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1975-12-05 第76回国会 衆議院 内閣委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年十一月二十日(木曜日)委員長の指名 で、次のとおり小委員及び小委員長を選任した。  恩給に関する小委員       越智 伊平君    奥田 敬和君       加藤 陽三君    近藤 鉄雄君       旗野 進一君    三塚  博君       吉永 治市君    上原 康助君       大出  俊君    和田 貞夫君       中路 雅弘君    鬼木 勝利君       受田 新吉君  恩給に関する小委員長     加藤 陽三君 ――――――――――――――――――――― 昭和五十年十二月五日(金曜日)     午前十時一分開議  出席委員    委員長 藤尾 正行君    理事 越智 伊平君 理事 奥田 敬和君    理事 加藤 陽三君 理事 木野 晴夫君    理事 箕輪  登君 理事 上原 康助君    理事 中路 雅弘君       赤城 宗徳君    有田 喜一君       大石 千八君    笠岡  喬君       竹中 修一君    旗野 進一君       林  大幹君    三塚  博君       吉永 治市君    八木  昇君       和田 貞夫君    瀬長亀次郎君       鬼木 勝利君    鈴切 康雄君       受田 新吉君  出席国務大臣         外 務 大 臣 宮澤 喜一君  出席政府委員         防衛庁防衛局長 丸山  昂君         外務大臣官房長 大河原良雄君         外務省アメリカ         局長      山崎 敏夫君         外務省欧亜局長 橘  正忠君         外務省条約局長 松永 信雄君         外務省国際連合         局長      大川 美雄君  委員外出席者         法務省入国管理         局次長     竹村 照雄君         運輸省自動車局         業務部旅客課長 山下 文利君         内閣委員会調査         室長      本田 敬信君     ――――――――――――― 委員の異動 十二月二日  辞任         補欠選任   受田 新吉君     玉置 一徳君 同日  辞任         補欠選任   玉置 一徳君     受田 新吉君     ――――――――――――― 十一月二十日  天皇陛下御在位満五十年奉祝国民大会開催に関  する請願外四件(足立篤郎紹介)(第三〇九  八号)  同外一件(原健三郎紹介)(第三〇九九号)  救護看護婦に対する恩給法適用に関する請願(  中路雅弘紹介)(第三一〇〇号)  同(山原健二郎紹介)(第三一〇一号)  淡水区水産研究所の存続に関する請願中川利  三郎君紹介)(第三一〇二号)  同(稲富稜人君紹介)(第三一〇三号)  軍人恩給等改善に関する請願佐藤文生君紹  介)(第三二八一号)  自衛隊予備自衛官平時勤務期間現職勤務期  間に加算に関する請願佐々木義武紹介)(  第三二八二号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 十一月二十日  軍人恩給等改善に関する陳情書  (第一八六号)  旧陸軍特務機関員に対する恩給適用等に関する  陳情書  (第一八七号)  非核原則立法化に関する陳情書  (第一八八号)  同和対策事業完全実施等に関する陳情書外二  件(第一八九  号)  国勢調査におけるプライバシー保護の確立に関  する陳情書(第一  九〇号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  在外公館名称及び位置並びに在外公館勤務  する外務公務員給与に関する法律の一部を改  正する法律案内閣提出第二七号)      ――――◇―――――
  2. 藤尾正行

    藤尾委員長 これより会議を開きます。  在外公館名称及び位置並びに在外公館勤務する外務公務員給与に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。上原康助君。
  3. 上原康助

    上原委員 提案されております法案そのものには、われわれとしましてもさほど問題はございませんし、また、すでにパプア・ニューギニアの独立がなされておって、その必要性といいますか、急がねばならないという状況もあるかと思いますが、その点は委員長の御要望もございましたし、党としても早急に処理をしていきたい、そういう立場に立っております。  そこで、せっかく大臣も御出席でございますし、外交問題についてお尋ねをする機会も今国会は余りなかったような感じもしますので、ごく限られた時間でございますが、当面しております外交課題について、少しばかりお尋ねさしていただきたいと思います。  申し上げるまでもなく、最近の国際情勢、特にアジア情勢というものが非常に変化をしてきております。特にインドシナ半島からの米軍の敗退といいますか、そういう面からアジア緊張緩和の問題を含めて、アジア情勢というのが大きく変化をしてきている。その状況下で、わが国として平和外交あるいは平和憲法精神にのっとった近隣友好外交政策というものをどのように進めていくかということは、国民の非常に関心を持っていることであります。そういう面で、当面している外交課題あるいはポストベトナムアジア情勢とのかかわりでどういう面に重点を置いて外交政策平和外交というものを進めていかれようとしているのか、そういう基本姿勢といいますか、そこいらの点、まず大臣の御所見なりを承りたいと思います。
  4. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 局面をいわゆるベトナムからの米国撤収後のその地域中心に考えて申し上げますならば、米軍サイゴン撤収後、インドシナ半島及びその周辺国々の間で、新しい局面に対処した幾つかの動きが見られるわけでございます。概して申しますならば、中国、ソ連及びアメリカといったようないわゆる大国影響力の中で、各国がそのバランスをとりながら自己の平和と繁栄を図ろうという動きと申し上げてよろしいかと思いますが、わが国としましては、そのような動きに共感しつつ、それらの国々が平和と繁栄を求めるそのような努力に協力をしてまいりたいというのが、私どもアジア地域における外交基本考え方と申し上げて誤りなかろうと存じます。
  5. 上原康助

    上原委員 ちょっと釈然としない点がございますが、一般的に言うと、これまでの政府、あるいは自民党政府と言った方がむしろ的確かもしれませんが、そういう外交姿勢からしてその域は出ないかもしれません。しかし、すでにラオスも、中道連合政権さえも維持できなくて、人民民主主義共和国が誕生した。インドシナ全域社会主義化方向に大きく転換してきていることは指摘をするまでもないわけです。ASEAN諸国とて、タイにしてもしかり、あるいはフィリピンインドネシアその他の諸国にしても、アメリカとの外交関係を完全に断ち切るという方向には行かないにしても、従来のようにアメリカ一辺倒追随外交ではなくなっている。フォード大統領が訪中なさって、フィリピンインドネシアの訪問というのも予定されているようですけれども、いわゆるインドシナ半島から、アメリカ防衛体制そのものASEAN友好諸国に若干新しい形でめり込んでいこうという動きも十分察せられるわけです。そして東アジアにおいては、やはり韓国朝鮮半島中心とする方向というものが浮き彫りにされてきている。その中で、日本政府がこれまでとってきた外交姿勢というものは、インドシナ戦争でも、われわれから見ると余りにも一方的な加担をしてきたという感はぬぐい去れないわけです。多くの国民もそういう疑惑を持っている。この際、これまでの外交姿勢十分分析、検討して、反省すべき点は反省した上で、真に日本善隣友好外交というもの、しかもその根底には平和憲法がある、こういう基本を据えて、朝鮮問題なりASEAN諸国との関係、あるいは新しく社会主義国として誕生したインドシナ諸国との関係をどう進めていくかということがいま国民関心事であり、またそのような方向に持っていってもらいたい、これが国民大衆の期待している外交姿勢であろうと思うのです。  この点、先ほどの御答弁では少し納得しかねるといいますか、あるいは余りにも漠然としているので、もう少し具体的にお示しをいただきたい。同時に、外交問題も、いろいろむずかしい情勢もありますが、ポストベトナムで何を一体重点としてやろうとしているのか、それと日米関係あるいは防衛関係というものはどういうふうにかかわり合いを持っていこうとしているのか、そういった展望などもあわせてもう少し御説明をいただきたいと思います。
  6. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 わが国の安全と発展にとりまして日米関係がきわめて大切なことは申し上げるまでもございません。この点につきましては、従来から別に事態変化したというふうには私ども考えておらないわけでございますが、同時に、ただいま御指摘になりましたように、わが国平和憲法精神から申しまして、体制の異なる国とも善隣友好関係を結ばなければならないのがわが国外交基本でございますから、したがいまして、インドシナ半島に新たに生まれました事態に対する対処の仕方におきましては、わが国米国とおのずから異なったアプローチをいたしております。すなわち、ハノイにすでにわが国大使館を開いたわけでございますし、また恐らくは近い将来、北ベトナム政府わが国大使館を開くのではないかというふうに考えられます。そのような意味で申しますならば、確かに上原委員指摘をされましたように、わが国わが国の独自の外交政策憲法から出ることでございますが、に基づきまして新しい事態に対処しつつある、御指摘のとおりと思います。  なお、先ほども申し上げましたように、いわゆるASEAN国々の中には、多くがこの新しい超大国バランスを求め、あるいは中国にあるいはモスクワに新しい接近を試みつつございます。が、同時に、それは全くいわゆるアメリカ離れというような姿をとるということではなく、ある程度米国との関連も残しまして、そして三つの勢力のバランスの中で国の安定と繁栄を求める、こういう姿になりつつあるのではないかというふうに考えております。
  7. 上原康助

    上原委員 きょう、本当にごく限られた時間でありますので、余りこの問題だけにかかわるわけにいきませんので、ある程度の外交姿勢についてはわかりましたが、少なくとも先ほど私が指摘をしたようなことも十分御配慮をいただきたいということを重ねて要望しておきたいと思います。  そこで、新しくラオスで誕生いたしましたいわゆる人民民主主義共和国王制廃止が決定されて、その新しく誕生した共和国わが国との外交関係承認というものについては、新聞その他の報道によりますと、政府も積極的にそれを認め友好関係を樹立していく方向にあるというようなことも報道はされておりますが、外務大臣はこのラオスで誕生した新しい政府との関係について、どういう認識とまたどういうふうな外交関係を近々に持たれようとしているのか、この点だけ確かめておきたいと思います。
  8. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 ラオスにはわが方の大使館もあり、大使も参っておりまして従来から友好的な関係を続けております。今回、政体の変更と申しますか体制変化があったようでございますが、この点はラオスの国内問題でございまして、両国の従来からの国交に特段の影響があるというふうに私ども考えておりません。  で、承認というようなことを新たに求められるものであるかどうか、私どもとしては、いわゆる明示の承認というようなことをわざわざ待つまでもなく従来の関係が続いていくと考えておりまして、たとえば、今度の祝典にわが大使がやはり招かれるというような形で自然に従来の関係が続いていくということで一向に差し支えないことでございます。また、何かのことで特に承認を求めるというふうな先方の必要がございますれば、それに応じまして承認することももとより差し支えないことであります。従来の関係がそのまま続いていくというふうに、私どもは一番それが素直な形ではないかと思いますが、先方政府要望に従いましていかようにもやってまいればよろしいものと思います。
  9. 上原康助

