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1975-11-05 第76回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年十一月五日(水曜日)委員会において、 次のとおり小委員及び小委員長を選任した。 災害対策の基本問題に関する小委員       今井  勇君    宇田 國榮君       越智 伊平君    島田 安夫君       田村 良平君    高鳥  修君       村岡 兼造君    金丸 徳重君       兒玉 末男君    柴田 健治君       柴田 睦夫君    高橋  繁君       宮田 早苗災害対策の基本問題に関する小委員長                 高鳥  修君 ――――――――――――――――――――― 昭和五十年十一月五日(水曜日)     午前十時二分開議  出席委員    委員長 金丸 徳重君    理事 今井  勇君 理事 越智 伊平君    理事 高鳥  修君 理事 兒玉 末男君    理事 柴田 健治君 理事 柴田 睦夫君       吉川 久衛君    塩谷 一夫君       竹中 修一君    中尾  宏君       萩原 幸雄君    増岡 博之君       宮崎 茂一君    森下 元晴君       井上  泉君    佐藤 敬治君       芳賀  貢君    津川 武一君       山原健二郎君    高橋  繁君       広沢 直樹君  出席政府委員         国土政務次官  斉藤滋与史君         国土庁長官官房         審議官     紀埜 孝典君         農林大臣官房審         議官      杉山 克己君         林野庁長官   松形 祐堯君         気象庁長官   毛利圭太郎君         建設政務次官  中村 弘海君  委員外出席者         国土庁長官官房         災害対策室長  山本 重三君         国土庁地方振興         局総務課過疎対         策室長     田中  曉君         大蔵省主計局主         計官      梅澤 節男君         大蔵省主計局主         計官      西垣  昭君         大蔵省銀行局特         別金融課長   岡崎  洋君         厚生省社会局施         設課長     水田  努君         農林省農林経済         局保険業務課長 大塚 米次君         農林省構造改善         局建設部防災課         長       棚橋 正治君         食糧庁業務部長 戸塚 金郎君         林野庁指導部長 藍原 義邦君         林野庁業務部長 須藤 徹男君         水産庁漁政部漁         業保険課長   橋本  隆君         中小企業庁計画         部金融課長   安田 佳三君         気象庁観測部測         候課長     山田 三郎君         気象庁予報部予         報課主任予報官 越智  彊君         建設省河川局次         長       堺  徳吾君         建設省河川局河         川計画課長   栂野 康行君         建設省河川局開         発課長     佐々木才朗君         建設省河川局防         災課長     井沢 健二君         建設省河川局砂         防部砂防課長  中村 二郎君         建設省河川局砂         防部傾斜地保全         課長      大工原 潮君         建設省住宅局住         宅総務課長   吉田 公二君         建設省住宅局建         築指導課長   大田 敏彦君         自治省財政局指         導課長     関根 則之君     ――――――――――――― 委員異動 十一月五日  辞任         補欠選任   渡辺美智雄君     吉川 久衛君   阪上安太郎君     井上  泉君   辻原 弘市君     佐藤 敬治君   三浦  久君     山原健二郎君 同日  辞任         補欠選任   吉川 久衛君     渡辺美智雄君   井上  泉君     阪上安太郎君   佐藤 敬治君     辻原 弘市君     ――――――――――――― 十月二十三日  干ばつによる被害対策に関する請願柴田睦夫  君紹介)(第一〇一〇号) 十一月四日  台風第五号等による北海道地方集中豪雨に伴  う災害激甚災害指定に関する請願多田光雄  君紹介)(第一五三〇号)  台風第五号等による北海道地方集中豪雨災害  に関する請願多田光雄紹介)(第一五三一  号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 十月二十一日  台風五号による災害対策に関する陳情書外二件  (第一六  一号)  鳥取県における降ひよう災害対策に関する陳情  書(第一六二号)  災害弔慰金及び災害援護資金制度の拡充に関す  る陳情書外一件  (第一  六三号)  天災による被害農林漁業者等に対する資金の融  通に関する暫定措置法貸付条件改善に関する  陳情書外一件  (第一六四  号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  小委員会設置並びに小委員及び小委員長選任の  件  災害対策に関する件      ――――◇―――――
  2. 金丸徳重

    金丸委員長 これより会議を開きます。  災害対策に関する件について調査を進めます。  この際、小委員会設置の件についてお諮りいたします。  先般の理事会の協議に基づきまして、災害対策の基本問題について調査を行い、必要な対策を樹立するため、本委員会に小委員十三名より成る災害対策の基本問題に関する小委員会を設置いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
  3. 金丸徳重

    金丸委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  次に、小委員及び小委員長選任の件についてお諮りいたします。  小委員の各会派割り当ては、自由民主党七名、日本社会党三名、日本共産党革新共同一名、公明党一名、民社党一名とし、小委員及び小委員長委員長において指名いたしたいと存じますが、これに御異議ございませんか。
  4. 金丸徳重

    金丸委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  それでは、災害対策の基本問題に関する小委員に       今井  勇君    宇田 國榮君       越智 伊平君    島田 安夫君       田村 良平君    高鳥  修君       村岡 兼造君    金丸 徳重君       兒玉 末男君    柴田 健治君       柴田 睦夫君    高橋  繁君       宮田 早苗君  以上十三名を指名し、  小委員長高鳥修君を指名いたします。  なお、本委員異動等に伴う小委員及び小委員長辞任及び補欠選任につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  5. 金丸徳重

    金丸委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。      ————◇—————
  6. 金丸徳重

    金丸委員長 次にお諮りいたします。  先般、台風第五号、第六号及び集中豪雨による被害状況調査のため、第一班は北海道に、第二班は青森県、秋田県及び山形県に委員を派遣いたしましたが、その調査報告書並びに県、市町村等からの要望事項委員長の手元に提出されておりますので、派遣委員報告はこれを省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、これに御異議ございませんか。
  7. 金丸徳重

    金丸委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。      ————◇—————
  8. 金丸徳重

    金丸委員長 災害対策に関する件について質疑の申し出がありますので、順次これを許します。児玉末男君。
  9. 兒玉末男

    兒玉委員 今回の第五号並びに第六号台風災害に当たりまして、百三十名を超えるとうとい生命が奪われたことについて、御遺族並びに罹災者に対して心からお見舞いの言葉を申し上げ、御冥福をお祈り申し上げます。  ところで、今回の災害に当たりまして、私は四国三県並びに東北三県の約三十八を超える関係市町村災害現地を視察し、また数多くの御要請をいただいてまいったわけでございますが、何といいましても災害復旧は最大の急務を要するわけでございまして、特に被災地関係団体の熱烈な要請に対しまして、私は総括的に大筋として四点にわたり御質問したいと思う次第でございますが、特に四千五百を超える膨大な公共施設を初めとして、その災害復旧に対する展望なり対策について、今日地方自治体はどのような手だてをすればいいのかという非常に深刻な状況に置かれているのが現状であります。  そこで第一点、大蔵省並び自治省にお伺いしたいことは、特に地方公共団体財政が極度に逼迫しておるとき、本年度被害地方公共団体に対する国の財政援助については特に全般的に特例措置を講ずる必要がある。いわゆる特別交付税なりあるいは地方債の枠の拡大等、このような財政的な措置が緊急に要請されるわけでございますが、自治省並び大蔵省はこの第五号、第六号災害を含めた関係についてどういうような措置を講じているのか。特に地方自治体においては、いわゆる交付税等経済情勢の悪化により一兆一千億も落ち込んでいるという問題が現在地方行政委員会等でも指摘されているわけですが、これらの点に関しまして自治省大蔵省対策措置についてお伺いをしたいと存じます。
  10. 関根則之

    関根説明員 ことしは、私ども数字でも昨年よりも災害発生量が多い傾向が見受けられるわけでございますが、これらに対しましてはすでに災害対策のための交付税上の制度なりあるいは地方債制度というのが一応整備されておりますので、私どもとしては市町村なり県なりで災害が起こりましたときに対応できるような財政措置がほぼできておるというふうに了解はしているわけでございます。  特別交付税につきましても、ただいまお話しのありましたように交付税原資が減収になっておりますが、それに対する補てん措置を現在講じつつございますので、その制度ができますと昨年を上回る特別交付税原資も確保されるものというふうに考えておりますので、ほぼ例年どおりと申しますか、災害のための特別の財政需要に応ずることができるというふうに考えておる次第でございます。
  11. 梅澤節男

    梅澤説明員 御説明を申し上げます。  実は地方財政担当主計官がいま地方行政委員会に出ておりますので私からかわって御説明申し上げますが、ただいま自治省の方から御説明ございましたように、今次の災害につきましての地方財政措置の問題につきましては、私ども自治省の方と十分話し合いをいたしまして適切な財政措置を講じてまいりたい、こういうふうに考えております。
  12. 兒玉末男

    兒玉委員 自治省の方にお伺いしますが、今回の災害復旧に対応して、当然自治省から自治体に交付する災害に見合うところの交付税は大体どの程度金額を見込んでおるのか、具体的な数字がわかっておったらお聞かせいただきたい。
  13. 関根則之

    関根説明員 災害が発生いたしましたときには急に資金が必要になりますが、そういう資金需要に対処いたしますために交付税の繰り上げ措置をとるわけでございますが、これはすでに実施をいたしておるわけでございます。  それから、その年度災害対策費、すなわち応急復旧事業であるとかあるいは対策本部をつくるための経費であるとか、その他もろもろの災害に関連いたしました経費がかかってくるわけでございますが、こういったようなものは一括いたしまして年度末、すなわち二月ないし三月の段階におきまして、その年度に発生した分を含めて特別交付税措置をいたすことになっております。そういう関係でございますので、いわゆる財源措置としての交付税の額というのはまだ各災害ごとには確定をいたしておりません。今後詳細な報告に基づきまして算定をいたしまして支出をしていくという考え方でございます。  参考のために申し上げますと、昨年の特別交付税といたしまして、災害関係につきまして支出いたしました金額は百四十四億円になっております。ちなみに昨年度特別交付税総額は二千四百二十七億あるわけでございます。今年度総額は、もちろんまだ確定はいたしておりませんが、今回の特例措置が成立いたしました段階では約二千六百億を上回る金額原資としてございますので、その中で百億とか、その程度のオーダーの金額でございますれば十分賄い得るというふうに考えておる次第でございます。
  14. 兒玉末男

    兒玉委員 時間が制約されておりますので、詳細はそれぞれ担当の地区の委員からまた質問があるものと思いますので、次に移らしていただきます。  第二点は、激甚災害法関係の問題でございますが、これは国土庁関係かと存じます。特に今回の激甚災害指定につきましてはすでに決定を見ているわけでございますけれども、いわゆる気象条項によるところの区分というものが現行制度でございますけれども、同じような風水害影響を受けながら実質的にその指定に漏れている、こういうような例があるわけでございまして、これはやはりこの現行制度基準なり対象というものを根本的に検討する段階に来ておるのではないか。たとえば本年の北海道における九月上旬のいわゆる秋雨前線等による災害、さらにまた東北地方における七月下旬の集中豪雨による災害等はこれの指定に漏れております。実際に風水害によってこうむる被害というものは、程度の差はあったにしましても、指定基準に漏れるということによって非常に被災住民というものが不公平な取り扱いを受け、それに甘んじなくてはいけないということは、災害という厳しい現状から判断する場合に、この指定のあり方についても再検討、改正をする必要があるのじゃないか、こういうふうに考えるわけでございますが、まず第一点、この点についての見解国土庁にお伺いしたいと存じます。
  15. 紀埜孝典

    紀埜政府委員 お答えいたします。  ただいまの御質問につきましては、御存じいただいておりますように、災害対策基本法災害規定がございまして、暴風、豪雨等のいろいろの原因によりまして被害が起こった場合と、法律にはこういうふうな災害規定が行われておりまして、そうして話題になりました激甚災害というのは、もう御存じいただいておりますように、国民経済に著しい影響を及ぼして、地方団体被災者も特別な財政金融援助を必要とする災害、こういうふうな規定になっております。  従来からいろいろの御意見があるわけでございますけれども、その原因に着目いたしまして、ただいま現在われわれがその法律趣旨にのっとり指定いたしておりますのは、一にその原因一連性、たとえば厳しく申しますと、一つの台風だけということに区切られる解釈の仕方もあるわけでございますけれども、たとえばそれが原因一連気象条件説明がつくならば、それを一応激甚災害として指定させていただくというふうな運用をさせていただいておるのがただいま現在の実情でございます。いろいろの御意見、特に北海道などにもいろいろ御意見がございましたが、従来の慣例から今回もやむを得ずそういうふうな取り扱い関係省庁意見をまとめたという経過を経ておりますので、よろしくお願いいたしたいと思います。
  16. 兒玉末男

    兒玉委員 いまの御答弁ではやむを得ない措置というふうに言われているわけですが、私の質問趣旨は、そういうふうな多様性を持つこの災害関係について、被災する側というのは原因のいかんを問わず同じような損害をこうむっているわけですから、今後災害対策基本法等の内容についてやはり現状に即応したように改正するなり、そういう措置をとることは考えていないかどうかということを含めての御答弁を聞きたかったわけです。  それで、もう一遍お伺いするわけですが、その問題を含めて、同時に今回の十三号でございますが、八丈島相当被害をこうむっているわけでございますけれども、今回はいわゆる激甚災害指定をやっていない。しかも、きのう等の報道によりますと、仮住まいをしている町民もまだかなりおるということが報道されているわけでございまして、八丈島を含めてこういう点はどういうふうな措置を今後とろうとするのか。特に冬を控えてその復旧は急がれているわけでございますが、それを含めて、災害対策基本法等の一部の改正という点についてもひとつこの際再度御見解を承りたいと思います。
  17. 紀埜孝典

    紀埜政府委員 お答えいたします。  ただいまも当委員会で災対の小委員会を設置していただいたようでございますが、前回からの災対小委員会でも、一応激甚基準についてはいろいろ意見を交換しようじゃないかというふうな形で委員会の話も進めていただいております。十分各方面、各省庁の御意見をお聞きして対処してまいりたい、かように考えておりますので、よろしくお願いいたしたいと思います。
  18. 兒玉末男

    兒玉委員 それから、やはりこれに関連しまして、後で高知出身井上さんからも質問があると思うのですが、今回の六県の災害地調査の結果、同じ状況のもとに同じような災害をこうむりながら、たとえば、申し上げますならば、高知市の場合等においても、他の建設関係あるいは農業土木関係なり、関連する点は激甚災の適用を受けながら、いわゆる災害所得推計に対する基準の一〇%に対してわずか三%足りない、こういうことで、特に中小企業関係に対するところのいわゆる融資の条件というものに大変アンバランスを生じておるわけでありまして、境界を接した隣の伊野町のごときは、同じ状況で同じ被害を受けながらも、そういうふうないわゆる激甚災指定のこの所得推計基準を超えている。ところが、高知の場合はわずか三%足りないということで、そういうふうな被害をこうむりながら何ら恩恵に浴しないということは、私は大変矛盾している現況かと考えるわけでございますが、このような中小企業関係に対する災害への対応策についての金融対策等についても、この際やはり根本的に洗い直す必要があるのじゃないか、このことについて特に中小企業関係、御出席でしたらお伺いし、またこれは国土庁との関係もございますので、この辺の関連について御見解を承りたいと思います。
  19. 安田佳三

    安田説明員 ことしの夏の災害によります高知市の被害相当あったことは、先生指摘のとおりでございます。ただ、激甚災害、特に局地激甚という指定をする場合に当たりましては、中央防災会議決定を見ました基準に従って指定をいたすことになっております。  そこで、高知市の場合におきましては、先生いま御指摘のとおり、そのもとになります高知市の中小企業所得推計額が非常に大きなものでありますだけに、被害額相当あったにもかかわらず、その比率は〇・八程度ということになっておるわけでございます。一方、基準の数値といたしましては、御指摘のとおり一〇%でございますのぎ、この基準から見ますと、高知市は局地激甚指定にならないということになるわけでございます。しかしながら、この局地激甚災害指定基準について見直しをすべきだという声が幾つか出てきているのは、私どもも聞いているところでございますが、この基準改定につきましては、関係するところも非常に多く、そういう点から、広い見地から検討すべきものであるというふうに考えられますので、私どもといたしましては、関係省庁とも十分連絡をとりながら研究を重ねてまいりたいというふうに考えております。
  20. 紀埜孝典

    紀埜政府委員 いま通産省の方からも御説明いただきましたように、十分各省庁と御連絡をとらさしていただきたい、かように思っております。
  21. 兒玉末男

    兒玉委員 ただいまの点、特に通産省並び国土庁としましても、早急にこの基準改定現状に即応できるように格段の努力を私は強く要請したいと存じます。  次に、集団移転関係する点について、建設省並び国土庁の方にお伺いしたいわけでございますが、今回の、特に四国を含め、東北の場合においても、このままの状態で居住地移転しなければ、再度そういう集中的な豪雨による被害をこうむるという、地理的な条件なり、客観的に見ても、やはり移転をしなければ再度生活不安というものがつきまとうてどうしても移転したい、しかしながら土地の関係あるいは資金関係でやむを得ず現地に踏みとどまらざるを得ない、こういうふうな個所がかなりあるわけであります。しかも、現在の集団移転の場合の対象については、その基準が十戸となっているわけでございますけれども、やはり基準に達しない場合においても、当然そういうふうな今後の災害状況なり、今回の災害発生現況から見まして、どんな困難があってもこれを移転しなくてはいけないという地域相当数指摘をされ、関係市町村からも強い要請が行われているわけでございますけれども、まずこの集団移転についての基準の十戸という制限を撤廃すべきじゃないか、そうしてこれに対応する現在の予算措置が二分の一の国庫補助によって行われているわけでございますが、この基準の緩和と同時に、これに対しまして、御承知のとおりがけ地近接危険住宅移転事業という点については、この補助率を四分の三に引き上げて、そういうような移転関係が容易にできるようなことをこの際考えて、法律改正等についても検討すべき段階に来ているというふうに私は感ずるわけでございますが、特に今回の災害に関連する集団移転に関して、建設省並び国土庁見解を承りたいと存じます。
  22. 田中曉

    田中説明員 御指摘のとおり、現在の防災集団移転制度におきましては、移転先地におきまして十戸以上の団地を形成する場合というように限定してございます。この要件につきましては、おっしゃいました建設省主管がけ地近接危険住宅移転費補助金との調整を図るという意味合いにおきまして、特に防災集団移転特別措置法におきまして「集団的移転」と規定しております趣旨から申しまして、その引き下げあるいは撤廃というものはむずかしかろうと考えておるわけでございます。したがいまして、このような十戸に満たない住宅移転につきましては、がけ地近接の方の要件に合致する場合におきましては、この制度の活用によりまして適切な対策を講ずるべきであろう、このように考えておる次第でございます。
  23. 大田敏彦

    大田説明員 お答えいたします。  がけ地近接危険住宅移転事業でございますけれども、これはがけ地崩壊等によります住宅災害から住民生命の安全を確保するための事業でございまして、ただいま国土庁の方からお話がございました集団移転が、どちらかと申しますと地域防災的な対処の仕方でありますのに比較しまして、私どもの方は、個別的な住宅災害防止のための移転対象としております。これは主として建築基準法三十九条の災害危険区域とか、あるいはがけに近接しておる住宅を事前予防的に安全な場所に移そうということで昭和四十七年度から始まった制度でございまして、本年までに約五千戸程度それを実行しておりまして、かなり実績があると考えております。それで、このような制度を今後ともやっていっていいのではないか、このように考えております。  また、補助率は現在二分の一でございます。同和地域につきましては三分の二でございますけれども、これも一応そういった建築住宅行政が従来主として都道府県を通じてなされておりましたので、国が二分の一、残りの半分を都道府県、この半分を市町村、こういうふうな負担割合にしておりまして、市町村負担としましては四分の一、こういうふうになっておりますので、目下のところ変える必要はないか、このように存じております。
  24. 兒玉末男

    兒玉委員 ちょっといまの後の方は聞こえなかったけれども、二分の一を四分の三に補助率を引き上げる考えはあるかないかですね、その辺ちょっと聞き取れなかったので……。
  25. 大田敏彦

    大田説明員 現在の補助率を変える考えはございません。
  26. 兒玉末男

    兒玉委員 それは引き上げる意思はないということですが、現実的にやはり、たとえば鹿児島県の垂水市の場合においても、私たちは実際現地を見に行ったわけですけれども地方自治体の力ではなかなか用地の取得なり移転費等を含めて、これもがけ地指定地域であって、それがこの前の七月上旬の集中豪雨によって国道を越えて、三軒でしたか、七名の死亡者が出たわけですけれども、そこの現場でも全く移転もできないという。垂水市からも非常に強い要請が出たわけですが、そういうふうな自然現象によるがけ地等の危険地域における住宅移転ということは、国の政策としても積極的に進めていくべき性質のものだ、こういう点からもやはり補助率改定は前向きの姿勢で取り組んでいくべきだ、私はこう思うわけでございますが、再度ひとつ見解を承りたい。まずそういうふうに努力すべきだということを私は強く要望したいと思います。
  27. 大田敏彦

    大田説明員 お答えいたします。  私どもの方のがけ地近接住宅移転は、当然国及び都道府県あるいは市町村の指導によるわけでございますけれども、用地の手当ては、それぞれの住民の方が、がけの近所の宅地から自分の持っておるたんぼの安全なところに移るとか、そういうふうな個別的にお移りになる場合を想定しているわけでございまして、そう大きな宅造をやるという事業ではございません。そういったことで従来とも国半分、都道府県四分の一、市町村四分の一でやっておりまして、特に災害の場合等、非常に地元の負担が多いということでございますれば、これまた自治省等と相談しまして、その財政負担についての検討は積極的に進めてまいりたいとは思います。
  28. 兒玉末男

    兒玉委員 その問題は、やはり今後の検討課題としてわれわれ委員会でも検討していきたいと思いますので、この程度で終わります。  次に、これは私も以前も災害対策を見てきましたが、災害によるところのいわゆる個人災害に対して現行では全く救済の措置がない、こういうのが現状でございますが、やはり福祉国家を標榜するわが国としては、このような個人災害に対しまして何らかの救済制度を早急に確立する必要がある、こういうように私は考えるわけでございますが、この個人災害に対する救済制度について、特に国土庁並びに厚生省に関連する問題として、第一点お伺いします。  第二点は、現行の災害弔慰金制度でございますが、この弔慰金は百万円の支給と、同時に災害援護資金百万円の貸し付けがあるわけでございますけれども、今回の六つの県を視察してまいりまして、特に現状を見た結果としては、弔慰金等の支給にしても、所得関係というものについて、災害があっても実際的に一家のその後の経営に対してほとんど経済的な苦痛を伴わない相当の家庭もある。かといって、一方においては全く生業の道が絶たれて所得がないというように千差万別でございまして、当然このような弔慰金なり援護資金等の限度についても限度額の引き上げと同時に、弔慰金の金額についてはある程度所得の階層というものをやはり考慮した弔慰金制度にこの際制度を改めていくべきではないかということを痛切に私は考えたわけでございますが、以上二点についてそれぞれの御見解を承りたいと存じます。
  29. 水田努

    ○水田説明員 御承知のとおり自然災害につきましては、現在弔慰金並びに貸し付けの制度があるわけでございます。  弔慰金の制度につきましては、市町村でやはり条例で災害の見舞い金を出すという制度をとられるところがふえてまいりましたので、これを全国的に普及させるために議員立法で一昨年弔慰金に関する制度がつくられたわけでございます。本年、やはり弔慰金並びに貸付金の限度額につきましては、議員立法という形で超党派で倍額の引き上げが行われたばかりでございまして、この限度額が妥当かどうかということは、大きく国民感情あるいは弔慰金その他総合勘案して判断されなければならないものだと思いますが、先生の御提案の弔慰金について所得の段階に応じた支給、こういう御説もあるわけでございます。罹災者についての稼得能力の喪失その他の問題については、一般的な所得保障政策によるものであろうかと思いますが、現在あります弔慰金制度の性格から見ますと、それはやはり見舞い金的な性格を持っておりますだけに、やはり一律支給される方がむしろ私どもは実情に即しているのではないか、このように考えている次第でございます。  なお、貸付金につきましても、これは本来経済補償としては、天災融資法であるとか国民金融公庫その他の諸制度があるわけでございますが、弔慰金並びに貸付金の制度に基づきますところの貸し付け制度というのは、いわば民生安定関係としての貸し付け制度でございまして、他の世帯更生資金その他のバランスから見ても、今日の百万円という限度は必ずしも失当ではないのではないかと、このように考えている次第でございます。
  30. 紀埜孝典

    紀埜政府委員 お答えいたします。  もうすでに御存じいただいておりますように、個人共済制度につきましてはもう四、五年前から問題にしていただきまして、総理府当時からの引き継ぎを私ら引き継いでおるわけでございますが、当時調査費等も組んで、主として方向としては個人共済制度で何らかの形をとり得ないものだろうか、大体政府各省間の意見の集約するところがそういうことでございましたので、調査費等も組んでいろいろ調査したのでございますが、共済制度にも行き詰まりがあるというふうな形で、結局弔慰金、援護資金というふうな形で結論を出していただいたような経過を踏んまえておりますので、そこらからいたしまして、いま直ちに何らかの知恵がというふうなことで苦慮しておるというふうな状態でございます。よろしくお願いいたします。
  31. 兒玉末男

