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1975-11-11 第76回国会 衆議院 公害対策並びに環境保全特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年十一月十一日(火曜日)     午前十時三十一分開議  出席委員    委員長 渡辺 惣蔵君    理事 田中  覚君 理事 登坂重次郎君    理事 島本 虎三君 理事 土井たか子君    理事 木下 元二君       八田 貞義君    渡辺 栄一君       岩垂寿喜男君    角屋堅次郎君       米原  昶君    岡本 富夫君       坂口  力君    折小野良一君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (環境庁長官) 小沢 辰男君  出席政府委員         公害等調整委員         会委員長    小澤 文雄君         公害等調整委員         会事務局長   小熊 鐵雄君         科学技術庁原子         力局長     生田 豊朗君         科学技術庁原子         力局次長    山野 正登君         環境庁長官官房         長       金子 太郎君         環境庁企画調整         局長      柳瀬 孝吉君         環境庁企画調整         局環境保健部長 野津  聖君         環境庁自然保護         局長      信澤  清君         環境庁大気保全         局長      橋本 道夫君         環境庁水質保全         局長      堀川 春彦君         厚生省環境衛生         局長      松浦十四郎君         水産庁次長   佐々木輝夫君         通商産業省基礎         産業局長    矢野俊比古君         資源エネルギー         庁公益事業部長 大永 勇作君         運輸省自動車局         整備部長    田付 健次君         労働省労働基準         局安全衛生部長 中西 正雄君  委員外出席者         法務省民事局参         事官      吉野  衛君         厚生省環境衛生         局乳肉衛生課長 岡部 祥治君         厚生省環境衛生         局食品化学課長 宮沢  香君         厚生省薬務局安         全課長     代田久米雄君         通商産業省機械         情報産業局自動         車課長     富永 孝雄君         運輸省自動車局         整備部公害防止         課長      北川  清君         運輸省航空局飛         行場部長    梶原  清君         労働省労働基準         局補償課長   山口  全君         建設省道路局企         画課長     浅井新一郎君         建設省住宅局住         宅生産課長   松谷蒼一郎君         自治省税務局固         定資産税課長  川俣 芳郎君         特別委員会調査         室長      綿貫 敏行君     ――――――――――――― 九月十一日  公害対策基本法案中島武敏君外一名提出、第  七十一回国会衆法第一八号)  大気汚染防止法の一部を改正する法律案中島  武敏君外一名提出、第七十一回国会衆法第一九  号)  水質汚濁防止法の一部を改正する法律案中島  武敏君外一名提出、第七十一回国会衆法第二〇  号)  騒音規制法の一部を改正する法律案中島武敏  君外一名提出、第七十一回国会衆法第二一号)  公害委員会法案中島武敏君外一名提出、第七  十一回国会衆法第二二号)  環境保全基本法案島本虎三君外四名提出、第  七十一回国会衆法第四三号)  公害に係る事業者の無過失損害賠償責任等に関  する法律案島本虎三君外四名提出、第七十一  回国会衆法第四四号)  環境保全基本法案岡本富夫君外一名提出、第  七十一回国会衆法第四五号) 十月六日  ディーゼル車小型トラック排出ガス規制に  関する請願外四十二件(黒金泰美紹介)(第  二九九号)  自動車排出ガスの五十三年度規制に関する請願  外三十九件(黒金泰美紹介)(第三〇〇号) 同月十三日  環境公害問題の調査研究機関設立に関する請  願(渡辺武三紹介)(第四三八号)  ディーゼル車小型トラック排出ガス規制に  関する請願外五十三件(高橋千寿紹介)(第  六〇七号)  自動車排出ガスの五十三年度規制に関する請願  外四十九件(高橋千寿紹介)(第六〇八号) 同月十六日  環境公害問題の調査研究機関設立に関する請  願(内海清紹介)(第八〇五号)  同(折小野良一紹介)(第八〇六号) 同月二十三日  ディーゼル車小型トラック排出ガス規制に  関する請願外七件(近藤鉄雄紹介)(第九五  二号)  自動車排出ガスの五十三年度規制に関する請願  外七件(近藤鉄雄紹介)(第九五三号)  香春岳の自然保護に関する請願吉田法晴君紹  介)(第一〇一一号) 同月二十九日  ディーゼル車小型トラック排出ガス規制に  関する請願外十六件(大竹太郎紹介)(第一  二〇六号)  同外一件(唐沢俊二郎紹介)(第一二〇七  号)  同(小坂善太郎紹介)(第一二〇八号)  同(羽田孜紹介)(第一二〇九号)  同外二十七件(村山達雄紹介)(第一二一〇  号)  同外十四件(渡辺紘三君紹介)(第一二一一  号)  同外十二件(中川一郎紹介)(第一二八〇  号)  自動車排出ガスの五十三年度規制に関する請願  外十七件(大竹太郎紹介)(第一二一二号)  同外一件(唐沢俊二郎紹介)(第一二一三  号)  同(小坂善太郎紹介)(第一二一四号)  同(羽田孜紹介)(第一二一五号)  同外二十五件(村山達雄紹介)(第一二一六  号)  同外十五件(渡辺紘三君紹介)(第一二一七  号)  同外十二件(中川一郎紹介)(第一二八一  号) 十一月四日  かもしか被害対策に関する請願小沢貞孝君  紹介)(第一四五四号)  同(唐沢俊二郎紹介)(第一四五五号)  同(吉川久衛紹介)(第一四五六号)  同(小坂善太郎紹介)(第一四五七号)  同(羽田孜紹介)(第一四五八号)  同(倉石忠雄紹介)(第一五三二号)  同(中澤茂一紹介)(第一五三三号)  同(原茂紹介)(第一五三四号) 同月十日  かもしか被害対策に関する請願下平正一君  紹介)(第一九〇六号)  PCB汚染防止対策に関する請願田中美智子  君紹介)(第一九〇七号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 十月二十一日  自然破壊南アルプススーパー林道廃止に関  する陳情書  (第一六八号)  赤潮対策に関する陳情書外二件  (第一六九号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  公害対策並びに環境保全に関する件(塩化ビニ  ールモノマー汚染問題等)      ――――◇―――――
  2. 渡辺武三

    渡辺委員長 これより会議を開きます。  公害対策並びに環境保全に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。島本虎三君。
  3. 島本虎三

    島本委員 環境庁長官に、この際ですから、敬意を表しながら若干、伺いたいことがあります。  と申しますのは、九月の九、十、二日間、六価クロムの問題で当委員会集中審議を行いました。その六価クロムの問題も、いわば労働災害の段階、それを伏せられたままで住民からの告発によって公害として指摘をされ、それが判明したという状態。今度の場合には、またしても同じような塩化ビニールモノマーの問題が発生してまいりましたが、これもまた同じような状態であります。やはり最近の調査によりまして、十一月七日、新潟市の大気汚染研究全国協議会においても、横浜国立大学の環境科学研究センター加藤助教授によって、それがもう本当に微量であるとはいいながらも、環境汚染している、大気汚染している、この実態が明白になったわけであります。しかし、与えられた数値は微弱なものであっても、それが集中されることによって健康に及ぼす影響がないということは言えないような状態であります。労働災害公害環境破壊、こういうようになってあらわれてきて、それも住民からの指摘によって、告発によって、これが機能するということは、行政の怠慢ではないかと思うのであります。環境並びに公害を全面的に指導している環境庁長官として、最近の傾向からして、少し以前のような十分な気魄が見られないのではないか。国民はこの点を心配しておりますが、現在、発生しているこの塩化ビニールモノマーによるところの環境汚染の問題とあわせて、どのように指導しようとしておりますか、この際、国民の前に明確にしておいてもらいたいと思うのであります。
  4. 小沢貞孝

    小沢国務大臣 塩ビモノマーについては、私どもは、いま問題になったから、あわててこれから調査をするとか、そういう態度ではないのであります。これは御承知と思いますが、四十九年度、昨年、私どもは、やはりこの問題の重要性に思いをいたしまして、予算も計上し、測定方法分析方法等確立をやったわけでございます。ただ、これは実態把握が世界的にも非常に不十分なものですから、御承知のようにアメリカでも、世界一の生産量を誇っておった国でありますが、これも去年の一月にあの事件が起こってから、いろいろ問題の対策はやり始めたわけでございます。そういうわけで、私どもは、この測定方法分析方法等確立を四十九年度にやり、今年は、これをもとにしまして、また、この測定方法というものを一応検証する意味においても、工場並びに工場周辺について対策を実施して、来年ひとつ今度は全国的に工場周辺大気なり、あるいはその他の環境問題についての大々的な調査をやろう、こういう段取りで去年から始めておりますものですから、この点は御理解をいただいておきたいと思うわけでございます。産業廃棄物厚生省、それから労働災害労働省一般住民環境汚染につながる問題については私どもということで、行政責任がそれぞれ分担といいますか、分かれておるものですから、それらの接点について、いろいろな問題があることは事実でございますので、この点は一層緊密に連絡をとりまして、遺憾なきを期さなければいかぬと考えております。  御指摘の点は、クロムの問題にいたしましても、いろいろ産業廃棄物と一般環境問題それから労働災害との連携ということの不十分さが御指摘だろうと思うので、この点は、この前、六価クロムの問題を契機にしまして、非常に政府としても反省をいたして、緊密に連絡協議会を持って、やっているところでございます。
  5. 島本虎三

    島本委員 六価クロムの問題では、ドイツでは一九三〇年、いまから四十五年前に、もう職業病として認定されているのに、日本では四十九年、去年の六月一日から、そういうような運びにした、もう半世紀のずれがある。こういうようなことは行政の怠慢ですが、最も親密な関係にあると思われるアメリカでさえも一九五二年、いまから二十三年前に、もうその汚染があるということが公表され、翌年これをはっきりと認定しておるのであります。そういうようなことからして、日本のこれに対する労働省の対処の仕方がどうものろいのではないか。  もう一つ、環境庁長官は、各省に分かれて、それぞれ仕事が区分されているからという遠慮なすった言葉が出るのですが、そうじゃありませんよ。環境公害に関しては、環境庁設置法によって、あなたの場合には、もういろいろな点で内閣総理大臣にかわってやれる方法があるのです。資料を求めたり勧告したりできるのですから、あなたは総理に次ぐ実力者だと思って、やってもらわないとだめなんです。そんなしかめ面しなくてもいいから自信を持ってやりなさい。設置法の六条を読んでください。最近、少しその点では自信が退歩しているから、この点を十分に私は指摘しておきます。異議があったら、後から答弁してください。  それで総体的にこれを把握するために、昨年の塩化ビニールモノマー、この生産量用途、これに対して、はっきりした調査があるはずであります。通産省答弁を願います。
  6. 矢野俊比古

    矢野政府委員 まず四十九年の生産量について申し上げますが、塩ビモノマーにつきましては百六十七万一千トンでございます。それから塩ビ樹脂ポリマーにつきましては百四十六万七千トン、ほぼ百四十七万トンという数字でございます。  これの用途でございますが、塩ビモノマーの九二%はポリマーの方に向けられておりまして、残り八%ございますが、ほぼ三%が輸出、その他接着剤とか溶剤といった向きに五%向いております。  それから塩ビ樹脂、いわゆるポリマーについての用途でございますが、これは硬質軟質いろいろと非常に便利な製品でございまして、硬質につきましては、まず管、継ぎ手について三十三万トン、それからフィルムシート、板、これにつきましては十九万トン、その他いわば雨どいとか電話機とか、こういったものに約二十万トン。それから軟質につきましては、フィルムシートが三十万トン、レザーにつきましては十一万トン、その他ホースとかガスケットといった雑貨類でございますが、九万トンということでございます。それからさらに、電線その他いわゆる床材料といったものにつきまして十五万トンございまして、百三十七万トンが向けられております。この差が十万トンございますが、輸出、在庫というふうに見ていただければよろしいと思います。
  7. 島本虎三

    島本委員 それから、なお進んで塩化ビニール樹脂及び塩化ビニリデン樹脂加工製品、こういうようなのもあるはずでありますが、その辺は、やはり加工する場合の用途も見落としてはならない問題じゃないかと思います。加工製品加工品別用途を持っておりますが、この際はっきり示してもらいたいと思います。
  8. 矢野俊比古

    矢野政府委員 加工した製品データは非常に複雑でございますので、詳細に申し上げにくいわけでございますが、たとえば、いわば食品用塩ビ製容器しょうゆソースとか油のぴんというふうに使われておりますのが四億七千三百万本でございます。それから硬質フィルムシート製品で、いわば食品に関係ございますジャムとかアイスクリームあるいはイチゴのシート、あるいは豆腐あるいはかまぼこ等パック類等につきましては、ほぼ三十億個出ているのではないか。全体の量として五万四千二百七十トンという数字を持っております。  それから、いま先生の御指摘のございました塩化ビニリデン樹脂、いわゆる商品名サランラップでございますが、これにつきましては、先ほどの全体の用途五%の中でほぼ二%、これがすだれとか網戸とか、それから食品のお握りとか、こういうものを包む、こういう用途に向けられております。詳細ではございませんけれども、大体ポイントのところだけを申し上げました。
  9. 島本虎三

    島本委員 そうすると、これらの製造に携わっている人、こういうような点も把握しなければ、はっきりした追跡調査もでき得ないだろうし、数もつかめないだろうと思いますが、塩化ビニールモノマーそれと塩化ビニリデンモノマー、それから塩化ビニール樹脂塩化ビニリデン樹脂、それぞれの製造に携わってきた人々、この下請臨時工を含めて現役退職者、これは把握しておりますか。労働省でも通産省でもよろしゅうございます。
  10. 矢野俊比古

    矢野政府委員 退職者のところまで私ども把握しておりませんが、四十九年十二月現在の従業員について申し上げますと、塩ビモノマー工場従業員数は千百人、それから塩ビポリマー従業員が二千二百人、それには、いわば下請モノマーにつきまして百人、樹脂について七百人というものが入った上でございます。その他、今度、工場以外に会社全体といいますと、両方合わせて五千人ということでございますが、退職者につきましては私どもちょっと把握をしておりませんので、御答弁を遠慮させていただきたいと思います。
  11. 島本虎三

    島本委員 労働省はどうですか。
  12. 中西正雄

    中西政府委員 塩化ビニールモノマーまたはポリマー製造に従事しておりました労働者、その後、配置転換あるいは退職をいたしました人は約三千五百名でございます。このうち下請が約五百名でございます。
  13. 島本虎三

    島本委員 約五千人だと言われ、私どもの知っているところによると七千人だと言われております。その数字が二千二百人であるとか千百人であるとか三千五百人であるとか、これは追跡調査を十分しておらないのじゃありませんか。何で調べたデータですか。  と申しますのは、やはり六価クロムの問題でも、発生してから後、以前に従事していた人が続続としてその被害者としてあらわれているのであります。七千人くらいもある、こう言われてわれわれ了知しておりましたが、どうも三千人程度。ことに化工工程は高温なわけです。したがって、含まれているところの塩ビモノマー、これが蒸発して、その人たちの体内に侵入するわけでしょう。したがって、樹脂化工産業に従事してきた人、下請臨時工、これらを含めて現役退職者、これをはっきり把握しなければ、対策はできないじゃありませんか。七千人だと言われているのですけれども、どうも三千人程度。これはどういう調査ですか。少し調査した概要を示してください。
  14. 矢野俊比古

    矢野政府委員 ただいま申し上げました工場従業者の数、それから会社全体の五千人と申し上げました数字は、化学工業統計とそれから塩ビ工業会調査とを全部、突き合わせをした数字でございます。(島本委員下請臨時工」と呼ぶ)この工場の千百人あるいは二千二百人の中に、下請モノマーで百人、それからいわば樹脂ポリマーの方で七百人というのが入っているわけでございます。  それで、いまおっしゃいました退職云々ということでございますが、私どもの方でそういう聞き取りをしたときに、大体、退職者を含めて七千五百人が、塩ビモノマーあるいはポリマーの両工場の全体としていままでタッチした従業員ではないか、こういう推定をしております。
  15. 島本虎三

    島本委員 前に六価クロムの際に、栗山工場ではっきりわかった実態は、退職した人が、退職するまでは全然構わないでおいて、退職して一、二年後に全部、肺がんを発生をして死んでいる、その追跡調査もしていない。そして、そういう工場に対して、努力賞などと称して賞状まで出していたのが労働行政実態であったわけであります。今度の場合も、退職者を含めて全労働者精密検査をしないと、同じような事態になるのじゃないか。同時に、死亡者もいるわけでありますが、それらについても洗い直すべきである、こう思うのでありますが、実施する用意がありますか、ありませんか。また、この点は労働省だと思うのでありますけれども通産省もどのように考えておりますか。
  16. 中西正雄

    中西政府委員 お答えいたします。  特に退職者等把握につきましては、この問題が発生しました当時に、業界に対しまして指示をしたところでございますが、さらに、去る十月の二十四日に塩ビモノマーによりまして肝血管肉腫が発生したという、わが国でも初めての例症が出ましたので、それを機会に業界責任者労働省へ呼びまして、特に退職者把握追跡調査指示をいたしまして、それらについて各地方労働基準局を通じて本省に報告するように、現在、追跡調査を実施しているところでございます。
  17. 矢野俊比古

    矢野政府委員 私どもの方といたしましても、企業指導いたしまして、そういった過去の正確な数字調査に積極的な協力をするように指示をいたします。
  18. 島本虎三

    島本委員 積極的に協力するようにということでありますけれども、これはやはり前の例もあることであります。退職した人は現在、把握されておらないのであります。下請、こういうようなものも不十分な把握の仕方であります。したがって、そういうような人に被害が当然、発生する予想が立つのでありますから、精密検査をすべきであり、これは死亡者についても同様に洗い直すべきではないか、こういうようなことでありますが、当然、大臣としても各省にこの問題は指示してやるべきじゃないかと思うのであります。各省はまだ協力する態勢のようでありますけれども、積極的にこれを洗い直しさせるべきだ、こう思います。この点、大臣の意見を聞きます。
  19. 小沢貞孝

    小沢国務大臣 労働大臣がおられませんので、私からお答えするのはどうも適当じゃないわけでございますが、予算委員会等においても労働大臣は、非常に御趣旨に沿うように前向きな答弁をいたしておりますから、十分よく御趣旨をお伝え申し上げます。
  20. 島本虎三

    島本委員 これでもう一回、含めて洗い直すのだ、これをきちっとしておきたいと思うのです。労働省、いかがですか。通産省は協力する準備があるというのです。
  21. 中西正雄

    中西政府委員 先生おっしゃるとおり、現在その方向で、もちろん死亡者を含めまして追跡調査をやっておりまして、その結果を待ちまして、たとえば死亡者については、それが塩ビによって死亡したものであるかどうかということを詳細に検討し、必要な措置をとりたいと考えております。
  22. 島本虎三

    島本委員 厚生省来ておりますか。——しょうゆであるとかソースであるとか、子供たちが好んで用いるジュースであるとか、ケチャップであるとか食用油であるとかマヨネーズ、こういうような食品容器に使用されている塩ビ樹脂の量というものをはっきり把握していますか。
  23. 宮沢香

    宮沢説明員 お答えいたします。  実は、塩ビモノマー発がん作用があるではないかということが問題になりました一昨年ごろから、各業界に対して、そういうモノマーの溶出しないような食品容器をつくるようにという指導を行ってきておりましたが、同時に衛生試験所におきまして、どの程度モノマー容器中に残存しておれば、たとえば先生ただいま申されました食用油であるとか、しょうゆであるとか、あるいは酒類の中に出てくるかという、いろいろなモデル実験を、温度条件を変えたり、放置時間を変えたりして、ずっとやってきておりまして、おおむね、その辺のところをつかまえたわけでございます。と同時に、この十月ごろでしたか、アメリカで提案が出まして、すぐ衛生試験所で、近くのスーパーマーケットからいろいろな食品類を買ってきまして、十三、三件でございましたが、材質試験と、食品の中に溶けているかどうか実態調査しましたが、その限りでは、食品中にはモノマーは全然、検出されなかった、こういう成績を得ております。
  24. 島本虎三

    島本委員 最近、検出されたという新聞報道があるのですが、あれはうそですか。
  25. 宮沢香

    宮沢説明員 お答え申し上げます。  東京都で、国立衛生試験所で定めた分析方法におおむね沿った方法で、いろいろなものを八十八検体ほど分析しておりまして、その結果、多いものは百何ppmというふうな、材質の中にモノマーがあった。それが食品中に〇・一とかいうような溶出があった、二、三そういうものが見られたという発表がございまして、現在、衛生試験所で同様のものをチェックをしておるわけでございますが、同時に、そのほかのものについても、いまやっております。大体いままで私どもは、まとまったデータではございませんが、非常に古いようなもの、そういうものには悪い材質のものがあって、食品中にともすれば出てくるおそれがある、こういうような実態があるというように理解しております。
  26. 島本虎三

    島本委員 この塩ビ樹脂の中に若干でも残存する塩ビモノマーの量、これは少なく抑えよう、また、もうほとんど皆無に近いほどだ、こういうように考えられておるようでありますが、材質の古いものに対してはまだ検出が高い。しかし幾ら少なく抑えようとしても、三十か四十工場があるでしょう。その工場で無数の反応で重合させているでしょう。そういうような現実のもとでは、各バッチの塩ビ樹脂から厳密に塩ビモノマーの残存をなくしようとするのは、これはできますか。これはきわめて困難な問題じゃありませんか。したがって、しょうゆであるとか子供の用いるジュースであるとかマヨネーズなど、これに溶け込む塩ビモノマーが、いかに量的には少ないというようにいっても、一たん体内に入ってしまえば、これはPCBと同じなんです。したがって、きわめてこれは分解されにくい要素がある。それで肝臓や脂肪中に蓄積されていくことになるでしょう。これは当然PCBと同じように危険だということになるのであります。残存が少ないからいい、こういう問題じゃありません。  したがって、食品容器への塩ビ樹脂の使用、これは全面的に考慮しなければならないし、いま公害対策は先取りです。厚生省では一歩先んじて塩ビ樹脂使用を全面的に禁止する意向がありますか。
  27. 宮沢香

    宮沢説明員 お答え申し上げます。  塩ビモノマーは非常に反応性が高いというふうに聞いておりますし、それからまた食品用に使います塩ビ樹脂については、特別な配慮をして、塩ビモノマーがほとんど残存しないような特殊な工程をこれに加えさせる、こういうことで指導しておりまして、現在、昨年の十月以降につきましては、塩ビ食品衛生協議会におきましても、食品用として販売するものについては個別にすべてチェックをして、そうして食品中には全く塩ビモノマーそのものが溶出してこないような良質なものにするという体制ができた。それからもう一つ、現在そういった古いもので出回っているものについては、それぞれの会社で自主的にその回収をやっておると聞いております。  私どもとしましては、現在こういった食品容器材質について基準を設定するに当たりまして、分析方法について十分な詰めを行っておりまして、ほぼ完了しようとしておるわけでございますし、先生が御心配になっているようなことで、一般大衆、国民に対して不安を生じないように、良質なものしか食品容器には使用されない、つまり食品中には塩ビモノマーが絶対に溶出してこない、こういうようなものにするよう、ただいま基準設定について作業を進めておる段階でございます。
  28. 島本虎三

    島本委員 基準設定について作業しているのでしょう。基準さえまだできていないんでしょう。基準設定をして、これはこれから、だれが実施するのですか。これほどたくさん反応があったりして、そうして少しでも残存すると、それはPCBのように体内に蓄積されるでしょう。こういうような要素があるのに、これから基準を設定するのだ、だから全然安全なんだ、こういうような考え方は、少し非科学的な考えじゃありませんか。いままで、もうすでに古いものについては検出されているのでしょう。それを業者が自主的に回収しているというのでしょう。しかしながら、これから基準を決めてやっていく、これで安全なんだ。官僚図式ではそういうようになっても、国民大衆はそういうものは信用なんかできませんよ。どうもあなたの言うことは私は納得できないのです。これから基準を設定して全部うまくいくのですか。いままでの分も、それでは全然安全だということをあなたは表明できるのですか。このチェックの方法はどうするのですか。
  29. 宮沢香

    宮沢説明員 先ほども申し上げましたように、衛生試験所で近くの一般のスーパーから買った食品中からは全く検出されていない、こういう成績を得ておるわけでございます。そしていま、さらに古いようなもの等について、いろいろあちらこちらへ行って買い集めてテストを行ってもらっておるわけでございまして、私どもとしましては、昨年の十月以降出回った食品容器については、塩ビモノマー食品中に溶出してこない、こういうことを信じております。しかし、そうかといって、古いものがいつまでも出回っておってはいけないので、そういったものについては早急に回収するようにお願いしておるわけですが、基準設定について、そういうことの絶対ないような分析方法を近く設定する、こういう作業をいまやっておるわけでございます。
  30. 島本虎三

    島本委員 基準設定を近くやるのだと言って、それで全然安全なんだと言うのですが、チェックはどこでするのですかと言うのです。業者を全面的に性善なるものとして信用するのですか。東京都でやったら、これは古いものには検出されたと言っている。ところが、それも業者が自主的に回収するから、これは安全なんだとあなたは言っている。あなたは国民大衆の立場に立つのですか。厚生省は業者の立場に立つのですか、研究者の立場に立つのですか。どうもあなたの考え方は、私は残念ですが納得できないです。基準設定して、これからどうするのですか。
  31. 宮沢香

    宮沢説明員 お答え申し上げます。  私どもは昨年来ずっと実験をしておりましたのは、どの程度、良質な樹脂容器でございましたら、食品中にそれは出てこない、どの程度まで樹脂の純度を高めたら、塩ビモノマー食品中に出てこないかという、そういう実験を繰り返し繰り返し何通りかやりまして、そして食器に用います塩ビ樹脂の精度はこの程度でなければだめだというものを、ようやく結果として、成績として得たわけでございます。したがって、そういう材質のものに今後は全部、切りかえなければ、食品衛生法上違反になる、そういうような基準を設定するわけでございます。
  32. 島本虎三

    島本委員 こればかり時間をとるのは、私、本意じゃないのです。それならば、検出されないのだというと、どのような分析で、どこまでの精度で、これは検出されないのか。何ppmまで見て検出されないというのか、ほとんどゼロなのか、どうなんですか。
  33. 宮沢香

    宮沢説明員 お答え申し上げます。  たとえば食用油に例をとります。これは五十度の恒温槽に入れておきまして放置した場合に、五ppm材質中にモノマーがございますと、二週間後に〇・〇五ppmという検出ぎりぎりの量が溶出してきておる、こういう事実を見ております。また、しょうゆでございます。これはやはり、しょうゆを五十度の温度に高めまして放置しておりまして、その結果は、やはり材質中に五PPm塩ビモノマーが残っておりますような悪い材質のものですと、四週間後にやはり検出ぎりぎりの〇・〇五PPm、こういう値を検出した。それから酒ですと、やや、この濃度が下がりまして、材質中に二・四PPmのモノマーがあると、五十度の温度に放置した場合に四週間後に、検出限界ぎりぎりの〇・〇五ppmという塩ビモノマーが溶出してくる、こういうような成績を持っておるわけでございます。したがいまして、いろいろな食品を想定し、いろいろな条件でそれが流通している、そういうことを頭に置きながらやった場合に、どういう材質、どの程度の純度のものでなければいけないか、こういう線がこのデータからは出てくるわけでございまして、それを食品衛生法上の基準とするような作業を現在、急いでおる、こういう状況でございます。
  34. 島本虎三

    島本委員 したがって、それはもう検出されなし、こういうようなことになるのですか、いままでの調べでは。
  35. 宮沢香

    宮沢説明員 お答え申し上げます。  衛生試験所で近くのスーパーから買ってまいりましたしょうゆとか食用油とかソースとかマーガリン、こういったものの塩ビ樹脂材質中のモノマーを測定しましたが、いずれも〇・四八ppmであるとか〇・一七ppmであるとか、あるいは全然検出できなかったとかというふうに、非常に高度な材質のよい塩ビ樹脂容器でございまして、したがって、食品も念のために分析してみましたが、その結果、いずれも食品からは塩ビモノマーは検出されていなかった、こういう成績を得ております。
  36. 島本虎三

    島本委員 先ほどの御答弁で、これもまだ、よく理解できないのだけれども、油ですか、しょうゆですか、材質中〇・〇五ppm検出された、こういうようなのがあったようですけれども、その〇・〇五ppm、これだけ検出されて、これで何でもないのだ、こういうようなことでは、どうなんですか、これは。
  37. 宮沢香

    宮沢説明員 お答え申し上げます。  食用油で、材質の中に五ppm残っておる、こういうような粗悪な塩ビ樹脂の場合でございます。そのときに五十度の温度に食用油を温めまして放置しておりますと、二週間後に〇・〇五ppm、こういう非常に……。
  38. 島本虎三

    島本委員 〇・〇五ppmというのは。
  39. 宮沢香

    宮沢説明員 この油の中から検出されました。
  40. 島本虎三

    島本委員 それで危険じゃないわけですか。
  41. 宮沢香

    宮沢説明員 材質の中では五ppmという塩ビモノマーが入っております。したがって、私どもとしては、そういうものが出てこないような材質のものに、今後、食品衛生法上で定めていく、こういう作業をやっておるわけです。
  42. 島本虎三

    島本委員 だから、〇・〇五ppm、これだけ検出されたのだから、やはり現行のものに対しては、それだけ出ておるということでしょう。今後そうしないように優良な材質のものにしてやる、こういうようなことなんでしょう。
  43. 宮沢香

    宮沢説明員 お答え申し上げます。  これは衛生試験所モデル実験でございまして、食用油に、〇・八とか一・四とか一・七とか、いろいろなレベルで塩ビモノマーが入っておる材質のものを使っております。そうしますと、たとえば〇・八ppm材質の中に入っておった場合には、八週間放置しても全然、食品中に出てこない。現在、市販されております食器の、塩ビモノマー材質中の含量は、いずれも〇・四八とか〇・二八とか、一ppmより以下である。これでしたら食品中には、相当過酷な条件でもモノマーは溶出してこない、こういう成績を得ておるわけでございます。
  44. 島本虎三

