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1975-12-10 第76回国会 衆議院 運輸委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年十二月十日(水曜日)     午前十時三十二分開議  出席委員    委員長 木部 佳昭君    理事 加藤 六月君 理事 佐藤 文生君    理事 佐藤 守良君 理事 西銘 順治君    理事 太田 一夫君 理事 金瀬 俊雄君       石井  一君    大竹 太郎君       關谷 勝利君    徳安 實藏君       宮崎 茂一君    綿貫 民輔君       久保 三郎君    兒玉 末男君       斉藤 正男君    坂本 恭一君       梅田  勝君    紺野与次郎君       石田幸四郎君    松本 忠助君       河村  勝君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 木村 睦男君         国 務 大 臣         (内閣官房長         官)      井出一太郎君  出席政府委員         内閣官房内閣審         議官      吉野  実君         内閣法制局第四         部長      別府 正夫君         運輸省鉄道監督         局長      住田 正二君         運輸省鉄道監督         局国有鉄道部長 杉浦 喬也君         運輸省自動車局         長       高橋 寿夫君         運輸省航空局長 中村 大造君         労働省労政局長 青木勇之助君  委員外出席者         環境庁大気保全         局特殊公害課長 酒井 敏夫君         労働省労働基準         局監督課長   倉橋 義定君         日本国有鉄道総         裁       藤井松太郎君         日本国有鉄道常         務理事     加賀谷徳治君         日本国有鉄道総         裁室法務課長  栗田 啓二君         運輸委員会調査         室長      鎌瀬 正己君     ――――――――――――― 十一月十九日  廃油ボール等による海岸汚染防止対策に関す  る請願山中貞則紹介)(第二八九二号)  国鉄料金等引上げ反対に関する請願枝村要  作君紹介)(第二八九四号)  同(坂本恭一紹介)(第二八九五号)  同(成田知巳紹介)(第二八九六号)  同(野坂浩賢紹介)(第二八九七号)  同(細谷治嘉紹介)(第二八九八号)  同(松浦利尚君紹介)(第二八九九号)  同(岡田春夫紹介)(第二九六五号)  同(坂本恭一紹介)(第二九六六号)  同(多賀谷真稔紹介)(第二九六七号)  同(辻原弘市君紹介)(第二九六八号)  同(楢崎弥之助紹介)(第二九六九号)  同(細谷治嘉紹介)(第二九七〇号)  同(山本弥之助紹介)(第二九七一号)  同(米内山義一郎紹介)(第二九七二号)  同(渡辺惣蔵紹介)(第二九七三号)  同(島田琢郎紹介)(第三〇八七号)  同(土井たか子紹介)(第三〇八八号)  同(多賀谷真稔紹介)(第三〇八九号)  同(楢崎弥之助紹介)(第三〇九〇号)  同(細谷治嘉紹介)(第三〇九一号)  同(八木昇紹介)(第三〇九二号)  同(渡辺三郎紹介)(第三〇九三号)  国鉄飯田線近代化に関する請願中村茂君紹  介)(第三〇八六号) 同月二十日  国鉄料金等引上げ反対に関する請願外一件(  宮田早苗紹介)(第三二七二号)  国鉄高崎線等沿線通勤難打開対策に関する請  願(平田藤吉紹介)(第三三一九号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 十一月二十日  山陽新幹線の開通による国鉄在来線等の運行対  策に関する陳情書  (第二五八号)  国鉄阪和線改善に関する陳情書  (第二五九号)  国鉄運賃の是正に関する陳情書  (第二六〇号)  私鉄運賃値上げ反対に関する陳情書外一件  (第二六一  号)  鉄道高架事業に対する助成制度確立に関する陳  情書(第二六二  号)  本州・四国連絡橋建設に伴う旅客船対策に関す  る陳情書(第二六  三号)  滝川気象通報所廃止反対に関する陳情書  (第二六四号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  陸運に関する件(自動車運送事業に関する問題  等)  航空に関する件(大阪国際空港に関する問題  等)  日本国有鉄道経営に関する件      ――――◇―――――
  2. 木部佳昭

    木部委員長 これより会議を開きます。  陸運航空及び日本国有鉄道経営に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。久保三郎君。
  3. 久保三郎

    久保(三)委員 運輸大臣にまず最初にお伺いいたします。  先般の三公社現業等争議権に関しての政府基本方針が決定されました。その基本方針内容について運輸大臣からお伺いしたいのでありますが、時間の関係もありますので簡単に申し上げますから、要点だけで結構ですからお述べいただきたいと思うのです。  まず、第一に、三公社現業の中でも最も大きな組織と最大業務量を持っている国鉄監督する運輸大臣として、今回の政府基本方針をどう受けとめておられるのか。  御承知と思いますけれども、念のために御披露を申し上げておきますと、大体、今回の方針が出る当初のいきさつというか、それは第三次公務員制度審議会答申を受けて専門委員懇談会ができ、専門委員懇談会が言うならば一応の意見書政府に提出して、それを受けての今回の政府方針決定ということだと思うのでありますが、そこで、一番の要点というものはこういうふうに書いてあります。この問題の「検討に当っては、公労使側委員とも、わが国の公共部門における労使関係の実情を現状のまま放置すべきではなく、労使担互不信感を排除し、労使関係正常化を図り、節度ある労使慣行を確立することが急務であること、」というのが一応の眼目であるように思っております。  そこで、これはあなたは単なる閣僚じゃなくて関係閣僚の一員でありますが、今回決定されましたこの方針が、国鉄労使現状改善して、しかも特に国鉄経営再建しようという大きな問題を抱えているさなかに役に立つと思いますか、どうですか。また、この基本方針を具体化するのにはわれわれの見るところでは大変に長い時間を要するように思うが、あなたはそう思いますか、どうですか。  たとえば三番目の項目でありますが、基本方針の第三には、「三公社現業等について、経営あり方及び」云々と書いてあります。この「経営あり方」に手を入れてはなおさら大変だろうと思うのであります。しかも、過去において多くの案が経営問題経営形態については出尽くした感がありました。いまや、およそもう結論になると思うのでありますが、運輸大臣諮問機関であり、しかもあなたが座長を務めているそうでありますが、あなたが主宰している国鉄再建問題懇談会の中では、専門委員懇談会意見書のように民営論分割経営論というものは一つも出ていないように私は聞いております。これは遊び事ではないのでありまして、いままであなたが座長を務められたあなたの諮問機関から出てきた結論は、経営形態については恐らく当然そういうことになると思うのでありますけれども、そうなった場合にはなおさら問題の処理についてあなたはどちらをとるか迫られるものだと私は思うのでありますが、いかがでしょうか。  それから、もう一つは、総裁もすでにこの場所においても予算委員会においても経営形態については言及しておりまして、その変更国鉄目的達成を非常に困難にするから経営形態変更は考えておらないというふうに言っておるわけなのであります。それから、もう一つは、従業員の側でありますが、中にはつむじ曲がりもおりますから四十三万人全部とは言わないかしらぬが、ほとんどの組織された労働組合員は、現在の経営形態を分割したり民営に移すことについては反対している。いわゆる労使とも反対している。  だから、ここで、この基本方針の第三の経営あり方について、国鉄については検討するのかしないのか、あるいは変更することを考えておられるのかどうか、これをお尋ねしたい。まず、そこだけ伺います。
  4. 木村睦男

    木村国務大臣 十二月の一日に出ました政府の三公社現業労働基本権問題に関する基本方針についていろいろと御質問があったわけでございます。  久保委員のまず第一の、こういうことで国鉄再建はできるのかというお尋ねでございますが、われわれといたしましては国鉄再建は何をおいてもやらなければならない非常に重大な状況にいま立ち至っておるということは久保委員も十分御承知のとおりでございます。これには、抜本的な財政の方面の再建策と、それから、やはり一つ企業体でございますので、経営者責任者、また企業体を構成しておる従業員一体となってこの再建に当たらなければ再建はできないと私は考えておるわけでございまして、私は、これは何としても国鉄にとっては全職員、全従業員最大な課題であると考えておるわけでございます。  スト権問題は、いまるるお話がございましたような過去の長いいきさつを経て、今日この問題についての政府基本方針が出たわけでございます。この五項目に示されておりますように、いま直ちにここでスト権問題について結論を出すことはできないということで、この検討を後日に譲ったかっこうでございます。政府側としても、専門懇等意見も聞き、できる限りこの問題についての結論を出したいということで取り組んでまいったのでございますけれども、ここに示しておりますようないろいろな前提問題があるものですから、これらについて十分検討した上でスト権問題には結論を出すべきであるということで、できるだけ早い機会にということになっておるわけでございます。  したがって、よく言われますように、この方針が出たということはスト権を与えないという結論ではないわけでございます。与えるとも、与えないとも、その問題検討をこういう項目を踏まえてこれから検討するということでございますので、それはそれとして組合側理解をしていただいて再建には協力をしてもらわなければ国鉄の屋台骨が本当に崩れるかどうかという瀬戸際であるという、この認識国鉄労使ともに強く認識をしていただきたいことを私は常に申し上げ、また、そういう理解をしていただくように努力をいたしておるところでございます。  それから、こういうことで一体結論は早く出るのかという御質問でございますが、この項目の最後の第五項に「できるだけ早急に結論をまとめ、」というふうに書いておりますが、時期を明示していないのでいつのことかわからぬではないかという御指摘も確かにあるわけでございます。これはしばしば総理が申し上げておりますように、非常に重大な問題でございますので、時期を区切ったためにその時期切迫間際になってもう時期が来るからということで早急にあわてて結論を出すというふうなことであってはいけないということで時期を明示していないということでございまして、できる限り早く結論を出すということには変わりがないということは申し上げておるとおりでございます。  それから、その次に、経営形態についていろいろ御指摘がございましたが、この第三項目にも書いてありますように、「当事者能力強化の方途を検討する。」ということで、その検討をする場合に、経営あり方あるいは料金法定制度等改正を含んで検討するというふうに表現をいたしております。この経営あり方という問題につきましては、あるいは専門懇におきまして経営形態問題にも触れておりますけれども、経営形態でなくて現実の経営あり方、もっと範囲を広く経営そのものあり方について検討をするという意味でございまして——経営形態問題も含めておりますが、もっと広くこれは検討していくという意味で、「経営あり方」という表現でこの方針が出ておりますのはそういう意味合いを持っておるわけでございます。  以上三点、御質問がございましたのでお答えを申し上げます。
  5. 久保三郎

    久保(三)委員 スト権問題あるいは経営形態問題について、いまの「経営あり方」というのは経営形態も入ったものだ、それ以外のことも入れた表現だとおっしゃるが、どちらにウエートを置かれるのか、御所見はいかがでしょうか。
  6. 木村睦男

    木村国務大臣 これはどちらにウエートを置くということではございませんで、いままで専門懇を初めいろいろなところから国鉄経営あり方についても意見が出ておるわけでございますので、それらを十分に踏まえながら経営あり方をどうするかということを検討いたしますので、これから検討していこうというスタートに当たって、どちらにウエートを置くとか置かないということは別に考えていないわけでございます。
  7. 久保三郎

    久保(三)委員 検討するのだから別にウエートを置かないのだということは常識的な御答弁だと思うのです。  ただ、先ほども申し上げたように、国鉄に限って申し上げますれば、労使とも経営形態変更についてはもうまるきり反対である。もしも経営形態について検討する用意があるんだと言うならば、これは職場で動揺を来すことは必然だと思うのですね。あるいは勤労意欲をなくすかもしれない。そういうことを考えますれば、これは担当大臣として、専門大臣でありますから早い時期に方向を明確にすべきだと私は思うのですが、いかがでしょうか。  続けて申し上げますが、もう一つスト権についてでありますが、スト権を与えるとか与えないとかいうことではなくて検討することになっているんだという話ですが、ところが、この方針の前段では専門懇意見を尊重して検討するということになっておる。専門懇については、すでにごらんになっておると思うのでありますが、どんなふうに考えられておりますか。  ある新聞記事をちょっと引用しましょう。これは専門懇意見書が発表された翌日の朝刊のコラムに出た記事でありまして、こういうことが書いてあります。「二十人ものその道の専門家を集め、一年半の期間をかけて作り上げたものだけに、公企体専門懇意見書は読みでがあり参考になる。なかでも印象的なのは組合性悪論ともいえるような、組合不信ぶりだ。例えば、こんなところ。「争議権を認めて労使関係改善できるという見通しがあるか。争議行為を回避できるという保証があるか。条件つきで認めれば条件撤廃闘争につながる。争議行為は繰り返されるだろう……」。なるほど。こんなふうにたたみかけられると返答に困る。そうですね。見通し保証もありませんねえ。」と言っているんですね。これは引用の文ですが、こういう考え方というか、見方というか、この人は専門懇意見書について、これは組合は悪者であるという前提に立ってこういう論法を展開しており、これではもう返事のしようもないと言っておる。それを尊重するというのでは、これは行き先は不明でありますというよりは、何か、スト権は全然考慮外である。組合を尊重しないということを尊重するようではとんでもないと私は思うんだが、あなたはまさかそうではないでしょうね。これは二点目です。  それから、次に申し上げますが、先ほどのお答えの中で結論はできるだけ早く出すと言うんですね。しかし、いつ幾日までと明記できない。ところが、いままで明記しないために、公制審ができてから十年かかっているのです。専門懇も一年半かかっているのです。しかも外国まで回っているわけであります。何を見て何を専門的に研究したのかわかりませんけれども、ずいぶん勉強はされたようだが結論の出るのが遅いし、これはいまのコラム欄指摘されたとおりなんです。  政府はいつまでに出すというめどをつけて国民なり当事者に答えるべきだと私は思うのですが、答えられないのですか。もっとも、三木内閣の運命についてはまた別として、いかがでしょう。
  8. 木村睦男

    木村国務大臣 専門懇内容受け取り方でございますが、これはいろいろの問題に触れており、また、一つ問題について必ずしも一つ考え方だけを示しておるものでもないと私は受けとめておるわけでございます。ことに、その中には、少数意見として書いてある意見もあるわけでございます。また、組合性悪説から発したものであるとも私は考えておりません。これは労働基本権というものと、公共企業体等非常に公共性の強い事業についての労働基本権との調和をどこで見出すかというふうな問題が主眼で書いてあると私は受けとめております。  したがって、専門懇のこの意見の中に経営形態等に触れておるのも、やはりその辺の調和問題でどっちをどう直していったらいいかというふうな意見がいろいろ書いてあるというふうに私は受けとめておりますので、そういう理解のもとで専門懇意見を尊重して今後のこの問題についての政府結論を出していくという方向努力をするつもりでおるわけでございますが、専門懇だけの意見に限って、それ以外の意見は聞かないということでは決してございません。  それから、時期の問題でございますが、先ほど申し上げましたような総理みずからの意思でもございますし、また、今日このような答申を出すに至った過去の経緯等を考えまして、五年も十年もかけるというようなことは絶対にございません。できるだけ早く結論を出すという真意はそういうことでございますので、御理解をいただきたいと思います。
  9. 久保三郎

    久保(三)委員 運輸大臣がいま一番大きな責任を持っているお仕事は何でしょうか。これは一番問題があるのは国鉄再建ということだろうと思うのですね。日本全体の交通政策で、これはもちろん一番大きいかもしれませんが、具体的に一番問題の多いのは国鉄再建だと思うのですね。だから、そのためにあなたは再建問題懇談会までつくって広く意見を聞こうという。まだ会議をやっているようでありますが、会議はいつまで続くのですか。専門懇と同じように一年半も続くわけではないでしょう。恐らく結論を出されるのだろうと思うのです。つい最近の懇談会での話では、スト権問題というか、政府基本方針というか、その問題議論になったそうでありますね。そのときには、言うならば政府が委嘱した専門委員懇談会意見書のような意見は出なかったそうでありまして、条件つき付与論が大勢だというか、ほとんどの声だそうでありますね。  あなたは、いままで、懇談会では財政再建運輸大臣責任というか担当分野であるようなお話をしておられたと思うのでありますが、財政再建というだけで国鉄再建できないのはだれも承知の上であります。むしろ、この労使問題再建には大きな支障になっていると指摘されている。公制審以来専門懇まで流れてきた一筋の問題もそこにあるわけです。ところが、いままでにあなたは一言もこれについて御所見をお述べになっていないのですね。これは担当大臣としてほかの国務大臣とは別な立場ではっきり物を言う時期があったのではないか、また、いまあるのではないかと私は思うのであります。そうでなければ国鉄再建は不可能だとも私は思うのでありますが、いかがでしょうか。  時間がありませんから続けてお尋ねしますが、もう一つは、政府基本方針の中で、三番目において料金法定制度などを検討するというのですね。料金というからには、これは運輸省には関係ありませんね。国鉄には関係ありませんね。法定主義というか、法定制度をとっているものは国鉄運賃だけなんでありまして、料金というのは、郵便料金とか電話料金とか、そういうものが法定されているわけです。これはそういうふうに解釈してよろしいかどうか。もしも万が一、そうではありません、運賃法定主義というものも入っているのですというならば、これは当事者能力をこれで拡大しようというねらいであるのかどうか。もしそうだとするならば、それは余りにも短絡した物の考え方だと私は思っております。  これまで国鉄運賃改定国会論議が毎回大きな問題になっていることは事実であります。しかし、この法定制度を外すことが当事者能力強化にどうして通ずるのか。国会議論中心は、皆さんが見ているように、長引くから再建支障を来たすとか、当事者能力問題が出るという問題ではないのですよ。議論中心は、政府経済政策の失政あるいは交通政策の貧困と、利用者である国民理解と納得が得られない仕組み問題があるのです。そういう問題スト権問題に絡めて当事者能力の一環などと持ってきたところはまさに噴飯物であります。そういうふうにわれわれは思っております。  それから、もう一つ、もしも当事者能力をつけるのだということでこの三項目があるとするならば、法定制度を外すことによって当事者能力強化されるにしても、相手側である労働者が本来の労働基本権を制約されたままでいる現状では、労使間の紛争の解決、正常化などはとても夢のようなものであります。これはできませんよ。法定主義を外せば正常化ができるとあなたは断言できますか。いかがでしょう。  また、当事者能力を拡大するということはそういう問題ではない。むしろ、あなたが持っている監督行政から国鉄自身を解放してやることなんです。国鉄自主性を与えてやることなんですよ。これを承知の上でこの三項目は書いてあるのですか。金は出すが口は出さぬということでは理屈が通らぬという話がまかり通っているようでありますが、それは一にかかってあなたが任命する、政府が任命する国鉄総裁監督すれば足りることである。もしもその能力に足りない国鉄総裁ならば即刻これは罷免することですよ。そういうことから考えますれば、国有鉄道法改正あるいは予算総則の中での給与総額制度改定等々をあなたは率先して考えるべきだと思うのですが、そういう問題についてはどういうふうに思っておりますか。  以上です。
  10. 木村睦男

    木村国務大臣 労働基本権の中にありますのは、ストライキ権だけではなくて団体交渉権もあるわけでございますが、このストライキ権というものは団体交渉のいわば基幹的な機能を持っておる一つ基本権だと私は解しております。  そこで、重要なことは、団体交渉は公労協三公社にも認めておりますので、この団体交渉の場において決められたことを両方の当事者がそれぞれ責任を持って実現し得るという状況に置くことがまず何よりも重要であると私は考えるわけでございます。  この団体交渉は政治的な交渉は認められておりません。すべて従業員の地位の向上、経済問題改善等であるわけでございますので、当然経営問題との関連が出てくるわけでございます。現在の国有鉄道の場合には、この国有鉄道経営仕組みが、政府からの強い監督政府からの強い財政的な援助というものが背後にあって国鉄は運営されておるわけでございまして、そういうことから考えまして、団体交渉で話し合いができた事柄は国鉄総裁ができる限り自分の責任で実現し得るように権限を強化していくということがまず前提でなければならないと私は思うわけでございまして、この第三項目もそういうふうな考え方から出ておるわけでございます。  そうしますと、たとえばそのために資金が要るということになりますと国鉄収入からこれを支弁するわけでございますから、収入の大半を占めておりますところの運賃収入というものがその前提になるわけでございます。そういうふうなことから適時適切にそういう問題も処理できるようにしてやることがやはり当事者能力強化する一助になる、これは非常に重要な一つ問題点である、と、かように思うわけでございますが、ここで料金法定制度という表現をいたしておりますのは、運賃という言葉がないから、運賃じゃなくて他の公社料金ではないかという御質問でございますが、そうではございません。運賃料金を含めての料金という意味でこれは表現をいたしておるのでございます。  また、私が主宰しております国鉄再建問題懇談会の席でいろいろ出た意見についても御質問がございましたが、スト権問題につきまして先般の懇談会で各委員の御意見をいろいろ聞いたわけでございますが、各委員の御意見の中には条件つきスト権を認めるということがよろしかろうという意見が多く出ておったことは事実でございます。ただし、その条件等につきましては各委員いろいろと違った御意見のようでございましたが、そこまでは詳細に承る機会がなかったわけでございます。  この第三項目につきましての料金法定制度、それから経営あり方等につきましては、当事者能力強化という問題検討していく上にはやはり大きな問題点であるということでこの第三項目はできておるというふうに考えてこういった方針を出したわけでございます。
  11. 久保三郎

    久保(三)委員 官房長官もお見えでありますから簡単にはしょっていきますが、ただ、運輸大臣、いまもお話しがありましたが、決めたことを誠実に実行していけるようにするための当事者能力である。そのとおりですね。ところが、その以前の話が欠落しているのでいま問題になっているのです。当事者能力は、たとえばあなたがおっしゃったように、あなたが考えておられるようなことをやりましても、これは限界があります。当事者能力と言っても、これは無制限のものじゃないのです。ただ、問題は、労働基本権の中の大きなものである争議権というか、まあ解釈のしようによっては団体交渉権を補完する機能を持っているという解釈が正しいとしても、補完ができないような権利しか持っていないものが団体交渉が完全にできるとお思いになりますか。当事者能力を拡大すればすべて解決するというようなことは、これは問題の本質を誤るものだと私は思っております。いずれにしてもこれは御再考をいただきたいと思う。  時間がありませんから、運輸大臣にはたびたびお会いできますから次の機会に後からまたお話ししますが、ただ、最後にあなたに申し上げておきますが、長期のストライキがこの間やられましたね。その際にあなたは具体的にこのストライキをやめさせる工夫と努力をされたのかどうか。聞けば、国鉄総裁を呼んで訓辞をたれただけだそうでありますが、訓辞などで聞けるような事態ではなかったと私は思うのであります。そのほかに何か御工夫をなさったことがたしかあるのだろうと私は思うのでありますが、いかがでしょう。一言だけお願いします。
  12. 木村睦男