    兒玉委員 厚生省にもう一遍お伺いしたいわけですが、こういうふうな災害に伴うところの援護資金の貸し付けですけれども、国が予定している金額、予算ですか、それから実績は一体どうなっているのか。それから、限度額の引き上げが現状では妥当というふうに御答弁されましたけれども、やはり援護資金の内容によっても、あるいは生計の規模によってもかなり幅があると私は思うのですが、これは限度額でございますから一定の金額としてみなすべきでなくして、やはりそれに相応する——私は、災害復旧という点から考えても、限度額の引き上げということは、今日の時点から推して百万というものが決して妥当だというふうに理解できません。ですから、総枠といままでの実績、あるいは被災者からの要求金額というものがどういうふうになっているのか、この点もう一遍、そういう数字の面で御見解を承りたいと存じます。
  32. 水田努

    ○水田説明員 四十九年度におきますところの災害援護資金の貸し付け実績は約八億でございます。本年度は当初予算に計上いたしておりますのは五億でございますが、高知その他で十分需要がございますので、これにつきましては、私どもは制約を加えることなく、予備費から流用しまして需要には十分対応してまいりたい、このように考えております。  なお、この貸し付けについて、世帯主である場合あるいは世帯員である場合には実際に借りる実態というものが現状のままでいいのかどうか、こういう御指摘であろうかと思いますが、一応私どもは世帯主である場合とそうでない場合とでは貸し付けの限度額に差は設けておりますが、この点さらに実情に合うものとするかどうかにつきましては、当委員会委員会等の御検討の結果を待って、私どもも十分対処してまいらなければならぬもの、このように考えております。
  33. 兒玉末男

    兒玉委員 時間が来ましたので、あと一点だけお伺いします。  特に今回関係市町村を回りまして異口同音に言われることは、災害査定というものが、地方自治体等があらゆる機能を駆使して調査した結果と、中央から派遣される査定官の査定の認識といいますか、査定の現状といいますか、非常に差があり過ぎる。まあいわゆる俗に言う中央の査定というのは厳しい、こういうかなりの要請が出ているわけでございます。もちろんこれは査定の基準があるわけですけれども、それぞれの地方自治体においては、やはり専門的な立場からのそういう判断というのは非常に困難な面が多いわけですが、中央と地方自治体等の判断している査定について非常に誤差があるという点等は、この際中央と地方とのアンバランスといいますか、やはり地方自治体等の意見というものが十分理解されるような対策というものを考えていくべきじゃないか。そういうことで現行の査定のあり方について、やはりそういうふうな地方自治体等の要請にこたえるような体系というものを考える必要があると思うのですが、査定のあり方についてのそういうふうな大変な誤差があることについて、どこに起因しているのか、今後のあり方を含めて御見解を承って私の質問を終わりたいと思います。
  34. 杉山克巳

    ○杉山政府委員 事業の査定につきましては、それぞれ担当の部局において直接やっている仕事でございますので、私個別の詳細は存じませんが、それなりに、災害が起こります都度直ちに担当官を現地に派遣して実情をよく把握させる。そして、現地の事情、意見を十分承って、これをそれぞれ担当のところへつなぐということをやっているわけでございます。直ちに査定に入るわけでございますが、できるだけ時期的にも急いで間に合うように、それからまたお話しのように被害を受けた人の立場、気持ちも十分考えまして、十分その実情に即するようにということで地方庁とも打ち合わせをいたしまして、慎重な査定をいたしておるわけでございます。そういった点につきまして、できるだけ公平な、統制のとれたきちんとした査定をするという心がけで運用いたしております。
  35. 金丸徳重

    金丸委員長 次に、高橋繁君。
  36. 高橋繁

    高橋(繁)委員 私は、特に本年度、最近と言ってもいいと思うのですが、いわゆる集中豪雨による局地的な災害というものがかなり起きておるわけであります。予想もしなかった集中豪雨によって災害が起きたわけですが、この予防、防止という面については、地域住民あるいは建設省その他各省でもこれを防止するということについては大変な問題があると思うのです。したがって、集中豪雨を気象の面で一体予測ができないものであるかどうかということについて、まず気象庁から質問をいたしたいと思います。  この局地的な集中豪雨の前ぶれといいますか、そうした予報体制というか、そういうものについてお聞きしたいのですが、そういう前兆は全然わからないものであるかどうか、この辺からまずお聞きをいたしたいと思います。
  37. 越智彊

    越智説明員 お答え申し上げます。  先生の御質問は、集中豪雨の前兆現象がつかまえられないのか、こういう御質問と思いますが、大雨が降るためには水蒸気量というものが必要です。それから、その水蒸気量を上空に運ぶ上昇気流というものが必要でございます。そういった水蒸気量が集まっている、湿舌と申しておりますけれども、そういったものは高層天気図でつかまえられますし、また上昇気流は電子計算機を使った数値予報でもってつかまえることができます。しかし、こういったものは、たとえば西日本であるとか東日本、あるかなり広い範囲を持った大規模な現象に付随するそういったものはつかまえることができますけれども集中豪雨のような大きさが数十キロメートルという小規模な現象、これは大規模な場の中の局地的に不安定な場所に起こるものですから、そういったものは事前に何か前ぶれをつかまえるということはきわめてむずかしい。先ほど申し上げましたように、大規模な場の前兆現象と考えられる湿舌とか上昇気流というものを見つけることは比較的容易なのでございますけれども集中豪雨という現象の前ぶれと考えられますのは、たとえば豪雨を構成する雷雲の高さとかあるいは雷雲の強さ、そういったものが前兆現象かと思いますけれども、そういったものはなかなか、非常に小さいものですから普通の計算機とか何かでは出てきません。そういったものは、私どもは予報上の困難な点を地域気象観測網のアメダスとかあるいはレーダーとかそういったものでとらえて、予報上の困難な点を補いながら大雨注意報とか大雨警報をできるだけ早く発表しておる、そういうような方法でやっております。したがいまして、なかなか現状の点では、集中豪雨の前兆現象というものは何しろ寿命が短いものですから、事前にそれをとらえることはむずかしいのですけれども、それは技術開発によって将来何とか早くつかまえたい、そういうふうに努力しておる状況でございます。
  38. 高橋繁

    高橋(繁)委員 前ぶれをつかむことは大変むずかしいということでありますが、これは後へ譲るとしまして、最近の集中豪雨——集中豪雨という言葉が気象用語になっているかどうかわかりませんが、大規模にしても小規模にしても局地的な集中豪雨が大変多いのですけれども、その原因は一体世界的な異常気象から来ているのか。どういったときにそういう原因が発生するのか。私は素人ですから素人なりに専門の皆さんに少し質問をいたしたいと思うのですが、どうですか。
  39. 越智彊

    越智説明員 お答え申し上げます。  先生がおっしゃいますように、確かに最近は記録的な集中豪雨が各所に起こっておりますが、一応集中豪雨というものは、先ほど申しましたように大規模な場の中に小規模な現象が重なって起こっているものである、こういうふうに考えております。その大規模な流れというものが年によっては非常に異常気象を起こしやすい。たとえばその一つは、北極の方からおりてくる非常に強い寒気団、それから赤道の方から上がってくる非常に暖かい湿った暖気団、こういったものが相関連し合うような流れの場をつくる。これを俗に言いますと、大気の還流が非常に大きく蛇行いたしまして、そこで不安定な現象を発生させるということだと思いますけれども、そういった異常気象を起こしやすい大規模な流れの場にたまたま不安定な局部的な小規模現象が発生しやすいというようなものをつくれば、そこで異常気象が起こるというわけです。これは昔からもそういった現象はあったわけで、現在突然できたというわけではございませんけれども、やはり観測網が密になりますとそういう現象もとらえやすくなる、また記録も出る回数も多くなる、こういうふうに考えております。だから、今後も気象観測網というものはだんだん欄密になると思いますけれども、それによっては異常気象が頻発しやすくなったと受け取られるのじゃないかと思います。しかしながら、そういう大規模な現象が、たとえば不安定な場が発生しやすい年とか平穏無事な年とか、それはあると思います。しかし、平均して言えば、特にいま何かの現象でそういうのが起こりやすくなっているということは言えないのじゃないか、こういうふうに思っております。
  40. 高橋繁

    高橋(繁)委員 昔からいろいろ調べてみるとありますけれども、いまおっしゃったように湿った空気が入るとか、あるいは高温多湿ですか、そうしたときに起きるとかいうことが言われております。     〔委員長退席、児玉委員長代理着席〕 特に本年度ありましたたとえば青森県の岩木山、この岩木山だけに本当に局地的にバケツから水をこぼすように降った。従来は狩野川台風とかは天城山の辺全体に降ったのですが、本当に何県の何々町のまたその岩木山という山だけに降ったということが見られるわけです。そういうことは特異的な集中豪雨であろうと思うのですが、そういう最近の傾向というものが本年度に見る限りはあるわけですけれども、これは従来からそういうものがあったのか、あるいは最近そうじた局地的な集中豪雨が起きてきたのか、そのことについてはどんなことなんですか。
  41. 越智彊

    越智説明員 お答え申し上げます。  先ほども申し上げましたように、確かに最近は異常気象が起こりやすい。これは北極の寒気団の動向によることでございますけれども、そういう現象が多いということは認めます。しかし、ことし確かに青森県とか北日本にそうした集中豪雨が三回くらい起こりましたけれども、これはことしの特徴で、例年にない非常に強い高気圧が日本の南東洋上にありまして、それが関東から東北の南部を覆っていた。それが九月の下旬まで続いた。この異常な干ばつをもたらしました高気圧ががんばっていたために、北からの南下する前線が大体すべて東北の北部でとまった。そこで、その後に発生した擾乱でもって東北の北部、特に青森県とかあるいは北海道集中豪雨が頻発したわけでありますけれども、そういったものを事前に起こるのを予報することは現在の技術ではむずかしいですし、また細かく言えば、なぜそれが、東北の北部ですけれども、青森県の特に津軽地方に起こったかということ、それをいまはっきり解明いたすことはなかなかむずかしいのじゃないかと思います。ましてそれを予想することもまたむずかしいのじゃないか、こう考えております。
  42. 高橋繁

    高橋(繁)委員 非常にむずかしいということですが、そうしますと、現在のシステムあるいはレーダー観測ということではなかなかつかむことがむずかしい、このように理解してよろしいのですか。
  43. 越智彊

    越智説明員 お答え申し上げます。  現在レーダーとかあるいはアメダスといった雨量の地域観測網でもって私ども集中豪雨の大きさも、それが数十キロの小さい、あるいは寿命も数時間と短いそういった現象の前兆をそれでとらえたいと思っておりますけれども、一応現在の観測ネットぐらいでもって、現象はネットが細かいほど実態は把握できますけれども、予報となりますとやはり違った見方をいたしておるわけでして、予報の対象となる適当な間隔があれば一応集中豪雨を予報するという見地からはよろしいのではないか、こう考えております。したがいまして、現在の地域観測網、レーダーを有効に使って集中豪雨の予報をできるだけ早くしなければいけない、そういうつもりで努力いたしております。
  44. 高橋繁

    高橋(繁)委員 非常に場所的、時間的の規模の小さい集中豪雨でありますから、あるいは現象が対象でありますから、できるだけ多くの観測点の資料を迅速に集めてやらなければならないということが、いまいろいろお話ありましたように要求されてくると思うのです。したがって、そうした予報を発表するということになりますと、もちろん技術、試験ということも大事でありますが、細分化された末端の気象官署というものが大変重要になってくると思うのです。したがって、場所的、時間的規模の小さい現象をつかむにはそうした末端の気象官署での作業というものが必要になってくるので、そういうものをある程度充実すれば、こうした時間的あるいは場所的規模の小さい、しかし害が大きい集中豪雨というものはつかむことができるのかどうかということなんです。その辺についてはどうなんですか。
  45. 越智彊

    越智説明員 お答え申し上げます。  先生の御質問の意味は、観測ネットワークが細かければ細かいほどつかむことができるのか、それから末端の気象官署でもそれをつかむことができるのか、こういうことだと思いますけれども、気象庁では、集中豪雨の予報は現在たくさん集まった観測データとか、それから計算処理能力、そういったことからそれを解析いたしまして、大体日本のどのあたりでもって今晩あるいはあす集中豪雨となるような大雨が降る可能性が大きいか、そういうようなことはやはり気象庁本庁が担当するのが適当じゃないか、こういうふうに考えております。  また、雨量の地域観測網、アメダスとかあるいはレーダーを使いましてそういった常時監視体制をとれる能力がある管区気象台とか地方気象台がその集中豪雨を監視する、そういった成果を末端の気象官署に伝えまして、そして地域住民に対して適切な防災解析をする、それが一番望ましい姿ではないかと思ってやっているわけですけれども、それでは観測網がうんと細かければ細かいほど予報も精度が上がるのかどうかということになりますと、豪雨の実態の把握のためには、細かいほどよくその豪雨の実態をとらえることができます。いまの集中豪雨の予報の技術というものがなかなかむずかしいということも、集中豪雨のからくり、その中のどういう構造をしているか、そういったような機構がはっきりしないからなかなか予報の決め手もつかめないわけですが、そういったものに対しては細かいほどいいわけでありますけれども、それを今度できまして予報するとなると、ある程度の適当な、集中豪雨ですから普通数十キロぐらいの大きさです。したがって、そういった実態が把握できれば予報上は何とかできるのじゃないかと思って、そういったような考え方でもって現在技術開発に努めておるわけであります。
  46. 高橋繁

    高橋(繁)委員 私が最初から申し上げたように、この集中豪雨災害を防止するのには、まず気象の予報が第一である。ある程度の砂防ダムをつくり、なにしても、あれだけの集中豪雨が来ればとうてい防ぐことができない。したがって、この気象予報でそういうものが将来できるとすれば、私はその方向に気象庁も技術開発をし、あるいは予算との関係がありますので、末端の気象官署をもっと細かくするということはこれからの問題であろうと思うのですが、その辺は今後ひとつ期待をいたしたい、こう思います。  そこで、現在行われております、あなたの方から資料をいただきましたレーダーによるところのデジタル化の研究が進められておるようであります。これが進めば、現状でもある程度そうした集中豪雨的なものもつかむことができるというようでありますが、そのデジタル化の研究の見通しとあわせて、この気象レーダーの更新によってそのデジタル化の開発がなされているようでありますが、そのレーダーの更新は私どもの素人目から見ると、昨年は一カ所、本年一カ所ですか二カ所ですか、そういうような一カ所ないし二カ所で更新をされておる。もちろんこれは研究開発と相まっていかなければならないので、一遍に十カ所もできないのだろうと思うのですけれども、きわめて急いでおりますこの災害予防ということについて役に立つならば、できるだけ早めて更新をしていただきたいという私たちは考えを持っておるわけですが、そのデジタル化の研究の見通しとレーダーの更新の今後の見通しについて、気象庁としての考えを聞いておきたいと思います。
  47. 山田三郎

    ○山田説明員 お答え申し上げます。  レーダーのデジタル化についていま研究開発を始めておるわけでございますが、予算的には五十一年度から三年の予定で研究開発できるように予算要求中であります。  現在はレーダーのブラウン管に出ました像を手でスケッチいたしまして、それを一般加入電話回線によるファックスで流して利用官署の方に配信しております。したがいまして、マンマシン的でございますから、ある程度の時間が要ります。特に二カ所、三カ所のレーダーサイトからの画像を受けようといたしますと、一番目のが約十二分から十五分かかりますが、次のはその後でとりますのでどうしても時間がかかります。そういう点を改善して、ブラウン管に映ったエコー像をすぐ予報に利用するようにするためには、リアルタイム的な配信を考えなくちゃならない。その方法といたしましては、レーダーサイトの方でデジタル化して送りますと、情報量が簡略化されて送れますから、即時的にユーザーの方で使えるようになります。しかも、それをブライトディスプレーと言いまして、こういう明るいところでも見れるような、テレビと同じようなディスプレー装置を使い、それからエコーの強度をグレースケールと言いまして五階級ぐらいの表現にいたしますと予報官が使いやすくなります。そういう方法をとりますと、予報官が予報机の前に置いた小型のテレビのようなものを見ていることによってエコー像を連続的に監視できる、そういう点で現在の手でかいたスケッチを送る方法よりも即時的になりますし、連続監視ができるという意味で期待が持てるかと思います。  それから、デジタル化しますと、全国二十官署のエコーを東京に集めて合成することもできます。これはデジタル化しておきますと、図のようなアナログのものに比べましてコンピューターに入れやすくなりますから、全国のエコー図を重ね合わせまして一枚の図にすることができる。一枚のエコー図にしまして、それを上空の風で流したり、あるいはアメダスの方の雨量の分布だとか、アメダスの方の風による収斂、空気が集まって上昇気流になる、あるいは山にぶつかって地形上昇する、そういう量を計算したり、あるいは気温の高低によって持っている水分量の多寡を補正したりして予想図をつくりますと、従来の予想図に比べましてきめの細かい、たとえば三時間ごとに地域別の雨量予想図をつくるというふうなことも可能になってくるかと思われます。そういうことで私たちはデジタル化を進めたいと考えております。
  48. 高橋繁

    高橋(繁)委員 簡単でいいですから、簡単に答えてくださいよ。レーダーの更新をもう少し早めることができないか。できないならできない、できるのならできると。
  49. 山田三郎

    ○山田説明員 いま技術的に考えますと、毎年二カ所ずつ更新していただくことが望ましいと考えております。それ以上というわけにはちょっといかないかと思います。  それから、先ほど一応デジタル化を考えておることを申し上げましたが、予算上五十一年から三カ年計画で開発を研究所の方に依頼しているわけでございます。
  50. 高橋繁

    高橋(繁)委員 気象庁は以上で終わりますが、要するに集中豪雨の観測体制、予報体制というものをどうかひとつ進めていただきたいと思うのです。  次に、建設省の方にお伺いいたしますが、今度の災害で各地から大変な要望、希望が出ていると思うのです。その中で、災害査定の緊急な場合、設計を委託しなければならない。そういう場合に、この災害査定の設計費に対する補助を本年度見てくださっているのでありますが、その制度を確立していただきたい。本年度は特に見て来年はどうなるかわからないというようでは大変困るので、この緊急の場合の設計委託費に対する補助制度の確立についてどういう考えか、まずお聞きいたしたい。
  51. 井沢健二

    ○井沢説明員 お答えいたします。  災害復旧事業の査定設計書の作成に要した費用につきましては、この災害査定の問題が申請主義をとっておりますたてまえから、原則といたしまして地方公共団体負担すべきものというふうなことで従来扱ってまいったわけでございます。しかし、四十七年あるいは四十九年というふうな非常に激甚災の出た年があったわけでございまして、そういう年におきまして、この災害復旧事業の速やかなる進行を図るために、査定の設計書を民間に委託したものにつきまして、臨時特例措置といたしまして、この二カ年に限りまして一定の条件のもとに費用の二分の一を補助いたしておるわけでございます。  私どもといたしましては、現在の査定設計書の作成という問題につきましてもなかなか大変でございますので、たとえば特定の災害につきましては総合単価、そういうものを使うとか、あるいは図面の簡素化等を図ることによりまして、そういう手間を非常に簡略化するように努力はいたしておるわけでございますが、本年度も非常に激甚災害が出てまいっておりますので、その状態につきまして今後実態調査をいたしまして、関係省庁とも協議をしてまいりたいというふうに考えておるのでございまして、現在のところそういう査定設計書の補助制度を毎年どういうふうにするというふうなことは、まだ行う段階に至っておらないわけでございます。
  52. 高橋繁

    高橋(繁)委員 本年度は、この設計委託に対する補助制度は昨年に続いてやる御意思ですか、どうですか。
  53. 井沢健二

    ○井沢説明員 この制度は、四十七年と四十九年に行われたものでございまして、四十八年はやっておらないわけでございます。ことしも四十七年あるいは四十九年とほとんど同じような、あるいはまさるとも劣らないような非常に大きな被害でございますので、われわれとしましてもそういう点を希望いたしております。
  54. 高橋繁

    高橋(繁)委員 ぜひともひとつ将来とも本年度とあわせて確立を考えていただきたい。  時間がないので、次に進みます。  河川の改良でありますが、災害復旧事業として実施できるように激特の制度をぜひともつくってほしい。これもかなり各都道府県から要望が出ているようでありますが、この河川の改良について、たとえば決壊しなくても、その堤防を乗り越えて水が入ってきて浸水等があったという場合には、当然堤防のかさ上げとかいうものをやらなければならないということでありますので、その辺の激特の考え方について簡単にひとつお答えを願いたいと思います。
  55. 堺徳吾

    ○堺説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生指摘のように、現在公共土木施設の災害復旧事業費国庫負担法によりますと、公共土木施設に被害があった場合にのみ初めてその法律が適用されまして、二年ないし四年という期間でもって復旧できる、あるいは改良を加えまして改良復旧ができるというようなことになっておるわけでございますが、先生指摘のように公共土木施設に被害がないけれども、一般災害が非常に大きいというような場合があるわけでございます。それは、たとえば溢水による被害でございまして、水が引いた後は公共土木施設、堤防、護岸には何ら支障がないというような場合が多いわけでございまして、近時そういう災害が非常に多くなっているわけでございます。こういう場合には一般公共土木施設の災害復旧事業費の負担法の適用は受けないということで、一般の改良事業費でやっていくというようなことで非常にテンポが遅いわけでございます。こういうことではまた再度災害がいつ発生するかわからないということで、地域住民に非常に不安を与えているわけでございます。そこで、何とかして公共土木施設の負担法と同じようなテンポでもって改良復旧ができないだろうかということがこの新しい制度考えようとしている趣旨でございまして、したがいましてそういう公共土木施設に被害がない一般災害の公共土木施設につきましても一定の計画に基づきまして、一定の期間でもって迅速に改良を行う。そのためにはやはり公共団体の企業負担の問題もございまして、こういう特例を開く必要があるだろう、こういったことで公共土木施設の負担法と同様な考え方に準じましてやっていこうということでいま予算要求をいたしておるところでございまして、昨年も実はこの問題を取り上げたわけでございますけれども、なかなか実らなかったわけでございます。そういう地域住民の要望にこたえるためにぜひとも実現したいというふうに考えておるわけでございます。
  56. 高橋繁

    高橋(繁)委員 予算要求をしているようでありますから、それはぜひともこの制度をつくってほしい。  それから、今回の災害の特徴に、山地災害等が非常に特徴的なことになっております。したがって、砂防ダムのことについて結論的に質問をいたしたいと思いますが、以前にも質問いたしましたが、砂防ダムをつくりまして、洪水時には堆砂面といいますか、土石がたまるわけですね。それで洪水が終わりまして、だんだん減水をしてくる。最終段階で堰堤にいっぱいになる、あるいは多少の勾配が生じますが、その後の小中の洪水によってそれがまた掘られていくんだから、ダムは永久的にその効力を発するという話がございました。確かに私もそういうような感じもいたしますが、しかしながらまあ試験結果も出ているようでありますけれども、その堰堤、満砂の砂防ダムの効果といいますか、効力というか、そういうものは今後心配ないのかどうかという点を、まずダムについて一点お聞きをしておきたいと思います。
  57. 中村二郎

    中村説明員 お答えいたします。  砂防ダムの堆砂の形状でございます。これは縦断形状のことだと思いますが、これにつきましては昭和三十六年から四十四年にかけまして、建設省技術研究会の研究課題といたしまして土木研究所を中心に全国的な実例調査、研究を行ってまいりました。その結果、少し理論的になりますが、結果といたしましては、一般に堆砂勾配は二次放物線形をとり、流量と流砂量との変化によって最も急な洪水勾配と最も緩やかな平衡勾配の間を変動するものであるということが明らかになっております。すなわち、先生のお説のように、洪水時におきましては急勾配に堆砂をする、それからその後の出水で緩勾配となることが明らかにされております。  御質問は以上でなかっただろうかと思いますが……。
  58. 高橋繁

    高橋(繁)委員 私の与えられた時間もなくなってしまいましたが、ダムの効力というものは将来ともに健在であればいいのですけれども、その辺はまだ研究の段階であろうと思うのです。いわゆる経験的な判断というものが基礎になり、科学的な研究結果に基づいてのダムの効果といいますか効能というものはこれから大いに待たなければならない点が多々あるんじゃないかということを言いたいのです。  したがって、それはそれとして、土石流の発生の予知ですね、統計的な法則性ということもあるでしょうし、歴史的な、何年前にこういうものがあったということも一つの判断になるでしょうし、あるいは傾斜の度合い、あるいはこの傾斜が十度なら十度、二十度なら二十度あった場合、雨量が百ミリあった場合にこの土石流が流出をしてくる。特にローム層であるとかいう場合はある程度予知できるんじゃないか。そういうことが将来にわたってできないものかどうか。いわゆる渓流の傾斜の度合いと雨量と土質あるいは統計的な問題、歴史的な経緯から見て、大体百ミリくらい降ったらここは危ないんじゃないか、そういうものができないかどうかという点、この辺についてどうなんですか。
  59. 中村二郎

    中村説明員 お答えいたします。  土石流災害による人身事故を防止するためには、土石流の予知と予報というのは非常に重要なことだと考えております。したがいまして、これにつきましては従来からいろいろ研究してきておるわけでございますが、先生のお説のように、土石流の発生機構と申しますのは、非常に多数の自然的な要因がございまして、その解明がきわめてむずかしい現状でございます。こういうことでまだ十分に解明されていないというのが現在の状況でございます。、  しかし、こういう予知なり予報のためにぜひともこの解明が必要でございますので、建設省といたしましても、長野県の焼岳、それから富山県の常願寺川、鹿児島県の桜島等におきまして実態把握のための観測をいたしております。また、こういう観測結果に基づきまして、土木研究所等におきましてその予知、予報をいたすための基礎調査を実施しておる段階でございます。
  60. 高橋繁

