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1975-10-30 第76回国会 衆議院 内閣委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年十月三十日(木曜日)     午前十時三十分開議  出席委員    委員長 藤尾 正行君    理事 越智 伊平君 理事 奥田 敬和君    理事 加藤 陽三君 理事 木野 晴夫君    理事 上原 康助君 理事 大出  俊君    理事 中路 雅弘君       有田 喜一君    大石 千八君       唐沢俊二郎君    近藤 鉄雄君       竹中 修一君    増岡 博之君       三塚  博君    綿貫 民輔君       木原  実君    八木  昇君       山本 政弘君    和田 貞夫君       渡辺 惣蔵君    木下 元二君       鈴切 康雄君    受田 新吉君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)      植木 光教君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 坂田 道太君  出席政府委員         人事院総裁   藤井 貞夫君         人事院事務総局         任用局長    小野 武朗君         人事院事務総局         給与局長    茨木  広君         人事院事務総局         職員局長    中村  博君         内閣総理大臣官         房総務審議官  佐々 成美君         総理府人事局長 秋富 公正君         日本学術会議事         務局長     吉岡 邦夫君         防衛政務次官  棚辺 四郎君         防衛庁長官官房         長       玉木 清司君         防衛庁人事教育         局長      今泉 正隆君         防衛施設庁長官 斎藤 一郎君         防衛施設庁労務         部長      松崎鎮一郎君  委員外出席者         内閣官房内閣参         事官      角田 達郎君         内閣委員会調査         室長      本田 敬信君     ————————————— 委員の異動 十月三十日  辞任         補欠選任   旗野 進一君     唐沢俊二郎君   林  大幹君     綿貫 民輔君   吉永 治市君     増岡 博之君 同日  辞任         補欠選任   唐沢俊二郎君     旗野 進一君   増岡 博之君     吉永 治市君   綿貫 民輔君     林  大幹君     ————————————— 十月二十八日  天皇陛下御在位満五十年奉祝国民大会開催に関  する請願外一件(足立篤郎紹介)(第一〇一  二号)  国立大学付属幼稚園教員義務教育等教員特別  手当支給に関する請願三原朝雄紹介)(第  一〇一三号)  国家公務員給与早期改定等に関する請願(小  川新一郎紹介)(第一〇一四号)  同(大久保直彦紹介)(第一〇一五号)  同(大野潔紹介)(第一〇一六号)  同(大橋敏雄紹介)(第一〇一七号)  同(鈴切康雄紹介)(第一〇一八号)  同(岡本富夫紹介)(第一一〇五号)  北海道滝川市等の寒冷地手当引上げ等に関する  請願島田琢郎紹介)(第一〇一九号)  同(島本虎三紹介)(第一〇二〇号)  金鵄勲章制度の復活に関する請願愛野興一郎  君紹介)(第一〇二一号)  同(有田喜一紹介)(第一〇二二号)  同外三件(稲村利幸紹介)(第一〇二三号)  同外七件(上村千一郎紹介)(第一〇二四  号)  同(植木庚子郎君紹介)(第一〇二五号)  同(小澤太郎紹介)(第一〇二六号)  同(小沢辰男君外一名紹介)(第一〇二七号)  同(越智通雄紹介)(第一〇二八号)  同外一件(大石千八紹介)(第一〇二九号)  同外一件(大久保武雄紹介)(第一〇三〇  号)  同(大竹太郎紹介)(第一〇三一号)  同(笠岡喬紹介)(第一〇三二号)  同(亀岡高夫君紹介)(第一〇三三号)  同(亀山孝一紹介)(第一〇三四号)  同(木村俊夫紹介)(第一〇三五号)  同(熊谷義雄紹介)(第一〇三六号)  同(小泉純一郎紹介)(第一〇三七号)  同(小平久雄紹介)(第一〇三八号)  同(河野洋平紹介)(第一〇三九号)  同(河本敏夫紹介)(第一〇四〇号)  同(田川誠一紹介)(第一〇四一号)  同(田中覚紹介)(第一〇四二号)  同(田中六助紹介)(第一〇四三号)  同(竹内黎一君紹介)(第一〇四四号)  同(竹中修一紹介)(第一〇四五号)  同(坪川信三紹介)(第一〇四六号)  同(渡海元三郎紹介)(第一〇四七号)  同(中尾栄一紹介)(第一〇四八号)  同外一件(中村寅太紹介)(第一〇四九号)  同(楢橋進紹介)(第一〇五〇号)  同(野田毅紹介)(第一〇五一号)  同(野呂恭一紹介)(第一〇五二号)  同(橋本龍太郎紹介)(第一〇五三号)  同(福田一紹介)(第一〇五四号)  同(福永一臣紹介)(第一〇五五号)  同(藤尾正行紹介)(第一〇五六号)  同(藤波孝生紹介)(第一〇五七号)  同外九件(船田中君紹介)(第一〇五八号)  同(保利茂紹介)(第一〇五九号)  同(三池信紹介)(第一〇六〇号)  同(三原朝雄紹介)(第一〇六一号)  同(森喜朗紹介)(第一〇六二号)  同(山崎拓紹介)(第一〇六三号)  同(山本幸雄紹介)(第一〇六四号)  同外三件(吉永治市君紹介)(第一〇六五号) 同月二十九日  国立大学付属幼稚園教員義務教育等教員特別  手当支給に関する請願多賀谷真稔紹介)(  第一一七三号)  軍人恩給等改善に関する請願増岡博之君紹  介)(第一二二一号)  長野県小海町等の寒冷地手当引上げ等に関する  請願中村茂紹介)(第一二二二号)  兵庫山崎町内山崎町等の寒冷地手当引上げ  に関する請願有田喜一紹介)(第一二二三  号)  兵庫県一宮町の寒冷地手当引上げ等に関する請  願(有田喜一紹介)(第一二二四号)  兵庫県波賀町の寒冷地手当引上げ等に関する請  願(有田喜一紹介)(第一二二五号)  兵庫県千種町の寒冷地手当引上げ等に関する請  願(有田喜一紹介)(第一二二六号)  岐阜県大和村の寒冷地手当引上げ等に関する請  願(松野幸泰紹介)(第一二二七号)  富山県大山町内旧上滝町等の寒冷地手当引上げ  等に関する請願住栄作紹介)(第一二八六  号) は本委員会に付託された。     —————————————本日の会議に付した案件  一般職職員給与に関する法律の一部を改正  する法律案内閣提出第一二号)  特別職職員給与に関する法律及び沖繩国際  海洋博覧会政府代表設置に関する臨時措置法  の一部を改正する法律案内閣提出第一三号)  防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案(内  閣提出第一四号)      ————◇—————
  2. 藤尾正行

    藤尾委員長 これより会議を開きます。  一般職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案特別職職員給与に関する法律及び沖繩国際海洋博覧会政府代表設置に関する臨時措置法の一部を改正する法律案及び防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案の各案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。上原康助君。
  3. 上原康助

    上原委員 せっかく公務員給与法案が審議されておりますので、それと直接関係ないといえるかもしれませんが、従来公務員同時同率方針で決められてきた駐留軍労務者賃金問題について、給与法案審議の過程で全く触れないわけにはまいりませんので、その問題を中心お尋ねをさせていただきたいと思います。  そこで、基地労働賃金問題を中心お尋ねするつもりですが、これまでの若干の経過もありますので、また人事院総裁の御日程もあるようですから、せんだっても本委員会で私、人事院お尋ねをしておいたのですが、沖繩地域勤務をする公務員のいわゆる特殊地域手当といいますか、あるいは酷暑手当というようなことについて、人事院としてもできるだけ調査をし、積極的に御検討をいただくということが、去る二月の本委員会で私のお尋ねに対して御答弁があったわけですが、この問題も若干触れておきたいと思うのです。  そこで、これは最近のいろんな経済情勢その他財政状況等をにらみ合わせますとなかなか困難な面があるということは理解はいたしますが、やはり一応前向きに検討する、ただその場限りの御答弁じゃなかったと思うのです。私の理解としては。そういう立場からすると、その後どういうふうに作業を進めてこられたのか、また人事院としてはこの問題についてはどのようにお考えであるのか、もう少しその後の作業進捗状況なり今後の方針等について承っておきたいと思うのです。
  4. 藤井貞夫

    藤井政府委員 沖繩勤務をいたします職員夏季酷暑等を理由といたします何らかの手当等給与措置を講じてほしいという要望につきましては、大分前から問題が提起されてきております。また、いまお話がございましたように、二月のこの場においてもその話が出ておったわけでありまして、それに対して当時の状況を踏まえて御答弁を申し上げておりますが、われわれといたしましても、無論ただ単にこれはおざなりでもって事を過ごしていくんだというような態度を持っておるわけではございませんですが、その性格上の問題あるいは気象面の問題、生計費増高の問題と、その他いろいろな角度からこれは検討を重ねる必要がございます。で、現在も引き続き検討を重ねておる段階でございます。  すなわち、沖繩について気象面から見た場合におきましては、夏の高温多湿等酷暑によって他地域とは異なる特殊性が認められるということはこれは事実でございます。これは統計的にもそういう実証ができるわけでございますが、他面これを生計費の面から見てまいりました場合に、そのような夏季気象条件というものが果たして実際に家計支出増に及ぼす影響がどれほどあるのか、その点については寒冷増高費というようなものと比較してこれを正確に把握いたしますことは、ただいまのところまだ非常に困難な問題でございまして、少なくとも現在までの資料におきましては、年間を通じて見ます限りにおきまして、他地域との比較において明確に家計支出増が認められるほどの客観的数字は把握しがたいということで、この点については現地関係官庁あるいは組合の方々ともお会いをした際にもお話を申し上げておることでございまして、こういうものが先般も申し上げておりますように、やはり新しい手当等の創設をやるという場合には、はっきりとした根拠がなければ波及するところが非常に大きいという面もございます。また、いまも上原委員が申されましたように、やはり国民一般の納得というものも十分得られるようなことに明確になってまいりませんと、なかなかそう簡単に踏み出すことができないということでございまして、現地関係からも、もっと適切な資料があれば提出をしてもらいたいということでございますし、われわれも現地の出先を持っておりますので、これを通じていろいろ積み重ねを持って、今後資料等があればこれを検討の土台として慎重に考慮をしていくという考え方を持っておる次第でございまして、いままでのところではどういうふうに具体的な検討を加えて結論を出すかということについては「そこまで立ち至っていないというのが現状でございます。
  5. 上原康助

    上原委員 おっしゃるように、なかなかむずかしい面があるということも先ほども申し上げましたように、わからぬわけじゃございませんが、ただ現地関係者が作成をしてあります資料等も参考にできると思うのですが、ある面では夏の期間における特に電熱費というものが相当のウエートを占めている。そういう面からすると、年間生計費に食い込む経済的な面というのも否定はできないというかなり有力に利用できると思われる資料も出ているわけですね。そういう面については関係者からすでに人事院なり総理府などにも提起をされておると思うのですが、いま御答弁範囲からしますと、なかなか他地域との、生計費に食い込んでいる経費というものがどのくらい差があるのか立証しがたいのだというような御答弁でしたが、その点は夏の期間が非常に長いということと、同時に、不快指数なり、あるいは職場にしましてもまた家庭環境にしても、相当冷房施設をやらなければいかない環境にあるということは、もう数字的にも実証できると思うのですね。したがって、そういう点にウエートを置こうとしておられるのか、あるいは実際の生計費、たとえば寒い地方なら冬のまたそれだけの費用がかかる、そういうものを相殺をしたならば、バランスとしては、さほど年間を通して負担はないんだというようなところで問題をとらえようとしておられるのか、そういう点についてもいま少し明らかにしていただきたいと思うのです。
  6. 茨木広

    茨木政府委員 一つは、いまお触れになられました酷暑増高費寒冷関係費目とのバランスシートがどのようであるか。結局生活費としてのプラスになる面とマイナスになる面とそれぞれをどう見るかというようなことがやはり一つ着眼点として考えなければいかぬと思っております。そういう点で、夏の院議の際にも、その当時まで集まりました資料で御報告を申し上げたのでございますが、たとえば食料費でございますとかいうことになりますと、肉類だとかコーラだとか乳酸飲料のようなものが割り高になっておる。住居費でございますと、水道とかクーラーだとか扇風機、そのようなものが割り高に出てくる可能性がある。逆にストーブのようなものは要らない。それから光熱費でも、電気代クーラーのようなものに使うという意味で高く出るんじゃなかろうか。逆に灯油は要らない。それから被服費あたりになりますと、これはむしろマイナス要素になってくる。セーターとか下着とかオーバーとか、こういうようなものは皆マイナス要素になってくる。そんなようなことで、いろいろ費目別に、四十八年の家計調査から出ました年間のものを一応全世帯のものをとってみまして、東京と鹿児島、那覇全国というような比較をしながらいろいろ検討しておりまして、その辺から見ますと、どうも寒冷関係酷暑系統のそういう意味経費では、いまのところ相打ちになってしまうというような感じもなきにしもあらずというようなことであったわけでございます。  それから消費者物価関係で見ますというと、いま一時的に高いという状況もございますとは思いますが、それでもやはり全国の順位からいきますというと、那覇はある程度のところに出てまいりますけれども民間消費者物価では、東京が一〇九のときに一〇五ぐらいのところに出てくるという結果が出ております。今度は民間給与の方の状況で見ますというと、これもやはり考えなければいかぬ問題でございますので、これはどうもやはり低い数値の方に入るということで、非支給地を一〇〇としましたもので見まして九四ぐらいの数字しか出てこないというようなことでございまして、直ちにこれがすぐ使えるというものにもならないというようなことでございます。それから民間のやはり事務系統職種別給与指数で見ましても九〇くらいの指数しか出ない、非支給地を一〇〇としましてですね。というようなことで、そういう面から見まして、民間との関係でいきまして、公務員を非常に先発させて上げていくということについて、やはり地元の官民のバランスという点からいって一つ問題点ではないか、これが第二の問題点でございます。  それから、いまもう一つの点でいろいろアプローチとして研究させておりますのは、各島嶼から成っております関係上、そういう離島性的な要素をどういうふうに考え直してみる必要があるかどうか。一応那覇本島は県庁があり大学もありということで大都会になってはおりますけれども島自体本土から見ればまた離れておるわけでございます。それから、それぞれ組合等も、おいでになられました方も、先島との関係でやはり冠婚葬祭で飛行機を使ったりいろいろ諸経費が要るんです。こういうお話も聞きましたが、そういう面で見た場合にどう考えていかなければならないか。この辺になりますと、いまほかの島々との関係もございますものですから、本土周辺離島についてももう一度よく見てみなければいかぬということで、その辺のところもいま調査にかからせておるわけでございます。それから小笠原系統の方の島との関係も見てみなければいかぬ、そんなところにも実は第三番目の問題点としては手を広げながら、何らか各方面を納得させる理由づけを見出して料理ができないものかなというようなところでいろいろ検討をしておるというところでございます。
  7. 上原康助

    上原委員 大体どういうお考えなのかはわかった気がしますが、確かに数字的にそれを立証づけるといいますか理論づけるというのは、いろいろむずかしさがあるんじゃないかという感じはします。しかし、これもせんだっての会議録を私もちょっと目を通してみたんですが、返還前はいわゆる本土から出向する公務員皆さんには手当があったわけですね。外地手当というのか、そういう形でやって、それがばっさり削られた。それにはいろいろ是非論はあるわけですが、そういう面からしましても、ただ施政権が異なって、施政権米側にあるからそういう手当を与えたというだけのことじゃないと思うのですね。やはり離島である、距離的に遠隔地であるという考えが私はあったんじゃないかと思うのです。またそういう面から、現に復帰沖繩に在籍、在住するところの公務員皆さんは、復帰前はああいう手当をつけたのに、何でいまは全然なくしたのかという不満も、表には出しませんが、かなり内心的には持っておられる。したがって、そこいらもどうするかということは一応考えてみなければいかぬという答弁はなされているわけですね。そういうことなどを総合的に判断をしますと、やはり僻地手当もあるには現在もあるわけですが、そういう面からもっと改善をするということも方法によっては可能でしょうし、何らかの形でこの関係者要望にこたえていかなければいかない問題だと思うのですね。  そこで、まだ詰めた議論はできないような状況かと思うのですが、この種の問題は、ただ検討しますということでその場はお茶を濁すというつもりはないんだという総裁の御答弁もあったわけですが、大体いつごろまでに、次の人勧あたりまでにはこの問題についてもおおよそめどをつけるのか、そこいらの点はある程度見通しというものは押さえておって、いまいろんな資料の収集なり結論を出す作業をやっていただかないと、いつまでもただずるずるべったり検討してみますということではいかないと思うのですね。おおよその結論を出すめどというのは大体ついているのか、できれば明らかにしていただきたいと思うのです。
  8. 藤井貞夫

    藤井政府委員 この問題については大変むずかしい問題でございますので、いま給与局長からも、現在検討をいたしておりまする角度というものについてかなり詳細に申し上げたのでありますが、これらについてはやはりかなりの期間が必要であろうかと思います。またそれと並行して、いま上原委員が御指摘になりましたような点等もあわせ考えるべきかどうかというような点もございます。  そこで、いまの資料の整備の状況あるいは検討段階から申しまして、遺憾ながら現在のところでいつまでに結論を出すというところにまではまだ実は煮詰まっておりません。しかし、事柄は先刻申し上げましたように、おざなりでもってずるずるべったりでこれを延引していこうという気持ちはわれわれとしては毛頭持っておらないわけでございまして、この点は真剣に取り組んでおるわけでございます。  そこで、その点についての時期的な明示は、これはもうしばらくひとつお待ちを願いたいということで、われわれといたしましても何らかの結論を出すためにはできる限りの努力をいたしたい、こういうことでひとつ御了解が賜りたいと思います。
  9. 上原康助