    上原委員 そこで、先ほどの御答弁の中にも、外交基本姿勢として日米関係に新たな事態が起きているとは思わない、変化はない、その面は踏襲をしていかれるという御発言でしたが、日米関係といいますともちろん外交面では防衛問題だけじゃないわけですが、すぐ頭にくるのは日米安保条約の問題なんです。  日米安保条約と特にアジア情勢ということとの関係でいきますと、大臣なかなか用心深い方なんで、朝鮮とか韓国という言葉はなかなかみずからお出しにならないのですが、アジア情勢ポストベトナムということでは、政治家ならこれは右、左問わずすぐ朝鮮ということは頭に浮かぶし、国民だって一体ポストベトナム朝鮮半島情勢、平和というものはどうなるのか、もし事が起きた場合には日本米軍基地なりあるいは自衛隊わが国との関係はどうなっていくかということについては、ある意味では、距離的な面またこれまでの関係からしてもベトナム戦争以上に国民関心事だと思うのです。そういう意味で、特にポストベトナム朝鮮問題というものがいろいろな形で報道されて、国民なりわれわれがなかなか理解し得ない面も現実問題としてたくさん出てきているわけです。  そこで、きょうはこの問題について、これと事前協議の問題あるいは非核原則ということだけでお尋ねをしたいわけですが、大臣朝鮮問題に対する御認識南北平和統一の問題を含めて、今後一体どのようにこの難題を解決していかれようとするのか、同時に、もし朝鮮半島有事が起きた場合に安保条約というものがどう連動していくのか、こういうことに対しては現段階でどういう御認識を持っておられるのか、あるいは見通しとしてはどうなのか、この点をお聞かせいただきたいと思います。
  10. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 朝鮮半島情勢わが国外交にとりまして最もむずかしい問題の一つでありますことは同感でございます。御指摘のとおりであると考えております。  で、私どもとしまして、やはり基本線は、一九七二年の七月の南北間の声明にございますように、平和的な方法により統一が行われることがやはり最も望ましい恒久的な解決であろうというふうに考えておるわけでございます。が、遺憾ながらその状態がにわかには、実現をしないというその後の推移でございますので、それでありますれば南北間に何とかして紛争が起こらない状態を定着させたい。これは最善の解決策でないかもしれませんが、まあ次善の、ベターの方法としてはそれを求めるしか方法がないのではないかということで、したがいまして、国連におきまして南北両方決議案が提出されたというような場合におきましても、わが国はその中から南北両者並びに関係諸国の対話というものを求めるべきだという立場で終始してまいったわけでございます。遺憾ながらそのようなわが国の願望は今日まで具体的に実を結んでおりませんけれども、しかし、再び明年の国連総会においてただ決議案票争いをするというだけのことでありますればこれはまことに無益なとも言える努力にすぎないわけでございますから、今年の経験にもかんがみ何とか南北並びに関係国話し合いの場を持つ、そして話し合いのうちに事態の平和な解決を図っていくということが、わが国として追求すべき政策目標であろうというふうに考えるのであります。  他方で、現状を戦争との点においてどう見るかというお尋ねでございましたが、いっときベトナムからの米国撤収緊張した状態がかなり高まったと思われましたが、その後事態は平静化しつつある。もとより南北両方とも用心を怠らない状態ではございますけれども、いわゆる一触即発というような事態は去っておって、ただいま大きな紛争を予想しなければならないという状況ではないというふうな判断を下しております。
  11. 上原康助

    上原委員 そこで、この朝鮮問題との関係で、これまでももうすでに外務委員会なりあるいは予算委員会、本委員会でも取り上げられたと思うのですが、六九年の佐藤ニクソン共同声明におけるいわゆる韓国条項、そして去る八月の三木フォード会談における日米共同新聞発表韓国条項表現においてかなり違った表現になっておることは指摘するまでもありません。韓国条項の確認であるとか、あるいはより朝鮮半島有事の際の軍事面にコミットメントした姿勢であるというような指摘もあるわけですが、大臣はこれについて、すでに新聞なりでもいろいろ報道されましたが、どういうふうに違っていると思われるのか。六九年の佐藤ニクソン共同声明そのものを踏襲したとお考えなのか、あるいは今回の三木フォード会談における韓国条項というのは新たな視点に立って、先ほど冒頭に申し上げたポストベトナムアジア情勢国際情勢というものをにらんでそういう韓国条項になったのか、この点はこれからの議論もありますので、改めてお聞かせをいただきたいと思います。
  12. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 先ほど申し上げましたように、今年の四月末、米軍サイゴンから撤収いたします前後、南北間にかなりの緊張がございましたと私ども判断をするわけでございますが、そのような際に、南北両者とも誤算に基づいてそれが紛争に発展するということはあってはならない、そのためにわが国がなし得ることは多くはございませんけれども、しかしわが国もそのような誤算両者がすることは最も好ましくない事態というふうに考えましたので、そのような関連におきまして、多少私がそのような懸念を頭に置きました発言をいたしたことも事実でございます。幸いにしてそのような誤算は起こりませんで、事態は平静化しつつあると見ておるわけでございます。  そのような過去における経緯はございましたが、三木フォード会談において述べられておりますように、一般的に考えまして、韓国の安全、平和というものはそれ自身で当然のことながら存在するということではなく、南との、北との関連朝鮮半島全体との関連でとらえらるべきものでございますので、そういう観点から、三木フォード会談において事態認識共同声明発表をいたしておるわけでございます。総理大臣がしばしば述べておられますように、韓国の平和と安全というものは朝鮮半島全体との関連でとらえなければ論じることはできない、そういう事実をごく事実のまま認識として当然のことを述べたというのが三木フォード会談共同声明の趣旨であるというふうに私ども考えております。
  13. 上原康助

    上原委員 そうしますと、簡単に申し上げて、六九年の佐藤ニクソン共同声明における韓国条項、今回の三木フォード会談における韓国条項というのは、認識といいますかそのとらえ方、あるいは韓国情勢をとらえる日米間の姿勢としては変化はなかった、同じであるというふうに理解していいわけですか。
  14. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 朝鮮半島に戦乱が起こりました場合にはわが国としては非常に大きな影響を受けるという意味合いにおきましては、両者の置かれております地理的、歴史的な関連から、これは常に私どもはそういう認識は今日まで存在してまいりましたし、またこれからもそうであろうというふうに存じます。ただ、いわゆる佐藤ニクソン共同声明のころの事態と今日の事態とはおのずから情勢が変わっておりますので、三木フォード声明に述べられましたことは、今年の八月の時点における情勢、物の考え方をそのまま表現したというふうに私どもは考えております。
  15. 上原康助

    上原委員 そこがポイントで、いろいろ議論しなければいけないことだと思うのです。確かに時間的なずれもありますし、情勢変化もあるわけですから、同一認識であるというふうには私も思っていないわけです。正直申し上げて。  そこで、これはまた今後の課題としても議論すべき点だと思いますが、この韓国条項との関係で、朝鮮半島緊張状況が起きたという場合は、機能してくるのはやはり日米安保条約なんですね。外交面においてはそういう状態が起こらないように努力をするということは一応わかります。しかし、万一不測の事態なりトラブルが起きたという場合は、日米安保条約というものがすぐ発動される可能性がある。そこで、もし朝鮮半島有事が起きたという場合に、日米安保条約がコミットできる範囲というものはどういう点がありますか。
  16. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 朝鮮半島の平和と安定と日米安保条約との関連ということを一般論として申し上げますならば、わが国米国とそのような安全保障関係に立っておるということが、ある意味でその周辺紛争が起こらないための抑止力になっておるということは、私は一般論として申し上げましても誤りではないと思います。が、具体的に、仮にわが国周辺紛争が発生いたしましたときに、いわゆる日米安保条約上の事前協議が行われることがあるかないか、それに対してわが国がどのように対処すべきかは、やはりわが国自身の平和と安全を守る上にその事態がどのような関連を持つかということの関連において判断をせらるべき問題であろうというふうに存じます。
  17. 上原康助

    上原委員 当然そういう御答弁があると思ったのですが、やはり一応は日米安保条約関係事前協議というものがあるわけですから、朝鮮半島有事が起きた場合に米軍の出動なりあるいはその他の軍事行動の展開があったとする場合は、日米安保条約というものを発動するのかしないのか、当然そういうことが出てくると思うのですね。  そこで、事前協議の問題について、これもまあずいぶん、この十五、六年議論をされてきております。私も今回は少し時間がありましたので、もちろん十分ではございませんが、過去の会議録も私なりに読ましていただいたのですが、どう考えても疑問だらけの点が多いわけですね、多く指摘するまでもなく。ある意味では、防衛論争あるいは自衛隊論争というのが不毛の論争だとか、なかなか国民のコンセンサスが得られないということがよく指摘されているわけですが、やはりすれ違い、そもそも土台というものが余りにも異なっているような感じがするわけですね。野党の方が一生懸命事実関係提起をしたり、あるいは仮定の問題を提起をして、これでもかこれでもかと言うと、むしろそれを政府の方は逆手にとって、わからなかったこともわかったような答弁をして、すりかえて、どんどんガードを固めていったというのが今日までの安保論争事前協議の問題じゃないかと私は思うのです。  もうここでたくさん申し上げても時間を費やしますので、そこで、一体事前協議というものは本当に有効に今日まで働いてきたといいますか、あるいはそのことが十分履行されてきたと思うのか、また国民はこれについてどういうふうに考えていると思っているのか、そこいら端的に、いま私が言ったようなことも含めてお聞かせいただきたいと思うのです。
  18. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 安保条約第六条に基づきます交換公文に定められた事前協議の態様は、大きく分けまして三つあるわけでございます。が、今日まで事前協議を受けた前例はございません。と申しまして、それならばこの制度が働いていなかったかと言えば、無論そうではなく、そのような制度に基づいて安保条約の運用を行うということは日米両国間の約束でございますから、そういう約束として今日までこれは作用いたしてきておるというふうに考えているわけでございます。  で、国民がこれをどのように考えておられるかということでございますが、いわば国民関心を呼ばなければならないような、そのようなシリアスな事態が幸いにして回避されてまいりましたために、事前協議というもの自身国民関心を持つ機会が少なかった、あるいはほとんどなかったということは幸いなことであったというふうに思っておるわけでございます。これが何か現実に事前協議が行われるようなことになりましたら、国民としては大いに関心を持たざるを得ないということであったと存じますけれども、幸いにしてそのような事態が起こらずに参ったということでございますから、そういう意味では、国民がこの制度について非常な理解を持ち、あるいは関心を持つということではなく推移してまいったというふうに私どもは考えています。が、それは、そのような制度が大切な制度でないという意味ではなく、非常に大切な制度としてわれわれが持ち続けなければならない制度であるというふうに考える点では変わりがございません。
  19. 上原康助

    上原委員 そういう答弁になると、やはり宮澤さんらしいスマートさが少し出てくるんですが、私が聞いているのは、そういう立場で言っているわけじゃないんですね。そういうシリアスな事件が果たしてなかったかどうかということは、認識の問題、受けとめ方の違いなんですね。  そこで、じゃ具体的にお尋ねしますが、私は、事前協議制度というのは制度として確立をされていないと見ているんですね。しかしこのことは、一言だけ触れさせていただきますが、藤山・マッカーサー口頭了解はなかったということを、米国務省がそういう否定をしたという報道さえ現になされているわけですね。幾らでも疑問点というのはさらけ出されてきている、そこで、この事前協議制度制度として働いてきていない、これは後で二、三例を挙げますが、同時に、じゃ、事前協議制度非核原則関係はどうなるのか、お答えいただきたいと思うのです。
  20. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 この日米安保条約に基づきます事前協議制度に関しましては、その対象になります事項の第二項として「装備における重要な変更」という項目がございます。これに関しましては、いわゆる藤山・マッカーサー口頭了解というものがございまして、この内容については、アメリカ側も本年、われわれ改めて確認いたしましたが、異存がないということを言っておりますが、その中で、核弾頭及び中長距離ミサイルの持ち込み並びにそれらの基地の建設ということを意味するということは口頭了解されておる次第でございます。したがいまして、安保条約のたてまえからいたしますと、その核弾頭及び中長距離ミサイル持ち込み並びにそれらの基地の建設に関しては、アメリカ側が事前協議をかけてくるということは理論的にはあり得るわけでございます。しかしながら、他方におきましてわが国非核原則というものを堅持しておるわけでございまして、その点についてはアメリカ側も十分理解しておる、こういうことでございます。
  21. 上原康助

    上原委員 アメリカ側の理解はわかったんですが、政府としての姿勢はどうなんですか。
  22. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 この点に関しましては、三木総理もたびたび国会の場において答弁されておるわけでございますけれども、そういう核の持ち込みという話があったときは、これは断るということを明言されておる次第でございます。
  23. 上原康助