    高橋(繁)委員 ダムの問題につきましては、特に国土の狭い日本では、谷間である程度とめるということを考えなければならない。扇状地まで持ってきてそこでエネルギーを弱めるということは、扇状地には住宅がもう建っておる。したがって、今後の問題として考えていただきたいのですが、それとあわせて、土石流の発生地点から扇状地へ来るまでにはかなりの距離とあるいは時間がある。たとえば二分でも三分でもあると私は思うのです。したがって、土石流の発生地点において何らかの方法で扇状地にある住宅地に対して警報をするような装置ができたら、財産は別として人命は救うことができるのじゃないかということを考えるわけです。  それと同時に、これは災害対策室かわかりませんが、震災に対する心得というものもあります。ところが、こういった集中豪雨、水害時に対する心得というのはどこの地方自治体もつくっていない。気象庁が時間的に五十ミリなら五十ミリ降る、何ミリ降ると言ったって、それは住民に対してはどのくらいの量であるかということがわからない。これぐらいの雨が降ったら真室川に何メートルの水がさが出るのだということは、森林の関係や地形の関係でなかなかむずかしいと思うのですけれども、そういう知識を今後ある程度得られるならば、私はまだまだ人命を救うことはできるのじゃないかと思うのです。と同時に、水害危険区域の予告、これは建設省で考えておるようでありますが、また国土審議会ではよけい住民を混乱させるというようなことを言っていますが、そうしたことをあわせて、災害予防ということについて、人命救助のためにそういうようなことが将来考えられるならば私は大変幸せだと思うのですが、その考え方なりについてお答えをいただきたい。
  61. 栂野康行

    ○栂野説明員 お答えいたします。  先生がおっしゃいますように、この川で何ミリ降ったら危なくなるとかあるいは浸水のおそれが出てくるとか、そういうことは、今後におきましても人命とか財産を守る上において非常に重要なことだというふうに私たちは考えております。それで、近年のそういう災害発生状況にかんがみまして、まずどの程度降ればあふれるか、またあふれた場合にどの程度の深さに浸水するかということを、今後いままでの実態も十分調査しまして解明してまいりたいということを現在いろいろ検討しております。  それで、今後とも建設省としましては、基本的には砂防とか治水とかダムとかいうようなものによりまして洪水を防御する、同時に、いまおっしゃいましたような水害の危険区域あるいは浸水予想区域という面につきましても鋭意検討してまいりたいというふうに考えております。
  62. 高橋繁

    高橋(繁)委員 災害対策室は……。
  63. 山本重三

    ○山本説明員 ことしの災害で、特に高知県とか青森県とか、土石流によって悲惨な災害が起こりまして、従来の危険地域指定と実際の住民の避難と、どういう形で取り組んでいるか、まずこれの実態を解明いたしたいということで、現在消防庁を通じて高知県の例で調査を進めております。間もなくその結果が出てくると思います。その結果で、危険地域指定、それから地域防災計画と実際の避難誘導がどういう体制になっておるか、これについて問題があれば今後いろいろ検討して指導してまいりたい、こういうように考えております。
  64. 高橋繁

    高橋(繁)委員 中小企業について、あと広沢先生の方に譲りまして、時間が参りましたので、以上で終わらせていただきます。
  65. 金丸徳重

    金丸委員長 次に、今井勇君。
  66. 今井勇

    今井委員 私は本年の五号台風、六号台風のことにつきまして若干の質疑をいたしたいと思います。  今度の五号台風は八月十六日から十八日にかけて四国地方を襲いまして、わが宇和島地方では風速五十三メートル、西条地方で七百六十六ミリという降水量を記録するなど、大変な風と雨が荒れまして被害が全県下にわたりました。死者三人を含めまして農林土木関係などで大変な被害がありました。被害総額はおおよそ百七十二億四千万円でございました。  その後を追うように、引き続きまして八月二十一日から二十三日にかけまして台風六号が再びやってまいりまして、農林土木関係などに再び大きな災害をもたらしました。その額が六億九千万円と言われておりますから、合わせますと百七十九億三千万円に達するのでございます。その額は、他の地域に比較いたしますと必ずしも大きいものではないかもしれませんが、わが愛媛県にとりましては本当に大変な額でございまして、この中で内訳は土木関係で約四十九億、農林水産関係で百二十八億でございます。主なものはそのようになっておりますが、なかんずく農林水産の中でも農作物が五十五億、水産関係被害が三十六億というふうに、比較的農林水産に片寄った被害がございました。  そこで、まず最初に建設省と自治省にお伺いしますが、このような災害復旧の問題でございます。鋭意努力されまして災害の査定等をしておいてくださいますが、いま私どもの調べたところによりますと、その被害総額が施設だけに限りまして建設省関係が二千六百億、農林省関係が千四百四十億、合わせまして四千四十億という大きな被害額になっております。  そこで、このような大きな被害でございまして、地方公共団体、特に市町村などでは、災害復旧の国の補助金をもらいましても果たして裏負担が可能であろうかどうかということを非常に心配をいたしております。  そこで、自治省にお伺いしますが、このような災害復旧に対する裏負担についての政府の見解はどうでしょうか。心配なし、大丈夫だというふうなことでないと困りますが、その点、どうですか。
  67. 関根則之

    関根説明員 災害復旧事業に対します地方公共団体財源措置につきましては、原則として当該年度におきましては起債を充当いたしまして復旧事業をやっていただく、こういう形になっております。公共土木等につきましては大体九〇%、それからその他一〇〇%になるものも相当ございますけれども、ともかく大部分を起債でその年度は処置をしていただきまして、ものによりましてその元利償還の段階地方交付税で見ていく、こういう措置をとっております。  今年度の場合、そういった災害のための起債額が、すでに計上いたしておりますものが五百六十一億ございます。災害の出方が非常に多いようでございますので、場合によりますと、これでは足りなくなる心配もなきにしもあらずでございますが、いままでのところは大体間に合うのではなかろうかというふうに考えております。もし今後、不幸にして災害等が多発いたしましてこの枠で措置ができないというときには、大蔵省等とも十分相談をいたしまして、必要な資金枠を確保して万全を期していきたいというふうに考えております。
  68. 今井勇

    今井委員 それに関連して、地方では災害復旧工事を一日も早くやってもらいたい、あるいは一年でも早く縮めてやってもらいたいというのが、被災をしました人たちの願いでありますが、今回の五号、六号の台風による災害復旧を建設省では一体何年でやろうと思っているのか、そこあたりはどうですか。
  69. 井沢健二

    ○井沢説明員 お答えいたします。  ことしは、先ほど先生もおっしゃったとおり、私どもの方の公共土木施設の災害は、五号、六号台風では全国で二千六百億を超えております。そのうちには直轄災害が約一五%ほど含まれております。また、当初から現在までの災害額につきましては四千七百億を超えております。こういうふうな状況でございますが、応急工事の必要な場所についてはすでにかかっておりまして、大半のところが大体竣工に近づいております。  また、災害の査定でございますが、この査定につきましては十二月中までには全体を終わらせたいというふうな現状でございまして、最後になりますのは恐らくは高知県ではなかろうかというふうに思っておりますが、現在おおむね六割程度の査定を済ませております。これらの災害に対しまして、直轄災害につきましては二年、それから補助災害につきましては三年で事業を終了する方針でおります。  今年度、これからでございますが、予算といたしましては、直轄災害では五〇%、補助災害では約三〇%程度復旧を図る方針でございます。  なお、このほかにも国庫債務負担行為というのがございますので、そういうものを活用いたしまして一層の進捗を図りたいというふうに考えております。  また、この事業の実施に当たりましては、全国の平均進捗率がいまの直轄五〇%、補助三〇%ということでございますが、被害状況等を勘案いたしまして、現地にできるだけ合ったような、急がなければいけないものにつきましてはできるだけ急ぐというふうなことで措置をしてまいりたいというふうに考えております。
  70. 今井勇

    今井委員 地方に参りますと、その三年でやるということで、全部が三年だというふうに誤解する向きもあります。いまの答弁で、重点的に危険個所から、しかも被災がひどいところからやっていくんだということで、ものによってはことしじゅうにできる、あるいは来年の出水期までにできるというふうなものであろう、そういうふうな方策であろうと理解しますが、それでよろしゅうございますか。
  71. 井沢健二

    ○井沢説明員 そのとおりでございます。大体ことしが三〇%、来年が五〇%まいりますので、それに国庫債務負担行為を足しますと、五十一年度末で約八十数%に及ぶだろうと思っております。
  72. 今井勇

    今井委員 重ねて自治省に要望しておきますが、いまのような災害復旧の進度だということでありますから、そういう進度によく合わせるようにその裏財源の方の調達もしっかりやっていただきたい、ひとつ要望しておきます。  次に、農林水産の被害のことについて二つほどお尋ねいたします。  まず第一点は、水産動物、特に養殖漁業の被害相当たくさんございました。ところが、現行の漁業共済ではその共済単価がわりあいと低く決められておるように思います。これは仕入れました値段にいままでかかりました経費というものを加えた額であろう、こう思いますが、たとえば一年もののハマチでまいりますと、契約の長期と短期ではやや違いますが、長期契約のもので六百五十円、短期では五百八十円、これは一匹です。また、真珠の貝でまいりますと、真珠の貝で一個当たり六十五円、母貝では一個十円ということでありまして、共済金をもらうにしても、いかにもちょっと普通の考え考えますと低過ぎはしないかというのが被災漁民の大方の声であります。これについて農林省当局はどのように考えておられるのか、ひとつまずお聞かせ願いたいと思います。
  73. 橋本隆

    ○橋本説明員 お答えいたします。  養殖水産動植物に関します共済の単価でございますが、これにつきましては、昨四十九年度に大幅な引き上げを行いまして、ただいま先生のお話にもございましたように、一年もののハマチにつきましては、従来一尾四百五十円でございましたものを六百五十円に、また二年もののハマチにつきましては、一尾千二百円のものを千五百円に、また真珠母貝につきましては、七円でございましたものを十円にそれぞれ引き上げたわけでございます。  この共済の単価につきましては、標準的な養殖経営におきます経費を基礎として算定するということにいたしておるわけでございます。最近におきます経済情勢の変化、物価騰貴等が続いておりますので、まあ若干、養殖の実態と現在設定いたしております共済単価に食い違いが出てくるというような面は、御指摘のようにあるわけでございますので、一応水産庁といたしましては、漁業共済の掛金率の改定の時期といたしております昭和五十二年度に、この共済単価の引き上げを中心にその見直しを行いたい、かように思いまして、今後そのための調査、検討をいたしてまいりたい考えでございます。
  74. 今井勇

    今井委員 説明を聞けばもっともなようなこともありますが、かつて二年連続して共済単価を改定した時期もあります。また、共済単価の問題と、もう一つ実は付保割合の問題があるものですから、いろいろ問題は幾つかあろうと思いますが、少なくとも現在の単価が時価に合わないという認識だけは農林当局に持ってもらいたいと思いますし、なるべく早目の改定をするということを強く要望いたしておきます。  もう一つだけお答え願いたいのは、いまの単価がお決めになったばかりであると言いますが、いまの時節に対して少し安過ぎはせぬかというふうに思うか思わぬかだけ聞いておきましょうか。
  75. 橋本隆

    ○橋本説明員 ただいまも申し上げましたように、諸物価が高騰いたしておる段階でございますので、実態と少し食い違いが出ているのではないか、かように存じておる次第でございます。
  76. 今井勇

    今井委員 そういう認識をお持ちですから、なるべく早い機会に改定をするように強く要望をいたしておきます。  次に、ミカンの問題についてお尋ねをいたしますが、私どもの故郷のミカン、この間の台風でミカンの玉同士がすれ合いまして、大変きずものになっております。そういたしますと、非常に品質が低下をして値段が下がるという問題があります。そこで、そういったミカンの品質低下につきましての共済制度、これで現在の愛媛県の場合に救うことができるのかどうか、その点についてお答えをいただきたいと思います。
  77. 大塚米次

    ○大塚説明員 お答えいたします。  果樹共済には二つの種類がございまして、収穫共済、樹体共済、その収穫共済がまた二つに分かれまして、品質低下方式というのがございまして、現在愛媛県におかれましては十一組合これを実施しております。したがいまして、風によって玉ずれが生じた、品質が低下したという場合は、その品質の低下分を減収に換算いたしまして、これを減収量にプラスして共済の支払い対象にする、こういうことになっております。
  78. 今井勇

    今井委員 次に、災害の査定設計書の作成費のことについてお尋ねをいたします。  先はども同様な質問が出ておりましたが、私は違う角度から要望をしたいと思うので、まず実態を御答弁いただきたいと思います。  災害を受けましたときの査定設計書、これの設計図あるいは測量図等を含めて査定設計書をつくるときに、一体一件当たり平均してどのくらい費用がかかっているものと理解しておられるか、建設省わかりますか。——もし、いまわからなければこういう答弁でもいいんです。査定金額当たりのパーセントでも結構であります。
  79. 井沢健二

    ○井沢説明員 詳細な資料は持ち合わせておらないのでございますが、四十九年度の設計委託費の補助を決めたときのものでございますが、一千万以下の場合には千分の十五といたしております。それから、千万から五千万までは千分の十、五千万以上につきましては千分の五というふうに補助いたしております。
  80. 今井勇

    今井委員 いまのパーセントを聞きましても、たとえば先ほどの私が申し上げた今回の災害が約四千億といいますから、掛け算したらわかりますが、設計図書作成費は相当な額になっていると思います。  そこで、その設計図書の作成費について、激甚災害のときには必要な、かかった委託費の半分を補助するという先ほどの御答弁があったようでありますが、私が非常に矛盾を感じますのは、同じ申請をして補助金をもらう他の公共事業等につきましては、実際はその公共事業の中で遂行します場合に、測量試験費と称してそういった準備をするためにある一定割合のものが国の補助になっておるわけであります。ところが、この災害復旧についてはそのようなことがない。まことにふつり合いだと思います。いずれも起業者が申請をして国の補助をもらうということであろうと思う。強いて言うならば、普通の公共事業の場合には実施が決まってから設計書をつくるというので、現在測量試験費が認められておるということであろうと思います。ところが、災害復旧というのは、災害査定設計書をつくりまして、それを査定官の査定を受けまして、オーケーになればそれがもう直ちに実施できるということになるわけです。そうすると、概算と実施というものがまさに密着をしているのが災害の特色であろうと思う。ところが、片方の災害の査定設計書をつくります場合には、そのような測量試験費というものの道が開かれていない、私はこれはまさに矛盾であろうと思うのです。  そういうことが矛盾をするがゆえに、特に各町村でその出費に悩んでおりまして、何とかしてくれという声が強まるのは当然であろうと思います。しかも、小さい災害ならばよろしい、あるいは災害の個所でも少なければ、そごの役場の吏員がポールを持っていって測量してくるというふうなことも可能でありましょうが、今回の災害のように多額になり、かつ非常に個所が多い場合には、とてもそんなことをしている暇はなかろうと私は思います。したがって、やはり委託に出さざるを得ない。そうすると、委託はただではありませんから相当な額を取られるということでありまして、抜本的にこれを直さないと、いまの各町村の困っております声はなくならないと私は思います。  そこで、まず前段として聞きますが、今度の査定設計書ですが、県当たり、あるいはどこでも結構なんですが、一体何件くらい町村にあるんですか。もし、わからなければ、全国で一体何万件あるのですか、何十万件あるのですか、その件数を教えてください。
  81. 井沢健二

    ○井沢説明員 お答えいたします。  ことしの災害全体では九万七千件ほどございます。
  82. 今井勇

    今井委員 いまお聞きのようなことでありまして、相当な件数であります。とてもこんなものを全部役場でやるわけにいかない。  そこで、建設省は、これは農林省も同じでありますが、いまのようにひどい災害があったときに委託費の二分の一を補助するということでなくて、これから新しい制度を一つ災害復旧にもつくっていくのだということを私は考えるべき時期に来ていると思います。したがって、そのようなものを一体考えているのかいないのか、あるいは考えようとしているのかどうかということをまず御答弁願いたいと思います。
  83. 井沢健二

    ○井沢説明員 お答えいたします。  先ほどから申し上げております設計書の委託の補助と申しますのは四十七年から始まったわけでございますが、ことしも非常に大きい激甚災害がございますので、従来の例に応じて私どもはやっていきたいというふうに考えておりますが、いま先生のお話のような御意見もございますし、そういう面も含めまして今後いろいろ検討してまいりたいと思っております。
  84. 今井勇

    今井委員 これは農林省も同じ意見だと思いますが、どうですか。
  85. 棚橋正治

    ○棚橋説明員 農林省の農地、農業用施設について申し上げますと、今年度、いままでわかっていますだけで件数にいたしまして十一万三千件余ございます。それから、八月の五号、六号を含めました豪雨関係で申しますと約六万三千件ございまして、われわれといたしましてもこれに要する経費相当なものになり、またそれに要します時間的なものも相当かかるということを十分承知いたしております。  しかしながら、一方では建設省も同じでございますが、災害復旧といいますのは事業主体からの申請事業でございまして、いろいろ御異議はあろうかと存じますが、原則といたしましてはその査定に要します費用というのは申請者持ちということであろうと存じます。一般のわれわれのやっております補助事業につきましても、少なくとも申請までの費用というのは申請者が持っておりまして、申請でオーケーになりました段階から補助の対象にしているということでございまして、したがいまして災害復旧事業につきましても、査定が終わりまして査定後の設計につきましては補助対象になっております。しかしながら、先ほども申しますように相当の費用と時間がかかるものでございますから、さしあたり今年度の大災害につきましては、いかに助成をするかということを、関係省庁とも実態を調査の上、十分検討いたしたいと存じます。
  86. 今井勇

    今井委員 しかし、ちょっと私は腑に落ちないので一言だけ言っておきますが、災害の場合に、査定の申請のための設計書の中の図書と、実際それが朱を入れてもらって実施になるときの設計の図書と、ぼくは実態が変わらないと思うのですよ。あなたはいま、普通の公共事業については申請で補助金をもらうまでは金がかからないんだ、ついてから金がかかるから、それについては国が補助をしているんだ、こうおっしゃいます。そのとおりでしょう。しかし、災害査定というのは、あなたもよく御存じのとおり普通の公共土木事業の申請とは違うのですから、その違う点をよく御認識してもらって、建設省ともよく御相談なさるなり、そして大蔵当局にも話をして、その特異性を説いてもらいたいとぼくは思います。これ以上もう申しませんが、賢明なる諸君ですから私の言っているところはよくわかると思うので、これは普通の答弁のように検討しますということでは私は必ずしも満足しません。来年度ぐらいからはぜひこれはやってもらいたいと思いますし、来年度ぐらいからやるというふうなその決意のほどだけでも聞いておきましょうか。来年やるのかやらないのかというより、来年度からできるように努力をします、一生懸命やりますというぐらいの決意は聞いておかないと私も困る。これはどうですか。
  87. 井沢健二

    ○井沢説明員 建設省といたしましては、そのような予算につきましては、大蔵省には来年度予算として要求をいたしております。現在そういう段階でございます。
  88. 今井勇

    今井委員 農林省はどうですか。
  89. 棚橋正治

    ○棚橋説明員 われわれといたしましても、十分今年の内容を検討いたしまして、来年度以降どうするかということをさらに検討してまいりたい、さように存じております。
  90. 今井勇

    今井委員 もうちょっと歯切れよく言ったらどうですか。来年はひとつ何としても実現するような努力をしますというぐらいのことは言ってもらいたいと思います。  まあ、時間も来たようですからこの問題はこれでやめますが、最後にもう一つ念を押しておきますが、理屈は私の理屈が正しいと思います。したがって、その理屈をひとつよく分析されまして、この実現方に努力をいたしてもらいたいと思います。  最後にもう一点だけ、激甚災害対策特別緊急整備事業、激特ですが、これはやはり被災農民からしますと、災害を受けたところは何らかの措置をしてもらうわけですが、ただ湛水をした、水がたまっていろいろ被害を受けたという場合には何もないわけでありまして、しかも災害を受けたところと関連して河川の治水を進めていくというのはいかにも地域住民の、特に被災住民の気持ちにぴったりした制度だろうと思います。そういうことを建設当局あるいは農林当局がよく認識して、来年度からひとつこういうことをやろうじゃないかという意味で予算要求をされていることについては敬意を表します。したがって、この制度が何としてもできるように最善の努力をしてもらいたいと思いますが、その決意のほどだけを聞いておきましょう。建設省、どうでしょうか。
  91. 堺徳吾

    ○堺説明員 お答えいたします。  先生指摘のように、一般災害が多くて、しかも河川等の公共土木施設に被害がないという場合は、これはまさに河川改修が非常に立ちおくれておるということを立証しているわけでございまして、実は昨年もこういう問題がございまして、伊勢市で一万数千戸が冠水をするというような大被害があったわけでございます。昨年、実は公共土木施設の負担法を改正することによりまして、施設にも被害があったというみなしでもって措置できないかということでいろいろやったのでございますが、それは非常に無理だということで、やはり特別立法が必要だろうということになって、ことしまた同じような災害が繰り返されましたので、先生指摘のように、ぜひとも公共土木施設の被害復旧と同様なスピードでもって改良をやりたいということで要求をいたしておるわけでございますが、非常にむずかしい問題がございますので、ひとつよろしくお願いしたいと思います。
  92. 今井勇

    今井委員 よろしくお願いしますなんということではだめなんで、どうでもこうでもこれをやり抜きますというような御答弁をいただきたいと思いますが、どうですか。
  93. 堺徳吾

    ○堺説明員 この問題は非常にむずかしいと申しましたのは、実は一つの項を設けましても、そこで先取りいたしますと残りの予算が非常に圧迫されるということで、治水事業全体を拡大することが先決だということに帰着するわけでございまして、非常にむずかしいのでございますが、私どもは全力を挙げてこれを実現したいというように考えております。
  94. 今井勇

    今井委員 時間が来ましたので、これで終わります。
  95. 金丸徳重

    金丸委員長 次に、井上泉君。
  96. 井上泉

    井上(泉)委員 きょうの災害対策特別委員会出席の政府委員の方はまだわずか三人でありますが、この政府を代表する政府委員の中の筆頭政府委員中村政務次官がいまお見えになったので、まず中村政務次官に見解を承って、後、順次質問いたしたいと思うわけですが、大体、災害を受けた場合における国民の受ける被害、その被害に対する政府の救済対策あるいは復旧対策というものは、国民の個々に対しては法の恩恵というものはひとしく平等でなければならないと思うのです。その点についての政務次官の見解を承りたいと思います。
  97. 中村弘海

    中村(弘)政府委員 当然先生のおっしゃるとおりだと思います。
  98. 井上泉

    井上(泉)委員 法のもとにおいて平等であるべきはずであるにもかかわらず、災害対策の個々の問題では非常に差別があるわけです。  それで、その差別をどうやってなくしたらいいのかということについて、自治省指導課長がおいでですから、市町村の行政指導その他をやられるわけですから、私はまず自治省指導課長にお伺いをしたいのですが、同じ災害を受けた国民が町村が違うがために災害に対する法の恩恵に差別があるということについてはどう対処したらいいのか、その市町村をどう指導したらいいのか、その点、ひとつ説明を願いたいと思います。
  99. 関根則之

    関根説明員 自治省所管の交付税制度なり起債措置なりについて申し上げたいと思いますが、災害が起こりました場合に激甚法が適用されるか否か、あるいはその被害程度等によりましていろいろ……
  100. 井上泉

    井上(泉)委員 ぼくが言っているのは団体じゃない、個人ですよ。住民に対する行政をどう扱ったらいいか、差別のある住民に対して行政はどう対処したらいいかということです。
  101. 関根則之

    関根説明員 少なくも財政の問題に関する限り、被害程度等に応じまして適正な、均衡のある措置をとっていくべきであるというふうに私ども考えておる次第でございます。
  102. 井上泉

    井上(泉)委員 非常に当然な見解を述べられたわけですが、それならそういう場合に、たとえば甲の町に居住する中小企業者とこに居住する中小企業者が、同じ河川の流域で隣り合ってともに被害を受けた。ところが、片方は激甚災地域指定を受け、一方は激甚災地域指定を受けられないということで、その指定を受けたところの中小企業者は法の恩恵を受け、指定を受けない町村の中小企業者は法の恩恵を受けることができない。そういう場合に、法の恩恵を受けない住民を抱えた所轄の市町村は行政上どうやったらいいのか、ひとつ御指導賜りたいと思います。
  103. 関根則之

    関根説明員 先ほども申し上げましたように、その市町村住民については直接には当該市町村が責任を持っておるわけでございますので、当該市町村においてその住民の間の公平を保ち、また財政状況等との兼ね合いもありますので、そういった制約の中で公平な措置をとっていくべきだというふうに考えておりますが、町村間でいろいろとバランスが崩れているという問題は確かに現実の問題としてはあろうかと思います。私どもの方としては、先ほど申し上げましたように、交付税措置なり起債措置なり、地方財政対策としてはできるだけ均衡のとれた財源措置をしてまいるように努めておるわけでございます。
  104. 井上泉

