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1975-11-13 第76回国会 衆議院 決算委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年十一月十三日(木曜日)     午前十時三十六分開議  出席委員    委員長 井原 岸高君    理事 唐沢俊二郎君 理事 中尾  宏君    理事 森下 元晴君 理事 吉永 治市君    理事 綿貫 民輔君 理事 久保田鶴松君    理事 庄司 幸助君       宇都宮徳馬君    高田 富之君       安井 吉典君    田代 文久君       坂井 弘一君    塚本 三郎君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 坂田 道太君  出席政府委員         防衛庁参事官  伊藤 圭一君         防衛庁参事官  平井 啓一君         防衛庁参事官  岡太  直君         防衛庁長官官房         長       玉木 清司君         防衛庁防衛局長 丸山  昂君         防衛庁人事教育         局長      今泉 正隆君         防衛庁衛生局長 萩島 武夫君         防衛庁経理局長 亘理  彰君         防衛庁装備局長 江口 裕通君         防衛施設庁長官 齋藤 一郎君         防衛施設庁総務         部長      安斉 正邦君         防衛施設庁施設         部長      銅崎 富司君         外務省アメリカ         局長      山崎 敏夫君         外務省条約局長 松永 信雄君         運輸省航空局長 中村 大造君  委員外出席者         文部省大学局学         生課長     十文字孝夫君         会計検査院事務         総局第二局長  柴崎 敏郎君         決算委員会調査         室長      東   哲君     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和四十八年度一般会計歳入歳出決算  昭和四十八年度特別会計歳入歳出決算  昭和四十八年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和四十八年度政府関係機関決算書  昭和四十八年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和四十八年度国有財産無償貸付状況計算書  〔総理府所管防衛庁)〕      ————◇—————
  2. 井原岸高

    井原委員長 これより会議を開きます。  昭和四十八年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は、総理府所管防衛庁について審査を行います。  まず、防衛庁長官から概要説明を求めます。坂田防衛庁長官
  3. 坂田道太

    坂田国務大臣 昭和四十八年度における防衛庁関係歳出決算について、その概要を御説明いたします。  まず(組織防衛本庁経費について御説明申し上げます。  当初の歳出予算額は八千五百四十九億七百万円余でありまして、これに昭和四十八年四月以降政府職員給与を改善するための予算補正追加額四百八十三億七千八百万円余、高空における放射能じん調査研究等のため、科学技術庁から移しかえを受けた額一千三百万円余、南極地域観測事業のため、文部省所管文部本省から移しかえを受けた額八億二千六百万円余、科学的財務管理方法導入準備調査のため、大蔵省所管大蔵本省から移しかえを受けた額二百万円余、前年度からの繰越額四十五億三千万円余を加え、既定予算節約等による予算補正修正減少額五十五億三千六百万円余を差し引きますと、歳出予算現額は九千三十一億二千四百万円余となります。  この歳出予算に対して支出済歳出額は八千七百六十億五千四百万円余、翌年度へ繰り越した額は百九十四億一百万円余でありまして、差し引き不用額は七十六億六千八百万円余であります。  昭和四十八年度予算執行に当たっては、第四次防衛力整備計画の二年度として着実に防衛力整備を進めることを主眼といたしました。  以下、自衛隊別にその主な内容を申し上げます。  一、陸上自衛隊については、六一式戦車六十両、六〇式装甲車三十四両を取得し、新たに昭和四十九年度取得予定の六一式戦車六十両、七三式装甲車三十四両の購入契約をいたしました。  また、航空機については、連絡偵察機一機、多用途ヘリコプター十一機、輸送ヘリコプター四機、観測ヘリコプター十五機、練習用ヘリコプター十五機、合わせて四十六機を取得し、新たに昭和四十九年度取得予定連絡偵察機一機、多用途ヘリコプター十一機、輸送ヘリコプター四機、合わせて十六機の購入契約をいたしました。  二、海上自衛隊については、昭和四十五年度計画護衛艦一隻、潜水艦一隻、昭和四十六年度計画護衛艦一隻、中型掃海艇二隻、昭和四十七年度計画輸送艦一隻、小型掃海艇二隻、魚雷艇一隻、支援船二隻並びに昭和四十八年度計画調達に係る支援船五隻、合わせて十六隻を取得し、新たに昭和四十九年度以降に竣工予定中型掃海艇二隻、小型掃海艇二隻、魚雷艇一隻、輸送艦一隻、支援船一隻、合わせて七隻の建造契約をいたしました。  また、航空機については、対潜哨戒機十一機、対潜飛行艇五機、対潜ヘリコプター六機、掃海ヘリコプター一機、初級操縦練習ヘリコプター一機、計器飛行練習機三機、機上作業練習機二機、輸送機一機、合わせて三十機を取得し、新たに昭和四十九年度以降に取得予定の対潜哨戒機八機、対潜飛行艇一機、対潜ヘリコプター六機、掃海ヘリコプター一機、救難ヘリコプター一機、計器飛行練習機一機、練習機三機、救難飛行艇二機、合わせて二十三機の購入契約をいたしました。  三、航空自衛隊については、戦闘機二十四機、輸送機二機、救難ヘリコプター一機、救難捜索機二機、合わせて二十九機を取得し、新たに昭和四十九年度以降に取得予定戦闘機二十四機、救難ヘリコプター二機、救難捜索機一機、飛行点検機一機、合わせて二十八機の購入契約をいたしました。  昭和四十八年度防衛本庁職員定員自衛官二十六万六千四十六人、自衛官以外の職員二万四千七百八十五人、計二十九万八百三十一入でありまして、これを前年度職員定員に比べますと、自衛官については六千九百八十八人の増員で、自衛官以外の職員において百五十七人の減員となっております。  また、予備自衛官の員数は、三万九千六百入でありまして、これを前年度定員と比べますと、三千三百人の増員となっております。  次に、繰越額百九十四億一百万円余は、財政執行繰り延べ措置によって歳出予算執行調整したこと及び資材入手難気象関係等のため、工事等が遅延したことによるものであります。  また、不用額七十六億六千八百万円余は、外国為替相場変更等に伴って生じたものであります。  続いて(組織防衛施設庁経費について御説明申し上げます。  当初の歳出予算額は八百四億五百万円余でありまして、これに昭和四十八年四月以降政府職員等給与を改善するための予算補正追加額八億一千万円余、前年度からの繰越額九十八億三千六百万円余、武蔵野住宅地区に係る損害賠償訴訟事件の和解及び昭和四十八年四月以降の駐留軍労務者離職者に対する特別給付金の増額による既定経費の不足を補うため予備費使用した額二十億二千六百万円余を加え、既定予算節約等による予算補正修正減少額七千二百万円余、防衛施設周辺障害防止事業等に要する経費として移しかえをした額、農林省所管農林本省へ六億五千一百万円余、建設省所管建設本省へ五億九百万円余を差し引きますと、歳出予算現額は九百十八億四千五百万円余となります。  この歳出予算現額に対して、支出済歳出額は七百六十七億四千一百万円余、翌年度へ繰り越した額は百四十億三千七百万円余でありまして、差し引き不用額は十億六千六百万円余であります。  支出済歳出額の主なものは、施設運営等関連諸費でありまして、防衛施設周辺整備等に関する法律等に基づき、自衛隊施設及びわが国に駐留するアメリカ合衆国軍隊等提供施設等維持運営に関連し必要な騒音防止措置障害防止措置民生安定施設助成措置飛行場周辺安全措置、各種の補償、土地の購入及び賃借等経費のため六百三十五億二千九百万円余を支出いたしました。  昭和四十八年度防衛施設庁職員定員は三千五百三人でありまして、前年度職員定員に比べ二十三人の減員となっております。  次に、翌年度への繰越額百四十億三千七百万円余は、(項)調達労務管理事務費駐留軍要員健康保険組合臨時補助金において、資材入手難により二千二百万円余及び(項)施設運営等関連諸費において財政執行繰り延べ措置により歳出予算執行調整をしたこと、資材入手難アメリカ合衆国軍隊の事情、気象または用地関係等により百三十九億九千四百万円余の工事等が遅延したことによるものであります。  また、不用額十億六千六百万円余は、用地取得において不動産購入費を要することが少なかったこと等により生じたものであります。  以上をもって、昭和四十八年度における防衛庁関係歳出決算概要説明を終わります。  なお、予算執行については、諸法規を遵守することはもちろん、最も効果的に運用するよう戒め、また綱紀の粛正にも留意し、国民の信頼にこたえるよう努力してまいったところでありますが、昭和四十八年度決算検査報告におきまして(組織防衛本庁照明設備工事の施行について不当事項指摘を受けましたことは、まことに遺憾にたえないところであります。これについてはよく部内に徹底させ、将来このような過誤を繰り返すことのないよう適切な措置を講じますとともに、改善または検討を要するものについては、速やかにそのための諸施策を推進する所存であります。  何とぞよろしく御審議のほどお願いいたします。
  4. 井原岸高

    井原委員長 次に、会計検査院当局から検査概要説明を求めます。柴崎会計検査院第二局長
  5. 柴崎敏郎

    柴崎会計検査院説明員 昭和四十八年度防衛庁決算につきまして検査いたしました結果の概要説明申し上げます。  検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項一件、処置要求したもの一件、及び本院の注意により当局において処置を講じたもの二件でございます。  まず、不当事項について御説明いたします。  検査報告番号一号は、名古屋防衛施設局航空幕僚監部要求によって、航空自衛隊白山分とん基地内の発射地区の内さくに約五十メートル間隔で監視用照明を取りつけるのに断面積三十八平方ミリメートルケーブル二千四百九十メートルを使用しているものについてでありますが、その設計を見ますと、配電方式を一〇〇V単相二線式で計算して、この三十八平方ミリメートルケーブル使用しているのですが、実際の配電方式設計は三相四線式でありますから、これにより計算いたしますと、ケーブル断面積は二十二平方ミリメートルで足りることになりまして、この工事は必要以上に過大な断面積ケーブル使用しておりまして、不経済になったものであります。  次に、意見を表示し、または処置要求した事項について御説明いたします。  これはF86F航空機用部品管理に関するものでございます。  航空自衛隊では、長年にわたって使用したF86F航空機が老朽化したため、向こう数年間に全機を廃止することを決定しておりますが、同航空機修理用部品過剰在庫となっているものにつきましては、全機が廃止される時期に至っても、なお使用されないまま残ることが見込まれるものでありまして、その場合には、これら未使用残となったものは不用品として廃棄処分されることになるわけでございます。  ところで、航空自衛隊では、これら未使用残が見込まれる部品と同じ部品を使って組み立てられた親部品調達を行っております。そこで、この親部品調達時にこれら部品官給材料として活用いたしますれば、未使用残となるものが減少するとともに調達経費の節減も図れるものでございます。  このようなことから、F86F航空機が全機廃止される間に使用見込みのないものについては、早急にその利活用を図る要があると認められましたので、処置要求したものでございます。  次に、本院の注意により、当局において処置を講じたものについて御説明いたします。  その一は、航空機用T64エンジン調達に関するものでございます。  調達実施本部では、PS1及びPS1改並びにP2J各航空機に搭載しておりますT64エンジンを毎年度相当数、すなわち、四十六年度五十五基、四十七年度四十五基、四十八年度四十五基、それぞれ調達をいたしております。  このエンジン減速装置にはエンジン停止中のプロペラを空転させないようにするためのプロペラブレーキを装着しておりますが、PS1及びPS改航空機、以下PS1等と申しあげますが、これにつきましては、四十六年五月に機体重量軽減を図り、性能を向上させることを目的といたしまして、プロペラブレーキ作動用油圧配管等を装着しないことと決定しており、すでに納入済み機体につきましても、これを取り外しております。  このようなことから見まして、四十六年度以降調達PS1等用のエンジン五十六基につきましては、プロペラブレーキを装着する必要はございません。また、四十五年度以前に調達され、すでに納入済みPS1等用のエンジン三十九基につきましても、エンジンからプロペラブレーキを取り外して、今後調達しますP2J航空機用エンジン支給材として転用することとして、この活用を図る必要がある、かように認めまして当局注意いたしましたところ、海上幕僚監部では四十九年十月以降PS1等用エンジンにつきましては、プロペラブレーキを装着しないものを調達することとし、また、P2J航空機用エンジンにつきましては、当分の間納入済みPS1等用エンジンから転用したプロペラブレーキを支給して、これを装着したものを調達することといたしますとともに、十一月現在契約済みで未納入となっておりますPS1等及びP2J航空機用エンジンにつきましても、この方針により契約変更処置を講じたものでございます。  その二は、艦船搭載用アスロック調整要具及び試験器調達に関するものでございます。  調達実施本部では、海上幕僚監部要求によってアスロック弾頭部であるフォーミング魚雷捜索深度を調定するための調整要具などを四十七年度から調達しておりますが、その仕様発射管フォーミング魚雷を発射する場合と同様のものとしたのであります。  しかしながら、アスロックとして魚雷をその発射装置から発射する場合には、発射管で発射する場合と機構が違うために、この調整要具などの一部は電線が魚雷に接続できないなどの構造となっておりますので使用できないと認め、当局注意いたしましたところ、海上幕僚監部では四十九年九月、この仕様書を廃止して今後の調達を取りやめることとするとともに、すでに調達した分については発射管から発射する場合の魚雷用として転用するよう処置を講じたものでございます。  以上、簡単でございますが、御説明を終わります。
  6. 井原岸高

    井原委員長 これにて説明の聴取を終わります。     —————————————
  7. 井原岸高

    井原委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がございますので、順次これを許します。森下元晴君。
  8. 森下元晴

    森下委員 決算目的につきましては、予算の効率的な使用とその適正を期するというふうに規定してございます。  消防とか警察、それから防衛関係、このようないわゆる安全に関する問題についての予算の効率的な使用とか適正、これにつきましては、ほかの問題に比べてかなり判断、判定がむずかしゅうございます。消防にいたしましても、防火活動また消火、災害と、また警察にいたしましても、治安、交通安全対策、そういう問題で、常に備えあれば憂えなしというところに予算の効率的な使用状況が検討されるわけでございますけれども、防衛につきましても、これはやはり国家安全保障問題として非常に大事な問題である、このように思っております。  ただ、問題は、現憲法の中で、自衛隊あり方、また防衛に対する考え方、残念ながら、われわれはあの内容ではすっきりしない点が実はございます。  ただ、先般の自衛隊記念日観閲式における内閣総理大臣訓示を読みましたら、かなり明快な内容でございます。  ちょっと読んでみますけれども、「戦後の新生日本は、憲法の前文にあるとおり、日本生存も安全も、平和を愛する諸国民の公正と信義にかけて理想主義を目指しました。しかし、一方、冷厳なる国際情勢は、それとははるかに程遠いものであるという現実を身近かに知らされたのが朝鮮戦争でありました。」こういうことも書いてございます。  理想現実の相違はございます。  先般、御承知のように、クアラルンプールで、いわゆる人質を助けるために、超法律的な処置をいたしまして、殺人犯を飛行機までつけて釈放した。これも人道的な処置としてやったわけでございますけれども、どうもこの自衛隊問題等になりますと、われわれが考えるほど理解が少ない点が実はございます。  ただ、過去の例で見ました場合に、四十八年のいま決算をやっておりますけれども、ちょうど四十八年に例の長沼事件第一審判決が九月七日に出ました。いろいろ自衛隊が合憲であるとか違憲であるとかという論議が盛んにされました。  その直後に、サンケイ新聞で、実は千人の方々を対象にして調査しておりますけれども、非常にこの判決に関心を寄せた人が七二%、その中で自衛隊があってよろしい、積極的、消極的合わせまして肯定された方が七三%ございます。大体十年くらいの間は七〇%か八〇%ぐらいの方々が、憲法の九条の内容のいかんにかかわらず自衛隊は必要であるというふうなデータが出ておるようでございます。  そこで、防衛庁長官にお伺いするわけでございますけれども、先般の防衛庁長官観閲式の際の訓示の中で、いろいろの点が触れられておりますけれども、三つの柱を提示されておる。私はこれに一つ一つ非常に共鳴するわけでございますけれども、一つは、国民一人一人が侵略に対する抵抗の姿勢、いわゆる国を守る気概を持つこと、第二は、憲法の制約のもとに必要最小限度防衛力を着実に整備すること、三つ目が、日米安保条約によって守られる、この三つの柱は、国民生存と自由を確保するためにはぜひ必要である、こういうふうに規定されております。同感でございます。  そこで、やはり訓話の中で、国会の中で防衛委員会また安全保障に関する委員会を置いてもらいたいというような希望的な発言もなされております。この問題は、もちろん国会の問題でございまして、国会の中で決められる問題です。現在、特別委員会でも災害初め石炭とか公害、公職選挙交通等八つ特別委員会がございます。  こういう問題も非常に大事でございますけれども、やはり国家安全保障に対する防衛委員会のようなものを早急に設置していただいて、常任委員会であろうと特別委員会であろうと、どちらでもいいわけでありますけれども、国の安全に対する問題を論議することによって決算の効果ということも出てくるんじゃなかろうか。内閣委員会の一部で防衛の問題が論ぜられるだけでございますから、やはり決算をする場合でも、自衛隊存在あり方とか意義、価値というものの論議委員会等で余り行われないで決算が行われることの不備を私は実は感ずるわけなんです。  そういうことで、防衛庁長官から、自衛隊あり方また国防必要性、また国防委員会に対する希望、そういうものの御発言を願えれば幸いだと思います。
  9. 坂田道太

    坂田国務大臣 わが国国防につきまして、防衛委員会を設けていただくということは、私、就任以来申し上げておることでございます。国会自身でぜひともつくっていただきたいと強い希望を持っております。  いま森下先生指摘になりましたように、私は、わが国防衛について三つの原則を考えております。その一つは、抵抗する意思わが国わが国国民によって、一人一人の手によって守るんだという気概がなけりゃならぬということ。二番目には、必要最小限度防衛力。しかし、これはかつての軍国主義時代の他国に脅威を与えるようなものであってはならない。また同時に、著しく民生を圧迫するような過大のものであってもならない。過小でもなく過大でもない、ほどよい防衛力というのが私の考え方でございます。  なぜこういうことを申し上げるかと申しますと、どんなに優秀な装備を持ち、あるいは士気旺盛な自衛隊でございましても、国民理解と支持と協力がなかったならば、その防衛力は力にならないということでございます。私は、常にその意味合いにおいて国民のコンセンサスを得ていかなければならない、その努力をしていかなければならない、そういうふうに思っております。  三番目には、この自衛隊をもってしましても、大規模攻撃あるいは核の攻撃、これに対してはどうしても対処できない。これはやはり日米安保条約に依存せざるを得ないと考えるわけでございます。したがいまして、この三つの柱が一体となって、日本独立と安全を守るんだ。その一つを欠いても、実は国民一人一人の生存と自由は守れないんだ。私は、ここが非常に大事なところだと考えるのでございまして、みずからの国をみずからの手によって守らないような国を、いかに集団安全保障といっても、よその国が守ってくれるであろうか、恐らく守ってくれないであろう。やはりみずからの国はみずからの手によって守るという強い意思と、そしてただ意思だけではだめであって、それには一定の、民生を圧迫しないような防衛力そのものがなければならない。したがって、憲法で許されておる必要最小限度防衛力を着実に整備をしておく、保持していくという努力を怠ってはならない、かように考えておるわけであります。  また、安保条約がもしこれでなくなるとか有効に働かないということになりますと、日本国に対する侵略可能性というものが高まってくるというふうに思うので、安保条約というものは日本独立と安全のためには不可欠なものである。これがあればこそ、大規模攻撃あるいは核の攻撃というものは、まずない。なぜならば、アメリカと戦う気がなくして日本にちょっかいをかけることはできないからだと私は思うのです。この辺がなかなかむずかしい。そうすると、一定防衛力というものは、ちょっと小さいじゃないかという議論もあります。しかし、それ自体を取り上げて言うならば小さいかもしれないけれども、国民に国を守る気概があり、そして安保条約抑止力が効いておって一定防衛力があるならば、大国といえども侵すことはできないのだ。戦争を未然に防止することができる。現にこの三十年間、わが国は平和を保ち得たではないか、こういう私の考え方でございます。  いま一つは、お尋ねの問題にお答えをいたしたいと思いますが、戦前の天皇主権のもとにおける軍隊と、新憲法に基づく主権在民下における自衛隊とは明らかに性格を異にしてきておる。つまりポピュラーコントロールと申しますかシビリアンコントロールと申しますか、国会コントロールのもとに自衛隊を維持し運用していかなければならない、これが私は一番大事なところだと思うのです。私は防大に参りまして、上は幕僚長から下は曹士に至るまで、陸海空の二十六万の自衛官が、この憲法意識に徹するということがまず第一だということを申したゆえんも、またここにあるわけでございます。そういうふうに性格が変わってきた。  つまりポピュラーコントロールシビリアンコントロールのもとに自衛隊が運用されなければならないとするならば、どういたしましても、シビリアンコントロールの最大のものは何かというなら国会国会におきまして、安全保障委員会なりあるいは防衛委員会なり、名前はいずれにいたしましても、何らか国民一人一人の生存と自由にかかわる、あるいは国民生命財産にかかわるこの問題について、たとえ主義主張は異なりましても議論をされるということが、国民に対する責任であり義務であるだろうというのが私の考えでございまして、どうかひとつ国会におきまして常任委員会防衛委員会を設けていただきたいと切なる願いを持っておるということを申し上げておきたいと思います。
  10. 森下元晴