    上原委員 そこで一つの矛盾を感ずるわけですね、装備の重要な変更という場合に。もちろん配置の重要な変更も、防衛局長もきょうお見えになっているんですが、そこまで触れる時間があるかどうかわかりませんが、どうも配置の重要な変更にしましても、装備の重要な変更にしましても、戦闘作戦行動の問題にしても、架空のことをつくって議論をさせられてきたというのが私は実態だと思うのですね。いまの近代装備、いまのこの軍隊の構成なり編成、配置からして、これまで議論されたような三つのカテゴリーというものはあり得ないんですよ、素人で考えても。防衛局長、そういうこと、簡単に言ってあり得ますか。仮に六〇年安保の時代にそういうことが予測されたとしても、その後経過をして今日の時点において、たとえば陸の場合、一師団と言って二万名あるいは一機動部隊、一航空師団というようなことが現実問題として絶対にあり得ない。軍備論からしてそういうことがあり得ると思いますか、あり得ないと思いますか、簡単にその点だけ答えておいてください。これは防衛二法のときにうんと議論してあげますが、ないですよ、そういうのは。
  24. 丸山昂

    ○丸山政府委員 ただいまの御質問、平時におけるというお話であったかと思いますが、この事前協議の対象としての各種軍備の規模といいますか兵力の規模と申しますか、そこの基準の問題と、それから平時に部隊配置の変更と申しますか、こういった問題との関係は直接ないというふうに私は考えております。  いま申された一個師団以上の部隊の配置変更ということは、アメリカの海外の戦略の方針の変更、こういうことに伴って起こり得ることであると思いますけれども、現実にわが国にとってそういうことが想定されるかどうかということについては、はっきりしたことは申し上げられません。
  25. 上原康助

    上原委員 だから、いつもそういう答弁で逃げられたりごまかされている。それは実際問題としてないんですよ。事前協議制度は、平時のことは対象にしてないのですね。どうですか、それは。
  26. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 配置における重要な変更、その最もわかりやすい例として、陸上部隊の場合は、一個師団程度が日本に配置される場合には事前協議の対象となるということでございますが、もちろん、きわめて平穏な事態におきまして米側が一個師団という大部隊を日本に配置してくるということはないとは思います。しかしながら、いわゆる戦時といいますか、自衛権が発動されるような事態でなければそういうことは起こらないかということを言われますれば、そうとも限らないであろう、その間にいろいろな事態はあり得るであろうというふうに考えております。
  27. 上原康助

    上原委員 私がお尋ねしているのは、先ほど、平時にはそういうことはあり得ない、戦略上あり得ないという防衛局長答弁があったから、事前協議制度というのは平時ということを想定したものではなく、あくまで戦時を想定したものか、あなたはそれに対して、はいかいいえか答えればいいんだ。  そこで、先ほどの装備の重要な変更の点なのですが、非核原則と明らかに矛盾するわけです。その場合、大臣、この点確かめておきたいのですが、いままでは事前協議については、政府姿勢といいますか立場というのは、イエスもあればノーもあるということでしたね。その姿勢は変わらないですか。
  28. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 一般論としてそのとおりでございます。
  29. 上原康助

    上原委員 一般論というのがどうもくせ者なんですが、そうしますと、装備の重要な変更、先ほど局長答弁では、非核原則があるから、歴代の総理大臣三木さんも核持ち込みについてはノーだということを言ってきた。そういたしますと、事前協議の一つの柱である装備の重要な変更に対しては、いかなる場合もわが国としてはノーである、こう確認していいですね。
  30. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 この点、今年何回か議論をされたところでございますが、条約論としては、事前協議でございますから協議をする立場というものをアメリカは持ち、それに対してイエスの場合もノーもある、条約論としてはそのとおりでありますが、核兵器、核弾頭につきましては、総理大臣がしばしば国会で言明をされておられますように、わが国としては持ち込みを許すことは考えないというのが政府の方針でございます。
  31. 上原康助

    上原委員 それは戦術核も含みますね。
  32. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 およそ核兵器というものをすべて含むと考えてよろしいと思います。
  33. 上原康助

    上原委員 そこで、その点はまだ十分ではないような感じもいたしますが、従来と変わらないか——視界ゼロじゃなくて、少し視界が見えたようないまの答弁であったと思う。私の立場として、戦術核まで含むということをここで改めて確認をしておきたいと思います。  そこで、それとの関連で、いわゆる領海内の核積載艦の通航問題ですが、これも非核原則との関係があるし、領海拡大の問題があるわけです。海洋法会議において三海里が十二海里になるというのは、この秋でしたか夏でしたかの海洋法会議では結論が出ませんでしたが、明年のニューヨーク会議においては大体そういう結論が出ることは間違いないと思うのです。いろいろ承るところによりますと、その海洋法会議の結論を見ない前にも政府としては十二海里宣言をやりたい、いわゆる沿岸漁業の問題なり、そういう面との関連であるということが伝えられているのですが、その場合は当然非核原則というものとも関連をしてくると思うのです。これとの関係をどのように考えておるのか、この点は明確にお答えをいただきたいと思うのです。
  34. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 本来でありますと、いわゆる海洋法会議の結論を待ちましてそれらの問題を処理することが適当であろうと政府は考えておるわけでございますが、漁業との関連において十二海里ということもやはり望ましいことであるという政府部内の農林当局の主張にも無理からぬところがございますので、それならばそれをどのような形で実現をすることができるであろうかということを、実はただいま内閣官房におきまして関係各省の意見の調整を始めたところでございます。上原委員の仰せられますような問題もやはりその中の一つの問題になるわけでございますが、そのほかにも、わが国の船舶が外国を航行いたします場合の問題であるとかあるいは経済水域でありますとかいろいろな問題が関連をいたしてまいりますので、実はかなり複雑な各省間の調整を必要といたすかというふうに考えております。ただいまその議論を始めたところでございますので、政府といたしましての結論、見通しというものをただいまの段階で申し上げることができないというのが実情でございます。
  35. 上原康助

    上原委員 仮に領海が十二海里に拡大をされたにしても、よもや非核原則の弾力的運用というようなことはお考えになっておらないと思うのですが、それはそのように考えて間違いないですね。
  36. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 この辺はまだ政府部内の議論が始まったところでございますから、ただいまどう考えるかということを確定的に申し上げることができないのが実情でございます。
  37. 上原康助

    上原委員 これは、核心に触れそうなところで時間がちょうどなくなるので私もどうも食い足りないのですが、重要な問題を含んでいると思うのですよ。ですからいまの答弁では納得しません。われわれとしては、当然非核原則というのは領海が十二海里になっても堅持をするということでこの問題は進めていかないと、いろいろなことが指摘をされております。そういう点を指摘をしておきたいと思うのです。  そこで、先ほどの事前協議の問題ですが、いわゆる三つのカテゴリー、三つの態様というものがあって、陸空海、大体こういう基準だ。その基準について私も記録を見てみましたが、政府答弁というのは、パッケージとして総合的には一つになっているわけですが、具体的にどういう部隊の編成になっているかということについては、野党の方が、質問する方がこうでしょう、ああでしょうと言うことに対して、大体そうですとか、そういうことになっているわけですね。  そこで、陸の場合、一師団というのは一体どういう部隊の編成になっておって、どういうのが基準になっているかということ、あるいは海の機動部隊という場合には、一機動部隊はどういうふうな装備を持っている編成になっているか、空の場合の一航空師団というのは一体どういう機種でどういう装備がされているのか、当然この基準があると思うのですね、これだけ重要な問題ですから。これについて、政府として改めて文書でその判断基準、標準というものを提出してもらいたい。これは委員長にも御要望申し上げますが、そうせぬと、これまでの内容では判断基準がないわけですよ。しかも、十五年前に決められた、そういう先ほどの戦略的に見てあり得ないというようなことで、よりすれ違いの論議でなくして、本当にこの事前協議というものが、私が申し上げたような歯どめ的になっているのか、あるいは効力が生かされているのかを判断するには、当然その部隊の編成、内容について判断基準というものがなければいかないと思うのですね。この点、改めてここで問題提起政府の資料提出、これを求めておきたいのですが、今後の議論をすれ違いにしないために、また、われわれが疑問を持っている、あるいは国民が疑問を持っていることに積極的に答えていく、そういう意味でも必要と思うのですが、ぜひこれは出していただきたいのですが、よろしいですね。
  38. 藤尾正行

    藤尾委員長 きわめて重要な問題でもあり、かつ機微にわたる問題でもございますので、委員長といたしましては、政府側に十二分の御検討をいただいた上、提出されるものができましたならば御提出をいただきたいと存じますが、よろしゅうございますか。
  39. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 承知いたしました。
  40. 上原康助

    上原委員 判断基準、これはぜひ提出していただきたいと思うのです。そうせぬと、ここで議論を深めることができませんので……。  もう私の予定の時間が少し過ぎてあと二分ぐらいしかありませんので、これは委員長にも重ねてお願いしておきたいのですが、理事会でも話し合われましたが、本当に重要な問題をたくさん持っているわけです。決してただ言いっ放し、聞きっ放しではいけませんので、防衛法の審議の段階で外務大臣にもぜひ御足労いただいて、議論できる機会を与えていただきたいということを重ねて要望しておきたいと思います。
  41. 藤尾正行

    藤尾委員長 承知いたしました。
  42. 上原康助

    上原委員 そこで、最後にVOAの問題についてちょっとだけ聞かしていただきたいのですが、五十二年ですかの五月十五日までに撤去をするという取り決めになっているわけですが、その方針は間違いないのかというのが一つと、もう一つは撤収された場合には、現に働いている従業員というのが、米国機関のいわゆる駐留軍とは異なった形の雇用になっているということ、あるいはその跡地の問題が出てくるわけですね。ここらについても真剣にいまから取っ組んでいただかないと、またそのままにされる可能性がありますので、この三点について政府姿勢をぜひお聞かせいただいて、これはまた将来、何かの機会にもう少し具体的にお尋ねをしてみたいと思うのです。
  43. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 VOAの撤去に関しましては、上原先生から仰せのありましたように五十二年の五月十五日までにこれが撤去されることになっておるわけでございますが、この点につきましては、昨年の五月及び六月に、沖繩返還協定の八条に基づきまして、日米両国政府は沖繩のVOA中継局の将来の運営に関する協議を行った次第でございまして、その協議におきまして、わが方は、この中継局の活動はできるだけ早期に、少なくとも一九七七年の五月十五日までに終了することを強く希望するという立場を再確認いたしました。米側はこのわが方の立場を了承しまして、返還協定の八条及び同条に関する合意議事録に基づいて、七七年の五月十五日までに代替施設の建設を完了するようあらゆる努力を行うというふうに答えた次第でございます。それで、その後もアメリカ側に対して随時照会をいたしておりますが、このアメリカ立場に変わりはないというふうに承知しております。さらにその後、米国の予算の動向も見ておるわけでございますが、米国の広報庁、USIAでございますが、一九七六年度の予算中においてこの手当てをすでにいたしておりまして、この点についての予算歳出法案はすでにアメリカの上下両院を通過して、本年の十月二十一日に大統領の署名を得て成立しておりますので、先方も予算手当てを進めて撤去の方向に進んでおるというふうに了解いたしております。  そこで、これが撤去になりました場合には、いま仰せになりましたように、そこで働いておられる方々の問題あるいはその土地の問題等があるわけでございますが、この方々は、いわば米国政府機関に雇用されている方々でございまして、普通の駐留軍労務者とは立場が違うわけでございますけれども、その米国政府との雇用関係に基づいて十分な手当ては当然されるべきであり、その点についてはわれわれは十分先方のとる措置について注目してまいりたいと思います。それから、日本の国内法に基づいてもできるだけの援護はいたしたいと思っております。  それから土地の問題でございますが、これはいわばVOAといいますか、USIAとその地主の方々との私契約の問題でございますが、しかしながら、一方はアメリカ政府機関でございますから、政府機関としてその契約条項に基づいて誠実に地主との関係を終了するように、われわれとしても側面的に援助いたしたいと思っております。
  44. 上原康助

