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1975-11-19 第76回国会 衆議院 外務委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年十一月十九日(水曜日)     午後一時三十四分開議  出席委員    委員長 栗原 祐幸君    理事 石井  一君 理事 小林 正巳君    理事 水野  清君 理事 毛利 松平君    理事 河上 民雄君 理事 堂森 芳夫君       小坂善太郎君    坂本三十次君       竹内 黎一君    福永 一臣君       山田 久就君    川崎 寛治君       土井たか子君    諫山  博君       松本 善明君    渡部 一郎君       永末 英一君  出席国務大臣         外 務 大 臣 宮澤 喜一君  出席政府委員         法務省民事局長 香川 保一君         外務政務次官  羽田野忠文君         外務省アジア局         長       中江 要介君         外務省経済局長 宮崎 弘道君         外務省条約局長 松永 信雄君         外務省条約局外         務参事官    伊達 宗起君         外務省国際連合         局長      大川 美雄君         大蔵省国際金融         局長      藤岡眞佐夫君         運輸省海運局長 後藤 茂也君         海上保安庁次長 間   孝君  委員外出席者         外務委員会調査         室長      中川  進君     ――――――――――――― 委員の異動 十一月十九日  辞任         補欠選任   金子 満広君     松本 善明君 同日  辞任         補欠選任   松本 善明君     諫山  博君 同日  辞任         補欠選任   諫山  博君     金子 満広君     ――――――――――――― 十一月十二日  北朝鮮帰還日本人妻安否調査等に関する請  願(鴨田宗一紹介)(第一九八六号)  同(久保田円次紹介)(第一九八七号)  同(左藤恵紹介)(第一九八八号)  同(佐々木良作紹介)(第一九八九号)  同(長谷川四郎紹介)(第二〇四五号) 同月十四日  北朝鮮帰還日本人妻安否調査等に関する請  願(島村一郎紹介)(第二一二四号)  同(徳安實藏紹介)(第二一二五号)  同(服部安司紹介)(第二一二六号)  同(高橋繁紹介)(第二一五三号)  同(戸井田三郎紹介)(第二一九五号)  同(近江巳記夫紹介)(第二二一六号)  同(池田禎治紹介)(第二二五四号)  同(竹入義勝君紹介)(第二二五五号)  外交・防衛問題等集中審議に関する請願(栗  田翠紹介)(第二二五六号) 同月十七日  北朝鮮帰還日本人妻安否調査等に関する請  願(木村武雄紹介)(第二二八六号)  同(鯨岡兵輔紹介)(第二二八七号)  同(船田中君紹介)(第二二八八号)  同(湊徹郎紹介)(第二四八六号) 同月十八日  北朝鮮帰還日本人妻安否調査等に関する請  願(荒舩清十郎紹介)(第二五五一号)  同(有田喜一紹介)(第二五五二号)  同(稲富稜人君紹介)(第二五五三号)  同(園田直紹介)(第二五五四号)  同(橋本登美三郎紹介)(第二五五五号)  同(毛利松平紹介)(第二五五六号)  同(白浜仁吉紹介)(第二六六八号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  海上航行船舶所有者責任制限に関する国  際条約締結について承認を求めるの件(条約  第二号)  油による汚染損害についての民事責任に関する  国際条約締結について承認を求めるの件(条  約第三号)  油による汚染損害補償のための国際基金の設  立に関する国際条約(千九百六十九年の油によ  る汚染損害についての民事責任に関する国際条  約の補足)の締結について承認を求めるの件  (条約第四号)  国際情勢に関する件      ――――◇―――――
  2. 栗原祐幸

    栗原委員長 これより会議を開きます。  国際情勢に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。堂森芳夫君。
  3. 堂森芳夫

    堂森委員 外務大臣、お帰り早々で御苦労さんでございますが、このたびの六カ国首脳会議出席されまして、私は、この共同宣言に目を通しまして、その共同宣言内容を検討してみたのでありますが、その述べられておる範囲は広範囲のものであります。しかしながら、総論的に述べられておるのであって、今後これらの共同宣言に盛られた各項目が実際に実行に移されるということは容易なことではないであろう、こういうふうに想像するのでありますが、もちろん今後に問題が発展していくでありましょうし、この共同宣言が果たして実りあるものになり得るかどうかということも、挙げて今後にかかることでありましょう。  そこで、今回の共同宣言を見ておりましても、六カ国それぞれ、この共同宣言にうたっておるように、共同責任を持っておるので、こうして集まって、現在の世界のむずかしい経済情勢等の改善について協力していくんだ、こういうことが冒頭に言われておりますが、本当に共同責任を持って今後当たっていくということは、果たして現実的に可能であろうかどうかと私は思うのでありまして、いわば、ある意味では同床異夢ではないのであろうか、そういうふうに思うのでありますが、外務大臣がこの首脳会議出席されまして、出席した六カ国の代表たちが現在の経済情勢について持っておる認識というものも、それぞれ各国によって違っておったのではないだろうか、当然そう思いますが、この点について外務大臣はどういう印象を受けられたでありましょうか、この点について少しく答弁を願いたいと思います。
  4. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 会議出席をいたしておりまして、私がどういうふうにただいま御指摘の点を考えたかというお尋ねでございますが、確かに各国それぞれ持っております問題の種類あるいは深刻さというものは、その間にニュアンスが当然のことながらあったと思いますけれども、しかし、今回のこの経済危機というものが一国だけでは解決できないということ、そしてまだ先の見通しが十分につけ得ないということ、処理を誤れば一九三〇年代の経済危機と同じような深刻なものになるというふうな認識においては、各国首脳がおのずから私は一致をいたしておったと考えます。したがって、これに対して共同問題意識を持ち、共同解決策考えなければならないというところの認識一致は、私は自然に会議に流れておったと思うわけでございます。  御指摘のように、このたびの宣言が本当に歴史的な意味を持つかどうかということは、これからこれがどのように実行されるかということにかかわるわけでありまして、その点は御指摘のとおりでございますけれども、危機に対して持っております認識、それを共同で処理しなければ回避できないであろうというような物の考え方、その点においては自然の一致があったと考えますので、それが各国の行動になってあらわれると期待をすべき理由は十分にあるのではないかという印象を持って帰ったわけでございます。
  5. 堂森芳夫

    堂森委員 この共同宣言は、いわばきれいごとで並べられた結構づくめのことであるということも言えると思うのです。それだけに、また実際の実行面においてはきわめて困難なものがあることも予想できると思うのであります。  そこで三木総理は、出席前には、ロメ協定の新アジア版であるとかいうふうな構想を持っておられて、非常に意気込みを持って出席をされる準備をしておられたと聞いておるのであります。また、アジア代表というわけではありませんが、アジアからの唯一出席国である日本総理としてこの会議出席されて、発展途上国人たちがいろんな考え方でこの会議を見守っておったと思うのであります。これは単にアジア発展途上国だけではなしに、来るべき十二月十六日でありますか、世界経済協力会議を控えての世界各国の、参加しない人たちも注目しておると思うのでありますが、アジアから出席した唯一の国である、しかも総理がいろんなことを言っておられた、構想しておられたということについて、本当にアジアの国の代表らしいような主張をされ、これがこの会議によく聞き入れられたと、そういうふうに認識しておられるのでありましょうか、その点を承っておきたいと思います。
  6. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 三木総理大臣は、かねて会議に臨まれる前に言っておられましたように、このたびの会議に当たって、参加しておる欧州諸国と違って、わが国はその周辺にいわゆる発展途上国をたくさん持っておるということから、おのずからそういう発展途上国の持っておる問題というものをいわば代弁をする、またしなければならない立場にあるということをるる述べられまして、そして、それに対する先進国側のとるべき施策として、たとえば輸出所得補償であるとか、あるいは農業開発基金であるとかということについて、具体的な提案をされたわけでございます。  そういう意味におきましては、ことにECの国は、アジア発展途上国というようなものとは距離的にも遠い国々でございますから、わが国がそういう発言をしたということについて、それは従来、彼らの間だけでの話に新しいいわばファクターを導入したということになったと存じます。  したがって、われわれにとりましては、この輸出所得補償の問題あるいは農業開発の問題、純粋に南北問題としてとらえる考え方わが国では大勢になっておるわけでございますけれども、同じ問題の認識をするにいたしましても、会議参加の国の中で、国によりましてこの問題のとらえ方が多少ずつ違っておりまして、中には、いわゆる世界輸出市場あるいは世界貿易量が非常に減り始めておるということは、とりもなおさず、非産油発展途上国外貨収支で大きな赤字を出すに至った、それが理由であるから、したがって、そのような非産油発展途上国購買力を何かの形で先進国が振興させない限り、世界貿易縮小傾向をたどって、ひいてはEC先進国自身が困る、そういう発想からとらえておる国もございましたし、また、OPEC国々がさらに原油価格の引き上げというような挙に出ないためには、やはりわれわれとしては非産油発展途上国の問題を重視しなければならないという、多少戦術的な発想に立っておる国もございましたし、その点は、発想はおのずから国々によって異なっておりましたけれども、結論として、これらの国の問題に先進国が一緒になって対処しなければならないと、結論においては一つのものを志向したことになった、かように申し上げることができるかと思います。
  7. 堂森芳夫