    森下委員 まことに明快な御答弁をいただいてありがとうございます。とにかくわれわれはいわゆる出口の決算をやっておるわけでございますから、いわゆる入り口、防衛委員会等を早く設置していただきたい。国家安全保障に関する問題を、防衛も含めて論ずる大きな窓口を開いてもらいたい、これがシビリアンコントロールの基本であるわけでございます。  次の問題に移りまして、雇用問題でございます。不況の現在の経済情勢下におきまして、いろいろ深刻な問題がございますけれども、その一つに、来春の新卒者の就職の問題でございます。二、三年前までは就職問題につきましては非常に楽観的であったわけでございますけれども、本年、特に大学卒業、また一部高等学校の卒業生は就職のために走り回っておる。授業と違いまして、一たん就職できない場合、来年再就職という場合には非常なハンディがつく、これが就職の現状でございます。  そこで文部省の方おいでになっておるようでございますから、この学校教育の目的と、現在の学校側から見ました就職の状況、まだこれは途中でございますからわかりませんけれども、どういう状況になっておるか。私たちの見方では、かなりの方が職場から締め出されるのではないか。せっかく青雲の志を抱いて学の道につきながら、卒業と同時に浪人をするようなことでは、いわゆる一生の問題として大きな傷跡が残るであろう。学校教育の目的の中に、私はそれぞれその志を遂げしむるというような目的もあろうかと思います。ただ学校を卒業させれば、後は労働省の仕事であるとか、また他の省の仕事であるとか、また親の仕事であるとか、恐らくそういうことではないと思います。簡単で結構でございますから、まず文部省のお答えを願いたいと思います。
  11. 十文字孝夫

    ○十文字説明員 お答え申し上げます。  大学教育を含めまして、およそ教育の目的というのは教育基本法の第一条に明らかにされておりますが、その目的として教育基本法第一条に掲げてございますのは、「人格の完成をめざし、平和的な国家及び社会の形成者として、真理と正義を愛し、個人の価値をたつとび、勤労と責任を重んじ、自主的精神に充ちた心身ともに健康な国民の育成を期して」ということでございます。  特に大学につきましては、学校教育法の第五十二条にその目的が明らかにされておりますが、具体的には「学術の中心として、広く知識を授けるとともに、深く専門の学芸を教授研究し、知的、道徳的及び応用的能力を展開させることを目的とする。」ということになっております。さらに具体的に申し上げれば、大学におきます学問の教授研究によって、それぞれの学生に対しまして、あるいは研究者あるいは職業人として将来必要な能力を身につけさせる。それと同時に、次代の国家、社会を担うにふさわしい国民として育てる。そういうことであろうかと思います。
  12. 森下元晴

    森下委員 ただいま文部省の係の方から御答弁ございましたように、確かに学校教育の目的は、人材を養成して、適材適所に社会、国家のために貢献できるような価値ある人材をつくっていく。そのとおりだと思います。  そこで自衛隊関係で、過去非常に募集に苦労しておった。非常にいかがわしい隊員を募集していろいろなトラブルもあったというようなことも過去にございましたけれども、最近の新聞等をみました場合には、非常に応募者がふえつつある。また、いままでかなりの隊員の方が途中でやめておったのがやめない。「不況に敬礼 自衛官募集」というような記事もございます。志願者はウナギ登りである、厳選の好機である、非常に関係者は強気になっておるようでございます。まあ言えば、「不況下に「愛される自衛隊」 除隊サッパリ、応募ワンサ」こういうことで、お聞きするところ、大体定員いっぱいになって、これ以上採ると予算がなくなるから、そろそろ締め切るんだというようなことも聞いております。  私は、先ほど申しましたように、せっかく志を抱きながら、おのれの欲する会社等に就職できない方がかなり出てくると思うのです。そこに自衛隊あり方——私は、現在の学校教育の中で、知的教育はかなり進んでおるように思いますけれども、体力、気力の問題、それから国家、社会に奉仕する問題、こういう問題は非常に劣っておるように思います。そういう意味で、自衛隊目的がそこにあるかどうかわかりませんけれども、自衛隊に進んでそういう人材に入っていただいて、その中で体力、気力を大いに充実して、そしてまた社会に復帰できるような制度をつくる必要があるのじゃなかろうか。自衛隊を出た者は社会に出てもりっぱなんだ、自衛隊を出た者は社会に出て経済の中核としてやっていけるのだ、こういう価値をつけることによって、私は愛される自衛隊にもなるし、また学校教育でできなかったものを自衛隊で養成される、このように実は思うのです。  ちょうどそのチャンスでありますから、何か制度的にそういうことができるかどうか。自衛隊法を見ますと、天下りはいけないとか、これは高級の方だろうと思うのです。そういう道を開いていただくと非常にありがたいと思うし、進んで自衛隊に入るように、まことに質の向上のための好機として、この不況を災いをもって福となすような立場において自衛隊が募集をされる、また予算等においても余りけちるようなことがないように実はお願いしたい。時間がなくなりましたので御答弁は簡単で結構でございますから、私の言わんとするところを、ひとつおくみ取りいただきまして、かつての文部大臣でもございます坂田長官にお答えを願いたいと思います。
  13. 坂田道太

    坂田国務大臣 私、文部大臣をやりまして防衛庁長官に就任をいたしたわけで、教育訓練につきましては、かなり意欲を持っておるわけでございます。したがいまして、自衛官に会い、あるいは部隊に行っても常に申しておることは、精強なる自衛官であると同時に、広い視野を持ち、また健全なる常識を持った国民の一人になってほしい、一言にして申しますならば、そういう考え方でございます。  また先般自衛官の意識調査をやりますと、求めて自衛官を志望してきた人たちで、さすがだと思ったのは、厳しさが足りないというのがかなり強いのでございます。もうちょっと厳しくやっても結構だ。非常に感心をいたしました。同時に公務以外の自由な時間はプライバシーを守ってもらいたい、あるいは外出等については、もう少しやりようがあるのじゃないだろうか。つまり私たちを一人前の人間として信用してほしい。これは一般社会の青少年の意識と同じだと思うのです。これに対してOBの人とか、あるいは旧軍人の人たちは、サラリーマン化したのじゃないか、精強なる自衛官がこれでいいのかという議論がございますけれども、私は、むしろ一般国民の青年層と自衛官の青年層との意識のずれがない、同質であるというところに健全性がある、シビリアンコントロールのもとにおける自衛官は、大部分は本当に健全に進んでおるなという感じを持ったわけでございます。  そして森下先生指摘のとおりに、現在の学校制度の中におきましては、余りにも自由というものをはき違えまして、節度ある行動あるいは団体訓練、額に汗してというようなところが若干欠ける部面がある。ところが自衛官の教育は、結局知的教育もさることながら、あるいは技術教育もさることながら、肉体的な運動あるいは肉体的な訓練というものは、かなり激しいものでございます。しかも曹士の営内居住者は法律によって二十四時間自由を拘束されておる。そういう中において同じように寝、同じように起き、同じようなものを食べ、同じような訓練を受ける、つまり自由の選択がない、そういう環境下において自分を鍛えておる。これはやはり一つの教育機関として、現在の自衛隊以外の教育機関に欠けておるものをむしろ持っておるんだ。その意味合いにおいて、入ってきた自衛官に会って話をしましても、学校教育においてよりも以上に人間的なつながりができたとか、あるいは郷土を愛するとか国を守るとかいうようなことが自然と身についてきておる。私は、非常にこれは大切なことだ、こういう人たちがどんどん社会に入っていくということが非常にいいことだというふうに思っておるわけでございます。  しかも最近は、御指摘のように、自衛隊員のうち、大学卒業者は二万一千人で、全体の九・二%に達しておりますが、大学卒業の優秀な人材で入隊を希望する者があれば、これを採用いたしますことは、いま申しますように、部隊の精強性を維持していく上からも好ましいと考えておりますし、大学卒業者を対象とする今年度の幹部候補生の募集はすでに終了しておりますので、今後大学卒業者を採用する場合は、二等陸海空士として採用することになります。大学卒業者のみをもって特別部隊を編成するということは、自衛隊の中に学歴によって区分された特別の社会をつくることになり、かえって一般隊員との融和を欠くことになりかねないので特別部隊の編成は考えませんが、極力先生の御趣旨に沿いまして、大学卒業者の吸収にも努力をいたしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  14. 森下元晴

    森下委員 終わります。
  15. 井原岸高

    井原委員長 安井吉典君。
  16. 安井吉典

    ○安井委員 四十八年度防衛庁関係の決算に関連して若干お尋ねをしたいと思いますが、初めに防衛庁長官に伺いたいのは、「防衛を考える会」は長官の発意で、長官が委嘱しておつくりになって、私どもに配られている「わが国防衛を考える」というこの資料、これが今後の防衛政策の上に生かされるようにしていくというふうに長官も、この中でも言われているわけでありますが、そういうことでしょうか。
  17. 坂田道太

    坂田国務大臣 私、「防衛を考える会」というのは、国民の一人一人が防衛の問題を考えてほしい、自分の一人一人の生存と自由にかかわる問題について考えてほしいということ、またそれなくしては日本防衛というものは達成できないんだという基本的な考え方を持っておりまして、そこで、考え方は両極端ございますけれども、しかし中間的な、平均的な国民の常識を持った人たちが一体どういう考え方であるのかということを知りたかったものでございますから、十一人の委員をお願いをいたしまして、四月から三カ月かかって検討していただきました。そしてその十一人のおのおのの人にお考えを述べていただいた、それをまとめたのがお手元に差し上げておる「防衛を考える会」の内容でございます。  私は、もちろんこういうようなことを踏まえて施策の中にあらわしていきたいというふうに考えておりますし、たとえば大震災とか、あるいは大災害というような場合におきまして、やはり国民の一人一人の生命、財産というものが危殆に瀕するという場合、しかも消防あるいは警察力をもってはどうしてもこれに対処できないという場合においては、ただいまも現に行っておりますが、やはりこういうような問題は、平和時において防衛一つの任務と考えるべきではなかろうかと思うのでございますが、たまたまこの「防衛を考える会」でもそのような御発想がございまして、実は今度のポスト四次防を考える上におきまして、そういう考え方を導入していったらどうだろうかというふうに、いませっかく検討いたしておる段階でございます。
  18. 安井吉典

    ○安井委員 私も、これを全部読んで、それぞれについて論評するところまでにまだいってないのですが、この中で「国連協力」の項があるわけです。「国防の基本方針の中に、国連の活動を支持することが示されているから、これを自衛隊の具体的な役割として打ち出すことを考えてはどうだろうか。」という提案があります。このことで、「自衛隊の海外派兵は禁止されているが、国連の平和活動に協力するのならば、区別して考えてもよいだろうし、」戦闘行為には一切参加しないでも、輸送とか医療、通信などの分野についての協力はいいのではなかろうかという提言であります。この点、どうですか。
  19. 坂田道太

    坂田国務大臣 私どもは海外派兵はやりません。  しかしながら、いま御指摘のように、国連活動の協力について何らかあるのではないかという御指摘でございますが、これはやはり非常に慎重に考えていかなければならない課題だというふうに考えております。
  20. 安井吉典

    ○安井委員 私は、たとえ国連の活動支持であるにしても、自衛隊は国際的には兵力であることには間違いないわけですからね。これが海外に出るということは、海外派兵という言葉、兵という言葉の入った派兵には間違いないように思うわけで、したがって、これは自衛隊法の改正なしにはできることではない、こう思うわけです。一番初め大臣は、この会の考え方で基本的な防衛政策を進めていくという包括的なお話をされているものですから、私は、この点まで含まれているのかどうかということが非常に心配なんですよ。したがって、この点については、もう一度明確にお答えいただきたいと思います。
  21. 坂田道太

    坂田国務大臣 「防衛を考える会」は平均的国民意思を代表された方々ではありますが、その中にもやはりいろいろのお考えが、幅が広いわけでございまして、それをすべて取り上げるという考えは持っておりません。したがいまして、いま御指摘のような問題については、考えの中でいろいろ検討はいたしますけれども、ただいま考えておりません。
  22. 安井吉典

    ○安井委員 もしもこの提案のようなことになるとすれば、自衛隊法の改正がなければできないと思うのですが、その点も明確にしてください。
  23. 坂田道太

    坂田国務大臣 そのとおりだと承知をいたしております。
  24. 安井吉典

    ○安井委員 四次防の財政問題その他を伺ってまいりたいと思いますが、その前に現実的な問題を一、二伺っておきます。  この間災害対策特別委員会で、北海道上富良野自衛隊演習場に原因を置く水害、これは八月の五号、六号台風で生じた災害でありますが、もちろん台風による自然災害であることは間違いないが、しかし四千ヘクタールに及ぶ広大な自衛隊演習場、それは演習場になる前は森林であったわけです。それを完全に切り開いてしまって、保水力をなくした上に戦車が走り回り、実弾射撃が行われるということで、それが荒廃をしている、そこに豪雨が降ったということに原因があるわけで、自衛隊災害の救助作業によく活躍していることは明らかでありますけれども、しかし、これは演習場がなければこんな大きな災害にならなかったであろうということで、自衛隊そのものが災害の原因者になっている、加害者になっているというケースであります。     〔委員長退席、中尾(宏)委員長代理着席〕 この点について先日の特別委員会では、政府委員からも、ここによって生じた被害の補償等については十分検討しますという趣旨の答弁がございましたが、きょうは大臣が御出席でありますので、この際、防衛庁としての御方針を明確にしておいていただきたいと思います。  すなわち、これによって生じた災害復旧事業、建設省や農林省等の査定が終わって、すでに施行中のものもあるわけでありますが、その事業についての地元の町や農民等の負担は、防衛庁側が責任を持って補償をする、あるいは公共事業等で査定の対象にならない災害復旧事業についても、これは防衛庁側が負担をする。これが一つ。  それからもう一つは、演習地内の荒廃し切った状況に対して、河川改修やその他エロージョンの防止やそういったような一貫性のある具体的な整備計画を立ててほしい。そのことを明確に示してもらいたいということも申し上げていたわけでありますが、この点についての大臣の御答弁をいただきたいと思います。
  25. 齋藤一郎

    ○齋藤(一)政府委員 まず私からお答えさせていただきたいと思いますが、お話がございましたように、上富良野演習場の今回の災害というのは、六号台風による記録的な豪雨の結果できたものでございまして、これは災害復旧事業の採択などをやって、政府全体として適切な措置を講じつつあるところでございますが、いま御指摘がございましたように、防衛庁の立場からいいますと、本演習場があって、それを運用してまいっておる、演習場が存在しておるということから生じた被害、そういうものについての補償、対策、これは防衛庁としても関係機関と協議をして、そして法律的には先般、昨年できました防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律というのがございますから、これを運用して、防衛庁の立場でやるべきことは適切な措置をしてまいりたいというのが基本的な考え方でございます。  御案内だと思いますが、たとえばベベルイ川の上流の災害工事につきましても、災害復旧費としてやる部分と、ただいま申し上げたように防衛施設庁の関係で従前からやってきた改修その他と、両方ございますから、わが方でやるべきものについては、わが方で負担して合併工事としてやるという考え方でやってまいりたい。それから、復旧にかかわる地元市町村や農家の負担分でございますが、その中で補助対象にならない分について、先般災害対策特別委員会で私の方の説明員がお答えしたところでございますが、これも関係機関とよく連絡、協議した上で、先ほど申し上げましたいわゆる環境整備法に基づいて補償できるものは補償するという考え方でおります。  で、災害復旧工事の補助の残額がやはりどうしても出ますが、これについてもいろいろ考えまして、知恵をめぐらしまして、できるだけ地元の負担にならないように、たとえば公共土木の災害については、補助残が二〇%ございますが、その九〇%が起債の対象になる。そのうち九五%が交付税で償還されるということになりますので、実質的負担は、幾らかございますが、ほとんどない。そこで地元では、その程度なら助成も要らぬだろうというようなことが事実上運用としてできますので、できるだけ知恵を働かせまして、そういった努力をしてまいりたいというふうに考えております。  それから最後の演習場内の整備について今後計画的にやれという御意見でございますが、これについては、ごもっともでございますので、私の方では場内の河川について治水計画を立てる、あるいは治山計画を立てるということをやってまいりたいということで、本年度すでにヌッカクシ富良野川の調査を完了しております。それから先ほど申し上げましたベベルイ川についても今回の災害の結果から見て現在調査を実施しております。こうした調査の結果、今後全体計画を立てまして計画的な治山治水をやりたいというふうに思って来年度から一部工事にかかりたいというふうに思っております。  以上でございます。
  26. 安井吉典

    ○安井委員 演習場内の整備事業についての全体的な計画を明確にしてほしいという点はどうですか。
  27. 齋藤一郎

    ○齋藤(一)政府委員 先ほどもお答えいたしましたように一部完了しておりますが、今後ベベルイ川については調査を遂げて、そして全体計画を……(安井委員「場内のことですよ」と呼ぶ)場内のことなんです。いま私の申し上げているのは場内の治山治水でございます。それは一部調査が完了しましたが、まだ残っておりますので、調査を完了次第やりたいというふうに思っております。場内の問題でございます。計画は、具体的にはただいまここでちょっと申し上げるほどになっておりませんが、早急に全体計画を立てたいというふうに思っております。
  28. 安井吉典

    ○安井委員 いつも、やります、やりますと言って、なかなかやらぬわけですよ。やらないうちにどんどん災害が来るという状況ですから、やはり明確な、いついつまでにこういうことをやるのだということを明らかにすべきだ、そういうことで私は申し上げているわけであります。大臣、いまの確認の意味で御答弁いただきます。
  29. 坂田道太

    坂田国務大臣 いま齋藤施設庁長官からお答えいたしましたとおりでございますが、まずもって防衛庁の施設あるいは演習場等によって、それが原因となって地元に御迷惑をかけるというようなことがないように、そういう災害等が起こらないような、未然防止にやはり万全を期してまいりたいというふうに思います。また災害が起こりました場合においては、負担すべきものは負担するし、また補償すべきものは補償するし、そしてまた第一には、やはりそういうような災害が再び起こらないような未然防止の計画というものを具体的につくりまして、そしてそれに対する対処をいたしたいというふうに考えております。
  30. 安井吉典

    ○安井委員 もう一つ航空自衛隊千歳基地の騒音対策の問題を取り上げたいと思うのですが、これもファントムの移駐に先駆けて騒音対策等をきちっとやるべきだという地元要求であるのにかかわらず、ほとんど対策なしにファントムはすでに配備済み、十一月から連日スクランブルが行われている。こういう状態があって、対策が全くないのにかかわらず、やってきたファントムの駐とんを許すわけにはいかないという市民運動が強まってきているわけであります。  この点について伺いたいわけでありますが、四次防でF4EJファントムの千歳への配備が報道されるや、市民からの反対運動が起き、四十八年の四月に千歳市議会が滑走路を南の方に二千メートル以上移動すること等を内容とした要望、意見書を政府に正式な議決をもって提出をしているはずであります。そして、その年の九月に当時の島田防衛事務次官かち、要望の趣旨を理解して、千歳基地の滑走路を南方に移動することとし、今後具体的計画を策定する旨の回答が寄せられているようであります。現在まで、この政府の回答に基づく滑走路の移動についての予算的な措置、具体的な対策はどこまで進んでいるのか、その点をまず伺っておきたいと思います。
  31. 齋藤一郎

    ○齋藤(一)政府委員 千歳飛行場の南方に移動させる点については、これは地元の非常に強い御要望でございますので、私の方ではできるだけ地元の御要望に沿ってやりたいということで考えてまいりまして、具体的な実施状況を申し上げますと、昭和四十九年度は航空写真測量などの調査工事をやりまして、現在所要の土地の購入を行っております。  先般、七月の末でございましたが、大臣が現地に視察においでになって、やはり強い地元の要望を聞かれまして、いろいろ困難があるが、できるだけこれを努力してやろうということを表明されまして、われわれとしても今後の計画として、いま申し上げたほかに、五十二年度までに現在の滑走路の北端を千メートル南方へ移動させるということに目標を設定して努力しております。そのためには現在の滑走路の南方に新たに七百メートルの滑走路をこしらえて、三百メートルのオーバーランを新設するということで、これに要する五十一年度の概算要求をやっております。  金額的なことをもう少し詳しく申し上げますと、昭和四十九年度は、先ほど申し上げたように測量などの調査工事が五百万、それから土地購入、十三万平方メートルばかりでございますが、約一億九千万、これを計上し、実施しております。それから昭和五十年度予算では、調査工事、これは四十九年度からの繰り越しとも一千五百万、それから土地購入が約二十万平方メートル、三億円、それから、北方にアラート関連の施設がございますが、これを移設するために七億二千万。それから来年度五十一年度概算要求としまして、今度は滑走路の工事にかかりたいということで、これは要求中でございまして、どうなるかまだ確定はいたしませんが、約四十七億を要求しております。そのほかに土地の購入費を二億足らず、一億九千万ばかり要求しております。  そういう全体の計画のもとに、いろいろ経済事情が悪くなりましたので、当初お話をしておったよりは、ずれてまいりますが、われわれといたしましては最大限の努力をして地元の御要望にこたえるようにということでやっております。
  32. 安井吉典

    ○安井委員 地元の話では、二千メートル移す、そのうち第一期と第二期に分けて、第一期工事は千メートルだけ移す、それを四十九、五十、五十一年度の三カ年間で実施をするという方針を防衛庁は示していた、こう言うのでありますが、これとは大分違うじゃないですか。どうですか。
  33. 平井啓一