    上原委員 もう時間ですので、終わります。
  45. 藤尾正行

  46. 中路雅弘

    中路委員 いま提出されております改正案は私たちも賛成でありますし、本日の本会議に提出をしたいという皆さんの申し合わせもありますので、予定をしておりました私の質問については、ひとつ防衛の問題の質疑の際に十分質疑ができますように配慮を最初にお願いいたしておきます。
  47. 藤尾正行

    藤尾委員長 承知いたしました。
  48. 中路雅弘

    中路委員 法案について一問と、あと、防衛との関係はありませんので、前回の質問で調査をお願いしておいた問題についての答弁だけいただきまして、後の時間を瀬長議員の質問に回させていただきたいと思います。  法案について一問だけお尋ねしますが、改正点の三点の中の一つに、大使館に在勤することになる外務公務員の在勤基本手当の問題ですが、この基準額の設定が、ワシントンの在勤者の給与との比率が一〇〇対一三五となるように設定が出ています。お話で聞きますと、このパプア・ニューギニアというのは、自給経済と貨幣経済の混合経済で、貨幣経済圏に入っているのは人口の一割程度だということも聞いていますが、こういう中でこの設定の基準一〇〇対一三五というのがどういう基準に基づいて設定をされたのか、これは簡潔でいいんですが、一言で御説明を願いたいと思います。
  49. 大河原良雄

    ○大河原(良)政府委員 パプア・ニューギニアにつきましては従来からポートモレスビーに総領事館を設置いたしておりまして、総領事館からの報告それから国際機関等の統計、こういうふうなものによりまして現地の物価水準を一応調査いたしました。またもう一つ、パプア・ニューギニアという土地が比較的瘴癘の地である、こういうことを加味いたしまして、物価の対比それから瘴癘地、こういうものを加味しまして、いま御指摘ございましたようにワシントンに比べまして三五%アップということをはじいたわけでございます。
  50. 中路雅弘

    中路委員 もう一点——運輸省はまだお見えになっておりませんか。
  51. 藤尾正行

    藤尾委員長 参っております。
  52. 中路雅弘

    中路委員 これは、直接の質問は山崎アメリカ局長に先日御質問した問題ですが、横須賀の基地、ベース内にあります契約タクシーといいますが、いわゆる普通やみタクシーと言われている四十五台のやみタクシーの問題について、契約内容とその実態について調査をしていただくということを先日の委員会約束がありました。この調査の結果、契約の内容やその実態について御報告を願いたいのが一つと、もう一つは、外から入構料を払って基地内に入っている三百四両のタクシーについて、先日アメリカ局長は、入構料を取っているという点については承知しておらない、この点について事実関係を確認して、この性格等についても調査をしたいという答弁をされていますので、アメリカ局長からでも、また運輸省からでも結構ですが、先日の委員会約束していただいたこの二つの問題について御報告願いたいと思います。
  53. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 お尋ねの件に関しましては、まずNCTタクシーにつきましてはアメリカ側からその後関係資料を入手いたしまして、これを運輸省にお渡しして、現在その内容について運輸省の方で御検討願っておりますので、その御検討の結果を待った上でわれわれとしても判断いたしたいと考えております。  それから第二点の米軍出局の入構許可を得てこの横須賀の基地外から乗り入れております一般タクシーにつきましては、地位協定の第十五条に規定しますネービーエクスチェンジ当局に対して、御指摘のとおり入構料を納付していることは事実でございます。この入構料というものがどういうふうに使われておるのかということにつきましてわが方からアメリカ側に照会いたしましたところ、次のようないろいろなサービスを行うために要する経費として使われているという旨の回答がありました次第でございます。  その内容を申し上げますと、第一にタクシー協会との契約の管理、第二にタクシー待ち合い区域及び関連標識の整備、第三に入構希望者の審査及び通行証の発行、第四に入構する車の検査及び検査済み証の交付、第五にタクシー運転手と乗客との間のトラブルの調査及び解決、第六に基地内における交通及び安全規則違反の処理ということでございまして、そういう目的のために使われておるということでございました。
  54. 山下文利

    ○山下説明員 ただいま御指摘のございました横須賀におきます米軍基地内のタクシー類似行為につきましての実態でございますが、先日の半委員会で先生から御教示をいただきました内容とほぼ同様の内容を私ども確認さしていただいてございます。  それから、その際に宿題として命ぜられました、契約書を取り寄せて法的性格を検討するようにということでございましたので、早速契約書を取り寄せまして検討いたしました。その契約書と申すのは、一九七五年六月二十七日に更新をいたしました契約で、ネービーエクスチェンジ、これは代表者はリー大佐でございます。それとインターナショナル・オート・サービシーズの代表者ヤング氏、この両者の契約をもとにいたしまして検討さしていただいたわけでございます。  その結果、まずその法的性格はどうであるかということを検討するに当たりまして、その営業主体がだれであるかということを確認せざるを得なかったわけでございます。ところが現在の段階では、契約書内容からだけではだれが営業主体であるかを確定するまでには至ってございません。と申しますのは、二、三例を挙げさしていただきますと、営業権として一番主体をなしますのは運送収入管理でございますが、この水揚げはネービーエクスチェンジの方にすべてこれを納入するというたてまえになってございます。納入された金額につきましては、必要経費についてはヤング氏の方に払い戻すというたてまえをとってございます。その面に着目いたしますれば、経営主体はネービーエクスチェンジではなかろうかというふうな判断もできるわけでございます。あるいはこれを反論いたしますれば、単に経理面の手続だけだという反論もあるいはできるかもわかりません。それから第二点といたしまして、施設とかあるいはガス、水道、電気、そういったものはすべてネービーエクスチェンジが提供いたしておるというたてまえをとってございます。それから第三点といたしましては、お客さんとのトラブルとか事故とか、そういったものについてはネービーエクスチェンジが主体になるような見方ができるような契約内容もございます。そういった点からすればネービーエクスチェンジが主体であろうかという見方もできるわけでございますが、逆にインターナショナル・オート・サービシーズが労働者を雇用するとか、あるいは自己の車を使用して労務を提供するとか、こういうふうな規定になってございますので、その面に着目すれば労務管理面あるいは車両管理面はすべてインターナショナル・オート・サービシーズの責任であるので、こちらが主体になるのじゃなかろうかという読み方もできるわけでございます。またこれに対する反論といたしましては、車両のリースをやっておるのじゃないか、あるいは労務提供的な下請契約じゃなかろうかという見方もあるいはできるわけでございます。そういったいろいろな法律的な見方ができますので、なお実態を照らし合わせながら法的解釈につきましては検討を続けさしていただきたいということで中間報告とさしていただきたいと思います。
  55. 中路雅弘

    中路委員 きょうは説明だけでとどめておきたいと思いますが、最後に要望ですが、いま非常にむずかしいややこしい状態にあるわけですね。先日私が質問しました、実態はほぼそのとおりだということをお認めになった。きょう私はこの問題を詰めていくことはやりませんけれども、先日も私の質問の後、横須賀を中心にした神奈川県のタクシー業界の代表の皆さんが大ぜいお見えになりまして、この問題の解決についていろいろ御相談になりました。私も、きょう報告になったこの実態を踏まえて関係者とも相談をしていきたいと思うのですけれども、一つだけ要望しておきたいのは、現実にこういう中で入構料まで払って外から入っているタクシーが二百八十円、中のもぐりタクシーといいますか、契約タクシーが百九十円という大きな差があります。私が指摘しましたように、中の乗車位置も全く差別をされているという状態、これは事実でありますので、法的な問題は別にしましても、とりあえず、これだけ大きな差別がつけられているという問題については、ひとつアメリカの方にも物を言っていただいて、外務省なり運輸省なり、相談していただいて、少なくともこの大きな差別の改善、たとえば停車位置は平等にするとか、こういった問題については現状の中でも物が言えるのじゃないかというふうに私は思いますので、最後にこの点だけ、ひとつ運輸省も外務省とも相談されて、関係の方面にも意見を述べていただきたいというのを最後に要望で述べておきたいのですが、一言これについてだけお答え願いたい。
  56. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 この契約タクシー及び一般タクシーとの問題につきましては、いま運輸省からも御説明ございましたように、また私も申し上げましたように、非常に複雑でございますので、よく実態を見きわめまして調査いたしまして、その上で是正すべき点があれば是正するように米側に申し入れたいと存じます。
  57. 中路雅弘

