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1975-12-12 第76回国会 衆議院 地方行政委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年十二月十二日(金曜日)    午前十時八分開議  出席委員    委員長 大西 正男君    理事 片岡 清一君 理事 高鳥  修君    理事 佐藤 敬治君 理事 山本弥之助君    理事 三谷 秀治君       亀山 孝一君    住  栄作君       渡辺 紘三君    井岡 大治君       岩垂寿喜男君    小川 省吾君       馬場  昇君    細谷 治嘉君       武藤 山治君    山田 芳治君       林  百郎君    小川新一郎君       小濱 新次君    折小野良一君  出席国務大臣         自 治 大 臣 福田  一君  出席政府委員         内閣法制局第二         部長      味村  治君         自治政務次官  左藤  恵君         自治大臣官房審         議官      福島  深君         自治省行政局長 林  忠雄君         自治省財政局長 松浦  功君  委員外出席者         防衛施設庁施設         部施設企画課長 根本 武夫君         防衛施設庁施設         部施設対策第二         課長      白根  洋君         経済企画庁調整         局産業経済課長 永井 誠一君         環境庁企画調整         局企画調整課長 名本 公洲君         環境庁大気保全         局特殊公害課長 酒井 敏夫君         法務省刑事局刑         事課長     吉田 淳一君         大蔵省主計局主         計官      藤井 裕久君         大蔵省主税局税         制第三課長   水野  勝君         大蔵省銀行局銀         行課長     宮本 保孝君         文部省管理局振         興課長     高石 邦男君         厚生省保険局保         険課長     下村  健君         通商産業省生活         産業局紙業課長 沢田  仁君         中小企業庁長官         官房調査課長  菊川 忠雄君         中小企業庁計画         部金融課長   安田 佳三君         労働省労政局労         働法規課長   松井 達郎君         労働省労働基準         局監督課長   倉橋 義定君         労働省職業安定         局雇用政策課長 小粥 義朗君         建設省都市局都         市計画課長   台   健君         自治省財政局指         導課長     関根 則之君         地方行政委員会         調査室長    日原 正雄君     ————————————— 委員の異動 十二月十二日  辞任        補欠選任   井岡 大治君     馬場  昇君   岩垂寿喜男君     武藤 山治君 同日  辞任        補欠選任   馬場  昇君     井岡 大治君   武藤 山治君     岩垂寿喜男君     ————————————— 本日の会議に付した案件  地方自治及び地方財政に関する件      ————◇—————
  2. 大西正男

    大西委員長 これより会議を開きます。  地方自治及び地方財政に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。馬場昇君。
  3. 馬場昇

    馬場委員 私は興人会社更生法適用にかかわる再建問題について幾つか御質問を申し上げたいと思います。  大臣が最後の方に出られるということでございますが、大臣には後でまた答弁を求めることといたしまして、八月二十九日に株式会社興人が、これは資本金が六十五億円で従業員が約三千七百名おるわけでございますが、約一千四百八十億の負債を抱えて東京地裁会社更生法適用申請をしたことはもう御存じのとおりでございます。関連企業興人化成、これは従業員が四百名余りでございますが、この興人化成負債が八十三億円、コーデラン工業という関連会社がございますが、これも負債が三十九億円、中央ハウジングというものも負債四億円で会社更生法適用申請をいたしました。その他関連企業を含めますと負債総額が二千億円を超すと言われておりまして、まさに戦後最大実質倒産であったわけでございます。私の地元八代興人八代支社八代工場があるわけでございますが、この八代工場の例をとってみましても、系列会社が八社ございまして、その従業員が約二千人おります。下請企業が約二十社ございまして、ここで働く従業員が約千名でございまして、興人関係約三千名の労働者が働いておるわけでございます。その家族を含めますと、八代市は十万でございますけれども、十万八代市の中に占める社会的地位というのは非常に大きいものがございます。また、この興人八代工場というのは昭和十二年に創立されておりまして、それから約四十年間、八代市民になじんできておるわけでございます。旧社名を興国人絹パルプと言っておったのですけれども、いま興人八代工場があります町名八代興国町というわけでございまして、詳しくは知りませんけれども、この興国人絹パルプ興国をとって町名をつけたのじゃないかと私は思うのですが、そのくらい歴史的にも今日的にも地域経済に非常に深く広く影響を持っておるわけでございます。これが実質倒産をしたという報道を地元の人が受けまして、オーバーな表現のように聞こえますけれども、真実そうではなかったかと思うのですけれども、かつて敗戦の天皇の放送を聞いたそのとき以来のショックだ、こういうことを地元の人は言っておるわけでございます。私はいま八代工場の例を申し上げましたけれども、大分の佐伯市だとか静岡県の富士市、富山市、そこにも工場があるわけでございますけれども、恐らくその地域も全く同じような状況ではなかったかと思うわけでございます。地域社会に与えた影響というのは非常に大きかったわけでございますが、これにつきまして自治大臣見解を求めたいのですけれども、後で来られたときに求めますが、監督官庁であります通産省はこのことにつきましてどのような御見解をお持ちか、最初に御答弁をいただきたいと思います。
  4. 沢田仁

    沢田説明員 興人は、先生御案内のように全国で四工場持っておりまして、その中には、たとえば富山とか九州佐伯八代興人工場に非常に大きくその地域が寄りかかっている、そのような工場が多いものと思います。そのような関係で、興人自体従業員数三千人を超える雇用を擁しておりますが、加えて長年にわたる興人地域社会との溶け込みぐあいは非常に大きなものがあったと思います。  今回の興人蹉跌、いろいろ経営上の問題がございますけれども、地域興人の持つ影響を考えますと、あるいは工場自体のこれまでの価値を考えますと、基本的な方針としまして、通産省としましては、やはり再建方向で物事に取り組んでいきたい、これが通産省の基本的な方針でございます。
  5. 馬場昇

    馬場委員 政治的なことにつきましては、後で大臣が来られてから質問申し上げたいと思います。  そこで、この興人の問題は、単に興人だけの問題ではなしに、今日のスタグフレーション下におけるすべての企業にかかわる問題だろうと思いますし、そのことが先ほどから言っております地域社会に及ぼす影響というのは非常に大きいと思うのですが、もうすでに早川管財人再建に取りかかっているわけです。早川管財人再建計画をつくるに当たって、社の内外から、再建をするに当たっては、なぜこういう倒産に至らざるを得なかったかという倒産原因のアンケートを求めておられると私は聞いておるわけでございます。私もここであらゆる角度から、自治省通産省大蔵省労働省環境庁質問をするわけですけれども、まずその基本に、なぜこういうぐあいに倒産をしたのかという原因を追及しておく必要があろう、こういうぐあいに考えるわけでございます。  幾つかの省庁に分かれますけれども、まず最初監督官庁に聞きたいのですけれども、最大原因は、私は西山社長を長とする経営者経営失敗にあったのではないか、こういうぐあいに思います。経営者というのは当然のことですけれども、従業員家族生活を安定させるという責任があるわけですし、公共の福祉に対する社会的な責任があるわけでございます。この責任感欠如、それに基づく経営失敗というものが倒産に至らしめた最大原因ではなかろうかと私は思うのですが、通産省はどうですか。
  6. 沢田仁

    沢田説明員 もともと興人は、溶解用パルプと申しまして、化繊用パルプ主体にして、それに関連する薬品部門、この辺を興人主体としてきたわけでございますが、御承知のようにいわゆる人造繊維というものが繊維の中でやはり長い流れで斜陽の方向をたどったことは否めません。そのようなことから、過去におきまして興人がいわゆる企業経営多角化を指向しまして、いわば斜陽化するスフあるいはそれにつながる溶解パルプの製造から脱皮しようと試みたこと、これは事実積極的な方向があったかと思います。その結果、御承知のように不動産部門あるいは建築部門それから繊維の中でも、別会社ではございますけれども、新しい繊維でございますコーデラン、そういった多角化に努めました。  ただ、いまから振り返ってみますと、その多角化への動きというものがやはりテンポが急に過ぎたということは否めないと思います。そのために企業といたしまして多額の借入金をいたしました。そこへ折から今回の戦後未曾有の不況の事態が重なりまして、結果といたしまして興人自身の経理の行き詰まりが起こったわけでございます。金利負担だけでも非常にふえてまいりまして、終末の時点におきまして約五十二億円の欠損を計上したわけでございます。  ただ、私ども興人がこのような不幸な事態になりました後、通産省といたしまして全国の四工場に向かって実地に、どのような状態であったか、工場の実態を係官を含めまして視察に参りました。私も富士工場へ行った一人でございますけれども、全体の工場おしなべて共通いたします点は、やはり工場の各員は……
  7. 馬場昇

    馬場委員 質問したところだけ答えてください。後でそういうことは質問するのだから、結論だけ言ってください。
  8. 沢田仁

    沢田説明員 やはり本社部門でこういう蹉跌が起こったのだという気持ちでございまして、工場再建というものを現在通産省として進めなくてはならない、このように思っております。
  9. 馬場昇

    馬場委員 経過は私もある程度知っているのです。だから私は経営者経営責任経営失敗社会的責任欠如、こういうところに原因があったんじゃないかということを聞いているわけですから、端的にあったかなかったかの通産省見解を示していただければ結構です。  もう一つつけ加えて申し上げておきますが、いまちょっと話もあったのですけれども、西山社長はかつて態本八代工場に来ましたときに、地元新聞紙上で私は見たのですけれども、会社経営戦略としてこういう言葉を使っておられるのですね。列島改造産業として興人を発展させていくんだ、まあ田中角榮さんの列島改造の話でしょうけれども、列島改造産業を目指して経営をしていくんだ、こういうようなことをおっしゃっているのです。こういうところ、やはり高度経済成長政策とか列島改造政策土地は絶対に下がらないという神話に悪乗りをしたんじゃないか、こういうような経営失敗もあったんじゃないかと私は思うのですが、端的にこれについての見解を聞きたいと思うのです。  もう一つ西山社長は、個人を悪く言うわけじゃございませんけれども、非常にワンマン経営をやっておった、時には放漫経営もやっておった、さらに進みますと傲慢的な経営であったということを私は聞いているのですけれども、これに対する通産省見解をお伺いしたい。  それから大蔵省も来ておられますね、私が聞いたところによりますと、私決していま悪口を並べておるわけじゃないのです、再建をしたいという意味原因を追求しておるのですけれども、銀行筋とも非常に折り合いがよくなかった、協調を欠いておった、こういうぐあいに私は聞いておるのですけれども、大蔵省はどういうぐあいに見ておられるか。  以上お答えください。
  10. 沢田仁

    沢田説明員 一般的に更生会社あるいは蹉跌にきた場合には経営責任はあると思います。ただ監督官庁といたしまして、個々の事実あるいは個々経営者行動につきまして、証拠をもってこういう事実があったということをつかむまでには至っておりません。私ども通産省としましては現在残された工場再建方向をどういうふうに持っていくか、そちらの方にむしろ力点を置いて考えておる次第でございます。
  11. 宮本保孝

    宮本説明員 私ども見ておりまして、確かに西山社長金融機関関係がよくなかったというふうに思っておるわけでございます。
  12. 馬場昇

    馬場委員 監督通産が言っておられることは私もよくわかりまして、どうしても再建しなければならないということです。しかし再建した場合二度とあやまちを犯してはならない、そのためにはあやまちを犯した原因をただしておかなければならない、こういう立場で私はやっておるわけでございます。  次に大蔵省にもう一つ、いま経営責任の話をしたのですが、もう一つ倒産の大きい原因金融機関にも責任があったのではないか、私はこう思っておるわけでございます。列島改造ブームに乗りまして、言うならば血眼になって金融機関融資合戦を各企業土地関係でやっているわけですね。そうして融資したならばやはり甘い汁を吸っておるわけです。だから融資合戦をやってそして舞台裏で放漫経営を支えてきたのは金融機関じゃないか、こういうような感じがするわけですけれども、これについての現在の大蔵省の反省と指導方向もお伺いしておきたいと思うのです。  さらに言いますと今度は企業経営が行き詰まった。私はある程度知っていますけれども、行き詰まりまして興人メインバンクなんかが集まっていろいろ議論をしているようでありますけれども、再建策をめぐって金融機関興人が対立をして、結局金融機関がはいさようならということで興人のいまの経営者ともお話しにならないで手を引いてしまった、こういう事実でございます。やはり貸すときは貸して、おかしくなったら簡単に引き揚げる、こういう金融機関態度はどうかということを申し上げたいと思います。簡単に言うて資本の冷厳な合理性がそうですよとおっしゃればそれまでですけれども、やはり金融機関といえども社会的な責任があるわけですから、こういう問題について金融機関にも大きい責任があるのじゃないか。これは大蔵省から聞きたい。言うならば銀行主導性会社更生法適用申請ではなかったか、こういうことですが、いかがですか。
  13. 宮本保孝

    宮本説明員 確かに過剰流動性時代金融機関行動が非常に乱に流れておったということにつきましては先生指摘のとおりでございます。したがいまして大蔵省といたしましても昭和四十八年十二月に選別融資通達を発しまして、思惑投機につながる資金であるとかあるいは不要不急資金は貸し出してもらっては困るということで通達を出しました。それから去年の十二月には大口融資規制通達を発しまして、そういう乱に流れるような融資態度につきましては自粛するようにということで指導いたしたところでございます。  ただ興人につきましていろいろと問題があるわけでございますけれども、個々のプロジェクトについてわれわれヒヤリングいたしてみますとかなり確実な不動産融資でございまして、特に不動産融資によって興人経営が破綻したということは余りないような感じを持っております。ただ一般論といたしまして御指摘のような点がございますので、われわれといたしましてもそれなりに指導はいたしておるつもりでございます。その結果、不動産融資等につきましては非常に効果が上がっておるのではなかろうか、こういうふうに考えておる次第でございます。
  14. 馬場昇

    馬場委員 再建に当たってはやはり銀行協力を求めなければなりませんので、余りここで銀行悪口を言っていますと問題があろうという配慮もあるのじゃないかと思いますし、特に最高責任者でもありませんので慎重に言われておると思いますが、ちょっと不満ですけれどもこれはこの辺でやめたいと思います。  次に従業員及び家族に及ぼす影響とその対策についてお伺いをいたしたいと思います。これは主に労働省関係するのじゃないかと思います。  先ほども言いましたように興人従業員は三千五百人を超しておるわけでございます。そうするとその家族もたくさんおるわけでございますし、下請、二次下請あるいは取引企業を合計いたしますと千五百社くらいに及ぶのではないか、こういうふうに言われております。通産とか労働とかは現地調査にも行かれましたし、先ほども話があったのですが、従業員は非常にまじめに働いておるわけでございます。この従業員には倒産に至るまで何一つ責任はないと私は考えております。この辺についての御見解もお伺いしておきたいのです。この罪のない労働者、その家族は毎日生活の不安、雇用の不安におののいておるわけでございます。一日も早くその生活不安と雇用不安をなくさなければならない、私はこう思います。  そこで、興人従業員はことし七五年のベースアップは平均三千円くらいであったようでございます。夏の一時金は一カ月分で十二万円くらいであったと聞いております。そして今度の冬の一時金は五万円だったと聞いております。そしてまた、冬の一時金は下請とかあるいは第二次下請孫請の方はまだ解決がしていない、こういうぐあいに聞いておるわけでございます。大半の従業員が三十年から二十五年勤めておるのが平均で、四十歳ぐらいが平均のように私は聞いておるわけでございます。今日、非常に苦しい生活をしている、こういう状況でございます。こういう状況の中で、これも人並みにはとまでは言えないかもしれませんけれども、やはりこの苦しい状態を見て何とか引き上げてもらわなければならないという希望もございます。これに対する考え方と、それとともに賃金退職金や一時金の遅欠配が起こらないということは、その前の問題として、ぜひそういうことを起こしてはならない、こういうぐあいに思います。  そこで、労働債権社内預金の問題、これが完全に保障されておるかどうかという経過について、まず労働省からお聞きしたいと思います。
  15. 倉橋義定

    倉橋説明員 お答え申し上げます。  興人の問題が発生いたしまして、早速労働省といたしましては本社を管轄いたしております監督署の職員を派遣いたしまして、賃金支給状況社内預金預託状況、そういうものの把握をいたしまして、その結果に基づきまして直ちに興人幹部労働省に招致いたしまして、関連企業労働者を含めまして賃金の遅欠配社内預金返還の不能がないように十分措置をしてくれという要請をいたしたところでございます。  これに基づきまして、現地事務局におきましても工場等に参りまして、工場幹部に対しましてこのような要請をするとともに、現実に遅欠配が起こっているか、社内預金当該工場にどのぐらいあるのかという把握をいたしたわけでございます。現在まで、幸いなことに賃金欠配という事態は生じておりません。社内預金につきましては直ちに返還を求めるということになりますと、工場再建等にも関連いたすわけでございますので、会社幹部従業員組合労働組合とが円満な話し合いを行いまして、今後にわたりまして月々十分の一ずつの割りで返還をしていくという協定ができたという報告を労使から受けております。
  16. 馬場昇

    馬場委員 その間やめておる人がおるんじゃないかと思うのですが、退職金がまともに払われておるかどうかということも質問いたしたいと思うのです。あわせて、いろいろ労働組合会社労働協約とかあるいは諸協定、さらには協約協定じゃなしに、いわゆるよき労働慣行というのがあるんじゃないかと思うのです。そういう問題は現在なお有効に働いておるのか、あるいは再建計画をするに当たってこれは何物よりも尊重されなければならないと私は思うのですが、それは労働省はどう考えておられるか。
  17. 倉橋義定

    倉橋説明員 退職金の問題でございますが、一般的な解雇というのは出ておりませんが、十一月  一日で定年に達した者が二十七名ございます。そのほかに五名の方が希望退職をいたしております。これに伴う退職金が、ちょっと金額ははっきりいたしませんが、あるわけでございます。そのうち一部につきましては、退職と同時に支払っております。退職と同時といいますか、若干のあれはあると思いますが、支払っておりまして、残額につきましては来年の三月末に支払うということで、労使及び退職者御本人の了解を得てそのような措置を講じているわけでございます。  それから、従前から労使の間に取り決めています労働条件、これにつきましては会社更生に入りましても当然承継されるわけでございまして、そういうものが会社において確実に履行されるようわれわれといたしましても十分監督指導をしてまいりたいと思っております。
  18. 馬場昇

    馬場委員 先刻、早川管財人が各工場を回っております。そして、従業員も本当にまとまって一生懸命現在まで働いておるわけですが、その熱意にこたえて次のような約束をしておるのです。事業縮小というのは考えていない、人員整理も考えていない、みんなが一生懸命がんばったならば再建の道は開ける、こういうことを従業員に言明をしておるわけでございます。非常に熱意を持って再建に取り組んでおられるわけでございます。この早川管財人熱意にこたえるという意味におきましても、政府として、特に通産とか労働の側におきましても、事業の規模の縮小のないように、人員整理なんかが行われないように、労働条件が切り下げられないような、そういう形での再建早川さんは目指しておるわけですから、これに全力的に協力をしながら援助をしていく、こういう姿勢を政府はとるべきだと思うのですが、いかがですか。
  19. 小粥義朗

    ○小粥説明員 興人あるいは関連企業従業員雇用の問題につきましては、こうした今後の更生計画案が固まります過程でいろいろ問題になると思いますが、労働省としては当然のことですが、関連従業員雇用確保はまず図られなければならないということに考えておりまして、会社更生計画案についての意見を裁判所から求められます場合はもとより、それ以外の場合においても、必要に応じて関係者にそうした面での働きかけをしてまいりたい、かように考えます。
  20. 沢田仁

    沢田説明員 先ほども申し上げましたように、通産省の基本的な方針は各工場再建方向でございます。先生指摘のように、早川管財人のねらっておられる趣旨を通産省としましても支援してまいりたいと思います。私ども考えますのは、いまここで企業を畳むわけではございません。これから企業が動きながら、そのプロセスの中で、雇用の機会並びに賃金のなるべく円滑な確保、これはやはり工場を回すことが先決かと思います。そのような方向でやっていきたいと思います。
  21. 馬場昇

    馬場委員 いま興人問題を言ったのですが、この興人問題はすべての企業他山の石としなければなりませんし、労働行政をする立場の人も他山の石としながら、しかしこういう不安、動揺が起きているのですから、そういうことを解消するための何らかの施策、政策というのを立法する必要があれば立法するという方向に、これを他山の石として取り組んでいかなければならない、私はこう思います。  そこで、具体的に労働四団体がこういう興人倒産なんかを経験する中で話し合いをして、また、この国会の中でも四野党が一致をして雇用及び失業対策緊急措置法国会に提案をしておるわけでございます。その内容は御承知のとおりでございまして、大量解雇の制限、企業倒産の場合の未払い労働債権の補償措置、失業給付の改善、失業対策事業の拡大、こういうのを内容とした緊急措置法を野党が出しておるわけでございます。労働省も、聞くところによりますと、労働債権の補償というものを、倒産した場合にやはり考えるべきじゃなかろうかという検討をやっているということも聞いておるわけでございますけれども、この野党が出しております措置法についての考え方、またその内容の一つ一つについての考え方を端的にお答えいただきたいと思います。
  22. 小粥義朗

    ○小粥説明員 労働四団体から雇用保障に関します諸要求もいただいておりますし、また国会の場にも、関連しての法案が提出されておりまして、私ども内容についてはいま鋭意勉強さしていただいております。率直に申しまして要求項目は非常に多岐にわたっておりますが、その中で私どもに関連いたします、たとえば雇用保険の制度改正等の問題になりますと、要求の内容をそのまま実現するとなりますと、相当多額の財政資金を必要とする。そのために、たとえば保険料がどうなるかというような問題も絡んでまいりますので、にわかにむずかしい問題もあろうかと思っておりますが、現在労働四団体とも精力的にそうした面での検討を重ねているところでございます。その結果を踏まえまして対処してまいりたいというふうに考えております。
  23. 馬場昇

    馬場委員 鋭意勉強され検討されることは結構だろうと思いますけれども、方向として、たとえばその労働四団体がいろいろ申し出ておる、特に私、さっき四項目を取り出して言ったわけですけれども、やはり大量解雇の制限というようなことは何らかの形で前向きに検討しなければならぬ問題じゃなかろうか。もちろん、企業倒産が非常に多いわけですから、未払い労働債権の補償措置というものもやはり必要じゃなかろうかと私は思うのですが、こういう問題について労働省は勉強しておられるのは結構ですが、やはり何らか実現したいという方向で前向きであるのかどうかということ、結論は大体いつごろまでにこういうものは出したいと思っておられるのか、その辺についてもう少し具体的にお答えください。
  24. 小粥義朗

    ○小粥説明員 まず雇用保険の関係でございますと、給付延長について一律百八十日延長あるいは全国延長という現行の雇用保険にあります制度を直ちに発動するようなことはできないかというような要求もいただいておりますが、そうした面につきましては、実はことしの四月から雇用保険法が全面的に施行になっておりまして、その中で、従来の制度になかった個別延長というような制度も新しく設けられております。そうした個別延長制度の活用というような形で、果たして現在滞留している失業者の生活の安定が賄えるのかどうか、そうした問題も兼ね合いの問題として出てまいっております。そういう問題をあわせて検討しております。  それからもう一つ、大量解雇の防止という問題がございます。労働四団体からの要求としては、雇用調整委員会ないしは協議会というようなものをつくって、その協議会の場で検討した上でその規制をしていくというような仕組みの構想も私ども承知いたしております。そうした面については、一般的に解雇制限という形は現在の法制下でなかなかむずかしい問題がございますけれども、最近の雇用情勢が非常に厳しい中で、特にしわ寄せを受けやすい高齢者あるいは身体障害者の方々にそういうふうなしわ寄せがいかないように、それは現在雇用率というような制度もございますので、そうしたものの活用でどの程度防げるのか、またそれが防ぎ切れない場合にどういう新しい仕組みが必要なのか、そうしたことを、実は労働四団体とも事務折衝という形で回を重ねていまやっているところでございまして、実は、あしたもそれがございます。さらには、来週にはその辺のまとめをしていきたいと考えております。
  25. 倉橋義定

