておるわけでございます。
  90. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 最後に一言お願いしておきますけれども、七十五国会で、六月十八日に九項目の決議をしておりますけれども、これについては本日さらに決議が行われる運びでございますが、この点については十分配慮して、農林団体職員が安心して今後仕事に励むことができますように、今後の農林年金の大幅改善にさらに努力されるようお願いして質問を終わります。
  91. 澁谷直藏

  92. 稲富稜人

    稻富委員 先刻農林大臣から慎重に御審議をという御希望がありましたけれども、私、四分間でございますので、慎重にやれませんので、はなはだ失礼ですけれども、簡単に要点だけお尋ねいたします。これは農林大臣の御趣旨には沿わないと思いますけれども……。  ただ、私、申し上げたいと思いますことは、せっかくこの農林年金ができまして、厚生年金その他の年金制度との状態を見ますときに、農林年金が分離したということは、これは他の制度に劣らないような待遇をするということに主眼があったと思うのでございますが、事実はそういうことになっていないということは御承知のとおりでございます。これは御承知のとおり農林漁業団体の仕事に従事している人たちの給与の問題等が大きな影響をしていると思うのでありますが、これは何と申し上げましても他の年金に劣らないような結果を得るようにすることが好ましいと思うのでございますが、これらに対してはどういう考えを持っておられるか、この点を承りたい。
  93. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 農林年金制度につきましては歴史が浅いわけでございますが、しかしいまお話がございましたように、他の年金制度に劣らないようにするために、今日まで種々改善の努力をいたしておることは御承知のとおりでございますが、まだ依然としてその間に改めなければならない点があることも事実でございます。したがって、今回の法律改正もその一環でございますが、来年の予算等におきましても改善要求もいたしておるわけでございますし、今後とも逐次年を追って内容の改善に努めてまいりたい。何としても最近の農業の実情を考えますときに、この制度の充実というものは農業政策を進める場合に非常に大事な問題であるというふうに認識をいたしております。
  94. 稲富稜人

    稻富委員 私もただいまお尋ねいたしましたのは、将来の日本の農業というものを健全なものにしたいという立場から申し上げたのでありまして、どうしてもその指導的立場を持っておる各種の農業団体に所属する人たちが、自信を持ってその仕事に挺身し得るようにするためには、待遇の問題というものは当然欠くべからざるものである、かように考えます。そういう点からあるいは掛金を少なくするとか、あるいはこれに対する助成方法を講ずるとか、こういう方面も当然考えてやるべきものであるということを思いますので、いま大臣もおっしゃったように、その点を十分考えてひとつ対処していただきたい。  さらに最後に一言申し上げておきたいことは、御承知のとおりこの年金制度は四十四年以来毎年、法の改定をなさっておるわけであります。こういうように毎年改定をするというようなことをやらないで、やはり何とかもっと基本的に考える必要がありはしないか。この点は、こういうめんどうなことはやらないようにして、あるいはスライド制に持ってくるとか、何かそういう方途を講ずることが私は必要であると思うのでございますが、これに対する大臣の考えを承りたい。
  95. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 いろいろな関係もございますから、なかなか一挙にというわけにはいかないわけでございますが、私たちも来年度の予算要求にも、補助率であるとか、あるいは財源調整費の問題であるとか、抜本的な内容を含んでこれを要求しておりますので、これが実現のためにひとつ最大の努力を続けたいと思います。
  96. 稲富稜人

    稻富委員 それでは、はなはだ大臣の期待に沿わないで、慎重にやれませんでしたけれども、時間がありませんので、私の質問はこれで終わります。(拍手)
  97. 澁谷直藏

    澁谷委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。
  98. 澁谷直藏

    澁谷委員長 これより討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。  昭和四十四年度以後における農林漁業団体職員共済組合からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。
  99. 澁谷直藏

    澁谷委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。     ―――――――――――――
  100. 澁谷直藏

    澁谷委員長 この際、本案に対し、芳賀貢君外四名から、自由民主党、日本社会党、日本共産党・革新共同、公明党及び民社党の五党共同提案に係る附帯決議を付すべしとの動機が提出されております。  提出者から趣旨説明を求めます。芳賀貢君。
  101. 芳賀貢

    芳賀委員 私は、自由民主党、日本社会党、日本共産党・革新共同、公明党及び民社党の五党を代表して、ただいま議決されました昭和四十四年度以後における農林漁業団体職員共済組合からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案に対し、附帯決議を付すべしとの動議を提出いたします。  まず、案文を朗読いたします。    昭和四十四年度以後における農林漁業団体職員共済組合からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、農林年金制度の一層の発展充実を期するため、制度の見直しを行うとともに、財政基盤の弱い本制度の特殊性を考慮し、制度の健全な運営が図られるよう、左記事項の実現に努めるべきである。       記  一、制度改善については、国家公務員共済組合等他制度との均衡ならびに低額年金受給者の多い本制度の特殊性を考慮しつつ、適切な措置を講ずること。  二、旧法年金については、新法年金との均衡に配慮し、その格差是正のための制度の改善に一層努力すること。  三、既裁定年金改定については、これまでの公務員給与の引上げによる年金改定の実績にもかんがみ、自動スライド制の導入を図ること。  四、年金財政の健全化を図るため、給付に要する費用に対する国の補助率の百分の二十以上への引上げ、財源調整費補助及び事務費の増額に努めること。  五、現行掛金率が他制度に比して高い実態にあり、組合員の掛金負担の軽減を図るため、私学共済と同様に、都道府県補助その他の公的な財政援助措置の導入の実現に努めること。  六、賦課方式の採用を含め農林年金の財政方式のあり方について検討を加えること。  七、掛金の負担割合については、組合員の負担軽減の方向で改善措置を検討すること。  八、農林漁業団体職員の給与等その待遇改善について一層適切な指導を行うこと。  九、農業者年金制度についても早急に抜本的な検討を加え、その改善充実を図ること。   右決議する。  以上が附帯決議案の内容であります。  本附帯決議案は、さきの第七十五回国会における本案の委員会通過の際、全会一致をもって可決されたものと同一内容であり、その趣旨については委員各位のすでに御承知のところと思いますので、説明は省略させていただきます。  何とぞ全員の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。
  102. 澁谷直藏

    澁谷委員長 以上で趣旨説明は終わりました。  本動議に対して、別に発言もありませんので、直ちに採決いたします。  芳賀貢君外四名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。
  103. 澁谷直藏

    澁谷委員長 起立総員。よって、本案に附帯決議を付することに決しました。  この際、ただいまの附帯決議について政府の所信を求めます。安倍農林大臣。
  104. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、御趣旨を十分尊重し、今後検討の上、善処してまいりたいと存じます。     ―――――――――――――
  105. 澁谷直藏

    澁谷委員長 なお、ただいま議決されました本案の委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
  106. 澁谷直藏

    澁谷委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ―――――――――――――     〔報告書は附録に掲載〕     ―――――――――――――
  107. 澁谷直藏

    澁谷委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時五十五分散会      ――――◇―――――