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1975-11-11 第76回国会 衆議院 内閣委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年十一月十一日(火曜日)     午前十時三十一分開議  出席委員    委員長 藤尾 正行君    理事 越智 伊平君 理事 奥田 敬和君    理事 加藤 陽三君 理事 木野 晴夫君    理事 上原 康助君 理事 大出  俊君    理事 中路 雅弘君       赤城 宗徳君    有田 喜一君       笠岡  喬君    近藤 鉄雄君       竹中 修一君    中馬 辰猪君       林  大幹君    三塚  博君       吉永 治市君    木原  実君       八木  昇君    山本 政弘君       和田 貞夫君    木下 元二君       鬼木 勝利君    鈴切 康雄君       受田 新吉君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (行政管理庁長         官)      松澤 雄藏君  出席政府委員         総理府総務副長         官       松本 十郎君         日本学術会議事         務局長     吉岡 邦夫君         行政管理庁長官         官房審議官   川島 鉄男君         行政管理庁行政         管理局長    小田村四郎君         行政管理庁行政         監察局長    鈴木  博君         外務省アメリカ         局長      山崎 敏夫君         資源エネルギー         庁公益事業部長 大永 勇作君         特許庁長官   齋藤 英雄君         運輸省自動車局         長       高橋 寿夫君         運輸省自動車局         整備部長    田付 健次君         労働大臣官房審         議官      吉本  実君         自治大臣官房審         議官      福島  深君  委員外出席者         大蔵省主税局税         制第二課長   島崎 晴夫君         厚生省公衆衛生         局地域保健課長 大谷 藤郎君         農林省畜産局衛         生課長     山本 格也君         資源エネルギー         庁石油部流通課         長       宇田川治宣君         資源エネルギー         庁公益事業部ガ         ス事業課長   山崎  衛君         資源エネルギー         庁公益事業部ガ         ス保安課長   越川 文雄君         中小企業庁計画         部計画課長   松尾 泰之君         運輸省自動車局         業務部長    真島  健君         労働省職業安定         局業務指導課長 望月 三郎君         内閣委員会調査         室長      本田 敬信君     ————————————— 十一月四日  恩給法等の一部を改正する法律案成立促進に  関する請願渡辺美智雄紹介)(第一四六〇  号)  栃木鹿沼市等の寒冷地手当引上げ等に関する  請願渡辺美智雄紹介)(第一四六一号)  栃木鹿沼市の寒冷地手当引上げ等に関する請  願(渡辺美智雄紹介)(第一四六二号)  栃木県那須町の寒冷地手当引上げ等に関する請  願(渡辺美智雄紹介)(第一四六三号)  栃木県藤原町の寒冷地手当引上げ等に関する請  願(渡辺美智雄紹介)(第一四六四号)  栃木県日光市の寒冷地手当引上げ等に関する請  願(渡辺美智雄紹介)(第一四六五号)  栃木県足尾町の寒冷地手当引上げ等に関する請  願(渡辺美智雄紹介)(第一四六六号) 同月六日  金鵄勲章制度復活に関する請願原健三郎君  紹介)(第一五三六号)  軍人恩給等の改善に関する請願渡辺美智雄君  紹介)(第一五七三号)  宮城県七ケ宿町の寒冷地手当引上げ等に関する  請願庄司幸助紹介)(第一五七四号)  同(庄司幸助紹介)(第一六七九号)  山形市等の寒冷地手当引上げ等に関する請願外  十九件(安宅常彦紹介)(第一六七八号) 同月十日  兵庫県安富町内富栖村寒冷地手当引上げに  関する請願河本敏夫紹介)(第一七二七  号)  金鵄勲章制度復活に関する請願保岡興治君  紹介)(第一七二八号)  国家公務員給与早期改定等に関する請願(中  路雅弘紹介)(第一八四六号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  許可認可等整理に関する法律案内閣提出  第七号)      ————◇—————
  2. 藤尾正行

    藤尾委員長 これより会議を開きます。  許可認可等整理に関する法律案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大出俊君。
  3. 大出俊

    大出委員 最初に行政管理庁に承っておきたいのでありますが、その前に、私がここに持っておりますのは朝日新聞なんですけれども、この朝日新聞に「行き過ぎ身上調査」という記事が載っております。ことしはどっちを向きましてもなかなか就職難で、学卒初め皆さんが職探しに大変懸命な状況にございます。私なんかもたくさん頼まれて往生している一人ですけれども、そういう時期でございますだけに、この新聞が取り上げておりますような、行き過ぎ身上調査などというものが間々あり得るわけであります。実はプライバシー等の問題をめぐって、IDカードその他について行管方々に私、何遍か質問をしてきたところでございますが、そこまで触れますと大変長い時間になってしまいますので、冒頭にこの新聞にあらわれていること、かつ愛労評東海電通共闘などという組合組織の方がこれにタッチしておりますが、私のところにそれぞれの資料を送ってくれることになっておりまして、たまたま部屋へ行っている時間がなくて手にいたしておりませんが、電話等で聞いておりますからわかっております。  そこで、この新聞に「驚いた 好ましくない」ということで「労働省職業安定局道脇正夫主任中央職業指導官の話」というのが載っております。つまり中身はこういうことです。これはもうどなたも御存じの大手企業でございますが、皆さんの方に質問してから必要ならば社名も申し上げますけれども、ことしの採用に当たりまして、「新規採用者調査項目」こういうことで、戸籍関係から学校調査から、担任教師らに学籍簿の閲覧を求めるという問題、これは個人プライバシーの問題で本来秘密にしているわけでありますが、現に聞いてみますと、そこまで行って調査をして、興信所まで使って調べているわけです。それから教えた教師思想傾向、この新規採用者受験番号何番の者の教えた先生はどういう思想傾向を持っているかなどというところまで、大変にこれは微に入り細にわたっているわけであります。それから家族調査がございまして、これは勤めている人間に違いないのだが、一体どこの会社でどういう組合に入っているか、会社の中に幾つ組合があるとすればどういう傾向組合におやじさんが入っている、兄貴が入っているというようなところから、支持政党ということでこのうちは何党支持かなんということを全部調べているのですね。それから身体あるいは精神障害者が六親等の範囲にいるとかいないとか。いま身体障害者方々だって、電電公社初め公の官庁が極力採用に努めているわけでありますし、政府だって職を与えなければならぬということでそのことを大変に奨励をしているわけであります。ここまでのことをやる企業、これはゆゆしいことだと私は思っているわけでありますが、そういう意味で、ここに労働省の方の談話も載っておりまして、「十分調査してみる」こういうことになっておりますから、一体どこでどういうことになっておったのかという点について、まず労働省からお答えをいただきたい。
  4. 望月三郎

    望月説明員 お尋ねの件につきまして、愛知県庁に対しまして実態を調査したわけでございますが、新聞等にも載っておる調査事項と比べまして調査を実施したところ、現在のところは、あれに近い線で調査が行われたように聞いております。ただ、何分にも微妙な問題でございまして、調査事項が完全に一致しているというところまではまだ至っておりませんが、現在調査中でございます。
  5. 大出俊

    大出委員 新聞等にも出ていたものに近い線で調査が行われていた、こういうわけでありますから、その限りでは、いま私が幾つか申し上げましたこととそう大きな食い違いはない、それに近い線で調査が行われていたということになるわけであります。  そこで、これは先月の九日に名古屋市内のある興信所調査依頼が来た。それで、来春高校を卒業する予定の属人的にだれという人について、入社試験が行われる一週間前に会社側調査報告書が提出されているわけですね。ここにこの調査項目が全部ございますが、さっき私が挙げたように「家族状況 1、両親の交際している人、思想動向組合歴、所属、組織名支持政党会社組合政党などの父母の地位)」これらが全部調査項目に入っているわけですね。愛労評その他電通共闘から連絡をもらいまして、いま一括資料が私のところに届くことになっていて、あるいはもう部屋に来ているかもしれませんが、そういうことなんです。確かめてみましたらやはりそういう中身だというわけでありまして、どうもここまでのことをやるというのは、もしこの方が採用されなかった場合にはどうするのか。勝手に、本当のプライバシーにわたるものを興信所を使ってやたら調べさせるなんということがそこらここらにやたらあったんじゃ、これはえらいことになるというふうに私は思いますので、したがって、これに近いということになるとすれば、労働省立場として、この調査中身項目等から見て果たして好ましいことであるのかないのかですね。いま、プライバシー保護に関する法案国会提出の準備なども行われておったりする段階であります。国際的に見ても、IDカードなどをめぐってアメリカでもずいぶん大きな問題になっておりまして、そういう時期にこの種のことが行われることを、一般的な社会通念等から見て果たして妥当だとお考えになるのかどうか、そこらはいかがでございますか。
  6. 望月三郎

    望月説明員 ただいまの件につきましては事情を調査中でございますが、若干調査項目について行き過ぎの点も見られると考えられますので、その点につきましては、やはり本人の能力適性に応じて、それを重点に選考すべきであるというような考え方を私どもとしては持っておりますので、行き過ぎがあれば今後とも指導を進めてまいりたい、こう思っております。
  7. 大出俊

    大出委員 行政管理庁の方に承っておきたいのですが、プライバシー保護という問題ですね。前に私はIDカードなどをめぐる幾つかの問題、あるいは社会保険その他をめぐる幾つかの問題等をこの席で質問したことがありますけれどもプライバシー保護、これについて何かきちっとした法律考えませんと、最近のたとえば自動車の免許などをながめましても、前とは全然変わって、プライバシー侵害にわたるものまで実は気になる点がございます。そういう時代でございますので、そこらのところを一体どう考えたらいいかという点の御所見をいただきたい。いかがでございますか。
  8. 小田村四郎

    小田政府委員 行政機関電子計算機利用が非常に進んでまいりまして、これに伴いますプライバシー保護の議論が各方面で提起されるようになってまいりました。そこで、行政管理庁といたしましては、昨年の五月に行政監理委員会に対しまして、行政機関等利用いたします電算機利用に伴うプライバシー保護制度につきまして諮問を申し上げたわけでございます。  これに対しまして、行政監理委員会におかれましては、約一年にわたりましていろいろ御熱心な御討議をいただいたわけでございますが、ことしの四月に「行政機関等における電子計算機利用に伴うプライバシー保護に関する制度の在り方についての中間報告」ということで御答申をちょうだいいたしました。この御答申内容は、もうすでに先生もご存じのことと存じますが、最近の行政機関等におきます電子計算機利用進捗状況あるいはそれに伴って生ずる問題、それからこの問題はやはり世界的にも問題でございまして、諸外国におきましても各種の保護対策が講ぜられ、あるいは講ずることを検討されておるわけでございます。そういうような諸外国におきます保護対策内容検討、またそれをわが国に適用いたしました場合の問題点等につきまして、いろいろ御熱心な御検討がございました。  ただ、結論といたしましては、この問題は個人利益と公共の利益との調整に関する非常にむずかしい問題が多分に含まれておる、したがって、それらの点につきまして具体的な問題点をさらに検討し、また諸外国におきましても、アメリカが本年の十月から、またスウェーデンが一年前からこの法律が実施されたような状況でございまして、そのほかの国ではまだ法案が成立するに至っておりません。そういうようなことで、諸外国実施状況等も十分研究するようにというような御報告になっております。  行政管理庁といたしましては、この御報告をいただきまして、その後各省との間にもたびたび会合を開きまして問題点検討いたしておりますが、いまのところまだ具体的な立法に進むかどうかというところまでの結論は得ていない次第でございます。ただ、いずれにいたしましても、非常に重要な問題でございますので、データ保護という問題につきましては積極的に取り組んでまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  9. 大出俊

    大出委員 労働省の方にもう一遍承りたいのですけれども、この中には、教師思想というのに特に学生側が薫陶されやすいから、その学生担任教師思想傾向を特に注意して、研究科目であるとか、指導教師名であるとか、その教師あるいは教授の思想傾向であるとか、組合に入っていれば何系で地位はどういうことになっているかとか、赤い教師リストその他もつくって調べておくというようなことを新規採用者調査項目の中に入れているのですね。幾ら企業は物を考えることは自由だとは言ってみても、明らかにこれは教師プライバシーにまで触れる。しかも興信所を、専門家を使って調査させるということになりますと、穏やかでない。  そこで、私の方には私の方への連絡が来ておりますが、皆さんがお調べになってこれとそう変わっていないとおっしゃるのですが、ずばり言って、その企業はどことどこですか。
  10. 望月三郎

    望月説明員 いまの点でございますが、その辺が能力適性に応じた範囲であるかどうかという点につきまして調査中でございますが、なかなか微妙な点がございまして、そこは事実をいま把握中でございまして、何とも言えないということで、いまやっております。先日来数社を呼びまして調査をしている状況でございまして、どことどこというのはいまの段階ではちょっと差し控えさせていただきたい、こう思います。
  11. 大出俊

    大出委員 私の方から言ってしまってもいいのですけれども労働省がここに談話を出していますね。それがあるので、おわかりになっていて調査をしておられるのだとすれば、一応監督官庁でございますから、おたくの方の結論が出てから改めて物を申し上げてもいいと思っているのであります。  そこで、先ほどどうもこの中身からすると好ましくないという趣旨のことをお話しになりました。これは政府がやっておりますいろいろなコンピューターシステムその他をながめましても、私は似たような点が気になるわけであります。この際ひとつ、こういう事例も出てきていて労働省調査している段階ですから——教師思想傾向なんといったって、担任教師というのは生徒が決めるのじゃない、学校側が決めるわけであります。そうすると、学校側が決めた先生が赤いリストだということで、この生徒は薫陶されやすいから採用対象から外す、こういうばかばかしいことを幾ら何でも放任はできないですよ。行政管理庁は、プライバシー保護については中間答申まで求めているわけです。私も読んでおりますが、具体的な事象が上がったこの時点で、大臣プライバシー保護の問題は行政管理庁の担当ですから、一体立法措置は将来お考えになるのかならぬのか。そこに至る過程、今日この種の問題が大きな社会問題として取り上げられている時期に、世上一般プライバシー保護問題についての立法措置議員立法であっても出すべきだと言っている時期に、行政管理庁として、いま労働省お話しになったのをお聞きになっておって、一体どうお考えになりますか。
  12. 小田村四郎

    小田政府委員 大臣お答えになります前に、一言申し述べさせていただきたいと存じます。  私ども行政管理庁といたしましては、国の行政組織あるいは行政制度、そういうことを所管している官庁でございますので、ただいま御指摘のございましたような興信所民間の株式会社との間の問題、あるいは私人との間の利害関係調整、あるいはもちろん人権問題も入ってまいるかもしれませんけれども、そういう問題につきまして直接所掌する立場にございませんので、私どもといたしましては、あくまでも監理委員会の御答申にもございますように、行政機関等におきます電子計算機利用に伴うプライバシーの問題というものを検討対象にいたしておる次第でございます。したがいまして、民間機関全体という問題になりますというと、これは行政管理庁ではなくて、どこか別の機関でなければ取り扱うことは困難ではないかというふうに考えている次第でございます。
  13. 大出俊

    大出委員 ついでに承りますが、じゃ、どこの機関所管をするのですか。
  14. 小田村四郎

    小田政府委員 非常にむずかしい問題でございまして、まずプライバシー問題自体が非常に概念がいろいろ学説も分かれておりますし、また裁判所の判例も非常に少ないということで、むずかしい問題でございますけれども、たとえば雇用の関係でございますればこれは労働省、または公務員の雇用問題でございますれば人事院ということになりましょうし、また人権侵害されるという問題でございますればあるいは法務省の人権擁護局関係になるかとも思われますし、この辺は問題の内容によりまして所管省庁が決められるべきであると存じますし、また多岐にわたるようであればあるいは総理府または内閣ということになろうかとも存ぜられます。一義的にどこということをいま申し上げることはなかなかむずかしい問題でございますので、まあ各省間の御協議が必要ではないだろうかというふうに考える次第でございます。
  15. 大出俊

    大出委員 まあ行政管理というのは文字どおり行政管理責任官庁でございますから、いまのような多岐にわたるのであるとすれば、いまのもどうも思いつき答弁のような感じで、こんなことになるだろうというわけでありまして、やはりこれだけの、こんな大きな記事が載っかるようになりますと、これはやはり政府の何がしかの機関がこの種のものを将来どう考えるか、あわせて、片や行政機関の面におけるプライバシー保護の問題をどう考えるか、これが二つあるわけでありますが、つまりその辺の将来の展望なり道筋なりというものをお決めいただかなければ困る、どこかわからぬがというんじゃ困る。だから、恐らくとりあえず就職ということだから労働省に記者の方が聞きに行ったんだと思うのでありまして、そこら、一遍ぜひ皆さんの方で検討していただいて、一体どこがどう取り扱うのかという点をはっきりいただきたい。長官、これいかがでございますか。
  16. 松澤雄藏

    松澤国務大臣 ただいまの件、よくわかりましたが、人間相互間の関係であって、当庁の直接関与するところではございませんが、一般論としてプライバシー概念が必ずしも明確でなくて、興信所活動の関連で言えば、その営業の自由とか個人利益との調整なんかに関する問題もありますので、身上調査プライバシー侵害に当たるかどうかという問題等に関し軽々しく実は判断ができないというような傾向でございます。したがって、従来ともに行政管理庁としては、こういうような問題等でやかましい問題になってまいりますと、万策尽きたというような形になってまいりますと、一応裁判所あたり結論を待ってというようなことが、裁判問題等になっておりますればそういうことまで考えておるような次第でございまして、いまの御質問に直ちにすぐ私自体答弁するというようなことが非常に困難だ、かように存じますので、御了承願いたいと思います。
  17. 大出俊

    大出委員 その中間答申などに触れていきますと時間が長くなるから冒頭にそれを断っているわけでありまして、具体的に出てきているこの問題についての見解を承ろうと思って物を言っているわけです。  そこで、ここに一つ大きな問題があるのは、憲法思想信条の自由という問題があるんですね。教師思想に触れ、採用対象者教師の薫陶を受けるんだからという意味思想信条に触れて、興信所を使って調査をする。しかもこれは宗教までなんです。両親宗教まで入っている。これも憲法上の問題です。ここには大手企業系列グールプとこうなっている。名古屋大手企業と言えばトヨタです。系列グループとこうなっている。幾つがやったか、細かくまだ調べておりませんけれども。やはりこれだけの大手企業、それからその系列グループなんというようなことでこういう問題になりますと、こういう際にこそこの点ははっきりしておかなければいかぬ、こう思うから申し上げているので、もう一遍労働省に承りますが、労働省はこれから一体この問題どういうふうに扱われるおつもりでありますか。
  18. 望月三郎

    望月説明員 ただいま申し上げましたように、目下鋭意調査中でございますので、その調査結果に従いまして的確な指導をしてまいりたい、こう思っております。
  19. 大出俊

    大出委員 労働省は先ほど私に、どうも行き過ぎ、好ましくない面がある、こういうお答えが一つあって、なお調査をしていくと。皆さんの方に企業名をおっしゃっていただこうと思ったが、そういう意味で、調査中だから。私も、所管官庁がそうおっしゃっていますから、名古屋大手と言えばとは言いましたが、どこと申し上げているわけではないので、つまりおわかりいただければそれでいいわけです。その調査の結果に基づいてそれなり措置をなさりたいとおっしゃるわけですから、その意味責任はこれは負っていただきたいと思う。  あわせて行政管理庁の方も、せっかく中間答申が出て、もっと各国のいろいろなやつを研究しなさい、こうなっているわけですけれども、やはりこれは長官としては、ここまでやかましく世上の論議が高まってまいりますと、いまプライバシー保護に関するいろいろな機関民間にもできて、いろいろな活動を始めているわけですよ。それなりのいろいろな調査結果も出ているわけで、私のところにもこんなにあります。だから特に電電公社関係組合などは非常に熱心でございます。外国の学者まで呼んでこの間も講演会を開いたり、いろいろやっているわけであります。したがって、そういう時期なので、将来どうするかということの方向づけぐらいはしておかなければならぬと思う。より研究を進めて、将来、アメリカに例がありあるいはスウェーデン等にあるように、この国にもその種の法的措置をお考えになる、そちらの方向に向けて検討をする、そこらの目標だけははっきりしていただかぬと、民間のそうした世論というものを受けていただかなければ困ると思うので、いかがでございますか。
  20. 松澤雄藏

    松澤国務大臣 おっしゃることがごもっともでございますので、いまの御発言に対しまして私の答弁といたしましては、直ちに所信のとおりにいくかいかないかは別にして、検討してみたい、かように思います。
  21. 大出俊

    大出委員 これは労働省調査の結果を待ちまして、改めてひとつ質問させていただきます。労働省の方、どうもありがとうございました。時間がございませんから深い議論は避けさせていただきます。  次に、この委員会で、許認可の問題といつでもかかわるわけでありますけれども幾つかの質問を私いたしておりますが、きょうは実はこの機会に、質問のしっ放し、皆さん検討するということで検討すると言いっ放し、こうなっているものが幾つもあるわけでありまして、この際、少しその点に触れまして整理をさせていただきたいと思います。  一つは、農林省の方にお出かけいただきましたが、さきの国会の予算分科会で、私、安倍農林大臣に、獣医師さん関係法律、獣医師法の改正問題に触れまして実は詰めた質疑をいたしているわけであります。安倍農林大臣の最後の締めくくりの答弁は、「この際、獣医師制度全般について見直していく、さらに獣医師制度の強化改善ということも必要であろう、こういうことから、獣医師会等の意見も聞き、さらに学識経験者等の意見も聞きまして、関係各省でひとつ協議して、これは改善の方向へ努力をしていきたいと思います。」という締めくくりになっているわけであります。その前に、私は獣医師法各条文につきまして意見を申し述べ、詰めた議論を実はいたしているわけであります。  これはその後、念のために申し上げておきますが、農林省関係には百二十三万の、教育課程の変更その他恐らく伴うわけでございましょうが、調査費がついているわけであります。きょうは文部省お呼びいたしておりませんけれども、文部省にも百四十六万の調査費がついているわけであります。したがいまして、各省との相談もなさることにここでなっておりますけれども、その後、一体獣医師法をめぐる問題はどういうふうな相談の事情になっておりますのか、承っておきたいと思います。
  22. 山本格也

    山本説明員 獣医師法の問題につきましては、先生ただいま御指摘のように百二十三万円の調査費を計上してございまして、畜産局内に獣医師問題検討会を設置をいたしてございます。現在まで二回にわたりまして、まず第一年度といたしましては、今後の獣医師の職域問題、その職域問題というのは、御承知のように畜産の振興なり公衆衛生の向上あるいは動物保護管理の問題というふうに、獣医学術に求められる社会的な要請がきわめて多元化、高度化いたしてございます。そういう一般的な事情を踏まえまして、今後の獣医師の職域というふうなものをどう考えてまいったらよろしいのかというふうなことで、関係の学識委員にお集まりいただきまして、検討を進めているところでございます。なお、この検討会には日本獣医師会から会長並びに副会長あるいは地方獣医師会長の御参加をいただいておるところでございます。
  23. 大出俊

    大出委員 実は先日、安倍農林大臣と直接少しお話し合いをしてみたわけでありますが、その後改めて大臣参られまして、実はこういうことでしたというお話をいただきました。その最初の話は、大出さん、あなたが予算の分科で質問をされて一つのきっかけになった、各省間の打ち合わせというような形で一つの雰囲気ができて大変にありがたかった、だがどうもそれ以来しばらくまた冷却をしたような感じになっている、一遍調べてみましょうということで最初のときは別れまして、その後から安倍さん御自分で私の席に参られまして、どうもその後余り活発でないようです。したがって私の方でも気をつけてみたいと思っている、こういう実はお話だったわけであります。私も、実はこの中には獣医師の許可、認可の問題まで含まれているわけでありますから、そこらに触れて一遍取り上げてみたいと思っているんだがということを答えておいたわけであります。大臣の言い分によりますと、次の国会に間に合うのかどうかという点で非常に危惧すると言っておられました。私はこれは長谷川四郎さんが農林大臣のころに、衛生検査技師法改正と絡みまして、獣医師さんが学校をちゃんと出てきておられる、だがしかし特例講習が要る云々という問題になりまして、獣医師法そのものに触れて、古くはないか、改めなければならぬのではないかという質問をしたことがいにしえにあるのであります。したがって、以来これは長い懸案でございました。せっかく調査費その他がついて教育課程等をいじるという段階であれば、当然これはあわせて獣医師法全体を見直すという、大臣答弁のように見直していただかねばならぬと私は思っているわけであります。論点はすでにさきの国会でいろいろ申し上げておりますけれども、何としても一つの見直した結論を出すべきだという気がするわけであります。二回という実はお話なんですが、私がこれを質問したのは本年の二月二十七日なんです。いま十一月でございますから、せっかく調査費までついて、この長い年月に二回しかおやりになっていないという、これは大臣の言うように、どうも余り進めていないようだとおっしゃいましたが、いまの御答弁で裏づけられるわけであります。もう少し皆さんの方でこれを積極的におやりになる気はございませんか。
  24. 山本格也

    山本説明員 文部省との関係におきましては、文部省の調査会に私どもも実は参加をしておるわけでございます。獣医学教育の年限延長の問題に絡みまして、先ほど申し上げましたように四年制が六年制になった段階での獣医師の職域というふうなものはどうあるべきかというふうなことで検討を進めております。そういう意味では、現行の獣医師法十七条の獣医師の業務の範囲というふうなものもおのずから明らかになってくるであろうというふうなことで、第一年度は、まず精力的に獣医師の職域並びに需要というふうな問題を詰めていくことによりまして、第一条の目的条文並びに十七条の業務の範囲というふうなものがはっきりしてまいるというふうなことでございまして、次年度におきまして全体的な法の内容検討に入ってまいるというふうなことで、二カ年計画を予定をいたしてございます。
  25. 大出俊

    大出委員 そうすると、この法の見直しをやって結論を出すというのは何年度になるわけでございますか。年度で申しますと五十何年になるわけですか。
  26. 山本格也

    山本説明員 現在私どもは五十一年度までにこの調査会の結論を得たいというふうに考えておる次第でございます。
  27. 大出俊

    大出委員 そうすると、いまのお話でいきますと、十七条というのは「獣医師でなければ、家畜(牛、馬、めん羊、山羊、豚、犬、猫及び鶏をいう。)の診療を業務としてはならない。」「業務」という言葉が入っているわけですね。つまり業務でなければいいということになるわけですから、ここに獣医師類似行為というのが至るところにあらわれるということになる。薬事法との関係も出てくる。たとえばブロイラーなどを飼育するのに、えさの中に抗生物質をたくさんほうり込んで、ブロイラーそのものは動かさないように小さい升の中に入れている、くちばしは金剛砂で切り落として、えさが飛ばないようにというわけです。全然動けない、えさは飛ばない、えさの中には山のように抗生物質が入り過ぎている、それを人間が毎日食べてしまう。私も現場を見てきましたが、至るところに奇形ができている、こんなこぶができている。こんなものを刻んじゃって売っちゃうわけですからわからぬ。そうすると大変な残存抗生物質になる、後から人間が必要なときに抗生物質を使っても効かないということになる、大変大きな問題であります。これは実際やっているのは獣医師の分野じゃない。ほとんど勝手に、いわば獣医師類似行為、業務としてでなければいいことになる。こういう差し迫った問題があるから、私はこれは業務は切るべきだという考え方を持っております。前からそういう主張をいたしておりますが、はっきりしませんとこれはえらいことになる。薬事法の関係などからいけばこれは厚生省の共管でしょう。いまの点が一点ですが、こっちを改正するとすれば、薬事法はどっちが国会へ出すのですか。
  28. 山本格也

    山本説明員 ただいま先生から抗生物質が獣医師以外の者によって乱用されておるというお話がございました。特に食品の安全性を守ってまいるというふうなことはきわめて重要なことでございまして、前国会におきまして、飼料の安全性の確保並びに品質の改善に関する法律が制定をされました。近く農業資材審議会の飼料部会が発足をいたします。来年のこの法律の施行を契機にいたしまして、飼料添加物については大幅な見直しが行われることになっております。ただいまでも、実は行政指導によってはおりますけれども、飼料添加物につきましては飼料登録書に収載されたものが使われておるというふうなことでございまして、私どもとしては、それほど大幅な乱用があるというふうには考えてございません。なお、ただ鶏関係につきましては、従来獣医師の診療行為が経済的に成立をしなかった、と申しますのは、一羽当たりの単価がきわめて安いために診療費をかけないで淘汰をするというふうなことで、必ずしも獣医師が養鶏部門の診療とは密着し得なかったといういろいろな問題がございます。私どもといたしましては、この新しい鶏の病気なりあるいは食品の安全性という観点から、この獣医師に対しましての新しい鶏病の知識の付与というふうな点については、日本医師会を通じても御努力をいただいてございます。そういうことで、私どもとしては飼料の安全性ということについては今後とも十分留意をしてまいりたいと存じておる次第でございます。  なお、薬事法関連の問題につきましては厚生省ということになっております。
  29. 大出俊

