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1975-11-13 第76回国会 衆議院 逓信委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年十一月十三日(木曜日)     午前十時五十八分開議  出席委員    委員長 地崎宇三郎君    理事 宇田 國榮君 理事 加藤常太郎君    理事 志賀  節君 理事 羽田  孜君    理事三ツ林弥太郎君 理事 阿部喜男君    理事 古川 喜一君 理事 土橋 一吉君       小渕 恵三君    金子 岩三君       亀岡 高夫君    高橋 千寿君       坪川 信三君    長谷川四郎君       廣瀬 正雄君    村岡 兼造君       大柴 滋夫君    金丸 徳重君       久保  等君    米田 東吾君       平田 藤吉君    大野  潔君       田中 昭二君    小沢 貞孝君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 村上  勇君  出席政府委員         大蔵大臣官房審         議官      戸田 嘉徳君         大蔵省理財局次         長       原   徹君         郵政大臣官房長 佐藤 昭一君         郵政大臣官房首         席監察官    永末  浩君         郵政大臣官房電         気通信監理官  松井 清武君         郵政省郵務局長 廣瀬  弘君         郵政省貯金局長 神山 文男君         郵政省簡易保険         局長      中市 彩也君         郵政省人事局長 浅尾  宏君         郵政省経理局長 高仲  優君  委員外出席者         郵政省電波監理         局審議官    市川 澄夫君         参  考  人         (日本放送協会         副会長)    藤根井和夫君         逓信委員会調査         室長      佐々木久雄君     ――――――――――――― 委員の異動 十月二十八日  辞任         補欠選任   田中 昭二君     矢野 絢也君 同日  辞任         補欠選任   矢野 絢也君     田中 昭二君 十一月十三日  辞任         補欠選任   池田 禎治君     小沢 貞孝君 同日  辞任         補欠選任   小沢 貞孝君     池田 禎治君     ――――――――――――― 十月十一日  昭和二十四年五月以前の簡易生命保険契約に関  する特別措置法案内閣提出第一九号)  郵便貯金法の一部を改正する法律案内閣提出  第二〇号)  簡易生命保険法の一部を改正する法律案内閣  提出第二一号) 同月六日  郵便料金値上げ反対に関する請願伏木和雄  君紹介)(第三三七号)  簡易郵便局法等改正に関する請願外四件(徳  安實藏紹介)(第三三八号)  同外百三十五件(徳安實藏紹介)(第三五八  号) 同月十三日  簡易郵便局法等改正に関する請願足立篤郎  君紹介)(第三七七号) 同月十六日  郵便料金値上げ反対に関する請願平田藤吉  君紹介)(第八〇四号) 同月二十三日  郵便料金値上げ反対に関する請願増本一彦  君紹介)(第八四八号)  同(増本一彦紹介)(第一〇〇九号) 同月二十八日  郵便物遅配解消に関する請願鈴木善幸君紹  介)(第一一六五号) 同月二十九日  郵便料金値上げ反対に関する請願増本一彦  君紹介)(第一二〇四号)  同(近江巳記夫紹介)(第一二七七号)  同(沖本泰幸紹介)(第一二七八号)  同(鬼木勝利紹介)(第一二七九号) 十一月六日  郵便料金値上げ反対に関する請願中路雅弘  君紹介)(第一六六九号)  同(小林政子紹介)(第一六七〇号)  同(田代文久君外一名紹介)(第一六七一号)  同(津川武一紹介)(第一七一三号) 同月十日  郵便物遅配解消に関する請願關谷勝利君紹  介)(第一七五八号)  郵便料金値上げ反対に関する請願平田藤吉  君紹介)(第一九〇二号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 十月二日  簡易郵便局法等改正に関する陳情書  (第九七号)  第三種郵便料金値上げ阻止に関する陳情書  (第九八号)  テレビ難視聴対策に関する陳情書  (第九九号) 同月二十一日  郵便物の無集配地区解消に関する陳情書  (第一四六  号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  国政調査承認要求に関する件  参考人出頭要求に関する件  逓信行政に関する件      ――――◇―――――
  2. 地崎宇三郎

    地崎委員長 これより会議を開きます。  国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。  逓信行政に関する事項  郵政事業に関する事項  郵政監察に関する事項  電気通信に関する事項  電波監理及び放送に関する事項以上の各事項について、議長に対し、国政調査承認を要求することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
  3. 地崎宇三郎

    地崎委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ――――◇―――――
  4. 地崎宇三郎

    地崎委員長 逓信行政に関する件について調査を行います。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  すなわち、本件調査のため、本日、日本放送協会から参考人出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
  5. 地崎宇三郎

    地崎委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、参考人の人選、手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
  6. 地崎宇三郎

    地崎委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ―――――――――――――
  7. 地崎宇三郎

    地崎委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。阿部喜男君。
  8. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 きょうはNHK出席いただいておると思いますが、お見えになっておりましょうか。――では、お忙しい中、大変恐縮ですので、NHKの問題を先にちょっと触れさせていただきたいと思いますが、これは「月刊民放」の十一月号でございますけれども、この「月刊民放」十一月号で日本民間放送連盟会長小林さんがごあいさつをなさっております。そのごあいさつの中で受信料性格について触れておられるわけですけれども、読み上げますと、「NHKの徴収する受信料は、自らの放送受信に対する対価ではなく、全民放をも包括したすべての放送受信に対する受信者出損考えるべきものであります。」と、これを基本にして以下難視対策等についていろいろ述べておられるところでございますけれども、この会長のおっしゃるように、NHK受信料というものが全民放も包括して受信者出損させておるものかどうか、こういう点について監督官庁郵政当局NHKの方のお考えを承りたいと思うわけです。
  9. 村上勇

    村上国務大臣 お答えいたします。  NHK受信料につきましては、昭和三十九年に出されました臨時放送関係法制調査会答申におきまして、受信料は、「国家機関ではない独特の法人として設けられたNHK徴収権が認められたところの、その維持運営のための「受信料」という名の特殊な負担金と解すべきである。」と述べられておりまして、省といたしましても受信料性格をこの答申に述べられているように考えております。  したがいまして、現行法上の受信料は、民放を含むすべての放送受信に対する受信者出損ではなく、NHK維持運営のための特殊な負担金であると考えております。
  10. 藤根井和夫

    藤根井参考人 お答えいたします。  現在の受信料制度は戦前からの受信料制度を受け継いだものではございますが、昭和二十五年に新しい放送法ができました際に、NHK民放二本立ての構想の基本体制が発足したわけでございます。その際に、それぞれの経営基盤としてNHKには広告放送を禁止する、受信料収入によるということが定められ、また民間放送につきましては、広告放送収入によることとするという基本的な考え方が定められたわけでございまして、また、いま大臣から申されましたように昭和三十九年の郵政省臨時放送関係法制調査会答申におきましても、受信料性格につきましてNHK徴収権が認められたところの、その維持運営のための特殊な負担金と解するのが妥当であるという考え方が述べられております。  したがいまして、わが国の放送基本体制から考えましても、また受信料性格から考えましても、受信料が全民放をも包含したすべての放送受信に対する受信者出損というふうに私ども考えておりません。
  11. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 大体私もそれで非常に明確になったと思います。  そうすると、この民放会長あいさつにある受信料性格については、少なくとも監督官庁である郵政省の解釈としてはそういうものではない。あくまでもNHK受信料であって、民放を包括するものではないという明確な大臣の御答弁があったのでございますが、そうすれば、こういうものが誤っておるということについて、監督官庁としても指導があってしかるべきだと考えますが、この点はいかがでしょうか。
  12. 市川澄夫

    市川説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生が御指摘になりました去る十月六日の民放連大会におきます小林会長お話内容は、私ども雑誌等を通じまして承知をいたしておるところでございますが、その中で小林会長自身がお述べになっておられますように、私見であるというような前置きがなされておると承知をいたしておるわけでございます。したがいまして、郵政省に対しまして現時点におきまして、小林会長の御発言民放全体の意思である、見解であるというようなお話は伺っていない段階でございます。  現時点におきましては、会長私見に対しまして郵政省がとやかく申し上げる段階ではないと思いますが、仮にお取り上げになったような問題につきまして正式に民放連として御意見の御表明がございますれば、ただいま大臣がお答えを申し上げたようなことを郵政省としては申し上げるつもりでございます。
  13. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 私見であるという前置きがあるからわれ関せずだ、こうおっしゃっておるのですけれども、そうおっしゃるならば、この私見を受けてと思われますけれども、十月二十一日の毎日新聞の「テレビ週言」というところの記事によりますと、この私見を受けて数日後にある民放テレビの社長が記者会見で、「視聴者民放も見ているから満足して受信料を払っている。それなのにNHKは、民放と共同で何かやるとき、ちょっぴり多くしか、お金を出さない」と不満を述べておるというふうに、これは記者会見でやっておるわけですね。  こういうふうに、明らかにこの会長私見を受けて民放内部においては相当多くの方々が、それが当然であるがごとき発言をなさっておる。それも各民放の自由でございますから監督官庁である郵政省はわれ関せずでございますということになるのか、こういう問題が私見であろうと何であろうと提起をされた時期に、速やかに行政指導と申しますか措置をするのが責任か、その辺をもう一遍お答え願いたいのです。
  14. 市川澄夫

    市川説明員 ただいま先生指摘のように、民放内部におきまして、会長が御発言になりましたような御意見をお持ちの方々が相当おられるということは、私ども承知をいたしております。  そういう考え方につきましては、折に触れてこれまでも郵政省考え方説明をいたしてきたわけでございますが、なお、ただいま先生の御指摘のようにこういう会長発言もございましたので、改めて郵政省考え方はよく説明をいたそうと存じております。
  15. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 大体この問題、また改めて放送協会に対する質疑の際に取り上げたいと思いますが、もう一点聞きたいのは、いまNHK基本問題調査会を委嘱をされてお開きになっておるようですが、ここでそういう議論をなさっておるかどうか、大綱だけ、それだけで結構です。
  16. 藤根井和夫

    藤根井参考人 基本問題調査会におきましては、民放との関係についていろいろ御議論は出ております。議論内容としましては、現在のNHK民放の二本立て体制についてのいろいろな議論、あるいは民放NHKとの競合関係とかあるいは協力関係などに対する議論、そういったものが内容でございます。
  17. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 わかりました。御多忙のようでございますし、NHKに対する質問は終わらせてもらいますから、どうぞ参考人の方お引き取りになって結構でございます。  次に移らせていただきます。  大臣政府が第四次不況対策として公定歩合の引き下げを行う、そこで銀行の利ざやを補償するために、預貯金金利引き下げを強引に推し進めてまいりました。そして郵政省に対しても郵便貯金金利引き下げをという問題が提起をされ、すでに十一月四日からこの郵便貯金金利引き下げられたようでございますけれども、この郵便貯金金利引き下げに対して郵政当局はどのように考え、どういう態度をとってこられたのかをお聞かせ願いたいと思います。
  18. 村上勇

    村上国務大臣 お答えいたします。  郵便貯金国民大衆に利用されている少額貯蓄手段でありまして、預金者利益を十分考慮するとともに、一般金融機関預金金利にも配意して決めるものでありますが、当面の深刻な不況を克服するため、金利水準全面的引き下げが強く要請されておりますので、郵便貯金利率をどうするか、郵政審議会諮問するとともに多方面の意見を聞いてまいったわけであります。その結果、現下経済情勢のもとでは郵便貯金金利引き下げはやむを得ないとの結論に達したものであります。
  19. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 大体結論はそういうことであったように私も了解をしておりますけれども、そうすれば、郵政審議会諮問をされる前に郵政当局貯金金利引き下げについて強い反対態度を示したというふうに新聞報道されておりますが、もしいま大臣のおっしゃるように、現下経済情勢全体をにらみ合わせて郵政審議会諮問をしてやむを得ぬものであるという結論が出るということであるならば、何もその以前に郵政当局金利引き下げに強い抵抗を示す理由はないのであって、郵政当局が強い抵抗を示したということは、それなりに郵政当局のお考えがあったのではないか。結果的に政治全体の問題として押し切られたとしても、少なくとも審議会諮問をする以前において、新聞報道等によれば、明らかに郵政省は平口で言えば抵抗しておる、金利引き下げ反対しておる。それはいま大臣答弁のように、現下経済情勢をにらみ合わせて郵政審議会にお諮りして、その結果賛成をした、こうおっしゃっておるけれども、それではなぜ事前に抵抗したのです。そこのところ、意味が全く矛盾してくるような気がするのですが、もう一度明確に経過を知らせていただきたいと思います。
  20. 神山文男

    神山政府委員 私から若干経過を加えて御説明申し上げます。  九月十二日でございましたか、大蔵省の方から事務的に貯金金利引き下げに協力してほしいという要請がございまして、ただいま大臣が申し上げたように、省といたしましては、郵便貯金少額貯蓄手段である、それで貯金法趣旨からいっても預金者利益を考慮するという立場から利下げについてはいろいろ問題点があるということで大蔵省に対して申し上げたわけであります。金利引き下げ必要性というものがあるなら十分説明をしていただきたい、われわれがその説明を聞いた上でその判断をいたしたいということで、それから幾回も大蔵省と事務的な折衝をいたしまして、郵便貯金立場も申し上げ、また大蔵省からも当面の経済情勢、それから景気回復策必要性というものについてるる説明がありました。そういうことを何回か繰り返しまして、最後郵政審議会諮問をするということになったわけでありますけれども、その間において、相当両方の主張を述べ合って両方立場説明し合ったわけでございまして、郵政省景気対策不況対策についての省ではございませんので、大蔵省のそういう立場説明を受けた、それでその必要性も相当重要であるということでありまして、先ほど大臣から申し上げましたように、それでは両方問題点があるので、総合的に郵政審議会に御審議願って御答申をいただくのがよかろうということで諮問を申し上げた次第でございます。
  21. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 郵便貯金利率変更に当たっては、法第十二条で、これは審議会諮問をしなければならぬことになっておるように私は思うのです。いま局長お話ですと、してもせぬでもいいんだが、最後にしたんだ、結論が出ないため審議会諮問したというふうに聞いていたんですけれども法律の上では、貯金金利変更のときには審議会諮問せんならぬというふうに義務づけられておると思いますが、どうですか。
  22. 神山文男

    神山政府委員 阿部委員のおっしゃるとおり、郵便貯金法第十二条の三項で郵政審議会諮問をしなければいけないということになっておるわけでございます。  それで、実は郵政審議会に二回諮問をするという経過をとっているわけでありまして、第一回目は、先ほど私から申し上げましたように当面の不況対策金融対策、そういうものの重要性、それから郵便貯金利率引き下げの重要な問題であるという点、そういうことを総合的に検討していただくために、金利のあり方についてという諮問の仕方をいたしまして、第一回の御答申引き下げやむなしという御答申をいただいて、それで第二回目に具体的な利下げ諮問をいたしまして、御答申を得て実施に移した、こういうことでございます。
  23. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 私がお伺いしておるのは、郵政省郵便貯金金利変更について仮に大蔵省の言うことが了解ができたとしても、いずれの場合でも郵政審議会諮問をしなければならないのがたてまえではないですか、こうお伺いしておるのです。
  24. 村上勇

    村上国務大臣 そのとおりであります。そこで、私、補足しますと、私どもとしては、いわゆる第四次不況対策の一環として金利水準を下げるという、これは総理の施政方針演説の中にもありましたが、そういう方針政府が決めたことは承知しております。しかしながら、郵便貯金は多数の国民の零細な貯蓄集積でありますだけに、何とかしてこれだけはこの際見逃していきたい、こう思って、ずいぶん政府に対して抵抗しました。しかし新聞で御承知のように、ある日、大蔵大臣次官を連れて郵政省に参りまして、この不況対策はどうしても金利引き下げを実行しなければいけないんだと、いろいろと一時間余にわたって説明を受けまして、私どもも、いまの時局というか客観情勢重要性を十分認識することができましたので、いろいろと検討した結果、一応郵政審議会諮問を申し上げたというようなことでありまして、金利引き下げの話が出ると、すぐ郵政審議会に持っていったものでなく、その間、相当の期間あらゆる角度から預金者利益を守るために抵抗してみたことはそのとおりであります。
  25. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 郵政大臣並びに郵政当局は、この貯金金利引き下げ預金者立場に立って非常に努力をされた、そういうことは私も新聞等を見て十分承知をしておるのです。しかし、どのように努力をされたとしても結果的には引き下げになったわけでございますから、いわば実らない努力であった。特に、大蔵大臣が頭を下げてきたからというので、大臣が情にほだされたとすれば、これは大臣ちょっと許しがたいことでございまして、預金者立場を守ってもらわなければならない大臣が、大蔵大臣次官が頭を下げてきたから仕方がなかったというのでは困るので、国民の零細な預金者立場からして、私はこれはきわめて不届きだと思いますけれども、すでに決定したようですから、その経過を明らかにしながら、今後この種の問題が再び起こることのないようにしていただきたいと思います。  そこで、先ほどから私がくどく申し上げておりますが、貯金局長、この法第十二条の第三項で郵政審議会諮問をしなさいと決められておるその精神は一体どこにあるのでしょうか。
  26. 神山文男

    神山政府委員 郵便貯金は広く国民大衆の零細な貯金集積であるという立場に立ちまして、版金者利益増進、それから福祉増進、そういうことを図っていく立場でありますので、これが金利の決定については慎重に、また各方面の意見をお聞きした上で決定しなければいけないということで郵政審議会審議をいただき、その御答申をいただくということになっているものと存じます。
  27. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 私が読みますが、貯金法の十二条に、これは大臣予算委員会等で耳にたこのできるほど聞いておられる条文でございますが、「郵便貯金には、政令で定める利率により、利子をつける。」「前項の規定により政令利率を定め、又はこれを変更する場合には、郵便貯金簡易で確実な少額貯蓄手段としてその経済生活の安定と福祉増進のためにあまねく国民大衆の利用に供される制度であることに留意し、その利益増進し、貯蓄の増強に資するよう十分な考慮を払うとともに、あわせて一般金融機関預金利率についても配意しなければならない。」この目的を達するために、郵政大臣が第一項の規定によって郵政審議会諮問をするのだ、こう私は理解しておるのですが、間違いがありますか、ありませんか。
  28. 神山文男

    神山政府委員 そのとおりと存じております。
  29. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 そうすると郵政審議会委員というのは、そういう立場に立って、この十二条の目的を達成するための郵便貯金金利変更についての審議を行う人であり、それにふさわしい方々委員になっておられると理解しなければならないと思いますが、この点も間違いありませんか。
  30. 神山文男

    神山政府委員 そのとおりでございます。
  31. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 郵政審議会への格間は何日に行われましたか。
  32. 神山文男

    神山政府委員 たしか十月七日と記憶しております。
  33. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 私の調査でも十月七日に諮問をされたことになっております。ところが、ここに幾つかの新聞がありますが、毎日新聞を例にとりましょう。毎日新聞では九月二十六日の朝刊の七面でございますけれども郵政審議会会長である土光さんが諮問をする十日前に、郵政審議会預貯金金利審議をするというようなことは全く無用だという郵政審議会無用論を打ち出しておられます。裁判で言うならば、すでに予断を持った裁判を行うことを意味します。郵政審議会会長が、郵便貯金金利変更についての諮問が無意味なものであるということを、諮問の前に発言をするということは、当を得たものであるかどうかお伺いしたいのです。
  34. 村上勇

