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1975-11-04 第76回国会 衆議院 地方行政委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年十一月四日(火曜日)     午前九時五十分開議  出席委員    委員長 大西 正男君    理事 愛野興一郎君 理事 片岡 清一君    理事 高鳥  修君 理事 中山 利生君    理事 佐藤 敬治君 理事 山本弥之助君    理事 三谷 秀治君       伊能繁次郎君    大村 襄治君       亀山 孝一君    小山 省二君       塩川正十郎君    竹中 修一君       戸井田三郎君    渡海元三郎君       古屋  亨君    綿貫 民輔君       小川 省吾君    細谷 治嘉君       山田 芳治君    多田 光雄君       小川新一郎君    小濱 新次君       折小野良一君  出席国務大臣         自 治 大 臣 福田  一君  出席政府委員         運輸省鉄道監督         局民営鉄道部長 高橋 英雄君         自治政務次官  左藤  恵君         自治大臣官房審         議官      横手  正君         自治省財政局長 松浦  功君         自治省税務局長 首藤  堯君  委員外出席者         議     員 山本弥之助君         経済企画庁長官         官房参事官   藤井 直樹君         経済企画庁調整         局調整課長   谷村 昭一君         大蔵省主計局主         計官      藤井 裕久君         大蔵省主計局主         計官      梅澤 節男君         大蔵省理財局国         債課長     迫水 久正君         大蔵省理財局地         方資金課長   高倉  建君         厚生省環境衛生         局食品化学課長 宮沢  香君         厚生省環境衛生         局水道環境部水         道整備課長   国川 建二君         建設省都市局下         水道部下水道企         画課長     杉岡  浩君         地方行政委員会         調査室長    日原 正雄君     ————————————— 委員の異動 十一月四日  辞任         補欠選任   木村武千代君     竹中 修一君   篠田 弘作君     綿貫 民輔君   永山 忠則君     塩川正十郎君   保岡 興治君     戸井田三郎君   渡辺 紘三君     大村 襄治君 同日  辞任        補欠選任   大村 襄治君     渡辺 紘三君   塩川正十郎君     永山 忠則君   竹中 修一君     木村武千代君   戸井田三郎君     保岡 興治君   綿貫 民輔君     篠田 弘作君     ————————————— 十一月一日  地方交付税法の一部を改正する法律案井岡大  治君外八名提出衆法第三号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和五十年度における地方交付税及び地方債の  特例に関する法律案内閣提出第三〇号)  地方交付税法の一部を改正する法律案井岡大  治君外八名提出衆法第三号)      ————◇—————
  2. 大西正男

    大西委員長 これより会議を開きます。  内閣提出に係る昭和五十年度における地方交付税及び地方債特例に関する法律案、及び井岡大治君外八名提出に係る地方交付税法の一部を改正する法律案の両案を議題とし、それぞれ提案理由説明を聴取いたします。福田自治大臣。     —————————————  昭和五十年度における地方交付税及び地方債の   特例に関する法律案  地方交付税法の一部を改正する法律案     —————————————
  3. 福田一

    福田(一)国務大臣 ただいま議題となりました昭和五十年度における地方交付税及び地方債特例に関する法律案提案理由とその要旨を御説明申し上げます。  最近における経済の停滞は、地方財政の上にもきわめて深刻な影響を及ぼすに至っており、本年度における地方税の当初見込みに対する減収額は、一兆六百億円余りに上るものと推定されますが、これに加えて、今回国税三税が減額補正されることに伴い、地方交付税においても、当初予算計上額に対して一兆一千億円余の落ち込みを生ずることとなってまいったのであります。  しかし、地方財政の現況は、このような事態にとうてい耐えることができないと考えられますので、本年度においては、この地方交付税落ち込み分一兆一千四億八千万円については、交付税及び譲与税配付金特別会計における借り入れ措置を行うことによって、当初予算に計上された地方交付税総額を確保することといたしたいのであります。さらに、先ほど政府においては、人事院の勧告に基づき、本年四月一日から国家公務員給与改定を実施することといたしましたが、これに伴い、地方団体が国に準じて地方公務員給与改定を実施するための一般財源を付与する必要があります。また、国の補正措置に伴う地方負担増等に対処するための財源措置のほか、本年度における経済環境の著しい変動にかんがみ、地方財政の健全な運営に資するための財源措置を講ずる必要があります。そのための措置として臨時地方特例交付金二百二十億円を国の一般会計から交付税及び譲与税配付金特別会計に繰り入れることとするほか、交付税及び譲与税配付金特別会計において百九十五億円を借り入れることといたしたいのであります。  以上の結果、今回の地方交付税借入金は、国税三税の減額補正に伴うものと給与改定等財源措置に伴うものとを合計して、一兆一千百九十九億八千万円となりますが、この借入金については、昭和五十三年度から昭和六十年度までの各年度に分割して償還することとしております。  次に、地方税の当初見込みに対する減収に対処する措置としては、地方債一兆六百三十二億円を増額発行することとするほか、景気刺激のための公共事業費等の増額に関連する地方費増加については地方債三千百八十億円を措置することといたしておりますが、この場合において、地方団体は、地方税減収に対処するために発行する地方債については、まず普通建設事業等のいわゆる適債事業に充当し、なお充当し切れない部分がある場合においては、適正な財政運営を行うにつき必要とされる経費の財源に充当することができる旨の特例を設けることといたしたいのであります。  以上が、昭和五十年度における地方交付税及び地方債特例に関する法律案提案理由及びその要旨であります。  何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  4. 大西正男

  5. 山本弥之助

    山本(弥)議員 私は、日本社会党及び公明党を代表して、ただいま議題となりました地方交付税法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由及びその概要を御説明申し上げます。  御承知のとおり、不況インフレ地方財政の上にもきわめて深刻な影響を及ぼすに至っており、法人関係税を中心とする地方税収入見込み額は、本年度の当初見込み額に対し、一兆六百三十二億円も減収すると推定されております。また、国税三税の収入見込み額が減少することに伴い、地方交付税交付金も当初予算計上額に対し、約一兆一千五億円の落ち込みを生ずることが見込まれているのであります。一方、自治体においては、地方公務員給与改定や第四次不況対策等による新たな財政需要に迫られており、当初計上額に対する落ち込み額はもちろんのこと、落ち込み率においても、昭和四十年度及び同四十六年度を大幅に上回り、いまや戦後最大の財政危機に直面しているのであります。  このように地方財政危機に直面することとなったのは、引き続く不況インフレに起因しているのでありますが、その根本的な原因としては、歴代自民党政府が、住民福祉充実生活基盤整備よりも、産業基盤整備など中央集権化のもとに大企業優先高度経済成長政策を推進してきたことによるものであります。そのため自治体においては、過疎、過密、公害その他の対策に伴う膨大な財政需要を引き起こすことになりましたが、これに対し国が十分な自主財源を付与しなかったことによるものであります。  さらに重大な問題は、今日の地方財政危機を契機として、単に財政上の問題だけではなく、自民党政府のもとにおいて地方自治そのもの危機をも迎えていることであります。  われわれは、このような地方財政危機を打開し、自治体の自主的な行政運営を確保するため、当面の緊急対策を講ずるとともに、昭和五十一年度以降の地方財政の長期的な見通しに立って、抜本的な恒久対策を講ずべきことを政府に要求してきたのであります。  しかしながら、今回の自民党政府地方財政対策によりますと、地方交付税減収対策としては、地方交付税率の三二%は依然として据え置かれたままになっており、国の一般会計負担としては、わずかに臨時地方特例交付金二百二十億円の措置を講じたにすぎず、その大部分は、後年度における償還のための財源措置を講じないまま、その全額資金運用部資金借り入れに依存しているのであります。また、地方税減収補てんのための地方債については、政府資金の引き受けは一九%程度利子負担の軽減を含めても約四〇%程度であって、今後の償還のための財源については何らその対策を講じてはいないのであります。さらに加えて、第四次不況対策としての公共事業等の追加に伴う地方負担についても、全額地方債に依存しているにすぎません。  しかも、これらの地方財政対策は、あくまで地方財政計画ベースに基づく措置でありまして、地方財政計画を上回る現実の自治体財政需要実態は全く無視されているのであります。  以上のような自民党政府地方財政に基づく政府案では、今日の地方財政危機の打開どころか、後年度においても地方財政を一層深刻な危機に追いやることは明白であります。  したがいまして、この際、地方交付税率引き上げ措置等を含め、恒久的な一般財源充実強化を図り、もって地方財政危機を打開し、自治の発展を図るため、本法律案提出した次第であります。  次に本法律案概要について御説明申し上げます。  第一は、最近における地方財政需要増大に対処するため、昭和四十一年度以来、据え置かれてきた地方交付税率現行三二%を三五%に引き上げることとしております。  これによる昭和五十年度地方交付税増加額は、三千百一億四千万円となりますが、この額については、昭和五十年度に限り、交付税特別会計において資金運用部資金から借り入れることとし、その元利償還については、昭和五十一年度において、国の一般会計負担償還することにしております。  第二は、最近の地方財政危機的状況を緊急に改善するため、昭和五十年度から同五十二年度までの間に限り、国税三税の八%に相当する額をもって、第二地方交付税を創設することとしております。  その内容は、第一種交付税と第二種交付税に区分し、それぞれ第二地方交付税総額の二分の一の額としております。  また、その配分についてでありますが、第一種交付税については、人口一人当たり九百九十六円、面積一平方キロメートル当たり二十七万七千三百五十五円を単位金額として、すべての都道府県及び市町村に対して交付することとしております。  第二種交付税については、前々年度決算における民生費の額千円につき百三十五円、同じく決算における単独普通建設事業費の額千円につき九十六円を単位金額として交付団体に対して交付することとしております。  なお、昭和五十年度の第二地方交付税総額は、八千二百七十億四千万円となりますが、この額については、本年度に限り、交付税特別会計において資金運用部資金から借り入れることとし、その元利については、昭和五十一年度において国の一般会計負担償還することとしております。  第三は、昭和五十年度における異常な歳入不足等による地方財政窮状に着目するとともに、不況対策としての各種の財政支出増大などに対処するため、交付団体に対して、昭和五十年度に限り、国の一般会計負担で、臨時地方特例交付金七百八十一億円を交付することとしております。なお、右の配分については政令に委任することとしております。  第四は、この改正案により、昭和五十年度における普通交付税の額と第二地方交付税の額の合算額が、改正前の現行地方交付税法による当初算定普通交付税の額に満たない地方団体に対して、その満たない額を、昭和五十年度に限り、臨時地方財政交付金交付することとしております。  なお、この臨時地方財政交付金は、約一千億円と見込まれますが、これは国の一般会計負担することとし、その交付に必要な事項は自治省令で定めることとしております。  第五は、都の特例について改善することとしております。すなわち、都の基準財政収入額及び基準財政需要額算定に当たっては、特別区の存する区域を市とみなした場合に得られる基準財政収入額及び基準財政需要額を加算する特例を廃止し、特別区の存する区域を市とみなして都とは別に算定することといたしております。なお、その結果、都に交付される特別区分普通交付税について、都は、その額を都区財政調整交付金財源に充てるものといたしております。  第六は、昭和五十年度に限り、自治体財政運営に支障が生ずることがないようにするため、地方財政法第五条第一項ただし書きの規定による地方債を起こしても、なおその財源不足を生ずる場合には、その不足額に充てるため、地方財政法第五条の規定にかかわらず、地方債を起こすことができることとしております。  なお、政府は、地方税減収補てんに伴う地方債については、政府資金でその八割以上を引き受けるべきであります。  以上が、本法案提案理由とその概要であります。  何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決なされますようお願い申し上げます。
  6. 大西正男

    大西委員長 以上で両案の提案理由説明は終わりました。     —————————————
  7. 大西正男

    大西委員長 ちょっと速記をとめて。
  8. 大西正男

    大西委員長 速記を始めてください。  この際、暫時休憩いたします。     午前十時七分休憩      ————◇—————     午前十一時四分開議
  9. 大西正男

    大西委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  昭和五十年度における地方交付税及び地方債特例に関する法律案議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。高鳥修君。
  10. 高鳥修

    高鳥委員 私は、ただいま議題となりました昭和五十年度における地方交付税及び地方債特例に関する法律案につきまして、若干の質疑を行いたいと存じます。  まず、今回のいわゆる特例法案内容を拝見いたしますと、交付税減収補てん、それから給与改定財源、これらのために一兆一千二百億円を交付税会計借り入れすることとして、その利子分については、従来にない膨大な借り入れでありますが、折衝の結果、国が全部負担をするということになっておりますし、また給与改定財源等措置として臨時特例交付金交付二百二十億円、これまた借り入れではなしに一般会計から交付をするという形に相なっております。  さらにまた、地方税減収というのは非常に大きな問題でありますが、この減収補てんの起債のうち、民間資金を充当する二千三百億円について利子の差額を負担するというような措置も含まれておるわけでありますし、それからまた、超過負担解消措置の本来五十一年度において実施をするというふうに予定されていたものを、五十年度に繰り上げて解消措置を講ずる。さらにまた、昭和四十九年度交付税のいわゆる落ち込み分精算減額を五十一年度に繰り延べて行うというような諸措置を講ぜられましたことは一応評価をしていいことではないか、このように思うわけであります。  しかしその内容につきましては、地方自治団体の今日の窮状を考えますときに、今回の諸措置によりまして果たして十分であろうか、いろいろと問題があるのではなかろうかと思うわけであります。  そこでまず第一に、地方財政計画そのものについて若干お尋ねをしてみたいと思うわけであります。  従来の国会における審議過程や、あるいはまた地方自治団体そのものの認識におきましても、地方財政計画というものは余り大きな関心の的になってこなかったのではないか、このような感じがするわけであります。一部専門家は、確かに地方財政計画そのものについて相当突っ込んだ質疑もしておられますが、全体としては、いわば一つの数字の羅列、集計にすぎないような感じで見られておったのではないかと思うわけであります。  なぜそのように地方財政計画そのものが深く関心の的になってこなかったかといいますと、これは私は、この計画を大幅に上回る経済成長があって、その経済成長の結果として、地方財政にこの計画とは非常に隔たった形での財政収入があったというようなことからいたしまして、計画でどう見てあるかということについては、一部の専門家の間でしか関心が持たれなかったのではないかと思うわけであります。  ところが、今回行われた交付税落ち込みの穴埋め、それから地方税収入減収補てん、この二つの措置は、結局地方財政計画で見たものから落ち込んだ分を補てんしたにすぎないのではなかろうか。したがいまして、高度経済成長というものによって地方自治団体がある程度地方財政計画を上回る、いわば仕事をいろいろとやり、住民サービスをやり、そしてまた地方自治団体そのもの実態自治省が見るところの地方財政計画に合わない、そういう実態になっているのに、地方財政計画で見た分しか補てんしない、こういうことになれば、結局この補てん地方自治団体苦境を救うものにはならないのではなかろうか。したがって、計画で見た分と実態との間の乖離する分について何らかの措置を講じてやらないと、地方自治団体苦境は救えないことになるのではないだろうか、こんなふうに思うのでありますが、まず第一にその点についてお伺いをいたしたいと思います。
  11. 松浦功

    松浦(功)政府委員 ただいま御指摘をいただきましたとおり、計画決算との間には相当多額の乖離がございます。例を昭和四十八年度にとりますと、その乖離は二兆円以上に上っておりますが、そのうち地方債の増発とそれから貸付金等返還金の雑収入、こういった部分計画を修正することが技術的にもなかなか困難でございますが、これらの部分を除きましても一兆円を超える実質的な乖離があると私どもは見ておるところでございます。したがって、御指摘をいただきましたように、これまで自然増収があった、その自然増収に見合った形で財政規模がふくれておったのに、財政計画ベースの穴しか埋めないということになれば、落ち込んだ自然増収に見合う歳出に対する歳入がなくなるではないかというお説は全く御指摘のとおりでございます。  四十八年度に例をとりますと、地方税だけで自然増収が約七千億円ございました。これだけのものは確かに歳出に見合っているということは事実でございます。しかし、先生承知のように、財政計画というものは、地方財政一つの縮図というような意味で、しかも国が地方に対する財源を保障するという形でつくられているものでございますので、自然増収落ち込み地方財政に非常に大きな影響を与えるということは十分理解はできまするけれども理由なく、これに対して見合い歳出なしに自然増収部分を何らかの措置補てんするということは、地方財政計画の性格からして私どもとしては困難だと思っております。  それじゃ一体どういうふうにするのかというお尋ねに当然なろうかと思いますが、まず歳出につきましてはできる限りこれを節減をしていただく、と同時に、歳入につきましても社会情勢あるいは受益者負担原則等に基づいて、あるいは地方税法上の許された範囲の増税というたてまえもあるわけでございます、歳出を切る、歳入増を図る、地方団体独自の御努力によってこの難局を乗り切っていただきたいというふうに私どもとしては考えておるわけでございます。
  12. 高鳥修

    高鳥委員 昭和五十年度の当初予算を各地方自治体が組んだ段階においては、確かに景気が非常にむずかしい段階にあるということの予測もあったでありましょうが、これほどまでの落ち込みになるという感じはなかったと思うのです。したがいまして、五十年度の当初予算におきましては、それぞれ相当の単独事業等も予定をいたしておったと思いますし、自治団体が議会の協賛を得て約束をしたことについては、これを行いたいという希望があるのは当然でございます。そういう中で、そういう約束をしていることは、当然いまの地方財政計画から上にはみ出た部分があるわけでありますから、いまこの地方財政計画範囲でしか救済をしないということになりますと、結局国家予算不離一体関係にある地方財政計画でありますだけに、公共事業を完全に消化をするとか、その他、国が計画をいたしております諸事業を、それと一体の形でやっていくということになりますと、地方自治体の自主的に行える部分はほとんどなくなってしまうというような形にどうもなりそうであります。  結局、今日まで経済成長というものが、国と自治体との地方財政計画で縛られた、タイトな関係を超えた独自の施策を支える財源になってきたと思うわけでありますから、そういうことが全く不可能になった場合に、自治体の機能というのは、いわゆる自治体とは名ばかりであって、機能的に完全に失われてしまうのではなかろうか、そんな危惧の念を抱かざるを得ないわけであります。  私は、今日まで自治省がおつくりになってこられた地方財政計画なるものは、決して金科玉条でも何でもないと思うのでありまして、これを押しつけるからには、やはり自治体行政実態を十分踏まえて、常にその実態に即したものの上に立ってお立てをいただいておらなければならない。そういう意味において、いわゆる地方自治の再検討ということを三木総理さき国会において答弁をしておられますが、自治省自体も、地方財政計画を含めまして地方自治についての見直し、反省、再検討というものが当然あってしかるべきではないかと思うわけであります。特に三木総理さき国会において地方自治見直し、再検討を行いますという答弁をしておられるわけでありますが、この答弁を踏まえて、一体自治省は、この財政難局に際してどのような方針でその趣旨を生かそうとされるのか、その御用意がありますなら、お伺いをいたしたいと思います。
  13. 松浦功

