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1975-12-16 第76回国会 衆議院 内閣委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年十二月十六日(火曜日)     午前十時三十分開議  出席委員    委員長 藤尾 正行君    理事 越智 伊平君 理事 奥田 敬和君    理事 加藤 陽三君 理事 木野 晴夫君    理事 上原 康助君 理事 大出  俊君       赤城 宗徳君    大石 千八君       笠岡  喬君    唐沢俊二郎君       近藤 鉄雄君    塩谷 一夫君       竹中 修一君    中馬 辰猪君       旗野 進一君    林  大幹君       三塚  博君    吉永 治市君       綿貫 民輔君    木原  実君       嶋崎  譲君    山本 政弘君       和田 貞夫君    木下 元二君       鬼木 勝利君    鈴切 康雄君       受田 新吉君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 坂田 道太君  出席政府委員         防衛庁参事官  伊藤 圭一君         防衛庁参事官  平井 啓一君         防衛庁参事官  岡太  直君         防衛庁長官官房         長       玉木 清司君         防衛庁防衛局長 丸山  昂君         防衛庁人事教育         局長      今泉 正隆君         防衛庁衛生局長 萩島 武夫君         防衛庁経理局長 亘理  彰君         防衛庁装備局長 江口 裕通君         防衛施設庁長官 斎藤 一郎君         防衛施設庁施設         部長      銅崎 富司君         防衛施設庁労務         部長      松崎鎮一郎君         外務省アジア局         次長      大森 誠一君         外務省アメリカ         局長      山崎 敏夫君         外務省条約局長 松永 信雄君         外務省国際連合         局長      大川 美雄君         大蔵省理財局次         長       吉岡 孝行君         運輸省航空局次         長       松本  操君  委員外出席者         環境庁大気保全         局特殊公害課長 酒井 敏夫君         外務大臣官房調         査部外務参事官 枝村 純郎君         大蔵省主計局主         計官      古橋源六郎君         通商産業省機械         情報産業局航空         機武器課長   堺   司君         運輸省自動車局         業務部長    真島  健君         内閣委員会調査         室長      本田 敬信君     ――――――――――――― 委員の異動 十二月十六日  辞任         補欠選任   赤城 宗徳君     唐沢俊二郎君   有田 喜一君     塩谷 一夫君   中馬 辰猪君     綿貫 民輔君   八木  昇君     嶋崎  譲君 同日  辞任         補欠選任   唐沢俊二郎君     赤城 宗徳君   塩谷 一夫君     有田 喜一君   綿貫 民輔君     中馬 辰猪君   嶋崎  譲君     八木  昇君     ――――――――――――― 十二月十二日  官公労働者ストライキ権回復に関する請願(  梅田勝紹介)(第三五四三号)  同(寺前巖紹介)(第三五四四号)  同外五件(岡田哲児紹介)(第三六〇九号)  同外三件(山田耻目君紹介)(第三六一〇号)  同(横山利秋紹介)(第三六一一号)  同外二件(勝澤芳雄紹介)(第三六五五号)  同(瀬野栄次郎紹介)(第三六五六号)  同(広瀬秀吉紹介)(第三六五七号)  同外一件(山田耻目君紹介)(第三六五八号)  同外一件(横山利秋紹介)(第三六五九号)  同外二件(枝村要作紹介)(第三七一四号)  同外一件(勝澤芳雄紹介)(第三七一五号)  同外一件(広瀬秀吉紹介)(第三七一六号)  同外一件(横山利秋紹介)(第三七一七号)  同外一件(枝村要作紹介)(第三七六五号)  同(勝澤芳雄紹介)(第三七六六号)  同(兒玉末男紹介)(第三七六七号)  同(瀬野栄次郎紹介)(第三七六八号)  同外一件(楯兼次郎紹介)(第三七六九号)  同外一件(広瀬秀吉紹介)(第三七七〇号)  同(福岡義登紹介)(第三七七一号)  同外一件(兒玉末男紹介)(第三八一一号)  同外二件(楯兼次郎紹介)(第三八一二号)  同(広瀬秀吉紹介)(第三八一三号)  同(横山利秋紹介)(第三八一四号)  公務員労働者ストライキ権回復に関する請願  (土橋一吉紹介)(第三五四五号)  同(小林政子紹介)(第三五四六号)  同(沖本泰幸紹介)(第三六五四号)  同(新井彬之君紹介)(第三七六三号)  同(瀬野栄次郎紹介)(第三七六四号) 同月十三日  公務員労働者ストライキ権回復に関する請願  (近江巳記夫紹介)(第三八六五号)  同(石田幸四郎紹介)(第三九四六号)  同(大野潔紹介)(第三九四七号)  官公労働者ストライキ権回復に関する請願外  二件(兒玉末男紹介)(第三八六六号)  同(楯兼次郎紹介)(第三八六七号)  同(久保三郎紹介)(第三九四八号) 同月十五日  公務員労働者ストライキ権回復に関する請願  (大久保直彦紹介)(第四〇〇七号)  同(瀬野栄次郎紹介)(第四〇〇八号)  同(大橋敏雄紹介)(第四〇五四号)  同(瀬野栄次郎紹介)(第四〇五五号)  同(有島重武君紹介)(第四一六〇号)  官公労働者ストライキ権回復に関する請願外  四件(久保三郎紹介)(第四〇〇九号)  同(瀬野栄次郎紹介)(第四〇一〇号)  同外五件(下平正一紹介)(第四一六一号)  公務員労働者労働基本権回復等に関する請願  (石母田達紹介)(第四〇五二号)  昭和五十一年度恩給改善に関する請願鬼木勝  利君紹介)(第四〇五三号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 十二月十五日  岐阜県小坂町の寒冷地手当引上げに関する陳情  書(  第二八八号) は本委員会に参考送付された。     ―――――――――――――本日の会議に付した案件  防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法  律案内閣提出第四号)      ――――◇―――――
  2. 藤尾正行

    藤尾委員長 これより会議を開きます。  防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大出俊君。  大出君の御質疑に先立ちまして、前回の質疑と関連をいたしまして防衛施設庁長官から発言を求められております。これを許します。防衛施設庁長官
  3. 斎藤一郎

    斎藤(一)政府委員 先般、十二月十一日の当内閣委員会で御質問がございました、十二月十日、沖繩キャンプ・ハンセン演習場に隣接する恩納村地籍内の爆発事故について委員会で御質問がございましたので、その後詳細に調査をしましたところ、沖繩県警が中心になって事故原因調査した結果、米軍の砲弾とは無関係のものであるという結論が出されておりますので、御報告申し上げます。
  4. 大出俊

    大出委員 大変たくさんの同僚委員の皆さんが質問を続けてきたわけでございますから、ほとんど問題は出尽くしているのではないかと思います。その意味では、何遍も同じ答弁をいただくようなことになりはせぬかと思うのですけれども、事の性格上、ひとつがまんをしてお答えをいただきたいと思うわけです。  承りたいことは実は山のようにあるわけでありますけれども、何しろ三時間というきわめて短い時間でありますから、できるだけしぼって承っていきたいと思うのであります。  そこで、最初に承っておきたいのは、FXにかかわる、つまり次期戦闘機にかかわる問題でありますが、どうも最近の動きを見ておりますとおもしろくない話ばかり入ってまいりまして、かつて私は、予算分科会だと思いましたが、山中さんが防衛庁長官のときに、商社を通じて輸入しようとすれば必ず政治勢力もその周辺には出てくるわけでありまして、第一次の86のときは、これはアメリカが一方的に日本に押しつけましたから問題ないのでありますが、第二次のFXロッキード、グラマンのときでありますけれども、三次のFX、これも実は私、当時予算委員会質問をいたしまして、増田さんが防衛庁長官でございましたが、えらい大きな新聞記事ができ上がりまして、世間を騒がせた結果に私の質問でなってしまいましたが、今回も、まだどうもちょっと私の調査が不十分でありますが、もう少し調べていくと、第四次のFX騒動などということになりかねぬ心配が実はございます。  そこで、率直に承りたいのですが、シュレジンジャー氏が日本おいでになりまして、三十日に軽井沢へお飛びになったわけでございますが、坂田長官、これはどういうことで軽井沢おいでになったわけでございますか。  あわせて、二時間余にわたって、通訳の方が入っているんだと思うのでありますが、シュレジンジャー氏と長官会談をされておるわけでありますが、某所にいたしておきますけれども、これは一体何をお話しになったのか。野鳥を見に行くという、世上そう伝わっているのですけれども、どうも野鳥を見に行って二時間余も野鳥の話をするというのも、長官教育畑でございますから、私が野鳥の話をするというなら、動物保護管理法立案者でございますから二、三時間の話は簡単にございますが、解せぬわけでございますけれども、これは一体何事でございますか。
  5. 坂田道太

    坂田国務大臣 実はシュレジンジャー長官とは八月の二十九日に会談をいたしましたが、その翌日、野鳥を見に行くということは聞いておりますし、またそのようなことはありますが、私は実は同道しておりませんし、その後どう、野鳥がおったのか、おらなかったのか実は知らないのです。ただ、野鳥の本を差し上げたことはございます。それだけでございます。
  6. 大出俊

    大出委員 野鳥の本を差し上げた——これは長官、念を押しておきますが、おいでにならなかったというのですか、もう一遍承りたいのです。
  7. 坂田道太

    坂田国務大臣 行っていないわけでございます。
  8. 大出俊

    大出委員 そこで、二十九日の会談のときには、FXにかかわる問題は出ておりませんですな。
  9. 坂田道太

    坂田国務大臣 出ておりません。
  10. 大出俊

    大出委員 そこで、これからの手順最初に承っておきたいのですけれども、どういうぐあいにこれからお進めになっていくおつもりなのか、機種選定についての手順を少し詳細に、私の方の都合もございますので、どんな見当で、どういうふうに、第一次調査団中間報告といいますか、そこらはどうなったのか、そこらを少しお知らせいただきたいのです。
  11. 丸山昂

    丸山政府委員 それでは、現在の状況でございますが、これを私から御説明申し上げたいと思います。  御存じのように、ことしの六月から七月にかけまして欧米六カ国、対象機種はその当時申し上げましたように七機でございますが、これについて海外資料収集班を派遣をいたしまして、各国におきます防空構想、それから対象機種に関します運用構想開発状況性能所見、それから装備生産計画並びにその実施状況、それからメンテナンスの関係、それから価格を含めました経費、それからパイロット教育訓練システム、こういった問題について資料収集を行ったわけでございます。     〔委員長退席加藤(陽)委員長代理着席〕  いろいろの経緯がございまして、当方から一応質問書各国政府、国によっては政府が関与してないところもございますが、各国政府並びにその航空機の生産に当たっております会社、これに対しまして質問書を出しておりますが、これが九月以降、逐次入ってまいっておりまして、大体現在の時点で、まだ一部回答のないところもございますが、大体回答が出そろったという状況でございます。  それで、これらを入力をいたしまして、この資料自体についての資料研究作業、これは実は当方でいろいろ質問事項を出しておりますけれどもそのものにぴたりと適合するような形で回答が出されておりませんので、そういう先方から出されましたデータをもとにして逆算をして、当方要求にぴったりするような資料を出さなければならない、そういったいろいろ細々した作業がございますが、そういうことを現在やっておるというところでございます。  それから一方、この資料を整理をいたまして、入力データに基づいてのOR作業、これも並行して進めるということをやっておるわけでございます。当初、本年度末までに一応のORの結果を得たいというふうに考えておったわけでございますけれども先方からの回答がおくれたという事情どもございましたり、それから、大変恐縮なことでございますが、この責任者稲田将補が途中で亡くなられた、こういう事情もございましておくれておるわけでございます。そこで、私どもといたしましては、大体来年の初期に機種をしぼるところまで参りたいというふうに考えておるわけでございます。  そこで、ただいま五十一年度の予算要求をいたしておりますけれども、この予算をお認めをいただければ、四月ないし五月に第二次の調査団、これはOR作業の結果、候補機種を大体いまのところ二機ないし三機にしぼりたいというふうに思っておるわけでございますが、そのしぼられました機種について、今度はパイロット搭乗試験その他かなり具体的な問題で、実は価格その他につきましてもまだ本当に契約を前提としての話になっておりませんので、いまのところは先方は非常に大ざっぱな数字しか示しておりませんので、こういった問題についてさらに問題を詰めてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。その第二次の調査団調査結果を踏まえまして、八月に行われますポスト四次防の全体計画の中で機種決定もあわせて御決定をいただくようにお願いをいたしたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  12. 大出俊

    大出委員 そうすると、まだオペレーションリサーチはやってないというわけですか。
  13. 丸山昂

    丸山政府委員 はい。
  14. 大出俊

    大出委員 そこで、いまのお話の中に、二機ないし三機にしぼりたいというお話があるわけでありますが、これは聞いておかなければいけませんが、これは前に私が質問をいたしましたときに、六月三日でございますけれども、私が取り上げましたのは「航空防衛力構想」こういう言い方をいたしました。丸山さんの方は「選定基準」こういう言い方をされましたが、まあ似たようなことでございまして、私が申し上げました航空防衛力構想というのは、戦闘機性能というのは、防空を主任務とする、ということになると要撃、つまり待ち伏せとか迎え撃つとか、これを主任務としないものは除外をする、航続力だとか短距離離着陸性全天候性武器体系等もありますけれども、対戦闘機戦闘能力というような、まあ格闘能力ということになりますか、そういうふうなことなどを申し上げたわけであります。それらの結果、アメリカ以外の機種を使うことはなかろう、常識で考えても事実上使えないだろう。いままでまた過去にそういう例もございませんし、防衛庁長官がいまおっしゃっております防衛協力というふうな面から言っても、米軍が使っていない機種を持ち出すということはまず成り立たない。防空構想そのものから言っても成り立たないというようなことになると、そこらが外れていく。YF段階かもしれませんけれども、17というのはつぶれたわけでありますから18。しかし、これもどうも、将来どうなるかということは別として、いまの話にはならないということになると、二ないし三にしぼりたいと言っておられるけれども、二ないし三しかないはずでありまして、私が詰めていったときには二つになり、かつ一つになるという詰まり方になったわけでありまして、丸山さんの答弁は、ここに議事録ございますけれども、「一応形式的に選定基準というものだけを拾ってみれば、いまの段階においてもう結論ははっきりしているんじゃないかということをおっしゃられればそうでございますが、ただしかし、いま出ておるものも、たとえばF16にいたしましても、ヨーロッパで採用する場合にはレーダー性能を高めるというような話も出てきておりますので、いろいろ費用対効果その他を考えまして最終的に決めたい」こういう言い方をまずあなたの方はされたわけですね。ここまではいいわけでありますけれども、これを私が受けまして詰めた結果として、まあ形式的にはそういうことになるんじゃないかというお答えがあった。この答弁をめぐって、その後に私が質問したときに、当時お答えを申し上げた点についておしかりをこうむったという話が出てまいりましたが、だれがしかったのかと思ってしかり主を探していたのですけれども、どうもしかり主は長官のようでございまして、それは違えば違ったでいいですけれども、一体だれに怒られたのか。私が質問して、あなたがお答えになったらけしからぬと言って横から怒るのがいたんじゃ、ちょっとうっかり質問もできぬわけで、そこら長官でないとすれば一体これはだれが怒ったのか気になるので、怒り主を探したいのですが、いかがでございますか。
  15. 丸山昂

    丸山政府委員 現在の段階においても対象機種は七機種あるわけでございまして、それについて私どもの方としては、全く客観的な防衛上の技術的な見地から選定をするという、これはもうそのとおりやっておるわけでございます。  大出先生の当初の御質問は、そういった点でかなり専門的な、具体的な点についての御質問で、全体の見通しについてこうではないかということでございまして、私どもも当時の段階で、私ども予備知識というものを前提にいたしますと、先生のおっしゃるような方向になるという御答弁を申し上げたわけでございます。その後、ちょっと私の発言も不適当なのでございますが、おしかりを受けたんではなくて、物議を醸したというふうに御答弁を申し上げたつもりでございますが、実は物議を醸したのは、当初の大出先生に対する私の答弁によって、大体選定範囲アメリカ機種にしぼられているではないかというふうに諸外国で受け取りまして、そういった点からヨーロッパ候補機種に挙げられております国から外務省に対して抗議が私の答弁に関してあったということを実は申し上げたわけでございます。内部的にどうのという問題があるわけではございませんで、要するにアメリカにしぼられた、この段階防衛局長がそういう気持ちでおるのはけしからぬではないかというような御趣旨であったように承知をいたしております。
  16. 大出俊

    大出委員 それで、調査団おいでになって、買いもしないのになぜ調査に来たんだという顔をされたというようなことが新聞に書いてありましたね。ところがまた別なところでは、日数が少ないじゃないか、二十日間くらいいてくれないかと言ったところがあったとかいってね。これはいまの話でわかりましたが、いずれにせよ買う気もないのに、それは性能だ何だと調査しようというんならそれなり調査の仕方もあり、調査の出し方もある。どうもいまの答弁がきわめて形式的なんだが、客観的に見てという、そういうものじゃなかろうという気が私はするわけでありまして、制服の諸君はそんなことを考えていない。ミラージュあたりをとっつかまえて、これはロッキード騒ぎステラン将軍米国機に劣るんだというような文書を出したなんという騒ぎになって、その後交通事故で亡くなっちゃった。そういう機種まで挙げるというようなこと自体が私はおかしいと思っているのですよ。つまり、対象にしにくいものまで入れて七機種だなんて言っているのは、世間一般に対する配慮を考えてそうしている。そこらがそもそも一つのプリンシプルがないという気が私はする。ずばりこれだという、そういう物の考え方を、防空構想を、防衛構想からいって、日本の置かれた専守防衛という立場等も踏まえて、また対象国という言葉がいいか悪いかは別として、そこらも考えてどうするかということを原則を立てて、その上でずばりこの範囲でということに初めからすべきであって、大変なつまらぬ金を使って、これは国民の税金のむだ遣いですよ、何カ国も歩くなんということは。     〔加藤(陽)委員長代理退席委員長着席〕 だから、そこらのところをこれは長官に一言承っておきたいのです。なぜ一体こんなに手を広げて、われわれ何回もFX問題を扱ってきている一人ですから、いまさらという気がするようなことを、世の中の専門家だってみんなそう思っていることをなぜ一体おやりにならなければならぬか。性能調査をしようとかなんとかいうなら、やり方はほかにあるわけですから、買うということで、そういう目的で行ったはずなんだから、行くについては。そうでしょう。だから、これはそこらをもう一遍振り返ってみて——こんなのは決まる話じゃない。だからここまで来れば、ずばりF14を使うのか、F15を使うのか、F16を使うのか。F16はYFの形でしょうけれども、そのぐらいしかありはせぬ。そのほかのものをと言っても言いようがないじゃないですか、性能を調べてみるほど。だから私は、やっぱりその辺のところで初めから物を考えるというのが正しかったという気がする。大臣、これはいかがですか。
  17. 坂田道太

    坂田国務大臣 結果とすると、そういうふうにだんだんしぼられてくると思いますけれども、やはり選定をする場合に広く見るというのも一つ調査の仕方という気はいたします。
  18. 大出俊

    大出委員 そうすると、F14トムキャットなりあるいはF15イーグルなりあるいはF16なりというもの以外のものを、あなた方の内部でだれか考えたことがあるのですか。いかがでございますか。
  19. 丸山昂

    丸山政府委員 これは率直に申し上げまして、形式的な公平措置といいますか、というところに多少流れておったように私は思います。それで実は御案内のように、現在のF4EJファントム次期戦闘機として選定をいたします場合に、当時、大体ヨーロッパ機種も含めまして資料収集をいたしたという経緯がございまして、この点で当初の資料収集計画を立てます段階で、F4の前例というものをややうのみにして計画を立てたのではないかというふうに私自身反省をしております。ですから、もし次にFXの問題が出る場合には、もっと実質的な点についての調査をすべきではないか、しぼるべきではないかというふうに思っております。  ただ、全く形式に流れたのかと言うと、御案内のようにNATOのベルギーほかの四カ国がF16とミラージュについてやはり検討して、最終的にF16という結論に到達しておるわけでございまして、これはやはりそれなり相当NATOとしては真剣に問題に取り組んで比較した結果がそういう形になっておりますので、私どもその点について十分、たとえばミラージュF1についてのはっきりした資料を持っておるかというと、必ずしもそうではないわけでございまして、この点はやはりそれなり意味は十分にあったというふうに思うわけでございます。  ただ、それぞれの国の防空構想なりあるいは対象機運用構想、こういったものについては、FXに絡んだ調査ではなくて、ふだんからこういう点についてNATO諸国についてのいま申し上げたような部面についての調査は十分やっておくべきではないか、もしこういった点について調査をしておらないのであれば、いわゆるFX調査団ということではなくて、そういう分野についての専門的な詰めということもやはりやっておくべきではないかというふうに思っておりますが、確かに先生御指摘の面については、私実は個人的な考え方でございますけれども、やや安易にファントムのときの事前調査というものの例にそのまま従ったという点があるのではなかろうかというような反省もしておるわけでございます。まあ、この点については全く税金のむだ遣いではないかという御指摘であれば、私はそうではないと思います。それはそれなりに十分意味があったと思いますけれども、この調査のやり方については十分反省してみる分野もあるのではないかというふうに考えておるわけでございます。
  20. 大出俊

    大出委員 それは丸山さん、たとえわずかしか欧州にはいなかったとしても、向こうもまともな応対をしなかったなんという話も新聞に出たりしていましたが、行った以上はそれなりの何か資料収集をしなければ、まるっきりそれは税金のむだ遣いになっちゃうのだから、だからそれは何かやはり持って帰ってくることになるでしょう。だけれども、やはりまともに向こうが応対したがらぬようなファントムのときの例があるわけですから、あのときからそうなんだから、そういうことは私は形式で——いま形式でというお話で反省しておりますとおっしゃるからもう言いませんけれどもそこらがやはり混乱する原因だ。  そこで、向こうが余りろくな応対をしないところもあったようですけれども、このミラージュF1、フランスのダッソー・ブレゲーという会社ですね、これ。これを採用するということはあり得ない。NATO、フランスを含むEC諸国がミラージュを採用しなかったのですから、そんなものをこちらが採用するなんと言ったら世の中が笑う。それはできない。それが一つ。それからMRCAパナビア200、これは英国、西ドイツ、イタリア三国共同開発ですね。これも当時問題になっておったわけですから、結果的に16になったのですけれども、これもどうもちょっとわが国となると、なじむ筋合いのものではない。それからサーブ37ビゲン、これはスウェーデンのサーブスカニアという会社ですね。これもちょっとどうも外れていますよ。ということになると、つまり欧州の機種というのは、まあ調査にはおいでになったわけですけれども、どこから見ましても、制服の方方のいろいろなお考えなどというものも間々いろいろなものに載りますけれどもそこらをずっと集めて読んでみても、こちらの方に気持ちが行っている方はほとんどいない。ということになると、残るのは米国機種なんですね。F14トムキャット、F15イーグル、それにF16、これはまだ完成機じゃないわけですからYFでしょう。もう一つF17がありますが、これはノースロップですけれども、これは18に変わり、かつ将来の問題として残っているだけで、ほとんど可能性がない。だから関係商社も、そういう意味ではおりちゃっているわけですね。そうすると、いやでも残るのはF14トムキャット、F15イーグルF1——これはゼネラル・ダイナミックス社ですね、この三機種にならざるを得ぬ、だれが考えたって。それはそれでいいんじゃないですか、形式云々じゃなくて実際問題として。でないと、これはもう議論が横に広がりますので、この三つなら三つにはっきりしておいて、これは承りたいのですが、いかがでしょう。
  21. 丸山昂

    丸山政府委員 先ほど最初に今後のスケジュールというところで申し上げましたように、現在この資料の分析作業、それからそれに基づきますOR作業を実施しておる段階でございまして、もちろんこれは機種をしぼるだけではございませんで、後の最終的な機種決定につながる重要な作業でございます。やはり私ども公式の立場として申し上げる段階になりますと、最初申し上げましたように来年初頭におきまして、こういったOR作業の結果を踏まえまして最後の結論が出るというところまでは私の個人的な感触を申し上げることはちょっと差し控えさせていただきたいというふうに思うわけでございます。
  22. 大出俊

    大出委員 個人的であるとかないとかじゃなくて、あなた方が前から答弁しているのが八機種あるわけでしょう。そしてあなた方、選定基準をつくっているわけでしょう。何年までにつくるという目標を持っているわけでしょう。だからくだらぬと私は言うのだ。八つ挙げたって、F4EJファントム改良型というのはできない。できないものを対象にしようがないじゃないですか。欧州機種なんか持ってくる可能性は全くないじゃないですか、向こうもまともに相手にしないのに。そんなものをここで、限られた時間で議論したってしようがないじゃないですか。それから皆さんはF17を挙げたのですよ。F17はないじゃないですか。アメリカの軍部が、ベトナム戦争から始まりまして中東戦争からインドとパキスタンとの印パ戦争と、この三つの近い戦争経験の上に立って、ソ連機の25フォックスバットの格闘力と比べてみて、結果的に改めて構想転換をしなければならぬ。格闘戦闘機戦闘機に対しては戦闘機という構想でつくらしたわけだけれども、17は採用しないということになったのだから、おしまいになったのだから、そんなものを八つの中に入れたって意味ないじゃないですか。議論しようがないじゃないですか、形式的に八つ八つと言ったって。そうなると、いまの五つだけ抜いてしまえば、いやでも応でも結果的に14、15、16しかないじゃないですか。あなた方、八機種挙げたって、間に合わないものを挙げたってしようがないじゃないですか。なくなっちゃったものはしようがないじゃないですか。可能性のない欧州機種を議論したってしようがないじゃないですか。そうなれば、残るのは14と15と16しかない。そう言っているのに、個人も公もないじゃないですか。いかがですか。
  23. 丸山昂

    丸山政府委員 先生のような御論旨でございますと、当たらずとも遠からずという結果になるのでございますが、私の立場といたしましては、空幕から、ORの結果こういう機種にしぼりますというはっきりした作業に基づいた結論を得ませんと、結局それに基づいて私が判断いたすようなことになるわけでございますので、いまの段階におきましては、そういうアメリカの三機種にしぼるということをはっきり申し上げることが非常に困難な事情にあるわけでございます。F17につきましては、先生のおっしゃったとおりでございます。ただ、最近これの代替としてF18について、米海軍が正式に採用した、要するにプロジェクトとして米海軍が採用したというような話を聞いております。しかしながら、実機としてまだあらわれているわけではございませんので、私どもFX選定のタイミングから言いますと間に合わないのではないかというふうに考えておるわけでございます。
  24. 大出俊

    大出委員 つまり17は18に変わったのだが間に合わない。F4ファントムの改型も間に合わない。あと残りは欧州機種で、これは常識外れである。相手もまともな応対をしていない。だから滞在期間もいずれもきわめて短い、全部調べてみましたが。となると、これは当たらずといえども遠からずとおっしゃったからそれでいいのですけれども、つまり14と15と16しかない。そこで14、15、16、おのおの違いはそれぞれありますけれども、さっき申し上げた三つの戦争の結果として、いままでのF4AからF4D、ここまでの飛行機は、直接格闘戦闘をやる意味の機銃を全部外してしまったですね。全部ミサイル一本なんです。見えない敵を撃つというシステムです。格闘戦闘機として持たなければならぬバルカン砲にしても機銃にしても外してしまった。ところが、ソビエトのミグ25フォックスバットなどは格闘戦闘機用の機銃を持っておるわけですね。唯一の力であるミサイルを発射したらかわされた、必ず妨害電波等が出てくるわけですから。そうするとあとはまるっきり裸、気がついたら目の前に相手の格闘戦闘機がいたというわけです。だからまさに、みごとにF4ファントムはばたばた落ちてしまった。これは問題にならぬ。ここが実は変化をした中心点でしょう。アメリカの各軍部が、それぞれ関係航空会社に対して、新しい開発を費用まで出してやらしたわけですね。18の場合でも費用をかけてやらしておいて捨てるわけにいかない。だから17を18に変えて将来採用を考えるということになっているわけですよ、議会対策もありますから。そうなると新しい変わり方、ここらのところが、日本の置かれている今日の航空防衛構想からいきまして、つまり三つの戦闘の経験に照らして、受け入れてどういうふうに考えるか、これがなければならぬ。この辺のところを長官局長、お二人どちらでも結構でございますけれどもお答えを願いたいです。
  25. 丸山昂

    丸山政府委員 一九八〇年代におきますわが国に対する空の脅威という点についての一応の想定を基本にいたしまして、これに対応できる主力要撃機の選定ということになるわけでございまして、ただいま先生のおっしゃったとおりに、最近の戦闘機の傾向といたしましては、いわゆるACF、エア・コンバット・ファイターという形に切りかわりつつある。かつていわゆるゼロ戦などでございましたように、空中戦闘というものが戦闘機の主要な能力であったわけでございますが、そのうちに航空機のスピードがマッハ二近くになってまいりますと、目で見て戦う空中戦ではなくなりまして、レーダーで探ってこれに対応するということになってまいりました。それが結論的には対戦闘機能力というものの必要性がまた強調されてきておるわけでございます。それはただいま先生の御指摘のとおりでございます。  そこで、先ほどヨーロッパ機種お話がございましたが、ヨーロッパ機種の開発につきましても、大体、その国の特殊事情から次期主力戦闘機についての思想は多少変わっておるようでございます。たとえば例を挙げて申し上げますと、スウェーデンのサーブスカニアのやりますビゲンでございますが、これはインターセプターと申しますよりはむしろ対地支援、先方に攻め入って先方を攻撃するという、近接戦闘支援ではございませんで、先方に攻撃して入る一種の攻撃機的な機能というものを重視しておるように聞いております。それからミラージュにつきましては、大体制空戦闘機としての機能、したがいまして、これについては当然エアコンバットの能力も重視されるというような状況のようでございます。それからパナビアでやっておりますMRCAでございますが、これはイギリスの場合には日本と同じようにやはり要撃機的な能力ということを主体に考えておりますし、ドイツの場合には攻撃機あるいは対地支援を主たるねらいとしておる。それからイタリアはこの同じ飛行機について制空戦闘機的な期待を持っておるようでございます。それがこの航空機の開発の一つの障害にもなっておるようでございます。各国がそれぞれ期待する機能が違うという点が共同開発のなかなかむずかしい問題でございますけれども、そういう点があるようでございます。  そこでわが国の場合に、それでは一体何を期待するのかということになるわけでございますが、わが国はまず第一番目に、御案内のように憲法の制約があるわけでございます。あくまでもやはり受けて立つ専守防衛という立場から考えますと、要撃戦闘機ということがわが国で望まれる一番大きな機能であるというふうに考えるのでございます。そこで、この対象になります。相手になりますのは、わが国に侵攻する爆撃機、それと戦闘爆撃機、あるいはそれを支援をいたします戦闘機ということになってまいると思うのでございます。爆撃機は、御案内のように相当速力は早くはなっておりますけれども、要撃機との対比においては十分これを捕捉できるという態勢にあるわけでございます。  ただ問題は、これからの八〇年代で一番問題になってまいります低空高速侵入ということに対して、現在のF4を含めまして、当方にはこういった点についての非常に大きな欠陥があるわけでございまして、こういった点をカバーできる能力を持っておらなければならない。また同時に、ACFとしての、エアコンバットとしての能力、具体的には翼面荷重の問題とか、いわゆる操縦性、運動性においてすぐれるものであるというものでなければならないというふうに考えておるわけでございまして、私どもの立場で現在先生に御説明できるのは大体そういったところでございますが、これも先ほど来繰り返して申し上げますように、空幕におきます最終的な結論と申しますか、こういったものが出ませんとはっきりしたことを申し上げるということができない状態にあるわけでございます。
  26. 大出俊

    大出委員 ところで、日本防衛対象にする機種というのは、いま爆撃機の話が出ましたが、主としてソビエトの極東に配置をされているもの、足の長いものというのはほかの国には余りありませんからね。これは潜水艦でもそうなんですが、防衛協力だの防衛分担のときに、討論会なんかでもよく出てくるわけでありますけれども、何かどうもポイントが違っているような感じがするわけですね。潜水艦の議論をする場合に、どうも韓国の、朝鮮半島の話が出てきて潜水艦の話になるというのはおかしな話で、ソビエトを対象にしなければ潜水艦の議論はできない。同じ意味で、爆撃機に対して防ぐというなら、それに対して対象にする相手というのははっきりしているはずでありまして、ゲイラーさんがこの間新聞に書いておりますけれども、この朝鮮半島の北側の能力から言って日本の基地が攻撃されることはない、そういう能力はないと言い切っておるのです。ゲイラーさんならば当面の専門家でしょう。そうでしょう、司令官ですから。だとすると、それを対象に考えるというのはやはり見当が少し違う。日本の専守防衛を考える場合に、対象とするのは一体どこを対象とするのか。この辺も、いかなる機種対象にするのかというふうなことなども実ははっきりしておいてほしい、後の問題と絡みますから。  いまあなたの言う低空の問題まで入りまして、翼面荷重の問題が出てまいりましたが、翼面荷重というのはもう御存じのとおり、機の重量を翼の面積で割ったわけですね。小回りがきくかきかないかということです。吹っ飛んでいっちゃうか回れるのかということです。ここらがFMなどの可変翼になっている理由もあるわけですから、だからそこらのところも含めて考えた場合に、専守防衛の国、憲法の制約のある日本で考えるとすればどうなるのかということですね。ここのところを、対象となる相手方を含めてどう考えるべきなのかという基本がないと、われわれなぜこんなことを言うかというと、さっき日程を承りましたが、いつものFX選定のときにそうであるように、そのときになったのでは遅いんですよ、政治が絡んだりするから。本当に専守防衛というものを、私は立場は皆さんと違うけれども、国民の税金を使う限りはそう簡単に無責任なことは言えない。だとすると、その衝に当たる方々が純粋に物を考えて、航空防衛構想からいってこうなるんだという、そこがはっきりしておらないと、とかく政治がらみで物が動いてしまう。これが困るから、こういうことを前から何遍も言っておる、くどいようだけれども。また、最近シュレジンジャー氏が来て、野鳥か何か知らぬけれどもそこらをめぐって、いまおやめになったけれども、EC四カ国に売り込んだ実績もあるわけですから、きな臭い話もないわけじゃない。そういうことでは困るから承っているので、そこの原則というのは一体何なのか、そこをまずはっきりしてほしいのです。いかがでございますか。
  27. 丸山昂

    丸山政府委員 この点につきましては、先ほどお答え申し上げましたように、次期の、いわゆる一九八〇年代におきますわが国に対する航空脅威というものについての一つの見通しなり判断というものが一つ前提になると思うわけでございます。その点について、特に現在のF4並びに104、こういうものを主体にしておりますわが国の要撃戦闘機の能力という点から考えました場合に、一番大きく欠けておりますのは低高度の捜索能力あるいは低高度における攻撃能力それから全天候の攻撃能力、それと先ほど来先生からお話しのございます対戦闘機戦闘能力、最近の外国の主力戦闘機というものがいわゆるACFの機能というものを十分に持つように変わりつつあるという点から考えまして、これに対抗できるものでなければならないというように、非常に大ざっぱでございますが、そういうように考えておるわけでございます。
  28. 大出俊

    大出委員 話を進めますが、中東戦争にしても印パ戦争にしても、ベトナムの場合もそうですか、ベトナムは曇っておる場合もあるわけですけれども、しかし実際に空中の戦闘が行われているという場面はいずれも有視界、つまり目視できるという状態でのみなんですね、歴史的に調べてみると。それ以外の激しい空中戦というのはない。それは赤外線のホーミングだなんだありますから、見えなくたって撃てるわけですけれども、実際に戦われた現実はどうかというと、相手の飛行機もこっちの飛行機もどっちも見えないということで勝負はついていないんです。ほとんど全部が目視なんですね、実際には。これは気候の相違などというものも大きくあるんだと思います。日本の場合にはそういう天候でない。つまり冬という場面もあります。向こうには冬はないですからね。そうだとすると、全天候性というのは日本の専守防衛という立場から、つまりさっきおっしゃった攻撃が中心でない、要撃が中心だということになるとすると、全天候性というのはどうしても必要だということになる。必須要件だと私は思う。そうすると、F16いろいろ調べてみましたが、レーダーを変えるとかなんとかいろいろ言っておりますけれども、レーダーを機体から外にはみ出してつくったら速力は落ちるのに違いないのだから、そんなことはできない。そうだとすれば、中に入れるとすればスペースはない、軽いですから。幾ら変えても入れようがない。空中指令機を買うといったら、これはべらぼうに高いものになる。二百億からすることになる。最近は一つ間違えば三百億。十機に一つの空中指令機などを考えたら、これはもう14だって15だって一緒になってしまうのですね。これはできない。そうすると、やはり全天候性のないものは、日本の専守防衛日本の国情から考えて合わない。だから、F16というのは全天候性を持てるとはどう改変をしても当然思えない。なぜならば、アメリカ自体が航空機会社に指示をして、研究をさせ開発をさせた過程がそれを求めていないからですよ。つまり、ハイ・ロー・ミックスという構想は、F15なり14なりというものを主体にして、そして補助戦闘機として使うということで開発したんだから、初めから天候性を考えていないのですから、これは。それに全天候性という性能を持たせようとすること自体不思議な話で、安い云々の意味がなくなっちゃうんですから。そうだとすると、シュレジンジャーさんが来ようと、この九月にGD、ゼネラル・ダイナミックスの副社長さん以下が乗り込んでこようと、ホテルオークラで何を御披露しようと、中心点はやはりそこにあると私は思っている、その点は。だから、これははっきり聞いておきたいのですけれどもF1YF段階ですけれども、将来のF16が全天候性という——いまおっしゃった低空というのはこれは別の角度から検討しなければいけません。いけませんが、全天候性だとかいうふうなものについてはもういますでにわかっているはずだと私は思うのですけれども、どういうふうにとらえておいでになるのか。事が決まるときになってからでは遅いから承っておきたい。
  29. 丸山昂

    丸山政府委員 現在までに私どもの手元でわかっておりますのは、F16につきましては、ただいま先生御指摘のように、レーダーホーミングのスパローの装着ということを考えておらないということでございまして、したがって、そういう意味全天候性を欠くというふうに判断をいたしておるわけでございます。この前、私から御答弁申し上げましたように、レーダーの到達距離について改善を考えているという情報がございましたけれども、その後、この点についての確とした改良措置については新しい情報を得ておりませんので、この点についてもまだ一つ疑問点は残っておるようでございます。  問題は、ベルギーほかの四国がF16を採用することに決定をいたしまして、ヨーロッパでの生産、一部の生産でございますが、こういうことを契約をしているというふうに私どもは聞いておるわけでございますが、この際に基本的にこういった問題についての改善措置というものが講じられるのかどうかという考えを持っておるわけでございますけれども、この点についても、いまのところはっきりした情報が入っておりません。大体、いまこれも先生が御指摘になりましたように、F16については、いわゆるAWACSとの絡みということが総合的に考えられておるようでございまして、NATOに対するAWACSの導入についてまた別の観点で検討が進められておるようでございまして、そういう総合的なコントロールのシステムの中では、十分意味を持ってくる航空機であると思いますが、わが国のように少数を導入をし、それで運用をするという場合に、いま申し上げましたスパローケイパビリティーを持ってない航空機がどれほどの機能を果たすかということについては、率直のところ私の立場でも疑問を持っておるという状況でございます。
  30. 大出俊

    大出委員 新しい情報がないと言うが、私は物理的にできない。たくさん調べてみましたが、資料をいっぱい持っておりますが、どこからどういうふうに——私もこのFX問題初めてでございませんから、F4のときにもずいぶん苦労して調べたことがあります。今回もずいぶん調べてみましたが、どこからどういうふうに調べていってみても——時間がありませんからもう申しませんが、どう考えてみても物理的に不可能である。だから新しい情報がないのはあたりまえ。たまたま九月でございますか、ゼネラル・ダイナミックスのベッグスという副社長さんお見えになって、ホテルオークラでございますか、何回か記者の諸君だとか、これは防衛庁もおいでになったのですかな、ここで同じ大きさのパネルを持ってきて宣伝をされたという話がいろんなものに書かれておりますが、その中で全天候性だということを強調したというんだが、その信憑性ということになりますと、どこから考えても、いまお話がすでに出ましたけれども、これは今日のままであれば物理的に不可能である。また丸山さんの方の話では情報がないと言う。とすると、現時点では全天候性は持てないもの、こういうふうに考えなければならない。その場合問題があるのは、それでもなおかつF16を採用するという可能性があるのかという問題であります。AWACS、空中指令機かなんかをということになってみても、日本が購入しようとする、たとえば二百機買うにしても百機買うにしても、機数で指令機をそれじゃ考えろとなった場合に、単価からいくと15を買ったって14を買ったってそう変わらなくなっちゃうのです。これはフライアウエイ単価というのはいま明らかになっておるようでありますけれども、それと計算してみて合わない。そうすると、ほとんど変わらなくなってしまう。そういうばかなことを考えるはずはなかろう、この点が第一。考える余地があるとおっしゃるならそう答えていただきたいのですが、いまの御答弁ならそれはないというように思う。  そうするとあと一つ残るのは、ハイ・ロー・ミックスという、これはつまり日本の航空自衛隊という枠内のみならず、米軍、韓国を含めまして、そういう意味のハイ・ロー・ミックスという余地があるのかという。シュレジンジャー氏が韓国においでになって、日本に来られて、その間のいきさつ等々を書いている記事もございます。この中では、韓国の空軍にF16を持たせる、日本の自衛隊にはF15なら15にする。そうすると、日本の空軍のF15と韓国の空軍のF16とのハイ・ロー・ミックスだという、こういう流れ方が一つある。いやそうじゃないんだ、日本の航空自衛隊にF16といったらF16を持たして、米空軍はF15を持って装備するわけだから、そうすると米空軍のF15——海軍は14だけれども空軍は15なんだから、そうすると直接的に航空自衛隊との関係で言えば、アメリカの空軍と日本の航空自衛隊なんだから、坂田さんがしきりに進めておられる日米協力というのも、空で言えば米空軍と、つまり要撃、迎撃という意味ならば米空軍と日本の航空自衛隊との関係のすり合わせなんですから、なら、こちら側がF15を持つとすればこちら側はF16でいいという、そういうハイ・ロー・ミックスはあるのか。つまりF16を日本で、全天候性を持たないという前提で採用する可能性があるかという、そこを聞きたい。いかがでございますか。
  31. 丸山昂

    丸山政府委員 ヨーロッパF16採用は、大体AWACSとのシステム的なつながりということで考えておるように私ども承知しておるわけでございます。日本の場合にF16を採用する場合には、やはりそういった点についての配慮がないと16の機能を十分に発揮することが非常にむずかしいというふうに考えるわけでございますが、このAWACSというのは、巷間伝えられるところによりますと、一機百億ドルもするという大変高価なものでございまして、とてもわが国に見合うようなものではございませんし、こういったものとのつながりということは、わが国では、少なくとも予算的な面からいって、考えることが非常にむずかしい問題であると思うのでございます。  ハイ・ロー・ミックスの考え方、これはいろいろあるようでございまして、アメリカが全世界的に配備をいたします米空軍についてのハイ・ロー・ミックスというような考え方で運用いたします場合には、たとえば中近東とかいうように、全天候の機能を必要としない気象条件その他があるところにおいては、もちろんこのF16が十分機能を発揮するというふうに考えるわけでございますが、日本のような気候、気象のところにおきましては、必ずしもこれは適当でないということも出てくるかと思うわけでございます。問題は、この実際的な運用としては、たとえばアメリカの空軍では、F15の持ちます情報機能をF16にもらって活用するということによってF16の足りない部面を補うというような運用の仕方も考えておるようでございます。この辺になりますとまだ私どもの方も専門家の間でいろいろな検討をしておりますので、そのはっきりした結論が出ていないのに、ここで私から申し上げることは余り適当ではないと思いますが、そういう運用面についてのいろいろな比較検討というようなことにおいて、まだまだ検討の余地はあるように私は考えておるわけでございます。この点はまだ確信を持って申し上げられる段階ではございませんけれどもF16それ自体については全天候性について疑問があるわけでございますが、運用その他の面においてまだ検討の余地はあるのではないかというふうに現在は考えておるわけでございます。
  32. 大出俊

    大出委員 つまり、韓国とのハイ・ロー・ミックスだとか、アメリカの空軍とのハイ・ロー・ミックスだとかいうものは成り立たない、指揮系統が完全に違う。これは協力機関をおつくりになるわけですから、後から承りますけれども、どういう協力をするにせよ、憲法というたてまえもこの国にはあるわけでありますから、そういう意味で、攻撃型の戦闘を考えているアメリカの側とそこまでの協力はできないはずであります。したがいまして、韓国が、日本がというハイ・ロー・ミックス、あるいは米軍が、日本の自衛隊がというハイ・ロー・ミックスはない。そうすると、残るのは——日本のAWACSは使えない。ここにAWACSの単価がありますけれども、ドルを日本円に換算しまして、昔二百億円台のものがいまは三百億円近いのですね。だから、これは十機に指令機を一機くっつけたら三十億円ずつ乗っかるわけですから、とてもじゃない、そんなばかなことを、ということになってしまいますよ。だからこれはできない。そうすると残るのは、日本の航空自衛隊の中でのハイ・ロー・ミックスがあるか。百機買うんだとしたら、その中の何十機かはF16を入れる余地があるかという問題なんですね、実際には。これしか残らない。その場合に、つまり104に対する代替機なんですから機数がわかっておるわけですよね。そうすると、一飛行隊ずつ配置するのでしょうから、その中でF15F16と組み合わせる、そういうことが物理的にできるかどうか。それは一つの飛行隊の中で16と15とが混在するなんという妙なことになってしまう。だから事実上、日本が専守防衛の憲法下におけるという立場で考えれば、日本の自衛隊の中におけるハイ・ロー・ミックスということもおかしなことになる。また、訓練を受けて、ではこれからというその衝に当たる方々だって、一体16に乗るのか15に乗るのかといったら、これはやはり違いますよ。だから、そういう安上がりの、予算を考えてこしらえたものと、金がかかっても全機能を持たせよう、完全なものをつくろうといってつくったもの——バルカン砲ならバルカン砲をちゃんと持っているわけですから、やはりそういう違いがあります。だからそういうことは、つまりそれを使う衝に当たる方々のことも考えれば、アメリカとは違うので、日本のわずかな機種、機数の中でそういうことは妥当ではない。士気の問題も出てくると私は思う。  そうすると、私は、F16を採用する可能性というものは本来ならばないはずだと思っておるのですよ。というのは、少なくとも選定基準をお決めになったんだから、その中に全天候性という絶対条件が入っておるのだから、それに適合しないものを持ってくるということになるとすれば、それはいささか政治力めいたことになる。さらに言えば、金に絡むきな臭いことでもあるのじゃないかということにもなりかねない。だから、もしこの国にF16なんという話が出てくるとすれば、これはおかしいぞということになる。世の中がいろいろなうわさを書いておりますが、そんなことに私は触れません。坂田さんがだれにとっつかまったとか、ろくなことは書いてないのだ。それにまた輪をかけた騒ぎになる。だから私は、これはそういうことにしてほしくない。やはり純粋に考える立場に立っていただきたい、そう思います。そうすると、16を持ってくるのは無理がある、そういうふうに私は思います。  もう一つ。そうなると残るのは14と15なんだけれども、まず一つ、14は複座で二人、15は単座で一人ですね。私はかつて基地視察に参りましたときに、パイロットの方々に飛行機の関係、数その他いろいろ伺ってみたことがある。ここで複座を使うというのには、いろいろまた障害がございます。いまのパイロットの養成その他を考えまして——後から承りますが、これは運輸省に待たして申しわけないのですけれども、訓練空域一つつかまえたって、練度が落ちるのちょうちんのという騒ぎにいまなっているでしょう。そうでしょう。そうだとすると、そこにまた複座を持ってくるというのは、いささかこれまた——しかも14はイランが買っておりますけれども、海軍機に間違いない。日本の航空自衛隊という枠で考えれば、アメリカの空軍との関連にいやでもなるわけですね。向こうさんが15を使っておるのに、こっちは海軍機の14を使う、しかも複座であるという、そういう必然性に欠けるという気が実は私はする。  この辺で一遍切って、これはさっきから申し上げてくどいようですけれども、そこまでいってしまって議論をするのは私は感心しないと思っているのですよ。できるだけ率直に出せるものは出していただいて、担当の委員会なんですから、われわれに議論をさせていただきたい。そのことがいろいろな政治力だとかロッキードの金の話、これは運輸省に聞かなければいけませんけれども、トライスターなどをめぐること、そういうことになっては困るので、ぜひひとついまの点は答えていただきたい。
  33. 丸山昂

    丸山政府委員 ただいまの単座、複座の問題でございますが、たしか先生がおっしゃるように14についてはこれは複座でございますが、15についてはいまのところ単座でございます。ただ、この点については、いわゆるトレーニングのものについては当然複座のものができますが、その場合には戦闘能力を切り落とすということにならざるを得ないわけでございまして、いまのところはそういうふうに私どもも承知をしておるわけでございます。ただ、パイロットの心理から申しますと、このF4選定をされます経緯におきまして、何と申しますか、大変パイロット自体は空に飛び立ちました場合には孤独感に陥るわけでございます。その点で複座の戦闘機は、その孤独感を救う上においては大変有効な働きをしておる、これはパイロットの方の一部の意見でございますが、そういう意見も出ておるわけでございます。それなるがゆえに、現在のファントムについては大変パイロットの中に一つの安心感があるわけでございまして、特にエマージェンシーの場合におきます措置については、冷静に、適切に措置ができる可能性が強いということで、その辺の面から考えました場合には複座が非常によろしいということになるわけでございます。ただ、このF14、15クラスになりますと、すべての操作がマニュアルでなくてオートマチックになっておるわけでございまして、在来であると。パイロットが自分自身でマニュアルで措置をしなければならない分野が相当あったわけでございますが、これが全部省ける、すべて自動でできるということになって、パイロット自体の所要動作というものが非常に単純化されてきておるという利点はあるわけでございます。したがいまして、パイロットが二人乗りまして、一人はいわゆるコーパイロットになるわけでございますけれども、実際はパイロットが一人で、あとは武器系統、ファイアコントロール、その他の分野についての専従ができるということになるようでございまして、問題はその辺の複座の効用というものをどのように評価をするかということにかかわってくると思います。また、今後のパイロットの養成計画その他から見まして、要するに二倍になるわけでございますので、そういった点との関連、その他もやはり十分に検討してまいらなければならないことであると思うわけでございます。
  34. 大出俊

