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1975-10-01 第76回国会 衆議院 大蔵委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    国会召集日昭和五十年九月十一日)(木曜 日)(午前零時現在)における本委員は、次のと おりである。    委員長 上村千一郎君    理事 伊藤宗一郎君 理事 浜田 幸一君    理事 村山 達雄君 理事 山下 元利君    理事 山本 幸雄君 理事 佐藤 観樹君    理事 山田 耻目君 理事 増本 一彦君       越智 伊平君    大石 千八君       奥田 敬和君    金子 一平君       鴨田 宗一君    瓦   力君       小泉純一郎君    齋藤 邦吉君       塩谷 一夫君    中川 一郎君       野田  毅君    原田  憲君       坊  秀男君    宮崎 茂一君       村岡 兼造君    毛利 松平君       山中 貞則君    高沢 寅男君       広瀬 秀吉君    藤田 高敏君       松浦 利尚君    武藤 山治君       村山 喜一君    山中 吾郎君       横路 孝弘君    荒木  宏君       小林 政子君    坂口  力君       広沢 直樹君    内海  清君       竹本 孫一君 ————————————————————— 昭和五十年十月一日(水曜日)     午前十一時二十六分開議  出席委員    委員長 上村千一郎君    理事 伊藤宗一郎君 理事 浜田 幸一君    理事 村山 達雄君 理事 山下 元利君    理事 山本 幸雄君       大石 千八君    金子 一平君       唐沢俊二郎君    鴨田 宗一君       瓦   力君    小泉純一郎君       齋藤 邦吉君    中川 一郎君       野田  毅君    葉梨 信行君       原田  憲君    坊  秀男君       増岡 博之君    松野 頼三君       三塚  博君    宮崎 茂一君       村岡 兼造君    毛利 松平君       山崎  拓君    山中 貞則君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 大平 正芳君  出席政府委員         大蔵政務次官  森  美秀君         大蔵大臣官房日         本専売公社監理         官       西沢 公慶君         大蔵省主税局長 大倉 眞隆君         国税庁次長   横井 正美君         国税庁間税部長 大槻 章雄君  委員外出席者         日本専売公社総         裁       泉 美之松君         大蔵委員会調査         室長      末松 経正君     ————————————— 委員の異動 九月十九日  辞任         補欠選任   塩谷 一夫君     松野 頼三君 十月一日  辞任         補欠選任   越智 伊平君     山崎  拓君   大石 千八君     増岡 博之君   奥田 敬和君     唐沢俊二郎君   松野 頼三君     葉梨 信行君 同日  辞任         補欠選任   唐沢俊二郎君     奥田 敬和君   葉梨 信行君     松野 頼三君   増岡 博之君     大石 千八君   山崎  拓君     三塚  博君 同日  辞任         補欠選任   三塚  博君     越智 伊平君     ————————————— 九月十一日  銀行法の一部を改正する法律案広瀬秀吉君外  九名提出、第七十一回国会衆法第四一号)  昭和五十年分の所得税臨時特例に関する法律  案(武藤山治君外三名提出、第七十五回国会衆  法第一三号)  所得税法の一部を改正する法律案武藤山治君  外三名提出、第七十五回国会衆法第一四号)  法人税法の一部を改正する法律案武藤山治君  外三名提出、第七十五回国会衆法第一五号)  租税特別措置法の一部を改正する法律案武藤  山治君外三名提出、第七十五回国会衆法第一六  号) 同月二十七日  酒税法の一部を改正する法律案内閣提出第一  号)  製造たばこ定価法の一部を改正する法律案(内  閣提出第二号) 同月三十日  社会保険診療報酬課税特例等に関する請願  (高田富之紹介)(第二五号)  同(岡田哲児紹介)(第八九号)  同(竹内猛紹介)(第一一〇号)  同(大橋敏雄紹介)(第一七九号)  同(近江巳記夫紹介)(第一八〇号)  庶民預貯金減価対策に関する請願鈴木善幸  君紹介)(第五六号)  公共事業の促進に関する請願鈴木善幸君紹  介)(第七三号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  国政調査承認要求に関する件  酒税法の一部を改正する法律案内閣提出第一  号)  製造たばこ定価法の一部を改正する法律案(内  閣提出第二号)      ————◇—————
  2. 上村千一郎

    上村委員長 これより会議を開きます。  この際、一言申し上げます。  先般来、日本社会党日本共産党革新共同、公明党及び民社党所属の各委員出席の要請をいたしておりますが、いまだに出席がありません。したがいまして、やむを得ず委員会を開会いたします。  国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。  国の会計に関する事項  税制に関する事項  関税に関する事項  金融に関する事項  証券取引に関する事項  外国為替に関する事項  国有財産に関する事項  専売事業に関する事項  印刷事業に関する事項  造幣事業に関する事項の各事項につきまして、今会期中国政に関する調査を行うため、議長に対し、国政調査承認要求を行うこととし、その手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 上村千一郎

    上村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  4. 上村千一郎

    上村委員長 酒税法の一部を改正する法律案及び製造たばこ定価法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。  これより両案について政府より提案理由説明を求めます。大平大蔵大臣
  5. 大平正芳

    大平国務大臣 ただいま議題となりました酒税法の一部を改正する法律案及び製造たばこ定価法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由及びその内容を御説明申し上げます。  昭和五十年度予算におきましては、歳出面において国民福祉の向上と国民生活の安定のための施策を積極的に推進し、また、歳入面において所得税負担調整等を実施いたしておるところでありますが、これらの施策の実施に要する財源についてその多様化に配意しつつこれを確保する等の見地から、酒税税率調整及びたばこ小売定価改定を行うことといたしたわけであります。このため、前国会酒税法の一部を改正する法律案等提出し、御審議を煩わしたのでありますが、遺憾ながら成立を見るに至りませんでした。  現行酒税税率及びたばこ小売定価は、昭和四十三年の改正を経て今日に至っておるものでありますが、酒税税率の大部分及びたばこ小売定価につきましては、所得水準の上昇、物価水準の変動にかかわらず定額に据え置かれておるために、税負担が相当程度低下しておりまして、速やかに、その調整を行う必要があります。  また、御承知のように、昭和五十年度予算は、現在すでに執行されておるのでありますが、酒及びたばこに係る歳入は、この調整が行われなければ、それに見合う分だけ不足することとなるのは言うまでもないわけでありまして、一日も早くこの事態を解消する必要があります。  このような状況に顧み、ここに再度酒税法の一部を改正する法律案及び製造たばこ定価法の一部を改正する法律案提出いたした次第であります。  以下この両法律案につきまして、順次その大要を申し上げます。  まず、酒税法の一部を改正する法律案につきまして申し上げます。  第一に、酒税従量税率引き上げを図ることといたしております。  すなわち、清酒特級ビールウイスキー類特級及び一級、果実酒類の一部、スピリッツ類リキュール類並びに雑酒について二二%程度清酒一級について一五%程度、その税率引き上げることといたしております。具体的に申し上げますならば、通常の容器一本当たりで、清酒特級は百十五円程度清酒一級は四十七円程度ビールは十五円程度ウイスキー特級は百五十円程度ウイスキー一級は六十九円程度増税であります。  なお、従来と同様、税率引き上げが実施される際、酒類販売業者対象酒類一定数量以上所持する場合には、手持ち品課税を行うことといたしております。  第二に、酒税の諸制度につきまして所要整備を行うことといたしております。  すなわち、酒税納期限延長制度につきまして、特別の事情により現行法定納期限後一カ月以内の延長ではなお納付が困難と認められる場合には、納付延長期間法定納期限後二カ月以内までとする特例を設けますほか、戻し入れ控除制度適用範囲を拡大し、未納税移出制度簡素化を図る等、酒税の諸制度につきまして、所要整備を行うことといたしております。  次に、製造たばこ定価法の一部を改正する法律案につきまして申し上げます。  この法律案は、製造たばこ種類別等級別に法定されている最高価格を、紙巻たばこについては十本当たり十円ないし二十円、刻みたばこについては十グラム当たり十円、パイプたばこについては十グラム当たり二十円ないし四十円、葉巻たばこについては一本当たり三十五円ないし百二十円、それぞれ引き上げる等所要改正を行うこととするものであります。  なお、製造たばこの各銘柄別小売定価につきましては、この最高価格範囲内で、日本専売公社大蔵大臣の認可を受けて定めることとなっております。  以上、酒税法の一部を改正する法律案及び製造たばこ定価法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由内容大要を申し上げました。  何とぞ御審議の上、速やかに御賛同いただきますようお願い申し上げます。
  6. 上村千一郎

    上村委員長 これにて両案の提案理由説明は終わりました。     —————————————
  7. 上村千一郎

    上村委員長 これより質疑に入ります。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。伊藤宗一郎君。
  8. 伊藤宗一郎

    伊藤委員 ただいま提案理由説明を拝聴いたしました。この両法案は、前国会ですでに本委員会を通過した法案でございまして、十分審議を尽くした両法案であります。したがって、改めて提案理由を聴取したわけでございますから、詳細な質問は避けたいと思いますけれども、この両法案は、何といっても今国会の最大の重要法案でございますから、また、国民の注視の法案でございますから、もう一度酒税法改正法案を今国会大蔵省当局から再度提案をされた理由を具体的に、はっきりと御説明をいただきたいと思います。今国会に再度両法案提案した理由を明らかに、具体的に、国民にわかるようにひとつ御説明をいただきたいと思います
  9. 大平正芳

    大平国務大臣 伊藤さんの御質問にお答えいたします。  先国会提案いたしました酒税法改正案は、すでに成立を見ました五十年度予算歳入一つの大きな柱でございました。予算はすでに成立をいたしておるわけでございまして、その歳入確保することが第一の理由でございます。  第二は、この改正案従量酒税につきまして改正をお顧いいだしておるわけでございまして、従価税との間に実質上大きな不公平を招来いたしておるわけでございまして、これを直そうとするのが第二の理由でございます。  さらに第三の理由といたしまして、来年度以降のわが国財政歳入におきまして酒税は依然として大きな財源一つでございますので、その歳入の安定を図っておかなければならぬことは申すまでもないことと思っておるわけでございます。私といたしましては、この臨時国会におきまして一日も早く改正案の御承認を賜り、予定された歳入確保されるように願ってやみません。     〔発言する者多し〕
  10. 上村千一郎

    上村委員長 一言ごあいさつ申し上げます。  この状態では円満な審議が進んでいかぬように思います。ですから、いま、私にいろいろ話したいことがあるということでございますので、長い時間はできませんけれども、その間、審議中ですから、浜田理事交代をいたします。     〔委員長退席浜田委員長代理着席
  11. 浜田幸一

    浜田委員長代理 委員長の命により交代をいたしましたので、質疑を続行いたします。伊藤宗一郎君、
  12. 伊藤宗一郎

    伊藤委員 酒税法改正案は、昭和五十年度予算歳入確保のための法案でございます。したがって、予算はすでに成立をしておるわけでございまして……     〔発言する者多し〕
  13. 浜田幸一

    浜田委員長代理 静粛に願います。
  14. 伊藤宗一郎

    伊藤委員 その裏づけになっておる歳入法案成立をしていないということは、財源は与えないが、社会保障その他の政策の実行をしろということで、財政的にはまことに矛盾した姿になっております。(発言する者あり)
  15. 浜田幸一

    浜田委員長代理 委員会出席議員以外は退場を願います。
  16. 伊藤宗一郎

    伊藤委員 政府は、このような歳出予算歳入法案との予盾について、どのように考えておりますか。私は、むしろ歳入法案予算は一括して同時に国会成立をするというような方向に持っていくことが正しいと考えておりますけれども、この予算歳入法案との関連につきまして、政府はどのように考えておりますか。御当局のお考えを伺いたいと思います。
  17. 大平正芳

    大平国務大臣 御質問のように、歳出予算歳入法案との関係は厳密に整合性を持っておらなければならぬことは御指摘のとおりでございます。したがって、政府といたしましては、従来その整合性を保持するために努力をしてまいった次第でございますし、国会におかれましても、それに格段の御理解をいただいてまいった次第でございます。(発言する者あり)
  18. 浜田幸一

    浜田委員長代理 静粛に願います。
  19. 大平正芳

    大平国務大臣 ところが、この重要な歳入法案でございまする酒税法改正案並び製造たばこ定価改正法案が今日のような状態にありますことは、歳入歳出整合性から申しまして、大変残念なことでございますので、一日も早く御承認をいただきまして、歳入歳出整合を持って運営されるように私は強く期待をいたしておる次第でございます。
  20. 伊藤宗一郎

    伊藤委員 私はそうは思いませんけれども、野党の一部また内外に、酒税法改正法案が通っても、今年度増収額はわずかである——一体どの程度増収になるのか、それもお聞きしたいと思いますけれども、そういうわずかの増収ということであるならば、巨額赤字公債を出そうという折から、そう増税にこだわらなくてもいいのではないかという、私から言わせますならば偏った意見があるように聞いておりますけれども、こういう意見について政府当局はどのように考え、またその考えに基づいてこの法案審議を進めようとしているのか、御意見を承りたいと思います。
  21. 大平正芳

    大平国務大臣 この酒税法改正によりまして、改正が一カ月おくれることによりまして、私どもは予定された歳入が百十億程度期待できないことになるわけでございます。私どもといたしましては、それが一カ月百十億円でございましても、仮にその半分でございましても、いま財政危機状態におきまして、額の多寡にかかわらず歳入を鋭意確保してまいる努力を怠るようなことがあっては大変なことになると思うのでございます。千里の行程も一歩から始まるということでございまして、私ども多額公債発行をお願いしなければならぬときであるだけに、歳入確保にはより神経質にならざるを得ないわけでございます。  したがって、お願いを申し上げておりまする値上げ法案ばかりでなく、現行税制の中でどのように増収確保するかにつきましても鋭意努力をいたしておるわけでございまして、また歳出節約につきましても、先般閣議で五百四十億の節約をお顧いいたし、補正予算で今度御承認を得る手はずにいたしておるわけでございますが、そういう努力を積み重ねまして、できるだけ国債発行を少額にとどめるように最大限の努力をしなければならないと考えております。
  22. 伊藤宗一郎