    井上(泉)委員 その均衡のとれた財政措置を講ずるということは、これは自治省がそういう見地でやられるということは、非常に当然のことだと思うのです。そこで、市町村はどこも財政が豊かでないのですから、甲の市町村の中小企業者が低利の金の融資を受ける、片方は低利の融資を受けれないということに対して、やはり被害者に対する均衡のとれた法の恩恵を与えるということは所属の町の責任だと思うし、その責任の町がそれに対して財政措置を講じた場合には、これまでのあなたの見解からするならば、当然自治省がそういう支出に対してはめんどうを見るべきである、見ねばならぬ。いわゆる財政負担の均衡とか、いわゆる恩恵の均衡とか、法の平等とかいうようなことからいって、そのバランスを調整するのが自治省で、そのバランスの調整をそういう形で処理をされるのは当然だと思うわけですが、そういう場合における財政措置に対しては、自治省としては調整をとられるのですか。
  105. 関根則之

    関根説明員 均衡と申しましても、結局は現在の財政制度は、被害程度等に応じまして、特に被害が大きくなりますと財政措置等についても手厚く援助をしていくというような仕組みになっておるわけでございまして、そういった意味で均衡がとれているわけでございます。災害に関します自治省の方の交付税措置なり起債措置と申しますのも、やはり被害額等との兼ね合いで市町村の所要財源をはじきまして、それに対しまして一定の基準をもちまして算定をいたしておるわけでございます。その意味において、大体同じ程度災害であれば同じ程度財政措置が講じられてくる、こういう仕組みになっておるわけでございます。
  106. 井上泉

    井上(泉)委員 そのことはあなたの言葉どおりに私は理解をし、結構なことだと思うわけですが、同じ被害者、ぼくとあなたと同じ被害者、あなたは甲の町におって激甚災指定を受けた、ぼくは激甚災地域指定を受けなかった。受けなかったぼくの市がぼくに対して、受けたあなたと同じような財源措置を講じた場合には、これはやはりその市町村の必要な財政支出と認める。あなたの論旨から言うならば、こういうように理解をして間違いはない、こういうように私は思うので、ひとつよろしくその辺の均衡ある財政負担を、法による恩恵を受けられるように自治省としても考えていただきたいと思います。  そこで、もう一点自治省にお伺いするわけですが、今年は非常に地方財政の落ち込みということが国と一緒にあるわけですし、先ほど兒玉理事質問の中にも出ておったわけですけれども、それについて、災害があったけれども特別交付税が普通交付税の何%とかいうことに枠づけされておる。それで交付税が落ち込んでおる。必然に落ち込んでくる。特別交付税によって支給すべきような性格のものは起債とかいろんなことで充当すべき性質のものじゃないと私は思うわけですが、その点について、本年度災害に対する特別交付税については例年並みに何ら支障がなく支出ができるのかどうか、もう一回明確にお答えを願いたいと思います。
  107. 関根則之

    関根説明員 ただいま国会で御審議をいただいております今年度地方財政対策特例法によりまして、それが成立いたしました段階では今年度交付税原資の落ち込みに対しまして補てんがなされまして、年度当初の交付税額が確保される仕組みになってございます。そうなりますと、当初の金額総額の六%相当額は交付税のうち特別交付税の枠として使用できることになりますので、そういう前提で計算をいたしますと、約二千六百億の特別交付税原資が出てまいります。昨年の原資が約二千四百億でございますから、二百億ちょっと上回っておるわけでございますので、先ほども申し上げましたが、昨年災害に対しまして措置いたしました特別交付税の額が百四十四億でございますので、ことしはそれよりも災害が多発しておりますのでもっとふえるとは思いますけれども、これだけの原資総額がありますれば十分災害対策に使う交付税は賄えるものというふうに考えております。特別交付税の枠がないからそれを起債により振りかえるとか、そういうことは考えておりません。
  108. 井上泉

    井上(泉)委員 それで、自治省に私は重ねて要望したいのですが、激甚地の地域指定を受けなかったがために不利益を受ける被害者、いわゆる被災者の国民に対してそれぞれの自治体が指定を受けたところと同じような救済措置を講じておる市町村、また講じようとしておる市町村がどれだけあるのか、その点をひとつ調査をして報告をお願いをしたいと思いますが、いかがでしょう。
  109. 関根則之

    関根説明員 ただいまお話しのような調査が正確にできるかどうか、ちょっといま即断しかねるわけでございますが、検討をしてみたいと思います。
  110. 井上泉

    井上(泉)委員 一〇〇%それは正確に調査しなくとも、災害を受けた各市町村自治省から郵便料金が上がらぬ間に早う通達を出してやれば、すぐ報告が来ますよ。それはそう正確には及ばぬですから、そういうことでやはり取りまとめをするということが、自治省の自治体に対する財政対策上も必要じゃないかと思うわけですので、検討という段階じゃ、これはどうも納得しかねるわけですが、どうですか。
  111. 関根則之

    関根説明員 全国で災害が件数にして相当多くございますので、全部ということになりますと作業も大変なことになるのじゃないかと思いますので、特にそのうちおっしゃるような特定の地域というものに限定してそういうようなことを調べてみたいと思います。
  112. 井上泉

    井上(泉)委員 それでは、自治省に対する質問は以上で終わるわけでありますが、自治体の行政については財政的にも困らないようにひとつよろしく御指導願いたいと思います。  そこで、次に農林省にお伺いするわけですが、今度の災害で農林災害が非常に多いわけです。きのう農林省の方で聞くと、高知県だけでも災害の要査定のものが一万件を超える、こういうふうなことを言われておったわけですが、その一万件を超える査定で、現在査定済みというものが金額にして大体どれぐらいか、件数にして何件か、おわかりになっておれば御報告願いたいと思います。
  113. 棚橋正治

    ○棚橋説明員 お答えいたします。  高知県の八月の災害、特に五号台風でございますが、この災害の件数が、申請の件数で七千三百三十件来ております。それで、現在までに査定を終わりましたのが二千四百三十六件でございます。現在と申しますのは十一月一日現在でございます。
  114. 井上泉

    井上(泉)委員 その二千四百三十六件の査定の終わった金額は大体幾らですか。
  115. 棚橋正治

    ○棚橋説明員 金額にいたしまして、査定済みが三十八億九千万でございます。  参考までに申しますと、全体の、先ほどの七千三百三十件に相当いたしますのは百二十億でございます。
  116. 井上泉

    井上(泉)委員 あとの残りの査定はいつまでですか。
  117. 棚橋正治

    ○棚橋説明員 あとの残りは、現在のところでは十一月二十日までに全部終わる予定でスケジュールを組んでおります。
  118. 井上泉

    井上(泉)委員 先ほど農林の委員会で、北海道関係については十一月十日までにすべての査定が完了する、こういうことを構造改善局長が答弁されておったのです。北海道の件数とは比較にならない件数かもしれぬわけですけれども、いまの市町村の事務能力というか、いまの農林省の査定のやり方でいたしますと、能力が限界を超えて、市町村としては悪戦苦闘しておるような状態で、いま課長が言われる十一月二十日とかいうことではよう終わらぬのではないかという心配もするわけです。そういうことについては、いつまでに査定の書類を出してこないともう査定をしないぞ、受け入れないぞというようなきついやり方でやられるということは、これは行政庁としての温かい配慮がないということになるのですが、その点についてはどうですか。
  119. 棚橋正治

    ○棚橋説明員 大変失礼いたしました。先ほど十一月二十日と申しましたのは間違えておりまして、十二月二十日でございます。訂正させていただきたいと存じます。  それで、この査定に要する設計につきましては、相当の日にちも手間もかかるということでございまして、特に高知県につきましては、県内の応援体制を確立いたしまして、またほかの県から現在十五名の技術者を派遣いたしまして、鋭意査定設計書の作成を急いでいるところでございます。
  120. 井上泉

    井上(泉)委員 来年度の植えつけに支障のないような、耕作に支障のないような復旧工事は、農林委員会でも答弁なさっておったのですが、これも別に支障のないような復旧工事ができるという見込みはありますか。
  121. 棚橋正治

    ○棚橋説明員 お答えいたします。  先ほども申しましたように、十二月の中旬までに査定を終わるわけでございますが、そのうち特に緊急なものにつきましては、査定を終わる前から着手いたしまして、早期復旧を図るということでございまして、来年度の作付には何とか間に合わせたいということで、たとえば頭首工だとか水路等につきまして全部完全に復旧できないものにつきましては、応急工事といたしまして水を通すようにいたしまして、施設につきましては作付に間に合うようにいたしたいというふうに存じておりますし、特に水田等につきまして、たとえば河川と関連しますところとか道路復旧と関連しますようなところは、それぞれの関係のところと十分調整して復旧するわけでございますが、そういうほかの事業と関連するところで残るところ、それからたとえば山の間のところで、高知県については来年度に作付とかミカンの栽培等ができないところも若干あろうかと存じますが、できるだけ来年度の作付等に間に合うようにいたしたいというふうに存じております。
  122. 井上泉

    井上(泉)委員 災害のあった直後には、自治体もそうしてまた国会も大騒ぎでやるわけですけれども、後の復旧工事になりますと、これは非常にのんべんだらりとなってくるわけでありますので、その点ひとつ十分心してやっていただきたいと思います。  そこで、私は建設省の河川局の次長にお尋ねをするわけですが、たとえば高知市の鏡川の今度の溢水によって、小石木とか河ノ瀬という右岸側の地域住宅が非常な被害を受けたわけですが、そういう場合に、堤防のかさ上げとかいうことは当然必要になってくると思うわけですけれども、これは災害復旧と位置づけることはできないのじゃないかと思うのですが、次の災害考えれば当然そういうことはやらなければならぬと思うのです。これは高知市だけでなしに、方々にこういう事例があろうと思うのですが、その点については建設省の事務当局としてはどういうふうに対処されようとしておるのか。
  123. 堺徳吾

    ○堺説明員 お答えいたします。  鏡川につきましては、先生指摘のように溢水被害を受けたわけでございます。これは本来ならば河川改修事業でやってきたところでございますし、今後もやるわけでございますが、先ほど来御質問も出ておりましたように、激甚災害対策特別緊急制度というものを来年度予算要求をしておるわけでございます。こういう制度が認められますれば、災害復旧と同様なスピードでもって迅速に改良がなされるというふうに考えて努力いたしておるところでございます。
  124. 井上泉

    井上(泉)委員 激特法ができてやればそういうことができるけれども、それではこれができなかったら放置ですか、どうですか。
  125. 堺徳吾

    ○堺説明員 できない場合におきましても、重点的に施行していくようにいたしたいと思っております。
  126. 井上泉

    井上(泉)委員 この法については、できることを期待して予算要求もなされておるということを聞くわけですが、大体この法を適用するに当たって、次の国会でこれが制定をされたとした場合に、初年度予算要求というものはどれだけなされておるのか、参考のために承っておきたいと思います。
  127. 堺徳吾

    ○堺説明員 激甚災の予算要求全体としましては、約二百億要求いたしております。
  128. 井上泉

    井上(泉)委員 これは委員長に申し上げますが、この激特法については非常に期待をされておる。特に災害の多い私ども高知県等におきましては、どこの町村に行きましてもこの法の制定を強く要望しておるわけで、これは日本全国同様のことだと思うわけですが、当委員会としても、この予算が大蔵段階で十分通るようにひとつ強力にバックをして、いわば推進の役割りを果たしていただきたいと思うわけですが、委員長見解を承っておきたいと思います。
  129. 金丸徳重

    金丸委員長 わかりました。各委員とも相談の上、十分努力をいたします。
  130. 井上泉

    井上(泉)委員 結構です。ぜひひとつお願いをします。  そこで私は、時間がもう十六分しかないので、多くのことを質問できぬわけですが、災害住宅融資についても三年間据え置きの恩典があるわけです、激特法の地域指定を受けた場合には。ところが、同じ五号台風でやられて激特法の指定を受けない市町村住民住宅については、これの適用がないということである。これはさきに政務次官が、法の恩恵というものは平等であるべきだという見解を述べられたことに非常に矛盾をすると思うわけですが、その点については、そういう災害住宅復旧に関しての一つの事例として申し上げるのですが、どういうふうなお考えで、いわゆる法のもとに平等な取り扱いをなされようとするのか、ひとつ承りたいと思います。
  131. 吉田公二

    ○吉田説明員 ただいまの御指摘の点でございますが、先般私ども金融公庫法の省令改正をいたしまして、災害救助法の発動された市町村があります災害につきましては、それ以外の市町村につきましても同じ扱いということでいたすことにいたしましたので、同一災害につきましては完全に同じ扱いになるわけでございます。
  132. 井上泉

    井上(泉)委員 それは建設省、非常に結構なことですが、通産省安田金融課長お見えになっておるのですが、建設省の住宅関係ではそういうふうにやっておるのに、中小企業の関係については政令なりあるいは基準を変えてやるとかいうようなわけにはいかぬですか。中小企業者に対して、市町村がそれに対して利子補給をするとか、いろいろなややこしいことをやって自治省に相談を持ちかけるまでもなく、何かできないですか。
  133. 安田佳三

    安田説明員 激甚災害の援助法につきましては、国の一般災害対策やら、あるいは被災地方公共団体によります独自の対策では十分対処し得ないような著しい災害について、国が特別の財政負担や援助を行うことというのが趣旨になっておりますので、したがいまして激甚災害地域指定する指定基準につきましても、そのような点に立脚して一〇%と定められているわけでございます。しかしながら、先生が御指摘のように、たとえば高知県で申しますと伊野町という高知市の隣接区域におきます被災者にとってみれば、まさに同様な被害を受けているわけでございますので、それらの方々に対しては、できるだけ各種の方法を講じなければならないというように考えております。  そこで、激甚災害法の指定地域につきましては、激甚災害法に基づきます低利融資を行っているわけでございますが、指定地域外につきましては、これは金利は低利ではございませんが、一般の災害融資を行っております。それからまた、この法の趣旨に従いまして高知県あるいは高知市等の地方団体に対しまして、それぞれのところで行っております特別の融資制度もあるようでございますが、そういうものを活用いたしまして、できるだけ激甚災害地域指定地以外の地域の方々に対してもそれらの措置を優先的にやっていただくようお願いしたりいたしまして、激甚災害以外の地域被災者復旧に努力いたしたいというように考えているわけでございます。  ところで、いま先生の御指摘基準の問題でございますが、この基準につきましてはいろいろの問題があるということは私ども承っておりますので、これは先ほども兒玉先生の御質問にもございましたように、本基準改定するかどうか等につきまして関係省庁とも十分連絡をとりながら研究いたしてまいりたいと思いますが、ただこの基準改定するということになりますと非常に各方面に関連いたしましますので、それらの点につきましては十分各省庁とも意見を交換して進めてまいりたいというように考えております。
  134. 井上泉

    井上(泉)委員 建設省の住宅関係で、そういうふうに被害を受けた者については、地域指定ということの差別などもなしに取り扱いができておるんだから、やはり通産省としてもそれだけのことをする努力というものはいろいろやっても、結局のところは利子ですから、高い利子を払わなければいかぬですから、そういうことの不利益を与えないようにすべきだと思うわけであります。しかし、それについては、その自治体が不利益にならないようにやるべきである、こういう自治省の方の見解もありますので、その点は補えることになろうと思うので、ひとつ通産省ももっと馬力をかけて中小企業者のために努力をしてもらいたいということを強く要望しておきたいと思います。  そこで、今度の被害の中で建設省の関係で特にダムによる被害というものが非常に大きかった。高知県の早明浦ダムで、早明浦ダムをつくるときに地元と覚書をいろいろ交換をしておるわけですが、そのダムによる被害について私がここでその覚書と被害の実態について話をしますと、とても質問をする時間がありませんので、それは後刻に譲るといたしましても、とにかくダムによって被害というものが非常にもたらされた、そういうことだけをまず政務次官も頭へ入れておっていただきたい。それでまた河川局の方も頭に入れておっていただきたいということです。  ところがこの間、その五、六日後に私現地の方へ参ったところが、早明浦ダムの落下地点の放水のために非常にがけ崩れが起きておるわけですが、それを地元の人に聞くと、なかなかこれをやってくれそうな模様がない。井上さん、ひとつこれはあなた、こんなことでこれを放置したら、ことしは雨が多いが、今度少し雨が降って、またダムがああやって放水でもすると、これは一挙にあそこにかかっておる橋まで流れるような状態になるが、一体これはどういうことですか。あんたら、もっと国会でその辺のことはちゃんとしてくださいよと、こういうように地元の者に非常に強いハッパをかけられたわけでありますが、これはローカルの地点を申し上げて恐縮ですけれども、これは一体どうなっておるのか、またダムによる影響、ダムによる被害、それがなかったら決壊もするわけじゃないですから、ダムによる被害に対しては早急にこれを復旧するということは、やはりダム近接の住民にとって私は非常に大事なことじゃないかと思うのですが、そういう点でも、政治的にでも早くこれは着手すべきでないか、こういうように思うのですが、政務次官、これは一体どうなっておるのですか。
  135. 中村弘海

    中村(弘)政府委員 先生のおっしゃっておられる地区は大又地区だというふうに理解しております。これは先生のおっしゃるとおりでございまして、ただいま、被災後、調査もすでに済んでおります。それで、補正予算が上れば直ちに着工いたしまして、先生の御意思に従いたいと考えております。
  136. 井上泉

    井上(泉)委員 補正予算が上がればということは、補正予算もどうせすぐ上がるわけですが、これは仮谷大臣の地元のことでもあるわけであるから、まさかいいかげんな御答弁ではないと思うのですが、確かにそのことは信頼しておきたいと思います。  それで、あわせて災害関係で、さっきから建設省の方だったろうか、何か公共施設については単年度で、直轄災については二年、それから補助災については三年と、こういうことを言われておったんですか、仁淀川流域等の——仁淀川は直轄河川ですが、仁淀川流域の災害復旧は、これは直轄災として二年でやる計画で進めておるのか。これも補正予算が通らないと始まらないものか、この点、河川局の次長の方で結構ですが、どうなっておるんですか。
  137. 堺徳吾

    ○堺説明員 仁淀川の直轄部分につきましては、御指摘のとおり二年で復旧するつもりでございます。
  138. 井上泉

    井上(泉)委員 二年ということは、ぼくは知らないのですけれども、もう発注して終わっておるのですか、これもやはり補正予算待ちですか、どっちですか。
  139. 堺徳吾

    ○堺説明員 準備はいたしておると思いますけれども、補正予算待ちでございます。
  140. 井上泉

    井上(泉)委員 それで、最後に私は、防災会議のあり方について紀埜審議官にお尋ねするわけですが、大体国民は災害のあった場合にはこの防災会議に非常に期待をするわけです。何か防災会議にかけて天災融資を決めるんだとかあるいは激甚を決めるとか、こういうことをよく言われるわけですから、防災会議というものはかなり権威のある会の構成の中で行われておるんだ、こういうように思っておったのですけれども、調べてみると、議長が首相で後は各大臣を網羅しておるという、いわば形だけの防災会議の機構であって、中身というものは結局それぞれの所管の、建設省なら建設省あるいは自治省、農林省といういわば所管の局長クラスあるいはその局長以下のクラスの間で話し合って決めたものを、ただ防災会議という形式の上でこれを処理しておるということにすぎないようですが、こんな防災会議というものは国民を瞞着するものじゃないか、こういうように思うわけです。私は、少なくとも防災会議というものについては適当な議事録なりがあるかどうか、こう思って尋ねたところが、そういうようなものは全くない、こういうことですが、この防災会議のあり方について、これは紀埜審議官、どういうふうにお考えになっておられるのか、現在の防災会議で結構だとお考えになっておるのか、見解を承っておきたいと思います。
  141. 紀埜孝典

    紀埜政府委員 お答えいたします。  災対法などにも書いておりますとおり、防災会議では重要事項を御審議いただく。しかし、いろいろの審議すべき事項が災害の都度起こっておりますので、それは連絡会議といいますか、そういう形で持っております主事会議で各省と相談して具体的な事項に対しては処置していく、こういうふうな形で進められておりますので、具体的事項の推進は大体そういうふうな形でいっているというふうな実情でございます。
  142. 井上泉

    井上(泉)委員 それでは、いまの防災会議の機構、運営のあり方としてはもう結構だと、こういうことですか。
  143. 紀埜孝典

    紀埜政府委員 お答えいたします。  本年の例を見ていただきましても、災害期にかかるというときには、本年どういう対策を重点に置いて考えていこうかというふうな時点におきましては、ことしも中央防災会議を開催させていただきまして御審議いただいたというふうな形で進めてまいっております。
  144. 井上泉

    井上(泉)委員 そういうことを言ってるんじゃないですよ。いまの防災会議の運営の機構で、そういったような運営の仕方で国民の期待にこたえる防災対策というものが生まれる、そしてまた対策が講じられる、こういうふうにお考えになっておるのかどうかということを承って、それで、それは結構だというならば、どうした点で結構であるのか、そのことを説明していただいて、そうして結構でないとするならば、どういう点を改めたいと思うのか、その辺の見解を承って、私の質問、防災会議に関してはまた次の機会に譲りたいと思います。
  145. 紀埜孝典

    紀埜政府委員 中央防災会議は、災対法の御趣旨から見ていただきましても、防災基本計画が主たる検討事項ということでございまして、その基本計画が修正を加える必要あるときには修正をしというので、根本的な、先ほども申しました重要な事項を御審議していただく。そして、その方針にのっとりまして、具体的な関係は主事会議等に委任していただいておりますので、そのような会議をしばしば持ちまして都度都度の災害に対処していくというので、まあ現状でうまくいっておるのではないかというふうな感じを持っておる次第でございます。
  146. 金丸徳重

    金丸委員長 この際、午後一時四十分まで休憩いたします。     午後零時四十四分休憩      ————◇—————     午後一時四十一分開議
  147. 金丸徳重

    金丸委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続けます。山原健二郎君。
  148. 山原健二郎

    ○山原委員 最初に、この前のこの委員会におきまして質問を申し上げたわけですが、それの答弁との関係で何点か質問をいたしたいと思います。少しダブる面があるかもしれませんが、御容赦いただきたいと思います。  最初に、中小業者への融資の問題につきまして、この間、高知市の場合の台風五号、六号による被害の融資制度の問題についてお伺いしました。織田中小企業庁計画部長の方からの最終的な答弁はこういうことであったわけです。「現在の基準に従いまして適用することは無理でございますので、基準の見直しということをこれからいろいろ検討したい」こういうお話でございましたが、この点について基準の見直しというのは一体どういうことなのか、あるいは法律改正を検討するという意味なのかどうか、この点伺っておきたいのですが、いかがでしょうか。
  149. 安田佳三

    安田説明員 先生指摘のように、高知市は今回の激甚災害指定地域、その局地激甚指定地域に入っておりません。これは御案内のとおり局地激甚指定基準がございまして、その基準に合致しないために今回の指定には入ってないわけでございます。激甚災害援助法は、国の一般災害対策やあるいは被災地の地方公共団体による独自の対策では十分対処し得ないような著しい災害につきまして、国が特別の財政負担あるいは援助を行うということがその趣旨でございますので、したがいまして現在の指定基準もこのような点に立脚して定められているわけであります。ただ、高知市の場合、隣接の市町村被害者の側から見ますと同様の被災を受けているという点は変わりございませんので、その点につきましては一般の災害対策あるいは地方公共団体の施策によりまして救済をお願いいたしたいところでございますが、ただ今回の高知市のように、一つの県に非常に大きな被害があります場合、現行基準では十分その意を尽くしておると言えないのではないかというような御批判もございますので、したがいまして現在定められております局地激甚指定基準等につきまして、その改定を行うことができるかどうか広い見地から検討いたしたいというふうに考えております。ただ、何分にも関係する分野が非常に広うございますので、それらの関係省庁とも十分連絡をとりながら研究を進めてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。  なお、先生のおっしゃいましたこの基準法律ではございませんで、中央防災会議の議を経ました基準ということになっております。
  150. 山原健二郎

    ○山原委員 災害が起こったときに、その災害から何を学び、実情に即してどういうふうな対処をしていくかということが大変重要だと思います。この点につきましては、高知市の市議会その他からも要請がありまして、災害特別委員会委員長さんも一緒に列席をしていただいて話を聞いたわけです。これに対しては、やはりこたえるべきものはこたえるべきだと思いますし、また基準が不適切であるならば、この基準はやはり検討する必要がある、こういうふうに思うわけです。したがって、同じ災害を受けて、その取り扱いが不公平になるということは許されないわけでございますから、その意味で、この基準の見直しという点についてさらに早急な検討をしていただきたいと思います。これはまた国会としても当然検討されるべきことだと思うわけですが、その点については災害特別委員会の方へもお願いをいたしたいと思います。  さらにもう一度伺いますけれども、これはいまお話がありましたように各省庁にわたっておって、なかなか困難であるかのような御発言でございますけれども、これについての見直しをさらに積極的に進めていくというお考えなのかどうか、もう一度伺っておきたいのです。
  151. 安田佳三

    安田説明員 この点につきましては、予算委員会におきまして通商産業大臣からも御答弁がありましたが、先生指摘のとおり関係方面が非常に広うございますので、必ずしも容易な問題ではないと思います。ただ、現実に高知の例等からいろいろ学びました点は私ども慎重に研究いたしまして、何らかの方法がないか関係方面と打ち合わせをいたしたいというふうに存じております。
  152. 山原健二郎