    大出委員 あとは、時間の関係がありますからばっと聞きますから、お答えをいただきたいのです。  まず価格をここで承っておきたいのですけれども、これはフライアウエイ単価というのですか、機体、エンジン、電気装置、これだけ含めた単価でございましょうね。そのほかに武器体系が別にございます。このフライアウエイという単価で計算をしたもので、16それから14、15、この辺は一体現時点で幾らになり、将来採用の年月日を考えた場合に果たして——ファントムF4どもやはり大変に値上がりしているのですね、そこら考えなければなりませんけれども、とりあえず現時点で、さっき価格もだんだんわかってきたというお話でございますから、どのくらいのことになっているのか、ちょっとお知らせをいただきたいのが一点であります。  それから次に速度、それから推力比重、それから翼面荷重、それから航続距離、それからフライアウエイ単価で結構でございますが、価格。  おわかりになれば推力の重量比、翼面荷重、さっきおっしゃいましたから、三機分だけで結構でございますが、どういうことになっておりますかということ、それから航続距離、どのくらいあるかということ、この四点をひとつお答えいただきたい。簡単で結構です。
  35. 江口裕通

    ○江口政府委員 現在手元にございます資料価格面を申し上げます。これはお断り申し上げますが、一九七六年度のアメリカの上院歳出委員会分科会の本年五月六日の議事録でございます。  まずF14でございますが、これは恐らくフライアウエイ単価であろうと思いますが、開発機十二機、量産三百七十八機を前提といたしましてその平均計画単価でございますが、先方のドル表示では千八百七十二万ドルでございます。ちなみに三百八円換算にいたしまして約五十八億。  それから同様の資料によりましてF15を申し上げますと、開発機二十機、量産機七行二十九機の平均計画単価でございますが、千四百六十一万ドル、円価にいたしまして四十五億。  それからF16でございますが、これも同一資料でございますが、開発機八機、量産機六百五十機でございまして、その金額が八百八十四万ドルでございます。円価が二十七億二千三百万。これが一応公になっておる資料でございます。
  36. 丸山昂

    丸山政府委員 大変恐縮でございますが、いまの翼面対重量比でございますが、これはちょっと手元にございませんので、後で御報告させていただきたいと思います。  それから速度でございますが、一応全部について申し上げますと、MRCAが最高二マッハでございます。それからビゲンが二マッハ、ミラージュが二・二マッハ、それからF14が二・三四、F15が二・五、F16が二、それからYF17が二というところでございます。  それから航続距離につきましては、これも大変恐縮でございますが、ちょっと手元に持っておりませんので、これも御報告を後でさせていただきたいと思います。
  37. 大出俊

    大出委員 航続距離は何か前も明らかになさいませんで、後でお調べになるということになっておるわけでありますが、私の方でこうだと言うのもなにですから、皆さんの方でお調べいただいて、改めてお答えをいただきたいのであります。  翼面荷重、さっきお出しになったから聞いたのですけれども、私の方じゃわかっておりますから、別にそれはなければないで結構でございます。  そこで、いまのお話でいきますと、宣伝に来られた方のF16の単価というのが十八億と言っているのですね。いまのお話で二十七億二千三百万円、こういうわけでありますが、この十八億というものは何かと思って調べてみたら、おおむね二千機ということが基準になっているのですね。二千機ということになると、ここに問題があるのですね。じゃ、いま16の場合に何機ぐらい生産をする予定なのか。米空軍が六百五十機なんですね。NATO四カ国が三百五十機なんですね。したがって、合わせてこれは一千機なんですね。もう一千機どこかに売り込まぬとこの価格にならないですね。だから日本にどうしても売りたいのですね。どんな犠牲を払っても売りたいというわけです。そうなってくると韓国もございましょう。だからそういう意味のハイ・ロー・ミックスだなんという話が出てくるわけでありまして、韓国の場合ならあるいは地理的条件からいって16ということもあり得るかもしれない。実はそういうことですから、日本というのはそれでも他に比べれば機数は多いわけですから何とかこれは持ち込みたいというのですね。したがってだんだんこれ激しいことになるわけでありまして、ここらのところ、一体この量産との関係でどういう変化をするか、おわかりになれば、いまの点がありますので、承りたいと思うのです。  それからもう一つ、運輸省の方その他お見えいただいておりますから、先に承る点だけ承っておきたいのでありますけれども、商社は一体どことどことどこになるのでしょうか。このFM、15、16、これは結局どういうことになるかということ。ここらひとつお答えいただきたい。
  38. 江口裕通

    ○江口政府委員 ただいま御質問いただきましたF16でございますが、これ実は大変申しわけございませんが、少し訂正をさせていただきたいと思います。  先ほどフライ・アウエイ・コストと申し上げましたけれども、これは平均計画単価というふうに発表になっておりますので、あるいはこれは初度部品をやはり含んでおるのではないかと思うのです。したがいまして、たとえばこれをどの程度見るか。一割と見るかあるいは二割と見るかわかりませんが、たとえば二割程度というふうにいたしますと、その分だけフライアウエイは低くなるということでございまして、その点若干訂正をさせていただきます。  それから量産機数でございますが、これはあえて申すまでもございませんが、確かに七四年の二月に初飛行をいたしまして、七五年の一月からゴーアヘッドになっておりまして、そして米空軍が六百五十機の計画を持っております。NATOについてもいまおっしゃったような数字になっておるかと思いますが、これ以上の数字はちょっと私ども入手しておりません。  それから商社でございますが、F14、15について申し上げますと、F14において現在一応代行という形になっておりますのが安宅産業でございます。それから15につきましては日商岩井、F16につきましては、いろいろうわさがございますけれども、まだどこがというはっきりした線は出ておらないというふうに私どもは了承しております。  以上でございます。
  39. 大出俊

    大出委員 私は、前から申し上げておるように、結局残るのは14と15しかない。パイロットの方々の、さっき丸山さんがおっしゃるいろいろな感じ方があると思いますけれども、やはり米空軍との関係その他から言えば、結果的に、単価の関係も出てくるかもしれません、F15ということにならざるを得ぬという気がしているわけでありまして、そういう質問をいままでしてきているわけでありますから。  そこで、この際あわせて承っておきたいのですけれども、武器体系という面で、14、15、16というのはどういうことになっておりますか。
  40. 丸山昂

    丸山政府委員 いま私ども承知しておりますのは、14は、二十ミリのバルカン砲、それから空対空ミサイル、AAMは八個つけられるというふうに聞いておるわけでございます。この空対空ミサイルはスパロー、サイドワインダー、フェニックスがそれぞれ装着できるというふうに聞いております。このF14の一番特徴になりますのはフェニックスでございまして、これも、巷間伝えられるところによりますと、同時に六つの目標の処理能力があるというふうに言われておるものでございます。そのほか、ロケットそれから爆弾、こういったものがパイロンに装着できるというようなことになっております。  それからF15でございますが、これも二十ミリのバルカン砲、それから空対空ミサイル、AAMは四ないし八でございまして、これの中身は、スパロー、サイドワインダーというところでございます。  それからF16は、二十ミリのバルカン砲、それとAAMは二個つけることになっておりまして、これはサイドワインダーでございます。  それからYF17は、これも同じでございまして、二十ミリのバルカン砲と、それからAAMが二個、これはサイドワインダー、こういうふうに承知をいたしております。
  41. 大出俊

    大出委員 念を押しておきますが、装備局長さん、フライアウエイ単価に最低限の使いものになる部品と整備用品、つまり最低限のものを含めた単価が、年度によって違いますが、四十五億から四十七億、先ほど四十五億というふうに15をおっしゃっていましたですね。部品の見方なんですが、四十五億から四十七億ぐらい見ないと、最低限度の部品を含めて整備用品、四十五億だとすると少しきついということのようですね、相手方の会社の説明資料からいきますと。だから、さっきのお話はフライアウエイですけれども、機体、エンジン、電子装備プラス最低限度の部品それから整備用品を含めると、最小限度四十五億ぐらいになる、こういうことですね。さっきの五十八億、四十五億、二十七億二千三百万円というのはそういうふうに受け取ってよろしゅうございましょう。
  42. 江口裕通

    ○江口政府委員 いま先生のおっしゃいましたような御解釈で結構だと思います。
  43. 大出俊

    大出委員 それでこれはほぼはっきりしたわけでありまして、武器体系の相違が14と15は多少ありますが、結果的にどういうことになるかと言えば、やはり防空構想なんですね、14と15の事例というのは。さっきお話もちょっとありましたが、日本の置かれた立場と安保条約が中に介在をいたしますから、しきりにいま協力云々の話が出ておりますけれども、つまりどういうふうな防空構想を立てるかというそことの関係が最終的に15か14かということになる、こういうことに結果的になるのだろうと私は思うわけでありまして、この一つの筋を私は外していただきたくない。外れて妙なものが入ってきて妙なことになるということになるとすれば、何かがあったのではないかということに勘ぐらざるを得ぬわけですから、そこらのところを念を押しておきたいのです。長官ひとつ、私は大変に心配症でこういうふうに言うのかもしれませんが、人が死ぬようなことがあっちゃ困るのですから、そういう意味でこういう詰め方をしているので、立場は違っても何でも、やはり正当な筋の通った、われわれが多少なり素人ですけれども勉強してみて、こういうわけだからこうすると言われたときに、そうかと納得し得る形にしていただかぬとただじゃおけないということになるので、そこのところはひとつぜひ御配慮いただきたいのですが、いかがでございますか。
  44. 坂田道太

    坂田国務大臣 FX選定につきましては、大出先生いま御指摘のとおりに日本防空構想ということの基準に照らしまして納得のいく決め方をしたいというふうに考えております。
  45. 大出俊

    大出委員 そこで、二つばかり聞いておきたいのですけれども、運輸省の方お見えになっておりますか。  一つは、あってはならぬことですけれども、とかくこの種の売り込みに、相当な単価のものになりますから、六千億商戦だなんて言われるわけですから、もちろんこれはきょう聞きませんでしたが、エンジンだとかエレクトロニクスだとか、こうございます。ヒューズその他がやっている代理店はどこだ、みんな決まっているわけでございますからね。アメリカの議会でのいろいろなやりとりが上院銀行委員会ですか、ここでございまして、一遍これはどこかで現物を見たいと思っているのですけれどもロッキード社の言うならば賄賂、ここで二億五千万ドル借り入れて危なくなったわけですから、この会社は政府保証の形で金を入れているわけですね。英国のロールスロイスのエンジンとの関係がありまして、トライスターその他をつくるに当たってのそちらに金がかかって、ロールスロイスもおかしくなった。倒産をした。そこでアメリカ側のこのロッキードは、珍しく民間に対して政府政府保証で金を借りられるようにして助けたわけですね。金を出しているにもかかわらずというところが、実は米国側のこの議会筋の論点なんですね。そこで、このやりとりの中でロッキード側は、売り込みに当たって大変な金を使ったということを社長はまず認めているわけですね。これはホートンさんという会長ですね。二千二百万ドルを払った、ある種の国ではこの種の金の支払いは商慣習だ、これは海外での売り込みの必要経費であり、他の競争会社もやっている、だれに賄賂を贈ったかは、当人の名誉と商売に悪影響を及ぼすので明らかにできない、こういう発言をホートン会長がしているわけですね。それでこの委員長が同会長にただしたんですね。トライスターを日本、カナダ、サウジアラビア、香港などへ売り込むに当たって、政府要人や航空会社関係者へ賄賂を贈ったのではないかと聞いているわけですね。ホートン会長は、現時点では答えを差し控えると答えただけで、あとは黙して語らず。日本という国名が登場してきて、日本でトライスターを買った会社ということを調べてみれば、全日空しかないですね。若狭さんのところですね、これしかない。海の向こうの話ではありますけれども、この会社が賄賂に使った金というのは八十八億で、金額ははっきりしている。八十八億で、挙げられている国名は限りがある、買った機数から言っても。向こうで会長が、賄賂を贈った相手は名誉のために言えない、こう言う。商慣習で商売に差し支える、それも言っている。日本の名前が挙がっている。これはどうも釈然とせぬですね。これは後からたしか四機か五機追加しましたね。だから全日空はトライスターは十八機ぐらいになったでしょうか。  こういうことがまかり通ると、今度のFX選定だってそんなことになりかねない。副社長以下乗り込んできて、商社も決まっていないのに大宣伝をやっているわけですからね。したがいまして、フランスのステラン将軍の話じゃないけれども、これはやはり監督官庁としてどういうことになっているのかお調べになる必要がどうしてもあると私は思っておりますが、お調べになったことがありますか。若狭さんは港湾局長をおやりになっておったわけだから、私も何遍かこれは質問したことがあってよく承知しておりますが、皆さんの関係者の方ですけれどもそこらのところは一体どういうことになりますか。
  46. 松本操

    ○松本(操)政府委員 ただいま先生のおっしゃいましたトライスターの売り込みに関しての関連のストーリーと申しますか、そういう点につきましては私ども新聞その他で承知はしておるのですが、しかしその中に出てまいります国名は、恐らくトライスターを買った国を列挙してあろうかと思います。  わが国に関しましてそのようなことが行われたというふうなことは全く考えられませんし、私どもの、つまり運輸省の側においてはこれは全く論外な議論でございます。また、これを購入いたしました航空企業の方におきましてもこのようなことはあろうはずもないことではないか。かなり前から相当研究を重ねた結果、技術的な調査を経てこれを購入するその経緯については私ども承知はいたしておるわけでございます。直接的に商社とどういうことがあったかどうかという点までは、直接私どもがその時点においてとやかく申すべき立場ではございませんけれども、しかし先生のおっしゃいますように、もし万一でもそういうことがあれば、とんでもない話でございます。私どもといたしましては、その選定に至りました経緯を技術的にいろいろと聞いてまいっておりましたその過程等からも考えまして、まずそのようなことは絶対になかった、こういうふうに考えているわけでございます。
  47. 大出俊

    大出委員 お聞きになったりお調べになったりしたことがあるかと聞いたのですが、そこにお触れにならぬで、そういうことはなかった、こうおっしゃるのですけれども、向こうでこれは公に出てきた問題なら、やはりそれなりに受けとめてお調べになる必要があるんじゃないですか。  もう一つ、ここで外務省に承っておきたいのですが、ニクソン・ショック云々と言われた時期がございました。五年ばかり前でございますか、あのころはちょうど全日空や日本航空が機種選定作業をやっているときです。米側が、つまり日米貿易収支で三十四億ドル赤字になった、こういうわけですね、当時。そして四十七年の六月にキッシンジャー、当時は大統領特別補佐官ですが、お見えになった。それで佐藤総理に対して、日米貿易の不均衡是正のために十億ドル程度の緊急対米輸入を考えてほしいという要請をした。これも事実です。間違いない。当時さんざん問題になった。その直後に政権がかわりまして田中さんの政権になった。九月一日にホノルル会談がニクソン大統領との間で行われた。このときに、この会談で、米国製航空機など約二億ドルを輸入する、これは漸時新聞にも出たことでございまして、はっきりしておるわけであります。これはエアバス、当時アメリカは三社ばかりが開発しておりました。どれを使うかということは触れていない。ただ、日本側で約二億ドル輸入するという方向で当時話し合いが行われた。このほかに航空自衛隊の偵察機、RE4ファントム、これはマクダネル・ダグラスですね、この十四機、ライセンス生産をしないで直接輸入する。それでもう一億ドル。こういう国家レベルでの話し合いが行われた場面がありました。ここでトライスター問題などが出てくるわけでありますけれどもロッキードの関係でございましょう。そこらのところ、どうも私は気になるわけでありますが、当時の、つまりエアバスの輸入というのは、もうちょっと外務省筋の立場で言えば具体的にどうなっていたのですか。
  48. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 その当時、日米の貿易収支についていろいろ問題があったということは承知しております。また、そのホノルル会談において、それを是正するためにアメリカの航空機の輸入問題のほか、濃縮ウランを購入する問題その他いろいろ話が出たということは承知しておりますが、具体的な機種についてそういう首脳会談において話されたということは、私たちは承知しておりません。
  49. 大出俊

    大出委員 つまりそういう国の方針も片やあって、日本の航空企業がエアバスを買ったわけでしょう。これは、政府間の話し合いが行われたところは方々にある。何も日本だけじゃない、ほかならぬアメリカのことですからね。そこで合計六十六億——さっき八十八億と私は間違えましたが、六十六億ですが、ホートン会長が金額を明らかにしているわけですね。それだけ贈ったという。全くないと、中身を言わずにおっしゃられてもこれは困るので、あったらえらいことになる。あればおたくにお答えいただく前に物を言いますけれどもね。だから、そこらのところはあなたの方でお調べを願わなければいかぬと私は思う、所管の官庁ですから。もしそうでないと言うなら、これはアメリカ側で日本なんという名がのこのこ出されて迷惑な話だから、そこらはきちっとしなければいかぬでしょう。これはやはり国民の目に触れているのですから。そうでしょう。こういうのをそのままにしておくと、FXだって前回の例があるんだから、二次、三次という二回。どこかの商社みたいに防衛庁のすぐそばへ事務所をこしらえて、防衛庁から出てくる人の持ってきた資料も、極秘の資料を持ってきたやつをそこでぽっとリコピーの機械を置いておいてリコピーして、片っ端から抜けていたというのが山口空将補さんのお亡くなりになったあの関連ですよ。私は予算委員会で増田甲子七さんに質問したら、防衛庁は伏魔殿で、私が物を言えば言うほど高くなる、こういう答弁。それでは困るので、疑惑を招きますから聞いているので、あなたの方でそういうことはないはずだと言ったって、向こうさんで日本という名前が挙がっているんだから、お調べ願えますか。
  50. 松本操

    ○松本(操)政府委員 ただいまのお話の内容等につきましては、実は私ども詳細には承知しておりません。新聞等で承知しているだけでございます。しかし、これは米国の議会内においていろいろ行われたことでもございますし、たとえば外務省等を通じましてその実態等も十分に研究をいたしました上で、それが日本においてどういうふうなことを言おうとしているのかというふうな点からまず十分に取り調べてまいりたいと思います。
  51. 大出俊

    大出委員 それではひとつ山崎さん、それは外務省の方を通じて結構ですから。やはり事の真相は、米議会のやりとり、議事録もあるわけでしょう。一体どういうことなのかというのをきちっとしていただきたい。国民の目に触れているものを放任はできません。だから取り上げたんだ。いまおっしゃるように、日本の名前が挙がっている、一体どういう上がり方なのかというところから慎重にこれは調べなければいかぬでしょう。だから、私も断定的なことを言っているわけではない。したがって、ぜひこれはお調べいただいて、その結果をお知らせ願いたいのですが、いかがでしょうか。
  52. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 このロッキード社の問題に関しましては、実はほかの委員会においても御質問がございました。そのときの御要請がございまして、上院の銀行委員会における議事録外務省においてすでに取り寄せまして、関係部分はその委員会にも提出してございます。したがいまして、同様の資料でございましたら大出委員にも御提出できます。
  53. 大出俊

    大出委員 それでは、提出をされておるのだとすれば、その後の措置は運輸省はどうなさったのですか。
  54. 松本操

    ○松本(操)政府委員 少なくともこの問題に関しまして私が承知しておる限りにおきましては、直接的に日本にどうしたこうしたというふうなことを彼が申しておるということではないようでございます。したがって、先ほどお答え申し上げましたように、私どもとしてはそのようなことは全くあり得ないというふうに思っております。資料の上からも直接的にどうこうということを言うておるわけでもございませんし、先ほどお答え申したような状態になっておるわけであります。
  55. 大出俊

    大出委員 それでは、一遍その議事録を出してください。読ましていただきますから。  それから、もう一つここで締めくくりで承っておきたいのでありますが、さっき私ちょっと口にいたしましたが、自衛隊の訓練空域等の関係で大変に練度が落ちるというので、これは恐らく前に質問が出たと思いますけれども、きょう運輸省にお見えいただいたのは、論点は、将来においてこの訓練空域をコンピューターその他いろいろなことを導入をしておやりになって再検討をするというのですね。そういうことがあるのかどうか。物にはちらっとそういうふうに書いてあるわけであります。  そこで最初長官の方で、アメリカで訓練をというのはどうも私は国民感情に沿わぬ気がするのですけれども、ナイキなんかやっておられるわけですけれども、これは大変な金がかかっていますね。べらぼうな金ですね。弾を持っていっているのですからね。空の場合にはそんなにかからぬかもしらぬけれども、何となくどうも感心しないという感じが、率直に言っていたします。ここらは真相は一体どういうことなのかというのが一つ。  それからあわせて、練度が落ちるというのだが、現状はどういうことになっているのかというのが二番目。  そして、将来においてこの訓練空域の再調整を——雫石事件のときに私も何遍か細かい、質問をしたことがありますけれども、運輸省との間において、書いてあるのを読みますと、それなりの措置をして画調整という時期があるような書き方なんですけれどもそこらのところはいかがでございますか。
  56. 坂田道太

    坂田国務大臣 純度の問題については政府委員からお答えを申し上げたいと思います。  私は雫石の記念式典に参りまして、地元の新聞の方から質問を受けまして、民間航空の安全というものは、航空全体についての安全ということにつきまして非常にこれから心していかなければならない、これは運輸省関係の航空ももちろんでありますし、また自衛隊の航空について雫石の事件が起きたわけでありますから特に注意しなければいけない、しかしこれにつきまして訓練をいたします自衛隊の空域というものが非常に限定されておる、そのこともやはり練度と関連がございます。ところが西ドイツにおきましてはかなり前からアメリカに行って訓練をしておるということを聞いております。こういうような実態は一体どうなのか、あるいはお金は幾らぐらいかかるのかということはやはり研究しておく必要があるということを申し上げたわけでございます。まだ研究の段階であります。
  57. 丸山昂

    丸山政府委員 ちょっと補足させていただきますと、先般空幕長が欧州に参りましたとき、長官の特命がございまして、特に西独が日本と同じように104Gでございますが、これの訓練をアメリカで本格的にやっておりますので、その辺についての調査を、随行いたしました防衛部長その他に長官の方からの御指示がありましていろいろ調べてまいったわけでございますが、御案内のように、西独は国内に射爆訓練場その他がございません。北のバルチック海の一部にございますだけで、いわゆる初等訓練からの積み上げというのが非常に困難な状況でございまして、アメリカにおいて全部組織的な訓練、一応パイロットとして完成される段階までの訓練を全部やっておるという状況でございます。これは国の方針としてそういうことに踏み切ってやっておるわけでございますが、あと細かい点についての調査をよくいたさないといろいろ問題点はたくさんあるわけでございますが、まず油の経費が大変アメリカでやりました場合には安上がりで上がるということでございます。それからもう一つは、場所はアメリカの南部の方で行っております。場所についてはちょっと私いま失念をいたしましたが、気象条件その他が非常によろしいために、訓練計画が予定どおりぴしぴしと進んでいく、そういう利点もある、狂いがないという点があるようでございます。それから射爆場につきましても非常に有利な条件で訓練ができる。したがって一応の仕上がった形としてのパイロットになりましてから木国に帰って、今度は本国の気象風土に合わせた慣熟飛行をやることによって一応対応能力がつく、こういうことのようでございます。特に基地維持のための騒音対策ということでわが国は非常に悩みを持っておるわけでございますが、こういった問題その他も総合的に検討してまいる必要があるのではないかということで、とりあえずは長官からの御指示で検討しておるというところでございまして、これを採用するかどうかは全般的な総合判断があってからの後ということになるかと存ずるわけでございます。  それから現状のパイロットの技術水準の問題でございますが、これも御案内のように、本来パイロットについては、年間二百時間の飛行時間というものが練度を維持するためには必要であるという基準になっておるわけでございますが、現実は百五十時間まで落ちておるわけでございます。この百五十時間という線を保持いたしませんと、これは専門的な数字がございますが、この百五十時間を切りました場合には今度は逆に事故率がふえてくるということで、一つの最低限度の線というふうに私どもは考えて曲るわけでございまして、これを何とか維持しなければならないというふうに考えるわけでございます。この訓練空域との関連につきましては、運輸省の御配慮によって訓練空域を設定さしていただいておるわけでございますが、細かい問題になるわけでございますが、この飛行場から訓練空域に参りますためには回廊を通過してまいらなければならないということで、要するに規定の飛行時間を消化をいたしておりましても、問題はそういう回廊通過のための所要時間、これは大変離れたところが非常に多いわけでございまして、そのために訓練空域の往復に相当の所要時間を費やす。それからもう一つは物理的な問題でございますが、低空で飛行いたします関係で燃料消費が非常に多いわけでございます。したがって、訓練空域に参りましてからの飛行訓練時間というものは大変制約をされるということでございまして、そういった点から、努めて先ほど申し上げました百五十時間のレベル以上を維持したいというふうに、実際は航空自衛隊では相当努力をいたしておりますが、この辺につきましてはかなりの努力をいたしませんとその維持ができないというのが現状であるというふうに申し上げてよろしいかと思います。
  58. 大出俊

    大出委員 ずばり聞きますが、マッハ一・八ぐらいの音速以上の訓練をやるとなりますと、これは能登半島沖のGしかないのでしょう。一つでしよう。これはファントムを入れてきますから、104でも〇・八五ぐらいのやつは年じゅうやっているわけですね。だからマッハ一以上の訓練が出てくる、これは一カ所しかない、これはもうわかり切ったことです。  そこで運輸省との関係が出てくるのですけれども、これを承りたいのです。この訓練空域の再調整、その前にレーダーその他の措置が要る、そちらの方はお進めになっているわけですか。進めておられるとすると、その措置がどのくらいの年月でできるかということと、できた場合に、レーダーその他の機器をそろえたことによる安全度というものを御考慮なさって、雫石事件のときに決めた一つの協定みたいなものがありますね、それを再調整をする、こういうことになるのかどうか。そしてそれがいまの運輸省の航空局でお進めになっている措置からいきまして、近い将来なのかあるいは相当年月がかかるのか。そこらをこの際はっきりさしておいていただきたいのですが、いかがですか。
  59. 松本操

    ○松本(操)政府委員 まず第一に、運輸省といたしましては、航空交通の安全の確保、これはもちろんその中には自衛隊機が空を飛んでいる限りにおいて自衛隊機も入ってまいりますが、しかし、なかんずく民間航空機の安全な運航確保、これを主たる眼目といたしまして、まずそのために第二次の空港整備五カ年計画におきまして、先生いまおっしゃいましたような航空路監視レーダーの整備でありますとか、それに対応しました管制施設の近代化、これはコンピューターを導入してかなりシステマチックにやろうというわけでございまして、こういうようなことに着手をしたわけでございます。全国を八つのそういったレーダーで覆いますとともに、現在四カ所にございます航空交通管制部を新しい庁舎に移転し、新しい施設を入れる。この計画は多少遅延をいたしておりますけれども、五十一年度にはまず東京管制部の移転が始まりますが、すでに八つのレーダーのうち四つば稼働しておる。こういう状態で五十二年度までにはすべての管制部の移転を終わり、八つのレーダーの運用が開始される、これによって航空路の航行安全について相当程度私どもの能力が向上してくる、こういうふうに考えておるわけでございます。  それと同時に、これに関連をいたしまして、航空路そのものも従来は、いまや旧式になっておりますNDBと申します無指向性の無線標識を中心にした航空路であったわけでございますが、これをVORと申します超短波の指向性の無線標識に切りかえる、あるいはこれにDMEと申します距離測定施設を取りつける、こういうふうなことで、航空路につきましてもこの第二次五カ年計画の中において主要航空路の複線化、特に交通量の多いところはこれを複々線化する、こういうふうな作業を逐次進めてまいってきておるわけでございます。ようやくにしてこれらの施設はほぼついてまいりましたが、航空路そのものを見直しましてこれを複線化しあるいは複々線化し、あるいはNDBからVORに切りかえるというふうな段階にまではまだ至っておりません。これらの作業は多少時間がかかりますので、私どものいまのおおよそのねらいといたしましては、あと三カ月以内にVOR等をもっぱら使用する航空路の再編成、こういうふうなことを完了するようにしたい、こう考えております。そのようにいたしました結果、わが国の上空の空域というものの利用度というものがかなり向上してまいるのではないだろうか。そういうふうなことから考えまして、先ほど防衛庁の方からもお話がございましたが、現在の訓練空域、特に問題になります高々度訓練空域十一カ所というものは、非常に取り急ぎ決めたというふうなこともございまして、必ずしも訓練に適切な形状等にもなっていない面もあるように承っております。  そこで、この訓練空域を直接どうこうするというのが私どもの方の直接のねらいということではなくて、前段に申し上げましたように、諸般の安全のための施設が整備してまいりますれば、当然航空路を引き直しますと、訓練空域等も動かしてまいる必要が出てまいります。その場合に、近代的な管制方式の眼目の一つでございます空域の有効利用ということをむしろ積極的に取り入れていくことによりまして、現在あります訓練空域の位置、形状等についての手直しを、実情に合ったものにしていくということが必要になってくるのではないか、このように考えておる次第でございます。
  60. 大出俊

    大出委員 そうすると、いまの自衛隊の訓練空域を広げるとか手直しするとか位置を変えるとか近くするとかいうふうなことは、当面というか、皆さんいま三年ぐらいというお話でしたが、その間に出てくることはない、こう考えてよろしゅうございますか。     〔委員長退席、木野委員長代理着席
  61. 松本操

    ○松本(操)政府委員 ちょっと私のいまの御説明が舌足らずであったと思いますが、全国的に見まして現在十一カ所の高々度訓練空域あるいは十カ所の回廊等を含めて、これをどのようにしていくかということにつきましては、これはやはりある程度の期間がかかるというふうに考えておりますが、しかし局部的な問題、局部的、局地的に訓練の内容が変化してくることに関連いたします訓練空域の手直し、あるいは局地的に私どもの航空路等が変更になりましたことによる訓練空域の手直し、こういったようなものにつきましては、私どもの方の安全対策の整備の度合いというものも十分ににらみ合わせまして、さらにその空域におきます特殊な航空交通というものも十分に勘案いたしまして、一般の航空交通の安全を確保しつつも、防衛庁の方の御要望による訓練空域の変更というもの、あるいはその中には新設も場合によっては含まれると思いますが、そういうふうなものが必要になってきました場合には、その都度処理し得る範囲内において対処してまいりたい、このように考えております。
  62. 大出俊

    大出委員 防衛庁、そこはどうなんですか。いま外国で訓練という話が出ているんですがね。たとえばナイキなどの例を見ましても、まず自衛隊には弾薬輸送船がないから、これは後の日米協力の問題とも絡みますけれども米軍からチャーターをして太平洋を渡っていくわけですが、このチャーター料から払わなければいかぬわけですね。それから自衛隊員の出張旅費、宿泊費。そうすると、一中隊の三分の一の五十人をアメリカのニューメキシコ州のミサイル射撃訓練場に留学させる、三週間、実射訓練。これだけで、実際に撃てるのは一中隊二発で三十四発なんというのがありますけれども、持っていってやるという三週間の費用なんでしょうね、弾の価格もあるでしょうけれども、全部で約五億もかかるのですか。弾薬輸送船のチャーターがあるでしょう、五億かかるとなりますと一発当たり千四百七十万円になる。これはべらぼうな金ですね。今度幾らかかるか知りませんけれども、片方で長官指示でどのくらいの規模で、どういう枠で、航空自衛隊の方々がアメリカへ持っていって、たとえば西ドイツのように訓練するとすれば、予算その他を含めてどういうことになるのですか。  それと、いま航空局の次長さんお答えになりましたが、皆さんの方でこれだけ嘆いておられるとすれば、いま遠いとおっしゃったが、何か近くするとか、そういう構想で運輸省の方に物を持ち出して話し合うというふうなことをお考えなんじゃないですか。そこらのところ一体どういうことになっているのですか。
  63. 伊藤圭一

    ○伊藤(圭)政府委員 いまのナイキのお金の関係は、いま先生がおっしゃったようなことでございます。
  64. 大出俊

    大出委員 こういう金額ですか。
  65. 伊藤圭一

    ○伊藤(圭)政府委員 はい。全体のナイキ、ホークのアメリカに行って訓練を受ける往復の旅費、その他の弾の運賃、そういうものを含めましてそういう金額でございます。
  66. 大出俊

    大出委員 五億ぐらい。
  67. 伊藤圭一

    ○伊藤(圭)政府委員 はい。それで今度アメリカに行きまして、パイロットを教育するのに、委託するのにどのくらいかかるか、これはまだ全然検討もしておりません。どういうことをやれるのか、そういうようなことを勉強している段階でございまして、金の面は検討しておりません。  それから訓練空域につきましては、先ほど航空局の方からお話がございましたけれども、さしあたっての問題といたしましては、私どもの方といたしましては、百里の高々度の訓練空域それから沖繩の商々度の訓練空域、これをお願いしてございます。そして、その安全上技術的に可能なところを設定していただきたいということでお願いしているわけでございます。
  68. 大出俊

    大出委員 念のために聞きたいのですが、百里と沖繩直々度訓練場、これは皆さんの方にお願いしているというわけですけれども、御検討いただいて一体最近の事情というのはどういうことなんですか、いかがでございますか。
  69. 松本操

    ○松本(操)政府委員 まず百里沖と申しますか鹿島灘沖と申しますか、ここの訓練空域については大分以前から防衛庁の方から御要望がございます。ただ、ここに訓練空域を設けますことのむずかしさと申しますか、私どもが一番配慮しなければならないと考えておりますことは、現在羽田空港に出入をいたします航空機、国際線が多うございますが、この国際線のうち主としてアンカレジ方面、一部ホノルル方面が入りますが、こういうものが出入するために高度を上げたり下げたりする。もちろん勝手気ままに上げているわけではありません。定められたルートを通って上げ下げするわけでございますが、そういう空域がこの鹿島灘沖にあるわけでございます。その間に訓練空域を適切な形状にまとめなければなりません。形状が悪いと、防衛庁の方のお話を伺いますと訓練の能率も上がらぬということでございますので、適切な形状の訓練空域をこの間に設け、かつ、これらの国際線航空機の上昇または下降いたします経路との間にこれまた適当なバッファーをとっていくというふうなことが、ぜひとも必要になってまいります。これが技術的にいろいろとむずかしい問題がございますので、いろいろな案を出し合いましては防衛庁との間と議論を重ねてまいっておるわけでございます。現在のところ、まだ最終的な結論というものに到達するに至っておりません。しかし、私どもとしても鋭意研究しておるという段階でございます。  それから沖繩空域につきましては、現在、沖繩の航空路管制を昨年の五月に米軍からテークオーバーいたしましてかれこれ一年半たちますので、私どもとしてもある程度の技量というものを身につけてまいったわけでございますが、しかし、その間この空域におきますトラックの形状というものがいろいろと変わってきております。したがいまして、実は一年半たったと言いながらも、その間にいろいろと変わった形に遭遇しておりますので、こういう点を十分に踏まえまして、その中でどのような形の訓練空域を設定するかということを目下私どもとしては検討を開始しておる段階でございます。
  70. 大出俊

    大出委員 これは前に雫石事件の後でさんざんもめた問題でございまして、ある意味の社会問題にもなりますから、やはり、運輸省側、防衛庁側、いずれもですけれども、もしこういうことにするのだというなら、これはぜひ資料を私は出していただきたいのですよ。前にもずいぶん細かく当たってみたこともありまして、ここでいじられるとなるとまた当時の心配が再燃をしかねない。そう簡単な問題じゃないと私は思っている。一つ二ついじり始めるとどうしてもここもあそこもということになりますから、そこらのところをひとつ含めまして、これはどこをどうするおつもりなのか、ぜひ資料をいただきたい。その点をつけ加えておきたいと思う。  委員長、時間はどうします。切りますか。
  71. 木野晴夫

    ○木野委員長代理 続けていただきます。
  72. 大出俊

    大出委員 それじゃ、どうも次長ありがとうございました。後でまたひとつ別の場所で聞かせていただきたいと思います。  次に長官に承っておきたいのですけれども、二つ大きな問題があるのであります。一つは基盤防衛力構想とこう言っておられるもの。これもたくさん質問が出ていることだと思います。それから基地の安定的使用。シュレジンジャー会談等の中でも出てきている問題でありますが、その二つについて承りたいのですけれども、その前に、時間がなくなりましたが、最近の朝鮮半島をめぐる国連討議もございましたが、外務省にひとつ、国連総会は終わったわけですけれども大臣もおりませんから山崎さんに、そう長い聞き方はいたしませんけれども、二つあるのですね。概括的には南北の関係。一つは、防衛庁などが分析をするように、周辺の関係各国事情から言って差し迫った脅威があるとは思えない、つまりデタントの全体の方向にあって朝鮮半島というのは進んでいるという見方。ところが、現実には、これは日本流に言うとペンニョンドになるのですかね、つい最近の事件なども報ぜられております。南北の小ぜり合いがありまして何人かの兵隊が死んでいる。そういう争いがずっと続いているという絶えぬ小ぜり合いということですが、ここらのところを一体どういうふうに防衛庁なりあるいは外務省なりは見ておられるのか。そして、国連討議の結果、総会は終わったわけでありますけれども、両方の決議案が通るという妙なかっこうになっているわけでありますが、そこらのところをちょっと触れずにいくわけにもまいりませんので、両方から物の見方を、簡単で結構でございますが、まずもって承っておきたいと思います。
  73. 枝村純郎

    枝村説明員 先生ただいま御指摘のとおり、一般的に私どもといたしましても南北朝鮮間に戦闘行為が発生するというふうな事態はいまのところ予想されないというふうに見ております。ただ、私どもといたしまして、やはり一九七二年七月の当時の南北共同声明のラインに返って両者間に政治的な統一を目指した対話が再開されるということは非常に望ましいわけでございますけれども、ああいう国連の結果もございますし、北朝鮮側としては、非同明諸国会議への加盟も認められ、来年の首脳会議にも参加するということになりますと、あるいは国連で初めて決議が通ったということもございまして、現在のところそういった対話のきっかけを見出すのはなかなかむずかしい、こういう情勢だろうと思っております。
  74. 丸山昂

    丸山政府委員 三十八度線をはさみまして、韓国それから北朝鮮ともに相当の軍事力を配備しておる、これはもう間違いのない事実でございます。また一方、在韓米軍、一時期四万と言われましたが現在三万四千程度でございますが、その主力は第二歩兵師団と防空砲兵旅団でございますが、これが駐留をいたしておるということでございまして、この状態は先ほど先生から御指摘ございましたように、三十八度線をはさみまして個々のせり合いといいますか、小さな紛争事案というものは絶えず起きておるわけでございまして、全体的に緊張の状態がずっと継続してある、こういうことは軍事的な配置その他から見まして否めない事実だと思うのでございます。ただし、そういうことがあるからといって、南北朝鮮間に大きな地域的な紛争、戦争というような状態に発展する可能性があるかと申しますと、これは必ずしもそうではないというふうに私どもも見ておるわけでございます。周辺のアメリカそれから中ソ、ともにこの地域における紛争、混乱というものは好んでいないというふうに私どもも判断をするわけでございます。現状を維持するための努力がいろいろ行われておる。もちろん、国連における決議、こういう問題はございますが、これは、一つには朝鮮半島の中の南北の平和統一という問題、こういう問題に絡んでのものであると思います。しかしながら、いま私が申し上げているように、軍事的に見ました場合には先ほど申し上げましたような判断をいたしておる、こういうことでございます。
  75. 大出俊

    大出委員 時間がなくなりましたから、いろいろ皆さんにお見えいただきましたが、系統的に質問していく時間がないように思いますので、問題ごとに端から聞いていきたいと思います。  いまの韓国問題に絡みまして、アメリカの外交政策研が警告を発している新聞記事がございます。私もいろいろな資料を入手して調べてみましたが、韓国経済はなかなか簡単な事情にない。収支の悪化というのは短期的だという反論はしておりますけれども、三億ドルから始まった日本の対韓援助、有償無償を含めましていまは恐らく十億ドルを超えているのだと思うのでありますが、どのくらいのことになっているのかということ。あわせて、ベトナムじゃありませんけれども長官の指示、木原君が質問していましたが、大変間の抜けた指示でありまして、さきの指示をしたとたんにベトナム戦争は終局を迎えたという結果になっているわけでありまして、韓国自体だって、経済が大変に悪化するという事態が参りますと、皆さんが考えている結果ではないものが出てくる可能性が大変に強い。そういう意味で私は大きな関心を持つのですけれども、細かく質問している時間がありません。  そこで、韓国経済というのは、外務省、通産省を含めまして、——これは大変にはっきりした報告、警告なんであります。これはIMFが調査をしておるわけで、IMFの調査結果等に基づいて、片や外交政策研の調査に基づいて、あわせて結果が出ているわけであります。アメリカ国内においても大きな波紋を呼んでいるわけでありまして、対韓援助というものはそう簡単に議会筋を通らなくなってくるのではないかという雲行きなんですね。ところがわが国の場合には、九月の宮澤外相訪韓以後の状況は何となくどうも、最近も企業サイドではどんどん進出をしておりますし、非常に大きな心配をいたしております。そこのところの見方をあなた方はどうとらえておるのか、時間がありませんから包括的になりましたが、承っておきたいのであります。
  76. 枝村純郎

    枝村説明員 御承知のとおり、韓国経済は、一九六五年以後およそ十年間にわたりまして、輸出は毎年平均約四〇%という増加率を示してきたわけでございまして、また国民所得も成長率も一〇%という大変順調な発展を示してきたわけでございます。その間に、もとより一人当たりの国民所得も約五倍になるという非常に順調なものであったわけでございますけれども、例の石油ショックの後、輸入価格の上昇、あるいは韓国経済を支えてまいりました輸出にかげりが来るというようなことで相当深刻な状況になった、これは事実であろうと思います。したがいまして、七四年の後半あるいは七五年、本年の初めごろには、かなり短期債務の取り入れというようなこともやっておりまして、御指摘の外交政策研究所の報告と申しますのは、恐らくそういった状況を特にとらえまして、将来に予測を伸ばしたのだと思います。  私どもは、御承知のように、七月の初めに対韓協議グループの会合もございまして、そこでIMFからも報告を聴取いたしておりますけれども、IMFの予測によりますと、こういった一時的な輸出のかげりというようなものもやがて解消されていく。現に外交政策研では、本年の輸出は約四十七、八億というふうに見ております。昨年の六%増しというふうに見ておりますが、当時のIMFの見積もりでも、五十億は何とかいくのではなかろうかということでございます。また最近の数字でも、五十億あるいは五十二億というふうになっております。したがいまして、これでありますと、非常にことし前半の実績が悪うございましたのに、全体として昨年より一二%以上の伸びになるわけでございます。  また、来年に入りますと、日米両国の景気も上向くというようなことでございまして、IMFの資料を私ども早速取り寄せて報告を見たのでございますけれども、いろいろその出所は書いてございますが、IMFとか世銀とかただ並べてあるだけでございまして、具体的にIMFのどういう報告であるとか、世銀の何の報告だということは必ずしもはっきりいたしておりません。唯一固有名詞が非常にはっきり挙がっておりますのは、アーレンスドルフというIMFの職員が、ことしの七月でございますか八月でございますか韓国に参って調査をしたということでございます。したがいまして、在韓IMF代表に私どもの大使館の方から接触いたしまして、果たしてこういうことがあったのかということを照会したわけでございますけれども、それに対する答えは、IMFとしてはそういう長期の予測はいたさない、七五年、七六年という単位で見ておる、かつ韓国の現在の経済を見るには、過去の十年間にわたるすぐれた実績というもののコンテクストで見る必要があるという指摘もございまして、私どもとしましても、現在の輸出の停滞、それに伴う韓国経済の困難というものは一時的なものでございまして、次第に改善していくものというふうに見ておりましたし、現在のところ事実は大体それを裏づけるような方向に動いておるように見ております。
  77. 大出俊

    大出委員 時間がありませんから、承るだけにいたしておきます。  ところで、長官に承りたいのですが、基盤防衛力というものの水準——おたくでこういうものを出しておりますね。このどこまでが基盤防衛力、つまり「小規模の直接侵略事態には対処可能 小規模以下の侵略事態 小規模を越える限定的侵略事態 全面戦の事態」と、こうなっている。これらとみんな絡むのですけれども、日米協力の問題は。そこで承りたいのですけれども、まず、ここのところずっと外務省防衛庁と両方で米側と詰めてきておられるわけですね、有事の際の日米間の防衛協力などを話し合うための協議機関をつくるという趣旨で。一月につくるというわけでしょう。そこで、大分詰まったようになっているわけでありますが、まず日米防衛協力委員会、こんなふうなものになるわけですか。日米防衛協力委員会を安保協議委員会の下部組織としてつくるというわけですね。これは、その辺までもう詰まっているわけでしょう。
  78. 丸山昂

    丸山政府委員 現状を申し上げますと、まず、アメリカとの関係でございますが、これはまだ公式にも非公式にもアメリカとの接触はやっておりません。日本政府サイドだけの問題でございまして、現在外務省と私どもの間で問題の詰めをやっておる段階でございます。まだ最終結論というものは出ておらないところでございます。  そこで、いまの新協議機関の名称等でございますが、これにつきましては、まだ名称もはっきりどういう名前にするかということを決めておるわけではございませんが、まあ一案として、いま先生がおっしゃった防衛協力委員会というような名称を付するようなことも出ておるわけでございます。  いずれにしろ、はっきりしておりますのは、三木・フォード会談の際の共同新聞発表、それから坂田シュレジンジャー会談におきます合意と申しますか、こういった線にのっとりまして、安保協議委員会の下部機権としてこういう機関をつくるという線については一致をいたしておるわけでございます。  それから構成メンバーでございますが、これも私どもの方で一応防衛庁サイドの案というものはございますが、最終的にまだ外務省と意見が一致しているというところではございません。  それから、この委員会でどういう問題を日米間で協議をするかということでございますが、これについてはかねてから申し上げてございますように、安保第五条に決められておりますように、日本に対する武力攻撃があった際の日米間の作戦共同対処要領ということについて、日米間で大綱を合意しておくということでございますが、同時に、要するに五条と申しますのは、日本に対するアメリカ防衛義務の実行ということになるわけでございまして、これに対して、日本サイドといたしましては、安保条約のたてまえ上、当然アメリカに対する基地の提供義務があるわけでございまして、こういった問題について広く日米間において協議をするということを現在考えておるということでございます。
  79. 大出俊

    大出委員 もうちょっと具体的に聞きたいのですが、いま外務省防衛庁で折衝されていますね。予定としては、来週中に対米折衝に入ろうというわけでしょう。後から答えていただけばいいですけれども、まあ来週中というか、今週中に駐日アメリカ大使館を通じて米側と予備折衝に入るという段階まで来ているのじゃないですか。そして実質的合意を何とかまとめたいという段階じゃないですか。  後で一つずつお答え願いたい。これが一つ。  そして、まあ仮称になるのかもしれません、最終決定じゃありませんから。皆さんの合議の中から、さっきお話がございましたが日米防衛協力委員会というふうな名前などが検討されているという段階。そして中身ですけれども、安保条約六条に関連をして——五条はもちろん前から話があるのですから、五条だけで済まない。これは坂田シュレジンジャー会談等も踏まえておるのでしょう。第六条に関連して、極東の安全維持という目的も含めて在日米軍基地、自衛隊基地の安定的使用が協議の対象になる。これを協議の対象にせざるを得ないというのがいまの皆さん、外務、防衛両当局の相談の中身なんじゃないですか。それが二番目。  それからメンバーという話がいまありましたが、日本側は、外務省アメリカ局長防衛庁の防衛局長、同統幕会議事務局長、米側が、駐日公使、在日米軍参謀長などの方々。それから次に、事務局のほかに必要に応じて作業部会を設置する。そういう構想があるでしょう。そして中身を聞きますが、問題は協議対象ということですね。協議対象の一、作戦協力の基本大綱の作成、二、作戦指揮の連絡調整、三、海空の防衛上の機能分担、四、補給支援のあり方、五、情報交換。さらに包括的には、坂田シュレジンジャー会談で基地の安定的使用ということを話し合われたわけですね。長官、そうでしょう、シュレジンジャー会談の中では。この基地の安定的使用というのは具体的にはどういうことになるのかということですね、そこらの問題。  とりあえずそれをお答えいただきたいです。
  80. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 御質問のありました諸点に関しまして、その前半の分について私の方からちょっと御説明申し上げたいと思います。  最初に申し上げておきたいと思いますのは、先ほど丸山防衛局長からもお話がありましたように、この問題は防衛庁から私の方にお話がありまして両省間でいろいろと話をいたしておりますが、まだアメリカ側との折衝には入っておりません。ただ、この防衛協力に関する機構に関しましては、安保協議委員会の枠内に設けるということになっておりますし、また、この安保協議委員会は近く開きたいと思っておりますから、それに備えて遠からずアメリカ側とも話し合うことになると思います。現在においてはまだアメリカ側とは話し合っておりません。それが第一点でございます。  それから防衛庁といたしましては、当然自衛隊と米軍との整合のとれた作戦行動というものが可能になるような問題について話し合いたいということをお考えになっておられるわけでございますが、この防衛協力というものは、安保条約に基づいてアメリカ側と行う話でございますし、わが国に対する武力攻撃の場合だけでなく、また他方においてわが国がアメリカに基地を提供しておるという現実を踏まえて、その面での諸問題についても当然話し合わるべきであろうというふうにわれわれは考えております。  もちろん、極東における事態において日米が作戦協力をする、具体的に申し上げて、自衛隊と米軍とが共同対処行動をするというふうなことは考えられない次第でございますけれども、そういう米軍日本の安全及び極東の平和と安全に寄与するために日本の基地を使用して行動する面についても、当然話し合わるべきであろうと考えておる次第でございます。
  81. 大出俊

    大出委員 具体的に聞いたんだから、具体的に答えてください。丸山さん、どうですか。
  82. 丸山昂

    丸山政府委員 まず、名称でございますが、先ほど申し上げましたように仮称でございますし、これはまだ外務省と私どもの方で最終的に一致している意見でもございませんし、それからアメリカとやりました場合に、アメリカの方にまた別の考え方があるかと思いますので……(大出委員「とりあえず、仮称日米防衛協力委員会」と呼ぶ)というような名前で、私どもの方はそういう案もございます。  それからメンバーでございますが、これも防衛庁としましては、私と統幕の事務局長という、要するに全体のレベルが、どちらかと申しますれば専門的ベース、行政官ベースということで考えておりますので、私と統幕事務局長ということで、外務省アメリカ局長にお願いできればと思っておりますが、まだ外務省の最終的なお考えは承っておりません。それからアメリカについては、もちろんこれは当方で、そういう方になるだろうというふうには思いますけれども、これはもう全然アメリカの意向を聞いておりません。(大出委員「駐日公使と在日米軍参謀長になるだろうと思うというわけですね。」と呼ぶ)になるだろうとは思いますけれども、私どもはまだこれはアメリカの意向を聞いたわけではございません。  それから事務局でございますが、これはこのための特別の事務局の設置は考えておりません。外務省のしかるべき課あるいは私どもの方の防衛課あるいは運用課といったところがその事務局の仕事をやるということになるかと思います。  それから作業部会でございますが、これは当然、その協議をいたします中で、それぞれの部門の問題にわたってまいりますので、それぞれの問題が出た都度、こういう部会をつくるというような考え方でございます。これもその前提が、こういう考え方が受け入れられるかどうかわかりませんが、防衛庁としての考え方でございますので、御了承願いたいと思います。  それからその次、協議の中身でございますが、大体これは、大変よく分析されておられますので、特につけ加える必要はないと思いますが、要するに作戦協力の基本大綱、これはもちろんのことでございます。  それから作戦指揮の連絡調整ということでございますが、これはかねがねから申し上げておりますように、日米それぞれ指揮は別個、別立てということになりますので、当然連絡調整は必要になってまいるわけでございますが、こういった問題は、ここの協議の事項としては恐らく一番最後の問題になってくるかと思います。  それからその次、海空の機能分担でございますが、これも、本来これが目的でございます。それぞれ米軍とわれわれの方は、特に海空におきましてはまるっきり機能が違いますので、その辺についての調整ということは大変大きな問題だと思います。  それから補給支援のあり方、これも当然問題になると思うわけでございます。  それから情報交換でございますが、これも両者の情勢分析の認識を十分すり合わせをいたしまして、一致をさしておく必要があるわけで、これは当然行わなければならないことであるというふうに考えるわけでございます。  そこで、最後に基地の安定的使用という問題でございますが、これは、大臣がかねがねおっしゃっております安定的使用というのは、つまり日本の義務としてアメリカに基地を提供をしておる、そのために、これがいわゆる平時において安定的使用が行われるためには、現在いろいろ基地の問題に絡んで、付近住民の方々に御迷惑をかけたりいろいろな問題があるわけでございまして、そういった点に対する政府の施策をもっと統一的に行うということによって、基地を抱えておられる市町村に対する政府としての各種の面における配慮をいろいろ考えていくということによって、一方日本アメリカに対して基地を提供するという義務を遂行していく、その目的に合致するような方向に進めていきたいという大臣のお考えをおっしゃっておるわけでございまして、ここで特別にこの安定的使用について協議するという、そういう趣旨ではございません。
  83. 大出俊

