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1975-11-08 第76回国会 衆議院 地方行政委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年十一月八日(土曜日)     午前十時五分開議  出席委員    委員長 大西 正男君    理事 片岡 清一君 理事 高鳥  修君    理事 中山 利生君 理事 佐藤 敬治君    理事 山本弥之助君 理事 三谷 秀治君       伊能繁次郎君    篠田 弘作君       住  栄作君    渡海元三郎君       永山 忠則君    渡辺 紘三君       岩垂寿喜男君    小川 省吾君       細谷 治嘉君    林  百郎君       小川新一郎君    小濱 新次君       折小野良一君  出席国務大臣         自 治 大 臣 福田  一君  出席政府委員         自治大臣官房審         議官      石見 隆三君         自治大臣官房審         議官      横手  正君         自治省財政局長 松浦  功君         自治省税務局長 首藤  堯君  委員外出席者         経済企画庁長官         官房参事官   藤井 直樹君         国土庁計画・調         整局計画課長  小谷善四郎君         大蔵省主計局主         計官      藤井 裕久君         大蔵省主計局主         計官      宍倉 宗夫君         大蔵省主税局総         務課長     福田 幸弘君         大蔵省主税局税         制第一課長   大竹 宏繁君         大蔵省銀行局銀         行課長     宮本 保孝君         文部省管理局教         育施設部助成課         長       西崎 清久君         厚生省医務局指         導助成課長   岸本 正裕君         運輸省鉄道監督         局民営鉄道部財         務課長     中村  徹君         建設省計画局宅         地開発課長   川合 宏之君         自治省財政局財         政課長     石原 信雄君         地方行政委員会         調査室長    日原 正雄君     ————————————— 十一月六日  自治体病院健全化に関する請願松澤雄藏君紹  介)(第一五三七号)  事業税事業主報酬制度創設に関する請願(大  石千八君紹介)(第一五三八号)  同(木島喜兵衞紹介)(第一五七八号)  同(林義郎紹介)(第一五七九号)  同(村岡兼造君紹介)(第一五八〇号)  同(山田久就君紹介)(第一五八一号)  同(田村元君外一名紹介)(第一五八二号)  名古屋市営交通事業財政危機打開等に関する  請願小川省吾紹介)(第一五三九号)  同(佐藤敬治紹介)(第一五四〇号)  同(小川省吾紹介)(第一五七七号)  同(岩垂寿喜男紹介)(第一六八二号)  地方公務員共済組合における産休補助教員の加  入条件緩和等に関する請願多田光雄紹介)  (第一五四一号)  地方自治体財政危機打開に関する請願井岡  大治紹介)(第一五四二号)  同(久保田鶴松紹介)(第一五四三号)  同(土井たか子紹介)(第一五四四号)  同(竹入義勝君紹介)(第一五四五号)  同(林孝矩紹介)(第一五四六号)  同(堀昌雄紹介)(第一五四七号)  同(井岡大治紹介)(第一五八三号)  同外一件(河上民雄紹介)(第一五八四号)  同(久保田鶴松紹介)(第一五八五号)  同(瀬野栄次郎紹介)(第一五八六号)  同(土井たか子紹介)(第一五八七号)  同(堀昌雄紹介)(第一五八八号)  同(村上弘君外一名紹介)(第一五八九号)  同(井岡大治紹介)(第一六八三号)  同(河上民雄紹介)(第一六八四号)  同(木下元二紹介)(第一六八五号)  同(土井たか子紹介)(第一六八六号)  同(堀昌雄紹介)(第一六八七号)  農地の固定資産税に関する請願上田茂行君紹  介)(第一五七五号)  地方財政確立のための施策に関する請願鈴切  康雄君紹介)(第一五七六号)  自治体病院健全化に関する請願阿部昭吾君  紹介)(第一六八〇号)  同(渡辺三郎紹介)(第一六八一号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和五十年度における地方交付税及び地方債の  特例に関する法律案内閣提出第三〇号)  地方交付税法の一部を改正する法律案井岡大  治君外八名提出衆法第三号)      ————◇—————
  2. 大西正男

    大西委員長 これより会議を開きます。  内閣提出に係る昭和五十年度における地方交付税及び地方債特例に関する法律案及び井岡大治君外八名提出に係る地方交付税法の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、これを許します。三谷秀治君。
  3. 三谷秀治

    三谷委員 この交付税特例法の第一の問題点というのは、これだけの深刻な膨大な財政欠陥に対して、すべて地方自治体借金で賄うという構想にとどまっておる点であります。こういう姿勢で今日の地方自治体財政対策というものが本当に解決するだろうか、こういう疑問はだれしもが抱く点であります。抜本的な地方財政対策を必要としないのか、こういう点について大臣所見をお尋ねしたいと思います。
  4. 福田一

    福田(一)国務大臣 もうこれは三谷さんも十分御理解をしていただいておると思うのでありますが、高度成長から低成長へ入ってくる原因は、一つは大きく国際的な問題が絡んでおるということはおわかりを願えると思うのであります。しかし、この点については副総理がしばしば国会においても答えておるのでありますが、その見通しが若干甘かったという意味においては政府考え方は確かに甘い面があったと思うのでありますけれども、しかし、インフレになったときにはもうそれ以上の大変な悪影響存国民に与えるであろうということで、物価問題を重点に置いて施策をやってまいりました。その結果において、ある程度の不況といいますか、経済の停滞が起きたことも、これまた事実であります。そのことが税収に響いてまいりました。そうして国税三税が落ち込み、同時にまた、国税三税に基づくところの地方交付税税率三二%に基づくものが非常に落ち込んだということと、法人税を主体とするところの地方税関係税収がまた非常に落ち込んだということが、今日の非常な困難な情勢を導き出したわけでございます。  そのときにこの問題をどういうふうに処理していっていいかということについてでございますが、国の方の税収も御案内のように二七%も落ち込んだという段階であって、国の財政自体が非常な困難な状況に陥ったわけであります。これまで交付税率改定いたしましたのは四十一年でございますが、そのときには国の財政は、減税をやるとか、いろいろの、まあどちらかと言えば国に余力があったときに減税をやる。減税をやりますれば交付税税収が減ってくることは当然であります。そのときならば、これはもう地方税収落ち込みという問題もありますからして、地方に対する交付税の減額ということが起きますから、これは当然やはり税率を上げてもらわなければならないという主張は正しい主張であり、また理屈の合った、筋の通った意見であったと思うのでございます。その結果が二・五%の増となって三二%という数字が出てきたことはあなたも御存じのとおりだと思います。  ところが、今日は国の財政自体が数兆円のいわゆる公債増発をしなければならないというような事態に陥っておるのでございまして、国自体財政が非常に苦しい事態に落ち込んでいるそのときにおいて、しかもいま予算を審議していただいておるこの臨時国会が開かれておるのでありまして、それに、もう十一月の末から十二月の初めにかけては、予算編成の大綱を決定していかなければならないということもあり、この段階において多くの問題を大蔵省との折衝に持ってまいりましても、これは期間的にも非常に問題がある、時期的にも問題があるという二つの面があるわけでございます。  そういう点から見まして、今回のこの法案、地交法の審議に当たりましては、そういう点も勘案をいたしまして、われわれといたしましてはやはり落ち込みの分、いわゆる三税落ち込みの分については一応借り入れをいたしまして、そうして地方交付団体は、当初考えておったところの国からのこの交付税、いわゆる収入というものは落ち込まないようにしてやる。さしあたりこれは絶対に落ち込まないようにしてやるという措置をとったわけでございます。一方、この地方税落ち込みによります対策につきましても、これまた一兆何がしかの落ち込みが出てまいったのでありますけれども、これは起債によって賄ってもらう以外にいまの段階においては道がないわけでございまして、そこで、これについては国の方も公債増発をいたすわけでございますから、この公債が順調に消化されるかどうかという問題は、これはわれわれとして当然考えなければならない問題でございます。  そこで、相なるべくは、これは政府資金によって賄うべきであるという意味合いにおいて強く折衝をいたした次第でありますが、御案内のように国の財政自体も非常に困難を来し、そして政府資金の使途も各方面にございますために、何としてもわれわれの要求である七割はひとつ政府資金で持ってもらいたいということはどうしても困難でございまして、これは絶対に認められないという意見であったのでありますけれども、われわれが粘って、とにかくようやく二千億円は政府資金で賄ってもらうということにいたしたわけであります。しかし、それが御案内のように政府資金の場合と、そして地方縁故債で募集する場合とでは非常な金利の格差がございますから、二千三百億円というものは、これは金利負担を国でやってもらうということにいたしまして決着をつけて、ただいまここに提案をいたしておるようなわけでございます。  それから今度の補正予算におきまして、公共事業等をやります場合の裏負担の問題が出てまいるのでありますが、その分は二千六十六億円ほどになりますけれども、このうちの千七百億円は、こういうような苦しい時代でございますから、それは全部政府資金で賄ってもらうということで、これもずいぶん苦労をいたしたのでございますけれども、約八割以上というものを政府資金で賄う、政府資金処理をするということにいたしたわけでございまして、われわれといたしましてはこの時期から見て、そして国の方の財政の状態から見て、地方に対して年度当初において約束しただけの金は、方法は別としても、とにかくさしあたり全部これを与えるということはここに実現したわけでございまして、その意味ではある意味で私は評価をしていただいてもいいのではないか、こういう考えを持っておるわけでございます。  もちろん、地方財政が非常に困っておるということは、これはもうよくわかりますけれども、しかし一方において国の財政も非常に困っておる。国の財政がいささかでも余裕があるというようなときに地方の方が非常に困っておるのならば、これはもう適当な要求をいたすことは当然でありまして、もしそれをしておらなかったとすれば、われわれは責任を感じなければならないのであります。私は、財政見通しを誤ったという意味においておしかりを受けるのならばやむを得ないと思うのでありますけれども、この段階において措置をする場合において、予定をいたしました、いわゆる地方財政計画に基づいて私たち地方に出しますと言った金は、全部これが渡るようにしておるわけでございます。もちろん、この場合におきましても縁故債の問題が相当ございますから、これはわれわれが非常に心配をいたしたところでありまして、もし縁故債が適当に応募されないということであればこれは大問題でありますので、この点については特に覚書をつくりまして、そしてもし応募されない、具体的に——それは私は全部が全部そうなるとは思いませんが、ある地区において、ある市町村において、府県においてそういうことが起きたときには、直ちに私たち大蔵省と連絡をとって、そうして大蔵省もその場合には極力そういうことのないようにちゃんと資金が得られるように努力をしますという覚書をつくっているわけであります。一方、あなたがおっしゃったようにこれが非常に大きくこういうような借金でもって地方財政を賄っていくということであれば、地方に大きな負担がかかるではないかという点もごもっともな御意見であると思うのであります。しかしいまは国も非常に困っておるときであり、そして経済高度成長から低成長へ入るというときに、国の方においてもこれは非常な決意をもって問題をどう処理していくかという必要に迫られておるときであり、さらにまた、地方においても私はそういうことをしなければならない時期に逢着しておると思うのでありまして、この意味では国、地方が一体になって問題の解決に当たるということが最も必要なことであると私は信じておるわけでございます。  以上申し上げましたようなところで大体私たちがとりました措置については御説明を申し上げたと思うのでありますけれども、しかし、今後のこの経済を伸ばしていく、いわゆる地方財政の現段階の仕組みにおいて伸ばしていくということについては、収入をふやすという意味においてはこれはいろいろのことも考えられないわけではございませんが、国が困っておるときに、いまここでとやかく言うことは私は非常に困難である。しかし、法律に基づいて国がしなければならない問題があり、法律に基づいてわれわれがしなければならない問題があるとすれば、これまた当然のことでございます。そういう意味からいいますと、いわゆる地方交付税法の六条に基づきますところの、二年以上も、三年も赤字がふえていくというようなことであれば、国にいかなる困難がありましょうとも、法律でございますからして、われわれは当然要求をしなければなりません。ところが、それはその法文に照らしましても、いまはその段階にないことは三谷さんもわかっていただけると思うのでございまして、そういう意味で今回の措置が非常によかったというようなことはもちろん申し上げませんけれども、私たちとしては、地方公共団体年度当初において約束した収入は一応確保しておるという意味においては、ひとつ御理解をしていただきたいと思います。  今後の問題については、政府全般施策とにらみ合わせながら、地方自治のため大いにひとつがんばらなければならないと思っております。したがって、私が申し上げておりますことは、来年度においてはやはりいままでの行財政見直しということについて根本的に考え直すべきときである。三十一年に行政のある程度の見直しが行われておりますが、自来、調査会その他でいろいろのことが申し入れられたり決議があったりしておりますけれども、まだこれが全部実現しておるとは言えません。したがって、たとえば政府補助金の問題とかその他の問題等々を今後統合するようなやり方ができるのかどうかということも考えなければなりません。しかし、これも言うべくしてなかなか簡単でないことは、セクショナリズムというものが政府間の問題にございまして、そうしてその意味でなわ張り争いというものがありますからして、これを統合すると言うてもなかなか問題もありますし、それからまた、一つ一つ施策につきましては、それぞれの部分について、議員あるいは県会議員あるいは市町村会議員というものが皆ついておるのであります。ところが、今日の世相はどういうことかと言えば、全体の問題よりは個々権利主張するという風潮が非常に強いときであります。個人の主張を認めるべきである、あるいはまた、一部分の方の主張があった場合にはそれはやはり無視してはいけないのだ、こういうような風潮が非常に強いときであります。ここに私は、いわゆる議会制民主主議一つの大きな難関が横たわってきておると思うのでありまして、議会制民主主義というものが多数決という原則で常に行われておればこの問題はそれほどのことではないのであります。いわゆる住民パワーと称することとか、あるいは若い者の力とか、いろいろの意味で表現はされておるが、個々権利主張して全体の権利との調和というものを忘れた風潮が今日非常に強いということが、行政の問題を処理する場合に非常に大きな問題になっておることも三谷さんはわかっていただけると思うのであります。  私は、以上述べましたような考え方に基づきまして、今日の事態は、世界経済から来る影響等も考慮しながら、国全体を通じ、政治全体を通じて、一応新しい観点に立って見直すべき時代に来ておるのだ。その中において、地方自治をどれだけ推進していけるかということについて熱意を持って対処する必要はあるけれども、今年度さしあたり私たちがやりましたことについては、当初、地方自治体に約束したことを全部実現いたしておるのでございますからして、急にいま根本論の問題と絡み合わせてこの問題の処理をおくらせていただくことは、われわれとしては非常に残念であると考えておるということを申し述べたいと思うのであります。
  5. 三谷秀治

    三谷委員 いま大変懇切丁寧なお答えをいただきましたが、抜本策を提示するのには時期的に問題があるとおっしゃっております。それでは将来展望はどうかといいますと、これも何ら具体的にはお示しになっておりません。ですから、先般来の質疑を承っておりましても、安定成長に転換しました後の地方財政政策をどうするのかということにつきましては何ら具体的な答えがないのであります。いまおっしゃいますように、法律を守るということは大変原則的な問題でありまして、法に基づいて措置をする、法に基づく措置ができないほどの破綻が出た場合には、政府政治責任をとってしかるべき態度を示すべきである。  そこで、この法の問題でありますが、法の問題でいきますと地財法の二条というのがありますが、これは地方財政由主性あるいは自律性あるいは健全な運営というものを保証する国の義務を定めておるのであります。それから、地方交付税法の第六条によりますと、御承知のように、引き続き著しく交付税不足が生じました場合には制度改正あるいは税率改定をするということになっております。これは言うまでもありませんが、憲法第八章の「地方自治本旨に基いて、法律でこれを定める。」という憲法条項と言うべきものになっておるのであります。ですから、国の財政の都合でいかようにでもこれは恣意的にすりかえることができるという性質のものでないことは言うまでもないのであります。  そこで、いま国の財政事情を盛んに説明されました。国の財政事情につきましては、私たち予算案組み替え動議によりまして財源をはっきり示しておるのであります。しかし、これは国全体の予算上の措置でありますから、それをいまここで論議しようと思いませんが、財源は十分にある。その上に立って、この財源を適正に確保する手段がとられていないという問題を抜きにして国の困難な状況説明がありましても、これはなかなか首肯できるものではないのであります。ですから、地方自治本旨として、この原則に基づいて国の予算措置をするのであって、国の事情によってこの原則を曲げるという性質のものでないことはいまさら言うまでもないのであります。  そうしますと、今度の四兆四千億という地財計画における交付税総額が、その二五%にも当たる一兆一千億も不足するという状況が出てきたのであります。これが著しく不足するという条項に該当することは言うまでもないのであります。しかも、これを今後におきまして交付税会計で返済するわけでありますから、引き続き不足をするという内容を形成することも疑う余地がないのであります。十年間に薄めて返還をするから、引き続きという問題が非常にあいまいにされておりますが、仮に、あなた方がおっしゃいますように、三年引き続いた場合に適格条件が満たされるという立場に立ちますならば、二年間で分割してもしも返済しますならば、引き続き交付税不足しておる、著しく不足してきている、こういう条件に明確に適合するのであります。そういう点からしますと、当然、税率改定条件を具備したものである、こういう判断を持ち得るわけでありますが、これにつきましては、そういう糊塗的な、糊塗的というよりもむしろ欺瞞的な処置で引き続き著しく不足しておるんではないというふうな見解を先般からお述べになっている。ここの私たちは修飾といいますか、これは合点がいかぬ点であります。  それからもう一つは、四十一年以後、交付税率改定は全く行われていないのでありますが、しかし、交付税算入費目は著しく増加しておりますことは御承知のとおりであります。たとえば、三十七年に地方公務員共済法公費負担分の〇・四%を交付税会計算入をする、あるいは四十四年におきましては同和債の八〇%というものを交付税算入に加える、あるいは四十六年になりますと公害防止事業債の五〇%、四十六年には過疎債の七〇%、今年度におきましてはコンビナート防災法防災緑地費の五〇%、このようにしまして交付税算入額は年々恣意的にふやされている。ところが交付税率は全くこれは据え置きになっておるのであります。ですから、こういうふうにしまして交付税の基礎になります基準財政需要内面操作によりまして、形式的には不足がない、引き続き著しく不足していない、こういう強弁をなさってきたわけでありますが、この強弁実態と著しく乖離しておるのであります。もともと膨大な超過負担があることは政府自身もお認めになっておりますが、この超過負担を生み出します国庫支出金基準単価というものが交付税の計算の基準単価になっておるわけでありますから、当然国庫補助金超過負担が出ますならば、それに見合った不足額交付税の中に出てきている、これは明らかなことなんです。数字的に出ていないけれども実態としては存在しているわけなんです。それでも税率改定を行わない。これは、明らかに地財法交付税に反する処置だと私は考えておりますが、この点の所見をお尋ねしたい。
  6. 松浦功

    松浦(功)政府委員 「引き続き」の観念でございますが、先般の予算委員会でもお答えを申し上げましたように、当委員会でも確認がされております。二年間不足をし、三年目も不足をする見通しである状況が「引き続き」である。これが公定的な解釈になっておるということは御承知のとおりでございます。したがって、大臣が先ほどもお話しを申し上げておりましたが、二年引き続いて不足を生じ、三年目にも不足を生ずる見込みであれば、三年目に交付税率の引き上げなり、制度改正なりということは当然六条の規定にのっとって法律的な義務になってくるだろうということを申し上げておるわけでございます。  しかも、この問題について一つ理解をいただきたいことは、交付税がなるほど一兆一千、今度は借り入れ措置をいたしております。しかし、配られた交付税は三二%に基づいて配られた交付税であるか、借り入れで配られた交付税であるかということは、地方団体には全く関係がないわけでございます。現実にこの金は交付税として使えるわけでございます。そういう意味では、地方公共団体の当初に予定した交付税に対して変動を来すような施策にはなっておらないということを御理解をいただきたい。  と同時に、もう一つ敷衍さしていただきますならば、なるほど交付税借り入れで行いました。五十三年から八年間で償還をいたします。それから、減税については地方債で認めました。それも償還が出てまいるでしょう。しかしこれらの返済や償還というものは、大臣が何回もお答え申し上げておりますように、将来の問題としても、地方財政計画の策定を通じて、起債の償還額は歳出に立て、交付税償還額は歳入から当然減をするわけでございますから、そこに不足が起きるような事態にならないように何らかの対策を、必ず歳入歳出のバランスをとるという形で政府としては措置をしていく責任があり、また自治省としてはそうしていくつもりでございます。その形が繰り返される限りにおいては、地方団体はことし減税補てんを地方債処置をされた、その償還が出てきてもそれは財政計画において将来の償還額は歳出に立てますから、それに見合う税収入が交付税であるか、何らかの財源を確保しなければならないという意味責任政府が負った、こういうふうに御理解をいただきますと、具体的に今回の措置借金であった、地方債であったということをあながちお責めをいただくことは、若干私どもとしては立つ瀬がない、こういう気がいたすわけでございます。地方団体は、現実には地方債が認められ、借り入れであろうと交付税を配付を受ければ何ら変わりはないわけでございますが、その辺のところは長い目で御理解をいただきたい。  特に大臣がおっしゃっておられる二年引き続いての三年目という問題でございますが、この問題は、いずれにいたしましてもいまの情勢であれば、来年もことしと同じような、あるいはどういう形になるか私どもも要求もまだきちんと考えておりませんけれども、借金になるだろうということは、おおよその推測がつくところでございます。そうなりますと、国、地方を通ずる公経済自体が二年引き続いて借金財政を行うということになると、これは将来にとって大変な問題でございます。恐らく来年一年かかって、五十二年度に一体国、地方を通ずる財政をどうするかということは基本的な問題として手をつけざるを得まい。その際に、国と地方との財源の配分をきちっとしていきたいということが、大臣の御説明の中に、言外にあふれておるというふうに私は受け取っておるわけでございます。この点はひとつそういうことで御了承をいただきたい。  それから、もう一方の角度から先生から御指摘がございました交付税率は三二%から全然上がっていないじゃないか。全くお説のとおりでございます。その間にいろいろと新規財政需要が出てきたし、交付税算入の項目もふえてきておる、率を上げないでそんなことをしたらおかしいじゃないかとおっしゃいますが、実は率は同じでも、交付税の額は著しく伸びておるわけです。しかも経済の好調に支えられて税収入も伸びておるということは先生御承知のとおりでございます。地方税収入の都道府県分の八〇%、市町村分の七五%、それに交付税額を足したものが需要の額になってくるわけでございます。技術的な問題でございます。そういう意味では、これらのものを十分のみ込めるだけの伸びがあったから、こういうふうに税率を上げないでもやってこれた、こういうふうに御理解をいただきたい。たまたま経済の激変によって経済の伸びが非常にとまった。そのために、たまったものが一度にばっと出てきた、こういう感じでおるわけでございます。将来の問題としては、それらの全体のものを考えながら、交付税の需要というものはやはり現実にある程度即した形で修正をしていくということについて、私どもは一言も先生に反論をいたすものではございません。  三番目の超過負担の問題でございますが、この点はなるほど補助単価で基準財政需要額の中に私どもも入れております。したがって、はみ出した部分、直してない部分の裏負担、これが交付税に入っていないじゃないかというお説でございますが、この点については私どもも率直にそういう形の不都合さ、こういうものを認めます。したがってこれまでも地方超過負担の解消については最大の努力をしてきておりますし、ことしも九月に入って実態調査をやっておりますが、明年度以降も引き続き超過負担の解消には努力をする、こういう方向でいることを御了承いただきたいと思います。
  7. 三谷秀治

    三谷委員 いま局長のお答えをいただきましたが、交付税が、率は変わっていないけれども額が伸びておるとおっしゃっておりますが、そのことは同時に需要も伸びておるわけなんです。この額が伸びてきたということは、いまの経済社会情勢の反映でありますから、それだけのものはまた需要も伸びておる。人件費一つとりましても著しく増大してきておる。物件費にしましても比較にならないほど膨張を示しておる。そういうわけでありますから、率はとめておっても額が伸びているのだから文句はないのだというふうなお考えでありますならば、これは大変な間違いであって、従来、地方行政委員会の附帯決議を見ましても、交付税率の引き上げという問題は各党一致で毎回附帯決議として示しておる点であります。そのことはそういう状況の反映であって、あなたがおっしゃいますように、率がとまっておっても額は伸びておるという説明でその事態説明できるものではないのであります。そして、二年間不足をして、三年目に不足した場合にこれを処置をするんだとおっしゃいましたが、たとえば、いま一兆一千億の不足であります。地財計画から見て一兆一千億の不足でありますが、これが地方自治体の実際予算から見ますと、三兆に近い欠陥が出ております。地財計画を基礎にして考えましても一兆一千億、これをもしも三年間に分割しますならば、年間にしまして約四千億円の不足が出ておるわけであります。そうしますと、今日の地財計画上の交付税の見込みというものが四兆四千億でありますから、一〇%三年間という基準というものが完全に具備されてくる。もっとも数字はまだ少し足りませんが、その分はさっきおっしゃいましたように、あの超過負担と同じ状態で出てきておる交付税不足というものを算入しますならば、一〇%三年間というあなた方の基準、これは完全に条件を具備するものである。これは当然税率改正を行う条件があるのだというのが私の見解でございます。
  8. 松浦功

    松浦(功)政府委員 どうも、残念ながら、私、三谷先生の御意見とは全然意見を異にいたします。少なくとも地方交付税法六条の問題は「引き続き」という言葉の解釈として、議会の中でも、引き続いて二年不足をし、三年目の不足見通しがある場合であるということを言う以上は、いまの段階で六条に該当しておるということは政府としては考えておりません。  最初の、交付税の額がふえたからいいのだということはおかしいとおっしゃるのでございますが、これは全体の問題として、御承知のように交付税の需要というものの額を立て得るのは、技術的に、先ほど申し上げましたように税収入と交付税、これの伸びが絡んでくるわけでございます。その中に先生がおっしゃられる人件費の増でございますとか、社会福祉費の増でございますとかいうものが全部のみ込める形であったら、一向に差し支えないのであって、その議論はおかしいとおっしゃられる先生の議論の方が、私には納得できないわけでございます。
  9. 三谷秀治