    中路委員 じゃ、かわります。
  58. 藤尾正行

  59. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 ベトナム後、特に沖繩基地が訓練から部隊の配備あるいは装備の問題まで非常に変わっており、基地そのものが朝鮮に照準を当てて動いているというふうな状況の中で、B52が再飛来する、さらに伊江島におけるB43、原爆の核模擬爆弾のBDU8B、これの投下訓練が行われておりまして、二十日の沖特委でも植木総理府総務長官に質問をいたしました。  最初に、BDU8Bの投下訓練について富澤外務大臣に質問をいたしますが、その前に、BDUの訓練がどういうふうになされているか、ここに写真がありますから宮澤外務大臣よく見てください。これは、一はF4ファントム、これが射爆場の上に来てまさに落とそうとするところ、それから二は、減速用のパラシュート、これが開いて落ちようとするところ、飛行機も一緒です。それから三番目が、飛行機は大体三百メートルから平行飛行でやっています。これは、BDU8B、これだけがいま落ちようとするところ、この三つが写真になっております。これは日本では初めて写されたF4ファントムの写真であります。  それで質問でございますが、いま申し上げました二十日の沖特委で植木総理府総務長官は、伊江島における射爆場の撤去、これは伊江島全村民の願いであり、県民の願いであるという問題、さらに原爆投下訓練、これを即時やめさせるということをはっきりお答えになりました。で、植木さんと同じような考えを宮澤外務大臣もお持ちであるかどうか、最初にこの点を明らかにしてもらいたいと思います。
  60. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 植木総務長官が答弁をされました報告を聞きましたので、アメリカ局長からすぐに処置をするようにということで申しました。局長からその御報告を申し上げます。
  61. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 この核模擬爆弾の投下訓練は模擬爆弾の投下訓練でございまして、たびたび御説明申し上げてまいりましたとおり、政府といたしましては、これは日米安保条約及び関連取り決めに反するものではないというふうには考えております。しかし、十一月二十日、植木総理府総務長官が沖特委におきます瀬長委員に対する御答弁で述べられましたところに基づきまして、外務省に対しまして、この訓練を中止するようにアメリカ側に要請してほしいという御要望がございました。そこで私は、二十一日に、在京米大使館のシュースミス公使に対しまして、口頭で、この模擬爆弾に対する日本国民ことに沖繩県民の気持ちというものを十分伝えまして、中止をしてもらいたいということを申し入れたわけでございます。これに対しまして、同じく二十五日にシュースミス公使から私に対しまして口頭で回答がございました。このわが方の要請については早速米軍とも協議したが、アメリカとしては核にかかわる問題に対する日本国民、ことに沖繩県民の強い感情というものは十分承知しております。しかしこの訓練は米軍の即応体制を確保するための重要な要素であるということを申し述べまして、訓練に当たっては安全対策上十分な留意を払ってこれを実施する、また訓練は米軍の任務遂行上必要最小限度にとどめるべきことは従来約束してきたとおりであるというふうに申し越した次第でございます。われわれといたしましてはそういう回答にかんがみまして、この訓練それ自体は安保条約の規定に違反するものではないということでもございますので、その回答を受け取った次第でございます。
  62. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 植木長官の答弁と従来の外務大臣あるいは山崎アメリカ局長など外務省の答弁との違いは、外務省はこれまで、安保条約には触れないが、国民感情があるので最小限度にとめてほしいという答弁が各関係委員会で述べられておりますが、この問題とは別に、植木長官の射爆場の撤去、さらに演習の中止、これは当然のことながら要請するというはっきりした大臣としての答弁は初めてなんです。したがいまして、三木内閣のいわゆる統一見解としてどれが正しいのか、私はそれをきょう明らかにしてほしいと思います。二十日の沖特委での答弁は、もうはっきりしているのです。何の疑いなしに、本当に県民の気持ちはよくわかる、中止要求、さらに射爆場の撤去。この点は、とりわけいま海洋博の開催中であり、海洋博の会場からわずか西に四キロの地点でこんな恐ろしいことが行われている。国際的にも好ましくないだけではなくて、県民は、さらに国民は原爆に対する特殊な、どこの国にも持っていない感情があるからこそ非核原則も生まれたはずである。そういった意味で一体内閣としてどれが本当なのか。いま言ったように最小限はもうしようがない、させる——最小限でもどういう最小限であるかわからぬわけなんだな。アメリカがやればこれは最小限だと言う。あのとき日曜日なんだ。しかも十五分で六個も落としておる。いま写真はその十六日に六回落とした中での写真なんですね。ですから、三木内閣の統一見解として、原爆投下訓練、模擬爆弾であってもこれは中止させるという植木総務長官のその考え方が内閣の意見であるのか、あるいはいま言った最小限、これはしようがないが最小限にやってほしいというのが統一見解であるのか、そこら辺をはっきり宮澤外務大臣の口から御答弁お願いしたいと思うのです。
  63. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 総務長官の答弁を詳しく私読みました上でお答えをすべきであろうと思いますけれども、ただいまそのいとまがございませんままに申し上げますれば、米軍としてはこのような訓練をする権限は安保条約で与えられておると考えるべきでございますが、現実の問題として、しかしそれをみだりに行使してほしくないというのが私どもの主張であって、したがって条約論あるいは法律論といたしましては米軍にはそのような権限はあると考えるべきであろうと存じます。現実の問題としては、ただいま御指摘のような事情がたくさんございますから、このような権限を用いることは最小限にとどめてもらいたいと考えております。また、現に今回の問題も米軍はすでにそのような演習は中止をいたしておるわけでございます。
  64. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 これは、二十日の委員会では「植木国務大臣 十分地理的な位置は承知しておりますし、私も訪問をしたところでございます。先ほど来申し上げておりますように、平和なこの島に射爆場があること自身が問題であるということで、その移転について要請をしている立場でございますから、」それを要請している射爆場の移転は。「したがってこれは即刻中止をしてほしいというのは県民の方々と同じ考え方でございます。」さらに「同じ考え方であるのではなくて、アメリカにどうされるつもりかを聞いているのです。」との私の再質問に対して「植木国務大臣 即刻中止をせられるように要請をいたします。」こういうふうな、これが答弁なんです。これはニュアンスではなくて、いままでの大臣答弁は、ずっと調べてみましてもいまのような答弁なんですね。ところが、これは国民感情もあるので最小限にしてほしい、これは即刻いわゆる即時中止、これとは非常に違うのです。だから、その問題について内閣は、はっきり統一した見解を、植木さんも大臣であり、それから宮澤さんも大臣である。同じ大臣が、沖繩担当の大臣が即刻中止と言う。また宮澤外務大臣は、やるのは好ましくはないが最小限仕方がない、安保条約はこれは違反ではないとかといったような、許しておるという範囲である。答弁であるが、それは食い違いがあるのですね。そこを統一見解をぜひまとめてこの委員会発表してほしいと思います。
  65. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 ただいま瀬長委員が御紹介になりました限りでの植木総務長官の御答弁は、即刻中止を要請するということでございます。外務省を通じまして中止を要請して、現に今回の訓練は中止をされた、やめられたという報告を受けております。植木総務長官が未来永劫こういうことはやらないように米軍と話をすると言われたのでありますと、これは政府の見解が一つでないではないかというお尋ねになろうかと思いますが、ただいま承りました限りでは、そのような答弁を総務長官がしておられるようではないように存じますので、その間矛盾はなかろうと存じます。
  66. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 未来永劫やらないというふうなことは、もちろんそれは大臣で未来永劫——この安保条約が未来永劫あるかどうかも問題ですからね、そんな答弁大臣やらぬですよ。問題はそのときの実情として、日曜日にはどういう射撃訓練もずっとやっていないのです。この前私行きまして、バルカン砲の訓練をやっておりましたが、普通日曜日、土曜日はやらない。ところがあのときは日曜日にやっていて、現に七十二歳になるおじいさんが草刈りに行っている途中で信号があって、この信号があったときには、すでにもう飛行機はこっちへ来ておる。音速ですからそうなるわけなんです。五名のお年寄りが草刈りをしておる。この状況の中で十五分間引き続きやられておるという問題と、いまの国際情勢、海洋博の問題との関連で、しかも村民は、射爆場はどういう爆弾であろうが演習をやっちゃいかぬということを二回にわたって決議しておる。議会も、伊江村議会ですね。村長にも会いました。それが爆弾投下の問題もそうです。ですから即時中止の問題は、現時点で植木さんも大臣ですから、安保条約がどういうふうな性格であるぐらいは御承知なんですよ。その上での中止要請は、大臣としての初めての答弁であるだけに、私これは非常に重視をしているわけなんです。このような方向で行くことが私は望ましいと思うんですよ。安保条約上はしようがない、認めているからまあまあ最小限というような答弁ではなくて、国民が本当に要求し、国民に説得力のあるのは、いま植木さんが言ったような中止という要求、最小限などというのではなしに、中止を要求するという姿勢こそ、全国民の核問題に対する感情も絡んで当然の要求だと見ているのですが、いまの中止とそれから最小限の要求というのは、大臣、非常に違うのです。だからきょう御答弁できなければ——これは二十一日の閣議後の記者会見で、植木さんは早急に米側に伝えるといったような、中止ですね、閣議でこれが報告された後の記者会見なんです。ですからこの点について統一見解を示してもらわないと、両方大臣でしょう。どっちが一体——こっちは大臣、向こうは長官で沖繩担当大臣なんです。この点は、沖繩県民だけではなくて、核問題が関連して非常に重視をしている。あれはB43核爆弾、いわゆる広島原爆の約五倍ぐらいの力を持つような原爆の模擬弾が、いま投下訓練されたBDU8Bですから、その点についてはっきりしたお答えを願いたいというのは、私だけの気持ちじゃないわけなんですよ。いかがですか、統一見解、未来永劫じゃないのですよ、安保条約のもとにおける問題。
  67. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 植木さんと私のお答えが違っておるというふうには、ただいま御紹介になりました限りでは私は思いませんけれども、住民に迷惑が大変にかかるというふうなことは、これは極力避けなければならないということ、考えております点ではこれは一緒でございますから、植木さんが、先ほどの御紹介によりますと、代替施設を見つけられるものなら人に迷惑のかからないようなところへ移転をするというようなことも考えるというお話でございました。そのようなことの可能性をやはりこれは一緒になって考えていかなければならぬ、そういう努力は私ども常々いたさなければならぬことで、この問題でもさようであろうと思います。ただいまのところ両者の見解が違っておるというふうには、私が承りました限りでさようには考えません。
  68. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 この点はもう少し後で詰めることにしまして、沖繩県の屋良知事が十二月一日に瑞慶覧基地でハッチ在沖米四軍調整官、これは海兵隊基地司令官でありますが、これに会ったときに、伊江島射爆場での模擬爆弾の問題、これをすぐやめろと言ったときの答えが、いま大臣答弁との関連もありますが、現時点で、現在その施設として伊江島にかわるべき施設がないのでやめるという明言はできないんだというふうなことを答弁しております。これについて、何か新しい伊江島にかわるべき場所について日米政府で検討されておるのかどうか、ここら辺はどうですか。
  69. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 仰せのとおり伊江島は沖繩海洋博の行われているそばにございますし、また村民の方々にもそういう射爆演習というものはいろいろな御迷惑をかけておるということも事実でございますので、これにかわるべき射爆場があるならば移転してもらった方がよいとはわれわれも考えておりまして、この点につきましては防衛施設庁とともにいろいろとわれわれとしても検討いたしておるわけでございますが、まだ結論を得るに至っていないというのが実情でございます。
  70. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 いま沖繩の離島で鳥島というのがありますが、硫黄鳥島じゃなしに、その鳥島で漁民が目撃しておるのは、出砂島のそばの鳥島で現在射撃訓練が、いわゆる空対地の訓練が行われているということでありますが、何かこれとの関連もありますか、いまの局長のお話。別に移すという……。
  71. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 いま仰せのありました鳥島というのは、出砂島のそばのでございますか。——米軍は出砂島にも射爆訓練場を持っております。そういう問題も踏まえまして、われわれとしてはいま検討しておるということでございます。
  72. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 いまの模擬爆弾投下の問題は、時間がありませんので後で詰めることにして、B52の問題について質問したいのです。  B52ですが、緊急やむを得ざる場合のほかは飛来しないということを山崎局長はこの前の沖特委でも言っておりましたが、台風のほかに緊急やむを得ない事態ということで、もし朝鮮情勢関連してB52が常駐、これを申し出た場合にどうされるかという問題があります。これは仮定の問題ではなくて、B52が常駐体制に入る布石として、十八日でしたか、あの二回目の飛来は、十七日の県議会の全会一致の抗議決議のすぐ翌日やってきたというような問題とも関連して、どうも非常にリアルな事件になりまして、これは台風ではないということを県民も、さらに気象関係を知っている国民も考えておる。それと符節を合わせまして——B52が飛来しておるということは台風の問題もあるが、過去三カ年間沖繩に来ていない。そのとき、台風のときにはウタパオに行った。今度、これは十一月十九日の沖繩原水協の吉田理事長らが沖繩にある領事館に対して抗議した。そのときに領事が、これはジョージ・A・ファーネスという領事なんですが、この三年間、グアム島への台風接近の際にはB52はタイのウタパオ基地に移動していた、それは朝鮮情勢が現在ほどのものではなかったからだと述べ、B52が再飛来をしたのは、朝鮮情勢変化に伴うものだということを答えておるのです。したがいまして、この領事の言葉は明らかに朝鮮に照準を向けておるという問題、この点について大臣どうお考えになるか、これは将来に向けての国民の不安を、さらに国民の安全を保障するための大きい問題であるのでお答え願いたいと思います。
  73. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 ちょっと事実の問題として申し上げておきますけれども、十一月八日及び十八日の二回にわたりましてB52が嘉手納に飛来いたしましたのは、いずれもグアム島に接近しました台風の避難のための措置でございまして、われわれはその点は事実を確認いたしておりまして、全くそういう台風避難のための緊急やむを得ない一時的な飛来でございましたし、また、そういうことでございましたから、天候が回復次第いずれも嘉手納を退去した次第でございます。  沖繩におりますアメリカの領事が何か言ったということでございますが、われわれはその点は確認いたしておりませんが、東京においてわれわれが確かめた限りにおきましては、そういう全く台風避難のための飛来であったというふうに考えております。
  74. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 いまアメリカの責任ある領事の口から、台風もさることながら、朝鮮との関連があるということをはっきり団体の代表に言っていることを非常に重視しなければならないのです。  そこで、時間がありませんので最後にこれだけ申し上げておきますが、十一月八日に飛来したB52は二日後に行っており、さらに十八日に飛来したのは五日後、それぞれグアムに向けて発進している。問題はこの発進の状況なんです。これは二機、三機が一分間間隔で飛び立っていくということなんです。一番機が離陸したときには二番機はすでに滑走路に離陸態勢に入っておる、三番機が滑走路に進入してくる。これは速やかな反応のための最短間隔離陸に近いもので、まさに実戦訓練を兼ねたものだ。これは軍事的に見ると、もうはっきりしているのです。いま一つは、例のホリングズワース、韓国にいるアメリカの司令官が例の短期決戦作戦を当時のシュレジンジャー国防長官に提言したときに、嘉手納飛行場から二分間で一機ずつ、何かいわゆる一波というのは一機という意味に解釈するらしいのだが、二分間に一機ずつ、しかも四六時中飛んでいく、それで九日間に北の軍事力を完全に撃滅するという計画、これと非常に関連し、さらに七月二十八日、これは在沖海兵隊広報部のシェルトン大尉のはっきりした新聞記者に対する情報で、韓国で何かが起これば、われわれ第三海兵師団は二十四時間ないし三十二時間内に出動できる、いわゆる臨戦即応態勢をとっているということをこの広報部の大尉が言っておるということと関連すると、いまのB52が、朝鮮情勢との関連で、いわゆる米日韓軍事同盟体制方向で強められつつあるということを、現実に沖繩の基地の体制がなりつつあるということを証拠立てております。これは、ただ法制上はこういうふうな答弁でありますとかいうふうなこととは違って、現実に日本国民の安全と、それからいわゆる生活の問題ときわめて結びついておりますので、この点、アメリカの領事は、はっきり朝鮮と結んでいる。われわれは、表面上アメリカ発表は台風だと言っております。この違いを明確にしてもらわないと、現在の安保条約のもとにおける朝鮮に焦点を合わせた米日韓軍事同盟体制への移行という問題が実に沖繩基地だけでも明らかになりつつある。その点をぜひ大臣、一言でいいので、B52の常駐を申し入れられた場合には拒否するということをここで御答弁できるかどうか、はっきりさしてほしいと思います。
  75. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 先般のB52の沖繩飛来につきましては、われわれは権限と責任のある米国当局からその理由を聞き、またそれが事実によって証拠立てられておりますので、仮に領事というような人がそのようなことを申したといたしますと、それは間違いであるというふうに申し上げざるを得ないと思います。
  76. 藤尾正行