    堂森委員 そうしますと、外務大臣は、三木総理は南北問題の前進といいますか、よい方向への前進のための提起をして、それは十分各国代表によく聞き入れられたと、そういうふうに理解したという御答弁のようですね。  そこで、貿易自由化の推進の問題でありますが、三木総理はこの点についても、南北問題とも関連はしておりますが、非常な力こぶを入れて行かれるように前から言われておりました。ところが、イギリス代表ウィルソン首相は、イギリスの事情からいって、暫定的ではあるがおれの方は制限だと、こういうような発言もしておるように新聞にも報道されておるし、そうだろうと思うのですが、そういう意味で、貿易自由化を推進するということは、今度の会議では、それはなるほど一般論ではそうであっても、実際にはきわめてむずかしいことであるということになったのではないですか、いかがでございますか。
  8. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 先進国の間で、輸入制限というようなものは一方的に行わないということについてのOECDのかねての約束を確認をしようではないかということが議論になっておるわけでございます。その場合、御指摘のように、国情から見ますと、イギリスが一番つらい立場にあるということは、これはお互いによく知っておることでございます。しかし、宣言でごらんのとおり、イギリス自身も、そういうOECD約束を確認するということに同意をいたしたわけでございまして、したがって、その間の経緯ば、われわれとしてもイギリスの困難さを直接説明を受け、また、イギリス自身も、残りの各国問題意識をよく聞き、その上で宣言に見られますような合意に至ったということでございます。
  9. 堂森芳夫

    堂森委員 そうすると、まあ宣言にも、七七年までにこの貿易の問題については具体的な成果を上げるように努力しよう、こういうふうに希望的な見込み、見通しといいますか、努力目標といいますか、そういうものが述べられておると思うのであります。  この会議で具体的に一つの大きな問題点が具体化されたということが報道されております。それは、為替の問題、国際通貨の問題であります。アメリカフランスが、ドゴール時代以来、国際通貨の問題について何か哲学的な不信があるとも言われるような論争をしてきた。フランスアメリカは全く違った立場で相譲らなかった。このたびば、この二国が秘密協定すら結んだというふうに報道されておるように、今回の会議両国代表が妥結をした、話し合いができた、そうして、これによって新しいところの為替制度というものが近く生まれてくるであろう、こういうふうにも報道されておるのでありますが、この話し合い内容というものは具体的にはどうなのでございましょうか。
  10. 藤岡眞佐夫

    藤岡政府委員 今度の会議におきまして、コミュニケにもございますように、通貨に関しましては二つの点で成果が上がったのじゃないかと思っております。  第一の点は、為替相場安定化に努めようということでございます。方法といたしましては、コミュニケにもございますように、一つには相場の前提となります実体経済運営につきましてよりよく運営をしていこう、それからもう一つは、それでも相場の乱高下が起きますときには通貨当局相談をして対処していこうということでございます。  それから第二の点は、先生御指摘秘密協定云々ということに関係いたしますが、IMF協定改正が現在問題になっておりまして、その中で一番むずかしい問題が、よく神学論争と言われます為替相場制度について米仏の対立があったわけでございますが、今回の首脳会談を機に、そういう神学論争には終止符を打って両方の歩み寄りを見まして、両国がアクセプトできるような案をつくっていこうというふうな話があったわけでございます。もちろんこれはIMF協定改正でございますから、米仏が了解すればそれで全部決まるということではございませんで、さらに具体的には十二月に予定されております十カ国蔵相代理会議、その後の蔵相会議を経まして検討を詰めて、来年一月ジャマイカで予定されておりますIMF暫定委員会結論を得ようということになっておるわけです。当然その間におきまして、米仏のアクセプトできます案をIMFに送りまして、専門家の審査を待つということでございます。
  11. 堂森芳夫

    堂森委員 それでは重ねていまの問題についてお尋ねしますが、しかし大蔵当局としてはやはりどうなるだろうという見通しは持っておられると思うのです。日本に対してどんな影響が来るだろうか、そういうことも見通しは持っておられますか。
  12. 藤岡眞佐夫

    藤岡政府委員 IMF協定改正の中身につきましては、これから詰めていくわけでございますが、私の推測いたしますところでは、両者が歩み寄ったわけでございますから、フランスも従来のように固定相場だけを主張するということはしない、それからアメリカフロートあるいは固定相場にするかは各国の自由に任すと言っておりましたが、全くの自由でもいけないわけでございまして、その中間の案ができるのではないかと思っております。日本に対します影響としては、従来から日本フロートのもとにおいて為替市場を乱高下しないように運営してまいったわけでございまして、今度協定改正ができましても、日本にとっては悪い影響がないのみならず、むしろ貿易に多く依存しております日本にとりましてはメリットの方が大きいのではないかと思っております。
  13. 堂森芳夫

    堂森委員 そうでしょうか。円のレートがどのくらいに決まるのか、どの辺になるのかというようなことにも私は大きな影響があると思うのです。したがって、現在の日本がとっておるような管理されたフロート制、こういうようなところに落ちつくであろうという見通しのように、あなたの答弁を聞いておると思いますが、そうでございましょうか。
  14. 藤岡眞佐夫

    藤岡政府委員 為替相場安定化を図っていきます方法につきましては、先ほど申し上げたとおりでございますが、さらにつけ加えますと、特定のレート目標を決めるとか、あるいは変動幅を決めるということではなくて、通貨当局間で連絡をとりつつアドホックなベースで処理していこうということでございます。日本円レートはこのところずっと安定的に推移しておりまして、そういう取り決めができましても日本に関しては特に大きな影響はないものと思っております。
  15. 堂森芳夫

    堂森委員 新聞報道ですが、各国大蔵大臣あるいはその次の人あるいは中央銀行等が絶えず各国間で、毎日ですか、大臣は毎日でないのでしょうが、中央銀行等は毎日連絡し合う。ヨーロッパアメリカは時差もありませんしあれでしょうが、日本の場合、実際的にはそういう非常に密な、毎日のような連携というものはできるものでしょうか。新聞を読んでおってそう思ったのですが、いかがでございますか。
  16. 藤岡眞佐夫

    藤岡政府委員 通貨当局間で相談をしてまいりますときに、そのやり方といたしましては、ECは現在すでに毎日電話連絡をしておるわけでございます。恐らくいわば紳士協定という形になると思いますが、ECのうちの主要国アメリカわが国等中心となると思いますが、ECの中につきましては今後とも頻繁なる電話連絡は、これはなければおかしいと思いますが、一ドルとヨーロッパ通貨、さらにドルと円との関係につきましてはそれほどの必要はないというふうに感じております。いずれにしても、この取り決めにつきましては日本は中に入っていく、入っていきますが、頻々と他国から制肘を受けるということはないようにしたいと思っております。
  17. 堂森芳夫

    堂森委員 時間がありませんので、外務大臣方向を変えてお尋ねしますが、この会議が終わって帰国の途についた、アメリカの随行として加わったキッシンジャー氏が記者会見をして、来年にもこの会議の第二回目が開かれることになるであろうということを語ったと新聞等は報道しておりますが、そういうことがもうすでに決まっておるのでありましょうか、あるいはキッシンジャー氏の独自の考え方からそういうことを言ったのでありましょうか、あなたはどうお考えでございましょうか。
  18. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 来年にでもこの会議はまた開こうというようなことが決まっておるかというお尋ねにつきましては、私の存じております限り、そのようなことばございません。キッシンジャーアメリカ国務長官がどのような会話でそう言われたのかをつまびらかにいたしませんが、恐らくこういう会議はまた将来やりますかというときに、いや、もうやらないという答えはいかにも言いようでございますし、したがって、緊急必要があればやることがあるだろうというような答え方が恐らく常識的な答えにならざるを得ないので、そういうことであったろうかと私は想像いたしますけれども、次に、いつこういうことをまたやろうというような合意が、私の存じております限り、別段あったわけではございません。
  19. 堂森芳夫

    堂森委員 そうですか、じゃもう一点だけ、時間がありませんので承っておきますが、外務大臣は今回の会議が、さっきもお尋ねしましたが、十二月十六日の世界経済協力会議でありますか、発展途上国に対して本当に歓迎されるような印象を与えた会議であったとあなたは確信をお持ちでありましょうか。それは確信ないとはおっしゃらぬでしょうが、その点について承っておきたいと思います。  私は、必ずしもそうではないのではないかという気持ちを持っておるものでありますから、お尋ねをするのであります。
  20. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 いわゆる国際経済協力会議と呼ばれることになりました十二月十六日からの会議に至りますまでの過去一年余りの経緯は、堂森委員がよく御承知のとおりでございます。あそこへ至りますまでにはいろいろな経緯がございました。しかし、今回ランブイエにおきまして宣言の中で、この開催を歓迎するというふうに一致して述べるに至りましたことは、関係各国が、文字どおりこの会議にこれを歓迎する態度で臨むということを意味するものというふうに私どもは考えております。
  21. 堂森芳夫