    三谷委員 税収入の伸びと交付税の伸びで、人件費その他の膨張をのみ込めれば問題はないとおっしゃっているわけなんですが、しかし正式に言いますと、政府の方は地財計画の範囲内の税収しか計算をしていない。今度の場合でも、地財計画の枠内だけで処理されているわけなんでしょう。従来伸びがありましたから、その伸びがあったからこそこれで超過負担を埋めていく、あるいは人件費を賄ってきたわけです。それは確かにおっしゃるとおり。しかし、交付税計算からいきますと、もしもあなた方がいま処置されましたように、地財計画の範囲の中だけで問題を見ていきますならば、交付税は完全に不足しておるわけなんです。それを税の伸びによりまして、地方財政計画外の収入によって処置してきた、こういう関係になっておるのであります。  そこで、いま意見を異にするとおっしゃいましたけれども、私の申し上げましたのは、一兆一千億というものを三年間で返すとなりますと、年四千億なんですね。一〇%程度になってくるわけです。それに交付税不足額が出てくる。超過負担が出れば必ず不足額が出てくる。同じ基準単価を使っていって、一方で超過負担が出れば交付税不足が一方に出てくる、当然のことなんです。そういうものを加えますと一〇%になっている。しかも、これは一兆一千億を三年間で返済するとしますと年間四千億ですから、三年間引き続いてという状態を完全に具備するわけなんです。形式の問題じゃないんですよ、実態の問題なのです。  そうして、もう一つおっしゃいましたのは、地方財政計画によりまして今度の借り入れの返済計画なども処置するとおっしゃいましたが、要するに、三年目になって交付税収入を小さく圧縮すれば不足という状態にならぬわけなんですよ。地財計画を圧縮することによりましてそういう形式的な不足の状態というものをいつでも操作ができる、そういう内容になっている。そこが問題なわけであって、私どもはそういうことによりまして、三年目になって交付税不足しそうになってくれば、地財計画上の交付税を圧縮してしまうんだ、そうしますと、交付税計算の上からは不足は出てこない、しかし行政水準というのは著しく低下する、その行政水準は問題にされないわけなんでしょう。そういうやり方はいけませんということを申し上げているわけなんです。大臣、どうですか。
  10. 松浦功

    松浦(功)政府委員 私はそういうことを一言も申し上げておりません。地方財政計画の策定を通じて、地方公共団体の運営に支障のないように政府責任を持つ、こう申し上げておるのです。地方財政計画を策定するのに、皆様方に七条の経費という形で国会に御審議をいただくように提出するのでございますから、ことしの地方財政計画を基盤に考えていただいても、来年の財政計画の規模を減らしてしまうなんということはできるわけがないのでございます。  一つのやり方がございます。先生に御納得いただけるような形で歳出を積み上げて、それに対する財源の裏打ちはこうであるということをお示しするものが地方財政計画であると私どもは考えておるのです。ですから、先生がおっしゃられるようなことを私どもは考えたこともございませんので、ちょっとお答えに困るということでございます。
  11. 三谷秀治

    三谷委員 考える、考えないは別として、実際の処置がそうなってくるのであって、財政が消長がありますから、これはやむを得ませんというふうなのがいつでもそこで出てくる根拠になっているわけなんです。  この問題は後でまた少しやります。話を進めますが、予算処置として見ます場合に、歳出純計の七割というのが地方が扱う、三割が国なんですね。ですから、厳密に言いますと、たとえば四十七年度決算で見ますと、最終支出は国が三一・六%、地方が六八・四%になっております。大体七、三の比率になっているわけでしょう。ところが税収の方は、国税が七、地方税が三と、まるきり逆比例になっているわけなんですね。つまり支出と収入が全く逆の比例になってきておる。ですから、本来地方団体に帰属すべき税源の一部を国税として徴収をして、これを地方交付税地方譲与税、国庫負担金、国庫補助金として地方団体に還元されておるわけなんです。その還元分の中で地方交付税交付金をふやしなさいと言っているのです。本来言いますと、これは財源問題とは別の問題なんです。予算の構成上の問題なんですよ。  そうしますと、なぜ私たち交付税率の引き上げを言うかといいますと、自主財源だからこれを要求しているわけなんです。そういう点からしますと、国の財政というものを理由にして交付税率の引き上げができないという論拠は全くないのであって、自主財源をふやすという観点に立ちますならば、交付税率をうんと引き上げていく、そのかわり、ほかの還元費目が減ってくるのは当然のことでありましょう。それはそれとして国が解決する。国が指定をした事業であり、国の委任事務でありますから、それはそれとして国が責任を持って解決するのであって、いま重要なことは地方自治体の自主財源としての交付税率を上げるという問題になっておるのであります。ですから、財源問題で交付税を抑制するという根拠は全くないのであります。これが地方財政法の二条に言われております地方自治の自主性、自律性を守る法律条項を適正に執行するゆえんである、こういう考え方を持っておるのであります。この点につきましてはどうでしょう。
  12. 松浦功

    松浦(功)政府委員 いままでは先生の御意見と私どもの考え方は合わなかったのですが、ただいまの考え方は、私は一つのりっぱな考え方だと思うのでございます。交付税率を引き上げる、そのかわり国庫補助金を大幅に切る、それでバランスを合わせるという形で地方の自主財源を高めるということは、一つのりっぱな考え方であろうと思います。私どもも原則的にそういう考え方には賛成できると思っております。  ただ、現実の問題として、日本のこの狭い国土の中である程度国としての行政の水準を均衡的に保つという立場から、いろいろ国庫補助制度というものがあるわけでございまして、それとの関連をどうさばくかということが、現実の解決策としてはなかなかむずかしい問題があろうかと思います。国庫補助制度の基本に関する問題でございますので、われわれといたしましても十分また勉強もさせていただきたいと思いますが、その際にはできるだけ補助金というようなものを減らして、一般財源交付税あるいは税源の移譲というような形にするという御趣旨には、私どもはいささかも反対はございません。
  13. 三谷秀治

    三谷委員 まあ、上げたり下げたりされておりますがね、この問題については大蔵省はどういう見解なんでしょう。
  14. 藤井裕久

    藤井(裕)説明員 まず国と地方財源の配分の問題でございますが、いま御指摘のように、税収に対して国が七割、実際の負担は、負担と申しますか支出は、地方が七割になっております。これはそのとおりでございますが、それを結局交付税等のシステムを通じて配分しておるわけでございます。一つの考えとして、確かに地方の自主財源を強化していくという考え方もあろうかと思いますが、やはり全地方団体に一定の行政水準を確保するという見地からいきますと、こういう地方交付税という形を通じた配分ということが望ましいと思っております。したがいまして、いまのこの税源の配分が一応安定して運用されてきたんじゃないかというふうに考えております。  その場合に交付税率でございますが、この地方交付税法上の解釈につきましては、先ほどからいろいろ自治省からお話もあったとおり、私どもも全く同様に解釈いたしております。国もいま非常に財源難でございまして、このままで放置できないことでございますので、国としても、財政のあり方とか税制のあり方というものを検討していかなければならないわけでございますが、この六条の三につきましても、そういう国の税財政制度、もちろんあわせまして地方の税財政制度を検討することは当然でございまして、その場合に一つのアイテムとして交付税率の問題というものも入ってくると思います。  それから、もう一つ国庫補助金の整理の問題でございますが、これは松浦財政局長が先ほどおっしゃいましたように、この国庫補助金を一定の方針に従って整理をしていく、そしてなるたけ地方の自主的な運営が図れるようにしていきたいという、気持ちの上ではわれわれも全く同じでございますが、いろいろ過去の経緯とかございまして、必ずしも所期の効果を上げていないわけでございますが、本年度予算編成に当たりましても、国庫補助金の整理というものについては重点的に取り上げてまいりたいというふうに考えて、いま予算編成に当たっております。
  15. 三谷秀治

    三谷委員 大蔵省は、交付税率の引き上げによりまして地方自治体の自主性、自律性を高める、損なわないということに対して、具体的な方針をお持ちになっておるわけですか。
  16. 藤井裕久

    藤井(裕)説明員 交付税率の引き上げという問題に限って申しますと、先ほどから御議論のありましたとおり六条の三の解釈の問題だろうと思います。したがいまして、この条件に合致するかどうかというようなことでこの問題は検討することと考えております。
  17. 三谷秀治

    三谷委員 それで大蔵省としては、いまどういう見解をお持ちになっているんです、いまの現状に対して。たとえば、いま膨大な歳入欠陥に対処しますために、各地方自治体は、超過課税あるいは法定外普通税の創設、それによります歳入増、それから物件費の節減、財産の処分、人件費の削減、福祉事業の廃止など、さまざまな方法でこの危機を乗り切ろうとしておることは御承知のとおりであります。こういう個々の対応策の中には、明確に行政水準の低下ということが示されておる問題もありますが、とにかくいろいろなことをやろうとしておる。しかし、それだけではどうにもできないところに状況が急迫してきておる。これに対して地方財政制度改正が必要になってきておる。その改正一つの部分が交付税の問題でありますが、これについては何らいまのところ方針をお持ちになっていないのか。
  18. 藤井裕久

    藤井(裕)説明員 五十年度のこの異常な事態につきましては、先ほどからお話がございましたように、当初の地方財政計画の水準を確保するということで、これは借入金それから運用部借り入れを中心にいたしまして、当初の地方財政計画を確保したわけでございます。私どもは国としての補てん措置としては、当初の地方財政計画を確保することが一つの限界だというふうに考えております。
  19. 三谷秀治

    三谷委員 これは私は政府一体という観点からしますと、大蔵とか自治とかいって話をしてもらうこと自体がおかしいことでありますが、しかし実際としては、大蔵省と自治省の間にかなりな意見の対立が出てきておる。そういう点がありますから、いまお尋ねしましたが、その問題はあとで少し具体的に大蔵省にお尋ねしたいと思っております。  そこで、先ほどから大臣お答えになりましたけれども、将来の問題につきまして何ら展望をお示しになっていないという点を指摘したのでありますが、しかしそのことなしにこの特例法は審議ができるものじゃないのであります。将来における膨大な償還財源というものにつきまして、見通しもあるいは展望もないという状況の中で、この特例法の審議はできるものではないのであります。  そこで、この特例法の中に示されております償還計画でありますけれども、昭和五十三年以後の償還計画が提示されております。これ全くの架空のプランなんでしょう。社会経済情勢の見通しの上に償還計画が立てられたものでありますならば、経済見通しとの関係税収交付税見通しがどのようなものか、お示しを願いたい。
  20. 松浦功

    松浦(功)政府委員 金を借ります場合には、いつ返すかということがなければ貸してくれません。そこで五十年に預金部から金を借りるについて、五十一年、五十二年はいろいろこれからの公経済全体の問題について検討すべき問題を含んだむずかしいときであるから、償還という問題はひとつたな上げしようじゃないかということで、五十三年から償還をする、こういうことにいたしたのであります。この償還の額についてはテールヘビーと申しますか、だんだん経済成長していきますから、おしまいになるほど償還額が多くなるように、初め少なく後でたくさんと、テールヘビーという言い方をしておりますが、そういう償還方式を考えて特例法の中にうたってございます。  この償還について将来の見通しかなければ保証は持てないじゃないかというお話でございますが、正直申し上げて本年度の国税収入の見通しにすら、あれだけ大蔵省が難儀をしたわけでございます。明年度税収入がどうなるかということについては、いま非常に頭を悩ましておられるのだろうと思うのでございます。そういう状況のもとで直ちに具体的な策を示すということは私どもはできないし、またそんなことを申し上げても必ず見当が違ってしまって、また後でおしかりを受けたり御迷惑をかけたりすることになりはしないか、こういう気持ちでおるわけです。それでは何の保証があるんだというお尋ねになろうかと思いますが、そこで、先ほどお答え申し上げましたように、五十三年度に仮に八百億返すということが決まっておれば、それだけはその年度制度上から出てくる交付税から減額されるわけです。その減額された結果が、必要な歳出に見合う歳入不足という結果に影響が出てくるならば、その部分は何かで埋める、地方団体には御迷惑はかけません、こう申し上げておるわけです。私はこれほど確かな担保はないと思う。その点を御理解をいただけたら幸せだと思っております。  繰り返して申し上げますけれども、地方財政計画というものを、いままでのやり方で借りた地方債についての償還額は必ず歳出に計上いたします、交付税で返さなければならないものは歳入から減らします、そういう形にして、あいた穴は、どういう手段であれ、地方公共団体財政運営に支障がこないように政府としてきちんとした形でバランスをとることにいたしますので御了解をいただきたい、こういうことを申し上げておるわけでございますので、御理解を賜りたい。
  21. 三谷秀治

    三谷委員 これは、先般来の質疑の中で、自治省の説明がしばしばそういう形の説明になっているんですね。要するに、精神主義的な、自治省に任せておけ、迷惑はかけないんだという性質のものです。ところが、議会という場所はそういう場所ではないのであって、どういう見通しやどういう判断に立ってどのような処置をとっていくのかという具体的な問題を論議する場所であって、自治省にお任せします、万事よろしくやってくださいという場所ではないことは言うまでもないのであります。その点からしますと、具体策が一つも示されないままで、心配はない、迷惑はかけない、こうおっしゃっている。  そこで考えられる問題としましては、あなたの御答弁の中にそういう悪意があるかどうかは別として、要するに償還見通しが立たないわけなんでしょう。いまあなたは、いつ返すかということがなければ貸してくれないとおっしゃっている。同時に、借りる方は、いつどのような収入で返すかという計算がなければ借りることもできないわけなんでしょう。あなたは借りる場合のことだけをおっしゃっておりますが、返すときのことについては全然計算ができていない。一寸先はやみだ、こういう態度なんですね。そこのところをひとつ明らかにしてもらいたいということを私は繰り返して言っておるのであります。それが明らかになりませんと、償還分だけ地方財政計画を圧縮するということもできるわけなんですよ。そういうことが起きてきますならば、これは地方自治体にとっては大変なことでありますから、そういう財源の圧縮というものがなされて、そこで償還財源をつくり出すというふうなことがないとおっしゃっても、ない保証が一つもないわけなんです。そこのところをここで明らかにしてもらう必要があるというのがこの問題の一番の根本だと私は思っておる。
  22. 松浦功

    松浦(功)政府委員 財政計画で償還額が出てくるからその分だけ財政規模を圧縮する、そんなことは考えられることでございません。先生もそのことはよく御承知のはずでございます。七条の経費に絡んで国会に御提出を申し上げるものに、先生方にお許しをいただけないような理屈の通らないものを私どもは出すというつもりはございません。ですから、いままでのルールに従って納得をいただけるような歳出を組んで、それに対する歳入の手当てをする、だけれども、その方法についてはそのときそのときによって事情が違うんだから、それまで私どもにどういうことをするかということをここで言わせないでも、後は大臣にお任せをいただけないかと、こう申し上げているので、私の申し上げていることには余り無理があるとは思っておらないのであります。
  23. 三谷秀治

    三谷委員 そこの、大臣にお任せ願えないかという考え方が問題だと言っているのです。これは与党もおれば野党もおるわけなんですから、ですから、これは大臣にすべて一任をするものであって、後の見込みは私たちも立ちませんがまあ好きなようにやってくださいというわけにはいかぬのですよ。  そこで、この償還というものは、単に交付税会計から借り入れ償還だけでなしに、五十三年になりますと、たとえば減収補てん債の一兆一千億分も政府債が二年据え置きの八年償還になっておる。縁故債は大体三年据え置きの七年償還でありますから、五十三、四年度になりますと集中的に償還財源が必要になってくる。これは膨大なものです、二兆二千億円でありますから、まあ一遍に返すわけではありませんが返還が始まるわけであります。そうしますと、五十三年度におきましてそれだけの集中的な負債の償還財源というものが出てくる条件が一体あるんだろうか。自民党がおっしゃるような低成長政策に転換されたわけでありますから、その中で一体こういう税収が出るのか。同時に、この交付税収が減少することは地方税収の減少も意味するわけでありますから、全般として財政がいよいよ困難になってくることは明らかでありますが、この条件の中でいま立ち得る判断としてどのように処置されようとするのか、そこが私どもわからぬというわけです。それをひとつ教えてくださいと言っているのです。
  24. 福田一

    福田(一)国務大臣 三谷さんの御心配の趣はよくわかります。しかし、一体借金をするというときに、するかしないか、それを認めるかどうかというときに、たとえば個人の場合でも、いま借金をしたい、三年後からお返しします、お返しする見込みはどこにあるんだ、こういうようなときに、その場合はひとつ主人だけ働いてはいかぬから女房も働いて返しますとか、いろいろなことはあるでしょう。しかし、そう言ったってそれは働けるかどうかわからぬじゃないか。要は、そこに信用の問題というものが出てくるわけですね。信用の問題ということになれば、国が破産してしまうということになるわけです、われわれが言うていることをそんなものはもう認められないのだということになれば。これは国というものをどの程度に信頼するかどうかというところに私は帰着すると思うのでございまして、そのことについては、それは政府と野党との間には意見の相違が出てくるかもしれませんけれども、それを認めないで政治というものはやっていけないと思うのです。  たとえば、私たちが海外の発展途上国に金を貸す、これは返してもらう予定である、こう言っても、果たして完全に返るかどうか、どういう見通しをつけて貸しておるのかということになったらもう貸すということはできないわけですね。私は、こういう問題は、政治経済の問題から考えてみると、そこには見通しとして、やはり信用するかしないかという問題が出てくるんだと思う。信用しないということだったら一銭一厘でも、たとえば来年返す分だって、そういうことを言えばそんなものは返せないかもしれない。どんな事態が起きて日本がどうなるかわからない。そういうことは私は考えられないと思うのでありまして、やはり国がこれだけの約束をしてやる、また国の一部であるところの地方を、私たち自治省が必ずそれについてはちゃんとめんどうを見るということを信頼するかしないかということは、結局においては国民の判断に任せるより仕方がない。その国民の判断ということになれば、そういうことについてどう処置するか、これはそんな極端なことまで言うてはあれですけれども、それならばひとつ国民に聞いてみるより仕方がないじゃないかという問題も起きるでしょう。しかし、その場合においても、私たちとしてみれば、やはり国会の承認を得て、そうしてこれは多数決でもって決めていく、こういう原則をとっていくのが民主主義なんです。その民主主義をやって、そうして民主主義のルールに従って、いろいろの意見の相違がありましょう、考え方の相違もあるだろうが、それを国民に問う。それじゃ一々少しでも意見が違ったら何でも国民に問うか、そんなわけにはいきません。そこである一定の時期が来れば解散という問題も出てくるかもしれません。そうして、いままでしたいろいろの施策のうちでどれが間違っておったか、どれがどうしたかということを、これを国民に聞いて初めて物事が決まっていくわけでありまして、そういうことをいま一々ここでもって、一つのことがあったからといって、それでわれわれは解散するという意思はございません。これは野党は反対されるなら反対されたらいい。その問題が間違っておったら国民が判断されればいい。将来国民がその時に判断されればいい。一々の施策の問題で、何があったからすぐに解散で意見を問うなんて、そんなわけにはいきません。しかしそこがいわゆる民主主義政治というもののいいところなんです。これが独裁政治なら事は簡単ですよ。独裁政治じゃないところに、こういうふうに言ってお互いに話し合いをしておるということが、これがいわゆる民主主義のルールにかなったものであると私は思う。話し合いもしないなんというようなことがときどき行われますが、これはまことに遺憾だと思っております。(三谷委員委員長委員長」と呼ぶ)とにかく、いやいや、待ってください。私の発言しておることに……(三谷委員「時間ばかりとってしようがない。そんなことは聞いてない。そんなことは答弁を求めてない」と呼ぶ)ちょっと待ちなさい。そういうことを言っておるのじゃない。(三谷委員「聞いてないことを言う必要はない。委員長委員長」と呼ぶ)
  25. 大西正男

    大西委員長 静粛に願います。
  26. 福田一

    福田(一)国務大臣 だから、私の言うことは……(三谷委員「時間が迫っておるんだから、必要ないことを答弁する必要はないんだ」と呼び、その他発言する者あり)お待ちなさいよ。そういうようなことを議会が——ここであなたのおっしゃる意味は、信用ができないということなんですよ。信用ができないということであるからして、いかぬのだ、こうおっしゃっても、やはりわれわれは責任を持って政治をやっておるのですから、それは将来において必ずそういう方針で御迷惑をかけないようにします、こういうことを政府委員が答弁し、私も答弁しておるということを理解していただきたい。
  27. 三谷秀治

    三谷委員 いまあなたは大変重大な発言をなさいましたな。要するに、この償還財源の問題は信用の問題なんだ、信用するかしないかの問題だ、だから要するに、議会の審議というものが信用によってすりかえられてしまっている。私どもは信用するとかしないとかいう前提で物を言っておるのではない。具体的にそういう方針を、あるいは方策をお尋ねしているんです。それに答えないで、それは信用の問題である、信用するかしないかということであれば国会の解散だ、国民に聞くんだ——私どもは国民を代表して質問している、審議をしている。そこで具体的な方針、方策をお尋ねしているんです。それには答えないで、そういう質問をすることは政府を信用しないことである、政府を信用するかしないかは国民に聞くべきだ。何も私お尋ねもしない解散問題までお出しになっておる。そんなことは一つも言うておりゃしません。ここは、国会という場所、要するに、十分な論議を尽くして議案を審議する場所でありますから、そういう観点に立って償還財源の問題をお尋ねしているんです。それを、繰り返して質問すると、信用しないことだ、こうおっしゃっている。議論をするなということなんですか。そういう考え方でありますとこれは重大な問題であります。(福田(一)国務大臣「そういう意味じゃありません」と呼ぶ)どういうことですか。
  28. 松浦功

    松浦(功)政府委員 五十二年から政府資金償還が始まり、五十三年から縁故債償還が始まる、これはそういう形になっております。その償還額は、先ほど来繰り返して申し上げておりますように、財政計画を策定の上において歳出にきちんと立てます。それに見合う財源は必ず政府として確保すると言っておるわけです。ただその確保する方策なるものが、いまのような経済情勢のもとで、国の税制その他の関連が決まっておらないところで、私どもは当てずっぽうなことは申し上げかねる。どういう方策で取るかはいろいろの考え方があると思いますが、先生いろいろの方法について御承知のはずでございます。たとえば先生の御指摘になっておられる交付税率の引き上げということを五十二年度でやって、それにバランスをとるというのも一つの方法でしょう。あるいは国庫補助率を引き上げるという形によって埋めるということも一つの方法でしょう。あるいは国税から地方税に税源を移譲していただくというかっこうでバランスをとるということも一つの方法だと思う。だけれども、それについては現在の状況では経済情勢がどう推移するかわからない、国の全体の経済政策の態度も決まってないという段階で、地方財政のためだけの具体策を国会で答弁しろと言われても、私にはできないので御容赦をいただきたい。何らかの形で必ず必要な歳出に対する見合い歳入は確保する、それは政府責任だと申し上げておるわけでございます。その辺でお許しをいただいて当然のことでなかろうかと私は思うのでございます。
  29. 三谷秀治

    三谷委員 大臣に聞いたら局長が答えているが、私は、さっきの発言は非常に重大な発言だと思っているのですよ。私は、信用の問題じゃない、これは要するに物理的な財源問題を言っているわけであって……(「信じろなんていう答弁はだめだ」と呼ぶ者あり)
  30. 福田一

    福田(一)国務大臣 いやいや、そうじゃないんです。政府答弁の意味理解をしていただきたいという意味で私は申し上げたわけなんです。その政府答弁の理由は信用できない、それでは、もう認められない、信用できないということである。それでは、信用できないということで議論をしていったんでは、これはしようがないから——あなたが、そんなものは認められないということは、信用しないという意味じゃないんですか。そんなことでは自分は納得しないということは、そういう政府の答弁では信用しない、こういう意味じゃないんですか。だから、それは政府委員が述べたように、いろいろの事情があって、それをいまここで言うこともできないし、大蔵省との関係もあり、これからの予算編成の問題もあり、いろんなことがあってそれはできませんが、しかし、われわれとしてはこういう方向でもって地方負担をかけないようにというか、地方行政ができないような方法はとらないようにいたしますという施策をいま政府委員がるると述べておるわけであります。ところが、そんなことでは、そういうようなものでは具体的になってないじゃないか、わからないじゃないかということであるから、そこはひとつ御信用を願いたい、こういう意味で私は信用という言葉を使っておるわけであります。そうなると、これは信用するかしないかというのは意見の対立になるんじゃありませんか、そこのところは意見の対立になるんじゃありませんか、こういうことを申し述べたわけであります。
  31. 三谷秀治

    三谷委員 政府答弁を信用するともしないとも私は言っていないのです。私が言っているのは、償還財源の具体的な方策はありますか、こういうことを聞いたんです。それで先ほどからいろいろおっしゃっているいわゆる世間話のようなものを持ってきて、金を借るときにどうだとか、返すと言うても返せぬ場合もあるとか、そんなあほうなことをここで言ってもらっちゃ困るんですよ。それは計画を立てましても実行できないことはあるでしょうけれども、償還計画は必要になってくるわけであって、そこで局長の答弁によりますと、地財計画処置するとおっしゃっているのですが、地財計画処置するんだったら何で処置するのかということを聞いた。いまさっき幾つかの例をお挙げになった。ですから、その中でどれを一体自治省としてはお考えになっておるのかということなんです。それで、この問題につきましては、しばしばあいまいなことばかりおっしゃっているのです。そのあいまいなことで納得できないのは、これはあたりまえのことなんだ。  そこで、私は一つ大蔵省にお尋ねしますが、五十二年度におきまして付加価値税を創設する意思があるかないか、これを聞きたい。
  32. 大竹宏繁

