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1975-03-11 第75回国会 参議院 予算委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年三月十一日(火曜日)    午前十時五分開会     —————————————    委員の異動  三月十一日     辞任         補欠選任      青井 政美君     長田 裕二君      大島 友治君     黒住 忠行君      坂野 重信君     森下  泰君      立木  洋君     内藤  功君      和田 春生君     木島 則夫君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         大谷藤之助君     理 事                 岩動 道行君                 中山 太郎君                 矢野  登君                 柳田桃太郎君                 藤田  進君                 宮之原貞光君                 矢追 秀彦君                 渡辺  武君                 向井 長年君     委 員                 安孫子藤吉君                 青井 政美君                 井上 吉夫君                 石破 二朗君                 長田 裕二君                 亀井 久興君                 黒住 忠行君                 源田  実君                 玉置 和郎君                 徳永 正利君                 中村 太郎君                 夏目 忠雄君                 秦野  章君                 鳩山威一郎君                 最上  進君                 森下  泰君                 八木 一郎君                 吉田  実君                 上田  哲君                 工藤 良平君                 田中寿美子君                 辻  一彦君                 寺田 熊雄君                 田  英夫君                 野口 忠夫君                 松永 忠二君                 和田 静夫君                 三木 忠雄君                 矢原 秀男君                 岩間 正男君                 上田耕一郎君                 立木  洋君                 木島 則夫君                 青島 幸男君    国務大臣        内閣総理大臣   三木 武夫君        国 務 大 臣        (経済企画庁長        官)       福田 赳夫君        法 務 大 臣  稻葉  修君        外 務 大 臣  宮澤 喜一君        大 蔵 大 臣  大平 正芳君        文 部 大 臣  永井 道雄君        厚 生 大 臣  田中 正巳君        農 林 大 臣  安倍晋太郎君        通商産業大臣   河本 敏夫君        運 輸 大 臣  木村 睦男君        郵 政 大 臣  村上  勇君        労 働 大 臣  長谷川 峻君        建 設 大 臣  仮谷 忠男君        自 治 大 臣        国 務 大 臣        (国家公安委員        会委員長)        (北海道開発庁        長官)      福田  一君        国 務 大 臣        (内閣官房長        官)       井出一太郎君        国 務 大 臣        (総理府総務長        官)        (沖繩開発庁長        官)       植木 光教君        国 務 大 臣        (行政管理庁長        官)       松澤 雄藏君        国 務 大 臣        (防衛庁長官)  坂田 道太君        国 務 大 臣        (科学技術庁長        官)       佐々木義武君        国 務 大 臣        (環境庁長官)  小沢 辰男君        国務大臣        (国土庁長官)  金丸  信君    政府委員        内閣法制局長官  吉國 一郎君        内閣法制次長   真田 秀夫君        内閣法制局第一        部長       角田礼次郎君        総理府恩給局長  菅野 弘夫君        警察庁長官官房        長        下稲葉耕吉君        警察庁警備局長  三井  脩君        行政管理庁長官        官房審議官    川島 鉄男君        行政管理庁行政        管理局長     小田村四郎君        行政管理庁行政        監察局長     大田 宗利君        防衛庁参事官   平井 啓一君        防衛庁長官官房        長        斎藤 一郎君        防衛庁防衛局長  丸山  昂君        防衛庁人事教育        局長       今泉 正隆君        防衛庁経理局長  亘理  彰君        防衛施設庁施設        部長       銅崎 富司君        経済企画庁総合        計画局長     小島 英敏君        科学技術庁研究        調整局長     伊原 義徳君        環境庁企画調整        局長       城戸 謙次君        環境庁企画調整        局環境保健部長  橋本 道夫君        環境庁自然保護        局長       柳瀬 孝吉君        環境庁大気保全        局長       春日  斉君        環境庁水質保全        局長       大場 敏彦君        国土庁土地局長  河野 正三君        国土庁地方振興        局長       近藤 隆之君        法務省民事局長  川島 一郎君        外務大臣官房長  大河原良雄君        外務省アジア局        長        高島 益郎君        外務省アメリカ        局長       山崎 敏夫君        外務省条約局長  松永 信雄君        大蔵大臣官房審        議官       後藤 達太君        大蔵省主計局長  竹内 道雄君        大蔵省証券局長  田辺 博通君        国税庁長官    安川 七郎君        国税庁調査査察        部長       渡邊 喜一君        文部大臣官房長  清水 成之君        文部省初等中等        教育局長     安嶋  彌君        文部省大学局長  井内慶次郎君        文部省学術国際        局長       木田  宏君        文部省体育局長  諸沢 正道君        文部省管理局長  今村 武俊君        厚生省医務局長  滝沢  正君        厚生省児童家庭        局長       上村  一君        社会保険庁医療        保険部長     山高 章夫君       農林大臣官房長  大河原太一郎君        農林大臣官房予        算課長      渡邉 文雄君        農林省構造改善        局長       大山 一生君        農林省農蚕園芸        局長       松元 威雄君        農林省畜産局長  澤邊  守君        食糧庁長官    三善 信二君        林野庁長官    松形 祐堯君        水産庁次長    松下 友成君        通商産業省産業        政策局長     和田 敏信君        通商産業省立地        公害局長     佐藤淳一郎君        資源エネルギー        庁長官      増田  実君        資源エネルギー        庁公益事業部長  大永 勇作君        運輸省海運局長  薗村 泰彦君        運輸省港湾局長  竹内 良夫君        運輸省鉄道監督        局長       後藤 茂也君        運輸省自動車局        長        高橋 寿夫君        運輸省航空局長  中村 大造君        海上保安庁長官  寺井 久美君        気象庁長官    毛利圭太郎君        労働大臣官房長  青木勇之助君        労働省職業安定        局審議官労働        省職業安定局失        業対策部長    岩崎 隆造君        建設大臣官房長  高橋 弘篤君        建設省計画局長  大塩洋一郎君        建設省都市局長  吉田 泰夫君        建設省河川局長  増岡 康治君        建設省道路局長  井上  孝君        建設省住宅局長  山岡 一男君        自治大臣官房長  山本  悟君        自治大臣官房審        議官       山下  稔君        自治省行政局長  林  忠雄君        自治省行政局公        務員部長     植弘 親民君        自治省行政局選        挙部長      土屋 佳照君        自治省財政局長  松浦  功君        消防庁長官   佐々木喜久治君    事務局側        常任委員会専門        員        山本 正雄君    参考人        国民金融公庫総        裁        澤田  悌君        住宅金融公庫総        裁        淺村  廉君        中小企業金融公        庫総裁      渡辺 佳英君        日本林業協会常        務理事      若江 則忠君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和五十年度一般会計予算内閣提出衆議院  送付) ○昭和五十年度特別会計予算内閣提出衆議院  送付) ○昭和五十年度政府関係機関予算内閣提出、衆  議院送付) ○参考人出席要求に関する件     —————————————
  2. 大谷藤之助

    委員長大谷藤之助君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  昭和五十年度一般会計予算  昭和五十年度特別会計予算  昭和五十年度政府関係機関予算  以上三案を一括して議題といたします。  参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  三案審査のため、本日、住宅金融公庫総裁中小企業金融公庫総裁国民金融公庫総裁及び日本林業協会常務理事若江則忠君参考人として出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 大谷藤之助

    委員長大谷藤之助君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  4. 大谷藤之助

    委員長大谷藤之助君) それでは前回に引き続き、立木洋君の質疑を行います。立木君。
  5. 立木洋

    立木洋君 昨日の質問で、その時点で再検討される、その時点で決められるというお話でありましたけれども、この際はっきりさせておきたいのですが、宗谷海峡や対馬あるいは津軽海峡など国際海峡について、非核原則事前協議について例外規定を設けることはないと国民の前にはっきり述べることができるかどうか、総理から明確な御答弁をいただきたいと思います。
  6. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) わが国非核原則が大筋において変わるということはございません。具体的な例につきましては、昨日申し上げましたとおり、その時点において考えるというふうに政府は考えております。
  7. 立木洋

    立木洋君 総理、明確に言えるかどうか。
  8. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 外務大臣の言うことと同じでございます。
  9. 立木洋

    立木洋君 きわめてあいまいだと思うのですが、それではさらにお聞きいたしますけれどもキッシンジャーが七三年の十一月に証言されたというものによりますと、沖繩返還交渉の中で、沖繩核通過について、一時通過と一時中継貯蔵について日本政府に要求したということが述べられていますが、この点について日本政府がどういう態度をとられたのか、当時の外務大臣であります福田総理から御答弁をいただきたいと思います。
  10. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) ちょっと聞き漏らしたんですが。
  11. 立木洋

    立木洋君 キッシンジャーが七三年の十一月に証言されている中で、沖繩返還交渉のときに日本核通過の一時通過中継貯蔵について日本政府に要求したという趣旨のことが述べられていますけれども、その当時の日本政府はどういう態度をとられたか。
  12. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) わかりました。  私、大体キッシンジャー関係発言については注意しているのですが、さような記憶はございませんです。
  13. 立木洋

    立木洋君 いや、日本政府はどういう態度をとられたかということなんです。
  14. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 日本政府は、その発言対象にして何らの行動をとっておりませんです。
  15. 立木洋

    立木洋君 その点もきわめてあいまいだと思うのです。つまり、断わったということを明確にしていないわけですから。  それで、私はこの沖繩核通過の問題に関して事実を挙げてはっきり質問したいと思いますが、まず最初防衛庁の方からお聞きしたいのですが、沖繩に駐留している三四五戦術空輸中隊がどういう任務を持っているのか、またどういう飛行機を使用しておるのか、この点についてお聞きしたいと思います。
  16. 丸山昂

    政府委員丸山昂君) 嘉手納にございます三四五戦術空輸飛行隊、これは第一三空軍の隷下にある部隊でございますが、任務航空輸送でございまして、主なる装備は輸送機C130、ハーキュリーズという飛行機でございますが、これがワン・スコードロンでございます。
  17. 立木洋

    立木洋君 これはいつからいますか。
  18. 丸山昂

    政府委員丸山昂君) いつからおるか、ちょっと調査いたしませんと、ただいま直ちにお答えはできないと思います。
  19. 立木洋

    立木洋君 ここに米軍内部資料がありますが、これによりますと、この三四五空輸中隊核兵器輸送任務としておるということが明確に書かれてありますが、このことは当然政府も御存じだろうと思いますけれども外務大臣防衛庁長官にお答えいただきたいと思います。
  20. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) いずれにしても、わが国核兵器が入っていることはない、入ってくることはないということだけははっきり申し上げておきます。
  21. 坂田道太

    国務大臣坂田道太君) そういうことは承知いたしておりません。
  22. 立木洋

    立木洋君 核が入っているか入っていないかということを外務大臣にお尋ねしたのではありません。核兵器輸送する任務を持った航空中隊嘉手納におるということは一体どういうことか、このことをはっきりさせたいわけです。三木総理にお尋ねいたします。
  23. 山崎敏夫

    政府委員山崎敏夫君) 嘉手納核兵器輸送する任務を持った部隊がいるということは承知しておりませんが、また、そういう資料についても私たちとしては承知しておりません。
  24. 立木洋

    立木洋君 いや局長、そういうことを聞いているのじゃないんですよ。核兵器輸送任務としておる空輸中隊が、どうして嘉手納におるかということを聞いておるんですよ。
  25. 山崎敏夫

    政府委員山崎敏夫君) 嘉手納核兵器輸送任務とし、現に核兵器輸送しておるという部隊があることは、承知しておりません。
  26. 立木洋

    立木洋君 委員長答弁になってないですよ。どうしているのかと聞いたのです。  嘉手納に、はっきりとこのように核兵器輸送する任務を持った空輸中隊がいる。同時にそれは、空輸中隊飛行中隊があるだけではなく、七四年五月七日、この三四五中隊ヘニングソン中佐、この指令によりますと、ここの中隊員に関して七名の将校下士官がスペシャル・ウェポンズ、つまり核兵器将校として任命されているわけです。人間までいるわけです。核兵器輸送する飛行機があり、それに携わる将校下士官までおる。この事実を一体どういうふうにお考えでしょうか。三木総理、お答えいただきたい。
  27. 山崎敏夫

    政府委員山崎敏夫君) アメリカ空軍世界に展開しておりますので、各種の任務を遂行する能力を備えておる必要がございます。したがいまして、米空軍の一部としてそういう核兵器輸送する能力を持っており、そしてそういうために、そういうものを扱える資格を持った将校がいるということは事実でございます。しかし、嘉手納基地現実にそういう核兵器が置かれており、あるいは嘉手納基地を経由してそういう核兵器輸送されているということは、われわれはないと信じております。
  28. 立木洋

    立木洋君 核兵器輸送現実に行われていないということは、局長、確認されたのですか。
  29. 山崎敏夫

    政府委員山崎敏夫君) もちろんわれわれとしては、その核兵器現実輸送されておるということを現実に見たという問題じゃございませんが、この核兵器の持ち込みに関しましては、御承知のとおり、アメリカとの間に事前協議という制度があるわけでございまして、その事前協議なくしてわが国にある基地核兵器が持ち込まれるということはないと確信する次第でございます。
  30. 立木洋

    立木洋君 確認されてもいないのに、私は事実を持って提起しておるのに、いいかげんなこと言わんでくださいよ。国会の審議の場で私たちは事実を出して聞いている。ないという証拠があるなら、ないという証拠を出してくれたらいいじゃないですか。  それじゃ、私は次に質問を変えますけれども、いわゆる、ここでは明白な核輸送が行なわれているという事実があります。  ここにありますのが、これが三四五のフライトプランであります。これは相当な飛行機が実際に嘉手納を中継して核輸送が行われておるという事実を証明するものです。このフライトプランによりますと、いまお渡ししました資料最初のところには、尾翼番号八八一、出国予定時刻一九七四年十月二十四日のフライトプランによると、午前十一時出発、燃料は六時間分積載する。機種はC130Eであります。機長はギドリー。そこの備考のところにクラシファイド・ミッション、つまり秘密任務ということが明記されております。さらにもう一つの一九七五年一月三日のフライトプランによりますと、ここでは二機、八六五、八八一、それぞれ午前九時三十分と十時三十分に飛び立ち、後日の一月五日の十一時半と一月六日の零時三十分に帰着するということになっておりますが、ここでも同じように秘密任務ということが明確にされております。  この秘密任務ということについて、米軍のもう一つの「米太平洋空軍教範五五−一三〇「C130塔乗員作戦行動要領」」、この内容によりますと、明確にされておるわけです。「飛行目的秘密任務とされ、飛行命令について」この空輸航空団の「核指令将校からそう説明された場合」にはそうであるということが明確にされておるのです。つまり秘密任務ということは核輸送を行うという、こういうことが明白にこの文書ではされておるわけです。このようなフライトプランによって、すでに飛び立ち、離陸、着陸、帰ってくる期日も明確にしたプランによってその秘密任務が遂行されておる。一体、これでも核兵器現実輸送されていないと言い切ることができるのかどうなのか。その点、総理にお答えいただきたいと思います。
  31. 山崎敏夫

    政府委員山崎敏夫君) 御提示の資料をいま拝見いたしました。  まず第一に、われわれとしましては、この資料がいかなるものであるかということは存じません。その点はもう少し調べさせていただきたいと思います。  それから次に、立木委員は、このクラシファイド・ミッションとは核兵器空輸任務のことであるということをおっしゃいますが、われわれとしては、クラシファイド・ミッション文字どおりクラシファイド・ミッションでありまして、いろんな任務があり得る。ただ、それがいわば非公表の任務であるということであると存じます。  それからさらに立木委員は、別の資料で「それは、飛行目的が」「(CLASSIFIED MISSION)とされ、飛行命令について第三七四戦術空輸航空団核指令将校(Nuclear Briefing Officer)からそう説明された場合である。」ということが書いてあるということを根拠にそうおっしゃるわけでございますが、たびたび申し上げておりますように、ことに米空軍世界に展開しておりますから、核兵器を扱える資格のある将校がいることは事実でございます。しかしながら、それが常に核兵器を扱っているわけでもありませんし、また、それ以外の高級武器を扱う場合もあるわけでございまして、こういう将校指令しておるからといって、核兵器を本当に運ぶことを命令しておるということは言えないと思います。  いずれにいたしましても、先ほどから申し上げますように、沖繩に核のないことは、沖繩返還時におけるロジャーズ国務長官から当時の福田外務大臣に対する書簡においても明確にされておる次第でございまして、こういう資料だけをもって、沖繩を経由して、あるいは沖繩核兵器が持ち込まれるということはないと信じます。
  32. 立木洋

    立木洋君 その飛行任務核兵器輸送ではないと言うことができますか。
  33. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) ちょうだいした資料からは、これが核兵器輸送しているということはどうも少しも読み取れません。したがって、私どもはそういうことがあれば事前協議対象になるはずだと申し上げておるわけです。
  34. 立木洋

    立木洋君 核兵器輸送する任務を持った飛行機がある。そして核兵器のその輸送に携わる核将校下士官までいる。しかも、フライトプランによって現実秘密任務が遂行されておる。これは明確な訓練ではないんです。その秘密任務というものがどういうものか。核指令将校からそういう任務を受けたとき、そういうことである。秘密任務の中には明確に核兵器輸送するということが含まれているんですよ。こういう事実を示したら、一般国民の人は、これでも核兵器がないというふうに信じると思いますか。一片の疑いも持たないのでしょうか、総理にお尋ねいたしたいと思います。
  35. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) どうも、これだけのものからそういうことをおっしゃいますのは、ちょっと私ども納得がいたしかねます。
  36. 立木洋

    立木洋君 総理、疑わないかどうか、お聞きしているのですけれども
  37. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 私も外務大臣の言うように考えます。
  38. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 関連質問をしたいと思います。  いまの立木委員質問で、沖繩嘉手納基地核兵器輸送任務とする輸送中隊があるという事実が米軍内部資料に基づいて出されましたけれども政府はこれだけの資料では不明確だと、あいまいなことを言われておりますけれども、私はもう一つ、この嘉手納基地核兵器に対するハイジャック対策まで米軍が検討している作戦計画があるという事実を追及したいと思います。  ここにも米軍嘉手納基地、三一三空軍師団嘉手納基地の「オペレーションプラン五八二号」という米軍内部資料があります。限定出版百部であります。これは核兵器を積んでいく場合も含めて、ハイジャック対策作戦計画を定めたものであります。  この資料の付属資料というのがありますけれども、ここには、付属資料の中に軍用航空輸送の支援中隊任務を定めてあります。六〇三MASSということであります。この軍用航空輸送支援中隊というのは、嘉手納基地アメリカの本国から米第二二空軍核兵器を積んできた場合、あるいは立木委員質問した輸送中隊が積んでいく場合、この場合をハイジャック対策と決めまして、付属資料のd項にこう書いてある。「搭乗員は、次の条件の場合には、航空機は徹底的に引きとめられるか、または飛行不能に終わると予期してよい」、一は「機長が要請したとき」であります。二番目は「核兵器が機内にあるとき」、こう述べてあります。「(2)When nuclear weapons are aboard」。核兵器が機内にあるときには、航空機は徹底的に引きとめられるか、飛行不能に終わると予期してよいということまで作戦計画に述べてある。  核兵器がないなら、こういう核兵器ハイジャック対策など決める必要がありません。このための作戦計画まで出しているということは、重ねて沖繩嘉手納基地核兵器を積んだ飛行機が離着陸している、少なくとも一時通過している重大な危険があるという事実を示すものだと思います。宮澤外務大臣、こういう事態についてどう考えているのか。少なくともこれを調査し、米軍に問い合わせをするというお答えを、国民の前に国会の場ではっきりお伺いしたいと思います。
  39. 山崎敏夫

    政府委員山崎敏夫君) 最近アメリカの軍におきましても、核兵器が、ことに海外にある場合にハイジャックされるという危険があるということについての関心が高まっておりまして、そのための対策を強化するということは言われておるわけでございまして、シュレジンジャー国防長官もそういう趣旨の発言をいたしております。したがいまして、そういうふうな対策書があるであろうということはわれわれとしても十分想像いたします。しかしながら、そういうものがあるからといって、現実沖繩基地の中に核兵器が持ち込まれているということにはならないと存じます。
  40. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 一般論として核兵器対策を米軍が持っているということではなくて、沖繩の三一三エアディビジョン、嘉手納エアベースのオペレーションプランであります。私が聞いているこの六〇三軍用航空輸送支援中隊沖繩嘉手納基地にある支援中隊であります。この指令説明書には、ハイジャックのたくらみがあった場合、嘉手納及び那覇の航空基地の地上支援協力についての説明をしている。核兵器のハイジャックがあった場合の要領についても機長に説明をするということまで書かれている。こういう点で沖繩核兵器が一時通過している、核兵器を積んだ飛行機沖繩嘉手納基地通過している危険が非常にあるわけです。この点で私は先ほど立木委員質問した問題について、福田総理答弁がありましたが、もう一度お聞きしたい。  キッシンジャー長官は宣誓供述書を提出しましたけれども、この中にこう述べている。一九六九年四月末の国家安全保障会議の後、同年五月二十八日、米国の対日政策、特に沖繩返還に関する交渉戦略を概略した国家安全保障会議覚書最終案が作成されている。この覚書は「沖繩核兵器を保有したいとするわれわれの要望を示し、さらに譲歩する点として一時貯蔵と通過の権利を獲得しうるならば核兵器撤去を考慮する用意がある趣旨を記述したものであった」、こう述べておる。そうなれば当然、日本政府に対してこういう要望で核兵器を撤去するけれども、一時貯蔵と通過の権利を獲得したいというのが条件として出されたはずであります。これについて福田総理は全くそういう事実はなかったと言われましたけれども、そうなれば、そのキッシンジャーの宣誓供述というのは全くうそであるということを、当時の外務大臣である福田総理は明言したということになりますが、一体どういうことですか。そのキッシンジャーの宣誓供述書に書かれていることが、日本政府が実は拒否しなかったこと、それが、いまわれわれが質問しております沖繩に現に核兵器が持ち込まれ、一時通過、そういう危険があると、現実にそういう証拠米軍内部資料によって明らかになっているということと結びついているのであります。重大な問題なので明確に御答弁願いたい。
  41. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 私は当時、さようなことは全然承知しておりません。そういう情報も聞いておりませんです。
  42. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) そのような新聞の報道を読んでおりますけれども、結果は非常にはっきりしておることであって、交渉の途次どういうことがあったか存じませんけれども、これはもう福田・ロジャーズ書簡ではっきり示されておるわけでございます。
  43. 立木洋

    立木洋君 じゃ福田総理は、キッシンジャーのそういう証言ですね、これは日本政府が聞いていないというわけですから、うそだったというふうに考えてもいいわけですか。
  44. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 私自身がそういう情報を全然承知しなかったと、こういうことを申し上げておるわけです。キッシンジャー国務長官がうそをついたとかなんとか、そういうところまで申し上げておるわけじゃないんですが、私自身何も承知しておりませんと、こういうことであります。
  45. 立木洋

    立木洋君 外務大臣として知らなかったということですね。
  46. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) そうです。
  47. 立木洋

    立木洋君 先ほども申し上げましたように、この三四五空輸中隊というのが、その規則によりますと明確に、常時——「常規」ですね、常に定期の核空輸任務を行っておる、行う任務を持っているのだということが明確にされ、マギー大尉を主任将校として七人の将校下士官が任命されている。核輸送に携わる将校下士官であります。しかも、フライトプランによって明確に、これは大量のフライトプランがありますけれども、私がここで提示したのは二種類であります。一日に四機が移動しておる一九七四年十月二十四日、それから八機が移動しております一九七五年一月三日の、二日間のだけしかここには提示しておりませんけれども、この中でも明確にいわゆる秘密任務、その秘密任務は、先ほど申し上げましたように、核兵器将校から説明を受けて飛行される場合が含まれておるということが明確ですから、秘密任務には核兵器輸送が含まれておるとはっきり断定することができるわけであります。  このような事実、これはだれが考えても、明確に核兵器嘉手納を中継して輸送されておると考えるのは私は常識だと思うのです。そういうふうにお考えになることができないかどうか。専門的な技術がなくてもお考えになることができると思いますが、お隣の大平大蔵大臣と福田総理に、お考えになることができないかどうか、一言ずつ御答弁いただきたい。
  48. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) アメリカ政府は、沖繩返還に際しまして、日本本土に核は保有はいたしませんと、こういうことを非常にもう明言を、はっきりと言っておるわけでありまして、何か、お話を承っておりますと、それに反するようなお話でございますが、私はそういうお話を聞いておりまして、どうも納得できないなあと、信用できないなあと、私どもは、アメリカ政府日本政府に対する通告、非常に厳粛なものであると、こういうふうに理解しております。
  49. 大平正芳

    国務大臣(大平正芳君) 私も同様の見解を持っております。
  50. 立木洋

    立木洋君 その御答弁というのは全く客観性がない。科学性がない。信頼するというだけなんです。私が出しているのは、これは科学的な事実に基づいて出しているのです。信頼だけでは問題は解決されない。事前協議というのは神聖なものである。そう言われている。だけど、海洋法で今度十二海里になったらどうするか検討すると言われているじゃないですか。守り抜くということを明言されないのに、一貫して非核原則、核問題の持ち込みに関する事前協議は絶対に守り抜くと明言されないのに、私たちの提起した問題に関してはそういうふうに答弁される。一体これはどういうことでしょう。副総理にもう一言。
  51. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 先ほどから立木委員が客観的事実とおっしゃっていらっしゃることを一つ一つもう一遍考えてみますと、まず第一に、沖繩核兵器輸送する航空機、軍用機があるということを最初に言われたわけです。政府側はそういうことは確認をいたしておりませんと申し上げました。次に、クラシファイドミッションというのは核輸送のミッションであるとおっしゃいましたが、政府は、クラシファイドミッションというのは一般に公表できないミッションを言うのである、核兵器そのものだけを言うのではないということを申し上げました。それから最後にニュークリア・ブリーフィング・オフィサー、これを核指令将校とおっしゃいましたが、それがいいかどうかは別として、そういうものは、アメリカ空軍のことでございますから、そういう資格を持った者は各地におります。それから話があったから、すぐそれが核輸送であるというわけには即断はできませんでしょう。この三つが立木委員の御立論の根拠でございますから、その三つを、どう考えましてもそれが客観的な事実を御指摘になっているというふうには私どもには思えないわけであります。それだけでは私どもはどうもそういうふうにはうなずけない。重ねて申し上げます。
  52. 立木洋

    立木洋君 核兵器輸送する空輸中隊嘉手納におるということは一体どういうことかと聞いたときに、明確に答弁にならなかった。そういう輸送任務を持っておるかどうかわからないと言われたでしょう。秘密任務というのは、私は直ちにイコールこれが核兵器輸送だと言っていない。秘密任務の中には核兵器輸送が含まれる。核兵器将校がおり、そして秘密任務の中にはそういう核兵器輸送が含まれる、明確に。核将校によって指令が出されるわけですから。こういう事実を提起したら、当然、政府の責任として明確に調べることをしなければならないんじゃないですか。徹底して調べてほしいと思いますが、いかがでしょうか。
  53. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) まあ、このような資料をちょうだいいたしましたので、よく研究いたします。
  54. 立木洋

    立木洋君 予算委員会が終わるまでに、明確に当委員会でその調査の結果を報告していただきたいと思いますが、いかがですか。
  55. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) すでに私の申し上げましたことで、これが客観的な事実を指し示すものとは思えないということを申し上げたつもりでありますが、なお重ねての御指摘でございますから、私どもよく研究をいたしてみます。
  56. 立木洋

    立木洋君 この点、委員長よろしくお願いいたします。  問題は、この三四五空輸中隊、六〇三空輸支援中隊、これだけの問題ではないのです。ラロック証言以後大変な核通過の問題が問題になりました。アメリカの報道でもいろいろ指摘された。核積載可能艦船が日本の至るところの港に寄港しておる。核積載可能艦船というのは核を積んでおるのが常識であるということまで言われている中で、日本の全国至るところの港に核積載可能の艦船が、政府が提出した資料によっても明確でありますが、いまや重大な問題になっている。そして、事前協議の問題に関しては、海洋法との関係で、その時点で検討したいなどと言われるような状態になってきている。  私は、ここでもう一度、この問題を沖繩の点でしぼって明確にいたしたいわけですけれども沖繩におる最も大きな中隊、航空団としまして、第一八戦術戦闘航空団がいる。これは核投下訓練を行っている。また、核投下施設も伊江島、出砂島にあるわけです。また、第四〇〇弾薬整備部隊、これは核兵器貯蔵の疑いが濃厚であるということが、各野党の委員から指摘されてきたことであります。さらには、この三四五空輸中隊核輸送を行う任務を持っておる中隊核将校までいる。さらに六〇三支援中隊、核ハイジャック対策までこのあれは持っておる。さらには、嘉手納米空軍基地災害対策によりますと、アメリカ軍の持っておる核兵器の事故に対する対策書まで持っている。外部からの核攻撃に対する防御ではなく、みずからが持っておる核兵器の事故に対してどうするかという災害対策まで明確にあるのです。また、MAC第二二空軍、これが太平洋方面に核兵器輸送する場合、核兵器を含むすべての爆発物を輸送する場合、特に韓国に輸送する場合には、嘉手納中継貯蔵する必要がある場合にはそれを行うという文書まで出ている。  これらの三四五空輸中隊、六〇三支援中隊、あるいは嘉手納米軍基地災害対策、MACの第二二空軍、これらはすべて七四年の三月以降のアメリカ軍の文書でわれわれは指摘してきた。ここ一年近くの間にこれほど沖繩においては核に絡まる疑惑というのが重大になっているんです。かつては、沖繩基地沖繩かということまで言われました。私たちは、この事実に基づいて、いまや沖繩の核か、核の沖繩かと言わざるを得ないような状態になっている。私は、こうした時点で、この沖繩に駐留しておる米軍のすべての任務行動を明確に調査をして、そういうことがないかどうか国民の前に明らかにする責任が政府にあると思うんです。この点について明確な御答弁三木総理にいただきたいと思います。
  57. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 外務大臣立木さんとの質疑応答を聞いておりまして、立木さんはもう明白な科学的な根拠があると言うのですが、政府はさように考えないわけでございますから、そこに大きなこの問題に対する結論の食い違いがありますので、現在のところ、私が外務大臣以上の答弁をいたすことはできません。
  58. 立木洋

    立木洋君 私の言うのに、そういうふうに考えられないと三木総理はおっしゃったわけですが、だけど、事実でもってそうではないということが明確に指摘されない時点で、やはりこれはきちんと調べてやるということが私は政府の責任としてあるんではないかと思うんです。それを調査をされるという御意思はおありでしょうか、三木総理にお尋ねいたします。
  59. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 外務大臣は、立木さんの前提になるいろいろな条件に対してお答えをいたしたわけでございますが、それでもなかなか立木さん納得をなさりませんから、外務大臣の方におきまして、よく、言われる点なども勘案しつつ研究をいたします、そうしていずれお答えをいたすということでございまして、そういうことで、この際私もそうすることが適当であろうと考えております。
  60. 立木洋

    立木洋君 三木総理宮澤外務大臣は、先ほど、核兵器輸送されておるという、そういう任務を持っておるということを、この三四五については知らないと答えたんでしょう。知らないのに、そして私の出した資料に反発する、否定される、知らないのにどうして反発できるのですか。これは根拠そのものがないんですよ。だから、それが知らないということであれば、それは調べてみるということは普通の人だったらだれでも考えることだと思うんです。だから、私はいま直ちに結論を出してくれと言っているんではないんです。三木総理はいつも急がれないようにと言われるから、私も急ぎませんよ。予算委員会の間じゅうで結構だから、明確に調べて回答を出していただきたい。外務大臣が知らないと言われているのですから、その点はっきりさしていただきたいのですが。
  61. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 研究をいたしますということは先ほど申し上げたわけでございますが、御承知のように、米軍の、あるいは一般に外国軍隊に貸与、供与されました施設・区域につきましては、当該国の軍隊が管轄権を持ちますことはNATOにおきましてもそうでございますし、わが国におきましてもさようでございます。したがって、それに対し、あるいはその行動に対し一般に当該国政府に調査権というものは与えられていない、このことは御承知のとおりでございます。したがいまして、私どもとしては、こういう場合に、御提出になりました資料について私どもが研究をいたしまして、なるほどこれにはかなりの信憑性がある、やはり照会をする必要があると考えました場合には照会をいたします。私どもの研究でそれだけの照会をするだけの根拠を発見し得ないというときには照会をいたしません。そういう意味で私ども研究をいたしますとお約束をしております。
  62. 立木洋

    立木洋君 当初外務大臣が述べられたときには、これは知らないと言われたんでしょう。知らないということは、これは聞いて問いただすということが常識ではないでしょうか。もし、あなた方が米軍基地の内部に行って調べることができないならば、一つ一つ事実を示して、こういう問題についてはどうでしょうかと言って米軍に問いただすことぐらいはできるんではないでしょうか、その点いかがですか。
  63. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 立木委員の言われましたこと、ただいまちょうだいいたしました資料をよく検討いたしまして、もしそういう確率が非常に高いというふうに私ども判断いたしましたら照会をいたしますし、それだけの事実を示唆するほどのことではないと考えましたら照会をする必要はない、その点を研究いたします。
  64. 立木洋

    立木洋君 いまどうしてそれを調査するということが明確に言えないんですか、ここでその結論を出してくださいよ。
  65. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 何度申し上げても同じことでございますが、これだけ、ちょうだいした資料あるいはただいままでの御説明では、これは調査をしなければならない、照会をしなければならないというふうにまだ私感じておりません。でございますから、よく研究さしていただきまして、なるほどこれは照会した方がいい、国益になると考えましたら照会をいたしますし、それほどの確率の高さがないと考えましたら、あえて照会をいたす必要はないと、その点は研究さしていただきます。
  66. 立木洋