    島本委員 いつも、やはり国民の健康を守る立場、生命に関しては重大な関心を持つ立場で国民を守るのが厚生省の一つの立場でしょう。どうもこう聞いていると、まだまだ数字の点できれいになっていないのだけれども、これから指導する、したがって大丈夫だ、これから基準値をつくる、したがって大丈夫だ、どうもこういうような考えでは、いままでの点は粗悪だったということの結局、反語じゃありませんか。その点では私は、これはもう十分納得できません。これは納得できるまでやっていたら時間ありませんので、後からもう少し、この問題に対する解明を私はさしてもらいたいと思います。  そうすると、包装材としてのフィルムども食品包装に使われておるようでありますが、これは大丈夫なんですか。
  45. 宮沢香

    宮沢説明員 お答え申し上げます。  いま先生申されました包装材というのは、恐らくフィルムのようなものじゃないかと思いますが、こういうものについても実験はやっておりますが、全く検出はされておりません。  それから、厚生省はいつも後追いだと申されましたが、私どもとしましては、昨年来いち早く取り組みまして、そういう材質基準について早急な基準設定のための資料集めをしておったのでございまして、もちろん先生のただいまの御指摘に沿って、早急にそういう手当てをして国民の不安を除く、こういう厚生省の方針には変わりはございません。
  46. 島本虎三

    島本委員 その方針に変わりないと言うけれども、どうもこっちはわからないのだ、あなたの言うのは。私も議員という立場ですから、あなたたち自身も、厚生省として国民を守る立場から、はっきりしてもらわないといけない問題です。  では、反応がまが全国で幾つあるか、はっきりここで調べてみましょうか。  それから同時に、いま〇・〇五ppm以下であれば検出されないとされているというのですが、それならば、〇・〇四ppm含まれているかもしれない、こういうようなことになるのじゃないか。以下であるならばいいのだ。あなた技術者でしょうかね。事務屋でしょうかね。私どもその点では、どうも私並みの見解のような気がしてしようがないのだ。それでもなおかつ心配だ。わからない。だから全然これは検出されないのだというその考え方。もしあっても、これは〇・〇五ppm以下であれば検出されないのだ。それでほうっておく。それでいいのですか。〇・〇四、これじゃ大丈夫なんだ、こういうことになるわけですか。どうもそういうような点で私は十分わかりません。  しかしながら、あなたたちの態度も厚生省の態度としては不可解です。溶出されていないといっても、その中に含まれているという実態には変わりないのだ。量が少ないだけで、少なくともPCBみたいにして体の中にこれが蓄積するのだから、そういうような問題に対しては安全だということは言えないはずだと私は思うのです。あなたの場合、〇・〇五ppm以下であれば検出されないのだ。それでいいのだと言うけれども、果たしてこの点は、それでいいのでしょうかね。  それから反応がまが全国で幾つあるのか、はっきり調べておりますか。年間のトータルで何バッチ生産されているのですか。
  47. 宮沢香

    宮沢説明員 お答え申し上げます。  私どもが、発がん性について、その安全性に問題があるといたしました基本となった実験データは、イタリアのマルトーニという方が実験したもので、これは塩ビモノマーという沸点マイナス十三度くらいのガスでございますが、五〇ppmから一万PPmという非常に幅広い濃度で、十二カ月間ネズミに吸い続けさせまして、そして二十六カ月後に肝臓に血管肉腫が出た、こういうデータでございまして、五〇ppmでは出ておりません。二五〇ppm以上の濃度のものに血管肉腫が出た、こういうような実験でございます。したがって、出ておらないという五〇ppmというのは、先ほどの私どもの現在の分析技術で検出できるかどうかのぎりぎりのものに比べて、ちょうど一千倍の濃度で出ていない、こういうような非常に低いところまで検出できる、こういう状況になっておるわけでございます。しかも、この抽出条件も、通常の流通では考えられない五十度という温度で放置して、こういうような成績でございます。  なお、反応がまにつきましては、厚生省の所管ではございません。
  48. 島本虎三

    島本委員 どこの所管ですか。
  49. 矢野俊比古

    矢野政府委員 いま手元に反応がまの数のデータはございませんが、ポリマーの全体能力二百五万七千トンでございます。重合するための反応がまが中心でございますので、能力的にはそういうことでございますが、私ども、いま記憶にとどめるところでは、大体二百ないし三百の反応がまがある。詳細のデータは別途ございますので、改めて提出させていただきたいと思います。
  50. 島本虎三

    島本委員 それで年間トータルで何バッチ生産されているかという点もわかりませんか。  それと同時に、何人の検査官で検査をしているのか、これがやはり大きい問題ではありませんか。こういうような点は、やはり通産省では把握しておりませんか。いないとすると、労働省は、この辺からまた問題点が出るわけでありますが、この点を把握しておりますか。
  51. 矢野俊比古

    矢野政府委員 年度の操業率がございますが、いわば現在、五五%の操業でございます。そういうようなことから計算すると、ある程度数字は出てまいると思います。  それから検査の面は、私どもの方にはそういったいわば権限と申しますか、全然ございませんので、そういうシステムもとっておりません。
  52. 中西正雄

    中西政府委員 重合槽の数は五百槽余りだと聞いております。  なお、それらの事業所を監督する監督官総数としては、全国に実際に稼働可能な監督官としましては二千人余りおりますけれども塩ビモノマー製造工場について何人の監督官が従事しているかという数字は、現在、持っておりません。
  53. 島本虎三

    島本委員 やはり安全な基準を決める、こういうことでも、実際やるようになったならば、その数もわかっておらない。実際に監督する検査官、それも塩ビ関係だったら、ほとんど何人か程度か何十人か程度、そういうようなことで、日本全国でやろうとしても、これはやはり不十分です。こういうような状態の中では、やはりいまの場合、労働災害、それと同時にこれが周辺の大気汚染する公害環境破壊、こういうようなものに当然つながってくるのじゃないか、こう思われるわけでありますが、この点、監督体制は十分きちっとしておくべきではないかと思うのであります。  それにしても塩化ビニリデン樹脂ですね、サランラップであるとかクレラップ、こういうように呼ばれております食品包装に使用されておるわけでありますけれども塩化ビニリデンモノマーが残存しておる限り、この毒性は塩化ビニールモノマー以上である、こういうように考えられるわけです。食品包装への使用は、厚生省としても十分注意すべきであり、そういうような使用はやめさせるべきであり、そういうような製品については、通産省においても十分考えるべきであり、それらを扱っておる人の健康状態は、もちろん労働省としても十分把握しておくべきではないか、こう思うのでありますけれども、この点はどうですか。
  54. 宮沢香

    宮沢説明員 お答え申し上げます。  以前から先生のそういった御指摘の線に沿いまして、私ども塩化ビニリデンにつきましても、その残存モノマー実態を現在、国立衛生試験所調査中でございまして、それにつきましても、でき次第また基準設定ということになっていくと思います。なお、これは発がん性につきまして一度イタリアで、その疑いがあるというような発表もありましたが、関係学会等でいろいろと討議されまして、まだ発がん性は証明されていない、こういうふうになっていると聞いておりまして、実験は現在、続行中というふうに聞いております。
  55. 島本虎三

    島本委員 いまの趣旨はわかりましたが、いま厚生省の方で全国の塩ビを検出する人、これは何人くらいおりますか。
  56. 宮沢香

    宮沢説明員 お答え申し上げます。  こういった食品衛生に関する監視、指導は食品衛生監視員という方がやっております。各全国の政令市、都道府県保健所等に配属されておりまして、現在、概数六千名くらいというふうに私どもは理解しております。
  57. 島本虎三

    島本委員 今度は塩ビ樹脂ですけれども、建設省、来ておりますか。——塩ビ樹脂が建材として使用されているはずでありますが、この量を完全に把握していましたら、知らしてもらいたい。
  58. 松谷蒼一郎

    ○松谷説明員 お答え申し上げます。  塩ビ樹脂を基材といたしました建築材料は非常に多量に上っておりまして、私どもでは、その全量については把握はしておりませんが、建築基準法の中で防火上、建築材料として不燃材料、準不燃材料、難燃材料といった材料を認定しておりまして、その材料につきましては、現在までに五十四件の塩ビ関係の防火材料を認定しております。
  59. 島本虎三

    島本委員 五十四件というのはどういうことですか。
  60. 松谷蒼一郎

    ○松谷説明員 五十四商品でございます。
  61. 島本虎三

    島本委員 量は把握しておりませんか。
  62. 松谷蒼一郎

    ○松谷説明員 量については現在まだ把握いたしておりません。
  63. 島本虎三

    島本委員 これらの新建材がつくられるようになったときには、厚生省それから建設省は、特に火災時の安全性などについて完全にチェックしておりますか。耐火効果は十分調べているということを聞いているけれども、耐火効果があればあるほど、火災時の安全性などについても十分チェックしなければならないはずであります。新建材で認可制度をとっておりますか。おるとするならば、この火災時の安全性などに対してのチェックはどうなっていますか。
  64. 松谷蒼一郎

    ○松谷説明員 お答え申し上げます。  先ほど申し上げましたように、火災時の安全性のために、建築基準法に基づきまして建設大臣が防火の材料を認定しておるわけでございます。その認定の種類といたしましては、不燃材料、これは最も燃えない材料でございます。鉄板でありますとか石綿スレートでありますとか、そういうような材料であります。それから、それに準ずる準不燃材料、それから燃えにくい難燃材料と、この三つの材料を認定をしております。その認定の仕方といたしましては、建設大臣の告示に基づきまして試験方法を定め、それによりまして判定をしておるわけでございますが、特に、これまでの火災の事例に徴しまして、告示を四十五年に改正いたしまして、通常の火災時における熱におきまして、避難上、著しい有毒なガスの発生がないようにということを判定の条件としております。
  65. 島本虎三

    島本委員 それが条件として完全に守られているかどうかということも、今後やはり重大な問題であるから、繰り返し聞くのでありますが、やはり塩ビ樹脂の使用される新建材、なるほどこれは発火はしにくい、したがって耐火効果はあるわけであります。しかし、一たん火事に見舞われてしまうと、今度は毒性の高い塩化水素、毒ガスの原料の一つになっているホスゲン、こういうようなものであるとか、大量の一酸化炭素を発生して、火が回る前に、このガスが建物の中に充満して、多くの人命を損傷するような結果になる、これはもうすでにわかり切ったことなのであります。いま塩ビが問題になっている際に、食用ばかりの問題ではなくて、建材についても、この点をもう一回考える段階に来ているのじゃないか。建材としても塩ビ樹脂を使用するのは、この機会にもう一度考えてみるべきじゃないかと思うのです。火災が発生して、耐火効果はあるけれども、その前にどうしても人身に障害を与える。ことに一酸化炭素であるとか、または毒性の高い塩化水素やホスゲン、こういうようなものを発生するものは禁止すべきであって、これは確かに火が回るのは遅いけれども、その先に毒ガスのようなものでまいってしまう。まさに燃えないけれども、ガスでもって人を殺すような建材だということになってしまうおそれがある、そうでしょう。したがって、いまこの塩化ビニールが問題になっている際に、もう一度、問題になっていない建材、こういうようなものに対しても十分考えるべきじゃないかと思うのです。この点に対してどうですか。必要があるならばこれは禁止という措置も前提にして考えるべきじゃないかと思うのであります。
  66. 松谷蒼一郎

    ○松谷説明員 いま先生がお話しのとおりでございまして、プラスチックを使用いたしました建築材料につきましては、そのプラスチックの組成あるいは量によりましては、きわめて毒性の高いガスを火災時に放出するということがございます。したがいまして、昭和四十六年以来、建設省では建築研究所を中心といたしまして、こういったプラスチック材料の火災時における有毒ガスの排出状況につきまして、いろいろ研究をいたしております。やっと、その成案がまとまりまして、近近、少なくとも年内には建設大臣の告示を改正いたしまして、火災時における通常の火熱に対して有毒なガスを放出するものについては、この材料の使用を用途を限って禁止をしようということで、現在、検討中でございます。
  67. 島本虎三

    島本委員 大臣、いまのようにして、食品の問題からして、もうすでにこれは高度に使われておって、建材にまで使われておって、その建材の結果は、防火、耐火にはたえても、今度は人身に障害を与えるようなガスが発生する、これも大いに売り出しておる、こういうようなものは一面の効果はあっても、他面に害悪を流していることになりますから、こういうような点についても今後、十分考慮しておかないと、それらが公害になってしまうわけであります。十分これは考えるべきである、こう思います。一言でいいですが、これは大きい問題ですから、いまの言葉の裏づけとして、これは政治的にも大いに取り上げてやってほしい、こう思います。所見を承ります。
  68. 小沢貞孝

    小沢国務大臣 非常に多方面に使われております。この種の問題について、私どもも、おっしゃるように十分ひとつ注意深く検討しまして、その安全の確保という面では努力をしなければいかぬと思います。  ただ、食品の関係は、さっき聞いておりまして、これは厚生大臣の所管ですけれども、現在、使われている容器について衛生試験所で検査をした結果では、安全だ、全然検出されない、たまたまモデル実験でやった結果を、さっき課長が言ったわけでありますが、したがって、古いものについて、そういうものがあってはいかぬので、その実験の結果と、現在、使われている食品の包装容器の問題と混同しないようにしていかなければいかぬだろうと思っておるわけでございまして、その点は明確にしないと、いま使われているものがみんな危険だという印象を与えてはいけませんので、その点だけは明確にしておいた方がいいのじゃないかと思います。  建築材料や、この前、予算委員会で問題になりました滑りどめ、あるいはその他塗料の問題がいろいろ問題になりました。これらを含めまして、私どもの方でも至急それぞれ所管の官庁と連絡の上で、危害の発生しないような対策を早急にとらなければいかぬと考えております。
  69. 島本虎三

    島本委員 いま大臣もそういうようなことを言いましたけれども、私どもの方では——次の問題に移る前に、大臣がちょっと言ったから、最後に私、心配していることを言っているのですが、五〇ppm云々といったら、こういうのは空気中にある濃度です。それがもう食品の中から出るから、これが体内に吸収される、これは危険だ、したがって、その点についてはもう十分やらぬといけないのだ、PCBのように体内に蓄積されるのだ、こういうようなことなんだ。現在でももうやっているから、その数値以下だからいい、こんなことだけで考えたら、これはとんでもないことになる、このことを恐れるからでありますから、その点も逆に大臣、誤解しないようにして善導してやってほしいと思います。  次に私は、もう時間が迫ってまいりましたから、原子力発電の問題で端的に聞いてまいります。北海道の岩内というところに北海道電力が原子力発電を推進しているのであります。そうして住民、漁民はほとんど反対しているのでありますけれども、いま、これを強行しようとしている。それも一基から二基にしようとして、これを盛んにやっております。そうして資源エネルギー庁から、北海道電力が調査している、そこへまた調査に派遣された事実があるわけであります。こういうようなことは、業者のやることに通産省が、安全性を無視して協力する態度じゃないかと思いますが、この点はどういうようなことですか。
  70. 大永勇作

    ○大永政府委員 お答え申し上げます。  共和・泊地点の原子力発電所の計画でございますが、これは北海道電力から、五十年度の施設計画といたしまして、五十五万キロワット級加圧水型の原子力発電所を設置する計画が出てまいっておるわけでございまして、それを受けまして、地元の同意を得たならば、いずれ電調審にかけることになるわけでございますけれども、われわれといたしましては、その施設計画に基づきまして、環境面からこれをチェックするための調査を実は計画しておるわけでございまして、実は十月二十八日ごろから実施する予定であったわけでございますけれども先生指摘のように地元から、調査に対しまして反対の動きが出てまいったわけでございます。  それで、内部でいろいろ検討したわけでございますが、やはりわれわれといたしまして二点ほど反省する必要がある。一つの点は、北海道電力の調査と時期的にダブることになるわけでございます。それで、この点につきましては、現地が、これから冬場になりますと、波が非常に荒くなるものですから、われわれの環境調査の方も早くしようということであったわけでございますけれども、誤解を避ける点から言いまして、やはり北海道電力の調査時期とダブらない形でやった方がいいだろうという点が一つでございます。  それから、調査をします地点とは海域ではないわけでございますけれども、岩内漁協に対しまして事前に十分、調査の説明をしてなかった、この点もやはり反省すべきである、こういう二点につきまして、やはり反省をする必要があるということから、一時、調査を延期いたしまして現在に至っておるわけでございます。
  71. 島本虎三

    島本委員 あくまでも、これは安全性の問題を一番重要視しているのに、そういうような問題を度外視して、ただ調査だけしてやる。これは以前に伊達火力の問題で、当時の環境庁長官、現総理大臣の三木武夫氏が、十分話し合いを持たないでやってはだめだ、当時の官房長官二階堂さんも、はっきりこれを言明し、当時、通産大臣だった中曾根通産大臣も、この点においてはっきり言明しておる。何も話し合いをしないで、なぜこれをやるのですか。まず、考え方が間違っておる。簡単に答えてください、時間をとらないために。調査の目的と内容、どの程度なんですか。これをはっきり。
  72. 大永勇作

    ○大永政府委員 調査の内容でございますが、一つは流況調査、これは海流の方向とか速さとかということでございます。それから水温、水質の調査、これは北電がいろいろ調査しましたものを、環境面からクロスチェックするためのデータを得るために行う国の調査でございます。
  73. 島本虎三

    島本委員 これはもう漁民の方では、温排水の海象に対する影響が重大関心事だとしておるわけでありますが、この調査はどう考えますか。
  74. 大永勇作

    ○大永政府委員 いま御指摘になりましたのは霧の問題等であろうかと思うわけでございますが、この点につきましては、現地の気象状況のデータをベースにいたしまして、環境審査顧問等の先生方の意見を聞けば、十分チェックできるものというふうに考えております。今回の調査内容には入っておりません。
  75. 島本虎三

    島本委員 事前に説明、了解を求める、こういうのは漁業協同組合に対しても同様に考えていますか、いませんか。
  76. 大永勇作

    ○大永政府委員 これを実施いたしますためには、海上保安庁あるいは調査地点におきます漁協の同意が必要になることは当然でございますけれども、そのほかの関連漁協に対しましても十分説明をして、御理解を得ることが必要であるというふうに考えております。
  77. 島本虎三

    島本委員 地元利害関係団体とは、どういうようなことを想定していますか。
  78. 大永勇作

    ○大永政府委員 関係者に十分御説明する必要があるかと思いますが、関係者といたしましては、関連の市町村、それから漁業協同組合を考えております。
  79. 島本虎三

    島本委員 漁業協同組合と同時に、農業協同組合も入りますね。この進め方が不明朗だということで問題になっておるわけです。五日の日でしょうか、資源エネルギー庁の方から、一応、誤解を受けたということで、これは行って釈明しているようであります。しかし、このやり方が、町長が承認したからそれでいいんだということでやって、町長の方にはどういうふうにして言ったか。これは他の海域をやるのだから、それならば、あなたも何でもないだろう、他の海域ならばよろしいと言ったのを、町長が賛成したからいいということで繰りかえて、これは北海道電力がやっておる、それに上乗りしているのがあなたたちの調査である。チェックするのに一緒にやる人ありますか。そういうような誤謬を犯している。とんでもない。安全性の問題は、はっきりいま大きい問題になっているし、漁民は、もうすでに漁業を失うかどうかの問題で、大きい問題にしているわけです。これはもうすでに二年前に大きな問題になって、十分反省しているはずであります。カエルの顔に小便をかけるように同じようなことをまたやっておる。それが通産省の態度ですか。ことに、この岩内の方の共和町でやるのは、東京電力の福島原子力発電所一、二号炉及び日本原子力発電の敦賀発電所における事故、こういうようなものについてもう十分わかっていてやっているのですか。機種は同じでしょう。安全性もはっきりさせないで、これを実施させようとする。こういうようなやり方は、もうまさに私はこれは全部いけないと思います。したがって、これらの事故、いま言ったような事故、これを説明してください。科学技術庁もいるはずです。それから冷却水の循環パイプのひび割れの写真、これを提出してもらいたい。同時に、緊急冷却装置のひび割れの写真、これを資料として提出してもらいたい。このひび割れの原因、これが応力腐蝕によるものと伝えられておるのでありますけれども、どのような原因で、どのようなメカニズムによって起きた応力腐蝕であるのか、これは明確にこの際述べてもらいたい。  時間の関係で言いましたけれども、この冷却水の循環パイプのひび割れの写真、並びに冷却装置のひび割れの、これも写真ですか、これを資料として出してもらいたいと思うのでありますが、これはもう当然そうしてもらいます。それと同時に、あわせてこの事故の説明、応力腐蝕の問題も明確にしてもらいたいと思うのです。このおそれを心配しておるわけです。それなのに強行しようとするわけです。科学技術庁、おりますか。
  80. 山野正登

    ○山野政府委員 先生指摘のように、原子力発電所につきましては私ども安全確保を第一と考えておりまして、常々、事故のないような運転をするということに加えまして、たとえ事故がございましても、これが大きくならないように、一般公衆に被害を加えないようにということを基本方針といたしておるわけでございます。  いま先生指摘になりましたような過去の事故例につきましても、私どもはこれはいわば故障というふうに考えておりまして、何分にも多数の部品、機器で構成されておりますので、こういった部品、機器に起因いたしますトラブルは、ある程度やむを得ないと思っておりますけれども、しかし、なおかつ万全を期する必要はもちろんあるわけでございますので、御指摘のようなBWRのECCSのバイパス管のひび割れの問題、あるいはPWRのSG管の故障といったふうなことにつきましても、通産省ともども現在、原因の究明をいたしておりまして、これらの成果というのは当然、今後の安全審査等に生かしてまいりたいと思っておる次第でございます。
  81. 島本虎三

    島本委員 この冷却水の循環パイプのひび割れの写真、緊急冷却装置のひび割れの写真、これを出してもらえるかというような点はいかがですか。いいわけですか。
  82. 大永勇作

    ○大永政府委員 われわれの手元にあるものはお出しいたします。
  83. 島本虎三

    島本委員 これらのひび割れが応力腐蝕によるものだ、こういうふうにわれわれの方に伝わってきておるのであります。しかし、どのような原因かということはわからないのであります。しかし岩内の共和町に同じ種類のものがつくられるというから、この問題に対しては、はっきりしておかないといけない問題でありますから、なお聞くわけでありますけれども、これがどのようなメカニズムによって生じた応力腐蝕であるのか、明確にこれは述べてもらいたいわけでありますが、これは述べられませんか。
  84. 大永勇作

    ○大永政府委員 非常に専門的な事項になるわけでございますが、応力腐蝕といいますのは、循環いたします水がある一部分に力が加わりました場合に、そこの金属部分が腐蝕していく現象でございますけれども、非常に専門的な問題でございますので、私から詳細な答弁は御容赦いただきたいと思うわけでございます。
  85. 島本虎三

    島本委員 そうなんです。この現象はわかっても、まだ、そのメカニズムは明確になっていない。したがって、ひび割れを二度と発生させないような十全な対策は、まだ確立されていないわけです。ここに重大な問題があるのじゃないか。こういうような安全性の問題を不問にして建設だけを急がせる。そして北海道電力の場合はまだ予備率が一八%もある、高い。なぜこれを指導するのですか。北海道道庁自身が静観する、こういうことなのに、通産省だけ、これを急がしている。これは一体どこに原因があるのですか。内容は同じようなもので、まだ不分明な点、安全性が確立されない点が多い、メカニズムさえ解明されない、それなのになぜ、これを促進しようとしているのですか。民主、自主、公開の原則に反するじゃありませんか。とんでもないことであります。この緊急冷却装置のパイプの稼働中に、知らないままにひび割れが発生する、そしてそれが成長していく。そうすると、関東大震災の三倍以上の地震にも耐えられるような設計をしないと、被害を防止することはできない。当然そうなるわけであります。しかし、このやり方は、それさえはっきりしないで、そしてこれを実施する方にばかりきゅうきゅうとする。通産省はまさに高度経済成長の幻をまだ迫っているわけです。反省の色が見えないわけであります。日本の原子力技術、こういうようなものは安全のための基礎研究を積み上げていくべき段階であって、発電所や「むつ」のような船などをつくって、そして実用炉をつくっていい段階ではまだない。こういうようなことが「むつ」によって、はっきり証明されているはずなのであります。こういうようなことを無視してまで、また予備率が全国で一番高い北海道にまで、今度は原子力発電所を建設しようとしている。また資源エネルギー庁はこれを促進しようとしている。まさに原子力公害である。こういうような点は十分、反省を要します。私は、解明を求める点は今後の問題として、資料をもらってから、もう一回これをやることにいたします。  以前、環境庁長官として三木現総理大臣が厳重に、この問題は住民との間に話し合いを持ってからでないとやるな、二階堂官房長官も当時それをはっきり言明した。にもかかわらず、二年もたったらもう忘れて同じことをやっている。通産省の姿勢は私は全く遺憾であります。こういうようなことをさせないように、きちんとこれは環境庁長官としても指導すべきであります。国務大臣の一人としてこれは十分、検討してもらいたい。最後に大臣、この点はどう思うのか、これを聞いて私はやめにしたいと思うのであります。ただし大臣答弁いかんによっては、また続きますが。
  86. 小沢貞孝

    小沢国務大臣 原子力発電の安全性の問題は、もう最大の問題であることは間違いございません。また、それを住民に理解をし納得をしていただいて、円満にエネルギー政策上、最も大事な原子力発電を推進していかなければいけないわけでございます。基本的にはそうでございますが、原子力の安全性の問題は、これはやはり非常に特殊な問題ですから、また現在の技術の問題あるいは地方庁との関係から見ても、これは科学技術庁にお任せする以外にはないわけでございます。私どもの方は、自然環境破壊につながる問題あるいは温排水による水産のいろいろな問題についての評価をやりまして、その諾否を決定するわけでございますが、いずれにいたしましても、これは原子力発電のみならず、あらゆる点で住民の理解を得なければいけないことは当然でございますから、そういう面で十分努力するように、私の方からもよく要望しておきたいと考えております。
  87. 島本虎三

    島本委員 ありがとうございました。
  88. 渡辺武三

  89. 岡本富夫

    岡本委員 約二カ月近く当委員会が開かれておりませんでしたが、その間に公害行政について、まことに悲しむべき事柄が起こっております。まず長官に、この点についてお聞きをしておきたいと思うのです。  環境庁公害汚職それからずっと続いて首都圏の公害機器納入に対するところの汚職の問題です。この公害機器購入については環境庁の方からも相当、補助金が出ております。こういう一連のことを考えますと、先般、私ある雑誌社の招待で、ある学者と一緒に討論したときに、環境については、そういう監視員なんかない方がいいのだ、あるいは公害行政をする人たちがいない方がいいのだ、なぜだと聞くと、汚職をするからだ、こういうような非常に強い反論が出たわけであります。したがいまして私は、綱紀粛正のために、環境行政を預かる長官として、やはりひとつはっきりとここで天下に宣言して、そして今後、国民の皆さんの疑惑を除いてりっぱな環境行政を行っていかなければならない、こういうように考えるので、一言、所感を承っておきたいと思うのです。
  90. 小沢貞孝

    小沢国務大臣 今回、私どもの役所の中から一名、首都圏地方団体等についても機器納入について不祥事を起こしまして、最高責任者としての私としては非常に残念であり、かつ、まことに申しわけないと思っているわけでございます。  私が一番恐れましたのは、特に私どもの役所の気象専門官の問題で、一番私が心配しましたのは、その結果、得られました調査の成績が、何か科学的に正確性を欠いているようなことがないか、これが一番大事だと思いまして、いろいろ担当の局長はもちろんでありますが、学者を動員しまして、いま個々に総ざらいと申しますか、公害研究所から出ましたデータについて総ざらいをいたしております。大体、一カ月くらいしますと結果がはっきりするだろうと思いますが、現在のところでは、それが一番の私の心配であります。といいますのは、御承知のとおり公害行政についての国民の信頼がなくなったり、あるいは企業の信頼もなくなったりしますと、私どものやりたいことが徹底をいたしませんし、不信感をあらゆる部面に起こす、いま先生がおっしゃったような結果になってはいけませんので、この点を、いま重点にしてやっております。  一方、事件が起こりました直後、省全体に、今後かかる問題が一切起こってはならぬということで、厳重に姿勢を正すように指示をいたしたところでございますし、なお、地方庁におきましてもそれぞれの首長において、今後の取り扱いもひとつ十分注意をしていただくように、人事管理の面でさらに一層強く徹底をしていただくようにお願いをいたしております。  それからもう一つ、実は調査データあるいは調査機関、こういうものが非常に限られておるものですから、たとえば気象観測にいたしますと、あの問題を起こした会社日本気象協会、この二つしかない。しかも、ある面については、公害研究所というあの問題を起こした会社しかなかったということが、今後、必要なデータを得る場合に、やはり非常に問題になると私は思いますものですから、これらをどうしたらいいか、いまいろいろと検討をいたしておりまして、正確なデータを得るための機関をどうするか、そういう点についても慎重に検討をいたしておるところでございます。
  91. 岡本富夫

    岡本委員 庁内の方はそうでありましょうが、できますれば地方自治体の方にも——きょうの新聞を見ましても、納入した機器が欠陥機器であったとか、補助金を出しながら、こういうような非常にぐあいの悪いことが起こっておるわけです。そういうもので出てきたデータを、とうとうとここで答弁をなさっておる。したがって、基準は設定した、しかし患者は相変わらず出る、そうなってくると今度はまた基準を変えなければいかぬ、こういうようなことでは、私はやはり非常に問題があろうと思うのです。それをまた公害補償法で救済していく、こんなことをやっていたのでは話にならぬので、各地方自治体に対しても、やはり長官から、公害行政については今後こういう不祥事件を起こさないようにという勧告と申しますか要請をはっきりとなさったらいかがでしょうか。
  92. 小沢貞孝

    小沢国務大臣 おっしゃるとおりだと思いますので、もうすでにやっておりますが、なお一層、徹底をいたしたいと思います。
  93. 岡本富夫

    岡本委員 次に、塩化ビニールモノマーあるいはポリマーの問題につきましてお聞きいたします。  私どもが十一月一日、実は三井東圧さんの名古屋工場調査に参りました。その後、報道を見ますと、十一月六日に労働省の方から立入調査をやっておる。この立入調査について、どういう結果であったのか、簡単にひとつ御報告を願いたい。
  94. 中西正雄