    倉橋説明員 不払い賃金の救済制度につきましては、先生承知のように、さきの国会雇用保険法が成立するときの附帯決議で、それらの制度を早急に検討するようにという御決議をいただいております。またこれを受けまして、労働大臣が、一部産業につきましては来年度から、その他につきましては翌年というお約束をしているわけでございますが、労働省といたしましては、現下の状況等を考えまして、一部産業に限らず多くの産業に対しまして、できるだけ早い機会にこれらの制度を設けたいと思っておりまして、現在鋭意検討いたしております。  われわれの事務的な労働省の考えといたしましては、来年度の予算要求におきまして必要な資金を要求するとともに、できましたら次の通常国会関係法案の提出をしたいということで準備を進めているところでございます。
  26. 馬場昇

    馬場委員 次に、第二次下請関係中小零細企業対策、これも、本体の再建あるいは本体に対する現在の対策同等以上に非常に大切な問題であろう、こういうぐあいに思っております。興人八代下請企業で、興人協力会というのが二十一社加盟して、これは八代の例ですけれどもつくっておりますけれども、その債権が、申請当時概算六億円ぐらいと言われておりました。この関連下請企業に働いております従業員数は、下請企業だけですが、八代だけで先ほど言ったとおり約千人でございまして、まさに、興人倒産というのは死活の問題になってきたわけでございます。先ほど言いましたように、全国関係企業が千五百社あって、これも同様でございますが、この下請企業の営業権と従業員生活権等について質問申し上げたいと思います。  政府地方自治体は、この下請関係の債権の確保とか資金金融対策をどう行われてきたか、現在その仕事量というのは確保されておるか、この下請関係で解雇とか人員整理というのが出ておるかどうか、こういう点について、いままでの対策と現状について関係省庁からお答えいただきたい。
  27. 沢田仁

    沢田説明員 下請関連企業事業活動を円滑にさせるために、まず基本は、興人本体である工場のスムーズな運転、これが前提になるかと思います。その点については先ほど述べたとおりでございます。  それから下請中小企業、それにしましても、やはり今回の事件でいろいろ金融上の不都合が起こるケースが心配されましたので、通産省としましても二、三の措置をとりました。一つは、下請関連中小企業に対する信用保証枠のとりあえずの倍増でございます。従前、一企業当たり五千五百万円の保証枠でございましたところ、現在それを倍増して一億一千万円に保証枠を拡大いたしました。それから興人関連企業におきましてやはり資金繰りに困難を来すおそれがあると考えられましたので、いわゆる特別融資制度を起こしました。利率は通利よりも若干安うございまして、年利九・四%でございます。それによりまして、市町村の認定のございました場合には、各関係民間金融機関に融資方をあっせんし、そのような利子で融資をするようにする措置を講じました。なお、政府関係中小三機関につきまして、やはり弁済期が来た場合にも、その場、なかなかきちんと返せないケースもあろうかと思います。そのような場合に、返済につきまして猶予方の要請をいたしております。  そのようなことで、実績、多少の数字がございますけれども、九月末現在におきまして、興人関連で保証つきの融資枠が、六十二件実行いたしまして、金額といたしまして七億二千万円の融資を実行しております。  なお、これは非常に小そうございますが、興国物産運送という子会社がございますが、この関連でやはり四千八百万円、約五千万円ばかり、これは件数といたしまして二件ございます。そのように承知しております。
  28. 小粥義朗

    ○小粥説明員 関連の下請企業からの離職者が若干出ておりまして、私どもで把握いたしましたところでは、大分、熊本両県の関係で約七十名ちょっとの離職者の方が出ております。それで、それらの人には安定所としてまず優先的にあっせんの体制をとっておりまして、そのうち二十四名の方はすでに就職されておるのですが、もとの会社へ復帰された方もそれ以外に十一名ほどおられまして、大体半分くらいの方はそれなりに雇用の場を得られているわけですが、なお、それ以外の方でまだ求職中の方がおられますので、現在精力的にそのあっせんに努力しているところでございます。
  29. 馬場昇

    馬場委員 特に、ここで明らかにしていただきたいのは、経過はわかりましたけれども、何といいましても、弱い立場の中小零細の下請でございます。そこで、それを取り巻く市だとか県も心配しておりますし、そこの従業員家族も心配しておるわけですが、やはり政府としては総合的に、営業は続けていくように全力を挙げて援助をする、金融関係についても心配がないように援助をする、従業員雇用についても心配のないように努力をする、こういう原則をはっきりここでしていただきたいと思うのです。これについて、通産でしょうかね、まとめたところで、あるいは個々にでも結構でございますから、通産、大蔵、労働企業なり従業員が安心するように政府が全力を尽くすことのお約束をいただきたいのです。
  30. 沢田仁

    沢田説明員 先ほども御説明申し上げましたように、早川管財人の基本的な方向も、従業員に不安感を与えないように、地域の住民にも不安感を与えないように再建方向を目指しておられます。通産省の基本的な方針も全く同様の方向でございます。
  31. 小粥義朗

    ○小粥説明員 関連従業員雇用の安定につきましては、労働省としても十分努力してまいるつもりでございます。
  32. 宮本保孝

    宮本説明員 大蔵省といたしましても、通産省から御答弁申し上げましたとおり、積極的に協力をいたしたいということで、興人経営破綻が表面化いたしました八月二十七日には、早速財務局に対しまして通達を発しまして、政府と日本銀行等が協力して金融を円滑にやっていくということで通達を出しております。また、政府関係金融機関対策につきましても、通達を発しまして、個別にきめ細かな措置を講ずるように指導いたしておるところでございます。  その結果、民間金融機関におきます中小企業救済特別融資の発動等をやっておりまして、ちょっと古うございますけれども、九月末までに四十六件、十三億円を緊急に融資いたしまして、対策を講じております。また、中小企業信用補完制度におきます倒産関連の特例保証の活用もやっておるわけでございます。  今後につきましては、こういう興人関係に限らず、一般的に中小零細企業金融対策といたしまして、特に年末対策等も控えまして、中小三機関四千八百億円の追加を行っておりますし、また民間金融界におきましても、中小企業向け融資の目標枠を設定いたしまして、こういう点についての努力を要請いたしておるところでございます。
  33. 馬場昇

    馬場委員 よろしくお願いしておきます。  次に、地方自治体に及ぼした影響とその対策について自治省にお尋ねいたします。  興人の各工場先ほどから言っておりますように、経済的だけでなくて、社会的にも地域社会の中核的な存在でございます。興人は言うならば地域ぐるみ社会的存在であると言ってもいいんじゃないか。特に私の地元八代なんかはそう言えます。だから、この興廃というのは社会不安にもつながってくる要素を持っておるわけでございます。  少し古い例ですけれども、興人佐伯支社の四十八年度の例ですが、佐伯市に納めた固定資産税と六百人の従業員の市民税は合計八千五百万円だったというぐあいに、正しいかどうか知りませんが、私は聞いておるわけでございます。しかし、この額というのは佐伯市の自主財源の中で大きなウエートを占めておると言われております。また、佐伯支社が調達する一般資材を初めとする物資は年間数億円で、それが市の経済界に占める比率というのは非常に大きい、こういうぐあいに聞いております。これは八代富士富山各支社の実情も大体同じような状況ではないかというぐあいに思います。  そこで、この興人実質倒産、更正法申請に当たりまして、これが地方の行財政に及ぼした影響、そして影響を及ぼしておれば、それに対して自治省としてどう対策をとられたか、これについてまず原則的にお答えをいただきたいと思います。
  34. 松浦功

    ○松浦(功)政府委員 行政的な影響ということは先生の方がよく御承知だと思いまして、私ども個々につまびらかにいたしませんが、中心的な産業がこういうことになりました場合の影響が各般に及ぶであろうということは想像にかたくございません。この際、はっきりお答えを申し上げ得ることは、むしろ財政面の問題であろうかと思いますし、また財政面の方策が立っておらないと行政自体もうまくいかないということになろうかと思います。  幸い、わが国の地方公共団体に対する財源付与の制度は、地方交付税という制度で保障されております。特に法人系統の税金につきましては、これは全部交付税と精算制度という形で連動いたしております。法令を改正するとかそういう手続を経ないでも、落ち込んだ場合にはそれが交付税で埋まるという仕組みになっております。ほかの一般の市民税等につきましても、各年度における市民税がほかの団体ほど伸びないということでございますと、それは交付税で補てんされるという形になっておりますので、制度的に私どもは何らの心配を持っておりません。  具体的に申し上げますならば、本年度で関連企業に係るものを含めて市の方からお話をいただいております金額は、八代市で法人系統の市民税約一億二千万円、富山で四千八百万円、こういう御報告をいただいております。しかしこれにつきましては、本年度、先生も御承知のように、補正予算に際しまして一兆六百三十二億の税の落ち込みというものを見ております。これは不景気によるもので見込んだわけでございますが、こういう倒産関係も当然入ってきております。したがって、一兆六百三十二億の配分で、落ち込んだものは全額埋まるということになります。したがって、そういう面の心配はないかというふうに存じております。
  35. 馬場昇

    馬場委員 局長から非常にはっきり御答弁をいただきまして、関係県とか市とかも非常に安心するのじゃないかと思います。ぜひこの事態による落ち込み、これもいまのお話のように全体の不況落ち込みの中で十分対策が立てられるということでございますので、関係市も安心したんじゃないかと思いますが、ひとつよろしくお願いしておきたいと思います。  次に、環境庁まだ来ておらないと思いますので、労働省の方にあと一つ具体的な問題についてお尋ねしておきたいと思います。  会社再建するためには、早川さんも言っておられますように、従業員の団結とか熱意とかが非常に必要だということを言っておるわけでございます。昭和三十三年に八代工場の紡績部門が閉鎖になりまして、興人全体で千四百名くらいの首切りが出ております。それ以降組合が分裂をしております。御承知のとおりでございます。その分裂の中で、第一組合、第二組合と、まあちょっと便宜のために言っておきますが、差別取り扱いが行われておる事実がございます。その中の一つとして具体的な例がもう一つあるのです。  昭和三十七年の春闘で、佐伯工場で合理化反対の闘争を指導したという理由で、元興人労組の委員長の角田安雄君と佐伯支部委員長の寺島孝三君を興人は解雇しております。解雇の理由は同社の就業規則違反、こういうことでございます。これは裁判になりまして、一審の大分地裁、二審の福岡高裁、そしてごく最近最高裁の第三小法廷は、解雇理由に当たらないということで、解雇を取り消せという判決を最高裁までやっておるわけでございます。これはごく最近最高裁の判決が出ました。  私は、会社再建する場合、当初言いましたように、従業員の中で組合による差別をしたり、いま言ったような問題をこのままの状態では、真の意味再建は成り立たない。こういう問題はきちんとして、全員一致して再建に当たらなければならないと思います。そういう意味で、角田、寺島解雇事件は、これは当然のことでございますけれども、最高裁判所の判決に従いまして、本人及び家族労働組合に陳謝をして、そして慰謝料なり損害賠償を行って、きちんと解決すべきだと思う。今日解決されていないのです。それで今日のような状態になっております。これはやはり解決して再建に当たるべきだと思いますが、これを労働省どう指導されるかということです。  それからもう一つは、組合間に賃金とか身分に差別がございます。これもこの際きちんと差別をなくして、一致結束して再建に当たるべきだと思いますが、これについてはどう指導されるか、このことについて労働省のお考えを聞きたい。
  36. 松井達郎

    ○松井説明員 お答えいたします。  先生最初にお取り上げになりました、最高裁の判決が出ましたことに伴います事件でございます。  先生指摘のように、この件につきましてはことしの九月九日に最高裁の判決が出まして、この二人の方の請求が認められたわけでございます。それでこの判決の履行につきましては、会社側との話し合いの結果、九月の三十日職場復帰、それからいわゆるバックペイの問題につきましてお互いの間で確認書が取り交わされております。それに基づきまして——その確認書におきましてはそれぞれ履行の方法などもはっきり書いてございまして、バックペイ、職場復帰はこの確認書どおり実施されているというふうに私ども聞いております。  ただ、この興人会社更正法適用の問題もその間生じているわけでございますが、その後十月二十二日になりまして、先生いまお取り上げになりました慰謝料とか損害賠償の要求が新たに出ているようでございます。これはいわば民事の問題でございまして、私どもといたしましては、こめ問題はそれぞれ話し合い等によりまして当事者間で解決されるべき問題ではなかろうかと思っております。もちろん私どもといたしましても、会社更正に当たりましては労使の間で話し合いを続け、円満に労使の環境を保っていくというのが会社更正の欠くべからざる要件ではないかと思いますが、このような問題につきましても私どもといたしましては労使の間で話が出ておるというふうに聞いておりますので、労使の間の話し合いによりまして円満な解決を期待しておるわけでございます。  それから第二の問題といたしまして、二つの組合がございます。差別取り扱いの問題、昇給、昇進等に二つの組合の間で差別の取り扱いがあったのではないか、こういう問題でございますが、これはそれぞれ現在大分の地方労働委員会、熊本の地方労働委員会に係属いたしております。もちろん二つの組合がありました場合二つの組合の間で組合員の取り扱いに差別があれば、これは不当労働行為でございまして、もとより労働組合法で禁じられておるところでございますが、私どもといたしましても不当労働行為はあるべきではないということで、一般的に言って、機会に応じ随時指導いたしておるところでございますが、いまちょうどこの事件がそれぞれ労働委員会にかかっておりますので、私どもといたしましては労働委員会の審理の結果を見守りたい、こういうふうに考えております。
  37. 馬場昇

    馬場委員 これはもちろん裁判の問題、民事の問題とか地労委の問題というのはあると思いますけれども、そこだけにゆだねるのではなしに、やはり労働省等も、非常にこう、多事ですからね、こういうときにはお互いから事情を聞きながら、解決すべき地労委とか裁判もあろうけれども、できれば円満に、一日も早くこういう問題を解決して、それこそ一致結束して再建に当たるという状況をつくり上げていただくように、ぜひ努力をしていただきたいというぐあいに思います。環境庁来ましたか。−それでは公害防止事業とヘドロ処理の対策についてお伺いをいたしたいと思います。  会社側もああいうぐあいになりまして、約束をされております公害防止事業とかあるいはヘドロ処理というのはどうなるだろう、こういう心配が地元にもあるわけでございます。しかし、会社再建する場合に、公害を引き起こすような状態従業員とか地域社会に迷惑をかける、これはあり得ないことでございまして、きちんと公害防止事業とかあるいはヘドロ処理事業、これは継続しながら再建をすべきだ、これはもう原則だろうと思いますけれども、これについての御見解をひとつお伺いしておきたいと思います。  さらに具体的に申し上げますと、来年六月までに実施が求められておりますところの富山佐伯の公害防止対策の投資の問題でございますが、排水処理施設といたしまして、これは興人が発表しておったわけでございますが、大体佐伯は二十三億円ぐらい、それから富山が十七億円ぐらい、これでやるのだということで、事実たとえば富山の例を申し上げますと、基礎工事が一億六千万円ぐらいで九〇%ぐらい支払っておるわけでございます。ここで合計四十億ぐらいの公害防止対策資金が要るわけでございますが、これは現在どうなっておるかということと、これはやはりきちんと、工事もやっているのですから、おくれないように続けさせるような再建を考えさせるのかどうか。この辺について一点申し上げて、お聞きしておきたいと思います。  それからもう一つはヘドロの処理の問題でございますけれども、実は佐伯におきましてこれは県と興人が契約をいたしておりまして、ヘドロ処理を検討するのだということで、総額百億円近くになるのじゃなかろうかとも言われておりますけれども、いずれにいたしましても大分県が四千五百万円ぐらいで調査費を去年、ことし計上して、現在調査中であるわけでございます。この問題について、これもやはり調査の継続をし、その処理の問題を検討していくということ、それから大分県が金を出しておるわけでございますが、四十九年分は興人が入れたという話を聞いておりますけれども、五十年度分はまだ入れていないということですが、これはやはり当然興人から入れるべきだというぐあいに思いますが、こういう資金計画、事業等についてどう指導しておられるかということについてお伺いしたい。たとえば八代工場の例をとりますと、排水路のしゅんせつで一億二千万円ぐらいの工事、これはほかの十條とかなんとかと一緒にやっておるわけでございますけれども、計画がございます。八代の場合には漁業補償の話し合いが現在まだ継続中でございます。こういう問題についての現状と、どう指導しておられるかということについてお伺いしておきたいと思います。
  38. 名本公洲

    ○名本説明員 お答え申し上げます。  興人倒産いたしまして更生手続に入ったということでございますけれども、公害防止対策そのものとしましては、先生指摘のとおりでございまして、工場事業を続ける限り、その工場から公害を外にまき散らすということがあってはならないことは、全くそのとおりでございます。更生手続中に事業を進めてまいります限り、公害防止対策事業をきちんとやっていただくということはぜひとも必要なことであるというふうに考えます。もっとも、更生手続期間中に工場の操業がかつてのときのキャパシティーのたとえば半分になるとか、あるいは場合によっては閉鎖するとか、いろいろな事態も考えられるわけでございますけれども、その事態事態に即しまして、基準で定められました排出基準等がいずれの場合においても守られていきますようにちゃんとした措置が行われた上で事業が継続される、その上で更生手続が進行していくということが基本的なことでございまして、環境庁としてもこのたてまえを崩すつもりは毛頭ないわけでございます。  それから佐伯工場について申しますと、先生指摘のように二つ問題があるわけでございまして、一つは来年六月までに完成を要します排水処理の問題、もう一つはヘドロの問題でございます。  排水処理施設につきましては、新聞等に出ておりますように、四十数億見当が佐伯工場富山工場の二つにおいて必要であるというように聞いておりますけれども、公害防止事業団の方に対しましては、その融資の申し入れというものは現在のところまだ来ておりません。この間、興人の更生管財人でいらっしゃいます早川さんが事業団の方に一度お見えになったことがあるというふうには聞いておりますけれども、具体的に融資の申請が出てきておるという段階ではないのでございます。新聞によりますと、もうすでに三十三億の半分の十六億五千万は事業団が融資をすることを決定したというような話が出ておりましたけれども、現在のところまだ申請も出ていない段階でございますので、新聞に発表になっておりましたこととは事実が違っております。この問題につきましては、事業団のお金は、御承知のように零細な郵便貯金のお金でございますから、事業団が融資をいたしました後でそれに穴があくということになりますと、これは大変困ったことになりますので、申請が出てまいりました段階で慎重に検討してまいらなければならないことであろうというふうに考えます。  ただ、事業団の方の手続といたしましては、すでに貸し付けてありますお金につきましても、その貸付先が更生手続に入ったということになりますと繰り上げ償還をお願いするというような約款が入っております。そういうことでございますので、ごく一般的に申しますと、更生手続に入った会社につきましてはお貸しできないということになるわけでございますが、その更生手続に入りました際には繰り上げ償還していただくという考え方は、融資先に償還能力がちゃんとあるということが前提でございますので、興人につきまして償還能力がちゃんとあるかどうかということを、申し込みがありました段階におきまして十分に検討、審査をするように事業団の方にお願いをいたしまして、それから決定してまいらなければならない問題であるというふうに考えております。  それから佐伯湾のヘドロにつきましてでございますが、この佐伯湾のヘドロは主として興人が排出いたしました排水によって生じたものであるというように言われておりまして、御指摘のように大分県との間に公害防止協定ができており、県が指示をいたしましたならば興人はしかるべき措置をとるということになっておるわけでございまして、現在御指摘のように調査も行われておりまして、その調査結果を待ちまして県が所要の指示をいたすということに相なろうかと思います。その際、調査結果によりましてヘドロのしゅんせつが必要であるかないか、そのあたりも含めて検討いたすことになるわけでございますが、仮にしゅんせつを要するというようなことに相なりました場合には、興人に対して大分県としまして指示をして所要の措置をとることになりますが、更生手続中でございますので、その債権がどのような形になって更生計画の中にぶち込まれてくるか、これは究極的には裁判所が更生計画の決定の段階において決めることでございますので、最終的には裁判所にお任せいたさなければならないわけでございますけれども、会社が更生手続に入ります前からありました協定に基づく義務の履行ということでございますので、私どもといたしましては、更生計画の中に当然のことながら織り込んでいただきたいというふうに考えております。大分県の方においてもそのようなお考えで興人の方とは接触しているというふうに私ども伺っておりまして、その方向で更生計画の中で公害対策がヘドロそれから排水施設の問題も含めて考えられていくということを希望するものでございます。
  39. 馬場昇

    馬場委員 公害防止事業でございますが、これについていま公害防止事業団に融資の申請は出ていないということでございますが、早川さんの発言によりますと、融資申請をしたいということをあの人は言っておられるようでございます。そこで、いま聞きますと、やはり公害防止事業団が更生手続中の企業に融資するのは非常に困難性もあるようでございますが、それが困難であったとすれば、これはやっぱり事業をしなければならないわけですから、大蔵省等で、そこから金が出なければ、当然銀行から融資をさせるというような指導をしていかなければならない問題だろうと思います。いずれにしても更生計画の中にそういう資金の手当ても政府の方で指導されながら入れていただきたいということでございます。  もう一つは、ヘドロの問題ですが、これまだ幾らかかるかわかりませんけれども、私は百億円ぐらいというように聞いておるわけですが、結局こうなりますと、しなければならない場合に、事業主体環境庁ですか、あるいは自治省ですか知りませんが、県になるのですか、それとも国になるのか、これは港湾でしょうからね。事業主体は当然県、水俣の例をとりますと県になっておるわけでございますが、そういたしますと、更生手続中の会社、それは負担金の問題などいろいろありまして、多分起債か何かによってさしあたりやるのじゃなかろうかというぐあいに私は思うのですが、それは自治省の方でそういう場合起債というのが認められるのかどうかということもあわせてお聞きしておきたいと思います。
  40. 名本公洲

    ○名本説明員 ヘドロの処理の問題は、先ほどもお答え申し上げましたように、公害防止協定の中にありますので、更生手続以前の問題でございます。したがいまして、更生計画の中であれは更生債権になるのかあるいは共益債権になるのかというような法律的な問題もございますけれども、いずれ裁判所の中で計画そのものの中の問題として決定されることになるだろうというふうに考えます。したがいまして、会社はそれに対して更生計画の中で資金繰りを考えていくということに相なろうかと思います。  それに対しまして、会社資金繰りとしてどのような対策をとるかということでございますけれども、事業団としましては先ほど申し上げたようなことでございます。  ただ、この会社には第一勧銀初め数行の銀行団がついておりますので、第一義的にはそういう銀行団を通じてお願いいたすべきものではなかろうか、かように思うわけでございます。公害防止事業団は政府機関でございますので、法律には書いてございませんけれども、一般的に申しますと、政府の公庫というのは、どちらかと申しますと補完金融的な性格がございますので、そういう面を考えますと、まずは興人をバックアップしております銀行団において措置を考えていただくのが筋合いではなかろうか、かように考えております。
  41. 松浦功

    ○松浦(功)政府委員 原因者がはっきりしている場合は、これは原因者の負担というのが原則でございますことは先生指摘のとおりでございます。ただ、負担の割合をどうするとか、いろいろむずかしい問題がございますので、そういった総合的な観点から、所要の手続を経て法律に基づく公害防止事業というふうに指定をされますと、国からも一定の割合の補助金が出るわけでございます。その補助金が出ました裏負担の分については、自治省としては当然所要の措置をとる、こういうことに相なろうかと思います。
  42. 馬場昇