    村上国務大臣 私の聞いておるところでは、土光会長発言は、景気対策には機動性が必要であるという趣旨を強調されたものでありまして、郵政審議会が無用だというものではないと承知しております。  なお、私といたしましては、今後とも郵政審議会が円滑に運営され、その重要な任務を十分に果たされるように配意してまいりたいと考えております。
  35. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 この新聞報道に誤りがなければ、土光会長は、郵便貯金金利が一々郵政審議会に諮らなければならないというのは困る、郵便貯金法十二条は改正すべきだ、金利政策政府の責任ある人が一元的に決めることができるような体制をつくるべきだというふうに述べておられます。明らかにこれは貯金法十二条を否定する発言です。単に機動性を持てというふうな内容のものではない。単に機動性を持って貯金金利を決めるような内容ではなく、明らかに郵便貯金法十二条を否定をする、しかもそれは諮問が行われる十日も前に新聞記者に発表しておる。幾つかの新聞にたくさん出ております。そうすると、これは明らかに予断を持って郵政審議会に臨まれたと見なければならないと思いますが、どうでしょうか。
  36. 村上勇

    村上国務大臣 十月七日の第一回の郵政審議会の際に、土光会長から発言を求められまして、こういうようなことが伝わっておるけれども、そういう事実はありませんということをはっきり了解を得て発言をいたしております。
  37. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 大臣郵政審議会貯金金利変更諮問するということは、法律で決まって、国民がひとしく、特に預金者がひとしく認めておるところです。そうでしょう。そのひとしく認めておる郵政審議会会長が少なくとも新聞に発表されておるのですよ。その新聞に発表されたものが、審議会の中でたまたま、私はそういう趣旨ではなかったとか、私はそういうことを言っておりませんと言ったって、一体国民の側はどう受け取るでしょうか。国民の側はこの新聞報道を正しいものとして受け取るのは常識じゃないでしょうか。大臣が一人一人の国民にお会いになって、いや、土光会長が言ったのはそうじゃなかったのだ、審議会でこう聞きましたと言って歩けばともかく、恐らく大臣だってそれはできぬでしょう。そうすると国民の側が受け取る場合には、やはり公表された新聞の記事を正しいものとして受け取って、委員会の中での土光会長発言などというものはほとんど国民の耳には届いていない。私もいま初めて聞いたのです。届いていないと思います。国民の側から見れば明らかに、土光会長貯金金利については貯金法十二条の目的を達するための審議会委員としては不適格だ、こう考えるのは常識じゃないでしょうか。どう考えますか。
  38. 神山文男

    神山政府委員 私ども承知しておりますのは、郵政審議会の冒頭でございますが、委員の中から、先生のおっしゃるような発言についての真意はどうなのかという質問がございまして、会長がそこで、私の発言について釈明をしておきたいと申されて、実は記者との懇談会においていろいろの問題が出て、その発言の中に、景気対策についての話がありまして、それに対して機動性云々と先ほど大臣が申し上げたような発言をした、そういうのがああいうふうな記事になったのである。私としては郵便貯金法の十二条というようなことについては全然発言していない。ただ、ああいう記事が出ることになったということについては、私の不徳のいたすところであるというような発言がございまして、私ども承知している限りは、土光さんのその審議会における発言ということでございまして、そこでは各委員からその発言について了承があったというふうに承知いたしております。
  39. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 貯金局長答弁はピンぼけしておるのですよ。それは大臣からさっき話があったのですよ。国民の側が受け取るときにどう受け取るかとぼくは言うのです。  私は、ここに二つ新聞を持っていますが、一つの方の見出しは「会長自ら“無用論”」、もう一つの見出しは「郵貯法改正はかれ」。新聞記者がみんな聞き間違って、土光会長が言ったのはそういうことではなかった、そうあなた方は理解するのですか。それではこの新聞記事は一体どうなるのですか。新聞記者がうそを言ったということになるのですか。それではなぜ、もしそれがうそであるならば、記事の訂正をするとか、あるいは土光会長みずからが訂正を求めて、はっきりすべきじゃないですか。それを、あなたは土光会長がたまたま審議会でこう言いましたと言うけれども審議会でどう言ったかというのは国民は知らないのですよ。国民の側から見ればこの新聞報道がそのまま伝わっておるのですから、そういう人間が郵政審議会会長をやられたのではたまらない、みんなそう思いますよ。ならば、仮に本心がどうであったにもせよ、これだけはっきりマスコミに書き立てられて、郵便貯金法十二条を否定するような、そういう人が郵政審議会会長であることに対して、国民は強い不満を持っておる。任命権者である郵政大臣は、この際、少なくともこの土光会長については郵政審議会からやめてもらうように、ぼくは措置をとってもらいたいと思います。
  40. 村上勇

    村上国務大臣 土光会長の口からも、郵貯法十二条については何らそういうことは触れておらぬというようなことでありまして、私も第一回の審議会土光会長の釈明の意見を聞いて、各委員も納得したようでありますし、そういうことについても、別に何か他意あって言っておることではないというように解釈しております。
  41. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 大臣郵政審議会というのは、私がさっきから言っておるように、郵便貯金法十二条によって、いわば大臣が任命するけれども国民の意思を代弁する、負託をされた委員会だ、だからこそそこに諮問をしなければならないという義務づけがある、そう理解をすべきなんですね。その審議会会長たる者が無用論を十日も前に出しておるのですよ。諮問をする十日も前に出しておる。これをもし大臣がおっしゃるように、審議会土光会長が釈明をしたのならば、なぜそのことをみんな国民に納得できるように郵政審議会の権威においてやらないのですか。郵政審議会というものが権威あるものならば、国民の負託にこたえ得るものならば、土光会長の記事は訂正をしてもらわなければならないし、審議会そのものもそのことを明確に国民に知らしめなければならない。しかし、そういう措置もとられていないし、また仮に土光会長の真意がどうであったとしても、これだけの新聞の記事になった以上は、国民の側から見れば、これはどんなに弁明をしようとも、新聞記事が誤っておりましたという訂正が出ない限り、納得できる問題ではないでしょう。そうすると、任命されました郵政大臣としては、これはやはり不適格でございますからやめてもらう。私はむしろ、この問題が出たときに、土光会長みずからが審議会のメンバーとして加わることを遠慮すべきだと考えた。それをのこのこ出てきて釈明をしたから――大臣は釈明が正しい、こうお考えのようですけれども国民は皆知らないのですから、土光さんというのは、あらかじめ予断を持って、貯金金利引き下げるという方針審議会に臨んでおるのだ、こういうふうに考えるのは常識じゃないでしょうか。これはとにかくここまできた以上は、身から出たさびです、土光会長にやめてもらう、これをひとつ大臣明確にしてください。
  42. 村上勇

    村上国務大臣 阿部さんの御意見のようでありますならば、これは十分考えなければならぬことだと思います。しかし、私の承知している範囲では、そういう事実はないのだということをはっきり審議会で釈明しております。そういう点から、いま直ちに阿部さんの言うように措置するということは考えもの、だと思っております。
  43. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 郵政部内にはいろいろな犯罪が起こります。その犯罪が起こったときに、いろいろな問題が起こったときに、片方だけの言い分を聞いて、大臣、あなたがそうおっしゃるのですからといって処置をおつけになりますか。恐らく大臣は真相を究明された上で措置をおつけになると私は思います。ならば、土光さんが釈明をしたからそれが正しいのだということで、この膨大な新聞報道を無視して、土光さんの釈明だけを措信されるという態度は片手落ちではないでしょうか。もしそういう態度大臣が郵政業務の運営に当たっておられるならば、これは大変な問題です。どうでしょう。
  44. 村上勇

    村上国務大臣 委員全員の前で表明されておることでありますので、私もその表明を信用する以外になかったと、かように思っておりますが、もしあなたのお考えのような、その気持ちなりあるいはそういうようなことが事実でありますならばこれは容易ならぬことでありまして、この点についてはひとつ私ももう一度よく真想を究明していきたいと思います。
  45. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 せっかく大臣が真想を究明してということでございますから、真相を究明した上で適当な措置をとっていただくように、強く要望をいたします。  この問題はこれで終わるのではなく、実はこれが後に尾を引いているのでございます。  十月二十四日のこれは日経新聞でございます。郵政審議会答申が行われたのは十月二十三日と私は記憶しております。十月二十三日に郵政審議会答申が行われた、その翌十月二十四日の日経新聞には、今後銀行預金郵便貯金金利を一体的に調整することで、郵政省大蔵省が合意をしたということが載っておるのです。これは一体どういうことですか。
  46. 神山文男

    神山政府委員 そういう事実は一切ございません。
  47. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 そうすると、局長もごらんになったと思いますが、十月二十四日「預貯金金利一体的に調整」「政府・自民合意」「まず審議会見直し機動的金融政策めざす」と、そして書き出しが、大蔵、郵政両省と「自民党金融問題調査会(会長黒金泰美氏)は金利決定問題について非公式に折衝を続けていたが二十三日までに「金融政策を機動的に運営するため、今後は銀行預金郵便貯金金利を一体的に調整(変更)する」ことで原則的に合意した。」こういうふうになりまして、さらに具体的な措置として「大蔵省筋によると金利決定を一体化する方法としては、臨時金利調整法か郵便貯金法のいずれかを改正して、金利決定の一元化を図るのが最も効果的とみられているが、一挙に法改正するのには抵抗が強いことから、当面は郵政審議会金利調整審議会の運営の仕方、委員の構成について見直すことから始める考えである。」というふうに、こう出ております。もし郵政省にそういう事実がないのならば、大蔵省きょう御出席いただいておるはずでございますから、大蔵当局の「大蔵省筋」というこの筋の方から答弁をしていただきたいと思います。
  48. 戸田嘉徳

    ○戸田政府委員 いまの御質問にお答えをいたしたいと思います。  今回の金利引き下げにつきましては、先生承知のように、政府としまして、日本経済の今後の発展のためにはどうしても引き下げざるを得ないということで、いろいろとそういう措置がとられたわけでございますが、御承知のように、一般の市中金融機関の預貯金金利変更というのは、これは日銀にありますところの日銀の政策委員会というものでこれを変更決定していただくというふうに臨金法でなっております。片や郵便貯金につきましては、これは先生重々御承知のように、郵政大臣の所管されますところでございまして、郵政審議会の議を経まして、郵政大臣政令改正という手続でこれを変更されます。さように、いわば金利の決定の機構が二つに分かれております。そこで、それぞれ歴史もあるわけでございます。実際に預貯金金利変更いたそうとしますと、どうしてもこれは市中の金利郵便貯金金利というものは、整合性を持って動かしていただかないとうまくいかないわけでございます。そこで、今回も大蔵省といたしましては、郵政御当局といろいろと御相談いたしましてかように措置いたしたわけでございますが、その間非常に郵政御当局から御協力をいただきましたけれども、巷間言われておりますように、かなりの時間がたったわけでございます。  われわれが今後のことを考えてみますと、日本の経済というのは、世界経済が非常に複雑な、かつ流動的な事態になってきております、その中の一つである日本の経済というものは、さながら暗礁の多い海を巧みにかじを取って渡っていかねばならない、そういうような事態に立ち至っておるわけでございます。そこで、今後ともこういう金利の操作というのは不可避なわけでございますが、その場合に、できるだけこれを円滑に行ってまいりたいというのが私どもの希望でございます。そこで、そういう点を郵政御当局にもお話ししてございます。決して、いま先生が申されたように、そこで合意されたとか、そういう段階でございません。しかし私どもとしては、これからも郵政御当局ともよくお話しして、どうやればできるだけこういう金利変更が弾力的に円滑に行われていくか、それをお互いにひとつよく研究し、また御相談いたしましょう、いたしてまいりたい、こういうふうに申し上げてある、こういうことでございます。
  49. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 貯金金利についてるる説明がありましたけれども、これはまた後で伺います。  貯金局長、お伺いします。そうすると、この新聞記事のことはあなたは知らないとおっしゃるけれども大蔵省からそういう趣旨についての申し入れなり相談があったことは、これは事実ですね。
  50. 神山文男

    神山政府委員 金利引き下げの過程において大蔵省といろいろの意見を交換しておりますが、大蔵省銀行局側から実質的に一体的な運営ができるようなことを考えてくれないかという発言はございました。しかしこれに対して、私どもとしては貯金法の十二条の趣旨からいっても、国民少額貯蓄手段としての立場があり、預金者利益擁護という立場がありますので、そういう機械的な一体性ということについては反対するということを申し上げております。
  51. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 大蔵省にお伺いしますが、いま預金貯金金利についていろいろお話がありましたけれども、一体銀行預金郵便貯金というものの性格の違いを大蔵当局はどうお考えになっておるのですか。
  52. 戸田嘉徳

    ○戸田政府委員 郵便貯金は、郵便貯金法にもございますように、その趣旨としましては、個人の、特に零細な個人の貯蓄というものを集めていかれる、そういう趣旨だろうと思っております。一般金融機関につきましては、これはそういう零細な庶民も含めまして、全国民預貯金を扱っていく、かように考えております。
  53. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 郵便貯金も全国民なんですよね。郵便貯金も全国民です。ここのところは間違わないようにしておいてもらわないと。その口数も、銀行預金よりも郵便貯金の方が多いのです。  ところで、いまあなたは一般金融機関という言葉を使われましたが、かつて私は、水田さんが大蔵大臣のときに郵便貯金の問題について議論したことがあります。郵便局は金融機関ですか。
  54. 戸田嘉徳

    ○戸田政府委員 いささか不正確な表現をいたしました。広い意味では金融機関だと思います。
  55. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 それは当時の水田大蔵大臣答弁とは食い違うのですよ。水田大蔵大臣は、郵便局は金融機関であるとは考えていない、こう答弁をされております。そして、あくまでま庶民の零細なお金を預かる機関であって、融資をしないから金融機関的な性格を持ちませんということが当時の水田大蔵大臣から私に対する答弁でございます。したがって、私は今日まで郵便局は金融機関とは考えていなかったのです。いまあなたのお考えでは、広い意味では金融機関だ、こうお答えになりましたが、水田大蔵大臣答弁との食い違いをどう調整をされますか。
  56. 戸田嘉徳

    ○戸田政府委員 私が申しましたのは、よって広い意味と申し上げたのでありまして、いやしくも金融に携わる、預貯金とかあるいは貸し金とか、そういうものでありますと、これはやはり広い意味では、広義では金融機関と申して差し支えないと思います。いま先生がおっしゃいました、あるいは水田大蔵大臣が申し上げましたのは、いわゆる狭義の金融機関、これには入らない、こういうふうに考えさせていただきたいと思います。
  57. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 あなたは大蔵省審議官だろう。大蔵大臣は広いとも狭いとも言わずに、郵便局という機関は金融機関とは考えておりません、零細な庶民のお金を預かることは預かりますが、融資はしておりませんから、金融機関ではありません、こうはっきり私に答えておられるのです。あなたの、たとえ広い意味にしろ郵便局は金融機関であるという法的な根拠は一体どこにあるのですか。金融機関であるとするならば、金融機関を国営にしなければならない根拠は一体どこにあるのですか、明確にしてください。
  58. 戸田嘉徳

    ○戸田政府委員 法的に金融機関の定義というのは、私、不勉強でどういう根拠で法律にそういう規定があるかというのはちょっと存じておりません。よく勉強いたします。  いま先生の御質問のありました第二の点でございますが、郵便貯金が最初発生いたしましたころ、そのころ、これは郵政御当局の方が十分御承知でございますけれども国民全体に貯蓄というような思想もまだ非常に不十分でございます。また所得も、当時は一般的にそんなに高くない。しかしながら、やはり国民の生活の安定、福祉というようなことを考えれば、できるだけ各国民貯蓄をしていただきたい。それには、なかなか一般金融機関では、当時店舗の数も少のうございましたし、また一般国民の方に対しなじみが非常に薄かった、かように聞いております。そこで郵便局というものが郵便貯金をおやりになって、これは言い伝えでございますが、最初のころは、郵便局の職員の方が非常に苦労して、ときには、語弊があってはいけませんけれども、何か貯金をされるとごほうびを与えるというようなことも、個人的にでございますね、そういうことまでやられたというようなことをちょっと聞いておりますが、不正確かも存じません。そういうような形で国民貯蓄心を涵養し、各国民の方にできるだけ貯蓄をしていただいて、それを広く慣習づけるといいますか、それによって各国民の方の生活の安定に資する、いわば補完的に、市中金融機関だけに任しておいたのでは当時としては非常に不十分だったということで、国がそういう制度を設けられた、かように考えております。
  59. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 これは貯金法でも明らかなように、郵便貯金というのは庶民の零細な預金を確実に、しかも庶民福祉目的として設けられておる、これは法律にそう規定されておるのです。ところがそれをいまあなたは金融機関の補完的なものとしてつくったのだというふうにおっしゃいましたね。補完的なものとしてつくったのならば、これを国営にする必要はないし、郵便貯金の集めたお金を資金運用部に入れなければならない理由は一体どこにあるのですか。
  60. 原徹

    ○原政府委員 資金運用部を担当しております理財局の次長でございますが、郵便貯金国民の零細な貯金を集めて、そして、郵便局も政府の機関でございますから、政府のお金になる。国民大衆利益増進するためにどうすれば一番有効な方法か。こういう問題であろうかと存じます。  いま先生承知のように財政投融資計画というのがございます。それの非常に大きな部分が郵便貯金から来ております。ただしこれは郵便貯金だけではございませんで、厚生年金とか国民年金とかの積立金がございます。そういうものを別々に運用した方がいいのか、統合して運用した方がいいのか、そういう問題になろうかと存じます。それは別々に運用いたしますと、それぞれの機関が別の目で見るわけでございますから、いわゆる重複の投資ということが起こり得る。それから財政投融資計画はもちろん有利、確実という原則――利息のつく金でございますから有利、確実に運用しなければならないことはそのとおりでありますけれども、機能といたしましては財政の補完の機能を持っております。  それから貸し出し先も、たとえば住宅金融公庫に貸すというような、金融面の補完――補完と申しますか、それとの調整を図らなければなりません。そういうことから考えますと、集まったお金を統合して、しかも財政政策、金融政策との調整を図りつつ運用するのが一番国民大衆利益増進に役立つものである、そういうふうに考えているわけでございます。
  61. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 ちょっと詭弁だという気がするのですが。厚生年金とかそういうものは最近できた制度でして、郵便貯金というのはもっとずっと歴史の古い制度なんですよ。  ところで、ぼくがお伺いしたいのは、これは資金運用部に預託をしなければならないと取り決められておるわけです。ところが金融機関だという解釈に立てば、もともと郵便貯金郵政大臣が所管をするわけでございますから、当然郵政省金融機関の一役を担って融資等も行う、そして預金者に対する利益を守っていく。何もこれを、庶民の零細な金を資金運用部に持っていかなければならないという理由はない。私は、これはそういうものではないと思う。郵便貯金というものの性格が、一般金融機関に預託をされるお金と性格を異にする、国民の零細なお金を国が確実に守ってあげなければならない、その意味で国営にし、したがってこれが資金運用部に回っていく、そういうシステムになっておるんだと思うのです。もしそうでなくて単なる銀行の補完的な意味でつくってあるのならば、その運用は当然責任者である郵政大臣に任せられてしかるべき筋合いのものだと思うのです。ここに一般の民間の金融機関との違いがあるというふうに私は理解をする。大蔵省の方では民間の金融機関も郵便局も一緒だ。しかし明らかに水田さんは金融機関ではありませんということを申されました。そこで、今度民間の銀行の貸出金利を下げる、いわゆる公定歩合を下げるから、預金金利も下げる。それは銀行を利用しておる方々にとってはそれでいいでしょう。借りる方も下がったのだから貸す方も下がる。実際には貸す方は大企業に貸して、預けてある一般の人は非常に零細な方が多いのですけれども、しかし少なくとも銀行という金融機関を利用する限りにおいてはこれは貸し出しと預入が一緒になるわけでございますから、貸してもらう方の金利が下がれば預ける方の金利が下がるのもある程度やむを得ぬかもわかりません。しかし郵便貯金というものは本来そういう目的で運用されていないのです。金利を求めて利益をためるために運用されていない。だから集まったお金は資金運用部に持っていく。そういう国が責任を持つシステムになっておるはずです。したがって、端的に言うならば郵便貯金というものと民間の預金とは性格が違うものである。もし郵便貯金金利を公定歩合と連動させて下げるというならば、郵便貯金を預けた人たちが銀行と同じように貸し出しを受ける制度をつくらなければならないと私は考える。そういう制度はないのです。したがって、銀行預金郵便貯金は明らかに性格の違うものであるから公定歩合とは無関係のものであるといわなければならない。ですから、いま私が大蔵省にお伺いしたいのは、あくまでも郵便局が金融機関の一環である、補完的なものであるというお考えならば、その預かったお金の運用についても郵政当局がおやりになるべきであって、その場合には郵政当局は貸し出しもするから、貸し出しの金利を下げれば預かる金利も下げなければならぬでしょう。そういうことになってくると思うのです。しかしそうでなくて、零細な庶民の金を国が責任をもって預かりますということになれば、これは銀行預金のように貸し出しの金利と連動すべき性格のものではない。もちろん私は完全に無関係であるとは言いませんよ。完全に無関係だと経済が壊れますから完全に無関係であるとは言わないが、直ちに連動する性格のものではない。そこに郵便貯金と銀行預金の違いがあるというふうに理解すべきだと思うのですが、どうでしょうか。
  62. 戸田嘉徳