    大出委員 いま私が十七条を取り上げましたが、これは「業務」という文字が入っておりまして「獣医師でなければ、家畜の診療を業務としてはならない。」この「業務」を取りまして、獣医師でなければ動物及び魚類を診療してはならないというように魚類を入れて、そしてここで言う動物というのを二項なら二項をつくって、この法律で言う動物とは、動物の保護及び管理に関する法律保護動物を言う。こういうように、新しい法律もできたわけでありますから、直すというのが私がかつて予算委員会で物を言った中身なんです。その趣旨は、英国などの例がありますけれども、ここでそこまで触れるのは時間がございませんからできるだけ省略をいたしますけれども、獣医官という一つの責任ある役職をつくってあったりしまして、私行っていろいろ聞きましたが、世の中の食品公害などというものの責任はほとんどすべて英国の獣医師さんに責任を負ってもらう。つまり食肉動物あるいは魚類などというものも含めましてね。だから、獣医師という職業にある人は国民に対してその責任を負う、こういうかっこうに体系としてはなっている。獣医師会に巨大な権限を与えているわけですね。許認可、試験などの権限も獣医師会に与えているわけですね。登録も獣医師会に登録する。これが欧州等の物の考え方なんですね。  ところが、わが国の獣医師法というのは、その点では全くいいかげんだというのかお粗末だというのか、第一条が「この法律は、獣医師の技能の最高水準とその業務の適正とを確保し、もって畜産業の発達を図り、」こうなっているのですね。まるっきり畜産業の発達のために獣医師法をつくったということでしょう。それで、一番最後の方にとってつけたように「あわせて公衆衛生の向上に寄与することを目的とする。」、公衆衛生というのはつけたりなんですね。ところが、実際に獣医師の資格を持っている方々の職域、地域分布状況をながめますと、圧倒的に保健所その他に入って公衆衛生の面、食品衛生の面をやっている方がたくさんおいでになる。あとは町の小動物を扱っている方々ですよ。獣医師会の副会長杉山さんがやっておられる全小協みたいなところに入っている方です。だから、その意味では畜産動物の方の獣医師さんは過疎的状況にあるわけですね。だから、この法律自体考え方を根本的に変えなければ、法律が世の中を動かすのですから運用では済まない。この第一条の、獣医師は何のためにあるんだと言ったら、畜産業の発展のためにあるんだ、そういうばかげた法律をいまの世の中に生かしておくこと自体おかしい。第一条は、「この法律は、獣医師の技能の最高水準とその業務の適正とを確保し、もって畜産業の発達を図り、」だから、私は前に意見は申し述べてありますけれども、すみやかにこの問題はひとつ、せっかく調査費その他をお組みになっておられるわけですから、二回しか開かぬなどということでなくて、積極的にお進めいただきたい。国会にだって、きょうおいでにならないけれども、三塚さん、江藤さんもそうでしょうが、獣医師出身の議員さんが何人もおいでになる。みんな御心配になっている。そういう問題なんですから、政党政派の問題じゃないのですよ。国際的にながめてみても、これだけ日本とは違うという点が目につき過ぎる。  そういう意味で、獣医師会というものの権限、これは厚生省に承りたいのですけれども、医師会の側の許認可と獣医師会の側が違ったって私は一つもおかしくないと思っているのですよ、事の性格上。そこらのところの御見解をいただいておきたいのです。あわせてひとつ農林省の方から先に御答弁いただきたいのですが、これは急いでいただきたいのですけれどもそこらはどういうふうにお考えになりますか。
  30. 山本格也

    山本説明員 ただいまの目的条文のことにつきましては、二十四年当時としてはまさに有畜営農時代というふうなことで、畜産の振興とあわせてというふうな表現は、当時の事情をまさに反映していたかと思います。ただ、ただいまのように獣医学術に求められる社会的な要請がきわめて多元化をしておる、人の健康を守ることが至上の問題であるというふうなことでございますので、時代の趨勢に即したような目的条文として私どもも現在の検討会を精力的に進めてまいりたい、かように考えております。
  31. 大出俊

    大出委員 特に人畜共通伝染病というものが最近非常にふえている。私が例症を調べてみたら、ハトのクリプトコッカスなんかで亡くなっている方が三百人ぐらいいるのですね。これは大変危険なんですね。ハトはいま全く野放しなんですが、これは渋谷の駅においでになった方はわかりますが、山のようにハトがいる。これには実はいろんな根本的な問題がございますが、きょうそれに触れている時間がありません。ありませんが、共通伝染病の面だけ取り上げれば何百人か死んでいるわけですからほうっておけないですよ。あるいはトキソプラズマなんかだって、これは妊娠中の御婦人なんということになると大変に危険なわけです。あるいはアマゾンの熱帯魚だって何だって、やたら来てしまっているわけですからね。そちらの方の専門の分野の方に聞いてみるといろんな人畜共通伝染病がある。ところが、魚類というものを所管するのは一体どこなんだ、これは全然ない。どこにもないでしょう。学問的に、では魚類学なるものは一体どこまで進んでいるかなんという問題が片一方にあります。ありますけれども、魚というものについての、魚は人が食べるのですから、こちらの責任を負う所管というものがない。獣医師法にも魚類はない。野放し。それで、いまおっしゃるように、人の健康ということで責任はきわめて重大だとおっしゃる。おっしゃったって、これは法的にも所管がないんだ、そうでしょう。そういうばかげたことはない。この辺は一体どうお考えになりますか。
  32. 山本格也

    山本説明員 ただいまの食品としての魚類という問題でございますけれども、これは食品になります段階には、先生御承知のように食品衛生法が適用されるわけでございます。ただ、ただいまのお話は漁業というふうな生産段階にわたる問題であろうかと思います。諸外国の場合、これはその国におきます産業に占めます水産のウエートでございますとか、あるいは食生活の水産動物のウエートというふうな問題がより支配的かと思いますけれども、多くの場合が特に内水面漁業等を中心としております栽培漁業関係におきましては、この漁業は獣医学の領域から接近した方が比較的入りやすいというふうな関係もございまして、漁業の講座を取り込んでおる国もございます。ただ、わが国の場合には食品の中に占めます魚類のウエートがきわめて高い。水産庁という組織があるほどでございまして、漁業を獣医師が独占的にやることが果たして今後の日本の獣医師の養成問題等々を絡めて考えますと妥当かどうかということは、私ども現在設置をいたしておりますこの検討会の場でも今後十分詰めてまいりたい、かように考えております。
  33. 大出俊

    大出委員 時間がありませんから整理をしておきたいと思って申し上げているので、二回というのはいかにもどうも不熱心きわまるという気がするわけであります。ましてこれは調査費が両省についているわけですから、やはり精力的にこれをおやりいただいた結果、いまの魚類の問題なんかもそうでございますけれども、学問的な側面がもう一つございまして、私もいろいろ聞かせていただいたり調べてみたりしておりますからわからぬわけではございませんが、それにしても入れてもおかしくはない。いま獣医師会の方々お話ししましても、その方面を相当重視しております。だから入れて一つもおかしくはない。  それで、これはいま食品衛生の面でとおっしゃいましたが、そちらの面にだって、事実横浜市なんかだって、勤めているのは至るところ獣医師さんばかりですよ。それは食品としての魚類とおっしゃいますけれども、その衝に当たっている人で獣医師さんはたくさんいる。至るところですよ。横浜の大黒町には屠殺場がございますけれども、ここに衛生検査技師の方が四人おいでになりますけれども、獣医師の資格を持って衛生検査技師の資格を持っておいでになる。ですから、やはりこれはいまの分布状況、これは先般申しましたから改めては申しませんけれども、やはり速やかにいまの検討会を進めていただいて、できる限り次期国会にこういうことになったんだという結論を御報告いただけるような取り運び、これは大臣にもお願いをいたしましたが、やってみるとおっしゃっていましたけれども、これは大臣と非公式な話でございますから、きょうはこの委員会でございますので、そういう方向でひとつ御努力をいただきたい。いかがでございますか。
  34. 山本格也

    山本説明員 私ども、この検討会の結論がなるべく早く出るように努力をいたしてまいりたいと思います。
  35. 大出俊

    大出委員 これは、条文的には第三条の免許なんという問題もございまして、獣医師名簿に登録することによって与えられる、こうなっているわけですけれども、これはさっき申し上げましたが、イギリスにしてもフランスにしてもアメリカにしても、獣医師会に医師免許試験の実施の権限を持たせるというんですね。登録もまた獣医師会で登録をする。日本には、弁護士会でございますけれども似たような制度まであるわけでありまして、いまは二十四年じゃないのですから、今日的事情に適合したものは一体いかなるものかという点にまで触れてひとつ御検討をいただいて結論を出していただきたいという気がするのであります。まだたくさんございますけれども、時間の関係もございますから省略をさせていただきますが、ぜひひとつお進めをいただきたい。  それから、厚生省に承っておきたいのでありますが、保健所の長は医者でなければならぬことになっております。これは一体どういうわけでございますか。
  36. 大谷藤郎

    ○大谷説明員 保健所は公衆衛生を行う機関でございまして、結核予防、伝染病予防、母子衛生それから精神衛生、栄養改善、その他環境衛生、食品衛生、いま先生のおっしゃいましたものも含めまして、地域の保健衛生全般の業務を行っている役所でございます。したがいまして、保健所長は地方におきますところの保健衛生関係全般について知識を持っている者が最適ということでございまして、現在のところ、私どもは、医学全般について知識を持っている医師でなければ保健所の所長の適任者ではない、こういう考え方をとっているわけでございます。
  37. 大出俊

    大出委員 医者でない人が保健所長をやってはなぜいけないのですか。医者がちゃんとおれば全般のことをできるでしょう。不思議なことなんですけれども、航空自衛隊の飛行隊の隊長さんでも私はパイロットに限られているのかと思っておったところが、技術屋さんがちゃんと隊長をおやりになっている。沖繩へ行きましたらちゃんと技術屋さんなんですね。なかなかこれは民主的にできていると思って感心したんですが、それでりっぱにやれると思ったのです。私の兄貴が医者だから言うのではないけれども、大谷さん、医者というのは医者の不養生から始まって、結構ろくでもないのがいるんですよ。本当に井の中のカワズで、ほかのことはよくわからないのです。人が医者の言うことだけはしようがなくて聞くものだから、それでいいつもりになっているので、お医者さんという職業自体が非常に視野が狭い。属人的に言っているのじゃないですよ。属人的に言ったらあなたおこるけれども、そうではないので、つまり、医者という職業自体を見ると、どうしても一つの視野の中に埋没している。世の中のことがわからぬ人が大体医者なんです。私の兄貴も医者ですから言うのですけれども。うっかり保健所長を医者なんかにしておくと、世の中のことがわからぬのですよ。だから、医者でないのがやって医者を使った方がよほどいい。地域医療その他全般の知識を持っている人を使えばいいのだから。そうでしょう。病院こしらえたって、何も医者が病院つくっているわけではない。そうではない人が病院をつくって医者を置いてやっていて、りっぱに地域で役に立っているのがたくさんある。一体なぜいまの世の中に医者でなければならないのか。医者のなわ張り根性を私は捨ててもらいたいというふうに思っているのですが、いかがでございますか。
  38. 大谷藤郎

    ○大谷説明員 現在の健康を守る活動と申しますのは、健康増進から予防、治療、リハビリテーションも含めまして、先ほど申し上げましたようないろいろな社会的な各衛生、あるいはさらには環境、食品の問題等を含めまして、全般的な総合保健活動ということが住民の健康を守る、こういうふうになっているわけでございまして、ますますそういった総合化というものをいたしましてこの健康を守る運動というものを進めていかなければならないところでございます。したがいまして、やはり私どもといたしましては医学を修めました医師が最適任者である、こういうふうに考えておるわけでございます。
  39. 大出俊

    大出委員 最適任者だとあなたはおっしゃるのだが、最適任者じゃない保健所長だっているのです。だから保健所でいろいろな問題が起こるじゃないですか。組合の側だってあの保健所長ろくでもないので追放だなんというのがたくさんございますよ。もう医者であるために本当に世間のことはわからぬで所長として価値がないと言う。これはあなたと意見が対立しますが、ここで長い議論をいたしますと、きょうは時間を倹約して整理をしていますので、保健所の長必ずしも医者にあらずということでいいという私は意見でございまして、そのうちにもう少し横にこれを広げて医者を攻撃しようかと思っているのです。保健所の長が医者でなければならぬなんというばかなことがあるということについてそう思っております。その点は見解を異にいたしますが、一応大谷さんのその御答弁でございますからとりあえず尊重をさせていただきまして、目下のところはそういう規定になっておりますから、改めてひとつその点は御質問を申し上げたいと思います。  まだいまの点は獣医師を含めましていろいろございますが、薬事法の関係もございますけれども、大分時間をこの点で使いましたので、きょうは御足労をいただきましたが、こういう世情でございますから、獣医師法というものが今日の世情に適合しない過去の法律であるという認識は、さっき二十四年ごろというお話でございまして、今日的な事情からするといささかどうも私はこの法律は古きに失するという感じがいたします。そういう意味結論をひとつ精力的に進めていただきたい、こういうふうにお願いを重ねていたしまして、御答弁だけいただいて終わりたいのであります。
  40. 山本格也

    山本説明員 今後、私ども、一層慎重な検討に努めていきたい、かように考えております。
  41. 大出俊

    大出委員 農林大臣と先に私的な話をしておいて質問をするのも妙なことでございますが、大臣の方でも、見直して調べてみたけれども、せっかくそういう空気ができたが、どうも活発でない、だから間に合わぬかもしれぬ、それじゃ困るということで少し進めるように私の方からも言うなんと言っておいでになりましたが、そこらも踏まえていただきまして、ぜひひとつお進めいただきたい。  いまの厚生省の皆さんや農林省の皆さん、大変どうもありがとうございました。長くなりますので、この辺で中断をさしていただきます。  それから次に、運輸省の方々あるいは大蔵省の方にお見えいただきましたのは、またまた新聞の報ずるところ等によりますと、先般来自動車関係諸税の引き上げなどと言われるようなことがちらちら出てきたりいたします。財政窮迫の折、かつて重量税が出てきたわけでありまして、何かというとどうも自動車をと、こういうことになりかねないわけです。そういう意味で少し承っておきたいのであります。  そこで、まず乗用車であります。つまりタクシーでございますけれども企業のタクシーが個人でなくていろいろございますが、最初に運輸省に承りたいのは、いま全国的に見て法人タクシーと個人タクシーの比率というのはどのくらいなっておりますか。
  42. 真島健

    ○真島説明員 ちょっと資料が古うございますけれども個人タクシーが全国で約四万両、タクシー全体が二十二万七千両でございますので、二十三対四くらいの比率かと思います。
  43. 大出俊

    大出委員 六大都市はどのくらいになっておりますか。
  44. 真島健

    ○真島説明員 東京都区部におきましては、個人タクシー、これは四十八年度末の数字でちょと古いのでございますが、一万七千、法人タクシー二万七千、こんな比率になっております。それから横浜地区でございますが、横浜市域におきましては法人五千六百、個人三千二百、名古屋におきましては法人六千三百、個人千七百、大阪の市域におきましては法人一万二千四百、個人四千五百、京都、法人五千二百、個人二千三百、神戸、法人五千四百、個人千二百、六大都市では大体このような比率になっております。
  45. 大出俊

    大出委員 私は実は一つは、営業車をある程度台数を持っているということは公共的な足でございますからそれなりにわかるのでありますが、この際承りたいのですが、いかに自動車メーカーがたくさん自動車を生産する、それを販売をするにしても、車庫もなければ何もない一般の個人が、ぶつけてもその損害補償もできないような方々も含めて、やたら車を持っている今日の事情というのは、これは全く無制限である、何ら許認可に触れるものはない。セールスマンが行って売る、買う、とたんに道端でも何でもとめておく、こういうかっこうにしていることが果たしていいのかどうかという非常に大きな疑問を持っております。この辺のところはどこかで御検討をいただいたことがありますか。
  46. 真島健

    ○真島説明員 私ども自動車の生産の問題から取り組んではおりませんけれども、都市交通の秩序の確立という面から、限られた都市空間において、いたずらに車があふれるということによりまして都市機能そのものも麻痺するんじゃないか、これは総量的に何らかの整理をすべきじゃないだろうか。そこで私ども使用の態様の方から何かうまい整理の方法はないかということで、これは実は四十六年度に私ども運輸政策審議会に御諮問を申し上げまして、これは営業車の方の立場から、大都市におけるバス、タクシーのあり方ということで御諮問申し上げたわけでございます。この委員会におきましても、基本的には自家用車を含めてのトータルの車の数をどのように整理できるかということが根本である。——しかし、これはここでそういうことを申し上げていいかどうかわかりませんけれども、審議会の場におきましても総論的には皆さん御賛成になるのでございますが、では具体的にどのようなことに抱負、手法があるかという点でどうしてもなかなか御意見がまとめ得ませんで、そのときの審議会ではそういう状況の中でやれることはやっていこうじゃないかということであのような答申になっております。その後私どもも各関係方々とも御相談をしておるところでございますけれども、残念ながら、いま現在こうしたらいいんだという具体的な結論が出ておりません。この問題は私どももなお精力的に検討を進めてまいりたい、このように考えております。
  47. 大出俊

    大出委員 この車庫もない、道端にとめておく、シートをかぶして置きっ放す、中にはそれで朝通勤をするんで乗ってきて、駅周辺の空き地にとめて電車に乗って行ってしまう、帰ってくるまで一日そこに車を置きっ放し、駅周辺なんというのは至るところそういうことになる。現に必要な駐車ができない、そのことは大変に交通事情を悪くする、交通事故のもとにもなる、こういう状態が至るところに続いていて、そのままでいいはずがない。営業車ならば車庫の位置一つつかまえたって、これは大変なことでありまして、ちょっと悪ければ書面審査で落っこちてしまう。そこまでの大変な規制をしているわけでありますが、個人の自家用となりますと全くノー規制だということ。これは規制をする、こうなるというと、恐らくメーカーから大反対が出てくるかもしれません。メーカーから大反対が出てくるからといって全く野放しでいいということにはならない、私はそう考えておるわけでありまして、そこで四十六年当時のこの答申、後ほど私はいただきたいのですが、ぜひお出しをいただきたいのと、そのときの経過等についても、これはずいぶんいいかげんな話でありまして、これでいいことにはならぬ気が私はする。こういうところに許認可事務の廃止のみならず、逆に認めないという方の不許可の条文というものを少し考えていただいて、こういう点は規制をする、この必要が私はどうしてもあるという気がするわけであります。これは大都市に私どもおりますからですけれども、そのために実は大量輸送機関であるバスなんかも、どうしても車で通わなければならぬ筋合いのものも皆朝車で並んでしまっているわけですから、走行キロはどんどん時間単位で落ちていく、それが不採算、赤字の最大の原因になっている。こういうばかげたことも放任もできないわけでありまして、バスレーンをつくってみたからといって、その中に乗用車がどんどん入ってくる、バスレーンは用をなさない地域まで出てくる。これはなぜかと言えば何の規制もないから。実はこういう状態というのは、これはさかのぼれば、実は池田さんの内閣時代に自動車の年産百万台計画を立てたいにしえにさかのぼらなければいけないのですけれども、道路計画というものは大変おくれて出発をするというちぐはぐな事情にございました。これは高度成長の出発でございましたから、だからそのことをいまさらどうも時間の関係もございまして申し上げかねますけれども、改めてこれは見直す必要のある問題ではないか、どこかに諮問をしてみる必要がある問題じゃないか。四十六年当時とはまた大変違った状況にございまして、ぜひこれはお考えいただきたいのですが、いかがですか。
  48. 真島健

    ○真島説明員 先生のおっしゃること、まことにごもっともなことだと思います。四十六年当時、私どもそのようなことで一応の現状の中での改善策、レーンの問題その他を含めまして御答申をいただいておるわけでございますけれども、やはりその当時の経験から考えましても、規制の方法というのは非常にいろいろなアイデアが出てくると思います。運輸省だけでできる範囲、あるいは車庫規制、駐車規制、交通規制といったような警察関係でお願いをしなければならぬような問題、その他いろいろございます。それで、私どもこれはやはり自動車関係、通産省も含まるかと思いますけれども関係省庁、たとえば総理府なり何なり総合的に調整をしてくださる官庁を中心といたしまして、私どもが協力をして検討を進めてまいりたい、このように考えております。
  49. 大出俊

    大出委員 時間を節約をして質問させていただきますけれども、この法人と個人のタクシーの比率なども横須賀はたしか五五%くらいが個人でございました。法人の方が少ない。この個人タクシーというのは営業時間が決まっておりますけれども、何時から何時までという規制がないわけでありまして、したがって、ある地域においては夜遅くなると全く法人だけになってしまうという妙なことになっています。ここらの比率、個人と法人の関係というのは一体どのくらいが適正なものとお考えなんですか。たとえばイタリアというのは、ローマなんか行ってみますと、個人タクシーは一五%、法人タクシーがあと八五%、このくらいがいいのだというようなことをきちっと言います。現にそうなっている。オーストリアのウイーンなんかに行きますと、個人の方がはるかに多いわけでありますけれども、これは観光地で特殊な事情があります。その辺は一体わが国の場合にはどういうふうにお考えなのか。たとえば料金値上げなどという場合に個人の場合は中間に企業がないわけであります。だからその意味では、真ん中に企業のある法人と比べると、同じハンドルを持つ方々の収入が値上げのたびに開いてしまう、こういう現象もございます。そこらを含めまして、一体この矛盾をどういうふうにすべきとお考えでございますか。
  50. 真島健

    ○真島説明員 ある都市において、個人タクシーと法人タクシーの比率はどの程度がいいのか。これは実は都市ごとで非常にむずかしい問題かと思います。  個人タクシーの原点を考えますと、御承知のとおり、ハイヤー、タクシーあるいはバス等の運転手を長くおやりになっておった方が、将来その会社をやめた場合に、その技術を生かした職業につけるということが夢ではないか、その夢を実現させるべきではないか、こういうことで一人一車制の個人タクシーが生まれたわけでございます。御承知のように一人一車、事業者という形になりますので、基準法その他の関係がございません。したがいまして、御指摘のように、好きなときに働くということ。それから法人の場合は、大企業になりますと一車二人制でございまして、車の方は二十四時間動く。個人タクシーの方は、無理をされる方もおるかもしれませんけれども、大体八時間なり十時間なり自分の好きな時間帯、好きな時間だけやる、こういうことでございます。  私ども時間帯の問題はございますけれども、大体個人タクシーは一人一車、企業の方は二人一車ということで、輸送力としてはまず半分程度ではないかというふうな考え方で、個人、法人を含めますその都市地域における全体の需給バランスということから個人タクシーの免許あるいは法人タクシーの免許をやっておるわけでございまして、この都市においてはこれとこれがこういう比率ということは特に一律的には決めておりません。
  51. 大出俊

    大出委員 いや、皆さんそう言うけれども、科学的な根拠はないのですよ。陸運局を取り巻かれて個人タクシーの許可をしろといっていっぱい旗を立てられて、しぶしぶ始めたりしたオリンピック前後の事情もございまして、名古屋のように申請がほとんどなくなっているようなところがあったりいたしまして、科学的な理由がない。  いま、冒頭に夢だとおっしゃった。そのとおりでありまして、ローマあたりなんかがいい例でありますけれども、二十年ないし二十五年ぐらい一つの法人タクシーにお勤めになると、労使の双方で、その人が個人タクシーをやりたいという場合に、あの人ならいいじゃないかということで会社は無償で車を一台提供する。その方が勤めていた会社の看板のままで、その色のままの車で、もう一つここに個人タクシーの看板をつけて走る。だから責任の所在も明確になっているシステムでありまして、私はこれは一つの理想だと思いますけれども、何か法人、個人の問題ももう少しどこかで科学的に物を考えてみる必要がありはせぬかという気がする。時間がありませんから問題提起だけにいたしておきますが、そういう気がいたします。  そこで、料金値上げを昨年行いまして以来、東京で言えば二キロ二百二十円、倒し、これは基本料金ですね。これを二百八十円に上げた。自後料金で四百十メートルごとに五十円。横浜の場合は二キロで二百二十円でありましたのを二百八十円に上げた。倒しだけが一緒になった。自後料金で四百五十五メートル、五十円でございますから、東京、横浜は平均乗車キロなどを基準にしてみてなお二・五%ぐらいの差があるわけであります。こういうことになったわけでありますが、これは同じ経済圏ですからこの差は将来埋めていただかなければならぬ。徳永さんが私に、ワンステップ置かしてくれとおっしゃいましたから、ワンステップ置くことは認めますけれども、将来においてはこれはお直しを願いたいわけであります。これが一つ。  それからもう一つ、この料金値上げ以後の実車率、一体どのくらいに回復をしているかという点ですね。一般的な経済現象とあわせまして非常に悪い。料金が上がりましたから金額の面ではという面がございますけれども、実車率の面からいきますと、回復が非常に遅いというか、実は慢性的な低率にある現状だと思うのでありますが、今日どのくらいのところに来ておるかという点を御回答いただきたい。
  52. 真島健

    ○真島説明員 最初に東京、横浜間の運賃の整合性の問題でございます。これはこの前の運賃改定のときにも、先生おっしゃったとおりの事情であのようなことになりましたが、東京、横浜は同じ経済圏でございます。将来これはできるだけ統一的な運賃であるべきだ、このように考えております。  それから実車率の問題でございますが、最初に横浜地区でございます。これは運賃改定前約六カ月の平均が五七・二、これが改定後は約六%落ちてまいりまして、改定後の六カ月平均は五一・四、このような状況でございます。東京につきましては、実車率は改定前六カ月の平均が五八・四、これが改定後六カ月をとりますと五二・五、これも約六%ダウンしたまま、現在まだ上昇しておりません。
  53. 大出俊

    大出委員 五一・四といいますと、つまりお客というのは乗っけていくわけですから、行きと帰りと考えますと、乗っけていって帰りは空だというやつが五〇だ、簡単に言えば。ですから、この五一%という実車率というのは、私がいつか質問したときに、五〇以下になることはありません、人を乗っけていくのですから、帰りは空でも——ところが、流しがありますからそうはいかないのですけれども、そういう御答弁が当時ございました。私はそのときに笑いながら聞いておったのですけれども、どうもないはずの実車率に近づいているわけでありまして、大変に悪い。このことは営業収入、経営事情その他すべてよくないということになるわけでありまして、そういう前提で物を承りたいのであります。  ちょっとそのために時間を使って恐縮でございましたが、まず第一は、ガソリン税及び石油・ガス税などの燃料税、これはタクシー一台当たり年間納税額、それぞれどのくらいの比率になっておるか御存じでございますか。——時間の関係がございますのでずっと並べますから、わかるならお答えいただきたい。  ハイヤー、タクシーに対する物品税、タクシー一台当たり年間納税額、幾らになりますか。それからハイヤー、タクシーに対する事業所税、されたわけであります。これには後からちょっと承りたいことがあるのでありますが、この事業所税はタクシー一台当たり年間納税額幾らになりますか。それから自動車重量税、タクシー一台当たり年間納税額は幾らでございますか。それから自動車取得税はタクシー一台当たり年間納税額は幾らでございますか。それから自動車税、自動車税というのは地方税でございますけれども、これは一体タクシー一台当たり年間幾らになりますか。  ここまでを申し上げまして、時間がございませんからおわかりいただいておるものだけで結構でございますが、もしなければ私の方から申し上げますが……。
  54. 島崎晴夫

    ○島崎説明員 私の手元にございますのは、これはタクシー協会ではじいた数字でございますので、恐らく先生お手持ちの資料と同じだろうと思いますが、順に申し上げますと、物品税は四万五千六百円、それから重量税が七千五百円、地方税になりまして、むしろ自治省からお答えいただいた方がよろしいかと思いますが、便宜私が申し上げますと、取得税が一万三千八百円、自動車税が八千円、事業所税が八千七百円ということでございます。それから燃料課税の方でございますが、ガソリンを使いますと、二十五万五千円、それからLPGでございますと、二十万一千円という数字でございます。お断りしておきますが、これは私どもでもう一度厳密に計算し直さなければいけませんので、これはあくまでもタクシー業界の御試算だということで御了承いただきたいと思います。
  55. 大出俊

    大出委員 私が申し上げたいのは、日本はハイヤー、タクシー、特にタクシーに対しまして優遇措置というものが全くないわけじゃありませんけれども、ほとんどないと言っていいわけであります。そして関係税金が多過ぎる。さっきローマの例を挙げましたからローマの話をいたしますが、一日千リラ補助金を出しているわけであります。ところが日本の場合には、重量税の再値上げのときに、営業車を据え置いたというだけが唯一の優遇措置であります。ほかには全くない。ですから、むしろこのことが料金にもはね返るし、経営面の問題にもなる。大体資金の比率から言いますと、人件費で四七%ぐらい、それがだんだん上がっていって五五%ぐらいまで行くと、料金改定でまた四七%ぐらいに戻る、そういう繰り返しを実際にはやってきている。その根底にあるのは各種税制の問題が深く絡んでいることなのですね。そこにまた今度は事業所税を新設をする、こういうわけですね。これは許認可にも絡みますが、そういう事情に実はあります。私はそういう意味で、このタクシーに関する税金を全部一遍見直しをして、いま一台当たり幾らかと承りましたら、協会の数字が出てまいりまして結構でございますが、これを一遍皆さんで当たり直していただきまして、一台当たりこの種のこれだけいっぱい税金がくっついているわけですけれども皆さんがタクシーにお乗りになる乗車運賃にみんな原価計算では入ってくるわけですから、だから日本のハイヤー、タクシーの料金が高いとか安いとか言いますが、調べてみて欧州並みの料金にやっと近づいたかなというところであります。タクシーキャブという形の自動車をつくっているわけじゃございません、乗用車をタクシーに使っているわけです。荷物料金といったって後ろはプロパンが入っているのだからこれは使えないのです。パリなんかに行きますというと、運転手さんの隣の席は運転手さんの部屋なんです。小さい犬を何かかごに入れて乗っけて遊びながら運転している、こういうわけで、のんきなものです。料金体系が全然違う。聞いてみると非常に楽なんだ。ところが、何か知らぬけれども、運転手さんの責任みたいなことに、運転手さん高いじゃないかというようなことにすぐなってしまう。平均乗車キロは四キロですけれども、そこから先がぐんと落ちているというのがいまの実車率の大きな落ち込みの原因なのです。そうすると、この時期に全体を見直して、事業所税なんというものも、ハイヤー、タクシーは車庫があってどうしても広いんですから、事業所面積というものを基準にして物を考えられるので、私は、福利厚生施設はのけろと言ったら、バスとの関係が出てきて、運輸省は非常にお困りになっておった。そこらは結果的にどう処理されたか、あわせてお答えいただきたいのでありますけれども、結局八十五台というようなことに線を引かれて、法律そのものは二分の一でやる、そこから先は減免措置という線の引き方をされたようでありますけれども、トラックの方は課税対象になっていない、ところがタクシー、ハイヤーの方は事業所税の課税対象になっている。どうもこれも一般的に言って不都合な話でございまして、だから全体を見直してむしろ軽減をすべきであって、次回の料金値上げなんというときには料金を上げるべきではない、税金を下げろと私は言いたい。そうしなければ運転手が苦労するだけで、法人タクシーなるがゆえに真ん中の会社が収益を取るわけでありますから、個人というのは真ん中がないのですから、料金値上げのために個人の方はよくなるが、法人の方は旧態依然である。むしろ逆に、営収が実車率が下がって落ちるというので、減らされるという現象まで出てくる。これじゃ公の足は守れません。そういう意味でこれらの税制というものは、この際タクシーの台数は一体どのくらいにして許認可権を持つところが規制するかという問題、あるいは一般の乗用車というのは許認可権を持つところがどう規制するかという問題とあわせて、私はこのタクシー税制、ハイヤー税制というものは全部見直してもらって、料金値上げというよりはむしろこちらの方を考えるべきである、そういう考え方を持つわけであります。ここらのところいかがでございますか。
  56. 島崎晴夫