    木村国務大臣 今度のストはスト権を与えろという政治目標を立てての違法なストであったわけでございます。そういう違法なスト行為でございますし、目標がスト権を三公社現業に認めろという中の一つのそういった行為でございますので、これはやはり前からのいろいろな経緯を踏もえて、政府全体が昨年の春以来の問題について一つ方針を出すということが要求であったわけでございます。したがって、これはただ一運輸大臣だけがどうこうするという問題ではございませんで、政府全体としてこの問題に取り組んでまいってきたところでございます。その結果こういった方針を出して公労協に答えたわけでございます。  その答えを受け取られた公労協側の方で依然としてそういった違法行為が続いてきておるわけでございますので、われわれとしてもう回答はしたんだ、回答の中身は不満かもしれないけれども、回答をした以上は前向きに今後の問題として回答の趣旨を十分理解していただいて取り組んでいくべきである、あのような違法のストは国民に大変な迷惑をかけることでもあるし、一日も早くやめるべきであるということで、国鉄総裁にいろいろとそういう観点から指示もいたしたわけでございます。
  13. 久保三郎

    久保(三)委員 お言葉を返すようでありますが、私もストライキをやめさせる工夫を私なりに努力したつもりでありますが、残念ながらストライキに入ってしまった。  そこで、私はあなたに要望したいのだが、お互いに政治家でありますし、あなたは閣僚の一員でありますから権力を持っておられるんですね。立場、行動半径もわれわれに比べれば非常に広い範囲をお持ちなんでありますね。そうだとすれば、担当大臣としては、ストライキに入る前に、そこの隣におられる井出官房長官なども当然でありますが、一工夫も二工夫もあってしかるべきなんですね。それが政治力というものではないかと私は思うのでありますが、これがちっとも表に出なかったことは大変遺憾であり、残念だと私は思っております。これはお互いに戒心していきたい点だと思っております。  次に、官房長官にお伺いしますが、政府基本方針はお立てになったが、いつごろまでに具体化するのでありますか。先ほど運輸大臣は抽象的な御答弁しかできなかったのでありますが、官房長官は具体的にお述べいただけるだろうと思うのであります。  それから、もう一つ、時間がありませんので続けて申し上げますが、基本方針の四番目には、公労法というか、そういう労働関係法を初め関係の法規を全般的に検討して必要な改正を行うというふうにありますが、これは閣僚協でおやりになるのでありますか。再び専門懇のようなものに委嘱しておつくりになるのでありますか。これはもう専門懇じゃなくて閣僚協直接の責任でおやりになることが当然なことだと私は思うんですね。  それから、もう一つ、これは大変言いにくいことでありますが、三木内閣の命運についてはいろいろ取りざたされておりますが、三木内閣存命中にこれは片をつける責任があると思うのでありますが、そうだとすれば、もはやこれは旬日のうちに片をつけるというふうにもなります。これはやはりそういうふうにしなければ三木内閣が再び浮上することは困難かと思うのでありますが、いかがでしょうか。
  14. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 久保さんからの御質問はおよそ三点にわたったかと思うのでございますが、逐次お答え申し上げます。  政府基本方針を実施する上においてこれからどういう手順でやるのかということでございましたが、実は、閣僚協は依然として存在をいたしております。したがいまして、当面、従来の経緯にかんがみまして閣僚協としてこれからどういう段取りにしてまいるかという点につきましては、これからその辺の検討をする予定になっておりますが、方向としては、これはやはり政府責任でございますから、閣僚レベルでこういうものは扱ってまいらなければならぬと思います。そのために専門懇というふうなものを特につくる必要があるかどうか、場合によりましては意見を聞くというふうなことはしなければなるまいと思いますが、大体政府責任でやってまいろうという考え方であります。  それから、第二点の、公労法の改正をどういうふうに考えておるかということでありますが、これは基本方針の中にも改正をするということを明言しておるのでございますが、これは公労法だけではございませんで、地公労法もございましょうし、かなり広範にわたるものでございますから、いまこれに手をつけまするとかなり作業に時間も要するのではなかろうかということで、具体的にそれではいつまでというふうなことはまだちょっと申し上げかねる次第であります。  そうして、これに関連いたしまして三木内閣との関連にお触れになりましたが、これは三木内閣を激励いただいたという意味に私は理解をいたしますが、三木内閣は今回のストの直接の政府側という立場において十分責任を持っておることは当然でございますから、できるだけ一生懸命やりたいと思っております。
  15. 久保三郎

    久保(三)委員 官房長官は大変上品な、スマートな人であります。答弁もスマートで、野人の私にはよくわかりかねる点がたくさんあるのでございます。  私の質問要点はいつのころまでにということで、ころまででいいですよ。春とかあるいは来年のいまごろとか、三木内閣の存命中とか——存命中というのは、これはちょっとはかりかねますが、私は、いつまでもずっといてもらった方がいいと思うのですが、ただ、やることはきちっとやってもらわなければならない。いつまでという大体のメドをつけた御答弁がいまの時期にできないというのはいささか不見識ではないだろうかと私は思うのであります。重ねてお答えをいただきたいのであります。いつごろまでにやりますか。なるべく早くというのでは余りにも抽象的でありまして、公制審ができて以来十年、しかも専門懇は一年半もかかっているのですね。あの程度の作文ならばあなたの後ろにお座りになっている人が一夜で書けるのではなかろうかと私は思っております。そういうことを考えますればもう少し早めて検討してもらいたい。  それから、もう一つは、特に問題の焦点は争議権問題になっているのですね。三公社現業についてはこれは無条件という主張もありますけれども、そう言っても当事者能力に限界があれば無条件論などという話はどこへ行っても通用しないのが現実だと思うのですが、ところが、なぜいま無条件と言っているのかというと、向こうが与えないと言っている限りは無条件でもらおうじゃないかというのがあたりまえの話です。これが俗に言うけんか腰というやつです。政府がけんか腰に出てきたのでは事態は解決しないと私は思うのです。これをもう少し反省すべきだと思います。  そこで、もう一つ伺いたいのだが、いままでなるほどスト権問題公制審からずっと来て、公制審は現実の事態を解決するのにはこのまま放置はできません、労使の不信感を排除することが先ですということで、専門懇閣僚協から移したのです。ところが、専門懇答申は必ずしも公制審の真意を伝えていないようにわれわれは思っております。しかしながら、これから作業に入るあなたとして一番重視してもらいたいのは、何といってもスト権は与えてもらうべきだということが労使とも意見ですね。そして、専門懇から出た直後において、国鉄総裁は、この人はなぜ発言をしなかったのか、コメントをしなかった。あとの二人の総裁はちゃんと記者に発表している。当事者能力がないような無能力者扱いをされたと言って大変憤慨した総裁もいるわけです。経営形態を変えろの、与えるべきではないのと専門懇は言っているが、しかし、すでに毎回申し上げるように、国鉄総裁はあなたがいる前でも条件つきではあってもスト権は与えなければいけませんということを言明されているのです。それはいまでも変えていないのです。これは後からお尋ねしますけれども、豹変はしないと思います。いま重視すべきはやはり当事者意見だと思うのです。  それから、もう一つ、時間が長くなって恐縮でありますが、あなたもお読みになったと思いますが——もっともあなたはお忙しいからお読みにならぬかもしれませんが、これは代表的な新聞論評です。論評と言ったらおかしいけれども、意見書が出た翌日のコラム欄に出たものです。これは後で差し上げますからお読みになっていただきたいのですが、「二十人ものその道の専門家を集め、一年半の期間をかけて作り上げたものだけに、公企体専門懇意見書は読みでがあり参考になる。」と、ここは大変ほめておるようですが、これは皮肉なんですよ。そして、「なかでも印象的なのは組合性悪論ともいえるような、組合不信ぶりだ。例えば、こんなところ。」と言って専門懇意見を引用しています。「争議権を認めて労使関係改善できるという見通しがあるか。争議行為を回避できるという保証があるか。条件つきで認めれば条件撤廃闘争につながる。争議行為は繰り返されるだろう……」という引用をして、なお、「なるほど。こんなふうにたたみかけられると返答に困る。そうですね。見通し保証もありませんねえ。」云々と書いてあります。これは一番最初の出だしですが、そういうものをいまさら信用するのかどうかという問題労使の間に問題になっているのです。国会の中でも問題になっているのです。この点を十分考えて重視をすべきだと思うのです。  重視と言ったらあなたは言葉を変えるかもしれないが、専門懇を尊重するという基本方針でありますが、専門懇より以上に当事者で運営を任せられているものの労使意見というものを尊重すべきと思うが、やぼな質問でありますが、この点はいかがでしょうか。
  16. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 久保さん、最初に一体いつまでやるのかというお問いでございましたが、これは社労で総理からも答えておりますように年限を切るという考え方もその間にはございましたものの、ゴールを決めて追い込むというような場合に弊害の生ずるおそれもございますので、むしろ誠意を持って一刻も早くという、こういうことに基本方針も示されておりまして、その方がむしろ問題に対して誠実な取り組み方に相なるのではないかというふうに考えておる次第でございます。  それから、労働基本権問題にもお触れになりましたが、これは私の前に運輸大臣お答えになっておりましたように、やはり公共の福祉という問題も片や考えなければなりませんので、国民の側から見ても納得を得られるような方向というものを打ち出すためにこれから汗をたらして努力をしてまいるつもりでございます。  さらに、当局者の見解ですが、ここに藤井総裁もおられますが、これをどういうふうに見るのかというお問いでございます。政府基本方針は、御承知のように専門懇意見の趣旨を尊重してということでございますが、これは一年半にわたって三十何回有識者の皆さんが努力をされました結論でございますから、これは政府としてお願いを申して結論を出していただいたのですから、これを尊重しないわけにはいきません。それから、同時に、私も予算委員会その他において三公社の当局者の意見も伺いました。これはそのときにも申したと思いますが、これを有力な御意見としてこれからも十分に参考には供してまいる。もちろん、最終決定は、これは高度の政治判断といいましょうか、政府責任において決めなければなりませんが、そういう意味においては尊重していくことは当然でございます。
  17. 久保三郎

    久保(三)委員 官房長官、専門懇意見書提出直後に小野会長は記者会見をしました。もちろん記者会見でお話をしましたことは各社報ずるところは大体共通しておりますが、この意見書では今日の事態を解決することはできないだろうというような意味のことを述べておられるのであります。不見識と言えば不見識かもしれませんが、ただ、この人は、国家百年の原点に戻ってロジックを合わせたと言うのですね。この学者、この人はもちろん専門家でありますから国家百年の原点に戻ったロジックも必要でありますが、現実に起きている労使間の不信感あるいは紛争を解決してもらうのがわれわれ国民大衆のいまの願いなんですね。だから、この専門懇の会長の代表した意見意見書というものは現実には役に立たないというふうにわれわれは思っておるわけなんであります。そこで、これはあなたには御記憶をいただきたいということです。  それから、これは運輸大臣から一言だけで結構ですからお答えをいただきたいのですけれども、この事態に専門懇意見書も出ました。政府方針も出ました。そういう方針によって今後スト、処分、ストといういわゆる悪循環は断ち切れるだろうと思っておりますか。私どもは断ち切れないと思っているのです。不幸だと思うのですね。断ち切るためにはあなたが当該の大臣として勇断をふるう以外にはないのです。  それには二つあります。一つは、政府の権力をもって処罰する。あるいは公労法の改正で、専門懇意見の中にあるように刑事罰を科する。しかし、刑事罰を科しても労働者はストライキをやるかもしれません。そうしますとこれできない。もう一つ、完全にやめさせる方法は、あなたの誠意と、当事者がいやでもあろうがいわゆる基本権を与えるという以外に方法はないと私は思うのですが、いかがでしょう。  それから、これは国鉄総裁にお伺いします。時間がありませんので大臣の後で御答弁いただきたいのでありますが、あなたに対しても同じように聞くのです。いまの事態でいままでのような悪循環を断ち切ることにあなたは自信がありますか。いかがでしょう。これが一つ。  それから、もう一つあなたの御所見を承りたいのだが、専門懇意見が出て政府方針が出た。その時点で労働組合はこの意見に全面的に反対だと言った。にもかかわらず、ストライキは計画を繰り上げていままでにない形で整然とやめた。これはあたりまえと言えばあたりまえかもしれませんが、それはあなたを信じたからだと思うのです。あなたが組合員全員四十三万人に対して、そして指導者を呼んであなたの誠意を披瀝したからそういう態度に出たと思うのでありますが、私はそういうふうに評価している。しかも、あなたが今日まで持ってきたところの、条件つきであってもスト権は与えろ、経営形態変更するなという信念に対して敬意を表し、信頼してストライキを繰り上げて整然としてやめたと思うが、あなたはどういうふうにこれを評価するか。自分の口から言うのはおかしいかもしれませんが、私はそう評価しているのですが、どうでしょう。  それと同時に、そういう評価に対して、あなたは今日まで主張してきたやり方、考え方をそのとおり貫き通すお考えでありましょうか、どうでしょうか。
  18. 木村睦男

    木村国務大臣 スト、処分、反対ストの悪循環を断ち切るということを政府もしばしば言っておるわけでございますが、これは、法治国家においては、社会の秩序と平和を維持するためには法律は守らなければならないという大前提を崩す問題では絶対にございません。したがって、スト、処分、反対ストの悪循環を断ち切るということは、そういう手段によってこういう問題を解決しないで、話し合いによって解決しようではないかという趣旨からそういうことを政府は言っておるのでございまして、いままで行われておりましたいわゆるスト行為というものは法律で禁止されておるスト行為でございますので、この法律で禁止されておる違反行為というものに対しては、これが当然法に定むるところの処罰を受けることは、これは社会秩序を維持するためには法治国として大原則でございますので、決して、違法ストの処分をしないことによってスト、処分、反対ストの悪循環を断ち切るということを政府は言っておるわけではございません。これは私ははっきり申し上げたいと思っておるわけでございます。あくまでも話し合いによって解決をしていく。  なお、スト権問題につきましては、今日、御承知のようなこういう段階になっておりますので、これをどうするかという問題はこれから十分に検討をしていく、そうしてその結果必要な措置は法律改正等の手続を経てやるということであるのでございます。
  19. 藤井松太郎

    ○藤井説明員 お答えします。  先ほどの、予算委員会その他で申し上げました条件つき争議権問題並びに経営形態問題に関しましては国鉄意見は申し上げたとおりでございます。  第二番に、専門懇の御意見並びに政府の御意見に対してどう思うかというような御意見でございますけれども、私どもは非常に困惑している労使関係改善しようということで、健全な運営をして国民の期待にこたえるということでせっかくの努力をしている当事者でございますから、これは批判的な立場にお立ちになっての御批判をちょうだいいたしますれば謙虚に受けとめてよく検討するということで、被告の私が批判するということは必ずしも適当じゃないし、御遠慮も申し上げたい、こういうことが第二点でございます。  第三段階の、スト、処分の悪循環はどうなんだという御議論でございますが、これは労使というような問題を離れまして、こういうことをやれば国民に大変迷惑をかけることは今回立証したとおりでございます。でございますので、組合の諸君の良識を一層呼び起こして、かような悲しい状態は二度と起こらぬように渾身の努力をいたす覚悟でございます。
  20. 久保三郎

    久保(三)委員 もう間もなく時間でありますのでもう少しお聞きしてやめますが、官房長官に伺いますが、先ほど聞き漏らして大変失礼しましたが、基本方針の中で、言うなら公労法に関係してくる問題で、これは専門懇意見書には刑事罰もつけ加えろうというような意見がございますが、労働法の関係で刑事罰をつくるなどというのは、前近代的国家ならいざ知らず、近代国家ではあり得ないことだと私は思うのであります。そういう意味から言って、この問題は論外として、公労法の改正その他全体を前向きでおやりになるのですか。これはいかがでしょう。  それから、もう一つ運輸大臣に申し上げます。もうあなたに御返事いただいても仕方がありませんのでこれは意見でありますが、御説明ではスト、処分、ストというような悪循環はと言うが、あなたのおっしゃることは機械的な話でありまして、政治家としてのお話のようには承れないんで、説得力は全然ないんじゃないかと私は思うのであります。そこで、これはこの公式の場所で政治的な発言をしろと言う方も無理だと思うのでありますが、これは官房長官にも申し上げます。これは官房長官からお答えいただいた方がいいと思うのでありますが、この五つの項目政府方針というものには解釈のしようによってはいろいろな問題があると思うのですね。解釈のしようによっては条件つき争議権の付与の問題にもなるかもしれない。あるいは刑事罰をくっつけるものもあるかもしれない。親方日の丸論も出てくるかもしれぬ。だから、当事者能力には限界があると思うのです。いろいろな問題があると思うのですね。ついては、この事態を解決するのには、一応お出しになった方針を撤回するというわけにはまいりませんでしょうが、これはどうやって好転させていくかという問題に尽きると思うのですよ。その誠意の問題ですね。先ほども総裁からお話がありましたが、誠意の問題だと思うのですね。あなたたちの真意が組合なら組合あるいは当局者に伝わっていない面がたくさんあるんじゃないかと思うのですよ。もっとも、真意を伝えるだけの力がおありでないのかどうか、これは最近の新聞評によりますと、いろいろなしゅうと、小じゅうとがおりましてむずかしいようでありますけれども、少なくとも真意はお伝えになることが政治の本領だと私は思うのですよ。  そういう意味で、誠意を披瀝する考えをお持ちでありましょうか、どうでしょうか。時間でありますからそれだけにしましょう。
  21. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 この政府基本方針をどういうふうにこれから持っていくのか。前向きにというお言葉がございましたが、よく前向きという言葉が使われますが、これは場合によってはあいまいさもあるのではないかと思うのです。やはり一番肝心なことは、労使関係の健全化と申しましょうか、不信感があってはいけない、こういうところを解きほぐすという努力が一番大事なことではないか、と、このように私どもは考える次第でございまして、その意味におきましては、今回のこの問題の経緯にかんがみましていろいろと私どもも深く考えておる点もあるのでございまして、そういう点はおっしゃるように誠心誠意をもって当たりたいと存じております。
  22. 久保三郎

    久保(三)委員 問題が非常に抽象的でありますから抽象的なお答えだけが出てきているのは当然かと思うのでありますが、特に運輸大臣にもお願いしておきたいのは、鉄は熱いうちに鍛えろという言葉がありますが、日がたって悪化してからでは問題の解決は非常に困難だと私は思うのです。だから、早くやらなければいけません。  それから、もう一つは、さっきも言ったように、国鉄財政再建ができても車は回らぬですよ。だから、結論のときにはぜひそういうものを尊重して、政府の一閣僚として、あるいは担当大臣としてお骨折りをいただくのが一番いいと思うのですね。そうでなければもう前向きにはなりませんから、はっきりそのことだけは申し上げて質問を終わります。
  23. 木部佳昭

    木部委員長 河村勝君。
  24. 河村勝

    ○河村委員 官房長官、お急ぎのようですから最初にお伺いをいたします。  今度のストライキに当たって、違法なストライキの圧力に屈してスト権を与えるというような回答を出さないという政府の態度は、私は正しいと考えます。しかし、それまでにそういう事態をつくったことについての政府責任というものは非常に重大だと私は思っている。四十八年の春闘以来、これは田中内閣であるけれども、それからことしの春闘に至るまでの間春闘のたびごとに政治ストは違法だと言いながら、最後には、ストを収拾するために、このスト権問題について俗に言う玉虫色の回答を繰り返してきた。そうですね。その結果、もう一押し押せば前向きの回答が出るであろうという判断を公労協に与えたということは、これは否定のできない事実です。ですから、この問題はそういつまでも気長にほっておける問題ではございません。すでに闘いは済んだのですから、これから新しくスタートをするわけです。  先ほどからの応答を聞いておりましても、何かいつまでに結論が出るやらわからないようなぐあいでありますが、しかし、問題はわりあいと単純なんですね。経営形態論で肩がわりできる問題でもありませんし、当事者能力等の問題はあるけれども、これも別の問題です。やらなければならないけれども別の問題です。現在でも、公労体制というものがもう崩壊してしまって法律でストライキを禁止しているといっても、それが守られない状態にあるという社会的事実は明瞭であって、これを何とかしなければならないということについては認識は共通であります。したがって、公労法をとにかく改正をしなければならない。どういう改正をしなければならないということは別として、公労法を改正しなければならないという点についてはこれは右から左まで同じですね。自民党の一部にはスト禁止を守らせるために刑事罰を科そうというような意見もあるようでありますが、しかし、それにしても公労法は改正しなければならない。だから、いずれにしましてもこれはほっておくことは政府責任回避ですよ。  ですから、閣僚協議会で議論をなさるというならば、これはどちらかしかないわけです。公労法を改正してどんな条件でストライキを与えるか、そうでなければ一部で言っているような刑事罰を科して縛ってしまおうかというようなこともあろうけれども、とにかくどっちかの結論しかあり得ないんです。そのほかのものはないんです。どっちを選ぶかということしか残っていないのです。いままで長年議論したことをもう一遍蒸し返したって意味がないんで、要するに決断の問題になるわけです。ですから、閣僚協議会で議論なさるならそれでよろしいが、それならば早急に結論を出して、そして少なくとも通常国会には政府の法案を出すか、そうでなければ——これは私どもはストライキの最中から主張しておることなんですけれども、三木さんも、事は立法にかかわる問題だから国会の審議で決めるもので、自分の一存ではいくものじゃないんだ、議会制民主主義というものはそういうものだということをたびたび言っておられるでしょう。そうであるならば、政府が法案を提出してそれを賛成とか反対とか言うのは国会の本来の機能ではないわけで、本来ならば国会でつくるべきものですから、政府結論を出せないなら別段それを待つことはないわけで、この公労法改正問題を国会に移したらよろしいのです。  そこで、各党がそれぞれの案を持ち寄ってそこで相談をするということにふさわしい問題でもあるし、そういう例をおつくりになったらいかがですか。私どもは、公労法改正のための特別委員会をつくって、それを本当に結論を出すための機関にしたらどうかということを提案しておりますし、昨日ですか、三木さんも参議院の社労で国会でそういうものをおつくりになるならば結構であろうというような返事をされたようだが、これは結論にならないのであって、やはり、政府与党で相談をされて、それでそういうものをつくろうというのでなければ、国会でそういう機構をつくるといったって動きません。ですから、そういうことを考える。言いかえれば閣僚協で結論を出すのであるならば、これは決断だけが残っているだけで、政府のいろいろな審議会を幾らつくってみたって何にも意味がありませんよ。これはよくおわかりのはずです。  いずれを選ぶかの決断であるから、とにかく結論を出すなら早急に出して通常国会にでも法案を出すか、そうでなければいま私が申し上げたように国会に場を移すか、どっちかを決めなければならないと私は思いますが、官房長官のお考えを聞かせていただきたい。
  25. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 河村さんは結論を出すのはそう時間は要しない、選択は簡単だとおっしゃるわけですが、私は、これだけの経緯があった問題でございますから、政府としても何もABCからやり直すわけではございませんが、いままでのもろもろの御意見を基盤に踏まえまして、国民サイドの考え方にも立ってもう少し時間をちょうだいしなければならぬ、政府としては余り拙速ではいかぬというふうに思います。  それから、また、法律改正問題ということになりますから非常に関係するところが広範になりますので、これまた若干の日子はどうしてもかかるというふうに存じておるのでございまして、これは引き延ばしとか、そんなつもりは毛頭ございません。私どもも、これはできれば一刻も早くという気持ちのもとに少し慎重さも加味して扱ってまいりたいと思うのでございます。  さらに、国会の場にこれを移したらどうかという御意見ですが、今度のストの過程におきましても、政府も、こういう問題について法治国家としていきなりこういう実力行動によって要求されてもそれに答えを出すわけにはいかぬのじゃないか、事はどうしたって立法の問題にかかわる以上これは国会のマターであるというふうに申しましたし、また、河村さんの民社党もそういう御主張を展開されたと承知しております。そこで、その扱い方をどうするかということですが、単に国会へお願い申すと言うだけでもいけますまい。そこに政府の場においてある程度のドラフトといいましょうか、そういうものをまずこしらえ上げるということが事の順序ではなかろうかというふうに私は考えておるわけでございます。
  26. 河村勝