    馬場委員 お忙しい中大臣が来られたので、ちょっと大臣に御質問申し上げます。  いろいろ申し上げたので、繰り返さないのですが、大臣興人関連企業を含めますと、負債総額二千億ということで、戦後最大倒産であったわけでございます。  私の地元は熊本県の八代ですけれども、この八代工場を例にとりましても、従業員が二千人くらいおります。関連企業に働く者が千人。三千人ですが、ここの人口は十万くらいですから、三千人の家族なんかを含めますと、この八代市に占める位置というのは大変重要な位置でございます。社会的な位置は非常に大きい。  それからまたここは昭和十二年にできた工場でして、いまは八代興国町というところにあるのです。それは興国人絹パルプと言っておりましたから、そこから名前をとったのじゃないかと思うくらいに地域と密着しておりまして、四十年くらいもやっておるわけですから、歴史的とか今日的に地域経済に及ぼす影響は非常に深く広いものがあるのです。先ほども言ったのですけれども、この倒産を聞いたら、お年寄りの人は終戦のときの天皇の放送を聞いたその次ぐらいにショックを受けた、こういうことを言っておるわけでございます。これが地方行財政に与えた影響というのは非常に大きいのです。この倒産についての大臣の御見解をまず最初にお聞きしておきたい。
  43. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 政府といたしましても、今度の興国人絹の倒産の問題は非常に重要視をいたしております。その原因が那辺にあったかということは別にいたしましても、二千億円に上る企業の赤字といいますか、あれが起きたということはいまだかつてないことでありまして、しかも興国人絹は全国にわたって相当いろいろの仕事をいたしております。特に熊本県、また当該工場のある八代市が、いま御指摘のような重大なショックを受けられたことは私もよく了知いたしておるところでございまして、先般熊本へちょっと、これはほかのある会合で行きましたどきにも、市当局者並びに県の当局者からも何としてもこの問題の処理をひとつ誤らないようにしてもらいたい。中小企業対策としても、また雇用対策関係から見ても、非常に重大な影響が出ておるのだということでございまして、まことにごもっともな御意見であると思って、われわれとしては一応できるだけの努力はいたしておるつもりでございますが、しかし、個々の問題になりますというと、やはり金融機関あるいはまた当該市、県がどのような対策をとられるか、またそれについて政府としてどういうことを要請されるかということによってわれわれとしては手当てをいたさなければならないと考えておるのでありまして、できる限りの手当ては私はいたすつもりでございます。  これはちょっと余談になるのですが、昔山陽特殊鋼が倒産したときには、私はちょうど対策委員長をやりまして、現地に臨んでずいぶんいろいろなことをやったつもりでございますが、今度の場合も万遺漏なきを期して——山陽特殊鋼は御案内のようにいまや立ち直ってまいりました。今度の場合も興国人絹が将来必ず立ち直れるようにひとつぜひ努力をみんなでやらなければならぬ、このように考えておるところであります。
  44. 馬場昇

    馬場委員 先ほどずっと質問を続けたのですけれども、やっぱりこの倒産原因というのは経営者経営責任というのもあると思いますし、それからある意味においては社会的な責任感欠如というのもあったのじゃないかと思いますし、ぜひ日本の経営者責任感じ経営をして、こういうことで地域住民に心配をかけないようにということは当然なことだろうと思います。そういうことについて関係大臣は大蔵大臣通産大臣労働大臣、そして自治大臣、いろいろおられると思いますけれども、国務大臣としてそういう方々と連絡をとりながら——私は政府にもやっぱり責任があったのじゃないかと思うのです。というのは、高度経済成長政策とか、列島改造という中で、それにあそこの列島改造産業等を戦略とするなんて西山社長なんか言っているわけでございまして、それに悪乗りした。またそういう中で今日のスタグフレーションという状態が出ておる。そういう中の一つ倒産ですから、政府責任があると私は思いますから、そういうことをぜひ政府自体が反省をされ、そうして企業にもきちんと社会的責任を果たすように指導されて、特に再建に当たっては早川さんは言っております。従業員が非常に熱意がある、私は再建はできると思う、そうして皆さんと一緒になって事業縮小はしない、そうして人員整理も行わないということで、全力を挙げて再建をして、皆さんと一緒にやろうということを全工場を回って言っておられるのです。こういう点につきましては各省庁の御見解もさっき聞きました。それから自治省の局長からも関係市なんかに迷惑はかけない、財政が減った場合なんかきちんと不況対策の金とか、特例法なんかでできるのだということも聞いて実は安心をしたわけでございます。  そこで大臣にまとめて、私はいま言いましたように、政府にもやっぱり政策責任はあるし、経営者にも責任はある、今後はそういうことのないようにしていただきたいということに対する御見解と、事業縮小人員整理というようなことのないような再建早川さんがやると言うから、全力を挙げてそれに応援していただきたいということ。それから県、市にはこの問題で迷惑をかけないようにしていただきたい、こういうことを大臣にお願いしたいのですけれども、御見解を承りたいと思います。
  45. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 馬場さんのいま御要請のあったことはすべてわれわれとしてはなさなければならない問題であると考えております。確かに高度成長について一つの認識不足があったり、あるいは繊維不況というようなものについてどう転換するかということに対する企業家の一つの見込み違いといいますか、ことがあって、こういう事態が起きたことは事実でございまして、私はわれわれとしてもやはりその意味ではある種の責任は当然考えるべきことであると思っております。  このことがたとえば市の財政に影響を及ぼす、県の財政等にも悪影響がある場合には起債その他の面でもめんどうを見るつもりでおりますし、自治省としてもそういうような大きな失業者が出て社会不安を起こすようなことがないように極力できるだけの手当てはいたすという考えでおりますので、もしまた何かございましたらひとつ御連絡を願えれば、われわれとしてもできるだけのことはいたすつもりでおります。
  46. 馬場昇

    馬場委員 最後に、先ほども言ったのですけれども、興人従業員の年末の一時金は平均四十歳ぐらいで五万円です。そして第二次下請なんかはまだ一時金ももちろん決まっていない、こういう状況もあるわけでございますし、問題は、再建方向はみんな一致しているのですが、現実仕事がないというようなことでは下請なんか困るわけですから、特に市町村、県なんかを指導されて官公の需要を、もし助けられるならばそういうのは大いにやっていただくというようなこと。それから、国務大臣たる自治大臣にお願いしたいのですが、やはり基本的には不況対策というのをきちんとやってもらわなければいま困るわけですから、その二つについて御見解を承って、質問を終わりたいと思います。
  47. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 重ねて申し上げますが、いま言ったような問題について政府としてできることは極力やらせていただくつもりであります。そういうことであれば、たとえば公共事業なども何か工夫をいたしましてよけいにやって、そして失業者が出るとかいうようなことがあっても何らかの形で吸収できる工夫も考える必要があると思います。失業者を出さないと言ってもそれは仕事がないのですから、そういうときに私はどういうやり方をするか存じておりませんけれども、関連産業が、その会社が動かないということで、失業者は出さぬでも、仕事がもらえないことによる影響八代市なり熊本に大きくなるだろう、そういうことに対しては仕事を何らか別の形で出すとかいうようなことも考えなければいけない。私はそういう意味合いにおいて知事や市長が建設省であるとかその他の関係省とよく連絡をとるようなことも必要ではないかと思っておるわけでありまして、いずれにしてもお話があればできるだけのことはさせていただく、こういう考え方でおります。
  48. 馬場昇

    馬場委員 終わります。
  49. 大西正男

    大西委員長 林百郎君。
  50. 林百郎

    ○林(百)委員 大臣が十二時までだそうですから、まず大臣にお聞きしておきたいのですが、来年度の地方財政計画の見通し、これはもう同僚議員が松浦さんにも聞いておるようでありますが、責任ある大臣の御見解を聞いておりませんので、大体どういう見通しで、それに対してどういう対処をしていこうとされているのか、大臣立場をひとつお聞かせ願いたい。細かいことをまた松浦さんに聞きますから、大臣は政治的な観点だけ答弁してください。
  51. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 大変御心配をいただいておってありがたいわけでありますが、われわれとしても来年度の地方財政というものは、今年度の経済の見通し並びにわれわれがとりました不況対策影響等々を見てみても、非常に困難な場面が多い、問題が多いと思うわけであります。ざっと概算してみれば三兆五千億ぐらい足りないのじゃないか、どんなにうまく考えてみても三兆円以上のものが赤字になるというか、今年度予算に比して必要になってくる。それに対して収入の方はほとんど増収が見込めないという段階になっておりますからして、これはどうしても借金といいますか国からの交付税をどう見ていくか、あるいは臨時特別交付税みたいなものができるのかどうか、これも国の関係がありますから、われわれとしては考えていきますけれども、どの程度にできるかという問題もあります。それから、今度は足りない分を地方債で見るというような場合においても、縁故債が非常にいまふえておりまして、地方銀行が引き受けを渋っておるような状況もあります。まあことしは何とか補正予算の分はできても、来年度果たしてできるかどうかということもありますから、これらの面もひとつ十分考えて手当てをしておかないと、年度内においてやりくりができなくなるというようなことも考えられないわけではないわけでありますから、これらの点、いわゆる歳入の面も考え、歳出の面も考えて、そうしてこれに対するいろいろの配慮をしながら来年度の予算編成には当たっていかなければならない、こう考えておる次第であります。
  52. 林百郎

    ○林(百)委員 三兆円の財源不足が出そうだ、その三兆円の内容については交付税の落ち込みあるいは地方税収の落ち込み、一方では支出増という要因も加わってきまして、内容はいろいろありましても、三兆円どうも財源不足になりそうだということは、これは松浦さんも言っておられますし、また各新聞にも自治省の意見として出ているわけですが、そこで国の予算の概算要求については大体十二月中に出し尽くして、ことしは年度内予算編成をするというのが三木内閣の方針らしいのですが、そこで自治大臣としては大蔵省といま、どういう点に重点を置いて交渉をされておりますか。交渉の過程ですから言えることや言えないことがあるとは思いますが、しかし重点はどこに置いて、これだけは何とかしたいという政治的な折衝はしていますか、それともまだ大臣折衝までは行かなくて、局長の事務レベルで詰めさせているという段階ですか、その辺のことをちょっと聞かせていただきたい。松浦さんはいろいろ言いたいと思いますが、大臣に時間の制限がありますから、ちょっと待ってください。
  53. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 御質問でございますが、まだ私が乗り出しておるような問題は全然ございません。事務の方でやっておりまして、局長レベルでもやっているのかどうか私つまびらかにいたしておらない程度でありまして、何しろ大蔵省の方は参議院でもってどうなるかというので、徹夜だとかなんとか言っているような段階でありますから、そこまでとても頭が来ないというふうなことを言うておりまして、まだそこまでは行っておりません。
  54. 林百郎

    ○林(百)委員 頭の痛い、また皆さんに御心配願ってありがたいとまで言っている大臣が、ここだけは何としても自治省の上層部を激励して、これだけは大蔵省と交渉してかち取りたい、実現させたいというような構想があってもいいと思うのですがね。それを私は聞きたいと思ったわけなんです。  そこで、大きく分けまして、結局財源不足をどういう方向でこれを埋めていくかということについては、もちろんそういう特例交付金だとか、あるいはまた地方債、あるいは特例債、五条債以外の特例債の発行というようなことも考えられると思います。  それともう一つは、やはり地域住民の受益者負担を引き上げていくという考え方、あるいはいわゆる大衆的な課税、均等割だとかあるいは固定資産税あるいは自動車関係の税金等を引き上げていく、あるいは受益者負担では保育所、厚生省も来ていると思いますが、後で聞きますが、医療費の引き上げ、いろいろ道が、そういう方向へ負担がかぶさっていくか、あるいは資本金に対する課税あるいは超過負担の解消あるいは交付税率の引き上げ、税と事務の再配分というような根本的な措置、私はこの二つがあると思うのですよ。われわれの立場としては、このことを理由としていま生活に非常に困っている大衆にこの財政の危機を克服するための負担を及ぼしたくないというのが、われわれの基本的な立場なんです。そういう意味でぜひ実現してもらいたいというのは、何としてももうこの二年間、実質的には二年間以上ですけれども、交付税が実際の交付税の実態に合わないようなケースが出てきて、それで莫大な地方債あるいは地方債の中でも特例債まで発行しなければならないというような状態がことしも来年も続くわけなんですが、これはやはり地方交付税法の六条の二のこれは、引き続き、第十条第二項本文の規定によって各地方団体において算定した額との合算額と著しく異なるという条件は理論的にも言い得ると思うのですが、大臣はこの交付税率の引き上げということについては考えられておらないのかどうか。いろいろの意向が新聞では出て、私も政府見解もわからないことではありませんが、自治行政の担当の大臣としてはそういう意欲が一体あるのかないのか、その点が一つですね。  それから、この地方税に対して租税特別措置で、所得で落とされていって均等割だけで、たとえば資本金十億ぐらいの企業が地方税の均等割の三千円か四千円ぐらいで、資本集積が莫大になされている企業がその程度の地方税の負担で終わっているということに対しては、これはやはり地方自治体の負担、いわゆる応益的な観点から言っても余りにも矛盾しているんじゃないか。だれが聞いても、資本金十億、雇員千人以上の会社がその市や町に納めている税金が三千円か四千円で地方税が済んでいるということは、公平の考えから言っても非常に不信感を買う要因になっていると思います。こういう点の改善、それからやはり超過負担について対象差あるいは数量差、人員差等も含めて、ことしは運営費に対する超過負担の解消がありましたが、こういうような点について大臣、これから大蔵省と事務レベルで折衝もあると思いますが、大臣の考えとしてはどういう考えでしょう。
  55. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 いまあなたの御指摘になったようなことは今日の一つの問題点であることだけは私もよく理解をいたしております。交付税率の引き上げをこの際やってはどうかということについては、われわれももちろん考えていたこともあるのでございますけれども、来年度予算の編成に当たってこれをやるべきかどうかということになりますと、国の方もこれだけ赤字債を出さなければならないというような段階で果たしてそれをやるべきかどうかということについては、ことしはひとつ見送らざるを得ないのではないかという考え方を私は、あなたがどうしても言えとおっしゃれば、言わざるを得ないと思うわけでございます。おしかりを受けるのはまた別問題でございまして、私としてはそういう考えを持っております。  それから、いまあなたのおっしゃったように、大企業が市町村の非常な利益を受けながら、いま言った住民関係の税金とかあるいはその他のもので非常に負担が少ないのはおかしいじゃないか、もっと外形的な標準を取り入れる工夫をすべきではないかということは一つの貴重な意見であると私は思っておる、いままでもその点は考えております。この点は、御案内のように税制調査会というようなものがございまして、そこでやはりよく勉強をし研究してもらわなければならないという意味合いで、考え方としては私は前向きではございますが、これがどういう結果になるかということについては、いまここでにわかにお答えをすることは困難であると思うのであります。  それからもう一つの超過負担の解消でございますが、これはもう私、三年前に自治大臣になったときから一番大きく取り上げておったことでございまして、いやしくも国が約束をしたことを、こういうこれだけの分は負担するというようなことを約束しておって、それを実現しないなどということは、私は行政上の義務を十分に果たしておるとは思っておりません。したがってこれは解消しなければならない。本当を言うと一挙に解消するのがいいのでありますが、行政というものは継続の原則もございまして、また予算関係等もあって一挙には解決できなかったわけでありますが、いままで相当程度解消はしてきたつもりでおります。これからもこの点はひとつ大いに心がけ、来年度予算の編成に当たってもやはりその点は心がけてまいりたい。  特に、施設費、運営費とこう分けてみました場合でも、施設費の場合には量の問題もございますし質の問題もありますが、こういう点も十分考えながら解決を図らねばいけない。運営費の場合は、今度次官名をもって各省に申し入れておるのですが、国が何らかの施策をやって、そしてそれのしわ寄せを地方自治体にするようなことはひとつ絶対に避けてもらいたいということを強く要請しております。それで、現在やっておるものでもって運営費で十分でないものが私はあると思うので、こういうものもあるとすれば、これは今後も是正をしていくという考え方でやってまいりたい。  以上、三点についてお答えを申し上げた次第であります。
  56. 林百郎

    ○林(百)委員 もう一つの側面も質問したのですが、それは後で質問することとして、そうすると交付税率の引き上げということについては大臣も決して無関心ではないし、自治大臣として意欲もあるんだ、しかし国の財政からいって、三木内閣の国務大臣として、きょうはわりあいに物わかりのいい質問をしますが、あなたとしては来年は無理だろう、こうおっしゃっているようですがね。そうすると、こういう状態が仮にまた再来年も続いていくというようなことになったならば、一体どういうようにお考えになるのです。そのことを真剣に検討されるお気持ちがあるのですかどうですか。これは再来年のことですから、また景気の動向がどうなるかわかりません、仮にこういう状態が次から次へ続いていって、国の方は公債を発行するわ、地方の方は地方債をどんどん発行するわという形で、それで交付税率は依然として三二%で何らの改善もされないということは、やはり交付税の本来の性格からいってもそれはそのままで放置できないと私は思うのですがね。どうでしょうか。
  57. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 その場合には前向きで検討をする考えでございます。
  58. 林百郎

    ○林(百)委員 前向きというのは非常に政治的な意味があるので、どういうのかわかりませんが、そこでもう一つの問題点として、国債の発行が建設国債、それからいわゆる特例の国債がこう多額に発行されていく。これは交付税の対象にならないということですね。それとこの地方税の減収ということから見ると、三二%という交付税率自体も実質的にはこれは切り下げられているんじゃないか。実際三二%の交付税が交付されているだけの効率を、交付税制度というものは果たしていないんじゃないかというように私は思うわけですよ。  そこで一応大蔵省に聞きますが、一体来年度予算で大蔵省は建設国債と、そしていわゆる特例債はどのくらい発行する見込みにお考えになっていますか。
  59. 藤井裕久

    ○藤井説明員 ただいまの御質問でございますが、いま一番、年内編成ということで大詰めにかかっておりますので、具体的に申し上げられない点はなはだ申しわけないと思いますが、いずれにいたしましても現在の情勢からいきますと五十一年度もこれはやむを得ず特例国債も発行せざるを得ないんじゃないかという状況でございます。これらを含めまして国債の依存度をどうするかこうするかというような問題は、御承知のとおりまだ経済見通しも確定していない段階でございますので、また歳出面につきましても現在事務的に折衝したりいろいろ内部での詰めをやっておる段階でございますので、遺憾ながら明確なことは申し上げかねます。
  60. 林百郎

    ○林(百)委員 それじゃ、ことしは御承知のとおり建設国債と特例債で合計約五兆四千八百億ですか、出ましたね。来年はこれより上回るか下回るか、その辺はどうですか。この辺はおわかりでしょう。もう新聞では数字も出ておりますわね。七、八兆円という数字も出ておりますが、その点はどうですか。
  61. 藤井裕久

    ○藤井説明員 これも事情は先ほどのとおりでございますが、ごく常識的な意味で申し上げまして御質問のようなことになろうかと思います。
  62. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると大臣、こういうように国の方で建設国債なりあるいは特例債なりどんどん発行していく。ところがそれは、それに対する受けざらも自治体としては考えなければならない。しかし、それは交付税の対象にならないということになれば、それに見合うものを何か考えなければならないのですが、それはどういうふうにお考えになるのですか。要するに国の方は国債をどんどん発行していきますね。それで景気刺激とかなんとかいって事業をやりますね。しかしそれは自治体が受けざらをやはり何かつくらなければなりませんね。その受けざらが、本来ならこれは交付税として見るべきものだと思います。ことしあたりは地方債で見たのですけれども、そういう場合に国債が、ことに建設国債は歯どめがないわけです。特例債も年々国会で審議を受けることになると思うのですが、いずれにしても増額していきますわな。それが三二%の対象にならない。しかし、地方自治体としてはその受けざらを何とかして捻出しなければならない、そういう財政事情にあるわけですわね。これはどう処理するお考えですか。
  63. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 いま確たることは申し上げられませんが、どうしたらいいかという方向を示せということになれば、やはりこの交付税特別会計にどういう形で受け入れるか知りませんけれども、やり方はどういう形になるか知りませんけれども、やはり特別会計に受け入れて、そして必要な量は地方自治体に配るということが一つの方法。もう一つは、やはり起債という問題、地方債という問題、両方で考えていかなければならぬ。その受け方をどうするのかということであるが、三二%のパーセンテージを変えればそれで一つの考え方であろうが、私はそれはやるべき時期でないと思いますから、そうなるとこれがどういう形になりますか、臨時特別交付金のような形になるかあるいは借り入れみたいな形になるか、借り入れた場合でもその返還をどういうふうに考えるか、いろいろな問題点があると思いますけれども、まだこれは先ほども申し上げたように、大蔵省も言っていますが、景気の見通しもはっきりしないし大体の感覚も出ていない時期で、いまのところはもっと下の詰めを事務的にやっているという段階で、いまここでこうしますああしますというところまでは申し上げる時期ではないと思っております。
  64. 林百郎

    ○林(百)委員 ちょっと大臣の言う構想がわからないのですが、ことしは交付税の落ち込み分を交付税特別会計が一般会計から借り入れて埋めたわけですね。そうでなくて、交付税が仮に三二%で当初見込みを非常にシビアにして落ち込みは出さない、しかし国の方は公債が莫大に発行される、そして地方自治体はその受けざらをつくらなければならない。あなたの言う何か特別会計から借り入れてそれで埋めるということはどういうことですか。何か一つの特別会計を新たにつくるという構想ですか。それとも交付税特別会計が借り入れてそれを出すということなら、実質的には税率を上げたことにもなりますね。どういう構想ですか、もう少し具体的に……。それは松浦さんが言わなければだめですか。大臣じゃできませんか、それは。大臣答弁したことをもう少し具体的に聞きたい。
  65. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 私はそういうことまでは言ってないということを最初に申し上げた。あなたが何でもしゃべれしゃべれとおっしゃるから私は一応の感じを言うただけで、これ以上私を追及してというか——追及というのは失言でありますから取り消しますけれども、御質問があっても、私からいまここで申し上げるわけにはいきません。
  66. 林百郎

    ○林(百)委員 松浦さん、それじゃどうぞ。そこで答弁してください。
  67. 松浦功

    ○松浦政府委員 いまの御質問大臣がお答えを申し上げております趣旨は、非常にいろいろと技術的な要素も入ってまいりますので、私どももどうするかまだ腹を決めているわけじゃございません。ただ一般論として言い得ることは、本年度の当初の四兆四千億の地方交付税に対して、こういう形で国税三税が落ち込んでおりますので、恐らく当初予算までの交付税の確保は困難だろうと思います。相当穴があくだろうと思います。その穴を埋めてなおかつその上に交付税を出さないと、林先生がおっしゃられるように財政規模がふくらんでいく、裏負担が地方財政としては持っていけない、こういうことに私はなると思う。したがって交付税特別会計の中から地方公共団体に配る交付税は、財源不足がどうなるかという関連から出てきますから明確な数字は言えませんけれども、少なくとも四兆四千億なんという数字では地方財政計画は立てられません。したがって相当の量のものを借り入れをするなり、臨時特別交付金なりでいただくなり、そういう措置を講じない限りは動けないぞということを大臣がおっしゃっておられるわけで、その具体的な措置をどうするかは、相手方があることだからこれから決めていきたい、こういうふうにおっしゃったというふうに御理解を願いたいと思います。
  68. 林百郎