    立木洋君 私は先ほど幾多の例を挙げました。アメリカから核兵器沖繩に運ばれてくる、第二二空軍のこと、そして運ばれてきた核兵器が——この三四五というのは、これは訓練飛行もあるわけです、フライトプランには、ちゃんとパイロット訓練飛行、さらには航法訓練飛行というのもあるんです。それとは別に普通の兵器の輸送もあるんです。そのほかに秘密任務ということが明記されているんです。そして秘密任務核将校から指令を受けたときということになっているんですから、秘密任務には明確に核兵器が運ばれることもあり得るということを私は指摘しているんです。これが輸送されているのはどこか、このフライトプランをごらんになっていただければわかりますよ。これは韓国のいわゆる烏山、それから済州島、台湾の泉清崗、さらにはその他クラーク、マーカス、日本の国内では岩国、横田、こういうところにこの三四五空輸中隊は空輸を行っているんです。しかも、あの沖繩には第四〇〇弾薬整備部隊核兵器を貯蔵することが可能な弾薬整備隊がある。現にされているという疑いもある。ざらにはハイジャックされた場合の対策、核事故が起こった場合の対策、これも全部つくられている。そして現実に施設があって核投下訓練がやられている。そうして運んできて、あちこちに運ぶ機能を持ち、核将校までおり、貯蔵する施設までちゃんとある。しかも、そういう対策まですべて万全に整うように沖繩ではつくられている。だれが考えてみたって、これは沖繩に核があるのではないか、素人でも常識的に判断すれば明確に考えられることなんです。その疑いを明らかにする責任が政府にあるということを私は要求しているんです。私の要求が無理か無理でないか、もう一度御答弁いただきたいと思います。
  67. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) ただいま、ようやくあり得るということをおっしゃいましたので、事ははっきりしてきたわけでございますけれども、そのあり得る公算が、ちょうだいしたものから大であると考えましたら照会をいたしましょうし、その公算がいわゆるあり得るという単に可能性を示すだけでありましたら、あえて照会をする必要はない、私どもとしてもう少し研究をさしていただきます。
  68. 立木洋

    立木洋君 三木総理が以前この国会の答弁の中で、単なる通過は核持ち込みではない、事前協議対象にかからないということをおっしゃったと思うんですが、御記憶にあるだろうと思うんです。私は、あのことが、やっぱり政府のその当時の考え方が正しかったんじゃないか、政府の立場としては。今度国際法の問題、海洋法の問題が出てくればまた検討すると言われている。この点について、今日の時点核兵器が持ち込まれている疑いが濃厚なんですから、あのときの御答弁と関連して、いま三木総理はどのようにお考えなのか、その点お答えいただきたいと思います。
  69. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) その後、私がそういう答弁をいたしまして、政府がいろいろな情勢にかんがみて、そして統一的な見解を発表しているわけでございますから、私も現在においてはそういうふうな政府の考えておる現在の考え方が適当であると考えております。
  70. 立木洋

    立木洋君 きわめて私はいまの答弁、納得しないわけですけれども、では最後にもう一つ。  キッシンジャーの証言について、先ほど来福田総理に何回かお尋ねしたわけですが、当時外務大臣であった福田総理は知らないというふうに述べられている。だけど、すべての新聞では、これは七三年十一月、キッシンジャーの証言として明確に報道されているわけです。この問題に関してアメリカ側に問い合わせをしていただきたいのですけれども、どういう証言なのか。いかがでしょうか。
  71. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 私もその点は新聞で報道を読んだわけでございますけれども、私が、福田当時の外務大臣が御存じないと言われるのは、至極もっともなことだと思いますのは、あれを読んでみますと、アメリカ国内で、こうこうこういうことがあったと、しかし、こうなったということが書いてあるわけでございまして、日本政府との間でこういうことをやったということではないわけでございます。ですから、それをこちらがわからぬでも少しも私は不思議なことではないと思います。が、証言が公になっておりますものでございましたら、もとよりこれは取り寄せることにいたします。
  72. 立木洋

    立木洋君 ただいまの答弁、調べてみてということでありますけれども、先ほどの調査の件に関しては、私は大変不満であります。私は、調査をされるのかどうか、明確になった時点でもう一遍質問させていただきたい。あと保留いたします。
  73. 大谷藤之助

    委員長大谷藤之助君) ただいまの件に関して質疑者は不満足のようでございますが、政府側の答弁は、繰り返しはっきり答弁をされておるようでございます。これを保留されて質疑を残されるということでなくして、その問題は繰り返しても同じであろうと思いますから、次の質問に移っていただきたいと思います。
  74. 立木洋

    立木洋君 調べるか調べないかを検討すると言われているのですから、だから、検討した結果、調べることになったのか、調べることにしないのかということがはっきりした時点で、私はその点について質問させていただきたいということなんです。
  75. 大谷藤之助

    委員長大谷藤之助君) 御疑問があれば、重ねて政府に質疑を願います。
  76. 立木洋

    立木洋君 研究すると言われているのですから、研究して調べることになったのか、調べることにならないのか、その結論が出た時点で私はもう一度質問をさせていただきたいのですが、いかがでしょうか。
  77. 大谷藤之助

    委員長大谷藤之助君) 本予算委員会中に研究をするというお話でございますから、最後まで質問を保留されると、総括は終わりますよ。残された時間、次の問題があれば重ねてやっていただきたいと思います。政府側の答弁は、一応政府の見解としてはっきりいたしております。
  78. 立木洋

    立木洋君 いや、調査は、予算委員会中に調査をしてくれと頼んだのです。そうしたら、調査をするかしないか、委員会中に調査するかしないかを決めると言われたのですから、だから総括の間じゅうに、一日ぐらいあれば調べるかどうかというのは御検討いただけると思うのです。あと二分しかありませんから、一言その時点質問させていただきたい。
  79. 大谷藤之助

    委員長大谷藤之助君) ただいまの立木洋君の質疑の件については、政府側で研究をいたしまして、研究の結果は改めて政府か心答弁をいたします。  残余の質疑は後日に行いたいと存じます。     —————————————
  80. 大谷藤之助

    委員長大谷藤之助君) 引き続きまして、上田哲君の質疑を行いますが、まず、建設大臣から発言を求められておりますので、これを許します。
  81. 仮谷忠男

    国務大臣(仮谷忠男君) 住宅金融公庫の個人住宅融資の受け付け再開に当たり、大手業者に事前に情報を流して、それが一月七日付のミサワホームの新聞広告になったのではないかという三月八日の上田議員の御質問に対しまして、調査の結果を御報告をいたします。  ミサワホームでは、昨年の十月より新型の低価格量産住宅の発売を行い、その販売目標戸数を年間一万戸、四半期ごとに二千五百戸ということにいたしておったようであります。その第一次分は、昨年の十月から十二月にかけて二千五百戸を販売するということで、すでに昨年十月、今回の第二次分と同じ内容の広告を新聞各社に出しておったようであります。今回の一月七日付の広告は、その第二次分として、本年一月から二千五百戸の受け付けを行うという新聞広告になったものと考えております。また、御指摘の一月七日付のミサワホームの新聞広告は、昨年の十二月十二日に広告代理店、電通でありますが、広告の申し込みを行っておりまして、最終広告原稿が新聞社に送付されたのは十二月の二十八日となっております。  一方、公庫の個人住宅融資の受け付け再開は、私が大蔵大臣との予算折衝の結果、最終決定を見て、一月十日に新聞発表をしたものでありまして、昨年のうちに再開受け付け戸数に関する予算折衝があった事実はもちろんございません。  以上申し上げましたようなことから、一月七日付の新聞広告は、御指摘をいただいたようなことの理由で出されたものでないと私どもは考えておりますので、御報告を申し上げます。
  82. 上田哲

    上田哲君 全く逆ですよ。二千五百戸というのはプレハブの全部の四分の一。業者は四十ある。そのうち七つが中心であって、しかもミサワホームはずば抜けて二千五百というのをあらかじめ決めている。そこへ公庫側が歩み寄ったという癒着そのものがここに出てくるわけです。私は、まさに庶民の家を建てたいという欲求、そのための金融公庫の融資を受ける道が大手業者のチャンネルを通らなければ全く不可能になっているという実態について激しく怒りを感ずる者です。建設大臣いかがですか。
  83. 仮谷忠男

    国務大臣(仮谷忠男君) 先日もお答え申し上げましたように、個人が融資を受けてどういう家を建てるかは個人の選択によるものでありまして、それを、どういう形のものを建てるといったような、事前に割り当てをするということは適当でないということ、私どもも十分に承知をいたしておりまして、そのこと自体は今後あってはならないというふうに考えて、厳重に注意をし、努力をしてまいるつもりでありますが、ただ、今回のミサワホームの問題については、ただいま御報告をいたしましたような経緯によるものでありまして、決して私どもは業者と癒着をして、その間に何らかの思惑があってやったというふうには考えておりませんので、御了解をいただきたいと存じます。
  84. 上田哲

    上田哲君 お答えをお変えになることはないと思いますから、そのこと自体でなくて、問題を広げます。  五万戸の融資全体枠、この件について、庶民の気持ち、庶民の要望を満たすような十分な適切な処置がとられていたとはお考えになりませんね、十分にとられていたとは。
  85. 淺村廉

    参考人(淺村廉君) 先般、五万戸の特別の融資枠をちょうだいいたしまして、私どもはこの運用には慎重を期してまいったつもりでございます。私どもの仕事は、実は金融公庫で直営をいたしておる部分はごく少ないわけでございまして、窓口の業務はほとんど大部分を全国の銀行その他金融機関に委託をいたしております。数から申しますと、委託店舗の数は七百五十、取り扱いの窓口は全国で八千程度でございます。そういうことでこの窓口の業務をやらせていただいておりまして、お客さんの応対に失礼なことのないよう、厳正かつ公正に業務を取り行うよう常々十分御指導もいたし、お話し合いもいたして進んでまいっておりまして、業務開設以来二十五年になりますが、いまだその点について特別の御指摘を受けたことはないわけでございます。今回の五万戸の受け付けにつきましては、非常に異例なことでありまして、私どもも従来以上に気を配りまして、申し込み受け付けの用紙も二十一万部を全国に配布をいたしたわけでございます。これはどうやってやったかと申しますと、私どもに、まあ支店と申しませんで支所と申しますが、そういうものが全国に十二ございます。そういうところを通じまして、その管内の金融機関その他に、大体過去の実績から見まして適当であろうかと思われる数量をその総括店を通じて流しておるわけでございます。そういうことでこの二十一万部を一応流しまして、ただ親元には少しく余裕をとっておきまして、何かのときには直ちに埋め合わせができるようにいたしながら配布をいたしまして、一応の体制をとって慎重に進めてまいったつもりでございます。
  86. 上田哲

    上田哲君 とんでもないですよ。これは五万戸が、締め切りは二月の十九日の予定だった。それが二十日も早めて二月の一日に締め切りになった。ところが、それ以前にもう八千店の窓口では一斉に受け付けが滞ってしまって、受け付けてくれなかった等々のことがいっぱいあるわけです。私は、事前に当局側に具体的な例を挙げて調査を依頼してありましたから、具体例で報告をしてください。
  87. 淺村廉

    参考人(淺村廉君) ただいま申し上げましたように、私どもは十分な部数を用意いたしまして、さようなことの起こらないように配慮をいたしました。ただ、実際問題といたしましては、何しろ八千の店舗でございますので、平素非常に申し込みの少ないところから、相当あるところと、いろいろばらつきがございます。そこで、途中で用紙が足りないという現象が絶対に起こらないとは保証できないのでありまして、そういう場合には直ちにその総括店に連絡をさせまして、総括店の方には少しく余裕を持たせておりますから、そういうところから埋め合わせてその欠陥を補うということにいたしております。そういうことで進めておりまして、ある時期に、たまたまそのときになかったというので、お客様にすぐ取り寄せますからというようなことを申したところが、あったと。ところが、ある店ではそういう状態でなくて、そこに用紙があったと。何か、片一方にあって片一方がないのはおかしいじゃないかと……
  88. 上田哲

    上田哲君 具体例で言ってください、具体例で。
  89. 淺村廉

    参考人(淺村廉君) というようなことがございますので、私は、いろいろとございましたので、調べさせていただきました。私の方で調べましたのを、まず、じゃ具体的に申し上げます。  一月十八日に、栃木県の栃木相互銀行陽南支店と書いてありますが、そこで、申し込み用紙は二十日でなければ売れないと言った。同日、足利銀行では渡してくれたと。まあこんなことで、ある銀行に行くと、あらかじめそれを渡してくれたのに、ある銀行ではないと言ったと、こういうようなことを指摘されております。私どもでは、これを調べましたところ、ちょうどその銀行では非常に申し込みが多うございまして、その前日にすでにそれがなくなっていたと。そこで、その日においでになった方に、ただいま本店から取り寄せるということにしておりますからということで御了解を願ったということであります。これはすぐさま補充がついたということを銀行では申しております。  それから埼玉銀行上尾支店、武蔵野銀行上尾支店で、申し込み用紙もないし、枠もいっぱいですと言われたと、こんなことを言っておりますけれども、これはまことにおかしな話でありまして、私どもの調査の結果、埼玉銀行の上尾支店では、申し込み期間中は申し込み用紙はあったとはっきり申しております。  それから武蔵野銀行上尾支店では、受け付け期間中二回ほど用紙が売り切れたので、その間、来店した方にちょっとお待ちくださいということを申し上げて、その方に対してどうしたかと申しますと、お名前と連絡先をあらかじめ伺っておきまして、本店から取り寄せて差し上げたという方が四人だそうでございます。それから、それはもう待てないからと言って、他の銀行で手に入れられた方がお一人、こういうふうな報告でございまして、別に結果的には御迷惑をかけていなかったと申しております。  それから、非常に私は不思議に思いますのは、東海銀行の本店で、業者がまとめて申し込む場合はいいが、個人の申し込みはだめだと言われたという、何かそういうお話でございますが、東海銀行に、とんでもないことでございますから照会をいたしました。ところが、東海銀行から逆に、東海銀行としては金融公庫からかねて厳重に言われているとおり、申し込み用紙は一人一件に限るということで厳重にやっておりますと、業者が一括申し込んで、それに売りつけるなんということはとんでもないことであります、むしろ逆でありまして、そういう事実は絶対にございませんということを、公庫の業務を担当しております担当の課長からの報告を受けております。  大体そのようなことでございます。
  90. 上田哲

    上田哲君 あきれるぐらい不誠実な報告でありまして、事実と異なるところがはなはだ大きい。問題は、建設省、金融公庫、そして業者、実はそのもっと奥に銀行の姿勢について問題があると言っているんです。全国の八千支店を全部あなたの方の委託窓口にして、そこで用紙を配っている。用紙を取りに行っても、ないんですよ。締め切り日の二十日前になくなっちゃっている。殺到していますよ、全国で。電話を入れたり、実際に人を派遣してやってみたんです。業者が一括して持っていっているではありませんか。否定しますか、それを。
  91. 淺村廉

    参考人(淺村廉君) ただいま申し上げましたように、用紙は相当部数用意して配布いたしまして、足りなければそういう方法で総括店ないし私どもの支所に連絡をいただければ、直ちに持っていくかどうするか、とにかく補充をするという方法を厳重に講じております。そこで、途中でこういうようなちょっとした疑念が出たということは、私は調査の結果承知いたしましたが、ただいま御指摘のように、業者が一括してごっそり持っていくなどということは絶対にございません。
  92. 上田哲

    上田哲君 あったらどうしますか。建設大臣、建設大臣。あなたは関係ないよ。
  93. 淺村廉

    参考人(淺村廉君) 私からお答えいたします。  あったか、ないか、たとえば、どういう具体的な事例があったかということを私はもし承れば、それにつきまして厳重に調査をいたすつもりでございます。
  94. 上田哲

    上田哲君 調査だけじゃないね。はっきりしたらどうする。銀行を取り消ししますか。
  95. 淺村廉

    参考人(淺村廉君) それはまたその事態によりまして、事情をよくきわめた上でないと、いまから何ともお答えできませんが、まず第一、そういうことはあり得ないと考えております。しかし、そう何も私はがんばるわけじゃございません。そんなことは絶対にありませんが、あるとおっしゃいますので、もしそういうことがあったならば、具体的な事例を伺った上で調査をして、私どもはいろいろな措置を講ずる道を持っております。委託契約でございますから、いろんな段階に応じての措置を用意いたしております。それに従いまして、適切な措置を、監督官庁と御相談の上講じたいと思います。
  96. 上田哲

    上田哲君 青森銀行の注意処分は何ですか。
  97. 淺村廉

    参考人(淺村廉君) 御指摘の件、青森銀行のお話が出ましたが、これはただいまちょっと申し落としましたけれども、これはちょっと銀行の方でお客さんに対する応待があまり上手でなかった例でございます。これは実は、申し込み用紙がちょうど不足しておりましたので、ただいま手元にございませんというのを、お客さんの方で、それじゃということでお帰りになって、そうして公庫の方にそういうようなことがあるというお話もございました。それで私の方から係員を派遣いたしまして調査をいたしました結果、銀行のその応待にも少し手抜かりがあったということは率直に認めます。これは厳重に注意をいたし、私どもからは、特に文書によりまして銀行に十分注意をしてもらいたいということを申しました。  なお、このお客さんに対しましては、特に御相談をいたしまして、お客さんが来年度の受け付けでもいいからということを言ってくださいましたので、来年度の受け付け開始早々処置をいたすことで、ただいま円満に解決いたしております。
  98. 上田哲

    上田哲君 銀行側が、預金をしてほしいとか、取引をしてほしいと条件をつける、銀行の住宅ローンと公庫融資とをワンセットにして貸し付けるという言い方、日ごろ取引のある建設業者に、こっそりまとめてやるからそっちでやってくれという例、具体例は全部挙がっておりますよ。業者が一括して持っていくというのは業界の常識ですよ。あなたはその常識すら知らない総裁ですか。
  99. 淺村廉

    参考人(淺村廉君) この申し込み用紙を、私の方は特に業者の方に一括して渡すとか、あるいはどうとかというような特別な扱いは絶対にいたしておりません。  それから、もう一つ申し落としましたが、私どもの申し込みは、常に御本人またはその家族の方に限るということにさせていただいておりまして、しかも、申し込み一人一件という原則を厳守いたしております。また、銀行にお願いして出してもらっております立て札にも、必ずお一人一件に願いますということも明記してもらっております。そういうことで、不正が起こらないように十分配慮をいたしておるつもりでございます。
  100. 上田哲

    上田哲君 大変はっきりしました。だとすれば、建設大臣、これは公庫法に基づく違反ですね、そうなれば。確認をしておきます、一括してというのは。——総裁には聞いておらぬのだ。あなたに答弁を求めておらぬのに、なぜ立つのだ。必要ないよ。君には聞いていないじゃないか。建設大臣、監督官庁に聞いているのに……。
  101. 淺村廉

    参考人(淺村廉君) ですからその前に……
  102. 上田哲

    上田哲君 監督官庁でなければ答えられないことを、その下請の人間が答えるのはおかしいじゃないか。何だ、君は。君じゃ答弁能力がないのだ。委員長答弁能力がない。監督官庁の監督権限の内容を聞いているのに、監督されている方が答えるというのはおかしいじゃないか。
  103. 淺村廉

    参考人(淺村廉君) ですから、具体的な事例を伺わなければお答えできないと申すわけでございます。
  104. 上田哲

    上田哲君 何だ、それが一体答弁か。委員長、これはおかしいよ。これは審議にならないじゃないか。監督官庁に聞いているのだ。
  105. 仮谷忠男

    国務大臣(仮谷忠男君) 公庫法違反というのは、どういう意味でしょうか。
  106. 上田哲

    上田哲君 一括して持っていくことが絶対にあってはならぬと言ったわけですよ。だから、それがあったら公庫法違反ですね。違反行為ですねということでいいですよ。
  107. 仮谷忠男

    国務大臣(仮谷忠男君) それは、指導方針として、大体八千店に委託をしまして、公庫は——個人が持ち家を必要とするために金を借りるのですから、それぞれ個人が金を借りるものなんですよ。それを一括するとか、連名でいくとかいう性質のものじゃございませんでしょう。だから、本人が来るか、場合によっては家族が来るか、一人一件、二軒も三軒も建てることはないはずですし、また、そういうことは認めませんから、そういう意味の指導方針でやっているのですから、その指導方針どおり私どもはやってもらいたいと思っておりますし、それを一括して申し込みするということはあり得べきことじゃないし、私どもはそういうことはないと考えておりますし、取扱店にもそういうことは絶対させないと、こういう方針で進んでおるわけですから、御理解いただきたい。
  108. 上田哲

    上田哲君 そうなれば、当然違反ですね、あってはならぬことが起きるのですから。
  109. 仮谷忠男

    国務大臣(仮谷忠男君) 法律違反というものではないのですし……
  110. 上田哲

    上田哲君 法律違反ですよ。
  111. 仮谷忠男

    国務大臣(仮谷忠男君) ちょっと待ってください。
  112. 上田哲

    上田哲君 それは簡単な、法律違反ですよ。
  113. 大谷藤之助

    委員長大谷藤之助君) 住宅局長答弁させます。
  114. 山岡一男

    政府委員(山岡一男君) 法律上のたてまえといたしましては、個人の自由意思でございますので、人に委託をして、たとえ一括申し込みされたとしても、違法という点はございません。
  115. 上田哲

    上田哲君 業者がと言っているのだよ、ぼくは。業者があってはならないと言ったんじゃないですか、総裁は。
  116. 山岡一男

    政府委員(山岡一男君) 委託を正式にやっておれば構わないと思うのです。
  117. 上田哲

    上田哲君 住宅金融公庫法十八条を読みなさいよ、十八条を。
  118. 山岡一男

    政府委員(山岡一男君) 御本人が特に業者に委託をされまして、たとえば工務店の方が代理でお申し込みになる場合もございますが、そういうものはたてまえとして違法ではございません。ただ、こういうふうな状況でございますので、公庫の内部通達といたしまして、申込人またはその家族に申し込みを行わせることを徹底させて、事業者等の申し込み代行を防止し、申し込みの公正を図るようにしてくださいというふうな指導をしておるわけでございます。
  119. 上田哲

    上田哲君 公庫法十八条は何と書いてあるのだ、君。それをたまたま読んでなかったらどうなる。総裁は明らかにそういうことがあってはならないと言ったじゃないですか。
  120. 淺村廉

    参考人(淺村廉君) 十八条は、公庫の貸し付けを受けるべき者の選定について規定をいたしておりまして、これは公正に選ばなければならない、当然のことが規定されております。非常に条文の引用が多うございますのでそのまま読みますと、「公庫は、前条第一項、第二項、第四項から第八項まで、第十項及び第十一項の規定による貸付けの業務を行なう場合においては、貸付けの申込みをした者の貸付希望金額、申込者の元利金の償還の見込み及び前条第一項第一号に該当する者についてはその住宅を必要とする事由、同項第三号若しくは第四号に該当する者又は同条第四項若しくは第十項の規定による貸付けの申込みをした者についてはその事業の内容、工事の計画その他資金の貸付けに必要な事項、同条第五項の規定による貸付けの申込みをした者についてはその改良を必要とする事由をそれぞれ充分に審査し、かつ、申込者の総数及び申込みに係る貸付希望金額の総額を参酌して、公庫から資金の貸付けを受けるべき者を公正に選ばなければならない。」
  121. 上田哲

    上田哲君 公正にですよ。
  122. 淺村廉

    参考人(淺村廉君) 公正でございます。
  123. 上田哲

    上田哲君 その公正のところに入らないんですか、あなたいま言われましたね。
  124. 淺村廉

    参考人(淺村廉君) これはちょっと私の説明が少しく下手であったかもしれませんが。
  125. 上田哲

    上田哲君 業者が持っていっていいか悪いか、そこだけでいいですよ。
  126. 淺村廉

    参考人(淺村廉君) 業者があらかじめ、私の方は申し込みに当たって、たとえば個人から頼まれたから十部くれと言ってこられると、ある工務店がお客さんに頼まれたから二十部くれと言ってくると、それから、あるいはまたほかの業者と……
  127. 上田哲

    上田哲君 話が違ってきたじゃないか。
  128. 淺村廉

    参考人(淺村廉君) いや、ですから、私が少しそこの辺を何かこう頭がちょっと混乱いたしまして申し上げましたが、何か申し込みの受け付けに対して特別に扱うというような感じは絶対にないということを申し上げておったつもりでございます。  それから、特に今回のあれにつきましては、枠も少ないことでありますし、特に金融機関に注意をいたしまして、そういうような疑いが起こるようなことはやめてくれと、いまおっしゃいました業者がごっそり持っていくなんということはとんでもないことで、今回の五万戸にかんがみまして、そういうことは自粛をしてもらいたいということは厳重に申したつもりでございます。
  129. 上田哲

    上田哲君 じゃ、十部、二十部ならそういうこともあると、百部なら違反ですか。百部なら違反だね、幾ら何でも。頼まれることないよね。
  130. 淺村廉

    参考人(淺村廉君) それは違反とか違反でないとかというふうな問題ではなくて、それは妥当か妥当でないかという問題だと思います。私どもはもう長年金融機関に業務を委託しておりまして、金融機関もその辺のことは十分心得てやっておりますので、私どもも信頼をいたしておるわけでございます。
  131. 上田哲

    上田哲君 もう、めろめろだし、許せない。十部、二十部ならまだ目こぼしをしてもいい、近所から頼まれたということもあるだろう。百部、二百部なんということは、公正という言葉に入らぬです。そんな三百代言の言い方じゃ許せない。業界がまともに持っていって、全部銀行と業界が一緒になってやっているというのは、これは常識ですよ。一例を出しましょう。  これは一月十五日の朝日新聞ですよ。見てごらんなさい。ここには何と、地方銀行ではトップである横浜銀行がここにありますよ。いいですか、ナプコホーム、それから太陽建設、これは建設会社で、下は代理店だ。横浜銀行が一月十八日に説明会を開くと言っている。どうですか、建設大臣、見てごらんなさい、これ。
  132. 大谷藤之助

    委員長大谷藤之助君) 席にお帰り願います。
  133. 上田哲

    上田哲君 こんなはっきりしたことがあって、十件や二十件ならなんていうごまかしはきかない。全部業界でやっている。それを全部銀行が一緒になっている、銀行が。
  134. 淺村廉

    参考人(淺村廉君) 突然の御指摘で、ちょっと私も十分お答えはできませんが、何しろ金融機関に委託をいたしておりまして、私どもの融資手続というのは融資金額からその他毎年変わりますので、そういう点で、あらかじめ誤解のないように、皆様によくわかっていただくために、銀行等ではいろいろな方法で説明会を開催いたしております。これは非常に公庫の融資額が変わったり手続が変わったりすることが多うございますので、一こういうことは毎年やって、間違いのないようにいたしておるわけでございます。
  135. 上田哲

    上田哲君 業者が一緒で銀行が広告を出していることがいいということになって、まとめられちゃったらどうなるのですか、一体。建設大臣ですよ、これは。こんなことは通りませんよ。十件や二十件なんていう言い回しだけでごまかせますか。まとめてできるじゃないですか。そこらでごまかしちゃ国民が泣きますよ。
  136. 山岡一男

    政府委員(山岡一男君) 先ほど来総裁から答弁いたしておりますが、公庫法十八条によりますと、公正な選定をやれということが書いてございます。したがって、業者が一括申し込みをしたというようなことにつきまして、最後の選択につきまして、それだけを優先をして一般の申し込みには一切割り当てないというようなことがあれば、これは不公正な取り扱いになります。
  137. 上田哲

    上田哲君 申込用紙の話をしているのだ、さっきから。それを銀行がやっているのだ。違う話をするな。
  138. 山岡一男

    政府委員(山岡一男君) したがって、そういうことがないように一人一人ずつの申し込みをさせておるという趣旨でございます。
  139. 上田哲

    上田哲君 一人一人が何で百枚も二百枚ももらうのだよ。
  140. 山岡一男

    政府委員(山岡一男君) その事実は、実は私ども承知いたしておりませんが……。
  141. 上田哲

    上田哲君 だから、いけないでしょう、これは。
  142. 山岡一男

    政府委員(山岡一男君) もしそういうことがあれば厳重に取り締まるべきだと思います。
  143. 上田哲

    上田哲君 新聞広告が出ているじゃないか、君。あればもくそもないじゃないか。朝日新聞はうそを書いたというのかい。
  144. 山岡一男

    政府委員(山岡一男君) 十分に拝見をして検討します。
  145. 上田哲

    上田哲君 見ればわかるのだ。それを見て、何を言っているんだ。そんないいかげんな言い方が通りますか。銀行が一緒になってこんなことをやっているということを許しておくことがありますか、現行法で。十件、二十件だとか、言い回しも白々しいじゃないか。一般人は借りられないのですよ、総理。これで事実がありますればなんていうことはないでしょう。
  146. 淺村廉

    参考人(淺村廉君) お答え申し上げます。  御指摘の事例につきましては、ただいま私も新聞を拝見いたしまして、どういうことか十分にはわかりませんが、趣旨はいま申し上げたようなことでやったと思います。  なお、この件につきまして、そういうお疑いがあるいは出るということはどういうことであったかということは、また直接私の方で調べてみたいと思います。
  147. 上田哲

    上田哲君 あの限りではっきりしてくださいよ。調べるもくそもないじゃないですか。  大蔵大臣、銀行がこういうことを、業者と一緒になって広告を出すことそれ自体において、どうお考えですか。
  148. 大平正芳

    国務大臣(大平正芳君) この問題は、住宅金融公庫の業務を銀行が委託する契約に基づいてやっていることでございますので、この業務委託契約を銀行が誠実に履行するかどうかという、まず問題であろうと思うのであります。したがって、その契約条項に違反するというようなことになりますると、この契約条項によりまして契約の取り消しその他の措置がとられることと思うのであります。しかし、あなたが御指摘のように、この業務、委託業務といえども銀行の業務の一部であるということに変わりはございませんから、私ども銀行を監督する立場におきまして、これが銀行行政の上で黙過できないというようなものでございますれば適当な措置を講じなければならぬと思いますが、具体的なケースにつきましては、ただいま伺ったばかりでございますので、よく調査の上、検討してみたいと思います。
  149. 上田哲

    上田哲君 いや、調査じゃなくて、あれを見て、あれで許されるかどうかを言ってください。具体例がそこにあるのですから。  これだけ出ていて、こういうことが許されますか。金融機関が建設業者と一緒になってやっているという広告を銀行は出していいのかどうか。このことを見て、はっきり答えてください。完全な日常的癒着だと言っているんです。例は幾らでもある、ほかに。朝日新聞だけじゃないですよ、一例を出しただけです。
  150. 大平正芳

    国務大臣(大平正芳君) 上田委員、大変厳しい、銀行あるいは建設業者が一緒になりました事前の説明会は許せないというお立場でございますが、そのこと自体が直ちに委託契約の違反になるのか、あるいは公庫法の違反になるのかということは、私は直ちにこれは断定できないのではないかと思います。ただ、事前の説明会が銀行、業者が一緒になりまして、行き過ぎがあるかどうかというようなことは、具体的な事例を提示されたわけでございますから、よく調査をいたしまして、行き過ぎにわたらぬように指導する必要は、私はあると思います。
  151. 上田哲

    上田哲君 行き過ぎがあったら取り消しですね。
  152. 大平正芳

    国務大臣(大平正芳君) よく調べた上で、非常に行き過ぎで公庫融資の趣旨から申しまして許せないというようなものでございまするならば、そういう措置も万やむを得ないかと思いますけれども、よく調べさせていただきます。
  153. 上田哲

    上田哲君 じゃ、具体例を申し上げる。この一月十八日の説明会には、入り口に太陽建設の職員が立っているんです。そして、そこでこういうカードをちゃんと示しているんです。そして、カードを見せて、中には説明会に百五十人集まった。全部私は録音まで取って調べてきている。そして、その百五十人の前に、横浜銀行の行員が公庫の融資についての説明をして、百五十人を前にして相談のある人はどうぞ残ってくださいというこでやっているんです。これは利益誘導じゃありませんか。これだけ明白な事実がある。これは、この委託も取り消さなければならないし、明白な業者と銀行が一緒になってやっている許せない行為じゃありませんか。どうですか、大蔵大臣と建設大臣。公庫の総裁全く要らない。事実ですよ、こういうものがある、全部。どうですか、まず。これは説明のしようがないでしょう。
  154. 仮谷忠男

    国務大臣(仮谷忠男君) 公庫融資は持ち家の国民の希望にこたえて私どもは全力を挙げてやったことが、結果的にいろいろ事務的な問題でこういう問題が生じたことは本当に遺憾なことだと思っております。いまの業者と銀行との事前の説明会にしましても、これは考え方によれば大変行き過ぎだと思いますし、私ども、委託店も非常にまじめで一生懸命やってくださっておると思いますけれども、いろいろ御指摘を受けたような問題がありまして、それが不都合だということになれば、これは許可取り消しもしなきゃならぬ、こういう考え方でおります。よく事情調査をいたします。
  155. 上田哲

    上田哲君 私は、非常に具体例を出しているんです。ですから、これはもう疑う余地はないはずなんです、実際に物証があるんですから。具体的な例も申し上げたんだから。あなたの方が調査をしなければ処分をすることができないというのなら、一定の留保があっていいです。しかし、事実であれば当然取り消しを処分しなきゃならぬということは明らかですね。仮定の問題じゃないです、銀行の問題なんです。全国八千軒というのは、ほとんど全部です。
  156. 仮谷忠男