    ○戸田政府委員 確かに郵便貯金はごく一部の貸し出しはございますけれども、その大部分は財政投融資の原資になるわけでございます。そしてそのお金が財政投融資を通じまして政府関係金融機関とかあるいは公庫、公団というようなものの原資になっていくわけでございまして、たとえば政府関係金融機関をとりますと、まさにそういうクッションは置いておりますが、郵便貯金の金がそういう形で国民の皆様に資し出しに回っていく、こういうことでございます。そこで、先生がいまおっしゃいましたようにどうも融資という方が間接である、だからそれは金融機関と言うに値しないとおっしゃれば、そういう定義であればまさにそのとおりであろうと思います。  ただ、私どもとしまして、ただいまの制度というものが先ほど原次長が申し上げましたように全体として非常に効率的であり、しかもその政府関係金融機関というものはあくまで補完金融でございまして、一般金融機関でなかなか借りられないような方々、しかも国民生活に必要、あるいは国民経済上必要だというものに貸していく、こういう形に相なっておるわけでございまして、そこでただいまのような制度ができているわけでございます。  そこで先生が、それでは公定歩合と郵貯の金利というものは必ずしも連動せぬという理屈ではないか、こういう仰せでございます。しかしながら、連動という言葉は確かにいろいろ問題があるかと思いますが、私どもとしてはその融資という面がないにしても――まあごく一部は別にしまして、ないにしても、預貯金を預かられるという点では全くいわゆる市中金融機関と同列と言いますか同じ機能を果たされるわけでございまして、そこでその金利において整合性がございませんと非常に金融的に混乱が起こる。そういうところで私どもとしては一般金融機関との、預貯金金利と整合性を持ってこれを決定をしていただきたいものだ、こういう希望を申し上げておるわけでございます。
  63. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 大臣郵便貯金法の十二条では「郵便貯金簡易で確実な少額貯蓄手段としてその経済生活の安定と」、この「経済生活の安定」というのは、預けたお金の価値が下がってきていわゆる貯金が目減りをしていくのが「経済生活の安定」ということになるのでしょうか。これはひとつ大臣に伺いたいのですが。
  64. 村上勇

    村上国務大臣 これはもうやはり広い意味で御解釈願わなければ、目減りになっていくことが必ずしも経済生活の安定なんというようなことには置きかえられないと思いますが、しかしこれは全般のことを勘案して判断すべきものだと思います。
  65. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 大臣の郷里の大分県の国東の町に小学校があるのですよ。ことしたしか大蔵大臣から子供郵便局とかなんとかいうので表彰されましたが、すでに表彰されること三十何回というのです。その子供たちが積み立てた零細なお金が五百万ぐらいで、卒業していく子供たちがそれを旅行などに持っていくわけなんですが、それが一万円積み立てて旅行に行くはずだったのが、旅行の方の費用が一万五千円かかるようになってくる。こういうふうに目減りをしていくわけですよ。これでも経済の安定ということになるだろうか。私がいま大蔵省に申し上げたのは、そういうことを抜きにして単に金融の政策の面から一元的な運用だ、ほかの金利を下げるから郵便貯金の利子も下げるのだとおっしゃるけれども、それでは郵便貯金法十二条に規定をする経済の安定とは一体何か。その目的郵便貯金は果たしていないではないか、こういうことを私はお伺いしたいのです。これは一体大蔵省はどう理解するのか。
  66. 戸田嘉徳

    ○戸田政府委員 預貯金の目減りというお話でございますけれども、物価が非常に上昇いたしますと、これは実は預貯金だけでなくてすべての債務者が得をし、すべての債権者が損をする、こういう形に相なるわけでございます。そこでいま先生おっしゃいましたように、もし物価が上がらないとすればよりよき保全がなされたではないか、これは確かにそのとおりだと思います。しかしながら経済の動きといいますのは、もちろんこれは政府としての経済政策というものが重要な働きをいたします。また外部的な要因というものもございますが、そういう全体的な形で物価が上昇いたしますと、やはりすべての債権者が損をし債務者が得をする、こういう形が出てしまうわけでございます。その点はどうも、それを防ぐのはあくまでも物価の安定に極力配慮するということがやはり正攻法であろう、かように思います。
  67. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 物価が上がらなければそれにこしたことはないですよ。しかし現実に物価が上がっておるならば、郵便貯金法弟十二条に規定をする預金者の「経済生活の安定」を図るというこの趣旨は生かされないではないか。方法がないかと言えばあるはずですよ。物価が上がるほど貯金の利子をふやしてやればいけるのです、これは極端な例ですけれども。そうすれば目減りせぬで済むのです。それはしてやってないではないかとぼくは言いたいのです。ちゃんと法律に明定をされていながらも、物価が上がって貯金が目減りをするのを、いまあなたはそれは物価が上がったのだから仕方がありませんとおっしゃる。それならば、預金金利を下げるからといって郵便貯金金利を下げなければならぬ理由はないではないか。物価が上がったときは目減りに知らぬ顔して横向いておって、たまたま今度公定歩合を下げるから貯金金利も下げろというのは、これは片手落ちじゃないかと私は言うのです。どうですか、これは。
  68. 戸田嘉徳

    ○戸田政府委員 そういう物価に関連をして物を考えますと、全体として見ますと今度は金利のその分の負担を債務者の方に回していかなければならぬ、こういう形に相なります。そういたしますと、たとえば政府関係金融機関で住宅公庫から借りている方の金利ども上げなければならぬ。いろんなひずみが起こります。したがって、やはりこういう物価上昇によって非常に気の毒な面が出てくるという方には、それはまた社会保障というような別の、着物で言えば縦糸横糸の線で、それで生活が非常にお困りになるという方はそういう面で考えていくしかないのじゃないか。やはり経済全体の中でのそういう債権者、債務者の物価の変動による、利、不利というものはちょっと是正の方法がないのじゃないか。われわれとしては、よってもって極力物価の安定というものに力を尽くす以外にないのじゃないか、かように考えております。
  69. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 貯金をしている人たちに社会保障をしてもらえるなら社会保障でもいいですよ。何でもいいから目減りせぬようにしてもらえれば結構ですけれども、その前にあなたにもうちょっとお伺っておきますが、さっきからの金融機関議論ですが、私の記憶では郵便貯金特別会計は昭和四十八年度までに千六百億くらいの黒字を持っておったはずです。これは零細な預金者預金の中から運用の中で生み出した黒字ですから、当然預金者に還元されてしかるべき性格のものであったと私は思うのです。ところが大蔵省は何をやったのですか。昭和四十九年度の郵便貯金特別会計、昭和五十年度の郵便貯金特別会計において預託利子を抑えて、預金金利と預託利子を同じ八%にして、そのために郵便事業特別会計は昭和四十九年度において六百億ですか、昭和五十年度の予算では九百二十二億という赤字を生むような仕組みをつくったじゃないですか。これはもともと預金者の零細な預金を運用することによって郵便貯金特別会計が生み出した千六百億の黒字を、大蔵省がとっていったのと同じじゃありませんか。なぜこれを返してやらないのですか。これがあるならば、今日金利引き下げをする必要はないわけですよ。これはどういうわけですか。
  70. 原徹

    ○原政府委員 資金運用部に対する預託金利とそれから郵便貯金との金利差がなくなったために郵便貯金特別会計に赤字が生じたという問題につきましては、先生指摘のとおりでございます。この逓信委員会でもいろいろと御議論があったことを承知しております。今回、郵便貯金金利が約一%下がることになったわけでございますが、そのときに一体預託金利をどうするかという問題がまた起こったわけでございますが、やはり郵便貯金特別会計に赤字が出てくるということは私どもも適当でないと考えまして、今度は郵便貯金の方は一%下がりましたが私どもは預託金利を〇・五%にいたしまして、そこに〇・五の利差を設けるということにいたした次第でございます。
  71. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 その経緯は私も聞いていますが、私が言いたいのは、民間の金融機関ならばもうけた利益をそのまま積み立てておるのですよ。民間の金融機関が、おまえのところは今年度もうけ過ぎたから、今度は公定歩合引き下げてもそのもうけた分をはき出せ、こう言うなら話はわかるのですよ。そうじゃないでしょう。公定歩合を下げた、預金金利も下げてやろうというのがあなた方の今度の方針でしょう。ところが郵便貯金の場合には、長年預金者の零細な貯金を運用することによって、早く言えば千六百億の黒字が出ておる。その黒字があるからということを理由にして、預託金利を上げなくて貯金金利を引き上げて、とんとんの運用になったから、これは赤字が出てきたのでしょう。早く言えば、郵便貯金の黒字は大蔵省が取っていくが、民間の金融機関の黒字を取り切れるかとぼくは言うのです。取り切れぬでしょう。それは一体どうなんですか。答えてみなさいよ。――わかりませんか。もう一遍言いましょうか。銀行がもうかったときはもうかったままでしょう。郵便貯金の運用で黒字が出たら、それを理由にして、あなた方は預託金利を引き上げずに貯金金利を引き上げて赤字を出させておるじゃないですかと言うのです。郵便貯金の余裕金は大蔵省が取り上げておる。それならば民間の金融機関のもうけをなぜ全部取り上げていかぬのかとぼくは言うのです。そこに違いがあるとぼくは言うのです。
  72. 戸田嘉徳

    ○戸田政府委員 郵便貯金はいわゆる私企業ではございませんが、民間の金融機関は私企業でございますので、これは利潤があればそこでもうかる、そのかわり損することもあってつぶれることもある。もうこれは当然のことであります。そこは郵便貯金というものは国営の一つの機関でございます。よって、そこで利潤を上げるというのはいかがなものか。要するに郵便貯金預貯金者の方の元本はあくまで絶対に守る、これは法律にも書いておるわけであります。それから金利も定められたものを確実に払う。そういうことが完全に確保されるということがまさに郵便貯金の本質的な使命ではないか、かように考えます。
  73. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 だからぼくは違うと言うのです。民間の金融機関は、もうかるときもあれば損をすることもあるけれども、いまのシステムでは損をせぬように大蔵省ははっきり仕組んでありますね。損をせぬように公定歩合を下げれば預金金利を下げるようにちゃんと仕組んであるから、昔のように倒れることはなくなったが、理屈の上で言うならば、私企業だから損をすることもあり得るという理屈は成り立つでしょう、実際にはそうはなっていないけれども。したがって公定歩合が下がれば、貸し出し金利が下がれば、預かる方の金利も下がるというのもぼくはわかると言うのです。郵便局はそうじゃないではないですか。国営であるというのは、いままさにあなたがおっしゃったような理由によって成り立っておるのだ。そうするならば、民間の金融機関金利に連動させるという発想がそもそも間違っておるではないかということをぼくはずっと指摘してきているのです。どうなんですか。
  74. 戸田嘉徳

    ○戸田政府委員 そこで、先ほどもちょっと申し上げたのですが、預貯金を扱われるという点で民間の金融機関とまさに相並んでいるといいますか、同じような機能を営んでおられるわけでございます。したがって、その金利の間に整合性がございませんと、金融市場としては大変混乱が起こってしまう。よって、郵便貯金法にも民間の一般のその他の金融機関金利にも配意するというのは、そういう趣旨とわれわれは考えております。
  75. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 ぼくは冒頭から言っておるように、整合性を一切否定しませんよ。整合性を一切否定しませんが、原則的にこれは違うんだ、そういうふうにぼくは理解すべきだということをいままでずっと申し上げた。  そこで、いまあなたが、預貯金金利の整合性の必要がある。そのことを仮に整合性の必要性があると認めるとしても、それではこの日経新聞に出ておる大蔵省郵政省が話し合いをして預貯金金利を一体的に調整するというこのことは当てはまらない。さっき局長は、そういう事実はありませんとおっしゃたので、大臣に改めてお伺いしますが、いやしくもこういうふうに一体化して、連動して、民間の金融機関預金金利郵便貯金金利が連動して動くというようなことが今後はあってはならないし、これは全くそうであるということを大臣は明確にしておいていただきたいと思います。
  76. 村上勇

    村上国務大臣 麺貯金金利につきまして、現行制度は、民間金融機関につきましては、御承知のように臨時金利調整法による大蔵省告示と日本銀行のガイドラインによって定められておりますが、郵便貯金につきましては、郵政審議会諮問した上で政令で定めることになっております。この現行郵便貯金利率決定の仕組みを変える考えは毛頭ありません。なお、制度の運用面につきましては、両省間で十分意思の疎通を図り、円滑に運営していきたいと考えております。  そこで、先ほどの阿部さんの御質問に私引っかかっておるので、ちょっと釈明させていただきますが、先ほど阿部先生の御意見の中に、大蔵大臣の情に引かされて云々という言葉がありますが、あれはひとつ謹んで取り消ししていただきたいと思います。
  77. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 取り消す必要はない。もしそうであるならばこれは大変なことですから因りますよ。ないならばそれで結構です。これは明確にしておきますが、大蔵大臣の情に引かされて貯金金利引き下げに同意したのではないとおっしゃれば結構です。ところが御答弁の中では、大蔵大臣次官がわざわざ来てくれてとおっしゃったので、その唐に引かされてやられたのでは困りますよと私は申し上げたのです。そうでなければそれで結構ですから、大臣の方から明確にそうじゃありませんというて答えられれば結構です。
  78. 村上勇

    村上国務大臣 絶対に、そういう情に引かされて大衆の零細な預貯金金利を左右されるというようなことは断じてありません。ただ客観情勢を勘案いたしまして、失業者を減したりあるいは物価を下げたりというような第四次不況対策の一環として私は判断いたしましたので、それで郵政審議会諮問したということでありますから、どうぞ誤解のないようにお願いいたします。
  79. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 大蔵省にちょっとお伺いしますが、大蔵省は大変大きいお金を扱っておられるので、小さいお金のことはわからぬかもしれませんけれども郵便貯金の利子を一%お下げになりました。定額貯金というのは十年間預けることができるのですが、元本百万円の定額貯金を現行の利息で預けてある場合と下がった利息で預けた場合に、十年後に受け取る庶民の手に入ってくる利息はどのくらい違うものでございますか。
  80. 戸田嘉徳

    ○戸田政府委員 はなはだ不勉強でございまして、現行でございますとたしか一一・何%かに利回りが回るというふうに承知しておりますが、一%下がりますとちょっと正確なお答えを申しかねまして、まことに申しわけございません。
  81. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 そういうところから勉強しておいてもらわぬから、貯金金利を下げることをいとも簡単に考え出すのです。  参考までに私が申し上げますと、元本百万円を十年間旧金利体系で預けておいた場合と新しい利率によって預けた場合の十年後に受け取る利息は、二十万一千三百三十四円、こういう膨大な差が出るのですよ。とくと肝に銘じておいてください。  もう一点、次の問題に移ります。ここに私おもしろいのを持っておるのですが、「クタバレ任意弁償 出納員は悲しからずや」こういうような記事が出ておりまして、読んだわけです。そこで私ちょっと調べてみたのですけれども、たしかこの前土橋委員からも質問があったように記憶しておるのですが、四十八年度の郵便局の職員が現金の受け払いをした口数は、受け払い合わして約九億五千万口といいますか、九億五千万件といいますか、それからこの金額は年間に五十三兆円という膨大な数字に上っております。そして現金を取り扱った上での過不足の事故が昭和四十八年度五十六万四千件、こういう膨大な件数に上っておるのでございますけれども、この過不足の事故を生じた場合どういう過程で処理をしていくのか、それをまずひとつ説明願いたいのです。「悲しからずや」とならないように御説明願います
  82. 神山文男

    神山政府委員 私からお答えいたします。  ただいま先生、任意弁償という言葉を述べられましたが、郵便局の出納職員がその保管に係る現金を亡失したときは善良な管理者の注意を怠ったとして郵政大臣から弁償命令がなされるということになりますが、その前に自発的に出納職員が弁償するというのを任意弁償というような名前で呼んでいるわけであります。これは会計法等に根拠規定を持っているものではありませんけれども、非常に古くから長年にわたって事実行為として行われてきておりまして、そういう弁償命令が出される前に職員がみずから弁償するということも、まあいろいろ事務面からいいましてそういう場合はわれわれとしても慣行的に是認をしてきているという実態でございます。
  83. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 いま任意弁償というのはこういうものだということを聞いたわけです。これは大体根拠法規としては会計法なりそれから郵政事業特別会計規程、会計検査院法、その他あると思うのですが、これが大きいよりどころだと思うのですけれども郵政事業特別会計規程等の手続を経た上で任意弁償というものが行われるのか、こういう手続は一切省略して任意弁償というものが行われておるのか、その実態はどうなんですか。
  84. 神山文男

    神山政府委員 ただいま申し上げましたが、正規の手続を経て郵政大臣から弁償命令がいく前に職員がみずから弁償するということでございます。したがいまして、正規の手続というか、その前に不足金が埋められるということになっておるわけでございます。
  85. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 正規の手続を踏まずに不足金が埋められておるとするならば、件数とか金額というのはどうしてわかるわけですか。
  86. 神山文男

    神山政府委員 これは現金出納日報の備考欄にその旨を記載するということにいたしております。
  87. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 わかりました。  そこで第二にお伺いしたいのですけれども、仮に郵政の職員がストライキをやると違法なことをやるからということで処分を受ける、こういうたてまえになっておるようでございます。いまお伺いしますと、任意弁償などというのはどこにも規定はないそうでございますが、すると、違法なことをやるというのはどういうことなんでございましょうか。
  88. 神山文男

    神山政府委員 これは法的には根拠のない事実行為でございますが、長年行われてきた慣行的なやり方ということでございます。
  89. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 会計法には明確に「出納官吏が、その保管に係る現金を亡失した場合において、」と、以下ずっと読みませんが、手続が明示されておるはずです。手続が明示されておるのにその手続を踏まずして違法なことをやらしておる、手続を踏まないということはすでに違法でしょう。これは違法じゃないのですか。
  90. 神山文男

    神山政府委員 これは法律規定に違反するという行為ではなく、まあ根拠がないということで、事実行為であるということでございます。ただ禁止的な規定、それに違反しているということではないと存じております。
  91. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 それでは郵政事業特別会計規程の第九十一条では、「出納員は、その保管に係る現金を亡失したときは、直ちにその事実を所属の各種出納官吏に報告しなければならない。」と規定をされておりますが、報告をしなくても違法ではないという根拠をもう少し明確にしてください。
  92. 神山文男