    ○平井政府委員 ただいま御指摘のとおり、ファントムの配備に伴いまして、現在の千歳の滑走路を南方に二千メートル移してもらいたいという地元の御要望、当時いろいろお話し合いをした結果、地元の方から将来計画としての二千メートルという話と、現実的な問題といたしまして当面千メートルというお話が出まして、三年間で実施してもらいたいという御要望があった経緯は私どもも承知しております。したがって、そういった経緯を尊重しながら南方移動につきまして努力していくということで今日まで参ったわけでございます。  現在のところ、ただいま施設庁長官から御答弁申し上げましたような実情で、地元の趣旨にできるだけ沿いながら、五十一年度ということでの完成は現在の状況では無理でございます。五十二年度には何とか千メートルの南方移動を実現したい、そういうふうに考えております。ただ、二千メートルの問題につきましては、これはいずれにいたしましても将来の問題でもございますし、現在考えますところでも、二千メートルということになりますと、地形上相当膨大な経費を要する問題とか、あるいは隣接苫小牧市との調整に相当容易ならぬ状況等もあるやに聞いておりますので、こういった点を考えて、まず千メートルの計画で進めていくということで計画しておるというのが実情でございます。
  34. 安井吉典

    ○安井委員 それでは、地元の要求の二千メートルを移すというそのことについては、防衛庁として問題を打ち切っているわけじゃないのですね。これからもその問題の方向で取り組む、こういうことですね。
  35. 平井啓一

    ○平井政府委員 先ほども御答弁申し上げましたように、地元の御要望二千メートルという当初の点につきましては、私どもも十分承知しております。ただ、現実に、隣接苫小牧市との問題とか、経費上の問題とか、そういった点も絡みますので、千メートルの南方移動というものを実現しながら、そういった問題については今後十分地元とも、状況をながめつつ、お話し合いさしていただきたい、そう考えております。
  36. 安井吉典

    ○安井委員 千歳という町は、新聞の報道によると、これまで「「保守のとりで」といわれ、市の人口の約三分の一を自衛隊員が占め、目立った反基地運動もなく、自衛隊にとっては、「全国で最も居心地のいい基地」とされてきた」、こういう表現をしている新聞がありますが、その基地においてさえ、ファントムが、少なくも滑走路の移転、その最小限度の条件すら満たさないままにどんどんやってきて、飛び交っているというその現状に、非常に大きな不満を示しているようであります。     〔中尾(宏)委員長代理退席、唐沢委員長代理着席〕  ファントムそのものに反対あるいは基地そのものに反対、そういうさまざまな市民間のニュアンスというのもあるようでありますけれども、少なくとも滑走路のその問題については一致しているようですね。そして五十一年度までにきちっとやるという約束が守られないではないか、そして第二期計画も、この五十年度内に実施するということを明確にしてもらいたい、さもない限りは、ファントムはもうここから出ていってほしい、こういうふうな形で問題が、先日の市民大会でも決議されているようであります。  ですから、何か初めの交渉がいまになっていいかげんになっているということについて、防衛庁防衛施設庁側にだまされたという印象を地元が持っているということが、私はこの問題で一番大きな問題点ではなかろうかと思います。そのことをひとつ、きょうは指摘しておきたいと思うのですが、少なくともこの滑走路の問題について、もっと明確な答えをきょうこの場でされるということにはなりませんか。大臣、どうでしょう。
  37. 坂田道太

    坂田国務大臣 この点、私、先ほど齋藤施設庁長官から申し上げましたように、千歳にも参りまして、市役所にも参り、御意見等も承りました。その後、市長さん初め議会の方々あるいは土地の有力な方々にもお目にかかりまして話し合いをいたしたわけでございますが、とにかくいま参事官からも申し上げましたように、われわれ防衛庁としてはっきりお約束のできるのは千メーターだということで、しかし、これはとにかく予算措置もいたしますし、最大限の努力をいたします、こういうところでございます。二千メーターの問題も地元の強い御要望ということは、われわれも承知をいたしておりますが、この問題については、いま申しましたように苫小牧の関係もございますし、それから財政上の問題もございますから、もう少しひとつ考えさせていただきますし、また、地元にもこちらの苦衷もおわかりいただきまして御了解を得たいというふうに考えておるわけでございます。  小松の基地でも同様な問題がございまして、その当時、実はこの問題がちょうど最終的な地元との折衝が決まらなかったわけでございますか、一応条件つきではございますけれども、小松基地の周辺市町村の方々とも大体方向を御了承いただきまして、その条件を私たちが満たした場合においては、いま千歳に仮に、御迷惑でございますけれども、置いていただいておるファントムを小松の方に移すことができるのではなかろうかというふうに考えておるわけでございまして、しばらくこの点はお待ちをいただきたい。それから騒音防止の点についても、いろいろ今後考えてまいりたいというふうに思っております。
  38. 安井吉典

    ○安井委員 大臣は一般に、国会ではいいかげんな答弁をされても、地方へ出かけたら、ちゃんとしたことを言われるということだそうでありますが、この間坂田防衛庁長官も地元に出ていかれて、誠意をもって解決をする、こう言われているわけですから、坂田さんなら国会の方もいいかげんじゃないと思いますが、地方の方はもっと明確な約束をお守りを願う、こういうことでなければならぬと思います。その点、今日の段階での一番大事な点は、その滑走路の問題の計画をどうするかということ、これが一つの大きな焦点でありますから、もう一度ひとつお答えください。
  39. 坂田道太

    坂田国務大臣 私は、国会でお約束したことは、これは何としてでもやはり果たさなければならないというふうに思っております。ということは、同時に、地方へ行ったからいいかげんなことを言っていると言われても、そんなことではございません。私は誠心誠意、地元でお約束いたしたことも努力をいたす覚悟でございます。  そういうわけでございますが、私が本当にここで責任を持って言えることは、やはりいまは千メーターだと、むしろ、多少の御不満はあるかもしれぬけれども、財政状態あるいは苫小牧との関係、いろいろ考慮をいたしますと、現時点でお答えできるのは千メーターということでございまして、まずそれに最大限の努力をしなければ、ここでいいかげんに責任の持てないことまでも御答弁申し上げてまた不安を与えるということはかえってよくない。私も非常につろうございますけれども、しかし、やはりここは政治家としてはっきりすべきだというふうに思っておるので、先生にお答えできるのはこれだけでございます。
  40. 安井吉典

    ○安井委員 それでは、この点は宿題にしておきます。  十月二十一日に、千歳市長が第二航空団を通し空幕長に、騒音防止のための飛行制限等に関する協定を結びたいとの申し入れをしたということでありますが、これに対してどう処理されますか。小松市とは協定を結んでいるようでありますから、当然話し合いが進むと考えられますが、どうでしょう。
  41. 平井啓一

    ○平井政府委員 御指摘のように、十月二十一日付で千歳市長から「航空自衛隊の飛行に係る騒音の軽減措置に関する協定の締結について」ということで航空幕僚長の方に御要望が出たということは承知しております。  早速私どももこの内容について検討いたしまして、また私自身も千歳の市長とお会いしまして、この問題についていろいろお話しいたしました。そして、千歳市長として協定を結びたいというその内容についてもいろいろお話し合いいたしましたが、これらの点につきましては、従来から現地におきましても第二航空団と千歳市におきましていろいろと、飛行経路の問題だとか飛行の時間帯の問題、あるいは地元における諸行事等の時間を避けて、飛行を遠慮するとか、そういった問題につきまして随時お話し合いをさしていただきながら、現在におきましてはそういった実を相当上げてきているという実態がございますので、こういった点につきましては直ちに協定を結ぶというような形の問題よりも、そういった実質を踏まえながら、さらに今後も改善を要する点はお互いに話し合いを十分さしていただきながら今後とも努力を続けていく、そういうことで実を上げていきたい、そういうお話し合いをさしていただいた経緯がございまして、現在そういった形で、せっかく今日まで続いております千歳市との間の円満な状況を現在の姿で続けていくことで相互の理解と協力という形を実現していきたい、そういうふうに考えておりまして、現在のところ具体的に協定を結ぶというところについては、まだお話し合いはさしていただいておりません。
  42. 安井吉典

    ○安井委員 もうファントムのスクランブルが十一月一日から始まって、私もこのごろ行ったり来たりしていますから、千歳で乗りおりするたびに、スクランブルのおかげで飛行機がおくれるのではないかという感じを受けているわけです。ですから、どんどん飛んでいる中で協定をしようというのですから、小松の方はファントムが来ないうちに協定をするというのと、これは大分話が違うわけですよ。したがって、そういう状況の中の協定の申し入れなんですから、もう少し誠意を示していいと思いますが、大臣、どうでしょう。     〔唐沢委員長代理退席、吉永委員長代理着席〕
  43. 坂田道太

    坂田国務大臣 私、就任いたしまして、やはり日米安保条約防衛に不可欠なものである。あるいは自衛隊の基地というものが日本の防空にとって不可欠なものである。その意味から、基地のない市町村と基地周辺の市町村というものを比べると、本当にそれは純粋に考えれば、もう基地はない方がいいに決まっておるわけでございますけれども、しかし、日本の安全ということを考えると、やはりどうしても不可欠な基地でございます。しかし、それによって生じておるところの住民との摩擦あるいは負担あるいは騒音、そういうものにつきましては、もうちょっと密度の高い周辺対策があってしかるべきであるというふうに考えておるわけでございまして、そういうような施策を続けてまいりたいというふうに思っております。  ただ、いまのような問題につきましては、でき得べくんば実質的にそういうことをわれわれが積み上げることによって、市町村が御了承賜れば幸いだといまは考えております。しかし、この問題については地元の御意向もありますから、もう少し考えさせていただきたいというふうに思います。
  44. 安井吉典

    ○安井委員 小松では御承知のように、もう訴訟も起きているわけですね。そういう重大な問題であるということを踏まえて、もう少し考えていくということでありますから、地元の期待に沿うような結論を期待しておきます。  それから、現在千歳基地にファントムは三〇二飛行中隊だけがいるのかと思ったら、それよりも五割も六割も多い飛行機、人員が、あそこに駐とんしているようですね。そのことが特に地元の不満を大きくしているように思うわけでありますが、本来あるべき地元のファントムの駐とんの編成は、飛行機と人員についてどうなっているのか、それから現在はどういうふうな形になっているのか、そいつをひとつ明確にしてください。
  45. 丸山昂

    ○丸山政府委員 御案内のように、ファントムの一飛行隊の編成は十八機でございます。二空団にございますのが十八機のほかに十四機ございまして、現在三十二機あるわけでございます。  それから、これは先ほど大臣も申し上げましたように、小松の問題に関連して、所要の教育訓練をいたします関係で、ここに増配置のような形になっておるわけでございますが、これは二空団ばかりでございませんで、百里の第七航空団の方にも十一機ばかり増配置になっておるわけでございます。いずれにいたしましても、小松の問題が地元との話ができ上がりました段階で、これらはいずれも小松それから引き続いて九州の築城、こういったところに配置を予定されておるものでございます。  それから、現在の飛行時間の方でございますが、これは第二航空団の飛行時間の範囲内で運用いたしておりますので、航空機の数が多いからといって、飛行時間がふえているということにはならないわけでございます。また、そういうように運用を考えております。  それからもう一つ、アラートの体制、三〇二航空隊につきまして十月一日、実際に発動いたしましたのは十一月一日からでございますけれども、この緊急発進は、国籍不明の航空機が参りましたときにアラートをやりますので、これはその国籍不明の航空機が参ります回数に応じるということで、ファントムの部隊に新しくアラートの任務が課せられたから緊急発進の数がふえるというものではないわけでございまして、最近は年間大体五十ないし七十回くらいの回数のアラートをやっておりますけれども、本年度は九月末までで約三十回でございます。したがいまして、アラート任務を新たに付したことによって、緊急発進の回数がふえるということにはならないというふうに御了解をいただきたいと思います。
  46. 安井吉典

    ○安井委員 定員はどうなっておりますか、本来の編成と現在と。
  47. 丸山昂

    ○丸山政府委員 二空団の定員は千六百十三名でございまして、現在充足率が九九%でございますので、千六百四名というところでございます。いまの増配置の航空機に関連いたしまして異動いたしております人員は、ちょっといま手元に資料がございませんので、後で調査をいたしましてから御回答申し上げたいと思います。
  48. 安井吉典

    ○安井委員 千歳のやつを聞いておるのです。
  49. 丸山昂

    ○丸山政府委員 千歳はいま申し上げましたように、二空団の固有の定員が千六百十三でございます。現在充足率が九九・四%でございまして、千六百四名でございます。二空団自体はそういうことです。
  50. 安井吉典

    ○安井委員 三〇二飛行隊……。
  51. 丸山昂

    ○丸山政府委員 それは、三〇二飛行隊、それから二〇三ですか、F104の飛行隊、それを全部入れ、それから地上の支援整備要員、これを全部入れますと、ただいま申し上げました千六百十三名ということになるわけでございます。
  52. 安井吉典

    ○安井委員 私が聞きたいのは、小松のファントムが千歳に来ておるのでしょう。そのことによってどれだけ人がふえておるかということを聞いておるわけですよ。
  53. 丸山昂

    ○丸山政府委員 私、その資料を手元に持っておりませんので、後ほど御回答申し上げたいと思います。
  54. 安井吉典

    ○安井委員 このことだけで時間をとるわけにいかぬものですから、ここで打ち切りますけれども、最近千歳におりたり千歳から乗ったりするときに感ずるのは、民間の定期便が非常におくれるということです。ずっとそういう状況が続いています。  運輸省で調べていただきましたら、十月中に三十分から五十九分の定期便のおくれが二百十三回、六十分から百十九分までのものが四十六回、百二十分のおくれが四十二回、それに欠航が百二回、十一月からのものも数字を出していただいておりますけれども、いままででも相当おくれておるのが、今度新しいアラート体制に入ったら、軍民共用のために、またまたおくれがひどくなるのではないか、そういうことを非常に恐れています。私がおくれる飛行機にばかり乗るのかもしれないけれども、とにかく乗った飛行機でパンクチュアルに着いたことはありません。民間と軍との共用の中でそういう事態が起きておるのではないかということを私は恐れるわけです。  もちろん、航空会社の方に問題があったり、それから天候のためということに原因があることの方が多いのかもしれませんよ。しかし地元の人たちは、やはりスクランブルの影響だというふうな受けとめ方もしておるわけです。騒音やそういうふうな問題がある。先ほど騒音のための滑走路の移転にいままでずいぶん時間がかかったと言うが、しかしファントムを移駐させるためにはエプロンの工事やらサイレンサーの工事やら格納施設やら、およそ三十億円も国はぼんぼんお金を出してやっているわけですよ、移駐そのものには。しかし、肝心の騒音対策の方やその他の影響への対策は、全くおくれている問題をここに私は指摘をしているわけであります。大臣が最初にお話しになったように、地元に支持をされないような自衛隊ならない方がいいという、そういう言い方からすれば、やはりファントムをここに移駐させるべきではなかったということに私はなるのではないかと思うわけです。そういう点について、大臣からもう一度明確にしていただきます。
  55. 坂田道太

    坂田国務大臣 私は、ない方がよかったと言うのはそうじゃないんで、これは日本の安全ということを考えるとどうしても基地は必要だ、防空上北の守りということから考えると、千歳は欠くことのできない基地だ、しかもそれが安定的に使用されるということでなければ、日本国民の一人一人の生存と自由を守る平時における防空体制が全うできない。つまり国民に対して防衛庁長官として責任を果たし得ない、こういう考え方なんでございます。  しかもスクランブルなんかは、これは相手方の飛行機が領空侵犯をするおそれがある、そういうことでございまして、年二百回ぐらいソ連の飛行機が日本の列島周辺を偵察しておるわけでございます。先般も領空侵犯がございまして、これに対して強い抗議を行ったわけでございます。  そういうわけで、これは日本の安全にとっては不可欠なものである。しかし不可欠なものであるけれども、その基地のあるところの市町村と、それから全然ない市町村ということを考えれば、一般の国民から言うならば、それはない方がいいんだというのはあたりまえだ、その気持ちは。であるから、不可欠であり、国の安全にとって必要なものであるならば、それだけのことを国が、またその基地周辺の住民に対して特別の施策をすべきである、騒音対策にしても、あるいは災害等が、この基地があるがために起こっておるという場合においては。ところが従来その点が薄かった。ここにやはり摩擦の起こる原因がある。これを私は前向きに考えていこうと思っておるわけでございまして、この辺のところをひとつよく御了承を賜りたいと思います。  しかも、そういうような問題を解決するに当たっては、あくまでも地元と話し合いを続けながら、その過程の中においてやむを得ないにしても、これくらいのことはしてほしい、それにはやはりこれに積極的にこたえていくという態度を申し上げておるわけでございます。
  56. 安井吉典

    ○安井委員 三木内閣は総論内閣だそうで、総論はもうよくて地元の人は各論としての現実的な措置要求しております。そのことだけ一つつけ加えておきます。  四次防が四十七年度から五十年度までいま来て、五十一年度で一応終わるということになるわけでありますが、これまでの実績表をいただいたのを見ましても、五十一年度で相当多額の予算要求をし、それがそのとおり認められたにしても、艦艇約一万六千トンを初め相当の未達成部分ができるようであります。そういう部分をどうするのかという問題がありますが、インフレの進行の中で、航空機や艦艇の毎年の値上がりがどうも理解できないほど大きいという点を私はいまお尋ねをしてまいりたいと思います。  防衛庁からファントム、それからP2、護衛艦潜水艦ということで単価の推移を調べていただいたのを見ても、ファントムは昭和四十八年度で二十三億一千七百万だったのが五十年度には三十三億七千七百万、五十一年度は三十八億三千六百万、とにかく値上がりの大きさにちょっと驚くわけですね。潜水艦が四十七年度、千八百トン型で八十五億五千五百万、それが翌四十八年度になったら、同じ千八百トン型で百五十二億三千二百万、質的な違いがあるのかどうか知りませんが、一年間で八十五億のやつが百五十二億に飛び上がるというふうなことは、この委員会決算の問題を処理する委員会ですが、ほかのことではちょっと想像のつかない事態ではなかろうかと思うわけであります。  資材費や人件費の値上がりが、ちょうどいま挙げた年度等では大きかったということは、これはわかります。わかるけれども、どうも兵器の売買ということは、われわれの予測のつかないような形で行われているのではないかという疑いもあるわけであります。こういうふうな事態を起こしたということについて、もう少し具体的な説明を願いたい。
  57. 江口裕通

    ○江口政府委員 ただいま御指摘のございました航空機あるいは艦船というようないわゆる主要装備品につきましては、契約をいたします際に、個々の原価構成ごとに厳密な計算をし査定をいたしまして、一機あるいは一艦ごとに厳密な原価計算をいたしました上で企業と契約をいたしております。いわば特殊用途の注文生産品でございます。しかしながら、そういう主要装備品ではございますけれども、やはり一般市販品の動向とは平仄を異にするわけではございません。最近の物価あるいは賃金というもの、ただいま御指摘のございましたような影響をやはりもろに受けておるという状況でございます。なかんずく、特にここで申し上げておきたいのは、四十八年の終わりから四十九年にかけまして、いわゆる石油ショックの際の物価上昇あるいはそれに伴いましての賃金の上昇というものがきわめて大きく響いておるわけでございます。  参考までに卸売物価指数で、一般的な指数として申し上げますと、四十八年度の対前年増加率が二三%でございます。それから四十九年度におきましては、四十八年度に比べまして二三%というような上がり方をいたしております。それから賃金でございますけれども、賃金につきましても同様に四十八年度は対前年二四%、四十九年度は二七%、さらに四十九年度におきまして春闘の大幅な賃上げがあるというような状況でございまして、そういう影響をもろに受けておりまして、いま御指摘のような数字になったわけでございます。  ただ、その点について、ファントムについていまお引き合いがございましたので一言申し上げますと、四十八年度の二十三億という数字でございますが、これは前回の発注、つまり四十六年度に発注をいたしております。その際に比べまして約一五%程度の値上がりということになっております。それから五十年度の三十三億という数字が出ておりますけれども、これは年率にいたしまして約二〇%——四十九年度は発注しておりませんので年率二〇%ということでございますので、私ども、これで十分だとは思いませんけれども、ただいま申し上げましたように物価、賃金の上昇から比べまして、どうしてもこの程度にならざるを得なかったのではないか、大変苦しいお答えでございますが、以上のように考えておる次第でございます。
  58. 安井吉典

    ○安井委員 一般の物価との比較においてお話をされましたけれども、マーケットで野菜やお砂糖や、あるいはまた家具屋さんで家具を売っているのと、この航空機や艦船等とはちょっと違うと私は思いますよ。マーケットにあれば幾らでも買い手がつくわけでありますけれども、潜水艦を幾ら物好きな人でも買うわけがないのですし、ファントムを買うわけがないのですよ。これは政府しか買わないわけですから。唯一の買い手は政府であるわけです。したがって、防衛産業の方が契約さえとれば——その契約をする場合には幾らかても安い契約をというのでお互いに争うでしょう。しかし、契約さえしてしまえば、後はどんどん上乗せをしていく。利潤追求のえさになっているのではないかという感じを受けるわけです。  なるほど卸売物価や賃金の指数が二五%や二七%上がった、これはわかりますよ。わかるけれども、八十五億円でできた潜水艦が翌年は百五十二億円になぜならなければいけないのかということですね。これはひとつ具体的な——特にこれは四十八年度はいまの決算の段階でありますけれども、両年度のこの比較ができるような、もっと詳細な原価数字を委員会に出していただけませんか。そうでないと、どうも納得できないのですがね。
  59. 江口裕通