    ○河村委員 約束ですからお帰りをいただきますけれども、繰り返して言うようですが、とにかく何年かかっても——材料はもうそろっちゃっているわけですね。あとはそれをどう扱うかということだけしか問題は残っていないのですよね。同時に、これを長くほっといていいことはございません。これは悪くするだけです。ですから、ここでいま何日という期限を切ることはできないかもしれないけれども、とにかくただ延ばす、ただ時間をかせいでほっとくというようなことは絶対にやってはならないということを申し上げておきます。御苦労さんです。  国鉄総裁にお伺いいたしますが、今度のストライキの中で、一般国民がどう考えても常識に合わぬと思っていることがあります。それは例の国鉄の賃金カットの問題ですね。とにかく、国鉄が八日間まるきりとまってしまった。それにもかかわらず一日に二万人しか賃金カットの対象にならないというのは、どうもこれはおかしいですね。一つはノーワーク・ノーペイの原則ですね。もう一つは、きょうは違法のストであるとかなんとかいうことは一応別にして議論いたしますが、争議行為というのはフェアであることにその正当性があるわけですね。だから、ストライキの場合には、相手も収益を失って被害を受けるが、自分の方も給料をもらえないということで被害を受ける。そこでフェアな争議行為として正当性がある。ロックアウトの場合も同様ですね。自分たちの収益を失うが、そのかわり給料を払わぬでいいということで争議行為というものが成り立っているわけです。これはどっちから言いましても常識的に考えてもどうもおかしいじゃないかと言うのはあたりまえですね。総裁、それはどうお考えになります。
  27. 藤井松太郎

    ○藤井説明員 お答えします。  今期の争議行為は長日月にわたりまして国民一般にえらく御迷惑をかけたことをまずもっておわびする次第でありますが、本来、国鉄で行われている争議行為というものは一日ぐらいで立ち上がるのが普通でございまして、そのために、ストが開始してもいち早くそれから立ち上がるためにはどうするかということになると、ストの拠点に入っているとか入っていないということを離れまして、全部出勤を命ずるということを——これは御批判もありましょうけれども、従来その行き方をしておったということでございまして、今回のものは拠点が移動するとかなんとかいうようなむずかしい表現になりますけれども、要は長いベルトコンベアを一カ所でちょん切ったというようなことになりますので、ここは健全だが一カ所切れたら動かなくなるというような、まあ巧妙というか悪らつというか知りませんけれども、そういうことになりまして、これは十六万人の賃金カットしかできなかった。  これは国民の御納得がいかぬのは当然でございまして、従来とっておったシステムが厳しい御批判を受けておるのでございますので、改善すべきものは改善して、今後は余りおしかりを受けないような努力をいたしたいと思いますが、内容的に詳しくはその担当の者がおりますので、御説明させてもよろしゅうございます。
  28. 河村勝

    ○河村委員 出勤命令をしたというお話であるけれども、それはストライキをやるのをほうっておく経営者は頭がおかしいのであって、ストライキを計画したからといって、これは出勤しろと言うのはあたりまえですね。しかし、それは必ずしもストライキに入ってしまった後まで効力のあるものではなくて、事前に出勤しろと言うのはあたりまえだけれども、ストに入ってしまえば出勤命令したということにはならないのでしょう。そういうことになりませんか。
  29. 加賀谷徳治

    ○加賀谷説明員 国鉄が勤務というものの基本的な考え方として伝統的に従来から考えておる基本は、こういう公共機関でございますので、いつでも列車を動かすという体制を整えておくということに基づいて全体の出勤命令を出すということでございますが、そのほかに、これは違法な行為でございますから、そういったものには、それは拠点であろうと非拠点であろうと、それにかかわらず全体につきまして、そういう違法な行為をするな、争議には参加するなと——黙っておってもそれは出勤命令があることにはなるのですが、そういったときには特に出勤命令を出すというチェックもするというのを一応たてまえにしており、国鉄のような仕事の場合にはその方向で指導していくよりやむを得ないのではないかというふうに考えております。     〔委員長退席、佐藤(守)委員長代理着席〕
  30. 河村勝

    ○河村委員 どうしても動かそうと思って、かつてやったように乗務員の取り合いをやったり何かしておる時期ならわかります。だけれども、事実上そういうことをやっておるわけではない。ストライキが行われるのを傍観しておると言ったら失礼だけれども、まあ行われるのだと観念しておるわけですね。そうなると事実観念がまるっきり違ってしまうのでね。そういう場合には、いまのお話だと、ストライキに入ってからも出勤しろということを改めて言っているわけですか。そうなるとそれは現実に非常に合わないことになると思いますが、どうですか。
  31. 加賀谷徳治

    ○加賀谷説明員 いまの最後のお話ですが、ストライキに入ってからも出勤の確認という努力はやっております。これは現に駅のような場合は列車が動かぬとほとんど仕事がないというような場所もありますけれども、保守の現場とかいったようなところでは現におおむね平生どおりの仕事もいろいろあるというようなことでございまして、先ほど申し上げましたように、国鉄としましては列車が動かないということであきらめた姿は考えたくない。したがって、何とかして一日でも早く動かしたいというたまえをとる以上、私どもとしてはやはり出勤命令を出して出勤さすということに努力せざるを得ないというふうに考えております。
  32. 河村勝

    ○河村委員 電力とか保線とか、ストライキで汽車がとまっておればかえって仕事がしやすいようなところは一応別にしましょう。汽車がとまれば当然用がなくなるところが、過去の問題は一応切り離して、今度のようにストライキが何日も続く場合に、出勤せよと言って働かないのに給料を払っているということが現実的だとあなたは思いますか。
  33. 加賀谷徳治

    ○加賀谷説明員 勤務のたてまえ上、いま申しましたように出勤を確保するということに基本を置きまして、出勤命令にこたえて出てきた者については賃金カットはやはりむずかしい、こういうふうに考えます。
  34. 河村勝

    ○河村委員 それは形式論だな。実際はもう仕事がないことはわかっておるわけだ。だから、たてまえ論で今後もやると言うなら、これは見解の相違みたいなことで、どっちが妥当性があるかというだけに尽きるわけだけれども、今後こんなことがあってはならないが、しかし、実態が現在のようであれば、それは実態に即してやる方が経営者としてむしろ正しいというふうに考える方が私は本当だと思う。  そこで、法制局の方に伺いたいが、拠点ストというような形でやっておる場合に、ストライキをやっていない組合組合員は別として一この場合国労と動労と言っていいでしょうが、その場合に、汽車は全部とめる、しかし拠点でないところは出勤させるというふうに戦術的にやっておるわけですね。そういう場合にその戦術に従って組合員が出勤をしてきても、それは就労の意思なしとみなすことができるか、そして賃金をカッとすることができるか、その点はどう考えますか。
  35. 別府正夫

    ○別府政府委員 お答えいたします。  先ほど河村委員からもお話がございましたように、賃金カットは要するにノーワーク・ノーペイと申しますか、現実の労務の提供がなければ賃金支払い義務が使用者側に生じないというような考え方をとるといたしますと、その点は御異議ないかと思いますが、今回の場合、ただいま国鉄当局からも説明がございましたように、出勤命令をし、出勤命令に従って一応出勤しているという状態を国鉄当局がどう考えるかでございますけれども、一応出勤した状態でこれは就労している、労務の提供があったと考える以上は、これに賃金カットをするということはなかなかむずかしいのじゃなかろうかというふうに考えております。
  36. 河村勝

    ○河村委員 別段出てこないでもよろしいと言わなくても、さっきの話に戻りますが、一般的にストライキに入るまでは出勤せよと言うのは当然ですね。だけれども、ストライキに入った以後は黙っておる。黙っておれば、通常の場合いろいろな就業規則等によって出る義務はありますね。ストライキに入ってもなおかつ出てこいと特に念を押してだめ押しをしないで、就業規則はあってもそれ以上に特に念を押したり何かしない状態の場合、国鉄当局がこれは就労の意思ありと認めれば別ですが、一般論として、簡単に言えば就業規則に従って出勤したというだけの場合はいかがですか。そういう場合には就労の意思なしと認めてカットすることができますか。
  37. 別府正夫

    ○別府政府委員 お答えいたします。  ただいまの河村委員の御質問について、具体的にどういう事態かということを私たちの立場では必ずしもはっきり言えないわけでございますけれども、就労の意思なしと認めるか認めないかは結局使用者側の国鉄の判断ということにならざるを得ないんじゃないかということで、就業規則に従って出てきて、実際に仕事がないという状態が労務の提供がなかったということまで言い切ることはなかなかむずかしいのじゃないかという趣旨で先ほどもお答えしたわけでございます。     〔佐藤(守)委員長代理退席、委員長着席〕
  38. 河村勝

    ○河村委員 それは法律解釈にならないので、だから私は具体的に言っているわけですよ。事前には出勤せよと言うでしょう。言わなかったらおかしいのだ。だけれども、ストライキに入ってしまった後に特に意思表示をしない状態で、もちろんそれは就業規則等ではあるという、そういう状態で組合の指示に従って出てきたというようなことだな。簡単に言えばそういう場合の状態を言うわけです。それなら具体的でしょう。そういう場合にどうですかということです。
  39. 別府正夫

    ○別府政府委員 ただいま御指摘がございました組合の指示に従って出てきているかどうかという点について、どうも河村委員の御質問は仮定の御質問のようなことなので、今回の場合に当てはめてどう判断するかということは私もちょっと判断しがたい点がございますが、組合で意思決定をしたことと、個々の組合員が一応ストに参加しているか参加していないかということと——先ほどお話しのように、拠点でストに参加している組合員は就労の意思がないということが明らかだと思います。しかし、ストに参加せずに就業規則に従って職場に出てきているとか、あるいは職場に出てきているとみなされるような状態にあり、就労できるような状態にあるというような組合員が組合でストの意思決定をしたからといって直ちに就労の意思がなかったとみなすということを解釈上言うことは必ずしも適当ではないのじゃないかと思います。  特に、最初に申し上げるべきだったかもしれませんが、法制局の立場といたしましては、このような問題労使関係問題でございますので、法律の解釈がすぐに労使関係方向を決めるというような形になることは一般的には望ましくないことでございますので、労使関係に介入するというような形をとることは望ましくないことだということも考慮に入れまして先ほどのようなお答えをしたわけでございます。
  40. 河村勝

    ○河村委員 別段労使関係に介入してくれと言っているわけではなしに、純粋に法律の解釈としてどうなるかという客観的な事実を聞いているだけのことですよ。  そこで、それではもう一つ聞きますが、就労の意思があるかないかということは判別しにくいということを一応認めるとしまして、普通、民間企業であればロックアウトをすれば簡単ですね。しかし、ロックアウトは法律によって禁止をされているが、行われている争議が違法行為、違法ストであるから、片一方は手足を縛られていて片一方は事実上自由になっておるというかっこうですね。そういう場合に経営者側の方から仕事のないところに出勤をしてきてもそれは就労の意思なしと認めると言うこと、これが一種の正当防衛的行為としてできるかどうかということについてはどうですか。
  41. 別府正夫

    ○別府政府委員 ただいま御指摘がございましたロックアウトは、御存じのとおりに公労法十七条二項で一応禁じられているわけでございますけれども、ロックアウトに近いようなことをすることが認められるかどうかという御質問でございましょうか。——まず、そのロックアウト自体ということでございますと、法律上禁止されているということでございますので、たとえ労働側が違法のストをやっているからといって、経営者側がそれに対して目には目をということで、対抗手段として、正当防衛としてロックアウト自体が認められるかという御質問だとすれば、当方はやはりそういうことは認めない方が適当であるという判断をせざるを得ないわけでございますが、事実上ロックアウトに近いような状態が可能かどうかという点につきましては、これはまた具体的なやり方の問題でございますので、法律上どこまでがロックアウトであり、どこから後がロックアウトでない経営者側の対抗手段であるかということは、当方は具体的な事態に応じて判断せざるを得ないというふうに考えます。
  42. 河村勝

    ○河村委員 そんなにむずかしい事態ではないので、いま言ったように全然仕事のないところであっても、そこが拠点に指名されていないから組合員は出勤してきた、しかし働く仕事はないという場合に、経営者側の方ではせっかく出てきてもらったけれどもそれは就労の意思なしと認める。(「出てきたのだから意思はある」と呼ぶ者あり)意思なしと認めるということがぐあいが悪ければそうでなくてもよろしい。就労とは認めないのだ。意思の問題ではなく、就労とは認めないということだ。だから、事態は非常に単純でしょう。出てきたけれどもそれは就労と認めないと言うことができるかどうか。
  43. 別府正夫

    ○別府政府委員 河村委員のおっしゃる就労の意思なしと認めると経営側が……(河村委員「ちょっと待ってください。就労の意思でなしに、就労と認めない」と呼ぶ)現実に出てきてはいるけれども就労とは認めないということを経営者側が言うことが適当かどうかという御質問ですか。
  44. 河村勝

    ○河村委員 適当かどうかでなしに、それが違法かと言っているのです。
  45. 別府正夫

    ○別府政府委員 先ほど申し上げましたように、就労と認めないということは、一般的に就労と全部認めないということになりますと、実際にはロックアウトと同じような状況になる可能性は非常に多いかと思いますので、その際に公労法十七条二項との関係で法律問題が起こり得るかと思いますが、現実に国鉄の運行が不可能なような状況、労務の提供があっても、それを労務の提供として認めることが客観的にも明らかな場合にそれを労務の提供と認めない場合というものが絶対にないわけではないだろうと思いますが、具体的な実情に即して判断せざるを得ないというふうに考えます。
  46. 河村勝

    ○河村委員 そうすると、非常にアンフェアな状態が生じても、それを救済する道はないということですか。
  47. 別府正夫

    ○別府政府委員 いまのアンフェアな状態というものが、河村委員の御指摘になったような、就労と認めないということまで言わないとアンフェアな状態になるということなのかどうかという点については、私、いまこの場でそれがアンフェアな状態であるという判断をすることがちょっとむずかしいので、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。
  48. 河村勝

    ○河村委員 時間が尽きますから、これでやめます。
  49. 木部佳昭

    木部委員長 斉藤正男君。
  50. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 私は、過日大阪高等裁判所の民事第九部の沢井裁判長によって結審いたしました大阪国際空港公害訴訟問題について運輸省考え方を尋ねたいと思うわけでございます。  大阪空港は御承知のような状態でございまして、言うならば必要悪というようなことを認めながらも、現時点では大阪空港周辺の公害防除のために最大努力を払いつつあったやさきに今回の高裁判決が出たわけでございます。当然のことでありますけれども、住民側の、いわゆる原告側の全面勝訴という形であり、言いかえるならば、国側の全面敗訴という形があらわれてまいりました。これは当然なことであって、私どもはこの判決を別に高く評価をしているわけでもなければ、低く評価をしているわけでもない。当然の結果が出たと考えておるわけであります。  今回の大阪高等裁判所の判決に対して航空局長は当然の判決ですというように思われていると思います。そんなことはない、不満だから控訴したのです、控訴の事実を見れば満足していないということはわかるでしょうと言うかもしれませんが、これはいろいろな事情があってけしからぬことをおやりになったのであって、中村局長の本意ではないというように私は思うのであります。  そこで、今度の判決を聞き、もうすでにすべての内容を知悉されたと思うのですけれども、感想は一口に言っていかがでございますか。
  51. 中村大造

    中村(大)政府委員 率直に申し上げまして、今回の高裁の判決はわれわれが予想しておった以上にきわめて厳しい内容を含んでおるものであるというふうに受け取ったわけでございます。したがいまして、政府として今回上告の手続をとったわけでございますけれども、政府としては、従来から大阪空港に対してとってまいりましたいろいろな行政上の諸施策が今回の判決の中でほとんど評価されていないという判断をせざるを得ないばかりでなく、法律的に見ましても非常な問題点を含んでおるということで、最初に申し上げましたように、私自身としても想像しておったような判決ではなかったというふうに申し上げざるを得ないわけでございます。
  52. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 中村局長は良心が麻痺しておって人間性がない。そういう答弁を承ろうとは私は実は思っていなかった。  仮定の問題でありますけれども、三つに分けて立場を置きかえて考えてください。一つは、たとえばあなたが伊丹周辺の裁判に持ち込んだ被害住民の一人であった場合にはこの判決の結果をどう受けとめるであろうかということと、もう一つは、あなたが航空局長というような職になく、また、大阪空港周辺にも住んでいない、全く第三者的な立場にある中村大造である場合ということと、もう一つは、あなたがいま航空行政の、最高とは言いませんけれども最高に近いキャップであるということと、こういう三つに分けて考えたときに、伊丹空港周辺の被害激甚な地域の住民の一人であるといった場合と全くの第三者であるといった場合に、これをどうお考えになりますか。
  53. 中村大造

    中村(大)政府委員 これは非常にむずかしい御質問でございまして、私といたしましては、現に航空行政の一端を担っておる者でございますので、当然その立場で判断し、また感じ取るわけでございますけれども、しかし、そのときでも、自分が仮に伊丹空港のそばに住んでおったらどうであろうかとか、あるいは一般の人はこれをどう感じるであろうかとかいうことは当然私の脳裏にも浮かんでくるわけでございます。  そういうものをすべて総合いたしまして、私としてはやはり航空行政の担当者として感じ、また考える。こういう立場に現在置かれております以上そういうふうにならざるを得ないということでございます。
  54. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 あなたは私の質問に、たとえ仮定であっても答えていない。仮定の問題にはお答えできませんと言った総理大臣が昔あったそうでありますけれども、答えなければ答えなくても結構でして、私がたとえば大阪府豊中市の一市民であったり兵庫県川西市の一市民であれば、あなたの考えは違っていると思う。また、全く関係のない第三者であってもあなたの考えは違っていると思う。ただ、航空行政の当面の責任者であるということから、いまのような、意外だ、ひど過ぎる、厳し過ぎるというような答弁になったと思うのですよ。私は、あなたといえども血もあり涙もある一個の人間なんだ、いや、むしろきわめて航空行政に理解のある人間性豊かな人だ、運輸官僚には珍しいぐらいりっぱな考えを持っている人だと思うことがたびたびあったのです。しかし、いまの一言で私のあなたに対する評価というものは一変させざるを得ない。  大臣がいまおりませんけれども、私は、過日スト権問題大臣に会ったときに、木村睦男氏の評価を全く変えなければならぬ、ウルトラもウルトラ、どえらいウルトラであって、運輸大臣の衝に当たるような人ではないということを捨てぜりふのように言って帰りましたけれども、そこまでは私はあなたに言いませんが、しかし、立場はありましょうけれども、少し人間性に欠けた、被害住民の気持ちを無視した発言ではありませんか。あなたは、そうではない、航空行政の責任の一端を担っている者としてはこのように言わざるを得ませんと言うでしょう。それが能吏というものでありましょう。それがいまの権力政治の中の一枚の歯車として使わなければならない言葉でありましょうことはわかりますけれども、きわめて遺憾であり、残念であり、かつまたけしからぬ発言だと言わざるを得ませんので、これはきわめて一方的でありますけれども、私はそのように申し上げざるを得ないと思うわけであります。  そこで、先ほども申し上げましたけれども、大阪府豊中市、兵庫県川西市に住まいする住民二百六十四人が、昭和四十四年十二月から四十六年十一月までの間に三回に分けて提訴をいたしました。その内容は御承知のように大きく分けて三つある。一つは夜間午後九時から翌朝午前七時までの飛行場の離着陸の禁止、二番目は原告一人当たり五十万円の損害賠償、その三つは、将来補償として騒音六十五ホンになるまで原告一人につき月一万円の補償をしろということ、これが第一次の裁判の主たる原告側の要求でありました。  これに対しまして、四十九年二月に大阪地裁は一審判決を行いました。第一の要求に対しましては、午後九時を退けて、夜は十時まではよろしい、そして朝は七時であることは行政措置で実施済みであるということで、言うならば退けたと言っていいのであります。しかも、その内容には、午後九時を十時にした理由として、公共性を重視し、国際空港としての大阪空港は公共性の高い施設である、したがって九時とは認められぬということで退けた。第二の要求である補償につきましては、過去の損害賠償については居住地区あるいは居住期間等々でランクづけを行い、一部を認めるけれどもすべてを認めたわけではなくて、大部分についてはこれを認めなかった。三番目の将来補償については、全面的にこれを棄却し、退けたわけであります。  これに対して、当然のことでありますけれども原告は上告をし、そしてスピード裁判と言っていいでありましょうか、十一月二十七日の高裁の判決になったわけであります。一審の判決を見て住民側がきわめて不十分だということで上告し、国が受けて立った。この段階で、当時あなたは航空局長ではなかったわけでありますけれども、上告審が原告側に前進の方向で結審をするのか、あるいは高裁へ持っていけば被告側に有利な結果が出るのかというような判断についてはなかなかむずかしいところでありますけれども、原告側は当然一審に不満であって、上告審において有利な結果を期待し、積極的に上告をした。  受けて立った被告側である国はこの段階でどういう感想を持たれたのか、あるいは裁判の進行中いろいろな意見を求められたり資料を求められたことも当然でありますけれども、この上告の段階で当時その衝になかったのでわかりませんということは言えると思いますけれども、裁判の過程において裁判官の動向あるいは裁判の進捗状況等々から一審よりも厳しいものになると判断されたのか、あるいは一審よりもやわらかいものになると判断されたか、その点はいかがですか。
  55. 中村大造

    中村(大)政府委員 私も控訴審の途中で二回ほど証人として出廷いたしました。そのとき、私は、一審判決に対して国の主張がもっと認められるように最大限度の努力をいたしたわけでございますので、その限りにおいては、二審の判決は国の行政庁の立場というものがより認められる判決が出るものということを当然期待して最大努力を払ったわけでございます。
  56. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 しからば伺いますけれども、一審の判決の結果原告側が上告をしたのでありますから受けて立ったわけでありますけれども、もし仮に、これも仮の問題で大変恐縮ですけれども、原告側が上告しない、あれでおりると言った場合に国は判決に従いましたか。上告しましたか。当時その衝になかったからわからないと言わないで、仮定の問題で恐縮ですけれども、これはいかがですか。
  57. 中村大造