    神山政府委員 先ほども申し上げましたように、出納職員がみずから事前に弁償してしまう、その結果亡失という結果というものがなくなっているというふうにわれわれ考えている次第でございます。
  93. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 そういうでたらめな解釈はないでしょう。お金をなくしたときはこうしなさいという規定があるのにそれをせぬでおって、金を取り上げてもう済んだというふうなそういうやり方というのはきわめて不都合なやり方だとぼくは思うのです。  大臣に聞いてもらいたいのですが、実態論ですが、昭和四十八年度にもらい過ぎたお金、もらい過ぎた件数が二十五万一千件あるのです。不足になった件数が二十八万七千件です。これは払い過ぎと不足がほぼ似た件数なんです。これは私が冒頭申し上げました年間九億五千万件という受け払いの取り扱いをすれば、もらう方のもらい足らぬ分あるいは払い足らぬ分、そういうような過不足の件数がほぼ似てくる。これは普通の状態で勤務しておれば、このくらいの数字を扱うところに起こる事故だ。払い過ぎの方もほぼ似た件数、不足の方もほぼ似た件数、そうすると、これは私は法規に言う善良な管理者の注意をやっておっても起こり得る件数だというふうに理解をするのですが、それを法規にもない取り扱い、違法な取り扱いによって本人に弁償させて事を済ませておるといういまの郵政省のこのやり方は、一体いかがなものでしょう。
  94. 神山文男

    神山政府委員 ただいま先生お話の、過剰金と不足金がほぼ見合っているというお話でございますが、四十九年度で過剰金の発生というのが五億一千万程度ございました。ただこれをその後調査した結果、受け入れ証拠書の処理の間違いというようなことで、本来過剰金ではない、正当に受け入れる金であるというふうに判明したものもございます。そういったものを差し引きますと一億八千万程度になっております。
  95. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 大臣、もう一遍言いますよ。ぼくは取り扱った件数を言っているので、金額じゃないのですよ。金額は、預け過ぎた方はすぐ取りに来るから変わってくるのです。ところが取り扱った件数から言いますと、過剰金の発生件数が四十八年で二十七万七千件、不足金を生じた件数が二十八万七千件。四十九年で見ましても、過剰金が発生した件数は二十九万六千件、それから不足金が三十万件。この過剰金を生じた取り扱いの件数と不足金を生じた取り扱いの件数は、ほぼ似通っておるということです。郵便局でこれだけの膨大な九億五千万という受け払いをする上では、受けの方でも払いの方でも、この程度の事故の件数は普通の状態で出るのではないか、そう見るべきではないか、こう言っておる。金額が多い少ないじゃないんです。取り扱い件数として比較をしてみると、受けでも払いでもほぼ同じ件数の言うならば事故が起きておる、こう見なければならない。そのことは、とりもなおさず九億件という取り扱いの中ではこの程度の事故が起こるというのは、これは善管注意をしておってもできるのではないか。それを任意弁償などと言って勝手に金を吐き出させるというのは不都合ではないか、こう聞いておるのですよ。
  96. 神山文男

    神山政府委員 ただいま先生のおっしゃったように、四十九年度三十万件程度過剰金、不足金の件数がございましたことはそのとおりでございます。これが普通の状態かどうかというお尋ねでございますけれども、これはいずれにしても国が取り扱っている金でございまして、本来これに過誤があってはならないという現在のたてまえでございまして、われわれとしては、これはやはり厳正に取り扱っていくべき性格のもの、こういうふうに考えておる次第であります。
  97. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 ですから、厳正なる取り扱いとは法に定められた手続を踏んでいくことが最も厳正な取り扱いではありませんかと、私はこう申し上げておるのです。  そこで、もう時間も非常に過ぎたようですから、いま話があったように、大体この善管注意という問題が法の上であります、善管注意とは何かということになってきますと、これは大体会計検査院が検定する、こういう法のシステムになっておりますから、私は多くは申し上げません。この九億件年間に起こる郵便局の職員による受け払いの、事故を正規の手続を踏んで処理をしなさい。できるかできませんか、これを聞きたいのです。
  98. 神山文男

    神山政府委員 この問題につきましては、郵政省内のいろいろの、これは貯金だけでございませんで、保険、郵便その他共通の問題がございますが、関係者間でいろいろ検討は重ねてまいっております。ただ、非常に困難な問題が多くありまして、まだ現状よりよりよい取り扱い方法というものについて結論を見ていないわけでございまして、先ほど申し上げたように、現在の取り扱い方、長い古い、明治時代からと聞いておりますが、そういう長い慣行的な事実行為でございますが、そういう点について、そういう歴史もあるだけに、非常にいろいろ問題があろうかと思います。今後いろいろ、研究はいたしておりますが、現状のところはそういう状態でございます。
  99. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 細かく申し上げれば、大臣、長くなるんですよ。たとえばいまの事故の件数にしましても出納簿に上がっておるものの報告を受けた件数だと聞いていますが、郵便の窓口で切手なんかを売ってちょっと欠損があったりしても、これは出納簿に上げないんですよ。自分でちょっとつまみ出す、こういう慣行を長年にわたってつくり上げてきておるわけです。率直に言ってつくり上げてきておる。しかしいまや、さっき申し上げたように「クタバレ任意弁償 出納員は悲しからずや」というほど職員がこの問題で非常に苦悩しておる実態にある。しかも、その取り扱いは正規の手続を踏んだものでない、まことに身勝手な、しかも、言うならば過剰金の方は国が受け入れてぼんぼんに入れて、そして不足金だけはおまえが出せと、こういうシステムになって拘り、非常に不合理な内容になっておる。しかし、確かに九億件という件数を正規の手続を踏んで、半分、不足金だけやっても四億を超す件数ですね。そういうものを扱っておる中で、三十万件の不足金を全部会計検査院の検定を受けるとなれば、これは私は実際問題として大変だろうと思うのです。そういうことをやるとすれば、どのぐらい一体人間が要るものですか。正規の手続を踏んで、監察に報告をして、監察が出てきて調べて、また今度郵政大臣までずっと上がっていって、それから今度は会計検査院に出して、会計検査院もこれは全部検定せんならぬでしょうから、郵政省だけでまず年間三十万件の決着をつけなければならない。どういう、一体幾らの人間が要ると思いますか。ちょっと出ないでしょうね、それは。そうでしょう。  それで大臣、私、結論を先に申し上げますが、まず事故の起こらないようなシステムをつくってもらう。事故の起こらないシステムをどうすればいいか。それは現場で働いておる方々が、こうしてくれれば事故が起こらないという、ある程度事故を減少させる手段について意見があるはずだと思うのです。その意見をまず聞いて、どういう取り扱いを、手続をすればこの事故がもっと減るだろうかということについて話し合いをしてもらう。現場で実際に仕事をしておる皆さんの意見を聞いてもらう。  二点目に、いまのこの実際に事故が起きた、不足金が生じた場合の処理をどうしていくか。これについても、私はできれば、いまちょうど年末ですから、この年内にと言いたいが、貯金局長、年内はちょっと無理でしょうね。年度内ぐらいで話し合って結論が出て、私はこれで職員が納得して、これならばやむを得ないという方法があるのならば、まあこの三十万件の処理を全部会計検査院にというのはなかなかむずかしいというのはわかりますから、何かいい方法を考えてもらいたい。それはしかし、もう今日長い時間をかけられては困ると思います。  したがって、事故の起こらないような人間の配置なり手続のやり方、二点目は事故が起こった場合における処理について、その実際に仕事をして被害を受けておる職員の代表の諸君と話し合いをして、年度末までに結論を出してもらう。どうですか。
  100. 神山文男

    神山政府委員 この問題につきましては、労働組合からも問題の提起がありまして、従来も意見を聞き、省側の問題点お話しいたしましてコミュニケーションをやってまいっておりますが、今後ともそういう御意見については十分聞いて検討していきたいと思っております。  ただ、先ほど申し上げましたように、何しろ非常に長い間の慣行的な事実行為になっておりまして、これについていろいろむずかしい問題がございます。したがいまして、これを年度内とかそういうふうに期限を切ってここでお約束するということは、私のただいまの現状においては非常に困難であるということを申し上げまして、御了承を得たいと思います。
  101. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 大臣、事務当局余り積極的でないようです。しかし、いま申し上げたような事情ですから、もう大臣も十分おわかりのはずですから、大臣の責任でひとつ年度末までに結論を出すようにやってみろという決意を表明していただければいいと思いますが、どうですか。
  102. 村上勇

    村上国務大臣 私も非常に大事なことだと思っております。慣行もこれを無視はできませんし、また法を無視することもできないし、なおその弁償の金額等にもよりますので、十分ひとつ前向きで検討した上で、年度末までにどうかそれははっきり約束はできませんけれども、前向きで大いにひとつ検討していきたい、かように思っております。
  103. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 前向きというのでごまかされるのです。そこでぼくは前向きではいやなので、年度末までに結論を出すという気持ちで、仮に結果的にそれはできなかったとしてもそれをとがめようとは思いませんが、大臣、そのくらいの決意をもって事務当局に当たらしてもらいたい。その決意を聞きたいのです。
  104. 村上勇

    村上国務大臣 御高説のとおりにいたしたいと思います。
  105. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 終わります。
  106. 地崎宇三郎

    地崎委員長 午後一時十分より再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後零時三十九分休憩      ――――◇―――――     午後一時二十二分開議
  107. 地崎宇三郎

    地崎委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。米田東吾君。
  108. 米田東吾

    ○米田委員 私は、きょうはひとつ郵政省の労使間の問題について質問をしたいと思うのであります。  どうでしょうか、大臣に御見解をまずお聞きしたいと思うのでございますけれども、スト権の問題はきょうは私は触れませんけれども、しかし日本の労働情勢のこれからの展望、それから日本の政治経済の趨勢からいきまして、労働者に基本的なスト権を与えなければならないし、与える時期にきておる、これだけは私は間違いないと思うのであります。いま具体的には政府もそれぞれの対応する機関をつくりまして取り組んでおりますけれども、しかも公労協は今月の末には、このスト権というものを労働基本権の絶対譲ることのできない問題としてとらえまして、長期にわたってストライキを打つ、実力でもスト権を取る、決着をつけるという態勢にあるようであります。それはとにかくとして、日本におきましても政治的にも経済的にもまた労働事情からいきましても、いずれはスト権というものは労働者に正しく与えられるという時期がきているのじゃないか、このように私は思うのでございますが、そういう一つの日本の政治情勢、労働情勢を展望した段階で、郵政省としてはいわゆる労務対策といいますか労使関係のあり方といいますか、そういうようなものについてはどうあるべきことが好ましいのか、どういう展望を郵政省としては持っておられるかというようなことを、まず大臣からひとつ見解を聞いてみたいと思います。
  109. 村上勇

    村上国務大臣 労働問題の基本的な問題であるスト権云々につきましては、これはきわめて大事なことでありまして、いま閣僚協議会のメンバーの一人である私が専門委員懇談会の意見も聞かないで軽率にここで私の考え方を申し述べることはいささかどうかと思いますので、その点については触れないことにいたしますが、しかし今日の労働問題、すなわち労使の関係というものは全く密接不可分な関係にありまして、相携えて一億国民福祉に沿うということが基本でなければならぬと思います。そういう意味から、組合もまた管理職も忌憚のない意見を開陳しながら、どうすれば郵政事業国民の負託にこたえるかということに専念すべきである、かように考えております。
  110. 米田東吾

    ○米田委員 同様な私の質問に対しまして、人事局長はどういうお考えでございますか。
  111. 浅尾宏

    ○浅尾政府委員 お答えいたします。  郵政省は、御承知のように人力に依存しておる度合いが非常に多うございます。そういう意味から、この郵政事業を正常に運営していくというためには、労使が相携えてやはりその間に不信感を払拭していくという努力をいたしまして労使関係を安定させていく、こういうことが国民から任されております郵政事業をうまくやっていく一番の根幹じゃなかろうか、こう考えておる次第でございます。したがって人事局長といたしましても、特に労使関係を安定化していく、相互間に不信感をなくしていくという点でさらに努力をしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  112. 米田東吾

    ○米田委員 要するに大臣は、スト権それ自体の問題については回答を避けられましたけれども、方向としては労使間の安定協調という方向にこれからも努力をしていきたい、同様な趣旨は人事局長答弁された、私はそういうふうに思うわけであります。大臣、私はあなたが担当しておられる閣僚協の関係だとか専門懇の関係だとかということは申し上げておりません。それはあなたがおっしゃるように、いまここであなたから何かを聞こうというのは無理だと思いますので、それは申し上げておりませんが、ただ趨勢としては、やはりストライキ権というものがいずれは労働者の権利として日本においても定着をする。これはもう世界の趨勢であり、同時に日本の政治、経済、労働事情を含めましてそういう方向にあるという見方を私はしておるわけでありますし、そういう展望は当然大臣も人事局長も持っておられるのじゃなかろうか、こういうふうに思っておるものでありますから、したがって、スト権そのものはとにかくとしても、現場を抱えている郵政省の責任者としてどういうとらえ方をしておるかということを実は聞きたかったわけであります。  いま大臣局長答弁されましたけれども、実はこの答弁というのはいつもそうなんですね。委員会で私どもが質問いたしますと、大体そういう答弁をいただいておるわけなんです。それ自体は私は間違っておらないと思いますし、ぜひそうあるべきだ、こういうふうに思っておりますので、それは了承いたします。  いま一つ、私はこの機会に聞きたいのでありますけれども新聞の伝えるところによりますと、郵政省関係では年末に向けての労使間の懸案事項もほぼ解決のめどがついた、こういうようなことも聞いておるわけであります。私はこれは結構なことだと思います。  そういう事情にいま来ておる段階、これらを踏まえましてこれから年末首の繁忙期を迎える、年賀はがきもいずれは十円でもう売り出すという方針も決められておる。いよいよ例年の年末繁忙期に入る、ことしもまた郵便のあり方が問われる時期に入ったと言っても過言じゃないと思うのであります。そういう時期にあるわけでありますから、この時期を国民の負託にこたえて年末首の繁忙を乗り越えてサービスを十分に提供できる体制をつくることが、これからの大臣やあるいは郵政省幹部の諸君の責任になってくると私は思う。  そういう時期でもございますので、特に労使の関係というものを無視して、あるいはこれを問わずして年末首の繁忙をどう乗り切るかということを言っても、これはあえて言えばむだだと思うのであります。一番考えなければならぬのは労使の関係、いわゆる安定といいますか、協調あるいは信頼できる体制をつくるということに努力をしてもらわなければならぬ。いまこの組合との関係ではどういうふうに話が進められておるのでありましょうか。要するに年末首のこの時期を迎えて、労使一体で乗り切れるという体制にいまなっているのかどうかということを、これはひとつ局長からお聞きをしたいと思います。
  113. 浅尾宏

    ○浅尾政府委員 お答えいたします。  組合との間の秋期年末闘争、この問題、昨日午前十一時半ごろ最終的な妥結をいたしました。これは年末首の郵便業務に対する繁忙に対しまして、省がいろいろな施策をいたします、あるいはまた労働組合にも大いに協力をしてもらわなければいかぬ、こういう面で、細部にわたりまして、この点についての話し合いは了解点に達しました。  それから、これはまあ例年のことでございますが、年末手当だとかあるいはその他いろいろな労働組合との間の要求事項があったわけでございますが、組合の方も早期にこの整理をいたしました。もちろんこの要求の中には解決を見ないで継続交渉というようなことになった点もございますけれども、大きな問題につきましては、了解点に達した、こういうことで郵政省と労働組合との間におきましては、これから迎えます郵便業務の年末繁忙に対しては十分対処し得る体制というものができ上がった次第でございます。  実は、これきのう十一月の十二日でございます。年末関係の交渉というものがこの十一月の中旬に妥結したということは、過去私の記憶でほとんどございません。早くても十一月、去年は十一月の末、もう遅いときでございますと、十二月の半ばというような時期の方が多かったわけでございますけれども、特にことしはこういういろいろな郵政省が置かれております重要な状況にあるものでございますから、特に十一月中旬という早期に組合側と話し合いがつきまして、仕事に十分取り組み得る体制ができたのだ、かように私理解をしておる次第でございます。
  114. 米田東吾

    ○米田委員 大変結構なことだと思います。  それで局長、労使の関係郵政省の中では、労の方が大体大きく分けて二つ全逓と全郵労、両方ともいま局長答弁されたような関係で合意に達しておるのかどうか、この点どうですか。
  115. 浅尾宏

    ○浅尾政府委員 両組合とも昨日妥結を見ました。
  116. 米田東吾

    ○米田委員 そこでお聞きしたいのでありますけれども郵政省が抱えておる二つの労働組合、年末首に向けましてはいまの御答弁でわかりましたように、とにかく郵便の繁忙、年賀、年末首の繁忙については乗り切るという体制郵政省との間に合意に達した。結構であります。ぜひこれはひとつそういう方向で国民の期待にこたえてもらわなければならぬ。  ただ、現状の労使の関係から見まして、二つの組合があるということ自体は、私は遺憾なことであり、不幸なことじゃないかと思う。いまここでどっちが是で非でという議論で私は申し上げておるわけではありませんけれども、いずれにしても日本の労働事情の趨勢は、ストライキ権を含めた労働基本権というものが確立されるという、時期はまだここで明確には決定づけることはできないと私は思いますけれども、現状の展望からすればそういうことが展望できる。一面また、国内におきましても、特に労働組合の戦線統一という問題は、具体的にいま日程に上がっているとは言いませんけれども、スト権の問題を契機にしてこれはナショナルセンターを含めて、現場の労働者までやはり一つになっていかなければならないという機運というものが大きく高まってくるだろう。いずれはそういう時期を迎えるだろう。そういう時期をとらえてこの郵政省に存在する二つの組合がやはり統一するという方向に、これは基本的な労働者の願いでありますから、不幸にして二つに分かれているということについていま反省も出ておりますし、とにかく一つにならなければならぬというこの基本的な原則についての理解も深まっているときでありますから、いずれはそういう方向に労働者みずからかち取っていくという体制が出てくるだろう、私はこういうふうに見るのでありますけれども、こういう方向に対応できるように郵政省の労務対策というものも、それにむしろ先駆けていかなければならぬのじゃないか。まあ言葉をかえますならば、緊張緩和の方向にどんどん先取りをして、郵政省に存在する二つの労働組合を含めた労使の関係についても、郵政省としては純粋な労務対策としてはそういう方向でリードしていくということが必要じゃないか。逆に緊張を激化するような、そうしてその中で分裂させて支配をするという、こういう昔から言われております古い資本の論理に立って抑えていく、あるいは支配していくというようなことを追うということは、私は歴史の流れに反することじゃないか、こういうふうに思うのでありますけれども、そこらあたりの考えについては、局長はどういうお考えを持っておりますか。
  117. 浅尾宏

    ○浅尾政府委員 お答えいたします。  いま先生指摘のように、郵政部内には全逓信労働組合、組合員が約二十万近くおります。それから一方全郵政労働組合、これが五万七千という組織がございます。郵政部内にはその他単独組合とか小さな組合あるいは未加入の組合等いろいろございますけれども、大きく分けましていま先生指摘のように全逓と全郵政の二つの組合があるということは事実でございます。  そこで、この両組合の緊張緩和をさせるべく郵政省がリードをして、そういう方向での労務対策というものを考えるべきではなかろうか、こういう先生の御指摘であろうかと思うわけでございますけれども、省の労務対策と申しますのは、やはり郵政省が抱えております郵便事業、貯金事業、保険事業というものが円滑にいく、そのための職員対策あるいは職員を指導していく、こういうことが労務対策の私は一番根幹であろうかと思うわけです。そこで職員側の組合に、考え方を異にし、しかもその立党の精神と申しますか、それも相当違いがあるようでございます。さらに日々の運動方針、あるいは具体的に出てまいります戦術等を見ましても相当な開きというものがまだ現在見受けられる状況にございます。そういう中で郵政省がそれを両組合の中に入りましてリードをしていくという必要があるのではなかろうかという先生の御指摘でありますけれども、やはりそこには限度がございますし、もともとその組合自体の考え方なり運動の中に省が入っていくということ自体、これはやはり不当労働行為的な感じも私はいたします。そういう意味から、やはり現に労働組合が二つあるという事実を見、それを円滑に両組合が郵政事業に協力をしていくというような方向に持っていくことが当面の私たちの労務対策の基本ではないだろうか、かように考えておる次第でございます。
  118. 米田東吾