    ○大竹説明員 実は私、直接税を担当しておる者でございますので、間接税の付加価値税の問題につきましては、直接担当している立場にないわけでございますが、現在のところ、政府といたしまして将来の税制をどう考えるかという問題につきましては、一つは、明年度におきまして、いわゆる租税特別措置と言われるもろもろの措置につきまして、全般的な見直しを行うということを検討しておるわけでございます。さらに、将来の問題としてどのような税制を考えるかという問題につきましては、現在税制調査会にもお諮りいたしまして検討を進めてまいりたい、そのように考えています。
  33. 三谷秀治

    三谷委員 付加価値税あるいは福祉税の、同じものですけれども、創設ということが新聞などでも伝えられておりますけれども、これについては大蔵省としてはどういう所見でございますか。これをお尋ねしておきます。
  34. 大竹宏繁

    ○大竹説明員 新聞等では、いろいろ新しい福祉税といったようなものにつきましての構想があるようにあるいは記事が出ておると承ったわけでございますけれども、実はまだ具体的な税制につきまして検討の段階でございまして、福祉税といったような具体的な税の制度というものを設けるということで検討しておるという段階ではないわけでございます。
  35. 三谷秀治

    三谷委員 四十九年度の国民消費支出が約七十兆円と言われておりますが、その一〇%の付加価値税を創設をすると約七兆円の税源になるという新聞記事なども出ておりますが、そういう具体の問題につきましては、大蔵省としてはまだ固まっていないわけなんですか。
  36. 大竹宏繁

    ○大竹説明員 繰り返しで申しわけございませんが、先ほどお答え申し上げましたように、まだ一般的な新しい税につきまして何らかの具体的な構想を持っておる、あるいはそれを検討しておるということはございません。
  37. 三谷秀治

    三谷委員 付加価値税の創設という問題についてはかなり固まったということを私どもは聞いております。  そこで、この問題をここでお尋ねしておりますのは、この付加価値税という露骨な大衆収奪なんですが、この大衆課税体制の中で、今後の地方財政対策というものを組み込んで考えていく、そういう構想があって、そういう点からなかなか自治省、まあ自治省というのはおかしいが、政府地方財政対策につきましての的確な方針が出しがたい、そのように私は推定しておりますが、この点はどうでしょうか。
  38. 福田一

    福田(一)国務大臣 ただいまの三谷さんのお話でございますが、われわれはそういうことは全然考えておりません。ただいまの段階でそういうことは考えておりません。
  39. 三谷秀治

    三谷委員 そうしますと、付加価値税と地方財源の強化という問題は全くお考えになっていないということですか。
  40. 福田一

    福田(一)国務大臣 付加価値税をやるかやらないかということは、もっと大きな立場で考えなければいけない問題だと思うのであります。税制全般の問題であります。でありますから、それはいま政府としては考えておらないということを申し上げたわけでございます。しかし将来、万一そういうことが起きたときにわれわれは黙っていていいかどうかということとは別問題でございますけれども、いまは全然そういうことは考えておらない、こういうことであります。
  41. 三谷秀治

    三谷委員 いまお尋ねしました点が特例法一つ問題点だと私は考えておりますが、もう一つの問題でありますけれども、もう一つの問題というのは、財源処置地方財政計画の範囲に限定されておるという問題だと思います。これは、自治省の元事務次官をされておりました方で岡山県の知事をなさっております方がおりますが、先般、地行の委員派遣でお会いしましていろいろ御意見を拝聴してきましたが、長野岡山県知事でも、地財計画の範囲の処置では地方団体処理はできないと述べていらっしゃる。自治大慶の見解はどうでしょう。
  42. 松浦功

    松浦(功)政府委員 財政計画というものを通じて、地方公共団体に標準的な行政のあり方を示し、同時に、その標準的な行政を行うに必要な経費を政府としては保障するという形をとっておるわけでございます。したがって、先ほども大臣からお答えを申し上げましたように、交付税不足した部分については全部補てんをし、さらに新規に生じた需要については積み増しをする、税の落ち込みについては財政計画上からの落ち込みは全部補てんをするという形で地方債増発ということを決めたわけでございます。その上に超えた歳出、私ども決算と計画との乖離という事情からその事情はよくわかります。わかりますけれども、仮に先生の御主張財政計画の上に反映するとすればどういう歳出を積んでいくのか、こういう技術的な問題をも含めて、やはり基本的に地方財政計画の性格を損なうことになるという気持ちでございますので、いわゆる自然増収に見合っておった計画外の歳出、こういうものは自然増収がなくなると苦しくなることは私どもよく事情がわかります。わかりますけれども、それについては、今後低成長で今後も自然増収がないという前提であれば、極力地方公共団体に御努力を願って地方団体の力で歳出の見直しを行う、歳入の見直しを行うという形でやりくりをしていただきたいものだというのが自治省の考え方でございます。
  43. 三谷秀治

    三谷委員 地方自治体の決算と地方財政計画の乖離というものは、基準財政需要額の算定が実態と遊離している、ここに大きな要因を持っております。  たとえば、私は大阪でありますから大阪府の例で言いますと、四十九年度決算ですが、この乖離が河川費で百三十五億、高等学校費で百六十八億、公害対策費で百七十三億、その他、総計しまして千二百九十億円の乖離が出てきている。これは基準財政需要額算定の対象や単価や補正係数が実態に合っていないからです。基準財政需要額の算定を実態に即したものにしなければ、地方財政計画の計数では地方自治体の運営はできない。これは一般的な現象なんです。それではなぜ大阪でこういう乖離が出たかといいますと、ぜいたくな河川費を使っているかといいますとそうじゃない。たとえば、東大阪の寝屋川水系におきましては、毎年河川がはんらんをして、そして数百戸、数千戸の浸水家屋が出ている。これは毎年のことなんだ。なぜこんなふうになってきたかといいますと、流出係数が大きな変化をしてきたのです。流出係数の変化なんというものは基準財政需要額に出てこないのでしょう。どの川でも同じように何メーター何ぼという計算しかしていないわけなんです。ところが都市周辺におきましては、宅地化の進行に伴いまして流出係数が大変な変化をしてきている。そのためにわずかの雨が降りましても河川に水があふれてくる、そこで浸水をする、こういう状況になってきておるのであります。ですから、この都市化によります雨水の流出係数の変化なんというものは、三十年代と今日におきましては全く想像できない大きな変化が出てきておるのであります。しかしその場合、河川費の基準財政需要額というものはそういう条件は全く無視されておりますために、大阪府は河川の拡幅やその用地費や、あるいは拡幅によります立ち退き補償費が膨大な額に達しておるわけであります。これはぜいたくじゃないのですよ。いま水につかる人を救済するためにどうしても拡幅をしなくちゃならない、用地の買収をしなくちゃならない、あるいは立ち退き補償をしなくちゃいけない、あるいはポンプアップの費用もかさんでくる。ですから、東大阪治水対策としてやられております寝屋川水系の改修工事だけで四十九年度四十六億円の予算をつぎ込んでいる。これがいまの基準財政需要額の計算からははじかれていない、こういう状態があるのであります。高等学校にしてもそうなんです。いま大阪で一つの高等学校を建てますのに約五十億円要るわけです。昨年だけでも十二校開校しております。ところがこれも、これだけのものをつくりましてもなお大阪府下の遊学率というものは全国で十三番目程度なんですね。そうして准学見込みは九〇%程度にすぎないわけです。しかし、この場合でも一律な基準財政需要額の算定しかされませんために、不足額が非常に大きくなってきている、こういう状況が実際にはあるのであります。  それから、たとえば公害対策費にしてもそうなんですが、都市的需要がほとんど見込まれておりません。態容補正は若干ありますけれども、これをもってしましてもなお不十分になってきている。ですから、こういう都市的な需要に伴います状況の変化などというものが華準財政需要額の中に生かされてきませんために、地方財政計画というものが非常に小さくなってきている。そのために、大阪あたりで大変な持ち出しが出てきている。それでも富裕府県だといっていまの地方財政計画の中の計算で見ますから、大阪府などが不交付団体になっている。不交付団体だけじゃなしに、財源調整といって、もらわぬだけでなしに取られているわけなんです。こういう状態がありますから、どうしても地方財政計画の計数では地方自治体が運営ができない、こういう状態が出てきているわけです。これについて何の考慮もしなくてもいいのかということです。これを私はお尋ねしたい。
  44. 松浦功

    松浦(功)政府委員 ただいまの先生のお説でございますが、基準財政需要額の算定の仕方が少ないから交付税が圧縮されるんじゃないのです。そういうことはあり得ないのです。地方財政計画というものは、標準的な規模における地方財政の必要額、これを示しておるわけでございます。それがもとになりまして基準財政需要額という形になってくるわけです。しかも、基準財政需要額が実態にぴたっと合うはずがない。ということは、基準収入を都道府県では八割にし、市町村では七割五分にしているわけでありますから、これはどうしても財政計画で考えているよりもう少し圧縮されたかっこうになるということは容易におわかりをいただけるところだと思うのであります。その辺のところお考えをいただきたいし、私どもは浅学にしていま先生のおっしゃられた河川の何とかというのがよくわかりませんでしたけれども、そういう問題はいろいろ各団体によって事情が違うと思うのです。それを交付税制度に取り入れていくということは事実問題として不可能でございます。だから、標準団体というものをつくって標準的なあり方、平均的なあり方における需要というものをはじいて、あとは技術的に可能な限り態容で補正をするとか、こういうことをしているわけであります。しかも、先生から御指摘をいただきました大阪府の場合は、これは超過団体でございますから、基準財政需要額を超えてたくさんの支出が出るのはあたりまえでございます。出なかったら超過額だけ金が余っちゃうはずでございます。これは交付団体でそういう御比較をいただくのはわかりますけれども、不交付団体で御比較をいただいても、大阪では現実に四十九年度五百七十四億の超過額がございました。これだけは当然基準財政需要額と決算の対比ではみ出てこない限りは、五百七十四億金が余ってしまうわけでございますから、その辺のところを御理解をいただきたいと思います。
  45. 三谷秀治

    三谷委員 あなたのお答えを聞いておりますとかなりすれ違いがあるのです。大阪府は確かに不交付団体です。そんなことはわかっております。そして交付税計算でいきますと、いまおっしゃったように黒字になるわけです。ところがこれは実態はなかなか黒字にならぬ。黒字になりませんのは、基準財政需要額の算定が実情に合っていないからです。その基準財政需要額の算定というものが、いまおっしゃいました地方財政計画から割り出されておる。これは当然有機的な関係を持っているわけだ。ですから基準財政需要額というものが地方財政計画から割り出されるとしましても、逆に言えば、基準財政需要額の積卸されたものが地方財政計画である、そういう関係になってくる。それは間違いないでしょう。ですから、大阪府が不交付団体であろうとなかろうと、大阪府における要するに交付税計算が実態に合っていない。その実態に合っていないことの一つは、基準財政需要額というものの計算が実態に即していないという例をいまお話し申し上げたわけです。  そういう矛盾が随所にあるのであって、いまおっしゃいましたように、確かに基準財政需要額というものは必ずしも正確でない。全部が全部積み上げ計算するわけじゃないから正確にはいきませんけれども、もう少し実態に合ったものにする、そういう地方財政計画を立てまして、基準単価というものが改善をされて、そしてこれをもう少し地方財源として実態に即したものにする必要があるという意味でお尋ねしたのです。
  46. 松浦功

    松浦(功)政府委員 お言葉を返すようでございますが、大阪の基準財政需要額と決算を対比してみるとえらい持ち出しがあるというお話でございましたから、あたりまえのことじゃないかと申し上げたわけでございます。基準財政需要額の見方が少なくない、この議論でお答えを申し上げておりません。基準財政需要額の見方は、これは先ほど申し上げましたように、われわれとしては実態に合わせるということは制度的に不可能で、幾らか割り落としになるということは、税収入を一部はじき出しますから、これは御理解をいただけると思うのでございます。しかし、地方公共団体にできるだけ納得していただけるような需要に今後とも努力していきたいということについては、何ら私どもには異論はないわけでございます。ただ、申しわけございませんでしたが、最初から先生が大阪の決算と基準財政需要額を比べると持ち出しがあるとおっしゃられましたから、普通の団体ですと持ち出しがあればそれだけ赤字になっちゃうわけです。大阪は不交付団体で税の超過額があるから、それだけは当然三角になって出てくるはずだということを申し上げたので、その点はひとつ誤解のないようにお願いいたします。
  47. 三谷秀治

    三谷委員 持ち出しがありますのは、これは大阪だけじゃないですよ。要するに地方財政枠外の税収というものは、これはどこの府県でもあるわけなんです。大きな市町村にはすべて存在しているわけなんです。その地方財政計画外の地方税収入というものによりまして今日までいろんな不足を賄ってきている。これがいままでの実態なんです。ですからそういう面からしますと、地方財政計画の枠の中だけの処置をしたのでは、いままで歴年そういう処置をしてきたわけですから、地方財政計画収入によりまして、いろんな国庫補助金だとか交付税不足だとか、そういう問題の処置をしてきたわけでありますから、だから地方財政計画の中だけで処理をするということでは、これは地方財政の運用はできませんと言っている。これは自治省の元の次官でもそういうことをおっしゃっている。それに対する対策が要るんじゃないか、こういうお尋ねをしているんです。
  48. 松浦功

    松浦(功)政府委員 財政計画は、先ほど来繰り返して申し上げておりますように、標準的な行政をどう考えるかという立場からつくって、それに対する財源の保障をしておるものでございます。先生御指摘のように、自然増収というものが計画に算入されてない経費を支えていたということについては、私は容易に理解ができます。それじゃ財政計画の外にある経費、それは一体何なんだ。これはもう議論は私どもも余り深くいたすつもりはございませんけれども、それぞれ地方公共団体において、今後の低成長ということを考えた場合には、まだ削減のできるものがいろいろあるではないか、ともかくそういう努力をしていただいて、財政計画の範囲でやれるように地方公共団体に御検討をいただきたいというのが、自治省の現有の態度でございます。
  49. 三谷秀治

    三谷委員 いろいろ工夫してやってほしいとおっしゃいますけれども、たとえば地方財政計画と決算との乖離の中には超過負担分も入っておれば人件費も入っておるわけなんでしょう。それをにわかに地方財政計画で抑えてしまった場合、この人件費の不足分、どうするのですか。たとえば今日地方財政計画によります基準財政需要額の中に算入されております人員と算入外の人員とあるわけなんでしょう。これはかなりの数になっておる。これは幾らになっておりますか。
  50. 松浦功

    松浦(功)政府委員 四十八年、度の給与実態調査に基づいて五十年度に計画の規模是正を行っておりますが、その際に私どもが推定をいたしたところでは、六万から七万くらいの差があるように推定をいたしております。それはなぜそういう数字が出てきたかと申しますと、国が職員の削減計画をやっておりますときにそれと同じように削減計画を地方財政計画に盛り込んでおります。それが地方団体においては実行できなかったであろうと思われる部分があることと、義務教育の職員等について、定数についての政令がありながら、その政令を越えて地方団体が独自に置いておられる職員数、これは計画上に見込めないということになったわけです。それだけがそのくらいの数字になっておるというふうに記憶をいたしております。
  51. 三谷秀治

    三谷委員 私がいただきました資料によりますと警察、消防要員その他合わせまして四十九年度実員が二百四十九万八千人になっておりますね。この中で地方財政計画に入っておりますのが百九十七万九千人になっている。そうしますと五十二万人がはみ出しているわけなんでしょう。この五十二万人というものを一体どうしろとおっしゃるのですか。
  52. 松浦功

    松浦(功)政府委員 計画に見込んであります職員数と実人員との開きはどの数字でおっしゃっておられるのかちょっと私もわからないのですが、そういう数字になるのかもしれませんが、その中には単金職員と申しますか、保育所職員なんかですね。措置費の中で賄う、そういうものは財政計画には措置費の方へ入っております。事業費支弁の職員もそっちに入っております。そういうものを全部操作をいたしませんと本当の欠員と実員との差、欠員と計画上との差というものは出てこないわけです。それはいま私が申し上げましたように、四十八年度、これを前提に考えれば六万から七万くらいの数字しかないはずだ、こう申し上げております。
  53. 三谷秀治

    三谷委員 五十二万と六万、七万の差というものがいまおっしゃいます措置費などで処置した人員かどうかということは私の方にはいま資料を取っておりませんが、いずれにしても膨大な数の人員というものが現在おるわけなんでしょう。そのおります者をにわかにこれを全部解雇するわけですか、無給にしてしまうわけですか。そこのところのやはり急変緩和の処置というものがどうしても必要である。この急変緩和の処置というものは地方財政計画の範囲内では絶対にできっこない。それについて何も考えなくたっていいのかということを私はお尋ねしているわけなんですよ。
  54. 松浦功

    松浦(功)政府委員 おっしゃられることはよくわかります。しかし、財政の仕組み、ルールというものから考えました場合に、地方公共団体が、必要があってだとは思いますけれどもどんどん職員をお抱えになる、それを全部財政計画に見込む、こういうことはやはりルールとしてはいかがかと思うわけです。私どもは、それぞれ見込んでない部分については、こういう理由で仕組みの上からも見込めないものというものしか外してはおらないわけでございます。その辺のところを御理解をいただきたい。現実の問題としてなるほどそれだけの人件費がよけいかかっていると思います。欠員をできるだけ補充をしない、給与水準をできるだけ国家公務員に近づける、そういう努力もしていただいて、何とかことしの財政運営の困難さを切り抜けていただきたいというのが私どもの気持ちでございます。
  55. 三谷秀治

    三谷委員 その切り抜けるのを一体どうして切り抜けるかということなんですよ。それが現実の問題なんです。たとえばいま標準法でこの定員の問題をおっしゃいましたのですが、確かに標準法によります定員よりはふえた部分があるわけなんです。しかし、これは決してむだなものをふやしておるというわけのものじゃないのです。たとえば、厚生省の要求によりますと、ことしは一万二千人の保母の勤務条件の改善などに伴う人員要求をやっておるわけなんでしょう。そのうち五千人を認めておる。つまり厚生省がこれだけは必要なんだ、そういう認識に立って要求をしましたものを、地方行政実態を知らない大蔵省あたりが机上計算で五千人に削ってしまう、こういう処置をやっておる。削減されました七千二百人は一体どうしているのか、実際に要りますから、地方自治体はこれを賄って仕事につけている、それが必要であることは厚生省も認めておるわけです。そういう状態で五千人しか処置していない、それが実態なんでしょう。だから厚生省は、ことしはこの七千二百人を含めまして九千人の人員要求をやっている、つまり必要なものなんです。必要なものを財政計画上処置していない。しかし、それは今日まで地方税収の地方計画以上の増収がありましたから、それで賄っていった、ことしはそれがなくなってしまっている。そうしますと、一体この必要な人員というもの、どうしてこれを地方自治体処置するのかという問題が当然出てくるわけなんです。  御承知のように、これは自治省が次官通達によりまして、給与の引き上げだとか人員の削減につきましてことしの五月十六日にお出しになりました。これは私ども非常に反動的なものだと思いますが、その通達によりましても、一定の時間をかけて処置するというのであって、全部を一遍に首を切ってしまえとか一遍に賃金を切り下げてしまえとか、こんなこと一つも言っていない、昇給を延引をするとかあるいは欠員不補充、そういう処置によりまして暫定的にもしも矛盾があれば解決するという方針なんでしょう。ところがこの財政処置によりますと、地方財政の枠の中だけに限ってしまったわけでありますから、あなたのおっしゃいます数でいきまして六万か八万ですか、その人たちは一体どうなっていくわけなんですか。
  56. 松浦功

    松浦(功)政府委員 財政計画は標準的な規模ではじいておりますから、たとえば市町村に例をとって言えば、固定資産税等についてはまだ相当自然増収も見込んでおります。それから雑収入等についても目いっぱい見込むということもいたしておりません。現実の財政がどういうふうに回っていくかということはどうにもならぬのではないかという御議論に対しては、地方公共団体に御努力を願いたい、どうにもならないということで私どもが御相談に乗らないと言っておるわけではないのです。こういうやり方もあるじゃないかああいうやり方もあるじゃないかということを、御相談においでになればいろいろと御指示も御指導も申し上げたい、こう思っております。したがって、今後の推移というものを私どもは見守るべきだと思っておりますが、ともかく地方公共団体御自身によって赤字を出さないように努力をしていただくということを一義的にお願いをいたしたいというのが、自治省の態度だというふうに御理解をいただきたいと思います。
  57. 三谷秀治

    三谷委員 政府としても必要である、たとえばいま言いました厚生省の人員増加の要求と大蔵の削りました差額というものは、厚生省としては必要である、実際の福祉行政を進めますために必要だという観点に立っているわけなんでしょう。それを削ってきているわけなんですよ。しかし、削ると実際には地方自治体におきましてはその行政運営ができませんから、地方自治体はこれを処置しているわけなんです。つまりむだをしているわけではないのです。地方行政の運営のために必要なものなんでしょう。しかし、これは今日までは全く無視されてきたわけですけれども、それはさっき言いましたように、税収の伸びがあった。それでそういう矛盾を解決してきたのでしょう。ことしはそれができなくなってしまった。できなくなってしまったのをどうするかという問題なんです。それは雑収入固定資産税が少しぐらいはふえるというふうなことで済ましておれるものかどうかということなんですよ。政府地方自治体実態を考えてみますならば、政府としての応分な処置が必要である、激変緩和の処置が必要である。それが全くないということは一体どうしたことなんでしょうか。これは重大な政治的な問題ですから大臣にお尋ねしたいと思います。
  58. 松浦功

    松浦(功)政府委員 おっしゃられる筋道、これは私もよく理解できます。ただ私ども、先ほど来いろいろ繰り返して地方公共団体にいま一段の御努力をお願いしたいと言っておりますことは、たとえば四十七の都道府県をつかまえてみても、行政水準を落とさずにいままでどおりことしやれるという団体もたくさんあるわけでございます。それからどうにもならないという団体もあるわけでございます。それにはいろいろ団体の運営の仕方もあろうし、特殊の事情もいろいろあろうかと思うのです。ですから、努力をしていただければ大半の団体が何とか大したことにならずにやりくりできるのじゃないか。またやってもらいたい。どうにもならない団体があった場合には、いろいろと向こうから御相談があるでしょう。それについて私どもは技術的な助言も申し上げたいし、いろいろ手段もありましょうから、そういう形で援助をしていくこともあると思うのです。その辺で御理解をいただきたい。
  59. 三谷秀治

    三谷委員 あなたは、制度その他の問題でお尋ねしておりますのに、善意の糟神的な努力や援助にすりかえておしまいになる。もちろん、自治省がいつでも地方自治体の相談に応じていろいろな問題についての協議や改善のために努力されるということは必要なことなんですけれども、いまの問題は一つ制度上の問題なんです。こういう矛盾が前からあった。あったけれども、いままでは地方税収の伸びがありましたから賄っていけた。その賄っていっていることも自治省はよく御承知なんです。そのことを前提にして、標準法というものが実情に合わない標準法になっている。ですから、地方自治体におきまして、もうやむを得ず採用してやっている人員を、後追いをして毎年毎年増員をするという処置がとられてきたわけです。増員をしましたときには、すでにそれは地方自治体におきましてはやむを得ずそれを採用してやっている状態なんでしょう。そのことはちゃんと御承知なんですよ。そういう状態であるが、地方税収の伸びがあるので、それで賄っている。それをいいことにしてそのまま放置されてきたわけなんです。今日におきましてはそれが考えられませんから、当然これは何がしかの処置が必要になってくる。これはだれが考えてもあたりまえのことなんです。相談に来れば相談に応じてやるという性質のものではない。制度としてどうするかということからどうしても必要になってきている。決算と地方財政計画の乖離というものは、四十八年度決算で見ますと二兆七千五百五十億ありますね。歳出で見ましても二兆四千九百七十一億円なんです。こういう大きな乖離が出てきている。この乖離というものは地方財政計画の約一七、八%の乖離なんですね。それによりましていまのような人件費の処理もやってきましたし、超過負担処理もやってきました。あなた手を振っておるが、手振ったらあきまへんで。この歳出中、給与関係費が一兆円なんでしょう。あなたの答弁によりますと、そのうち六千億円が給与費である、あるいは四千億円が職員差である、こういうことをさっきおっしゃっておる。要するに、ここの中からこの乖離の中に人件費が多く含まれているわけなんです。そうしますと、今度の場合、地方財政計画の枠の中だけの財源処置とおっしゃっておりますが、それでいきますと、この乖離は一体どうするのですか。なまっちょろい数字じゃないのです。これに対して何の対策もないというのではあきまへん。これは大きな欠陥なんですよ。
  60. 松浦功

    松浦(功)政府委員 四十八年度の乖離のうち一兆人件費がある、これは皆様方に資料でも差し上げてあるところでございます。その他の二兆四千億の乖離のうちの一兆四千億というのは、これは起債の増発による土地の買収費とか、ちゃんと理由があるものでございますから、これは現実の乖離とは私どもは考えておりません。この一兆円のうち四千億円が職員差でございました。これは四十九年度で二万四千人、五十年度で十三万八千人、金額にいたしまして両方で約四千億、ベースアップその他を絡めるとまだ少し差があるかと思いますが、大部分穴埋めをしております。残りますのはプラスアルファの一千億とベースの五千億、六千億と、こういうことでございます。これについてはできるだけ努力をして削減をしていただきたいと、こういうことでございます。
  61. 福田一

