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1975-12-17 第76回国会 衆議院 科学技術振興対策特別委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年十二月十七日(水曜日)     午後三時四分開議  出席委員    委員長 八木  昇君    理事 伊藤宗一郎君 理事 田川 誠一君    理事 竹中 修一君 理事 粟山 ひで君    理事 石野 久男君 理事 瀬崎 博義君       加藤 陽三君    木野 晴夫君       羽田  孜君    藤波 孝生君       近江巳記夫君    内海  清君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      佐々木義武君  出席政府委員         科学技術庁長官         官房長     小山  実君         科学技術庁原子         力局長     生田 豊朗君         科学技術庁原子         力局次長    半澤 治雄君  委員外出席者         科学技術庁原子         力局安全審査管         理官      櫻井 保孝君         労働省労働基準         局安全衛生部計         画課長     中村  正君         参  考  人         (動力炉核燃         料開発事業団理         事長)     清成  迪君         参  考  人         (動力炉核燃         料開発事業団副         理事長)    瀬川 正男君         参  考  人         (動力炉核燃         料開発事業団東         海事業所処理         建設所長)   中島健太郎君     ――――――――――――― 十一月二十日  科学技術振興対策の改革に関する陳情書  (第二七五号)  長崎県に原子力船むつの新母港設置反対に関す  る陳情書外一件  (第二七六号)  原子力安全性確保及び平和利用促進に関する  陳情書(第二七七  号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  閉会中審査に関する件  科学技術振興対策に関する件(使用済核燃料の  再処理及び原子力船むつに関する問題等)      ――――◇―――――
  2. 八木昇

    八木委員長 これより会議を開きます。  科学技術振興対策に関する件について調査を進めます。  まず参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  使用済み核燃料の再処理に関する問題調査のため、本日、動力炉・核燃料開発事業団理事長清成迪君、副理事長瀬川正男君及び東海事業所処理建設所長中島健太郎君をそれぞれ参考人として意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 八木昇

    八木委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  なお、御意見の聴取は質疑応答の形で行いますので、さよう御了承願います。     —————————————
  4. 八木昇

    八木委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石野久男君。
  5. 石野久男

    石野委員 先日、再処理工場を本院で視察いたしましたときの件に関しまして、一、二参考人にお聞きしたいと思います。  私ども調査に参りましたときの事業団側のいろいろなお話の中で、二、三の点でお聞きしたいのですが、御説明の中に、現在の再処理工場は一日〇・七トン、どうもこれは現状では中途半端で仕方がないんだというような、こういうふうに聞き取れるお話がございました。そこで、これは理事長さんにお聞きするのですけれども、再処理工場というものをいま建設中ですが、再処理工場の全体の流れの中でどのように位置づけておられるのか、そしてまた、この中途半端だということの意味はどういう意味なのか、ここらのところを少し御説明いただきたいと思います。
  6. 清成迪

    清成参考人 ちょっといまの御質問位置づけの件がちょっと私にはわかりにくいのでございますので、適当なお返事になるかならぬかわかりませんけれどもキャパシティーの件がございましたので、それを中心にしまして東海の再処理工場性格を私から申し上げてみたいと思います。  東海のあの再処理工場は、サンゴバン社からの技術導入でございまして、サンゴバン社日本揮発油という、このジョイントベンチャーの会社に対しましてわれわれがターンキーの契約をしておるという形になっております。この設計を全部事業団審査をするだけの技術もございませんし、陣容も持っていないという当時の様相でございました。しかしながら、サンゴバン東海とそっくりのキャパシティー施設建設したことはございませんし、また日本の耐震という、そういう規制もございまして、いわゆる既設プラントコピー式導入というものとは著しく様相が異なっておるのでございます。ですから、われわれは、この再処理システムデザインとしては、これはサンゴバン技術に全幅の信頼を置きます。ですけれども、わが国の最初のこのプラントにつきましては、工学的にはやはり一緒になってふぐあい個所を発見してこれを改善していかなければならぬというふうに考えております。  それから、先ほどお話がありました一日〇・七トンというこのキャパシティーは、十数年前にはこれはもう商用規模の下限と申しますかミニマムというところであったかもしれませんし、そうも思いますけれども、最近では大体三トンないし五トン・パーデーというのが実用規模と言われておるわけでございます。これはいろんなスケールメリットとかあるいはプルトニウムの価格とか、いろいろなことが影響しているのだろうと思いますが、そんなかっこうに言われております。  以上の二つの意味を含めまして、東海施設というものは、われわれはパイロット的性格と、こう考えておるわけでございます。何かちょっと位置づけというお話がどんな御質問かわかりかねますので、重ねてお話があればお答えいたします。
  7. 石野久男

    石野委員 これを企画し始めたころは、一日〇・七トンというのは商業用としても通用したけれども、今日の段階では、そういうものではキャパシティーとしてもあるいは経済性の面からいっても不十分である、こういうような御意見のようでございますが、そもそも、いまの東海村に建設中の再処理工場なるものは、本来の目的はどういう目的でこれをつくられ、またどういう再処理工場の将来の展望の上に立ってどういう位置づけを持っておったかという、それはいわゆる実用的なものとしてのものなのか、いわゆる実験——一時はこれを実用のものではないんだ、商業用のものではないんだ、テストプラントのようなものでありますよということで地元民も納得させておりましたし、それから本院においてもそういうような御説明があったわけでございますが、いま事業団は、実際問題としてこの工場を、再処理の中ではもう具体的に、即実用にぱっと入れ込んでいくという考え方であるのか。また、ここではいろいろな実験研究をやっていくんだというふうに位置づけておるのか。そこのところをもう少しはっきり。
  8. 清成迪

    清成参考人 そういう意味での御質問、わかりました。最初は、再処理というものに関しましては、原子力研究所で再処理研究をやっておりました。そこで私の方の事業団、当時の原子燃料公社というところではこの研究から一歩進めまして、実用の再処理をあそこでやるということで、これはまだ事業団がなかったころでございますから、私の聞いておりますところでは、最初一日〇・三五トンというような能力でもって計画をされたというふうに聞いております。これが経済的に非常に合わないというようなことからいろいろ政府からもお話があったようでありまして、第三者を含めました海外調査団を派遣して海外の様子を調べた結果、実用というからには、大体コンマ七トン・パーデーくらいが最低であろうという御報告が出たやに聞いております。したがいまして、われわれとしては、実用の最低限をねらいながらも、やはりこの東海工場では再処理周辺研究開発あるいは再処理自身研究開発も含めまして、そういう点をやっていくというつもりでおったようでありますし、現在も再処理周辺研究開発をほぼ中心としてやっていきたい。なお、研究ばかりで実際の使用済み燃料を消化しないかというと、二百十トンのキャパシティーで消化していく、実用のものを扱っていくというつもりでわれわれ取り組んでおるわけでございます。
  9. 石野久男

    石野委員 再処理工場を、全然経験のないものをつくるのでございますから、当然のこととして実験研究というものをこの工場の中に期待して、そして将来の燃料サイクルの確立に資したいという願望と、それから経済的に、とにもかくにも原発が次から次へ出てきて使用済み燃料が累積していく。こういうことの中で要再処理という量が膨大なものになってくるから、再処理工場安全性についての確信というものはどうあろうとも、何としても処理せにやならぬのだという必要のために再処理工場要求されていくということになりますと、安全性の問題がどうしても疎んぜられてしまうという、こういう感じが私たちはするわけなんです。そこで、この再処理工場について事業団がどのように見ているかということと、それからわれわれが再処理工場安全性を努めてシビアに考えねばならぬということを要求していることとのすれ違いというものがいろいろな形で出てくる、こういう危惧を感じます。ですから、いま事業団皆さん考え方が、われわれの考えているように、そんな安全、安全なんて言っていたら仕事はできないよというようなことになってまいりますと、やはりこの科学技術特別委員会における物の考え方についても、少し姿勢を正して見直さないといけないんじゃないかという感じを実は皆さんお話を聞いていて感じるわけなんです。私がそういうことを感じるということについて、理事長はどのようにお考えになられるかということをまず先にお聞きしたい。
  10. 清成迪

    清成参考人 そういうふうにお考えになることは、これはやむを得ないと申してはおかしいのですけれども、お考えになるのかなと思います。しかもまた、それは私は非常に残念にも思います。どう思うかというお話だとそれだけなんですけれども、そうではなくて、われわれはこの再処理工場というものは、現実に軽水炉から出てくる燃料がどんどんたまるから、安全を犠牲にしてでもやらなければならぬということは夢にも考えたことはないわけでありまして、安全を第一にして再処理工場を運営していく、これは当然のことでございます。  ただ、それじゃ安全だけで全然いまのほかのことを考えないのかというと、そうではございませんで、われわれにはやはりプロジェクトとして再処理工場というものをできるだけ早く確立していく義務があるし、責任を持っておる。将来の日本のエネルギーのショーテージに対しましては、増殖炉以外には方法がない。これはわれわれの確信でございますので、それに向かっては、再処理なしにはこれは不可能でございます。そういうような意味から少しも早くやりたいと思っておりますが、ただこの安全というのだけは完全に確保していきたいというふうに私は思っております。たとえば、安全を犠牲にするようなことならばおくれても構わぬ。構わぬと言っては語弊がありますが、やむを得ないというふうに考えておるのでございます。ただ、この安全と称するものは、先生と私たちと少し違っておるのかもしれませんけれども、われわれは規制法で規定され、保安規定で決められている限界以下は完全に安全というふうに確信をしておるのでございまして、その辺が多少一般のコンセンサスと違っておるのかもしれませんが、私はあくまでわれわれの考えを訴えて、PRして、世間にも方々にも納得をしていただきたいというふうに考えております。
  11. 石野久男

    石野委員 ここで余り論争などをしておっても時間がございませんからいたしませんけれども、私ども世界の例を見ましても、再処理については、たとえば当初〇・三五トン・パーデー計画しようとしたことは、恐らくサンゴバン社がつくりましたベルギーのモル工場を想定していたと思うのです。モル工場は御承知のように十三カ国の共同経営で長いこと再処理をやってこられた。しかし、最近になりまして経営上の問題もありますし、汚染の問題などもあったりして、いま工場はもう停止しているわけですね。当時私どもがこの問題を問題にしましたときには、関係者皆さんは、〇・三五トンはそういう実用炉であったけれども、〇・七トンの方は実用炉ではございません、これはテストプラントでございます。こういうふうに言い切ってきたわけですね、中央においても地方においても。そしてそのことで一般の市民を納得させるというやり方をしてきました。ここには、言うなれば、世の中の常識と非常に違った形で説得工作が行われてきたという問題が一つあるのです。こういう点は信義の上からいきまして非常に大きい問題はございますけれども、とにかくそういう経過をたどってきたわけです。そして現状では、モルはいま停止しておりまするし、この後やはりアメリカにおけるところのウエストバレーの再処理工場だって、問題を起こしてとまっている。それからGEは計画したけれども、もし安全性を追求していくならば採算が成り立たないということで計画を中断するというふうな状態になっておる。どこへ行きましてもそういうような事情でありますから。私は、再処理工場はなくてもいいとは言わないのです。それは可能な限りやってもいいけれども日本の再処理工場に対する構えが、やはり世界のいろんな例というものに学ぶということよりも、切実な使用済み燃料の累積に追いついていかなければならないという切迫感というふうなものがやはり運用の中に出てきているような感じが、率直に言って私はするのです。安全性に対する規制の問題で信頼感に疑義があるかどうか、これは理事長と私との間に違いがあるのかもしれませんけれども、これにも問題があると思うのです。そこで、この事業団側考え方というものがもし本当に私たち信頼できるのであるならば、いまいろいろなテストをやっておる間に出てきておるいろんな故障といいますか、事故といいますか、そういうものについて信頼の問題とこの問題とをどういうように考えていくかということが兼ね合いで論じられなくちゃいけない。この事実を見る限りにおいては、これはわれわれはやはり実験研究段階である、テスト中のものだというふうな見方をしていくべきじゃないか。しかし、これを即実用段階へ持っていこうとする場合の危険性というものが思い余るものがあるのですね。  そこで、理事長経験者ですしね、ただ清成さんに率直に言って、私も清成さんも職場も同じだったからよくわかっていますけれども、どうも私の感じでは清成さんの過去の経験機械の方面をずっと歩いてきておられますし、工作部門の部分が非常に多うございますから、化学工場部門におけるところの考え方機械工場建設考え方と同列に置いているような、そういう心配をするのですよ、私は。だから建設の途中における試行錯誤の問題についてのとらえ方で、機械における試行錯誤とそれから再処理工場において出てくるであろう試行錯誤事故重大性というものとの考え方に違いがありはせぬだろうか、これを心配するのです。機械の場合は、若干の試行錯誤における事故がありましても、それは限界があります。けれども、再処理の場合における事故が出ますというと、ちょっとこれはわれわれが抑えようと思っても抑え切れないようなものが出てくるという、この問題について思いをいたしておられるだろうかどうだろうか。これを実は私は心底から心配するわけなんですね。決して反対するために言うんじゃないのです。一たび事故が起きると、取り返しがつかないということを何遍も言っておりますけれども、そういう観点からして、いまいろいろ起きている事情は、どうもそういう点でスケジュールに追われているのではないだろうかという感じがいたしますので、いま一度その点について所見を聞いておきたいと思います。
  12. 清成迪

    清成参考人 ごもっともな御質問でございます。いまお話がありましたのですけれども、私は考えを申しますというと、新しいプラント建設するということは、これは本当に大事業でございます。二重、三重に設計をチェックしたつもりでも、作業にかかりますというと多くの誤りが出てまいりまして、それをいろいろと仕様を変更いたします。それからまた十分に工作を検査したと、こうやっておりましても、さて運転してみますというと、多くの不注意の個所とか、あるいは考え落としとか、あるいは工作法誤りというようなものが見出される。これが実情でございます。それで、それらを一つ一つ検討して、改善してそして補修して、初めてプラントというものは完成するんでございます。  さて完成して今度運転を始めても、最初は何かといろいろぐあいの悪いところが出るんでございます。われわれはこれを初期不良と言っておるのでございますが、これは卑近な例で申しますというと、自動車というようなものでも、あるいは型を変えたらしばらくの間は買わぬ方がいいなんていうことを言いますのは、こういう初期不良というようなものは、売り出してからさえも出てくるというのがあるわけでございまして、安定するのには相当時間がかかるということでございます。  再処理工場は、いまおっしゃったように機械工場とは多少違うし、あるいは自動車ともそれは少し違いますけれども、やはり決して例外ではないのでございまして、われわれはできるだけふぐあいの出ないことを望みますし、またでないような努力はいたしてまいったのでございますけれども、やはり例外ではなかったということはここで言えると思います。これは通水試験をやりまして以来、恐らく百数十ヵ所のふぐあいが出ておりますが、私はそういう手直しをいろいろやってみまして、これはこの程度のプラントとしては決して多い方じゃないというふうに、私長年の経験から感じます。  しかも、これらのことを通じまして、事業団技術者とかあるいは作業者がいかに貴重な技術経験を身につけたかということは、これは本当にはかり知れないものがございまして、この通水試験が始まりましてから二年近くなりましょうか、実はこれは再処理技術に対する事業所の人間の認識技術とが非常に高まったということを、私は本当にこの目で痛感しておるのでございます。  それで、これを通じて申しますならば、日本の再処理技術が、われわれが手がけなかったつい一、二年前までは非常に低かった。あれでぶつかってみて、通水試験を始め、化学試験を始めさらにウランテストを始めてみたら、いかにわれわれの知識が貧弱だったかということがわかってきた。したがって、これからもぜひこれをどんどんと続けて、早くフランスの再処理技術を身につけなければならぬということを考えておるのでございまして、いまおっしゃいましたところの安全性というものにつきましては、われわれこれまで本当に安全に、われわれが考えている放射線事故と称するようなものは私は起きていないと考えておるのでございまして、またそれが余り大きな事故につながるようなものはそう多くはない。われわれが非常に心配しております事故は、いまは蒸発かん事故、これは非常に大事な問題を含んでおると考えておりますので、これは重視しております。だけれども、ほかのは私たちは案外そう大して累を後に及ぼすようなふぐあいではないというふうに考えておるのでございます。この安全性犠牲にして、ひたすら急ぐという考えはございません。私の方は大事ないまの試験ではございますけれども、その試験の途中に保安規定やらその他にあるいは何か抵触するような事故が起これば、これはとめて、それを徹底的に解決してからでないと、次に進まぬつもりでおります。  それで、いま先生からおっしゃったように、機械と違って取り返しのつかぬことになる。取り返しのつかぬことになると思えばこそ、われわれはウランテストを長くやりたい、しっかりやりたい。これが実際のホットテストやらあるいは本当の操業に入ってからですと、おっしゃるとおりこれは取り返しがつかない。したがって、ウランテストの中で何か出てきましたならば完全に直す、そうしなければ先へ進まない。多少時日が延びてもこれはやむを得ぬと言って、私は局にがまんしていただこうと考えておるのが実情でございます。
  13. 石野久男