    ○米田委員 大分私は局長の見解と違うのですがね。まず私が質問をした趣旨をちょっと履き違えておられますから、それだけははっきり訂正しておきますけれども、二つの組合があるから、したがってその中に郵政省が入って両組合をそれぞれ指導せい、コントロールせい、こういうようなことを申し上げているわけじゃありません。これははっきり……。そういうことは労働運動自体の自主性に対して権力が介入することになるわけであります。そういうことを私は申し上げておるわけじゃないのです。ただ、いまあなたの答弁されましたように、確かに歴史的な経過がある。その歴史をいまここで云々して、これが善でこれが悪だというようなことを言ってもこれは始まらぬ問題であります。だから私はそのことを申し上げておりませんが、そういう歴史的な経過にあなた方が後尾向きでそれにこだわって、そして前向きの方向を見失うということがあっては困るということを私は言っておるのです。昔はこうだったんだから、全逓と全郵政はこういう関係で生まれたんだから、組合のあり方や方針についてもこういう違いがあるんだから――確かにこれは原因があるわけでありますから、これはいろいろ比べてみれば違いがあることは間違いない。しかしそこだけ後ろ向きに見ておったのでは前向きの労務対策はできないじゃないかということを私は言いたいわけであります。その前向きという方向は、いま私が前段で申し上げましたように、歴史の流れは間違いなく日本においても労働者にスト権を含めた基本的権利というものは保障されていく。間違いない。スト権の問題が保障される段階が出てくれば、ある意味で二つの組合の一つの対立の点も解けることになる。決して安易ではありませんけれども、最も重要な部分についての関係というものはなくなる。しかし歴史や経過がありますからそう簡単ではないことはわかります。いずれにしても、スト権が労働者に保障されるという状態が出てくることによって、ナショナルセンターにおいてもあるいは現場の労働者の段階においても労働戦線の統一という問題が新しい課題になってくるであろう。また郵政省も二つの組合を抱えておるよりも、そういう労働者の自主的な方向というものを先取りしながら、郵政省としては統一の方向あるいは郵政省の真の労務対策という関係をつくり出していかなければならぬのじゃないか、こういうことを申し上げることが私の真意なんですよ。そういう私の考えに対して局長は、率直なところどういうお考えでございましょうか。労使仲よくして事業に協力してもらいます、これはあなた方企業の側から言えばそういうことになりましょうけれども、企業に協力するために労働組合をつくっておるのじゃないのでありまして、もっと目的はほかにもある。協力しないとは言いませんけれども、それだけではないということ。そういうことでありますから、最高の労務担当の責任者である局長としては、そこらあたりを誤りなく見てとらえておいてもらわなければならない。そこであなたの見解を聞いているわけなんであります。もう一回答えていただけませんか。
  119. 浅尾宏

    ○浅尾政府委員 お答えいたします。  スト権に対しましていま全郵政と全逓との間の違いの一番大きな要素というのは、これは先生承知のように、スト権に対する現行の法律に対する対処の仕方というものが二つの組合で大きく違っておる一つの要素であろうかと思うわけでございます。  いまの先生の御指摘は、このスト権が将来認められる方向を仮定すればその対処の仕方の大きな違いになる点が解消するのであるから、そういう意味で状況が変わってくる、したがって郵政省としても統一の方向で物を考えていけばどうだ、こういうお話であろうかと思うわけでございますが、全逓と全郵政との考え方の中に、いま先生指摘のスト権に対する違いというものも一つの要素ではございますけれども、まだその他にもいろいろと物の考え方等が違う点がございます。そういう大きく違うこの二つの団体を私の方から統一の方向で持っていく、また先生指摘のように、その方が望ましいと私が言うことは非常に大きく疑問に感じますし、また現実の毎日の状況、労務管理をしていく場合におきましても、かえってそのことで両者のグループの間に大きな混乱が一時的にせよ発生するのじゃないだろうか、こう考えまして、現に置かれております状況の上に立った労務管理、こういうものを進めてまいることが私の仕事じゃなかろうか、かように考えておる次第でございます。
  120. 米田東吾

    ○米田委員 重要なことでありますから確認させてもらいますが、そうしますと、これからの将来の展望に立った前向きの労務対策というものはない、現状を見ながら、現状に対応してやっていくんだ、人事局長はそういう態度でございますか。
  121. 浅尾宏

    ○浅尾政府委員 お答えします。  労務管理、もちろん先生がおっしゃいますように、遠い展望の上に立った管理というものも必要でございますけれども、また短期的あるいは毎日毎日の事態、これをどう処理をしていくかということも私はまた一方大きな仕事であろうかと思っておるわけです。  そこで、現在のところは、先ほどから繰り返しておりますように、いま置かれておる事実の上に立って私たちが任されておる仕事というものをうまく処理すべく組合対策、職員対策というものをやっていかなければならぬ、かように考えておる次第でございます。
  122. 米田東吾

    ○米田委員 私がこういうことをここでお聞きしておりますのは、最高責任者は大臣でありましょうけれども、労使の関係を預かって処理するのは人事局長の責任で、しかも郵政省の労務担当重役です。あなたの考え、あなたの信念というものが機構を通して現場の管理者に当然に反映されるわけであります。いま全体の情勢として、かつては労働者がお互い激しく憎み合うそういうような時代も確かにあった、またいろんな歴史的な経過やいろんな物の考え方の相違によって幾つかの労働戦線の分裂の状態もある。これはわかるけれども、これからの方向としては、やがてそういう時期から反省期に入って、それから統一の方向に進もうという、また新しい時期をいま迎えつつあるその一つのきっかけになろうとするのがスト権の問題であろう、私はこう思うのです。それであるだけに、政府当局もスト権については慎重に政治的に配慮しているというのもまた否めない事実である。  しかし私は、歴史的に見ればそういう障害や一時的な困難はあっても、歴史の流れというものは、労働者のスト権を含めた基本的権利というものは最も大事な生存権の中心として保障されていくという方向に間違いなく進んでいく、こういう歴史的なものを見失ってもらっては困る。そういうあなたの見方をもって、これからの郵政省の現場の管理者に対する労務指導というものをやってもらわなければ、いたずらに郵政省の場合は前近代的に旧来のからにとらわれて、いや全逓だ、全郵政だ、そういう関係がすべてになってしまいまして、そうしてあなたの方は、むしろ適当にそれを繰りながら分裂支配というこの関係というものを打ち立てていこうとされておるように私は思う。そういうことは決してまともではないし、長続きしない。したがって、私はそのことを人事局長にしっかりのみ込んでもらいたいという気持ちなんですよ。  いまどうですか。これから年末首に向けて、あなたの御答弁では地方段階における年末首のそれぞれの課題というものはほぼ解決をした、もう繁忙期に向けて一斉に進めるという体制にあるというふうにおっしゃっておられましたが、幾つかある現場の段階までではそうかというと、実際にはなかなかそうはいってないのではないですか。これはそれぞれの組合も権限を持っておりますから、多少のことは労働組合の自律によって規制をしてやっていくと私は思います。大事な点は、まだまだ現場にはいろんな問題が出ているのではないかという気がするわけです。そういうものに対して、現場を含めて年末首を乗り切るという体制を早急にあなたの方ではつくり上げていかなければならぬのではないか。全逓や全郵政の幹部だけを見ておったのではだめじゃないか。もっと現場に目を注いで、現場の管理者に労使関係というものを見る目をかえさせるような、そういう指導をあなたはしていただかなければならぬじゃないか、こういうふうに思って聞くわけなんでありますけれども、もう一遍局長考え方をしっかり聞かしていただきたい。
  123. 浅尾宏

    ○浅尾政府委員 お答えいたします。  郵政省におきます労務管理――何も本省の私たちと本部の役員、全逓本部なりあるいは全郵政本部の役員との間の話がついたということだけで末端の業務がスムーズにいくかということになりますと、私はそうではなかろうと思います。その点につきましては先生の御意見と同様でございます。  そこで、過去の年末の話し合いをする、これは二、三年前の話でございますけれども、本部、本省問で話がつきましたけれども、郵便局段階で、まだそこの支部と郵便局長と話がつかなかったということで、本当に年末首の繁忙期に入りましてもなかなか仕事の歯車が回っていかなかった、こういう状況が過去にはございました。やはりそういうことでは困る、こういうことを私たちあるいは本部の役員等も自覚をいたしまして、去年からでございますけれども、本部であるいは本省で話し合いがつく段階では地方郵政局段階あるいは郵便局段階の問題を全部吸い上げて、それで同時に解決している、こういうような方向でやろうではないか、こういうことで去年あるいはことしもそのようにやってまいりました。  全国たくさんの事業所がございます。なかなか徹底しない点もございますけれども、いま先生指摘の点につきましては非常に改善をされてきておる、こういう感じがいたします。しかし繰り返すようでございますけれども、たくさんの郵便局がございます。その中で突発的あるいはまた何らかの要件で紛争が起こるということもあるいは皆無とは私は申せないと思います。不幸にいたしましてそういう問題が起こった場合には、本当に繁忙期で郵政省としても大変な時期でございますので、本省なり郵政局が直ちに対処をしていくということでまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  124. 米田東吾

    ○米田委員 人事局長、いま私の聞いているところでは、この二つの組合が、要するに全逓も全郵政もそうでありますが、それぞれ組織強化、組織拡大、これは労働組合としては当然のことであります。絶えずそういう運動は必要なことでありますし、やっておりますけれども、最近こういう一つの運動に沿っていろいろ現場の方でトラブルが起きているということも聞いている。もっと重要なことは、そういう労働組合相互間の問題もさることながら、あなたの方の労務管理の姿勢、方針が、一面ではこれをあおっておる。一面では、正当なそういう組織運動に対して、あなたの方は介入し、弾圧をしている。こういう関係を私は聞いておるわけでありますし、事実私もそういう現地の状況も調査をいたしておるわけでありますけれども、そういう状況はいまあるのですか、ないのですか。
  125. 浅尾宏

    ○浅尾政府委員 お答えします。  この九月から全逓とそれから全郵政も、ともに組織拡大運動というものを両組合とも積極的に展開をしております。その中でいま先生指摘のように、私が承知している限りにおきましても、全国で四、五局の郵便局でトラブルが発生したという事実は私は聞いております。それも十月の末でほぼ落ちついてきておる、こういう状況のように私は把握しておる次第でございます。
  126. 米田東吾

    ○米田委員 いまの人事局長答弁でありますけれども、十月末ぐらいで全国的にそういうトラブルはもうなくなってきておるのですか、終局しておるのですか。
  127. 浅尾宏

    ○浅尾政府委員 お答えします。  十月末でほぼ大半が片づいておりますけれども、十一月に入りましても多少発生しておる局所もございますが、信越だとかあるいは九州地方におきましてはもう終わっておる、このように私承知しております。
  128. 米田東吾

    ○米田委員 人事局長、それはそれぞれの二つの組合がそういう組織拡大という方針を一応運動として終わったということでそうなっているのですか。それとも何らかの、要するにトラブルがないということで終わったという判断をされておるわけですか。どっちなのですか。
  129. 浅尾宏

    ○浅尾政府委員 お答えします。  両組合の運動は続いておりますが、具体的な紛争、こういうものがなくなってきておる、こういうことでございます。
  130. 米田東吾

    ○米田委員 それならわかりましたし、好ましいことだと思うのですね。しかし、私は、やはり労働組合がみずからの力を蓄え、強めるために、これはいずれの労働組合であろうと、要するに自分の組織を大事にする、拡大をする、強化をする、これはもう最も基本的な原則的な大事なことでありまして、そういう運動は絶えず行われるであろう。しかも、これからも私はこの二つの組合は、やはりそういう運動というものは日常的にもなされていくのではないかと思います。  そこで重要なのは、私、この問信越郵政に行ってまいりました。信越郵政で、いまのこの二つの組合の組織拡大問題について、郵政省の現場の管理者はどう対処すべきかという指導文書を出しておられる。これは長野、要するに信越の郵政局からは手に入れることはできませんでしたけれども、本省に要求いたしまして、ある程度のものを見せていただきました。私は、ここに出されているようなこういう見解、姿勢で、本来労働組合間の問題というものは――むしろこの関係をとらえて、郵政省が積極的に労組の中に介入してくる、そうして政策的に全逓の組合に対する弾圧あるいは介入というものを強める、こういうことになったら私は大変だと思うのです。私は、それは許されないと思うのであります。そういう行き過ぎが――私に言わしめれば行き過ぎであります。それはさっきあなたが答弁されましたように、本来郵政省は労働組合の関係、労働運動に対しては介入すべきではないわけでありますが、あるいはこれを引き起こしたり、また一方の組合をそれにかこつけて弾圧したり、そういうようなことは許されるはずはないわけであります。これは法律の禁止事項であります。不当労働行為。そういうものが起こりやすい指導が出ているように実は資料をいただいて私は判断しているわけでありますけれども、このことについてはあなたの方は知っておられますか。信越郵政の十月十三日付の「労務情報」、この指導内容局長、御存じでございますか。
  131. 浅尾宏

    ○浅尾政府委員 承知いたしております。
  132. 米田東吾

    ○米田委員 承知しておられましたら、次にお聞きいたしますが、この内容、必要があれば、私読み上げますけれども、あなたはこれを承知される段階で、これは郵政省として少し行き過ぎじゃないか、これは注意すべきじゃないかというような問題の個所について気がつかれましたか、気がつかれませんか。これは全面的に認められたのですか。
  133. 浅尾宏

    ○浅尾政府委員 お答えします。  信越郵政局がこれを郵便局に出す前に私の方に相談といいますか、これでいいかということでの整理といいますか、そういうものがあってやったものではないわけでございますが、後刻、私これを手に入れまして全部読んだ次第でございますが、この中に流れております基本的なものの考え方というものは、やはり労労間と申しますか、組合と組合の間の勢力を拡大するための紛争、勢力を伸ばすための活動、こういうものの中にはこれは原則として介入すべきでない、こういう基本的な考え方というものが一本、私は通っているように理解をいたします。  しかし、そのことから両者が個々の行為に出る場合に行き過ぎがある、そのことによって職場の秩序が壊される、あるいはまた職員が精神的な大きな圧迫を受ける、そのことによって正常な業務が確保できない、こういう事態が発生いたしますと、業務を完全にやっていかなければならぬ責任がある管理者といたしましては、やはりこれは放置できない。そういう観点から、そういうものを察知できれば未然に防止する、あるいはこういう事件が発生いたしましたならば、管理者は適切な措置をとっていく。このための詳細なと申しますか細かい指導といいますか、こういうことも考えられますよというような意味での指導を信越郵政局がした、このように私は理解をしておる次第でございます。
  134. 米田東吾

    ○米田委員 局長からいませっかく答弁がありましたけれども、私もこの中身を何回か読みまして、しかもこれを受けて現場の管理者がどう適用されるか、いろいろ出てくる事象に対してどう適用されるかということまで含めて考えてみますと、これは郵政省としてかってない介入といいますか、強圧的な指導文書になっている、こういうふうに私は思う。恐らく本省からも地方郵政局段階におきましても、これほど明確な組合支配というようなものはかつてなかったと私は思う。たとえば出勤時等における指導としては、管理者が前面に出て、そして通路をあけさせて、あけなければ解散命令を繰り返し乱発をして入局をさせる。業務を守るという立場からはこれは管理者のひとつの当然の責任だとあなたはおっしゃると思う。しかし管理者が前面に出ろ、こういうことは――いまの全逓という労働組合は平常時でも就労を拒否したり業務妨害したりして出勤者を抑えたりそんなことをやっておりますか。こんなことはあり得ないと思うのですけれども、あなたの方は、管理者が前面に出ろ。それからまだあります。いろいろな事態に対して対処する姿勢として、ちゅうちょするな、要するに管理者が逡巡してはいかぬ、ちゅうちょするな、断固としてやれ、こういう指導も明確に出されておる。それから、すべて処分の対象として、現認せよ、記録を徹底せよ、そして、処分に必要な、あえて法を犯したという業務命令をどんどん出しなさい――何のことはない、これは犯罪者をつくろうとする手引きですよ。これは実に私は、かつて郵政省指導文書にこれほど高飛車な権力介入の鮮やかな指導文書が出たなんということは知らないわけです。こういうようなことは出されていいのですか。あなたも見られて、これは大したことはないとごらんになっておられたのですか。この責任は重大だと思うのです。私は全逓をかばえとかどうせいとか言っているのではないのです。しかし、あなたがおっしゃるように、郵政省それ自体は、労働組合間に対しては中立であり、しかも企業すなわち権力機構の側でありますから、本来介入をすべきではないのです。これはもう日常的に、こういう事態が出たらどんどん介入していきなさい、そして犯罪者をどんどんつくりなさい、上がってきた者は処分してあげましょう、こういう姿勢ではないでしょうか。これでは私は、いずれにしたって労働組合が、どちらの側であろうと、正しい運動に発展することはないと思います。ましてやこれからの郵政省が当然指向しなければならない、二つの組合を何としても一つにして、そして大きな労働者の団結というものを強めていくというこの歴史の方向に向かって進む労働者のいまの段階に、これは皆さんは大きな分離支配というかっての抵抗体制というものを強めていこうとするだけのものじゃないか。時代錯誤もはなはだしいと私は言わざるを得ないわけであります。このことについてはどうですか。
  135. 浅尾宏

    ○浅尾政府委員 お答えします。  先ほど先生がお読みになりました、「管理者が前面に出て、通路をあけて入局させるよう」しろ、これはもう非常な挑発ではないか、こういう点の御指摘があったと思いますが、それに関連いたしまして、全逓は平常でもピケを張っておるのか、こういう御質問もあったかと思いますが、これは、全逓は、平常も通勤時にピケを張る、こういうことは決していたしていないことはもう事実でございます。先ほど冒頭申しましたように、この九月、十月、各組合の組織拡大運動というものに取り組んでおります。しかも、この二カ月間ぎっしりいっぱいやる、こういうことではございません。その間のある一時期をつかまえまして、説得運動、組織拡大運動というものをやっておるわけですけれども、管理者が前に出て誘導をしろ、こういうことも毎日やれ、こういうことじゃございませんで、出勤時に一方の組合員が通用門のところでピケを張っておる、こういう事態があった場合に、他方の組合員が、なかなか勤務時間が参りましても郵便局に、はいれない、就労できない、こういう状態がありますと、そういうときには、管理者は、ひとつ、職員の誘導をしていく、こういう姿勢を積極的にとりなさいよ、こう言っておるわけでございまして、先生指摘のように平常時いつもそういうことをやれということを管理者に指示をしておることではないわけでございます。  さらに、もう一点、その実情等を現認をして記録をしておきなさい、結局そのことは犯罪者をつくることにつながるのではないか、こういうお話でございましたけれども、たとえば通用門でピケを張っておる、このときにいきなり管理者が排除をしていくということはいたしません。恐らくピケを張っておる一方の組合員に対して通路をあけてくださいというようなことを指示をするあるいは命令をしていく、こういう場合に、その命令に従わないということでありますと、やはりこれは公務員としても問題があろう、こういうことから、そのときの状況というものを記録をしておこう、こういうことでございます。また、それに関連をして、もし万一紛争が発生した、こういう場合には、後刻適正な措置というものをしなければなりません。そういうことのために、その態様を記録させていく、こういうことでございまして、結局そこにはそういう行為というものを未然に防いでいこう、決して先生おっしゃるように犯罪者をつくるためにやっているということではさらさらございませんで、そういう好ましくない状況というものを少しでも少なくしていこう、こういう配慮から管理者がいろいろ取り組んでおる、このようにひとつ御理解をいただきたいと思う次第でございます。
  136. 米田東吾