    中西政府委員 お答えをいたします。  三井東圧株式会社の名古屋工業所に対しましては、本年四月に臨検監督を行っておりますが、さらに今般塩ビモノマーによる肝血管肉腫、門脈圧の高進症等の職業性疾病の発生を見ましたので、従事労働者の不安を取り除くということも非常に重要な問題でございます。そういう趣旨もあわせまして、今回、十一月六日に同工業所に対しまして監督を実施いたしました。  その結果、同工業所におきまして幾つかの指摘事項がございます。すなわち、たとえば塩ビモノマーの重合化工等の現場部門におきまして、局所排気装置とか、作業環境測定の方法とか、保護具の管理等について若干、問題がございまして、改善の指示をいたしております。
  95. 岡本富夫

    岡本委員 そこで、全国で塩ビモノマーあるいはポリマーをつくっている会社あるいは工場は何社あるのか、その全部に立入検査をちゃんとしておるのかどうか、この点を解明しておきたいと思うのです。
  96. 中西正雄

    中西政府委員 現在、私ども調査では、全国で塩ビモノマーまたはポリマー製造している会社は二十二社、三十六工場でございまして、そこに約七千五百人ほどの労働者がおります。これらの事業場に対する監督でございますが、現在、労働基準局といたしましては職業性疾病対策行政の最重点としております。中でも職業がん対策をその最も重要な対象としておりまして、今回、塩ビモノマーによるがん原性が明らかになりましたので、全国一斉に監督を実施しているところでございます。
  97. 岡本富夫

    岡本委員 全国一斉に全部、立入調査をしたのですかと聞いているのですよ。そっちの方をはっきりしてください。なぜかならば、私ども調査いたしましたときには、三井東圧の重合がまは稼働をとめていたわけです。そして測定機器とか、いろいろなところを全部調べてみましても、非常にあやふやなものなのです。これを見ましたときに、実際に労働省の方は、基準局から行ってきちんとやっておるのかどうか。しかも、三井東圧名古屋工場は、どっちかというと良心的なのです。名古屋大学の稲垣先生に特別にお願いをして、そうしたものがはっきりしてきたのです。しかも、この会社は、全国に二十社ですかあるうちで、製造している年間の順位からいくと十三位です。ほかの会社はもっとたくさんつくっている。そういうわけで、この会社は非常に良心的に出してきたからはっきりした。そういうことになりますと、労働省は本当に塩ビモノマーについて、あるいはこういった職業病にかかっている人たちの実際の環境調査とか、いろいろなものにはっきりと手をかけているのかどうか、この姿勢を私は非常に疑ったのです。報道あるいは三井東圧の方からこうした発表があって初めて立入調査をしている。それまでに行ったのは、ほとんどおざなりという状態じゃないでしょうか。それがはっきりしておるのであれば、全部わかっておるはずですから、再度、十一月六日にこの会社に立入調査をする必要はない。私はそういった労働省の姿勢というものを非常に疑わざるを得ない。その点についてはいかがですか。
  98. 中西正雄

    中西政府委員 塩ビモノマーによる職業がん対策につきましては、すでに昨年の六月に緊急通達を出しまして、従来、たとえば抑制濃度五〇〇ppmであったものを、その十分の一の五〇ppmに引き下げる、さらに五〇ppmをできるだけ下回る濃度にするようにという緊急目標を立てまして、その他、健康診断等実施するよう指示したのでございますが、その昨年の六月の緊急通達を出しました当時から、すでに重点的に監督を実施しております。昨年一カ年間の監督の実施状況を見ましても、これは延べになりますけれども七十五工場を監督いたしております。それから今年に入りまして、さらに専門家会議の検討の結果によりまして、抑制濃度を二ppmに引き下げることにいたしまして、具体的な監督指導通達を出しておりまして、これをもとに、その後、監督をいたしておりますが、本年五十年には現在まで四十九工場、延べでございますが、監督指導をいたしております。  なお、先生のおっしゃられる、ほかの工場にも相当多数の被害者が出ているのではないかというような点につきましては、私ども実は、そういう懸念を持っておりまして、先般、業界の幹部を呼びまして、特にその点を厳しく指示をいたしまして、健康診断の結果、確定診断はなくても塩ビモノマーによって疾病が起きていると疑われる者については、労災申請をするようにというきつい指導をいたし、また、地方の局長にも、実は昨日の局長会議指示をいたしているところでございます。
  99. 岡本富夫

    岡本委員 とにかくこの間、予算委員会で、労働大臣は、先取りをしていろいろ手を打っているというように、それに近いような答弁をしているのですけれども、きのう通達した、あるいはまた、その前にもやっているとかいうことで、しかも、工業会がありますね、こういうところを通じて、あなたの方は通達しておるだけで、その通達事項がきちんと実行されておるかどうか、このことについてのチェックがない。これは六価クロムの場合もそうであった。われわれ当委員会で、実は委員長も一緒に行きましたが、徳島の日本電工、あそこでも鼻中隔せん孔の鼻の穴の小さいのはだめで、大きいのは認定するのだ、そういうように会社内でなるべく隠そう、隠そうとしている。そういうのはやはりきちんと摘発をして、調査をしてやっていくのが基準局の姿ではないかと私は思うのですね。それが役目じゃないでしょうか。ただ会社の報告だけを聞いて、あるいは通達だけして、それで終わりならば、そんなものは必要ないじゃないですか。各所に皆、基準局の出先がある。そこで何も立入調査をやっていないじゃないですか。立入調査したといっても、結局、効果的なことは何もやっていないということになるのじゃないですか。六価クロムの場合もそういうことであったから、私どもは厳しくこの当委員会でも指摘をしたはずなんです。これについて何か御意見があれば伺います。
  100. 中西正雄

    中西政府委員 先ほど申し上げました昨年六月の緊急通達あるいは今年六月の通達にいたしましても、また昨日の指示にしましても、それぞれ地方の労働基準局長に対する通達でございまして、それとあわせて本省としましては、その団体である塩ビ工業協会に対して必要な指導をしているということでございまして、決して業界に対して指導しているということを申し上げていたわけではないのでございます。その通達に基づいて各都道府県労働基準局、監督署で必要な監督指導をし、また被災者については十分の保護を図れるように努力をしているところでございます。
  101. 岡本富夫

    岡本委員 あなたの答弁を聞いておりますと、各都道府県にあるところの監督署が怠慢であった、私の方はきちんと通達しているのだ、こういうように聞こえますが、各都道府県にある監督署を統括し、そして、どうなっているかということをちゃんとするのが、あなたの方の大体、基準局長の、あなたは衛生部長だけれども、役目じゃないのでしょうか。この前の六価クロムもそうであった。今度も行ってみて、私その点をひしひしと感ずるのですね。小さいところには非常に圧力をかける。ところが少し大きい会社にはこうして非常に手ぬるい。そこに私は問題があると思うのですよ。これは厳しく指摘をしておきます。  そこで次に、塩ビモノマーあるいはポリマーによっての死亡者あるいはまた被害者、これが現在、何人出ておるかということを各企業別に把握していらっしゃいますか。
  102. 中西正雄

    中西政府委員 現在、追跡調査中でございますが、現在までに把握した数字はあるのでございますけれども、いま手元に資料を持ち合わせませんので、早速、取り寄せます。
  103. 岡本富夫

    岡本委員 きょうは塩ビモノマーあるいはポリマー被害について当委員会で質問する、こういうことはあなた、はっきり通知をしてあった。会社側はうちは何名いるというのを非常にひた隠しに隠そうとしている。ある報道あるいは私たちの調査によると、まだ全国調査は私たちも終わっておりませんけれども、死者が三十八名、患者は八十一名、いままでわかっただけでもこれだけ出ているじゃありませんか。さらに肝臓障害以外の障害もある。私は一つ一つ、これはどうなっている、これはどうなっているということを聞いてもいいが、たとえば日信化学の武生工場で働いていた人、あるいはまた東亜合成の徳島工場で働いていらっしゃった方、しかも、これは作業員三人が、四十七年六月に塩ビモノマーのガスを吸って倒れておる。こういうような事件があっても、その後の追跡調査あるいはそういったことが本省の方で全然わかっていないわけですよ。その上においてきちんと通達しているというなら、適切な通達もできるだろうし、あるいはこういう面をこうしなければならぬということも通達できると私は思いますけれども、どうもそういった面がはっきりしてない。この点もひとつまた後で資料を出していただきますから。  こればかりやっていても、あなた一つ一つについてわからないだろうから、いま答弁をいただこうとしても、できないと思いますので、次に、退職してからの健康手帳の交付について、退職してから五年以内に何らかの異常を訴えれば、健康手帳を交付される、こういうのが現在のシステムであろうと思うのです。ところが、すでに亡くなられた方もいらっしゃる。しかも肺がんなんというのは、退職して五年以内に出るか、それから後に出ている人もいる。そういった人たちに対するところの健康手帳の交付ということは、これはきのうも労働大臣に申し入れしましたところが、そうしたいと思っておりますということですが、どの辺で線を引くのか、あるいはどういうようにして、その健康手帳を交付するのか、この点をひとつ明らかにしておいていただきたいと思います。
  104. 中西正雄

    中西政府委員 健康管理手帳制度と申しますのは、申し上げるまでもなく、有害な作業を離れてからでも、その後においても疾病が発生するというようながん等につきまして、退職後、国が健康診断をするという制度でございまして、問題の、先生おっしゃられる期間でございますけれども、これは退職後、別に特段いつまでの期間内に発生しなければ云々という問題ではないのでありまして、ただ、在職中にその作業に何年間勤めた者、それ以上勤めた者という一応の、医学的に見て将来がんが発生するかもしれないという限界というものを考えまして、相当大幅に、その安全性といいますか、余裕を見た期間、すなわち短期間ということでございますが、たとえば塩化ビニールの製造関係の仕事に五年以上従事していたという者につきまして、退職後ずっと国が健康管理をする、健康診断をするということでございます。  なお現在、塩化ビニール製造取り扱いに従事した期間、この健康管理手帳の対象とすべき人の経験年数、期間を何年にすべきかということにつきましては、いろいろ検討いたしておりまして、専門家会議の結論を待って処理をいたしたいと考えております。
  105. 岡本富夫

    岡本委員 これが問題なんですよ。六価クロムの場合は九年かで線を引く、九年以内に言ってこなければ、健康手帳はもうだめだというようなことを聞いておるのですけれども、この点について私たちが直接、各現場に、その工場に行って聞いてみると、あるいは従業員の皆さんに聞いてみると、相当、配置転換をやっているわけですね。絶えず配置転換をやっている。そういうことを考えますと、塩ビ工場に勤めておった方、こうなるわけですか、それとも重合がまの中に絶えず入っていた人ですか。絶えずと言うとおかしいけれども、いまは潜水服のようなものを着て入っているけれども、昔はああいうものを着ずに入って、そうしてやっていたらしいですね。そういうずさんなことであったのですが、その点の健康手帳を交付する認定の基準というものを、ひとつ明らかにしていただきたいと思うのです。いまあなたの答えでは、もう一度、専門家会議にかけないと出ない、こういうことなのですが、きのう労働大臣は、そういったもう亡くなった方あるいはまた当時のカルテもないという方に対しては、みなし規定を設けてもいいのじゃないだろうかという答弁をなさっておりましたけれども、この点について、事務当局はどうですか。
  106. 山口全

    ○山口説明員 ただいまの質問にお答えする前に、先ほど安衛部長に御質問のありました死亡者あるいは罹患者数でございますが、全体数は安全衛生部の方でただいま調査中でございますので、いずれ判明すると思いますが、補償請求のあった件数は死亡者十五名でございます。そのうち八名については、補償を認定されておりますし、七名については、ただいま審査中でございます。  次に、ただいま御質問のありました職歴がかなり変動があった、あるいは暴露歴が不明であるというような者について、どうするかというお尋ねでございますが、私どもとしましては、できるだけ従事当時の同僚労働者の聞き取り、あるいは当時の主治医の御意見、さらに死亡している場合には死亡診断書等を追跡調査いたしまして、できるだけ業務との関連を疎明していきたい、そういうことを通じて労働者保護に欠けることのないように努力をしたい、かように考えております。
  107. 岡本富夫

    岡本委員 がんなどというのは、専門家の先生方に聞くと十年、二十年あるいは三十年というような潜伏期間があって出ておるのだということですから、これはほとんど救済していくという立場でなければ、私は皆さんが救われないと思うのです。その点を要望しておきます。  そこで、健康手帳を交付する業務、これは労働安全衛生法施行令の三十三条にこの業務が出ているわけですね。私が持っているものには、これが三種類しか出ていないが、ここに今度、六価クロムとか、いろいろ入れまして六種類にするということでありますけれども、この中に当然、塩化ビニールあるいは塩化ビニールモノマーあるいはこういう物質の製造をしておった工場もここに入れるであろうと私は思うのです。そうしましてもこれは七種類です。ところが労働省は、労働者の職場の衛生と健康を管理してあげるということについて、非常に問題があってから入れていくわけですね。死者が出た、被害者が出た、それから一つずつふやしておる。これも最初はただ三つしがなかった。私たちが調べました中で、これは国際化学一般労連、ICFというのですが、アメリカあるいはスウェーデン、ドイツ、こういう国の人たちが集まりまして世界会議を行っておるわけですが、この中に、発がん性の物質をすでに公式に公認をしておるというものがあるわけです。これを見ると、いま労働省は七種類ですか、これを入れようとしておりますけれども、まだこの中に抜けているのがずいぶんあるわけです。たとえばエーテルを製造する工場、こういうのも私は、やはり問題が起こってから入れるのではなくして、先取りをして、そして各事業所に対して指導しなければ、結局、労働大臣が絶えず先取りをして労働者の健康を守っておると言っておりますけれども、どうもそういった先取り、あるいはまた世界会議のそういったものを調査して、発がん性物質というものに対しての、それを製造している、あるいはまた、それを使っている工場に対するところのこういった処置というものは、非常におくれておるのではないか、こういうように思うのですが、その点について安全衛生部長から聞きましょう。
  108. 中西正雄

    中西政府委員 現在、労働安全衛生法に基づきましてがん原物質として特別に規制している物質は二十四ございます。ただ、この二十四の物質すべてが、現在、人に対してがんを起こしているとか、あるいは諸外国でも起こしたというものに限っているわけではございませんで、動物実験で発がん性が認められ、人にもその発がんのおそれがあるというようなものも含めて二十四物質でございます。必要な規制をして、その予防に重点を置いているのでございますが、健康管理手帳の対象といたしますのは、そのうちで実際に人にがんを発生しているというものに、現在は限っているわけでございまして、現在の政令で六つの物質が指定をされておりますけれども、近くこの政令を改正いたしまして、塩ビモノマーを含めまして四つの物質を追加することにいたしております。
  109. 岡本富夫

    岡本委員 これはアメリカの公式に認められた発がん物質、人体発がん物質と書いて許容濃度までもちゃんと出ているわけですがね。いまあなたが答弁されたように、人体に影響が出てからということは、わかってからだ。要するに塩ビモノマーにしても六価クロムにしても、人体に影響のある発がん物質であるということはわかっておった。発がん物質であるということは指定されておったけれども、人体に影響がなければ、あなたの方はしない。人体に影響があるのがわかるのは、非常に遅くなって、もう死亡してからだ。こうしてみると、いつも後追い行政じゃないでしょうか。アメリカのこれ一つを見ましても、ビスクロールメチルエーテル一ppb、こういうように人体発がん物質としてちゃんと公式に認められておる、私の方で調査しますと。これが後追い行政だと私は思うのですよ。きのうも実は、このことについて厚生大臣とも話し合ったのですけれども、特定化学物質に関する安全性の検査、PCBの問題で、これからそういうことをやるのだから、今後は出ないだろうとかなんとか言っておりましたけれども、これは毒性や慢性毒性についての調査であって、この法律には発がん性はどこにも出てない。したがって、私はこれはもう一遍再検討する必要があると思うのですが、いかがですか。これは提案しておきます。
  110. 中西正雄

    中西政府委員 先ほども申し上げましたように、先生おっしゃるとおり、やはりがんというものは発見されてからでは手おくれだという考え方、全く同感でございまして、疑わしいものは予防に対する十分な措置をしなければならないということを考えておりまして、現在、二十四の物質を指定しているわけでございますが、なお、この二十四というのは決して固定した数字ではございません。労働省では職業がん対策専門家会議を持っておりまして、ここで定期的に、どういう物質を規制の対象にすべきかという点について検討を行っておりまして、諸外国の文献あるいは学会の報告等を参考にいたしまして、順次、追加をしていくということにいたしているのでございまして、先生ただいま御指摘のビスクロールメチルエーテルにつきましては、すでに発がんの危険ありとして、わが国でも規制をいたしております。
  111. 岡本富夫

    岡本委員 どうも健康管理手帳を交付する業務という、この三項目の中に入ってないものがまだ多々あると思うのですよ。ですから再検討をして、そして健康管理手帳を交付するというように通達すれば、恐らく各企業も気がついて、そしてさらに健康管理あるいはまたそういった除去装置、そういったものをつけて、そしてそこに働く人たちを救うことができると私は思うのですよ。ひとつこれを検討して、まだ入ってないものに対しては、この中に入れていくように、これを要求しておきます。こればかりやっているとあれですが、いま補償課長の方から申請してきた人たちの数量を発表されましたけれども、私ども調査から比べると非常に少ない。したがってもう少し企業を督励して、そして救済できるようにやってもらいたい。これだけを要求しておきます。  次に、この基準につきまして、四十九年に五〇ppm、それから今度の通達では重合がまの環境基準が五ppm、それ以下の作業工程では二PPm、五〇ppmから二ppmに規制を強くしているわけですね。こういう根拠はどこにあるのですか。この根拠を調べてみますと、あなたの方、労働省では、アメリカの発表されたものをもって根拠にしているのですよ。日本自体の自主的な、そういった環境基準の根拠を持ってない。だから一年足らずで五〇から二になったりする。こういうことをもう一度再検討する必要があると私は思うのです。要するに労働省は、衛生部長さん、もっとしっかりしてもらわぬと困ると私は思うのですよ。その点いかがですか。
  112. 中西正雄

    中西政府委員 ただいまの抑制濃度につきましては、従来は塩化ビニールモノマー、それほど強い毒性はないとされていたのでございまして、濃度基準としましては五〇〇ppm、これは諸外国でも大体その程度の濃度で規制をし、あるいは行政指導をしていたのでございますが、御承知の昨年一月にアメリカ塩ビモノマーによって肝血管肉腫が発生した。このときに初めて塩化ビニールというものが発がん性を有する、がん原物質であるということが国際的に確認されたといいますか、ということで、六月の緊急通達で、従来の規制濃度の十分の一である五〇ppmをとりあえず抑制濃度といたしまして、しかもできるだけ低くするようにという通達を出し、業界を指導いたしたのでございます。その後、国際会議等でいろいろなデータが出されまして、特にイタリアのマルトー二という先生が、この面についての研究、特に動物実験をやっておりまして、その動物実験の結果等を十分勘案いたしまして、二ppmというものを現在、抑制濃度として決めているわけでございます。ただ何といいましても、まだ昨年の一月に初めてこの問題が提起されまして、果たして人体にとって何ppmであれば絶対に無害であるかということについての学問的な数値というものは現在まだ出ていない。ただ現在の実験データなり、あるいはその疾病の発生状況から見まして、三ppmであれば、まず大丈夫であるということで、とりあえずの数値として二ppmというものを決めたのでございまして、これももちろん専門家会議の十分なる検討結果によって決めたわけでございますが、今後、いろいろの症例あるいは実験データ等が出まして、問題があれば、これはやはり改善していかなければならないということを考えておりまして、業界に対しても、決して二ppmというもので安心はできないから、できるだけ低く濃度を抑えるように努力するように強く要請をいたしておりまして、現状では、ほとんどの会社が二ppm以下になっております。  それから槽内の五ppmにつきましても、これは保護具の使用との関連あるいは作業時間がきわめて短時間であるというような点も考慮しまして、まあ五ppmにしているのでございます。
  113. 岡本富夫

    岡本委員 アメリカの報道あるいはいろいろなのを見ますと、工場周辺住民、こういう人たちの中から、やはりそういった発がんされた人が出ておるというような発表をしておるわけです。名古屋に参りましても、近所に市営住宅があって、非常にその点について心配しておる。この基準については環境庁としては幾らに決めるのですか。これはまだ全然決めてない。
  114. 橋本道夫

    ○橋本(道)政府委員 いま先生の御指摘のありました工場周辺のケースは、アメリカの報告の中に二例、確認されてないものがあるということのみを存じております。  先ほど労働省のおっしゃいましたのは、八時間暴露される労働者の基準ということでございますので、それをかなり大幅に下回るppbオーダーのものを、やはり私たちはその目標としてちゃんとすべきである。もちろん一番少ないのがよろしゅうございますが、実際問題としましては、ppbオーダーのものであろうというぐあいに考えております。まだ現在のところは、そこまで決めておりません。
  115. 岡本富夫

    岡本委員 これはひとつ早く長官、決めてもらって、そして周辺の人たちの不安を除かなければならないし、健康調査もしなければならぬ。各地方自治体では健康調査をしようとしても、基準がないからできないということになっておるのですね。これはひとつ一日も早く取り組んでもらいたい、要求しておきます。  時間がありませんから、次に実は私、鹿児島の錦江湾、鹿児島湾にぜひ来てもらいたいということで行ってまいりました。そこで水産庁にお聞きしますけれども、ここのタチウオあるいはいろいろな魚が水銀汚染されておるということで、イカもそうでありますが、ずっと漁獲規制されておるらしいのですが、この原因はどこにあるのか。しかも四十七年でしたか、水俣病から発して、そうして魚の汚染を調べた。そうすると、ここに〇・四ppmですか、この暫定基準を超える魚が出たというわけなのですが、しかし、ここの湾内には、そういった水銀を出すような工場はない、こういうことなんですが、この点についてどうなんですか。
  116. 堀川春彦

    ○堀川政府委員 四十八年に水銀の関係の環境汚染につきまして全国調査をやったわけでございますが、その結果、四海域において魚に汚染が発見され、そのうちの一つが先生の御指摘の鹿児島湾の、錦江湾の問題でございます。したがいまして、四十九年におきまして県、国が調査をいたしまして、その結果が本年の四月にまとめられておるわけでございますが、これは環境庁におきまして専門家の方々による検討を経まして、一応の評価を経たものがまとめられて発表をされております。それによりますと、魚介類の調査で現在、先生の御指摘のタチウオ以下七魚種について汚染が認められ、最近では追加調査の結果、さらに若干の魚種について汚染が認められたということが明らかになっておりますが、これの原因につきまして水質、底質それからその他の排水源ということをずっと調査をしておるわけでございます。一々申し上げると長くなるわけでございますが、結局これらの原因関係の究明の調査を通じまして、総合的評価として現在の段階で、その報告書でまとめられておりますものは、どうもこれは主たる原因は海底火山活動に伴いまして水銀が排出をされ、それが魚に蓄積されたのではないか、そういう疑いが濃いというふうな総合評価になっております。
  117. 岡本富夫

    岡本委員 これは最後に環境庁で専門家会議で検討しておるわけですが、しからば桜島の海底火山、これが主たる原因、調べてみると、ほかにほとんどないというのですね。主たる原因ということは、これが原因ということなんです。そうしますと、桜島の海底火山は、これはいま始まったことじゃないです。もう、あれは大正年間でしたか、大隅と桜島の間が埋まってしまうくらい大きな流出が出ておるわけですね。そうしますと、その時分から魚が汚染されていたということになるのですよ。これはここの魚を調べたのは、水俣の問題でやかましく言うて、初めてこういうふうに調べたわけです。水産庁の方で、これはいつごろからこういうように錦江湾の魚が汚染されておったのか、この調査をされておりますか。
  118. 佐々木輝夫

    ○佐々木(輝)政府委員 今回の錦江湾の調査につきましては、全国的な総点検の一環としてやったのが、システマチックな調査の第一番目でございまして、それ以前の古いデータについては、私ども承知しておりません。
  119. 岡本富夫

    岡本委員 そうしますと、これも何十年、何百年と、この魚を皆、鹿児島の人たちは食べているわけですね。そこに水俣病の患者がいるかどうか。おりましたかどうですか。
  120. 野津聖

    ○野津政府委員 現在表に出ました形での発症されている方はおられませんけれども、大事なことは健康調査の問題であろうということで、四十九年度の暮れから、漁業関係者についての健康調査を実施をいたしまして、それにつきましての結果を現在、取りまとめ中というふうになっているわけでございます。
  121. 岡本富夫

    岡本委員 これは私がもらった限りでは、漁業者の中に毛髪に少し高い水銀があったのみで、親の代から何年も食べているというのですね。そうすると、この漁業者の人たちは、いままでみんな食べて何も病気なかったのに、規制されて売れない。ところが観光船で来たところの人は、どんどんイカでもとって帰る。不合理じゃないかというのが、非常に皆さんの考え方なんですね。そこで、現実にどこにどういうことで、どうなんだということが全然はっきりしないまま、ただ漁業規制だけされているわけでしょう。しかも、〇・四ppmというのは、これは厚生省で決めたと思うのですが、この天然水銀と、それから水俣のようなああいう人工水銀ですか、こういう水銀との差はどこにあるのか。そうしますと、伊豆七島、あっちの方、いまどんどん海底火山が出だしていますね。あの辺の魚はどうなのか。これについて水産庁はどういう見解を持っておるのですか。
  122. 佐々木輝夫

    ○佐々木(輝)政府委員 人工的な汚染と全然関係がないと思われる、かなり遠洋のたとえばカジキ類、マグロ類、そういったようなものであるとか、あるいは一部のギンタラとかキンメダイといったような深海性の魚に、天然の蓄積と思われる水銀の蓄積があるのは事実でございます。この点は従来、水産庁の方でも水銀の全国の総点検調査と並行していろんな調査をやりまして、明らかにそういう人為的な環境汚染とは余り関係がないと思われる水銀蓄積があるということは、かなりたくさんの分析を通じて把握しておりますけれども、それの人体に及ぼす影響については、いろいろ学者間でも論議があるというふうに聞いております。
  123. 岡本富夫

    岡本委員 厚生省の岡部さんですか、乳肉衛生課長さん、この〇・四ppmというのはこのときの暫定基準ですよ。これは水銀汚染の問題がやかましく言われなかったら、暫定基準のままで、そのまま続けておるのかいないのか、捨てたままになっているように考えられる。  そこで、厚生省と水産庁で調査をきちっとしなければならぬのは、天然水銀の場合、これは何かほかの重金属との相殺作用で人体に影響があるのかないのか。さらにマグロとか、あるいはスズキですか、遠洋のマグロなんかは、これは三〇ppmあっても規制の対象にならぬ。そして、この〇・四からちょっと多いのに対しては規制をする。この点はどうなんですか。これは非常に不合理なように私は思う。なぜマグロは三〇ppmもあっても規制の対象になっていないのだと聞くと、厚生省のいわくは、食べる人がマグロには水銀が入っておるのだというのをわかって食べるから構わないのだ。錦江湾の魚は水銀が入ってないか入っているかわからないから、それで規制をしなければいけないのだというような、わけのわかったようなわからぬような御答弁が、漁業者に対してあるらしいんですよね。この点は私やっぱりはっきりした答えというものを出さなければならないと思うのですが、これは厚生省とそれから水産庁両方でひとつ調査をし、そういう専門委員会みたいなものをつくって、そしてちゃんとした結論を出さなければならないのと違いますか、その点いかがですか。
  124. 岡部祥治

    ○岡部説明員 先生指摘のように、昭和四十八年にいわゆる第三水俣病というようなことから、国民の魚の水銀汚染に対する関心が非常に高まりまして、さらに不安を抱いたというような状況でございましたことは御承知のとおりでございます。それで魚について、その水銀に対する基準をつくれというような声が大変強くなりまして、そのために水銀に関します専門家を集めまして鋭意検討いたしまして、魚介類の総水銀〇・四ppmという、学問的に十分検討いたしまして、これを作成したわけでございまして、現在でもこの数値につきましては学問的に変える必要はないと考えております。  なお、天然汚染と申しますか、あるいは人工汚染等によります人体におきます影響というようなものにつきましては、いろいろの学説がございまして、現在、学問的にも十分究明されてないところでございまして、これらの学問の学説を十分検討いたしまして、これらについて検討することにはいたしておりますが、現在の段階におきましては、これが区分ということが非常に困難でございますので、この基準を緩和するということは、現在は考えておりません。
  125. 岡本富夫

    岡本委員 現在、緩和することを考えていない。あなた、基準を決めたものはいいですよ。ところがマグロは決めてないのだ。私は緩和せいとか、するなとか、そんなことを言っているんじゃない。要するに、国民の皆さん、これだったら安全なんだ、あるいはこれらはぐあいが悪いのだということを、もっと厚生省責任を持ってやらなければいかぬ。水産庁もぼやぼやしているんだ。魚をとっちゃいかぬぞというので漁業者の人たちはとれない。アナゴなんというものは、とれないものだから物すごくできちゃった。この点がはっきり、これはこうだからこうしなければいかぬ、こうしなさいというような、それでとれないならとれないで全部、買い上げてあげるとか、桜島火山に買うてもろうわけにはいかぬけれども、これに対する補償をどうするか、天災融資法とかいろんなものがあるわけですから、もう少し真剣に考えてもらいたい。日本の国の端っこだから知らぬだろうと思ったのだろうと思いますけれども、私は行って見てきたんだ。いいかげんなことをしてほうってあるんだよね。これはひとつ両省でよく検討して、そして天然汚染の場合と、それから人工汚染の場合はどうなんだ、あるいはこういう魚はどうなんだ、こういうのをきちっと水産庁もっと強力にやらなければならぬと私は思うのです。ひとつ水産庁の決意を聞いておこう。
  126. 佐々木輝夫

    ○佐々木(輝)政府委員 ただいまお話ございましたように、錦江湾の中のいろんな水銀汚染の問題で、多かれ少なかれ影響を受けている漁業者が百六、七十名おりますので、その中でも専業者のアナゴのはえなわ業者なんかがかなり大きな痛手を受けているということで、数年前から県からもいろいろ協議を受け、水産庁としても、できるだけの当面の救済対策を、県と一緒に講じているつもりでございますけれども、やはり抜本的に、その安全性の限界といいますか、どこまでは苦しくとも規制を続けていくべきか、どこから先は一般に安心して食べてもらえるのか、そういったような基準を明確にすることについて、水産庁側としても、人間への安全性の問題については専門家もおりませんし、厚生省の御判断にまつわけですけれども、いろいろな地域ごとの、魚種ごとの水銀の含有状況であるとか、そういったデータの収集については、西海区の水産研究所を中心にして現在もやっておりますけれども、なお一層データの収集に努めて、事態をはっきりさしていきたいというふうに考えております。
  127. 岡本富夫

