○
田中国務大臣 大変不幸なことに、
年金局長が急病になりまして出席できませんので、細かい点についての御
答弁は
説明員からしていただくかと思いますが、
年金制度につきましては、
昭和五十三
年度に
予定されております
年金再
計算期を五十一年、つまり明年に繰り上げて実施をいたそうということで、今日作業を進めております。その主眼となるべきものは、標準的
年金額を従来物価スライドでアジャストしておったものでございますが、これを再
計算期でございますから、賃金と生活水準を織り込んで改定をいたしたいということで、標準的
年金額の改定を一つ考えております。
そのほかに、たとえば通算
年金制度につきましては、老齢については通算ができているのですが、遺族と障害については通算がございませんから、これについてはいろいろむずかしい問題がありますが、通算制度を起こそうということでいろいろ
努力をいたしております。
それから遺族
年金については、従来老齢
年金の五割でございますが、これを現在の社会情勢、経済情勢にかんがみて、ある程度引き上げていきたいというふうに考えておりまして、七割程度に引き上げたいというふうに思っておりますが、これは
先生新聞でごらんのとおり、財政当局との間に相当の論議がございますが、私としては、何としてもこれについては芽を出したいというふうに思って、かたい決意で臨む所存でございます。
それから在職老齢
年金につきましては、制度ができたときには非常に喜ばれたのでございます。退職ということを前提要件にしている、基本要件にしている
年金について、働いておっても一定の年齢になったならば差し上げようということで、画期的なことでございましたが、これについてはいわゆる所得によって、余り所得のある方にはこれを御勘弁願うとか、あるいは減額するという制度が残っておるものですから、いろいろと世間の論議を最近呼び起こしております。これの緩和策についていろいろ
努力をいたして、何とかいま少しく緩和をいたしたいというふうに思っておりますが、一〇〇%というわけには実はいかぬだろうと思いますが、従来厳しかった条件等についてはこれを緩和するように、財政当局といろいろ今後折衝をいたし、前進を見るようにいたさなければならぬと思っているわけであります。
それから働いたために減るというのは、制度が非常に複雑なものですから、四十四年の改正の節にいろいろと細かく
検討したはずなんですが、
昭和三十二年以前の標準報酬をたたき切ったものですから、無視をいたして、その後の標準報酬、これはその限りにおいては非常にいいことなんでありまして、若いときの安月給時代の標準報酬を
年金額に影響させないようにという配慮でやったのですが、技術的な問題で、ほんのレアケースでございますが、減るという人がございまして、これについては
改善をして、そういうことのないようにいたそうということで、現在制度を組み直して
予算要求をいたす所存でございます。
福祉年金につきましては、これは私は今日の非常な財政難の時代でございますが、できるだけの向上をいたしたいというふうに思っておりますが、これは財政の問題もあり、あるいはいわゆる経過
年金、五年
年金との兼ね合いもございますので、その辺を勘案して適当な金額に引き上げたいというふうに思っております。
なお、基本的には、こういったようなものについて私の
年金の基本的な
考え方は、標準的
年金額を向上させるということも必要でございますが、わが国の場合、
年金制度が始まったのが非常に遅く、未成熟者が多いということでございますので、したがって、標準的
年金額の高さを誇ってみても、これは
一般国民にはフェーバーを受ける人は非常に少ないという問題もありますので、したがって早く成熟した
年金に到達をする、あるいはまた未成熟者についてどういう
年金を向上させるかというところに、私は問題があろうというふうに思っているわけでありまして、そうした未成熟者の極端な者に
福祉年金受給者というものがあるわけでありまして、こうしたことを踏まえて、財政方式の切りかえによって、いわゆる現在の
福祉年金受給者の
年金給付額を向上させるという、抜本的な財政構造に触れた
改善をいたさなければ、私はこの問題について根本的な
改善はいたしかねるものと思いまして、そうした
方向についての
検討もいまいろいろとやっているところでございます。