    ○米田委員 私、時間の制約もございまして、十分突っ込んで御質問できないのでございますが、人事局長、あなたが答弁されれば、私やはりいまのような御答弁になるだろうと思いますけれども、しかしこの「労務情報」なるものは、私が冒頭にも触れましたように、組合のあり方というものをあらかじめ想定して、ちょうど図上作戦のようなものですね。かつて陸軍や海軍が学生を集めて将棋のこまのような作戦会議をよく図上でやったことがあるそうでありますけれども、そういうようなものでありまして、こういうふうに出てくるだろう、こういうことになるだろう、ここへ行くだろう、そしてやり方はこういう悪らつなものになるだろうということで想定をして、そしてそれに対応する管理者のとるべき手というものを指示をしている。指示するそのものは、かつてないようなきわめて高圧的な、もうちゅうちょするな、断固としてやれ。まさに今日の郵政省の中の労使関係とは全く逆な、叱咤激励をされながら指示をしておられる、こういう内容だと私は思うのであります。これを現場の局長や課長が手にすれば、ちゃんともう作戦要務令が与えられているのでありますから、ああ、人が来たのは、これはいやがらせに来たのではないかと思うのはあたりまえじゃないか、あすこにだれかいるな、あれは説得をやるためにあすこに立っているのじゃないかと思うのもあたりまえじゃないか、そういうものになっているというのですよ、現実は。あなた答弁で全国的に五、六件とおっしゃいましたけれども、私が承知するところでは、信越管内でたしか告訴告発が三件、今後ふえていくかもしれませんが、あるように聞いておりますし、これとは直接の関係はありませんけれども、長野県の岩村田という郵便局では自殺者も出ておる。こういうような事態が信越の中にあるわけであります。信越というのはもともとそういうところじゃなかったのです。この「労務情報」が出てからの郵政省の現場の事業所の労使関係というものは非常に険悪になった。こういうようなことを十分参酌をしてもらって、信越郵政の指導に誤りがあるなり、あるいは現状に合わないところがあれば、あなたの方から改めるような指導もしてもらわなければならぬ。ようやくいま本省・本部段階、さあこれから年末首に向けてみんなで労使一体になってやりましょうというときに、こういう問題が依然として現場では局長のところにみんな渡されて、あれが出てきたら、これは説得に来たんだ、かつこの要務令を見て、これはどれに当てはまるか、このとおりにやらなければならぬ、そして逐一メモをして報告しなければならぬ、こういうことになってくれば、現場の職場の雰囲気なんというのは年賀をやりましょうなんというような雰囲気にならないですよ。こういうことがありますので、私はきょうは私自身時間がありませんので終わりますけれども、あなたの方で十分事情を見られて、この指導について誤りがあれば、行き過ぎがあれば是正させるようにひとつ大胆にやっていただきたい。  なお、私は全逓をどうせよとか全郵政をどうせよとかいうことは言っておりませんけれども、少なくともあなたの方のこの指導の対処の仕方というものは偏っちゃいかぬと私は思う。一方はささいなことに対しても告訴をする、告発をする。一方は就労拒否があっても放置をしておく、こういう偏った庇護を、あるいは郵政省自体の労務対策の中立性を疑われるようなものがあってはならぬ。厳然と対処するなら対処しなさい。政治的に偏ってはいかぬ。しかも大事なことは、行き過ぎが出ないように、これから郵政省が掲げておる年賀だけではありません、郵便料金の問題も含めて国民の期待にこたえていかなければならない、そういう時期にあるわけでありますから、国鉄の労使がスト権の問題で同じような見解を持つようになったのも、少なくとも国鉄の企業の中で労使の関係というものを一体的に改善していこうという意欲がそうさせたと言われておるのでありますけれども郵政省もこの際そういう方向で、いま行われておる組織拡大に対する指導、私はよそのことはわかりませんけれども、信越郵政についてはひとつ再点検いただきまして、あなたの方から是正するものがあれば是正する、こういうふうにやっていただきたいし、くれぐれも緊張緩和に逆行するようなことのないような労務対策を進めてもらうように私はあなたの方に申し上げて御返事を聞いて終わりたいと思います。これは大臣からも一言お願いします。
  137. 浅尾宏

    ○浅尾政府委員 お答えします。  何回も繰り返すようでございますが、この両労の間の問題につきましては郵政省としては何ら介入する意思はございません。そこで、全逓にいたしましても全郵政にいたしましても、両者ともやはり行き過ぎがあっては好ましくないことは当然なことでございます。そういう意味から、もし改めるべき点がございましたら十分その是正をさしていくということを申し上げましてお答えといたしたいと思います。
  138. 村上勇

    村上国務大臣 労務管理に行き過ぎがあるというようなことは絶対にやらさないつもりでございます。それから私は、いまあなたの御指摘のようなことを九州からも、方々から耳にしますが、そのつど全逓の幹部なりあるいは全郵政の幹部に率直に話しております。とにかく君たちが行って見い、こういううわさだぞ、そして是非善悪というものは君たちが判断しなさい、そうしてほしいのです。要するにいまの組合が生々発展するもしないも、一億国民が常に監視しておるのだから、相手方を少々説得するよりも国民に支持されるような組合になろうじゃないか、そういうことで私は率直にプライベートで常に話しております。いま両組合ともなかなか指導者がりっぱですから、決してトラブルの起きないように、本部自体の人たちを見ますと実にりっぱにやっておるようでございます。ただその末端においていろいろ誤解があってトラブルがあると思いますが、これを管理する本省としては絶対に不公平のないように、またあるはずでないと思いますので、十分留意いたして処理していきたい、かように思っております。
  139. 米田東吾

    ○米田委員 終わります。
  140. 地崎宇三郎

    地崎委員長 暫時休憩いたします。     午後二時二十七分休憩      ――――◇―――――     午後三時八分開議
  141. 地崎宇三郎

    地崎委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。土橋一吉君。
  142. 土橋一吉

    ○土橋委員 私は、郵政省の同和対策問題についてのやり方やあるいは基本的な行動その他について少しく質問をしてみたいと思います。  その質問の前に、ちょうど今から何ぼぐらい前になりましょうか、第一類十三号(附属の六)というので、予算分科会の第五分科会においての日本共産党の東中分科員のいろいろの質問を私は拝見しました。この中で、高仲政府委員のいろいろな答弁を私はつぷさに読んでみたわけです。この答弁は、文字どおり仮谷建設大臣の青森における発言の、いわゆるいいかげんな答弁といいましょうか、全く誠意を示していない答弁のやり方でございます。これはまことに遺憾でありまして、かようなことがないように、しかと答弁をしていただきたいということであります。  もう一つは、同じく第一類の第十一号のいわゆる逓信委員会議事録第十三号の、これは平田藤吉委員の質問でございますが、この質問についても、高仲政府委員は全く前回と同様に、きわめてあいまいもこ、当たらずさわらず、触れず書かずというような答弁をしているのであります。これはまことに遺憾でありまして、本日はかようなことがないように、しかと答弁をしていただいて、できることとできないことがありましょうから、それはそれとして、やはりできることはやる、できないことはできませんというふうに明確に答えていただきたいと思うのであります。  さて、まず郵政大臣にお尋ねを申し上げますが、過日、十月二十八日の予算委員会におきまして、荒木議員がこういう質問をいたしております。これは静かに記憶をよみがえらせていただけばわかりますが、大阪中央郵便局で、十月の二十九日、三十日、三十一日と、いわゆる寺尾裁判官の判決糾弾総決起集会に公費で出張させる計画はないかどうかという質問をいたしました。これに対しまして村上郵政大臣は、郵政省はさような事実はございませんと答弁をされておるのであります。いまでもさように考えておられるのかどうか、あるいはそれは間違いであった、訂正したいというのであるのか、この点をしかと答弁をしていただきたいと思うのであります。
  143. 佐藤昭一

    ○佐藤政府委員 お答え申し上げます……
  144. 土橋一吉

    ○土橋委員 ちょっと委員長大臣に。私は先ほどから申し上げるように、さようなことはない、公費出張はやらないということを御答弁に相なっておるのですが、これは二十八日であります。したがって、あす、あさって、やのあさってという時期にそういうことがあるかどうか、もし知らなかったらそれはやむを得ません。しかしこの答弁ではさようなことはない、こう答弁をされておるのでありますから、それが間違いであったのか、あるいは訂正すべきものであったのか、明確に本委員会において答弁をお願いしたいと思います。
  145. 村上勇

    村上国務大臣 これは文書で来たものと思いますが、荒木先生の御質問の趣旨は、大阪中央郵便局において、十月三十一日寺尾判決糾弾総決起集会に職員を公費で九名出張させているかどうかということに承りましたが、そのような計画はないとの報告を受けましたので、大阪中央郵便局においては、十月三十一日の寺尾判決糾弾総決起集会に職員を出張させることは予定しておりませんと回答申し上げたものであります。  なお、部落解放研究第九回全国集会には職員七名を参加させております。
  146. 土橋一吉

    ○土橋委員 重ねてお尋ねをいたしますが、あなたのいまの御答弁ですと、三十一日の寺尾裁判についてはやらない。しかしながら二十九日、三十日、さらに三十一日をも含めた三日間のいわゆる研究集会及び裁判反対闘争には、結局、いまあなたは派遣をしていないという説明なのですが、郵政省がれっきとした通告を、つまり近畿郵政局から出しているわけです。そうなってまいりますと、あなたのお話は、つまり国会に事実を隠蔽した答弁をした、こういうことになるやにも思うのですが、どうですか。
  147. 村上勇

    村上国務大臣 具体的な問題でありますので、政府委員からお答えさせます。
  148. 佐藤昭一

    ○佐藤政府委員 ただいまの先生の御質問の趣旨は、先般予算委員会におきまして、委員会の席上で荒木先生の御質問があって、その回答は文書で出せということでございまして、その御質問の趣旨が、大阪中央郵便局で、十月三十一日の寺尾判決糾弾総決起集会に職員を公費で九名出張させているかどうか、こういう御質問でございました。したがって、調べました結果、この十月三十一日の寺尾判決糾弾総決起集会に出席させるために職員を出張させる予定はしておりませんということをお答え申し上げたわけでございます。  なお、いま大臣がお答え申し上げましたとおり、十月二十九、三十日の部落解放研究第九回全国集会の方に職員七名は出張させておる、こういうことでございます。
  149. 土橋一吉

    ○土橋委員 そうしますと、いまの佐藤さんのお答えは、結局三十一日の寺尾裁判には出席をしていないけれども、二十九、三十日及び三十一日のいわゆる寺尾裁判糾弾のものには郵政省の公務員が派遣されておるという結果を御存じの上で、三十一日の裁判のそれにはどうかというふうに、そこの部分をきわめて歪曲して消極的に、きわめて小部分の答弁を繰り返しておったというふうになるわけですが、全体として、二十九、三十、三十一日を続いて、なるほど会合の趣旨は違っておるかもわかりません。片方は部落解放研究第九回全国集会、その第九回集会の後に、つまり三十一日の寺尾裁判、つまり石川さんの無罪釈放といいましょうか、その問題と統一的にやられているわけです。その質問者が部分的なものを聞いたから、それをよしとして、これには予算がない、そういうものに出席はしていないというふうに答えて、全般としては二十九、三十、三十一日と、やはり郵政省の公務員がこの場合に出席をしておるということには間違いないでしょうね、いかがですか。
  150. 佐藤昭一

    ○佐藤政府委員 ただいま申し上げましたとおり、二十九、三十日、この両日、部落解放研究第九回全国集会というものがございまして、そこに職員を、同和関係の研修のために出張させているということはございます。三十日は、一日いっぱいその研修があったということで、三十一日は旅行日になっております。近畿郵政局の方が出張させたのは、この研究集会の方に研修のために出張させた、こういうふうに理解しております。
  151. 土橋一吉

    ○土橋委員 そうするとあなたは、三十一日は旅行日であるからして関係はないのだ、こういう立場に立っていま説明をされた、それに間違いございませんか。あなたの説明はそういう説明であったというふうに考えていいのですか。
  152. 佐藤昭一

    ○佐藤政府委員 三十一日については旅行日ということの出張命令になっております。
  153. 土橋一吉

    ○土橋委員 ここにもそういう類似の資料がたくさんありますので、これをあなたの方でひとつ見ていただきますが、こういう中央郵便局などに掲げてあるいわゆる部落解放同盟の方々のビラあるいはアピール、そういうものを拝見しますと、これは統一をした問題である。したがって、近畿郵政局はこれに対してどういう出張の根拠に基づいて――教育研修の場として適当であると判断したというふうに近畿郵政局長は言っておるのですが、本省はこういうものを見たときに、これが果たして適当だというふうに解釈をしたのかどうか。つまり、これは――佐藤さん、郵政大臣、ちょっと私の顔を見て、目をそらしてはいけません。私の顔を見て聞いてください。三十一日は旅行日だということに名をかりて、東京から大阪まではいま新幹線というものがある。飛行機というものも利用することができるわけです。旅費規程あるいは費用等によってさようなことはできない場合があっても、少なくとも四時間前後で大阪まで帰ることができるわけです。したがって、旅行日というものは全然そういうことに関係ないというふうな独断のもとにそういう解釈をしておる。ところが現実はそうでない。これは一体どうですか。旅行日だということであなた逃げることができると思っておるのですか。国会はそんなに甘くはございませんよ。しかも時間は、せいぜい四時間前後で大阪の駅まで帰ることができるわけです。したがって、この裁判に参加をするというこ  とが当然予想もされるし、そういうことでこの方々は出張しておるわけですよ。近畿郵政局の書類を、私の方は五十年十一月十日に要求いたしましてちゃんと資料をいただいておる。これを見て、あなた方は、この数約五十九名、郵政局職員二名、郵便局員五十七名、内訳管理者九名、一般職四十八名、計五十九名の者が公費を使って、そしていわゆる部落解放研究第九回全国集会にお出ましになっておるわけです。これはそういうことをしなければならない団体ですか。これはどういう団体ですか。この部落解放研究第九回全国集会というのはどういう団体で、どういうことをやっておるかということを知っておっての参加ですか、しかと承りましょう。
  154. 佐藤昭一

    ○佐藤政府委員 この研究集会でございますが、これは部落解放同盟がやっているというふうに聞いておりますが、同和問題の研集ということが現在非常に重要な課題になっておりまして、それに対して研修ということを今日まで鋭意やっておるわけでございます。部落解放同盟というのは、部落の差別解消のために、長年にわたってその運動を進めてきた団体であるというふうに認識しております。  また私ども、この同和問題の早急な解決につきまして、同和対策審議会答申、また同和対策事業特別措置法で明らかにされておりますとおり、これは国の責務であり、また同時に、国民的な課題であるというふうに認識しているわけでございます。したがいまして、同和問題の理解と認識を深めるための教育研修というものがきわめて重要であると考えられますので、差別解消のための研究集会が研修の場として適当ではないかというふうに判断して近畿郵政局が職員を派遣したというふうに聞いております。
  155. 土橋一吉

    ○土橋委員 それではもう一歩進んで私は質問をし、答弁をしていただきたい。  部落解放同盟の方々だけが部落解放のために活動しておるというふうに郵政省考えておるのか。そのほかに、部落解放正常化連とかあるいは部落会とかいろいろな名称の各団体が全国にたくさんあります。そういう任意団体の一つに部落解放同盟の、いわゆる私たちの言葉で言えば朝田・上田派と言われる方々もおられるわけですよ。したがって、これが昨年の御承知のように十一月ごろであったと思いますが、兵庫県の八鹿高校事件などを中心として兵庫県下において今日もいろいろな問題が起こっておるわけです。  わが東京においても、この問題について御承知のようにいろいろな問題が起こって、そうして都営住宅の占拠等の問題を通じ、あるいは「橋のない川」の上映を禁止をするとかあるいは荒川地区におけるいろいろな問題が非常に紛糾した問題で惹起されておるということは知ってのことでかような説明をしたのか、そういうことを全然知らないでいまのような答弁をしたのか、明確に答えていただきたい。そういう団体があるということを知っておるのかどうか、知らないかどうか。また、そういう団体があることを百も承知の上でいまのような答弁を繰り返しておるのかどうか、明確に答えてもらいましょう。
  156. 佐藤昭一

    ○佐藤政府委員 ただいま申し上げましたように、同和対策というものは、私ども……
  157. 土橋一吉

    ○土橋委員 そんなことはわかっておりますよ。あなたがそんな説明しなくても、ちゃんと私はみな読んで知っておるのだ。あたりまえのことだ。知っておってそういうことを言っておるのか、全然そういうことを知らないで、これだけが唯一の団体だと思ってそういうことをやっておるのか、そこのところをはっきり答えてもらいましょう。
  158. 佐藤昭一

    ○佐藤政府委員 私どもがやっておりますこういう研修活動あるいは同和対策というものにつきましては、やはり同和対策審議会答申等の中にもございますように……
  159. 土橋一吉

    ○土橋委員 答申にはそんなもの書いてないよ。部落解放同盟の何々派を支持せいとは書いてないよ。どこにそういうことを書いてあるか。同対審の答申もここに出ておる。読みなさい。措置法でも十カ条しか条文ない。そのほかにどういうことが書いてあるかちゃんとみなわかっておる。なぜそういうことをするのですか。
  160. 佐藤昭一

    ○佐藤政府委員 各団体、各種の同和教育あるいは同和対策を行っておる関係行政機関、あるいは関係団体などと、それぞれ地域の実情によりまして連携のもとに、各機会をとらえまして同和問題の正しい理解と認識を深めていく、こういったことをやってまいりたい。またまいっておるというわけでございまして、そういった観点から、先ほどの研究集会におきましても、やはり研修に参加することに意義があるということで参加したわけでございます。
  161. 土橋一吉

    ○土橋委員 この政府委員の私の質問に対して拒否をして答えようとしていない。まじめに私はちゃんと質問したように、こういうことを知っておってこれだけに援助するということを考えてやったのか、それともそういうことを知らないで、これだけしかないと思ってそういうことをやったのかということを私は聞いておる。そんな不必要な答弁は必要ないですよ。これを仮谷発言と言う。いいかげんなことを言っておる。そういうことを知っておってあなたはやっておるのか。  現在、和歌山県では県知事選挙も行われておる。この問題は非常に重要な問題をはらんでおるわけです。東京都においても、この問題で毎日のように一般新聞にも書かれておる。知っておってそういうことをやっておるのか。
  162. 佐藤昭一

    ○佐藤政府委員 先ほど申し上げましたとおり、やはり部落解放同盟というものは、部落差別解消のために非常に長年にわたって運動を進めてきておる団体である、そういった認識の上に立ってこういった研究集会に研修活動として参加した、こういうことでございます。
  163. 土橋一吉