    ○林(百)委員 大臣、時間があるそうですから……。私先ほど物わかりのいい質問をすると言ったのは、誤解を受けてはいけません。私は交付税率を上げるということは一貫していまも私の信念でございますので、それを譲るわけじゃございません。ただ質問の技術上、あなたの答弁を引き出そうと思って言っただけですから、その点は誤解のないようにしてもらいたいと思うわけです。  それで、いまの松浦さんの言うようになると実質的には三二%を上げたことと同じことにならないのですかな。私はそうなると思うのですけれども。どうして三二%にそうこだわるのか私はわからないわけですが、——ちょっと松浦さん待って。大臣どうでしょうか。
  69. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 私はいまもうこのような来年度予算の編成を十日とか十五日とかいうところに控えておってこの問題を取り上げることは非常に困難だと思います。大体いままでもしばしばそういうことはもう二月も前くらいからよく質問があったときにお答えをしておるので、どうしても法律的にやらなければならないということになれば、これは条文に従って考えなければならないけれども、いまの段階では私としてはそういうことをして、これは簡単でないんです、あなたもお考えのように、この前の税率引き上げでも話が出てから七年もかかっておるのですから、いまちょっとそういうことがあったからといって、きょうあすのうちにこの問題を解決するなどということは非常に困難である、むしろ混乱を起こすだけである。自治大臣としては地方の自治体が必要とする金を、どういう形で獲得するかは別にして、それだけの金をとにかく自治体に配る方策だけはしなければならないという固い信念は持っておりますけれども、その方途については、私はこの際はそのような方法をとることは差し控えたいということをしばしば申し上げておるわけであります。
  70. 林百郎

    ○林(百)委員 もう一つだけお聞きして……。  大臣、いま松浦局長の答弁によりますと、交付税特別会計が借り入れをして特例交付金というような形で見てやるということも考えられるという、これは後で松浦さんには正確に聞きたいと思いますが、そうなりますと、それは実質的には交付税額をふやしていることになる、三二%プラスアルファでふやしていることになると思うのですよ。そうすると交付税率を上げたことと実質的な効果は同じことじゃないかと思うのですよ。あなたは法律に従う法律に従うと言いますけれども、もう私が言うまでもなくあなたは十分御存じでしょうけれども、この地方交付税法の引き続きというのは、いままでの国会答弁では二年程度続いてというように私たちは聞いていたつもりです。七年も続かなければ引き続きにならないなんという解釈はきょう初めてあなたから聞いたので、これはあなたは考え直していただかなきゃいかぬと思うのですよ。その点が一つ。それではその点、もしあなたの考えを正確におっしゃるならおっしゃってください。  それでさらに新聞等を見ますと、たとえば均等割を三倍にする、農地の問題については宅地並み課税の問題が各同僚議員、また三谷議員からも詳しく質問されていますが、一般農地についても三十八年度でストップしているのを引き上げるというようなこともありますね。それから、自動車関係の税金を引き上げるということもあります。それから保険等の、これは後で厚生省に聞きますが、受益者負担を上げるというようなことも考えているようです。国民健康保険の地方自治体の負担分との問題に絡めてこういうようなことも出ているようですが、個人、法人の均等割の三倍化というようなことが新聞に、これは日本経済の十二月四日に出ているわけですね。こういう構想は、大臣はお持ちになっているのですか、どうですか。これは御承知のとおり所得割の課税最低限を下回っておる世帯が納めておるものでありますから、これはもう本当にボーダーラインの生活をしている人たちなんですから、この人たちにかかってくる負担が三倍になるということは、それはいろいろの意味で重大な影響を及ぼすと思うのですよ。そういうことをあなたはお考えになっているかどうか、お聞きしたいと思います。  それから外形課税をお考えになっていると言いますが、外形課税というのはどういう概念かはっきりしませんが、私たちの党としては、やはり中小企業にまで外形課税がかかったのでは、これは中小企業影響を及ぼしますから、少なくとも資本金十億ぐらいの大企業に、その資本金額に累進的に税金をかけていくべきだ、こういうように考えています。  そういうことで、あなたの言われた地方税としての外形課税というようなことも考えているというのは、正確に言えばどういうことか。個人、法人の均等割の三倍化。法人については担税能力があるのは、さっき言ったように私は資本課税をすべきだと思いますが、まあ個人の均等割、ボーダーラインにある個人の均等割の三倍化というようなことが考えられているのかどうか。それから先ほど言いました、松浦答弁の中にあった、特別会計が借り入れをして特例交付金というような形で出すということは、実質的には三二%の引き上げと同じことになるならば、三二%にこだわることがないではないか。七年もかかったと言うけれども、それはどういう意味なのかわかりませんけれども、この三つの点に答弁して、それじゃあなたは時間が迫っているようですから、私の大臣に対する質問は終わりたいと思います。
  71. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 先ほど来申し上げておりましたように、いまだこの予算編成についての具体的なことは、私としては事務をして処理をいたさせておる段階でございまして、私から御答弁を申し上げる段階ではないと思っております。  それから、いろいろおっしゃいましたが、七年ということをちょっと言いましたのは、あれは交付税率を引き上げようという話があってから七年間もたってようやく、あれが二九・五%から三二%になったときは、そういうように前から何とか上げてもらいたいという長い間の懸案があって、それがようやく七年目に実ったんだという意味を申し上げたわけでありますから、誤解のないようにお願いいたしたい。  その他の問題については、先ほど申し上げたようにまだ事務の段階でやっておりまして、私がここでお答えを申し上げることは困難でございます。
  72. 林百郎

    ○林(百)委員 それじゃどうぞ。  各省のお忙しい皆さんに来ていただいておりますので、簡単な質問から片づけていきたいと思います。中小企業庁の方おいでになっていますね。  実は、いま国税三税の落ち込み、それから地方税の落ち込みも、これは法人税がもう決定的な要因になっているわけですね。ところが、この法人税を納めておる、ことに中小企業が、ことしは未曽有の倒産というような状態になっている。経済の高度成長政策、いわゆる政府の言う経済の高度成長政策から低成長に移行し、いわゆる総需要の抑制なるもので抑えてきているということから受ける中小企業の打撃というのは非常に多いわけですけれども、一体今年度の中小企業倒産の実態というものはどういうものだったんでしょうか、それをひとつここで説明していただきたいと思います。
  73. 菊川忠雄

    ○菊川説明員 本年度の倒産状況でございますけれども、ことしの一月から十一月までの合計で申し上げますと、件数で一万一千百十三件になっておりまして、昨年よりも五・三%ほど件数ではふえております。それから金額で見ますと一兆七千二百三十七億円ということで、昨年に比べまして一五・六%ふえております。ことしに入りましてから上半期の方は比較的落ちついた動きをしておりましたけれども、後半に入りましてから非常に増勢を強めているという状況でございます。
  74. 林百郎

    ○林(百)委員 倒産の件数とそれから債務額は、これは最近で最高でしょうか、どうでしょうか。いつを基準にしてそういう数字があるのかないのか、ちょっと説明していただきたい。
  75. 菊川忠雄

    ○菊川説明員 十一月の倒産件数で申し上げますと、千三百十七件ということで、戦後最高の数字でございます。金額は約二千五百億円ということで、八月興人倒産がありました月が最高でございまして、その次が九月でございます。それに次いで三番目の数字でございます。
  76. 林百郎

    ○林(百)委員 それでは菊川さんですか、私の質問は結構ですから……。  それから中小企業庁から金融課長さんお見えになっていますか。1御承知のとおり多額な国債が発行され、また地方債の縁故債等も発行されておりますが、金融機関がこれをどういうようにこなしているのか、そのことが、いまのような実態にある中小企業への金融にどのような影響を及ぼしているのか、その点の実情をちょっと御説明願いたいと思うのです。
  77. 安田佳三

    ○安田説明員 国債が発行されます場合におきましては、月々の金融情勢やら引き受け側の資金事情等に十分配意して、民間金融に混乱を生じないように円滑に発行していただけるものというふうに私どもは聞いております。ただ、これがどういうふうに中小企業の金融に影響を及ぼすか、まだ十分わからない点もございますので、私どもといたしましては、今後の成り行きを十分見守って注意してまいりたいというふうに考えております。  なお、年末につきましては、政府関係金融三機関に対しまして、例年より早く、時期を繰り上げまして下期の貸出計画に四千八百億円の追加を行っておるところでありますが、最近の状況等を見ますと、中小企業者の資金需要というものも比較的落ちつきを見せておりますので、当面、中小企業者の資金繰りを圧迫するということはまずないのではなかろうかというふうに現状では考えております。
  78. 林百郎

    ○林(百)委員 わかりました。  自治省の方で、縁故債の割り当てはまだないのでしょうか。縁故債についての消化状況はどうだかわかりますか。   〔委員長退席、片岡委員長代理着席〕
  79. 松浦功

    ○松浦(功)政府委員 お尋ねの縁故債は恐らく補正予算の問題だと思いますが、これはまだ起債の許可をいたしておりません。また、この許可は年度末近くにならないとできないと思います。と申しますのは、一兆六百三十二億の減収に対しまする地方債、これの主体は法人でございますので、九月の決算の見通しをはっきり把握した上で算定をすると同時に、地方公共団体において現実にどのような動きであるかということとある程度すり合わせをしませんと、単なる方程式、傾向値では非常に危険でございます。それをやった上で、確実に穴のあいたものは埋めてあげたいという気持ちでおりますので、時間は若干ずれるかと思います。  ただ、縁故債の問題でございますれば、大蔵省の方に全般的にお願いをしてございますが、銀行局長からも消化について協力をするようにという通達をお出しいただいております。一、二を除いては各県から、まずあの通達が出たので、各団体が考えている縁故債の消化については支障はあるまいという声を聞いております。特定の地域で特定の銀行資金に詰まっているというものが一、二あるようでございますが、そういう事態が起これば、直ちに自治省に連絡してくれ、大蔵省の方にも日銀の方にもしかるべき措置要請するからということで言っておりますので、全般として縁故債の消化についてわれわれは心配をいたしておりません。
  80. 林百郎

    ○林(百)委員 大蔵省の銀行課長さん見えていますけれども、年末の資金繰りの状況、地方債の方はまだ割り当てがないという財政局長の話です。しかし地方自治体としては、これはなるべく早く割り当ててもらって現実に運用できるようなことを期待していると思うので、すり合わせの技術的な日数がどのくらいかかるかわかりませんが、なるべく早くする必要があると思うのです、もう年度末にもなっていますから。  大蔵省の銀行課長にお聞きしますが、こういう莫大な国債、地方債が発行され、市中銀行の引き受け分が相当あるわけですね。資金運用部の引き受け部分もありますけれども、大部分は銀行引き受けになっている。それはどういう状態になっているのか。そしてこれがいま日銀に入っている残高というのは、地方債ももし入っていたらお聞きしますが、それはどのくらいのものなのか、ちょっとその辺のことをお聞きしたいのです。
  81. 宮本保孝

    宮本説明員 現在確かに国債、地方債は大変な増発でございまして、先ほど財政局長からもお話がございましたが、銀行局長通達を発しまして円滑な消化について協力要請いたしたところでございます。日本銀行のオペレーションといいますか、その残高でございますが、現在地方債についてはほとんどやっておりませんで、国債と政保債を買い取っておる次第でございまして、大体五兆円くらいの国債が日本銀行に買い取られておるようでございます。
  82. 林百郎

    ○林(百)委員 本年度発行する国債も担保としては日銀に入れることはできるのですか。買いオペは一年たってということになっていますが、担保に入れて借り入れということはできるのですか。
  83. 宮本保孝

    宮本説明員 一年たちませんと担保適格にもなりませんし、オペレーションの対象になっておりません。
  84. 林百郎

    ○林(百)委員 中小企業庁と大蔵省関係の方はお忙しいと思いますから結構です。私の質問はこれで終わります。ただ国税関係がありますので、税制第三課長さんだけ残ってくださいませんか。  そこでお尋ねしますが、松浦さん、新聞にも先ほどありましたように、これは日経の十二月四日に均等割を三倍に上げるのだというようなことが言われておるわけなんですけれども、そういう構想は考えられているのですか。
  85. 福島深

    ○福島政府委員 均等割につきましては、御案内のように実質的には昭和二十六年から据え置かれておるというようなこともございまして、先生承知のように、個人の場合には、少ないところで県、市町村あわせまして三百円、多いところで七百円という額になっておりまして、地方団体の地域住民のいわば会費的な負担として見ましても余りにも少額ではないかというふうな議論もかなりございまして、これに対する引き上げの要望もかなり強いものがあるわけでございます。  私どもといたしましては、ただいま税制調査会等でいろいろ御審議をお願いしておりますけれども、自治省の気持ちといたしましては、できれば物価見合い程度の引き上げはぜひお願いできないものだろうかという気持ちでおるわけでございますが、先ほど先生のお話にもございましたように、きわめて所得の少ない層の均等割については配慮なしというわけにはまいりませんので、そこら辺の配慮は加えながら、個人の均等割についてある程度の引き上げを考えてみたい。  なお法人につきましても、法人の場合には実は四十二年に改正いたしましてアップを図っておりますけれども、こういうときでもございますので、同じような観点に立って、少なくも同程度の引き上げは考えてしかるべきではないかということで、いまいろいろ御審議をお願いしているわけでございます。
  86. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、場合によると五十一年度にそれを実施する場合もあり得るのですか。
  87. 福島深

    ○福島政府委員 御理解がいただければそういう形にしていただきたいという気持ちは持っております。
  88. 林百郎

    ○林(百)委員 どこの御理解ですか。
  89. 福島深

    ○福島政府委員 これは現在税制調査会で御審議をいただいておりますが、そこでどういう結論になるかということがまず一つの関門と申しますか、問題点でございますけれども、さらにこれは当然地方税法の一部改正ということで御審議をいただくわけでございますので、そういう経過をたどりながら、できれば五十一年度の税制改正で実施できるような方向でお願いをしたいということで、私どもは現在考えておるわけでございます。
  90. 林百郎

    ○林(百)委員 事のよしあしは別として、答弁はわかりました。  自動車関係の諸税、これは国税部分もあると思いますが、これについてはどう考えておりますか。
  91. 福島深

    ○福島政府委員 自動車関係税につきましては、地方税におきます自動車関係税と国税におきます自動車関係税とは若干性格が違うところがございますので、問題点はあろうかと思いますが、私どもいろいろ税制調査会等で御審議をいただいております第一点は、保有税であります自動車税の税率をどうするかということでございまして、先生承知のようにこれは四十年に実は税率改正をいたしまして、自来据え置かれておるということもございます。その後の自動車の価格の推移等からいたしましても、この際、自動車税の税率については引き上げを図るべきではないかという考え方を持っておるわけでございます。  それから、あと燃料課税といたしまして例の地方道路譲与税でございますが、これは国税で取りまして全額参るものでございますから別にいたしまして、地方税プロパーの問題といたしましては軽油引取税の問題がございます。これも実は軽油でございますから、バスだとかトラックだとかそういうものの使用する軽油にかかる税金ということで、実は三十九年以来税率が据え置かれておるということになっておるわけでございますが、自動車の燃料課税につきましては、ガソリン税につきましても二年前に実は二割アップしたわけでございますが、それをさらに三割程度アップをしたいというような動きもございまして、そういうことであれば、現在の軽油引取税の負担というものも相対的にはかなり下がっているということにもなりますし、ある程度の税率引き上げはいかがなものかということで、現在御審議をお願い申し上げておるところでございます。  それからもう一つ、自動車取得税でございますが、これは四十九年から二年間の暫定措置ということで、自家用車につきまして引き上げをいたしておりますが、これにつきましては二年前に引き上げたということもございますので、なおその措置を延長するというようなことではいかがかということでいまお諮りしている次第でございます。
  92. 林百郎

    ○林(百)委員 それから、これもやはり十二月四日の新聞ですけれども、マンション・別荘税というようなものを各自治体で創設しているようですが一こういうのは自治省把握しておりますか。
  93. 福島深

    ○福島政府委員 ただいま御指摘のありました別荘税でございますが、これは実は熱海市が法定外普通税としてこういう税金を創設をしたいということで、まだ正式な協議ではございませんが、内協議というような形で自治省の方に照会と申しますか、指導を求めてきております。私どもといたしましては、法律にありますように、地方団体にそういう税を起こして一定以上の収入が入るという見通しがあり、かつ地方団体にその税収入を必要とする財政上の必要があるということであれば、その他の法律要件が若干ございますけれども、それにかなう限り自治大臣はこれを許可するというたてまえになっておりまして、私どもは内容を検討いたしておりますが、そういう方向で地方団体の意思が固まれば、協議によりまして認めることについてやぶさかでない気持ちを現在持っております。
  94. 林百郎

    ○林(百)委員 大臣がいないところで政治論を言っても何ですけれども、国の経済の高度成長政策から出たスタグフレーションの結果出てきた今日の国の財政の危機、それから地方財政の危機をそういう形で一般の庶民の負担に、たとえば均等割といいましても、課税最低限を下回るボーダーラインの人たちに対する税金が三倍という感じは、やはりいろいろに響いてくると思うのですね。そういう形で地方財政の困難を克服していくということ、そういう方向へ目をつけるということについてはわれわれは賛成できないわけなんです。  それで、同じ十二月九日の朝日新聞に、蔵相の諮問機関である財政制度審議会の提言として、一、保険料の計算の基礎となる標準報酬の上限の引き上げ、二、高額医療費の自己負担限度額引き上げ、三、初診料、入院費の引き上げ、四、薬剤費、再診費の一部負担導入などの報告が盛り込まれている。こういう事実があるかどうか、そしてこれに対して厚生省としてはどう考えておるか。これは、地方財政危機の対策としてのこの審議会の第二特別部会の報告なんですが、こういう報告が来ていますか、厚生省。
  95. 下村健

    ○下村説明員 財政制度審議会の第二部会の方でそういう点について触れられた報告を出されたということは私どもも伺っております。それらの中で地方財政に直接関連する問題と申しますと、国民健康保険の問題に触れてくるわけでございますが、高額療養費の問題、それ以外の一部負担の問題あるいは標準報酬の上限問題等はすべて被用者保険と申しますか、政府でやっております健康保険あるいは健康保険組合の財政問題に関連する諸問題ということになるわけであります。また、それらの提案の中で、一部負担の問題を除きましたそれ以外の問題は、ことしの予算編成に際しまして大蔵省側から、一応五十年度の予算編成の際に検討してはどうかというふうな御提案のあった事項でございますけれども、厚生省といたしましては、保険の運営という見地から、財政的な見地のみではなくてもっと広い立場から検討してまいりたいということで保留になったという経緯がございます。  それで、医療保険制度全般の改正問題につきましては、実は社会保険審議会の中に健康保険問題等懇談会というのがございまして、従来ずっと検討を続けているような状況でございますが、予算の年内編成という事情もございまして、この二十日に、できますれば予算編成に臨むのを前にして懇談会の方の御意見をちょうだいしたいということでスケジュールは組まれているわけでございます。したがいまして、厚生省として最終的にその辺の問題をどう扱うかという点についての態度はまだ決まっておりませんが、高額療養費の問題につきましては、健康保険の方の方針が決まりましたら、それと歩調をそろえて検討を進めることになろうかと考えております。
  96. 林百郎

    ○林(百)委員 厚生省の方、地方自治体としては、国民健康保険会計が政府の調整資金が出ますね、あれは三分の一ですか。まあ、率は後で正確に聞きます。同時に国の政策として、七十歳以上のお年寄りの医療費の無料化という問題が出てきているわけですね。これが財政的に非常に大きな負担になりまして、どうしても国の調整金をいまの比率ではやれない。しかも、国民健康保険の保険料の負担能力のある人たちは組合健康保険にいろいろ入っていますから、結局そういうところへ入れない人たちが国民健康保険へ入っている。それに、国の福祉政策として行われた老人の医療費のその負担が一部地方自治体の負担になっています。それが非常に膨大になってきて、もうほとんど二、三年おきあるいは毎年国民健康保険税を二割から三割上げなければならないという状態になっているわけですが、その国民健康保険の国の負担率を引き上げるという考えは持っていませんか。
  97. 下村健

    ○下村説明員 国民健康保険につきましては、実は私直接の責任者ではございませんのですが、私の存じておる限りでお答えをさせていただきたいと思います。  老人医療とそれから高額療養費という形で給付改善が行われました結果、国保の財政が非常に苦しくなってきているというのは、御指摘のとおりであろうと思いますが、それについて老人医療のあり方、あるいは現在そのほかに、退職者の医療制度のあり方と心いうふうな問題もいろいろ問題になってきているわけでございます。それらの基本的な制度問題等もありますので、臨時財政調整交付金という形で、保険料の負担格差というものをできるだけ解消してまいりたいということでここ数年来進めているわけでございますので、来年度につきましても、保険料負担が妥当な範囲にとどまるような臨時財政調整交付金の措置は当然とられるというふうに考えておりますけれども、直ちに調整交付金の増率という問題にはならないのではないかというふうに考えております。
  98. 林百郎

    ○林(百)委員 地方自治体としては非常に強い要望がある、臨時財政調整交付金の増額が。大体国の福祉政策としてやったのですからね。本来なら、老人医療費の無料化は国が独自の福祉政策としてやるべきで、それを地方自治体が負担しなければならないということになって、乏しい今日の財政の中で地方自治体が負担せざるを得なくなり、それから受益者負担ということで地域住民に大きな負担がかかっているわけですから、その中で別会計でこれは国がそれを全部見ろという意見もありますが、少なくとも調整交付金の増額が地方自治体の強い要望であるということをよくひとつ……。そうでなければ、国民健康保険税は毎年二割、三割上げていかなければなりませんからね。これは地方自治体としてはやはり地域住民に対してなかなかやりにくいことなんですよ。それをあえてやらなければならない。その根源は、国が立てた高年齢層の医療費の無料化という福祉政策と称するものから大きな要因として出てきているわけですから、それはやはり国が見てやるのが当然だと私は思うのですよ。その点を十分ひとつ考えておいていただきたい、こういうように思うのですが、どうでしょう。
  99. 下村健

    ○下村説明員 老人医療の無料化の実施ということにつきまして、確かに国にも責任はあるわけでございますけれども、実際の経過として申し上げますと、国が全国的に実施をいたします前に、沖縄県を除きまして全県で老人医療の無料化というのがすでに先行して行われていたわけでございます。したがって、こういうふうな関係から見ますと、必ずしも全部が国の責任であるというふうにおっしゃられる点につきましては、お言葉を返すようでございますけれども、どうかというふうに思います。  それから、保険料の問題でございますが、現在皆保険ということで国民のすべての階層につきまして、生活保護を受けておられるような階層を別にしまして、何らかの形で医療保険の保険料というのは負担していただいているわけでございます。それで、普通の被用者保険ですと、保険料負担というのは一定の率で定められておりますので、所得の上昇につれて保険料の負担も上がってまいるという仕組みになっております。医療費の方も、当然人件費がかなりのウェートを占めているような面もございますので、医療費も毎年上がらざるを得ないということで、両方がバランスをとって上がっていくというのが現在の仕組みでございます。国民健康保険の場合は、実は保険料が定額部分と報酬比例のような形のものと両方ありまして、定額部分につきましては、ただいま申しましたような医療費の状況からしますと、やはり毎年ある程度は上げていただかざるを得ない、これが制度のかっこうになっているわけでございます。私どもとしては、実は先ほどの老人の問題等出てまいりまして、地方団体によりましては老人の割合が非常に異なっておりまして、老人の非常に多いところが困窮をするというふうな状況が出ておりますので、保険料負担の公正化というふうな点については特に配慮しているわけでございますけれども、全体としてバランスのとれた形で保険料負担がある程度上がってまいる、これは医療保険の仕組みとしてはやむを得ないことではないかというふうに思っておりますが、(林(百)委員「わかりました。簡単にしてください。」と呼ぶ)ただいまのような問題につきましては、厚生省としても十分努力しているわけでございます。
  100. 林百郎