    大出委員 私も、最後の点はそういう趣旨で聞いているのではないのです。ただ、それが絡みますから……。基地の安定的使用の一つの中心は、基地周辺対策の費用、金、これは長官——私は三沢へ行って少し物を言い過ぎたのだけれども、古賀さんかだれか一緒についてきてびっくりしたなんておっしゃっていましたが、これはそこに基地がある限りは被害を受けるのだから。そうでしょう。だから、新防衛施設周辺整備法と言ったらいいのですか民生安定法と言ったらいいのですかわかりませんが、あのときも私はちょっと触れましたが、そうすると、そこで問題は、防衛関係費を防衛予算の枠外に持っていって、ほかの省庁につけるという構想が一つ新聞に載っておりました。これはなかなかむずかしいことなんですね。安定的使用を考えるに当たって、それは出てくる一つの筋ですよ。そこらは一体どうなるのかというのが一つ。  時間がありませんから並べて聞きますから、一緒にお答えいただきたいのです。  そこで、いずれにしても、そういう枠外につけるつけないという問題はありますけれども、基地周辺整備に本腰を入れるというのが一つ安定的使用の前提でしょう。そのためにはどうしたらいいか。この防音計画ども含めまして相当な構想を考えなければ安定的使用にならぬ。それは一体長官はどう考えているかという点を、いまのものと関連しまして出てくる問題だから聞いておきたいというのが一つ。  それからもう一つ、いま私が申し上げました、防衛庁がいろいろ御検討のやつを要約して私が申し上げたのでございますが、ほとんどいま防衛庁はそういう考え方であることをお認めになった。そこで、作戦協力の基本大綱と私は申し上げましたが、それが根幹だといういまお話でございました。  たくさんありますが、時間がございませんから二つだけ聞いておきたいのですけれども一つは、この五条、六条の関係で、それは二4(b)だとか二4(a)だとかいうところで「一時的に」とか「一定の期間」とかということで使用するということはあり得るわけですね。再使用というのはあり得るわけです。ところが、返した基地をもう一遍使わせろという要求アメリカから出てきているのではないかと私は思うので、これも答えていただきたい。  それから事前協議にかかわる第六条なんですけれども、包括的承認という問題があるはずなんです。簡単に申し上げますと、いま防衛サイドから見ると、小競り合いが続いている朝鮮半島、これは目を離せない。小競り合いが続いている、ペンニョンドとさっき日本流に読みましたが、これは何遍も、三十八度線が向こうに上がっているわけですからね、ペンニョンドというのは。首根っこですから、防衛問題を考えれば、これは南北の大変重要な争点ですね。目が離せない、そういう実情にある。これは現実です。そこで、そこまで現実があるとすれば、日米防衛協力という限りは、考えておかなければならぬのは基地問題です。当然でしょう。事前協議の問題にかかわります。日本並びに極東の安全と平和の維持に寄与するために、アメリカ合衆国は、その陸海空三軍をして日本の施設区域を使用することを許されると、安保六条というのはこうなっておる。そうでしょう。基地が根幹です。当然これは事前協議がついてきます。  そこで、包括的使用というのは、半島で何かが起こった、熱い紛争が起こった、その場合に三つある。米軍が圧倒的に強くて向こうに押し込んだ場合、向こうが受け身になったという場合が一つ。押し込まれたという場合、第一次朝鮮戦争みたいに釜山まで押し込まれた、これが一つ。もう一つ、この地域で両方の力が拮抗して長期戦になったという三つの場合がある。その場合によって態様が違うけれども、包括的使用というのは、一つの基地を、アメリカがこの基地を貸してくれと言った、事前協議で認めた、発進基地ですよ。直接戦闘作戦行動に行く。一つだけ認めた。ということは、相手側からとれば、日本アメリカと一緒になって、つまり日本という国は敵国である。基地一つ認めた場合に、直接戦闘作戦行動に行くんだから、そうすると、そのことのゆえをもって向こう側に力があれば攻撃をされることになる。直接戦闘作戦行動の基地を認めれば、当然日本側は敵視されるわけですから、攻撃される場合があり得るわけですね。ということになると、一つ貸しても二つ貸しても三つ貸しても同じことです。たとえば横田あるいは三沢を貸した。横田を貸したって三沢を貸したって、あるいはどこを貸したって敵視されることは一緒である。ということになると、包括的にお使いなさいという承認を与える、一括承認、包括承認の方がいい、こういう結果になりかねないわけですね。ただ手続的には、あそこを使う、ここを使うときには連絡を全部よこせとか通告、通知をよこせということがありますが、一つ二つじゃない。そういう場合には包括承認をする。この問題、ここのところをどういうふうにお考えになっているかという基本をひとつ——これも安定的使用の一つです。一朝事あるときを想定をするんですから、事前協議というのはそのためにあるんですから、すべてノーではなくて、条約的にはイエスもあり得るわけですから、この点が一つ。  それからもう一つ。一体この日米共同作戦といった場合に、防衛出動を下令された部隊、これが安保五条の適用を受けない事態においても防衛上必要ならば共同作戦ということになるのかどうかという点ですね。これは三つあります。一つは、安保条約第五条が発動されなければ実施できないのか。それとも防衛出動、待機命令から実施してもよいのか。三番目に、防衛出動、待機命令が出る前に、戦況いかん、状況いかんで共同作戦はとり得るのか。安保五条、これがある。防衛出動の命令が出た、出たという段階でなければ日米作戦協力は具体的に進められないのか、あるいは待機命令というところでやれるのか。あるいは待機命令下令以前に、状況が切迫してきたという段階でやれるのか。そこらのところは基本ですから、皆さんこれから外務省を通じておやりになって協議をなさるのですから、時間がありませんから、その二点だけ、大変大切なことなので承っておきたい。
  84. 坂田道太

    坂田国務大臣 大部分は防衛局長からお伝え申し上げたいと思いますが、周辺対策の問題は、これは非常に大事な問題だというふうに考えておりまして、ただ防衛庁のみでというよりも、むしろ、ちょうど調べてみましたら、基地対策の閣僚協議会というのがあるのだそうです。ところが最近、実は余り問題がなかったということで行われておりません。したがいまして、これを活用したいということで、できれば年内に一回開きたいと思っておりましたが、いろいろやっておりまして、こっちも準備を大体整えたわけでありますが、先方の都合がございまして、来年早々一番か二番にはという順序になっているそうでございます。そういう関係でぜひ開きたい。そういうふうにやはり基地の問題は防衛庁でも考えるけれども、各省庁にわたっておる大きい問題であるという認識を私ははっきりいたしたい。
  85. 大出俊

    大出委員 そういう意味ですか、この新聞記事は。
  86. 坂田道太

    坂田国務大臣 そういうことです。
  87. 大出俊

    大出委員 返還した基地を返せという要求は来ていませんか。
  88. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 お答え申し上げます。  アメリカが返還いたしました基地を再び使用さしてくれという要求は、現在のところ、われわれとしては受けておりません。  それから次に事前協議の問題でございますが、御承知のとおり事前協議制度は、日米の間で一つ考え方が一致しておりまして、そしてこれは従来から外交チャンネルを通じて行うということになっております。したがいまして、今後安保協議委員会の枠内に設けられます研究協議の場におきましても、事前協議制度に関する問題は取り扱わないようにしたいとわれわれは考えております。これはアメリカ側とはまだ話しておりませんけれども、事の性格上この研究協議の場で取り扱うのは適当ではないとわれわれは考えておる次第でございます。  それから包括的承認というお話がございましたが、これはわれわれとしても明快なお答えを申し上げることはなかなかむずかしい次第でございまして、やはりこれはケース・バイ・ケースに考えていくほかはないのではないかと思います。ただ、米軍が行動いたします場合は、当然集団的及び個別的自衛権の発動として行うわけでございまして、また、そういう限りにおいてのみ行動するということをわれわれは前提としておるわけでございまして、その行動に対して、相手側からさらに日本の基地に対して何らかの攻撃が加えられるというのは、いわば武力攻撃の拡大であり、また侵略の拡大であるというふうにわれわれは考えておるわけでございまして、そういうものとしてアメリカ側といろいろと事前協議の問題について話し合っていく、具体的に言えば、戦闘作戦行動の基地として米軍が基地を使用する場合にイエスかノーかを言うかを考えていくということでございます。ただ、これは一回一回の、たとえば飛行機が飛び立つことについてまで一つ一つやるのか、若干それを一つの態様としてとらえてイエスと言うのかノーと言うのかということは、ちょっと詰めようがない問題でございますので、先ほど申し上げましたように、ケース・バイ・ケースにそのときの状況に応じて判断するほかないというのが従来から政府が申し上げている立場でございます。
  89. 丸山昂

    丸山政府委員 二番目に御質問のございました自衛隊法と安保条約との関連でございますが、御案内のように自衛隊が出動いたしますのは、七十六条にございますように、わが国に対する武力侵略またはそのおそれのある場合において防衛出動が下令をされる。それから七十七条の待機命令は、その前の段階においてということになるわけでございます。一方、安保条約の第五条は、現実に日本の施政下にあるいずれか一方に対する攻撃、武力侵略ということでございまして、これはおそれがある場合は含んでおらないわけでございまして、現実に武力侵略がなければならないということになるわけでございます。したがって、安保五条によって日米が共同して対処するということになりますと、防衛出動の下令の前提条件である七十六条の武力侵略の場合に限られる。したがって、おそれのある場合も、またなおその前の待機命令という場合におきましては、日米の共同対処ということはあり得ないというふうに私ども解釈をしておるわけでございます。
  90. 大出俊

    大出委員 そうすると、防衛出動下令ということにならなければ共同の作戦体制はあり得ない、こうはっきりしていいですね。
  91. 丸山昂

    丸山政府委員 大体そういうことでございますが、おそれの場合も防衛出動の下令がございますので、防衛出動それ自体だけではまだ共同対処というふうにはならないというふうに思います。
  92. 大出俊

    大出委員 直接的な武力攻撃を食った場合、あるいはきわめてそれに近いおそれがあった場合、そういう場合に防衛出動の下令が行われた、このときに作戦協力、こうなる、こういうわけですな。  次に、簡単に承ります。  いまの山崎アメリカ局長お答えに細かく反論をしたい具体的資料もありますが、時間がありませんから長官に承りたいのですけれども、基盤防衛力、指示を出す云々でお出しになりましたね。この中に括弧して「未然防止」なんて書いてありますが、未然防止というのを調べてみますと、三矢図上研究に出てくるのですよ。朝鮮で戦争が起こって、その場合にどういうふうに対処するかという答解の中に、未然防止、波及防止とこう入ってくるのです。かつて、二次、三次、四次防に至る間に未然防止を使っている場所がありますけれども、その一番根源はそこにある。それで、例の討論のときに私はこだわったわけだけれども、熱い紛争が起こっているというところでそれが日本に波及してくることを未然に防止するという、そういう発想で未然防止と、こうある。討論が終わってから、あなたは何を言うかと思ったら、未然抑止未然抑止と言うから、そんなことはない、未然防止だと言ったら、そんなことはない、未然抑止だと張り合った。未然防止とちゃんと書いてあるでしょう。そこらにも絡むのですが、時間がありませんから……。そこで、基盤防衛力構想がここにある。これは何をねらっているかというと、片一方に日米協力、これは防衛協力を進めていくわけですね。さっき申し上げたような中身になるということですから、はっきりしたのですから、それが外務省を通じてアメリカとやり合ってどうなるか、それはわからぬ。わからぬが、そうしたいというわけですね。そこで、シュレジンジャー会談をおやりになった。このときに、対潜能力、対空能力、補給、大筋三つある。つまり、向こう側の要請もあり、協力をしたいとお考えになっている長官の考えは、日本の自衛隊は対潜能力に欠ける、対空能力に欠ける。これはさっき低空侵入の飛行機の話が出ましたが、低空侵入されれば一も二もないわけですから、そこでその問題を具体的にちょっと承りたい。  まず、対潜能力の面ですが、具体的に言いますけれどもP2J、このP2Jは対潜能力、原子力潜水艦についてはまさにゼロなんですな。ほとんど原子力潜水艦には——偵察探知ということはある程度できるでしょうが、対潜能力という意味になりますと、P2Jで原潜を見つけても、コンピューター式になっていないのですからすぐ逃げてしまう。ソノブイをほうり込むわけでしょう。あわがたって落っこった場所を明示する。これは目視で見ているわけですから、そうでしょう、まさに原始的なん、だから。言えば切りがないから言いませんけれども、P2Jというのは対潜能力を持たない、原潜の時代になったら対潜能力はない。そこで、いま対潜能力と言っている中心点は対ソビエトでしょう、ほかに原子力潜水艦はありはせぬのだから。そうすると、この原潜に対して能力がない。これは何かで補わなければならぬということになる。アメリカのP3Cオライオンの場合ならばこれは格段の相違があって、コンピューター式に数字がみな出てきてしまうのですから、頭で考えるのでは、ないのだが、日本の場合は頭で考えるのですから時間がかかる。その間に走っていっちゃうのですから、時速四十ノットぐらいで走ればいなくなっちゃうわけです。そういう意味で、そこのところは基盤防衛力から言うとはみ出しているわけですね。引き上げなければいかぬでしょう。いまあなたが絵を書いておるあれからいくと、対潜能力というものは、あなたがいま考えている基盤防衛力との関係でどうなるのか、積み上げることになるのじゃないか。そこで私は、P2Jというのはもうスクラップだと思っているのですよ。日本の全国に魚雷の貯蔵庫というのは一カ所しかないでしょう。抗たん能力なんてありはせぬでしょう。そうすると、これで一体対潜対策というものは立てようがない。全く話にならぬ。原子力潜水艦時代に全くゼロである、こう言い切ってしまっていいと私は思う。  そこで、いま潜水艦は十五隻ですね、そうでしょう、全部ディーゼルですね。長くもぐると言ったって、二週間もぐれぬでしょう。つまり、潜航距離二百メートルだなんて言っていたのでは、とてもじゃないが原潜のようなわけにはいかない。ディーゼルならば二十ノットぐらいですからね、どうにもならない。そうすると、まずP2Jはだめ、それから潜水艦、これがだめ。ここに細かい資料を集めてみましたが、十五隻ありますけれども、どれもこれもどうも、そして最近つくった新しいものもございます。「たかしお」ですか、これは就航は来年ですか、後で答えてください。これを見ると、おやしお、はやしお、わかしお、なつしお、ふゆしお、おおしお、あさしお、はるしお、みちしお、あらしお、うずしお、まきしお、いそしお、なるしお、くろしお、とこうなっているわけですな、これが十五隻。これに「たかしお」が出てくるのですから、どれも涙滴型、ティアドロップ型にはなっていますけれども、速力その他潜航深度等からいきまして、これは原潜の対象にはならぬ。偵察探知能力は何がしかありますけれども、その限度。そうすると、ここらのところは本来ならば、原潜を持ってこなければならぬわけですよ、本当の対潜能力を高めるなら。だから、水の中で言うならば、ディーゼル型の潜水艦をつくっても原潜相手にはこれはどうにもならない、対潜能力なし。P2J、これもだめ。ということになると、対潜能力を高めるということはどういうことになるかということ、これが一つ。念のために申し上げておきますというと、「うずしお」で水上速力十二ノット、水中速力二十ノットですね。  それから、一括して聞いておきますから、次に対空能力。低空侵入の場合、二十八カ所のレーダーがありますね。それで、航空自衛隊のSS、これは防空監視所ですね。レーダーサイトの捜索だとかコンソール、制御装置。スコープに黄色いのがつくというとアンノーン機、国籍不明機だというわけですな。ここから始まるわけですけれども、まずこの二十八カ所のレーダーサイトその他からながめてみて、低空侵入のものに対しては全く能力がない、わからない。これを一体どういうふうにするか。ソビエトの飛行機が入ってきても、低空で来られたらもうわからない。千五百メートルという低空ならもうわからない、こういうことになる。そうすると、これは空の方は一体どういうふうに一これは指摘されれば確かにそのとおり。おまけに、妨害電波に対応する能力がない。ECCMは持っていない。エレクトロニック・カウンター・カウンター・メジャーですかね。相手はECM、エレクトロニック・カウンター・メジャーを使ってくるわけですね。それをもう一つカウンターしなければならぬからECCMですけれども、それがない。そうだとすると、電波妨害を食ったらどうにもならない。だから、九百メートル以下の低空侵入ならば七五%まではわからない。これははっきりしている。妨害電波を受ければにっちもさっちもいかない、こういうことになる。そうすると、AEWならAEWを持ってこなければこれはどうにもならぬわけです。しかも、AEWを入れてくるとすれば、日本は四面海ですからどこからでも入れるのですから、最小限度十四機から十五機なければ意味をなさない。これでは一体どうするつもりなのか。  それからもう一つ、レーダーサイトそのものをみずから守る施設は何もない。この間ヘリコプターで佐渡へ行ってきましたがね、これはレーダーサイトをみずから守る手段はない。せいぜいやっているのが第一移動警戒群、これは三沢ですな。これは、やられるときに困るから、トラックを持っていってそれにぶっ積んで逃げるというわけだ。ほかへ移動していく。ばかな話で、これを幾つかこれからおつくりになるという。入間にもできるんじゃないですか、そうでしょう。こういうことで、それは全くもっておもちゃみたいな話ですね、これは盲同然です。  こういうことで、金をかけて一体どうなるのかという気が私はするのですが、しかし、まともに物を考えて聞いているのですからお答えいただきたいのですが、そうすると対潜能力というのは、形はいまのディーゼル系統のティアドロップ式になっていても、これでは原潜に対抗はできない。P2Jも、これは全く目視で見て、ソノブイなどほうり込んでやっている状態ではどうにもならない。原潜の速力は早い、すぐにいなくなる、こういうわけですね。しかも、このP2Jというのは非常に環境の悪い飛行機なんですね。やっている人は気の毒ですよ。そうすると、これは一体どういうふうにするつもりかということですな。空と海、そこのところをとりあえずお答えいただきたい。
  93. 坂田道太

    坂田国務大臣 シュレジンジャーと私との会談におきまして、対潜能力それから防空、これを向こうが言ったというふうによく野党の方々はおっしゃるのですが、そうじゃなくて、海洋国として日本を守る、資源を外国から仰いで国づくりをやっておる日本としては、日本防衛ということを考えるならば、当然対潜能力を高めなければならぬということを申したのです。それから防空につきましてもそのとおりなんです。それに対して、それはそのとおりだと彼は言ったのです。あえてシュレジンジャーが言った意味は、ロジスティックベースですね、そういうものが不十分ではないか、われわれもそのとおりに思っております。こういうお話です。  それからもう一つは、わが国の防衛について私がよく申し上げております三原則、つまり防衛の意思、それから必要最小限度の防衛力、それから安保条約、これら三つが一組であって、そして未然に一これが一つの、たとえばいまも御指摘になったいろいろのことでの基盤防衛力をつくりましても、それだけならば恐らく相当大きい国が攻撃をしてきた場合には一たまりもないと思われるわけです。しかし、国を守る気概と意思と、それからいまの必要最小限度の防衛力と安保条約があれば、これが一組になった場合は大国といえどもなかなかおちょっかいがかけられない、つまり平和維持が可能なんだという未然防止なんです。そういう意味お話ししている。  それから対潜能力についてでございますが、現在のP2Jは確かに御指摘のとおり——私三時間乗ってみました。ずいぶん苦労しております。それによくやっておると私は思いました。できるならばひとつもう少し性能のいい、そして十五年とか十八年とかいうような経験の人がいなければなかなか見つからない、作戦ができないということではいけないので、多少経験があれば、もうコンピューターでちゃんと所在がわかるというところまでは近代化させる必要がある、そういう意味における近代化。それから原子力潜水艦に対して云云とおっしゃいましたけれども、いまはそういうわけにはわれわれまいりません。しかしながら、それじゃ現在持っております潜水艦が全然無用であるかといったらそうじゃない、というのが基盤防衛力の私たちの考え方なんでございます。私P2Jに乗って、ああいうようなものですらも一つの潜水艦を見つけるのに大変なことだと思う。これがたとえばP3Cであっても実はなかなか見つからないという、それは温度差も——御承知のとおり私よりあなたの方が……(「もう少し大きな声で自信を持って言わなければ」と呼ぶ者あり)自信を持てるところと持てないところがあるわけです。(「防衛できるか」と呼ぶ者あり)それでいいのです。P3Cでありましてもそういう状況であるというふうに私は思います。しかし、やはり日本の潜水艦あるいはその訓練、それの能力というのはかなりなものであって、通常兵力による攻撃あるいはいろいろな妨害を加えるという場合に対しましては相当の対処能力を持っておる。これはアメリカ側もユニホームの人たちも評価をしておる問題であると私は確信をいたしておる次第でございます。
  94. 丸山昂

    丸山政府委員 まず対潜能力の問題でございます。いま長官申し上げましたように、P2Jは、基本的にはP2J自体がコンピューター化されてないということ、一番の問題はそれでございます。それから進出速度が遅いものでございますから、要するに潜水艦の攻撃があってから現場に駆けつける時間を非常にとる。相手方の潜水艦は潜航速度が速いために行動半径が非常に広くなってしまう。したがって捜索の場合に非常に広範囲を捜索しなければならないということでございます。それから何よりも決定的なことは、P2Jは収容能力が非常に小さい。そのために新しくコンピューターを搭載いたすためのポテンシャリティーというものがないということが、これがもう致命的な問題でございます。ただいま長官からお話しございましたように、P3Cにいたしましても、これは何分にも対潜水艦ということになりますと一〇〇%を期しがたいということで、そういう意味では問題はあるかと思いますが、しかしP2Jに比べましたら格段の相違であること、これはもう間違いがございません。いずれにいたしましても、このP3C並びにPXLという問題を今後の問題として検討してまいりたいというふうに思っておるわけであります。  それからもう一つは、たまたま——たまたまということはないのでございますが、日本の潜水艦を対象にいたしました場合には、これは非常に静かな潜水艦で、電池で動きました場合には大変探知がしにくい。原子力潜水艦は、探す方の立場から見れば、幸いなるかな非常に大きな音を立てて通る。もぐっても依然として原子力のパワーからディーゼルを使っております。あるいはガスタービンを使っておりますので、この音は探知する側にすればいい目標になるわけでございます。  それからその次、レーダーサイトの抗たん性の問題でございますが、これはもう御指摘のとおりで、特に低空侵入をされました場合には、これはもう大変もろい状態にあるわけでございます。特に当方のバッジシステムの触角になっておる全国二十八カ所のSSがあるわけでございますけれども、これがいずれも同じような状態に置かれておるということでございまして、やはりこれの抗たん性について、地下に埋没するとかいろいろな方法があると思うわけでございますが、とりあえず、これも先ほど先生から御指摘のございました移動警戒群ということで、いま三沢、次には入間に置くことになっておりますが、この移動警戒群をやることによって抗たん性を補足をいたしたい。また抗たん性ばかりでなくて、非常の場合に現在の二十八カ所のレーダー網では不十分でございますので、その補足、補備をやりたいというふうに考えておるわけでございます。  それからAEWの問題の御指摘がございましたが、これは実は四次防で開発の方で検討いたして一おりましたが、何分にも機数が少ないので、開発ということではなくて外国機の導入ということで検討すべく、次期防においてどういう結論が出るかわかりませんけれども、一応検討の対象としておるわけでございます。一応所要機としては一ポイントに五機ということで考えておりますので、全国三ポインに分けました場合に十五機という計算でございます。  それからECM、ECCMの問題でございますが、この点に関しては、これは同じ友邦国といいましても絶対の極秘でございます。これはリリースはほとんど期待ができない。特別の兵器に関連したECMのリリースはございますけれども日本の自衛隊の持ちます兵器全般についてのECMということになりますと、これは独自で開発をしてまいらなければならない。非常に残念なことながら国際水準に非常に立ちおくれているという面でございます。特に中東戦争その他の戦訓から見まして、この面の努力は相当いたさないといけない。したがいまして、次期防においてはこのECM、ECCMの開発という点に相当の力を入れてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  95. 大出俊

    大出委員 時間がないところを大変恐縮ですけれども、もう三、四点承っておきたいのです。あともう省略をいたします。  実は、長官、基盤防衛力構想と言っているのですけれども、基盤防衛力構想というのは何かということをはっきりさせたいから実は具体的なものを挙げてと思っておるのですけれども、残念ながら時間がありません。二つ三つしか挙げられませんでしたが、もう一点だけ、時間はないのですけれども承っておきたい。  千歳、空にわが方のつまり迎撃をするという意味の飛行機は何機あるのか、使いものになるのは何機あるのか。そして向こうから一機、レーダースクリーンで言えばアンノーン機、黄色で出てくるとこっちから緑色で上がっていくわけですね。一機アンノーン機が出てくればこっちから二機行くというかっこうになっているわけですから、三機なら三機来れば六機行かなければならぬという計算になるんだけれども、極東ソ連軍の状況はどのくらいの飛行機があるか。あそこだけで間違いなく三百六十機くらいある、詳細調べなくたってちょっと考えただけで。それに一波、二波、三波、四波と四機くらいずつ来られたらどうするか。八機、八機、八機と出ていくわけでしょう。そうすると確かにそれは交代して上がっていったっていい。一遍スクランブルをかけたら、実際にこれが戦闘になったらどうするか。一波攻撃を受けた、迎撃に出ていった。落っこちないで帰ってくるのもある。二波攻撃を受けた、迎撃に出かけていった。何も一遍に百機来なくたって、四機なら四機来られた。何波くらいまで一体もつか。大体七、八回やったらもう。パイロットの方は飛行機に上がれないくらい疲労しちゃうのですから、大体六、七回、最大限八回なんて行ったら死にそうになっちゃうのです。そうすると、向こうから四機来たら八機出ていくという勘定になると、七回なら五十六機、そのくらいが限度で、それ以上能力はないでしょう、千歳、北部方面全体で。そうなると、果たして一体いまあなたの言う基盤防衛というのはどこまでを想定した基盤防衛なのか。海原さんが勝手なことを書いておられるけれども、それは別として、早い話が四機なら四機ずつ八波ぐらいやられたら、入れかわって飛んでくるのが出てきても限度ですよ。そうでしょう。そうすると、いま基盤防衛と言っているけれど、いま空の問題一つ例に挙げたのですけれども、せいぜいそのくらいの能力しかない。三機か四機か知らぬけれども、そのくらいの飛行機に七、八回来られたらあごを出してどうにもならない。それしかない。それが現状ではないのか。そうすると、あなたの言う基盤防衛というのは一体どこを指すのか、それはどこへ向けていこうというのか。空、さっきのP2J、海、潜水艦、それからECCMまで含めてバッジが動いているんだけれども、二十八カ所のレーダーサイト、これも無防備である。トラックを持ってきて乗っけてどこかへ行こうなんということを考えているわけですから、全く原始的なんだ。基盤防衛力というものはそういうものなのか。この国の防衛というのはそこからどこに向かっていこうというのか。そこらのところをはっきりしてくれぬと、口の先や文章で書くことは簡単だ。簡単だけれども、ではわれわれはここで議論するに当たって何を一体考えればいいのかはっきりしない。そこのところが一体どういうことになるのか、これを承っておきたい。
  96. 坂田道太

    坂田国務大臣 先ほども申し上げましたように、国民の国を守る意思それから必要最少限度の防衛力、それから日米安保条約、この三つが一組でございますので、抑止力が働くわけです。したがいまして、起こり書べき、生起すべき侵略事態というものは非常に限定的である、こういうことです。そうしますと限定的な個々の問題、いろいろこれは想定されると思うのですが、それに対しては一応即応力を持ったものというのが基盤防衛力の考え方であるわけでございます。もちろんそれだけでいま一応緊張緩和の状況にあるという前提もあります。     〔木野委員長代理退席、越智(伊)委員長代理着席〕 そういうことから、生起すべき侵略の事態というものは非常に限定的なものである、それには対応できる、こういう考え方であります。
  97. 丸山昂

    丸山政府委員 現在の日本の周辺の国際情勢というものを考えました場合に、差し迫ってすぐ日本に対する侵攻があるということが考えられる事態はいまのところないわけでございます。わが国がアメリカとの間に現在の安全保障体制というものを維持をしてまいります場合に、それでしかも日本米軍が駐留するという形での安保体制が維持されるということになりますと、日本に対する大規模な侵攻ということは当然アメリカとの直接の対決を迫られるということになるわけでございまして、そういう意味アメリカの核抑止力はもちろんのことでございますが、通常兵器による抑止力も働いておるというふうに判断、評価すべきだと思うわけでございます。  そこで、こういった安保体制で、しかも自衛隊がある程度の自衛力というものを補備しておるというような状態において、いかなる形の侵略が考えられるかということになりますと、結局安保体制の間隙をねらってのきわめて小規模な奇襲的な侵略ということにならざるを得ないのではないかということで、われわれは当面やはりそういった侵略に対する対処能力をこの基盤防衛力において持っておくということが必要ではないかという考え方でございまして、ただいま大臣がおっしゃった真意はそういうところにあるわけでございます。
  98. 大出俊

    大出委員 そこで時間がないから結論だけ申し上げますが、基盤防衛力という構想を出したのはいいけれども、疑問がたくさんありますけれども、その正体は何だという——経済が大変にぐあいが悪いから、平時だとか基盤防衛力という言い方に変えたのではないかという言い方もございますし、そういうように見られる面もございますが、こういういまの自衛隊の能力、いま私が幾つか例を挙げたような程度の能力で、やれ日米防衛協力、機関をつくってすり合わせる。そうすると、どうしてもこちらが全くその能力がないのですから、四機なら四機に六回来られたら——さっき七、八回と言ったが、七、八回やれないかもしれない、飛行機乗りは。昔の旧軍の飛行機に私は乗ったことあるけれども。そうすると、せい、ぜい六回ぐらいしか出ていけない、相手が四機で来た場合に。それでおしまいになってしまう。そのぐらいしかない。とすると、どうしても安保寄りになるわけですね。この基盤防衛力構想というものは大変に安保が前に出てきておる。安保寄り。そのすき間にちょろちょろと何かあったら、奇襲と称してこれは何とかと言う。そういうものはありっこない、めったに。そんなばかみたいなことは常識で考えられはしない。大変安保寄りになる。間違いない。いまの防衛協力を進めていけばいくほど、基盤防衛力と言っておるけれども、AEWだ、あるいはECMだ、あるいは潜水艦だ、P2Jだ、至らぬものだらけなわけだから、これは。そうでしょう。そうすると、いま言っておる基盤防衛力というのは何なんだ。結果的に太平洋ドクトリンなんかも出てきておるけれども、グローバルな意味で初めてアジア重視とこうきたわけですから、日本中心になっておるのだから。そうすればその姿というものは、巨大な極東戦略、米軍の実力というとこにささやかに組み込まれていくことにしかならないという結果が出てくる。だから安保寄りの基盤防衛力構想というのは大変危険だという、そこのところをきちんとしないと心配があります。  そこで、さっきから問題点を挙げてみたわけなんですが、時間が残念ながらありませんから、そういう考えだということを申し上げてお答えをいただいておいて、後具体的な個々の問題もありますので、三つ四つ申し上げておしまいにしたいと思うのですが、お答えいただきたい。
  99. 坂田道太

    坂田国務大臣 新しいフォードの太平洋ドクトリンを見ましても、従来の軍事力のみで均衡をとるという考え方、もちろんそれが基盤にはなっておりますけれども、むしろ政治経済、そういう部面における日本の役割りというものを高く評価する、こういうことがやはり今度のドクトリンの考え方だと思うので、たとえば三木・フォード会談におきましても、たしかアジアの国際的政治といいますか、平和維持の構造のかなめだという意味のことを言っておられる意味もそこにあると私は思うのでございます。でございますから、そういうふうに評価をしなければならないのではないかというふうに私は思います。
  100. 大出俊

    大出委員 改めて時間があるときに議論をいたします。  そこで承りますが、お答えを端的にずばり言っていただけばいいのですが、一つの問題は、武器輸出あるいは武器に近いものの輸出という問題が出てきています。これは防衛庁、坂田さんのところにも責任がある。兵器国産という大綱をお立てになったのは中曽根さんのときです。そこで進めてきたわけでしょう。ところがやれ積み残しがどんどん出てくる。兵器産業の側から見ればメーンの大企業はいいのです。その企業の仕事の平均三%か四%しかないんだから、それが減ったって全体に影響はない。だがそこから下の下請となると、まるまる防衛庁に九〇%依存している。そこのところに何が積み残し、かにが積み残し、片っ端から積み残されていったのでは、武器輸出ぐらいのことは言いたくなるのは無理もない、そういう側面があります。これは、ファントムF4EJですね、ここで二十ミリのバルカン砲L90という高性能高射機関砲、こういう弾、これを東京でつくっています。これも前に倒産した会社の後を継いだ会社です。実際にはこの会社が今度つぶれたら弾をつくるところがなくなってしまう。そうするとF4EJは日本にあっても弾はない。こういう結果が出てくる。そこらはどっちかに割り切る物の考え方をしなければ、むだなものを置いておったってしようがないのですから、そこらは一体どう考えているのかという点。弾がなくなればファントムというおもちゃがあるということだけにしかならぬのですから、使いものにならぬのだから、そこは一体どう考えているのか。  それからポスト四次防という構想がここにあるわけですけれども日本の航空機産業というとらえ方をした場合に、これは大きなところは別として、ほとんどが防衛庁関係の航空機の生産、修繕等を含めてやってきておるわけです。これはほとんどにっちもさっちもいかないところだらけです。民間の輸送機のYXなんかだって海のものとも山のものともついてない。仕事が現にない。そうすると、そういう中から実は三菱の、これは私はおもしろくないのは、十月三十一日に東京赤坂のホテルオークラで三木総理初め自民党の皆さんと経済界の代表との六カ国首脳会議に行く前の話し合いがあった。そのときに武器の輸出を行えということを三菱の社長さんがおっしゃった。途端に出てきたわけですね、US1の輸出というのが。こういうことでは困ると私は思うのです。やはり防衛庁を含めて、こういう産業、ここに働く人がいるんだから、そこのところを一体どう考えるかという原則がないと、困ったら近いものだけでも輸出しろ、こうなったのでは困る。いまに何を輸出しろと言い出すかわかりはせぬ。そこらのところを一体どう考えるのかということと、時間がありませんから聞いておきますが、鬼木さんが質問していましたけれども、こういうものは何遍も言っておかなければいかぬので、つまり三原則がございます。それなどと照らしてUS1というものは一体どういうことになっているか。向こうに行って、向こうが実際に軍隊ということの中で使われるとすればこれは間違いなく兵器だ、そこらのところをどういうふうに考えるのか。抜け道を考えられて、一々兵器産業は苦しいからといって武器輸出のかっこうになったのではえらいことになる。そこの原則をひとつ聞いておきたい。
  101. 坂田道太

    坂田国務大臣 どこの国もそうだと思いますけれども、やはり主要な兵器はできるだけ国産を主体としていくという考え方は持っていなければいけないのじゃないかというふうに思います。たとえば戦車にしましてもあるいは小銃にしましても、あるいは船にしましても。でございますけれども、科学技術の非常な発展に伴いまして武器もいろいろに向上をしていく、性能が高まっていく。そういたしますと、物によりましてはどうしても国産ではやり得ないということ、そういうものについてはやはり輸入に頼らざるを得ない。しかしながら、日本もこれだけの産業構造を持っておりますし、技術水準も高いわけでございますから、最初は輸入をいたしましても、だんだんこれを国でやれるものはそれに移行していかなければならぬというようなことから、ライセンス生産というようなことも出てきたんじゃないかと思うわけでございます。基本的にはそういうふうに思っておるわけでございます。
  102. 江口裕通

    ○江口政府委員 具体的な提示がございましたので、いまの長官お話、若干補足をさしていただきます。  先ほどちょっと御紹介のありました二十ミリでございますが、確かに二社程度のもので生産をしております。現在充足率は二二%程度でございまして、所要数量に対して現在の生産におきましてもなお不十分でございます。しかしながらその生産におきましても、会社の稼働率から申しますとやはり三割とか、必ずしも会社の採算からいっても十分ではございません。したがいまして、こういったものにつきましては今後どうするかという問題でございますが、私どもといたしましても、いわゆる後方支援と申しますか、正面装備も重要でございますけれども、いわゆる後方支援態勢と申しますか、それを確立するということで、極力この生産だけは維持するという方向で進めてまいりたいと思っております。  それからその次の点でございます。先ほどお引き合いになりましたUS1その他の飛行機の問題でございますが、具体的に先般も鬼木先生から御質問ございましたけれども、US1につきましては私ども必ずしももっぱら直接戦闘の用に供するものというふうには解釈しておらない。むしろこれは救難機であるというふうに解釈しておりますので、その辺の認定は、もっぱら通産省の方に武器輸出かどうかということは認定していただくことになろうかと思いますけれども、機体の実態、性質にかんがみます限り、一応平和目的ということで十分対処し得るものではないかというふうに考えておる次第でございます。
  103. 大出俊

    大出委員 これは、ある国は三菱がつくっている新型戦車がほしいとか、あるいは中国あたりもUS1がほしいというわけでしょう。商用語で引き合いでしょう。武器あるいはそれに近いものの引き合いは大変にたくさんあるわけですね。FR17という小銃が前にありましたけれども、あれなんかも、二つだけ試験的にやったものがありますけれども、たくさんある。一角崩すと次々に崩れていく可能性がある。そこを心配するから聞いている。方々から引き合いがありますけれども、しからばどの辺までを武器と言い、どの辺までを武器でないと言うのですか。
  104. 堺司

    ○堺説明員 武器の定義につきましては、武器輸出三原則がございまして、軍隊が使用するもので直接戦闘の用に供するものということになっております。具体的には輸出貿易管理令の別表の一九七から二〇五まで、この中に武器に近いものが一番多く含まれているということでございます。その中でも、もちろん銃であっても猟銃みたいに武器とは直接的には言えないものもございまして、私どもといたしましては、申請がある都度ケース・バイ・ケースに判定するということにいたしております。
  105. 大出俊

    大出委員 せっかくおいでいただきましたが、時間がなくなりましたので、恐縮でございますが、一遍どういう判定をなさったかというところを改めて聞かしていただきたいのですが、資料か何かございますか。あればひとつぜひいただきたいのですが。
  106. 堺司

    ○堺説明員 武器についてはほとんど申請がございませんので、したがって資料もございません。
  107. 大出俊

    大出委員 US1だけですか。
  108. 堺司

    ○堺説明員 US1も実はまだ輸出申請が出ておりません。
  109. 大出俊

    大出委員 じゃ、まだUS1も申請が出てないわけですね。
  110. 堺司

    ○堺説明員 そのとおりでございます。
  111. 大出俊

    大出委員 私はその辺がしり抜けにならぬように念を押しておきたいわけでありまして、改めてまたひとつ必要な資料要求いたします。  そこで、あと山王ホテルの例の問題、裁判は第一審が国が負けまして二審になっておるわけでありますが、これについてはっきりしていただきたい。  ここに「和解条項」というのがある。国が負けるのは裁判所も困るものだから、和解しなさいというわけですな。この「和解条項(案)」は防衛庁の皆さんがおつくりになったやつです。そこで第一項に「控訴人は、昭和五五年一二月二六日を目途として、アメリカ合衆国軍隊から別紙物件目録記載の建物(以下「本件建物」という。)の返還を受け、参加人に対しこれを明け渡すように努力する。」  第二項は「控訴人及び参加人は、従前の控訴人及び被控訴人(脱退)間の本件建物賃貸借契約は、終了していることを確認し、控訴人及び参加人間で本日別途本件建物の賃貸借契約を締結する。」こうなっています。  この一、二について承りたいのですが、要するに「昭和五五年一二月二六日を目途として、」こうなっているこの「目途として、」それから「明け渡すように努力する。」こうなっていますね。「目途として、」「努力する。」というと、できなかったらどういう責任を国が負うのか。裁判上の和解をしようというのですからね。できなかったら国はどうしようというのか、ここをはっきりせにゃいかぬ。つまり昭和五十五年十二月二十六日を目途としたんだ、一生懸命やってみた、だがどけられなかった、参加人に対してこれを明け渡すよう努力したんだ、したんだができなかった、これで済むかということを言いたい。中には、公租公課が払えないでその物件を差し押さえられてしまったようなお年寄りの持っている小さい土地もございます。東京都に私説明を聞きましたが、都庁の説明によりますと、そういうことです。念のために謄本をとってみましたが、この中に公租公課を払えぬで差し押さえられている方が現実においでになる。だから大変な苦労をしてこられているわけであります。ここにございますが、細かく読み上げませんけれども、大変にお気の毒な方がおられます。年をとってしまっておられる。これは代位債権者は大蔵省と、こうなっている。これは本当にお気の毒な方であります。したがって、そういうふうな苦労をさせているのでありますから、五年を目途としてそして最終的には明け渡す努力をする。国ですから、予算を伴ったり何かするというようなこともありましょう、たとえば違約をどういうふうに責任を負うかとなれば。一体これをどう考えたらいいか、信用していいのか。本当にこれを五年で明け渡してくれるかというここの問題、まずひとつ承りたいのです。
  112. 斎藤一郎

    斎藤(一)政府委員 ただいまの山王ホテルの関係は、お話がございましたように、国と関係者との間で和解をいままで裁判所の勧告があってから十回やって進めておるところでございまして、問題は、いま御指摘があった、国がどういう義務を負うかというところにまさに当事者も非常に関心を持っておるところでございますし、また裁判所も和解というものである以上、当事者が義務を負うということで、いま御指摘がございましたところに大変関心を持っております。  そこで、また同時にお話がございましたように、施設庁という役所としては権限の限界がございますので、役所の権限を越えたことをこういう和解条項にうたうこともできない。いろいろ苦心がございますが、お尋ねの点は、まず第一項で「明け渡すように努力する。」という国の基本的な考え方を明示しまして、あとはこの和解条項の中に手続的な契約を結ぶ期間を限定しまして、そうして、この和解成立の日から五年をたった以後は、もう契約が相手方の考えで更新ができないのだという民事的な手続的な考え方をうたい込んで、御指摘のような点について国が、全体として読めば、五年後にはもう明け渡さざるを得ないのだということで当事者もほぼ納得しておりますので、御懸念の点については私ども国の誠意を示しながら和解を遂げていきたいというふうに思っております。
  113. 大出俊

    大出委員 五年間の契約で、契約が切れれば更新はしないのだというのは、この和解条項のどこをそう読めばいいのですか。
  114. 斎藤一郎

    斎藤(一)政府委員 いまお読みになった二項は和解成立後契約をするという考え方を書いてございますが、三項のところに、そういう賃貸借契約をやりましたが、これは国でございますので、毎年その契約をするかっこうにしていって、そうして五年たったときにはもう契約をしないということをうたい込んでございます。そういう手続によって明確にしたということであります。
  115. 大出俊

    大出委員 三項の「控訴人、参加人間の前項の賃貸借契約は、その期間の定めにかかわらず、昭和五五年一二月二六日までの間は、期間満了前に控訴人が更新の請求をしたときは、国の会計年度ごとに(ただし、昭和五五年四月一日以降は、同年一二月二六日まで)その期間を更新する。」だから、昭和五十五年十二月二十六日までであって、そこから先の期間の更新はないのだと、こういう解釈でよろしゅうございますね。
  116. 斎藤一郎

    斎藤(一)政府委員 そのような考え方でございます。
  117. 大出俊

    大出委員 もう一点聞いておきますが、土地はどうですか。見つかりましたですか。
  118. 斎藤一郎

    斎藤(一)政府委員 使用者である米軍側に移設についてのいろいろな注文がございまして、この注文について私どもは米側と折衝しておりますが、米側の希望する範囲内のところはなかなかございませんが、だんだん折衝して条件をやわらげさせまして、そうしてできるだけ土地を考えて五年の期間内に努力をしたいというふうに思っております。
  119. 大出俊

    大出委員 これは神奈川県の相模原でございますが、キャンプ渕野辺というのがございまして、私も何回かこの席上で聞いてまいりまして、ようやく返還をされたわけであります。御努力を多とするわけでございますが、ついては、このやりとりの中で当時戦車、これは私も張本人で恐縮でございますけれども、M48なんというのをとめたこともございました。大変なことをして、来るやつの前に私も飛び出したわけですけれども、ベトナム行きをとめた。ひやっとする場面でございましたが、あの騒ぎのときに官房長官、二階堂さんでございますが、当時相模原の市長にお会いになったわけであります。市長、大変苦労してあの戦車の騒ぎをまとめたわけであります。河津相模原市長に会って、四十七年の十一月十九日でございますけれども、ここに毎日新聞、神奈川新聞、朝日新聞の記事が全部ございます。それから東京新聞も書いております。書き方は違いますけれども、同じことを皆書いている。これは読売新聞でありますが、これだけの新聞が、官房長官が大変どうもごめんどうをおかけしたということを含めて、ここで返礼というわけじゃありませんけれども、森の中のスポーツ公園、これが相模原市民を含めた市の構想でございました。森の中のスポーツ公園、これに二階堂さんが積極的に賛意を表して、その方向で政府としてもやりたい、こういうふうに市長に直接お答えになっている。新聞記事に載っているわけであります。これは当時私どもがこの問題を間々取り上げていた最中のことでございますから、この点について皆さんの方で御記憶がないとおっしゃられたんじゃ、こっちは迷惑なんで、大蔵省の方々なら直接の所管じゃありませんから、これは別であります。だから、来年中に返還、米軍キャンプ渕野辺、相模原市長に約束、二階堂官房長官、跡地は無償貸し付け、ここまではっきり書いている新聞もあります。中はきわめて詳細なものであります。移転費が十五億円、ここにちゃんと書いてある。森の中のスポーツ公園ということで、市に跡地は無償で貸し付ける、こう言っておられるのですね。これははっきりしている。この点について皆さんが、当時のいきさつからいって、御記憶がないはずがないので、そこのところをひとつ承りたい。  あわせて大蔵省の皆さんの方から、一体二十万坪というのはどういう手順で、どういうふうになさろうとするのかという点の御説明をいただきたい。  それから、あわせて運輸省の方々に、ここで運輸省の物流ターミナルという構想があって、この間参議院議長の河野謙三さんのところに神奈川県知事も、また河津相模原市長も来られて、私も同席して、大蔵省の責任者に、局長さんでしたか、お見えをいただいてお話を聞いたときに、三分の一は地元、三分の一は国なり全国的規模の要請にこたえる一この全国的規模の要請にこたえるという中が、住宅公団と運輸省物流ターミナル、西部地区のトラックの物流ターミナルだ。一日七千台から八千台だという。交通できなくなっちゃうのですよ、あの辺は。大変高速道路が交錯しているのですからね。そうでなくたってどんどんふえてどうしようもないのです。そこへこれをつくる、こういう話が出てまいりました。残り三分の一は、しばらく残してそのままにしておく、大蔵省が管理して白紙にしておいておく、これは大変虫のよすぎる話です。これは一体どういうことになるのか。この物流ターミナルというのは、運輸省の皆さんは——私はこんなのを運輸省がどうしてもやるなんと言ったら、ちょっとこれは江戸のかたきを長崎じゃないけれども開き直って少し仕返しくらいしなければ腹の虫がおさまらぬと考えているのですがね。この物流ターミナルについてはやめてもらいたい。運輸省がやめると言ったら大蔵省はそうですかということにならなければおかしいのですから、そこらのところをひとつ防衛施設庁の皆さんと、それから大蔵省の方々と、それから運輸省の方々に承っておきたいと思います。いかがでございますか。
  120. 斎藤一郎

    斎藤(一)政府委員 キャンプ渕野辺の返還はいまお話がございましたようないきさつがございまして、まず防衛施設庁としては、この米軍との返還の折衝に当たりまして、十四回安保協議会の計画にのせて米軍基地の整理統合の一環として努力して、四十九年十一月に返還措置を完了したわけでございまして、後、いきさつがございますので、関係省庁とよく連絡をして、本来の目的を達するようにやっていきたいというふうに思っております。
  121. 吉岡孝行

    ○吉岡(孝)政府委員 御承知のように、ここ数年例の関東プランとかその他の計画によりまして、在日米軍基地の多くが返還されてきているわけであります。その中には非常に大規模なものが多くて、首都周辺としまして残された国有地としては最後の国有地といいますか、非常に貴重な存在になっているわけであります。  ただいま御質問の渕野辺のキャンプ跡地もその代表的なものでありますが、それにつきまして、ただいまおっしゃいましたような地元の活用要望も数多く出ておりますし、同時に国の諸機関なり政府関係機関等の利用計画というのも出ております。それと、キャンプ渕野辺で言いますと六十六万平米、二十万坪という膨大な規模であります。その他さらに大規模のものもありますが、これだけのものをこの短期間の間に一度に処理してしまうというのは、残された国有地がもうないという観点から考えまして問題じゃないかというような意見も非常にありますし、将来の需要に備えて保留しておくべきであるという要請も強いわけでございます。  われわれ大蔵省としましては、そういった返還されました跡地をどう活用していくかということにつきまして、そういういろいろな要請を調整していく必要があるわけでありますが、その調整の方策としまして、先ほどおっしゃいましたような三分割といいますか、そういう大枠を設けまして、その中でいろいろな要請を調整して処理していきたいということを考え、同時にその処理の価格の面、いろいろ無償貸し付けなり減額の規定がありますが、それの採用していく基準につきましても、数多くの跡地につきまして統一的に基準を設けていこうということを考えておるわけであります。それで、これからこれを国有財産中央審議会の中に返還財産小委員会というのが設けられておりますので、そこで議論していただきまして、その方向で処理してまいりたいというのが現在の実情であります。  それから、先ほどおっしゃいました四十七年当時ですか、戦車搬出問題に関連しまして二階堂官房長官と相模原市長との間の云々というお話ですが、これはわれわれも地元の方からの陳情の際、いろいろ新聞の記事とか何かでそれは最近見せていただきました。ただ、その当時としまして、われわれは事務的な連絡というものはその点について一切受けておりません。
  122. 真島健