    石野委員 きわめて厳しく見詰めていただきたいという、私は希望を申し上げておきます。蒸発かん内の問題にしても、これは私たち現場を見せていただいて、いろいろなそういう事故の起きた原因などもお聞きしました。結局は、あそこでもやはりいろいろ考えてきたんだけれども考え及ばなかったものがあそこで見つかったわけなんでございまして、この経験はやはり非常にとうといものだと思います。原子力については、そういう問題がまだまだ幾つもあるということ。そしてテスト中のものと本番になった場合との間に差がないかと言うと、私はまたそこにも違いが出てくるだろうと思います。それであるだけに、このテスト中における経験はとうといものであるし、またそういうことによって作業者労働者熟練度も伸びていくことも私は認めますし、またそうでなければテストのかいはないのです。ただ、問題になりますのは、そういう場に携わるところの労働者なり作業者が、教育の問題で十二分に予知できるような教育を施されている場合と、それが予知できないような形で作業場に入っていく場合とでは事故のケースが大変違ってくると思います。いま私たちの心配しているのは、後で申しましたようなことがないことを願っており、またそういうことがあることを心配しておる。労働組合諸君の言うのは、その訓練が、理事長から言わせればこういうテストの中で訓練していくのだというのだけれども作業者の側からすると、やはりもっと先にそういうものを教育訓練しておく必要があるのだ、それが足りないのだ、この違いが労働組合皆さん方との違いになっていると思うのです。私は、労働者側要求といいますか希望、これはやはり認めてかかる必要があると思うのです。労働者は、いま特に組合諸君は、この仕事をほっぽりかそうというようなことでそういう要求をしておるのじゃない。そこにおる作業者に、たとえば色だけ見ればいいんだよなんというようなことではまずい、もうちょっと厳しくやらないと、色だけ見ておったのでは間違いを起こすよということのなにが今度のペレットの漏れの問題なんかでも出てきている。労働組合はそういうふうに認識しているわけですね。ですから、この認識は私は正しいと思っているのです。そこらのところをやはり経営者の側でくみ取らなければ、労使の間の話し合いなんて恐らくできないだろうと思う。  そういう点で、労働組合は過剰保護しているのだとか、非常に大きな厳しい要求ばかりしておって、サボタージュをしているのだというような見方をしないようにしてもらいたいし、またそのためにはやはり厳しくいろいろな指令が出なければいかぬと思っております。きょうは私ども資料としてもらっておるウラン計量管理の中に、たとえば在庫調査の過程で、工程の把握が十分でなかったなどというようなことが出ておりますね。こういう十分でなかったということなんかも、これはやはり管理指導の問題にかかってくるだろうと私は思っておるのですよ。こういうようなところはもう少し検討を加えて、たとえば計量検査の上で誤差が出ないようにするぐらいのことは、これはもう原価計算の場合なんか徹底的に要求されておるわけでございますから、作業工程の中でこういうことができないはずはないし、ことに原子力というものは非常に厳しいのだ、大変なんだということになれば、やはりもっとこういう厳しさがなければならぬ。そういう厳しさが出てこないところに、いま理事長などの言われておるように、やはり現場作業しながら教育するんだというこの考え方がどうしても影響していると私は見ておりますので、もっとこれは実験研究段階でそういう問題を幾つか引き出しておいて、作業者に対してそういう問題の注意をさせておくというようなそういうマニュアルが出ていなければだめなんですね。そういうものがないから、現場でぶっつけ本番のいろいろな問題を起こすことになってきている、こういうふうに思いますので、少なくともそういう点に対する十二分な注意をひとつ私は要望しておきたいと思います。  これはもう見解の相違もあったり、とにかくこういう過程に入っておりますというと、問題が起きないことを望むしかほかにないのですから、われわれはやはりどうしてもそのことを要求せざるを得ない。それでなければ、作業工程をとめてもらうより仕方がないのですから、そうならないとするならば、どうしてもそういう管理、指導というものを厳格にやってもらう必要がありますから、その点をひとつ私は要望しておきたいと思います。  そういう点について、理事長、もうわかり切ったようなことですけれども、ひとつ御所見だけ聞いておきたい。
  14. 清成迪

    清成参考人 いまおっしゃいましたことはわれわれも至極同感でございまして、ただ、いまのオン・ザ・ジョブ・トレーニングだけに偏しておるということではなくて、オン・ザ・ジョブ・トレーニングというのは非常に大事なことなんでございます。いろいろな座学と申しますか、その他のことはこれはなかなか本当に腹に入るというような形にはいかないので、そういうものをきちんと効果あらしめるのは、やはりどうしても実地の訓練だと私は思います。実地に経験してみるということが実は非常に大きなことでございまして、私は今度の通水試験から以降のことにつきまして、現場作業者は、私は実地の教育の威力というものを本当に痛感していると思うのです。決してこれは、そういうことじゃだめで、何でも事前にみんな教えてくれというふうには、最初は言ったかもしれませんけれども、いまはそう思ってないのじゃないか。実地にやってみてのことの方が非常によく骨身にしみてわかるということを痛感していると私は思います。  しかし、そういうことだけではいかぬので、いまおっしゃいましたことは十分みんなに徹底するようにいたしまして、できるだけみんながそういう十分に確信をもって新しいことに取り組むというような形に持っていきたいというふうに思います。
  15. 石野久男

    石野委員 最後にもう一つ理事長にお聞きしておきたいのですが、一応ウランテストが終わりました後には、恐らく皆さんも総括されると思うのです。同時に、労働組合の側でも総括が行われると思います。そのときに、その両者の総括を突き合わせをする話し合い、これは作業問題とかいろいろそういう労働問題もありましょうけれども技術的な問題もあると思います。その場を十二分に確保するということは非常に大事だと私は思うのです。当局側だけがわれわれの認定でこうだということ、もちろんその中には労働者も入っているわけですけれども、それではいけないので、やはり労働組合が総括したものについて皆さんが頭を傾けてもらうということが非常に大事だろうと思うのです。特に次は本番とかホットテストへ入っていくわけですから、だからそれだけはどうしてもやってもらわなければいけないと私は思いますので、それだけはひとつ確約しておいてもらいたいのです。
  16. 清成迪

    清成参考人 ごもっともでございます。われわれこれは組合でいろいろのことを指摘されるということは非常に結構なことでございます。ですからして、それは十分われわれとして尊重いたします。  ただ、前々から申しておりますように、いまのこのプラントはパイロットプラントということでありますので、われわれとしてはもう完全な経済性とかなんとかいうことを望むことはちょっと無理だというふうには考えておるわけでございます。したがいまして、前にもわれわれが見解を発表しましたように、操作性があるいは多少不便だ、あるいは操作に多少手間がかかるとかいうような、能率は多少悪いというようなことを本式に手直しするということは不可能な場合がある。あの大きなプラントの遮蔽を一々壊して全部やり直すなんということはできませんので、ただ、これが事安全に関しましたら、どんなことでもしてやらなければいけません。ただし、そういう操作性とか能率とかいう面で固執されると、これはわれわれ聞けない面がある。したがって、これはお任せを願いまして、組合と私は同じことを見ておるのですから、必ず私は一致すると思います。したがってそういう点を御指摘になるならば、どんどん私たち組合意見を取り入れてそれ以上のことをやっていくつもりでおりますから、それはここで確約して結構でございますが、いまのような点だけを申し添えておきます。
  17. 石野久男

    石野委員 大臣に一言。この再処理工場の問題について、私は大臣の意見を聞いておきたいのですが、いまの原発が次から次へ開発されていく、そして六十年度四千九百万キロワットという発電が可能になるかどうか知りませんが、政府はそういう計画を持っておられる。そこから出てくる使用済み燃料というのは大変なものだ、こういうように思います。そうなりますと、その使用済み燃料処理するための再処理工場というものを、事業体としてのそれぞれの原子力発電会社などでも考えるでございましょうけれども政府としてもこれを当然考えなければならなくなる。そうなりますと、現在の東海の発電所だけではとてもとても処理不可能ということになってくることは火を見るよりも明らかだ。その場合、政府が再処理工場についてどのような考え方を持っているのか。そしてまた、いまの再処理工場が幸いにして期待どおりに動けばよろしいけれども、もしどこかでつまずきが出てきた場合は大変なことになる。それらのことを含めて、大臣は、再処理工場と原発計画というものとの見合いをいまどのように考えておられるかということを一言聞いておきたいと思います。
  18. 生田豊朗

    ○生田政府委員 動燃の再処理工場は、先生御承知のとおり処理能力が年間二百十トンでございます。この二百十トンを、そこで処理いたします使用済み燃料の発生量と申しますか、さらにその前提になります発電規模に換算いたしますと、大体七百万キロワット程度になると思います。ただいま先生御指摘になりましたように、昭和六十年度四千九百万キロワットの原子力発電の建設計画いたしておりますが、そういたしますと差し引き四千二百万キロワット分ぐらいは不足してまいるわけでございます。したがいまして、かねがね政府といたしまして第二再処理工場を民間ベースで建設するという計画を持っておりまして、これは昭和四十七年度の原子力委員会の長期計画においてもそのように計画に盛り込まれておりますし、現在も通産省とも協力いたしましてその建設計画を進めております。電力業界におきましては、濃縮・再処理準備会を設けまして、第二再処理工場建設計画づくりにいま入っている段階でございます。  ただこの再処理工場は、特に第二再処理工場につきましては、将来の発電規模と見合いまして、相当大規模なものにならざるを得ないというふうに考えますし、建設の期間いわゆるリードタイムが非常に長いわけでございますので、動燃の再処理工場からすぐに第二再処理工場につなげるということは、事実上困難かと考えます。その間のつなぎをまず海外への委託ということで、先生御承知のように現在英国及びフランスに委託して、海外で委託再処理をしている次第でございます。  海外におきましても、いろいろ再処理工場にトラブルがございますが、最近英国の原子燃料公社、BNFLでございますが、これが新工場建設に当たりましてわが国との協力を計画いたしまして、現在、電力業界とBNFLとの間で交渉中でございます。私どもといたしましては、このBNFLとの協力体制が確立されることを期待しておりまして、何とか実現させたいというように思っております。  整理して申し上げますと、現在の英仏への委託、その後がBNFLと現在交渉中の委託で、交渉が成立いたしますればそれでつなぎまして、それから第二再処理工場に移る、かように考えております。
  19. 石野久男

    石野委員 第二再処理工場は、東海の現在のものとすぐにはつなぎ得られないので海外に委託するのだ。ところが、いまお話しのBNFL社の再処理工場についても、皆さんが契約をするに当たっては、たとえば廃棄物の固形化についてのガラスとの凝結の技術がどうなるのかというような問題などがいろいろあって、なかなか容易でないという現状であるわけだし、またやはりそこでの抱え込む量というものも、必ずしも日本で余ったもの全部抱え込めるということにもなかなかできないだろう。それからいま一つは、仮にそういうことが契約ができて、高レベルの廃棄物をまた持ち帰ってきたときの処理の問題がある。  そういうようなことを考えてきますと、率直に言って、四千九百万キロワットをどんどん進めていくということは、いわゆる便所といいますか、後の掃除の問題で、つかえてきてしまってどうにもならないという事態に直面するのじゃないか。そこから再処理工場の問題は、原発計画との見合いでどちらかに一つの解決をしなければならぬ問題が出てきやしないかというふうに私は考えますけれども、その点は来年度の予算あるいは年次計画を進める上において何もトラブルはないのでしょうか。
  20. 生田豊朗

    ○生田政府委員 ただいま先生御指摘の点が確かに問題でございます。したがいまして、先ほどの御説明につけ加えさせていただきますと、一つは、高レベル廃棄物の処理、処分につきまして、わが国でも動燃事業団研究開発を進めておりますし、世界的にも研究開発を進めておりますので、これをさらに進めてまいる。これは来年度の予算要求の一つの項目にもなっております。  それからもう一つは、先ほど申し上げました第二再処理工場でございますけれども、これの具体化をさらに進めたい。これは相当の資金も要しますので、財政投融資との関係あるいは企業形態の関係、その辺も通産省と協力いたしましてかなり詰めておりますが、さらに検討を進めてまいりたいということで、引き続き検討してまいる計画になっております。
  21. 石野久男

    石野委員 私は、持ち時間の関係もありますので多くを申しませんが、いまのような事情から考えると、再処理工場のいわゆる使用済み燃料処理の問題に絡んで、原発計画の見直しをせざるを得ないような事態が来ているように思っておるのです。そうでなければまたひとつ御意見を伺いたいのですけれども、そういう点はむしろはっきりとした方がいいのじゃないだろうかと思います。年度計画などが当然出てくる段階ですし、われわれの原子力に対する施策を考える上から言いましても、政府はそういう点ではっきりした態度をとられることが望ましいと思います。これはきょう恐らく、いまの御答弁からでは返事はいただけないと思うのですが、大臣、そういう点を十分含んだ上で原発計画についての施策を出してもらうようにしなくてはいけない、こういうふうに思っておりますが、一言御意見を聞かせていただきたい。
  22. 佐々木義武

    ○佐々木国務大臣 ただいま局長からお話ししたとおりであります。ただ、いまのアンノーンファクターと申しますか、まだ確定していない要素というのは、ただいまお話がございましたように、英国との話し合いがまだ交渉中であるということ。それが交渉中であっても、私も大変びっくりしたと申しますか、英国のこの種の工場に携わっている労働組合皆さんが、むしろ日本の注文は受くべきだという陳情を政府なり経営者側にしているという情報を見まして、英国はやはりいままで経験を積んだ国だけあるなという感じがいたします。  第二番目の、日本でその後につくる非常に大きい再処理工場といいますか、ただいま電力会社等でいろいろ計画しておるようでございますが、この進め方が数年前に原子力委員会でつくりました計画どおりいくかどうか、これは練っておる最中でございますから何とも言えぬのでございますけれども、その後の情勢等を考えますと、やはりこの面に関しましては、政府のてこ入れと申しますか、もっと積極的であっていいのじゃないかという感じが実はしております。  三番目の問題である高レベルの廃棄物、再処理工場から出てくる廃棄物をどうするかという問題が残るわけでございますが、これはお話がございましたようにガラス固化と申しますか、そういう研究が順次進んでおりますし、また、私もこの問題は国際的に処理すべき問題だと思いますので、来年度に国際会議等もできるだけ開いていただきまして、そして世界的な観点でこの問題を処理していくということが一番いいのではないかと思います。したがいまして、いまの状況で直ちに四千九百万キロワットという計画をこのサイドから崩さなければいけないという必要性も余りないように感じますので、むしろ従来の方針どおり四千九百万キロワットでいきますけれども、そのために必要な再処理工場建設なりあるいは高レベル廃棄物の処理なりは、従来以上に積極的に進めて、その解決に当たるべきだというふうに考えております。
  23. 石野久男

    石野委員 その点については、私はいろいろ意見はありますけれども、それはまた後にいたします。  大臣に、原子力船「むつ」の問題でちょっと聞いておきたいのですが、「むつ」の総点検改修技術検討委員会第一次報告というのが十一月に出たわけですね。事業団が出したものに対して、検討委員会からよろしいという答えが出ているわけです。私は、きょうはこれを全部細かくは討議はできませんが、大臣にひとつお聞きしたいと思うのです。  「むつ」を総点検するに当たって、「むつ」の定係港の問題修理をするとか船舶に対する補修なり手当てをするというようなことで、どこでそれをするかという問題が当面どうしても大事なことだと思いますが、そのことについての見通しがどうも立っていないようでございます。その点、いまどうなのかということが一つ。  それから「むつ」をどこへ持っていくか。いまの青森から外へ出さねばならぬ時期がもう着々と迫ってきておりますけれども、持っていく場合に、あのままで持っていったらどこも受けるところはないのだろうという感じがしておるのです。どうしてもあれを受けさせようとするならば、やはりあの炉を外さないと持っていく場所がないのじゃなかろうかという感じが私はしているのですけれども、大山委員会とかあるいはその他のいろいろな委員会で検討された諸君は、なにあのままでも結構なんだよというお話のようであります。しかし、それでは実際問題として、船の処理をする受け入れ先での問題の解決にはならない。政府は、それについてどういうふうに対処していられるかそこのところをひとつ聞いておきたいのです。どんなことをしてでも、今後あの原子力船を原子力船として整備していくについても、そうでない場合にしましても、どうしても一たん炉を外さないとその仕事は進んでいかないのじゃないか。また、そこでそういう炉に対するいろいろな検討を加えなければならないのじゃないかという感じがしますが、その点についての所見だけをひとつ聞かせてください。
  24. 佐々木義武