    ○山原委員 二つ目の問題ですが、今回被害を受けました各市町村長の方にも連絡をいたしまして、また私自身、あの災害以後かなりの日数を経ておりますので、どういう事態になっておるのかということで調べてみたわけです。ほとんどまだ復旧には手がついていないのが実情であります。その中で一番大きな要望として出ておりますのは、いわゆる激特と呼ばれる激甚災害対策特別整備事業、これを早く実現してもらいたい、こういうことなんです。これはもう一致した見解でありまして、すでに市町村の方ではその内容までほぼ皆知っておるわけです。その中には幾つかの問題点もありますけれども、問題点のことはきょうは申し上げませんが、ともかくこの激特を実施してもらいたい、これはもう全く切実な要求になっているわけです。この点について農林省並びに建設省の御見解を伺いたいのです。現在どうなっているのでしょうか。
  153. 堺徳吾

    ○堺説明員 建設省の方から先にお答えさせていただきます。  公共土木施設の災害があった場合には、先生御承知のように、公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法によりまして、一定の期間に災害復旧なりあるいは改良復旧というものが行われるようになっておるわけでございますが、一般災害が非常に激甚であっても公共土木施設に被害がないというような場合、たとえば溢水被害のような場合でございますが、河川の堤防が溢水しまして一般の被害は非常に大きかったが、災害が終わった後、水が引いた後は河川そのものには被害が何らない、そういうようなものにつきましては、御承知のようにこの国庫負担法の対象外でございますので、一般の改良によらざるを得ないわけでございます。一般の改良のテンポは御承知のようにかなり遅いということで、地域住民の方に非常に御不安を与えておるのが実情でございます。現状はそういうふうなことでございまして、復旧そのものにつきましては二年ないし四年ということでいろいろ手をつけつつあるわけでございますが、改良につきましてはそういうような状況でございます。これに対しまして、公共土木施設に被害があったと同じようなテンポでもって、そういう地域につきましては再度災害を防ぐための改良を進めたいということで、御指摘のような緊急整備事業というものを来年度から実施したいということで大蔵省当局に予算要求をいたしておるところでございます。
  154. 藍原義邦

    ○藍原説明員 山地の災害につきましては、先生御存じのように、緊急治山で一応対応いたしておりますけれども、ただいま建設省の方から御説明がございましたように、災害に対しましては、一つの流域については流域単位に災害復旧する必要もございますので、治水事業と十分連携をとりながら治山事業も今後進めていくという必要がございますので、ただいま五十一年度の予算に激甚災害対策特別緊急整備事業という形で予算要求をいたしております。
  155. 山原健二郎

    ○山原委員 もう一度建設省の方に伺いますが、この予算要求は実現できる可能性を持っているわけですか。
  156. 堺徳吾

    ○堺説明員 われわれは、地域住民の不安を解消するためにぜひ実現いたしたいというふうに考えております。
  157. 山原健二郎

    ○山原委員 この問題は、先ほども言いましたように、実情をちょっと申し上げてみますと、今回の災害によりまして高知市の場合、鏡川、神田川、御承知だと思いますが、このはんらんが問題であるわけです。鏡川は中小河川改修事業、神田川の場合は小規模河川改修事業というかっこうになっております。このままでいくならば、これはもう何年たっても、かなり長期でなければ改修できないという事態があるわけです。したがって、これに対する激特というものをぜひ適用するようなことをやってもらいたいというのが一つですね。そして、それができない場合に、たとえば神田川の場合、これは小規模河川改修事業でございますが、これを少なくとも中小河川への格上げということができるのかどうか、こういう問題が起こっています。これは私がこの災害が起こりました最初の災害対策委員会でも質問をしまして、やや中小河川への格上げという意味の答弁であったように思いますが、この点はどうなんでしょうか。
  158. 堺徳吾

    ○堺説明員 神田川につきましては、中小河川への格上げの可能性はあると思います。
  159. 山原健二郎

    ○山原委員 これはどこでどういう時期に決まるのでしょうか。
  160. 堺徳吾

    ○堺説明員 時期の問題につきましては、ちょっといまの段階ではお答えできないような状況でございます。
  161. 山原健二郎

    ○山原委員 可能性があるという御答弁ですから、これはぜひ実現をしていただきたいと思います。  全村水浸しになりました日高村の場合、日下川の改修を例にとってみますと、現在の進め方で改修をしていくならば、現在年間三千万円でございますから、約二十年かからなければ改修工事は完了しないであろうというふうに言われているわけであります。こういうところから、いわゆる激特に対する期待というものが非常に大きいわけですね。そういう点から見まして、これは日下川だけではありません。土佐市の波介川の問題もあるわけですが、そういう意味でも全く切実な要求であると思いますが、日下川はあれだけはんらんして、全村水浸しで、役場の二階に船をつけて出入りをしなければならぬという事態まで起こっているのですが、この日下川の改修についてはどういうお考えでしょうか。
  162. 堺徳吾

    ○堺説明員 日下川につきましても、激特の中に入れるようにということで要求をいたしておるところでございます。
  163. 山原健二郎

    ○山原委員 これはぜひ実現をしていただかないと困ると思います。このままもう全く放置できない状態にあるわけでございますから、この激特の問題については、この切実性というのはよくわかったと思うのですが、ぜひ実現をするように、また委員長にもお願いをいたしたいわけでございますけれども、これは現地を見られまして、また要望その他もお聞きくださって、事情はよく御承知と思いますので、ぜひこれを今回の予算要求で実現するような努力をまさに超党派でやるべきだと思いますので、よろしくお願い申し上げます。  三番目の問題といたしまして、現在の復旧の実態と査定事務の問題でございます。  その例を挙げますと、たとえば土佐郡鏡村の場合です。これは災害復旧は全く手がついておりません。件数にいたしまして、災害個所六百件、金額にしまして約二十億であろうと言われております。これだけの崩壊を抱えた村というものが、全く手も足も出ない状態に置かれておることは、想像が容易にできると思います。  さらに、日高村の場合を見てみますと、やはり同じような状態でございますが、この査定の事務費ですね。現在、十二月までを目途にして、いま技術者を入れてこの査定の準備をいたしておるわけでございますが、この査定後の事務費については国に見てもらえる。ところが、それまでの事務費というのが大変な額に上るわけです。日高村の例を見ますと、この村の年間予算の中で人件費は一億円でございます。ところが、今回この査定事業、これをやっておる事務費がすでに五千万円を突破しておるわけでございます。  伊野町の場合を見ますと、これは勝賀瀬その他の御承知のような被害でございますが、これは土木被害の個所が四百四十八件、二十三億円を予想されております。農林被害が八百件の三十億円を予想されております。この膨大な崩壊被災の調査事務費、これは大変なものでございます。県から来る技術者の場合は県費で持ちますけれども、たとえば旦同村の場合はそういう人数も不足しておりますから、コンサルタント等に助けてもらっているという実態です。そうしますと、この事務費が市町村財政というものを大変圧迫しておるという実態です。これはどうすれば解決するのか、そんな点について、この実情に即した対応策というものがあるのでしょうか。
  164. 井沢健二

    ○井沢説明員 お答えいたします。  査定設計書の作成のための委託費に関する補助制度でございますが、災害復旧事業の査定設計書の作成に当たりましては、その要した費用については、申請主義のたてまえをとっておりますので、原則としてその査定を申請する地方公共団体負担をすべきものということで現在までまいっております。ところが、四十七年度あるいは四十九年度の非常に大きな激甚災の場合に、早期復旧を図らなければいけないというふうなことで査定設計書の作成を民間に委託したものにつきましては、地方公共団体負担の軽減を図るために、臨時特例措置といたしまして、一定の条件のもとにこれらの費用の二分の一を補助いたしております。ことしも非常に激甚な年でございますので、私どもは従来の例に乗りたいというふうに考えております。しかしながら、また査定設計書の作成に当たりましても、小さな設計書につきましては総合単価方式という、要するに河川の護岸であるならばメーター幾らであるかというような単価をあらかじめつくっておきましてそれを使用する、あるいは図面を簡素化するとか、極力そういうふうな省力化を同時に図っておるわけでございます。
  165. 山原健二郎

    ○山原委員 これはいま申しましたように市町村長が全く頭を抱え込んでおるような問題なんですが、いまのような、たとえば村には技術者がいないものですからコンサルタントに依頼をするとか、あるいは県外から他の県の技術者が手助けに来た場合、それはどうなっているのですか。
  166. 井沢健二

    ○井沢説明員 他県の技術者の場合でも、いまのよそのコンサルタントに発注したと同じ考え方を持っております。
  167. 山原健二郎

    ○山原委員 もう一回お伺いしますが、臨時特例措置として二分の一、その二分の一というのはこういうことでしょうか。たとえばいま言いました日高村の場合は約五千万円も必要であるということになると、そのうちの二千五百万円を臨時特例措置で手当てをする、こういう意味ですか。
  168. 井沢健二

    ○井沢説明員 ちょっと訂正いたしますと、コンサルタントに発注した場合は委託費でございまして、ほかの方からのいわゆる官庁技術者の応援である場合には、人件費は自庁持ちということになろうかと思います。
  169. 山原健二郎

    ○山原委員 公共団体持ちですか。全額市町村持ちということですか。
  170. 井沢健二

    ○井沢説明員 そのとおりでございます。
  171. 山原健二郎

    ○山原委員 実態はそういうことだと思うのです。  そうしますと、現実の場合として災害を受けた市町村としては、特に今回の場合などは過疎地域被害が多いわけですから、もともと市町村財政が完全に行き詰まっておるところに、その上にこういう問題が出まして、しかも技術者はいない、期限は十二月までと決められておるというばたばたした中で応援に来てもらわざるを得ない実態、その金は出さなければならぬ、これは何らかの措置を講ずる必要があるのではないか。これは運用の問題として、たとえば臨時特例措置として二分の一というならば、これを何らかの解釈をするとか、あるいは実情に即した体制を国がとる必要があるのではないかというふうに思いますが、そんな点は全くこのままでいいのだというふうなお考えでしょうか。
  172. 井沢健二

    ○井沢説明員 委託した場合の設計委託費につきましては、今後実情を調査いたしまして適切な措置をとりたいと考えております。
  173. 山原健二郎

    ○山原委員 地方の声も本当に皆さんはお聞きになっておると思いますけれども、全くこれは頭の痛い話だと思うのです。そういう意味で、これなども確かにいままでの慣例とか、そういうもので来ておるかもしれませんが、実情に即した体制をとらないと、これは災害復旧といったところで市町村財政は完全に破綻をするわけですから、これについてはぜひ実情を把握して、これに対する対応策を国として考えるということが必要だと思います。きょうはこの指摘にとどめておきますけれども、また災害委員会がありました場合には、一体どれだけの経費が支出されておるかという点もぜひ検討していただきたいと思うのですが、この旦同村の例なんかは年間の人件費が一億で、今回の査定事業でもうすでに五千万便われておる、これではどうにもならぬわけですね。もう村は新規事業というのはばたばたと中止せざるを得ないという状態にあるわけでございますから、これはぜひ御調査をいただいて、さらにこれに対する対応策を検討していただきたい、こう思います。  もう一つは、この査定が十二月までとなっていますが、これに間に合わない場合があるわけですね。非常に個所が多いわけですから、先ほど建設省からお話があったように、いろいろ総合、一括した、また簡単な方式でやられると言いますけれども、しかしそれにしても災害の規模がかなり大きいものですから間に合わない場合があるわけです。それは町村へ行ってみますと、ほとんど徹夜のような状態でふらふらになりながらやっておるという実情でありますけれども、しかしそれが間に合わない場合に、期限が切れた場合に、これに対して追加を認めるということはできるんでしょうか。
  174. 井沢健二

    ○井沢説明員 現在私どもの方では、高知県の場合には、県、町村合わせてでございますが、約一万件ほどの査定の申し出がございます。それにつきましては県が中心になりまして、非常に弱い町村につきましてはそういうところを指導しながら、現在査定の設計書をつくりながら査定を続行いたしておりますが、現在のところの話ではおおむね間に合うという報告を受けております。
  175. 山原健二郎

    ○山原委員 私が言うのは、現在仕事を進めているわけですから、当然間に合うように努力はしておると思います。しかし、間に合わない場合、これは現実に市町村長からの声として私の方へ来ておるわけでございまして、間に合わない場合にはどうするんでしょうか。絶対にそれはだめなのか、あるいは何らかの措置を講じて、何月何日までには間に合うようにこの地域についてはやりなさいとかいうふうな指導をする余裕というのはあるんでしょうか。
  176. 井沢健二

    ○井沢説明員 そういう場合にも適切な措置をとるように検討いたします。
  177. 山原健二郎

    ○山原委員 もう一つの問題はダム災害の問題です。これもこの間のこの委員会で、十月十八日でございましたか、質問をいたしました。これは具体的には早明浦ダムで、御承知のように計画によれば毎秒二千トンの放流ということになっておるのを、二千五百トンの放流を五時間半にわたってしなければならないという事態が起こりました。このダムの操作についても私は大変問題点を感じているわけです。この計画量というものを変更する必要があるんではなかろうか。たとえばダムの水かさ、きょうは数字を持ってきませんでしたけれども、いまの計画量によりますとこの貯水量はかなり高いわけです。これをもう少し下げるとかというような方法ですね、こういうものについてこの早明浦ダムについては検討する必要があるんではないかというふうに考えておるわけでございます。また、事実そういう点で特別に調査をしておる高知大学の科学者の発表によりましても、洪水期にはもう少し貯水量を減しておいてもいいのではないかという声も出ているわけです。私は、今回の早明浦ダム近辺の雨量というのは、必ずしも物すごいものではなかったと思っているのです。雨量計が余りありませんから、この実態が把握できないわけですが、早明浦ダムの流域の雨量というのは、八十年に一遍しかこないというような雨量ではなかったと思っています。ところが、それにもかかわらずこういう事態が起こりまして二千五百トンの放流ということになりますと、これは実際には、もう建設省も認めておられるように、下の公共土木の護岸が粉砕されているわけですね。しかも、そのダム堰堤のすぐ下に高知県長岡郡本山町大又地区という部落があるわけです。その部落の人たちは、地響き、そしてしぶき、これで身の危険を感じて、恐怖のどん底に置かれているわけですね。恐怖の何時間という文章まで出ているわけですが、これも今回だけではありません。この早明浦ダムができましてから現在二年目でありますけれども、しばしばこういうことが起こりまして、もうこの地域には生活をようしないという問題まで起こっているわけです。  これらの問題について、水資源公団との話し合いですね、水資源公団はダム建設に当たっては、この地域に対しては被害を起こすようなことはしないということも約束をされております。しかし、こういう問題についての話し合いをしようとしても、市町村要請に対してなかなか受け付けないという事態が起こっているわけです。これが地域住民の方たちまた地方自治体の大きな憤激を買っておるのが現状であります。このダムの問題については相当激しい怒りというものがあるわけなんですね。この現実をまず見ていただかなければならぬと思います。そして、この間の私の質問に対して建設省の方からこれらの問題について調査をし、さらに水資源公団に対しても監督庁として指導を強めていくという御答弁があったわけですが、その後、これについての調査あるいは適切な指導というものがなされておるのかどうか、この点を伺っておきたいのです。
  178. 佐々木才朗

    ○佐々木説明員 お答えいたします。  この問題につきましては、かねてから先生からの御指摘もございまして、前回の委員会でも指導を強めるというお約束もいたしました。公団を督励いたしまして、いろいろ実情を調査いたしてみました。  それで、今回の災害先生も御案内のように非常に大きな出水がございまして、計画放流量も若干上回る放水をしなければならぬ。結果的には、水系全体のためには非常に役立ったわけでございますが、直下についてはそういう現象が起こりました。そのために、大又地区、いろいろ御心配をおかけしたわけでございますが、その後、実情を調査いたしてみますと、計画放流量を上回る放流について、落下水のエネルギーを殺すためにいろいろな施設がつくってあるわけでございますが、計画量をオーバーしたためにその減勢効果が必ずしも十分じゃない面があるということが判明をいたしました。  つきましては、それに対する対策でございますが、下流の河道を掘削、整正するとかあるいは減勢効果を高めるための構造物をつくるとか、こういった具体的な研究をいま始めておりまして、これにつきましては、細部につきましてはある程度の模型実験等もやって細部を決めたいと思っておりますが、そういったことをやりまして、下流の大又地区の方々に不安がないように措置をいたしたいということをわれわれも思っておりますし、公団にもそのようにいま検討を進めさせておる状況でございます。
  179. 山原健二郎

    ○山原委員 いまあるいは模型実験とかいろいろ研究されておるということはわかるんですが、これはダム建設に当たっての計画それから設計、たとえばあの下の護岸が崩れているわけですね。これは水のエネルギーを抑制するためにつくられたと、こう言うのですけれども、これが壊れるというのは、設計が、こういう早明浦ダムというずいぶん問題もあり、しかも三百何十戸が湖底に沈む巨大なダムですから、そういうダムが建設される場合に、そのダム直下の堰堤あるいは公共事業が粉砕されるなどということはちょっと考えられないわけですよ。ずいぶんずさんなものだなという感じもするわけですよね。そういう状態、しかも堰堤のすぐ下に一つの部落が存在をしておるなどということが、果たして適切なのかどうかという疑問を私は持っているわけです。実際は、これは当然移転をさすとかいうことも考えなければならぬと思います。もちろんいまお答えがありましたようにいろいろ検討されるということですから、その結果がどういうふうに出るかわかりませんが、これは大体いつごろこれについての具体的な実験検討の結果が出るのでしょうか、それを伺っておきたいのです。来年、再来年になっても困るわけですね。大体どの程度の目安を立てて、これに対する対策を立てていますか。
  180. 佐々木才朗

    ○佐々木説明員 当面の対策といたしまして、ダムの下流の河床が整正を要すべき点があると思いますので、これにつきましては今年度措置にかかりたい、こういうふうに思っております。  それから、模型実験につきましては若干の日時を要するわけでございますが、来年度の半ばごろまでにはそういった基本的な検討は終わって、来年ないし五十二年に若干かかるぐらいで諸般の対策を終わりたい、こういう予定で進めております。
  181. 山原健二郎

    ○山原委員 そのことも必要だと思います。同時に、私がいま言いましたようにダムの直下に部落が存在をしておるということは、これは異常なことだと思うんですね。そういう点から考えまして、ダム設計時における設計の仕方のずさんさというものを指摘せざるを得ないのです。そういう意味で、いまの実験やあるいは検討はもちろん必要でございます。これは急いでいただきたいと思いますが、同時にこの部落の移転の問題についても考えないと、これは少々のことではないのです。あの百メートルのダムの放流ということ、毎秒二千五百トンばあっと流れると、このしぶきというのは大変な勢いなんです。それは恐怖を持つのは当然でございまして、私ども太平洋の波を見ていますけれども、たとえばあの大きな高潮が来たときの波の打ち上げるあれよりもまだすさまじい勢いなんですね。何のことはない、何でこんなところに生活しているのかという疑問すら出てくるような実態です。こういうことを考えましたら、やはり水資源公団も市町村要請に対してはちゃんと交渉に応じるという態度をとる必要があると思います。この点を一点聞かせていただいて、水資源公団にちゃんと市町村なら市町村要請に対しては話し合いに応じていくということの指導をしていただきたいことが一つ、これをお答えしていただきたい。  もう一つは、洪水期には、たとえば県知事なら県知事がダムの操作について意見を述べることができるという、こういうことも必要じゃないかと私は思うのです。そういう点について、この前もちょっと指摘をしたところでありますが、どういうお考えを持っていますか、伺っておきたいのです。
  182. 佐々木才朗

    ○佐々木説明員 大又部落の移転問題につきましては、先生も御存じと思いますが、ダム直下の部分につきましては、工事中に移転をしていただく機会が二度ばかりございまして、そういった措置もとったわけでございまして、現在九戸のお宅が残っておるわけでございますが、これにつきましては、先ほど申しましたように減勢効果をさらに十分にするということで進めたいとわれわれも思っておるわけでございますが、先生お話の移転の要望につきましては、これはまだ詳しくその九戸のうちのどういう方がそういうことを言っておられるのか、その辺の実情を十分把握しておりませんので、基本方針にのっとって進めながら、なおかつ地元の御意向も伺うように公団を指導するようにいたします。  それから、二点目のダム操作についての県知事の参加の問題でございますが、これは御案内のように、ダムと申しますのは、非常に重要な河川の管理施設でございまして、これの管理者は、河川法あるいは特定ダム法、水資源開発公団法等の法律の定めるところによりまして管理者がそれぞれ決まっておるわけでございまして、水資源開発公団が設置いたしましたダムにつきましては、水資源開発公団が管理するわけでございます。その場合に、施設管理規程というものを公団がつくるわけでございます。その場合に、県知事さんと御協議をしてその内容を決めるわけでございまして、その施設管理規程には当然県知事さんの御意向が十分反映した形になっておるわけでございます。その施設管理規程に基づきまして、管理責任者が管理をするというのが河川法あるいは水資源公団法のたてまえになっておりますので、そういうふうに御承知いただきたいと思います。
  183. 山原健二郎

    ○山原委員 時間が参りましたので、これでおきますけれども、実はここは私の故郷でございまして、絶えず状況の変化というのは私もよく知っているわけです。したがって、今後も十分私も見ていきたいと思いますが、とにかく住民に不安を与えないということが大事ですから、そういう意味での話し合いというものは十分していくように行政の指導というものをぜひやっていただきたい。  以上で終わります。
  184. 金丸徳重

    金丸委員長 次に、広沢直樹君。
  185. 広沢直樹

    ○広沢委員 去る八月の台風五号、六号、さらにその後における集中豪雨等における災害に当たりましては、私も衆議院の災害対策調査の一員として、四国を初め北海道まで行ってまいりました。きょうここにいらっしゃる係官の中にも参加された方もありますので、災害の実情についてはある程度現地で掌握され、またその声も聞いていらっしゃると思います。そういう観点から、各地におきます陳情も数多く出されました。その陳情の中で共通する部分から若干伺って、特に私、徳島県の問題について二、三具体的な問題で最後にお尋ねしてみたいと思います。  まず最初に、自治省にお伺いいたしますが、特別交付税の配分についてであります。これは午前中の質問の中にも若干出ておりましたけれども、今日、地方におきましても国におきましても非常に財政的危機が叫ばれておるわけであります。特に、税収不足によりまして交付税の問題についてもいま盛んに問題になっておりますけれども、いま特別措置をするということで、減額にはならずに地方交付税も当初予算のとおり補てんされる、補てんの仕方にはいろいろあるでしょうけれども、そういうことになっております。その中で特別交付税の枠も決められるわけでありますけれども、今次のような非常に大きな災害が起きた場合においては、これは各地におきましてやはり通常の特別交付税の枠の中でも増額をしてもらいたいという要求が強くなされるわけであります。財源に乏しい各地方におきましては、やはり唯一こういったものに頼っているわけでありまして、この点について、すでにお聞き及びと思いますが、具体的にどういう措置をお考えになっていらっしゃるのか。  さらに、自治省に重ねてお伺いしておきますが、次は地方債の配分の問題についてであります。公共土木施設あるいは農林水産施設、この災害復旧地方負担額については地方債を配分せられておりますが、これは小災害の配分についても考慮してもらいたいという要求が出ておるわけであります。この点について、どういうふうに考えておられるのか。  なお、災害復旧につきましては、こういうふうな何らかの財源の手当てをして早急に復旧をしなければならないことは当然のことでありますけれども、それは復旧のことであって、すでに危険地域とみなされているところも、調査によって明らかにされているところがたくさんあるわけであります。そういった中においても、財源が足りないために十分な手当てができない、みすみす次の台風だとかあるいは集中豪雨を受けたときには、あらかじめわかっておりながら、そこがまた大きな被害を生ずる、こういうことで前もって具体的な手を打たなければならない。それは一般財源で当然考えてはいっておりますが、それにも限度があるということになれば、やはりそういった災害については、防災的な立場から特別の起債を、各自治団体で要求したところにおいては認めるべきではないだろうかという考えもあるわけでありまして、その点についてもどのようにお考えになっていらっしゃるのか。  以上三点、かいつまんで御説明いただきたいと思います。
  186. 関根則之

    関根説明員 特別交付税の枠の問題でございますが、今年度災害は多発をいたしておりまして、被害額も大きくなっておるわけでございますが、いまのところまだ正確な数字がつかめておりませんし、またこれから起こる可能性も絶無とは言えないというようなこともありまして、いまのところ正確な数字の予測ができませんが、いずれにいたしましても、今年度特別交付税総額が約二千六百億程度にはなると思いますので、その枠の中で十分処理できるであろうというふうに私は考えております。昨年の実績が百四十四億ということでございますから、相当程度ふえましても、まだまだ枠の余裕はある。本来、特別交付税というのは予測しがたい臨時の出費に対しまして地方財政財源措置をする、そのために設けられておりますので、まさに災害対策費というのは特別交付税存立のそもそもの目的にかなったことでございますので、災害には最優先に特別交付税を充当すべき筋合いのものだと思いますので、私どもとしては災害対策費につきましての特交の充当は十分可能であるというふうに確信を持っております。  次に、地方債の問題でございますが、小災害債につきましては、これもすでに制度化されておりまして、毎年、国庫補助対象にならない小さな分につきまして、そういう事例が発生します都度充当をいたしております。ちなみに申し上げますと、公共土木施設、公立学校施設等につきましては百分の百の充当率で充当いたしておりますし、農地等につきましての小災害については、最低五〇%から八〇%までの間で、それぞれ被害額程度等に応じまして配分をいたしております。この枠につきましても、いままでの例から申しまして、市町村からの要望に対して十分対応できるような措置をとってきております。今年度の場合におきましても、そういった対応ができるものと思っておる次第でございます。  それから、再度災害の防止のための事業に対しまして地方債を用意すべきではないかということでございますが、私どもの方といたしましては、国土保全ないし改良の一環といたしまして、各省庁がいろいろな補助制度をもって仕事を進めておるわけでございます。そういうものの中の一環といたしまして、そういった災害を防除するための目的を持った河川なり道路なり、そういったものの改良、改善を進めていくべき筋合いのものだと思いますし、そういう中で地方財源が必要になるというものに対しましては、当然起債なりあるいは交付税なりで裏負担をめんどうを見ていく、そういう考え方でございます。特にこのための別枠起債なり、そういうものを別枠として設けるということではなしに、いろいろな事業の中の、事業に対する起債枠というものを拡充することによって対応していきたいというふうに考えておるわけでございます。
  187. 広沢直樹