    中村(大)政府委員 私、当時その衝にはありませんでしたけれども、控訴の理由内容といたしますものは、この差しどめ請求に対して、実体的には十時という、現に行政庁がとっておるカーヒュータイムと同じことでございますけれども、本来行政権をもって措置すべき事項を司法の立場において決定をした、判断を下したということについては、これは実体的にはもちろんのこと、法律的にも非常に問題があるということでございます。  それから、損害賠償ということになりますと、これは違法性というものの存在を前提とするわけでございまして、この点についても、従来から行政庁としていわゆる環境基準を達成するための努力というものを続けておりますときにそのような認定をされるということは、これまた実体的にも法律的にも大きな問題になるということでございますから、国としては原告側の控訴のいかんにかかわらず控訴をしたというふうに私は判断いたします。
  58. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 歴史的な水俣裁判を初めとして、当時民間の四大公害裁判がいずれも原告側の勝利に終わった。勝利という言葉を私は使いたくない。当然の結果が出ていた。また、出ようとしていたのです。こういう時代の要求といいますか、変遷といいますか、人権尊重の思想がほうはいとして国内外に巻き起こっているときに、公共性云々の理由によって、あるいは国家権力の存在を盾にして裁判所が適当な判決を下すだろうなどというような予想は全く認識も不足であり、その時代における国民の公僕としての役人の使命というものはそのこと一つをとってもきわめて疑問視されなければならぬ。  たとえ原告側が上告しなくても第一審ですら国が上告したであろうなんという答弁は全く非国民的であり許せない。言語道断だ。私はそういう考えを持っているから、後ほど触れますけれども、新幹線騒音訴訟等についても、国の態度、国鉄の態度がきわめて横柄であり、横暴な態度に終始をするという発想の根源に間違いがあるのではないかというように言わざるを得ないのであります。  そこで、今度の判決は憲法と人格権あるいは環境権等に敷衍をして、きわめて当然なことでありますけれども、含蓄のある内容になっていると思うわけであります。すなわち、憲法十三条における個人の人格の尊重あるいは二十五条における人間の生存権の主張、こういうものを基本理念として、いかなる相手であろうとも、基本的人権を侵害をし、個人の尊厳を侵し、生存権を脅かすといったようなものに対しましては、法の番人である裁判所は、当然のことであるけれども厳正な判決をするということが実体的に二十七日の判決文で明らかになってきたと思うわけであります。しかも、より予防的な見地から環境権を容認をしたということは、将来補償についてもこれを認め、しかもよかれと思ってやろうとした航空会社や運輸省のエアバス導入についてさえ、住民との話し合いができない限りまかりならぬという再度の態度を表明された。このことはきわめて重大だと思うわけであります。エアバスの導入は正直言って私どももこれ以外にないだろうというように思っている。しかし、これすら住民の理解なしには、了解なしにはやってはいけないという決定は、いま申し上げましたより予防的な見地から環境権を容認し、憲法の条章に忠実に裁判所が態度を表明したということは当然なことでありますけれども、画期的であります。     〔委員長退席、佐藤(守)委員長代理着席〕  こういうものが出るだろうということはほぼ予想がついたはずなのに、いま承りますれば、航空局長みずから二度も出廷をして政府の見解をるる述べられた。にもかかわらず、これらがすべてと言っていいほど取り入れられず、言うならば裁判所は、政府の言うことは当てにならぬ、何を寝言を言っているんだ、願を洗って出直してこいと言わんばかりの判決の内容になっているではありませんか。これはそうした意味で当然な判決であり、憲法の条章に照らして人格権なり環境権をさらに予防的な見地から明瞭に認めたということは当然なことであるけれども、それにしても政府の態度というものは一寸先が見えない全く無用な抵抗をしたというぐらいにしか実は思えないわけであります。  大臣がお見えになりましたが、私は、去る二十七日に大阪高裁が結論を出しました大阪空港公害訴訟問題をいま中村局長に伺っているわけでありますけれども、局長は、あの判決を聞き、内容を読んで、全く意外だ、けしからぬ判決を出したと言わんばかりの答弁をなさいましたけれども、まさか大臣はそんなことを考えていないと思いますが、大臣、あの判決を聞き、内容を読み、そしてまた関係者は直ちに上京をし、あなたにも面接をして、上告をすべきでない、ぜひこの判決に服して諸施策を判決文どおり実施をしてほしいという要望を承ったと思うのでありますが、率直に言って、大臣、あの判決の結果をどのようにお考えでございますか。
  59. 木村睦男

    木村国務大臣 大阪高裁のあの判決を見まして、私も、過去に余り同じような例を見ないきわめて厳しいといいますか、あるいは特異なといいますか、そういう判決であるという感じをいたしたわけでございます。  これにはいろいろ問題をたくさん含んでおりまして、運輸省といたしましては、国民のために、最近非常に増加しつつある航空輸送要請にこたえなければならぬという公共的使命を持っておるわけでございます。そのことを使命としながらも、他面、環境問題、騒音あるいは排気ガス問題等についての接点において司法機関がどういうふうにこれを判断されるかというところがあの高裁の判決の中にあらわれておるわけでございます。その感じを一口に申しますと、それにしてもまことに意外と言えばちょっとオーバーですけれども、特異な内容を持っているなあという感じを私は受けたわけでございます。  これにはいろいろ法律問題もございまして、一、二点私が感じました法律問題を言いますと、午後九時以降の着発便を全廃しろという問題でございます。事の内容は別といたしまして、空港における飛行機の着発時間その他について、司法権の判断としてそこまで行くのが果たして行政権とどういう関係にあるのか、これは司法権と行政権との限界というものがどうであるかという点において少なくとも私は疑問を持たざるを得なかったわけでございます。  それから、損害賠償の中身につきましても、過去の分についての補償がいろいろと明記してございます。補償の額、範囲、その他いろいろ問題がございますが、それも一つ問題でございますが、もっと大きな問題は、将来にわたってこの請求権を認めるということ、しかも、なお、すでに現状で騒音が起こりつつあるということがわかっていながらその後その下に移り住んだ者や今後移り住む者についてもなお補償を出すべきであるということ、いわば人格権といったようなものが中心の論理の展開による判決の内容でございます。  その他いろいろあるわけでございますが、そういうふうな問題について今後行政を進めるにつきまして、少なくともこれは一つの判例になるわけでございまして、ただ単に大阪空港の問題に限らず、他の空港にも同じような問題はあるわけでございます。また、これは空港のみならず、新幹線あるいはその他交通機関でも騒音や排気ガス等すべてが発生しておるわけでございますから、いずれそういうところにも波及する。こうなると、公共的な使命を持つ運輸行政、交通行政をどうするかという問題にもかかわり合いがある問題でございますので、これはやはり司法権の最高の機関の最終的な判断を仰がなければいけないという判断をしたわけでございます。  したがいまして、仮に同じ判決が出るといたしましても、私の考えはそういう考えに基づいて上告を決意をしたわけでございますので、もちろん、今回の判決の内容そのものについて、量定その他についても意見はございますけれども、上告をいたしました根本的な政府の態度はそこにあるわけでございます。そういう趣旨で上告を決意したようなわけでございます。  しかし、同時に、あの判決に示しておりますところの、少しでも騒音をなくして関係住民の被害をなくするという点は従来とも一生懸命になってやっておりますし、今後とも周辺対策は進めてまいる決意でおります。  実は、これは昨年来相当進めてまいっておるのでございますけれども、あの判決の内容を見ますと、どうもそれが余り評価されていないというふうな点につきましても私たちとしてはいささか、という感じも持っておるような次第でございまして、そういう点は判決にかかわらず努力をすることには変わりはございません。
  60. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 大臣局長にまた輪をかけて非人道的な考え方を持っておるということがはしなくもわかったわけでありますが、たとえばこの裁判の結果いろいろな論評がありますけれども、「裁判と行政」ということで、「裁判になると国は公共性を叫ぶだけ。裁判になるまでになぜもっと誠意を尽くさないのか」「誰でも裁判などしたくない。住民を裁判に追いやるのは行政当局側の無策と不誠意です」ということを言っている人たちもあります。また、この日の判決でも、「住民が被害の実情を訴え、陳情を繰り返したのに対し国の騒音対策はすべて不十分。公害対策を後回しにして航空機の利用増加を急いだ」と認めている。これは判決文の中に書いてある。また、「「裁判になったとたんに、不十分ながらも行政対策が動き出す」という奇妙な因果関係指摘する人は多い。たとえば大阪空港の場合、四十四年の提訴直後に夜間のジェット機規制を国が打ち出し、その後四十五、四十七、四十九年の三回にわたり規制を強化した。」というように書かれたり言われたりしているわけでありまして、私は、せっかくの大臣お答えでありますけれども、これは全くのしをつけて返上しなければならぬ答弁だと考えております。  しからば伺いますけれども、これについて今度は国が先に上告をした。原告側は、この辺で矛をおさめたい、不十分だけれどもやむを得ないという一面謙虚な態度をとったにもかかわらず、国が問答無用で今度は先に上告をしたわけである。しかし、最高裁の判決が高裁判決よりも前進したものが出る可能性もあるのですよ。後退なんということは許されぬし、後退はないと私は確信をしている。もし最高裁がこの高裁判決よりも原告側に前進をした結審をしたという場合に、時の航空局長、時の運輸大臣責任は万死に値すると私は思うのです。あれは裁判所のやることだ、あのときたまたま私は航空局長であり、たまたま私は運輸大臣をやっていたにすぎないというようなことでは免れることのできない人道的な責任を行政責任としても持つべきだと私は思うのです。したがって、上告などしないで謙虚に過ちを率直に認めて判決に服すること、それこそ法を守る行政官のとるべき態度ではなかったかと私は思うのでありますけれども、もし仮に最高裁判決が同等であったりこれ以上であった場合は何と責任をとるのか。  そのときには航空局長でもないし、運輸大臣でもない、それはそのときの責任者のやるべきことだなどと言って逃れ得る問題ではない。首脳部は鳩首会議を行い、十分検討の結果、これでは不満だ、必ず最高裁では勝ってみせるという自信と確信を持ってやったに違いないと思うのですが、もし仮に同等であったり、これよりも前進した判決が出た場合は何と責任をとるか。大臣、いかがですか。
  61. 木村睦男

    木村国務大臣 先ほど申し上げましたように、行政権、司法権との関連その他法律問題として納得のいかない点も多々あるわけでございまして、われわれとしては運輸行政を推進していく責任を持っておるわけでございますから、したがって、われわれがやっております運輸行政の基本的な考え方とこの判決に示されておる面から割り出してくる運輸行政というものとの間に考え方の違いがあるわけでございます。そこにわれわれが納得できない点があるわけでございますので、私は、運輸行政の責任を果たすという責任の立場から考えましても、最高の司法機関の最終判断を仰ぐということはわれわれが責任を持って仕事をする義務ではないか、と、かように考えて上告をいたしておるのでございます。  それなるがゆえに、被害者の被害を軽減するためには上告するとか判決を受けるとかということとは関係なしに周辺対策をより一層強力に進めてまいりますと申し上げておるわけですが、これはそういうわれわれの考え方を地をもって示していくことになるわけでございますので、その点はわれわれの意のあるところをひとつ御理解いただきたいと思うわけでございます。
  62. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 せっかくのお答えですけれども、あなたは大体一九五〇年代の頭じゃないですかな。二十年古い。今度の大阪高裁の判決についていろいろな論評が行われておりますけれども、そのほとんどが七〇年裁判の一つの型、パータンというものを定着させたと言っているのですよ。「提訴以来六年、午後九時からの夜間飛行禁止という住民の差止め請求が認められた。それは、住民に「静かな夜」を取り戻しただけでなく、空港という大規模公共事業でも、住民の「被害」の上に成り立つものは許されないこと——換言すれば「公共性神話」が崩壊し始めたことを意味し、今後の公共事業あり方に与える影響ははかりしれない。大阪空港公害訴訟が七〇年代型公害裁判といわれるのは1イタイイタイ病など四大公害訴訟が私企業を相手にしたのに対し、空港という公共事業(国)が対象2単に損害賠償だけでなく、飛行禁止を要求、実害の排除を求めた3被害地域、被害者が広範などの違いがあるからだ。また公害発生源の“差止め”という一歩踏み込んだ請求の法的根拠として「人格権」に加え、より予防的な「環境権」が主張され、これが同じく大規模公共事業である新幹線のほか、民間事業でも「公共性が高い」とされてきた発電所、製鉄所などに対する差止め訴訟に引き継がれ「七〇年代公害訴訟」の性格を定着させた、とこういう論評があるわけでありますから、五〇年代の頭で、けしからぬだとか、意外だとか、上告をするのはあたりまえだとかというような考え方でいると、」これは公共性などという言葉は全く適当に使っていいときでも使えなくなってしまうような重大な過ちを犯すことにもなりかねない。酷評だと言うかもしれませんけれども、私はそのように考えておるわけでございます。  私は、今度の判決に対する国側の上告というものは、きわめて偏見を持ち、しかも権力主義に終始をし、住民の気持ちをそんたくしない暴挙と言っても言い過ぎではないというように考えておるわけでございますが、やがて最高裁の判決がより前進した方向で出るでありましょう。そのときには中村大造氏がどこにいようと、木村睦男氏がどこにいようと、どういう顔をしてその判決を聞き、読んだか、草の根を分けても捜してお目にかかって、間違っていましたねと申し上げますからね。よくひとつ肝に銘じておいていただきたいと思うわけであります。  この私の意見をさらに補強するような形で、適切な措置だと思いましたけれども、九時以降の離着陸をやめ、そのかわり需要にこたえるという立場からエアバスの導入を航空会社は決め、運輸省もまたこれを認可をする方向を即応体制として直ちにとった。運輸省としてはわりあい手際のよい措置であったと思いましたけれども、あにはからんや、裁判所はこれさえも住民との話し合いがつくまではまかりならぬという、いわゆる追い打ち的な決定をされた。これはいかに今度の判決が根拠があり、理論的であるかを示したものであり、民間企業であれ政府企業であれ、公害裁判というものはこういうものですよということを端的にあらわしたものだと私は思う。  率直に申し上げまして、先ほども言いましたけれども、このエアバスの導入を、これしかないんじゃないかなと私は思ったんですよ。にもかかわらず裁判所はこれすらいかぬと言ったわけだが、局長、そのときあなたはこれまた一体どういう感じでこれを受けとめましたか。
  63. 中村大造

    中村(大)政府委員 これもまたおしかりを受けるかもわかりませんけれども、エアバスがどうしていけないのか、どういう根拠でそういう判断をされたかということがわれわれにはどうしても理解できないわけです。もちろん、このエアバス導入についての地元への説明が不足であり、したがって理解が十分されていない向きもあるということは客観的に理解できるわけでございますけれども、少し詳細にエアバスというものについて研究をされるならば、エアバスは決して航空会社の営利のためにばかりあるものではなくて、むしろ、これは、最近の科学力を駆使して安全性と低騒音化を徹底した、しかも輸送効率ということも格段の進歩をした画期的な新しい機種で、もうすでに世界じゅうはおろか、日本の空港におきましても、大阪空港以外の大きな空港はすべて就航しておる。そういう実態であるにもかかわらず、このエアバス導入について全く否定的な見解を示されたということについてはわれわれとしては非常に残念であります。ただ、これが地元住民の了解を得なければならないという一つの歯どめがされておるところにいろいろ問題があろうと思います。  われわれは従来からエアバスのメリットについて説明をし、また理解を深めるべく努力をしたわけでございまして、この努力は今後も一層続けなければならないと思いますけれども、エアバスを導入して思い切って大阪空港の便数を削減しなければ、裁判所でも言っておられるようないわゆる空港の周囲の環境をよくするということはできないという信念のもとにわれわれはエアバスを計画しておるということをぜひ御理解をいただき、逆に、エアバスを導入しないで減便をいたしますと大阪空港はもはや一つのローカル空港に成り下がる、それが大阪の経済圏を支えていく上にいいかどうかということも御批判をいただきたいというように私は思っておるわけであります。
  64. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 私にも若干そういう気持ちがないわけではございません。しかし、なぜ裁判所がエアバス導入を拒否したかという根拠には、エアバスそのものに対する住民の理解といったものが不足をしているという点もありましょうけれども、もし仮にエアバスの性能なりあるいは公害性についてるる説明をし、了解を得ようと努めたところで、先ほどの話ではありませんけれども、歯には歯、目には目という感情が住民にあるし、裁判所もまた前段に申し上げましたような判決を出した以上、そう簡単にこれを認めるというわけにはいかぬと思うわけであります。     〔佐藤(守)委員長代理退席、委員長着席〕  したがいまして、一審と二審との違い、あるいは今後の大阪空港対策を中心とした日本航空行政についていろいろとお尋ねしたい点もありますけれども、時間がありませんからそれはさておいて、エアバスさえ導入できない大阪空港はもはやローカル空港だ、国際空港ではないとさえ断言していいと思うのですよ。言うならば、これは欠陥空港であるという烙印を押されたと言っても差し支えないと思うのです。これをいつまでも使うということは国にとってもやはり重大な経済負担にもなるし、それにも増して付近住民の苦しみを倍加させることになっていく。  しからば、大阪周辺に空港がなくていいのかどうかということになってきますと事は重大であります。新大阪空港建設の声が最近全く消えてしまって、あれほど大がかりな調査をし、あれほどかねや太鼓で用意をされたのに、新大阪国際空港は断念をしたのではないか、どうなっているのか、ひとつ現況と見通しを承りたい。
  65. 中村大造

    中村(大)政府委員 その前に、私の答弁でちょっと舌足らずの点があったと思いますけれども、エアバスを入れなければローカル空港になると申し上げたわけではなくて、エアバスを入れないで減便だけをすれば輸送力は非常に落ちるし、落とさざるを得ない、したがってそういう状態ではローカル空港としての機能しかもう果たせなくなるのではないか、と、こういう意味で申し上げたわけであります。  それから、新関西空港でございますけれども、これは予定どおり昭和六十年前後に開港という見通しで、今年から大体三年間ぐらいの日時を費やしまして、答申で決められました泉州沖、あの現場付近で今度は現実に環境調査をやる、しかる後にあらゆる技術的な検討をいたしまして、五十三年終わりごろから着工にかかりたい、そして六十年前後に完成するということで、したがって、いずれにいたしましても今後十年間はかかるということは答申をちょうだいいたしました当時からの計画でございます。  大体そのような目標で、現在、現地における環境調査の具体的な方法等について地元の地方公共団体といろいろ協議をいたしておる、これはやはり急ぐわけでございますけれども、しかし、地元の意見を十分に聞いていたしませんといけませんので慎重にやっておる、こういうことでございます。
  66. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 そうすると、内陸型でなくて瀬戸内海埋め立て方式による、十分な調査関係住民の理解を得るために三年ほど努力をする、六十年には間違いなく飛行機が飛ぶ、と、このように受け取ってよろしいか。
  67. 中村大造

    中村(大)政府委員 六十年前後ころという程度に御理解いただきたいと思います。
  68. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 その新関西国際空港ができた場合、いまの大際空港は廃止をする。そのとおりでよろしいか。
  69. 中村大造

    中村(大)政府委員 大阪空港をどうするかということは、新空港が完成する時点において廃止ということも含めまして検討をするということになっておりますので、すべてはその時点で検討をいたしたい、その場合には当然地元地方公共団体の意見等も十分に徴して決定をする、こういうことになろうと思います。
  70. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 答弁をこういうようにしたら質問者は納得するのじゃないかなということを含みにあなたは言うのだけれども、まじめだというのか、回転が遅いというのか、満足な答弁が得られなくて残念ですが、大阪空港の問題はそれでいいです。きわめて不十分な答弁で不満です。  せっかく総裁もいらっしゃいますので伺いますが、大阪空港公害問題で大阪高裁の判決が出たのを機会に、新幹線公害で名古屋で訴訟に持ち込みいま係争中でありますが、国鉄並びに運輸省が協議をして、住民の要求をのんで結審を待たずに和解する気持ちはありませんか。  これは鉄監局長にまず答えていただいて、大風でもいいですが、次いで総裁に答弁をいただきたいと思います。
  71. 住田正二

    ○住田政府委員 現在名古屋で新幹線の騒音に関しまして訴訟が行われておるわけでございますが、訴訟の当事者国鉄であるわけでございまして、和解をするかしないかという問題は、第一次的には国鉄問題になるわけでございます。  ただ、私どもといたしましては、ことしの七月に出ました環境庁の告示をどういうふうに実現していくかということで国鉄と相談いたしまして、現在実施要領をつくっているわけでございます。  現在の政府方針とすれば、あの環境基準を達成するという点にあるわけでございまして、訴訟の問題は別の面から取り上げられている問題でございますので、和解問題は、国鉄の方でそういうようなことを考えればその段階でまた相談いたしますけれども、私どもといたしましては環境基準の達成ということに全力を挙げたいと思っております。
  72. 藤井松太郎

    ○藤井説明員 大阪空港の件につきましては先ほどの御論議のとおりでございますが、空港の問題と新幹線の騒音とは大分性格も違うし、範囲も違いますので、これは御承知のように名古屋で裁判も係争中でございますが、私どもとしては、やはり法の裁定を待つというのが妥当な道であろうと思うのでありまして、したがいまして、和解するつもりはございません。
  73. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 遠からず判決が出ると思いますけれども、結果は明々白々であります。国鉄側の全面敗訴になることは間違いない。そして、恐らく、また例によって運輸省とも相談をして上告をする、また住民側に前進した方向で判決が出る、性こりもなく最高裁へ持ち込む、また敗れる、これは明らかですよ。七〇年代の公害訴訟というものはもう一つのパターンができたので、何と抗弁しようと、何と焦ろうと、何と権力を使おうと、基本的人権の侵害は許されないという憲法の精神と世界的な人権尊重のとうとうたる思想の流れは、何人といえどもこれを食いとめることはできない一つの大きな流れだと私は思うのです。やぼなことは言わずにこの辺で和解の道を考えたらどうか。私は親切に言っているつもりなんですよ。  また、運輸省は、当事者国鉄であるので運輸省はあれこれ言う立場にはありませんというようなことを言うが、それを官僚主義と言うのです。運輸省国鉄監督、指導する立場にある。したがって、悪いことばかり監督、指導しないで、たまにはいいことも監督、指導したらどうですか。やるやらぬは別として、真剣に私の提案を一遍国鉄当局と相談をしてみてごらんなさい。  これは判決の結果は明らかですよ。国が全面敗訴ということを二度、三度繰り返す愚はもうやめるべきだと私は考えるが、国鉄運輸省は和解について協議をするつもりはありませんか。いかがですか。
  74. 木村睦男

    木村国務大臣 斉藤委員は判決の結果がもう明らかだとおっしゃいますけれども、これはやはり予断をもってどうこうするわけにはいかぬと私は思います。したがいまして、判決の結果をもらいまして、どういうふうな判決になったかということで進むのがとるべき態度ではないかと私は考えておるわけでございます。  国鉄がどういうふうに考えておるかは知りませんけれども、私はそういうように考えております。
  75. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 せっかくの私の親切な提言も受け入れる余地は全くない全面拒否の答弁です。木村さんならそんな答弁を私も予想していましたけれども、それは国民のために不幸であり、三木内閣のためにも残念なことであり、日本のために非常に残念なことだというように私は考えざるを得ないのであります。過日のスト権ストと称する八日間の列車の運行停止によって、名古屋の沿線住民は、再び春がよみがえった、よく眠れる、頭の痛いのも治った、食欲も進むということで全く全面的にストライキを支持し、これに賛成をしたというのですが、こういう素朴な住民感情を逆なでするような答弁は運輸大臣として適当な答弁ではない。  あといろいろ聞きたいと思いましたけれども、もう大体の答弁はわかりますので、終わります。
  76. 木部佳昭