    ○真島説明員 先生御指摘の渕野辺キャンプに物流ターミナルをつくる計画があるというお話でございます。トラックターミナルは、全般的にはわれわれは、流通の合理化、交通の混雑緩和というような点から、今後も相当整備を進めていかなければならないと思っておりますけれども、渕野辺キャンプに関する部分につきましては、私どももごく最近でございますが非公式に現地を見、地元の県当局ともいろいろお話をいたしました。その結果、どうもこういうものは、いずれにいたしましても音がしたりとかいうことで、地元の方々の同意あるいは地方公共団体の強力な御協力なくしてはむずかしいのじゃないかというようなことでございますので、先般運輸省内部でも、私ども自動車局といたしましてはとりあえずは渕野辺キャンプにトラックターミナルをつくるという計画は一応白紙に戻すということで、官房方面にはそのように申しておる次第であります。
  123. 大出俊

    大出委員 それでは、それは断念したということでいいですね。  それで、次長さん、この間河野さんのときにお出かけでしたね。あのときに次長さんの方から出まして、そういうことになったのじゃえらいことになると思いまして、実はその席でもそういうことは困るという話をしたのですけれども、これで一つこれは消えたわけで、住宅公団が残るわけでありますが、きょうは住宅公団の皆さんは呼んでおりませんけれども、さっき斎藤さんがおっしゃっておったが、御指摘のような経過がございましてということでございました。御指摘のような経過の中で、私はいま二階堂さんと河津市長とのやりとりを指摘したわけなんであります。これは御記憶でしょう。私も当時二階堂さんと話したこともあるのです。大出さん、実はこうこう考えていると二階堂さんが直接私にお話しになった。新聞に出るのはあたりまえです。これは御存じでしょう。
  124. 斎藤一郎

    斎藤(一)政府委員 私先ほどお答えしたのは、渕野辺返還の経緯の詳細は当時私も任務が違っておりましたので承知しておりませんが、新聞その他で一般常識としてフォローしておって、そういう経過があったのだなということを承知しておるという意味で申し上げたのでございます。
  125. 大出俊

    大出委員 いずれにしても御存じなわけで、承知しておられればいいのですよ、別に形式的にとやかく言っているのじゃないですから。  ただ、ああいうさなかに政府の大番頭、官房長官の二階堂さんがはっきり物を言われていて、これだけたくさん新聞に載っているのを、いまになって知らぬと言われたのでは困る。事務的な連絡というのは私どもじゃないのです。政府内部のことなんです。事務的に連絡があった、ないというのは政府の内部のことです。政府の内部のことで、事務的な連絡がないから私は知らぬと言われたのでは困る。時の政府の官房長官ですから、かわられてもこれは時の官房長官に間違いない。現官房長官井出さんだって、責任継承の原則は明確にある。内部の連絡の不十分というのは、そのことを理由にされたんじゃ私も困る。それは間違いです。  そこで、これは国有財産審議会、さらに関東地方審議会があるわけでありますけれども、一体いつごろ出てくることになりますか。
  126. 吉岡孝行

    ○吉岡(孝)政府委員 その段取りにつきましてはまだ確定しておるわけでありませんが、われわれとしましては、来春ごろまでに審議会の幕議を願って結論を得ていきたい。その上でいろいろ具体的な処理を図りたい、こう考えております。
  127. 大出俊

    大出委員 これは、事務局はおたくがおやりになるのでしょうから申し上げておくのですが、こういう二階堂さんがおっしゃっている約束もあり、近年この相模原地域というのは大変な発展の度合い。そこで長らくキャンプ渕野辺の返還をめぐって地元が一生懸命やってきた。返ってきたら大蔵省ということで、国有財産審議会でこれを全国の基準にする。残り少ないんだからこれはいただいておいてというふうな形でぽんと持っていかれることは、大変心外なんですよ。これは私のみならず、各党の皆さんが言っているとおり。国有財産というものは、それは国民のものだ。そんなことは知らぬ人は一人もいない。だが、そこのところがキャンプになっていたということのために、よって来る地域がこうむるいろいろな実害もあるわけでありまして、私は横浜ですから、そこらじゅうさんざんひどい目に遭っている。ノースピアなんかまだ返ってきはしない。そのために係船、積み込み、積みおろしはいまでも認めない。これは大変大きな問題で、私も取り上げて、防衛庁が一生懸命米側と話をする、こうなっているわけでありますけれども、やはりそういう地元の状態というものを考えると、国民の財産には違いないけれどもそれなりに地元に対して物を考えるというのは当然でありまして、そういう意味で、この点は国有財産審議会にかかっているんだから私の方は知らないとおっしゃるかもしれぬが、間間そういう審議会というのは大蔵省の意向が反映をされて出てくる、私はこう考えているので、念のためにもう一遍伺いたいのです。超党派的にこの問題は物を申し上げているんだけれども、その後そこらの論点について御検討いただいた結果というようなものはございますか。
  128. 吉岡孝行

    ○吉岡(孝)政府委員 ちょっと誤解があられるようですが、三分の一を保留地として残していく。これは国有財産ということで、その場合に大蔵省が管理しておくわけですが、それは大蔵省が管理して大蔵省が勝手に使うということを申し上げているのではありませんで、将来の需要に備えて保留地としてとっておくということで、だからこれは全く白紙の状態でありまして、将来の需要で、地元の活用に任せるか、さらに国の需要として任せるか、その辺は全く白紙の状態でありますから、誤解のないようにひとつ……。
  129. 大出俊

    大出委員 白紙というのはやがて色がつくわけですから、地元の要望に任せるかというような話がありますが、そういう意味で地元が一生懸命、とにかく白紙でといって置いていかれちゃ困る。だんだん色がついてきて、将来を展望すれば地元ということになることだってあり得るわけです。そういう理解をしておいてとりあえずはよろしゅうございますね。ちょっと一言答えてください。
  130. 吉岡孝行

    ○吉岡(孝)政府委員 もちろん、これは国有財産といいましても土地でありますから、どこかへ持っていって動かせるものではないので、活用につきましては地元の御要望というのを十分考えて処理していかざるを得ないと思います。だから、先ほどおっしゃいましたような保留地の問題、もちろん将来の地元の要望等考えて、総合的に考えて活用していくということであります。
  131. 大出俊

    大出委員 きょうはお忙しいところお呼びいたしまして、どうも済みません。この地元住民の長年の悲願でございますから、その方向に向かってひとつせいぜい進めていただきたいということを最後に申し上げまして、終わらせていただきます。  これで終わりですけれども、この委員会で、藤尾委員長が御都合でおいでになれませんでしたが、委員会として私ども新潟県の新発田に行ったわけであります。この新発田の連隊のすぐ前に——前に一遍私ちょっとこれを取り出しましたが、自動車の訓練場がありまして、その周辺は細長い公園地域がずっと入ってきております。城跡から始まりまして、東公園というところまでの長い訓練場の周りを取り巻く公園地域であります。またここには学校などもありましたり、文化地域、ガダルカナル島の戦争の平和祈念碑などというものもございます。大変いい場所でありますけれども、ここで排気ガスが出てくる。訓練場に使っておる。感心をしない。地元と新発田の連隊は仲のいい関係にあるということもあって、交流もある。さきの連隊長が地元の要望を、連隊長自身の考えもあって上に上げたようであります。ところが、これが途中でだめだということになって、うやむやになってきたわけでありますけれども、これは委員会として参りまして、超党派で物を相談いたしましたが、やはりここにあるのはまずかろう、行ってみてこういう判断をいたしました。したがって、市の方も、必要ならば何とか代替地を見つけて、そっちで訓練をやってもらってもいいんだと言っておるわけでありますから、やはり地元の風致地区、公園地区、文化地区なんでありますから、そこのところのまん中に自衛隊の自動車の訓練場があるというのは、ちょうどそこらの自動車の教習所式になってやっているわけでございますから、これは感心しない。この点は何とかもうこの辺でぼつぼつ地元の要望に沿えないものかという気がするわけでありまして、長官、ひとつこういう点は、基地の安定的使用などというふうにおっしゃる長官でございますけれども、地元のそういう気持ちというのは素直にできる限り聞いてあげたいと思うのでございますが、いかがですか。
  132. 斎藤一郎

    斎藤(一)政府委員 ただいまのお話は、当時内閣委員会おいでになった後、いまおいでになりませんが、藤尾委員長からも私連絡を受けまして、そういう問題の所在を知ったわけでございます。そこで、過去のいきさつなどいろいろ調査してみたのですが、内部的にはいろいろ事情がございましたようですが、いまの御要望を承って、私の方で地元の市長さんにもう一遍御意向などを確認に行きまして、内部的にいろいろ調整を要しますので、その御要望にどうしてこたえるかということをいま検討しております。御説のように場所柄もございますから、何かいい方法を考えるということで真剣に考慮しております。
  133. 大出俊

    大出委員 じゃ前向きにお考えいただけますね。
  134. 斎藤一郎

    斎藤(一)政府委員 どういうかっこうになりますか、よくわからないのですが、とにかく前向きにやりたいと思います。
  135. 大出俊

    大出委員 どういうかっこうになるかわからないのでは困ります。わかるように前向きでやっていただきたいんです。
  136. 斎藤一郎

    斎藤(一)政府委員 どういうかっこうというのは、替え地があってどこかに行くのか、そういうやり方の問題を言っておりますので、御指摘の問題を解決することには前向きにやりたいということで、言葉足らずで申しわけありません。
  137. 大出俊

    大出委員 いやいや、私も言い方が悪かったようですが、ぜひひとつ前向きに御検討願いますようにお願いいたしまして終わらせていただきます。時間延びて済みません。
  138. 丸山昂

    丸山政府委員 先ほど先生から御質問のございましたFX関係の数値をあのときお答えができなくて、大変恐縮でございました。結局、最初申し上げましたように、現在資料の分析作業をやっておりますので、いまのところ正確な数値は出ておりませんが、これは明年の初頭になりましたらはっきりした数字が出ると思います。  とりあえず、いままでオープンになっております資料から申し上げますと、まず推力重量比でございますが、これはキログラム対キログラムでございます。F14は四百七十五、F15が三百二十一、F16が三百六十一という数値でございます。  それから翼面荷重でございますが、これは平米当たりのキログラムで出してあるものでございますが、F14が〇・七六になります。それからF15が一・二五、F16が一・二二でございます。  それから航続距離でございますが、いわゆるフェリーレンジということで武器弾薬を一切乗せませんで、できるだけ遠くへ飛ぶ、そういう条件下でやるものでございますが、F14が四千六百三十キロメートル、それからF15が同じく四千六百三十でございます。もう一つ、三千六百ノーチカルマイルという資料もございます。それからF16が四千四十七キロメートルというデータでございます。
  139. 大出俊

    大出委員 わかりました。
  140. 丸山昂

    丸山政府委員 大変失礼いたしました。  いま資料作成の方で間違っておりまして、推力重量比が翼面荷重でございます。それから翼面荷重で申し上げました数値が推力重量比でございます。訂正させていただきます。
  141. 江口裕通

    ○江口政府委員 訂正でございますが、二十ミリでさっき三社と申しましたが、弾体は一社でございまして、二社とは炸薬でございます。ちょっと訂正させていただきます。
  142. 大出俊

    大出委員 わかりました。
  143. 越智伊平

    ○越智(伊)委員長代理 午後三時より委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後二時三十一分休憩      ————◇—————     午後三時五分開議
  144. 藤尾正行

    藤尾委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を続行いたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。木下元二君。
  145. 木下元二

    ○木下委員 防衛庁に伺いますが、アメリカの極東戦略は、ポストベトナムと言われる情勢に対応しまして、変化が見られると思います。すなわち、それは朝鮮半島を最前線として、これに焦点が当てられてきたように思うのであります。こうしたポストベトナムの情勢のもとにおけるアメリカの極東戦略、防衛庁としてはこれに対してどのような認識をお持ちでしょうか、まず伺います。
  146. 丸山昂

    丸山政府委員 基本的には米ソの軍事均衡を保つ、これはアメリカのサイドから言えば、ソ連に対する優位を前提としての米ソの軍事均衡ということになると思いますが、この基本戦略と申しますか、これはポストベトナムにおいても変わらない問題であるというふうに思います。一方、ベトナムの問題が片づきました後において、いわゆるベトナムを含みます束アジアの地域におきます軍事的な安定と申しますか、こういった問題について、アメリカとしては当然日本、韓国あるいはフィリピン、台湾、こういったところとの既存のいわゆる安全保障体制というものを基盤とし、あわせて、中国との話し合いによる軍事的な均衡と申しますか、こういった問題を中心にして、アジアの平和と安定に寄与するという考え方を持っておるのではないか。  それからASEAN地域につきましては、フォードの新太平洋ドクトリンの中にも述べられておりますように、アメリカのプレゼンスに対するこれら関係諸国の要望と申しますか、こういったものをくみ取って、やはりアメリカなりのコミットメントを果たしてまいるということであるというふうに思います。
  147. 木下元二

    ○木下委員 アメリカの国防報告によりますと、ベトナムへのアメリカの介入が終結したことによって、わが国の計画の重点は欧州に移動した、しかしわが国は韓国に兵力を維持し、その支援兵力を沖繩に置いている、東北アジアにおけるわれわれの重要拠点は依然韓国である、その後方支援軍が近くの沖繩に駐留していると述べております。さらに、たとえばことし五月一日、シュレジンジャー国防長官は記者会見で、ベトナム撤収以後の前線防衛地域は、引き続き西欧と韓国、それに、間接的に日本であると発言いたしております。さらに一方、たとえばことしの四月十日、フォード大統領は、アメリカ日本との安全保障条約をアジア太平洋の広範な地域の安全のかなめ石であると考える、日米関係は双方の繁栄にとって死活的に重要であると述べております。  この日米安保条約自体をアジア太平洋地域の安全のかなめ石と呼ばれたのは、これが初めてのことであります。これらの発言で明らかなように、ベトナム後、極東における重要な前線防衛地域として、韓国は一段とその比重を高めておると思うのです。同時に、それと結びついてその支援兵力のいる日本の役割りも一層大きくなっている。防衛庁は、アメリカ大統領や高官の発言に示されるベトナム敗北以後という情勢下の対応をどのように受け取っておるのでしょうか。
  148. 坂田道太

    坂田国務大臣 ことしの一月に出ましたシュレジンジャーの国防報告書あるいはブラウン統合参謀本部議長の報告書を読みますと、もうそのときすでに中部ヨーロッパ、それからこちらは韓国及び日本を束アジアの言うならばストロングポイントというふうにして世界戦略を考えておる、この基本はベトナム以後も変わってない。ということは、一九七三年のパリ協定によってもうベトナムから引くという基本方針は決められておったわけで、ただアメリカとしましても、あんなに早くサイゴンが落ちるというふうには思っていなかった。ことに来年は独立二百年を迎えるわけでございまして、それまでは持ちこたえたかったという気持ちはあったかと思います。そういうわけでございますから、ことしの世界戦略の考え方としては、欧州の中部ヨーロッパ、そして東北アジアにおいては韓国、日本、こういう考え方なわけで、その基本はポストベトナムからも変わっていないというふうにわれわれは見るわけで、むしろいままでアジアに対しまして単に軍事だけでもって対処するということでなくて、さらにベトナム撤退後におけるASEAN諸国のいろいろの変化、影響、そういうものを見た場合には、ASEAN諸国等におきましても政治あるいは経済といった部面における協力、援助ということが非常に大事なんだということを強調し始めている、それが今度の新しいフォードの太平洋ドクトリンにも出てきている。しかし、それは政治経済の援助協力ということなんだけれども、その根底にはやはり力の均衡というものがあるんだ、これは忘れてないと思います。でございますから、そう変わってないというふうに私は見るわけでございます。
  149. 木下元二

    ○木下委員 基本戦略としては変わってないとしても、ポストベトナムという現実に直面して、その比重が非常に高まってきたのではないかというふうに思うわけなんですが、さらにシュレジンジャー国防長官は、五月十六日ごろでありますが、こう述べております。ベトナム戦争の教訓の一つは、無造作に敵側の攻撃に反撃するのではなく、むしろ敵側の力の心臓部を攻撃することが必要だということである。すなわち、補助的な軍事行動に際限なく巻き込まれるよりも、むしろ敵側の中枢軍事力を破壊することこそ必要と述べております。USニューズ・アンド・ワールド・レポート誌上での特別インタビューであります。また、同じく六月二十日には、国防総省での記者会見で、われわれが戦術核兵器を韓国に配備していることは御承知のとおりと思う、もし状況が必要とすれば、核兵器の使用を慎重に考慮しなければならない旨を述べております。このベトナム戦争の教訓から、ベトナム戦争とは質的に違った強力かつ集中的な戦略が組まれておるように思うのです。防衛庁はこの点の認識はいかがでしょう。
  150. 坂田道太

    坂田国務大臣 後で防衛局長からお答えを申し上げたいと思いますが、いま御指摘の五月何日、それから六月何日という時期をいま考えてみますと、サイゴンが落ちた直後でございますね。そういたしますと、かなりASEAN諸国におきましても動揺があるわけでございます。あるいは韓国においても、一体アメリカは約束を履行してくれるだろうか、そういうときに、かなり強いコミットメントを行ったということは言えるかと思うのです。しかし、その後の発言はまたかなり調子が落ちてきている、こういうふうに一応見なければならぬのではないか、もちろんベトナムの教訓に対する軍事上の反省というものは考えたと思いますけれども
  151. 木下元二

    ○木下委員 さらに、米韓統合第一軍団司令官ホリングズワース中将が明らかにいたしました九日間戦争あるいは九日間の反撃作戦計画なるものがあるわけであります。これはシュレジンジャー国防長官も確認をいたしておりますが、この計画によると、沖繩からB52を一時間に三十波、二十四時間にわたって発進をさせる、これを四日間続ける、その後地上軍で敵をせん滅するというものでありますが、防衛庁はこの計画はどのように見ておるのですか。
  152. 丸山昂

    丸山政府委員 シュレジンジャー長官が米韓定期協議で、本年の夏、日本を訪問される前に韓国を訪問されました際に、第一軍団の司令官のホリングズワース中将がそういう発言をされたということ、これがスターズ・アンド・ストライプスその他で報道されておりますので、恐らくそういう発想があったというふうに私ども思っております。ただ、沖繩を基地にしてB52が七百二十ソーティーになるわけでございます。一波という、原語ではソーティーと書いてございますので、一つの爆撃機が飛び立ちまして任務を終えて帰ってくるまでを考えておるようでございます。いずれにいたしましても、二十四時間、七百二十ソーティーが飛び立っていくということでございまして、この問題は実は私ども専門家にも分析をさせたのでございますが、もしこれを実現するとなると、いわゆる補給その他のバックアップ体制というものが大変なものになるわけでございまして、その言葉どおりに受け取るということは実際的にはむずかしいのではなかろうかという判断でございます。しかし、それに近いことは可能であるかと思うのでございますが、いずれにしてもそのB52だけを考えて、B52だけで七百二十ソーティーを一日にこなすということは大変な作業であるというふうに思うわけでございます。ちなみに、私はっきり記憶をいたしておりませんが、アメリカの本国では、在韓米軍に優秀な航空参謀がいないのではないかという批評があったということがございます。要するにその七百二十ソーティーという現実性の問題から言うと、そういう面からの専門家が見た場合の疑問があるようでございます。しかしながら、いまのB52の空からの攻撃ということを前提にして九日戦争すべてが組まれておるのではないと思いますが、それだけの実現可能性ということは、当の責任者である第一軍団司令官がもし言明しているとすれば、やはりそれだけのはっきりした根拠があって言われておることではないかというふうに思うわけでございます。
  153. 木下元二

    ○木下委員 この計画そのものが実行されなくても、言われるようにこれに近いようなことが実現されましても、大変なことだと思うのです。これは、どうも聞いておりますと人ごとのように言われておりますけれども、現実にこれがやられたら一体日本はどうなるのか。沖繩が発進基地として使われる、日本が戦争の渦中に巻き込まれるということであります。こういう計画を容認する態度はとるべきではないと思いますが、長官いかがでしょうか。
  154. 坂田道太

    坂田国務大臣 この計画計画といたしまして、われわれといたしましては、現在朝鮮半島に軍事的対峙はありますけれども、そしてまた、いろいろのゲリラ活動であるとかあるいは小さい衝突はあると思いますけれども米軍が駐留する限り、ここで戦争が起こるというような事態は考えられないというふうに私は判断をいたすわけでございます。何らかの形の事が起こるというような場合におきましても、やはり日米安保条約というものはあくまでも日本の安全ということを第一義に考えるわけでございます。そういう意味から日本の国民感情を十分わきまえた上において、米軍が行動をするということになろうかと思います。もちろんこれは、私の所管ではございませんけれども、事前協議の制度もあるわけでございます。
  155. 木下元二

    ○木下委員 そこで、新しい情勢のもとで、最近の在日米軍の実態なり動向なりはどういう変化が見られるか、どういう状況であるかということを聞きたいと思うのであります。  具体的に聞きますが、B52、沖繩からベトナムに直接出撃をいたしまして、沖繩県民から「黒い殺し屋」と恐れられているこのB52、これが三年ぶりで相次いで沖繩に飛来をいたしております。これは、朝鮮半島の緊迫した情勢に備えて、沖繩への常駐化をねらったものではないかと県民は言っておりますが、どのように見ておりますか。
  156. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 最近B52が二回沖繩に飛来いたしましたが、これはいずれも台風避難のためでございまして、われわれもその都度実際に台風がグアム島を襲う可能性があったかどうかもよくチェックいたしまして、確かにそういう可能性があったということも確認いたしております。そういう台風避難のために嘉手納に緊急やむを得ず飛来したわけでございまして、台風が去りました後は直ちにグアム島に戻っております。したがいまして、仰せられるような考えのもとにB52が沖繩に飛来したのではないというふうにわれわれは考えております。
  157. 木下元二

    ○木下委員 台風避難を理由にいたしておりますけれども、このグアム島周辺にはこれまでもたびたび台風が接近しておるのですね。しかし、それでもこれまでは飛来をしなかった。この三年間にグアム島から三百キロ以内に接近した台風だけでも四個ある。それよりもっと離れたところではもっと発生しておるのであります。今度B52が飛来をしましたのは十一月八日と十八日であります。八日のときは台風十九号、十八日は二十号であります。いずれもグアムから約四五キロの海上を北上しておるのです。過去の台風に比べて影響が大きかったとは思えない。これは口実ではありませんか。
  158. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 われわれとしては口実とは考えておりません。仰せられるとおり、過去三年間に四回ほどグアム島に接近した台風があったようでありまして、そのうちの一回の場合にはB52は現実にグアム島を飛び立ってタイのウタパオ基地に避難したようであります。今回の場合嘉手納に参りましたわけでございますが、これは結局台風の進行方向その他いろんな条件を勘案して嘉手納に参ったわけでございまして、こういう緊急やむを得ない飛来の場合は、われわれとしては認めなければならないと考えております。
  159. 木下元二

    ○木下委員 しかも十八日に飛来したB52は、天気が回復をしまして民間機は平常ダイヤに戻っても、沖繩にいわばずる休みをして帰ろうとしなかったという事実があるのです。どうも台風避難ということを替われましても、口実としか思えないのです。そしてこのB52の飛来と符節を合わせるように、沖繩本島北部の伊江島で原爆投下演習が再開されました。これは十月三十一日と、十一月十四日から十六日まで実施をされております。米空軍用戦術核爆弾、B43の模擬爆弾BDU8B、これが投下をされております。米側も認めております。昨年九月十四日の投下演習以後、一年以上にわたってこの投下訓練は事実上中止をされておったのに、突如再開をされましたのはどういう理由でしょうか。
  160. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 アメリカ側が一年ほど実際問題としてこの核模擬爆弾の投下訓練を行っていなかったことは事実のようでございます。ただ何ゆえに再開されたかというその米軍内部の事情は私たちもつまびらかにいたしませんけれども、いずれにいたしましても、これは全世界に展開いたしております米空軍の即応体制を維持するための訓練でございまして、その限りにおいてはわれわれとしても容認し得るものだと思います。もちろん、こういう投下訓練というものは、日本国民ことに沖繩県民の方々の核に対する特殊な感情からして、望ましくないことは事実でございますので、われわれとしてはこれは最小限度にとどめてもらいたいということは再三申しておるわけでございまして、米軍としても最小限度においてやっておるということを申す以上は、やむを得ないかと考える次第でございます。
  161. 木下元二

    ○木下委員 さらに沖繩における米海兵隊の演習でありますが、最近キャンプ・ハンセン基地での実弾訓練が激しさを増し、付近住民に被害を与えておるということです。そこでベトナム後、米海兵隊の演習は何回、どのような規模で行われたんでしょうか。
  162. 銅崎富司

    銅崎政府委員 キャンプ・ハンセン演習場の実情につきましては、最近におきましては大体毎日使用されております。ただ大規模な——質問が大規模なということでありますと、私ども承知いたしておりません。
  163. 木下元二

    ○木下委員 これは住民に対してもいろいろと影響を与えるわけなんで、そういう大規模な演習、そういうものが何回、どういうふうにやられたか承知をしていないということでは困ると思うのですが、それはわからぬわけですか。
  164. 銅崎富司

    銅崎政府委員 大規模という意味でございますが、私どもが承知しておりますのは、キャンプ・ハンセンの演習場におきまして通常行う訓練をやっておるということでございまして、ただいま御質問の、沖繩の水源涵養林地帯に向けて迫撃砲等が撃ち込まれておるということで問題になったわけでございますが、これは八月ごろから演習が激しくなりまして、それでそういう水源地を破壊しているといいますか、水源林を倒しておるということで、問題になりましてからすぐ那覇の防衛施設局におきまして米軍に申し入れまして、射撃方向を変えてほしいということで、米側もそれを検討するという回答を得ております。
  165. 木下元二

    ○木下委員 日常行われる訓練ではなくて、特に大規模な演習が何回やられたかということは把握しておりませんか。
  166. 銅崎富司

    銅崎政府委員 それは把握いたしておりません。
  167. 木下元二

    ○木下委員 どうもそういうことでは困ると思うのですが、さらに、これは参議院の内藤議員が追及しましたが、来年一月下旬ごろから四十日間、沖繩常駐の米海兵隊第三海兵師団第三偵察大隊が冬季演習を行うということです。第三偵察大隊の指揮官から第三海兵師団司令官にあてた「朝鮮における冬季訓練」と題する報告文書があるわけであります。これによりますと、南朝鮮東海岸にキャンプをつくる、山岳訓練を行うというもので、その準備をすでに十月下旬から始めておるということです。この演習は、朝鮮民主主義人民共和国に対する示威であり、いつでも実戦に転化し得る危険な戦争遂行計画でもあると思うのです。防衛庁はこの計画は御存じですか。
  168. 丸山昂

    丸山政府委員 この計画につきましては、先ごろの参議院の予算委員会におきまして、おたくの内藤議員から資料が配付されまして、それによりますと、ただいまお話しのように、アメリカ海兵隊第三海兵師団の第一偵察大隊、この指揮官から第三海兵師団の司令官に対して、朝鮮における冬季訓練をこういった計画でやりたいという書類が提出されているということでございまして、この内藤議員の出されました資料で私ども知っておるだけでございまして、それ以外のソースで承知をいたしているということはございません。
  169. 木下元二

    ○木下委員 米軍と韓国軍がことしの六月下旬ごろから実施をしておる合同軍事演習、イエロードラゴン作戦あるいはキャプスタンドラゴン作戦なるものがあります。これはどんな作戦なのでしょうか。どこでどのくらいの規模で行われたものでしょうか。また、在日米軍はどういう部隊が参加をしたのでしょうか。
  170. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 仰せの演習は、オペレーション・キャプスタン・ドラゴンだと思いますが、これは五十年の六月二十一日から六月二十三日にかけて行われたわけでございますが、これにつきましては、たまたま、われわれとしましてもアメリカに聞きましたところ、これには沖繩におります米軍機を含めて在日の米軍機は一切参加していないということを言っておりました。ただ、日本におります米軍が、その防衛力を維持向上せしめるために必要に応じて韓国に赴いて訓練をすること自体は、安保条約の目的に照らしても許されるところであるとわれわれは考えております。
  171. 木下元二

    ○木下委員 いや、いい悪いはいま聞いていないのです。事実を確かめているのですがね。在沖米軍は参加していないということですか。いま私は二つ申しましたけれども、この二つの作戦いずれも参加していない、こう聞いてよろしいですか。第三海兵師団翼下の部隊、在沖米軍戦闘機や輸送機、こういうものが出動しておるように私は聞いておるのですが、そういうことはありませんか。
  172. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 当時の新聞報道では、この演習がオペレーション・キャプスタン・ドラゴンと呼ばれ、あるいはイエロードラゴンと呼ばれたようでございますけれどもアメリカに聞きました限りにおいては、これはキャプスタンドラゴンと言うのが正しい呼び方であるということでございました。  それからまた、当時の新聞報道では、在日米軍の航空機が参加しておるような報道もございましたけれども、この点も向こう側に聞きましたところ、そういう事実はないということでございます。
  173. 木下元二

    ○木下委員 その点は、そうすると新聞報道ではそうあったけれども米軍は否定しておる、確認できていないということですね。そうですね。
  174. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 そのとおりでございます。
  175. 木下元二

    ○木下委員 沖繩嘉手納基地の第十八戦術戦闘航空団のF4C機一個中隊、これが去る六月十一日に台湾からの撤退を終了したと伝えられております。そして、この航空団が今後日本と韓国の防衛を主要任務とすることを、嘉手納基地の米空軍報道部は明らかにいたしております。これは知っておられますか。
  176. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 沖繩におりますF4Cの一個中隊が台湾にローテーションベースで派遣されておったのは事実でございますが、それがそういうローテーションを終えまして沖繩に戻ったということは承知いたしております。
  177. 木下元二

    ○木下委員 今後日本と韓国の防衛を主要任務とするということを、この嘉手納基地の米空軍報道部が明らかにしておるのです。     〔委員長退席、奥出委員長代理着席
  178. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 一般的に申し上げまして、わが国におります米軍は、日本の安全とともに極東の平和と安全の維持に寄与するためにおるわけでございますから、その意味におきまして、在日米空軍が朝鮮における任務を持っておるということは事実でございます。
  179. 木下元二

    ○木下委員 いろいろ聞きましたが、結局ポストベトナムに対応したアメリカのアジア戦略が朝鮮に矛先を向けたものであることが、沖繩を中心とする在日米軍の最近の動向からも実証されると思うのです。アジアにおける用事的焦点は、ポストベトナムによりまして朝鮮半島に移ってきた、こういう状況が、私がいまずっと聞きました中でも出てきておると思うのです。この点は防衛庁も認識を共通にすると思うのですが、いかがですか。
  180. 丸山昂

    丸山政府委員 御存じのように、アジア地域におきまして、ベトナムでは戦線が展開されておったわけでございますし、これが本年の四月の末日であのような結末になったわけでございまして、アメリカといたしますれば、現在アジア地域において南北両軍事力が対峙しておるのは朝鮮半島だけであるという、そのほかにないことはございませんが、現実にそういう軍事力の対峙があるところは朝鮮半島である。そこで朝鮮半島については、先ほども私が申し上げましたように、この朝鮮半島の平和を維持する、つまり紛争その他の事案の発生を極力回避するということが、アメリカに、とっても大変重大な関心事であるというふうに私どもは思うわけでございまして、     〔奥出委員長代理退席委員長着席先生のおっしゃるように特別にベトナム戦後朝鮮に重点が指向されているというふうに私どもは判断をいたしませんが、朝鮮の平和維持のためにいろいろの努力をしておるということは評価すべきことであるというふうに思うわけでございます。
  181. 木下元二

    ○木下委員 そこで、この朝鮮半島での軍事的衝突の可能性ですね、これはどのように見ておりますか。簡単に言ってください。
  182. 丸山昂

    丸山政府委員 簡単に申し上げれば、大規模の軍事的衝突の可能性はまずないというふうに考えます。
  183. 木下元二

    ○木下委員 限定的な紛争はどうですか。
  184. 丸山昂

    丸山政府委員 おっしゃっておる限定的なという意味がいろいろな意味に使われますので、いま私が申し上げておるのは、現在三十八度線をはさみまして小型の小競り合いはわりあいに頻繁に発生をしておるわけでございますが、それよりも規模の大きくなったいわゆる正規戦と申しますか、こういった形のものは発生する可能性は少ないのではないかというふうに申し上げておるわけでございます。
  185. 木下元二

    ○木下委員 そうでしょうかね。長官に伺いますが、坂田長官は五月二十八日、日本記者クラブで講演をされてこう言われております。アジア、特に朝鮮半島では何らかの要因で均衡が破れるおそれはあり、限定的な武力紛争の可能性は否定できないと述べておるのです。つまりこれは、朝鮮半島での紛争は起こり得るということを言われておると思うのですが、そうじゃありませんか。
  186. 坂田道太

    坂田国務大臣 その意味は、アメリカのプレゼンスがもしなくなるとするならば、そういう危険性は起こり得るという意味でございます。
  187. 木下元二

    ○木下委員 朝鮮半島で何らかの要因で均衡が破れるおそれがあるということを言われて、そしてその紛争の可能性を言及しておるのであります。その均衡が破られる場合というのは、いま言われたようなことであろうと思いますけれども、そういう均衡が破れて、限定的あるいはより規模の大きい武力紛争が発生をすることも起こり得るわけですね。
  188. 坂田道太

    坂田国務大臣 いや私が申し上げましたのは、プレゼンスがあれば起こらぬ、プレゼンスが外れれば危険性があり得る、こういう意味なんでございます。
  189. 木下元二

    ○木下委員 それはそういうふうに聞いておくといたしまして、ではこの朝鮮半島で紛争が起こったときに、在日米軍は出動をいたしますか。
  190. 坂田道太

    坂田国務大臣 これはいろいろの事態があると思うわけでございます。
  191. 木下元二

    ○木下委員 いろいろの事態があるでしょうが、先ほど私が援用いたしました国防報告を見ましても、東北アジアにおけるわれわれの重要拠点は韓国である、その後方支援軍が沖繩に駐留しているという発言、これから見ましても、あるいはまた在沖米軍の演習の実態、先ほどいろいろ申しましたが、そうした実態から見ましても、あるいはさらに米韓相互防衛条約の義務ということからしましても、在日米軍が朝鮮での紛争に介入をするということはあり得ると思うんですね、起こり得ると思うんです。そうではないでしょうか。
  192. 坂田道太

    坂田国務大臣 私が冒頭に申し上げましたように、ポストベトナムにおきまして強い調子のコミットメントが行われ、しかもまたシュレジンジャーその人が韓国に行きまして、そしていろいろ打ち合わせもやり、そして私との会談があったわけでございますが、とにかくプレゼンスは守る、やるという約束は守るということを言明いたしておるわけでございます。その限りにおいて、朝鮮半島でいま事が起こるというふうには考えておりません。
  193. 木下元二

    ○木下委員 いま事が起こるということは考えてないでしょうけれども、これからの問題を言っておるわけなんです。この朝鮮で紛争が起こった場合に、日本は在日米軍の直接出撃の基地あるいは補給等の基地になると思うんですが、これは防衛庁は安保六条がある以上当然だというふうにお考えですか。
  194. 丸山昂

    丸山政府委員 どういう事態になりますか、その前提はいろいろな想定をされますので一概に申し上げるわけにはまいらぬと思うわけでございますが、ただいまのお話は在日米軍基地の使用の問題としての御質問と思いますので、これは安保条約にも明記されておりますように、日本の安全並びに極東の平和と安全に寄与するために、日本の基地をアメリカ軍が使うということは当然できるわけでございます。
  195. 木下元二

    ○木下委員 朝鮮半島での紛争に際して、在日米軍が直接戦闘のために日本の基地から出動をするという場合は事前協議が必要でありますが、この場合は政府はイエスと言うのかノーと言うのか、どういう態度をおとりになりますか。
  196. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 この点については政府はたびたび申し上げておりますように、わが国の国益に照らして、すなわち日本の安全というものを中心に考えて決めるということでございます。ただ日本の安全と申しましても、それ自体としてだけでは考えられない場合があるわけでございまして、ことに朝鮮半島における事態ということになってまいりますと、日本の安全は極東の平和と安全に密接に関連してまいるわけでございますから、そういう点も十分踏まえて政府としての態度を決定するということでございます。
  197. 木下元二

    ○木下委員 そうしますと、具体的状況に即して判断をするということですか。
  198. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 そういうことでございます。
  199. 木下元二

    ○木下委員 ところで、直接戦闘のために出動をする場合に事前協議が必要である。ところが一体、直接戦闘行動かあるいは移動かどうか、これは日本の方としてはどういうふうにして確認をするんでしょうか。
  200. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 具体的にその在日米軍が動きますときの任務あるいは態様その他を見て判断いたします。
  201. 木下元二

    ○木下委員 米側はこういう戦争の際に協議を申し出ると思われますか。米側が言ってこないときはどうするのでしょうか。
  202. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 この点は政府といたしましては、日米安保条約がもともと日米の信頼関係に基づいてつくられておるものでございますから、日本から行われる戦闘作戦行動のための基地としての日本国内にあります施設及び区域の使用の際には、日本政府と事前協議をするということをアメリカが厳粛に約束しておるわけでございますから、当然事前協議がかけられてくるものと政府としては確信いたしておる次第でございます。
  203. 木下元二

    ○木下委員 そうしますと、日本の基地から米軍がどんどん出動をする、しかし事前協議の申し出がない、そういう場合にはどんな措置をおとりになるのですか。
  204. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 実際問題としてそういうことは考えられないと思います。
  205. 木下元二

    ○木下委員 ということは、米側が言ってこない以上、それは移動であって出撃ではない、そういう判断に立つわけですか。
  206. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 それほど単純に考えるわけではございません。実際問題としてそういうことになります前にはいろんな動きがあるわけでございますから、安保条約四条によりまして随時協議の制度があるわけでございます。随時協議の制度は極東の平和と安全が脅かされたときはいずれか一方が申し出て協議することができるわけでございますから、この随時協議の制度も活用してアメリカ側と話し合いをすることは当然あり得ると思います。
  207. 木下元二

    ○木下委員 そうしますと、そういう場合皆この四条を使って、米軍がどんどん出ていくがこれは一体どういうことか、事前協議をするべきではないかということを申し入れるということですか。
  208. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 アメリカ日本政府の意思に反してそういう直接戦闘作戦行動のために日本の基地を使用するということはわれわれとしては考えておらないわけでございますが、その以前の段階において朝鮮半島でいろんな事態が発生してまいれば、当然政府としては、極東の平和と安全が脅かされておるわけでございますから、向こう側から協議してくるかもしれませんし、わが方からも協議をして、いろいろその事態を検討するということはあり得るわけでございます。
  209. 木下元二

    ○木下委員 まあ結局、出撃のときは必ず事前協議にかかる、これは防衛庁だけが特にそういうふうに信頼をされるわけでありますが、ではもし事前協議にかけてきました場合にはイエスかノーか、これは具体的状況にならぬとわからぬ。とすると、イエスもあるノーもある、こういうふうに理解をしてよいわけですか。
  210. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 そのときの事態に応じてイエスもありノーもあるということでございます。
  211. 木下元二

    ○木下委員 そこで、もう少し聞きますが、在日米軍基地からの朝鮮戦線に対する一部作戦兵力の転用配備、移動の場合ですね、これは事前協議の対象になるのですか。
  212. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 在日米軍の一部が朝鮮における事態のために戦場以外のところに通常の移動をするという場合には、事前協議の対象にはならないと存じます。
  213. 木下元二

    ○木下委員 戦闘作戦行動に関係した移動であれば入るわけですね。
  214. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 たとえば、空挺部隊が戦場に降下する、そういう形で移動する場合、それは移動ではなくてまさに戦闘作戦行動でありますから、当然事前協議の対象になると思います。
  215. 木下元二

    ○木下委員 相手国上空に対する在日米軍基地からの偵察、哨戒行動、これはいかがですか。
  216. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 偵察といい哨戒といいましても、その態様は千差万別でございまして、一般的にお答え申し上げる立場ではございませんけれども、通常の偵察は事前協議の対象にならないと存じます。
  217. 木下元二

    ○木下委員 一般論ではなくて、私がいま聞いておるのは、朝鮮で紛争が起こっておる、現実にドンパチやっておる、そういう状況の中で偵察あるいは哨戒行動をやる、戦闘行動と密接不可分に結びついておる偵察あるいは哨戒であります。
  218. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 ですから、そういう偵察と申しましても、どこを偵察するのか、どういう形で偵察するのかということがありますので、はっきりしたお答えを申し上げることは困難でございますが、先ほどから申し上げておりますが、通常の偵察であれば事前協議の対象にならないと考える次第でございます。
  219. 木下元二

    ○木下委員 いや、戦闘行動の一部として偵察をやるあるいは哨戒をやるという場合ですね。どこをやるかというのは、これは戦闘行為ですから当然対象は出てくると思うのですが、そういうふうな実際の戦闘行為と結びついたそうした行為というのはどうなんですか。
  220. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 この点は、われわれとしてはいま一般的にお答え申し上げることは困難だと思います。従来から政府が戦闘作戦行動と密接な、不可分な関係のある行動として例として申し上げておりますのは、たとえば空挺部隊が戦場に投下されて、それに対して空中から武器弾薬を補給するために投下するというふうな場合には、確かに戦闘作戦行動と密接不可分なものと観念されますので、事前協議の対象になると思いますが、偵察ということになってまいりますと、これはそのときの状況で判断する以外になかろうと存じます。
  221. 木下元二

    ○木下委員 では、損耗兵力に対する増援、補充という行為で米太平洋軍または米本国から部隊が在日基地に移動してくるという場合、これは対象になるのでしょうか。どのくらいの規模なら対象になるあるいはならないという基準を陸海空についてお示しいただきたいと思うのです。
  222. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 米太平洋軍から在日米軍基地に兵力を補充する場合というお尋ねでございますが、これに関しましては、従来、配置における重要な変更は事前協議の対象になるということになっております。したがいまして、これは陸海空に分けて申し上げますと、従来から申し上げておりますのは、陸上部隊の場合には一個師団程度、空軍の場合にはこれに相当するもの、海軍の場合には一機動部隊程度ということになっております。
  223. 木下元二

    ○木下委員 その陸海空の部隊がそれぞれ分割して投入された場合はどうなるのですか。
  224. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 これは陸海空それぞれ別々にとらえるべきものと考えております。
  225. 木下元二

    ○木下委員 いや、そうではなくて、空軍なら空軍あるいは陸軍なら陸軍の部隊が一部ずつ移動してくる、いま一個師団程度と言われましたけれども、部分的に少しずつ移動してくるという場合はどうかと聞いているのです。
  226. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 御質問を取り違えまして失礼いたしました。  いまおっしゃられたように、逐次何回かに分けて移動してきて、結果としてたとえば陸の場合で一個師団になるというふうな場合でございましたら、それはやはり事前協議の対象となるべきものだと思います。
  227. 木下元二

    ○木下委員 日本を母港とする掃海部隊の朝鮮戦線への投入、これは対象になりますか。
  228. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 そういう場合は別に日本を母港とすると否とは余り関係がないと思いますけれども、在日米軍基地から出ていきまして機雷を除去するような掃海活動というものは、通常の観念からすれば戦闘作戦行動とは考えられませんので、事前協議の対象にはならないと思います。
  229. 木下元二

    ○木下委員 朝鮮戦線への戦闘のための兵力の輸送、あるいは燃料、弾薬、武器などの輸送、これは対象になりますか。
  230. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 燃料、弾薬の補給、輸送というものがその後方へ向けて行われるということであれば、事前協議の対象にならないと思います。ただ、先ほどから申し上げましたように、戦場に対して直接投下されるような場合には、これは戦闘作戦行動の密接不可分なものと考えられますので、事前協議の対象となると存じます。
  231. 木下元二

    ○木下委員 後方と申しましても、結局これは戦闘行動をやっておるその場面に兵力を持っていくということはあり得ないわけで、その後方に持っていくわけですね。これは戦闘行動の支援のために行くわけでしょう。それは対象にならないわけですか。どの程度後方ならなる、あるいはならないのですか。
  232. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 ですから、先ほどから申し上げておりますように、これはやはりそのときの具体的な事態に即して、また日本の国益に照らして判断する以外にないということでございます。
  233. 木下元二

    ○木下委員 どうも、そのときどきの状況に照らすと言いましてもね、これもやはり一定の基準と申しますか、どういう場合にはどう対処するという、そうした物差しが必要だと思うのですよ。その場で判断と言いましても、どうもそれはよく判断ができるのかどうか非常に疑問だと思います。  では、朝鮮海峡での対潜作戦のため在日米海軍航空機が出動した場合は対象になりますか。
  234. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 ちょっと仰せられる意味がはっきりわからないわけですが、対潜作戦と申されましても、潜水艦に対する作戦という意味はいろいろなことがあると思います。ただ潜水艦を捜すためであるか、本当にそれを撃破するためであるか、いろいろあり得ると思いますし、それだけの御質問ではっきりしたお答えを申し上げることはちょっと困難だと存じます。
  235. 木下元二

    ○木下委員 では、捜す場合はどうなのか、撃破する場合はどうなのか、いかがですか。
  236. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 どうもこの問題につきましていろいろな例を挙げられますけれども政府が申し上げておりますのは、戦闘作戦とは直接戦闘に従事することを目的とした軍事行動だということでございまして、その精神に照らして、具体的にはその基地を発進する際の任務とか態様を見て判断するということでございます。それ以上いろいろな事例を挙げられましても、われわれとしてもお答え申し上げかねます。  それから、もともと米軍がそういうふうに行動する場合は、アメリカの集団的、個別的自衛権の発動として、いわば侵略を排除するために行動しておるわけでございまして、そういうものとして、われわれとしては当然ある程度の協力はあるべきであります。ただ、直接戦闘作戦行動に従事するような場合には日本と相談してほしいということでこの条約が成り立っておるわけでございますから、結局そういう相互の信頼関係によってこういうものは律さなければならないわけでございまして、それ以上の具体的なことについてわれわれがいま一々定義することは困難でもあり、また必要がないとわれわれは考えております。
  237. 木下元二

    ○木下委員 いま具体的な事例について伺いました。第一に、一体事前協議の対象になるのかならないのか、はっきりしない場合が多いようです。第二に、対象となるものについて政府は一体どういう態度をとるのか、この場合には、結局のところ具体的状況によって判断をすると言われますけれども、これはもうほとんどイエスではないのですか。どうですか。
  238. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 政府としては、ほとんどイエスであるということを申したことはございません。そのときの状況により、イエスもありノーもあるということは、一貫して申し上げている次第でございます。
  239. 木下元二

    ○木下委員 私がいまいろいろ聞きましたのは、決してとっぴな場合を聞いておるのではなくて、在日米軍や第七艦隊が出動をする以上は、いま指摘をしましたような行動に出ることは、これはもう軍事的には常識なんですね。そういう場合に、一体政府はイエスと言うのかノーと言うのか、この事前協議の対象になる場合にどういう態度をとるのか、これはひとつ具体的事例に即してお答えいただきたいと思うのです。
  240. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 具体的率例に即してと仰せられましても、やはりそのときの侵略の規模、また米軍の対応の仕方によって変わってまいると思います。しかし、もともと朝鮮半島におけるそういう事態においては、これは韓国の軍隊及び在韓米軍が第一義的にこれに対処することになっておるわけでございますから、直ちに在日米軍が行動を起こすということは余りないのではないかと思います。ただし、それが状況によって行動を起こすということになりました場合には、先ほどから申し上げておりますように、日本の安全というものを中心にして、しかし、極東の平和と安全というものを十分考慮してイエスかノーかを言うということでございまして、それ以上のことについてはっきりしたお答えを申し上げることは困難かと存じます。
  241. 木下元二

    ○木下委員 朝鮮半島で紛争が起こりましたときに、米側は在日米軍基地を足場にして紛争に介入していくわけです。それによって日本が戦争に巻き込まれる危険というのは非常に大きいと思うのです。その歯どめの役を果たすのがこの事前協議制なんですね。ところが、この事前協議制は一体本当に有効に働くのかどうか、きわめて疑わしいと思うのです。むしろこれは有名無実のものではないのか、欺瞞的なものではないのか、そう思うのですけれども、率直なところどうですか。
  242. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 朝鮮における事態に巻き込まれるというお話でございますけれども、在日米軍の存在、そしてそれが日本の安全のみならず、極東の平和と安全の維持のために存在しておるということ自体が朝鮮における事態を抑止する効果を持っておるというのが政府の認識でございます。したがいまして、そういうことは簡単には起こらないとわれわれは思っておるわけでございます。しかし、そういう事態になりましたときは、事前協議にかからない事項については米軍としては動き得るわけでございますが、事前協議にかかるような重大な問題については日本政府と御相談しましょうということをアメリカは申しておるわけでありまして、それは当然事前協議があるべきものだとわれわれは考えておりまして、またそういう制度によってこの安保条約が有効に働くものと考えておる次第であります。
  243. 木下元二

    ○木下委員 さっきも指摘をしたのですが、米側が事前協議にかけないで自由に出撃をしても政府はそれを確認もできない。アメリカとの信義の問題、信頼をするんだというようなことを申します。しかしこの信義誠実の原則などというものは、そういうことを申しますけれども、朝鮮半島で紛争が起こっておる、米側は、米韓相互防衛条約というものがあって、これを履践するために日本の基地から出撃をしなければならぬ、こういう事態も起こるわけですね。ところが、それが事前協議によって足を引っ張られるということになると、これは困る。一々足を引っ張られずに出撃をして、韓国に対する条約上の義務を果たしたいと考えてもこれは無理からぬのではありませんか。
  244. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 米韓相互防御条約によって米国がその責務を負っていることは事実でございますが、その際に、第一義的に使用すべきはもちろん在韓米軍でございます。しかし米国が在日米軍を使用しなければならないという事態になりましたときは、それはやはり日本アメリカとの関係でございまして、したがいまして、日本としては自主的にこの問題については判断できるわけであります。
  245. 木下元二

    ○木下委員 政府が幾ら主観的にアメリカを信頼いたしましても、どのような事態が起こり得るかということについては、その判断は、やはり諸般の状況をよく見て客観的にする必要があると思うのですね。米軍が出動するのに一々事前協議でチェックされてはかなわぬ、ともすればこういうふうに考えがちになる、こういうこともやはり考慮に入れておく必要があると思うのですよ。しかも、この事前協議というのはこれまでもただの一度たりとも行われたことがない、いわば幻の協議制度であります。朝鮮半島で紛争が生じたときにこれがきちっと行われる、そんな保証がどこにあるのですか。あるのですか、その保証は。
  246. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 先ほどから申し上げておりますように、日米安保が存在し、その中には事前協議制度も含まれておるわけでございますが、そのことによってこそまた朝鮮半島における平和が保たれ、紛争も防止されてきたとわれわれは考えておるわけでありまして、その意味でこの日米安保条約の存在は朝鮮半島の平和の維持に大きく寄与してきたというのが政府の認識であります。
  247. 木下元二

