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大平国務大臣 首脳会議で具体的な解決を待たなければ
世界経済はあすにでも崩壊する、そういうような危機にいまあると私は思いません。ですから問題は、今度の
会議でそういう差し迫っていかようであれ
首脳の手によって解決をしてもらわなければならぬような問題を抱えていないということは、私は
世界の幸せであると思うのであります。
そこで問題は、今度第二の幸福は、
パリの郊外にともかく六大国の
首脳が集まるということで合意したということです。これも普通容易ならぬことでございまして、そういうことで集まってお互いに一種の意見の交換をしようじゃないかということが何らかの抵抗なく合意ができたということは、私は
世界のために祝福すべきことであると思うのであります。そして、これをやる以上は成功させなければならぬということでございます。だとすれば、いま
増本さんが挙げられました
世界経済がいま抱えているもろもろの問題、暫定的な解決を積み重ねながら山坂道を上っていっているいろいろな問題がありますけれ
ども、そういった問題は、この
首脳会議でスクリーンにかけて
首脳の全体のまとまった祝福と協力を受けるということになるわけでございますから、これまでの国際協力が一層活力のあるものになるということで、そういう
意味でこれは成功が約束されておるのじゃないか、またそのようにしなければならないのじゃないかと私は思っております。
さて、それじゃおまえの、つまり私の管轄の中での問題でどういう点を力点に
主張しようとしているかということでございますが、けさほど
佐藤さんにもお答え申し上げましたように、事
通貨の問題というのはすでに
大蔵大臣レベルで精力的にやってまいっておることでございまして、今後も続けてやることになっておるし、今度も
大蔵大臣が全部
出席するわけでございますので、そういう
通貨問題にまつわる技術的な問題は、これは
大蔵大臣にお任せおき願ってよろしいんじゃないかと思うのでありまして、いまの
変動制で飽き足らないところ、
変動制が抱えておるデメリットというものを漸次克服していかなければならぬためには、できるだけ為替を安定したものにしていこうじゃないかという
努力を
各国がやらなければならぬということでわれわれいたしておるわけでございますから、その
各国の
努力は一段と精力的に馬力をかけてやろうじゃないかということが今度の
首脳会議において強調される必要があるし、またそれを
三木総理からも強調していただきたいと
考えております。
しかし、
各国はいま例外なく、
わが国ばかりじゃございませんで
先進国各国例外なく非常な財政危機でございます。しかし、その中で内に対しても大変お金がかかることが多いわけでございますが、そういう中で、しかもオイルダラーの手当てをどうしていくかというような問題、
OECDの活動をどのようにして財政的に保障していくかというような問題、農業開発に対してどのように財政的に支援していくかというような問題、エネルギー問題の解決に
各国が協力するについてどういう財政的支援をするかというようないろいろな問題については、
各国の財政力は非常に制約を受けてきておると思うのであります。
そこで、すでに
各国がつくってそこに財政的拠出をして現に動いておる
OECDでございますとか、
IMFでございますとか、
世界銀行でございますとか、アジア銀行でございますとか、その他もろもろの開発基金
制度もあるわけでございまするから、そういったものを極力フルに動員していまの時代の要請にこたえようじゃないかということは、私は
日本として大いに強調しなければならぬことであるし、
各国の協力も非常に得やすい部面でなかろうかと
考えておるわけでございます。と言って、新しい財源が要らなくて済むかというと、そうではございませんで、われわれはそれの捻出についてやっぱりいろいろ配慮してまいらなければいかぬと思いますけれ
ども、そういう点も
努力いたしますけれ
ども、既存の基金、機構、そういったものの力というものをこの際もう一度
首脳の手によって掘り起こして活力あるものにしようじゃないかということもまた、
わが国が力点を置いて
主張してよろしいことではないかと私は
考えております。