    伊藤委員 ただいまの質問とまた関連しますけれども歳入法案審議に当たっては、当該年度予算における効果考えるのは当然でございますけれども、それと同時に、来年度以降の予算に与える効果考えていかなければならないのでございまして、このことは先般の政府財政制度審議会中間報告にあらわれておりますように、来年度以降においてもなお引き続き赤字財政が予想されるということであるならば、このことは一層重要な点になってまいるわけでございまして、酒税改正があった場合とない場合とで、来年度及びそれ以降どういうふうな違いが出てくるのか、そのことを明らかにしていただきたいと思います。
  23. 大平正芳

    大平国務大臣 ことしの補正予算は、いま鋭意最終的な詰めを行っておりますので、近く国会に御提案申し上げて御審議を得たいと存じております。その際、伊藤委員が御指摘のように、相当巨額国債、しかもそれは財政法に言う四条国債ばかりでなく、特例公債をお顧いしなければならないような状況でありますことは御指摘のとおりでございます。そしてその状態は、来年度以降も歳入歳出全体を通じての財政政策のかじのとりようによりましては、累増してまいる危険性を多分にはらんでおると思うのでございます。したがって、財政政策の基本は、公債、とりわけ特例公債というものを出すことは当面やむを得ないといたしましても、これを年次的に逓減してまいりまして、ノーマルな財政の姿に一日も早く返さなければならぬわけでございます。そのためには、歳出をどのように節減してまいるかという問題とあわせて、歳入をどう確保するかという問題になってまいりますことは御指摘のとおりでございます。  いま御提案申し上げました酒税法改正案製造たばこ定価改正法律、この二つで、もしこれが成立しない場合にどれだけの歳入が来年度確保できないかと申しますと、約五千億でございます。したがって、わが国財政にとりましては大変巨大な財源として期待いたしておる部分でございまして、何としてもこの際、本年度歳入欠陥の補てんのためにばかりでなく、後年度歳入確保のために、ぜひとも成立をさしていただきたいことを衷心からお願い申し上げる次第でございます。
  24. 伊藤宗一郎

    伊藤委員 これは事務御当局で結構でございますけれども、一体、酒の税の負担率はどの程度であるのがいいのか。もっともこの問題は、その国その国の事情あるいはまた過去の税率との比較等で、きわめてむずかしい問題でありますけれども外国の税の負担等水準を参考にするのが国民にもわかりやすいと思いますので、わが国酒税外国比較してみて一体どの程度になっているか、具体的に数字でお示しをいただきたいと思います。
  25. 大倉眞隆

    大倉政府委員 ただいまの伊藤委員の御質問でございますが、御質問の中でも御指摘がございましたように、諸外国制度わが国制度、必ずしも同じものでございませんので、比較はなかなかむずかしゅうございますが、おっしゃいましたように一つの例をとりまして申し上げますと、ウイスキー小売価格が二千円のものということで、現在の主要国の酒の負担率を見ますと、日本が四〇・七%でございます。アメリカは四四・五%でございます。イギリスは非常に高うございまして八三・二%でございます。西ドイツは四一・〇%、フランスが六六・七%ということで、諸外国とも酒につきましてはかなりの高率負担を求めておりまして、わが国酒税が諸外国に比して高いというふうには考えておりません。
  26. 伊藤宗一郎

    伊藤委員 次に、たばこに移りますけれども、これもまた大臣から提案理由説明を詳しく聴取をいたしましたけれども昭和五十年度においてたばこ小売価格をどうしても改定しなければならないという理由資料等を、もっと詳しく説明していただいて、国民の納得をいただきたいと思いますので、そういう御答弁を願いたいと思います。
  27. 大平正芳

    大平国務大臣 現行たばこ定価は、御案内のように四十三年に決まった定価が今日まで維持されておるわけでございます。その間、諸物価人件費等が高くなってまいりましたことは御案内のとおりでございまして、このまま定価を据え置いてまいりますと、第一に、専売公社といたしまして、どうしても専売益金を上納する場合、金額を削減せざるを得ないことになることは当然でございます。すでに年々、若干この金額が低減しつつございますことは、数字が示しておるとおりでございます。したがって、この際、このまま財政需要が強い状況のもとにおきまして、専売益金が年々歳々減ってまいるという状況は、どこかで歯どめをいたさなければならぬことになっておったと思うのでございます。それが第一の理由でございます。  第二の理由は、たばこの七年間の据え置き期間の間にほかの税金も上がってまいったわけでございます。それから生活費も上がってまいったわけでございます。したがって、生計費の中でたばこ喫煙のために費消する部分というものが相対的に低くなってきておりますし、ほかの税金との比較におきましてもたばこ負担は相対的に低くなってきたわけでございます。したがって、これをある程度是正してまいる必要があると考えたわけでございます。  第三に、いま酒につきましてのお尋ねがございましたけれどもたばこにつきましても、諸外国との比較をいたしましても、わが国たばこは決して高くないのでありまして、むしろ相対的に低い水準に抑えられておるわけでございまして、そういうことをやりましても決して無理なことになるものではないというように私ども考えておるわけでございます。  しかし、それかと申しまして、今日、喫煙ということはわれわれの生活にとりまして、ある意味において非常に重大な意味を持っておるわけでございますので、喫煙者の立場も考えなければならぬわけでございます。したがって、この定価改定におきましては、大衆と申しますと失礼でございますけれども比較的低価格の部面につきましては引き上げ率を少なくするあるいは一部は据え置くというような工夫をいたさしていただいたわけでございます。  いずれにいたしましても、今度の改定は、諸物価の値上がりの状況、諸税の負担増高生計費増高、そういった点から見まして決して無理なことではないと考えておりますし、これによって専売益金の歯どめが、これも十分とは申しませんけれども、ある程度確保できることになると私は考えております。
  28. 伊藤宗一郎

    伊藤委員 要するに、たばこ専売事業によって国家財政に寄与しておるわけでございますけれども専売納付金国家財政に占める割合は、いまもお話しのとおり大分低くなっているということですが、その割合は一体どうなっておるのか、またその割合はどの程度のものが望ましいのか、何か基準のようなものを政府考えているのか、そういうことも明らかにしていただきたいと思います。
  29. 西沢公慶

    西沢政府委員 たばこにつきましては、先生すでに御案内のとおりいろいろな歴史的経緯がございまして、いずこの国におきましても重要な財政物資として非常に高率課税を行って財政収入確保に寄与しておるわけでございます。たばこ専売事業がどの程度財政寄与をしているかということを計数的に示すものとしましては、たとえば財政収入に占める専売益金割合というようなものがございますが、この割合がどの程度であるべきであるかということを一義的に決めることはなかなかむずかしい、これは先生指摘のとおりでございます。  計数的に申し上げますと、たとえば昭和二十五年あたりの時代を見ますと、国税収入の中に占める専売納付金割合は、大体二〇%を少し超えておるようなことであったわけでございますけれども、四十八年度あたりになりますとこれが二・五%、四十九年度は二・二%というふうに下がってきておりまして、こんなに下がってくることはいかがかしらんということは言えようかと思うわけでございます。  なお、諸外国の場合におきましても、こういうふうな国税収入に占める割合をわれわれの知る限りにおきまして触れさせていただきますと、たとえばイタリアの場合、これは専売国でございますけれども六・七%、西ドイツの場合には七・五%、イギリスが六・二%というふうなことで、わが国専売納付金国税収入に占める割合に比べますと非常に高くなっておるということでございますので、先ほど大臣からも申し上げましたとおり、やはりここで専売納付金調整をやるべき時期に至っておるのではないかということでございます。
  30. 伊藤宗一郎

    伊藤委員 それでは、たばこの値上げ実施が一カ月おくれるということによっての減収額は幾らですか。また一日当たり幾らになりますか。これもはっきり数字で示してください。
  31. 西沢公慶

    西沢政府委員 専売納付金が一カ月おくれますとその減収額は幾らかという御質問でございますけれども、われわれとしましては、いろいろな前提条件はございますけれども、おおむね二百五十億円程度考えております。したがいまして一日当たりで申し上げますと、これもラフな計算でございますけれども約八億というふうに考えております。
  32. 伊藤宗一郎

    伊藤委員 酒の場合と同様、たばこ外国との比較が参考になるわけですけれどもわが国たばこ小売価格と税負担率というものが外国のそれらと比べて高いのか、低いのか、また賃金水準との関係から見た場合、たとえばたばこ一個買うために必要な収入を得るための労働時間などと比べましてどうなっているのか、これも数字で具体的に示していただきたいと思います。
  33. 西沢公慶

    西沢政府委員 わが国たばこ小売価格は、先ほど大臣からも御説明申し上げましたけれども、先進諸国に比べまして著しく安いわけでございます。たとえば売上数量の中で一番よく売れております銘柄を五つとりましてその平均価格をとりますと、わが国の場合はこれが八十七円でございます。それで、仮にこの八十七円を一〇〇といたしまして、諸外国のこういった同じ売上数量上位五銘柄の平均価格比較してみますと、たとえばフランスは一三六、イタリアが一五六、オーストリアが一九九、西ドイツが三〇九、イギリスが三一〇、アメリカが二三〇というふうに相なっておりまして、わが国たばこがきわめて安いということがこれからもおわかりいただけるのではないかというふうに考えます。  なお、税の負担率でございますけれども、諸外国の場合には消費税率ということではっきりと税率が定められておりまして、その税率はおおむね五〇%から七〇%程度、さらにこれに付加価値税が大方の国において課税されておりまして、これが四%から一六%程度加わるわけでございます。わが国のこれに該当いたしますたばこ事業総合納付率でございますけれども、これを見ますと四十九年度で五五・三%というふうなことになっておるわけでございます。したがいまして諸外国税率から比較いたしますと、これまたきわめて低いということが言えるのではなかろうかと思います。  なお、こういった売上数量上位五銘柄のわが国の平均価格八十七円のたばこを一個購入するのに必要な労働時間でございますけれどもわが国はこれまた一番短い労働時間で買えるわけでございまして、具体的に申し上げますと、約九分でたばこ一個が買えるというふうなことになっております。イタリアの場合は二十一分、フランスが十六分、西ドイツが十七分、イギリスが十六分というようなことが諸外国の実例になっておりまして、この点からもわが国たばこ価格税率もきわめて低いということで、今回これを一部調整をさせていただくということをお願いいたしておるわけでございます。
  34. 伊藤宗一郎

    伊藤委員 ただいままでの御説明等で、国家財政に対する寄与率からも、また諸外国との関連からも、定価改定の実施を早急になさねばならぬということを十分理解もしましたし、われわれもその努力を惜しまないのでございます。しかし、当初の予定から大幅にこの定価実施の時期がおくれたわけですけれども、このおくれたことによって五十年度増収額あるいは益金率等が、仮に十一月一日から実施するということになった場合どのようになるのか、またこれが平年度化して、五十一年度増収額、益金率はどうなるのか、これも数字でお示しいただきたいと思います。
  35. 西沢公慶

    西沢政府委員 仮にわれわれが十月一日から実施をした場合の計算、それから十一月一日から実施した場合の計算を行っておりますけれども、十月一日の場合には千三百億程度考えております、十一月実施になりますとそれが約千億程度に相なるわけでございます。  それで来年度一体これがどういうことになるかということは先ほど大臣からもお答えがございましたけれども、来年度におきましては、定価改定をしない場合とした場合を比べますと、約四千億程度増収になるというふうに考えております。
  36. 伊藤宗一郎

    伊藤委員 たばこ価格の問題は国家財政に与える大きな影響だけでなしに、地方財政に対しても大変な影響を与えているわけでございまして、特に御案内のとおり、国家財政のみならず地方財政の逼迫化が叫ばれている今日、たばこ定価改定がおくれることによってたばこ消費税の問題になってまいります。たばこ消費税の来年度の収入が今度の定価改定によってどのようになっていくのか、またその影響はどうなるのか、これは地方財政にかかわる大きな問題でございまして、案外内外から看過されている問題でございますので、たばこ消費税が地方財政に与えております大きな役割りについて具体的に説明をしていただきたいと思います。
  37. 西沢公慶

    西沢政府委員 たばこ消費税は、先生案内のとおり、前年度の単価に当年度の本数を掛け、それに税率を掛けて決められるものでございます。したがいまして、明年度の地方財政に寄与いたします地方たばこ消費税の問題でございますけれども、本年度定価改定がおくれることによりまして本年度の単価が下がることに相なるわけでございます。したがいまして明年度の地方財政にはそのおくれた分だけが単価の減少によって税額が減っていく、こういうふうなことになるわけでございます。具体的な計数で申し上げますと、定価改定が、仮に、われわれ十月一日からというふうに考えておりましたけれども、これを十一月一日というふうに両方計算をして、これが来年度の地方たばこ消費税に及ぼす影響を計算いたしてみますると、約百十億、地方たばこ消費税が減少するわけでございます。かような意味におきましても、一刻も早く製造たばこ定価法の一部改正をいたしていただきませんと、先生の御指摘のとおり、地方財政にも非常に悪い影響を与えるということになっておるわけでございます。
  38. 伊藤宗一郎

    伊藤委員 この間の定価改定の問題のときにも多少新聞等で問題が起こったのですけれども、今度の場合でもそういう定価改定の前に買いだめ等による品切れが生じるおそれが予想されております。消費者に、たばこの愛好者に不測の迷惑をかけないように措置できる自信を公社は持っているのか、その具体的な対策を明らかにしていただきたいと思います。
  39. 泉美之松