    木部委員長 梅田勝君。
  77. 梅田勝

    ○梅田委員 最近、政府は、きわめて明快な問題に対して明快に答弁をしない。そして長々と答弁をしてますます問題をはぐらかす。これが最近の目立った特徴でございます。きょうはたくさん質問したいと思いますので、答弁の方は簡潔にお願いを申し上げたいと思います。  まず、第一は、官公労のストライキ権問題についてでありまして、運輸大臣質問をいたしますが、重要なことは、政府が一貫して官公労働者のストライキというものを犯罪視しているところに問題があろうかと思います。言うまでもないことでありますが、ストライキというのは、労働力を売ることによって生活をしている労働者が必要な場合に同盟をして労働力を売ることを拒否する自由を行使しているにすぎないわけであります。先ほども世界の大勢論がありましたけれども、これはもはや世界の大勢であります。近代社会の常識であり、わが国の憲法もこれを労働基本権として保障していることはよく承知のところであります。  問題は、このストライキを犯罪視するところから、ストライキ権と、ストライキに権利の字をつけて、いわゆる労働基本権として主張しなければならぬ問題が発生しているわけです。したがって、このストライキ権問題の解決としては、ストライキ権の中身ですね。まず第一に刑事罰からの解放、第二に民事上の賠償責任の免責、第三に解雇その他の処分の禁止、と、これが権利の内容として保障されなければ問題解決にはならない。  ところで、去る一日に政府基本方針が発表されました。これに対して新聞論調は筆をそろえて、あいまいな政府声明、よくわからぬ、肝心の労働省でさえ何よりも検討方向をどちらにするのかを決めないと検討のしようがない、と、こういうように厳しい批評をしているわけです。  そこで、大臣に伺いますが、政府基本方針によってこれから政府ストライキ権を認めるのか認めないのか。この一番大事な点についてお答えを願いたいと思います。
  78. 木村睦男

    木村国務大臣 ストライキ権につきましては、労働法等に規定されておりますように、いま梅田委員がおっしゃったような内容を持っておるものだと私も思うわけでございます。それが公労法によって公共企業体に禁止されておるわけでありますが、禁止されておるのにはまたそれだけの理由があって禁止されておるわけでございます。  そこで、午前中もいろいろお話がございましたように、今日まで二十年以上のいきさつを経て今回三公社現業ストライキ権問題について政府一つの見解を明らかにしたわけでございます。いま梅田さんから一体ストライキ権を認めるのか認めないのかという御質問でございますが、実は、認めるか認めないかということをこれから検討をしてまいりまして、その結論が認めるという結論になるのか認めないという結論になるのか、あるいはまたその中間的な、いわゆる条件つきのようなもので認めることになるのかということを、あの五項目にわたる政府一つの手順なり考え方なりを基礎にしてこれから決めていこうということでございますので、いまそれは結論が出るべき問題ではございませんので、そういうふうに御理解をいただきたいと思います。
  79. 梅田勝

    ○梅田委員 それが先ほど最初に断りましたように明快にできることを明快にしないということで、これが最近の政府の特徴だ。いまの答弁はまさにそのことを証明していると思うのですが、ストライキ権を剥奪されて二十七年間労働者はしんぼうしてきたわけです。少なくともこの十年間はその決着をつけるということでやってきた。ようやくその時点が来ても——これから先に決着をつける。全然話にならない。  国鉄総裁にお伺いいたしますけれども、あなたはそれぞれの意見を持っておられると思いますが、この政府基本方針によって国鉄労働者ストライキ権が与えられるようになるのかどうなのか、どのように思っておられるかお答え願いたいと思います。
  80. 藤井松太郎

    ○藤井説明員 その件に関しましては過日来申し上げておるとおりでございますけれども、これはわれわれが国民から託された輸送という業務を労使協調して完全に果たすにはどうするかという立脚点から結論を出したものでございまして、政府御当局はより高次な御判断でいろいろ御議論があるはずなんで、その高次な御判断にわれわれの意見が織り込まれるような最大努力はいたす覚悟でございますけれども、次元が違う問題でございますので、にわかに政府が悪いとかいいとかと言う段階ではございません。
  81. 梅田勝

    ○梅田委員 いいとか悪いという質問をしたのじゃない。この基本方針によって国鉄労働者ストライキ権が与えられるようになるのかどうかということを聞いておるのです。
  82. 藤井松太郎

    ○藤井説明員 基本問題、なかんずく専門懇の御意見は、これはわれわれが批判される立場であり、国鉄をいかに運営していくかという、その当事者が批判を受けたということでございまして、ここでにわかに論駁するとかなんとかということにあらずして、謙虚にこれを検討して、それに従うべきものは従っていくというようなことでございまして、ああいう御意見が出たからどうこうということじゃございませんが、私自身の考えとしてはやはり先ほど来申し上げたとおりでございます。
  83. 梅田勝

    ○梅田委員 私の質問に答えてもらわなければ困りますね。この基本方針について、スト権が与えられるようになるのかどうか、あなたの受けとめ方を聞いておるのであって、批判せいと言うておるのと違うのです。この五項目政府基本方針についてあなたの批判的意見を言えというのではないのです。ストライキ権がこの五項目基本方針によって与えられるようになると思うのかどうかということを聞いておるのです。
  84. 藤井松太郎

    ○藤井説明員 その根本問題に関しましては、先ほど来大臣がおっしゃっておるとおりでございまして、ここでにわかに大臣がはっきり申し上げかねることを私がはっきり申し上げるわけにもいかぬので、これはやはりそういう私どもの考えが実現されるような努力をするということ以外は申し上げられません。
  85. 梅田勝

    ○梅田委員 専門懇意見書内容を見ますと、国鉄に対しては公共性を云々して、そしてストライキ権を与えることができないというような積極的な意見を盛り込んでいる。それを五項目においては政府は尊重する立場だということが言われている。これだったらストライキ権が来ないじゃないですか。どうなんですか。
  86. 藤井松太郎

    ○藤井説明員 政府もあれを踏まえて御検討くださるというふうに私は了解しております。
  87. 梅田勝

    ○梅田委員 大臣にお伺いしますけれども、ストライキ権というのは、言うまでもないように、憲法でも保障されているように労働基本権であって、永久に侵してはならない権利として保障されている。だから、この問題の決着は、まずストライキ権を与えること、認めること、これが前提にならなければ幾らたったってこれは解決もつきませんし、労働省だって検討のしようがないと言っているんだ。あなたも闘僚協の一員で国務大臣なんだから、政府基本方針について、どちらになるかわからねというようないいかげんな態度であってはいけないですよ。長い問議論してきたんだからね。  この専門懇意見等を見ると刑事罰さえにおわしているわけでしょう。あなたはどうなんですか。ストライキに対して刑事罰を与えろという意見ですか。どうですか。
  88. 木村睦男

    木村国務大臣 梅田さんはストライキ権は憲法上不可侵の権利であるとおっしゃいますけれども、実はそうじゃないと思うのです。憲法の中でも公共の福祉との調和ということがちゃんとうたってあるわけでございますから、それだけの制約はついておるということを前提議論しなければ議論はかみ合わないのではないかと私は思います。したがって、そういう前提のもとにストライキ権というものを考えておりますし、公共性の高い三公社の仕事等は特にその点がこれに作用をしておりますからこそ今日ストライキ権が認められていないという問題になっておるわけでございます。そういうことでございまして、今回政府としてあの五項目を基本にしてこれからこの問題検討してまいるわけでございますが、専門懇意見は私も精読をいたしましたけれども、それなりに一つの筋の通った見解である、と、かように私も評価をいたしております。  しかし、専門懇意見をそのまますぐに政府意見にするということではございません。もしもそのままにするんだったらいますぐ結論が出るわけでございます。専門懇意見も尊重しながら、今後いろいろな角度から政府として十分考えてこの問題結論を出すということでございます。  刑事罰をつけるかつけないかという問題も非常に大きな問題で、議論を呼ぶ問題だと思いますが、こういう問題も、これは検討の中ではいろいろな角度からいろいろな問題を残すことなく検討していかなければなりませんから、いろいろな問題の中にはやはりそういう問題も当然検討の中には入ると私は思います。  ただ、そう私が言いますとすぐ誤解を生ずるわけでございますが、じゃあおまえは刑罰法規をつけるというふうに考えておるなというふうにおっしゃっては困るのでありまして、検討というものは、採用すべきものもすべからざるものもすべて全部検討してみないと本当の検討にはなりませんので、そういう意味で申し上げておるので、誤解のないようにお願いをいたします。
  89. 梅田勝

    ○梅田委員 いままで長い間かかってそんな問題検討してきたんだから、最後の政府の決断をつけるときに来てなおかつそういうように問題を先に引き延ばすということは非常にひきょうですよ。あなたは公共企業体の中でも国鉄という一番大きな国民の足を預かっている運輸大臣です。そして、特にこの問題については国鉄総裁でさえ条件つきスト付与論を言われたことがあるんですから、私はそれはいいとは言いませんけれども、完全に与えるべきだと思いますが、その方が当事者でさえ紛争は少なくなると言っている。だから、あなた自身が閣僚協の一員であり、国務大臣として、まだ決まっていないんだから、この際積極的に意見を述べて、政府のしっかりとしたスト権に対する態度、これを完全に保障していくという態度を推進していかなければならぬというように思うわけです。  大体、公共の福祉の問題も言われましたけれども、こんな議論をしておったら切りがないのでありますが、スト権を剥奪したのは、何遍も言いますように占領軍の一片の手紙によって剥奪された。憲法が保障し、その当時の労働法が保障しておったことを、一片の占領軍の命令によって、手紙を命令と称して剥奪したんじゃないですか。そもそもが違法ではないですか。あなたは違法スト、違法ストと繰り返して言っておるが、だれが法を破ったかといえばあなた方自身ではないですか。これはどうなんですか。
  90. 木村睦男

    木村国務大臣 公労法は占領中の法律でございますから、もちろん占領軍のいろいろな指示があって、最終的には国会で決まった法律でございますが、占領軍の指示があったから違法だとおっしゃれば皆さんが尊重するとおっしゃっておられるいまの憲法も同じでございますので、それは同じ議論になると思います。
  91. 梅田勝

    ○梅田委員 国民の基本的な権利を保障している部分についてはわれわれは現在の憲法を支持している。そうでない部分についてはわれわれは保留しているんだ。ところが、この労働基本権というものは憲法も保障し、労働法も保障し、世界の大勢じゃないですか。それを最初は一片のあれで取り上げて、あとは占領軍批判の問題については国会で議論することもならぬ、速記も停止という状態で公労法を強行したんじゃないですか。しかも、三木さんは当時国民協同党の党首をしておられましたけれども、その党の大島君の本会議における発言を見ても、「過渡的な、一時的な国辱的法案が撤廃される日の来ることを切望して」と言わざるを得なかったようなしろものではないですか。みずから法をじゅうりんしておいて、そしてその法を守れというのは、まさに治安維持法的発想だと私は思いますね。  そこで、国鉄総裁質問いたしますけれども、公労法の十七条によって争議行為が禁止されて、これに対して救済措置としていわゆる仲裁制度というものが設けられたことは御承知のとおりであります。ところが、最初第一号の仲裁裁定が出てから何遍も不履行をしましたね。これは私に言わせたら、ストは禁止するわ、救済措置はやらぬわ、二重の犯罪ですよ。当事者だから当然最終的な服従の義務があるわけでありますが、この仲裁不履行によってこうむった労働者の損害というのはどのくらいになりますか。
  92. 加賀谷徳治

    ○加賀谷説明員 ただいま御指摘の裁定の実施が一部不履行になった事例は、昭和二十四年、二十五年、二十七年、二十八年と四回でございます。額につきましては詳細いまわかりませんので、また……。
  93. 梅田勝

    ○梅田委員 四回値切った、不履行二百十二億五千三百万円という資料が出ておりますけれども、当時の金額でそれだけですから、莫大な金額をいまなお不履行しておるという状態ですよ。どうですか、運輸大臣。仲裁裁定を不履行したのは政府責任じゃないですか。大体大きなことを言えないのですよ。ですから、この際、ストライキ権問題を円満に決着するためにも、このような過去の不履行について労働者は実損回復の要求を出しておりますが、これを政府の意思として解決するようにされませんか。どうですか。
  94. 木村睦男

    木村国務大臣 過去において、国鉄の職員の給与問題について、踏みにじったということでございますが、政府が勝手にふみにじったということではございませんで、申すまでもございませんが、それぞれ予算上、資金上それが実行できないというふうないろいろな当時の経済的な財政的な事情もございましたし、また、当時は民間ですら思うようなベースアップもできなかったというような経済情勢のもとでの一つの現象であるわけでございますから、これだけを取り上げられて、国鉄組合に非常な損害を政府が無法にも与えたという御批判は当たらないと私は思うわけでございます。  今後のスト権問題につきましては、たびたび申し上げておりますように、あの五項目前提に十分検討をするということであるわけでございます。いままで何年もかかってやらなかったものをまた延ばすとは何事であるかという御意見も確かにあるわけでございますが、それだけに、それくらい非常にむずかしく、また、国家の将来に非常に大きな影響を与える問題であるからこそこういうふうな時間をかけて検討をしなければならないと私は考えておるわけでございます。  なお、先ほど、こういうものはもともと違法なんだ、法律そのものが違法なんだという意味合いのお話がございましたが、すでに占領後二十三年間、いつでも直そうと思えば直せる状態にあった法律であるのにかかわらずこれが今日まで来たということは、やはり、国民が今日まで少なくとも公労法というものは適当な法律であるということを示しておるものであると私は認識をしておるわけでございます。  しかし、事実問題として、こういった三公社現業に対するスト権問題はここ一、二年の間いろいろと問題提起がされておりますので、そういった今日の社会情勢を踏まえて、これからこの問題について検討をいたそうということになっておりますので、いままでスト権を与えなかったことは違法であるとか政府の怠慢であるとかという問題とは何も結びつかない議論ではないかと私は思うわけでございます。
  95. 梅田勝

    ○梅田委員 それは長ければ長いほど、いかに政府が悪かったかということの証明になるのですよ。自慢することじゃないですよ。公労法だって、昭和三十一年のときには、政府は仲裁をけるからきちっと努力せいというような改正もやっているんだからね。だんだん労働者が闘ってきてようやくこの時点まで来たのですよ。いかにその間政府が反動的な態度を続けておったかということで、反省しなければいかぬですよ。その態度は何ですか。  最後に一つ尋ねますけれども、あなたは損害賠償の問題調査せいと国鉄総裁に言ったのですか。
  96. 木村睦男

    木村国務大臣 今度のストに関しまして国鉄が……(梅田委員「言ったか言わぬかだけ簡単に答弁してください」と呼ぶ)その問題につきましては国鉄総裁ともいろいろ話し合いをいたしました。しかし、これは運輸省が命ずるとかという問題じゃなくて、国鉄自体が決断すべき問題であります。
  97. 梅田勝

    ○梅田委員 大体、労組法によってちゃんと免責条項があるのだから、それは公労法でちゃんと除いてありますといったってあきませんよ。大体公労法でストを禁止しておること自体が間違っておるんだからね。話にならぬですよ。撤回するように要求したい。  まだまだこのスト権問題についてはたくさん言いたいことがあるのですけれども、時間がありませんので次の問題に移ります。  大阪空港の公害訴訟上告問題について質問いたします。  まず、運輸大臣質問をいたしますが、今度の大阪高裁における大阪空港公害訴訟の二審判決は非常に画期的なものであります。原告側の全面勝利に終わったことはよく御承知のとおりであります。ところが、国は、十二月の四日に訴訟団が運輸省交渉に行くとよく承知しながら、その前、二日にいち早く上告をした。これは訴訟団の人たちの感情を逆なでするもはなはだしいもので、非常に遺憾なことだと思います。わが党は厳重に抗議をして、この上告撤回をまず求めたい。  また、その上告の不当性でありますけれども、この空港問題におきましては、騒音やその他によって被害を受けておるのは明らかに大阪空港の関係住民であります。相当の数に上っている。だれが加害者かといえば、空港を設置している国である。だから、加害者と被害者の関係につきましては非常に明快でありますが、加害者が被害者を訴えるということはおよそ常識外だと思うのですね。まして、三権分立の時代で、国の側が裁判所において敗訴を受けるという場合は無条件に従うべきものですよ。それが普通の筋です。それをあえて最高裁がまだあるさということは普通弱い立場の国民が無実の罪を着せられたときに言う言葉であって、強大な権力を持っている国が言うことではないのです。それをやるということは非常にけしからぬ。まず、その点について御答弁願いたい。     〔委員長退席、西銘委員長代理着席〕
  98. 木村睦男

    木村国務大臣 午前中の他の委員の方の御質問にもお答えしたとおりでございまして、今回の大阪高裁の判決は、梅田委員はまさに画期的なものであるとおっしゃいましたが、私も別の意味で画期的なものだと受けとめております。そして、その中には、今後運輸行政をいろいろとやっていきます上において、われわれが運輸行政の責任者としてその責任を遂行する上において、法律上納得いかない点が二、三あるわけでございます。さらに、実体的な内容につきましても理解に苦しむところもあるわけでございます。したがって、そういう法律問題も含み、また、行政権と司法権の限界の問題等、非常に重要な三権分立にも関する重大な問題も含んでおるとわれわれは認識いたしておりますので、これはやはり司法の最高の機関の最高の意思というものを明確にしてもらわなければいけないというのが上告をいたしました基本的な理由でございます。  したがいまして、航空による騒音あるいは排気ガスの公害による被害者の救済を少しでも強く進めていく、また周辺対策をやっていくという点においては、判決のあるなしにかかわらず、今後とも一層進めていくわけでございまして、来年からも第二次空港整備計画を進める予定でございますが、こういった周辺整備、騒音対策というものに重点を置いて進める考えでおりますので、何も被害者の利益をじゅうりんして上告をするというふうな考えではございませんので、その点は御理解をいただきたいと思います。
  99. 梅田勝

    ○梅田委員 今度の判決というものは国によるああいう公害の問題について非常に画期的な判断を示したわけでありますから、単にこれは大阪空港のみならず、その他の、たとえば東京は東京都知事が同様の申し入れをされておりますが、それぞれの空港周辺に共通する問題だと思うのですね。それだけに、運輸省はこの判決の意義を正しく受けとめて行動しなければならぬと思うのですよ。上告は取り下げる必要がある。ましてや仮執行の差しとめ問題につきまして、国がそれを停止しろという申し立てをして、御承知のように逆に振りかえ増便は許さない、それから大阪空港へのエアバス導入には住民の承諾が必要だということになった。やぶをつついてヘビが出て、とにかく逆に厳しい判決を受けたわけですね。これはあなた方はどのように思っていますか。郵便局で現金の差し押さえをされて高裁に申し立てをしたら、また逆に厳しい決定を受けるようなものだが、これは恥ずかしいと思いませんか。どうですか。
  100. 木村睦男

    木村国務大臣 まず、今回の判決がいわゆる画期的なものであると私も思うわけでございますが、それだけにこれが今後の運輸行政を進めていく一つの覊絆になりかねぬとも言えない重大な判決でございます。ですから、上告をして、その司法権の最高機関の意思決定を待つということは当然やるべきことで、梅田さんの御意見から推しても上告するのが筋であろうと私は考えるようなわけでございます。  それから、この間の一昨日のあの決定につきましては、われわれとしては八時、九時以降の便の差しとめの仮執行についての差しとめの請求をいたしたのでございますけれども、これは期間の限定はございましたが、一応認めてもらった結果になっておりますが、それにつけ加えて、請求をしていないエアバス等においてああいうふうな断定的な決定が出たということは、これは本当に私は意外に思うわけでございます。これはもう抗告とかいった余地のない問題でございますので、なおさらこれは意外も意外に感じたようなわけでございまして、この疑問がどうしてもいまだに私は解けないわけでございます。そういう感じ方をいたしております。
  101. 梅田勝

    ○梅田委員 しかし、その問題は訴訟団が航空局長と何遍も交渉されたときにはっきり確認されているように、また、大臣もそれを追認されているように、地元住民と合意なしにはエアバスは入れない。これはもうはっきりしているんじゃないですか。それから環境庁でも文書で来ていますわね。そして環境庁との間での意見の一致を見ない間はやらないと、そこまでやっているのですから、裁判所がああいう判断を下したって意外でも何でもないじゃないですか。大臣、ちょっとずれているんじゃないですか。  それから、国際線は来年の五月末まで猶予を認めるというようになっていますね。それ以後はだめだということですよね。これは政府スト権問題のようないいかげんな答弁と違いますよ。期限がちゃんとついているのです。これはきちっとやらなければならない。これはどういうようにしていま具体化を図っていますか。
  102. 木村睦男

    木村国務大臣 詳細は局長から申すわけでございますが、決定にああいうことがついたということが意外であるということは、中身よりもむしろあの決定を読みますというと、こちらが請求をしていない問題について、しかも巷間伝うるところによればこういうことがあるがそれはやっちゃいかぬという、こういう点を私は非常に意外に感じたから申し上げておるわけでございます。  それから、国際線の便が残っております九時以降は、これは来年の五月までということになっておりますが、これを今後どういうふうに対処していくか考えてまいりたいと思っておりますが、現在航空局長がどういうふうに考えておりますか、局長の方から申し上げさせます。
  103. 中村大造

    中村(大)政府委員 大臣が申し上げましたように、一昨日の決定に対してどういうふうに対処するか、これは現在政府で慎重に検討しておる、こういうことでございます。
  104. 梅田勝

    ○梅田委員 とにかく、これは期限が定められておるのですから、スト権のようにいいかげんなことで済まされる問題じゃない。スト権だっていいかげんに済ませる問題じゃないですよ。これは早いところやらなければいかぬよ。あの秋冬論というようなことでごまかそうと思っても裁判所はごまかせませんよ。念を押して言うておきますけれども、国際線についてもきちっと、五月末まででなくてなるべく早く差しとめるようにしていただきたいと思うんです。  それから、別の問題に入りますが、花巻空港の拡張問題ですよ。これはさきの委員会でも問題になりましたが、花巻空港拡張計画の公聴会が十月二十三日に開かれておりますが、県警の機動隊を動員して強行した。これは全く民主主義のじゅうりんですよ。私は、まず、こういうことを強行した運輸省に対して厳重に抗議をいたします。  まず、航空局長にお伺いいたしますが、この空港設置において公聴会の開催というのはどういう位置づけを持っていますか。簡単に言うてください。
  105. 中村大造