    ○島崎説明員 先生もおっしゃいましたように、これらの諸税の間接税でございます。したがいまして、料金に転嫁さしていく、そしてその利用者がそれを負担するというのが筋だろうかと思います。これもまた御承知のとおりでございますが、こういった税金は相当部分が道路の建設整備に充てられているいわゆる目的財源ということになっておりまして、今後とも道路の拡張というものに対する需要は強かろうと思います。そうしなければ都市交通の麻痺というようなこともなかなか解消いたしませんでしょう。     〔委員長退席、木野委員長代理着席〕 それを考えますと、そういった今後の道路関係の費用というものは、それを利用する者が受益者負担の立場に立ちまして負担していくべきものだと考えております。たまたま四十九年に重量税とそれから揮発油税につきましては増税いたしておりますし、それから地方税についても取得税等は上げておりますが、この期限が来年の三月ないし四月に参ります。いやおうなしに見直しをせざるを得ないわけでありますが、その際、先ほど申し上げましたような事情とか、それから外国諸国の税負担率の比較等を考えますと、この際国税もまた地方税も増税をさしていただきたい、増税やむを得ないのではないかと考えております。ただし、これは御承知のように税制調査会で御審議いただかなければならない事項でございますので、内容等につきましても今後御検討いただきたい、かように考えております。
  57. 大出俊

    大出委員 ここに一つ物の考え方の基本に触れて違いがあるのです。実は道路まで利用者負担だ、こう言う。だからさっきちょっと触れたのですが、三十五年の池田内閣ができましたときに、これは下村治さんの高度成長という理論ですけれども、このときに自動車の年産百万台計画をお立てになった。どんどん日産だトヨタだというところに資本投入をして、これは下村さん書いておりますものの中に、アメリカの資本主義の最盛期というのは自動車五大メーカーが一番栄えた時期なんですね。日本の場合も高度成長の出発は自動車から入っていった。やがて一軒に二台くらいの自動車になりますよと池田さんおっしゃった。まさに所得倍増のときの話ですよ。ぼくらも実際には感心して聞いたことがある。だが、道路計画ははるかにおくれて進められていろ。河野さんが建設大臣になって五カ年計画をおつくりになって、あのころの金で二兆円を使うとかという話になった。本来これは利用者負担という出発でなかった。ところがこの重量税なんというのは、まさに田中角榮さんの発想じゃありませんけれども、大騒ぎになったわけでありますけれども、本来違うと私が申し上げたいのは、それじゃ会社であるとか百貨店であるとかいう例を挙げれば、シカゴに例がありますけれども、百貨店は単独で存在をしない、客が来るという場合に軍に乗ってくるとすれば、百貨店はみずからは出さぬで、つまり利用者負担で、タクシー料金の中に含まれている間接税をお客は払って買い物に行く、そういう筋道になる。そうすると、ただ単なるそういうところだけ、つまり乗客だけが負担をしなければならぬのかと言えば、そういうことでないということで、シカゴの例などは、都市交通に対する赤字という問題が大きな騒ぎになって、目的税を取った。企業からも百貨店からもみんな取った。例がございます。私はかつて調べて地方行政委員会質問したことがございますけれども、だから、これらのものをすべて乗客にしわ寄せをするハイヤー、タクシーの税制は、来年見直して、また上げるというのはハイヤー、タクシーの性格上好ましいことでないというふうに私は思うわけでありまして、これはいまあなたが税制審議会へとおっしゃったから、緩衝地帯がありますから、直接あなたじゃなくて税制審議会だということになりますけれども、私は、どうもタクシーに関しては、いまの経営事情、ハンドルを持つ人の収入、生活の度合い、料金値上げ以後の実車率の落ち込み方から、これ以上料金にはね返る増税措置というものは避けるべきである、そうでないとますます実車率は落ち込む、こういうふうに思う。たとえば、皆さんにしたって、新橋で一杯飲んだ、普通なら、いいや終車行っちゃったって車拾っていけばいいからと、考えてみるといやえらい上がったっけなということになると、まあ終車に間に合うように帰ろうかということになる。そうすると、平均乗車キロ以後のやつはがちゃりと落ちる、これは当然なんです。会社のチケットでも使っていくのでない限りは、個人のふところなら、私初めどうしてもそうなる。だから、やはりこれ以上乗車料金を上げるという形のものにいくことは気をつけなければいかぬという気が私はするので、そういう意味でハイヤー、タクシー税制というようなものは、さっき御答弁によりますと、税制審議会を経てということですけれども、見直して、地方税も国税も上げなければならぬというお話でございますが、それは私は避けるべきだという見解です。もうとにかく財政が苦しいのなんのというと、とたんに自動車へと言う。ちょいちょいこれは出てくるわけですから、ここらは結果的に乗客負担になるわけでありまして、そういう意味では、これは避けるべきであるという気がするのでありますが、これは運輸省を含めていかがでございましょう。
  58. 島崎晴夫

    ○島崎説明員 ただいま受益者はだれであるかということについての先生の御意見を承りましたけれども、やはり私どもは車を使う人間、それからトラックを利用する人間というふうに受益者の範囲考えておりまして、それに負担させるのが税の公平面から言って最も妥当だろうと考えております。  なお、こういう時期でございますので、増税はいかがかというお話でございますが、いま申し上げました受益者負担という考えを前提にすれば、やはり相当の負担をしていただかなければ今後とも道路の整備ということもできない事情にございます。そういった事情を考えますと、やはり先ほど私申し上げましたように、繰り返しにはなりますけれども、増税はやむを得ないという考え方でございます。
  59. 大出俊

    大出委員 私がきょうこれを質問している理由は、あなた方の側で増税をするとこうおっしゃられるのならば、はっきりそれを引き出そうと思った。それで、後むしろ旗を立てて反対だと言って天下の騒乱を起こさなければこれはおさまらぬと思っておりまして、まさに東京をタクシーの車で埋め尽くすぐらいのことをやって、運輸省、大蔵省を責め上げなければならぬという考え方なんです。火をつけたいのです。実は。あなたの方が値上げをするとおっしゃったから、これは火がつくだろうと思うのですが、よほどお気をつけにならぬと、御注意を申し上げておきますが、これはえらいことになりますよ。  ところで、さっきの事業所税でございますが、これは念のために承っておきたいのですけれども、福利厚生施設の範囲などというものはどういうふうにごらんになったわけですか。
  60. 福島深

    ○福島政府委員 福利厚生施設につきましては、これは単にタクシー業者だけでなくて、一般の企業におきましても、福利厚生施設は対象面積から除外をして計算するようにいたしております。
  61. 大出俊

    大出委員 その範囲は基準か何か決めてございましたか。
  62. 福島深

    ○福島政府委員 これは基準といいますよりは、もう福利厚生施設であれば全部除くという形になっております。
  63. 大出俊

    大出委員 全般的に見て、横浜の場合ですと八十五台でしたかな、一般的に二分の一、それからさらに減免措置というのは、基準は何台でございましたか。これも念のために聞いておきたいのです。
  64. 福島深

    ○福島政府委員 御案内のように、一般的にはタクシー業につきましては二分の一課税ということになっておりますが、国会における審議におきましてもいろいろ御議論がございまして、中小タクシー業者を保護するというような立場から、八十五台以下の法人につきましては、その二分の一課税も全部減免をするような指導をいたしております。
  65. 大出俊

    大出委員 どのぐらい結果的に減免いたしますか。
  66. 福島深

    ○福島政府委員 御承知のように、事業所税というのは全国ではございませんで、大都市でございますので、その範囲で申し上げますと、八十五台ということで線を引きますと、個人はもちろんかかりません。法人関係だけで申し上げますと、法人数の八八%程度が課税をしない、残りの一二%程度が二分の一課税をするというようなかっこうになろうかと思います。
  67. 大出俊

    大出委員 だから、タクシーの場合は二分の一課税が本体ですね、法律の。それを今度は八十五台以下はさらに減免措置しているわけでしょう。その減免はどのくらいの減免ですか。
  68. 福島深

    ○福島政府委員 減免とおっしゃいますと、減免の台数でございますか。(大出委員「比率」と呼ぶ)比率は、ですから八八%程度の業者については減免になる。
  69. 大出俊

    大出委員 そうすると、一二%ぐらいが対象になるということですな。
  70. 福島深

    ○福島政府委員 そういうことです。
  71. 大出俊

    大出委員 念のためにここで承っておきたいのですけれども、これまたある意味の間接税でございましょうが、付加価値税だとかあるいは何かまた自動車新税だとか、別なものを考え出すお考えはないでしょうな。いかがでございますか。
  72. 島崎晴夫

    ○島崎説明員 自動車新税とおっしゃいますものがどういうものかよくわかりませんけれども、いまでも九つございます。加えて新たな税目をここでふやすということは、ただいまのところ考えておりません。  それから付加価値税につきましては、相当にいろいろな御意見もおありかと思います。いままでの意見といいますのは、私が聞きましたものでも、たとえばEC型の付加価値税がすぐに入るというような見解がちまたに流れているようでございますけれども、何せ付加価値税の導入というのは税制の根幹を改革する問題でございまして、国民の理解と納得というものが必要かと思います。したがいまして、その時期等につきましては、いつということについて申し上げられるような段階には至っておりませんが、ただ、EC型の付加価値税をそっくりそのまま日本に導入するということについてはいろいろな問題点もあろうかと思いますので、今後は、仮に日本に導入したとすればどういったタイプのものが最も定着しやすいか、それからその場合のいろいろな問題点が御指摘されておりますので、そういったことが具体的にどうなのかといったことを慎重に検討していくことが必要ではないかと思ってはおります。  繰り返しになりますけれども、いつからかとか、あるいは先生質問のように五十一年度から入れるかというようなことにつきましては、何とも申し上げられない状況でございます。
  73. 大出俊

    大出委員 この新税と言いましたのは、私どもまさか重量税なんというものがぽかり出てくるとはあのときに思わなかったですね。こんな言葉に気がつかなかったですね。自動車重量税なんということを当時の幹事長が言い出して大騒ぎになった時代がございました。だから、また妙なことをひねり出されると困るから念のために聞いたわけです。どういう新税と言われてもとおっしゃるけれども、われわれが見当つかぬことを旧来からおやりになるから、業界を挙げて心配しているわけですね。したがって念のために承ったわけでありまして、いまのところは新しいものは考えておられないというわけで、旧来あるものの見直し等をやる、その場合には増税にならざるを得ぬというところまででございまして、その辺はっきりしましたから……。
  74. 島崎晴夫

    ○島崎説明員 最初の答弁のときに申し上げましたように、そういった新税の問題も、また増税するかどうか、あるいは増税するとすればどの程度が妥当かということは、あくまでも税制調査会が御審議いただいた上の話でございますので、その点御了承いただきたいと思います。
  75. 大出俊

    大出委員 大変都合のいい隠れみのみたいのもありまして、調査会がありまして、そこを通ってくるとオーソライズされて出てくるということでございます。だけれども、事務局は恐らく皆さんでおやりになるのだから、所々方々にある審議会いずれもその通例でございまして、なかなかお考えになっている方向以外の結論は出ないわけでありますから、先ほどひょっとお話しになったようなことになるのではないかと思いまして、念のために申し上げたわけであります。  時間の関係がございますので、最後に運輸省に一つだけ承りたいのですが、いまの料金でいつごろまでタクシー経営あるいはそこにハンドルを持つ方々の生活が成り立つのか。いまの実車率その他踏まえてどうお考えでございましょう。いまもう一日の走行キロが三百走れるというのは、大都市ですと大変なんですよ。これは交通事情もございまして非常に苦しいわけでありますが、どういうふうに見通しておられますか。その点だけ念のために聞かしていただきたいのです。
  76. 真島健

    ○真島説明員 いつごろまでということ、これは私どもも非常にむずかしい御質問だと思います。いずれにいたしましても、昨年の十一月から、たとえば東京、横浜等は改定をいたしたわけでございます。普通の経済情勢、従来のペースで参りますれば、私どもも、バスと同じようにタクシーも大体二年ぐらいのローテーションで見直していくのが妥当ではないか、このような考え方をとっておりますけれども、何分現在の経済情勢、今後どの程度の景気の上向き云々がいつごろ期待できるかということによって、やはりこのタクシーの料金もいつごろまでもつか、ちょっと具体的な数字を申し上げられる問題ではないような気がいたします。
  77. 大出俊

    大出委員 二年ローテーションというお話でございましたから、そう承っておきます。  お忙しいところをお出かけいただきましてありがとうございました。きょうは自治省の方にお出かけいただきましたが、かわってお答えいただいてしまいましたので、御足労かけまして恐縮でございました。  次に、時間かけずに聞かしていただきますが、通産省の関係資源エネルギー庁の方々なりあるいは中小企業庁の方々にお出かけいただきましたが、先般私が質問申し上げております都市ガスとプロパンの業界との関係の問題でございます。至るところにまさに火がつきまして、大変世上騒然たる事情がございまして、私は横浜でございますが、神奈川県でもたくさん問題がございます。  そこで承りたいのでございますけれども、先般長い質問をいたしておりますから、要点をしぼって聞きたいのでありますが、これは八月十六日の新聞でございます。日本経済でございますが「大都市周辺のプロパン業者 事業転換を手助け 通産省融資制度など拡充」実はこういう記事が載っているわけであります。これらの問題をめぐりまして——プロパン関係皆さんにすれば親の代からやってこられた燃料を業とする御商売でございますから、そういう意味で、道なきところをボンベを担いで各家庭に取りつける、こういうふうなことからやってまいりまして、家庭用燃料を供給してきた実績、歴史がある。ところが、そこに都市ガスが入ってくるということで、顧客はそちらの方に行ってしまって商売ができなくなる。だから、もうこの辺でいいかげんでプロパン業者の諸君は転廃業しろよ、実はこういう言われ方。これじゃまるっきり安楽死しろということになるじゃないか。おまえたちやっていけなければ事業転換を助けてやるからほかの商売をやれ、これはずいぶんひどくはないかというごうごうたる非難が実は起こっているわけであります。一体この中身というのはどこまで本当で、どこまでどういうことになるのか。本当に安楽死法案をお出しになろうというのか。そこらのところは一体どういうことになるわけでございますか、承りたいのであります。
  78. 宇田川治宣

    ○宇田川説明員 お答えいたします。  ことしの八月十六日付の日本経済新聞の夕刊の一面に載っておりました記事に関しましては、これは実は通商産業省なり資源エネルギー庁が発表したという内容のものではございません。したがいまして、日本経済新聞が日本経済新聞としての御判断でお書きになったものというふうに考えております。したがって、この内容につきまして私どもとしてどうこうということを申し上げる立場にございませんが、私どもといたしましては、ここに書いてございますように、まずプロパン業者というのは事業転換すべき事業であるというふうに考えているということはございません。他面、ただ現実に事業の転換ということが行われているという面も無視することはできないというふうに考えてございますので、事業転換を本来すべき業種であって、したがって事業転換を促進するという立場ではなくて、現実に事業転換が行われる場合がある、そういう場合にどういうふうに対応すべきかということを資源エネルギー庁として、またこれは中小企業庁の方でお答えいただいた方がよろしいかと思いますが、中小企業庁とも連絡をとりまして、何らかの対応策ということを検討している、こういう状況でございます。
  79. 大出俊

    大出委員 この間、私が電話を方々におかけしましてあるいは承ったかもしれませんが、幾つ皆さん所管が分かれているようでありまして、中小企業庁の方の方から、国際経済上の調整措置の実施に伴う中小企業に対する臨時措置に関する法律、これはドルショックのときにできた法律なんでございましょうが、ここの手直しか解釈かわかりませんけれどもそこら考えたいのだというお話が一面ございましたり、あるいはまた、資源エネルギー庁の流通課の方々の方では、メーターの買い上げというような問題をどうするかということをお考えであるように、私が電話を入れましたらお答えをいただいたわけでありますが、ここで一つずつ明らかにしておいていただきたいのであります。  ただいまの記事に関連をいたしますので、あわせてもう一つ。八月五日の同じ日本経済新聞に「通常国会に法案 通産省 金融・税制面から助成策 中小企業の事業転換促す」この中に転換業種としてプロパン業種を入れる、こういう記事が一つあるわけであります。これらを踏まえましていま私が承りたいと申し上げた中小企業庁の側に、先ほど申し上げたドル何とか法をお使いになるという考え方なのか、あるいは別な法制をお考えで国会にお出しになろうというのか、あるいは国会に出すものの中にこの業種を入れようというのか、どういうことになるのか、少し詳しくこれは御説明をいただきたいのであります。  もう一つ、流通課の方々の方には、メーターの買い上げ問題がございますが、これはいつか物価国会、物価狂乱と言われた国会のときに、日商岩井の辻社長を相手に私はプロパン問題を質問したことがございます。このときに、資源エネルギー庁の通達でメーターをつける、メーター売りを義務づけた通達がございまして、これを取り上げて物を言ったことがございますけれども、これは資源エネルギー庁は義務づけたわけですから、そのメーターが要らなくなるとなった場合に、これは義務づけた結果によっていろいろなことが起こっているわけでありますから、やはり責任は負っていただかねばならぬという気がするのでありますけれどもそこらは一体どういうことになっているのか、お聞かせをいただきたいのであります。
  80. 松尾泰之

    ○松尾説明員 御承知のように中小企業をめぐる環境の変化というものが最近著しいものがございます。たとえば高度成長から低成長への移行、あるいはそれに伴う内外における競争の激化、あるいは環境問題の深刻化等々、中小企業の事業の転換を迫る要因というものが非常にふえてきております。そういうような実情にかんがみまして、中小企業者がみずから環境の変化に即応いたしまして事業の転換をしようとする場合に、それを円滑ならしめるために何らかの助成策、特に金融、税制あるいは雇用対策、指導、情報の提供といったような面での支援措置が必要ではないかと考えておりまして、目下中小企業近代化審議会の意見などを聞いております。できれば次の通常国会にそれを法制化いたしまして、いわば仮称でございますが、中小企業事業転換対策特別措置法といったものを提案させていただきたいと思っております。  ただし、先ほどちょっとお言葉がございましたけれども、それは決して中小企業の安楽死といったような考え方ではございませんで、ただいま申し上げましたような環境の変化に適応化を円滑ならしめる、さらに中小企業の存立分野を拡大していく、こういう趣旨からでございます。  なお、その対象としてLPG販売業というものを取り上げるかどうか、この点もまだ決まっておりません。あくまでも業界の意思というものも尊重しながら対象となるべき業種を指定するという考えでおります。
  81. 大出俊

    大出委員 これはよほど皆さん基本的な物の考え方をきちっとしていただきませんと問題が起こります。これはこの業界の個々の店舗の皆さん立場に立ちますと、親の代から長らく燃料を業としてきた方々が多いわけでありまして、歴史的な御商売、それだけにいまになって政府がまさに安楽死法案とでも言わんならぬような、そういう物の考え方を表に出されるとすれば、これはふざけたことをと腹が立つのはあたりまえであります。したがって、そういうふうに受け取られるような言い方あるいは考え方というのを表にお出しになるということ、あるいはお考えになるということは、これは間違いであろうというふうに私は思っているわけであります。やはり皆さんの側も真剣になっていただいて、この業界の苦悩の状況というものをお調べいただいて、これは真剣に取り組んであげる必要があると私は思っているのです。片や都市ガスの方は、転換計画その他に基づきましてどんどん区域を三年前から決めて、事業法に基づいて申請をして入れていけばいいのだという、そういうかっこうで進む、片方は皆さんの口から出てくる消費者の選択の自由だというようなことで、一生懸命いままで重いものを担いでやってきたのだが生き死にの問題になってしまう、こういうことなんです。だから、そこのところに何らかの線を引いて、この方々の生活というものを守ってあげるという、その心要は私はあると思う。  これはこの間長い質問をいたしまして、法律に触れてこの議論をしてまいりましたから、きょうはそういう基本的な長い議論をする気はないのでありますけれども、まずもって皆さんの側として、中小企業事業転換法というものをお考えになるのだとすれば、入れるか入れないかわからぬとこう言うのですけれども、プロパンを業となさる方々について資金措置だ云々というのが一面あるのですけれども、こっちに入れないとすれば、もし資金が必要だという場合には一体どこで措置をなさることになるのですか。
  82. 松尾泰之

    ○松尾説明員 ただいまの先生のお話の趣旨は、転換をしないプロパン業者に対してどういう資金措置をするか、こういうことでございましょうか。(大出委員「そうです。」と呼ぶ)これは特に中小企業の場合は、中小企業金融公庫等からの融資の道がございますが、一般の場合は一億円という限度が定められておりますけれども、LPG業者の場合は一億八千万という限度超過貸付等の特例が認められております。そうした資金を活用するということになると思います。
  83. 大出俊

    大出委員 そうすると、ここでお出しになろうというこの法案は、事業転換を前提にしてお出しになる法案ですね。そうすると、LPG関係でも転換をするという方々はこちらに入るのですか。
  84. 松尾泰之

    ○松尾説明員 おっしゃるとおりでございます。
  85. 大出俊

    大出委員 そうすると、入れるか入れないかではなくて、明らかなことは、このプロパン業をやっていかれる方々は、たとえば百の範囲を押さえているのが八十に切られ六十に切られる、都市ガスが入ってくることがあってもこの方々はやっていくわけですね。その場合に、通常の、つまり資金融資の方はいまの中小企業金融公庫だとかそちらの方の特別融資の枠その他を使う、だが転換をなさるという場合には、さっき入れるか入れないかいろいろ検討しているとおっしゃったが、中小企業の事業転換法案ですか、その形の方に入る、現実の問題としてこういう分け方になる、こういうことになるわけですね。そうですな。  そこでもう一つ承っておきたいのですけれども、この間、大永さん以下おいでいただいて私がいろいろやりとりをしたのですが、メーターの問題、ボンベの問題等が一つ問題になっております。このメーターについては買い上げる云々ということを御検討のように承りましたが、具体的にはどういうことになるのですか。
  86. 宇田川治宣

    ○宇田川説明員 メーターにつきましては、前回もお話し申し上げましたように、十キロ容器以上のボンベに取りつけるということで、本年の四月から実施されているわけでございますが、その際におきましても、今後一年以内に都市ガスの進出が予定される地域にLPガス事業者があるという場合には、ある意味ではその都市ガスとの調整問題というのが起きるということを想定いたしまして、メーターの取りつけを例外的に免除するという措置をとっているわけでございます。しかしそういうことと離れまして、現実にメーターを取りつけている業界の業者の方々、LPと都市ガスということとの関係におきまして、すでに設置しているメーターを取り外すというような事態が現実に起こってまいりますと、ある意味では不要な設備というようなことになりますので、そういう不要な設備の効率的な活用ということを考えてはどうかというふうな御意見もございました。そういう方向で現在検討中ということでございます。具体的にはまだ私ども最終的に考え方を煮詰めたわけではございませんけれども、不要なメーターをある特定の機関なり、しかるべき組織が買い上げをいたしまして、LP協会といたしましても新しくメーターを取りつけるという個所あるいは業者がございますので、そのものに転用させるということが可能なことかどうかというようないろいろな方法を検討している次第でございます。同時に、具体的にそういう内容が固まり出しますとともに、この問題は業界の方で、そういう活用というものが有効かつ円滑に運営されることになるのかどうかというふうな問題がございますので、そういう関係方面との連絡調整あるいは意見を求めるなどして具体的な内容をさらに検討し煮詰めていきたい、そういう現在の段階でございます。
  87. 大出俊

    大出委員 もうちょっと詳しく聞きたいのですが、メーターは新品で四千円とか五千円とかいうわけですね。修理が千円とか二千円とか。二つ聞きたいのですが、これを買い上げるとすれば大体どのくらいの価格が買い上げ妥当な価格だとお考えなのか。買い上げの仕方でありますけれども、これははしけの一船買いという話まで前にございました。港湾ではしけが要らなくなる、それを買い上げる機関を何か新たにつくる、そしてまた必要な人のところに転用するなんということがありましたが、そういうことを具体的にやろうというお考えなんですか。金額と両方ひとつお願いします。
  88. 宇田川治宣

    ○宇田川説明員 まず金額の点でございますが、メーターの種類が幾つかございます。私の承知しております範囲内でも三つ四つございますが、おおむね先生がいま御案内になりました金額かと思っております。他面、修理につきましては、そのメーターの保存状況といいますか、修理を要する個所その他でまちまちであろうかと思いますけれども、ごく概略的に申しまして、修理代といいますのは先生がいまお話しになりましたような金額であろうというふうに考えております。具体的にどういう買い上げ金額にするかという点につきましては、その買い上げをするための総資金量あるいは総運用資金というふうなものとの関係もございます。他面、業界といたしまして、あるいはそのメーターが不要になるという業者といたしまして、償却その他も勘案いたしました妥当な金額というものもあろうかと思います。具体的な数字は現在最終的に詰めたという段階ではございませんで、先ほど申しました関係方面その他との打ち合わせを今後進めていきまして、いま御指摘になられました金額その他も勘案いたしまして煮詰めていきたい、かように思っております。  それから、第二の買い上げ機関の問題でございますが、現実にそういう買い上げ行為あるいは転用ということが行われます場合には、やはり何らかのそれにふさわしい組織といいますか体制というものは必要になってまいると思いますけれども、そのためだけに完全に独立した組織をつくるということは人の問題、労働力の活用といいますか、当然事務員その他の人員も必要になる、あるいは全く単独の組織をつくることによって、かえって不要な人員を抱えるというふうな面も逆に出てまいろうかというふうに思います。その辺も関係方面ともう少し協議をいたしまして、最も妥当な組織運営体制というものはどういうものかということもあわせて検討していきたい、そういうふうに考えている段階でございます。
  89. 大出俊

    大出委員 なるべく早く切り上げたいと思っておるので能率的に承っていきます。  そこで承りたいのですけれども、容器、これは液化石油ガス事故防止安全委員会、通産省、各都道府県で「LPガスの知識」というのを出しているのです。この中を見ますと、容器というのはなかなかやかましいのですね。検査を通らなければ使えないとかいっぱいあるわけですね。ところが、あなたの方は、こういうものに入れなければならない業態なんだ、商売の実態がこういう容器を使わなければならないのだ、だから、料金か何か知りませんけれども、その中にこの容器分は含まれているからだというふうなことを言っておられるわけでありますけれども、業界の方々に聞いてみると、それはごまかしだ、こう言う。これはどっちが本当なんですか。それは含まれていることにしてしまった方があなた方はまことに都合がいいわけでありますけれども、私も業界の方々に具体的に聞いてみた。だれに聞いてみても、先生、そんなむちゃくちゃなことがあるかというわけだ。そんなものどこにも入っていないというわけだ。そこでまたこれを読んでみましても釈然としない。時間がございませんからこれ以上理屈を言いませんけれども、どうしてもあなた方は入っているとおっしゃるのですか。それならこれは理屈を言わなければならなくなるのだけれども、いかがですか。
  90. 宇田川治宣

    ○宇田川説明員 現在、家庭、業務用のプロパンガスの小売販売価格につきましては、国民生活安定緊急措置法の規定に基づきます標準価格の対象指定品目になっておりまして、十キロボンベ入り容器一個当たりの家庭、業務用のプロパンガスというものを千五百円ということで定めて、いわば上限価格を定めているわけでございます。標準価格を定めます際には、利潤その他の適正な価格を勘案して定める、経費も含むということで積み上げた計算をいたすことになっております。したがいまして、私どもといたしましては家庭、業務用のプロパンの小売の標準価格というものの中には必要な経費、たとえばボンベの代金そのものといいますよりも、これの妥当な償却を対象にするというふうなことで経費の積算を一応行っている、そういうふうに考えている次第でございます。
  91. 大出俊

    大出委員 積み上げた価格とおっしゃるのですが、私も標準価格を、中曾根さんのときに十二月にお出しになって追認したですな、石油二法ができたりしましたから、あのときに調べたことがあるのですけれども、その積算をされたという、積み上げた額とおっしゃるので、その積み上げた積算の基礎を資料として出していただきたい。いまでなくていいですから、ここで私がこれを細かくやりますと長くなりますから、時間を大変恐縮しながら質問しているので、積み上げているとおっしゃるのですから、後でそれをひとつぜひお出しいただきたい。それによって改めて検討してまたひとつ直接承りますから、あるいはまた機会があればもう一遍どこかで承ります。私は業者の方々にいろいろ聞いてみたのだけれども、通産省はうまいことを言うというのですな。冗談じゃありませんよというのが皆さんの大勢なんです。たくさんおいでになるところで聞いた。私いろいろ読んでみたが、どうも納得できない。したがって、それをぜひひとつお出しをいただきたい。よろしゅうございますね。
  92. 宇田川治宣