    岡本委員 その点は両省で、それは私の関係でないのだ、こういうように押し合いしてなくて、政府の方できちっとしてあげなければならぬと思うのですよ。長官、それはそう思うでしょう、あなたも横で聞いていて。
  128. 小沢貞孝

    小沢国務大臣 簡単に言いますと、先ほど私の方の保健部長が申し上げましたように、健康調査をやっておるわけですね。その健康調査の結果、今年度中に——ただ体内における他のいろいろな重金属との相殺の関係だとか、何かそういう点が非常にめんどうなものですから、いわゆるセレンの問題をずっと詰めていきまして、この結果を見まして、それからいきませんとならないのですが、やはり基本になるのは、その健康影響調査の方だと思います。その結果、いまおっしゃったような点は、当然これは厚生省でもいろんな面で考えていかなければならぬ。水産庁は救済の面、あるいはそれで心配ないということになれば、これは問題が解決するわけでございますから、それまで、もうちょっと待っていただきたい。
  129. 岡本富夫

    岡本委員 できるだけ早くしてください。
  130. 渡辺武三

    渡辺委員長 岡本君、時間を大分、経過しましたので、結論を願います。
  131. 岡本富夫

    岡本委員 それで最後に一つだけ、わざわざ来てもらっておるのだから。  私、芦屋の前の市長さんと一緒に、国道四十三号線の横の公害患者が相当いるというので、この認定あるいはまた救済について、これはもう小山環境庁長官がいたころに申し入れをして、課題に、宿題にさしてくださいというのが、環境庁のあれだった。その後、ことしの秋に何か調査をしているということなんですが、大体いつごろのめどになって、どれくらいになっているか。これは全国で初めてであろうと思うのですが、これだけをひとつ承って、終わりたいと思います。
  132. 野津聖

    ○野津政府委員 国道四十三号線沿線の関連につきましては、ただいま御指摘ございましたように、いろいろな面によります健康影響というものがあるわけでございまして、それを中心としまして、この十月から調査を実施いたしております。この結果につきましては大体、今年度いっぱいにまとめるということになりますが、ただ非常にいろいろな要素がかんでおりまして、今度の調査大気関係だけでございませんで、騒音も含めまして、いろいろな関係での健康調査あるいは生活に関します影響というものまで含めての調査でございますので、その結果を今年度いっぱいにまとめていきたい、その結果に基づいて、どのように対処していくかということを詰めてまいりたいと考えております。
  133. 岡本富夫

    岡本委員 では時間が参りましたから終わります。ありがとうございました。
  134. 渡辺武三

    渡辺委員長 木下元二君。
  135. 木下元二

    ○木下委員 私は、大阪空港の問題について伺います。まず運輸省でありますが、エアバス乗り入れ問題であります。  これはおさらいのようになりますが、これまで運輸省は、地元住民の理解を得て、この乗り入れをやるというふうに答弁をしておられました。これは地元住民の理解を得るに至らなければ乗り入ればしないという意味ですか、それとも理解が得られなくても乗り入れをする場合があるということでしょうか、いずれであるか、簡単明瞭に答弁をいただきたいと思います。
  136. 梶原清

    ○梶原説明員 運輸省におきましては、低騒音大型機、いわゆるエアバスを大阪国際空港に乗り入れすべく目下、地元に説明を極力いたしておるところでございまして、地元の理解を得るために目下、最善の努力をいたしておるところでございます。
  137. 木下元二

    ○木下委員 ひとつ私の質問をよく聞いて、質問にお答えいただきたいのです。いま質問しましたことにお答えいただきたい。
  138. 梶原清

    ○梶原説明員 理解を得てエアバスを導入するというのが当省の方針でございまして、目下のところ、理解を得るための努力を続けておる、このようなお答えしか目下のところ、できないわけでございます。
  139. 木下元二

    ○木下委員 いろいろ努力をしておる、しかし結局、理解が得られなくても乗り入れをする場合があるというのか、あるいはそうでなくて、住民の理解を得るに至らなければ、乗り入ればしないということなのか、これはどうしてお答えできませんか。
  140. 梶原清

    ○梶原説明員 現時点につきましての御質疑でございますために、私どもとしましては、地元の理解を得べく最善の努力をするということしかお答えができないわけでございます。
  141. 木下元二

    ○木下委員 ちょっと、誠意を持って答弁するように注意をいただきたいと思うのです。私の質問に答えていないですよ。二つの場合を示して、いずれであるかということを伺っておるので、これに対してお答えしていないのであります。ひとつ注意をお願いしたいと思います。
  142. 渡辺武三

    渡辺委員長 梶原部長、ちゃんとして答弁してください。
  143. 梶原清

    ○梶原説明員 ちょっと長くなりまして恐縮でございますが、エアバスは騒音対策のために、世界的な頭脳を集めて開発されてきた飛行機でございまして、地元に参りまして御説明を申し上げ、理解を得つつあるわけでございます。近い将来には理解が得られるものと、かように考えておるわけでございます。
  144. 木下元二

    ○木下委員 私は、この問題について七十五国会の七月四日のこの委員会で質問をしたのでありますが、このときに答弁をもらっております。そのときは、同じ梶原部長から、地元住民の理解が得られなければやらないと、はっきり答弁しておるのです。この答弁を否定いたしますか。
  145. 梶原清

    ○梶原説明員 私どもは、理解を得て導入するという御答弁をしたと記憶いたしております。
  146. 木下元二

    ○木下委員 それでは、そこの部分を申しますと、私が質問しております。「あなた方が理解を得たと判断をした上でやる、これは非常に問題があることなんですけれども、一応聞いておきます。そうすると、そのことは、理解を得たと判断できなければ、やらないということじゃないのですか。論理上、当然そうなるじゃないですか。」というふうに質問をいたしまして、それに対してお答えは、「先生の御指摘のとおりでございます。」こう言っておるのですよ。これを否定しますか。
  147. 梶原清

    ○梶原説明員 私どもといたしまして、地元の理解が得られたという判断に立ちます場合に、エアバスの導入をいたしたい、かような趣旨でございます。
  148. 木下元二

    ○木下委員 全然、質問に答えていないじゃないですか。この前のこの国会で、このように答弁したこと、これは明らかでしょう。これでは住民の理解が得られなければやらないという答弁をしているじゃないですか。違いますか。いま引用したでしょう。それが変わったというのですか。そういういいかげんな答弁をするのですか、あなた方は。国会で、この委員会で、こういうふうないいかげんな答弁をやられては困りますよ。前にこういうふうに答弁されて、住民の理解がなければやらないと言っておきながら、いまそのことを言おうとされない、これはどういうことなんですか。前のそういう答弁を否定をするということですか。否定をするのかどうか、この点にしぼってお答えください。
  149. 梶原清

    ○梶原説明員 エアバスの導入につきまして、地元の理解を得て導入するという考え方につきましては、毫も変わっておりません。
  150. 木下元二

    ○木下委員 そうすると、理解を得たと判断できなければやらないということ、これはこの前お認めになったのですが、それは変わったわけですか。
  151. 梶原清

    ○梶原説明員 私どもが判断をいたしまして(木下委員「変わったか変わってないか」と呼ぶ)地元の理解を得られたという判断に立ちます場合に導入をする、こういう趣旨でございます。
  152. 木下元二

    ○木下委員 そう言ってないですよ。「理解を得たと判断できなければ、やらないということじゃないのですか。」「御指摘のとおりでございます。」と、何回読んでも同じですよ。あなたは言っていることが違うじゃないですか。理解を得てやる。理解が得られなかった場合にはどうするかについては、きょうはお答えしない、どういうことです、これは。国会をあなたは侮辱するのですか。重大な発言ですよ、あなたは。いまの答弁を取り消して、この前のこの答弁のとおりだというふうにおっしゃってください。
  153. 梶原清

    ○梶原説明員 私どもといたしまして、地元の理解を得るための渾身の努力を続けまして、(木下委員「それはわかっていますよ」と呼ぶ)理解が得られたという判断に立ちますれば、(木下委員「判断に立たなければどうするというのですか」と呼ぶ)エアバスの導入を図る、こういう趣旨で御答弁を申し上げたように記憶をいたしております。
  154. 木下元二

    ○木下委員 そうしたら、ちょっといらっしゃい。一体この議事録は何ですか。ちょっと見てください。「理解を得たと判断できなければ、やらないということじゃないのですか。論理上、当然そうなるじゃないですか。」と聞いているのですよ。それに対してあなたは「先生の御指摘のとおりでございます。」と言っているじゃないですか。答弁を簡単に変えてもらっては困りますよ。
  155. 梶原清

    ○梶原説明員 この七月四日の、この委員会における御質疑におきまして、先生から御質問がございましたのは、「理解を得たと判断できなければ、やらない」ということでそこに理解を得たと私どもの判断できます場合には導入を図ります、導入をいたしますと、(木下委員「そう言っていないでしょう」と呼ぶ)こういうふうにいたしておるわけでございます。
  156. 木下元二

    ○木下委員 そうしますと、あなたは七月四日のこの委員会答弁をされたことを、その答弁の内容、趣旨を曲げるわけですね。曲げるのですね。違いますよ、明らかに違うじゃないですか、あなたは。
  157. 梶原清

    ○梶原説明員 私は七月四日にお答えしました答弁と、いまの考え方と全く変わっておりません。
  158. 木下元二

    ○木下委員 言葉のあやのようになりますけれども、これはこの前の会議録によりまして明らかに、私が質問したのは、理解が得られなかった場合にはどうするのかという、その場合に、やるのかやらぬのかということを聞いて、それはやりません、そういう趣旨答弁をしていることは、これはもう議事録を一見すれば明らかであります。その趣旨を否定するのですね、確認しておきます。
  159. 梶原清

    ○梶原説明員 再び同じ答弁を繰り返しまして恐縮でございますが、理解を得たと判断をいたします場合に導入を図ります。したがいまして、前の答弁と現在の考え方は変わっておりません。
  160. 木下元二

    ○木下委員 考え方が変わっているか変わってないか、そんなことを聞いてないですよ。答弁したその内容が変わっているじゃないですか。答弁した内容が変わっているんだ。けしからぬですよ、そういうのは。そういう態度をとるから、住民はますます不信がつのるばかりであります。そんな態度はもう一刻も早くやめていただきたい。あなたは運輸省でこういう空港問題を担当する資格ないじゃないですか。  時間の関係がありますので、次の質問に移ります。法務省来ておられますか。——私は特に一般論にしぼってお尋ねをいたしますが、一般の法律行為について代理人が複数いるとき、これは共同代理ではなくて個別代理の場合でありますが、相手方に対する意思表示が相矛盾するような場合、たとえば契約の申し込みに対する承諾という場合をとってみると、一人の代理人が承諾をする、もう一人が承諾をしない、そういうふうな意思表示を同時にした場合には、一体どういう法律効果が発生するでしょうか。
  161. 吉野衛

    ○吉野説明員 お答えいたします。  代理人の法律行為は本人に帰属するわけでございますが、代理人が複数おって、その答弁内容が、ある者は契約の申し込みを承諾するということになりますと、それは一応本人に対しては承諾するということで法律効果が一見、生ずるように見えますけれども、他方また別の代理人が承諾をしないということですから、その関係ではやはり承諾しないということになります。結局、同一人が同時に相矛盾する意思表示をしたということと全く同じ結果になるわけでありまして、したがいまして、それは内容の不明確な意思表示があったものと考えざるを得ないというふうに私どもは思います。
  162. 木下元二

    ○木下委員 そうしますと内容が不明確である、そういう不明確である以上は、特に契約の、あるいは法律行為の効果も発生しないということでございますか。
  163. 吉野衛

    ○吉野説明員 ただいま申しましたように、承諾の法律効果も、それから不承諾の法律効果も、ともに相殺し合って結局、何らの法律効果も生じないというふうに見ざるを得ないかと思います。もちろん代理人の行為でございますから、本人が背後におって、どうして代理人が相違った意思表示をするのかということについては、当然そういう意思表示を受けた相手方にとっては重大な問題でございましょうから、その意思表示は、どうしてそういう食い違いが生じたのかということを確かめまして、本人の意思を確かめ、本人の意思が承諾であるか、あるいは不承諾であるかということがはっきりすれば、そのとおりの法律効果を生ずることは一向差し支えない。要するにこれは法律行為の解釈の問題でございますが、ただそういうことがない段階で、両代理人が同時に相矛盾する意思表示をしたということになりますと、明確な意思表示がなかったというふうに処理して、何らの法律効果も生じないというふうに言わざるを得ないかと思います。
  164. 木下元二

    ○木下委員 それは訴訟の和解の場合であるとか、あるいは調停の場合にも、代理人がいて、そうした問題を考える場合には同じことではないかと思うのでありますが、二人の代理人がおりまして、一人が調停を受諾する、あるいはもう一人が拒否をする、そういう意思表示が同時になされた場合は、結局いま言われたようなことが当てはまるのではないかと思うのですが、そうでしょう。
  165. 吉野衛

    ○吉野説明員 訴訟とか、あるいは調停の場合は当然、訴訟なら裁判官がおられますし、調停の場合は調停委員会なるものがありますから、その機会に、出頭したたとえば代理人が、どうしてそういう矛盾する意思表示をするのかということを、これはもう当然、釈明をいたしまして、そしてどちらかに誤解があるのではないか、その辺を確かめまして、本人の意思というものが手続上保障されて、はっきりわかるという段階であれば、片方の誤解した法律行為を撤回させるなり何なりさせまして、有効と考えられる方をとって、一定の手続を進めることに相なろうかと思います。
  166. 木下元二

    ○木下委員 そうでない場合は、結局、手続の進めようがないということになると思うのですが、そうですね。
  167. 吉野衛

    ○吉野説明員 例を訴訟にとって申し上げますと、たとえば民事訴訟法のたしか八十四条じゃなかったかと思いますが、代理人がたとえば本人の意思に反したことを陳述した、その場合に、たとえば本人がたまたま出席しておりまして、その趣旨は自分とは違うことである、実はこうなんだということで、取り消したりあるいは更正するということができるようになっていますが、そういうような形で手続上、本人の意思が確認できれば、本人の意思に従って処理する。しかし、そうでない限りは、両代理人の意見陳述といいますか、それが矛盾しておりますから、裁判所なりあるいは調停委員会なりは、やはり本人の意思を確認できなければ、一応、内容不明確な意思表示だということで、先ほどの契約の場合と同じように考えられようかと思います。
  168. 木下元二

    ○木下委員 そこで、大阪空港の問題を公害等調整委員会で進めた問題について伺いますが、法務省はもう結構です。  大阪空港公害問題について、住民の方から国を相手といたしまして訴訟で争われる。一方で公害等調整委員会に調停申請が出されたわけでありますが、この調停の方は伊丹から第一次から第六次の調停団と宝塚、尼崎、大阪の各調停団で、人数にいたしまして計約二万人弱の申請人からの調停申請でありました。そしてこのほど調停委員会から十月十四日に中間調停案が提示をされ、二十八日に一部の当事者がこれを受諾し、中間調停が成立をしたということであります。この調停が成立をしましたのは、一次、四次、六次、宝塚というふうに聞いておりますが、そのとおりですか。
  169. 小熊鐵雄

    ○小熊政府委員 そのとおりでございます。
  170. 木下元二

    ○木下委員 四次の調停が成立したのは何日の何時ごろですか。
  171. 小熊鐵雄

    ○小熊政府委員 十月二十八日の午後二時ごろかと思います。
  172. 木下元二

    ○木下委員 この四次の調停申請団代理人は七人おります。そのうち二人が受諾を拒否しております。十月二十八日に拒否の文書が届いておるはずであります。そうでしょうか。
  173. 小熊鐵雄

    ○小熊政府委員 届いております。
  174. 木下元二

    ○木下委員 それは代理人中村春夫、同じく小林文枝二名であって、内容は「十月十五日に示された中間調停案十一項目のうち、第一、第二、第四項を拒否し、他の条項については受諾する。但し、それが受理されない場合は全面拒否いたします。」こういう文書になっていますが、そのとおりですか。
  175. 小熊鐵雄

    ○小熊政府委員 そのとおりでございます。
  176. 木下元二

    ○木下委員 そうしますと、この七人の代理人のうち五人が受諾をし、二人が拒否をする、代理人の相矛盾する意思表示は、先ほどの法務省の見解にありましたように、結局打ち消し合って何の効果も発生しないと思われるのでありますが、なぜ受諾と扱ったのでしょうか。
  177. 小澤文雄

    ○小澤政府委員 その点、私からお答えいたしますが、お説の件につきましては、御承知のとおり調停手続は非公開とされておりますので、具体的な手続の内容はもともとお答えできませんし、それに私は当該大阪空港調停委員会のメンバーでもございませんので、後で報告を聞いた程度でございますから、果たして御満足がいくかどうかよくわかりませんけれども、しかし、この調停につきましては、結局その期日の調停手続において、申請人の意思がはっきり調停受諾という点にあることが明らかでございましたので、調停が成立したというふうに聞いております。
  178. 木下元二

    ○木下委員 調停委員会に調停が現に係属しておる場合に、その調停の中身に触れることについては、私も差し控えたいと思うのです。しかし、この場合は、中間調停とはいえ調停が成立をしておると扱われておるわけです。その成立したとされる調停について、その手続について伺っておるわけです。そして、しかも成立をしたとされておりますが、これは成立をしたのかどうかきわめて疑わしいし、これは成立をしていないと私どもは考えておるのです。非常に重大な問題でありますので、伺っておるのです。なぜ受諾というふうに扱ったのですか、その理由がよくわかりませんが。
  179. 小澤文雄

    ○小澤政府委員 当事者の意思がそれを受諾するにあるということが、期日の手続上、明らかであった、そういうふうに聞いております。
  180. 木下元二

    ○木下委員 これは非常に重大な問題です。公害等調整委員会が調停をやって、調停が成立をしたのかしていないのかということが問題になっている。あなた方は成立をしたと言われるけれども、しかし、現にその調停申請団の代理人が二人、文書で、それは受諾しない、拒否をしますという趣旨の文書を出しているのでしょう。しかも、それはこの二十八日の当日、私が聞いておるのは二十八日の十一時に出ておるということであります。そういう文書が先に出ているわけですよ。この四次調停団の調停成立は、さっき言われたように午後二時であります。その前に受諾しないというのが出ておる。そうすれば先ほどの法務省の見解にもあったように、当然これは、相矛盾するそういう意思表示は、打ち消し合って効果を発生しないとしか考えようがないのです。しかるに、あなた方の方では、いやこれは当事者の意思だと言われる。一体なぜ当事者の意思と認めて成立を認めたのか、これは不可解至極であります。明らかにしていただきたいと思います。
  181. 小澤文雄

    ○小澤政府委員 先ほど御指摘のとおり、あらかじめ代理人のうちの二人から拒否の趣旨の書面が委員会提出されていたということは聞いております。そういう場合に、同時に受諾と拒否の意思表示がされた場合にはどうかといったような一般的な抽象的な問題につきましては、これは実務的に申しまして、それぞれ相矛盾する陳述が同時になされましたら、これは委員会としても全くその趣旨がわかりませんので、不明とせざるを得ないので、何らの意思表示もなかった場合と同じようになると思います。ただ、そうではなくて、そういう場合でも、すぐに不調にするということはあり得ないことでございますから、同時に矛盾する発言があって、さっぱりわからぬというときには、それは矛盾するがどうするのかというと、これは手続でそういうことがあったかどうか、具体的なそういう手続が行われたかどうかは別問題として、一般的な審理の手続で申し上げますが、そういうときには双方に対して、お互いにあなた方の言うことは矛盾しているからわからないが、どうなんだ、順序を立てて、はっきりした結論を出してくれということを聞くのが普通だろうと思います。それを聞きまして、その上で、たとえば一方の方が、これは代理人相互間で真意においては意思は違うけれども、しかし結果としては、これを受諾する方にするのが全体としての意見であるというような発言が仮にありまして、そして、それに対して反対側が沈黙しているとか、あるいはそもそも顔を出さないで、言う機会がないとかいうことになりますと、それだけですぐ抽象的に決まるわけでもありませんが、そのほかいろいろな事情を考えて、その場合に当事者が調停を受諾すると判断するか、あるいはまだそこははっきりしないから、もう一遍延ばして、さらにその点を次の期日に明らかにするかといったようなことは、委員会の審理の裁量で決めなければならぬ問題だ、そういうふうに思っております。
  182. 木下元二

    ○木下委員 どうも言われることがよくわかりません。少なくとも二人の代理人が、これはいやだと拒否の意思表示をしているのです。それは実際に出頭してこなくても、文書でやっておれば、もう理論的には同じことなんですね。出頭して意思表示としてやろうが、あるいは文書でやろうが、むしろ文書でやった方が正確であります。それで、その二人の代理人の意思表示を無効だと決めつける根拠は一体どこにあったのでしょうか。たとえば、その二人が意思能力がないとか、酒に酔っぱらって精神錯乱であるとか、そういう事情があるならば別ですよ。そうでなくて、二人の代理人が代理人として文書を出して意思表示をしておる。これを一方的にあなた方は無効だと決めつけておる。それは一体なぜですか。それは結局、五人の代理人が受諾の意思表示をしておる、そういうことに尽きるじゃないですか。多数決ですか、一体。これはとんでもない扱いです。この場合に、あなた方はいろいろ事情を調べたとかなんとか言われるようでありますが、これは一たん調停が成立したとして扱われておるのですから、それでは一体どのような事情をお調べになったのか、これを明らかにしていただきたいと思うのです。この五人の意思表示を有効とし、二人の意思表示を無効とした扱いの根拠が少しも明らかになりません。これを明らかにしていただきたい。
  183. 小澤文雄

    ○小澤政府委員 最初に、二人の代理人から反対の書面が出ている以上、これは出頭した他の代理人が賛成の意思表示をするのと全く等価ではないかというような御趣旨かと伺いましたが、私どもはそうは思いません。書面だけ出して、指定された当該期日に十分の陳述をするために出頭するのが当然であるのに、出てこないで、書面を出しっ放しにして、そのままにしておくというのと、当日、出てきて委曲を尽くして当事者の立場を説明し、そして手続の進行を図るというのとは、全く等価で同一だというふうには考えませんので、そこに差があるのはあたりまえだろうと思います。  それから代理人の場合に、これは御承知のとおり調停手続では代理人は各自代理でございますから、それぞれの出頭した代理人一人一人が全権を持っております。一人一人が本人を代理する全権を持っておりますので、その出頭した代理人が全員一致して調停を受諾するということを言えば、これを無視することばもちろんできないことでございます。それでその場合に、おっしゃるように反対の書面などが出ておりましたら、恐らくその手続で、何らかその点についての質問なり何なりのことがあったのだろうと思います。私、調停手続の内容は存じませんけれども、しかし、とにかくこれは当然、職責上、こういう書面も出ているが、それではどうかということを、出頭した代理人に十分確かめて、その結果どういう心証を得るかという問題になりますが、当該事件の当日の調停期日におきましては、調停委員会において代理人による調停の受諾があったものとして調停を成立させているのでございます。そして、それをさせるに至った詳細な手続それから何を根拠にして、そうしたのか、それからどういうふうな心証を得てやったのか、そういうことはやはり具体的な手続の問題でございますから、とうていお答えすることはできません。
  184. 木下元二

    ○木下委員 これはあなた、文書でも口頭でも理論的には同じことでしょう。少なくともこれはこの調停委員会に対して一定の意思表示をしたということなので、その意思表示の効果を見る場合に、それが文書であろうと口頭であろうと同じことですね。それは出頭しないという点においては、何らかの事情で出頭できないとか出頭しにくかったとか、いろいろ事情はあるでしょうけれども、その点は別として、調停委員会に対する意思表示の効果をはかるのに、文書でしたか口頭でしたかによって差を設けるというのは、全く理屈に合いません。あなたも、法律家であれば、そのくらいのことはわかるはずであります。  それから、この二人の意思表示を無視する、あるいは無効と扱う、これはどっちなのかよくわかりませんけれども、その根拠も全くないのであります。出頭した代理人から事情を聞くなんて言いますけれども、幾ら代理人から事情を聞いたって、わかりますか。その出頭した代理人五人というのは、受諾をいたしますという意思表示でしょう。つまり、これは、受諾をしたい、受諾をするというその本人にかわって代理人が意思表示をしておる。そういう意思表示をしておる者から幾ら事情について聞いたって、何が出てきますか。たとえば、その本人の意思を確かめるというなら、本人から事情を聞くというなら、まだわかりますよ。そうでなかったら、代理人から幾ら聞いたって何もわからぬじゃないですか。とんでもないですよ、こういう扱いは。  しかも、この調停というのは、本人が数人あるいは一人というふうな普通の調停ではなくて、この二次の調停だけで千人以上、たしか、この二次は千七、八百人いたと思いますが、こんなにたくさんの本人がおるのですよ。そのたくさんの本人の意思を、本当にその五人がきちんと表示をしておるのかどうかということを、五人から幾ら聞いたってわからぬじゃないですか。そうでしょう。あなたの言っていることは法律家らしくないですよ。こういう扱いが一体まかり通るのですか。余りにも乱暴です。一体これが公害等調整委員会のやることですか。これはとんでもないですよ。こんなことはどこへ出しても物笑いの種じゃないですか。本人たちも怒っておりますよ。私はその地元であります。大ぜいいる本人の中には、これは調停成立ということになっているそうだけれども、一体どうなっているのか。この調停成立前に、たとえば集会を開くなり、あるいは懇談会をやるなりして皆の意思を聞くとか、そういうことは何一つやられていないのです。それで代理人だけが受諾した、しかし反対の代理人もおる、それを一方的に受諾をしたということを決めてしまっておる。こんなことが通りますか。こういう扱いはひとつ改めていただきたいと思うのです。公害等調整委員会としては、少なくとも法的な筋を通してもらいたいと思うのです。法律家もいられるのだ。こういう扱いをされておると、これは問題になりますよ。
  185. 小澤文雄

    ○小澤政府委員 どうも繰り返しになるようでございますけれども、いまの御質問の最初に出ました、反対の書面を出しておいたということと、それから出頭して口頭で互いに主張を述べたというものとは全く等価値だというふうな御意見には私、賛成申し上げかねるのでございます。やはりこれはあらかじめ期日の時間を指定して出頭を求めており、その期日に、その時間が来たのですから、そのときに一片の書面だけを出して欠席した人と、それから正直にその日に出てきて、本人のためにいろいろ発言をした人とを、調停手続の上で全く等価値というふうに考えることはできませんので、なるほど結論的には同じかもしれません。結論的には、反対ということだけをとらえ、賛成ということだけをとらえ、それで並べたらこれは等価値だと言われるのは、それはそのとおりかもしれませんけれども、調停というのはそういうものじゃございませんので、調停は申請人それから相手方、双方が出頭し、そして双方の言い分を調停委員会が聞いて、そこで調整をして結論を出すのでございますから、ですから、せっかくあらかじめ時間を指定して期日を決め、出頭を命じたのに出てこないで、ただ結論だけ書面を出している人のことを、それほど重く取り上げると、それだけで、できるべき調停もできなくなります。ですから、この点については調停委員会としては、それを取り上げなかったこと、これも取り上げなかったというのは、無視したとか無効とか、そういうふうに見たのでは恐らくないと思います。そういう書面が出ていることも十分に知り、それも尊重し、それについて委員会としてもいろいろ考えた上で、その結論を出したのだろうと思います。  それから、お言葉の中に、何しろ申請人はたくさんいるのだから、それを代理人がいいと言ったからといって、本人たちの意思を確かめもせずに調停を成立させるのはおかしいのではないかという御質問もございましたように思いますが、しかし、これは私どもはそうは思いませんので、代理人というのは、特に何千人という当事者が一々、直接に委員会に出て、各自別々に発言することは不可能なのでございますから、そのために各自の主張がよく徹底できるように、その人たちは代理人を選任したのでございます。そして選任された代理人は、本人に対して、先生も御承知のように、信任関係に立ちまして、決して本人たちのためにならぬことはできないのでございます。それで、本人たちのそういう正当な委任状のついた代理人が、代理人として出頭し、そして委員会としても、その代理人の権限について疑うべき事情のないときには、これはあくまでその代理人を通じて手続を進めていくのでございまして、調停成立の段階に至って、改めて各本人に対し、これを受諾する意思があるかないかといったような、代理人の行為を何といいますか信用しないような、そういう手続はできませんし、いままでもそういうことはやっておりません。ですから、どうぞ誤解のないようにお願いいたします。
  186. 木下元二

    ○木下委員 繰り返しになりますから、この点について、もうこれ以上議論はやりませんが、これはひとつもう少しよく考えて、再考をしてもらいたいということだけ申しておきます。あなたはいま本人が出頭した場合と書面が出た場合とは等価値に扱えないというようなことを言われるけれども、たとえば裁判の場合だって、あるいは一般の調停でもそうですけれども、一方の代理人から訴え取り下げ、あるいは調停取り下げの書面が出ておる場合に、裁判や調停の期日だからといって、もう一人の代理人が出ている場合に裁判や調停を進めるのか、あるいは裁判の和解を進めるのか。そういうことばやはりしないと思うのです。これは私はやはり常識の問題もあると思うのです。同じように、代理人がおって、一方の代理人が拒否をしておるのに、それをもう全く無視して、そして受諾の方の代理人の言うことだけを聞いて受諾としてしまうなんて、これはもう法律的にはもちろんのこと、常識的にも、どう考えても納得できません。これは当然、さっきも法務省が言われたように受諾、拒否、それぞれ相消し合って、効果は発生しないのであるから、当然この中間調停は不成立と扱うべきだ、このことだけを私は申しておきます。この問題について、考える余地はあるかないかだけ、もう一遍聞いておきます。
  187. 小澤文雄

    ○小澤政府委員 代理人数人があって、(木下委員「理屈は結構です」と呼ぶ)その間に見解が違うといったような場合には、やはりそれは通常のことではございませんから、よほど慎重に考えて、そしてその点は十分に考慮して間違いのない道をとらなければならない、そういうふうに考えております。
  188. 木下元二