    中村(大)政府委員 公聴会は、運輸大臣が飛行場の設置申請者の申請に基づきまして設置ないしは変更の処分を行うという場合に、その利害関係を有する者から意見を聞いて、運輸大臣の行う行政処分の意思決定の過程でこれを反映させたいという趣旨で公聴会が設けられたわけでございます。
  106. 梅田勝

    ○梅田委員 要するに、主権者である関係住民の意見を聞かなければ、つまり、公聴会を開かなければ申請の審査の要件は整わないわけですね。そのとおりですね。
  107. 中村大造

    中村(大)政府委員 これは航空法に基づきまして公聴会を設置するわけで、その公聴会を申請する者がいわゆる利害関係人ということでございますから、その声を聞く、こういうことでございます。
  108. 梅田勝

    ○梅田委員 そういうように公聴会の開催というものが法によって定められておる。それは許可の場合の一つの重要な要件である。その公聴会は、趣旨からすれば関係住民の意見を公聴会に反映させなければならぬ。ところが、実際にやられた状況は賛成派の諸君の強行ということで、それを運輸省は機動隊まで入れてやらせるという異常な状態で公聴会がやられておる。  普通、行政法の通説から言えば、たとえばこういう意見があります。形式上聴聞が行われたとしても、聴聞の過程に瑕疵が存在する場合には原則として当該処分は違法となると解せられる、聴聞の本来の趣旨を没却するような重大な瑕疵と考える場合には当該処分を無効ならしめると解される、と、これが大体行政法の通説ですよ。それから言ったら、あの異常な状態で、傍聴人は一人もいない、本当の意味反対している人はだれも意見陳述していないという、こんなものは公聴会の要件を整えていないじゃないですか。何であんな状態で強行したんですか。強行する理由なんかありませんね。なぜ関係住民ともっと話し合いをして円満に事が運べないのか。  大体、運輸省は、前に私鉄運賃の値上げのときに、公聴会をこれからやるのに運輸大臣がその前に値上げを認めるような発言をして大問題になったんですけれども、公聴会を開いたって、そこで出てきた意見を反映をするつもりは最初から全然ない。ただ形式的にやるにすぎないという運輸省の従来の態度がこういう不祥事を起こしているのじゃないですか。もとへ戻して、白紙に返して、関係住民と話し合うというつもりはありませんか。大臣、どうですか。
  109. 木村睦男

    木村国務大臣 そのときだけの状況を拾われてお話しになれば、聞いておればなるほどむちゃのように聞こえますけれども、これにはいろいろないきさつがございまして、公聴会制度というものがあって、しかもずいぶん前から反対の人とも会い、説得をし、県側も話し合いをしておっての公聴会であるわけでございます。しかも、普通の公聴会ですと十日前に官報に公示をすればそれでいいものを、わざわざ一カ月前に、官報のみならずいろいろな公示の方法を講じて、告示もいたして呼びかけたわけでございますけれども、絶対反対を唱えておる人々はもう公聴会をボイコットした。私は、こういう問題については、民主主義の世の中では公聴会に出て反対意見を述べてもらって、そして判断の材料にしていただくということが筋であると思いますけれども、それすら守ってもらえなかったというふうな状況のもとで公聴会を——しかも一カ月前から告示をしてやったという、十分な事前の手配もして実は公聴会をやったわけでございますが、それでも当日静かに公聴会が開かれるかどうかわからぬというふうな状況でございましたので、そういう状態が出て公聴会が開けるようにいろいろ心配をしてくれたことは事実でございますが、そういう背景のあることを申し上げておきたいと思います。  それから、運輸省が一貫したそういうやり方だという例示に、私鉄運賃のことについての新聞記事をお挙げになりましたが、あれは事実と反しておりまして、私はあのときには私鉄運賃を決めていく手続の段取りを説明したにすぎないわけでございますので、誤解のないようにお願い申し上げます。
  110. 梅田勝

    ○梅田委員 そんな弁解は聞きたくないですけれども、大体、絶えずそういう姿勢だということを国民に見抜かれているというところを反省してもらいたいと思いますね。  それから、航空法によりますと、第三十九条で、「飛行場にあっては、申請者が、その敷地について所有権その他の使用の権原を有するか、又はこれを確実に取得することができると認められること。」というのが設置の一つの条件ですね。肝心の拡張すべき土地の農民がみんな反対をしているわけでしょう。これはできるはずがないじゃないですか。どうですか。
  111. 中村大造

    中村(大)政府委員 地権者が皆反対しておるわけじゃございませんので、これはこれから今後またこの事案について検討をし、必要な処分をするわけで、まだ許可をしたわけではございません。  地権者が相当数現に賛成をし、また現実に県が土地を取得をしておる。そのような状態というものは、今後この処分をする場合に行政庁としては当然認定をして意思決定をするわけでございます。これはこれからすることでございます。
  112. 梅田勝

    ○梅田委員 とにかく、ここは農地七十ヘクタールがつぶされるんだよ。地権者が二百九十人もおるんですよ。重大な問題として、あの辺では航空局のやり方について怒っているわけです。いまの答弁ははなはだ不満です。厳重にこの問題は見直して、そして慎重にやるようにしていただきたいと思います。  次の問題に移ります。  丸市運輸というのがございますが、これが、労働組合ができましたら、会社はこの組織を敵視しまして、不当労働行為の数々を重ねております。さきの予算委員会においても出たことでありますが、労働組合をつぶすために自衛隊の入隊予定者を防衛庁と組んで入れて、職安法違反までやって抑えつけようとしている大変な悪質企業ですよ。これは私の住んでおる京都にあるんです。  そこで、労働省にお伺いいたしますが、予算委員会におきましては、長谷川労働大臣は、「丸市運輸が労働基準法その他によく違反をするということでございましたから、これは何遍となく是正勧告を行って、将来ともにこの勧告を実行することを期待しております。」と答弁をしておりますが、今日までその勧告は実行されているのかどうか、まずお伺いしたいと思います。
  113. 倉橋義定

    ○倉橋説明員 ただいまお尋ねのありました丸市運輸の労働基準法違反の問題でございますが、たびたびにわたりまして関係労働組合等からの申告がございます。その都度所轄の労働基準監督署におきまして監督を実施いたしまして、労働基準法の違反事実が認められた場合につきましては適正な是正方勧告をしてきているわけでございます。  なお、これによりまして是正方勧告をいたしました実施状況でございますが、八月十四日に申告がありました事案を除きましては、その是正方につきましては処理を履行されるというような報告を受けております。また、最近勧告をいたしました事案につきまして、一部を除きましてはその履行をしたという報告を企業から正式に受けておりますし、残りました健康診断の実施なり、割り増し賃金の計算除外をされたために一部未払いになっている分につきましては、近々実施するという報告を監督官の方で受けておるということで、近い将来すべての勧告事項が実施されるものと期待しております。
  114. 梅田勝

    ○梅田委員 昭和四十八年十二月七日の是正勧告書は、労基法三十七条違反です。割り増し賃金の算定方法に誤りがあったということが指摘をされております。この勧告があって、ことしの九月十一日に再び同じ勧告を出しております。そして、初めてそこから以降は是正をしましたが、以前二年分はやっていない。これはどうするんですか。
  115. 倉橋義定

    ○倉橋説明員 いま御指摘のあった事案につきましては、関係労働組合の方から十月十三日に署の方にその旨の連絡がございまして、早速企業を呼びましてその実施方を求めたわけでございます。この内容につきましては、先ほどお答えいたしたように、近いうちにその履行を図るというような連絡を受けておるわけでございます。
  116. 梅田勝

    ○梅田委員 そのように、この企業は何遍言うてもなかなかやらぬのですよ。非常に悪質です。  労政局長質問いたしますが、これはもう不当労働行為を繰り返しやっているのですね。そして、今日まで地労委や中労委から救済命令を出され、さらに本年六月十二日には、東京地裁から、団体交渉を拒否してはならないという緊急命令も出されているわけですね。ところが、その後私たちがいろいろ調べますと、依然としてこのような態度が改まらぬ。ちょっとだけ団交をやって、後はすぐにばあっと拒否してしまうのです。一番最初労働組合ができたころは全然逢うやり方で、依然として労働組合を敵視した態度をとり、事実上団交を拒否している。これはどういうように指導しているのですか。
  117. 青木勇之助

    ○青木(勇)政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生からお話がございましたように、本年の六月十二日に東京地裁が緊急命令を発出いたしました。これに対して会社側は、六月の二十日に緊急命令を不服として最高裁に対して特別抗告をいたしておりますが、いずれにいたしましても労使関係労使双方が話し合いによって物事を解決するという態度で臨むべきことはもう当然の理でございまして、その後、東京地裁の緊急命令が出されました後に会社と組合側の間で団交ないし話し合いが行われたということは聞いております。  いずれにいたしましても、労働省といたしましては、京都府を通じてさらにそういう紛争をできるだけ速く解決するように努めてまいりたいと考えております。
  118. 梅田勝

    ○梅田委員 労基法三十七条違反は罰則がありますね。「六箇月以下の懲役又は五千円以下の罰金に処する。」となっている。また、労組法七条違反、つまり不当労働行為違反ですが、これに違反した使用者は「一年以下の禁こ若しくは十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。」となっている。不当労働行為をやって、そして確定判決も出てなおかつ違法をやっておったらこういう厳しい判決があるのですよ。  そこで、基準局は監督権があるわけでしょう。これは告発しないのですか。
  119. 倉橋義定

    ○倉橋説明員 ただいまの基準法第三十七条違反につきましては、御指摘のように罰則の規定がございます。ただ、私ども監督機関といたしましては、労働者の労働条件を保護するたてまえで、罰則をもって直ちに強制するという前に、その履行確保をさせることによりまして労働者の保護を図るのがまず先決と考えるわけです。そのために、監督指導によりましてその是正につきまして極力努力していくというふうな方針で現在進めているわけでございます。  なお、悪質な重大違反につきましては厳正なる司法処理をもって臨むという方針は堅持しております。
  120. 梅田勝

    ○梅田委員 ここが悪質でないというようなことがあるのですか。どうなんですか。これほど悪質なものはないですよ。いろいろ知っているのですから告発しなさい。  それから、予算委員会問題になりましたときに、運輸大臣は道路運送法上の処分について善処するというように言われましたが、どんなことをやりましたか。時間がないから簡単に答えてください。
  121. 高橋寿夫

    ○高橋(寿)政府委員 道路運送法違反の事実はまだございませんので、道路運送法上の処分はいたしておりません。ただ、お示しのような労働関係法規についてのいろいろ問題がございますので、京都府陸運事務所へ経営者を呼びまして、労働関係問題についてもわれわれは所管でないけれども重大な関心を持っている、労働基準監督署の指導をよく仰いで善処するようにということを指導いたしております。
  122. 梅田勝

    ○梅田委員 労組法第二十八条違反というのは禁錮一年です。それに相当する違反をしているわけですよ。道路運送法第六条の二は免許に関しての欠格条項が述べられておりますけれども、「一年以上の懲役又は禁こ」は、これは免許取り消しですよ。それほどえげつないことをやっているのだから、自動車局はもっと厳しい取り締まりをやらなければだめじゃないですか。  運輸大臣、こういう悪質企業に対しては厳正な取り締まりをやるべきです。運輸行政の点から言っても、国民の財産、荷物を運ぶ運送屋が法を犯して悪態の限りをしておるのでは、国民はそんなものに安心して荷物を任せられないじゃないですか。そういう点から考えましてもこういう企業に対して厳格な指導をお願いしたいと思うのですが、どうですか。
  123. 木村睦男

    木村国務大臣 いま自動車局長が申し上げましたように、道路運送法上の違反事故はございませんが、その他の点で不適切なところがありましたので、陸運事務所長をして厳重に注意をいたさせております。今後ともそういう態度で進みます。
  124. 梅田勝

    ○梅田委員 そういうことが起こらないように厳重に監督指導を強化していただきたいと思います。  最後に、京都市電撤去問題について質問をいたします。  先日の自治省の発表によりますと、地方公営企業はどこでも大変な赤字で、累積で六千四百十七億円に達したと言われております。特に交通事業は全体の九三・六%に相当する事業が赤字を出しており、どこでも経営は火の車だと言われております。したがって、京都の場合も例外ではございません。     〔西銘委員長代理退席、委員長着席〕  ところが、最近、京都市交通局は、昭和五十一年度中には市電の全廃だけでなく市バスについても不採算路線のうち特にひどいと言われている十六系統の廃止をするということを努力目標として発表いたしましたために、いま大問題になっております。どう考えても、つぶしていくということを努力目標にするというのは逆立ちしているのではないかと思うのですね。その点で鉄監局長はどのように考えておるのか、これが第一問。  第二に、京都市交通局は十月三十一日に市電今出川線、丸太町線、白川線の三線の廃止許可申請を提出いたしました。運輸省にはまだ届いていないというようなことでありますけれども、地元の新聞を見ますと、ここにありますが、「国としてもこれを認める方針」と書いてありますが、これは一体だれが言ったのですか。運輸省はどういうつもりか。これが第二点。  第三点は、御承知のように、十二月三日より、京都市におきましては、この市電の路線を守るために設置条例の改正直接請求という運動が始まっております。このように強固に撤去に反対をするという場合には許可ができないのではないかと思うのですけれども、その点の見解についてお伺いして、私の質問を終わります。
  125. 住田正二

    ○住田政府委員 京都市の交通は路面電車、バス、それから将来の問題として地下鉄、そういうものを組み合わせまして、一般大衆に対するサービスをどうするかということで京都市の方でいろいろ御検討になっているというように聞いておるわけでございます。その一環といたしまして三つの路線の廃止をしたいということで廃止申請が出て、いま京都府の手元にあるというふうに聞いております。  先ほど、運輸省がそれを認めるというような発言があるというようなお話でございますけれども、私どもといたしましてはまだ申請を受理いたしておりませんので、申請が出た上で検討いたしたいというように考えておるわけでございます。  ただ、この問題は京都市の市会ですでに決まっている問題であるというふうに聞いているわけでございます。したがって、市会としても住民の皆さんの御意見を伺った上で決めたのではないかというように考えておるわけでございます。  第一問の十六系統を廃止するという話はバスの話でございますか。(梅田委員「市バスです」と呼ぶ)  市バスの方は私の所管ではございませんので詳しく承知いたしておりませんけれども、市電の方についての経緯はいま申し上げたとおりでございます。
  126. 梅田勝

    ○梅田委員 いや、それを言うたのは、大体、市電の廃止にしても、市バスの十六系統の廃止にしても、交通事業を発展させていくというのだったら企業努力としてこれは認められるけれども、これをどんどん廃止していくというのは企業努力としては逆立ちと違うか、その辺について運輸省はどう思うかと聞いたんだから、別に自動車局長でなくてもあなたは答えられるはずです。  それから、議会が決めたと言いますけれども、いま議会で審議しなきゃならぬ条例の改正の直接請求運動というのが起こっておる。これは成立するに決まっているわけです。そういう強力な反対がある場合にはこれは簡単に認めるべきではないということで、運輸省の見解を聞きたい。
  127. 木村睦男

    木村国務大臣 そういうふうないきさつを十分運輸省としても把握をいたしまして、慎重に検討いたしたいと思います。
  128. 梅田勝

    ○梅田委員 時間がございませんので、これで終わります。
  129. 木部佳昭

    木部委員長 松本忠助君。
  130. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 私は、スト権及びスト権ストの問題と、それから大阪国際空港の騒音訴訟の問題、南西航空運賃値上げ等の問題について質問をいたします。  最初にスト権及びスト権ストの問題でありますが、国鉄総裁にお伺いをいたしますが、このスト権付与につきまして、総裁予算委員会において条件つきの付与を明言いたしております。これは当事者として労使関係改善したいという、そういう意味から当然の御意見だと私は思うわけでございます。また、これに対しまして公労協側も総裁スト権付与についての発言を前向きの姿勢として高く評価しているように思います。今後もその見解を変えるべきではないと私は思います。  そこで、この十一月二十六日から十二月三日にわたるところの八日間のストを経過した今日でも条件つき付与の見解を総裁は変えていないかどうか、改めて伺っておきたいわけであります。
  131. 藤井松太郎

    ○藤井説明員 かねて予算委員会でも申し上げました見解を変えておりません。
  132. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 了解しました。  そこで、条件つき付与の内容はどうあるべきかについて、総裁はどのようにお考えであるか伺いたい。
  133. 藤井松太郎

    ○藤井説明員 私は、条件つき付与と申しましたのは、現在の行政罰とかなんとかというような体系のもとではストを抑止する力はもう限界にきておる、しかし、一たびこれが起こると国民に多大の迷惑をかけますので、一回でも二回でも国民の迷惑を軽減するにはどうすればいいかということになりますと、条件つきの付与をしていくことが現実的な処理である、と、かように考えておる次第であります。
  134. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 その内容についても細かく問いただしたいわけでございますが、きょうは時間の関係もありますからそれに触れませんが、ここで大臣総裁に改めて伺いたいわけでございます。  専門懇意見書の中に国鉄経営形態改善ということが言われているわけでございますが、その中には、一つ意見として、ローカル線の切り捨てなどというようなスト権問題と直接関係のないような問題についてまでも論じておりまして、そういうことで結局スト権付与というものを困難にさせているとしか私どもには考えられないわけでございます。  そこで、経営形態を変えることが現在可能と考えておられるかどうか、また、経営形態を変えなければスト権付与はできないとお考えなのか、率直な御意見を御両者から伺いたいわけでございます。
  135. 木村睦男

    木村国務大臣 専門懇の中に経営形態についていろいろ言われておりますが、必ずしも、経営形態について一つ方向を示してこういうふうにすべきであるというような意見ではないように私は読んでおります。いろいろな考え方があり、経営形態についていろいろな方法もある、だからこういうところはよく検討すべきであるというふうに示されておるわけでございます。  したがいまして、今後政府としてこの問題をどういうふうに考えるかということは、政府といたしましては、国鉄スト権を与えるとか与えないという前に、団体交渉が本当に平等に公平にできて、そしてその結果は交渉に当たった両当事者責任を持って実行でき得るという立場に置くことが肝心である、そのためには国鉄経営あり方なりあるいは運賃料金の法定の現在のやり方というものも検討をする必要がある、と、かように考えておりますので、そういう背景の中での経営あり方ということで、ただ単に経営形態ということではなしに、もっと広い範囲で国鉄経営あり方をどういうふうに改めていくことがよろしいかという検討をこれから進めていきたいと思っております。  したがって、いまの専門懇が言っております経営形態についてのもろもろの提言というものも、検討の中の貴重な意見として十分これらについても研究をいたしたい、そして国鉄のあるべき姿というものについて、団体交渉ができるだけ公平に責任を持ってやられる仕組みにしていきたい、こういうふうに考えております。
  136. 藤井松太郎

    ○藤井説明員 私は、国鉄は現況のまま能率的、自主的に運営することが望ましいという意見を申し述べたのでありますが、その理由とするところは、いわゆる民営にするということになりますと、勢いその企業性に走って公益性が軽視される恐れがあるということが第一点で、また、これを地方的に分断するという御議論になりますればはなはだしくネットワークの能率が悪くなってくるということが第二点で、この二点から現在の体制が望ましいと私は考えた次第でありまして、専門懇の御意見その他に対しまして謙虚に検討をいたしておるという状態でございます。
  137. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 大臣に伺いますが、経営形態あり方について専門懇から意見書が出たので、それを踏まえて政府としてもこれから検討を進めていくという考えでございましょうけれども、要するに経営あり方というものが決定をしないうちはスト権を与えないというふうに理解してよろしいわけですか。
  138. 木村睦男

    木村国務大臣 スト権を与えるか与えないか、いかなる結論をこの問題につけるかという、この結論を出すためにいまの経営あり方等も含めて検討をした結果スト権問題についての結論を出しますというのが政府考え方でございますから、もちろんいまお話しの経営形態問題を初め専門懇でいろいろ指摘されておる問題等も十分検討した上でできるだけ早い機会にスト権問題については結論を出しますので、順序といたしましてはそういうことになるわけでございます。
  139. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 総裁の、現在の形態をそのままでいきたいという考えは私も納得できるわけですけれども、いまの大臣の言われるような、経営あり方というものを前段として決めていく、それが決められて後でなければスト権を与えるか与えないかについても決定しないということでは非常に長い時間がかかるのじゃないかと思う。それを強いていついつまでにやりなさいというふうには私ども言いませんけれども、戦後の長い長いスト権問題についての歴史から考えてみれば、その意見をまとめるためにも、国会の中に特別委員会を置いてもいいというような話も出ておりますけれども、とにかくここは一番早くこの問題を解決すべきではないかと私は思うわけです。  そういう意味から、めどがわからないとか、また、めどを言うことはできない等々いままでの御意見がございましたけれども、そうでなくてもう少し積極的に取り組むという姿勢を示して、おおよそのめどとしてはいついつまでにということは大臣としても発言をなさるお気持ちはございませんでしょうか。
  140. 木村睦男

    木村国務大臣 この問題につきましては、昨日も、また、その前に衆議院におきましての社労の委員会等でも総理が言っておりますように、できるだけ早い機会にという表現を使っておりますが、これは本当に文字どおりできるだけ早く結論を出したいと思っております。現在この問題がここまで来ました経過自体を考えますときに、当然、政府としては本当に早く結論を出したいという気持ちでおりますが、いま、私、閣僚の一人としてそれじゃいつまでにということはちょっと申し上げかねるわけでございます。
  141. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 そのお気持ちはわかります。しかし、国務大臣として今回のスト権の大きな中心であったところの国鉄を直接抱えているだけに、積極的に大臣が進めるべき責任があると私は思うわけでございます。  次の問題でございますが、今回のスト権ストによりまして国民に多くの迷惑がかかったことは事実でございます。かなりの被害が出ていることもまた事実でございます。こういうことの一つの例として、たとえば旅館あるいは観光業者が予約が取り消しになったということでいろいろと被害が出ているようでございますし、また、中小企業の中にも、原料の入手難のために、納期が迫っていてやむを得ず高い原料を買って納めた等々のことがありまして、いろいろと損害が出ているわけです。また、そういう損害の請求が国鉄あるいは労働組合等に対してすでに出ているという話も聞いておりますが、これからもまたこういう問題は出てくるのではなかろうかと思います。  そこで、現在出ているというお話のものに対してはどのように対処されるのか、また、今後損害請求があった場合にはどうなさるのか、これらの点について御両者からお伺いをしておきたいわけでございます。
  142. 木村睦男

    木村国務大臣 今回、八日間にわたる全面的な国鉄ストでございましたので、国民の各層にはかり知れない被害を起こしておることは事実でございます。したがって、新聞その他の報道におきましても、そのためにいろいろな被害を受けた側から損害賠償の請求の声も出ておりますし、また、現にその手続を踏んでおるという記事も出ておりますが、私自身はどこからどういう賠償の請求が出たかということはまだ的確に聞いておりませんが、その情報をできるだけ早くつかみたいと思っておるわけでございます。  どうせこれは国鉄に向かって出るわけでございますが、これを受けとめて国鉄がどういうふうにいたしますか、総裁から答弁があると思います。
  143. 藤井松太郎