    松浦(功)政府委員 まことにお答えのしにくい御質問でございますが、総理地方行財政のあり方について全面的に見直す必要があるということをお答えになられております。現在の国の状況を見ますと、国家財政地方財政とも、いずれも現在の行政水準を維持するためには、現在の制度のもとではどうにもバランスが合わない、借金財政という形になっていることは先生承知のとおりでございます。  この問題につきましては、明年度は仮に時間がないといたしましても、明後年を目がけては基本的に考え直さざるを得ない時期に、私は参っておると思うのでございます。そういう事態を踏まえて、地方制度調査会等においても事務の再配分についても御検討をいただいております。そういう大所高所からの行政財政全般見通しを立てながら、ごく近い将来に基本的な解決を図らなければならないだろう、そういうふうに思っておりますが、それが総理の御指摘になりておられる全面的に見直す必要があるということと直ちに一致するのかどうか、私ども十分まだ考えなければいけませんけれども、私どもとしてはそういう形が総理のおっしゃっていることに即応するものではなかろうか、こういう気持ちでおるところでございます。  少なくとも、現在の制度においてこのまま進むということになりますと、地方財政の先行きの見通しが立ちません。もっと地方財政と国の財政あるいは国の行政地方行政というものが車の両輪という形で円滑に進んでいくためには、本当にこういうチャンスに見直さなければならないという気持ちを持っている、こういうことではなかろうかというふうに受けとめておる次第でございます。
  14. 高鳥修

    高鳥委員 見直さなければならないということの認識はだれもするのでありますが、じゃあその具体的な見直し一体どのようにしてやるのか、それの機構なりあるいは一定の目標期限なりそういうものがはっきりできて、たとえば行政事務の再配分、権限の移譲などなどについての具体的な実行が伴わなければ、見直し、再検討は口先だけになってしまうわけでありますから、これを受けて自治省がこうした際に本当にかたい決意をもって具体的な作業をお進めになる必要があると私は思うのです。でありますから、それらの点を十分今後の取り組みの中で生かしていかれるように、これは希望をいたしておきます。  それから、交付税制度についてお伺いをいたしたいと思うわけでありますが、自治省はよく、地方公共団体の先取り福祉でありますとかあるいは人件費の超過、こうしたことについては、要するに経済成長による先ほど申し上げたような計画を上回った収入の増加、自然増を好き勝手に食い荒らしてきたんだ、だからいま困ってもあたりまえだというような感じをどうも持っておられるように思うのであります。それは、私は交付税についても同じことが言えるんじゃないかという感じがしてならないのであります。つまり、単位費用の積み上げの上に立つ交付税総額確保ということが最大の要請でありますが、これは三二%という率を変えないで、経済成長が予想以上に上回って自然増収が予定以上にあって、そういう中でこの三二%が交付税総額を確保するという要請は比較的容易に達成をされて、なおかつその上に新規政策の財源として交付税を引き当てるというようなことが盛り込まれていったのではないだろうか。したがって、地方自治団体自然増収を食い荒らしたけれども交付税制度そのものも自然増収を食い荒らしてきたのではないだろうか。しかしながら、今後、じゃそういうことが可能かと言えば、私は全くそういうことは期待できない、そういう段階になるのではないだろうか、こう思うのでありますが、その点について財政局長はどのようにお考えですか。
  15. 松浦功

    松浦(功)政府委員 傾向としてはそういう傾向があったことは否定できないと思います。いずれにいたしましても、高度成長がとまり安定成長に移るという段階において、税率を固定しておけば交付税の伸びが鈍化するということは当然でございます。その中で、全体の国の経済の基調、財政の基調というものを踏まえながら、現実に地方公共団体に財源措置ができるように交付税を確保していくということが必要であろうかと思うのでございます。特に国の方で大きな税制改正でも行うというような事態が起こりますれば、そういったものを基礎にどういうふうに交付税制度をつくり直すかということについて、大蔵省と折衝もしなければならないという事態が近い将来に私は起こると思っておるのでございますが、さしあたり本年はこの形で推移をさしていただくといたしまして、明年度につきましては、そういった動きがあれば別でございますが、なければ、ともかく必要な交付税を確保するという形で、あらゆる手段を駆使して大蔵省と折衝していく、こういうことに当然相なろうかと考えておるわけでございます。
  16. 高鳥修

    高鳥委員 ちょっと具体的な問題について伺いますが、今回の措置の中で給与改定等財源として交付税を四百十五億円増加をさせておるわけであります。先ほども申し上げましたが、そのうち二百二十億円は臨時特例交付金である、そして臨時特例交付金として一般会計負担という形になっておりますが、残余の百九十五億円は交付税会計借り入れという形にしておられるわけであります。このように二百二十億と百九十五億と区分をされて、片方は出しっ放し、もらいっ放し、片方は貸し付けだということにされた理由は何ですか。
  17. 松浦功

    松浦(功)政府委員 給与改定等財政計画上新たに生じました需要、これが計数的には百七十億円ございます。それに特別交付税二十五億を加えまして百九十五億円ということでございまして、これは全部借り入れによるということにいたしております。二百二十億というのは、財政計画上はこれといった積算根拠はないわけでございますが、地方公共団体が非常に財政的に行き詰まっておる、運営が困難になっておるということから、財政計画に予想する以上のもろもろの諸要因もあろうかということで、その辺のところは言わず語らずという形で二百二十億円の需要を大蔵省に認めてもらった、それは現ナマでいただきましょう、こういうことにいたしたわけでございまして、正規のいままでのルールでやりました場合の交付税の増額の必要額は百九十五億円である、それに臨時の財政対策費とも言うべきものとして、今年度特例として二百二十億円の需要を積んだ、それは国から埋めてもらいましょう、こういうことになったというふうに御理解をいただけたら幸せでございます。
  18. 高鳥修

    高鳥委員 日ごろ大変けちんぼうな大蔵省がまことに気前よく理解したものだと思いますが、どうも理由はほかにあるんじゃないかと思いますけれども、そういうふうに理解しろとおっしゃるのですから、理解をしておくことにいたします。  ところで、借入金の返済の負担の緩和について配慮を行うという大蔵、自治両大臣の合意があるというふうに承っておりますが、具体的にはどのような形で合意をしておられますか。
  19. 松浦功

    松浦(功)政府委員 いま委員長の御了解を得てお配りするつもりでございますが、「覚書」といたしまして、「昭和五十年度地方財政対策を講ずるに当り、次のとおり申し合わせる。一、両大臣は、毎年度の国、地方おのおのの財政状況を勘案しつつ、交付税特別会計借入金の返還について、協議の上必要があると認めるときは、その負担の緩和につき配慮を行う。」こういう覚書でございます。
  20. 高鳥修

    高鳥委員 何かこの覚書につきましては、予算委員会等においても質疑があって資料要求がなされたようでありますが、当地方行政委員会におきましても、当然非常に深い関心を持っておることでありますので、ひとつ資料として御配付いただけるように御措置を願いたいと思います。
  21. 大西正男

    大西委員長 理事会で御相談する必要もないことだと思いますから、ひとつ資料を提出してもらいたいと思います。
  22. 高鳥修

    高鳥委員 次年度以降の問題については、さらに後ほど重ねて御質疑をいたしたいと思います。  次に、地方債特例措置等について、若干、細かい点に入りますが、質問いたしたいと思います。  減収補てんのための地方債一兆六百三十二億のうち、約一九%の二千億円については政府資金とし、残余の八一%、八千六百三十二億円を民間資金としているわけでありますが、そのうち二千三百億円については、市場公募債の発行者利回り九・二六二%と資金運用部資金の利率八・〇%との差に相当する額について利子負担を軽減するということになっておるわけであります。このように一九%は政府資金、八一%は民間資金、こう区別をして、その民間資金のまた一部についてだけ利子負担をする、このような区別がなされるのはいかなる理由によるものでありますか。その内容について御説明をいただきたいと思います。
  23. 松浦功

    松浦(功)政府委員 減収補てん債一兆六百三十二億円に対しては、当省としてはできるだけ多額の政府資金をこれに充てたいということで、繰り返し繰り返し大蔵省と折衝いたしたわけであります。片一方で特別会計で政府資金を一兆円借り入れ、それからさらに本年度の追加公共事業の裏負担に対して地方債を充当して政府資金借り入れる、こういう措置をとることにいたしたために、どうしても現実に、どこをたたいてみても政府資金が実はなくなってしまったわけでございます。最後に詰めに詰めて、かき集めまして二千億だけはあるということで話に出てまいりました。そこで、それではどうにもならぬではないか、いままででも四割は大体埋めてもらっている例が先例としてもあるようだから、最低線が四割だという折衝をいたしました。一兆六百三十二億の四割ということになりますと四千二百数十億円になります。そこで数字を丸めて四千三百億ということを頭に置いて、政府資金は二千億しかないからそれじゃ現ナマで片づけようということで、四千三百億円から二千億を差し引いた二千三百億円を利子を補給するという形での折衝に持ち込んだわけでございます。ところが利子補給ということになりますと、これはまことにめんどうくさい手続が繰り返されて職員の労力もふえるということから、利子補給はいやだ。だから九・二六二というのは市場公募の利回りでございます。政府資金が八分でございます。一・二六二だけ二千三百億円にぶっかけたもの、これだけは地方財政にくれ、使い方はこちらに任せてほしいという形で特別臨時交付金という形で明年度以降交付税特別会計にいただく、こういうことにいたして、実質的に四千三百億円、国対地方関係では政府資金を回してもらったと同じ形にするという方途をとったわけでございます。  参考までに申し上げておきたいと思いますが、明年度は二千三百億円のこの金利差、これをかけますと二十九億強でございます。これだけはすでに大蔵省に、明年度予算要求を当省としてすぐ追加をしていたしております。これは臨時特別交付金という形で大蔵省が予算に組んでくれる、こういうものと心得ております。
  24. 高鳥修

    高鳥委員 ただいまのような折衝につきましては御努力を非常に高く評価をするわけでありますが、地方税減収分の一兆六百三十二億円というのは、中身は住民税及び事業税の減収見込み額であって、その他のものは含んでおらないように見たわけであります。きょうの朝もテレビで、料理飲食等消費税ですね、東京都はどうも大幅な減収であるというようなことをやっておりましたが、他の地方税につきましては、これだけじゃなくてほかにいろいろあるわけでありますが、その他の収入、市町村につきましては比較的固定的な財源が多いと思いますが、県ではかなりそうした面で変動するものもあるのではなかろうかと思うわけであります。それらの減収補てんについて措置する必要はないのかどうか、その点もあわせて承りたいと思います。
  25. 松浦功

    松浦(功)政府委員 ただいま御指摘をいただきました住民税、事業税、これらについてマイナス分を埋めるということにいたしますと、全体その他の税目を通じての出入りは余り大きな金額にはならないというふうに私ども見込んでおります。もちろん個々の団体によってはいろいろ変動があろうかと思いますが、いま申し上げました、高鳥先生から御指摘があった法人税、事業税を除いた税金で基準財政収入額から大きな穴があくというような団体が出てくれば、それは全体の調整の問題であると思いますので、特別交付税等で御相談に乗るということは私はあり得てもいい、ただ全体の税目としては、先ほど申し上げましたように、さほど大きな出入りが起こるとは、私どもはいまの段階では認めておりません。そういう意味減収補てん債の対象に加えなかったというふうに御理解をいただけたら結構だと思います。
  26. 高鳥修

    高鳥委員 公共事業の追加分、いわゆる景気浮揚策というかっこうになっておるわけでありますが、この裏負担については完全に起債で措置するということで三千百八十億円を予定をしておられるわけでありますけれども、そのうちやはり千七百億円は政府資金であって残余を民間資金という形にしておられるのであります。これはやはり個々の自治体に対してそれぞれに起債の認可等を行われることになると思うのですが、どんなふうにして、これは政府資金である、これは民間資金であるというような割り当てのバランスをとられるのか、事業の費目によって分けられるのかあるいは公共団体の財政事情等によって分けられるのか、そこいら辺のやり方はどのようにお考えになっておられますか。
  27. 松浦功

    松浦(功)政府委員 ただいま三千百八十億の地方債という御指摘でございましたが、三千百八十億の中には公営企業も含まれております。したがって公営企業分を除きますと、一般会計地方負担は二千六十六億でございます。この二千六十六億についてこれまで政府資金を充当いたしました最も高い比率が八割でございます。八割を見当にいたしまして千七百億政府資金を取る、こういう形にいたしたわけでございます。八割二分ぐらいになっておるかと思いますが、そういう形でございますので、これの配分につきましては、政令都市を除く市町村については全額政府資金を充当したい、政令市及び都道府県についてはこれは交付、不交付である程度差が従前の例によってつけられると思いますが、あとは裏負担の額に比例をする形でお配りをするということを原則にいたしたいというふうに考えております。
  28. 高鳥修

    高鳥委員 ここで地方債そのものの性格について、ちょうど機会でありますから、ちょっと御見解を承っておきたいと思うのでありますが、いまニューヨーク市が破産状態になりかかっておる。いつ破産するかもわからないというようなことを言われておりますが、アメリカの地方公共団体というのは独自で地方債を民間、個人からかなり消化をしてもらっておるようであります。私は、この地方債の発行について、自治省が実質的に全部の権限を持って措置をしておられるわけでありますが、それは地方自治団体財政の健全性の維持という意味においては、そういう監督をしておられることは非常に意義があることだと思いますし、またこれを許可する、しないということで、特に昨年から今年にかけまして、どちらかといえば総需要抑制、景気過熱鎮圧というような形で公共事業等の抑制を行われた際には、起債の許可をしないというようなことが非常に大きな抑制効果を発揮したと私は思うわけでありまして、国全体の経済政策の有効な発動の場合には大いに意味があるけれども、逆に言えば、起債を認めるか認めないかということで、市町村、都道府県に対していわば生殺与奪の権を持っておる、そういうことは、自治権の否定とまでは言いませんけれども、まさに自治省自治団体を隷属させるものではないかというような感じもしないではないのですが、その点についてはどのようにお考えですか。
  29. 松浦功

    松浦(功)政府委員 この問題は毎回国会で御議論のあるところでございますので、むしろ私ども事務屋がどうこう申し上げるのはいかがかと思うのでございますけれども、この問題は、地方公共団体の財政運営の適正化を期するということもただいま御指摘のようにあろうかと思いますが、さらに大きな問題は、こういう経済のもとでは、これを自由にした場合にはそれこそある団体では全然借りられなくなってしまう、ある団体ではどんどん借りられて、それが財政悪化の原因になる、こういった事態も十分起こり得る問題だと考えております。したがって国全体の金融政策の立場という観点からも、私はいましばらくこの制度を存続すべきものであろうというふうに考えております。
  30. 高鳥修

    高鳥委員 その問題についていまここで深追いをしている時間的な余裕がありませんので先に進みますが、地方債のうち建設事業等いわゆる適債事業ですね、それにまず充当をする。そして「なお充当しきれない部分がある場合においては、適正な財政運営を行うにつき必要とされる経費の財源に充当するこのができる旨の特例を設け」ようというのが今回の特例法の内容でありますが、とすれば、一応計数的にはいろいろな想定をしておられると思うのであります。一体、その適債事業以外に充当する分はどの程度を想定しておられるか。まあ、今回の措置はまさに真にやむを得ない事情によるものと思いますが、この提案理由説明自治省がお出しになった資料のおしまいの方に、地方財政法規定内容がつけられておりますが、それによりましても、起債の対象となるものはおのずから制限をされておるわけであります。せっかく第五条でそのような制限措置を決めておきながら、まあ異例なことであるから特例として認めてくれというのは、第五条を決めた趣旨にはちょっと沿わないかっこうになるわけでありまして、まあ特例だから真にやむを得ないとは思いますが、本来ならばそのような事由がある場合には、この第五条の趣旨を尊重するならば、別途財源措置の方法を考えるべきものではなかろうか、こういうふうに思いますが、その点についてどのようにお考えですか。
  31. 松浦功

    松浦(功)政府委員 御指摘のとおりでございまして、私どもも五条に充当いたしましてなおかつどうにもならないという部分一般財源措置をするということが理想であると考えております。御承知のように現在のこういった国、地方財政状況のもとにおいてどうしてもそういう方途がとれない事情にある、こういうことからやむを得ずに特例を設けたというふうに御理解をいただければ結構かと思うのであります。  また、この特例規定に該当する部分がどのくらいあるかというお尋ねでございますが、これはちょっと私どもも計数的にはつかんでおらないわけでございまして、いずれにしても、最高限は減収に伴う地方債が限度でございますので、この金額が幾らかということを急いで詰めるということについて私ども余り力を加えておりません。特にまだこれからの枠外債の土地その他いろいろございます。そういったものの認め方、そういったものとの関連も出てまいりますので、いずれにいたしましても、きちっと九月の決算、特に法人でございましたら九月の決算見通しを立てた上で、各団体の実情も十分ヒヤリングをして、各団体ごとにどれだけの減収補てんするかを決める、その時点において、どれだけ受けざらがあるかないかという議論に入っていったらいいのじゃないかというふうに私どもとしては考えておるところでございます。  現実の問題としては、出投資等およそ五条に該当するものをくまなく小さいものまで拾うか拾わないかということによっても結論が違ってくるわけでございます。結果がわかっておる分でございますので、地方団体に余り事務的な煩瑣な迷惑はかけない形で処理をいたしたらどうかということを考えております。  都道府県の傾向はおおむね何とか五条で処理できるという団体が多いかと思います。市町村によりましては、半分も受けざらがない、三分の一も受けざらがないというような団体が出てくるようにいろいろ調査をした結果なっております。市町村中心にこの問題が大きな問題となるだろうということを考えておりますことを付言させておいていただきたいと思います。
  32. 高鳥修