    国務大臣(仮谷忠男君) 事実をよく調査をいたしまして、そういうことが現実にあるということで、不都合であれば取り消しをいたします。
  157. 上田哲

    上田哲君 これはほんの一例なんですよ。これはいっぱいあるんです。これが日常的に見過ごされているところにこそ問題があるんです。だれも問題にしないんですよ、これを。銀行を見て行きますよ、駅前支店なんて、地図まで書いてあるんですから。行ったら、銀行員が中にいて、説明をするんですよ、現実に。そして、ちゃんとこういう資料でもって、建設業者がちゃんとそのお客を取っちゃうんですよ。そういうことでごっそり持ってってるんです。にもかかわらず、総裁は十件や二十件はあるいはあるかもしれぬが、そんなことは許せないと言い、事実があるならば云々というような、そんなことを言っておって、ささやかな庶民の夢じゃありませんか、家を建てたいという人が十分なチャンネルを持てない、大企業の住宅会社、しかも大きな銀行のチャンネルでなければ、そのローンをとることでなければ家が建たないなんということは、総理、こんな不公正なことはないじゃありませんか。しかも、金融公庫総裁のあの態度というのは、国民の住宅の夢を裏切るものはなはだしいと私は言わなきゃならぬ。こういう不公正というところが問題だと思うんです。  いろいろ問題が出てまいりました。総理、これについてひとつしっかりお答えをいただきたいと思うし、最後でありますから、私は先般来、ずっと社会的不公正の問題を取り上げてきた。社会的不公正の問題を云々するのは、出てしまった不公正、弱者を取り上げてどうしようということでは足りない。総理もお認めになったように、そういう弱者を生み出していく枠組みを変えなきゃいかぬ。大きな問題じゃなくてすぐできる問題を幾つか、私は税制の問題その他を取り上げて言ってまいりました。きのうも税制体系の長期答申の問題が出ておりましたから、あわせて大平大臣からも伺いたいのは、生活審議会から出ております富裕税の方向を含めて、税調に対して長期答申を求めるかどうかということもひとつお願いをいたしたい。  そして総理、いま申し上げたようなさまざまな不公正を是正するために、こういう事態、庶民の夢ですよ、庶民の夢をこのような形で踏みにじってしまうということは、断固として、あなたのおっしゃる厳正な政治の姿勢をもって、こういう委託を、はっきり銀行を、八千軒に及ぶ銀行の各支店を、間違っているなら、ああいう姿勢ではなくて、もう一つ高い姿勢でもって、たとえば銀行法に基づき委託業務の停止等々、しっかり処理していただきたい、お願いします。
  158. 大平正芳

    国務大臣(大平正芳君) いま具体的に御提議になりました問題でございますが、事実を調査いたしまして、それが金融機関あるいは業者の単なるPRでありまして、一括して申込書を手渡すとかなんとかいうような行き過ぎた行動があったのかどうなのか、そういうような点をよく精査いたしまして、適当な措置を講じたいと思います。  それから富裕税につきまして、税制調査会の審議を求めるつもりがあるかどうかということでございますが、ただいまのところ、そういう具体的な計画はまだ持っていないわけでございまして、今後富裕税を含めまして、資産課税というものはどうあるべきかということは、よく検討の上、政府の方針が検討を求めるべしという方針が固まりますならば御検討を煩わしたいと思いますが、ただいま、まだ確答申し上げるまで政府部内のコンセンサスは固まっておりません。
  159. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 昨日から上田議員の質問を聞いておりまして、やはりきのうも出ました、あらかじめプレハブの大手業者に割り当てるという仕組みも私は適当でないと、また、きょうの一括のお話は、大蔵大臣からもお答えいたしたように、これはよく調べてみるということでございますが、とにかく厳正公平ということでなければ、これはもう庶民の夢を非常に踏みにじるわけでありますから、今後住宅問題という一番関心の高い問題の処理が厳正公平に行われるように、一段と厳しい指揮監督をいたします。
  160. 上田哲

    上田哲君 銀行についてしっかりやるということを一言言ってください。
  161. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 銀行の面についても行き過ぎがあったかどうかというような点については、十分調査をいたしまして、行き過ぎがあれば、これは当然に是正をしなければならないと思います。
  162. 上田哲

    上田哲君 終わります。
  163. 大谷藤之助

    委員長大谷藤之助君) 以上をもちまして上田哲君の質疑は終了いたしました。     —————————————
  164. 大谷藤之助

    委員長大谷藤之助君) 和田静夫君。
  165. 和田静夫

    和田静夫君 まずもって、三月四日の朝日新聞の「地方事務官廃止を決断せよ」という社説、総理、これをお読みになってどういう感想ですか。
  166. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) この問題については、和田さんも、これはどういう背景のもとにどういう困難性があるかということはよく御承知のとおりだと思いますが、まあ国会における御決議等もございますので、この問題についてはいろいろ困難であるといっていつまでも延ばせば、これまた何年かかっても解決はできぬわけでございますから、政府はできる限り——各庁また自民党との間にも調整を要する問題がございますので、できるだけ早くそういう調整を行って、この問題に対する政府の方針をやはりできるだけ早く決めたいと考えております。
  167. 和田静夫

    和田静夫君 厚生大臣、いかがですか。
  168. 田中正巳

    国務大臣田中正巳君) 私のところの地方事務官、社会保険業務をやっておるわけですが、こういう姿というものについては、できるだけ早くピリオドを打ちたいというふうに思っております。
  169. 和田静夫

    和田静夫君 いや、私の言っているのは社説に対する考え方なんです。
  170. 田中正巳

    国務大臣田中正巳君) 社説は読みました。志向するところは私は結構だと思いますが、その結論において私どもといささか所見を異にするように思っております。
  171. 和田静夫

    和田静夫君 労働、運輸、同じことで。
  172. 木村睦男

    国務大臣(木村睦男君) 私のほうは、陸運事務所がやっております事務の種類によりまして、廃止の方向で、政府側に残す、一部は地方に委譲すると、その方向で検討いたしております。
  173. 長谷川峻

    国務大臣(長谷川峻君) 私も社説を読みました。しかし、その中に一つ、職業安定いずれも窓口業務に属していると、こういうことがありましたが、職業安定は、御承知のとおり、窓口業務ではなくて、私の方の者が第一線の職業安定機関でやっている。考え方としては、こういうふうな話も出ておりますし、いろいろ私たちも検討しなければいかぬというふうに思っております。
  174. 和田静夫

    和田静夫君 総理は議会の子をもって任じられているわけでありますから、国会で行われた決議、これとの関係において、形式的にこれを受けとめるのではなくて、深刻に受けとめてこれを尊重する、そういう態度でありますか。
  175. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 私は、そうでなければ、単にこう形式的に受けとめるということだけではいけないと。きょうも閣議のときに、私は特にそういう点に各閣僚の注意を喚起したわけですよ。いろいろ国会で答弁したり、あるいは決議をしたりしたことが、国会側だけのことで終わってはいけないと、これに対してやはりこれが政府として責任があるわけだから、その意を体してこれを実施するように各省において十分注意してもらいたいということを、きょうも閣議で、あったわけですが、申したことでございますから、和田さんと同じように考えております。
  176. 和田静夫

    和田静夫君 そこで、総理、昨年の五月十七日の衆議院地方行政委員会、それから五月二十八日の参議院地方行政委員会、この問題についての決議を行っていますね。これは尊重をされる、確認してよろしいですか。
  177. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 五十一年の三月までにこの問題に対して結論を出せる措置をとれというような趣旨であったと思いますが、尊重をむろんいたすべきだと考えております。
  178. 和田静夫

    和田静夫君 そこで、五十一年三月三十一日と言えばわずか一年先なんです。だとすれば、この一年間で、総理は具体的に地方事務官の廃止についてどういう日程でお進めになりますか。
  179. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 各省の間の調整あるいはまた党との間にも、この問題は重大な問題でありまして、調整をいたさなければなりませんので、そういう調整をまず終えることが第一番である。そして、必要な法律改正も伴いましょうから、そういうことの準備にかかるわけでありますが、まず各省間、この調整というものを、まずいま取り組みたいと思っております。
  180. 和田静夫

    和田静夫君 この国会に法律を出されるわわけですか。
  181. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) そういうつもりで準備を進める考えでございます。
  182. 大谷藤之助

    委員長大谷藤之助君) 午後零時四十五分まで休憩いたします。    午前十一時四十八分休憩      —————・—————    午後零時五十二分開会
  183. 大谷藤之助

    委員長大谷藤之助君) ただいまから予算委員会を再開いたします。  午前に引き続き、和田静夫君の質疑を行います。
  184. 和田静夫

    和田静夫君 総理は、去る二月の二十六日に行政監理委員会のメンバーの皆さんとお話し合いをされていますが、その内容について。
  185. 三木武夫

    ○国務大(三木武夫君) 行政監理委員会はこの三月で人事の更新の時期にもなっておるわけです。そういう意味で、いままで行政監理委員として長いことやってこられて、行政監理の面から見ていままでの監理委員としての経験を通じてどういうことを感じられておるか、またこれに対していろいろな提言があるならば、ひとつそれをまとめて私に聞かしてほしいというようなことが主でありました、その話は。
  186. 和田静夫

    和田静夫君 その意見の、要望の大半が、先ほど取り上げました身分移管ですね、事務官の廃止問題であったと聞きますが。
  187. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) そんな話は一遍も出なかったです。もう地方事務官ということは一言も出ないぐらいで、そんな問題でなしに、全般の日本の行政監理委員という立場から日本の行政というものに対してどういうふうに考えられておるし、またどうすべきだといういろいろな考え方があるならば、それをまとめて聞かしてほしいということで、もう大局的な話で、地方事務官の話なんかには一言も触れませんでした。
  188. 和田静夫

    和田静夫君 委員の側からもそういう要望がなかったということですか。
  189. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) ありませんでした。
  190. 和田静夫

    和田静夫君 総理は地方自治というものを積極的に肯定をされますか。
  191. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 私は、やはり民主主義というものは、地方が健全に発達して、そして日本の民主主義の体制ができることが理想だと思っております。
  192. 和田静夫

    和田静夫君 この憲法第八章の四カ条に盛り込まれた地方自治の原則は、これは言うまでもなく、わが国の地方制度の伝統の中ではぐくまれた官治的な自治の実体とは原理的には全く異質な英米流の民主的制度を継承したものであることは、御存じのとおりです。それだけにまた、わが国においてなかなか定着しない面もあるわけですけれども、私は、この国が民主国家として不動のものになっていくためには、地方自治を意識的に育てる、そういうことが不可欠の要素だと実は思うのです。その地方自治を育てていく上で何が最大の障害かといいますと、国家官僚の中に根強く残っている自治に対する不信感なんですね。これを取り除かなければならぬと考えますが、いかがですか。
  193. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 不信感というようなものは取り除かなければなりませんが、また、それは自治体自身に対しても責任を持つ地方自治行政であることが必要でしょうね。しかし、中央の政府が地方自治体に対して不信な感情ということを先入感として持つことはよくないと私は思います。
  194. 和田静夫

    和田静夫君 ところで、あなたの内閣の閣僚の一人厚生大臣は、去る二月の三日の衆議院予算委員会で、社会保険事務の扱いについてこう言っているんです「私の方は、この仕事を全部地方機関委任にするということについては、非常に危惧の念を持っている。」と厚生大臣は大変な勘違いをしているのであります。社会保険事務というのは、すでに県に機関委任事務をされている仕事なんですね。これに非常な危惧を持っているということは一体どういうことなのか。この制度に危惧の念を持っているということを、総理大臣、どういうふうに考えたらいいんです。
  195. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) どういう言葉で質疑応答があったか、よく存じませんけれども、自治大臣といえども、だれでも、閣僚がやっぱり地方自治というものを尊重しようという大局的な判断、これが大して違いがあると私は思わない。いろいろな行政事務に対して、それの運営について意見はあるでしょうが、初めから地方自治を否定するというようなことはあり得るはずはないと信じています。
  196. 和田静夫

    和田静夫君 委員長答弁が全然違っているんですがね。厚生大臣が、結果的にいま機関委任事務をされているところの仕事を、されていないという認識の上に立って答弁をされて、したがって機関委任をするということについて非常な危惧を持っているんだと、こういう認識なんですよ。どうも基本的に違っているんですよ。
  197. 田中正巳

    国務大臣田中正巳君) あの表現については、私若干適当でなかったと、こう思います。危惧ということよりも、むしろ、ああいったような社会保険の事務というものは、これは地方公共団体がすべてとり行うということは適当ではないのではないかということを私が申し上げたかったというのが真意でございます。
  198. 和田静夫

    和田静夫君 いやいや、そういう答弁を求めているのじゃないんですよ。機関委任事務をされているところのものについて、担当大臣が何も認識がなくて、間違いを基本にしながら、あなたは先ほど、朝日新聞の論説について、結論については考え方が違いますと言っているんでしょう。すでにいまあなたが管掌をしている仕事については全然御認識がないということなんですよ。議事録がありますよ、ここに。
  199. 田中正巳

    国務大臣田中正巳君) 私としては、あの仕事を全部都道府県にお任せをするというようなことは適当ではないということを申し上げたかったわけであります。
  200. 大谷藤之助

    委員長大谷藤之助君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  201. 大谷藤之助

    委員長大谷藤之助君) 速記を起こして。
  202. 田中正巳

    国務大臣田中正巳君) 私の認識しているところによりますれば、機関委任をしている事務と、していない事務とが両方あるように私は了解をいたしておりました。
  203. 和田静夫

    和田静夫君 いや、これはちょっと答弁が全然違うですからね。速記録どおりにやってください、速記録どおりに。これを否定されるんですか、それじゃ。
  204. 大谷藤之助

    委員長大谷藤之助君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  205. 大谷藤之助

    委員長大谷藤之助君) 速記を起こして。
  206. 田中正巳

    国務大臣田中正巳君) 国が直接行っている事務と、委任をしている事務と、この二つを地方事務官が両方現在とり行っているということでございまして、これを身分的に地方吏員としてすべてをこれにお任せするということが適当ではないのではないかということを申し上げたわけであります。
  207. 和田静夫

    和田静夫君 これで余り時間をとってもあれですが、いま県に機関委任されている事務を地方事務官という変則的な身分の人が行っているわけでしょう。で、これを廃止して、もともと地方公務員であるものを地方公務員にせよと、これが長年の論議なんです。そのことに危惧の念を抱いているというのは、具体的にはどういうことなんですか。
  208. 田中正巳

    国務大臣田中正巳君) 危惧の念というのは、あるいは表現として正しくなかったかもしれませんが、そのようなことをすることは適当ではないのではないか。なぜかなれば、この仕事というのは国の経営で行う社会保険の仕事であり、また国がすべてを責任を持ってやっている仕事であるからという理由であります。
  209. 和田静夫

    和田静夫君 具体的にどんなことですか、具体的に。
  210. 田中正巳

    国務大臣田中正巳君) つまり、社会保険の一切の仕事でございまして、こうしたことについていろいろと、保険料の徴収あるいは現物給付、医療機関の請求の内容の審査とか、いろいろなことがいろいろありますが、この種の仕事をすべて地方に委譲をいたして、地方ですべてこれをやっていただくということについては、仕事の性質上適当でないというふうに判断をいたしているわけでございます。
  211. 和田静夫

    和田静夫君 法制局長官に聞きますが、いま言われた、たとえば徴収をすることが非常に危惧の念だと、こう言うんですね。会計法上の歳入徴収官にするとかという法律上の措置をすれば、そんなことは簡単に解決しますね。
  212. 吉國一郎

    政府委員吉國一郎君) 法律上、解決の手段はあるだろうと思います。
  213. 和田静夫

    和田静夫君 厚生大臣、そういうことですよ。それが危惧の念ですか。
  214. 田中正巳

    国務大臣田中正巳君) ですから、私は危惧の念ということは表現としてはあるいは正しくなかったかもしれないと。要は、この種の仕事がこのような姿ですべてを地方に移譲をするということが適当ではないのではないかということを申し上げたわけであります。
  215. 和田静夫

    和田静夫君 こっちはどうするんですか。衆議院のやつは取り消すわけですか、それじゃ。
  216. 田中正巳

    国務大臣田中正巳君) 表現の問題でございまして、したがって、適当ではないという方が正しいのですが、適当でないという言葉でひとつ御了解を賜りたいというふうに思います。
  217. 和田静夫

    和田静夫君 社会保険の中でも国民健康保険などは、国が直接事務を行っているわけじゃありませんね。それにもかかわらず、あなたは適当ではないと言うけれども政府管掌の健康保険や厚生年金については国が直轄でやらなければならぬと。論理が合わぬじゃないですか。
  218. 山高章夫

    政府委員(山高章夫君) ただいまの御質問でございますが、国民健康保険につきましては、市町村が保険者となり、行政上及び財政上の全責任を持っているわけでございます。政府管掌健康保険におきましては、これが政府が保険者になり、経営上の責任、財政上の責任一切を政府が負うという仕組みになってございます。
  219. 和田静夫

    和田静夫君 大臣。
  220. 田中正巳

    国務大臣田中正巳君) 地域保険と国の保険との違いであって、保険者の持っているカバレージの違いがこのような差異を生んだものと思います。
  221. 和田静夫

    和田静夫君 先ほどの答弁ですが、たとえば保険料の徴収について国が直接処理している、こう言うんですね。しかし、現実にはそんなことはないでしょう。都道府県及び社会保険事務所の地方事務官がこれを行っている。明確ですよ。労働省の失業保険の保険料の徴収は、地方公務員である府県労働部長に委任しているでしょう。その事務処理は地方事務官が行っている。社会保険料の徴収だけが地方公務員に委任できないというのはどういうわけです。そうして、それが危惧だというのは。
  222. 山高章夫

    政府委員(山高章夫君) 保険料の徴収でございますが、これは、都道府県知事に徴収を機関委任いたしておりませんで、国家公務員である地方事務官をして徴収させる。政管健保、厚生年金保険、いずれもその財政の最も基本である徴収についてはこれを委任しておりませんで、ただいま申し上げましたように……
  223. 和田静夫

    和田静夫君 それは法律的にちゃんと解決できると法制局長官が言ったでしょう。
  224. 山高章夫

    政府委員(山高章夫君) 実態は戦前からそういうことでやっております。
  225. 和田静夫

    和田静夫君 それだから理由にならないんですよ。ちゃんと法律的には解決ができるというのは、いま法制局長官が答えたんです。そうだから、大臣が言われているような形でそれは何もネックにならないんですよ。できるんですよ。——いやいや、大臣に聞いている、大臣に。
  226. 山高章夫

    政府委員(山高章夫君) お答えいたします……
  227. 和田静夫

    和田静夫君 あなた方はセクショナリズムで答えているからだめなの。政治的な問題なんだから、もう何年もやっていることなんだから。
  228. 山高章夫

    政府委員(山高章夫君) この問題はセクショナリズムという観点から見られるのは私どもとして非常に心外で、残念でございまして、社会保障制度の最も中軸、基幹である社会保険制度を将来どのように持っていくかという観点から検討したいというふうに考えております。
  229. 和田静夫

    和田静夫君 別問題ですよ。地方自治法附則八条の「当分の間、」というのが二十七年間も当分の間でしょう。そんなことは別問題ですよ。——大臣、ちゃんと答弁してくださいよ。
  230. 山高章夫

    政府委員(山高章夫君) 国家公務員である地方事務官をして直接徴収せしめるのが最も適切簡便であるという観点から、従前ともにそういうことでやっております。
  231. 和田静夫

    和田静夫君 大臣、答弁
  232. 田中正巳

    国務大臣田中正巳君) 国が全国的範囲においてやっているこの種の保険、これは私は、やはりいま私のところの政府委員が申し上げたような理由でありまして、したがって、国が国家公務員の立場でやることが正しいというふうに思っております。
  233. 和田静夫

    和田静夫君 違っているんです。間違っているんです。この論議は高辻法制局長官と私の間でもうきちっときまっているんです。附則八条の、それじゃ主語は何です。——大臣、答弁してくださいよ、あなた、国家公務員だと言ったんだから。高辻法制局長官と私がやりとりした地方自治法附則八条の主語は何ですか。あなたは国家公務員国家公務員と言うけれども、この主語は地方公務員であるということはもう明確になっているんですよ。
  234. 山高章夫

    政府委員(山高章夫君) 主語は、都道府県職員というぐあいになっております。
  235. 和田静夫

    和田静夫君 そうでしょう。何で国家公務員国家公務員と違ったことばっかり言うの。
  236. 山高章夫

    政府委員(山高章夫君) これは、附則八条で「当分の間、なお、これを官吏とする。」とございますので国家公務員であると……
  237. 和田静夫

    和田静夫君 だから、その主語は国家公務員ではないでしょう。地方公務員でしょう。ね、大臣はっきりしているんですよ。その社会保険全体についてどうするかというのは別の話なんです、私がいまここで取り上げているのは。
  238. 山高章夫

    政府委員(山高章夫君) 附則八条では「政令で定める事務に従事する都道府県の職員は」というのが主語でございまして、その身分につきまして「当分の間、なお、これを官吏とする。」というふうにございます。したがって、官吏という身分で国家公務員ということになるわけでございます。
  239. 和田静夫

    和田静夫君 答弁になっていませんが、三木総理、いまのやりとり、これだけにかかわるわけにはいきませんから、お聞きになって、社会保険関係の地方事務官を廃して地方公務員にすることを拒否する理由というのは何もないんです。したがって、三木さんのクリーンな裁断でこの問題のけりをつけてもらいたい。大体違った認識の上に立って取り扱っているという、この閣僚に対して、厚生大臣に対してぜひ罷免要求をしたいぐらいですよ。
  240. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) やっぱり地方事務官の背景は、もう私よりも和田さんの方がよく御存じだと思いますが、先ほども答弁いたしましたように、政府間で調整し、また、党との間にもこの問題は話さなきゃなりませんので、そういうことを急ぎまして、できるだけ早く結論を出したいということでございます。
  241. 和田静夫

    和田静夫君 とにかく、いまのような形で厚生大臣の認識不足によって、両院の決議がほごになるかどうかという大きな問題がここにあるわけですから、これは三木さん、どうしてもこの国会に、先ほど答弁なされましたが、法案を提出をされる。確認しておいてよろしいですね。
  242. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) まず第一は、これはもう長年月かかって解決をできないぐらいの大問題でありますから、まず各省間あるいは党との間の調整というものをこの際急ぎまして、そうして、これはいつまでもこのままおくわけにもいきませんから、結論を出して、できるだけ早く解決するために今後努力をいたします、こういう約束にとどめておいていただきたい。
  243. 和田静夫

    和田静夫君 それは前から何遍も約束になっているんです、努力をしますという約束は。
  244. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) いや、今度はそういう意味で何とかここで解決をしたいと私は思っているんですよ。こんなことでいつまでも未解決でおくことはいかぬので解決をしたいと思っておるので、逃げ口上でないんですよ。しかし、これは和田さんにまたお約束して、それを実行できぬと言ったら大問題であります。極力努力をいたします、そうして早く解決いたしますように努力をいたしますというお約束にとどめておいていただきたいと思います。
  245. 和田静夫

    和田静夫君 これは福田総理もいらっしゃるんですが、行管庁長官として大変前向きで本当は任期中にやるということになっていたんですよ。しかし、いろいろ政変劇もありますから、そんなこと言いません。いまお二人そろって、しかも午前中の答弁ではお出しになるという答えなんですから、そういうふうに確認しておいてよろしいですか。
  246. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 出すように極力努力をいたします、こういうことにいたします。
  247. 和田静夫

    和田静夫君 福田総理、どうですか。
  248. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 私も、この問題はいきさつがあるわけであります。行管長官の際、これを推進するというお答えもしておるわけです。ただその後、出たり入ったり、また出たり、こういうようないきさつもありましたので、空白ができておりますが、総理がいまお答えを申し上げたとおり、これは大いに推進をいたしたいと、かように存じます。
  249. 和田静夫

    和田静夫君 では、これはとにかく提案を待ってみます。  そこで、ちょっと三木さんにお聞きしますが、選挙の十八歳の問題についていろいろ発言されていますが、おやりになりますか。
  250. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) まあ各国に十八歳に選挙権を低下するという傾向も出てきておりますが、日本はこの問題を真剣に検討はいたしますけれども、いま十八歳に低下しようという考え方には至っておりません。しかし、これは日本も真剣に取り上げて研究をすべき課題であることは私も認めます。
  251. 和田静夫

    和田静夫君 いや、私がお聞きしたのは、昭和四十五年「文春」十月号で、「青年参加の問題にしても、わたしはイギリスやドイツのように選挙権を十八歳にまで引き下げることに賛成だ」、こうお述べになっているんですが、その態度は間違いありませんか。
  252. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 青年というものは政治に関心を持って、いろいろ国会を通じて問題を処理しようということが好ましいと思っておりますから、できれば選挙権を低下することは好ましいとは思っておりますが、これは具体的な、いよいよこういう問題を取り上げるということになってくると、やはり私だけの一存というわけにもいきませんから、そこでこの問題は、検討をいたしますということ以上にきょう申し上げることは少し適当でない感じがいたしますので、真剣に検討いたしますとお答えいたします。
  253. 和田静夫

    和田静夫君 御自身としては賛成なんですか。
  254. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 私自身は、まあそういうふうに持っていくべきだと、時間的なものはありますけれども、方向としてはそうだ、青年が広く政治に参加するような機会を与えることが好ましいと、私自身はそういう考えでございます。
  255. 和田静夫

    和田静夫君 自治大臣、市町村は公職選挙に関して寄付をすることはできませんね。
  256. 福田一

    国務大臣福田一君) ちょっと後の方の語尾がよくわからなかったんですが。
  257. 和田静夫

    和田静夫君 寄付をすることはできませんですね、市町村という自治体が。
  258. 福田一

    国務大臣福田一君) 市町村、自治体が……
  259. 和田静夫

    和田静夫君 公職選挙に関して。
  260. 福田一

    国務大臣福田一君) さように心得ます。
  261. 和田静夫

    和田静夫君 もう一つは、公職選挙法第百九十九条二項によって、国から補助金を受けている団体は、衆参両院選挙で寄付を禁じられていますね。
  262. 福田一

    国務大臣福田一君) そういうものはあるようでございます、いままでの経過では。これからのことはまた別です。
  263. 和田静夫

    和田静夫君 ところで、日本林業協会の構成団体。
  264. 若江則忠

    参考人若江則忠君) 社団法人日本林業協会の構成メンバーは、定款に従いまして、関係のある団体または個人ということになっております。
  265. 和田静夫

    和田静夫君 いいえ、具体的に。その中で国から補助を受けているものだけでいいです。
  266. 若江則忠

    参考人若江則忠君) 御質問の向きは、加入団体の中で国から補助を受けている団体の名前を指摘せよということに承りましたが、日本林業技術協会、国土緑化推進委員会、林業経営研究所並びに日本合板検査会でございます。
  267. 和田静夫

    和田静夫君 実は、この林業協会の構成団体、日本治山治水協会、林業協会、林業改良普及協会というのは、市町村が構成団体になっているんです。で、国土緑化推進委員会あるいは全国森林組合連合会、日本林業協会を構成する団体、大部分に補助金が出ているんです、いまお話があったとおり。いずれもきわめて公共性が強いわけです。これは公共性、強いですね、いかがですか。
  268. 若江則忠

    参考人若江則忠君) 加盟の団体の中には公益法人である社団法人あるいは財団法人等がございますので、それらの団体は公益性が強いというふうに考えられます。
  269. 和田静夫

    和田静夫君 そこで、昨年の参議院選挙でこの公共性の強いところの団体が、全国区参議院選挙に関して鳩山威一郎君と亀井善彰君を決めた、つきましては会費をこういうふうに下さい、こういうことになっているのです。こんなことを三木総理大臣、許せますか。
  270. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 鳩山、亀井両氏の選挙に絡らんでどういうことが行われたか、具体的なことは知りませんが、公共性の強い団体が選挙に関して、やっぱり政治献金はしない方が私は好ましいと思います。
  271. 和田静夫

    和田静夫君 いわゆる国から補助を受けているところのそういうものが、自由民主党のいわゆる参議院選挙をやる。許せますか。
  272. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 選挙部長の方から法律との関連において私の答弁に補足をいたすことにいたしますが、政治のモラルという面もあるわけです。法律的というよりかは、そういうものが選挙に、公共性の非常に強い団体が直接に選挙運動そのものに介入することは、政治モラルからいって好ましいことでは私はないと思いますが、選挙法の規定の上からいっては、あるいはこれはいろいろとそれに対しての規定があるのかもしれませんが、選挙部長からお答えをいたします。
  273. 土屋佳照

    政府委員(土屋佳照君) いまのお尋ねの問題でございますが、ある団体が、その構成員が補助をもらっておるということで、そこが別の団体に金を出した。それが選挙に関してかどうかわかりませんが、政治資金を出すということは、これは許されることでございます。いま法律で規定しておりますのは、直接補助を受けておるものが選挙に関してある一定期間政治献金をしてはいけない、こういう規定でございますから、ちょっと間接的な場合は直接的には当たらないという感じがいたします。
  274. 和田静夫

    和田静夫君 市町村だって構成団体だ、市町村。
  275. 土屋佳照

    政府委員(土屋佳照君) 市町村が直接政治団体に寄付をするという場合でございますか。これは法律上明確な規定はございませんが、もともとおっしゃるようなことでございまして……
  276. 和田静夫

    和田静夫君 そんなものは予想してませんね。
  277. 土屋佳照

    政府委員(土屋佳照君) 公金の使い方の適否の問題でございます。そういうものが特定なところへ流れるということは、法としてはあまり予想していないということだろうと存じます。
  278. 和田静夫

    和田静夫君 総理、ちょっと答弁してください。市町村が構成団体のところから金を取って選挙をやっているのです。そうでしょう。
  279. 土屋佳照

    政府委員(土屋佳照君) ただいま申し上げたのは市町村が出すという前提で申し上げましたが、市町村が何かの協議会なり何なりの構成団体になっておる場合に、それは別途な意味でその協議会へ何か目的があって会員として参加して金を出しておる、そういう場合に、その団体の一般的な活動の問題として政治資金を出すというようなことがございましても、これは法律上は直接的にはそれをどうこうというあれはないと思います。
  280. 和田静夫

    和田静夫君 それはさっき言ったとおり。もう前提として予想していないわけでしょう、まさか自治体から選挙の金を取って選挙をやるなんてことを予想していますか、そんなもの。じゃ公職選挙法を直すときにちゃんと今度入れてくれるか。
  281. 土屋佳照

    政府委員(土屋佳照君) その自治体が出しておるものが、選挙の金ということで出しておるのかどうかは、私はちょっと存じません。
  282. 和田静夫

    和田静夫君 常識外れでしょう。
  283. 土屋佳照

    政府委員(土屋佳照君) 具体の問題と絡らんでおるものでございましたら、直接のところからお聞き願います。具体的な問題でお聞きのものでございましたら関連のところがあるそうでございますので……。
  284. 和田静夫

    和田静夫君 いやいや、私は基本的には、自治体がそんな選挙に金を出すということは初めからこの公職選挙法というのは予定していないでしょう、そういうことを言っているんです。
  285. 土屋佳照

    政府委員(土屋佳照君) 自治体が直接出すのではなくて、自治体がある団体のメンバーとして構成員になっておるということで、そこの団体に、これは一般論として申し上げますが、そこの団体にその団体の目的に応じたものを何か出しておる。出しておる、ある基金その他を持った団体が政治団体に献金をしたということになりますと、これは一応その団体とその政治団体との関係になるわけでございますから、直接的にその自治団体がどうこうしたということにはならないという意味で申し上げておるわけでございます。
  286. 松形祐堯

    政府委員松形祐堯君) お答え申し上げます。  ただいま問題になっております林業協会でございますが、実は先ほど御答弁ございましたように、社団法人といたしまして林業の中央団体等を中心といたしまして形成されておりまして、団体数として四十八、個人として百四十八でございます。その百四十八の中に、岡山県が中心でございますが、町村長の方が入っておられる。しかし、この定款によりますと、諸団体及び個人ということになっておりまして、会費二千円でございまして、私ども、これは個人という資格できわめて熱心な方々が林業推進のためにお入りいただいておるというようなことで理解いたしておりまして、実は、この総会等におきまして決議があったということでございますが、これは推薦決議でございまして、実はその寄付行為というようなことは、百九十九条でございますか、そのようなことはないわけでございます。  一応、実態として申し上げたわけでございます。
  287. 和田静夫

    和田静夫君 私はここに市長、町村長あての文書を持っていますよ。これはちゃんと禀に回って、市の財政の中からちゃんと出ていますよ。そんなのは通りませんよ。それが自由民主党の選挙、それに推薦された者に使われたことは間違いない。これはもう技術的なことはいいです。総理、そういうことはどうですか、基本的に。
  288. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) それは非常に具体的な問題ですから、その問題は具体的な問題として検討しなきゃなりませんが、しかし、公共性の強い団体は、選挙のための費用の献金であるとか費用の寄付であるとか、それが中心になって——選挙運動というものにもやっぱり節度が私は要ると思います。法律的にはそれは何でもないんでしょうが、しかし節度を必要とする。やっぱり政治道義の問題のほうが多いと思うんです、法律問題よりも。
  289. 和田静夫

    和田静夫君 林野庁とそういう補助金団体との癒着関係というものは、いまやっぱり政治道義的な意味から言っても清算をすべきだと、こう思うんです。補助金を五十年度予算から私は当然削るべきだ、こういう諸団体は。
  290. 松形祐堯

    政府委員松形祐堯君) お答え申し上げます。  この団体に対して、実は日本林業協会そのものには補助金は出ておりません。先ほどの四団体につきまして補助金が各年度にそれぞれ出ておりますけれども、金額としては百万見当ということでございますが、この諸団体は全くそのような政治色というようなことでございませんで、研究機関が中心でございます。したがって、この補助金といいますものが農林省全体で、官房につきます調査費と、農林省には技術会議がございますが、この研究費でございまして、全く純粋な学問的な研究費でございます。ただ、もう一つ緑化推進委員会がございますが、この緑化推進委員会は衆議院議長を会長としておりまして、両陛下お出ましの緑化推進委員会の行事、あるいは苗木配布会とかそういうことに使う補助金でございまして、全く純粋なそういう意味のものでございます。
  291. 和田静夫