    上原委員 総裁のそういうお人柄から出る答弁と私は理解しますので、結論早目に出すようにひとつやっていただきたいと思います。そこで、ほかの問題に移りますので、もし総裁御日程ありましたらどうぞ中座してよろしいですが……。  次に、先ほど冒頭申し上げましたように、私は絶えず申し上げるのですが、準公務員立場に置かれている駐留軍賃金問題、御承知のように賃金改定というのが例年おくれているわけですね。昨年のごときは国家公務員皆さんも年末ぎりぎりで片がついたのですが、何と年を越して二月いっぱいかかり、三月の中旬にしか実際各労働者の手には新しい賃金が支給できなかったという状態なんですね。本来そうあっちゃいかないと思うのですね。そこで、今回もいろいろ承ってみますと、駐留軍関係についてはまだ新しい賃金改定交渉というものはほとんどなされていないやに聞いておるわけです。それでは、こういうインフレ、物価高の時期に、本土沖繩を問わず米軍基地に働いている労務者皆さんというのは、いつも年内に取るべき賃金も取らずに年を越さなければいかないという立場に追い込まれる結果になりかねない。  そういう意味で、ぜひ政府施設庁としても早目賃金改定交渉を進めてもらいたいという私の希望も含めてですが、一体駐留軍関係賃金改定についてどういうぐあいになっているのか、その交渉経過なり現段階日米双方立場というものはどうあるのか、御答弁をいただきたいと思うのです。
  10. 斎藤一郎

    斎藤(一)政府委員 ただいま駐留軍従業員給与改定についての御質問でございますが、これは例年国家公務員給与改定に準じて給与改定を行ってきておるというのが過去における実績でございます。ただ、上原委員もよく御案内のように、駐留軍従業員法律上の雇用者施設庁長官がなっておりまして、給与の決定も施設庁においてするということでございますが、実質的にその財源が終局的には米軍負担になっておりますので、この改定実施に当たってはその都度日米間で協議をして、そして実施をするという仕組みになっております。  そこで、ただいまも御指摘がございましたが、日米間の話し合いが調わないと大変実施の時期がおくれる。昨年なども、いまお話がございましたように年を越してしまったというので、私どもとしてもはなはだ遺憾だと思っておるわけでございますが、われわれの基本的な考え方としては、駐留軍従業員給与改定に関しては従前と同様、国家公務員給与改定があればこれに準じて、しかもその適用時期も国家公務員と同じように、また率も国家公務員同率で、いわゆる同時同率ということで実施したいという基本的な考え方米軍と話をしておるわけでございます。また、同じ結論が出るにしても、従業員のいろいろな生活の安定の立場考えると、努めてこれを早期にやらなければならぬということで、そういう基本的な姿勢でもって臨んでおるわけでございます。  ただ、お尋ねの最後にございましたが、昨年の給与改定実施に当たっていろいろ宿題が残っておりまして、その宿題と五十年度給与改定との関連が微妙に絡み合っておりまして、宿題の取り扱いの経緯については担当の部長からお答えさしていただきますが、本年もかなり難航が予想されますが、私どもとしては固い決意で、先ほど申し上げたような姿勢で臨んでまいりたいという考えでおります。
  11. 上原康助

    上原委員 どんな宿題があったか、ひとつ説明してください。
  12. 松崎鎮一郎

    松崎政府委員 お答えします。  一つは定年の改定の問題でございます。それからもう一つは、諸機関従業員のうちの一部の従業員、バーその他ホテルサービス、そういうものに従事している従業員給与その他を別建てにするかどうかという検討一つでございます。それからもう一つは、住居手当支給範囲をどうするかという三つでございます。
  13. 上原康助

    上原委員 いまおっしゃる点が、昨年の賃金改定に当たって、いわゆる三つの共同検討事項として残されたわけですね。その後、この定年制の問題、IHA、諸機関労務者のある職種については別途の賃金形態へ持っていくということ、それと住居手当、これの結論については非常に交渉が難航しているということは、私も関係者から聞いてはいるわけですが、どうなっているのか、宿題の項目だけじゃなくして、もう少し日米間の話し合いの中身を言っていただかないと話が進まないわけで、それが一つ。  もう一つ。ではこの三つの懸案事項が片づかない間は新しい五十年度のベアについての交渉はアメリカ側はやらぬと言っているのか。これもまたおかしな話で、どうも承るところによると、三つの共同懸案事項が片づかない間は新しい賃金交渉には入れないというかたくなな態度をとっているやに聞いておるのですが、そうしますと、今年も年内に片づくという期待は余り持てなくなるわけですね。米側はあくまで三つの懸案事項を片づけないと五十年度の賃金改定交渉には入らないということなのか、また、日本側はそれに対してはどういう姿勢で臨んでいるのか、詳細に明らかにしていただきたいと思うのです。
  14. 松崎鎮一郎

    松崎政府委員 お答えします。  まず最初に宿題検討状況でございますが、要約いたしますと、まず第一番に定年の問題の状況を申し上げますが、最初アメリカ側から、現行定年が六十二歳となっておりますのを五十八歳までに引き下げてくれという提案がございました。しかしこれは私どもの反論で撤回いたしまして、いま問題になっておりますのは六十歳に引き下げるかどうかという問題でございます。この点につきまして特別にそれぞれ専門部会を設けましてやってきておりますが、六十歳でいいかどうかという問題につきましては、私どもとしましていろいろ検討調査をいたしました結果、現在の民間の定年の状況というものが五十五歳から五十八歳あたりが中心でございまして、六十歳が目標になっているということですね。それから厚生年金等の関係一つある。それから、いまの駐留軍従業員の人員整理をする順番といいますのが先任権、逆順位と申しまして、いわば若い人の方から先に解雇していくような仕掛けになっておりますので、だんだん従業員の年齢構成が高年齢化しておりまして、いろいろ作業能率上問題があるというようなことを考えますと、五十八歳は問題になりませんが、六十歳程度まではやむを得ないかなという考えをいま持っております。ただ、その場合に、これは関係従業員にとっては非常に衝撃を与える問題でありますから、その実施の時期、順番もありますし、それから、どうやってその衝撃を緩和するかという問題をあわせて考えないと、黙って六十歳にすぐしてしまうということには問題があるというふうに考えております。それで、ただいまアメリカ側とこの数カ月やっております中心の課題は、現在のところはそういう従業員の衝撃をできるだけ少なくする措置あるいは適当な実施時期はいつかというような問題が中心でございます。  それから、二番目の諸機関従業員関係で申し上げますと、もともと諸機関と申しますのはアメリカの歳出予算でなくて歳出外資金で運営される独立採算制の機関でございますが、その中に食堂のサービスとかあるいはホテルサービスとかあるいはレクリエーションのサービスとかあるいはバーのサービスとか、そういったようなものがございます。こういったたとえばバーのバーテンダーさんというようなものは国家公務員の職種には同種のものがないわけでございまして、これが、いま先ほど長官が申し上げましたような、駐留軍従業員給与改定等を国家公務員に準じて人事院勧告の線に沿ってということで従来やってきております方針から見まして、どうも公務員にない職種まで公務員と同じようにというのはいかがかというのがアメリカ側の提案でございました。ただ、そう言いましてもすぐそれを別の扱いにするとか、どういう扱いにするとかいうことの結論は出せませんので、十分な共同検討を行った後ということで共同検討を始めたわけでございます。こういう約束。  ただ、もう一つ約束がございまして、十分な検討はするわけですが、その検討結果が出ました際には、次の年度の五十年度の給与改定にはそれを使うというようなことになっておったわけでございます。したがいまして、いま鋭意これらの職種と同じような、同種の民間における従業員がどのような雇用のされ方、どのような給与の扱いになっているかということを日米合同で調査中でございます。近く調査が終わるわけでございますが、その調査結果に基づきまして、私どもとしては、できるだけそういう公正なデータに基づきましてその扱いを決めていきたいというふうに考えております。  三番目の住居手当の話でございますが、住居手当もこれは支給対象者の範囲をいままでよりも拡大しようという施設庁側の提案に基づくものが宿題になりまして共同検討になっておりますが、これにはいつまでにと申しますか、そういう期限は付されておりません。したがいまして、アメリカ側としましては、少なくとも四十九年度の改定の際の約束が果たされていないと、次の年度の五十年度の改定交渉には入りたくないというような態度を示していたことは事実でございます。ただ、これでは先ほど上原委員がおっしゃいましたように、なかなかその共同検討自体も難問題でございます。それを待って、こう言っておりますと、また給与改定そのものが来年になってしまう。そういうことでは二万七千の従業員に非常に安心感を与えられないことになりますので、私どもの長官以下、アメリカ側に対して、少なくとも従来のこのような改定の際の基本の方針でございました公務員と同じ時期にといいますか適用時期を同じくして、この場合で言いますと四月にということになりますが、四月に一〇%何がしの人事院が勧告されました率と同じ率で改定をするという方針は、少なくともいまの段階で明示したいということでアメリカ側と折衝をしておるというのが現状でございます。
  15. 上原康助

    上原委員 そういう交渉の内容については私も全然知らぬわけではないのですが、この問題だけに限っておくわけにもまいりませんので、要するに、そうしますと、簡単に言えば、この懸案事項が片づかない限り新しい賃金交渉には入れないという約束だったわけですか、日米間の。明らかにしておいてください。
  16. 松崎鎮一郎

    松崎政府委員 約束といたしましては、先ほど詳しく申し上げましたように、その結果は五十年の改定に反映させる、そういう約束でございます。
  17. 上原康助

    上原委員 ですから、特にIHAの件がひっかかっているわけですね。一貫して、諸機関労務協約に関連する雇用員の賃金については合理化、抑えようとしてきたことは例を挙げるまでもないわけですね。そこで、それではなぜ諸機関労務者まで含めて国家公務員に準ずるという賃金体系にしたかということはやはり歴史があるわけですね。たしか昭和三十七年以降、実質的には三十八年以降、それ以前はばらばらであったものをそれではまずいということで統一をして、諸機関労務協約というものをつくって、IHAもMLCも国家公務員に準ずる賃金体系へ持っていったわけでしょう。そこで、ひとつ確認をしておきたいのは、一体諸機関労務協約の基本法といいますか母法となっているのは何ですか。
  18. 松崎鎮一郎

    松崎政府委員 法律といいますか、その諸機関協約のもとになっておりますのは地位協定かと思います。
  19. 上原康助

    上原委員 基本労務契約もそうでしょう。
  20. 松崎鎮一郎

    松崎政府委員 さようでございます。
  21. 上原康助

    上原委員 そうであるとするならば、国家公務員と言ってもいろいろあるわけですね。しかし、それぞれの法体系は異なっておっても、基本になっているのはやはり地位協定である、基地労働者の場合に。そうしますと、なぜそうせざるを得なかったかというのは、軍事基地で働いている特殊事情があるということに帰するわけでしょう。それだけに諸機関の営業、アメリカのそういったクラブとかいろいろな諸機関については減免措置がとられている、免税措置等特権が与えられているのです。地位協定において。そういう営業内容だから、そこで働いている労働者賃金についてもMLCと異にするわけにはまいらぬということで今日の状況に来ているわけだから、その基本を崩してきたのはアメリカ側なんですよ、私に言わせれば。これは皆さんそのくらいのことはお感じになるでしょう。確かに公務員にバーテンダーとかそういう職種はないかもしれない。しかし、そういう特例のものだけを出して賃金内容を改悪しようというところに今日のような行き詰まりがあるということ。したがって、この問題については、もともと応じられない相談をしかけておいて、そのものが片づかない限り、多くの雇用員の賃金改定まで話し合いが進まないというのはこれは筋の通らぬ話で、そこいらはひとつ労務部長も長官も毅然たる態度でやっていただかないと困ると思うのですが、その決意はありますか。
  22. 松崎鎮一郎

    松崎政府委員 ちょっと先の方のお答えだけ申し上げますが、地位協定に基本はございますが、給与公務員に準じて行うということは別に地位協定には何ら規定がないわけでございまして、いまおっしゃいましたように十年くらい前まではいろいろなやり方で決めてきておったわけです。たとえば一般職種別賃金というものが労働省から地域別に告示になっておりましたが、そういったものを使っていたという時代もあったのです。ただ、そう言いましても、十年くらい前から公務員に準じてということで公務員の俸給表を借用しまして、その中に当時の給与といいますか現給を保障しまして盛り込んでいった、そういうことでございまして、もとはやはり、大工さんで言いますと、たとえば横須賀なら横須賀、岩国なら岩国の大工さんの労働省が告示していました賃金が基本になっていまも続いているわけです。ただ昇給の仕方とかベースアップの仕方とかいうのが公務員に準じてきたわけです。したがいまして、私どもとしては、先ほど長官からお答えいたしましたとおり、現在行われています公務員に準じてという基本方針は変えるつもりは持っておりません。ただ余りにその格差があるのじゃないかという問題については、これは純粋に調査をしてみないとわからぬことでございまして、十分調査をいたしまして、民間等の同種の従業員の扱いがどのようになっているかということは調べた上で、しかしそれをどう扱うかということは検討の問題でございますから、そのときには公正な態度で万々考えまして検討して決めたい、そういうふうに考えております。
  23. 上原康助

    上原委員 いま諸機関の方にちょっと話をしぼりますが、考え方に非常に違いがあるような感じがするわけです。確かにアメリカの賃金の決め方というのは、これは特に沖繩だってそうでしたが、その地域のローカル・プリベーリング・ウエージ・システムというのをとるわけですね。その地域賃金状態というのを調べて、それに見合う水準を維持したいというのが一貫した政策であることは私もわかるのです。しかしそうなると調査をするのは相手側なんで、第三者機関がやるわけじゃないのですよ。使用者である米側が自分たちの使っている使用人の賃金を、どうなっているか水準を調べて結論を出すというのだから、そこに公平なあれがあるわけじゃない。もっときつい言い方をすれば、諸機関というのは、いま特に問題になっているのはサービス業関係に従事をしている雇用員の賃金を改めようということでしょう。そうすると、サービス業というのは御案内のように不景気になればそれだけ賃金は安くなる、景気がよければそれだけ賃金が高くなるとかいうことになりかねない。それでそこで働いている労働者の家族を含めての生計は立ちますか。日雇いじゃないのです。だから、そういうことじゃいかぬということで——、何も私は諸機関労務協約に賃金をどうしなさいということが書いてあると言っていないのです。その基本になっているのが地位協定であるならば、なぜ地位協定に基づいて労務協約をやらなければいかなかったか、その職場環境というものを理解することによってしか賃金なり労働条件、権利というものは話が進まないということを申し上げたいわけですよ。その基本も崩そうとしているのは一貫してアメリカ側なんです。それに皆さん一つ一つ譲りに譲っていって拡大されていくと、とんでもない結果になりかねない。もうぎりぎりのところまで追い込まれているので、これ以上譲る気になってしまうと困るということです。そうはしないという姿勢でやりますね、この問題も。
  24. 松崎鎮一郎

    松崎政府委員 私どもとしましては、いまおっしゃいますように駐留軍従業員全体の給与体系というものが現存してあるわけでございますから、そういったものを離れて物を考えるということはなかなかむずかしいわけでございますから、それを考えの一番基礎に置いた上でアメリカ側と話をしていきたい。たとえば、ことしの二月でございましたが、四十九年度の給与改定の協約をつくります際に、仮に若干のモディフィケーションが行われる場合でも、基本的に現在与えられている給与は保障するように十分考慮しようじゃないか、そういうことは話し合っておるわけでございます。そういう技術的な問題の歯どめはいたした上で、さらにいまおっしゃいますような理論的な、一番基本的な問題がいろいろございますので、これはなかなか難問題でございますが、私どもだけでもなかなか知恵が出ない面もございますので、世の中のこういう方面の学識経験者の御意見等も伺いながらやっていきたいというようにただいま考えております。
  25. 上原康助

    上原委員 現在諸機関の従業員は何名いますか。大体でいいです。
  26. 松崎鎮一郎

    松崎政府委員 ちょっといまあれでございますが、約三千五百でございます。
  27. 上原康助

    上原委員 三千三百から三千五百くらいでしょう。そうすると、そのうちの何名が賃金の見直しをやらなければいかないというふうになっているわけですか。職種はどのくらいあるのですか。
  28. 松崎鎮一郎

    松崎政府委員 職種の数で申しますと、諸機関従業員に使っております職種が約五百ございます。そのうち実際上使われておるものが二百六、七十ございます。問題になっていましていま調査検討の対象にしています職種が百五十九であったかと思いますが、その百五十九の職種に現在在職しております従業員数は約千九百人でございます。
  29. 上原康助