    高鳥委員 国債、地方債合わせまして発行額は相当膨大なものになるようでありますが、大蔵省の方、いらっしゃいますか。——これは予算委員会等でも問題になっておると思いますが、今回の国債、民間資金分の国債が大体三兆四千八百億円追加発行になる。当初予算の分が二兆円あるわけでありますから、合計いたしまして五兆四千八百億円という膨大な国債の発行になるわけでありますし、それから地方債は、今回の民間分が合計で約一兆円くらいになりますか。そういたしますと、六兆五千億前後という非常に膨大な額が民間資金に期待をされておる、そういうかっこうになっておるわけであります。このことは、景気浮揚とかいろいろ言われておりますが、そういう中で民間の資金需要に対する相当大きな圧迫になるのではなかろうか、このように思うわけでありますが、その消化等についてどのようにお考えになっておられるか。  それからまた、次年度以降におきまして日銀がこれを買いオペレーション等で支えるということになりますと、ひいては日銀券の増発、インフレという懸念をいたしておる向きも非常に多いわけであります。率直に申しまして、赤字だからまあ国債発行だ、それで穴埋めせざるを得ないという財政事情はわかりますが、そのことが日本経済を再度非常な混乱に陥れるのではなかろうかという危惧の念もいたしておるわけであります。その点については大蔵省としてはどのようにお考えになり、御準備になっておられるか、この点を承りたいと思います。
  33. 迫水久正

    ○迫水説明員 お答えいたします。  国債の消化の問題でございますが、財政資金の対民間収支、ことし、本年度はすでに大幅な散超となっておりまして、さらに今後も引き続きまして散超、支払い超過の状態が続くものと思われるわけでございます。したがいまして、マクロ的に見ますと今回の公共債の追加発行、民間の資金需給に好ましくない影響を生ずるということはまずないというふうに考えております。  それから最近の金融情勢を見ますと、一般的には設備投資の落ち込み等から企業の資金需要は総じて一ころに比べましてかなり落ちついてきております。しかしながら現実に国債を発行するに当たりましては、今後月々の金融情勢それから引き受け側の資金事情等に十分配意いたしまして、民間金融に混乱を生じないように円滑に消化が行われますよう慎重に運営をいたしてまいりたいと考えております。  なお先生、三兆四千八百億円全部民間消化というようにおっしゃいましたように伺いましたのでございますが、今回補正予算でお願いをしております国債の増発額が三兆四千八百億円でございまして、そのうち四千二百億円、これを資金運用部で引き受けるということに相なっておりますので、増発分のうち民間にお願いをいたします国債は約三兆というふうに御理解いただければありがたいと思います。  それから明年度以降のことでございますが、いまだ未確定な要素が多うございます。もちろん財政規模、それから国債の規模等につきまして、私ども慎重な運営をしなければならないと存じます。その点につきましては、現時点におきましてはいまだ確たることを申し上げられない状況でございます。
  34. 高鳥修

    高鳥委員 現実にいま日本の国の財政事情も地方財政事情もまさに難破しそうな状態になっておる船と同じ形になっておることはわかりますし、その救急措置としていま御説明のありましたように、民間資金としては五兆円ということでありますが、その他地方債を含めまして六兆円といいますと、これは相当膨大な金額であることは事実であります。また国家予算地方予算ともまさに借金財政で賄うという形になっておるわけでありますが、私はひとつここで、これは自治省側になりますかあるいは大蔵省側になりますか、お考えいただいてもいいのではないかと思いますことは、要するに国がお金を使うかあるいは民間がお金を使うかいずれかの方法でお金を使うという形になって、日銀券の増発にならないような起債のやり方、国債の発行の仕方、そういうものをやはり考えなくてはいかぬのではなかろうか。したがって、民間に五兆円をつけておいて、来年は今度日銀で買い支えをする、買いオペレーションをやる。また来年へいきますと、恐らく、いまから来年の税収の減は約六兆円だというような——税収の減ではなくて、要するに来年の当然増、自然増を含めての国の収入不足が約六兆円だというようなことを言われておるわけでありまして、来年はしたがって地方債も同様な形で発行せざるを得ないし、国債も今年よりもっとふえた形で発行せざるを得ない、そういう中でどんどんと行ったら日本の経済は破局になってしまうのではなかろうか。  そこで、これは全部とは申しませんけれども地方債の発行等について、たとえばかつて減税国債などを考えたこともありますが、減税国債のようなシステムや、あるいはまた自治宝くじというのをやっておりますが、自治宝くじと抱き合わせにしたような形て、いわゆる本当の民間——銀行、金融機関等でない本当の民間消化ということが考えられないだろうか。あるいはアメリカなんかの場合には、地方債の利息というのは非常に安い、年率にいたしまして四・五%か五%程度だ、一般市中金利から見ますと半分にもならないような金額であるけれども、その安い分については、結局別途それは公共負担をしておるのだ、税負担をしておるのだという考え方に立って、そのかわり四・五%なり五%なりの利息については無税でやるということになりますと、アメリカというのは日本と違って、相当大きな資産家もたくさんいるわけですから、その方がいいということで、公共に協力をすると同時に公債も引き受ける、それによって自分も利益を得るというようなことを現実に、私もその方の専門家ではありませんから細かいことはわかりませんが、やっておるように思います。  日本の場合にも、たとえばいま地方債の一番安いのは政府資金で八%だということでありますが、この八%の利息負担といえども市町村にとっては相当な負担でありますし、都道府県も容易じゃないわけであります。でありますから、仮に定期預金をいたしておりまして配当分離課税で三〇%の課税をされるということになりますと、五%程度の利息でも同じことになるわけであります。そういうふうな形での民間消化ということが考えられてもいいんじゃなかろうか。どの程度期待できるかは別問題といたしまして、何かそういうようなことによって地方団体負担が少なくて、しかも民間で金を使うか、国、地方公共団体で金を使うかという形でのバランスをとっていく方法はないか、その辺についてお考えがあれば承りたいと思います。
  35. 迫水久正

    ○迫水説明員 先生から御指摘がございました別の種類の債券を考えてみたらどうかという問題につきまして、国債の立場でございますけれども、所要の検討をいたしたわけでございます。結論でございますが、現状におきましてはそういった国債を発行するには問題点が多過ぎるということで、とりあえずは見送るという結論を大蔵省として出しておるわけでございます。  実は戦後昭和二十七年、国民貯蓄債券というものが発行されております。それから二十八年には特別減税国債といったものも発行されておりますが、その売れ行きがいずれも不振でございまして、一年限りで当初の発行予定額を相当下回ったままで発行が停止されたというふうなこともかつてございました。  それから諸外国の例を見ますと、特別に個人向けの貯蓄国債を発行している例がございますが、わが国の実情に照らしてみまして、こういった方式が成功するかどうか、よほど吟味いたしましたが、なかなか疑問であるという結論に相なっております。  それから諸外国の貯蓄国債といわば似たような機能を果たしているものといたしまして、わが国ではすでに郵便貯金の制度が定着をしておるといったようなことも私ども議論の中で出てきたわけでございます。  それから税制上の優遇措置をさらに拡大したらどうかという御指摘もあったのでございますが、現行制度のもとにおきまして、一般のマル優のほかに別枠の非課税制度が講じられておりまして、条件面ですでに実質的に相当有利なものとなっておりまして、さらに特別減税国債のようなものを発行することにつきましては、現在の厳しい財政事情から見ましてもいかがなものかと考えられるところでございます。  国債につきまして検討状況を御報告いたしました。
  36. 松浦功

    松浦(功)政府委員 ただいまの御質問、地方債の方に当てはめてお答えを申し上げたいと思いますが、先生承知のように、地方債のうち、いわゆる個人にまでお買い受けを願える制度になっておりますものは、いわゆる市場公募債でございまして、これは全体の地方債のうちのごく小部分でございます。したがって、将来資金運用が苦しい場合には、これをできるだけ広げるという方途を自治省としては考えると同時に、この市場公募債について、現在日銀の適格担保になっておらないとか、買いオペの対象になっておらないとか、信用性の問題について国債と非常にかけ離れた取り扱いになっている点がございますので、これらをまず前進せしめることが先決問題であって、個々の地方公共団体で発行しておるものについて、いま御指摘をいただいたような諸制度を運用するということは、しょせん不可能というふうにわれわれとしては考えております。  いま申し上げましたように、市場公募債というものについてもう少し制度を優遇するあるいは枠を広げる、その上で先生の御指摘をいただきましたような諸案件について検討いたしてみたい、こういうふうに考えておるところでございます。
  37. 高鳥修

    高鳥委員 ただいまの点については、なお私としては議論をいたしたいところでありますが、時間の関係もありますので割愛いたしまして、自治体財政危機ですね。この特例法が通りましても、財政危機は救えない。恐らく当面の資金をこれで賄わせていただくだけでありまして、財政危機は救えない状態になっておると思うわけでありまして、その財政危機の原因として、自治省ではいままで、当委員会における論議の過程におきましても、自治体の人件費の中には非常に高いものがある、事実相当目に余るものもあるようでありますが、ラスパイレス指数などを取り上げまして、いろいろと資料もいただいたわけであります。人件費問題一つを取り上げてみましても、先ほども答弁がございましたが、地方財政計画実態との間には約一兆円の乖離があるということであります。そのうち人件費がラスパイレス指数で見て高いと思われるのが、一兆円のうちどのくらいの分に相当するかということですね。それから、その地方財政計画で見たよりも、毎日進展していく社会の行財政需要というものが非常に多様化していっており、これに対して地方自治団体がこたえていかなければならない。それが地方財政計画で見たものよりも先行した形で行われておる。そういうことの結果としての人員増というものがかなりのウェートを占めているのではないか、これは正確に私自身調べたわけではありませんし、それからまたラスパイレス指数そのものにしても全部が全部についてとっているわけではないので、国の職員構成と地方自治団体の職員構成にはおのずから違いがございますので、これを簡単に比較することはできないと思いますが、その辺についてどのように検討をされておるか。私は、そうした面について自治省でも十分見直しをすべき点があるのではなかろうか、このように思いますが、その点についてお伺いをいたしたいと思います。  それから、今回は地方税減収補てんといい、地方交付税落ち込みといい、緊急やむを得ざる措置として行われるわけでありますが、基本的にはやはりこの際、高福祉は高負担を伴うということについての割り切りもせざるを得ない時期に来ているのではなかろうか、私はこのようにも思うわけであります。いたずらに借金財政に頼るということではなくて、やはり整理をすべきものは整理をし、行うべきはこれを行う、そしてそれを行う場合に負担を要する場合にはやむを得ないということの割り切りをやはりすべきではなかろうか、このようにも思いますが、その点についてはどのようにお考えでありますか。
  38. 松浦功

    松浦(功)政府委員 ただいま御指摘をいただきました一兆円の乖離、これは昭和四十八年度決算計画乖離でございまして、この一兆円のうち、給与水準の差から出てまいりますものが約五千億円、プラスアルファが一千億円、残りの四千億円が大体職員数の差であると私ども推定をいたしております。職員数の差につきましては、昭和四十九年度財政計画で二万四千人、それから本年度、五十年度計画で十三万八千人、合わせて十六万二千人を計画に上乗せをいたしておりますので、四十八年当時の人数差による乖離というものは、理論的にはほとんど埋まったと私どもは考えております。四十八年度の給与実態調査との関連で考えましても、現在計画乖離しているものはないとは申し上げませんが、これは数万人に縮まっておるはずであります。その主体は義務教育でございますとか、きちんと法令でこれだけの職員を置くという定めのあるものについて、それを上回って置いておるというものが主たる内容になっておるわけでございます。もちろん今後にわたりまして毎年の実態の調査を見ながら、福祉施設等の増に伴う職員の増加というものは、後追いをしながら余りおくれないような形で財政計画で修正をしていくということについては、私どもも今後努力をしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。  なお、高福祉高負担という社会福祉政策の問題についてお尋ねがございましたが、この点につきましては、地方制度調査会でも明確に御指示をいただいておりますとおりでございまして、少なくとも単独の福祉施策を行う場合にあっては、気構えとしてはそれに見合う収入を確保するか、または従来行ってきた事業を切ってそれに振りかえる、いずれかぐらいの覚悟を持ってこれに取り組まなければならないということが指摘されておりますが、私どもも全くそのとおりだと思っておるとにろでございます。
  39. 高鳥修

    高鳥委員 来年度以降の見通しについて若干お尋ねをいたしたいと思います。  先ほどもちょっと申し上げましたが、来年度の国の歳入不足は約六兆円というふうにさきに報道をされておるところであります。まあ福田総理によれば、日本経済は全治三カ年の重傷であるというように言われておりますが、したがいまして、昭和五十一年度も五十二年度も回復の見通しはきわめて暗いということであります。地方交付税の会計の借り入れの返済は五十三年度から国に返済を開始という形になっておりまして、二カ年据え置きの十カ年返済、ただし、覚書にあるとおりに、ぐあいが悪ければ繰り延べも考えるというのでありますが、今後の景気について軽々に予測はできませんが、恐らくいまのような状態の中で想定をするならば、著しく経済が好調になるということはほとんど考えられない。少なくとも、高度経済成長のときのような余裕金が出る状態はないであろうことはほぼ間違いない。となりますと、私は今回の借り入れも——来年も恐らく借り入れをせざるを得ない、それもいずれもまあ返す可能性はきわめて薄いのではなかろうかというふうに考えます。それじゃ返す方途として何を考えるか。これは収入の増加を、別途増税ないし新規財源を見出して、それを返済財源に当てるかあるいはたな上げしてしまうか、いずれかしかないということになるわけでありますが、先ほど山本先生から社会党、公明党さんの御提案を承りましたが、交付税率を百分の三十五に引き上げる、地方行政の立場からしますと大いに賛成をいたしたいところでありますが、国全体の財政事情から見れば国も火の車でどうにもならないから、恐らく交付税の引き上げというのはまあほとんど期待できないという状態になるのではなかろうか。そうすれば、一体今後の地方財政運営並びに交付税の返済等々について、どのような御見解をお持ちであるかということを承りたいと思います。
  40. 松浦功

    松浦(功)政府委員 毎年、御承知のように地方財政計画をつくって国会に御提案申し上げているところでございます。したがって、交付税の返済という問題が出てきました年次には、それだけの財政需要の上積みをして、それに対する財源を保障するという形をとりたいと思っております。ともかく地方公共団体の財政運営に支障が来ないようにという態度で今後とも臨みたいと思っております。  それじゃ具体的に一体どうなるのだということになりますと、正直申し上げて私どもにもはっきりした計数の見通しはございません。ただ一般論として申し上げ得ることは、恐らく明年も、高鳥先生から御指摘をいただいたように、財政計画の需要に見合うために普通の制度では金が足りない。したがって、交付税借り入れなり地方債のある程度の増発なりということでバランスをとるということが、本年度に引き続いてもう一年続くと思います。しかし、これがさらに五十二年、五十三年と続くようになりますと、国も地方も両方とも、金を返す額の方が起債を起こす額より多くなるというような事態に必ず立ち至ってくると思うのでございます。ということでございますれば、もう本年度財政を立てる過程において、明年度以降の問題について検討に着手をするという形で、公経済についての収入増ということを何らかの形で実現しない限りは、なかなか回りにくい形になってくると思うのでございます。これはまあ私どもよりはむしろ大蔵省が主体になってお考えになる問題と思いますが、たとえば法人税の税率を引き上げるということになりますれば、基礎の税額がふえるわけでございますから、その三二%は地方交付税へ来る。新税を起こすということになりますれば、それを交付税の基礎に入れるか入れないかという問題が起こってくる。こういう形で、収入増を図るものについて、国と地方でどう分け合うかということを基本的に論議すべき時期がそう遠くない機会に来ると私は思っておるのでございます。それまではともかく国のやり方に準じて、国の困ったぐあいに相呼応して、国が借金の場合には地方もある程度借りるということをたてまえにして、現実の地方財政の回転がとまらないようにしていくということが、自治省に課せられた使命であろうかというふうに考えておるところでございます。
  41. 高鳥修

    高鳥委員 ただいまのお話のように、たとえばということで法人税の税率の引き上げなどというようなことの問題もお話がございましたが、収入増加の方法を何らかの形で努力をすると同時に、やはり行政事務の合理化、再配分、これは当然にやらなければならないことでありまして、新しい仕事はどんどんふやしていく、古い仕事はそのまま残していくということでは膨張の一途をたどるばかりでありますから、その辺につきましては、先ほども申し上げましたが、真剣な検討をして、国も地方自治団体も合理化をし、切り落とすべきものは切り落とすという努力をすべきであると私は思います。  時間も大分経過をいたしましたので、最後に、いま私どもはこの特例法案審議を一生懸命きょうから始めておるわけでありますが、地方自治団体は、通例の場合十一月の初めに交付税交付を受けるということで、そういう前提に立って資金繰りをしておるところがどうもかなり多いようでありまして、参考までに自治省からいただきました資料によりますと、一応一番早い時点としては四日の交付、連休明けのきょうですね。きょう交付してもらわないとバンザイするというのが、たとえば秋田。佐藤敬治先生のところでありますが、これは「不可」こう書いてある。その他山梨とか長野とか三重とか滋賀とか、兵庫、和歌山、鳥取などなど、四日にお金をもらわなければもう困るんだ、不可だという府県がたくさんあるわけであります。  どうもいまの状況からまいりますと、なお自治大臣は慎重に御審議の上、速やかに御可決あらんことをという御要望をされておりますので、私どももできるだけその期待に沿って一生懸命慎重審議を重ねてまいりたいと思うわけでありますが、実際に交付を受けるというのは、ずっと見たところから言いますと、この中に、たとえば北海道は十一月八日過ぎれば不可だ、こう書いてありますが、八日には交付をされることになる見通しは非常に困難ではなかろうか。さらにまた離島の場合、承りますと、具体的に法案が決まって金券が行くまでに一週間余りかかるであろうということになりますと、自治省がお出しになったのは給料の表だけでありますが、その他に一般物件の購入費等々があるわけであります。これらもいずれもみんな交付税等を引き当てにいたしておるわけでありまして、まさに自治団体は非常に苦境に立つと思うわけでありますが、いまの地方自治団体財政状況からいって、交付が相当おくれた場合にはどんな形になるか。借り入れ等の措置で切り抜けられるものもあろうと思いますが、その点についてはどのようにお考えでありますか。  それからさらに、これは一時しのぎの資金繰りでしかないので、この表いかんにかかわらず、ここでは可と書いてあるけれども財政状態が不可のところがかなりあると思うのであります。都道府県だけではない、市町村でも現に再建法の適用を受けたというところもございますし、今後は続出するのではなかろうかと思うのであります。したがいまして、私自身、実は昭和二十九年から三十年にかけての地方自治団体財政破局状態のときに自分で理事者をいたしておりましたので、あの当時の状況も身にしみてわかっておるわけでありますが、いまの地方自治団体の行財政運営について大きな責任を持っておる自治省としては、その辺についてどの程度把握をされて、またそれに対する対策をどの程度準備をしておられるか、所信のほどをお聞かせをいただきたいと思います。
  42. 松浦功