    和田静夫君 そんなこと言われるのなら問題だ。ぼくは前尾さんに来てもらう、参考人の要求を実はしておったんだけれどもね。そんなこと言われるのは問題だよ、あなた。補助金をもらったところから現実に金が出て、それで自由民主党の選挙が行われたことは間違いない。文書がちゃんとあるんだから。ちゃんと謝りなさいよ。総理でさえ間違いだと言っているじゃないか。
  292. 松形祐堯

    政府委員松形祐堯君) お答え申し上げます。  ただいまのような、ある疑惑を持たれるようなことはないように今後とも指導してまいりたいと思っております。
  293. 和田静夫

    和田静夫君 総理、これは今後のことでありますが、厳格にひとつ注意をしてもらいたいと思いますが、よろしいですか。
  294. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) まあ、選挙のあり方などについても、どうせこの国会に御審議を願いたいと思うんです。選挙というものが公明正大に行われるような、いろんな点でこのいまの選挙の弊害を是正するための法案も準備しておりますから、いろいろ御指摘のあったような疑惑を持たれるようなことのないように努めることは、われわれとしても当然のことだと考えます。
  295. 和田静夫

    和田静夫君 中曾根自由民主党幹事長を中心として、いま地方財政の危機についてみずからを省みることなく、いわれのない地方公務員の賃金が高いというそういう攻撃が、統一自治体選挙に向かっての戦術的行動の側面と見られる部分も含んで、実はこれ、出ています。したがって、きょう私はこれから論議をするのは、社会党を代表して、かなり激しい各大臣の不用意な言動などについて触れざるを得ませんが、ひとつ総理・総裁として冷静に受けとめながら答えていただきたいということをまず第一に申し述べておきます。  地方公務員の賃金が国家公務員に比して高いか低いかという議論について、まず私がここで確認をしたいのは、地方公務員の賃金が高いか低いかという問題と地方財政における人件費の問題というのは、およそ別次元の問題だということ、これは自治大臣よりもむしろ自治省が今日までずっと確認をしてきていることなんです。で、自治省はそのことを十分知っていながら、議論の仕方としてあるトリックを用いている、いかに人件費が地方財政を圧迫しているかということを。そして強調しようとしているんです。  そういう意味では二月二十四日付の、この日経の鎌田自治省事務次官と畑中論説委員との対話というのは非常に特徴的なんです。自治体の間に地方交付税率の引き上げであるとか地方債の増額などというような財政援助を求めるというような声が強いんだということを言いながら、地方財政の危機に対する認識、それに対してということについてこの事務次官は、歳出の面だけが問題であって、歳入の面というのは余り問題ではないんだというような形で人件費の増大の問題を取り扱っているんですが、自治大臣、歳入の問題というのは全くないというふうに理解していいですか。
  296. 福田一

    国務大臣福田一君) お答えをいたします。  私は歳入の問題が全然ないとは考えておりません。これは自治体の財政でありますから、歳入と歳出というものを両面をにらんで考えていくべきものであると、かように思っております。
  297. 和田静夫

    和田静夫君 自治省の松浦財政局長は、この「地方財政」の一月号の巻頭で、「地方交付税については、国税三税の歳入見込額に現行税率三二%を適用して四兆四千八十六億円を大幅に上回ることとなる。これによって、昭和五十年度の地方財政計画上の収支バランスは完全にとり得る」、こう述べている。これほど私は無意味な言葉はないと思うのですけれども、地方財政計画上の収支バランスなどというのは、あなた方の裁量でもっていつでもとれるんです。交付税四兆四千八十六億円という数値と、財政計画上の収支バランスがとれるということと、一体、論理的にどういう関係があると自治大臣、お見になりますか。いま歳入の関係は大臣は認められましたから。
  298. 松浦功

    政府委員(松浦功君) お答え申し上げます。  先生御承知のように、地方財政計画は歳入と歳出、これをバランスをとった形でつくっております。御承知のように歳出面につきましては、これまで考えられておりました最も合理的な経費の積み上げをいたしました上に、さらに各方面から御要望のあった規模是正等をも積み上げて、それで歳入歳出のバランスがとれたということでございます。その意味では、バランスがとれますためには、交付税の一兆を超える伸びというものが非常に大きく左右をしたということを私どもは考えておる次第でございます。
  299. 和田静夫

    和田静夫君 地方交付税が四兆四千八十六億円になろうがなるまいが、地方財政計画上の収支バランスはとれるんですよ、そうでしょう、これは。で、全く意味のない発言をこういう形でされるということは、すべての悪は人件費にあるのだと言わんための布石のような感じがする。こういう無意味なことを言わせることは、自治大臣よく考えていただきたいんです。  地方財政計画額と純計計算額との乖離は、いまどのくらいになっていますか、歳入歳出の両方で、大臣。
  300. 福田一

    国務大臣福田一君) この乖離の実態は後で政府委員から答弁をいたさせますが、私は、財政計画というものをつくることが全然意味のないことであるというふうには考えておりません。
  301. 和田静夫

    和田静夫君 そんなふうに言っているんじゃないんです、書き方。
  302. 福田一

    国務大臣福田一君) だから財政計画を自治省が毎年つくって、そうしてやっておるということは、従来ずっとやっておったことでありまして、何もいまに始まったことではありません。  決算との乖離の問題等々については、これは政府委員から答弁させます。
  303. 和田静夫

    和田静夫君 いや、いまの前段の答弁はちょっと違っているんです。そんなこと言っているのじゃないんです。いいですよ、それは。財政計画は内閣が義務づけられているんですから。
  304. 松浦功

    政府委員(松浦功君) 四十七年度におきまする計画と決算の乖離、御承知のように、四十七年度は公務員の給与改善等の補正予算が行われておりますので、補正予算を計画に組み入れた場合ということを前提にして数字を申し上げますと、歳入で二兆五千四百三十六億円、歳出で二兆七百十二億円の乖離がございます。
  305. 和田静夫

    和田静夫君 この四十七年度十五兆円ぐらいの財政規模で、いまのような三兆円もの乖離があるわけですね。  私は国会に議席を得てから、数度にわたって、この乖離の問題をこのままにしておいたならば、地方財政計画の客観性が全く損なわれる、こういう意味のことを実は言い続けてきたのです、自治大臣。その都度、自治省側も改善を約束してきたのですよ。ところが、何ら改善されないままに今日に至っているわけです。現実の地方財政は、まさに地方財政計画の外側にある。そしてその外側における収支のバランスこそ地方公共団体も頭を悩まし、われわれもまた問題にしなければならないことになっているんですが、大臣そういう認識、ありませんか。
  306. 福田一

    国務大臣福田一君) 計画と実際の面との乖離はなるべく少なくすることは望ましいと思うのです。これをぴったり合わせるということは、私なかなかむずかしい面があると思う。たとえば、中央で予定していないでも単独事業をやる場合もあるでしょうし、あるいはその他いろいろ申し上げなくてもあなたの方がよくおわかりなんだけれども、そういうことはいろいろございますから、ぴったり合わせるということはできない。なるべくその差を縮めてやっていくということは必要だと思います。
  307. 和田静夫

    和田静夫君 大臣、こういう言い方をされる方もあるわけです。いまさっき財政局長の論文をあげたのですが、同じところの石原財政課長の発言、これは非常にわれわれの意を得ているので、同じ雑誌の中で「地方財政計画で予定しております歳出以上の歳出は従来よりもむしろ大きくなってきている。ところがそれに対応すべき地方財政計画で予定した収入以上の収入の増は従来よりもずっと小さくなってきた、という意味で、地方財政計画の外側における収支バランスがとれなくなってきたというのが、地方財政の悪化の本当の原因ではないだろうかと思います。」こう述べているんです。どうです、自治大臣。
  308. 松浦功

    政府委員(松浦功君) お答え申し上げます。  私が書きましたものは、紙数に非常に限りがございますので少しはしょっておりますので、財政課長と私の間に思想の食い違いは全然ございません。  財政計画を超えた大幅な人件費、それが経済の高度成長に伴いまする税の自然増収でバランスがとれておりましたものが、経済の成長がこういう形になりましたために、税収入の自然増収が減ってくる。その結果、人件費というものが非常に表に浮かび上がって地方財政の圧迫要因になってきたと、これは私ども全く同じ考え方でございます。しかし、枠の外における収入は私どもとしてどうこうという問題にはまいりません。逆に、超えておる歳出の部分をひとつ合理化をしていただきたいと言っておるのが、現在の給与問題だというふうに私は理解をいたしております。
  309. 福田一

    国務大臣福田一君) 私は就任以来、財政局長と課長とにしばしば財政問題について話を聞いておりますが、二人の意見を聞いておって意見の相違があるとは思っておりません。ただ、雑誌にそういうふうに出たとしたならば、それは今後はやはりそういうことのないようにしたがよろしかろうと、かように考えております。
  310. 和田静夫

    和田静夫君 いや、私は食い違いがあることを問題にしているのではなくて、財政課長の方は、ちゃんとやっぱり歳入と歳出のバランスにおいて、という形で問題をとらえている。局長の方は、いまの話で言えば、紙数が足りなかったから一番重要なところは落としたんだと。一番重要なところを落として人件費だけを浮き彫りにするということは、何か目的がありませんかと私は言っているわけですね、そういうことなんですよ。
  311. 福田一

    国務大臣福田一君) とにかく両面を見ていかなければなりませんから、その意味で一面だけが出ておるということがあるかもしれません。私の申し上げたかったのは、要するに、局長と課長の間に意見の相違がないということだけをはっきりこの機会に御認識をしておいていただきたい、こういうことであります。
  312. 和田静夫

    和田静夫君 そんなことは私の方も認識しているんですけれども、もっとやっぱり当面、一体地方財政の危機というものに対処するに当たって基本は何かという、その基本の部分を抜かしたような形のアピールは困りますと。これは大臣、ちゃんと認識をしておいてください、逆の意味で。
  313. 福田一

    国務大臣福田一君) 承知をいたしました。
  314. 和田静夫

    和田静夫君 そこで自治大臣、あなたは今回の地方財政の危機に直面して、一度でも地方交付税率の引き上げを大蔵省に対して主張をされましたか。それとも、あなたは現行の交付税率三二%であくまでも十分だとお考えですか。
  315. 福田一

    国務大臣福田一君) 今回の五十年度の予算編成に当たりましては、私はそういう主張はいたしておりません。しかし、今後の問題に関しましては、行財政の整理の問題とかいろいろの問題もあるし、事情がまた変わる場合もあるでしょう。だから私は、ここでそういうことを主張するとかしないとか申し上げるものではありません。しかし、自治省としては、いずれにしても、地方自治体の財源充実ということについては努力をする義務があると考えております。
  316. 和田静夫

    和田静夫君 いまの最後の言葉は大変気に入ったんですがね。そこで、その義務が本当に大臣の行動の中にあらわれるとすれば、いまこそ私は、交付税率の引き上げについて大蔵に少なくとも大論争をいどむべきときだったと思うのです。  そのことを怠られたのは大変あれですが、なぜそう言うかというと、昭和四十三年の時点で、当時自治省の事務次官であった柴田護氏は「自治研究」の第四十四巻五号という中で、「昭和四一年度における交付税率三二%は、実は四〇・七一%にしなければ理くつが合わないこととなる。」と、りっぱに論文を書いているんです。私は、地方交付税法第六条の三の第二項の趣旨に照らして、交付税率の引き上げを検討すべき時期に明確に今度は来ているんです。自治大臣、そうお思いになりませんか。
  317. 福田一

    国務大臣福田一君) いまから六、七年前に、うちの次官がどういうことを言ったかという問題でこの問題は論議するわけにはまいりません。私は私の考えに基づいて、必要があれば自治大臣としてやらなければならないと、かように考えております。
  318. 和田静夫

    和田静夫君 したがって、私は必要があると言っているんですよ。
  319. 福田一

    国務大臣福田一君) ただいまの段階で私はそれは考えておらない。ということは、五十年度の地方財政計画をつくってみたときに、まあこれで一応、それは決算をとってみると差ができるじゃないかというお話があるかもしれぬが、相当程度いろんな収入において伸ばしておることはあなたも御承知のとおりです。起債の面におきましても、あるいは交付税についても、いろいろ伸ばしておりますからね、大体において私はこれで一応やれるものと、かように考えております。それでありますから、いますぐに大蔵省に対して交付税率の問題を提議する考えはございません。  しかしこれは、あなたがおっしゃるように、実際やってみるとまた非常な差ができてきておるというようなことになれば、これは私としては当然考えなければならないと思っております。
  320. 和田静夫

    和田静夫君 これはいままで振り返り見て、乖離がはなはだしいんですよ。したがって、今後また見てというような論理にならないんですよ。明確にまた乖離が出るに決まっているんですよ。
  321. 福田一

    国務大臣福田一君) 私は、その乖離が出るという問題については必ずしも——政府案のこの提案の理由といいますか、歳入の見積もり、それから歳出の見方というものが、どっちのほうに原因が出てくるかという問題があるだろうと思っておるわけです。だから、そういうところを勘案してみませんというと、この段階において大蔵省にそういうようなことは申し上げるつもりはございませんと、こう言っておるわけです。
  322. 和田静夫

    和田静夫君 それじゃ全然だめです。  法制局長官にちょっと伺いますがね、交付税率というのは、少なくとも、政府が考えるあるべき行政水準の数量化としての財政措置、需要ですね、それと財政収入とが長期にわたって乖離したときに変更されるというのが、現行法のたてまえですね。
  323. 吉國一郎

    政府委員吉國一郎君) 地方交付税法の第六条の三に第二項の規定がございまして、「毎年度分として交付すべき普通交付税の総額が引き続き第十条第二項本文の規定」——これは普通交付税の額の算定の基礎の規定でございますが、その「第十条第二項本文の規定によつて各地方団体について算定した額の合算額と著しく異なることとなった場合」——これは多い場合も少ない場合もあると思いますが、「著しく異なることとなった場合においては、地方財政若しくは地方行政に係る制度の改正又は第六条第一項」——これは地方交付税の基礎率三二%を定めている規定でございますが、「第六条第一項に定める率の変更を行うものとする。」ということで、この立法の方針を宣明しているんだと思います。
  324. 和田静夫

    和田静夫君 ということですから、私のこの法律の解釈は間違いがない。自治大臣は誤っている。政治的な認識でものをやっている。大蔵大臣、どうですか。
  325. 大平正芳

    国務大臣(大平正芳君) いま法制局長官から御説明がありましたような、著しい変化があるという判断に私ども立っていないわけでございますし、自治省からも、予算編成の過程におきましてそういう御要求はございませんでした。
  326. 和田静夫

    和田静夫君 私が自治省の代弁をしているような形になったのじゃ本当は困るんですけれどもね、少なくとも自治省は、低成長時代と言われる時代に入ったいまですから、とにかく客観的な作業を行って、そして交付税率はこうあるべきだということを大蔵省に強く言うべきだったんですよ。これは大臣どう言われたって、いまの法律の解釈から言ってそうなんですよ。それは自治大臣によって怠られたことは間違いないんですよ。
  327. 福田一

    国務大臣福田一君) 私は、こういうような高度成長から低成長に入っていく段階において、どのようなそれが影響力を与えてくるかという問題は一応考慮はいたしました。考慮はいたしましたけれども、財政計画を組む段階においては、ただいま法制局長官が言うた六条の何項かに該当するという考えを持たなかったということでございます。私は、一応これで処理ができる。それは、その処理の仕方には、歳入の面もございますけれど、歳出の面も考えていけばできるという考え方で大蔵省に対して要求をしなかったということでございます。
  328. 和田静夫

    和田静夫君 福田自治大臣、市川房枝さんほど国民を信用していらっしゃらないんだそうですけれども、その国民のうちの一人で、信用していない官僚の言うことばかり信用してはだめですよ。そのためにあなたは大臣としての役割りを果たさなかったということです。そこはちょっと深い認識をやっぱりこの機会にやってもらわなければ困ると思うのです。
  329. 福田一

    国務大臣福田一君) 私は、そんな自分のことを言っちゃ失礼ですけれど、まあときどき大臣をやらしていただいておりますけれども、官僚の言うことを何でも聞いた覚えは絶対にございません。
  330. 和田静夫

    和田静夫君 交付税というのは、やっぱり自治大臣ね、自治、大蔵両省の力関係で揺れ動くというような、そんな筋合いのものじゃありません。ちゃんと第六条できまっているんですから、その趣旨はちゃんと遵守をしてもらわなきゃならぬ。そのことは私強く要求をします。  そうでないから結果的に、客観的に見て、みずからの非力さを人件費問題にかぶせるという措置が責任転嫁という形で出てくると私は思うんですよ。この自民党の統一地方選挙用のキャンペーンに乗っている感じが非常にするんですね。そういう行政のやり方というのは必ず私は将来に禍根を残す。これは総理、そうじゃありませんか。
  331. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 言われるとおりだと思います。
  332. 和田静夫

    和田静夫君 総理大臣ね、実は総裁としてお聞きしたいんですが、自由民主党のお出しになったこの「地方財政硬直化の現状とその対策」という、これですね。これ、何か自治省の財政課でつくったという話なんですが、そうですか。
  333. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) ぼくはどこでつくったか、自治省に頼まなくても、自民党はなかなか地方財政に対して豊富な知識経験を持っておる人がおりますから、自民党自身でそれくらいのパンフレットは私、つくれると思いますが、実際はどういうことであったのかよく知りません。
  334. 和田静夫

    和田静夫君 それじゃ総理お持ちになっているんですから、この四十三ページをちょっとお読みになってください。ちょっと声を出してお読み願いたいんです。総理のそれだと六十四ページです。二つあるんです。こっちはきれいになって、おたくが配布しているやつですがね。答弁として読んでいただきたいんです。答えの方だけでけっこうです。
  335. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) どこですか。
  336. 和田静夫

    和田静夫君 六十四ページ。「施設費系統の事業については解消済」の下ですね。「公立文教施設整備事業等施設関係三事業については」からずっとです。
  337. 福田一

    国務大臣福田一君) 総理はいま読んでいられる段階であります。
  338. 和田静夫

    和田静夫君 いや、読み上げてもらいたいのです、ここで答弁として。自治大臣の出番はいまつくります。
  339. 福田一

    国務大臣福田一君) 総理に読み上げさせるというのは、いかにもどうですか。そうじゃなくて、だれか政府委員かなんかに読み上げさせなさいよ。総理にそんなことを読み上げさせるのはいかぬですよ。
  340. 和田静夫

    和田静夫君 いや、しかし、いいんですか。
  341. 福田一

    国務大臣福田一君) いやいや、だから読み上げるということを御要望ならばということです。——読み上げなくていいんですか。
  342. 和田静夫

    和田静夫君 読んでもらいたいのです。
  343. 福田一

    国務大臣福田一君) 読んでもらいたい——それなら、総理に言われるのはいかがかと申し上げたのです。
  344. 和田静夫

    和田静夫君 いや、しかし、ここでは自由民主党を代表されるのは総裁しかいらっしゃらないから。
  345. 松浦功

    政府委員(松浦功君) 「超過負担の実態はどのようになっているか、また、政府は、これをどのように解消しているか。  注革新市長会等は、政府の超過負担解消は極めて不充分であるといっている。  答I 施設費系統の事業については解消済  公立文教施設整備事業等施設関係三事業については、昭和四十九年度に、自治、大蔵及び事業所管省庁による単価差に係る超過負担の実態調査を行い、その結果に基づいて昭和四十九年度補正予算において改善措置を講じたところである。即ち公立小中学校校舎(鉄筋コンクリート造)の場合で二一・六%の改定を行ったところであり、さらにその後の工事費の動向を勘案し昭和五十年度の予算単価においても八・五%の引上げ(予算単価八万一千四百円)を行っている。  II 運営費系統の事業については計画的に解消  農業改良普及事業等六事業の運営費に係る超過負担の実態調査の結果については、昭和五十年度及び五十一年度で改善措置を講ずることとしている。」  以上でございます。
  346. 和田静夫

    和田静夫君 自治大臣、同じく自治省財政局関係の「第七五回国会(常会)想定問答集」の同じ部分を読んでください。十三ページです。
  347. 福田一

    国務大臣福田一君) 私はそれをまだ受け取っておりません。
  348. 和田静夫

    和田静夫君 じゃ、これどうぞ。
  349. 松浦功

    政府委員(松浦功君) 「地方団体の財政運営を困難にしている超過負担について、その解消をどのように考えているのか。」という想定問答でございますから、問いに対しまする答えといたしまして、「公立文教施設整備事業等施設費関係三事業については、昭和四十九年度に自治、大蔵、関係省庁による単価差に係る超過負担の実態調査を行い、その結果に基づいて昭和四十九年度補正予算において改善措置を講じたところである。公立小中学校校舎(鉄筋コンクリート造)の場合で二一・六%の改定を行ったところであり、さらにその後の工事費の動向を勘案し昭和五十年度の予算単価においても八・五%の引き上げを行っている。  なお、農業改良普及事業等六事業の運営費に係る超過負担の実態調査の結果については、昭和五十年度及び五十一年度で改善措置を講ずる予定であり、目下資料の整理中である。」
  350. 和田静夫

    和田静夫君 総理大臣、どうです、いま御感想は。
  351. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 事実を言っておるまでだと思います。
  352. 和田静夫

    和田静夫君 自治省がつくったものと、あなたが総裁である自由民主党が出しているパンフというのは、いまあなたは自由民主党の側のを読んでおられたからおわかりのとおり、同じ文言です。
  353. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) どうして同じになったか、私はよく事情はわかりません。まあ、しかし、事実に即して両方とも言っておるんでしょうから、内容はやっぱり表現は違ってもそういうことになるんでしょうが、どうしてこう同じようなものになったかの理由は、私はよく存じません。
  354. 和田静夫

    和田静夫君 三木さんほどの人がそういうような答弁では、もう大変悲しい思いですよ。これは明確に、先ほど私が指摘しましたように、自由民主党のパンフが官僚の手によって書かれていることを立証をいたしていますよ。国家公務員法百二条の違反というものが明確ですよ。これはどういうふうに処理されます。
  355. 福田一

    国務大臣福田一君) 私は、大体内容がほとんど同じである、文句は若干違っておりますがね、だけれど、そういうことがあったとしても、この問題、私はもうそういう趣旨のことは予算委員会で私がしばしば答弁をいたしております。それから地方行政委員会でも答弁をいたしております。でありますから、書き方が非常に似ておったということだけで、おしかりを受けることは残念だと思いますけれども、しかし、事実そういうことがあったとしたら、それはその間の事情は一応は調べることはいたしますが、それだからといって、何も自由民主党が政府と密着して選挙運動をやっていると、そういうふうにおとりになってくださることははなはだ遺憾だと思います。いまお述べになったようなことなら、私は知る限りにおいては、新聞記者会見でもそういう話が出ておりますし、それからまた、数字の面等についても私も発表したこともございますし、いろいろのことがあるわけであります。それほどの秘密なことではございません。およそ秘密なことであれば、それを漏らしたということになれば、これは問題があるでありましょう。しかし、秘密でないことは、新聞社が来てお聞きになっても、あるいは野党の皆さんが来てお聞きになっても、それを言ったからといってひとつも私は差しつかえない。むしろそういうふうに政治のやり方を、なるべく多数の人に理解をしていただくということ、すなわちPRは政治の一つの責任だとも思っておるわけでありまして、私はそれをもっていわゆる処分に値するような問題であるとは考えておりません。
  356. 和田静夫

    和田静夫君 どう抗弁されたところで、国家公務員が特定政治団体の運営に関与をして、そして他政治団体を非難する、こういう目的で政党の刊行物を編集する、これらの行為というものが、自治大臣が言われるような形で弁護されるようなものじゃないですよ。人事院規則の十四条七項はどういうことになっているんです。
  357. 福田一

    国務大臣福田一君) あなたのおっしゃるのは、公務員法に基づいて政治的行為ということで、その中で「政党その他の政治的団体の機関紙たる新聞その他の刊行物を発行し、編集し、配布し又はこれらの行為を援助すること。」、こういう意味だと思うんですが、そこですか。そういう意味でおっしゃった。われわれの方では、向うから問いに来られて、どういう目的か知らぬが、それは超過負担の問題とかあるいは人件費の問題等については何も秘密にはいたしておりませんし、どういう目的に使われようとも、それは与野党の人がおいでになろうと、また新聞社の方がお聞きになろうと、秘密でないことはこれはもうお教えすることは、決してそういうような政党の活動を支援するためにやっておるという意味ではございません。それはもし野党の方からそういうことを言うてこられればやっぱりお教えすべきものだと私は思っておるんです。これは平等でなければなりません。政府というものは与野党の上に立って平等にものをやらにゃいかぬ。だから私は、ちっともそれがあなたのおっしゃる意味には該当しないのじゃないかというふうに考えております。
  358. 和田静夫

    和田静夫君 いわゆる行政の中立性に違反をしていることは間違いないわけでしょう。
  359. 福田一

    国務大臣福田一君) 行政の中立性ということになりますと、私の解釈は、そういうものは与野党どこに出してもいいし、また私もしばしば発表しているし、新聞記者会見でも述べているところであるから、そういうような、秘密なものだけれども特に自由民主党に出して、そして自由民主党の行動を助けるというような意図を持って私はそういうことを申し述べたのではないと、私はそうはっきり解釈をいたします。これが完全な秘密文書になっておりまして、たとえば秘とでも書いてあるのを自民党にだけ出したら、それは先生のおっしゃったようなことはこれはごもっともだと思って、私としても何らかの措置をとらなければなりませんが、われわれがしばしばこれを発表しておる、新聞社との会見でもそういうことを言っておるのでございますから、疑いを抱かれたことについては、それはわれわれとしても遺憾には存じますけれども、行政行為として処罰すべきものであるかどうかということについては、私はちょっと同意をいたしかねます。
  360. 和田静夫

    和田静夫君 いろいろべらべら言われましたけれども、それじゃ、これは秘じゃなかったですかね。
  361. 松浦功

    政府委員(松浦功君) いま私が読み上げましたものは、大臣が御指摘になられたとおり、どこへ行ってもあの筋道でお話しをしているものでございまして、数字自体も一切お隠ししているような数字はございません。
  362. 和田静夫

    和田静夫君 答弁になってない。部外秘でしょうと言っているの。
  363. 大谷藤之助

    委員長大谷藤之助君) 部外秘であるかどうかという質問に、秘ではない、隠してはいないと、こういう答弁に受け取れる……
  364. 和田静夫

    和田静夫君 じゃ委員長、認めますか、あれ。
  365. 大谷藤之助

    委員長大谷藤之助君) いやいや、そういう答弁だということを……。
  366. 和田静夫

    和田静夫君 それは答弁が違っています。私は、部外秘じゃありませんかと言っている。
  367. 松浦功

    政府委員(松浦功君) いまお読みいたしました私の方の想定問答集は、部外秘ということにはなっておりませんが、われわれの手持ちの資料でございます。書いてある中身は、これまでしょっちゅう繰り返してどこへも申し上げているものであり、数字自体もお隠しを申し上げているようなものではないと、こう申し上げております。
  368. 和田静夫

    和田静夫君 自治大臣は秘じゃないと言ったけれども、あなたのやつには部外秘と書いてあるでしょうと言っているの、ぼくは。
  369. 松浦功

    政府委員(松浦功君) 部外秘とは書いてございません。部内用と書いてございます。
  370. 和田静夫

    和田静夫君 委員長ね、そんないわゆる言葉の違いじゃないですよ。そんなものは。
  371. 大谷藤之助

    委員長大谷藤之助君) 和田君、質疑を続けて願います。
  372. 和田静夫

    和田静夫君 しかし、自由民主党総裁であり総理である三木さん、両方読み上げたのをよくおわかりのとおり、ああいうような論法で、どこかでしゃべったからという筋合いじゃないですよね。文章は同じなんだもの、文章は同じ。これは国家公務員がやったということ、自由民主党に恐らく指示されたか依頼をされたかでしょう。したがって、自治大臣は調査するとお約束になったのだから、調査の結果を発表して下さい。それまで待っています。  それからもう一つは、部内用だ、その部内用というのは、常識的には外に出さないということでしょう。
  373. 福田一

    国務大臣福田一君) 私は秘の文書が出た場合には——実は私はあれを受け取っていないんですよ、私が。いや、本当ですよ。私はああいうむずかしいものはよくわからないから、なるべく読まないことにしている。だから、あれは受け取ってないんです。だから、秘であったか部内用であったか、そんなこと全然知りません。本当に知らないんですよ。これは納得していただきたいんですがね。だけど、私が先ほど申し上げた、秘と書いてあるのだったらこれはちょっと一遍あれだと思いますけれども、部内用というくらいならば、先生、ここらでひとつ勘弁してください。
  374. 和田静夫

    和田静夫君 いや、もう一つ残っています、答弁が。いまのやつは後のやつだけの答えです。
  375. 大谷藤之助

    委員長大谷藤之助君) 速記をとめてください。   〔速記中止〕
  376. 大谷藤之助

    委員長大谷藤之助君) 速記を起こして。
  377. 福田一

    国務大臣福田一君) 先ほど申し上げましたのは、秘ということになっていれば調査するということを申し上げたのでございまして、部内用だったら、まあそれをだれか聞きに来たのか何かすれば、それはそういうのを見てしゃべることもありますし、新聞社が来られてもしゃべることもあるし、極秘のものなら、それはそういうものは出しちゃいけないことはもうおっしゃるとおりで、その場合は私も頭を下げますが、私がしばしばしゃべっている内容でもあるし、新聞記者会見でも言っている内容でもあるし、そういうものをうちの、たとえば事務の者が、事務の者といいますか、公務員が言ったからといって、私はそういうことはむしろPRをすべき問題である、必要なものを、私が言うたようなことを事務官が言わないなんということこそ、そういうことがあったら私は処罰をいたしますけれども、私が言ったことを言ったということですから、そこらはひとつ御了承を願いたいと、こう申し上げておるわけであります。
  378. 和田静夫

    和田静夫君 答弁になっていないですよ、そんな。総理から答弁を求めます。
  379. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) どういうことでそういうふうに一致したか、わかりませんがね、いつもこれは自治大臣なんかが答弁をしておることでもありますから、だれが言ってもこの内容だったら、これ以外のことというのは言いにくいですかね、いままでやっていることを、そのまま繰り返したのだから。このことで国家公務員法の違反というふうに、そういうふうには私は考えないのですけれども、あたりまえのことを、いつも言っていることを、自民党がつくる場合にそれを援用したということは、そう国家公務員法違反というような事案に該当するとは私は考えてはおりません。
  380. 和田静夫

    和田静夫君 総理、あなたは昭和四十五年の文春の十月号で、いまの日本の政治は「惰性と、役人委せの退屈な政治だという印象が強い」、明確にこう述べられておりますね。この関係ですよ。これははっきりして下さいよ。
  381. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) いまの問題は、何も役人というものの惰性とかそういう問題ではないと思いますね。自民党としてそういうパンフレットをつくる場合に、これに対して一番いい説明をしておくのがいいのですから、自治省がいつも言っているものを、そんなに、それを援用することが、そのことが何も役人の惰性とかというものには私は関係していない。自民党の者がパンフレットをつくったわけですから。しかし、全体として私の言ったこと、文春とか中央公論、いろいろ質問通告にありましたので私は読み返してみましたがね、和田さん、非常にあれは私自身で見てもよくできている。私は本当に一言一句もいま変えるという考えはありません。私の考え方をよく述べておるわけですから。
  382. 和田静夫

    和田静夫君 いや、私もよくできていると思うから、あなたはその言動に責任をとりなさい、そういう意味で言っているんですよ。
  383. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) どうでしょうかね、しかしこの問題が、何でしょう、いまのこの問題に対してどう処理しておるかという質問に対して、自民党が、自治省がいつも言っておるような説明をそこへ持ってきてやったわけですから、パンフレットとすれば、できるだけいい表現を使いたいですからね。自治省が非常に簡単にしてわかりやすいような説明を、大臣もしょっちゅうああ言うことを私は聞いたように思いますが、そういうようなことをここへ入れることが役人の惰性であるというような、そこまでは私は考えない。これは自民党がやったんですからね。そういう点で、ほかのことではいま言ったような反省は私はしなければならぬと思っておりますよ、日本の政治は。この問題に限っては、役人を責めるのはちょっと無理なような気がするんですよ、自民党自身のパンフレットですから。
  384. 和田静夫

    和田静夫君 どうもはぐらかされますがね、一ヵ所しか読まぬものだから。たとえば十六ページ、「健全財政を行っている団体の収支は問題ない。」という、以下同文ですよ。想定問答集十一ページ。国家公務員法違反明確じゃないですか。これはやっぱり総理、調査をされて、国家公務員の政治的中立性の問題というのははっきりさせなければいかぬですよ。
  385. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) それは私は、そんなにこれが自治省の役人がこのパンフレットに関与したとは私は思っていない。自民党の責任においてつくったわけでありますが、こうやって予算委員会和田さんにいろいろ疑惑を持たすようなことは、これは今後慎まなきゃなりませんから、今後、自民党もいろいろな出版物がありますが、そういう場合に、いやしくもいまあなたがお持ちになっておるような疑惑を持たさないような注意はいたします。
  386. 和田静夫

    和田静夫君 ここの部分が私は全体の中で非常な問題にせざるを得なかったのは、こういうような形でもっていま、いわれもないような攻撃が続いているわけですね。ここに私は本質がある。それに対してちゃんと調査をして結論を出してください。執筆者はだれであり、だれが命じたのか。
  387. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) こういうちょっとした厚いパンフレットですから、どういうことであったかは調べてみましょう。
  388. 和田静夫