    上原委員 そうしますと、実際に使われている職種が二百あって、そのうちの百五十九職種が該当する、七〇%を超しますね。さらに従業員数で言うと、千九百名となりますと六〇%を超す。大多数の者が従来の賃金体系から改悪される——私の方で言えばそれは改悪なんだ、改定じゃない。改悪される賃金に移行しようとしているわけでしょう。これはやはり重大な問題なんですよ。あなたがおっしゃるように最低限度現在もらっておる賃金を維持する、たとえば十万円もらっている人は十万円の給与、これはあたりまえの話です。しかし賃金は十万円で足踏みしているわけじゃない。どんなに不況不況だと言ってみたって賃金は年々改定されていく。そこに一番ひっかかりがあるわけですね、従業員の方は。現在もらっている既得権だけを保障すれば、あとはほかの賃金体系に移されてもいいという問題じゃないのですよ。その基本を崩されては困るということですよ。その点は長官、IHAといったって、それは先ほど言いましたような基地の特殊事情という、実際問題としてある面では治外法権的になっているわけでしょう。そうだから、基地という面でそれだけの特権をアメリカ側は持っておって、そこで働いておる従業員に対しても、それに相応する給与なり身分を保障するということがあたりまえでしょう、常識的に言ったって。しかし逆に、合理化や首切りでどんどん切られていっている。そういう中で賃金まで改悪されるということは、これは忍びがたい問題だ。  まあここで議論してもあれでしょうが、労使間の話し合いもあるでしょう、アメリカ側との話し合いもあるでしょうが、諸機関の問題にしても余りにも基本を譲り過ぎる。たとえば、これも例年申し上げてきたことなんですが、本土のJRE、いわゆる諸機関にしてもそうなんですが、沖繩のOREにしましても、一体いまどのくらいの比率になっていると皆さん思いますか。もう日本人よりもアメリカ人の方が雇用員としても多いのですよ。どんどん日本人は整理をし、首を切っていきながら「退役軍人とかそういう者を雇って、全くやりたいほうだいの労務管理しかやっていない。そういう中で賃金も——何がバーテンダーですか、あなたバーデンダーというのは一体何名いるの、わずかじゃないですか。そういうティピカルなやつだけを出して賃金改定しようとするそのアメリカ側のごり押しに対して、皆さんがどういう姿勢で臨むかということが基本だと思うのですね。私は、これについての決意を長官の方からもう一度賜っておきたいと思うのです。
  30. 斎藤一郎

    斎藤(一)政府委員 ただいま御指摘がございましたように、IHAの現に問題になっておる職種の調査並びにその結論を出すということは大変むずかしいことでございますけれども、これが、現在の駐留軍従業員の全体から見ますと大変な数ではなくて、二万七千のうちの、先ほどお答えがあった二千ばかりなんで、これにひっかかって全体の従業員給与改定が、先ほど上原委員のおっしゃった御趣旨によれば、向こうに難問題を吹っかけられて、全体がうまくいかないということがあっては、まことに全二万七千人の従業員のためによくないという基本を踏まえて、私どもとしては、昨年日米政府間で話し合った事柄、これは無視するわけにはまいりません、政府間の話し合いですから。これは紳士的に守る必要があるが、そのことが同時に新しい年度の、五十年度の給与改定に妙なぐあいに影響を持たないというたてまえで、最初にお答えしたように、私どもの基本的な姿勢としては、国家公務員給与改定に準じて早期にやりたいという姿勢をとって極力交渉をしておるわけでございます。  それから、先ほど御指摘があった沖繩のOREの問題も、だんだんと米国人のパートタイムの人がふえたりしておりますが、これも基本を崩さないというたてまえで、十分に原則論は維持して、だんだん譲ってもとがなくなるということのないように、そういう考え方姿勢で臨みたいと思っております。
  31. 上原康助

    上原委員 実際はそうじゃないのですよ。具体的な数字を申し上げますと、九月現在で日本人従業員は八百三人、米人は何ともう九百五十人になっているのです。本来ならほとんど日本人で満たせるものが、こういうふうに合理化とアメリカ側の一方的なやり方によって職場を追い出されてきている。実際の労働力がないわけじゃないのだ。そういう状況になっている。  そこで、きょうはそんな深い議論はできませんが、私が非常に疑問を持つのは、たとえば地位協定の十二条の二項ではこういうふうな規定もうたってあるわけですよ。「現地で供給される合衆国軍隊の維持のため必要な資材、需品、備品及び役務でその調達が日本国の経済に不利な影響を及ぼすおそれがあるものは、日本国の権限のある当局との調整の下に、また、望ましいときは日本国の権限のある当局を通じて又はその援助を得て、調達しなければならない。」いわゆる日本国の経済に重大な影響を与えるものは、日本国の当局を通して調達しなければならないということは地位協定でも明確にうたってある、役務についても。どうでしょう、いま本当にまともにこの条文などを解釈すると。これだけ失業問題が出て、経済的にもいろいろな困難を起こさせながらも、重大な影響を与えっ放しにしておいて、基地内においてはどんどん日本人は首を切って、外人をパートで雇い、あるいは恒常的に雇っていっているわけでしょう。私たちがかねがね指摘をしたいのは、この問題だけじゃなくて、基地問題にしても、まともにこういうものを適用して迫っていけば、理屈からいっても論理からいっても、もう少しアメリカのこういったやり方に対して歯どめをかける行政なり政策というものが、政府そのものから出てこなければいかぬということなんですね。いずれこの問題も議論をしますが、何も根拠がなくて私たちは問題指摘をしているわけじゃないのですよ。沖繩の失業率は一体あなた幾らになっている、軍雇用員の問題にしても。経済的な困難を与えておいても、米側は何らそれには構ったことじゃないという立場でやっているでしょう。このことを指摘しておきたいのです。  それと、ちょっと人事院に聞きます。公務員住居手当の問題ですが、いま公営、公団に入っているのも支給されていますね。それと持ち家についても支給されているのじゃないですか。その点、ちょっとだけ明らかにしておいていただきたいと思うのです。
  32. 茨木広

    茨木政府委員 いわゆる公務員宿舎に入っておる方は支給されていませんが、それとの関連で、今度の案では五千円ばかり足切りすることにいたしております。自家の場合には千円、これは据え置きのままになっております。そのままにしてあります。それから公社公団等の住宅の場合は、足切りをしました額よりも上回る部分について従来のとおりの方針でやはり支給をいたすということにいたしております。過去若干基準は変えておりますけれども
  33. 上原康助

    上原委員 ですから、そういうふうに改定されたものについてはアメリカはまた渋っているのでしょう。一方においては公務員にないものは削るという、公務員が今度いいところになるとこれはまかりならぬと言う。全くこれは言語道断ですよ。ですから、そういう問題と、原則は崩してないと長官おっしゃるのだが、先ほど私が言った地位協定にも明らかにそういう規定がうたってある。現に八百三人と九百五十人、これは恐らくどんどんふえるでしょう。これについての見解と、今度どういうふうにこれを改善していかれようと思うのか。三つの懸案事項の住居手当にしても、公務員に準じなさいというものを、よくなる方は抑える、ないものは削れ、これは理屈に合わないのじゃないか。お答えいただきたい。
  34. 斎藤一郎

    斎藤(一)政府委員 先ほど申し上げたように、私どもとしては、米軍との交渉に当たっては原則を踏まえて、そして米軍に対して原則を維持しながら折衝するわけでございますが、米軍側はいろいろな諸条件、ことに昨今の米側における予算の問題などを踏まえて、極力彼らの言う合理化をしようとするわけでございますけれども、この交渉に当たっては、先ほど来御指摘があったように、われわれとしては駐留軍従業員の労務上の制度、基本というものをあくまで維持しながら話し合っていく。最初に申し上げたように、米軍の了解なしに実施することができない仕組みになっておりますから、極力交渉の過程において、いわゆるネゴシエートして、そして利のあるところに結論を持っていく、その際に、だんだんと足元が崩れて原則がなくなるということが絶対にないように努力したいと思っております。
  35. 上原康助

    上原委員 そこで、全体の賃金改定の件についてもう少しお尋ねしておきたいのです。  同時同率という原則は崩したくないという姿勢のようですが、昨年もいろいろ数字的なこともお尋ねしましたが、時間がないようですのでその点は省きますが、今回一〇・八五%のベアと見込んで、新たに必要とする原資は一体幾らくらいになるのかという点はぜひ明らかにしておいていただきたいと思うのです。
  36. 松崎鎮一郎

    松崎政府委員 そのパーセントでございますと、今年度給与改定をしたために余分にかかるといいますか、要するに従来よりもふえる経費は約九十五億円でございます。
  37. 上原康助

    上原委員 いまの九十五億円というのは給与に連動して、諸手当を含む全部の額ですか。
  38. 松崎鎮一郎

    松崎政府委員 さようでございます。  その内訳を申しますと、約七十五億円が俸給その他諸手当、それからボーナス。それから、ことしの退職見込みの人たちの退職手当にまたこれははね返りますので、退職手当が二十億円ぐらいふえる、昨年退職した場合よりもふえる。そういうふうに考えております。
  39. 上原康助

    上原委員 それは当然IHA、MLC、MCも含みますね。
  40. 松崎鎮一郎

    松崎政府委員 さようでございます。
  41. 上原康助

    上原委員 昨年からすると、もちろん七千名か八千名程度の人員整理があると思うので、減るのはあたりまえ——あたりまえと言ったらあれですが、減るのは予測できるわけですが、昨年の賃金改定のときに必要であった原資からすると、非常に少なくなっているわけですね。これはベアの内容そのものが低く抑えられたということも原因でしょうが、それだけ人員整理等、基地労働の数が減ってきているということが何より実証していると思うのです。大体百億足らずの金なんですね。これまでみみっちくこんなに値切ろうとしている。アメリカの何か代理でも引っ張ってきて、本当にここで議論したいくらいの歯がゆさを感ずるのです。こういう面から考えても、幾らベトナムやどこかで負けたからといって、アメリカ、そこまで遠慮する必要はないということを言ってくださいよ。冗談じゃないと言いたい。  そこで、昨年の賃金改定のときもいろいろ約八項目、実質的には十項目ぐらいの米側の提案があったわけですね。これもずいぶん議論しましたが、特にその中で問題になったのは、先ほどのIHAの件もございますが、退職手当の改悪問題と賃金遡及の件、四月一日にさかのぼって支給するという原則を崩そうとすること。もう一つは、解雇者に対しては遡及はしない、賃金改定時に現存する、在籍をする雇用員に新しい賃金は支給したいのだということ。これは何も昨年のことじゃなくして、もうこの数年間米側が言い続けてきたことなんですが、よもやこういう提案は今度はまだなされていないわけでしょうね。
  42. 松崎鎮一郎

    松崎政府委員 ちょっと補足いたしますが、先ほどの所要経費の九十五億円のほかに、退職手当の積み立て分というものを仮に勘定に入れますと、このほかに約百三十億ぐらい所要になります。  それからいまの御質問でございますが、いま現在のところは、アメリカからそういう昨年問題になりました提案はございませんけれども、これから後もずっとないという保証はないと思います。
  43. 上原康助

    上原委員 ないという保証はないということは、あるということでしょう。どうなんですか。あるかもしらぬという……
  44. 松崎鎮一郎

    松崎政府委員 ただ、昨年この内閣委員会の場でお答えいたしましたわけですが、こういうふうに人員整理が相当行われている状況の中で、退職手当を悪くする、仮に公務員よりもいい率であるとしましても、それを悪くするというようなこととか、あるいは四月にさかのぼりはしないとか、そういうようなことは私どもはとうてい合意できないわけであります。そのために昨年の改定も年を越しておくれてしまったのですが、これは今回も仮に出ましても、そういうものは断るつもりでございます。
  45. 上原康助

    上原委員 仮に出ても断るということですから、また、断らないと、あなたのお仕事も施設庁長官のお仕事も務まらないわけですよ。それくらいの腹づもりでやってくださいよ。  そこで整理したいわけですが、先ほど基本的なことについては長官から冒頭お答えがあったので、いわゆる同時同率ということになりますと、四月一日にさかのぼって人事院が勧告をした内容で賃金改定をする、この基本線は崩したくないということでしょう。そうしますと、四月一日にさかのぼるということは当然四月一日に在籍をしておった人々を含むというふうに理解していいですね。
  46. 斎藤一郎

    斎藤(一)政府委員 そのように理解していただいて結構です。
  47. 上原康助

    上原委員 それは当然諸機関もMLCもMCも含めてということだと思うのですが、そのように理解していいですね。
  48. 松崎鎮一郎

    松崎政府委員 そのとおりでございます。若干補足いたしますと、四月一日在籍者で、これから今度の契約を改定いたします日までに自分の都合でおやめになる方は対象になりかねると思います。昨年まで対象になっております遡及対象者は遡及をするような方向でやりたいということを考えております。
  49. 上原康助

    上原委員 それと、もう一つ大事なことは退職手当改定問題ですが、昨年あれだけ議論をしてたな上げになったようですから、今回は提案はなされてこないとは思うのですが、現在の退職手当規程の内容について米側から改定をしたいという提案があってもそれには応じない、そういうことも確認できますね、この賃金改定交渉に当たって。
  50. 斎藤一郎

    斎藤(一)政府委員 その点はこれからどういう出方を相手がするかわかりませんが、私ども昨年拒否したことでございますし、今後もその点を踏まえてまいりたいと思います。
  51. 上原康助

    上原委員 そうしますと、後はそういう姿勢で交渉をこれから進めていかなければいけないわけですが、最初にお尋ねしましたいわゆる三つの検討事項については、いま話を進めている、並行して当然全体の賃金改定についても交渉を進めねばいけないと思うのですね。それはいつごろからおやりになるのか。また私が申し上げましたように、遅くとも十二月の中旬ごろまでには、二十日以内には片づけなければいかぬと思うのですよ。もらうべき賃金ももらわぬで、こんな世知辛い世の中で年を越すなんというのは、これはもってのほかですよ。また皆さんだって、今年でやり遂げておかなければいけない職務を、年を越して、いやな気持ちをしながらお正月を迎えるよりは、けんかもうんとやって結論も出して、さばさばした気持で新しい年を迎えた方が仕事にも張りがあると思うのですが、その決意はありますか。
  52. 斎藤一郎

    斎藤(一)政府委員 お話のとおり、私どもも早く解決をして早くさばさばとしたいということは私どもの本心でございまして、気持ちの底からそう思っております。そこで、相手を早くしかるべきところに引きずり出して、そしてネゴシエートを早くして、早く解決したいという基本ははっきり私ども考えであるということを申し上げます。
  53. 上原康助

    上原委員 約束の時間が少し過ぎましたから、また後の都合もあるようですから結論を出しますが、要するに、公務員関係給与法案については、まあ明日にも衆議院段階は可決される運びになろうかと思うのです。一応予測ですが。そうしますと、参議院においてもそう遠からない時点で処理されるのは、これは予測できるわけですから、そういう点からしましても、やはり米側も従来国会で法案が通らぬからとか、あるいはまだ審議にも入っていないのでなかなか賃金交渉に入れないというような話もあったわけですが、大体いつごろまでに公務員関係皆さん賃金は処理されるということは予測ができたわけですよ。十分そのめどが立っているわけですから、そういう実情を踏まえて、早急に米側との全体的な賃金交渉に入って、この問題についても——本来ならば、大体人勧が幾らの勧告をする、その時点で入って、公務員給与関係法案が国会で処理されると同時に結論を遅かれ早かれ出すべきなんですね。政府もそういう面でもっとテンポを早めなければいかぬのだが、むしろ最近の傾向としてはおくれる結果になっているわけですから、どうかそこいらの実情も、まあ米側も知らぬわけではないでしょうから十分説得の材料になると思いますので、先ほど申し上げましたように、どんなに遅くても十二月の二十日以内には今回は結論を出す。結論を出すというのも、ただぽんぽん変な結論じゃなくして、関係者の意向が十分入れられた形で、私が指摘した問題等も取り入れた形でやっていただくということを、改めて長官の方から決意を述べていただいて、そのほかに横須賀のメスホールの請負制移行の問題とか沖繩の海軍の警備員の号俸問題などもありますが、そこはもう公式な場じゃなくて非公式の場でも話し合いできる問題でもあると思いますので、近いうちお訪ねしますが、時間ですから、いま私が申し上げた全体的な賃金改定ということを早急に結論を出す、その結論を出す目途は十二月の二十日、遅くてもそこまでには出す、これができない場合は重大な決意を新たにやらなければいけないということまで含めて御答弁をいただきたいと思うのです。
  54. 斎藤一郎

    斎藤(一)政府委員 昨年の給与改定が二月の末まで持ち越されたという大変苦い経験がございますので、私はいまの仕事を仰せつかってから、この労務の——われわれの称する労務でございますが、従業員給与改定については、ことしはぜひ手際よく取り運んで御期待にこたえたいという強い決意でこの仕事に臨んでおります。去年おくれたからことしもおくれてもいいというような考えはございませんので、九月十六日にまずこの給与改定の話を持ち込んで、公務員給与改定の進展と見合って極力早く取り運びたいという考えでやっておりますが、従前のいろんないきさつを無視して一挙にいけないという、先ほど来るる申し述べたような過去のいきさつがございますので、そういうものについて足を引っ張られがちですが、基本的には、いま申し上げたように非常にかたい決意で臨んでおります。
  55. 上原康助

    上原委員 これで終えますが、ここで議論したことは、また御答弁いただいたことは、その場限りにしてはいけないと思うのですね。また次の法案の審議の場合に、皆さんが本当に御熱心にやったかどうか、私も十分見守りたいと思います。  以上で私の質問を終わります。
  56. 藤尾正行

    藤尾委員長 午後零時三十分より委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午前十一時四十六分休憩      ————◇—————     午後零時三十九分開議
  57. 藤尾正行