    ○宇田川説明員 先生に別の機会に十分御説明をさせていただきたいと思います。
  93. 大出俊

    大出委員 それから、実はこの国会で私は何とか各党の皆さん、これは商工委員会が中心でございますからそちらでおやりいただくわけでありますけれども幾つか都市ガスとLPガスの問題の質問が国会でも出ているわけでありますから、何とかこの辺で、これはもちろん政党政派の問題ではございませんので、これは生き死にの問題なんで、生活ができなくなるということでございますから、したがってこの業界の方々のおっしゃっていることにも道理があります。私もここに請願その他いただいたりしておりますけれども、何とか最大公約数を、この方々の生活安定を含めまして、何らかの措置をするという意味請願採択などはすべきであろうと実は思っているわけでありまして、たまたま商工委員長が山村新治郎さんで同期でございますから私もこの間話もいたしました。御努力を願っているわけであります。あるいは商工委員会調査室の方々にも実は御努力を願っているわけであります。どういうふうにしたら各党の意見の一致が得られるかということです。これはどうしても皆さんにもひとつその意味では御協力いただかなければならぬというふうに思っておりますが、一つはここに書いてありますが、「ガス事業者が、既にLPガス消費設備の行き渡っている地域に進出する場合には」つまり都市ガス事業者がすでにこのLPガス消費設備が全部できているところに入ってくる場合には「供給設備が過剰とならないよう、また不公正な競争関係が生じないよう秩序ある流通体制を確保するため適切な措置を講じられたい。」こういうのが第一項なんですね。これは当然で、ガス事業法なんかでも二重配管だ云々だという問題がありますけれども、この間ここで申し上げましたからよけいなことは言いませんが、ここにLPの組織が全部できて家庭用LPを使って皆さんが生活をしている、そこに都市ガスが入ってくる、必ずそこに問題が起きる。つまり、この場合に不公正な競争関係が生じないような——これは消費者の選択の自由ということが前提になるからなんですね。     〔木野委員長代理退席、委員長着席〕 この点はぜひ考えていただきたい。というのは、中にはガスを引くという意味組合をおつくりになる。組合規約もここにございますが、この規約なんか見ても非常に不当な宣伝等々が行われている地域がございます。実は細かく私聞いてここに書いてあるのでありますが、たとえば九百名ぐらい集まってガスを引けば一軒が十七万円くらいで済む、ところが、それが三百台、四百台に落ちると二十三万円ぐらいかかる。それで、これに参加しなかった人には引かせませんよと言う。そこで、たまたまそこに都市ガスの方が出席していて、質問が出て、そんな大変な金を一遍にといったって払えない、だから都市ガスが引けるようになったら直接申し込んだら、これは受けつけてくれないのですかと言う。そうしたら都市ガスの業者の方は、受けつけますと言う。ところが後の説明は、東京瓦斯始まって以来直接受けつけたのは二件しかありませんなんというようなことですな。すると事実上、受けつけるとはお答えになったが、組合を組織する方々の言っているように、この際やってくれなければ引かせませんよという、こっちに類することになりかねない。一体この辺のところは実際問題としてどうなるのか。どこの場所というのは失礼だから実は場所を明示しないで承っておるのですが、これは個々の消費家庭からすれば母子家庭もあればいろいろあるわけですから、老人家庭だってあるのですから、大変なことになりますよ。だからそういうことに本当になるのかならぬのか。  それからもう一点、金を出して配管はするんだけれども管理組合のような形で管理をする、つまり都市ガスを引こうとして町会長さんその他が三百軒か八百軒か集めてこのガスを引いた。今度は管理組合がその管理をする。規約なんかできています。それで、新たに入る人からは、おれたちが払ったと同じ金を払えという、金を取るようなことですね。それじゃ、そこに配管をしたら、その配管した管は所有権は一体どこになるか。おれたちが金出したのだからおれたちのものになるんだというのなら、その組合に所有権、管理権があって、新たに入る人から金取って、それはみんなが払ったんだから所有権はあるんだから当然だということになりますけれども、私が知る限りは、配管してしまえばこれはその都市ガス会社の所有権になるはずなんです。そこのところは一体どうなんです。まず二つだけ承りたい。
  94. 山崎衛

    山崎説明員 第一点の工事費負担金の話でございますけれども、これは供給する面積、それから供給世帯、それから導管の密度等によって工事費負担金の一戸当たりの額は変わるわけでございます。それでそういう話が出てきたかと思います。  それから誘致組合の話でございますが、やはり都市ガス事業者としまして、自治会なり町内会から共同で都市ガスを引きたいという申し出がある場合、そういう場合には工事費負担金の公平を期するために共同受付ということをやっております。その際に、ガス引用の手続とか、それから工事費の積算等々詰める必要がございますので、自治会とか町内会の代表と話をするということはあるようでございますが、私どもといたしまして、不当な宣伝とか誇大な勧誘とかということは厳に慎む指導をしておる次第でございます。  それから第二点の管理組合の問題でございますが、私は実はつまびらかに存じませんけれども、それは多分工事費負担金の場合、先に引いた人が非常に金がかかる、後からの人がかからないという問題がございますので、その辺を調整するという措置ではないかというように考えております。
  95. 大出俊

    大出委員 これは何ら法律規則に基づかない任意の団体ができるわけでしょう、誘致組合というのが。これも承りたいのですがね。  そこで、何人かの方が集まって配管、つまり誘致をして工事費負担金を払った。そうすると、そのときに金を払わなかった人が後から越してきた、この人がガスを引きたいと言ったら、前に払った人と同じような金をこの人から取り上げる権限というのは誘致した組合の方にあるのですか。  それともう一つ、さっき承っておきたくて質問したのですけれどもお答えがないのだが、一体その配管したものは東京瓦斯なら東京瓦斯に所有権があるのでしょう。何もその誘致組合にあるのじゃないのでしょう。だから所有権も管理権も全くないのでしょう。所有権は向こうへ行っちゃうのでしょう。工事費の分担をするだけなんでしょう。そうすると、そういうものに、そこに任意にこしらえてある町会か何か知りませんけれども、おまえがガスを引きたいというのならおまえ二十万出せとか十八万出せとか、これは金が取れますか。この関係は法的には一体どういうことになるのですか。
  96. 山崎衛

    山崎説明員 本支管につきましてはガス事業者の所有でございます。  それから管理組合の話でございますが、これはさきにも申し述べましたように、要するに最初に都市ガスを引用する人それから後から引く人、その間に負担の不公平がどうしても出てまいります。そういうことがございますので、私ども実は工事費負担金の特例規定と申しますか、ガス事業法の二十条に規定がございますが、それを用いまして、一定期間内にその当該地域において都市ガスを引用する消費者に対しては工事費負担金を同額にすると申しますか、そういうような措置を講じておるわけでございます。その件だろうと私は存じております。
  97. 大出俊

    大出委員 一定の期間というと、どのくらいですか。
  98. 山崎衛

    山崎説明員 地域により差はございますが、三ないし四年というように考えております。
  99. 大出俊

    大出委員 では、誘致組合をつくってそこに配管した、工事費負担金を出した、三年か四年の間に後からガスを引きたいという人は、ガス事業法二十条ですか、いま二十条とおっしゃいましたね、それに基づいて法的に、新しく入る人は同額の負担金を払う義務があるわけですか。その負担金はどこへ行っちゃうのですか。
  100. 山崎衛

    山崎説明員 ちょっと私の説明が不正確でございまして失礼いたしました。  三ないし四年以内に当該地域に入る方につきましては、その世帯数を見込みまして工事費負担金の総額をその世帯数で割るということでやっておるわけでございます。したがいまして、初期に入られた方も後から入られた方も工事費負担金としては平等ということになっておるわけでございます。
  101. 大出俊

    大出委員 それではこれは明らかに誤りでございまして、たとえば九百軒集まったら十七万で済みます。ところがこれが三百軒か四百軒に減れば二十三万要りますというようなことは、いまのお話でいけば、その周辺の世帯数というものを見込んでいるわけでしょう、見込んでその世帯数で割って工事費負担金を出すとおっしゃるなら、それは九百であろうと三百であろうと平等に負担するのならば、これは同じことになるでしょう。そうなりませんですか。とにかく、先に入った人が過大な負担をすることのないようにするというのですから、あと家はどんどんできる、こっちが入る、それなら九百軒なら九百軒を想定して割った金額を、たとえば三百軒の人が引きたいという場合にはみんなが払っておく、後の人が同じ金額を払う、結果的にはその地域に九百軒家ができれば平等になるわけですね。そうでしょう。そこのところはどういう指導をしているのですか。  いまのようなことになると、たとえば九百軒なら十七万で済む、だけれども四百軒ならば二十三万かかる、こういう言い方なんですよ。だから入らなければいけません、こう言う。いや、私のところは母子家庭だからいやだと言ったって、村八分みたいなことにされてしまうということになる。だからその人が、そこへ来ている都市ガスの方に、直接申し込んだら入れてくれませんかと言ったら、それはお入れします。ところが入れた例というのは二件しかない。つまり、そうするとその組合の方は後から入る人は入れませんよ、こう言う。そこのところは一体どうなっているのですか。はっきり説明してくれませんか。
  102. 山崎衛

    山崎説明員 先生のおっしゃいます具体的なケース、実は私余りよく存じておりませんので、後ほど説明をさせていただきます。
  103. 大出俊

    大出委員 じゃ時間がありませんから、どういうことになるのか、資料をいただけませんか、その二十条関連というのは。ここに組合の規約も何も全部あるのですよ。大変な権限があるのですね。だから後から入る者は入れないと言われれば入れないのです。ところが、都市ガスの方は直接申し込まれたら受け付けます。こう言っているのだけれども、実際には直接受け付けて入れたのは二件しかない。結果的に二件は特殊な例なんでしょう。そうすると一般的には入れないことになる。直接には引けないことになる。そんなばかなことがいまの世の中で通用するはずがない。また、そんないいかげんな指導をされたんじゃ困る。だからこういう不合理な誘致宣伝をなさるということは、いかに選択の自由が消費者にあっても、プロパンのシステムが全部できているところへ入ってくるわけですから、いろいろな無理をして消費者獲得しようとする。大変な金を払うのならプロパンでいいという方がたくさんいても、強引にあなたの方が許可しているからということでやってこようとする。ここにトラブルが起きるのですね。挙げれば切りがない。たくさんあるのですよ。中には自治体が金を出してしまったり、自治体が何で都市ガスに金を出さなきゃいかぬのだという問題で住民運動が起こってくる、そういう問題まである。こういういいかげんなことになっておったんじゃ、この争いを正当に裁けませんですよ。それはプロパン業者の方々がいろいろ文句を言うのはわかります。これはぜひ、いまもう大変時間を費やして恐縮なものですから遠慮しいしいしゃべっているので、後でぜひひとつそれはお知らせいただきたい。  それからもう一つ、これはぜひ国会で、もう政党政派の問題じゃないので、消費者自体に響くプロパンガス業者の死活の問題。都市ガスの業者というのは資本的に大なり小なり大きい。神奈川だって五つか六つありますけれども、小さいのもありますが、東京瓦斯なんというのは大きいわけですから、だからそこらのところも考えて裁いてあげないと、これは本当に消費者まで巻き込んだ争いになっておりますから。  そこで二番目に、なるべく早く終わらせますが、「ガス事業の事業開始に伴う指定期間については、作為的延長を防止するとともに、事業の許可の取消し、または供給区域の減少等の措置については所管大臣に申し立てのできる途を開かれたい。」つまり話がまとまらない。誘致組合つくってやっているのだけれども、そうすると許可期限がありますから、まとまらないというと、ずるずる延ばしていっていろいろなことをやってまとめようとする、トラブルが起こる。だからそこらのところははっきりしてもらいたいという趣旨ですね。この許可期間、指定期間というのは一体どういうことになるのですか。
  104. 山崎衛

    山崎説明員 現在の供給区域の拡張に伴います指定期間は、法律では三年以内ということになっております。
  105. 大出俊

    大出委員 そこから先はどうなるのですか、その間引かない場合。
  106. 山崎衛

    山崎説明員 正当な理由がない場合には許可を取り消すということになります。
  107. 大出俊

    大出委員 そこの正当な理由というものは、ここで聞きますとまた時間がかかりますし、また後で御説明しますになってしまいますから、具体的な問題を私持っているのですが、だからこの三年の期間を延長する正当な理由というのは一体いかなる理由かということをあなたの方でお決めになっていることがあれば、法律にはありませんから、ひとつぜひお出しをいただきますようにお願いをいたします。  三番目、もうあと幾つもありませんが、このLPガス販売業者と都市ガス業者との事業活動調整、一般ガス事業者及びLPガス販売業者の代表、これを参加させるような取り扱いをしてもらいたい。ここでちょっと申し上げておきますが、意見があるのです。与党の皆さんの側に御関係の議員さんもおいでになる、これはガス事業法に言うところの調整機関でございますね、これとは別の機関をつくって関係者が全部出てきてやれるようにしろという御意見。ところが、いまの法律に基づく調整機関そのものの中に、必要ならば小委員会なら小委員会をつくってそこに集めて調整が図れるようにすべきであるという意見等がある。私は、新しい法律をと言ったらなかなかこれはまとまらぬわけですから、いまある法律の運用の中でそれはやれなくはない、こういう見解を持っている。その方がたとえば請願なら請願を扱う場合に扱いやすいという気がする。ですから、もしも国会の意思としてその方向に進むのなら、いまある法律に基づく調整機関、そこにLPガス販売事業者、都市ガス事業者の事業活動調整、一般ガス事業及びLPガス事業者の代表をここに参加させてくれという——神奈川県なんか調整機関をつくったりあっせん機関をつくったりしていろいろやってまいりましたけれども、そういう形のものを、現行法があるのですから、それに基づいてどこかにつくる必要があるということを私は言っておるのですが、一言だけひとつ御返答をいただいておきたい。
  108. 大永勇作

    ○大永政府委員 地方ガス事業調整協議会でございますが、それは七人以内の学識経験者を得て構成することになっております。先生の御指摘になるような、業者を入れる形になっていないわけでございます。そういう点からしまして、これはいろいろ御意見ございますのでなお研究したいと思いますけれども、われわれといたしましては、通産局等が話し合いの場をあっせんしまして、必要に応じて通産省の係官もそこに出席するという形の方が指導的によろしいのではないか、こういうふうに思っております。
  109. 大出俊

    大出委員 つまり、新しい機関をつくれという主張が与党の皆さんの側からも実はあるのですよ。ただ新しい機関をつくると法的措置が要りますから、何とか現行の法律の枠の中の運用でこの関係者を集めて調整が図れるという、学識経験者七人なら七人でいいのですけれども、そこにどういう資格、いろいろ問題ございますけれども、集めて調整を図る、これをどこかでやりませんと、そこらじゅうでぶつかりっ放しなんだ。むしろ旗をおっ立てて大騒ぎになるというかっこうになってしまうわけですから、だからその必要だけはある。方々の党の方に聞いてみますと大体意見が一致する。請願も出てきているわけですから、そこらのところを取りまとめて、せっかくこの国会で方々質問が出ているわけですから、そこらが国会の意思で何とかそういうふうな話し合い、調整の場をつくれということになったら検討してみるといまおっしゃいましたが、ぜひこれは御検討いただきたい。いかがですか。
  110. 大永勇作

    ○大永政府委員 われわれとしましては、必ずしも法的な措置がなくても両者の話し合いをあっせんしあるいはそれに通産局の係官が入るということは可能でございますので、そういうことで臨機にやってまいりたい、こういうことを考えておるわけでございます。
  111. 大出俊

    大出委員 ぜひひとつこれは進めていただきたいと思うわけでありますが、法的な機関をつくれという御意見もございます。そこらは、これは商工委員会その他請願は中心でございますから、どうなるかわかりませんけれども、ひとつぜひいまおっしゃったような方向で御検討をお進めいただきたいのであります。  それから「都市ガス業者が、LPガスの消費先を都市ガスに転換する場合は、当該消費先にガスを供給しているLPガス販売業者との間に、転換に関する事前通知、若しくは消費設備の撤去等につき事前協議」こういう形のものを行わせるようにすべきである。これはもう片方は商売がなくなってしまうのですからおっぽっておく、そうすると都市ガス業者が入ってきて、ボンベ、残ガスの入ったものをやたら集めてぶん投げたりという問題が方々で起こるわけですよ。非常に危険でございます。だからそこらのところは、あらかじめいま私の読み上げましたようなことをお考えいただく必要がある、私もそう思っておりますが、いかがでございますか。
  112. 大永勇作

    ○大永政府委員 LPから都市ガスに転換いたします際に、やはり切りかえを行いますのは、これはあくまでも消費者がLPから都市ガスに切りかえるわけでございますので、その都市ガス事業者に法律的にそういう通知の義務とか協議の義務を課すということは問題があろうかと思いますが、ただ消費者が、切りかえる場合には当然プロパン業者に連絡すべきであります。それが何らかの都合でできないような場合に、消費者にかわって都市ガス事業者が連絡をするというふうなことを十分指導してまいります。
  113. 大出俊

    大出委員 「ガスの転換にあたり、LPガス販売業者の所有に係る供給設備または消費設備等を撤去する場合は、LPガス販売業者の損失を償うための措置を講じられたい。」という中で、一つ先ほど例に挙げましたメーター、もう一つは容器でございますが、容器の方は、念を押しておきますが、積算の基礎、そちらにございましたね、これは後ほどぜひお出しをいただきたいと思います。  それから「LPガス販売業者が、ガスの転換によりやむを得ず転廃業に追い込まれた場合は、国が生活権の補償に対する」云々、こうあるわけですが、ここのところは「国がその救済に関する適切な道を講じられたい。」実はこういうような私がいただいた陳情内容になっております。これはさっきまだ納得するところまで質問の答えをいただいていないのでありまして、検討中ということでございましたが、この場所でなくて結構でございますけれども、さっきの法案を提出されるという概要と、それから買い上げその他の検討状況というようなものを、別な場所でひとつお知らせをいただきまして、私に勉強させていただきますように、これをお願いをいたしておきたいと思います。
  114. 宇田川治宣

    ○宇田川説明員 先ほどお答え申し上げましたように、現在、私どもとして、どういうふうなことが可能であるか、どういうやり方が考えられるかということを検討している段階でございますが、別途先生に十分御説明に伺いたいと思います。
  115. 大出俊

    大出委員 最後に「液化石油ガス法に基づいてLPガス販売業者が設置した消費設備は、無断で変更または撤去することができないように規制されたい。」というのがございます。これも私は当然のことだろうと思っているわけでありますが、念のためにこの点につきましても一言実はお答えをいただいておきたいのでありますが、いかがでございますか。つまり、都市ガス業者が入ってくる場合に、都市ガス業者の側がLPガス業者が設置している施設を勝手に取り払って向こうへ持っていってしまうということは、これは少なくとも所有権があるわけですから、苦心して設備投資をしてやるわけですから、勝手にやれないというその規制は必要だろうと私は思うのですが、いかがですか。
  116. 大永勇作

    ○大永政府委員 当然のことでございまして、もうそれは不法行為になりますので、そういうことがございましたら、都市ガス業者に厳重な命令を出すということでございます。
  117. 大出俊

    大出委員 次に承っておきたいのは、一つは、いまここに皆さんの方でおつくりになったメモがございますが、「LPガスの知識」なんというのがございますね。文部省おいでにならないのですけれども、電気なんというのは、学校教育の面で、小中学校等で相当な時間を割いて教育課程の中で子供さんに知識を与える。ガスの方は、何か聞くところによると半ページかそこらしかあるとかないとかという程度だというわけでありまして、これだけガスが、LPにしろ都市ガスにしろ普及しているわけですから、皆さんの行政官庁相互の問題はございましょうけれども、これはもう少しお考えいただく必要がありはせぬかという気がするのですが、いかがでございますか。
  118. 越川文雄

    ○越川説明員 先生御指摘のように、テキストに入っておるのは非常に少のうございまして、従来から文部省の方にもその量をふやすように申し入れてございます。また、それとは別に副読本というものをつくりまして、これは先生方に配りまして、授業時間中にその副読本を見まして生徒に教えるということをしてもらうようにしております。
  119. 大出俊

    大出委員 最後に税金の問題なんですけれども、熊谷さんが石油部長をおやりになっているころに、私直接お伺いしてFOB価格その他を含めまして調べたことがあるのですが、このLPについての税金、家庭用燃料でございますから、ここらのところはもう少し考え方がないかという気が実はするのでありますが、これもどういう税制でどうなっておるかというのを実は一遍資料でいただきたいことと、それからこの辺のことについての何らか適切な措置はないか。たとえば都市ガスとプロパンの価格比較等もございます。そういう点も含めまして、LPに関する税金の問題というのはどうお考えでございましょう。
  120. 宇田川治宣

    ○宇田川説明員 先生御案内のとおり、LPGは原油で輸入いたしてございまして、国内で精製する分と単体で輸入する分とございます。単体の方は、基本税率のほかに、国内のたとえばタクシー用というふうなものには用途税がかかってございます。その詳細などにつきましては、別途資料先生の方にお届けいたしたいと思います。
  121. 大出俊

    大出委員 大変長い時間になりまして恐縮でございましたが、私がこの委員会でいずれも許認可事項との関連がございまして取り上げてまいりましたものを、実はきょうは整理をさせていただいたわけでありますが、最後のプロパン問題につきましては、いずれにしてもたくさんの業界、業者の方々の死活に関する問題でございまして、都市ガスの側は東京瓦斯の皆さん初め、それなりの理屈、理由があることを私も知らぬわけではありません。ありませんが、実は現に生活にかかわる零細な、しかも長年国民生活中心の燃料を扱った方々でございますから、先般私が御質問申し上げたときには、大変どうもいささか木で鼻をくくったような答弁になった面もあったわけでありますが、きょうはなかなか前向きの御答弁をいただきましたけれども、どうかひとつ、政党政派の問題でございませんだけに、皆さんの方も本格的にお取り組みいただきまして、業界の方々が生活の安定という意味で安心をしていただけるような形の方途を見つけていただきますように最後に申し上げまして、終わらせていただきます。ありがとうございました。
  122. 藤尾正行

    藤尾委員長 午後三時より委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後一時七分休憩      ————◇—————     午後二時二十九分開議
  123. 藤尾正行

    藤尾委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  許可認可等整理に関する法律案を議題とし、質疑を続行いたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中路雅弘君。
  124. 中路雅弘

    ○中路委員 きょうは運輸省の方にお見え願いまして、二つばかりお尋ねしたいのですが、最初の問題は欠陥車の問題です。     〔委員長退席、木野委員長代理着席〕 きょうの朝の各紙を見ますと、トヨタ自工それからダイハツ工業のパブリカの問題——先日予算委員会でわが党の正森議員が質問いたしました、トヨタが欠陥車の原因を隠して、運輸に義務づけられている報告開始をまだやっていないという問題を追及いたしました。この問題について昨日欠陥車として届け出があったという新聞記事が出ていますが、最初に一言、この報告中身について簡単にこの場所で御報告していただきたい。
  125. 田付健次

    ○田付政府委員 トヨタ並びにダイハツのリコールにつきまして簡単に御報告いたします。  十一月十日に私どもの方に届け出がございました。昨日、一般紙等業界紙を含めまして公表いたしました。  まずトヨタにつきましては六型式、ダイハツにつきましては二型式ございます。型式は異なりますが、それぞれ同様の内容の欠陥でございまして、前照灯の組みつけの一部に使われておりますゴムカバーがございますが、これが一部の材質のものが不良であるために、点灯いたしておりますと、その間に漏電をいたしまして発熱するということで、焼損をする問題が発生をいたしました。これをリコールといたしましてその改善の処置をとることになったわけですが、対策といたしましては、速やかに不良品を対策部品に取りかえるということを届け出てまいっております。五十一年の二月十日までに、ダイハツの方も含めまして対策部品に取りかえるということを予定いたしております。ちなみに、対象となります台数を申し上げますと、トヨタにつきましては六型式約二万七千両、ダイハツにつきましては二型式約三千百両でございます。  以上でございます。
  126. 中路雅弘

    ○中路委員 このトヨタの問題も、国会で問題になってからなかなか報告がおくれているということで、私も、まだおくれているようだったらきょうの委員会でこの問題についてもさらに御質問したいと考えていたわけです。二、三日前にそのことをいろいろ御連絡してから、昨日やっと届け出があるという状態です。この問題でもわかりますように、自動車の重要部品に欠陥があることがわかった場合には、道路運送車両法の保安基準に基づいて、運輸省の通達に従ってリコールの手続をとって公表し、回収することが義務づけられているわけですが、この問題について、私はさらに新しい問題できょうは御質問をしたいと思うのです。  最初に、ちょっと技術的なことでお聞きしますが、トヨタの各車両に装着されていますが、トルコンといわれている装置ですね。トヨグライド、トルクコンバーター式自動変速機というのですが、これは文字どおり原動機の部分ですから、この部分に欠陥があるということは構造上非常に重要な問題ですし、たとえば、ここに欠陥があってクラッチやブレーキが動かなくなるということになれば、これは安全上でもきわめて重要な問題ですから、こういったところに欠陥があるという場合には、当然、先ほどお話ししましたリコール車の対象になるし、また対策部品の取りかえについてもその対象になって、至急に改善の処置がとられなければいけないというふうに考えるのです。このトルコンというのはそういう点で、第八条にもありますけれども自動車の原動機及び動力伝達装置は、運行に十分耐える構造及び性能を有しなければならない。」というところにもありますが、この部分にも当たる問題ですから、もしこういうところに重要な欠陥があるということになれば、これはリコール、それから届け出の義務があると私は思うのですが、最初に一般的にそのことを聞きたいと思うのです。
  127. 田付健次

    ○田付政府委員 改めて御説明するまでもないかと思いますが、トルコンと通称言っておりますものは、トルクコンバーターという内容のものであります。エンジンの次についております動力伝達装置でございます。エンジンそのものではございません。したがいまして、エンジンで発生しました駆動力をこのトルクコンバーターを通じて後車輪の方へ伝えるための一つの伝達手段として設けられている装置であります。普通この部分に二種類ございまして、機械的な歯車を使って伝達する方式と、油の中に入れた容器の中で羽根車を回しまして動力を伝えるという方式と二種類ございまして、このトルクコンバーターというのはその油の方式のものでございます。したがってエンジンではございませんが、動力伝達装置でありますので、この部分について重大な欠陥が出ますれば、当然欠陥品としての対象になり得るというふうに考えられます。
  128. 中路雅弘

    ○中路委員 いまおっしゃったように、これは非常に重要な部分で、ここに欠陥があれば当然欠陥車として届け出なきゃならないという御答弁があったわけですが、いままでトヨタで、このトルコンについて欠陥車なりクレームの報告、こういったことは最近ありましたか。
  129. 田付健次

    ○田付政府委員 ちょっと日付を忘れましたが、あらかじめ先生の方からトルコンの装着状況について資料を提出せよというお話がございました。私ども初めて伺ったわけですが、その後トヨタを呼びましていろいろ聞いておりますが、いまのところ私どもの方にはトヨタのトルコンについてのふぐあいな点というのは、欠陥的な意味では情報が入っておりません。
  130. 中路雅弘

    ○中路委員 トヨタの方から運輸省にはトルコンについてはまだ何も報告がないというお話ですね。皆さんの方から資料はいただきましたけれども、トヨタのトルコン装着の車、四十四年の一月から四十六年の六月までですか、その間の生産車についているわけですが、トルコン装置を装着しているトヨタの車種と、四十四年、五年、六年、七年の台数の総数をひとつ報告していただきたいと思います。
  131. 田付健次

    ○田付政府委員 トヨタ式のトルコンをつけております車種は、年によりましてついていなくなるものもございますので、ちょっと煩わしいかもしれませんが、年度ごとに報告したいと思います。四十四年度十一車種、トルコンがついております台数は三万二千二百六十九台、四十五年度九車種三万六千五十三台、四十六年度同じく九車種四万二千八百八十七台、四十七年度同じく九車種五万四千六百三十二台。以上でございます。
  132. 中路雅弘

    ○中路委員 いまお話しのように相当な車種に上っています。センチュリー、クラウン、コロナマークII、コロナ、カリーナ、セリカ、スプリンター、カローラ、それからパブリカ、相当広範な十一車種に上っているわけですが、いま御報告の四十四年、四十五年、四十六年、四十七年の生産台数を合計しますと十六万五千八百四十一台、十数万台になるわけです。この十数万台のトヨタの生産車に装置をされているトルコンですが、きょう私はここに持ってきまして、御質問する意味から、皆さんのところに何の報告もないというので、その写しを一部お渡ししますから、これを見ながらお答え願いたいと思うのです。  いまお渡ししました技術連絡書という文書、これはトヨタが内部文書としてトヨタの系列の整備工場の工場長だけに渡されているものです。この文書は四十六年の七月二十日の文書ですが、販売直後の当時からトルコンについての大変な欠陥の訴えが多くありまして、それを集めて再生品をつくるという仕事をやっているわけですが、この中身は、ごらんになったらわかるように、トルコンについての設計上の構造の変更及び欠陥についての対策部品を作製して、文句を言ってきた者に再生品を渡すという、この問題についての連絡文書ですね、それをとじ込んだものであります。先ほどお話ししましたように、系列外の協力工場にはこの文書は出されていません。トヨタの販売所、ディーラーと、あと系列の整備工場の工場長に渡されていまして、他は口頭でこの中身を説明する、あるいは結果だけを知らせるという方法をとっていた、いわばトヨタの自動車販売の中ではある意味ではマル秘扱いにしているという文書ですが、この文書をお読みになったらわかるように、トルコンの先ほどお話しの遊星歯車機構、プラネタリーギアユニットといいますが、ここに欠陥がある。こういう欠陥が起きますと、クラッチやブレーキ、これが動かなくなるという大変な欠陥でありますが、この部分が耐久性がない、あるいは調整が不都合なために、前進しないとか後進しないとか、あるいは滑るとか、そういう事故が多発をしていまして、改良または設計変更をしてずっと来たことが、お読みになっていただければその文書の中に全部とじてあるわけですね。  どこを挙げてもいいのですが、たとえばどこか最初のころ、八枚目ぐらいをあけてみてください。たとえばここに「改良項目」というのがある。四つ改良したところが挙がっています。一つは「前進走行不能」、それから「前進滑り」、三番目が「後進走行不能」、四番目が「後進滑り」、この四カ所を改良した。改良の前はこの問題で欠陥があり、また事故も幾つ報告されていますが、起きているという問題でこの点を改良したということになっているわけですね。  そこに車の符号が出ていますが、「VG」というのはたしかセンチュリー、「MS」というのはクラウンだと思います。「RT」、コロナですね。こういった車種について改良して再生品を渡している。それを東京サービスステーションと大阪サービスステーション、愛知の三カ所のステーションでやっているということも、この文書で見ていただければおわかりになると思いますが、いまお渡ししましたこの技術連絡書というのは運輸省には来ておりませんか。
  133. 田付健次