    ○佐々木国務大臣 「むつ」の今後の処理の問題でございますが、先週の金曜日に一応総点検あるいは改修等の計画ができました。これは、安全に環境を汚染することもなしにできますという結論を、いわばレビューの結果、事業団でつくったものをさらに丁寧に検討した結果も同じ結論になっておりますので、事務的な技術的な検討はほぼ終わったものと考えまして、今度はこれをどういうふうに処理していくか、言うなれば修理、点検港をどうするかという問題に入ってくるわけでございます。  そうなりますと、従来の私どもの役所だけで処理するには非常に広範囲な問題も含んでくると思いますので、去年「むつ」問題を処理する際に設置されました「むつ」問題閣僚懇談会、これを数回開きましてそれであの問題を処理したわけでございますけれども、それがそのまま残っておりますから、必要な関連する閣僚の諸氏と、今度は自民党の三役の皆さんにも御参加いただきまして、金曜日の朝、いままでの青森側との話し合いの結果をどういうふうに実施したか、それから修理、総点検の計画はこういう計画であって、これは安全であるといういままでの経過、あるいは計画の内容を具体的に詳細に御報告申し上げまして、結論といたしましては今後のいわば政治的な折衝と申しますか、主として地元側との折衝になりますけれども、それに関しましては官房長官、運輸大臣と私、この三人に御一任いただきたいということで、交渉する先並びに交渉する時期、アプローチの仕方、方法等まで含めて御一任をいただいた次第でございます。したがいまして、この問題の処理は、党と内閣を挙げて行うという体制をこの際整えまして今後進めてまいりたい、こういうふうになっております。  それから、修理、点検の安全はどうかという問題でございますけれども、これは石野さんも青森に何遍も行ってごらんになっているはずですからよくおわかりでございましょうが、いまの「むつ」は、原子炉は御承知のように稼働しておりません。稼働しないようになっております。しかも、あの中に第一次冷却水と申しますか、これなども、ほとんど出力を上げていないのですから、放射能を持った状態ではございません。これはほとんど飲料水と変わらないとこの報告書にも出ておりましたとおり、何でもないものでございます。したがって、いまの「むつ」の原子力船は、青森であれほど騒動を起こしてそういう結果になったわけでございますが、それ自体は別に危ないことも何もない。したがって、青森側もあのまま存置しておくことは別に異論がない。問題が生じていないわけでございまして、海を汚染するわけでもなし、乗組員がそれによって障害をこうむるというおそれも全然ない、そういうのが現状でございます。  今度、別の港に持っていく場合に、そのままの状況で持っていくのですから、ただの船でございまして、それで稼働するためのエンジンあるいは蒸気等はどうするかと申しますと、これは原子炉を使ってのものでなくて、補助エンジンで普通の船と同じに持っていくわけですから、これは普通の船と何ら変わりません。したがって、いまのまま「むつ」が移動する場合には、移動する途中においても何ら問題はございませんし、入っていった場合も、ただの船でございますから、これは問題がないはずでございまます。  入った以後、修理、点検はどうかと申しますと、ただいま申しましたように、これは全然安全なものであるという技術的な検討ができましたし、そうして三年ぐらい修理、総点検にかかるわけでございますが、その総点検の仕方等は後で詳しく必要であれば局長なり担当官から御説明を申し上げますが、これはたとえば東海村等でモックアップ等の操作をして、実験を重ねて、今度は絶対大丈夫だ、そういう丹念な経過を経て、そして修理、点検の作業を終わるわけでございまして、それが終わりました後からがいわば母港というかっこうになるわけでございますけれども、その間まだ二年か三年ございますので、その間にそういう安全の問題等十分御理解いただいて、立地に適した所があれば、しかも受け入れていただければ、それはお決めいただけるのではないかという実は構えでございます。
  25. 石野久男

    石野委員 現状はもう炉は火が入っていないのですから、そして非常に放射能も少なくなっているだろうということは予想されますから、燃料棒さえ抜いてしまえばこれは本当に問題はないのだろうと思います。ところが、その燃料棒がまだ入っているということでいろいろ問題があるというやはり心配を持つわけですし、それから船がただの船だと言っても、炉をいじらないあるいは燃料棒の抜き取りをしないという形のままで、いま起きている事故に対する解明があるいは補強ができるという——これなんかには遮蔽の上部、下部においてはこうするああするということが書いてありますから、それはあるのでしょうけれども、しかし現地の受け入れ先がどこになるかもしれませんけれども燃料棒が入ったままで、燃料棒に全然手を加えないで、原子力船の修理とかなんとかというのはどういうことを意味するのだろうか。いわゆる船のカキを取ったり何かして船の補強ということだけなのか、炉には全然手を加えないでという意味なのか、そこらのところは私はわからないのですね。だから、炉に若干でも手を加えるということになれば、どうしたって燃料棒をどうするのだという問題が出てくるはずですから、それをどういうふうにするのかということをぼくは聞いているのです。
  26. 佐々木義武

    ○佐々木国務大臣 いま制御棒を入れまして、核反応は起こしていないのでございますから、形態は原子炉でありますけれども、原子反応を起こしていないのですから何でもありません。それから、燃料棒はほとんど、さっき申しましたように上昇試験はもうわずかなものですから、しかも時間がたっていますし、もとの燃料棒のままでございまして、別に危険なものではございません。ですから、そのままであれば何でもないのでございまして、さて、その修理をするときにどういう修理をするのかということでございますが、これは別に燃料棒を抜かぬでも修理可能だということになっておりまして、いまの発電等で、あれほどそれこそ出力をフルに出してそして長年運転したものの修理すら燃料棒を入れ込んで修理をするわけでございますから、今度の場合は全然そんなことはないのでございますので、その点は御懸念はなかろうと存じます。
  27. 石野久男

    石野委員 「むつ」については、大臣はそうおっしゃるけれども、恐らく船を持っていこうとする場合には、必ずその問題は出てくるだろうと思いますから、それで私は心配して言っているわけなんですから、これはひとつ政府の方でもよく考えておいてもらいたいと思います。政府はいつも大丈夫だ、大丈夫だと言うけれども、地元、それを受け入れる先では必ずそれは問題になるだろうと思うから私は言っておりますので、そういう点だけはひとつ御留意していただきたい。  時間がございませんけれども、あと一つお聞きしたいのは、実は福島のやはり東電の発電所にかかわる被曝で何人かの人が亡くなっているということは、もう本年の初めのころから、特に福島県では県会でも問題になりましたし、その後報道機関等もいろいろと問題にしております。最近雑誌「宝石」というのにいろんなその事実を書かれておる。私は、この一つ一つの問題について聞こうとしていないのですけれども、従来この被曝者が、たとえば福井の美浜で被曝があったとかいうようなときでもそうでございますけれども、一番問題になるのは作業者の被曝手帳の問題でございます。それで、作業者の被曝手帳が実際には本人がなかなかわかっていない。それから、この記事の中なんかでも、病院の方ではほとんどそれを知ろうにも全然被曝手帳も見ていないからどうにもならぬということがあります。  そこで私は、原子力施設におけるところの作業者の被曝線量がふえていくことが非常に問題だという観点からして、作業者が持っている被曝手帳というようなものは、できるだけ本人に常に周知せしめておくということが非常に大事だ、このように思うのです。ところが、どこへ行っても本人はなかなかそれはわからない。特に問題になるのは、下請業に働いている労働者の場合でございますので、政府は特にこの問題について、下請で働いておる労働者の被曝管理という問題をどのようにしておられるか、そして、その被曝手帳というものについてどれほど経営者の側に責任を持たしており、あるいはまた作業者に周知せしめるような方策をとっておられるかをひとつお聞かせ願いたいのです。
  28. 中村正

    ○中村説明員 御指摘の点でございますが、まず一つ、手帳の問題でございますけれども、手帳は現在事業所の方で任意の制度としてこれを持つということになっております。それで、被曝の経過等につきまして、またその線量等につきましてその中に書き込む。御指摘の、それを労働者に周知せしめる、あるいは労働者の手に持たせるという点でございますが、現状では確かに事業所等では、これを隠すというような意味ではなくて、むしろその手帳を失うということによって貴重な記録が失われるどいうことを恐れて、事業所が預っておるという実態があるかと思います。もちろんこれは労働者要求すれば当然労働者の手に渡るというのが筋ではないかとは存じますが、事実としてはそういうことになっております。  また、ちょっとお話の中にございました診療なさるお医者の方、そこに被曝のデータが届いていない、これでは十分な医療ができないではないかというお話でございますが、これは決して手帳によらざれば被曝の経過がわからないということではございませんで、患者自身の方が事業所等にデータを求めるということになりますと、事業所の方ではこれに明確なデータを与えなければならないということになりますので、もし患者に疑いがありました場合には、患者を通してデータを取り、それで医者に渡し、十分な治療の判断にしていただくということができるかと存じます。
  29. 石野久男

    石野委員 いまのお話の被曝手帳の問題ですが、経営者が被曝手帳を紛失するといけないという配慮から管理をして保管をしておる、こういうお話。これは非常に慎重な態度で結構だと思うのですけれども、しかし、経営者の側が管理保管するということの意味と、それから本人がそれを知る知らないということとの間にすれ違いがあっちゃいけないですね。だから、まずそれは本人が知って、それでなおかつ保管のために手帳を管理してくれるということであるならば非常にいいわけなんです。ですから、どうしてもこれは本人には一度わからすということが大事だと思うのです。  それからなおもう一つ大事なことは、下請業に働いておる労働者諸君は、主として被曝についての認識が必ずしも十分であるとは言えないものがあると思います。したがって、正規の労働者原子力発電所ないしは原子力関係の施設に働いておるときには、それなりの教育も行なわれておるし、やはり認識も持っておりますけれども、下請に働いている方々はなかなかそれがわからない。そのために被曝の量があってもそれを本人自身が認識できないというような場合がある。それから、たとえばクレーン操作をしておるような方々は、率直に言って事物には直接当たりませんから、非常に安易な気持ちでおるわけですね。しかし、もし放射能が非常にたくさん出ておるとすれば、クレーンを操作しておる労働者は常に被曝のなににさらされていることになるわけです。現に、たとえばこのクレーン操作をしておった松永君などというのは、ドラムかん詰めの作業のところでクレーンの操作をしておったわけですから、ここらのところになるというとなかなか本人は認識が至りませんから、被曝の事情が全然わからないというのが実情だと思うのです。ですから、こういう諸君にはできるだけ点検の事実を明確にさせて、本人にもよくわからす。その日その日必ずわからすということを任務づけることが必要じゃないか。これは経営者が毎日毎日そのことを本人に知らせばいいわけですから、そういうことをもう少し規制の上で十分するという必要があるんじゃないかというふうに考えますけれども、その点についてはいかがでありますか。
  30. 中村正

    ○中村説明員 手帳の存在、そして手帳の果たす役割り、これを十分に労働者に周知せしめよという点についてはごもっともでございまして、これは安全衛生法等に基づきまして労働者に対する教育というのは使用者の義務になっておりますので、それを通じてより周知徹底を図るということが必要かと思います。そのような、先生の御趣旨に応じたような処置を今後も強めていきたいと思っております。  それから、果たして手帳を労働者がその存在自体を知り得ているかどうかという点ですけれども、原則といたしまして、手帳の中に曝露量を書き込むのは労働者本人が書き込むというのが原則でございますから、本来でございますれば、労働者自体、確かにその手帳があるというのを存じているはずかと思います。下請等にはややそういう点に問題があるかとは思いますけれども、本件、福島発電所の件につきましては、先生の御指摘を待つまでもなくわれわれの方でもいろいろ調査をいたしましたが、その点においてはかなり十分な指導徹底が行われていたと了解しております。  それから、被曝量そのものを労働者がちゃんと自覚する必要があるという点につきましては、フィルムバッヂとそれからポケット線量計と両方ございまして、バッチの方は分析の方に回しますけれども、線量計は本人がどれくらい曝露したか確認をすることになっておりますので、その点でも労働者がその曝露量等を知り得るルートは私どもでは十分できているのではないかと思っておりますが、また先生の御指摘を受けまして、私どもの方でも検討はいたしてみたいと思っております。
  31. 石野久男

    石野委員 時間がありませんので最後にあれしますが、福島の場合は労働省がよく調査した結果、あるいは作業所、特に下請などにおけるところのその点についての指導が十分行き届いておったというお話でございますが、しかし私はそれについては疑義を持っております。あなたがそういうふうなお答えをするほどに徹底した指導が行われているというふうには思っていないのです。これはもり一度よく現実に接して、見ていただく必要があるんじゃないかと思います。ことに下請の労働者などは、率直に言ってわからないんですよ。わかっていないんですよ。ですから、事実問題として被曝がどの程度になっているかということもわからなければ、第一そういう手帳さえもわからないというような人が多いんですからね。多いということは指導が徹底しているということになりませんので、課長はいまそういう御答弁でありますけれども、これについては私は非常に大きな疑義を持っておりますし、事実はそうじゃないと思いますから、この点はやはり改めて指導を確実にするように、通達を出していただくなりあるいは管理監督をしていただくということを私はお願いしておきたいと思います。  いま一つ、これは大臣の方にもお願いしますが、これは労働省の管轄ではございまするけれども原子力に関連する被曝の実情というものは労働省だけの間の問題ではなくして、通産省なりあるいは科学技術庁がそれぞれの職場において、いわゆる被曝の線量をふやさないようにする配慮をしなくてはならない任務があると思いまするので、規定によってできておるいろいろな規則の実行に当たっては、他の管轄省でありましても、少なくとも科学技術庁としてはこれについて十分な関心を持ち、注意を喚起するような努力をしていただきたいということをお願いいたします。私はこれで質問は終わりますが、ひとつ御答弁をいただきたい。
  32. 中村正

    ○中村説明員 先生の御指摘の趣旨を十分承り、適宜検討し、御趣旨に沿うような方向で措置したいと思います。
  33. 石野久男

    石野委員 大臣、ちょっと答弁を。
  34. 佐々木義武

    ○佐々木国務大臣 当然のことだろうと存じます。
  35. 八木昇

    八木委員長 次に、近江巳記夫君。
  36. 近江巳記夫

    ○近江委員 初めに、動燃の再処理工場の問題についてお伺いしたいと思います。  十二月の十三日、十四日にウラン溶液の漏れた事故がまた発生しておるわけであります。まず、この事故の起きた原因につきましてお伺いしたいと思います。
  37. 生田豊朗

    ○生田政府委員 動燃の東海処理工場ウランテストが始まりましてから、ただいま先生御指摘のようにトラブルが大分起きております。  ただいま御質問の十二月十三日と十四日に発生した件でございますけれども、再処理工場の脱硝工程におきましてウラン溶液の漏洩が発生いたしました。その状況でございますけれども、この再処理施設の脱硝工程と申しますのは、硝酸ウラン溶液から三酸化ウラン粉末を製造する工程でございまして、十二月四日から本工程ウラン試験を開始いたしまして、六日の朝に第一回目の試験を終了いたしました。  十二月十日の夕方から第二回目の試験を開始いたしまして、十三日から濃縮いたしました硝酸ウラン溶液を脱硝塔に送りまして、脱硝作業を開始いたしました。十三日におきまして脱硝塔の製品取り出し系のバルブが作動不調となりましたために、脱硝塔の運転を停止いたしまして、引き続き硝酸ウラン溶液を濃縮するための蒸発かんを停止いたしまして、かん内の溶液を濃縮液受槽を経由いたしましてウラン濃縮工程の希釈槽へ移送する作業を開始いたしました。この作業の間におきまして、二回にわたって硝酸ウラン溶液の漏洩が起こったものでございます。  第一回目は十二月十三日の午後九時半ごろでございますが、ポンプと希釈槽との間のバルブから約十リットル漏洩いたしております。それから二回目は、翌十四日の午前三時三十分ごろでございますが、これは濃縮液の受槽へのリサイクルラインのバルブから約五リットル漏洩いたしております。これが事実関係でございます。  その後の処置でございますけれども、漏洩いたしました溶液はドリップトレーに回収いたしましまして、ドリップトレーは除染いたしました。それから床が軽く汚染しておりましたので、これも除染いたしました。空気汚染はございません。それから作業員三名、これは動燃の職員が二名と技術提携先のサンゴバン社技術者が一名でございますが、これは防護服は着ておりましたが、ごく軽微な身体汚染がございましたので、水で洗いまして直ちに除染いたしました。  大体以上でございます。
  38. 近江巳記夫

    ○近江委員 この事件を見ますと、いわゆる硝酸ウラン溶液というのは、一リットル中約千グラムのウランを含んでおる。非常に濃度が高いわけですね。この配管は常時百二十度ぐらいに温めておかなければならない。しかし、バルブであるとかフランジなどの付近は非常にその点保温がむずかしいという点もあるわけですが、こういうことは当初からわかっているわけですよ。わかっていることを、二日も続けてこういう事故を起しておる。さらにまた、圧力計が利用もされてない。それからまた、このときにいわゆる除染用の紙の原因不明の火災が起きておる。私は、こういうことは非常に重大な問題だと思うのですね。これを聞いていますか、科学技術庁は。
  39. 半澤治雄