    ○林(百)委員 国の政策として出したもののしりぬぐいの一端を地方自治体に負担させるということはおかしいですよ。それは七十歳以上の医療費を無料にするというのは、時の政府の目玉商品として宣伝したわけでしょう。ところが、実際末端へ行くと、地方自治体がしりぬぐいの大きな部分をしょわなければならない。それは究極的には地域住民の、しかも負担能力の弱い人のところへ毎年毎年国民健康保険税の引き上げという形できているわけですよ。だから、このことはよく、まあここは地方行政委員会ですから、地方自治体のサイドでいまどういうことが問題になっているかということを厚生省は考えて、もちろん医療技術に対する適正な対価とか、根本的な医療行政のあり方について改善しなければならない問題があるということは私も知っていますよ。しかし、いま国民健康保険会計が地方自治体でどういう困難に逢着しているかということをよく知っていただきたいと、こう思うわけです。もう結構ですから、お帰りください。  それから経済企画庁にもお待たせ願ったのですけれども、もう一問だけで結構です、あと質問がありますので。  いま地方行政委員会で問題になっていますのは、結局国と地方における法人税収の大きな落ち込みですね。ことに中小企業は、先ほどもありましたように、ことしになって最高の倒産数を示しているというようなことになっているわけですが、来年度の見通しがつくのかどうか、これが改善される見通しがあるのかどうか。ことに法人税収として大企業に対する、たとえば社内保留に対する適正な課税をするとか、あるいは資本金額に対する適正な課税をするとか、そういう担税能力のある企業に思い切った措置をするなら別として、いまのままでいって一体来年度の中小企業等の見通しはどうなのか。  それから大蔵省の税制課長さんに残っていただいているわけですが、租税特別措置について、地方自治体については、これは国の政策としてやっているわけですから、地方税の側面ではこれを遮断するというか、技術的にいろいろな問題があると思いますけれども、さっき自治大臣からも話がありましたように、資本課税をするような方向で租税特別措置を洗い直していく、ことに地方税の側面で洗い直していくということが考えられているかどうか。  この二つを経済企画庁と大蔵省の税制第三課長にお尋ねして、これも答弁が済んだらお帰り願いたいと思うのです。
  101. 永井誠一

    ○永井説明員 五十一年度の経済見通しにつきましては、現在各省庁と連絡をいたしておりまして策定作業中でございますので、具体的なことを申し上げることはできないのでございますけれども、来年度は石油危機以来三カ年と言われております調整期間の最後の年でもございますし、また新しい中期計画の初年度でもございますので、五十一年度は非常に重要な年であるというぐあいに認識しております。  この経済見通しの中に盛り込まれます課題といたしましては、一つは、景気回復、雇用の安定ということかと思います。もう一つは、景気の回復に伴いまして、またインフレが再燃するおそれがある、それに注意を払っていくということだろうと思います。したがいまして、景気が着実に回復する五十一年度を考えますと、中小企業企業収益も徐々によくなっていくのではないかというぐあいに考えておる次第でございます。
  102. 水野勝

    ○水野説明員 国税の法人税収の面から見ましたところの五十一年度の見通しの点でございますけれども、先ほどから話の出ておりますように、経済見通し等必ずしもまだ詳細な点につきましてまで確定している段階でございませんので、税収見積もりもお答えできる段階にはないわけでございますが、たとえば来年度緩やかに景気も上昇していくということになりました場合におきましても、法人税収は仕組みの関係からいたしまして半年、一年ぐらいおくれる傾向がございますので、法人税収といたしましては、来年度は引き続き恐らく低迷をいたすのではないか。そういう面からいたしますと、税収の面からは国税にとりましても地方税にとりましてもかなり厳しい状態が続くのではないかというふうに考えております。  それから特別措置の点でございますが、国税におきましては、高度成長下にいろいろな特例措置が講じられてきた面は事実でございます。こういう時代でございますので、現在できるだけひとつ効果の失われたもの、既得権化したものは整理していきたいということで努力をしておるところでございます。  これと地方税の関係でございますが、政策目的につきましては、国税と地方税共通する面もございますし、共通点のない面もございますので、それからまた、税制の仕組みといたしまして完全に遮断するということがなかなか技術的にむずかしい場合もあるわけでございますので、それぞれのケースに従いまして、自治省の方で税制の策定に当たりましてケース・バイ・ケースで配慮されておるというふうに私どもは聞いておるわけでございます。
  103. 林百郎

    ○林(百)委員 問題は自治省側の技術的な検討並びにその姿勢にある、そういうように聞いておいていいですか。どっちか答えてください。
  104. 福島深

    ○福島政府委員 ただいま大蔵当局からお話がありましたように、政策目的で合致しているものは大変だと思いますけれども、大蔵省の方で現在そういう租税特別措置の整理をいろいろと検討されておりますので、私どもも全面的にそれをバックアップして、国税、地方税を問わず、租税特別措置が合理化されることについて努力をしているわけでございます。  なお、地方税は独自にそういう租税特別措置的なもので処理すべきものがございますので、そういうものについてはまたそれなりに現在その仕組みについて検討いたしているわけでございます。
  105. 林百郎

    ○林(百)委員 時間がありませんので、どうぞ厚生省と経済企画庁と大蔵省の第三課長さんお帰りください。  それから自治省の林さんに、えらいお待たせしました。この前、選挙特別委員会でお尋ねしました、北海道浜頓別の町長が負担金という名目で社会党さんに金を出していたというのは、これは姿勢を直さした方がいいのじゃないか。政治資金として届け出もしなければならないことになっているということで、調べて、もし町長さんがわからないようだったら、姿勢を直さした方がけじめがつくのではないかと私言っておきましたけれども、これはその後どうなっていますか。
  106. 林忠雄

    ○林政府委員 おとといのきょうでございますので、実はまだ十分詳細な点まで調べがついておるわけではございませんけれども、何か聞くところによりますと、近いうち、具体的には十九日、二十日、この二日間町議会の決算特別委員会があるそうでございまして、そこでこの問題について何か町長が自分の考え方というのを話すという情報が入っております。それらを踏まえた上で、これは町村の問題でございますので、北海道の道当局ともよく連絡をして、しかるべき指導をしてまいりたいと存じております。
  107. 林百郎

    ○林(百)委員 それならば、その具体的な、町当局がどういう措置をとられるか、またそれがわかりましたときに、自治省がどういう考えを持っているか、これは私個人でいいですから、ひとつ林さん報告していただきたいと思う。私も質問して質問しっ放しというわけにいきませんから。  あと、文部省と自治省にお尋ねしたいんですが、朝日新聞の十二月九日のあれで見ますと、高等学校への補助金を、文部省は百三校新設するのに百二億の要求をしていた。ところが、これが自民党の文教部会で七十校分の新設で六十数億とほとんど半分に減らされた。人口急増地域における高校新設というのは非常に重要な問題でありますので、この辺は文部省としてはどういうように受けとめていますか。あるいは自治省としてどういうように受けとめていますか。
  108. 高石邦男

    ○高石説明員 実はこれは助成課長の所管の内容でございまして、私直接担当しておりませんが、私の知っている範囲内で申し上げますと、具体的に来年度の急増対策として高校の新増設にどういう対応をするかということを、八月の段階以来、内容について鋭意文部省としても研究を重ねてまいっているわけでございます。  そこで、一応自民党の文教部会の一つの考え方としての案が新聞に報じられた内容であるわけでございます。したがいまして、そういう状況を十分勘案しながら、来年度の予算要求に対処していきたいというのが現在の情勢かと思うわけでございます。
  109. 林百郎

    ○林(百)委員 あなたが文部省でどういう立場にあるかわかりませんが、自民党の文教部会でこういう方針を出すと、文部省としてはその方針に沿って方針を立てなければいけないのですか。
  110. 高石邦男

    ○高石説明員 文部省自体としてどういうような対応をするかということは、最終的には文部省の方針を決めるわけでございますが、そういう意見等も十分に勘案しながら対応策を講じていくということは必要であろうと思います。
  111. 林百郎

    ○林(百)委員 自治体が高校新設に対して補助金が欲しいということは、人口急増地域でいかに切実かということはおわかりだと思うのです。  それで、文部省としても、百三校の新設相当分百二億を要求したのを、自民党文教部会が七十校で六十億ですかにしたからといって、文部省が何も——それは参考にすることは結構ですよ。しかしあなた方がこういう地方自治体で要求が強いということを知っていて、そして方針を立てたのを、それはそれでどこまでも努力されるのがしかるべきだと私は思いますよ。私は思いますから、それはあなた、しっかりやってがんばってもらわなければ困りますよ。人口急増地域でいかに高校新設の補助金がのどから手の出るほど欲しいかということをあなたも知っていると思うのです。百三校だって、これはまだ少ないくらいですわね。それがまた七十校に減らされ、百二億が六十億に減らされるということはとんでもない話だと思うのです。次官、よく文教部会でこのことを言ってください  そこで具体的に今度は、そういう中で実は長野県の一つの私学の問題について質問したいのですが、長野県の松本市に塚原高校という学校がありまして、この学校は私立高校だものですから、経理が非常に乱脈であると言われておるわけなんです。経営者の専務理事の方に塚原善兵衛さんという人がおって、それで塚原高校という名前が出たのですが、この方が学校の経営資金と自分の個人の資金とを非常に混合してしまって、自分では松本市の郊外にある温泉街にみはらし観光ホテルという約八百人収容できるホテルをつくって、そして忙しいときにはお客の接待に自分の高等学校の生徒をいろいろ使うということまで起きているわけなんです。地元では非常に大きな問題になってきているわけなんですが、いまこの学校が土地やいろいろ売ってもう解散しようというような動きがあるようなんですね、生徒や父母、教師の願いを無視して。グラウンドだとか校舎の下、あるいは理科教室の下等を不動産会社に売っておるわけなんです。ところが、ここには生徒がいま百六十四名、教員が十三、四名いるわけなんですが、校舎の下のグラウンドを売られ、理科教室の裏のグラウンドを不動産会社に売られたんでは学校がやっていけないということになるわけですね。そこで、教員組合の方でもこれに備えて——こういう危機だものですから教員組合ができた。そこの教員組合の話によりますと、この専務理事の塚原善兵衛さんは、一もうけをたくらんで何とか学園の財産を処分しようとしている。他の理事たちも獲物の分け前にあずかろうとして虎視たんたんとしている。塚原氏は、自分は学園に対して九億円の貸し金があるのだから、学校の財産を処分しておれが貸した金を埋めるのはあたりまえだと言っている。それから他の理事は、おれは二千万円の貸し金があるのだと言って、みんなが言い出している。教員の方から言わせれば、根拠もないのにそう主張している。教育はそっちのけで獲物の分け前が教員たちの唯一の関心事になっている。  一方長野県の方では、この学園に対して、ことし分は前年比の六〇%減の一千四十万の助成を決めたのですが、前期分の七百万だけは補助を行ったけれども後期分は保留ということで現在後期分の支払いが来ない、不可解なのは、ことしの春、県下の全高校別の入学募集者数を県の教育委員会が新聞紙上で発表した際に、実際この学校には五十一名の入学志望者があったのを新聞には県教育委員会が九名と発表しただけである。これでは応募者が非常に不安を感じて応募を取り消していくというような実情で、県教委員会もむしろこれを解散する方向に持っていくのではないかと教員組合の方では考えている。これに対して県教委員会は、新聞発表は翌日にミスがあったことに気がついたけれども、社会が混乱すると思って間違いであることを発表しなかった、こう言っている。何か一貫して県教育委員会も廃校を目指すのではないかというように教員組合の方では考えている。しかし、実際は生徒が百六十人もおり、先生も十三、四名もおる、教育が現実にここで行われておる、こういう状態なんですね。文部省の方、こういうことを御存じですか。
  112. 高石邦男

    ○高石説明員 県の方から概略の報告は受けております。
  113. 林百郎

    ○林(百)委員 そこで、専務理事の塚原さんが九億三千万円ですか、学園に貸し付けをしてあるということは、そういう事実があるかどうかお調べになったのですか。あるいは県が調べたという報告を聞いていますか。
  114. 高石邦男

    ○高石説明員 そこまでは県の方からの報告は受けておりません。
  115. 林百郎

    ○林(百)委員 法務省の方、見えていますね。これを、やむを得ませんので告訴をしてこの事実を明らかにしてもらいたいということは、塚原という人は裸一貫の人であって、九億三千万もの大金を学校に貸し付けできるはずはない。校地や校舎は銀行から融資を受けて購入、建設したもので、生徒の学債、寄付金、学校納入金等ですでに返済されている。現在の理事もそんなことはうそと思うが、理事会で決定したので仕方がないと言ってこれを認めているというような形ですね。昭和四十五年当時の市川理事長は、引き継ぎのときにそんな九億三千万という借財は学校にはなかったと言っている。昭和四十五年の九月、生徒の父母が塚原氏を追及したとき、塚原氏は、先ほどのみはらし観光ホテルですか、これの建設のために学園の金を一億七千万持ち出したと言明した、こういうような明らかに背任と考えられあるいは横領と考えられるような事実があるので告訴したけれども、検察庁は、九億三千万円を学園が借りていないという証拠がないので一応不起訴処分にした、これはどういうことなんでしょうか。ちょっと法務省聞かしてもらいたい。あるいはまだ捜査の過程でそういう結論ははっきり出てないというなら出てないで結構です。
  116. 吉田淳一

    ○吉田説明員 いまお尋ねの事件につきましては、長野地方検察庁松本支部で、昭和四十七年七月十八日に塚原善兵衛氏に対しての背任という事件を受理しております。そしてこの受理は、御指摘のございましたように、教職員組合の方からの告発があったようでございます。この事件につきましては、その後、長野地方検察庁松本支部において捜査を続けまして、昭和四十九年十一月十三日、犯罪の嫌疑不十分ということで不起訴処分にしております。  その前に、検察庁の報告によりますと、組合の方の告発も取り下げられているそうであります。  それで、その事実の概要は、約四千五百万円に上る金額を御指摘のみはらし観光ホテルですか、有限会社みはらし観光ホテルの方へ学校の資金をほしいままに貸し付けて、学校に損害を与えたという背任でございます。そしてこの点につきまして、検察庁ではいろいろ学校の関係人を呼び、理事会その他の議事録を検討し、捜査をしたわけでございますが、これにつきましては、犯罪の嫌疑不十分とする理由といたしまして——刑事事件でございますので、内容について余り詳しく申し上げるのはいかがかと思いますけれども、被疑者につきましては、この学校の設立当時、塚原学園あるいは塚原高校あるいは塚原学園天竜高校それぞれの校長、理事長をやっていたようでございますが、そういう学校をつくるに当たりまして、相当多額の金をみずから及びその他の友人とともに支出している。その立てかえ金の一部として弁済を受けたものであるという本人の主張につきまして、いろいろ関係記録、関係人の供述等を総合いたしました結果、その供述を覆す証拠はない。要するに本人を背任罪として起訴するだけの証拠は認められない、こういう理由で昭和四十九年十一月十三日に嫌疑不十分として不起訴処分にしておるわけでございます。
  117. 林百郎

    ○林(百)委員 それじゃ新たに、その本人の供述を覆すような、検察庁に心証を与えるような新しい証拠が出てきて、それを提出した場合には捜査は再開されますか。
  118. 吉田淳一

    ○吉田説明員 もちろん、検察庁の態度といたしましては、犯罪の容疑なり嫌疑が認められるような事情が出てくればそれについて捜査を行うべきであるという職責を持っておるわけでありますから、基本的にはおっしゃるとおりでございますが、本件の場合につきましては、四十五年の九月ごろに本人は学校をやめておるのではないかと思いますが、それ以前の事件のようでございます。そうであるといたしますと、背任罪は五年以下の懲役もしくは罰金ということでございまして、あるいは時効の問題があるかもわかりません。しかしたてまえとして、もしそういう時効にかかってないとすれば、そういう新たな犯罪の容疑ありと考える方がそれだけの資料をもって検察庁に提供をすれば、検察庁としてはそれを捜査するかどうかを判断する、こういうことになっております。
  119. 林百郎

    ○林(百)委員 あなた、突然私が言ったので十分連絡をとれなかったと思います。塚原さんがもし今日なお専務理事をしているとすれば、依然として専務理事としての立場で、背任行為は——やめたとあなたはおっしゃいましたが、今日専務理事としてなおそういう状態が続いているとすれば、時効という問題は改めて考慮されるのですか。
  120. 吉田淳一

    ○吉田説明員 その御本人がどこの役職にあるといかんとを問わず、その学校にいまでも残っていると否とを問わず、その犯罪とされる日時が時効にかかっていないのであれば、容疑があれば捜査の開始ができるわけでございます。
  121. 林百郎

    ○林(百)委員 松浦さんと次官には申しわけないのですが、この点、子供や先生にかかわる問題ですから、ちょっとはっきりさせておきたいのです。  この学校は私学振興財団から金を借りていませんか。借りた状況と返した状況、わかる範囲でそこで説明してください。
  122. 高石邦男

    ○高石説明員 現在、私学振興財団から三十六年度以降四十四年度にわたりまして約九千九百万の貸し付けを受けているわけでございます。その後償還されている金額等もございまして、現在残っている債務残高としては六千四百万余りが私学振興財団に残っているわけでございます。
  123. 林百郎

    ○林(百)委員 私学振興財団としては、そういう帳じりがまだ残っているとすれば、果たして九億三千万というような多額な貸付金がその学校にあるかどうかということを調査する権限というものはないわけなんですか。これは私学ですから、文部省だとか県だとか、そういうところが行って、また別に捜査権を持っているわけじゃありませんから、なかなかやりにくいとは思いますが、私学振興財団で、自分の出した金がどう使われているのか、なぜまだ返還されないのか、そういうことと絡んで、果たして九億三千万という多額の貸付金があるのかどうか、そしてみはらし荘というような、生徒まで使ってサービスさせるようなホテルをつくるのに、その金が一体どこから出ているのかということは、調査できないものですか。
  124. 高石邦男

    ○高石説明員 もちろん、私学振興財団が融資いたしました対象の内容にその資金が使われたかどうかというような点については当然調査するわけでございますが、ただ個人的な刑事上の問題等にかかわる事項についてはちょっと調査権がないように思います。
  125. 林百郎

    ○林(百)委員 私は、刑事的な責任を私学振興財団に追及しろとは言いません。それは警察なり検察庁がちゃんとあるわけです。検察庁が、もし時効にかかっておらず、新しい心証を得るような事態があったら捜査をするにはやぶさかではないと言っているわけです。しかし、私学振興財団というのは公の機関で、その金がいつまでも焦げついて返されていないわけでしょう、六千四百万というのは。それについて、なぜ返ってこないのだ、これはどうなっているのだ、聞けば九億三千万とかいう貸付金があるというのは本当かどうかということくらいお調べになったっていいと思いますが、これは私学振興財団ですから、あなたを責めるわけじゃありませんけれども、しかし文部省が恐らく行政の監督の権限があると思いますから、そういうことをやらせていただきたいと思うのです。ということは、もしこれが廃校になれば、百六十何人の生徒をどうするのか。こんな学校でも最後まで残っている十三人の良心的な先生方がいるわけですから、この身の振り方というのは大変なんです。それから、ここから出た同窓生もいれば、同窓生の父兄もいるわけですから、自分の母校がそんなことで解散されたということになれば、それは名誉に関する重大な問題ですから、やはり文部行政として私学振興財団からの借入金があって返済されていないというならば、その点についてはっきりさせた方がいいではないかということのアドバイスなり行政指導はできないものでしょうか。私は、できたらそうしてもらいたいと思うのです。
  126. 高石邦男

    ○高石説明員 もちろん財団が貸し付けしたものが期限までに返ってこない場合については、その返済計画に基づいて返してほしい、そういう意味措置は当然とるわけでございます。したがいまして、一般的に私学に対する助成について、事細かに、その金がどういうふうにしてどういうふうな経理内容であるかというものを完全にチェックするというたてまえは原則的にはとらないわけでございます。したがいまして、借金されている部分が若干おくれる場合もございましょうし、そしておくれた場合には一定の利息をつけて返すというような仕組みになっておりますから、そういう学校全体の資金計画まで融資という観点で洗うということは非常に困難かと思うわけでございます。
  127. 林百郎

    ○林(百)委員 それじゃいま残っている六千四百万円、それはいつの返済期日のものがそういうように残っているのですか。
  128. 高石邦男

    ○高石説明員 三十六年以来ずっと借りておりますが、滞納状態に陥ったのは、四十八年の十月ごろから滞納状態に陥っているということでございますから、つい二、三年の間にこの学校の財政状況というのは非常に悪化してきたというふうに思われるわけでございます。
  129. 林百郎

    ○林(百)委員 返済期日から二年、足かけ三年もたっているわけですから、どうして返らないのだろうかということを聞かれたってもっともじゃないですか。そんなに私学振興財団の貸し付けというのは寛容なんですか。もし期日に返ってこないなら、なぜ返ってこないんだ、経理内容はどうなっているか、一応参考までに見せてもらいたいぐらいのことを言ったってしかるべきことじゃないですか。これは公の金でしょう。それをぜひやってもらいたいと思うが、どうですか。
  130. 高石邦男

    ○高石説明員 その点については財団とも、どういう実態になっておるかを十分協議いたしまして、検討してまいりたいと思います。
  131. 林百郎

    ○林(百)委員 それではわかりましたら私に知らせてください。これは人の名誉にも関することですから、私とあなたでお知らせ願えれば結構です。  それから最後に自治省に。次官、長野県にはこういうことがいろいろあるということも考えられますけれども、県の補助金の千四十万のうち前期の七百万は来ましたが、後の三百万は来ないということになると、これは学校お手上げなんですよ。松本市というのは長野県でも人口の急増地域でございますので、この学校を廃校に追い込むことのないような文部行政を県でもとってもらいたいということを、国会でも問題になりましたから、次官から長野県の文部行政を預っておるところへ、あなたの意見でも結構ですが、そういうことを言ってもらえますか。
  132. 高石邦男

    ○高石説明員 ちょっとその前に、関連して補足して申し上げますと、実は長野県で経常費の補助を出すに当たりまして、私学懇話会の意見を聞いて補助金の効率的な執行を図りたいということで、具体的なルールを決めておるようでございます。そしてその私学懇話会の意見によりますと、その学校につきましては経営状況その他いろいろな問題があるので、もう少しそれらの関係が明確になるまで保留したい、保留すべきである、こういう結論が出て、その結論に従って県の方は対応しておるという状況でございますので、その件は県内でもう少し十分に調査して検討する必要があろうかと思います。
  133. 林百郎

    ○林(百)委員 それはわかっているんですよ。だから、私の方は、私学懇話会ですか、そこで内容がどうもはっきりしない、いろいろなうわさもある、経理内容もはっきりしないということですから、検察庁の方もそういう権限があるんだから、新しく証拠も出しますから、その点をひとつもう一度はっきり洗い直してみて、とにかくこの学校を存続するようにしてもらえないかということ。それからもう一つは、私学振興財団を通じて、とにかく経理がはっきりしないから県の方も出せないのじゃないかというように私たちは考えるわけです。そこはやはりはっきりさせる必要があると思うのです。だから、はっきりさせる努力をいろいろするから、とにかく積極的に廃校にするような、そういう行政指導はしないように考慮されたいということを県の方へ言っていただけますか。次官、どうですか。
  134. 左藤恵

    左藤政府委員 私は、この問題の筋から見まして、県に自治省から指導とかそういう形のものでなくて、むしろそういった問題について教育行政の立場から、文部省が適切な指導をしていただくように、私の方からは文部省の方にそういった問題をお話ししていきたい、このように思います。
  135. 林百郎