    ○藤井説明員 お答えします。  旅客輸送であるとか貨物輸送のごとき運送約款に基づくものは、これははっきり賠償の責めに応ずるということに相なりますけれども、御指摘の旅館その他一般の御被害に対しましては、これはきわめて申しわけない次第でございまして、一件そういう御請求もあるようでございますけれども、現在の体制下ではその一般の御被害を積極的に補償するとかなんとかいうことはきわめて至難な状態でございます。
  144. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 これは公労協をきょう呼んでおりませんからお答えはいただくことはできませんが、国鉄に対してすでに請求が出ているという話を聞いておりますが、そういう事実はございませんか。
  145. 加賀谷徳治

    ○加賀谷説明員 一件だけ訴訟が出ております。
  146. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 内容は……。
  147. 栗田啓二

    ○栗田説明員 ただいま御指摘の点につきましては、正式の訴状送達は本日現在まだ受けておりません。ただ、新聞記事に出ましたために裁判所に内々で問い合わせましたところ、概略教えていただいております。  これによりますと、神戸の方の業界紙の経営者の方から出ているようでございます。内容につきましては、神戸の方でくつの見本市があって、その見本市に際しましてその業界紙は広告の契約をとっておられたが、ところがストライキのためにお客さんが見えなくなる、それでは広告を出す意味がないということで、広告依頼をなさったくつのメーカーの方から広告契約のキャンセルの話が出て、たしか七件で七十万円の広告料がキャンセルになってふいになってしまった、その責任は違法なストライキを行った国鉄労働組合とそれを傍観していた国鉄当局の責任である、と、こういう骨子であるということを電話でお聞きいたしておりますが、内容を書面でまだ見ておりませんのでいわゆるまた聞きの程度でございますが、こういうふうに承知いたしております。
  148. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 大臣に伺いますけれども、今回のストは意外に長引いたわけでありまして、この問題からして、いままでに例のないいろいろの問題が出ています。特に、国民に対する迷惑は大変な問題だと思います。  そこで、結局のところ、今度のこの問題については、損害が出ても全部これを泣き寝入りという状態で処理されてしまうのじゃないかと思うが、これは本当にいけないことだと私は思うのです。これらに対して、いま国鉄側からの御説明がありましたように、労働組合のストがいけなかった、あるいはまたこれを傍観していた国鉄責任があると、両者に対しての損害請求のようです。こういうものが全部泣き寝入りということになったら国民としても非常に納得できないと思う。どこへも持って行き場がないわけです。こういうものは何らかの方法を考えるべきではないかと私は思うのです。国民には何にも原因がないわけです。全く国鉄あるいは国鉄労働組合の、いわゆる公労協のストによっていろいろな損害が出た。これに対して一銭の補償もされない、損害請求をしても結局泣き寝入りであるということになったら、国民はやり場がない憤りと不平不満を持ったままで、国の政治に不信を高めていくだけだと思う。  こういう点について、監督するお立場において大臣はどのようにお考えになるか。
  149. 木村睦男

    木村国務大臣 法律で禁じられておるスト行為をやったわけでございますので、これは明らかに違法行為であるということには間違いございません。これが問題のそもそもの発端でございますので、第一点としては、こういう違法行為を将来に向かって絶滅するために政治的あるいは法律的にいろいろと配慮しなければならない問題がたくさんあるわけでございますが、まず、こういう大規模な違法ストが起こらないような方法を講ずることが第一点でございます。  そのような方法を講じましても、今後仮に同じような違法ストが大規模に行われ、国民がそれによっていろいろな被害を受けた場合の損害の補てんを一体だれがしてくれるのだという問題でございますが、これは法律的に考えますと、当然、違法行為をやった側がこの責任を負って賠償すべきが法律のたてまえではございます。したがって、いまも一つの例として説明がありましたような訴訟問題に発展すると思いますけれども、それじゃそれで完全に被害が救済されるかといいますと、現在の法律制度のもとでは、こういうふうな大規模なスト等による被害に対して十分にその被害が救済されるような仕組みの法律制度は実はできていないと私は思います。  といいますのは、たとえば挙証責任問題、損害額の範囲の確定の問題等が非常にむずかしい問題でございますので私はそう申し上げるわけでございますが、したがって、今後こういうことはあってはならないんですが、仮にもしあった場合にはどうするかということになりますと、こういう場合にはたとえば挙証責任問題等、従来の一般法にあるような挙証責任の処理ではなしに違った挙証責任の処理、すでに特定の法律にはありますけれども、そういうことでまず法律制度から改めていかなければならないと思います。  今後こういう場合があることを一応想定すればこういう問題も当然研究しなければいけないと思っておりますが、しかし、国民の全体に被害を与えるようなこういう違法ストは起こらないように政治的にできるだけ早い機会に善処をいたしまして、絶滅を期する努力政府としてはいたすべく、今回のスト権問題に対する政府の見解をもとにその処理をやろうということでございますので、両々検討いたしたいと思います。
  150. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 お話はわかります。しかし、現実に起きてしまったストです。これによって今回いろいろな被害ができているわけだ。それを結局泣き寝入りしなければならない。法が不備だから、法の方をまず解決しなければどうにもできない。これは法治国家ですからやむを得ないと思いますけれども、現にこれが起きてしまった人はいたずらに政府に対する大きな政治的な不満と不安を抱きながら、この暮れに来て大変な損害を受けて、そしてそれも泣き寝入りという状態は今後許されないと思いますので、これに対する法的な基礎等も早いところ十分に立てるべきではないかと私は思うわけでございます。  このスト権スト処分の問題に対してどのようなお考えをお持ちか、総裁大臣に伺っておきたい。
  151. 藤井松太郎

    ○藤井説明員 現在の法制下におきましては、不法ストがあればやはりけじめを正さざるを得ないというのが実情でございます。  その所存でございますが、労使の環境を極力改善して、今後はこういうことの起こらぬような努力を一層強めていきたいと、かように考えております。
  152. 木村睦男

    木村国務大臣 違法スト、それから処分、処分反対ストという、この悪循環を断ち切るために政府としては努力をしなければならないということはたびたび申し上げておるところでございますが、これがややもすれば誤解を生みまして、違法スト、処分、処分反対ストをやめるためには処分さえやめればいいんだというふうな誤解を起こしておりますが、そういうことで政府は考えていないのでございまして、違法ストはやはり違法でございますから、それに対する厳正な制裁はしなければ法治国としての秩序は保てぬわけでございますから、その精神で違法ストに対する処分は厳正にやるべきであると考えておるわけでございます。
  153. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 この問題については、スト、処分、そしてまたストといった悪循環を断ち切るためにスト権問題をどうしても解決しなければならぬわけであります。そういう労使間の改善という問題を抱えて今回のスト権ストも行われたわけでございますが、しかし、処分を強化するということになりますと、結局労使関係をさらに悪化させることになると私は思います。  こういう意味から言って、スト権ストの処分についてはスト権問題が解決するまでは凍結すべきではないかというふうに私は思いますが、これに対して御両者はいかがお考えですか。
  154. 木村睦男

    木村国務大臣 こういう違反事項に対して処分を凍結するという問題は非常に重大な問題でございまして、凍結するということと処分しないということとほとんど効果的には違いがないというふうになりやすいものでもございますし、私は、違法ストがあればあった段階において厳正な措置をするということによってやはり法治国家の秩序が保たれるのではないかと思います。  もちろん、時と場合によっては処分の凍結ということがそれ以上に法のねらう秩序維持の効果がある場合もございますが、それはその時と場合によるわけでございまして、にわかに処分凍結ということに踏み切るというわけにはなかなかまいらないと私は考えております。
  155. 藤井松太郎

    ○藤井説明員 労使間の信頼関係を一層改善していくということは今後とも一層の努力を傾注いたしますが、けじめはけじめとしてこれを正さないと国民各位の納得が得られぬ。したがいまして、やはりけじめは正すつもりでございます。
  156. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 とにかく、お二人の意見も、違法のストであるから当然のことストに対する処分はするんだというお考えでございます。しかし、今回のストは降ってわいたようにできたストではないわけです。長い長い歴史の上において、労使間の闘いの上において五十年の秋という時点が来て、ここで爆発した問題なんです。こういうことを考えてみれば、こういう事態にまで追い込んでしまった政府責任というものは追及されてしかるべきではないかと私は思う。そっちの方はたなに上げにしておいて、いたずらに違法だから違法ストをやった者に対する処分をするんだという一方的な言い方をすることについては私は承服しかねるわけでございます。そういうところから、私は、この問題についてはスト権問題の解決の時点までは凍結すべきであるということを重ねて申し上げまして、この問題については終わります。  そこで、最後に一点だけでございますが、鉄監局長にちょっと聞いておきたいことがありますが、新幹線の両側に各十メートル用地を騒音の緩衝地帯として設けよう、そしてそこを買収するというふうなお考えがあるようでございますけれども、この買収に応じた者に対する税制上の優遇の措置を考慮しているかどうかという問題でございます。もちろん、この問題は大蔵省の主税局に答弁を求める問題でございますけれども、事新幹線に関する問題でございますので運輸省当局の考え方をまず聞いておきたいわけでございます。  たとえば土地収用法によりますと三千万円まで、あるいは大阪の空港周辺整備事業の移転補償の際は二千万円まで課税対象から控除されることになっておりますので、新幹線の通過地帯の騒音緩衝地帯として売却した場合もそういう措置が講ぜられるべきではないかと私は思いますが、こういう点について鉄監局長としてはどうお考えになりますか、また、大蔵省に対してどのようなお考えをもって折衝に当たられるか、その辺のことを聞いて国鉄に関する私の質問を終わります。
  157. 住田正二

    ○住田政府委員 新幹線の騒音関係の用地買収といたしましては、建設をする場合に両わきを買うということ以外に、現在の既設新幹線、東海道新幹線の騒音対策として、用地買収、移転補償をこれから実行するわけでございます。  いま御指摘のありましたように、空港関係の騒音対策ではそういうものは二千万あるいは三千万というような所得控除が認められているわけでございますけれども、新幹線につきましては現在まだ認められていないわけでございます。  そこで、大蔵省とは昨年来この問題について空港並みの税金の控除をしてもらいたいということで強く折衝いたしております。来年度税制問題につきましては国の財源が足りなくなってきているということで非常に厳しい点が多いわけでございますけれども、この問題については大蔵省の方もできるだけ前向きに検討してくれるということで、まだ最終的には話は決まっておりませんけれども、私どもといたしましては空港並みの優遇措置を講じてもらうということで努力をいたしたいと思います。
  158. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 以上で国鉄関係の方は終わりますので、次に、大阪国際空港の騒音の訴訟の問題でございます。  今回の高裁の判決について、環境庁からも酒井特殊公害課長がお見えでありますけれども、まず環境庁、それから運輸省の順で、今回の判決についてどのように受けとめていらっしゃるか、伺いたいわけでございます。  要するに、第一審の判決は公共性が余りにも過大に算定されました。広範な住民の人権が軽く見積もられていたと思います。今回の高裁の判決がこのあいまいな公共性論を退けて、住民の受忍限度を明らかにしたということは公正、妥当なものとして私どもは高く評価するものでございます。内容のない公共性の観念を安易に用いたところの運輸当局の姿勢をこの判決は厳しく否定していると思います。したがいまして、運輸省当局としては重大な反省をすべきであると思うわけでございます。十一月二十七日に環境庁長官の談話が発表されておりますが、その中におきましても、被害者保護、環境保全の見地から思い切った判決であるというふうに環境庁長官も評価をしております。  こういった点を考えまして、環境庁と運輸省のこの判決に対する所見をまず第一番目に伺うわけであります。
  159. 酒井敏夫

    ○酒井説明員 お答えいたします。  ただいま先生から御指摘がございましたとおり、環境庁といたしましては長官談話の形で見解を明らかにいたしておるところでございますが、本判決を機といたしまして、四十八年に告示をされました航空機騒音に係る環境基準がございますが、これの維持、達成を目標といたしまして、今後一層音源対策あるいは周辺対策等の諸対策が積極的に推進されまして周辺住民の方の環境保全に遺憾のないようにしたい、そういうことを目標といたしまして今後とも努力をいたしてまいりたいということでございます。
  160. 中村大造

    中村(大)政府委員 前回の判決に対しましては、運輸省といたしましては公共性のゆえをもって環境対策というものを軽く見ていることは絶対ないのであって、それはそれとして、この行政措置によって、従来も努力をし、今後も懸命の努力をするという姿勢に変わりはないわけでございますけれども、判決に示されておる内容については、これは実体的にも法律的にもきわめて疑問点が多いということで上告に踏み切るべきであるというふうに考えたわけでございます。  特に、仮にこの判決が確定するということになりますと、これは単に大阪空港だけではなく、他の空港、ひいては運輸行政全体に非常に大きな影響を及ぼすのではないかというふうなことで、きわめて重大な関心をこの判決に持たざるを得なかったということでございます。
  161. 木村睦男

    木村国務大臣 いま航空局長が申したとおりでございますが、あの判決を読んでみますと、実は、航空輸送の公共性が重要であるということは否定はしていないわけでございます。ただ、公共性の重要性というものと被害者の人格権を中心とした救済とをどういうふうに接点を求めるかという点で、いま松本委員の御指摘のように非常に厳しい判断を下しておる。これはやはりわれわれとしては強く受けとめるべきであると考えております。  したがって、そうでなくてもそういう方向航空行政を進めるにつきまして被害者の救済あるいは周辺の対策は講じてまいっておりますが、しかし、この判決に示されております具体的なもろもろの事柄につきましては、航空公共性と被害救済の接点をあの判決に示されておるとおりに受けとめて求めていった場合に、航空輸送力の提供というものが将来一体どういうふうになるかということについてはいささか疑念を持っておりますし、それから法律問題として、前にも申し上げましたように司法権と行政権との問題あるいは損害賠償の範囲その他の認定につきましても国家財政問題からいろいろな問題もはらんでおりますので、そういう意味でこれは司法の最高機関の最終意思をもらうことが必要であると考えて上告をしたようなわけでございます。
  162. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 運輸省当局としてはいろいろと弁解がましいことを言われるわけでございますけれども、今回の高裁の判決は、いわゆる環境権、人格権に対して新しい見解を示した画期的なものであるというふうに私は認めているわけでございますが、結局そこへ来たということは行政の怠慢があったんじゃないかと思う。いたずらに公共性ということを振りかざして住民の受忍限度というものを強く押しつけてやってきた。こういうところから考えてみましたときに、今回当局がとられた上告の問題でございますが、これは憲法の基本的な人権の確認、この重要性と公害判例の現実を無視したものだと思います。上告は取り下げるべきではないか、そして判決の意味とその内容を十分に尊重して公害対策を早急に実施することが運輸当局の行える最も適切な行政ではないか、と思うわけでございます。  したがいまして、上告を取り下げるべきではないかと私は思うわけでございますが、これに対して取り下げる意思があるかないか、これをお答えを願いたい。
  163. 木村睦男

    木村国務大臣 先ほど申し上げましたような考え方でこのたび上告に踏み切ったわけでございますので、われわれは上告することによって環境権なりその他の騒音あるいは排気ガスによる被害をどうでもいいんだということでは毛頭ないわけでございまして、申し上げたような法律問題、司法権と行政権の限界の問題ということについて、行政を行うものとしては、その責任上、司法権の方の最高機関がどういうふうにこれを最終的に判断するかということを求めることはむしろ当然果たすべき義務だということで上告をいたしておりますので、これを取り下げる意思は持っておりません。
  164. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 上告に当たっての十二月二日の運輸省の見解全文を私も読ませていただきました。しかし、当局の見解を見ましても、住民の生活と被害を無視した考え方じゃないかというふうにしか考えられません。住民が差しとめ請求するのは当然だと私は考えております。今回、大阪高裁の民事九部が原告側の主張している差しとめの強制執行を停止するような申し立てを国がしたのに対して八日の夕刻決定を下しましたが、原告の承諾が得られない限りエアバスの大阪空港への導入を認めないということが第一点と、第二点として、午前七時から午後九時の間の総発着便数を現状以上にふやさないということ、そして三点目の国際線については国側の主張を認めたというふうな新聞報道がございますが、こういう点から考えまして、この高裁民事九部の決定に対しては当局としてはどのようにお考えでございますか。
  165. 木村睦男

    木村国務大臣 最初に判決が出ましたときに上告はいたしましたけれども、この判決の中に示されております九時以降の便をやめなさいという判決については、国内便についてはこれをやめるということで、その措置をとっておるわけでございますので、この辺運輸省考え方を十分御理解を賜りたいと思うのでございますが、さらに、九時以降の問題で、国際線だけは国際間の航空会社間のいろいろな協定問題もございますし、さらに国と国との間の航空交渉問題等もございますので、これはにわかに一方的にとめる、時間変更をするということはなかなかできにくい問題でございます。  そこで、全部一切合財含めて九時以降はだめだというこの判決並びにこれに仮執行がついておりますので、この仮執行をされたのではこのことができなくなりますので執行差しとめの請求をいたしたわけでございますが、それに対する決定は、そのことは一応期間の限定はありますが認めてもらったということで認識をしてもらったと考えておるわけでございます。  なお、決定につきましては、そのほかこちらが請求しない事柄について、エアバス等の問題でいろいろ決定がございましたことはわれわれは非常に意外に感じておるわけでございますが、しかし、決定でございますのでこれは従わざるを得ないのでございます。
  166. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 時間もありませんし、その決定に件については当局が従うということでございますので、そのとおりに、受けとめておきます。  そこで、当局がいままでも公害防止のためにはいろいろの活動を進めてきた。たとえば周辺整備機構が設置されていろいろとやってきたと思います。この問題については、今年の四月の十六日でございましたか、私もお伺いをいたしまして、いろいろとお答えも聞きましたが、言うならば、代替地造成あるいは実質的な移転補償もしくは民家の防音対策工事といったものがどんな状況で進んでいるのか。事実進んでいるとするならば、抜本的な効果がこのように上がっておりますと言うならば、その計画と実績とをお示しを願いたいと思うわけでございます。時間もありませんから簡単に願います。
  167. 中村大造

    中村(大)政府委員 五十年度の民家の防音工事並びに移転補償の計画は、大体予算で計画をいたしましたとおりこれが消化できるという状況でございます。したがって、いわゆる周辺対策というものは私どもの計画しておるとおり大体進め得るという確信を持っております。
  168. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 端的に一つだけ聞きますけれども、民家の防音事業はこの前お伺いしたときにも四百六十ぐらいという局長お答えがございましたが、五十年度として、この十一月までに一体どれぐらいの防音工事が完成しているのか、申し込んだものが幾つなのか、それに対していま手続をやっているものが幾つなのか、あるいは完成したものが幾つなのか、この辺のところの数字はおわかりございませんか。
  169. 中村大造

    中村(大)政府委員 いまちょっと詳細な数字を持っておりませんけれども、この十月から月に大体四百戸程度の防音工事がこなせるようになりましたので、来年の三月までに本年度の予定しております民家の防音工事は大体消化できるというふうに考えております。
  170. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 それじゃもう一遍聞きますけれども、この四月に私が質問したときにも、いわゆる宅地造成について新規立法を考えなければいけない、このままの状態ではだめだと私は写真をお見せして大臣にもまた局長にも聞いたわけですが、この新規立法の問題についてはどのように展開していますか。あるいは防音工事の手続の簡素化という問題について私はあのときもお願いしたわけですが、これも早急にやらなければいけない。  これはもう局長の答弁をいまここで読み上げる必要もないと思いますけれども、とにかく、「先生御指摘のように手続の簡素化、期間の短縮については、私どもはできる限りの努力を払う所存でございます。」と言っている。手続についてはできる限り簡素化するように努力をしてまいりますという答えが局長から返ってきています。しかし、この手続の簡素化というものは一体具体的にどうなったのか、宅地造成の新規立法はどうなったのか、この辺はお答えをいただいておきたいと思います。
  171. 中村大造

    中村(大)政府委員 新規立法は、恐らくいわゆる周辺の立地規制の新規立法のことをお指しのことと思います。これは現在その方面の学者、先生方にも立法論的にいろいろ意見を聞いておる段階でございまして、われわれとしては、現在のところ、この新規立法をどういうかっこうにせよ実現したいということで努力いたしております。  それから、民家の防音工事でございますが、この春先生から御指摘を受けまして、われわれとしてはこの手続の簡素化の基準を改定いたしまして、その結果十月以降一月に約四百戸程度の処理を進め得るようになった、こういうことでございます。
  172. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 それではもう一点お伺いしますが、この十二月二日の見解の中に、「昭和四九年に設立された大阪国際空港周辺整備機構の活動も軌道に乗り、」とあって、いまのお話にあったように、大変軌道に乗った、十月以降民家の防音工事も非常に進んだということを意味していると思いますが、「関係市、地元住民の協力を得て、五三年一二月の環境基準中間目標達成を目指し、諸施策を強力に推進しているところである。」という見解でございますが、五十三年十二月の環境基準の中間目標達成という、このスケジュールはどういうことになっていますか。
  173. 中村大造

    中村(大)政府委員 これは施策の内容、それに対する予算の裏づけ等いろいろ問題がございますけれども、私どもといたしましては、先ほどからお話が出ました周辺対策と音源対策を両立てで計画どおり進めることによって五十三年十二月には中間目標を達成することができるであろうというふうに考えております。  ただし、これはここに書いてございますように、関係市、地元住民の協力が前提でございまして、この協力を得られない限りこの達成は非常にむずかしくなるというふうに考えております。
  174. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 もとより関係市、地元住民の協力を得なければできないことでございますから、できないような問題を押しつけてもだめだと思います。当然それはできるような、のんでいただけるような状況のもとに計画を立てられたと思いますが、いわゆる五十三年十二月までのスケジュールについて後ほどで結構でございますが——あと一カ月で五十年が終わるわけで、五十一年、五十二年、五十三年十二月と大変長い月日でございますが、この五十三年十二月という最終の中間目標達成へ行くまでのスケジュールを、これは後ほどで結構でございますが、参考の資料として私は提示をしていただきたい。これをお願いするわけでございます。  それから、環境庁にもう一度お尋ねをいたしますが、この大阪国際空港は非常に環境条件の悪い、最悪の欠陥空港だというような認定を私どもはしております。ちょっと古くなりますが、昨年の二月の二十日に、公害対策並びに環境保全特別委員会におきまして現総理が、当時は環境庁長官でございますが、「それは、世界の中においても空港の周辺に、ああいう人口の稠密地帯を持っている空港というのは、例はないわけではないでしょうが、やはり条件としては悪い空港である。」というふうなことを言われております。これは当日の会議録の十二ページの下段に出ております。それから、さらに、今度は徳永運輸大臣が四十九年の三月の五日に、「私は、騒音の面等においては明らかに大阪はそういう欠陥を持った空港である、こういうふうに認めております。」というふうな発言をしておりまして、これも当日の会議録の八ページの一段目に載っております。そして、ここで五十年の十一月二十七日の環境庁長官の談話には、「大阪国際空港は他の飛行場に比較し、深刻な環境条件の下にあるので、この判決内容を詳細に検討し、政府部内において、生活環境を守る環境庁の立場から、関係省庁とも十分協議して対処していきたい」云々と言っております。  このように非常に悪い環境条件である。われわれはこれを欠陥空港と言っておりますが、この環境条件を改善するためにいろいろと関係省庁との協議をするという環境庁のお考えのようでございますけれども、こういう欠陥空港をこのまま存置していたずらに関係省庁と長い長い協議をするよりも、撤去した方が手っ取り早いと環境庁としては考えませんか。住民の間にも将来撤去を求めようという声が強いわけでございますが、環境庁としては、撤去を求めるという考えについてはどのようにお考えでございましょうか。
  175. 酒井敏夫

