○近江
委員 私は、最近の
政府の姿勢というものにつきまして非常に疑問を持っておるわけです。スト権の問題につきましても、
政府声明を見ましても非常に配慮というものがないように私は思うのです。三木内閣としては、非常にひ弱な内閣であるということは国民皆知っておりますが、やはり党内を固めていくという点においてどうしてもタカ派の
意見に迎合していく、それがああした
政府声明になってくる。この間の大阪空港の訴訟問題につきましても、判決のあった翌日抗議団が上京して、運輸省としては三日に回答すると約束したわけです。それも抜き打ち的に上告を決定して、上告をする。いわゆる公害の被害者が本当に泣いておるわけです。そういう人たちの気持ちも踏みにじって、上告を強行してしまう。
今度の私鉄だってそうですよ。長官も御承知のように、今年の春闘は一三・一ですよ。そうして物価がじりじり上がってくる。公共料金は、米を初めとしまして、各公害
企業、地下鉄を初めどんどん上がっておりますし、また、この間国鉄の料金があのように大幅に
引き上げられたわけです。私鉄も平均二四・六%の
引き上げである。私鉄などはなぜこんなに上げなければいけないのですか。大手十四社の経理
内容等はばらばらですよ、出しておるのは。しかも、これは足並みをそろえて
値上げを
申請して、運輸審議会もそれを、わずか三月足らずですよ、前回は審査が二年以上かかっている、それを三月足らずで出してきて、それを運輸省がすぐ受けてきょう決めてしまう。これほど国民をばかにした
やり方はないと私は思うのですよ。しかも私鉄十四社は、営業収益を見ましても、他の産
業界では三社に一社と言われるほど非常に減益会社が続出しておるわけですが、九月期決算で見る限りは大幅な増益になっているのです。運賃
値上げの緊急性というものはあるのですか。
さらに、運輸省は、私鉄運賃の
値上げを認めやすいように、各社に対して、政策減配をして
経営が苦しいように見せかけのための行政
指導をしたというようなことも巷間伝えられておるわけです。あるいは不動産やデパートなどの営業部門の不振を
値上げの理由に挙げておる。そんなことは全くおかしいわけです。そうして兼業部門の
赤字を運賃
値上げでカバーしようというような安易な姿勢というものは、そのまま認めていっていいかという問題なんです。
いまざっと私申し上げたわけでありますが、そういうように本当に苦しんでおる国民の立場に立つならば、こんな安易な認め方をしていいのですか。長官は少なくとも閣僚協議会のキャップなんですよ。責任はきわめて重大ですよ。ですから、十三日からという決定をされたそうでありますが、これはもう一度戻して、物価対策閣僚協議会で決めたことは非常に問題があった、閣議で再検討してもらいたいということを長官からひとつ閣議に出してもらって、一度これは御破算にしてもらいたいと思うのです。これほど、あとメジロ押しに公共料金の
引き上げラッシュが続いておる、来年
賃金だってどうなるかわからない、そういう不安の中で平気でこんなものを
引き上げていくという
政府の姿勢というものは、私は大問題だと思うのです。どういう反省をされ、その反省されたことを今後どう実践に移されますか、これをひとつお伺いしたいと思います。