    ○田付政府委員 来ておりません。
  134. 中路雅弘

    ○中路委員 先ほどから御質問しましたように、道路運送車両法の第三章、「道路運送車両の保安基準」というものに基づいた細則が決められていますが、この細則の中で第八条に「原動機及び動力伝達装置」という項がありまして、先ほど一つ述べましたけれども、この第八条では「自動車の原動機及び動力伝達装置は、運行に十分耐える構造及び性能を有しなければならない。」ということが明記をされています。そしてこれに基づいて、許可の場合に自動車の型式指定規則の十三条によって届け出をし、あるいは構造の変更の場合にそれも届け出をし、あるいは公表して、リコールしなければならないということが明記をされているわけですが、私は、いま皆さんにお見せしましたこの技術連絡書、この内容から見て、トルコンについてこれはずっと構造変更してきたという経過をこれ一冊見ていただければよくわかるわけですから、このトルコンを装着した車については当然運輸省に届け出をし、またリコールして構造変更しなければならない。決してこれは車の形をよくするとか、あるいは性能を幾らかアップするとかそういう問題ではなくて、明らかにこの改良というのは、構造変更というのは安全の問題、第八条にかかわる問題でありますから、当然これは届け出をすべき問題だと思いますが、いまお渡ししました文書、それからいまお話ししました経過をお聞きになってどのようにお考えですか。
  135. 田付健次

    ○田付政府委員 実はトルクコンバーターのみではございませんが、一般的に自動車の構造、装置の部分につきましては、実際の使用に入りました後において予想しなかったような使われ方等がありました場合に、これまた予想し得ないいろいろな問題が発生してまいります。通常考えられます走行状態につきましては、私どもの方で、四十四年の欠陥車問題が起きました後に三万キロの耐久試験をしなければ商品として出してはだめだということにいたしましてからかなり改良されてきたと私は思います。そういうことで、この技術連絡書の中を詳細にまた研究しないとわかりませんが、いろいろな種類のものがこの中に入っているように私は思います。たとえば使用者の使い方あるいは整備、たとえば車が整備工場に入ったときに整備の仕方が悪くて欠陥が出てきたこともあり得るでしょうし、そういうものも全部仕分けしまして、設計上または製作上問題があるというものが実は対象になるはずでありますが、その辺の仕分けを少ししなければいけないように私は思いますが、これはそのようになっておればなっておったようにまた見なければならないのですけれども、その辺を少し中を詳細に調べさせていただかないと、その点についての是非の問題はちょっとお答えできないということであります。  それからクレームとリコールの関係になるのでありますが、確かに原動機あるいは動力伝達装置保安基準で先生御説明のように安全な部分でございますので、これが型式指定規則の十三条に該当するような保安基準に触れるかあるいは触れるおそれのあるような状態が発生したときは、当然メーカーとしては欠陥届を出していくということになるべきでありますが、この辺の欠陥のあり方というものが、普通に言ういわゆる改造すればさらによくなるという意味の一般的なクレームと非常によく混同されておりまして、たとえば、直径十センチの軸をつくって使い出した。別にそれでどうということはないけれども、もうちょっと太くした方が便利じゃないかというようなことで、それを十二センチにするというような改善が仮にあったとしますと、その原因になりましたときに、もう少し太くしてくれというクレームがついてまいります。これも一種のクレームなんでありますが、そういう広い意味でのいろいろな苦情の中から、過去に出した車の相当な量にまでさかのぼらないと欠陥が是正されない。したがって、事故の発生するおそれがあるというものが最終的に欠陥車になってきて、これが届け出される、こういうことになるだろうと思います。この技術連絡書を見せていただきました中に、いま言ったような種類のものになっているのはどれとどれであろうか、それは詳細に調べないと私にはちょっといまわからないというのが正直のところでございます。
  136. 中路雅弘

    ○中路委員 この中に改良あるいは構造変更したのがたくさん出ています。詳細に見ていただきたいのですが、私がいま言っているのは、私が一つ例を挙げましたね、幾つも挙げられますけれども。私が例を挙げたのは、いわゆる性能を少しよくするという意味の改良ではなくて、明らかに構造変更しているわけですね。それを変更する目的は、前進不能になっているから、あるいは後進不能だからなんです。滑ってしまってどうしようもない、そういうことで構造を変更しているわけです。これは明らかに第八条でいう安全にかかわる問題なんです。もう少し車の形をよくするとかそういう問題の改良ではないわけです。だからこの中に改良したところがたくさん出ています。幾つも例を挙げますけれども、この文書の中心のところは構造の変更なんです。それも事故がずっと多発をして、売り出したときから文句が集中したということで構造変更をやって、それも後でお話ししますけれども、再生品をつくって、それを金を払って買わしているという状態。そしていま言いましたように、この文書はこっそり内部に配付してやっているわけです。十数万台に上るわけですから、これを回収して皆さんの方へ届けてやれば大変なことになります。トヨグライドについて文句が出たので集めてやっているというのが事実なわけです。もちろん一つ一つ点検もしていただきたいのです。私は一例だけ挙げましたけれども、前進不能、後進不能、滑り、こういうことで構造変更をするというのは、性能を少しよくするとか形をよくするとかいう改良ではなくて、明らかに届け出をしなければならない構造変更だ、これには間違いないでしょう。
  137. 田付健次

    ○田付政府委員 私は技術屋でございますので非常に言葉が気になるのでありますが、前進不能と書いてあったり後進不能と書いてあっても、これはつくったのはメーカーでございますので、メーカー流の解釈をした不能という分類をしているかもしれないのです。  それから、たとえばここにクラウン、センチュリー等ございますが、これが全部事故になったのかどうか、ちょっと私もよくわかりませんのと、仮に事故でなくともそういうことが非常に頻繁に起きているというようなことでありますと、これは当然欠陥問題にならなければならないわけですが、そういう点での頻度がちょっとこの表ではよくわかりませんので、もちろん内容的には調査をしなければいけないと私は思いますが、先生のおっしゃるようにこうだというふうになるかどうかは、もうちょっと時間を与えていただきたいと思います。
  138. 中路雅弘

    ○中路委員 それでは私のところに入っている手紙で、最近の、五十年になってからのを使いましょう。これはみんなその関係者がトヨタの社長にあてた手紙で、欠陥部品を再生品と取りかえてもらった人たちのものです。  ここに一通あるのは、東京都保谷市の堀啓次郎さんという方が、五十年八月二日にトヨタの社長に出している手紙ですが、この中にこういうことを言っているのです。この方も、いまのトルコンの欠陥で金を何万と取られて再生品に取りかえてもらったわけです。そのときに、まだわずかしか走ってないのにトルコンが効かなくなってしまうのかということで聞いたところ、そのトヨタの担当者は、名前も出ていますが、親切に、実はないしょですが、トヨタのトルコンはよくありません、バックどころか前進しないのもあります。多くの車がよくいかれます。そして、どの部品がそのように悪いのか教えて下さいというと、その後にずっとトルコンのどの部分が悪いのかということを言って、それで取りかえましょうということの詳しい手紙で、トヨタの言い分がこの中にも出ています。この手紙はほかのところでも使います。  もう一通だけ披露します。これも最近のもので五十年の六月九日に東京都中央区築地の青柳さん、婦人の方ですが、これもトヨタの代表取締役に抗議の手紙を出しておるわけです。その中身ですが、この方は昭和四十五年七月に、いまのトルコンのついたコロナを購入したが、後進不能ばかりか、バックの位置にて前進するという大変な故障が起きている。東京トヨペット築地サービス課に入庫した。これを直すのに合計七万八千四百円取られている。領収書もついています。再生のトルコンをつけてもらった。そのときに、やはりこれもトヨタの方も担当者の話ですが、最初つくったとき、あの当時のものは、トルコンは前進や後進不能になったり滑ったり、オイルが漏れたり音が出たり、いろいろの欠陥がありました、おたくのトルコンも恐らくブレーキバンドの耐久性不足云々で起きたのだ、だから取りかえましょうということで、そんなことが前もってわかっているなら、どうしてわかっているときに無料で取りかえてくれないのか。トヨタのトルコンの技術は、トヨタ独自の技術で世界一なんだから、車の寿命と同じだ、絶対安心だ、パンフレットにも書いてあるじゃないか。それが数年でこんな事故を起こしている。トヨタの言い分だと、当時のものは初めからこういう欠陥があったんだと言っている。それならどうしてそのときに無料で取りかえてくれないんだと言って抗議をしたけれども、金を取られた。私はこの単のトルコンの欠陥のため交通事故にならなかったのを唯一の助けと思ってあきらめて最初取りかえてもらった、取りかえてもらったら、また一カ月半後に、絶対心配ないと言って十分な説明もされずに押し切られて八万円近くの金額を払ったものが、驚くべきことに再びトルコンの外部に亀裂が生じて、もう一度持っていったというのです。再生品であるものですから、これは一つの例ですけれども、またこういうことが起きているわけです。そして再び六万円を請求された。これでさらに六万円も払う、こんなことは許せないということで、六万円は払えないということを含めてトヨタの社長に抗議の手紙を出しておるわけです。これは青柳さんという方の手紙の中身です。  私ども、こういう例はまだたくさん出ています。いま一、二紹介いたしましたけれども、この手紙を見てもトヨタ自身の担当者が言っているのです。販売したときのやつは欠陥なんだ、前進しなかったり、後進しなかったり、滑ったりするというのは、トヨタ自身が言っているのです。運転される方の技術上の問題とか、そういうことじゃないのです。だからこそトヨタ自身がこういう技術連絡書でその部分の構造を改良して、対策部品をつけて、文句を言ってきた人にはこっそりどんどん出しているということをやっているのじゃないですか。いまの手紙や技術連絡書を見ていただけば、当然これは届け出をしなければいけないものだということはよくおわかりになると思うのですが、いかがですか。
  139. 田付健次

    ○田付政府委員 実は白状いたしますが、私もカローラのトルコンを使っておりますが、いまのところ別に何もないのであります。もちろん、全体の話をするときにそういう個別の例はいけないと思いますのでなんですが、一応先生のお話もよくわかりますので、この技術連絡書を持ち帰りまして、私どもの方でよく調査させていただくということにさせていただきたいと思います。
  140. 中路雅弘

    ○中路委員 先ほどから繰り返し言っていますように、原動機の部分の問題、そこの事故というのはもう生命にも関する問題ですね。それを明らかに構造を変更している、そして対策部品をつけているということですから、届け出をするのは当然のことなのです。しかも、いま一、二の手紙だけ紹介しましたが、こういう文句が殺到しているからこそ、技術連絡書をつくって、三つのサービス店に送ってこっそり対策をやっているわけです。  もう一つお渡ししますが、欠陥を認めているわけです。そして再生品を取りつけて、しかも金を取っているわけです。いまお話ししました青柳さんという婦人の方は二回で十数万ですね。そういうことで金を取られるわけですけれども、こういった問題についてどのようにお考えですか。
  141. 田付健次

    ○田付政府委員 これは実は、再生品という言葉がまた非常にむずかしいのでありますが、大ざっぱに言いますと、純正品とそうでないものと、二つに分かれます。純正品といいますのは、メーカー自身が標準車につけるために用意しております部品でございまして、それ以外の予備パーツとして当然純正品の生産にあわせてたくさんのパーツを用意するということがあります。それが市販に回りますと、正規のディーラーの場合に、その正規の純正品が使用者の手に渡っていくということでありますが、実はカーメーカーでない部品メーカーが同じようにつくっている部品がございます。それらの問題が、どちらがいい、どちらが悪いということでよく問題になる例が多うございまして、たとえば再生品でありますが、ここで言っております再生品がコンバーター全体の再生品なのか、ここにもありますが、ブレーキバンドが悪いというので、ブレーキバンドについてのみ取りかえたものなのか、その辺は、私は中を調べないとよくわからないと思いますけれども、いずれにいたしましても、結論的に言いますと、純正品であろうが再生品であろうが、要するに保安基準に適合するようなものであればよろしいわけでありまして、そうでないものについては私どもとしては結果を見るといいますか、使っている形においてはわかりませんので、頻繁に事故が起きるようなことが端緒として出てきました場合には、その部品について注意をするということになります。要するに再生品が悪いとか、純正品がいいとかということではなくて、そのもの自体が持つ技術的な性能が保安基準に適合しておれば私どもは差しつかえない、こういうふうに考えております。
  142. 中路雅弘

    ○中路委員 先ほど手紙で読んだように、一カ月半たてばまた事故を起こしているのですが、これは再生品なんですね。皆さんも読んでおられるかもしれないが、これは自動車関係の雑誌に出ているのです。そういうことをやっていることが。「トヨタ自動車販売はトヨグライドを集中的に再生整備する専門工場を東京、刈谷の二カ所に設け、ユニット交換に必要な再生トヨグライドを全国の販売店で即時供給できる体制をとった。」全国から文句が出まして、ここを直してくれということで来るわけですから、特別にトヨタがこのための専門工場を東京と刈谷の二カ所につくった。そして再生品をつくって、文句を言ってきた人たちにはそれを渡せるように体制をとった。「販売店では修理を必要とするトヨグライドをすべて二万円で引取り、それと交換に再生されたものを五万円以内で供給し、」云々ということで雑誌にもちゃんと出ているのです。トヨタがこういう措置をとっている、それで構造変更しているということが出ているわけですよ。再生品を五万円で取りかえている。欠陥として認めた場合に、すぐの場合ですから無料で取りかえるのが当然だと私は思うのですが、これを数万円の金も取って取りかえる、こういうことがやられているわけですが、この点についてもう一度お伺いしますが、どういうようにお考えですか。私は絶対にこういうことについて、欠陥を認めているわけですから、届け出をして、しかもユーザーには無料で取りかえるというのが当然じゃないですか。
  143. 田付健次

    ○田付政府委員 その再生品なるトルクコンバーターについての対価の問題につきましては、ケース・バイ・ケースでいろいろ変わってくるのだろうと思いますが、先生のお話の再生品のトルクコンバーターというのは、私ども技術の面で言いますと、自動車をオーバーホールした場合に当然修理をしなければなりませんが、同じ型式のものがたくさんありました場合には、それをばらばらにやるよりは一カ所に集中してまとめてやった方が非常に精度がよくなりますし、技術的にも保証のできる再生すなわち整備ができるというメリットがありますので、こういう特に高級品になりますと、特殊な技術が要るだけに、そういう集中整備をすることは私は別に悪いことではないし、むしろその方が技術的にはいいものが得られやすいというふうに思います。ただ、これは欠陥品だから金を取るなという件につきましては、それが欠陥品であるかどうかの判断からまず始めなければなりませんし、そのケース、ケースに応じて判断すべきものだと私は思います。
  144. 中路雅弘

    ○中路委員 向こうが欠陥だと言っているのですよ。さっきの手紙でも、欠陥だから取りかえるとトヨタの方が言っているのですよ、最初のやつは欠陥なんだと。前進不能になったり、後進不能になったり、滑ったりするんだということでみんな文句が来て取りかえているのじゃないですか。それが殺到しているのじゃないですか。だから三カ所のサービス店までつくって、変更したのを渡している。欠陥と認めて渡しているのですから、私はこれで何万円も金を取るのは不当だということを言っている。届け出もしていない。一般的な話をしているのじゃない。
  145. 田付健次

    ○田付政府委員 社会の中の個人間の取引におてはあるいはそういうふうなお話になるかと思いますけれども、私ども立場で申しますと、型式指定規則によって欠陥届けが出てきたものでありませんと、役所としてはこうだといふうにはメーカーに対しては言えないというのが現状であります。
  146. 中路雅弘

    ○中路委員 だから、これは当然型式指定による届け出をしなければならないものだと私は言っているわけです。これはもう少しまとめますと、第一に、いまの問題は型式指定の違反だ。当然これは公表し回収をしなければいけない、届け出をしなければいけない、それが第一番ですね。そして、欠陥として認めているわけですから、再生品をしかも金を取って取り付ける、これは全く不当なことなんだ。欠陥としてトヨタも認めているわけですから、これは至急に取りかえなければいけない。しかも、先ほどそちらからもお話がありましたように、十数万台生産されているわけですね。恐らくいまでもまだこの車は相当走っているんじゃないですか。どのくらいかおわかりになりますか。この四十四年から四十六年、三〇%から五〇%くらいはまだ中古車として走っているんじゃないかと私は思うのですが、見当つきませんか。
  147. 田付健次

    ○田付政府委員 ちょっとそこの推定はしておりませんが、大体十分の一ぐらい、普通ですと十年の平均車齢というのは非常に長うございますけれども、用心をとりまして十分の一にいたしますと、さっきの十六万台のうちの十分の一ぐらいは場合によっては落ちているというふうに思われますけれども、その程度の推定しかできません。
  148. 中路雅弘

    ○中路委員 いずれにしても相当台数がまだ使用されているわけですね。しかも、この技術連絡書までつくって構造変更したのに取りかえているわけですから、それをこっそりやっているわけですね。これは交通安全上も非常に危険だと私は思うのです。前滑り、前進不能、後進不能、しかも滑りということがわかっているわけですから、それでみな改良、構造変更しているわけですから、それをただ文句を言ってきたものだけ取りかえるということをやっているわけですから、当然これは届け出をさし、公表をし、少なくともいま走っている車について、また事故が起きてくるかもわからないし、交通安全上も非常に危険な状態ですから、そういう車を回収をしなければいけない。しかも再生品でやっていますから、先ほどのように、同じ事故が起こる可能性もこの訴えの手紙のようにあるわけです。その点で、至急この技術連絡書を、欠陥として構造変更をやっているわけですから、皆さんのところで取って、この問題について届け出をしっかりさせる、回収をするということで、しかも欠陥ですから、取りかえるについては無料で新しいものに取りかえるように手配するという厳重な処置をとっていただきたいというふうに私は考えるのですが、いかがですか。
  149. 田付健次

    ○田付政府委員 この技術連絡書の内容そのものをいまここへ来まして拝見さしていただいておりますので、先ほども申し上げましたが、一応持ち帰りまして関係者を呼び出してよく内容を究明いたします。また先生の御趣旨はよくわかりますので、その点につきましてはその結果によって処置をさしていただきたい、こういうふうに思います。
  150. 中路雅弘

    ○中路委員 私はこの問題は、きょう皆さんの方にこの技術連絡書をお渡ししたわけですから、どこから入ったというのは切ってありますが、至急トヨタの関係者を呼んでいただいて、この問題については届け出をさして、そして公表もして、いま走っているのは安全上非常に問題ですから、これについては至急回収をして取りかえるという処置をとるまで厳重な取り締まりをひとつやっていただきたい。そして、この問題についてどういう皆さんの処置がなされたかということについては御報告していただきたいと思うのですが、いいですか。
  151. 田付健次

    ○田付政府委員 いずれにしましても、これからの私どもの進めます状況につきましては先生の方に御報告さしていただきます。
  152. 中路雅弘

    ○中路委員 先日ここで正森議員の質問もありました。きのうですか、初めてトヨタが届け出をしました。きょう取り上げましたこの技術連絡書も、こういうものを出しておきながら、運輸省も全く知らない。運輸省の方にも全く届けてないという状態は、いまの制度上の問題にこういう問題が続発する非常に大きな問題が私はあると思うのです。現在の法によりますと、リコールの届け出は事実上メーカーが自主的にやるようになっているわけですね。だから、もしサボってもごまかしても、法的な規制がありません、一方的な届け出ですから。罰則もないわけです。この問題にもメスを入れなければ、私はこういった問題がこれからも続くのじゃないかというふうに思うのですが、その点で、きのう皆さんの方に、まだ翻訳もしていないというお話だったのですが、一九六六年にアメリカで成立しました交通安全法の中でこのような欠陥車の扱いについてどのようになっているかという、部分だけでもひとつ教えていただきたいというお話をしておいたんですが、おわかりになりますか。
  153. 田付健次

    ○田付政府委員 一九六六年の当時の交通法の中に出ておりますリコール関係制度でありますが、簡潔に申しますと、この六六年から——これは四十一年でございますから、三年後の六九年に日本の欠陥制度ができました。その日本の欠陥制度とほとんど変わらないようでありまして、やはりユーザーの責任において欠陥を届け出、公表し、処置をするというようなことがございます。その中に一点変わっておりましたのが——ちょっと間違えました、大体の全体の骨子としては、先ほどお話ししましたように、メーカー自体責任において、欠陥を発見した場合には届け出、公表していく、それに対して無償の回収措置をとっていくということの骨子においては日本とほとんど同じである。むしろ、これの方が先に出ておりますので、日本がそれをまねしているというふうなことも言えるかと思いますが、大体の骨子は似たようなところが多いというふうに私は感じました。
  154. 中路雅弘

    ○中路委員 あなた、読んでおられないのじゃないかと思うのだね。きのう運輸省に聞いたら、原文はあるけれどもまだ翻訳もしていないというお話だから。全く違うのですよ、大事なところで。私は、皆さんの方で出してくれないから急いで翻訳してもらって、要点をメモしてあるのですけれどもアメリカの交通安全法ですね、欠陥車の取り扱いですが、この欠陥という中には、自動車の設計、構造、構成部品あるいは材料における欠陥を含むということが明確にされていますが、この欠陥車について、報告書の作成、情報の提出ですね、報告を皆義務づけていますが、それを怠った場合には立入検査をやる権限もあります。そして、立ち入りを拒否できないという条文もありますし、もう一つ大事なのは、行政処分があるわけですね。この規定に違反した者は行政処分を受ける。すべての関連した一連の違反に対しては、千ドルから四万ドルを超えないことという規定がありますが、行政処分、罰則の規定もこの中には含まれています。そしてまた、長官の指名した官吏には、たとえば運輸省のこういう官吏の皆さんには証明書を発行して、施設内の立ち入り、点検の権限を付与する。また、メーカーが、安全基準に従って行動したかどうかという点検を受けるために、帳簿類や書類、記録文書、そういうものをきちっと保存しておかなければいけない、そういうこともこの法律の中に明記されておるわけですね。  先ほど言いましたように、日本の法律が後からできたとおっしゃいますけれども、何の行政処分もない、罰則規定もない、自主的な届け出に終わっている。ここに大きな違いがあるわけでして、何回かこれで問題になっていますように、だからサボってもごまかしても法的な規制がない。全くメーカーの一方的な届け出に自主的に任されておるわけですから、こういう重要な構造改善がやられていても、改良が、変更がやられていても、運輸省も知らないという事態になっているのじゃないかというふうに私は思うのですが、アメリカのこの交通安全法を私がいま二、三要点だけお話ししましたこと、間違いないでしょう。
  155. 田付健次

    ○田付政府委員 先ほど私が御説明を申し上げましたのは、欠陥の届け出をし公表をする骨子のところについてお話をしたのでございますので、先生のおっしゃったような立ち入り、報告、記録等につきましては、先生のおっしゃるとおりかと思います。その辺は実は私どもの法体系では、車両法の中に、本法の方に行政処分も書いてございますし、立入検査等の権限が私どもにあることも書いてございます。ですから全体を総合いたしますと、先ほどお話ししたような、お口を返すわけではございませんけれども、大体似たようなことになっているように私は思っております。
  156. 中路雅弘

    ○中路委員 立入調査がありますと言って、いままで一度もやったことがないじゃないですか。しかも、この細則の中にそういうことを明確にしなければいけない。たとえば、いまのこういう文書を提出させることを義務づける。いま私はトヨタの技術連絡書を皆さんにお見せしましたけれども、まだたくさん私のところにあるのですよ。日産もあります。同じ技術連絡書なども。本田の二輪車の問題もあります。時間も限られていますから、いろいろのあれについて、きょう取り上げないだけで、みんな各社がこういう文書は出しているのですよ。持っているのですよ。それで内部で配付をしてやっているのですね。皆さんのところには届け出ないし、運輸省は全く知らないという状態なわけですが、こういう文書ですね、トヨタが出しています技術連絡書。私のところに、日産も、みんなありますけれども皆さんの方の責任で、こういう文書——構造変更したとかそういう中身を記載した文書がありますね、それを提出させる、定期的にも皆さんのところへ提出させる、このことがぜひとも必要じゃないかと私は思うのですが、この提出を義務づけるというお考えはありませんか。
  157. 田付健次

    ○田付政府委員 私どものこの欠陥車対策の基本でありますが、あくまで私どもとしてできる範囲のことをすべきであるには間違いございませんけれども、やはり基本的に欠陥が出ないということを私どもとしては全精力を挙げてやりたい。したがって、新型車が出ますときにその審査をきちんとやっていく、あるいはメーカーが商品を売り出す前には耐久試験をちゃんとやって、少なくとも、予想されるようなそういう欠陥が出ないようにさせる、そのことに私どもは全力を傾注していきたいと思っております。またそういうふうにやってまいりました。したがいまして、私どもの交通安全公害研究所に審査部というのがございますが、そこの審査体制の強化もいろいろと進めてまいった状況でございます。  それから第二に、先生のおっしゃるような御趣旨のことももちろんまた研究しなければいけないとは思いますが、実は型式が非常に多うございまして、その個別を全部扱うとなりますと相当な件数になる。その辺を考えますと、必ずしも、行政能率上好ましいことなのかどうか。むしろそれはメーカー側の良心を絶えずこちらの方からかき立てて、メーカー自身の責任において処置させる、それを処置していなければ当方が監査をするなり処分をするなりして指導していくという体制が、いまの現状においては私どもに最もぴったりした具体的なやり方のように思いますので、その点を従来進めてまいりましたが、これからもそういう意味でメーカーの指導については遺憾のないようにしてまいりたい、こんなふうに思っております。
  158. 中路雅弘

    ○中路委員 私が言っているのは、根拠があるから言っているのです。たとえば報告する場合も、良心にと言ったって、いままでもうそを報告しているのです。  一つの例でお話ししましょう。     〔木野委員長代理退席、奥田委員長代理着席〕 私どもの林百郎議員が、四十七年の四月十八日に欠陥車の問題でいろいろ指摘をしまして、それについて、皆さんの方からそれについての報告書が来ているわけですね、指摘事項についての検討事項。たとえば一例を挙げますと、その中で、いま私が挙げていますトヨタのトヨタマークIIについて、フロント車輪のベアリング破損のため走行中、車がぐらぐらになるというようなことで、これについての指摘をしました。皆さんの方のトヨタからとった回答は、改造は行われていない、今後の参考にしたいという報告書が出ています。時間もないのでこの一例だけ挙げますけれども。しかし、これは構造変更がやられているのです。ここに一枚しかありませんからお渡しできませんが、同じトヨタの技術連絡書、文書がありますけれども、これを見ますと、私たちが指摘したところが構造変更されているのです。四十五年二月四日に、いままで穴があいていてどろが入ってきたという、ここのところをブレーキのダストカバーの形状を変更して、改造してやっているんです。その構造変更したという技術連絡書が内部には出されているのです。しかし、皆さんの方にはうその報告をしている。だから、私たちが指摘しても、トヨタの報告をそのまま受けてくるわけですから、改造は行われていないという報告書がこっちへよこされてくる。しかし、現実にはやられているのです。だから、良心を信じるとか、そういうことじゃなくて、責任ある行政機関として、当然こういう文書はきちっと皆さんがとるべきだということを私は言っているのです。それを義務づけるべきじゃないか。そうしないと、いつも事故があってから、いやそういうことがやられていたのだとかいうことで、欠陥車の問題は毎年毎年問題になっているじゃないですか。だから私は、いま各社についてこういう構造変更した場合の報告書、文書はきちっと定期的にとることを義務づけなければいけないということを——メーカーの出した報告がうそだから、そういう事実に基づいても、自主的な届け出に任せておいてはだめだということを言っているわけです。いかがですか。
  159. 田付健次

    ○田付政府委員 非常にむずかしい問題なのでありますが、私どもとしては、やはり基本は、それぞれの責任において社会に責めを果たすというふうに臨むべきだと思います。ただ、先生御指摘のように、こういうふうな技術情報その他情報がいろいろありますので、必要に応じてそういうものを見ながら指導するという必要はあろうと私は思いますけれども、現状におきましては、先ほどお話ししたように、約六百ぐらい型式がございますが、年間二百ずつぐらい入れたり出したりでございますけれども、型式がどんどんふえております。これを全部、リコールだけではございませんで、クレーム全体を含めての処理になりますので、相当膨大な業務量になるわけでございます。これが果たしてフォローできるかどうかが非常に問題点でありますので、私どもとしては必要に応じてやることにはいたしたいと思いますし、また先生の御趣旨はよくわかりますので、今後また研究していこうというふうには思っておりますけれども、現状においては、先ほど来再々お話ししましたような方法で監督をしてまいりたい、こういうふうに思っております。
  160. 中路雅弘