    和田静夫君 それじゃ、総理の約束がありましたから、私の総括質問中にこの調査結果について答えを求める、こういうことにします。  そこで総理大臣、私があえてなぜこういう問題を出すかというのは、ちょっと議会運営との関係で、ぜひ議会の子であるあなたにお聞き願いたいからなんです。第七十四国会、つまりこの前の国会ですね。ここで政府が提案した昭和四十九年度分の地方交付税の特例に関する法律案が、御存じのとおり本院の地方行政委員会で修正議決をいたしました。私の提案をした方が通りました。そこで決定されました。残念ながら、この委員会修正案は本会議でもちろん否決をされたのですが、政府原案が難航の上、日の目を見ることになったのだけれども、戦後の日本の国会というのは、委員会中心の論議で決まっていくことですね。これが数だけでもってひっくり返ってしまう、こういう状態になったのですが、やっぱり委員会で決まったことに対しては謙虚に受けとめてもらって、それが生きるということ、そのことが現在の憲法下の国会活動としては非常に私は必要なことだと思うんですが、その辺いかがお考えです。
  389. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) やはり国会は、国会法の規定に最後のよりどころは求めざるを得ない。したがって、本会議で決定をするということは最後のよりどころですが、法律ばかりではなくして、国会の運営として、そういうふうなことの場合には与野党でよく話し合って、そういうことにならないように持っていくことが好ましい形だと思いますが、やはりどうしても話がまとまらぬ場合に本会議で決をとるということは、最後のよりどころとしては、それはいけないんだ、違法だというふうには私は考えてはおりません。
  390. 和田静夫

    和田静夫君 私が申し上げたのは、長い経験をお持ちの総理は自由民主党の総裁として、こういう委員会の結論というものを尊重される、そういう政治的指導性をやはり発揮をされたらいかがですか。そういうおつもりはありませんか。
  391. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 尊重というか、委員会でもう少し与野党で話し合いができないものでしょうかね、そういう場合に。尊重ということになってまいりますと、いつも自民党——委員会でやっぱり少数の委員会もできてまいりますからね、そういうことになりますと、そういう多数決主義というものにも触れますから、そういうふうなところへ持っていかないで委員会で話し合って、もう少し本会議、委員会というものの何か歩み得れるような、そういうことをするのが一番でないでしょうか。初めからもうどうにもならぬような形でいくというのでなしに、参議院というものが一つの新しいルール、衆議院と違ったようなルールというものが皆編み出されれば非常に私はいいのでないか、委員会で話し合ってみるという。そういうことでないと、数でということならば、これはやはり多数決主義というこの原則を、自民党がこれは破っていいんだという立場はとれませんからね。行くまでの過程の委員会の運営というのは、何か一工夫要るんじゃないかという感じがいたします。
  392. 和田静夫

    和田静夫君 私もそう思うんだ。地方財政の危機なんという非常に重要な問題を、わずか限られた時間の中でやりとりをして、しかもそれは委員会でもって、いま言われるようにゆっくり話をすればもっと共通点があると思う、自主の原則に立って。ところが、自由民主党の側は、これを攻撃するためにずっとパンフでもって流していく。そうすれば険悪な論議になる、こういうことなんですね。こういう仕組みをなくするためにも、私は前の国会の教訓に学ぶべきだし、この国会でも幾つかの委員会でもってそういう事態が起こる。そのときに総理・総裁として、やっぱり国民の声というものが全体の中に生きるということをお考えになるべきじゃないだろうか、そう言っているんです。
  393. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 大いに委員会の審議を通じて国民の声を反映してもらいたいと思います。それは与野党とも何かとらわれないで、地方自治というのは大問題ですから、これからの日本の民主政治のあり方にも影響する問題でありますから、何かそういうものを離れて、参議こそ時には党派的な枠を超えて、問題の核心に触れて話し合うというようなことが国会運営でできれば、私は参議院の存在価値を高からしめると思います。だから、そういうふうな工夫が参議院において各党間においてできることを私は非常に期待をいたすものでございます。
  394. 和田静夫

    和田静夫君 ところがね、なかなか、われわれもそう思いますし、たとえば地方行政委員会などというのは、やっぱり真剣にそういう論議を非常に内容的に詰めてきたつもりです。ところが、たとえばこういうことがあるのですよ。この前の結論が出ましたね、そうすると、政府の側は新聞発表するわけです。そして自治省の意見として、裏づけになる予算修正も行わずむちゃくちゃだ、日本社会党なんというのは執行不可能な法律を通して、こんなむちゃくちゃなことをやると言って平然とされる、こういう形が出ているんです。したがって、当然問題にしました。調査を約束されました。調査を約束されたが、今日まで自治大臣は約束されたままでほうりっ放しで、その結果がどうだったか、何にも言ってこないんですよ。こんな状態じゃ困るじゃないですか。
  395. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) それは、自民党だけの一方的な責任があるというわけでもないのじゃないでしょうか。
  396. 和田静夫

    和田静夫君 約束は守らなければならぬでしょう。
  397. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) やはり野党の方にも、何か自民党から言わせれば、非常に硬直したものがあるというふうな感じを自民党自身も持つのじゃないですか。両方がやはり何かとらわれたものが私はあるのだと思います。だから、一方的に和田さんの言われるように、自民党だけが悪いんだというふうには私は考えないですね。これはやはり国会というものは、与野党ともにもっと工夫しなければ、委員会というものがもう少し、参議院なんかでは衆議院よりもやりやすい環境にあるわけですから、委員会の審議というものが、ただ初めから結論が決まっておって、そして対立するんでなしに、何かそこで、問題の地方自治なら地方自治に対して皆両方ともよかれかしと思うんでしょうから、方法論に対して違いがあるんですから、そこを話し合って、何かよい結論を出すような工夫というものは、これは自民党ばかりでなしに、野党の方にも、そういう何かとらわれない気持ちで委員会の審議に当たるような、何か新しい工夫が参議院に生まれてこないものかなあと私はいつも思うんです。衆議院よりもやりやすいですよ、この場はね。そういう点で大いに、今後の委員会運営に対して、何か従来にとらわれない新味が参議院から出てくることを私は願うものでございます。
  398. 和田静夫

    和田静夫君 全然答弁が違うんで、ぼくは自由民主党の非難をしているんじゃないんですよ。政府の側が調査を約束されたんだ。社会党を非難したんだから、むちゃくちゃだと言って。内閣としてこれをちゃんと答弁してください。
  399. 福田一

    国務大臣福田一君) 私は当時の委員会に出ておりましたから、私のところへ来て、予算措置がとってないのに法案の修正をしたのでは、実際問題としてできないじゃないかというような意味のことを政府委員が言っていたことは事実であります。よそで、またそういうことを話したかどうかのことは知りませんよ、それは。しかし、それについてどう処置するかという問題につきましては、実は大体もう、いろいろ何か記事が出たりした関係で、どういうわけでそういう記事が出たのかというようなことなどでいろいろ話をした結果、大体それはおさまったということでありましたし、それから、こんなことを言っては失礼だけれど、きょうはそういう御要求になりましたけれども、いままで地方行政委員会でもお目にかかっているのに、あのことはどうであったかというあれもなかったわけでありまして、大体あれはあの当時の事情で、もうあなたにもお話ししたのじゃないかと。私自身ではございませんよ、大体御了解を得ておるように私は印象を受けておりましたので、いままでにそういうことは調査をしてというようなことは申し上げておりませんが、現実に私があのそばにおったときには、とにかく法案の修正、ああいうような法案の修正をしただけでは、予算措置をとっていないというと実際にできないことになりますねという話は言うておりました、確かにそのことは。しかし、それが社会党の批判になるのかどうか。  私は、これは現実の姿としては、もしあの地方行政委員会の議決をそのまま実行に移すという御意思であるならば、当然やはり予算修正の案をお出しになっておかれるならば、それは私は明らかに社会党がといいますか、野党の方がそういう御意思を持っておられ、あくまでもそれを実現するということだと思いますけれども、あのときにおいてはそういう予算措置がなかったので、おそらく私は、それはどういう経過でそうなったか知りませんが、議長の手元において今度は本会議で再修正をした、予算措置に合わせた修正をしたと、こういうことになるんじゃないかと思うんです。  こういうことはお互いに——私は何も和田さんの言う、非常に社会党を侮辱したとおっしゃる、そういうことが確かにもしあったとすれば、たとえばあったとすれば不謹慎でございますから、こういうことは私は厳に戒めるべきである。これは実際そう思っております。たとえどういう案が出ようと、これは言論の自由であるし、国会において物事をやるのでありますから、それは与党の言うとおりになるはずはない、野党は野党としての当然の主張をされていいわけですから、そういうことについていいとか悪いとかというようなことをもし言ったとすれば、また今後、そういうことを言わないようには努力をいたしたいと思いますが、まあそういう事情でございましたので、また、事実上予算措置がなかったことも事実であったのでございまして、今後ひとつそういう点は、総理がいまあなたにいろいろ申し上げておられますが、この会議の運営ということについてできるだけ野党の意見も取り入れながら、いいところはそれを取り入れるという、雅量というと失礼に当たるかもしれませんが、そういう気持ちで運営をしていくということについては私も同意見でございます。だから、その意味で御了承を願いたいと思います。
  400. 和田静夫

    和田静夫君 とにかく、日本社会党は無責任きわまると、こういう新聞発表が談話として載って、そしてどこが無責任なんだと、じゃ調査をしますと。それは次国会に持ち越しますよと、覚えていらっしゃるとおり私はちゃんとそう言ってある。したがって、次国会に持ち越しているのです。それから野党ですからね、わが方は。で、修正案が通ります。予算の関係はその後措置をするという事態というのは、当然それは修正との関係では出ますよ。特に予算委員会も終わっているというようなことになれば、ますます今後そういうことの可能性があるんですからね。その辺は自治大臣、十分にお考えになっておいてもらいたいと思います。  ところで、本当に人件費が地方財政を圧迫しているのかどうかというやつですね、これを少しやってみたいと思うんですがね。総理、いまちょっと過去十年間の歳出総額に占める人件費の割合の推移をいま示してもらいますから。これは決算に基づくものと財政計画に基づくもの。
  401. 松浦功

    政府委員(松浦功君) お答え申し上げます。  財政計画の額に対しまする人件費の割合、これは四十年度から、三六・二、三五・五、三四・六、三四・〇、四十四年が三三・一、四十五年が三一・九、四十六年三〇・八、四十七年三〇・〇、四十八年二八・〇、ここまではずっと下がり続けまして、四十九年二八・九、五十年三四・七。  決算で御指摘を申し上げますならば、四十年が三六・七、四十一年三五・六、四十二年三五・五、四十三年三四・三、四十四年三三・四、四十五年三二・七、四十六年三一・九、四十七年三一・一、四十八年三二・五と、こういう数字になっております。
  402. 和田静夫

    和田静夫君 総理、お聞きのとおり、いまいろいろのことを世間では言われていますけれども、少なくともいま出した数値からは人件費が地方財政を第一義的に圧迫しているという事実はありません。明確であります。ただ、昭和五十年度の地方財政計画、ここで歳出に占める人件費の割合が三四・七になっているんです。これは大変高いものになっていますね。この数字は、十三万八千人のいわゆる規模是正があったんです。教員、警察官など、三万人近い増員なんですよ。そして補助職員等に係る給与費を、今回あえて、どういう意味か知りませんが、一般行政経費から給与関係経費に組みかえて、そしてそのためにこういう数字が出てきたんですよ。そういう意味では机上の操作ではじき出された数字だという感じが非常に強い。税収の伸びが停滞をする。したがって、その上で総需要抑制等で投資的経費の伸びが停滞する。それで給与費の割合が他動的に高まるのはこれは当然でしょう。これをもって人件費が地方財政を圧迫しているという、そんな短絡的な攻撃用のものにはならぬのですよ。ここをぜひ総理、一遍お考えになってもらいたいと思うんです。いかがでしょうか。
  403. 福田一

    国務大臣福田一君) いま御指摘の点でございますが、確かに十三万八千人ふやしております。そのことは事実でございますが、大体五年目ごとにこれは入れるということになっておるので今度入れたわけでありまして、そういう人件費問題を特にウエートを高くするために入れたわけではございません。これはもう恒例によったわけでございます。  それから、まあこういうところでございますけれども、私がやはり自治大臣といたしまして就任いたしましたときに、日経にも書いておりますが、私はいつでもこの人件費の問題と超過負担の問題を、常に並行的に物を考えて、そしてやっているわけです。実はこの前に自治大臣をやりましたときに、私が一番超過負担の問題を田中総理に強く言いまして、これはもう絶対に改めにゃいかぬということであったのですが、ちょうど予算編成時期に免職になりましたので、とうとうそれほどに実現しなかったのですが、私は、これは超過負担ということはやはり解消せにゃいかぬ。ただ、超過負担といってもいろいろございまして、それはもうあなたの方が専門家だから私が申し上げるまでもないが、どういう標準をとるとか、また単価の分をどの程度に認めるのがいいかというような、問題はいろいろあるわけであります。  私、ちょっと超過負担に触れたから、失礼ですがお許しを願いたいのですけれども、大体いままで超過負担という問題は、一つは、地方公共団体が小学校でもあるいは保育所でも何でも、いままで数量が足りませんから、予算編成期になるというと、もう金は足りなくてもいいからとにかく数を増してくれというような実は陳情をやってきたわけです。それは事実そういうことは、私もいささか、大臣しょっちゅうしておったわけじゃありませんから、議員のとき頼まれるとそういうことを言って、何とかふやしてくれなどということを言ったこともありまして、そういうことがかなりあって、そのときには地方自治体はとにかくふやしてくれふやしてくれと、ふやす方ばかり言って質のことは一つも言ってこない。それが、今日になりますと、数量がある程度満たされました。もちろん人口急増地域などでは十分ではございません。それはもうよくわかっておりますけれども、大体において満たされた。国全体とすればある程度満たされましたから、今度は質の面へいかにゃならぬというときであると思うのでありまして、そういう意味で超過負担の問題等も、私は日本経済というものが戦後無から今日まで立ち上がった中の一つの過程において、やむを得ない事態として起きてきておるということも、これはやっぱりわれわれは認識をせざるを得ないのじゃないかという考えも持っております。  しかし、しかしですよ、そういうことが私はいいことだと言ってこれを申し上げておるわけではありません。今日までそういうことが起きたということを申し上げておるのでありまして、今後超過負担がないように、できるだけ基準も上げるとか、単価というものも実勢に合わせるとか、そういうことをせにゃならぬということだけは常に考えておるわけでございます。
  404. 和田静夫

    和田静夫君 超過負担が出ましたからあれですがね、大平大蔵大臣、いいですか、自治大臣の答弁
  405. 大平正芳

    国務大臣(大平正芳君) いま自治大臣がお話しされましたこと、おおむね私も同感でございます。
  406. 和田静夫

    和田静夫君 いま言われた中には、単価差だけではなくて対象の問題全部を含んでいるお話でしたが、それはそう確認しておいてよろしいですか。
  407. 福田一

    国務大臣福田一君) この基準というものを一つの目安にしなくちゃいかぬと、それはそのときそのときの国の経済とか、あるいは生活程度とか、いろんな問題ありますよ。文化生活をするにはここまでが必要だとかいうこともあるし、いろんなことがある。学校つくるだけでも、いままでに廊下なんというのはもう外してあったけれども、今日は入れたというようなこともございまして、いろいろありますから、それは常識的な、良識の範囲で大体決めていくということにはなると思いますが、その良識の範囲で決まったものについては実勢に合わした計画ができるように、国としては私は当然努力をすべきではないか、こう考えております。
  408. 和田静夫

    和田静夫君 八日の答弁で大蔵大臣、防御費の五十年度の伸びについては人件費の増が主要な原因だと、こう言われたんですよね。この五十年度というのは、インフレの影響が非常に多くて、防衛費が前年度対比で二四・四%伸びている、その中で七四%が人件費だ、こういう形ですね、間違いありませんですね、これは。
  409. 亘理彰

    政府委員(亘理彰君) 五十年度予算の防衛関係費の増加額の中における人件費の割合でございますが、ただいま先生がおっしゃった数字は、人件費及び糧食費を含めたものかと思いますが、人件費のみでありますと増加額のうち七一・五%、これに糧食費を合わせますと七三・六%を増加額のうちにおいて占めているということはそのとおりでございます。
  410. 和田静夫

    和田静夫君 それで総理ね、総理は地方公務員の定年制問題に触れられましたけれどもね、前に、答弁の中で。いまのように、たとえば防衛費の場合は人件費がこんなに、七四%を超えておってもいいんだ、地方自治体の人件費の場合はこうなきゃならぬのだ、したがって首切るんですと、論理はゆかぬでしょう、そういうのは。
  411. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 地方自治体の人件費が相当増額してきたのには、和田さんのいま御指摘の、この警察官、教員の増員というもの、そういうことも頭に入れなきゃならぬし、また地方自治体の中で、やっぱりいろんな業務がふえてくるんですね。どうしても住民の福祉とか、いろんな環境問題とかいうようなことは、やっぱり地方自治体の行政事務というものが次第に拡大しますからね。そういう点で、単に人件費ばかりとは言えないものが私はあると思う。
  412. 和田静夫

    和田静夫君 それはそうですが、定年制……。ちょっといまのやついいですか。
  413. 大谷藤之助

    委員長大谷藤之助君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  414. 大谷藤之助

    委員長大谷藤之助君) 速記を起こして。
  415. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) しかし、地方自治体においても給与水準とか、あるいは定員の増とかいう問題については、やっぱりできるだけ国民は行政費の安いことを皆希望するわけですから、合理的にこの問題は処理していかなければならぬ問題で、ただもうあたりまえだというように私は考えない。地方自治体の給与水準などは国家公務員に比べて相当高い水準にあることは事実です。人間なども多いことは事実ですから、できるだけ合理的な給与水準とか定員というものに処理をすることが地方自治体の責任であるということは、これは申し上げないわけにはいきません。まあしかし、ただこの人件費というものに対しては、ある程度はやむを得ないものもあるわけですから、物価もこういう状態でありますから、だから、ただこう自治体ばかりが人件費の問題で問題があるというんでなしに、やっぱり各省とも人件費の大幅な増加ということは問題になっていると、予算の硬直化のやっぱり一つの原因をなしておる。  また定年制は、すぐにこう首切りと言われますけれどもね、これは単に地方の公務員ばかりでなしに、民間の勤労者も含めて、国家公務員も含めてこの定年制というものは、やっぱりいま一つの検討すべき課題でないでしょうかね。そうして私はやっぱり定年制はきちんとし、また定年後においても働ける人は働いたらいいと思うのです、再雇用して。そしてまあ年金制度もきちんとして、何かこうライフサイクルの生活設計が立つような考え方はできないかということで、私、われわれ自身としても検討をいまいたしておるわけなんです。相当熱意を持って検討しておるわけです。その中でやっぱり定年制の問題は避けて通ることはできない課題であるというふうに考えます。
  416. 和田静夫

    和田静夫君 これは改めて討論しますけれどもね、定年制は長い討論してきまして、定年制を法律でつくる、条例でつくるという問題は高辻法制局長官と私の間にちゃんと私の論理で合意が成り立っていますしね、亡くなられた野田自治大臣との間に長い論議がありましてね、したがって、法律案つぶれていったわけですから、で、いま総理が言われた後の方の部分を先行させる、保障というものを先行させるという条件が一つなきゃいけませんよ。これは政治の責任ですよ。しかも恩給考えてみても、年金考えてみたって、そんなことになっていないんですね。  それからもう地方公務員の定年という問題は、すぐれてこれ労働条件です。したがって、自治体の責任においてといま答弁されました。そのことを私たち否定をしません。労使間の交渉の中において決められていくものだし、現実に決まっていく、横浜等で最近行うように、御存じのとおりであります。これを法や条例に求めるというところになるから憲法との関係が出てくるんで、その辺に対して私たちは反対なんだ、こういうことでありますので。  そこでもう一つは、自治大臣、実は自治体には計画外の人員があって、これの圧迫が非常に大きいということを、まあさっき引用しました日経の、鎌田事務次官との対談の中で鎌田さん述べられているんですよ。私はこれ、計画上の数字が絶対なものだというふうにまさか考えていらっしゃるんじゃないと、自治大臣、思いますが、それはそうでしょうね。
  417. 福田一

    国務大臣福田一君) 私は鎌田事務次官との一問一答は新聞でさらっと読んだだけで、あなたが質問されるところにぴったり合っているかどうかはわかりませんけれども、それは計画というものと実際は誤差が出るのはこれは当然だと私は思います。少ない場合もあれば大きい場合もあるということはやむを得ない、しかし、できるだけ計画に近づけるのが筋であると、こうは思います。
  418. 和田静夫

    和田静夫君 これは念のためですがね、自治大臣、これは自治省財政局が出している改正地方財政詳解、この中では、もとより地方団体はこれまでも極力増員の抑制に努めてはいるものの施設、事務量の増加に伴いある程度の人員が増加することは避けられず、特に市町村においてはこうした傾向が認められてきた、したがって規模是正を行ったんだ、こうなっていますから、人員がふえている、こう書いているんですから、いいですね。
  419. 福田一

    国務大臣福田一君) だから、いま私が申し上げたように、それは今度十三万八千、こう繰り入れましたね、人件費。これは五年ごとぐらいに見直すということになっておるんで、実際にはふえておったのを今度はちゃんと中へ入れたということでございますから。私はそういう意味で、見直しすることも必要であるし、必ずもうきちっと決まったとおり数字、一人でもふえてもいかぬし減ってもいかぬというような物の考え方では、とても地方行政というものはやっていけないだろうと思っております。
  420. 和田静夫

    和田静夫君 そこで、四十三年から四十八年にかけての各省の人員の動きというものをここで知りたいんですが、すでに資料でもらっていますから、資料でいただいたやつ、各省確認をしておいてよろしいですね。その上に立って質問しますが、地方公務員はこの五年間に大体三十五万八千人ふえています。で、福祉部門、教育部門、警察、消防部門、公営企業部門の増加がこれは大きいんです。増加数の八割をこれは占めています。で、国家公務員と比較する対象としても、一般行政部門のうちのその他の職員というのは、これは五年間で六万七千人しかふえていないんです。これは私は余り大きい数字じゃないと思うんですが、自治大臣いかがです。
  421. 林忠雄

    政府委員(林忠雄君) ふえた数字は御指摘のとおりの数字でございます。そしてこの約七万人というのは、増加率としては約一二%に当たる。それから増加総数に示す割合が一九%というようなところであります。もちろんこの数字の中には、あるいは後で御指摘があるかもしれませんけれど、公害、それから土地対策、それぞれ新しい需要に見合うものでございますから十分必要なものも相当あるとは思いますけれども、この数字自体がまあ決して無理もないというか、なお努力の余地がないとは思えない。もちろん団体にもよりますけれども、なお努力の余地のある数字、ないしはそういうものに対して努力をしてほしいと私たちは思っております。
  422. 和田静夫

    和田静夫君 そうすると、国家公安委員長にお聞きをしますがね。いま警察の増が非常に大きいんですよ。私は首都の問題、いろいろ考えて、そんなもの否定をするんじゃないですよ、これで足りるとお思いになっていますか。
  423. 福田一

    国務大臣福田一君) まあ、現段階の財政状態ではこの程度にとどめておかなければならないと考えております。なぜかと言いますと、大体警官が一人当たり担当している国民の数は、日本では五百七十六名ということになってます、数字的に。それから諸外国では大体三百五十名前後ということになっておるわけでありまして、担当しておる、治安を守っておる人員というか、国民の数は、日本の場合が非常にはるかにウエートが高いわけであります。そういう意味からいって、今回においては、まあ地方財政、いろいろあるし、これから低成長というような時代に、そういう警官の数をふやすということがいいか悪いかということは、私は国家公安委員長としていろいろ考えましたが、まあ自治大臣としての立場と並び合わせて、考え合わせて、まあまあこの程度はやはりこれで五百七十六人くらいになるんで、まあよそは三百五、六十人の治安を保ち、日本の一人の警官は五百七十六人というんなら、まあこの程度は認めてやるべきじゃないだろうかと。特に最近は、御案内のように過激派の動きであるとか、あるいは爆弾事件とか、いろいろ出てまいりましてね、そういうことも考えると、やむを得ないじゃないかという考えで処置をいたしたわけでございます。
  424. 和田静夫

    和田静夫君 文部大臣、どうです、いまのおたくの数字で満足ですか、人員で。給与高いとお思いになりますか。
  425. 永井道雄

    国務大臣(永井道雄君) 一般的に言いまして、現在公立学校の先生方の数は私は必要なものであると考えております。それはまあいろいろな計画、その計画の根拠となる基準というものもあるわけでありますが、御承知のように義務教育学校では昭和四十九年、高等学校は第三次の五ヵ年計画というもの、義務教育は第四次、これを進めておりますから、その過程において教員定数、それから教室のサイズ、そういうふうなものを考えて進めておりますので、そういう事情を勘案いたしますと、現在の人員は必要なものであると考えております。
  426. 和田静夫

    和田静夫君 いや、それで十分だとお考えですか。
  427. 永井道雄

    国務大臣(永井道雄君) これは計画を進めております段階で、さらに将来ふえてくる可能性もありますけれども、それは現在の計画に沿って進めていくべきことであって、十分ということは、これは教育というものを考えますと、常に無限の理想状況というものを考えることができます。しかしながら、一つの国の中で、そしてそれぞれの地方自治体というものも尊重して、でき得る限りの努力をしていくという角度から考えますと、いま私たちは、先ほどから申し上げましたような基準に基づいて必要であると、そういう限度というものは絶対に達成するという進め方で来ておりますから、この考え方というものを実現していくことが責任のあることであると、かように考えております。
  428. 和田静夫

    和田静夫君 これは自治大臣、消防庁にね、消防の関係の増ですね。で、警察も消防も週休二日制の実施との問題で、いまの人員でよろしいとお思いになっていますか。
  429. 福田一

    国務大臣福田一君) その問題はいま研究をさしております。私はいまここで確実にお答えをすることできませんが、これは週休二日というのは当然もう出てくる問題でありますし、一部行われてもいるんですから、どういうふうにするかということは研究しておけと、こう言って命じてございます。
  430. 和田静夫

    和田静夫君 まあ、前警視総監もこの委員会にはいらっしゃいますがね、警察の増員要求というのはやっぱり課題が大きいんですよ。それにこたえていけば地方公務員の人数はふえていくんですね。そのことを国民に知らせずに、何か最もふえていないところの一般行政職がぐんぐんぐんぐんふえていくような、そういう印象を与えるような宣伝は、総理、これは慎んでいただくようにちゃんと注意をしておいていただきたいと思いますが。
  431. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 問題を正確に理解をしてもらうように努めることにいたします。
  432. 和田静夫

    和田静夫君 総理、実はね、私が地方公務員の数のふえ方はそんなに多くないんだという、この五年間ね。なぜそんなことを言うかというと、実は国の法律によって地方の事務が多くなってきているというのが事実だからなんですよ。このことは、中曾根幹事長、一つも言われないんです。そうして人員が余っているようなことばかり言われるんです。これはぼくは政治に対する不信が生まれると思うんですよ。地方公務員に対する不信が生まれると思うんです。この五年間に国の法令等のいわゆる制定や改正等で地方公務員はどのくらいふえたか、御調査になったことはありましょうか。
  433. 林忠雄

    政府委員(林忠雄君) お答えいたします。  毎年の増加の状況の数としては、地方公務員給与実態調査によってつかんでおりますが、具体的にどの法令によって何がふえたか、つまり増加理由については、この給与実態調査の項目として入っておりませんので正確にはつかんでおりません。ただ、この五年間にいろいろな土地対策なり公害なりの法律ができて、それによって地方団体に事務がふえたその分に当たるものが相当あるというのは私たちの方も強い認識を持っております。
  434. 和田静夫

    和田静夫君 自治大臣、これ提案ですが、やはり一定の期間を区切ってひとつ調査してみませんか、法令の改定、制定等によってふえるもの。
  435. 福田一

    国務大臣福田一君) 承知をいたしました。
  436. 和田静夫

    和田静夫君 これは早急にひとつ調査していただきます。  そこで、私は断片的な数字を持っているんですが、昭和四十八年から四十九年にかけて府県の職員の定数は一万七百十三人ふえています。ところが、実際には自治体の自発的なあれでもって結果的には五千四百三十四人しか実質はふえていないんですよ。こういうことで努力をしているわけです。そのうち生活安定三法、土地利用計画法、有害家庭用品規制法、こういう法令に基づく人員増はわかっているだけでも千人なんですよ。こういう事実は自治省も実は御存じになっていて、自治大臣知らぬふりされているのか、自治大臣正直な方だから、そんなうそは言わぬと思うんですが、知っていらっしゃらないだろうと思うんですけれどもね、こういう状態なんです。これは御存じですか。
  437. 林忠雄

    政府委員(林忠雄君) まさに御指摘のような数字が調査で出ておりまして、私たちは十分知っております。知っておった上で、なおもっと努力をしてもらう面はないかということで一生懸命地方団体にもいまお願いしている、こういうところが実情でございます。一般的に言って、定員増加というのは各自治体ともそれぞれ相当苦心を払ってこの増加を抑制していることは私たちも認識しておりますが、ただここで、自治体によりましていろいろ努力の度合いというものもいろいろ差があると。これを各団体一様に一段と努力をしてくれという趣旨でいつも指導をしているところでございます。
  438. 和田静夫

    和田静夫君 五十年度の地方財政計画での人員増は幾らですか。
  439. 松浦功

    政府委員(松浦功君) お答え申し上げます。  五十年度の地方財政計画におきましては、教育関係職員、警察、消防、社会福祉、清掃、そういったものを中心にいたしまして三万九十七人、これを計画の中に新規に組み入れました。
  440. 和田静夫

    和田静夫君 そこで、その計画策定段階での各省の人員増についての要望ですね、これは三倍とも四倍とも言われるんですけれども、これは幾らですか。
  441. 松浦功

    政府委員(松浦功君) お答え申し上げます。  各省の要求の積算等も非常に厚薄ございましてまちまちでございますけれども、私の方へ一応数字として上がってまいりました数字は二十二万人強でございます。これに対しまして、先ほど申し上げました三万人強の新規組み入れを行うと。同時に、これはあくまでも規模是正という形でいままで張りついてないものでございますから、各省の要求のうちから十三万八千人、これを規模是正という形で組み入れると、こういうことをいたしております。御要求に対して、本年度はたまたま規模是正の年でございましたこともございまして、御要求に対する充足率と申しますか、これはわりあい高い数字になっております。総体で十六万八千人を超えるものが入り込んだと、こういうことになっていると思います。
  442. 和田静夫

    和田静夫君 各省の大臣、いまお聞きになったとおりなんです。あなた方が要求されているものは必ずしも埋まっていないんですよ。それにもかかわらず、地方公務員の数が多いんだというような攻撃をされるというのは、もうまさに天に向かってつばを吐いているので、あなた方が要求されているものさえ埋まっていない。このことだけはしっかり認識をしておいていただきたいと思うんです。つい最近も運輸省が自治省令の改正を待たずに、これは法律違反ですが、勝手に陸運事務所の地方事務官の数をふやした、そういうことがありました。自治省が計画上人員増を引き締めても、国の縦割り行政と地方のセクションとの結びつきにおいて人員がふやされるということがある、そういうことなんですね。これ、自治大臣そうでしょう。
  443. 林忠雄

    政府委員(林忠雄君) 各省はそれぞれの省の所管の事務について、これをできるだけ丁寧に地方において実施してもらいたいというお気持ちがあるのは当然でございますので、毎年人員増加の要求は、先ほど財政局長の説明にもありましたとおり膨大な数に上ります。しかし、これもまた無制限にそのとおりにやっておりますとすれば、地方団体の人員の増というのはとどまるところを知らないことになります。そこで私たちの方では、できるだけ各省に対して、いろいろな施策をお立てになるにつきましても地方に人員の増加を来さないようということを毎年予算編成のときにくれぐれもお願いしておりまして、そして御相談にもあずかり、やむを得ないものの要求は、さっき申しましたように地方財政計画に組み入れるようにはいたしておりますけれども、全体として各省にはそういう方針でお願いもして、地方団体の人員増加を防いでいるというのが現況でございます。
  444. 和田静夫

    和田静夫君 法制局長官、衆議院規則九十二条の二号、参議院規則七十四条の二号、これをちょっと説明してください。
  445. 吉國一郎

    政府委員吉國一郎君) 議院の内部規則は、まさに国会の両院が御自身においてお決めになる問題でございまして、内閣法制局の全く関与することのできない事項、国会の問題については内閣法制局が全く関与いたさないわけでございますが、便宜申し上げますと、衆議院規則の第九十二条の第二号は、地方行政委員会について委員の員数及び所管を定めておりまして、地方行政委員会の委員の定数は三十人、その所掌事項としては、「地方公共団体に関する事項」「自治庁の所管に属する事項」「公安委員会の所管に属する事項」となっております。参議院規則の第七十四条の第二号も同様のものでございまして、参議院の地方行政委員会の委員の定数を二十人とし、その所管は、「地方公共団体に関する事項」「地方行政に関する事項」「地方財政に関する事項」「選挙に関する事項」「警察に関する事項」「消防に関する事項」、かように相なっております。
  446. 和田静夫

    和田静夫君 総理、いま実は読まれたとおりなんですよ。ほかのところは運輸省に関する事項あるいは郵政省に関する事項となっております。ところが、地方行政委員会に関する限りは「地方公共団体に関する事項」というやつがあるんですよ。これがある。そこで、私はなぜすべての人員の論議をしてきたかというと、実際問題として、人間がどういう形でふえるかというのはさっぱり地方行政委員会ではわからないんですよ。それで、ふえたふえたという攻撃を受けるものだから、調べてみたら一向にふえてない。いま私が明らかにしたとおりです。各省の関係のやつがふえているんですよ。こういう状態になっている。したがって、政府がそういう事実関係に目をつぶって、地方公務員の数が多い多いという国民感情におもねるのであったならば、私はいま国会法に基づく衆議院規則、参議院規則、それによって国会法が議会運営で遵守されることを自由民主党の総裁であるところの三木さんに実は求めたいんです。そうでしょう。そういうことにしてくれれば、地方公共団体に係る法律案のすべてというのは、各委員会にかかっていましても、もう一遍地方行政委員会に来て、その結果どうだということがわかっていくわけです。これをお約束願えますか。
  447. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) それは国会の運営に関することでございますから、私がここで、内閣が約束するという性質のものではないと思います。
  448. 和田静夫