    ○木下委員 いや、朝鮮半島で紛争が起こったときにこれまで一回たりとも発動したことのないこの事前協議というものをフルに活用するんだという、そういう保証があるかどうか聞いているのですよ。私はないと思うのですが。
  248. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 起こっていない事態に対して本当に使えるのか使えないのかということをお尋ねいただきましても、そのときは当然この制度の精神に従ってアメリカ側が事前協議をかけるべきときはかけてくるであろうということを申し上げる以外にはないわけでございます。
  249. 木下元二

    ○木下委員 仮に百歩譲って、事前協議にかけてくるとしても、具体的状況のもとでないと態度はわからないということなんです。しかし、当面具体的状況に直面しなくても、基本的な方向として態度は鮮明にできるんではないかと思うのです。またするべきだと思うのです。少なくとも、米側が在日米軍基地を使って朝鮮での戦争に介入をしてくる、これによって当然日本の安全が脅かされる場合があり得ると思うんですね。少なくとも、日本の安全に寄与するどころか、安全が脅かされるような日本の基地からの米軍の出撃に対しては、明確にノーと言うべきだと思うのです。いかがですか。
  250. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 どうもこの点は根本的に認識が一致しないのかもしれませんが、われわれとしては、安保条約が存在し、そして在日米軍日本の安全のみならず極東の平和と安全の維持のためにも出動し得る体制にあるということは、まさにわれわれの最も望むところの紛争防止に役立っておるわけでございまして、在日米軍が金縛りで全然動けないということであれば、まさにそういう紛争を誘発する危険があるわけであります。そういうふうにわれわれは考えておりますので、その事前協議の場合にもイエスもあるということがあってこそ、朝鮮半島における紛争を防止する効果を発揮できると考える次第でございます。
  251. 木下元二

    ○木下委員 それでは、ノーと言う場合というのはあり得るんですか。あるんですか。イエスもノーもあると言うんですけれども、じゃノーと言うのはどういう場合ですか。あなたのいまのお考えでいくと、ノーはないように思うんですよ。米軍が出動をする、これはもうアジアの平和と安全あるいは日本の平和のために必要だというそういう立場からすれば、じゃノーというのはどういう場合なんでしょう。
  252. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 米軍の対応すること自体は、そういう極東における平和と安全のために出動するわけでございますから、そういうことについて日本側としても十分理解する必要がございますけれども、その対応の仕方その他については、いろいろこちらも注文もあり得るであろうし、また、理論的ではございますけれども日本の安全と全く関係のない行動ということもないわけではなかろうと思います。
  253. 木下元二

    ○木下委員 日本の安全に関係がない、あるいは日本の安全を脅かすような場合、そういう場合についてはノーだ、こういうことですか。
  254. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 これにつきましては、先ほどから申し上げていますように、そのときの事態に応じて判断する以外にないのでございまして、抽象的な基準というものは申し上げることは差し控えさしていただきたいと思います。
  255. 木下元二

    ○木下委員 結局イエスもあると言う以上、日本の基地は朝鮮半島での武力衝突の際の出撃、発進基地となることは明らかです。日本は朝鮮半島での武力衝突で、米韓に直接手をかすということになる、加担することであります。この戦争加担が日本とアジアの平和と安全のためというふうに言われるんだが、そういう認識の根拠を示していただきたいと思うのです。
  256. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 ちょっと御質問の趣旨を理解いたしかねますので、もう一回おっしゃっていただきたいと思います。
  257. 木下元二

    ○木下委員 何もむずかしいことを聞いてないですよ。要するに、日本とアジアの平和と安全のために米軍が出動をする、だからイエスを言うんだということを言われておるんですね。一体安保条約にどう書いてあるかというようなことでなくて、実体論として、米軍が出動をする、朝鮮半島での武力衝突の際に出撃をする、これが日本とアジアの平和と安全のためだというその認識の根拠を述べてもらいたいと言っているのです。
  258. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 まだよく御質問の趣旨がわからないのでありますけれどもアメリカ側が極東の平和安全の維持のために必要な出動であると考えた場合、わが国もわが国としてその米軍の行動を客観的に判断して、確かにそうであるということであり、また、それが日本の安全とかかわり合いのあるものであれば、イエスと言うことはあり得るというわけでございます。
  259. 木下元二

    ○木下委員 どうも、本当はあなた方の立場からすれば、ノーと言うのは考えられないと私は思うのですよ。韓国の安全は日本を含む東アジアの平和と安全という、あの三木総理が訪米したときに打ち出したいわゆる新韓国条項のもとで、朝鮮半島での紛争に米軍が出撃をしていく、その場合を考えると、果たして本当にノーと言えるでしょうか。韓国の安全は日本の安全、この論理に立ちますと、韓国の安全を守ることが日本の安全を脅かすというようなことにはならないわけですよ。こういう見地に立つと、ノーと言う立場に立てないじゃありませんか。条約論としてはイエス、ノー、両方あり得るのだと言われるけれども、実際問題としてはノーはあり得ない。そういうことではございませんか。
  260. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 韓国の安全が日本の安全に密接なかかわり合いを持つということは、総理もかねがねおっしゃっておるわけでございます。総理はよくそれを釜山と対馬の間は三十海里しかないということで表現されておられるわけでございます。しかしながら、韓国の安全即日本の安全ではもちろんないわけでございまして、そういう意味で、あらゆる場合にイエスであろうということをおっしゃいますが、そういうことはないと思います。やはりこれはそのときの状況で判断する以外にはないと思います。
  261. 木下元二

    ○木下委員 どうも水かけ論になってしまうおそれがあります。では一体ノーもあり得るというのなら、それはどういう場合なのかと聞いても、それは実際に即してみないとわからない。結局事前協議においてノーとは言えない。少なくともノーと言う立場を貫けるという保証はないように思うのです。そうだとすると、日本米軍基地というのは朝鮮での紛争に際してまさしく自由出撃基地として自由に使用される、少なくともその危険が高いと思うのです。これでは日本はまともに戦争に巻き込まれることになります。仮に相手国から報復をされましてもいたし方がない、抗議もできない、そういう立場に立つ。そして逆に報復を理由に自衛隊が出動をするという事態にもなりかねないと思うのです。いかがですか。
  262. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 先ほども申し上げましたように、米軍が出動する場合は、当然これは集団的、個別的自衛権の発動として出動をするという前提でございますから、それに対する報復ということではあり得ないのであって、そういうふうな形で日本に対する攻撃が加えられる場合は、われわれとしてはそれはむしろ侵略の拡大として受け取るべきものである。したがって、本当に日本の領土に対する武力攻撃がありました場合は、もちろん米軍のみならず自衛隊も出動してこれを排除するということになるであろうと考えます。
  263. 木下元二

    ○木下委員 非常に考え方が違うようで、これ以上やり合ってもどうも切りがありません。  そこで少し観点を変えてお尋ねしますが、朝鮮半島有事に際しての自衛隊の対応という問題です。朝鮮半島で武力紛争が発生をし、在日米軍がすでに述べましたように出動をするという事態のもとで、自衛隊はどのような行動をとるのでしょうか。
  264. 丸山昂

    丸山政府委員 自衛隊の行動の根拠は、かねがね申し上げておりますように、七十六条によりまして、日本国に対する武力の侵略またはそのおそれがある場合に防衛出動をするということになっておるわけでございます。
  265. 木下元二

    ○木下委員 そういう抽象的なことはともかくとしまして、私から聞きますが、たとえば偵察や哨戒活動は当然やると思うのですが、どうですか。
  266. 丸山昂

    丸山政府委員 いま申し上げました自衛隊法七十六条の基準に従いまして、それがわが国に対する直接の武力侵略になるのか、そのおそれのあることになるのかということになってまいるかと思います。いずれにいたしましても。それぞれについて個々具体的に判断をする以外に方法はないと思います。
  267. 木下元二

    ○木下委員 具体的状況に応じて偵察あるいは哨戒活動もやる、こういうことですね。  護衛艦や対潜哨戒機はどういう配置につくのでしょうか。
  268. 丸山昂

    丸山政府委員 わが方の護衛艦、対潜哨戒機のことをおっしゃっておるわけでございますか。——これもその情勢判断のいかんにかかわってくると思います。
  269. 木下元二

    ○木下委員 情勢判断によって対潜捜索活動やあるいは掃海活動もやる、こういうことですね。
  270. 丸山昂

    丸山政府委員 対潜活動、捜索活動とおっしゃいますが、対潜活動で相手を攻撃するのは、いま防衛出動命令が出ないとできないという前提があるわけでございます。
  271. 木下元二

    ○木下委員 攻撃をする前の捜索という行動は、防衛出動でなくてもできるということですか。
  272. 丸山昂

    丸山政府委員 捜索というお言葉の意味がよくわからないわけでございますが、対潜活動はすべて一連の活動でございまして、それぞれだけを取り上げて云々するということは適当でないというふうに考えるわけでございます。いまのように、攻撃をしないということで潜水艦の捜索だけをするということは、捜索の意味が何であるかということがはっきりしないと思うわけでございます。
  273. 木下元二

    ○木下委員 いや、そうすればはっきり答えてもらったらいいのですが、七十六条による防衛出動によって初めてそうした捜索を含む対潜活動をやるのだ、こういうことになりますね。
  274. 丸山昂

    丸山政府委員 防衛出動ができませんと対潜攻撃はできないということでございます。
  275. 木下元二

    ○木下委員 いや、だからはっきり答えてくださいよ。あなたがいま言われたのは、攻撃と捜索とばらばらに切り離してやるようなことはない、一連のものだ、結びつく、こう言っているのでしょう。そして攻撃を加えるような場合は七十六条でないとできない、こう言われる。この二つのことからすれば、防衛出動でないところの捜索活動というものはあり得ないということになると思うのですが、違うのですか。
  276. 丸山昂

    丸山政府委員 防衛出動命令が出ませんと攻撃ができないということを申し上げてあるわけでございまして、攻撃を行います場合には攻撃の前提になる捜索活動というものが出てくる。捜索活動というのは攻撃をやるための事前の活動であるということでございます。
  277. 木下元二

    ○木下委員 だから、そういう捜索活動は出動命令が出なくてもやれるのかと聞いているのです。
  278. 丸山昂

    丸山政府委員 防衛出動命令が出ませんと攻撃はできないということ……(木下委員「捜索です。」と呼ぶ)捜索は、捜索をして船が見つかるか見つからないかは別問題でございます。
  279. 木下元二

    ○木下委員 どうもよくわからぬのですが、できるかできないか答えてくださいよ。できないならできないでいいし、別に何もそれについてとやかく言おうとしているんじゃないんだ。あなた言われるからはっきりしてくださいよ、そのお答えを。捜索は七十六条に基づかずにできるかできないか。
  280. 丸山昂

    丸山政府委員 私は非常にはっきり申し上げているつもりでございます。要するに、攻撃は防衛出動が出なければできない、こういうふうに申し上げておるわけでございます。その後の反対解釈をしていただければ結構だと思います。
  281. 木下元二

    ○木下委員 反対解釈で、できるということですね。  これらの行動の範囲というのは日本周辺の公海公空に及ぶのか。それとも領海領空に限られるのか。いかがですか。
  282. 丸山昂

    丸山政府委員 自衛権の行使につきましてはかねがね申し上げておりますように領土、領海、領空というのをたてまえとしておるわけでございまして、必要な範囲において公海公空に及ぶこともあるということをかねがね繰り返して申し上げているとおりでございます。
  283. 木下元二

    ○木下委員 前に私が質問したのにもお答えになって、公海公空、必要に応じて数百海里に及ぶと言われておるのですが、そのとおりですね。
  284. 丸山昂

    丸山政府委員 数百海里になるかどうか、そのときの情勢にならないとわかりません。必要な限度においてということでございます。
  285. 木下元二

    ○木下委員 自衛隊の対潜哨戒機や航空機が相手艦船や潜水艦を監視したその情報あるいはソーナーなどによってキャッチした情報というものは、米側と交換されるのでしょうか。
  286. 丸山昂

    丸山政府委員 有事の際における問題でございまして、わが方が対潜哨戒機によりいろいろキャッチした情報、これは双方の情報交換、情勢分析というときに素材として使われるということは当然あり得ると思います。
  287. 木下元二

    ○木下委員 それから宗谷、津軽、対馬の三海峡での自衛艦や航空機の警戒行動、言いかえれば海峡封鎖作戦、こういうものもやるのでしょう。これは警戒行動であるとともに威圧的行動だと思うのです。牽制行動だと思うのです。結果的には米韓軍に対する間接的な支援になると思いますが、これはやりますか。
  288. 丸山昂

    丸山政府委員 そういう個々具体的な戦術につきましては、そのときどきの判断においてそれをやるかやらぬかということが決まると思うわけでございますが、いずれにしてもわが国を防衛するために必要な措置であればそういう措置は当然講ずることになると思います。
  289. 木下元二

    ○木下委員 さらに米艦船の海上交通の保護あるいは米軍基地、特に港湾の米軍基地の防備などもやるのでしょう。まさにこれは米軍に対する支援であると思うのですが、これはやりますか。
  290. 丸山昂

    丸山政府委員 まず米艦船の保護でございますが、これはもう米艦船を保護することは実態的にもまずないと思います。これは当然艦船は自分で守る。一般の商船ではございませんから、艦船は自分で行動できるのでなければ艦隊の意味はないと思います。  それから日本にあります米軍基地の防護の問題でございますが、これは国内の事情その他をあわせて考えられるべきことでございまして、何もこれは自衛隊の任務ではございません。日本政府が全体として考えるべき問題だと思います。
  291. 木下元二

    ○木下委員 自衛隊はやりますか。政府として考えると言いますが、自衛隊はどうなんですか。
  292. 丸山昂

    丸山政府委員 自衛隊は治安上の任務——これは一般の警察力をもっては、対処し得ないという事態になって治安上の支援後拠をするということになっておるわけでございまして、そういう事態にならないと自衛隊の出場所というものはないわけでございます。
  293. 木下元二

    ○木下委員 ちょっと戻りますが、さっき言われました朝鮮半島有事に際して、自衛隊が対潜哨戒機などで得た情報を米側に提供をする、交換をするということになりますと、これはまさに戦争加担だと思うのですが、いかがですか。
  294. 丸山昂

    丸山政府委員 先ほど私が明確に申し上げましたように、わが国としての有事の際にという前提で申し上げているわけでございます。
  295. 木下元二

    ○木下委員 そうしますと、朝鮮半島有事というふうに私は受け取ったのですけれども、朝鮮半島で紛争が起こったというだけではそれはやらないということですか。
  296. 丸山昂

    丸山政府委員 朝鮮半島の問題だけについては、自衛隊自体はわが国の安全のために、わが国を守るために動いておるわけでございますから、そういう問題に関連してこない場合にはその必要はないというふうに考えておるわけでございます。
  297. 木下元二

    ○木下委員 しかし、これはどうですか。平時である現在でも日米情報連絡会議というものがつくられて、ここで情報交換がやられているわけでしょう。朝鮮半島で有事の事態が起こったという場合には、一層のことこれはやるのじゃありませんか。かえってそういう事態になった場合にはやらない、日本が有事でないとやらない、こういうことですか。
  298. 丸山昂

    丸山政府委員 一般の情報連絡は、これはもう平時でも当然やることでございますし、それから情勢判断を行う上について必要な情報交換というのは、これは当然行うべきものであると思っております。いま先生の御設例になりました対潜哨戒機が得た情報というのは、これは具体的にどの潜水艦がどう動いておるかといういわゆる戦術情報、タクチカルなインテリジェンスでございますので、こういった問題は、日本を守るという自衛隊の目的からして、そういう七十六条のような事態にならないと知らせる必要がないというふうに考えるわけでございます。
  299. 木下元二

    ○木下委員 七十六条の事態になるとやるわけですか。初めもあなた言われましたけれども、そういう対潜哨戒機あるいは護衛艦などの活動、偵察や哨戒活動といったものも七十六条によってやるんだというふうに言われておったのじゃありませんか。だからそういう活動がやられる以上は、七十六条の適用になって出動しているわけでしょう。そうすると、そういう事態においてはそうした情報交換もやるということですね。
  300. 丸山昂

    丸山政府委員 ちょっと順序立てて申し上げますと、対潜哨戒というのは、これは平時においても哨戒監視任務というのがございます。当然それはやっておるわけでございます。当然それに伴っての情報が入手される。潜水艦の行動についてのがございますが、これは全般の情勢判断の素材にはなるわけでございます。     〔委員長退席、木野委員長代理着席〕 それでいま、得た情報を連絡するかどうか、こういうお話でございますから、この点については七十六条、つまりわが国に対する武力侵略あるいはそのおそれがあるという事態になりました際においては、当然こういった情報についてのいわゆる防衛出動ということになるわけでございまして、対潜攻撃を前提としてのいわゆる防衛出動関連の情報収集ということになってくるわけでございます。一方、アメリカとの共同対処という問題になってまいりますと、ただいま申し上げました安保五条の共同対処ということになるわけでございますから、これは七十六条の中でも特にわが国に対して具体的に武力侵害があった場合、この場合においては当然そういった意味での情報交換が行われるということでございます。
  301. 木下元二

    ○木下委員 七十六条で出動したときに、もうすでにそういうふうな情報交換を米側とやる、こういうことですね。だからこれがまさに米側のやっている戦争に対する加担行為ではないかと言っているのですよ。そうでしょう。
  302. 丸山昂

    丸山政府委員 日本が攻められているのでございますから加担行為も何も問題にならぬと思います。わが国が現に攻められておるのですから、それは加担行為も何もないと思います。
  303. 木下元二

    ○木下委員 それは非常に問題だと思うのです。それは後から聞きます。私が聞いているのは五条が発動になってないときですよ。——よろしいです。  自衛隊がこうした作戦行動を、しかも公海公空上でやる、それは直接戦争に巻き込まれる危険があると思うのです。公海公空上で相手側から攻撃をされるおそれは十分にある。もし公海公空上で攻撃を受けた場合、自衛隊は当然七十六条によって防衛出動をする、こういうことになるわけですね。これはもう当然いまのあなたの言われた論理からすればそういうことになるのです。そうですね。確認しておきます。
  304. 丸山昂

    丸山政府委員 公海公空上でわが方の艦船なり航空機なりが攻撃を受けるということになれば、それは一つの武力侵害の形態であるというふうに判断いたします。  それから、先ほど申されましたように、わが国がやられておるということは当然安保五条の対象になるわけでございます。
  305. 木下元二

    ○木下委員 防衛出動をすればそれはもう単に戦争に巻き込まれたということではなくて直接戦争に参加することになると思うのです。そしてそれは必然的にエスカレートいたします。戦火は拡大をいたします。大変なことになると思うのです。これは日本の領海領空に直接攻撃が加えられたのではなくて、いわば公海公空で、しかも対潜哨戒や警戒など米側に加担して作戦行動中に攻撃が加えられた、それを理由に防衛出動をすれば、日本を守るどころか、これはもう国民を戦争に引きずり込むことになるのじゃありませんか。こんな危険な道は許されないと思うのですが、いかがですか。
  306. 丸山昂

    丸山政府委員 先ほどもありましたように、公海上におけるわが国の艦船、航空機に対する攻撃、これはわが国に対する武力侵略の一形態というふうに判断をするわけでございますが、それだけをもって防衛出動を命ずるかどうか、これは内閣総理大臣が判断をされることでございます。
  307. 木下元二

    ○木下委員 いや、総理大臣が判断するからということでは答弁になりませんよ。公海公空で対潜哨戒であるとか警戒であるとかその行為自体、これは米側に加担して作戦行動をやるということでしょう。そして、そういう行動中に攻撃が加えられた、それで防衛出動をするということなら、これはもう日本を守る、そういう理由にはならぬじゃありませんか。
  308. 丸山昂

    丸山政府委員 わが方が行動しておりますのは何もアメリカに加担をして行動しているのではなくて、わが国を守るために行動しておるのでございます。ですから、その辺が戦争に巻き込まれるとかあるいは加担するということではなくて、わが国防衛のために行動しておる、そしてそれに対して攻撃があった場合、こういう想定であると思います。その場合には当然武力侵略という判断がなされる、そしてそれに対して防衛出動が下されるかどうかは先ほど申し上げましたように内閣総理大臣が最終的に判断をされる、こういうことでございます。
  309. 木下元二

    ○木下委員 いや、米側に加担していないと言われますけれども、七十六条の発動によって出動をするときにはいろいろその得た情報は米側にも提供するということをいま言われた、米側と一緒になってそうした哨戒や偵察行動、警戒行動をやると言ったでしょう。
  310. 丸山昂

    丸山政府委員 私は何も米側と一緒になって行動するということでお話をしておるわけではございません。いまの七十六条によって哨戒をするということではなくて、問題は七十六条によって防衛出動の権限が与えられる、これは内閣総理大臣防衛出動命令によって自衛隊に対して権限が与えられる、それは何かといいますと、哨戒の場合においてはわが国に対する侵略に関連のある潜水艦に対してはこれを攻撃できる権限が与えられる、そういうことを申し上げているわけでございます。  それから米軍との情報というのは、先ほどから申し上げておりますように、わが国に対して武力侵略があった、つまり安保第五条のような事態になれば、当然アメリカとの間にそういう戦術、タクチカルな情報交換ということも必要になってくるであろう、当然それは行うべきである、こういうふうに申し上げておるわけであります。
  311. 木下元二

    ○木下委員 そこでちょっと明確にしておきたいと思うのですが、自衛隊法七十六条の日本に対する外部からの武力攻撃と、安保五条の日本国の施政の下にある領域における武力攻撃とは同じでしょうか。
  312. 丸山昂

    丸山政府委員 これは同じでございます。
  313. 木下元二

    ○木下委員 同じというのはどういう意味でしょうか。これは条文上ははっきりと違うわけですね。違いますね。七十六条の場合、これはさっきも指摘をし、またお認めになって論を進めましたように、日本の領域に対する場合の攻撃だけでなくて、公海公空上の武力攻撃も含むわけですね。ところが安保五条の場合は「日本国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃」ということになるわけですね。これは明らかに違うわけなんですが、これが同じだというのはどうもよくわからない。さっきからあなたの論はこれを全く同じだということで論を進めておるからこんがらがるのです。これはさっきも情報交換のことを私が聞きましたのは——局長、よく聞いてくださいよ。どうも混同しておるようです。
  314. 丸山昂

    丸山政府委員 ちょっと整理して申し上げますと、公海公空上のわが方の艦船あるいは航空機に対して武力侵略があった、これはもちろん武力侵略という組織的な武力行動という解釈でございますが、その場合にはこれを武力侵略とみなすこと、これはもう先ほどから申し上げているとおりです。また、武力侵略とみなし、次に七十六条によって防衛出動下令にすぐ結びつくかといいますと、そういう武力侵略があってから防衛出動の下令は内閣総理大臣の判断によって行われる、こういうことになるわけでございます。  それから安保五条の方は、わが国の施政のもとにある日米いずれかの一方ということになるわけでございますから、したがって、この方は公海公空上におけるわが自衛艦なり航空機に対する攻撃は、この場合には含まれないというふうに考え、解釈すべきである。したがって、どういう違いが出てくるかと申しますと、公海公空上のわが方の艦船なり航空機に対して武力侵略がありました場合には、これは七十六条の適用にはなりますけれども、第五条によって、この事態によって日米が共同対処をするという根拠はないというふうに、そこの違いが出てくるというふうに思います。
  315. 木下元二

    ○木下委員 そうしますと、あなたは、その点は混同しておられて論を進められたわけです。あなたは先ほども、私が情報の点について聞きますと、哨戒や対潜水艦の関係でいろいろ活動をする、そういう情報というものは、七十六条で出動をしておるときには当然これは米側に提供をする、これは五条も発動になっておるからというふうに言われたのですよ。だから七十六条と五条をもう当然のように連動させて、当然七十六条で出動すれば五条なんだと、そういう前提であなたはさっき説明をされたのです。だから、そうではなくて、もちろん重複する場合はありますけれども、公海公空上でそうした活動をする場合には、七十六条は適用になっても五条の適用にはならないわけです。そうすると、そういうふうな情報を米側に提供するのはおかしいじゃありませんか。
  316. 丸山昂

    丸山政府委員 それはまた大変おかしなあれだと思います。私が申しておるのは、いまは公海上にあるものが攻撃を受けた場合から始まるわけでございますね。そこの公海公空上にあるわが自衛艦なりあるいは航空機に対して攻撃がある、そのことから始まって七十六条の適用と、こういう問題に発展してくるということを申しておるわけです。先ほどから私がお話をしておりますのは、対潜哨戒機が飛んでおって、その得た情報を米軍と交換するのは安保第五条の状態が出ているときと、こういうふうにお話を申し上げているわけでございます。
  317. 木下元二

    ○木下委員 そういうふうに言われるのならそれで結構です。そういうふうに言われてなかったから言っているのですよ。それは速記録を見たらわかりますよ。あなたは七十六条が適用になれば当然それはできるのだと言われた。そう言いましたよ。だから私はずっと質問したのです。違いますね。違うということはお認めになりますね。
  318. 丸山昂

    丸山政府委員 私はそういう趣旨で——後で議事録をあれすれば結構でございますが、少なくともいま私が御説明したような趣旨で、つまり安保五条が発動されたときということでお話をしておるので、もし私の説明不足で先生にそういう誤解をお与えをしたとすればまことに申しわけございませんが、そういう趣旨で申し上げておるわけでございます。
  319. 木下元二

    ○木下委員 大体わかりました。  結局、公海公空上のわが国の艦船、航空機に対する攻撃は、安保五条の施政下にある領域ではない、したがってこのような攻撃の場合には五条の発動はできない、これは明確に確認をしてよろしいか。
  320. 丸山昂

    丸山政府委員 それはそのとおりでございます。
  321. 木下元二

    ○木下委員 五条が発動されないということになれば、日米共同作戦はできない。これは条約上もそうなっておりますし、政府もそういうふうにこれまで言明してきたんです。公海公空上でわが国の艦船、航空機が攻撃を受ける、そして自衛隊が防衛出動をし、戦闘行動に入る。このことそのものもこれは私は戦争への加担だと思うのです。しかも作戦行動中のわが国の艦船への攻撃であって、日本の領海領空への攻撃ではないわけです。公海公空で哨戒や索敵、機雷除去、こういった戦争に加担する行為をやる。これに対する報復としての攻撃、これを口実に自衛権を発動し、戦闘状態に入るという、そのことが問題だと私は思います。  しかしそれはさておきまして、いまここで問題にいたしておりますのは、日本の艦船が公海公空上で攻撃をされたことが、施政下の領域への攻撃ということにはならない、したがってこの時点では五条発動はできない、五条発動ができない以上は、日米共同作戦はできない、こういうふうに確認してよろしいですか。
  322. 坂田道太

    坂田国務大臣 木下先生、そこはどうなんですかね。とにかくわが国の飛行機あるいは艦船が公海公空で向こうの攻撃を受けたということは、これは日本国民に対する敵対行為じゃないですか。安全が脅かされたということではないですか。
  323. 木下元二

    ○木下委員 私に対する質問ですか。
  324. 坂田道太

    坂田国務大臣 ですから、何か日米安保条約も、日本の安全と国民一人一人の生存と自由が脅かされるという意味において日米安保条約を結んでおるわけです。それから自衛隊というものも、日本の国民の一人一人の生存と自由を守るためにこそ自衛隊があるわけです。その自衛隊の艦船や航空機がやられたときに、これを黙っておるというのは一体独立国としてどういうことなんだろう。国民は黙っておるでしょうか。黙っておっていいものでございましょうか。私そういう感じがするのですが、御質問の発想が全然違うので、それが米国に加担するだとか巻き込まれるだとか、向こうが侵略を起こそうというような事態に来たときに黙っておらなければならないのですか。これは私わからないのです。
  325. 木下元二

    ○木下委員 これは大臣から私に質問されているみたいですけれども……。
  326. 坂田道太

    坂田国務大臣 いやいや、質問を聞いているのです。
  327. 木下元二

    ○木下委員 私が質問したのは、その点ではないのです。その質問をする前提として言ったことをとらえて言われておるのだと思うのですが、私が言いましたのは、朝鮮ですでに紛争が起こって米軍が戦争をしておる、あるいはこれに参加をしておる、そういう事態が一方で起こっておる、そしてそういう中で、日本の自衛隊が公海公空上でそうした戦闘に協力をするような活動をやる、このこと自体、これは戦争に加担するものではないかということを私は言っておるのです。  いま私が質問しておるのは——質問に答えてもらいたいのです。その問題はさておいてと言っているのです。さておいて、日本の船舶が公海公空上で攻撃をされたことが、施政下の領域への攻撃ということにはならない、だからこの時点では、五条発動はできないし、共同作戦はできないのではないかと聞いているのです。この質問お答えいただきたいのです。
  328. 坂田道太

    坂田国務大臣 いろいろのことを想定されておるわけですね。しかしながら一々の事態はケース・バイ・ケースでないとなかなかお答えできませんということは防衛局長アメリカ局長も申し上げておるわけです。あなたが想定ということをおっしゃるなら、こちらでも武力侵略のおそれがあるという前提に立っておるわけですよ。つまり安全が脅かされておるという事態、自衛隊の艦船がやられた、航空機がやられたというときにわれわれは黙っておらなければならないのかということです。むしろ国民を守る義務があるんじゃないですか、自衛権の発動として。そこで、どこまで行けるかということをいまから防衛局長お答えを申し上げます。何だか発想が、よその国なのか日本の国としての話なのかわからないわけですよ。
  329. 木下元二

    ○木下委員 どうもその点では大臣と議論がかみ合わないのです。だからその点を議論すると時間をとるのでさておいて、私がいま質問しておるのは、公海公空上でそういうふうな行動をとった場合に、これは安保五条の適用があるのかどうかということを聞いておるのですよ。これは適用がないという答弁があったのですけれども、この点は非常に大事な点だし、また混同して言われておるような点もあったので確認して聞いているのです。
  330. 丸山昂

    丸山政府委員 先ほど来お答えをしておりますように、公海公空上でわが国の自衛艦なり航空機に対する攻撃がある、これは武力侵略の一形態でございまして、七十六条の防衛出動下令の条件になるということでございますが、一方安保五条で言うところのわが施政下にある日米いずれかに対する攻撃ということにはならない。したがって安保五条に基づく日米の共同体制はこれだけの事実をもってしては発動にならないということでございます。
  331. 木下元二

    ○木下委員 そのことを確認しまして、次に移ります。  日米防衛協力の新協議機関が来年一月中旬にも発足をする予定と聞いております。この新協議機関には専門分野の小委員会を設置することが検討されておるということです。この小委員会はどういう分野をもって構成をする考えなんですか。
  332. 丸山昂

    丸山政府委員 これも実はこの間中路議員の御質問にもお答えをしておりますけれども、いまのところ外務省とも最終的に詰めておりませんし、いわんやアメリカとの間でもまだ公式にも非公式にも折衝に入っておりませんので、具体的にこの小委員会の構想は決まっておりません。しかしながら協議が進捗をいたします過程において、それぞれの分野について深く突っ込んで検討しなければならないということが予想されるわけでございまして、そういう問題については、この委員会が全般的に協議を取り扱うことは構成メンバーからいいまして不適当でございますので、それぞれの専門の担当者を入れました小委員会をそのときどきの状況、必要に応じて設置をして、問題を煮詰めてもらうことが必要ではないかと考えておるわけでございます。
  333. 木下元二

    ○木下委員 日米共同作戦に直接関係する分野が入るというふうに聞いておりますが、たとえば輸送関係、これは国鉄は入るのでしょうか。
  334. 丸山昂

    丸山政府委員 こういった問題については輸送は一つ重要な部門だと思うわけでございますが、国鉄その他が入るかどうかについてはいまのところはっきりわかりません。
  335. 木下元二

    ○木下委員 海上保安庁は入りますか。日米共同作戦を進める上で海上保安庁の任務である海上の安全確保であるとか船舶交通の障害除去といった問題がかかわってくると思うのですね。共同作戦に直接関係があると思うのですが、いかがですか。
  336. 丸山昂

    丸山政府委員 これはこの前中路議員にもお答えいたしましたように、日米間の問題として外務省と私どもそれからアメリカの関係というところで話し合われる問題は、そういった問題まで深く入る必要はないと考えるわけです。そのときにもお答えをいたしましたように、自衛隊自体がわが国を守るといういわゆる七十六条の発動によって行動いたします場合に、当然国内のそういう輸送の問題、補給の問題、物資の問題、あらゆる問題について時間をかけてじっくりと検討しなければならない問題がたくさんあるわけでございまして、これは日米の問題ではございませんで日本自体の問題であるわけでございます。したがって、この協議の場においては日本が国内でみずから処理していくべきこういった問題は、特にここの協議の議題には上げないというふうに考えておるわけでございます。
  337. 木下元二

    ○木下委員 航空管制であるとか電波、電信の業務とかはどうでしょうか。運輸、逓信などは共同作戦の遂行に直接かかわりを持つと思うのですが、所管する行政機関は入るのですか。
  338. 丸山昂

    丸山政府委員 これもいま私がお答えいたしましたように、全般的にはまず国内の問題でございます。部分的には日米共同作戦に関連してくる問題がございますが、それは部分的な処理でよろしいかと思っておるわけでございます。
  339. 木下元二

    ○木下委員 医療関係は入りますか。米軍負傷者に対する医療活動が問題になると思うのですが。
  340. 丸山昂

    丸山政府委員 防衛庁の関連でお話をいたしますと、私いま多少越権的にお話を申し上げておるわけでございますが、医療関係その他については、私どもの方では関与をいたしておりませんのではっきりしたことは申し上げられません。     〔木野委員長代理退席委員長着席
  341. 木下元二

    ○木下委員 それではどうも入らぬものばかりですが、入るものはほかにどういうものを構想としてお考えになっておるのか。これは日にちもそうないと思うのですがね。予定では一月中旬と聞いております。相当切迫しておると思いますが、どういうふうにお考えなんですか。
  342. 丸山昂

    丸山政府委員 ともかく私どもの方で考えておりますのは、自衛隊と米軍との関係の調整ということが主体になっておるわけでございまして、それを詰めていく段階でいろいろな問題が出てくると思いますが、これはそのときどきの段階でまた改めて検討するということになるかと思います。
  343. 木下元二

    ○木下委員 詰めていく段階で具体化してくると思いますが、ただ言われたように専門分野の小委員会ということで、そして日米共同作戦に直接関係する分野ということで考えてみましても、具体的にどれということはともかくといたしまして、相当いろいろな行政機関があるように私は思うのですよ。それはこれから検討するということなのですか。
  344. 丸山昂

    丸山政府委員 ともかく、いまのところは協議が進みませんとはっきりしたことがわかりませんので、はっきりしたことを申し上げられない段階でございます。
  345. 木下元二

    ○木下委員 日米共同作戦に対応した国内の治安体制の整備、これはどのように考えているのですか。
  346. 丸山昂

    丸山政府委員 これも先ほど申し上げましたようにわが国自体の問題でございますので、直接日米の協議の問題ではございません。
  347. 木下元二

    ○木下委員 在日米軍が朝鮮戦争に介入をし、日本の基地から自由に出撃をするというふうな事態が起こりますと、日本はこれはもう戦争に巻き込まれるということで、国民の中から朝鮮戦争反対、米軍の介入反対という行動が起こることが予想されます。たとえば戦争反対のデモが米軍基地を包囲する、あるいは米軍基地に向かってデモ行進をやる、こういう場合に政府はどうするのでしょうか。基地の安定的使用といったことを言われましたが、この安定的使用を保証すると言う政府——これはもういまの協議機関とは別に伺っているのですよ。自衛隊や警察力でこのデモ隊を実力行動で排除いたしますか。
  348. 丸山昂

    丸山政府委員 これは治安の問題でございますので、その方面からのお考えをお聞き取りいただきたいと思います。私ども直接の関係の問題ではございません。
  349. 木下元二

    ○木下委員 自衛隊はどうですか。そういうことはやらないと……。
  350. 丸山昂

    丸山政府委員 これも、自衛隊の出動の根拠は治安出動ということで、一般の警察力をもっては対処し得ない事態になりませんと、治安出動命令というのが出ませんと自衛隊は動けないわけでございまして、直接の問題ではございません。
  351. 木下元二

    ○木下委員 では、そういう場合に、日本の国民のそうした行動というものは間接侵略に値するというふうに考えるわけですか。その点の見解を聞いておきます。
  352. 丸山昂

    丸山政府委員 間接侵略という用語は二カ所で使われておるわけでございまして、隊法の第三条に「直接侵略及び間接侵略に対しわが国を防衛する」この第三条の間接侵略は、第三国によります組織的、計画的な武力活動という形で行われてくるものを申しておるわけで、非公然の形で行われるものを指しておるのでございます。  もう一つは七十八条「内閣総理大臣は、間接侵略その他の緊急事態に際して、」ということでございまして、この七十八条の間接侵略は国内の動きでございますが、もちろんこれに対しては、外国のこれに対する援助があるということが前提になっておるわけでございます。  ところで、いまの御設問の基地反対のデモということでございますが、これは直ちにこれをもって間接侵略というふうに申すことはできないというふうに考えるわけでございます。
  353. 木下元二

    ○木下委員 話を先ほどに戻しますが、結局、日米共同作戦を遂行するという名目で、関係する日本の行政機関を日米軍事協議機関につなぎとめる、これはどういうものが具体的にあるのかということはこれからの検討にまつわけですが、しかもこれは恒常的にそうした組織をつくるということのようです。一体これが正常な行政の姿であるのかどうか。私は非常に異常だと思うのですが、こうした問題についてどうお考えですか。
  354. 丸山昂

    丸山政府委員 私はむしろそれが正常な姿ではないかと思うわけでございます。わが国を守るために、わが国の防衛のために、防衛という仕事は防衛庁だけがやる仕事ではございませんで、政府全般がこの問題について、それぞれの分野において、その所掌事務を通じて国の防衛の実を挙げるということ、これが日本政府の健全な行き方であるというふうに考えるわけでございます。ただし、先ほどから申しておりますように、いまの日米の協議機関について他省庁が関与するかどうかという点については、現在のところはっきりした見通しはございません。
  355. 木下元二

    ○木下委員 結局、これは軍事一色に塗りつぶされた総動員体制に道を開くというようなことになりませんか。これは国民に衝撃を与えましたあの三矢作戦計画にも、非常事態の措置として大々的な国家総動員対策の確立がうたわれておりました。今度のこの新協議機関の構想というのは、これはまだ内容がはっきりわかりませんし、規模も小さいようでありますけれども、共通の発想のように思う。そして非常に危険なものに発展しかねない要素を持っているのではないかと思うのです。いかがでしょう。
  356. 丸山昂

    丸山政府委員 総動員体制という言葉の意味がなかなかいろいろ複雑にとられますので、少なくとも先生がいまおっしゃっているような意味合い、これは私が推測するわけでございますが、そういう意味でお使いになるなら総動員体制でないと思います。ただ、日本が侵略を受ける、わが国に対して具体的に侵略を受けるときに、わが国の国民が皆こぞってこれに立ち向かうということでなかったら、この侵略を排除することは恐らく不可能ではないかと思うわけでございます。そのときに、大部分の国民がその侵略に立ち向かうというときにこれは総動員体制であるということで、そっぽを向く人々がまあ中にはおるかもしれませんが、それはそれぞれのお考えの違いであると思いますが、少なくとも外的侵略という異常な事態に対処するのは、国民がこぞってこれに立ち向かうということでなければならないというふうに私は考えるわけでございます。いま安保五条あるいは自衛隊法七十六条という大変異常な事態を前提として御議論をしているということをもう一回御認識をいただきたいというふうに思うわけでございます。
  357. 木下元二

    ○木下委員 いや、これは何も七十六条が発動になって、そしてつくるというものではないわけですね。また、日本防衛ということをいろいろ言われますけれども防衛のために国民が心を一つにしてそうした総動員体制をつくるのだということは、私たちが三十数年前、子供のときにも同じことを聞いたのですよ。この関係行政機関を日米軍事協議機関の機構に取り入れる、そういう発想は、私は非常に危険なものがあると思うのです。(発言する者あり)
  358. 藤尾正行

    藤尾委員長 静粛に願います。
  359. 木下元二

    ○木下委員 一たんこうした機構に踏み切ると、どんどんこれが広がり、発展をいたします。そして、いつの間にかこれがほとんど各省庁にわたって軍事協議機関の機構に取り入れられる、そういうことになりかねないと思うのです。私は危険を言っておるわけであります。そうなると、この日米共同作戦の遂行のために行政のいろいろな分野がこれに協力をする、そういう事態がつくられてはならないと思うから聞いておるのであります。これはまさしく国家総動員体制ではありませんか。そうならないという保証は私はないと思うのです。
  360. 丸山昂

    丸山政府委員 私どもは、日米の協力の問題は、先ほどから申し上げておりますように、国内法上もそうでございます。体制もそうでございますが、いろいろ有事の際に備えて検討しなければならない問題、これはもう当然各省庁にわたってくる問題でございますが、こういった問題は日米協議の場で検討することではないということは繰り返して申し上げておるとおりでございます。したがいまして、先ほど申し上げましたように、日米協議の場においては、外務省と私ども以外のところの官庁がかかわってくるということはほとんど考えられないというふうに申し上げてよろしいかと思います。
  361. 坂田道太

    坂田国務大臣 いま防衛局長から各省庁間の有事の際における協力問題について御答弁申し上げたわけでございますが、そもそも日米防衛協力というものをなぜ言い出したかということをもう一遍先生お考えいただきたいと思うのです。というのは、安保条約はあります。その安保条約の第五条にいわゆる有事の規定があるわけで、先生御指摘のとおりに五条があるわけです。それについて、安保条約を結びました米国及び日本防衛責任者同士の話し合いというものが従来行われておらない。それからまた、その作戦協力等について、その大綱について話し合う場がないということは、これはどうなのか。むしろこれはちゃんとすべきじゃないだろうか。しかも一方、ユニホーム同士の間においていろいろ作戦協力の研究はやっておるわけです。そういうような事柄から考えますと、やはり主権在民下における自衛隊の存在というものは、あくまでもシビリアンコントロールのもとにおいて行われなければならない。これは日本の国もそうでございますけれどもアメリカの国でもそうであるだろうと思うのです。  そういたしますと、やはりこういう安保条約というものを結んでいる以上は、五条についてもよく話し合いをしておくということの方が国民のためになるのじゃないだろうか。あるいは日本防衛ということを考えたならば当然やらなければならないことではなかろうかということで実はシュレジンジャー会談が行われ、二つのことについて合意を見た。そして、それでもっていよいよ、安保条約の枠内でありますけれども、下部機構として日米の防衛の協力の新たな機構をつくろう、そのことをいまわが防衛庁とそれから外務省で話し合いをしておる、こういうことなんで、非常に私から言うと筋道の立った話をしているというつもりなんでございますけれども、いかがなものでございましょうか。
  362. 木下元二

    ○木下委員 もう時間が来ましたので、私は最後にまとめとして申しますが、防衛庁長官は朝鮮での紛争の可能性を、いろいろな条件のもとにではありますけれども、否定はされておりません。もし紛争が起これば、日本はまさに米軍の攻撃基地、補給基地になるわけです。米軍が戦争を進める上で欠かすことのできない基地として使われるということであります。その際、事前協議というのは実質上何らの歯どめにならない、歯どめの役割りを果たさない、この点は明らかになったと思います。  そしてさらに、朝鮮有事で米軍が出動をする事態のもとで、自衛隊は、これもいろいろ言われましたが、対潜哨戒や警戒行動を初めといたしまして積極的に活動をする。そして、これは米軍に協力をするということなんです。一方で朝鮮が有事の状態になる。紛争が起こっておる。そういう状況のもとで公海公空上でそうしたいろいろな活動をやる。そして、米側にそのような協力をしながら、攻撃を受けると、日本に対する武力攻撃ということで防衛出動を下令をする。そういうことになりますと、これはいよいよ直接戦争への道に国民が巻き込まれる、こういうことだと思うのです。政府は、こういうふうな危険な方向を進むために国内の反動的体制の道を目指しておる、これはいよいよ明白になったと思います。(発言する者あり)憲法に違反し、日本民族を危機に陥れるこのような道を私は厳しく糾弾をいたしまして、質問を終えたいと思います。
  363. 坂田道太

    坂田国務大臣 先ほどから私申し上げておりますように、アメリカ軍が韓国に駐留する限りにおいては戦争は起こり得ないという判断をしておるわけです。むしろアメリカ軍が引くというようなことがあると戦争が起こるという可能性を否定できないんだ、こういうことなんです。プレゼンスがある限りは平和が維持できるだろうと私は言っているわけです。先生はそこまでおっしゃったかどうか知りませんけれども、プレゼンスがなくなった状態はむしろ戦争が起こる可能性があるということを私は申し上げた。これは先生と私の意見の相違かもしれません。あるいは私の推測かもしれません。そういう事態にある。わが国はどうかと言ったら、少なくとも日米安保条約というものは日本の安全と独立のために、日本国民一人一人の生存と自由のためにいま必要欠くべからざるものであるという認識なんです。日米安保条約は日本のためにあるということ。しかも一この三十年間、朝鮮では戦争もあった、ベトナムでも戦争はあった。しかし日本はとにかく平和であった。これは自衛隊が存在し、安保条約があるからそうではなかったか、こう私は思うわけなんです。その日米安保条約というものがしっかりして、日本が安全であるということが、これはまた朝鮮半島に対しても平和、安全というものに寄与できるんだ。こういうことで、軍事的のみでなくて、日本が政治的、経済的に安定しているということがアジアにとって平和な寄与をなし得るのだ、そのために日米安保条約というものも本当に意味がある、そしてそれはアジアの平和にとって意味があるのだ、こういうことなんで、しかもそういう安保条約がある限りにおいては日本で直接侵略とかなんとかいうことはなかなか起こりにくい。アメリカと一戦を交える覚悟なくしては攻撃ができないというところに抑止力が働いておる、したがって平和維持が可能なんだ、こういう考え方なんで、これは先生といえどもおわかりいただけるものだと私は思うのでございますが、いかがでございましょう。
  364. 木下元二

    ○木下委員 もう私は繰り返しませんけれども、朝鮮半島で紛争が起こるかどうかということの防衛庁長官の認識のいかんにかかわらず、これは先ほど来私が指摘をしましたように、米側でも高官が発言をしておるように、その危険がいろいろと現実にあるわけです。そして、あの九日間戦争といった構想も現実にあるわけです。そして一方では、現実に沖繩で朝鮮を対象にした訓練がいろいろと行われておる。さらに、朝鮮に出かけていって訓練をやるという計画もある。そういうことを私は具体的な事実をもって指摘をしたのですよ。そういう状況にあって、したがって在日米軍が、一たび朝鮮で事があるというときに出動をするという可能性も十分にある。日本の平和と安全というようなことを安保の立場から言われますけれども、一体それが本当にそうなのか。現実には、日本の国土が破壊されあるいは国民が戦争に巻き込まれる、その危険というものが、これはないということを言う方がおかしいので、その危険は、これはもう国民の皆さんが感じておると思うのです。私はそういう上に立って長官にいろいろと質問をしたのであります。お答えが非常に不十分であったことは残念でありますが、時間が来ましたので質問を終えます。
  365. 藤尾正行

    藤尾委員長 受田新吉君。
  366. 受田新吉

    ○受田委員 坂田先生、お元気で何よりです。ひとつあなたにすかっとお尋ねしたいのですが、ポスト四次防構想について、私いろいろな方面で坂田構想を承っておるわけです。坂田先生はその構想の中に、いまの日本の財政事情等も勘案して、陸上の十八万を少し量よりも質的転換を図って、経費の節約と優秀な隊員の獲得を図りたいというお考えがあるやに承っております。これは私、当委員会でしばしば、十八万という固定した数字にとらわれないで、現実に十五万五、六千人しか確保できない陸上自衛隊は、十五万とか十三万とかにむしろ減少して、精鋭をすぐって、選抜による優秀な隊員によって陸上自衛隊を構成すべきであると提案を何回かした、それにいささか近づいた構想のようにも承れるのでございますが、おぼしめしのほどを御答弁願いたいと思います。
  367. 坂田道太

    坂田国務大臣 まだ量から質へという考え方は、ポスト四次防についての基本的な考え方にはございません。ただ、陸につきまして十八万というのは、やはり十八万以上というのはなかなか現在の段階ではむずかしい、このあたりが限度ではないだろうかという考えは持っております。しかしながら、その十八万をどうするかという問題については、もう少し検討をしてみないと何とも言いようがないというふうに思うわけでございます。ただ、これの編成につきまして、教育訓練の実際上の問題、あるいはいま仰せになりました充足率の問題等々もあわせまして検討をいま命じているというようなことでございます。しかし、この定員というのは、大体私は十八万というものは確保いたしたいというふうに思っております。
  368. 受田新吉

    ○受田委員 そうしますと、あなたの構想は、十八万は確保した上で量よりも質と、そういうことになるなら、どういうやり方があるわけですかね。量も確保したい、質も確保したいということと同じことになるのですか、これは。
  369. 坂田道太

    坂田国務大臣 いや私が言うのは、一応十八万ぐらいが陸については上限だという意味を持っているということなんです。
  370. 受田新吉

    ○受田委員 わかりました。そうすると下限はどのぐらいだと思われますか。
  371. 坂田道太

    坂田国務大臣 この辺も、検討してみないとわからないと思っております。いま陸海空につきましてそれぞれ長官指示を出したばかりでございまして、来年の三月ごろになりますと、ある程度量、編成その他装備等につきましての答えが出てくるだろうと思います。それを見ました上で私自身検討をし、それからまた国防会議等にも諮って最終的に決めていこう、こういう考え方でございます。
  372. 受田新吉

    ○受田委員 いま坂田長官によって、十八万は上限であると……。私何回かこの問題に質疑応答を繰り返した経験から見て、私は、十八万は下限であるという従来の防衛庁の意図のように思ったのが、今度は逆に上限が十八万で下限は目下検討しておるとなれば、私がしばしば指摘した十五万とかあるいは十三万とかいう数字もそこで出てくると思うのでございまして、防衛庁としては画期的な長官構想であるということになると思うのです。そこで坂田長官、この十八万の事実上確保できない人員を、最近どうやら不況の中に優秀な隊員がわんさわんさと押しかけてきて、いまその充足率が急速に十八万に近づかんとする勢いがあるような段階になっておるわけでございますか。
  373. 玉木清司

    ○玉木政府委員 不況の中で優秀な隊員が押しかけるというお話がございましたが、実は、その押しかけるというほど応募者がふえておるわけでもございません。むしろ、好況から不況に移りましたときに離職者が減ったということで充足率が維持できておるということでございます。なお、いま人件費が御承知のような状態でございますので、採ろうと思えば今日の状況では相当の応募者もございますけれども、本年の年末から来年の二月ぐらいにかけましては新規採用を少し手控えまして、年度末に優秀な卒業生を採用しようというような実情にございます。
  374. 受田新吉