    藤尾委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  一般職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案特別職職員給与に関する法律及び沖繩国際海洋博覧会政府代表設置に関する臨時措置法の一部を改正する法律案及び防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案の各案を議題とし、質疑を続行いたします。鈴切康雄君。
  58. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 給与改定については人事院勧告を尊重されて作成されたということについては、その御努力は認めたいと思います。しかし、給与改定の内容については、人事院勧告の中にすべてが網羅されておるわけではございませんので、そういう意味において、法律の中から何点か指摘し、また御質問を申し上げたい、こういうふうに思うわけでありますけれども、それではひとつ中に入らしていただきます。  実は給与改定の内容についての問題でございますけれども、このたび「一部俸給表について号俸を増設した。」、こういうふうにありますけれども、この点について、どういうふうにおやりになられたか、具体的にちょっと御説明願いたいと思います。
  59. 茨木広

    茨木政府委員 号俸の延長は毎年というわけでもございませんが、その年々の俸給表の改定と相まって、等級別人員分布を参考にしながら、著しくここに停滞するような部分がありました年に号俸延長をやっているわけであります。そういうことで、今年度二十八等級について三十号俸の号俸延長を各俸給表にまたがってやっております。
  60. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 二十八等級三十号俸について、言うならば枠外者を救済をした、こういう御答弁だと私は思うのですが、そこでちょっと具体的になるわけですけれども、行(一)のたしか三等級、四等級、五等級、これは確かに一号俸増設をされた。これの努力はわかるわけなんですが、しかし非常に人数の多い六等級ですか、六等級が実は全く号俸がふえていないというのはどういう理由なんでしょうか。
  61. 茨木広

    茨木政府委員 いま御指摘の六等級の問題についても検討をいたしたわけでございますが、当時の考え方といたしましては、御指摘ございました三等級、四等級一五等級、ここは一号俸ずつ延長いたしましたが、ここの枠外の人員が、昨年とことしとを比較してみますと二倍以上に人数がふえてくるというような傾向が見られました。具体的に申し上げますと、三等級で三百七十八人、四等級で千七百二十五人、五等級で三千三百八人。そこで、ここのところは一号俸ずつ延長をするということをいたしたわけでございます。六等級は一・五倍程度の増ということで二千人程度の人員になるわけでございますが、そんなことで三、四、五に比しまして六等級の方はややたまりぐあいが少なかったために今回は見送ったということが一つの理由でございます。  もう一つの理由は、ここの点は御案内のように、もう一つ主任問題も抱えております。主任になりました者の中から逐次五等級に上げていっております。その辺の問題もかみ合わせて考えてみなければいかぬ、こういう問題もございまして、両者あわせ考えまして、ことしは現状のままでいくことを妥当というふうに考えたわけでございます。
  62. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 これはちょっとおかしいじゃないですか。行(一)の三等級、四等級、五等級、これは一号俸ふやしたけれども六等級は一号ふやさないというわけですけれども、六等級の一号ふやすことによって何名の方が——いわゆる枠外者から救われるということなんですが、その点は何名なんですか。  結局三、四、五等級、これは御存じのとおり対象人数が非常に少ないわけですね。ところが、六等級になりますとかなりの人数になってくるわけですから、そういう意味において倍率だけでそれを処理をするということは、言うならば公平の原則にもとるのじゃないかと私は思うのですが、その点、総務長官どうなんですか。
  63. 秋富公正

    秋富政府委員 ただいま人事院の方からお答えいたしましたように、私ども総理府といたしましても、いわゆる頭打ちの問題あるいはそこのいわゆる中ぶくれの問題、こういったことにつきましては絶えず配慮いたしておるわけでございますが、一番問題でございますのは、やはり四等級、五等級というところに一番そういう問題が出てきまして、一方六等級の問題につきましては、新しく主任制度と、こういった問題で五等級へ抜けていく道も講ぜられておるわけでございますので、今回、総理府といたしましては、人事院の勧告どおりこれを完全実施するということで法案を提出させていただいたわけでございます。
  64. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 いずれにしても、非常にいま上薄下厚というふうに、世論はこれからはそういうふうな形になってきているわけですからね。そういう意味において、非常に給与の低い、言うならば六等級、これを見送ってしまったということでは、やはり私は問題があろうかと思うのですね。  いま何かずいぶん歯切れの悪い御答弁がちょっとあったのですが、いろいろの問題があってなんというような内容のことをおっしゃったのですけれども、いろいろの問題というのは何ですか。
  65. 茨木広

    茨木政府委員 いろいろの問題というのは、先ほど主任の問題等を申し上げたわけでございますが、この六等級のところは、六、七、八の各等級別総体の人数としては減の方になっております。三、四、五はだんだん人員が、それぞれ四が三に上がり、五が四に上がり、六から五に上がってくるということで増になっておりますけれども、六等級以下は減になります。四十九年から五十年にかけましても、五等級のところは二千七百三十一人の増でございますが、六等級は千四百七十七名の減ということで、六等級のところはだんだん減になるという傾向にもなってきております。そういう点も一つございます。  それから、六等級の枠外の方々の平均年齢がもうすでに五十九歳に達しておるというような点もございますし、いろいろそういうような点も考え合わせまして、去年もそうでございますが、ことしも六等級のところは総体的にだんだん人員が減になりつつあるというようなこともあわせ考えて見送らせていただいたわけでございます。
  66. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 いまおっしゃった三等級、四等級、五等級、これは絶対数がかなり少ないわけですよね。ですから、それに対してふえていったと言ったって大したことはないわけであって、結局六等級は非常に多くの人数を抱えているわけですから、そういうところに対してやはり手厚い配慮がなされなければならないわけですけれども、そういう意味において一号俸枠外の人を救ってあげられないというような、こういう弱者救済もできないようなことでは、本当に給与体系と言っても、ただ予算がかからないから三、四、五等級だけを救ったとしか思えないのであって、その点大変に問題を残したところじゃないかと、私はそのように思います。しかし、その問題はそれ以上に触れないで、次に移りたいと思います。  次は「本省課長等に支給する俸給の特別調整額(いわゆる管理職手当)の額を一〇%削減することとするとともに、」ということですね。ことしの勧告の問題点は、いわゆる管理職手当のカットであると言われておるわけですけれども、それについて実態はどんな状態でしょうか。
  67. 茨木広

    茨木政府委員 実態と言われますとあれですが、ことしのカットします対象が、一種の方及び二種の方、人員にいたしまして約六千八百名が対象になります。調整額がついております方全体に対しまして一六%ぐらいの人数に該当するわけでございます。この方に対して本年の四月から明年の三月までの間に一〇%を減額する、こういう内容になるわけでございます。
  68. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 初め、私これ読んでおりまして、二五%の管理職手当を一〇%削減するというふうに読んじゃったんですよ。ところがそうじゃないんですね、これ。要するに二五%のその一〇%というのですから結局二二・五%、こういうふうな数字になるということがわかったんですけれども、いずれにしても、管理職手当のカットということについては、民間との較差によって勧告が出されているので、そういうことについての対応ができたと思うのですけれども公務員の場合、四月にさかのぼってそうなると、減額されるという問題が往々にして論議されてきたわけでありますけれども、総務長官は今度の法案を出すまでに考慮されるということを言っておられたわけでありますけれども人事院規則においてどのように処置をされましたか。
  69. 藤井貞夫

    藤井政府委員 いまのお話は人事局にも関係ございますけれども、事柄が直接には私の方の人事院規則で措置をいたすことに相なっておりますので、私からお答えをさせていただきたいと思います。  お話しのように、四月にさかのぼってカットを行うことと相なります結果、基礎になります俸給表が今度のベースアップで上がりますので、したがいまして、二二・五%で、二五%の二・五%を引きましてもほとんどは影響はございません。ただ、全く影響がないかといいますと、いろいろ当たってみました結果、若干の影響が出る者が出てまいります。しかし、これにつきましては、現実にすでに手に入っているものを吐き出させるといいますか、そういう結果になりますことは、これはやはりいろいろ問題がございますので、そういう数の少ない方ではございますけれども、それに該当する者については、これは戻入の措置は講じさせない、そのままでいく、保障するという措置を講じたいと思っております。
  70. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 結局四月にさかのぼって減額をしないということなんですけれども、その御答弁だと私は思うのですけれども、それは結構な話だと思います。ただ、どうして人事院規則のその部分を一緒にお出しにならないのですか。
  71. 茨木広

    茨木政府委員 これは法律が通りましてから、法律の施行日と合わせまして規則を出すことになりますものですから、そこでその規則案を出していないわけでございます。内容はただそういう意味の、この前御質疑がございましてその際の答弁でちょっと触れたわけでございますが、経過措置は講じますということを申し上げたわけでございますが、そういうことで、いま総裁から答弁がありましたように、今度のベースアップで俸給表が改定になり、そのはね返りとして特別調整額がふえてまいりますから、そのふえる金額の範囲内で遡及分については減額をしていく、こういうことで、従来の俸給表の額に特別調整額の率が掛かって手元に渡っております部分は食い込まないようにする、こういうことにいたすつもりであります。
  72. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 ただ、やはり人事院規則を出していただかないと、こういう問題についてさかのぼって減額されるのかどうかということに対しては大変公務員の方々、それでなくても一〇%のカットになっているわけですから、もう生活をしてしまったやつをさらにそれを取られるというようなかっこうになっては、これはまあちょっと問題があろうかと思います。今後高度経済成長はまさしくもうできない、安定成長下になってまいりますと——公務員法二十八条で五%以上あるいは五%以下ということによっては勧告を出すということになっていますね、そうなった場合に、やはり前に支給したものが余分に支給し過ぎたという場合が出てくると思うのですよ。そういう場合に、さかのぼって徴収をするというような考え方はないと思うのですけれども、その点についてはどうでしょうか、総務長官。
  73. 植木光教

    植木国務大臣 ただいまのような事態が起こることは将来考えられると存じます。すなわち人事院勧告は、俸給につきましては四月時点の支給月額、また期末勤勉手当につきましては、前年度分の支給額を基礎といたして官民比較を行うものでありますから、給与額の支給をさかのぼって削減する事態の発生は考えられるのでございます。しかし、政府といたしましては、すでに支給されました給与を返納させますことは、俸給の場合につきましても個々の手当の場合につきましても、職員の既得権との関係もございますから、これは避けるべきものであると考えます。
  74. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 考え方ははっきりわかりましたので、それは結構だと思います。  そこで、週休二日制のことについてちょっと聞きたいと思うのですが、人事院勧告ではすでに今回を入れて三回、週休二日制についてのあれが述べられているわけでありますけれども、今回の勧告では、五十一年初期から一定条件のもとにこれをやる、試行計画を具体化するというように言っておりますけれども、いつからどのような試行案で実施するおつもりなんでしょうか。
  75. 藤井貞夫

    藤井政府委員 これは先般の勧告の中でも触れておりますように、来年の当初から具体化をいたしたいという方針を固めておるわけでございます。そういう点で、報告でも触れておるのでございますが、これを具体的にどのようにするかという試行基準の策定を目下鋭意精力的にやっておる段階でございます。これはとりもなおさず試行、テストということでございますので、現行の予算なりあるいは定員の範囲内で、しかも公務に支障を来さないという配慮をしながらやってまいらなければなりませんので、各省庁とも大変真剣な検討、取り組み方をいたしております。また職員団体の方からもいろいろ意見が出ておりまして、その間の調整を図りながらこれを円滑に実施するというところに持ってまいりたいということで現在苦慮をいたしておりますが、しかし来年当初からという一つの時限がございますので、それに間に合いますようにできるだけ速やかに試行計画案、基準を作成をいたしたいという考え方でございます。
  76. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 いわゆる週休二日制についても隔週とかあるいは月一回とかあるいは毎週にするとかいうふうな問題があるわけですよ。それについて各省庁の方からもすでにこれに対してこうしたいというふうな考え方が出ておるのじゃないかと思いますけれども、それに対して人事院の方では、いろいろ試行計画を具体化して、もう来年一月からやろうというのですからかなり問題が煮詰まってきていると思うのですけれども、どういうふうなお考えでしょう。もう少し具体的にお聞きしないとね。
  77. 藤井貞夫

    藤井政府委員 いま申し上げましたように、完全に各省庁の了解を受けた上でこれを実施に移していくということが必要でございますので、それなりの努力をいま鋭意講じておる次第でございますが、したがってまだ確定的に基準案というものは決まる段階ではございません。  ただ、一応アウトラインとしてお示しをいたしておるところを申し上げますと、これは月に二回ということで、具体的にはわれわれはいまのところ第一週と第三週というふうに考えております。それから、その範囲をどうするかということは、これは一番めどでございますが、この点は確定をいたしておりませんが、決まりました上は、現在までそれの休む形態をどうするかということで、この委員会の席上でも、方法は二つある、特別休暇にするか職務の専念義務を免除するか、どちらにするかということは検討したいと言っておりましたが、いまの段階で各省に大体腹案としてお示しをいたしておりますのは、特別休暇ということではなくて、職務専念義務の免除という方法でやっていったらどうかということでございます。それからもう一つの点は、テストでございますので、テストをやりつつ、その結果等を十分勘案をしていかなければならぬ。問題がどういうところにあるかということを具体的に勘案をしながら考えてまいらなければならぬということがございます。したがって、いまのいろいろな情勢から見まして、一応の試案としては、テストはさしあたり一年間行うというような構想のもとに、各省といまいろいろの話し合いをしておるという段階でございます。
  78. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 試行計画のテストは一年間めどにしてやりたいということですけれども、それを終わると、本格的におやりになるつもりなんですか。
  79. 藤井貞夫

    藤井政府委員 これはテストをやってみた結果でないとわかりませんので、その点、現段階で、一年間終わればすぐに本格実施に移るとかいうことは言明の限りでございません。テストをやった結果を見ながら、また今年の十月現在で民間の週休二日制の試行の実施状況等も調べまするし、また来年の、もしもありといたしますれば、給与の勧告時等においても民間の実態も調査をいたしたいというふうに考えておりまして、それらの結果等も勘案をしながら、本格実施の点は検討をいたしたいということでございます。
  80. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 要するに、せっかく人事院がそれに踏み切られてテストをおやりになるというわけですから、これを途中でやめるなんということなら、やらない方がいいと思うのです。私はそう思う。また国際的においても国内的においても、もうすでに週休二日制は、このところ幾らか鈍化してきているようなものでありますけれども、もうそれは総体的な流れですから、そういう点について、もう後やめたんだというようなことのないような方法で検討してもらうしかないのじゃないか。それは試行計画に基づいて具体的におやりになることは結構だと思いますけれども、そういうことで格段の御努力を願いたい。  さて、防衛庁長官にお伺いいたします。  一つ、大変にお礼を言っておかなければならぬことがあります。それは過日の八丈島の台風のときに公共建物がずいぶんやられました。公共建物がやられましたときに、防衛庁の方から約二百名、三日間災害救助ということで派遣をしていただきまして、公共建物並びに道路等のがけ崩れになるような危険のあるところ等にも手を加えていただきまして そのことについて、八丈島の方々も自衛隊の方々の行動、機敏なやり方に対して大変に感謝をしておりましたので、この際、一言お礼を申し上げたい、そのように思う次第であります。  それで防衛庁の方にちょっと。公務員給与改定は一〇・七%でありますけれども、自衛官は公務員給与改定に準じて改善をしたということなんですが、来年の二月一日から実施の食費の問題、これを積み上げるということです。そうしますと、一〇・七%でなくなるわけですけれども、何%になるわけですか。
  81. 今泉正隆

    ○今泉(正)政府委員 来年二月一日からは一七・四%のアップになります。
  82. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 この対象になる自衛官はどれくらいですか。
  83. 今泉正隆

    ○今泉(正)政府委員 約十二万人でございます。
  84. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 そうしますと、公務員給与の法理論からいいまして、公務員給与に準ずるというにもかかわらず、一七%何がしということになるのはどういうことなんでしょうか。ちょっとわかりかねるのですが、その点について。
  85. 今泉正隆