    堂森委員 終わります。
  22. 栗原祐幸

  23. 河上民雄

    河上委員 いまの堂森委員の御質問に関連いたしまして、二、三お尋ねをしたいと思います。  今回のランブイエ会議につきましては、六カ国の首脳政治ショーという批評もかなりあるわけでございまして、六人のうち、実際に選挙で勝って大統領ないし総理になった人は過半数に満たないわけでございます。そういうようなことで、政治ショーをやったという批評もあるわけですけれども、会議に出られた感じと、ないしは日本政府として、これを一回限りというか、いまの首脳一つ意図に基づいて六カ国会議を開いたというふうにお考えですか。それとも、これを機会に六カ国会議を恒常化していこうというふうなお考えに立っておられるのでしょうか。それともまた、会議に出られた、終わった今日において、そういう点についてどういうような心境というか、気持ちを持っておられましょうか。それを伺いたいと思います。
  24. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 このたび集まりましたことには、私は非常な意味があった、合意もできたことでございますので、大きな意義があったと考えておるわけでございますけれども、このようなことが今後頻々として行われるというようなことも考えにくいことでございます。もちろん、非常に大きな問題がまた出ますればこういうことがあることもあろうかと存じますけれども、一つのやや制度化された形でこういうことをやっていこうということは、どの首脳も実は考えておられなかったのではないであろうか。したがって、宣言におきましてもこのような会議の今後のことについては別段何も述べられておりません。ただ、宣言の第十五項、一番最後の項にございますことは、今回の合意、今回の宣言というものを言いっ放しで終わらせてはならない、何かの形でその実施というものを確保していかなければならないという趣旨のことが十五項に書いてございます。首脳同士がこのような会議を今後制度化していこうということは、別段どなたも考えておられなかったようですし、そういうことについての話し合いもございませんでしたが、十五項において、現在あるいろいろな枠組みあるいは国際機関等を通じて宣言を確保していこうという意図を表明したわけでございます。
  25. 河上民雄

    河上委員 もしまたこういう必要が起こった場合、現在の世界資本主義危機というものは、ことし一年で終わるわけでもないわけでございますので、また近い将来、やはりこういう会議は必要であるという情勢になりました場合には、この六カ国が中心になってもう一度集まるというような暗黙の合意でございましたですか。制度化しないまでも、大体六カ国が今日のいわゆる先進資本主義諸国危機に対応するための責任あるメンバーであるというような気持ちを持っておられるのか、それとも、これはもう、あくまでも六カ国会議というのは一回限りのものであるという認識でおられたのか。
  26. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 このたびの六カ国という選び方も、ある意味では常識的とも申せますけれども、しかし恣意的であるという批評もあるわけでございます。したがって、今後このような会議を開こうという合意は別段なかったわけでございますが、六カ国に限り、六カ国以外は必要がないというような感じでも私はなかったように思いますので、今後もし大きな危機がありまして集まらなければならないというときには、それをどのような国の協議によるかということは、危機の性格にもよるであろうと思います。六カ国でこうやって集まったということは、そういう意味では今回を限ったことであるというふうに申し上げる方が正確ではなかろうか。将来についての合意なり相談が何もございませんので、今回の六首脳考え方として御紹介するわけにはまいらないわけでございますけれども、今回のことは今回のことというふうに御理解を願う方が正確ではなかろうかと思います。
  27. 河上民雄

    河上委員 それでは、かつてキッシンジャー構想というものが発表されまして、当時の前田中総理がこれに飛びつかれたのですけれども、肝心の西欧諸国が余り反応しなかったというようなことで、実際にはさたやみになったことがございますけれども、今回の六カ国会議というのは西側の結束の再強化という意味で、キッシンジャー構想が具体化したものであるというふうにお考えになっておられますか、その点いかがですか。
  28. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 いわゆるキッシンジャー構想といまおっしゃいましたのは、大西洋云々と、デクラレーション・オブ・プリンシプルスとかいう、非常によくわからぬ言葉で表現されたあれをお指しになっておられると思いますが、あのときには、もう一つ政治的な意思の統一を図ろうというのが目的ではなかったのかと存じますけれども、このたびの会議そのものは、ごらんのように、当面の緊迫した経済の問題がおのずから中心であった。そういう意味では、政治と経済というのはそう分けられるものではないではないかとおっしゃれば、二つの構想におのずから相通じるものはあろうかとは思いますけれども、今度の構想の出ました発想は、やはり当面、経済問題について、各国首脳が隔意なき懇談をする、議論をする必要があるというところからの発想であったように私は思っております。
  29. 河上民雄

    河上委員 いずれにせよ、今回の六カ国会議というのは、西側の六カ国が集まるということで、しかも南北含めた経済会議を控えて行われたものでありまして、私どもとしては、発展途上国の反応というんですか、あるいは東西と分けた場合の東側の反応というものを非常に案ずるわけでございますが、それにつきましてはもう時間もありませんので、またの機会にしたいと思いますけれども、今回の宣言が具体的に日本にどういうかかわり合いをしてくるかということは、非常に抽象的な宣言でありますから、直ちにはむずかしい問題にはなるまいかと思いますが、六カ国が保護貿易主義を排して貿易制度を自粛するということを述べておられますけれども、これは日本につきましても適用になるのではないかと思うのでありますが、たとえば具体的なこととしていま大きな問題になっていますけれども、来年以降の韓国のマグロの輸入制限の問題、あるいは日中貿易における生糸の輸入制限の問題、こういうような問題がございますけれども、こういうことにつきましてもランブイエ宣言の精神というものがやはり生きてくるのでしょうか。これはこれでございますというようなことでございますか、それを最後にお伺いしたいと思います。
  30. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 このたび宣言に至ります過程の中で、いわゆる貿易自由の問題として、ただいま河上委員の御指摘の問題は、各国首脳がおのおの発言をいたしまして、おのおのが自分の国で持っております問題を率直に述べて、いわば一方的でなく、問題がないのではないということは、おのおのの国がおのおのの国なりに説明をいたしたわけでございます。その中で、わが国などはどちらかといえば症状が軽い方と申しますか、そういう方であったと存じますが、しかしそれにもかかわらず症状の軽いものから重いものまで、ともかく一方的な貿易制限というものはやはりやるべきではない、基本としては輸入制限はしないということで原則を確認しようではないか、こういうことになったわけでございまして、したがってそういう議論の過程の中から、各国首脳がおのずから、六カ国おのおのが持っております問題を少なくとも直接に聞いて問題の性格を理解はしておる。理解はしておるが、しかしやはり原則は一方的な貿易制限はやめよう、こういう宣言に立ち至ったという経緯でございます。
  31. 河上民雄

    河上委員 やるのかやらぬのか、最後ちょっとはっきりしなかったのですけれども、もう時間がございませんので関連してお尋ねしたような次第です。
  32. 栗原祐幸

  33. 松本善明

    松本(善)委員 六カ国首脳会議については、私どもは帝国主義諸国の世界支配が大きな脅威に立たされているという中でのこれに対処するものであるということを指摘をしてまいりました。この会議が行われた結果はやはり私たちの主張どおりだと思っているわけですが、この政治的なねらいの問題をちょっと伺いたいと思うわけです。  私どもは、これは各国の革新勢力あるいは発展途上国、社会主義国に対して、共同して対処するという方向のものであるというふうに考え、それを指摘をしてきましたけれども、この宣言の中で経済的な問題だけではなくて政治的な――終わりの方でありますけれども、経済的な関係だけではなくて、これを基礎にする協力的な政治関係に重大な関心を持っているということが表現をされております。このランブイエ宣言あるいは六カ国首脳会議の政治的なねらい、それからこの宣言の中に言われている政治的な関心を持つということはどういう意味であるのか、こういう点を御説明をいただきたいと思います。
  34. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 この会議は、確かにいわゆる民主主義政治を信じ、また自由経済を基調とする国々会議であったことは申すまでもないことでございますけれども、しかし同時に、この宣言の第三項に見られますように、いわゆる体制の違った国々といえども、やはり緊密な国際協力と建設的対話をするということをわざわざ実は述べております。そういう意味では松本委員の御指摘になりましたほど度量の狭いと申しますか、対立的な姿勢をこの会議がとっておったわけではなく、むしろ、わざわざ第三項においてこのようなことを述べておるということは、これは御評価を願ってもよろしいのではないかと思います。先ほど後段に言われましたことは、第十四項に述べておることを御指摘になったのであると思いますが、これはもうごらんのように、われわれ先進工業国も、また発展途上国も、国際政治にあるいは国際経済にあるところの協力的な関係というものを壊したのではお互いに将来がないという意味のことを述べておるものと考えています。
  35. 松本善明

    松本(善)委員 その政治的な評価については意見が違いますが、具体的にお聞きしようと思いますが、発展途上国の問題につきまして、発展途上国では一次産品の輸出価格の安定化とか、工業製品の値上がりに価格はスライドさせるということとか、先進国発展途上国に対する資金、技術などの援助の制度化、さらに多国籍企業の途上国内での開発、生産活動の規制を中心とする資源の恒久主権の確立、こういうような問題を要求してきたわけですが、こういう問題は具体的にこの六カ国首脳会議の中で話し合われたのかどうか、これは先ほどの話では抽象的な御答弁はあったようでありますが、具体的にどういうことが発展途上国の要求との関係で話があったのか、御説明をいただきたいと思います。
  36. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 ただいま御指摘になりました幾つかの点につきまして、たとえば発展途上国のいわゆる輸出所得安定化しなければならないではないかということについては、現実にかなり詳しい具体的な議論がございまして、それはこの宣言の中に述べられております。  また、非産油発展途上国国際収支が非常に困難になっているために、これらの国が油のみならず必需品の輸入に困難を感じておる、したがって、そのような国際収支の困難を緩和するために、先進工業国は何かの貢献をしなければならないという思想もやはり宣言の中に述べられております。したがいまして、松本委員の御指摘されました中で、いわゆる多国籍企業というものが開発途上国との関係でどういう影響を与えておるか、それがプラスであるのかマイナスであるのかというようなことにつきまして、これは国連でもいろいろ検討がなされておるところでございますが、それにつきましては今回特に議論をしておりませんし、また、共同宣言は別段触れておりませんが、概して、発展途上国の問題を大きなわれわれの関心事として取り上げましたことは、ほぼ宣言の十二項に述べられておるとおりでございます。
  37. 松本善明