    福田(一)国務大臣 いま三谷さんの御質問のうちで、とにかく福祉、特に厚生省の問題を挙げてお話しになりましたが、そういうことで、当然必要であるものが実際の基準財政需要額の外にはみ出したものがあって非常に困っておるじゃないか、それはどうするのかということだと私は承っておったのですが、こういうことについては、われわれとしてはやはりそれぞれの自治体が、こういう面ではこういう振りかえもしたし、こういう節約もしておるけれども、どうしてもこの分だけはこの際何ともならないのだというお話でございますれば、具体的に個々の問題として、一般論としてはこれはどうするということは申し上げることは適当でないと思うけれども、個々の問題として、自分のところの地方財政計画のうちではこういうようなことをして、そして福祉の問題はやはりこれは絶対に削れないものであるから、こういう面はこういうふうに努力をしておるのだ、それでもなおかつどうにもならないのだということであれば、これはわれわれとしても相当考えなければならないものだと私は思っております。決してそれを、それは基本財政計画で決まっておるから、あとは全部おまえらの方で処理せい、こういうような突き放すような気持ちは毛頭ございません。その場合において、自分らがいままでやってきたうちの、こういうものはこういうふうに振りかえ、あるいは人件費の問題もこういうふうに処理をしてやっていくつもりである、しかしこの分は絶対にこれは福祉関係であってどうにもならないのだ、こういうお話であれば、これは相談に乗るべきものじゃないかと、私はそう思っております。しかし、これは具体的な問題でお答えをいたしませんと、ここで一般論として何でも残っていた分は全部と、こういうわけにはお答えはいたしかねると思いますが、実情に合った立場においては、自治省としては当然考えてしかるべき問題ではないかと思っております。その意味では御趣旨には賛成であります。
  62. 三谷秀治

    三谷委員 御趣旨に賛成いただくとしますと、この問題は財源が要るのです。身の上相談じゃないのですから、相談に行きました場合には、必ず財源が必要である。だから、私は個々によく相談に乗って処置してもらうのは結構でありますが、その処置の仕方、対応策はともかくとしまして、一定のそういう急変緩和、激変緩和の処置を裏づける財源がなくちゃならないということを言っているわけなんです。
  63. 福田一

    福田(一)国務大臣 私の申し上げておるのは、その財源の問題には、新しい財源を加えることもあれば、振りかえをして処理をする問題もあると思うのです。その振りかえをしたり、努力をそういうことにおいてやっておるかどうかということを見た上でなければお答えはできないと、こういうことを言っておるわけであります。全然いままでどおりにやっておるのだ、しかし財源はこれだけ足りないのだ、それは何とかせい、こういうことでは、今日のような厳しい国、地方を通ずる行財政の苦しい立場においては困難であるということを申し上げておるのです。
  64. 三谷秀治

    三谷委員 振りかえをするとおっしゃいます財源はどの財源でしょうか。いまの地方財政の計画内における処置しかおとりになっていないわけでありますから、その中で振りかえなどやっておったのでは、これは地方の独自の財源を蚕食してそれをほかの方に回すというふうな結果になってくるわけでありますが、どうしても一つのそのための財源処置が必要になってきておるのではないかというのが私の考えです。
  65. 松浦功

    松浦(功)政府委員 大臣のおっしゃられたのは、個々の団体の問題をとらえておっしゃっておられると思うのでございまして、財政計画上で保障された財源が各団体にありますが、いままで物件費に一〇〇使っておったものを二〇節減をする、その二〇を別に振りかえる、これは当然のことであって、それは地方団体にそういう努力をしていただきたいということだろうと私は思います。先生がおっしゃっておられるのは、むしろ国の方で何か新しい財源を求めなければいかぬじゃないかというお説なんですが、これは個々にお困りの団体が幾つあるのかわからないわけでございます。大臣のお説のとおり、現実に御相談においでいただいて技術的なアドバイスをしたためにちゃんとやれるようになる場合もあり得ると思うのです。それでもなおかつできないという場合の措置は、いま仮定の問題ですからなかなかお答えを申し上げかねると思いますが、単なる一例としてお考えいただきたいと思いますが、たとえば、退職者が相当あった場合の退職手当債というような措置の方法もあろうかと思います。また健全化計画をおつくりいただいた場合の起債の弾力的な運用というような問題もあろうと思います。これは単なる一例の問題でございますが、ともかく現実に地方公共団体から御相談があった場合においては、地方公共団体に十分こちらからの技術的な助言もし、向こう様の御事情も伺った上でしかるべき措置をとりたい、こういうことを申し上げておるわけでございます。
  66. 三谷秀治

    三谷委員 お答えになっておりますのがどうも問題をすりかえるお答えになっております。どれだけの団体があるかわからないとおっしゃった。そんなことは自治省はわかっておりますよ。そんなことわからぬで自治省勤まりますか。各地方自治体財政状況なんというものは詳細に御調査になっている。だからどこがどうなっているか、いま大阪もあなた的確におっしゃっている。だからそういうことは全くの遁辞なんですよ。少なくとも六万、七万の公務員分の給与がない。そういう財源を国が組むというようなことは認められることじゃありません。それは期間をかけてむだがあればむだをなくするということについて私ども反対するものじゃありませんが、いまにわかに急激にそれだけの人員を全く無給で扱っていく、できっこないんだ、そんなことは。しかもその人員というのが標準法を超えてはおりますけれども、標準法を年々改正してその実績を追加認定をするというのが政府がとってきた処置でありまして、地方自治体は必要に応じて人を置いているわけです。それを全く国の方では人件費の算定に加えないとようなことでは、これはこの特例法が示しております大きな欠陥の一つになっている。大臣、これにつきまして何らかの処置を向えてほしいと思うのです。——大臣に聞いている。あなただめじゃないか、局長。大臣に答弁を求めたんだよ。政治的な問題なんだ。こんなもの行政的に答えてもらっても話にならぬ。
  67. 福田一

    福田(一)国務大臣 政府委員に答弁させます。
  68. 松浦功

    松浦(功)政府委員 標準法を超えた職員については過去一度も財政計画に計上したことはございません。(三谷委員「わかっています、そんなことは」と呼ぶ)今後もそういうつもりはございません。
  69. 三谷秀治

    三谷委員 そうすると、これはどうするかと言うのです。いままではなかったけれども税の伸びによってこの矛盾を埋めてきたわけだ。税の伸びがなくなってしまう、国の処置は全部地方財政計画の枠の中に限定してしまう、そうしますとこれは一体どうなるのかということなんです。
  70. 松浦功

    松浦(功)政府委員 財政計画というのは一定の仕組みがございまして、一つのルールがあるわけでございます。地方がどれだけ職員を置いたからといって、私どもが政府として十分検討して納得できないものを組み込むという形にはいかないわけでございます。どうするかとおっしゃれば、先生もおっしゃるように無給にすることはできるはずがないわけでございますから、地方財政計画で保障された財源の中でやりくりをしていただく、これを私どもはお願いをしておるところでございます。
  71. 三谷秀治

    三谷委員 それが簡単にできる状態じゃないじゃないですか。要するに税収の伸び分というものは物件費にも人件費にも使われてきたわけだ。その物件費も人件費も賄ってきた伸びがなくなってしまえばどこでやりくりするのですか。
  72. 松浦功

    松浦(功)政府委員 各団体もずいぶんいろいろ苦労しておられまして、物件費をある県では十億削った、どこでどうしたといろいろなことを耳にいたします。やはりいままでがむだであったとは申しませんけれども、非常な事態において切り詰めるということを地方団体もやっておられるわけでございます。そういう経費で賄っていただきたいということを申し上げているわけです。
  73. 三谷秀治

    三谷委員 地方団体が努力していることはさっき申し上げたとおりなんです。いろいろなことをやっている。いろいろな努力をしておりますけれども、それでもなおむずかしいという状況になってきている。だから地方団体の努力だけ言わずに国も応分の処置を考えていくのが当然なことじゃないですか。全部地方団体で合理化を図っていけと言うだけでこの問題は片がつく問題じゃないです。——さっきから大臣に質問しているのに、あなたいつの間に大臣になったのですか。
  74. 松浦功

    松浦(功)政府委員 地方財政計画上の議論はもう先ほど来繰り返して申し上げているとおりであります。実際問題として、いま先生がおっしゃられたように地方公共団体が繰り返し繰り返し努力を重ねて、その結果もしどうにもならぬということであれば、いつでも御相談に応ずると大臣は申し上げているわけでございますから、そのときに先ほど一例で申し上げましたような手段、それを用いて地方公共団体の現実の財政がおかしくならないように御協力申し上げる、これにはやぶさかでない、こういうことでございます。
  75. 三谷秀治

    三谷委員 あなた方のお答えになっておりますのは世間話になってしまうのだ。一定の展望を持って、それに対する財源処置を持って相談に応じていこうという態度でなければ、全く無原則に相談があれば処置するのだ、そんなことで国会の審議が終わりますか。そういう性質のものじゃありません。
  76. 福田一

    福田(一)国務大臣 私たちは、やはり地方自治ですから、自治体が困ればどういうふうに困っておるかということを一応数字的にわかっておってもちゃんと自治省へ来て、その自治体としてやっておって、こういうことなんだということを頼みにくると言うのもおかしいが連絡しに来て、こういう努力もしました、こういうこともやっております、しかしそれでもなおかつこういう事態でありますというような——国会の答弁でもって一律にこれはこうしますとかそういうことでは無理だ、私はこういうことを申し上げているわけでありまして、実際に私もたとえば人件費の問題でも言っているでしょう。無理なことを言っちゃいないのだ、高いところは両三年くらいにはそこへ落ちつくような工夫をしてくださいよ。それも一遍きちっとしたものを、一〇〇を一〇二、三とか四、五くらいまでいけばそれ以上はきつくは言う気持ちはないということを言っているので、ぼくは非常に幅のあることを言うている。皆さんと同じように私は政治家のつもりでおりますから、だからそんなに余り無理なことばかり言うつもりはない。これだけ努力しておるのだが、これでもこういうふうに困っておるが何とかしてくれ、こういうことであれば、われわれもそれは義によってがんばろうという気がありますよ、そういうことでは。大蔵省に対しても言うべきことは言うつもりなんだ。しかしそういう努力が余りなくて、いままでやってきたのだからしようがないじゃないか、この程度でもうひとつみんな認めろということで、足りない分は出せ、こう言われてもそれでは政治にはなりません。国も大いに節約をし大いに合理化をしたいと思っております、地方の方もやはりそうするのが当然でありますから、みんなでひとつそういう努力をしましょうという大きな流れの中で、しかしそれをやるまでの間においても、こういうふうにおれたちはやったけれどもこれだけの分がどうにもならぬのだ、こういうふうに個々的な問題で言わなければ私は申し上げるわけにいかない。(「それはお茶飲み話だ」と呼ぶ者あり)いや決してお茶飲み話ではありません。政治というものはそういうものなんだ。それが正しい行き方なんだ。個々大臣が、おまえのところにはこれだけ金をやる、おまえのところも困るならこうしてやるなどと言うて政治ができる道理がない。これが本当の政治なんだ。
  77. 三谷秀治

    三谷委員 そんなことは一つも言うてはおりません。あなたに全部金を配ってくださいなんてだれも言っていないのだ。要するにこれは個別の問題だとか努力の問題ではない、実際にいま払う金がないという状態なんでしょう。いま払う金がない対象が六万も七万もおるわけなんでしょう。それに対して何の対応策もなしに、将来相談に来い、将来努力してその結果を持ってこい、そんなことではない。いまの金の問題です。それに対して、しかもこういう一般的な状況がある中で、何の対策もない。それは相談に乗る、そんなでたらめな答弁で納得できるものじゃないです。  時間の約束がありますから、私の質問はこれ以上続けられませんが、しかしいま指摘しました問題は、そういうあなた方の詭弁で済む問題ではない、基本的な矛盾の問題ですから、考えてもらいたい。そこで、大蔵省から来てもらっていますから、二、三カ所簡単にお尋ねさしてもらって終りたいと思いますが、この膨大な国債の消化がありますし、中小企業金融が需要が膨張してきておる。その中でこの日銀適格担保ではない地方債というものが消化の保証ができるのかということです。この金融機関というものは赤字国債の引受額が未定である、もう一つは中小企業資金の需要がふえてきている、優先したい。もう一つは、自治体向けはこれ以上ふやすと民間とのバランスが失われるということを、地方の交渉の中では述べております。こういう中で、大蔵省はこの地方債の消化に対してどのような方針をお持ちなのか、日銀の資金の割り当てはどうお考えになっておるのか、それからそういう中で中小企業資金需要が保証できるのか、この保証対策はどうあるのか。  それから自治省の方には、大阪府の減収補てん債の算定額と算定方式を知らしてほしいと思います。
  78. 宮本保孝

    ○宮本説明員 地方債の消化とそれから民間の資金需要、これは非常にむずかしい問題だと思います。私どももそういう見地から、今度の予算国会で成立いたしました暁には、私の方から通達を出しまして、地方債の消化につきましては十分協力するようにお願いをしたい、こう思っております。  同時に、これは中小企業金融機関とか住宅ローン等を圧迫することのないように、日本銀行等に対しましても、きめ細かな金融調節をするようにこちらからもお願いするということで、万全を期していきたい、こう思っております。一般的には最近財政が払い超になっておりますので、マクロ的に見ますと金融市場全体はバランスするかと思いますけれども、個々の金融機関、地方の特に大阪とか東京近辺の機関が苦しくなると思いますので、その辺はきめ細かに検討していきたい、こう思っております。
  79. 松浦功

    松浦(功)政府委員 大阪府の減収補てんでございますが、個人住民税とそれから個人事業税、これは現在集計をしておりますので、早晩出ると思います。法人系統の落ち込みにつきましては、九月決算期を見ませんと先行きの見通しが立ちませんので、算定方式まだ私どもにございません。九月決算の実情をつぶさにつかまえた上でその見通しを立てたい、こう思っております。  参考までに、大阪の方からこのくらい標準税収から落ち込みそうだという数字を御報告いただいております。最も新しい数字が一切を含めて六百四十七億という数字になっております。これは大阪府の見通しでございます。したがって、私どもは私どもなりの算定の方式をつくって金額を算出いたしますが、その場合にこれと大きく食い違うようなことがあっては困りますので、大阪の見通しとうちの立て方との間の食い違いがあった場合に、どこから原因が出てくるかということを突き詰めて、大阪に納得をしていただける形の減収補てんをしたい、こういうふうに考えております。
  80. 三谷秀治

    三谷委員 神奈川では金額をお示しになりましたが、神奈川はどうしてわかったのですか。
  81. 松浦功

    松浦(功)政府委員 あれは神奈川県庁からの数字でございます。一切、私どもはまだ県庁に示した数字というものは持ち合わせておりません。全部、世間に言われております減収補てん額は、県庁の方の見通しによる数字であるというふうに御理解いただきたいと思います。
  82. 三谷秀治

    三谷委員 少し時間がオーバーしましたが、特に懇切丁寧な答弁があったものですから、それで大分時間を食われましたので、この辺を御了承をいただいて、これで終わります。
  83. 大西正男

    大西委員長 午後一時から再開することとし、この際休憩いたします。     午後零時十五分休憩      ————◇—————     午後一時十一分開議
  84. 大西正男

    大西委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  内閣提出に係る、昭和五十年度における地方交付税及び地方債特例に関する法律案及び井岡大治君外八名提出に係る、地方交付税法の一部を改正する法律案の両案を議題とし、質疑を続行いたします。小川新一郎君。
  85. 小川新一郎

    小川(新)委員 昭和五十年、激動の年ももうあとわずかで暮れようとしておりますが、五十年度補正予算も昨日参議院を通過しまして、大臣も大変御苦労だったと思います。お疲れのところ、連日審議ということでございますけれども、なるたけ時間を節約しながらお尋ねしてまいりますので、ひとつ御答弁の方もよろしくお願いしたいと思います。  私は、昭和五十年度財政問題に入る前に、地元の問題でございますけれども、非常に大きな問題でございますから、東武伊勢崎線の複々線化の問題についてお尋ねをいたします。  昭和四十七年五月十八日、大蔵省、運輸省、建設省の三省の間で取り交わされた「大都市高速鉄道の整備に対する助成措置等に関する覚書」によりますと、大都市圏の私鉄線の複々線線増工事を私鉄の申請に基づき運輸大臣が日本鉄道建設公団に指示して行わせ、完成後私鉄に長期年賦、二十五年元利均等払いで譲渡する、鉄建公団は建設資金の調達を四〇対六〇の割合で財政投融資資金と鉄道債券で充当する、私鉄が譲渡代金の支払いを始めてから、その負担を軽減させるため、鉄建公団の建設資金調達利率と年利五・〇%との差を私鉄に二十五年間にわたり国と地方公共団体が折半で補給するとなっております。具体的に、調達利率は五十年見込みで財投年利八・〇%、この八・〇%に対して五・〇%が東武、残り三・〇%に対して国が一・五、地方自治体が一・五、債券の方が、年利九・二%に対して五%が東武、四・二%が二・一ずつ国と地方自治体というふうに覚書になっております。  大都市高速鉄道の整備に対する助成措置の中身は利子補給をすることでありますが、これを国と地方自治体で折半することになっておりながら、この三省の協定の中に自治省が入っていないのはなぜでありましょうか。この協定の目的及び背景をまずお聞きいたします。これは三省取り決めを行いましたどなたでも結構です。大蔵、建設、運輸の三省間でやって自治省は入っておりません。どういうわけでこの大事な問題に自治省が入らなかったのかという背景をお聞きしたいということですから、どなたでも結構でございます。
  86. 中村徹

    ○中村説明員 四十七年五月の、先生御指摘の三省覚書を締結いたしました当時の詳細な事情というのは、担当者もかわりまして、現時点においてははっきりはしておりませんけれども、先生ただいま御指摘の自治省との関係について申しますと、覚書には自治省は入っておりませんけれども、自治省との間で制度の趣旨につきまして十分お話し合いもいたしまして、自治省の御理解と御協力を得て制度の運用を図ってきておる、こういうふうに理解いたしております。
  87. 小川新一郎

    小川(新)委員 これは自治省にお尋ねいたしますけれども、この種の覚書に対する私鉄の高速鉄道への地方公共団体の利子補給は、これは県か市かわかりませんが、ただ地方公共団体とだけうたっておりますが、全国的にはどれくらいの額に達するのでございましょうか。
  88. 石原信雄

    ○石原説明員 全国的な計数につきましては、ただいま手元に資料がございませんので、調べた上でお答え申し上げたいと思います。
  89. 小川新一郎

    小川(新)委員 この協定には自治省はどうして入らなかったのでしょう。これは自治省にお尋ねいたします。
  90. 松浦功

    松浦(功)政府委員 実質的に私どもはお話し合いには乗っておるのでございますが、再建法との関係でいろいろ問題がございまして、自治省が非常に名を連ねにくい立場にございました。そういう経緯だというふうに承っております。
  91. 小川新一郎

    小川(新)委員 昭和四十七年五月十八日、大蔵省歳計第千七百二十号、同じく蔵理第二千七十三号、運輸省鉄財第百二十一号、建設省計宅開発第二十五号。こういう正式な覚書が当時の大蔵省主計局長相沢英之、大蔵省理財局長橋口收、運輸省鉄道監督局長山口真弘、建設省計画局長高橋、いまの官房長ですね。こういうふうになっておるのですけれども、四十七年のころはまだ高度経済成長政策で財源がたっぷり、一年間の地方財政計画の枠からはみ出す自然増というものがあったので、いろいろとこういう今日のような逼迫したあれではないのでございましょうけれども、その計画年度が御案内のとおり、ことし、昭和五十年度からになっておるのですよ。この伊勢崎線、東上線の合計金額は四百二十三億九千三百万円、約四百億を超えるという大きな工事でございます。  運輸省はいまこの東武伊勢崎線の込みぐあいというものはよく御存じだと思います。私もこれは選挙区でございますからよく知っておるのでございますが、通勤ラッシュ時においては竹の塚団地からこちらは二〇〇%を超えます。そして複々線という問題でこういった大きな問題が出てきたのでございますが、いまお尋ねしたところ、何か自治省だけがこの覚書の中に入っておらない。これは財源問題等々のことをお考えになってこういう覚書の中には自治省としては介入できない。私はもっと高度な立場から見れば、地方自治本旨という問題から、松浦財政局長も、それ以上地方の自治の問題について、こういう計画問題について自治省がとやかく言うあれはないのだというもっと大きな立場からの御配慮があったと思います。それといまお答えいただいたような具体的な問題ではありますが、この問題は埼玉県は非常にいま当惑いたしております。埼玉県が一・五%持つか、草加市が一・五%持つかはまだ具体的には取り決めておりませんが、この財政緊迫の中で、これらの覚書昭和五十年から約九億、こういった問題をやるということになっております。五十一年が十四億、五十二年が二十四億、五十三年が三十二億、五十四年が二十九億、五十五年が六十八億、五十六年が四十八億、合計二百二十四億。これが工事費でございます。建設中の利子だけでも五十四億五千三百万円。東上線の工事費だけで約百十六億、建設中の利子だけで二十九億四千万円、これを合計いたしますと四百二十三億九千三百万円、こういうことになる。これに対しまして、いま私が質問したようなことでございますが、鉄建公団は建設資金の調達を四〇対六〇の割合で財投資金と鉄道債券で充当する。これはいま私がずっと読み上げてまいりましたところでございます。その中で、この協定は鉄建公団が私鉄の複々線増工事の立てかえ施工を行い、私鉄に譲渡するものであり、私鉄が鉄建公団に二十五年元利均等払いで支払う場合、私鉄が負担すべき利息のうち五%を超えるものについて利子補給することになる。そのため本来的には私鉄の工事であり、鉄建公団の工事ではないことになっておりますが、三省が決めたことを一方的に地方自治体に押しつけることは地方財政法第二条の2及び地方財政再建促進特別措置法第二十四条の2の基本的理念に照らし合わせても法的な問題があるやに私は思うのでございますが、まずこれはどちらからお答えいただけますでしょうか。お答えできなければ、自治省が入っておりません関係上、お答えをいただきたいと思います。
  92. 宍倉宗夫

    ○宍倉説明員 先ほど運輸省の方から答弁がございましたように、当時のことは何せ四年前のことでございますので、必ずしもつまびらかではございませんが、おっしゃるように地方財政再建促進特別措置法で、鉄建公団を含めまして国に地方公共団体からお金を出すことについての制約がございます。  そこで、ただいまどういうことでやっておるかと申しますと、地方公共団体が民鉄そのものにお金を出すということにいたしてございまして、鉄建公団に地方公共団体の方からお金を出すということにはなっておらない。したがいまして、御質問の地方財政再建促進特別措置法の規定には違反をしていない、こういうふうに理解をいたしております。
  93. 小川新一郎

    小川(新)委員 私もそこのところはさっき非常に研究しましたけれども、うまくできているので、そういうふうなお答えが返ってくることは想像していましたけれども、四年前のことだからつまびらかでないという御答弁は、私はちょっと遺憾に思うのです。こういう覚書を交わしておいて、五十年、ことしから計画がちゃんとできておりながら、四年前の話だからよくわからないのじゃ困るのです。一体これは具体的にはどうなるのかということです。やっていただけるのかいただけないのか、この辺のところが一番大きな問題です。また、自治省としては、いまのような財政状況の中で地方公共団体のこの緊急的な人口急増という、国の政策で人を多く集めておいて、その集まった人の問題を処理する責任は国にあるわけです。高度経済成長政策により太平洋沿岸ベルトに七〇%の人口を集中することは、建設省も国土庁もちゃんと試算しているわけです。そういう埼玉県の人口急増の中で私鉄一本に通勤の足を頼っておるような東武線や東上線、または小田急、こういった私鉄の援助について鉄建公団が肩がわりをして、その利子補給を国と地方公共団体がベースになってやるのですよ、だから、こういう計画を立てますということを、忘れないようにと覚書大蔵省と運輸省と建設省がつくった。四年前のことを忘れてはいけないからといって覚書を交換したのでしょう、こういうふうに四年先になるとつまびらかでなくなっちゃうからこういった群類に残しておきましょうと。この中に幸か不幸か自治省が入っておらない。いまになって自治省は、地方団体財政問題からこういった問題に対して約束したことについてどうするかという、お金のめんどうのことまで心配しなければならぬ、そういうことを見越して、ちゃんと松浦さんはお入りになってないと御答弁になっていらっしゃるでしょう。まことに先見の明があると言えば先見の明があるのかもしれぬけれど、地方自治体からいけば、ちょっとつれなかろうぜということですね。私はその問題をいま言っているので、ここで議論をとやかく言っている時間はありませんから、では、この問題をどう処置してくださいますでしょうか。
  94. 松浦功

    松浦(功)政府委員 自治省といたしましては、確かに地域の関係はございましょうが、民営鉄道の問題でございますので、地方団体がこれに負担をするということはおかしいじゃないか、それから鉄建公団を通じてということでございますと法律の問題が起こるじゃないか、そういう事情がございましたので、覚書に実は入っておらないのであります。私どもは仮に地方公共団体がいまの制度にのっとって利子を負担した、利子の負担がたくさん出てきたということになりました場合に、当時は、地方公共団体に協議があるはずだから、地方団体がそれだけ御負担なさるつもりがあるのならばそれも結構でしょうという態度であったわけでございます。現実の問題として地方公共団体が支出をする、それに伴っていろいろ財政的な事情が出てくるということでございますれば、私どものいまの態度は、措置をとるとも措置をとらないとも、何も決めていないのです、まだ現実には余り大きな金になってきていないから。その点については白紙の状況でございますが、各方面の御意見も伺いながらケース・バイ・ケースということで考えていかざるを符ないのではなかろうか、こういう気持ちでおります。
  95. 小川新一郎

    小川(新)委員 私は財政局長の答弁の方が筋が通っていると思うのです。そういう答弁の、正しいあり方に対して、ちょっと不可解に思うのは、何で大蔵省と運輸省と建設省が、地方公共団体の要請でもないのに、国からのこういった覚書を交換して、自治省がどうもこういうことは好ましくないという問題に対して、それは公共団体がおやりになることならかまいませんよと言えばそれまでだけれども、財政法に照らし合わせても好ましいことではない、疑義がある。私も調べてみたら、本当にすれすれですよ、確かに利子補給ということは。これじゃ、全くできないような架空的な問題をこんな大げさに約束をして、そして国の政策の誤り、そういった人口急増や殺人的な通勤電車の緩和の問題に対して、これは政府間の余りにも無責任な答弁と言わざるを得ない。これは大蔵省としてはどういう処置をおとりになられますか。
  96. 宍倉宗夫