    ○林(百)委員 では次官からも文部省に言っていただけますか、私の方からも言いますけれども。  文部省いいですか。そういう方針であなたも帰りましたら、それぞれの所管があると思いますが、とにかく廃校にするということは、いまただでさえ高等学校みんな欲しがっているところですから、私立とはいえ高等学校が一つなくなってしまうということは、在学しておる生徒や先生たちに非常に不安を与えたり社会的な混乱を起こしますから、とにかく教育が継続できるような方向で文部省としても行政指導していくようにということを伝えてくださいませんか。  次官からも、ひとつそれを文部省に言っていただきたい。それで私の質問を終わります。
  136. 片岡清一

    ○片岡委員長代理 午後二時三十分から再開することとし、この際休憩いたします。     午後一時十一分休憩      ————◇—————     午後二時三十二分開議
  137. 大西正男

    大西委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。  地方自治及び地方財政に関する件について質疑を続行いたします。武藤山治君。
  138. 武藤山治

    武藤(山)委員 私は、きょうは余り大きな問題ではないのでありますが、それぞれの町村にとっては大変重要な問題だと思うのでありますが、鉱産税の問題と木材引取税の現況について少しくつまびらかにしてみたい、こう考えるわけであります。  最初に鉱産税でございますが、現在一番近い時点で、鉱産税の徴収税額というのはどのくらいになっておりますか。最近時の年次別の税額をちょっと明らかにしてみてください。
  139. 福島深

    ○福島政府委員 四十五年度から申し上げたいと思いますが、四十五年度の鉱産税の額は二十四億二千五百万円でございます。四十六年度が二十二億一千九百万円、四十七年度が十九億八千万円、四十八年度が二十億六千三百万円でございます。
  140. 武藤山治

    武藤(山)委員 ただいま御説明がありましたように、税額としては非常に小さい税目でありますが、しかし、これは全国どの市町村にも該当する税目ではないために、該当町村にとってはかなりウエートの高い市町村もあるわけであります。  そういう観点から、私は、鉱産税の今日の法制度がこれでいいのかどうか、そういうような問題に視点を置いて、少しく質問をしてみたいのでありますが、四十五年に二十四億あったのが、年次別に減ってきているのですね。私たちの感じから見るならば、高度経済成長でかなり採掘量は大きくなり、販売金額も量もともに増加をしてきたと思うのですね。にもかかわらず、税額が伸びないというのは、一体どの辺に原因があると考えておるか。
  141. 福島深

    ○福島政府委員 御案内のように、鉱産税は鉱物の価格を課税標準として課税をされるわけでございます。したがいまして、その鉱物の産出量というものとそれから単価と申しますか、そういうものの組み合わせで実際の税収の額がふえてくることもございますし、減る場合もあろうかと思うわけでございます。これは内容をかなり詳細に分析をしてみねばわからぬことではございますが、四十八年度の課税の状況等から見て大体これは間違いないところだと思いますが、この鉱産税の鉱物の中では、実は石炭のウエートが大変高いわけでございます。四十八年度でいきますと、税額にいたしまして四四%程度が石炭ということになっておりまして、御案内のように、エネルギー問題との関連で石炭の産出額というものにかなりの変動がございますと、それなりの増減が出てくる。そのようなことがこの税額の変動の大きな原因一つではないかというような感じがいたしているわけでございます。
  142. 武藤山治

    武藤(山)委員 ぼくが悪かった。ここの議論では石炭は除きましょう。石炭を除いた議論をしたいと思います。  石灰石とか特に珪石など、こういうようなものをちょっと従来の課税の方法を見ますと、課税標準というのを政府指導して、自治省は各市町村におろしているわけです。その課税標準を見ると、石灰石の場合一トン当たり、これは市町村によって皆違うのでありますが、課税標準価格が百五十円、百円、高くても三百円。一体、石灰一トン百五十円なんというのはどういう計算から出てくるのか。特に、私どもの選挙区にもかなり石灰が出るわけでありますが、この基準というのは一体どういう基礎ではじき出したものか。各県によって全くばらばらですね。福島県などは百円。大体福島は百円ですね。栃木県の場合が百八十円、二百二十円。会社によって少々違う。この課税標準というのは一体何を根拠にいつ決めたものですか。
  143. 福島深

    ○福島政府委員 鉱産税の課税の基礎になります価格につきましては、御案内のように鉱産税が、通常の取引場所であります山元価格で課税をするという税のたてまえになっておりまして、なかなかその実態の把握が、たとえばそれを積みおろした場合で販売されますと、その時点での価格から山元価格を推計をするということが技術的にいろいろむずかしいというような事情もございまして、自治省といたしましてこの標準価格について通達指導をいたしておったわけでございます。それは二十九年に通達が出まして、三十一年にその改定をし、それがことしまで通達が生きておったわけでございます。  その趣旨は、一応先ほど申しましたような事情から標準価格を通産省等の御意見を承って設定をいたしまして、なおこれは先ほど指摘のありましたように実際の山元価格というのは品質の問題もございましょうし、かなりその山元によって相違があるというようなことから、一応の価格の標準を示し、ただそれは実態に応じて各市町村で適当な額を定めるべきものとし、要すれば地元通産局長の意見等も徴してできるだけ実態に沿ったような価格設定をするような指導をいたしてまいったわけでございます。そこで先生指摘のように町村によって価格に差があるわけでございまして、また差があることについては、私どもはそれは当然あってしかるべきではないかという感じを持っておるわけでございます。
  144. 武藤山治

    武藤(山)委員 審議官話がようわかっておらぬな、いまの答弁から見ると。市町村によって違うのじゃないのだよ。標準価格はもう通達で出しておるのだよ、自治省が。その通達の標準価格が県によってそれぞれ全部違うのだよ、福島県の場合、栃木県の場合。これは各市町村が勝手に標準価格をいじれない、いじってはいかぬということにいままでは通達でなっている。だから市町村はこの標準価格に基づいて、大体百分の一の税率をかけてやっているんですね。だから市町村によって勝手にこの標準価格からはみ出た課税をやっておらぬのだ。やっておるとすればその実態を明らかにしてください。私の知る範囲ではやっておらぬのです。
  145. 福島深

    ○福島政府委員 私の方の通達は、鉱産税の課税標準となるべき標準価格ということで、別表方式で全国一本で指示——指示と申しますか、通達しておりまして、先ほど申しましたように、それによりがたい事情もあろうからそれは実態に応じて変えて差し支えないというような形で現在まで来ておるわけでございます。
  146. 武藤山治

    武藤(山)委員 しかし、通産省が大体この程度の価格だという標準価格を示してそれを各市町村に流しているんじゃないですか。あなたの方は各市町村の標準価格のこの一覧表を持っているでしょう。これを見ると、勝手に市町村でこの標準価格とは別な課税をやっておりますか。やっている市町村があったらちょっと教えてくださいよ。一応この標準価格で皆課税をしているのじゃないですか。
  147. 福島深

    ○福島政府委員 通産省から何か課税標準となるべき標準価格が指示をされているようなお話でございますが、自治省といたしましてはそういう指導はいたしておりません。あくまでも全国一本の価格を通達に示して、実態にそぐわないものについてはそれぞれ通産局長等の意見も徴して決めることが適当であろう、そういう指導を従来からいたしておるわけでございます。
  148. 武藤山治

    武藤(山)委員 その標準価格というのはしからば幾らですか。
  149. 福島深

    ○福島政府委員 石灰石で申し上げますと百円ということになっております。
  150. 武藤山治

    武藤(山)委員 石灰石が一トン百円という標準価格は、どういう積算の根拠ですか。現実価格はいま、もう千九百円、二千円、安いもので千六百円。百円という標準価格は何を根拠にしておるのですか。
  151. 福島深

    ○福島政府委員 鉱物は非常にいろいろな種類がございまして、実は自治省としてその価格がどの程度であるかということはなかなか専門的な知識を要する問題でございますので、私の方はその通達を出します際に通産省の方と十分協議をいたしまして、平均的な額ということで実は決めたわけでございます。しかし、先ほど申しましたように山元によって非常に品質等の差もあるわけでございますから、そこは地方団体の判断にゆだねたということでございます。  それから、先ほど先生おっしゃいました価格でございますが、恐らくその額は山元価格ではなくて、それの輸送費だとか、そういうものが含まれたいわば市場価格と申しますか、そういうことではないかというような感じがちょっとしたわけでございます。  以上、お答え申し上げます。
  152. 武藤山治

    武藤(山)委員 これは採石工場渡し価格、したがって山元価格でしょう。たとえば葛生なら葛生の山元で採石をしてそれをトラックへ積み出すときのものですからこれが山元価格じゃないですか。山元価格というのはもっと山の奥で原石を掘ったその場所、粉砕も何もしない石ころのでかいままを言っているのですか。そのまま売るようなことはないですよ。
  153. 福島深

    ○福島政府委員 山元価格と申しますのは、採掘の作業場、現実に掘っておりますその作業場における価格という解釈を一応私どもとしてはいたしておるわけであります。
  154. 武藤山治

    武藤(山)委員 その作業場の定義であるけれども、たとえば山から石を掘る場合に、すぐ露天でもってどんどん崩してトラックへ積み出して売る場所と、それからたとえば一キロぐらいずっとトロッコで入っていって運び出してくるその場合の山元価格、トロッコで持ってくる場合はその一番奥で発破をかけているところの崩した価格ですか、商品価値がまだ全然ない山奥で発破をかけてでかいままごろごろ石が出たときの価格が山元価格ですか、それは価格と言えるのかね。
  155. 福島深

    ○福島政府委員 そこら辺はいろいろ作業の工程がございますので、いろいろなケースがあると思いますけれども、一応山から掘り出しましてそれを選鉱いたしますが、作業場といっても選鉱した後の価格というふうに考えていただいた方がいいと思います。
  156. 武藤山治

    武藤(山)委員 選鉱場と言えばわかる。さっきの石を採った現場というのと選鉱場から出る価格ではえらい違うのだよ。選鉱場から出るとなったらこの価格で大体間違いないのだな、積算資料で詳しく全国の石の価格が出ている、これが山元価格なんだよ。それから見ると、大体安いものでももう千三百円以上だ、高いもので約二千円近いですね、私がずっとこれを調べてみると。百円という価格はいかにも納得いかぬのですね。しかも昭和三十一年に改正したという。三十一年と四十九年では十八年か十九年そのまま価格は同じ、そんなことありますか、いまの商品経済社会で約二十年間価格が同じ。どうお考えですか。
  157. 福島深

    ○福島政府委員 きょう実は先生の御質問があるということで、私どもも通産省の方にその価格の最近の状況等も伺ってみたわけでございますが、確かに現在の時点で百円というのは私は安いと思います。安過ぎると思いますが、三十一年当時と比べますと二十年たっておるわけでございますが、たとえばトン当たりの額を見ますと余りそう上がったように見えない、この二十年間で一・三六倍程度というようなことを聞いておりますが、これはしかし私どもも通産から伺った程度の話でございますので、もし間違えておれば、なおそこら辺の問題については十分検討してみたいと思っております。
  158. 武藤山治

    武藤(山)委員 審議官、ここでそのことだけ論争しておったら時間がなくなるから先に進みますけれども、後で詳しく、しからば昭和三十年時点の価格一覧表、今日が一・五倍で済んでおるのか、その価格表を一応あなたの方はあなたの方で調べて提出してください。いいですね。  そこで審議官、おたくの方は、ことしの八月二十六日に自治市第七十一号という通達というんですか、自治省税務局長名で「鉱産税の課税標準の算定について」という通達を出しましたね。この通達によると、従来の課税標準価格というのは廃止する。なぜ廃止するのか。私は、二十年間百円でずっときたのが、もうこれは不合理だ、現実にも合わない、全く現実と乖離しておる、だからこの辺でこの通達を出して、課税標準を廃止するんだというのが自治省の考え方ではなかろうかと推察をしておる。なぜ課税標準を廃止をして通達を出し直したのか。
  159. 福島深

    ○福島政府委員 いま武藤先生の御指摘のとおりでございまして、この通達はもうすでにかなり前の通達でございまして、いかに実態に応じて市町村に適切な価格を設定をさせるにいたしましても、かえって通達が足かせになるというようなこともなきにしもあらずでございますし、特にきょうの先生の御質問の範囲からは外れるわけでございますが、石炭の価格あたりが石油ショック以来大変変動を来しておりまして、鉱産税の非常に大きなウエートを占めておるそういうものの価格についての統一的な指導というものが、かえって実態に沿わないというような意見がかなり地方団体の方からも強く出てまいりました。そこで、そういうような通達指導でいくよりは、いままでの経験もあるわけでございますから、そういうことに基づいて市町村長が決定をすることの方がむしろ適切ではないか、こういうような趣旨で従来の通達を廃止したような次第でございます。
  160. 武藤山治

    武藤(山)委員 その場合に、自治省としてはどこか具体的にサンプル調査をやって、そしてなるほど一トン当たりの山元価格はどのぐらいが現在取引の常識である、そういう何カ町村かサンプル調査をやって答えを出しているのですか。それとも百円というのは常識的に見てももう二十年前の価格だし、これはもうちょっとまずいなぐらいで撤廃をするんですか。どこかサンプル調査をやったとしたら、ひとつその調査の中身を具体的に発表してください。
  161. 福島深

    ○福島政府委員 いま先生の御質問に出てまいりましたサンプル調査というのは実はしてないわけでございますが、市町村の方からこの通達をめぐって特に意見のございましたのは、先ほど申し上げましたように、石炭の価格が非常に変動し、特にオイル・ショック以来は上がったというようなことから、市町村の側でむしろあれはもう要らないのではないか、自分たちで決め得るのではないかというような御意見が大変強く出てまいりまして、そのような市町村の声も十分尊重をしてこの通達を廃止し、実際の価格の決定を市町村にゆだねるという形をとったわけでございます。
  162. 武藤山治

    武藤(山)委員 そうすると、全然サンプル調査も何もやらぬでいままでの課税標準価格を廃止して、市町村、おまえらでひとつ山元価格で自由に課税しろ、そんな簡単に、課税標準価格なんというのを一挙に廃止する場合に、実態調査なんというのは全然自治省はやらぬのですかね。ただ石炭業者から、石炭業界から陳情があって、あるいは石炭の出る市町村から出てくるからやった。しかし石炭と石灰と、石灰部分からいまほとんど石灰にならない砂利が出て、もう砂利屋になっているところがたくさんあるわけです。そういうような実態に合った課税というものを自治省はもうちょっと真剣にやるべきじゃないんでしょうか。特にいま財政欠陥で、地方自治体も国の財政も何か捕捉できる税はないかといってねじりはち巻きで考えておるときに、自治省のこのやり方というのは、全くサンプル調査もやっておらぬというのは、私はちょっと非科学的だと思うのです。一緒に廃止したと言うけれども、石灰の方の問題はどうなんですか。石炭の方は、需要が旺盛になって価格がずっと上がったからこの標準価格はじゃまになった、だから取っ外すんだ。じゃあ石灰の方は、そういう需要と価格の問題はどうなんですか。あなた、さっき言った場合には、一・五倍ぐらいで二十年間さほど価格の変動はないという答えをしておきながら、今度は逆な答えだな。石炭は、需要が旺盛になって価格が上がってきたから課税標準価格がじゃまになってきた、そういう要望が市町村から来た、だから取っ払ったというのは、最初答弁の一節といまとは逆なことを言っているんだよ。どうも行き当たりばったりだな。ぼくは地方行政委員でないからなめられているかどうか知らぬけれども、どうも審議官答弁はちょっといいかげんだな。
  163. 福島深

    ○福島政府委員 私は決していいかげんな答弁を申し上げていないつもりでございますが、先ほど申し上げましたように、石炭の価格の変動というものは大変大きかったために、これは石炭業界の方からそういう話があったわけでは決してございません。地元の市町村の方から、かえってそういうものについては廃止をした方がいいのではないかという御意見があり、それが一つのきっかけになりまして、むしろ業界の方としてはこれは置いておいてもらいたいという気持ちがあったかもしれませんが、私どもの方としては通産省の方と話を詰めて廃止をしたような次第でございます。  たとえば価格につきましても、実は鉱物の価格でございますからかなり変動があるわけでございまして、物によっては私どもが標準価格として示したものよりは現実には低いというようなものも中にはあるわけでございまして、どうもそのようなことからいたしましても、こういった問題は地元の市町村の判断にゆだねる方がより適正な課税ができるという気持ちを持ちましたし、また市町村の方からもそういう御要望があったということでこういうことに踏み切ったわけでございまして、一番初めに申し上げましたように、山元価格の算定でございますからいろいろ技術的にむずかしい点もございます。そこで、今度新しく出しました通達ではそこら辺の考え方も示しまして、実際に実態に即した価格決定ができるような配慮をお願いしつつ、従来の画一的な指導通達を廃止をしたということでございます。
  164. 武藤山治

    武藤(山)委員 しからば、先ほど発表になった年間二十億あるいは多いときで二十四億。これからの推移は、この通達を出すことによって、標準価格を廃止することによって税額はふえると思うか減ると思うか。
  165. 福島深

    ○福島政府委員 私どもはこれからふえていくであろうというふうに考えております。
  166. 武藤山治

    武藤(山)委員 山元価格で見ても、いま一トン百円の十倍にはなっておる。千円。百分の一といったら、いまの税額の十倍、二百億になる。市町村にとってはかなりの税額ですよ。私はこの際、税の公正化あるいは応益原則、ダンプをじゃんじゃん走らせて、道路を壊して、交通をいろいろ麻痺させて、子供を危険にさらしている、そういうことをかなり社会にまき散らしているのだから、当然公正に税金を取るべきだというのが私の立論の根拠です。業界の代表じゃないのです、私のいまここでしゃべろうとしている気持ちは。その場合に、いままでの標準価格は全く不適当なものですよ。だからこれがいいとは私は言わぬのですが、自治省として一定の、府県別ぐらいの実態調査をして、ある程度親切に教えてやらぬと、取っ払った場合、税金取れる——あなたはふえると言ったけれども、これは疑問なんだな。というのは、大体石の出るところは山の方なんだ。市よりも町か村が多いのですよ。山持ちが大体町会議員。そこの多額納税者がまた山を持っておる鉱業主。町役場の吏員をしては、税の捕捉、山元価格の算定、力関係からいってなかなか適正に決められない。特に町長は選挙で出るのですから、そういうボスににらまれたら次がなかなかむずかしい。だからいいかげんなところで適当な値段で町当局は決めざるを得ない。この税金の捕捉についてはそういう欠陥を持っている。だからそういう点、自治省一つの基準というようなものなり方法をもうちょっと具体的にきちっとした通達を出さないと、この通達を読んだ限りでは税の捕捉は現実に合わないものになる可能性濃厚であると私は思う。今後そういう指導をする気持ちがあるのかないのか、その点はどうですか。
  167. 福島深

    ○福島政府委員 先生指摘のように、私ども税を考えていく場合に、負担の公平を図るということが一番大事だということは常々考えておるわけでございます。そういう意味からも、余り画一的なことをやることがかえって足かせになるというような意見の方が町村の側においても実は非常に強かったということがございまして、私どもはあの標準価格制度なるものを廃止をいたしたわけでございます。自治省の方で県別ぐらいにはその価格を示したらどうだという先生の御趣旨、よくわかるのでございますが、何分にも鉱産物の種類がいろいろあるわけでございますし、また現実に鉱産税を取っております町村の数も全国で四百七、八十の団体があるわけでございます。しかもそこから出ます産品というのは品質等の面におきましても必ずしも画一的なものがあるわけでもございませんから、県単位に何か従来の標準価格的なものを示すということもいかがなものかと考えるわけでございまして、いまのところそういった標準価格的な従来のものを改めて価格を変えて出すというような気持ちには実はなっていないわけでございます。  なお局長通達では大変不親切ではないかという御指摘は、確かに非常に抽象的な通達でございますから、そのとおりだと思います。そこで私どもも、それだけでなくて、たとえば山元価格といっても、先ほど申しましたように運送賃がかかったり、あるいは製練後に初めて販売されるというようなことで、山元価格が非常に推定しにくいといったようなことは現実にあるわけでございますので、市町村税課長の内簡をもちまして、そこら辺の計算の仕方、あるいはそれがきわめて不明確な場合には地元通産局長の方から資料をいただいてよく検討できるように指導をいたしておりますし、またその点については通産省の方とも協議をいたしまして、そのようなことについては協力をするという約束を取りつけた上でこのような制度に切りかえてみたわけでございます。
  168. 武藤山治

    武藤(山)委員 じゃ、この通達の後何か具体的に手続要項について市町村に流しているのですね。流しているとしたらその資料を後でぼくの手元に下さい。  それではお尋ねしますが、その山元価格なるものはいかなる価格であるかということですね。「引渡し場所間の輸送費、積込み又は取卸しのための費用その他の諸経費」となっている。「その他」の中には賃金から公租公課からあらゆるものが全部入っているのですか。そうなると、なるほど価格はほとんどなくなってしまうな、ただみたいな山の石なんだから。その限界は一体、この中身を一つ一つ検討すると、「その他の諸経費」という中にはどこまでこれ広げられるのですか。
  169. 福島深

    ○福島政府委員 この局長通達の後に出しました内簡でございますが、これは特に問題となっております石炭の価格の決め方につきまして内簡を出したものでございますが、いずれ先生の方にお届けを申し上げたいと思います。  それから第二の御指摘の、輸送費だとかその他の経費の中身の問題でございますが、これは大変技術的な問題でございまして、私ここで具体的にこういうものというふうには申し上げかねるのでございますが、その内簡におきましても、たとえば輸送費等の概念の中には、いわゆるマージンであるとか選炭場から坑所貯炭場までの輸送費あるいは手形の満期までの利子相当分等、いわゆる石炭の、鉱物も同じでございますが、流通に直接関係を有しない経費等は含まれないというようなことは指導いたしておるわけでございますが、確かに先生指摘のようにそこら辺の中身についてはそれぞれの実態に差があろうかと思います。指導としてはやや不十分であるという御指摘は決してわからないわけではございません。
  170. 武藤山治