    松本(善)委員 宣言は私はむしろ抽象的で、具体的な要求をかわしているように受け取っているわけです。たとえば、具体的に発展途上国の資源の恒久主権の要求というのは非常に強いものがありますけれども、これを尊重するというような態度はこの中では出ていないようですけれども、これは一体どうなのか。日本はその問題については一体どういうふうに対処をしたのか、お話しをいただきたい。
  38. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 資源につきましての恒久主権という問題は国連関係においてしばしば議論をされてまいりましたし、恐らくは十二月に行われます世界経済協力会議でも、発展途上国が主張をすることはあり得べしと考えておりますけれども、その内容をもう少し具体的にいたしませんと、これをわれわれが十分議論するための基礎はできない、漠然と資源に対する恒久主権といったようなことだけでは、それが制度としてどのようなことを意味するかということがわかってまいりませんから、いわゆる開発途上国がいろいろな形でそういう宣言、憲章といったようなものを提案しておりますけれども、これはもう少し議論をするのであれば具体的なものとして議論をいたさなければならないわけで、したがって、今回この六カ国首脳会議では別段それについての論議をいたしておりません。
  39. 松本善明

    松本(善)委員 外務大臣は十七日のパリでの記者会見で、石油輸出国機構には石油戦略があるわけだし、こちら側にも対応の戦略がある、こういう趣旨のことを述べたということが報道されておりますけれども、こういう石油輸出国機構の団結に対抗するというような考え方はやはり正しくないのではないか。そういうようなことがこの首脳会議で出たのかどうか、この点については外務大臣はどういうことを考えておられるのか、その真意を伺いたいと思います。
  40. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 私そういうことを申しましたが、それは私のあるいは日本の意見として申したのではありませんで、一日の会議が終わりましてそのブリーフィングというものの中で、そのような意見を持っておる国もあるということを申したのであります。したがって、第一にそれはわが国の見解ではありませんし、また私の意見でもないわけでございますけれども、会議参加国の中で確かに産油国とはいわゆる対決、コンフロンテーションをするということは誤りであろう、それはわれわれがいわゆる協調、コオペレーションをすべきものであろうけれども、コオペレーションをするわれわれの立場にもおのずから一つの戦略というものがあっても誤りではないであろう、こういう趣旨の発言があったわけでございます。それはそのとおり私は紹介をいたしたのでありますが、わが国がそういう意見を持っているわけではございません。  結局、そのようないろいろの議論を経まして、やはりわれわれとしていわゆる世界経済協力会議を歓迎する、いわゆる産油国並びに非産油発展途上国立場を理解をして、そして一緒の対話に入ろうという結論になってまいったわけであります。
  41. 松本善明

    松本(善)委員 貿易自由化の問題が先ほど取り上げられましたけれども、抽象的な御答弁だけでありましたので、これを具体的にお聞きしたいと思うのでありますが、いま日本では中小企業の保護のためにいろいろの規制をやっております。このことの結果それが一体どうなるかということは、国民には大変大きな関心事だと思いますので、一つ一つ具体的にお答えをいただきたいと思うのであります。  一つは、牛肉は現在輸入割り当て制で窓口一元化をされていると思いますが、これはどうなるのか。それから、生糸の輸入の窓口一元化、これはどうなるのか。韓国産の絹撚糸、大島つむぎ、この輸入抑制あるいは韓国側の自主規制を求めているという問題はどうなるのか。韓国産マグロの輸入の問題、これはどうなるのか。ECからのスキーぐつの関税の問題、これは一体どうなるのか。こういうような問題を今後はどういうようにしていこうというお考えであるのか、この会議との関係で御説明をいただきたいと思います。
  42. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 いま幾つかの品目についてお尋ねがあったわけでございます。これは品物によって情勢がいろいろ違いますけれども、各国が推進してまいりましたいわゆる自由化の中で残存輸入制限として残っておるもの、これはわが国もずっと自由化を進めてまいりまして、その成果世界の国の中でまずまず優等生に属する方である、いまやそういうふうになったと私は思います。二十品目ぐらいのところまで来たわけでございますから、しかもその七割以上が農産物であるというところまでまいりましたので、まずまず優等生の方でございます。この点につきましては、残りましたものですので非常にむずかしいものが多うございますけれども、今後とも残存輸入制限を詰めていこうという一般的な方針を政府としては放棄したわけではございません。が、いまのところでまずガットの加盟国の中では優等生の方に属すると私は思っております。また、品物によりましては、たとえばスキーぐつなどはそうであったと思いますが、いわゆる関税率を引き上げる、そのかわり他の関税率を引き下げるというかっこうで、ガットのルールに従いまして処理をしたものもございます。その他、ただいま御指摘になりました品物は、少なくとも一方的に突然輸入制限をするというようなことは、これはやはりこのたびの宣言の精神に合致しているものではありませんで、輸出国と話し合いをしながら、非常に急激な輸入量の増加をある程度緩和していく、こういったような方法を少なくともとるべきであろう。  したがいまして、松本委員の御質問の御趣旨に一般論としてお答えいたしますならば、この際、六カ国とも、いろいろ苦労はありながら、基本の方針として今回の宣言に同意をした、ただ、おのおのの持っておるいわゆる家庭の事情と申しますか、そういったような問題は、できるだけ相手国と話し合いをしていって、ルール違反にならないような形で、しかも一定の期間のうちに処理をしていこう、こういうふうな処理の仕方になっていくであろうと私は思います。
  43. 松本善明

    松本(善)委員 いま中小企業は、御存じのように、この深刻な経済危機の中でいろいろ四苦八苦をしているわけでありますが、その中小企業のための輸入制限というようなことは、そうすると積極的にはやらない、やらないのが正しい、こういう考え方で進んでいくということでございますか。
  44. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 それは、このたびこういう宣言があったから、なかったからということではなしに、われわれ自身がいわゆるケネディラウンド以来自由化というものを進めてまいって、残存輸入制限を七十幾つから二十ぐらいのところまでとにかく落としてきた、その過程の中で、中小企業についてのいろいろな救済の方法あるいはむしろ構造改善といったような積極的な方法をとっていって、そうして中小企業を生産性を向上させる、あるいは企業の種類によりましては企業転換のための積極的な助成をする、そのような努力をここ十何年続けてまいりました。それを今後も延長していく、こういうことと御理解願いまして、別にこのたびの宣言があったことによって、それらの従来からの方針が変えられるということではないというふうに御理解願いまして間違いないと思います。
  45. 松本善明

    松本(善)委員 御説明その他を伺いましても、今度の首脳会議宣言によって、いま日本の国民が直面をしております経済的な危機、国民生活の危機の解決に直接に役立つというふうには受け取れない。またそういうものであったかもしれませんけれども、一体どのようにかかわりがあるのかということについて具体的にお話しをいただきたいと思います。
  46. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 それは前々から申し上げておりますように、一般に貿易自由化ということがわが国にとって大局的に考えて有利であるか有利でないかといったようなことの判断というものがおのずからあるであろうと私は思います。それは大きないわゆるマクロで見ましたときのわが国の国益という問題でございますけれども、しかし、ミクロに見ますと、その中で、先ほどからお話しのように、中小企業あるいは農業の中にはなかなかそういう大局論で処理し切れないものがある、そういうものについては、先ほどから申し上げておりますように、構造改善であるとか生産性の向上であるとか業種転換であるとかというような国内措置を講じてここ十何年に及んでおる。そういうことを今回の宣言によって別に変更する必要があるわけではございませんから、大筋において輸入制限というものはお互いにすまいというような合意が先進工業国の中であったということは、私はわが国の国益に沿うものであるというように思います。
  47. 松本善明