    ○宍倉説明員 この問題が起こりましたときには、先ほど必ずしもつまびらかでございませんと申し上げましたが、建設省からは地方公共団体からの貸付制度を新しくつくってほしいというようなお話が、昭和四十六年の末でございますからいまから四年ぐらい前でございます。それから運輸省の方からは、やはり同じようなことにつきまして事業団を新しくつくりたいというようなお話がございまして、両方の問題が調整されていまのような姿になったことかと心得ておりますが、いずれにいたしましても地域交通の問題でございますので、お説のように国としてもほっておけない面もあるということでこういうことになっているわけでございますが、地方におきましても地域交通の問題についてやはりそれぞれの責任というものもあるということで、地下鉄方式に準じた形で片一方の方を、つまり建設省の所管といいますか、建設省がやりたいといったようなものについては処理すると同時に、同様な考え方に基づきましていまのような姿になっているわけでございます。したがいましていま先生お話しのようなことで、伊勢崎線につきましては、目下、聞くところによりますと民鉄の方で埼玉県と協議中ということでございますが、協議が整えばいまのような姿でやっていっていただきたい、このように考えております。
  97. 小川新一郎

    小川(新)委員 これは大きな問題ですから、大臣に見解を承っておきたいのですが、人口急増地帯の対策として、本来こういった問題を一体国が責任を持って解決しなければならないのか。一地方自治体がこういった人口急増の問題を、いまお聞きになっておられるとおり、ただこういった覚書の中で責任が不明確になってしまってたらい回しにされている間にも、どんどん埼玉県のあそこには人口が急増して、迷惑をこうむり困難をしているのは地域住民でございます。これに対して建設方を、鉄建公団法によると、私鉄が複々線工事を運輸大臣に申請し、運輸大臣が鉄建公団に建設を指示することになっている。これは運輸省が一体責任を負ってやるものなのか。財源的に助成を講じさせる自治省が援助をしてあげて、大蔵省と話し合いの中でこれらの問題が、要するに人口急増対策を掲げておる中で利子補給の問題を含めていながら、重点政策の急増対策の中に入れ、地方財政計画の中にこういう問題も含めていくのではなかろうかと私どもは考えております。たまたま自治省がこの覚書に入っておりませんから、いまこの覚書に対しての責任を追及しているわけではございませんけれども、これは間接的にこういった三省間で覚書を交換している大きな国策の問題でございますので、ではこれは一体どう結末がつくのか。この問題で大臣としての、まず人口急増の地方公共団体のあり方と、こういった覚書を交換しながらそのままになっているところの現状、昭和五十年から現実にはこういう計画ができておりながら、工事費の分担については五十六年までに先ほど私が申し述べたような数字が挙がっております。これは民間鉄道ではございますけれども、その辺のところはどう解決し、埼玉県に説得をしたらよろしいのでしょうか。この点でちょっとお尋ねをしたいと思います。
  98. 福田一

    福田(一)国務大臣 実は私初めてお伺いしたことで、内容について知悉をいたしておりませんので、いまここでお答えが適当にできるかどうかは疑っておるものでありますけれども、いまのお話を承ってちょっと感じましたことは、人口急増地域の場合において交通関係というのは福祉の問題とどういう影響があるか。福祉関係ならば、これはかなり自治省としても——これは各省あれなんですが、何といってもいまお示しのことは私鉄ですね。私鉄ということになると、私鉄はやはり営業を中心にプラスマイナスの面で考えてやることになっておる。しかしそれにしても、そういう人口急増地域であるから、三省が約束をしておるということであれば、その分については約束を三省としては守るべき筋合いのものだと私は思っております。これは当然のことです。  そこで、それをやった場合でもなお経費が足りない。それをやるには、人口急増地域についての問題でもあるから、自治省の範囲で、たとえば起債の面でめんどう見ろとか、何かそういうことになればこれはわれわれの問題ですが、そこへ介入していくと、また一面においては、川口ならばいいけれども、ではよその場合はどうなるのかというような問題が全国的な問題にならざるを得ないと思うのですね。これは川口だけの問題じゃないということになります。しかし、いずれにしてもそういう三省間で約束があったということであれば、三省は当然責任を感じその処理に当たっていくべきものじゃないか。その場合に、川口市がどういうことでどの程度にあれをしなければならないかということになれば、それは起債の面とかなんとかということではわれわれとして考慮をしなければならない問題ではないか、こう考えております。
  99. 松浦功

    松浦(功)政府委員 少し敷衍して申し上げますが、過去のことでございますので余り言いとうはございませんが、当初大蔵省の方からは、国が二分の一出すから唖然の義務負担としてという話がございましたので、おかしいじゃないかということで私どもはお断りしたわけでございます。その際にも、単独事業を財政計画に組み込む際にも、これはいろいろつくり方はございますけれども、地方公共団体が自分の意思で、やはり幾らかでも利子補給をしてでも早くいいものをつくるべきだというお考えであれば、ほかの事業費との関連も考えておやりいただくのは自由であって、だからといって直ちに当該利子負担に係るものを自治省で措置するということはいたしません。これがいままでの本当の経緯なんでございます。でございますが、ただいま大臣からお話がございましたように、こういうものを、制度をつくるときには四省が一緒で、あるいはほかのものも全部一緒でできないような形でスタートしたこと自身に私どもは非常に不満があります。今後こういうことがあってはいけないと思うのでございますが、事がここまできて、現実に埼玉県が負担をして、そのために非常に財政的な問題が出てきたということになりますと、これはもうその制度の問題を超えて、地方団体財政問題という形で、大臣が御指摘をなされましたように、うちとしてはやはり取り組まざるを得ないだろう、こういう気持ちを持つことにはやぶさかでございません。  これ以上申し上げると後のことまでお約束するようになって困りますので、ここらでお許しを願いたいと思いますが、現実の財政状況というものを判断しながら、かたくなに過去の経緯にとらわれて姿勢を崩さないということではなくて、そのときどきに合った現実の処置をとるように今後研究を進めさせていただきたいということだけ申し上げてお許しをいただきたい、こう思います。
  100. 小川新一郎

    小川(新)委員 いま大臣からは、三省がこういう協定を結んだことに対する責任はとるべきである、また松浦財政局長からは、好ましいことじゃない、四省が話し合って合意に達するような覚書でないものは大体が好ましくないんだ、だからそれ以上のことはいま自治省としては言えないのだ。私も人間的に苦衷を察します。だからといってこの問題を追及してどうのこうのという——一番大きな問題は、いま出面の埼玉県が一番困っているのです。先ほど大臣は川口とおっしゃいましたが、草加市、越谷の問題でございますからどうぞ……。  こういう問題をあれではいかぬので、この際、自治省もいま見解を述べていただきましたから、順次大蔵、運輸、建設、一言ずつ御決意をお伺いしてこの問題を打ち切ります。
  101. 宍倉宗夫

    ○宍倉説明員 先ほども申し上げましたように、いま私鉄の方が埼玉県と協議中でございますので、埼玉県の方がそれを承諾して初めてこの工事が始まるわけでございますし、それから現実に埼玉県が仮に財政負担をすることになりましても、工事が終わってから、つまり五十七、八年ごろかと思いますが、そのころ以降、大体年額にいたしまして一番高いところで五億、その程度の分が約二十五年間続くわけでございます。  いずれにいたしましても、埼玉県がうんと言ってから工事が始まるわけでございますので、自治省の方とよく相談しながら進めていきたいと思います。
  102. 中村徹

    ○中村説明員 運輸省といたしましても埼玉県と十分協議いたしまして、無理強いをして、運輸省が独走してつくっていくというようなつもりは毛頭ございませんので、十分協議をして進めたいと思っております。
  103. 川合宏之

    ○川合説明員 建設省といたしましては、宅地開発に当たりまして、当然に地元の公共団体の御協力を得なければ宅地開発はできない立場にありますので、今後とも開係各省と十分協議の上、地元の御協力が得られるように努力いたしたいと思います。
  104. 小川新一郎

    小川(新)委員 そうしますと、これは住宅政策に関係しますが、埼玉県はこういう問題が解決できないから大型宅地開発デベロップを中止している。要するに、こういう問題が住宅公団をこれ以上入れるわけにはいかないという一つの要因なんです。あなたの方はどんどん住宅をつくれつくれと言うて、住宅公団には予算をつけて埼玉県に土地を買わせておいて、住宅公団が建設しようとすると、人が集まった、今度その運ぶ人になっていく、こういうところにいろいろ三管が苦労したわけです。自治省は今度お金の面で、おれは知らぬぞ、心配だ、大変だということになる。建設省としては、あなたが大臣のところへお帰りになって、埼玉県にどうやって協力するの、これ、住宅政策、困るよ。
  105. 川合宏之

    ○川合説明員 この覚書ができました四十六年の当時は……(小川(新)委員「四十七年です」と呼ぶ)失礼いたしました、私どもがいろいろ勉強しておりました四十六年の当時は、宅地開発の最大の問題点が実は鉄道の問題でありまして、まあその辺のところは小川先生一番お詳しいですから、はしょって申し上げますが、現在水の問題とか環境の問題とかいろいろ出てきております宅地開発の諸問題が、当時はほとんど出てきておりませんでした。極端に申しますと、鉄道の問題さえ解決すれば何とか宅地開発はできるというような比較的恵まれた状況でありましたので、それで私どもも関係各省とかような覚書を締結したわけでありますが、現在の状況は当時よりははるかに厳しくなっておりまして、地元の公共団体の、特に先ほど先生がおっしゃった関連公共公益施設の負担につきまして、開発する側とそれから地元の公共団体との問で非常に利害が相反しまして、現在における宅地開発の最大の問題点となっております。  それで、そういう問題を少しでも解決するために、たとえば住宅公団、住宅金融公庫による立てかえ制度を初めとしまして、いろいろ私どもなりに努力はいたしておりますが、今後とも宅地開発に伴いまして、どちらにしましても地元の公共団体の協力なしにはできないことでありますので、地元の負担をできるだけ軽減しながら御協力を要請するという立場を貫いていきたいと思います。
  106. 小川新一郎

    小川(新)委員 私はいま氷山の一端を言ったのですね。なぜ財政計画全体の問題から入らなかったかと申しますと、こういった問題が財政計画の中に、自治省が御援助くださらない、またくだされ得ない、そういう問題が地方としてはもうここまで追い込まれて、自治省の正確な見解からいくと、いま言ったような松浦さんのお答え、私も納得しますけれども、現実にはもう三〇〇%以上の満員電車が幾つもの踏切で停車しながら、混雑に次ぐ混雑を重ねているのが東武線の伊勢崎線の状態なんですね。これは本当の一例でございます。大都市東京の隣に位する埼玉県、私はすぐこの後に埼玉県の財政問題に入りますけれども、これは全く大変な問題であるということを御認識いただきながら、地方公共団体が再建団体に転落するということも、何も人件費ばかりでないんだという一つの例を申し上げてこの質問をしているわけなんです。  でありますが、いまこうやって御答弁を聞いておりますと、何でも埼玉県と相談して、埼玉県がいいと言えばと言ったって、金があるわけがない、いまからお話ししますが。できるわけがない。そうして、困るのは国民であるというまことにお粗末な落ちがついているこれは質問なんです。落語じゃありませんけれども、これは全くひどい落ちです。これをひとつ十二分に御勘案をくださって、私の話をもう一つ聞いていただきたいのです。  そういう問題で、埼玉県の一時借り受けの問題でちょっとお話を申し上げますと、昭和五十年の十二月分、歳計現金月別資金計画書というのがここにございます。これは埼玉県のことです。  それで先ほど、この間委員会でお配りいただきました一時借入金の、例の地方交付税の四期分のあれが入らないともうやっていけない、借入金が限度が来たという一覧表をいただきました。これは要するに交付税の問題でございますが、それが入った次の十二月、ことしの最後の月の十二月一日以降の問題で、十二月の五日になりますと、期末手当を百八十六億五千万円支払いますと、百五十九億七千六百万円、もう埼玉県は赤字になってしまいます。そして六口以降ずっといきまして、十二月の二十六日、一番ピークのときは二百六十三億二千八百万円赤字になります。この借入金の状態の中で、昭和五十年十二月三十一日、歳計現金月別資金計画書によりますと、二百十四億七千万円赤字になります。  この赤字になっている埼玉県の現状の中から、いま育ったような問題が解決できるなどということは私は思っておりませんが、まず、そういった中でこの借入金の問題をちょっとお尋ねいたします。  わが党の正木政審会長がこのことを、十月二十二日に例を挙げておりますが、「東京近県のある一県を」という例で引いておりますことは全く埼玉県の例でございますから、御理解をいただきながら、この借入金の問題について、市中銀行にお願いをしなければならない。ところがこの市中銀行が、年末になって借り入れがもう民間を問わず地方公共団体を問わず殺到してきますが、このときに、その埼玉県の約二百六十三億二千八百万円のお金というものを一体消化してくれるかどうか。いままで埼玉県で最高借りた一時借入金は六十億ちょっとです。今回、九月の定例会において条例を改正しまして、限度三百億まで借りられることにいたしました。しかし、この問題について御配慮をいただくよう、銀行から代表を呼んで、当時参考人としてお答えをいただきましたが、「特に、地方公共団体借り入れの申し込みは、学校の建設でございますとかいろいろ公共性の強いものでございますので、銀行といたしましても資金の地元還元という意味もございまして、今後ともできる限りの御協力」はしたい、こう言っておりますけれども、「一方御理解いただきたいと思いますことは、地方公共団体に対します融資が最近膨大な金額になってきているということが一つございます。増加率で申し上げますと、全国銀行の全貸し金の増加率は最近大体年率で一〇%程度でございますが、地方公共団体向けの貸出金は最近では年率で二五%」で、中小企業貸し出しなどと競合しますので、「あるいは御指摘のように地方公共団体の御要求に対して十分おこたえ」できないことがあるやもわかりませんという御答弁が出ておりますが、こういう事態になった場合、埼玉県の場合は赤字再建団体に落ち込む可能性も出てまいります。まあ一時にすぐそうというふうにきめつけたのではこれは大変なことでございますが、赤字に落ち込んだわけでございます、いままでずっと黒字で来ました県が。  いま言ったような、地方公共団体の貸出枠が二五%の比率になってきた、こういう場合、大蔵省は一体この銀行に対してどのような御指導をしてくださるのか。県内の立場からいっても、いま私が申し上げました、そしてこのようなあんまり好ましくない覚書を交換した大蔵省でございますので、せめてもの罪滅ぼしに、年末融資の地方公共団体の貸し出しの枠についての確保は十二分に、銀行協会等を通じて御示達いただいているのかどうか、また、その辺の御配慮は大丈夫なのかどうか。これは自治省、自治大臣もおられますところでございますので、松浦さんも渋い顔をして腕を組んでおりますから、十二分にひとつ明快な御答弁をしていただきたいと思います。
  107. 宮本保孝

    ○宮本説明員 ただいま先生御指摘の点は、私どもといたしましても今後の金融行政上非常に重大な問題と考えております。したがいまして、昨日補正予算国会を通過いたしたことでございますので、十日付で金融団体に通達を発しまして、地方債の消化につきまして極力協力するように指導いたすとともに、財務局長あてにもこの点につきましてきめ細かな指導をするように要請いたしたいと思っております。一方、日本銀行に対しましても、これはマクロ的に見ますと、金融市場全体としては消化の可能性はあるのでございますけれども、先生御指摘の東京とかあるいは大阪とかそういう首都圏、近畿圏の近くの都府県におきましては、個々の銀行、非常に困窮するところも出てまいるかと思いますので、個々の銀行を個別に資金需要を十分調査いたしまして、日本銀行等にもそういう点のきめ細かな指導をお願いするようにこちらから依頼いたしたい、こう思っております。
  108. 松浦功

    松浦(功)政府委員 ただいま大蔵省の方からお答えございましたように、銀行局長名の各関係方面に対する御通達もお出しいただけるようでございますので、私どもは大船に乗ったつもりでおるわけでございます。具体的に個別の団体で起債の借り入れが困難であるあるいは資金繰りが非常に困難であるとかいう事例がございますれば、当省にお申し出をいただきたい。個別の問題として大蔵省なり日銀なりにお願いをしで、それぞれの御措置をおとりいただくように強力にお願いしてまいるという覚悟でおりますので、私どもとしては何とか乗り切れていけるのではないかというふうに考えております。
  109. 小川新一郎

    小川(新)委員 ついでにお尋ねしておきたいのは、松浦さんにお願いしたいのは、埼玉県の財政規模からいって二百六十億ぐらいの、これは昭和五十年十二月末の借り入れでございますが、年度末になってみなければわかりませんが、この程度の問題であればそう深刻に物を考えなくてもいいのでありましょうかどうか、財政規模の点からいって、われわれ素人でよくわかりませんので、これは何も埼玉県ばかりでございませんので、各都道府県、市町村に当てはまることでございますから、その規模についてひとつお願いします。
  110. 松浦功

    松浦(功)政府委員 ただいま先生から御指摘をいただきましたのは、資金繰りの問題でございまして、いわゆる財源不足であるか不足でないかという問題、すなわち赤字であるか、黒字であるかという問題とは直接関係ないと私ども理解いたします。埼玉県は埼玉県なりにとるべき措置をとりながら鋭意財政運営をしておられますので、さほど財政状況が危険であるというふうには私ども見ておりません。ただ、資金繰りの問題につきましては、御承知のようにことしは税収入が落ち込んでおりますから、税金がなかなか入ってまいりません。そのかわりに減収補てん債をお認めするという方向になるわけですが、補てん債は実質には年度末あるいは来年当初に実際に資金化するわけでございます。それまでのつなぎが足りなくなっているという事情で、一時借り入れが多い現象としてはことしは特にそういう事情を踏まえて異常な年であろうかと思っております。したがって、一時借り入れの金額が大きくなったからと言って、直ちに財政の性格がどうこうなったというふうにお考えをいただかなくてもよろしいのではないかというふうに理解をいたします。
  111. 小川新一郎

    小川(新)委員 そこで大蔵省にお尋ねいたしますが、十月八日、道路や空港を建設したり、石油の備蓄、開発などを進めるための特定財源となっている目的税を全面的に見直し、その税収段階的に一般財源に繰り入れていく考えを明らかにした旨が一部報道されておりますが、事実でございますか。
  112. 福田幸弘

    福田説明員 ただいまの新聞の記事につきましては、われわれそういう決定をやってはおりません。新聞の観測記事だと思いますが、今後の検討課題であると思いますが、検討そのものもまだいたしておりません。
  113. 小川新一郎

    小川(新)委員 この問題は非常に大事な問題なんです。これは松浦財政局長にお尋ねしたいのですが、特定の目的のために使う財源を全部取り外すというわけにもいかないでしょうけれども、ある程度一般財源になし崩しにしていく、建設省あたりからは非常な反対があると思いますが、そういった仕組みの方が国の財政を立て直す手段としては好ましいのでしょうか。また国の財政が立て直されるということは、まあ立て直しという言葉はどうかと思いますけれども、好転する一つの兆しをつかむ税財政の改革のあり方の一つとして、当然そういうことを取り入れたことによって波及的に地方財政に及ぼす影響などというものも勘案されますが、その点について地方財政に携わっているあなたの立場から見て、その新聞の報道が確実性がないといういま御答弁でございましたが、そういう考えも検討の段階であるというような示唆をいま私としては受けたのでございますが、これはどういうふうに考えたらよろしいのでしょうか。
  114. 松浦功

    松浦(功)政府委員 まことにむずかしい御質問でございますが、目的税であるか目的税でないかということによって直ちにどういう効果が出るということを申し上げるということにはならないのではないかと思うのでございます。結局国の政策として、たとえば道路の目的財源でございましたならば、どれだけ道路の事業をやる必要があるかという点と結びつけての判断をしないとこれは危険であるかと思っております。現在の制度としてはいまの制度はそれなりに理由があってやっているものだというふうに私としては理解をいたしております。
  115. 小川新一郎

    小川(新)委員 大臣、この目的税を削減するという考え方は本当に閣僚会議等でも議題には出ないのですか。これは全く出ない話なんですか。
  116. 福田一

    福田(一)国務大臣 いままでは出ておりません。
  117. 小川新一郎

    小川(新)委員 これは、大蔵省は全然そんな考えもないことが新聞に報道され、突発的に出たものなんですか。
  118. 福田幸弘

    福田説明員 新聞の背景は全然承知しておりませんけれども、内部で検討もやっておりません。今後予算編成に絡んで、ことに道路が問題になると思うのですが、道路事業費がどう伸びるか、揮発油の場合は道路財源になっていて、法律の問題がございますので、相当慎重な検討が必要だと思います。
  119. 小川新一郎

    小川(新)委員 そこで、だんだん赤字団体の問題に触れていきますが、十月初めに全国市長会が発表しました昭和四十九年度都市別決算概況によりますと、赤字団体が前年度の五十三市から三十市ふえて八十三市となっておりますが、五十年度は都道府県を加えて赤字団体は二百二十団体になるものと見込まれております。それで私がお尋ねしたいのは、憲法第九十二条に保障されております地方自治本旨と赤字再建団体についてであります。まず赤字再建団体の見通しについて現状をお聞きしたいのでございますが、現在赤字再建団体の数は幾つなのか、またどのような団体なのか。首都圏の東京都、千葉県、埼玉県、神奈川県は再建団体には落ち込まないだろうか、まずこの点についてお尋ねいたします。
  120. 松浦功

    松浦(功)政府委員 ちょっと最近の細かな数字を私記憶がございませんので、すぐ連絡をして取り寄せますが、これまで、最近に至るまでの再建団体の数はごくわずかでございます。最近に至りまして、豊前市が一市、再建団体に指定される、これが実情でございます。豊前市の前に幾つあったかは、すぐ電話で向こうから数字を取り寄せますので、御了承願いたいと思います。
  121. 小川新一郎

    小川(新)委員 大臣憲法第九十二条の地方自治本旨理解について、地方が赤字になってパンクになった。会社では更生法が適用されて銀行管理になるとか、一番債務負担の多い会社が管理者として送り込まれてくるとか、その会社の自主的な運営機能というものは停止するわけであります。これは当然社会にそれだけの迷惑をかけ、関連会社を倒産の危機に追い込んだという社会的制裁をも含めて会社更生法というものがあるわけでございますが、地方公共団体のような公共性を第一とする、しかも憲法九十二条で保障されております地方財政の自主的運営という問題から自主財源の確立、国家関与、特に行政的関与の縮小が考えられるということが、これは学者間の憲法第九十二条の考え方ですから、赤字再建団体に指定されていくときに、その再建計画というものは当該公共団体が自主的に出すものなのか、もうあなたのところではいろいろ計画してやってきてさえも再建団体になったんだから、とてもあなたのところで出す再建計画では再建はおぼつかないのだから、自治省が再建計画をつくって、これに従って社会に迷惑をかけないよう、また当該地方公共団体責任のもとに政治を行うところの住民に対して理解を求めるためにもこの計画に従うのだということは、地方財政に対する自治省の異常なる介入ではないか、そこまでいったら。だからといって放置するわけにはいかないんだという考え方一つ。それからもう一つ考え方としては、地方財政の赤字再建団体に指名されそうなボーダーライン層にいまある団体を何らかのかっこうで救い上げて、赤字団体に落ち込ませないように自治省が手を加えていくためにはどのようにしていくかということが一番大きな問題ですね。  それから、もう一つ松浦さんにお尋ねしたいのは、一たん再建団体に落としてしまえ、これはもう無慈悲残酷ではあるけれども、落としてしまって、そういった放漫体制や地方財政計画の中で示した責任、これはおれたち責任を負う、地方財政計画の中における財政については自治省が責任を負うけれども、それ以上にはみ出した分については責任は負わない。だけれども、松浦さんのお答えの中には、景気のいいときがあった、一般財源の伸びがあったけれども、そういうときにもおれたちは金を返せとかよけいに出せとかということは言わなかった。だから、不足になったときには財政計画内で物事を処理しなさいよ。もしもこの財政計画内において物事が処理できないようなときには自治省はすべて口出しをしますよ、介入をいたしますよ、また管理も行いますよということが、憲法第九十二条で言われる「地方自治本旨」という問題——再建団体に一遍落としてしまってどうにもこうにもならない。はっきり言えば、自治省から考えれば、おれの指導どおりにいかない。もっと極端に言えば、人件費の問題だって、ラスパイレス方式で示したって国家公務員の給与よりも多くやったり、身分不相応なことをやったり、福祉の先取りをやったり、おれたちの言うことを聞かないじゃないか。そのはみ出した分について、困った、最後には破産した、これじゃわれわれが介入権を行使する以外ないではないかというのが今回の豊前市の五年間給与の停止だとか、また退職勧奨における自治省の強烈な指導であるとか、憲法で保障されている地方自治本旨にのっとった自主的再建計画という問題もできないんだという考えの中から、私は二つの考えを提起したわけですが、そういう前に救ってあげるんだという考えと、もう一つは一遍落としてしまって、自治省の荒療治によって、わずかな利子補給程度のことで、再建される側に言わせれば、金の問題では幾らも出してもらわないけれども、あらゆる面でギブアップしてしまった、だから今度は自治省の手術によって再建するのだという物の考え方、この二つの流れがどっちなのか私はよくわからないのですが、憲法第九十二条と赤字再建団体に指定された当該公共団体との運営のあり方、いま二つの問題を提起いたしましたが、お答えいただきたい。
  122. 松浦功