    ○泉説明員 お答え申し上げます。  御質問のように、たばこ定価改定を行いますと、定価改定前にいわゆる仮需要というのが出てまいりまして、できるだけ安い旧価格の間にある程度買っておいて安心したいというような状況が出てまいります。これは、四十三年の定価改定のときには約半月分の仮需要が出たわけでございます。それから、今回、御案内のとおり五月一日実施ということで国会の御審議をお願いいたしておったわけでございますが、あの際には四月に約〇・九カ月分の仮需要と見るべきものが売れました。  そういった経験からいたしまして、今度定価改定が実施される場合に備えまして、私どもは万全の準備をいたしていきたいと考えているわけでございまして、一つは休日を利用いたしまして製造たばこをつくりだめいたしておきまして、それによって消費者の方に御迷惑をおかけすることのないようにするということでございます。それからいま一つは、工場で製造いたしましたものをできるだけ早く消費者に届けるように、配送につきまして万全の措置を講じまして、製造したものが途中で滞貨にならずにすぐに消費者に届くような方法を講ずることにいたしております。  これらのことによりまして、今回定価改定が行われましても消費者の方に品切れになって御迷惑をおかけすることのないように十分の対策を講じていきたい、このように思っております。
  40. 伊藤宗一郎

    伊藤委員 冒頭にも申し上げましたように、この両法案はすでに前国会でこの委員会、衆議院を通過した法案で、われわれはこれ以上詳しく御質問申し上げる必要もないと考えているくらいでございます。われわれも不退転の決意でこの両法案成立のために委員会挙げて促進に努めてまいりますので、御当局におきましても何とぞひとつわれわれに負けないくらいの意気込みでこの両法案審議に御精進を賜りますように、さらには、せっかくの国民注視のこの両法案審議に際して野党全員の出席がないことにはなはだ遺憾の意を表して、私の質問を終わります。
  41. 浜田幸一

  42. 小泉純一郎

    ○小泉委員 私は、本題に入る前に一言申し上げておきたいことがあります。  それは、きょういまのこの野党の動きを見て、大変残念に思うということであります。     〔浜田委員長代理退席、山本幸雄委員長代理着席〕 大蔵委員会理事会には何度となく出てきてくれと通知しているのに、出てこない。また委員会開会が行われて、どうぞ早く出てきてくださいと言っているにもかかわらず出てこないで、いざ始まる段になると、どやどやと委員以外の者まで入ってきて、審議を妨害して周りでわめいている。このような姿を見て、いま現在、日本の政治的混乱をもたらしている一番大きな原因は、むしろ野党第一党の社会党にあると、私は思わざるを得ないのであります。  最近の社会党の言動を例にとってみても、これが果たして日本のこれからの将来を本当に真剣に考えている責任政党であるか、これはまことに情けない限りだと思います。  具体的な例を挙げますと、昨年の十一月、アメリカのフォード大統領が日本に親善のために訪問してまいりました。いまの日本状態考えて、また将来の日本のことを考えるならば、アメリカとの友好関係を日本が保つということは、国民生活の繁栄のために不可欠のことであると私は思っております。そのフォード大統領、アメリカの最高責任者が日本に来られるというのに会おうともせず、むしろ来るなという訪日反対の先頭に立った。また最近では、来るな来るなと言っていたあの社会党が、逆にアメリカに訪問団を派遣して行く。こういう支離滅裂な行動、しかも最近のあの北朝鮮の松生丸事件においても、領海を侵犯したかしないかまだわからない、しかも二名の者が殺されている、こういうことに対して抗議もせずに、一部では謝罪しろとかいうようなことも言っている。韓国のことについては国内で起きたことに対しても大変な抗議運動を起こすわけであります。また日中問題についても、覇権問題については成田委員長みずから出かけていって中国の要求というものをまるまるのんでくる。こういういわゆる日本の方針というものに対しても一つの定見がない。  しかも国内問題を振り返ってみても、社会党は各地方において自分の政権というものを樹立しつつあります。いわゆる社共連立政権といいますか革新政権といいますか、社会党、共産党が共同して推薦した知事が、あるいは市長が当選している自治体の運営を見ていると、東京都においても横浜市においても川崎市においても、自分が推した責任者が市長をやっている。その市長の自治体においては、水道料金値上げとか公共料金値上げについてはみずから賛成の方に回っていながら、いざ国の問題を考えるときには反対反対と言っている。これでは本当に真剣に国家の経営を考えているのか、私は疑わざるを得ない。むしろいま野党社会党は、議会制民主主義の旗手としてではなく、大衆迎合主義の音頭をとっているとしか私は思えないのであります。  本題に入りますけれども、またまたこの前の国会でやったと同じような質問をするというのは、議員としてまことに情けない。またこれだけの税金をむだ遣いしておる。国民に対してもはなはだ申しわけない気持ちで私はいっぱいであります。むしろ酒とかたばこというのは、イギリスにおいても西ドイツにおいても専売制度をとっておりませんけれども、いわゆる社会主義的な色彩を濃く持った政党でさえも、政権をとればかなり高率税率をかけているわけであります。財政物資として十分利用している。そういうことを考えるならば、今回の酒、たばこ改正案にむしろ積極的に賛成して、要はこれからいかに使うかということにもっと十分な細心の配慮を持っていただきたい。  そういう前提から私は簡単に大蔵大臣質問したいと思うのでありますが、これは単なる事務的な問題じゃなくて、大蔵大臣もいずれは国家、国民に喜ばれる一国のリーダーとしての夢というか野望を秘めておられると私は思っております。そこで単なる行政官としての立場ではなくて、これから率直に歳入欠陥という苦しい実情を国民に訴えるべきだと思うのであります。そして一国のこの難局に際する政治家として、いまのこの状況というものを、野党のだらしなさもあります、こういう状況に対して、これからの国を支える一個の政治家としてどういうふうに思っておられるか、率直なお気持ちを私はお聞きしたいと思います。
  43. 大平正芳

    大平国務大臣 幸いにこれまでわが国は内外の恵まれた条件に支えられまして、経済は高度の成長を記録できたし、したがって、それから栄養をとり、吸収することに成功して、財政もまた、いわば年々歳々成長する財政をわれわれは持つことができたわけでございます。したがって、制度、機構、それから政府から提供するサービスの水準、それから政府職員の給与の水準、その他もろもろの物差しは年々歳々後退がなく、ないばかりか上昇の一途をたどってまいりました。そして、そのことがいわば当然なことであるというように考える風潮まで生じてきたと思うのであります。  ところが、そういう過程の中で、経済、財政全体を通じまして、私は大変危険な硬直化の病が進行してきておると思うのであります。財政とか経済とかいうのは環境に応じまして弾力的な運営ができる状態にあることが望ましいわけでございますけれども、年々歳々後退を知らない、成長だけであるということが制度や慣行、国民の意識の上にまでなってまいっておりまするにかかわらず、最近の内外の条件は大変厳しくなってまいりまして、そういうことが許されない客観的な状況になっておりますことは小泉さんも御案内のとおりでございます。  したがって、ここで経済政策にいたしましても、財政政策にいたしましても大きな転機を迎えておると思うのであります。したがって、われわれは国民に受けのよいことばかり申し上げておるわけにもまいらないし、国民の期待に手軽にこたえてまいるということもできなくなってまいったわけでございます。厳粛な態度で現実を踏まえて、民族将来の生存を保障してまいる責任が私どもにあると思うのであります。  そういう意味で、財政につきましても歳入歳出全体につきまして真剣な洗い直しがいま求められておると思うのであります。そして、それは単なる技術論でなくて、いまあなたが仰せになりましたとおり、一つの政治姿勢の問題として大きな勇気を求められておると思うのでありまして、来るべき補正予算、そして次にわれわれが編成しなければならぬ来年度予算は、そういう意味でまさに大きな試金石になるのではないかと思っておるわけでございまして、何とかこの難局を自由民主党と政府がその責任において切り開いていかなければならぬのではないかと、いま非常に厳しい責任を感じておるものでございます。
  44. 小泉純一郎

    ○小泉委員 いま日本税制構造を見てみても、直接税と間接税の割合が約七対三になっておる。そして直接税というものは、どんな好況の時期でも必ず野党も減税を要求しています。また与党も減税を要求している。しかしながら、こういうふうに年々低成長が続いて、歳入考えると、やはり間接税にある程度重点を移していかなければならない。その中においても特に酒、たばこ、こういう嗜好品、しかも健康の面から見ても余り飲み過ぎ、吸い過ぎしない方がいい、そういう物資については私はかなり高率の税をかけても当然であると考えているものでありますが、従量税というものは、所得が増大し、また物価が年々上昇してくることを考えると、従量税そのものの負担率というものはますます下がってくるわけであります。今回の改正案というものは負担調整を図るという目的でやっておられると思いますが、そのことはそのことでいいのですけれども、将来、単なる負担調整ということじゃなくて、酒に対して財政物資としてより大きな負担を求めていくんだという方向は大蔵省ではどういうふうに検討されておりますか。
  45. 大倉眞隆

    大倉政府委員 酒、たばこ、いずれも嗜好品であり、諸外国におきましてもいわば財政物資としてかなりの高率負担を求めておるという点は小泉委員の御指摘のとおりでございまして、今後とも酒、たばこによる歳入確保ということにつきましては私どもも引き続き研究を続けてまいりたいと考えております。  なお、御質問の中に従量税そのものを見直すという見地があってしかるべきではないかという点があったように思います。酒税につきましては、将来の方向として、現在従量制度課税されている種類の酒についても従価の制度税負担を求めたらどうかということは、すでに政府税制調査会からは基本的な方向として御答申をいただいております。  御質問の中にございました所得、物価の変動に対して税の負担がおくれる、いわば意図せざる減税が出てくるという面を避けますためにはやはり従価税の方が適当であるという点はおっしゃるとおりだと思います。また、仕組みいかんにもよりますけれども、従価税をうまくつくり上げることができますれば、酒の品種に応じまして価格がいまよりもかなり自由に多様化し得るという意味での利点もあるように思います。ただ反面、長年従量税になれてきておりますので、従価税に移りますと、仮に米代が上がる、人件費が上がるというようなことで酒を値上げしなくてはならぬという事態が参りましたときに、原価のアッププラス税金分というものを小売価格に乗せないといけないということになります。現に高級の酒はいまそういう状況にございます。高級の酒はそれでいいと私ども思ってそういう制度を持っておるわけでございますが、ある程度価格の低い酒、またかなり小規模の清酒製造業者がつくっておられる酒につきまして、いま一気に従量税を従価税に持ち込んでうまく転換ができるかという問題も実はあるわけでございまして、その点を含めまして、今後の問題としてなお研究を続けてまいりたい、そのように考えております。
  46. 小泉純一郎

    ○小泉委員 いまもってまだ野党が全然出てきていない。しかもこの酒、たばこ法案重要法案である、野党は徹底的につぶすんだと言って息巻いている、こういう事態も大変情けないのでありますけれどもたばこについては、いま定価法によって定価改定を行うことになっている。しかし法律では今後定価改定の方針だけを定めて、あと具体的な改定などはそのときの情勢を見る、物価とかですか、あるいは原価などの情勢を見て、一々法律によらないで改定できるような方向を検討してはどうかと思うのですけれども、そのことと同時に、いま特にイギリスとかフランスとか西ドイツ、フランスとイギリス、西ドイツ違うと思いますけれども、どういうような定価決定方式をとっているか、参考までに簡単に教えていただきたいと思います。
  47. 西沢公慶

    西沢政府委員 現行制度は、先生すでに御案内のとおり、製造たばこ定価法という法律がございまして、そこで各等級ごとに最高価格を決めておるわけでございまして、その最高価格につきましては、その都度改定をするときには国会の御審議をいただく、こういうふうな方式になっておりまして、その最高価格範囲内で公社の方が大蔵大臣の認可を得て個々の銘柄の値段を決める、こういうシステムになっておるわけでございますけれども先生ただいま御指摘のように、法律では大筋の原理原則をうたって、個々の銘柄については行政府限りで公社と相談の上決めるというふうなお考えにつきましては、われわれとしても非常に傾聴に値する御意見だと思っております。  しかしながら、これにつきましては、やはりいろいろな問題が付随しております。究極的には、たとえば消費税制度に移行するというような問題も絡んでくるかと思います。消費税制度を導入することにつきましては、税調なりあるいは専売事業審議会におきまして何度となく議論がされておりまして、基本的には消費税制度に持っていくべきであるというふうに言われておるわけでございます。昭和四十三年にそういった消費税制度への移行を考えたこともございましたけれども専売事業の関係者の中でなかなか御理解と御協力が得られなかったという経緯がございまして、今日のような仕組みがそのまま残っておるわけでございますけれども、せっかくの御示唆でございまするので、引き続き検討をしてまいる必要があるということを考えるわけでございます。  それからなお、諸外国定価の仕組みにつきましては、公社の方で非常に詳細承知しておりまするので、そちらから説明させていただきます。
  48. 泉美之松

    ○泉説明員 諸外国のうち、西欧先進国でどのようになっておるかということを申し上げます。  フランス、イタリア、オーストリアは、先進国のうちでもわが国と同じように専売制をとっておる国でございますが、これらの三国におきましては、それぞれたばこ課税する税率というものが決まっております。専売国でありながら税率が決まっておるのであります。  個々の銘柄の定価決定につきましてはそれぞれやり方が違っておりますが、まずフランスで申し上げますと、フランスはどういう要素で定価を構成するかというその構成表を、SEITAと申しますがフランス専売の総裁名で公示しておりまして、個々の定価決定につきましては、フランス専売に経営委員会というものがございまして、その経営委員会の委任を受けましたSEITAの総裁の意見によって、大蔵大臣大蔵省令で決めるということになっております。それからイタリアの場合におきましては、やはり定価をどういうふうな要素で構成するかということにつきまして、大蔵省令で公示されております。個々の定価の決定に際しましては、イタリア専売局の経営委員会の計画とその意見を徴した後に大蔵大臣が省令で決めることになっております。それからオーストリアの場合におきましては、これは国民議会の同意を得て大蔵省が定めるということになっております。  それから非専売国でありますアメリカとかイギリス、西ドイツにつきましては、御案内のとおりたばこの消費税率というものが法律で決められておりまして、個々のたばこの銘柄につきましては、それぞれのたばこメーカーが自由に決定することになっております。もっとも、たばこにつきましては競争が相当激しいわけでございますので、各社が定価決定につきましてはかなり神経質にやっておることは事実でございます。
  49. 小泉純一郎