    松本(善)委員 意見が一致しませんけれども、次の問題をやりたいと思います。  先ほども取り上げられましたアメリカフランスとの間での通貨秘密協定の問題であります。この見通しでありますが、フランスアメリカも相当強硬な主張を持っていたわけでありますから、この秘密協定ができたとしても、一つの政治的妥協ということで、これは簡単に障害なしに実行されていくということについて平たんな道というふうにはちょっと考えられないわけであります。一体この方向によって通貸問題についての抜本的な解決の方向が生まれていくのかどうか、あるいはこれは壊れていく可能性があるんじゃないのか、あるいはアメリカの国内でこれが支持されるかどうか、いろいろな障害が考えられますけれども、この秘密協定見通し、展望について外務大臣はどのようにお考えになっているのか。そしてまた、これがそういう状況との関係日本への影響をお話しいただきたいと思います。
  48. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 いわゆる秘密協定という呼び方が正確でないということは、先ほど大蔵省の政府委員がお答えをしたとおりでございますが、一つの部分は、今後為替相場の乱高下、非常に激しい高騰あるいは下落というものをお互いに防ごうではないかということについて、いわゆる紳士協定があったということ。  次に、現在行われております変動相場というものは、もともとIMFの趣旨から言えば緊急避難的な位置しか与えられておりませんで、IMFは金・ドルの固定相場といったような思想でできているわけですが、しかしそれは現状にそぐわないので、いわゆる変動相場フロートというようなものもIMFの規定を改正することによって、正当な位置を与えようではないかということについてフランスアメリカとの間にアンダースタンディングができた。ただし、これはIMFの規則の改正であるから、フランスアメリカだけでできるわけのものではなく、関係国がみんな集まってしなければならない問題ではあるが、ともかく、この問題についての従来のいわゆる神学的な論争というものは、この際これ以上進めても大して具体的な成果なり意味合いはないということで、現実的な処理をIMFの規定の中でしていこうということについて、主として意見の対立しておったアメリカフランスとの間でアンダースタンディングができた。この二つの部分から今回の問題は成っておりますというふうに大蔵省の政府委員が申し上げたと思います。そのとおりであると思いますので、まず、それがわが国にどのような関係を持つかということにつきまして、第一の点について申せば、わが国自身がドルとの関連において比較的安定した円の相場を持っている。三百円とか三百二円とかいうあたりを上下しておるわけでございますし、その間、時によって中央銀行が若干の介入をいたしておると考えますけれども、これはいわゆる乱高下を防ぐという効果を持ってきておる。そういう意味では、今度できました紳士協定と言われるものは、どちらかといえば、従来わが国わが国の方針としてやってきたそのことを指すようなものでございますから、わが国にとって別段支障があるということはない。先ほど大蔵省の政府委員が申し上げましたように、わが国にとってはむしろ利益があるのではないかということは当たっておると私は思います。  それから、第二の、IMFの規則の中にいわゆるフロートというものを正当な位置づけをするということは、これは現実にそのようなことをやってきておるわけでございます。遠い将来あるいは理想的な問題の解決のためにフロートがいいか固定相場がいいかということは、これはいわゆる神学的論争に属することでございますから、いまそのような大して現実的な意味のない学問的論争はそれとしておいて、現実にやられておるところのフロート、それも今回の紳士協定によれば、今後乱高下をなるべく防いでいくようなフロートといったようなものを、IMFの規則の中で正当な位置を与えるということは、これもまたわが国にとって利益こそあれ損失ではないというふうに判断をして間違いはないと思います。
  49. 松本善明

    松本(善)委員 答弁も不十分だと思いますし、私もさらに聞きたいこともございますが、時間の関係もあるのでこれでやめようと思います。いろいろ伺いましたけれども、やはり国民生活の危機を打開をするには役立つものではないというふうに私たちは考えざるを得ないということを申し上げて、質問を終わりたいと思います。
  50. 栗原祐幸

    栗原委員長 渡部一郎君。
  51. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 お帰りになってから間もない外務大臣、大分お疲れの御様子でございまして恐縮なんですが、話題になっておりますランブイエ宣言あるいはこの会議における総括的な評価をまずお伺いしたいと思います。
  52. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 先ほどからお尋ねについて大体申し上げておったつもりでございますけれども、まず、各国のいわゆる六カ国の首脳が、現在の世界経済の諸問題は民主主義体制、自由経済の直面する試練であり、また一国の力で解決できるものでなく、お互いに共同しなければ解決はできないという認識、それをしようという政治的な意思、決意をお互いに表明したということが基本的に大きな点であろうと思います。  次に、わが国立場から、わが国を取り巻くところのアジア発展途上国の問題をこの会議で論じ得たということも意義があろうと思います。まあ、首脳が三日間起居をともにしたということ自身がお互いの理解を増進するに役立ったということは申すまでもないところと思います。  具体的に申しますと、インフレの再燃を避けながらどうやって世界経済を回復し、企業家あるいは消費者の自信を回復するか。あるいはまた貿易についてOECDのプレッジであるとか、東京ラウンドであるとかいうものを推進していく。通貨についてはただいま申し上げましたような問題の進展があった。南北問題について、これらの国の国際収支の赤字をわれわれが何とかして補てんをしていかなければならないというような共通意思ができた。エネルギー問題についても、節約あるいは代替エネルギーの開発等について基本的な合意ができたといったようなことが成果であろうと考えております。  なお、委員長、ちょっとお許しを得まして、先ほど松本委員に残存輸入制限を二十云々と申し上げて、ちょっと不正確でございましたので、二十九でございますから、速記録の御訂正をお願いいたします。
  53. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 このランブイエの会談は経済的な頂上会談であるとみなされているわけであり、また一つは、いまの御説明の中の一部にもそういうニュアンスは出ておりますが、大事なことはここに出席しなかった大きな国、つまりソビエトを中心とする、ヨーロッパの政情安定のために行われたヘルシンキ会議に対する一つの反省というか、体制固めという面が大きくあるのではないかというふうに評価されているわけであります。私はその意味で、ここに対ソという関係の言葉は一つもないにもかかわらず、その問題をランブイエ会談それ自体が一つの対ソ同盟的なものとして、キッシンジャーの言う言い方によれば、工業民主主義国の同盟とか、あるいはジスカールデスタン大統領の言い方で言いますならば諸国間の同盟というような、政治戦略的な同盟的なニュアンスというものがこれを中心にして始まるのではないかというニュアンスを持って伺っておったわけでありますが、その辺はどういうふうに御評価になっておりますか。
  54. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 確かにこのたびの会議は、この宣言でもしばしば触れられておりますように、デモクラシーと古いエコノミーを信ずる国の会合であったという意味では、そうでない国々会議に参加していないという評価が私は成り立つであろうと思います。いわゆる東側半分というものはこの会議に入っていないではないかということは、私は評価として十分に言えることであると思います。しかしながら、このたびの会議が、それらの国々に対して基本的にどのような態度をとったかということでありますと、第三項で述べられておりますように、政治的、社会的制度の差異を越えて、すべての国々と建設的な対話をしたいということ、あるいは第十項に、われわれと社会主義諸国との経済関係の秩序ある実り多き増進を期待するというようなことが述べられておりますが、それから判断をお願いいたしましても、決してこのたびの会議発展途上国はもとよりでありますけれども、いわゆる東の、体制の異なる国々に対して、いわゆる西側の国だけが身構えをするというような性格のものではなく、むしろそれらの国々に対しても建設的な対話あるいは経済関係の増進を図ろうではないかというふうな姿勢をとっておりますので、それらの国々会議に参加をしておらないという評価は、確かにこれは否定をする必要のない、そのとおりであろうと思いますけれども、しかしこの会議がそれらの国々に対してとりました姿勢というものは、ただいま申し上げましたように、この宣言の中に出ておりますようなものでございます。
  55. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 お話しのような御説明もでき得る点があると私も思っておるわけでありますが、しかしながら、これはデタントの中における不信の累積というものに対する一つの対応策であったというふうにも私は見えるのではないかと一つは思っておるわけであります。  時間がないものですから、ちょっと議論を詰めるわけにいきませんが、もう一つは南北問題です。依然としてこの南北問題については、基本的認識という点では基本的なことに触れられておりますが、より具体的な問題がいますでに起こっておるのである、それに対しては非常に薄い、きれいごとだけがここで述べられておるのではないかという感を深くしておるわけであります。したがって、ランブイエ会議で決められたというだけでなくて、触れられたという程度にとどまっているのじゃないか。むしろ南北問題については、それを一番大きな当事者としての日本アジアの国における日本がもっと積極的な提案なり前進なりを示すべきではなかったかと思いますが、いかがでございましょうか。
  56. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 いわゆる南北問題につきましては、わが国のように、これを比較的純粋に南北問題としてとらえて対処すべきだという主張の国と、また国によりましては、世界貿易が衰退をしていくのはいわゆる南の国の為替国際収支上の困難があるからであって、われわれはそれを何とかわれわれの力で助けなければならないというふうなとらえ方をしております国と、またそれと違いまして、産油国の石油戦略に対処していくためには、南北問題というのはもはや無視できないではないかという、多少目的的なとらえ方をしております国とおのずからそのとらえ方に差異がございましたことは事実でありますけれども、それにもかかわりませず、この第十二項に述べておりますように、かなり具体的に、いわゆる南北問題に対してわれわれがとるべき態度、処置をこれだけ具体的に実は述べることができた。これはわが国の貢献に負うところが多いというふうに考えております。
  57. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 朝鮮半島をめぐる問題につきまして、緊急の問題が多少ございますからちょっとお伺いするわけでありますが、松生丸事件の勃発、またそれによる犠牲者の発生、そしてその犠牲者が、けがした人たちが最近になって帰ってこられたという時点で、政府はこの問題を取り上げて、口上書その他を述べて申し入れるという姿勢を示したやの報道を伺っているわけでありますが、政府の御見解を承りたい。  といいますのは、北朝鮮と南朝鮮の両方の地域に現存する二つの政府に対して、わが国の態度というものはきわめて公平でなければならないと思うわけであります。その意味でこれの扱いは寛厳のどちらかに過ぎてはならないと私は思っておるわけであります。その意味で、松生丸事件に対する対応の仕方は非常にあいまいであり、なあなあ式なやり方であり、今日まで明快な態度を欠いておったと思うわけであります。それをひとつ、どういう趣旨の態度をおとりになるおつもりであるか述べていただきたい。
  58. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 わが国が従来、いわゆる北鮮に対しまして人的、文化的あるいは経済的な交流は促進しつつも、国家として承認するに至っていないその理由がなぜであるかということにつきましては、当委員会で幾たびか御説明申し上げましたので、ただいま繰り返しません。確かにわれわれは南を承認しておって北を承認していないというのが現実でございます。それには従来から申し上げましたような私どもなりの理由があることであって、しかし、南北の対話が促進されるということを心からわれわれも一九七二年の共同宣言の趣旨に従ってこいねがっておるということも申し上げてまいりました。  次に、松生丸事件につきまして従来政府が具体的な対処に出ませんでしたのは、御想像のとおり、二人の負傷者が無事にわが国に帰還をするという時期をわれわれとしては慎重に見守っておったわけでございまして、その後、その前後を通じまして、われわれとして事件の真相といったようなものを把握することができましたので、北鮮側に対して日本政府の信じておりますところを伝える、もし何かの理由によってそれを伝えるということができません場合には、それが伝わるような方法をとる、直接的でなくとも伝わるような方法をとるべきだ、二人の負傷者が帰還をいたしましたので、そのような具体的な処置に入ったところでございます。  なお、私どもの信ずるところによりますと、本件について北鮮側のとった処置は、少なくとも正当化し得ない種類の処置であるというふうに考えておりますが、一般にこのようなことが起こったのは、その国を承認していないからであるというような議論がときとして私どもにも聞こえるわけでございますが、まあ、不法なことをしたがゆえにかえって承認を受けるというような結果になることは、これは、そのこと自身としてはしかるべきことでないであろう。むしろ北鮮についてわれわれが従来とっておりました態度は、御説明をいたしたようなことであって、こういうことがあるなしということで、それが左右されるものではないであろうと考えております。
  59. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 じゃ、どういう真相を把握されたのか、どういう態度をおとりになるのか、具体的に担当の方からお伺いしたい。領海に侵入していたのかどうか、発砲したのは正当であったのかどうか、そしてその被害者に対する処置は正当であったのかどうか、わが国はこうした日本漁船の航行あるいは操業に関して、今後どういう権利を留保しようとしているのか、また、近く期待されている両者の民間協定に対してどういう影響を与えようとされているのか、どういう主張をされようとされているのか、それから申し入れの趣旨は、口上書その他どういう形をもって申し入れをなさるか、意思表示をなさるか、そういうところを具体的にお願いしたい。
  60. 中江要介