    松浦(功)政府委員 地方公共団体財政運営というものは、午前中からも三谷委員の御質問にお答え申し上げておりますように、標準的な規模はこういう形のものでございましょう、それに対する財源の裏づけはこうなっておりますよ、こういう形で示されてはおりますが、現実の問題としては、現行地方制度のもとにおいて当該地方団体が把握し得る財源をどういうふうに使っていくかということは、地方公共団体の御自由にお任せをしておるわけです。法律に違反しない限りは全く地方団体の自由でございます。そういう形で憲法における自治が保障されているわけでございますので、地方団体においてもその運営については、みずからの責任において事を処するという基本的な態度は当然権利の裏にあるはずでございます。  ところが、いろいろな事情がございまして赤字が出た、こういう形になりますと、余り大きな赤字が出るということは地方制度上から好ましくございませんので、一定の割合の赤字までになると起債を認めることはできませんよということが法律で規定してございます。起債が認められないということになると財政運営はさらに苦しくなる、こういうことになるわけでございまして、それについて私どもは、再建団体にならなければいけないということを申しているのではございません。豊前市もみずからの判断で、議会の議決で再建計画をしようということを決め、そして豊前市で計画をつくって知事に御相談があったわけであります。ところが計画をつくりました場合に、いかにも計画らしいものが出てきていても、数年の予定の中に赤字が完全に解消できるような裏づけがない計画は、これは知事としても認めるわけにいきません。そこで、実効性があるようにするにはどうしたらいいかということになると、相当きつい措置がいろいろとられる、こういう形になるわけでございます。自治省としてはそういう形のものを、この再建計画でよかろうということで数日前に最終的に承認をした、こういうことでございまして、あくまで自発的に豊前市が再建を申し出られ、そして自分で計画をおつくりになられた。ただ、その間において実行不可能なようなところはこちらで指摘をして、実行可能なようにしてもらわなければこれでは再建できないじゃございませんか、そういう技術的な助言は何回もしておるかと存ずるのでございます。  私どもとしては、赤字が出そうな、あるいは相当赤字になっておって起債制限のボーダーラインにございまする団体を再建団体に一度落とし込もうなどということは、いまの御説明から考えるはずもございませんし、またできるとも思っておりません。私どもとしては再建団体に落ち込む団体が一つでも少なくなることを望んでおります。  それには一体どうしたらいいか。ある程度の赤字が出たところでみずからもう一度考え直して、どういうふうに体質を改善すべきかということを御検討いただいて、みずからの手で自主再建計画をおつくりになって御運営いただく、それが一審望ましいと思っております。しかし、それをやっても、諸種の事情から実効が伴わずに二〇%の赤字のラインを超えてしまうというようなことになれば、法律の規定がございますように私どもは起債をストップいたします。そうなればますます動かなくなるはずでございますから、結果的に、地方団体が自主的に再建団体になるという申し出をしないと住民サービスが低下をしてくる、こういう問題が起こってくることになるわけでございます。したがって、私どもとしては、ボーダーラインにある団体は早く財政の体質というものを洗い直していただいて、みずからの手で健全な方向へ一歩ずつ歩みを進めていただくということを望んでいるわけでございます。  また、最後につけ加えさせておいていただきますが、豊前市の再建計画におきましても、なるほど昇給をストップするというような問題はございますけれども、私どもは豊前市の住民サービスが低下するということを極力恐れております。事業費などについては向こうのお考えどおりにお認めをして、そして事業費が余り減らないように、むしろ幾らかずつでも増加するようにという配慮のもとに計画を承認したというつもりでおります。
  123. 小川新一郎

    小川(新)委員 そこで、いまボーダーライン層にある団体ですね、この団体の再建に対する財政の洗い直しを行った自主的な計画というものを自治省側から提出を求めるようなことはないのかどうか、また、これが自主的に出てくるまでは自治省としては関与しないのかどうか。そして再建団体に落ち込むということは、ちゃんと法律で定めた財政上の規模がございますね、五%と二〇%という。基本的な、どうにもならない財政のその赤字分についての一つの制約がございますから、議会で決める決めないというよりも、もう国の法律に従ってそれを発動しなきゃならぬようになってくるのじゃないかと思うわけですね。だけれども、民主的な手続、機関の決起というものは、議会制民主主義であれば、いま言ったような地方議会の議決機関の決議というものが当然発動されなければならぬという形式はとるでしょう。私は、そこに、その財政計画に対する思惑がいろいろと自治の本旨というものを失っていくような問題にならないかということを心配してお尋ねしたわけでございますので、この点については簡単で結構でございます。
  124. 松浦功

    松浦(功)政府委員 自主再建計画はそれぞれの団体がおつくりになるものでございまして、私どもの方は、向こうがこういう計画をつくりましたと言って持ってくれば拝見をいたしますけれども、それを一々とってつべこべ言うというようなことは考えておりません。また、ちょっと先生誤解をしておられるように思うのでございますが、二〇%の赤字というのは、そんなに赤字がある団体に起債を認めたら償還ができないだろうから、起債は許可しませんよと言うだけのことでございまして、二〇%を超えたら再建団体にならなければならないという法律の制限はございません。ただ実際問題としては、起債が借りられなくなると仕事ができなくなってつらくなりますから、結果的に再建団体の方向へ各地方団体がお考えになるという結果はあると思うのでございますが、法律的な因果関係はないということだけ、ひとつ御理解願います。
  125. 小川新一郎

    小川(新)委員 その点はよくわかりましたが、自治省が、再建団体にみずから決議して落ち込んでいくことを好ましいことでないということと、落ち込ませることが本意でないということもよく理解いたしました。先ほど私が草加と越谷と竹の塚の問題を例にとりましたが、こういった緊迫した問題を多数抱えながら、なおかつ人件費の問題等においても、国土庁なども試算しておるように、国土法を施行することによって必要な人員というものにいろいろ地方公共団体が圧迫を受けておることは、もう各委員が指摘しているとおりでございます。そこに、憲法という大きな柱の中から、自治権という大きな問題の中で私はいま議論をさしていただいたわけでございますが、自治省のその方向性と物の考え方がここで明確になりましたから、簡単ではございますけれども、深い意味で言っているわけではないけれども、この問題は時間の関係で引き取りますが、どうぞその方向性を誤らないようにひとつお願いいたしたいと思います。
  126. 松浦功

    松浦(功)政府委員 ただいま御指摘をいただきましたように、自治体の本旨を損なうような行動をとらないということについてはありがたく御指示をお受けいたします。  それから、先ほどお尋ねございましてお答え漏れをしておりましたが、現在豊前市を含めまして市が二つ。ですから、豊前市以外では一つということでございます。
  127. 小川新一郎

    小川(新)委員 何という市ですか。
  128. 松浦功

    松浦(功)政府委員 新潟県の白根市でございます。それと、あとは町村が全国で六つございます。総体で八つということでございます。
  129. 小川新一郎

    小川(新)委員 次の質問に移らしていただきます。  現在各省庁の長期計画は、昭和五十一年から六十年までに社会資本の投下、整備目標をどのくらいに見ているのでありましょうか。普通建設事業に相当する金額でございます。
  130. 藤井直樹

    藤井(直)説明員 各省庁の公共事業の計画のことかと思いますが、私いま全部持っておりませんので、具体的な数字につきまして個々に申し上げることはできませんが、たとえば道路でございますれば十九兆五千億というのが四十八年から五十二年度までの計画としてございます。それで、その前提となります社会資本の整備の目標ということにつきましては、経済社会基本計画におきまして四十八年度につくりました九十兆円の公共投資規模というものがございまして、その規模を前提として各計画が策定されているという状況でございます。
  131. 小川新一郎

    小川(新)委員 私が調べたのが間違っているのかどうかわかりませんけれども、いまお尋ねしましたらちょっと違うのですけれども、各省庁、五十一年から六十年度までの普通公共事業が約二百十九兆三千百億、これは間違いないですね。
  132. 藤井直樹

    藤井(直)説明員 私の方でその数字を承知いたしておりません。
  133. 小川新一郎

    小川(新)委員 私の議論でちょっとお答えいただきたいのですが、これは昭和五十一年から六十年までに二百十九兆三千百億、普通事業に占める金額でございますが、これは国民総生産、GNPが、名目一二%、実質六%という理想像を各省の経済見通しの中で試算をいたしますと、百六十三兆八千二百五十億、名目八%、実質三%の危険信号がともった、福田さんに言わせると、二・二%のことしの見通しではこれは不況から脱し得ない、その三%という、実質見た場合には、百二十七兆八千二百億、試算が出ておりますが、このような低成長経済の中で、どのように——道路、公園、下水道などの社会資本が、現在の行財政のあり方のままで、抜本的改革のないままで五十一年から六十年度まで試算をいたしていきますと、もう二百十九兆に対して百二十七兆という、半分になってしまう。これは一体どのように見通しを立て、地方公共団体等の裏負担の問題もございますが、理想像としてはどういうふうにお考えになっておられるのか、また、こういう額が果たして当初目された金額のダウンですね、半分にダウンされたという場合になりますと、どのような結果になってまいるのか、その辺のところをお尋ねします。
  134. 藤井直樹

    藤井(直)説明員 ただいま御指摘の数字につきましては、どうもこれは国土庁で試算した数字じゃないかと思うのでございます。これは国土庁からお答えをいただいた方がいいかと思いますが、現在、新しい経済計画の過程で、公共投資の規模について計画の一環として検討いたしておりますが、その全体の経済のフレームがまだ明らかでございませんので、公共投資の規模がどうなるかということについて申し上げることはできないわけでございます。  ただ、方向として言えますことは、今後減速経済を迎えますれば民間設備投資というものがかなり落ちていくだろう、一方、個人消費等のウエートは高まっていくことになると思いますが、同時に、民間住宅投資とか、それから政府資本形成、こういうもののウエートは従来より高まっていくのではないか。全体として経済規模が従来のように大きく伸びていくということはないわけでございますので、社会資本の全体の投資規模自体がそれほど大きく伸びることはないかと思いますけれども、方向としてはそうなるだろう。その中で、どういう社会資本に重点を置いてこれから整備を進めていくかということにつきまして、現在、規模とあわせまして検討を進めているところでございます。
  135. 小川新一郎

    小川(新)委員 自治省では、理想の国民総生産、GNPの伸びは、どれくらいに見ているのでしょう。国土庁ではこの間発表がございましたね。これはあえて申し上げます。自治省へ聞きたいのは、なぜそういうことを言うかといいますと、地方公共団体財源落ち込み等を勘案しながら、国土の荒廃とか資源の問題とか、また住宅や交通やその他、公共団体のもろもろの社会公共福祉の問題等を勘案しながら、成長率というものをどれくらいに試算しながら昭和五十一年度地方財政という計画をお立てになっているのか、そしてそこからいろいろはじき出される計数によって地方公共団体がそれを指針として責任のある地方公共団体財政運営に資するためにも、地方財政計画内におけるところの財政については、松浦さん、胸を張って責任を持つとおっしゃられたのですから、そういう問題にも触れて、やはり自治省が、経済見通しというものをどの辺に置いているのかということがはっきりわからないで、いつも国土庁や経済企画庁や建設省の物の見方だけで物を判断するのはどうかと思うのですがね。これは私の唐突な質問でしょうかね。ちょっと質問の機を外れたのじゃないかというような気はしていないのですけれども、いかがでしょう。
  136. 福田一

    福田(一)国務大臣 実は御同様な質問がきのう参議院の予算委員会でございまして、そのときに副総理から申し上げておりましたのは、今後五十一年度を起点といたしまして第三次新全総といいますか、計画を一つ考える、それから、十一月の末か十二月の初めになるか知りませんけれども、五十一年度のその展望の中において、どのように計画の実現を図っていくかというようなことも、そのときになって決めるようにいたしたいと思うので、現段階においては国としてもその考え方を持っておらない、こういう答弁が実はあったわけであります。それはわれわれも国の一部でございます。一部というか重要な任務を持っておるのですから、一つの見込みを持っておることは当然だと思うのですが、ただ、もし個人的に、これは私個人的な意見と言っても、それは自治大臣として言うのですから、そうそう何でもでたらめに言っておるという意味ではございませんが、たとえば六十一年までの十カ年計画というものをつくった場合においても、これだけ輸出が伸びないという段階、あるいはまた消費の伸びが少ないとか、それから各事業が仕事をするための工場施設ですね、そういうようなものをやっていかないというときになりますと、どうしても国が、この最近の間は国の財投というものか財政が持っておる力を十分、ふだんの比率よりは、後年度の比率よりはよけいに伸ばしていくということでなければ問題に対処できないのじゃないか、そういう意味では相当程度の公共投資の規模をふくらますという形になるだろうと思う。公共投資の規模をふくらましますと、裏負担の問題がいますぐに出てまいるわけであります。そこでこれにどう対処するかということは、国の一応の公共事業の計画ができた、大体それと相並行して、そして地方自治体がそれに応じ得るかどうかという問題も考えて、五十一年度予算の編成の場合には考慮をいたすべき問題であるとは考えております。
  137. 小川新一郎

    小川(新)委員 非常にむずかしい問題でさすがの松浦さんも答えないのだけれども、松浦さんに聞けば何でもわかると思って私聞いているのだけれども、国土庁ちょっとお答えいただきたいのです。
  138. 小谷善四郎

    ○小谷説明員 国土庁におきましては、一応新全総計画の総点検作業の一環といたしまして、三%成長の場合と八%成長の場合にそれぞれどういう問題が起こるであろうかという検討を実はやったわけであります。それで新しい第三次の全国総合開発計画においてどういう成長率を見込むかという問題につきましては、現在経済企画庁の方で新しい経済計画の策定作業を進められておりますので、そちらの作業の結果などを待った上で考えてまいりたいというふうに考えております。
  139. 小川新一郎

    小川(新)委員 肝心なことを聞きたいのですけれども、三%になったらどうなるのだ。八%になったらどうなるのだ。また、高度経済成長政策のように、一〇%台を超えて実質二けた台になったときはどうなるのだ。簡単で結構ですから、それをちょっと委員会に報告してください。
  140. 小谷善四郎

    ○小谷説明員 簡単に申し上げますと、三%成長、低い成長率の場合にどういう問題が起こるかと申し上げますと、まず環境問題とか土地例題というものが深刻化することは避けられるであろう、そういう点はメリットとして考えられるわけでありますが、しかし、国民の生活水準を向上させるためのいろいろな公共事業等を十分には行うことができないのではないかという問題がございますし、さらには雇用不安をもたらすおそれがあるのではないかということが、結論的には私どもの計算では出てまいっております。  それから八%程度の高い成長率でいった場合にどういうことかということでございますが、その場合には、住宅建設とかあるいはその他もろもろの生活環境施設の整備というような問題についてはかなりのことができるであろう、そういう生活の質的向上を図るという面ではメリットがございますけれども、産業の立地難とか土地問題とかあるいは環境問題なんかについては問題が残るであろう。さらには石油等の資源をめぐりましての国際問題とかあるいは国際収支の問題などが深刻化することが懸念されるという結論でございまして、一〇%というのは八%以上でございますから、八%のメリット、デメリットがさらにきつくあらわれてくるであろうということになろうかと思います。
  141. 小川新一郎

    小川(新)委員 そういうことを踏まえて地方財政の立場から見ると、松浦さん、何%が自治省としては最も好ましいのか。いま言ったのは、国土の違った面から、三%のときにはこういうふうに不況対策や雇用政策が出てきますよ、それから八%以上になれば国土の荒廃につながる土地問題や環境汚染や交通問題等が多発するだろう、しかも二けた台はさらにメリット、デメリットの面で加重されてくるだろう、累進課税のようにどんどん加重されていくようになって、同じ原理になってまいりますから、そういう点から見たときに自治省としてはどの点が好ましいのかという点をまず一点お聞きしておいて、先ほど私が言った十年間の公共事業の金額というものが一体どの程度にはじき出されているのかということが当然自治省の宿題として出されるのじゃないかと思うのです。
  142. 松浦功

    松浦(功)政府委員 先般もたしか小川先生に御質問を受けたように記憶をするのでございますが、私どもは私どもなりにそれぞれの考え方なり勉強なりはしておるつもりでございますけれども、経済成長率というような問題は、これはそもそも国がどう見るかということであって、自治省がどう見るかという問題では私はないと思うのでございます。国がということになりますと、その機関として経済企画庁がその役目をお持ちになっておられるわけですから、経済企画庁で政府としてお決めいただいた諸元というものを基礎にしないと私どもは計算ができない、してみてもまことに架空なものになってしまうということでございます。  自治省の内部に長期ビジョンの研究会というものを学者の先生にお持ちいただいて、わが局の石原君などが中心になっていろいろデータを提供をして数字をつくっていただきましたが、つくっていただきました数字自体をいろいろ説明を聞いても、きわめて説得力がないわけでございます。というのは、経済成長率を幾らで見ているのか、あるいは貿易なり物価なりというものの影響がどんな形で経済にあらわれてくるかとか、すべて前提の諸元というものを仮定を置いてつくらなければならないものでございますから、きわめて説得力がない、こういうことになってまいります。したがって、大臣からもお話がございましたような趣旨でいろいろと経済企画庁の方で御研究になると思いますが、政府としての諸元、これの見通し経済計画等において決定されれば、それをもとに、地方財政はどうなるか、そのためにはいかにしたらいいかということは、そういう段階で私どもとしては勉強させていただきたいというふうに考えております。
  143. 小川新一郎

    小川(新)委員 確かに、専門的分野でないからその出された政府責任ある指示に従っていくのだ、そこから自治の問題も議論していくのだという物の発想は、私はわからないのではないのですけれども、物の発想、人間の発想ぐらいあいまいもことして千差万別なものはないという一つの例を申し上げたい。自治省は自治省の見解があっていいということを言いたい。そのために言いたいのですけれども、財政制度審議会は一体だれの諮問機関かと問われれば、これは大蔵大臣の諮問機関と答えるでしょう。地方制度調査会はだれの諮問機関かと問われれば、内閣総理大臣の諮問機関と答えるのですね。どちらが権威があるものか、政府はどちらを尊重するかということになれば、言わずともがな、これは内閣総理大臣の諮問機関をとらざるを得ない。しかるに、その財政問題になってきてガンとなるのは、いつも大蔵当局の財布の締め方であり、物の考え方であり、発想の原点からさかのぼって物を考える力であるということで私はお尋ねするのですけれども、いま非常に常識的なまことにそつのない御答弁を松浦財政局長おっしゃられておりますけれども、考え方の違いという問題が一つ食い違うと大変だということで私はこれだけはどうしても言いたいので言っておくのですが、昭和五十年七月二十一日、大蔵大臣の諮問機関である財政制度審議会は財政制度審議会中間報告を発表しておりますが、その中で「地方財政の問題」として、「地方財政計画に見込んだ歳入が年度途中において欠陥を生ずるに至った場合は、国において必要な措置を講ずべきであるとする議論があるが、要は、その後の経済情勢の推移等に応じ、収入支出両面の見直しを行い、将来の財政収入見通しをも勘案しつつ、地方財政の適正な規模を見極め、その円滑な運営を図ることが必要なのであって、歳入不足が発生したからといって直ちに国がその責任において所要の措置を講じなければならないというものではないと考える。」と述べていますね。これは厳格に言うと、どこの歳入不足という問題かというと、ここがちょっといつも議論が分かれるのですが、地方財政計画内における歳入不足が生じた場合には、松浦さん毎度国会で御説明いただくように、責任を負うのは政府なんです。しかし、財政計画内において生じた問題が果たしてその枠内からはみ出した分について責任を負わないと大蔵の諮問委員会が言っているのかどうか、この点が不明確なんですね。しかし、非常にいいことは、何もこれ責めているんじゃないのですよ。あなたをほめてあげようと思って言っているのです。一方、五一年七月二十三日、内閣総理大臣の諮問機関である地方制度調査会は「地方財政の硬直化を是正するためにとるべき方策を中心とした地方財政のあり方に関する答申」を発表しておりますが、その中で、「経済変動と地方歳入の確保」について、「地方財政計画は、国の立場から地方財政対策を明らかにして、毎年度地方財政の運営を確保するために策定されているものであるから、年度途中において地方税地方交付税等について地方財政計画上見込まれている歳入額に欠陥を生ずることとなった場合には、国において、当該年度における財政運営に支障をきたすことのないよう適切な措置を講ずべきである。」とはっきり述べておりますね。でありますから、あなたが細谷委員に対する予算委員会の答弁においても、財政計画内におけるところの責任は負ってあげますよ、処置をとってくれますよと言っておりますが、大蔵の言っている方はそのことを指摘しておりません。ただ今度はその言っていないということは、地方財政計画ではみ出す分について、当然お互いの見解の相違、発想の違い、また地方財政の仕組みが現行のままでは、地方行政、住民の福祉行政、サービスをやっていくには、地方自治体はここまではどうしてもはみ出してしまう、しかしこのはみ出した分について、人件費とか放漫財政とか、あなた方が指摘していらっしゃるような諸問題の次元について是正はしたとしても、なおかつ財政計画からはみ出した分については一体責任を負うのか負わないのかということは、大蔵の諮問委員会では言っておりませんし、また財政計画内における責任問題も明確にしておりませんから、これは大蔵省からまずお聞きして、それからうんちくのある御答弁を財政局長からお聞きして、引き下がることにいたしましょう。
  144. 藤井裕久

    藤井(裕)説明員 ただいま御指摘の七月二十一日の財政制度審議会中間報告、御指摘のとおりのことが書いてございます。この中にございますように「国民の理解と合意の下、勇断をもつて実行に移すべきである。」こういうことでございますので、われわれといたしましても大蔵省としてできる範囲でこの基本的な考え方に基づいて処理をいたしたいというふうに考えております。  そこで、いまお読みになりましたところでございますが、これは私どもは当然に当初の地方財政計画の穴埋めをするということではないんで、要は適正な地方財政が運営できるようにすればいいということでありまして、そこら今回の補正に当たりましても自治省出局といろいろ御相談いたしまして、結果として今回お示ししましたような案になっておるわけでございます。  なお、はみ出し部分の話でございますが、これはここには書いてございませんが、はみ出し部分につきましての私どもの考え方につきましてはいこれは今回の経済情勢のいろいろな激変で出てきた事態でございます。国といたしまして補てんするのはやはり当初の地方財政計画が限度であろうというように考えております。
  145. 松浦功

    松浦(功)政府委員 ただいま大蔵省の主計官の方からもお話がございましたが、財政審議会の御答申の中に歳入歳出を見直しというような言葉が書いてございましたが、若干個人的な意見としてお許しをいただけるなら、なぜ歳出の見直しをしなければならないのか私はわからないのでございます。歳入は穴があいたかどうかを調べる必要がある。ただし社会情勢の変化に伴って落とすべきものがあるのを落とすというのであれば結構でございますが、私は少なくとも今回の財政計画の歳出の中に削減すべきものがあるとは考えておりません。そういう意味では地方制度調査会の御答申が私どもの気持ちを真っ正面からついていただいているものと私は思っております。  ただ両方とも、財政審議会の方も地方制度調査会の方もはみ出し部分については全然触れていないわけでございます。この問題をさておくということでございますれば、地方財政計画上の穴を埋めて現実に地方財政の運営に支障が起こらないようにしたのだという大臣の答弁が、全くすべてを物語っておる、私はこういうふうに存じます。なるほど交付税借り入れでございます。税収の補てんは地方債でございます。先生方から見たら手ぬるい、こういうお話もあるかもしれませんが、それは大臣からお答えございましたように、国の方にいま要求してみても国も空っけつ、逆さになっても鼻血も出ないという状況でございますから、これはこれなりに地方財政で借りておいて、将来の制度改正の問題できちっと、地方団体に迷惑がかからないようにする、こう申し上げておるわけでございます。  なお、はみ出しの部分については、これまでも御答弁申し上げましたように、ともかく各地方公共団体財政計画の趣旨を御理解をいただいて、できるだけ歳出の切り詰め、歳入の確保ということに御努力をいただく。午前中も大臣からお答え申し上げましたように、にっちもさっちもいかない団体がその上でもなおあるのであればこれはいろいろと御相談にも応じましょう、こういう態度で今後臨んでいきたい、そういうことによって再建団体が多出することのないようにいたしたいという気持ちでおりますことを申し添えておきます。
  146. 小川新一郎

    小川(新)委員 私はだからさっきも言ったように地方制度調査会の方に歩があるということで、いま大蔵当局が大蔵省の諮問機関の、財政計画の中で歳出を削るなんということをもし認めれば、地方財政計画というものの金科玉条主義、その中で責任を負うと言っておる財政局長のたんかが全く架空になり、そら恐ろしいものになるのです。それは大蔵省よく聞き取っていただかなければ困るのです。私はあなたを何もお客様としてきょうお呼びして、当該委員会でつるし上げるために財政局長と小川新一郎がぐるになって、さっきからあの覚書のことでもいやなことを言いやがるし、全くどっちかといえば——それは私は人情からいったって地方自治の方なんですから、その立場から物を論じていく。本当に財政制度審議会の物の発想というもの——だからさっきから言っているように、私はいま大どころの議論をしているのです。地方交付税の配り方や何かをいま議論しているんじゃないのです。政治家として、当然あるべき国の思想、理念、そこから発想してくる物の考え方がどのように政策に反映してくるかという議論をきょうは、細かいことはわが方の私よりもっと勉強しております小濱先生がやりますから私は言いません。勉強しようにもまだよくわからないから大きなことばかり言っているように皆さん思っているかもしれないけれども、そのことがまず明確になって細かい議論をしなければいかぬ。その点でいま松浦さん非常に勇気のある発言をしたと思うのです。
  147. 松浦功

    松浦(功)政府委員 私、別におほめいただくほど勇気があるわけじゃございませんが、少なくとも今回の補正予算折衝に当たって歳出を切れというようなことは大蔵省からは一言もございませんでした。大蔵省御自身でのどちらの調査会なり審議会の線をお考えいただいたかということで、主計官を余りお責めいただかないようにお願いいたします。
  148. 小川新一郎