    ○木下委員 それはそうすると、この問題についてさらに慎重に考慮する余地があるというふうにお答えなんですか。
  189. 小澤文雄

    ○小澤政府委員 いまの御質問は違うのでございまして、そういう問題のときには十分に検討しなければならない。それを無視してやることはできない。これはもうあくまで妥当な調停をするように努めなければならないということは当然でございますが、本件については、その点は十分検討した上で調停が成立したのだろうと私、思います。これは私も、これを担当した調停委員会を信頼しておりますので、その点に手続の粗漏はなかったのじゃないか、そういうふうに思っておりますので、この成立した調停の内容をもう一遍検討するなんということは、恐らくあり得ないことだろうと思います。
  190. 木下元二

    ○木下委員 この問題は、決してこのままでおさまらないということだけをつけ加えておきます。  次の問題でありますが、環境庁に伺いますが、窒素酸化物について総量規制を実施するという方向づけはすでに出ておりますが、その総量規制を進めるスケジュールはどうなっておるでしょうか。
  191. 橋本道夫

    ○橋本(道)政府委員 窒素酸化物についての総量規制のスケジュールの問題でございますが、まだはっきりした段階まで、なかなか申しにくい不確定の問題がございます。このシミュレーションを固定発生源と移動発生源の方で、来年は何とか実用にたえるものにいたしたいという問題がございまして、そのシミュレーションのデータが出て、その後に初めて総量規制の問題が次第に可能になってくるということで、早くて五十二年の末ごろまでかかるのではないかという感じであります。
  192. 木下元二

    ○木下委員 五十一年度で総量規制方法に関しての検討費を組むということもやられておりますが、結局は総量規制をどのような方法でやるかといった、およその骨組みなどについては、これからの問題ということになりますか。
  193. 橋本道夫

    ○橋本(道)政府委員 現在、手法の検討をいたしておりまして、四十九、五十、五十一で手法がほぼでき上がるというところでございます。理念的にはいろいろ考えておりますが、はっきり具体的に組めるのは、それができ上がってからということでございます。
  194. 木下元二

    ○木下委員 そこで、大阪空港の環境基準について、その達成状況はどうかということを聞きたいのでありますが、ここに環境庁が昭和四十八年十一月に出しました「大気汚染に占める航空機の位置」という書面があります。四十七年度調査のものでありますが、これによりますと、五十四ページ、五十五ページを見ますと、空港内と、その周辺で測定をした数値が出ております。これを見ますと、NO2につきましては、環境基準はいずれも、測定点は数カ所ありますが、未達成ということになっておりますが、そういうことですか。
  195. 橋本道夫

    ○橋本(道)政府委員 先生の御指摘のは、四十七年の十一月の十三日から十八日までの調査のものであろうと思いますが、この数字から見ますと、この地域は環境基準を達成しておらないということであります。
  196. 木下元二

    ○木下委員 同じくこの書面の二十八ページに「機種別標準サイクル総排出量」というのが出ております。これはつまり一機が、とまっている駐機の状態から、移動をし、離陸し、上昇し、高度一千メートル以上に到達をしてから、着陸進入し、そして着陸し、移動、駐機に戻るまでの標準サイクルにおける排出総量であります。これによると、窒素酸化物はB747が五十八・七キログラム、DC8が十一・六キログラム、YS11が二・二キログラム。ボーイング747はDC8の五倍、YS11の二十六倍強の窒素酸化物を排出しておるという計算になるわけでありますが、これもそのとおりでありますか。
  197. 橋本道夫

    ○橋本(道)政府委員 申しわけございませんが、いま先生お持ちのと同じ資料を私は持っておりませんで、その何ページということについての数字を確認したことではございませんが、その資料を整理した本の方からのみ、いまお答えできるということでございます。先生のお読みになりました数字は、その報告書にあるものが別に間違っておるわけではないというぐあいに私どもは判断しております。
  198. 木下元二

    ○木下委員 間違っていないということなら正しいということだと思いますが、この運輸省の計画によりますと、エアバス導入によりまして、その発着回数は当初三十回程度だけれども、翌月ぐらいから五十回、引き続き七十回に達するということであります。こういうふうにDC8やYS11がエアバスに乗りかえられますと、窒素酸化物の排出は急ピッチで増加をいたします。いまの数値から明らかであります。現に、私が先ほど指摘をしましたように、環境基準が達成をしていない、しかも総量規制をどのようにやるかも考えられていない段階ですね。つまり、環境基準達成の手法も制度もないという状態でございます。達成のめどは全く立っていない、このこと自体、はなはだ遺憾なことでありますのに、しかもその上、汚染物質の総量が増加をするということは、環境庁として一体これを許すのでしょうか。これでは一体何のための環境庁かということになるのですが、いかがですか。
  199. 橋本道夫

    ○橋本(道)政府委員 いまの御指摘のありましたようなことを許すか許さないかという権限的な問題は、私ども法律上は持っておりませんが、できるだけ排出を少なくするということは基本でございますし、またN02の対策といいますのは、固定発生源、移動発生源両方の側から、全体の総合対策で最終達成を図るということが基本であるというぐあいに思っております。一台ごとの放出能力につきましては先生の御指摘のような問題でございますが、全体の総量としてどうなるかということにつきましては、運輸省の試算を見ましても、ふえるというようになっておりますが、また、これにつきましてはいろいろな議論があるところであろうというぐあいに考えております。
  200. 木下元二

    ○木下委員 この環境基準によりますと「二酸化窒素に係る環境基準は、維持されまたは五年以内においてできるだけ早期に達成されるよう努めるものとする。」と定められております。一体、環境庁はこういう方法で達成するという目途があるのでしょうか。達成の自信があるのでしょうか。しかも、この達成期間というのは、単に五年以内ということではないのですよ。「五年以内においてできるだけ早期に」というふうに書いてあるのです。その環境基準の達成のめども手法もないのに、汚染だけがどんどん進行をするということでは困るじゃありませんか。これでは一体、何のために環境基準をつくったのかということになるのです。この環境基準をつくって、何とかこれを守らせようということでつくられたと思うのですね、当然です。この環境基準が現に未達成であるばかりか、この環境基準からますますかけ離れた汚染実態が、エアバスの導入によって生まれようとするわけです。それを一体、認めようというわけですか。環境庁としては、この環境基準達成のマイナス要因というのは入れさせぬように、ひとつ措置をとってもらいたいと思うのです。
  201. 橋本道夫

    ○橋本(道)政府委員 まず初めに、五年以内に達成する、できるだけ早くということでございますが、これは最善の努力をいたしたいということで、私ども現在、努力をいたしておるところでございます。N02の環境基準を決めました時点の技術的な将来予測といいますものは、きわめて不確定なもので、現在よりもはるかに不確定なものでありまして、それ以降、鋭意私どもは努力をいたしておりまして、私は、すべてのところが五年以内に達成できるかと言われますと、純良心的に言えばなかなかこれはむずかしい、まず、できないということを申し上げざるを得ませんが、最善の努力をいたして、それを達成しようということを考えておるわけでございます。  それから、いまの飛行機の問題でございますが、これは飛行機として量がふえるではないかという御指摘でございます。エアバスの問題につきましては、騒音の方はぐっと減るという問題が一台ずつにはございます。振動の方も減るという資料が運輸省から出されております。ところがN02の方では、先生の御指摘のような量がふえるということでございます。そこで、おのおの葛藤のある要素を、どのように最終的に判断をするのかということの問題が、今後に残されていると思いますが、現在、一番大きな問題は、伊丹空港における騒音の被害ということが、私は最もはなはだしい解決すべき優先順位の問題だというぐあいに考えておりますので、最終決断につきましては、やはりいろいろの角度からの検討をし、どこで踏み切るのかということは今後に残されておると思います。
  202. 木下元二

    ○木下委員 騒音の問題については、きょうはもう時間がないので、これはまた別途、議論をいたします。私はいま騒音のことを言ってないのです。エアバスによって騒音が減るのかどうかということについても、これは幾らも議論があるわけでありまして、地域によって必ず一律に減るという問題ではないのであります。  だからこれはさておいて、私はいま問題にしておるのは、窒素酸化物という重大な環境汚染の要因について問題にしておるのです。これで見れば、さっきも指摘をしましたように、環境基準達成のマイナス要因としてこのエアバスが働くことは明らかなんですね。しかも、さっきから言っているように、現状においても環境基準が未達成だ。そして総量規制とかなんとか言っても、まだその手法すら確立されていない。一体これをどうするのか、見通しも何もないわけですね。そういう状況において、なお、この窒素酸化物がどんどん増加するところのエアバス導入をするということは問題ではないか。少なくとも環境基準達成という見地から見て、これは大変な問題だということを私は言っておるのです。これは否定できないと思うのです。  公害対策基本法の九条四項にも、政府公害の防止に関する施策を進めるとともに、この環境基準が確保されるように努めなければならないとあります。そして環境庁長官は、協議をするとか、あるいは勧告をするとかいった措置をとることもできるわけでありますので、この問題については十分慎重にひとつ環境基準達成という見地から検討をし、協議をしていただきたいと思うのです。長官、いかがですか。
  203. 小沢貞孝

    小沢国務大臣 先ほど局長が言いましたように、確かに九条では公害の問題、基準を達成しなければならない。したがって、公害の中にはいろいろなものがございますので、やはり総合的に、いずれがベターかという問題については、当然いろいろな角度から検討しまして決めていかなければならないと考えておるわけでございます。  しかし、大気汚染の中で窒素酸化物の健康に与える影響というものは、相当大きいわけでございますから、その点から言いますと、確かに従来の機種よりも排出量が多いわけでございますから、慎重の上にも慎重にしなければいけないと考えております。ただ、S0xなり、あるいは炭化水素というものは、他の機種と比べると、DC8なんかと比べてうんと少ないわけでございますから、そういう複合的な大気汚染による人体への影響というものも考えていかなければならないわけでございますし、それから発着便数というものも考慮に入れて考えていかなければならないわけでございますから、いろいろな意味で総合的によく検討しまして、環境庁として慎重にこの問題については態度を決めていかなければいかぬものと、かように考えております。
  204. 木下元二

    ○木下委員 もう時間がありませんので、その問題はそういうことにいたしまして、もう一つだけ伺っておきます。  この航空機による大気汚染の場合に、やはりその特殊性から空港周辺における要所要所での汚染の瞬間的濃度が問題になると思うのです。ところが、この瞬間的濃度の測定ということはやられていないのですね。四十七年度調査を見ましても、これはさっきも私、指摘をしましたけれども、測定をやってはおりますが、この測定そのものが測定点も非常に少ないし、また瞬間濃度の測定もやっていないという点で、非常に不十分であります。これは瞬間濃度の測定を、しかも相当数の測定点を設けて、ぜひやっていただきたいと思うのです。  そのこととあわせて、ひとつ明らかにしてもらいたいのは、鼻出血問題の調査をやられております。鼻出血問題の調査はもう済んだわけでありますが、これはいろいろ問題が中にありましょうし、これをいろいろ評価あるいは考察を加えることが必要でありますので、そうしたものについて、いま私はとやかく言う気もありませんし、そのデータを見せろということも申しません。ただ、いまエアバス問題等に絡んで大気汚染等が非常に問題になっているわけでありますから、この鼻出血問題の調査の中で、大気汚染の排ガス調査をやられましたね。このときの調査では瞬間濃度の調査もやっておるのですね。したがって、その点、この排ガス調査の結果にしぼって、ひとつお見せいただきたいと思うのです。
  205. 橋本道夫

    ○橋本(道)政府委員 瞬間測定の数値でございますが、いま私どもの手元に鼻出血のときの調査の全体の総合的なものが、まだ入っておりませんで、私の手元にはまだこの瞬間濃度が入っておりません。これは入れば、先生にお見せをいたします。  それからもう一点、これは補足でございます。先ほど私いささか説明が足らないところがございましたが、排出の総量でいけば、確かに先生の御指摘のとおり、運輸省の資料によってもNOxはふえるということは出しております。しかしながら周りの環境汚染濃度に対して飛行機の放出するガスの影響を分離できるか、それによってふえていると言えるかというところにつきましては、これは従来の大阪の調査も羽田の調査も、航空機の影響でこういうぐあいに上がっているとは、なかなかそこまでの分離ができないという形になっておりまして、そういう問題点のあるということだけは一言申し添えさせていただきたいと思います。
  206. 木下元二

    ○木下委員 その分離ができる、できぬは、私はここで触れませんけれども、要するに窒素酸化物がどんどん増加をしておるということ自体が問題なので、これを減少させるという手だてを考えてもらいたい、こういうことです。  それから、いまの調査データは、これは調査をされたのは大気保全局が県等に委託をしてやっておられるので、これはないというのはおかしいと思うのです。お見せになるということでありますので、ぜひお願いをしておきます。よろしいですね。  それでは質問を終わります。
  207. 渡辺武三

    渡辺委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後一時五十四分休憩      ————◇—————     午後三時三十五分開議
  208. 渡辺武三

    渡辺委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。土井たか子君。
  209. 土井たか子

    ○土井委員 まず私は、本題に入ります前に、大変、残念なことではありますが、環境庁長官にひとつ環境行政の姿勢についてお尋ねをしてから、本題に入りたいと思うわけです。  御承知のとおり、思わしくないことでありまして、大気保全局から、問題が地方自治体に波及し、東京都の公害局あるいは川崎市の公害局等々に、端的に申しますと汚職の問題が波及をしていっているわけでありますが、これから先、全国の地方自治体の中に、環境庁大気保全局を中心に、こういう問題が続々出ないという保証はどこにもないのです。環境行政のあり方について、やはりこれは考えさせられるわけでありまして、こういうふうになった原因を、環境庁長官としては一体どういうふうにお考えになっていらっしゃるか、そして今後どういうふうにこれに対して、やはり基本的に改善すべきは改善すべき問題として、対処なさるおつもりがおありになるか、その辺をひとつお聞かせをいただきたいと思います。
  210. 小沢貞孝

    小沢国務大臣 御指摘のように、今回の不祥事はまことに遺憾でございます。私も最高責任者として非常な責任を感じているわけでございます。  原因はどこにあったのだろうかということを、いろいろ私なりに考えもし、また担当の局のやり方等についても検討をいたしたわけでありますが、御承知のように新谷君は気象関係の専門官で、たった一人、唯一の特殊な調査、測定についての技術屋でございました。したがって、そこに権限が集中したというようなことであったろうと思います。それからつい、そういうような方向に進んだのではないかと思うのでございまして、やはりその上に課長があり局長があり、全体の一つ一つの調査の委託についても、何らか契約が伴うようなものについては、少なくとも局長まで十分検討し、目を通してやらすようにしていかなければいかぬというふうに考えております。  ただ、間違っておるかもしれませんが、私の記憶では、公害気象研究所という株式会社、ここと日本気象協会、この二つだけしか、この気象関係の観測についての具体的な作業能力を持っていなかった。しかも、ある種のものについては気象協会は能力がございませんで、独占的な形を公害気象研究所がとっておったようでございまして、したがって、直後は私は、公害研究所というものが国立で、あるので、そこで何かそういう実施面も、いろいろ知恵をかりることはできないかと思って考えてみましたが、学問をおやりになる方が、そういういわば環境庁が実施部隊を持つと、一面において調整官庁としての能力がなくなるように、学者先生そのものは、そういうことについて余り煩っておりますと、基礎的な研究ができないという点もありますので、半ば公的な性格を持って、こちらの調査なり、あるいは委託の測定なりに応じてくれる組織を、どういうような形でつくったらいいか、いま真剣に検討して、将来いやしくもそういうことがないようにいたしたいと考えておるわけでございます。  それからもう一つは、たくさんのいろいろな委託研究費がございますから、総ざらいをいたしまして、そういうようなことが起こり得ないように、事務次官を長としまして、十分よく検討をしてもらうという体制をやっているわけでございます。  各府県との関係でございますが、会議等で十分、この種の問題を起こさないように、それぞれの県、市に担当者を通じまして注意を促してまいりましたが、最近は地方団体の監督官庁である自治省とも相談をいたしまして、何らかまとまった警告といいますか、注意を喚起するような措置をとっていきたい。われわれの方は直接、県知事あるいは市長に対して、そういういわば綱紀粛正についての指示等をやることは、不適当な面もありますので、そういう点もいろいろ考えながら、地方庁の指導を徹底してまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。  私どもが一番心配をいたしましたのは、このために一般の環境行政に対する信頼度が全く失われてしまうというようなことになっては、いろいろな面で行政がやりにくくなりますので、したがって、一日も早く出すべきうみは出しながら、今後は一切そういうことがないように、またいままで起きました事故に関連しましても、特に私どもの役所では、そのデータ等がゆがめられた形でないように、これを徹底的に調査をして、いま内容を大体一カ月ぐらいの間にはきちんと整理をして、これも何らかの機会に、そういう事件があったことははなはだ遺憾であるけれども、その影響を受けまして、データ等が決してずさんなものはないのだということを明確にしていきたいと思っておるわけでございます。
  211. 土井たか子

    ○土井委員 環境行政に携わられる立場からいたしますと、特に密接な連絡のある通産、建設、運輸等々とのつながりから申しまして、率直に申し上げて国民の目からすれば、環境庁というのは政治献金に関係がない、贈収賄に関係がない、企業との癒着もない、そう考えて、最後の頼みの綱は環境庁にあると思っていた国民は非常に多いだろうと私は思います。そういうことからしますと、氷山の一角であるというふうな考え方もあるかもしれませんけれども、やはり今度の問題というのは実は非常にショッキングな問題でありまして、いわば「ブルータス、おまえもか」という以上に大変な、これに対しては環境庁に対して見る目を変えた国民もあるだろうと私は思います。そういうことからすると、いま環境庁にとっては非常に重大な時期だと思いますので、ひとつ環境庁の面目と申しますか、信用と申しますか、そういうものを回復するためにも、長官責任というのは非常に重いと言わざるを得ないと私は思うのですね。  そういうことから、一つちょっと気にかかる問題がございますので、これについてはっきりさせておきたいなという気が私はするのです。それは何かと申しますと、例の日本列島改造構想でクローズアップされた本四架橋問題、これが総需要抑制で姿を消し、また今回、景気の浮揚策として取りざたされている。三ルートを一遍にということでは、もういまは政府の姿勢はございませんけれども、先ごろ御承知のとおりに大三島橋について、環境保全審議会においては小委員会を通じまして、条件つきとはいえ、大体これに対して同意をなすった。ただ私は、この節、この条件という問題について注意を促しておきたいなという気がするのです。これはもう釈迦に説法のたぐいになりますけれども、大三島以外の橋は、瀬戸内海国立公園のあり方を含めて、政府部内でまず総合的な意見というものをまとめてこなければ、今後、審議に応ずるわけにはいかないと、小委員会ではきっぱり言い切られておるわけです。しかも、その節の問題になっているのは、地域開発の単独橋として今回、大三島橋を認めたというのは、本四架橋公団の立場を助けたという反面、単独橋というふうなものが次々に出てきて、結局は本四連絡橋がなしくずしに建設されてしまうということに対して、これは強く警戒をされている立場だと思うのです。特に私は当日の報道なんかを通じて知り得る限りで注意を払っておりましたら、やはり小委員会での注文の中には、全体計画をあいまいにしたまま、個別計画で審議会を通していく安易なやり方に対しては大変、疑問を投げかけていらっしゃる。そして、この大鳴門橋にしろ、児島—坂出ルートにしろ、瀬戸内海にとって重要な問題だから、政府が一体、瀬戸内海をどうしようとしているのかわからないままでは、論議のしようがない、こうおっしゃっているわけなんですね。  こういう問題を全部ひっくるめまして、この本四架橋という問題に対して、信澤局長にまずお尋ねしたいわけですけれども、どういうふうにお考えになっていらっしゃるか。先般、瀬戸内海の環境保全という立場で当委員会は現地に視察をしているわけでありまして、そういう視察にも同行なすった局長でありますので、現地の事情も含めて、一層、はだ身に刺す問題も、あるいは持っていらっしゃるだろうと思うのです。どのようにお考えであるか、まずお伺いしたいと思います。
  212. 信澤清

    信澤政府委員 若干長くなりますが、過去の経緯にも触れながら、お答えいたしたいと思います。  四十五年に本四公団が発足いたしまして、三本の橋がそれぞれ国立公園に関係あるものでございますから、厚生省時代からいろいろやりとりがございます。最近の問題といたしましては、四十八年の十月に建設省が工事の実施計画を認可をする、その際に環境庁に協議をしてまいりました。これについては実は自然環境保全審議会で御審議いただきまして、いろいろ御議論はありましたけれども、結論的には御了承願った。したがって今後は、出てくる橋ごとに環境保全の点から十分審議をしようということで、いまお話しのような小委員会ができた、こういう経緯でございます。  小委員会を一回やったところで、総需要抑制で今日まで至った。今回たまたま大三島につきましては、いろいろ委員会先生から御指摘があったような事項についての資料も整いましたので、この段階で御審議がいただけるかどうかということを伺ったところ、審議してやろうということで御審議をいただいたわけでございます。  おおむねの経過はいま先生指摘のとおりでございます。結論も同じことでございますが、実は私ども公団における資料の調製の進みぐあいから申しますと、大三島橋のほかにもう一つ大鳴門橋、これは先般、委員会として現地を御視察いただいたわけでございますが、これについては私ども、ほぼ八分通り資料がそろっていると思っております。したがって、次に大鳴門橋を御審議いただくわけでございますが、今回の大三島橋の審議に関連いたしまして、先ほど先生がおっしゃったような御意見があったわけでございます。     〔委員長退席、登坂委員長代理着席〕 したがって私どもとしては、前々からの問題ではございますが、先ほど先生お挙げになりましたように、政府部内でも当面、早期に完成するルートは一本にしぼるとか、三全総でそれを明らかにするとか、こういう御意見があることは承知いたしておりますが、そういうようなものの中で、あるいは場合によっては、それと切り離してでも本四計画についての政府の考え方というものをはっきり決めていただく。そういたしませんと、後に続く大鳴門橋の審議もできませんので、そういうことで半面、審査を進めながら半面、政府としてのそういう態度を決めていただくようなことをお願いしつつある、こういう状況にあるわけでございます。
  213. 土井たか子

    ○土井委員 そうしますと、これは環境庁長官にお尋ねをしたいと思うのですが、本四架橋に対しての政府の全体構想というものが明らかにされないと、これから大鳴門橋についても、これに対してとやかく考えることはできないという立場を、環境庁長官もおとりになっていらっしゃるかどうか、いかがなんですか。
  214. 小沢貞孝

    小沢国務大臣 先ほど局長が経過を申し上げましたように、本四架橋三本、三つのルートを決定しまして、これの工事実施計画を自然環境保全審議会で審議をしていただいた。大筋は了承されて、具体的な個々の橋の問題について今後、小委員会でやろう、こういうことになっておったわけでございます。  この前の小委員会では、大三島橋につきましての答申をいただくときに、大体、三点の考え方が条件といいますか、そういうような形で会長から私にも御意見の開陳がございました。その主たる考え方は、先生がおっしゃったように、政府全体として本四架橋の考え方を、三全総をつくるときに決めていくのだろうが、そのときには環境庁長官がこの調整の任をとれ、そうして、それらの基本的な考え方をはっきり決めて、その上でそれを自分たちも十分検討した上で、個々の橋の審議に入りたいのだ、こういうことのようでございます。そういう全体計画が、はっきり方針がわからないままに、個々の審議には応ずることはなかなか困難だ、こういうお話であったと思います。  私は大鳴門橋につきましては、確かに前の工事実施計画から言いますと、本四架橋三本のうちの一本の一環であるに違いないわけであります。ただしかし、その後、御承知のとおりの経過で、三本というものにこだわるのか、あるいはそうでないのかという点が、この前の三省間、私を含めない三つの省の間の合意では、大体、当面は一本にしぼろうかという話まで出ておったわけでございますから、そういう意味で考えますと、見方を、最初の工事実施計画のときから見ると、これは確かに大鳴門橋というのはAルートの一環の一つである、こういうことになりますし、また最近のそうした三省間の、総需要抑制の見地から抑えておったものを、今度、解除する際の申し合わせといいますか、そういう経済企画庁長官が中心になっておやりになった三人の閣僚の間の話では、どうも、そうとはっきり否定をしたのかしないのかわかりませんが、そうとばかりも言えないような点もある。したがって、そういうように考えますと、この大鳴門橋というのは、一面において淡路島と徳島の地域開発的な性格が非常に強く出ているようにも見えるわけでございまして、いまのところ私としては、国土利用計画審議会の御意見のような、三全総の中で本四架橋全体がどういうことに結論づけられるか、その際、今度は私が中に入りまして相当意見も申し上げ、意思統一も図りまして、それからそれとの兼ね合いで最終的な結論を下していく、こういうことになろうかと思うのでございまして、いま先生から、これは一体、地域開発としての一つの単独橋として考えるのか、あるいは本四架橋全体の三本のルートの中の、その一つの部分的な問題として考えるのかということを突き詰められましても、私だけで、ここで方針を決めて明確にお答えをするという、まだその立場、時期でもない、かように考えるわけでございますので、まあ、もうしばらくお待ちをいただきたいと思うわけでございます。
  215. 土井たか子

    ○土井委員 まあ、これは非常に微妙な御発言であるわけであります。本来、本四架橋については三つのルートというのは天下に公然たるものだ。今回この本四架橋と切り離すと言い、地域開発の単独橋と言っても、大三島橋というのはそのルートの一端であるということは、だれの目にも鮮やかなんですね。しかし今回、環境庁の方がこれに対して同意をなすったというふうな中身を見ると、便宜的措置として本四架橋とは切り離すという、そしてしかも、地域開発の単独橋としてこれを認識しようという、そういう立場が前提としてあったわけであります。同じように大鳴門橋についても、本四架橋とこれを切り離して考える、地域開発のための単独橋としてこれを考えていく、これが必要ではないかという姿勢を打ち出されるのなら、先ほど私が申し上げた、これは単なる杞憂にしかすぎないのならいいですけれども、だんだんそういうふうに部分的になし崩しにやられていって、そして何のために瀬戸内海環境保全臨時措置法というので、あれほど苦労してつくったか、骨抜きになってしまうということもないとは限らない。では環境庁というのは一体どっちの立場に立って行政を動かしていらっしゃるのかというのを、だから基本的姿勢として最初に私は申し上げたわけであります。長官として、いま、まだそんなことを言う時期じゃないとか、やはりこれについてはもうちょっと審議を必要とするなんというふうなことをおっしゃる余地のない問題だと私は思って、これはただいま質問を申し上げている。  一体どうなんでしょう。特に大鳴門橋というのは、御承知のとおり、スパンはもう打ち込んでいるわけでしょう。ところがあそこは国立公園地帯でもあるわけなんですよ。瀬戸内海の環境保全からすると非常に大事な地点でもあるわけなんです。あそこが今後どうなるかという影響は非常に大きいということを言わざるを得ません。これに対して、いま、この地域開発の単独橋というふうに考えていいのかどうかというふうなことに対しては疑問の余地がある、まだそれを言うべき時期でないと思うというふうな御答弁で済ましてしまうわけには、私はいかぬ気がします。これは非常に重要ですから、長官、思い切ってやってもらえませんか、環境行政を。いかがです。
  216. 小沢貞孝

    小沢国務大臣 私どもは瀬戸内海の国立公園を大事にしていく役所でございますし、あれがまあ国立公園と言っても、非常に部分的な島の一部をとらえてみたりして、瀬戸内海全部を国立公園の地域としてカバーしているわけじゃないわけでございます。しかし、全体的な景観というものから見て、瀬戸内海の国立公園を一番早く、多島式のあの瀬戸内海というものを国立公園に指定をしたことは間違いない。したがって、何も形式上、部分的に点々と島の一部を押さえているだけだというような認識を持つのは、私どもそういう立場にはありませんけれども、また一方、一応、政府全体の方針として本四架橋というものが取り上げられてきて、その全体的な工事実施計画を自然環境保全審議会でも了承をして、そして個々の橋についての自然保護関係の観点から、小委員会を設けて審議をしていこうという経過になってきているわけでございますから、おっしゃることはよくわかりますし、私として、ここで私の考えを申し上げたいと思わぬこともなきにしもあらずなんです。(土井委員「じゃ言ってください」と呼ぶ)ただ、そうはなかなかいきません。これはやはり政府全体で、しかも三全総であれを決めるときに、審議会の要望によって、私が調整の任に任じようというときでございますから、もうしばらく待って、全体の議論が進む、また、それについて私の考えを申し上げて、はっきりした政府のあれが決まりましてから申し上げなければ、やはり内閣の甘貝でございますから、その点はひとつ御理解をいただきたいと思うのです。そういう面ではちょっと御不満かもしれませんが、しばらく猶予をいただきたいと思います。
  217. 土井たか子

    ○土井委員 大不満です。内閣の一員だとおっしゃる。そのとおりなんですよ。環境庁長官として内閣の一員なんです。第三者機関じゃない。調整役とおっしゃいますけれども、第三者として調整しろというふうな調整役じゃないのですよ。環境庁長官として、この問題にどう対処するかという問題だと私は思う。そういう点からすると、私はきっぱり言えて当然だと思うのですがいかがですか。
  218. 小沢貞孝

    小沢国務大臣 私が調整の任に任じたいと申し上げたのは、環境庁長官として、もちろんそういう立場からやるわけでございますから、何も私は環境庁長官でない第三者で入るわけではありません。ただ私がここで明確に申し上げられないというのは、いままでの経過をごらんになっていただいてもおわかりになりますように、工事実施計画を環境庁長官としても、審議会としても承認しているわけでございますから、それを受けて、今度、個々の橋についての小委員会を設置して審議をしていくという経過で、ずっと来ておるわけでございますから、それについても意見はございますけれども、それをいま申し上げる時期ではない。三全総というものから、あるいは国土の利用計画全体、あるいはこの瀬戸内海全体の重要性、私の立場に立った重要性から、これは十分調整の任に任じなければいけない私でございます。しかし、私一人でやっている問題でもありませんので、私がいま、ここで慎重な答弁をするのは、これは御理解いただかなければいかぬと思うのでございまして、もうじきだと思いますから……。
  219. 土井たか子