    武藤(山)委員 審議官も御存じのように、日本の企業は私企業ですから、生産コストというのは明らかにしないのですよ。日本の製鉄工場を見たってどこを見たって、コストを明らかにしろと言ったって出さないですよ。そうすると町役場と地元の業者の間で、力関係も違う役場吏員とボスとの間で話し合いをした場合に、おたくは幾らこういうものがかかって原価がどうでどうなんて言った場合に、その生産コストを正確になんかなかなか出しませんよ。だとすると、いままでが一トン百円なんだから百円見当でいいじゃないかということになってしまう。押されてしまうのですよ。私が心配したのはそこなんですよ。だから、通達というのは、役場吏員が読んで税の捕捉が確実にできるような目安まできちっとしてやらなければ、通達を出しても町役場の吏員はどうやって税金を捕捉していいか迷ってしまいますよ。現に私の選挙区の町役場で町会議員に質問させたら、全くそれは捕捉のしようがありません。相手がいろいろ言ってくれなければ、前と同じで百円でいいじゃないかと言われたときに、その生産コスト全部出せ、何と何と何がその経費なんだと追及しても、それは企業の秘密ですと言われたときにどうにもならぬ。こういう問題を自治省はもうちょっときちっとやらぬと、足らなくなったら大蔵省に要求して、歳入欠陥を埋め合わせろ、起債を認めろ、自己財源をよこせなんと言ったって、自己財源をやったところで税の捕捉がきちっとできないんじゃ国税から地方税に移譲しても取れないじゃないかという議論になるよ。取れる税法になっているものだけはきちっと捕捉できるという体制を、自治省側としてもきちっと整備しなければいかぬのじゃなかろうか。私は大蔵大臣じゃないからそうやれというあれはないけれども、一つの例として語るならばそういう議論が出てくるのです。ですから、この通達には非常に不備な点が多い。これは山本理事に、今後社会党としてもぜひこういうものはもうちょっと詰めて、市町村の——ぼくは百五十億ぐらいは取れると思う。ぼくの選挙区の一町長が、いまはほんの何千万しか入っていませんけれども、先生、本当に山元価格で課税できるのなら、いま一千万円以下だけれども、三億は取れます。そうなりゃ町財政はえらい助かります。しかし、本当に取っていいのでしょうか。おつかなくなるわけだな、本当に山元価格をぎゅうぎゅう締めてやったら。それはもう業者と町長の間というのは大変険悪になる。それだったら、まだサンプル調査をやって、石炭の場合はどう、石灰の場合はどう、砂利採取の場合はどう、そういうように種類別に自治省はもうちょっと財源捕捉について親切に指導してしかるべきじゃなかろうか、こう思う。  まあ割り当ての時間がありますから、そう長くできませんが、この問題については、今後この通達を十分ひとつ検討し直して捕捉すべきものは捕捉する、そしてもっと親切な、市町村が企業家と対抗して税の捕捉をする場合に混迷に陥らないような手だてをやはりきちっとすれば、二十億の税収が五倍には優になる、ちょっといけば百億、二百億取れる、私はそう思うのです。またこの人たちは、自分たちの利益負担から見たって取るべきですよ。現地へ行ってごらんなさい。ダンプがびゅんびゅん一日何千台と通るんだ。その分道路を壊され、その交通問題はみんな町役場が負担しなければならぬ、住民が。そういう応益から言っても、当然この問題についてはもう少々考えてもいいと私は思う。  それから、話の出たついででありますが、砂利について、たとえば石灰山などはいま三分の一ぐらいが砂利ですね。石灰にならないもの、あるいは菱苦土といういい石灰、製鉄工場へ売るようなもの、そういうものを除いた残りの石というのは大変なものですね。砕石ですね。こういう砕石についてももう相当な負担をしてもらってもいいと私は思うのですよ。これを運搬するダンプがまた大変ですね。だから山砂利も、川砂利も、たんぼを掘るおか砂利も、砂利を運搬することについては、やはり鉱産税と同じように税をかけてしかるべきだと思う。  まず審議官見解はどうですか。あなた、ここで見解を述べた場合、どうなんですか、あなたの見解自治省見解と見ていいのですか。大丈夫ですね。
  171. 福島深

    ○福島政府委員 先ほどのお話がございましたので、地方財政の名誉のためにちょっと勉強させていただきますが、私どもは、やはり地方団体が取れるべきものはきちんと取って、その上で国の援助制度というものを考えていかなければいけないという考え方に立っておるわけでございまして、そのような観点から、むしろいまの標準価格というものを外した方が実態に応じた取り方ができるという市町村の御要望もあり、これを外すことによって必ずや増収の方向で実態に即した公正な課税ができるであろう、こういうことでせっかくこの通達を出したわけでございますから、もし先生がお聞きになっておられるように、本当に課税して大丈夫だろうかというようなことを言うておるところがあれば、ぜひ本当に取っていただくように先生からも御指導をお願いいたしたいし、私どももそういう実態があるとこれはいけませんから、関係の町村にそこら辺の状況は聞いてみたいと思っております。しかし、あくまでもこれは適正な課税ができるようにこのような改正をしたわけでございますから、その点はひとつ御理解を賜りたいと思います。  それから砂利の問題でございますが、鉱産物は鉱業法に規定をされております鉱物に限って課税をされることになっておりまして、いわゆる砂利類は課税の対象になっていない。そこで課税ができないのでございますが、砂利につきましては、確かに御指摘のように、いわゆる砂利ダンプと申しますか、狭い町村道を疾走して非常に危険でもあるし、周りに迷惑を及ぼしておるというようなこともありまして、砂利採取の盛んなところと申しますか、それによって大変迷惑を受けるところは現実にかなりあるわけでございます。そういうところは、現在の地方税法のたてまえからいきますと、法定税で課税することはできませんが、たとえば法定外普通税で砂利採取税を起こすというようなことは可能でございまして、現に砂利採取について法定外普通税を起こしておるところが八団体ございます。最近の状況を見ましても、先生指摘のような状況でもございますので、この八団体にならって砂利採取税を法定外普通税として自治大臣の許可をとりたいというようなことで研究している団体がかなりあるわけでございまして、これについては私どもは積極的に賛意を表したい、このように考えております。
  172. 武藤山治

    武藤(山)委員 その八団体の団体名をちょっと発表してください。
  173. 福島深

    ○福島政府委員 現在課税をしておりますのは、千葉県の君津市、富津市、神奈川県の中井町、京都府の城陽市、兵庫県淡路島の北淡町、徳島県の那賀川町、石川県の辰口町、同じく石川県の河内村でございます。
  174. 武藤山治

    武藤(山)委員 それの課税標準価格と税率はどういうことでやっていますか。
  175. 福島深

    ○福島政府委員 これは採取量で立米当たり幾らというような課税をしておりまして、まあいろいろございますけれども、大体一立米当たり二十円あるいは十円というようなことで、あるいは砂利と砂、砂と石、その区別をして税率を決めたり、これはいろいろ団体によって差がございます。
  176. 武藤山治

    武藤(山)委員 その八つの市町村の実例を、どういう程度の税金を取っておって年額どれくらいになっておるか、一覧表にして後で一枚いただきたいと思います。よろしゅうございますか。
  177. 福島深

    ○福島政府委員 承知しました。
  178. 武藤山治

    武藤(山)委員 それから、割り当ての時間があと十五分になりましたが、もう一つ結論だけお尋ねをしておきたいのは、木材引取税ですね。これも田舎へ行けば行くほど、山の中へ行けば行くほど、その地元の顔役の人たちが山持ちで、その人が町会議員に入っている。したがって、木を切っても引取税はほとんど申告なし。いまは木材引取税の税額は大半が、国有林を伐採したときの税金が一番多いと思う。民間の木材伐採ではもうほとんど脱税という状況が圧倒的ですね。私の選挙区の一町ですが、一町へゴルフ場が四カ所できた。山の中でかなり大きい杉やヒノキがふもとの方にだあっとあったのを全部伐採した。四カ所のゴルフ場で木を切って木材引取税は一件も申告なし、ゼロ。これは一体どうしたことなのか。どこにそういう責任があるのか。町長がびくびくしていて、切ったのわかっていても、きょうは木を切ったらしいから調べてきて課税しろと言えない。また職員も、そういう顔役のところじゃ、まあ税金を取るぞなんということも言えない。自発的に申告がない限り取らない。こういう実態がかなり普遍的になっているのじゃなかろうかと思いますが、現在の引取税の状況についての皆さんの認識のほどをまず伺っておきたい。
  179. 福島深

    ○福島政府委員 木材引取税は、いわゆる素材の引き取り者に対して課税をする、その場合に、徴収の便宜を有する者に特別徴収をしていただくというような仕組みになっておるわけでございます。先生指摘のように、地方団体の責任者と山から素材を引き取る者との何かなれ合いで税金が取られぬということ、これは御指摘のようなケースが私はないとは思いません。確かにそういう面があろうかと思いますが、これは決してほめた話ではないので、やはり取るべきものはきちんと取っていただくという御努力を願いたいと思うわけでございます。  御指摘のゴルフ場を造成する場合の伐採木の問題でございますが、ゴルフ場を造成する場合の木の処理についてはいろいろなやり方があろうかと思いますが、しかし、少なくとも造成に関連して木を切って、それを売却をしたということであれば、これは当然素材の引き取りがあったということでございますから、課税をしていただかなければならないし、またゴルフ場がそういうものを造成時のいわゆる基礎坑木として使用するということも、これはかなりあるのではないかと思いますが、そういう場合にも、これはその所有者が引き取り者とみなされて課税をしていいという、そういうたてまえになっておるわけでございますから、私は基本的には課税がなされなければならないと思っております。  ただ、ブルで突き飛ばして造成をしていくような場合には、もう木そのものを廃棄してしまうというようなこともございますから、そういうものについてはもちろん課税の対象になりませんけれども、いやしくも売却をしたりあるいはその造成の基礎坑木として使用するというような場合には課税できるわけでございますから、課税をぜひしていただきたいというふうには考えているわけでございます。
  180. 武藤山治

    武藤(山)委員 私が聞いているのは、そんなゴルフ場の例はたとえばの例で言ったので、それに答える必要はないので、それは取るべきであるし、取れるはずであるべきなんです。ゾルレンとしてはそうなんですが、現実はどうか。現実は捕捉されないんだよ。それをどうすればうまく捕捉できるかを指導するのが自治省の任務の一つなんだよ。  そこで私は名案を審議官に聞きたいと思ってきょうはここへ出てきたわけなんです。こういう方法で、こういうシステムで、こういう点を直せば、そういうことにならないように最小限食いとめられるのだという名案を考えなければいかぬね。ぼくがこれからその名案を出すから……。  大体山の木を切るときには、県の出張所の森林組合、それから林業事務所、そういうところへ全部森林施業計画がずっと出ておって、切るときには一々そこへ皆申し出るんだね。だからその林業事務所なり森林組合が完全に法を守り、行政府同士できちっとその連絡がついて、どこの家が何本、何立米切ったということが報告されれば、税の捕捉というのは市町村は非常に楽なわけです。ところが現在全くその連絡はない。全くないどころではない。片方は業者代表になっちゃってそういうことを言おうとしない。だからそこらを自治省が、県の段階と市町村の段階を、もうちょっと税の捕捉の面からも、悪意にぎりぎりやる必要はないけれども、やはり事実に基づいた資料はきちっと、何というか、税務署の言う徴収せんみたいな、ああいうやつだな。何かこう木を伐採した場合には、林業事務所や県の役所の方で伐採通知というようなものを市町村に出してやる。そうすれば市町村はすぐわかるのです。大体木材引取税で、あれは脱税している、とにかく何万立米切ったが申告がないからおかしいといって、切り株を調べようなんて更正決定をやった例を聞いたことがありますか。木材引取税で更正決定をされた例というのを聞きましたか。私は聞いたことがないんだ。そこらからいって非常にルーズになっている。ですから私は、そこらのことを自治省としてもう少々行政指導上なし得べきことがかなりあるのではないだろうか、こういう感じがしてならない。  政務次官、ただいまのお話を聞いて、素人でも、これは行政としてこうすべきだなという感じを何か感じませんでしたか。ひとつ政務次官の見解を聞いておきましょう。
  181. 左藤恵

    左藤政府委員 確かに、その税金を取る、税金は本来公正であるべきでありますし、そうしてまた、そうした山村の町村にとっては非常に大きな財源になるという点がありますので、国有林だけから税金を取って、そして民有林のところは取らないということ自体も私は非常に問題があると思いますので、そういった意味において何か工夫をして、これだけ取らざるを得ない、またそして連絡がつくような方法というものを、もう少し具体的に現実の問題に当たってみて検討して指導すべきである、このように思います。
  182. 武藤山治

    武藤(山)委員 政務次官のせっかくの名答弁を期待をしておりますから、ぜひひとつ自治省としても何らかの工夫を少し考えてみる、行政を具体的に担当している審議官に、最後のあなたの、私の提案よりももっとうまい方法があったら、いい方法を、ここでひとつビジョンを聞かせてもらうし、私の提案で、なるほどそこらぐらいなことはやれるなと思ったら、ひとつ決断の意思を披瀝していただいて、私の割り当て時間を終わりますからやめますけれども、答弁が気に食わなければまだ続けますが、どうですか。
  183. 福島深

    ○福島政府委員 木引税の実際の徴収の問題点については、もう先生指摘の問題があることは実は私どもも承知をいたしているわけでございます。  御案内のように、いまの木引税の半分が大体国有林でございまして、国有林の場合には特別徴収が営林署長になっておるわけでございます。したがって、国有林に関してはその営林署長の協力があれば、少なくともどの程度の取引があったかということは、これははっきりわかるわけでございます。  それから一般の民有林の場合には、森林組合の施業計画等が先生指摘のようにございますので、そこら辺と徴収側との連絡を密にしてやっていくということは、これはもう絶対欠かせない問題だと思いますし、地方団体も実際に苦労しておりますので、地方団体の意見も、先生指摘の点も踏まえましてよく伺いまして、適切な指導をできるだけ全国的にしてまいりたい、このように考えております。
  184. 武藤山治

    武藤(山)委員 どうも歯切れが悪いね、審議官。やはり局長じゃないと歯切れのいい答弁できないのかね。もういま政務次官は、なるほどいろいろな不合理な点を感じる、どこをどうしたらいいということはわからぬけれども、よしこれからそういう方向に、税は公正にやはり取らなければいけないのだ、納めなければならぬのだ、そういう工夫をしたいと言うのだから、市町村の意見を聞いてなんという——現実に行政府同士の間で、特に自治省の管轄内の県と市町村の問題なんだよ。そのくらいは早急に将来において何らかの討議をしてみましょう、結論がまずかったら、武藤代議士のところに、こういうまずい結論でしたと報告します、いずれにしても、結論が出るまで時間を何ぼかくれと、何でもうちょっと歯切れのいい答えを出せないのですか。
  185. 福島深

    ○福島政府委員 いまの御意見の趣旨を体しまして、十分検討をいたしたいと思っております。
  186. 武藤山治

    武藤(山)委員 以上で終わります。
  187. 大西正男

    大西委員長 小濱新次君。
  188. 小濱新次

    ○小濱委員 厚木基地周辺の騒音に係る住宅移転問題について、環境庁、建設省、防衛施設庁、それから自治省に順次お伺いをしていきたいと思います。  まず、環境庁の酒井特殊公害課長にお尋ねいたしますが、環境基準達成のため騒音規制区域を設定する、音の等高線、いわゆる騒音コンターを引かせているわけでありますが、それによる都市計画法の住居地域と環境基準との関係について、これは環境庁からお尋ねをいたしたい、こう思います。
  189. 酒井敏夫

    ○酒井説明員 お答えいたします。  四十八年に告示されました航空機騒音にかかる環境基準によりますと、お尋ねの住居地域でございますが、まず基本的に都道府県知事が地域指定を行うわけでございます。地域類型の一といいますのが、基準値を七十WECPNL以下にする、それから地域類型のIIが、基準値を七十五WECPNL以下にする、こうなっておりまして、これを受けまして環境庁では局長の通達を出したわけでございますが、この1類型に当てはまる地域がもっぱら住居の用に供される地域ということでございます。都市計画法上用途地域が定められておる地域にありましては、第一種住居専用地域及び第二種住居専用地域、これが当てはまるわけでございます。IIがそれ以外の地域で、通常の生活を保全する必要がある地域ということでございますので、住居地域につきましては第II類型指定地域、こういうふうに解釈をいたしております。
  190. 小濱新次

    ○小濱委員 次に施設庁にお尋ねをしていきたいと思います。  厚木基地周辺では、防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律によって、防衛庁長官の告示で家屋の移転の指定区域が定められているわけであります。この地域は国が指定区域外へ移転させる対策を講じているわけでありますが、一向に移転する人はいないわけです。逆に、騒音と危険があるということで地価が安いため住宅がどんどん建って——この内容についてはまた後でお尋ねいたしますが、これはまた、昭和四十五年都市計画法施行の際、この区域の一部が市街化区域となって、いわば移転区域に市街化区域がダブっているという、こういう矛盾が出てきているわけでございます。このため現地では行政上の大きな問題となっているわけでございますが、やはり施設庁がこれは大きな責任があるように感じられますので、これに対する対処方、どのようにお考えになっておられましょうか。
  191. 白根洋

    ○白根説明員 お答えいたします。  昭和四十二年に厚木の基地におきます指定区域の告示を行ったわけでございますが、これは昭和四十一年に成立しました旧防衛施設周辺整備法の第五条に基づきまして、いわゆる航空機の騒音による障害が著しい地域でございまして、いわゆる居住の用に余り適しないという地域であるということで、移転を希望なさる方については補償措置を講ずるというようなことを、そういう範囲を定めるということで、四十二年に告示をいたしたわけでございます。その後、先生先ほど指摘なさいましたように、昭和四十五年におきましていわゆる市街化区域としての指定がさらにあったわけでございます。したがいまして、そのような経緯からいたしまして、非常にややこしい状況のもとに現在厚木周辺の状態がなっておるわけでございます。  そこで、私どもとしましては、いわゆる指定区域内と申しますか、むしろ市街化区域内における都市の整備といったようなものは、ひとつこういった経緯をよくお考えいただいて整備を公共団体の方でいろいろ御考慮願いたいという期待を持っておるわけでございますが、しかし、非常に重要な問題でございますので、われわれとしましては、関係方面といろいろ協議をいたしまして検討を重ねていきたいというふうに考えておるわけでございますが、この区域の障害の問題につきましては、移転の問題とそれから騒音の障害を軽減するといった関係で、住宅ローン等も積極的に実施していかねばいかぬというふうに考えておるところでございます。
  192. 小濱新次

    ○小濱委員 その問題に入る前に参考までに伺っておきたいのですが、この四十二年に移転指定区域を設けたわけでございますが、その移転状況をまずお示しをいただきたいと思います。
  193. 白根洋

    ○白根説明員 この厚木飛行場の周辺のいわゆる移転措置の問題でございますが、これはいわゆる法律が制定されます前、昭和三十五年の十月でございますが、閣議決定によりまして厚木飛行場周辺におきます集団移転措置を実施してきたわけでございます。そして先ほど御説明しました四十一年の旧整備法第五条、さらには四十九年度の現在の整備法、防衛施設周辺の環境整備法の五条、それらに基づきまして、いわゆる御希望のある家屋について移転の措置を実施してきたわけでございます。この、いままでに実施いたしました戸数は、二百二十一戸の移転措置を実施してきております。それから土地につきましては約六十万八千平方メートルの買い取りを心がけてきておる、こういうことでございます。
  194. 小濱新次

    ○小濱委員 移転した人、そしてあと残り、こうなりますね。それから四十二年以降にそこへ建設をした、そういう数字がわかればお答えいただきたいと思います。
  195. 白根洋

    ○白根説明員 ただいま御説明申し上げましたのは、現実に移転をした建物二百二十一戸と申し上げたわけでございますが、現在指定区域の中に約二千五百戸の住宅がございます。そのうち四十二年の告示以前に居住しておられた方の数が、約四百五十戸でございます。したがいまして、残りの約二千百戸が、四十二年度の告示以降に新たにお住みになった、あるいは建物をお建てになったという数字でございます。
  196. 小濱新次

    ○小濱委員 残り約二千百戸があるということですが、この人たちの移転の進まない理由ですね、もう大分年数もたっているわけですが、先ほど申し上げましたようにいろいろと理由があるようですが、これはやはりまず施設庁が積極的な努力を払ってもらいませんとどうにもならない問題ですので、その辺のわけを少し聞かしていただきたい、こう思います。
  197. 白根洋

    ○白根説明員 御説明が前後するかと思いますが、新しく四十九年にできました周辺整備法の第五条で告示の際、現に居住する者は移転の対象にするという条項がございます。ところが新法の附則の四条におきまして、従来旧法において指定をしておる地域の対象となるその時点は旧法で指定した時点とするというふうになっておりまして、新法で新しい区域を指定いたしました場合に、新法の告示の時点におられる方並びにそれが旧告示のある場所については旧告示の時点におられた方でないとだめなんだというふうになっておりまして、いわゆる四十二年以前におられた方々は、移転の希望がある場合には移転措置の補償の対象になるわけでございますが、四十二年告示以降に新たにお入りになった方は移転の対象にならないというようなのが現在の法律上のたてまえになっております。したがって、現在までのところそういった対象になる方々の移転希望というものはここ数年間申請が上がってきておりません。  それから、移転の進まない原因は何だという御質問でございますが、いま申し上げましたように、いわゆる法律の対象にならない方々が非常に多いということと、いま一つは、最近、近傍におきます土地の高騰に伴いまして、いわゆる移転先地が思うように入手できない、そのために、やはり移転を希望したいけれどもなかなか移転先地が見つからないんだということもあわせ、移転の進捗状況が最近はほとんどとまっておるというのが実情ではないか、このように考えております。
  198. 小濱新次

    ○小濱委員 わからないわけでもないけれども、法律の対象にはならない、だから施設庁としては、この問題については端的に言えば関知できない、しかし移転しなければならないそういう公示になっている地域であると。ですから私どもは、施設庁が当然これはやはり解決策に乗り出すべきである、こう考えているわけですが、いまやはり課長さんの御説明の中にもありましたけれども、移転先が入手できないというそのまた理由も出てくるわけですね。現在その指定された区域内に入っている人たちは安い土地を買って家を建てた、そこへ今度、補償の対象にならないけれども騒音と、そういう指定された区域だから移転をしたい、こうですね。だけれども、そこの地域は、たとえば公示以前、四十二年以前の対象者であっても、非常に適正価格でその土地は買い上げてもらったとしても、その金をもって移転先がどのくらいの土地が買えるかということの問題が出てきて、結局移転希望者が出てこない。金がないから、それだけの補償がもらえないから、泣きながらしんぼうしてここで生活をしようというような事情が多いようにわれわれは聞いているわけです。そういう点で、やはりこれは法律ではそうなっているけれども、これらの人々をどう救済をするかという問題が起こってくるわけですが、これは単に厚木だけの問題じゃないのですね。全国に、たとえば千歳だとか昭島だとか入間だとか、あちこちにこういう地域がありまして、その地域で大変悩んでいる問題としてやはりこれは国で何とかこの方向づけを示してやらなければならないが、私は、やはり施設庁は責任者である立場から積極的に最大の努力を払うべきだという立場から、これからの救済策についてお尋ねをしているわけでございます。市街化区域ですからね。ですから家は建つわけですね。そこにまたもうすでに二千百戸も建っているわけでしょう。どんどんまたふえている、そういう傾向になっている。ですから、一種、二種、三種と、こう公示されておるようですけれども、地域では危険区域と、こう総称して言っているわけです。危ない、飛行機が出入りしているわけですから、そういう点で早く逃れたい。その心理はわかると思うのですよ。それから異常に公害も多いですしね。飛行機公害。したがってわれわれは救済すべきである、こう考えている。こういう立場から、施設庁では、防音工事に対する若干の補助を出しているとかあるいは家族の多いものについてはそれ以上の対象をまた広げているとかいろいろやってはくれておりまするけれども、その積極的な抜本策というものはまだ示されていない。こういう形からやるべきだ、こう思うのですけれども、これ以上の御答弁はできませんか。ひとつ考えを聞かしてください。
  199. 白根洋

    ○白根説明員 先生のおっしゃること、逐一大変に痛いところをついておられるわけですが、法律のたてまえは先ほど申し上げましたとおりでございまして、一応告示以降に入った方々には大変申しわけない話でございますが、現時点においては対象にすることはできないということでございます。しかし移転だけではなく、やはりそこに住んでおられまして航空機の騒音には相当な障害を受けておられる、その実態は否めない事実でございます。したがってわれわれとしましては、移転もなかなかして差し上げられないといったような方々には、こういったところこそ一刻も早く住宅の防音工事等を実施して障害の軽減、緩和に資したいという考え方を一つしております。  それから、これは厚木の場合にずばり該当するかどうかわかりませんが、集団移転の対象になられる方々が仮に十戸か二十戸まとまって移転先の土地を求められまして移転をしたいというような御希望がある場合、今度の法律では新たに、その移転先地に、いわゆる道路であるとか水道であるとかあるいは排水路等、必要な公共施設については国の方で補助をいたしまして、まあ宅地造成という言葉がいいかどうかわかりませんが、移転先地を造成することによって移転される方々の利便に供したいというようなことに現在しておるわけでございます。先生の御質問の移転の対象にならないものをどう救うかというお答えにはならないかと思うのでございますが、伊丹空港の裁判との関係もあり非常にむずかしい問題で、実は後住性といったような問題がいろいろ議論されておりますので非常にむずかしい問題であろうかと思います。われわれとしましても十分関係方面といろいろ協議はいたしたいと思いますけれども、法律上、一応移転は新しく入った人たちは対象にはならないということになっておりますので、このようなお答えが精いっぱいのところだということでございます。
  200. 小濱新次