    ○小泉委員 私の選挙区であります横須賀市に全国で一つだと思うのですけれども、アル中患者の収容所というのですか対策所が昨年の予算で一億円つきましてできたわけであります。日本においてアル中患者が年々増加している。最近ではアル中患者が単に低所得層ではなくて高級官庁の部長、課長、大企業の部長、課長にまで及んでいるとその院長先生が、私はお話を伺ったのですけれども話しております。こういうふうに日本におきましてもアル中患者対策というものが今後無視できないような状態になってくると思うのであります。  たばこについても、たばこと肺がんの関係、たばこと健康の関係、いろいろ問題あると思います。言うなれば、たばこも酒もでき得れば余り飲み過ぎ、吸い過ぎしない方がいい。また酒による交通事故とか酔っぱらい運転その他いろんな事故が起こっているのも御承知のことでありますけれども、そういうことからこのたばこについて、たばこと健康の関係、特にアメリカでもイギリスでも民営ですから、そういうたばこの広告に対してはかなり大幅な規制というものを考えておる。ですから日本でも、もっとたばこと健康に対する科学的調査というか積極的な国民に対する健康に注意するような面も、PR的な面も私は必要だと思うのであります。と同時に、酒についてもたばこについても、プラス面もあると思いますけれども、医学的に見たならば百害あって一利なしという面もあると思います。でありますから、そういう健康的なPRも積極的にするべきだと私は思っています。  そして、単にこれから何でも物価が安ければ安いほどいいという時代ではあり得なくなっていると思います。そういう面からむしろこの酒、たばこ改定案については堂々と野党の無謀な抵抗に恐れず審議を進めて、そしてこれからのあるべき福祉計画というもの、政府においてもライフサイクル計画とかいって今後の福祉計画の青写真を具体化していると思うのでありますが、こういうところから入ってくる、こういうふうに使うという、その使うというものに対してもどこに使うかという国民の合意が得られるような積極的な説明なり国民の理解を得られるような努力を私はどしどししていってもらいたい。そして、どこから財源を得てどこに使うか、これをやはり国民的な合意の上に進めていく、世論づくりにも大きく努力をしていただきたいと思うのであります。  私はこの酒、たばこ改正案については賛成であります。どうかこの審議を早く進められて、早くこのインフレ、不況というものを解決するよう一層努力を切望して質問を終わりたいと思います。(拍手)
  50. 山本幸雄

    山本幸雄委員長代理 村岡兼造君。
  51. 村岡兼造

    村岡委員 この酒、たばこの問題につきましては、先国会でも十分審議されました。参院において審議未了、はなはだ残念でございます。なおまた、前に伊藤、小泉両議員が質問をいたしておりますから簡単にいたしますけれども、一部重複するところもあろうかと思います。  最初に、最近の酒類の消費状況を見ますと、消費酒類の高級化ということ、あるいはみんながぜいたくになったということ、国民の所得が向上した結果だとも言えるが、反面、酒税が据え置かれ、酒が相対的に安くなっている結果であると思う。ビールとつまみを比較してみましても主客転倒の価格となっていると思います。  そこで、酒類ごとの消費の伸びはどうなっているか実態を説明し、また酒類価格の上昇率と他の物品の価格上昇率と比較したらどうなっているか、この点をまずお伺いいたしたいと思います。
  52. 大倉眞隆

    大倉政府委員 ただいまの御質問につきまして、前回改正をいたしました四十三年と現在とを比べてお答えいたしたいと思います。  清酒はこの間に合計で一・一倍でございます。これは数量でございます。これに対しまして、ウイスキーは合計で二倍でございます。さらにしさいにその内訳を見てまいりますと、清酒の中でも特級が一・四倍、一級が一・八倍、二級は逆に減りまして〇・七倍という姿を見せておりますので、御指摘のように消費内容としての高級化という傾向が見られるように思います。  同様に、ウイスキーにつきましても全体で二倍でございますけれども、その内訳といたしましては、特級が実に六・六倍という伸びを示しておりまして、一級は一・七倍、二級はほとんどふえておりません。一・一倍という姿でございますので、ウイスキーについては特に顕著に消費の高級化という傾向があらわれておるように思います。  それから価格の面でございますが、同様に四十三年当時と現在とを比べてみますと、たとえば清酒一級の、通常この辺に値段が多いというものを取り上げて申し上げますと、四十三年当時は一升八百三十円でございます。現在が千二百八十円ということで、五割四分上がっております。ビールは当時百三十円でございました。現在百八十円が普通でございますので、これは三割八分上がっております。たばこはこの間価格改定を行っておりませんので、いわば当然のこととして当時と同じ、全く上がっていないということでございます。  これに比較しまして、適当かどうかわかりませんけれども、嗜好品類似のものとして申し上げますと、たとえばようかんは、百グラム当たりのもので計算して、大体二・一三倍という上がり方でございます。あめが二・八倍、飲むものといたしましては、コーヒーが、喫茶店の平均の値段をとりますと大体二・三倍、サイダーで一・八倍、アイスクリームで同じ量であれば二・九倍ということでございますので、たばこはもちろんといたしまして、酒につきましても他の嗜好品に比べますと価格の上がり方は低いということが言えようかと思います。
  53. 村岡兼造

    村岡委員 酒、たばこ増税が行われますと、価格が上がるとか家計の負担が増す、こういうことで反対の声が多いわけでございますが、この問題は一つには、その調達した財源で何が行われるのか、それがまた国民の福祉の向上につながるかどうかということと、もう一つには、価格が上がるとしてもどの程度上がるのか、家計の負担がどの程度増すのか、この二点から冷静に判断をすべきであると思われます。  野党のように、右手には大幅賃上げを掲げて、そうして左では、その他のものは据え置け、絶対反対だ、こういうことではとてもでき得ない。前者については最近における社会保障関係予算の伸びからして政府が福祉向上に力をいたしていることはわかるけれども、第二の点、すなわち物価への影響、そうして家計負担への影響についてはどうかをお尋ねいたしたいと思います。
  54. 西沢公慶

    西沢政府委員 ただいまの先生の御質問でございますけれどもたばこを例にさしていただきますると、個人消費支出に占めまするたばこの消費額の割合が適当かと思いますけれども、四十三年に定価改定をいたしましたので、四十三年度を一〇〇といたしますると、個人消費支出は四十九年度で約二・六倍になっておるわけでございます。たばこの売り上げ代金は、同様に四十三年を一〇〇といたしますると一・七倍になっておるわけでございます。したがいまして、個人消費支出に占めまするたばこの消費の割合を見ますると、四十三年度が二・六二%であったのがいまや一・七六%まで下がってきておるわけでございます。本年度これを十月一日から実施をさしていただいたという仮定で計算をいたしますると、これも個人消費支出に占めるたばこ消費の割合は一・六九%まで下がるわけでございます。したがいましてもちろん上がらないにこしたことはないという見方もございましょうけれども、個人消費支出に占めるたばこ消費の割合で見ますると、われわれが言っておりまするこの値上げが実現いたしましても、四十八年度負担がすでに一・九八%であったわけですから、そこまでも戻らないというふうなことでございまするので、この程度の値上げはぜひお認めいただきたいというふうに考えております。  なお、たばこが消費者物価に与えまする影響はたばこが〇・六、お酒が〇・一というふうに計算をいたしております。
  55. 村岡兼造

    村岡委員 大蔵大臣にお尋ねをいたしますけれども、今日非常に税の欠陥と申しますか、そういう問題がいろいろ発生をいたしております。これは経企庁とも関係ありますけれども、いまこういうふうに不況になった、税収入が少ない、一つは石油その他原産物価格の世界的な革命的な上昇によって、国内対策でこれを抑圧することが不可能である、こういうことを政府は素直に勇気を持って国民に周知をさして、そうしてその理解を求めていかなければいけない、新事態に対処する最善の適応策をやっていかなければならぬ、私はそう考えるわけでございます。  したがいまして、酒、たばこは、私は公共料金とは思いませんけれども、国が管理をしておる、こういうことでございますが、公共料金のいろいろな今後の問題もございます。財政当局としての公共料金の今後の問題点、それから先ほど小泉委員も言いましたけれども、これは酒、たばこについての主な答弁があったようでございますが、景気のいいときは現在の税制ですとどんどん余る。そうしていわばその年度内に臨時予算か何かで使ってしまう。ところが不景気になりますと、見込んだだけ入ってこない。外国の例で見ますと、景気のいいときはこれをためておくというような制度もとられている。同時にまた直接税、間接税、この問題が先ほども言及されましたけれども、これについての今後の考え方がどうか、こういう点を大蔵大臣に御質問をいたしたい、こう思います。
  56. 大平正芳

    大平国務大臣 いまの歳入欠陥が生じた原因は、村岡さんがおっしゃいますように、世界的に資源が低廉で安定的に供給を受ける条件がありましたのが、最近壊れてまいったということが最大の原因であったと思います。そのために物価が大変な騰貴を見ましたばかりでなく、各国の国際収支が非常な乱調になりまして、世界の貿易もしたがってまた萎縮するということになりまして、したがってますます世界各国の経済が萎縮するという結果になっておると思うので、わが国もその例外でないばかりか、資源を海外に仰がなければならぬわが国の打撃は最も深刻であったと思うのであります。したがって、その事情は十分政府といたしましても国民に御理解をいただくように御指摘のように努めなければならぬと考えております。  しかし、それを受けまして、財政の運営でございますけれども、そういう困難な客観情勢でございますので、成長財政の当時のような頭で財政運営はできないことは当然でございます。もともと公共料金というものは適正にその利用者が負担するという原則が当然のたてまえであろうと思うのでございますが、成長財政期におきましては、財政に余裕がございましたので、そうまでしなくても財政の方である程度これを支えてまいるということが可能であったわけでございますが、今後そういう不如意な財政になりますと、そういうことがだんだんできなくなってきますので、原則に返しまして、できるだけ受益者の御負担で始末していただくようなことで財政当局としてはお願いせざるを得まいと考えております。  それから第二の点でございますが、今後の歳入調達におきまして、直接税、間接税の問題があるわけでございます。直接税も間接税もいまおしなべて、歳入欠陥にあらわれておりますように、期待された収入が確保できない状況になっておるわけでございます。したがって、今後財政需要がこれに応じて減少することがないとすれば、どうしても相当程度増税という方向を考えざるを得ないと思うのでございますけれども、いまのように経済が冷え込んだ段階におきまして増税をやるということも余りにも無謀でございますので、当面公債発行に頼らざるを得ない状況かと思います。しかしこれはいつまでもそういうことはできませんので、やがて、あなたが御指摘になりました増税問題、そしてそれは直接税に依存するか、間接税に依存するかという問題に早晩逢着せざるを得ないと思います。  ところが、すでにいま日本税制におきましては、直接税の収入が約七割、間接税が三割でございまして、先進諸国に比べまして直接税の比重が非常に重い状況でございます。また直接税も、現行税制の中で増収の道をいろいろ考えておるわけでございますけれども、そんなにルームがあるようにも思えないわけでございまして、どうしても間接税の方面で新たな税源を開拓してまいるということは、早晩われわれが真剣に取り組まねばならぬ課題になってくるのではないかと考えております。しかし間接税となりますと、これは逆進課税じゃないかという議論が野党を初め方々にあるわけでございますが、これは当然のことで、間接税というのはもともと逆進的なものでございますけれども、これは直接税、間接税を合わせまして全体として税負担の累進がどうなるかということを見ていただかなければならぬわけでございまして、単一の税目だけを見て逆進だヘチマだというようなことでは、私は議論にならぬのじゃないかと思いますので、やはり国全体の税収入のあり方としまして、間接税をもう少し開拓していくということは早晩われわれが取り組まねばならぬ課題になろうと思いまして、政府の方もぼつぼつ勉強はいたしておりますけれども、この補正予算でお願いするというようなそういう火急の問題ではないのでございますけれども、われわれはそういう問題意識を持ちまして勉強いたしておることは事実でございます。
  57. 村岡兼造

    村岡委員 公社の方へお尋ねをいたしますけれども、原価の上昇を値上げの理由といたしておりますが、その間の公社の経営努力、この問題と、事業の各部門においてどのような合理化をいままで実施をしてきたのか、これをお知らせ願いたいと思います。
  58. 泉美之松