    ○江口政府委員 極力そういう資料をお出しするようにいたしたいと思います。
  60. 安井吉典

    ○安井委員 その資料は、このように潜水艦一つ幾ら、一つ幾らというこんな比較じゃなしに、できるだけ内容が明確にわかるような形で出していただきたい。委員長、いいですね。
  61. 吉永治市

    ○吉永委員長代理 ただいま安井吉典君の御提案、理事会で協議をしまして、理事会で集約をして検討いたします。
  62. 安井吉典

    ○安井委員 なお会計検査院の方からも伺っておきたいと思うのですが、こういう航空機や艦船についての会計検査のやり方ですね。この点について、どういうふうなやり方でおやりになっているのか。特に契約の仕方にも私は問題があるのではないかと思うのですが、そういうことも含めて会計検査院としての態度をお示しいただきたい。
  63. 柴崎敏郎

    柴崎会計検査院説明員 私どもが、たとえば艦船とか航空機とかこれらの調達についての検査を行うに当たりましては、当然国有財産なりあるいは物品、こういうことで一般の契約の場合と同様にその調達計画がいいかどうか、あるいは仕様がいいかどうか、あるいは価格については妥当かどうか、あるいは検収は十分に行われているか、こういう観点から検査するのはもちろん当然でございますが、特に防衛庁のこのたぐいのものにつきましては、御承知のとおりそれぞれの製造会社に防衛庁から駐在官事務所というものが設けられておりまして、そこで常に製造の過程にわたって、これをチェックしている、こういう実態がございます。  私ども検査に参りまして、この駐在官事務所を通しまして実際に製造会社に赴いて、製造会社でもちろん現物について見ることも当然ですが、その他関係の書類、資料につきまして原価の構成などがどうなっているかということにわたりまして、詳細な検査を実施する、こういう特別の検査の形態をとっております。  重ねて申し上げますと、一般の物品等の調達の場合は、会社にまで赴いて、その物品の原価構成にまでわたってみることはいたしませんが、特に防衛庁の場合には、たまたまそこに駐在官事務所が設けられているというような関係もございまして、実際に製造会社にまで赴いて検査をいたす。その過程においては、ただいま申し上げたようなその原価に至るまでの検査をいたす、こういう形をとっております。
  64. 安井吉典

    ○安井委員 会計検査あり方については、さっき報告がありましたけれども、単位平米当たりのその部品の位置づけが少し過剰な支出になっているとか、そういうふうな細かな指摘をされたということも御報告でお聞きいたしましたけれども、私はもっと大きな側面から、いままでの契約のあり方自体に問題がないのか、自治体などの請負契約のあり方については相当厳しくごらんになっていて、返納だとか何かそういうようなところまで追い込まれているようなことのように聞くわけでありますけれども、もっと防衛産業への対処の仕方について、いまば、契約が行われて採用ができたら、もう後はしめたもので、施設がきちっとできれば、ほかの会社に急に切りかえるというわけにはいかないという、その足元を見て、資材値上がり、人件費値上がり等を理由にする単価アップをふりかけてきている、そういう事態があるのではないかということを私は恐れるわけです。もう少しいまの会計検査あり方等について考え直す余地はないのかどうか、もう一度伺います。
  65. 柴崎敏郎

    柴崎会計検査院説明員 ただいまも御説明申し上げましたような形でやっておるわけでございますが、先生おっしゃいますとおり、まさに防衛産業の場合には特定の会社でなければ製造できないというようなものが多うございます。したがいまして、一般の競争という形でなくて特定の会社がその製造を行う、こういうケースが間々あるわけでございますので、そこで私どもといたしましても、そういう観点から特別な関心を払って検査を実施しておるわけでございます。なお、防衛庁の場合には他官庁と違ったような特別の契約方式もそのためにとっておられる、こういうような点もございます。  そういった種々の条件というものを勘案しながら検査をいたしておるわけでございますが、何といたしましても膨大な契約額のものでありますし、その内容もなかなか技術的な面等、いろいろとめんどうなむずかしい点もございますので、私どもとしても、これに当たる担当調査官の研修等も十分にやりながら遺漏のないように努力はいたしておるわけでございますけれども、そういった観点で実施した結果、ただいま申し上げましたように、検査報告には御案内のような事項を掲記いたしました。しかし、たとえば艦艇そのものあるいは航空機そのものの製造価格が高過ぎるかとか安過ぎるかとか、こういうことについての掲記はございませんが、これは私どもの方で最前申し上げましたような検査を実施した結果、特に指摘する事項がなかったということでございます。この検査につきましては、これは毎年同じ会社で継続して製造が行われておりますので、繰り返し検査をして、初めから終わりまでこれをずっと通して見る、こういうことで努力をいたしておるわけでございます。
  66. 安井吉典

    ○安井委員 聞くところによると、たとえばT2の練習機の問題も、受注時は五億円ぐらいであったのが、だんだん値上がりをして、二号機の完成時期には十五億円になっている。それにいろいろ文句をつけたら、三菱は十二億円に下げた、しかし最終段階には二十億円になり、明年度防衛庁予算要求では二十四億七千万円という数字になっているわけです。これは最初の段階と五十一年段階とでは質的な相違もないわけではないと思いますけれども、国民を納得させるような形ではないように私は思うわけであります。  会計検査院が精密な検査をするために努力をしているということはわかるけれども、契約ができたら、そこでプラントができる。プラントができたら、そこで百機も二百機も製造される。その体制の中に入ってしまって、ごらんになっているだけではなしに、私はむしろその体制そのものを、つまり契約の段階にさかのぼって検査をしていく、こういうことまでもっと検査体制を改善する必要があるのではないかと思うのですが、この点については、先ほども資料を出していただくように言ってありますから、その後の段階でさらに詰めてまいりたいと思います。  次に、ポスト四次防計画あり方についてでありますが、防衛庁は四月の段階で、さらにまた引き続いて十月の段階で五十年度以降の防衛力整備計画案の作成について長官指示をされているようでありますが、その中で、新防衛力整備基本構想では基盤防衛力とでもいう言い方をされているわけであります。現在ある防衛力は基盤防衛力には不足なのか、それではその基盤防衛力なるものの質や量を数字で明確に示すことができるのですか。その点から伺います。
  67. 丸山昂

    ○丸山政府委員 私からお答え申し上げます。  ただいまの御質問、現在保有しておる防衛力と、それからいわゆる基盤防衛力というものの考え方との関係でございますけれども、在来、四次防までの考え方は、日本に対しますあらゆる形の脅威に対応できる防衛力整備してまいろうということでやってまいったわけでございますけれども、御案内のように、そもそもがゼロから出発した経緯もございますし、その間、経済、財政事情その他の制約もございまして、現在までの整備の状況を見ましても、必ずしも十分でないという状況でございます。四次防につきましても、御案内のようにかなりの未達成が予測されるという状況でございまして、仮に四次防が達成されたといたしましても、これも必ずしも十分なものでない。いわんや未達成の部分が多いという状況から見ますと、きわめて不十分の問題があるということでございます。  そこで、防衛庁長官からたびたび申されておりますように、在来の整備考え方でまいりますと、ある分野においては比較的進んだ整備ができますけれども、全体の予算枠の中で処理をいたします関係で、結局それに見合った後方支援体制その他についてはきわめて不十分なものができ上がるということでございまして、それでは実際の侵略に対処するという能力を保持する点においては欠落が非常に多いものになる。その欠落のない基盤的なものをひとつ整備してまいろうではないか。全体として目標の置き方が、かなり具体的に、現実性を持ったところに目標を置いて整備をしてまいるということになるわけでございます。  したがいまして、この基盤的防衛力というものが整備された段階において、現状とどういうふうな関係になるかということになりますと、現状と比較して増強される分野もあると思いますし、それから現状でかなり常備体制、基盤的な体制というところに近い状況にあるものもあると思います。比較的現在持っております防衛力に近いところに整備目標を置いておりますので、手の届く状況、手の届く目標というような考え方になっておるというところでございます。  それから、かつて平和時の防衛力という考え方で作業をいたしたことがございます。この平和時というのは、現在の日本をめぐる国際情勢というのを一つの平和時と、特別な言葉でございますが、そういう定義を下しまして、防衛力整備した場合に、大体の目安として量的にある程度のものが示されるのではないかという、そういう前提下においてなされた作業でございます。そのときに量的なものをある程度示されております。御案内のとおりだと思います。  そこで、基盤的防衛力というものは数量的に示せるのかどうか、こういう御質問でございますが、これはあくまでもそのときどきの相対的な評価というものが基準にはなります。したがいまして、防衛力が本来脅威というものに対応して考えられるべきものでございますから、そのときどきの脅威の実態、それから科学技術の進歩その他から見まして、絶対的に数字で表示できるというものはないと思いますが、しかしながら現在の情勢、見通し得ますここ四、五年ぐらいの情勢下において、大体このくらいのものという一つの数量的なものを、この基盤的防衛力の作業の過程においてお示しできることになるのではないかというふうに思います。  それが具体的にどういう数字になるかということにつきましては、ただいま長官から作業の指示を命じましたばかりでございまして、各幕において、それぞれ作業も進捗しておりますので、それがある程度まとまりました段階でございませんと、はっきりしたことは申し上げられないと思いますが、一応見通しとしては、そういうものは量的にお示しのできる性格のものではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。
  68. 安井吉典

    ○安井委員 新防衛計画が量的な数字を含めた形で出されるということをいまの御質問で知りましたが、四十八年二月の平和時の防衛力の限界なるものは、当時私も予算委員会で取り上げた記憶がありますが、論議の末、政府の統一見解として受け取られないことになったはずであります。一応死んだはずが、また生き返ってくるということなのか。そういたしますと、今度の新防衛計画の中で、当時お出しになったものをそのままの形で生き返らせた表現にされるのですか、どうなんですか。
  69. 丸山昂

    ○丸山政府委員 平和時の防衛力につきましては、先生の方がよく御存じのとおりのああいう経緯で、一応なかったということになっておりますが、あの作業をやりました経緯その他を勘案をいたしますと、一応それなりの意味を持っているというふうに私どもは理解をいたしております。もちろんあの作業をやりました時点と、ただいまの時点とでは情勢がやや違っておりますし、正確にあのとおりの作業の結果になるかどうかということについては、必ずしもいまの段階で申し上げられないと思います。いずれにいたしましても、先ほど申し上げましたように、ただいまの長官指示に基づいて各幕、各機関それぞれ作業の積み上げをいたしますので、全く同じものになるかどうかということについては、現在の段階ではっきり申し上げられないと思います。  考え方、発想の仕方につきましては、いわゆる平和時というものを前提として考えておるという点において、今回の新しい長官の防衛構想というものは、そういった考え方を発展をさせたものでございまして、全然無縁のものではございませんが、先ほどおっしゃったように、平和時の防衛力をここでまた息を吹き返させるのかということでございますが、そういうことにはならないと思います。全くこの点については、長官の新しい発想に基づいて作業が始められるということで御了承願いたいと思います。
  70. 安井吉典

    ○安井委員 御承知のような国の財政状況になってきていることが、総体的な経費の引き締めを国の行政の中で進めていかなければならない段階にいま来ているわけですね。そういう側面からこの問題を見た場合、防衛庁長官は、そのことを一つ大きな問題点としてウエートを置きながら新防衛計画に臨むというふうに受けとめているわけですが、いまの防衛局長のお答えによれば、平和時の防衛力の限界の数字が一つの目標になっているということ、そうすれば海の方を初め現在よりも相当程度の量的な拡大が当然図られるのではないかということ、それからもう一つは、ときどきの相対的な評価、脅威の実態、科学技術の実態によって考えるという言葉があったことからすれば、質的に相当高度のものをねらうのではなかろうかという感じもします。そうしますと、四次防よりも量的にも質的にも相当拡大されたものが出てくるのではなかろうか。現に二次防から三次防へ倍になって、三次防から四次防へ計画額は倍になりました。倍々ゲームをやってきたのですけれども、これでまた新しい防衛計画が五カ年で計算すれば倍になると、九兆円も十兆円もの額になるのではなかろうかという感じをいまの御説明の中から受けるわけであります。  私は、日本防衛あり方そのものについて政府と見解を異にしているし、私独自の考え方はありますけれども、少なくもいまの段階で、国の財政事情から考えて、大きな質的なあるいは量的な拡大を求めていくというふうな形で新計画を出されることは問題があるのではなかろうか、こう思うのですが、基本的な考え方として大臣から伺います。
  71. 坂田道太

    坂田国務大臣 実は昭和三十二年に国防会議で決まりました国防の基本方針というものは、これはあくまでも踏襲してまいりたいというふうに考えております。したがいまして、従来ともいたしますと、所要防衛力つまり日本列島周辺の潜在的軍事力あるいはそれの脅威が顕在化するかどうかは、可能性として秘めておるわけでございますけれども、従来の考えで申しますと、そういう周囲の潜在能力というものに対して対応する所要の防衛力というものをどうしても持たなければ守れないのだ、こういう考え方が実はあったわけでございます。  しかして、日本の置かれた憲法的制約及び財政経済の制約、あるいは民生を著しく圧迫しない制約、そういうもので整備計画を立てていきますと、いつまでたったら充実するのだろうという気持ちが国民の間にもあるかと思います。同時に、今度また逆に言いますと、どこまで整備されるのかという、歯どめがない不安感というものを国民の一部に持つ、これは私、当然だと思ったのです。  やはり、ここで現実的に整備すべき目標というものを政治的な一つの決断によって決めるという方がその歯どめにもなるし、同時にまた、実際の自衛隊の人たちにおいても、そこまでで充実したやり方でいこうという気持ちにもなりますし、どこまでいくかわからぬ、そして現実整備されておるものはあれも足りない、これも足りない、そして小規模侵略に対して果たしてこれで対処できるだろうかという不安感もある、それがまた非常に士気を阻喪させるということで、私はやはりここで政治的決断によって、外交、経済、民生、つまり昭和三十二年度国防会議の基本方針に基づいて、一つの政治的決断をした線を引くべきではないだろうか。そして、それは現実可能な整備目標だ、その方が作業もしやすい、こういうことかと思いまして、ただいま防衛局長から説明を申し上げましたことで一応指示をいたしました。  作業の結果、どういう数字になるかわかりませんが、これをもう一遍国防会議に諮ります。国防議員懇談会に諮り、御検討を願い、実質審議をしていただいて、それをもう一遍われわれで引き取って、もう一遍これを固めて、そして最終的に来年の八月、あるいは十二月になるか知りませんけれども、そこでひとつ国会にお願いを申し上げようという段取りをしておるわけでございます。  言うならば、小ぢんまりしているけれども反撃力のあるもの、それでもって小規模侵略あるいは限定的侵略に対しては、この基盤防衛力でもってある程度即応体制ができる、こういうことでございます。  そういう基盤的防衛力を考えよう。これは前提として、やはり現在の世界の軍事情勢というものが、多少危険な様相は残っておるけれども、基調としては、あくまでもデタントであるという前提、これは五年間ばかりを見た場合にそうだ。これがまた緊張が高まるとか有事とかいう場合は、この基盤防衛力をある程度はエキスパンドできる、こういうことでございまして、しかしこの外交努力、あるいはいろいろな経済努力、そういうようなことを続けていくならば、この緊張緩和の状況のもとにおいては、この程度の基盤的な防衛力整備しておけばいいという一つ整備目標を定めた、こういうことでございます。  現在の四次防でどうだということでございますが、それはやはりもう少し高くなるということは言えます。しかし、従来考えておりました一つの大きい、あらゆる侵略あるいは脅威に対して、あらゆる防衛力を持ち、かつ即応体制を常に平時において持っておらなければならないという、その構想から言うと、そこはダウンをしている、こういう考え方でございます。  ただし、たとえば情報機能というのは、これはやはり一〇〇%持っておらなければならないし、先ほど御指摘のスクランブル体制も、まあ九〇%ぐらいはなければいけないのじゃないか、その他の点はもう少し下げて、基盤防衛力を考えていいのじゃないか。つまり、この基盤防衛力は小規模以下の問題に対しては、これのみで即応体制ができるのだということでございまして、つまり整備すべき目標が大体実現可能なものだというところに一線を画した、それ以上はやはり政治の段階、政治のリスクの問題、あるいは外交努力によってそこまでいかない、つまり戦争を防止する、未然に侵略を防止する機能を外交努力や何かによってやらなければならない。一方、小さい防衛力だけれども、その防衛力だけを取り上げるならば、なかなか大国に対抗はできないけれども、安保条約というものが加わり、そして先ほど言う、国民が国を自分の手によって守るというこの気概と、この三つが一組みになった場合は、日本に攻めてくる、あるいは侵略を侵すという可能性というものは非常に少ない、来てもそれは小規模なもの、そしてそれはこの基盤防衛力で大体未然に防止できる、こういう考え方でございます。
  72. 安井吉典

    ○安井委員 時間が終わっているわけですが、大臣の御答弁が大分長かったので少し超過しましたが、最後に、私の考えだけちょっと申し上げて終わりたいと思います。  私は、日本のいまの財政の現況から言えば、全体的にみんな抑えていかなければならないような状況では、もう一兆三千億円、来年の要求は一兆五千億円を超えているようでありますけれども、もういまより上げるということなどもってのほかで、いまよりももっとダウンさせていく方向でいかなければならぬという基本的な考え方の上に立って、所要防衛力という構想から基盤防衛力という構想になったことで、これはなるほど際限ない上昇から一定のレベルを目指すわけですからね、大臣の言われるように、めちゃくちゃな上昇というのはあるいは防げるのかもしれません。しかし、四次防での積み残しを新計画の中にこれは押し込んでいくでしょうし、それからまた、例の平和時の限界のところまでといったら、まだこれから四次防よりも上なんですからね、したがって量的にも現在の額よりは減るなんということは予想できるようなことはないし、さらにまた、質的にはもっともっと高度なものを要求していくというふうなお答えだとすれば、質量ともに現在の四次防の数字よりも相当高い数字が出てきそうな感じを私は受けたわけです。  その点を、日本のいまの財政の現状というただそれだけの側面で——もっといろいろな側面から問題を処理しなければならないのは当然ですけれども、私は、その財政の側面からのというのは、言い方として、もう少し考え直していく必要があるのではないか、そういう私の考え方だけを最後に申し上げておきたいと思います。  それからなお、先ほど資料をお願いしてありますので、理事会の御検討の結果まで、その扱いについては一応保留しておきます。
  73. 吉永治市

    ○吉永委員長代理 先ほど安井委員からのお申し出の資料について、防衛庁はいつまでの時間でできますか。——ちょっと速記をやめて。
  74. 吉永治市

    ○吉永委員長代理 それでは速記を始めて。
  75. 丸山昂

    ○丸山政府委員 先ほど手元に資料がございませんでしたので、お答えを延ばしておりました千歳の二空団に増配になっておりますファントム関連の人員でございますが、パイロットが二十六人、それから整備員が十九人、計四十五人でございます。
  76. 江口裕通

    ○江口政府委員 極力今週いっぱいに間に合わせるようにいたしたいと思っておりますが……。  それからちょっと一言だけ。先ほど潜水艦の御指摘がございましたけれども、あれは四十八年度艦ということになってございますが、実は補正て——当時、先ほど申しました石油ショックがございまして四十八年度契約ができませんので、結局四十九年度に持ち越しまして、四十九年度の補正といたしまして四十八年度一緒に契約しておる。したがいまして、実際的に契約いたしておりましたのは四十九年度に入っておりますので、やはりその間の物価上昇が相当響いておるということを一般的につけ加えさせていただきたいと思います。
  77. 吉永治市

    ○吉永委員長代理 そういうことでございます。安井委員、よろしゅうございますか。  それでは、この際、暫時休憩をいたします。     午後一時二分休憩      ————◇—————     午後一時五十分開議
  78. 井原岸高

    井原委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。庄司幸助君。
  79. 庄司幸助

    ○庄司委員 私はまず、最近軍と軍需産業間の癒着の問題が取りざたされておりますので、いわゆる防衛庁を退職してからの関係産業への就職状況、この問題でひとつ質問したいと思います。  それで、まずお伺いしたいのは、昭和四十八年度から本年度まで将補以上の自衛官防衛庁の登録会社へ就職した状況ですね、これをひとつお答え願いたいと思います。
  80. 今泉正隆

    ○今泉(正)政府委員 お答えいたします。  御存じのように、自衛隊員が離職いたしました後二年間は、離職前五年間に勤務しておりました職務と密接な関係のある登録会社の役員あるいは役員に相当する職には原則としてつけないことになっておりますし、また例外的につきます場合にも防衛庁長官の承認を受けることになっております。  そこで、お尋ねの過去二年半における将補以上の退職者でありますが、退職者が三百七名であります。そのうち防衛庁の登録会社に就職いたしております者が八十名でございますが、役員または役員に相当する地位についておる者は一人もございません。
  81. 庄司幸助