    ○酒井説明員 大阪国際空港につきましては、判決におきましても広範かつ重大な騒音の影響が及んでおるということを言っており、それから、三木前長官の欠陥空港発言も十分承知いたしております。私どもも、国内における他の空港に比較いたしまして最も深刻な環境条件のもとにあるという理解は十分ございまして、また、運輸省におきましても、この騒音対策の両におきまして、大阪国際空港に対して最も多額の対策費用を投入いたしておられることも承知いたしております。  撤去するかどうかということにつきましてはにわかに私の立場でお答えいたしかねますが、とにかく現在存在いたしておりまして、また、百七十万という多数の周辺住民の方がいらっしゃるわけでございまして、先ほど申し上げましたように、環境基準の中間改善目標と最終目標等が達成されますように、対策面で当面さらに一層積極的に推進されますように運輸省の方にも十分働きかけてまいりたいというのがただいまの見解でございます。
  176. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 いま私が環境庁長官あるいは徳永運輸大臣の発言等を申し上げましたように、当局でももう欠陥空港と——そうはっきりは言っていませんけれども、この空港に対しての環境条件が悪いということについては十分認識があるわけであります。あなたのお立場からこの欠陥空港を撤去するなどということはお答えが出ないとは思いますけれども、この問題については、抜本的に解決するにはそうして新しい空港をつくるべきだ。いわゆる海上空港なるものの案も出ているわけでございますので、それをどこにするかはまた問題は別としましても、新しい方向をやらない限り——あの人口稠密な、百七十万の住民の住んでいる中にああいう空港があるということ自体が大変な大きな問題を今後に残していきますので、これはぜひ何らかの抜本的な対策を考えるべきじゃないかと思うのです。  そこで、最後に、この問題についての運輸省としての見解を承りたいのですが、このような大阪空港以外にほかの空港においても少なからず騒音被害というものは発生しているわけです。そこで、各空港ごとの被害の実態の総点検を実行する必要がないか。私はこの総点検をぜひ実行してもらいたいと思う。これはまた行政当局として当然のことではないかと思います。そして、その調査結果を公表すべきではないかと私は思います。そして、さらに、その結果や現状の被害を十分に把握して、各空港ごとの公害防止計画を策定する。そうしなければ騒音公害に対する航空行政の怠慢という批判を取り除くことはできないと思います。この点について早急に実施すべきである。このように私は思いますが、これに対しての運輸省としての御見解をお聞かせいただいて、この問題を終わります。
  177. 中村大造

    中村(大)政府委員 御質問お答えする前に、欠陥空港という言葉が出ましたのでちょっと弁明をさせていただきたいと思いますけれども、三木前環境庁長官がおっしゃいましたように、大阪空港というのは非常に条件が悪い空港であり、したがって対策を立てるのが非常にむずかしい空港であるという趣旨のことをおっしゃったわけでございまして、その点はわれわれも認めておるわけであります。  それなればこそこの対策について巨額の費用を充て、また、いろいろな制度等も改善いたしましてこの障害の軽減に努力をいたしておるわけでございます。  ただ、欠陥空港という言葉を使いますと、これは非常に誤解を招くおそれがございますし、特に、私ども現在この裁判をいたしておる過程におきまして、この損害賠償の責任というものは、この控訴審におきましては国賠法の第二条一項を適用いたしております。そういう観点からいたしましても、われわれとしては欠陥空港という言葉には非常に抵抗を感ずるわけでございますが、非常に問題の多い、条件の悪い空港であるという点については先生のおっしゃるとおりということに考えております。  それから、いろいろな空港の障害でございますが、われわれといたしましては各空港の騒音による障害の程度というものは一応調査いたしておりまして、それに従って各空港ごとの騒音対策というものを、もうすでに年度計画等も立てて実施しておるわけでございまして、この実態把握はさらに精密にするように今後とも努力をし、対策を充実させていきたいと思っております。
  178. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 局長が欠陥空港ということについて、どうしてもその言葉は納得できないということを抗議を込めて言われましたけれども、徳永運輸大臣の言を私はさっき引いたわけですが、会議録を見ていただければわかるとおりに、「騒音の面等においては明らかに大阪はそういう欠陥を持った空港である、こういうふうに認めております。」というふうに大臣は言っているわけですよ。それを局長がいまそうじゃないんだと言っても、これはちょっと言い過ぎじゃないかと私は思います。もう明らかに欠陥空港だというようにお認めになった方が気分が楽だと思うのです。まあ、その問題はこれぐらいにしておきますが、最後に申し上げました騒音の実態調査とその公表についてはぜひともお願いをいたしたいと思います。  時間があともう六分ほどになりましたので、南西航空問題について要点だけ申し上げます。お答えをいただきたいと思いますが、南西航空は昨年の九月に四九%の大幅運賃の値上げをしております。今回十月の十五日に運賃の値上げの申請が出まして、これも第一次と第二次というふうに二回に分けて値上げをしようということでございますけれども、不況下であり、そして物価高、インフレといった現況の中において、先般は国鉄料金の値上げが行われ、近くはまた私鉄運賃の値上げが行われる。こういう状態の中においてこの値上げを認めるということは非常にいかぬのじゃないかと私は思います。  その点について、たとえば地元の沖繩の町村会であるとか、あるいはまた沖繩離島振興協議会であるとかいうところからもいろいろと各種の陳情が来ております。もちろんこれは私の沖特の委員長という立場に対してお持ちになったわけでございますけれども、その一つをとってみましても、沖繩の町村会は、「沖繩離島航空路に対しては、交通体系の特殊性を考慮して原価上昇の原因となっている通行税、航空機燃料税、航行援助施設利用税を免除していただきたい。」とか、あるいは、「赤字路線に対しては、離島振興の一環として船の離島航路補助制度と同様、航空路補助制度を制定していただきたい。」ということを言っております。このことはただいま申し上げました離島振興協議会の方も全く同意見でございます。大体、沖繩における南西航空の立場というもの、位置というものは、御承知のように沖繩の県民にとっては必要欠くべからざる足でございます。これがなくてはもう生活が成り立たないところでございますので、私は、これらの住民の意向を十分にそんたくしてやるべきではなかろうかと思います。  そこで、いまお話がございましたところの通行税、航空機燃料税、航行援助施設利用税を免除しろという住民の切なる希望に対して運輸省当局としてはどうお考えになっているか。また、第二点については、船と同じように航空路の補助制度というものを考えられないのか。こういうことをすれば南西航空としても幾分でも赤字が減少するのではなかろうかと思いますので、その点についてのお答えをいただいてこの問題を終わりたいと思います。
  179. 中村大造

    中村(大)政府委員 南西航空経営的に非常に苦しい立場にあることはわれわれもよく承知いたしております。したがいまして、その経営改善するためにいろいろな方法がある。会社は運賃値上げを申請しており、それから税の減免とかあるいは補助制度とかいろいろ要求をいたしておるわけでございますが、要は、この南西航空という会社の特殊な条件下でその経営を総合的にどのようにして改善するかということで、その方法はいろいろあるわけでございます。  要するに、そういう改善策を現在総合的に検討いたしておるわけでございまして、それの実現し得るものから積極的にこれを実現してまいりたいというふうに考えております。
  180. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 もう一点だけ伺います。  南西航空でSTOLの路線については半年間有効の三〇%特別往復割引運賃というものをやっておりますが、YSの場合は全然していないわけですね。この割引制度をYSの場合にしないという根拠はどういうところにあるわけですか。
  181. 中村大造

    中村(大)政府委員 現在、南西航空だけではなく、全国にいわゆる離島航路はたくさんございます。それについては主としてYSで運航しておるわけでございまして、これについては御指摘のような往復割引制度というものは現在ないわけでございます。したがって、南西航空について、特にYS路線でこの往復割引というものを実行することは、他の路線との均衡ということもございまして、現在まだそういうことは実施に移していない、こういうことでございます。
  182. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 要するに、私が聞きたいのは、STOLの場合にやってYSの場合はやらないという、その根拠はどういうことなのかということなんですね。なぜそれをYSの場合にやらないのか。どういう理由なんですか。
  183. 中村大造

    中村(大)政府委員 御承知のように、STOL機は非常に収容人員が少ない、小さい飛行機でございます。したがって非常に採算性が低いわけです。したがってそういう路線はコスト主義からまいりますと必然的に運賃を高くせざるを得ない、したがってそういう路線について往復割引運賃を実施しておる、こういうことでございます。  STOL路線については、STOL機の購入費そのものについて補助をする等、いろいろコストダウンを考えておるわけでございますが、なおかつやはり運賃が割り高にならざるを得ない。そういうことを少しでも軽減しようということでこういう制度を設けておるわけでございます。
  184. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 要するに、南西航空の値上げはするのですか、しないのですか。もちろん、これから運輸省としても決めて、運審にかけて、それから結局は運審の答申のとおりにまたお認めになるのじゃなかろうかと思うのですけれども、この南西航空の場合の値上げについては、これは島民の足としてぜひ考えなければならぬ。これは内地の離島とは違うわけなんですから考えてもらわなければならない。また、それに対してはしかるべき補助を与えるのが当然じゃないだろうかと思いますので、大臣の見解を聞いて終わりたいと思います。
  185. 木村睦男

    木村国務大臣 松本委員のおっしゃることは非常によく私もわかります。そこで、現在運賃値上げの申請が出ておりますが、これをどういうふうに扱っていきますか、私もよく研究したいと思うのでございます。  海上のような離島航路の補助というのはいままで航空では認めておりませんので、まず補助を少し手厚くしてやらなければいかぬだろうということで、航空路として補助金を来年についていま運輸省としては要求をいたしておりますし、それから、税金の減免につきましてもいま要求をいたしておりますが、そういうことをやりながら、私はまだ経営内容をよく見ておりませんし、また、申請値上げ率がどのくらいか知りませんが、上げるにしてもできるだけ低目にしなければいかぬと思っておりますので、御趣旨を十分含んで検討させていただきたいと思います。いまここで上げるとも上げないとも言えないわけでございます。
  186. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 以上で終わります。
  187. 木部佳昭

    木部委員長 佐藤文生君。
  188. 佐藤文生

    佐藤(文)委員 自民党を代表して、羽田空港と伊丹空港、建設中の成田空港に関係する航空騒音に対する質問をいたします。  第一間、成田の騒音対策はどんなことをやっておりますか。航空局長にお願いいたします。
  189. 中村大造

    中村(大)政府委員 これは航空機騒音防止法の定めに従いまして、すでに学校とか病院などの防音工事の助成をやっております。それから共同利用施設の整備の助成、それから民家の防音工事の助成をやっております。それから移転補償等もすでに行っております。  今後の問題といたしましては、開港時におきまして電話とかテレビの難視聴の改良というようなことについても補助することをやりたいというふうに考えております。
  190. 佐藤文生

    佐藤(文)委員 それでは、次に、第二問は、成田の環境基準というものはどうなっておるか、この際明確にしていただきたいと思います。
  191. 中村大造

    中村(大)政府委員 これは四十八年十二月に告示されておりまして、その基準によりますと、新空港の周辺地域につきましては五十八年の十二月に、これは最終目標でございますが、七十五WECPNL未満の環境基準に達成させなければならない、その中間目標といたしまして、五十三年までに八十五WECPNL未満にする、こういう基準でございます。
  192. 佐藤文生

    佐藤(文)委員 第三番目に質問しますが、騒防法に基づく告示はどうなっておりますか。
  193. 中村大造

    中村(大)政府委員 これは現在鋭意作業をいたしておるところでございまして、早ければ年末、遅くとも来年早々には決定をして告示をできるというふうに考えております。
  194. 佐藤文生

    佐藤(文)委員 そうすると、成田の民防対策の戸数と伊丹空港周辺の民防対策の戸数を明確にしてください。
  195. 中村大造

    中村(大)政府委員 民家の防音工事といたしましては、千葉県で現在これの対象としてきております戸数がA滑走路の対応で約八百、これを新しく告示いたしますと、それに対応して約二、三割ふえるのじゃないかというふうに思っております。  それから、これは厳密には比較になりませんけれども、大阪空港の場合は一種、二種、三種というふうに分かれておりまして、それを総合いたしますと、総数で約三万世帯ということになっております。
  196. 佐藤文生

    佐藤(文)委員 そうすると、民防の程度ですが、これはどういう民防対策の程度に現在進んでおるか、現況を明確にしてください。
  197. 中村大造

    中村(大)政府委員 八百戸のうち四百七十戸がすでにもう実施を済ませております。残りは、これは関係住民の協力を得られることが前提でございますけれども、開港までには何とか工事を完了いたしたいというふうに考えております。
  198. 佐藤文生

    佐藤(文)委員 第六の質問は、民家の移転の対象は、あるいはまた移転済みのものはどうなっておるか、現況を説明してください。
  199. 中村大造

    中村(大)政府委員 これはA滑走路関係ではすでに二百十戸、B滑走路関係で六十戸実施済みでございます。  A滑走路関係につきましてはさらに百十戸程度が移転対象になるわけでございますけれども、これも関係住民の協力が得られれば開港までには完了することができるというふうに思っており、ぜひそうさせたいと思います。
  200. 佐藤文生

    佐藤(文)委員 次に、運輸大臣質問します。  いま六点の質問を私はいたしましたが、それなりに騒音対策が進んでおるということは私は敬意を払いますが、この成田空港の騒音対策を進める上において、伊丹空港の騒音対策の現況に比べまして基本的にどういうお考えで大臣は対処しようとしておるのか、それをお聞きしたいのです。  ということは、亡くなられた佐藤総理が、成田空港を建設する当初において、前例というものをとらない、民族二千年の歴史の中で初めてつくる民間空港である、したがって思い切った措置をとりたい、と、こういうふうに発言したことはもう周知のことでございます。したがって、私個人の考え方からしても、党としての考え方からしても、国際空港である成田空港の騒音対策は、いままでの羽田、伊丹等の騒音対策より以上にむしろ進んだ騒音対策をやるべきではなかろうかという考え方を私は持っておるのですが、大臣のお考えではどういう対処をしてこの騒音対策を成田空港にやっていこうとしておるのか、そのお考え方を聞きたいと思います。
  201. 木村睦男

    木村国務大臣 成田新空港は、申すまでもございませんが、国内、国際兼用空港ではなくて、純粋な国際空港として開設をするわけでございます。それだけに、羽田とかあるいは大阪等とは性格も異にするわけでございます。また、そういうために、いわゆる音源といたしましては、当然、巨大な、当時から想定されておる大型の飛行機も飛来するわけでございますので、なるべく人家の少ないところということであのような選定をいたしたわけでございますが、それと同時に、いま佐藤委員からお話がございましたように、周辺の対策につきましても、在来の空港に見られるようなものよりか一歩進んで、これは開設前の措置でございますから周辺対策も徹底して講じていきまして、あの空港がいよいよ機能開始をいたしましたときには、その後におきましても、大阪であるとかあるいは羽田であるとかいうような人家密集地帯に起こるような問題は一切ない空港にして開設をしていきたい、こういう考え方努力をいたしたいつもりでございます。
  202. 佐藤文生

    佐藤(文)委員 大臣質問しますが、ゆうべある会で大蔵大臣とお会いしまして成田空港の現状について語り合ったのですが、聞くところによれば、騒音対策を中心にした問題点を解決しなくてはならぬ項目は百前後あるだろうと思います。行政レベルで解決することあるいは政治判断で解決をしなくちゃならぬ問題が山積しておりますので、成田空港の建設の問題について大蔵大臣として閣議の中で十分御了解願いたいということを私は党の立場で申し上げました。  したがって、木村運輸大臣担当大臣として非常に熱心にこの建設に努力されておるということを私は高く評価いたしますが、今後は三日に一つは解決しなければ一年後には開港できないといったような問題が山積している成田空港建設について、閣僚協議会その他での積極果敢なる大臣の建設促進に対するお考え方なり推進の基本的な考え方をこの際明確にしていただいておきたいと思います。  何か御意見がございましたら出していただきまして、時間がないようでございますから、御答弁をいただきまして御退席を願いたいと思います。
  203. 木村睦男

    木村国務大臣 成田空港はすでに予定より四年を経過いたしまして、各方面にいろいろと被害も与えておりますし、また、国際的に日本の威信にも関するような状態になっておりますので、私は就任以来これには本当に真剣に取り組んで、一つ一つ障害除去のために皆さんの力をかりながら努力をいたしておるわけでございます。  もちろん、閣内におきましても、成田空港が一日も早く開港して一日も早くおくれを取り戻したいということについては関係閣僚とも一致した意見でございますし、また、私のこの主張に対して特に重要な関係のあります大蔵大臣からも全面的に協力をしようということをたびたび言ってもらっておりますので、今後、私は、関係閣僚協議会あるいは閣議等を通じまして佐藤さんの御激励のとおりに全力を挙げて早期開設に努力をいたしたい、と、かように決意をいたしておりますので、今後とも一層の御指導をお願いいたしたいと思います。  どうも、大変ありがとうございました。
  204. 佐藤文生

    佐藤(文)委員 続いて航空局長に現実の問題質問しますが、羽田の発着制限は現在どうなっておりますか。
  205. 中村大造

    中村(大)政府委員 現在、夜の二十三時から翌朝の六時までの間、原則としてジェット機の発着を禁止いたしております。
  206. 佐藤文生

    佐藤(文)委員 次に、成田について地元からどのような要望が来ているかと申しますか、こういうことをしてくれという要望が具体的に出ておりますか。それを明確にしてください。
  207. 中村大造

    中村(大)政府委員 地元からは、大阪国際空港並みの制限をしてほしいという要望が来ております。
  208. 佐藤文生

    佐藤(文)委員 次に、伊丹については上告中であるということを聞いておりますが、夜間の九時以降朝七時までの発着便は羽田ではどの程度となっておりますか。     〔委員長退席、西銘委員長代理着席〕
  209. 中村大造

    中村(大)政府委員 これはことしの十一月のダイヤでございますけれども、これによりますと、東京国際空港におきましては御質問の時間帯に全体の約二割程度の国際線が発着をいたしております。
  210. 佐藤文生

    佐藤(文)委員 次の質問は、諸外国の国際空港の発着制限はどうなっておりますか。
  211. 中村大造

    中村(大)政府委員 これは各航空当局の資料によっているわけでございますけれども、パリのドゴール空港などは二十四時間離発着可能ということでございます。発着制限のある場合でも、主要国の国際空港は大体深夜の二十三時あるいは二十四時から朝の六時または六時三十分の時間帯について全部または一部の発着制限をしておるということで、大体六時か六時半から二十三時から二十四時までの間がいわゆる発着が可能な状態になっておるということでございます。
  212. 佐藤文生

    佐藤(文)委員 次の質問は、成田については地元の要望のように発着制限はできますか。
  213. 中村大造

    中村(大)政府委員 これは、ただいま申し上げましたような要望でございますけれども、成田空港の国際線を運航するという特殊な条件、それから世界各国のただいま申し上げましたような条件等も勘案いたしますと、いろいろな騒音対策を最大限度いたしました上で、当面はやはり現在の羽田空港並みというふうな運用を行いたいというふうに考えています。
  214. 佐藤文生

    佐藤(文)委員 羽田空港は昭和三十八年以降増便がないと聞いておりますが、事実ですか。     〔西銘委員長代理退席、委員長着席〕  そして、現在、昭和三十八年以降国際線と国内線は一日何便離発着をいたしておりますか。
  215. 中村大造

    中村(大)政府委員 羽田空港は四十六年以降四百六十回、こういうことで制限をいたしております。
  216. 佐藤文生

    佐藤(文)委員 四百六十回のうちに国際線は何便ぐらいでありますか。
  217. 中村大造

    中村(大)政府委員 約百六十便前後でございます。
  218. 佐藤文生

    佐藤(文)委員 航空に対する利用客は激増しておるという社会情勢の中でこの四年間全然増便ができないという現実、航空行政の中でこれが航空局長としては一番頭を痛めているところだろうと思いますし、航空行政の中でこれが一番ガンになっているところだと私は思います。したがって、成田空港なり新関西空港の建設を計画しておるのはその意図がよくわかるわけでございまして、こういったような現況の中で新しい国際空港をつくろうという計画を進めているわけだと思うのですが、航空局長、いままでの考え方で空港をつくろうという考え方ではなかなか開港ができないと私は思うのですよ。  したがって、発想の転換というか、成田空港の建設の過程において、新しい土地利用の規制計画とか、あるいは何かそういういままでにない新しい手段を使って地元住民に納得してもらい、そして協力してもらい、理解してもらうという、そういう手を打たなくちゃならぬと思うのですが、航空局長の行政指導の中で何かそういう新しい発想というものが生まれてきますかどうか、その点をお聞きしたいと思います。
  219. 中村大造

    中村(大)政府委員 ただいま立地規制の構想についてお触れになりましたけれども、実は、これはわれわれといたしましても現在学者にお集まりいただきましていろいろ検討いたしておるわけでございますが、発想といたしましてはぜひとも何か新立法によって立地規制をいたしたいというふうにわれわれは思っております。  ただ、立法論的に憲法論からまいりましていろいろと問題がございます。現在鋭意検討していただいておるわけでございますけれども、どういう方法をとるにいたしましても、そういう新しい土地利用あるいは土地の立地規制といいますか、やはりそういうことをいたしませんと大阪空港における今回の問題のようなことになってくるということでございますので、これは何とか措置をとりたいというふうに思っております。  いずれにしても、新しい空港を発足させる場合には、その空港が開港した時点においていわゆる問題のない空港にするということが先生のおっしゃるとおり必要だと思いますので、そのようにできるようにいろいろな具体的な構想を立てて実施してまいりたいと思います。
  220. 佐藤文生

    佐藤(文)委員 成田空港なり新関西国際空港をつくる計画を進める上において、航空局を中心にしてよほど勉強をし、努力をし、そして各省の協力を得て、政府挙げての考え方に立ってやっていただきたい。  現在百項目以上に及ぶ地元住民の要望、行政府に処理しなければならないこと、政治的に処理しなければならないこと等が山積していると思いますので、したがって、この機会に交通整理をして、どの点が政治的に解決しなくちゃならぬ点であるかということを大臣に進言をし、閣僚協議会においてそれを議題に上げて速やかに処理していく。それから行政レベルでこの程度のことはやれるんだということがあればそれを交通整理して、各省の協力を得て、そしてもう一回空港建設の第一歩に立ち返ってやっていくべきであるということを進言しまして、私の質問を終わりたいと思います。
  221. 木部佳昭

    木部委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時三十四分散会