    ○広沢委員 いまのお答えで大体わかりましたけれども関根さん、いまの最後の答えですけれども、起債の枠というのは地方は大体決まっていますね、総体的に。総体枠というものが財政の実情とにらみ合わせて決まっていると思うんですね。ですから、その枠から大きくふくらもうとしている場合においては、それはもう全体的な枠を詰めているものですから、それだけ広げて考えていこうとする場合は、やはり特別に何か考えないとできないんじゃないかということなんですがね。その点どうなっていますか。
  188. 関根則之

    関根説明員 おっしゃるとおり、地方債の枠につきましては地方債計画によりまして一応の計画が組まれておるわけでございます。何か特に大きな仕事、需要が出てまいりましたときに、それに対応するためには、地方債計画の変更なり増枠なりというものをしていかなければならぬと思いますが、地方債計画全体は昭和五十年度でも二兆八千億という非常に膨大なものでございます。そういう中で、ある程度の問題につきましては彼此流用といいますか、弾力的な運用も決して不可能ではございません。そういうことも、弾力的な運用をとれるものにつきましては弾力的な運用も図っていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  189. 広沢直樹

    ○広沢委員 それでは、次は厚生省関係の問題でありますが、災害救助法による救助の程度及びその方法とその期間の問題です。これも過般視察に回っておったときに、陳情の中から具体的な問題として要望があった問題でありますが、いわゆる災害救助法適用項目の基準単価を実態に応じたように変えてもらいたい。たとえて申し上げますと、救助の種別の中で「炊き出しその他による食品の給与」というのがあります。そういう中で一日一人当たり給食費の単価が三百五十五円、これでは低過ぎるから、やはりこれを少なくとも実態に合うように上げてもらいたい。さらには応急仮設住宅の問題につきましても、流失または全壊した世帯戸数全体の三割しか認めない。ですから、これの枠も広げるべきではないか。こういうような実態の上から毎年これは見直されているとは思いますけれども、もう少しこれは実態に合わせた見直しが必要じゃないかと思うのですが、その点いかがでございましょうか。
  190. 水田努

    ○水田説明員 お答え申し上げます。  先生指摘のとおり、私どもといたしましては災害救助の際の基準額の引き上げには毎年努めているところでございます。先生から実情にそぐわないではないかという例示の御指摘が二点ございましたので、これについてお答えをさせていただきたいと思います。  まず、応急仮設住宅、一応三割という一般基準がございますが、現実の運用といたしましては特別基準を設定しまして、応急仮設を必要とする世帯については現在全部応急仮設住宅をつくってやる、こういう形で運用いたしておりますし、災害救助法が発動されました場合にはまた県を通じてそういう指導をいたしておりますので、この点の三割の基準というのはもうある意味においては運用上においては死文化している、このようにお考えいただいて結構かと思います。  次に、炊き出しの件でございますが、一日三百五十五円、この単価だけを取り上げますと、非常に実情にそぐわないような感じがいたすわけでございますが、実際に被災者が出ました場合には避難所を設置いたしまして、そこで多数の方に対する食事の炊き出しというものを大量食という形で処理いたします関係上、私どもの経験いたしております範囲からいきましても、大体この三百五十五円という形で実際の炊き出しというのは賄われているのが実態でございます。また、私どもも常々、毎年担当者の全国会議を開きまして、この炊き出し等につきましては十分栄養等に配慮するように平素から指導いたしているところでございまして、私ども実際政府調査団として避難所を御訪問申し上げて、実情等を見せていただいているわけでございますが、市町村役場の方に聞きますと、やはり毎日変化があるようにという形で、またかん詰め等で栄養の補給その他いろいろ御配慮いただいているわけでございます。     〔委員長退席、柴田(健)委員長代理着席〕 いずれにいたしましても、災害時の大量食というのはおのずと手のかからないものという制約が実際問題としてございますので、私どもとしましては大量食で原材料の購入その他のメリットからいって、現在の三百五十五円という価格が実情に即していないものとは必ずしも考えておりませんが、毎年やはりいろいろな物価の上昇その他がございますので、先生の御指摘の点を踏まえまして、基準額全体ができるだけ実情にそぐうように今後も努力を続けてまいりたい、このように考えております。
  191. 広沢直樹

    ○広沢委員 いま二、三の問題だけを申し上げたわけですが、いまお答えがありましたように、こういう実態にそぐわなくなっているものはやはり整理して考えていくべきじゃないかと思うんですね。  それから、いまの食費の問題につきましても、これはある市町村において具体的に五、六百円かかった、この単価では低過ぎるのでという具体的な話があったわけなんです。それでいま申し上げたわけでありまして、確かに四十九年度から考えるとことしは一割少々アップしたことはわかるのですが、そういう実態に合わした見方でひとつ改正をしていっていただきたいことを強く要望しておきたいと思います。  続いて、今度は建設省、国土庁関係になりますが、いずれの災害におきましてもそうですけれども、やはり一番多くの犠牲を出し、また多くの被害を受けているというのは、河川のはんらんだとかあるいは急傾斜地の崩壊、地すべり、あるいは土石流による被害、こういったものに大体被害が集中しているように思われるわけであります。したがいまして、少々具体的な問題でお伺いしてみたいと思いますが、その前に四十七年に国が建設省において一応調べた危険個所、その後お調べになったかどうか知りませんが、これは三年たっておりますから改良された部分もあるだろうし、あるいはまた新たに危険個所が生まれたものもあると思います。それによりますと、全国的な問題を取り上げますと数多くありますから、徳島県の例をとらえながらひとつ御検討いただきたいと思うのです。  四十七年の調べのときには、地すべり危険個所が四百九十五カ所、それから急傾斜地の崩壊個所は千七百二十五カ所、それから土石流危険渓流数が六百五十七カ所あります。こういう危険個所の中で、一応危険個所の指定を受けている個所が、砂防事業関係で五百五十六カ所、最近の調べでありますが、地すべり対策関係指定個所が四百二十三カ所、それから急傾斜地の崩壊対策個所が百三十二カ所、その他建設省の基準に漏れているいわゆる小さい部分のがけ崩れ、いわゆる急傾斜地の対策はそれ以上にたくさんありますけれども、こういうふうに実態の調べと実際にこれを指定している場所、さらにこれを具体的に工事をしている場所、いわゆる改良している場所と比べていきますと相当な開きがある。毎回災害が起こるたびに防災の必要性は叫ばれておるわけでありますが、実態はこういうような状況なんですね。これは全国的に通ずる問題でありますが、こういうことに対する具体的な対策、まずこれをどういうふうに考えているか、大まかなことでありますけれども、基本的な考え方をひとつお伺いしておきたいと思います。
  192. 大工原潮

    大工原説明員 先生いま御指摘のように、四十七年の大災害を契機といたしまして、土石流関係がけ崩れ関係、地すべり関係の総点検を実施したわけでございます。いま先生指摘のように、指定個所につきましては、特に急傾斜地の関係でございますが、危険個所が千七百ヵ所余りございます。そのうち百三十二ヵ所ということでございますが、現在急傾斜地の法律に基づきまして順次計画的に緊急度の高いところから指定を進めると同時に、防災工事も実施しておるという状況でございます。しかしながら、危険個所の中ではまだまだ相当多数の個所がございます。われわれといたしましても、できるだけ積極的に指定は促進し——一応指定いたしますと法律に基づきます制限がございます。いろいろの行為が制限されるわけでございますが、そういったことによります地価の低下等、非常に個人の土地に対します制限がございます関係で、一部におきましてそういった指定の促進が阻害されておるという事例がございます。しかしながら、災害の実態を訴えまして、特に梅雨どきを控えまして毎年がけ崩れ防災週間等を実施いたしまして、積極的に各地域に対しますPRを実施いたしまして指定の促進に当たっておるところでございます。  さらに、地すべり等につきましては、私どもの方でとらえております建設省所管のもの以外に、林野庁所管のものあるいは農林省所管のものという三省庁の共管でございまして、私どもの建設省所管のものにつきましても、現在危険個所として把握しておりますうちの約半数につきまして指定を行いますと同時に、対策事業を実施しておるという状況でございます。  さらに、土石流関係は私の課の担当ではございませんけれども、砂防課で担当いたしておりますが、土石流対策事業といたしまして、人命にかかわりある渓流につきましては積極的に対策を進めておるというところでございまして、いま御指摘がございましたように、災害のたびに人命損傷に至ります事故はやはり土砂によります生き埋め等の事故でございますので、そういった人命対策の意味では建設省といたしましても積極的に対応して、今後とも積極的に実施してまいりたいと思っております。
  193. 広沢直樹

    ○広沢委員 積極的に実施するということでありますので、よりひとつ具体的に伺ってみたいと思うのです。  いまの危険個所の問題で、徳島県の阿南市の橘汐谷というところですけれども、ここは非常に住宅が密集しております。その住宅のすぐ裏が山になっておりますけれども、最近五号台風相当な雨量があった。そこで、地盤が緩んでいるところへ最近少々雨が降ったことによって突然これが崩壊しました。よく調べてみると、それは危険個所の指定を受けていない。その両側は、近所は指定を受けておりましたけれども、ちょうど崩れたところだけは指定がなかった。こういうような実情で、がけ崩れが起きてからもうかれこれ一週間少々たとうとしておりますけれども、こういう場合に対してはどういう具体的な対策を講じているのか。  さらに、砂防関係を二、三あわせてお伺いしておきたいと思うのです。これは前から問題にはなっておったところですけれども、三好郡の井川町井内谷、ここに吹という部落がありますが、この一帯が地すべり地帯になっている。徳島県の場合は、御承知のように面積においては全国一の地すべり地域になっております。したがって、まあここだけではございませんけれども、特にこれも問題になっておりましてそのままになってきたわけでありますが、今度の六号台風、そしていままでにない剣山一帯を中心とする集中豪雨がありまして、そこでここにも大きく一つ危険が増大してきているわけであります。すでに上部においては亀裂が大きく入って、農道の擁壁にも亀裂が入っている。さらに、その下の県道にも影響が出てこようか、もう一遍同じような雨が降るとこれは必ず崩壊してしまうんではなかろうかと地元では心配しているわけです。もしもこれが崩れてしまうと、下の井内谷を埋めて、この水が下の町にあふれ出てくるだろう、そうすると予想もつかない大きな災害が起きるんではないかと言われながら、これはこのままにいままでなってきたわけであります。  さらにもう一つ卑近な例を取り上げますと、これも六号台風でありますが、美馬郡の半田町大惣地区、これも今次の災害で一応大きな地すべり現象を起こそうとしております。そこで、それは県から国へいま申請をしているところでありますけれども、やはりこういった問題についても早く手を打たなければならない。これはいまもうそういう被害を受けて、いつどうなるかわからぬという緊急事態が起こってきて初めて具体的な問題として取り上げられようとしているわけです。いまも、人命尊重の上からあるいは被害の甚大な上から十分早急に手を打たなければならぬとおっしゃっているわけでありますが、こういった具体的な問題を取り上げて申し上げたわけですが、どういうふうにお取り組みになっているのか、御説明をいただきたいと思います。
  194. 大工原潮

    大工原説明員 いま例示されました三カ所につきまして具体的にお答え申し上げたいと思います。  最後におっしゃいました美馬郡の半田町の大惣地区でございますが、これにつきましては、御承知のように台風六号によります被害が発生いたしまして、人家がすでに倒壊いたしております。それから下流には半田川という河川がございます。そういった意味で、すでに地すべりによる倒壊現象を起こした家屋、それから治水上の影響というふうなことを判断いたしまして緊急に対策をとるべきだということで、緊急地すべり対策事業としてすでに大蔵省当局とも打ち合わせ済みでございまして、県に対しまして防災対策の実施の準備をすでに始めておる段階でございます。  それから、三好郡の井川町の吹地区の地すべりでございますが、これはいま申し上げました半田町と比較いたしまして、いまのところ急激に住家等に影響がまだ薄いのではないかというふうなことで、もう少し動きの実態を把握してから検討をいたしたいということで、現在県におきまして調査中でございます。県においても十分その状況を把握いたしておりますので、その後の調査を進めるように私どもでは指導しておるところでございます。  それから、阿南市の橘地区の状況でございますが、これはいま先生のお話もございましたように、十月二十九日に崩壊が起こったということでございまして、すでに災害報告といたしましては私どもの方に報告が参っておりますが、まだ県におきましても図面あるいは対策、工法等検討中でございます。私どもといたしましては、それらの詳細な報告を待ちまして、災対基準等と照らし合わせて検討して、必要と認めた場合には直ちに防災工事、緊急対策事業で実施するような方向で検討してまいりたいと思っております。
  195. 広沢直樹

    ○広沢委員 いま最後にお答えになりました橘町の問題は、これは私も現場へ行ってみましたけれども、さっき申し上げたように指定地にはなっていなかった。しかしながら、危険であるということはしばしば言われておったわけですね。ところが、もう一週間余りになるけれども何ら手が打たれていない。崩壊されたままの形になっておるわけですね。ですから、早急にこれに対する対策を講じてもらわなければ、次にまたどういう災害が起きてくるかわからぬ。ちょうどそこは、一軒、二軒ばらばらにあるならいいのですが、ずっとそれこそ住宅が軒並みに密集しておるところですから、もう一遍大きく崩れるとかあるいは何か問題が起これば、今度は単なる家がつぶれたというだけじゃなくて人命にも及ぶことが起きないとも限らない。いま雨が降るたびにその近所は避難しろ、まあとにかく俗に逃げろということだけしか指導できないのでは困るということで強い要望があるわけですから、県から具体的な報告がもうなされているということでありますので、早急にこれは採択して処置を願いたい、こう思います。  それから次に、橋梁関係について、これは道路の関係になるわけでありますが、各方面からの要望としては、災害復旧事業というのは原形復旧にとどまることなく、今後予想されることを考慮して、未然に防止できるように抜本的な改良復旧として災害の助成あるいは災害関連を大幅に採択するようにということが要望されているところであります。  ところで、これも徳島県の一つの例を取り上げますと、さきの六号台風で貞光町の端山という、地名を吉良というところですけれども、ここで通称地域が広瀬というところですから広瀬橋と言っていますが、第一吉良橋でありますけれども、これが流失いたしました。それはちょうどその橋げた、橋脚が水をせきとめていくという働きをしたものですから、そこの付近一帯が浸水をした。農産物並びに住家に対する甚大な被害を与えたわけであります。そこで、それに対する第一次査定が行われたそうでありますけれども、この査定の中では、一応これは災害復旧ということで、もとのままの姿に戻すというような考えで取り上げられているようであります。やはりこういった場合におきましては、仮にもう一度そういうような問題が起きたときには当然いまと同じことが繰り返されるわけである、このことが予想されるならば、これは当然改良復旧として、少々費用がかかったとしても改良復旧にすべきではないか。ですから、国庫負担法におけるいわゆる災害は原形復旧が基本であるとはいいながら、今次災害はできるだけ改良復旧にしていこうという方針で建設省も臨んでいるやに聞いているわけでありますが、この点はどういうふうになっておるのか。  さらに、時間がありませんのでもう一点、これは河川関係について伺いたいと思います。  相当河川も数ありますけれども、一つ一つ取り上げているのでは時間もありませんから、個々の問題についてはまたお話しするとして、特に市町村から多く陳情に参っておりますけれども、徳島県の麻植郡の鴨島町、さらに石井町を流れております江川という川があります。これはいままで河川局部改良工事で進めてきたわけでありますけれども、なかなか遅々として進みませんし、いま各町におきましては都市下水計画を進めております。そういった関係もありまして、小規模河川改良工事に昇格してもらって早く進めてもらいたい、こういう要望があるわけであります。この川は毎年豪雨がなくてもはんらんをして付近に浸水をし、ないしは農作物に対する被害を与えてきているわけであります。莫大な被害が出ているわけでありまして、こういう要望が具体的に出ているわけでありますが、こういったことに関してどういうふうに取り組んでいかれるおつもりなのか、具体的にお答えをいただきたいと思います。
  196. 井沢健二

    ○井沢説明員 お答えいたします。  流失いたしました広瀬橋につきましては、これは二径間の橋で、橋長が二十九メーターの橋でございます。一径間は十九メーター、もう一つの方は十メーターというふうな橋でございまして、今回の災害で十九メーターの方が上部構だけが流失いたしまして、ピアであるとかあるいは残りの方は壊れておりませんので、災害の査定といたしましては流れたものをもとに戻すという査定をいたしたわけでございます。県といたしましては、現在、他の費用を合併いたしましてこれを改良復旧するように検討中であるというふうに聞いております。
  197. 堺徳吾

    ○堺説明員 江川についてお答えいたします。  江川につきましては、昭和四十七年度から局部改良でもって実施してきておるわけでございますが、今回の台風六号でもってさらに災害を受けたわけでございまして、より一層改良を促進するために小規模河川への格上げという要望が地元から出ておることは承知いたしております。  御指摘のこの小規模河川への格上げにつきましては、実は県全体の問題もございまして、県当局と今後十分打ち合わせをいたしたいというように考えております。
  198. 広沢直樹

    ○広沢委員 時間がございませんが、何分こういった問題は、徳島県の河川あるいは地すべり、急傾斜地、相当危険個所があるわけでありますけれども、具体的に着工しているところあるいはやりかけているところ、いろいろありますけれども、要望が相当多いわけであります。ひとつ十分この点を省におかれましても取り上げて、早急に地元の希望あるいは県当局の希望が取り入れられるように配慮願いたいと思います。  時間がもうあと二、三分しかありませんので、最後に一言だけお伺いしておきたいと思うのでありますが、これも問題が出ておりますように、激甚災害対策特別緊急整備事業、これについては先ほどから河川局におきまして具体的に推進するというお答えがなされております。しかしながら、これは私も早急にやらなければならぬ、いままでこれが問題にされてきたことであって、これが議論だけして行われないのでは大変な問題だと思うわけであります。したがいまして、これは何も河川局だけの問題ではなくて、こういったことを取り上げるかどうかという問題については、大蔵省意見についてもどの程度考えているか、大蔵省に聞いておきたいと思います。  さらに、これは法律をこしらえるのかあるいは政令、現在のやり方でやっていくのか、この取り扱い方、法律化していくとしても、現在その案は出されておりませんし、五十一年度法律として出してくるつもりなのか、いつどうするのか、具体的にこれはお答えをいただきたいと思うのです。ただ前向きに検討するということであれば、いつどうなるかわからない、これも緊急を要する問題であるし、各方面からも特にこういったものについての要望が強いわけでありますから、この点について両省からお答えいただきたいと思います。
  199. 西垣昭

    ○西垣説明員 激甚災害対策特別緊急整備事業制度、これは来年度予算要求の中で新制度の要求として私ども伺っております。したがいまして、来年度の予算編成の時期には結論が出せるようにということで現在検討中でございます。そういう意味で、この段階大蔵省意見はどうだというのはひとつお許しいただきたいと思います。  ただ、この制度要求のねらいとして考えておられますことが二点あると思います。その一つは、公共事業予算の中で、治山治水のような国民の生命、財産の安全を確保するというような国土保全のための公共事業の予算枠を確保したいということ、それからその予算枠の中で実際の運用に当たりまして重点的、効率的な配分をするということ、この二点につきましては、私どもも非常に厳しい条件の中ではございましたけれども、できるだけ努力をしてきたところでございまして、これからも関係省と十分協議してまいりたいというふうに考えております。  それから、私の方がお答えするのはどうかと思いますけれども法律か政令かという話につきましては、予算要求としては法律をつくるんだという前提で要求は伺っております。しかし、これは今後の検討の問題でございます。
  200. 柴田健治

    柴田(健)委員長代理 津川武一君。
  201. 津川武一

    ○津川委員 建設省にお尋ねいたしますが、この間十月十二日、仮谷建設大臣が青森の自民党主催の県連パーティーに出まして、台風災害復旧に対してこのように述べております。台風五号を中心に高知、青森などで集中的な大雨災害を受けた、先月二十九日には激甚災害の適用を閣議決定したが、補正予算千億円を組み、今年度内に万全の復旧をさせたい、砂防河川対策は今後も重点的に考えていきたい、私のこの答弁は国会の答弁みたいにいいかげんでない、しゃべったならば必ずやる、こういうことでございます。私はこれは仮谷大臣の被害国民に対する非常に大きな愛情だ、こう思うわけであります。  そこで、建設省のいまの話の砂防河川対策、どのくらい進んでおりますか。仮谷建設大臣が年度内に万全の復旧対策をやると言っている。必ずやり抜くつもりであるか、現状どのくらい行っているか、これは青森県だけでなく、全般の復旧関係の進捗状態を教えていただきます。
  202. 井沢健二

    ○井沢説明員 お答えいたします。  青森県は高知県に次ぐ非常に大きな激甚地域であったわけでございます。ことしは年当初からでございますが、四千七百億に達するような公共土木災害を受けております。現在そういうものを復旧すべく査定事業を続行中でございます。現在のところ大体六割程度が査定をやっておりまして、現在もほとんど外に出払ってやっております。私どもの方の地方建設局、延べにいたしますと数百名の職員を動員いたしております。特に災害のひどかった高知県並びに青森県におきましてはこういった査定の設計書づくりということが現在の技術者だけでは非常に困難であるというふうなことで、少し前に非常に大きな災害を受けて災害のそういう設計書づくりに非常になれておる府県からベテランを派遣いたしております。そんなふうにいたしておりますが、青森県におきましては今月の上旬には災害の査定をおおむね完了するのではないかというふうに考えております。また、高知につきましては恐らく十二月に相当入るようでございます。  そんなような状況でございまして、特に青森県内の災害復旧事業につきましては、緊急を要するところにつきましてはすでに応急工事を図っておりまして、これらがおおむね完了に近いという話を聞いております。本年度につきましては浅瀬石川あるいは平川あるいは百沢等につきましてこういった復旧事業を進めるように現在検討をいたしております。  また、砂防関係につきましては、たとえば百沢につきましては緊急砂防あるいは通常砂防によりましてそれぞれ一基の砂防ダムを実施中でございます。また、百沢部落付近では砂防の一定災といたしまして本年度工事をすることに計画をいたしまして、近々発注の予定であるというふうに聞いております。  それからさらに直轄区域の問題でございますが、浅瀬石川、平川、岩木川等におきます直轄区域の災害復旧工事につきましては、すでに現地調査を完了いたしておりまして、早急に着工いたしたいと考えております。
  203. 津川武一

    ○津川委員 そうすると、建設省はぼくらが伺ったときには査定が大方終わるのは十一月中旬、いまの話だと十一月上旬に終わるか、少し進んだようだけれども、仮谷大臣が今年度内に万全の復旧をさせると言った砂防河川対策、これは無理なわけですか。国会答弁がいいかげんなんじゃなくして、青森に行って被害民に話した話もいいかげんになるのかどうか、今年度内に万全の復旧ができるのかできないのか、今年度内にどのくらいできるのか、特に積雪地帯なので、その点に特別な努力、配慮があるのか、もう一回答えてもらいます。
  204. 井沢健二

    ○井沢説明員 全体の災害復旧事業といたしましては、補助災害につきましては三年で完了するというふうに考えております。そのうち今年度でございますが、全体といたしまして約三〇%の復旧費を現在考えておりますが、これは全国の平均でございまして、こういう予算を一体どのように使えるのかというふうなことを現在各県に照会をしていろいろ調べておる最中でございます。
  205. 津川武一

    ○津川委員 そうすると、大臣の青森における約束はうそだということになるようですが、これはまあ大臣相手でなければ論議できないので、進めていきます。  そこで、きょうはいろいろたくさんのあれがありますので、いま挙げた今別川、これの改修、大佐井川、これの復旧、浅瀬石川、土渕川、相馬川、広船川、これの査定がどこまで進んでいるのか、それから復旧の設計がどのくらい進んでいるのか、復旧の工事がどのくらい進んでいるのか、復旧をいつ完了するのか、そういう点を後刻書類で私のところに提供していただきたいと思います。これはいかがでございますか。
  206. 井沢健二

    ○井沢説明員 いまお話しになりました河川につきましては、県では大規模な災害復旧の助成工事の申請をしている個所でございまして、現在この河川等につきましては災害の査定を終わっております。そういたしまして、今度は助成事業としての改良復旧計画の検討を現在やっておる最中でございます。それで、助成事業として採択するかどうかという検討をいましておりますので、まだ期限等につきましてはいますぐというわけにはちょっとまいらないかと思います。
  207. 津川武一