    ○庄司委員 その八十名というのは、四十八年から本年度までですね。役員には就職していないと。しかし、私の手元にある資料によりますと、昭和四十三年までは、おたくの方でいわゆる役員以外の顧問であるとか嘱託であるとか、あるいはその他の職で大分就職なすっているわけです。これは役員はいないということですが、四十八年、四十九年、五十年、これで顧問何名、あるいはまた嘱託何名、その他何名と、これをそれぞれひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  82. 今泉正隆

    ○今泉(正)政府委員 お答えいたします。  顧問の中にも、実はたとえば定款で決められておったり株主総会で決められておるような顧問は、これは役員に準ずるような地位だと思われますが、将補以上で四十八年以降にそういった地位についた者はいないという前提でお聞き取りを願いたいのでありますが、四十八年について言いますと、顧問十六名、嘱託九名、その他十一名、合計三十六名。四十九年度は顧問十七名、嘱託九名、その他七名、合計三十三名。五十年度は、これは九月末までの半年間でありますが、顧問六名、嘱託三名、その他二名、合計十一名、全部合わせまして、先ほど申しました八十名でございます。
  83. 庄司幸助

    ○庄司委員 いま申された数字、四十三年までは、おたくの方ではだれそれという陸将なら陸将が、たとえば三菱重工に顧問として就職したという発表を公表なすっているのですね。そういったものに準じて、いま申された方々、これは全部をここでお話しいただくと時間ばかり食いますので、これはひとついま申し上げたようなことで、就職先の社名ですね、それから就職した方の名前、当時の地位ですね、それからその会社と四十八年度以降おたくとの契約がどれくらいあったのか、この辺も含めて、ひとつ資料としてお出しいただきたいと思うのですが、どうでしょうか。
  84. 今泉正隆

    ○今泉(正)政府委員 ただいまの御要望の中で、特にある会社に、ある退職の隊員がついておりますことが問題であるというような部分について実態をお答えするということはできますけれども、やはりこれは離職いたしました隊員の一面においては職業選択の自由の問題でもありますので、一々社名を挙げ、一々個人名を挙げるということは、ひとつ御勘弁願いたいと思います。
  85. 庄司幸助

    ○庄司委員 それはちょっと私はいただけないと思うのです。これは登録会社に就職した者の氏名の要求をしているわけです。登録会社というのは防衛庁と相当多額の毎年の取引関係があって、国費の支出が行われているわけです。これは単なる個人の自由意思の職業の選択の自由とかそういう問題じゃなくて、軍と産業との関係でありますから、これはぜひ明らかにしてもらわないと困るのです。ですから、私は強くこれは出してもらうということを要求しますが、もう一遍御答弁願います。
  86. 今泉正隆

    ○今泉(正)政府委員 お答えいたします。  先ほどもお答えしましたように、そういった防衛庁の登録会社の役員もしくはこれに相当する地位につくことは原則として禁ぜられておりますし、また例外的につく場合にも、これは防衛庁長官が承認をする。また防衛庁長官が承認するに当たりましては、部外の学識経験者二名、総理府人事局長、人事院職員局長それから防衛庁の人事教育局長の五人から成る離職者審査会で審査をいたしまして、それで議決に基づいて長官が承認をする。そういった長官が例外的に承認をしました者についての個人の公表ということは一般的にも行われておることでありますから、そういうものがあればお出ししたいと思いますが、一般的に登録会社であるからといって、またそこに格別問題があれば別でありますけれども、一般的に言って個人名と会社名を提出するということは、ひとつ御勘弁願いたいと思います。
  87. 庄司幸助

    ○庄司委員 これは四十三年までの名簿を見ますと、いずれも登録会社で、しかも防衛庁と非常に多額な取引関係にある三菱重工であるとか、日産自動車であるとか、あるいは日本無線であるとか、石川島播磨造船所であるとか、そういうところへ相当の数就職しているわけです。  先ほどの質問者の質問にもありましたように、たとえばP2J、何か潜水艦ですか、一年間で八十五億円から百五十億円くらいに倍くらいに値上がりする、こういう問題点もあるわけですね。その点で、やはり国民の疑惑があるわけです。何かからくりがあるのじゃないか。しかも当委員会でもそういう疑惑が一つ明らかにされているわけです。そういう点でやはり登録会社のどういう会社にどういう人が就職した、これは明らかにしてもらわないと困るわけですが、もう一遍ひとつそういう観点からいって御答弁願いたいと思います。
  88. 今泉正隆

    ○今泉(正)政府委員 先ほども申しましたとおり、特定の会社に特定の個人が就職をしておる点については、ひとつ御勘弁願いたいと思いますが、一般的に、それでは防衛庁と非常に多額の契約をしておる登録会社ということでありますから、これを上位二十社について申しますと、先ほど申しました八十人の中に三十二人ございます。十四社に三十二人でございます。内容は三菱重工業に三名、小松製作所に二名、東芝電気に三名、川崎重工業に六名、日本電気に二名、石川島播磨重工に三名、日立製作所に二名、富士重工業に三名、日本製鋼所に一名、三井造船に一名、日立造船に一名、沖電気工業に一名、三菱電機に二名、ダイキン工業に二名、合計三十二名でございます。
  89. 庄司幸助

    ○庄司委員 それでは、いま読み上げた会社に就職した、たとえば三菱重工が三名、小松二名とかってありますが、この三名、二名について、いまの十四社、三十二名について、氏名と、それから将官であったのか将官補だったのか、その辺ひとつ出してもらいたいと思うのです。これはよろしゅうございますか。
  90. 今泉正隆

    ○今泉(正)政府委員 その点は先ほど申しましたとおり、特定の個人の氏名の公表は、ひとつお許し願いたいと思います。
  91. 井原岸高

    井原委員長 庄司君に申し上げます。一応理事会でよく懇談して、そして役所の方とも委員長の方で一遍よく話し合ってみたいと思います。いまのような答弁を繰り返してみても同じことだと思いますから、どうでしょう。
  92. 庄司幸助

    ○庄司委員 いま委員長からのお話ですが、これは理事会で検討していただくのは結構だと思うのです。ただ私は、防衛庁がこういう問題を出せないというのはおかしいと思うのですよ。しかも四十三年までは出していたんですよ。だから、出せないという理由は私はないだろうと思うのです。だから、この辺も含めて、それじゃ委員長、お願いしますが、ひとつ理事会でぜひ御検討願いたいと思います。  それでは伺いますが、三菱重工ですね、いま筆頭に挙げられた。この三菱重工は四十八年、四十九年、五十年、これらを通してどれぐらいの防衛庁との契約があったのか。三菱重工初めいまの十四社について、ひとつ金額を明らかにしていただきます。
  93. 江口裕通

    ○江口政府委員 三菱重工の防衛庁の契約でございますが、手元にございます資料で調本、大体これでほぼカバーいたしますので、調本との契約で申し上げますが、四十八年度は支出ベースで六百六十四億円でございます。それから四十九年度が同じく支出ベースで五百八十七億円でございます。
  94. 庄司幸助

    ○庄司委員 三菱はわかりました。そのあとの小松、東芝、川崎、ずっと十四社挙げられましたから、それひとつ答えてください。
  95. 江口裕通

    ○江口政府委員 いま名簿から拾いますので、ちょっと御猶予いただきます。
  96. 庄司幸助

    ○庄司委員 それでは——大体もうそれくらいのこと即答できないんじゃ私は困ると思うのですよ。たとえば、ここに私がもらった四十四年度の契約相手方別契約高順位表というのがあって、十億円以上のあれ、ちゃんとリストできているんです。こういうものは当然防衛庁にあるんだと私は思うのですよ。お答え願うまで委員長、これはちょっと休憩していただきたいと思います。
  97. 江口裕通

    ○江口政府委員 手元にあります資料で申し上げますと、契約の順位高で申し上げます。これは四十八年度でございます。  まず三菱重工でございますが、先ほどちょっと支出ベースで申しましたが、契約ベースで申しますと六百十二億でございます。それからその次の三菱電機が三百六十四億でございます。上位十四社ということでございましたから、それから石川島播磨重工、これが三百八億でございます。それから川崎重工業、これが二百四億でございます。それからその次の東京芝浦電気、第五番目でございますが、これが百十二億でございます。それから第六番目、新明和工業八十三億。それから日本電気五十四億。小松製作所五十三億。それから日立製作所、これは四捨五入で五十一億でございます。それから十番目が住友商事、これは丸めまして約四十億でございます。それから富士重工業、これが三十九億でございます。それから十二番目が島津製作所三十九億。その次が日本工機三十二億。それから日商岩井二十九億。それから念のために十五番目まで、三菱プレシジョン、二十七億。  以上が四十八年度でございます。
  98. 庄司幸助

    ○庄司委員 それで私伺いたいのは、たとえば三菱重工ですが、これはおたくで出した資料ですが、四十九年の三月三十一日にF4EJファントムですね、これの機体二十四機契約しておりますね。それから、たとえば石川島播磨、これはエンジンについて七十五億、二十八億、二十四億、それからシミュレーター一台——これは別ですか。とにかくそういうエンジン関係の契約をやっております。その点で非常に防衛庁との取引額が多い、こういう会社におたくの方の再就職が相当多い。これは、四十四年から四十七年までの分は私まだ聞いておりませんけれども、いずれにしても相当の数がこの三菱重工に行っておる、あるいは石川島播磨にも行っておる。これは一体、こういう顧問なり参与なりとして行った場合に、まさか無料で行っているのではないだろうと思うのですね。一体こういう、たとえば三菱重工の場合は、顧問なり参与なりで再就職した場合、本人は月額何ぼぐらいもらっているのですか。
  99. 今泉正隆

    ○今泉(正)政府委員 お答えいたします。  これは個々の会社の事情によって異なりますし、またそれぞれついたポジションによっても異なります。技術を認められて、その技術を生かしている場合には比較的高くなりますが、たとえば将補以上になりますと、自衛隊でも部隊指揮あるいは部下の統率というようなことに非常にたけております。その能力を認められて、社員の人事管理について、社長あるいは取締役を補佐するというような立場、あるいは非常勤で勤務をするというような場合、それぞれまたその内容によっても違いますが、なかなか高額はいただけませんで、たとえばそのある特定の将または将補が在任中に得ていた収入から退職年金の額を引いた額というような決め方をしているところもありまして、これは各会社によって違いますし、私たちもまたそれを、一々月収がだれについてはどうだということは調査をいたしておりません。
  100. 庄司幸助

    ○庄司委員 そうしますと、いま一例として在任中の額から退職年金を引いた額というお話をされましたが、それは月額にすると何ぼになりますか。
  101. 今泉正隆

    ○今泉(正)政府委員 これまた個人によって違いますけれども、大体十五万円前後ではないかと思います。
  102. 庄司幸助

    ○庄司委員 その点で、私、防衛庁長官にひとつお尋ねしたいのですが、こういう多額の契約をなすっている会社ですね。そこへ将官なり将補なりが、毎年こういう数字でいわゆる天下りをするということになると、やはりえてしていろいろな情報の問題やら、あるいは次の機種の選定の問題やら、あるいは次に採用を予定しているような戦車とか武器とか、そういうものの情報が入りやすい、これは当然あり得るだろうと思うのですが、その点でやはり産業と軍の癒着が疑われても仕方がないのじゃないかと思うのです。  その辺、やはり自衛隊のあるいは防衛庁の契約の問題その他について、国民の疑いというものを晴らすためには、こういう関係は粛正すべきじゃないか。もちろん第二の人生という言葉はよく出てきますから、これはだれしも停年退職後第二の人生を希望する方が多いのは、私も否定はしませんけれども、しかし、やはりおたくと非常に多額の取引をなすっている会社とおたくの高級の方が、たとえ法に抵触はしなくとも、こういうかっこうで再就職をするということは、国民の疑いのもとになると思うのです。その辺、ひとつ長官の考え方をお伺いしたいと思うのです。
  103. 坂田道太

    坂田国務大臣 自衛隊職員をやめた人が防衛産業にも入っていくということ、これは法の定めに従ってやっておるわけでございます。しかしながら、仰せのとおりに、わが自衛隊とあるいは防衛庁と産業とか癒着するというようなことがあってはいけない、これはもう仰せのとおりに私は思っております。  しかしながら、やはり第二の人生を歩む人は、自衛官であっても正々堂々と歩め、そのかわり悪いことをするな、それからまた、かつて将官であろうが何であろうが、その地位を利用していろいろやるということは絶対に許さぬ、そういう態度で、私は、退職していく人たちにも、一面においてはその節度をお願いいたしますと同時に、また同時に一面においては、第二の人生を歩む人たちに対して激励もしておるわけでございます。  そういうわけで、やはりこれだけの陸海空二十六万の自衛官を抱えておりますと、この不況の時期におきまして一家を支えていくということは、なかなかむずかしいことでございまして、この点はやはり人間として考えてあげなければいけない問題だというふうに思うのです。そういうことで、私はやはり平等に考えていくべきものだ、しかしながら、御指摘のような点がないように最大限の努力を払わなければならぬというふうに思っております。
  104. 庄司幸助

    ○庄司委員 私が申し上げたいのは、たとえば陸士であるとかあるいは陸曹であるとか、そういう方の問題を言っているのじゃないのです。もちろん自衛官退職後も、これは当然就職の機会は与えられるべきであると私は思いますけれども、やはりこういった高級の方々が契約額の多いところに就職をする、しかも顧問というのはどういうことで諮問を受けておるのか、相談に乗っておるのか私はわかりませんけれども、やはり世間から言えば、顧問といえば大事なときには何か相談を受ける、これが世間の通念です。嘱託にしても、やはり何か会社の必要上仕事を嘱託する、あるいは参与というのはどういうものかわかりませんけれども、そうやって、たとえば私がさっきも申し上げたような次の兵器の選定の問題、採用の問題、機種の選定の問題とか、こういう問題が会社の方に筒抜けになったのでは、やはり契約の公正は期せられないと思うのです。  だから、何も登録会社にこういう方々を世話しなくったって、そういう登録会社以外のところへ、自衛隊関係と取引のないところへ就職してもらったらどうなのか、そうすれば疑惑はないわけです。しかも登録会社に就職すれば、当然いわゆる会社の利益のために一生懸命働くということになるわけですから、自衛隊納入品あるいは契約、これが有利に立ち働くように仕事をするということにならざるを得ないんじゃないかと私は思うわけです。その点、こういう登録会社に対するいわゆる高級官僚といいますか、自衛隊の場合は官僚と言いますかね、まあ高級者ですね、そういう方はやはり控えるべきじゃないか、私はこう思うのですが、長官もう一遍ひとつその辺……。
  105. 坂田道太

    坂田国務大臣 国民の疑惑を払拭する意味においてはいろいろの努力を払うことは必要だと思うのですけれども、しかしながらまた、持って生まれた才能なり、あるいは身につけた技術なり、知識なりというものを第二の人生において生かす、こういうものを閉ざすべきじゃないと私は思うのです。これはやはり憲法に定められた基本的な問題じゃないですか。私はそう思うのですよ。それこそが今日の、言うならば憲法じゃないですか。私はそう思うのですよ。自衛官であったるがゆえに閉ざされなければならないということはいけないと私は思うのですよ、憲法の精神に照らして。  しかしながら、お説のとおりに癒着をしたり、あるいは自分のかつての地位を利用して何かやるというようなことは慎まなければならないことだ、やるべきことじゃないと私は思うのです。私はやはり基本的人権というのは自衛官にも認められておる、これをはっきりしないといけないことじゃないでしょうか。職業のいかんによって差別を受けるということがあってはならない。そのかわり公正な第二の人生を歩むべし、これじゃないでしょうか。私はそう思います。
  106. 庄司幸助

    ○庄司委員 長官、私も基本的人権は自衛官であろうと認めるべきだ、そう思います。  それなら一つお伺いしますけれども、あなた方自衛隊自衛官の基本的人権を認めてない事例があるのじゃないですか。この間新聞に載っていましたね。九月の何日かに佐世保に入港した自衛艦があって、それの帰艦時刻がおくれたというので、焼けるような甲板の上に、鉄の上に十何分間も正座させて、やけどをした。こういう事例があったでしょう。これは、自衛官といえども基本的人権を認めなくちゃならない、しかも残虐な行為をやっちゃならないということが、あなたの方の施行規則にもあるわけでしょう。こういうことをやられているのですよ。だから、いま基本的人権の問題が出ましたから私も出すのですが、あの事件について、あなたどうお考えです。
  107. 坂田道太

    坂田国務大臣 その点は報告を受けました。私は行き過ぎだと思います。ああいうことをやるべきじゃないと思っております。強くこれは指導を  いたしてまいりたいと思っております。
  108. 庄司幸助

    ○庄司委員 ついでにもう一つその件で伺っておきますが、何かそれを、十万円慰謝料か何か出して、いわゆるもみ消そうとした実態がある。こういうことがあれば、あなたの方では懲戒の問題とか、ちゃんと規則に定められた手続があるわけでしょう。遅刻したなら遅刻したで、それについての訓告なり何なりの方法があるわけでしょう。同時に、そういうことをやらした人間に対する、体罰を加えてはならないという規則に違反した人間に対しては、しかるべき規則に従った罰則があるはずだと思うのです。その辺の始末はどうなっています。
  109. 坂田道太

    坂田国務大臣 この点は、ただいま取り調べを行い、かつ適当な措置をとりたいと思っております。ただ、これは自己反省をやったのです。しかも士以下でやったようでございます。それを知らなかったことも、それは問題であろうかと思います。しかしながら、私はこれは少し行き過ぎであるというふうに思います。  ただ、帰隊の時間におくれたというようなこと、あるいは自衛官としてのいろいろの定めに違反をしたという形において自己反省をする。自己反省をする方法として、たとえば腕立て伏せを二十回ぐらいやれとか、あるいはそこをちょっと走ってこいとかいうような意味の一つの訓戒のやり方、二度と再びそういうことを犯さないというようなことは、やはり私は訓練という教育の立場から考えましても、ある程度必要だと思うのです。しかしながら、この前の件は私は少し行き過ぎだと思います。しかし、具体的にどういうふうなやり方をやるかということについては、従来のやり方等を考慮いたしまして措置をいたすだろうと信じております。
  110. 庄司幸助

    ○庄司委員 自己反省というのは、私は自発的な反省だと思うのですよ。人から強制されてやるのは自己反省じゃないですね。しかも、熱い熱いと言って正座を崩して立ち上がろうとした人間をまた押さえつけて——五分くらいのときにそうやったらしいのですが、それで十五分も二十分も座らせている。しかもやけどを負った。こんなのが自己反省なんですか。
  111. 坂田道太

    坂田国務大臣 私が申しましたのは、士だけで、自分たちだけのサークルで自己反省をしよう、こういうことなんです。いろいろな学生運動や何かで、自己反省ですか、自己批判とかいうようなこともやっておるでしょう、グループで。先生も御存じでしょう。あれも一種の自己反省ですよ。自己批判だと私は思うのです、グループで。われわれの責任においてそういうようなことはやらない。(庄司委員「やけどをするようなことをしたじゃないか」と呼ぶ)だから、やけどをすることはよくない。そういうことは慎むべきことだ。だけれども、いま申しましたように、団体の規律を乱した場合において、あのリンチなんて、いま世の中で行われている学生のリンチなんてけしからぬ話だ。相手を殺したり何かする。ああいうことは絶対にやるべきことじゃないと私は思うのです。  しかしながら、おくれた、そういうことを二度と再び繰り返さないようにお互い慎みましょうというような自己批判をやるということは、われわれの社会においてだってあることでしょう。それに対して、たとえば腕立て伏せを二十回やらせるとか三十回やらせるとか、あるいは甲板をずっと一周して十回ぐらい回ってこいというようなことは、むしろあってしかるべきじゃないだろうかと思うのです。しかしながら、それが暑いさなかにやけどをするようなことは、自己批判といえどもやるということはいけないので、これからはそういうことはやらぬようにしてもらいたいというのが長官の気持ちだし、恐らく艦の艦長あたりもそのことを後で知りましたから、それに対しては適当な措置をするだろうと私は思っております。やけどをさせるようなことはしてはいけません。国民からお預かりした自衛官をそんな目に遭わせてはいけません、いかに自己反省といえども。そういうふうに私は思っております。
  112. 庄司幸助

    ○庄司委員 ですから、そういう点で、自衛隊の中のああいう体罰の問題が、はしなくもたまたま新聞に発表になった。われわれも旧軍隊におったころ大分ひどい目に遭いました。革帯でほっぺたをぶん殴られる、あるいはスリッパで殴られる、こういうことはあったのです。それに耐えかねて脱走しようと言ったって、これはできない仕掛けです、昔は。だから、こういうことは、いま日本自衛隊でまた旧軍隊のようなことが復活しつつある一つの氷山の露頭じゃないかなと疑われてもやむ得ない事態なんですよ。しかも、今度はそれをもみ消すために十万円やるから黙っててくれとか、そういうことがあったのでは、自衛隊の服務規律であるとか——服務規律に乗艦者はちゃんと規定の時間までに帰れというのがあるんでしょう。あって帰ってこない、おくれた、そういう場合は懲戒のいろいろな規則があるんだろうと思うのです。体罰は絶対やってはならない。  私は、自衛隊を認める立場で物を言っているわけではないんですが、自衛隊員だって人の子ですから、その辺ひとつ厳重に反省してもらいたい。いやしくも、今後二度とこういった事態を——これよりもっとひどい事態もあるかもしれませんから——起こさないという決意、長官述べられますか。
  113. 坂田道太