    ○土井委員 追い打ちをかけるようなことを言います。環境庁が同意をなすったのは、本四架橋についての実施計画について賛成をなすったわけですね。いま全体構想について、どこをどうするというふうな実施計画が出ておりますか。その全体構想が出ないと、あと審議のしようがないじゃないかとおっしゃったのが、この大三島橋について同意をなすったときの条件じゃありませんか。だから、それが出ない限りは審議ができないときっぱりおっしゃるのが当然だと私は思うのです。それが出ない段階においても、何だか先ほどの御答弁を承っておりますと、大鳴門橋については、あの大三島橋と同じように本四架橋と切り離して考えて、地域開発の単独橋として認めるような余地があるかのごとき御答弁に、私は受け取れたから、これを問題にしているのですよ。全体構想が明らかにされない限りは、大鳴門についても、これに対する審議は一切できないのであるということであったら、非常にすっぱりしているのだけれども、どうも大三島と同じような取り扱い方を、大鳴門についても単独橋としてなさるのではないかというふうな、特にそれが地域開発に資するところがあれば認めていいじゃないかとお考えになっているような節が、たまたま私は御答弁から、これは私がですよ、聞けたものでありますから、こういうふうに質問しているわけです。いかがですか。
  220. 小沢貞孝

    小沢国務大臣 それは大変な誤解で、私まだ結論も何も出していないのです。大鳴門橋は地域開発のために必要だから認める腹で申し上げたり、またこれを全然、必要ないと思って申し上げたり、どっちのものでもありませんで、私が申し上げているのは、やはり三全総なりあるいは経済社会の新しい計画ができ上がる、そういうときに私どもの立場で十分それに参画をして調整の任に任じます、したがってそれまでは、いまここで私は、国会の場は正式の公の場でございますから、申し上げられないということを申し上げているわけでございまして、何も大鳴門が地域開発上必要だから、これはやります、そういう気持ちでいまお答えをしているわけじゃない。また、それが必要ない、全然、地域開発上必要な橋とは思いませんという立場をはっきりここで表明しながら申し上げているわけでもない。その点は御理解いただかぬといかぬので、私どもは瀬戸内海環境保全臨時措置法も十分その意を体してやらなければいかぬ立場でございますし、瀬戸内海国立公園の日本における最初の国立公園の重要性も十分認識をいたしているつもりでございますから、そういう環境庁の立場で調整の任に当たる覚悟は十分持っているということ、これだけはひとつ申し上げておきますが、いま、どっちと決めてお答えをしているわけじゃありませんので、その点は御理解をいただきたいと思います。
  221. 土井たか子

    ○土井委員 それならば二点、ひとつ具体的にお伺いをして御答弁をいただいておきたいと思うのです。  一つは大鳴門橋というのは本四架橋の一環であるという点、もう一つは本四架橋についての全体計画をあいまいにしたままに、個別計画で審議会を通していくようなことは認めないという点、言葉をかえて言うと、本四架橋の全体計画というものが明らかにされない限りは、審議会を開くことはできないという、この二点について、ひとつ長官のお考えをはっきりお伺いしておいて次に進みます。
  222. 信澤清

    信澤政府委員 大臣の御答弁の前に事務的にお答えをいたしたいと思います。  まず第一点の鳴門大橋が本四ルートの一環であるかどうか、これは先ほど来お話が出ております。建設省が公団に対して認可いたしました工事実施計画では、本四ルートの一環ということは明白になっております。それについての変更は、変更するやのごとき発言はございますけれども、変更したという事実はないと私どもは考えております。  それから後段の審議会小委員会の御意見でございますが、全体計画という言葉は、確かにそのようにお使いになったと思いますが、私、出ておりまして感じておりますのは、今回こういうふうに、一たん決めた三本のルートというものについて変更あるべしというふうな状態のまま、それがどこに決まるかわからぬまま審議を願ったということが、こういうような御意見が出た背景にあると思います。したがって審議会のお考えは、全体構想を明らかにし、それとの位置づけを明確にしてもらえば審議をする、こういう御意思だったというふうに考えております。
  223. 土井たか子

    ○土井委員 長官もそれはそのとおりに考えていいと、いま思っていらっしゃるわけですね。
  224. 小沢貞孝

    小沢国務大臣 自然保護局長は私と一体でございます。
  225. 土井たか子

    ○土井委員 そのことをはっきり確認をさせていただきたいと思います。
  226. 小沢貞孝

    小沢国務大臣 それとは別ですが、御理解を得るために申し上げますと、私は入らなかったのですけれども先ほど言った三省庁の大臣が打合会をやったときに、私も来てくれという話がありましたが、私は、環境庁というのは、君らがまずこういうふうにやりたいということを考えて、それからわれわれの方へ持ってきて、われわれの方は独自に環境庁の立場からこれを検討するのだから、その中に最初から入るのはまずいと言って断ったわけでございますが、その後で新聞にも出ましたように、この三大臣の打ち合わせでは、本四架橋は当面一本にする、こういうことであったわけですね。そして名前は忘れましたが、一番西の方のあれは、離島対策で地域的な問題として考えていく。それから大鳴門橋は、やはりそれと同じように地域開発上の必要性から淡路と徳島をつなぐものとして考えるのだ、当面そういう申し合わせになったという事実はあるわけでございますね。その事実は事実として、三大臣がそういうような話であったということは、私ども知らぬことはないのです。それだけは申し上げておきます。それについての是非判断を私はまだ何もしていない。いま局長が言ったように審議会の御意見はそういう御意見ですから、したがって、また私どもの立場としても、そういう認識でいくのか、あるいはAルートというものについては、根本的に私の方から一つの案を出して、これを本四架橋の一環としての位置づけをなくするのか、これは私の今後の決心にまつ問題でございます。
  227. 土井たか子

    ○土井委員 その決心たるや大変に微妙な問題で、果たして環境庁長官であるのか環境破壊長官であるのか、ハムレットのような岐路に立つ問題であろうと実は私は思うのです。これは非常に重要な問題だと思うのです。しかし、先ほど信澤局長が御答弁になりましたことに対して、局長と一体だとおっしゃったこと、これは私、確認しておきますよ。だからこれを確認しておきまして、以後もう事情変更の原則というのは、この問題についてはわれわれは認めませんから。かつて環境庁長官はこういうことだったというふうに、ただいま確認をさせていただきます。よろしいですね。
  228. 小沢貞孝

    小沢国務大臣 信澤局長が申し上げたのは、審議会のことと事実を申し上げたのであって、本四架橋についての環境庁の態度を、ここで一つずつ申し上げたわけじゃありませんので、その点だけ、これも確認をいたしておきます。
  229. 土井たか子

    ○土井委員 ただしかし、先ほど私は長官あてに御質問を申し上げたのだけれども長官の御答弁に先立ってという前断りで局長が御答弁になったわけです。私は、別に審議会が事実どうだったということをお尋ねしているわけではないので、環境庁長官として、これに対してどういうようなお考えを持っていらっしゃるかという意味での質問であったのです。それに対して、審議会もそのように考えてきたという事実を述べられて、局長自身もそれに対して異論はない向きの御答弁だったわけです。そうでしょう。
  230. 信澤清

    信澤政府委員 私は事務的にお話を申し上げますということで、事実関係を申し上げたわけでございます。したがって、これから先は、あるいは大臣のおっしゃることになるかもしれませんが、審議会がそういう御意向であるならば、所管の局長としては、その御意向に沿った方向で審議会の御意見をいただくことに努力しなければならぬというふうに考えておるわけでございます。
  231. 土井たか子

    ○土井委員 そして、その順序から言うと、長官局長は一体であるということを長官は御答弁になったわけでありますから、審議会がどういうふうにこの問題を認識したかということに対しては、これを尊重すべきであるという長官の立場というものが、自然、結論として出てくるわけですね、いかがですか。
  232. 小沢貞孝

    小沢国務大臣 自然環境保全審議会の御意見を尊重するのはもう当然のことでございます。これはいまさら申し上げるものじゃないと思うのでございまして、中公審の答申も尊重をしておりますし、自然環境保全審議会の答申も尊重する、これはもう当然私の一貫して変わらざる態度でございます。そういう意味で申し上げたわけでございます。
  233. 土井たか子

    ○土井委員 ただ、審議会というのは長官の諮問機関であると同時に、観点を変えて言うと、これは独立機関でありますから、審議会での審議の結論は尊重なさるのが当然だと思うわけでありますけれども、かつての自動車の排ガス規制の審議についての問題もこれあり、私としては、これは非常に心配が先立つわけでございます。したがいまして、これについては、あたりまえのことであるけれども、確認をしておかなければならぬ気持ちになってしまうのです。そこで、この問題について、さらに追い打ちをかけていますと時間が経過をいたしますけれども、私は、瀬戸内海の環境保全という観点から十四日にまた取り上げてみたいというふうに予定をしておりますので、きょうのところは、瀬戸内海問題もひっくるめて、例の本四架橋について自然環境保全審議会小委員会がお出しになったあの同意のときの条件については尊重するという態度で、長官は現在までのところはいらっしゃるというふうに理解したいと思います。ようございますね。  そこで、去る八月八日に私はすでに自動車の公害問題についての質問をいたしておりますが、きょうは、当日の質問に重複をいたします部分もあるかもしれませんけれども、少し具体的な問題について歩を進めてみたいと思うのです。  まずお尋ねをしたいのは、大気汚染の観点、騒音の観点から、自動車に対しましていま規制基準がございますけれども、この基準値に到達する、あるいは基準値をクリアするためのいろいろな方策があろうかと思いますが、国が一体となって行政側でこの問題を具体的に推し進めていく場合に、自動車の公害に関して規制値を満足させていく手法といいますか、方策といいますか、これでいくというものを、やはり確立される必要があると私は思うのです。それで、この問題に対していま、どのようにお考えになっていらっしゃるか。まあ固定発生源の場合は、これに対しての取り扱いというのは具体的にいろいろできるわけですが、移動発生源の場合には、この規制値を満足させる方策が困難であるということが先立ちまして、これでいくという決定打が、手法としてなかなかないわけですね。特に自動車の場合などは、いままで困難だ、困難だということで日数を数えているわけですけれども、この問題についてどのようにお考えになっていらっしゃるかというのを、ひとつお聞かせくださいませんか。
  234. 橋本道夫

    ○橋本(道)政府委員 どういう方策でこの達成を図ろうとしているかという御質問でございますが、かいつまんで申し上げますと、一つはやはり技術開発の問題が一番根底にはございます。それから第二番目は、これは現在行っている一番大事なところでございますが、技術評価、技術予測といいますか、例の窒素酸化物の防止技術検討委員会で専門の学者の先生方に聞いていただいている、その技術評価と予測ということが非常に大事でございまして、これはことしになってから強められた新しい動き方であるというぐあいに考えております。第三番目はこの基準を設定するということでございまして、これは従来と同様のことでございます。それから第四番目は、基準を設定した、その車を今度はちゃんと生産をして、それをちゃんとテストをするということでございまして、生産及びテストということに絡みまして、この期限を決め、そうしてそれがなるべく早くいい車にかわるようにということで、税制上のインセンティブを設けていくということをとっているわけでございます。一台の車ということにつきましては、以上のようなことが基本の方途ではないかというぐあいに考えております。
  235. 土井たか子

    ○土井委員 いま局長のおっしゃったのは発生源対策ですよね。それで問題は、発生源対策環境対策と両面あろうかと思うのですが、発生源対策からすると、技術的には、順を追って言えば、いま局長のおっしゃったようなことになるのではないかと思います。しかし、理屈で言えば頭の中では青写真がかける問題が、具体的にはなかなか進行しない。その進行しない原因はどの辺にあるとお考えですか。
  236. 橋本道夫

    ○橋本(道)政府委員 進行しない原因はどこにあるかという御質問でございますが、一つはやはり技術上の問題が、これはどうしても存在するということでございます。これは日本は、ほかの国が全く経験していない領域の問題を、日本独自に現在、技術開発をやって進めておるということでございまして、五十一年の暫定規制値に合致する外国の車というのは、つい先ごろスウェーデンのボルボができたといったのみで、ほかの外車のメーカーはすべて、まだ一切不可能であるということを言っておる段階でございます。そういう意味で新しい技術を開いて、その技術をちゃんとマスプロできるようにし、売り物になり、そしてそれが使い物になり、また後でクレームがつかないというものにするための技術上の基礎が非常に根底にあるということが一点でございます。  その次は、やはり先ほど申し上げました規制をちゃんと守っていくようにする、できるだけその車を早く出していくというときの税制とか、そういう問題があるわけでございますが、それにより、どういう程度まで拘束できるかという問題があるわけでございます。あくまでもインセンティブとしての制度でございますので、どうしても強制を伴ってここから先はできないということになりますと、十二月一日以降は五十年対策車以外にはできない、そのようなものがあるわけでありまして、その手前の問題は、やはりあくまでもインセンティブというようなことで、そのほかの問題からいけば、そのほかの尺度はあり得る、特に相手にとってはあるというようなところが、どういうぐあいに実態的にでき上がっていくのかというところが、非常にむずかしいところではないかというように考えております。もちろん、そのほか規制をやる者の姿勢の問題あるいは相手のモラルの問題、いろいろあることと思いますが、どこにむずかしさがあるかということになりますと、いま申し上げたようなところが根底ではないかというように考えております。
  237. 土井たか子

    ○土井委員 まあ一言で言うと、局長の御答弁を承っていると、メーカー側の技術の開発という点に待たなければならないような気になってくるわけですが、そういうのを待っていると、端的に見るのは今回のトヨタの例のような事例もあるわけなんです。したがいまして、理屈や青写真どおりにはいかないというのも、メーカー側がいかにこの問題に対して、われわれの要求にこたえてくれるか待ちでは、どうにもならぬという、これは限界があるようであります。  端的に申し上げますと、これは国道を走っている自動車の中で、排ガスと騒音でひどいのは小型より大型なんですね。大型と言っても、わけてもトラック類なんです。いま大型トラックについては、メーカーの段階で、排ガスや騒音については、厳しい規制と達成段階でのいろいろなメーカーに対する対策というのが後回しになっているわけですね。これはこのままにおいておいても、連日、大型トラックというのは国道を走るだけ走っているわけであります。付近の住民からいたしますと、被害を受けながら、ときには五〇%をオーバーしている数のトラック規制というのがどうしてできないのか、トラックに対しての排ガスや騒音に対する対策というのは、行政でとってもらえないのだろうかという切実な気持ちになるのは、私は当然だと思うのですね。それで排ガス規制車から外されて対象外の車にも、排ガス浄化装置を完全実施するというのは、早急にやろうとしたらできないことじゃないですよ。トラックなどについて、こういう問題を取り扱ってできるはずだと私は思うのですけれども、いかがなんでしょう。
  238. 橋本道夫

    ○橋本(道)政府委員 いまの先生の御指摘のとおり、現在の規制の一番の重点は乗用車でございまして、排出の五〇%をやや上回るというところだけを一生懸命抑えておるという状態でございます。トラックとディーゼル、これは大型車の一番最たるものでございますが、それに対する規制は、現在のところ非常に緩い規制がかかっておりまして、四十八年あるいは四十七年ころに決められた、たとえばNOxにつきまして、大型のトラック、バスといきますと二二〇〇ppmというような状態でございますし、ディーゼルでいきますと五九〇とか一〇〇〇ppmというような状態になっております。これをやはり厳しく抑えるということが非常に大きな課題でございまして、現在、中央公害対策審議会の中の自動車の専門委員会の中で、次にトラック、バス、ディーゼルという大型を抑えるということにつきましての検討を開始をいたしておるところでございます。  また、もう一点先生の御指摘の問題は、トラック、バスの環境面からの御意見でございましたが、私の申し上げましたのは一台ごとの車の排出規制ということを申し上げましたので、道路を走るという段階になってまいりますと、今度は道路の使い方、車の走らせ方ということになってまいりますので、これは主に交通警察関係の仕事になりますし、また、道路の管理という面で、建設省の道路管理ということの行政の方の面からの問題があるというぐあいに考えております。  いずれにもせよ今後の大きな問題は、五十三年の〇・二五グラム・パーキロメートルの目標を達成するということはもちろんでございますが、その後、五割に近いディーゼルとトラックをいかに抑えるかということの問題が、一番大きな問題でございまして、これにつきましては、すでに審議会で検討を開始いたしておるという段階でございます。
  239. 土井たか子

    ○土井委員 審議会では、その規制値というのをどういうふうに考えたらいいかということに対しての審議を、いま展開なすっているわけなんですけれども、いま現に走っているトラックのたぐいに対して排ガス浄化装置をつけていくという方式は、これは無理なんですか。いかがなんです。
  240. 北川清

    ○北川説明員 お答えいたします。  いままでお話がありましたのは新車についてのいろいろ規制についてでございますが、先生御質問は、使用過程の車についてどういう規制をしておるかという御質問であろうと思います。現在、使用過程の規制といたしましては、乗用車などガソリン車とLPG車、これにつきましては一酸化炭素、炭化水素の検査を行っておりますし、四十八年の光化学スモッグ対策によりまして、使用過程車についての浄化装置の取りつけというようなことも行ったわけで、現在の技術から見まして、使用過程車として減らせられるだけ減らす状態になっております。  それからディーゼル車、この問題につきましては、黒煙を出すというディーゼルの黒煙の問題と、それからその他、一酸化炭素とか炭化水素、窒素酸化物の問題と二面あるわけでございますが、最初に申し上げました黒煙の問題につきましては、五十年からやはり使用過程車についての規制を開始いたしまして、その点について黒煙をもくもく出すようなものが少なくなるような措置を講じております。今後、浄化装置をつけるとかなんとかという、そういう装置による規制という問題につきましても、車としましては結果の性能がどこまで下がるかというのが基本でございまして、その手段をどう問うかというのは、そのいろいろな方法ということでございますので、結果性能がどういうふうになるか。これについても、新車のときの性能がどうである、それを使っておるときには、どうしても性能が劣化するわけでございますが、その劣化するものをどこまでにとどめることができるのか、また、生まれ出た車を後から構造改善をいたしまして、生まれ出たときよりもより性能のいいものにするということができるのかできないのか、こういうことを総合的に進めていかなければいけないわけでございまして、やはりこういうことにつきましては、新車についての、特に御指摘の大型のトラックとかあるいはディーゼル車についての対策が決まるのを方向を見定めながら、使用過程車についてできることをどんどんやっていくというのが現在の状況でございます。  ガスの問題としては大体そういうことでございまして、それ以外に騒音の問題についても、いろいろ対策が講じられておるということでございます。
  241. 土井たか子

    ○土井委員 いまの排ガスの問題については、いま走行しているトラック、大型車についても、できる限り抑えるところまで抑えているという趣旨の御答弁なんですね。それで騒音についてもということを、いまおっしゃいましたけれども、その騒音の問題なんですが、五十年の九月に自動車局の方から「騒音規制の強化について」という文書が出ておりますね。この中身は、もういまさら言うまでもないことでありますけれども環境庁の告示で言う許容限度を確保する措置として、特に見ると、新車を対象としながら、大型のトラック、バス等について重点を置いての騒音対策ということを認識しておられるようなんです。これが実際、実行し得たら、少しはましになるであろうと期待を持つ人も多いのですが、ちょっとお伺いしたいのですが、橋本局長も、これは「局長登壇」という文書の中でも書いていらっしゃるのですけれども騒音の問題について「当初の五年内に基準を達成しようという目標年次は五十一年」となっているわけですね。この「自動車騒音規制の強化」という運輸省の自動車局から出されたのは五十年の九月なんです。実際問題新型自動車については五十一年の一月一日以降となっておりますけれども、例のあの継続生産というのを、やはりこれに対してもお認めになっていて、五十一年の九月一日以降でありますから、八月の三十一日までは在来車というのは生産できるわけですね。そういうかっこうでしょう。こういうふうなやり方で、五年内に基準を達成しようという目標年次というのは五十一年なんですが、できるのですか。どうですか。橋本局長どうお考えですか。
  242. 橋本道夫

    ○橋本(道)政府委員 正直申し上げてできません。最大の努力をいたしますが、不可能でございます。
  243. 土井たか子

    ○土井委員 そうしますと、運輸省の自動車局の方に再度お尋ねいたしますが、許容限度を示した「(環境庁告示)を確保する措置となる。」こう書いてあるのですが、本当になるのですか、いかがです。
  244. 北川清

    ○北川説明員 お答え申し上げます。  いま五年云々という問題でお話がありましたのは、騒音の環境基準の話であろうと思います。許容限度の問題と申しますと、これにつきましては五十年の九月に、やはり個々の車を対象といたしまして、どこまで引き下げられるかという目標が、環境庁から告示が出ておりまして、その告示の具体的な方法といたしまして、大型車、二輪車を重点といたしました三ホン程度の今度の強化対策といたしまして、大型車とか二輪車関係については、新型車は一月から、それから継続生産車は九月から、それから乗用車及び小型のトラック、バス、こういうものにつきましては、排気ガス対策の関係もございまして、五十一年その後ということで、五十二年一月から新型車、五十二年九月から継続生産車、こういう二段構えで実施をするということが決められまして、現在これに対応した準備が進められておるということでございまして、この適用時期の問題につきましては、継続生産車につきましては、現在つくっておる車を生産切りかえをするために必要な時期ということで、猶予期間が与えられておるのでございまして、これに対しまして、いわゆる駆け込み生産とかという話が出ております。切りかえることが可能であっても切りかえてないというようなことがあるのは適切でないわけでございますので、速やかにそういうものについては切りかえるようにするというのが、自動車メーカーとしましても社会的な責任があるわけでございまして、これは排気ガスの五十年対策においてと同様、メーカーはその態度で進むことが当然でございますし、これを、逆のいわゆる駆け込み生産というようなことが行われるのは非常に適切ではないわけでございまして、こういうものに対しましては関係省庁と連絡をとりまして、業界を厳重に指導してまいるという方針で現在進めておるわけでございます。     〔登坂委員長代理退席、委員長着席〕
  245. 土井たか子

    ○土井委員 メーカーの方も五十年規制の場合と同様でございますというのは、これは困るのです。五十年と同様にやられたら、これは困るのです。目下、問題になっているのは、やはりあれだけ私たちが注意を喚起したにもかかわらず、現にこれだけの駆け込み生産があるではないかという問題ですよ。これと同様にやられたら困りますよ。同様じゃ困る。お互いが連絡をとり合って、これに対しては厳重にとおっしゃるが、具体的には何をなさるのですか。この前も厳重にメーカーに対しては駆け込み生産がないように指導いたしますとおっしゃった。厳重になすったのでしょうが、その効果はあらわれない。  それで、そういうことについては、私はきょうは本題じゃありませんから、ちょっと橋本局長にお尋ねをしたいのですが、いま、この環境基準の問題ではなくて許容限度の問題だから、問題が別であるような御答弁なんです。環境基準については、道路周辺では、御承知のとおり九割近くの測定点では基準値を超えている。例の要請基準については、三割強の場所で基準値を超えている。これは現に全国を調査したところの大まかな実態なんですね。この環境基準という問題と、要請基準という問題と、いまの許容限度という問題と、この関係は一体どういうことになりますか、どういう相関関係にあるのですか。
  246. 橋本道夫

    ○橋本(道)政府委員 まず最初に環境基準の問題でございますが、これは先生も御承知のとおり、道路わきのはかる条件を決めておりまして、そこの場所で時間帯別、用途地域別、その道路の条件別に環境基準を決めております。これは最大限の努力をして達成するということの問題であります。ですから、これは許容限度ではございません。維持することが望ましいということの条件であります。  その次に要請基準でございますが、要請基準も同じく測定の場所等はこれは全く同一の条件でございますが、その音のレベルを超えた場合には、都道府県知事が警察の公安委員会に特別の交通規制等を要請をするという、そのような行動を起こし得る段階ということでございます。これも許容限度というものではございませんが、これは望ましいというには余りな音であるということであります。そういうことで、要請基準を超えているということのために、公安委員会に働きかけて、警察行政の方では四十七、八年以来、交通規制ということにつきましてはかなりの努力を現在していただいておるというぐあいに私たちは理解しておりますが、努力をしたから、非常に周りが見違えるほど静かになったという実績は、現在のところあらわれておらないということであります。  第三番目は許容限度でございますが、いま運輸省の北川課長の申しました許容限度は、一台ずつの車が、これだけ以上の音を出してはいけないという、はっきり拘束のかかる条件でございます。一台ずつに対して、それを超えるような車をつくったならば、そういう規格の車なら、つくる許可がおりない、そういう許容限度であります。そういうことで、これはまずメーカーに対してはっきり拘束がかかってくるということでございますし、また今度は走っている最中に、そういう音を超えるのをはっきり確認をいたすことができましたならば、これは道路運送車両法でございますか、道路交通法でございますか、ちょっと私いま不確かでございますが、警察行政として、それを取り締まれるということであります。  それでは、その三つが一体どんな関係になっておるのかということでありますが、この許容限度を完全に締め切っていけば、この環境基準に到達するかということでございますが、道路の条件の場合に、自動車を最大限どこまで締められるかという問題がございます。これは現在、中公審の審議会で長期の目標設定ということを御審議願っておるわけでございますが、発生源としては、その放出する限度を最大限に締める、これが第一のまず最初に非常にやるべき発生源対策であるというぐあいに考えております。しかし、それをやることだけで、果たして環境基準の中に抑え込めるかどうかということになりますと、これは私ども、まだ必ずしも抑え込めるというぐあいにはなかなか思えませんで、そこのところの、どれだけ発生源を改善して、どういう条件で走らしたならば、一体どういう音のレベルがあるかという予測ということにつきましては、来年の予算で、その予測のシミュレーションをはっきりいたしたいということを考えております。  それで、環境基準を達成するためには、この発生源の個別のものを抑えるということと、交通規制等をやるということと、道路の構造管理をどうするかということの問題があると思います。それだけの全部の総合施策を入れまして初めて、まず環境基準よりも甘い条件では要請基準に、それはいかに抑え込めるか、その次に、いかに環境基準まで抑え込めるかというような、いま申し上げたような関係に環境基準と要請基準と許容限度はあるということでございます。
  247. 土井たか子

    ○土井委員 なかなか短い時間しかないわけでありますけれども、このいまの問題、少し大事なところですから、私はちょっと聞いておきたいのです。  この環境基準と、さらに要請基準というものに従って、一台一台の走る車については許容限度というものを考えていかないと、何のための環境基準であり、何のためのこれ要請基準であるかということになると思うのです。だから、そういう点からしますと、これは五カ年計画で目標年次が五十一年というのは、もう当初から決まっていた問題なので、ことしの九月になって「騒音規制の強化について」ということで許容限度を運輸省の自動車局がお出しになるのは、余りにもこの目標年次というものを認識なさらなさ過ぎると思うのですよ。いつでもそれは後手、後手と言われるけれども、こういうことに対して、もうちょっとこれは真剣に考えていただかなければ困るなという気がします。環境庁の方も、せっかく環境基準というものをお出しになって、これは各省を拘束する基準値でありますから、そういう点からすると、運輸といわず通産といわず建設といわず、やはりこれに向けての最大限の努力を払っていらっしゃらなければ、何のための環境基準かということにもなってくるわけなんですね。だから、そういう点からすると、私はやはり運輸省の自動車局のお出しになっているこの数値というのは、実に甘いなという気がしてならない、出す時期からいっても、内容からいっても。そんなことを言ってみたって始まらないと言われるかもしれませんけれども、やはりこういうことの積み重ねが、一つ一つ積み重ねていって、発生源対策というものの立ちおくれが、その次どうなるかというと、その周辺に住んでいる、沿道に住んでいる住民側に対してしわ寄せがいくのです。周辺対策をどうするか、環境対策をどうするか。立ち退いてほしい、あるいはその人たちに対しての、その場しのぎの防音対策で事を済まそうという、そういう問題が出てこようと思うのですね。だから、要は私は、環境行政というのは、公害対策というのは、どこまでいっても発生源対策だと思うのだけれども、その点がこういうふうな状態でありますから、やはり沿道の住民の方々が、一つ一つの問題に対して後追いだと言う。後追いだったらまだいい方だ。何にもない。結局、私たちがいつもしりぬぐいをさせられるようなかっこうになっていくということをおっしゃるのが、私は当然だという気がしてならないのです。  それから、ひとつそういう点を含めて、私は確認をしておきたいのは、これはまだ、このことに対しての規制値は出ておりませんけれども、深刻な問題に振動があるのですよ。国道周辺は振動の問題があるのです。特に兵庫県下における、上を高架式の高速道路が走り、下に国道が走っている場所では、この振動のために周辺の民家の耐久年数というものが大体、減少していっている。屋根がわらがしょっちゅうずり落ちてくる。建具というのはすべてがたがたになっている。タイルや壁に亀裂ができる。こういう状態かもう引き続きずっと起こっているわけです。  こういうふうな状況を、私もよく現場に行って見れば見るほど、何とかこれについてならないかと思うのですけれども、ちょうど固定資産税の評価がえの問題もこれあり、自治省の方にきょうは御出席をお願いしたわけですけれども、固定資産税を評価する場合に、何とか評価対象を配慮するということがあっていいのじゃないかと思ったりするのです。自治体によっては、とうとう思い切ってやっているところもありますよ。けれども、なかなかこれは税制上の問題もございますために複雑です。自治省として、こういう問題に対してはどういうお考えを現にお持ちであるか、それから今後、対策としてこういうふうにやってみたいなというふうなお考えがあれば、いまお聞かせいただきたいと思うのですが、いかがですか。
  248. 川俣芳郎

    ○川俣説明員 固定資産税におきますところの家屋の評価は、御案内のとおり、固定資産評価基準に基づきまして、その評価をいたします家屋の再建築費評点数を算出いたしまして、この評点数に家屋の損耗の状況に応じますところの減点補正を行って、評価額を決定するという仕組みになっておるわけでございます。それで、損耗の状況に応じます減点補正は、通常の場合は、経過年数によりますところの減点補正率、経年減点補正率と申しておりますが、この経年減点補正率を用いまして、家屋の損耗の状況に応ずる補正を行うこととなっております。ただ、これは一般的な場合でございまして、この経年減点補正率によることが適当でない場合におきましては、部分別の損耗減点補正率、これは特殊事情によりまして、損耗の程度に、通常の場合と違いまして差がある場合において、それを評価額に反映させるために設けておる補正率でございますが、この部分別損耗減点補正率を用いまして、実情に応じた家屋の評価を行うこととされておるわけでございます。  したがいまして、ただいまお話しの排気ガスでありますとか振動等の影響によりまして、家屋の損耗の程度が通常の場合より大きいという場合におきましては、ただいま申し上げました部分別損耗減点補正率を用いることによりまして、評価上の考慮がなされるというわけでございます。私どもは、現行の制度で、その特殊な損耗の状況に応じた評価がなされるというふうに承知いたしておるわけでございまして、そのような指導も市町村に対してしておるところでございます。
  249. 土井たか子