    ○受田委員 私は、わんさと押しかけて笑いがとまらないという情勢と予想しておったら、そうじゃなくして、離職率が減ったというさびしい御答弁でございます。この問題にちょっと触れたいのでございますが、いま十八万を充足するに至るほど志願者がやってきたら、それを受け入れる予算がとってあるんですか。あるいはとってなくて、十八万はごまかしの数字であるのか。御答弁を願いたいのです。
  375. 亘理彰

    ○亘理政府委員 定員に対しまして予算上の人件費の計算におきましては、陸につきましては現在八六%でございます。それから海空につきましては九六%の充足を見込んだ人件費の予算を計上しております。
  376. 受田新吉

    ○受田委員 そうしますと、平時における陸上の定員十八万というのは幻の定員であって、防衛庁は法律にうたわれた予算を確保してない、大ぜい押しかけて十八万を充足するに至ったら全部受け入れる体制じゃなくして、一割五分なり削減した体制でやるということであれば、これは何のための十八万か。非常に志願者がふえて十八万を充足するに足るようになれば一挙に引き受けることができるのかと思ったらそうじゃないということは、これは一たん緩急あるときできるだけ定員を確保したいという防衛庁の構想とは違って、志願者が圧倒的に多く出ても、予算定員というのは一割以上低い水準に置いておるのですね。
  377. 亘理彰

    ○亘理政府委員 予算上の人件費の見積もりにつきましては、ここ数年来大体八六%ということで推移しております。
  378. 受田新吉

    ○受田委員 どうしてですか。
  379. 今泉正隆

    ○今泉政府委員 その点は現在置かれております情勢、すなわち十八歳から二十四歳までの二等陸海空士から申しました適齢層、その中から平均して採用でき得る質的に優秀な人の数、そういったことから大体八六%くらいが採用面から見ても質的にいって限度であるという観点もございます。
  380. 受田新吉

    ○受田委員 わが祖国の防衛庁が、自衛隊が十八万を必要とすると固執しながら定員増を図る法案を幾つも出されて、いま事実募集もできないような数字を無理をせぬでも、実員に応じた改正をされてはどうかと何回か申し上げたにかかわらず、数字だけは十八万に強引に法改正をされた。ところが、いま八六%程度の充足率でいい程度の定員募集しか予想してない、予算も組んでない。ことしのように大ぜいの志願者がありそうだ、離職率も少ないということになれば、こういうときにこそその充足を十分図っていけばいいのに、それについては八六%分の予算しかないからそれ以上は採用できないという。これはおかしなことなんで、日本防衛を担当するのに十八万どうしても必要だと口を酸くして提案理由を説明して法を改正された。ところが実際それだけ要らぬのだ、八割六分でいいんだというならば、なぜそんなに急いで十八万に持っていかれましたかね。事実上充足率が高まるに従って定員を改正すべきじゃなかったのですか、予備自衛官なども。そういう意味で、わざわざ無理をしてなぜ改正案を出されたのか、私は意味がわからぬです。ことしこそ防衛庁の考え方からいくならば十八万に近づく努力をして、予算上はそういう手だてをしておくべきです。どうも私は理解できぬ。大臣、どうですか。こんなことでは、むしろ八割六分でいいというなら、この際もう十八万というのにとらわれないで——大臣のお説のとおり上限です。私は、いま十八万に近づける努力をしておられるかと思ったら、そうじゃないとなれば、もうすかっと今度は下限をどこにおくか、その間で調整をされながら、量よりも質の陸上自衛隊をつくられることに敢然と——いま事務当局のお話を聞いておっただけでも、これは本当に頼りない陸上対策です。大臣の構想を事務当局に押しつけて上限が十八万、現実は十五万とか十四万とかで、七千師団でがまんせよ、師団、旅団、連隊、大隊、そして最後の分隊までぴしっとした数を減らした立場で精鋭の部隊をつくって、強敵が来たるとも負けないりっぱな部隊をつくるべきじゃないですか、敢然とあなたの構想を実行に移されて。激励の言葉を贈ります。簡明な御答弁を願いたい。
  381. 坂田道太

    坂田国務大臣 これはやはり、ずっと防衛庁ができましてから一貫して積み上げてきた考え方でございまして、局地戦以下の侵略事態に独力で対処できる陸上自衛隊というのは、やはり十八万はなければならない。これはまた、ただ単なる量だけでございませんで、地域的な関係もございますし、それから一個師団の編成もございますし、そういうことで積み上げたことであるわけでございます。しかしながら、これはまた有事の事態になりますれば、予算等もお願いをしてやはり一〇〇%、つまり十八万を確保する、こういうことでございます。
  382. 受田新吉

    ○受田委員 長官、有事の事態になるというたって悠々として有事の事態になるんじゃないんです。有事の事態は突如としてなるわけです。有事の事態にでもなれば予算等を考えるというような、そのような悠々とした防衛体制じゃいけないのです。これはいつ有事になるかもわからない。平時、有事というものは突如として転換するわけです。
  383. 坂田道太

    坂田国務大臣 今回の平和時の基盤的防衛力という考え方は、実は世界の緊張緩和というものは、基調としてはそうなんだということでございまして、そのような前提があって、そして平和時において基盤的な防衛力を持っておればそれでいい、そして生起すべき事態に対しては、それのみでも対抗できる、そして少し緊張が高まるあるいは有事に至るという段階につきましては、この基盤的防衛力を基盤として少し高めることができるのだ、こういう考え方で、たとえば平和時における基盤的防衛力の中でも、いつも即応体制でなくてはならないのは、ウサギの耳とよく言いますいわゆる情報関係、これは平和時においても一〇〇%なくてはならない。あるいは警戒監視の体制、これはやはり九〇%ぐらいはなければいけない。それから人的な基盤、これは、たとえばパイロットを養成するにしましても十年ぐらいはかかる、そういうことで一朝有事にすぐふやすというわけにいかない。でございますから、基盤的防衛力を若干やはり人的なものは高めておかなければいけない、こういう考え方でございます。
  384. 受田新吉

    ○受田委員 長官、あなたはウサギの耳の話をいま持ち出されましたが、かつて中曽根防衛庁長官が諜報中枢機関なる構想をお持ちであったのですが、あれは坂田先生、中曽根構想をそのまま採用されようとしておられるのでしょうか。また、非核中級国家構想というようなものもお持ちになっておられたわけですね。ひとつお答え願いたい。
  385. 坂田道太

    坂田国務大臣 中曽根君の言ったウサギの耳の内容は、実は私はよく知りません。しかし、憲法の制約を受けているわが自衛隊というのは、特にウサギの耳はしょっちゅう平時においても備えなければならない。つまり日本列島を包む周囲の軍事情勢については十分把握をしておかなければならない。これは単に軍事のみではなく、その他の情報、外交情報もそうだと思いますけれども、われわれ軍事情報というものも、やはりウサギの耳は平時においても一〇〇%なければならない、つまり即応体制になければならない、こういう考え方でございます。
  386. 受田新吉

    ○受田委員 中曽根構想は、統幕会議の中に諜報機関なるものを考えておったわけです。そして、中曽根さんの場合は自主防衛五原則ですか、それから先生の場合は三原則、二つほど原則が減っておるのです。これは中曽根構想を坂田先生も参考にされた三原則か、中曽根君などはへのかっぱだ、われ坂田長官なりでやられたのか御答弁を願いたいです。
  387. 坂田道太

    坂田国務大臣 私、中曽根君の防衛構想をつまびらかに知りませんけれども、どうもそのときの構想は、この所要防衛力、つまり周囲の潜在的な軍事力というものが高まればやはりそれに応じた考え方、自主防衛というか、そういう面が非常に強かったのじゃないか。私はそうではなくて、自衛隊の持っておる防衛力は小なりといえども、国を守る気概という国民の抵抗の意思があり、かつ日米安保条約というものは不可欠である、この三つが合わされば大国といえどもなかなか日本を侵し得ない、生起すべき脅威というものは非常に限定されるのだ、こういう考え方で国民を守ろうという考え方なんでありますから、多少ニュアンスが違うのではないかと思います。
  388. 受田新吉

    ○受田委員 私は、一時間という質問時間をいま顧みて、節減をして非常に残念だが、これはやり出したら三時間ぐらいもらいたいのをきょう一時間に減らしておるわけです。縮減した濃縮ウランでやりますから、答弁はひとつぴたっとやっていただきたいと思います。  事務当局にお答えを願いたい。事務当局は、長官が頻繁にかわることは、構想が新たになって歓迎をするか、できるだけ防衛庁長官は二年なり三年なり長期にわたって在任してもらって、国の国防方針等をりっぱに打ち立てることを期待するか、御答弁を願いたいです。
  389. 玉木清司

    ○玉木政府委員 御承知のように防衛庁長官の御交代は、この発足以来の間にずいぶんたびたびございました。私ども長く防衛庁に在職しまして考えますのに、防衛力を維持していくということは、その防衛力の内容が大変近代科学の結集するものでございますので一朝一夕にできない、こういうものが一つございます。また、防衛力の真髄は隊員の士気でございますので、隊員の士気が一朝一夕にできないということも御承知のとおりでございます。  そういう角度で考えますと、防衛の構想や防衛力整備方針がくるくると変わることは、防衛というものの本質から申しまして決して望ましいことではございません。しかし、変えなければならない客観状態が来たときに従来のものを固執するということも厳に戒めなければならないもので、防衛の本質から申しまして、大臣の御交代がございましても一貫した政策があることは最も望ましいことだと思います。しかし情勢が変われば、これはまた変わらなければなりません。ただ長く在職しておりますと、国防の基本方針以来今日まで、ポスト四次防の構想におきましても基本において一貫した防衛政策というものが貫かれておると考えております。
  390. 受田新吉

    ○受田委員 長官、歴代の防衛庁長官は、最近比較的一年くらいの方が多いが、大体半年交代です。増原、西村、江崎時代、中曽根先生に至るまでというものは、あの付近は、一月二月というのが、中にちょこちょこっと入って頻繁にかわってくる、まあそういうようなことで、いま中曽根構想についてもニュアンスの相違だというお話でございましたが、防衛というのは日本の運命を決める大事な問題である、長官がかわるごとにその思いつきで事務当局へ指示を連発されてはいけないわけです。一貫したものが一つ要ると思うのです。祖国の防衛長官のいまの所要防衛力、基盤防衛力、中曽根君のときには所要防衛力だったが、ぼくになったら基盤防衛力だからといういまのお話は、いささか私中曽根君の時代を——中曽根君は私と同期生ですからあえて君と言ってもいい、先生は私より一期上ですからあえて先生と言います。そういうことですからちょっと……。
  391. 坂田道太

    坂田国務大臣 少し言葉が足らなかったかと思います。昭和三十二年の国防の基本方針というものは、今度の基盤防衛力につきましてもいささかも変わっておらない、一貫したものでございます。  ただ、所要防衛力というような形でやりますと、どこまで行くかちょっとめどがわからないという批判も実はあるわけでございまして、やはりある程度実現可能な、手の届く、そういう基盤的な防衛力というものを整備すべき目標にした方がいいのじゃないかというのが一つ。それからもう一つは、これはゼロから出発し、それから経済が非常に高度に成長いたしました時期と、それからこれから先安定的経済成長へ行くというときには、考え方がある程度ニュアンスが変わってこなければならぬ、こう思ったわけでございます。その意味におきまして、手の届くいわば基盤的防衛力、整備の目標をそこに置いたということ。それからもう一つは、高度経済成長時代においてゼロから出発した時代は、むしろ正面装備に重点が置かれてきた。しかしそれではなくて、やはり後方支援とか抗たん性とかというような、それ自体としてまとまって、それ自体が即応力を小さいながらも持つというふうに考えるというのが今度の基盤的防衛力で、ニュアンスの違いというのはそういうことでございます。
  392. 受田新吉

    ○受田委員 私時間の進行上、外務省もおられることですからどんどん進んでいきますが、ちょっとここで外務省へお尋ねするわけです。  国連局長にひとつ聞きたい。あえてこれを先にいま質問するのは、これから質問しようとするのに関連のある基礎的な問題だからお尋ねするのです。  国連憲章第二条第五項に「すべての加盟国は、国際連合がこの憲章に従ってとるいかなる行動についても国際連合にあらゆる援助を与え、」と規定しておるわけです。そこで国際連合軍が核兵器を使用する場合にわが国はこれに援助する義務があるのかどうか。こういうような問題が一つ。  もう一つ。国連憲章百三条「国際連合加盟国のこの憲章に基く義務と他のいずれかの国際協定に基く義務とが抵触するときは、この憲章に基く義務が優先する。」とある。この問題、どういうふうにお考えになるか、お答えを願いたい。
  393. 大川美雄

    ○大川政府委員 国連憲章第二条第五項の点につきましては、各国がそれぞれ自分の可能である援助を行うということで、日本といたしましては、ただいまおっしゃったような場合は仮定の場合だろうと存じますけれども、一般論としては、国連の平和維持活動につきまして、国内法上のいろいろの制約もございますから人員の派遣ということはいままではいたしておりませんけれども、財政面での費用を持ちまして国連に対する協力を行ってまいっております。
  394. 受田新吉

    ○受田委員 そこで、国連が安保理事会の決議として国連の行動として海外派兵を要請された場合、どういうことになります。仮定の質問といってもお答えがあってしかるべきことです。——ちょっと質問がわかりにくいですか。つまり国連から国連監視団のようなところへ、日本からの自衛隊員の派遣申請があったような場合、日本はこれをどう受けとめるか。戦闘要員でない平和的な監視団などに要請がある場合がありますね、そういう場合はどうするものかということです。海外派兵で、これに近いものを一度論議しておりますが、改めて……。
  395. 大川美雄

    ○大川政府委員 海外派兵と申します場合は、御案内のとおり、国内法上の制約がございまして、日本政府としてはその要請に応ずることが困難な事情にあるわけでございます。
  396. 受田新吉

    ○受田委員 たとえば平和への道のりをはかるための国連の監視団のようなもの、戦闘要員でない、そういうものへの参加要請があった場合——現に、自衛官が海外へ派遣してあるのですよ。アメリカのウエストポイントの士官学校、アナポリスの兵学校等へ勉強に行く人もおるし、自衛官の外交官も海外へ皆派遣しておる。そうすると、これはもうみんな自衛隊の海外派兵みたいなものです。兵隊そのものが行っておるのですから。その意味から言えば、現に外交官としての海外派兵、そして学生としてアメリカその他の国へ行っておる。これは厳密に言えば、兵隊さんが行っておるのだから海外派兵。しかし、それは戦闘参加という意味でないから、勉強に行くとかあるいは平和の目的で行くというものを海外派兵と考えるべきものでないと私は思っておる。だから、それを勘違いされないように、すかっと答弁していただきたい。
  397. 大川美雄

    ○大川政府委員 海外派兵という言葉を使いますと多少誤解が生ずるかもしれませんけれども、いま先生のおっしゃいましたような形であれば、私ども担当の者といたしましては、もし国論の統一ができまして、国家としてそれに何らかの形で貢献、協力すべきであるというようなことになりましたら、日本としてできる形での協力を行うべきではないかと考えております。
  398. 受田新吉

    ○受田委員 そこで、これは防衛とつながりがあることなのですが、有事に際して対潜行動のために日米共同で出かけていく、あるいは護衛行動に乗り出して対潜行動へ参加したとき、これは海の外へ出るわけですが、それは海外派兵になるかならぬか。防衛局長でも結構です。
  399. 丸山昂

    丸山政府委員 要するに、海外に出ました場合に、国連に対する協力その他でも、武力の行使を伴うものについては憲法上疑義があるというのが在来からの考え方でございます。したがいまして、武力の行使を伴わないものについては違憲の問題はない。ただし、自衛隊法上そういう任務を与えられているかどうかということになりますと、これはまた別問題でございますが、たとえば先生から先ほどありました国連監視団に対する派遣ということでございますが、監視団に参るということは、ただいまの自衛隊法上そういう規定がございませんので、自衛隊に対する任務の付与がございません。したがって、自衛隊法の改正を行いませんと実現ができないという実情にございます。
  400. 受田新吉

    ○受田委員 これは防衛局長の御所管だが、対潜行動、護衛行動、シーレーン、そういう海の自衛隊の任務に関係して、つまり日米共同行動、護衛行動、そういうところで対潜活動をするときに、それは日本の領海から出ていくわけですから、事実有事に際してはそういうことが起こり得る。これは防衛局長も御存じのとおりです。そのときに戦闘参加ということが起こる。つまり潜水艦に対する行動でありますから、向こうは敵として日本の対潜行動に攻撃を加えるということがあり得る、当然起こります。これは戦闘参加です。そういうときに海外派兵かどうかということです。
  401. 丸山昂

    丸山政府委員 私、国連の活動と関連してと思いまして、失礼をいたしました。  自衛艦が公海上を行動しておって、その自衛艦に対する攻撃……。
  402. 受田新吉

    ○受田委員 もう一遍言います。  海上自衛艦あるいは対潜哨戒機などが日米共同作戦に参加しますね。そうすると、敵に対する対潜活動を日本の自衛艦あるいは飛行機がやるわけです。そういうときに、日米共同作戦に入っているわけですから、敵の方も遠慮会釈なく潜水艦を守るために攻撃を加える。つまり日本よりもずっと離れた公海の上でやるわけです。そういう場合に海外派兵になるかならぬかというのです。領海を離れて外へ出て、シーレーンの作戦、病院船の護衛、タンカー、こういうものをやるとき。
  403. 丸山昂

    丸山政府委員 海外派兵と申します場合には、他国の領土あるいは領海、領空に、わが自衛隊の組織的な武力行使の目的で派遣をするということを指しておるわけでございまして、ただいま先生の御設例の問題は海外派兵には該当しないというふうに考えます。
  404. 受田新吉

    ○受田委員 相手の国の領海、領空へ入らぬ限りは、その手前までは一向差し支えない、海外派兵ではない、そう了解してよろしい、その距離がたとえ千海里であろうと海外派兵にはならない、外務省もそれでよろしゅうございますね。
  405. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 自衛隊の行動が公海、公空に及び得るということは従来からも政府答弁申し上げておるとおりでございますが、もちろんこれは自衛権の範囲内でございます。したがいまして、米軍と共同対処すると申しましても、日本の自衛権の範囲内においてやる問題でございます。したがいまして、米国の艦船を守ることを目的として自衛隊の艦船が公海で行動するというふうなことはないわけであります。結果的に、自衛隊の行動が米軍の艦船を守る結果になるということはたまたまあるかもしれませんが、自衛隊の艦船が米軍の艦船を守ることを目的として共同作戦する、そういうようなことはないわけであります。
  406. 受田新吉

    ○受田委員 私が懸念しておるのは、海外派兵という言葉が非常に厳しくとられて、事実上戦闘目的でもないような、平和的なあれとして出るようなものまでも海外派兵で縛られることがあってはいかぬというのが一つの問題。もう一つは、海の問題などは、千海里まではシーレーンとして一応認めておる。ところが、それを乗り越えて、日米共同作戦の余波で、事実上はるかに海外と思われるようなところに行って活動しておっても、それは海外派兵ではない、日米共同作戦で、対潜哨戒機などが一緒に行動をとるような場合に、距離的にはどんな遠くまで行っても、相手の領海、領空に入らなければいいのだというような認識かどうかを聞きたかったのです。それはいまはっきりしたが、距離はどこまでか、相手の国の領海、領空まで行かなければ、たとえ距離はどのように遠くまで行っても海外派兵にはならないのだと了解していいですね。
  407. 丸山昂

    丸山政府委員 確かにおっしゃるように、海外派兵という言葉については先生のおっしゃるとおりだと思います。ただし、現実にわが海上自衛隊が大変遠くのところまで行って活動することを考えておるかというと、現実にはそこは考えておりません。海上自衛隊の能力の整備の目標としてかねがね私どもから申し上げておりますように、一応周辺の数百海里、あるいは航路帯が設定されます場合には、千海里以内の長さのものというのを海上自衛隊整備目標として考えておるわけでございまして、現実に現在の能力でそこまで行けるかということになりますと、これはまた問題は別でございます。一応整備の目標としてそれを考えておるということでございます。
  408. 坂田道太

    坂田国務大臣 ちょっと先生、あるいは間違っているかもしれませんが、たとえば「ふじ」号が科学観測のために南極まで行っておりますね。しかしこれは自衛隊法に明記してあるわけです。ですから、そういう形ならば行けるわけでありますね。しかしこれはあくまでも自衛隊法に明記してあるから行けるということであります。
  409. 受田新吉

    ○受田委員 憲法の解釈でなくて法律論だけでやるならば、たとえば国連から監視団の派遣要請があったときに、自衛隊法を改正すればできるのなら、国連の法規が優先するか国内の法律が優先するかとなればどういう解釈になるか。これは条約局長でも国連局長でもひとつ……。そのときに、憲法ではない、いまのところそういう自衛隊法を改正する程度で済むような場合、そのときには国連憲章を優先させるべきものではないのですか。
  410. 松永信雄

    ○松永(信)政府委員 一般論として申し上げますけれども、現在御質問になられましたような仮定を想定いたしまして、国連で何らかの決議が採択されたということを仮定いたしておるわけでございますけれども御承知のように国連が第七章に基づく強制行動をとる場合としからざる場合とがあるわけでございます。現実の問題といたしましては、強制行動をとるということは国連憲章が予想はしておりますけれども現実には全然これは作用しておらないわけでございまして、したがって現実の問題としては、そうでない一般的な形での決議等によってその種の勧告なり要請が行われるということになろうかと思います。そういう場合には、決議と申しますのは、これはもう先生御承知のとおり法律的な拘束力は持たない性質のものでございますから、各加盟国がそれに対応してどういう行動をとるか、協力を行うかということは、各加盟国自身の問題になってくるわけでございます。したがって、いまの御設問の場合を考えますと、その場合に、国内法であります自衛隊法によって自衛隊ができることとできないこととあるという場合に、その自衛隊法というものを越えて協力をしなければならないという義務は発生してこないというふうに考えられるであろうと思います。
  411. 受田新吉

    ○受田委員 自衛隊法を越えてまで協力する必要はない、たとえば国連が平和監視団を要請した場合でも、自衛隊法を改正する必要はないという外務省の見解ですね。
  412. 松永信雄

    ○松永(信)政府委員 法律的にはそうでございます。ただ、政策的にそれが望ましいか望ましくないかということは別問題だろうと思います。しかしながら法律的に、その場合に国連の決議が自衛隊法に優先して自衛隊が協力しなければならないという義務は出てまいらないということを申し上げたわけでございます。
  413. 受田新吉

    ○受田委員 そういうことで、今後自衛隊の方は法規改正をする必要があればやればいいということで、いまの南極の問題まで出てきたわけなんだが、日本の自衛隊はそうした紛らわしいものには一切いま関与しない、財政的な支援はするが国連に自衛官の協力は一切しない、これでよろしゅうございますか。
  414. 坂田道太

    坂田国務大臣 いまのところそうでございます。
  415. 受田新吉

    ○受田委員 たとえ平和監視団のような要請があってもいまのところは断わると明確な答弁をいただきました。  そこで、有事を盛んに長官は言われるのだが、一体有事というのは向こう様から宣戦の布告があったような形のものを言うのですか。  それに対しては、今度は外務省、戦争法規が有事に際して適用されるのかどうか。両方から御答弁いただきたい。
  416. 丸山昂

    丸山政府委員 まず私の方から申し上げます。  私どもいわゆる有事という言葉で表現される事態を想定いたします場合に、自衛隊法の七十六条のわが国に対する武力侵攻またはその恐れのある場合という事態を大体有事というふうに解釈をしておるわけでございまして、この場合、相手国が宣戦布告をするかどうかということについての問題は直接は関係がございません。具体的に武力侵攻がある、また武力侵攻の恐れがあるということによって判断さるべきものであるというふうに考えるわけでございます。
  417. 松永信雄

    ○松永(信)政府委員 戦時法規と仰せられますのは、恐らく戦時国際法というものが適用されるかどうかという問題だろうと思います。これについては御承知のごとく、現在国連憲章のもとにおいては戦争というものは合法化されておりません。したがいまして、そういう意味ですべての戦時法規が適用されるということは申しにくいわけでございますけれども、現実の問題としては戦争の状態あるいは武力行使の状態というものがあることは、現在も実は諸所に見られる状態でございます。仮に自衛隊がそういう状態のもとに置かれるという場合には、戦時法規はそれに適用はされるというふうに考えております。
  418. 受田新吉

    ○受田委員 そこで防衛局長、御存じのようにかつて北朝鮮にアメリカのEC121機が乗り込んで大変ひどい目に遭って撃ち落とされた。それに対して今度は隊を組んで護衛して乗り込んで行ったという事件があるわけですね。こういう事件が現にあったわけです。あのときもし日米の関係から、北朝鮮の航空機がアメリカの航空機を追っかけて日本の領空に入ったというときに一体どういう事態が起こるかということを予想しても、これはわれわれとしては大変な悲劇を生む危険があるわけなんですが、そういうことが事実起こり得る可能性があるでしょう。あのときもし、スパイ機と見られたアメリカ機が日本に入ってきた、それを北鮮の飛行機が追っかけてきた、わが方はスクランブルでびゅうっと行ってそれを撃ち落としてしまったとかいうことになると、これは大変なことになる。現にわが方でもRF4Eの偵察機をいまどんどん放しているわけなんですから、ちょっと油断すると、職務をはっきりしておかぬと、できるだけ働こうと思って乗り込む危険もあるわけです。そういうことを常に念頭に置いて、日本が危険にさらされないように仕向けていかなければならないわけなんですが、私が大変危険を感じておることは、アメリカの飛行機がそうしたスパイ機のような形でにらまれてあちらの飛行機に追われながら日本へ来たときに、日本は一体どういう措置をするのが筋か。スクランブルでこれをまず捕捉し、次に防衛出動をやる、やがてそういうことが日米安保条約の発動になるというような危険が発生しないか。日本の偵察機の行動と関連して御答弁を願いたいです。
  419. 丸山昂

    丸山政府委員 ただいまの先生の御設問の事態は、アメリカの航空機の行動に伴って出るということでございまして、それは、大前提はいまのような平静な事態ということだろうと思います。そういたしますと、航空自衛隊の航空機は、いわゆる防衛出動の下令がございませんので、その防衛出動下に許されます出動に伴っての権限というものは持っておらないわけでございます。そういたしますと、平常の任務として問題を処理するということが第一義的に出てまいるというふうに思うわけでございます。当然、現在やっております対領空侵犯措置としてその問題を処理するということになるかと思うわけでございます。したがいまして、先生の御指摘のように、それが直ちに防衛出動下令の状態というところまで発展することはないというふうに考えるわけでございます。
  420. 受田新吉

    ○受田委員 大体、当面はそういう形でしょう。しかし、これがまた深刻になってきて、次へ発展する可能性も絶無とは言えないわけです。  そこで、朝鮮半島との問題に一言触れておしまいにしたいのですけれども米軍がわが国の基地から一たびたび論議しているとおりです。戦闘行動がとられた。そうすると、今度はあちらさんが日本にある米軍基地を攻撃する、こういう筋書きどおりの議論をちょっとだけさしてもらいます。  そのときに、あちらさんは、敵の方とあえて言いませんが、米国にとっての相手方、それが日本に対して攻撃を加えてくる。そのときに攻撃を加える。日本米軍の基地があるから、基地を持つ米軍と共同防衛をとる日本の国を敵の方は敵性国と見ることができますね、条約上は、外交上の問題として。朝鮮半島で事変が起こった。それに対して日本から発進する戦闘行動の米軍の部隊、それに対して根元をたたくために敵が日本米軍基地をたたきに来る。そのときに日本も敵性国と見て共同防衛に対処すると解釈してよろしいか。
  421. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 米軍日本の基地を使って朝鮮半島における紛争に対処するために出動する、それに対して日本がイエスと言う場合というのは、これは集団的あるいは個別的自衛権の発動として出ていくわけであります。したがいまして、それは、いわば侵略あるいは武力攻撃に対する自衛権の発動でありますから、その米軍の発進基地である日本の基地をたたくために向こうが出撃してくるとすれば、それは武力攻撃ないし侵略の拡大でありますから、わが方としてはもちろんそれを日米共同で排除すべきものであるというふうに考えます。
  422. 受田新吉

    ○受田委員 いまの場合は日本がイエスと言った場合の問題ですからね。そうしたときには、日本がイエスと言うことによって大変な事件が起こってくるわけです。いまのような事態が起こる。そうすると、政府自身、これは一体イエスと言うのはだれがやるのですか。イエスと言う責任者はだれですか、総理大臣ですか、防衛庁長官ですか、外務大臣ですか。
  423. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 総理大臣であると考えます。
  424. 受田新吉

    ○受田委員 総理大臣の一存でできる、これは閣議へ諮るのか、国防会議へかけるのか、どうですか、イエスを言う場合。
  425. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 これは総理大臣の責任において、むしろ行政府の責任においてやるべきでありますが、その点、そのときの事態において判断すべきものでございましょうが、時間的余裕があれば当然閣議にかけられるべきものだと考えます。
  426. 受田新吉

    ○受田委員 そして閣議にかけて、総理大臣の命令でイエスを言った、そうして敵さんが日本の基地をたたく、日本国民もこれにとも連れを受けてみんなひどい目に遭わされ、負傷者も出る、そういう事態が起こったときに、今度は国民の側に対しての緊急避難その他の対策というものが平素から自衛隊で用意してあるのか、イエスを言うた場合の。そうした報復攻撃を受けてくるときの対策ができておるのかどうか。
  427. 丸山昂

    丸山政府委員 ただいまの防衛庁の所管は、自衛隊の運用ということが中心になって行われているわけでございまして、国の防衛を考えました場合には、当然まず守るべき国土、国民ということを中心に考えなければならないわけでございますが、実は国土、国民についての防衛のための措置というものを考える役所がないのが実情でございます。私どもは大変な関心を持っておりますが、防衛庁は直接そういったものに関与する立場にはないということでございます。
  428. 受田新吉

    ○受田委員 そういうことに関与する役所の責任が明らかでない。もう明らかに日本国は、米軍基地周辺はひどい目に遭わされる。それに対策が用意してない。しかも総理大臣がイエスと言えば、当然報復攻撃が来ることは明白であるというこの事態を考えるときに、イエスと言うことは、これは大変な問題なんです。防衛庁長官、あなたには恐らく総理大臣は相談されるとは思うが、そのときにイエスということを言うことは大変なことが起こるということ。そしてこの前質問したように、今度は朝鮮半島から避難民がどんどん来る。そういうものを受け入れてどうやるかという対策も十分まだ用意してない。国内法もない。イエスをやることによっていかなる事態が起こるか、予測のほかの大事態が起こることが予想される。にもかかわらず、これに対策がない。  もう一つ外務省、核兵器についてはアメリカは大変力を持っているので、核のかさのもとに日本があるわけですね。このかさのもとにあるということは、核の抑止力を信じてわれわれはかさのもとにある。ところが、核兵器をアメリカが使ったら抑止力がどうなりましょう。シュレジンジャーのように朝鮮半島へ核兵器を使ったら、核の抑止力というものの信頼はどうなりましょう、使った場合。抑止力がないと私は思うのです。抑止の力がなくなってくる、使ったら。どうでしょう。
  429. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 核抑止力というのは、核は常に使い得るという状態に置くことによって相手の攻撃等をくじくということであります。(受田委員「使ったらどうなんですか」と呼ぶ)核を使ったならば、そこにおいてそれは抑止が破れたという状態であります。破れた状態において、その後どういうふうに事態が進展するかは、ちょっといま申し上げることは差し控えたいと思います。
  430. 受田新吉

    ○受田委員 朝鮮半島で核兵器を使おうという、あなたの親友のシュレジンジャーさんはそう言うておる。使ったら抑止力がなくなる、破れるのですよ。ばらばらになる、めちゃくちゃになる。そういうことを含めて、私はこの朝鮮半島に起こる事件というものを予想するときに、日本の態度というのは非常に大事である。そうして、しかしそういうことを予測した対策も同時に立てておかねばいかぬ。核報復攻撃ということも当然考えられるということも含めて、今後この問題にどう対処するかを役所がいまわからぬという話も含めて、核攻撃があった場合の防衛をどうするか。いいですか。向こうへ核攻撃を加えた、今度は向こうがこっちへ核攻撃を加えた場合に、核の放射能の降り来るものをどう防止するか。これは防衛庁ではできないですかな。核攻撃を受けたときの手だてはだめですね。一切お手上げですか。
  431. 丸山昂

    丸山政府委員 核の攻撃を受けました場合、部分的な、ただいまの段階では自衛艦とか、あるいはごく少数の戦車とか、ごく一部でございますが、これについての核の汚染の除去の対策はございますが、国民全体の問題については私ども考える立場にないので、したがってその辺の手だては何ら講じられてないのが実態でございます。
  432. 受田新吉

    ○受田委員 そういうかっこうであるということで日本の国は非常に不安な立場に立たされておることを、もう一度政府の部内でそういう場合のことを予測して、避難民の流れてくること、それから攻撃を受けてたくさんの死傷者の出ること、財産の破壊されることに対する対策、放射能に対する対策、こういうものも一緒に考えていかなければ——イエスというようなことが言えるわけではないのですから、この点をひとつ考えてもらいたい。  時間で申しわけないが、一問だけ許してもらいたい。  私この自衛隊と国防会議の関係で一言だけお尋ねしておきたい。長官、あなたの前任者にも私伺った。あなたにもちょっと触れたのですが、七十八条「命令による治安出動」、これは大変なんです。自衛隊の全部を使えるのです。「全部又は一部」ですよ。全部を使うほどの大事件が起こったときに、これは防衛庁サイドだけで片づける問題ではない、少なくとも国会の承認をとるようにという提案をしたが、これはそこまでいかないというこの間のお話でした。そうすれば国防会議の付議事項には当然すべきものである、こう考えます。国防会議の付議事項、「四 防衛出動の可否」の次に「五 命令による治安出動」を入れて、そして五を六にして改正する必要がないか。これは大事です。自衛隊の全部が動くような事態が起こるのですから、ひとつ法改正を検討されてみませんか。防衛局長、あなたで結構です。
  433. 丸山昂

    丸山政府委員 御指摘のように「防衛出動の可否」というのが四に書いてございまして、治安出動については特に明記をしておらないわけでございます。ただ五に「その他内閣総理大臣が必要と認める国防に関する重要事項」というのがあるわけでございまして、当然治安出動につきましては、その性質上国防会議で御検討をいただくべきものであると思いますので、現行法を特に改正をいたしませんでもこの五の解釈によって、また運用上できることではないかというふうに判断をいたします。
  434. 受田新吉

    ○受田委員 これは重要事項、これは当然——いまあなたの答弁も、つまり「命令による治安出動」は五で諮問事項ということにする。長官、これはよろしゅうございますね。五の中へ入れるといま防衛局長は明白に御答弁があったわけです。
  435. 丸山昂

    丸山政府委員 これは大変間違ったことを申し上げて恐縮でございます。現在の設置法の第三章の「国防会議」六十二条でございますが、この解釈上国防会議に付議すべき事項についてはここに掲げておることに限定をされるということでございまして、いわゆる国防に関する問題ということがここの審議事項になっておるわけでございます。そこで七十八条の「命令による治安出動」でございますが、これはそういう趣旨からしてこの対象にならないということが現在の六十二条の解釈でございます。したがいまして、七十八条の問題を国防会議で審議をしていただくということになりますと、六十二条の法改正を必要とするというのが現在の解釈でございます。間違ったことを申し上げました。
  436. 受田新吉

    ○受田委員 そうすると、やはり長官、「命令による治安出動」となると大変な事態を予想する。自衛隊の全部が動くことがある。これはちゃんと国防会議に諮らなければならぬ。五にこれを入れて自衛隊を使うわけですから、「命令による治安出動」を諮っていただく、そういう提案をされることは恐らく多くの人が共鳴すると思うのですね。国防会議の権威、命令による治安出動の権威、それを高める上に非常に大事な問題だと思うのです。長官、検討されませんか。私は大体国会の承認を得る中へ入れたいのですが、それは遠慮して、まず国防会議の大事な事項の中へひとつ入れるというところで譲歩しましょう。
  437. 丸山昂

    丸山政府委員 まず私からお答え申し上げます。  もうこれは先生十分御案内のとおり、七十八条の「命令による治安出動」につきましては、内閣総理大臣はこの出動を命じました場合に、「命じた日から二十日以内に国会に付議して、その承認を求めなければならない。」ということになっておるわけで、国会による承認を一つの担保としておるという点からいたしまして、国防会議に付さなければならないということは、必ずしもそういう制度に持ってまいらずとも、国会の承認という大きな歯どめがございますので十分この点の保障ができるというふうに考えておるわけでございます。
  438. 受田新吉

    ○受田委員 あなたは大変勘違いをしておられる。国会の承認を得て治安出動をするのじゃないのですよ。国会の承認というのは出動して後にとるのです。国会の承認をとって出動するなら私は文句を言いません。何にも国会にも相談せぬとぱっと出動するのですよ。これを見てごらんなさい、七十六条と大変な相違なんです。七十六条は国会の承認があって、それを得て自衛隊の全部を出動する。七十八条はここで書いてあるとおりです。自衛隊の全部または一部の出動を内閣総理大臣が国会なんかへのかっぱでぱっと命令ができるようになっておる。それだから、危ないからせめて国会の承認を得るということの改正要求をしたが、それがいかぬと言うなら、せめて国防会議へ付議することにしておく必要がある。七十六条と根本的に違うのですよ。国会の承認というのは流してしもうた後でやるのですよ。したがってウエートの置き方を言っておるのです。
  439. 丸山昂

    丸山政府委員 「二十日以内に国会に付議して、その承認を求める」ということでございまして、もちろん七十六条とは違うわけでございます。しかしながら、内閣総理大臣が治安出動命令を出されるということについては、そういう事態というものが急に出てくるわけではなく、その客観情勢というものは、やはりそういう治安出動命令を出される、当然客観的に判断のできるような情勢というものが出てまいるわけでございますし、また、この総理の御決定は、実際の問題としては、総理が単独におやりになるわけではなく、緊急閣議なりこういうものを開催されて、行政府としての衆知を集めて最終的な決断を下されるということが実際の運用上は行われるというふうに考えますので、国防会議は、御案内のように内閣総理大臣が議長になられて、閣僚をもって編成をされておるわけでございますので、それよりも幅の広い閣議をもって行政府としての決断をされるということをもって十分かわり得るのではないかというふうに判断をするわけでございます。
  440. 受田新吉

    ○受田委員 局長さん、あなたは国防会議を非常に軽視しておられるのですよ。国防会議より大きい規模の閣議でやるのだから、国防会議などというのは軽いも一のだというので、これは大変なあなたの勘違いなんです。閣議でやり、もちろん国防会議の付議事項として処理するというのは権威を高める上であって、閣議で決めるのだから国防会議など問題じゃありませんよという御答弁は、これは大変国防会議を軽視する思想が防衛庁にある。茶飲み事務局長だ、かつて言うたような思想が局長の脳裏をかすめておるという意味で、いまの問題は国防会議軽視論として私厳重注意をしておいて、答弁はなきものとして、行き詰まったものとして質問を終わります。
  441. 藤尾正行

    藤尾委員長 午後七時二十分より委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後六時四十二分休憩      ————◇—————     午後七時二十分開議
  442. 藤尾正行

    藤尾委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を続行いたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。嶋崎譲君。
  443. 嶋崎譲

    嶋崎委員 大変時間の制限がございますので、答弁の方もなるべく簡潔にお願いしておきたいと思います。  きょうの質問のテーマは、去る十月四日に石川県知事並びに三つの市と五つの町村長が防衛施設庁との間に結んだいわゆる協定内容についての質問でございます。協定書は「小松基地周辺の騒音対策に関する基本協定書」でございます。この基本協定書に関連して、四つの点の質問をさせていただきたいと思います。  第一は、この基本協定書の第一項に相当する航空機騒音にかかわる環境基準の問題でございます。この協定書によりますと、小松の飛行場は「公共用飛行場の区分第二種Bについて定められている期間内に速やかに環境基準の達成を期する。」となっております。したがいまして、小松の基地は第二種Bについて定められた期間の達成を期するという意味で、第二種Bを前提にして議論を進めてよろしいでしょうか。
  444. 斎藤一郎

    斎藤(一)政府委員 お話しのように、基本協定書の中にそういう文言がございますので、そういう前提で結構だと思います。
  445. 嶋崎譲

    嶋崎委員 環境庁は来ていますね。——環境庁にお尋ねをいたします。  昭和四十八年の十二月六日の「航空機騒音に係る環境基準の設定について」、これに関連して環境庁としては、次の点が確認できるかどうか質問をいたします。  この環境基準の飛行場の区分として第二種Bということに指定されますと、中間の目標と、それから最終の目標というものが、この環境基準達成に対して課せられていると思います。中間目標は、この表によりますと五年目標、年度を言いますと五十三年の十二月二十七日、正確に言えば二十七日までになりますが、中間目標は、屋内で六十五WECPNL、つまりここに言っているのは「「屋外で八十五以下」又は「屋外八十五以上の地域において屋内で六十五以下」」ですから、五年目標は八十五以上の部分については屋内で六十五以下にする、こう解釈していいと思います。それで、達成期間は「十年以内」ですが、これは基準によりますと、「地域I」、都市計画法にいうところの専住居住地域については七十以下、その他の地域は七十五以下ということで、今度は屋外で十年後には七十ないし七十五以下にするというふうにこの環境基準が解釈されますが、環境庁、そう解釈してよろしいでしょうか。
  446. 酒井敏夫

    ○酒井説明員 おっしゃったとおりでございまして、なお御参考までに、屋外の達成が基本でございますが、達成期間の第三項におきまして「家屋の防音工事等を行うことにより環境基準が達成された場合と同等の屋内環境が保持されるようにするとともに」ということで、屋外達成と屋内達成と両方うたっております。
  447. 嶋崎譲

    嶋崎委員 しかし、これは七十ないし七十五以下にするというのは、特に屋外で七十以下にするというのが達成目標の基本的な考え方ですね。
  448. 酒井敏夫

    ○酒井説明員 基準値I類型の地域にありましてはWECPNL七十以下、それからII類型地域にありましては七十五以下、ただいま御質問のとおりであります。
  449. 嶋崎譲

    嶋崎委員 そこで施設庁にお聞きしますが、したがいまして、中間目標は屋内で六十五WECPNL、三年後にこれを達成し、そしてその後、十年後には屋外で七十、七十五という方向に持っていくとしますと、当面防衛施設庁は、この第二種Bに定められた達成期間に努力するというわけで、現在までまだ告示はされておりませんけれども、八十五以上の地域においては民家防音をするという考え方をとっていると思いますが、いかがですか。
  450. 斎藤一郎

    斎藤(一)政府委員 いまお話しのとおりでございまして、二種Bの飛行場の基準を達成するということで、当面八十五、または屋内で六十五以下ということの目標を達成する努力をしたいと思います。
  451. 嶋崎譲

    嶋崎委員 そこでお尋ねいたしますが、告示はいつなさいますか。あれは四条、五条ですか、それに基づき長官は八十五以上の地域についての告示をしなければならないことに、なっていますが、その告示はいつしますか。
  452. 銅崎富司

    銅崎政府委員 告示をするにつきましては、地元の意向を聞きまして、それから関係省庁とも協議をして決めるということになっておりますが、現在地元と協議しておるという段階でございます。ですから、それが終わりますのはいつかというのはいま具体的に申し上げかねるわけでございますが、なるべく早くしたいということでやっております。
  453. 嶋崎譲

    嶋崎委員 これは後の質問とも関係しますが、告示は早晩なさる、たとえば来年の一月とか二月とか——聞くところによると二月ぐらいまでには告示をしたいという名古屋の方からの話を聞いていますが、短期間のうちに告示をなさる御予定ですか。
  454. 銅崎富司

    銅崎政府委員 ただいま答弁申し上げましたように、いま来年の一月とか二月とかという具体的な時期を申し上げる段階に話が進んでいるというふうには聞いておりません。
  455. 嶋崎譲

    嶋崎委員 告示をしなければ、民家防音がどれだけの対象の地域に何戸あるかということはまだわかりませんね。
  456. 銅崎富司

    銅崎政府委員 先生が言われますように正確にはわかりませんが、大体の一種、二種、三種の区域を定めたものを地元に提示して協議をしておるわけでございますので、おおよその数は把握いたしております。
  457. 嶋崎譲

    嶋崎委員 それは後の確認書に関連して再度戻りますが、防衛施設庁の方で言っているのは千百戸ですね。県が言っているのは千五百戸、そこに四百ぐらいの騒音の測定の仕方についてお化粧があるんじゃないかというようないろんな議論もありますが、いずれにしても県の数と防衛施設庁が出している数との間にずれがございます。そうしますと、地元民としては、告示の際にどこに線が引かれるかというのは非常に重要な関心事であり、同時にそれに関連して、防音するかしないかの意思を決定する重要な目安になるわけでございます。そういう意味で、昨年の八月やられました騒音コンターに基づいていままで内示されたもの、これに基づいて告示をするのですか、それとも地元と話し合い、さらには県と話し合った上で、その告示については内示されたものと変化するのかしないのかということについてはどう考えていますか。
  458. 銅崎富司

    銅崎政府委員 その点につきましては、実は「小松基地周辺の騒音対策に関する基本協定書」の中で、騒音の測定は常時実施する、それから見直しは絶えずやるんだということもうたってあるわけでございまして、私ども承知しておりますのは、県の方でもやられたコンター表を持っておられるというふうに聞いておりますし、その辺につきまして話し合いをし、さらに補足調査の要があればそれもしてということですから、それは流動的なものだ、いま私どもが持っておりますコンターで告示をしようという考え方には立っておりません。
  459. 嶋崎譲

    嶋崎委員 ただ一つだけ申し添えておきますが、あの飛行場周辺に御承知のように安宅新という部落がございます。それに月津という部落がございます。それから新保という部落がございます。この三部落で私全部座談会をやってまいりました。あそこは御承知のように八十四でございます。一違うわけね。それでコンターからはずれているわけでございます。もちろん地上整備音の非常にやかましいところですから、告示に当たってはそういう問題も考慮した上で柔軟に対応できるということは言えるわけですね。
  460. 銅崎富司

    銅崎政府委員 いまお話のございました日末なり安宅新町の騒音につきましては、県の方の調査によりますと八十五ないし六が出ておるというふうに伺っておりますので、そういう点につきましてやはり再度調査し直す。ですから、いまそれじゃ八十五以上の範囲に入れるのかというお尋ねであれば、まあそういう調査もやって、ですから、先ほど地元との調整を図ってというのは、そういうものも含みまして、その結果を見た上で措置される、こういうふうに考えております。
  461. 嶋崎譲

    嶋崎委員 それで五十三年までの中間目標は、八十五以上のところについては対応できる計画が進んでいると言えると思います。  さてそこで、では十年後に屋外で七十ないし七十五以下にするには、防衛施設庁としてはどういう想定をして環境基準を達成することをいまお考えですか。
  462. 斎藤一郎

    斎藤(一)政府委員 これは、とりあえず八十五について先ほど来お答えしたことでございますが、十年後の問題については、先般取り決めしましたのは基本協定書でございまして、この基本協定書の考え方というのは、中にも書いてございますが、騒音防止の問題をいろいろな角度から、音源対策なりあるいは運用対策それから周辺対策、そういうものを総合にして施策を立て、かつまた住宅防音ということも考慮に入れて、そういう総合の効果によって環境基準の目標のところに何とか努力して達成していきたいという考え方でございまして、そのやり方については、ここにも書いてございますように、いま直ちに具体的にこうしようという具体策が決まっておるわけではございませんで、今後協議して続けていこうという精神でおるわけでございます。
  463. 嶋崎譲

    嶋崎委員 去年の八月ですね、防衛庁がとられたコンターですね、あの調査に基づいて私は専門家に線引きしてもらいました。そうしますとどんな事態が出ているかと言うと、七十五以下ないしは七十以下という地域をとってみると、旧小松市内がほぼ全部入るのです。これは少し余裕がありますから、もうちょっと縮まると思います。この私の計算の方法だと。縮まりますが、旧小松市内といわれるところが一番住宅専用地域です。ここが全部いまの段階ですと八十五から七十五の中に入っているというのが現状でございます。昨年おたくが調査されたもの、あの調査ずさんだとぼくはこの前委員会で言いましたけれども、仮にあの調査データにしても、旧市内が全部入ってしまうのです。ところが環境基準の達成は、十年後にはこの地域が屋外で七十ないし七十五以下にしなければならない、そう努力しなければならない達成目標でございます。そうしますと、防音すると仮にしましょうね。いま言った運用の場合に、本来屋外なんですから防音が基礎じゃないですよ、しかし小松市内を全部防音しなければならないことが一方で想定される。もし屋外ならば、ここは全部移動するかどうか、移転地域にせざるを得ないことになります。そういうことは事実上不可能でしょう。そうしますと、小松基地内部の軍用機の騒音源、それから飛び方、そういうものについて検討するということがなければ、恐らく第二種Bに基本協定書でお約束されたことは実現できないはずだと思います。どう思いますか。
  464. 斎藤一郎

    斎藤(一)政府委員 いま御指摘のように、十年先の事態を考えますと、大変困難な、むずかしい事情が出てくるということは、私どももこの環境基準の内容からして承知しておるわけでございますが、われわれとしましては、この音源、運用対策、これはかなりいままでもいろいろやってきたのですが、そういうものをできるだけ考慮して、それから周辺対策についてもいろいろと考えられるものをやる。また同時に環境基準の達成ということは、非常に困難なことでございますが、これを目標にして、そして自衛隊の飛行場も一般の民間の飛行場に準じてやれるというふうに、他の飛行場との関連などもございますので、そういうものを勘案しながら、できるだけの努力をしていきたいというふうに思っております。理論的には大変むずかしい結果におよそしなければならぬと思っておりますが……。
  465. 嶋崎譲

    嶋崎委員 旧市内が屋外で七十から七十五ないし去年の騒音コンターの結果、七十五から八十五まで、七十から八十五までのうち旧市内がすっぽり入っているということですね。これは防音工事は不可能でしょう。そして移転は不可能だとすると、騒音源対策が基本になります。民間の飛行場の場合にはエンジン改良その他はできますが、軍用機の場合はそう事は簡単ではない。これは前回の質問でも防衛局長からのお答えがあったとおりであります。運航の問題についても、せいぜいフィフティー・フィフティーぐらいで、片一方に飛ぶか片一方に飛ぶぐらいの対応でしかできない。とすると、飛行回数ですね、それが制限されるおそれがあると判断をいたしますが、防衛局長、いかがです。
  466. 丸山昂