    和田静夫君 そういうお答えは総理としてのお答えなんですが、私は、自由民主党の総裁でありますから、われわれの党もこういう努力をしますからあなたの党もそういう努力をするように、国会関係に対して十分にこのお話し合いを願えぬかと、そのことをお約束できますかと、こう言っているんです。
  449. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) いろいろな沿革もあるでしょうから、そういうお話があったことは党へも伝えることにいたします。
  450. 和田静夫

    和田静夫君 そこで、あとこれから具体的な指数の問題に入りますので、ちょっと続きますから、ここで先ほどの総理のお約束の回答を求めたいと思いますが、できていますか。
  451. 大谷藤之助

    委員長大谷藤之助君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  452. 大谷藤之助

    委員長大谷藤之助君) 速記を起こして。  先ほどの和田君の質疑の中の、自民党側において調査して回答するという件につきましては、明日までに調査結果を報告してもらう、それに基づいてまた引き続き質疑をすることにして一時保留させてもらいたい、かようでございますから、さように取り計らいます。  和田君の質疑は、残余は明日に行うことといたします。     —————————————
  453. 大谷藤之助

    委員長大谷藤之助君) 引き続いて、野口忠夫君。
  454. 野口忠夫

    ○野口忠夫君 私は、地方自治の問題と教育の問題に限って御質問申し上げたいと思います。  総裁、総理にひとつお願いしたいのですが、地方自治に対する総理としてのお考えをひとつお聞きしたいと思うんですが。
  455. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 私は、地方自治体というものがしっかりしてもらわなければ、日本の民主政治というものは健全な発達をしていかない。そういう点で地方自治体というものが財源の面においても、あるいは権限の方の面においても、方向として拡大していくことがいいと思うわけです、地方自治体は。しかし、いま言ったように、いろんな行政水準というものが県によって違うようなことは困りますから、交付税のようなああいう形である一定の行政水準は維持していかなきゃならぬ。だから、もう独立財源で何もかもやるというようなことは適当だとは思わない。しかし、やっぱり地域社会を一番知っておるのは地方自治体ですからね。住民の福祉とかいうものに関連をするような問題は、地方自治体というものが地域住民のためには行き届いたようなことに私はなっていくと思いますから、今後、国と地方自治体との行政分野というものをもっと明白にする方がいい。  そうして、地方の自治体の財政面というものも、これはことしも事業所税のような新税がありましたけれども、やはり財源の確保というものにも、超過負担の解消とか、これはやっぱり気を配らなければいけないし、また、地方自治体がやっていくこれからの行政、また地方自治体も民間との間に、民間にゆだねてもいいようなこともあると思うんですよ。国と地方自治体、自治体と民間、こういう点で行政分野というものをもう一遍考え直してみる必要がある。こういう点で、いま現在私自身も地方制度調査会等に、地方行財政のあり方というものに対して検討を願っておるわけでありまして、非常に地方自治体のあり方には関心を持っておる一人でございます。
  456. 野口忠夫

    ○野口忠夫君 総理は、運命をともにしてほしいという御要望がありましたが、総理の言うその運命共同体というものの中での日本丸というものの基底は、私は、全国二千に及ぶといわれるような地方自治体が、国の施策のすべてを、その実現の場として、具体的な解決の力として地方自治というものは存在するだろうと、こう思うわけでありますが、この自治の尊重ということは、今日の政治のやはり基本でなければならぬというように考えているわけです。この辺のところ、総理はいかがでございますか。
  457. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) やはり国民の自主性、連帯意識、これは地方自治体から生まれてこなけりゃだめだと思うんですね。中央で、権力でできるものではないわけです。どうしても地方自治というものは大事にしなければ、いま言ったような運命共同体といっても、それを支えるものは社会連帯の意識ですからね。そういうものに対して、その精神を培うものは地方自治体である。だから、地方自治というものをおろそかにしては、民主政治というものが健全に発達していくものではないと確信をするものでございます。
  458. 野口忠夫

    ○野口忠夫君 民主主義の基本としての地方自治体、各省それぞれの国の政治を担当する方々は、この自治のあり方を十分尊重せねばならぬと、総理のそういう見解でございますが、大蔵大臣はいかがですか。
  459. 大平正芳

    国務大臣(大平正芳君) 全く同感に存じます。
  460. 野口忠夫

    ○野口忠夫君 福田総理はどうですか。
  461. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 私も同感でございます。
  462. 野口忠夫

    ○野口忠夫君 その大事な自治体が、実はいま非常な財政危機の中で四苦八苦をしているわけでありますけれども、この地方自治体の財政の危機というものはどこから一体生まれてきたのか。この危機の原因は、本当の原因は何だろう、これをひとつ総理はどうお考えになっておりますか。
  463. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) いろんな原因があると思いますが、やはり地方財政を非常に圧迫しておるものは、それがどういう経路でそういうことになったかは別として、人件費の増加ということは挙げざるを得ない。その原因が、いろいろ原因はあるでしょうが、これが相当な大きなウエートを占めてきておるということは、これは地方財政を論ずる場合に問題として取り上げざるを得ないと私は考えております。
  464. 野口忠夫

    ○野口忠夫君 自治大臣はどうですか。
  465. 福田一

    国務大臣福田一君) ただいま総理からお答えがございましたが、私も、人件費の問題が今日に至るまで国家公務員との差があった。超過負担の問題が出ますというと、五年間に一兆円のまだ負担があるじゃないかというお話がよくあるんですけれど、しかし、その五年間の人件費について国家公務員との比較をして、そしてそれ並みに、あるいはそれに近いところで処理をしておれば、これはまだまだ、私の見るところでは二兆円か三兆円ぐらい違うんじゃないか、数字を詳しくはしておりませんけれどね。だから私は、今日の地方財政を圧迫した原因は、超過負担も一つの原因であることは明瞭でありますが、しかしまた、人件費というものもこれは明瞭でございます。  その場合、人件費というとすぐ数の問題、先ほど大変数の問題についていろいろ御説明ありましたが、私は数の問題というようなものにウエートを置いておりません。どちらかといえば、国家公務員との俸給の差がひどいというところに大きなウエートがある。同時にまた、初任給が非常に高うございますとか、それから一斉昇短といって、六ヵ月で一号俸上げたり、十二ヵ月で二号俸上げたり、それから渡りというような制度がございまして、まだ課長にもならないのに課長と同等の待遇を与えるというようなことをしたり、いろいろの原因がございます。  そういうことがあることは、今日それはもう野口先生も非常に十分わかっておいでになると思いますけれども、たとえば武蔵野市におきまして、議会の事務局長がやめるといったら四千万円。私も、余りこれはちょっと違うのじゃないかと思いまして調べたら、事実そうだ。これは国家公務員に直したらどうなるんだと言って聞いたところが、千五百万円しか取れない。警官などを見てみましてもやっぱりそういうようなことでございまして、退職金なども一つのやはり大きな人件費増の原因になっていることだけは間違いないと思っておるわけでございます。
  466. 野口忠夫

    ○野口忠夫君 大臣のお話を聞きますと、非常に人件費だけが、それだけではないとおっしゃりながら、それだけをおっしゃっているような印象が多いのですよ。本当に地方財政の危機の原因は、大臣、人件費ということをそんなに言わねばならないほどの問題でしょうかね。高度経済成長というものの中で、国も繁栄したろうけれども、自治体もそれぞれ繁栄をしながら今日の状態を迎えているわけですよ。あなたのお話を聞いていると、もう人件費だけが、何にもなかったところへ人件費を上げたから、だからいままでの自治体はだめになったんだというような言い方にしか聞こえないわけですけれども、それはちょっと認識が足りないと思うんですがね。頭の中がもう人件費一本になっちゃったような印象を受けざるを得ないですね。それが、自治省の大臣がそうであるから、全般的にまだそうなんだかと思うのですけれども。  一月三十日の日に、全国都道府県の総務部長会議がありましたね。ここに鎌田事務次官と松浦さんですか、財政局長が御一緒なられまして、ここでいろいろ御指導になられたようであります。その御本人がいられるようですから、この席上、何をおしゃべりになって何を御指導になったか、ひとつお聞かせ願いたいと思うんです。
  467. 松浦功

    政府委員(松浦功君) お答え申し上げます。  一月三十日の総務部長会議では、各地方公共団体が財政の運営上いろいろ問題があって苦しいという状況を承知をいたしておりましたので、問題は非常に方々にあるのじゃないか、特に私どもが承知している範囲では、人件費が単価において国家公務員をはるかに上回る、人数におきましても財政計画上の人数と食い違っておる、さらにはプラスアルファなどというものも御支給になっておられると、こういったような状況を承知いたしておりましたので、人件費の問題から財源が足りなくなって赤字になりそうだ、そういうことからいろいろお願いに来られても、赤字を埋める、あるいは人件費をカバーするという形での財源付与の方法はございませんよと。また財政状況をいろいろ私どもにお話しにおいでにいただくときは、それぞれ地方公共団体で手を胸に当てれば、どういうことをやってきたか御承知のはずなんで、そういう点については私どもから御注意を申し上げるので、そのつもりで御相談においでをいただきたいという趣旨のことを申し上げた次第でございます。
  468. 野口忠夫

    ○野口忠夫君 私はその席上におりませんから、新聞発表のところを見るんですがね、同会合の席上、松浦財政局長は、人件費の増加ぶりを見ると将来暗たんたるものがある、給与水準の高い自治体は特別交付税や地方債発行の陳情などは覚悟してほしいと、こういう言葉で御表現になられたと新聞には出ておりますが、間違いございませんか。
  469. 松浦功

    政府委員(松浦功君) ただいま御説明申し上げたとおりで、少し新聞の表現は私のしゃべったことを伝えておらないような気がいたしますが、私どもの方に、時期になりますと起債を欲しい、あるいは特交をひとつ何とか考えてくれという陳情がいろいろございます。その場合に、給与が非常に高いということをわれわれが認めておるような団体の方々は、それぞれその事情を御自分で承知のはずでございます。そういう団体は、おいでをいただくときには、給与をどうしてこんなに高くしたんだと文句を言われるぞということを承知して来てほしいということを申し上げた次第でございます。  さらに特別交付税の問題等につきましては、これはプラスアルファは御承知のように省令で減額をいたしております。給与ベースの問題で地方債あるいは特別交付税を左右する、そういう考え方は自治省持っておりませんし、またそういうことも申し上げたつもりもございません。
  470. 野口忠夫

    ○野口忠夫君 地方交付税交付金というのは一体だれのものなんですかね、自治大臣。
  471. 松浦功

    政府委員(松浦功君) 法律に基づいて地方公共団体に与えられた財源であるというふうに理解をいたしております。
  472. 野口忠夫

    ○野口忠夫君 この交付金は、三税の三二%は地方公共団体のものであるという答弁がありましたね、その中の特別交付税、いまの松浦さんのお話によると、人件費の高いところは特別交付税をやらないかもしれぬということを一財政局長がそういうふうに言われたと、このことはまことにおかしいと思うんですけれども、大臣どうですか。
  473. 松浦功

    政府委員(松浦功君) 繰り返して申し上げておりますように、特別交付税や起債でいろいろ頼み事があっておいでになるときは、給与の非常に運営が乱れている団体については、その点は十分注意をうるさく言いますよということを申し上げただけでございまして、特別交付税を差し上げないなぞということは言った覚えはございません。
  474. 野口忠夫

    ○野口忠夫君 覚悟をしてほしいという新聞発表ですから、これわかりませんけれども、おいでになったらば人件費の高いところは特別交付税の配分や起債について覚悟をしてほしいと。そうでしょう。
  475. 松浦功

    政府委員(松浦功君) 地方交付税や起債を削るということについて覚悟しろと言ったのじゃないんです。そういう際においでいただくでしょう、そのときには給与問題についていろいろ御注意を申し上げますから、その点は覚悟して来ていただきたいということを申し上げたのでございます。
  476. 野口忠夫

    ○野口忠夫君 何で特別交付税や地方債発行の陳情に来た際、人件費の問題を言うから覚悟をしてくださいと、こういう言い方でおっしゃったのですか。
  477. 松浦功

    政府委員(松浦功君) 再びお答え申し上げますが、時期になりますと、おいでになられる用件は地方交付税と起債の問題にほとんど限定されるわけでございます。そういうことでおいでになられたときには、給与の問題はこういう点おかしいじゃないかという文句を私の方から言いますよということを言っただけでございます。
  478. 野口忠夫

    ○野口忠夫君 それはそれとしておっしゃったらいかがですか。特別交付税や起債を受け取りに来るときには人件費の高いところにはいろいろ問題を言いますよと、こういうことをなぜその前につけたんですか。人件費の問題で話をするということでおいでになったとき言うことになっているだけでしょう。なぜこの配分のときに要請においでになっても、これはうまくないという、その前段を使っているんですか。
  479. 松浦功

    政府委員(松浦功君) 先ほど来申し上げておりますように、年を越しまして一月、二月になって地方公共団体の方がおいでになるのは起債の陳情か特別交付税の陳情か、そういうことがほとんど多いので、私はそういう機会においでになりましたら、給与問題でいろいろ問題のあるところについては御注意申し上げますということを申し上げたのでございます。
  480. 野口忠夫

    ○野口忠夫君 そうすると、あなたはこういう全国都道府県総務部長会議で、そういうときに人件費の問題が出るから覚悟をして来いと、こういう物の言い方であって、その上におけるこの特別交付税や地方債の問題については、これはそのとおりやっぱりやっていくということを考えてやったわけですか。
  481. 松浦功

    政府委員(松浦功君) さっきからお答え申し上げているとおりでございます。その結果は、特別交付税はすでに配分をいたしております。給与が高いから低いからということで差別をつけた数字になっておらないことは、先生御承知のはずでございます。
  482. 野口忠夫

    ○野口忠夫君 三月の六日に金子給与課長名で内簡みたいなものが出ておりますね。
  483. 林忠雄

    政府委員(林忠雄君) 御指摘のとおり、三月六日に私の局の公務員部の給与課長名で地方に内簡を差し上げております。その内簡の中身は、近く教員給与の第二次の改定の人事院勧告があり、さらにそれを受けて府県でも改定が行われることになるであろうが、その給与の改定に当たっては、議会にかけて慎重に諮ってもらいたい。専決処分などをなるべくしないでほしい。それから人確法の目的が、教員の給与自体を改善いたしまして一般行政職よりも高いカーブにするということが目的のものでございますけれども、地方でもって一斉昇短という条例上は認められないような運用措置によりまして、すでにその趣旨をある程度達しておられる府県がある。そういう府県は今度の人確法の対策をなさるときに、それらの措置を考慮してやってもらいたい、こういう趣旨の内簡を出しております。
  484. 野口忠夫

    ○野口忠夫君 これは文部省はわかっておるんですか。
  485. 安嶋彌

    政府委員(安嶋彌君) 承知をいたしております。
  486. 野口忠夫

    ○野口忠夫君 この内簡によると、知事の専決処分に対してこれをやめてほしいような意味の内簡であるわけですけれども、これは地方自治法に違反しませんか。
  487. 林忠雄

    政府委員(林忠雄君) 知事の専決処分をやめろと命令をするのであれば、そういう命令権は私たちにもちろんございません。運営の指導といたしまして、専決処分というのは、御承知のとおり議会が成立していないとき、あるいはかけるいとまがないとき、そういうことを知事が認定してやるわけでございますけれども一般にはその内容について余り問題がないものについて行われるのが通常である。ところが、この教員給与の改善というのは大変問題があるから専決処分でなるべくやらないようにしてくださいという、何と申しますか、一種のアドバイスを申し上げた。その意味では地方団体を拘束するものではございませんし、したがって、法規違反であるとは存じておりません。
  488. 野口忠夫

    ○野口忠夫君 そうすると、自治法によって専決があってもいいことですね。
  489. 林忠雄

    政府委員(林忠雄君) 知事がもし専決処分をなさいますれば、その専決処分自体の自治法上の効果はございます。つまり、次の議会にそれを報告して承認を求めるという手続は必要でございますけれども、専決処分の効果があることはもちろんでございます。
  490. 野口忠夫

    ○野口忠夫君 人件費問題をめぐって内簡が出る、あるいは諸会合の中でのお話し合いがあり、その中では、まあ意図するところはそうではなかったけれども、交付税の問題とか起債等の問題を絡みながらの覚悟のほどを、こう人事の問題でお示しになられているようでありますが、これは一体総理、対話と協調とおっしゃったあの総理のお気持ちというのは国会の中の野党とだけの対話と協調ではないだろうと思うので、三木内閣は全国民に対して対話と協調ということだったと思うんですが、こういうことで新聞に書き、それぞれの会合の中で話をして、歴史的に積み上げてきた人件費の問題が、お話し聞くと一年以内に解決したいみたいなことを言うているそうですけれども、こういうことは対話と協調の精神からはどうなるんでしょうか。
  491. 福田一

    国務大臣福田一君) ただいまの専決の問題でございますが、国家公務員の人件費の問題に比べまして、地方公務員では専決でもって一斉昇短をやるとか、あるいは十二ヵ月間で二号俸上げるとかというようなことがあって、それが人件費の増に連なっておるということ等々がございますので、そういうことをやる場合にはできるだけ議会の承認を得てやっていただきたい、こういうことをアドバイスするわけでございますから、決して対話の精神を崩しておるものとわれわれは考えておりません。
  492. 野口忠夫

    ○野口忠夫君 総理、いまの答弁ではだめなんです。
  493. 福田一

    国務大臣福田一君) ちょっと。いま申し上げましたのは、専決の場合は条例をつくってやるということでございまして、私が申し上げたのはいささか違っておりましたから、これは取り消していただきますが、そういうことも事実、そういうこととは別にして、あります。しかし、条例をつくるというようなことは、これは非常に大事な問題でございますから、すなわち議会の議決ですね、議会の議決なしにそういうようなことをするということは、よくよくのときでなければやってはいけないことではないかと私は思うんです。やっぱり県会なり何なり招集して、そしてお決めになるのが姿だと思いますので、そういう意味で、われわれとしては、なるべくそういう場合には議会の承認を得ておやりになるようにお願いをいたしたい、こういうアドバイスをしておるわけでございます。
  494. 野口忠夫

    ○野口忠夫君 総理にお聞きしたのは、いまの答弁ではないんです。人件費人件費ということで、このようなぐあいに、こう疑惑を生んでいくわけですね。そうして、これを一年以内に解決したいというようなことで、いま自治省はかっかとしてやっている。これは総理の言う対話と協調というこの精神からはどう考えればいいのかということをお尋ねしたわけです。——総理にですよ。
  495. 福田一

    国務大臣福田一君) いやいや、わかりました。いまちゃんと総理に答えてもらいますから。  いまあなたがおっしゃった、一年以内に解決しろなどということは申しておりません。私がいつも申し上げておるのは、国家公務員と比較した場合に、まあ国家公務員を一〇〇とした場合に三つや四つくらい上になっていたからといって、それをどうこうと言うのもいかがかと思うけれども、四〇も四五も国家公務員より高いというような場合には、少なくとも計画をつくって、両三年の間くらいにはこれは解決していただきたいと、こういうことを言っておるので、一年などということは、うちの局長あたりにも聞いてみましたが、新聞には出ましたけれども絶対にそういうことは申しておりません。
  496. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 対話と協調というものは、中央ばかりでなしに、地方の政治にも貫いてもらいたいということが私の政治のモットーですが、しかし、手続の要るものはやはり手続をしてもらうことは当然であって、対話と協調ということで何も手続をしないでやるということは、やはり、ちゃんとした規律は守りながらそして話し合って解決していこうということでありますから、何にもしなくてもいいんだと、議会の承認も何もしないで話をまとめていくことが対話と協調だと私は思わないんですよ。きちんとするところはしておいて、そうしてよく話し合って——話し合いもしないで力で押し切っていくということはよくないと思っています。
  497. 松永忠二

    松永忠二君 関連。  いまの地方の公務員、また教育公務員の給与の問題ですけれども、私は、いまのような公務員なりあるいは教員の給与が決まったのは、そんなに簡単な経過をとって決まったのではないと思うのであります。長い間のいわゆる労使という形、労働組合と使用者の関係というか、これの中で話し合いがなされ、協定書を結んで、しかもその条例ができ、あるいはその都度経費として議会の承認を得てやってきた問題だと思うのであります。何も違法の行為をして現在の教員なり公務員の給与が決まっているのではないと思うんです。いまこの時期に、一方的に何か中央の方で、その給与が高過ぎる、この給与はけしからぬというような態度の中でこの是正を強力に求めるということについては、私は労使の関係という、給与という問題、これが労使の話し合いの中できめられていくというのは現在の公務員法の中でもある程度認められている一つ原則だと思うんですよ。  そういうふうな原則を考える意味からいっても、また合法的になされてきている問題をこの段階に急激に是正をしようとする一方的なやり方については、これはよほど考えていかなければならない問題だ。やり方については当然地方でいろいろ協議をされ、また協定も結ばれ、そういう中でまた議会の承認を得てやっているのであって、いまの御説明を聞いていると、違法の形で何かこういう給与が出てきたかの感じを与えることは私は慎んでいかなきゃならない問題なのではないか。見解として地方がそういう見解を持つということについては、これは見解の持ち方であるけれども、それが合法的になされた給与であるという前提の上に立って問題を考えていかなきゃならない筋合いのものだと思うんです、この点について、私は自治大臣と労働大臣の給与に対する基本的な考え方、こういう問題についてお尋ねをしたいのであります。まず、自治大臣の方からお答えをいただきたい。自治大臣の方からお答えいただいた上で、労働大臣の方からも見解を少し聞かしていただきたい。
  498. 福田一

    国務大臣福田一君) 松永さんにお答えを申し上げます。  確かにいままでの給与を上げるについては、いまあなたが御指摘になったように、労使の間で話し合いがあって、それを条例で決めたか、あとで追認して条例をつくったか、とにかくそういう形でできてきておるものだと思います。  しかし、そういうことをおっしゃると、これからわれわれが改革をするとか、そして誤りを正すとかということが過去の事実によっても絶対できないという姿というものは、これは私政治上正しいとは思っておりません。そういうふうな事情であっても、現実に非常な隔離があるというような場合においては、これを是正するということも政治の姿として私は正しいことだと思っておるわけでございます。だから、あなたがおっしゃった、一応労使の関係というものを否認して私たちはこういうことを申し上げておるわけではございません。しかし、まあ長い間にいろいろのことがあって、そしてこの際だんだんこういうことを改めてもらいたいということにつきましては、昨年来、昨年といいますか、昨年の七、八月ごろからこの問題は出ておるのでありまして、急に選挙があるからこんなことを言い出したとか何とか、そういうものではございません。  われわれとしては、やはり社会の良識から言って、目に余るようなことはお互いに良識をもって是正をしていくということにしていただきたい。したがって、まあ一年ですぐこれをやれというような、そういうようなことは、私は、たとえば一一〇%のものを一〇五%にするというんなら一年でもできるでしょうけれども、一四五%にもなっているのを一年で四〇%もカットするなどということは、これは私ちょっと受け取りかねるんでありまして、そういうものはやはり一つの計画を立てて是正をするようにお願いをする、それが住民の一つの希望ではないだろうか。現に、そういう意味で各地に住民運動も起こっておるわけでございますから、そういう住民の希望も十分入れて処置をしていただければありがたい、こういうことを申し上げておるわけでございます。
  499. 長谷川峻

    国務大臣(長谷川峻君) お答えいたします。  御承知のとおり、地方公務員の場合は地方のそれぞれの公的機関が決めることでして、私の方とすればそれを尊重していく、こういうことでございます。
  500. 松永忠二

    松永忠二君 私は、法的に違法の措置をしてやったのではないという点を一つ特に念を押したいし、また国家公務員の給与に準ずるというような趣旨のたてまえから言って、準じたにしては少し高過ぎるではないかという意見もあるけれども、あくまでやっぱり法的にも準ずるという言葉が出ているわけであります。したがって、私は、いわゆるその給与が労使の間で相談をされて成り立っていくものであるというたてまえ、しかもそれは合法的に議会の承認なりを得て出てきた問題であり、その給与の金は議会の議決を経て出てきた問題だということである。しかもなおかつ、いま言うとおり、準ずるというような法規の問題もある。  そういうような性質のものであるというふうに考えると、いま野口委員が言われ、質問されているように、何かこの給与の問題については、特別交付金なりあるいは起債の問題が出てくればこの問題は聞きますぞ、注文をつけますぞというそういう筋合いのものでは私はないと思うんです。あくまでやはり労使の間というか、地方で話し合いをして議会の納得も得、そうして順次われわれの考え方に、方向に沿ってほしいという希望を持っているという筋合いのものであって、何か威喝的にこれを指導するとか強制をするとか、それがもう絶対正しいんだというような印象を与えるようないまの答弁とかあるいはやり方については、私たちはまことに不本意なことだと思うんです。そういうようなやり方をするならば、地方自治などというものは根本的に破壊をされると私は思うんです。  したがって、私はそういうたてまえから言って、政府がそういう考え方を持って指導に努力をするけれども、それはあくまで地方の問題であり、地方でよく円満に話し合いをつけて、そうして順次ひとつわれわれの考え方に、方向に理解をしていただきたいというこういう気持ちでいるんだという、もっと謙虚な、しかもおおらかと言っちゃぐあいが悪いかもしれませんけれども、そういう基本的な態度を持してやっていくべき筋合いのものだ。給与という問題はそういう問題です。もともとが公務員というあるいは教育公務員という身分の関係上、人事院を設けて、給与についてはいわゆるストライキ権とかそういうものを行使しないで決めていくという原則から考えてみても、そうあるべきがあたりまえであって、私はいまの自治大臣あるいは局長あたりの答弁の中にはそういう点を逸脱した点が少しあると考えて関連して質問をしたのであります。特に御注意をいただきたいということを要請をして、何か自治大臣御答弁があるならお聞かせをいただきたい。
  501. 福田一

    国務大臣福田一君) まあ松永さんのおっしゃることは私はよく気持ちはわかるわけでございます。しかし、条例で決める場合でも違法のものもあります、いままでのうちに、それは多くというわけではありませんが、例はちゃんとございます、違法なものは。しかし、それだからと言って、そのことを私は多くあげつらうつもりはございません。  しかし、やはり国家公務員に準じてという法律解釈をとりますならば、少なくともやはりこれは準ずるというのなら、まあまあ私は五%くらいというところで言いたいのだが、まあそこら辺のその気持ちの問題というものは、法律の条文から読み得ると思うわけですね、準ずるというんですから。それよりあんまり飛び離れてはいけませんよという。そうすれば三〇%も四〇%も国家公務員に比べて高いものがありとすれば、これはひとつやはり直していただきたい。(「低い方はどうする」と呼ぶ者あり)直してもらわねばならないというアドバイスをする権利は、地方自治法でちゃんと決まっておるのでありまして、何も命令とか何とかではありません、指導をすることはちゃんと認められておるわけでありますから、その指導というやり方が威嚇とかそういうものを含めばそれはいかぬかもしれませんが、あなたのやり方でいくというとその準じてということにはなりませんよと、だからそれはひとつぜひ今後は直してもらわにゃ困りますということを言ったとしても、私は決して誤りではないと思うのでありまして、しかし、松永さんが言われるお気持ちは私はわからぬわけではございません。抑えつけてやるというようなことは、それはなるべくそういう印象を与えないようにしよう、こういうことです。  いま、低い方はどうだというようなお話がございますがね、これは宮之原さん、公務員の給与を決める場合に、国家公務員に準じて、それから地方の給与を参考にして決めなさい——三つの条件がある。生活と、国家公務員と、そして地方の俸給というもの、たとえばその場合におきましては、農協なんかよりうんと高い給与を出すというようなことは、それはやっぱり地方の実態と離れますから、そういうものは当然あり得るわけです。私は、そういう意味で(「低いのは農協並みなんて、筋が通らぬじゃないか」と呼ぶ者あり)——ちょっと、それなら質問してください。
  502. 野口忠夫

    ○野口忠夫君 総理にお聞きしましたのは、いま松永さんがおっしゃったようなことなんです。人件費というものは、歴史的に積み上がってきているわけですね。それがいまにわかに内簡を出す、そしてベースアップがきたら、それは率を下げて、前に持っていたやつをそれに穴埋めしていくみたいなことを、そういう運用、昇給等の問題をいままでずっと続いてきた中でまあやりなさいと、こういうことで人件費の問題を最近大分大きく盛り上げてやろうとすることは、公務員、労働者の立場から言えば、これはトラブルにならざるを得ないわけで、そのことは三木総理の言う対話と協調というものを一方的にあなたの仲間の方から破られていきはしないだろうかということを心配しながらお聞きしたわけなんですけれども、ひとつ総理のお気持ちを。
  503. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 給与というものは、積み上げられてきたというものもありますが、やはりいま自治大臣が言っておるように、国家公務員に準じてということもございますから、そこでおのずから決められていく水準というものがあるわけでございますから、こういうのは重要な給与問題というような問題でありますから、できるだけ対話と協調という精神を体してこういう問題も処理されることを私は望むものでございます。
  504. 野口忠夫

    ○野口忠夫君 総理も、こうした問題については、大きな問題を起こすような方向で上の方から押しつけていくような、それが何か他の方の利益を与えないぞというようなおどかしみたいなことを含めながら内簡を出したり、あるいは集会した場所で話をしたりして進めていくような強引な人件費、給与の問題というものは慎むべきだという、これが対話と協調の精神だと、もし人件費に多いところがあったら、十分話し合いをしながら時間を尽くしてやるべきではないかということを総理はおっしゃっていると思うんですがね。  財政局長いなくなりましたが、言いっ放しで行っちゃった。  自治大臣にお尋ねしますが、町村前自治大臣のときに、このような問題のあった場合、財政的な報復措置というものは決して私はやらないと、こういう私どもとの間の約束があったわけですけれども、同じようなお考えであるかどうか、自治大臣からお聞きしたいと思います。
  505. 福田一

    国務大臣福田一君) 総理が申されておりますことは、それは法律の規定に従ってやっていく、その中においてできるだけ穏便な形で話し合いでいくようにしたらいいと、こういうことを言っていられるわけです。  われわれがやっておりますのは、指導ということは自治省のこれは法律によって与えられた権限でございます。だから内簡のようなものを出したから、それは違法というわけではございません。また、非常に国家公務員よりは高い給与を払っておるということであれば、準じてというところから見ておかしいから、これは何とか今後直してもらいたい、直す努力をしてもらいたいということは、私は対話と協調と決して矛盾するものとは考えておりません。われわれは指導という一つの法律的な権限を与えられておるということを御理解願いたいと思うのであります。(「質問に答えていないのだ、制裁措置をどうする。松浦さんが引例した制裁措置を講ずるかどうかと、それを言っておらぬ。」と呼ぶ者あり)  私、制裁するというようなことじゃなくて、そういうときにはそういうことを聞きます、違っておるというか、国家公務員より高い給与を払っているようなところは、なぜあなたのところはそういうふうになっているのかと、これはひとつ直してもらいたいということを私は財政局長が言っても少しも差し支えない。言葉遣いが少し違ぎたのかどうか、私知りません。しかし、新聞で言ったような言葉は使っておると思いませんよ、覚悟しろなんて、そんな言葉を使ったとは私信じておりません、たとえ新聞記者が聞かれておっても。私はさように考えております。
  506. 野口忠夫

    ○野口忠夫君 違うんだよ、答弁が。あなたの答弁は全然違っておるんだ、ぼくの聞いているのと。
  507. 大谷藤之助

    委員長大谷藤之助君) 措置をとるか、とらないかという……。
  508. 福田一

    国務大臣福田一君) 制裁の措置、そういうことはわれわれは考えておりません。
  509. 野口忠夫

    ○野口忠夫君 そう言えばいいんだ、初めから。  非常に、一般的に言えば誤解を与えるような自治省の態度である。私は、いまの最後に言われました報復的な措置はとらない、そういうことは全然ないということをこの席上で御答弁になったことをはっきり拝聴しておきたいと思います。  人件費の問題ばかり大きく上がっているのですが、超過負担の問題というのはあれは違法行為でないですか。
  510. 福田一

    国務大臣福田一君) 超過負担というのは違法行為になりますかどうか、私は、たとえば学校を建てる場合において、五十年度の予算では一平方メートル七万五千円というような一応基準を決めております。その基準を決める場合において、決めることは大蔵省と自治省の間で一応話をして決めても、それは予算編成の権限を政府が持っておる以上は決して違法だとは私は思いません。  それから、そういうような七万五千円でも、たとえば都会の人口急増地域などには非常によけい渡して、田舎のようなところで七万五千円もかからないようなところもありますれば、それは差をつけてやる、こういうことをいたしておるのでありまして、超過負担というものが起きてきたこと自体が違法行為ということには私は予算編成という意義から言ってならないと思っております。
  511. 野口忠夫

    ○野口忠夫君 摂津訴訟はどうなりましたか。
  512. 田中正巳

    国務大臣田中正巳君) その後、七回ほど口頭弁論をやっておりますが、国の方は過年度における国庫補助についてはすでに請求権が消滅したという主張を繰り返しておりまして、いまだ訴訟係属中でございます。
  513. 野口忠夫