  77. 鬼木勝利

    鬼木委員 外交問題につきましてはいろいろお尋ねしたいことがありますが、いずれまた外交、防衛という問題でとっくり大臣お尋ねしたいと思いますので、きょうは簡単にお尋ねいたしたいと思います。  今回かかっております本法案については、若干あるようですけれども、これは大体においてさしたる問題もないようでございます。     〔委員長退席、木野委員長代理着席〕  私が大臣に特にお尋ねいたしたいのは、先般参議院の予算委員会で覇権主義の内容について四項目をお示しになった。その内容の解釈を中国承認する、そういう理解をするということになれば、日中友好条約の前文でもあるいは本文でも覇権問題を取り入れても差し支えないと、こういうことを参議院の予算委員会大臣が御発言になっておる。そうしますと、公式に外交ルートを通じて政府のこの意向を中国側にお伝えになったと思います。国連総会ですか、宮澤大臣がお見えになって、喬冠華中国の外相とお話し合いになっておる。ところが、中国側からそれの回答があっておるのか、どういう反応があったのか、そういう点がまだ明らかでないようでございます。その辺の事情をお尋ねしたいと思います。
  78. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 先般参議院の予算委員会におきまして、公明党の矢追委員お尋ねに対しましてそのようなお答えを申し上げたのでございますが、その節も申し上げましたように、この点についてはわが国においても国民的なコンセンサスを得ることが必要と存じますし、また先方におかれてもニューヨークの会談の分析をしておられるであろうと存じますので、したがいまして、そのような時期が熟してまいりましたならば、そして中国側でもその点についての検討を終了したというふうに考えられるような時期が参りましたら、ひとつこういう考え方でどうだろうかというようなことは何かのことで接触をいたさなければならないとは思っておりますのですが、当時申し上げましたように、もう少し時間をかしていただきたいと考えておるわけでございます。
  79. 鬼木勝利

    鬼木委員 なるほど、いま大臣がおっしゃったように、中国の喬外相と御会談をなさって、わが方におきましても国民的総意、合意を得るためには努力をいたしますので、あなたの方でもどうぞ十分この覇権問題については、私の方から申し出ていることを十分分析をして御研究を願いたいと、こういうふうにおっしゃったと、それはいま大臣のおっしゃったとおり。しからば、時期が来ればこれは何とかなるでしょう、つまり向こうの返答待ちだというようにいま私は理解しますが、いつまであなたはお待ちになるのか、また、国民的合意を得るためにどのようにあなたは努力なさっておるのか。三木総理はその場合に、できる限り早く締結するようにいたしたいと思います。こう言っている。ところがいま大臣は、返事待ちだ、いずれ時至らばというようなお考えで、じんぜん延引をしておられると思いますが、どのように大臣努力をなさっておるのか、その辺のところをもう少しつまびらかに御答弁願いたいと思います。     〔木野委員長代理退席、委員長着席〕
  80. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 ニューヨークの会談をいたしました後、たしかこれは記者会見でも私から、数週間ないし数カ月というようなことを申した記憶がございますが、私どももいろいろ検討しなければならない問題もございますし、恐らく中国においても、その後欧州各国の首脳あるいは米国の首脳の来訪等があっておるようでございますから、外交的にはかなり多忙であったろうというふうにも考えられます。したがいまして、じんぜんという御指摘でございましたが、のんべんだらりと私どもしておるつもりは気持ちの上ではございませんので、お互いにまずまず検討をするだけの十分な時間が経過したという段階を私としてはとらえなければならないと思っております。総理大臣もしばしば言われますように、わが国としてはできるだけ早くこの条約はできるものならばつくり上げたいと思っておる点に変わりはございませんので、いつまでもほっておいてよろしいとは私は存じておりません。中国側の外交日程などもいろいろこちらから想像しつつ、まずしかるべき時間が経過したと思われるようなときに何かのことを考えなければならないとは実は考えております。
  81. 鬼木勝利

    鬼木委員 だから総理が、できる限り早い機会にこの締結をいたしたい——そうしますと、あるいは数カ月というようなことをいま大臣はおっしゃっておるが、何を根拠に、数カ月、その間にはこれは締結が可能であるという御自信があってそういうことをあなたはおっしゃったのですか。その点がどうも私ははっきりしないと思う。いま大臣は、一生懸命努力いたしております。なるべく早くやりたいと思います——ところがまた一方においては、数カ月の間にはと、こうおっしゃる。その根拠をもう少し合理的に御説明願いたいですね。そういうことは私ら納得がいかないんですね。何の根拠があってそういうことをあなたはおっしゃるのか。非常に矛盾していますよ、おっしゃることが。非常に頭脳明晰ということで、現内閣においても宮澤外務大臣といえばまことにさくさくたるものがあるけれども、どうもおっしゃることはすこぶる不可解、私は納得がいかない。その点もう一言どうぞ。
  82. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 その点はいろいろ微妙な問題もあるわけでございますが、せんだって矢追委員に申し上げましたような数点につきまして、私としては日本考え方として喬冠華外務大臣にお話をいたしたわけでございます。  矢追委員にも申し上げましたが、これについて先方は同意をしたということではございません、しかし理解はされたものと思う、というふうに申し上げました。  それからもう一つ申し上げておかなければなりませんのは、長い話をいたしております中で、日本には日本考え方中国には中国考え方が当然にあるわけでございましょうと思いますが、ひどく無理な結果になるようであるならば、共同声明というものが炳乎として存在をしておるのであるから、非常に無理をして悪いしこりを残すような条約の交渉であれば、それは共同宣言があるので、別段、先方の言葉をかりれば、天が落ちてくるわけでもない、両国はうまくいっているではありませんかというような指摘もあったわけでございますから、この辺のところはよほどこちらでもよく見きわめないといけないという問題がございます。  もとより、両国ともできるだけ早くつくり上げることが望ましいという点では一致をしておるわけでございますが、言ってみますれば、自分の方の立場に基づいて結びたいと考えるのは、これはごく自然の情でございますが、その間の話の詰めが可能であるかどうかというようなこと、これはやはり考え合わせてまいらなければならない。そういうような会談の環境であったわけでございます。そういうことも考えつつ、私としては少し時期を見ておるということでございますので、いろいろ微妙な点がございますので、私の御説明が必ずしも明快でないという御指摘はごもっともかと思いますけれども、そんなことを考えておるわけでございます。
  83. 鬼木勝利

    鬼木委員 それは、いまのあなたは御事情をおっしゃったので、どういうあなたのお見込みというか目安というか、数カ月と言えば、二、三カ月のこと、だろうと思いますが、それに限定された。それではそこに大きな確信があり、あなたに御自信がある、だろうから、その根拠を私はお尋ねしたのですけれども、どうも答弁が私は納得がいきませんので、これはまた近々のうちに外交、防衛の問題がありますので、三、四時間ほど私は申し込んでおりますから、またたっぷりと御相談申し上げる。  そこで、中国側が覇権問題で日本政府に対して一体どういうことを求めているのか。いまあなたのおっしゃったことを承れば、大体理解はしてもらっておると思う、大差はないと思う、考えは同じのようであるというようなことをおっしゃったが、いま国民が一番知りたいのは、一体どこに食い違いがあるのか、どこでひっかかっておるのか。それはむろん覇権問題でしょう。そうですか、四項目というのは、あなたがおっしゃったのだから、特定の第三国を対象としない、日中が共同行動を構えることを意味しない、世界のどこででも覇権には反対しておる、覇権反対は国連憲章の精神と一致する、あなたの御発言だとこういう四項目の内容だ、こう私は理解しておりますが、それが一体どこに食い違いがあるのか、国民が一番知りたいのはそこなんですよ。いま日中友好条約が締結されない、これにひっかかっている、じゃ一体どこに食い違いがあるのか。  この覇権条項を本文に入れても差し支えないとあなたは明言された。これは大きな前進だと私は思いますが、一体どこに筋違いがあるのか、そこがどうもはっきりしない。大体において意見は同じようなところだ、だからいま少し時間をかしてくれ、そこの点ですね、一番国民が知りたがっているのはそこなんですよ。大臣もそれはおわかりだろうと思いますが、新聞とかあるいはその他の方面におきまして、中国側の主張とわが国の方針のどこに食い違いがあるのか、国民はどうしてもその点が理解できない。  あなたは先ほどもおっしゃった。国民の合意を得るように十分私の方も努力をいたします。だから喬外務大臣に、あなたもどうぞ貴国のお話をまとめるように努力してください、お互いにこの点につきまして努力をしようじゃないですか、こうしたお話をなさっておる。まことに結構な話なんだ。これは私は妥当なお話だと思う。ところが国民は全然これをわかっていないのだ。一体どこに食い違いがあるのか、その点大臣お話ができませんか。
  84. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 お互いに何とか条約をまとめ上げようという熱意を持っておるということがはっきりいたしておりますし、またそのためにはいわゆる小異は捨てて大同につかなければならないではないかということでも同じ精神であろうと考えるのでございます。そういうことでございますので、ここが違うのですというようなことを私が余り公の席で申し上げてしまいますことは、交渉というものをやりますときに、いわゆる小異は捨てるのだということからいいますと、先様にも迷惑をかける心配があろうと思います。でございますから、私は具体的にはそこを申し上げずにおきたいと思うのでありますけれども基本的に話をしてみまして、当然のことではございましょうけれどもわが国平和憲法というものを持っております。中国中国で具体的に安全の脅威にさらされておるというふうな認識を持っておって、そしてそのためには、国の、民族の生存のためにならばこれに対しては立ち上がらなければならない場合もある、こういう認識を当然のことながら持っておる国でございますから、そういう点で国のでき方と申しますか、憲法と申しますか、そういうところは当然のことながら両国一緒ではございません。もとより基本的に平和を希求しようという点で私は変わりがないと思うのでございますけれども、置かれておる環境というものあるいは歴史というものは異なるし、憲法も異なっております。  で、何が違うと言えば、私は、そういう点では両国はかなり違った実情にあるということは申し上げてもいいのであろうと存じます。しかし、それにもかかわらず一つの条約をつくることが可能ではないだろうかと私も喬冠華外相も考えておるわけでございますから、そういうことの中から一致点を見出していきたいというのがいま私どもが苦労しているところでございます。
  85. 鬼木勝利