    松浦(功)政府委員 最初に、本特例法の成立と資金繰りの問題でございますが、都道府県はただいま先生から御指摘いただきましたように、ある程度お困りになっておられると思いますが、それは団体が大きいだけに信用力がございますから、無理をすればある程度高い金利を払って何とかやっていくという形を恐らくとるだろうと思います。問題は市町村であろうかと思うのでございますが、税収入の五倍も六倍もの交付税でやりくりをしている団体が日本全国には相当数多くございます。そういうところの団体は、四分の一の交付税をもらえるかもらえないかということが資金繰りの最大の眼目になっておりますので、これは相当大変な問題になろうかというふうに予想をいたしております。もちろん、これは借り入れの金利をべらぼうに払えば恐らく貸してくれるところはあると思うのでございます。それがまた財政負担になるということを考えました場合に、毎回繰り返してお願いしておりますように、できるだけ早く成立をさせていただきたいということを私どもとしてはお願いいたしたいということでございます。  それから、自治体の資金繰りの問題を別にして、収支状況をいまどうつかんでいるかということでございますが、都道府県で申しますと大体三つのグループぐらいに分けられるんじゃないかと思うのでございます。私どもでいろいろ個々にそれぞれ丁重に聞き取りをしておるところでございますが、約三分の一は減収補てん措置がとられれば別に財政運営に苦労はない。残りの三分の一は、こういう表現を使うといけませんけれども給与改定等を完全にやれば赤字が出てしまう。しかし給与改定等について一部節減その他をかければまあやれるかもしれないという団体。三番目のグループは、給与改定を全部お休みを仮にしたとしても、まだ赤字が残りそうだという団体、大体三色ぐらいに都道府県を分けて達観できるのではなかろうかというふうに考えております。  いずれにいたしましても、団体ごとによって財政状況はばらばらでございますけれども、相当数多くの団体に赤字が出そうだという見通しがあるということは事実でございます。  それから再建団体の問題でございますが、現在まで新たに再建団体の指定が手続的に終わりましたのは福岡県の豊前市一市でございます。一・二まだ再建団体の指定という形でご相談が来ておるものがあるようでございます。全般的には、高鳥先生指摘いただきましたように、昭和三十年前後の再建の苦労というものを地方団体も味わっておりますので、何とか再建団体にだけはなりたくないというつもりでそれぞれいま鋭意節減あるいは増収、そういったところに努力をして、何とかこの危機を切り抜けようという努力をしていただいておるというふうに私どもは受け取っておるところでございます。
  43. 高鳥修

    高鳥委員 じゃ時間でございますので、終わります。
  44. 大西正男

    大西委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後零時十九分休憩      ————◇—————     午後八時二分開議
  45. 大西正男

    大西委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  昭和五十年度における地方交付税及び地方債特例に関する法律案議題とし、質疑を続行いたします。山田芳治君。
  46. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 非常に夜遅く、皆さん御苦労さまでございます。  今回の特例法の改正について、非常に多くの問題点を含んでおりますので、地方財政の基本の問題を含めて、関係者に御質問を申し上げたいというふうに考えるわけであります。  まず第一に、自治大臣として、今回のようなきわめて厳しい地方財政状況になったという点について、国の財政においては四兆円弱の歳入欠陥、これははっきり申し上げて、経済見通しを四・三%、貸金の上昇率一七%、雇用一%増等のいわゆる経済見通しの上に立って、国税十七兆三千億、地方税八兆八千億というものが計算をされた。しかるに、四兆円弱というような多額な国税落ち込みについては、やはり見通しの誤りであるということを大蔵大臣は言われておるわけでありますが、地方財政に対してこういう見通しが狂った点について、まず自治大臣としていかがお考えになっているかをお伺いいたします。
  47. 福田一

    福田(一)国務大臣 お答えをいたします。  御案内のように、予算を編成するときには、自治省は大蔵省ともよく連絡し、われわれもまたその意味で連絡をとって、予算の編成をいたし、地方財政計画等も立案いたしたのでありますが、大蔵大臣がいわゆる経済見通しを誤っておる、そう露骨に申したかどうかわかりませんが、そういう意味のことを表現しておると思うのでありますが、そういう意味では私もやはり見通しを誤ったと申し上げる方が正直だと思います。
  48. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 見通しが誤ったという点については、率直に反省される点については了といたしますが、さて、そこで問題は、細かい点は後で触れてまいりますが、まず第一に、今回の特例法あるいは地方財政対策全体が、言うならば借金による当面の糊塗であるということについては、これは異論のないところであるわけであります。  さて問題は、本年はそういう形で糊塗しても、来年度以降の問題というのはきわめて重要な問題の一つになるというふうに考えるわけであります。  そこで、経済企画庁の内国調査課長おいでいただいておると思うので、来年以降のことを考える前に、まず経済企画庁としては来年度経済見通しと物価上昇についてどう考えているか。この場合、そういういろいろの経済指標を含めて、国税及び地方税というものは、弾性値ではね返していくととの程度一体年度の一たとえは国税の場合は十兆円程度になる、地方税ならば七兆八千億程度、こういうことでありますが、どういうふうになるかという点について、まずお伺いをいたしたいと思います。
  49. 谷村昭一

    ○谷村説明員 いま先生の御質問の点でございますが、御承知のように、来年度経済見通しにつきましては、来年度予算を編成いたします時期に来年度経済見通しを立案することにいたしておりまして、これから後一月ないし二月時間がございますが、その過程におきまして先生の御指摘になりましたような問題点をいろいろな経済情勢の推移を見きわめながら検討して決定してまいりたい、かように考えている段階でございます。いまの段階先生の御質問に直接的にお答えする政府としての確たる見通しを立てているわけではございません。
  50. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 そうなると、来年度地方財政というものは、本年度はいろいろ万やむを得ないという形で今回の国の財政措置あるいは地方財政措置がとられた、では来年一体どうなるのだということで、もちろん国も地方も、予算を編成する過程でさっぱり経済見通しについては触れるわけにはいかないということでは、この当面の五十年度地方財政というものはきわめて五十一年度地方財政とかかわり合いがある。そういう中で来年のことは、まだ十一月でありますが、十二月の段階で言えるかどうか知りませんが、全然触れることがないということでは、これはわれわれとしても一応の見通しを聞かなければ、来年度一体地方財政がどうなるか、したがって今度の措置はやむを得ないものであるかどうかという判断ができないのではないかと思うのですが、そういう点はどうですか。
  51. 福田一

    福田(一)国務大臣 ごもっともな御質問であると思うのでありますけれども、例年、次の年の予算編成をいたします場合には、大体十一月の前後に来年度見通しというものを立てまして、それに基づいて大綱を決め、順次予算を決めていくというのが恒例でございます。そういう意味でございますから、いまあなたが言われるのは、ことしこれだけの赤字が出るのであれば来年も相当赤字が出るであろう、そういうことを見通してみるというと、ここでにわかにそれを認めることが来年度予算編成にも連なっていって疑義を生ずるからという御質問であると承っておるのでありますけれども、慣例として大体予算編成はそういうふうにいたしておりますので、ここで見通しを言わなければと言われても、まだ大蔵省その他ともいろいろ折衝をいたし、経済企画庁の見通しも立て、そうして予算編成方針というものを立てるという段階でございまして、いまの段階ではっきりした見通しを言えとおっしゃっても、少し困難かと存ずるわけでございます。
  52. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 最近国土庁が「新全国総合開発計画総点検作業中間報告」というものを出しているわけであります。これによると、後でも触れますが、大体今後六十年までを三ないし八%程度で推移をする。三%程度であると雇用問題というものが起こってくる。八%程度までいけばその問題はない。こういうふうなフレームの作成を努力をしているという点があります。ですから、国土庁自身としては、三ないし八というものを一つの目標にしての投資の計画なり何なりの考え方の試案でありますけれども、そういうものを出しているわけであります。したがって、一応そういうものが現在論議をされつつあるはずであります。だから、これについてそれではどういうふうに評価されるかという点が一点。  それから、この中にこういうことがあるのであります。民間の設備投資と政府の固定資本形成、いわゆる公共的投資との間におけるわが国の昭和二十年代から三十年代、四十年代の比較をいたしておりますが、わが国は社会資本が非常に立ちおくれているにもかかわらず、高度経済成長の中においてもますますその傾向が強い。民間投資と政府固定資本形成との差というものは、いわゆる公共投資との差は、当初は大体六割ぐらいであったけれども、最近では四割を割るか割らぬかという程度まで公共投資というものが非常に落ち込んでいるというのが、日本の投資の中における比率であるということが書かれております。こういう点は、もっと公共投資を上げていかなければならないというふうに思うのであります。  企画庁にこれはお伺いをしたいのでありますが、民間設備投資、ここに言うIPでありますが、固定資本形成、IGでありますが、それの比率は、わが国においては外国から見ると非常に立ちおくれている。したがって、もっと社会資本、公共投資にウェートをかけるべきであるというふうに思うのでありますが、企画庁としてはどの程度わが国においてその比率が保たれるのが適当であるかどうか、考えているところがあればお答えをいただきます。
  53. 藤井直樹

    藤井(直)説明員 日本の社会資本の整備につきましては、戦後いち早くその回復過程に入ったわけでございまして、四十七年度までの間の社会資本の充実というのは予算の中でも非常に大きなウエートを占めて進んでまいったわけでございます。四十八、四十九年度、さらに五十年度は、経済もこういう状況のもとで抑制をいたしてきたわけでございます。これからの社会資本がどうかということでございますけれども、私どもは現在、石油危機以後の新しい情勢の変化に即しまして、経済計画の作成の作業をしているところでございます。まだその作業の過程でございますので、明確なことは申し上げられないわけですけれども、従来の日本の高度成長時代にはやはり民間設備投資が主導いたしまして、さらに輸出が伸び個人消費も伸びてきたわけです。今後の安定成長への移行を考えますと、従来のような民間設備投資の伸びというものは多分ないだろう。やはり住宅投資とか、それから政府資本形成、いわゆる社会資本の整備のウエートというものが高まっていくだろうというふうに考えております。  ただ、現実の問題といたしますれば、成長率が低下するわけですし、それから財政事情の問題もございますので、そういう点を十分勘案いたしまして公共投資の計画というものをつくっていきたいと思っております。ウエートが高まっていくことは予想されますが、全体としての社会資本の量自身が従来のような伸びを期待することはなかなかむずかしいのではないか、このように考えております。
  54. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 国土庁が三ないし八%というフレームワークをやろうとしておるわけですが、それについての評価はどうですか。
  55. 藤井直樹

    藤井(直)説明員 国土庁の作業は三%と八%と両方のケースを想定してやっております。これは、国土庁が今後の国土利用計画その他の政策を立てるに当たりまして、経済に幅を持たせていろいろ議論をするということが、両者の性格を明らかにさせていくという意味で非常に意義があるということで作業をしたものだと思いますが、私どもといたしましては、現在の経済計画の策定の過程で当然に経済成長率というものが出てくるわけです。その三と八ということについては詳細は承知しておりませんので、企画庁なりに今後の経済の姿を展望していく。その過程で成長率が明らかになっていく、そういうことで考えておるわけでございます。
  56. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 そういう場合に、経済企画庁としては、やはり国土庁と十分連絡をとりながらその計画なり見通しというものを整合していかなければならぬと思うのですが、何らかの意思表示なりあるいはそういう点についての突き合わせというものをやりつつあるのかどうか。そういう点について今後一体となって経済見通しをお立てになられるのかどうか、その点をちょっとお伺いしたい。
  57. 藤井直樹

    藤井(直)説明員 経済計画の場合も、経済審議会におきまして夏ごろから、潜在成長力の問題とか、それから福祉と負担関係等について勉強してきております。国土庁も、国総計画をつくる上におきまして、同じようなことを勉強しているわけでございまして、私どもといたしましては年内に計画の概案のようなものをつくりたい、こう思っております。その際には、経済計画と国土庁の計画との間で十分事務的な調整を行っていきたい、このように考えております。
  58. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 そうすると、経済見通しは三ないし八という点を想定して、いろいろ国土の利用なり、その他の設備投資なりの問題を国土庁で勉強している中で、企画庁としては先ほど、まだ言える段階ではないと言われたわけですが、いつごろそういう作業は来年度については終わられるか、その点をはっきりしていただきたいと思います。
  59. 藤井直樹

    藤井(直)説明員 経済計画は、一応、総論素案といいますか、台案と申しておりますけれども、年内につくりたいと思っております。それから各論を含めた全体の計画は本年度末までにつくるということになっておりまして、その過程ではやはり長期の問題が議論になる。来年度見通しは、もちろんそういうものと十分関連を持っておりますけれども、また別途年内につくって、来年度予算との関連等も十分明らかにするという意味で作業が行われる。そういうことで、先ほど調整局の御答弁があったような形でこれから進めていくということになるだろうと思います。
  60. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 経済企画庁の方、もう結構ですから……。  大臣、いま聞いたように、来年度計画が全然はっきりしない。しかし、今度の地方財政措置というものは、来年度以降における地方財政の根本にかかわる問題があるわけでありますが、その点がはっきりしないということになると、私どもとしては、この内容について、将来というか、来年度地方財政計画それ自身がまだ十分把握をされていないということになると思いますね。そういう点で、われわれとしては非常に審議がしにくいというふうに考えるわけであります。  さて、そこで、私は私なりの試算をしてきましたので、ちょっと申し上げますと、たとえば来年度地方財政一体どういうふうになるか、これは各地方団体を含めて非常に心配をしておる。ことしは、借金であっても何とか一日も早くこの法案を上げてくれというのは、いま非常に厳しい情勢だからそういう意見もあるけれども、ちょっと冷静になって考えると、一体年度どうなるかということがきわめて地方団体としては心配なわけであります。だからわれわれとしては、いま本当に資金繰りが苦しいから一日も早くこの法案を上げていって地方団体を喜ばしてやりたいという気持ちは人後には落ちないけれども、何といっても来年の見通しなり、来年度どうなるかということがはっきりしない限り、そう簡単に上げて、後になってみたら大変なことになっていたということでは困るというんで、そこでわれわれもやはり勉強せなければいかぬということで、こういう試算をしてみたわけでありますが、それに基づいてひとつ質問をしてみたいと思います。  大まかであります、いま言ったように経済見通しがさっぱりわからないのでありますから。たとえば来年度地方財政を見るときに、たとえば交付税をとってみましょうか。五十年度の当初算定における普通交付税交付団体基準財政需要額というのは、すでに発表されておりますように八兆九千八百五十四億であります。これに対して再算定における増百七十億、今回の地方財政計画の改定。これは臨時財政対策費二百二十億は除いておりまして、百七十億を加えて九兆二十四億。これは来年の物価が一体どのくらい上がるかということは全然わかりません。しかし政府が言うように、一〇%以下に抑えます、こうおっしゃるのでありますから、来年は一〇%と、こう見て、一〇%を加えると、基準財政需要額は九兆九千二十六億になります。  さて、今度は基準財政収入額でありますが、五十年度の当初算定額は四兆八千百三億円であります。これから地方税減収額一兆六百三十二億、これも数字が出ているわけでありますが、それの交付税相当額が八千三百五十八億。これは府県分の七千六百六十六億の八割、六千百三十三億と市町村分の二千九百六十六億円の七割五分、二千二百二十五億を控除したもの。すなわちことしの正確な基準財政需要額と見られるものは、三兆九千七百四十五億。それに一〇%を一応——経済の伸び、あるいは税の伸び、全然わかりません。わかりませんが、一応一〇%を加算すると、五十一年度基準財政収入額というのは四兆三千七百二十億になるわけですね。  そうしますと、差し引き普通交付税交付を必要とする額は、五兆五千三百六億円というふうになります。特別交付税を含めた所要額は五兆八千八百三十六億。これは五兆五千三百六億掛ける九十四分の百であります。この五兆八千八百三十六億円というものは、基準財政需要額を物価上昇分だけ見たのであって、当然増の経費とか、あるいは新たなる新規の経費というものを全然見ておらないわけでありますから、これは非常に少ないわけでありますけれども、一応そう算定をしてみるとしますと、この五兆八千八百三十六億円は必要最小限度の額。これを本年度の補正後の交付税額、借入金一兆一千五億円を含み、臨時財政対策費二百二十億円を除くと、四兆四千四百九十一億円と比べてみても、これは三二%、すなわち一兆四千三百四十五億の増を必要とする。本年度の補正後の国税三税の額、すなわち十兆三千七百三十一億円、まあ当初は十三兆七千七百七十億でありますが、それから三兆四千三十九億を引いてみると、それの三二%、つまり現行制度のもとにおける本来の交付税額は三兆三千百九十四億円になるわけでありますから、これを比較をいたしますと、実にこの七七%、二兆五千六百四十二億円の増が必要だ、こういうことになるわけですね。こうなりますと、交付税制度自身がもうこの三二%という額で果たして済むのかどうか。また、これを恐らく借入金で賄っていくとすると、これは二兆円を超える特例措置というものが必要になることは確実であります。そうすると、来年度予算編成期を控えて地方団体計画的な行財政運営を保障するには、本年の状況を見ながら来年を推算すると、いま私が大ざっぱに言ったような推算しかできない。そういう中で二兆円を超える借入金をまた交付税の特別会計に借金をしてくるという形になると、これは一体年度地方財政は、ことし相当の額の借金をし、また来年この額をするということになると、これは大変な資金繰りの問題だけではなしに、まるっきり自転車操業的な感じになるのではないだろうか。大変な時期を迎えているというふうに考えるわけであります。そういう中で、果たして交付税三二%というものがもうその機能を失ってくるのではないかというふうに考えられるわけであります。  そういう意味において次の点を質問いたしたいのでありますが、来年度における地方財政というものは、なかなか推算は困難だということのお答えになるかもしれませんけれども、私は私なりにこういう推算をして持ってきたわけでありますが、一体どういうような状況になると現段階においてお考えになるか、ひとつ財政局長さんからお願いをしたいと思います。
  61. 松浦功