    ○中路委員 先ほど言いましたアメリカの交通安全法が一九六六年の九月九日に成立したときに、出時のジョンソン大統領が運輸教書というのを添付して出しています。この冒頭にも「運輸大臣責任の中で最も重要なものは安全であることを強調する。」ということを言っているのです。この欠陥車の対策についてはそこから始まっているのですね。  いま私がお話ししているのは、最も重要な安全の問題なんです。この問題で手おくれになったりごまかしがあったら、人命に関する問題なんですね。だから、そういう点について、いろいろ構造変更や問題があった場合、改良が行われた場合は、それをちゃんと運輸省が知っておく、そういう報告書をとるのは最低の義務として当然じゃないか。事務が繁雑になるとかいう問題じゃないんじゃないか、根本の問題だというふうに思うのです。  きょうは運輸大臣がおられないので、私は政府責任ある皆さんにお聞きできないのですけれども長官がちょうどおられますので、いまのいろいろのやりとりをお聞きになっていて、一言お考えも聞きたいと私は思うのです。
  161. 松澤雄藏

    松澤国務大臣 御指摘のような事実があるとすればというよりも、いまのお話ではあるというふうな御指摘でございますが、まことに遺憾でございます。行政管理庁といたしましても、運輸省を中心として、今後業者の届け出の励行について適切な指導を講ぜられることを期時してやまないものでございます。現段階において、私としてはこれ以上言いようがないというふうに言わざるを得ない問題であろうと思います。
  162. 中路雅弘

    ○中路委員 この文書、報告の提出の義務づけについては、ぜひ運輸大臣とも御相談をしていただきたいと思うのです。  それからもう一つ追加しておきますが、先ほど私がトヨタの技術連絡書を皆さんにお渡ししたのは四十六年のものです。恐らくこの文書以後も改良している疑いがあります。その点で、この技術連絡書をその後四十七年、四十八年と引き続いて出したとすれば、それもひとつこの際資料としてとっていただきたい。そのこともあわせてお願いしておきたいのですが、いいですか。
  163. 田付健次

    ○田付政府委員 一応先生の御趣旨を体して処理するようにいたしたいと思いますが、中身はいろいろあると思いますので、その点につきましては、またメーカーに事情を聞いて判断をさせていただこうと思います。
  164. 中路雅弘

    ○中路委員 時間が限られておりますので、もう一、二点お聞きしていきますが、たとえば、まだこういう例でたくさんあるのですけれども、一、二挙げますが、本田のオートバイCB三五〇、これは、きょうはロサンゼルスタイムズを持ってきましたけれどもアメリカ新聞に出ているのです。ここに現物を持ってきたのです。これはユーザーユニオンの皆さんから提供していただいたのですが、本田の、これはアクセルワイヤーの切れたものですね。これは現物です。この本田のオートバイのアクセルワイヤーの欠陥の問題は、アメリカで大問題になっているのです。そして、この欠陥を認めて、裁判の前に、四十九年の八月十九日に本田との間で示談になっています。これがロサンゼルスタイムズの記事です。ここに原文がありますけれども、これを見ますと、日本円にして三億円から二十七億円本田が払っているのですね。それで示談にしているのです。しかし、日本ではこの問題は欠陥車として公表も回収もしていないのです。皆さんのところにも届け出をしていないのです。内部ではやっぱり本田もこの問題で改良書を出しているのです。このことは御存じですか。
  165. 田付健次

    ○田付政府委員 私どもの方には参っておりません。
  166. 中路雅弘

    ○中路委員 アメリカでこれだけ新聞にも報道されて大問題になって、本田との間で示談までやっているのです。本田が欠陥を認めて何億円という金を払っているのです。それでいて、国内では運輸省にもそのことを届け出もしないし、公表もしていないし、回収もしていない。これも私が挙げた一例なんですね。トヨタだけきょう挙げましたけれども、各社がみんなこういうことをやっているのです。運輸省だけ知らないのです。この改良書も私のところにありますけれども、本田についても皆さんとってください。いいですか。
  167. 田付健次

    ○田付政府委員 ただいま先生から御指摘のあったアクセルワイヤーの点について調べます。
  168. 中路雅弘

    ○中路委員 三菱自工から日産から、たくさんあるのですよ。時間が限られていますので、一つずつ挙げても大変です。三菱自工のバス、トラック、ダンプカー、日産ディーゼルのトラック、これについてもいま同じような問題がたくさん出ています。  その中で一つ、これは公審関係の問題と関連して重要なのでお聞きしますけれども、日産のセドリック五十年対策車、これは最近できたのですね。一例を挙げますと、この車は非常なパワー不足なんですね。たとえば、ことしの八月か九月ごろ、箱根のターンパイクで、加速不良で六人乗りが上がらなくなってしまったのですね。そのほか燃料不足、こういうことでクレームがいま続出しているわけです。だから売り上げもがたっと落ちているのですね。この日産セドリック五十年対策車は、七千台から三千台ぐらいに落ちてしまった。この問題で、日産が十月十六日の生産車から、キャブレーター、気化器、ディストリビューター、配電器、これを取りかえて、対策品をつけて構造変更をした。これは御存じですか。
  169. 田付健次

    ○田付政府委員 タクシーのたぐいの中に、いま先生のお話がありましたような力不足で困るというような話をちょっと聞いたことがございますが、具体的な内容については報告を受けておりません。
  170. 中路雅弘

    ○中路委員 私が言っているのは、十月十六日の生産車から、先ほど言いましたように、キャブレーター等を、対策品をつけて構造変更した、このことは御存じですか。皆さんのところに報告が来ておりますか。
  171. 田付健次

    ○田付政府委員 あるいはあるかもわかりませんが、ちょっといま資料を持ち合わせておりませんので、もしできましたら、確認いたしました上で、後ほどまたお答えさせていただきたいと思います。
  172. 中路雅弘

    ○中路委員 これは日産のディーラーにもまだ知らせていないのですよ、実際。だから、皆さんのところになんか報告しっこないのです。この問題は、キャブレーターを構造変更するということは、そしていわゆるエンジンをパワーアップするわけですから、御存じのように排気にかかわる問題ですね。そうしますと、排気規定にかかわってくるわけです。保安基準の三十一条にこの排気の細かい規定が出ていますね。この問題にかかわる問題ですから、公害問題と大きく関連があるのですね。この排気規定にかかわる問題について、構造変更しているわけですから、何よりもまずこの点については届け出をして型式指定をやり直さなければならないという問題だと私は思うのですが、間違いありませんか。
  173. 田付健次

    ○田付政府委員 型式指定を全く取り直すことになるかどうかにつきましては事務処理規定がございますので、それに照らし合わせた上で処理いたしますが、内容に変更がございますれば当然テストを受け直すということになろうかと思います。
  174. 中路雅弘

    ○中路委員 いまおっしゃったように、この問題は当然テストを受け直さなければいけないですね。単にどこかを直したというだけじゃなくて、この問題は公害問題とも関連する問題ですね。それを、いまお話ししましたように、この問題を聞きましたらディーラーも知らないのですね。だから、苦情が出るやつをいま一生懸命いろいろあちこち直したりしているんです。しかし、日産の方は十六日の生産車から、これは調べてもらえばわかりますが、明らかに構造変更して、キャブレーターあるいはディストリビューター、こういうところに対策品をつけていま出しているわけです。私はこれはやはり非常に重要な問題だと思うのですね。この点についてぜひ調査をしていただきたい。届け出は出てないと思うのですが、明らかにこれは違反だと私は思うのです。厳重な取り締まりをしていただきたい、そして、その結果を報告していただきたいと思うのですが、いいですか。
  175. 田付健次

    ○田付政府委員 直ちに調査をいたしまして、その結果を先生の方にお知らせいたします。
  176. 中路雅弘

    ○中路委員 きょうはまだたくさん材料を持ってきていたのですけれども、トヨタと日産の例で問題点はおわかりになっていただけると思うのですが、先ほどから繰り返し言っていますように、私はいまの法改正を含めた制度上の問題にも大きな問題があると思いますので、この点をぜひひとつ根本的な検討をしていただきたいと思うのです。  それから、その前の問題ですが、ついでに聞いておきたいのですが、最近新聞でちょっと見ましたら、日刊自動車新聞で、局長が、利用保護立場から自動車メーカーに車両の欠陥が発生した段階で直ちに届け出させ、これをユーザーに公表するようにしたい、いわゆるリコール制度を改正したいというようなことを語ったというのが新聞記事で出ています。この点について、この場所でちょっとお考えをお聞きしておきたいと思います。
  177. 高橋寿夫

    ○高橋(寿)政府委員 私がしゃべった言葉でございますので、私からお答え申し上げます。  先週は火曜日だと思いましたけれども、私ども二週間に一遍ずつ業界紙とのいわゆる定例記者会見というのをやっております。本来は月曜日が定例日でございます。そのときに、記者の人から質問が出まして、当然今回のパブリカ問題に関連して記者の人は質問したわけでありますけれども、記者の人の見解では、パブリカ問題の届け出が非常におくれた、これはもっと早くできないだろうかという質問がありました。私は実は技術のことは余りわかりませんので、むしろ一般常識的に考えてその新聞記者に答えたわけでありますけれども、この届け出がおくれるという原因は恐らくこういうことだと思います。届け出をいたして新聞に発表をいたしますと、車を持っていらっしゃる方が自分の車のこういうところが欠陥だから取っかえてくれというので殺到する、そのときに交換部品がございませんと、非常に混乱をする、そこで、メーカーとしては、交換部品が全国津々浦々の窓口に普及するまで届け出をしないで、それでもうこれで大丈夫というときに届け出をして直ちに交換を受けるようにするということもあって、届け出がおくれがちになるんだろうというふうに私は解釈したわけでありますが、しかし、それは一つのあり方であって、もう一つ、ユーザー保護という点でさらに考えるならば、もしもユーザーの方の理解が得られるならば、協力が得られるならば、メーカーにおいて、その事故が部品あるいは構造の欠陥にありということがわかった段階で届け出をしてもらう、そしてそれを私どもが公表する。そうしますと、車を使っている方は、もうその日からその欠陥がありとされた付近の扱い方を気をつけて車を扱うというふうにしておりまして、交換部品が数週間、これは物によって違うと思いますけれども、出そろったらそのときに部品の交換をする。つまり、発表してもすぐ部品が間に合わないことがあっても、それはユーザーの方でしばらく交換部品が出回るまで待って、その期限が来たら交換をしてもらう。しかしそれを待ってから公表するのでは、ユーザーにとっては実は欠陥があるのに欠陥がわからないということがありますから、そこで、ユーザー保護という立場から考えるならば、欠陥があるのですという情報だけはやはり早く知らせておいて、部品の交換はできるだけ急ぐけれども、その間に若干の日があっても仕方がない。どちらをとるかということについて考えるならば、両論ありますけれども、私は、ユーザー保護という点を考え、かつユーザーの協力が得られるならば、情報だけは早く知らせてできるだけ交換を急ぐというふうなことの方がベターではないか、いろいろ従来のやり方等との関係もありますので、私どもは部内で十分検討いたしまして、もしその方がベターであるというふうになれば、そういうふうに方法を切りかえていきたいと考えまして、しゃべったのでございます。
  178. 中路雅弘

    ○中路委員 いまリコールの改正の問題については、そういう方向で検討をしていくというお話も話していられるわけですが、私が先ほどから述べましたように、定期的な報告の義務づけを含めて、この制度上の問題についても全体としてここで検討すべきじゃないかということを強く要求しておきたいのですが、この問題の終わりに、私は運輸省なり自動車局の根本的な姿勢に関連した問題がこの根底にあると思うのです。  これも前に林議員が取り上げた問題ですが、いまの道路運送車両法の四十六条の終わりに、終わりだけ読みますと、「且つ、これにより製作者又は使用者に対し、自動車の製作又は使用について不当な制限を課することとなるものであってはならない。」ということが書いてあるのですね。この問題を林議員が取り上げまして、当時公害基本法がまだ改正されていないときだったですが、これは公害基本法の経済の発展と調和するという条項がいま非常に問題になっている際に、この点は考慮することが必要じゃないかという質問に対して、当時の野村局長さんの答弁で、「ただいま御指摘の点は、確かに公害基本法の経済条項と表明は違いますけれども、何といいますか、その思想において似ている点があると思います。したがいまして、これは政府部内の方針としてそういう線に沿って、何といいますか、公害防止優先という方向でこれも検討するということは、お約束できると思います。」というふうに答弁しているのです。これは四十五年九月の運輸委員会ですね。  その後、ここで言われている公害基本法の経済条項というのは、御存じのように外されました。しかし、運輸省の関連する道路運送車両法を検討するとおっしゃっているこの点は、これはまさに公害基本法の中の経済条項と似ているということを皆さん自身がおっしゃって、検討するとおっしゃった。いまなおこの項は自動車の場合は生きているわけですね。私は、こういうところに自動車業界との癒着といいますか、余り言うと言い過ぎかもしれません、はっきり関係ができて、本当に安全の立場、公害防止の立場で行政をやっていくという姿勢に欠けるというのが、こういうものが検討しますと言ってからまだそのままにされているという中にもあると思うのですが、このお約束の検討しますというのは、その後どう検討されたのですか。
  179. 高橋寿夫

    ○高橋(寿)政府委員 私は「不当な制限を課する」ことになるかならないかという点の解釈の問題だと思いますが、その問題は、そのときどきの社会的な要請によってこの解釈の内容は変わっていっていいと思うのです。したがって、現在のような国民の健康と安全ということが安全、公害行政の基本であるという時代におきましては、ここの最後の段落のところの言葉というものは、国民の健康、安全の側に立って広く解釈をするということで読まれていると思いますので、そういった意味で私どもは、この言葉がございましても、このことに依拠しまして製作者または使用者の方に偏った安全、公害行政をするということは毫もいたしておりませんし、今後もそういう方針でございますので、ここの文言を変えるということは、私どもがそういう姿勢でやることが保証される限りは必要ないのじゃないか、またそういう姿勢でやっていきたいということでございます。
  180. 中路雅弘

    ○中路委員 そういう姿勢でやるのは当然のことだと思うのです。しかし皆さん自身が、答弁で、これは公害基本法の経済条項と似ている、この点のことについては検討をしていきたいというお約束になっているわけですから、私は、この問題も含めて、皆さんの姿勢をはっきりさせるという意味でも、当然この項については検討さるべきではないかということを、ひとつ強く要請をしておきたいと思うのです。  もう時間も来ていますので、この問題であと幾つかの問題を取り上げませんが、先ほどお話ししました、たとえば林議員の指摘について、皆さん調査で、改造がやられていないという返答が来ていますけれども、先ほど私が改造されているという文書も出しました。ここに現物もあるのです。これは改造された現物なんです。現物もあるし、そして文書も出ている。しかし皆さん報告は、改造されてないというトヨタの報告をそのまま受け取って私たちに報告している。これはまさにうそをついている、ごまかしていることではありませんか。こういう点を根本的に改めなければ、これからこの欠陥車問題というのは全くなくならないということを、私はこの質問の終わりに強く指摘しておきたい。  先ほど、何点か調査をして報告をいただくという、整理はしませんけれども、お約束をいただきました。この点については、至急調査をし、また厳重な取り締まりもやっていただきたいと思うのですが、お約束いただいた報告については、至急調査をして出していただけますか。もう一度念を押しておきたいと思います。
  181. 田付健次

    ○田付政府委員 先生のおっしゃるように努力したいと思います。
  182. 中路雅弘

    ○中路委員 時間がそろそろ来ているのですが、別の問題であと一、二問だけ。  アメリカ局長、お待たせしました。ここでちょっと出ていただきます。  これは全く別の問題ですが、これも地元では大きな問題になっているので御質問したいのですが、時間を省略する意味で、私の方から先に少し状況、問題をお話しします。  横須賀のアメリカ軍基地の中に入っているベースタクシーの問題ですが、これは運輸省に先にお聞きしておきましょう。いま横須賀市で営業しているタクシー、法人タクシー、個人タクシー含めて何台ありますか。課長さん、わかりますか。
  183. 高橋寿夫

    ○高橋(寿)政府委員 現在横須賀市で営業しております車両数は合計八百九十三両だと思います。
  184. 中路雅弘

    ○中路委員 法人が五百七十一両、個人が三百二十二両、お話しのように八百九十三両です。約九百両あるわけですが、このうち、アメリカの基地、ベースの中に入って基地内の営業許可を得ているタクシーがあるわけです。入構料を取られて入っているわけですが、幾らの入構料を取られているかということと、この営業許可を得てベース内に入っているタクシーは何台あるのですか。
  185. 高橋寿夫

    ○高橋(寿)政府委員 入構許可を得てベースに入っておりますタクシーは、法人百七十三両、個人百三十一両、合計三百四両であります。それから入構料は、四十九年九月以降、LPGタクシーについては一月一台当たり千二百五十円、ガソリン車につきましては同じく三百円であります。
  186. 中路雅弘

    ○中路委員 これも四十九年の八月三十一日までは一台二千円取られていたんですね。石油ショックでいろいろ要請もあり、値下げの陳情もあって、いまお話しのように千二百五十円、ガソリンが三百円という入構料を取られて営業しているのが三百四台あるわけですが、この営業車とは別に、四十四年ごろから——これは四十一年からですが、いまの形態は四十四年ごろからです。いわゆるNCTタクシーというノーナンバーのタクシー、アメリカの海軍の契約タクシーだと言われておりますが、ノーナンバーのタクシーがこのベースの中で営業して仕事をしているわけですが、このタクシーはだれが営業しているのか。それから何台いま扱われているのか。このNCTタクシーについての実情を簡単にお話し願いたいと思います。
  187. 高橋寿夫

    ○高橋(寿)政府委員 これは私どもが知り得る限りのことだけでございますけれどもアメリカ軍のネービーエクスチェンジ、NEXと略称しているそうでありますが、そこから営業許可を得ております。許可を得ております会社は、インターナショナル・オート・サービシーズ・カンパニー・リミテッド、代表者はK・L・ヤングという人であります。住所は横須賀市日の出町でありますが、国籍は台湾と伺っております。  このタクシーは、横須賀の米海軍基地の中だけで、そこにおける米軍、軍属、家族等の輸送をしている会社であります。使用車両は四十五台、それから料金は、中型車両の場合に二キロメートルまで百九十円、自後四百五十メートル増すごとに三十円加算というふうに聞いております。
  188. 中路雅弘

    ○中路委員 もう時間がありませんので、私の方から少し補足して状況お話ししますけれども、いまお話しのように、外から、いわゆる営業しているタクシーが入構料を取られて許可を得て構内へ入っている。それで、営業しているタクシーが現在三百四両あるわけですが、それ以外にノーナンバーの、アメリカの海軍の購買部隊の営業許可を受けているのが四十五台、その基本料金は百九十円、外から入っているのが御存じのように二百八十円で中へ入っている。私が調査しましたところ、中で営業しているNCTタクシーというのは、駐車場も専用の特別の駐車場を持っているのです。たとえば航空母艦が入ると、その岸壁はこのNCTタクシーの専用の車の置き場になっている。そういう駐車においても差別を受け、料金において片方は百九十円、片方は二百八十円ですから、中の連中は百九十円の方に乗るのは当然なんです。アメリカ家族その他も含めて営業しているわけです。  それで、皆さんのお話じゃありませんが、この営業をやっているのは第三国人、国籍は台湾とおっしゃったですけれどもはっきりしない。K・L・ヤングというのがやっているわけです。この詳しい状態は、時間もないのでお話ししませんが、この四十五台を動かしている運転手は、第二種の運転免許を持っていない者がたくさんいる。たとえば日本人の基地内の消防の職員がやっていたり、アメリカ兵がアルバイトでやっていたり、アメリカ軍の婦人がやっていたりということで、二種免許も持っていないというのが運転をして営業をしているという状態で、先日皆さんの方の報告ですと、この水揚げの、よくわからないけれども、一〇%ぐらいを購買部隊に入れているのではないかというお話でした。私はちょっと補足しましたけれども、こういう状況の中で、いま横須賀市内に九百台からの営業車があるわけですが、これは人口比にすると非常に高いんです。ほかの町に比べて。恐らく、横須賀にアメリカ軍あり、母港化になって二千人からの家族もいる、こういう点も配慮されて営業車が多いんだと思いますが、そのほかに直接こういうもぐりタクシーみたいなものが中で四十五台も営業しているわけですから、しかも二百八十円のところを百九十円で、駐車場も差別して入っているわけですから。いまこれが大問題になっている。しかも、いまのように客が減って営業も落ちるというときですからますますこれが横須賀のタクシー業界を圧迫して、運転手も業界も、このもぐりタクシーは何者だということで大問題になっているんです。  私は一、二点まとめてお伺いしますけれども、一つは外からの営業タクシーですね、これが基地内に入って営業する。入るか入らないかはアメリカの方の権限ですけれども、入構料を取っている。二千円とか千二百五十円とか勝手に、どこで決めるのか知らないが、値段を決めて入構料を取っていますが、第一番に、この入構料を取る法的な根拠はどこにあるのかということをお聞きしたい。  それからもう一つは、このNCTタクシーという基地内で営業しているタクシー、しかも二種免許も取っていないこのタクシーがこういう営業をやっている根拠ですね、それはどこにあるのか。これは外務省の方にお聞きした方がいいと思うんですが、まずその辺……。
  189. 山崎敏夫

    山崎(敏)政府委員 横須賀の普通のタクシーに対して入構料を取っているという点につきましては、われわれこの点を承知しておらないわけでございますが、この話を聞きまして、早速米軍当局に現在事実関係の確認を求めております。そして、もしこの入構料を取っているのであれば、その性格とか目的というものはどういうものであるかということをいま照会しておりまして、その回答を待ちましてその上で御説明申し上げたいと思います。(中路委員「もう一つの、NCTタクシーの根拠」と呼ぶ)  NCTのタクシーの問題でございますけれども、この会社と米軍のネービーエクスチェンジ、米海軍販売所との契約関係がどういう内容のものであるかということにつきましては、現在アメリカにこれも照会中でございまして、その契約内容につきまして十分調査をいたしました上で、この関係法令の適用という問題につきまして判断をいたした上で、御説明申し上げたいと思います。
  190. 中路雅弘

    ○中路委員 この問題は、きょうはこういう途中になっておりますから私はまた改めて取り上げたいと思います。だから要請だけひとつしておきたいんですが、いまお話しのように、このNCTタクシーの問題で、米軍の購買部隊とそれからヤングというのですか、台湾国籍だという、入札をして営業をやっている、この間の契約内容、これをぜひ私の方に提出していただきたい、どういう契約になっているかということですね。  私は基地内でこういうもぐりタクシー営業は許されないと思う。たとえばこの問題で、ガソリンも無税のガソリンを使っているというのですね、話によりますと。税金がどうなっているのか、ガソリンがどうなっているのか、こういうこともいろいろ不明ですし、それからいままでは、つい数年前まではこのタクシーが外にも出ていたのです。アメリカ兵を乗せて近くのEMクラブまで行っていたのです。ノーナンバーのこのもぐりタクシーが町を走るのは何事だという抗議を受けて、外へ出るのだけはやめたのですよ。しかしその前まではEMクラブまで行っていたのです。アメリカの将校を乗せて。こういうことは私は許されないと思うのですね。だからこの契約内容を正確にひとつとっていただきたいということですね。どういう根拠でこういうことが許されているのか。  それから先ほどお話しのように、外から入る営業車について入構料を取っている。外務省も承知してなかったというお話ですが、この問題もいま問い合わせ中だというので、その報告もいただいて、改めて私はこの問題を問題にしたい。横須賀のハイヤー、タクシー九百台という話でありますが、これは家族を含めて大変な数ですけれども、この人たちがいま、このようなもぐりタクシーのために生活上も営業上も非常な圧迫を受けている。しかも、さっき言ったように、二種の免許も持ってないのに運転させている。  私は、基地は治外法権ではないと思うのです。安保条約と少なくとも地位協定に基づいて提供しているわけですから、何をやってもいいということじゃないと思うのですね。それに基づいて基地内の使用について私たちは見ていかなければいけない。その点で運輸省も、私のところへ説明に来られたら、あれは治外法権ですからと言う。治外法権じゃないですよ。昔のそういう治外法権では全くないのです。しかも皆さん許可しているそういう営業車が中で圧迫を受けている。このことについては、運輸省はアメリカにも外務省にも物を言わなければいけないと私は思う。それはもう基地内のことですから一切黙っているということになれば、関係のハイヤー、タクシーの運転手も業者も、いま非常な怒りを持ち、不満を持っているわけです。だからこの解決のために、ひとつ外務省も運輸省も努力をしていただきたいと思うのですが、その前に、いま私がお話ししました点は至急調査をしていただいて、その上で改めて取り上げたい。  時間も過ぎていますので、これで終わりたいと思います。     〔奥田委員長代理退席、木野委員長代理着席〕
  191. 木野晴夫

    ○木野委員長代理 受田新吉君。
  192. 受田新吉

    ○受田委員 許認可整理法というこういう法律は、また新しく法律ができるたびにこういう問題が何年かすると起こるわけですから、五年も十年もするとまたこういうものをやる。つまり許認可整理法は終始継続するものであるということになりますか。
  193. 鈴木博

    ○鈴木(博)政府委員 許認可の整理法の性格からいたしまして、住民の負担の軽減あるいは事務処理の迅速化というようなことがねらいになってございますので、一定の期間を置きまして、今後もお説のとおり継続するものと存じます。
  194. 受田新吉

    ○受田委員 終始とどまるところを知らない、許認可の方は継続するのであるということですね。だから、そうなるとできるだけきちっと、余り後へ尾を引かないように整理をしておく、その都度整理をしておく、やむを得ないものが出たときにまたこれを扱うというようなかっこうにしなければいけない。これは調査会の答申の中にもそういうことが書いてあるわけでございますが、そこで私、先国会でお尋ねしました法律の廃止とかいろいろ並べてある中で、整理、統合、合理化という、簡素化、合理化のための整理、統合諸方式の中に、許認可事項そのものは一応合理化され、整理されておりましても、その用語の中にはなはだあいまいなものがある。許可とは何か、認可とは何か、免許とは何か、そういうものがあいまいで、許可と称すべきものを認可としたり、認可と称すべきものを許可としたりしている。行政管理庁そのものが許可、認可の概念を明確にしていない。こういう点があるから、これを整理したらどうかと私は提案したわけです。たとえば、きわめて明確なことでございますが、一般的に禁止されているその禁止を解除するというのが許可、形成的行為の中の補充行為が認可という原則的なものはこの前の国会で論議しました。ところが、それを許可と言わないで免許と称していることもある。運転手の免許とか医師の免許というものも、これは当然許可である。それが免許と称してある。それから、地方公共団体の起債の許可などというものはこれはもう当然認可に当たるものである。それが許可となっておる。こういうふうに許可と認可の簡囲が混同し、入り組んでおる。これを整理してはどうか。許可申請、認可申請、免許申請、いろいろあるということを指摘しまして、できるだけこの法律行為そのものに明確な区別をして、その方を整理されたらどうか。これは長い間社会の慣習として実行されておるからやむを得ないということが言えるかもしれませんが、やる段になれば、これは許可に入るか認可に入るか、もう明確に区別ができますよ。あの先国会で提案した問題につきまして、その後御研究されたか、受田質問などは問題じゃないと言うて放置されておられるか、いずれかの御答弁をお願いしたいのです。
  195. 鈴木博

    ○鈴木(博)政府委員 前国会におきまして御指摘いただきました許可、認可、免許等の言葉をめぐりまして、非常に実体法上混乱を来しているのではないかというお説につきましては、真摯にその点検討いたしてまいっておるわけでございますが、何分行政法的な解釈を離れまして、ずっと長年の間実体的にこう必ずしも明確な区別なしのままにまいっておりますので、これを一挙に整理するということはなかなか現実問題として困難だというような現状でございますが、御指摘いただきました方向で今後とも努力は続けてまいりたい、このように存じております。
  196. 受田新吉

    ○受田委員 行政行為の中で、様式行為あるいは社会的慣行、いろいろな面から非常に問題があるのは印鑑です。許可申請、認可申請というものに印鑑が押してなければ、その申請書は無効かどうかお答えいただきたいのです。
  197. 鈴木博

    ○鈴木(博)政府委員 これは行政管理庁の私どもお答えいたすに果たして適当かどうかという気はいたしますけれども、いままでの行政法的な知識を思い出してお答えするような状態でございますが、印鑑がない場合には問題だろうと存じます。
  198. 受田新吉

    ○受田委員 印鑑を押すような行為、様式行為を法律行為の中に入れておる、あるいは社会的慣行として入れておるという国はほとんど外国にはない、日本だけが持っている独特のやり方でありまして、むしろ申請書など、本人の意思で本人が書いてサインした方がこれは正確なんで、それをだれかが代筆して、それに三文判を押して出すとかというようなことでは、本人の意思に反した公文書というものができる。だから事実問題として、本人のサインでこれを認めるというようなことに、大体行政管理庁そのものが印鑑について本格的に取り組んでくる時期じゃありませんかね。印鑑盗用などというような問題よりも、サインで処理するのがこれは先進諸国家の——長官、あなたも世界各国をしばしば御旅行されて、外国で印鑑を押すようなところはありましたか。これはもう大変なことですよ、この印鑑というのは。そうして、印鑑というものが、また一方で印相というものがあって、印判によってその家が繁栄もすれば悲劇もあるというように悪用されるのです。そういうことで、もう本人の書ほど正確なものはないですよ。印鑑を改めて、今後は様式行為の中にはもう印鑑はなくてもよいんだ、それから社会的慣行としてはこれはもうやめるというように、印鑑をサインに切りかえる時期がもう私は文明国家として来ておると思うのです。ただ、勲章をもらわれるときに、天皇の玉璽、国璽を、あのでっかい金の印判を押してもらうのが御希望の方は、装飾品としてこれを押してもらうという形にして、権威ある芸術品として大日本国の印判を押すということにして、その他はもう印鑑がなくとも済むようにする。  それから、悪いことに各省の書類の持ち回り、これは行政管理庁のお仕事。書類の持ち回りに一々部長、課長局長とみんな印判を押す。赤鉛筆でサインで済むことをそれを印判を押す。その印判をみんなりっぱなものをつくる。そのために——印鑑の経費というものは自分が出すわけでしょう、公印の方は別だが、私印の分はみんな自分が出すのです。そこで何十万円とする印鑑を競うて買うという悪弊も起こってくる、経済生活にも影響を及ぼすというようなことでございますから、印鑑でなくて、官庁の書類などは課長、部長のサインでぱっぱっとやるというふうに切りかえさせる。これは行政の簡素化で一番いいのです。印判を押して朱肉が手について、後でちり紙でふかなければいかぬ、これは骨が折れるのですよ。これはサインが一番いいのです。お役所の仕事で、書類を持ち回るのに時間がかかって申請後何カ月もかかるということで、簡素化、それから合理化のために出た法律なんですから、簡素化し合理化するためにも、印鑑を押さぬでもぱっぱっと本人のサインで片づけるというふうに、行政管理庁が行政事務の簡素化にまず印鑑を廃止してサインでやると、勇気を持ってやられてはどうかと思うのです。  私は、この印鑑の質問を通告してなかったかな。——これは済みません。それじゃ、印鑑の質問は次の機会に——しかし、印鑑の質問通告がなくとも、常識では答えられると思うのだがね。ここで御研究していただきたい。どうですか。
  199. 鈴木博