    ○半澤政府委員 いまの除染用の紙でございますけれども、硝酸の溶液をふき取りますので、しめした紙でふくということでやったわけでございますけれども、それが乾きまして、くすぶって焦げついたというような事実は承知いたしております。
  40. 近江巳記夫

    ○近江委員 それは乾燥すると燃えるようになるんですか。
  41. 半澤治雄

    ○半澤政府委員 硝酸ウランでございますから、硝酸による焦げ、くすぶり、こういうことでございます。
  42. 近江巳記夫

    ○近江委員 いまちょっと説明ありましたけれども、そんな簡単な原因ですか。なぜ燃えたんですか。
  43. 櫻井保孝

    ○櫻井説明員 ただいまの御質問でございますけれども、給液のラインに熱媒のオイルパイプが巻いてございます。そこのところが先ほど局長から説明いたしましたように、五百グラムウランパー・リットルのウラン溶液が漏洩をいたしまして、その部分にかかっております。それで、そこの除染作業をいたしますときに、いま申し上げました熱媒のオイルパイプを保護するために、しめしたおしめ紙といいますか、これはティッシュペーパーのようなものでございますが、それをかぶせてございます。そこの下を熱媒のオイルパイプが通っておりまして、その温度が約百二十度程度でございます。そのためにそのおしめ紙が乾きまして、少しくすぶって焦げ臭いにおいがしたという事実がございます。
  44. 近江巳記夫

    ○近江委員 私が先ほど申し上げましたように、当然そういうフランジの部分であるとかいうところは保温がしにくいわけですね。これは前の委員会でも問題になりましたが、労組側として何十項目かのそうした提言もしておった、そういう中に入っておるわけですね。当然これは心配である。ところが、試験を続行した。こういうようなウラン溶液の漏れの事故をまた起こしておるわけです。こういうずさんな事故が続出しておるわけですよ。当初からこういうことは予測されるわけですよ。しかも、圧力計をこれは利用していたのですか。そういうフランジ部分等の保温についてはどうしていたのですか。
  45. 中島健太郎

    ○中島参考人 いまのお話でございますが、まず最初に、予測していたかどうかということでは、詰まりがある、詰まるかもしれないということはある程度予測はしておったわけでございます。したがいまして、当然詰まるということは、硝酸ウランの濃度が濃くなった場合に晶出するという現象があって詰まるわけです。先ほどの保温でございますが、各配管、それからポンプ、それからフランジ部分、ここら辺には、いま熱媒の通ったパイプをはわせまして、そしてさらにそれにアスベストを巻いて保温しておったわけでございます。ただ、その保温効果が部分的にではございますが、十分でないということが今回判明したわけでございます。
  46. 近江巳記夫

    ○近江委員 これは十二月十三日午後九時三十分ごろ起きているわけですね。このときにゴム手袋と腕に汚染があった。ゴム手袋と衣服は処分したということになっておるのですが、二回目のときは一回目とわずか十センチ、これはほとんど離れてないところから漏れが出ているのですね。それで、硝酸ウランの溶液がフランジの部分から少し漏れておるのを発見して、それで作業員が漏れた場所を確認するため数秒間見た。その部分からバーンと溶液が下向きにシャワーのように激しく吹き出した、こういうことなんですね。こういうことは予測されておるわけですよ。だから、私たちが、一度中止をして総点検をやって、心配な部分をきちっと手直しをしてやりなさいということを言っているわけですよ。ところが、この設備はもう完全ですからと——私たちは「むつ」の二の舞をさせたくないから言っているわけです。それを、何か別の違ったような取り方をなさっておるように私は思うわけですね。十一月十三日に本委員会におきまして集中審議が行われたわけですが、それ以降の事故についてどういう事故があったのですか。この事故も含めて簡潔にひとつ、科学技術庁がつかんでいる範囲で報告してください。
  47. 半澤治雄

    ○半澤政府委員 集中審議以降に、非常に軽微なトラブルを含めまして、ただいまの十三日の事故を含めて九件ほどのいわゆるトラブルが起きております。  簡潔に申し上げますと、十一月十四日に脱硝工程において作業員が左手の親指を、ボンベの架台を調整中にはさみまして骨折をしたというトラブルがございます。  それから、同じく十一月十七日でございますが、主工場の換気系の起動不調というのがございましたけれども、これは自動、手動の切りかえスイッチの接点不良ということでございまして、手動によって順次起動をしております。  簡潔に申し上げますが、十八日には溶媒受槽からの溶媒のオーバーフローというトラブルがございまして、リワークセルで発生いたしております。  それから、十一月二十一日にミキサセトラからの溶媒の漏れがございまして、第一サイクルの溶媒再生系のミキサセトラから溶媒が漏れまして、一部がドリップトレーに流れた、わずかでございますが、流れたというトラブルがございます。  それから、十一月二十七日にはミキサセトラ室で写真を撮っておりましたところ、モニターをいたしましたら、手にごく軽微な汚染があって、これは除染後直ちにバックグランドに戻っておりますけれども、そういったトラブルがございます。  十一月二十八日には、脱硝用の送液系のバルブからのウラン溶液の漏れがございます。これは現場との連係の確認が不徹底であったことに起因するものと考えられますけれども、そういったトラブルがございます。  十二月に入りますと、更衣室におきまして、試薬調整系の配管の詰まりを点検中に、配管についておりましたサイトグラスのボルトをはずしたまま純水を流したところ、ドデカンなりTBPを含む液が流出いたしまして、顔あるいはのどにかかって結膜が、目でございますが、はれるというような事故がございます。もちろんこれは放射性物質は含まれておりませんけれども、そういったトラブルが出ております。  十二月の四日でございますが、脱硝塔からのウラン粉末の漏洩というのが脱硝系にございます。  その後、ただいま御質問がございました十三、十四日の脱硝系におけるウラン溶液の漏洩、以上九件ほど起きておるわけでございます。
  48. 近江巳記夫

    ○近江委員 いま御報告がありましたように、あれからでも九件のこういう事故が起きておるわけであります。それで、またその事故が起きた究明ということがされているのですか。私たちが再処理工場を視察に行って、たとえば蒸気発生器、いわゆる水が二百リッターもたまっておる。これも多分バルブを締め忘れたんではなかろうか。まだ原因ははっきりしません。二百リッターもどこから水が出てくるのですか。そんなことすら原因がどこかわからないというようなことで、こういう実験を続けていっていいんですか。  その件はもう原因はわかったのですか。われわれが見に行って、ここは問題じゃないか、どうなっているのですか——あなた方は答えることができなかった。推定のことしか言えなかったのですが、その後はっきりしましたか。
  49. 中島健太郎

    ○中島参考人 あのとき申し上げたのでございますが、水が入ったラインはそこだということは推定いたしましたけれども、その水がなぜあるいはいつやったかということはとうとうわからないということでございます。ただし、そのために対策として、そのバルブの使用については課長の指示なくてはやってはならないということをはっきりと徹底したわけでございます。
  50. 近江巳記夫

    ○近江委員 はっきりした原因もわからずに、大体この辺だろうということで、勝手にさわるなという程度の対策ですね。  今回のこの十三、十四日と二日も続いて、しかも同じ場所から、これだっていわゆるフランジ部分の保温がうまくいかなければ固まる、爆発する、漏れるということはわかっているわけでしょう、最初から。わかっておるところでこういう事故を再三起こしている。こういうことで、現在のこの再処理施設におきましては、作業員は、通常の仕事ではなく、事故の後仕末に追われておるような状態であるわけです。また先日の本委員会におきまして私が何回も言ったことでありますが、この化学テストの結果が生かされてない。こういう点におきまして、このまま、なぜそうしたことを総点検とかいろんな、一時ストップというようなことになるかそれはわかりませんけれども、一たん決めたスケジュールを、いろんなことが起ころうがそれを進めていく。なぜそんなに急ぐのか。確かにそれは、皆さん方の背景もわかりますよ。わかりますけれども、いまこういうような状態でいけば、従業員だって労働意欲をなくしてくるわけですよ。やはりきちっとした一歩一歩の足固めをして進めていく必要があろうかと私は思うのです。  そういう点で、こういう点についてはやはり政府が——動燃としては何とか進めていきたい。それぞれの立場は理解できないことはないのです。それは大きな立場から、政府が、これではちょっとまずい、一時スケジュールをストップして再処理施設の総点検を実施をしなさい、こういうことは言ってあげる、私はそういう姿勢が大事じゃないかと思うのですよ。その点、私がいま意見を申し上げたのですが、局長はどのようにお考えですか。
  51. 生田豊朗

    ○生田政府委員 私ども考えておりますのと先生の御意見と全く同じだと思うわけでございます。私どももスケジュールを守る余りに安全を十分に確認しない、あるいはウランテスト目的を達成しないままに予定された時間が経過してしまったからそこで打ち切るというようなことは全く考えておりません。これはもちろん全体の試験運転計画、それからその後の計画もございますので、ウランテストに要します時間も十分考えておりますし、その計画も立てておりますが、これはあくまでもそのテスト目的を達成するためにこのテストをやるんだということが大前提でございまして、その予定された期日、クランチストを終了する期日が来たからテスト目的を達成しなくても打ち切るということは全く考えておりませんし、そういうようなことはすべきではないと思います。動燃事業団におきましても、先ほど清成理事長お話もありましたように、同じことを考えておられるわけでございまして、その辺特に意見の違いはないかと思います。  ただ、このウランテストと申しますのは、たびたび御説明申し上げているわけでございますけれども、試運転の一番初めの段階でございまして、むしろこのウランテストの間に、起こるべきトラブルを全部発見して対策を講じてしまう。同時に、従業員の教育訓練もこの場においてやるという目的を備えておりますので、ウランテストにおきまして先ほど来御説明しましたようなトラブルがいろいろ起きまして、その都度全部とめてしまっては何にもならないわけでございます。むしろこのウランテストの間はこういう形で、トラブルはもちろん起きない方がいいわけでございますが、仮に起きましてもその原因を究明しながらこういう形で進めていくということが必要でございまして、先ほども申しましたように、その原因の究明なりあるいは対策なりが十分行われないのに、ウランテストをやめてその次のホットテストに移行してしまったとか、あるいは本格運転に入ってしまったとかいうことになりました場合は先生のおしかりを受けてもやむを得ないかと思いますが、ただいまのところ、私ども先生考え方は全く同じでございまして、そのためにウランテストを丹念にやっているという次第でございます。
  52. 近江巳記夫

    ○近江委員 そうすると、全体のスケジュールのそうしたおくれというのは、もしもおくれた場合でもそれはもうやむを得ないんだ、あくまでも安全といいますか完璧なものにしていく、こういうことですね。どうなんですか。
  53. 生田豊朗

    ○生田政府委員 そのとおりでございまして、私どもはこのウランテストウランテスト目的を達成することがまず第一でございまして、そのために予定の計画——計画と申しますか、予定の時間以上に時間をかけましてもこれはやむを得ない、と申しますよりは、当然だというように考えております。
  54. 近江巳記夫

    ○近江委員 外国の再処理施設というものは、これは軍事利用なんですね。完全に平和利用というのは日本のこれが代表的なものじゃないかと思うのです。諸外国におきましても、英国のウインズケールの再処理工場、これは一昨年非常に高い放射能が漏れる事故が起きまして、いまも運転を停止したままである。米国のゼネラルエレクトリック社がイリノイ州につくった工場も、昨年試運転の段階で故障を起こして計画を中止している。こういうように諸外国におきましてもそういうような状態があるわけであります。  わが国としましては、あくまでも平和利用に徹していかなければならない。それだけに一層完璧さが要求されるし、慎重にやっていかなければならぬわけです。ですから、その点ウラン試験は途中でやめなくても、それを一通りやって、それで総点検をやって、修理をやって次に進む、政府はそういうふうに考えているけれども、しかし働いている人たちは違うのですよ。さらにその段階を下げなさい、一つ一つ完璧にして、そしてまた進んでもらいたい、そうでなければ、こんな事故の後追いばかりやっていま何もできない。この見解の差といいますか、あなた方もその主張だけで、姿勢でいいのですか。働いている人たちのそういう声だって聞かなければいけないのと違いますか。その辺の調整についてはどうするのですか。働いておる人たちは、いまでも直ちにストップをして、全部一度完全に修理して進めてもらいたいと、こう言っているのですよ。
  55. 清成迪

    清成参考人 いまのことに対してお答えいたします。  先ほども局長がお話しになりましたとおりでありまして、われわれ先生お話と同じような趣旨で考えておるわけでございます。ただ、先生の御趣旨をやるために、ウランテストをやらなければそれもわからぬ。とめてみたのでは幾らも見つからぬわけでございます。したがって、先生の御心配のようなところを見つけるためには、動かしてみなければわからぬということなんであって、組合の連中がこれを全部とめてみろということは、わからぬものを見つけろ、こういうことでございますね。ですから、それはできませんので、われわれとしては、そういうものが出てさましたら、自然にそのとおりに、おっしゃるとおりにやめて、その原因を調査して、対策を立てて補修もするということをやるわけでございまして、そういう事実がわかりますれば、ちょうどおっしゃるとおりになるわけです。そこをわからせるために運転をしなければわからぬということなんでございますから、この点は私は、組合の連中もよくわかっておると思います。そういうことを徹底させます。先生の御心配のことは私もよくわかりますので、そういうことに取り運びたいと思っております。
  56. 近江巳記夫

    ○近江委員 科学技術庁長官そしてまた原子力委員長を兼ねておられるわけですが、いま局長は、予定がおくれてもいわゆる完璧を期して進んでいくのだとおっしゃったわけですが、これは最高責任者である長官であり、原子力委員長は基本的にはどういうお考えを持っておられますか。
  57. 佐々木義武

    ○佐々木国務大臣 そのとおり考えております。
  58. 近江巳記夫

    ○近江委員 いずれにしましても、先ほど私がこの十三、十四日の事故を指摘しましたが、これも予測されたことでございますし、ひとつ完璧にそれを遂行していただけるように、これは強く要望いたしておきます。十分ひとつそういう現地で働いておられる方々と意見を交換して、納得を得られる、そういう中で安心のできる体制のもとで進めていただきたい。これを特に要望いたしておきます。  それから「むつ」の問題についてお伺いしたいと思うわけですが、政府は佐世保で修理するということにつきましては、来年早々に地元に対して要請をするんだということをお決めになったようでございますが、本年の五月、「むつ」放射線漏れ問題調査委員会、同じく九月の原子力委員会原子力船懇談会の両報告書に今回出ました「むつ」総点検・改修技術検討委員会の報告書を抱き合わせして、この「むつ」の安全審査の保証書はそろったというような考えでもって佐世保に対して申し入れをなさるということでありますが、この委員会におきまして私たちも何回も申し上げたわけでございますが、いろいろな原子力に関する質疑の中でいつも出てくることは、原子力行政の根本的な洗い直しを検討しておる原子力行政懇の結論を待つんだというようなことを常におっしゃっておったのです。ところが、この原子力行政懇の結論も出てないわけでしょう。そうすると、全般に対する不安というものは、今後の体制が一体どないになるのだろうか、どういうふうに今後進めていくのだろうか、その基本的なものがないままに佐世保に要請すると言ったところで、地元の住民がそれを受け入れますか。それとの関連については、どのように政府はお考えになっているのですか。
  59. 佐々木義武

    ○佐々木国務大臣 先ほど石野先生からも御質問がございまして、「むつ」の問題に対する経過等は御説明申し上げましたが、先週の金曜日に「むつ」閣僚協議会を開きまして、そしていままでの経過を説明し、今後は地元の折衝が主になるであろうから、政府全体並びに党もあわせてひとつこの問題に一緒に当たろうではないかということ、同時にまた窓口と申しますかは官房長官それから運輸大臣、私、三人に任せてもらいたいということで一応終わりました。その一任の内容でございますけれども、対象をどこにするかまで含めて、いつ、どういうふうな方法でアプローチしていくか、折衝に入るか、解決をどうするかといったような問題が一任されたわけでございまして、お話しのように一月の初頭にどうということは全然まだ決めてもおりませんし、相談もしてございません。  それから二番目の有沢懇談会、行政改革の基本的なものが決まらぬのにこの問題を処理するのはおかしいじゃないかという御疑念でございますけれども、そうなりますと、行政というものはないのでございまして、御承知のように行政というものは一刻も間断を置いてはいけません継続的なものでございまして、大臣がかわったから私は前任者のことは知らぬということはないのでございまして、いまの安全問題に対してはどういう手段を講ずるかと申しますと、お話しのように何段階もやりましたが、「むつ」そのものの修理点検の安全問題に関しましては、原子力事業団の首脳部、特に技術陣営をすっかりかえまして、そして新しいメンバーで非常に充実した人たちに丹念な原案をつくっていただきまして、その原案をそれでそのままよしとするのじゃなくて、科学技術庁と運輸省の責任官庁が中心になりまして、これに学界の皆さん経験を持った皆さんも加わっていただいてこれをレビューしたわけでございます。そのレビューした結論が出ましたから、修理点検は安全であり、環境を汚染することはないという結論でございますので、さっき申しましたようないわばこれからの折衝にどうして入るかという問題に入ったわけでございますが、しからば、そのレビューした機関がそのまま解消するかというと、そうではないのでありまして、今後事業団が主になりまして、メーカーあるいは造船会社等と一緒になって修理をしていくわけでございますけれども、その場合、事業団なりあるいは造船会社等に任せきりでということではないのでございまして、その実際の過程におきましても、いまのレビューした機関がそのままずっと継続して最後まで見届けようじゃないか、こういういままでと変わった非常に丁寧な作業手順に実は考えております。したがいまして、そのこと自体がいけないという問題であれば別ですけれども、その前の原子力委員会をどうするとかいう問題まで片づかなければ、原子力船「むつ」の修理点検はできないということとは、これはいささか次元が違う問題でございますので、そういう国の大本の問題が片づかなければ、この修理点検の安全の問題は片づかぬというふうに私は考えておりませんので、さっき申しましたような手順で私どもが窓口になりまして、今後進めてまいりたい、こういうことでございます。
  60. 近江巳記夫