    小川(新)委員 そんなことを松浦さん言うから、私は一生懸命あなたを尊敬していてもひっくり返ってしまう。ここまでぼくが汗水たらして、野党の諸君に非難を受けるほど私はあなたを守ってあげている。この気持ちがわからないのでは本当に困るのですよ。私はそれこそ追い込まれて、立場がなくなってしまって、ここで立ちん坊になってしまう。それを大臣よくお考えの上でひとつ物事を判断してもらわなければいかぬ。そこで、そういう中からこの自治大臣と大蔵大臣の協議という問題が出てくるのですよ。覚書というものが出てくる。さっきから覚書がいかに大切であるかということを言わんがために、埼玉県の越谷の例を引いて、ぼくはそこから入っていったのです。いまごろになってわかってもらっても遅いのですよ。  そこで言いたいことは、細谷さんも言っておりますが、昭和五十年度地方財政対策を講ずるに当たっては、五十三年から——この処置をしたことについて私も申し上げません。これは法案に出ておりますから、知っておりますから言いませんが、少なくとも私は、ここにあなたがいいことを言っているのです。これで示唆されたと思ってぼくは研究しているのですが、細谷委員の質問に対して、松浦政府委員がこういうふうに言っている。「これは五十三年以降の問題になるわけでございます。五十三年以降、各年次について地方財政の適正な運営が行われるように財政計画をつくるということは当然でございます。その場合において、必要な財政需要、これを適正に算定をいたしまして、それに見合う当該年度制度のもとにおきまする財政収入を比較をいたしまして、歳入が足りないということになりますれば、」云々とこう来て、「逆に申し上げると、その年度において、将来の問題でございますが、わかりません。先生御指摘のように、交付税率が上がっておる、あるいは税制改正地方税がうんとふえておるとか、そういう形になりまして、必要な財政需要と財政収入とが十分見合う、返還をしてもなお見合うということであればそのときは必要はない、こういうふうに御理解をいただけたら結構かと存じます。」こう書いてある。そうしますと、交付税率が上がるとか税財政の根本的見直しというものは昭和五十三年以降でなければやらぬ、五十一年、五十二年はもうそのまま据え置きなんだ。ひっくり返して言えばあなたが言っていることは、「五十三年以降」と最初に言っておいた後で、交付税率が上がっておるか地方財政の全体の改正が行われてからということは、五十三年以降は交付税率も上げないのだ、それからもう税制の改革も行わないのだという示唆にとれるのですね。これはどうなんです。
  149. 松浦功

    松浦(功)政府委員 そういう意味ではございませんで、きょう午前中に「引き続き」という交付税法六条の観念についても三谷先生といろいろ議論がございましたが、五十年、五十一年は恐らく不足という形になるだろう。そうすると、五十二年には何らかの抜本対策をとらざるを得ないということになるのじゃなかろうかということを申し上げたわけであります。その場合に、地方税制度改正という形で増収が図られるか、交付税率の引き上げという形で図られるか、あるいは交付税の基礎になる税目をふやすという形で、税率が下がっても交付税がふえるという場合もあるわけでございます。いろいろな方法があると思うのでございます。そういう方法が何か五十二年にとられなければ、いまの見通しでは、まず国も地方もにっちもさっちもいかなくなるだろう、そういうことを前提に置いて、五十三年からことし借りました一兆一千億の償還が始まるわけでございます。そういう状況で、それを償還してもなおバランスがとれるときには、国からの覚書に基づく適切な配慮というものはないかもしれません。それが不足で、それを返すために地方財政計画に穴があくというおそれがあるような場合には、一部国で補てんしてもらうとかあるいは償還を延ばすとか、そういうことを覚書の中で、そのときの状況に従って両大臣で協議しようということを定めたものでございます、こういう説明を申し上げたように記憶をいたします。
  150. 小川新一郎

    小川(新)委員 そこで、先ほどから私が言っている経済成長率の見直しという問題で、昭和四十九年は〇・五%の減速、これはマイナスですね。ことしは四・何%上がると見ておったのが二・二%に抑えられてしまった。これは見通しの誤りだということを予算委員会でも認めておる。そうしますと、昭和五十三年から償還に入る。実質は昭和五十三年から地方交付税の借り受け金に対して地方が返し始めるわけですね。返し始めるという社会的環境をつくるには、少なくとも何%の成長率があって、経済が刺激されて、落ち込んだ法人税というものが復活してきて、税という問題に対する穴埋めがある程度補てんされてくるという一つの客観的情勢があるだろう。  もう一つは、五十三年に返還するためには、五十二年度に、いま財政局長が申されたような何らかの手が打たれて、五十三年には十二分に地方公共団体が返せるだろうというのですか、返し得るようになるだろうというのですか、そこのところはちょっと微妙ですけれども、もしもそういう手を打たれなければ、現行のままで二・二%の減速低成長で進んでいった場合の日本経済の景気の落ち込み、冷え込みというものがそのまま持続された場合には、何らかの抜本的手を打たない限りは、昭和五十三年からの返還というものは、それこそ両大臣覚書が交換されているような、伸縮自在とここで言って細谷さんからしかられているようですけれども、私は伸縮自在というよりも、返せる状況にするという確約が欲しいわけです。それは経済の全体のレベルアップという問題もあるだろうし、あなたがさっき言ったもっと国の大きな立場からの議論になりますね。そうすると、それがもしもできない場合の糊塗的な手段ということで、地方財政の抜本的改革をそこに織り込むという確約がまだ余り聞かれていないから、私はそれを裏返していま御質問しているわけなんでございますから、その辺の御説明をもう一遍お願いしたいと思います。
  151. 松浦功

    松浦(功)政府委員 私は自治省の一局長でございますから、国民の租税負担をどうこうするというような立場から口をきくべき立場ではございませんが、少なくとも国と地方財政というものを合わせた公経済をながめている限り、五十年、五十一年という借金財政を繰り返して、また五十二年もそういう形に行くということになっては取り返しのつかないことになるのではないかということを個人的に考えております。したがって、五十二年度には何らかの制度改正の大きな手を打たざるを得ないのではないか。その際には、これまでも大臣が繰り返して申し上げておりますように、全般の問題として、国、地方財源の配分ということにも基本的な考え方をもってメスを入れていく、こういうことになることが望ましい。また、そうなっていただかないと、五十三年以降の返還問題も非常にやりにくくなるという感じを持っておるわけでございます。
  152. 小川新一郎

    小川(新)委員 そうすると、五十一年、五十二年は、そのステップまたは準備期間、そういうものの整備をするためにこの二年間で何らかのものを出す、そういう意味理解して、その大臣の御構想をお尋ねしたいと思います。
  153. 福田一

    福田(一)国務大臣 五十年、五十一年は無理であるけれども、五十二年の見通しをつける来年の秋ごろになれば、大体の見当がついてくると思うのです。今度の補正予算でどれだけ景気浮揚ができるか、あるいは展望として六%の経済成長率が伸びるか、そうなれば税収入はどれぐらいになるだろうかということが、大体の見当がつくと思います。その段階において考え直さなければならない問題が起きる、こう考えておるわけであります。
  154. 小川新一郎

    小川(新)委員 大臣、非常にお疲れのようにお見受けしてお気の毒だと思うのですが、そういう漠然としたことでなくて、ではどういうことなんだ、どういうことをおやりになるのだということの現実的な御示唆はいただけませんか。
  155. 福田一

    福田(一)国務大臣 私は、地方財政というものと国の財政というものとは非常に大きな相関関係があると思うのです。経済見通し自体も、ある意味では流動的だと思っております。それから、世界経済の動きもまだはっきり完全な見通しがついているというわけではない。そのときに、国の見通しが一応つく段階においてそういうことを発言することの方が私は望ましいと思っておるので、何も全然考えておらないわけではございませんが、この場合は差し控えさせていただきたい、こういうことでございます。
  156. 小川新一郎

    小川(新)委員 非常に堅固なガードラインで私もはね返されてしまったのですけれども、まあ大臣の立場もおありでしょうから独走するわけにもまいらないし、また、その発言が後で重大問題になるということも勘案して、私もここで矛をおさめますけれども、その一例として公営企業金融公庫について——一つずつ堀を詰めていきましょうね。現在の公営企業金融公庫を改組して、地方公共団体中央金庫として機能を飛躍的に拡充するという構想について、まず自治大臣はどのようにお考えになっておられますか。
  157. 福田一

    福田(一)国務大臣 御案内のように、こういう高額の縁故債を募集せねばならないというような段階において、地方が非常に困ったような場合において、その種の公庫があって融資ができるということは、私は望ましいことである。また特に来年度においてはまだ相当そういうようなことも考慮される、いわゆる財源が潤沢でないというようなことを考えてみますと、いま仰せになったような改組を行っていくということは、われわれとしては従来も考えておったところでありますが、その切実性が非常に強くなった、したがってその点については、われわれはその実現に努力をいたしたい、かように考えているところでございます。
  158. 小川新一郎

    小川(新)委員 大蔵省の見解はいかがなんですか。
  159. 藤井裕久

    藤井(裕)説明員 ただいま御指摘の公営公庫の改組問題ということについては、まだ正式に自治省からお話がございませんもので、現段階で余り御意見は申し上げられないと思いますが、要は、目的は資金運用部の政府資金が非常に枯渇して、地方債の引き受けがなかなか困難になっておる。この地方債の引き受けをどういうようにして円滑に進めたらいいかという観点が一番ポイントだと思います。そのような観点から、五十一年度予算編成に当たっては各種の対策について自治省当局と協議をしてまいりたいと思っております。
  160. 小川新一郎

    小川(新)委員 そうしますと、反対はいたしませんね。
  161. 藤井裕久

    藤井(裕)説明員 これは大蔵省でも所管は銀行局になっておりますが、この問題につきましては、大蔵省として現在一つの御意見を申し上げることは差し控えたいと思います。
  162. 小川新一郎

    小川(新)委員 これまた非常に堅固でございますけれども、大臣、そういう考え方をお持ちだということでございますが、これは正式に大蔵大臣と話を詰めていく御決意ですか。
  163. 福田一

    福田(一)国務大臣 予算編成に具体的に入った場合には、事務的にもその話を出すつもりでもございますし、いよいよになったときには、大蔵大臣とも話をする決意でおります。
  164. 松浦功

    松浦(功)政府委員 ただいま御指摘の問題は数十年来の自治省の希望でございますので、大臣お答えいただきましたように、私ども事務的にも鋭意詰めてまいりたいと思っておりますが、こういうことを私どもも強く念願をしておりまする背景は政府資金が十分にないからでございます。しかも、政府資金がなくて縁故債が多いということになると、地方債縁故債の消化に地方団体が非常に苦しむ。こういうことが背景でございますので、私どもがお願いする政府資金を十分に確保していただければ、こういうものを急いで改組しなければならないという理由はだんだん薄らぐわけでございます。その辺の事情との兼ね合いがございます。私ども、ことしのような状況資金繰りがつらいということであれば、やはりこの問題には真剣に取り組まざるを得ないだろうという判断でございますし、事務的にもできるだけ早く案をまとめて、大蔵省に御要求をいたしたい、こういうつもりでおります。
  165. 小川新一郎

    小川(新)委員 ありがとうございます。  そこで、もう時間の関係で少しスピードを出して申し上げますが、地方税の減収についてでございます。これは何らかのかっこうで元利償還は国が負担すべきであると思いますが、それがいろいろとできないわけでございます。地方税の減収分一兆六百三十二億円について全額特例地方債によって措置することになっておりますが、政府資金で直接引き受けるもの二千億、一九%、民間資金に対して利子補給するもの二千三百億、二二%であり、合計でわずかに四千三百億を処置したにすぎません。しかも、民間資金に対する利子補給も、全然しないよりはましでありますけれども、政府資金に比べると地方債発行の手続、消化が非常に困難であります。  そこで、地方債の大量発行は後年度公債費の増大につながり、地方財政が圧迫されるので、一般の地方債よりも資金運用部資金の引き受け割合をふやして、せめて八〇%以上にすべきであると思いますが、どうか。これが第一点であります。  第二点は、そして民間が引き受ける分についてはその全額を利子補給の対象にすべきであると思うがどうか。  三点目は、一般の地方債よりも返済期間をこれらは延長すべきではないか。場合によっては、資金運用部資金による国債引き受け額を抑えてでも地方債引き受けのための資金運用部資金を確保すべきであると思います。  この三点についてお願いいたします。
  166. 松浦功

    松浦(功)政府委員 先生の御要望は、地方団体側の立場に立てばまことにそのとおりであろうと思います。私どもも政府資金七〇%ということで要求をいたしましたが、いかんせん政府資金がどこを探してもないということでございましたので、かき集めて二千億だけ確保した。これで市町村の減収補てん分は全部政府債で処置をいたした。残りは大きな団体でございますから、大蔵省の援助も得て縁故資金を消化するという方針をとったわけでございます。  全額利子補給ということも、これも一つのお説であろうかと思いまするが、やはり国の財政がこういう状況でございまするので、ある程度話し合いの結果こういうふうに落ちつけたということでございます。  ただ、全般論として言えますことは、今回の減収補てんの一兆六百三十二億のうち約九千億弱のものは法人でございますが、法人系統のものにつきましては将来の償還を、交付税基準財政需要額の中に、府県分については八〇%、市町村分については七五%を算入いたします。したがって、交付税という形で償還金についての財源保障はされる仕組みになっております。また、財政計画において、これは七五とか八〇とか言わずに全額償還金は計画に立てるつもりでございます。それに見合う歳入をそのときの財政状況に応じてどういう形にするかは別にして、地方公共団体に御迷惑をかけないように確保するつもりでございますので、その点でひとつ御了解をいただきたいと思っております。
  167. 小川新一郎

    小川(新)委員 地方債の消化の問題について一点お尋ねいたします。  地方債現在高は、昭和四十年度末で六兆八千二百八十億、政府資金が全体の四七・三%、市中銀行資金が三三・一%、その他の金融機関が四・〇%、市場公募債〇・八%となっておりますが、地方債の消化ができないのではないかと心配されている今日、政府大蔵省地方債を日銀のマーケットオペレーションの対象にする考えがあるのかどうか。いまの内訳の中の市中公募債が少ない、こういった例を私、指摘いたしましたが、この引き受けの点についての大蔵省の御所見をまずお伺いしたいと思います。
  168. 宮本保孝

    ○宮本説明員 ただいま御指摘の点でございますが、公募債につきましては現在日銀の担保適格になっておりますし、またオペレーションの対象にもされております。ただ現実的には、やはり国債の方からやっていきますので、実際問題として公募債が買われているという事実はないかもしれません。ただ、一般的に地方債縁故債が多いものでございますから、縁故債について担保適格ないしはオペレーションの対象にしようという御指摘かと思いますけれども、この点につきましては、日本銀行の金融調節というのは短期の金融市場を調節するのが主目的でございますので、流通市場がよくできて、一般に流通する債券を買うことを基本といたしておりますので、縁故債自体を日本銀行の、いまおっしゃいました担保適格なりあるいはオペの対象にすることはむずかしいのではないかと思っております。縁故債を公募債の方へ切りかえる方法をおとりいただく方がいいのではないか、こう思っております。
  169. 小川新一郎

    小川(新)委員 松浦さん、いまのお話のように、日銀の買いオペの対象になる国債はいいんですけれども、一年間市中銀行が保有しておって、いよいよ困れば日銀に持っていけばお金になるというのであればいいんですが、いま言った市中公募債〇・八%、これは買いオペの対象になるということですが、これの方に切りかえということでいま御指摘があったんですが、それが一つで、もう一つは、日銀の買いオペの対象にならないのであれば、その方が多ければこれはインフレ要因にはつながらないであろうということですから、要するに地方自治体の起債能力の範囲内において地方債を積極的に活用できるような道を開けないのかどうか。これは全体の地方財政の問題から見ていったときに、余りそういうむちゃなことをさせられないという親の立場から見て、能力限度というものは一番よくわかるのは自治省だと思うのですけれども、そういった面を勘案して、いまの買いオペとの関係で、縁故債と市中公募債との転換の比率を自治省としてはどういうふうに指導し、指摘したらよろしいのでしょう。
  170. 松浦功

    松浦(功)政府委員 いま銀行局の課長がおっしゃられた市場公募債、これは公募債と一般に言っておりますが、これは適格担保にはなっておりますが買いオペの対象にはなっておらない。まあ日銀さんの方でおっしゃられるには、国債等流通性の強いものから買っていくからそういう必要性はないのだというお話でございますが、仮に空振りに終わるといたしましても買いオペの対象ということにしていただいた方が聞こえがいいじゃないかという議論は、片一方にあるわけでございます。そういう意味では、私どもは市場公募債をできるだけ買いオペの対象にしてほしいということを現在お願いをしておる段階でございます。  さらに市場公募債の方に一般の縁故債を振りかえるということによって担保適格の問題、そういった問題が片づくだろうというお説、これは一つ考え方であろうと思うのでございますが、市場公募債ということについての地方公共団体の希望というものが必ずしも十分に強くないわけでございます。と申しますのは、縁故債でございますとそれぞれの取引銀行との関係からわりあいうまく安い利率で借りられる。市場公募でございますと、証券が入ってくるというようなことで手数料を余計取られて実際には高くつく、こういうような感触もございますが、私どもとしては、地方公共団体が納得する限りはおよそ地方で発行する地方債に流通性がつくということについては賛成でございますから、地方団体の御意見を伺いながら、ただいま銀行局の方からお話のありました方向へ持っていくということについて反対はございません。
  171. 小川新一郎

    小川(新)委員 いずれにしても高度な政治的判断の必要な債券の振りかえの問題ですね。要するに銀行というものは、他人の金を集めて他の人に貸し付ける金利を取って運営していく、証券会社というのは手形や債券の裏書きに対する手数料を取るわけです。当然これは市中公募というかっこうをとって利回りのいいところへお客が集中してくるわけですね。ところが、御用金と称される国債とか、そういった日銀が責任を持って引き受けなければならないものは低利である、しかし、それに対する見返りとして、銀行法等によって銀行が手厚く保護されているから、ある程度買いオペの対象にならない問題についても金融シンジケート団は泣き泣きそれを引き受けているというのが金融界の定説になっているわけです。そういう中で地方債という問題が浮き彫りにならなければならないほどの昭和五十年の財政落ち込みの中で、借金政策という問題が集中してきますと、当然金融シンジケートの、マーケット、市場が狭められてくる、そこに中小企業や個人の金融の窓枠が狭められてくるという中で、当然弱いところは、国と比較すれば地方公共団体である、こういう例を挙げて、私はいま市中債の消化、縁故債の消化という問題について、先ほどの埼玉県の一時借入金の問題と銀行の態度という問題について、大蔵省に対して御指導なり通達なりを要求したわけでございます。そういう点をひとつお考えの上で、自治省は配分の仕方をお考えいただいたら幸いだと思うわけです。  そこで、時間がありませんので申し上げますが、文部省来ておりますね。児童生徒急増地域における小中学校用地取得費に対する、現在国が三分の一を補助する特例措置が、昭和四十六年から五十年までになったが、これを延ばすということになった。さらに私の質問に対して松浦さんは拡大、もっと大きくして差し上げたいというようなお答えもいただいておりますが、文部省としてはこれらの点に対してどうなのか。  また高校用地の取得についてはどういうふうに予算措置を講じられたのか。地方財政の問題に絡めてお尋ねしておきたいと思います。
  172. 西崎清久

    ○西崎説明員 ただいまの第一点、小中学校の用地の問題でございますが、来年度の問題として、私どもといたしましても児童生徒の急増はなお激しいという事態を勘案いたしまして、面積の拡充であるとか交付率のアップというふうな点を勘案して、来年度の問題として関係各省と御相談してまいりたいというふうに思っております。  それから高等学校につきましては、急増生徒が相当問題になっておりますが、建物の方について補助制度をどうするかという点が、来年度の課題になっているわけであります。この点はいろいろ交付税制度とか起債というふうなものとの関連で検討する必要がございますが、当面用地については補助制度は文部省としても考えていないというのが実情でございます。
  173. 小川新一郎

    小川(新)委員 次に、自治体病院のことについてお尋ねしますが、自治体病院の赤字、不良債務について、四十八、四十九、五十年度はどのくらいになっているのか。また四十九年度において、四十八年度決算に基づいて不良債務七百五十一億円のうち五百四十五億円を対象に公立病院特例債を発行していただきましたが、その特例債の利子の一部を補給することになっておりますが、その後新たにふえた不良債務も同じぐらいの額になっているのではないかと思っております。それについて再び特例債を発行するお考えがあるのかないのか。いままでの特例債の償還についても利子補給の全額、元金の三分の二を国の一般会計から負担すべきであると私は思っておりますが、新たに生じた財源の穴については、これらの不良債務については、どう対処なされるのか、これが一点でございます。  次は、自治体病院の新増設についてでありますが、既存の自治体病院も、そのほとんどが赤字で苦しんでいるところ、さらに病院経営に積極的に乗り出している自治体もありますが、病院の新増設については財政上経営上の不安が伴うので、しっかりした収支計画を立てるのは当然のことでありますが、当初の用地費、建設費が巨額になっているため、地方財政危機に直面している自治体は意欲があっても新増設に踏み切ることが困難であります。そこで地域医療の重要な役割りを受け持つ自治体病院を国が認識しているのであれば、用地費、建設費について国庫補助制度を創設するという方向で積極的に検討すべきであると思いますが、この点についてはどうか。この点につきましては先ほど質問を通告してございますので、御答弁を明確にお願いいたしまして、時間が参りましたから、私の質問は御答弁をいただいて終わらせていただきます。
  174. 横手正

    ○横手政府委員 公立病院の経営状況でございますが、四十八年度におきましては、不良債務は七百五十一億円という額に上っております。四十九年度の見込み額によりますと、これが五百九十四億円に減っております。約百五十七億円減になっておりますが、これは先ほど先生お話しの四十九年度末に、四十八年度末における不良債務につきましてその一部につきまして特例債を認めたということが原因いたしております。  なお、四十九年度におきましてもかなりの不良債務がございますが、四十九年度末に特例債の措置をとりましたのは、当面のとりあえずの措置としてとったわけでございまして、病院事業の経営健全化のためには、やはり基本的には社会保険診療報酬の適正化でありますとか、あるいは病院の配置及び規模その他経営の合理化をさらに徹底していくといいましたような総合的な対策が必要でございまして、そうしたことを今後特に進めていく必要があると思われますので、四十九年度末の不良債務について同様の措置を講ずるということは根本的な解決にはなりがたい面がございますので、現在の段階におきましては同じような措置を講ずる考えはないわけでございます。  次に、病院の新増設に当たりまして、非常に建設費がかさんでまいっておるわけでございますが、これにつきましては従来から地方債をもって充当いたしてまいってきております。特に人口急増地域において病院の新増設の必要がある場合もあろうかとは思われますが、人口急増地域なるがゆえに特段の措置を講じなければならないというような根拠も見出しがたい面もございますので、その面については早急に園からの助成措置を講ずるということはまず困難ではないかというふうに考えております。
  175. 福田一

    福田(一)国務大臣 ただいま後段で御質問のありました自治体病院のことでありますが、これは御案内のように、当該自治体自身で地域の医療の状況であるとか、それから団体の財政状況等を総合的に判断して御決定になるものと脅えております。しかし、その建設に所要の財源につきましてはいろいろございますが、地方債等々の問題がありますれば、自治省としては十分調査をいたしまして協力をいたしたいと考えております。  それから、なお実際の救急医療の問題でありますとか高度の特殊医療等、病院財政に大きな影響を及ぼすものにつきましては、国庫補助を増強するとかあるいは診療報酬の適正化を図るとかいうようなことについては、今後も自治省としては、自治体、特に人口急増地域の要望、また福祉という問題から考えてみましても、関係省に強く増額の要望を続けてまいる所存であります。
  176. 岸本正裕

    ○岸本説明員 ただいまの御質問のうち、自治体病院の新増設に対しましては、建築費のほかに、用地取得に要する経費につきましても年金資金を原資といたします特別地方債によりまして必要な措置を講じているところでございます。  そのほか、さらにがんとか救急、小児、リハビリテーション等の特殊な診療部門、それから人口急増等によって引き起こります病床不足地区におきます病院の整備に対しましては、自治体立病院の果たすべき役割りというものにかんがみまして、特に公的病院の施設整備費の補助制度を設けているところでございます。厚生省といたしましては、今後ともこれらの内容の一層の充実に努力してまいりたいと思います。
  177. 大西正男

    大西委員長 さっき答弁を保留したものがありましたから。石原財政課長
  178. 石原信雄

    ○石原説明員 先ほどお尋ねのありました民鉄整備の全国的な利子補給の額でございますが、五十年度で全国の国の補助金が二億四千二百万でございます。地方は、同額とすれば、地方の持ち分が二億四千二百万ということになると見ております。
  179. 小川新一郎

    小川(新)委員 終わります。
  180. 大西正男

  181. 折小野良一

    ○折小野委員 この特例法に関しまして、これまでいろいろと御質問もありました。また、それに対しましていろいろと御答弁もございましたので、私は二、三の問題にしぼりまして、主として大臣にお伺いをいたしたいと思います。  今日地方財政が非常に苦しい。したがって、今回のこの特例法によって緊急の措置をしなければならないわけでございますが、同時に国の財政も厳しい。こういう点につきましてはいろいろと今日まで論ぜられておるわけでございます。しかし、私いろいろな話を聞いておりまして、肝心のものが何か忘れられておるような気がいたすわけでございます。と申しますのは、国の歳入の欠陥と申しますのも、国民が暫しいから結局それだけ税を納められなかったということなんでありましょう。それから地方財政が苦しいのも、それに関連をして交付税が十分上がらなかった。それからさらに、地域住民が今日の情勢の中で非常に苦しいために税金が納められない。したがって、地方税が上がらない、歳入欠陥が出てくる、こういうことになってきておるわけなんであります。したがいまして、税を納めなければならない国民の立場あるいは住民の立場、こういうものがもう少し論じられていいんじゃなかろうかと私は感ずるわけであります。  今日、緊急対策ということでいわゆる借金対策がとられることになりますが、これもやがては国民なり住民の負担になるはずであります。地方財政が苦しいからといって何らかの手直しをとりあえずやらなければならないということになりますと、これは税の増収を図るということでございましょう。現在苦しい住民にさらに負担を加えよう、こういうことでなければ、地方財政の危機に対する対策というのは講じられないはずでございます。そういう面からいたしますと、今後のいろいろな対策の基本というのは、そのような国民、そのような事態にある住民、そういう者の立場というものを本当に考えて施策を講ずる、こういうことが非常に大切なことじゃなかろうかというふうに考えますが、この点に対する大臣の基本的なお考えをまずお聞かせをいただきたいと思います。
  182. 福田一