    ○土井委員 そうすると、市町村の方でそういう取り扱いをなさるということが具体的に可能であるし、また現に激甚地区においては、それを実行するということがやはりできるわけですね。わかりました。  それで、あと一問、これは現に騒音公害の激しい道路に対して、長期的な沿道整備対策を進める方法として、建設省が沿道環境整備基金という特殊法人の構想を持っていらっしゃるようであります。ところが、聞くところによりますと、少なくとも夜間騒音が六十五ホン以上というひどい騒音公害地域というものを対象に、これを活用していこうというふうな構想でいらっしゃるようでありますけれども、ちょっと私が気にかかるのは、たとえば実施前の測定値からすると、六十五ホンじゃなくて六十四・八ホンとか六十四・九ホンとか、まあ六十五ホンで線引きされると、数字の上ではそこから外れる地域、これは実際上はもう余り差がないのですね。むしろこれは中央値でとりますために、最高値から言うと、中央値六十五ホンのところよりもぐんと高いところが、六十四・八になったり六十四・九になったりする場合だって、私は重々あると思うのですよ。だから、こういう問題に対しての取り扱いというふうなものは、どういうふうにお考えになっていらっしゃるかということについて、まだ態度決定ができていないかもしれませんが、ひとつお考えのほどを承っておきたいと思うのです。
  250. 浅井新一郎

    ○浅井説明員 お答えいたします。  先生指摘のように、騒音対策の一環として、従来、道路側の対策としては、道路の敷地内の対策ということで、環境施設帯を設けたり、防音壁を設けたりして、できるだけの努力をやってまいったわけでございますが、やはりこの幹線道路周辺の環境問題を解決するためには、どうしても道路の外側の土地利用の誘導というようなことに手をつけなければ、なかなかうまい対策が立たないということで、先生のおっしゃいますように、来年度予算で初めてそういう方向に手をつけるということで、沿道環境整備基金というようなものを考えて、現在、要求中でございますが、何分にも新しい施策でございまして、いろいろ予算等も考えながら、徐々に広げていくというようなことでやっていかなければならないと思いますので、その場合の対象地域の選び方等につきましては、騒音の具体的なうるささを六十五ホンにとらえるか、あるいは六十ホンにとらえるかというようなことは、いま仮の数字として六十五ホンという数字もございますが、これにつきましては、今後もう少し具体的な個所に照らして、また実際われわれのやれる実力というようなことも考えながら、徐徐に努力して、先ほどの環境基準に合致するような方向で努力してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  251. 渡辺武三

    渡辺委員長 時間が経過しましたから、ひとつ。
  252. 土井たか子

    ○土井委員 これをもって終わりますが、確認をしておきましょう。  その特殊法人というのは、もう設立されたのですか。財源はもうはっきり確保されているのですか、いかがです。
  253. 浅井新一郎

    ○浅井説明員 これは五十一年度の予算で、そういう考え方で要求中でございます。
  254. 土井たか子

    ○土井委員 では終わります。
  255. 渡辺武三

    渡辺委員長 米原昶君。
  256. 米原昶

    ○米原委員 最初に通産省に聞きます。  本日の毎日新聞によりますと、通産省が五十年度排ガス規制の軽自動車への適用を延期する方針を固めた、こう報道されております。もちろん、これは運輸省が決定する事項でありますが、通産省の考え方として、五十年規制の軽自動車への適用をおくらすべきであると考えているのかどうかということを聞きたいのです。  また、こうしたことをメーカーの方から陳情を受けたのかどうか。この二点について答えていただきたい。
  257. 富永孝雄

    ○富永説明員 お答え申し上げます。  乗用車につきましてのHCの規制でございますが、ツーサイクルの軽乗用車につきましては、リードタイムをとりまして、来年の四月一日以降は五十年規制が適用されるということになっております。私ども、現在までのところ聞いておるところによりますと、HCの対策技術につきましては、まだ十分、対策技術として確立していないということを聞いているわけでございますけれども、この規制値の達成ということに向かいまして、関係省庁とともに技術開発を進めるよう業界を指導しているわけでございまして、私どもといたしましては、一日も早く達成のめどを得るということを期待しているわけでございます。  それから、先生お尋ねの第二点でございますが、そういう要望があったかどうかということでございますが、要望は、自動車工業会の方から、あるいはツーサイクルメーカーの、一部のメーカーでございますけれども、それの所在する地方庁等からの陳情がございます。
  258. 米原昶

    ○米原委員 来年の四月という予定をとってみても、これは普通車の適用がことしの十二月であるのに比べて、四カ月も繰り延べしたという事情があるわけであります。これについて一昨年の暮れにも、環境庁、運輸省、業界の言い分をのむと大きく活字で出た事件がありました。そのときにも私が、昨年の二月でしたが質問しました。当時の春日大気保全局長は、技術的にむずかしい問題がある、しかし、これは普通車に比べて一年、二年もおくらしたわけではなくて、わずか四カ月ということだという答弁をされまして、わずか四カ月おくらすのだから了解してほしい、そういう意味の答弁がありました。そういう経過から考えてみましても、よもや環境庁は軽自動車への適用を再度、繰り延べするなどということを考えておられないと思いますし、また、運輸省や通産省から打診があったとしても、首を縦に振ることはないと思いますが、その点を環境庁の方から明快に答弁しておいていただきたい。
  259. 小沢貞孝

    小沢国務大臣 いわゆるツーサイクルの問題、これは私の着任する二年ぐらい前の問題であったと思います。いろいろ当時の事情を聞いてみますと、自動車メーカー等のヒヤリングをやり、技術的な検討もやって、可能であろうということであの規制値を告示したと聞いております。ところが現実には、技術的にはなかなか容易でない、不可能に近いというような、ことにHCの点について、そういう面がありまして、御承知のとおり大部分のメーカーではツーサイクルをあきらめてフォアサイクルに転換をする、いわゆる転換というよりも、生産をやめてしまうというような思い切った措置をとっておるわけでございます。それを見ましても、技術的に不可能だから、そういうことになったわけでございますので、その当時の技術的な検討というものが、どの程度どういうふうに行われてきたかという点を、私、着任してから、そういう問題があるということを聞きまして、いろいろ調査をいたしておるわけでございますが、いまのところは来年の四月からイレブンモードで、あのHCについては非常に厳しい基準になっておるわけでございまして、いろいろな労働問題、雇用問題、倒産問題その他もありますので、この生産会社を抱えた地域にとりましては非常な大きな問題で、そういう実情の開陳等、陳情といえば陳情でございますが、そういうものもございました。私どもとしては、HCの問題がいろいろ環境に及ぼす影響等も考慮し、また現実には、そういう技術的に不可能な問題でございますので、どういうようにすべきか、四月まで猶予期間があるわけでございますが、目下真剣に、先ほど、ちょっとほかの問題で申し上げた技術検討委員会先生方にも御検討願っておる、かような状況でございます。
  260. 米原昶

    ○米原委員 そうすると、環境庁もまだ態度が明確でないですね。ともかく決まっていることだし、一部の業者はできている面もあるわけですよ。それを簡単に、こういう一度延期したものをまた延期するというようなことをやられるということになると、絶対これは承服できないですからね。その点、もっと明確に答弁できないのですか、環境庁
  261. 小沢貞孝

    小沢国務大臣 明確になっているのは、御承知のように来年の四月までということになっておる、これが明確になっておるわけでございます。ただ、現実問題として技術開発がそこまでいってないわけでございますから、その辺のところをどういうように考えていくか。これは環境庁が考える問題では、もちろんありませんで、雇用問題なり、あるいは経済全体の、地域の中小企業全体のことの問題なり、その会社自身の問題なりというようなことについては、これはもう通産が考える問題でございますが、技術的に絶えず開発状況をチェックしまして、これを評価していくという役割りは、私の方の役割りなものですから、先ほど言いました検討委員会で、その状況の検討を進めている、こういうことでございます。私の方のあれは、変更しない限りは、御承知のとおり来年の四月からは、もうあのイレブンモードの基準どおり実行する、こういうことになっているわけでございます。
  262. 米原昶

    ○米原委員 これを決める直接の責任者は運輸省なわけですが、運輸省はこれを決める責任者として、ことしの春のわが党の不破議員が取り上げた業界と癒着の問題、非常に運輸省の場合強いということが、あのときにも暴露されました。その点でも私は非常に心配しているのです。この問題では自動車業界政府の醜い癒着があって、国民はこの点に強い不信を抱いております。これは絶対に後退が許されない問題だと私は考えます。国民の健康を守るためにも、どうしても予定どおり実行する必要があります。もう一度ひとつ、この点について運輸省の考え方を聞いておきたいと思います。
  263. 田付健次

    ○田付政府委員 ツーサイクルの問題でございますが、私どもの方にも地域の団体から、経済的に非常に大きな問題であるという旨の陳情は受けております。先ほど先生からお話がありましたように、実施時期につきましては運輸省の所管ということでございますが、問題の処理の仕方として、基準値をどうするか、実施時期をどうするか等、いろいろな見方があるかと思いますが、ツーサイクルのHCの問題につきましては、先ほど先生からも御紹介がありましたように、当初からやはり問題が多少ありまして、ほかの車と少しずらして、四カ月だったですか、時間を与えているというくらいでございます。したがいまして、この問題の解決にメーカー側の技術開発が十分いけるように、私どもとしては督促をしている最中でございますが、いまのところ、なかなかむずかしいというような状況のようではあります。しかし、私どもとしては、この問題については先ほど来の経過がございますので、慎重に対処していきたい、こういうふうに考えております。
  264. 米原昶

    ○米原委員 では、次の問題に移ります。  先般の六価クロム汚染問題に続いて、今度は塩ビモノマーによる悲惨な実態が明白にされてきました。六価クロムにしても今回の塩ビモノマーにしても、古くからその人体影響が知られてきたにもかかわらず、非常に不十分な対策で多くの犠牲者を出してきた企業と政府責任は非常に重大だと思うのです。この問題は労働衛生上の問題にとどまるだけでなく、公害環境問題としても重要であります。六価クロムでは、産業廃棄物の問題として重大な問題となっておりますが、塩ビモノマーでも七日に新潟で開かれた大気汚染研究全国協議会で、日本ゼオンの高岡工場の周辺の塩ビモノマーによる汚染が報告されたわけでありますが、この点について環境庁の見解をまず聞きたいと思います。
  265. 橋本道夫

    ○橋本(道)政府委員 先生から御指摘のございました新潟の大気汚染研究協議会で、横浜国立大学の加藤助教授が塩ビモノマーの測定法と測定法に絡んで地域の調査をしたデータを公表されたわけであります。環境庁におきましても、四十九年一月にアメリカが例の肝臓の血管がんの報告をし、六月にスプレーを回収するということの措置がありまして、十二月から早速、塩ビモノマー環境汚染実態把握するにも、大体、測定法が従来、非常にはっきりしていない。これは非常にむずかしい、技術的に非常に高度の測定法を必要とするということで、昨年はもっぱら測定法につきまして調査研究をいたしたところでございまして、環境庁の関係で研究をいたしましたところも、加藤先生に前後いたしまして測定法の研究報告を新潟でいたしております。そういうことで測定法がほぼはっきりいたしましたので、今年度はこの測定法の検証を兼ねまして、かなり広い範囲に工場調査をするということで、私たちは対応いたしたいというぐあいに考えておるわけでございます。
  266. 米原昶

    ○米原委員 この塩ビモノマー製造工場は、クロムの製錬などとは違って、全国で四十工場近くあって、非常に数が多いわけでございます。また、本日の報道によりますと、日本ゼオン高岡工場付近のほかに千葉県市原市の塩ビ使用生産工場付近で、高岡と同程度の濃度の塩ビモノマーが検出されたと報道されております。環境庁としては、早急に調査研究体制を整えて環境調査を行うとともに、必要があれば付近住民の健康調査も行う必要があるのではないか、こう思いますが、この点についてはどうでしょう。
  267. 野津聖

    ○野津政府委員 ただいま大気局長からも御説明がございましたように、微量の塩ビモノマーの検出というのは、非常に大きなむずかしい問題になっている状態でございます。ただ、労働環境におきましては、御指摘のございましたような健康被害というものが出ているわけでございますので、私ども、その点に着目してまいりたいと考えておるわけでございますけれども、まず汚染実態というものの調査が先行するというふうに考えておるわけでございまして、その結果、非常に微量な問題がどのような影響を及ぼすかということは、非常にむずかしい面であろうかとも思いますし、また、住民の健康調査を実施するにいたしましても、どの点に着目して健康調査を実施すべきかという非常にむずかしい問題もかんでくるわけでございます。いずれにいたしましても、この工場周辺大気汚染の状況というものを把握した結果に基づきまして、私どもも、住民が一体どういうところに健康の問題が出てくるかということも前提としながら、検討してまいりたいと考えております。
  268. 米原昶

    ○米原委員 最後に、今度は六価クロムのことをちょっと聞きますが、六価クロムによる環境汚染も、産業廃棄物だけではなくて、煙突から排出されるクロムによる環境汚染もあります。また日本電工の徳島工場では、四十五年に事故を起こして、付近住民が大量のクロムを吸い込み、人体被害を起こした。このことは、この委員会でも話がありました。こうしたクロムあるいは塩ビモノマーによる大気汚染について、現在の大気汚染防止法規制が可能かどうかということを伺いたいのです。
  269. 橋本道夫

    ○橋本(道)政府委員 いま先生の御質問のございました、クロムとか塩ビモノマーというものが現在の大気汚染防止法規制が可能かという点でございますが、現在の大気汚染防止法の中で、法律上の手段といたしましては、有害物質というものに政令で指定するという手段が一つございます。それから有害物質につきましての排出基準がまた別にございます。その二つによって現在の大気汚染防止法でこれを規制するということが可能でございます。  そういうことでございますが、クロムにつきましては、先生いま、ちょっとおっしゃいましたので申し上げますが、現在、四十六年に排出基準が非常に強化されまして、これは焙焼炉と乾燥炉でございますが、それ以前の排出基準の三分の一という非常に厳しい排出基準をかけておりまして、現在そのクロム工場の周辺等も調査をしておりますが、少なくともいままで得られたデータでは、周りでの大気汚染に関連する問題は、これで十分防げているということでございますが、ことしの調査の結果を全部見まして、もう一度この点はよく注意深く対応いたしたいと思います。  塩ビにつきましては、いま申し上げましたように、昨年度その分析法の研究調査をいたしまして、今年度その検証と、それから少し幅広く調査をするということをいたしまして、来年度、特別に予算を要求いたしておるわけでありますが、塩ビ工場の発生源と周りの環境、また規制をやる場合の具体的な諸点をはっきりつかまえるということで、来年度の調査で大体すべての調査を完結をするということでございますので、その調査をもとにして、この特定物質に規定をして、排出基準をかけていくかどうかということをやりたいというぐあいに、私どもは考えておるわけでございます。
  270. 米原昶

    ○米原委員 いまおっしゃった十七条に書いてある特定物質ですが、「特定物質に関する事故時の措置」として、特定物質を発生する工場で事故の起きた場合に、都道府県知事が必要な措置をとらせる命令権などが書いてあります。現にクロムでは事故が起きて、付近住民に明白な健康被害をもたらした事実にもかかわらず、このクロムは特定物質として指定されているのですか、まだ指定されてないでしょう。
  271. 橋本道夫

    ○橋本(道)政府委員 いま先生の御指摘の点は、前のばい煙規制法のとき以来、踏襲している事故時の措置の問題でございまして、それでは排出規制そのものはかかりませんで、事故の起きたときの措置だけでございます。私がいま申し上げましたのは、大気汚染防止法の第二条の三号にございます「政令で定める」という有害物質というものがございまして、そうして第三条の排出基準の第二項の三号の、有害物質につきまして「有害物質に係るばい煙発生施設において発生し、排出口から大気中に排出される排出物に含まれる有害物質の量について、有害物質の種類及び施設の種類ごとに定める許容限度」、これでクロムとかあるいは塩化ビニールというものの、特定の物質の基準を設けてございます。先ほど申し上げました焙焼炉と乾燥炉でございますが、これはクロムとして基準を設けておるわけではございません。クロム以外のものもこの中に入ってまいりますが、その基準が相当厳しい基準になっておりまして、その基準がかかってまいりますと、ばいじんの中にクロムが入っているのが、これはクロムの製錬施設等にあるわけでございますが、そういうところから排出されるばいじんも非常に厳しく規制をされておる。したがってクロムとして特定をして規制はしてないが、ばいじんの規制として厳しい基準をこうむっておるので、それで周りでは現在までのところ、大気汚染そのものとしてのクロムの高濃度のものは、まだ問題になる濃度というのは、幾つかの工場にあらわれたものでは、いままではなかった、こういうことを申し上げたわけでございます。
  272. 米原昶

    ○米原委員 実際には、たとえばクロムについては山口県や徳島県は一応、排出基準を決めているようですね。国としても、いま言いましたクロム塩ビモノマーについて、もっと明確にした方がいいのじゃないですか。やはりこれは環境基準もつくるべきじゃないか。というのは、一般的にはないかもしれないけれども、しばしば事故が起こっておりますし、事故が起こったときには実際に住民被害を与えた例はかなりあるわけですから、そういう意味では、やはり早急に環境基準と排出基準を検討すべきだ、こう考えますが、この点どうでしょうか。
  273. 橋本道夫

    ○橋本(道)政府委員 いま先生の御指摘のございましたように、私ども、この物質は重視をいたしておりまして、クロムの問題の起こる前から、クロムにつきましての汚染あるいは影響、発生源の実態等につきましての資料収集をいたしておりまして、それによって排出基準もしくは環境基準と、必要性があればこれに対応しようという準備を進めておるところでございます。ただ、先ほど申し上げましたように、クロムの施設ということでは、ばいじんとして非常に厳しいものが四十六年度以降かかっておる。徳山のケースもそうでございますが、それ以上なおかつやることがあるかどうかというところが一つの問題点でございます。  それから塩化ビニールにつきましては、これはクロムと様子を異にしております。気体でございますから、そのような一般的なもので、かかっているものはございません。そういうことで、これはいま申し上げた有害物質として規定をして排出規制をかけるということは、非常に大事な具体的な検討問題であるというぐあいに私ども認識しておりまして、汚染や影響の文献を集めるとともに、昨年から分析、ことしから実態、来年最終調査ということで、それによって規制を、いまお話のあった排出基準あるいは環境基準というようなものを設けていくかどうかということを検討する材料になりますが、非常に規制を要する物質であろうというぐあいに私どもは考えております。
  274. 米原昶

    ○米原委員 では六価クロムの問題について、さらに若干聞きたいと思います。  この六価クロムの問題では先日来、非常なやかましい問題になって、ようやくその被害実態などが明らかにされて、鼻中隔せん孔も労災の認定を受けるなど、多少の改善措置がとられてきましたが、産業廃棄物の問題や、あるいは北海道栗山、東京小松川などでは非常に大きな問題がまだ残されております。そうした意味で、北海道の日本電工栗山工場の問題で二、三伺いたいのです。  まず初めに、栗山工場退職者の問題でございます。実はこれをちょっと見てもらいたいのです。これは栗山工場から退職後、いまなお苦しんでおられる人の足と手です。この写真は治療の結果、相当よくなったものです。クロムに食われて手も足もぐちゃぐちゃになったが、やっとこさ、ここまで治った、こういうところです。このようにクロムによる被害はまことに悲惨なものであります。それにもかかわらず、こうした傷について何らの補償も受けられずにいるわけであります。こういう点について、労働省の見解を伺いたいのです。  つまりこうした傷についても、これは業務上のものであることは疑いの余地のないものでありますから、当然、業務上の認定をすべきです。鼻中隔せん孔については、労働省から通達が出されて、積極的に認定の申請も行われ、認定もされてきておりますが、こうした皮膚炎についても労働省として積極的に認定の申請をさせるように、申請がなければ認定がないのでしょうから、申請させるような指導をやるべきじゃないだろうか、そして認定を推進すべきじゃないか。この点について労働省に見解を聞きたいと思います。
  275. 中西正雄

    中西政府委員 クロムの障害につきましては、決して鼻中隔せん孔だけではないわけでございまして、先生ただいま御指摘の皮膚炎その他、潰瘍につきましても、クロムによって障害が起きるわけでございまして、それが業務と因果関係があれば、これは当然、補償の対象となるわけでございます。労働省としては、ただいま、そういった方方の中で、まだそれが業務上の疾病であるという認識のない方もあるということを聞いておりますので、積極的に労災申請をするように指導をいたしております。
  276. 米原昶

    ○米原委員 さらにもう一問、労災について聞きますが、この北海道のクロム製錬工場に五年以上働いた人については、手帳が配られて健康診断が年に二回行われております。実は五年以上というのも問題だと私は思っておりますが、年に二回では少な過ぎるというのが、私、北海道現地に行ってお医者さんたちの意見も聞いて、わかったことなんです。つまり、ある患者の人が診断を受けた。年に二回です。八月に診断を受けて、そのときには全然、肺がんの気もないという診断。三カ月後に、もうこの人は肺がんで死んでいるのです。そういうような事態もありまして、これは年に二回ではまずいのじゃないか、少なくとも年四回にする必要があるのじゃないか。これはこれに当たった医師の意見だったわけであります。年二回では、発見したときには、すでに手おくれになってしまう。年四回にする必要があると思いますが、この点、労働省、どう考えられますか。
  277. 中西正雄

    中西政府委員 健康診断の回数の問題でございますが、健康診断の項目、回数等につきましては、最新の医学の知見を取り入れまして、専門家の御意見に基づいて定めているものでございます。鼻と皮膚の障害につきましては、従来は高濃度の暴露によりまして、短期間でも障害が発生する、進行するということがございましたけれども、現在は作業環境が一般に改善されておりまして、暴露量が少なくなっておりますので、障害発見のためには年二回で十分であると考えております。  なお、ただいま御指摘の肺がんにつきましては、ごく初期の肺がんの的確な発見方法というものは、まだ開発されていないという問題もございます。したがって、特定化学物質等障害予防規則では、第一次の項目としましては、胸部のレントゲン撮影を行いまして、異常の認められる者については、第二次健康診断で、断層撮影とか気管支造影等の特殊なエックス線撮影による検査、さらには気管支鏡検査等の精密検診を行っております。健診受診者の放射線被曝を少なくするというようなことも一方では考えなければならない。また受診者に与えるそのための苦痛とか障害、そういうものはできるだけ少なくすることも考慮しなければなりません。加えて、この治療及び予防を左右する期間は六カ月であるという御意見等もございまして、年三回と定めているのでございます。ただ今後、これらの問題につきましては、最新の医学の知見に基づきまして、必要があれば所要の改正を行うことについては当然のことだと考えております。
  278. 米原昶

    ○米原委員 その点について、現地に行ってみますと、栗山町というところは田舎町ですから、日赤の栗山病院というのがありますが、そういう肺がん対策なんかやれるような設備も機械もないわけなんです。そのために札幌まで出かけていかざるを得ないのですが、問題は、いまおっしゃったのを聞いてみましても、やはりそれに対応できるような診療の体制ですね、こういうものがおくれておるのが最も大きな原因かもしれません。北大の医学部は積極的に協力は惜しまない、こう言っておりますけれども、一番肝心なのは、この栗山町にある日赤栗山病院に、もっと機械や器具、設備をそろえる。医師を入れる、そういうことが肺がん対策としては一番大切じゃないかということを痛感しました。その点で、国と企業の責任で、そういう設備をああいう場所につくるということをぜひ考えていただきたいと思います。この点どうでしょう。
  279. 中西正雄

    中西政府委員 日赤栗山病院では、これまでクロム製造従事者の肺がんの発見とか、あるいは治療を受け持ってきておりますけれども先生おっしゃるとおり、北海道大学との連携によって行っているのが実情でございます。御指摘のように、できるだけ近いところで十分な健診なり治療が受けられるということが、労働者にとっては非常に重要なことでございます。問題のクロムによる肺がんの健診につきましては、第一次健診は設備上の制約はございませんけれども、先ほど申し上げましたように、第二次健診は非常に精密ないろいろの検診を必要としますので、現在の日赤栗山病院では必ずしも設備が十分でないというようなこともあるように伺っております。この日赤病院について設備能力の整備が十分に整うことを、私どもは期待しているのでございますが、実は労働省としましては、近くの岩見沢労災病院もございます。その病院の今後の整備計画等との関連もございまして、日赤栗山病院について、どの程度の指導をすべきかということについては、まだ決定をしておりません、そういう状況でございます。
  280. 米原昶

    ○米原委員 最後に環境庁に、ちょっと重大な点があります。これを聞きます。  この六価クロムの問題で北海道栗山町に行ってみますと、汚染者負担の原則に基づく公害対策という点で、非常にあいまいではないか。北海道の栗山町の汚染対策については、四十六年から五年間にわたって栗山町は、町だけが五千四百万円の費用を持たされているわけであります。そして企業は最後になってから、やっと出すようになりましたが、わずかに九百七十八万円です。町の方が五千四百万円持たされている。どうしてそうなったか。初めのうちは、四十六年から四十八年まではすべて町の予算で賄っていたわけで、四十九年からようやく三分の一だけ企業が負担するようになった。これは先日この委員会に来ました町長も、あのときにしゃべっておりましたし、そのときの日本電工の社長のこの委員会での発言によると、栗山町の六価クロム汚染対策協議会、この協議会でそういうふうに決定したので、会社側も三分の一出すことになったのだというふうに、その協議会の決定だから私は払っているのだという態度でした。責任のある汚染者の方が自分で出すという態度でなくて、協議会で決まったからやっているのだ。ところがこの協議会の構成ですが、これはどうなっているか御存じですか。これには環境庁が入っておるのですよ、それから通産省の北海道の通産局ですか、こういうのも入った協議会で、汚染者負担の原則が何だかゆがめられている。そうしてわずか三分の一しか出してない、こういう実情です。だからこの言い分を聞いていますと、まるで環境庁通産省のお墨つきで、わずかそれだけしか払わなくてもいいということにされている、こういうことなのです。町の予算を見ますと年間大体十億円くらいな予算なのです。そんな町にこんな費用を片っ端から払わせる、持たせるというのは大問題だ、こう思うわけですが、長官どうでしょうか。
  281. 小沢貞孝

    小沢国務大臣 私も前回ここで町長さんが皆さん方に財政上の問題の苦衷を訴えられておりますこと、速記録で承知をいたしております。小さい町でございますから大変だった、だろうと思います。  問題は、結局、埋め立てが行われたときのいろいろな事実関係、それから現在の土地所有者、いろいろ変わっておるものですから、その土地所有者と会社責任の関係等、やはり単純に汚染者負担の原則というものが適用できないような民法上の問題でございますので、そういうような観点から、やはり当事者同士が話し合いをしまして円満に解決をする。その際、企業側としては当然、社会的な責任というものを十分踏まえて、理解ある態度を示すべきだ。基本的にはそういう考えでございますが、恐らく、私まだ調べていませんけれども、それだけ一つの町が公害対策につぎ込んでおるという場合に、特別交付税等の問題も算定基準の中にそれを入れて、自治省から特交の交付のときに配慮をして、恐らく道も相当力を入れてくれておったのじゃないかと思いますが、いずれにいたしましても、クロムの問題が従業員工場内だけでなくて住民に及ぼす影響を特に考えまして、河川対策だとか、あるいは学校の敷地の防護措置だとか、その他いろいろやる場合に、それをどういうふうにしていくか。やはりクロムの問題は、産業廃棄物規制以前の問題等がありますと、当然これは民事上の問題になる。それから産廃の法律の責任というものが、現行法でいろいろ不備な点も大分ありますので、そういう点から主として民事上の争いの問題になるわけでございますので、私どもとしては、企業の社会的責任を考えていただいた上での円満な話し合いの解決を望む以外にはないわけでございます。  ただその場合に、公共団体に対する後始末については、自治省とも相談をして、特交なりその他の措置で、できるだけ貧弱な町村については考慮を願うように、私どもも十分連絡し、配慮するように努力をする、これ以外にはないのではないかという感じをいま持っておるわけでございます。法律以前の問題で民事上の問題になりますと、やはりそれぞれの対応がみんな違ってきている点もございますので、一律に企業者負担ということで押していくことに無理がある事例がございますものですから、現実の問題の解決をいろいろな角度から考えていかなければいかぬのじゃないか、かように考えておったわけでございます。
  282. 米原昶

    ○米原委員 そういういろいろな事情があるということは、私そんなには知りませんが、ただ環境庁としては、これは相当責任がある問題じゃないかと思うのです。というのは、四十七年の三月に水質保全局の水質規制課の課長補佐外二名の方が現地調査に行かれて、そして六価クロムの鉱滓による公害問題は、具体的に環境庁ではもう四年前に知っておられたはずなんです。小松川の鉱滓も野放しになってきておりますが、小松川よりももっと前からわかっていたのです。そういう点では環境庁もかなり責任があると思うのです。ところがその環境庁通産省、北海道庁などと一体になって、私は北海道の道の当局者に聞いたのですが、企業が三分の一負担しているのすら企業の義務的な負担ではなくて、好意でもって出していただいているのだ、こういう話なんです。この公害に対する態度というものは、全く十年前のスタイルじゃないかという感じがしました。全く前近代的なやり方なんです。当然、原則から言えば、これはもう四十六年にさかのぼって一切、企業負担で出すべき性質のものだと私は思っております。公害防止事業費については公害防止事業費事業者負担法があるわけです。この法律によれば、こうした六価クロム対策事業は第二条第二項第二号の事業に該当するわけで、同時に第七条の規定でこの事業費の全額、少なくとも四分の三は企業に負担させることができるとなっておるわけです。それが三分の一しか負担していない。初めのうちは全然負担していなくて、全く不合理だと思うのです。いまおっしゃったようないろいろな事情も入れなければならぬけれども、それにしても余りにも不合理だ、こういうことを感ずるわけです。当然、原則としてこの法律に基づいてやる。もちろんいろいろな事情による例外の規定はありますけれども、当然そういう態度で臨んでいただきたいということなんです。この点どうでしょうか。
  283. 小沢貞孝