    ○土橋委員 そうすると、部落解放同盟の方々は長い間やっておった。ところが最近は同和会とかあるいは部落解放正常化連盟とかいう大きなそういう一つの団体の方々も奮闘されておる。この部落解放同盟朝田派あるいは朝田・上田派あるいは小西派とかいろいろ言われておるのですが、その方々は今日までやってこられました、いろいろなことについては、すでに大阪市においても大阪府下においてもいろいろな問題を引き起こしておる。利権と暴力を中心に、自分たちのいわゆる解放研と称する方々には便宜を図り、それ以外の者は差別をする。これが羽曳野市の市営住宅問題でも大問題になっておったわけだ。松原市の市立病院建設の問題でも大きな問題になった。また、泉州境市の福祉会館建設上の諸問題からこれを利用する問題に至るまで、大きな問題を起こしておるわけだ。そういうことを百も承知の上で、あなたはいまのような答弁を繰り返しておるのですか。東京において、美濃部東京都政下において、この人たちは東京都のいわゆる局長さんの部屋へ入り込んで、そして局長さんはどうにもならなくなっていろいろな問題を引き起こしておるとか、あるいは「橋のない川」の上映は許さないとか、あるいは各東京都下の図書館の未解放部落のことを書いたものを、一切書籍を貸し出しをしないとか、いろいろなことをやっておるわけだ。埼玉県でもあるいは京都府においても大きな問題を引き起こしておる。なぜ、そういうものをあなた方は、ただ古いからこれだけだというふうに解釈をしておるのか。そういう適当な答弁じゃなくて、どこに根拠を持ってこの団体を正統な団体と認めるのかという根拠を示してもらいたい。われわれはかような手落ちのある、しかも暴力、利権を中心とする一つの団体、おまけにあなた方にお示しをしたように反共団体だ。日本共産党はれっきとした、要するに衆参両院にも、都道府県会にも、市町村会にも議員を持っておる公党ですよ。宮本一派がどうだこうだと書いてある。そういう政治的にきわめて不穏当きわまることをやっておる任意団体に対して、何で郵政省が金を使って研修会だあるいは裁判反対闘争に職員を派遣をするのか、どういう根拠を持っているのかね。どういう理由があるというのかね。聞きましょう。いままで適当な答弁をしておった。そんなこと許されないよ。あなたはこの速記録を読んでおるのかね。つまり、東中分科員がずっと、丁寧に事実を挙げて説明している。それに対して高仲政府委員は何という答弁をしておるのか。全く人を愚弄したような答弁をしておるんだ。たとえば、大阪中央郵便局の二階の玄関の入り口のところに、その二階に三十五平方メーターの土地つまり建物を占拠して、クーラー二台をちゃんと据えておる。そんなことはどうかということについて、私はそんなクーラーなんか初めて、知りませんでしたとか、その次の答弁を読むと、いや倉庫の中にあったクーラーを持っていってきれいにしてつけましたとか、適当な答弁をしておるわけだが、なぜさようなことを言うのか。もっとまじめな答弁、どうしてできないのか。もしあなたが、ここに書いてありますような同対審の答申にそういうことが書いてあったら示してもらいたい。部落解放同盟朝田派あるいは上田派に対して、どうしてもそういう援助をしなければならぬとどこに書いてある。同対審の答申読んでごらん。臨時措置法にもどこにも書いてない。なぜそういう越権行為を君らはやるのか。やる以上は根拠はあるでしょう。あなたたちは、ちゃんとした理由を持っておるでしょう。それを示してください。ちゃんと正統性を持った理由の根拠を示しなさい。
  164. 佐藤昭一

    ○佐藤政府委員 先ほど私、同和対策審議会というところでちょっとお話が切れたわけでございますが、同和対策審議会の方から昭和四十七年の三月に「同和教育に関する当面の指導指針並びに同和教育行政に対する要望事項について」という文書が、関係各省大臣の方に出ているわけでございますが、その中で「社会教育における指針」という項目で、「社会教育における同和教育は、学校における同和教育や同和対策を行なっている関係行政機関、関係団体の活動などと密接な連携のもとに行なうよう配慮しなければならない。」というくだりがございます。私ども部内の職員の研修におきましても、そういった趣旨を十分に参考としながら研修を行っているということでございます。
  165. 土橋一吉

    ○土橋委員 そうすると部落解放、いわゆる朝田派あるいは朝田、上田派と言われている諸君にそういうことをしてよろしいということはどこにも書いてない。いまあなたが読み上げたけれども、あなたの方から出している出版物の何ページにそういうことを書いてある。次官通達も出ているよ。また郵政省の各機関に対する郵官秘の一〇六四号というのも出ておるよ。そこにどうしてそういうことが書いてあるの。
  166. 佐藤昭一

    ○佐藤政府委員 失礼いたしました。私いまちょっと読み違えましたので訂正させていただきます。「同和対策審議会」と申しましたのは誤りでございまして、「同和対策協議会」の会長から出ている文書でございます。
  167. 土橋一吉

    ○土橋委員 それは要するに大阪府の問題であって、東京に何の関係あるかね。郵政省と何の関係あるかね。大阪府においてそういう協議会をつくっておるのである。それと郵政本省と何の関係があるか。そんな逃げ口上を言ったってだめですよ。委員先生方聞いてください。こんなでたらめな答弁をして、協議会というのは、大阪府の同和対策協議会、同対協という名前のものに何で郵政省は拘束されるのか。
  168. 佐藤昭一

    ○佐藤政府委員 これは、ただいま申しました同和対策協議会というのは、政府の機関として設置された協議会でございます。
  169. 土橋一吉

    ○土橋委員 どこに書いてありますか、政府の機関だなんて。聞かしてもらいましょう。政府の機関ならば、行政組織法によってちゃんと規定があるわけだ。郵政省に所属をするとか自治省に所属をするとか、政府の機関だと言いましたね。聞きましょう。行政組織法の何条にそういうことを規定しておるのかね。
  170. 佐藤昭一

    ○佐藤政府委員 総理府設置法第十五条「(その他の附属機関)」のところに。
  171. 土橋一吉

    ○土橋委員 それは何条ですか。
  172. 佐藤昭一

    ○佐藤政府委員 十五条でございます。
  173. 土橋一吉

    ○土橋委員 何の十五条。
  174. 佐藤昭一

    ○佐藤政府委員 総理府設置法の十五条でございます。読み上げますと、「第十五条 左の表の上欄に掲げる機関は、総理府の附属機関として置かれるものとし、その設置の目的は、それぞれ下欄に記載する通りとする。」略、「種類」「同和対策協議会」「目的」「同和対策として推進すべき施策で関係行政機関相互の緊密な連絡を要するものに関する基本事項調査審議すること。」というくだりでございます。
  175. 土橋一吉

    ○土橋委員 そこへ座っておってください。それは政府の間における各省関係の問題、自治省の問題があるからして、政府自身が協議あるいはいろいろな問題について話し合いをするという政府の機関ですよ。解同朝田派と言われる諸君は何の関係があるかね。それは総理府の、要するに、各所管事項をやっておるところの官庁間において、たとえば自治省であるとかあるいは関係しておるところのそういう省間において、いろいろな問題を取り扱いましょうという協議をする一つの行政組織法にのっとった政府の機関だ。それと解同朝田派、上田派と言われる諸君と何の関係があるか、関係ないでしょう。関係あるのかね。朝田派と何の関係あるかね。
  176. 佐藤昭一

    ○佐藤政府委員 ただいまの御質問でございますが、この協議会と、ただいまおっしゃいました部落解放同盟との問に何の関係があるかとおっしゃれば、直接の関係ではございません。私が申し上げましたのは、その協議会の会長から関係各省大臣あての、先ほど読み上げました文書にあります、同和教育行政に対する要望事項というものの中にあります社会教育における同和教育云々ということを申し上げたわけでございまして、そうした要望にあります――もう一遍読み上げますと、「社会教育における同和教育は、学校における同和教育や同和対策を行なっている関係行政機関、関係団体の活動などと密接な連携のもとに行なうよう配慮しなければならない。」ということを参考といたしまして、部内職員の研修も配慮しているということでございます。
  177. 土橋一吉

    ○土橋委員 それは政府機関ですからして、そういう団体とは密接に、特にこれは長い間日本人の一部の方々のうちには非常に不幸な、要するに社会的な地位あるいは生業を営む場合にも、また住宅環境等においても、教育の均てん化においても、あるいは官吏任用についてもきわめて不公平なことがあったからして、事実そういうことについてはお互いに協力しましょうということでしょう。あなたの方が出した資料がここにありますよ。同じようなことを言っておりますよ。総理府総務副長官、そして厚生、農林、通産、労働、自治次官が各都道府県にちゃんと出していますよ。同じようなことですよね。そのことと解同朝田派は違うだろうと言っているのだ。違うか違わないか、はっきり答えてください。同じものか。それは政府として指示をしておる内容なんだ、行政組織法に基づいて。同和対策特別措置法という法律に従って、その措置をどうするかということについて、一つの訓示的な、指導的なものを書いておる。それとその指導される解同朝田派と全然違うじゃないか。何の関係があるのか。それだったらば、正常化連もあれば同和会もあるし、あらゆる団体について同じようにしなければいかぬじゃないか。理由になっていないじゃないですか。頭を冷やして冷静に答えてください。上がっちゃいけません。
  178. 佐藤昭一

    ○佐藤政府委員 先ほど申し上げましたように、こういった社会教育をやります場合のそういった要望事項というものも十分参考にいたしまして、やはり各地域の実情に沿って適宜研修というものをやっていかなければならないというふうに認識しているわけでございます。その一環といたしまして、部落解放同盟の研究集会というものにこの同和問題の認識を深めるために参加させて研修を行っている、かように考えております。
  179. 土橋一吉

    ○土橋委員 それではあなた方は、研究集会と言われるこの全国的な集会には、どういう六項目の大きな命題を掲げてその運動を進めておるかということを知っておって参加させたのですか。答えてもらいましょう。六項目はどういうことを一体やっているのか、そこの写真の写しを読めばわかるでしょう。
  180. 佐藤昭一

    ○佐藤政府委員 ただいま先生がおっしゃいました六項目云々ということについては、十分に内容承知しておりません。先ほど私が申しましたように……
  181. 土橋一吉

    ○土橋委員 あとはいいです。  そのどういうことを研究するかも知らないで、職員に多額の金子を与えて、そして三日間も休暇のようなものをとらしてあなた方は出張させておるのですか。郵政省はそれほどとんまですか。何をやるか知らぬけれども、研究集会をやるから五十九名行けと言って人を派遣しておるのですか。新聞の、私の写したこれをあなたよく読んでみたらいい。六項目、皆ここに書いてある。こんなことをやっておっても研究集会というのかね、さあ聞きましょう。――委員長。もっと責任ある答弁をしてもらいたいですね。きのうもちゃんとどういうことを聞くかということについて、郵政省が来ておるから私どもは親切丁寧にちゃんと説明してやっている。それを説明できないような政府委員じゃしようがないじゃないですか。
  182. 佐藤昭一

    ○佐藤政府委員 この研修というものは、やはり基本的に社会的な差別というものを解消するための研修、こういうふうに考えておりまして、それに基づいて近畿郵政局がそういった判断で研修に職員を参加さしたというふうに聞いているわけでございます。
  183. 土橋一吉

    ○土橋委員 そういうふうに聞いておるなんてあいまいなことでは、あなた方は五十九名の職員を、この忙しい中で、しかも郵便料金を値上げをしてくれという際に、末端では先ほど米田議員からの御質問があったようなこういう労働情勢の中において、何を言っているんですか、あなた方。  ここで、この集会においてやっておることについては、こういうふうに新聞報道しています。「「当面の課題と方向」について報告した中執の大賀正行は①同対審答申完全実施」、同対の答申どおりやってくれ、こういうのが一つの大きな目標になっています。第二番目は「狭山裁判闘争」、狭山裁判についていろいろなことをやるということが言われておる。第三番目「日本共産党、部落解放同盟正常化連とのたたかい」。ここをもう一回読みましょう。「日本共産党、部落解放同盟正常化連とのたたかい」、四番目「総需要抑制下の部落解放運動の方向」、五番目「労働運動と部落解放のかかわり」、六「「解同」本部の東京移転」、この六点について要するに大きな旗印としてこの集会を開く。同時に狭山裁判について反対のことをやる。それで郵政本省の前に三十一日は集合して、そしてデモをやる。こういうところに郵政省の職員がみんなゼッケンをつけて参加しておるじゃないか。そんなことが許されると思っていますか。そんなことも知らなかった、ただ研究集会だから派遣をしました、それでこの協議会の総理府の何だか通達に基づいてやっておると言うけれども、理由にならぬじゃないか、どうですか。そんな金があったらなぜ職員の給与を上げてやるとか、手当をふやしてあげるとか、あるいは余分なところの金を削ってそういうところに回すとか、なぜやらないのか。どうしてそういうでたらめなことをやっておるのか。それじゃ同和会というのがある、その方々にもこれでちゃんと同じように、そういう研究会でオルグを派遣をしてどういうことをやっていらっしゃるのか、あるいは解放同盟正常化連はどういうことをやっていらっしゃるのか、同じようにやるべきじゃないか。なぜ解放同盟朝田派、上田派と言われる暴力的な利権集団だけに君たちは金を使ってこういうことをやっておるのかね。しかも日本共産党が宮本集団であるとか、紛砕しなければならぬとか、こんなことを言っておるわけです。これは明らかにあなた方そういうことを容認して、政治闘争に拍車をかけるような金を使っておるじゃないか。郵政省がそんなことをしていいのかね、どうかね。そういう拍車をかける。日本共産党宮本集団粉砕、そんなことを言っておる連中に、血の出るような金を使って、そして職員を五十九名も派遣している。大阪中央郵便局では七名派遣しているじゃないか。なぜそういうことをするのかね。その根拠は、どういう理由があってそういうことをしたのか。
  184. 佐藤昭一

    ○佐藤政府委員 今回の集会においてどういうふうな問題が議論されたかということにつきましては、新聞紙上で報道されている程度にしか存じないわけでございますが、同和地区の出身者の雇用の門戸が狭められているとかあるいは就職についての企業の姿勢が変わってきている、そういった現状における深刻な報告が寄せられたというふうなことが新聞には報道されているようでございます。  なお、やはり基本的な問題といたしましては、この社会的な差別の撤廃というものを基本として運営されている、また活動しているというふうに理解しておりまして、そういったものを内容とする研究集会ということに参加することが有意義であるということを認識いたしまして、この研究集会に職員を派遣したというふうに聞いているわけでございます。
  185. 土橋一吉

    ○土橋委員 まことにあなたには申しわけないけれども、そんな答弁ではこの国会の審議答弁とはなりませんよ。さっきから申し上げているように、この六つの項目を読めば一目してわかるように、これは任意団体として当然政治的な活動の問題も呼びかけたりいろいろしているわけです。そこで見逃すことのできないのは、いろいろのやり方の問題その他はありますけれども、特に重要なのは、第三項目の日本共産党に対するいわゆる撲滅あるいは宮本集団粉砕、こんなものになぜこういうことをやる余地ができるのか。そこにも書いてある。ちゃんといまごらんになっておるでしょう。そういうことを百も承知の上で、要するに、われわれは社会党といま九項目にわたってこの臨時国会では共闘関係を結んでいるんですよ。公の政党ですよ。宮本集団なんというのは日本にはありませんよ。そういう中傷、誹謗するような連中に金まで与えてこれを盛り立てるとは何事ですか。そんなことは理由になりますか。どうですか、理由になりますか、そんなことをして。それでいいというんですか。六項目のうち、これはどれも切り離すことのできない、それぞれ関連を持った問題であるわけだ。しかもこの集会は反共、日本共産党に対する攻撃を中心とする集会であったわけだ。いろいろな新聞も書いております。しかしながら、特にトロツキスト集団、革マル同盟とかブントというような集団が四千名も入っている。これは暴力集団だ。法政大学とか同志社大学とかあらゆる大学に巣を食っている連中だ。これらと結託をして、要するに日本共産党粉砕ということをやっている。なぜそういうことを知っておって金を出すのかね。東大阪郵便局の、昨年の六月下旬に一人死なれて、続いてまた次長が死んでいるというような事件も起こしているわけだ。大阪中央郵便局の便所とかそういうところの落書き問題だって、これはもうすでにわが党の委員指摘をしているけれども、その集配課の課長が一々一時間ごとに便所の落書きがあるかどうか調べて歩いている。こんなばかなことをやっているんじゃないかね。しかもこの郵便局におられる人は、給料をもらっているけれども仕事をしないというような諸君を抱えているじゃないかね。名前を挙げましょうか。これは、大阪中央郵便局の第一集配課の課員で福原八郎さんという人は出勤簿も何も判こも押さない。それで給料をもらって、そしてほかの郵便局の解放研に講義に行かれる。そうすると一時間三千円、二時間六千円の給料をもらってくる。郵便局からそういう給料をもらってくる。そういうことをやっておられるんじゃないですか。その中にも名前がちゃんと書いてあるはずだ。あるいは東郵便局の中谷源司さんといいますか、この人もそういうことをやっているし、ぶらぶらしちゃって仕事も何もしやしない。出勤簿には何カ月も判こを押してない。郵政大臣は、この前もお聞きになったでしょう。あのときは、あなたはそういうことを初めて聞いたからと言って答弁しておられるわけだ。今度は逃すことはできませんよ。こういう連中を、要するに、皆ほかの人は忙しくて、それこそ鉄砲の弾のように区分をしたり配達をしておる、苦労しておる。解放研の諸君だけなぜこういうことを許しているのかね。それでもあなた方は正しいというのかね。それでも同和対策に対する政策を行っておると言うのかね。しかと答弁してください。郵政大臣、きちっとあなたは責任持って答弁してくださいよ。
  186. 村上勇

    村上国務大臣 郵政行政というものは、なかなか一年や二年で先生方の納得のいくような答弁はできないと思います。特にその中でも同和対策問題は非常にむずかしい。私もずいぶん事務当局と勉強しましたけれども、なかなかむずかしい問題でありまして、いろいろと先生の御質疑に対して御納得のいくような答弁は、平行線をたどっておると思います。  したがいまして、ただ申し上げられることは、要するに、政府の一つの機関というか、法律によって定められておるその協議会によってできておる研究会に、やはり同和対策を十分検討し、十分その認識を深めるために職員を派遣したものと私は解釈いたしております。しかし、その点に関してもなかなか御納得がいかれないように私拝聴いたしておりますので、もう一応、私どもの方でその近畿郵政局の当事者、責任ある者を招致いたしまして、十分にその御回答のできるような時期まで、なるべく早い時期に回答申し上げますが、ひとつそれまでの期間を与えていただきまして、大体、本日これを幾ら責められても、私どもとしてはこれに御満足をいただけるような御返事もできないんじゃないか。どうかひとつ何日か時日をかしていただきたい、このことをお願いいたします。
  187. 土橋一吉

    ○土橋委員 私たちは誠心誠意答弁をしてそして善処するということであれば、待つことにやぶさかではないわけです。しかしながら、この問題は本委員会におきましてもかつて私は追及しておるわけです。質問もしておるわけですね。また、ことしの予算分科会においてもわが党の議員が質問をしておる。平田藤吉議員、いまお見えになっていますが、やはり質問をしておる。そしてその質問の内容を静かにずっと拝見してみると、実にいいかげんな答弁をしている。特に、言いにくいけれども、高仲政府委員のごときは全くその代表的なものです。しかるべくその場限りの答弁をして逃げていく。こういうことでいるから私は納得できないわけです。きのうきょう起こっている問題じゃないわけですよ。しかもこれが東京においてもいま問題を起こしておるわけですね。和歌山県の知事選挙でもこの問題は大きないろいろなネックになって問題になっておるわけですよ。そういう任意の団体に対してなぜこういう手厚い措置を講ずるのか、何か郵政省が悪いことをしてしっぽでもつかまれておるかと思わざるを得ないような状態になっておる。この利権と暴力集団について、先ほど申し上げたように革マル同盟とか中核派と一緒になって、そしてジグザグコースはやれば、いろいろなことは悪態をつく。こういう連中に知っておって公費出張を命ずるとは一体何事であるのか、言語道断と言わなければいかぬじゃないですか。しかも人名もはっきりしておりますよ。あなたそういう簡単なことをおっしゃいますけれども、あなたが答弁しておる最中にはちゃんと五十九名、郵政職員二名、郵便局職員五十七名、そのうち管理者が九名、参加するようにちゃんと資料まで出しておるのですよ。大臣は御承知ないからそんなこと知りませんと言って答えたかもわからないけれども。  しかもこの内容を読んでみると、研究集会参加による研修だと言うが、ゼッケンつけて郵政省の前へ行って、共産党粉砕だとか何々裁判粉砕だとかこんなことをやっているのが研修ですか。しかも解同朝田派、上田派の幹部を呼んでちりちりしていて一時間で三千円、二時間にわたれば六千円払って、おまけにそういうことを組織をしておる連中は仕事も何もしないでぶらぶら歩いておって給料を払っておる。何事ですか一体、これでもいいと思っているのかあなた方。  しかもこの人たちはここに名前を挙げますと、大阪中央郵便局の集配部長林茂、厚生課長今井博一、それから窓口集配部の福原八郎、これは解放研の中心的な幹部じゃないですか。立岡康成、同じく山口直人、竹崎慎一、佐々木茂美、こういう諸君だ。おまけにこの人たちの宿泊場所も丁寧に決まっている。今井博一さんと福原八郎は麹町郵便局内。郵政大臣、私はあなたをばかにしておると思うのです、こんなもの出していて。  そして三十一日、この寺尾裁判に参加したかどうかということを聞いたら、そこのところを盾にとって旅行日だからしてそれに出ていませんと答えなさい。しかし二十九、三十、三十一日は連関をしてそういういわば示威運動をやっておる、裁判反対闘争をやっておる、日本共産党粉砕の運動をやっておる。そういうことをやっておることを百も承知で、しかも大臣には荒木委員から三十一日の裁判反対闘争にはと言ったものだから、これに参加しておりません、こう答えさせておるわけだ。不都合千万じゃないですか。さような陰謀のようなことをやって答弁させておいて、ふたをあけてみたらこのとおりだ。しかもこれで近畿地方でいかほど金を使っているのですか、明細を出してもらいたい。
  188. 佐藤昭一