    ○近江委員 私は、これでいわゆる政府の保証書がそろったというように受け取っているのじゃないかということを申し上げたわけですが、それをもう一度申し上げますと、この政府の保証書、三つの件でございますが、この安全審査体制あるいは責任体制の確立、こういうことをいわゆる行政懇からの答申によって政府は実施していくわけですが、こういうことが確立されないという、裏づけを欠いた空手形であるということは、私はもう明白じゃないかと思うのです。ですから、少なくとも「むつ」修理港の要請というものは、原子力懇の結論が出るということが非常に大事な問題じゃないか、私はこのように思うのです。ところが、大臣と見解は違うわけですが、この原子力行政懇は一体いつ出すのですか。秋に出すと言っておったのがまたずれて、年内あるいはまた来年、年度内となっているのですが、いまどういうようになっているのですか。めどは、一体いつ出すのですか。
  61. 佐々木義武

    ○佐々木国務大臣 そのお答えの前に、誤解があってはいけませんのではっきり申し上げておきますが、いまの行政機構を改革をしなければ——責任の所在は不明確ではございません。いまのままで、原子炉の設置をした者、したがって総理大臣、総理大臣の任命を受けました、委任を受けた私が最高責任者でございまして、これはもう疑う余地がないのです、現行法で。何もそんなことは問題ない。ただ、責任をとるかとらぬかという問題があるだけの話で、責任の所在はどこかというと、これは明僚なんです。だから、もし仮に近江さんのような問題が今後発生したとすれば、私が責任をとります。これは非常にはっきりしておることなんでございまして、ですから、その問題とはひとつ混同せぬようにお願いしたいと思います。  いま有沢機関がどういう進捗状況かという問題は、私が直接関与しておりませんので、間違うといけませんから、局長の方からでも御説明いたさせます。
  62. 生田豊朗

    ○生田政府委員 原子力行政懇談会でございますが、三月の十八日に第一回会合を開きまして、大体どのくらいの期間でその審議を終えるかということでなかなか見通しがむずかしかったわけでございますので、およそ六ヵ月ないし一年ぐらいということを、この懇談会の設置を閣議でお決めいただくときの御説明としては大体その程度ということを申し上げてあります。したがいまして、前国会におきまして私が一、二回御答弁申し上げたことがあるかと思いますけれども、見通しはどうかというお尋ねでございましたので、六ヵ月だとすると大体九月ごろ、一年だとすると来年の三月ごろということですから、その真ん中ぐらいをとりますと秋ごろになるというような見通しを申し上げたわけでございますが、実際問題といたしまして、かなり予想外に時間をとっております。  これはなぜ予想外に時間をとったかと申しますと、十四人の委員の方がおられまして、ただいま総評の副議長の酒井さんが辞任されましたので十三名でございますけれども、その中には有澤先生とか田島先生あるいは向坊先生というような原子力行政あるいは原子力そのものに非常に通暁しておられるいわば専門家の先生もおられますが、一方、懇談会の場で初めて原子力の話を聞くという委員の方も非常に多数おられるわけでございまして、正直に申しましてなかなか議論がかみ合わないわけでございます。したがいまして、座長の有澤先生のお考えで、相当期間やはりヒヤリングなりあるいは事務局の説明を聞くなりということで、その知識のギャップと申しますか、知識の程度をある程度そろえませんとなかなか議論になりませんので、勉強の期間を相当長く置くということでございまして、私どもを初め通産省、運輸省等、各省庁からの説明も数回ずつ繰り返して行いましたし、あと、関係の方広く、原子力委員長代理の井上先生から消費者代表の方に至るまで、あるいは全漁連の会長に至るまでお招きしまして、いろいろ御意見を伺うというようなことを八月から九月にかかりますまでやったわけでございます。九月の末ごろから、大体いままでのヒヤリングの結果をもとにして問題点を洗い出していこうということで問題点を洗い出しまして、十月の第十五回の会合で有澤試案が出されたわけでございます。この有澤試案については差し上げてございますのでお読みかと思いますが、有澤先生が今後の審議のためのたたき台としておつくりになったものでございます。したがいまして、三月からただいままで九ヵ月間、二十一回の審議を行っておりますけれども、そのうちの約七ヵ月、十四回ぐらいは勉強会でございまして、実際にその審議に入りましたのは有澤試案が出されました十五回目、十月からでございます。  したがいまして、実質的な審議は、全体は長くやっておりますけれども、まだ五、六回、期間にしまして二ヵ月ぐらいでございまして、有澤試案に対しましてほかの委員の方からいろいろまた修正案のような御提案がございますが、これがまことにさまざまでございますので、その有澤試案に対する修正案を少しずつまとめていこうじゃないかというようなお考えで、ただいまそれをまとめている段階でございます。有澤座長を初め委員の方全体として、それにしてももうずいぶん、一年近くやっているということで、なるべく早くまとめたいという御意向は非常に強いわけでございますが、現在のところどういうことになりますか、また明日の夜、第二十二回の会合をやるわけでございますが、まだ問題点は必ずしも詰まっておりませんので、もうしばらく時間がかかるのではないかと思っております。
  63. 近江巳記夫

    ○近江委員 わが国のいわゆる原子力行政というものをどう持っていくか、審議をしていただく方々がいわゆる勉強会で大半の時間が消えたというような実態をお聞きしてびっくりしておるわけですけれども、これは皆さんも同感じゃないかと思います。これはひとついろいろな方もおられるわけですから、ここではどうのこうのということは私申し上げませんけれども、少なくともいままで政府としては、これは予算委員会等におきましても原子力行政懇に期待し、その結論を待ってと、これはもう国民全体の大きな期待もかかっているわけですね。これは政府直接のそういう懇談会じゃありませんから、それは長官にどうのこうの言ってもどうしようもないと思いますけれども、ひとつ実のあるものを早く出してもらいたい、こう思うわけです。これは私の希望表明ということであります。  それから、いま長官は責任ということにつきましておっしゃった。それはわかっていますよ。それは長官は最高の責任者であります。そうすると、この安全審査体制であるとかそうした問題もあるわけですよ。そういういろいろな問題があるわけです。だから私、申し上げているわけですよ。それからそういう行政懇の実のある——拙速主義になるとまずいとは思いますけれども、やはり国民の期待が集まっているわけですから、政府としても実のあるものを、そんなに遅くならない工結論をまとめてもらうように努力をしていただきたいということ。それからさらに、その「むつ」の要請については、私がいま申し上げたそのことを十分ひとつお考えの中に入れられて慎重になさることが必要じゃないか、これを一つ申し上げておきます。  それから、その次にお聞きしたいのは公聴会制度の問題でございますが、十一月十二日の本委員会におきまして、局長は私の質問の中で、年内には第一回の公開シンポジウムを考えているというお話をなさったわけですが、いつやるとかそういう中身は決まったのですか。ひとつ詳しくお聞きしたいと思います。
  64. 生田豊朗

    ○生田政府委員 私どもといたしましては、ぜひ年内に第一回のシンポジウムを開きたいということで考えていたわけでございますが、学術会議の御協力を得ることになりましたので、私どもの方と学術会議と双方で準備委員を出しまして、数回の会合を開きまして検討いたしておりますが、残念ながらまだ具体的な開催の日取りを決めるまで煮詰まらないわけでございます。私どもはいま大事な時期でございますので、何とか早く進めたいということで学術会議の方にもお願いしております。問題点につきまして半澤次長から御説明申し上げます。
  65. 半澤治雄

    ○半澤政府委員 原子力委員会と学術会議の間で準備の連絡会議をつくりまして検討しておるわけでございますけれども、検討の次第について御紹介申し上げますと、一つはシンポジウムの性格及びシンポジウムの形式をどうするかという問題がございます。それから二番目にはシンポジウムで何を取り上げるかという、言うならばテーマをどう選択するかという問題がございます。  実はこのテーマの問題等につきましては、具体的に私どもも特に安全性中心にいろいろ御提案をしてあるわけでございますけれども、アプローチの仕方をどう考えたらいいかというようなことにつきまして学術会議側からもいろいろな意見もございます。それがなかなかまとまらない。それからさらにこのシンポジウムは私どもは公開ということを非常に大事に考えておりまして、公開にしてやるということにつきまして学術会議側も異論はございませんけれども、おのずから規模が限定されますから、具体的にどういう形で公開を担保していくといいますか、公開していったらいいかといった方法論、それにさらにいま御質問こざいましたように、私どもとしては大体の全体の見通しでございますね、シンポジウムをいつごろから、どのくらいの回数で、どのくらいの期間をかけてやるかという大体のそのターゲットが決められないだろうかという提案をしておるわけでございますけれども、学術会議の方では関係する学会あるいは委員会等が非常に多うございまして、内部の意見調整にも時間を要すると見えまして、なかなか両者の考え方がぴたっと合わないというのが現状でございます。
  66. 近江巳記夫

    ○近江委員 十一月十二日のときには、年内には第一回をやりたい、それはいろいろなことでなかなかこういう行事というものはスケジュールどおりいかないということは私もわかるわけです。しかし、いま話し合いをやっておるということであっても、じゃいつやるのか、何年か先だ、それじゃ話にならぬわけですね。年内に開くということをおっしゃっておられたのですから、やっぱりそれをまとめていくということが力というか、あるいは責任といいますか、一切のものを包合してそこにきちっとした期日なりどういう方法でやるかという中身も決まるのじゃないですかね。大体いつごろとめどを立てておられるのですか。
  67. 半澤治雄

    ○半澤政府委員 率直に申しまして、ただいまの問題点の詰まりぐあいから見まして、私ども年内、十二月中にと考えておりましこのが、二ヵ月ないし三ヵ月おくれるのではないかというふうに考えております。
  68. 近江巳記夫

    ○近江委員 そうすると、年度内には開催するということですね。
  69. 半澤治雄

    ○半澤政府委員 ただいま申し上げましたように学術会議側の意見も十分聞くという体制をとっておりますので、私どもとしてはぜひ年度内にはやりたいという考え方を現在変えておりません。そういう態度で話し合いに入っているということでございます。
  70. 近江巳記夫

    ○近江委員 学術会議意見はいろいろあろうかと思うのですが、政府としてはどういう中身をお考えになっておるのですか。  このシンポジウムの形式あるいはテーマ、あるいは出席する専門家の選出等についてはどう考えるか。あるいは期間は大体何日ぐらいかけて何回ぐらい開くのか。やはり希望というのはあろうかと思うのですが、その辺の中身についてお聞きしたいと思うのです。
  71. 半澤治雄

    ○半澤政府委員 実はいま御指摘のありました諸点につきましては学術会議と十分話し合いの中で決めていくということでございますので、どちらかといいますと、いままで私どもが私どもの一つの例と申しますか議論の素材として出しました性格のものでございますが申し上げますと、シンポジウムは形式としてはパネルディスカッション方式がいいのではないかという考え方を私ども一応述べてございます。そういうふうに決めたということではもちろんございません。いろいろ御意見を伺っております。  それからテーマにつきましては、やはり安全性の問題を中心に議論を展開したらどうかという観点から、かねて問題になっております原子力発電所の事故、故障の問題なり安全性考え方なり、再処理、廃棄物処理問題といった一連の問題を一つの主題に取り上げたらどうだろうかという考え方を、言うなれば案というよりもどちらかというと例ですが、検討素材としては申し上げているわけでございます。  それから公開につきましても、会場規模等から考えましておのずから限界が出てまいりますものですから、たとえば報道関係には無制限に公開するにしても、やり方としてはある程度推薦母体から推薦してもらったらどうだろうかという考え方を述べたりしてございますけれども、これは学術会議の方からもそれぞれ別の意見も出ておりますので、くどいほど申し上げますけれども、一つの例示として私どもはいま御紹介申し上げた次第でございます。
  72. 近江巳記夫

    ○近江委員 中央と地方との二本立てで公聴会といいますかシンポジウムが開かれる。そうなった場合、地方の人たちにしますと、いわゆる決定してしまったものを持ってくるのじゃないか、そのように感じておる人たちもたくさんおるわけですが、この二本立てで行われる場合、地元で行われる内容というものはどういうものになるのですか。
  73. 生田豊朗

    ○生田政府委員 実は公聴会とシンポジウムとの関係につきましていろいろ複雑と申しますか誤解と申しますかあるわけでございますけれども、一つ申し上げておきたいと思いますのは、公聴会につきまして私どもがただいま計画しておりますのは新潟の柏崎の公聴会でございますが、この柏崎の公聴会の一部としてシンポジウムをやるということではございません。柏崎の公聴会は柏崎の公聴会、シンポジウムはシンポジウムでございます。  ただ、これが地方公聴会と中央公聴会というように一緒にして議論されますのでそこでまたいろいろ紛糾がございまして、これがまたシンポジウムの開催をおくれさせるような原因の一つにもなっておるわけでございまして非常に遺憾でございますが、私ども考えておりますのは、福島公聴会の後で国会での御議論なりあるいはマスコミの批判なりというものを集約して考えました結果、対話方式を導入したいということで、これはこの委員会の場でも何回も申し上げているわけでございますが、対話方式を導入するについて一番問題点は、軽水炉の安全性中心にした安全問題である。これは新型炉の場合でしたら別でございますけれども、軽水炉である限りは、これを置かれます所が柏崎でありましても福島でありましても、軽水炉そのものは同じでございますので、軽水炉の安全性の問題について、そこで聞きっ放し、言いっ放しではないかというような御批判が非常に多かったものですから、特にその部分について対話の方式を導入したい。  それからもう一つは、公聴会とは直接関係はございませんけれども、国民一般の声といたしまして専門家の間で意見が分かれているのが非常に困る。ある専門家に聞くと軽水炉は安全だと言うし、ある専門家に聞くと軽水炉は危険だと言う。一体どっちの学者の意見を信用したらいいのかという声がかなりございますので、この際専門家同士に公開の場で討論していただいて、これを公開することによって国民全般に聞いていただくというのが一番いいではないか、そういう考え方でこのシンポジウムを開催したわけでございます。  したがいまして、この福島公聴会におきましてのテーマの主要部分でありました軽水炉一般の安全問題、これはシンポジウムの方に譲られることになると思います。しかし、柏崎の地元の方からいろいろ御意見が出ておりますたとえば断層の問題であるとか、あるいは地盤が脆弱であるという問題とか、そのほか地域的な問題につきましては、柏崎の公聴会におきましてじっくりと御意見を伺って安全審査の参考にいたしたい、そういう組み合わせで考えております。
  74. 近江巳記夫

    ○近江委員 この柏崎につきましては設置許可の申請を出したわけですが、このシンポジウムがまだ開かれていない。年度内には開きたいという表明がいまあったわけですけれども、柏崎の公聴会については大体いつごろを予想されているわけですか。
  75. 生田豊朗

    ○生田政府委員 これも、私どもはなるべく早く開きたいということで考えておりまして、できればことしの秋にでも開きたいと考えていたわけでございます。ただ、ただいま申し上げましたようなシンポジウムとの組み合わせの問題その他がございまして、新潟県当局とも意見を交換しながら進めております。もう安全審査も始まっておりますので、なるべく早く開きたいというように考えておりますが、まだ確定した日取りは決まっておりません。
  76. 近江巳記夫

    ○近江委員 大体のめどはいつごろですか。
  77. 生田豊朗

    ○生田政府委員 めどが何とも立たないわけでございますけれども、実はめどを立てます一番のポイントがシンポジウムでございまして、私ども考えておりますのは、ただいま申しましたように、軽水炉の安全性一般については、中央において専門家同士の議論を十分やっていただくということで、それを別に切り離したいというふうに考えておりますので、地元の公聴会を先にいたしました場合、軽水炉の安全性一般について疑問があるという御意見がありましても、これはいずれ中央でシンポジウムを開くので、そこでやるから外してくれというように申し上げるのは、地元の住民の方に対して大変失礼じゃないかというように考えております。やはりシンポジウムを開くめどを立てまして、シンポジウムはこういう日程で、こういう段取りで、こういうテーマで開くので、だからこの問題についてはそちらで十分聞いていただきたい、柏崎ではたとえば断層の問題、その他地元の特殊な問題を伺いましょうというぐあいに持っていきたいと思うものですから、先ほど申しましたように、それにつきましては、何としてもシンポジウムを早く開きたいというように思って、学術会議とも十分御相談をしている段階でございます。私ども希望といたしましては、シンポジウムを年度内に開きたいということでございますので、そのとおりにまいりました場合には、シンポジウムが完全に終了いたしませんでも、ある程度進みました段階で地元の公聴会を開くという段取りが組めるのではなかろうかというように考えております。
  78. 近江巳記夫