    ○泉説明員 前回定価改定を行いました昭和四十三年から今日までの原価の上昇でございますが、総原価が四十九年までに約四二・四%上がっております。そのうち一番上がり方の大きいのは材料費、つまり紙とか段ボール箱あるいはチップペーパー、こういったようなものでございます。その次が労務費で六八%、それから原料費が二五%、その他三一%というふうになっておるわけでございます。  公社といたしましては、このような原価の上昇に対処いたしまして、できるだけ経営合理化によってコストの吸収を図るということで努力をいたしてまいっております。  その点を申し上げますと、まず第一は、製造部門におきまして工場を統廃合いたしまして、従来はせいぜい六十億とか八十億本の製造工場でございましたが、これをできるだけ大規模な工場にする。いまでき上がっている一番大きな工場は金沢工場の百三十億本でございますが、現在建築中のものは北関東工場の一工場で三百二十億本つくれる工場をつくっております。それから東海地区、関西地区及び九州地区でそれぞれそれに近い相当大規模の工場に統合する予定をいたしております。それからその次は、最近つくりました北三工場、南三工場という六工場につきましては二交代制を導入する、あるいは倉敷の原料工場におきましては三交代制を導入する。それによって能率を上げていくということにいたしておるわけであります。  さらに、たばこの巻き上げ機及び包装機につきまして能率のいい機械を導入するということにいたしておりまして、巻き上げ機でございますと、従来は一分間千二百本つくる、あるいは千八百本つくるという機械であったわけでございますが、近年はそれを一分間二千五百本つくる機械にする、さらに本年からは一分間に四千本つくれる機械を開発いたしまして、これを今後工場に導入いたしまして能率を上げていくということに考えておるのであります。  そのほかといたしましては、原料使用に当たりまして、以前は中骨は捨てておったのでありますが、中骨を粉砕いたしまして、これを原料として刻んで活用していくとか、あるいは倉敷の原料工場のように、アメリカの技術を導入いたしまして、たばこを膨化させまして、それによってニコチン、タールを少なくすると同時に、原料の充てん量目を減らしていくということをいたしております。  さらに販売面におきましては、営業所を統廃合いたしまして、第一線の営業員の充実を図ります。さらに、従来はこの営業員という形でなくして、たばこの受注、配達及び代金の領収を一人でやっておったわけでありますが、それを受注面と、配送と代金受領の分を分けまして、配送及び代金受領につきましては配送会社に委託するというようなことにいたしております。そのほか葉たばこの生産部門におきましても、生産支所の統廃合をするとか葉たばこの収納取扱所を統廃合する。さらには新品種を開発導入いたしまして、できるだけ多収性の品種、さらに病害抵抗性の強い品種を導入するというようなことをいたしてまいっております。  大ざっぱに申し上げまして、もしそういった合理化努力をしなかったならばどうかというと、これは私どもの試算で、必ずしも完全とは言えないかもしれませんけれども、四十九年度の益金率が五六・二%になっておるわけでありますが、もしいま申し上げましたような合理化努力を行いませんでしたならば、約五〇%程度に益金率は低下しておったであろう。したがって、その差の約六%余りは合理化努力によって防ぎ得たものだと思っております。     〔山本幸雄委員長代理退席、委員長着席〕 しかしながら、私ども専売公社は独占企業体でありますので、独占体として独善な姿に陥ってはなりません。今後ともそういった各方面におきまして合理化努力を重ねてまいる所存でございます。
  59. 村岡兼造

    村岡委員 今回のたばこ定価改定を機会に、値段は上がったけれどもサービスの方はさっぱりだとよく聞くわけでありますが、もっと国民なり消費者にサービスを強化すべきだと思いますけれども、その考えがあるかどうかお尋ねをいたしたいと思います。
  60. 泉美之松

    ○泉説明員 お尋ねのように、定価改定を行うだけで消費者にサービスを還元しなければいけないじゃないかということ、まことにごもっともでございまして、私どもといたしましては、従来からも消費者が一番大切だということで努力はいたしておるつもりでございますけれども、何分旧来から独占体として存在いたしておりますために消費者に対するサービスが必ずしも十分でなかったということを深く反省いたしているような次第でございまして、今後におきましては消費者に対するサービス、最近は御案内のとおりサービスセンターというのを各都市に設けまして消費者にサービスするように努力いたしておりますけれども、これをさらに充実強化するなど各種の方法によりまして、消費者に対するサービスの向上に一層心がけてまいりたい、このように考えております。
  61. 村岡兼造

    村岡委員 以上、大蔵大臣を初め関係各位に質問をいたしましたが、今回の酒、たばこ法案につきましては賛成の意見を付しまして、質問を終わりたいと思います。
  62. 上村千一郎

    上村委員長 野田毅君。
  63. 野田毅

    野田(毅)委員 質問に入ります前に、先ほど小泉議員から話がありましたように、きょうの事態をきわめてゆゆしく思うものでございます。特に野党側が、この委員会の場に委員でない者が乱入をしてきて議事妨害をする、こういうことは良識ある国会議員のなすべき事柄ではないということを改めて強く訴えたいわけでございます。  また、いわゆる公共料金系統の問題にしましても、国会においてはこういったきわめて暴力的なことにまで出ながら、一方では自分たちのやっておるいわゆる革新首長の都政、そういったところにおいてはいろいろ財政戦争であるとか、過去都民あるいは住民を甘やかせた迎合政策の破綻を来して未曽有の公共料金の引き上げを彼らは推進しようとしておる、こういった事態にかんがみますと、われわれ自民党たるもの、もう少し勇断を持って、時には厳しい態度で筋を通さなければならぬということを改めて痛感をいたしておるわけでございます。  ところで、今日の世界の情勢を見ておりますと、特に石油ショック以来いわゆるシンクロナイゼーションと申しましょうか、世界的に同時不況あるいは同時の物価値上がり、こういったインフレと不況の谷間にどこの国もあえいでおるのが実態でございますが、これは裏を返せばどこの国においても財政難にあえいでおるということでございます。  そういった中で、最近、新聞報道などを見ておりますと、いろいろとこういった財政難に対処するためにいわゆる嗜好品に対する課税といいますか、この問題が各国においても見直されつつある。特に酒、たばこについて増税をしようという動きが世界各国においてもちらほらあるというような現状であるように思うわけでございますが、世界各国の状況がいま具体的にどういう動きになっておるのか、この点大蔵省の方からお教えをいただきたいと思います。
  64. 大倉眞隆

    大倉政府委員 私どもの手元でいまわかっておりますところでは、イギリスが昨年、七四年と本年二回酒税改正をいたして、増税をいたしております。その引き上げ幅は、両年分を合わせまして、ウイスキーなどのいわゆる蒸留酒につきまして四割の増税ビールにつきましては一〇〇%の増税、ブドウ酒につきましては二五〇%の増税、シャンパンは一八〇%の増税ということになっております。フランスも同様に昨年と本年、二年続けて酒税増税をいたしておりまして、引き上げの幅が合わせて約三割程度ということになっております。  便宜私からたばこも申し上げますと、イギリスは同様に二年にわたりまして全銘柄を対象としてたばこ税負担引き上げておりまして、引き上げ幅は約八〇%と聞いております。またドイツでも、本年の非常に巨額財政赤字を来年以降縮小させていくということを考えて、そのために、一九七七年から蒸留酒の税を二割、たばこの税を一八%引き上げることを閣議で決めておるようでございます。フランスも、来年度さらに酒、たばこをもう一遍追っかけて増税をするということを閣議決定したという報道がなされております。
  65. 野田毅

    野田(毅)委員 いまのお話でよくわかったわけでありますが、世界各国とも非常に財政難に直面をし、その中で特に酒、たばこ関係を中心にした財政対策というものを講じつつあるわけでございます。わが国も当然その一環として考えなければならぬのでございますが、しかしこれだけではなかなか現在の財政難を克服できない。特に今年度補正予算、この問題はともかくとしまして、来年度以降の財政運営を考えてみましても、やはり従来の予算編成とは全くさま変わりにならざるを得ないであろう。しかし、他方では、福祉関係であるとか、あるいはその他いろいろな財政需要もたくさんあるわけでありますし、これをまた無視するわけにいかない。そうなると、来年度国債をさらに増発をするということも考えられないでもないでありましょうけれども、しかしこれも長期的に見ました場合に、そうむちゃくちゃにやるわけにいかない。そうなりますと、先ほど大臣からお話がございましたように、やはり増税という問題が当然日程に上ってこなければならないであろう。しかし直接税の問題についても、特にこの現下の不況あるいは来年度の経済運営、こういうことを考えても、そう簡単に直接税に依存するわけにいかない。ということになると、間接税系統の見直しがお話しのとおり早晩どうしても必要になる、こういう様子であろうと思います。  先ほども、今年度補正予算で云々ということはしないけれども、早晩間接税の見直しが必要であるという大臣のお話でございましたが、私どもいろいろ選挙民とも接触をしておって、来年度の非常な財政難の折から、この前から大分もやもやしておりました付加価値税の導入に一気に来年度予算において政府は踏み切るのではないかというような懸念をよく聞かされるわけでございます。この付加価値税を来年度絶対やらない、将来はともかくとして、来年度は少なくとも導入は考えないということであるのかどうか、その点を少し明確にお答えいただければ幸いでございます。
  66. 大平正芳

    大平国務大臣 歳入確保するために増税をお願いするにいたしましても、あるいは公債をお願いするにいたしましても、まず前提といたしまして、私どもは、歳入歳出にわたりまして一遍徹底的な見直しをいたしまして、国民の御納得がいくような作業をいたしてからでないと、なかなかむずかしいんじゃないか。と申しますのは、たとえば税の公正ということが言われておりますので、これは古くして新しい問題でございますけれども、なおもう一度見直してみて、租税特別措置法を初めといたしまして、税制全般にわたりましてそういう角度からもう一度見直してみる、あるいは歳出におきましてはどこにむだがあるのか、もう一度丹念に見直してみるということをやらないと、増税審議をお願いをするにいたしましても、公債問題を御審議いただくにいたしましても、御納得がいただけないものと思っております。それが第一の仕事だと、いま鋭意そういうことを勉強しておるところでございます。  それから、しかし、そうは申しましても、ことしの補正段階から来年以降容易ならぬことでございます。野田さんの御指摘のように、各先進国政府、いずこも大変な歳入欠陥、空前な歳入欠陥のようでございまして、したがってこれの対処というのは容易ならぬ仕事でございます。その場合どうしても直接税ばかりでなく、間接税、税制全体にわたりまして、どういうところで御負担を願うのがよろしいかという点につきましては、直間両域にわたって検討をせなければいかぬのではないかと思っております。したがって間接税の中でも、とりわけいままで問題になっておりました、現に問題になっておりますけれども、付加価値税というような問題は、当然検討の対象に上ってくるのではないかと思います。したがって、私がいまここで直ちにこれを来年取り上げるとか取り上げないとかいうことを申し上げるのは、時期尚早と思いますけれども、私がいまの段階で申し上げられますことは、そういう増税の検討のお願いをするにいたしましても、またそういうことをお願いしなければならないような客観情勢、厳しい情勢だということでございますけれども、その前提としていろいろやらなければならないことがまずある。それから、そういうことをやり遂げた後で増税をお願いする場合は、直接税といわず、間接税といわず、全体に通じまして、真剣な検討をやらないといかぬのじゃないか。付加価値税についてやるともやらぬとも、いま、政府がみずから足を縛るというだけの余裕はないということを申し上げておきたいと思います。
  67. 野田毅

    野田(毅)委員 実は大臣、率直に申し上げて、われわれ付加価値税を導入するにはよほど準備段階が必要であるし、技術的にも来年度は無理であろうというふうに話はしております。     〔委員長退席浜田委員長代理着席〕 しかし、中には、いろいろ雑音が入ってきて、実はいまのようなお話でありますと、まあ少なくとも私は、来年度はとても技術的にも付加価値税は導入できない、検討は大いにやるけれども、来年の予算で導入することはまずないであろうというようなことぐらいはひとつ、あるいは大臣がいけないならば局長からでも、何かそういうような話が出れば安心をするのではないか、こう思うのですけれども、その辺はいかがでございましょう。
  68. 大倉眞隆

    大倉政府委員 全体の情勢につきましては、ただいま大臣から申し上げたとおりでございまするので、私どもとしてあらゆる角度から歳入確保のための手段を研究いたさなくてはならない。その意味で、五十一年度に何かを絶対にやりませんとか、何かは必ずやりますとかいうことをまだ申し上げる時期ではないということしか申し上げられない。  ただ、いまの御質問の中で、付加価値税という名前を非常に用いていろいろな反対決議がございましたりいたしますけれども政府税制調査会での従来の答申、現在の議論というものは、付加価値税をそのまま日本にいきなりやれという議論ではなくて、日本にこれを持ってくるときにはどういう問題があるんだということを具体的に勉強すべき時期に来ているということだと思います。したがいまして、率直に申し上げて、内容の議論がなしに、付加価値税という名前の税は悪税であるというふうにきめつけていたのでは問題は片づかないのではないか、そのように思います。
  69. 野田毅

    野田(毅)委員 この問題はこの程度にしまして、酒の問題についてちょっとお伺いをしたいのです。  現在、酒については製造あるいは卸あるいは小売といずれの段階でも免許制度が取り入れられておるわけでございますが、この前、薬局の問題について、薬事法が違憲であるという、こういう判決が出たわけでございます。当然酒の小売免許の件についても、これは従来から免許制度をやめるべきであるとかいろいろな議論があったことは承知をしておるわけでございますが、この薬事法が違憲であるという判決が出たということによって、なおさらこの問題の見直しといいますか、そういう必要性をいろいろ取りざたされるということがあろうと思います。  この問題について、そう簡単に薬事法と今回の酒の問題と一緒にして論議することはとてもできないわけでありますし、また今日まで免許制度がしかれてきたということにはそれなりの当然なる理屈があるはずでございます。この点、今後においても免許制度を維持していかれるとするならば、どういう形で、どういうふうにお考えをもって維持していかれるのか、ひとつお伺いをしたいと思います。
  70. 大倉眞隆

    大倉政府委員 いまさら申し上げるまでもなく、酒につきまして製造、販売ともに免許制度を現在持っております。また長年そのように続いてきておりますが、その背後にございます考え方は、やはり財政物資としてかなりの負担を求めている重要な歳入源である酒というものにつきましては、酒税の保全を図るために製造、流通の各段階を通じて免許制で動かしていく、それによって酒税の保全をいたしたいというのが基本的な考え方でございまして、その意味では、今後とも、現在のような免許制度を維持するということが適当ではないかと考えております。  ただ、御質問の中にございました薬事法に関連しての問題点が新たに意識されてきております。これにつきましては、私どもとしては、あの判決をいろいろ読んでみまして、薬事法についての薬局の距離制限は、距離制限を行わないと過当競争が起こる危険がある、過当競争が起こると不良医薬品を売る危険がある、そうすると、国民の健康に害を及ぼす危険があるというようにつながっている、そのつながり方は説得的でないというのが判決の要旨のようでございますが、酒の場合に、小売の免許がなくなれば乱立をして過当競争になる危険がある、それがひいては流通を混乱させ、酒税の保全に不測の影響を及ぼす危険があるということの、つまり公共の利益のためにという物の考え方は、薬事法の場合よりも非常に密接であり、明確であるのではないか。その意味で、薬事法のあの判決があったから直ちに小売免許についての距離制限をやめなくてはならない、違憲の疑いがあるからやめなくてはならないというふうには考えておりません。考えておりませんが、なお免許の実際の運用につきましては、国税庁の方で十分に変動する経済情勢に合いますように慎重な運用をしてまいりたい、そのように考えております。
  71. 野田毅