    ○今泉(正)政府委員 これは具体的には、営舎内に居住しております自衛官の営舎内での食事その他の生活経費を、現在実質的に有料でありますものを実質的に大部分を無料にするという処遇改善一つなんでございます。  ところで、方式としまして、一たん一般職と均衡を保った俸給額を決めて、それを支給しました後で食事代その他の営舎内生活経費を徴収するという方法をとっておれば別でございますけれども、現在、自衛隊ではその俸給額を決めます際に、営舎内の生活経費を差し引いて俸給額を決めるという方式をとっておるわけでございます。そうしますと、処遇改善一つとして、営舎内での食事の相当部分を実質的に無料にするというためには、俸給額決定に際して差し引いておりますものの大部分を俸給に戻すという方式をとるのが最も妥当な方式であります。その点で来年二月から現在と比べますと一七・四%のアップになりますが、これは全く一回限りのことでございまして、そういう特殊な方式をとっていることから来るアップ率ということになるわけでございます。
  86. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 大分遠回しにいろいろおっしゃって何か余りはっきりしないのですけれども、要するに、いままでは食べる食費を給与から差っ引いておった、それを今度は入れ込んだ。入れ込んだら、これで実はとんとんになるわけですね。しかし、結局食費の三分の二はこれをただにするんだ、こういうことでしょう。だから、要するに、三分の二は営内居住者は特殊な事情があってそれを見てやろう、隊員の処遇という問題について改善を加えた、こういうことじゃないですかね。防衛庁長官、その点どうですか。
  87. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 そのとおりでございまして、私就任いたしまして、自衛官を募集いたしておりますときに、食事代がただだ、こういっておるわけでございますが、いまのような仕組みになっていたということがわかったわけでございます。そこでまた、それをただいま御説明を申し上げましたような状況にすることによって、はなはだしくほかの給与体系を乱すようなことがあってはいけないと思います。  それからもう一つは、とにかくこの自由社会におきまして二十四時間、法律でもって営内に居住をさせ、そして同一食事それから同時就寝、同時起床という規律ある生活を営み、かつ、有事の際においては命を顧みず挺身をしなければならないという、そういう職務というのはほかにないんじゃないか。そういう特殊性考えまして、特に法的拘束を受けておるという点に着眼をいたしまして、この際ひとつ実質的に無料にしよう、ただにしようというのがねらいでございます。
  88. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 自衛隊の待遇の改善につきましては、うちの方の党も隊員の処遇の改善ということは大いにしてあげなくちゃならぬじゃないかというふうに思っておりますけれども、しかし、給与法の法体系を乱すようなことがあっては私はならぬということで御質問申し上げたようなわけです。  きょうは、ちょうど防衛庁長官おいでくださったので、きのう防衛庁長官が新防衛力整備計画の基本構想を長官指示という形で出されたわけでありますけれども、その基本構想の骨子となるもの、これはどういうことなんでしょうか。これは国民の皆さん方が、新聞だけしか実は見ていないので、そういう意味において、防衛庁長官からここにおいて、こういうふうな考え方なんだと具体的にひとつ言っていただきたいと思います。
  89. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 実は十月二十九日、昨日でございますが、各幕僚長、統合幕僚会議議長、技術研究本部長あてに防衛庁長官といたしまして「昭和五十二年度以後の防衛力整備計画案の作成に関する第二次長官指示」ということをいたしたわけでございます。  これは、四月一日に実は第一次長官指示というものを行っております。その内容といたしますところは、今後ポスト四次防を考えるについて、極力その要員を抑制するということが一つ。それから、いままでは高度経済成長下にあって、しかもゼロから出発したわが自衛隊としては当然なことであったと私は考えるのでございますが、これからはいよいよ安定経済へ入っていく、そういうことから、正面装備もさることながら、後方支援体制とか抗たん性とかというところに重点を置くべきだという指示を第一次指示にいたしております。しかし、それの背景となるところの防衛構想というものがなくちゃならない、そういうわけで、ちょうど四月から五月、六月と三カ月にわたりまして「防衛を考える会」を発足いたしまして、その報告書を得たわけでございます。それはどういう意味かと申しますと、国民の大方の良識ある方々は日本の防衛についてどういうふうに考えておられるだろうか、あるいは国民一人一人の自由と安全を守るということについて、どういう安全保障上の考えを持っておられるだろうかということを知りたかったわけでございます。その報告書も出ました。そういうこともにらみ合わせながら、参考にいたしながら、今回二次の長官指示というものを出したわけでございます。  それはまず侵略の未然防止。みずからの国の独立と平和というものは、やはりみずからの手によって守るという決意を具体的に明示をして、そして武力侵略を容易に行わせない体制をとるとともに、米国との安全保障体制の有効な維持を図ることによって、すき間のない防衛体制を構成して、わが国に対する侵略を未然に防止する、こういうような考え方、しかもそのような体制を保持することは、またアジアにおける国際政治の安定的均衡の維持に寄与し、そうしてそれは世界の平和と安定に貢献することになるのだ、こういう考え方。そして侵略対処あるいは災害救援等の位置づけをも考えております。  したがいまして、常備すべき防衛力といたしましては、通常兵器によります限定的な侵略の事態に対して対処できるということでございます。いままで限定的な侵略ということに対しまして、局地戦ということに対処できるという表現をしておりましたけれども、これは同じ意味でございます。  そういうわけでございますが、どうしてこういうような考え方を持ったか。一口に申しますと、平和時における基盤防衛力と申してもいいと思うのでございますが、どうしてそういうような発想が出てきたかと申しますと、まず国際情勢であります。これは緊張緩和というものは、中ソの関係、これは対立関係にございます。あるいは米ソ、米中の関係は緩和の状況にある、こういう前提で、今後同じように緊張緩和の方向にあるという判断でございます。  それから経済事情は、いまも申し上げましたように安定経済へ行く。財政事情あるいは経済事情はなかなか困難な状況が出てくる、そういう制約が一面にある。しかしながら、日本国民のあるいは日本国の安全ということは一日も忘るることのできないことである。しかしそれは、私がかねがね申し上げますように、日本の防衛力というものは、他国に脅威を与えるようなものであってもならないし、民生をはなはだしく圧迫するようなものであってもならないんだ、こういうような、過大でもなく過小でもない、そういう適当な防衛力というものを平和時における基盤的防衛力、こういうふうに考えるわけでございまして、今後常備すべき防衛力というものは、四次防を見直しまして、あるいは反省をいたしまして——反省ということはちょっと言い過ぎかと思いますが、見直してみて、そうしてもう少し機能及び組織を備え、それから配備につきましても均衡のとれたものにしたい。まあ平たく申しますと、小ぢんまりしておるけれども本当に即応力のある、対処できる防衛力を持とう、こういうふうに考えておるわけでございまして、小規模の直接侵略事態に対しては原則として独力で対処し、早期に事態を収拾し得ること、しかし、そういうような事態を越えるような侵略事態に対しては、情勢の変化に応じて有効に対処できるようにしたい。つまり、基盤防衛力があれば——、いまは平和時てある、しかしそれが緊張してくる、あるいは有事に至る、そういう事態になるならば、これが移行し得るような、そういう基盤防衛力なんだ。というのは、その防衛力というのは一朝一夕にできません。要員の養成にいたしましても訓練にいたしましても、十年とか五年とかかかりますし、あるいは艦船一つとりましても、五年、六年というふうにかかるわけでございます。飛行機にいたしましてもそうでございます。そういうわけでございまして、やはり絶えずこの防衛の努力はしなければならない。しかし、それは過大なものであってもいけないし、過小なものであってもいけない。そうしてほどよいと申しますか、小規模の事態に対処できるものであって、国民が侵略に対して抵抗する強固なる意思というものと、そういう適当な防衛力と、そして日米安保条約、この三つが一組みになった場合においては、ちょうど毛利元就ではございませんけれども、三つの矢が一つの矢であるとすぐ折れてしまうけれども、三つの矢を一緒にするならなかなか折れがたい。そういうように、防衛の国民の意思、それから防衛力、そして日米安保条約、この三つが一緒になるならば、大国といえども日本を侵すことはない。そのことによって国民一人一人の自由と安全とが守られる、まあ生存が守られる、こういうような構想でございます。
  90. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 長官、いま詳しくお話があったのですけれども防衛庁長官といえども実際にはオールマイティーではないわけです。そこで、やはり防衛といいますか、日本の安全保障という問題は防衛庁だけの考え方ではいけないということですよ、要するに。シビリアンコントロールを効かせなくちゃいけない。そういう意味において、なぜ第一次、第二次の長官の指示を出す前に国防会議におかけにならなかったのですか。
  91. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 国防会議にはぜひかけたいと思っております。そして恐らく御指摘になるであろう、つまり防衛庁だけじゃなくて、そして総理大臣あるいは外務大臣、外交的な側面ですね、あるいはまた長期計画から考えまして経済企画庁長官あるいは大蔵大臣、それに通産大臣、そういう広いグローバルな視野の中において防衛問題を考える、あるいは防衛構想を考えるというのは、先生の御指摘になろうとすることと同じように実は私も考えております。  そこの、国防会議に出す前の一つの案というものをまず私たちのところで一応固めまして、そしてこれを来年の三月ぐらいをめど作業をいたします。そして、もう少しいろいろの資料もその間にあるかもしれません。それもくみ取ります。そうして国会でも御論議があると思います。そういうことも踏まえまして、もう一遍いわゆる防衛庁案というものをこさえる。そして三月以降に国防会議議員懇談会にかける。そうしてここでまたいろいろな議論をしてもらいます。その議論を踏まえまして、もう一遍防衛庁で議論をして検討をして、そしてまた練る。そして最終的には正式の国防会議を開きまして、最終的な立案をいたしたい。  実は私、議会制民主主議というものにおいて政策意思をどういうふうにして決定をするのが一番いいかということを考えましたのでございますが、やはり世論といいますか国民世論の背景なくしては、そういう政策意思を決定すべきじゃないんだ、それを見ながら固めていくべきだという新しい政策意思の決定方法という試みを、こういうふうに国民のコンセンサスが十分行われておらない問題について取り上げまして、そして世論を聞きながら修正すべきところがあれば修正して、この国会に提出をしたいという気持ちで実はおるわけでございます。
  92. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 そのことが、国防会議におかけになるにしても、来年の三月以降におかけになるということですけれども、実はこれ、長官の指示を出す前に、やはり国防会議でポスト四次防としてはどういう方向でいこうかということについてあらあら国防会議で方向を打ち出して、それに基づいて長官としてはこうあるべきであるということを出して、そしてそれが煮詰まったときにさらに国防会議にかけて、それでいいかどうかということを判断をしてもらうという、私はやはりシビリアンコントロールの立場から言うならば、まず長官がみずからこういうふうな方法でいきたいなんていう素案だけを持っていってやった場合、ボタンのかけ違いになった場合にはどこまでもボタンがかけ違いになるわけですから、それでは実はなかなか間に合わないということになるわけであります。だから、私は第一次、第二次の長官の指示が出る前に、少なくともポスト四次防についてどうあるべきかということを各大臣あるいはそういうことで総理大臣が長になっているその場所でやるべきじゃないか、私はこういう意見を持っているのです。  実は、昭和四十七年度の予算で、あなたも御存じのとおり国会は空転した。二十日間というものとまった。それはなぜかといえば、やはり予算の先取りの問題でしょう。昭和四十七年の予算の中には全く第四次防予算は組み込まれておりませんとこう佐藤さんはおっしゃった。私がそのとき質問して、じゃ第四次防衛力整備計画の初年度はいつかと言ったら、四十七年と言ったでしょう。そんなおかしいはずはないじゃないかと言って、結局あれは問題になって、しょせんは国防会議において第四次防衛力整備計画の手続がされてなくて予算を組んだという問題があった。あなたも御存じのとおり、そのために二十日間というものは国会は空転して、とうとい時間を費やしたわけだけれども、そういう意味からいいますと、あなたも国防会議を尊重し、シビリアンコントロールを尊重するということを何回も言われているわけですから、それならばこのポスト四次防について、その方向性が間違っているかどうかということについては、やはり国防会議にかけるべきだ。考え方は、いまのあなたの考え方を、それをお持ちならお持ちでいいから、これでいいだろうかということについて国防会議皆さん方にお諮りになって、シビリアンコントロールを生かさなくちゃならぬじゃないですか。その点ちょっと一つボタンをかけ違えているような感じがするのですが、その点について……。
  93. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 その点は、考え方としてはそういう考え方も私はあると思います。しかしながら、実際上の問題といたしましては、私たちの方でももう少しいわば現場と申しますか、ユニホームの人たちとも作業をいたしまして、そうして私がいま指示しましたようなことも、いまここですぐきちんと決まるという問題ではなくて、指示したことについて、作業をやった過程においてもう一遍これ自体を修正しなくちゃならないと思うのです。そういうような過程をやりました後において、やはりある程度われわれがこういう考えであるということが相当に現場とも、庁内における意思統一も図られておるものでないと、やはり国防会議にかけましても、それこそがやがやがやがやで、とうていまとまりがつかない結果、これは実際的な問題として、そういうことを実は私心配いたしましたので、やはり私が国防会議に行って御説明を申し上げます際に、それの批判にたえられるものをいま準備をしておる。  それから、私は国防会議もシビリアンコントロールの一つの重要なかなめであると思いますけれども、私はむしろ国会そのものが非常なそのシビリアンコントロールのかなめであるというふうに考えるわけでございまして、こういうふうに委員会で御議論をいただくということが私にとっては非常な参考になるわけでございます。シビリアンコントロール上におきましても貴重な御意見だと実は拝聴するわけで、もう基本的にいろいろ御質問を賜りまして、私も誠実にそれにお答えをし、そうして過ちなからしめたいというふうに決意をいたしておりますので、どうぞよろしく御議論賜りますようお願いいたします。
  94. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 いま防衛庁長官は、これから作業に入るについて、いわゆる現場の方々といろいろ煮詰めなくちゃならぬというわけですよね。現場の方々の意見を尊重するということは、それなりに私わからないことはないと思うのです。しかしそれはもう全くシビリアンコントロールから言うならば、シビリアンコントロールをどちらかというと軽んじているような感じなんですね。一つの方向性を与えた上において、言うならば、それでは現場においてこういう問題はどうなんだろうかと煮詰めるのが当然なんであって、あなたの場合は現場からいろいろ要請を承って、現場の方はそれはいいのにこしたことはありません、それはあなたも百もわかっております。しかし、日本の安全保障というものは、ただ防衛庁だけの問題ではないということをやっぱり頭に入れて置かなくてはいけないと思うのですが、まあ御努力されるということでもありますけれども、それでは具体的に、たとえば国防会議三月以降と言いますけれども、この作業は、それではどういうふうなスケジュールでおいきになるのか、その手順と、それからいつごろをめどとして防衛力整備計画というものをつくっていきたい、そうして国民の皆さん方にこうなんだということを煮詰めていきたいか、そのスケジュールについてちょっと……。
  95. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 いま先生のお話の、現場に私は聞くと申し上げました。あるいはユニホームの話を聞くと申しましたのは、彼らに聞いてわれわれの構想をまとめるという意味じゃなくて、第一次の長官指示、たとえばいままでは正面装備に重点が置かれてきた、それもやむを得ない事情もあった、しかし今度はそうじゃないですよ、後方支援体制、抗たん性ということに気を配りながらひとつ固めてくださいよという一つの方向性を与えているわけです。それからもう一つは、人員は無限に上がるんじゃないのですよ。やはり人員はこういう経済情勢のもとにおいて抑制すべきであるという二本の指示をいたしておるわけです。  今度の場合は、いままでは言うならばいろいろな周辺諸地域の軍事力あるいは潜在的な能力、それに対応して、あらゆる場合、すべての場合に対応できる、しかも即応体制ができるような、そういうような目標を定め、しかもそれに努力をしていく。そういうようなことではなかなか真の防衛力というものは固まらない。むしろ、その中において政治的判断を私が加えまして、先ほど申しました経済的事情あるいは国際事情それから日米安保条約の抑止力、それらの間隙を縫ってくるいわゆる侵略というものがどういうものかということを考えれば、わりあい限定的なものであるだろう、それに対応するものを考えたらいいじゃないか。しかもそれに即応体制じゃなくて、基盤防衛力、平和時における防衛力というものがあって、そういう緊張緩和が解かれて、そして緊張になりあるいは有事になった場合は、その基盤防衛力から移行ができる、そういうような基盤防衛力ということを目標にして作業をしてくださいよという明確な指示を実は与えておるわけです。それだけにユニホーム自身としてもかなりこれに対してはいろいろ考えが実はあると思うのです。そういうわけでございますから、私どもといたしましては、細かいところまではわかりませんが、一応のめどは三月というめど考えておるわけです。(鈴切委員「三月に要するにつくって国防会議にかけて…」と呼ぶ)
  96. 藤尾正行

    藤尾委員長 不規則発言はお慎みをいただきます。
  97. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 三月までに作業を終わりまして、一応の防衛庁案というもの、素案でございますけれども、それをかけよう、こういうことでございます。
  98. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 防衛力整備計画のすべてを終えたいと思っておられるのは、いつをめどにしておられますか。
  99. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 これは大体来年度の予算概算要求をいたします時期でございますから八月三十一日ごろを目標にいたしております。しかし最終的にはあるいはもう少しずれる、予算編成という直前まであるいはいくかもしれません。
  100. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 実は問題になるのは、昭和四十八年の二月に、防衛庁見解として、平和時の防衛力の限界というのが出されましたね。あれは国会でいろいろ問題になって、白紙ということになったでしょう。白紙というのはもう全然形はないのです。形がないのに、今度平和時の防衛力の限界に対する基盤防衛力としてお考えになっているというか、それを基盤としていろいろ第五次防というものをお考えになるというような考え方だということが新聞にも出ているのですけれども、これはどういうことなんですか。もう何もないのです。
  101. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 確かに国会に提出をし、そしてそれが撤回されましたわけで、ないわけでございます。ないわけでございますけれども、陸につきまして十八万という数は十三個師団ということで、ちゃんとあるわけでございます。これは国会の御承認を得ているわけでございます。それにつきましての充足率というものは、現在の情勢でこれ以上なかなかむずかしいだろうという判断が実はあるわけでございまして、そういうようなことを一つ一つやってまいりますと、撤回はいたしましたけれども、結局それを積み上げていきますと、量的に申しますとほぼあれに似た——機能的には非常に違うと私は思うのです。今度のわれわれの考えておりますことは。機能、組織それから配備そういう問題も含めて検討してもらいたいと言っておるわけでございますけれども、しかし量的に見ますと、たとえば陸について十八万というようなことについては、これ以上は超えられないんではないだろうかというような気持ち。それからGNP一%というような問題も、やはり著しく民生を圧迫するようなものであってはいくまい。過大であってもいけないし過小であってもいけないという私の基本的な考え方から申しまして、やはり安定経済下においてもGNPが一つめどじゃなかろうかという考え方。おおよそそうなって詰めてまいりますと、それに似通ったものに上限が出てくるということはおわかりいただけるのではなかろうかと思います。
  102. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 上限が出てくるということですが、平和時のいわゆる白紙に戻されたあれを調達をするなんということになりますと、これは大変なことですよ。白紙に返っているのですから、もう何もないと言えばないのですけれども、私の頭のすみに少しあるものだから申し上げたいのですが、いまあなたがおっしゃったように安定経済になって、GNP一%以内、これはここの場所においてはっきりとあなたは答弁された。GNP一%前後なんてあいまいなことをおっしゃって、私がそれを詰めた。そうしてGNP一%以内でやります。こうおっしゃったから私はさっと引いた。それがいま残っているのであって、その点について、あれをもしやるとしたら、とてもとてもあなたそんなことにならぬのですよ。実は私もいろいろ試算をしてみますと大変な金がかかる。GNP一%どころの騒ぎじゃないのです。あれは。だから、そういうものを基準として物を考えていったのでは大変な狂いが出るので、そういう点についてやはりGNP一%以内で、今後どんなに安定成長になろうとも、防衛庁はポスト四次防については一%以内のその中においてやりますということをまずそこのところではっきりしていただいた上においてやりませんと、これからますます福祉の問題が論議されてくると、そういうところに金が要るということになって、自衛隊にそれ以上の金をやるということは大変に問題等も起こってくるわけですから、まずその点のお考えは、私が言ったことをここでくるりとひっくり返して、GNP一%前後、程度とか前後なんということはおっしゃらないと私は思うけれども、その点をもう一度確認したい。  それからもう一つ国防白書、これはいつお出しになるのですか。それから内容的にはどんなものになりますか。それを聞きます。
  103. 坂田道太