    丸山政府委員 いまの実態は、スクランブルというのはまあ別にいたしまして、ここを根拠としての訓練空域における訓練ということになってまいると思うわけでございます。全体の実情からいたしまして、実は私ここだけを特定して取り上げた数字を見ておりませんので大変申しわけないのでございますが、全体としてただいま、これは午前中にも長官からお話が出ましたように、特に訓練空域が局限されているという現在の状態から、必要な年間の目標の二百時間というのは、これはもちろん無理でございますので、百五十時間を割らないようにということで実施をいたしておるわけでございますけれども、訓練、技術技量の問題で、訓練不足からいろいろな問題が深刻に反省されておるという事情にあるわけでございまして、訓練回数を減らしてまいるということになると、ただいまの事情では大変危険であるという判断を私どもはいたしておるわけでございます。いまのここの小松の航空団がどうであるかという点については、もう少し具体的に詰めてみる必要はあると思いますけれども、一般論としては、いま申し上げたような実情にあるというふうに判断をいたしております。
  467. 嶋崎譲

    嶋崎委員 昨年の八月のコンターの調査は、86と104が、その定数編成が存在しておる段階調査です。その調査でコンターを引いたら八十五から七十五にすっぽり小松市が入っちゃうわけですね。そうしますと、今後ファントムが入ってきたとして、ファントムと、まだ先は、FXになるかもしれませんよ、だけれども、いまのところ104とファントムということになれば、少なくとも去年の夏訓練している程度の飛行でなければあの訓練はできないはずですね。パイロットには訓練の時間が義務化されておりますし、訓練をしなきゃなりませんし、そうしますと、おのずから飛行回数には一定の制約がある。制限できない。ところが、前回の86と104でさえ、86はアフターバーナーをつけていないのですからね、それでさえもすでに七十五から八十五の地域がすっぽり入るとすれば、小松の現在の基地でファントムと104を前提にして訓練をする限りは、環境基準の十年目標の達成は理論的にはできないはずです。できないと思います。ところが、基本協定書にはその精神をうたったのです。そういう意味で、この基本協定書の第一項は、当面三年までの間はわかるが、環境基準の十年目標ということになったら空協定になる、そういう危険性をはらんでいると私は想定されますが、数字を挙げてもいいですよ、百ホンの場合が何回飛んだら何になりという計算をしていったら、絶対に十年間で環境基準を達成することはできないと思う。その点、大変な悩みがあるはずだと思いますが、いかがですか。
  468. 斎藤一郎

    斎藤(一)政府委員 いまお話がございましたように音源対策にも限度がございますし、運用の、たとえば飛行パターン、それから飛行の回数等にもやはり限度があって非常にむずかしいところでございます。また周辺対策も、お話しのように小松市全部を防音にするということもできませんので大変頭の痛いところでございますが、とにかく基地があるがために周辺の方々に大変な御迷惑をかけておる。しかも、一方において環境庁が環境基準というようなものを定めておりますので、そういった両方の要請の中に大変苦しゅうございますが、地元とは協定の精神に従って十分話し合い、できるだけの対策を立てていくということにいたしたい。私ども施設庁だけというのではなくて、これは運輸省なりあるいはその他関係方面のお知恵もいろいろ拝借して、政府の関係の役所の方々の御協力も得て、できるだけの努力をしていきたい。そういう意味で、お話しのように空協定じゃないかという言い方もあるかと思うのですが、私どもとしては、この基本協定の精神はいろいろな場合に生かして努力していきたいというふうに思っておるわけでございます。
  469. 嶋崎譲

    嶋崎委員 将来は、現に技研がございますからね、技研でそのエンジンの改良等々について、軍用機の場合だって努力されるでしょう。しかし現在の段階で、協定書を結んだ今日は、十年目標の環境基準は達成できないとお考えですか。現在の段階はできないでしょう。将来、技術の改良やそういうものが進んでくれば別ですが、現在の段階では十年後には七十五以下にするという見通しは立たないと思いますが、どうですか。
  470. 斎藤一郎

    斎藤(一)政府委員 何分五年、この二項には五十三年度までの防音工事、移転の補償のことをあらかじめ予定して努力しておるわけでございますが、これも実はなかなか大変な、七十五ホン、七十五のところでなくても八十五でも大変な努力が必要だと私どもは思って、これに対してかたい決意で臨んでおるわけですが、環境基準が全部達成されるのは十年先のことでございますので、いまお話しのような、その技術の改革がどの程度できるものか、私どももその確たる見通しは持っておりませんけれども、今後の世の中の移り変わりなども考慮に入れて、できるだけの最善の努力をしたいというふうに思っておるわけです。
  471. 嶋崎譲

    嶋崎委員 五年までは、中間目標までは防衛庁長官の告示でやれますね。ところが十年先は、今度は県知事の指定ですね、御承知のように。知事ですよ。ですから、移転するかどうかなんというような問題は、一年前に問題を出されたのではどうにもならないんですね。五年ほど前に知事は指定しなければならないのですよ、この環境基準によれば。そうしますと、十年先じゃないのですよ。二年か三年後なんです。二年か三年後に、知事は少なくともその七十五以下にする地域についての指定をやらなければならないことになるのですから、そういう意味で万全の努力とおっしゃるけれども、現在の段階では私はこの十年後の環境基準の達成は不可能であると判断をしています。理論的には大変むずかしいとおっしゃいましたが、そういう意味でここに書いてある音源対策それから運用対策ですね、言葉はいっぱい書いてあるけれども、その中身は何にも今日の段階ではまだないということが確認できると私は思っております。そういう意味で、御努力はせっかくやっていただきますが、空約束になる可能性があるということをあらかじめ申し上げておきます。  さて、二番目に移りますが、この協定の第五項はこう言っております。「障害防止工事は、国が原因者であるとの認識のもとに実施するものとし」、ここで重要なのは「国が原因者であるとの認識」というのを前提にして「障害防止の機能回復に必要な施設の更新に要する経費については、国が措置するとともに、維持管理費の拡大に努める。」と書いていますね。そして「なお、この項目の具体的な裏付けに関しては、具体的条件の回答でなすものとする。」と書いてあります。  さてここに、これに関連してですが、この協定書をつくるに当たって防衛施設庁側は、まず「原因者であるとの認識」というのは、簡潔にお答え願いたいが、国が小松の軍事基地を、防衛施設庁、防衛庁が小松の基地を管理していて、そこで飛び立つ飛行機による騒音が原因だという意味ですね。そういう意味では、国が加害者であるという認識に立つわけですね。
  472. 斎藤一郎

    斎藤(一)政府委員 この「国が原因者であるとの認識のもとに」というのは、私どもの考えでは、小松基地周辺における騒音は、民航もございますけれども、航空機騒音の音源体は主として自衛隊機であるという事実から言いまして、防衛庁において騒音源の責任が非常に大きいということを頭に置きまして、そういうことを表現するのにこういう表現の仕方をしたわけでございまして、協定の精神から言えば、これは民航もあるじゃないかとか、そういうことは言わないで、自衛隊機が飛行しておるための騒音というものが小松基地における騒音のほとんどであるという考え方で物に当たりましょうということでございます。
  473. 嶋崎譲

    嶋崎委員 そこで、ここで言っている「施設の更新」「維持管理費の拡大」ということもさることながら、国が特に自衛隊機による騒音被害というものが主なる原因だという認識に立つとすれば、それに対する対応は補助ですか、補償ですか。
  474. 斎藤一郎

    斎藤(一)政府委員 われわれが現在行うのは、御承知のように、防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律が唯一のよりどころでございまして、その中にはいろいろな規定がございますが、いままさに問題になっておるようなことは補助として行う。
  475. 嶋崎譲

    嶋崎委員 そこが問題だと思うのですね。補助だとしますと、維持管理費は補助だからいま三分の二ですね。そうですね。それから三条によるところの学校は「全部又は一部」と書いてあるが、実際は全部という意味なんだが、第一種の防音工事については十分の九、第二種については十分の七・五ということですね。そうしますと、防衛庁が管理する自衛隊機が住民の皆さんに迷惑をかけているということを原因者だとして主に認識するとすれば、それは補助だとすれば、原因者でない第三者が援助するということですね、補助というのは。補償というのは原因者だからそれに対して対応しようという考え方だと思います。最近の水俣判決を見ても、それからまた成田第二次空港訴訟の判決を見ても、加害者負担という考え方が判例で積み重ねられてきております。ですから、防衛庁としても、当然この原因者が自衛隊機であるということを、防衛庁側であるということを認識するとすれば、それに対して加害者負担の原則で対処するというのがたてまえでなければならない。そうしなきゃここで協定した意味がぼくはないと思う。いまの法律のままなら拡大するように努めると言う必要はないわけですね。そうでしょう。だから少なくとも「維持管理費の拡大」を言い、施設の更新に必要な経費は国が持つと言い、維持管理費の中には修理もあれば、それから換気装置の運用もあれば、冷暖房もあるわけですから、そういうものについて国が「拡大に努める。」と言った以上は、少なくとも十分の九ないし十分の七・五という問題についても、十分の十というふうに拡大することが必要なんではないかということと、それから補助として考えられている維持管理ですね、これは補助なのですかと言うのです。これは当然国が補償して持つべきである。法律では「予算範囲内に」と書いているのですから、予算がありさえすればこれは補助じゃなくて全額を見るというふうに考えられるのではないかと、石川県知事も要求し、小松の市長も要求しているわけです。そういう意味で三条のいわば拡大という意味と、それから補助になっている維持管理費等等を国が見るという考え方をとるのかとらないのか、これが第一点。  もう一つは第八条に絡まって、いままではこれは補助事業ですから、三分の二は国がめんどうを見て、残りは県と市が半分半分ということになっていますね。ところが、第八条は御承知ように「防衛施設の設置又は運用によりその周辺地域の住民の生活又は事業活動が阻害されると認められる場合において、地方公共団体が、その障害の緩和に資するため、生活環境施設又は事業経営の安定に寄与する施設の整備について必要な措置を採るときは、当該地方公共団体に対し、政令で定めるところにより、予算範囲内において、その費用の一部を補助することができる。」となっております。そういう意味では補助事業ですね。ところが、第八条の中で、たとえばこの政令で言っております中に老人ホームというのがございますね。それからまた「一般住民の学習、保育、休養又は集会の用に供するための施設」というのがありますね。これは第八条というのは学校というものと一応は区別してあるわけですね。第三条では学校を入れておりますけれども、こういうものは第八条では補助事業になっております。ところが、ここに言っているように、この協定の精神、国が原因者であるという認識に立って考えるとすれば、この八条で言っている補助事業の中でも第三条の二項の三号で援用できるものがあるのではないかというのが第二点です。  つまり、ここには「前二号の施設に類する施設で政令で定めるもの」とありますね。したがいまして、この「類する施設」というふうに考えると、老人ホーム並びに学習施設ですね、そういうものは類するということで、いわば八条を三条に持っていくものを政令で書いて検討すればできないことはない、こう判断をするわけです。そういう意味で第三条のいわば原因者負担という考え方から、その率の拡大を考えるのかどうか。それから八条の中から第三条の類するもので予算措置がとれるものがあるように政令の改正ができるのかどうか。この二つの点をまず聞きます。
  476. 斎藤一郎

    斎藤(一)政府委員 まず最初のお尋ねでございますが、いま先生原因者負担とおっしゃいましたけれども、私どもの考えは、先ほどお答えいたしましたように、主として自衛隊の飛行機が音源になっておるという、そういう認識のもとにものを処理しようという考えをここに強くあらわして、そういう精神で事を処していこうという考え方でございます。  そこで、まず三条の関係も、これは十分の十の補助をするというのを原則として、ただ利する場合に十分の九とかいう例外がございますが、原則としては十分の十という補助でもって経済的には国が持つという考え方でやっておるわけですが、その中でここの五項で特に言及したかったのは、「必要な施設の更新」でございます。防音建具等、そういうものがだんだん古くなってきた、そういう場合に一遍やったから、もうそれは自分で御負担なさったらいいでしょうという考え方では不徹底でございまして、やはり自衛隊の飛行機の音源の影響を受けて障害があるということでございますので、そういうものが老朽化した場合に必要な機能を更新することをやはり補助対象に入れよう。それからまた従来維持管理費を負担しておりましたが、これは一部の学校、義務教育の学校だけを対象としておったわけですが、そういう義務教育の学校だけでなくて、やはりこの維持管理費を負担する対象をもっと拡大してはいかがかといったようなことがこの第五項の「必要な施設の更新に要する経費については、国が措置するとともに、維持管理費の拡大に努める。」という対象の拡大をまず頭に置いたわけでございます。  それから三分の二という補助についても、先ほど来申し述べたように全額、十分の十になることが望ましいのでございまして、これについても補助ではあるが、十分の十にする努力を関係省庁によく話をしてやっていきたいといったような精神をあらわすのがこの五項の私ども考え方でございます。  それから三条と八条の関係でございますが、これは旧法の時代からの沿革がございまして、この法律の立て方といたしましては、自衛隊の行為によって直接の被害が及んだもの、たとえば一番明確な場合は、演習場などがございまして、その演習場が演習のために保水力がなくなって、多量の降雨があった場合に鉄砲水が出て周辺の人に大変な御迷惑をかけたというような場合には、直接の因果関係が明確なんですが、そういった場合の障害工事をやるためには、三条でもって十分の十の補助をしていこうという考え方でございます。それから八条は、この規定にもあらわれておりますように、いま申し上げたような、そういう必ずしもどんぴしゃの因果関係ではないけれども、やはり周辺の住民の生活または事業活動が阻害されるといったようないろいろなケースがございまして、その場合に、そういう障害の度合いに応じてそれぞれできるだけの補助をしようという考え方でございます。  で、騒音以外のものはその辺の論理が非常に明確でございますが、防音対策については三条でもって、先ほどお話がございましたように、教育関係と医療施設を対象にしておるわけです。これは本来論理的には八条対象になるものかもしれませんが、教育といったような国民の基本的な問題に触れること、あるいは医療といったようなやはり生活の基本に触れるようなこと、こういうものを政策的に拾い上げて三条対象にしたということでございます。現在そこに線を引いておるのでございますが、先生がおっしゃるように、老人ホームはどうだとか、いろいろ問題がございます。ございますが、私どもは現在までのところ一応そこに基準を置いて、そして類似の施設として救えるものはケース・バイ・ケースで、たとえば医療施設といいながらも保健所はどうかとか、類似のもので救えるか救えないかというものは個々に対策を講ずるということにしております。このボーダーラインを無限に広げることは対策としては好ましいのでしょうが、私ども現在一応そういった線を引いて、それでもって実行しておるわけです。
  477. 嶋崎譲

    嶋崎委員 それでこの第五項については、石川県知事の考え方、小松市長並びに関連市町村長の考え方は、第三条については、事実上十分の十という意味で補助という形だが、実質的には補償という方向に行くという確認の精神が入っているわけですね。いまの答弁はあくまで補助であって、たとえば維持管理費なんか三分の二でも全額を持つということについてはなかなかかたい返答ですね。そうしますと、ここの解釈がかなり違うわけですよ、精神の理解がね。したがって、たとえば第八条に関連する政令の項目を三条に持ってくるというようなことも可能だという精神で片一方地元はこれを理解している、しかし、防衛庁の方はそう理解してない、こういう理解にそごがあるわけです。そういう意味で、抽象的に書かれておりますが、地元で要請しているそういう予算措置上の問題について積極的な努力を各官庁としていただきたい。大蔵省はいまのような問題について予算範囲内で措置し得ることですが、防衛施設庁の側からの要請があればこたえ得る用意はありますか。
  478. 古橋源六郎

    ○古橋説明員 ただいまの件でございますけれども、基本的な解釈につきましては、いま施設庁長官からお話しのとおりでございます。ただ一つ維持管理費につきましては、この条文の第三条というのは「必要な工事を行うときは」ということでございまして、維持管理費はこの三条によって読むのではなくて、あくまでも予算補助である、したがいまして、三分の二であるということだけをつけ加えさせていただきたいと思います。  なお、この小松の問題につきましては、こういうような基本協定締結後、施設庁におかれましてもいろいろと検討されておりまして、来年度の予算要求の中で一部要求もございます。これらの点につきましては今後施設庁とよく相談をいたしまして、予算範囲内において検討をしてまいりたい、こういうふうに考えております。
  479. 嶋崎譲

    嶋崎委員 ところが、協定書のときには防衛施設庁の長官名で覚書をかわされましたですね。あの覚書に十月四日の段階では印鑑はなかったですね。この第五項に関連して覚書がかわされていますね。その覚書は「小松基地周辺の騒音対策に関する基本協定書第五項の趣旨に則り、今後とも誠心誠意努力するものとする。防衛施設庁長官齋藤一郎」という覚書がかわされて、これに印鑑がなかったわけですね。正規の文書ではなかったのです。ところがこれの印鑑がついた書類が返ってきました。その印鑑は十一月の十七日付で返ってまいりました。十月四日のものが返ってきたが、そのときに名古屋防衛施設局長は新たな文書をくっつけてきたのを御存じですか。
  480. 銅崎富司

    銅崎政府委員 いま御指摘の覚書は、小松市のいわゆる経費問題に関してのことだと思いますが、これにつきましては現地におきまして話が出たために、印鑑の用意がなくて後刻送付を申し上げた。そのときに名古屋の防衛施設局長に命じまして石川県知事と小松市長に送った。その頭にといいますか、そのときに御指摘のような文書をつけたわけでございまして、それはこの小松の経費問題といいますのは……。
  481. 嶋崎譲

    嶋崎委員 つけたかつけないかで結構です。
  482. 銅崎富司

    銅崎政府委員 つけました。
  483. 嶋崎譲

    嶋崎委員 では、この書類は防衛施設庁長官が御存じの上で、改めて小松市にこの文書を送ったんですね。それだけ答えてください。
  484. 斎藤一郎

    斎藤(一)政府委員 よく存じております。
  485. 嶋崎譲

    嶋崎委員 そうすると大問題ですね。これによりますと、こう書いてあります。「なお、この問題については貴市も既に御承知のとおり政治折衝の行われたことであり、いま直ちにこれを解くことは難しいとされておりますので申し添えます。」こういうことを出先の局長が覚書に付随して新たな文書を現地に送ってきておる。これは知っておるわけですね。
  486. 斎藤一郎

    斎藤(一)政府委員 文書に「命により、」と書いてございますが、私も承知しております。
  487. 嶋崎譲

    嶋崎委員 そうしますと、いまの御答弁にもありましたように、法の三条の考え方にしても八条の考え方にしても、解釈の上では前進はないわけよ。事務レベル段階では、この第五項について誠心誠意努力するという方向がまだはっきりしてないわけ、いまの回答では。そういう努力をしなければならぬというのは、いまの法の仕組みやら予算措置の仕組みではできないことだから政治折衝したんでしょう。だから政治折衝した。ところが政治折衝しているのは上の話であって、出先の名古屋施設局長としてはこれは解きがたい問題なので申し添えますというのは、当面努力できませんという回答ではありませんか。そうしますと政治折衝して第五項を覚書に書き、協定書に書いて、施設庁の出先機関の名古屋の局長が、むずかしい問題ですから解けません、事務レベルでは答弁できません、こういう回答が来ているのだとすれば、第五項の覚書の精神はゆがんでしまうことになると私は思う。では、これを命によって出させたのですか。
  488. 銅崎富司

    銅崎政府委員 その前に、多少この問題について誤解されているのではないかと思いますので申し上げますが、ここの「いわゆる小松市の」と「いわゆる」とつけておりますように、この経費問題については、この協定で言っていますいろいろな原因者の認識をもってやる事業について言ったものではないわけであります。これは御存じのように、最近の市町村のいろいろな負担の問題、これは私どもの方が補助いたします補助の負担金の問題でなくて、全般的な問題についていま経費が苦しい、その点について何らかの補助はできないかという問題についての話し合いが行われまして、それについては誠心誠意努力しますということで回答したわけでございますが、ただ、ここに書かれた背景というのは県も市もよく御存じのことでございまして、それを念のため命によってつけ加えて御通知申し上げた、こういうことでございます。
  489. 嶋崎譲

    嶋崎委員 おかしいじゃないですか。防衛施設庁長官斎藤一郎さんの印鑑を押したものでは、「小松基地周辺の騒音対策に関する基本協定書第五項」なんです。「基本協定書第五項の趣旨に則り、今後とも誠心誠意努力する」と言っているのですから。現に防音対策や何かやるのは小松市ですよね。だから、この五項の趣旨にのっとって小松市ではやってもらえるという期待があるわけです。それでこの覚書が交わされたと思っているのに、名古屋防衛施設局長が「政治折衝の行われたことであり、いま直ちにこれを解くことは難しいとされておりますので申し添えます。」という、こういう文書を添えてしまえば、基本協定第五項に基づいてこれから折衝しなければならぬ精神がゆがんでしまいますよ。どうして出先の機関がこういう文書を出したのですか。防衛施設庁長官がどうして直接この文書を出さなかったのですか。
  490. 斎藤一郎

    斎藤(一)政府委員 この覚書は、ここに書いてあるように「いわゆる小松市の経費問題」というのは、ここの基本協定以下の協定の内容とは違った問題でございまして、ただその問題に処するためにはやはり小松に自衛隊の基地があるということで、国がそういう騒音の原因者であるという認識でやろう、処理しようと言っておりますが、そういう意味で基本協定の第五項を引用しておりますけれども、「いわゆる小松市の経費問題」というのは、ここで先ほど来御質問があった基地対策とは違った問題でございまして、それは市長さんも知事さんもよく御存じのことなんでございます。そこのところがこんがらかっているように思いますので、そこのところを御理解いただきたいと思います。
  491. 嶋崎譲

    嶋崎委員 しかし、これは小松の方では、こういうものが入ってきたということで基本協定の精神が踏みにじられているという理解をしています。ですから、その点は詰めていただきたいと思います。  そういうわけで、この第五項についても、文書としては「更新に要する経費」「維持管理費の拡大に努める」そして具体的な項目については、今後「具体的条件の回答でなす」と言っているけれども、いまのところ新たな前進は見られないですね。そういう意味では、基本的な精神としてはわかるが、これを具体化するかどうかというのは今後の課題になっているということですね。各官庁、大蔵省その他との連絡の上でこの内容についてさらに煮詰める、同時に、現地の県知事や市長とも三条の解釈、適用、それから八条を三条に援用する等々について積極的に煮詰めるという課題が残っているということを確認して次に移ります。  与えられた時間が少ないのですが、確認書がございます。ファントムの配備に関連する確認書がございますね。この確認書に「防音堤及び民家防音工事が施行され、その効果が発揮し始めた段階にはファントム配備を断る理由はなくなる旨を明らかにした」と書いてありますね。  さて、ここで聞きますが、ファントム配備という、この配備の定義は。
  492. 斎藤一郎

    斎藤(一)政府委員 確認書の中に配備といういまお尋ねのことが書いてございますが、この地元との確認書で言うファントムの配備というのは、私どもは、戦闘機F4を所要のこれを運用する人間とともに任務を付与して小松基地に配置するということを指すというふうに解釈しております。
  493. 嶋崎譲

    嶋崎委員 そうすると、三〇三飛行隊ファントム十八機が小松に来て、そして完結式をやりますね。あの完結式の段階が配備のいわば内容になるわけですか。それともスクランブルの緊急体制ができたときまでですか。どっちですか。
  494. 斎藤一郎

    斎藤(一)政府委員 スクランブルということになると、かなり任務を実行する後の段階になりますので、先ほどもお答えいたしましたように、ファントム4EJが所要の人員とともに任務を付与されて基地に配置された、航空隊がそこにちゃんと配置されたというかっこう、したがって、それを別な方面から言いますと、他基地から移動訓練にたまたま行ったとか、あるいはまた、ほかの場所がないので仮に格納して置いておくとかいうのは、これは物的に置いておくので、機能的に配備されたというふうには理解しておりません。
  495. 嶋崎譲

    嶋崎委員 そうしますと、たとえば千歳の場合を見ますと、四十九年の四月一日に配置が始まりましたね。そして十月に完結式をやりましたね。そしてことしの十一月にスクランブルになったわけですね。そうすると、訴訟の抗弁書の中にも書いてありますが、百里の基地に配置されたとき、それから千歳の配置された時期というのは、あそこでは十月と書いてありますから、千歳の経験から言えば、完結式、つまり三〇三飛行隊が十八機そろって一これは自動車の免許を取ったようなもので、それから一年間、スクランブルをやるまでの間は、実地訓練じゃなくて初心者マークをつけてやっているようなものですよね。それでスクランブルをやったときがいわば本物ですね、軍事的に言えば。そこまでいって本当に配備ですよ、本来ならば。だけれども、先の方を切り上げるとしても、四月から始まって十月に完結しているわけですね。それと同じように、小松の場合も配備の内容を理解していいのですか。
  496. 斎藤一郎

    斎藤(一)政府委員 いまお尋ねのようでいいので、正規の編成を終わってそこに配置をされて、運転免許を取ってまだ運転していないというのじゃなくて、そこへ配備されて、それで完結式を終わったら配備であるというふうに理解しております。
  497. 嶋崎譲

    嶋崎委員 そうしますと、十五機ファントムが来てもまだ配備じゃありませんね。一機、二機、三機、四機と、パイロットの訓練やらいろいろな訓練をしながら入ってきますね。それでもう格納庫、サイレンサーはできているのですから、それでもってやったときに、四機、五機、六機から仮に十五機ファントムが配置されても、ファントム配備ではないという解釈になりますね。
  498. 斎藤一郎

    斎藤(一)政府委員 私が先ほどお答えしたことをいまのようにお尋ねがあれば、それはそういうことはないので、現実の問題として、少しずつ行くということはなくて、大体ちゃんと隊編成でまとまって行くということでございますので、頭の中でそういう御質問が出ることはもっともだと思うのですが、現実問題としてはそろって飛行隊が配置されるということでございます。
  499. 嶋崎譲

    嶋崎委員 そうしますと、千歳のようなケースとは違いますね、小松は。一度に十八機定数編成そろって来るのですね、いまの飛行隊は。それをはっきりしてください。
  500. 斎藤一郎

    斎藤(一)政府委員 完結式の前に、完結式が行われるまでに、やはり準備段階と申しますか、でき上がり次第持っていくということはやらざるを得ないわけでございます。
  501. 嶋崎譲

    嶋崎委員 そうしますと、小松や県の理解とこれは違います。小松や県の理解は、五機、六機、少しずつ入ってくるのはファントム配備という常識的理解ですね。軍事的な理解じゃないのです。ですから、そこには当然ファントム配備という段階の認識のずれがあるというふうに理解をしておく必要があると思いますが、そうしますと、もうすでに千歳には相当いますから、次々と小松に一定の時期に来て、そして配備が完了する、こういうふうに時期設定の考え方は理解していいですね。さっきと変わったけれども、さっきは十八機一度と言ったが、また後で、いやそれ以前にもというお話になったから、どっちですか。
  502. 斎藤一郎

    斎藤(一)政府委員 どうも答えが明確でございませんで申しわけないのですが、逐次持っていく場合もあり得るということでございます。したがって、先ほどお尋ねのように、十六機だとか十二機だとかということもあり得るというふうに思います。
  503. 嶋崎譲

    嶋崎委員 そうしますと、ファントム配備というのはここの前段にありますから、防音の工事が一定程度効果が発揮し始めた段階ですね。それから防音堤が一定程度の効果が発揮し始めた段階といまおっしゃるのを考えてみますと、いわば先の方にファントム配備があって、それまでの間に民防ないし防音堤の工事をやればいい、そして一定の効果が出るというつながりに論理的にはなるわけですね。いかがですか。
  504. 斎藤一郎

    斎藤(一)政府委員 その点は、この確認書にも書いてございますように、やはりこの書いてある順番どおりでございまして、防音堤や民家の防音工事が施工されて、そしてその効果が発揮し始めた段階になれば、これは配備という問題は、定義をどうするかという食い違いがあるとおっしゃいましたけれども、いずれにしても、順番からいって効果が発揮し始めた段階においてファントムを配備をする。その前にあべこべにということは考えておりません。
  505. 嶋崎譲

    嶋崎委員 そうしますと、民防は一挙に来年の五十一年度で千百戸やるのですか。それとも五十三年度まででやるのかということと、効果が出たというのは、どの程度やったら効果が出たと防衛庁の側は考えていますか。
  506. 銅崎富司

    銅崎政府委員 まず、民家防音の件でございますが、市の協力がありまして、たくさんできればたくさんやるということでございます。ですからその辺、市の協力がどの程度得られるかということにかかりますけれども、私どもやはりたくさんできるだけやりたいということです。それは当然三年以内ですね。  それからもう一つの、効果の発揮し始めた段階というのは、施工されまして効果が発揮された、だがそれはどういうことだということになろうかと思いますけれども、やはりこれは客観的に常識的に決まってくるというふうに考えております。
  507. 嶋崎譲

    嶋崎委員 たとえば百戸やるとします。百戸やって家の体制ができますね。現在まだ86がいませんから脳だけですね。104の飛んでいる段階で、そのやったものが効果があったかどうかわかりませんよ。前は86と104いたのですから、現在はずっと全体の騒音量が少なくなっているのですから。しかし、それにしても、何カ所かやれば一定程度の計算はできますね。だからそういう効果というふうに判断していいのですか。千百戸じゃなくて……。
  508. 銅崎富司

    銅崎政府委員 これは私ども四十九年度に千歳で八戸やりましたが、そのやりました結果から申し上げますと、六十五以下になっておるわけですが、平均して二十五デシベル下がっておりまして、これの工法はそれを基本にして当てはめてやりますので、御存じのように千歳におきましてはファントムは飛んでおるわけでございます。これは十分自信があるということは申し上げられると思います。
  509. 嶋崎譲

    嶋崎委員 そうしますと、防音堤も完成はしない、ある程度できた、民防も、たとえば百戸今年度予算から来年にかけてできたら、大体いいという判断に具体的になりますか。
  510. 斎藤一郎

    斎藤(一)政府委員 これは地元の御意向が、その辺のところいろいろ御意見がございましたので、地元の御意向を確認する、この文書はそうなっておりますが、そういう地元側の意向を文書にして確認したということでございまして、もっぱら私どもは地元とよく話し合いをしてまいりたいと思います。
  511. 嶋崎譲

    嶋崎委員 地元と言いますけれども、名古屋防衛施設局がいまアンケートを出しておるでしょう。あのアンケートは、五十一年度、五十二年度、五十三年度のいつの年にやるのですかというアンケートを出しておるのです。おたくは。だから、住民は非常に迷っておるわけです。一挙にやってくださるのか、それともほかのやつを見てからやるのか、私たちがやるまでファントムは来ないのじゃないか、そんなら五十三に丸を書いた方がいい。いろいろ多様な回答をしているのであって、だから、皆さん方がどういう時期の段階で効果が出るというふうに考えていられるかの内容について、たとえば五十一年度なら五十一年度に何戸とか、五十年度の予算で何戸とか、そういうことについての目安を指示しなかったら、あのアンケートはナンセンスなんです。だから、そういう意味で、地元の意向とおっしゃるが、地元の意向のとり方そのものが皆さん方の出しているアンケートではつかめないということなんです。その点、検討しておいていただきたい。  長官坂田さん、休んでおられますが、この確認書は、防衛施設庁長官が、すべて長官のあれを受けてやっていると言っていますから、いま言ったように、効果が出始めた段階という問題と、それからファントム配備はこの時期が非常に微妙でありまして、いつごろになるかというのは非常に微妙な問題です。さっきのように、配備は先の方になるとすれば、それ以前に飛行機は現に入ってくる。入ってきていて、民防は何年度までやったらいいのか、ことしだけなのかも非常に不明確なんです。ですから、市民は、世論調査をされても、ことしやるのか、来年やるのか、再来年やるのか、丸をつけるのにみんな困っている。混乱をしております。その点について名古屋の施設局の方から来た人に質問したら、配備の問題やこの効果のそういう高度な問題は私たちと関係ありません、とにかく来年、再来年やりたいんだから丸をつけてくれという指導をしております。ですから、あちらこちらの部落で大変混乱が起きていますので、この確認書の内容について、配備と効果があらわれる段階についてもう一度検討されて、現地とその内容について話し合われる必要があると思う。長官、その意味の対応をしていただけますか。
  512. 斎藤一郎

    斎藤(一)政府委員 いまの名古屋の施設局のアンケートについては、いまお話のように、住民の方々迷っておられるということでございますれば、私どもよく趣旨を御説明いたしまして、その辺の誤解がないように努力いたしたいと思います。
  513. 嶋崎譲

    嶋崎委員 最後に一言。長官は、ポスト第四次防に関連して、装備についての年次計画を出すと同時に、民生対策としても、基地対策としても、年次計画というようなものを考えなければならないということで、十カ年計画のような指示をなされたということが報道されております。そういう意味では、いままでの基地対策というのは単年度予算で対処してきました。いつかも長官質問したときに、長官は私の質問に対して、検討させていただきますというふうに答えておられますが、この予算の組み方として、道路五カ年計画だとか、そういう公共事業が、たとえば小松の問題では三百億なら三百億要るが、第一年度から始めてこう処理していくという、年次計画的にこのポスト四次防以降の基地問題を考えるに当たっての予算の編成の仕方についての考え方があるや否や。
  514. 坂田道太

    坂田国務大臣 具体的に平井参事官からお話を申し上げたいと思いますが、私の基本的な考え方は、基地がある、そうすると基地周辺の対策はもう少し厚味をもってやらなければ解決できないんじゃないかというふうに思います。その基地が日本の安全保障にとって非常に大事なものであるとするならば、やはりこの基地は周辺対策というものを十分考えていかなければいけないという基本的な考え方。それからもう一つは、防衛庁のみで——もちろん主としてやるわけでございますけれども、単に防衛庁のみでなくて、各官庁もこれに加わって、総合的な施策がなければならないんじゃないか、こういうふうに考えております。  実は基地問題閣僚協議会というのがあるのだそうでございまして、これは近ごろ私発見したわけでございまして、まだ余り開かれていないということで、やはりこういう場で広い視野から総合的に見る必要があるんではないかということを考えまして、近く開きたいと考えております。実は、年内にと思っておりましたけれども、これはちょっとずれますけれども、来年早々には開かれる、こういうようなことを積み上げまして、今後基地問題に対して総合的かつ長期的な視野で予算的措置も考えていかなければいけないんじゃないかというふうに思っているわけです。
  515. 嶋崎譲

    嶋崎委員 もう時間が過ぎていますから、一言だけ最後に問題を明瞭にしておきますと、いままでの基地周辺の問題は、従来は周辺市町村からの要望を待って対策は作成をしてきたのですね。ところが、もし年次計画ということになりますと、たとえば十カ年計画というようなものを基地対策としてやるとすれば、今度は発想を転換して、積極的に国の方で、いま言ったような関連閣僚協議会でもって計画的に年次計画を立てるということになるのですから、いままでのように地元市町村からの下からの要請で作成する予算のやり方と、上から総合的にやるというのは考え方の発想の転換になると思います。そういう意味の転換の意味ですか、いま大臣が言われたことは。これを最後にお聞きしたいと思います。
  516. 坂田道太

    坂田国務大臣 その点はまだわれわれ自身も固まってはおりませんし、それから協議会でいろいろそういうものを含めて検討しなければならないというふうに思っております。
  517. 平井啓一

    ○平井政府委員 この指示は、ただいま大臣から御答弁がありましたような、大臣のお考えに基づいて私たち命を受けて作業にかかっておりますが、あくまで現段階におきましては十カ年計画というようなものの考え方じゃなくて、ポスト四次防の計画に合わせた正面装備と調和のとれた防衛施設の施設整備だとか、あるいはそういった基地の周辺対策というものを向こう十カ年にわたって一応の見通しを立ててみたい、そうして、そういう見通しの中でどういう対策を講じていく必要があるか、また経費見積もりとしてはどのくらいになるか、そういった一つの見通しを立てながら、ただいま大臣が言われましたように、防衛予算の中でどういう仕組みを考えていくか、あるいは各省の協力体制の中でどういうふうに対処していくか、そういったものを、その見通しを前提としながら、今後それをいかに計画化していくのか、そういった点をこれから考えていきたい、そういうふうに考えながら作業をしている段階でございます。
  518. 嶋崎譲

    嶋崎委員 終わります。
  519. 藤尾正行

    藤尾委員長 上原康助君。
  520. 上原康助

    ○上原委員 冒頭、委員長にも御要望を少し申し上げておきたいのですが、時間もかなり経過しておりますし、委員長もお疲れでしょうし、またお待ちになっている先生方にも余り御無理を申し上げるわけにもいきませんので、できるだけ簡潔にやりたいのですが、政府もひとつそういうお立場で御答弁をいただきたいと思います。  そこで最初に、せんだって質問で保留いたしておきました核問題について、私は具体的に二カ所の場所と弾薬庫のナンバーまで指定して、一つはビルナンバーですが、指定をして、復帰前の核の貯蔵については私は疑いないと見ているし、復帰後も恐らく貯蔵されているのじゃないかという疑惑がきわめて濃いという点を指摘をして、調査をするように要求をしておきましたが、その結果どうなったか、御答弁をいただきたいと思います。
  521. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 前回の委員会におきまして上原委員から、辺野古弾薬庫内の建物及び嘉手納弾薬庫内の建物につきまして核が貯蔵されておる疑いがあるので調査するようにというお話がございました。本件に関しまして早速アメリカ側に問い合わせた次第でございますが、米側としては、米軍基地内の個々の建物に何が入っているかということについては、立場上一々申し上げるわけにはいかないということを申したのでございますけれども、しかし本件は、いやしくも核兵器に関する問題であり、アメリカ側はわが方への事前協議なくして核は持ち込まないと言っておるのであるから、この点はもっとはっきり答えてもらいたいということを強く申し述べまして話しましたところ、上原委員から特に核の存在の疑いが強いという御指摘のあった四つの建物について次のような回答がございました。     〔委員長退席、木野委員長代理着席〕 建物ナンバーの一〇六〇は、これは単に空き箱が入っているだけである。それから建物ナンバー一〇九七は小火器用弾薬が入っている。建物ナンバー四〇〇九は航空機用の弾薬が入っている。それから建物ナンバー四〇一四はエンジンテスト台及び訓練用機材が入っているということでございまして、いずれも核兵器は貯蔵されていないということでございます。  沖繩におきます核兵器の問題につきましては、これはもう上原委員が十分御承知だとは思いますけれども政府沖繩核抜き返還という方針に従って、一九六九年の十一月の佐藤・ニクソン共同声明第八項で明らかにされておるわけでございますが、その沖繩返還協定の第七条において核に関するわが国の政策に背馳しない沖繩返還を条約国として明記しておる次第でございます。  さらにアメリカにおきましても、昭和四十六年の十月二十七日から二十九日にかけて開催されました上院外交委員会沖繩返還協定聴聞会の席上、ロジャーズ国務長官とパッカード国防次官は、復帰日には沖繩には核兵器が存在しなくなっていることを確約する旨の公式の証言を行っております。  さらに沖繩復帰の日である昭和四十七年五月十五日に、アメリカ政府は、ロジャーズ国務長官から福田外務大臣にあてた書簡において、沖繩の核兵器に関する米国政府の確約は完全に履行されたことを通告いたしますとともに、あわせて米国政府は、事前協議の対象となる事項については、日本政府の意思に反して行動する意図のないことを確認しておる次第でございます。  以上のような状況からいたしまして、これらの建物に核兵器が存在しないことは明らかであると存じます。
  522. 上原康助

    ○上原委員 いま説明あった点は、現在そういうふうに使用されているという回答ですね。
  523. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 現状を問い合わせたわけでございます。
  524. 上原康助

    ○上原委員 復帰前のことについてはコメントはなかったのですか。
  525. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 復帰前の問題については、アメリカとしてはコメントする立場にはないということでございました。
  526. 上原康助

    ○上原委員 その点はアメリカが今回の問い合わせについてコメントしたのですか。
  527. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 今回特に復帰前についてはどうかということはもちろん聞きましたが、その点については、いま申し上げましたように、復帰前の問題についてはコメントする立場にはないということを申した次第でございます。
  528. 上原康助

    ○上原委員 どういうルートを通して問い合わせたのですか。
  529. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 在京米大使館を通じて問い合わせた次第でございます。
  530. 上原康助

    ○上原委員 米大使館はどのような方法で確認をしたのですか、いまの答弁は。
  531. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 具体的な建物の問題でございますから、もちろん軍のチャンネルを通じて現地に問い合わせたものと了解いたします。
  532. 上原康助

    ○上原委員 恐らくそういう回答にしかならぬだろうということは私は予期しておりましたし、これまでの具体的な指摘に対しても確たる返事がないわけですね。少なくとも復帰前についてコメントしない。あるいは前段で言った弾薬庫なりあるはビルの使用等について、一々どういうふうなものが貯蔵され、または使用されているかということについてコメントする立場にはないが、せっかくの問い合わせだからというようなことなんだということですが、これも若干疑惑を持つわけですね。  少なくとも、せんだっても防衛局長にも念を押しましたように、スペシャル・ウエポンズ・ショップと書いてある。まあ訳すれば特殊兵器整備所といいますか、特殊兵器部署とでもいうのでしょうか。あるいは弾薬庫の一〇九七も多核弾頭弾であるということは、私は復帰前の点についてはほぼ間違いないと思うのですね。また嘉手納の点にしましても、現在も航空機使用の弾薬庫が入っている。これはあなたが見たわけじゃないし、だれが立ち入って調査したわけではない。そうしますと、いま長々とした復帰時点のいろんな返還協定あるいはロジャーズ国務長官の声明など、私もそれを知らぬわけじゃない。少なくとも私が具体的に個所を挙げて、建物まで指定をして、弾薬庫これこれですよということまで指定をしたというのは私も初めてなんです。ここの地域を指定したことはあった。なぜそういうふうに議論が発展をしてきたかというと、事前協議の問題にしましても、いわゆる配置の重要な変更、あるいは装備の重要な変更にしましても、要するに最終的には日米間の協力関係だというのが、いまの政府のこれまでの、まあ具体的に問題を詰めていこうとするとそこで逃げてしまうといいますか、そこに最終的にはかかってくる。皆さんがそういうことを言うから、こうこういう疑惑が現にあるんじゃないかということで私たちは問題提起をしてきたわけですね。実際はこれはまだ私は、委員長、これで納得はできません。しかし、冒頭申し上げましたように、これ以上議論をするということになっても、なかなかすれ違いということにしかならないかもしれないんだが、予算委員会、わが党の楢崎方式なら、ここで審議ストップなんですよ、本当から言うと。正直申し上げて。  そこで、時間の関係もありますから、復帰前についてはコメントできなかった、あるいはしない。また、かつてアメリカは、まあ私、長い話をしたくないんだが、核の存在については、その有無を言わないのが抑止力になるから存在を明らかにしないというのが、これまでのアメリカの核政策だった。だが、シュレジンジャー前国防長官は、現に韓国にどれだけの戦術核が配置をされて、欧州にはアメリカの核は幾らあるということを公にしたわけでしょう。この点については、アメリカ局長あるいは防衛庁長官はどう思うのですか。アメリカの核政策に変更あったと見るのか。いままで皆さんが言ってきたような、核の存在については明らかにしないのが抑止だと言ってきたんだが、実際アメリカ自体がそれを変えたわけでしょう。これについては一体どういうふうに判断しておられるのか。
  533. 丸山昂

    丸山政府委員 アメリカはやはり核兵器の存在については明確にしないというのが基本的なポリシーであるというふうに私ども考えております。ヨーロッパの場合に約七千個の戦術核があるということを言っておりますのは、これは私が申し上げるまでもなく、NATOとワルシャワ条約機構との兵力削減交渉を現在やっておるわけでございますが、大体、通常兵器においてワルシャワ条約機構の方が相当のギャップで優位にある。そのために、NATO諸国におきます心理的な圧迫その他の問題が、アメリカとしても、これはNATOの加盟国であり、それをバックアップする体制にある立場からいたしまして、当然NATO加盟諸国のそういった問題に対する支持をしなければならないというようないろいろな背景があり、その戦術核の存在についてはつとに明らかにしておりましたが、その数についても七千個ということが出ておる。それで勢力削減交渉についての一つの提案項目といたしまして、つい最近開かれましたNATOの閣僚会議決定事項として、一千個の戦術核とそれに従事する約三万に近い兵員でございますが、これを削減するということと見合いに、ワルシャワ条約機構側において千七百台の戦車と約七万に近い兵員でございますが、これの削減をそれぞれやったらどうかということを削減交渉のアイテムに一つ持ち出しているというような問題もあるわけでございます。  それから韓国につきましては、在来ずっとその存在について明確な発言がなかったわけでございますが、公式に数は言っておりませんが、戦術核があるということが、つい最近、ことしに入ってから言われておるわけでございます。これはきょう大臣からも御説明がありましたが、ベトナムの撤退ということによって、特に韓国その他にアメリカのクレジビリティーに対する不信感といいますか、疑惑といいますか、こういった問題が出た際に、アメリカはコミットメントを必ず守るんだという一連のかなり強い発言もあったわけで、その一環として戦術核の存在をはっきり明言をしたということで、それぞれ、原則的な核の存在について明確な発言をしないというこの政策に対する一つの例外的な措置として、これは私どもの全くの推測でございますが、そういうバックグラウンドをもとにしての発言であったというふうに判断をいたすわけでございます。
  534. 上原康助

    ○上原委員 実は私はこの核問題で本当は時間をかけて詰めたいわけなんですが、とてもきょうこの時間がないんで、いまの御答弁とも関連するのですが、要するに、核の存在、有無については、相手国、いわゆる日本なら日本政府の姿勢にぼくはかかってきていると思うのです。最近のアメリカのあれは。それをうやむやにしているのは日本にも問題があるという点をここで強く指摘しておきたいのです。  そこでアメリカ局長、あなた先ほど、例のビルナンバー一〇六〇は空の木箱を置いてあるというような答弁ですが、軽はずみにもそういうことを言っちゃ困ると思うのですね。そこで、もしあなたがおっしゃるようなことで使用されているかどうか、確認をさしてもらいたい。立入調査させますか。
  535. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 米軍基地は米軍が管理権を持っておるわけでございまして、そういうわけでございますから、自由に調査するというふうなわけにはまいりません。ただ国会議員その他の方々が基地をいわば訪問されるということであれば、一定の手続を取れば訪問することはできる次第でございます。ただ、その中をどの程度まで見せるかという問題になりますと、これは米軍の判断にゆだねるほかはない次第でございます。
  536. 上原康助

    ○上原委員 まさか空の木箱を置いてあるくらいなら、だれが見たってそんな問題ないじゃないですか。ですから、私が正規のルートを通して、少なくとも私が挙げたこれこれは疑しい、そこまで行く。ただその周辺の道路を通るだけではだめですよ、それは。実際に弾薬庫、ビルの中までどういう形で使用されているのか。ほらの中にまで入るか入らぬかは別ですよ。その使用形態がどうなっているかということは——いままでの基地の立入調査なんというのは、車に乗っけておろしもしない、会話もするな、質問もするな、そんなばかなことがありますか。そういうことではなくして、私が指摘したものについて、正式のルートを通したら、少なくともこれは現在はどういうふうに使われて、どういう施設になっているであろうと推測できる範囲調査、立ち入りはさせますね。委員長、これは理事会でももう少し話し合いたいのですが、時間の都合で。せめてそこまでやっていただかないと、私はこの議論を打ち切るわけにはまいらないのですよ。しかも空の木箱を置いてあるなんて、冗談じゃありませんよ。このビルナンバー一〇六〇なんというのはきわめて厳重な建物なんですね、私の調査範囲では。したがって、現在本当にどういう形で使用されているのか。特に嘉手納の弾薬庫まで含めて立入調査させるというなら、私はこの質問については、もうきょうの議論ではほかの問題もありますから、これ以上やってもまた、なかなかああだこうだということにしかなりませんから、その点は配慮しますね。また委員長としてもこの点は御配慮いただきたいのですが。
  537. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 先ほども申し上げましたように、米軍は基地の管理権を持っておりますので、先生の方から正規のルートを通じてお申し出がございますれば、基地の訪問についてはお取り次ぎはいたしますが、どこまで見せるかということは米軍の判断によるわけでございます。ただ、先生がそういう希望を持っておられるということはあわせ伝えることはいたします。
  538. 上原康助

    ○上原委員 そこいらになるとどうも合点しがたいのですよ。子供の使いでもあなた——私も何もインチキな図面なり調査でやっているわけではないのですよ。少なくともこれだけの証拠物件を挙げて、こうでしょう、ここでしょうということまでやって、これに対して確たる返答もなくして、調査をする段階になると相手に管理権、あたりまえじゃないですか。だから問題だと言っている。委員長、さっき私が申し上げた点、お取り計らいいただけますね。
  539. 木野晴夫

    ○木野委員長代理 上原委員の要望の件につきましては、理事会におきまして検討いたします。
  540. 上原康助

    ○上原委員 理事会で私も御相談をしますが、外務省もそのことについては十分応じていただけますね。
  541. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 先ほどから申し上げますように、外務省として建物の中を見せろということを要求する権限はございませんが、先生の御希望は米側に伝えることはいたしたいと存じます。
  542. 上原康助

    ○上原委員 いまの答弁では納得しかねますが、しかし時間の都合がありますから、後日十分相談をしたいと思います。  そこで、なぜ私がこれをここまで取り上げたかといいますと、核の存在、核持ち込みというものは、そう皆さんが言っているほど疑惑のないことでないということなんですよ。国会議員がバッジをつけているようなものです。いまの原子力潜水艦にしたって、ファントムにしたって、B52にしたって、能力はあるけれども核はないなんて。韓国に戦術核が配置されて沖繩に戦術核がないと言うが、軍備的に言っても、少し軍事基地の実態というものを常識的に判断する人なら、全部そのくらいの想像はつくでしょう。そこまでごまかしてはいかぬということ。この点いずれは皆さんの不当性というのは必ず私は暴露されると思う。したがって、さきに私が申し上げたことについても十分配慮していただきたい。  そこで、きょうはもう時間がありませんから、ここで基地の返還問題についてぼくはどうしてもお尋ねしておきたい点もありますが、その前に今後の確認だけでいいですから、やっておきたいと思います。装備の重要な変更については、生物化学兵器も入るのか入らぬのかということ。これはイエスかノーか、はっきり言ってください。
  543. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 装備における重要な変更というものにつきましては、例の藤山・マッカーサー口頭了解がございまして、これは核弾頭及び中長距離ミサイル持ち込み及びそれらの基地の建設ということになっておりまして、核兵器を念頭に置いたものだと思います。その意味においては生物化学兵器は対象とはなっておりません。しかしこの問題は、ある意味で事前協議以前の問題だとわれわれは考えております。
  544. 上原康助

    ○上原委員 どうもあなたがそんないいかげんなことを言うから、いろいろ質問せねばいかぬ。  では、BC兵器は事前協議以前の問題だということなら、事前協議の対象になるのですね。
  545. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 先ほどから申し上げますように、装備における重要な変更は核兵器を対象といいますか、念頭に置いたものでございまして、こういうBC兵器は対象にはなっておりません。ただ、実際問題として、日本にそういうBC兵器が持ち込まれていないことは、たびたびの機会にわれわれは確認しておる次第でございます。
  546. 上原康助

    ○上原委員 それも疑わしいのです。これも後で議論しましょう、BC兵器。  そうしますと、BC兵器は第四条の事前協議でやるのですか。
  547. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 われわれは、この問題に関してはアメリカ側にも何回も問い合わせ、そして日本にそういうものは置かれていないということを確認しておるわけでございます。それはどこで確認したんだと強いておっしゃれば、安保条約第四条の随時協議の問題として処理されておるとお考えいただいていいと思います。
  548. 上原康助