    坂田国務大臣 私は旧軍隊の経験がございません。しかしながら、直接先生の経験されたようなことを幾度か聞いておるわけでございます。そういうことはあってはならない。少なくとも、天皇主権のもとにおける軍隊と、それから主権在民下における、シビリアンコントロール下における自衛隊というのは性格が違うんだ。そういう観点からいたしましても、それから基本的人権というようなことからいたしましても、やはり体罰みたいなこと、やけどを引き起こすようなことはあってはならないというふうに思っております。  しかし全体的には、いまの自衛官の諸君のどなたにお聞きになっても、昔のあのような事態があるとは考えられない、また現にないと私は思っております。そこは先生も誤解のないように、あれがすべてである、あれが旧軍の復活だというふうにはお考えいただきたくないんです。どなたに聞いていただいても、調べていただいても結構でありますけれども、ああいうことはまれな事態である。しかし、まれなことであっても、ああいうことはあってはならないことだと私は考えております。今後も注意をいたします。
  114. 庄司幸助

    ○庄司委員 この問題はわき道の問題ですから、これくらいにしますけれども、あなたが基本的人権をしきりに強調されたから、私も申し上げたのです。  それで、いわゆる登録会社についての疑惑があるわけですから、私は、ここでひとつ資料要求したいと思うのです。  これは委員長におかれまして、理事会で取り計らっていただきたいのですが、いま言った将補以上の自衛官の登録会社への就職状況、数字だけは出たわけです。それについて、一人一人について就職先、それからもとの地位、それからその会社との契約額、これについて実は四十四年からブランクになっておるのです。四十三年まではあるのです。ですから、四十四年以降今日までのいま言ったようなことについての資料を出していただくように理事会で御検討をお願いしたいと思います。
  115. 井原岸高

    井原委員長 理事会の方でよく検討いたして、御相談します。
  116. 庄司幸助

    ○庄司委員 次は、これは大分古くなった問題で、国会でも論議された問題ですが、私もまだ腑に落ちない問題がありますのでお伺いするわけです。  それは、昨年の十一月二十八日に自衛隊が出動して撃沈した第十雄洋丸の問題で、ちょっとお伺いしたいと思うのです。この点、あなたの方からは災害派遣であるという御説明があったように記憶しておりますが、そのとおりなのかどうか。災害派遣といえば、それについての訓令があるわけですから、その辺ひとつ御説明願いたいと思います。
  117. 丸山昂

    ○丸山政府委員 昨年御説明いたしましたように、私どもの方は災害派遣であるというふうに解釈をしております。災害派遣については、災害派遣に関する訓令というのがございまして、それにのっとってやっておるわけでございます。
  118. 庄司幸助

    ○庄司委員 そうすると、自衛隊災害派遣に関する訓令の第十四条に「派遣部隊等は、火器及び弾薬(艦艇及び航空機並びに戦車に装備されたものを除く。)を携行しないものとする。ただし、救援活動のため特に必要がある場合は、最少限度必要とする火器及び弾薬を携行することができる。」こうなっておりますが、第十雄洋丸の場合は、この項目のただし書きによるものですか。
  119. 丸山昂

    ○丸山政府委員 参りましたのは航空機と艦船でございますが、特に魚雷その他につきましては、魚雷調整を待ってこれを運搬したようなこともあるわけでございまして、このただし書きの条文に従って行動したというふうに考えております。
  120. 庄司幸助

    ○庄司委員 そうしますと、ただし書きに「最少限度必要とする」とありますが、この「最少限度」という概念からすると、第十雄洋丸の際出動したいろいろな艦船であるとか、あるいは使用した弾薬であるとか飛行機、爆弾、こういうものは「最少限度」の概念から超えるのじゃないかと思われる節があるのですが、その点、具体的にどういう艦船、どういう飛行機、どういう火器、あるいは弾薬、魚雷、まあ私の方もわかっておりますが、一応、どういうものを使ったのか。
  121. 丸山昂

    ○丸山政府委員 これは古いことになりますので、ちょっと繰り返して申し上げさせていただきたいと思いますが、御案内のように、東京湾の川崎の岸壁に着けることになっていたのですが、火事を起こして、依然として火災が鎮圧できなかったという状況がございまして、十一月二十二日に、海上保安庁長官から防衛庁長官に対しまして部隊の災害派遣要請が出てまいっております。  この第十雄洋丸は全長約二百二十七メートル、全幅三十五メートル、深さ約二十メートル、総トン数が四万三千七百二十三トンということでございまして、最初に衝突をいたしましたときの排水量は七万二千トンの巨船であるということと、それからこのLPGタンカーは御存じのように三重構造になっておるわけです。普通のタンカーと違いまして大変がんじょうな構造になっておるわけで、しかもそれぞれ独立いたしました強固な多数のタンクから構成されておる。それから満載しておりますナフサ、LPGは比重が海水の約二分の一という軽いものでございます。したがいまして、ナフサ、LPGが引火をいたしません以上、船がまず沈没することがないという大変やりにくい船であったわけでございます。  そこで、ただいまの海上保安庁長官からの要請は、第十雄洋丸の可及的速やかな沈没処分ということでございまして、そこでこういった諸条件をもとにいたしまして、魚雷、それから航空機によります爆弾の投下、それから水上艦艇によります五インチ砲、火砲による制圧といいますか、こういうことを立てたわけでございまして、結局二十七、二十八の両日にわたりまして使用をいたしました弾薬は、五インチ砲が二百三十発、ロケット弾が十二発、それから対潜爆弾が十六発、魚雷が四発、こういうことであったわけでございます。  それでいまの御設問の、要するに必要最小限度のものであるかどうかということでございますが、もちろんこの第十雄洋丸を可及的速やかに沈没するために必要な最小限度のものを持ってまいったというふうに私どもは考えておるわけでございます。
  122. 庄司幸助

    ○庄司委員 その五インチ砲二百三十発、あとロケット弾が十二発、対潜爆弾が十六発、魚雷四発、そのうちそれぞれ命中したのは何発ですか。
  123. 丸山昂

    ○丸山政府委員 五インチ砲は全弾命中したというふうに言っております。それからロケット弾は十二発のうち九発、それから対潜爆弾は十六発のうち九発、魚雷は四本のうち二本ということでございます。
  124. 庄司幸助

    ○庄司委員 そこで、魚雷の件で一つお伺いしますが、魚雷使用する際、なぜ潜水艦を使ったのか、おたくの方はたしか魚雷艇というものをお持ちでしたね、これは決算にも出ておりますから。なぜ潜水艦使用したのが、この点ひとつ御説明を願います。
  125. 丸山昂

    ○丸山政府委員 これは、御案内のように、魚雷調整は呉にしかその時点においては調整場がなかったわけでございます。呉の調整場から持ってまいりまして、そして銚子の沖へ参って魚雷を発射するということでございまして、そういう長い航行距離その他の問題を勘案をいたしまして、潜水艦使用することが一番適当である。その時点においては、そういう判断をいたしたためでございます。
  126. 庄司幸助

    ○庄司委員 それじゃ、魚雷艇というのは東京湾周辺には配置されていないのですか。
  127. 丸山昂

    ○丸山政府委員 ちょっと私つまびらかにいたしませんので、調べまして御返事をいたします。
  128. 庄司幸助

    ○庄司委員 それ、いますぐわかりますか。
  129. 丸山昂

    ○丸山政府委員 いま電話で照会をしておりますので、参りましたら御返答できると思います。
  130. 庄司幸助

    ○庄司委員 それじゃ、それは電話来るまで待ちますけれども、局長魚雷艇の配備がどこにあるかわからないのじゃ困るのですね。大体横須賀もあれば、いろいろ重要な軍事基地があるわけでしょう。それに魚雷艇が配備されているかいないかわからないのですか。
  131. 丸山昂

    ○丸山政府委員 不確実なことを申し上げられませんので、ちょっとお待ちを願いたいわけです。  私が存じておりますのは、北海道の余市それから舞鶴、こういったところはあることを存じておりますが、横須賀については、ちょっとお待ちを願いたいと思います。
  132. 庄司幸助

    ○庄司委員 それ来るまで待ちますが、この魚雷が静止した、つまりとまっている商船に対して発射して四発のうち二発しか当たらない。これはどういうわけですか。
  133. 江口裕通

    ○江口政府委員 ただいま防衛局長が申し上げましたように、魚雷は四本撃っておりますが、そのうち二本は事故があったわけでございます。  この事故は二通りございまして、静止した船に当たらないというのは最後の四発目であったわけでございますが、最初の方は実は自走しなかった魚雷一つございます。これは自分で走らなかったということです。これは現在のところ、恐らく電池系統の作動不振ということで、ほぼそういう原因をつけまして、その後の対策を講じております。  それからもう一本の御指摘の分でございますが、これはむしろ逆に、船が静止しておりましたというところに問題があったかと考えております。と申しますのは、これは使いました魚雷は三七式魚雷でございますけれども、これは通常ホーミング魚雷ということになっておりまして、船舶の音響にホーミングをしていくということに相なっております。  ところで、この雄洋丸の際には周辺に多数船舶がおりましたので、このホーミング性を発揮させますと、他の艦艇に波及するおそれがあるということで、その機能を切り離して単なる直進魚雷として使用せざるを得なかった、こういう状況にございます。そういう点から予期の効果が出なかった、かように考えております。
  134. 丸山昂

    ○丸山政府委員 魚雷艇でございますが、先ほど私申し上げましたとおり、舞鶴と余市にそれぞれ二隻ずつございまして、それで全部でございます。したがって、東京湾周辺にはございません。
  135. 庄司幸助

    ○庄司委員 わかりました。  魚雷はいまのところ、自衛艦の中では潜水艦と、それから魚雷艇以外は発射できないのですか。
  136. 丸山昂

    ○丸山政府委員 潜水艦魚雷艇のほか、その魚雷の種類によりまして、御存じのとおり水上艦からアスロックのあれで発射をいたすものがございます。それから、通常の魚雷発射管を備えておるものは発射可能でございます。
  137. 庄司幸助

    ○庄司委員 そうすると、通常の護衛艦といいますか、あのとき四隻派遣されておりましたね。あの四隻の中に魚雷発射管はついていなかったのですか。
  138. 丸山昂

    ○丸山政府委員 アスロック搭載艦があったはずでございますけれども、これはいま申しましたように、アスロック搭載の魚雷は特殊な魚雷でございますので、この目的には適しないものでございます。要するに潜水艦を対象にするものでございますので、この目的には合致しないものでございます。
  139. 庄司幸助

    ○庄司委員 それで魚雷四発、一発の値段はたしか千七百万円ぐらいだったと御答弁があったように記憶しておりますが、きわめて高価なものです。これは国民の血税でつくっているものですね。そのうち二発が、一発は走らない魚雷、あとの一発はホーミングを外したためにどうも見当違いをした。一体この自衛隊魚雷は、前の委員会でも坂井委員から御指摘があったのですが、訓練用の魚雷で、本当なら浮き上がるべき筋合いのものがぶくぶく沈んでしまったり、きわめて国費のむだ遣いをやっていると私は思うのです。こういう国費のむだ遣いですね。——私は四発の魚雷の問題でいま言っているわけです。しかし自衛隊が時こそ至れりと小躍りをして、本当に戦争にでも出ていかれるような気持ちであそこへ勇躍発進したわけですが、半分しか当たらない。こんなむだな装備をお持ちになったまま、国民の血税をこんなむだ遣いしてよく済ましておられるものだなと私は思うのですが、その辺どうお考えですか。
  140. 丸山昂

    ○丸山政府委員 装備局長が先ほど御説明しましたように、本来この魚雷はホーミング魚雷であって、音源を求めて、動いておる物に対して有効に活用されるという性格のものであるわけでございます。時たま今回はエンジンもストップして音源となり得ない対象に対して使ったということでございまして、一番よくこういうものに命中し得るものであるならば、第二次大戦前に使っておりました直進の中型の魚雷がこれには一番向くわけでございますけれども、あいにくそういった魚雷は現在持っておらないということでございまして、本来想定され得る事態に対応して使い得る魚雷を、たまたま第十雄洋丸を対象にして、それを使わざるを得なかったというところに問題があるだろうと思います。  したがいまして、大変旧式な魚雷であっても、万が一のことを考えて、そういうものも装備しておくべきではないかという御意見でございますならば、当時やはりそういった点についての反省もあったわけでございまして、そういう特殊な場合に対応できる体制というものもやはり考えておくべきではないかというふうな反省といいますか、こういったことは、私どもの内部ではやっておるわけでございます。
  141. 坂田道太

    坂田国務大臣 いま御指摘のとおりにやはり装備等につきまして不十分な点があると思います。四次防でも先ほどお答えを申し上げましたように積み残しがございますし、ポスト四次防を考える場合に、どうしても弾薬あるいは補給、抗たん性、後方支援体制に若干不十分な点がございますから、この点を含めてポスト四次防も考えていきたいというふうに考えております。それから性能等につきましても、少し高いものを考えていかなければいけない。そして国民の血税を支出していただいておるわけでございますから、これが有効適切にいろいろの場面に使われるということでなければならないというふうにわれわれといたしましては反省をいたしておるわけでございます。  ただ第十雄洋丸の場合でございますと、あの火災が消えない、ほかに手段はない、そしてそのことがまた石油その他のいろいろなものに波及をして、また人命に多大の損害を与える、それを抑えるという一つ目的のために、ほかに方法がないということで、あのような撃沈ということを要請してきたものと思いますし、それにわれわれはこたえたということであろうかと思うので、その点は何もこちらが好きこのんで行ったわけじゃないので、要請がございまして、それ以上に拡大するおそれのあることを消すという意味合いにおいて使命を達成したというふうに思っております。  しかし、いま御指摘装備の欠陥と申しますか、あるいは訓練不足というような問題については、今後われわれも努力をしてまいりたいというように思っております。
  142. 庄司幸助

    ○庄司委員 これで終わりますけれども、この問題を考える場合に、どうも必要最小限という概念から言うと、非常に逸脱したと私は思っておるわけです。飛行機も出動すれば艦船も出動する、潜水艦も出動するでしょう。対潜爆弾まで使う。これは自衛隊が、ちょうどいい機会だから、あらゆる火器の実験をやろう、訓練をやろうという機会としてとらえたという疑いを私は禁じ得ないのです。  それから魚雷については、私は何も国費をむだ遣いして、もっともっとりっぱな魚雷をつくれなどとは申しません。ただ、大体魚雷と言えば走っている物に当てるというのが、われわれの常識ですよ。それがとまっている物に対する魚雷がなかったなんというのは、大体陳腐な話なんです。だからそういう点、私は非常にむだ遣いがあると思うのです。  最後に私、長官にこの問題も絡めてお伺いしたいのですが、今度の国会で非常に歳入欠陥の問題が論ぜられております。国家財政が深刻な危機にあるわけですね。地方自治体財政も同じです。しかもこの歳入欠陥を補うために、われわれ忌まわしい思い出を持っている赤字公債、この発行ももくろまれている。あるいは酒、たばこ、郵便料金の値上げも大衆負担でやられそうになっておる。こういうとき、私は防衛庁としたって、国民のいまの苦しみを考えるならば、当然に国費の節減を考えるべき時期じゃないかと思うのですよ。それを防衛庁は別だ、国防に当たっているのだから、びた一文削減できない、こういう考えで、一般事務経費ぐらいの削減でお茶を濁そうとするならば、これは国民の期待にこたえる道ではないと思うのです。その辺で防衛庁長官は、この国家財政の未曽有の危機に際して、どういう節減を心がけておられるのか、この辺の決意を最後に聞かしてもらって終わりたいと思います。
  143. 亘理彰

    ○亘理政府委員 防衛庁といたしましては経費の節減、使用の合理化につきましては平素から心がけているところでございます。ただいまの歳入欠陥に伴います節約の点につきましては、私ども決して事務的な経費のわずかなものを節約するにとどめておるわけではございません。これはすでに補正予算として減額することを国会の方へお示ししておりまして、そのとおり成立しておるわけでございますが、防衛庁の五十年度の当初予算で計上されましたもろもろの経費につきまして、既定経費の節約、それから一部は不用が見込まれるものを加えまして減額した額は八十六億円に達しております。この額は御承知のとおり一般会計全体での節減額が七百四十一億円ということは明らかになっておるわけでございますが、それに対して一一・六%ということでございます。防衛庁予算は一般会計の中で六%何がしでございますから、この節減においては防衛庁予算のシェアに比べまして非常に大きいものを協力いたしておる。これは調達が多いということも関係いたしますが、そういう状況でございます。
  144. 坂田道太

    坂田国務大臣 ただいま経理局長から申し上げたとおりでございますが、私どもといたしましても、できるだけ節減にも努めてまいりたい。しかしながら、やはり国の防衛というものについては一朝一夕にできることではございませんので、これは着実に整備をしていかなければならない。それでなければ平和は保てない。また、安心して産業活動も活発にならない。あるいは福祉政策もできない。やはりその基本は、安全を守るということがあって初めて国民の豊かな生活というものが確保されるというふうに私は思います。  世界的に見ましても、GNPの一%以内というのはほかにはございません。大体ヨーロッパにおきましても、三%以上あるいは五%、六%というところが多いわけでございます。あるいはソ連におきましても中国においても北朝鮮においても、かなり高い軍事費を使っておるわけでございます。それに比べますと、GNPの一%程度というものは将来のことを考え、あるいは有事の際を考え、あるいはいろいろの国防ということを考えるならば、著しく民生を圧迫するというような程度ではない。しかしながら、こういう不況の時期、しかも歳入欠陥の出ましたこの時期において自粛をしていくということは当然なことだというふうに考えております。
  145. 庄司幸助

    ○庄司委員 終わります。
  146. 井原岸高

    井原委員長 坂井弘一君。
  147. 坂井弘一

    ○坂井委員 日米安保体制ないしその条約の功罪につきましては、その評価において、これはわが国防衛政策上の問題でございますから、いま直ちに私はそのことを議論するものではございませんことをあらかじめお断りした上で、坂田防衛庁長官に率直にお尋ねしたい件がございます。  去る六月二十七日参議院本会議におきますところの長官の答弁でございますが、私は実はこれを見まして正直非常に驚いたわけなんです。つまり安保条約を根本的にどう認識するかということの問題になろうかと思うのですが、坂田長官がこういうことをおっしゃっている。「どうしても日米安保条約がなければ日本独立は全うできません。」重ねて申します。「どうしても日米安保条約がなければ日本独立は全うできません。」少なくとも私は安全条約のあるなしにかかわらず、わが国独立国家である、こういう基本認識に立っております。ところで、いまの長官の発言からいたしますと、まさにこれは安保条約がなければ、つまり安保条約によらなければ、わが国は自主独立国家ではないのだという物の考え方、基本的認識、このことはみずからの主権と独立を放棄するに等しい、まさにゆゆしき発言である、こう私は考えるわけでございますが、この際、坂田長官の真意として率直にただしておきたいと思います。
  148. 坂田道太

    坂田国務大臣 参議院のときの速記録を私はいまここで見ておりませんが、私がそのときにあるいは言い足りなかったことがあるのかもしれません。本委員会において、先ほど森下委員にお答えをいたしましたとおりに、私は常にわが国防衛については三つの原則がある。その一つは、まず日本人自身が、日本の国は日本人自身の手によって守る、侵略を受けた場合はこれに抵抗する強い意思を持つ、つまり国を守る気概がなければ国は守れない。いま先生の仰せの私の言葉の、いわば日本独立というものはあり得ない、これが第一番目にあるわけでございます。  第二番目に、そういう強い意思はあっても、能力を備えておらなければやはりだめだ、独立は保ち得ない。しかしながら日本には憲法の制約がある。制約があるけれども、その制約のもとにおいて必要最小限度防衛力は認められておる、こういうふうにわれわれは考える。しかし、その防衛力といえども、他国に脅威を与えるような、かつての軍国主義時代のようなものであってはならない。一面内政を考えた場合、著しく民生を圧迫するような過大なものであってもならない、過小でもない、過大でもない防衛力というものがなければならない。そういうみずからの国を守る意思もなく、そしてまたその能力というものも具体的に示さないで、それに対する何らの努力もしないで、この世界の情勢が、いかに集団安全保障のようなことでその国々を守ると言っても、だれも依存すべき国はないであろう、こういうことでございます。  第三番目に、しかしながら第二番目のわが国防衛力というものは、いまわれわれが目指しておるものであっても、他国に比べるならば小規模のものにしかすぎない。一国一国でただ軍事的なもののみによって対抗するとするならば、これは彼我明らかであります。しかし、それは外交的手段その他の経済的手段によって国を守る。しかし、それをやってすらも、なお間隙が生ずる。大規模攻撃に対してどうするか。これはとてもいまの自衛隊防衛力をもってしては、そういう事態が出てきた場合は国は守れない。国民の一人一人の生命、財産は守れない、自由は守れないんだ。こういうことで、また核の攻撃をされてくるならば、これはたまりもない。どうするか。どうしても日米安保条約は不可欠である。  この安保条約が加わって三つのことが、国を守る気概があり、そしてまた一定防衛力があり、そして日米安保条約があれば、この三つが一組であって日本独立と安全というものは保てるという意味において、日米安保条約というものが強い抑止力になっておるんだ。だからアメリカと戦うということを覚悟することなくしては、大国といえども日本攻撃することはないだろう、こういうことでございまして、三位一体に私は考えておるのです。  しからば一体安保条約がなくなったという場合は、根本的に防衛の構想を変えなければ日本独立と安全は保ち得ない。その場合、恐らく私はGNPの一%を超えざるを得ないだろうというふうに思うのです。しかし日米安保条約がある限り、大体一%程度でいけば他国から侵略を受けることはあるまいという意味において、日米安保条約の大事さということを私は強調しただろうと思うのです。しかし私は、大抵日本防衛について言うときは、少なくともこの三つのことについて言い続けているわけでございまして、それが私の真意でございます。
  149. 坂井弘一