    ○小濱委員 伊丹の訴訟事件は、これはもうここで出されますと、それで質問は打ち切りになってしまうのです。それは私も承知しておったわけですけれども、私はそれは出さぬようにしていたわけです。しかし、施設庁はやむを得ず出したんだろうと思いますけれども。  内閣法制局の味村部長さんおいでになっていましょうか。——いまのお聞きのとおりの内容で、施設庁ではこう告示をした。そこはその告示以前、四十二年以前に住んでおった人については移転の対象になる、補助、助成金を出すということですね。それからその後に建ったものについては補助は出ない、やはり助成金は出ないということですね。それがまた二千百戸も現在いるわけです。これからもなおふえる傾向にあるわけです。ところが建設省ではそこを市街化区域に指定してしまっているわけです。市街化区域になっている。環境庁先ほどの御説明にもありましたように、こういう法律の競合という問題が起こってまいります。ちょっと矛盾していませんか。施設庁では移転地域に指定をして、片方では市街化区域になっているというようなことから、環境庁も含めて、これは自治省もそうですけれども、この問題について私どもとしては、市町村が大変迷惑をしているという、そういう実態を取り上げてこの法律の競合という問題については法制局ではどのようにお考えになっておられるのか、お答えいただきたいと思います。
  201. 味村治

    ○味村政府委員 防衛施設庁がこれを旧防衛施設周辺整備法第五条の規定に基づきまして指定いたしましたのは、これはあくまで旧法の規定に基づくものでございまして、その効果が新法の規定によって先ほど防衛施設庁の課長の言われましたように引き継いでいるという関係になっているわけでございます。この五条の規定によりまして指定されますと、その地域から移転しようとする人に対しては予算の範囲内で損失を補償することができるということでございますので、先生のおっしゃいますように、この地域からはできるだけ出ていってもらいたいんだ、そういう地域であろうかと存じます。一方市街化区域の方は、これは都市計画法の規定に基づきまして都道府県知事が指定するわけでございます。市街化区域の指定の際にどのような区域を市街化区域として指定するかと申しますと、これは都市計画法の第七条第二項の規定によりまして「すでに市街地を形成している区域及びおおむね十年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域」ということになっているわけでございます。この市街化区域として指定いたします際にどういう事情がありまして市街化区域として指定したのかということは私は存じませんが、すでに市街化区域として指定されておりますと、都市計画法に基づきます市街化区域の効果とそれから防衛施設周辺整備法の先ほど申し上げました効果と両方が競合が生じているということでございます。その間に法律上の矛盾と申しますか、それは現在のところは直接にはないように思いますが、ただおっしゃいますように、片方はできるだけ出ていってくれと言っているし、片方は市街化を認めようということでございますので、その間、行政上その目的的に考えまして何かおかしいところがあるんじゃないかというところはそうでございますが、法律効果といたしましてその間に矛盾するということはないように存じます。
  202. 小濱新次

    ○小濱委員 ちょっと納得のできないような御答弁のように聞こえるが、法の矛盾はないように思われる、まあそれぞれの利点があるわけですからね。しかしおかしいということは事実なんですね。これは後で質問いたしますけれども、今度は自治体側では、片方では移転、片方ではどんどん人が入ってくる。そこへ今度は公共投資をどういうふうにやればいいのか、もう二千百戸も建っているのですから学校の問題も出てまいります、道路、下水道の問題も出てまいります。移転しろと言っているのに、そこへ今度はない財源をぶち込まなければならないというような、そういう自治体側のいろいろな困難な情勢というものが出てくるところに法の競合がじゃましているんじゃなかろうかということで、大変におかしいように私どもも考えるわけですよ。そこでやはり法制局でこれは何らかの検討を願って、今後の対策を講じてもらう必要があるのじゃなかろうかというふうにも私どもは、素人なりに考えるわけですね。いかがでしょう、もう一遍何かいい考えをひとつ示していただきたいと思います。
  203. 味村治

    ○味村政府委員 都市計画法で市街化区域と市街化調整区域と分けますのは、主としまして現在市街化にすでにもうなっている区域と、それから市街化を図るべき区域と、これを一まとめにいたしまして、片方では市街化を抑制すべくこれを分けるという考えでございます。そしてこれは現在すでに市街化になっている、もう市街地になっているというような区域を市街化調整区域に入れるということは、全然都市計画法では考えていないわけでございます。いわば強制的に疎開させるというようなことは都市計画法のらち外であるということで、部市計画法では全然考えていないわけでございます。そういうたてまえからではないかと思うのですが、厚木地区が都市計画法の規定に基づきまして市街化区域になっているのだろう、これは私の単なる想像でございます。事実上の問題は存じませんので。他方防衛施設周辺整備法は、これも強制的に立ち退けとまでは言っているわけではございません。やかましいから出ていこうという方がいらっしゃれば指定の時点において建物等を所有していらっしゃる方には損失を予算の範囲内で補償しましょうということでございまして、あくまで任意の形になっているわけでございます。ですから、片方は任意でございますから、幾ら防衛施設周辺整備法の五条の規定に基づいて指定いたしましても、やはり市街化されている状況あるいはそこへどんどん人が入ってくるという状況、これはどうしたってとめられないということになっているわけでございます。そういたしますと、やはり都市計画の立場からは、その市街化という現状があるんだから、その現状を認めて何か都市計画を立てなければならぬということも考えられるわけでございまして、私はだから両方とも現在のところやむを得ないのではなかろうかとは思うわけでございます。ただ立法論としてどうかともしお聞きになりますれば、立法論としては、それはあるいはこの第二種地域内に住んでいらっしゃる方の土地を全部買い上げて損失を補償してというようなことが考えられるかもしれません。しかしそれは政策論の問題でございますので、そこまでの必要があるかどうかということは、これは国の政策として政府全体の見地から検討すべき問題であろうかと思います。
  204. 小濱新次

    ○小濱委員 この防衛施設庁長官の告示が四十二年三月三十一日、それから市街化調整区域の法律がたしか四十五年だったと思いますが、実施が四十七年ころから始まったと思います。そういうように考えますが、これでよろしゅうございますか。間違ってませんか。
  205. 台健

    ○台説明貴 都市計画法が施行されましたのは四十四年でございまして、問題の土地につきまして市街化区域の指定がなされましたのが四十五年でございます。
  206. 小濱新次

    ○小濱委員 実施は。
  207. 台健

    ○台説明員 四十五年の指定と同時に効力を発生しているわけでございます。
  208. 小濱新次

    ○小濱委員 そういう市街化区域に指定をされてどんどん家が建っていった、こういう姿になっているわけですね。そこで私は、この問題を抱えて大変に悩んでいる自治体が全国にありますけれども、厚木の問題をまず代表的に取り上げてみたわけでございます。防衛庁で四十二年以降に入ってきた人について防音工事を、先ほどやると言っておりましたけれども実施をした。その進捗状況はどのくらいになっておりましょうか。あるいはまた今後の見通しなどもお答えいただきたいと思います。
  209. 白根洋

    ○白根説明員 個人の住宅の防音工事の件でございますが、これは新法が四十九年に成立いたしまして、四十九年度において約一億円の経費がついたわけでございます。戸数としましては、各全国の基地に七十四戸を割り当てましてそれぞれ実施をさせたわけでございますが、四十九年度中に完成いたしましたのが千歳飛行場における八戸だけでございます。したがいまして、残りのものは五十年度に繰り越しをいたしまして、五十年度の予算約六億円と合わせまして、現在全体で約四百四十ほどの世帯について住宅防音工事の実施をやっておるという状況でございます。  厚木につきましてお答え申し上げますと、四十九並びに五十年合わせまして約三十二戸の割り当てを現在行っておるわけでございますが、現在大和市、綾瀬町等々と住宅の選定につきましていろいろ協議をいたしておる次第でございます。先生先刻御存じのとおりだと思いますけれども、いろいろな問題がございまして、住宅防音の対象とする住宅の選定すらなかなか思うように協議ができないといったような状況にございます。さらに一段と努力をして進捗を図りたい、このように考えております。
  210. 小濱新次

    ○小濱委員 いま御説明にありましたように、対象軒数に対する防音工事の実施状況がきわめて少ないわけです。ところがそこには一地域にも何千という対象家屋があるわけですから、先生よく御存じのとおりということでしたけれども、なぜ軌道に乗らないんだろうか、なぜ防音工事がスムーズにできないのであろうか。その家族の持ち出し分が多いのか、それともその必要性がないのか、あるいはまたその他どうすればいいのかという御意見も交えて、できればお答えをいただきたいと思います。
  211. 白根洋

    ○白根説明員 大変ありがたい御質問なんでございますが、この住宅の選定につきましては、実はいろいろ地方公共団体等とも協議をしておるわけでございますが、実際には各自治会におろして、そして自治会の中でいろいろ御討議願って、その中の選定が決まっていくといったような状態を繰り返すわけでございます。  そこで、この厚木地区の周辺につきましてまずどういうやり方でやっていくかと申しますと、全く新しい施策でございますので、住民の方々の御理解がまだ十分得られておりません。そこで当庁といたしましては、横浜防衛施設局をいたしましてまず市の段階、市会議員の段階、あるいはさらには部落の段階といったように説明会を逐次催しながら御理解をいただいて、そして住宅の選定をしていただくという方法をとっております。ところが残念なことに、この説明会が、どういうわけでございますか、いろいろな妨害その他もあるようでございますが、大変スムーズに説明会が開けないというような状況が現実に出てきております。この説明会は、皆さんの御理解を得るために、どういう工事をやり、どういう手順でやるのだといったような非常に事務的な説明会でございますが、別個な観点に立った妨害がややもするとありまして、思うように十分な説明会が催せないということで、局の職員も思うようになかなかそういったことができないという状況でございます。  一方、市町村の立場で申しますと、住民の対策として住宅防音はやってもらわなければいかぬ。そこでいろいろ企画をしていただきまして、当庁の職員等が出ていって御説明をするわけでございますが、その都度思うようにはいかない。中には御理解をいただいて、そういうものがはっきりしてくるところもございますけれども、そういう企画がなかなか思うに任せていないというのが現状でございます。特にいま先生の問題にされております大和市の周辺でございますが、大和市が中心になりましてしばしばこういった説明会等の企画を現在もやっていただいておりますので、これからは逐次軌道に乗っていくのじゃないかというふうには考えております。  進捗状況といいますか、数が少ないというお話でございますけれども、確かに四十九年度は約一億円、本年度も約六億円といったように非常に少ない金額でございますが、来年度は全国で約四十二億円という数字を現在大蔵省に予算要求中でございます。どうしても初年度からいきなりたくさんのものはなかなかできませんし、これからは可及的に増加していくというふうに考えておりますので、数量の点につきましてはこれから、どんどんというわけにはいきませんが、積極的にふやして御要望にこたえたい、このように考えております。
  212. 小濱新次

    ○小濱委員 防音工事は一世帯一室が原則になっておるようでありますが、地域の住民は全室防音にしてもらいたいというような強い要望もあるわけです。したがって、いまその進捗状況をお伺いしたわけですけれども、ぜひとも一層の努力をしていただいて、せめても全世帯が一室防音工事ができるような配慮を特にお願いをしたい、こう考えております。これは要望であります。  そこで、もう一つ施設庁にお尋ねをしていきたいと思いますが、先ほども御答弁の中にございましたが、厚木の場合、基地周辺には移転跡地など約六十万平米の国有地があるわけです。その使用状況はどうなっているのかということと、今後の利用方法ですね、どういうふうにしていかれるのか、お答えいただきたいと思います。
  213. 根本武夫

    ○根本説明員 お答え申し上げます。  厚木周辺には、先ほど申し上げましたとおり約六十万平米買収してございますが、その中では国の手によります植林、これはいわゆる緩衝林としての性格を持っておりますが、植林を約十万九千いたしております。それからさらに公共団体あるいは民間等に対しまして約三十万平米貸し付けております。残りが十九万七千平米ございますが、これにつきましては公共的な場合ですと新整備法によりまして無償でございますので、それらの御希望があれば積極的に貸してまいりたい。残ったものは国の手でさらに植林を進めていく、かように考えております。
  214. 小濱新次

    ○小濱委員 地域住民は自治会とか農協だとか市などに貸し付けてほしいという要望があるのですが、その残り十九万七千平米というものについては、要望があれば貸し出しをするような道は開かれているのですね。もう一度お願いします。
  215. 根本武夫

    ○根本説明員 無償貸し付けができます規定は新整備法の政令第十一条にございまして、いわゆる花壇、それから種苗を育成するための施設、駐車場、消防に関する施設、公共用施設の建設に必要な資材または機械器具を保管するための施設、これらにつきましては無償でございます。それ以外に、たとえば小さな児童公園であるとか、あるいは民間で何か車両を置きだいとかいうような問題がございますれば、貸し出す用意がございます。
  216. 小濱新次

    ○小濱委員 わかりました。一定の条件が整えば貸すということですから、その点はありがとうございました。  施設庁にもう一つお尋ねをしていきたいと思います。  これは基本的な問題になろうかと思いますけれども、基地周辺の指定区域内に土地を所有している人、昭和十六年ごろ旧軍が飛行場として以来、戦後は米軍、自衛隊が飛行場として使用し、約三十年間、言うならば被害をこうむってきたという事例がたくさんあるわけです。これは施設庁の調査にはたくさん載っていると思いますが、たとえば飛行機が飛び出しますと豚が暴れ出して足を折ったとか、それから鶏が卵を生まなくなったとか、目に見えない、施設庁に請求のできない被害がたくさん出ているわけです。本当にそういう被害を受けてきた事例がたくさんあるわけです。また、基地があるために地価は上がらないわけでしょう。いまは市街化調整区域にされて転用できず、開発も規制され、莫大な被害をこうむっているという対象者がいるわけです。農家はいわゆる国防のしわ寄せを受けているというような形になるわけですね。防衛問題については見解の相違がありますけれども、防衛が基地周辺の住民の犠牲によって成り立っているというのではなくして、周辺住民の理解を得るような対策が必要だなということをわれわれは痛感をしているわけでございます。そうしたことからももっと手厚い対策をとるべきであると考えておるわけですが、この基地交付金、補助金など基地対策の充実にもっと真剣に取り組む決意が当然あってしかるべきだというふうに私どもは見ているわけですが、来年度の基地交付金などの見通しについてはどのようにお考えになっておられましょうか、お答えをいただきたいと思います。
  217. 根本武夫

    ○根本説明員 先生お説のとおり、基地周辺ではいろいろな被害が発生する等の問題が出てまいります。それらにつきまして、具体的に金銭をもちまして補償のできるものにつきましては補償体系が全部そろっております。  それから、いわゆる公害等の関係から地元の公共施設、たとえば学校等の防音とか道路の整備とかというような問題につきましては、整備法の三条、四条等によりまして、これまたできるように道が開かれております。  問題はそれから先の問題でございまして、ただいまおっしゃったように、金銭的に計量できないようなものあるいは精神的なと申しますか、そういう金にかえられないような性質のものにつきましてはただいまのところ補償の制度がございません。したがいまして、平たく申し上げますと、そういうものを何か別のもので満足していただくというために、新整備法におきまして九条のいわゆる交付金という制度を私ども考えたわけでございます。したがいまして、この交付金は特定防衛施設に指定いたしまして、その関連町村として大和、綾瀬が指定されております。それで、その地域を管轄する町村にある一定の金額を差し上げまして、そういう地元側の御不満があれば、それらを何か事業の形でやっていただきたいというぐあいに現在のところ制度化してございます。
  218. 小濱新次

    ○小濱委員 地元の要望はたくさんありますよ。率直に申し上げれば、厚木の基地をどこかに持っていけと言っていますよ。それはまた次の論議にしたいと思いますが、要望事項はたくさんあるんです。それでまた、感謝している面もあるんです。施設庁に大変お世話になってこういうふうに整備できました、なおこうしてくれればいいがという要望はたくさんあるのですね。そういうことで、今回のこの問題についても、その対象にならない人々をどう救済をするのか、するべきであるという強い主張を私どもは持っているわけですが、その点の回答がきょうはなかったわけですけれども、これはまた大いにひとつ今後の課題ということで努力をしてもらうことにいたしたいと思います。  最後に、自治省にお尋ねをしていきたいと思います。  関根指導課長、お聞きのとおり、この告示になっている地域、片方では市街化区域になっている、そこへ家が建った、そういう点でいろいろと公共投資をやってもらわなくちゃならない。いわゆるその起債の対象になるものもありますけれども、なお考慮してもらわなければならない。学校等の問題もございますが、そういう問題について、裏負担のできるものについては問題がないけれども、片方では移転区域になっている、そこへ家屋がどんどん建っていく、そういう地域ですから自治体としてはとってもやりにくいわけです。力が入らないですよ。移転区域だと言ってて、片方は市街化区域ですからどんどんどんどん家が建っている。そこへ公共投資を、何とか住民の住みよい環境づくりのためにない財源をぶち込んでいこうということですけれども、力が入らないわけだ。また、あった財源もそちらには後回しになっていくような傾向にもなっていくわけですね。当然そのことは理解できると思いますよ。そういう点で、この必要な公共投資について、やはり内容が内容ですから、これは自治省としても何らかの対策を考えるべきであるというふうに考えますが、ちょっとむずかしい問題かもしれませんけれども、ひとつ今後の方針なりお考えを聞かせていただきたい、こう思います。
  219. 関根則之

    ○関根説明員 いま二重の指定の問題に関連して問題が提起されているわけでございますが、私どもの方は都市計画に基づく事業を、都市計画区域内にありましてたとえば市街化区域内の街路事業をやるとか、そういう場合には防衛庁の方からの騒音の関係の指定がありましても通常の市街化区域と全く同じように交付税上の算定もいたしますし、公共事業の裏負担についての起債なども見ていくということで対処していくわけでございます。したがって、二重に指定があるから落とされてしまうというようなことはあり得ない。生徒の急増に基づきまして学校を整備するという必要があれば通常の市町村と同じように、あるいは急増市町村であれば急増市町村としての財源手当てをしていくようになっておりますし、今後もそうしていきたいと思います。ただ問題は、特に力が入らないじゃないかというようなお話がございましたけれども、そういった特殊事情のために特に何か普通の町村以上にかかり増ししてくる、こういったようなものがあれば、それはそれで別な対策を立てていかなければいかぬという問題になると思いますが、この問題について、そういった二重の指定を受けている市町村から特別な財政事情といったような話もまだ聞いておりませんので、そういった話が現地から上がってまいりました節には、適切な措置をとっていきたいというふうに考えております。
  220. 小濱新次

    ○小濱委員 いまの公示された地域に対して、申し上げたような内容の事情にある地域に対して、当然これは公共投資の整備をする、その義務が自治体側にあるわけですね。そこのところを……。
  221. 関根則之

    ○関根説明員 当然そこに住民が住んでおりまして、生活をしておるわけでございますから、通常の住民に対するいろいろな市町村の義務と同じように、たとえば教育の施設の整備の義務であるとか、街路を整備する義務であるとか、義務といってもどこまで義務であるか、実際問題としてはむずかしい問題でありますけれども、通常の住民と同じように快適な生活が送れるようにいろんな公共施設をやっていく必要があろうと思っております。また、そういったルールに基づいて公共施設を整備する場合には、自治省としては当然地方負担の財源措置というものはしていくべき筋合いのものだというふうに考えております。
  222. 小濱新次

    ○小濱委員 先ほど自治体が力が入らないと言ったのは、私がそういう立場に立ったときにはどうしようかとはかりにかけたときには、やはりめんどうのない方に力が入ってしまうという、私はその心情を推しはかって言った言葉であって、自治体がそう言っているわけじゃないんですね。この点よく理解してもらいたいと思います。  したがって、自治体でもやりたいんですね、まあ財源の問題もありましょうが。いま御答弁の中に、特殊なそういう事情があれば別の対策を考えたいという、こういう御答弁がございました。今度の厚木基地のいまの問題については、大和は小さな市でございます。十四万五千ぐらいの市ですからね。したがって財源も大変苦しいので、そういう立場なら何とか住民の救済策と、それから公共投資に対する財源対策ということで、私ども何らかの努力を図ってやるべきだと考えまして、御答弁を求めたわけですが、別の対策というのを何か具体的にこうだというものはお示し願えますか。何かありましたらお答えいただきたい。
  223. 関根則之

    ○関根説明員 ただいま申し上げましたのはこういう意味でございまして、通常の場合における地方負担額につきましては、現在でも市街化区域であれば、ほかの市町村の市街化区域と全く同じように、たとえば街路事業につきましては事業費補正等をやっておるということを申し上げ、しかし、そういう通常のベースでは財源的にとても足りないといったような財政需要につきましての特別な事情がある場合には、当然特別交付税等の算定の際に、その町村の財政需要というのは勘案して配分をしておるわけでございますが、そういった考慮の対象にもなってくるであろうというふうに考えて、そういう意味で申し上げたわけでございます。特別何か新しい制度をつくるとか、そういうところまではいまのところは考えておりません。  また、現実に基地周辺につきましての財政需要を賄うための措置としては、基地交付金、先ほどお話がございましたけれども、ああいった財政制度もあるわけでございますし、それから現在のところそういった制度の中で市町村は一応何とかやりくりをしておりまして、それ以上にこういうところをこうしてくれといったような話は、この問題についていまのところまだ市町村から出てきておりませんので、よく地元の市町村の意見も十分聞いた上で必要な措置をとっていきたい、こういうことでございます。
  224. 小濱新次

    ○小濱委員 大変力強い御答弁をいただいたわけですが、それはあなたの御意見じゃなくして、局長あるいはまた上司の御意見というふうにとってよろしゅうございましょうか。
  225. 関根則之

    ○関根説明員 あくまでも自治省財政局の意見でございます。
  226. 小濱新次

    ○小濱委員 建設省の台都市計画課長さん、大変どうも申しわけありません。質問を留保いたしました。  最後に、白根施設対策第二課長さんにお尋ねしていきたいのですが、お呼びしておいて済みませんでした。どうすれば救済できるかということで、先ほど答弁の中で、関係方面といろいろ協議をしてという御答弁がございました。その内容について、できれば具体的に御説明をお願いをしておきたいと思います。
  227. 白根洋

    ○白根説明員 関係方面と申しますのは、当面の問題としましては予算の範囲内ということもございますので、大蔵省でございます。それから、同じような施策といいますか、法律体系の中で事業の遂行をしております運輸省もございます。さらに地方公共団体との関連におきまして、自治省と関連もございます。それから当然競合しておる都市計画との関連におきまして、やはり建設省との関連も出てまいるかと思います。そういった関係方面の協議が当然必要になってくると思いますが、当面はやはり財政の問題、それから法律上の解釈の問題としては法制局等もあろうと思いますが、そういった問題を具体的に煮詰めていきたい。現に多少大蔵省の方にはすでに一応持ち込んで、まだ具体的検討、討議というところまで至っておりませんが、問題をいま投げかけておるという状況でございます。
  228. 小濱新次

    ○小濱委員 大変地域住民が迷惑をし、悩んでおる問題でございまするので、どうかひとつ一日も早い解決を強く要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  229. 大西正男

    大西委員長 次回は、来る十八日木曜日午前十時から理事会、午前十時三十分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時二十八分散会