    ○野口忠夫君 総理、二分の一というのは半分のことですね。これが立法府の決定のわけですね、二分の一。それが実際は保育所の建設等をめぐっては四分の一くらいに変わっていく。われわれが決めた補助の範囲は、二分の一を補助すると決めたのは半分を決めたということだと思うんです。それが実際には四分の一になっている。これは立法府の意思には従わないんですから、ぼくは法に従わないから違反だと、こう言いたいと思うんですけれども総理はいかがですか。
  514. 田中正巳

    国務大臣田中正巳君) 二分の一というのは、おそらく先生の胸中には保育所の補助率のことがあるだろうと思われますので、私から答弁いたしますが、その後実はこの問題について非常な前進を見まして、昨年当初と、それと補正、補正もこれも年度当初からこれを補正することになりましたので、四五・五%ほど単価が上がり、今年度八・四%ほど上がりましたものですから、したがって、単価についてはほとんど問題がないという姿に実は改善を見たわけであります。ただ、強いて申しますれば、今後一体補助対象をどのようなものに広げていくか、ものによっては補助対象になっていないものが若干ございますし、それからまた、だんだんとこういう状況になりますると、基準面積があれで十分かどうかといったような問題もありまして、単価については問題がほぼ解消したようですから、今後はそういう方向に向かってこの問題の改善を図るという課題はなお残っているものと考えております。
  515. 野口忠夫

    ○野口忠夫君 地方財政が非常に危機的状態になった原因の一つに人件費があり、超過負担がある、人件費の方については違法だなんていう人はだれもないだろうと思うんですが、超過負担の問題に関しては、それが違法であるかどうかについてははっきりしませんが、一応是正をして今日に至っているというのだが、摂津訴訟で見るように、過去の分にはこれは戻らぬということになっているわけですね。地方自治体に対して与えたこの超過負担のそれは解消しないわけですね。一体これは法違反ですか、違反でないですか。
  516. 田中正巳

    国務大臣田中正巳君) その点がまさしく訴訟の争点でございまして、判決を見なければわかりませんが、われわれとしては、一応これについてはもう請求権は消滅をいたしたものという主張をいたしているわけでございます。
  517. 野口忠夫

    ○野口忠夫君 訴訟の判決によってわれわれは動くということであれば、何でも裁判で決めてもらった方がいいわけですね。全部裁判でやった方がいいということになる。行政府と立法府との間では合意することのできない法解釈、それを常にそちらに与える、これがどうも対話と協調というものの中で一番欠けてきた問題ではなかったか、いままでの経過から言うてみて。二分の一が四分の一きりにならないということは違反でございましょう。これをはっきりしておかないと、またあるんですよ、これから。今度単価の改正をして、ことしまた物価が上がった、それは過去の問題だから手がつけられませんということで捨てられていくようになっていくわけです。私は、これはっきり、こういうことがあることは違法だと、こうみんなで確認したいと思うから聞いているわけですよ。
  518. 福田一

    国務大臣福田一君) 先ほど厚生大臣が申し上げたのは、いま訴訟になっている問題等を含んで発言があったと思いますが、われわれといたしましては、私はいつでも申し上げておるのです。昨年の三木内閣ができましてからは補正予算で超過負担のいわゆる基準に合うように補正をいたしましたと。それから五十年度の予算においては、それにまた三木内閣は消費者物価の値上がりを一応九%くらいとしておりますから、そこでそれに見合った八・五%というのをオンして、そして予算を計上いたしております、こういうことを申し上げております。しかし、それだからといって、いまあなたがおっしゃったように年度の途中において何らかの経済情勢の変化が起きたときにどうするかという問題は、われわれとしては、そういう事態が起きればこれは非常に差が出て、常識的に一円上がったからそれをどうせいというような、そういうことではありませんけれども、やはりわれわれの良識の見る目でそれが地方財政を圧迫するというようなことであれば、これはやっぱり解消するように補正予算なり何なりで措置することは当然である、そういう態度を自治省はとっておりますということを申し上げておるわけであります。
  519. 和田静夫

    和田静夫君 ちょっと一言だけ。  いまの超過負担で厚生大臣が時効だということを言われているんですがね、これは町村自治大臣との文書に残っている革新市長会議との協定がありまして、十月八日協定というのを見ていただければ明確ですが、そこでは、いま自治大臣が御答弁になりましたように、四十九年度補正における解決、五十年度予算におけるところの解決などを並べながら、一項目として過去の超過負担についてもとにかく精力的に極力調査をする、こういう形の約束が成り立っているんですよ。このことは政府との約束であります。そして、それは私は地方行政委員会でも確認をしているところであります。したがって、そんなものは判決でもって結果的に出たら云々というような形の答弁ではなくて、これは三木内閣ですから、総理、いまの前内閣におけるところの約束事をやっぱり踏襲をして努力をしていただく、こういう形の答弁をいただきたいと思うんですが、よろしいですか。   〔委員長退席、理事柳田桃太郎君着席〕
  520. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) これは、自民党内閣でありますから、政権の継続性を持たなければなりません。前内閣の約束もこれは踏襲することは当然だと考えております。
  521. 野口忠夫

    ○野口忠夫君 二分の一が四分の一になることは違法だということを私はここで皆さんに求めているのは、経済的変動があったということだけではなくて、この問題に対する対処の仕方というのは常におくれてきているわけですね。そして地方自治体には大きな負担があった、それをカバーするものができる中で黙ってやってきた、それが五年間たまった、こういう時代になってそれが大きく響いてくるという中では、もうそれは終わっていると。ですから、この単位の費用を決める場合、二分の一というものは立法府の決めたものなんだという中で、二分の一を割るような場合は直ちにこれを改めて、二分の一に改めていくような、そういう行政態度になってほしいと思うわけであります。それは二分の一は違法だと、少なくとも立法府の意思に従わないものなんだということを確認していただくこと以外にないと思うんですがね。それがないから四分の一でもかまわないでやってきたわけですね。これで地方自治体が相当財政的にまいってきたということを摂津訴訟は言っているわけです。二分の一と言われているのが、実際国が出しているのは四分の一きり出してない。そして逆に自治体が二分の一負担するというようなあり方が許されていいはずはないと思うんですよ。これはやっぱり二分の一ということになったら二分の一、半分を必ず出すべきなんだということを確認したものがほしいと思うんですが、これは総理ですか。
  522. 福田一

    国務大臣福田一君) そこで、その二分の一というものとか、三分の二とかいうものをどういうふうに基準をとってあるかということを考えて、極力それに近づけるようにいたさなければならないと思うんです。もしそれを一分一厘も違わないということでありますというと、予算編成というものはできません、これはできません、だれでもが。で、私はそれに極力近づけるようにする、そして近づけるようにして、しかもなおかつ、その間問題が起きた場合にはこれは解消することを努力いたします、こういうことを申し上げておるわけです。いまあなたのおっしゃった過去のことの例が出ておるんですがね、過去のことについては実は先ほどもちょっとお話をしたんですけれどもね、何でもいいからとにかく数が欲しいんだと、だからくれと、こう言って地方自治体が頼んできて、そしてそれは、そんなことをしたらとてもそんな負担には及びませんよ、二分の一にはならない額しか渡せませんよと言っても、それでもいいからくれというようなことを言ってとっていった場合もずいぶんあるんですよ、そういうものも。だから、そういうことをどちらの方が正しかったか、よかったかということになると、なかなか問題があると思います。しかし、調査をするということは——協定はわれわれはあるとは聞いておりませんが、調査をすることになっておるようでありますから、それは一応調査はすべきでございましょう、そういうお話があるんならば。しかし、われわれは、それではそれをしてどうするということについて、いまここでお答えすることはできません。
  523. 野口忠夫

    ○野口忠夫君 大臣のお話によると、自治体側の方が悪かったような話になってしまうんですね。それがやっぱり二分の一を守らないからだということになると思うんです。それを薄く引き伸ばしてやることが善政であるかのような言い方は、やっぱりぼくは間違いではないか。立法府は二分の一と決めているんですからね。それを勝手にそちらで動かして四分の一にして、四倍にして渡したということの中には、ぼくは行政としては正しくないと、こういうふうに思うわけです。おわかりになったと思うんですがね。  時間がありませんので、次に移りますが、これは総理にお聞きしたいんですが、国会というところは最高の機関として、その議決されたものはすべて尊重されるということになっておりますが、地方議会の決定とか決議とかいうような、地方議会というものの決定したもの、その権限ですね、これは国会と同様にやっぱり侵すべからざるものとして尊重されなければならぬ、こう私は思っておるわけですが、これで間違いありませんか。
  524. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 議会主義をとっておる以上は、議会の議決は尊重されなければならぬということは、中央、地方において区別は私はないと思う。権能においては地方議会と国会とは違いますよ。しかし、やはり尊重されなければならぬということは、これは当然のことだと思います。
  525. 野口忠夫

    ○野口忠夫君 これは地方行政委員会で問題にしたことがあるんですけれども、福島県の常磐線の無人化の問題ですね。これは国鉄が非常に赤字だという中で無人化をつくろうとしたわけですけれども、福島県議会並びに該当市町村の議会は全部これは反対なわけです。この議会が地域住民の総意の中で反対しているものに、実は国鉄としてはどうしてもこれは強行せねばならぬということになっているようですが、この辺の判断。先ほど総理の言うのは、尊重されるべき議会の決定。一方はそれを押し切ってやっていかなくちゃならぬというような、こういう状態の中で、だんだん地域の住民によってまた住民運動化してくると、そういうような傾向にもある。静かな、平和な日本の国をつくろうとする総理の気持ちから言えば……。これは一体運輸省ですか、ひとつお答え願いたいのですが。
  526. 木村睦男

    国務大臣(木村睦男君) 国鉄の現状は、御存じのように、非常に赤字を抱えて弱っておるわけでございます。貨物を例にとりましても、貨物の収入は三千億足らずでございますが、それに対する経費は六千数百億と、倍以上の経費がかかっておる。そういうことで、現在いろいろの意味で国鉄は合理化をやっておるわけでございますが、しかし、国鉄といえども、地域の住民の方々の利便をはかるということも国鉄の使命でございます。したがいまして、いまお話しのような無人化でありますとか、あるいは貨物駅の廃止、統合、そういったものは、やはり一応地元の皆さんの御協力を得て、よく説明をして、御理解を得てやるというたてまえをとっておるのでございます。したがって、たとえば、お話のように、福島県議会においてそういうことに反対という決議をなさいましたならば、それはとりもなおさず福島県民の意思であるということにもなるわけでございますので、できる限りそういったものは国鉄も尊重し、なお合理化に協力していただくためにいろいろと御説明を申し上げて納得を得てやるというたてまえをとっておりますけれども、国鉄といたしましても経営改善のためにいろいろと工夫をいたしておりますので、極力そういう場合には地元の御理解を得ながら努力していくようにという指導をいたしております。
  527. 野口忠夫

    ○野口忠夫君 地方議会の地域における問題についての議決というようなことについては尊重するのが当然であろうと、こういうたてまえ。一方、赤字再建というようなことの中で、この議会の意思に従えるかどうかわからぬような状態でいま進められつつある無人化の問題。私は、この中でどちらが一体日本国民として大事にすべき根本的原則なんだろうかと、このことをやっぱり見失ってはならないのではないかというように思うわけであります。いわば、地域住民というものが地方自治体の中ではより直接的に、より具体的に日本国憲法の主権在民の精神にふさわしいところにあるわけです。この地域住民、この国民の意思というものは何にも増してやっぱり尊重されるべきではなかろうか、大事にされるべきではなかろうか。国鉄の赤字再建もまことに重要でございましょう。しかし、地域におけるその議決というようなものは尊重されてほしいと思うわけですが、そうなってくると、この解決策ですね。国、地方を通ずる公営企業体というものですね、この公共企業体というものが現状のままで再建を今日までの方針の中で考えていくだけでは私はこの問題についての解決にはならぬじゃなかろうかというように思うわけであります。少なくとも企業の独立採算にばかり寄って、公共面における国の保障というようなものをより抜本的に改善して考えていかない限り、私は、公営企業の問題等についてはこれは消えていかないのではなかろうか。国、地方を通ずる今日の公営企業というものは全くパンク寸前の中で、いま国鉄ばかりではないようですね、みんな山のような赤字をしょっているようでございますが、これに対する公共性に対してやっぱりもう一本国が保障するという体制を立てて、新しい再建計画を立てるべきではないかというように思うわけでございますけれども、国鉄、運輸省としてはいかがでございましょうか。
  528. 木村睦男

    国務大臣(木村睦男君) 現在では一国鉄の必要な経費を運賃収入で賄っておりますのは、わずか七〇%ぐらいでございまして、あとの三〇%はいろんな形で国が手助けをやっておるということでございます。そこで、ここまで追い詰められました国鉄の経営をいかに再建するかという問題でございますが、いまお話しのように、国鉄の持っております公共性あるいは企業性、この二つのまあ融合した形の企業体でございますので、それぞれについてよく分析をいたしまして、そして再建のための政府の補助なり融資なりの手伝いはどの程度やるべきであるか、また、国鉄といえども、地方住民の方にサービスを提供すると同時に、やはり地方の方も国鉄に対していろいろと協力していただかなければならない点もございますので、そういう面もあわせ考えながら来年からの再建計画の基本方針を立てていきたいと思っております。一部は運賃収入でやるべきである、また国の財政援助でやるべきである、その比率をきっぱりと決めたらどうかというお話もよく聞くのでございますが、非常にむずかしい問題でございますけれども、そういう点もどこまでやれるか、やってみたいと思いながら、いま再建のいろいろな分析をやっておるのが実情でございます。ひとつよろしく御協力のほどをお願い申し上げます。
  529. 野口忠夫

    ○野口忠夫君 国鉄は再建の計画を考えていくということだそうですけれども、まあ地方公営企業の問題につきましては自治省も関係するところであるし、それぞれやはりもう少し抜本的にこれを再建するような方向で考えてほしいということを要望したいと思っております。  次に、教育の問題に移っていきたいと思うんですが、教育のいまの一般的な国民の課題の中で一番重視すべきことは、まことにこの教育費の増大の中で、父母負担の増大ということの中での苦しみが政治的に解決してやらなければならない最大の問題であろうというように思うわけであります。総理は、国民とともにある政治が政治不信を挽回するものであると、国民を捨ててはならないのだという考えの中で今回総理大臣になられているようでありますけれども、いま、教育費の父母負担の増大、これは受益者負担という原則の中で教育水準の向上が図られているところに問題があろうと思うわけであります。わが国の義務教育の基本的な方向として、憲法に保障される義務教育の無償というこの立場が、教科書が無償化されて今日まできておるわけでございますが、これは、まあ昭和三十七年からずっといままで約十年の間、日本における義務教育の無償というのは教科書一本で終わってきたわけでございますが、このような父母増加負担の中で、多くの父母が教育費の負担が大き過ぎるという中では、この義務教育費無償の拡大というようなことについて、これをお考えいただかなければならぬではないかと思うんですけれども、何かこれについてお考えありませんか。
  530. 永井道雄

    国務大臣(永井道雄君) ただいま御指摘がございましたように、この義務教育というのは理想といたしましては無償ということでありますが、さて、その内容をどうするかということであります。教科書無償というのは、これは先生も御案内のとおり、昭和三十七年から実現いたしております。そこで、後の問題といたしましては、学用品であるとか、給食費とかあるいは修学旅行費とか、そういうふうなものをどうするかという問題が当然あるわけでございます。  そこで、こういうものについてどうするかということが人々の論じているところでありますが、現在私たちが考えておりますことは、経済的に非常に就学困難な御家庭の子弟に対して、いま申し上げましたような学用品あるいは給食費、それから修学旅行の費用と、こういうものに対して国庫が補助をするということでございます。そして、本年度の予算について申しますというと、前年度に比較いたしまして四五・六%それがふえております。そういう形で、非常に御不自由な御家庭のお子さんにはいまのようなものをカバーしていく、そういう形で義務教育を充実していく、経済的な意味で充実していくというのが現在の考え方でございます。
  531. 野口忠夫

    ○野口忠夫君 三木内閣の文部大臣は、多くの輿望を担って教育の問題の中で御就任になったと思うわけでありまして、日本における教育の大きな困った問題等については、十分御認識のはずだと思うわけですが、やっぱり相当決意と勇気を持ってやるべきではなかろうかというふうに思うわけであります。諸般の情勢は、なかなか文部大臣の思うとおりにいかない面があるかもしれませんけれども、やっぱりこの際勇気を持って……。  ただいまの義務教育の無償でございますが、従来までやられてきましたこの無償政策は、これは生活保護政策なんですね。生活保障の教育政策なんです。私の申し上げているのは、そうではなくて、憲法二十六条に規定されている義務教育の無償というものを、これを拡大するということをこの辺でやっぱり考えるべきではないか。非常に物価上昇の中で、教科書に付随する学用品について、やはり無償の声というものが相当強いわけですけれども、この辺まで拡大してひとつやっていくというような、こういうお気持ちはございませんか。
  532. 永井道雄

    国務大臣(永井道雄君) 先ほど私は三つの項目を申し上げまして、給食、修学旅行、学用品と申し上げましたが、これは学用品を全部無償にするということになりますと、相当の財源を要することになりますので、いま申し上げたような角度で臨んでいるわけです。しかし、それだけではやはり十分ではないということで、学用品の免税措置というものもございますし、また、この学用品、学校で買います高額な机とか楽器などがございます。こういうものは学校で一括購入するという場合に非課税にする、こういうふうな措置をとることによって、理想というものはありますが、その理想を現在の日本の与えられた財政状況の中で実現していくという考え方で進んでいるわけでございます。  なお、先生が前段でお言葉がございましたように、このむずかしい状況の中で、私がこの職につきましたということについては覚悟があるかというお言葉でございますが、それは仰せのとおり、非常にむずかしいということは就任以前から存じております。微力ではございますけれども、こういう問題、また、その他の問題を通して教育の充実に心がけたいと考えております。
  533. 野口忠夫

    ○野口忠夫君 大臣、重ねて申し上げるようですが、初年度、一年生入学ですね、義務制の。このときの父兄の負担というものは現在のところ莫大ですね。もっとも、この入学児童を相手にしてデパートでは盛んに宣伝をしてもうけようとするわけですから、ですから、一年生の入学のときの、この学用品の調達につく一年生の初年度のおみやげとしても、やっぱり義務教育無償の精神の中でこれを拡大していくような方向をお考えになることは、私、あまりむずかしいことでないというふうに思うんですけれども、どうですか、これは。
  534. 永井道雄

    国務大臣(永井道雄君) 先生のお考えはわかりますが、これは、こういうことも先生やはり考えるべきではないでしょうか。といいますのは、義務教育の学校に来られます御家庭の中には、相当余裕のある方もございます。そういう余裕のある方の場合に、学用品を自分のお子さんのために買うと、それは、そういうことは期待しても、私は決して不当ではなかろうかと思います。しかし、余裕のない御家庭の場合、自分のお子さん方の教育ができない、これを国家が助けないということは非常に無責任なことであると思います。  私は一般に先生もお考えになっておられる給食の問題でありますとか、いろいろなものを国家が金を出すべきであるという考え方があるのでございますが、若干時間をいただいて私が考えていることを申しますと、やはりこういう問題について、私たちは将来ともにりっぱな日本をつくるという考えで進まなければならないと思うのでございます。その意味合いを申し上げますというと、たとえば給食の問題、私は就任以前から考えてきておりますが、こういうことに関連して、わが国で子供が朝御飯をどのぐらい食べているかという調査がございます。そうすると、厚生省の全国の調査によりますと、一割の子供が朝御飯を食べないで来ている、東京都では四割でございます。その四割の家庭、そうすると、御家庭の二分の一に近いのでございますが、そこで、自分の家で朝御飯を食べないで、学校で給食だけを食べるという場合に、そういう家庭がどういう家庭かということをよく調べる必要があると思います。それは共働きで、非常に御多忙で朝食をつくる余裕がないということもございましょう。あるいは非常に御主人も奥さんも子供さんも、遠距離のところに通勤したり通学しているために御飯を食べる時間がないということもございましょう。しかし、他方また、朝御飯というものは抜きにしていこうというような風潮もないでもないということも調査されているわけでございます。私はそういうことを考えますと、やはり子供が朝御飯を自分の家で食べてこない家庭が四〇%に上っている、これはサンプル調査でございますが、そういうことも考えなければいけない。もし、そういう家庭の中に相当余裕があって、なおかつ朝御飯を準備しないというようなことであって、そして給食はしっかりやってほしいとそういう人たちが言うとすると、これは私は決して力強い社会というものをつくり得ないと思うのです。私はですから、いまの義務教育の問題に関連いたしましても、あるいは学用品につきましても、御不自由な御家庭のお子さん、そして意欲十分の人が勉強ができないような社会であったらば日本はだめだと思いますが、しかし、相当余裕がある家のお子さん、そういう御家庭で、学校に行く場合に、もう教科書は無償でございますが、修学旅行の費用ですとか、あるいは学用品を御負担願うということは決しておかしいことではなく、また親としてそのことを喜びを持ってしてしかるべき、そういう側面を持っているのではなかろうか、かように考えているわけでございまして、こうした見解も私は絶対的なものとして申し上げているわけでなく、先生などの御検討を得て御教示を賜りたいと考えている次第でございます。
  535. 野口忠夫

    ○野口忠夫君 ちょっと大臣とその点違いますがね。義務教育無償の精神というのは、子供の人権に根差した考え方でしょう。ですから、お父さんがお金があった、たくさんいい物を買ってやれた、私はいい物を持ってきましたという子供と、お父さんが貧乏なためにいい物が持ってこれない子供と、生まれたときには同じ状態で出発した子供が生まれた瞬間から差別されているような状態を教育の中ではなくそうじゃないかと、この考え方が義務教育無償の精神でしょう。私はそれをお金のあるところはどんどんいい物を買いなさい。着ている服は、買いますよそれは、何ぼ大臣これやっても。学校は来たくても来れないという人に、教育というものの出発点はやっぱり国が保障してやるべきだと、それが子供の人権を尊重する立場ではないかというのが義務教育無償だとすれば、この精神が政治の中にないということがおかしいというのです、ぼくは。それがいままで十年間教科書一本だと、そこから一歩も出ないという教育が何を言うてもだめではなかろうかと、こう思うわけです。そういう中でせめて一年の生徒——ノート一冊でもいいと思うんです。それか政治のあり方として出ていった場合、今日の父母負担の増大の中で苦しむ国民の皆さんの共感は政治に返ってくるであろうと、それが三木総理の願っている国民とともにある政治と、こう思うわけで今の問題を提起しているわけです。だから、大臣の言うこととちょっと違うわけだ、そこは。総理どうですか。
  536. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 困っておる家庭ではいろいろなことが起こる、それはやっぱり子供のときから何か差別感というものはいいものではないですよ。また一面から言って私はやはりいろいろな社会福祉とか、教育というものが全部国に頼るという考え方に私は賛成できないのです。やっぱりできるものは、自分で自主的な、自助的な精神ですね、これもないと、これはもうつじつま合わなくなりますよ。そういう点で、一律に皆何もかもということではなくして、そういうふうな非常にいろいろな環境、家庭の環境などによって皆と同じような条件で——同じような条件というもので勉強ができないような人には私はしたらいいと思いますが、全部に全部皆ノートを渡し、何を渡しということは、そこまでやっぱりいくということは行き過ぎの面も起こりますから、やはり教育において、境遇によっていろいろ差がつくことは一番いけないことですから、そういうものに対して対策を講じていくということは私もやらなければならぬことだと。やっぱり教育というようなものが一番機会均等がある社会というものが一番公正な社会だと。ほかのことはいろいろ人間の努力によっても違うですけれども、教育というものはスタートですからね、スタートがやはり平等な機会がないということになると非常にハンディキャップがつきます。そういう意味で、そういう見地からできるだけ不平等を是正することは私は賛成でございます。
  537. 野口忠夫

    ○野口忠夫君 三木総理の言う静かなる教育の場、そこでみんなで仲よく遊んでいける子供たち。そこにいつも邪魔になるものは権力的な支配ですよね、管理職つくったり、教育委員制を取っちゃったり、それが何か教育の静かさをいままで奪ってきたであろう。ことにお金の差によって生まれる静かなる場での争いというものは相当深いものです。私は経験者として言うのですけれども、深いものがあります。総理の言う、国が国民とともにあるという姿の中で、義務教育の無償というこの憲法の精神は、少なくとも子供たちにそういう小さなうちの出発点において——私の言っているのは、大きくなってからまでそうしなさいと言っているわけではありません。働こうとしても働けない、生まれた子供たちが大きくなってくる過程の中で受ける教育というものについて、平等に受けさせるということは国家の愛であろう。この愛に子供たちがすがっていく中で、国を愛する気持ちも生まれてくるのではなかろうか。貧しい家の子供は貧しくてもいいと、それはそこで苦労した方がいいじゃないかみたいな言い方、ちょっと総理の言うことはそう聞こえたのですけれども、そういうことではないんではないでしょうか、教育というものは。やはりそこは同じくということが義務教育無償の精神ではないかと思うのですが、なお文部大臣は、御理解いただける話だったと思いますので、総理と十分話をして、そうして義務教育無償を、少し三木さんのときに、おれはこうやったよということをやるべきじゃなかろうかと思っているのですけれども、それが教育を中心として考えられた三木総理の姿の一つになるのじゃなかろうか。  こうなってくると話が非常に遠いのですけれども、今父母負担の中で、次に苦しんでいるのは学校給食費ですね、これがまことに父母負担の増大になっておって、毎月毎月持っていくお金の高の中では、三人も子供がいるともうどうにもいけない。どうでしょうか、パンとミルクくらいは無償という考え方にはなりませんか。
  538. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 学校給食法によりまして、学校給食は父兄負担というのが原則になっておるわけでございますが、農林省といたしましては文部省の行っておる学校給食にはいろいろな面で協力をしておるわけであります。ただその観点が、牛乳につきましては酪農振興という観点から補助をいたしておりまして、昭和五十年度も百七十四億の補助をいたしておるわけでございます。パンにつきましては、小麦がその原料でございますが、小麦につきましては、これは外国からほとんど輸入をしているわけでございますから、消費拡大を求めるという立場にないわけでございますので、これに対しては補助はしてない、こういうことでございます。  なお、米につきましても、この五年間、無償米を学校給食に協力をいたして今日に至っておるわけでございます。
  539. 野口忠夫

    ○野口忠夫君 では、農林大臣にも、今の父母負担が非常に困ると、大きくなって。その中で、教育費の中では学校給食費が多いと。ですから、いままであった経過措置はとにかくとして、パンとミルクくらいは無料で給食できるような、それが新しい三木内閣の出発の各論ではないかと思って聞いているのですよ、私は。とかく総論ばかりで各論がないという話があったものですから、各論に協力しようと思って言っているのですけれども、教育面から言う私の願いとして、今やはりパンとミルクが無償というくらいが、ちょうど日本としてはあるべき姿ではなかろうか。こういう考えの中で御要求申し上げているのですが、それはとても容易でないみたいなお話であったわけですが、何か農林省は、米の給食中止するような考え方でいるんですか。
  540. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 教育政策上は、いま先生のお話しのような問題があるわけでございますが、農林省といたしましては、先ほどお答えをいたしましたように、農業政策のたてまえから、一つは、酪農振興ということでミルクについての補助も出しておりますし、また米につきましても、この消費拡大と、こういうふうなことで無償米を学校給食に充てておるわけでございます。これが五年間たちまして、四十九年で終わりでございますが、五十年度も、要請がございましたので無償米を出すということにいたしておるわけでございます。ただ、その米につきましては、いま無償米千七百トンばかり出しておりますが、現在、これを実施しておる学校が二百数十校あるわけでございますが、一千校ばかりは有償米で学校給食を行っておるわけでございますし、問題は、無償か有償かというよりは、炊飯施設あるいは人の問題というところにかかっておるわけでございますが、いずれにしても、五十年度は無償米を続けていくと、こういうことで協力をいたしておるわけでございます。
  541. 野口忠夫

    ○野口忠夫君 文部大臣ですが、教育は教室で行いますがね。その教室でいろんな教材が欲しいわけでありますね。その教材に対して、現在のところ補助があります。ただ、この教材の基準ですね、これが昭和四十二年以来改正になってないわけです。その品目、数量、これらがまことにいまの学校教育から言えば物足りないものがあるわけでございますが、この基準の改定をやる考えはございませんか。
  542. 永井道雄

    国務大臣(永井道雄君) 教材は、御指摘のように、教育の変化に伴いましておのずから変わってまいりますから、この教材基準というものをどこにするかということは非常に重要なことでございます。で、昭和四十二年から変わっていないとおっしゃいますのは、実は昭和四十二年に、御承知のように十カ年計画というものができたわけでございまして、まだ十カ年計画を完了していないわけでございます。そこで昭和四十二年の計画では総額千六百億円、うち半額国庫補助という形で始めてきておりますが、しかしながら、他方、中学校などでクラブ活動というものが盛んになってまいりますと、そういうものに応じて、既定の計画のほかに、このクラブ活動に応じた教材というものも必要であるということで、それに総額六十億円を追加していると、そういう事実もございます。  で、こういうふうに、要するに教材基準というものが、昭和四十二年の十カ年計画のほかに、さらに追加されたものもありまして、五十二年度に向けて進んでいくわけでありますが、現時点でそれをとらえますと、昭和五十年度の予算につきましては、前年度比で一五・五%増、百二十一億二千万円を計上していることになります。しからば、こういうふうなやり方で五十二年度までに十カ年計画を終えたときに、それで状況として満足すべきかどうか。これは、非常にこの教育のやり方というものも、教育工学その他入ってきておりますために、変化もございますし、またこの特別教育活動、いわゆるクラブ教育活動のようなものがありますから、やはりこの五十二年度に一応十カ年計画が終わった段階というものにおいて、さらにその先をどうしていくかという計画を進めるべきだと思いますが、当面は十カ年計画というものを完成する、そして十カ年計画になお上積みされたクラブ活動などの分というものを強化していくという方向で進んでいるわけでございまして、これが私たち進めるべきであることだと考えております。
  543. 野口忠夫

    ○野口忠夫君 総理にちょっとお尋ねしたいんですが、総理は、高度経済成長はすべてが悪ではないというお話がございましたが、いまもそんなお考えでございましょうか。
  544. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) まあ日本の、野口さんも戦争の後の荒廃した姿を見たときに、経済が非常に発展をしたということで、日本の生活水準とか、あるいはまた就職の機会とか、あるいはまた日本の国際的地位も高まったりして、全部高度経済成長が悪であるという感じは私は持たない。その速度が余りにも早過ぎて、周囲の環境との間にバランスを失ったと。これはいろいろな公害問題などもそうですし、あるいはまた資源の入手という点から見てもそういう問題がございますし、そういう点で、そのことからいろいろなひずみが起こってきておるのに対して適切な手を打つことが非常におくれた。そういう点で、いろいろな高度経済成長がもたらした弊害の面はありますけれども、高度経済成長が悪くて、戦後のようなあの停滞がいいという論は私は成り立たないのではないか。ただ、やっぱり速度が、少し適正な速度とは言えなかったという点でございます。
  545. 野口忠夫

    ○野口忠夫君 教育問題をお尋ねしているわけなんですが、次代を担う人間を形成するという仕事を持つ教師にとっては、石油タンクが斜めになったというようなことは、これは起こせば直るわけです。瀬戸内海がヘドロになったということは、ヘドロを取れば直るでしょう。しかし、人間の精神の中に高度経済成長のもたらしてきたヘドロというものは、これは一朝一夕に総理の言うようには改まらないものなんです。総理がいま取り組もうとする、これからの御自身の責任を果たす中で、高度経済成長ということをお考えになっている面での許されるものは、成長のことを言っているのじゃないでしょうか。成長はもちろんだれもが望むことであります。しかし、その成長は、あの子供たちの心にヘドロは残さないですね。今日の子供たちは、まず入学するときには金を出すのが常識になっておりますね。私もときどき話がございますが、試験を受けるために、金さえ出せば、当たればどこかへ入学できるのだということを高等学校の二年、三年の子供が言うている。これは高度経済成長というものがもたらした、金万能の世の中における人間の心をやっぱり汚したものではなかろうか、こういうように考えられるわけでありますが、高度経済成長というものの中での日本の教育は、受けた被害というものは、これは総理にぼくは改めて認識してもらいたいと思うんです。ともすると、世の中の一般の悪いことはすべて教育だと。ある一人の教師と会いますと、近ごろの子供には私は教育の可能性を感じなくなった、絶望するというまじめな教師もあります。こんな世の中にしたのは一体だれなんだと、これを直さない限り、この子供の本当の精神を美しくすることはできないという、抵抗をしようとするまじめな教師もあります。いずれもそれはまじめな教師のあり方なんですね。総理にはやっぱり高度経済成長すべて悪くはなかったと。どうも総理の言うのは、成長を言っているのではなかろうかと思うんです。私どもの言うのは、高度経済成長というものは過ちではなかったかということを指摘したいわけなんですけれども、もう一度ひとつ。
  546. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 私も高度といいますか、非常な短期間に経済の成長が並み外れて高かったというものは、これはいろいろな弊害をもたらしている。もう一つは私は占領政策だと思います。占領というものが与えた民族に対しての、何といいますか、戦争、敗戦、占領というものがもたらした国民の精神をむしばんだものというものも、これはやっぱり軽くは考えられないと。やはり敗戦、占領ということは、なかなか痛手を物質的には回復しても、精神的には大きな痛手を受けるものだということを私は感じます。占領政策ということも、これはやはりいろいろな点で人間の精神をむしばんでおる面が残っておるというふうにも考えます。高度経済成長の高度というものについては、いろんな弊害をもたらしたことは私も認めるんです。
  547. 野口忠夫