    ○鈴木(博)政府委員 役所の内部におきましての決裁書類でサインを使うということは現に行われておるところでございますが、外部に対しての公文書で印鑑が省略できるかどうかというような、いわゆる印鑑の公定力と申しますか、そういうような問題は、法務省なりあるいは法制局の方に先生の御提言を御連絡しておきたいと存じます。
  200. 受田新吉

    ○受田委員 これは法務省にも——とにかく行政の簡素化に非常に役立つわけですよ。印鑑がなければいかぬというようなことは行政簡素化に迷惑です。だから、行政管理庁のお仕事の一つです。ひとつ御提案をしていただいて、受田提案なるものが実を結ぶことを念願をします。  それから、ここで用語に関することに触れたいのですが、管轄、所轄という用語の相違がどこにあるか。所轄ということになると、指揮は伴わないけれども監督は伴うかどうか。これはやはり行管のお仕事の一つでございますので、所轄の中には監督が入るかどうかということですがね。  ひとつ具体的にお尋ねをします。なるべく時間を節約する意味で、ずばり許可認可にも関係することでございまするので、学術会議の問題とあわせてお尋ねするのですが、学術会議なるものは内閣総理大臣の所轄になっておるのです。所轄ということになると、これはどういうことになるか。そして行政管理庁内閣総理大臣の所轄官庁である日本学術会議というものを監察する対象としておるのかどうかです。日本学術会議総理府機関である、この機関行管所管外ということかあるいは所管の中へ入るか、これをお答え願いたいのです。
  201. 鈴木博

    ○鈴木(博)政府委員 非常に言葉の問題で、どうも常識論でお答えいたしましても適当でないと存じますので、この問題につきましてはしばらく研究させていただきたいと存じます。
  202. 受田新吉

    ○受田委員 そうしますと、行政管理庁は日本学術会議を監察の対象とすることができるかどうかについてお答えください。
  203. 鈴木博

    ○鈴木(博)政府委員 日本学術会議を監察することは可能でございます。できます。
  204. 受田新吉

    ○受田委員 そうすると、行政管理庁は日本学術会議をいままで監察されたかどうか、それをひとつ……。
  205. 鈴木博

    ○鈴木(博)政府委員 御指摘の日本学術会議を過去において監察したことはございません。
  206. 受田新吉

    ○受田委員 日本学術会議にいろいろな予算の使い方などに問題のあることを行政管理庁は知っておられたかどうかです。
  207. 鈴木博

    ○鈴木(博)政府委員 具体的に行政運営の改善という目でこの学術会議を見ました場合に、予算の執行状態がどうなっているかというようなことにつきまして特に問題を感じたことはございません。
  208. 受田新吉

    ○受田委員 これは会計検査院の仕事にも関係してくるわけです。財政法の法律を忠実に施行しているかどうかという問題にも関係してくる。それから行政監察にも関係してくる。日本学術会議というこの総理府機関は昭和二十三年の法律で誕生をしたのでございますが、その中に大変重大な権限を持っておる。それは第二十八条に「会長は、総会の議決を経て、日本学術会議の運営に関し、必要な運営規則を定めることができる。」という権限がある。そうすると、これは行政管理庁として、日本学術会議の運営に関し必要な運営規則を定めるという権限を持つ機関というものに対して、その権限を公正な判断で見て過ちはないかということを監察する必要が当然起こってくる。  予算の使い方でこの間から私——この間、時間がなかったからちょっとだけ、四、五分で質問を終わったから、きょうはちょうど行政管理庁のお仕事に関係するのでこれを堂々とお尋ねをするわけでございますが、国際環境保全科学会議というものを提唱をしてこれに三百五十万円の閣議了解をとっていない金を使うということになった。これはこの前行管がおられなかったからほんのはしりだけしか質問しなかったのですが、念のために吉岡学術会議務局長よりちょっと答弁をしていただいて、それについて行管に判断をしていただきます。
  209. 吉岡邦夫

    ○吉岡(邦)政府委員 ただいまの御質問でございますが、ただいまも申されましたように、ことしの十一月十六日から国際環境保全科学会議を開催いたします。それにつきまして昭和五十年度予算に国費として三百五十万円計上してございます。  なお、ただいま先生が閣議了解をとらないでという御質問でございますけれども、閣議了解につきましては、国際会議というものは持ち回りで行われる場合が多うございます。日本が引き受けなければそのかわりにどこかの国が引き受けなければならないというケースが非常に多いわけでございまして、当年度の予算の措置を待っては国際的に準備が間に合わないという点がございます。そのために、予算の概算要求の前にあらかじめ期間をとりまして政府内の意見を統一するという意味で、閣議了解を得てその開催を正式に決定しているわけでございます。ただ、国際環境保全科学会議は各国の持ち回りの会議ではございませんで、日本の科学者自体の要望によってこれを国際的にやりたいということでございますので、果たしてできるかどうかの準備等をやっておりまして、五十年度の予算概算要求の段階において、これを総理府において正式に取り上げた次第でございます。したがいまして、閣議了解をとる一般の国際会議とは今回の場合は特に性格が違っておるということをお答えいたしておきます。
  210. 受田新吉

    ○受田委員 松澤先生、あなたは非常に誠実な閣僚として著名なお方でありますが、法律の基礎に基づかざる財政支出というものをいま事実やってきたわけなんです。いまの閣議了解を得ないで三百五十万の支出をやった。この学術会議法の第六条の二の二項「前項の規定により学術に関する国際団体に加入する場合において、政府があらたに義務を負担することとなるときは、あらかじめ内閣総理大臣の承認を経るものとする。」と、こうあるのです。学術会議法律そのものにそれが書いてある。それから財政法第十条には、国費分担法律主義に基づきまして「国の特定の事務のために要する費用について、国以外の者にその全部又は一部を負担させるには、法律に基かなければならない。」という規定がある。これは寄付とも関連することになる。そうすると、内閣総理大臣の承認を経ないで銭を出すというのは何を根拠にやるか。国民の出したお金を総理大臣の承認も得ないで勝手にどんどん学術会議が出しておったのじゃ、これはもう統制も何もとれたものじゃないですがね。これが今度は行管のお仕事になってくるのです。行政管理庁という、そういう仕事をする役所が総理府機関に現にあるのです。いま局長さんが御答弁になったように、閣議了解をとらぬで銭を使っておる。それから閣議というのは一週間に二回あるのです。閣議の了解をとる暇がなかったとかなんとかでなく、日本学術会議が勝手に、もう閣議の了解なしにどんどん予算を使うようなことを決めてしまう。いまの御答弁を聞いておってもちょっとおかしい。閣議の了解をとる必要のないような仕事には閣議の了解をとらぬで金を出してもいいなどというような、これは大変な大事な発言をいましておるのです。この問題をきょう私は明確にしておかないといけないと思いますので、あえてこれをお尋ねします。
  211. 吉岡邦夫

    ○吉岡(邦)政府委員 ただいまの先生の御質問でございますが、学術会議法の六条の二の二項に、国際学術団体に加盟するとき、新たに義務を負うときには内閣総理大臣の承認を得るという条文がございます。これは学術会議法の三条の二号の、いわゆる学術の研究連絡のためというのと、学術会議法の二条にあります学術会議の目的のところに、内外の学術の代表として、とこういうところから受けておる事業でございます。この六条の二の二項の条文が入りましたのは、要するに国際学術団体に新たに加盟して、そして分担金の義務を新たに負うという解釈でございますが、当然そこで分担金を払わなければならないわけでございます。これは継続的に、一回払ったら次の年は払わなくてもいいという問題ではございません。国としては一種の債務負担を負うわけでございまして、この問題についてはあらかじめ総理大臣の承認を得なくてはならないという法律でございます。  そこで問題になりますのは、じゃ分担金が高くなったらどうかという問題がございますが、これもここのところでは新たに入るだけの問題として、その後分担金が値上がりするとかなんとかという問題は、これは財政当局と相談してやるということで、閣議承認事項には入らないという解釈でございます。  なお、この問題につきましては昭和三十二年四月一日の法律第四十八号というのがございます。これは国際学会等への加入に伴う分担金の債務負担に関する法律でございますが、これが大体いまの学術会議の六条の二の二項の法律を一般化した法律でございまして、ここでもそのような解釈がとられているところでございます。  なお、国際会議を開催するについて国の経費が要る、それは六条の二の二項に関係あるかどうかという問題でございますが、国際会議の開催につきましては特に法律でうたわなくてもいいということで、この六条の二の二項を入れるときに、法制局とも協議の上この国際会議開催という面の事項が抜けておるわけで、六条の二の二項はただいまの分担金を払うという点の条文であるというふうに御理解いただきたいと思います。
  212. 受田新吉

    ○受田委員 大変な間違いを起こしているのは、吉岡局長さん、いまの六条の二の二項「政府があらたに義務を負担することとなるとき」ということで、「前項の規定により学術に関する国際団体に加入する場合において」は特にそれが必要である。いわんや、いまの国際環境保全科学者会議などということは国際的に学術団体として認められてないんですよ。その認められてないような団体のときには、いわんやより多くの閣議了解が要るという性質のものですよ。それならばこそますます閣議了解が要るので、ちゃんと認められた学術団体においてすら国の財政支出について閣議の了解を得るのに、いわんや国際的には認められておらぬような団体へ金を出すということ、そのときこそ私はますます閣議了解の必要性がより多く要るのであると思うのですよ。これは本末転倒もはなはだしいので、どうもこの議論については、いま古岡さん御自身が政府をなめておる。いいですか。     〔木野委員長代理退席、委員長着席〕 ちゃんと学術に関する国際団体に加入する、そのときは新たに義務を負担するようなときに閣議了解が要る。ところが、いまのこの国際環境保全会議なるものは認められた国際団体ではない。認められてないだけによけい「政府があらたに義務を負担することとなるとき」のこれへ入るわけです。だから、これへ入らぬからといって、国の財政支出を日本学術会議で勝手に決めてどんどん金を出して、政府の金を取り上げるようなことをやりよったら、これはもう党中党をつくり、治外法権的な日本学術会議なるものが権勢をほしいままにするようになるわけなんです。行政管理庁、いま局長さん、あなたは事務的処理で同じ総理府機関におられる指定職のりっぱな高級公務員として、いま一方の学術会議総理府の管下にある指定職、事務局長の吉岡さんが言われたことを、それはごもっともだ、閣議了解など要るものか、政府、総理大臣などというものを抜きにしてどんどん出してくれということになるのかどうか、お答えを願いたいです。
  213. 鈴木博

    ○鈴木(博)政府委員 実はこの問題につきましては、いま初めて聞く問題でもございますし、非常に法律の解釈の問題等、やはり相当に私どもといたしましても勉強してお答えいたしたいと存じますので、吉岡局長の方からよく事情を聴取いたしました後に御報告申し上げたいと思います。
  214. 受田新吉

    ○受田委員 事情を聴取して、吉岡局長を招致して事情を聞く、そうして学術会議を監察するかどうか判断する。  学術会議局長さん、あなた非常に骨の折れるお立場にあるのはよくわかるのですが、会計検査院が何か寄付行為について調査をされておるのじゃないですか。最近会計検査院が日本学術会議の寄付行為についての調査をされたかどうか、何か要請があったかどうか。
  215. 吉岡邦夫

    ○吉岡(邦)政府委員 会計検査院がこういうことをしたかどうかという点にお答えするのは適切であるかどうかわかりませんけれども、実は昨年学術会議で二十五周年の記念事業をやったわけでございますが、そのときに二十五年史の出版を国費でもって実行いたしました。このときに、学術会議の会員あるいは旧会員の中から、せっかく二十五年たった、それから学術会議ができるときに、日本全体の学術関係者あるいは国際学術団体の関係者、さらには米国の関係者等相寄り合っていい知恵を出していろいろ相談にも乗ったということで、そういう関係者もひとつ呼んでいろいろ記念事業をやろうじゃないかという相談がなされたわけでございます。しかし、これにつきましては事務局としては国費としては二十五年史の編集しかやりません、あとは学術会議としてはできませんということを申し上げました。そのときに会員並びに旧会員の方々は、じゃ自分たちがそれぞれ会費持ち寄り、あるいは関係者持ち寄って事業会をつくって、この関係者を呼んだり、あるいは記念の講演会やシンポジウムをやったりしようじゃないかというような話がまとまりまして、この事業会におきましてそういう事業をやった次第でございます。  これにつきまして会計検査院から、事業会でやったにしても、学術会議の本来の仕事の区分が明確でないように思われるという御指導をいただいておるのは事実でございます。
  216. 松澤雄藏

    松澤国務大臣 ちょうどいま総務副長官が見えておりますから、総務副長官から学術会議の趣旨の主なるところを説明を願って、御了解を得たらどうか、かように思いますが、御清聴をいただきたいと思います。
  217. 松本十郎

    ○松本(十)政府委員 受田先生のおっしゃっております学術会議法第六条の二の二項は「国際団体に加入する場合において、政府があらたに義務を負担することとなるときは、あらかじめ内閣総理大臣の承認を経るものとする。」国際団体に加入しまして、後々分担金を継続して支払う義務が生ずるという場合に、これはあらかじめ閣議了解も得、内閣総理大臣の承認も得ぬといかぬぞということでございまして、今回御指摘の国際環境保全科学会議というものは、一回限り今度日本で初めて開催する、こういうことでございまして、団体に加入するというこの六条の二の第二項には該当しない、こういうふうにわれわれは解しております。  したがいまして、それはあらかじめ総理大臣の承認を得る必要はないと考えるわけでありますし、それじゃ閣議の了解を得ぬといかぬじゃないかというお話でございますが、すでにできております国際会議がありまして、回り持ちで世界の各国を順々に回っておる場合には、今度は日本が引き受けましょう、こういうときには、閣議了解を経ておきまして、そして世界に向かって日本が今度引き受けますよという、手を挙げると申しますか、意思表示をしなければなりませんので、閣議了解を必要とするわけでございますが、今度の国際環境保全科学会議は初めてでございまして、日本がまずそこでやるということでございますので、その準備を両三年にわたって続けてきたわけでありまして、そういう準備の過程におきまして、やはり固有の経費は国が出さなければならない、そういうことで予算の決定という、閣議決定と申しましょうか、政府の意思として三百五十万円の計上ということをやったわけでありますので、そういう意味ではすでにできておる国際会議に回り持ちで日本が開催を引き受けるというものと性質を異にいたしますから、あえて事前に閣議了解を経る必要がなかった、こういうふうに理解しておるところでございます。  なお、寄付金のようなことにつきまして財政法との関係その他をおっしゃいましたが、二十五周年記念に関しまして学術会議のやりましたことにつきましては、先刻事務局長から御答弁申し上げたような次第でございます。今度の環境保全の国際科学会議につきましては、政府が基礎になります予算を三百五十万円計上しておりまして、実際の開催に必要なその他の資金というものは、日本学術振興会、これが共催団体でありますから、これが関係団体あるいは関連する学会の科学者によって組織された組織委員会の意を受けまして、指定寄付金の手続とかあるいは募金活動とかあるいは経理事務をやろうとしておるのだ、こういうふうに聞いておりまして、そういう意味では政府の行います計上した予算の執行というものと、会議を開催するに必要な寄付の募集というものとは、そこは政府の分担する部分と、それから共催団体である日本学術振興会がやっておる部分というものと截然と分かれるわけでございまして、そういう意味では財政法に抵触するものではないというふうに解しておるわけでございます。
  218. 受田新吉

    ○受田委員 不可思議な御答弁をいただいたわけですが、予算書に計上されてある予算で、閣議の承認のないものがほかにどんなものがあるわけですか。
  219. 松本十郎

    ○松本(十)政府委員 予算にはいろいろの政府の行います事業とか会議とかその他ございますが、一々の会議について、この会議は閣議了解を得ておいて、その会議費は幾らですよというふうにやっておることはほとんどないというふうにわれわれは考えておるわけでございます。
  220. 受田新吉

    ○受田委員 そこで、学術会議がこれだけの金をくれ、やりたいから三百五十万円を出してくれ、この問題は学術会議からの要請ではないですか。
  221. 吉岡邦夫

    ○吉岡(邦)政府委員 学術会議でこれを予算案を作成の段階で計上いたしまして、総理府に要請したわけでございます。
  222. 受田新吉

    ○受田委員 学術会議から要求すれば、それをうのみにするようなとぼけた政府であるかどうかです。そんなことを言えば、すぐそこで独立権限で、無条件で、閣議の問題にもしないで、非常な重大な——つまり、日本学術会議が独立の要求をした、これはどういうものかといって閣議に報告して、そしてそこで承認をとるような手続をする性質のものですよ、これは。うのみにしてとぼけるような内閣に何か欠陥があると思う。欠陥内閣ですよ。
  223. 松本十郎

    ○松本(十)政府委員 受田先生先刻御承知のように、学術会議内閣総理大臣の所轄とするというのがその法律第一条第二項にございまして、所轄の意味は何ぞやということを先ほど御質問になっておったようでございますが、われわれの解するところでは、所轄というものの具体的内容というものは、予算とか人事等について政府が真任を持ってやっているのだ、こういうふうに解しているわけでございまして、何もこの環境保全の国際会議だけではございません、いろいろな学術会議で必要に予算は、学術会議の意向をくみまして事務局が総理府の中において説明しながら、所轄という立場から総理府で予算の概算要求をいたしまして、そして大蔵省と折衝しながら最終的にこれが決まれば閣議決定という形で、政府の意思としてこの三百五十万円を国際会議会議費として出そう、こういうことでございますので、決して総理府がぼやぼやしているということではないと私は考えております。
  224. 受田新吉

    ○受田委員 もう一つ学術会議の寄付、振興団体との関係、これは政府とその後援団体が寄付を募集する行為をしてはならぬという昭和二十三年の閣議決定がありますね。それには抵触しないのだということでございましたが、そこをもうちょっと説明してください。
  225. 吉岡邦夫

    ○吉岡(邦)政府委員 国際会議というのは、学術会議主催の国際会議にいたしましても、これは学術会議関係学協会あるいはそれに参加する人、こういう人たちの共催という形をとっているわけでございます。それほど幅広い内容のものでございます。そのうちに国費として幾ら持つかという問題と、それから実際にそれに参加する人たちがそれぞれ参加費というようなものも出しているわけでございます。それから同時に、この国際会議を共催しようとする学術の関係者あるいは学術団体、そういうようなものから成りまする組織委員会というものがございまして、そこでいろいろ案を練り、そして必要な寄付については学術振興会にやっていただく、こういう形になっているわけでございます。
  226. 受田新吉

    ○受田委員 昭和二十八年に行政審議会が、政府の批判に終始し、総理府機関にあることに疑問を抱かせるようなものに対して国家が補助金を出すことを条件としての政府機関というものはおかしいという意味から、それを外すというようなことを答申した事例がありますかどうですか。
  227. 吉岡邦夫

    ○吉岡(邦)政府委員 不勉強ながら存じておりません。
  228. 受田新吉

    ○受田委員 それでは、これはひとつ調べておいてください。昭和二十八年の行政審議会の答申。  そしてもう一つ、学術会議務局長は、特定の政党と学術会議の構成員との間の懇談会というようなものを奨励されておるかどうか。
  229. 吉岡邦夫

    ○吉岡(邦)政府委員 事務局長として、学術会議の性格は要するに科学者としての科学的な立場に立った問題の審議と、それから国際会議等の参加あるいは開催等に限定すべきであって、学術会議自体が政治的な行為をする機関ではないというふうに確信しております。  ただ、学術会議の事務局を除く会議として、学術会議というものを広く国民に理解していただく方策の一環として、マスコミの各機関あるいは各学協会あるいは各政党との問で、要するに科学技術の学問的な問題についていろいろ御懇談をしたいという取り組みもしているということは事実でございます。
  230. 受田新吉

    ○受田委員 それは特定の政党——公平にすべてやっておるかどうか。公平に各党みんなやっておるのかどうか、御答弁願います。
  231. 吉岡邦夫

    ○吉岡(邦)政府委員 いままでやったケースが私の着任前のことでございますので不明確でございますけれども、いままで一回やったそうでございますが、これは各政党に全部呼びかけてやったというふうに聞いております。ただ、政党の方で御都合が悪くてできなかったというふうに聞いております。
  232. 受田新吉

    ○受田委員 それは、その後も引き続き各政党に呼びかける行為をやっておられるかどうか。
  233. 吉岡邦夫

    ○吉岡(邦)政府委員 学術会議は三年ごとに選挙がございまして、ことしの一月から第十期が発足したわけでございます。十期の会議の初頭に当たりまして、会長から、学術会議というものを広く認識していただくために各界各層の方々とまた御懇談を重ねてまいりたいという意思表示がございました。その中に、前回の例を見ますと、各政党方々とも御懇談をしたいという意思があるように聞いております。まだ全般的な呼びかけはいたしておりません。
  234. 受田新吉

    ○受田委員 学術会議が特定の政党との偏った形のものでなくして、党派を超えた政府機関としてこれが大きな在存意義を見出すように努力しなければならない。その点、特定の政党が部内を支配しようというような動きもない、非常に公平にいっておって、事務局長としてまことに満足しておるという政府機関になっておるかどうかの御答弁をいただいて、時間が来ましたので、質問を終わります。
  235. 松本十郎

    ○松本(十)政府委員 日本学術会議のあり方につきましては、先般の受田委員の御質問に対して、総務長官からも、大きな関心を持っておりまして、会長以下と互いに意見を交換しながら今後のあり方については十分慎重に対処してまいりたい、こう答弁したわけでございますが、御指摘のような点はなきにしもあらずと私自身も感じておりまして、そういう意味ではこれから深い関心を持って今後この学術会議のあり方について総理府としましても対処してまいりたい。現に学術会議の内部におきまして改革構想委員会というものをつくりまして、二年ほどの期間をとって、そのめどで、どのように学術会議のおり方を位置づけるべきか、方向を固めるべきかやっておるわけでございますし、総理府としましても、随時学術会議とは連絡、懇談を持ちながら今後の方向についていろいろと議論をしておるわけでございまして、今後そういうふうなあり方の方向について、御指摘の点も踏まえながらひとつ検討して、十分に慎重に対処していきたい、こういう考え方でございます。
  236. 受田新吉

    ○受田委員 終わります。
  237. 藤尾正行

    藤尾委員長 鬼木勝利君。
  238. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 許認可の問題は前国会で一応全会一致で通っておりますので、新たな問題を掘り起こしていろいろお聞きしたいとは思いませんが、少し念を押しておきたい点もございますので、しばらくお尋ねしたいと思います。松澤長官もお疲れのような御様子ですけれども、しばらくごしんぼうしておつき合いを願いたい。  七十五国会の当委員会で、行政管理庁は本年度の第一・四半期に実施する行政監察計画として、原子力の行政に関する特別調査について私が質問いたしましたが、最初は遅くとも七月末ごろまでには結果をまとめたいというような行管の御答弁でしたが、その後何の音さたもない。そして、許認可の法案が本日こうしてかかるんだということになったところが、二、三日前からあわてふためいて見えるようになった。その後どうなっておるのか。私はこの前特別調査の取り扱いについてもお尋ねをした。いまおられぬようだが、この前は局長は大田さんでした。役人は目まぐるしいようにかわるんだからな。長官もかわられたかもしれぬけれども長官はこの前も同じようだったかな。あなたは三木さんのお気に入りだからそうかもしれぬ。その点をひとつ局長からでもいいから御説明を願いたい。
  239. 鈴木博

    ○鈴木(博)政府委員 お答え申し上げます。  前国会におきまして前行政監察局長から原子力の特別調査につきまして早期にまとめるというお答えを申し上げましたが、今日まだ発表する段階になってきておりませんことをまずおわび申し上げます。  なぜ予定いたしました時期にできないで、今日なお検討しておるかということでございますが、これは原子力ということ自体が非常に専門的、技術的でございます上に、これを所管いたしております関係省庁も、御承知のとおり科学技術庁、通産省それから運輸省というように非常に多岐にまたがっております。したがいまして、私ども一生懸命取り組んでまいっておるのでございますが、これをこれをまとめますに際しましては、いろいろ検討をさらに進めなければならないという問題が次から次に出てまいっております。したがいまして、今日のところは補足的な調査をいたしておる次第でございますので、十二月中には一応まとめることができると存じております。
  240. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 どうも私はそういう点が行管にまた行政監察するような機関が欲しいように思うが、長官、どうですかね。これは私は文句を言うのじゃないけれども、今日原子力が——これは科学技術庁からもうあなた方の後には法案をここへかけてくれ、審議してくれと、十三日ですか、そういうことになっておる。ところが、あなた方が原子力の安全総点検をいたします。これは特別調査ということで、特別調査というのも、全機関、全機能を総動員してという、非常に鳴り物入りであなた方がここでやります。七月いっぱいぐらいには必ず結果を出します。いまになったら今度は、十二月には何とかします。今度は十二月が来たら、もうやがて国会も一応終わって、今度はまた来年は、年度末までには何とかします。そういうことを言えば、長官もお見えになっておるけれども、行政監察局の上にもう一つまた行政監察局をつくらなければならぬ。大体、原子力になぜ今日このように一般大衆が、一般国民の皆さんが不信を抱いておるかということは、原子力開発の計画に対して行政面がおくれている、つまりずれている、そこに私は不信の原因があると思うのです。そういう点を解消するのがあなた方行管の役目じゃないでしょうか。しかも、最高機関である国会において論議して、あなた方は確約したのだ。これはまた原子力の問題は。先ほど言ったように、あさってここでまたやろうと言っているのだ。まだ原子力の安全性というその前提が納得もできないで、どうして法案が審議できますか。科学技術庁の方は、あなた方がはっきりここでお約束をしておるのですから。それを、いとも簡単に、七月まではとお約束しましたけれども、今度は十二月にいたします。こんな簡単な、人をばかにするような答弁でそれが答弁になると思いますか、そんなふざけたことを言って。長官、御見解をひとつ……。
  241. 松澤雄藏

    松澤国務大臣 余り率直にお答えするようでございますが、確かにただいまの御質問は、私の記憶では五月の二十何日かになっておったように記憶します。その関係があって、その当時、お答えには反発するような気持ちになりますが、私自体の記憶に七月ということは残ってないのです。そしてまた、極力早目にといったようなことを前の大田局長が述べておったように記憶しております。それ以来、大田局長が七月過ぎたころになりましてかわりまして、現在のここにおる局長になったのであります。しかし、現在は、御承知かと思いますが、原子力問題というものは非常にあらゆる方面で諸問題を起こしております。そういうようなことから、真剣になっていまいろいろと勉強するといいますか、あらゆる点で検討を加えてやっておるというふうなことでございまして、しかもこの原子力というような問題は直ちに結果的な面として、わが国として、行政監察局でやるといたしましても、初めてやるような形になるものですから、極力まじめに真剣になっていい結果を出すようにというふうなことで、いろいろと勉強させておるというのが現実の姿でございます。そうでございますから、極力早目に答申をするというような形のものにしたい、かように考えておりますが、しかし、いまのお話のようなことにならなかったことを、まことに私自体が申しわけないと思いますけれども、いま申し上げたような事情でございますので、御了承を賜わりたい、かように思います。
  242. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 長官は記憶がないとおっしゃいますけれども、いまも局長が言われたように、七月末から八月には必ずまとめて報告します。公表は監察と同じである、公表します。こういうことを言っているのです。私が先ほど申しましたように、原子力開発の計画というものが行政面が立ちおくれしているから、ずれているから、一般国民の方も非常に不安で不信を持っていらっしゃる。何ぼ声を大にして、これは平和利用だ、安全だ、こうおっしゃっても、説得するところの根拠がない。  まあ、大臣の御答弁はそれとして、それでは、いま局長がおっしゃいましたから、この十二月までには一応の結果を出して報告するとおっしゃったことはいいですね。間違いないですね。
  243. 鈴木博

    ○鈴木(博)政府委員 十二月中を目途に極力努力をいたしたいと存じます。
  244. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 どうも諸君の言うことはあいまいだなあ。極力努力をします。なんて言うのは、そんなあいまいな、どちらにもとれるような——今度は十二月になったら、大いに努力はいたしましたけれども、遺憾ながらまだまだ結果が出ません、努力は大いにやった、それでまたあなたは避けて通るつもりですか。そんな答弁はよしてもらおう、いいかげんな……。それじゃ、ぼくが言ったように、松澤長官には気の毒だけれども、行政監察局の上にもう一つ行政監察局をつくってもらおう。
  245. 鈴木博