    ○坂井委員 いま真意だということでおっしゃった。それはそれなりにわかるのです。これをどう評価するかということについては、おのずから意見の分かれるところではあるけれども、しかし長官、いまあなたのおっしゃったような考え方については、従来日米安保条約をどう評価するか、これは少なくともわが国の自衛のための補完的な役割り、こういう位置づけがなされてきたことは事実なんです。そういう中で特に今度は、どうしても日米安保条約がなければ日本独立は全うできない、こういう発言が参議院の本会議場という公の場において、しかも大臣の口からなされる。これはあなたがおっしゃったことなんです。もちろん三つの点については言われておる。大変ここで勇ましくあなたの信念としてお述べになったのかは知れないけれども、先ほど言いますように、こういう発言は、わが国独立国家ではありません、安保条約がなければ、こういうことなんですよね、率直にとれば、素直に聞けば。  こういう物の考え方、これは私は非常に危険だ。つまりポスト四次防で防衛の基本構想が、基盤防衛力整備ということに力点が置かれる。こういう構想の中で安保条約そのものが非常に重要な位置づけがなされておる。そういう物の考え方と、今度の基本構想と、坂田長官が参議院本会議でこのような発言をなさる、安保条約、これがなければ日本独立は全うできないんだ、どうしても安保条約がなければできないんだ、これはまさに軌を一にする考え方ではないか。そうなると、これはある意味においては、私は国民に対する重大な侮辱的な発言にもなる。主権在民ですよ。わが国わが国憲法を持つ独立国家、これは紛れもない事実なんです。こういう発言は少なくとも軽々ではありませんか。  あなたが三位一体だと言われるいまの意味は、あなたなりのその考え方、それはわかりますよ。それはわかるとしても、このような、いま私が指摘するような発言を本会議場において堂々となさる、どうしても理解できない。
  150. 坂田道太

    坂田国務大臣 実は非常な誤解があるわけでございます。その三位一体というところに意味があるのであって、その一つだけをとらえられれば、そういう議論が成立すると思います。そういうふうに国民が受け取ったとするならば、先生の御指摘のとおりだと思うのです。私は、そんなことを言っているのじゃない。国を守る気概があり、その意思がある、そして能力がなければならない。これが一番ですよ。三番目に、それでもってどうしても日本の大規模攻撃、非常に可能性が少ないでしょうけれども、しかし、そういうようなことも考えておかなければならない。核の攻撃、これも恐らくないだろうと思うのです。しかし、ないかもしれないけれども、あるかもしれない、そういうことに対しても備えておかなければならないということで安保条約というものが必要になってきた、こういう意味なんで、三位一体を考えていただかなければいかぬ。  これは予算総会で、おたくじゃなかったと思いますが、どなたかから、その三つをひっくり返して、いまのような安保条約それから防衛力、そして国民気概三つに言われましたが、それは違いますと申し上げたのです。第一番目が国を守る気概ですよ、私の考えは。第二番目が自分の国は自分で守る、防衛努力をするということですよ。自分の国を守るという努力もしないところに幾ら安保条約と言っても、人が来て応援をしてくれますかという気持ちなんです。また私はそうだと思うのです。その一つだけを取り上げられて議論されても、それは私の考えとは違うのです。それは先生の受け取り方なんで、私の真意がまだ先生に伝わっておらないということでございます。  そういうわけでございまして、ここの三位一体というところが一番大事なところ、しかも今日世界のどこを見ましても、一国だけで国を守れるというところはほとんどないんじゃないですか。それはソ連にしましても、あるいはアメリカにしましても、これは超大国でできるかもしれません。それといえども、アメリカもやはり同盟国を幾つか考えている、ソ連もそのとおりだと私は思います。いわんやヨーロッパのイギリス、フランス、ドイツにいたしましても、NATOの一員として国を守ろうとしておる。それと、そういうNATOの体制におることがドイツ国民の自尊心やあるいは主権を侵されておると思っておるでしょうか。イギリス人が、あの誇り高きイギリス人がそう思っているでしょうか。私は、そう思わない。主権を侵されていると思いません。むしろ日本の国を守るためにこそ、安保条約は不可欠なものであるというこの発想が、どうして日本の主権を侵すことになるんでしょうか。私は、そう思わない。むしろそうあることによって、ある程度GNPを抑えて防衛費を節減できるんじゃないでしょうか。そう私は思うのです。
  151. 坂井弘一

    ○坂井委員 私が申し上げている真意については、どうも長官に伝わらぬらしい。それならば、いまのような御答弁をされたらいかがですか。つまり、あえて言うならば、少なくとも日米安保条約わが国防衛、安全あるいは独立にとって非常に大きな役割りを今日まで果たしてきた、また今後においてもこの体制は維持するとでもおっしゃれば、あなたの立場からしてですよ、それはそれなりにわかる。そういう考え方の中での三位一体として日米安保条約を評価したのでありますと言うならばわかる。本会議の議事録を見る限りにおいては、「どうしても日米安保条約がなければ日本独立は全うできません。」と、こんな言い方は、少なくとも基本認識において誤解を与えるでしょう。  だから、少なくともあなたがさっきおっしゃるような、舌足らずと言えば舌足らずかもしれない。そうであれば、こういう不穏当な——私は、本会議場における発言としてはきわめて不穏当である、それはお互いに相入れませんから、この議論についてはこれ以上この場では触れませんけれども、場を改めて、日本独立に関する問題でありますから、基本的な認識論として安保条約との関係における議論としては、場を改めてひとつ行いたいと思います。  的確にひとつお答えください。在日米軍と自衛隊との合同訓練の法的根拠、これは何でしょうか。
  152. 丸山昂

    ○丸山政府委員 在日米軍と自衛隊でございますね。  自衛隊は、防衛庁設置法の五条二十号であったかと思いますが、教育訓練を行うということになっておりまして、これによって教育訓練を行うわけでございます。  在日米軍と共同訓練をするということは、これは在日米軍が安保条約があるということに基づいて好意的に訓練の場を提供し、あるいは施設を提供するということをやってくれるわけでございまして、それについては特に根拠は必要としない。  われわれの訓練を行います根拠は、設置法の五条の二十一号でございます。
  153. 坂井弘一

    ○坂井委員 安保条約には関係ございませんか。
  154. 丸山昂

    ○丸山政府委員 直接は関係がないと思います。ただ、安保条約を締結していることによってアメリカが好意的にいろいろ便宜を与えてくれるということはあると思いますが、直接その法的根拠という点では関係がないと思います。
  155. 坂井弘一

    ○坂井委員 法的根拠につきましては、防衛庁設置法ということだ。しからば、この合同訓練の作戦指揮をとるのはどちらですか。
  156. 丸山昂

    ○丸山政府委員 いままでのところ、海上自衛隊の対潜訓練で合同訓練、われわれは共同訓練というふうに言っておりますが——がございます。これは両方部隊を編成してやります場合には、これは共同訓練。それから、相手方が、たとえば潜水艦などの目標艦を提供してくれる場合、これは目標提供で、一方的に当方の訓練ということになるわけでございます。この共同訓練の場合には、指揮はそれぞれ別個に、日本サイドは日本の指揮官、それからアメリカアメリカの指揮官ということでやっております。
  157. 坂井弘一

    ○坂井委員 じゃ、そのままに聞いておきましょう。  それを踏まえまして質問を続けていきたいと思いますが、ことしの六月の十九日に、韓国の浦項一帯にかけまして、いわゆるイエロードラゴン作戦と称する米韓一体の大がかりな合同訓練がなされた。すでに新聞の報道にあるとおりであります。その際に、沖繩からF4Eファントム戦闘機が十機参加した、こういう報道がある。  ところで、このことにつきまして予算委員会での質問の際に山崎局長が、米側に問い合わせたところ、一切参加していないということであった、こういう答弁をされております。  そういたしますと、ここで考えられることは四つあると思うのですが、その中の一つがうそである、でたらめ。一つは、新聞が間違って報道したのか。二つ目には、韓国の海兵大隊指揮官、これがうそをついたのか。三つ目には、アメリカ政府がうそを言っているのか。四つ目には、外務省がうそを言っているのか。このいずれかでしょう。恐らく外務省、うそを言ったとは言わぬ。アメリカ政府にだまされたとも言わぬ。そういたしますと残るのは二つであります。新聞がでたらめを書いたんでしょうか。それとも韓国の海兵大隊指揮官がうそをついたんでしょうか。恐らくその辺の真偽につきましては、その後調査をされたと思いますから、この際、明らかにしておいていただきたいと思います。
  158. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 先生のいまお話しになりました米韓合同演習は、新聞にはイエロードラゴンという名前のも出ておりますが、われわれの承知している限りでは、これはオペレーション・キャプスタン・ドラゴンと言っておりまして、五十年の六月二十一日から二十三日の間行われたようでありますが、この演習に関しまして、われわれは念のためにアメリカに問い合わせました。この新聞報道その他によりますと、沖繩にありますF4の戦闘機が参加しているということが報ぜられておったわけでありますが、問い合わせましたところでは、在日米軍機はこの演習には参加しておらないということを申しておったわけでありまして、われわれとしては、それを最終回答として受け取っております。  ただ、その予算委員会の際にも私が申し上げましたように、安保条約目的の範囲であれば、在日米軍が韓国へ出かけていって演習すること自体は禁じられておらないと思う次第でございます。
  159. 坂井弘一

    ○坂井委員 あえてこの問題の真偽につきましては、これを明確にしようとなさらないように実は受け取れてならないわけであります。しかしこの問題、一応おきましょう。  そこで、いまお答えになりましたが、法律論といたしまして、在日米軍が韓国軍と合同訓練をするという法的根拠ということになりますと、これは日米安保条約に違反しない限り、あるいは日米安保条約目的に従うならばということで許される、こういう判断であろうと思う。こういう判断であろうと思いますが、そういうことになりますと、これはまさに安保条約の精神ということで、安保条約第何条によるかということについては恐らく御回答がなかろうと思う。ありますか。
  160. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 御承知のとおり安保条約の第六条には「日本国の安全に寄与し、並びに極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するため、アメリカ合衆国は、その陸軍、空軍及び海軍が日本国において施設及び区域を使用することを許される。」ということは書いてございます。その意味で、アメリカ日本の安全に寄与する、及び極東の平和と安全の維持に寄与するという目的でそういう訓練を行うのであれば、訓練を行う以上は日本の基地を飛び立つなりして行くわけでありますから、それは日本にある基地の使用でございましょうが、そういう使用の態様は許されるというふうにわれわれは解釈しておるわけでございます。
  161. 坂井弘一

    ○坂井委員 では、せっかくですので、この際お聞きしておきたいと思いますが、いまのお答えでは安保条約第六条、つまり事前協議の事項、これが法的根拠であるということでございますから、そうであるならば、イエスまたはノーいずれの場合もあり得る、こう判断してよろしゅうございますか。
  162. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 一般的に申し上げれば、米軍は先ほど申し上げましたような目的のために日本にある基地を使えるわけでございます。ただ、その基地を使うに当たって、ある特定の事項については事前協議の対象とするということに合意されておるわけでございます。これが安保条約の六条の実施に関する交換公文に書いてありまして、これは御承知のとおり三つございます。  その三つは、合衆国軍隊日本国への配置における重要な変更、それが第一でございます。第二は、その軍隊装備における重要な変更、三番目が、日本国から行われる戦闘作戦行動のための基地としての日本国内の施設及び区域の使用でございます。したがいまして、演習のために米軍が日本外に出ていくというふうなことは、このいずれにも該当いたしませんので、その限りにおいて、そのことについてイエス・オア・ノーというふうなことを問題にする必要はないわけでございます。
  163. 坂井弘一

    ○坂井委員 ではお尋ねいたしますけれども、安保条約でできるということでございますから、それならば在韓米軍が自衛隊と合同訓練をするということも、これは法的に可能になるということになろうかと思うのですが、これはわが国の自衛ということではないからできない、こういう答えだろうと思います。でなければ御答弁いただきたいと思います。そうだろうと思う。  ただその場合に、在日米軍が韓国軍と合同訓練できるその法的根拠は安保条約に置いておるということであるならば、同じ論法で韓国側からこれを論じた場合に、在韓米軍は米韓条約によって、あるいは米韓条約の目的に従い、あるいは米韓条約に違反しない限りにおいては日本自衛隊と合同訓練ができる、こういう解釈が成り立つのではないか。もし韓国側がそのような見解に立った場合に、わが国はこれを拒否するか、あるいはすることができるのか、その見解についてお示しをいただきたい。
  164. 丸山昂

    ○丸山政府委員 在韓米軍と、それからわが自衛隊が合同訓練ができるかどうか、こういう御設問であると思いますが、先ほど申し上げましたように、できるかできないか、要するに法的に禁止されているかどうかということになると、これを禁じている法律はないというふうに申し上げてよろしいかと思います。  ただ私ども、在韓米軍とわが自衛隊が訓練をやるということはもちろん考えてもおりませんし、将来においても、その必要はないものというふうに考えておるわけでございます。また、具体的に在韓米軍から日本に対して共同訓練をやろうという申し入れがあった事実もございません。
  165. 坂井弘一

    ○坂井委員 法律論として申し上げておる。と同時に今度は実体論として、在韓米軍から、自衛隊と合同訓練をやりたいという申し入れがあった場合は、これを拒否しますかという問題が一つ。拒否するならする、しないならしない……。  それからさらに、いまお尋ねした件は、米韓相互援助条約に基づいて、先ほど言ったように、わが国の在日米軍が韓国軍と合同訓練するという法的根拠を日米安保条約に置くのだということであるならば、同じ論法をもってすれば、在韓米軍が米韓条約によって日本自衛隊と合同訓練したい、しようということを決めた、この場合に日本はそれを拒否することができるのかどうかという問題をあわせて聞いたわけです。拒否できるならできる、できないならできない、いまの二点について、結論だけで結構でございますからお答えいただきたい。
  166. 丸山昂

    ○丸山政府委員 在韓米軍と自衛隊の関係について私から御説明申します。  在韓米軍から、自衛隊との合同訓練について申し入れがあったら、自衛隊は拒否できるのかということでございますが、これは拒否できます。
  167. 坂井弘一

    ○坂井委員 わかりました。解釈としては拒否できるということでございますね。もし実際に申し出があった場合に拒否いたしますか。
  168. 丸山昂

    ○丸山政府委員 実際に申し出があれば当方としては拒否するつもりでおります。
  169. 坂井弘一

    ○坂井委員 もう一つ、国際法上の問題として、これはいまの日米安保条約あるいは日韓相互援助条約、これを離れまして国際法上の問題として、在韓米軍が日本自衛隊と合同訓練したい、しようという申し入れがあった場合、これは両国間の合意さえあればできるわけですね。この場合も断りますか。
  170. 丸山昂

    ○丸山政府委員 国際法上制約はございませんので、当方の自由意思でできるわけでございますが、その国際法上の問題でなくて、もし在韓米軍から合同訓練の申し出があっても、当方としてはそれに応じないという、一つの当方の政治的な方針と申しますか、こういうことを申し上げておるわけでございます。
  171. 坂井弘一

    ○坂井委員 わかりました。いずれにいたしましても、結論的には、在韓米軍からわが国自衛隊と合同訓練、これの要請があった場合すべて断る、これは政治的にそういうことを受けるつもりはさらさらない。これは政府としての責任ある意思決定である、こう理解をいたします。  そこでお尋ねいたしますが、韓国の情報国防相が十日の国防委員会で、国連軍司令部解体に伴うところのいわゆる作戦指揮権問題に関する質問がなされました中での見解といたしまして、米韓連合軍を指揮する、いわゆる米韓統合司令部を韓国内に設置するという構想を明らかにしたということが一つ、これに関連いたしまして、この連合軍に含まれる米軍は在韓米軍だけではなくて、日本、グアム等に駐留するところの米軍全体が含まれるということも公式に発言をしております。  このことにつきまして、さきにシュレジンジャー氏が来日して、坂田さんとの会談があった。それからまた韓国、この辺のいきさつについては坂田長官には何らかシュレジンジャーさんからお話があったのか、こういうことについて承知をしておるのかおらないのか。それから、いわゆる米韓統合司令部の設置構想なるものが出されたわけでございますが、このことについて何らかの報告を受けられたかどうか、この際、明らかにしておいていただきたい。
  172. 坂田道太

    坂田国務大臣 シュレジンジャー長官がわが国に参り、私と会談をいたしましたのは八月の二十九日でございまして、その前に韓国にシュレジンジャーは行っておる。そういう話は一切ございませんでした。
  173. 坂井弘一

    ○坂井委員 それではその後、米側あるいは韓国側から、この件につきまして何らかの報告があったでしょうか、どうでしょうか。
  174. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 われわれもそういう新聞報道でこういう構想があるということを承知しただけでございまして、詳細については何ら承知いたしておりません。また、われわれが知る限りにおきましては、まだそれは単なる構想の段階であると承知しております。ただ、いずれにしましても、そういうふうなものが直接在日米軍を指揮、命令するようなことは考えられないことでございます。
  175. 坂井弘一

    ○坂井委員 さて、そこで問題になりますことは、有事の際の在日米軍の作戦行動、これの指揮権が米韓統合本部に置かれる。しかも、この米韓統合本部なるものが韓国に設置されるということになりますと、日米安保条約の事前協議制というものが全くゼロになってしまうのではないかという心配が起こってくるわけでございますけれども、この辺についてはどう判断されておりますか。
  176. 山崎敏夫

    ○山崎(敏)政府委員 まず、報道の真偽について、われわれは承知しておらないわけでございますが、先ほど申し上げましたように、そういう韓国に置かれます米韓統合司令部が直接在日米軍を指揮、命令するようなことは考えられない次第でございます。われわれが事前協議の問題といたしておりますのは、先ほども申し上げましたように、在日米軍が直接戦闘行動のために日本の基地を使用して出ていく場合でございまして、その場合には、日本側は日本の国益に即してイエス・オア・ノーを言うということだけでございます。
  177. 坂井弘一

    ○坂井委員 米韓統合本部が直接わが国の在日米軍の指揮権を持つものではないという判断をしているというのは非常に甘いし、御都合主義的な考え方ではありませんか。少なくとも今回いわゆる国連軍司令部の解体に伴いまして、それに備えて米韓統合本部を韓国に設置をする、こういう構想として発表され、設置をしようという構想がなされておる。一方、わが国の横田に司令部を置いておりますところの米第五空軍、この第三百十三師団、ここに所属いたしますところの攻撃中隊あるいは偵察中隊、これはすでに韓国の大邱あるいは光州、ここに配置されております。これらは、従来こうした米空軍がいわゆる国連軍司令官のもとに指揮統合されておる。この作戦指揮権は国連軍の司令官が持っておる。ところが国連軍司令部の解体に伴いますところの米韓統合本部が韓国に設置されるということに相なってまいりますと、直接この統合本部の司令官が在日米軍の作戦指揮をつかさどる、こういうことになるであろうと想定することは、これきわめて素直な常識的なものの考え方だろうと思う。  したがって、そういうことから判断いたしますと、いわゆる日米安保条約の事前協議制そのものがきわめて形骸化され、無に等しいような、ほごになるような心配があるのではないか。こういうことについては少なくとも関係当局が、なおひとつ真剣に研究もし検討して、これに対処するということが、責務としても当然だろうと思う。いまのお答えというのは非常にのんびりとしておる。私から言えばそう言わざるを得ないわけです。ですから、この問題につきましても恐らく御答弁では議論がかみ合わぬだろうと思うから、さらに次の質問を踏まえながら、この問題に対するひとつ突っ込んだ見解を何とかこの場において出していただくように質問をしていきたいと思います。  実は、先般の予算委員会におきますわが党の山田委員の質問に関してであります。山田委員の、わが国の自衛権が極東の範囲外にも及ぶかという質問に対しまして、それは及ぶという趣旨の答弁が外務大臣からなされた。そのときの議事録を実はずっと追ってみました。そこで議事録を正確に読みながら、非常にあいまいな点がございますので、この際ただしておきたいと思うのですが、松永条約局長さんがこういう答弁をされております。  「ベトナムにおいて紛争が発生している、それに対して米軍が行動するということが安保条約上許容されるかという趣旨の御質問に対して、ベトナムというのは極東の周辺であって、そこにおける事態は極東の平和、安全と無関係ではない、したがって、米軍の行動というものは安保条約上許容されるという御説明をしてまいったわけでございます。」云々とございまして、「ベトナムにおいて発生した事態と同じような事態が北朝鮮において発生した場合に、米軍が行動することはない、そういう意味でこれは極東の周辺でないという御答弁でございます。」こういう答弁です。  これは一口で申しまして、こういう解釈は、安保条約上は北朝鮮につきましては極東の周辺ではないんだ、北朝鮮、これは極東の周辺ではないということを前段で明確に答弁された。つまり三十八度線以北は極東の周辺でないということを明確にされたということは、安保条約上三十八度線以北は極東の周辺ではない、こう解してよろしゅうございましょうか。
  178. 松永信雄