    福田(一)国務大臣 ごもっともな御意見一つの御意見であるとわれわれは考えております。実は住民に高福祉高負担というような話もございますし、この際に税負担を考えてみてはどうかという御議論もまことにごもっともな御議論でございますが、実はいま御案内のように、景気が相当悪いというときでございます。そのときに個人にだけ増税を強いるというわけにはまいりませんから、どうしても法人にも相当な税金の負担をかけなければいけない、いまの日本の法人の姿を見ますと、相当利益を上げておる法人もございますが、相当な法人が減益をいたしておりまして、そして労務者を解雇するとか、あるいは一時帰休をさせるとかというようなことをやっている会社も相当あると思うのでございます。そういうようなときに増税をやりますと、いわゆる雇用問題というか失業問題が非常に深刻になるのではないかということを実はわれわれは非常に恐れておるのでありまして、むしろこの際は景気浮揚をして、そうして、いま言った会社の稼働率をもう少し上げ、そして一時帰休なんということはなくするとか、あるいは首切りをするというようなことがないようにしたいというまた一つの面がございまして、これが実を申しますと、増税の問題に踏み切らなかった大きな原因でございます。  それから、もう一つの面でございますが、こういうときに減税をしてはどうかという一つの議論もあるわけでございますが、この点はもうすでに折小野さんもおわかりでございますけれども、とにかく世界的にこれだけ資源がだんだん限定されてきているというようなときに、しかも日本には資源がございませんから、できるだけ資源を愛護するというたてまえをとらなければいけない。そういうことからいうと、減税をした場合にも、むしろその減税をした分がいわゆる購買力になってあらわれるかどうか。むしろそれは一種の貯蓄その他の方面に回って、それほどのいわゆる景気浮揚策にならないんじゃないか。むしろ減税をするよりは、ある程度の公共事業をふやすというような形、増額するというような形において金を使用してといいますか、歳出をふやして、そして景気浮揚を一応図っていくことの方が浮揚策としてはいいんじゃないか。アメリカのように、非常に借金があり、非常にいま歳入も落ち込んでおるときであるけれども、この際は減税をするんだというのも一つ考え方でございますが、しかし私は、アメリカと日本とでは大分事情が違っておるんじゃないか。そしてまた、資源を愛護するというような、いままではもう消費は美徳であるなどという意味のことを言われたこともありますが、もう今後は、低成長時代にはそういうことは考えられないというような意味も含めまして、税という問題は消極的になっておるわけであります。とは言いましても、地方税の問題あるいはこのいろいろ税の問題についても、この際不公平の是正をするという立場においては、税制の問題を一遍見直さなければならないんじゃないかという意味で、国、地方を通ずる税制の見直しを、そういう不公平是正というような立場からひとつこの際は考えるべきではないかということは私たちも考えております。ただし、国の問題まで余りわれわれが言うわけにはまいりませんけれども、特に地方税についても見直しを図るべきじゃないかということは考えておる次第でございます。
  183. 折小野良一

    ○折小野委員 ただいまの大臣の御答弁にもございましたように、直ちに来年度の税法の問題が出てくるわけでございます。もちろん、その税法の改正ということは、何とか財源を確保しよう、こういうような意図によって考慮されるはずであろうと思います。そういう立場において、税制面の一つ一つの問題につきまして私も私なりの意見は持っておりますが、しかしきょうはそれには触れないことにいたします。  いずれにいたしましても、国が苦しい、地方が苦しい、こういうふうに申しましても、と同時に、国民も苦しんでおる、地域住民も帯しんでおる、こういうような事態でございますので、まずそういう中におきまして、それなら国民は、あるいは地域住民はどのような地方自治を期待をしておるのか、こういう面はやはり考えていく必要があるんじゃなかろうか。国民は、こういう苦しい時期でございますから、恐らく従来のような豊かな地方自治というもの、まあ豊かであったかどうか知りませんが、中には豊かな面もあったでしょう。そういうような地方自治を必ずしも期待はしていない、こういうこともあろうかと思います。そういうような点からいたしますと、この際、やはりあるべき地方自治の姿、あるべき地方財政の規模というもの、こういうものをやはり深刻に検討をいたしまして、本当に国民の期待にこたえる、地域住民の期待にこたえるような地方財政というものをまずつくっていく、そのための努力をすること、これが今日非常に大切なことじゃなかろうかというふうに考えます。  これに関連いたしまして、これまでのいろいろな議論の中に地方財政計画の問題がいろいろと論ぜられております。確かに自治省も承認しておいでになるように、地方財政計画というものが地方財政実態から大きく乖離しておるという問題もございます。しかし、それは今日までの事態においてそうであったということでございますが、今後のあるべき地方財政、それをもとにした地方財政計画というものはどういうふうに位置づけなければならないのか、あるいはそういう立場からどういう規模が適切であるのか、こういう点を十分検討をしていく必要があるんじゃなかろうかというふうに考えます。  そういう点からぜひこの際、現状と乖離したとかあるいはいろいろと問題を残すような地方財政計画でなしに、本当に地方財政の指標となるような、地方財政のあるべき姿を示すような地方財政計画というものをつくっていく、こういう努力をしていただくことが必要であろう、こういうふうに考えますが、御意見をお聞かせいただきたいと思います。
  184. 福田一

    福田(一)国務大臣 ただいまお述べになりましたことは、まことにごもっともな御意見であると思うのでございまして、今後そういうお考えのもとにわれわれも大いに努力をいたさなければならないと考えておる次第でございます。
  185. 折小野良一

    ○折小野委員 と申しましても、財源というものはやはり波のあるものでありまして、つまり幾ら制度的に調整をいたしましても、常に最も安定的な財源が必ず確保できるというわけにはまいらないと思います。したがって、その間の調整というものがやはり必要になってくる。苦しいときにはお互いにしんぼうしますが、そのかわりに多少ゆとりがあるときには、非常のために多少なりと確保しておく、こういうようなことは昔の人もいろいろとやってまいったわけでございます。  そういう面からいたしまして、地方財政の中の年度間の財源の調整、こういうことをやはり制度の面で少し考えておく必要があるんじゃなかろうか。それをやる制度といたしましては、やはりいまのところこの交付税制度、その中で考えていくというのが最も適切じゃなかろうか、こういうふうに考えます。  従来、交付税制度につきましては、地方団体間の財源の調整、これが一番の目的であるというふうに私ども理解いたしておりますが、場合によっては、政府地方団体との間の財源調整、こういうような見方もございます。しかしもう一つ、いまの年間の財源調整、こういうような立場におけるこの制度の運用というものが図られていいんじゃなかろうか、こういうふうに考えますが、そういう面についての自治省としてのお考えをひとつお聞かせをいただいておきたいと思います。
  186. 福田一

    福田(一)国務大臣 まことにごもっともな御意見であると思うのでありまして、たとえば交付税の場合におきましても、非常に交付税がふえたという場合に、それを全部使わないで一つのプールをしておく、あるいは地方税が相当な歳入があった場合において、その一部分をプールしておいて、いざというときに備えるという物の考え方、そういうような年度間の運営について調整弁をつくってはどうかというお考えであろうかと思うのでありますが、これは一つのりっぱなお考えであると思うのでありまして、今後大いに研究の課題といたしたいと存じます。  ただ、いまの段階におきましては、いま歳入も不足しておるような段階でありますので、すぐに実現ということはまことに困難かと思いますけれども、将来の問題としては大いに示唆に富んだ御意見であると私は考えておるわけでございます。
  187. 松浦功

    松浦(功)政府委員 ただいまの年度間の財政調整の問題は、当省といたしましてもその必要性を痛感をいたしておるところでございますが、交付税制度を使ってやるのが一番いいのじゃないかという御指摘、これも私どももそのように考えております。ただ問題であるのは、交付税制度を使うにいたしましても、それを一体国の段階でやるのか地方段階でやるのかということに非常に技術的なむずかしさがあるわけでございまして、たとえばある年度交付税が非常によけい入って、財政計画できちんとした適正規模を見てもなお余裕があるという場合に、それを積み立てようといたしますと、地方団体がなかなかがえんじないという問題がございます。それから地方団体独自でやっていただこうということで全額配ってこれだけは財源調整をしてほしいと言っても、目の前に金があれば使ってしまうというような問題もございます。そこらの彼此いろいろな技術的な問題も出てまいりますので、御指摘をいただきました線に沿って、現在の段階では大臣からお答え申し上げましたようにどうこうの問題はございませんが、そういう事態が参りました場合に適当な調整制度が働けるような方途というものについて、時間をかしていただいて勉強さしていただきたいと考えております。
  188. 折小野良一

    ○折小野委員 実はそういうような制度はこれまでに考えてこられなければならなかったのじゃなかろうかと思っています。高度成長時代で毎年毎年自然増収がある、これをこれまでわりあい安易に使ってきた、こういうことがいまになってみますと反省させられるわけなんでありますが、しかし、今後につきましてもやはりそういうような配慮というものは必要であろうというふうに考えます。そういう中で、財源があれば地方にその積み立てをさせれば、金があればそれなりに使ってしまう、こういうようなお考えですね、これは現実的にはそうかもしれません。しかし、地方団体といえども、やはり地域住民に対して責任を持って行政を執行いたしておるわけでございますから、もちろん現実の問題として多少足りない点はあるにいたしましても、認識を深めていただく、十分理解をしていただく、そういう努力を私どもはしていかなければならないのじゃなかろうかというふうに考えます。現在やってだめかもしれない、しかし、やはりやらなければならないことはお互いにできるだけの努力は払っていくということが大切ではないかと思います。この点につきましては、どうぞひとつ今後の問題といたしまして十分御検討をお願いいたしておきます。  それから先ほど小川さんの質問の中でも覚書が出ましたが、この間の予算委員会で配付され、そしてこの委員会においても配付されました大蔵大臣と自治大臣地方財政に関する覚書、これについてちょっとお伺いをいたしておきたいと思います。  これの第一項でございます。借入金の返還について、必要と認めるときは、「その負担の緩和につき配慮を行う。」とございますが、この「負担の緩和」、これは具体的にどういうようなことを想定しておいでになりますか、お聞かせを願います。
  189. 松浦功

    松浦(功)政府委員 当該年度地方財政非常に苦しい、こういうような場合であれば、たとえば法律の内容を改正して償還を後へ延ばすということも当該年度対策としては一つ対策であろうかと思います。あるいは臨時特例交付金というようなものを国の方から交付をして、八百億返すところを三百億交付を受ければ五百億しか結果的に返さないでよくなる、こういった方法もあろうと思います。いろいろな方法が考えられると思いますが、ただいま申し上げたのは一、二の事例にすぎません。それらの方法、どれをとるかは、当該年度の国、地方財政状況というものを十分勘案をしながら両大臣でお決めをいただく、こういう趣旨に御了解をいただけたら幸せでございます。
  190. 折小野良一

    ○折小野委員 いま御答弁がございました。私もそういうことだろうと思います。今回のこの特例法によりまして、三年据え置きの十カ年償還ということで計画が出ております。この償還期限を延ばすということによって借入金の返還の上の負担を緩和するということは、確かにこれは一つの方法、しかしそのためにはこの法律改正をしなければならないということであります。それから今回のこの特例法によりまして二百二十億の特例交付金を計上した、それと同じような形で負担の緩和を図るための特例交付金を出すということになりますと、これまたこのような法律をつくらなければならない。それからさらにこの償還金の問題は交付税の総枠の問題に関連をいたしますので、今後法律改正によって、あるいは三二%をそれ以上にするとか、あるいはいまの国税三税、交付税の対象になっておるものの内容を変えていくとか、そういうようなことになってまいりますと、これまた法律の問題だ。私が考えられます負担緩和の具体的ないろいろの方法というものはすべて法律事項だというふうに考えますが、それでよろしゅうございますか。
  191. 松浦功

    松浦(功)政府委員 まず一般的に考えられるものは、法律または予算として国会の御議決をいただく以外には、ちょっと私どもとしては方法は考えられないと思います。
  192. 折小野良一

    ○折小野委員 私もそのように考えます。今日地方財政は非常に苦しい情勢の中にあるわけでございますし、将来ともこのような状態が相当程度続くであろうという予測のもとに考えてみますと、この借入金の返還が始まります五十三年以降、いまのまま推移いたしました場合に、この借入金の返還が楽にできようと、こういうふうには決して私も考えません。したがってその時期までいろいろ配慮しながら両大臣でいろいろと御検討いただき、また特別な配慮について申し合わせが行われたということにつきましては、私はその御努力に感謝をし、そしてまた敬意を表するわけでございます。  しかしそれは一応おきまして、この申し合わせをされましたのは、大蔵大臣大平正芳、自治大臣福田一、両大臣の申し合わせでございます。大臣ということはすなわち行政の機関の長、責任者であるということでございます。行政執行の責任者という立場においてこの覚書をされた。現在、片一方では法案を出してあるわけであります。毎年これこれの額で十カ年間で償還いたしますという法案が出されております。その他の方法につきましてもこれすべて法律で出されなければならなや問題でございます。そういう法律処理しなければならない問題、いわば立法事項、これに対しまして、行政責任者である両大臣がこのような覚書をやられること、これは果たしてよろしいことでしょうか。その権限の範囲内にあることでしょうか。「負担の緩和につき配慮を行う。」ことがお二人の行政大臣としてできることなんでしょうか。お伺いいたします。
  193. 福田一

    福田(一)国務大臣 これは少し理屈になっておしかりを受けるかもしれませんが、「配慮を行う。」という意味は、そのときにはその趣旨に従って——大臣はもちろん時々によってかわっておるだろうと思います。しかし両省としてはその意味において努力をする、こういうことをいまの大臣の資格において約束をしておることでございまして、「配慮を行う。」ということは、法令をこのようにいたしますということとはちょっと、そこまでは申しておらないわけであります。その意味において不確定要素があるではないかということをおっしゃれば、その点事実でございますが、一応政府としてはそのときにはそういうような配慮をするんだということであれば、一度そういう約束がしてあれば——先ほども別の問題で、地方鉄道の問題で三省間で申し合わせがあったという場合に、私はあのときには何も関係はいたしておりません。しかし、三省間でそういう話があったのならば、それは実行をすべきであるということを私としては当然言うべき筋合いのものだと思うのでありますが、同様なことをその後に、今後の各大臣におかれても、そうやっていただけるものと私は確信もいたしておるわけであります。しかし、縛るわけにはいかないかもしれません、私ではないのでありますから。省としてはそれだけの制約を受けておる、こういうことに御理解を願いたいと思うのであります。
  194. 折小野良一

    ○折小野委員 まあお気持ちはよくわかるのです。それとは別にちょっと申し上げておるわけです。  といたしますと、そのお気持ちをもっとはっきりさせるためには、これを今回の法律の中に書き込むという方法もあるのじゃなかろうかと思います。たとえば、この地方行政委員会関係した問題につきましては、いわゆる宅地並み課税、あれのC農地については五十一年度ですか、考慮するとかなんとかいうような言葉で書いてございますよ。そういうような意味において、その後の財政の状態その他を考えて負担の緩和について配慮を行うものとするというようなことをこの中に一項入れる、これも一つの手だろうと思いますが、そういう点についてどういうふうにお考えでしょうか。
  195. 松浦功

    松浦(功)政府委員 補正予算折衝に当たりまして、ただいま先生の御指摘になられました方法はより覚書よりは確度の高い一つの解決方法であるということは私どももよく承知をいたしておりますし、私どもとしてもそういう手段も検討をいたしました。まあしかし、相手方のあることでございまして、いろいろの角度から検討してみた場合に、今回は覚書の方がよくはないかということに両相の意見が一致をしたということでございまして、その辺のところはひとつ事情を十分ごしんしゃくをいただきたいと思います。
  196. 折小野良一

    ○折小野委員 私は、先ほど申し上げましたように、この内容について別に異論があるわけじゃございません。そういう点につきましてはむしろ感謝いたしておりますので、別にこれをそのためにどうこうという問題じゃないわけです。ただ、端的に申しますと、やっぱり立法権、行政権というのがあるわけなんですから、いいことはどうでもいいというような形になって、それが一つの慣例みたいにだんだんなってまいりますと、極端に言えば行政権の立法権に対する介入、こういうことに発展しないとも限らない、そういうことがあってはいけないというようなことで、こういう覚書をやられる場合にも慎重にひとつやり方をお考えいただきたい、こういうふうに思うわけなんです。この点については今後の問題といたしまして、最近あちこちに覚書があるようでございますが、十分配慮していただくことが必要なことではなかろうかというふうに考えます。  それから、今日の地方財政の危機というもの、これは見方によりましては一つのチャンスじゃないかというふうに私は考えます。やはりお互いに苦しいときには深刻に物事を考えます。そしてまた、苦しいときには苦しいだけに、その打開についてお互いに努力もいたします。そしてまた、いままでやってきたことについていろいろ反省もいたします。そういうような意味におきまして、今日の地方財政の危機というのは一つの大きなチャンスである、これを生かせるかどうか、これが非常に大切な問題じゃなかろうかというふうに考えるわけでございます。したがいまして、今後いろいろな対策を講じようというふうにされておられると思いますし、すでに大臣の方からも五十二年度以降これに対する対策を講じていきたい、こういう御答弁もあっておるわけでございます。  ただ、その際に、中途半端な対策を講じていくということでありますならば、せっかくのこのチャンス、これを生かしたというわけにはまいりません。この際はひとつこのチャンスを大いに生かしていただいて、そうして抜本的な対策というものをやっていただきたい、また、やるべき時期ではなかろうか、こういうふうに脅えるわけでございます。  まず、大臣の決意、そこからひとつお伺いをしていきたいと思います。
  197. 福田一

    福田(一)国務大臣 ごもっともな御意見でございまして、先般も三木総理と実はその問題について話し合いをいたしたのでございます。そこで何らかのひとつ審議会のようなものでもつくってはどうかという話もあったのでありますが、ただ、いままでのような審議会、いままでのようなと言うのもおかしいのですが、例の地方制度調査会というのがございますが、これなどもなかなか意見が最終的にまとまらないのですね。非常に意見が違いまして、右と左のように違ってしまうものですから、審議会はあるけれども、本当にコンセンサスが得られないのですね。そこに非常に問題がございまして、屋上屋を重ねるようなことであってもいけない。これをどちらにしたらいいか。それよりは、たとえば一つ一つの項目を考えて、それを解決していくに従ってそれに伴う財源の問題を別途考慮していくのがいいか、あるいはやはり一つの何か諮問機関というかその種のものをつくって、そして抜本的な解決に当たるがいいか、これはわれわれとしていま考えておるところでございます。  実は、いまあなたがおっしゃったように、いまこそが非常にいいチャンスだと思うのです。この地方行政の問題についていささか思い切った改革が行われたというのは三十一年だと思いますが、あのときに行われただけで、その後はほとんど行われておりません。しかし、議論はずいぶんやっておるわけであります。これをせにゃいかぬ、あれをせにゃいかぬ。ところが硬軟といいますか、賛否の両論がございまして、なかなか結論が得られない。それから、ある程度結論が得られたとしても、これについておるところの議員でありますとか、こんなことを言うのはおかしいのでありますけれども、その地方の利害あるいはまた、役所の中の利害の問題もございます。それから、役所の中でその仕事がなくなる、地方に行くと自分の身分の問題にかかわるというようなことで、なかなか、ここいらにまた日本の官僚制度の非常にいいところと悪いところとございまして、そこいらが一つの隘路になっておることも折小野さん御理解をしていただけるところだと思うのでございます。  これを思い切って自治を拡充しようじゃないかということになると、皆賛成なんです。総論は賛成。いよいよ各論になるとなかなか実現しないというのがいまの政治の一番欠点じゃないかと私は思っておるのであります。理想は皆わかっておる。しかし、いざやるとなると、おれに影響がある、あるいはこの地域に反対があるというようなことになりまして、なかなかこれが実現しない、ここにわれわれの大きな悩みがあるわけでございます。  私は、いまあなたのおっしゃったこれこそチャンスであるというお考えには全面的に賛成でございまして、これをいかにして処理をしていくかということが今日の課題である、かように考えておるわけでございます。
  198. 折小野良一

    ○折小野委員 現状としまして、いま大臣のおっしゃったような事態がいろいろとあるであろうということは、私どももよく承知をいたしております。私どもの周りの問題でも、やはり最近はそういうような問題が多いわけであります。しかし、だからといってやらないで放置しておいてよくなるかといいますと、これまた決してよくなるわけのものじゃありませんので、それだけ努力をしていく、苦労を重ねていくこと以外にやっぱり方法はないんじゃなかろうか。そしてその努力、その苦労の中から一つでも二つでも取り上げてやっていけるものが出てくる。そうすると、それを一つの契機として広げていくとか、とにかくいろいろな方法をできるだけやっていって、そうして少しでも理想に近づける、こういうこと以外に現実にはないんだと思っております。  そういうような中で具体的には、私は前にもちょっと申し上げたことがあるんでございますが、事務再配分という問題が今日まですでに地方制度調査会においても何回も取り上げられました。そして自治省自体においてもある時期においては相当程度の検討がなされたこともあります。それから地方財政の研究委員会というのが別にできましたですね。そこの勧告の中にも入っておる。あらゆる面から、これはやっぱりやるべきだという意見が相当強くあるわけなんですが、しかしこれが現在のところ何ら具体的に取り上げられていないということがございます。その全部を直ちにやっていけるかどうか、これもいまおっしゃるようなことで非常にむずかしいことだと思います。しかし、その中でもやっていけることは相当程度あるんじゃなかろうかというふうに私考えます。もちろん、それは自治省限りでやっていけること、あるいは国全体の立場から国と地方を通ずる改革ということに発展をする、こういうことも当然あろうかと思っておりますが、まあしかしやってみなければこれはもう何も進まないわけなんですから、そういうような問題についてもひとつ積極的に取り上げていただきたいと思うのです。いかがでしょうか。
  199. 福田一

    福田(一)国務大臣 私は、もう全く御意見に賛成なんでございます。そこで、たとえばの例でございますけれども、地方制度の問題なんといいますと、案外議員のうちでもそう認識がないのです。また一般の国民も余り認識がない。そこで一番よく理解をしていただいておるのはたとえば地行の委員さんなどでございますから、こういうようなところで特別の小委員会でもつくって、まずこれからやれとか、これから着手してこうしろというようなことを皆全会一致で話がまとまれば、これはもう非常にいいわけなんですね。私は、こいねがわくはそういうようなものができればこれはお願いをいたしたい。それはもちろん私が関与すべきことではございません。直接言えることではございませんが、この問題を一つまず取り上げてこれだけはやれ、その次はこれをやれというようにやっていただけると非常にいいのではないかと、これは委員会の皆さんに私からお願いをいたしたいところでございます。そういたしませんと、自治省の中の関係とか政府の方や何か委員会をつくりましてもこれがなかなかまとまらないのです。じんぜん日を送るだけでございまして、さっぱり前へ進んでいないというのが今日までの姿である、これが日本のいまの政治の一番の盲点だと私は思っておるわけでございます。私は、自治を拡充するという意味、あるいは自治体にもっと財政権を付与するという意味で皆のコンセンサスができてくれば、これは地行だけが委員会じゃございません、大蔵委員会もあればどこもあるが、少なくともここでまとまってそれではやろうということになれば、これはもう非常に大きな推進力になることを信じて疑わないのでありまして、そういう意味でもひとつ御考慮をいただければ幸いである、こう考えておるわけでございます。
  200. 折小野良一

    ○折小野委員 実はここでまとまっている問題があるわけですね、地方事務官制度の廃止の問題。これは来年の三月までに何とかするということでまとまっておるわけです。ところが最近の情勢をいろいろ聞きますと、恐らくはできないであろうということのようなんです。それぞれの意見というのがいろいろあることはわかるわけです。しかしそれをそのまま押していくばかりで果たしてできるかといいますと、まあそれでできれば結構なんですが、そうでない場合もいろいろ出てくると思います。ですから私は、その中のある程度の問題は、いまの事務再配分の問題に絡めて処理していくということならばそれなりの解決というものができるのじゃなかろうか、こういうふうな考え方も持っておるわけなんですが、いずれにしてもいろいろな方法で努力をしていく、苦労をしていくということ以外にはなかろうと思います。そういうような意味におきまして、非常に厳しい情勢のもとでありますが、それだけ苦労にも将来の楽しみもあるいはあろうかと思うわけでございまして、お互いに努力をしなければなりませんが、特に今後の地方自治をよりよく育てていくという意味におきまして、自治省における大胆初め皆様方の今後の御健闘をひとつお願いをいたしまして、私の質問を終わります。
  201. 福田一

    福田(一)国務大臣 ちょっといまの地方事務官問題のお話でございますが、実は私自治大臣になりましてから常に御指摘をいただいておりますので、いま実は政府においても私がこれは主張して、何としても解決しなければいかぬというので関係各省の政務次官が集まって、そして問題の解決に努力をいたしております。しかしそれが全部が全部、地方事務官の問題全部が解決するかどうかはわかりませんが、少なくともやはり前進をしなければいけません、こういうことは何でも。そういう意味で、私はこの解決には私自身は全力を挙げておるつもりでありまして、お約束したことについては自分としては責任を持たなければいけない、こう思って努力をいたしておりますので、この点もひとつ御了承を願いたいと思うところでございます。
  202. 折小野良一

    ○折小野委員 よろしくお願いします。
  203. 大西正男

    大西委員長 次回は、来る十日月曜日午前九時五十分から理事会、午前十時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時五十八分散会