    ○佐藤政府委員 近畿郵政から研修所に出張させましたのは研修のために出張させたわけでござまして、この研究集会に二十九日から三十一日まで三日間、二泊三日で出張させております。研究集会は二十九日と三十日いっぱいございましたので、三十一日を旅行日として二泊三日で出張させたわけでございます。  先ほど先生がおっしゃいましたように派遣された職員は五十九名でございまして、これにかかりました経費は百三十二万三千円余りでございます。
  189. 土橋一吉

    ○土橋委員 きわめて不正確だ。申しましょうか。百三十二万三千七百三十八円かかっているわけだ。あなた方は給料が高いから円から以下は切り捨てていいと思っているのかね。そうじゃないでしょう、旅費支給規程によって支給されるものだから何銭何厘まできちっとしなければいけないでしょう。そういういいかげんな答弁じゃいけませんよ。
  190. 佐藤昭一

    ○佐藤政府委員 数字が長いので百円未満を余りと申し上げたわけでございますが、おっしゃいますように最後まで申し上げますと百三十二万三千七百三十八円でございます。
  191. 土橋一吉

    ○土橋委員 私はいままで申し上げましたように、この暴力的な利権集団が大阪府下におけるそれぞれの市において、あるいは兵庫県下におけるそれぞれの町において、あるいは京都府下において、滋賀県下においていろいろな利権と暴力、確認会であるとか糾弾会であるとか勝手なものをつくって多くの方々に迷惑をかけ、あまつさえ自分たちの集団だけにすべての権利を集中してやるようにと、それには手段を選ばない、要するに確認会、糾弾会というものを開くわけですよ。私の郷里の鳥取県でもこの問題は大きな問題になっているわけですよ。これは小西派という諸君ですよ。あるいは大阪においては上田さんという人を中心に朝田・上田派といわれる連中がいろいろやっておるわけですよ。なぜそんなところへ手を染めているのか。もっと公平に本当に同和対策事業を研究するならば同和会の方々の問題についてはどういうふうになっておるのか、あるいはまた正常化連といわれる方々はどういうふうにやっていらっしゃるのか。もちろんこの問題についてもいろいろ検討したらいいのだ。それをやらないでおいて先ほどの答弁から見るように総理府の協議会をつくるといったその協議会と関係があるかのような、何かそこに指導のようなそういう答弁をしておるわけなんです。これは関係ないのですよ。同対審の答申というものは公平に、そういう部落の方々に対していろいろな説明はある、民族主義だとか地域主義とかいろいろな問題はあるけれども基本的には大まかに言って要するにその地域の環境を整備してあげる、機会均等に学問を受ける権利を与える。要するに任官の機会均等を与える、そして差別をしてはならないということじゃないか。その解同朝田派というのはわざわざ差別をしておるのじゃないですか、どうかね。羽曳野市における市営住宅百何戸についても彼らは暴力によってこれを占拠しておる、ほかの人を入れないと騒いでいるわけだ。市長がどんなに苦しんでいるか現状を私は見てきたのですよ。大阪の松原市における病院の問題でも同じこと、泉州堺市の福祉会館の建設その他の利用でも同じこと、営業資金なり事業資金の貸し出しの問題でも同じことが東京でも行われているじゃないか。そういうことを知っておって、そこに公費を使って派遣をして研修だとは一体何事ですか。あなたは理屈が立つと思っているのですか。しかも近畿地方においては非常に異常な状態だ。この春過ぎ以来ずっと各県ごとに、たとえば天王寺においては約二百名前後の職員に対してこれが研修をやっておるわけだ。第一研修日が大体百数十名、第二の研修日が百名といやおうなしに。しかも庶務課長のごときはこれにぜひ出てください、物がたまってもいいから出てください、こういう指導をやっている。これは兵庫県でもそういうことをやっておる、滋賀県でもそういうことをやっておる、奈良県でもこういうことが公然と行われておるわけです。そうして私たちは、日本共産党に対するこういう攻撃を加えた者に対して、しかも革マル同盟あるいはブントあるいは中核派という諸君と結託をして東京集会をやっているようなこういう人々を容認できないわけですよ。そこにも宮本集団どうとかこうとか粉砕せいというやつが書いてあるでしょう。そういうことを知っておって派遣するとは一体何事であるか。
  192. 村上勇

    村上国務大臣 こういうことは突発的に起きたことであって、そんなことを責めちゃいけないですよ。
  193. 土橋一吉

    ○土橋委員 これは突発的に起こったことじゃないですよ、村上さん。あなたはそういうふうな言い逃れをされますけれども、終始一貫こういうことをやってきておるわけですよ。突発的にこれが起こったわけじゃないですよ。第九回大会といっていままでもずっとそういう大会は開かれているわけです。(「村上さんと言わずに村上大臣と言いなさい」と呼ぶ者あり)それは訂正してもいいですよ。村上郵政大臣どうですか。
  194. 村上勇

    村上国務大臣 先ほどから個人の名前を挙げて何派だとかいうことを先生はおっしゃいますけれども、私はそういう何派とかなんとかということは本当に承知していないのです。ただ、同和関係について、これの正常化を図る、それについてはこうあるべきだというようなことであれしていますし、またいまの写真なんか実に不都合だと思いますけれども、それを承知しておって、郵政省の方は近畿であろうがどこであろうが同和の研究のために人を遣わしたものじゃない、こう私は解釈しております。もしそういうようなことであれば、私としても相当な考えをしなければならない、こう思っております。
  195. 土橋一吉

    ○土橋委員 相当な考えをしなければいかぬ、まことにりっぱです。ぜひその相当の考えを速やかに発揮して、そうして大阪、近畿郵政局長を呼んで、どういうことになっておるのか、そこにもこの前も答弁された政府委員もおられるわけですから、実態をよく調べて、二度と再び本委員会でこんなことで質問がないように――まだ金利の問題もございますよ。郵政省の不正事件の問題の追及もあるわけだ。しかし、私たちはわが党の名誉にかけまして、こんなことについて誹謗し中傷しておることは許すことはできぬわけです。しかも、正当性があるなら別ですよ。根も葉もないことだ。暴力的な利権集団がこんなことをやっていることは、日本共産党は断じて許すことができません。しかも公の政党です。社会をもっとよくしようと考えておる政党です。ですから、こういう暴力、利権集団と違う点も私たちははっきりしなければならぬ、こういうわけであります。時間が来ましたのでこの問題を一応終わりますけれども、今後かようなことのないように、また初めて官房長になられてあなたも大変だったと思いますけれども、公務員らしく公平、中立の立場で物を見るように、そんないびつな方向に向かわないできちっとやってくださることを強く要望いたします。再びこういうことが起きますならばこの次は容赦しませんよ。  そこで、私は郵政大臣にお尋ねするのですが、最近物価が異常に上がっておりますね。そこで郵便貯金の目減りという問題が起こっております。これはどなたも言っております。郵政大臣は、自分の所管しておる貯金業務において、二億何千万という口座を持っておる国民の零細な貯金が、物価が上がって目減りをしている、それに対してどういう措置を講じようとしておるのか、また現在までどういう措置を講じてきたのか、簡単にお答えいただきたい。
  196. 村上勇

    村上国務大臣 お答えいたします。  当面の深刻な不況を克服するために、金利水準全面的引き下げを一層促進する必要があるということで、これを有効、適切に実行するためには、何としても預貯金金利引き下げの一環として、郵便貯金金利についてもこれを引き下げるよう強く要請されましたので、郵政審議会諮問いたしましてその結論を得、また多方面の意見も聞いてまいったわけであります。その結果、現下経済情勢のもとでは、郵便貯金金利引き下げはやむを得ないとの結論に達したものであります。  なお、郵便貯金は、国民大衆に利用されている少額貯蓄手段でありますので、預金者の目減り等の利益保護につきましては、今後とも十分配意してまいりたいと思っております。
  197. 土橋一吉

    ○土橋委員 これは要するに、政府の金融政策あるいは経済政策、物価政策といいましょうか、そういう重要な問題に関係をしておるわけです。したがって、郵便貯金法の第一条の目的から申しましても、あるいは第十二条の前段の要求する規定から申しましても、きわめて確実な貯金の方法として国民郵便貯金を利用しておるわけです。その郵便貯金がどんどん目減りをしてしまって、預けた金の金額が減るというようなことになってくれば、郵政大臣としては、率直に言って立っても座ってもおれない、善処しなければいか心、これは当然だと思うのであります。ところが、いまの御答弁ですと、どういう善処をしたか具体的にお示しもないし、まことに私は遺憾だと思うのです。やはりこれは国民立場に立って、第十二条でも「郵便貯金簡易で確実な少額貯蓄手段としてその経済生活の安定と福祉増進のためにあまねく国民大衆の利用に供される」ということを言っておるわけですね。それからまた第一条の規定を見ましても同じように「確実な貯蓄手段としてあまねく公平に利用させることによって、国民経済生活の安定を図り、」これらの条項から見ますと、貯金の目減りという問題はわが国全体の大きな政治問題の一つである。したがって、これを防衛をしてあげるということは非常に大切だと思います。ところが、ここで先ほどからいろいろ言われておりますが、私の持っておる材料によりますと、これは東京新聞でありますが、九月の二十六日に土光会長という写真が出ておりまして、そしてこの方がこういうことを新聞紙上に発表されておるわけです。「今後このような手続きをとっていては公定歩合を機動的に上げ下げするタイミングが失われる恐れが常にある」したがって、第十二条の規定政令で定むべきである、こういうことをこの方はおっしゃっておるのですが、この土光何とかさんという方はどういう出身で、どういうことをやって、そして郵政省とはどういう関係の方でございましょうか。
  198. 佐藤昭一

    ○佐藤政府委員 経団連の会長を現在やっておられます。また、郵政審議会会長もやっておられます。
  199. 土橋一吉

    ○土橋委員 いま承って、新聞にもさような意味のことを書いてあるようですが、経済団体連合会の会長さんだそうですね。そしてこの方は、郵政審議会委員であると同時に、幹部の一人だというふうになっておるわけです。郵政審議会というのは大臣答申するのが役目であって、国民にかような得手勝手なことをしゃべっていいんですか。村上郵政大臣どうでしょうか。要するに、あなたに答申をするだけの責任者であって、国民に対して責任を負う立場にありませんよ、この人は。なぜそういう立場の者が、得手勝手に新聞記者会見をしてこういうことを言うのでしょうか。
  200. 村上勇

    村上国務大臣 土光会長発言は、景気対策には機動性が必要であるという趣旨を強調されたものであるのでありまして、郵政審議会が無用だということを言われたものではないということを承知いたしております。  なお、私といたしましては、今後とも郵政審議会が円滑に運営され、その重要な任務を十分に果たされるように配意してまいりたいと考えております。  郵政審議会の十月七日の開会と同時に、土光さんから発言を求められて、そして一身上の弁明ですか、そういう点について誤解のあることを御了承賜りたいというような発言をしておりましたことを私も承知しております。
  201. 土橋一吉

    ○土橋委員 これは、郵政省設置法の規定によって郵政大臣がそれぞれの委員の方をお願いをして、それで郵政大臣の一つの諮問機関といいましょうか、あるいはそういういろいろな意見をここで述べて、郵政省全体の意見をまとめるようなそういう役目をしていらっしゃる、その会長さんだというふうに私は思うのであります。その会長が得手勝手にこんなことを、金利がどうだこうだとか、そういうことを言うべき筋合いのことじゃないんじゃございませんか。経団連の会長として私はこういうことを言いたい、それは自由でしょう。郵政審議会会長としてかような不届きなことを言うということは、郵便貯金に関する基本的な原則を忘れておると言っても私は言い過ぎじゃないと思うのですよ。ましてやあなたの所管のもとにおける者が得手勝手にそんなことを発表して、黙っておるわけはないでしょう。なぜあなたは訓告なり会長をやめさせてきちっとしなかったんですか。
  202. 村上勇

    村上国務大臣 早速それは事務当局からこれに対して一つの追及をしましたところが、それは自分の言葉が短かったか長かったかで、決してそういうものでなかったというようなことが、一応非公式には返事がありましたけれども、なお公式の場所で御本人の一身上の弁明というか了解をいただくようにということでありましたので、私もそのままにいたしておる次第であります。
  203. 土橋一吉

    ○土橋委員 ここにこういうことを言っておる方がいらっしゃるんですよ。「“土光発言”に対して、消費者団体連絡協議会の大野省治事務局長は二十五日「インフレによる預貯金の目減り補償もしないで、早くも金利引き下げをもくろんでいるのは許せない」と、次のように批判している。」こういうふうになっているわけですね。さらにほかの新聞毎日新聞を拝見しますと、「郵貯利子引下げ」「太る企業、やせる庶民」というふうに、ちゃんとこういう見出しで書いてありますね。そこでここにも、日本消費者連盟の常任運営委員の鈴木了一さんという方も、ほぼインフレをおさめて貯金の目減りをとめるまでは金利を下げるべきじゃないという正論を吐いていますよ。これらの一連の新聞の論調から見ますと、これは明らかに無謀と言わなければならぬ。時期も時期、しかも、郵政審議会にこれからかかろうという時期に、こんなことをしゃべって、郵政審議会で一応のごあいさつをしたってそんなことで済むものではない。これは郵政大臣の一つの機関でありますから、当然これは訓告なりあるいは解任をするなりして国民の気持ちをきちんとしなければいけませんよ。(「異議なし、解任だ」と呼ぶ者あり)あたりまえですよ。こんな不届きな男を、しかも経団連の会長などという、まあ財界の大物と言われる人が軽々にこんなことを発言をして、それでまだ郵政大臣努力しているというのでしょう。(発言する者あり)大蔵省と折衝している際にこんなことをされて、阿部委員も申しましたように、偏見を持って委員会に臨むとは一体何事ですか。郵政省はそれほど意気地なしですか、大資本の代表の諸君に対しては。しかも、この毎日新聞を読めば、ここに写真も出ておりますよ。郵政博物館においてこんなでかでかと、二十一兆何億円の金を持っておるんだ、皆さんの生活を守りますということを書いておるわけです。そんなことをやっている最中にこんなことを土光さんがおっしゃるんでは、いただくことはできないんです。本来ならば本人に参考人に来ていただいて、しかとわれわれ聞きたいわけですよ。郵政審議会会長というのはどういう地位のものか。何を履き違えてこんなことを言っておるのか。私は直ちに罷免することを要求します。
  204. 村上勇

    村上国務大臣 これは先ほどお答えいたしましたように、事実であれば私も重大な決意をしなければならぬ。しかし、直ちにこれを追及したのに対して、とんでもないことだ、そういうことは絶対に私は言っているのじゃない、ただ私の言葉が足りなかったか何かによってこういうようなことが伝えられているが、自分は絶対にそういうことじゃないからひとつ御了解を願いたいということを、事務当局にはっきり――私から追及したのではないのですが、はっきりした返事が来ております。  それで、公の場所においても彼の釈明がありましたし、まあまあ一番大事な審議会の途中でありましたので、始まったばかりでありましたので、これはそのままで済んでおりますが、そういうことは絶対にないと私は信じております。
  205. 土橋一吉

    ○土橋委員 それでは私はさらに村上郵政大臣にお尋ねをしますが、東京新聞にも、これは財界の意向を反映して本音を漏らすというので解説を書いております。そうすると郵政大臣は、そういう措置はとられない。本音を吐いたと言っておるわけです。財界と結託してその意向を反映したと言っておるわけです。そんなことを郵政省は言われて黙っておるのですか、あなた方は。どうです。私が言うのじゃない、新聞が書いておる。そんなことを郵政省が言われて黙っておるのですか。
  206. 村上勇

    村上国務大臣 こういうような新聞を見ましたので、それで直ちに追及したわけでありまして、この新聞をどこまでも、こうだ、そう言うたんだということを肯定すれば、そのときは私は考えておるはずです。しかし、そうではありません、私の言葉が足らなかったので誤解されたかもしれませんけれども、絶対にそういうことは私はないのだということを、はっきり返事してきております。
  207. 土橋一吉

    ○土橋委員 もう時間がないから、私はもし郵政大臣がしかとしてそういうことについてお考えならば、本人を呼んで、新聞記者も呼んで、皆の目の前でどういうことを言ったかをはっきりさせる必要があると思うのです。かりそめにも郵政審議会の最高幹部に座っておる者が、世間から郵政省金利引き下げ問題は財界の意向を反映して本音を漏らすと書かれて、黙ってこれを認めておるような土光会長さんですか。私が本当にそういうことを言われたら、すぐ私は抗議しますよ、新聞社を呼んで、なぜどこでそういうことを言ったか録音テープを見せてくれと。そういう下心があるから黙っておるのじゃないですか。しかもこんなことを書かれて、郵政省、財界と結託して金利を下げて庶民を苦しめておると。貯金局長、どうした。
  208. 神山文男

    神山政府委員 私からお答えいたします。  土光会長発言でございますが、経団連の正式の記者会見があるのだそうでございますが、その記者会見の席では何もそういう話は出なかった。  終わって懇談会がありまして、その席でいろいろの話がフリートーキングの形であった。そこで貯金金利をどうするのかという話がありましたが、それに対しては、私は経団連会長でもあるが郵政審議会会長でもあり、これに対しては発言できないとお断りをしたということを申しております。それから、しかし、二時間にわたる話の中でいろいろの問題が出た、その中に景気対策の話も出た。景気対策について機動的にやらねばならないというようなことは申し上げたが、郵便貯金法十二条に触れるような発言は一切していない、郵政審議会無用論などはもちろん申していないということを、はっきり申されておりました。
  209. 土橋一吉

    ○土橋委員 これは大問題であります。わが郵政省に対する一種の、郵便貯金法を軽視し、ないがしろにしたということが言えると思うのです。したがって私は、本委員会で、土光さん大変忙しいでしょうけれども参考人として招致をして、これは徹底的に聞く必要があると思います。だから、理事会でこの問題を討論していただいて、速やかに土光さんをこの席へ呼んで決着をつけなければいかぬ。それに立ち会った新聞記者の方にも参考人として各社から出ていただいて決着をつけようじゃありませんか。いかがでしょうか。  委員長の賢明な計らいを切に要望しまして、そうして私はきょうの質問を終わらしていただきます。
  210. 宇田國榮

    ○宇田委員長代理 次回は、来る十九日水曜日午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時三十一分散会