    鬼木委員 それでは、いいですか大臣、あなたは参議院の予算委員会ででもなぜその点を明確にしていただけないか。もう少し明確に基本的には両国ともにほとんど意見は合致いたしております。しかしながらいま一点、いささかその点がまだ調整の時期でございますのでわが方もこのように努力します。向こうも努力するという約束のもとに不日回答も来ると思いますので、外交上のことで申し上げにくい点もありますので、その点はひとつ私にお任せ願いたい、必ず不日解決をいたしますのでと、なぜそのようにはっきりおっしゃっていただけないか。(「言っているじゃないか」と呼ぶ者あり)そういう点、いまおっしゃっているけれども参議院ではおっしゃっていない。でございますから、私どもがなぜそういうことを申し上げるかといいますと、時間がもうわずかしかありませんからなんですが、御承知のソ連のプラウダは、いかなる形にしろ日中平和友好条約に覇権条項を盛り込むことはソ連に対する友好的態度ではない、こう述べておるのです。これはごらんになったでしょう。これに対して私はいろいろな問題があると思うのですが、こういうことが日中友好条約の阻害になっている。これは簡単な問題じゃない。これに対して私の考えでは、これはある意味から言えば内政干渉だ。そういうソ連の態度に対して国民は非常に不快に思っておりますが、何か反論をなさったか。いや、それは正式に外交ルートを通じておれのところに言ってきたわけじゃないからとあるいはおっしゃるかもしれないが、反論をなさっていないとするならばどういうお考えを持っていらっしゃるか。こういうこともあって、事実中国の食い違いの一点のみならず、こういう点をあなたはお考えになって右顧左べんなさってじんぜん延引をなさっておるのではないか。  じゃ、そうじゃないとおっしゃるならば、これに対してどういう対策をとられたか、反論をなさったか、弁解と言うとおかしいですけれども事情を申し述べられたか。その点について、これもまた、まことにもって申し上げかねますとこうおっしゃるならばそれでも仕方ない。どうですね。
  86. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 ニューヨークにおきまして、同じくソ連のグロムイコ外務大臣から私に対しまして、日中で行われております交渉についての懸念の表明がございました。それに対しまして、御承知のように日本平和憲法というものを持っているのであって、中国との友好が深まることは政府としては非常に望ましいと考えているが、その結果としてソ連と敵対関係に立つというようなことは、お考えになってもおわかりのように日本平和憲法の許すところではない、そういうことは日本としてできないことは当然おわかりのはずであると言って私はグロムイコ外務大臣にお答えをし、私は答えとしてはそれで十分であるというふうに考えておるわけでございます。でございますから、問題は、日中間の交渉におきましてでき上がりましたものが第三者的に見て、公平に見て、これがソ連に対して非友好的なものでなければそれでよろしいわけであって、それをなおそのように言われるとすれば、それは言いがかりということになろうと私は思うのでございます。でございますから、そういうものをつくり上げるということがわが国の国益に合致するのである、私はそう考えておりますわけで、どういうものができるかということを御存じなくソ連の新聞が何かを言っておられるとすれば、それは別段反論に値しない。私どもがこれならば日本平和憲法にかなうと確信できるものができました節になおそういうお話があれば、それは反論をいたさなければならないと思いますけれども、そのようなものができておらない段階でいまのような新聞の論評がありましても、私は別段反論するに値しない。わが国立場は、グロムイコ外務大臣に、先ほど申しましたように直接にお伝えしておるところで十分にはっきりしておると私は考えております。
  87. 鬼木勝利

    鬼木委員 いまおっしゃったように、正式に外務大臣に対して日本立場をはっきりされた。ことに特定の第三国を意味するものではないということがはっきり四項目の一に載っておりますので、これは決してソ連との非友好的なものじゃない、そういうことを意味するものじゃない、そういう点も——気がねをなさっておるんじゃないかというような懸念がありましたので、私はそういう点ははっきり堂々とソ連によくわかってもらうという努力を十分していただきたい。いまの大臣の御説明でまことに機宜を得た御処置であった、その点は私了承いたします。  もう少しまだお尋ねしたい点がありますが、きょうは覇権問題だけで終わっておきます。あとはまた。ありがとうございました。
  88. 藤尾正行

  89. 受田新吉

    受田委員 ただいま上程されている法案はきわめて簡単な問題を含んだ法案であります。直接この法案に関連してお尋ねをします。  外務大臣在外公館勤務される外交官、それらの方々が転任をするとき、旅費が本当の実費が弁償されているかどうか、また住宅に住まうとき、国によっては住宅事情の非常によい国もあれば厳しい国もある、そういうものに対して適切公平な措置が加えられておるかどうか、お答えを願います。
  90. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 お許しをいただきまして、政府委員からお答えをいたします。
  91. 大河原良雄

    ○大河原(良)政府委員 在外公館に赴任いたします際の旅費あるいは移転料、こういうものにつきましては今回の旅費法の改正によりまして改善をされまして、従来に比べますとある程度実情に近い状況になっていると思いますが、たとえば移転料などは物価の上昇等に伴いましてかなり不十分な点が依然として残っておるように思いますが、逐次改善されていくというように考えております。また在勤手当につきましても、各地の実情に即しまして逐次改正を見ております。今後とも実情に即した改正が行われることを期待してまいりたいと思っております。
  92. 受田新吉

    受田委員 私も何回か海外の実情を調べておるのですけれども、非常に優遇されている立場外交官となかなか厳しい立場にある外交官がある。そういうものをできるだけ公平にということで従来何回か法改正、在勤法の改正等も繰り返されてきたわけですが、なお、私具体的に、先般も百万円に相当する転任の旅費をもらう人が実際に百八十万円支出しているという声も聞いているわけです。そういうような実情を十分把握して、机上の空論だけでなく、実情に即して、在外公館勤務する外交官が安心して外交任務に当たってもらうように配慮してもらいたい。時間がありません。三十分でやれということですから、個々の外交官のそうした生活環境をよくするという意味のことは官房長と個人的にまた御相談をして、公開の席に持ち込む必要があれば持ち込むことにします。大臣、あなたの部下に対する温かい心遣いを大臣として心得ていただきたい。  もう一つ、認証官たる大使、公使の総数がいま何人になっているか。事務局で結構です。
  93. 大河原良雄

    ○大河原(良)政府委員 大使が実員九十二名でございます。
  94. 受田新吉

    受田委員 その認証官をキャリア組が何名制しておるか、ノンキャリアが何名認証官におるか、御答弁願いたい。
  95. 大河原良雄

    ○大河原(良)政府委員 実員九十二名の中で、上級試験合格者が八十八名、上級試験以外の資格で認証になっております者が四名でございます。
  96. 受田新吉

    受田委員 外務大臣、いまの数字をごらんいただいて、一握りの上級合格者が認証官のほとんど大半を制している。ノンキャリア出身はわずかに四名。いまのところ民間出身者もあるいは女性の外交官も認証官にいない。これは上級に合格したというときにその時点でよく勉強したということにおいては私認めますが、ただそれだけが将来の基礎になって運命が決まるということは許されない。その後もあらゆる点で努力しているという点で人物の評価がされるべきであるのですが、ノンキャリアの皆さんは、せっせと勉強してそしてりっぱな外交官になろうと努力している。ただ上級試験に受からなかったということだけで人生に勝負がつけられるということは問題である。その意味で、九十二名のうち、たった四名しかノンキャリアの人がいないというような——このいわゆる覇権問題に当たれば、孟子の言う王覇の弁で、徳をもって化する王道、力をもって化する覇道、それを中国は用いておるわけですが、まさにキャリア組は外務省を制覇しておるというのです。それをノンキャリアの皆様に道を開いて、そして努力すれば認証官にもなれるんだと言えば、外交が活気があふれますよ。あなたも、いまの日本外交陣に活気が沈滞して、そこに魅力を失った事務的外交官がノンキャリアの皆さんにたくさんあふれておる、これに活気を与えて日本外交に活を入れるという努力を、大臣、あなたの力で少し勇気を持ってやってみられてはどうですか。人材を簡抜する、そして民間からも人材を選ぶ、女性外交官も女性大使も選ぶ、そういうところで日本外交に画期的な成果を上げる努力をあなたの御手でやってもらいたいと思うのですがね。(「賛成」と呼ぶ者あり)ありがとう。与党の内部より賛成の声あり。御答弁を願いたい。
  97. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 私はきわめてごもっともな御指摘だと思います。ことに一片の試験でいろいろ運命が分かれていくということは確かに問題が多かろうと思っていまして、受田委員の御指摘のような線で就任以来できるだけそういうことを考えようと実はいたしておりまして、現に総領事ぐらいになりますと、多分いわゆるノンキャリアの者が二十人以上いるのではないかと思いますが、だんだんそういう人たちが育ってまいりますと、自然大使にもなっていくという、かなり時間のかかることではございますが、私はそういうふうに考えてまいるべきものだと思っております。また、今回定員増を御承認いただきましたので、いわゆる民間から従来の試験以外からの起用ということもかなり今年は具体的に実行をいたしております。  女性につきましては、実はごもっともなことなのですが、家族と別れ別れになるという非常にむずかしい問題がございまして、そういうこともあって、もともと志望者が少ないということが一つあるのであろうと思います。しかし、だんだんキャリアを積んでまいっておる者も、少数ではございますが、おります。平等な扱いをしていきたいと考えております。
  98. 受田新吉

    受田委員 そこに犬養健さんの肖像がある。そのお嬢さんの犬養道子さんなどは、世人、女性の大使として適格者であると多くの人から指摘されておる。別に結婚した女性でなくても、単身の女性の人材が幾らでもある。そんな条件で制約されているという御答弁はまずい。どうですかね。いま与野党を通じて賛成という声が圧倒的なんです。この外交陣の活気をあふれさして、日本外交勝利を得るために、ノンキャリアを冷遇してきている、これにひとつ大いなる活路を開くという、私、かつてこの席でも申し上げて、その後じんぜん月日を費やしている。努力をしておるというお答えでありますが、はなはだその進み方たるや遅々として効果がほとんど上がっていない。これをあなたの御手で、この機会に明確にいまの御意思を実績の上で示していただきたい。日本外交の本当の、あふるる、活力のこもった、生き生きとした人間関係、その外交努力、祖国日本の名声を海外に高からしめるという意気込みでやってもらいたい。それではそういうことを、大臣いいですか、十分ひとつ考慮してもらいたい。  もう一つ、私、今度は法案に直接でなくて間接の問題に触れるのですが、グロムイコ外務大臣日本訪問ということは、あれは一応約束されたことじゃなかったのですか。
  99. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 今年私が正月に訪ソいたしましたときに、一九七五年中に来日をせられるということにつきまして合意がございまして、したがって、その後の機会におきましても私はそのことを確認を実はいたしておりますが、今日まで実現をいたしておりません。
  100. 受田新吉

    受田委員 そのあなたとのお約束は公式のお約束ですか、非公式のお約束ですか。
  101. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 今年一月の会談後に共同の新聞発表をいたしました中で述べられております。
  102. 受田新吉

    受田委員 そのお約束が実現していないということは、公約を履行していないということになりますか、どうですか。
  103. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 いろいろな御事情はあることであろうと思いますので、非常に厳しく今年内ということでなければならないとは思いませんけれども、それが何カ月もさらにずれるということに仮になるようでございましたら、私は、お約束をしたこととそれは違っておると申さざるを得ないことになろうと思います。
  104. 受田新吉