    ○坂田国務大臣 GNPの問題は先生にお答えいたしましたとおりでございまして、私は一%以内。ただ基盤防衛力の問題でございますね。平和時における基盤防衛力の今度の問題は、五年というよりも十年ぐらいかからないと達成できないのじゃないかというふうにいま考えております。こういうような点こそ、言うならもう少し作業してみませんと、規模の問題は実ははっきりここでお答えができない問題だと思います。  それから国防白書でございますが、一応本委員会におきまして秋をめどにと申しておりましたが、少しおくれております。と申しますのは、防衛を考える会が三カ月でやるということで三、四、五でございましたけれども、それが出ましたのが九月でございまして、あれがおくれまして、やはりこれを踏まえて国防白書をつくりたいということで、作業自身はかなりスピードアップをしておりますけれども、少しおくれております。しかし、一応私は年内にはと思っております。しかし、これもあの委員会においても申し上げたように、場合によっては三月にずれ込むおそれもございますけれども、私といたしましては、できれば年内というふうに考えて、いませっかく努力をいたしておるというところでございます。  それから、この国防白書については、この前も申し上げましたように、やはり実態をまず明らかにするということが大事だということ、それからもう一つは、これは日本の国民の方々にまず第一にわかっていただく、それから一般の人々がいろいろ心配をしておられること、憂慮しておられること、疑問に思っておられること、そういうようなことに答えるような形にしたいのだということ、それからもう一つは、やはり日本の防衛力は専守防衛であって、他国に行ってどうだこうだということは絶対に許されておらないのだということがはっきりするような、過小でもないけれども過大でもない、つまり他国に脅威を与えるような防衛力ではないのだということがわかるようなものにしたい、それを毎年出していきたいというようなことでございます。いろいろいま防衛白書については本委員会において先生方の御意見も大分承っておりますので、それを取り入れながら作業をいたしておるところでございます。
  104. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 私は、きょうは一時間以内ということでお約束したわけですから、実はいろいろ防衛論争のことについてはまたこの次にしたいわけですけれども、せっかく二十九日にあなたが長官指示というものをお出しになりましたので、きょうは幸いにしておいでくださった機会に、国民の方々にも知っていただいた方がいいのじゃないかということで御質問申し上げたようなわけでございます。そういうことで委員長、この給与の問題につきましては、この程度にとどめておきたい、このように思う次第でございます。大変御苦労さまでした。
  105. 藤尾正行

    藤尾委員長 木下元二君。
  106. 木下元二

    ○木下委員 私は、まず昇進における男女差別の問題を伺います。  人事院の方に伺いますが、問題は、男女差別だけではなくて、特権層と一般職員の格差もずいぶん著しいものがあるわけでありますが、私具体的に申し上げますが、これはある省の例であります。上級・高文事務系は、二十四歳、経験二年で係長、二十八歳六年で班長、三十六歳十四年で課長、四十八歳二十六年で局長、五十歳二十八年で次官になれておりますが、一般職員男子のうち、早い者で二十八歳十年で係長、遅い者は三十六歳十八年で係長というぐあいです。班長になれますのは、早い者で三十九歳二十一年、遅い者は四十歳二十六年もかかるという状況です。しかも課長以上には上がれません。女子になりますと、その差別はもっとひどいのであります。三十九歳二十一年で、やっと係長になれるだけでありまして、それ以上いま上がれないようになっております。  この男女差別の原因というのは、基本的には政府や資本の労務政策や賃金政策に由来するでありましょうけれども、それはさておきまして、やはり任命権者が賃金、任用制度の運用の中に男女差別を持ち込んでおるのではないかと思うのであります。この点については、人事院はいかがお考えでしょうか。
  107. 茨木広

    茨木政府委員 男女差別の問題については、国家公務員法の二十七条にもございますように、性別等による差別取り扱いは禁止されておりますし、人事院方針といたしましても、男女ということによって差別をするということは、方針としてもとっておりませんし、それから、人事課長会議等の際にも、そういうことがしばしば国会でも問題になるしということを御披露いたしまして、そのようなことがないようにということで注意を申し上げておる次第でございます。
  108. 木下元二

    ○木下委員 人事院方針としては当然そうでありましようが、では、男女差別が絶対にないと断言できるでしょうか。  ここに「通産本省内部部局に見る男女差別の実態」というデータがあるわけでありますが、四等級を見ますと、男子は三百七十人、女子は二十三人であります。五等級は男子が三百七十五人、女子は七十九人であります。しかも、四等級、五等級ともその女子の、わずかな人数でありますが、大半は十一号俸以下であります。そして六等級になりますと、男子は百五十九名、女子は百八十二名というふうに、下に行けば行くほど女子の方がふえるという三角形の状態がつくられておるのであります。女子の場合に昇進がおくれるという理由というのは、ほかにいろいろあると思うのです。それは私も否定はいたしませんけれども、しかし、賃金あるいは任用制度の実際の運用面におきまして、やはり差別的な考え方なり扱いというものがあるのではないかと思うのであります。  だからこそ、私の手元にもありますが、各省庁人事担当課長会議というのが「国家公務員給与改善に関する要望」というのを昭和五十年七月四日付で出しておりますが、これを見ましても、その末尾に、特に「婦人層職員の勤労条件の改善について配慮すること」という要望をうたっておるのであります。こういうことでありまして、ことしは御承知のように国際婦人年でもあるわけでありまして、婦人の地位の向上のためにもこういう差別はあってはならないことでありますので、人事院の方から各省庁への行政指導を格段に強めていただきたいと思うのでありますが、この点はいかがでしょうか。
  109. 茨木広

    茨木政府委員 各省ごとにいろいろ見てまいりますと、いま御指摘のような問題が大数的には比率的に出るかもしれませんが、それは六等級までは一般係員ということで行きますわけですが、五等級になりますと役付になります関係上、役付ということになりますと一定の仕事の分担をいたしまして、相互に援助というわけにいきません。隣の係長さんに手伝ってくださいというわけにはなかなかいかない。係員の中でございますと相互援助もききます。そういうこともございまして、係長に選抜するところで、いろいろな条件をそれぞれの各省庁の職場の実態に応じましてお考えになって任用されておることだと思います。その辺のところにやはりそういうようなことが出てまいるのだろうと思います。それなりにそれぞれの職場の実態にたえ得るような人々を各省庁は抜てきされるわけでございましょうから、合格されるように努力をいただかなければいかぬ面もあるだろうと思います。一般的な方針としましては、先ほど申し上げましたように、私どもも機会あるごとにそういうようなことを申し上げておるわけでございます。特にことしは国際婦人年でもございますので、そういう点については十分注意をして運営をしておるつもりでございます。  なお、人事課長会議からことし要望がございました点は、多少例年と違いまして、日ごろ職場で人事課長さん方が組合から要望されておりますことを取り次ぐというような関係で出されたものも相当入っておりまして、課長さん方みずからの上にかぶさっていく問題も、あの中には、私どもから見ますと入っておると思います。そういう問題で、やはりいまの問題も、人事院側の問題という面もございますが、同時に各省庁の人事行政自体の問題でもあるわけでございます。そういう面でよく御注意はしてまいりたいと思っております。
  110. 木下元二

    ○木下委員 特に注意をしていただくというふうになっておりますので、その点は結構であります。     〔委員長退席、木野委員長代理着席〕  次の問題でありますが、十月二十八日の本委員会でわが党の中路議員が、政府人事院の一部特権官僚優遇の人事行政の問題につきまして幾らかの観点から取り上げましたが、人事院からは満足できる答弁はほとんど聞けなかったわけであります。この問題については別の機会に取り上げることにいたしまして、きょうは、いわばローカル線普通列車とも言える一般職員をしり目にいたしまして、新幹線ひかり号のような勢いで出世をし、もうこれより以上、上がなくなってしまったという特権官僚が政府関係法人へ天下りしていくという問題、この問題点について幾つかの観点から質問をいたしたいと思います。  まず初めに、昭和四十年五月十四日の閣議での「公団公庫等役員の選考について」という了解事項が文書になっておると思うのでありますが、全文を読み上げていただきたいと思います。
  111. 角田達郎

    ○角田説明員 読み上げます。   公団公庫等役員の選考について    昭和四十年五月十四日閣議口頭了解  公団公庫等の役員の選考にあたっては、適任者を広く各界有識者から人選することを原則としているが、今後次の事項に特に留意されたい。  一、公務員出身者から選考する場合は関係省庁の職員にとらわれず広く各省庁から適任者を選考すること。  二、公団公庫等相互間のたらい廻し的異動は極力これを避けること。  三、清新な気風を反映させるため常勤のポストについては、高齢者の起用はつとめて避けること。  四、役員の長期留任は特別の事情のない限りこれを避けること。    その在職期間は同一ポストについておおむね八年を限度とすること。なお、役員人事のうち閣議関係のものについては、候補者選考の段階に於て事前に内閣官房長官に連絡されるようにすること。 以上であります。
  112. 木下元二

    ○木下委員 この特殊法人の役員は、大体各省の長または総理が任命ないし許可をするということになっておるようでありますが、各省の長が任命または許可をするものについては、各省任せということでほったらかしにしておるのでしょうか、それともしかるべきところで何らかのチェック、指導をしておるのでしょうか。
  113. 角田達郎

    ○角田説明員 特殊法人の役員の選任につきましては、先ほど読み上げました閣議口頭了解の趣旨に沿いまして、その後四十二年の二月にやはり閣議口頭了解で「広く人材を登用するため、公社、公団等特殊法人の役員の任命については、事前に内閣官房長官と協議すること。」こういう了解がございます。したがいまして、この閣議口頭了解に基づきまして、各省で選考する前に、事前に協議を受けるというような形で事務を進めております。
  114. 木下元二

    ○木下委員 内閣官房長官がチェックをするということになると思うのですが、いままで各省の長が、この四十年あるいは四十二年の閣議了解に基づいて連絡をしてきました候補者名簿をチェックし変更するように助言あるいは指導的な意見が述べられて、それによって変更されたという事例はありましょうか。
  115. 角田達郎

    ○角田説明員 事前了解につきましては、各省で実際に選考する過程におきまして、確実にこの人というふうに決める以前の段階においてもいろいろ御相談が参ります。したがいまして、はっきりと何件官房長官協議の段階で拒否したとかいうような形の数字は、私どもの手元には持ち合わせておりません。
  116. 木下元二

    ○木下委員 事前に調整をするからそういうのはないようだというお話のようでもあるのですが、はっきりと件数はわからない。結局、積極的な助言なり指導なり態度表明があったという件はないのではありませんか。
  117. 角田達郎

    ○角田説明員 件数は明確には覚えてございませんけれども、私が前任者から聞き及んだところでは、やはりそういう事例が、数は多くはございませんでしょうけれども、何件かあったように聞き及んでおります。
  118. 木下元二

    ○木下委員 あなた、前任者と言われましたが、じゃ何件あったのでしょうか。それからまた、あなたのときになってから、あなたが参事官をやられてから、何件あるのでしょうか。
  119. 角田達郎

    ○角田説明員 件数につきましては承知しておりません。ただ、事前に調整するということでございますので、いろいろ非公式な相談も当然あるわけでございます。それから、私が就任しましてから、そういう特殊法人の役員の人事選考につきまして、私段階でこれはまずいとかなんとかと言ったような事例はございません。
  120. 木下元二

    ○木下委員 ここに行政管理庁が出しました昭和五十年版の「特殊法人総覧」というのがあるわけでございます。これによりますと、特殊法人数は百十二、役員数が八百二十一人、職員数は九十一万九千七百四十三人ということになっております。特殊法人の設立等における役員の人数については行管が所管をいたしておりますが、内閣官房でもいま挙げました数字を承知しておられると思いますが、いかがですか。
  121. 角田達郎

    ○角田説明員 私どもの方でも数字を掌握しております。
  122. 木下元二

    ○木下委員 ここに、政府関係特殊法人労働組合協議会、政労協と申しておりますが、この政労協が本年三月に発表しました天下り白書というのがあります。これによりますと、特殊法人の役員への天下り状況が書かれておりますが、調査対象法人数は六十四総役員数は四百十九人、そしてそのうちで天下りは三百二十八人、パーセントにしまして七八・三%であります。そして民間登用は二十九人、内部登用が三十三人、その他二十九人となっております。これは昨年十月末現在ということであります。さらに、一九七三年十一月より七四年十月の間の天下りは百五人、八五・四%ということが出ております。また、同じ政労協が一九六七年から調査をしてきたものを見ましても、この天下り状況の推移でありますが、一九六七年には天下り率は七七・五%、六九年は七〇・三%、七一年は七三・七%、七二年は八〇・四%、七三年は七九・二%、七四年は七八・三%ということが出ております。  これらの調査結果からも明らかなように、一部の特権的な官僚が特殊法人の役員のほとんどを独占しておる状況であります。内閣官房の方ではこういう実態をよく御存じでしょうか。
  123. 角田達郎

    ○角田説明員 私どもの方で調査した数字がございますが、それを御説明いたしますと、今年一月現在におきまして、国家公務員から民間その他へ行きませんで、直接特殊法人の役員になりました者は二百四十六人という調査になっております。これは常勤役員でございまして、先ほどお話のございました特殊法人百十二の総トータルの常勤役員の現員は、その時点で八百九人ということでございます。したがいまして、八百九人に対する二百四十六人、そうしますと、三〇・四%というような数字を私どもは持っております。
  124. 木下元二

    ○木下委員 私の方も、昨日、昭和五十年一月一日現在の「特殊法人役員の出身省庁別在職状況調」という資料をもらいましたけれども、ここに出ている数字は少な過ぎると思うのです。この中には、いまあなた言われましたが、直接特殊法人等の役員になった場合というふうに特に念を押して言われたのですけれども、一たん別のところに腰かけ的に就職をし、そこをトンネルにして天下りする者をつかんでいないようであります。それは数字に出ていないようであります。こうしたものを含む天下りの実態をつかんだことはあるのでしょうか。調査したものがあれば、出していただきたいと思います。
  125. 角田達郎

    ○角田説明員 調査の時点は異なりますが、本年三月一日現在の調査によりますと、国家公務員の経歴を有しまして、それから民間等に就職し、それから特殊法人の役員に就任した者、これが三月の調査ですと、百九十八人ということでございます。それから、その三月一日現在で、これは先ほどの数字と違いますが、面接特殊法人の役員に就任した者は二百六十二人でございますので、それを合わせますと、四百六十人という数字になりまして、そのときの特殊法人の常勤の役員総数の約五六%というような数字でございます。
  126. 木下元二

    ○木下委員 四百六十人で五六%というと、ちょっとこのパーセントの上からも政労協が調べたのと大分隔たりがあるように思うのですが、これは間違いないでしょうか。もう一度調査をして実態を明らかにしてもらえぬでしょうか。それとも、この調査に間違いないと断言できますか。
  127. 角田達郎

    ○角田説明員 先ほど先生のお話のございました政労協の調査は、たしか調査対象の特殊法人の数も、それから質も中身も、私ども調査とそれぞれ異なっていると思います。また、私ども調査につきましても、なお厳密に調査をいたしまして、後ほど提出したいと思います。
  128. 木下元二

    ○木下委員 そうしますと、あなたの方で調査をされたのは、その対象法人数というのは全部に及んでおるということですね。
  129. 角田達郎

    ○角田説明員 百十二でございます。
  130. 木下元二

    ○木下委員 そうしますと、政労協の方が調査をしたこの六十四法人について、私が先ほど申しました数字ですね、これはあなたの方では間違いないというふうにお認めになりますか。
  131. 角田達郎

    ○角田説明員 その六十四法人につきましては、私どもの方では調査いたしておりません。六十四法人ということに限定しましては調査いたしておりません。それで、その中に、たしか特殊法人ではない公益法人も含まれているやにうかがわれますので、対象の選定については、政労協調査の六十四法人につきましての私ども調査というものはございません。
  132. 木下元二