    野田(毅)委員 そこで、最近は各地に大型のスーパーであるとかあるいはデパートであるとかいろいろ進出をして非常な混乱をもたらしておるわけでありますが、特にそういった中で、酒の小売の免許申請をする事例がきわめて——ほとんどと言っていいぐらいあるわけでございます。そうなりますと、当然既存のその地域の小売の方々が大変な危機に瀕するというようなこともあるわけでございまして、この辺が、お互いの利害調整といいますか、確かに酒税の保全という観点からだけでどうもなかなか割り切れない面が出てくる。そうなると、その実際の免許制度の運用の問題について、かなり細かな配慮が必要であろうかと思います。その辺を国税庁の方はどういうふうに方向づけをされようとしておられるのか、お伺いをしたいと思います。
  72. 大槻章雄

    ○大槻政府委員 お答え申し上げます。  酒類の販売業免許の付与に当たりましては、先生案内のように、酒類販売業免許等取扱要領というものに基づきまして適正に運用してきているわけでございますが、スーパーとかデパート等の大型店につきましては、これに免許を与える場合は、零細な既存業者に与える影響が大きい場合もございますし、また、最近の経済情勢等も考慮いたしまして、新規免許の付与に当たりましては、慎重に運用しているところでございます。     〔浜田委員長代理退席、山下(元)委員長     代理着席〕  実際の運用に当たってどうしているかということでございますが、大型小売店の免許については、免許基準に合致している場合でも、実際には既存業者の反対が強い場合が多いわけでございますので、三十二年五月の参議院大蔵委員会における全会一致の決議の線に沿いまして、免許の付与に当たりましては、参考として関係酒販組合の意見を徴することとしているわけでございます。そうして、仮に反対が強い場合には、双方の立場を理解し合って円満な解決を図るために、免許申請者と地元の酒販組合の間で十分な話し合いが行われることが多いわけでございまして、当庁といたしましても、反対が強いままに強引に免許をするようなことがないように指導しておるところでございます。
  73. 野田毅

    野田(毅)委員 似たような問題は実はたばこの方にもあるわけでございまして、このたばこの販売についても、免許の際距離制限というようなものがあるわけなんですが、その点はどういうふうにいまお考えになっておられますか。
  74. 西沢公慶

    西沢政府委員 たばこにつきましても、先ほど主税局長の方から御説明がありましたとおりのように考えております。  なお、たばこにつきましては、専売制度そのものが合憲性があるということにつきましては、すでに三十九年七月に最高裁の判決がございます。それから、小売人の指定制度そのものが合憲性があるということにつきましても、昭和三十二年十月に東京高裁の判決がございまして、やはりわれわれといたしましては、小売人の指定制度に距離制限があることは、専売制度の目的であります財政収入確保を図るためにはぜひとも必要であるというふうに考えておりまして、薬事法の場合とはいささか事情が違うのではなかろうかというふうに考えております。
  75. 野田毅

    野田(毅)委員 たばこの問題でお伺いをするわけですが、現在公社の納付制度ということになっておりますが、この問題で、たしか四十六年五月に大蔵省専売公社の間で納付金率についての覚書が取り交わされたというようなことを伺っておるんですが、その内容、それから何のためにそういうようなものを取り交わされたのか、あるいは、どういう性格を持つものなのかということを、お伺いをしたいと思います。それから、今年度これはどういうふうに運用していかれるのか、この点もあわせて伺いたいと思います。
  76. 西沢公慶

    西沢政府委員 現在、先生指摘のとおり昭和四十六年五月以降大蔵省専売公社との間で覚書が取り交わされております。  それで、その内容といたしましては、日本専売公社が公社法の第四十三条の十三の規定によりまして国庫に納付する専売納付金の計算に当たっては、次の金額の合計額に相当する金額を目安としようではないかということでございます。その金額でございますけれども一つは第一種納付金と申しておりまして、いわば消費税に相当する部分でございまして、これは当該事業年度製造たばこの国内販売総定価代金の五六%に相当する金額からその年度納付いたしました地方たばこ消費税の合計額を控除した額がこの第一種納付金と言われているものでございます。二番目のものといたしましては、われわれ第二種納付金と呼んでおりますけれども、これはいわば法人税に相当しておる部分でございまして、その事業年度の決算上の利益から、ただいま御説明申し上げました第一種納付金を控除した金額の半分、五〇%に相当する金額でございます。この第一種納付金と第二種納付金の両者の合計額をもって専売納付金の目安にしようではないか、こういうのが覚書の内容になっておるわけでございます。  先ほども説明申し上げましたけれども昭和四十三年に消費税制度を導入してはどうかということが問題になりまして、われわれ、公社も含めまして鋭意消費税の導入を図ったわけでございますけれども、いまだ機熟せずということでそれが見送られたという経緯は、すでに先生案内のとおりでございます。その消費税制度は見送らざるを得ませんでしたけれども、その精神といたしておりまするところは、やはり何とかして実現に一歩近づけられないものか、公社の経営の責任の明確化あるいは財政収入の安定的な確保というふうな目的を達するためには何かこれにかわるようなことができないものかということでできましたのがこの覚書でございまして、自来四十六年から四十九年度まではこの方針に沿いまして覚書が取り交わされておるわけでございます。  ただし、五十年度につきましては、製造たばこ定価法の改正国会の御審議を経て通過いたしました段階で公社と詳細打ち合わせの上取り交わす予定にいたしておったわけでございますけれども、まだ国会の御審議が終わっておりませんので、この定価改定が実現しました暁には、納付金率等その内容にうきまして早急に検討して、早急にまた覚書を取り交わしたい、かように考えております。
  77. 野田毅

    野田(毅)委員 実はいまもお話があったのですが、消費税制度に移行したらどうかという議論がかなりあるわけですが、そうなりますと制度が移行したら、現在もう公社は要らぬじゃないか、いっそのこと民営に移管したらどうかというような議論も実は一方であるわけです。この問題は、実は現在いろいろ検討しておりますスト権問題なんかにも絡んで、民営移管論というのがあるわけなのですが、これは公社にお聞きするのは余り適当でないと思うのですが、こういった民営移管論というような問題について、監理官、どうお考えになりますか。
  78. 西沢公慶

    西沢政府委員 消費税制度を導入する必要があるということにつきましては、税調初め各種の審議会におきましてはおおむねの御賛同を得ておるところだと思います。  しかしながら、先ほども説明申し上げましたとおり機いまだ熟せず、消費税制度をストレートに導入することはいまだ実現いたしておらないわけでございます。将来ともわれわれとしましては消費税制度を導入していかなければならないという基本方針には変わりはないわけでございまして、引き続き検討を進めていっておる、いかなければならないわけでございますが、その際、ただいま先生指摘のとおり、その専売制度とただいまの消費税制度というものが一体両立するのかしないのかということがしばしば議論になっております。  この点につきましては、昭和四十三年の財政制度審議会の答申にも書いてございますけれども、消費税制度と専売制度とは矛盾するものではないというふうな指摘もちょうだいいたしております。現にたばこ消費税制度は、専売国でありますフランスとかイタリア、オーストリア、そういった国におきましては、専売制度と——形はいろいろございますけれども、いわば公社制度というものが矛盾していない状態で現存しておるわけでございます。したがいまして、われわれとしては専売制度と消費税制度とは、理論的にも実際的にも矛盾しているものではない、両立できるのではないかというふうに考えております。
  79. 野田毅

    野田(毅)委員 次に、葉たばこの問題についてお伺いをしたいのですが、このところ輸入がかなりふえて国内産業のシェアが非常に低下してきておるというような状況にあるわけなんですが、特に今度も石油がまた一割上がるとかいろいろな事柄が出てきておるし、また輸出が、外国の環境が思わしくないというようなことで、今後外貨問題もわが国の経済運営にとって非常に大きな問題となってくると思うのです。そうした中にあって、せっかくこれは、奨励をすれば国内産葉がもっともっと使えるはずでありますが、この点このシェアをふやす、つまりもっと生産奨励といいますか、そういうところに本腰を入れていってもいいのではないか。確かにコストの面で言えば公社はその分かなりかぶってくるというような厳しいことはあるかもしれませんけれども、もっと全体的な大きな目で見れば、外貨問題ということも考えれば、日本全体としてのコストというものは、かえってその方が安上がりではないか。そこでまあいろいろ品質の問題もありましょう、そうしたこともありましょうから、その国内産葉たばこの品質向上のための生産農家に対する何らかの奨励措置といいますかそういうようなこともないものだろうかというふうに考えておるのですが、その点はいかがでしょうか。
  80. 泉美之松

    ○泉説明員 現在専売公社でつくっておりますたばこに使用する原料葉につきましては、本年は外葉の、輸入葉の使用率が約三〇%、国産葉が七〇%になっております。ところが、御案内のように国産葉は昭和四十二年以降だんだん耕作者数及び耕作面積が減少してまいりまして、その結果、国産葉の生産数量が減ってまいっております。他方、製造たばこの需要は年々約五、六%ずつふえてまいります。その間にギャップを生じまして、従前は輸入葉といたしましては、いわゆる香喫味のためのアメリカの黄色バーレー、それからオリエント葉を中心としてそれを輸入していくということであったわけでありますが、国産葉が減少してまいりますために原料が間に合いませんので、それ以外に緩和料あるいは補充料としての葉たばこを輸入せざるを得ない状況になって、先ほど申し上げましたように、本年度は輸入葉の使用率が三〇%に達しておるわけでありまして、今後、国産葉の生産がふえませんと、この輸入葉の使用率は三〇%から三五%といったようにだんだん上がっていく傾向にございます。  私どもとしましては、昭和四十八年から生産対策を講じまして、国産葉たばこにつきまして生産の合理化を行って、できるだけコストを安く、多量につくるようにということを心がけておったわけでありますが、なかなかその効果があらわれませんでしたが、本年度ようやく、前年に比べまして約三千ヘクタールほど耕作面積がふえました。明年も恐らく二千数百ヘクタールふえるのではなかろうかと期待されておるのであります。  しかし、この程度の増加では、先ほど申し上げましたような製造たばこに対する需要の増加に必要なだけの生産葉は確保できませんので、何とかして今後とも生産対策を講じて生産の合理化を行う。何としても葉たばこにおきまして一番問題なのは労働時間が非常に多いということでありまして、種類によって違いますけれども、現在平均約四百五十時間ほど要しておるのでありますが、これを合理化して、まあ今後十年の間には約半分の労働時間で済むようにしていきたい。と同時に、病害抵抗性を持った多収性の品種を導入してそれをつくってもらうことによって、同じ耕作面積でも収量を上げていくという方向を考えておるのであります。  四十八年以降の生産対策を講じたことによりまして、乾燥室あるいは機械の導入、共同苗床といったものはかなり普及いたしておりますけれどもわが国たばこ耕地は、御案内のように一筆当たりの面積が小さいものですから、なかなか機械の導入ができにくい。のみならず、平たん地だけではなしに傾斜地も相当多いといったようなことから、機械の導入にも限界があるということでございますが、私どもとしましては、稲作の場合に日本的な機械を使用することによって大いに労働時間を少なくした点を模範といたしまして、たばこ耕作につきましても、平たん地には平たん地、傾斜地には傾斜地に適するような機械を開発いたしまして、それを導入することによって労働時間を少なくし、たばこ作というものがたばこ作農家にとって魅力のあるものになるようにやっていきたい、こういうことを考えておる次第でございます。
  81. 野田毅

    野田(毅)委員 いま国内産の葉たばこの生産奨励でいろいろ頭を悩ましておられる話をお伺いしたのですが、私ども実際に見ておりますと、確かに米に比べて五倍ぐらい労働がきついというような話もございますが、それだけではなくて、やはり収納価格の問題もあろうかと思います。率直に申し上げてことしふえたのは、やはり去年四四%を超える大幅な収納価格引き上げがあったからでありますし、またことしの場合、いろいろ御苦労願いまして一四・九というような数字になったわけでありますが、結局は、技術的あるいは労働の問題と同時に、やはり値段の問題が、実は今日の農政において、たばこも同じでありますが、根幹をなすものであろうと思います。  そこで先般、これは農林省から出されたのですが、総合食糧政策というものが出されて、御承知と思いますが、今後三年間稲転を奨励していくんだ、その稲転の奨励対象の中に麦であるとかあるいは大豆であるとかあるいは飼料作物、こういったいわゆる食糧が中心になっておるということなんです。そこでいろいろ考えておりますと、こういう奨励対象になっていくものは転作奨励が出てくる。ところが、たばこは現在、食糧ではないためにその奨励対象には実はなっていない、その中で、地域的な特産物といいますか、そういうものについては一応特認作物として、それぞれの地域で相談をしながら奨励対象に入れていこうというような考え方もあるようでございます。  たばこの場合、話を聞いていますと、なかなか病害の問題もあって連作がきかない。結局、畑ばっかりでやると病害が発生する。したがって、畑とたばこと水田、またたばこと水田、こういうようなスイッチをやっていくと、そういう問題も解消する。だから何とかそういうような場合にこの転作の奨励の対象になるということであるならば、恐らく総裁が御心配にならなくとも、逆にふえ過ぎて困るぐらい実は出てくるのではなかろうかとこう思うわけなんですが、少なくともこの特認作物として転作奨励の対象にしてもらえるように、ひとつ公社の方からも農林省と御協議をいただきたいと思うのですが、その辺、あるいはすでに検討が始まっているのかどうか、その現在の進捗状況といいますか、検討の状況をお聞かせいただきたいと思います。
  82. 泉美之松