    松浦(功)政府委員 毎回大臣からもお答え申し上げておりますように、来年度地方財政計画見通しについてはここで計数を申し上げるほどの資料を持ち合わせておりません。ただ時期的に申し上げますならば、やはり国の収入がどういうふうに見込まれるか、あるいは税制改正あるいは税率の引き上げ、そういった問題がどうなるかということと絡んでまいりますが、制度を前提に置きましても、やはり基本になりますのは九月期における法人の決算状況、これだけはつかまないと、私も、大蔵省も、とてもその数字についてある程度の積算すらできないではないかと思います。私どもも全く同じことでございます。ただ一般論として申し上げ得ることは、いままでのような異常な経済成長がないという前提で考えますれば、地方税についてもあるいは地方交付税についても、本年度の当初計上額前後しか、どんなに気張ってみてもそれだけしか収入がないだろうということは一般論として申し上げ得るかもしれません。仮にそういう前提を置いたといたしますと、山田先生から御指摘をいただいたように、相当額の財源不足が出てくるということは、これは否定をいたしません。それについてどうするかは今後大蔵省と折衝いたしますが、いろいろな方法があるはずでございます。ただ基本的に申し上げ得ることは、いままでのような客観的なルールで地方財政における歳出を計上する、そして現在の制度あるいは制度改正に基づく収入を見込んで、不足額については何らかの形で措置をとるということによって現実の地方財政運営に支障が来ないようにするということは、自治省として当然の務めであろうかと考えておりますので、御了解をいただきたいと思います。  なお、ただいま御指摘の問題については、先生専門家であられますので、いろいろ御検討なすっておられるようでございますが、これにつきましても、物価の値上がり、名目成長率と申しますか、そういったものをどう置くか、あるいは税については弾性値の問題もございます。そういった諸要素を入れて計算しなければならないので、先生がおっしゃるように、二兆五千億交付税で埋めなければならぬというような事態になるかどうか、その辺のところも、私ども現在何とも申し上げかねるということでお許しをいただきたいと思います。
  62. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 まあ結局そうしますと、来年度財政というものはきわめて不明確である、結局予算編成時期における大蔵省の折衝の結果を待たない限りにおいては何らの具体的な答えはできない、こういうことでございますね。
  63. 松浦功

    松浦(功)政府委員 私ども手をこまねいているつもりではございません。われわれなりに事務当局でいろいろ、ああなった場合、こうなった場合という検討はいたしますけれども、外部にお出しできるほどのものは持ち合わせておらない、こう申し上げておるわけでございます。
  64. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 そういたしますと、われわれとしては、非常に当面の措置であるから法案審議をせよということになっているわけでありますが、きわめて来年度財政と関連があるという点について、私はこれだけの質問をしたわけでありますが、結局は現段階においては何もわからない、こういうことしか言えない。試算やその他は内部的におやりになっておられるということについてはそのとおりだろうと思いますけれども。  さて、そこでそういうことを前提にして考えるならば、これはこれだけの二兆五千億という一つの試算、それはおっしゃるように、税収がどれだけの成長率あるいは物価値上がりによる名目、それがどういうふうに弾性値として税にはね返ってくるかという点についての考え方というのは、諸要素がない限りわれわれも計算ができないという形になっておるわけでありますが、言えることは、少なくとも基準財政需要額は、節約すべきものを節約するとしても相当程度やはり伸びてくるということは間違いがない。そうなってくると、やはり相当程度交付税というものが不足をしてくるということは言えるだろう。そういうふうに考えると、これは予算委員会で私どもの細谷政治局長からも質問を申し上げたわけでありますけれども交付税の税率のアップという問題は、それは相当程度続かなければならないのだという、かつての塚田長官時代の答弁財政局長さんは言われておって、当面それは考えられない、こういうことでありますが、もう一度だけひとつ念のために伺っておきますが、どういう際に交付税率のアップというものを具体的に考えていく段階になるのか。現段階においては今年、来年というものは恐らく非常に厳しい。それでは再来年になってある程度経済の復興ができるかと言えば、これは名目的にどのくらいになるか、先ほど国土庁の言ったようにせいぜい最大限八%と読んでいるわけでありますが、これとても前提条件がたくさんあるわけであります。そうなりますと、交付税率というもののアップという問題については当然議論されなければならないのでありますが、自治省としては、現在において、どういう状況になった場合に交付税率のアップというものを考えられる状況になるというふうに考えておられるか、ひとつお示しをいただきたい。
  65. 松浦功

    松浦(功)政府委員 地方交付税法の第六条に規定してございますように、「引き続き」という観念がどうしても必要になろうかと思います。これは先般の予算委員会でも細谷先生お答え申し上げたとおり、細谷先生も確認をしておられるのでございますが、引き続いて二年不足をする。そして三年目についてもその回復する見通しがない、こういうような状況ということに塚田初代長官だったと思いますが、御答弁がございます。これが四十八年の段階でも確認をされておるところで、これが定説になっておるようでございますので、私どもはそういう条件に合致したときというふうに考えております。  先生指摘のように五十年、五十一年、これは恐らく借金財政という形になる可能性があろうかと思いますが、これは二年引き続いたことにはなりますが、二年目というのが非常に問題になるわけでございます。いずれにしてもいまのままでいきますれば、国、地方を通ずる公経済が回転しなくなるという状況に、いまのままの情勢が続けばなってくる可能性が非常に強いわけであります。したがって、そこで歳出を切り詰めるのか。あるいは歳入の増強を図るのか。もし歳入の増強を図るとするならばどういう方法でやるかということが、国、地方を通ずる公経済の問題として当然論議をされてくる形になる可能性があるわけでございます。そういうふうになりますれば、そのときに全体として確保した収入を国と地方でどう分けるか、こういう問題が起こってまいります。そのときには交付税の基礎になる税金はどうあるべきか、税率はいかにあるべきかというような問題が当然論議されるはずでございますので、五十二年にそれらの全般の国、地方との財源配分の問題が解決され得れば、それで法律の要件は全うしている、こう私どもは考えておるわけであります。
  66. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 では、もう一度確認をいたしますが、二年とそれから次の年の見通しということのようでありますから、来年度は少なくとも交付税率のアップの問題については考えないということである、こう理解してよろしいですね。
  67. 松浦功

    松浦(功)政府委員 自治省といたしましては、なるべく早く地方団体に安定的な地方財政の体系をつくっていくということが地方団体のために当省としてとるべき義務であろうと思っております。なるべく早く、しかし現実の問題としていまこういう形の御審議を願っていて、すぐ一カ月、二カ月後に基本的な改正ができるということは私どもは考えておりませんので、この問題は先生指摘のように、明年度を経過したできるだけ近い時期にはっきりした形で解決をつけるような時期が来ることを期待しておる、こういうふうにお受けをいただきたいと思います。
  68. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 そうしますと、大体答えが出てきたわけでありますが、当面、来年度交付税率の問題は手をつけないから、私が先ほど言ったように今回と同じような発想、パターンで交付税特別会計基準財政需要額と収入額の差と交付税額の差を借り入れていく、また、それを今回と同じように何年か据え置きで利子負担をさして、そして十年なら十年を通して返していく、こういう形と想定してよろしいかどうか、その点をひとつ伺いたい。
  69. 松浦功

    松浦(功)政府委員 これからのいろいろ大蔵省とのやりとりもある問題だと思いますが、いまおっしゃられたような解決の方法も一つの方法である。私どもは私どもなりにもうちょっと何かいい知恵はないかということも研究をさせていただきたいと思っております。それらの点についてはひとついろいろとまだ大蔵省とのやりとりもございますので、この辺でお置きを願えたらと思います。
  70. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 いい方法といいましても税収の問題だろうと思うのであります。大蔵省は来年度は恐らく付加価値というものを取り上げないだろうと思いますが、これだけ税が落ち込んで、しかも低成長であるということになれば、いずれの時期にか、すなわち、さっきも符合の合う五十二年程度に付加価値税というものを導入する。日本は諸外国に比べていわゆる間接税のウエートが比較的低いから、そういう考えにしていきたいというような話をちらほら聞いておるわけでありますが、自治省自身としても、これは首藤税務局長さんにお伺いをしたいのでありますが、先ほども言ったように、税収もそれほど伸びてこない。しかし基準財政需要額——さっき私はわざわざ経済企画庁にお尋ねをしたのは、日本の公共投資は民間投資の著しい伸びに比べておくれている。しかも総体として西欧諸国にも、公共投資がおくれているからもっと高めていかなければならないという一つ財政需要が当然あるし、それ以外にも福祉の問題等々があるわけでありますから、当然地方に対する税源をもっと確保していかない限り、もちろん、交付税率そのものを高めていくということになれば別でありますが、当面、来年度地方財政に限って質問をするわけでありますが、税制その他について来年度知恵をということでも松浦財政局長さんからお話があったわけでありますから、税の立場からいって来年度においてはどういうことをお考えになっているか、その考えがあれば、この際ことしの財政運営する指針として、来年度見通し等を立てる上からいってどういうことを現在考えているか、もし発表できるならお答えをいただきたい。
  71. 首藤堯

    ○首藤政府委員 ただいま先生指摘ございましたように、最近の財政状況は特に経済の激しい落ち込みによりまして税収入の大きな減少が生じてまいりました。大変むずかしい事態になっておるわけでございます。  税のあり方でございますが、これは先生も御案内のように最近における国、地方を通じての福祉なんかの問題を中心にした財政需要の伸び、これに対応いたします国、地方を通じての税収入の増加というものが対応できるかどうかという点について大きな問題があり得るわけでございます。特に低成長時代になりますと、従前のような税の自然増収が大幅に期待できないという点からは、やはり今後、国民の租税負担のあり方を財政需要のあり方と関連をいたしましてどの程度のものに考えていくのか、こういうことが大きな問題になろうと思います。もちろん税だけの問題でございませんで、いわゆる受益者負担としての公共料金そのほかの問題も問題でございましょうし、社会保険料といたしましての社会保険料負担等の、負担のボリュームの問題等も問題になろうかと思います。そういう各種の検討をして、歳出と絡み合わせまして歳入の適正な規模というものが設定をされる、それについて国民のコンセンサスが得られるということが一番大事なことではなかろうかと、実は思っているわけでございます。  しかしながら、さしあたり明年度の問題といたしましては、このような非常に大幅な大転換と申しますか、大幅な制度改正というものがそう簡単にでき上がるものとは考えられませんので、ただいまのところ、税の面では、よく言われております現行の税制上の不均衡、こういうものを是正をしていく、あるいはそのほか現行の税制における各種の見直しを行う、こういうことをもってできるだけの増収を確保していき、かつ将来の適正な国民の負担のあり方の基礎固めをいたすと申しますか、そういう体制であってしかるべきではないかと実は考えておるわけでございます。  そのような面からは、明年度地方税ではやはり各種の租税特別措置等を中心にいたします特別措置見直し等によります問題、どのくらいの増収になりますか、その結果いかんによりますが、あるいは自動車関係諸税、こういったものを中心にいたしました現行の税制の見直し、こういうものを通じましてできる限りの増収を図ってまいりたい、こういう考え方でございまして、現在この具体的な内容政府の税制調査会等で御論議をいただいておりますので、その結果を待って措置をいたしたい、こう思っております。
  72. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 そうすると、税制調査会等で議論しているという程度であって、いまのようなきわめて抽象的な答弁ですけれども、具体的に自治省としてはどういう点についてもう少し考えるか。大まかに、たとえば租税特別措置法の見直しとか、自動車関係諸税の見直し等々の話がありましたが、全般的とも言われておるわけでありますから、一体具体的にどうするかというような考え方については、まだ発表の限りではないと言われるのか、あるいはいつの段階になったらそういう点ははっきりするのかという点を含めて、ひとつお答えをいただきたいと思います。
  73. 首藤堯

    ○首藤政府委員 例示といたしまして、ただいま租税特別措置見直し、自動車関係諸税の見直し等のことを申し上げましたが、この具体的な内容は、先ほど申し上げましたように、ただいま税制調査会等でも検討中の段階でございますので、ただいまどのようにするということを申し上げる段階には立ち至っておりません。しかしながら、私どもといたしましては、できる限りの措置を講じて地方財政における税収入の増加、こういうものを図ってまいりたい、こういう基本的な考え方でおるわけでございます。
  74. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 いま財政局長さんが何かの知恵、こう言われたわけであります。だから私は、知恵と言うなら、一つは税の部分で何らかのものを考えておられるかと思ったのですが、全般的な見直しと言いながら、恐らくここ一カ月、二カ月で全般的な見直しができるかどうかということになりますと、私も相当の疑問を持つわけであります。それ以外に考えられるよい知恵というのは何かありますか、あればその点をちょっとひとつ財政局長さんからお答えを願いたいと思います。
  75. 松浦功

    松浦(功)政府委員 財政局の中で、ない知恵をしぼって、何かいい手段はないかということで検討しているという意味で申し上げたわけであります。いい知恵があれば早速御披露申し上げて御批判をいただき、御賛同いただければ取り上げたいところでありますが、いままだ申し上げるようなものにまとまりが成っておりません。
  76. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 結局、現段階においてはどれもこれも、考えておる方向はわかるけれども、具体的にどうするということがわからない、結局来年度財政見通しは現段階においては全然明らかにされていないということになると思うので、われわれとしてはやはり今度の特例的な地方財政措置、当面としてはやむを得ないものもあるかもしれませんけれども、来年度見通しというものに立つなら一定の意見を申し上げようと思ったわけでありますが、これでは全然何とも評価のしょうがないという状況ではないかということであります。したがって、来年度の問題については、これ以上触れてもこれ以上答えは出てこぬだろうと思いますから、これでとどめます。  それでは、次に具体的な問題について触れてまいりたいと思うのであります。  今度の財政措置の中で非常に多額の節約分が組まれております。交付団体ベースで四百七十億、不交付を入れると五百七十億、こういうことであるわけであります。これは例年節約分というものをかけてこられておるわけでありますが、四十七年度においては百六十五億、四十八年には二百五十億、四十九年は二百億というのに比べても、非常に大きな節約の額であります。そしてその節約をするために、その他諸費の経常的な経費の人口分において、府県では当初が二千三百二十円を千五百七十円に七百五十円を減じ、市町村においては四千四百八十円を四千二百八十円と二百円を減じた、こういうやり方をやっているわけでありますが、これでは一括して単位費用を、再算定における単位費用の改定において節減分は一括してその他諸費の経常経費の人口分において減額算定をする、こういうことになっているわけですね。ところが当初算定においては各費目ごとにそれぞれ算定をされていくというわけであります。たとえば今回の場合で言うなら、給与費改定額とか、私学助成の額とか、超過負担解消額とかいうように、具体的なそれぞれの費目において減らすべきであって、いままでもそういうふうにやってきたというわけでありますが、これだけ大きいとなると、その他諸費に一括することでなくて、各費目の単位費用に反映すべきではないか、ということがすなわち、この交付税法第二条の第七号の単位費用の定義、いろいろ細かくて書いてあります、こういうふうな定義に照らしても、その他諸費で一括処理するということは適切ではないじゃないか。むしろ各費目の単位費用について積算の明細を明らかにして、地方団体にもどういう点でどうするかというような点も知らせてやるべきではないかと思うのですが、従来から言うと非常に、倍以上の節約額をぶっかけておるという点、しかもそれの計算が一括してごそっと落とすというようなやり方をやりますから、まあ二百二十億等の問題も出てきているのではないかというふうに思うのですが、もう少し各費目ごとにそれぞれ単位費用を積算をしていくべきではないかと思うのでありますが、この点はいかがですか。
  77. 松浦功

    松浦(功)政府委員 考え方としては山田先生の御指摘、ごもっともな御指摘であろうかというふうに存じます。ただ、先生よく御承知のように、その他諸費というのはそれぞれの費目に算定できにくいようなものを一括計上しておる、こういう性格のものでございますので、これといった、使途が明確になった形でないものが入っておる、したがって先生の御指摘のように各費目でやるのは結構でございます、考え方としても正しいと思うのでございますが、非常に事務が煩瑣になる、それのみならず、ある費目で非常に大きな経費が需要額と算定されておる団体から節約がよけいかかるというような、若干矛盾も出てくるおそれがございますので、従前の例に従って一括して引いたと、こういうふうに御理解をいただければ幸せでございます。
  78. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 少なくとも交付税の場合、単位費用において、それぞれ交付税法にあるように、各地方団体の一定水準の行政を維持するために、単位費用がそれぞれの項目で示されているわけですから、やはり節約するなら全体として費目ごとに単位費用の積算をすべきではないかと私は思うのです。だから一括して、いまおっしゃったようにやりやすいという形の中でやっていくということになると、累年節約をそういう形でやっていると、その他諸費の積算がその他の費目との間に非常にアンバランスになるのではないかということを恐れるという点でありますが、きわめて短時間の間にやるというような点もあってこういうふうにやられているか、あるいは従来の例がこうであると言われるだろうと思いますけれども、非常に額が大きいわけでありますから、地方団体としてはやはりそういう点は各費目にやってほしいという強い要望があるということだけ一つ申し上げておきたい。  次に、これもいろいろ議論すれば問題があるかもしれませんが、地方団体の諸君から言わせると、ことしはいわゆる当初算定における基準財政需要額のはみ出し分としての調整費というものが〇・〇〇一二六〇七六、百十三億というのが基準財政需要額から落ち込んでいるわけであります。一方で節約額を四百七十億も出しているのならば、百十三億というものを四百七十億から引いて、三百六十七億ですか、というものを節約をかけるべきで、一方で基準財政需要額を調整率をぶっ掛けて落としておいて、その上に四百七十億の節減額をかけるということは、地方団体としては二重に基準財政需要額を削られるというふうに思うのであります。過去の例においても再算定をする場合には必ず調整戻しをやってきているわけでありますが、そういうことでは法三条の趣旨に反するのではないか。調整戻しをやって、そうした上で四百七十億の節減分をかけるんならかけるというふうにすべきではないかと思うのですが、この点はどうですか。
  79. 松浦功