    受田委員 見通しとしては、あなたのいま最後に言われた方向にあるのかどうか、お答え願いたいです。
  105. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 明年の二月に共産党大会があるというこのことが、ソ連の政治家にとりましてはかなり大きな出来事のようでございまして、その間、過去の経緯から申しますと、ブレジネフ書記長の訪米という問題が未確定のままで今日に至ったという経緯がありまして、先方なりの御事情というのは私も全く理解をしないわけではございません。恐らく、現在目の前にあります一つの問題は、二月の二十日過ぎの党大会というものについての諸準備等々、あるいはまたSALTとの関連でブレジネフ書記長の問題もあろうかと思いますが、その辺のことではなかろうかと私なりに実は想像しております。実はつい最近でございますけれども、もう年内というものが残った日が少ないわけでございますから、十二月のぎりぎり押し詰まっても、と申しますのは、ソ連にはクリスマスというようなものはないわけでございますし、私どもはまあ年末でも働いておりますから差し支えないということをソ連の大使に伝えたところでございますが、それにつきまして明確な返事をもらっておりません。ただいまそんなような実情でございます。
  106. 受田新吉

    受田委員 ソ連政府は領土問題について日本と話し合う意思があると思われるのですか、ないと思われるのですか。
  107. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 これは今年一月に現実に、第二次大戦後の残された問題のわれわれにとっては非常に大きな問題の一つとして、二日間にわたって討議をいたしております。そうして、今年内にソ連外相が訪日をされて話の続きを行うということが合意されておりますので、したがいまして、お尋ねに対するお答えとしてはイエスである、そういう気持ちを持っておるというふうにお答えをいたすべきかと思います。
  108. 受田新吉

    受田委員 そのイエスというときは、領土問題を議題として話し合うということなのか、掘り下げた話し合いの前の基礎的な議題とするかどうかということについての話し合いかどうかです。その意味からお伺いします。
  109. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 今年一月にも議題として話をいたしておりますし、そのことを継続して討議することを合意しておりますので、ただいまの御質問には肯定的にお答えをして間違いはないと思います。
  110. 受田新吉

    受田委員 非常にはっきりしておるようでございます。そうすると、グロムイコ外務大臣日本をお訪ねになるのに、領土問題についての何かの障害を感じてという意味ではないということになりますか。もしいまの見通しが、年内に——いまからわずかしかない、これはもうとてもできそうにない、言うなれば、年を明けても非常に早い機会でないと七十五年ということは当たらないことになるのですから、私は何か一つここに懸念があるんです。そういうグロムイコ外務大臣がおいでになれない——そうむずかしいことではないのですからね、親友の宮澤さんもおいでのことであることですから、あなたがすぐ外務大臣をおやめになるということでもないからのんびりしようという意味ではなくて、とにかくおいでになってしかるべきである。何か懸念されることがあれば、領土問題か覇権問題か何か引っかかるものがあるというお考えは外務大臣ないですか。
  111. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 年内に訪日をするということの合意を今年一月に新聞発表をいたすまでの経緯の中で、グロムイコ外務大臣はかなりそれについて国内的にむずかしい問題が多いということを言っておられまして、そういう結論になりますまでに実は相当経緯がございました。ですから、多少はいろいろ事情がおありになるのであろうと私は思いますが、しかしそれにもかかわりませず、そういう決定をし発表をいたしましたときには、領土問題がすでにそれまでの二日間モスクワで討議をされ、しかもその継続を東京で行うということはグロムイコ外務大臣は無論よく承知をしておられるわけでございますから、ただいまの受田委員のような御懸念といったようなものは当時からあるのならばあったのだ、その上で訪日ということが決まっておるというふうに申し上げて差し支えないと私は思います。
  112. 受田新吉

    受田委員 われわれが報道陣を通じて耳にすることですが、北方海域において漁業関係のわが同胞が、領海十二海里を主張されるソ連の領域に入ってつかまる。非常に苦労しておる。今度は逆に日本の方は三海里ということで、日本の領海に入って漁船の網をいろいろと傷つけるなどの事件が起こっておる。この問題を放置することは日本外交努力の不足を物語ると思うのです。北方海域の漁業の円満な遂行を図らしめる措置として、領海問題の解決というのに先立った何かの対策が要ると思うのですが、一言御答弁を願いたいのです。
  113. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 いわゆる安全操業問題、ソ連は安全操業という言葉を拒否するわけでございますが、安全操業問題についてはしばしば両国の間で話があり、ソ連に対してもその都度われわれの立場を述べておるわけでございますが、依然としてそのような問題が後を絶たない、きわめて残念なことでございます。その都度、私どもはもとより抗議すべきは抗議をいたし、また話し合いをすべきは話し合いをいたしております。ソ連側としても、比較的通報等の点は怠りなく通報してまいりますけれども、なおそういう事件が後を絶たない。実は、今年一月の際にも私はこの話をグロムイコ外務大臣にいたしました。次の会談においても再度お話をしなければならないと思っているわけでございます。
  114. 受田新吉

    受田委員 すかっとお尋ねしたい問題が二つ残っております。  その一つ、南ベトナムの壊滅によっての難民、それをわが国が一時的に受け入れた措置をとりました。こういう問題は非常に今後も起こる危険がある問題でございまするが、難民を受け入れる国内法というものが整備されておらない。国際的にも問題がある。難民を措置する国内法の制定及び国際関係の樹立についてどういう対策をお持ちであるか、すかっとお答えをいただきます。
  115. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 ベトナムからの今年の難民の場合、わが国が受け入れませんと、またあちこちをさまよわなければならないという実情でございましたので、受け入れをいたしたケースが幾つか出てまいりました。人道的な立場からいたしたことでございます。  なお、難民に関しましての国際条約加入につきましては、法務大臣が今年国会におきまして、前向きに検討するという答弁をしておられたと記憶をいたしております。この点につきましては、正確を期する意味で法務省当局からお答えを願いたいと思います。
  116. 竹村照雄

    ○竹村説明員 難民というものにつきましては、発生の原因とか背景事情等の諸点において非常に種々雑多の態様のものが予想されるのでございますけれども、こういった難民の受け入れがわが国の内外に及ぼす影響等を勘案しながら、受け入れの範囲、手続をどのようにするか、それから法律上及び実際上の処遇をどのようにするか、そういった点について目下検討しております。  特に難民条約に加入することとなりますと、これに対応して国内法の整備をしなければなりませんし、その中でも出入国管理関係法令の整備が不可欠となるわけでございますので、入管局といたしましては、かねてからこの条約に加入しておる諸国の国内の立法例の研究を初め、そういった諸国の運用の実際でどのような問題点があるかなどを中心といたしまして、またわが国内法との抵触部分や改正点につきまして検討を重ねております。これらの点につきましては、われわれといたしましては、慎重に、しかし積極的に対処しておるというところでございます。
  117. 受田新吉

    受田委員 大変とっぴなお尋ねでございますが、朝鮮半島に事件が起こった、そこから大量の難民が日本へやってくる。朝鮮半島に事変が起これば、一番身近なわが国に難民が押し寄せ、政治亡命者も出てくるはずです。そういうときにどういう措置をとるか。その中に、韓国の軍人とかあるいは軍隊等が日本へ亡命あるいは難民としてやってきたというときに、これらの皆さんを米軍の基地内に収容することができるかどうか、法律的にお答えを願いたい。決して架空の問題じゃなくて、朝鮮半島に事件が起こった、一番身近なところへ船その他で、日本へどんどんやってくる。ところが軍人、軍隊というものを在日米軍の施設の中に収容してよいのかどうか。これはもう外務省の御答弁の方になるんですよ。法務省ではないようです。
  118. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 私から大まかなことだけをまず申し上げたいと思います。  かつて今年国会におきまして、朝鮮半島に騒乱が起こることとわが国との関連につきまして、実は例示として私から進んで御答弁を申し上げたことがあるのでありますが、わが国にそのような形で武器が持ち込まれる、あるいは武装した人々が来るということは、これはわが国にとって決して好ましいことではない、したがいまして、そのような騒乱が起こらないということについてわれわれは非常な関心を持ち、努力をしておるのでございますということを申し上げたことがございます。したがいまして、きわめて人道的な例外的な場合というものは絶対に排除できるとは私は申しませんけれども、いまのような事態わが国として歓迎すべき事態ではないというふうに私としては考えております。  なお、法律問題につきましては政府委員から申し上げます。
  119. 松永信雄

    ○松永(信)政府委員 御承知のごとく、日米安保条約上に日本国の施設区域を使用する目的が明記されているわけでございます。したがいまして、その目的を害するような施設区域の使用ということは条約上認められないということであろうと思います。  一般論としてはいま申し上げたとおりでございますけれども、個々のケースについて、それでは一人たりともそういう場合に認められないのか、たとえば仮定の問題といたしまして、日本に入ってきた難民が施設区域に宿泊することが一人たりとも例外は認められないのかということになりますと、それはその個々の場合の状況に応じて、ただいま大臣からお話がございましたような判断に基づいて、たとえば非常に緊急な、人道上の考慮をしなければならないというような場合はあり得ると思います。しかしながら一般論といたしましては、施設区域の提供されております目的が条約上明定されているわけでございますから、その目的を害するようなもの、あるいは害するような態様での施設区域の使用は認められないということであろうと思います。
  120. 受田新吉

    受田委員 これは現実にそういう可能性をわれわれが感じるがゆえにぴしっとしておかなければならぬのですが、難民、政治亡命者が朝鮮半島に近接したわが国の沿岸にやってくる。波打ち際で、おまえら帰れと押し返すわけにいきません。これは事変が起こった場合は、大量にそういう人人が来ることが予想される。そのことも一応考えておかなければならない。波打ち際で追い返すわけにいかない。人道的見地からこれを受け入れるための国内法が要ると思うのです。竹村次長の御答弁ではどうしても急ぐ。と同時に難民に関する条約に早く加入しなければいかぬでしょう。その方はどうなっておるのですか。
  121. 松永信雄

    ○松永(信)政府委員 難民に関する条約につきましては、在来から政府が申し上げておりますごとく、政府といたしましてはこの条約の趣旨そのものには賛成でございます。その観点から、日本といたしまして、この条約に参加するための条件を目下関係省庁の間でいろいろ検討している段階でございます。ただ、その検討しております段階で法律的な問題がいろいろございますことは、先ほど入管の次長から申されたとおりでございます。  例として申し上げますと、難民条約では、教育について難民に内国民待遇を与えるべきであるという規定がございます。御承知のごとく、わが国憲法上、教育に関してすべての外国人に対して日本国民と全く同じ待遇を与えるという規定にはなっておりません。わが国がいままで各国と結んでおります条約において、その相手国の国民に対して憲法上の内国民待遇を与えるという条約も締結しておりません。したがって、そういうような法律問題をどういうふうに処理するかという問題がございますので、慎重に検討しているというのが現状でございます。
  122. 受田新吉

    受田委員 これで質問を終わりますが、これは慎重に検討をでなくて、その検討の結論を早く出していく。もう周辺に実例が、この間出たのです。そういうことも一つ含めて、慎重にというのを早急に答えを出すように努力してもらいたい。法務省、外務省、双方とも御努力をしてほしい。  最後に一問だけ、十秒で済むことですが、時間を厳守しますが、先ほどからの上原さんの質問に対する事前協議のことで一曹だけ。  事前協議に対して日本が拒否権を発動した、ところが拒否権を無視して戦闘作戦行動にアメリカが乗り出してきたということは、条約に対する違反となるかどうか。このことに対して日本国は報復措置をとることができるのかどうかという問題を答弁をいただけば、この一問だけで質問を終わります。
  123. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 日米安保条約は、日米の友好、相互信頼を基礎にいたしておりますので、ただいまのようなことが仮に仮定の問題として起こりますれば、これは条約そのものの基盤を揺るがすような出来事である、そう申し上げざるを得ないと思います。
  124. 受田新吉

    受田委員 あとはまた次の機会に……。
  125. 藤尾正行

    藤尾委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  126. 藤尾正行

    藤尾委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出もございませんので、直ちに採決に入ります。  在外公館名称及び位置並びに在外公館勤務する外務公務員給与に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  127. 藤尾正行

    藤尾委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  なお、ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  128. 藤尾正行

    藤尾委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  129. 藤尾正行

    藤尾委員長 次回は来たる九日火曜日午前十時理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時四十七分散会