    ○鈴木(博)政府委員 若干釈明させていただきたいと存じますが、七月中に答えるという答弁は、私どもの引き継ぎにもございませんでしたし、いま速記録を見ておりますけれども、どうやらその時点ではお約束できなかったのじゃなかろうかと思っております。なお、十二月中に極力やれということでございますが、これはただいま作業を私自身が担当いたしておりますので、十二月中にはお約束できると存じます。十二月中には必ずまとめて御報告できるようにいたします。
  246. 藤尾正行

    藤尾委員長 監察局長に申し上げますが、国会のこの内閣委員会における答弁で、時日を明示して、それを目途に努力をするというような答弁はおやめをいただきたい。ただいまあなたは十二月にやるという答弁に直されましたから、それはそれで了承はいたしますけれども、本当に真剣に国の行政を考えられて、そうして、それをどのようにかしてよくしたい、こういう意味で、委員の各位はせっかく御勉強の上質問をしておるのですから、それはしかとお心得おきを願いたいと思います。
  247. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 ありがとうございました。第一問はその点をはっきりしていただければ結構でございますが、そのときに、これも前の大田局長ですけれども、現在は特別調査の規定をつくっていないと言われた。この前私は、特別調査というものの性質について、これは一体どういうものか、それは無論書いてあります。持ってきていますけれども、それも私は読み上げてね。ところが、どうも何のためにそういう特別調査というのをつくったのか、また特別調査というものはこういうことをやって、こういうふうな結果を出して、こうするんだというような規定は何もない。で、そのときに大田さんは、「つくるということで、その必要はあろうかと現在検討中ということでございます。」こういうことを言ったのですよ。これはまた長官は記憶がないとおっしゃるかもしれぬが、それは長官とても神じゃないから全部御記憶あるとは私は申しません。そういうことは申しません。そこでその点について、つくる必要はあろうかと現在検討中である。——もうその後相当日にちもけみしておるが、どのように検討されたか、それでどういうことに形づくられたのか。先ほど委員長から本当にありがたい御配慮をいただいたのですが、およそ答弁は、このように思っておりますとか、やりたいと思いますとか、努力しますなんというようなことじゃ、またその次はどんなのでも答弁はできるのですね。だからこれも、つくる必要はあろうかと現在検討中、こういうように言っておる。だったら、検討したけれどもつくる必要はないからつくらなかったとか、あるいはいまこういうふうに検討しておりますとか、まだ結果は出ませんとか、何らかそこにあるはずだから、その点を……。いや、それは前の大田局長だからわが輩は知らぬとあなたおっしゃるわけにはいかぬ。そうはいかぬ。それについてちょっとお尋ねします。
  248. 鈴木博

    ○鈴木(博)政府委員 お答え申し上げます。  特別調査の規定でございますが、この特別調査という概念そのものが前国会で先生御指摘になりましたように非常にむずかしい事柄を含んでおるように思いますが、その後鋭意検討を続けてまいりまして、大体概念整理がついたように思います。それで、この規定いたしましたものを、今月末に全国の局長会議を招集してございますので、その席でまた各地方局長、管区の局長等の意見も聞きまして、必要な手直しを要するものは手直しして内部で確定いたしたい、このように存じております。
  249. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 今月末に、結局今月中に局長会議にかけて、それで何らかの線を出す、こういうことですね。これは間違いないですか。これ一々あなた方の答弁には念を押していかなければ、これははなはだ困ったことですね。
  250. 松澤雄藏

    松澤国務大臣 ただいまの私の方の局長答弁に対しまして私が補足するわけですが、今月中に局長会議を開きまして、いまの問題等も含めた意味でいろんな諸問題等も話し合い、しかして最小限度十二月の半ばごろから二十日ごろまでにかけて結論を出すようにしたいという決心のもとにやっておるのでありまして、そうでございますから、先ほど十二月中にといったような言葉で申し上げておるのもそういうような意味でございまして、真剣になってやっておることは現実の問題であります。  なおまた、いまでございますから申し上げますが、行政管理庁といたしましては、本原子力の問題のみならず全体的な問題に対しまして、役所の諸君が、私自体大臣だからという意味じゃなくて、見て歩きましても真剣そのものになってお仕事をやっておることは事実の問題でございます。きょう夜ここで会議があるというふうなことになりますれば、夜の十二時から一時でも二時でも最後までがんばるというふうなことをいたしてやっておるようでございます。  そうでございますだけに、お約束申し上げたこの原子力の問題等につきましても、真剣になってやっておることだけは間違いないのでございますから、どうか御了承していただいて、鬼木先生のお言葉のようにさせていくようにしたい、かように存じますので、私からも一言だけつけ加えて御答弁だけをさせておいていただきたい、こういうような意味で申し上げたわけであります。
  251. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 そこで、私はこの前特別調査ということについて相当突っ込んでお尋ねをしたのでございますので、今回は同じことを二回繰り返すような愚はいたしませんから、どうぞいま長官のおっしゃいましたように、この特別調査の結果というものははっきりひとつ、一般の行政監察はまあ行政監察として、わざわざ特別調査という頃を設けておやりになっておるということは、これは何らかやはり特別なことがなければならぬはずなんだ、ということになりますと、私どもは一般行政監察は無論注目いたしておりますけれども、特別調査ということになれば特別にまたわれわれは注目しておりますので、その点はひとつよくお考えを願いたいと思うのです。くどいようなことを言いますけれども、わざわざ特別調査と、しかもこれは非常に行政面が空白となっているものというような、これは非常に言葉がどうかと思いますけれども、これもこの前言いましたので、もうこれはやめますが、いずれにしましても結論として、特別調査だから特別にひとつ皆さん方からこれをはっきりしたことを示していただきたい、こういうふうに私は要望いたしておきます。  次に、「行政管理庁といたしましては、行政改革の一環として従来から許可認可等整理、簡素化を推進してまいっており、特に臨時行政調査会の改革意見、行政改革計画につきまして、その実施を強力に推進してまいった次第であります。」このようにおたくの方から発表されておりますが、私は当委員会で、ことに許認可の問題について、著しく大衆が迷惑しておる、業者が迷惑しておる個人タクシーの許認可の問題ですが、この点はこれも先回徹底的にやりましたので、特にきょうは自動車局は呼んでおりません。行政管理庁の方にお尋ねをしたいのでございますが、これは六十五国会でしたか、もう亡くなられましたが、私と同郷の荒木萬壽夫先生長官の時代に「勧告をいたしまして運輸省から回答を求めます。回答を待ちまして、さらに効果的な方途があれば推進監察することもあり得ます。」そういうやり方で今後もずっと続けてまいります。こういう答弁をいたしております。これも議事録にはっきり載っております。  そこでお尋ねしたいのは、陸運行政は、むろんあなた方の方からも勧告をなさっております。ここへ資料がございます。ところが、実態はどうなっておるか。ただ勧告をして、それに対する回答が来ておる。ところが、その後の改善状況が一体どうなっているか。勧告をされる、回答が来る、その後の状況は一体どうなっておるか。しからば、今日の陸運運送行政はどのようになっているか。実態を把握していらっしゃるかどうか、その点について、勧告の出しっ放しで、そして向こうから回答が来た、これでよろしいよろしい——なぜ私はそういうことを申し上げるかといいますと、その回答というのは非常に抽象的で具体性がないんですよね。その点におきましてはあなた方の方では具体的に、こういう点はこうだ、いまこれだけ渋滞している、これを早く、速やかにやりなさい。そうすると、今度は回答は、標準処理期間の短縮を図っていくつもりでございますというような、非常に抽象的なんです。なければ、私が持ってますから見せますよ。あなた方の方から要旨が出されておる。そうすると、今度は非常に抽象的な回答が来ておる。その後改善状況はどうなっているかということはほんのわずか、ちょっと見てある。そしてその追跡調査というか、その後の改善状況というものが、われわれがいま持っておるところの実態とはこれは全然違っている。だから私が申し上げるのは、現在実態はどのようになっているか。その実態をごらんになったならば、あなた方は直ちにまた勧告されなければならぬはずなんです。その実態がどうなっているかということをお尋ねしたいと思うのです。私は、何も架空的なことを申し上げるのじゃない。今日の実態はこうなっている——全部私はここに資料を持っています。これはとてもじゃないけれども、大変な渋滞なんです。おわかりでしょうか。
  252. 鈴木博

    ○鈴木(博)政府委員 お答え申し上げます。  過去におきましてこの陸運行政の事務処理の促進等を図る監察を八回ほどやっているわけでございますが、ただいま御質問で御指摘になりました、行政管理庁として回答をどのように、確認と申しますか、フォローしているかという点に関しましてお答え申し上げたいと思います。  最近の監察に伴って勧告いたしましたものは、四十六年一月の旅客自動車運送事業に関する行政監察、それから四十七年の十一月のタクシーの運行及び自動車整備事業に関する行政監察でございますが、これに対しまして、運輸省の回答でございますが、要点だけを申し上げますと、昭和四十五年十一月二十八日に、タクシーの免許処理の迅速化につきまして自動車局長通達が発せられました。この内容は、需給調整を要する区域を除きまして、おおむね三カ月以内に処理することを目途とすることといたしておりますし、これを受けまして、各陸運局におきましては、事務手続の簡素化と滞留事案の処理等について具体的に実施に努めてまいっております。また、個人タクシー免許申請の際には車庫等を聴聞時直前までに確保すればよい旨を、これはうちの方で指摘した内容でございますが、公示等によって申請者に明らかにさせることとしております。なお、次に四十七年十一月の勧告でございますが、これにつきまして行政管理庁として指摘いたしました点は、事務処理の迅速化に努めて、一年といたしておりました標準処理期間、これをさらに短縮するようにという点と、滞留事案の処理計画を策定して処理の促進に努むべきであるということを内容として勧告いたしたわけでございます。  このそれぞれにつきまして、四十九年の一月七日に運輸省の措置状況を照会いたしまして調べたわけでございます。これは三月十三日の状態でございますが、向こうの回答によりますと、標準処理期間を短縮するために、まず事務処理の迅速化を図っており、これは例でございますが、東京陸運局で見ますと、昭和四十八年十月末には、処理所要期間は一年以内に短縮されているということ、それから滞留事案の処理のために月間の処理目標数を引き上げて、処理の迅速化に努めておるというようなことでございます。  なお、先生御案内のとおり昭和四十八年には例の石油危機ということがございまして、十一月以降四十九年の五、六月ごろまではちょっと免許のあれが滞留いたしたわけでございますが、その後も相当運輸省の方でも努力しておるようでございます。現在、免許申請から処分までの期間を調べましたところ、札幌陸運局の管内におきましては十四カ月、東京で十四カ月、大阪で十カ月、それから福岡で十四カ月、これは平均でございますが、そういうような実績になってございます。  なお、一たん勧告いたしましたものはしかるべき方法をもってこれを推進してまいるということを原則にいたしてまいりたいと存じております。
  253. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 あなた方は、その報告か何か知らぬけれども、ただ数だけをいじっていらっしゃる。実態は御存じない。それはおたくから勧告された資料はここでいただいております。そのとおりです。おっしゃったとおりですけれども、しかし実態が、これは長官もお聞き願いたいけれども、勧告をされて、ただ数の報告だけでなくして、実態がそうなっていなければ、これは私は勧告の実は上がっていないと思うのです。おたくの方から勧告されておるのは、それはいろいろある。窓口を事務的に改善しろ、あるいは各陸運局においては三カ月で処理することを目途としてきたにもかかわらず、このように標準処理期間を延期することは不適切である、だからこれを改めなさい。だけれども、これがどう改まっているかということはあなた方の方では実態を把握していらっしゃらない。それからまた、各陸運局における現在の未処理事案については、これを一掃するための特別の処理計画を策定し、短期間に処理すること、こういうことをあなた方の方では勧告していらっしゃる。しかし、特別の処理計画を策定して短期間に処理するようなことを具体的にどのようにやっておるかという実態をお調べになっておられない。把握していらっしゃらない。いまのあなたの答弁では、東京と大阪と福岡のことを言っていらっしゃる。おおむね東京をいつも言っていらっしゃるけれども、全国に陸運局が八つか九つかありますよ。それから事務所があります。計五十カ所からあるのですよ。東京だけのことを言ったってこれは話にならぬですよ。東京だけで済むなら、あとの陸運局は全部廃止してしまっていい。勧告をされていることは、われわれが望んでいることを勧告していただいておる。まことに結構だ。だけれども実態の把握ができていない。事実そうなっていないために、いまあなたがおっしゃったことでも東京は十四カ月、福岡も十四カ月、大阪で十カ月ですかになっている。いささかも改善されていない。ただ事務的にどうだこうだというふうなことばかり。これはあなた方がおっしゃらぬでもだれでも全国民が望んでおることなんですよね。私らがここで、国会でいつも言ったことなんですよ。だからこの議事録にも載っているのですよ。ずっと以前の橋本運輸大臣が私にはっきり約束した。出願から処理まで、許可するまで六カ月でやる、こう言っているのですよ。いささかもそれができていない。自動車局長は三カ月でやれといって通牒を出している。今度は次官は一年でやれといって出している。どれが本当のことやら、次官の言うことを聞いていいのやら大臣の言うことを聞いていいのやら、進退きわまるというところだ。そういうようなところを行管の方で、あなた方がすぱっとやってもらわなければならぬのだな。だから私は陸運局なんかにも言ったのですよ。君たちは大臣の言うことは聞かぬのか、あるいは行管の言うことは聞かぬのか。それは油のショックで一時差しとめた、そういうことはもう知り過ぎるほど私らは知っております。地元においてそういうことで繁雑なんだから、これは松澤長官もここにいらっしゃるが、とてもじゃないけれどももうわれわれは雑役夫のようにこんなのを頼まれてね。ところが、聴問だっていいですが、出願されて聴問まで半年も半年以上もかかって聴問している。一年ぐらいかかって聴問している。そして今度は聴問が済んだら、そこで合格か不合格かぴしゃっと決まるべきなんだ。聴問が最後なんだけれども、聴問が済んで四カ月も五カ月もかかっている。  だからそういう点において、もう少し行管ははっきりしてもらわぬと困る。あなたは現在の未処理状況がどうなっているかということはお答えないから御存じないのだろうけれども、そんなことでいじめるわけじゃない。私はちゃんとここに持っておる。八月末現在の未処理件数が書いてあるから、わかっている。こういうことを勧告したが実態はこうじゃないか、そこまで追跡調査をやっていただかなければならぬ。どうです。局長
  254. 鈴木博

    ○鈴木(博)政府委員 ただいま御指摘ございました御趣旨を体しまして、せっかく勧告したものでございますし、今後これを強力に推進していきたいという気持ちでございますので、その方向等につきまして今後しばらく検討さしていただきたいと存じます。
  255. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 今後またそういうことは一生懸命推進していきます。そういうふうに言われるなら何も言えぬけれども、何か私の言うことに対して反発をされるか、不平だ、こういうことがあれば承りますよ。資料はたくさん持っておりますからね。数的にでもどんなにでもお相手いたしますよ。先ほど長官は夜は眠りをとめて一生懸命やっていると言う。まことにありがたい。それだけの長官の意欲というか気構えを行管皆さんももう少し体していただいて十分やってもらいたいと思うのです。その場限りの答弁はよしてもらいたい。  最初お約束したように、きょうはもういろいろ掘り返して質問はいたしませんので、最後にもう一つ、これも行管にもお願いをしたいのですが、特許庁の方にひとつお尋ねをしたい。  これも許認可の問題で、陸運局のお話をいまいたしたのですが、特許庁の方もこれは大変な問題だと私は思っているのです。行管にまず最初にちょっとお尋ねしたいのだが、例年特許庁への出願件数は大変な数です。しかも未処理件数がこれまた驚くほどの件数です。そこで行管は特許庁に対して事務の迅速を図るように、これは不敏にして私が知らないのかもしれませんが、かつて勧告したことがありますか。その点、まず局長に……。
  256. 鈴木博

    ○鈴木(博)政府委員 過去二回ほどいたしております。
  257. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 どういう勧告をしましたか。
  258. 鈴木博

    ○鈴木(博)政府委員 お答え申し上げます。  二回と申しますのは、昭和三十八年に実施いたしました科学技術に関する行政監察と、四十七年に実施いたしました窓口事務の改善に関する行政監察でございますが、この中で、まず前者におきましては、事務処理の機械化の問題それから審査資料の整備等の問題を指摘いたしました。窓口事務の改善に関する監察におきましては、標準処理期間の設定等を勧告いたしました。特許庁もその趣旨に沿って改善に努めてまいっておるように存じております。
  259. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 そうしますと、窓口の事務処理の機械化ということに対してどういう回答が出て、そして実態はどうなっているか、それから処理期間の短縮ということについて結果はどのようになったか、今日どうなっているか、その点について局長にお尋ねしたい。
  260. 鈴木博

    ○鈴木(博)政府委員 まず機械化でございますが、印刷能力の増強を図るということで各種の印刷機を相当数入れておりますし、それから外注の分、たとえば公報発行の約四割を外注に移したというようなことでございます。
  261. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 それでは、あなた方がそういう勧告をされて、事実このように改善されたと認めていらっしゃる、つまり勧告前と勧告後がこうなったというその結果をひとつ。
  262. 鈴木博

    ○鈴木(博)政府委員 たとえば四十七年の要処理期間、まあ件数も申し上げればいいんでございますが、処理期間が四十七年で三年六カ月でございましたものが四十八年で三年四カ月、四十九年で二年十カ月というふうになってございます。これは特許、実用新案の部でございます。意匠につきましても、四十七年に二年十カ月でございましたが、四十八年で二年七カ月、四十九年で二年二カ月というふうになってございます。商標におきましては、四十七年が三年八カ月、四十八年が四年二カ月、これはちょっと、この年は若干処理期間が延びておりますが、四十九年が三年七カ月でございます。審判につきましては、四十七年が五年四カ月、四十八年が五年三カ月、四十九年が五年二カ月というぐあいになっております。
  263. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 じゃ余り効果が上がっていないじゃないか。これはおかしな話です。  特許庁の方に今度は聞いてみよう。片口ばかり聞いてもわからぬからな。勧告をして、受ける前はこうであったが勧告後はこのように改善した、両者を比較して発表願いたい。
  264. 齋藤英雄

    ○齋藤(英)政府委員 ただいまお話がございました第一点、機械化の問題であったかと思いますが、機械化の問題につきましては、いまの局長お答えのほかに、私ども実は出願登録あるいは商標の問題につきまして、コンピューターを導入して審査あるいは関係事務を早くするということに心がけてまいりました。ただコンピューターの導入というのは簡単にはまいりません。これはほかの国でもなかなかやっていないことでございますので、長いこと研究の期間がかかりましたが、たとえば商標の機械検索の例について申し上げますと、最近基礎設計、詳細設計が終わりまして、現在テストをいたしております。したがいまして、来年には一部ではございますけれども本格的な商標機械検索ができるようになろうかと思っております。  それから二番目に、先ほど審査期間のお話がございました。これはいま局長からお話しのとおりでございますが、特許、実用新案で未処理案件が一番多くございましたのは四十五年でございまして、その当時は八十三万二千件程度の未処理案件がございました。これを当該年の処理件数で一応割ってみます。これを平均要処理期間と通常は申しております。しかしながら、これは必ずしも実態を十分あらわしているかどうかというのはやや問題がございます。問題がございますが、一応この数字をとって考えてみますと、このときは五年三カ月でございました。現在は、四十九年度末でその数字は二年十カ月でございます。ただ世界的に見まして、特許、実用新案の要処理期間は大体二年前後でございます。したがいまして私どもの方は、この点についてはまだまだ不十分であるというふうに考えております。今後鋭意これらの短縮に努力をいたしたいと考えております。
  265. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 特許法には、公開は一年六カ月ということになっておるのですね。「特許庁長官は、特許出願の日から一年六月を経過したときは、出願公告をしたものを除き、その特許出願について出願公開をしなければならない。」で、二年くらい、三年弱で処理しているというようにいまおっしゃったのですね。ところで現在の未処理件数はどのくらいありますか。
  266. 齋藤英雄

    ○齋藤(英)政府委員 いまの御質問に対して二点だけお答え申し上げておきますが、一点は四十九年度末の未処理案件、これは特許、実用新案合計でございますが、五十三万二千七十一件というのが四十九年度末の未処理案件でございます。それから先ほど平均要処理期間が、五年三カ月が二年十カ月になったと申し上げましたが、これは先ほど申し上げましたように、年度末の未処理案件を分子にいたしまして、これをその年の処理件数で割ったものでございます。それで年数を出しております。したがいまして、これは一応の目安であるというふうにお考えをいただきたいと思います。
  267. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 そこで行政監察局長に私は申し上げたいのは、いまのお話で未処理件数が五十三万件ある。こういう事務の渋滞では、一体これはどうするかというんですよね。これは特許庁の方にいろいろお尋ねしてみるというと、人員が足らぬとか、もう少し機械化しなければいかぬとかいろいろお話もあっておるようですけれども、私は、もう少し的確な勧告をしていただいて、特許庁のあり方を、事務の簡素化を図ってもらいたいと思うのです。何も特許庁の味方をしているんじゃないけれどもね。  そうすると、いま大体五十三万件から残っておる。ところで、これは大体どの程度で——あなた、いま二年か三年弱で処理ができるとこう言っていらっしゃるが、いままで年間に平均どのぐらいずつ処理していますか。
  268. 齋藤英雄

    ○齋藤(英)政府委員 これは毎年審査官の定員を実は増加をしていただいておりますので、処理件数は年々上がっております。したがいまして、平均ということはなかなかむずかしいのでございますが、ごく最近のところを、二、三年の数字を申し上げますと大体の感じが出るかと思いますが、たとえば四十六年がおおむね十七万件でございます。四十七年が十八万件ちょっとでございます。四十八年は十七万四、五千件でございます。四十九年度が十八万五千七百ですから約十八万六千件でございます。大体そういうふうな年度間の処理件数になっております。
  269. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 そうしますと、現在五十三万の未処理件数は、年々平均十七、八万の処理ができておると、そのままずっと置いておけば三年間は優にかかる。だったら年々また出願が出てくるのはどうするんですかね。これではまたどんどんどんどんたまっていくでしょう。結局特許庁の特許事務というものは未来永劫に年々何十万ずつたまっていく、こういうことになる。どのようにお考えになっているのですか。
  270. 齋藤英雄

    ○齋藤(英)政府委員 ただいま処理件数で申し上げました十七万ないし十八万という数字でございますが、それで年度末の未処理案件が先ほど申し上げましたように四十五年から減ってはまいりましたものの、五十三万件ございますので、この五十三万を約十八万五千で割りますと約三倍弱でございます。したがいまして、二年十カ月という数字が出るわけでございます。年度間の処理と、それから特許、実用新案は出願請求の件数でございます。それとの比較でもって今後どうなるかということが決まるわけでございます。その関係を簡単に申し上げますと、四十九年度の審査請求件数は約十四万件でございます。それで処理件数が十八万五千件でございますからして、その当該年度だけで比べますと約四万五千件だけ未処理件数が減った、こういうことでございます。
  271. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 いや、待ってくださいよ。いま未処理件数が五十三万あるのでしょう。それをまず処理をしなければならぬでしょう。そして例年また毎年毎年出願が来るでしょう。五十三万の未処理を処理してしまうだけでも約三年かかる。新たに出願してくる分がまたそれにプラスされる。毎年十万以上来るというのでしょう。そうすると、一年間の処理件数は十八万程度だ、だったら三年間の未処理が済むまでは、またずっと毎年十万以上ずつたまっていく、こういうことになりますね。三年間で五十三万の処理ができたときには、もうすでにまた三十万か四十万たまる、渋滞する、こういう計算になるでしょう。そこのところをはっきり言いなさいよ、あなた。
  272. 齋藤英雄

    ○齋藤(英)政府委員 いまお話がございましたとおりでございまして、と申しますのは、五十年度のことを考えてみますと、四十九年度末の未処理案件が五十三万件ございますから、それに五十年度中の審査請求がありました——十五万ありますか十六万ありますかわかりません、それを足しまして、それから当該年度の五十年度の処理件数が仮に二十万といたしますと、その二十万を引きます。引いた残りが五十年度末の未処理案件として残ってくるわけでございます。したがいまして、この滞貨というものを——まあ滞貨という表現は悪いのですが、未処理案件の件数は一年とか二年で一遍になくなるというものではございません。なくなるものではございませんというのは表現が悪いのですが、なくなそうと思いましても非常に困難な問題でございます。したがいまして、先ほど申し上げましたように、四十五年度末八十三万二千件ありましたのを、私ども関係の皆様方、いろいろな方の御協力によりましてやっと四十九年度末で五十三万、約三十万件減った、こういうことでございます。一遍にこれを減らすということは、これは非常にむずかしいことでございますと同時に、かつ、まあこういうことを申し上げてはあれでございますけれども、いわゆるパリ条約の優先権主張の問題というのがございまして、ある程度のランニングストックがどうしても生じてくるわけでございます。したがいまして、その関係で国際的に言いましても各国とも処理期間は大体二年前後でございまして、それより短くすることは非常にむずかしい問題じゃないかというふうに考えております。
  273. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 だから、私が言っておるのは、いまあなたもそうおっしゃったように、五十三万というものを一年間なら一年間にぱっと処理するということはできない。毎年十八万件くらいずつか処理していくとおっしゃるから、その十八万という処理が仮に十八万ずつやられても、五十三万のものは三年間くらいかかるから、新たに出願した人は順序からいけば四年目から初めて審査の効力が発生する、計算上そうなるわけです。  それでは、これはちょっとどうなりますかね。私が言うのは、どうもも皆さんのお考え方が、公開ということは特許法によってはっきり一年六カ月と書いてありますけれども、それから許可までには期間が書いてないのだ、期限が。どこかにありますか。ないと私は見ているんだが、そうでしょう。期限がないということになれば、これは悪くとれば無期限だ。だから許可までには一年かかろうが二年かかろうが三年かかろうが、先ほどのお話のように五年かかるのもある、六年かかるのもある。しかし七年以内には処理しなければならぬというふうな、何かここに法的にあるようですが、しかしこれは、特許ということはだれでも考えつかないような特別なことを発明、発案するから特許とこう言う。それが三年も四年も五年もかかるんじゃ、これは言い過ぎかもしれぬけれども、一つの営業権の侵害だと思う。せっかくいいことを考え出して、これによって生産を上げよう、これによって大いにもうけようとしているのに三年も四年もとめられる、こういうことになりますと、これは私は確かに営業権の侵害になると思う。しかも、その間に類似品が出るというようなことも考えられる。類似品が出た場合には補償するというような規定もここに載っている。私も不敏だけれども、少々は勉強している。だから、それは御心配要りません、補償するようになっておりますというような顔をしていらっしゃるけれども、しかし、これは確かに私は営業権の侵害だと思う。万人が万人考え得ないことを考える。だから特許申請をする。その意思に沿うてやることができないということは、原因はどこにあるか。そこは行管の方にまた関係があると思うのですね。だからもう少し行管庁はひとつ行政監察を、もう少しきめの細かい監察をしていただきたいと思うのです。長官並びに局長の御答弁をひとつ。
  274. 松澤雄藏

    松澤国務大臣 ただいまの御指摘のような状況でございますので、率直に言って、今後一層検討して、一年でも半年でも早く監察が終わるようなことにしていきたいというふうに私自体考えております。  ただ問題は、現段階で申し上げますと特許庁の方が人的な問題等がどういうふうなぐあいになっているかということも、まだ私残念にも聞き及んでいなかったので、人的な関係だけでも聞きたいものだという気持ちでおったわけですが、仮に人的な問題がないというようなことになりましても、いずれにいたしましても、いまのお話のように、平均的に何とかできるだけというようなことでなくて、何とかして二年か三年以内で処置させるようにしたいものだ、かように考えております。  どうかそういうような意味で、皆さん方からやかましく御指摘をしていただいた方がかえって行管の方としては好都合だし、また特許庁の方といたしましても、やかましく言われることにおいて一層張り合いをつけてがんばっていくというようなことになりはしないかという気持ちがいたしますので、さように御了承していただきたいと思います。
  275. 鈴木博

    ○鈴木(博)政府委員 御指名がございましたのでお答えさしていただきますが、ただいまの長官の御答弁の趣旨に沿いまして十分研究して、二、三年のうちに監察の方向にいくようにいたしたいと思います。
  276. 鬼木勝利

    ○鬼木委員 いま長官並びに局長の御答弁がありまして、まことにごりっぱな御答弁で私も満足いたします。  特許庁長官にも要望しますが、先ほど申しましたように、これは万人がことごとくだれでもできるという問題じゃなくして、特別なそういう発明をなさるとか、どこにもここにもあるという品物でないものを特に考え出されて、大いに国家のために貢献しよう、かつまた生産を上げて経済界の繁栄も図ろう、そういう人々の意欲を一日も早く実現さしてあげるのが私は特許庁の任務だと思う。長官もその点は十分お考えになっておると思いますけれども、実態においてははなはだ遺憾である。先般、私はおたくの課長さんを呼んでいろいろ聞いてみたいところが、これは課長さんの責任でもないから、ただお話を聞いただけでしたけれども、まことに遺憾な点が多い。これでは、私が取り扱った問題もありましたが、皆非常に不満に思っておる。そういう点について一般大衆のそういう出願をなさった方々の声を真摯に聞いていただきたいと思う。そして取り組んでいただきたいと思います。お見受けするところ、長官も実にごりっぱな方のようでございまして、まことに私がどうこう言うこともないようでございますけれども、その点ひとつよくお考えをいただいて特許事務には取り組んでいただきたい、かように存じます。  お約束の時間でございますから、これで私の質問を終わります。どうもありがとうございました。
  277. 藤尾正行

    藤尾委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  278. 藤尾正行

    藤尾委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出もありませんので、直ちに採決に入ります。  許可認可等整理に関する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  279. 藤尾正行

    藤尾委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  なお、ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  280. 藤尾正行

    藤尾委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  次回は明後十三日木曜日午前十時理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時五十七分散会