    松浦(功)政府委員 交付税法上調整戻しということは原則ではないわけでございまして、調整があるのが原則でございます。ぴしゃっと調整率を掛けないで、需要と収入が合う場合だけにそれがないということであって、本来は調整があるのが筋合いです。ところがこれまで調整戻しをやっておりますのは、例年法人の精算増がある、そういうことを前提にしてやっておるわけであります。ことしは法人の精算増はないわけです。したがって、法の本来の趣旨にのっとったままで調整が残る、こういう形になってまいります。ただ、百十三億という調整額というものがいま出ておりますが、これを算定を通じてできるだけ調整率を下げて、百十三億を幾らかでも少なくしたいという方向での検討は私どもいたしたいと考えております。  なお、これは全く裏の話になって恐縮でございますが、調整戻しというのもあり、本年度ができないという事情もあり、本年度地方財政特有の運営の困難さ、それに対する各種の予想できないような需要というものも考慮をいたしまして、財政計画ベースといたしましては歳出で臨時対策費というものを二百二十億組んだわけでございます。これは、そういうことをも私どもは大蔵省に強く言って、これは理論的な問題ではないけれども、感情論として調整も残るじゃないか、そういうものも含めて何か考えてくれよと言って、いただいたのが二百二十億だ、こういうふうに御理解をいただければ結構だというふうに考えております。
  80. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 次に、地方税減収補てんの問題について伺いたいと思うのであります。  まず第一に、五十年度地方税収の見込み額が、府県で七千六百六十六億、市町村で二千九百六十六億、合計一兆六百三十二億という減があるというわけでありますが、これに見合うものとしてのいわゆる減収補てん債というものを組まれています。ところが各地方団体個別に見ますと、あるところでは標準税収入よりも上回っている団体もあれば低くなっている団体もある。それを一括して一兆六百三十二億といたしますと、ロス分じゃなくて出目分といいますか、各市町村なり都道府県で出ている部分については、結局一兆六百三十二億よりも多くなる。プラスをしなければ、どの地方団体にも標準税収入と収入見込み額との差を補てんできないのではないか。マイナスとプラスと総合してマイナス一兆六百三十二億になりますから、出目分については一体どうなるのかということについて明確にお答えをいただきたいと思います。
  81. 松浦功

    松浦(功)政府委員 お説のように、財政計画ベースでどれだけ落ち込むかという推定をいたしまして一兆六百三十二億という数字を出しているわけであります。法人については先生指摘のような出入りは余りないと思いますが、住民税についてはプラスになるところとマイナスになるところが出てまいります。したがって、マイナスだけ拾ったときにおかしくなりゃせぬかというお尋ねでございますが、ごもっともな御指摘だと思います。私どもといたしましては、財政計画上の数字からの落ち込みを見たわけでございます。補てんの方法は標準財政収入からの落ち込みを見るつもりでございます。したがって、標準税収入の落ち込み総量と財政計画落ち込み総量との間には若干差がございますので、これでカバーができるという見通しを立てた上でこの数字を考えております。
  82. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 その数字がもしわかりましたら、大体で結構ですが、どの程度か……。
  83. 松浦功

    松浦(功)政府委員 私どもの経験で大丈夫おさまるだろうというふうに思っておりまして、この点については私ども責任はとるつもりでございますけれども、ちょっとその数字についていまここでと言われても私ども自信が持てませんので、ひとつ……。
  84. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 まあ私の選挙区の各市町村あたりで約一割くらい出る。三十三億に対して三億くらい出る。五百九十二億ですか、だから五十億くらいかなという感じを持っておるのですが、そんなところで、勘はどうでしょう。
  85. 松浦功

    松浦(功)政府委員 私はお約束をしたとおり、標準税収入かちの落ち込み、これは都道府県の見方、市町村の見方と、私どもが理論的にはじいたものは違うと思っております。そこで私どもは、税務局長にお願いをして理論的に方程式をつくっていただいて計算をいたしました額を、各都道府県の担当者と突き合わせをしたい。こう思っております。やはり地方団体が納得しないような数字で減収補てんをしても意味ございません。したがって、ある程度聞き取りをやった上で調整をいたしたいと考えております。まあそういうことを前提にいたしました場合に、特に所得税系統の出入りが幾らございましても千億になるような数字には絶対なりっこございませんので、その程度のものはゆとりがあると考えておるわけでございます。
  86. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 ちょっと話が前に戻りますが、いま話題になっている個人分の民税については、これを法人分と今回は同様に元利補給をしていくというか、将来に向かって、今回の場合は落ち込みが相当程度あるわけでありますが、そういう意味一般会計負担する、一方、下がっても交付税で精算をしていくという考えは、現段階においてないのかどうか。やはり市町村としてはそういうものを今回は個人分の落ち込み分については元利を補給してもらいたいという強い要求があるのでありまして、個人分も交付税で算入の対象とすべきではないかというふうに思うのですが、その点はどうですか。
  87. 松浦功

    松浦(功)政府委員 法人関係につきましてはこれまでもそういう主張をしてまいりましたが、元利償還金、これはそれぞれ都道府県百分の八十、市町村百分の七十五、将来の交付税の需要の中に入れていくという方針でおります。  その他の税目、個人の事業税及び住民税につきましては、従来もこれは標準税収入を上回って多額の自然増収があっても精算はいたしておらないわけでございます。したがって、落ち込みがあっても精算はしないということでないと理屈が通らないと考えておりますので、そのようにさせていただきたいと考えております。
  88. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 今回だけこういうきわめて厳しい状況であるのだから特例的な措置をとるということは絶対に考えられませんか。
  89. 松浦功

    松浦(功)政府委員 お言葉を返してあるいはおしかりを受けるかもしれませんが、それでは標準税収入を見込みましたときに予想以上に増収があった場合には私の方で精算をとってよろしいでしょうかというふうに申し上げざるを得ないんであって、今回入れないことによって将来増収があっても精算はしないということに結びつけてお考えをいただけたら幸せだと存じます。
  90. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 それならこれに関連してですけれども、特別土地保有税の問題、これは御承知のように施行以来課税について非常にトラブルが多い。たとえば土地が有料住宅が建てられるということになればそれは免除せられるとか、徴収についてもいろいろ後から返すとか猶予等の例もあって徴税に非常な苦労をしておる、ところが本年は去年の税収をそのまま基準財政収入額に入れていく、ことしのように非常に冷え込んだ時期に、土地の投機の非常に盛んな時期と同じように算入をするというようなことになると非常に不安定な要素があった、それを算入にしたということについては、前年度実績というものを算入をするということには非常に問題があったんではないか、こういうふうに思うのでありますが、徴収猶予や非課税として後年度更正が行われるというような場合は、今回の再算定の際に的確につかんでもらえるかどうかということをひとつお答えをいただきたい。この場合本年度は大都市周辺においてはこの猶予なり還付なりという問題が非常に多い。しかも昨年度と同額を収入として配分をされているということについては非常に各団体においては不満が強いという点があるわけであります。特に捕捉徴収率を九八%で考えているわけでありますけれども、この税については非常に実態と徴収との間にもいろいろむずかしい問題がある。ですから九八%というようなことではなくて、当面九五とか九三とかというように下げるべきではないかというふうに思うのでありますが、この点はどうですか。
  91. 松浦功

    松浦(功)政府委員 今回の再算定において置き直しということは考えておりません。ただ、全体としてただいま先生から御指摘ございました法人系統の税金それから個人事業税、住民税、こういった一応減収補てん債の対象にするもの以外の税金がそれぞれの団体において標準税収入を下回っているか上回っているかということが問題になるわけであります。もし極端に下回っているというような団体がございますれば、これは個々に御相談に応じて特別交付税においてある程度調整をするということは配慮をしてまいりたいと考えております。  具体的に市町村の場合でございますと、ある程度特別土地保有税が標準税収入より落ち込んだといたしましても、固定資産税等において団体によっては非常な自然増収のあるところもございます。それらとのバランスをとってみないといけないと思いますので、いま申し上げた減収補てん債の対象になる税目以外の税目総体で標準税収入が確保できているかできていないかということを一つの目安にして御相談に乗っていきたい、こういうつもりでおります。
  92. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 余り細かい点は個別的に話をいたしますからとどめますが、さて次に、この減収補てん債、一体どういう時期にどういう推算のもとに発行を認めていくかということがいま地方団体にとってきわめて関心を持っていることでありますが、十一月の決算を法人関係において待つとするならば十二月になる、ところが給与改定やいろいろの支払い等が十二月に一遍に集中するわけであります。そういう時期に間に合うようにこの特例債の、減収補てん債の発行を認めていくべきであるというふうに考えるわけでありますが、それの具体的な適用、たとえばそれぞれの税目にかかわる減収見込みを押さえる方法と時期について、これは地方団体はきわめて関心を持っておりますので、この際若干具体的にお答えをいただきたいというふうに思います。
  93. 松浦功

    松浦(功)政府委員 住民税系統につきましては、四十九年度が課税の基礎になっておりますから、四十九年度の基礎として推定をいたしましたものが現実に四十九年度でどう動いたかということは決まっておるわけでございます。したがって、これは全国的に集計をすれば各団体ごとの結果が出てくると思います。それによりたい。法人につきましては、いまの段階ではまだ九月の決算状況がわかっておりません。少なくとも九月の決算状況をつかんだ上で、その傾向を把握して国の法人税系統の積算の計数を使って税務局において算定の方程式をつくっていただきたい、それによってわれわれは考えたい、出てきた数字について、都道府県はこれだけ取れるといいという場合に、実はこれだけしか減収がないじゃないかということになると、いろいろとトラブルが起こりますので、私どもでつくった数字と都道府県が実際にどれだけ収入できるかということの突き合わせを先ほど申し上げたようにある程度やってみたい、その上で、納得できるような数字にいたした上で決定をいたしたいと思っております。九月決算がわかりますのはどうしても年度内いっぱいかかります。恐らく大体の数字が出てくるのは来年になってからだと思うのでございます。  山田先生、ただいまそれじゃ給与改定その他の財源としてお困りだというお話でございますが、これはきわめて先生承知のように簡単な理屈でございまして、標準税収入の税だけ取れても取れなくても挙げておきさえすればいいのであって、税が取れなければ穴が埋まる、こういう考え方でいっていただけばいいのであって、財政運営には何らこれがおくれることについて支障がないというふうに私どもは考えておるわけでございます。いずれにいたしましても、地方団体からそういうお話があった場合に、取れると思った税金と交付税の標準税収入との差額は一応起債で挙げて予算を組んでいただいて結構でございます。こういう御指導を申し上げておりますので、その点は私ども心配はいたしておりません。
  94. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 それはなかなかそう簡単ではないので、最近各地方団体においてのつなぎ融資の問題を調べてみますと、非常に問題があるのであります。たとえばある団体では十三億の預金部資金の一時借り入れをしておった、ところが借りかえをしようとすると半分に落とせ、こういうことを言われるというようなところはまだしも、二億円借りておったのに今度は五千万円しか貸してもらえない、これは恐らく後の資金を引き受けるために、留保しているために、そういうふうにいままで借りていたものを非常に減額をして借りかえしかできないということが強い不満としていまあります。それだけではなくて、一時借り入れに行きますと、一体あなたのところは年内にベース改定をやるのですか、来年に延ばさぬですかというようなことを言うて、預金部資金を貸すのに非常に減額をしたりいやみを言うたりしているということが報告をされているわけです。だから、はっきり言って一時借り入れが非常に困難である、つなぎ融資が非常に困難であるということが最近非常に強く各地方団体から言われておるということを自治省はお聞きになっておられますか、おられませんか、それをひとつお伺いしておきたいと思います。
  95. 松浦功

    松浦(功)政府委員 私どもの方は、総本的に資金繰りに年度末等にいろいろ問題が起こってこやしないかということは承っておりますが、預金部の方でそういうことを言っておるという話は聞いておりません。
  96. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 われわれはそういう話を聞いておるのでお聞きをしたわけでありますが、給与改定を年内にやろうとやるまいと、それは当該地方団体の随意であって、一時借り入れに行くときにそういうことを質問するというのは一つのいやがらせだろうと私どもは思っております。もしそういう点があれば直していくというふうにしてもらわなければいかぬと思うのですが、その点はいかがですか。
  97. 松浦功

    松浦(功)政府委員 地方団体行政のやり方に介入するというような事実がございますれば、これは私どもも大蔵省に申し入れて、慎んでいただきたいと思いますが、政府資金総量が足りないということから、政府資金ではこれだけしか御協力できません、あとは民間資金でということは、これは全体の金融の問題としてあり得ることであって、私どもはできるだけそういう方向も避けて政府資金で融資をしてやっていただきたいというお願いはいたしますけれども、それを大蔵省にまで及ぼして、大蔵省のやり方を規制するということはいかがか、こういうふうに思います。
  98. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 内容に入るということであればこれは大問題だと思います。しかし、そういういやみを言われるということには担当の者たちも非常にいやな気がするということを言うておるわけでありますから、そういう点は厳にひとつ注意をしてほしいということを申し上げておきます。  政府資金が非常に不足をしているということでなかなか十分貸してもらえないという状況であるわけでありますから、次善の措置としては民間資金の枠を広げるという策を、特に貧弱な市町村においては民間金融機関との交渉ということが非常に困難であるわけでありますが、自治省等においてそういう点について必要な資金を確保する方途というものを考えておられるかどうか、その点についてお答えをいただきたいと思います。
  99. 松浦功

    松浦(功)政府委員 一時借り入れの問題について当省として資金を用意するという手段は持ち合わせておりませんが、現実の問題として、地方財政の資金繰りに首が回らないという団体が出てきてはゆゆしい問題でございます。したがって、それらの点について、もし個々の団体でどうにもならない団体があれば、知事の方へお申し入れをいただく。もし知事の方で片づかないということであれば、自治省の方へ申し入れをいただければ、大蔵省の方に私どもの方から取り次いで、何とか措置をしていただくようにお願いをすることにはやぶさかでございません。
  100. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 地方税減収補てん債、これがいま言ったように一兆六百三十二億、先ほど話のありましたように法人関係税は来年度において精算をする。そうしますと、来年だけでも膨大な精算がされるという形になるわけでありますが、そうなると、さっき言ったように来年度交付税が非常に多額に要ってくるという問題があるわけでありますが、この点について市町村七十五、県八十という法人関係の精算は一遍に来年やられるのかどうか、その点をひとつお伺いいたしたい。
  101. 松浦功

    松浦(功)政府委員 これは償還計画に基づきます来年の分を交付税の需要に積むわけでございますから、一気に一兆六百三十二億出てくるということではございません。計算をいたしましてどのくらいになりますか、必要でございますれば財政課長に計算をさせて御答弁申し上げますが、いずれにしても大した金額にはならないと思います。
  102. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 どの程度どうなっているのか、具体的にちょっとそれを答弁してください。
  103. 松浦功

    松浦(功)政府委員 まだ来年の全体の地方財政計画もできておりませんので、どのくらいになるかの計算はいたしておりませんが、いずれにしても来年は金利だけということでございますので、仮に九%という平均利率を用いたとしても一千億弱と、こういうことでございます。それの七割、八割でございますから、もっと減ると思います。
  104. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 それの計画はどうなっているのですか、何年でどう返すかという……。
  105. 松浦功

    松浦(功)政府委員 私どもいま検討いたしておりまして、これから大蔵省とも条件等煮詰めなければならぬと思っておりますが、二年据え置きの八年償還ということを原則として私どもは大蔵省にお願いをしてみたい、こういうつもりでおります。
  106. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 そうすると、どのくらいになるかという数字は出ますね。
  107. 松浦功

    松浦(功)政府委員 出ます。
  108. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 一遍それの数字を、利子等がまだ恐らく不確定だと思うので、それはひとつ民間資金その他もあるはずですから、一遍それはこの交付税審議が終わるまでにひとつ償還計画を出していただきたい。
  109. 松浦功

    松浦(功)政府委員 そのようにいたしますが、ただお許しいただきたいのは、各団体ごとに縁故の場合の条件が違ってまいりますので、私どもは実際のものをとらずに、将来交付税計算上もある一定の理論値を決めてしまって、それで全部計算をいたしたいと考えております。たとえば九分二厘で借りたところと九分一厘五毛で借りたところといろいろ出てまいると、非常に計算が複雑になってきまして、交付税の監査のときも困るわけでございます。だから、全国的な縁故については平均どのくらい、政府資金については八分とこれは決まっておるわけでございますから、そういうものを立てて計算をいたしたいと思いますので、一定の前提を置いて償還計画についての数字をお出しするということで御了承いただきたいと思います。
  110. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 そうすると、団体において上下をして措置をされる、こういうことになるわけですか。
  111. 松浦功

    松浦(功)政府委員 減収補てん債、市町村分については全部政府資金でございますから、これはもう全部八分で問題ははい。あとは都道府県と政令市でございますので、大体どのくらいが平均値であるかということはわれわれにもわかるわけでございます。平均値のところで算入をするということを地方交付税上明定をしてしまいたい。だから、九分一厘ということを平均の場合に、九分二厘で借りたところは一厘だけは算入されない、九分で借りたところは、これは努力していろいろやるわけでございますから、一厘だけは交付税によけい算入される、こういう形になることもやむを得なかろう。実勢を追いますことは必ずしもいい結果をもたらさないと思いますので、その辺のところは御了承いただきたいと思います。
  112. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 これだけ減収補てん債を借りて、返していくということになって、いま一定の額を交付税の中に算定をしていくにしても、市町村においては御承知のように起債の制限というのが標準財政規模の約二〇%を超える場合には起債制限ということが運用上なされているわけです。これだけ借金をしてくるのにそんな運用上の措置というものを一体考えているということはナンセンスではないかと思うのですが、その点はどうでしょう。
  113. 松浦功