    ○松永(信)政府委員 先般予算委員会で山田委員の御質問に対して私がお答え申し上げましたが、その中でも申し上げましたけれども、安保条約上極東の周辺という概念は条約上はないわけでございます。極東の周辺ということが非常に問題になりましたのは、ベトナム戦争のときに、ベトナムで行動しているアメリカ軍隊の行動が安保条約上許容されるかどうかという御論議が非常に行われて、その際に極東の周辺において起こった事態は極東の平和及び安全に無関係ではない、したがって安保条約上これは許容されるという線で政府が御説明を申し上げてきていたわけでございます。  そこで北朝鮮においてベトナムと同じ状態が発生したならば、ベトナムと同じような意味合いにおいて、あそこが極東の周辺であり、そこが極東の平和及び安全と無関係ではないというゆえをもって、安保条約上、アメリカ軍の行動が北朝鮮に及ぶことが許容されるかどうかということを考えてみますると、北朝鮮においては、そういう場合にアメリカ軍隊が行動するということはあり得ない、その意味で北朝鮮は極東の周辺には該当しないという御説明を申し上げたわけでございます。
  179. 坂井弘一

    ○坂井委員 宮澤大臣が、わが国の自衛権は極東の周辺外にも及ぶのだ、こういうことを発言されたわけであります。そのことに関係いたしまして松永さんが、宮澤大臣が申されたのは、「米軍の行動が極東の地域に必ずしも限定されることはない。」しかしながら、その行動については「国連憲章で認められておりますところの集団的自衛権の行使としての行動しか認められない。」云々、「侵略を排除するための自衛権の行使としての行動の制約というものがおのずから出てくるということをおっしゃったわけでございます。」、こう答弁された。このことは、つまり国連憲章五十一条が発動される場合、こう理解してよろしゅうございましょうか。
  180. 松永信雄

    ○松永(信)政府委員 先ほど私が申し上げましたように北朝鮮においてベトナムと同じような状況が起こったと、仮定の問題といたしまして、北朝鮮が外部から武力攻撃侵略を受けた場合に、それに対してアメリカ軍隊が行動することはないということを申し上げたわけでございます。そのことと、在日米軍が安保条約に基づいて行動する場合に、その行動範囲が極東の範囲に限定されるものではないということは、全く別の問題であろうかと思います。  いま御質問がございました、そのアメリカ軍の行動について、国連憲章第五十一条に言っておりますところの個別的あるいは集団的自衛権というものの行使から出てくる制約、これは当然にそのときのアメリカ軍隊の行動に適用されるわけでございます。  安保条約上は、そのほかにさらに米軍の行動を制約するものといたしまして、たとえば事前協議の制度に服さなければならないとか、あるいは安保条約、地位協定その他の日米間の取り決めの諸条項に従わなければならないとか、いろいろな制約があるわけでございますけれども、そういう非常に大きな制約の一つとして、自衛権の行使ということからくる制約が、アメリカ軍隊の行動については当然に適用されるということを申し上げているわけでございます。
  181. 坂井弘一

    ○坂井委員 議論が非常にこんがらがりまして、明確さを欠くのですね。つまり、これははっきりお答えいただきたいのです。  極東の範囲外にも自衛権の発動は及ぶ、こういう宮澤外務大臣の発言で、このときの自衛権とはわが国のそれを指すのか、それとも日米安保条約第五条に基づくところのいわゆる自衛権なのか、それとも国連憲章五十一条に基づく集団的自衛権を指すのか、この法的根拠をはっきりしてもらいたいことと、この三つがそれぞれ相関関係にあるというならば、それが具体的にどうつながるのかということについて、ここで明確にしておいていただきたい。
  182. 松永信雄

    ○松永(信)政府委員 宮澤大臣がお答えになられましたのは、この質疑応答の中にも記録として出ておりますけれども、明確にアメリカ軍隊の行動についての制約でございます。したがいまして、それはアメリカ軍隊の持っております自衛権という問題にしぼってお答えになっておられます。
  183. 坂井弘一

    ○坂井委員 そのアメリカ軍隊ということに制約をしぼってのお答えということになりますと、その法律根拠はどこですか、何に基づくのですか。
  184. 松永信雄

    ○松永(信)政府委員 これも前から申し上げてはおりますけれども、一般国際法上、国は固有の自衛権を持っている、それが国連憲章第五十一条に明記されているわけでございます。その自衛権でございます。
  185. 坂井弘一

    ○坂井委員 わかりました。そういたしますと、国連憲章に定められますところの五十一条に基づく集団的自衛権、これが発動される場合においては極東の範囲にも及ぶ、したがっていわゆる北朝鮮、三十八度線以北にも及ぶ、こういう解釈ですね。
  186. 松永信雄

    ○松永(信)政府委員 自衛権の発動でございますから、違法な侵略が発生した、それに対して行動がとられるという場合に限定されるわけでございますが、そのときに、違法な侵略を排除するために必要な限度というのが、実は自衛権行使の非常に大きな制約、制限でございます。その制限に服するのは当然でございますけれども、そのときに加えられた侵略を排除するために必要な限度という範囲内でございますれば、その行動範囲が必ずしも極東に限定されることはないであろうということを申し上げているわけでございます。
  187. 坂井弘一

    ○坂井委員 これは非常に時間がもったいないのだな。実は突っ込んで議論したいと思うのですが、つまり国連憲章五十一条によれば、これが発動される場合においては、米軍という立場であれば、これは極東の範囲には関係なく、つまり安保条約の際に、あなた方が説明された極東の範囲あるいは周辺、これには関係なく発動が及ぶと、こう解釈していいのでしょう、そういうことになりますか。同時に、これは問題がありますよ。今度は、それでは安保条約に全然関係なしとしないかというと、これはまたあるのだな。これは安保条約第六条との関係においては一体どうなるのだという問題がまた疑問として出てくる。つまりその辺のところを、あなた方のつくろい方というものが全くその場その場のあれになっている。  しかし、少なくともここで非常に重大だと思いますことは、あの宮澤発言あるいはあなた方のあの法律解釈、このことは極東の周辺、これを超えて、米軍の行動はその範囲外にも及ぶのだということを明確に予算委員会の場において答弁されたということ、この事実が実は非常に重大だと思うわけであります。これは否定されませんね。いや、そうではない、北の方については極東の周辺ではないのだから、それに対するいわゆる兵たん補給であろうとも、在日米軍が出動することはあり得ないというような答弁に、ここで変えられますか。そうではなくて、出動する場合もあり得ると、こうなるのでしょう。いかがでしょうか。
  188. 松永信雄

    ○松永(信)政府委員 アメリカが集団的自衛権を行使して行動します場合に、その行動の範囲が必ずしも極東の範囲には局限されないということを申し上げております。それはそのとおりでございます。  ただ、そのアメリカ軍隊の行動については制約がいろいろある、その一つは、集団的自衛権の行使そのものからくる制約がございます。また、先ほど申し上げましたように、安保条約あるいは地位協定の条項に従わなければならないという制約がございます。それからさらに、事前協議制度というようなものもございますから、事前協議制度に掲げられてあります事項に関しては、事前協議をして日本政府の同意を求めなければならないという制約がございます。そういったもろもろの制約があるということは当然のことだろうと考えております。
  189. 坂井弘一

    ○坂井委員 わかりました。それぞれの制約はあるけれども、国連憲章五十一条に基づくならば、その自衛権の発動は局限されるものではない、したがって極東の周辺外にも及ぶのである、こういう答弁だろうと思う。そうですね。そういたしますと、いわゆる集団的自衛権、これはもろもろの制約がございますけれども、国連憲章に言うところの集団的自衛権が発動する場合においては、北朝鮮のみならず、他の国にも及ぶ、こう解して間違いではないでしょうね。
  190. 松永信雄

    ○松永(信)政府委員 いろいろな制約を前提といたしまして、自衛権の本質ということから物を考えれば、そのとおりでございます。その範囲について制限があるという性質のものではないだろうと思います。
  191. 坂井弘一

    ○坂井委員 一般的、法律的に解釈するならば、在日米軍の行動につきましては、北朝鮮だけではなくて、まず兵たん補給というようなことであるならば、その出動範囲は、行動範囲は、どこへでも行けるというようなことになろうかと思います。その場合の歯どめというのは、一体どこにあるのでしょうか。いろいろな制約は置かれます。置かれますけれども、一般的、法律的に国連憲章五十一条に基づいて米軍として行動する場合には、もろもろの制約はあるけれども、しかしながら、極東の範囲に限定されるものではない、局限されるものではないという大前提があるわけでございますから、北朝鮮だけではなくて他の諸国にも及ぶ、こういうことになると思うのですね。その場合の歯どめとして、わが国が考えておる歯どめは何ですか。有効な歯どめはございますか。
  192. 松永信雄

    ○松永(信)政府委員 自衛権の発動としてのアメリカ軍隊の行動の範囲がどこに及ぶかということについては、そのときにその行動が対象としております侵略の態様あるいは規模その他いろいろな状況によって、おのずから定まってくるのだろうと思います。したがって、具体的にそれはどこどこに及ぶというふうな御説明は非常に申し上げにくい性質の問題ではないかと思います。  ただ、先ほど来繰り返し申し上げておりますように、たとえば安保条約上はどういう制約があるかといえば、非常に大きな目的による制約と申しますか、第六条に極東の平和と安全というのがございます。そういう制約も当然にこれはかかってくるわけでございますから、個々の行動について、どこまで認められるか認められないかという問題は、やはりそのときの事態に対応して考えなければならないだろうと私は考えております。
  193. 坂井弘一

    ○坂井委員 そのときの事態に対応して考える、つまりケース・バイ・ケースのこともあり得るという判断であろうと思います。  時間が迫っておりますので次の問題に移りますが、同じく山田質問で提起いたしました、わが国の領域に侵入してまいりますところの軍用機、この識別の方法についての質問がございました。これに関係いたしましてお尋ねをしたいと思いますが、まず、いわゆる電子的信号による識別は、次に申します機種の場合できるのかどうかということについてお答えください。自衛隊機、米軍機、ソ連機、韓国機、中国機、タイ国機、カナダ機、台湾機も含めてその他、電子的信号による識別は、いま申しました国の軍用機について、できますかできませんか。
  194. 丸山昂

    ○丸山政府委員 電子的信号ということに一般的な御質問になりますと、ちょっとその辺むずかしいと思います。  この間、予算委員会で山田議員から御指摘のございました三つの文書、これについて私ども調査いたしました結果、これはアメリカが作成したものでございまして、私どもの自衛隊において使用しておるというものでございまして、それについて申し上げますならば、これで識別ができますのは米軍機と自衛隊機のみでございます。
  195. 坂井弘一

    ○坂井委員 米軍機と自衛隊機のみができて、他の国についてはできないということですね。
  196. 丸山昂

    ○丸山政府委員 他の国については私ども承知をしておらないということでございます。できるかできないかはわかりません。
  197. 坂井弘一

    ○坂井委員 山田質問におきましては、国名まで挙げて申し上げたはずであります。つまり、AKAA二八三、AKAA二〇〇二、AKAC六二、この三つでありますが、その中で、丸山局長は、AKAA二八三は十一カ国ですと御答弁になりましたね。このときの答弁というのは、あの際問い合わせてみて、初めて十一カ国ということがわかったということでございますか。
  198. 丸山昂

    ○丸山政府委員 この文書の表面に国名を幾つか挙げておりまして、その国だけが使うということでユースオンリーという表示がなされておりまして、その挙げてあります国がこれこれの国であるということ、これはあのときに照会をいたしましてから私ども承知をいたしたわけでございます。
  199. 坂井弘一

    ○坂井委員 正直におっしゃっていただきたいのだけれども、その前に資料としてちょうだいした、これは前段局長御答弁になりましたように、私がいま質問した件につきまして、自衛隊機及び米軍機については可能であるが、その他についてはできないと、はっきりしていますね。ところが、事実はユースオンリーでもって、数カ国ないし十一カ国の間にユースオンリーというものがございますよということを山田質問において指摘をしたはずなんです。それを確認されたところが、先ほど言いましたように、AKAA二八三につきましては十一カ国ということがわかりました、ところがAKAA二〇〇二とAKAC六二は、これは知りません、わかりません、こういう答弁だったですね。いまでも特にAKAC六二について、これはどこの国とのものであるかについて、おわかりになりませんか。
  200. 丸山昂

    ○丸山政府委員 まずお答えをいたします前に、ちょっと簡単に御説明をいたしますと、AKAA二八三といいますのは、先ほど申し上げましたように、識別の装置を飛行機に載せておりまして、そして地上から信号を送りました場合に、その航空機から回答が符号で参ります。デジタルで参ります。その航空機の方で、パイロットが飛行機を飛ばします前にそれをセットしておきますので、それが出てくるわけでございます。その数字は敵味方を識別する非常に重要な意味を持っておるわけでございますが、これは毎日変わります。したがいまして、一枚一枚パイロットとレーダーサイトでそれを持っておりまして、済みましたら、毎日これを焼却をしていく、こういう性格のものでございます。  それから次のAKAA二〇〇二、これは音声を出しての航空機と地上との連絡あるいは航空機相互間の連絡、これに使われるものでございまして、非常に簡単に申しますと、赤穂浪士の討ち入りのときに、山と川という合い言葉をやりましたが、それを大変近代的にしたものでございまして、これはやはりアルファベットと数字とでできておりまして、これも毎日使って焼却をしていく こういうものでございます。  第三番目のは、これは電話で情報を通知する場合に略語として使われるものでございまして、これはアルファベットの組み合せで、それぞれが意味を持っております。これは毎日焼却するものでなくて、大体月に交換をしていく、こういうシステムのものでございます。私どもこれは現物を見まして、これはきわめて技術的なものでございまして、予算委員会で山田議員から御指摘のあった、日韓米で秘密軍事協定というような、そういう性格のものではございません。通信連絡のこういう秘匿度を高くする。  それからもう一つは、前の二つについては敵味方識別をやるための方法、手段としてきわめて技術的なものでございまして、あのとき、防衛庁長官あるいは防衛局長、そんなことを知らなくていいのかということのおしかりを受けたわけでございますが、実は空幕長もこういう細かい中身については知っておらない。要するに、これはそういう技術的な問題として処理をされておる問題でございますので、私どももこの中身を検討いたしました結果、これはそういう政治的な意味合いを持っているものではないという判断をしております。  そこで、いま先生からの御質問でございますけれども、第一については、たしか十一カ国ございます。それから、第二についても十一カ国ございます。それから第三は、これは三カ国でございます。ただ、実はこれはアメリカでは高度の機密扱いをしておりますので、それをわかっているのに、おまえら言えないのかというおしかりを受けるかもしれませんが、公式に国名を挙げるということは差し控えさせていただきたいと思います。これは、私ども中身を見ておりますので、国の名前はどうかという御質問がございますれば、国の名前は知っておりますけれども、これはアメリカの文書でございまして、アメリカでは秘に扱われております。  それから、照会をしろという御指示がございましたので、十月の二十八日に空幕から在日米軍の第六部、統合本部の第六部でございますが、これに照会をいたしましたところ、これは在日米軍司令官及び米合衆国政府の名において、本件についてはリリースを拒否する、一部についても拒否する、こういう意思表示がございましたので、私どももそこまでが限界でございますので、よろしく御了承願いたいと思うわけでございます。
  201. 坂井弘一

    ○坂井委員 時間が来たということでございますので手短にして一応は終わりたいと思いますが、単なる高度な技術的な問題であるから、これは公表することができない、あるいは資料を提出することができないというような問題じゃないと思いますよ、少なくとも。これは、つまり山田質問で言いましたところの暗号ですよ。軍事的な取り決めですよ。AKAC六二につきましては、日米韓三国ユースオンリー、これはシークレットでしょう。高度な技術があるから、これはシークレットにしているのだという問題じゃないと思いますよ。これは三国共有のものですよ。三国のみにしか通用しない、そういう重要な問題を実は提起しているわけでございますが、米軍が拒否するから、米側が拒否するから、これは発表できませんというような答弁では、とうてい納得することができない。  なぜかならば、その論拠の一つといたしましても、さきの質問におきまして、防衛本庁当局はこういう事実のあることすらも御存じなかった。制服さんに聞いてようやくわかった。坂田長官、私はこの問題提起は非常に重要な意味を持っていると思うのです。つまり、シビリアンコントロールということ、それを全うするための好個な例と申し上げてはいかがかと思いますが、事が事で非常に重大であるだけに、私どもはそう認識しております。このことは日米韓三国のいわゆる軍事体制、日韓米三位一体の防衛体制を裏づけるごとき重要な意味がある、実はこうわれわれは判断しているわけであります。高度な技術的問題なるがゆえにシークレットである、したがって、この内容については、米側が公表してもらっては困る、できません、こう言ってノーの回答をしてきた、だからできませんということで御承知いただきたい、わかりましたということで済むべき問題ではないということを、この際は明確に申し上げておきたい。  したがって、この内容につきましては、わが党といたしましては、さらに突っ込んだ議論を今後場を改めて行いたいと思っておりますが、それに先立って、長官から最後に一言御答弁をいただきたいことは、つまりわが国の安全、防衛ということにつきまして、少なくともこうした日米韓一体の軍事体制の中に組み込まれるような危険、あるいはアメリカの極東戦略の体制下にわが自衛隊が置かれてしまうのではなかろうかと心配されるような問題として、私は冒頭から幾つかの問題点を実は指摘してきたわけでございまして、長官はそのようなことは断じてない、またあり得ないように、今回の新防衛基本構想においても、基盤防衛力整備構想というようなものによって、その全きを期するのであるという御決意であろうかとは思いますけれども、しかし、いかんせん、そうしたデタントの中ではあるとは言いながらも、国際情勢、特に米韓がわが国にもたらす影響というものはきわめて大きいことも、これまた否めない事実であります。  したがって、そういう点から、いかにしてシビリアンコントロールを全きものにして、わが国戦争への危険な道を、どういう具体的な今後の防衛政策の中で避けていくか、これはやはりきわめて重要な課題であろうと思う。そうした観点から、防衛庁長官の、特にシビリアンコントロールを基本に置いた考え方につきましてお述べをいただきまして、質問を終わりたいと思います。
  202. 坂田道太

    坂田国務大臣 われわれの日米安保条約というのは、わが国国民の安全を守るために、われわれがこの日米安保条約を日米間に結んでおるわけで、あくまでもわが国の安全のためなんです。米韓条約は米韓条約なんです。日米安保条約わが国の安全、わが国の国益、わが国民の一人一人の生存と自由を守るためにある。その意味において、わが国独立国なんですから、そこが一番の基本なんです。  しかしながら、その間におきまして、いま技術的なことをいろいろと申しましたけれども、こういうことがユニホームの中において漏れるということは、私はやはりシビリアンコントロールの上においてこれは非常に大事な問題、課題だと思っております。少なくとも、問題それ自身は技術的なものであっても、ユースオンリーというものが十一カ国もある。その名前が書いてあるものが他国にわかるということは、やはり日本防衛に対する機密保持ということに対して疑いを持つ。あるいは同盟国でありますアメリカ自身も疑いを持つ。そうすると、重要な、いわば日本の安全にとって必要な情報等も今後われわれに言ってくれないかもしれない。そういう信用の問題にかかわるわけです。こういうことが出たことが、私はまことに遺憾だというふうに思っておるのです。  それで、そのものそれ自体はいま申し上げましたようなことでございますが、それはアメリカが、識別するために必要だろうということで、好意をもってわれわれにユースオンリーのものを提供してくれたわけで、たまたまそれにそういうようなことが書いてあったわけでございますけれども、私はこの辺は、よく日本の安全、日本の国益ということを考えていただきたいと思います。でございますから、やはりその基本がわかった上は、秘密にすべきことは秘密にする。そのことは、むしろ他国への信用を失墜することにもなりかねないから、その節度というものはお互いで考えていこう、御了承を賜りたい、そしてまた、しかしながら一面において先生のような議論が出るのも私は当然だと思うのです。日米韓一体になってやるのじゃなかろうかという御質問があることも、また先生自身も日本の国益を踏まえてのお考えから発していると思いますので、その点は行政としましても、政治の上からも、十分私はそういうようなことを考えていきたい、先生の御趣意を体していきたいというふうに考えます。そして、皆様方に発表できる限度においてはお話を申し上げる、そして御理解を賜る、こういう態度で今後もいきたいというふうに思っております。
  203. 坂井弘一

    ○坂井委員 一言だけ加えて終わりたいと思いますが、このことが出たこと自体が遺憾であると長官おっしゃいましたので、あえて私は、そのことについて申し上げておきたいと思いますが、つまり、軍事防衛機密そのものを頭から私どもは否定するものではございません。ございませんが、もしこのようなことが、いわゆる防衛庁が、あなた方が知らない中で行われておるとしたらばという実は私には前提かあります。  つまり、制服が暴走するという危険性があるのではないか、そこにシビリアンコントロールの重要性がありますよという問題提起として、あえて警告の意味で、これを全きものにするためにということでもって私は質問をしているわけでございますから、その点については誤解のないようにしていただきたい。特にわが党では、この国の安全保障問題につきましては国会内に安全保障特別委員会を設置しなさいというところまでわれわれは主張しているわけでございますので、頭から否定をした発言ではないということを十分ひとつ理解して、いただいて、私の質問を終わりたいと思います。
  204. 井原岸高

    井原委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時二十二分散会