    ○上原委員 ちょっと失礼。さっきの四条の事前でなくて随時ですね。
  549. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 失礼しました。随時協議の問題です。
  550. 上原康助

    ○上原委員 私の方が間違ったんだ。あなたの方は間違いでない。随時協議の方でやるわけですね。では、きょう、これも中途。議論があるのですが。  それといま一つは、これは防衛局長大臣にお尋ねし、確認をしておきたいのですが、ずっと議論をしてまいりました日米防衛協力委員会ですか、設置されるという協力委員会では、私も五条、六条の問題についてはいろいろ議論をいたしました。一体、四条はどうなるのですか、随時の方は。
  551. 丸山昂

    丸山政府委員 私ども、この新しくできます協議機関につきましては、条約上の根拠としては何であるかということでございますれば、四条の随時協議の一形態であるというふうに解釈をしておるわけでございます。
  552. 上原康助

    ○上原委員 そうでしょう。そうなりますと、まさにまたこの議論になると、もう夜通しやったって議論は発展していくのです。いままでは五条。五条は、わが国が侵攻を侵略の国から受ける、あるいはそういう危険がある場合、まさに自衛隊が出動せざるを得ない状況というものが一応は想定される。しかし、六条は事前協議なんですな、あくまで。わが国とは関係ない。実際、直接的には関係がない、条約上、法律論は。しかし、あなたがおっしゃるように、この協議機関というものが四条の随時協議を法的根拠にするということであるならば、言われているように、一連の包括的な五条、六条も関連をするということをこれまで言ってきたんだ。私も後ではたと感じて、一体、では四条はどうなのかということをちょっといろいろ調べてみたのです。まさに五条、六条というよりも、この四条を法的根拠にして、防衛協力というものはもう常時何でもここでやるという形になっていく、包括的なものになるということは、いまの答弁でぼくは明らかになったと思うのですが、そういうふうに理解していいのですか。
  553. 丸山昂

    丸山政府委員 この安保条約の中で、日米間で安保条約の運用に関して協議をいたします根拠は、この四条しかないわけでございます。このほかには、六条は御案内のように事前協議という制度があるわけでございまして、たとえば今度スイッチをいたします協議機関の母体である日米安保協議委員会、これは年に一回、外務大臣防衛庁長官先方アメリカ大使、太平洋軍司令官、この間で行われますこの安保協議委員会も四条の随時協議の一形態である、こういうふうに考えておるわけであります。
  554. 上原康助

    ○上原委員 それはわかる。それはいままでも安保協議委員会というのはある。その安保協議委員会の下部機構として設けるわけでしょう。本来なら、いままで四条を根拠にしてやっているなら、安保運用協議会もあるし、安保協議委員会もあるし、統幕会同もある。ほかのやつもある。この間、整理をするということも、私の質問に対して御回答ありましたがね。ですから、ここで言わんとするところは、従来もあったけれども、四条というのは本来なら必ずしも有事の際の協議だけではないわけですよ。安保条約の運用や締結に当たってのことについては、いまでも四条ではすべて協議できる。あえてここに、これまでの四条も五条も六条も包括をして、しかも防衛協力機関として設けるところにより問題があるという点をわれわれは指摘しているわけですよね。そうならないですか。
  555. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 御趣旨を十分理解していないかもしれませんが、われわれの考え方といたしましては、安保条約第四条は随時協議のことを規定しているわけでございます。それの一つの機関として安保協議委員会が設けられております。その安保協議委員会の下部機構として、今後防衛協力の諸問題を話し合う研究協議機関を設置したいということで、アメリカと原則的には合意を見ておるわけでございまして、現在その協議機関のあり方について政府部内で検討をしておりまして、近くアメリカと話し合って、次回の安保協議委員会の際にその設立を決定したい、こういうわけでございます。  そして、ではその機関で何をやるのかと言えば、結局防衛協力上の諸問題を話し合う、こういうことになるわけでございますが、もちろんこの防衛協力上の諸問題と申しますのは、日米安保条約に基づく問題、研究協議でございますから、中心としてはもちろん日本の安全というものが中心に協議されるわけでございますが、それは必ずしも安保条約第五条に言う日本に対する武力攻撃のあった場合だけに限られるものではないということでございます。
  556. 上原康助

    ○上原委員 私が強く指摘しておきたいことは、要するに、四条を根拠にする、四条における随時協議もこの防衛協力委員会でやるということになると、結局は全部そこでやるのですよ。ある面では五条も六条も。もちろん条文上は、事前協議、これこれやれということは置いてありますよ。事前協議といったって、それはいろいろ議論したって絵にかいたもちじゃないですか。そういう形にこの新しくできる防衛協力協議会というものが活用されることになる危険性はないのかどうか、その点は明確にしておいてください、いまの点だけは両方とも。
  557. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 御質問の趣旨がわかりました。  第四条の随時協議は、いろいろな形での随時協議でございまして、いまおっしゃいますように、今度できますこの研究協議機関ですべての随時協議をここでやるのだ、こういうお話でございましたら、それはそうではございません。随時協議はいろいろな形で行えるわけでございまして、現にわれわれといたしましては、この新しい研究協議機関ができましても、それとは別に設けております安保運用協議会というものは、従来どおり存続させるつもりでございます。また、事前協議制度に関する問題は、今回近くこの設置を見ると思われます研究協議機関で扱わないつもりでございます。と申しますのは、事前協議制度に関しましては、従来から外交チャンネルを通じて行うということに定められておりますし、この研究協議機関で扱う必要もないし、扱う考えも日本政府としては持っておりません。     〔木野委員長代理退席委員長着席
  558. 上原康助

    ○上原委員 いまの御答弁は、せんだってからの防衛局長なり防衛庁長官の御発言とは、ニュアンスが少し違ってくる。本当です。五条、六条も新協議会で対象になるということだったのです。だからわれわれは随時協議——随時協議というのはやはりできるわけなのですよね。それで、少なくとも新しくできる協議会については、五条の点に歯どめをかけるべきだという主張をやってきたのです。しかし、その前段ですでに随時協議という形ですべてできるということになると、五条も六条もこれに全部包含されますよ。そうじゃないですか。防衛庁長官、もう一遍これにりっぱに答えてください。
  559. 丸山昂

    丸山政府委員 これは、先ごろの先生の御質問に対しましても、長官並びに私が御答弁申し上げましたように、本来、この問題については、五条による有事の際の日米の共同対処ということで問題が起きてきておったわけでございますが、もちろん今後もこれが中心になるわけでございますが、同時に、基本的には、安保条約の抑止効果を高めるということのためには、この安保条約が具体的に運用されるような形に持ってまいらなければならないということが、そもそものこの発想のもとにあるわけでございまして、したがいまして、この五条の問題にとどまらず、六条に関連した基地の提供の問題、これもあわせてここで検討の対象にするという考え方、これはこの前も大臣から、また私からも申し上げておるわけでございまして、アメリカ局長がただいま御答弁申し上げました趣旨と全く同じ中身であるというふうに、私どもは承知をいたしておるわけでございます。
  560. 上原康助

    ○上原委員 では平たく言うと、法的な条約上の根拠というのは四条で設ける、検討対象になるのは五条もあり六条もあり四条もある、随時協議もあるのだから四条も該当するのだ。随時協議というのは、何を随時に協議するかについては項目はないのですよ。五条と六条ははっきりしているけれども。だから、CB兵器を持ち込むかどうかも四条でできるわけですよ、拡大解釈をしていけば。そういう危険性もあるのではなかろうかという見方をぼくはやっているわけですよ。しかし、この根拠は四条だとする、五条も六条も対象になり、四条での随時協議の事項も対象になる、こういうふうなのが新しく設置される協力委員会だと見ていいですね。ぼくはそれには反対なんだが、政府はそういうことを考えておるということ、もう蒸し返しはいけませんので、そういうふうに防衛庁も理解していいですね。
  561. 丸山昂

    丸山政府委員 先ほどから申し上げておりますように、四条に基づいてこの研究協議機関を設けるわけでございまして、その協議研究の対象は安保第五条が中心になるとは思いますが、六条に言うわが国のアメリカに対する基地提供義務に関連する問題も含むということでございます。ただ、事前協議にかかわる問題は、別の制度があるからこれには触れない、こういうことでございます。
  562. 上原康助

    ○上原委員 大臣はどうですか。
  563. 坂田道太

    坂田国務大臣 そのとおりでございます。
  564. 上原康助

    ○上原委員 そのとおりとはどういうことですか。
  565. 坂田道太

    坂田国務大臣 ですから、今度新たに設置いたしまするのは五条が中心である。しかしながらその基地の提供に関しては若干触れる。しかし六条の事前協議は、アメリカ局長が申しておるように、これでは取り扱わない。そして今度新たにする機関は何を根拠としているかという御質問であれば、それは四条を根拠としております。こういうことです。非常に明確だと思います。
  566. 上原康助

    ○上原委員 私があれこれ言ったらようやく明確になってきた。基地の提供というのはここじゃないですよ。地位協定ですよ。もうそこまでやっていると夜が明けますが、その点はまだ疑問が残されております。これもまた余りうそをついたらいずれ明らかになるのですからね。  そこで、いまの問題とも関連するのですが、第十五回日米安保協で取り決められたいわゆる基地の整理縮少計画の問題です。先ほども嶋崎委員の方からも、周辺整備の問題、いろいろ御質問ございましたが、私はいつかもお尋ねをしたことがあるのですが、少なくとも両国政府の正式機関である安保協議会でいわゆる合意を見た事項の履行というものはもっと厳格なものでなければいかないという考え方を正直申し上げて持っているわけなんです。第十四回の方もまだ残っている。十五回の方に至ってはほとんど手をつけずにペンディングになっているというありさま。こういう状態で一体いいかということを感ずるのですが、なぜそうなっているのかということが一つ。  いま一つは、今度は新しい協力機関、いまさっきの議論の機関設置の問題もあるから、日米安保協は来年ですか、来月早々開かれるわけですよね。そこでは一体どういうことをこの基地返還の問題についてはやろうとしているのか、あわせてお答えいただきたいと思うのです。
  567. 斎藤一郎

    斎藤(一)政府委員 まず最初のお尋ねでございますが、十四回安保協議会で返還すべきものの合意があった。さらに十五回安保協議会でまたかなりの施設について協議する。その返還状況ですが、まず、十四回の安保協議会のものについては、関東周辺と、それから沖繩の一部が対象になりまして、私どもとしては、十四回、十五回のうち、まず順番に十四回で決まったものに対して実施方努力しておるわけでございます。  合意は明確に成立しておりますけれども、返還に際して移設を条件としておるものについては、なかなか移設条件を十分に満たすということに手間がかかっております。たとえばいわゆるリロケーションのやり方、あるいは移設先、移設先における建物の配置、あるいは先方の要望とわが方の考えとの調整といったようなものに大変手間どっております。それでもう一つは、その大きな背景には予算、お金の問題がございまして、いっときになかなか膨大な経費がかかるので実行できない。そこで、先ほど申し上げたように、第十四回安保協議会で決まったものにまず主力を置いて、それから十五回のものに漸次手をつけつつある。十五回については、移設を条件として決まった施設が十八施設ございまして、そのうち二つだけがその後無条件に返ったのですが、残るものについていまこれから手をつけるというような状況でございます。  それから十六回については、特に沖繩においては施設、区域の密度が大変高いので、住民の御要望あるいは地元の開発計画、そういったものを考慮しながら、しかも日米安保条約の目的達成に必要なものとの調和を図りながら整理縮小はやっていきたいと思っておりますが、いま米側といわば事務的な下協議をしております。それがまとまったある段階になってかっこうがつけば第十六回の安保協議会にお諮りするということに手順としてなると思っております。
  568. 上原康助

    ○上原委員 私もなるべく時間を効果的に使うためにまとめて答弁していただきたいと思うのですが、特に移設を伴う一まあ簡単に言うと条件づき返還の場合、一例として関東計画もありましたし、沖繩の那覇空港の嘉手納基地への移転、P3関連施設の移転の問題があったわけですが、これを例にとって申し上げます。  一体、P3関連施設を那覇から嘉手納に移転をするために、五十年度までどれだけの予算を使ったのかというのが一つ。さらに、移設する場合に条件づき返還というのは、現在ある建物の面積なり、あるいは現在の建物の耐用年数、いろいろあるでしょうが、地上物件そのもの対象にして移設をするのか。そのアメリカ側につくってあげる条件、基準、それは一体どこに置いているのか。この二点、明確にしてください。
  569. 斎藤一郎

    斎藤(一)政府委員 まず所要経費の話でございます。御承知のように、那覇空港の中でP3移転に伴う関連工事について、これは返還との関連がございますので優先して処理しようということで、P3の移駐前に完成ベースでやった工事が百三十九億六千五百万の予算でございます。それからP3の移駐前に着手ベースでやっておる工事、これが六十六億二千万円でございます。  それから、その次お尋ねの移設する場合の基準と申しますか、考え方でございますが、これはリロケーション当時については、代替施設の現在持っておる機能、規模、使用の状況、それから移転先の現況、移転先でどういうところに建てるようになるのか、そこである程度の施設があるかどうかといったようなこと、そういうような諸条件を勘案しまして、建物については大体床面積を基準にいま申し上げたような規模を考え、そして機能なども考慮に入れて判断する。それで日米間でその考え方について話をする。われわれとしてはなるたけ現状維持ないし現有施設の範囲内のもので移設するということを前提にしております。それから構造だとか材質、そういうものについてはその時点における諸般の状況をよく両方で話し合いながらやっていくというふうに考えております。
  570. 上原康助

    ○上原委員 現有面積もしくは現にある建物の構造の範囲内ということですか。
  571. 斎藤一郎

    斎藤(一)政府委員 面積だとかそういう計数的なものは、なるたけそういう基準でやっております。機能あるいは使用状況に照らしてどういうものにするかという考慮も加えますが、原則としてはいまのお尋ねのとおりです。
  572. 上原康助

    ○上原委員 兵舎の場合はどうですか。
  573. 斎藤一郎

    斎藤(一)政府委員 兵舎の場合は大体面積です。面積といっても、使用状況を勘案して大体面積でやっております。
  574. 上原康助

    ○上原委員 構造はどうなるのですか。
  575. 斎藤一郎

    斎藤(一)政府委員 構造は、大体新しく建てることですから鉄筋になることが多いんですけれども、先ほど申し上げたように、構造、材質については、そのときの時点でよく話し合ってもらっております。
  576. 上原康助

    ○上原委員 なぜこのことをお尋ねするかといいますと、防衛庁長官はいろいろあれこれふろしきだけ広げるのですが、とても問題があるわけです。一例を申し上げたいのですが、皆さんの面積にしたって構造にしたって、決してそうでないのです。たとえば兵舎のバラックならバラックを建ててあげればいいわけでしょう、実際から言うと。しかしそうでない。これは私はこの間の先国会のこの法案の審議のときに議論をしようといろいろ資料も集めてみたのですが、あのときちょっと都合でできませんでしたので、改めて取り上げてお尋ねするのですが、全く那覇空港移転に伴うアメリカへのサービスぶりというものは至れり尽くせりなんですよ。国民の税金をむだ遣いするにもほどがある、実際問題として。これは私が何もでっち上げているわけじゃない。アメリカ新聞に堂々と出ている。後で見せてもいいが、アメリカ局長、英語も上手なはずだから読んでください。「新らしい独身宿舎完成近し」ということで、ちょっとだけ読んでみますが、長官、よく聞いておいてください。あなた方がやっていることは基地の周辺の嘉手納の、ぼくはけさ来たのですが、おれの家なんか、電話も聞こえない、眠ることもできないという全くひどい状況。そういうことをほったらかしておきながら、皆さん方はこういうことをやっているんじゃないか。  「新らしい独身宿舎完成近し」ということで、これは三月段階なんです「これらの宿舎は今年海軍のために西太平洋で建てられている宿舎の中でも、最も近代的でまた高価な独身宿舎であり、それは、軍人の宿所というよりは、民間のホテルやアパートみたいなものだ」と語るのは嘉手納空軍基地に建築中の海軍独身者宿舎について話す在沖機動部隊の公共補佐のジム・フォスター中佐である。これら新宿舎は、外見上は伝統的な兵舎と似ているところはないと云ってよい。長い廊下もなければ、ペイントが色あせてはげ落ちたあともなければ、かの四十人用の手洗施設もない。その代り近代的六面体設計を使用してのし型建物がそこには建っており、間もなく嘉手納に移動してくる独身海軍軍人の新しい家になろうとしている。この新しい六面体設計は最高限度のプライバシイと能率が保たれるよう考案されている。一部屋二人で十二名が那覇のバラックに比べれば何とも「ぜいたく」と思える中で暮すことになろう。」アメリカがこういうことを堂々とみずからの機関誌に書いてあるのですよ。なぜここまでやらなければいかぬのかということ。問題ではありませんか。これだけではない。これが一つの例。それと例の格納庫、ハンガー、現に那覇空港にあるものよりも面積も大きいし、りっぱなものをつくってあると、アメリカ自体がこういうふうに機関誌に堂々と書いてあるじゃありませんか。  こういう証拠は挙げれば幾らでも挙げられるのですよ。それに引きかえわが自衛隊の宿舎なんて全くお粗末の限り。そうなると、幾らわれわれ防衛問題に議論の余地はあるにしても、アメリカさんにここまでやってあげなければいけない義務というものは私は条約上もないと思う。これについてどう思いますか。ひどいですよ、実際問題として。本来あるものを建ててリロケートするというなら——これだって問題ありますよ、いろいろ法律上の解釈の問題が。しかし、西太平洋でも一番りっぱな何とぜいたくな、兵舎というよりはアパートだ、マンションだ。こういうことで一体いいのかどうか。外務省防衛庁も少しいま私が挙げたことに——これは何もうそじゃありません。後で上げてもいいですから、篤と読んでみてください。どうお考えですか。全くもってでたらめなことをやっている。委員長、場合によってはもう質疑は保留ですよ、こんなのは本当は。
  577. 斎藤一郎

    斎藤(一)政府委員 いまお話がございました米軍の広報誌の記事の方は、私も承知いたしております。新しく建てたものですから、施設が従前のものと比較して非常に飛躍的にいいということは事実でございまして、いままであった那覇基地の施設は二十何年前に終戦後の状況で建てたものでございますので、新しい施設と対比した場合に、いまお話のような、米軍側の多少PRもあるかと思うのですが、いいものであるということは事実でございます。ただこれは、私どももずいぶん、担当者といたしましては米軍とぎりぎり折衝をいたしまして、われわれ削れるだけ話をして進めてまいったつもりですが、米側に言わせれば、米軍の国防省の基準に従ってそれを勘案してやってくれという要望などございまして、そういう意味では、米軍一つの基準が交渉の参考として勘案されたといういきさつもございまして、御指摘のような点については、私どもも十分今後担当者として米軍との折衝を厳しくやっていくつもりではございます。
  578. 上原康助

    ○上原委員 いまもどんどんつくっていますよ。確かに二十年前につくったのより新しくつくれば、ペイントのにおいも新しいであろうし、見かけもいいのがあたりまえなんだよ。バラックならバラックでつくり上げるならまだ話はわかる。ホテルやマンションみたいなものをつくってあげる必要はないじゃないか、そこを聞いている。大臣、こういうことで、じゃ今度これがこういうふうになって、いまもどんどんそういう形でつくってあげている。  そこで、第十五回安保協議会で皆さんが取り決めてある、先ほど言った「移設措置とその実施に係る合意の成立後返還される施設・区域」、これはたくさんあるのですよ、全部返還、一部返還を含めて。全部返還が十二、一部返還が六カ所になっているでしょう。これもわかっておってのことだろうと思うのだが、調査をすればするほど腹が立つことだらけ。また資料も提出しなさいと言ったら、ぼくがぼんくらとでも思っているのかもしらぬけれども、建造物のあれを出してくれと言ったら、出してはあるが、全くもってお粗末な限り。まずこの十二のその全部返還の方、一体これだけ施設を移転をするには、どれだけ予算がかかってどうするのか、そこいらからまず聞いてみましょう。時間の範囲で私は具体的に一つ一つ聞いていきたいのですが、余りにも国民にわからない、こういう問題は余り表面に出ないので。実際ひど過ぎますよ。答えてみてください。皆さんどのくらい予算かかって何カ年でこれをやるのか。
  579. 斎藤一郎

    斎藤(一)政府委員 この十五回の返還を条件とする返還施設の数は、いまお話がございましたように十八ございまして、そのうち二つだけが無条件で返っておるもので、もう十六残っておるわけですが、これは先ほど申し上げたように、十四回からやってきて、ある意味ではまだほとんど十分な措置のとれたものはございません。当面、嘉手納弾薬庫地区、キャンプ瑞慶覧、それから普天間飛行場、これを手がけてまいりたい。それの予算としては大体めどをつけておりますが、あとの施設についてはどういうふうに返還の条件を満たしていくかということは、これから米軍と話すことになっておりますので、したがってまた、予算的にもどのぐらいかかるかということをいまの段階で申し上げられないという状況でございます。
  580. 上原康助

    ○上原委員 そんな悠長なこと言って、基地の整理縮小をやりますなんて大きなことを新聞に書かさぬのがいいじゃないですか。一体日米安保協議会の十五回協議会はいつ持たれたのですか。しかも本年はやっていないのでしょう。一カ年余りも、ただあっちこっち返しますとアドバルーンだけ上げて、具体的に話はちっとも進まぬ。ネックは一体何ですか。なぜそうなるかというのは、いまさっきのリロケーションのやり方に問題があるのだよ。実際金がかかる。これもやりますと言って、基地周辺の整備もやりますと、本当に予算が幾らあったらできると思う。防衛庁長官は、閣僚協であれもやりますなんて大きな顔でおっしゃるのだが、実際にそこまでいくとなると、それは緻密な計画予算化の問題で年次計画を立てなければできる話じゃないのです。  じゃ、具体的に聞きますが、この移設措置を伴う中でのキャンプ・ヘーグ、これはどんな建物があるのですか。地上物件を出せと言ったら、二百五十七棟あると書いてある。確かにそのぐらいあるでしょう。それから嘉手納住宅地域、どんな建物があって、たとえばこれを移設するにはどうするのですか。もう時間がありませんからね。
  581. 斎藤一郎

    斎藤(一)政府委員 キャンプ・ヘーグは隊舎が主でございます。主として隊舎、倉庫等がございます。それから嘉手納住宅地区は、一般の米軍人の住宅がございます。
  582. 上原康助

    ○上原委員 施設部長、住宅にもいろいろあるのですよ。ホテル、マンションみたいな住宅もつくってあげるでしょうし、バラックもあるでしょうし、コンセットもあるでしょうし、どんな住宅かを聞いているのですよ。皆さんはわからぬじゃないですか。みんな鉄筋コンクリートの上等な建物と思っていらっしゃるかもしらんよ。
  583. 銅崎富司

    銅崎政府委員 独立した平家建ての住宅がございますが、いまちょっと面積、建て坪が幾らかは手元に資料がないのでわかりませんが、平家建ての住宅が二十九棟、五十五戸ございます。
  584. 上原康助

    ○上原委員 用心深い銅崎さんにしてはまたお粗末な御答弁なんだが、みんなわかっていると思うのだ。問題は、平家建てなんて言って、一九五二、三年につくったおんぼろのトタン屋があるんじゃないですか。なぜあなた方はそれを言わないの。しかもキャンプ・ヘーグなんというのは、マリーン隊が瑞慶覧に移ったのだ。使っていない。そこまで移設措置を——おんぼろコンセットが大半でしょう。もちろん二、三はブロック建てもありますよ。そういう現に使っていないものまで移設をしなければいかぬのかということ。嘉手納住宅地域、これは嘉手納じゃない。実際は読谷にあるのだ。俗にモーガンマナーと言って、B52のパイロットが時折出入りをしておった。これも四七、八年だったか、グロリア台風と言ってでっかいのがあったんだが、あのときつぶされて、つくり直したコンセット、ぼろぼろのやつ、こういうものまでみんな条件を付して、アメリカは、つくってあげなければだめですよと言う。久場崎の中学校にしたってそうでしょうが。大半そうじゃないですか。だから私たちは、基地の無条件返還でなければいかないということ。百歩譲って皆さんの立場でやるにしても、余りにもずさんなことでいまの基地の返還というものをやってきている。これが日米間の合意事項として安保協議会で決められたところに問題がある。これは一体どうするのですか。  私がいま言ったような、仮にコンセットの建物、これは一九五〇年につくったら、相当痛んでいるから、ペンキを塗りかえ、塗りかえ使っていますから、新しいコンセットの建物をつくってやる、トタン屋ぶきをつくってあげるというなら話はわかりますよ。こういうのはどういうふうにするか。また住みよいマンション、ホテルをつくってあげるのですか。全くこういうことだらけをやっている。これであなた、基地の返還が進むはずがありますか。お答えください。国民の税金を何と思っている。
  585. 斎藤一郎

    斎藤(一)政府委員 先ほどもお答えしたように、その利用状況、あるいはこれからの使用状況、そういうものを勘案して、私どもとしても、できるだけ移設が安価に、経費が少なくて済むようにという努力をいたしてまいりたいと考えております。そういうことがございますから、なかなか向こうとの調整が、話し合いがうまくいかなくて、そういう意味合いで実現がおくれておる面もございますが、私どもとしては、国の経費で建てるのに、御指摘のようなとんでもない、ばかげた結果にならないということの努力をいたしてまいっている次第でございます。
  586. 上原康助

    ○上原委員 そんな答弁では納得しかねます。私がいま指摘をしたキャンプ・ヘーグ、嘉手納住宅地区。キャンプ・ブーンは返された。キャンプマーシーもそうなんだ。キャンプ・マーシーだって、陸軍病院跡、おんぼろの工事で、いまほとんど使ってない。これも移設を伴うあれでしょう。九十一の建物がある。一万五千五百平米だ。もう見るから全部片っ端から大体同じことだ。これじゃ余りずさんですよ、本当。  そこで、私が指摘している建物が大体そんなおんぼろであるということはお認めになりますか。そんなものがあるということは、まさか否定はしないでしょうね。事実なんだ。ぼくはいつも見ているのだから。また調査もしました。それを答えてください。
  587. 銅崎富司

    銅崎政府委員 私も現地におりましたので、承知しておりますが、確かおっしゃるように、りっぱなものではございません。
  588. 上原康助

    ○上原委員 どうもぼくは余り学問がないからわからないのだがね、偉い人々の答弁というのは。どうもりっぱなものでないと言う。コンセットとか、おんぼろとまで言わなくても、もう少しぼくらみたいな低能にもわかるような答えはないものかね、全く。長官、これはひど過ぎますよ。  そこで、外務省も笑って、核を隠しておって、これまで危険なかっこうでやっている。こういうことを再検討してみて、キャンプ・ヘーグなんかすでに瑞慶覧にりっぱな建物が移って、使っていない。久場崎の中学校だってコンセット、嘉手納住宅だってそうなんだ。キャンプ・マーシーだってそうなんだ。みんなおんぼろコンセット。これは再検討してみて、無条件返還か、やってもらわないと、洗い直してもらわぬと困るのだよ。どうなりますか、これ。もし決まったことであるならば、しようがないということであるならば、じゃ——ようやくいまおわかりになりましたか、状況が。もし決まったことだからどうにもしようがないということであるなら、これだけの移設を伴うものをやるに、じゃどこに移して、そういったキャパシティーというのがありますか、能力がありますか、ほかに移転するにも、面積にしても何にしても。これは基地の返還、縮小にはならない。全く集中強化にしかならない。だから私は、どのくらい時間がかかるかと言っている。どうしますか。
  589. 斎藤一郎

    斎藤(一)政府委員 この先般お出ししました資料に、建物の棟数、面積を書いてございますが、これは全く数字として上がっておるので、このものをそのまますぐリロケの内容にするということは考えておりません。こういった建物、棟数があり、面積を占めておるから、こういうものに対する移設をどういう範囲内でどういうものを新しく移設してやろうかということが、これから日米間の担当者の間で話していくことになるわけです。そういった意味合いで、ここには御承知だと思うのですが、移設の必要な分だけが残っておりますが、ほかに無条件で返ったものもありますし、それから移設が条件になっておるものも、こういう数字の建造物を、まさに御質問があったように、おまえたちは一体これからどこにどんなかっこうで建ててほしいのかという交渉をお互いが重ねていって、そして向こうは向こうの要望がございますが私どもの意見を十分に表明すべきものは表明し、そういう詰めをやってこれから移設の具体案をこしらえていく、こういうことでございます。
  590. 上原康助

    ○上原委員 そうしますと、十五回安保協で決まった移設措置を伴う返還については、もう一遍日米間で再検討、洗い直しをしないと、いま私が指摘したような問題、またいまの施設庁長官の御答弁の内容からして、当然そうなると見なければいけないわけですね。それはやりますね。
  591. 斎藤一郎

    斎藤(一)政府委員 十五回安保協でこうやって正式に合意を見ておりますが、折衝の過程においてまたいろいろな予期せざる事情が出てきたりする場合もあろうかと思います。そういう場合に、向こうが移設を無条件に要望しても、たとえば適当な移設先がないということになれば、これはまたそういう個々の事情を踏まえて移設問題を見直す、あるいはまた無条件に返還させてもいいものが出てくるかもしれないと私どもは思っておりますが、一応十五回でもって決まった内容でございますので、これを担当者としては日米間で個々に話し合っておるという状況です。
  592. 上原康助

    ○上原委員 個々に話し合っておるとなると、移設を伴うのだから、これだけのものを移設をしなければ返してくれぬというわけだから、少なくとも政府としては、当然どのくらいの期間でどのくらいの予算がかかるというくらいは見積もって、皆さん日米間の話はするんでしょうね。それもやらぬで、ただやったのですか。その計画はあるのですか。そうじゃないといまの答弁もつじつまが合いませんよ。施設庁も外務省も、そんないいかげんなことしかやっていないのかね。
  593. 斎藤一郎

    斎藤(一)政府委員 日米安保協議委員会で決めたことについては、日米の事務の担当者が基本的な考え方に従って事柄を煮詰めていく、だんだんと具体化していくということが従前の仕事の考え方でございまして、四百戸あるから四百戸すぐ全部移すというふうには私ども理解しておりませんで、四百戸あっても二百戸で足りるのではないか、その後住んでおらぬじゃないかという主張、先ほど来御指摘がございましたようなことを、私どもは常にアメリカ側と折衝してまいっておるわけです。
  594. 上原康助

    ○上原委員 あなた余り問題を知っていらっしゃらぬのじゃないですか。それではいつまでに具体的に詰めるのですか。この十二の施設についてどれだけ詰めてどうなっているのですか。いつもいいかげんなことじゃいけませんよ。そんなことだったら私は納得しませんよ。幾らでも例があるんだから、時間内でやろうとしたって。あなた方、基地の縮小整理を大々的にやりますなんて宣伝だけやって、ちっとも進みませんで、予算も期間もどうなっているか、計画もない、そんなばかなことがあるか。冗談じゃない。
  595. 斎藤一郎

    斎藤(一)政府委員 キャンプ瑞慶覧、嘉手名弾薬庫地区、普天間飛行場につきましては、四十九年、五十年からすでに予算をつけていろいろな調査をやっております。そのほかに現在五十一年度予算要求中でございますが、牧港住宅地区九百八十一月につきましても調査費を要求しているところでございます。それから久場崎学校地区についても一応予算を計上しておりまして、先ほどから長官が申し上げておりますように、個々の施設につきまして、果たしてそれがその数量だけ必要かどうか、また移設先をどこにしたらいいかということで一々細かく折衝してまいるわけでございます。それで話が煮詰まったものから着手しておるわけでございまして、四十九年度におきましては、キャンプ瑞慶覧と嘉手納弾薬庫地区、五十年度からは普天間飛行場。それから五十一年度は予算要求中でございますが、牧港住宅地区、久場崎学校地区について、それぞれ予算を計上して事務の促進を図りたいと考えておるわけでございます。
  596. 上原康助

    ○上原委員 いま述べておられることは、十五回安保協の方は大半入っていない。あなた牧港の住宅地区と言うけれども、これは外務省に聞きたいのだが、牧港住宅地区の問題については、返還協定の了解覚書の後尾の方に、「牧港住宅地区(A表第六一号)の代替施設完成による返還の問題は、今後の検討の特定の主題とされる」。と返還協定の時点で書いてある。いまだにわずか二百戸も返し切れない。二百戸を返すための処置とあれしかやってないわけでしょう。返還してから何年になる。こういう問題があるということです。やっていないとは言いませんよ。しかし、いままでは実際問題としては、那覇空港を返還するための移設しかやらなかったわけでしょう、大まかに言うと。第十五回安保協で話し合われたものは、もちろんいまさっき言ったキャンプ・ブーンとか一部のものはあるけれども、先ほど挙げたようにキャンプ・ヘーグの問題とか嘉手納住宅地区、あるいは屋嘉レストセンター、こういうものにしたって、みんな無用の長物か草ぼうぼうはやしているところなのに、なぜ移設措置をしなければ相手は返さぬと言っているのか。これは地位協定から言っても明らかに問題が出てくる。不要になったら協議をして返さなければいかぬとちゃんと書いてあるでしょう。こういう問題の整理は一体どうするのかということ。もしあなたが言ったように、日米間の話し合いで決まったことだからやるということであるのなら、全部まるまる一〇〇%と言いませんよ、少なくとも年次計画予算がなければいかないのじゃないか、この二点を明確にしてくださいとぼくは言うのだ。
  597. 銅崎富司

    銅崎政府委員 まず最初に牧港住宅地区について申し上げますが、二百戸は第十四回安保協議委員会で決められまして、現在移転の工事をしておるわけでございます。残りの九百八十二戸につきましては、十五回の安保協議委員会において、移設の措置、あるいはその合意の後に返還されるということで五十一年度予算要求しているところでございます。  それから基地の整理統合という関係でございますが、これは従来から大臣も施設庁長官も申し上げておりますように、基地そのものは、日本防衛にとっても極東の平和と安全のためにも必要だということで、安保条約、地位協定に基づいて提供されておるわけでございまして、その範囲で不要なものは返していただく、しかし必要なものは既設、既存の施設の中に移転した後返しましょうということで、私ども十四回、十五回の安保協議委員会で基地の整理縮小の問題が協議され、そしてその中でそれぞれ無条件返還になるもの、移設の措置あるいはその合意があった後返還になるもの、それから今後の討議事項となるものというふうな区分に分けられて整理され決定されたものだというふうに感じておるわけですが、無条件に返るもの、それから今後引き続き協議されるもので返ったものもかなりございます。先ほどから申し上げておりますように、移設の措置あるいはその合意成立後返されるものにつきましては、どういう規模でどういう内容でというように個々に対米的に折衝する問題もあるというふうに認識しておりますので、それは一々詰めながら、詰まったものから逐次予算の手当をして実施に移していく、こういうことでこの問題につきまして対処していきたいということを先ほどから施設庁長官も申し上げておるわけでございます。
  598. 上原康助

    ○上原委員 それはそのとおりでしょう。そうしかできないわけなんです。しかし問題は、日米安保協議会でごうごうということで大々的に、整理縮小して沖繩の基地は返還されますということをやったんです。それはもう当時の新聞を挙げるまでもない。しかし実際はこうなっているという事実と、しかもそこに建っている建物というものは不要不急になっているんだから。きょうは時間がないが、中には公園になっているところもある。こういうふうにね。あなた、キャンプというのがわかるでしょう。これはみんなの公園ですからきれいにしましょうなんて書いてあるが、公園などが軍用地として提供できますか。こんな議論もやりたいんだがね。余りにもずさんなことをやってきている。だから、そういうことをやっておって、大臣がおっしゃるように、基地の安定的使用ということで防音装置もたくさんやってあげますよと言いながら実際はやってない。こういうものも、やりますよと言ったら、一体基地周辺の——アメリカのリロケーションのために幾ら要るのか、住民の環境整備をやるために予算は幾らかかって、どういうテンポで何年計画でやるのかというものは何にもない。これをやるのかやらぬのかということです。最終的には。両面相まってやるというなら、膨大な何兆円という予算がかかる。大臣、そう簡単なものじゃないですよ。しかしアメリカのためには、先ほどのように、バラックやコンセットをマンションやホテルのような近代的な建物に建ててあげている、実際。こういう矛盾を本当に基地周辺整備ということでやらなければいけないと思うんだが、これもきょうはここでもう議論できませんから、大臣、後で資料要求しますが、次の閣僚協でこれを具体的に——具体的というのは、大体の構想と年次計画予算を幾らくらいかかるということを整備をして明らかにしますね、沖繩、本土含めて。
  599. 坂田道太

    坂田国務大臣 基地周辺対策は、やはり何遍も申し上げておりますように、いままでのやり方よりも一層努力をしていかなければならぬ課題だというふうに思っております。それからもう一つは、いまの米軍基地返還に伴いますいろいろの問題、リロケーション、これは米軍との関係もありまして、われわれも忠実にこれをやっていかなければならぬ。また、それをやることが基地の返還につながっていくわけですから。それからまた、いままでおんぼろのところに住んでおった、それが非常にコンファタブルなところになったということは、私は一面においてはいいことだというふうに思います。ただ、余りにもぜいたくなというようなことはいけないわけで、やはりそこはおのずとリーズナブルなものにしなくちゃならぬ。それはしばしば施設庁長官が申し上げておるように、そういうようなところがなかなかアメリカとこちら側と協議会で話し合いがつかないところもあると私は思うわけです。こちらの主張をやはり先生のお考えのような立場で、相当わが方としても主張をしておるというふうに思います。日本日本事情があるからというようなことでもあるわけなので、私はその意味からやはり日米の安保協議会というものの存在意義が実はあるわけだと思う。  しかし、それはやはりお互い話を詰めまして、詰めましたものは責任を持って予算をつけてやっていく。そういうものが一体どれくらいになるのかというようなことについて、私が少し考えましても、何だかかなりな額に上がるんじゃないだろうか。そうすると、一体ポスト四次防の中においてやるやると言うけれども、どういうようなスピードでやったらそれができるだろうか、その辺をひとつ考えてみたい。しかし、少なくとも基地周辺の問題について、あるいはこういうようなものを含めて総合的に基地問題というものを考えるということは、これからやらなければならぬことじゃないだろうか。それに対してはある程度の計画性を持ってやるということが国民の皆様方に御納得のいく方法だというふうに考えまして、基地対策の閣僚協議会もひとつ開きたいというふうに考えておるようなわけでございます。きょうの上原先生の御意見は十分傾聴いたしておりましたので、それを参考にいたしまして、今後基地問題あるいはリロケーションの問題にも取り組んでまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  600. 上原康助

    ○上原委員 もう時間もあれですから、基地対策閣僚協をお開きになるというのですが、軍事的な面だけではなくして、いま私が言ったような問題。リーズナブルもいいけれどもアメリカは英語でちゃんとぜいたく、ラクシュアリーという言葉を使っています。ぜいたく過ぎると書いてある。ツー・エクスペンシブとも書いてある。全くもってけしからぬ。国民の税金ですよ。ですからそういう問題を含めて、今後の基地周辺対策なり、いま言ったリロケーション問題についての計画を立てて明らかにする中で、われわれとも議論をしながら進めてまいりますね。その計画は、近い将来、先ほどの嶋崎先生質問には一月早々でもということでしたから、そこいらまでに計画を立てておやりになりますね。この点は確認しておきたいと思います。
  601. 坂田道太

    坂田国務大臣 私がいま開きたいと思っております閣僚協議会では、すぐそこまでいけるかどうか。いけるかどうかにつきましても、問題の所在あるいはとらえ方、そういったものをもう少し議論してみたいと思う。しかし、やはり本委員会の皆様方の御発言というものを十分聞きながらあらゆる施策をやっていきたいというのが私の考え方でございますから、上原先生のこの問題に関するきょうのお話というのは、私にとりまして非常に参考になりましたので、今後それを具体化していくためにどういうふうにやるか、考えさせていただきたいと思います。
  602. 上原康助

    ○上原委員 どのくらい参考になるか、私も関心を持っておきたいと思います。  時間ですので、最後に施設庁長官に、基地労務の問題について。  きょう、十六日ですよね。今月、年内に解決しますね。私は何回も言いますが、この問題を言う方はいませんからね。まだ三万近い基地労務者には新しい賃金を払っていない。年末のボーナスだってどうなっているかわからぬ。それじゃいかぬと思うのですよ。これは年内解決で、長官も場合によっては乗り出すということでいいですね。
  603. 斎藤一郎

    斎藤(一)政府委員 この駐留軍従業員の給与改定は、この前もここで御質問がございまして、私も大変重要な問題だと思って鋭意努力しております。そこで、この十二日に私自身が在日米軍の参謀長に会いまして、給与改定について年内には少なくとも基本的な合意を見るようにやりたい。それから、いわゆる適用時期を同じくして、国家公務員と同時同率で給与のベースアップをするという方針だけは十二日過ぎでも回答するようにということを強く要求したのでございますが、これに対して米軍参謀長は、三軍司令官と速やかに協議をして、そして今週のできるだけ早い機会にその協議を遂げた結果を御返事しますということを十二日に約束しておりますので、いまその返答待ちのようなかっこうでございますが、これはまだかなり強力に折衝しないと、米軍もいろいろ事情があって安易に応じてくれるかどうか疑問がございますので、私、精いっぱいの努力をして交渉したいと思っております。
  604. 上原康助

    ○上原委員 約束の時間ですから、たまには男らしく約束の時間どおりやめますので、委員長に最後に要望ですが、先ほど委員長に、核問題については理事会でお取り計らい願いたいということをお願いしまして、相談するという御発言がございました。いまの基地労務者の賃金問題について、これは内閣委員会としても関心を持つべきことだと思いますので、理事会でも一応お話をしていただいて、政府にこの委員会として年内に基本的な合意を見るように解決方を要請するということで、私も質問を約束どおり閉じたいと思いますので、御配慮いただきたいと思うのです。
  605. 藤尾正行

    藤尾委員長 お申し出の件につきましては、十八日の本委員会理事会におきまして御相談を申し上げ、その決定をいたしたいと存じます。
  606. 上原康助

    ○上原委員 どうもありがとうございました。
  607. 藤尾正行

    藤尾委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  608. 藤尾正行

    藤尾委員長 これより討論に入ります。  討論の申し出がありますので、順次これを許します。和田貞夫君。
  609. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 私は、日本社会党を代表いたしまして、防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案に対し反対の討論を行います。  本改正案は、海上、航空自衛官の八百五十三人の増員と航空自衛隊第三航空団を小牧市から三沢市へ移転させるという二点になっておりますが、仮に政府防衛庁の立場に立つとしても、現在自衛隊の定員を一〇〇%充足してもいないのに定員の拡大というのは全くおかしなことであります。また政府の態度は、四次防達成の来年度において、当初予算の四兆六千億円をはるかに超え、六兆円を超す装備、定員の拡大を図ろうとしていますが、これが近隣諸国に脅威を与えない必要最低限の水準であるかどうかといえば、政府の態度はいかに間違っているかということを私は強く指摘しておきたいと思います。国民もこうした政府の姿勢を厳しく批判しております。高度経済成長政策が破綻し、国民のすべてが経済環境の悪化に苦しむとき、国民の血税を軍備拡張に振り向けていくことは、決して国民の望むところではありません。  さらに、第三航空団の移転についてですが、騒音公害に悩む小牧の基地周辺住民の要求を受ける一方、他方では、日米共同作戦のために第三航空団を三沢に移し、部隊の再編成をねらったものであります。そして小牧基地のある名古屋空港は、民間航空機の発着とともに主力戦闘機生産する三菱重工業名古屋航空機製作所が空港周辺に工場を集結させ、テスト飛行を繰り返していますが、その三菱重工業が四次防後の主力戦闘機への機種選定を目指し、純国産戦闘機の開発に着手しています。小牧基地の撤去は、過密化する空域が自衛隊機の生産に向けて、テスト空域の開放という産軍癒着がその本音ではないでしょうか。すでに、ミサイルを初め、戦車、潜水艦に至るまですべて国産化され、これに戦闘機が加われば、まさに兵器国産化の総仕上げとなることは必至であります。  以上のような観点に立ちまして、私たちはこの法案に反対をする次第であります。  以上をもって意思表示といたします。
  610. 藤尾正行

    藤尾委員長 木野晴夫君。
  611. 木野晴夫

    ○木野委員 私は、自由民主党を代表して、防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律・案に対し賛成するものであります。  国の独立を維持し、国民の生命を守ることは独立国として最も重要な責務であります。自衛こそ独立国としての基盤であります。翻って最近の国際情勢を顧みますに、デタントの大きな流れはありますが、手放しで楽観するような情勢ではありません。特にわが国を取り巻くアジアの情勢はきわめて複雑にして流動的でありまして、わが国としましては重大な関心を持って臨まなければならないのであります。  国連を中心とする平和維持の機能はまだ十分ではない現在、自衛の努力を怠って安易に平和を望むことは余りにも現実離れであります。憲法の枠内で国力、国情に応じ自主的防衛力を整備することが何よりも必要であります。政府は、国民の国を守るの気概、必要最小限度の自衛隊の整備、日米安保体制の堅持、この三原則を掲げて努力をされておりますが、これはきわめて至当であると思うのであります。  今回の改正法案は、海上自衛隊五百十七名、航空自衛隊三百三十六名、計八百五十三名を増員するための改正であります。これは海上自衛隊並びに航空自衛隊の艦艇、航空機の就役に伴うものでありまして、必要最小限度のものであると考えます。  また、自衛隊法の一部を改正する法律案は、第三航空団の司令部の所在地を愛知県の小牧市から青森県の三沢市に移転するものでありまして、これまた適切な措置であると考えるのであります。  わが国の防衛は、ひとり自衛隊のみがその任に当たって足れりというものではありません。自衛は国民全体のものであります。私は、この際、防衛庁におかれましては、国民的基盤に立って自衛隊員の士気の高揚を図るとともに、基地の安定的使用等につきましてきめ細かい施策を講ぜられまして、国民とともに自衛の推進に一層の努力を払うことを要望いたしまして、賛成の討論を終わるものであります。
  612. 藤尾正行

    藤尾委員長 木下元二君。
  613. 木下元二

    ○木下委員 私は、日本共産党・革新共同を代表して、防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案に反対の討論をいたします。  今日、自衛隊は、陸、海、空合わせて二十六万、社会主義国を除くアジア諸国第一位を占める強大な軍隊となっています。わが党は、この自衛隊がアメリカの太平洋軍の補完的役割りを負わされた軍隊であり、憲法第九条に違反した軍隊であることを一貫して指摘してきました。去る八月、坂田シュレジンジャー会談と、その結果つくられることになった日米軍事協議機関は、アメリカの極東戦略に基づく新たな戦争計画に、自衛隊をその補完部隊として引き込むきわめて危険な道への第一歩として、わが党は重大な関心を払うものであります。  さて、今回の改正案は、この自衛隊を一層増強させるための海、空自衛官の増員を一つの内容とするものであります。わが党は、このような自衛隊の増強に反対し、四次防及びポスト四次防計画の中止などを内容とする自衛隊縮小を推し進めるべきだと主張します。  また、今回の改正案のもう一つの内容である第三航空団の移駐でありますが、第三航空団の現在置かれている小牧市は、都市化の進行とともに、騒音公害など住民との矛盾が激化し、加えて、昨年八月、F86Fジェット戦闘機が墜落し、市民を含め死傷者を出すという事故が起こって、小牧市議会を初め、住民の基地移転、基地撤去の運動が盛り上がっているのであります。  今回の第三航空団の小牧から三沢への移転は、確かに一面ではこの要求にこたえるかのようでありますが、しかし、第三航空団の後に新たに輸送航空団の一部を配備することから見て、それは部隊の効率的運用にすぎず、小牧市民の要求に真にこたえるものではありません。  一方、第三航空団の移駐先である三沢市にとれば、現在さえ基地公害、被害に悩まされている上に、さらに第三航空団が移駐することによって市民生活が一層困難となることは明白であります。三沢市民の間からはこの移駐に反対する強い運動が起こっていますが、当然であります。  わが党は、市民生活を脅かし、自衛隊の再編強化につながる今回の移駐に反対し、基地撤去を強く要求するものであります。  以上で今改正案に対する反対討論を終わります。
  614. 藤尾正行

  615. 鬼木勝利

    鬼木委員 私は、公明党を代表いたしまして、防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する防衛二法案に対しまして、反対の討論を行うものであります。  自衛隊は年々増強の一途をたどり、いまや世界に伍する装備を有するに至っております。防衛庁の試算によりますると、ポスト四次防の防衛費総額は八兆三千五百億から十兆四千四百億円となっております。これは四次防の当初見積もり四兆六千三百億円に対し約二倍という、とてつもない高額となっております。こうした際限のない防衛費の拡大に国民の不安はますます高まっております。  また、経済が低成長時代に入り、国家の財政も赤字国債を発行するほどの財源難に陥っている中で、とりわけ自衛隊員の人件費比率が防衛予算の五三%という、他省と比べてきわめて高い状況にありながら、なおかつ自衛隊員の増員を認めることは、わが党としてはとうてい容認できないものであります。  以上のような理由に基づきまして、私は本防衛二法案に反対をする次第であります。  討論を終わります。
  616. 藤尾正行

    藤尾委員長 受田新吉君。
  617. 受田新吉

    ○受田委員 私は、民社党を代表して、防衛庁設置法及び自衛隊法の改正案に対しまして、遺憾ながら反対を申し上げます。  私たちは、国土、国民を守るための最小限の自衛措置を認め、そして自衛隊の存在意義を高く評価しております。しかし、祖国を守るものは機械器具であらずして、人であります。優秀な自衛官によって、よく装備の欠陥、不足を埋めることができます。  しかるがゆえに、防衛庁職員給与法におきましては、積極的にその処遇改善で優秀な自衛官の養成に貢献すべきであることを提唱しました。量よりも質、国家財政の困迫しておる現状におきまして、自衛力の補いは、外交努力によって平和的な外交解決をする道もある。国民の合意を図るために、そういう意味におきまして、財政的な多くの負担を、少なくとも自衛隊の装備の増強ということにおいては取りやめまして、もう一度量よりも質、優秀な少数精鋭の自衛官によって装備の不足を補い、国家、国民を守るところの士気を大いに高揚し、その自衛官の質的向上のためにむしろ国政の重点を置くべきであるということを提案し、装備の増強と人員の増加に力点を置くこの改正案に遺憾ながら反対を申し上げまして、自民主党の方々の、以上申し上げました私の反対する理由に対する勇気ある協力によって、問題解決に邁進せられんことを要望して、討論を終わります。
  618. 藤尾正行

    藤尾委員長 これにて討論は終局いたしました。     —————————————
  619. 藤尾正行

    藤尾委員長 これより採決に入ります。  防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  620. 藤尾正行

    藤尾委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  なお、ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  621. 藤尾正行

    藤尾委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  622. 藤尾正行

    藤尾委員長 次回は明後十八日木曜日午前十時理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後十時十六分散会