    松浦(功)政府委員 これは特例中の特例措置でございますので、一般の起債とは私どもも考えておりません。したがって、ただいま御指摘の起債制限条項の減債額、起債償還額、これにはこれは外していこう。先生指摘になっておられるのは、これを入れるべきじゃないという御説だと思うのです。私どももその方向で検討していると申しますか、その方向でやりたいと考えております。
  114. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 それは当然のことで、それは確認をしておくわけであります。  次に、今回の地方財政措置に対して、国は公共事業というものを約四千億をやって地方負担二千億と、こういうことになっているわけであります。ところが、国の景気刺激策については国みずから赤字国債を発行、いや、これは公共事業でありますから、建設国債と言うのでありましょうが、建設国債を発行して、そして景気刺激策をやるわけでありますが、地方自治体自身が、これだけ地方財政自身が国の財政の枠組みの中に組み込まれておるということが、今回ぐらい明らかになったことはないと思うのでありますけれども景気刺激策に対して、いわゆる地方における単独事業というものが、上下水道は一千億ばかりあります、こういうことになるかもしれませんけれども、そういう単独事業でなくて、いわゆるその他の単独事業というものが全然組み込まれておらない。景気刺激策というのはやはり国も地方も一緒にやるべきであるという点から言うならば、もっと地方単独における景気刺激策をやっていくという点で財源措置等をすべきではなかったかというふうに考えるわけでありますが、どうして今回の場合に、そういった景気刺激策のための各地方団体の行う単独事業等に対する措置をしなかったかという点について伺いたいと思います。
  115. 松浦功

    松浦(功)政府委員 御承知のように、景気刺激ということになりますと、やはり国の大きな政策でございますので、はっきり国の方で方針をお立てをいただいて、そして、その金が確実に景気刺激に使われるという見通しを立てておやりになっておられることだと思います。したがって、当省としても強い大臣の御主張がございまして、最後に大蔵省も納得をしたわけでございますが、上下水道については実は補正をいたしておるわけでございます。その他の単独事業につきましては、これはいままでいろいろ経緯がございますけれども、どういう形で財源措置するかということにも非常に問題があるわけでございます。そういう意味から、国全体を通じて景気が刺激されるという観点からは、公共事業費あるいは公営企業あるいは公庫、公団の事業ということが全体として最もふさわしいものであろうという判断から行われたというふうに私ども承知をいたしておりますし、また大蔵省の主張に私どもも賛成をいたした、こういうことでございます。
  116. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 これはそれに関連してであるわけですけれども予算委員会において細谷委員からも話をした、例の地下鉄ですね。当初自治省は九百億を要求をされたわけでありますが、実を言うと、そのときの答弁に、私も聞いておったわけでありますが、いわゆる先倒しと言われる四百億については、昨年の暮れに許可をしたのであるから事業は本年度である、こういうふうに答えられているわけでありますが、いまここで数字を調べてみますと、四十九年度の許可額千九百三十八億であります。それで、五十年度の当初の第一次の許可は千三百五十四億である。たとえばいまの前倒しと言われる四百億を千九百三十八億から引けば千五百三十八億、第一次許可が千三百五十四億でありますから、昨年に比べても本年の第一次の許可というものが減っている。前倒し分を四十九年度の許可に入れればなお本年度が低い。五百億近い減がある。こういうことになっているわけですね。そこで、その答弁の中では、具体的に各団体から話があればそれについては考慮をする、こういうふうな答えがあったのを聞いておったわけでありますが、もう一度確認する意味において、われわれとしては追加要望を聞いておる数字が八百四十七億ある、こういうわけでありますが、いま言いましたように、景気刺激策を自治省としては九百億ということを要求したけれども、削られているわけであります。しかも、これが削られてしまって第一次許可で終わるとすれば、先ほど言った前倒し分を引いても昨年よりも下回るというようなことになると、地下鉄は一日も早く開通をしなければならぬ、しかも保安上の問題もあるという占一からいって、われわれとしては地方団体の追加要望の点については、八百四十七億という点についてやはり具体的に折衝の中で許可をされるべきである、またそれが景気刺激策になるのだというふうに考えるわけでありますが、この点は、もう一度確認する意味において御答弁を願いたい。
  117. 松浦功

    松浦(功)政府委員 先般の細谷議員の予算委員会での質問に対して、大蔵大臣も自治省からお話があれば相談に乗るというお答えをしておられます。したがって、私どもはどれだけさらに必要になるのか、個々の団体の事情も十分伺いながら、また国庫補助金との関連も考えながら、関係各省と相談をしつつ、大蔵省の方にお願いすべき点はお願いをするという態度を改めるつもりはございません。  ただ、いま先生からのお話の中にありました、言わずもがなかもしれませんが、昨年度千九百億で前倒しを引くと千五百億だ、ことしは去年より減っているじゃないかとおっしゃられましたが、前倒しはことしの千三百億に加えていただかなければいけません。減っておらないのでございます。  それからもう一つは、私どもまだいろいろ配分の都合がございまして、小百億のものは残してございます。それも年度末までには実情を見ながらお配りするつもりでございますので、その点もお含みおきいただければ幸せでございます。
  118. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 そういう点については、ひとつ地方団体の要求を十分入れて処置をしてもらいたいという要望をいたしておきたいと思います。とりわけわれわれの聞いているところでは、札幌、東京あるいは大阪等についてはきわめて要望が強いということを申し添えておくわけであります。  次に、本年の十月一日に人口の調査か行われたわけであります。国勢調査が行われたわけでありますが、来年度交付税にその人口分を入れるのかどうかということが非常に問題になっている。なぜかといいますと、今回の国勢調査ではコンピューターに入れた関係で最終結果の報告は昭和五十二年の五月十五日までということになっておるので、五十一年の交付税なりその他の計算の基礎になるときに公示をされるという点について、きわめて不明確であるということになっております。ただ、五十一年の四月末日までには世帯名簿による総人口が官報で公示されるということになっておるわけでありますが、この点については、地方自治法や税法、交付税上における人口とみなされると解してよいのかどうか、その点を明確にひとつ答えていただきたい。
  119. 松浦功

    松浦(功)政府委員 先生指摘のようにコンピューターによります集計方法を採用したために、一年程度確定がおくれるようでございます。できるだけ新しい数値を使うということが交付税上当然のことだと思いますので、できるだけ早く公表してもらうようにお願いしておるところでございますが、どんなに早くても五十一年度から新しい国勢調査による数値を使うことは困難だと考えております。  なお、細かいその他の御質問については財政課長から説明いたさせます。
  120. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 次に、私は公営企業関係の問題について触れてまいりたいというふうに思うわけでありますが、まず第一に給与改定の問題であります。  公営企業の職員は、従来から一般職の職員と必ずしも同一ではなくて、より厳しい条件のもとに給与改定が行われるという形をとってきております。その理由一つは、法律に経営の状況を勘案しということが書かれている。したがって、同じ公務員でありながら、同じくストを禁止されておりながら、それの代替的な措置としての、勧告その他からいっても当然一般の公務員と同様に扱われるべきであるというふうに考えるのでありますけれども、一般の公務員とは違って、経営の状況を勘案しということで、いわゆる独立採算制のもとに公営企業の職員が置かれておるという点が、同じ自治体で働く公務員の中で非常な差別がされている。特に再建団体等に属する職員については、半年おくれたり、なかなか給与の改定が、一般職の職員が行われても遅延をしているという例が多かったわけであります。その点について、本年はもうどの団体もおおむね料金というものが上がってきているわけであります。そういう意味では第二次再建計画の変更というものは、昨年の暮れのきわめて厳しい状況よりは若干は条件としてはよい条件になっているというか、まあいろいろ公共料金の値上げの問題は問題があるけれども、一応それがほとんどの団体で済んでいるという状態になっている点を考えてみても、むしろ今回は他の一般職の職員の方に問題がある、公営企業関係職員の方が若干有利じゃないかというような部分もないではないですけれども、ひとつ大臣の基本的な考え方で、公営企業に働く職員と一般職に属する職員とは同等に扱われるべきであるというふうにわれわれは考えるけれども、その点については大臣、お考えはいかがでしょうか。
  121. 福田一

    福田(一)国務大臣 公営企業の場合と、それから地方自治体に働く人との間に差があるということは、私は、必ずしも望ましい状態ではないと思います。しかし、実際問題として、非常に財政的に困難な場合等々において同じような措置がとれるかどうかということについては、これはやはり独立採算の形をとっておりますから、私はその意味で差ができることもやむを得ないと思っておるのであります。
  122. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 そこが私はわからないのであって、公務員に責任がないわけであって、少なくても、いろいろの条件がありますね、たとえば他の地方団体との均衡とか国家公務員との均衡とか、そういう条件はそれは別として、同じように働く公営企業の職員とへ同じように働いている限り、同じ条件である限りは、やはりどんなことがあってもその給与改定は確保するということでなければいけないのではないか。働く労働者にそこの当局のいろいろな責任を負わせるということはおかしいのではないか。なぜならば、それはスト権というものを奪って、それの代償的行為としての勧告があって、それが一般職の職員に適用される限りにおいては、同様に公営企業に働く職員にも適用されるべきではないかと思うのですが、それはどうでしょう。
  123. 松浦功

    松浦(功)政府委員 基本的な考え方としてはそうあってほしいと思うのでございます。現在公営企業に働く職員とそれぞれの団体に属する職員との間で、給与制度その他がすべて同じではございません。団体によっては企業職員の方がはるかに高いような場合もあるわけでございます。いろいろの事情がおありになりましょうから、原則論としては、先生指摘のように、大臣がお答えになられたように、それが望ましい。しかし、あとは個々の事情によってケース・バイ・ケースだ、こういうふうに考えざるを得ないと存じます。
  124. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 しかし、高いとか安いとかという問題は、これは一応別とするということを私は前提として申し上げているので、同じように働き、同じような条件である場合には同じように扱うべきであるというふうにすべきではないかという点はどうですか。
  125. 松浦功

    松浦(功)政府委員 それは、先ほど来繰り返して申し上げておりますように、それが望ましいということについては私どもは否定的な見解を申し上げておりません。ただ、当該企業会計が非常に不如意であるというような場合において、ある程度差がつく場合があっても仕方がないということを申し上げているので、原則を否定するものではございません。
  126. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 昨年の末には、ある程度給与改定の問題を含めて再建計画について弾力的に考えていただくという形でやってまいったわけでありますが、本年もそういう立場に立って昨年と同じような形で再建計画の変更なり指導をされるかどうか、その点をひとつお伺いをしたいと思います。
  127. 松浦功

    松浦(功)政府委員 自治省としては、再建団体についての指導の方針を変えるつもりはございませんので、ケース・バイ・ケース、それぞれ団体の事情に合うように措置をしてまいるという方針でございます。
  128. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 次に、まず水道の問題から入ってまいりたいと思います。  ここに十月三十一日の東京新聞に「合成洗剤のLAS 胎児に奇形起こさず 公開実験で意見ほぼ一致」ということで「専門学者が中間報告」という記事があります。中性洗剤の毒性あるいは有害性については、肝臓障害であるとか皮膚の障害あるいは血液の障害とかあるいは発がん補助作用というような問題について、多くの学者からもうすでに何遍か警告をされているというところであるわけでありますけれども、こういう中で、いま話のあったように、厚生省は、三重大学の三上学長の指摘しているような催奇形性の問題の疑いについては、三上学長を含んで、西村京大教授を班長とする四人の学者の実験を続けて、この秋にも結論が出るということで、当委員会でもわれわれの質問に対してお答えになってきたわけです。ところが、三十一日のいま申し上げた東京新聞によると、中間結論が出たというようなことが出ているわけであります。これはあるいはスクープ記事であって一新聞だけが抜いたんだということかもしれませんけれども、少なくてもこういうふうに中間報告ということが明確に書かれているということは事実であります。大体この中間結論なんていうものはあり得ないわけであって、実際の数次に及ぶ実験の途中経過というようなものを全然発表しないで、こういうふうに抜かれてしまうということについてはおかしいのではないかと思うのですけれども、非常に事が重要な問題であります。催奇形性の問題というのは非常に重要な問題であるわけで、この点について、途中経過の状況一体どうなっているかということをこの際はっきりしてもらいたいということとともに、すでに皮膚障害などについては学校給食の職員の公務災害の認定すら得ているという問題があるわけでありますから、他の毒性、有害性について厚生省は一体どう考えているのか、この新聞に出たという点がきわめて重要であるというふうに考えるので、この際、それについてひとつ答弁を願いたいと思います。
  129. 宮沢香

    ○宮沢説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生御質問の合成洗剤、中性洗剤、台所用の洗剤でございますが、その安全性は昭和三十年代に一度問題になりまして、昭和三十七年、当時の内外の文献あるいはその後わが国で行った実験等を踏まえまして食品衛生調査会で審議をいたしました結果、通常の使用の状態を著しく逸脱しない限り問題はない、こういう御答申をいただいておったわけでございます。その後、ただいま先生指摘のような奇形性の問題が四十四年以降、三重大学の三上教授が学会で発表されまして、非常に大きな社会不安を醸し出したわけでございます。これについては幾つかの研究機関で反論するような研究も行われ、発表されておりますが、ずっと平行線をたどって今日に至ったわけであります。厚生省としましては三上先生にも御参加をお願いしまして、そしてそのほか慢性毒性とか皮膚の障害であるとか、あるいはがんの補助作用とか、いろいろな研究のグループをつくりまして、四十八年から研究に着手したわけでございます。  特に奇形性の問題でございますが、いろいろ実験条件が一致しないと結果も違う、こういうような学会の意見等もございましたので、いま先生おっしゃられました四大学の先生方に、実はことしの春お集まりいただいて、実験条件を全く同じにして、同じ腹から出た同じ動物を使って、同じ時期に妊娠をさせ、同じような塗り方をして、そして解剖も同じ手技でやる、こういうようなことで始めることにしまして、六月からスタートを切っております。この実験が完了するまでにはことしいっぱいかかるわけですが、その間に実は中間の意見交換をしたいというようなことが西村教授から申し出がございましたので、私どもは厚生省に会議室をとりまして意見交換の場を持ったわけであります。私の聞いている限りでは、いままでの段階では特に問題はなさそうだというふうに聞いておりますが、それ以上のことは知りません。
  130. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 他の毒性、有害性について一体どう考えているかという点が抜けているので……。
  131. 宮沢香

    ○宮沢説明員 実は洗剤については六種類ほどございまして、これについて年次計画で現在安全性の検討を、慢性毒性であるとか皮膚障害とかアレルギーの問題とかがん補助作用とかやっております。昨年の暮れに中間報告を得た限りでは、皮膚の障害の問題であるとか慢性毒性であるとか蓄積するかどうか、そういうようなことについては特に問題は出ておりません。
  132. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 問題は出ていないと言うけれども、こういう点についてのいろいろの結論を出してもらうというために西村教授を班長とする実験を続け、そしていろいろの点についてこの秋に発表するというふうに言われているのであって、中間報告などというのもおかしいと思うわけですけれども、大体こういう発表をされたときに、厚生省自身がこれについての明確な考え方を示すべきだというふうに思うのですが、その点はどうですか。
  133. 宮沢香

    ○宮沢説明員 実験の中では三カ月くらいでたとえばアレルギー試験などは終わります。それから慢性毒性試験は二年半くらいかかる、奇形性の実験についてはやはり一年くらいかかる。実験の種類によって期間が非常にまちまちでございます。そこで私どもとしては実験が終了するごとにその報告書をいただいておりまして、最終的に報告するのはその実験が全部終了した段階でしたい。奇形性につきましては特に社会不安を持っておりますので、なるべく早くまとめていただきたいということで、当初ことしの秋を目途としておったわけです。しかし、いまの非常に特殊な、全く条件をそろえるというようなことだったので、ずれ込みまして来年の三月最終報告書を出していただく、こういうふうになっております。
  134. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 それならそういう点を、こういうふうに新聞に出た以上は厚生省として明確にやってもらわぬと非常に困るという点を申し上げておくので、ひとつ適切な措置をとってほしいと思います。  次も厚生省にお尋ねをするわけでありますが、水資源の開発事業費についてわれわれとしては全額国庫負担をすべきであるということを数次にわたって要求をしているわけでありますけれども、いま厚生省の要求する三分の二の大蔵省に対する予算、これをせめて四分の三に高める意思はないかどうか、お伺いをしたい。
  135. 国川建二

    ○国川説明員 ただいまの水道施設に対する助成の問題でございますが、現在いわゆる水資源の確保ということが水道事業にとりまして最も緊急の課題になっておりますし、さらにはその工事費等の増高もございましていろいろ問題が多いということで、私どもといたしましてはまず水源の開発施設に対し十分な財源の確保等、建設がスムーズに進むように怒力したいと思っておるところでございます。  で、ただいまも先生からお話がございましたけれども、現在国庫補助は三分の一でやっておりまして、逐次その予算の増額等を図ってまいったわけでございますが、五十一年度におきましては御指摘のように三分の二という形でいま考えておるわけでございまして、今後関係方面とも十分そこらは御相談いたしたい、当面最も急ぐその部分について重点を置いていきたい、このように考えております。
  136. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 われわれは全額やるべきだ、まあ厚生省はことし三分の二だということであるわけですが、せめて四分の三ぐらいの要求はしてもらいたいということを強く要求をいたしておく次第であります。  次に、広域の水道については確かに若干ではあるけれども補助がなされるわけですね。しかし広域的という意味が非常に問題がある。たとえば横浜市にしても仙台市にしても水源が当該地方団体区域になくて遠くから引っ張ってこなければならないという状態にあるわけであります。そういうところは他の市町村が入っていないから広域水道ではないということで負担をしていないということは、われわれとしてはどうしても納得ができない。なぜならば、広域の水道というのは非常に費用がかかるからそれをひとつ負担してやろうという趣旨であるとするならば、やはり当該自治体以外から引っ張ってこなければならぬような施設であればあるほどそういうところは補助をしていくということを考えていくべきである。われわれとしては当然水道に対しても簡易水道と同様の補助をしていくべきだという主張はあるわけでありますけれども、一歩譲るとしても、そういうふうに当該地方団体区域外から引っ張ってこざるを得ないような施設の経費というものは非常に多額になるわけでありますから、それの補助を考えるべきであると思うけれども、その点はどうですか。
  137. 国川建二