    ○近江委員 このシンポジウムというのは何日かかけて行われると思うのですけれども、何日かかけてやったとしても、何もそれで問題が解決したわけじゃないのですね。さらに今後、政府としては原発を設置していく、昭和六十年に四千九百万キロワットというような一応のめどを立てておられるわけですが、そうなってきますと問題がさらにいろいろと出てくるわけですね。そうなった場合、シンポジウムというのはこれから何回も開いていく必要があろうかと思うのですが、その辺については、今後第何回とか、いろいろそういうお考えを持っておられるわけですか。
  79. 生田豊朗

    ○生田政府委員 先ほども申しましたように、公聴会と直接の関係がございませんので、今後各地で公聴会を開くたびに中央でシンポジウムを開くというようには考えておりませんが、ただいま先生が言われましたようなことでございますので、これは一回きりではなくて、今後とも続けて開いてまいりたい。続けてと申しましても、年に何遍もというわけにはまいらないかとも思いますけれども、継続的に開いていくような制度にいたしたいというように考えております。
  80. 近江巳記夫

    ○近江委員 そうすると、中央におきますシンポジウムの概要はほぼわかったわけですが、福島の公聴会におきましては、たとえば一方的な意見表明に終わってしまって全然対話がないとか、発言時間が短過ぎるとかいろいろな問題があったわけです。公聴会自体についてはどういう変更をお考えになっているのですか。福島であったああいう不満だらけの公聴会を、今後柏崎なり方々でやられるつもりですか。それは中身についてどういう変更をお考えになっているのですか。
  81. 生田豊朗

    ○生田政府委員 先ほどから御説明申し上げておりますように、福島公聴会に対する批判の相当部分は、シンポジウムを開くことによって私どもはかなり解決できるというように考えております。問題は、ただいま先生御指摘の地元固有の問題でございますが、この点につきましてもなるべく改善いたしたいとは思っておりますが、何と申しましても、公聴会を開くタイミングが安全審査の比較的初期の段階でございますので、討論と申しましても、まだ安全審査を完了しておりませんので、十分な討論というのができないかもしれません。そういうこともございますので、できるだけ制度として改善いたしたいと思っておりますけれども、福島公聴会以来一番御要望のありました軽水炉の安全性についての対話方式、この点につきましてはこのシンポジウムで徹底的にやるというように考えております。
  82. 近江巳記夫

    ○近江委員 そうすると、たとえば柏崎の場合でしたら、断層であるとか地盤であるとか地域的な問題であるとか、こういう問題についても対話形式でなさるのですか。また、発言時間等も、ああいう限られた十分とか十五分というようなことではなくして長くするとか、これはどうなんですか。
  83. 生田豊朗

    ○生田政府委員 発言時間につきましては、公聴会の開催を何日間やるか、それから何人の方から御意見を伺うかによって決まってくるわけでございまして、これは当然無制限な発言ということはあり得ませんので、ある程度制限せざるを得ないかと思います。たとえば断層とか地盤の問題につきまして議論と申しましても、これは安全審査の最中でございますので、議論にならないわけでございます。したがいまして、御意見を伺いっ放しにはなるべくしないようにしたいとは思っております。しかし、そういう問題につきましては、まさにその土地の特殊な問題でございますので、完全な対話あるいは議論というのがどういうものか、これは具体的なケースで考えないといけないわけでございまして、できるだけ改善はいたそうと思っておりますけれども、いわゆる対話とか議論という形にはならないのではないかと考えております。
  84. 近江巳記夫

    ○近江委員 そうすると、一方的な表明ということですか。これは対話形式ということで公聴会を改革していく必要があるのではないですか。どうですか。
  85. 生田豊朗

    ○生田政府委員 御意見をずっと伺いまして、本日はこれで終わりますということにはしないつもりでおります。ただ、先ほど申しましたように、安全審査が終わりまして、安全審査の結果に対しまして御意見があるということですと、これは確かに対話になるわけでございます。これは必ずしも、安全審査で安全だという結論を出したのに対して、地元の反対の御意見を持っている方がそれはおかしいという御意見を言う場合だけではございません。非常に危険で設置許可を認めないという場合もあるわけでございますので、不許可にしました場合に、東京電力がその安全審査の結果はおかしいと言う場合もあるわけでございます。これはいずれも、結果につきましてはそういう対話なり議論はあり得るかと思いますけれども、安全審査の途中でございますので、あんまりしり切れトンボあるいは聞きっ放しという御批判を受けないように極力改善いたそうかと思いますけれども、対話なり議論をするようなベースにまだなっておりませんので、その点は完全な対話あるいは議論ということにはちょっとなり得ないのではなかろうかと思っております。
  86. 近江巳記夫

    ○近江委員 そうすると、折衷方式ということで、意見を言っておいてもらってまとめて答弁する、そういう形式ですか。
  87. 生田豊朗

    ○生田政府委員 答弁と申しましても、設置者でございます皇宗電力は、申請を出すに当たりまして相当の資料なりあるいは見解なりを持っておりますが、原子力委員会といたしましては、安全審査の過程にございますし、特にこの地盤、断層につきましては一番問題の焦点でございますので、原子力委員会の独自の調査をやるという準備を進めておりますので、それが終わってからでありませんと、まとめて意見を申し上げるまでにはなり得ないかと思います。ただ、聞き捨てにされたというような御批判を受けないように、何らかの、ただいま先生がおっしゃったようなことも一つの考え方かとも思いますが、なるべく前向きの方向で検討さしていただきたいと思います。
  88. 近江巳記夫

    ○近江委員 それで、地元の公聴会としてこの豊富なデータを事前に示す、それを前提として十二分な質疑、討論の場を保証する。それから意見陳述人の中におきまして、素人を補佐するという意味において地元住民の推薦する科学者を含めて、論点のそういう科学的整理を行う、こういう問題についてはどう思いますか。
  89. 生田豊朗

    ○生田政府委員 その資料の点でございますけれども、これは申請時に提出されました資料の公開の範囲を最近さらに広げまして、先生御承知のように、参考資料までほとんど公開することにしておりますので、資料の点は豊富に提供できていると思っております。  それから学者でございますが、福島公聴会のときもそういう御意見がございましたが、そうかといいまして、結果的に地元の方御自身が一人もお出にならなくて、全部よその学者が代理で発言されるということでは何のための公聴会かわかりませんので、福島のときもある資格制限を設けまして、外部の学者の方であっても地元の住民団体を代表するような場合は認めるという方式をとったわけでございます。そういう実績を踏まえまして、これは新潟県とも十分御相談しまして検討してまいりたいと思います。
  90. 近江巳記夫

    ○近江委員 私は、先ほど、意見を言って、それに対する答弁となるのですかと、これは聞いていることであって、私が何もそれをしろと言うているのとは違うのですよ。私はいわゆる質疑方式でやりなさい、対話方式でやりなさいと言うておるのです。いま私が申し上げたことは十分庁内において検討していただきたい、このように思うのです。  それから、公聴会は一回やった。しかし、まだまだ問題点なり疑問が残っておる。こういう場合に二回、三回とやられる場合もあるわけですか。
  91. 生田豊朗

    ○生田政府委員 現在のところ二回、三回とやる考え方はございません。
  92. 近江巳記夫

    ○近江委員 それもぜひひとつ考えていただきたいと思うのです。これはひとつ強く要望いたしておきます。  きょうはもう時間が大分たっておりますので、あと一問だけお聞きしますが、この原発のデータを、私、稼働の状態をデータで出してみたのですけれども、実際上もう余りにも停止、停止というのが多過ぎるのです。こういう点で私たちは、政府は実証炉と言うけれども、まだまだ実験段階の域を出てない、だから慎重にやらなければいけないということを申し上げてきておるわけです。  アメリカの場合を見ましても、一九七三年に五七・三、一九七四年に上半期で五〇・五%。アメリカのAECにおきましては効率は八〇%で採算がとれるということを言っておるわけですけれども、これも非常に低いわけです。わが国の場合は、これは——このデータを後でちょっとお渡ししますが、余りにもこれは低過ぎるわけですよ。これは私がつくったデータですが、一遍ちょっと局長、ごらんになってみなさい。ちょっとお渡しします。こういう点におきましてほとんど停止状態が続いておるわけですが、まあ時間がありますれば一基、一基お聞きしたいのですけれども、もう時間がありませんからやめますけれども、そういうような実態をごらんになって、これは実証炉といまでもお考えなんですか。また、そうお考えになっておるとするならば、その根拠は一体何か。その点について、さらにこの原発について私が出したデータに基づいて、今後どう進めていくかということをひとつ簡潔にお答えください。
  93. 生田豊朗

    ○生田政府委員 実は私どもは、その先生がおっしゃいました実証炉と考えておるのではございませんで、もう一つ先の実用炉だと考えております。実証炉の段階はもう通り過ぎたというように考えている次第でございます。それではなぜこういう故障が起きたかという御質問はあると思いますけれども、これはもう原子炉だけではございませんで、一般の機器類あるいは設備、もう全般を通しての問題でございますけれども実用化初期の段階にはこういう種類のマイナートラブルが発生するという例が非常に多うございます。したがいまして、この時期を通り過ぎますと非常に安定した段階に入るわけでございまして、実用化初期の段階における定型的なマイナートラブルの発生の時期がちょうど昨年からことしの前半にかけて起きたというように考えております。したがいまして、今後ともこの信頼性の向上というところに非常に重点を置きまして、特にこの稼働率の向上が非常に重要な問題でございます。もちろん安全性第一でございますけれども安全性を確認いたしませんと稼働率も向上いたしませんので、安全性の確認と信頼性の向上を政策目標にしてまいりたいというように考えております。
  94. 近江巳記夫

    ○近江委員 それでは、もう時間がありませんから終わります。
  95. 八木昇

    八木委員長 次に、瀬崎君。
  96. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 きょうの委員会については、せんだって動燃事業団の再処理工場の現地調査を本委員会が行って、そのときの記者会見で委員長が集中審議を改めて提起をされております。私もぜひその線に沿ってきょう質問させていただきたいと思いますし、同時に、いまの再処理工場問題というのはごく一部の専門家の関心事だけではなく、相当国民全体の関心事にもなってきて、新聞の報道等を見ても広がりを見せていると思うのです。その上、第二工場がどうだとかこうだとかいう話もちらほら出るし、また電源開発株式会社が北海道の奥尻島を初め、全国で四十ヵ所ほどこの再処理工場施設の候補地等いま検討しているというふうな話も聞いておりますので、なおのこと再処理工場問題の審議は重要だと思うのです。現在の動燃事業団における再処理工場テストを追って、やはりこれは科学技術委員会の依然として中心テーマたる宿命を持っておると思うのです。  そこで、まず最初にはっきりさせておきたいのは、この再処理工場を動かしている動燃事業団の本来の主務所管庁、監督官庁は科学技術庁であり、その責任がとかく直接理事長理事においでいただくことによって免責されてはいかぬ、こういうことを最初に強調しておきたいと思うのです。その点でまず生田局長にお尋ねをしておきたいのだけれども、例のプルトニウム蒸発かんの液漏れ事故について最初に、十一月の十二日、私が質問したとき、「フランジの締めが不十分であったということでございますので、フランジの増し締めをいたしまして解決したというように聞いております。」、これは御記憶に残っていると思うのです。普通ですと、少なくとも国会における答弁ですから、これでわれわれは、それを最高の権威あるものとして信用し、一件落着になるはずであります。幸か不幸か、すぐ翌日労使双方を招いての集中審議があり、またその一週間後の審議を通じて、これは解決したどころの騒ぎではない。せんだっての瀬川理事長お話にもありましたように、現状ではこれが最大の懸案事項、こういう事態ですね。どうしてこのような答弁を軽率に国会でされたのか。この点だけはどうしてもただしておきたいと思うのです。解決したというように聞いたとおっしゃっているのですが、一体だれがそういう報告をしたのですか。だれの報告を信用して、こういう答弁を国会でされたのですか。まずこれを明らかにしてほしいと思います。
  97. 生田豊朗

    ○生田政府委員 先生の御質問にお答えいたしましたときは確かにそのとおりでございまして、ただいま先生がお読みになりましたとおりのことを私は報告を受けましたので、そのとおり申し上げたわけでございます。  ただ、その後におきまして、私が御答弁申し上げた報告の内容と実態が違うということがわかりましたので、これは私も非常に問題であると思いまして、今後正確な情報を集めるように、こういうトラブルが起きますたびになるべく原子力局の担当官を現地に派遣いたしまして、動燃事業団の報告もさることながら、実際にわれわれの目でも確かめるという方法をとっております。
  98. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 動燃事業団の報告もさることながらと言われたところを見ますと、解決したと聞いたという、そのもとは動燃事業団の報告にあった、こういうことなんですか。
  99. 生田豊朗

    ○生田政府委員 そのときは、たまたま現地に参りました私ども原子力局の検査官が帰りましてそういう報告をしましたので、そうお答えした次第でございます。
  100. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 その検査官とはだれですか。
  101. 生田豊朗

    ○生田政府委員 核燃料課の堤検査官だそうでございます。
  102. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 間違いなく、そういう報告をしたのですか。
  103. 生田豊朗

    ○生田政府委員 核燃料課長に報告したように聞いております。
  104. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 これは、先ほども言いましたように、もしその後の追及がなければそのまま信頼されておったはずであります。国民全体が判断を誤るということになる。この点について、こういうことの起こった原因等について、そういう誤った報告を局長を通じて国会にしたという責任の問題、なぜそうなったのかということについて、長官はそれなりの反省を持っていらっしゃいますか。あるいは、なぜそういうことになったのか検討されましたか。
  105. 佐々木義武

    ○佐々木国務大臣 私はただいま事実を聞いて、ああそういうことかと思ったのですけれども、それは別に、それなるがゆえに責任はどうという問題とは若干違うんじゃないかと思います。事後に、そのものが誤りであったらそれを訂正して、そして善処すればいいものであって、そのときの報告がそうだったということであれば、これはそのとおり報告することは別に悪いことではないと思います。
  106. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 それはきわめてゆゆしき答えだと思うのですよ。解決していないものを——それもたまたま判断を誤る程度の軽微なものならあるでしょう。しかし、事は現在再処理工場で起こっている問題の中では最大のものですよ。これの判断を誤るということについては、別に私はその検査官を責める気はないのです。その検査官がなぜそういう間違った報告を上げるに至ったか、そのもう一つもとを追及していますか。こうしないと、今後またこういうことが繰り返される。  たとえ、先ほど生田局長の言うように、科学技術庁の職員を派遣したって、いまと同じようなことが繰り返えされたら、誤った報告が上がってきますよ。そのもとを、なぜその検査官がそういう誤った判断をせざるを得なくなったのか、一体これは動燃がそういう誤った情報を伝えたのに問題があるのか、そこらをはっきりしてほしいのです。どちらですか。事態は具体的な問題だから、どうしても解明してください。
  107. 佐々木義武

    ○佐々木国務大臣 それはよく実情を調べてみませんとわかりませんので、事実を聞いているようでございますから、担当官に御説明させます。
  108. 櫻井保孝

    ○櫻井説明員 ただいまの先生の御質問にお答えいたしますが、十一日に私どもの方の堤検査官が現地に赴いております。このときの目的は、ウラン試験の運転状況を調査する目的で向こうに参っております。  その間にそういう報告を受けまして、これは先生もこの前の委員会で御指摘のところでございますが、計装配管にウランが入ったという事実がございます。そちらの方は、実は私どもといたしましては非常に重要なことであると受けとめをいたしておりましたものですから、計装配管の方の事実関係の調査を私どもの方で命じております。そのために、ウランの溶液が漏れました件につきましては、私の方から実態はどうなっているかと言いましたところ、ウランの漏れたバルブ等について増し締めをしたというふうに聞いたと言うものですから、私の方から局長にウランの漏れについては増し締め等によって一応解決していると考えているということを報告してございます。ですから(瀬崎委員「動燃が間違った報告をしておるのか、勝手に科学技術庁が間違った判断をしたのか」と呼ぶ)それは私どもの方で私が指示をいたしたわけでございますけれども、計装配管の方を重点的に調査しろ……(瀬崎委員「そんなことを聞いていない。解決したという報告について、だれの責任か」と呼ぶ)検査官の方で、そういう漏れにつきましての調査は私の方が余りきつく命じなかったものですから、途中の段階でそのような報告が入り、その場の問題は一応解決したという報告を受けたものですから、そのとおりに局長に報告してございます。
  109. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 じゃあ結局、事故そのものの調査をすることを抜きにして、主観でこういう報告が上がってきた、それをそのまま検討もせずに国会に出した、そういうことから生じた誤りだ、こういうことなんですか。単純に答えてください。
  110. 櫻井保孝