    ○中江政府委員 お尋ねの松生丸事件についての真相といいますか事実関係につきましては、御承知のようにけさ十一時に、海上保安庁が海上保安庁において事情聴取を行いました結果を発表いたしました。  これによりますと、いままで北朝鮮側から伝えられていた事実が必ずしも正しいものではなかったのではないかという点が多々見られるところでございまして、私どもの方で知り得る限りの調査と情報を総合いたしますと、事件が起きました地点は公海上であったというふうに認めざるを得ないという結論でございます。  他方、銃撃が行われたときの状況につきましても、一時伝えられましたような状況とは多少違っていたのではないか。つまり警告があって、警告があったにもかかわらずこれを逃れようとした、これを追跡して銃撃が行われたというようなことではなくて、どうも周辺におりました僚船その他の調査から見ましても、これは何らかの理由でいきなり射撃を受けて二人の死者と二人の負傷者を出した、こういう状況のようでございます。  後の始末といいますか、二人の死者及び二人の負傷者の取り扱いにつきましては、その後いろいろ発展がございましたことは御承知のとおりで、二人の遺体は日本に返され、二人の負傷者も完治された上で帰還してきたことでございますが、その間の取り扱いについては、特に非常に間違いがあったあるいは不適当なことがあったというようなことは聞いておりませんけれども、とにかく二人の日本人のとうとい命が失われたということは紛れもない事実でございますし、また二人の負傷者につきましては、その帰還までは船長を含めましてなかなか真相の究明に手間取ったということはございます。  そういう事実を前提にいたしまして日本政府としてどういう措置をとるかにつきましては、ただいまも大臣の御答弁もございましたが、相手の北朝鮮と承認関係あるいは外交関係があるかないかということとかかわりなく、国際法上その問題を客観的にどう認識するか、それに従って是々非々の立場でなすべきことはなさなけれならないということで、日本政府がただいま申し上げましたような事実認定の上に立って、どういう考え方、評価をしているか、また、それについて北朝鮮側に何を訴えるべきかという点については慎重に検討いたしまして、これをできれ北朝鮮当局に直接伝達したいし、それが不可能な場合でも、間接的にあるいは適当と思われる方法で北朝鮮当局にははっきりと認識してもらう手段をとりたい、こういうことでただいまやっておるという段階でございます。  それで、これからの操業につきましては、何分この地方には各種の漁船が出ておりますし、その周辺にはいままでもいろいろの事件もあったやに承っておる水域でございますので、何といたしましても安全操業が確保される、そこで日本の漁民の利益が守られるという状況が、果たして民間の漁業協定がいいのか、その他の方法がいいのか、これは実際にその地方に、その水域に出漁している漁業団体の意見をまず第一に尊重いたしまして、それに基づいて直接の監督官庁であります水産庁とも十分協議してこれから考えていきたい、こういうことでございます。
  61. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 時間がありませんからこれで質問を終えなけれなりませんが、いまお答えの中で明快でありませんのは、わが国政府側は、そうすると公海上で向こうから警告なしの銃撃を受けたと認識された、そこまで海上保安庁の言葉を引用されてお話しになった。そうすると今度は外務省の方としては、それはどういう行為であると認定され、どういう申し入れをし、どういう意思表示をするか、具体的に私は伺っておるわけです。それをひとつ明快に述べていただけませんか。
  62. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 私どもとしましては、そのような行為は違法行為である、先ほど申し上げましたように、そのように断ぜざるを得ませんので、そのような日本政府の判断を北鮮側に伝えるべく努力をいたしてまいりました。これはわが国並びに北鮮当局の代表部のあります第三国において行うということが適当であろうと考えましたので、そのような政府の抗議、意思を先方に伝えるべく百方努力をいたしました。しかし結果としては、先方はそのようなわが国政府の抗議を受領することを拒否をした、こう判断をせられましたので、わが国としては、わが国の抗議の内容を間もなく公表をすることになろうと思います。
  63. 栗原祐幸

    栗原委員長 永末君。
  64. 永末英一

    ○永末委員 私は、松生丸事件について、ひとつ詳しく政府の御見解を伺っておきたいと思います。  けさ十一時に海上保安庁から発表せられました一漁船松生丸被銃撃・だ捕事件の概要」と称するものは、この内容はそのまま、海上保安庁も政府の一部でございますので、外務省の見解だと承知してよろしいものでございましょうか。
  65. 中江要介

    ○中江政府委員 外務省といたしまして、第一義的には、こういった事件が起きた場合の状況の事情聴取ということについては関与いたしませんで、通常の方法といたしまして海上保安庁の事情聴取というものの結果を待っておりましたわけで、今朝公表されました海上保安庁の調査結果というものを日本政府一つの客観的な評価の材料といたしまして、それを基礎として外交的な措置について検討してまいった、こういうことでございます。
  66. 永末英一

    ○永末委員 この事件が発生いたしました後で北朝鮮側が発表いたしましたのは、領海侵犯だということでございました。そのときに発表いたしましたあちら側の松生丸の位置と、それから今回海上保安庁が事情聴取をして発表した位置とは異なっております。さて、外務省、日本政府は、その船長等の事情聴取による位置というものが松生丸の事件が起きた正確な位置である、このように御認識ですか。
  67. 中江要介

    ○中江政府委員 そのような認識でございます。
  68. 永末英一

    ○永末委員 この発表によりますと、その場合、この松生丸は北緯三十九度三十分四秒、東経百二十四度四分七秒の位置、一番近い北朝鮮領土である薪島の南端からはかって二百二度、十八・三海里ということのようでございますけれども、これが北朝鮮の領海外だと、先ほど領海外、公海という言葉が出ましたが、判定されておる理由はいかがですか。
  69. 中江要介

    ○中江政府委員 これは御案内のように、公海であるかどうかということは、その国がどれだけの領海を主張しているかによるわけでございますが、日本政府の伝統的な立場からいたしますと、現在国際法上有効な、どこに持っていっても争いのない幅は三海里だということになっておりますが、北朝鮮の場合の領海主張が幾らであるかという点は、この事件が発生いたしましてから、外務省として方々手を尽くして調べましたところでございますが、結果としてはっきりと北朝鮮当局によって領海の幅員を公表したものは、国内的にも国際的にも発見はできませんでしたけれども、国際連合その他国際機関を通じて得られました情報を総合いたしまして、また断片的に北朝鮮の当局から出てまいります情報から推察いたしますに、北朝鮮の領海の幅員の主張は十二海里であると間違いなく推定できるという前提に立ちますと、ただいまおっしゃいましたように、十八海里余りという距離どこからはかりましても領海外である、すなわち公の海、公海である、こういう結論でございます。
  70. 永末英一

    ○永末委員 北朝鮮側が松生丸の位置はここだと発表したのは、北緯三十九度三十七分五秒、東経百二十四度十分四秒で、これはいま申しました薪島の南端から約十海里程度、すなわち十二海里以内であるということのようでございますが、さて、その北朝鮮の領海の幅に関する見解は、いまアジア局長のお話では推定ということなんですね。よその国には十二海里以上のものを領海だと主張している国もございまして、北朝鮮は明示的にそれを主張したことがないといたしましても、推定だけでいまこの委員会では政府の見解が述べられているわけですが、公海だと断定していいものでありましょうか。
  71. 中江要介