    ○津川委員 査定の進行状況、県や地方自治体の折衝の状況、設計の組み方の状況、組んでいるかどうか、着工したものがあるならある、その進行状況、完成までいつまでかかるのか、全体計画、これを書類で出すかどうか、出すようにと言っているのに、答えをずらさないで、その点だけ答えてくださればよろしい。
  208. 井沢健二

    ○井沢説明員 いますぐではなくて、もうちょっと時間をかしていただきたいと思います。
  209. 津川武一

    ○津川委員 そこで次は、百沢の二十二人なくなられた災害でございます。二十二人がなくなって十七戸が完全流失して山がずたずたになっている。こういう災害になりますと、その災害の発生の原因、これを突きとめなければならないと思います。そうしなければ対策もおざなりになってしまう。  そこで、この問題で幾つかの質問をいたします。問題点はすでに十月十五日の私たち共産党の赤旗で、私の友人である宮城一男先生にいろいろ相談して問題点を指摘してみましたが、青森県では東京大学の教授、弘前大学の教授、岩手大学の教授、林野庁の専門家、建設省の専門家をもって調査団をつくりました。そして、結論、中間報告が九月二十九日に出ることになっていた。こういう結論に基づいて復旧工事を進める。そうでないと正しくない。原因もわからないで手当てをするということなら病気もわならないのに薬を飲ませているのと同じことだ。そこで、これをわれわれは楽しみにしていた。この決まるのを待っていてが、なぜか九月二十九日に発表される予定のものが急に延期された。これはなぜか。そのときに発表されると予想されておった中間報告は何であったか、この二点を答えていただきます。
  210. 中村二郎

    中村説明員 お答えいたします。  先生のおっしゃるように、岩木山百沢土石流災害調査委員会の中間報告は九月末に行われる予定であったと聞いておりますが、委員の中の一部の先生よりもう少し資料を検討したいという御意見がございまして、その中間報告が延期されたと聞いております。
  211. 津川武一

    ○津川委員 そうすると、いまの答弁だと、災害復旧の計画は、原因がわからなくとも立てて計画は進んでいる。そうすると、調査は何ですか。遊びですか。オナニーですか。専門的な調査をやってから復旧対策を進めると言っている。この点はどうなんです。
  212. 中村二郎

    中村説明員 応急対策といたしましては、すでに砂防ダムを二基計画し、現在着工中でございます。その他の応急処置につきましても災害復旧等において処置しておりまして、恒久対策を立てる上においてこの調査報告を参考にしてまいりたいと考えておるわけでございます。
  213. 津川武一

    ○津川委員 そうでしょう。調査の結果がわからないうちに大きい砂防ダムをつくるのでしょう。そうすると、調査は何のためにあるのか、この点を一つ。  そのダムですが、私もダムに行ってみました。二号砂防ダムです。確かにある程度の土砂や土石を支え、そでの部分の決壊だけで耐えていました。そでの部分が壊れたからいけない。しかし、幾らか土石を支持しておった、こういう点は認めるが、水や土石を支え切れずついに下流に通してしまったわけだ。これが一つ。それから、一号、三号ダム、これは床どめ工ですが、設置時はかなりたくさんの砂がたまっていたけれども、行ってみたら何にもたまってないと言った方がよろしい。そうして、そでもダムの体も壊れておってダムの用をなしてなかった。逆にある程度までためた。そして、破れて一度に大きな力となったものをどっと流した。こういうことが私たちの見方なんです。こういう検討はしているかしていないか。これに対してどう考えているか。二号ダムのそでが壊れている。一号、三号のダムは体まで壊れている。なぜいまの一号、三号のところにほとんどたまっていなかったか、一定のところにたまっていってどっと持っていったのじゃないか、こういう検討をしたかしないか。それをしないでこれから緊急ダムをつくって、どんなダムをつくるか、こういうことになるわけです。検討したかどうかということ、これに対して私がいま名指したことをどう思うかということを答弁してください。これから緊急ダムをつくる、そのダムの性格、設計、耐久力、役割り、これは後刻書類で出していただきたい。この二点です。
  214. 中村二郎

    中村説明員 確かに二号ダム、それから床固め工と申しますが、その二基につきましては、一部そでの部分が破損をいたしまして、下流に流出いたしております。しかし、われわれといたしましては、その砂防ダム、さらに床どめは十分それぞれの目的を達しておると考えております。  それから、現在実施しております緊急砂防につきましては、崩壊の拡大、流出土砂の流下を阻止するとりあえずの対策として緊急に施工しておるわけでございます。  その他の点につきましては、資料を提出いたしたいと思います。
  215. 津川武一

    ○津川委員 二号ダム、それから一号の床どめ、壊れたでしょう。設計したとき、壊れてもいいと設計していたの、そでが壊れて、それによって防災ができると。そうじゃないでしょう。そでも何も壊れないで支えるから防災になるのでしょう。幾らか役割りは果たしたよ。したがって、これをどう考えるのか。あなたのいまの答弁みたいに一部壊れてもいいと設計しているか、一部壊れてもいいと予想してしたかという問題。したがって、ここのところは謙虚に反省しなければ、地域の人たちが問題を疑うのはあたりまえなんだ。皆さんに言わせると、壊れても役割りを果たしたと言うのだ。つくったときは壊れないと言ってつくっている。そこらあたりの考え方がなきゃならぬ。これはどう考えているのです。
  216. 中村二郎

    中村説明員 確かに砂防ダムの本体、それからそで部、それぞれ目的を持っておるわけでございます。したがって、そで部が壊れるということは必ずしも一〇〇%の効果を出すということではございません。しかし、流出土砂をとめるという意味におきましては、そでの部分の役目はないとわれわれは考えておりますし、今回の土石流の原因としてそでの破壊が直接結びつくとは考えておりません。
  217. 津川武一

    ○津川委員 少し技術的なことなんだけれども、事が重大だから。一号、三号、土石流たまっていましたか。あなたたちが計画してどのくらい土石流をためるつもりだったか、これを明らかにしてほしい。それなら、あの現場においてどのくらいたまっておったか。さあどうです。
  218. 中村二郎

    中村説明員 一号、三号の床固めの目的は必ずしも土砂をためるという目的ではございませんで、渓床勾配を緩和さすというのが主目的でございます。ただ、施工いたしました時点におきましては、ある程度の余裕を持っておったわけでございます。
  219. 津川武一

    ○津川委員 その点やはり一号、二号、三号のダムの点で、コンクリートの強度、それから設計、骨材の粒度のふぞろい、こういうものはかなり目立っておりますので、設計と施工の現状と実際を後刻文書で報告していただきたい。これはできますか。
  220. 中村二郎

    中村説明員 県におきましても調査はいたしておりますし、後日資料を提出いたしたいと思います。
  221. 津川武一

    ○津川委員 その次に、後でやっても、スキー場をあのままにして残しておいたのでは、また同じことを繰り返すかもしれないんだ。  そこで、スキー場の役割りです。スキー場建設の場合はやはり回りの、一帯の森林の一部が切られている。裸地になっている。この裸地が雨水や石などというものをやはり走らせた。裸地になったから、そこにたまりやすくなったという点が一つ。二つ目には、スキー場をつくるときに、でこぼこがうんとあるから、これではスキー場にならないので、里の方でアップルロードをつくったときの残土を持ってきたわけです。これで滑らかにした。土質はやわらかい。このアップルロードの土も流れたが、この土質は何か潤滑油のようで、物が転んでいくときに油を塗っているみたいな形で、こういう点で役割りを果たしている。こういうのが私たちの調査。三つ目には、埋め立てのとき一部、沢を埋めたでしょう、スキー場をつくるときに。そのためにヒューム管を入れた。これがまたヒューム管が、入り口で流れたものの土砂やいろいろなものをためて、災害を大きくした。  スキー場の木を切って滑らかにした、このことが一つの損害を起こした。二つ目には、アップルロードをつくったときの土を持ってきた。あそこに滑らかに油を塗って流れなさいといったみたいに、そのアップルロードの土なんか持ってきて沢を埋めた。そのときのヒューム管が詰まってしまって、そしてまた水をためて被害を大きくした。これがあのスキー場をつくって、アップルロードの土を持ってきて沢を埋めたときの私たちの考え方なんです。これをこのままにしておいたのではまた同じことを繰り返す。このことについてどう考えているか。次にスキー場にも手当てしなければならない、こういう考え方が必要なんだけれども、検討はどうでしたか。このスキー場をこれからどうしますか。私はスキー場はあった方がいいと思うのだけれども、あったままで、そこのところへ再び繰り返さないように対策を講じなければならぬ、これがスキー場の見方です。いかがでございますか。
  222. 中村二郎

    中村説明員 まず、スキー場の問題でございますが、確かに森林の機能といたしましては保水機能と申しますか、水源涵養の機能を持っておるわけでございます。それが伐採されて裸地になるということから考えますと、そういう雨水に対する何らかの影響があるということは当然考えられます。それから、スキー場のくぼ地と申しますか、それに土砂をある程度埋めた、その土砂が一部流れたという事実も認めております。それから、アップルロードの残土が、白い色をしておるわけでございますが、それが一部流れたということも事実として認めております。事実は認めておりますが、土砂が下流に流れて土石流を大きくしたかどうかという、こういう点につきましては、調査委員会が結論を出されました結果を見て、われわれも謙虚に参考にしてまいりたいと考えております。
  223. 津川武一

    ○津川委員 現場を見られたでしょう。スキー場にアップルロードから持ってきた土がまだ残っているでしょう。あれは、がけがあったり凹凸があると、石が流れてきても、そこでとまったり速度がゆるむ。転んでくれば滑らかになってすうっと行く。私より皆さん方は物理を覚えているでしょう。流石のスピードですよ、問題は。石はどんな大きな石でもゆっくりゆっくり流れてくれば何の被害もありません。こんな小さな石でも、物すごいスピードでくると人を殺す。したがって、災害の根本原因として、その潤滑油になったものを厳格に反省しなければ、あのスキー場に対する対策は出てこないでしょう。どうすると言ったって出てこないでしょう、災害防止対策は。これは出てくるならいいよ、あなたがいまみたいに、このスキー場を何とかしょうと。しかし、あれは岩木山を下るために、物すごくいいスキー場なんです。したがって、スキー場に対しても、そのいいものを、スポーツの道具を失わないようにスキー場を何とかしようという考え方が出てくるならいいのだけれども、摩訶不思議なことに出てきてない。もう一回考え直しますか。と言って、いつ出てくるかわからない調査委員会の結論を待って復旧工事をやられた日には雪が降ってしまう。このジレンマをどうされます。したがって、ここのところを謙虚に——われわれはだからわさわさ赤旗にまで出している。そこのところを検討して、またもう一回検討し直すというのなら話はわかるけれども、いつ出てくるかわからない結論なら——あれは土木部長も責任があるのだよ、これは意見が食い違って出る見通しがないとぼくは思っているのだ。だから、具体的にこういうふうに親切に提起しているものを検討してみて考えなければならぬと思うのだけれども、この点はいかがですか。
  224. 中村二郎

    中村説明員 災害の実態につきましては、先ほども申しましたように、県の調査委員会で十分調査をされておりまして、われわれは本年度中に結論が出るものと期待しております。そういう調査結果に基づきまして根本的な対策を立てたい。  それから、雪が降るまでというお話がございましたが、これに対しては、一応現在実施しております応急対策としての砂防ダムによって十分対応ができると考えております。
  225. 津川武一

    ○津川委員 私が提言したのは、無理に検討せよ——強制する能力もないけれども、かなり親切に提言しているでしょう。これは検討してみますか。結論がいつ出るのかわからないものを待ってみますか。いま私が話したものを検討してみますか。この点どうです。
  226. 中村二郎

    中村説明員 調査委員会の結論を別にいたしましても、われわれとしましてもいろいろの意見を聞きながら、その中からわれわれが判断をいたしまして対処していきたいと考えております。
  227. 津川武一

    ○津川委員 それじゃ、私がいま三つ提言したことを具体的に考えて、どうするかという返事をくれますか。
  228. 中村二郎

    中村説明員 自然を相手にした非常にむずかしい問題でございますので、いろいろな調査結果なり意見なりを聞きながらまとめたいと思いますので、いずれはそういう方針が出ると思いますが、早急にこれを決めることは非常にむずかしいのじゃないかと考えております。
  229. 津川武一

    ○津川委員 端的に言う。今度の災害でスキー場の役割りは何であったかというのを検討するかと言っている。その検討の結果で、スキー場が何か役割りを果たしたとすれば、災害を防ぐためにスキー場をどうするかということを検討するか、これが一。第二番目には、あのアップルロードから持ってきた土、ぼくは潤滑油になったと言っている。なってなかったという検討があるならそれでよろしい。検討するかしないか、もし潤滑油になったとすれば、まだあそこらに残っているアップルロードのあの滑り土、潤滑油になっている土をどうするかということを検討しなければならぬから言っている。この二点だけでよろしい、いかがです。
  230. 中村二郎

    中村説明員 いまの点につきましては検討いたします。
  231. 津川武一

    ○津川委員 そこで、そうなれば資料要求をしたい。  一つは、スキー場建設に係る森林伐採の範囲、量、どんな形で切ったか、その際、完成後の治水対策について何か考えがあったかどうか。  二つ、アップルロードから持ってきた土のいま残っておる総量、こういうものを調べて報告していただきたい。  それから、あの沢を埋め立てたときの範囲、それからあそこで暗渠排水みたいなかっこうのことをやったので、そういうことをどう検討してやったのか、ここいらあたりの資料を出していただきたい、いかがです。
  232. 中村二郎

    中村説明員 建設省だけでそういう資料が出るかどうかわかりませんが、われわれといたしましても県その他と打ち合わせをいたしまして、資料を提出いたしたいと思います。
  233. 津川武一

    ○津川委員 それから、林野庁長官にお尋ねします。  一つは、この間長官とは直接話し合いをしたので、あえて質問する必要もないのですが、皆さんが、四十六年から皆伐をできるだけやめる、択伐にする、こう言っているが、依然として青森営林局管内、秋田営林局管内では皆伐が進んでおります。あなたとあのとき話し合いましたみたいに、北海道では皆伐がうんと少なくなっている。災害予防上非常に大事なので、この点の皆伐に対するあなたの方針、御意見を伺いたい。これが一つ。  第二番目には、佐井の今度の災害で、古佐井川の上流で四十六年、七年、八年、九年、五十年と皆伐をやっております。ところが、この皆伐は年次を変えてやったのでいいという意見もある。皆伐と皆伐の間にはほかの森林が入っているからいいという考え方もあるが、この間あなたからいただいた資料によると、皆伐が群れをなしている。だから、ものすごい規模の皆伐が行われている。択伐を多くする、皆伐はまだ避けられないが、皆伐に対する考え方、この二点。  三つ目は、私たちの党の青森の現地から青森営林局に資料の要求をすると出してくださらない、私が頼むと出してくださる。やはり地元の人たちが、県庁初め地域の人たちが山を大事にするために非常に案じておるので、その都度やはり資料を出していただいた方がよろしいのじゃないか。この三点をお伺いします。
  234. 松形祐堯

    松形政府委員 お答え申し上げます。  ただいま森林施業の中における皆伐、択伐に対する考え方ということでございますが、まず第一点でございますが、森林というものが、木材生産と公益的機能としての国土保全的な機能を持っているということは御承知いただいておるとおりでございます。特に近ごろ開発が、あるいは家を建てるというものが森林の中あるいは森林のふもとまで参っておりまして、森林が持っております国土保全的機能というものはきわめて重大になっておると私は思っております。したがって、先般御承知のような森林法の改正をやるとか、あるいは保安林整備臨時措置法を十カ年延長して、さらに百万ヘクタールを新しく指定して整備していこうとか、あるいは普通林地における開発規制を新しく法律上認めるとか、こういう処置をとってまいっておるわけであります。その中で、特に国有林といいますのは、脊梁地帯にございます保安林等をたくさん持っております、あるいは国立公園等を抱えております大事な地帯でございます。したがって、ただいま御指摘のような皆伐から択伐へ、あるいは分散あるいは小面積伐採、こういうことを志向してまいっております。実はただいま御指摘のように、私どもそのような皆伐を何とか択伐あるいは禁伐にしたいということで、全国的な計画といたしますと、前には国有林約八百万ヘクタールでございますけれども、皆伐対象面積が四百万ヘクタール程度であったものを三百万ヘクタールにし、百万ヘクタールを択伐と禁伐対象面積にふるい分けたという措置をとったのであります。  ただ、御指摘のように、青森営林局ではどうだ、こういうことでございますが、昭和四十八年から五十年の平均伐採面積を調べてみますと、皆伐の比率が大体八〇%となっております。本州、四国、つまり本土での平均皆伐比率八七%に比較しますとある程度低い、こういうことは言われるのじゃないかと思うのであります。ただ、青森で過去の最高に皆伐をした年度は九〇%でございまして、現在八〇%までは落としておるということは言えるのじゃないかと思うのであります。  なお、先ほど申し上げましたように、皆伐面積が分散するということ、あるいはそれが小面積である、あるいは尾根筋等にそのような天然林を残して保全地帯を設ける、こういう方針をとっておるわけでありまして、先ほど御指摘ございました佐井の流域でございますが、調査いたしまして先生のお手元に差し上げた資料の流域を調べてみますと、三百八十ヘクタールございます。それが御指摘のように、三カ年間で七十七ヘクタールを皆伐いたしております。これは分散いたしたつもりで私どもはおるわけでございますが、これが十五カ所に分かれておりまして、平均的に見ると五ヘクタールということでございまして、実は私どもの新しい施業方針に基づきましたこれが、施業の中で定着するように、私ども、諸計画を現在改定しているところでございます。このような処置をとりながら、全国的にもそのような一カ所の伐採面積というのをなるべく小さく分散するという努力はいたしておるのでございますが、過去における増産時代というものもございます。これは大面積、機械化ということでございましたから、それの反省のもとにこのような処置をとろうとしておるのでございます。  なお、第三番目に、資料のことでございます。私ども、資料等につきましては、なるべく御要望に沿うように出す予定にいたしておるのでございます。また、そのような指導をいたしております。ただ、全国的な統計資料の不備というような点もございますし、あるいはこのような現地現地でどうしてもやや細かく要求される場合もあるわけで、突然要求される場合もございます。たとえば治山計画等につきましては、個所別にというようなことが非常に細かく要請された場合に、治山五カ年計画といたしますと、事業費で計画は立っている、それが全国的にどうしてもその部分で把握できないというような面等がございまして、早急に間に合わないということで、多少そのような御批判をいただいたのだろうと思うのでございますが、今後はこのようなことがないように十分指導してまいりたいと思っておるわけでございます。
  235. 津川武一

    ○津川委員 それでいいのだが、長官、九〇%の皆伐を八〇%に減らしたから災害、国土保全上大丈夫、そういう考えはやはりやめなければならないと思うのです。現実に佐井の場合、皆さんは切っている。今度この川に災害が起きると言っていたら起きた。それが三年、四年続いています。  そこで、場所にもよるけれども、国土保全上やはり九〇%の皆伐を八〇%に下げたからといって私たちは安心できない。そこいらをひとつ専門的に検討してもらいたい。特に佐井の場合は、地域関係の人がここを切ればこうなるという意見を持っている。したがって、皆伐の場合、皆さんはあるいは分散皆伐だ、小皆伐だと言っているけれども、合わせたらものすごい大きな皆伐になってしまっている。そこいら地域住民等の関係者の意見を聞いて皆伐をなさると大丈夫だと私は思うのだけれども、この点はいかがでございますか。
  236. 松形祐堯

    松形政府委員 お答え申し上げます。  国有林の場合に、森林計画に基づきまして施業計画というのを地域ごとに具体的につくるのでございますが、その計画を五年に一回編成いたします場合には、地元の市町村長の意見書を求めることになっておりまして、それらを通じまして、その地元の御意向を十分しんしゃくしながら計画を立てておるわけでございますから、さらに細かくそのような批判にもこたえていくような施業をとるべく努力したいと思います。
  237. 津川武一

    ○津川委員 私少し言葉が足りなかったけれども地域住民の意向は市町村長ではだめなんです。やはり地域の専門家たち、古い人たちだとか山に入っている人の意見を求めた方が——今度の百沢の場合も、これはやられるぞと言っているのが何人もいるんです。そこいらのあれを考えていただきたいと思います。  そこで最後に、農林省。  災害でやられた米ですが、どうやら農林省は、質問するといったら青森県庁と工作したらしい。これは非常によくないと思います。青森県庁から質問しないでくれと言ってきた。ところが、現実の市町村に手を入れてみたら、たとえば田舎館は三千俵余る。これを政府が言っているみたいな自主流通米に上げると、いまの価格で言うと一万八百円にしか買い上げにならない、とても耐えられないと言っている。北海道も問題ないと言っておるけれども北海道でも、どうしても災害米は政府に買ってもらえないから、無理していい米と規格外米をまぜて五等米にして、そうして政府に買ってもらおうと思って苦労しておる。したがって、いい米はいい米として、災害米は五等米として買っていく。田舎館の場合もそうです。いま皆さんが県庁と相談して進めているのは一万八百円。こういう差別することはなくしなければならない。このことを言おうと思ったら、あなたたちは県と打ち合わせて、私に質問するなと言うのだ。こんなことをやらないで、端的にやはり一生懸命やった農民のために、この問題は政府が政府の買い上げ米として処置すべきだと思いますが、いかがでございますか。
  238. 戸塚金郎

    ○戸塚説明員 お答えをいたします。  青森県に台風号等によりましてある程度被害米が出ておる。その中で主食等に向きそうなものは、大体いまの状況では二百五十トン程度ではないかというふうに言われておるわけでございますが、いまのところ、十月二十日現在で検査の実績は百トンということになっております。  そこで、それらの被害米につきましては、いま関係者の努力によりまして自主流通に向けるように努力をしていただいておるわけでございますが、これがなかなか自主流通に振り向けることが可能でないということになりますれば、それはその時点で前例等にならいまして前向きに検討させていただきたいと思います。
  239. 津川武一

    ○津川委員 前例等にのっとりまして前向きに検討するというのは、政府が買い上げるということですか。
  240. 戸塚金郎

    ○戸塚説明員 買い上げの場合も含めて検討させていただきます。
  241. 津川武一

    ○津川委員 終わります。
  242. 金丸徳重

    金丸委員長 次に、佐藤敬治君。
  243. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 私は主に林野庁にお聞きしたいのですが、長官はもうお帰りなりましたか。——じゃいいです。部長さんかだれかおられるでしょう。  今回、秋田、山形、青森、こういうところを襲った水害、これは主に国有林の地帯を襲っておるわけです。  そこで問題は、いままでも議論されたように国有林と水害、それによって災害を受けたところの地元との関係、こういうことが非常に大きな問題になっておるわけです。特に今回の災害は、各地で聞かれる声は、国有林の乱伐がこの水害を非常に大きくしたところの最大の原因ではないか、こういうふうに非常に高い批判が起っておるわけです。真室川地区あるいは北海道、いま津川さんが質問されました青森、私のところの秋田、どこでも国有林の乱伐というのが非常に大きな問題になっております。林野庁でもずいぶん現地にも来られておったので、その状態というものをよく見て、そしていろいろなお考えがあるだろうと思いますが、この国有林乱伐、こういう批判に対してどういうふうにお考えですか、まずそれからお伺いしたい。
  244. 須藤徹男