    ○木下委員 これはまだ調査をされていないということですが、細かい数字あるいはパーセントの違いといったことはあるいはあり得るかもわかりませんけれども、その大まかな流れにおいてこれは私は間違いないと思いますし、またあなたの方も否定できないのではないかと思うのです。あるいはそれとも、これが違いがある、間違っておると言うのなら、ひとつあなたの方でお調べになって資料をお出しになっていただきたいと思うのです。まあこれが三月に出まして、その後あなた方の方ではこれに対して何ら反論をしていられないというところから見ましても、これは私は間違いないものだというふうに思うわけでありますが、いかがでしょうか。もう一度調査をされますか。
  133. 角田達郎

    ○角田説明員 六十四法人につきまして調査をすることがいまの時点でできますかどうか、なかなか困難かもしれませんが、一応検討いたしてみたいと思います。
  134. 木下元二

    ○木下委員 それから、臨時行政調査会がありまして、私どもはこれについては批判的な立場に立っておりますが、昭和三十九年九月の「行政改革に関する意見」の中の「政府関係機関等の運営についての意見」のうち「人事の合理化をはかる。」という項目については一定程度評価できると思うのでありますが、その部分をひとつ読み上げてもらいたいと思います。
  135. 角田達郎

    ○角田説明員 読み上げます。   人事の合理化をはかる。  (ア)自主性の確立に見合って、役員の責任体制を確立すること。  (イ)官庁との人事交流は、創設時を除いて原則として行なわない。  (ウ)採用試験は、国家公務員試験に準じて行なう。  (エ)広く人材を求めるため、官庁の都合本位による役員人事をやめて、役員は部内外からも積極的に登用することとし、かつ本省からの直接登用による役員は原則として役員の半数以下とする。以上でございます。
  136. 木下元二

    ○木下委員 そこで、私がさきに挙げましたように、役員の七〇%ないし八〇%を天下り官僚が独占しておるという事態は、いま読み上げられました意見の本旨から大きく外れておると思うのです。この点についてはよく調査をされるということでありますので、調査をしていただきたいと思うのです。  同じこの政労協の調査によりますと、役員の一〇〇%を天下り官僚が占めておる法人が幾つもあるのです。水資源開発公団、首都高速道路公団、畜産振興事業団、石炭鉱害事業団、中小企業振興事業団、公害防止事業団、そのほか幾つもありまして、全部で二十九法人、これはこの政労協の調査法人の四五%にも達します。これはどういうふうに見られますか。
  137. 角田達郎

    ○角田説明員 私どもにおきましては、先ほどの四十年五月の閣議日頭了解の線に沿いまして、特殊法人の役員については広く適材を求める、そういう原則に立って各省庁の役員選考を調整しておるわけでございますが、ただいまの二十九と言われました法人、私ども調査によりますと、余り大差はございませんけれども、三月現在で二十五という数になっております。  それで、これらにつきましては、その役員選考の時点で他に民間等に適材がなかったのではないかと思われますが、ただ特殊法人につきましては、何と申しましても、その本来の設立目的それから業務等につきまして政府の施策に必要な業務の運営をする、そういう目的で設立されております関係上、やはり国家公務員の経歴を有して、しかも経験豊かであるという人材を登用するということになってまいるのではないかというふうに考えております。しかし、先ほどの選考の原則にもございますように、国家公務員経歴者だけから採るというような方針では適当ではございませんので、やはり広く人材を求めるという観点から努力してまいりたい、かように考えております。
  138. 木下元二

    ○木下委員 いま言われましたように、広く各省庁から適任者を選考するという趣旨に外れておるし、あるいはまた、先ほど私が申しました行政改革に関する意見ですね、この中に、いまあなたが読まれましたように「本省からの直接登用による役員は原則として役員の半数以下とする。」という項目であるとか、あるいは「役員は部内外からも積極的に登用する」、こういった趣旨に反することは明らかではありませんか。せっかくこういうふうな閣議了解として決められたこと、あるいはまたこういうふうに臨調が出しておる意見、こういうものが踏みにじられておるという状況が現にあるわけであります。非常に遺憾なことだと思うのですが、そうではありませんか。
  139. 角田達郎

    ○角田説明員 先ほど私が読み上げました臨時行政調査会の答申の特殊法人の人事に関する事項について、本省から直接登用する役員の数は半数以下とする、こういう表現になっております。それで、本省から直接登用する役員の数という解釈でございますけれども、私ども正確にその解釈を承ってはおりませんが、先ほど御説明申し上げました国家公務員から直接特殊法人の役員に就任するパーセンテージ約三〇%、これは必ずしも先ほどの臨調答申の本省から直接登用する者を半数以下に抑えるという趣旨とはそうかけ離れているというようには考えておらない次第でございます。
  140. 木下元二

    ○木下委員 それでも、その点だけじゃなくて、「役員は部内外からも積極的に登用する」とか、あるいは「官庁との人事交流は、創設時を除いて原則として行なわない。」とか、こういった項にも反すると思うのですよ。それからまた、いまあなたは直接登用でなければよいかのように言われますが、しかしこれだって、それはたとえば、一たん民間に行ってしまって五年も八年もたって、相当長期間経過して、そしてまた特殊法人へ行くというのなら、これはまたこの趣旨に反しないということが言えるかもわかりませんけれども、そうでなくて、たとえばもうトンネルのようにちょっと民間に腰かけで半年か一年あるいはその前後ちょっと行って、そしてまたすぐに特殊法人へ行くというケースはありませんか。こういうケースが多いんではありませんか。だから問題になるのですよ。そういうのはまさにこの条項を脱法的と申しますか、まさに潜脱しておる、そうではありませんか。
  141. 角田達郎

    ○角田説明員 国家公務員から民間へ一たん行って、それからその民間期間も非常に短くて、また特殊法人の役員に就任する、この辺の数の調査につきましては正確なところをまだ把握しておりませんが、中には、先生もおっしゃいましたように相当長く民間におられてから特殊法人の役員に就任するという方もございますし、また、ちょっと民間へ出てそれから特殊法人の役員に就任するという方も、これは数が相当あると思います。その数につきましてどの程度ありますか、その辺の数字は正確には把握しておりません。
  142. 木下元二

    ○木下委員 いや、ですから、ちょっと民間におってまた法人の方へ戻ってくるというのは、やはりこの意見書の趣旨に反するのではないかというふうに私は聞いているのですが、そういうふうに解釈されませんか。
  143. 角田達郎

    ○角田説明員 やはり広く人材を登用するという原則に照らして、果たしてそういう人事の選考が個々具体的に見まして適当かどうかを判断すべき問題だと思います。
  144. 木下元二

    ○木下委員 議論はいたしませんが、この点についてきわめて問題があるということはお認めになると思うのです。ひとつ、そういうふうに直接本省から特殊法人等に行ったケースのほかに、民間に行ってそれから特殊法人に戻ってくるというケース、その実態ですね、これがどうなっておるのかということもお調べいただいて、ひとつ御報告をしてもらいたいと思うのです。よろしいでしょうか。
  145. 角田達郎

    ○角田説明員 調査したいと思います。
  146. 木下元二

    ○木下委員 それから、天下りの特徴的なパターンといたしまして指摘されておりますことは、たとえばA法人は〇〇省出身者で占めるとかいうふうななわ張り人事、ひもつき人事、世襲人事、監督官庁の押しつけ人事、たらい回し人事、渡り鳥人事、こういうのがずっと天下り白書に出ておるわけですね。たとえばなわ張り人事の実態を見ますと、労働省関係法人には労働省出身の役員が天下り役員全体の中で占める割合というのは七七・三%、文部省関係法人では文部省出身役員が占める割合が七一・四%、農林省の場合は同じく六七・八%、厚生省も六〇%、こういうふうになっているわけですね。どうも、この臨調意見でもあるいは四十年の閣議了解でも、広く人材を求めるということになっておるのですが、こういう実態を見ましてもこれは必ずしもそういうふうになっていない。また、この天下りの出身省庁別に見ますと、通産、農林、大蔵、建設省がいつもトップクラスを占めております。これらの省庁は人事院の天下り白書でもトップクラスになっておるのです。これではもう広く人材を求めることにはならないと思うのであります。そうではありませんか。
  147. 角田達郎

    ○角田説明員 ただいまの特殊法人の各省庁のなわ張りというお話でございますが、やはり特殊法人は、先ほども御説明申し上げましたように国の、政府の必要な施策を助けるという目的で設立された関係がございまして、たとえば文部省関係の法人でございますと文部省の行政に必要な業務を運営する、あるいは通産省でございますと通産省関係の行政にとって必要な業務を運営する、こういう性格を本来持っておる関係がございますので、どうしてもそこの役員につきましては、そういう行政の経験を経た国家公務員が選考されるという傾向になろうかと思いますが、もし他に適材があるならば、先ほどから何遍も申し上げておりますように、やはり適材を広く求めるように指導していきたい、私どもかように考えています。
  148. 木下元二

    ○木下委員 それから、先ほども指摘しましたように、たらい回し、つまり渡り歩きということでありますが、閣議了解ではこれを極力避けるというふうにしておりながら、実態はそうはなっておりません。  政労協の調査によりましても、たとえば通産省関係の法人、これは法人数が十一ありますが、その十一のうち、渡り鳥役員数は二十五人であります。渡り歩いた法人の数は、二つが十九人、三つが一人、四つが四人、五つが一人、こうなっております。建設省関係の法人数は五つ、渡り鳥役員数は十八人、渡り歩いた法人の数は、二つが十六人、三つが二人、こういうふうにあるわけであります。平均しますと、三・五人に一人が渡り鳥官僚であるという結果が出ております。  これは一体どういうことでしょうか。これはもう閣議了解で、こういうたらい回しは極力避けるというふうに言っているのでしょう。自分たちで決めたことを自分たちみずからが破っていたのでは、これはもうむちゃくちゃではございませんか。いかがですか。
  149. 角田達郎

    ○角田説明員 私ども調査しました特殊法人を転々と渡り歩いて就任する役員の数、これを申し上げますと、四十九年の二月につきましては七十四人でございます。それから五十年三月では五十九人ということで、五十年におきましても相当数ございますが、私どもといたしましてはなるべくその数を減らしていくという努力をしておる次第でございまして、前年に比しても十五人ばかりトータルで減っておりますが、なおこの努力は続けてまいりたい、かように考えています。
  150. 木下元二

    ○木下委員 その点幾らか調査をされておるようですが、この渡り歩きの実態をどの程度現段階調査をされておるのか知りませんけれども、ひとつ十分調査をして、これも御報告をいただきたいと思います。よろしいか。     〔木野委員長代理退席、委員長着席〕
  151. 角田達郎

    ○角田説明員 調査したいと思います。
  152. 木下元二

    ○木下委員 それから、先ほどの閣議了解では高齢者の常勤役員の起用は努めて避けるとしてありながら、七十歳以上の役員が相当おります。七十歳といえどもこれは個人差がありまして元気な方もおられるわけでありますが、世間一般の常識から言いますと、一応七十歳以上を高齢者と見ても差し支えないと思うのです。たとえば動力炉・核燃料開発事業団理事長七十歳、同じく副理事長七十歳、理化学研究所理事長七十一歳、中小企業金融公庫監事七十歳、日本私学振興財団理事長七十四歳、同じく理事七十歳、日本学校安全会理事七十歳、同じく監事七十一歳、海外技術者研修協会理事長七十二歳、ざっとこういう状態です。これは一体どうなっているのでしょうか。決められた閣議了解が、これは守られていないじゃありませんか。
  153. 角田達郎

    ○角田説明員 確かに閣議了解におきましては、高齢者を避けることという原則になっておりますが、たまたまその特殊法人の業務遂行の関係上、他に適材がなくて高齢の方を引き続き就任させておくという例はございます。私ども、従来もそうでございますが、今後も役員の交代の際にはその点も十分に配慮してまいりたい、こういうふうに考えております。
  154. 木下元二

    ○木下委員 問題なのは、これら七十歳以上の役員の俸給月額であります。さっき言いましたが、この動力炉・核燃料開発事業団理事長は八十二万円です。副理事長は七十万円、理化学研究所理事長七十万円、ずっとこういう状態。まあ幾らかそれよりも低いのもありますが、こういう高給を取っておるのですね。そしてこれは、たとえば昭和五十年度の当初の生活保護基準は、一級地標準四人世帯で生活扶助基準七万四千九百五十二円です。これ以外に教育扶助基準とか住宅扶助基準が加算されましてやっと十万円強になる。二級地、三級地、四級地ではこれよりもずっと低いのです。インフレと不況で生活保護世帯の人たちが四苦八苦しておる。これに引きかえて、特権官僚から天下ってきた者たちが国民の税金でわが世の春をうたっておる、こういう状態じゃございませんか。また、この特権官僚を含む一般職国家公務員の平均給与、これは十五万円強でありますが、これと比べても驚くべき金額であります。公団等の職員と比べても高過ぎます。この点はもう抜本的な検討が必要だと私は思うのです。幾ら社会的な経験が豊かであるとかいろいろ言いましても、これは社会通念から見まして、だれが見ても高過ぎると思うのです。国民一般生活水準から見ましてどうしても納得できませんが、どのようにお考えでしょうか。
  155. 角田達郎

    ○角田説明員 特殊法人の役員の給与につきましては、私の所管ではございません。
  156. 木下元二

    ○木下委員 所管ではないと思いますが、総務長官、これは大臣として、いま私が指摘しました点、いかがお考えでしょうか。
  157. 植木光教

    植木国務大臣 四十年に行われました閣議の口頭了解によります。先ほど来御論議のあります公務員の公団、公社、特殊法人等への転職につきましては、いろいろ政府としても努力をしているところでありますけれども、しかしながら、十分に了解事項を果たしているということは申せない点もあろうと存じます。  その原因といたしましては、たとえばきわめて専門的な知識と体験が必要であるという点もございましたり、あるいは民間からはなかなか給与等の点において来ていただけないというような点がございましたり、いろいろな事情があると伺っております。しかしながら、やはり毎回この問題は国会からも御指摘があり、民間からもいろいろな声があるところでございますので、この了解事項については極力遵守をしてまいるように努力をしていかなければならないと存ずるのであります。
  158. 木下元二

    ○木下委員 その了解事項が十分満たされていないという程度のものではなくて、これはもう踏みにじられているとしか思えないのですよ、私がずっと指摘をしましたように。極力これが守られるようにというお話ではありますが、ひとつこれは十分配慮してやっていただきたいと思います。  しかも問題は、こういう特殊法人の役員の俸給だけではございません。退職金がまたべらぼうな金額になっております。たとえば、この天下り官僚のうちの渡り鳥の退職金額だけを見ましても、もう具体的に申しますが、元経済企画庁総合開発局長淺村康氏の場合、これは日本道路公団理事を六年七カ月勤めて一千七十八万円、そしてさらに、同じく日本道路公団副総裁を一年十一カ月勤めて四百三十万円。理事をやめて副総裁になるのに退職金が出る、また副総裁をやめて総裁になるのに退職金が出る、これもずいぶんばかにした話であります。そして現在住宅金融公庫総裁になってから六年七ケ月でありますから、これは計算しますと三千七百十六万円になる。合計、通算在職期間十五年一ケ月で退職金の試算額は五千二百二十八万円になるのです。これは昨年十月末現在でありますから、今日の時点ではさらにはね上がっております。以下ずっとあるわけでありますが、もう一々申しません。こういうひどい状態であります。  四十八年十一月から四十九年十月末までにやめた役員の退職金を見ましても、わかったものだけで、役員の退職者でありますが九十八人、その平均在職期間は四年四カ月、一人当たり平均の退職金は千二百六十二万円、退職金の総額は十一億七千三百六十万円。これはもう血税のむだ遣いもはなはだしいと思うのです。これでは国民から血税のむだ遣いだと指弾されましても反論の余地はないと私は思うのです。この点についても抜本的な検討が必要であると思いますが、いかがでしょうか。これも総務長官にひとつ伺っておきます。
  159. 植木光教

    植木国務大臣 ただいま御指摘のような点につきましてはいろいろ批判がありますこと、私も十分承知をいたしております。いやしくも公的な仕事にある者が、そういう問題におきましていろいろ批判を受けるということはまことに残念なことでもございますので、閣議了解の趣旨に沿いまして一層努力をいたしますことをここに申し述べておきます。
  160. 木下元二

    ○木下委員 もう一つ守られていない閣議了解の問題点を申しておきますが、閣議了解では「同一ポストについておおむね八年を限度とする」としておるのにもかかわらず、八年を超える者がざらにおります。ひどいのになりますと十五年や十七年というのもあるわけであります。これも具体的にはもう一々申しません。これは一体どうなっているのでしょうか。同一ポストについてはおおむね、おおむねという限定はあるわけでありますが、これは一体どれくらいの範囲を言っておるのでしょう。
  161. 角田達郎

    ○角田説明員 特殊法人の役員の任期につきましては、大体一期三年あるいは一期四年というようなものが多くございますが、その辺をめどにして、大体二期程度は勤めさせても適当であろうというような観点から、おおむね八年というような原則が出されたものと思います。
  162. 木下元二

    ○木下委員 そうしますと、これもこの閣議了解が踏みにじられておるということなんです。八年五カ月、十年七カ月、十五年二カ月、十七年五カ月というようなこういう在職期間がざらにあるわけですよ。この点もひとつぜひ再検討いただきたいと思います。よろしいですか。
  163. 植木光教

    植木国務大臣 本年三月現在で、いま御指摘の長期在職者というのは三十二人になりまして、前年に比べまして七人減となっているというふうに伺っているのでありまして、そういうように政府としても努力をしているわけでございますが、より一層閣議了解の趣旨に沿うよう努めてまいりたいと存じます。
  164. 木下元二