    ○中江政府委員 これは先ほどの私の御説明の繰り返しになりますが、国際連合事務局、その他権威のある海洋法関係の諸機関から得ました情報でも、十二海里というふうに認識した上で事務の処理が行われているということでございまして、北朝鮮当局そのものもいろいろな場合に言及しております幅員は十二海里ということでございまして、われわれとしては北朝鮮の領海の幅員の主張は十二海里である、こういう立場に立って間違いがない、こういう判定の上で処理をしているわけでございます。
  72. 永末英一

    ○永末委員 北朝鮮が明示的に領海を十二海里だと考えておるということは、他に知る方法はあると思われますか。
  73. 中江要介

    ○中江政府委員 現在までのところ、これ以外には方法がない、こう思っておるわけでございます。
  74. 永末英一

    ○永末委員 わが方が一方的に調査をした結果、相手方が十二海里の領海だと考えているようだと推定をして公海という断定を下したのでありますけれども、その公海を主張するためには、これで必要にして十分であると思われますか。
  75. 中江要介

    ○中江政府委員 私どもの知る限りにおきましては、北朝鮮側が主張しております領海の幅員十二海里という数字以外には一切見当たらないわけでございまして、これを十二海里と断定いたして間違いがない、こういうふうに思っております。
  76. 永末英一

    ○永末委員 問題は、領海内か領海外かで全然後の措置に対する評価が異なるのでございますが、わが方は公海だとその位置を認定をいたしておるようです。だといたしますと、この海上保安庁発表によりますように、第二弾でもって前川さんを銃撃をしたようでございますが、相手方の発表によりますと、数回の停船信号をやった、次に威嚇射撃を行った、こういうことになっておりますが、この停船信号というのは、海上保安庁では手旗の信号をやっておったが読み取れなかった向きでございますが、松生丸は停船信号ということを意識をしたんでしょうか。
  77. 中江要介

    ○中江政府委員 実は、ただいま午後三時に、外務省におきまして松生丸事件について事実関係その他について発表を行っております。その中の事件の事実関係のところで、いま御質問の諸点が出ておりますので、その点をここで発表させていただきますと、いまの停船信号があったかどうかというところでは、「松生丸乗組員は、当該北朝鮮船舶乗組員が手旗で何かの合図をしているのを認めたが、」ちょうどそのころに二隻の北朝鮮の船舶が周辺におりましたものですから、「当該二船舶間の連絡通信であると考えられた。また無線、汽笛、空砲等による停船信号又は警告等は一切なかった。」こういうことでございまして、松生丸乗組員は、何かの合図があったけれども、それはその周辺にありました北朝鮮の船舶間の連絡であるというふうに認識しておりまして、御指摘のように、これを自分に対する停船信号であるとは考えていなかったということでございます。
  78. 永末英一

    ○永末委員 松生丸の船員はその手旗信号を読み取らなかったのですか、読み取ったけれども僚船に対する信号と見たのででしょうか。
  79. 中江要介

    ○中江政府委員 これは、私が聞いておりますところでは、何か手旗をやっているというので、手旗信号のわかる乗組員に船長はそれを読ませたそうですが、その乗組員は、北朝鮮の船舶の行っている手旗信号は何を意味するのか、読み取ることができなかった、こういうことでございます。
  80. 永末英一

    ○永末委員 威嚇射撃をやったというのですが、初弾がこの松生丸の前甲板に青い硝煙で覆うほどのことであったということになりますと、一体、日本政府は、威嚇射撃というのは通念上どういう形で撃たれるものだと考えておられますか。
  81. 中江要介

    ○中江政府委員 私は、特にその方面に詳しいわけでございませんが、まあ常識的に考えまして、威嚇射撃と言う以上は、空に向けて撃つか何か、そういうことではないか、その程度の乏しい知識しか私自身は持ち合わせておりません。
  82. 永末英一

    ○永末委員 そうしますと、政府としては威嚇射撃はなかったという判断ですか。
  83. 中江要介

    ○中江政府委員 その点はただいまの発表の中に触れておりますところでは、「午前九時十分頃、松生丸は当該」というのは先ほど申し上げました北朝鮮の「二船舶から警告射撃もなしに突然実弾による銃撃を受け」、こうなっております。
  84. 永末英一

    ○永末委員 これは公海であれ、そういうことをやれ完全な違法行為ですね。北朝鮮が領海を主張している幅がよくわかりませんが、もし領海内だとしても、日本政府としてはいまのような停船に関する手続、威嚇射撃に関する方法等を考えられて、北朝鮮側のやったことの法律的性格に関してどう判断されますか。
  85. 中江要介

    ○中江政府委員 純粋に法律的に、国際法的にどうかという御質問と受けとめますと、仮にそれが領海内であっても、その射撃を受けた船舶が今回のような漁船であった場合、それは国際法上合法的なものとはとうてい言い切れない、こういうふうに思います。
  86. 永末英一

    ○永末委員 この受けた被害に対する救済の措置について政府はどうお考えですか。
  87. 中江要介

    ○中江政府委員 被害には、今回の事件の場合には、人命の損失、人身の負傷、船舶に対する損害あるい漁獲物の喪失、得べかりし操業利益と、いろいろなものが考え得ると思いますが、それぞれに応じましてその救済の道というものはあろうかと思いますが、現在までのところ、二人の死者につきましては、御案内のように、遺体が送還され、一遺家族につき二万ドルずつの見舞金とでも称すべきものが送付された、二人の負傷者については、完全治療をした上で帰還してきた、こういう状況でございます。
  88. 永末英一

    ○永末委員 経過を伺っているのじゃなくて、今後の措置について、いまのお話の中では、たとえばえなわをぶち切ったと言うのですが、漁獲物に関する補償のことは触れられておりませんけれども、たとえ死者に対する二万ドルについてもそれが十分の金額であるかどうか問題がございましょうし、そういう対内的な処置じゃなくて、北朝鮮政府に対する求償の要求というものはやられる用意がありますか。
  89. 中江要介

    ○中江政府委員 その部分につきましてはこういう発表にしておるわけでございます。  日本国政府は、二名の日本人死者の遺族におのおの二万ドルの救済金が支払われ、また二名の負傷者が北朝鮮において治療を受けたことに留意しつつ、かかる措置により救済されていない損害に関して、損害請求の権利を留保するものである、こういう立場でございます。
  90. 永末英一

    ○永末委員 もう一つは、わが国の漁船はこの海域で従来からも拿捕されたり射撃を受けたりしたことがございます。そしてなお、先ほどの御答弁でも、わが方が十二海里と確信しておっても、なかなかそれがはっきりしない状況で推移しておるようでございますし、今後この辺の海域で、わが方の漁船が安全操業をするためにはどういうような措置が必要だと外務大臣はお考えでしょうか。
  91. 中江要介

    ○中江政府委員 これは、その水域における出漁、操業に最も適した安全操業の措置というものを考えるべきであろう。抽象的にどうするということよりも、現にそこに長年操業しております日本漁業者の利害得失というものを十分に反映した方法というものを検討いたして、そのためにできることを政府としてもいたしたい、こういう考え方でございます。
  92. 永末英一

    ○永末委員 全く抽象的な話でよくわかりませんが、わが国と北朝鮮は一番近い隣国関係にあるわけでございまして、それが国交を持たないという形で長らく推移しておれいろいろな問題が起こるわけでございまして、対韓国関係もございまして、いろいろな問題はございましょうが、政治的に外務大臣は、北朝鮮とわが国との関係について、これからの時間を見つつ、どのような手順で運んでいったらいいとお考えですか。
  93. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 今回の事件について北鮮側からわが国の赤十字社にあてた電報中には、この事件を不幸かつ残念であるというような表現が用いられ、あるいはまた、一応見舞金というようなものを送ってきたことは、今回の出来事が終始北鮮当局自身の意図に出たものであったのか、あるいは何かの誤りから生じたものであるかということについて、若干われわれにいろいろなことを想像させるものがございます。そういうことは私どもは留意はいたしますけれども、事件そのものが不法であることは明らかであって、したがって、事件の責任者の処分であるとかあるいは再発防止であるとかというようなことについては、適切な処置を先方に要求せざるを得ないと思います。また賠償請求の権利も留保せざるを得ないと思います。  これが第一でございますが、国交がある、ないということ自身は、国交があれ不法行為が起こらないというようなことではございませんでしょうし、またわれわれのこのような日本政府の抗議は、国交がなくとも先方に直接にこれを伝えることはできませんでしたけれども、十分に周知させる方法はあるというふうに私どもは考えております。そのゆえに、また今日間もなくこれを公表いたしたいと思っておるわけでございます。  この問題と離れまして、北鮮とは文化的、人的あるいは経済的な交流を進めていくという点を、私どもはなおその方針に従っていく考えでありまして、たびたび申し上げますように、朝鮮半島の現状が現状でございますから、北鮮を承認をするというようなことをただいま私どもは考えておりません。
  94. 永末英一

    ○永末委員 北朝鮮につきましては、わが方の政府としては厳正にして慎重な態度で対処せられんことを望みます。  終わります。      ――――◇―――――
  95. 栗原祐幸