    ○泉説明員 お話のように、従来からございました稲作転換奨励金は本年度限りということになっておりまして、農林省の方におかれましては、来年度以降、水田総合利用対策ということで、原則として食糧作物に限って奨励金を交付して水田の総合利用を図っていきたいというお考えのようでございます。したがって、原則は食糧作物に限られておりまして、たばこは食糧作物ではございませんので、その原則の方には入りませんけれども、お話のように、各地方ごとに特認作物というものが奨励金の対象になることになっております。わが国におきましては、西日本を中心といたしまして、先にたばこをつくりまして、たばこをつくった後を水田に利用するということがかなり広く行われておるのでございまして、また、そういうふうな水田にたばこをつくる場合には、従来、稲作転換奨励金をいただいておったような実績もございますので、私どもとしましては、お話の特認作物としてそういう地域に限ってたばこを奨励金の対象作物に加えていただきたいということを農林省に陳情申し上げておる最中でございまして、農林省のお話では、種々検討しているが、その結論はもう少し先にならないと出ないというようなお話でございまして、私どもとしましては、ぜひそういう特認作物の対象に葉たばこがなりますよう祈っておるような次第でございます。
  83. 野田毅

    野田(毅)委員 ぜひがんばっていただきたいと思います。  それから、これはたばこの小売の方なんですが、今度の定価改定で、実は最初は五月実施ということで——かなり自動販売機がいま普及をいたしております。そういうようなところが定価改定に備えて大分いろいろ改造して実はそのままになっておる、非常に困っておるというような話をよく聞くわけでありますけれども、この辺いま実情はどうなっておるのでしょうか。
  84. 泉美之松

    ○泉説明員 現在たばこに使われている自動販売機が十六万台余りございます中で、定価改定が行われますと、その改装を要するものが約十三万台ほどございます。前回の国会で衆議院を通過して参議院へ参りまして相当時間もかかっておるので、これは定価改定が実施されるに違いないということから、小売人の方はその改装をある程度されたようでありますし、また改装以外に新しく定価改定後の価格に対応できる自動販売機を購入された方もあるようでございまして、全部詳細には調査いたしておりませんけれども、改装すべき台数の約七、八割はすでに改装を終えておられまして、定価改定がおくれておりますために、せっかく改装したものが十分に活用できなくて困っておられるというお話はしばしば承るところでございまして、私どもとしましては、本来ならば、この定価改定ということは専売公社の方で行うことでありますので、できれば改装に要する経費の補助金でも差し上げたいということで予算の要求はいたしたこともあったわけでありますけれども、その予算の折衝の過程におきまして、たばこ小売組合としては、やはり歩率が一番大事なので歩率の改定を早くお願いしたい、自動販売機は小売人の責任において改装する、こういうことで予算は要らないということに落ちついておったわけでありますけれども、このような事態になりまして、大変小売人の方に申しわけないと思っておりまして、小売人の方にはそういう意味で公社の微意を表する措置を講じてまいっておりますが、それにいたしましても、できるだけ早く定価改定が実施されまして、せっかく新しく買いかえた自動販売機なりあるいは改装された自動販売機がフルにその効用を発揮するようになってもらいたいものだ、このように祈っておる次第でございます。
  85. 野田毅

    野田(毅)委員 以上で一応私の質問を終わりますが、いまの総裁のお話のとおり、単にこの定価改定問題が延びればその分だけ国の財政面で非常に大きな損失をこうむるということだけでなくて、すでに本来五月に実施すべき、その本来の姿を予定したそういった方々がこういうような不測の事態といいますか、非常に困った事態のためにかえって不利益を受けるというような非常に嘆かわしい事態をもたらしておるわけでございます。われわれもすでに前回の通常国会においても非常に長い時間をかけて慎重審議をした結果でもございます。この問題について心からの賛同の意を強く表明して私の質質を終わります。(拍手)
  86. 山下元利

    山下(元)委員長代理 村山達雄君。
  87. 村山達雄

    村山(達)委員 いままで同僚諸君から酒、たばこの値上げについてのいろんなやむを得ないという理由政府に聞いたわけでありますが、私はそれらの問題に触れるわけではありませんが、少し先の話を少し政府の方からお聞きしたいと思います。  一つたばこの問題でございますが、先ほど消費税制度の導入という問題があったわけでございます。私も賛成でございまして、いまの納付制度を見ておりますと、実は納付金というのは従量税でもない。原価がだんだん上がってまいりますと、当然税の従量税としての自然減税分と、それから原価がどんどん上がっていくというそれが全部定価の方にしわ寄せになりまして、そして納付金がどんどん減っていくわけでございます。定価改定ということは実はその二つの問題を含んでいるわけでございますが、なかなか国民にはわかりにくいのでございます。したがいまして、今後財政収入の安定を期するという意味から言いましても、やはりいまのたばこ消費税と同じような——あれと同じ仕組みでなくてもよろしゅうございますが、従量税として税は国として一体幾ら取っているのだ、それからたばこ消費税を合わせてどれだけの益金率になっているのか、その点をやはり明白にした方がいいのじゃないか。そして、毎年笹年の原価の値上がりでございますけれども、これは、もう言うまでもなく原料葉たばこあるいはその他の原料が上がっていく、あるいは賃金が上がっていくわけでございますから、それ自身一つの公社のコスト計算の問題でございますから、その分はその分としてやはり機動的に改正していった方が合理的ではないか。  ただその場合、もしそういう制度にいたしますと、現在の日本法律制度から言いますと、増税はやはり法律事項でございますが、原価の改定に基づく定価改定も恐らく財政法第何条かで当然国会承認を要することになると思うのでございますけれども、これはもう私の意見でございますけれども、それはほとんど必要のないことじゃないであろうか。やはりコストを割ってやるという事業はあらゆる面で成り立たぬわけでございますから、当然それは、いま米の値段を改定する場合に法律事項から特例法で外しておるわけでございますから、その分はやはり外していく、こういう仕組みを持った方が国民にもわかりやすいし、そして増税を何遍もやらなくても済む、改定を何遍もやらなくても済むということにもなりましょうし、原価の値上がりに基づく改定はその都度必要に応じてやっていくという習慣をつくった方が、国の制度としても、また国民にもわかりやすいと思うのでございますが、その辺に関する考え方はどうでございましょうか。
  88. 西沢公慶

    西沢政府委員 ただいま先生から御指摘のございました点については全くそのとおりであろうと思います。  消費税制度を導入することにつきましては、これは先ほど来御説明申し上げておりまするとおり、われわれも公社もひとしくその必要性を痛感いたしておるわけでございます。なお、税調なりあるいはその他の専売事業審議会等々におきましても、消費税制度を導入すべきであるということが言われております。現にわれわれといたしましても、昭和四十三年に消費税制度を導入すべく鋭意努力をいたしたわけでございます。しかしながら諸般の事情によりまして、これが実現をしないまま今日に至っておるわけでございます。  考えてみまするに、その諸般の情勢の中には幾つかの理由があろうかと思いますが、一つにはただいま先生から御指摘がありましたとおり、消費税制度を導入したその上にさらに現在のような製造たばこ定価法というものが要るのか要らないのか。われわれから申し上げさせていただきまするならば、現在、製造たばこ定価法があること自体は、いわば租税法定主義の延長であるのではないかというふうに考えております。したがいまして、租税法定主義のたてまえからまいりますれば、消費税制度をとり、これの改廃につきましてはあるいは変化につきましては、当然、国会の御審議をいただかなければなりませんけれども、消費税制度を導入し、その上にさらにもう一つ定価改定についての枠がなくてもいいんではないかというふうにわれわれも考えておりまするけれども、果たしてそういうふうにいけるものかどうか。あるいは現在の製造たばこ定価法のようなものではなくて、もう少し一般的な原理原則を決めたような規定にとどめるというのも一つの方法ではないかと思いますけれども、いずれにしましても、製造定価法と消費税制度とどういうふうに両立をさせるのか、あるいは一方だけあればいいのかどうかというふうなことが一つの問題でございます。     〔山下(元)委員長代理退席、委員長着席〕  それから二番目の問題としましては、これは専売事業全般を取り巻きます関係者の理解と協力の問題がございます。具体的に申し上げますれば、葉たばこの耕作者の皆さん方あるいは小売店の皆さん方あるいはその他の専売公社の関係者の中で、消費税制度というものが長い目で見て専売事業の発展のために必要であるという御認識をいただかなければならないわけですけれども、この点につきましては、それぞれメリット、デメリットがございますので、先般の四十三年のときにはこういう関係者の方々の御理解が十分に得られなかったというようなことが一つございます。  それから三番目の大きな問題としましては、やはり経済全般が落ちついてまいりませんと、仮に消費税制度は導入した、製造たばこ定価法は残ったというようなことを考えてみますると、原価が上昇した分がそのまましっくりと定価の方に反映できないということになりますれば、これは専売公社が赤字に直ちになるというような事態にもなりかねないということがございますので、やはり経済全般が落ちついてくるというようなことも導入をするための一つの大きな前提条件になるのではないかというふうに考えております。  こういったいろいろな問題がございますけれども、基本的には、先生からただいま御示唆がございましたように、消費税制度を導入し、定価改定についていま少し弾力的な方向でやれるようにしていただけないものかというふうに考えておるわけでございまして、その点、先生の御意見に全く同感でございます。
  89. 村山達雄

    村山(達)委員 問題は、その消費税制度を導入したときに、原価の値上がり分に対してそれを一々法律事項改正するのでは手続が二重になるわけでございますから、これを法律事項から外すということについて国民のコンセンサスを得るということが最も大事な点であると思うわけでございますので、政府の方もそのことを大いにPRしていただきたいということを特に希望しておきます。  それから第二に、先ほど問題になりました、現在の制度でありましてもまた消費税制度をとりましても同じ問題でございますけれども、現在の専売制度と民営制度の優劣の話なのでございますが、私たちいまずっと皆さんから資料をもらって見ておりますと、日本の労賃は、いまほとんど欧米並みになっておる。原料葉たばこは恐らく反当たり生産性は高いと思いますけれども、どうしても経営規模が小そうございますから、やはりコスト高でもって外国の葉たばこより割り高についているんじゃないだろうかと思います。しかし、でき上がったものを定価で見てみますと、先ほどもお話がありましたように、ほかの国に比べれば、いや三分の一だとか二分の一だとか、専売制度をとっておるところに比べましてもなお五割以下になっておるということ、これは要するに先ほど総裁からお答えがあったのですけれども、やはり規模の利益が完全に出ているのじゃないだろうか、もちろん今後とも合理化を進めてもらわなければならぬわけでございますけれども、やはり専売制度によって比較的低廉なものを国民に供給しているということについてもっと自信を持っていいんじゃないだろうか。つまり消費者の立場から言いますと、現在の専売制度というものは非常に生産性を上げているんじゃないかという感じが、いろんな統計を見るとどうしてもせざるを得ないわけでございますが、その辺皆さんはもうちょっと自信を持っていい、私はそう思うのでございますが、皆さんどういうふうに考えておるか、考え方をお聞きしたいと思います。
  90. 西沢公慶

    西沢政府委員 ただいま先生指摘になりましたとおり、やはりわが国の場合には唯一の専売公社たばこの製造、販売をやっておりますために、規模の利益というものがあることは事実でございます。また公社が企業合理化のためにできるだけのことを従来もやってまいりましたし、また今後とも引き続きその方向で努力していかなければならないことは当然といたしましても、現在の専売公社制度のもとで、われわれとしては引き続き最善を尽くしていくということが筋道であろうかと思います。  消費税制度と専売制度につきましても、先ほど御答弁申し上げましたとおり、これは両立ができますし、また現に専売国であります国におきましても、消費税制度と専売制度というものが両立しておるわけでございますので、決して矛盾するものとは思っておりません。
  91. 村山達雄

    村山(達)委員 酒税についてちょっとお伺いしたいのですが、これは今度の改正案とは直接関係ないのでございますが、いろいろ酒類の種類ごとのいまの上がり方を見ておりますと、御案内のように日本酒についての将来が非常に心配になるわけでございます。ほかの業種は御案内のようにかなり大きな規模でやっておりますが、日本酒はいま三千ばかりの零細企業がやっておりまして、その二割ぐらいは現在恐らく赤字ではないだろうか、それで三割ぐらいのものは恐らく利益が年間五十万以下ぐらいではないかと思っております。数字は結構でございます。私の感じをいま申し上げておるわけです。しかしこの傾向は私はますます激しくなると思うのでございます。一つは嗜好の変化という問題がありまして、日本酒よりも洋酒とかビールに行くという問題もあるかもしれません。  しかし私はそれを言うのではなくて、嗜好の変化は消費者の選択でございますけれども、いま原料価格の値上がりの競争関係でございます。言うまでもなく日本酒は米を中心にやっているわけでございますし、それからその他のものは麦を中心にやっているわけでございます。最近のこの二、三年間をずっと見てみますと、米の方は食管制度によりまして管理米価格が決まってくる。自主流通米については、軌道に乗せなければならないわけでございますから、ある程度の補助金を出してやっているわけでございまして、酒の方もその補助金には均てんさせていただいているわけでございます。しかし、補助金をもらった後の米の値上がり状況を見てみますと、たしかこの四年間ぐらいで五割ぐらい上がっているわけでございます。しかし一方、麦の方は国際価格でもって決まってずっとくるわけでございまして、この値上がり率はこの四、五年間で私は二割ぐらいだと思っておるのでございます。総原価の中で幾ら占めるかわかりませんけれども、醸造費の中に占める米の比率は大体六割程度でございましょう。とにかく日本酒とその他のものは、いまの食管制度からくることから言いまして、そしてまた将来逆ざやが漸次解消するといたしますと、いまのような値上がりの格差はますます拡大せざるを得ないわけでございます。  そこで、業界がこれにどういうふうに対応するかという問題も一つありますけれども税制の上でも一つの問題点を投げかけているのじゃなかろうか。こういうことを突然質問するわけでございますが、どうかその辺を、担税力というものは一体何かという原点に立ち返って、日本酒の担税力それからその他の酒類の担税力、こういったものを単純に小売価格に対して何割がいいんだというようなことだけでなくて、もう少し原点に立ち返って、担税力というのは一体何か、負担の公平というのは一体何か、そこにいまの酒税を何らか工夫する余地があるかどうかというような問題をぜひ考えていただきたいと思うのでございます。  突然申し上げましたからなかなか実感が出ないかもしれませんが、ひとつ希望しておきまして、何か感想がありましたらお伺いしたいわけでございます。
  92. 大倉眞隆