    ○櫻井説明員 単純ということではございませんで、その翌日にはそういうような事実を私どもの方は掌握いたしております。(瀬崎委員「翌日審議があったからいいようなものの、なかったらどうなる」と呼ぶ)
  111. 生田豊朗

    ○生田政府委員 翌日審議がございませんでも、私どもといたしましては事実を把握いたしまして、把握する都度これは新聞に発表するようにいたしておりますので、先生のお目にもとまることかと考えております。(瀬崎委員「国会の発言と新聞の報道と、どうなんです」と呼ぶ)ただいま安全審査理官から御説明いたしましたように、当日参りました検査官は、この事実の確認のために行ったものではございません。その後は、先ほども申しましたように、この種のトラブルが起こるたびにできるだけ担当官を派遣いたしまして、その事実の確認をさせているわけでございますけれども、ただいま御指摘の点につきましては、その事実の確認に行ったものではございませんで、ほかの検査に行きましたとき、たまたまその情報を得てまいったということでございますので、その点の確認が不十分だったかと考えております。
  112. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 ほかの検査に行って上がってきた、言うならば事実確認をしていない報告に基づいて、はっきりと、解決したと聞いておる、こういう答弁を国会でしたのでしょう。もしこれが間違いだったら、当然国会の場で、二回でも三回でも訂正の場があるのですから、はっきりと、これは確認をしていない報告に基づいたものだと、そういうきちっとしたけじめだけはつけてもらいたいのですね。これは全然いままでついていないのです。だから当然、答弁に責任を負っているのは局長ですから、この機会にこういうことをはっきりけじめをつけていただいた上、今後はこういうことは絶対ない、科学技術庁が国会で発言する限りは確認して発言する、こういう態度を明確にしてほしいのです。
  113. 生田豊朗

    ○生田政府委員 事実関係につきましては、十分確認した上で御報告あるいは御説明申し上げるようにいたしたいと思います。
  114. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 この発言についてはどうなんですか。結局取り消すのなら取り消す、間違いなら間違い……。
  115. 生田豊朗

    ○生田政府委員 ただいま先生御指摘のときの御説明につきましては、不十分であったと思います。
  116. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 全くいいかげんなんです、これは。最も科学的に厳密に答弁されなければならない科学技術庁の局長がこういう答弁をして、しかもいまのだと、本当の反省になっているのかどうかわからぬようなあいまいな答えしかしない。これは将来に非常に禍根を残すと思います。  動燃事業団の方にお尋ねをしたいのですけれども、制御室の計測装置そのものは、工程に異常があることを発見するための役目は当然持っていると思うのです。同時に、その異常の原因を表示するという役目も持っているのじゃないかと私は思うのです。少なくともホットだとかあるいは実用運転に入って人が入れなくなるセルの場合だと、そういう役目を計測装置そのものが備えておりませんと、異常は発見できたけれども原因はわからない、対策が立てられない、こうなりますね。この点で現在の計測装置は原因究明という役目も同時に持っているんですかどうか。
  117. 中島健太郎

    ○中島参考人 計測装置、これはいろいろございますけれども、基本的には先生のおっしゃるとおりでございます。
  118. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 そうしますと、具体的にこの間見せていただきました中で、プルトニウム蒸発かんに関連して二六六DR、これは密度計という御説明いただいたと思います。このチャートによりますと、十一月の五日から六日にかけてはいわゆるぎざぎざを描きながら順調に上昇線が描かれている。ところが、六日から後については上昇しかけてはまた下がり、また上昇しかけてまた下がるというきわめて不正常な状態が示されている。こういうチャートから、いまおっしゃっているように、当然異常であると同時に、その原因というものは、いまのお話からいけば理論的に究明されなければならぬと思うのですね。このチャートの結果から考えられる異常の原因というのは何ですか。
  119. 中島健太郎

    ○中島参考人 ちょっと私も現場でいまコントロール自身をやっている者ではございませんので、正確であるかどうかは自信ございませんけれども、第一回目のときには、確かに時間経過とともに密度が上がっていったということ、それから二回目についてだったと思いますが、密度がばらついておった。この原因については幾つか考えられると思います。当時の担当者の判断としては、まず、これはまだ初めての計器でもあるから、計器に何か異常が起こったのではないだろうかということを考えたということだそうでございます。しかし、いまの先生の御質問は、さらにそのほかに何が考えられるかと言いますと、やはり密度が上がったり下がったりするということですから、あるいは給液関係に異常があったのではないかとか一ということは給液が非常に不規則に入りますと、そういうことが起こり得ると思います。加熱が一定であって給液がばらつけば、やはり密度計がばらつくだろうというふうにも考えられます。
  120. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 このチャートの理論的な解析はどなたか専門家にやってもらっていらっしゃるのですか。それともそういう経験的に、これが計器の異常ではないかとか、あるいは給液の異常だとかいうふうに推論されているのか、どちらですか。
  121. 中島健太郎

    ○中島参考人 実はこれはたびたび申して恐縮なんでございますが、要するに、調査チームをつくっていま調査中でございます。この間も申しましたように、この調査にはかなり私は時間がかかるだろうと思っております。その中の調査項目の一つには、このDR、密度の異常ということも含めております。それで具体的には、近いうちに再現試験をしてみようというふうに考えております。
  122. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 その再現試験は当然やらなければならぬと思うのですが、先ほど言われたように、少なくともこの計測器の持つ役割りの中に異常の発見と異常の原因も同時に見出すという任務があるとすれば、チャートの理論的解析によって、大体理論的な原因はまず追求されなければならぬと思うのです。これがいまの実験の再現の結果と合致するということによって、あの理論的な仮定あるいは推論がまさしく科学的な真理というふうに確定されるわけです。これができないようだと、つけてある計測器そのものがこれでいいのかどうかということを私たちは疑わざるを得ない。もし、これが完全密閉された後こういう事態が起こった、チャートを見ただけでは原因がわからない。今度は簡単には中に入れないでしょう。そういう点も当然私はこの際もっと広く検討されなければいかぬ課題だと思うのですが、これはひとつ理事長か副理事長にそこまでの検討を加える意思があるのかどうかをお聞きしておきたいのです。
  123. 瀬川正男

    瀬川参考人 ただいま先生御指摘のように、液面計に関するチャートの解析は、これは確かに十分やるべき問題でございまして、それとともに、お話しのように、再現テストによってチャートの比較等は十分やることは前から考えております。  また、このプルトニウムの蒸発かんのトラブルだけに限らず、全体のトラブルを総括いたしまして、ウランテストの第一キャンペーンから第二キャンペーンに移る過程におきましては、外部の専門家等も加えて診断チームをつくるようにただいま準備を進めておるというふうにしておりますので、十分いまお話しの御趣旨に合う方向に取り進めたいと思っております。
  124. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 同じようなことは、もう一つの二六六PIですか、これは圧力計と言っていいのか自動制御計と言っていいのか存じませんが、これにも言えるんじゃないかと思うのです。これも十、月五日から六日にかけては、一平方センチメートル当たり〇・〇二キログラムぐらいのところで小刻みなぎざぎざを描きながら安定している。それが六日の四時以降に至ると、ところどころでほとんど振り切れるようなピーク状態のカーブが出ますね。またそれが下がっていって平衡状態を保ちながらまたピークが出る、こういうことになっておると思うのです。  これも私は中島所長の国会での答弁に文句をつけるわけじゃないけれども、私が異常気圧があったんじゃないかという質問に対しては、自動制御装置が的確に働いておるという答えで、あたかも異常気圧はなかったかのような印象にとれる答弁をされているのです。現に向こうに行ってお聞きしたときにも、結局〇・〇二キログラムのところで自動制御が働くから、それ以上どういうふうな圧力がかん内に生じたかわからないというお話でもあったと思うのです。この私の言っていることが私の聞き違いであれば、それはそれで正していただきたいと思うのです。こうなってくると、せっかくこういう計器がついておっても、異常なピークが発生したときに中の圧力は一体どうなっているのかわからない。したがって、このような異常圧の原因もつかめないということになるんじゃないかと思うので、先ほどの密度計と同じように、この計測器だけであのプルトニウム蒸発かんに対する異常発見、原因究明の計測器として万全の役割りを果たしているのかどうか疑問を持っておるのですが、その点はどうでしょうか。
  125. 中島健太郎

    ○中島参考人 まず最初の、前の国会の質疑であったかなかったかということでございますが、私の記憶しておる範囲では十三日だったと思いますけれども質問がございまして、私はそれは目下調査中である、あるいは調べてお返事いたしますというふうにお答えしたと記憶しております。後でもう一回、この間十二月の十日の日に、そのことがございまして、君は圧力上昇がなかったと言っていたけれども、このグラフではあるじゃないかということでありましたので、私は調査中だとお答えしたはずだということで、ちょっと後でもう一回議事録を読んでみたらそのとおりになっておりましたので、そうだろうと思うのです。  それから、いま御指摘の問題、それはまさしくおっしゃるとおりでございまして、だから先ほども言いましたように、かなりこれは時間をかけて十分に調査する。それは先ほどのDRと同じような精度で十分に対処したいと思っております。
  126. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 その十分な調査はいいのですが、私がいま言っているのは、いままでは余り論議されてこなかった。いままではプルトニウム蒸発かんの装置そのものに検討を加えなければいかぬのじゃないかという話だったのですが、ぼくが言っているのは、あの制御室にあります計測装置そのものがいまの能力のものではだめなのではないか、もう少し高い能力のものか幅広い計測装置が備わってこないと、このプルトニウム蒸発かんそのものの円滑な運転には今後支障が来るのではないか、何かあったときにその原因が発見できないということになるのではないか、こういう質問なんです。この点についてはどうですか。それも検討事項に入りますか。
  127. 中島健太郎

    ○中島参考人 ちょっと私、言葉が足らなかったようでございますが、装置自身といいましても、装置を動かすには当然あの場合には計測が非常に重要でございます。そういう意味で、もちろんそれも一つの重点でございます。
  128. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 そうしますと、今後の再現実験等を通じて現在の計測装置だけで不十分ということになってくればこの面での改善も加える、こういうように理解していいわけですね。
  129. 中島健太郎

    ○中島参考人 そのとおりでございます。
  130. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 最初の方の御答弁では、このような密度の異常な変化あるいは圧力の上昇等は漏れとは関係がないというふうな御答弁でしたね。現在ではこれら全体が一つの総合された事故考えておられるのか、それともたまたま別個の事故が偶然同一時期に起こったのだという考えになっているのですか、どうですか。
  131. 中島健太郎

    ○中島参考人 漏れとは関係ないという言い方ではなくて、この漏れが発見の端緒となったのはDR計の異常でありましたというふうに答えてございます。議事録にもそう書いてあります。  それから、いまの次の御質問の直接関係あったのか、それとも偶然に一致したのかということですね。これにつきましては、やはり現在のところわかりません。それでやはり再現試験で十分その辺も調査するし、その対策を講じたいというふうに考えております。
  132. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 そうすると、せっかくああいうチャートをとっていても、このチャートの理論的な解析だけではどうしても突きとめられないという今度の事故だったということなんですか。
  133. 中島健太郎

    ○中島参考人 チャートのみでは突きとめられないと考えております。
  134. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 今度の場合はウランテストですから、改めて再現実験も可能であるし、人も中へ入れるからいいけれども、これが、セルが密閉された後はこういうことはできませんね。それだけに私はいよいよもって慎重を要する事故だったのではないかと思うのですね。きわめて研究を要する課題だと思うのです。  もう一つこれに関連して、漏れた二百リットルの液の中で、実際のウラン溶液は二、三十リットル、残り百七、八十リットルは水ではないか、このようなお答えになっておりますね、最近では。これがどうしてわかったのかという問いに対しては、かん内に残っているウラン溶液の密度とそれからドリップトレーに漏れた溶液の密度とを比較してそういう推定をしているのだ、こういうお話でした。その漏れた方の溶液の密度というものは、いつどのような形ではかられたのですか。
  135. 中島健太郎

    ○中島参考人 密度ではございませんで濃度でございます。これはサンプルをとりまして分析をして、何グラム・パー・リッターのウランであったかということを調べたわけでございます。(瀬崎委員「いつですか、それはいつやられました」と呼ぶ)これは正確な日数は忘れておりますが、当然すぐ直後だと思います。ただあのときも申しておりますが、ドリップトレーからとったわけですから、直後であったと思います。これはちょっと正確ではございません。
  136. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 それじゃ恐らくその記録は残っていると思うのですよ、そういう推定をされた計算式というものは。これはぜひひとつ一遍出していただきたいと思うのです。
  137. 中島健太郎

    ○中島参考人 いまちょっと考えたのでございますが、あの時点ですでにウランの漏れが十キログラムであると申し上げておりましたので、分析値はその直後にわかったと思っております。それから、そんなむずかしいもの、じゃございませんでボリュームと濃度でございますが、御必要があればお送りをいたします。
  138. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 それから、私もあの現場で気がつかなかったのですが、漏れた溶液そのものはどういう形でどこへ排除されたわけですか。
  139. 中島健太郎

    ○中島参考人 ドラムかんに移して……(瀬崎委員「簡単に移せるのですか、あの場所で」と呼ぶ)移せます。まあ簡単でもないのですけれども、こういうこれ式のポンプで……(瀬崎委員「石油をくみ上げるようなポンプですか」と呼ぶ)そうそう、あれでやりますから。
  140. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 原始的ですな。  問題のパッキングですね、ガスケットが初めは機械的な緩みから、これの腐食ということになりました。この間聞きますと、初めはアスベストだったかな、これをテフロンか何かにかえたようにお話しになりましたが、そう簡単にテフロンならいいという結論が出せる問題なんですか。
  141. 中島健太郎

    ○中島参考人 ちょっといま記憶がはっきりしないのですが、テフロンではなくてSUS、ステンレスでコーティングしたものにしたわけでございます。
  142. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 ステンレスでコーティングしたというのですか。私は専門的なことはよくわかりませんから、それがどういうものか知りませんが、問題はそう簡単にそれに置きかえるという結論になったことが不思議で、事は材料に関する問題だからやはり相当期間をかけて改めてテストしてみないと、何せ温度や圧力の変化の激しいところなのでということでしたから、だからどういうふうな経過でそういうステンレスをコーティングしたものならいいということに落ちついたのか。
  143. 中島健太郎

    ○中島参考人 これは実は当初のスペックは、SUSのいま言いましたようなステンレスでコーティングしたものであったわけです。しかし、実際に取りつけられたものはそのスペックに合ってないものであったということでございまして、これはわれわれとしましても工事人にも十分注意しておりますし、われわれとしても反省しておるわけでございます。
  144. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 そうすると、これも初めて聞いたことなんですが、要は設計書どおりというか仕様書どおりになっていなかったということですか。
  145. 中島健太郎

    ○中島参考人 その部分についてはそのとおりでございます。
  146. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 その部分についてと言われますけれども、たとえ一ヵ所でもこういうものが見つかってくると、まああれだけの複雑な膨大なものでしょう。これ、一つ一つ十分に点検した場合に、ほかにもこのような設計どおりではない部分、仕様書どおりではない部分というのは出てくるのじゃないですか。私どもならそういう危険を感ずるのですがね。
  147. 中島健太郎

    ○中島参考人 その点につきましてはわれわれもやはり十分に調査しなければならぬというふうに考えております。ただ、これはわれわれもいままで通水試験、ケミカルテストを通じましてかなりの運転といいますか試験をしてまいったわけであります。その間にやはり幾つか、これは大丈夫かということで調べてみるというようなこともあったのでございますが、そういうことはなかったわけです。したがって、これがそうたびたびあるというふうなものとしてはわれわれも考えておりません。
  148. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 本当にそうたびたびあって、あっちもこっちも設計どおりになってないということになったら、これは大問題ですね。当然そういうことはあり得ないと私も思いますよ。しかし、通水やケミカルテストを経てなおこのように仕様書どおりになっていない部分が発見されてくるということになりますと、いまのウランテストを通じてでもなお発見されない部分が今度は本番のホットの場合に出てくるというふうな危険性も逆に言えばここから推定されるわけでしょう。ですからこういう点を考えますと、これはやはり設計どおりになっていないという問題については、もう少し最高の責任者の方で積極的にいま一遍全部について再点検を命ずるくらいの構えがないといけないのじゃないかと思うのですが、どうですか。
  149. 瀬川正男