    小沢国務大臣 当時、協議会に私ども参加したというお話、それはいま申し述べられましたその法律の精神で参画をして、埋め立て当時の事実関係や所有者と会社責任問題や、いろいろな点がなかなかめんどうな問題もあるけれども、とにかく出しなさいということで、恐らく三分の一の負担というものが決まったのじゃないかと思うのでございます。なお今日、道が中心になりまして会社とも交渉中のようでございます。これらについて、できるだけ企業が社会的な責任を考慮して、ひとつ前向きに話し合いに応ずることによって、この問題が解決することを私ども期待しているわけでございます。
  284. 米原昶

    ○米原委員 この会社は、御存じでしょうが、もう徳山の方に引っ越して地元にはいないわけです。ではその後始末をどういうことをするか。地元にある子会社、電工興産という別の会社です。それに窓口をつくって、それが話し合いに応じるというのだけれども、全然話し合いにならないのです。というのは責任者じゃない。一々、徳山の本社と相談しなければ、何も答弁できないというような態度でして、いろいろな被害者の会ができておりまして交渉をやっているけれども、一向らちが明かないのです。さっきも出ました労働災害の問題でも、被害者の会で取り上げて、労災の認定を受けるようにしようという動きにもなっているわけですけれども、てんで実際上は交渉に応じてないような状態なんです。この点、会社に対する態度が、北海道庁にしましても環境庁にしたって非常に甘いように私は感ずるのです。わずか三分の一しか金を出してないというような状態もけしからぬけれども、非常に態度が甘いのじゃないか。当然、被害者に対してはやはり責任ある回答ができるように、会社もそういう姿勢をとるべきだと思うのです。ひとつ環境庁の方、通産省の方にもお願いしたいのですけれども、もっと責任ある人を現地に、少なくとも子会社があるわけですから、その会社に置いといてもいいのですよ。問題は、責任ある話し合いのできるような体制を会社にとらせるべきだ、私はそう思うのです。事件が起こってからも、社長が一回行って町長とちょっと三分間ぐらい会っただけで、会社責任者はあそこの町へ行っておわびもしていないのです。そういう点で非常にまずいと思うのです。そういう行政指導をしっかりやっていただきたいということを申し上げまして、私の質問を終わります。
  285. 渡辺武三

    渡辺委員長 坂口力君。
  286. 坂口力

    ○坂口委員 塩化ビニール障害につきましては、けさからも何人かの人からすでに取り上げられまして、多くの議論をされましたが、できるだけ重複を避けて、二、三の点にしぼりましてお聞きをしたいと思います。  一つは、塩ビ関係の会社で働いてお見えになります皆さん方の健康診断についてでありますが、健康診断のいわゆる診断基準と申しますか、これが非常に新しいものであるだけに、むずかしいことはわかるわけでありますけれども、ここに一つ問題がありはしないかと感じるわけであります。先日、名古屋の三井東圧にお邪魔をいたしまして、先生方にもいろいろお聞きをいたしましたけれども、やはり塩化ビニール障害に対する健康診断のむずかしさというものを取り上げてお見えになるわけであります。これは労働省の管轄になろうかと思いますが、現状及び問題点をどう把握しておいでになるか、一言先にまず伺いたいと思います。
  287. 中西正雄

    中西政府委員 お答えします。  先生指摘のとおり、肝臓の血管肉腫等の健診、それを診断するということは非常にむずかしい問題のようでございまして、現在労働省が決めております健康診断の項目につきましては、専門家会議を設けまして、諸外国の文献とか、あるいは規則等を参考にして、塩化ビニールによる障害発見に鋭敏な検査項目を研究していただき、一般的には、できるだけ多くの機関が実施できる、しかもできることなら一般のお医者さんでもできるというような検査項目を考えるわけでございますが、この塩化ビニールによる障害につきましては、必ずしもそうはいかないようでございます。非常に鋭敏な検査方法もあるようでございますが、問題は、何といいましても、それが特にすぐれた医療機関でなければできないというような、たとえばショックを起こすようなものであってはならないという観点で、現在の健康診断の項目等を決めておるわけでございます。先生のおっしゃるようないろいろな問題がありますので、私どもも今後とも専門家の意見を聞きまして、必要があれば所要の変更をすることもやぶさかではないわけでございます。
  288. 坂口力

    ○坂口委員 障害の中でも指端骨溶解症のように、外から見て何らかの変化があり、あるいはまたレントゲン等ですぐわかるものは存外、発見もしやすいのでしょうし、また気づくのも早いのだろうと思いますが、いまおっしゃったような、たとえば肝臓がんあるいはそれに類するものというようなものは、表面からはそう簡単にわからない。気づいたときにはかなり進んでいる、そういう式のものでありますから、特にそういう進んでしまわないとわからないというものについての検査というものがどうあるべきかということが非常に大事だろうと思うわけです。  それで、私もこの健康診断の項目をずっと見せてもらっているわけですが、先日、名古屋に行きましたときに、稲垣先生のお話を伺いましたところでは、この一次健康診断に出ている項目、こういったものが全然ないところに、この病気の一つの特徴がある、こういう話があったものですから、こういう一次健診の項目に入っているようなことでは気づかない、こういったものがないところにその特徴があるということになれば、非常に問題がありはしないか、こういうふうに思うわけです。  それから、いまおっしゃいましたものの中にもありましたが、これは肝臓の検査のBSPそれからシンチグラムという検査方法を稲垣先生がお挙げになりましたけれども、いずれにいたしましても、そう簡単にぱっぱっと済ませる検査ではないわけであります。私もそれほど専門ではございませんからよくわかりませんが、まあしかし、BSPという検査は、普通の肝臓の障害の人たちあるいは人間ドック等でも常にやられる検査方法でありますし、特別な機関でなければ、あるいはまた特別な技巧を要するというほどのものではないやに思うわけでございます。また、その半面において、先ほどおっしゃったように、中にはショックを起こしたりということも皆無ではないということも聞いておりますから、そういったことがもしも万が一にもありました場合には、その対応のできる場所でなければならないであろうと思いますし、また、そういうふうなことを起こしやすい人かどうかということをチェックしてから、やらなければならぬということもあるのだろうと思います。その辺のところは、検査でありますから、非常にむずかしい問題もつきまとうとは思いますけれども、しかし、もう少し何か考えられていいのではないか。もう少し皆さん方の英知を集めて、健康診断の項目というものを、これは決めていただくべきではないか、こういう気がするわけであります。特に、この問題に精力的に研究をおやりになりました稲垣先生あたりから、そういうお言葉が出るところを見ますると、ここに早急に一考を要するのではないかという気がするわけであります。ひとつ、このことにつきましては診断基準というものをもう少し早急にお詰めをいただいて、そしてあらゆる病気がより早く、もしもありとするならば発見ができる体制を確立をしてもらいたいと思うわけです。これは要望でございますが、ひとつ御決意のほどを伺って、この問題は終わりたいと思います。
  289. 中西正雄

    中西政府委員 先生のおっしゃるとおり、がんにつきましては、何といいましても早期に発見するということが非常に大事でございますので、健診のやり方等につきましては、今後とも十分検討してまいりたいと考えます。
  290. 坂口力

    ○坂口委員 それから労働省の方に、もう一つついでにお聞きをしておきたいと思いますのは、この職場で働いておいでになる皆さん方がいろいろの装具をつけられる。たとえば、塩ビの職場でありますと、宇宙服のようなものを着ておやりになっているような写真もちょうだいしましたし、事実こういうようなものも見せていただきましたが、存外に、こういう職場は悪いと知りつつも、しかし、こういうふうなものをつけて作業をするということが非常に何と申しますか、仕事がやりづらいということがありまして、労働者は、ややもいたしますとつけずにやりがちになるものです。たとえば、こういうようなものではなしに、騒音職場でただの耳栓一つにいたしましても、なかなかやらないという現実があろうかと思います。労働する人たちは、ただ、そのときの労働条件、そのときの労働のしやすさということの判断によって、そういうふうに流れがちになるのであろうと思いますけれども、長い目で見ました場合に、こういう恐ろしいことが起こるということであれば、これは衛生教育等が徹底して行われなければならないと思いますし、この三井東圧等におきましても、もしも、そういう衛生教育等が徹底して行われていたとしたら、今日とはまた違った結果が生まれたのではないかということも思うわけでありますが、その辺の指導というものが十分に行われているのかどうか。もしも、何か意見がございましたら、ついでですので一言だけで結構です、お伺いいたしたい。
  291. 中西正雄

    中西政府委員 職業性疾病を予防するにつきまして、保護具を使用するということは非常に重要な一つの手段でございます。ただ、御指摘のように、保護具をつけますと非常に暑いとか苦しいとか、仕事がやりにくいというようなことがございますので、それをいかにして解決するかというような点が、御指摘のとおり大変重要な問題と考えております。  そこで一つは、やはり障害を絶対受けないという基本的な線は貫かなければなりませんので、少少暑くても苦しくても、必要な場合には保護具をつけていただくということを基本的に考えております。そのために当然、労使の間で、それでは労働時間をどうするのか、あるいは賃金をどうするのかということで解決していくべきものだというふうに考えているのでございまして、塩化ビニール合成かまの中に入って作業する時間でございますが、現在、大体一回十五分から三十分程度のようでございます。そうして一人当たり一カ月間にそのかまに入る回数というものは大体二十回程度と聞いておりますので、恐らくいま申し上げたような観点から、労働時間を短くし、かまの中に入る回数を少なくするということで、苦痛の点は補っているのではなかろうかと考えております。  なお、さらに保護具の使用等を徹底させるために、安全衛生法に基づく特化則におきましても、この作業につきましては作業主任者の指揮のもとで行わせるということにしておりますし、また従事労働者については特別の教育をして、障害を受けないように作業する教育を十分に徹底させるようにいたしているわけでございます。
  292. 坂口力

    ○坂口委員 それから現場でもう一つ聞きました話の中に、塩ビの問題は、ただ塩化ビニールモノマーあるいはポリマーという物質だけではなしに、それを製造する過程において、水銀でありますとか銅でありますとか、いろいろの物質を添加するわけですね。それによる被害というものも否定はでき得ないという話が先日ございましたけれども、これは厚生省の方になるのでしょうか、労働省管轄になるのでしょうか、わかりませんが、この辺の複合汚染あるいはまた添加する物による影響というようなものは考えられるのかどうか、この辺のところについての検討もなされているかどうか、ひとつ重ねてお伺いをしておきたいと思います。
  293. 中西正雄

    中西政府委員 モノマーポリマー製造工程では、御指摘のような問題はないのではなかろうかと思いますけれども塩化ビニールの可塑剤としまして鉛の化合物を使うというようなことがございますので、その面ではやはり問題があるというふうに考えております。
  294. 坂口力

    ○坂口委員 それじゃこの問題、これだけにいたしまして、もう一つは、塩ビとかかわり合いのありますスプレーの問題でございますが、これは先日、参議院の予算委員会でも取り上げられたようでございますけれども厚生省の方は薬務局長さんより都道府県あてに、スプレー殺虫剤の回収の通達を四十九年六月五日付でお出しになっておるわけであります。その後のいろいろの調査によりますと、千九百万本ぐらい回収されたというふうに聞いておりますが、中には不法投棄の例もあるということもお聞きをいたしておりますが、その後、この約二千万本近くに及びます回収されましたスプレーが、一体どうなっているのか、そして今後これをどう片づけようとされているのか。これは長い間このままで捨てておきますと、環境汚染の原因にも結びついていくものだというふうに思いますが、その点どうなっているか、ひとつお答えいただきたいと思います。
  295. 代田久米雄

    ○代田説明員 確かに昨年の六月に塩ビモノマー入りの殺虫剤の回収を指示いたしました。これは先生方御承知のとおり、要するにモノマーの人体に対する被害ということで、急遽、回収をしたわけでございますが、約二千万本近い殺虫剤が現在メーカーの倉庫に保管をしております。  これのあとをどうするかという御質問でございますが、回収いたしました直後から、要するに、関係業界におきまして塩ビスプレーの対策の協議会を設置いたしまして、いろいろ技術的な検討を進めてまいりました。また厚生省自体も、科学技術庁から研究費の支出をいただきまして、これを委託研究といたしまして、塩ビモノマーの処理につきまして研究を進めてまいりまして、現在その処理の方法につきましては、ほぼめどがついてまいりましたので、現在、業界の関係で、その具体的な方法について検討を進めておるという段階でございます。
  296. 坂口力

    ○坂口委員 そういたしますと、これを処理する方法、これはいろいろあるのだと思いますが、いわゆる処理方法としてはもう決定したということでございますか。こういう方法でこれを処理するという方法は、もうすでに決定されたということでございますか。
  297. 代田久米雄

    ○代田説明員 まあ決定というふうなことではございませんけれども、メーカーの中に技術委員会がございまして、そこで安全な、かつ公害を出さないような方法でやるということで、技術委員会の検討は進んだという段階でございまして、これを現実的に具体的な装置としてつくらなければいけませんので、その検討が現在、進められておるという段階でございます。
  298. 坂口力

    ○坂口委員 もう一問だけ。そうしますと、業者の方の開発が進んで決定されたというのではなしに、そのことが、それによって十分解決ができるというふうに厚生省自身としてお考えになったと、こういうふうに理解してよろしいですか。
  299. 代田久米雄

    ○代田説明員 まあ厚生省自身も、研究費まで国費で投入いたしまして、いろいろ検討を進めたわけでございます。それから、それ以外にメーカーも考えたいろいろな方法がございまして、これまで幾通りの方法も検討いたしました。その結果、技術的にこれが最もいい方法であるという方法を二つほど選定をしたという段階でございまして、現段階では、この方法が最もいいんじゃないかというふうに考えておるわけでございます。
  300. 坂口力

    ○坂口委員 その二つの方法というのは、もう発表できますか。
  301. 代田久米雄

    ○代田説明員 現在検討が進められてまいりました方法は、一つは塩素化法と申しましょうか、いわゆる塩ビモノマーに塩素を付加してこれを回収する方法でございます。これへ塩素をつけますと、トリクロルエタンという形で、これは液体で回収できますので、この形で塩ビモノマーを回収したいという一つの方法がございます。  もう一つは、水中燃焼法というふうにわれわれは呼んでおるわけですが、そういう方法でございまして、これは水中で空気とともに吹き込みまして燃焼させる。そして塩ビモノマーが燃焼いたしますので、その燃焼物を回収をするというふうに考えておりまして、いわゆる塩素につきましては塩化カルシウムの形で回収をするという方法でございます。
  302. 坂口力

    ○坂口委員 きょうは消防庁の方にお越しいただくのを忘れたのですが、消防庁からいただきました資料によりますと、昨年四十九年の十二月二十日現在でありますけれども、約一千百万本ほどの貯蔵本数について調べられておりますところを見ますと、無許可で貯蔵している場所というのがかなりある。約四割くらいは、いわゆる消防法にのっとって考えますと無許可のところにあるわけです。この辺のところにも大丈夫なのかという気がするわけですが、きょうは、ちょっと消防庁の方にお越しいただくのを忘れましたので、こういう問題もあるということだけ、ひとつ申し上げます。そのことについてわかりますか。わかりましたら。
  303. 代田久米雄

    ○代田説明員 その観点につきまして、私どもでちょっと調べた範囲でお答えを申し上げたいと思いますが、確かに消防庁の御調査では四十九年の末には千百二十万本ほどの数字が挙がっておりまして、私どもの方は現在、約二千万本近い数字把握しております。この差が非常に大きいではないかという御指摘がございましたのですけれども、実はこれが回収が始まりましたのが昨年の六月でございまして、昨年の暮れの段階は、まだその回収が非常に進みつつある時期でございました。そのために製造メーカーにとりましても最終的な回収が済まないで、いわゆる卸の段階であるとか、あるいは代理店の段階であるとか、そういった段階に一部のものがまだ保管されておったという状態でございまして、実は厚生省の方には、そういう段階のものも全部含めて報告をいただいておりましたけれども、消防庁の方には最終的に保管できたものということで、その途中の段階のものは報告されていなかったという事態がございまして、数字が食い違っておったわけでございますが、現在ではそういうことはないと思いますので、いずれの数字もその段階では正しかったというふうに考えております。(「質問の趣旨が違う」と呼ぶ者あり)
  304. 坂口力

    ○坂口委員 わからなければ結構です。その問題は、消防庁の方に言うのを忘れましたから、結構です。  最後に、これは環境庁の方にお聞きをしなければならぬわけですが、この塩ビの問題は、いわゆる工場内の問題として、労働衛生の問題として論じられるべきものかもしれませんが、しかし、これがその周辺の環境に対してどういう影響を与えるのかということも、これはよく考えておかないといけない問題だと思うわけであります。けさからの議論にもございましたし、うちの岡本議員も質問していたようでありますので、もうその辺のところ、同じことは繰り返さないつもりでありますが、ことしの十一月号の「自然」という雑誌に「化学産業とがん」というところがございます。これは米国の国立がん研究所が「エンバイロメンタルリサーチ」のことしの四月号に発表したもののサマライズみたいなものだろうと思いますが、これを見ますと、これは塩ビだけに限ったわけじゃございませんけれども、いわゆる化学産業地域と、そうでない地域とを分けまして、そしてがん等の発生率をずっと調べているわけでありますけれども、化学産業地域に有意にがんの発生率が高い。その中にいろいろの場所によるがん、たとえば胃がんでありますとか肺がんでありますとか、いろいろのものがございますけれども、大ざっぱに申しますと、そういう結果を出しているわけであります。  それでこの塩ビの問題が論じられます場合にも、その周辺において、たとえば肝臓がんなら肝臓がんがどうかというようなことを細かく見るということも、なかなか不可能でございますし、一般の病気との区別ということも非常にむずかしゅうございますし、そしてまた^その一、二の人を追っかけても、なかなか結論が出にくい問題ではないか。したがって、もう少しマクロ的にやはりながめていく必要がありはしないか。こういうふうな疫学調査等の中から、さらに塩ビなら塩ビによるものがどうかというようなことは、その後でしかわかってこない問題じゃないかというふうに思うわけでございます。そういう意味で私は、この塩ビの問題を含めまして、化学産業が存在します地域の住民の健康をこれから守っていくということから、この地域が本当にどういう状態になっているのか。米国の場合にも、大体二十年間の調査をしておる。人数も化学産業労働者を含めて三十五万人について調べている。かなり大きな調査であります。こういうことを同じことができる、できないは別にいたしまして、やはり長い目で、そしてより広く、これは調べていかなければならない問題ではないかと私は考える一人でありますが、環境庁の方で何らかそういうふうな計画をお持ちであるとか、あるいはまた、これは環境庁ではなしに研究所でありますとか大学あたりで、そういうふうな結果がすでに出ているものをお持ちであるとか、何かその辺のところに対するニュース等がありましたら、ひとつお示しをいただきたいと思いますし、また、なければ、こういうふうな方法を今後は導入していかないとならないのではないかという私の意見に対するお答えをいただければと思います。
  305. 野津聖

    ○野津政府委員 ただいま御指摘ございましたように、塩ビモノマーだけでなくて数多い化学物質があるわけでございまして、これのがん原性あるいは発がん性という問題は非常に重要な問題になってくると思います。それからさらには、従来までいわゆる職業環境の問題であったいろいろな問題が、周囲の汚染という形になってまいりますと、一般住民に及ぼします影響というのは非常に大きな問題でございます。したがいまして、一つの考え方でございますけれども、疫学的な物の見方で疾病というものを見るという手法は、当然、従来から環境庁もとってきた方法ではございます。  特にがんにつきまして申し上げますと、がんの研究につきましては現在、厚生省の方で一元的に取り扱っている状態でございまして、現在、環境汚染物質の発がん性に対しまして、まず第一番目に生活環境における化学的発がん因子の研究というテーマ、さらには大気汚染によります環境的並びに職業的肺がん、これは肺がんにしぼられておりますけれども、それに先行する病変についての共同研究という二つのテーマをもちまして、私どもの方から厚生省のがん研究費の方にお願いをいたしまして、研究の推進が行われているところでございます。したがいまして、ただいま御指摘ございましたように、全体の住民というものに対しまして環境汚染がどのような影響があるかという場合には、当然、疫学的な手法というものを取り入れていく必要があると思います。がんにつきましても、このような方法でやっておりますし、考え方としましては、疫学的手法で一般的な環境汚染に基づきます健康被害というものを把握していくような方法を、今後とも取り入れていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  306. 坂口力

    ○坂口委員 研究方法としてそういうふうな疫学調査あるいは疫学的研究というものを積み重ねていかなければならないというお話をいただいたわけですが、六価クロムでありますとか塩ビの問題でありますとか、こういった問題が表面に出てきているときに、認識を新たにして、そしてそういう方法を実際に環境庁なら環境庁が取り込んでいく、実践に移していくということがあるのかどうかということを、もう一歩進めてひとつお聞きをしたいと思います。
  307. 橋本道夫

    ○橋本(道)政府委員 いま先生の御指摘がございましたような点は、私どもの方の大気汚染の方ですと、やはりどういう物質を押さえていくかという問題と、きわめて密接な関係がございまして、環境保健部長は人間の病気の方からの研究として厚生省の方にお願いをしている、私どもの方は汚染物質情報の用意をするという形を取り込んでおります。そういうことで、浮遊ばいじんの中の三十五種類のものを、四十八年以来でございましたか、非常に強化をいたしまして、非常に細かな分析をずっと国設の側定網でいたしておりまして、その動向及び分布それから各地域との比較ということの情報は、私ども相当提供し得るようになっております。それが一点ございます。  それから、もう一つは、WHOが国連人間環境会議の後を受けまして、どういうものについて優先順位を決めて検討しなければならないかというリストを作成いたしております。このリストの作成に対しては、環境庁もいろいろ意見を述べまして、現在やっているもの及び第一優先順位、第二優先順位というようなものでリストがございまして、その中で現在やっているものにつきましては、大気に関係したものでは、ほとんど私どもも整理をしてやっておるというところでございます。それから第一優先順位というものの中にも、かなりわれわれの手が入っているものがあるということでございまして、そういうことでWHOが国際的に定時に例のクライテリアドキュメントというものをつくりますが、その情報を要請してまいりますので、それについては環境保健部の方が一番主体を占めておりますが、私どもの方として国内文献の情報を提供するということをいたしながら、進めておるわけでございます。  そのほかは、フランスにできましたWHOの国際がん研究機関というのがございまして、そこが化学物質の評価の報告を定期的に出してまいりまして、その中でがんの問題等を出しておりますので、文献としてはそういうものを参考にするということをいたしております。  そういうことで、大気行政の中では、この文献整理といたしましては、毎年十三物質ずつ文献整理をいたしておりますし、それから実際測定法等の調査をその中へ入れるというのは、毎年七物質ずつ分析法等の調査をやっておりまして、塩ビはすでにその中に昨年から入っておったというようなことでございます。
  308. 野津聖

    ○野津政府委員 ただいま大気保全局長から申し上げましたとおり、私どもの方も、ただいまございましたWHOの物質に対しますドキュメントにつきまして関与いたしておりまして、私どもの方も文献等の収集あるいはわが国におきます関係の専門家の御意見等をまとめてWHOの方に報告いたします。基本的にはやはり健康という問題から出発した形で対応しているということでございまして、すでに幾つかの物質につきましての報告等も実施しておりますし、また私どもで所管いたしております化学物質の規制に関します法律の中で、既存の化学物質という形で、これの存在あるいは分析方法等につきましての研究も進めてきているところでございます。
  309. 坂口力

    ○坂口委員 大分、次元の高い話になりましたところで、長官に最後にお話を伺いたいと思いますが、これに関しての長官の御決意を伺う前に、あわせて見解をお聞きしておきたいと思うことがもう一つございます。  それは、この塩ビの問題でもクロムの問題でも同じでありますが、塩ビの問題はわりに健康被害につきましての歴史も浅うございますけれども、たとえば六価クロム等につきましては非常に歴史も古い。私も労働衛生の端に座を置いていた一人でございますけれども、いままで職業病の本をめくってみましても、たとえば六価クロムと肺がんの関係というようなものは、その第一ページに出てくるものであった。ところが、いままではそういうようなものがわかっていながら、それは医学の世界だけ、あるいは産業医学の中だけ、あるいはまた研究室の中だけの問題として、それが現場に働く人たちの即健康というものになかなか結びついてこなかったところに大きな原因があると私、思うわけです。これはただ六価クロムだけではございませんで、ほかのものにつきましても同じことが言えると思います。たとえば水銀の問題にいたしましても、公衆衛生学会でありますとか産業衛生学会というようなところでは、この水銀の恐ろしさというものが幾つもの大学あるいは研究所から演題として提出をされて論じられておりますときに、片や田舎の農協では、それの入りました農薬を必死に売りさばいているというようなときが、もう五年も六年も続いたわけです。最近だんだんとそういうふうな傾向が改善されてはきましたけれども、まだまだ、そういう産業医学会なら医学会の問題だけとして論じられて、それが産業衛生というものにうまく結びついていない、あるいはまたこの環境保全というものにうまく結びついていないということがある。だから、いまはまだ問題になっておりませんけれども、まだまだ多くの化学物質がつくられておりますし、それらの問題と健康の問題につきましても、まだいろいろあると思うのです。たとえば即がんというような病気には至らないものでも、有機溶剤なら有機溶剤の取り扱いというようなものにつきましても、これはかなりいろいろの弊害を人間の体に与えるわけでありますけれども、そのことが存外に厳しく取り扱われていない、あるいはまた本当にそこで働く人たちの健康の問題としてそれが取り上げられていない。ただ年々歳々、そこの健康診断をした結果が労働省に集められて、そしてそれがデータとして保管はされているけれども、それが即それではこうしようという手が打たれていないようにも私は思うわけであります。ほかにも恐らく同じような問題があろうかと思います。これらの問題を、私はやはりうまく結びつけて、そしてただ医学界の問題、産業医学界の問題というのではなしに、それが即働く人の問題として、いろいろの行政的な手が打たれなければならぬ。そこに大きな問題が私はあると思うのです。そのことについて、私はいままで心の中で悩んできた一人でありますけれども、ひとつその辺のところを環境庁長官として今後、積極的に取り組んでいただきたいと私は思いますし、その辺のことに関します所見もあわせてお聞かせいただければと思います。そして、お聞かせいただいて、終わりにしたいと思います。
  310. 小沢貞孝

    小沢国務大臣 先生のおっしゃるように、今度の塩ビの問題あるいは六価クロムの問題を契機に、先生がいまおっしゃったような態度で私どもはやっぱり進んでいかなければいかぬなという反省を、より明確に私、先生からいま指摘を受けたような気がいたします。そういう意味では大変、貴重な御意見だと思いますので、私ども行政を預かる者として、国民の健康を守る立場でございますので、厚生大臣と両方の恐らく関係になろうかと思います、また、労働大臣もしかりでございますが、おっしゃるような御所見の方向を十分踏まえまして、私どもも真剣にその面を考えていかなければいかぬ。全く同感でございます。  それから、前段でお話しになりましたアメリカ調査の「自然」に出ておりますものを、私どもまだ拝見いたさなかった、まことに不勉強でございますが、やはり先生の言わんとするところは、化学工業地帯あるいはまたその特殊の地域について、一般的に全体の健康調査をやってみて、そして他の普通の地域と比べてどの程度の差があるのか、そして、それの観点から、またさらに詳細に物質ごとにいろいろ検討していくというような御所見についても、確かに必要なところじゃないかと思います。私どもの方では大体、環境影響があるかないかの調査をやって、そしてそういう調査地域であるかどうかをまず決定し、それが決定しますと、今度そこの実際の環境影響の問題を調査をし、そして健康診断の方へいく、こういうことになっております。したがって、今日のそういう面からいいますと、私ども先生のおっしゃるようなやり方の健康診断、大きな網をかけて基礎的なデータを得るという健康診断の費用あるいは制度というものを持っていなかったわけでございまして、これは恐らく日本国民全体の公衆衛生の責任から見ますと、あるいは厚生省のことかもしれませんが、そういうような意味での御所見、きょう私、大変参考になったと思いますので、そういう面についても、なお関係大臣とよく相談をいたして検討をさしていただきたいと思っております。
  311. 坂口力

    ○坂口委員 このことは、あるいはきょう昼までに議論されたかもしれませんけれども、もう一言だけ労働省の方にお聞きをしておきたいと思いますが、たとえば今回の塩ビの問題で三井東圧の問題が取り上げられまして、ややもいたしますと悪の根源であるかのように三井東圧さんは扱われているわけでありますけれども、考え方からすれば、決してよかったとは申しません、悪かったには違いないわけでありますが、しかし、そこから出てきたいろいろの障害者を見落とすことなく健康診断を重ね、そしてほかの人たちの健康診断も重ねてきた、悪い人をより多く発見してきたということ、これは私はまだいい方だと思うのであります。むしろそれよりも、全然何も出なかったというところの方に、より大きな問題がありはしないか。恐らく指端骨溶解症というような、手ですぐ見えるものについてはそればわかるかもしれませんが、たとえば肝臓がんというようなものでありますと、それがほかの原因で、一般通念で解決をされて、そしていわゆる職業病というような形でとらえられずに、ほかの地域では来ているのではないか。むしろ三井東圧さんは、いろいろ経過はあったでしょうけれども、それを職業病という段階でとらえてきたという点では、まだ評価をされるべきではないかという気が私はするわけであります。そういう意味で、あるいはきょう、そういう御答弁もあったかどうかわかりませんが、全国的な塩ビ工場全体の総合的な調査というものをおやりになるのかどうかということだけ一言お聞きをして、計画がなければ、どうしてもそれはおやりをいただきたい、どうしてもやらしてもらわねば、これは困るということを一言つけ加えておきたいと思います。
  312. 中西正雄

    中西政府委員 実は、私も先生おっしゃるような懸念を持っておりまして、他の工場にもやはり被害者が出ているのではなかろうかということを心配しているわけでございます。そこで、先般十月二十四日に三井東圧の労働者の方が亡くなられましたが、あれを機会に塩ビ協会の責任者労働省へ招致いたしまして、この際徹底的に退職者あるいは下請も含めて追跡調査をし、その結果をひとつ出してほしい、特にこの疾病の確定診断につきましては、なかなかむずかしい面もありますので、業務との因果関係が相当疑わしいというものについては積極的に役所の方に出すようにということを強く指示をいたしておりまして、現在、全国の局署を通じて、いま申し上げたような調査を役所としてもやっているところでございます。
  313. 坂口力

    ○坂口委員 終わります。
  314. 渡辺武三

    渡辺委員長 次回は、来たる十四日金曜日、午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時二十八分散会