    大倉政府委員 ただいまの村山委員の御指摘は、今後の問題としまして、非常に重要な問題であろうと私ども考えております。いま御審議をお願いしております改正案は、実は四十三年以来のいわゆる消費税のおくれ、従量税率によるためのおくれを取り戻すということに主眼が置かれておりますけれども、それにしましても、仮にそのおくれを全部取り戻すとすれば約四千億ぐらいの増税考えなくてはならない計算になろうかと思います。これに対して、千億そこそこの増税の案でいまお願いしているわけでございますから、その意味では完全な取り戻しはとうていできていない。したがって、おっしゃる酒類種類別のバランスの問題もあるけれども、この際はほぼ同じ比率でみんなを戻していこうという考え方ででき上がっておるように私は理解しております。  ただその場合でも、おっしゃる清酒の問題はかなり意識されておる。低価格酒を据え置きたいということで二級酒を据え置いているという中でも、やはり清酒の二級の問題はかなり意識されておる。同様に、ほかの種類をほぼ同じ比率で負担増を考えながら、清酒の一級は特級に比べて若干下げておるというあたりにも、いまの問題がかなり意識されて今回の改正案になっておると思います。  幸いに今回の法律成立させていただいた後で、またいずれかの機会に従量税率によるものと従量税のものとあわせまして、もう一度酒税の構造を見直さなくてはならない時期があろうかと思いますが、そのときには、それまでの間の消費の移り方、酒類種類別のコストの上がり方、それらを含めまして、村山委員指摘のように、種類別負担のバランスというのはどうあったらいいのかということをもう一遍根元から吟味してみるということはどうしても必要になろうかと考えております。
  93. 村山達雄

    村山(達)委員 その問題に関連して、私もまだはっきり私自身結論が出ておるわけではなく、とつおいつ考えているのでございますけれども、今度は日本酒の方の側から申しますと、業界ではやはり生産量がどうしても多過ぎる、それがだぶついておって買い手市場になっておる、こういう問題が一つあるんじゃないか。それからもう一つは、戦前までさかのぼるわけでもございませんけれども、昔の日本酒というのはそれぞれ地酒ごとに特色がありまして、つきぶり歩合からいいましても甘口、辛口ありいろいろあったわけでございますから、かなり多方面の嗜好に応じ得たと思うのでございますが、戦後はほとんど三倍増醸でございまして、極端に言うとどの酒を飲んでもみんな同じような甘口ばかり出ておる。だから、こういったところにも、これはむしろ業界の問題かもしれません。あるいはまた、当時考えますと、当時は造石税でございまして、どんな酒をつくっても一種の商売の妙味はあったわけでございましょう。それが現在はいろいろな負担の公平という角度から級別ができ、特にまた従量税と従価税というものができている。そこで嗜好に合わせるという問題とそれから税制の公平あるいは税収の確保という問題をどのように調和したらいいのか、私にも余り結論がないのでございますが、その辺が非常にむずかしい問題じゃないだろうか。  特にその辺について感じますのは、たとえば日本酒で言いますと、いま特級酒でも従価、従量別があるのは御承知のとおりでございます。従価税のかかっておる酒のウエートというものがほとんど伸びない。つまりあそこは妙味がないわけでございますから、みんな従量税いっぱいのところでしか伸びてこない。これは恐らく、ちょうど物品税の免税点と同じような作用をいたしまして免税点以下のところに物が集中する。だから税制の仕組みもやはり一つ関係してきやしないだろうか。だから従価税とそれから従量税を置いておるということからなかなか従価税に行かない。この辺がやはり税制プロパーの問題とそれから消費者の利益の問題とも結びついてくるんじゃないだろうか。  さらばいまどうしたらいいかという結論は私もないのでございますけれども、その辺も一つ問題点として取り上げていただきたい、これはお答え要りません。希望しておきます。  それから、これは主税局長に伺いたいわけでございますが、日本税制は、御案内のように、累進税率とるものありあるいは比例税率とるものあり、それも従価それから従量、定額と、三つばかりあるわけでございましょう。そして定額税と従量税というものは、やや似たものだろうと私は思っておるわけでございます。言ってみますと、累進税率、比例税率、あるいは定額税率と、三つに分けられると思っておるわけでございます。いままで、昭和二十五年から昭和五十年まで、平年度減税がこんなにあった国はどこの国もないと私は思います。諸外国はほとんど、増減税出しますと、恐らくプラス・マイナス・ゼロぐらいになっていやせぬだろうか。若干あるところでは増税、あるところでは減税、ほとんどプラス・マイナス・ゼロぐらいというのがほかの先進国では出ているのじゃなかろうか。日本は二十五年から五十年で、平年度計算だけで、たしか直接税ではこの二十五年間で四兆七千億ぐらい国税だけで減税しておったように覚えております。逆に間接税の方は形式的には増税になっているわけでございまして、恐らく五千億から八千億くらい増税になっていると思っています。  しかし、考えてみますと、直間の比率はまさに逆転いたしまして、減税をやっておる方の直接税のウエートがどんどんふえている、それから増税をやっている方の間接税のウエートはどんどん減っているわけでございますから、そのことから何が言えるかということになれば、当然のことでございますけれども、定額税というものをほっておけば、国民経済がどんどん伸びていくときには自然減税になっているに違いない。それから比例税率はちょうど中立でございますし、それから累進税率は実質的な所得が増加した分にだけ累進税率がかかるのでなくて、名目的部分にまで累進税率がかかるわけでございますから、その当時盛られた、ある時点で決められた累進税率以降、もし名目所得がずっと伸びるとすれば実質的には税負担は増加する。自然増税が起きていると言わざるを得ないんじゃないだろうか。  そういうことで、片方、増税した方がどんどん比率が減っていき、それから減税した方が逆にウエートが高まっていくということは、そういう税率構造の持っておる経済的な性質から来ているんじゃないかと私は思っておるのですが、この点は主税局のお考えはどんなふうに考えておられますか。
  94. 大倉眞隆

    大倉政府委員 ただいまの村山委員の御指摘は、私も結論としてほぼ同じような考え方を持っております。ただ、強いて申せば、一つ日本の場合の間接税は、やはり課税範囲外国制度に比べてかなり狭い。個別消費税体系をとっておるというところにも若干の問題があるのかもしれません。同時に、個別消費税の中で従来かなりのウエートを持っておった酒が従量税であるということで、間接税の課税範囲と、課税範囲の中での比例税率ないし従価税率と従量税、定額税との割り振りの問題、その仕組み方がどうしてもある程度の経済成長を前提にしたときに、何もしなければどんどん間接税のウエートが下がっていくという、一種のそういう基礎構造になっているという点は私御指摘のおりだと思います。
  95. 村山達雄

    村山(達)委員 それから、これも希望でございますが、先ほどの大臣の御答弁の中で、日本税率構造というものは、単に個別の税だけでもってこれが逆進だとかあるいはこれが累進だとかいうことでなくて、税制全体としてどのような累進性を持っておるのか、それを所得階級別に出すということ、これはかって家計調査をやりまして出したことはあるのですが、最近比較的そういう議論が行われていない。したがって、一つ一つを取り出して功罪を論ずるという風潮が非常に強いと思うのでございますが、財政は当然そういうことでやっていけないので、実証的にそれをぜひ出していただいて、そして国民にそのことを強く理解していただく。税制が全体としてどれくらい所得再分配に寄与しているかということを直間を合わせて出すようにしていただきたいのでございます。これは希望しておきますけれども、この辺についてのお考えがありましたらお聞かせ願いたいと思います。
  96. 大倉眞隆

    大倉政府委員 私どもとしましても、ただいま御指摘のような分析は非常に重要なことだと考えております。ただ、御承知のとおり、四十三年が一番新しいと思いますけれども、家計調査をもとにしまして、家計調査の中での消費の態様をベースにして間接税負担を所得階層別に試算してみたことがございます。ただ、これは家計調査そのものが御承知のようにかなりサンプル数が少ないとか、それから所得階層別に分けるのに、統計的にそれをそのまま全世帯に引き伸ばしていいかどうかというようないろいろなむずかしさがございまして、御指摘のような勉強は私どもとして続けてみたいと思いますけれども、いまのところ家計調査以外にそういうものがないというところで非常に思い悩んでおります。家計調査を使ってみればこういうことになるということぐらいは、これは大分時間がかかる話でございますが、今後勉強してみたいとは思っておりますが、国民全部にそれを広げて議論をするのにそれがたえ得るほどのものになるかどうか、その点についてはなお若干の疑問が残っておるという感じがいたします。
  97. 村山達雄

    村山(達)委員 それでは、最後に大蔵大臣にひとつ御希望を申し上げておきたいと思います。  いま歳入欠陥が非常に伝えられているわけでございますが、これはよく見てみますと、やはり経済の見通しがかなり違ってきた。特に法人面における分配所得の見通しが大きく違ってきたということが法人税の大変な減収をもたらしたと思うわけでございます。そのことはいずれ手当てをするわけでございますけれども、われわれは財政の機能といたしまして、資源再配分とかあるいは所得再配分という問題と同時に、財政は景気調整機能がかなり大きな問題になるに違いないと思っているわけでございます。いままで高度成長の二十何年間、補正予算財源が本当に出たということさえ実際は論理的な話ではありませんで、全く高度成長が補正予算財源をたまたまつくり出したと言わざるを得えないと思うわけでございます。  そういう意味で、今後減速経済が予想されるときでございますから、財政は当然景気調整についても配慮するところがなければならぬと思うのです。伝えられる今後赤字公債を出さざるを得ないということも、逆から言いますと、消極的な意味の景気調整機能であろうと私は思うのです。歳出を急に減らすとか増税するということはできませんから、ここは一時借金政策によらざるを得ない。それはまた不況対策の方は当然でございますけれども、赤字でここを泳ぐということも、逆の意味、消極的な意味では私は景気対策の一つであろうと思うのです。  ただ、こういう形でスタートした、いわば財政の弾力性が赤字の方から入ったということはきわめて残念なことでございますが、今後、先の話になるかもしれませんけれども、だんだん自然増収がよけい出てきたようなときには、逆の意味で、景気調整のための積立金のようなものを歳出項目に立てておくということがどうしても必要になってくるのじゃないだろうか。財政はそんなに上げたり下げたりすることはできません。しかし景気の方は遠慮なしに世界経済の波で洗われてくるわけでございますから、当然普通歳入には大きな波動があるに違いないのでございます。今後こういうことを一つの機会にいたしまして、ぜひ財政に弾力性を持たせるように財政制度その他、必要とあれば法律改正をも辞さぬというかっこうでいくべきだと考えているわけでございますが、この点に関する大臣の御所見を承って、私の質問を終わります。
  98. 大平正芳

    大平国務大臣 財政は資源配分機能ばかりではなく、いま村山委員が御指摘のような景気調整機能を十全に果たしてまいる責任があると思うのであります。したがって、去年の補正段階から歳入欠陥が明瞭になってまいりましたけれども政府といたしましては、歳出歳出としてもくろみどおりやっていただくことにいたしまして、歳入不足の補てんにいま奔走いたしておりますゆえんのものも、ただいま景気がこのように落ち込んだ段階でありまするし、雇用の不安が伝えられておるわけでございまするので、何としても景気を支えて、経済を支えてまいらなければならぬ、雇用を維持してまいらなければならぬという願いから出たものにほかならないわけでございます。したがって、今度の公債の増発にいたしましても、いま申しましたように、あなたの言われる景気調整機能を十全に果たしていかなければならぬという責任に立脚したものであると御理解をいただきたいと思います。  しかし、いよいよ財源に弾力が出てまいりましたならば、将来に備えて準備金あるいは積立金を財政の中に持っておくべきではないかというお考えにつきましては、確かに傾聴に値する御提言でございますので、政府としても十分検討いたしたいと思いますが、目下まだそういう余裕はないことは御案内のとおりでございます。
  99. 瓦力

    ○瓦委員 ……(発言する者多く、聴取不能)質疑を終局されんことを望みます。
  100. 上村千一郎

    上村委員長 瓦君の動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔発言する者、離席する者多し〕     〔委員長退席山下(元)委員長代理着席〕
  101. 山下元利

    山下(元)委員長代理 瓦君の動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔発言する者、離席する者多し〕
  102. 山下元利

    山下(元)委員長代理 起立総員。よって、決しました。(発言する者多し)     —————————————
  103. 山下元利

    山下(元)委員長代理 次に、たばこ……(発言する者多く、聴取不能)………起立を求めます。     〔発言する者多く、聴取不能〕
  104. 山下元利

    山下(元)委員長代理 ……よって、両案は決しました。     〔発言する者多く、聴取不能〕
  105. 山下元利

    山下(元)委員長代理 本日は、これにて散会いたします。     午後二時三十二分散会      ————◇—————