    ○木下委員 もう余り時間がありませんので、最後に触れておきたいのですが、この天下り問題につきましていま私が問題にしておるのは、特に役員への官僚の天下り問題ですね。これについて職員のほとんどが強い不満を持っておるわけであります。法人の事業運営を民主化するためにもこういう天下りをやめてもらいたい、あるいはこういうのは職員の勤労意欲の低下を来すという意見がございます。あるいはまた、こういうふうなことこそ官僚による法人の私物化である、隷属関係が強まっている、あるいはまた内部登用の道が閉ざされ、希望を持って働けないという意見もございます。そしてことしの春には、政労協の組合はストライキという非常手段さえとらざるを得ないという状態になっておるのであります。そして、このことが事業の正常な運営を阻害し、国民サービスの低下を来すという問題を引き起こしておるわけであります。  また、一般新聞などの論調を見ましても、たとえば本年三月三十一日付の読売新聞の社説では「これは、」この天下りでありますが、「行政改革とも深いつながりを持っており、政府の適切な措置を期待したい。」あるいは同じ日付の毎日新聞の社説では「退職後の再就職について、官僚だけ特別に優遇すべき理由は何もない」「根本的には公務員の再就職問題について制度改革に着手すべきである。問題化するたびに世間が忘れるまで頭を垂れ、やがて当然のように天下りを進める怠慢は、もう許されない。」こういう社説が出ております。ひとつ政府は、最低限四十年に自分たちが決めたこの閣議了解の線での各省庁に対するチェック、指導を徹底すべきであると思います。これは初めにも言われたわけでありますが、最後にこの点をもう一度決意のほどを聞かしていただきたいと思います。
  165. 植木光教

    植木国務大臣 この問題についてのいわば所管大臣であります官房長官に対しまして、本日の御指摘点等々につきまして、十分これを伝え、私も努力をしてまいります。
  166. 木下元二

    ○木下委員 それから、官房長官いられないわけでありますが、世論と職員の声に耳を傾けて、人事及び事業の運営を民主化していく、そして国民へのサービスの向上を図っていく、このためにもこの閣議了解の線は守っていただく。さらに、この閣議了解よりも一歩進んだ立場から、さらに厳しく点検と指導を強めるべきだと私は思うのです。特に、部内からの役員あるいは中間管理職への登用の機会を拡大するために特段の努力を払うべきであると私は思うのです。こうした点検と指導では改められないというのなら、私は、これはいろいろ私がさっきから指摘をしました問題についてはこの法制度上の改革を必要とする面もあると思いますので、こうしたことについてもお考えいただきたいと思うのです。たとえば、先ほどの退職金の問題とか給与の問題、こうしたことについて、細かいことは結構でございますが、お考えがあれば聞かしていただきたいと思います。
  167. 植木光教

    植木国務大臣 いずれにいたしましても、御趣旨は十分理解をいたしました。官房長官と相談をいたしまして、研究をしてまいりたいと思います。
  168. 木下元二

    ○木下委員 それでは、最後に中路委員が関連質問をします。
  169. 中路雅弘

    ○中路委員 一問だけ御質問したいのですが、実は一昨日の質疑で私もテーマで取り上げたんですが、中堅職員の中だるみの是正の問題を中心にして御質問しましたが、この問題については、できればこの改正案の採決の際に附帯決議としてぜひ取り上げていただきたいというように考えていたのですが、給与の法案がきょうどうしてもこれから採決をしなければならない時点にもありますし、各党ともまた附帯決議になりますとそれぞれの党との御相談もあると思いますから、そういう点でこの採決が延びるということになっても本意でありませんので、ちょっと関連させていただいて一問だけ、考えておりました附帯決議についての案について質問の形で、要望の形で取り上げまして、ひとつ長官あるいは総裁から簡潔にお答えを願いたいというふうに思います。  二つあるのですが、一つは、これは前回の附帯決議にも取り上げられていた問題ですし、ことしも八月の初めに勧告が出てからすでに今日まで数カ月たっているわけです。この問題について、支払いの問題ですが、政府人事院が、給与早期の支払いを含めて支給手続の改善について、前回も総務長官から答弁検討されている幾つかの案がありましたけれども、引き続いてこの早期支払いの手続について検討していただくという問題が第一点であります。  もう一つは、いまお話ししました中だるみの是正の問題ですが、府県の機関職員並びに行(二)の一般職員等の等級の格づけを初めとした昇格運用の改善、これをぜひ図っていただくとともに、中堅職員の中だるみ是正については特別の配慮を払う必要があるというふうに考えるわけですが、この二つの問題について、ひとつ長官と総裁の方からお考えをこの席上で聞かしていただきたいと思います。
  170. 植木光教

    植木国務大臣 昨年十二月の当委員会の附帯決議を受けまして、人事院勧告の早期処理を図る観点から、予備勧告及び本勧告案、二番目には予算編成前の勧告案、三番目に俸給表改定についての政令委任案、四番目に国会の早期召集案という四つを案といたしまして検討したのでございますが、結論的には、現行制度のもとでできるだけ給与改定早期化を図っていくというのが適当であるということで、その点につきましてはさきの国会でも答弁したところでございます。給与早期支給は重要な問題でありますので、今後とも関係省庁と協議しながら検討を続けてまいりたいと思います。
  171. 藤井貞夫

    藤井政府委員 第二に御指摘になりました点につきましては、従来とも、本勧告の段階において、あるいはその後における等級別定数の是正を図ります等の場合に、できるだけの改善は図ってきたつもりでございます。職員構成の実態あるいは民間給与との対比等を十分に考慮しながら、今後ともこの点については努力をしてまいる所存でございます。
  172. 藤尾正行

    藤尾委員長 受田新吉君。
  173. 受田新吉

    ○受田委員 時間を余りかけません。採決を急いでやるように、政府答弁次第では二十分以内に終わるようにします。  総務長官、今度の法改正の中で、特別職の中に国務大臣と総理大臣の俸給額は据え置きになっております。この理由を御説明願います。
  174. 植木光教

    植木国務大臣 一般職につきまして勧告を受けました後、特別職についての検討をしたわけでございますが、今回の勧告案には御承知のとおり上薄下厚の方式が引き続き取り入れられておりますとともに、管理職手当の削減等の新しい考え方も入っているわけでございます。そこで、総理大臣及び国務大臣の給与について検討いたしましたところ、据え置きにいたしましてもいわばなだらかな線で特別職給与が安定的に改定せられるというふうな結論を得ましたので、この際、これを据え置きということにいたしたのでございます。
  175. 受田新吉

    ○受田委員 従来、閣僚の皆さんは国に対して俸給の一割を寄付しておられますね。これは今度の新しい法律、公職にある立場皆さんの寄付に関する制約の中で、全国区の参議院議員たる国務大臣は国に対して寄付をすることが、地方公共団体に地方選出の議員が制約を受けると同様の制約を受けるのではないかということをお尋ねします。
  176. 植木光教

    植木国務大臣 四月から給与を一〇%国庫に寄付をいたしておるわけでございます。これは自発的に寄付をしているのでございますが、現閣僚には全国区選出の参議院議員の出身者はおりませんので、ただいま御指摘のような問題は、現在はストレートに問題として出てこないわけでございます。しかし、改正後の公職選挙法第百九十九条の二で、公職の候補者等は、当該選挙区内にある者に対して、いかなる名義をもってするを問わず、寄付をしてはならないということになっております。この規定をめぐりまして、現在知事等が行っております。あるいは行おうとしております給与の一部返上が適法か否かについて、関係省庁がいま見解を取りまとめ中でございます。  そこで私どもは、この各省庁間の知事等の寄付に関する協議の中で、ただいまの閣僚の給与返上あるいは参議院全国区選出の議員が閣僚になりましたときの寄付の行為が、どういうふうにこの新しい改正とかかわり合いますかということについての結論を得たいということで、いま協議をしているところでございます。
  177. 受田新吉

    ○受田委員 そういう問題に当然ぶつかることになるわけですね。全国区は国全体を相手にする選挙。だから、いまはおらぬからいいと言っても、全国区の選出参議院議員を閣僚に任命する際には、ほかの閣僚は皆寄付できてもその全国区の閣僚だけは寄付ができぬというようなへんてこなことになるわけなんです。そのことも同時に早く結論を出しておかれる必要がある。非常に問題をはらむということをお含みを願いたい。  皆さんおそろいですから時間をかけぬことにいたします。  そこで、次の問題として非常に大事な問題が一つあるのです。それは総理府の御所管の中の学術会議です。きょうはもう皆さんお待ちですから入り口だけにしておきます。これは、国際環境学術会議なるものを想定して、それに閣議の了解も得ない三百五十万円の支出を決めておるというような財政法上の違反、また昭和二十三年以来の寄付行為禁止の閣議決定にも違反しておるという事件がいま起こっておるわけです。これはどうしたことかという非常に大きな問題が一つあるわけなんですが、この点、閣議了解なしの財政支出というものを学術会議のみになぜ許したのかという点を一言御答弁願いたいのです。
  178. 植木光教

    植木国務大臣 学術会議につきましては私も大きな関心を持っておりまして、会長初め幹部と何回か意見の交換をしております。現在学術会議に対していろいろの御批判や意見がありますので、それについては私どもも申し述べますとともに、学術会議内部におきましてもそのあり方につきまして検討に着手をしているというふうに聞いているのでございます。  ただいま御指摘の国際環境保全科学会議でございますが、これは昭和五十年度予算で三百五十万円を政府としては計上をいたしております。この国際会議を事前に閣議了解をとらなかったのはなぜかというお話でございますが、これは国際的に各国で順繰りに開催されております国際会議をわが国で開催しようといたしますときには、予算の範囲内において、開催したい旨を早期に表明することが国際信義に沿うために必要でございます。したがって、翌年度予算概算要求時点以前に閣議了解を得ることにしているのでございます。しかし、今度の国際環境保全科学会議につきましては初めての特殊性のある会議でございますので、五十年度予算編成を通じまして開催についての意向が決まりましたため、閣議了解の手続はとらなかったというのが真相でございます。
  179. 受田新吉

    ○受田委員 閣議了解の手続をとらないで財政支出ができるような、そういうあいまいな国の機関があるわけですか。これは大変なことだ。
  180. 吉岡邦夫

    ○吉岡(邦)政府委員 お答えいたします。  国際環境会議について閣議了解をとらなかったという点でございますが、ただいま総務長官から御答弁ございましたように、学術会議で行っております国際会議は当年度予算では間に合わないわけでございます。それから、それぞれの文部省その他の関係省庁にもかかわることでございますので、次年度の予算編成前に閣議了解をしていただきまして各省庁にその了解をしていただく、そのことによって学術会議が国際会議をするということをそれぞれの関係各国に了解していただく、このための閣議了解でございます。それは予算支出のための閣議了解ではございません。  それで、今度の国際環境保全会議につきましては、五十年度予算の編成時におきまして、この会議を五十年度に行うという問題になりましたので、予算編成ということの中で政府予算を決定して、国会で決定していただくということによって支出が認められたものと理解いたします。
  181. 受田新吉

    ○受田委員 これは、二十三年の閣議決定で、官庁その他への寄付禁止規定がある。そういうものとの関係から、つい思いつきで国際環境会議などへも——そういう学会がいまあるのですか、世界のどこかに学会があるなら、ちょっとお答え願います。
  182. 吉岡邦夫

    ○吉岡(邦)政府委員 世界的にはSCOPEと申しまして学会がございます。しかし、日本にそれに関連するまとまった学会は現在まで存在しておりません。したがいまして、今度の国際環境保全会議につきましてはそれぞれの学会が協力してやるという形でやっております。
  183. 受田新吉

    ○受田委員 思いつきのそういう会合へ勝手に閣議了解も得ないで財政支出するというような悪習を残しておくと、これは総理府の機関ですから、大変なことが起こると思うのです。長官、そんなあいまいな財政支出をほかのところでもやっておるのがあるのですか。閣議了解も得ないで勝手に財政支出を決める、そういうことが実際できるのですか。
  184. 植木光教

    植木国務大臣 国際会議を行います際に、閣議了解を得ましてから財政支出をするのではございませんで、事前に、何年に国際会議をやるということの了解を閣議で得るわけでございます。そういたしまして初めて、定期的に各国が受け持っております会議をわが国では何年度にやるということになりまして、諸外国に対しましてもお引き受けするということの意思表示ができるわけでございます。ただこの環境会議につきましては、そういうふうに各国がローテーションで開催するというものではございませんで、特別の会議でございますので、財政支出をするということをもって開催ができるということになったのでございます。
  185. 受田新吉

    ○受田委員 閣議は一週間二回あるのです。その毎週二回ずつある閣議も経ないで勝手にそういうことを決めた。その財政支出を決めたのはどこが決めたのですか。学術会議ですか。
  186. 吉岡邦夫

    ○吉岡(邦)政府委員 学術会議の中でこの環境会議を開催したいという意思表示をいたしまして、五十年度予算編成のときに総理府理解を得て、大蔵省に政府原案の中に入れていただいたわけでございます。
  187. 受田新吉

    ○受田委員 これは非常にややこしい問題を一つはらんでおるのですが、学術会議というものは実は学術会議法の中にも問題がある。二十八条「会長は、総会の決議を経て、日本学術会議の運営に関し、必要な運営規則を定めることができる」などという強大な立法権限のようなものを持っておるのです。そういうものが機関にあるのです。これは、そこで勝手に決められると、政府自身はなめられて、おれらが学術会議で勝手に決めたことに政府がタッチするな、おれらが勝手に国際環境会議をやるんだ、おれらのやることに何の干渉する必要があるかとやられたら、これはもう学術会議なるものが強大な独立機関、特別租界のようなものになるんですよ。その問題について総理府長官として非常な危惧を抱いてはいないかどうか。
  188. 植木光教

    植木国務大臣 冒頭申し上げましたように、学術会議にはいろいろな問題があるということの認識は私も持っております。したがいまして、会長とは数度にわたりましてお会いをいたしておりますし、また役員の方々ともお会いをいたしまして、私どもの意見も述べ、また御要望も聞いております。同時に、外部からございますいろいろな批判や意見につきましても、やはり会議自身も十分にこれにこたえていただきたいという要請もしているのでございまして、したがって、最近の総会におきまして学術会議の内部におきまして学術会議そのもののあり方について検討しよう、そういうようなことになってまいりましたことはやはり一つの前進だと私は思うのでございます。その点につきましては十分私も配慮をしてまいりたいと思います。
  189. 受田新吉

    ○受田委員 これで質問は終わりますが、この問題は非常に重大な問題をはらんでいる。したがって、次の機会にお尋ねしますから、いま指摘した問題をもっと掘り下げてお尋ねすることに答弁を用意しておいてください。  これで質問を終わります。
  190. 藤尾正行

    藤尾委員長 これにて給与関係法律案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  191. 藤尾正行

    藤尾委員長 これより各法律案を一括して討論に入ります。  討論の申し出がありますので、これを許します。中路雅弘君。
  192. 中路雅弘

    ○中路委員 給与の三法の改正案について、簡潔に討論をさしていただきたいと思います。  一般職職員給与改正についてですが、今次の改正案は、政府や財界のいわゆる賃金抑制ガイドライン一五%以下に抑えられた民間労働者の賃上げと同様の低水準でありまして、しかも、ことし四月の消費者物価指数の上昇率対前年同月比一四・四%をも下回るもので、配分の面でも上厚下薄の現行給与体系そのものを根本的に改善するという点では決して満足できるものではありませんが、公務員労働者の切実な要求を一定程度反映した改善案として賛成であります。  特別職職員給与改正ですが、引き上げ額は、高級官僚を含めた一般職職員給与引き上げ額の二倍にも達しておりますし、一般職職員の最低の引き上げ額の五倍に達する大幅であります。いま指定職のすでに二倍の給与を受けている特別職給与を引き上げなければならない緊急性もありませんし、民間労働者賃金水準や経済情勢から見ても差し控えるべきだと考えています。  防衛庁職員給与法の改正ですが、防衛庁職員給与の改正については、一般職職員給与改善に準じた引き上げについては一般隊員と家族の生活防衛という観点を考慮しまして、私たちもあえて反対する立場をとらず、前回は棄権することにいたしましたが、今回は別に、特に営内に居住する隊員の俸給月額を昭和五十一年二月から一律九千七百円引き上げることにしておりますし、これによりますと、自衛官は五十一年二月以降の俸給月額の引き上げ率が一七・四九%となって、一般職を大幅に上回るようになります。これは明らかな自衛隊の隊員の優遇措置であります。これまでの一般職職員との対応関係を崩してまでさらに特別に優遇しなければならない理由もありませんし、また今次改正案に盛り込まなければならない緊急性もないと思いますので、したがって、この点でこの改正案には反対をいたします。  以上で終わります。
  193. 藤尾正行

    藤尾委員長 これにて討論は終局いたしました。     —————————————
  194. 藤尾正行

    藤尾委員長 これより採決に入ります。  一般職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  195. 藤尾正行

    藤尾委員長 起立総員。よって本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  次に特別職職員給与に関する法律及び沖繩国際海洋博覧会政府代表設置に関する臨時措置法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  196. 藤尾正行

    藤尾委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  次に防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  197. 藤尾正行

    藤尾委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  なお、ただいま議決いたしました各法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  198. 藤尾正行

    藤尾委員長 御異議なしと認めます。よってさよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  199. 藤尾正行

    藤尾委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時六分散会