    瀬川参考人 ただいまのフランジのパッキングにつきましては、お話のようにコーティングしたアスベストであったということは私もきわめて遺憾に思っておる次第でございます。ただスペックどおりでなかったというのではなくて、設計はメタルパッキングであったものを施工のときにコーティングのアスベストに変更しているというふうに見ております。その段階におきましては、プルトニウム系統のパッキングも絶対永久に取りかえないんだということでなくて、やはり何年かに一回は取りかえるものだというような考えがどうも働いていたんではないかというように考えております。ただ、この間の、いま御指摘のエバポレーターのふぐあいということをいろいろ多角的に検討しまして、なるべくやはり当初考えておったメタルパッキングの方がどうもいいのではないか、やはり余り取りかえないような考え方の方がいいのではないかというふうに現在は考えております。恐らく変更したときは絶対取りかえないんだという考えでなくてもいいんだという考えが働いたかと思われます。     〔委員長退席、石野委員長代理着席〕 また外国の例におきましても、プルトニウム系統におけるパッキングは一、二年間に一回は取りかえることがあるんだということが、外国でもやはりそう考えられておったようでございまして、そういう考えがやはりそのときは影響したんではないかというふうに現在は考えております。しかし、確かに御指摘のようにもう少しプルトニウムエバポレーターにつきましてはいろいろな角度から検討を加えまして、やはり圧力の上昇の原因とかあるいはパッキングの劣化の原因とかいうようなふくそうした問題であるという点から、私どももこの問題は徹底的に取り組みたいというふうに考えております。
  150. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 いままでのかん内圧力の問題とかあるいは密度の異常の問題とかいうのと、いまのパッキングの問題はちょっと性格が違うのです。私が中島所長の御答弁からいま聞いているのは、要は設計書や仕様書ではメタルでやれということになっていながら、これがコーティングアスベストであった、つまり設計書どおり仕様書どおりに行われていないという点について、これは大問題ではないか、もし一ヵ所こういうところが見つかったということになると、ほかにも設計書どおりになっていない面があるのではないかと心配するのが最高幹部の判断ではないか、こういうふうに申し上げて所見をお尋ねしたわけです。これは設計どおりのものを使っていなかったということになれば、しかもこれは施工途中にこういう変更が行われたということになれば、一体どのメーカーが責任を持つ問題になるのですか。
  151. 中島健太郎

    ○中島参考人 メーカーといたしましてはジョイントベンチャーでありますところの日本揮発油サンゴバン、日揮でございます。しかし、同時に工事を総合的に管理する立場にあるのはわれわれでございますから、われわれもやはり責任がございます。
  152. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 いや動燃の責任、これは避け得られないと思いますが、だからといって実際動燃事業団の命じた設計どおりにやっていないということについて、やはりメーカーの責任もこの際はっきりさせなければいかぬと思うのですね。だから、どういう形でそれを問うのかということも含めてここで答えておいていただきたいと思います。
  153. 清成迪

    清成参考人 大変的確な御質問で、私その点を非常に重視しております。プラントをつくるということになりまして、一番問題はその点でございます。これは数十年私それをやってきたので、設計の指定どおりになっていなかったということは一番重大問題で、したがいまして、これにつきましては私たちは徹底的に——責任としてはそれは私たちは最後の監督の責任はとりますけれどもジョイントベンチャーの会社がもう全責任、これは当然そう考えておるところでございます。  それで、おっしゃるとおり、一つそういうものがあればほかにもいろいろなところがあるんじゃないかということを考えるのが当然じゃないか。まさに当然でございまして、私も考えますけれども、実際問題としましては、実は先ほど石野先生の御質問の中でも申しましたけれども、これは私たちの方は実際にこの設計を全部チェックするような能力はなかった。それから陣容もなかった。したがいまして、これはフランスのサンゴバンシステムデザイン信頼して、サンゴバンと日揮の合弁会社に短期的に注文しておるということなんでございます。したがいまして、われわれとしてはこれの発見はいまのようなかっこうのクランチストあるいはアシッドプロダクトテスト、その他のテストを通じまして発見していくという、私たち大体そういう考えでやっておりますので、いろいろ不備な点は先ほどからもちょっと御説明いたしましたけれども、こういう新しいものを設計しますといろんなところで間違いやあるいは不注意やら見落としやら出てまいります。出てまいりますから、これはわれわれが一緒になって改善していかなければならぬと思って、非常にいま一生懸命やっておるところでございまして、できるだけたくさんのものを発見した方がいいと私やっておるのですけれどもたちの悪いのは、いまの設計の指定と違ったことをやったという点、これは私は非常に動機が悪い。そういうようなことから、そういう動機に私は一番重点を置いて、これからのテストでいろんなことが発見されるものに対して対処していきたいというふうに考えております。
  154. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 私は一事が万事だという気は毛頭ありませんけれども、しかし、やはり理事長としてはこれは一事が万事というくらいの心構えを持ってほしい。それをやるためにチェックする能力とか人材が十分与えられていないと言われるなら、大いにここで声を大にしておっしゃっていただいて、長官がいらっしゃるのですからひとつ要求していただければ、われわれはそれを後押ししやすいと思うのですね。  とにかく、このプルトニウム蒸発かんの問題は、論議すればするほど、われわれの素人論議でありますけれども、やはり非常に重大な内容を含んでいることがわかりますね。一つにはやはりいまの再処理工場のこれが焦点でもあろうと思うのです。そういう点で今後ともわれわれは注目したいと思います。こんなにこの問題で時間をとると私思いませんでしたが、出てくる事柄が重大なものですからついついこういうことになりました。  次に、これはもちろん先ほども質問のありました脱硝塔の漏洩の問題です。一応科学技術庁を通じまして出されました事故報告書によれば、配管の周囲は保温材で温度を保っているんだけれども、何らかの要因で温度が下がって、そのために中に若干の結晶ができて、これがいわば詰まるという状況を来したのではないだろうか、こういうように書かれていますね。しかし、外から見えないわけですから、あれだけの複雑な配管の中の一体どこに結晶があるのか、あるいはまた確実に結晶だという結論が科学的に正しいのかどうか、そういうような点についてお聞きしたいのです。
  155. 中島健太郎

    ○中島参考人 まず保温でございますが、これは先ほどもお答えしたのでございますが、硝酸ウランの濃度が上がって来ますと、もしそれは温度が下がれば消失するということで——保温といいまますと普通ならばアスベストを巻く程度でございますが、あの場合には熱媒を通した保温にしておったわけでございます。その中でどこで詰まったかということは、調べる方法としましては一応外から温度を上げまして、そして落ちる、流れるということから確認しているわけでございます。
  156. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 それじゃ現在も流れておるのですか。
  157. 中島健太郎

    ○中島参考人 現在は溶かしまして、全部回収してございます。
  158. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 そうしますと、原因は「硝酸ウランの結晶が配管を閉塞したため、」と書いておるのですが、私が聞いた説明の範囲では、そのときの話では、どの場所に結晶ができたかはわからない、こういうことだったのですね。溶かしちゃったら、これはこんりんざいわからなくなっちゃうと思うのですが、一体これはどういうことなんですか。
  159. 中島健太郎

    ○中島参考人 構造的にどこに詰まりやすいかということはわかるわけでございます。配管の所ではまずそういうことはないだろう。それからバルブとかフランジという出っ張りのある所、これはどうしても放熱もふえますから、そういう所は詰まりやすいだろうということはかねて予想していたわけです。特にバルブにつきましてはジャケットがついておりまして、そこにいま言いました熱媒が入って加熱する。それからフランジにつきましては、バルブほど大きな放熱でもないだろうということで、通常の配管と同じ程度の熱媒を通し加熱していた。そこが詰まった、というふうに考えております。
  160. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 こういうふうな話はないんですか。脱硝塔の方がぐあいが悪くなったので一応運転をとめる。しかし、脱硝塔の方に行く一番終わりのバルブを閉めて、しかしポンプが二つありますけれども、こういうものはそのまま動いておったために配管内の圧力が上がって、これが漏れの原因になったというふうなことは考えられないのですか。
  161. 中島健太郎

    ○中島参考人 それは順序が逆でございまして、まず脱硝塔から製品を取り出すそのバルブがちょっと作動不良になったわけです。それで急速フィードをやめまして、保温の中で循環させたわけでございます。その循環中にまずそこで詰まった、それが第一。それから二回目は、それではということで、今度はその溶液を薄めまして、希釈槽という所に移すために送液中のところでまた閉塞というか詰まりが起こった、というのが二回目でございます。
  162. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 その循環中の場合、漏れるということになってくるのが、先ほどの話では硝酸ウランの結晶による閉塞だと言われるけれども、管内圧力が上がっているという場合だって想像できないことはないと思うのですね。何かそういう圧力をはかる装置はこれにはついてないとも聞いているのです。そういう点から一概にこれを結晶による閉塞だという断定が正しいのかどうか、われわれは疑問に思えてならないのですが、そういう圧力が上がったということはありませんか。
  163. 中島健太郎

    ○中島参考人 それは間違いないと考えております。
  164. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 今後はもうそのような硝酸ウランの結晶による閉塞、状態は起こらないという保証はどういう形で取りつけてあるわけですか。
  165. 中島健太郎

    ○中島参考人 したがいまして、現在試験を中止いたしました。そしてまず保温機構、つまり保温のやり方全般を手直しをするというふうに考えまして、それからポイントを修理するというふうに考えております。
  166. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 私はその保温機構を改善することによって、今後閉塞の起こらないことを望むのだけれども、しかし、プルトニウム蒸発かんなどのことを思うと、なお保温を改善したけれども、原因が別だったからやはり閉塞は起こるということにならないとは言えないと思うんですね。だからこれもよほど慎重な検討は加えて、きちっと理論的にも原因を解明する、その理論的に出した結論と実際実験してみたときの結論と合う、この両者をやってもらわないと、ただ単に経験的にうまくいったからそれでいいだろうということは、こういう新しい技術開発の場合には大変な禍根を残すと思うのです。私なんかが言うのは釈迦に説法で、そちらの方がよく御存じだと思います。  最後に、十分な教育をしているということは繰り返し理事長がお述べになったことです。この点について、「保安教育実施状況」、これは分析課の例として一覧表をいただきました。     〔石野委員長代理退席、委員長着席〕 これについて、ウラン溶液がどういう色の場合は危険だというふうなこととか、論議になりました娘核種の存在の問題、こういうことについても理事者側としては十分教育してきたと御主張になったわけでありますけれども、このいただきました表の中で、このようなウラン溶液の色によって危険度を判断する、あるいは娘核種の問題というのはどの講義に当たっているわけですか。
  167. 中島健太郎

    ○中島参考人 まず色で判定しろということでございますが、これは分析の作業手順をいろいろ討議する。作業手順でございますから、これは作業員全員とやるわけです。その場でいろいろ討議した結果、これでいこうということに決めたというふうに聞いておりますが、それがどれであるかは私もちょっとこれではわかりませんので、後で調べてお答えいたします。  それからドーター核種につきましても、これはもう何遍も言ったというふうに聞いておりますが、これもどれであるかいまちょっとわかりませんので、後で調べてお知らせいたします。
  168. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 結局全体で二百八十九時間の講義をしたのだと言われるけれども、現に畠中君のああいう事故が起こって、具体的に教育の欠陥があったのではないかと言われているときにこのような一覧表を出して、この一覧表のどこで実際にそれを教えておったのだという指摘なしだったら、これは資料の役割りを果たしてないと私は思うんですね。現物はやはり動燃ですね。この点では私は国会に出す資料として妥当かどうか、検討していただきたいと思いますね。  同じく教育問題で、この資料の十月三日の項です。「汚染除去」という講義の実施内容の項があるんですね。ここでは分析課主査が講義なさっているのですが、資料の項は空白なんです。つまり資料なしに講義をされたのだと思うのですが、このような汚染除去という重大な問題について、これの講義資料が全くないというのは、どうも私は不可解なんです。この点についてのお答えと、それからもう一つ、われわれはこの分析課主査の能力を疑うというふうな失礼な気持ちは毛頭ないのでありますが、しかし、これまで理事者側は余りにも教育訓練は十分行った、こういうふうにおっしゃってまいりましたので、あえて一度お聞きしておきたいのですが、この分折課主査というのはどの程度のキャリアの持ち主といいますか、どの程度のこの道の専門レベルの方なのか、これをお聞きしたいわけであります。これが二点目。  それからもう一点は、瀬川理事長が新聞紙上等にも書いていらっしゃるのですが、ラアーグなどに四十名の基幹要員を派遣し教育訓練を受けたので教育訓練は十分である、簡略すればこういうような要旨のお話をしていらっしゃるわけです。このラアーグに派遣された方々が、いただきましたこの表の中では一体どの講義の担当者になっていらっしゃるのか。  以上三点をお聞きして、質問を終わりたいと思います。
  169. 中島健太郎

    ○中島参考人 一番最初は、除染訓練のときに資料なしにやったのかという御質問でございますが、これも実は私も一々そこまで覚えておりませんので、後日調べてお答えいたします。  なお、この表が何かお粗末でないかと言われる点は、御指摘のこともある程度当たるのだと思うのですが、これは何か二百六十時間というのがございまして、それに対応するためにつくったので、時間を重点に書いたというふうに理解しております。  それからもう一つ、除染訓練もこのほかにもう一回やっておりますが、それが抜けておりますので、後でそれはお知らせいたします。その場合には主査ではなくて、うちの嘱託の技師または放管係員がやったものでございます。  それから二点目は、主査というのはどんなキャリアの持ち主か。これも実はあいにく人名簿を持ってきていなかったので正確なお答えはいたしかねるのでございますが、うちの場合は主査というのはよその会社で言いますと係長でございます。
  170. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 そういう地位よりも、担当した講座についての専門の程度といいますかキャリアといいますか……。
  171. 中島健太郎

    ○中島参考人 高卒の場合には、およそ昭和三十三年ないし三十四年卒程度の人が主査でございます。
  172. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 普通高校のことですか。
  173. 中島健太郎

    ○中島参考人 工業高校です。いま思い出しましたが、分析の主査の中の一人は、昭和三十三年に茨城県の県立の工業高校の化学を出て、以来分析十七年のキャリアを持っています。それからもう一人の主査は、昭和三十七年に大学の理学部の化学を出た十三年のキャリアです。この男はフランスにも行っております。そういうようなのが主査でございます。
  174. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 それから最後に、ラアーグに行かれた方は、この中でどの程度講座を持っていらっしゃるのですか。
  175. 瀬川正男

    瀬川参考人 私が新聞に投稿しました記事はちょっと誤解を受けるような個所も見られますが、これは私の原稿を整理するときの縮め方が少しまずかったようでございますが、いずれにしても四十人の人間をフランスのラアーグ再処理工場及び原子力研究所の再処理研究施設等で訓練したという意味でございまして、実際にそのラアーグに派遣した四十人のうち現在再処理工場におりますのは十五人というのが詳しい表現になります。  それで、こういう連中がいま再処理工場のどこにいるかということにつきましては、先生の御指摘はそれの概要でよろしければ、資料を別途に御提出いたしたいと思います。
  176. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 それでも結構でございます。  これは審議すればするほど、やはり再処理工場であるだけに、現場の方の御苦労にもかかわらず、いろいろ技術的にも検討を要する問題あるいは教育上もまたやり直しをした方がよいと思われるような問題もあるようです。だから、これは繰り返しになりますけれども、大体いつまでにウランテストを終わって、ちょっとこういうトラブルが起こったからこれを半年ぐらい延ばす、それからホットだ、こういうスケジュールを追うこと自身が無理なのであって、ウランテストについてはやらなければならない必要なことはすべてやり尽くす、それがやり尽くされて、もう技術的にも絶対大丈夫だという確信が持てたら次に進む、これが原則だと私は思うのです。一言この原則についてのお考えだけ聞いて、本当に終わらせていただきたいと思います。
  177. 清成迪

    清成参考人 おっしゃるとおりでございます。先ほどもお答えしましたけれどもウランテストをやることは、ウランテストによって悪いところを発見することなので、これはやっていきますが、さて悪いところを発見しましたら、これはおっしゃるとおり必ずぴしゃっととまるのでございます。とまって点検をして、直して、さらにそれを再現テストをやって、大丈夫と確かめて進むのでございますから、私の方はおっしゃるとおりにやっておる、というふうに御理解願って結構でございます。      ————◇—————
  178. 八木昇

    八木委員長 次に、閉会中審査申し出に関する件についてお諮りいたします。  本委員会は、閉会中もなお、科学技術振興対策に関する件について調査を行うため、議長に閉会中審査の申し出をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  179. 八木昇

    八木委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  なお、閉会中審査のため、委員会において参考人より意見を聴取する必要が生じましたときは、参考人の出頭を求めることとし、人選その他所要の手続等につきましては、あらかじめ委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  180. 八木昇

    八木委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。      ————◇—————
  181. 八木昇

    八木委員長 念のため、御報告申し上げます。  本委員会に参考送付されております陳情書は、お手元に配付してありますとおり、長崎県に原子力船むつの新母港設置反対に関する陳情書外三件であります。  本日は、これにて散会いたします。     午後六時二十八分散会