    ○須藤説明員 お答えいたします。  ただいま先生から乱伐というお話がございましたが、私どもは決して乱伐というふうには考えておりませんで、ただ先ほども津川委員の御質問に長官がお答えいたしておりますように、従来木材を多量に供給するというために大面積を皆伐をやった実績がございます。こういうものがいろいろな災害原因になるということもございますし、最近、特に国土保全あるいは水資源涵養あるいは自然保護というような問題が大きくクローズアップされまして、国有林に対するそのような要請が非常に高まっておりますので、昭和四十八年以降、新しい森林施業ということで従来の伐採方式を全面的に改定をしておるのでございます。全体の枠組みといたしましては、先ほどお話がございましたように、択伐をふやす、あるいは禁伐林分をふやすというようなことをやっておりますが、皆伐、択伐につきましては、その地域の地勢あるいは土壌条件あるいは樹種、いろいろな要因によりまして皆伐が適当である、択伐が適当であるというような判断もいたします。  そこで、皆伐の際はできるだけ小面積にかつ分散伐採を行うということで実施をいたしておるのでございますが、今回の青森、秋田地方災害につきましては、この伐採跡地の枝条の整理をしておるわけでございますが、従来全幹伐採といいまして、枝をつけたまま集材機で運びおろしましてその枝条を集積いたしまして、これを流出しないように土砂等に埋没するというような方法をとっておったわけでございますが、普通の雨でございますとそういうことはございませんが、今回のような異常な豪雨によってそういうものが流出した。したがって、そういうものがいろいろな災害を引き起こした原因の一つになっておるということがございますので、今後はその新しい森林施業に加えまして、さらに枝条の処理方法、たとえばチップ化をするとかあるいは焼却をするとか、いろいろな方法を考えながら対処しでいかなければならないということが今次災害に対するわれわれの反省でございます。
  245. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 枝葉末節、それこそ枝葉末節のことより根本的なことを聞きたいのです。  私はいま、今回の災害について乱伐という批判があるがどうだ、こうお聞きしました。そうしたらあなたのお答えは、乱伐ではない、しかし切ったものが被害を与えている、こういう批判はある、こう言っているのですね。被害が起きるような切り方をすれば、これはやはり乱伐という批判を受けても私はいたし方がないと思う。実際にいま津川委員からも質問がありましたとおり、地元でいろいろ批判をあなたが聞いて、これが乱伐でないと——まあ乱伐という字にこだわるならは乱伐でなくても何でもいいんですが、これが災害の一つの大きな原因になっている、こういうことを認めないという姿勢というものを大体直してもらわなければ、これは幾らたってもできないと思う。あなたはいまいろいろなことを言って厳重に注意しているし、皆伐もしないようにしている、こう言っているのです。ところが、たとえば私この災害についてずっと新聞の切り抜きを全部集めましたけれども東北の周辺に載ったのは、ほとんどが東北の水害は明らかに人災だ、林野庁が乱伐をしたからこうなったんだ、そういう投書ばかりなんです。これに対してあなた方は乱伐じゃない、こういうふうな姿勢じゃなくて、もっと謙虚に耳を傾けて、一体それじゃどうすればいいかという、単に皆伐しないで択伐しているとかなんとか、そういうことじゃなくて、もっと根本的なことの反省が必要だ。この反省の上に立たなければ、いかなることを言ってもいままでと同じようなことを繰り返すにすぎない、私はこういうふうに思うのです。  たとえばこれは鶴岡の朝日新聞に対する投書なんです。「東北の水害は明らかに人災 私たちは、過去に何度となく営林署をはじめ、林野庁など各方面に「ブナ伐採中止」を訴え続けてきました。というのも、原生林、とくに東北では、ブナ林は学術的にも貴重なものになりつつあることはもちろん、生産される木材以上に、国土保全、水源確保、自然環境保全などの多面的な機能を持っているからです。ところが、営林署は「有用樹」に植えかえるといって、ほとんどの山岳地帯で、雪や急峻な地形で「有用樹」が育ちにくい場所のブナまで伐採しているのが現実です。」こういうふうに書いてある。そして、いま津川委員が言いましたように、「岩木町の場合は、上流にスキー場があり、砂防ダムが役に立たなかった。真室川町では、上流の山は伐採されてハゲ山同様になっていた。」こういう現状を地元の人は十分認識しているのです。そうしておいてあなた方に聞くと、これは乱伐じゃない、乱伐じゃない、何年となく同じ答弁を繰り返しているけれども、いつも何年となく同じような災害が起きているのです。今回の災害の特徴は、私はつぶさに現地を見ましたけれども、どう考えてもやはり山の乱伐、特に国有林の乱伐というものが災害原因になったとしか考えられない。特徴的なのは、どこもほとんど同じですけれども、大河川じゃなくて今回は小河川、局部的な雨が降った、そういうことも言われますけれども、非常に小さい河川に極端に大きな水が出てきておる。たとえば私のすぐ隣のところに比内町というところがあって、その大葛地区、いわゆる犀川という川が最大の激甚災害を受けました。これはその犀川自体じゃなくて、犀川に注ぎ込んでいるたった三キロか四キロくらいしかない小さい谷みたいな川、これが一番大きな暴れ方をしているのです。たとえば犀川のところに森越という川がある。三キロしかない。そのほかは全部国有林ですよ。そうして、流れてきた小さい谷みたいな川に家が六軒も流されているのです。そこの町の人は、これを切ると必ず水が出てくるから、もし切るならば砂防の手当てをしてから切ってくれと何遍も陳情までしている。ところが、そんなものを何もしないで皆切ってしまったから、今回のあれで、大きい川は何でもないけれども、小さい川でめちゃくちゃにやられている。しかも、そのほかは全部国有林です。こういう例は幾らでもある。その隣にすぐ長部川という川がある。その川も同じなんです。国有林で皆伐されているのですよ。そして、植えたと称しているけれども、木というものは、そう簡単には草と違いますから伸びませんよ。植えた後のものがまだ一メートルくらいしかない。こんな木は保水力も何もないですから、今回みたいな局部的な雨でもちょっと降るとああいうふうに流れてくる。  こういうことをずっと見てみますと、あなたは乱伐じゃないというけれども、乱伐に違いないと私は思う。いままでの切り方が悪いのだ、そしてこういうふうな水害につながったのだ、このことをはっきり認識した上でいろいろなことをやらなければ、いつまでたってもごまかしなんです。あなた方は、恐らく従来大変な水害に何遍も繰り返して同じような答弁をしてきただろうと思う。しかし、あなた方の答弁のとおりにいけば絶対に災害が起きないはずなのに、毎年毎年、年々歳々災害を繰り返しているじゃありませんか。もう一遍あなた方の考えを聞きたい。
  246. 須藤徹男

    ○須藤説明員 乱伐かどうかということは抜きにいたしまして、確かに異常な豪雨によって森林が崩壊し、そのことによって災害に手をかしておるという事実は、私どもも率直に反省しなければならぬと思っております。したがって、先ほど申し上げましたように、新しい森林施業の中でさらにきめ細かな、たとえば沢通りは切らないとか、あるいは保護樹帯を十分とるとかという措置をとっていかなければならぬ、これは森林施業上どうしてもやっていかなければいかぬというふうに考えておるのでございます。  それと同時に、先ほど御指摘がございましたように、予防のための治山施設、これも十分入れていかなくてはいかぬというふうに考えております。従来あの地域は、一部の地域災害が出ておりますが、ほとんど災害のなかった地域にも発生いたしておりますし、それから六十年生以上の人工林が根倒しになって流されておるという現実もございますので、確かに森林施業にも問題があるけれども、もう一つは異常な局所的な豪雨がこの災害原因であるというふうに私ども考えておるのでございます。
  247. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 一般論をやっていてもしようがありませんけれども、いまの集中的な豪雨で手がつけられない。私は不思議に思いましたのは、現地を歩きまして、現地の営林署の署長がこう言うのです。五十ミリ以上の雨が降ると人間の力ではどうにもならないのだと盛んに言うのです。五十ミリぐらいの雨が降ってどうにもならない、そういう考え方では私はしようがないと思うのです。盛んにそれを言うものだから、おかしいじゃないか、こういうふうなことを言ったことがありますけれども、五十ミリや百ミリぐらいの雨は防いでもらわなければまくらを高くして寝ていることはできないのですよ。各地でこの被害のために非常に国有林を恨んでいる人がたくさんいますよ。いままでは、私どものところはほとんど七割が国有林地帯だった。したがって、昔から国有林と密接な関係があって、どうも営林署長なんかに文句をつけるのは、後からいじめられるものだからタブーになっておる。今回はもうやむを得ずしていろいろな文句をつけておるのです。新聞に出ておるだけを集めてみても大変な怨嗟の声があるのですよ。私は犀川の柄井沢というところへ全滅した部落を見に行きましたが、一番端のうちに屋根よりも高く流木が積み上がっているのです。おばあさんが一人いて、夕暮れ方涙をこぼして、この木をどうしたらいいかわからぬ、営林署はこれはおれのものだと言っていい木だけはみんな持っていっておる。悪いのも一緒に持っていってくれと言っても悪いのはみんな残していくものだから、もう女の力で何ともならぬと言って泣いていました。非常に気の毒ですよ。  いま質問がありました青森県の中津軽郡の相馬川上流、これなんかも同じですよ。国有林の伐採がこういうふうな被害を起こしたのだと村長が涙を流しておる。こういうふうな怨嗟の声がたくさんある。これはやはりよく考えてもらわぬと、地元と密接不離な関係にある国有林ですから、これは非常に大きな反発を地元から食らう、私はこういうふうに思います。  そこで、具体的なことをちょっと伺いますけれども、今度現地を視察しますと、山から木が流れてくるのです。そうして、あの小さい川にかかっている橋が、流れてきた木の枝で水をせきとめているのです。そして、橋がそのままダムになっているのです。次から次とダムを形成して、水が堤防を破って外へ流れる。それを一つの川で十ぐらい繰り返しているのです。これはほとんど国有林から流れてきた枝、それから根のついた伐根、そういうのが来て橋にひっかかってダムを形成している。そうして、水が両側に流れていって堤防を決壊させ、たんぼを流し、うちを流す、こういうようなことをやっているのです。  あなたはいま枝条の処理をやらなければいけないと言ったけれども、ただ言うだけじゃなくて、これから一体どういうふうにするのか。これをやらなければ、幾ら堤防を高くして橋を高くしても必ずひっかかって、またもとのようになる。いままでやっている集材の方法、これは非常に金がかからぬ方法なので、私は一朝一夕にすぐやるということは、なかなか経済的に困難だと思います。だけれども、これはやってもらわなければだめなのです。やる意思があるかないか、具体的にどうするのか、これをお聞きしたい。
  248. 須藤徹男

    ○須藤説明員 先ほどのお答えと重複する部面がございますが、もう一遍申し上げますが、山土場等の集積場は、出水により丸太等が流出するというおそれのないところを、当然でございますが選定をするということでございます。  それから、立木の伐採に際しまして、末木枝条を沢に落としたり、あるいは積み重ねることによって沢の流れの妨げにならないように十分措置をしていく。  それから、三番目といたしまして、先ほど申し上げましたが、末木枝条のチップの利用化ということも考えていこう。  それから、流出の危険のある沢の中の末木枝条及び伐根等を整理して、水の流れをよくする。  それから、必要に応じて治山堰堤を作設していくということを必ず実行していきたいというふうに考えております。
  249. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 いま、チップをやるとかいろいろなことを言っていましたけれども、実際に営林署がやるならまだいいけれども、あそこに入ってチップにするということは、経済的に果たして間に合うかどうかわからぬのです。だから、たとえばあれを民間に払い下げても、いいところの木はみんな持っていくけれども、枝条はみんなぶん投げてくるのですよ。あなたはいま簡単にチップにすると言うけれども、あの枝条をあそこに入ってチップにするなどということは、実際上私はそう簡単にはできないと思うのです。民間にやったって、間に合わないからだれも引き受けない。私はそのチップの話も、現場でチップにできないかなと聞きました。だけれども、間に合わないだろうなとみんな言っていました。そういうことじゃなくて、もう少し真剣に考えてもらいたいのですよ。言い逃れで、いやチップにしますとか、枝条を整理しますと言っても、では一体どうして整理するのか、こういうことをはっきり具体的に検討していかなければおざなりの答弁になって、来年また水が来れば同じ状態になりますよ。どうですか。
  250. 須藤徹男

    ○須藤説明員 ただいま御指摘がありましたように、いまのような経済情勢では、これはチップとしてはできないわけです。いわゆるパルプが非常に不足した時代には、相当細かなものまでチップ化をされた例もございますから、そういうときにはチップ化をしていくということでございまして、一般論としてはいつでもできるということではございません。したがって、一つの例として挙げたわけでございますが、そういうことも考えていくということを申し上げたのでございます。  それから、末木枝条の処理につきましては、チップ化が無理であれば、一定の個所に集めて焼却をするとか、そういうふうな措置もとってみたいと思いますし、またいろいろ機械の開発をしまして細かく砕くということもやらなければいかぬ。御指摘のとおり絶対やらなければいかぬという命題でございますから、これは何とかしていかなければいかぬというふうに考えております。
  251. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 それはひとつぜひやってもらいたい。あのまま同じような機械で集材していると、同じことが起きますよ。  それから、今回の国有林から流れ出てきたものの特徴的なものに伐根の問題があるのです。国有林の大きな伐根が根がついたまま流れ込んできて、たんぼの中に皆転がり込んでいる。ひどいところでは、うちの中に一トンぐらいあるような大きな伐根がでんと座っているのです。何とも人の手では動かすことができない。これはかなりやってもらいましたが、私はついこの間ずっとあの地域を回ってみましたが、まだまだたんぼに一トンもあるような大きな伐根がたくさんあるのです。あの伐根はいつやるかと言ったら、直後のときは稲を刈って取り上げてからやると言っていましたが、まだ全部排除していませんね。あれを大至急排除してもらわぬと、これから作業にいろいろ差し支えてくる。これをひとつ考えてもらいたい。  それからもう一つ、これはちょっと技術的なことですが、いまの伐根に関してですね。これはもう今回の特徴なのです。伐根が至るところに鎮座しているのです。この伐根がなぜ今回だけああいうふうに特徴的に流れてきたかということですが、私どもはいままで、とにかく伐根が山の中にあれば、それがああいうような土砂の崩壊なり水の流出なりをある程度防ぐのじゃないか、こういうふうに考えていました。しかし、今度伐根が流れて大きな被害を与えているのを見まして、そうじゃなくて逆じゃないか、伐根があることによってかえって被害を大きくしたのじゃないかという感じを持つ。  私ちょっとこの間、ある学者の話を聞きましたが、伐根をそのまま置いておきますと、三年、四年たってだんだん腐ってくる。そうすると、中に空洞ができて、雨が降ると岩盤と表土の間に水が入って、そのために表土が流出して一緒に流れてくるのだ。伐根というのは防ぐのじゃなくて、逆に流出を助成するのだ、こういうような学説を唱えている人がありましたけれども、その点、国有林地帯をずっと見ると、至るところにまだ大変大きな伐根がそのままでたくさんあるのです。これはこれからの災害のもとにもなりかねない。この点についてどういうふうに考えますか。
  252. 須藤徹男

    ○須藤説明員 最初の枝条の取り片づけの問題でございますが、これにつきましては、応急的にやるものは、災害直後営林署の直営人夫をもってやったのでございますが、いまお話がございましたように、水田に流散したものにつきましては、取り入れが済んでからこれを片づけるということで、具体的には、鷹巣町、合川町、比内町、これらに対しまして、民有地からの流散物と国有地からの流散物とをあわせ処理していただくということで、すでに鷹巣町、合川町は町当局と協定を結んでおりまして、稲を取り片づけ次第この事業に着手する、そういう経費を国から支出するといったことでやっておるのでございます。  それから、二番目の伐根の問題でございますが、御指摘のとおり伐根が多量に流れるというような事態はいままで余りなかったのでございます。したがって、今回の豪雨がいかに激しいものであったかということを物語っていると思いますけれども、従来、伐根は、いわゆる後の造林木を植えて、造林木の土壌緊縛力ができるまでは伐根がそれを支えておるというのが定説でございまして、伐根も次第に腐朽してまいりますから、腐朽してまいれば、今回のような豪雨が出れば流れるということになりますけれども、従来はそうではなくて、伐根はむしろ幼齢林の間、土壌緊縛力を助けておるというような考え方であったのでございます。したがって、今回のような伐根が大量に流れるということにつきましては、やはり治山の堰堤なり何なりを入れて防ぐしか方法がないというふうに考えておりまして、そういう面も考慮いたしまして、今回の緊急治山あるいはいま御審議いただいております補正予算の中でも国有林の治山について特に予算を要求しておるのでございます。
  253. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 根本的に言いまして、国は国有林から戦前、戦中、戦後を通じまして大変な利益を受けているのです。たとえば秋田の国有林というものは国が植えたものではないのです。秋田の佐竹藩が国に寄付したものだ。ただでもらって、そして国はこれから大変な利益を受けているのですね。天下の三大美林も半減してしまった。大変な利益を受けているのです。そうして、今度は利益ではなくて、被害をこの国有林から受けているのですよ。私はこういうことを考えてみますと、戦前、戦中は戦争に奉仕し、戦後は戦災復興に奉仕して大変なはげ山にしてしまった、その利益を、こういうふうなはげ山になったら今度は切るだけが能ではなくて、あれにもう一辺還元して、山を切るんではなくて山にどんどん木を植えてダムをつくって保全していく、こういうような方向に行かなければいけないと思いますよ。山は悠久です、長いんです。だから、あるときは切るときもあるんです。切ってもいいからすぐ植えて、そうして山を守って、再びいつか使えるような方向にしておきませんと、切るだけ切った、独立採算だ、もう守るのはやらない、植えない、これでは私は本当に地元の人間としては踏んだりけったりだ、こういうふうに考えるのです。  そこで、一つ質問しますけれども、これは十月五日の秋田魁新報の中にこう書いてある。秋田営林局が、収入確保のめどがつかないで給与支払いにも影響する、この原因は丸太生産が大幅におくれたからだ、こういうふうに書いてある。私はこれを読みまして非常に大きな危険を感じた。生産がおくれて、秋田営林局が収入減からこのまま行くと二月か三月の年度末には職員の給料も支払えなくなる、こういうふうに書いてある。これがもし本当だとするならば、私は非常に危険だと思うのです。山の木を切らなければ職員の給料を払えない、経費も払えないという状態であれば、結果がどうなるかというと、どんどんどんどん木を切るに違いないんだ。でなくても、もう残り少ない国有林が、どんどん膨大していく人件費あるいは経常経費、それに見合うために全部山の木を切ってそれに充てようとするならば、もうたちまちにして国有林は裸になってしまう。恐らくこのままで行けば植林もできなくなるし、撫育もできなくなる、こういう結果になりかねないと私は思うのです。丸太を生産しなければ職員の給料が払えない、私は大変ショックな問題だと思うのですよ。さっき津川さんの質問に対して長官は、木材生産と国土保全という、山には両方の意義がある、ところが、いまは国土保全の方がより重大だ、そういうふうに言っているのです。しかし、そう言いながら現実はちっともそうなっていない。あの山で林野庁の全職員が全部食えるだけに生産を上げるとしたならば、裸になるのはあたりまえなんです。国土保全どころじゃないのです。木材生産、もうけることが林野庁の最大の眼目になっている。口では国土保全だと言うけれども、実際には金をもうけるのが最大の問題になっている。そうでしょう。あなた、何部長さんだかわかりませんけれども、恐らくそうなんです。木を切りなさい、木を切りなさいと。ここにこう書いてある。切るのが間に合わないから立木で処分する。こんなことでどんどん処分されてごらんなさい、全部まる裸になってしまうんですよ。だから、私はさっきも言いましたように、ずいぶん国有林に世話になった国であるから、今度は国の金を出して山を守りなさい。少なくとも直接的な経費でないあの霞が関にいる林野庁の人の経費なんというものは国で出すべきなんだ。国有林の木を切って出すべきじゃないんですよ。それを全部国有林の伐採の生産の利益によって金を払っておる。人件費から何から全部払っておる。これじゃ山を守れるはずはないのです。あなた方は本当に山を守る番人だ。日本の国土を守る番人だ。国土は、国というものがよってもって立つところの根本なんです。日本列島がなければ日本という国がない。その国土を守らなければいかぬ。国土の三分の二は山ですよ。山を守る番人はあなた方なんだ。そのあなた方が、金をもうけなければいけないといって、金だけでしりをひっぱたかれて国土を守れるはずがないのです。そう思いませんか。
  254. 須藤徹男

    ○須藤説明員 ただいまのお話の中に一部誤解がありますので、御説明申し上げておきたいと思いますが、現在確かに国有林は不況のあおりを受けまして資金繰りが大変苦しいということはおっしゃるとおりでございます。ただ、丸太の生産かおくれているから資金繰りが苦しいというのは、今年度計画した生産量が確保できていないということでございまして、給料が払えないからよけい切るということでは絶対ないのでございます。そういう意味で、生産が完了すれば、これは当然販売されまして収益になるわけでございますから、そういう面がおくれておるということを言っておるのでございます。このおくれておる原因についてはいろいろございますが、この席では省きまして、いずれにいたしましても、御心配ありますように、職員の給料を払うためにどんどん山を切ってしまうんじゃないかというお話でございますが、そういうことは絶対にできない仕組みになっておるのでございます。  ちょっと御紹介いたしますが、昭和三十一年でございますか、外材がほとんど入っていない時代に、国有林は二千四百万立方の材を切っておりました。現在は千六百万立方でございます。今後の見通しは、十年後は千三百八十万立方ぐらいに減らすということでやっておるのでございまして、したがって今後職員の給料をどうするかという問題は、伐採収入ということではなくて別な抜本的な検討が必要であるというふうに考えておるのでございます。
  255. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 林野庁でもそう考えておればいいと思いますよ。ぜひ山を切った金じゃなくてやはり国から金を出さして山を守っていく、こういうような方向にいくべきだと私は思います。  林野庁はそのぐらいにして、建設省の方、どなたでもいいですが、これは地方自治に関係あることですけれども、私は非常に悲しいことだと思うのは、地方自治体は非常に貧乏だ。したがって、国に河川改修だとかいろんなことをやってもらいたいと思って頼む。なかなかやってくれない。特に弱小な市町村になってくると、そして直轄河川でないとなかなかやってくれない。そこで、これは私も長いこと、十六年ばかり小さい町の市長をやってよくわかるのですが、災害待ちということがある。ふだんやれないものだから、水が来たら一挙に何とかしてやろう、災害を待って河川を改修しなければいけないという非常に哀れなことを私らも経験してきました。恐らくここの被災地、みんな弱小の市町村なんです。何度県に頼んでもやってくれない、国に頼んでもやってくれないので、放置しておいて、その結果、何も改修されていないところが、こういう雨でもってえらい被害をこうむっているということになるんですね。たとえば先ほど申し上げました犀川ではほとんど改修ができてない。犀川は二万三千メートルあるんですが、このうち上流の一万三千七百メートルというのは全然手をつけられていない。もう原始河川です。流れっ放し、こういう状態だから、上流でえらい災害が起きているんです。私は、こういうふうに災害が起きなければ川を何ともできないというような哀れな状態、これは非常に情けないと思うけれども実際だ、三割自治ですからね。  そこで、大きな川は大抵できたでしょうから、こういう小さい支派川にもう少し建設省なりが目を向けて、早急にこれを改修する、大きな川を一本やる金があれば、こういう小さい川は十本、二十本できるんですよ。何とかこれをもう少し早くやって、再び災害が起きないように、今回災害をこうむった小さい川に対する手当てをやる意思はないか、これをひとつお聞きしたい。
  256. 堺徳吾

    ○堺説明員 先生指摘の点はごもっともな点もあるわけでございますが、大きな河川の改修も決して進んでいると自慢できるほどではないわけでございまして、それにも増して中小河川の方の改修がおくれていることはまた御指摘のとおりであります。現在の予算でも、また予算要求の予算につきましても、中小河川の改修には直轄の大河川の改修費よりもはるかにウェートを置いて要求をいたしております。現在もそういうふうになっておるわけでございまして、今後とも中小河川の改修については重点を志向して改修をやっていきたいというふうに考えております。
  257. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 時間がないのでまとめて聞きますが、災害による集団移転はどこの管轄ですか。——それでは、国土庁にちょっと聞きたいんですが、集団移転の補助は十戸以上でなければつかないことになっています。ところが、今度の災害で、全部で七戸しかないところがある。これが全滅してしまっている。そこから移転したいというけれども、七戸なので補助がもらえない。町でも貧乏なものだから何ともできない。それで、また災害が来るのを恐れて、何とかしてくれと言ってきているんですが、これは十戸でなければ絶対だめですか。
  258. 田中曉

    田中説明員 現在の防災集団移転特別措置法におきましては、建設省でがけ地近接危険住宅移転事業費補助金というのを持っておりまして、これとの事業の調整を図りますために、法律におきまして特に「集団的移転」というように規定しております趣旨から申し上げまして、この引き下げというのは困難であると考えておるわけでございます。したがいまして、十戸に満たない住宅移転につきましては、申し上げましたがけ地近接危険住宅移転事業、建設省所管でございますが、これの活用によりまして対策を講じていくように考えておる次第でございます。
  259. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 それから、これは災害激甚指定の問題ですが、今回の比内町の大葛地区、それから鷹巣町の明利又地区、これはいわば犀川、小猿部川という非常に小さい川の災害ですけれども、ごらんになったでしょうが、非常に大きな災害をこうむっておるわけです。そこで、現地では激甚地の指定をしてもらいたい、こう言って皆さんにいろいろ陳情したりしておるのですが、なかなかできない。ここいらあたりは現在どういうふうになっておるのか、指定になる状態になっておるのかどうか、ちょっとお伺いしたいのです。
  260. 山本重三

    ○山本説明員 先生指摘の点につきましては、激甚災害指定ではなくて、それに基づきまして具体的な措置を受ける特定公共団体の指定の問題ではないかと思います。  特定公共団体の指定につきましては、秋田県の災害等につきましてはすでに激甚災害指定をしておりますので、具体的な復旧事業費の負担額が確定いたしませんと、果たして特定公共団体に指定できるかどうかわかりません。ただいま見通しにつきましての資料が手元にございませんので、今後査定の状況を十分踏まえて検討してみたいと思います。
  261. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 これは最後ですが、今回の災害の状態を見ておりますと、東北という辺地のあれを非常に感ずるわけです。首都圏、近畿、九州、こういうようなところを見て歩きますと、東北の方が全般的に非常におくれておるような感じがする。首都圏とか近畿圏で、いまごろ百ミリや二百ミリの雨が降ったってこんな大きな災害は起きてこないと思うのです。ところが、向こうへいきますともうたちまちこういう災害になるわけですね。さっき質問されました岩木川、ここだって目屋ダムたった一つしかない。青森県全体を見ますと、千百二十三キロメートルも要河川改修地区があるのに、たった三八%しか改修されておらない、残りはそのまま放置されてある、こういう状態です。これは代表的な例ですが、東北各県はほとんど同じだと思うのです。非常におくれておる。東の方は非常におくれておるのです。いわば東北というのでばかにされておる、取り残されておる、こういう感じを強く受けるのです。  これからは、この災害を機会にいたしまして、こういうような状態を取り返せるように建設省でも農林省でもあるいは国土庁でも、どうかひとつ特段の御配慮をお願いいたしたい、こう思います。  終わります。
  262. 金丸徳重

    金丸委員長 次回は、明六日午前十時より会議を開くこととし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時二十七分散会      ————◇—————