    ○国川説明員 ただいまの水道の広域化事業に対します助成の問題でございますが、先ほど申しましたように当面最も問題がございますのは水源の開発事業でございますので、たとえば先生が例に挙げられましたような横浜とかあるいは仙台等が非常に先行的に大規模な水源を開発、確保し、それを引っ張ってくる、導水すると申しますか、そういう水源開発の部分につきましては補助は行われているわけでございます。別途、水道事業は、御承知のように長年の間市町村単位で事業が行われてきておりまして、最近特に水資源の有効な配分、あるいはその施設を市町村ごとに整備することによります重複投資を排除したいということもございまして、広域的に経営されます場合には補助が行われているわけでございまして、その際の広域的な事業経営と申しますと、どうしても複数の市町村にまたがりまして経営が行われるということが、うらはらの問題として要件となってくるわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、単独の市町村が個々に事業を行ってまいります場合にはいわゆる広域化事業には該当しないのでございますけれども、御指摘の水源の確保というような非常に負担の多い部分につきましては水源開発の方の助成を行う、それから複数の市町村にまたがりまして広域的に利用が進められます場合には広域化に関する助成を行っているところでございまして、水源と同様これらの事業の促進には今後十分努めていきたい、かように考えておるわけでございます。
  138. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 大臣、いま答弁があったわけですけれども、水道が最近非常に赤字を出して一千億にも不良債務が及んでいる。この原因は、主として水資源の開発事業に非常に負担がかかるということが一点と、それから施設の拡張及び改良費についてもこれは非常に多額になってくる、それで水が非常に不足をしておりますから遠い距離から持ってこなければならぬ、そういう状況が逐次あらわれておる。だからわれわれとしては、工業用水道にすら補助金が出されている、しかも工業用水道については補助金を出す条件として料金を低料金に据え置くという条件をつけておる、こういうことを考えますと、もういまのように生活関連的ないろいろの行政をやっていかなければならない時期が来ているときに、大企業中心の工業用水道、これは沿革的に言えば、地下水との関係ということで、それの振りかえの場合に補助金を出したということの沿革はあるけれども、現在ではそんなこととは関係なしに工業用水道にいまだに補助金を出している。そういうものをやめてでも本当に生活に必要な用水、これも、しかもいま言いましたように、一つ地方団体区域を越えて水源を確保しなければならない、こういう状況になりつつあるという状況の中で、やはり自治大臣として、こういうものに対して補助をつけていくべき時期が来ているのではないか。むしろ工業用水道に配分される補助金を削ってでも上水道、特にいま言ったように、遠距離から当該地方団体を越えて運んでこなければ、人口の増加によってもう水源がないというような状況の中で、国庫補助を導入すべき時期が来ているというふうにわれわれは考えるわけでありますが、自治大臣はどう考えるかという点が一点と、それからもう一つは、たとえば東京都のような場合は非常に人口がふえてまいります。そして新しい水道を布設していくと、従来からいた人たちは人口がふえなければその水量で足りるにもかかわらず、人口がふえることによって、遠くから持ってくることによって非常に経費がかさむ。昔からいた人は低料金でも十分水量が確保できて、料金が上がらなくてもいいのに、新しい人がどんどん入ってくることによって、それに伴うところの施設というものを旧来いる人たちに均てんをさせていく形によって料金が上がってくるということは、そこらにいた人たちから言えば非常に迷惑な話だという感じがするわけですね。そういうことを考えるにつけても国庫補助というものを導入すべきであるというふうに考えるのでありますが、その点はどうですか。
  139. 福田一

    福田(一)国務大臣 第一の遠距離から持ってきた場合において、やはり水道というのはわれわれの最低の必要な生活資材、と言ってはいかがかと思いますが、生活に必要なものでございますから、したがって、いまのような遠距離から持ってくるような場合においては、われわれとしてはできるだけ厚生省に対して、補助がつくように要請をいたしてまいりたいと考えておるわけでございます。  それから第二の東京都のような場合、いわゆる人口がふえている場合に、今度そのために新しい水源を持ってくると非常に高くついてくる、そうすると新しく来た人じゃなくて従来いた人に影響があるのではないかという御提示でありますけれども、私たちが現実に聞いておりますのは、それもありますけれども、主たる原因は、最近はみんなが水道を使い過ぎる、いままでおった人でも量をたくさん使っておるということが大きな原因になっておるように私は承知いたしておるのでありまして、そういう場合はやはりある程度料金の改定ということも十分考えてもらわなければいけないのじゃないか、私はそのように考えておるわけであります。
  140. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 自治大臣も国庫補助の導入を考えるべきだと言っているので、厚生省もがんばってもらいたい。主計官もおられますけれども予算編成もそのうちにありますから、きょうのところは質問をしないで、聞いておいていただくことにいたします。  次に、累積赤字が水道についても一千億を超えるという形になってきております。公営交通や病院については、すでに累積赤字についてはたな上げをされているという形でありますが、水道についてもいままでの病院や公営交通と同様に累積赤字のたな上げ措置、そして国庫負担等による元利償還を繰り入れていくというような措置を行うべき時期が来ているのではないかというふうに考えるのですが、大臣どうでしょうか。
  141. 松浦功

    松浦(功)政府委員 最近、受益者負担の原則という観点からも、採算の問題からも、水道料金の値上げが各所で行われているようでございます。そういった事情も勘案しながら私どもとしては研究をしていきたいと思っております。直ちに本年度あるいは来年度にそういう措置をとるということではなくて、もう少し事情を見た上で右か左かを決めていくようにいたしたい、このように考えております。
  142. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 われわれとしては、他の二つの大きな公営企業がすでにたな上げ措置をされている、特に水源開発に非常に多額に要るというところで赤字が出ている、しかし生活用水という形でそうむちゃくちゃに上げるわけにはいかぬという問題があるわけですから、やはり他の措置と同じような措置を一日も早くとってもらうということを要求いたしておきます。  次に、企業債の利子についてというか、償還期限の延長は、現実に償還の時期に合わせて五十年という要求をしているわけでありますが、それは長過ぎるかもしれませんが、せめていまの三十年というものを延ばすべきではないか。これは上水道でありますけれども、特に下水道などは西欧諸国でも何百年という歴史を持っているという点から言うと、もっと延ばしてもいいのじゃないかと思うのですが、この企業債の償還期限の延長についてはどう考えますか。
  143. 松浦功

    松浦(功)政府委員 実勢に合わせて延長することについて、ただいま御指摘をいただきましたように当省として否やはございません。ただ実際問題としては、回転の問題が絡んでくる問題でございますし、特に政府資金の御要望が強い現在においては、やはり政府資金の全体のやりくりという問題と絡めて決定をしていかなければならない問題であろうかと存じます。当省としては毎年大蔵省にいろいろとお願いをいたしておるところでございます。今後とも大蔵省と十分折衝を重ねるように努めてまいりたいと考えております。
  144. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 これは償還期限と一緒にするということの方がやはり独立採算制の立場からいっても非常に合理的なはずなのでありますから、ぜひ来年は少しでも延長できるようにひとつがんばってもらいたいということを要望しておきます。  次に、厚生省にお尋ねをするわけですが、前々から何遍も言っているわけですけれども、水質汚濁の防止、総量規制の確立と規制物質の追加、水質環境基準の大幅引き上げというような水質保全のための措置が必要だということはもう何遍も言われているのですが、これは一体いつどういうふうにやられるか、もう一遍ここでお答えをいただきたい。
  145. 国川建二

    ○国川説明員 一般的な水質保全の問題につきましては、水道の水源は主として公共用水域であります。したがいまして、その公共用水域の水質保全は、いわゆる水質汚濁防止法に基づきまして定められております環境基準、これが現実に対応して適切に定められ、またこれが守られるようにすることがまず先決の問題であろうかと思っております。  お話にもございましたように、たとえば総量規制というようなことにつきましても、環境庁におきましてそのような方向で、水につきましても種々検討が行われているところでございまして、厚生省といたしましては、特に水道の水源になるような水質につきましての基準の適正な設定と申しますか、あるいは見直し等につきまして、環境庁に要請をしてまいりたいと思います。また水道事業の立場におきましても、御指摘のようないわゆる水質の一般的な汚濁に対応した水の浄化施設と申しますか浄化施策と申しますか、技術の開発等はもちろんでございますけれども、必要な水処理につきましては、従来からもそうでございますが、今後ともこれにつきましては、当然ではございますが、十分な上にも十分な留意をしてまいりたいと思います。  また、いわゆる水道水の水質基準につきましても、現在水道法の省令のもとに二十八項目について定められております。この基準値はそれぞれWHOあるいは各国等の基準値と比較いたしましても決して劣らない厳しい基準ではございますけれども、いろんな汚染物質等が考えられる今日でございますので、それらのいろんな物質あるいはその基準値等につきましても、ただいま全面的に見直しと申しますか再検討あるいは再確認をいたしているところでございます。今後とも必要に応じて、そういった基準等につきましては十分検討を進めてまいりますし、少なくとも、水道水に対しますいわゆる一般的な不安が毛頭起こりませんように、格段の注意を払ってまいりたい、このように思っております。
  146. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 どうもまた抽象的で困るのですが、総量規制の問題というのは前から言われているので、これは環境庁に聞かなければいかぬのかもしれぬけれども、ひとつ早急に処置をしてもらわないと本当に困るということでありますので、強く要望しておきます。  もう一つ、これはもう私どもが前から言っているので、せめて来年度予算でこれを実現をしてもらいたいというのは、これは水道部長にも何遍もわれわれは要求をし繰り返して言っているのは、せめて水質検査の機器について国庫補助を導入すべきである。たとえて言うと、これは指定都市と言われるような大都市は自動的に水質が検査できるような器械は備えているわけですけれども、いわゆる中小都市になりますといまだに金魚を飼ったりフナを飼って、死んだらこれは危ないぞ、こういうような検査体制なんですね。これは厚生省水道課長さん御承知のとおりです。せめて中小都市においてはそのくらいの検査体制をとっておいてもらわないと、それはフナが死ぬのは結構だけれども、人間にもし何かがあったら大変なんですよね。だからせめてこれに対して二分の一の国庫補助——数百万かかるのですよ。数百万かかるものだから、中小都市の水道ではこれができていないというのです。なぜこうなのかというと、公害の関係があるから水質が非常に汚れてそういう危険がある。事、人の生命に関係するのですから、せめてこれだけはぜひ来年度予算に新規にひとつ、大した額じゃないと思うのですよ。ひとつこれくらいは入れてもらいたいということを、私は数年前から水道都長以下に頼んでいるのだけれども、いまだに実現をしない。中小都市の水道を飲む人たちの健康という点からせめてこれくらいは、水質というものが自動的にわかる器械を要求して、実現してもらいたいということをぼくは何遍も言っているのだけれども、聞いてもらえぬのだ。これを一体やってくれませんか、どうですか。
  147. 国川建二

    ○国川説明員 お話しの水質検査の機構と申しますか体制と申しますか、その強化の問題でございますが、いわゆる水道水、供給する水道の水につきましての安全は常に、これは四六時中でございますけれども、もちろん十分基準値に合致した水が供給されておるわけでございまして、その検査体制の問題かと思います。  御指摘のように、検査方法というのは重金属等を対象といたします場合には、かなり高度な技術者あるいは設備等も必要とするわけでございまして、確かに中小規模の上水道におきましてはまず技術者の確保の問題設備の問題もそうでございますけれども、確保の問題も実はあるわけでございます。極力検査体制を強化しなければいけないのは先生指摘のとおりでございますし、本来的に水道事業者の側におきまして整備しなければならない問題でございます。  私どもその手法につきまして検討を続けておるわけでございますけれども、何分、個々の水道事業にすべてのそういう整備をするというのは事実非常に困難な面がございますので、自分の事業体でできます場合には極力事業体で行っていただく。そのかわりの方法と申しますとあれでありますが、少なくとも都道府県単位くらいにそういう高級な検査をできるような水質検査の受託機関と申しますか、そういう機構を検討する必要があるのではないか、このように考えているわけでございます。  現在のところ、直ちにそういう設備に対しましての助成ということにつきましては、なお今後検討を必要と思っておるわけでございますが、先生の御指摘も当然の面がございますので、今後私ども十分前向きに検討していきたいと思います。
  148. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 だから、そういう話はここ何年か聞いてきているのですが、確かに係員の高度のと言うから、係員のあれもぜひひとつ配置をしてやってほしい。そうでないと、確かにいまおっしゃったように都道府県単位に一つあると言うけれども、どうもいま言ったように、フナでも金魚でも死んだらそら持っていけというようなことでは、現実に毎日飲まなければいかぬわけですから、それは一定の期間休んでいていいというそんなものじゃないので、昔のように各戸に井戸を掘ってあって、ちょっと水道が足りなくなれば井戸というわけにはいかない。いまは井戸なんというのは全然ないので水道しかないのですから、これはやはりすぐにわかるというようなものを、中小都市の住民も大都市の住民も、同じくこういう生活用水については水質検査機器というものは配置をされ、しかも一定の係員がそれが見れるというふうにしなければ、実際非常に危険でしょうがないわけですね。だからせめてこれくらいは——いろいろむずかしい予算の問題もあるだろうから、それまでは、われわれは強く要求はしているけれども一遍にはできない。しかしこれくらいなら要求してひとつがんばってもらいたいと言っているのですから、これくらいは、多くの水道関係の職員の諸君も毎年何遍も行ってお願いしているのだから、せめてこれくらいはひとつ考えてもらいたい。そういうふうに検査に行く、検査に行くとそれの検査結果がわかるまでに一週間もかかる、そういうことでは、その間一体水飲まぬでおるのかというわけにはいかないわけでありますから、そういう点はわれわれとしては非常に強い要求を持っておるということで、これもう一遍ひとつ答弁してくれませんか。
  149. 国川建二

    ○国川説明員 御指摘の検査設備の充実につきましては、関係と申しますか事業体等の意見等も十分聞きまして、どういう形で進めればいいか、十分前向きに検討いたしたいと思います。
  150. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 それでは、厚生省関係に最後の質問を申し上げますが、水道法の改正ですね。われわれとしては水資源開発に関する国の責任や水資源の確保や、あるいは環境保全、水質保全、水道事業者の責任等を定めた水道基本法を制定すべきだという立場に立って何遍か話をしているわけでありますが、近く水道法を全面に改正する必要があるという立場に立って厚生省は検討をされているというふうに聞いておるわけでありますが、一体どう検討して、どういう段階で明らかにされるかということを、この際、ひとつ明確にしていただきたい。
  151. 国川建二

    ○国川説明員 水道に関します今後の制度の問題でございますが、特に最近と申しますか、ここ十数年来、いわゆる水資源の問題あるいは水道の経営上の広域化の問題あるいは御指摘のような水質を含めました維持管理上の問題等がクローズアップされてきているわけであります。  御指摘のように、水道は過去十数年来非常に整備が進みまして、現在水道の利用人口も約八五%程度になっているわけでございます。また、施設数自体が非常に小規模な水道が多い。簡易水道も含めまして現在水道法の適用下にあります水道は約二万ございます。したがいまして、将来に向かいまして、このような水道をどのような形で今後整備し、あるいは管理し、十分規制を保つかというのが残された今後の問題であろうかと思います。  したがいまして、私どもも現在の水道法が昭和三十二年に制定されまして以来、今日までの整備を推進してきたものでございますけれども、今後の情勢の変化等に対応いたしますならば、ただいまお話ございましたように、たとえば水源の確保の問題特に水道の広域的な事業の推進の方向につきまして、各水道事業体等の御要望もございますので、そこらの将来の方向につきまして、制度的に手直しと申しますか、改めるべき点はないかということを検討いたしておるわけでございます。関係者等の御意見等も十分伺いながら、私ども今後勉強を続けていきたいと思っているわけでございます。
  152. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 厚生省の方結構ですから、お帰りください。  下水道の関係について質問をいたします。新しい五カ年計画の三次処理の中身というのは一体どういうことかということを伺いたいのですが、われわれの理解では、第三次処理では燐とか窒素というようなものは取れないのではないか、あるいはABSとかLASというような例の中性洗剤の関係もほとんど分解されないのではないかと思う。それでは一体三次処理とは何だということになるので、その点をひとつこの際明らかにしてほしいという点が一点。  それから現行の二次処理で分解できないようなものは下水に受け入れない、たとえば工場や企業の排水というのは原則としてクローズド処理を義務づけるべきではないかということでやっていくべきだと思うのであります。それから都市の下水道や流域下水道は生活排水のためのもので、そういう企業の排水というものは認めないというわけにいかないのかどうかという点が第二点。  第三点は、新しい五カ年計画の財投資金の運用について一体どう考えているのかという点について。  まず三点だけお伺いをいたしたい。
  153. 杉岡浩

    ○杉岡説明員 お答えいたします。  まず第一点の三次処理の点でございますが、現在下水道につきましては生物学的な処理すなわち二次処理を中心にしております。実際昭和五十年から三次処理の実験及び実施に入っているわけですが、現在検討しております五カ年計画におきましては、その三次処理につきましてまずBOD、これは現在二次処理では約二〇PPMを処理するということになっておりますが、さらにこれを含めまして、公共水域、特に水源地を控えております、あるいは閉鎖性の水域、こういったところにつきましては、BODを含めて三次処理をまず考えてまいりたい。  さらにいま先生指摘の燐、窒素、こういったものの処理につきまして研究開発を進めまして、その三次処理ができるようにしてまいりたい。当面はまず二次処理を完全に行い、さらに三次処理におきましてもBODの減少を図り、それからさらに研究開発の結果、燐、窒素等も進めてまいるという考え方をしておるわけでございます。  それから第二点でございますが、生活排水を中心に、現在下水道法におきましてもいろいろと水質汚濁防止法との関係もございまして、工場排水等につきましても水質汚濁防止法と同様の基準でもって除害施設の設置、こういったものを奨励いたしまして、重金属等の工場からの排水を排除するというようなことで進めておるわけでございますが、さらにわれわれといたしましても、除害施設の設置、こういったものを進めまして、重金属等の流入を少なくしていく、そして水質汚濁防止法と同様の規制を図るというような考え方をとっておるわけでございます。  それから次の、五カ年計画の財投という御質問でございますけれども、五カ年計画財源構成につきましては、補助金及び起債を中心に考えております。特に国費に相当するものとして特別の地方債を充てまして、緊急に整備しなければならない、環境基準等を特に守らなければならないといったような処理場につきましては、そういった特別の地方債を投じまして緊急に整備してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  154. 山田芳治

    ○山田(芳)委員 以下はあした質問をいたしますので、これで終わります。
  155. 大西正男

    大西委員長 次回は、明五日水曜日午前九時五十分から理事会、午前十時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後十時十九分散会      ————◇—————