    栗原委員長 次に、海上航行船舶所有者責任制限に関する国際条約締結について承認を求めるの件、油による汚染損害についての民事責任に関する国際条約締結について承認を求めるの件及び油による汚染損害補償のための国際基金の設立に関する国際条約(千九百六十九年の油による汚染損害についての民事責任に関する国際条約の補足)の締結について承認を求めるの件、以上各件を議題とし、順次政府より提案理由の説明を聴取いたします。外務大臣宮澤喜一君。
  96. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 ただいま議題となりました海上航行船舶所有者責任制限に関する国際条約締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。  船舶所有者責任につきましては、各国とも伝統的に責任制限の制度を採用してまいりましたが、その方式は国によって異なっており、統一条約の必要性がつとに指摘されておりました。一九二四年の海上航行船舶所有者責任制限に関するある規則の統一のための国際条約はこの統一化を促進するものでありましたが、責任制限の方式として複雑である等の欠陥が指摘されたため船主責任制限制度の再検討の機運が生じ、より合理的な新条約の作成が望まれるに至りました。これを受けまして一九五七年ブラッセルで第十回海事法外交会議が開催され、わが国を含む三十二カ国の代表による審議の結果、同年十月十日、金額責任主義による船主責任制限を定めた海上航行船舶所有者責任制限に関する国際条約が作成されたわけであります。  この条約は、第七十五回国会に提出されましたが、審査未了となったものであります。  この条約は、海上航行船舶所有者責任制限制度として、事故ごとに責任を定め、トン数に応じ一定の割合で算出される金額に責任制限することができることを定めるものであります。わが国の商法は船舶所有者責任制限について委付主義をとっておりますが、この委付の制度につきましては近代化された海運の現状にそぐわないとして従来から問題点指摘されておりまして、海上航行船舶所有者責任制限に関する国際条約が定めている金額主義による責任制限の制度は、責任制限の方式としてより合理的であり、かつ船舶事故から生じた被害について妥当な救済を図るものであると考えられます。  多くの海運国がすでにこの条約の締約国となっている事実を考慮いたします場合、主要海運国の一つであるわが国が、この条約に参加することによりまして海商法の国際的な統一を促進することが期待されます。  よって、ここにこの条約締結について御承認を求める次第であります。  次に、油による汚染損害についての民事責任に関する国際条約締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。  一九六七年三月、英仏の近海で起きた大型タンカー、トリー・キャニヨン号の海難及び油による汚染事故を契機といたしまして、政府間海事協議機関において、タンカー等がもたらす油による汚染損害についての民事責任に関する法的な問題を検討し、これを国際条約化する作業を進めてきました結果、一九六九年五月その最終草案が作成され、同年十一月ブラッセルにおいて開催されました海洋汚染損害に関する国際法律会議におきまして、わが国を含む四十八カ国の代表による審議の結果、同月二十九日、油による汚染損害についての民事責任に関する国際条約が採択されました。  この条約は、第七十五回国会に提出されましたが、審査未了となったものであります。  この条約は、タンカーからの油の流出または排出による汚染損害の被害者に対し適正な賠償が行われることを確保するための統一的な国際的規則及び手続を定めるものであります。わが国がこの条約の締約国となりますことは、わが国の領域において汚染損害が生じた際の被害者の保護に役立つのみならず、わが国世界有数のタンカー保有国である事実にかんがみまして、国際協力増進の見地からもきわめて望ましいと考えられます。  よって、ここにこの条約締結について御承認を求める次第であります。  最後に、油による汚染損害補償のための国際基金の設立に関する国際条約(千九百六十九年の油による汚染損害についての民事責任に関する国際条約の補足)の締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。  一九六九年十一月二十九日にブラッセルにおいて油による汚染損害についての民事責任に関する国際条約が採択されましたところ、その際、同条約を補足するため、同条約に基づいて支払われる賠償が不十分である場合に汚染損害の被害者に対して補足的な補償を行うこと、及び、同条約によってタンカーの所有者に課される経済的な負担を一部肩がわりすることを目的とする国際補償基金を設立すべきであることが決議されました。これに基づき、その後、政府間海事協議機関においてこれを国際条約化する作業が進められた結果、一九七一年十一月にブラッセルで開催された油による汚染損害補償のための国際基金の設立に関する会議において、十二月十八日に本件国際条約が採択されました。  この条約は、第七十五回国会に提出されましたが、審査未了となったものであります。  この条約は、油による汚染損害についての民事責任に関する国際条約の補足として、タンカーからの油の流出または排出による汚染損害の被害者に十分な補償を行い、かつ、タンカーの所有者に課される経済的な負担を軽減することを確保するための国際基金を設立し、また、かかる目的の達成のため、同基金が、各締約国において海上を輸送された油を受け取る者から、拠出金を徴収することを定めるものであります。  わが国がこの条約の締約国となりますことは、わが国の領域において汚染損害が生じた際の被害者及びタンカーの所有者の保護に役立つのみならず、わが国世界有数のタンカー保有国であり、また、世界有数の石油輸入国である事実にかんがみまして、国際協力増進の見地からもきわめて望ましいと考えられます。  よって、ここにこの条約締結について御承認を求める次第であります。  以上三件につき、何とぞ御審議の上、速やかに御承認あらんことを希望いたします。
  97. 栗原祐幸

    栗原委員長 これにて提案理由の説明は終わります。     ―――――――――――――
  98. 栗原祐幸

    栗原委員長 引き続き各件に対する質疑に入ります。諫山博君。
  99. 諫山博

    諫山委員 簡単に質問します。  私たちがこの条約で一番問題にしているのは、海難被害者の保護に十分であるかどうかです。現在の商法の委付主義でも、被害者保護では非常に不十分な制度になっていますが、それでも現実に委付が行われているというのはきわめてまれだということが七十五国会で明らかにされております。ところが、新しい制度によりますと、金銭賠償ということで、裁判所が船舶所有者に対して幾ら賠償すれそれでよろしいのだという決定を下すわけです。そうなりますと、いままで実質的に眠っていたような委付制度が金銭的な限界を示される、損害賠償はこの限度でよろしいということを示されることによって、被害者保護として非常に不十分になるのではないかということを恐れているわけですが、外務省、この点いかが考えておりましょうか。
  100. 伊達宗起

    ○伊達政府委員 お答え申し上げます。  従来、先生の御指摘になりましたわが国現行法におきます委付主義と申しますのは、船舶が沈没したというような事故の形態によりまして、非常に被害者保護に欠くるところがあったという不便があったわけでございます。ところが、この条約の定めております金額主義というものによりますれ、確かにこれだけのものだという限度金額的に明瞭になるわけではございますが、その限度におきましては、被害者に対する補償の金額というものは確保されているわけでございますので、その点においてやはり近代的な制度であるということが申し上げられると思うわけでございます。
  101. 諫山博

    諫山委員 運輸省に質問します。  現在の制度も私たちは不完全だと思っております。それでも、現在の制度のもとでは余りこの制度が運用されずにどうやら被害者が保護されていた。ところが、裁判所の命令で損害賠償の金額はこれまででいいのですよというふうに決定いたしますから、私たちは被害者保護がきわめて不十分になるのではないかと考えております。これを実際の運用面でカバーするのは保険制度にならざるを得ないだろうと思っておりますが、私が指摘しているような危惧、危険について運輸省としてはどういう指導をされるつもりなのか、その点だけ説明してください。
  102. 後藤茂也

    ○後藤(茂)政府委員 お答え申し上げます。  この条約並びにこれに関連する国内法が法制化されました結果におきましては、確かに先生が御指摘のような理論的な関係が生ずるかと思います。実際上の問題といたしましては、現在日本船主が保険を掛けており、あるいはPIクラブに加盟しております付保額というものは、このような新しい制度に移行いたしましてもほとんど変わることがあるまいと私どもは思っております。  その一つ理由は、このような制度が仮に導入されたといたしましても、なおかつこの金額制限をできない場合が法律上もあり得ますし、また、金額制限のできないような場所において事故なり他人に損失を与えるということが考えられます。したがいまして、現在船主が付保しております金額というものは、新しい制度のもとにおいても変わることはあるまい、このように理解しております。  また第二に、保険金額が十分あるにもかかわらず、現実の事故が起こりまして、損害を受けた人と船主あるいは保険者との間で示談交渉が進行いたします場合に、たとえ船主あるいは保険業者がこの法律に基づく制限額に金額を制限するということがあるかないかということでございます。この点につきましては、私どもはこの条約並びにこれに関連する法律を準備する過程におきまして、保険業者及び船主に対しましてそのような金額制限が社会的に見て妥当性を欠くような場合には、そのようなことはできるだけないように、この点につきましては別の機会に大蔵省の保険当局もすでに明らかにされたというふうに承知しておりまするけれども、関係政府機関から保険業界及び船主に対して強く指導してまいるつもりでございます。
  103. 栗原祐幸

    栗原委員長 これにて各件に対する質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――
  104. 栗原祐幸

    栗原委員長 これより討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、順次採決いたします。  速記をとめて。     〔速記中止〕
  105. 栗原祐幸

    栗原委員長 速記を始めて。  まず、海上航行船舶所有者責任制限に関する国際条約締結について承認を求めるの件について採決いたします。  本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  106. 栗原祐幸

    栗原委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。  次に、油による汚染損害についての民事責任に関する国際条約締結について承認を求めるの件について採決いたします。  本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  107. 栗原祐幸

    栗原委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。  次に、油による汚染損害補償のための国際基金の設立に関する国際条約(千九百六十九年の油による汚染損害についての民事責任に関する国際条約の補足)の締結について承認を求めるの件について採決いたします。  本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  108. 栗原祐幸

    栗原委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました各件に対する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  109. 栗原祐幸

    栗原委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
  110. 栗原祐幸

    栗原委員長 本日はこの程度にとどめ、次回は、明後二十一日金曜日、午前十時理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、これにて散会いたします。     午後三時三十一分散会      ――――◇―――――