    ○野口忠夫君 総理と教育論をやるようになってしまうんですけれども、教育はおのずからそういうものになってくると思うんですけれども、人間と人間との接触の中から生まれるその関係、そこでのお互いの影響のし合い、その中に教育の機能的なものが火花を発しているわけだ、そこをどうするかという問題ですからね。そういう意味では、ぼくは総理が高度経済成長すべては悪くはなかっということは、まあ現場の教師の気持から言えば少し遠いんではなかろうか、御理解いただかなくちゃならない気持ちではなかろうかというように私は思うんです。そこから生まれてくる日本の国の静かでない教育、これが存在する。総理の言う静かな場、政治に支配されない静かな場というもの、なかなかこれは深遠な言葉でございまして、神様のような言葉です。御理解申し上げるのにいろいろな意味でむずかしい面があるわけです。私どもの解釈で言えば、その静かなる場というものを侵すものはここのところにあるんじゃなかろうか、それをやっぱり考えていく教育、それを新しい文部大臣に守ってもらうという、こういう気持ちの中で対話と協調の教育というようなものをぼくは尊重してもらいたいというふうに思うわけでありますが、いわば現場における教師と子供の接点における教育を大事にしよう、そして、それに対しての指導、助言の立場に立ったものは対話と協調の精神でいこう、そして子供の幸せのために一緒になってやっていこうじゃないかというあり方ですね、これが静かなる場ではないかというように思うわけですけれども、これをひとつ大臣からお聞きしたいと思うんです。
  548. 永井道雄

    国務大臣(永井道雄君) 長い教育の御体験に基づく先生のお考えを承りまして非常に貴重に存じました。私は、わが国が経済成長を遂げてまいります過程で、教育というものも非常にいろいろな問題をはらんだように思います。教育というのは学校だけで行われませんで、社会また家庭、いろいろなところの影響を受けます。ちょうど去年のいまごろだったように思いますが、参議院の予算委員会で宮之原委員が御質問になりまして、やはりいまのわが国の教育の一番の問題は、学歴偏重になったのではないか、それは成長社会というもののある部分がおかしく教育に投射したからではなかろうかという御質疑がございました。これに対して、当時の田中総理大臣が全く同感であるという返事をなさいました。そのことが当時新聞、雑誌等において非常に重要な討議として報道されたことを記憶いたしておりますが、私はそういう討議というものがやはり重要であったように思います。今日、なお一層その意味をかみしめまして、いかようにしてわが国の教育の中から学歴偏重というものをなくしていくか、私は正当に尊重すべき学歴は尊重すべきと思いますが、偏重というのはまた違うと思います。また、試験というものが場合によって必要なこともありますが、試験地獄は違うと思います。この辺の区別をどうつけながら、先生がおっしゃいますように、本当にみんなが元気に討論をするのを指導、助言するような、そういう学校になったらよろしいと思っております。
  549. 野口忠夫

    ○野口忠夫君 大臣の方から、御質問申し上げようと思うこと、いま話が出てしまいました。そういう立場に立って、いま考えられる教育の課題は余りにも大きな課題があり過ぎるだろう。お金もかかる、容易ではなかろうと思うんだけれども、それはなし遂げなければならぬのではなかろうか。そういう高度経済成長の中から救い上げていかなければならない、子供を。まずいまの受験です。この受験についてはどのような対策を文部省持っているんですか。
  550. 永井道雄

    国務大臣(永井道雄君) 受験はいま申し上げましたように、やはり学校だけで解決できます面と、学校以外に考えていただかなければならない面とあると思います。  そこで、学校の方はもうずいぶん言い古されておりますから、学校外の方から申しますと、やはり日本の産業界などにおきまして、採用、昇進に当たって正当に学歴を尊重するのはよろしいんですが、偏重というようなことがあっては困ります。そこで私は、最近経済団体の方々にお目にかかりまして、さしあたり関東、関西で、どういう職種、年齢、業種でどういう学歴というものが尊重されているかという調査をいま開始しております。同時に、人事院にもお願いして、官庁においてどうなっているかということを調査いたします。調査といいますと非常にまどろっこしいようにお感じになるかもしれませんが、学歴偏重と尊重ということの間の区別というものは相当慎重に行わなければなりません。したがいまして、年齢、職種、業種別によりましてそういうものを調べていく。調べますと、どういうところを変えていくべきかということもおのずからわかってまいりましょうから、それは次の段階において考えていく。  学校内の問題といたしましては、国公私の大学の格差というものをなるべく是正していく。これは言うはやすく行うはかたいことでございまして、若干経済的な側面でその格差を是正する努力を政府はいたしてまいりましたけれども、それにとどまらず、次の段階に進んでいくにはいかようにすべきかということを考えております。  次の問題といたしましては、大学入試制度というもののあり方というものが高校以下の教育内容を規定いたしますので、これをどう是正していくか。昭和五十二、三年あたりを目標にいたしまして、いろいろな角度からの入試制度の改造を考えておりますが、それは、たとえば共通試験テスト、あるいは一期校、二期校の問題をどうするかというような——なお、必要があれば詳細御説明申し上げます。しかし、なおそれでは足りませんから、教育課程というものがいま非常に過密化しておりまして、学校教育というものの中で非常に授業についていけない子供があったり、競争心にあおられるという状況がございますので、特に教育課程審議会を重視いたしまして各方面の御意見を承る。けさほどは、日教組の教育課程検討委員長の梅根悟先生においで願いまして、いまもう討論も終わったころと思いますが、そうした意味合いにおきまして、遅々たる歩みではございましょうが、日教組、文部省というような関係も何か不思議なことのように言われ過ぎているように思いますので、逐次改善をいたしていく。そういうことで、できる限り協力を得まして、いまの受験体制というものを包括的、多角的に考えまして、時間はかかりましょうが流れを変える方向に進めていきたい、こう考えている次第でございます。
  551. 野口忠夫

    ○野口忠夫君 入試制度の問題で、京都にあります絶対評価、相対評価の問題ですね、まあ試験をなくせばいいんですから、だから、その学校の成績というものが土台になれば一番いいことなんですからね。あれはどうですか。
  552. 永井道雄

    国務大臣(永井道雄君) 絶対評価、相対評価の問題につきましては、まあ相対評価というのがアメリカ風の考え方でございまして、正常分布曲線というような姿で大体それぞれの学校での相対評価をやるということでございましたが、他方、京都府などにおきまして絶対評価の方法の実験が行われているわけでございます。しかし、もう試験というものを一切やめてはどうかという御意見がございますが、私はこの問題はなかなか簡単に解決がつかない。と申しますのは、現在の社会は農業社会ではなく工業社会という側面を持っておりますと、おのずからそこに分業というものが起こり、また、分業の社会には相当の高度な、複雑な構造というものが生まれまして、そして一種の上下関係というようなものが生まれることも避けることができないように思われます。そうしたことが過去一世紀、二世紀にわたる歴史の経過である。   〔理事柳田桃太郎君退席、委員長着席〕 そこで、明後日発足いたします文明問題懇談会の一つのテーマといたしまして、こういう社会における人間の評価をどのように考えるかということについて御検討を願います。これは基本的な問題でございます。その評価というものをどうやって行うことがいいかということは、ある意味におきまして、古今東西の永遠の問題でありまして、これについて、完全に望ましい結論というものは得られませんが、しかし、わが国におけるすぐれた頭脳の方々にお集まり願いまして、私は重要な問題の一つとして、この評価の問題というものについてお教えを受けるつもりでいるわけでございます。
  553. 野口忠夫

    ○野口忠夫君 これはやっぱり今日の社会的問題の中で、まだ一番大きな問題になっているんではないかというように思うわけですが、高等学校の新増設の問題で、高等学校施設費国庫負担制度、これをひとつやりたいという文部省の意向があったんですけれども、大蔵省の方にけられてしまったような話を聞いているんですが、この経過はそうですか。
  554. 永井道雄

    国務大臣(永井道雄君) それは文部省から要求しました額につきまして、大蔵省が違う案を示されまして、起債という形で新増設が急増地域で行われる、三百億円という枠になりましたことは御指摘のとおりでございます。しからば、そういうふうになって文部省は責任をとることができないではなかろうかというあるいは御疑問が生じるおそれもあると思いますので、一言さしていただきたいと考えます。  おおよそ人口急増地域におきます将来予測を立てますに当たりましては、幾つかの基準が必要と思いますが、一つは、どの程度に将来の経済が変化していくかということに伴う人口動態の予測が必要でございます。今日まで行われましたのは、経済社会五ヵ年計画当時の人口動態推計でございまして、これによりますと、非常なスピードで今後も人口急増地域に人口が集まるということになります。もう一つのポイントは、将来の進学率がどうなっていくかということでありますが、これも慎重に検討しなければならないことでございますが、これが従来と同じスピードで進んでいくか、それともスピードに変化が起こるか、この二点を特に私どもは検討いたしまして、そしてわれわれの検討したところで大蔵省とも話し合いをいたしました結果、先ほど申し上げましたような措置で、一応現在予測されますところの人口急増地域における高校新増設の対策としては、準備をなし得るのではなかろうかという立場で臨んでいるわけでございますが、必要ございましたら、なお詳細は政府委員が御説明申し上げるようにいたします。
  555. 野口忠夫

    ○野口忠夫君 大蔵大臣、この高校施設費国庫負担制度ですね、これは今年度予算では削った、三百億の起債にした。これは、これからそういう制度をつくるということの前提なんですね。
  556. 大平正芳

    国務大臣(大平正芳君) 財政の制度といたしまして、中央と地方とございまして、地方の財政は、御案内のように、地方自治体を経由いたしまして国が関係を持つことになっておるわけでございます。したがいまして、国が直接高校以下の、従来地方財政がめんどうを見ておりまして、地方の財政需要として計上することによって交付税、交付金の交付対象になっておりましたものにつきまして、直接、負担法という姿で国が関係を持つということになりますと、財政制度自体の大きな変革になると思うのでございまして、これは軽々にやっちゃならぬことだと思うのでございます。しかしながら、急増地帯の学校増設問題というのは焦眉の問題でございまするし、国としても座視しておるわけにはいきませんので、とりあえず可能な道は講じましたけれども、これをどのように制度立ててまいるかということにつきましては、文部省となお詰めさしていただきたいと考えております。
  557. 野口忠夫

    ○野口忠夫君 私学の助成が今度はかられまして、あれだけでは何とも仕方ないだろうと思うんですけれども、経営難の中から、大分、学費、授業料、入学金その他が上がっているわけですが、これもまた父母負担の中では大きなものになっているようです。やっぱり高等学校で四十万くらいを持っていかないと入学できない、こういうことになっているんですが、私大の問題で東北の歯科大学にいろいろ問題があるように聞くんですけれども、御承知だったらお知らせいただきたいと思います。
  558. 永井道雄

    国務大臣(永井道雄君) 先生からたくさん御質問をいただきまして、書類を探すのにしばらく時間が要りますが、お許しを願いたいと思います。  東北歯科大学の問題でございますが、これは昭和四十七年二月十二日に認可されました。同年四月開学、現在学生数五百四十三名でございます。  当大学に関しまして、本年二月、ある週刊誌に理事長派と学長派とがお家騒動を起こしているという記事が掲載された機会に、大学当局の話を文部省として調査いたしました。週刊誌によりますと、同大学の理事長が金脈と政治力を総動員し、高名な学者の知名度を利用して同大学を設立したとか、入学時に多額な寄付金を取ったとか、合格発表なしに寄付金を取ったとか、いろいろなことが言われております。私どもが大学側に求めた説明によれば、合格発表は文書で本人に通知したとのことであります。寄付金は、東北歯科大学振興会が試験後に受領している等の説明でございました。現段階におきまして、真相が何であるかについて明確につかんでおりませんが、当大学が文部大臣の設置認可を得た大学でありますこと、また、私学の自主性が維持されなければなりませんこと及び私学に対する所轄庁の権限に限界がありますことも考慮いたしながら、今回の事態がきわめて重要なものであると考えますので、なお調査を続け、適切に措置をしなければならないものと考えます。  これは個別なる問題でございますが、そのほかに、広く知られておりますように、私立医・歯科大学におきまして、一人当たりの入学金が非常に多いという問題がありまして、これが教育の機会均等というものから言って疑義がございますので、こうした問題全般も考え、またこの問題につきましては、いま申し上げましたように、調査して、その調査に基づいて適切な指導が必要であるという場合にはしなければならないものと考えているわけでございます。
  559. 野口忠夫

    ○野口忠夫君 歯科大学については、最近文部省三つ認可しているわけですけれども、三つとも問題があるわけですね。東北歯科大学はその中でも雄たる問題を持っておるようですけれども、認可に当たって、認可してしまってからの文部省のあり方、私学をめぐって認可する前の、認可に当たっての文部省と、その後の文部省、これは一体どういうことになるんでしょうか、ここは。
  560. 永井道雄

    国務大臣(永井道雄君) 私はこの問題に関しましては、一般に過去非常に大学進学者の希望がふえました場合に、国庫に基づくところの大学計画というものが、幾分弱体であったということを否定することはできないと思います。そうしたことが、かなり、私立大学というものを設立するということによって社会の需要に応じてきたということの根拠になっているようにも感じられる側面があると思われますが、私が就任いたします前から、すでにそうした状況についてどう考えていくかということについて考えが進んでまいりまして、現在は、学校については二重審査という形であります。従来は二重ではございません。現在は設立の後にもさらに審査をする。また、私立の医・歯科大学などにつきましては、そういう私立に依存するという方法ではなく、むしろ、国立という方法によって、相当時間がかかりますけれども昭和六十年度に、人口十万人当たり百五十人の医師というのがいま世界の大体の工業先進国における一般的な水準でございますので、それに到達するように努力をしていく。しかしながら、その努力の仕方としては、今後は、私立に依存いたしますよりも、国立を逐次増設いたしますことによって十万人当たり百五十人という水準に到達するように進んでいく。私立につきましては、厳重な二重審査を行っていくということでございます。
  561. 野口忠夫

    ○野口忠夫君 国公私立のこの三つの中で日本の子供たちが勉強するような体制、そのためには私学に対しての助成もあろう。ただ、問題は、認可された私学が——東北歯科大学の争いの原因は理事長と学長ですね。一方はお金もうけをするために東北歯科大学をつくったという理事長の考え方、一方は教育をするということでの学長との間の問題ですが、この二つの考え方というものが私学の中には併存しております。その一方を助成によってこれを改めていこうとする。だから、助成はますますひとつ増加さしていただきたい。助成が増加する中でこの問題が一方では解決するわけだと思うんですが、なかなかそこまで至らない中では——入学金は大体昨年度あたりまで八百万だったわけです。ことしになってからは千五百万なわけです。公称八百万。それは学長と理事長の言うところで入学金がまた違う。銀行が二つあって別な方に入ることになっている。八百万までこちらに入るんだけれども、それ以上になるとこちらに入るみたいなこともあって、子供たちがそれを言うているわけです。これが教育の現場ですね。これは多かれ少なかれ、全大学ではしかられますけれども、それぞれの学校の中には存在しておる。それからまた入学金のそういう膨大な取り方ですね。それから二つの学校を受けた場合の先取りの問題もありますね。これ全部父母負担です。親は自分の子を何とかしたいと、そういう願いの中で、これらの負担の中で何とかしていきたいと思っているわけですが、この辺のあり方を改める一つの方法ですね、そういうものがやっぱり考えられるべきではないかと思うんですが、これひとついかがでございましょうか。
  562. 永井道雄

    国務大臣(永井道雄君) かなり時間も迫りましたので、初めに申し上げておきたいのは、先生から非常に貴重ないろいろ問題点についての御指摘をいただきましたことを深く感謝申し上げます。  つきまして、先ほど、学校をつくり運営するに当たって、一方に学校屋のごときものがあり、他方に教育者というものがあると。そこで、補助に当たっては、学校屋を征伐して教育者を興すべきではないかという、そういう御趣旨であろうと思います。全く同感でございます。そこで、本年度から、私立大学経常費助成につきまして傾斜配分ということを行うことにいたしておりますが、その傾斜配分というものをしばしば誤解されまして、古くからの学校をただ助けるのではなかろうか、あるいは学校の研究・教育の自由を侵すのではなかろうかなどと言われますが、そうではなくて、むしろ、学校屋的色彩をなくしていく。ということは、たとえば、定員の水増し入学をさせている、あるいは教員数と学生数の割合がまことに不当に大きい、あるいは学校はつくったけれども図書や機器や、そういうものが一向に整備されていない、あるいはまた、公認会計士による学校の収支決算を見た場合に決して健全とは考えられない、こうしたものにつきましては傾斜配分を行いましてそれほど強い補助を行わない。しかし、いま申しましたような点において健全であるような学校、それはすなわち、学校屋よりも教育者が中心である学校と思いますが、こういうものについては、一層助成を強化いたしますことによりまして、先生御指摘のような精神というものを具体的に生かさなければならないというふうに考えている次第でございます。
  563. 大谷藤之助

    委員長大谷藤之助君) 以上をもちまして野口忠夫君の質疑は終了いたしました。(拍手)     —————————————
  564. 大谷藤之助

    委員長大谷藤之助君) 寺田熊雄君。
  565. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 まず、総理の政治信念に対してお伺いをいたしますけれども総理は、昨年、七夕選挙の直後に田中内閣の副総理の地位をやめられたわけですが、その折、あなたは、「自民党の体質の徹底的な改善をはかることに全力を傾けるため」という談話を発表しておられますね。それから具体的には、総裁選挙の現状に根本的なメスを入れ、政治資金の集め方、使い方を改革することの必要を力説しておられますが、その信念には現在もお変わりはありませんか。
  566. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) この信念は現在も変わりませんし、私の考えておったような、そういう方向に従って自民党はいま改革案をいろいろと検討をいたしておる最中であることは御承知のとおりでございます。
  567. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 政治資金の集め方、使い方を改革するという点は、党としての政治資金、それからいわゆる派閥としての政治資金——これは前回黒柳議員の御質問にちょっと否定的におっしゃったんですが、これはあることは、いま、政治的な社会通念とも言うべきものでしょう。それから個々の党員のやはり政治資金の問題がありますね。この三者に共通の問題だと理解すべきであると思いますが、どうでしょう。
  568. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 当然のことでございます。
  569. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 そうといたしますと、あなたは、派閥という点はちょっと御異議があるようですが、あなたの派閥と見らるべき政策懇談会の収入ですね、それから黒柳議員の御質問のときに、あなたは近代化研究会のことはおっしゃっておられないようでした。これがともにあなたのものであるということはお認めになりますか。
  570. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 派閥の問題というものは、これは派閥がよって起こる原因にメスを入れないと、現象面だけでは根本的な解決にはならない。それと、その集め方あるいはまた使い方については、いま政治資金規正法の改正を行おうとしておりますから、自治省において法案の作成を準備しておる最中でございます。その中で、やはり政治の資金というものの集め方を明朗にし、しかもある一つの節度を保った集め方にしようということで、いま改正案を準備しておるわけでございます。
  571. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 いや、あなたの近代化研究会が、あなたを中心とする政治団体であることをお認めになりますか。
  572. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) これはこの間申し上げましたように、会計の処理を——政治団体という、そこまでの組織にはなってないわけで、やはり研究のプロジェクトチームと私は言っているんですが、そこへ金を——届け出はしてある金なんですよ。それを一括そこへ出して、そして明細を一々処理することが適当であることは言うまでもないんですが、一括これを処理したということは、これはやっぱり改めなければならぬということで、今後はそういうことはいたさない。一括で処理するというようなことはしないで、明細に使途というものを処理するようにしたいということと、いま言った団体のごとき紛らわしいプロジェクトチームは直ちに解散をしてもらうようなことを申しましたので、いまはないわけでございます。解散をしてある。
  573. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 いや、近代化研究会ですよ。
  574. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 近代化研究会——それがどういうことですか。
  575. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 総理を中心とする政治団体でしょうと私は聞いている。
  576. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 政策懇談会。
  577. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 いや、政策懇談会と近代化研究会。
  578. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) ええ、そうです。
  579. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 この二つの総理を中心とする政治団体の収支が官報に掲示されております。四十七年度も八億円以上、両者でお集めになっていらっしゃるのですが、昨年十二月二十五日付の官報で出ております政治団体の収支報告の中にもございますこの二つの総理を中心とする政治団体、やはり合計して八億円台に達しております。どうしてそんなに政治資金が必要なのか、それをまず御説明願いたいと思いますが。
  580. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) いま金がかかることは事実です。やはり政治活動というものは、これは人件費も高くなっておりますし、あるいは物件費も高くなっておって、昔よりもやっぱり政治活動に資金が要ることは事実でございます。まあしかし、こういう時代になってまいりまして、皆が質素にという風潮でありますから政治資金のごときもこれはいままでのようなことではなくして、できるだけ切り詰めた資金で政治活動をすることにしなければいかぬと。だから、党におきましても大変に改革を加えておるわけです。党の政治活動費というものは非常に圧縮をして、これは従来に比べたならば非常な経費の節減を図って、できるだけ少ない政治資金で能率を上げたいということに努力をいたしておる次第でございます。私どもの派においてもそうでございます。それはもう今後においては資金というものは非常な激減をすることは明らかでございます。
  581. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 ちょっとお答えが私の質問にぴたっとはまらぬのですがね。私は、いまあなたを中心とする二つの政治団体の収支が四十七年度で八億を超え、四十九上半期で約四億を超えていますので、おそらくことしも四十七年と同じく八億に達するだろうということは予想されるわけですね。それがどうしてそんなに、何にお使いになるのか。人件費、物件費と言っても抽象的でしょう。どういうことにお使いになるんですか、それを説明してください。
  582. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 私も詳細にはそれを皆存じておるわけでございませんが、やはり収支の報告は自治省にも届け出てございますから、そういうふうに届け出あるような費目に使ったということでございます。
  583. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 自治省にお届けになりましたものによりますと、まああなたのいわゆる派閥に属する方であろうと思われる人、その人を中心とする政治団体にずいぶん流しておられますね。たとえば、私ども知っております岡山県の藤井勝志君なんかの方にもやはり流していらっしゃる。その流された金といったものはどういうことにお使いになるんでしょうかね。そこをお尋ねしたんですが。
  584. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 当然に、その資金というものは政治活動のために使うことはもう当然のことでございます。
  585. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 政治活動にお使いになるというんですが、社会党員としての私どもにはどうしてそういう金がかかるかが理解できないわけですよ。国民もおそらくなぜそんなに多額の金が必要なのかを知りたいわけでしょう。いま非常にそこのところをお逃げになるわけですが、あなたのようないわゆる師団長級のお方でなくて、いわゆる普通の一兵卒の個々の党員についても、たとえば中央公論の四十九年十月号を見てみますと、やはり自民党の坂村吉正君ですね、この方が毎月どうしても三百万円かかるということを正直に告白していらっしゃるわけですね。われわれ社会党員では、毎月三百万円もの金がかかるというふうなことがどうしても理解できないわけですよ。こういうやはり政治生活をなさっていらっしゃっては、金権的な党の体質というものは一向改めることができないと思いますが、総理いかがでしょう。
  586. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) いろんな資金をたくさんに必要とする人たちは、日常の政治活動というものが活発なんだと思うんですよ、日常の。それは代議士が、これは国民の負託を受けて国会でいろんな問題を処理しておるわけですからね、それはでき得べくんば選挙民に対してたえずそういう接触をして、その模様を報告するということの責任はあると思うんですよ。それをもう頻繁に毎週のようにやるということになれば、実際問題として私は費用かかると思いますね。そういうので、これはもし選挙制度というものが改革になって、小選挙区制度みたいなものになりますと——よその国は大抵小選挙区制度ですが、そうすれば個人の金はかからぬですね、党がやりますから。いまの中選挙区というものは非常に個人の金がかかるようになっているんですね。党の活動というのも、皆個々の代議士の後援会の活動みたいなものが中心になりますからね。いまの選挙制度というものを——これは選挙制度を変えよと言うんでないんですよ。変えよと言うんではないんですけれども、金のかかるような仕組みになっているんですね。だから、社会党の方でも、昔と比べてみて、そう昔と金は変わらぬというんではないんじゃないでしょうか。皆やっぱり、どの程度かということは別として、次第にやはり政治活動、政治家の政治活動というものには金がかかるようになってきておるということは、与野党を通じての私は実感でないかと、多い少ないはありましょうけれども。そういう点で、われわれとしてはこれは今後のいろんな政治資金規正法とか、あるいはまた公職選挙法を通じて、なるべく政治に金がかからぬような角度からも改正案を取り上げたいと思うわけでございます。
  587. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 金がかかるんではなくして、私どもの考え方では、金をあなた方はおかけになってるんだと思いますよ。しかし、あんまりこれにこだわっていますと時間がかかりますから、次に移りますよ。  総理は資産公開をなさいました。これはわが党の藤田委員の御批評によりますと、総理唯一の前進だとこう言うんですけどね、まあ唯一かどうかは別として、日本の政治史上に非常にいい慣行をおつくりになったと思うんです。その点は高く評価しますが、その中でどうしても理解できないのは、総理三木事務所ですね、あそこに十人ほどの人をお使いになっているということが出ていますね。それから、総理がお借りになっている事務所は千代田企業株式会社のものですね。それに対して賃料は幾らぐらい払っていらっしゃいますか、それをお尋ねしたいんですけれども
  588. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) これは私もよく存じておりませんが、そう大した金額でないと思うんですよ、われわれの払っておる金額は。
  589. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 幾らですか。
  590. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) それは調べましたらすぐわかりますから。
  591. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 すぐ調べてください。——委員長、調べて御返事いただきたいと思います。
  592. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) それは調べましょう。
  593. 大谷藤之助

    委員長大谷藤之助君) じゃあ、早速調べて連絡してもらうことにいたします。
  594. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 これは総理、週刊誌の文春によりますと、毎月三百万円と出ています。それからサンデー毎日の調べでは、四十八年中は二百万円であったという調べが出ていますが、大体そのぐらいと伺っていいですか。
  595. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 調べてみます。
  596. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 そうですか。それじゃあそれは調べてからお伺いしましょう。それは電話ででもちょっと連絡していただけますか。
  597. 大谷藤之助

    委員長大谷藤之助君) 電話で——よろしゅうございますか。
  598. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) あなたの質問が終わるまでに調べます。
  599. 大谷藤之助

    委員長大谷藤之助君) できるだけ急いで。
  600. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 じゃあ、その御返事がくるまで他のことを御質問しますが、総理の資産として発表されましたもの、これ私もやはり信頼のおける不動産会社に調査を頼みまして、時価を鑑定してもらったわけですが、大体総理の資産が不動産だけで十億を超えるような調査結果が出ているわけですね。で、総理はもう三十七年間政治一筋に歩んでこられたといいますね。その間、別段あの田中総理のように営利行為はなさっておられないわけでしょう。私どもの常識では、政治をやって資産がふえるということはあり得ないわけですよ。どうして政治生活三十七年の政治家であるあなたが、それだけの資産というものを築き上げ得たのでしょうか。そのわけをお話しください。
  601. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) いろいろ御親切に私の時価をお調べていただいたようでありますが、私は不動産売買をやる気はありませんから、人に売ってどうという考えはないので、私自身が時価なんか調べたことはない。これは皆いずれも、終戦後の二十年、二十何年とか十何年とかそういうときに、私自身が自分の住んでおったところを売って、そして買いかえてということですから、何もそんなもうけるためにしたのでないし、その間、あなたの評価なさるように、非常に金額が多いとしたならば、その罪は地価の暴騰にある。(笑声)そうでしょう。私が二十数年住んでおったんですからね。それを売って、そうして買いかえるということになれば、非常にやっぱり差ができてきますからね、その間に地価が。だから、何も私は一坪の土地も一株の株も、営利のために売買したことはないんです。ただしかし、それが自然に土地の値上がりで、そういういろいろな御計算があるんでしょうけれども、そういうことで金をもうけようとは思っていないんですよ。しかし、年限が長いことたてば、そういう一つの評価に違いが出てきますから、いろんな御計算があるんでしょうけれども、しかし、いろんな借金もありますし、資産だけを公開したんですけど、借金もありますから、そんなに金持ちではないということを申し上げておきます。
  602. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 首相の資産が地価の暴騰で築き上げられたんだ、まあ新説を拝聴したわけですが、あとの質問はそれじゃ調べが済んでからにしまして、次の問題に移りたいと思います。  次に、田中金脈の問題についてお尋ねをするわけですが、これは国税庁長官を船長とする田中金脈調査丸は、もう港にそろそろ入ってくるのではないかと思いますがどうでしょうか。
  603. 安川七郎

    政府委員(安川七郎君) お答え申し上げます。  田中角栄氏その他の関連企業の調査につきましては、昨年十一月以来、約二十人のエキスパートを動員いたしまして、いわゆる見直し調査を続けてまいりました。調査の進行状況はおおむね順調に進行いたしまして、大体現在時点におきましては、そろそろ終結に近づいております。  個人関係につきましては、これは過年度分の申告期限の関係もございまして、事実上完結いたしております。それから法人関係につきましては、これは期限の関係は五月末のこともございまして、なお細かい支出の内容がございますので、引き続き机上の計数整理を続けておりまして、これは四月の上旬から中旬ぐらいには完結の段階に入ろうかと思います。総括いたしまして、現在時点におきまして、当初、各委員会で申し上げましたように、おおむね三月中にめどをつけると、こういうのは大体そのとおりに相なっておるわけでございます。
  604. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 大体終着駅に近づいたというお話ですが、実は三月八日の朝日新聞に、大体五億円前後で決着がつくだろうという趣旨の記事が載りました。ただそこに「今後、高度の政治判断と、数字の詰めによっては、なお、流動的である、」という注釈がついております。これは恐らく私ども全部の国民がやはり気にしておるところだと思うんですね。せっかく国税当局が一生懸命やっておるのに、大蔵大臣が上の方から圧力をかけ、それを牽制するというようなことがあってはならないはずですが、しかしそういうことがあるんではないかという懸念を実はわれわれ感じておるわけですが、大蔵大臣いかがでしょうか。
  605. 大平正芳

    国務大臣(大平正芳君) 少しも圧力をかけておりません。
  606. 安川七郎

    政府委員(安川七郎君) ただいま新聞の記事のことに言及されました。実は私ども非常に困惑いたしておりまして、内容につきましてはかなりずれがございます。  それから、ただいま引用なさいましたところでございますが、私ども本当に純粋に税法を適用し、さらにはいままでの世間一般の税の調査と全く同じように扱っておりまして、前総理であるから特に厳しく、あるいは若干の考慮を加えるというようなことは一切いたしません。通常の納税者並みに扱っておるわけでございます。そういうことにつきましては国税庁に全部お任せをいただいておりまして、個々のケースにつきまして大臣の御指示、あるいは大臣、上司の御指示を伺う、いただくということは一切いたしておりません。国会の関係で、御答弁の関係で、進行状況等は御報告申し上げますけれども、内容につきましては国税庁が一切お任せ願っております。したがいまして、新聞記事のように、何か事務的に出ました数字を高度の判断で左右するということは一切あり得ないことでございます。
  607. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 それが当然あるべき姿なのですが、それを国民が懸念するのは事実なんですね。そこでどうしてもやはり資料の公開という問題に移っていくわけですが、これについては昨年の臨時国会で政府の国政調査権と守秘義務に関する統一見解なるものが出ました。それによりますと、「守秘義務によってまもられるべき公益と国政調査権の行使によって得られるべき公益とを個々の事案ごとに比較衡量することにより決定されるべきものと考える。」というんですが、この場合、このケースで「まもられるべき公益」とは何ですか。具体的におっしゃってください、大平大蔵大臣。
  608. 大平正芳

    国務大臣(大平正芳君) 国税庁、国税官署といたしまして、職務上知り得た納税者に対する事項を公開することによって——申告納税制度に支えられておりまする税務の公正な執行というものを保障しようということがわれわれが守ろうとする公益なのでございますが、もし、職務上知り得たことを外部に漏洩するというようなことになりますると、納税者が税務官署に対する信頼を失うということになって、税務の公正な執行を損なうおそれがあるという趣旨から、所得税法におきまして守秘義務が設けられたものと私どもは解しておるわけでございまして、文字どおり、そういう意味で国税庁といたしまして税法の示す守秘義務を守ることが税務の公正な執行を担保するものである、これは偉大なる公益であると私どもは存じております。
  609. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 そうしますと、本件の場合は税務の公正な執行が公益ということになるようですね。ただ、その問題がまさに疑惑を持たれ、その問題が問われているわけですね。公務の公正な執行があるのかどうかということがいま問われているわけですよ。総理大臣が営利行為を営むということは本来の地位からいってあり得ないことなんですね。全身全霊を挙げて国民に奉仕しなければいかぬ者が営利行為を営むということは本来許されない。それを田中総理大臣の場合はやっておったし、しかも、それが脱税という疑惑を持たれているわけでしょう。そういう疑惑をそのままにしておったんでは国民の納税意欲というものも当然衰えますし、それから、何よりも税務当局への信頼それ自体が揺らぐわけですね、それを放置しておったんでは。ですから、行政権の行使が適正に行われたかどうかを明らかにすることが、内容をぶちまけて、そのほうがむしろ税務の公正な執行に対する国民の信頼を——それは田中さん個人の信頼を失うかもしれませんよ。だけど、全国民に対する信頼というものを回復するゆえんでしょう。田中一個人の信頼を失うことと全国民の信頼をかち得ることとどちらが大事なんでしょうかね。それから、国民の納税意欲というものをそういうことによって、ああそうかということを納得させることによって喚起することのほうが大事だと思いますが、どうでしょう、大平大蔵大臣。
  610. 大平正芳

    国務大臣(大平正芳君) 先ほど国税庁長官も申し上げましたとおり、田中さんは前総理大臣であられます。しかし、国税庁といたしましてはあくまでも一納税者として取り扱わさしていただいておるわけです。すなわち、田中さんであるから厳しくする、あるいは田中さんであるから甘くするというようなことはいたさない。一納税者として淡々と処理すべきものと心得ておるという態度をとっておるわけでございます。したがいまして、税法上の守秘義務にいたしましても、田中さんの場合は例外だというわけにいかぬと思うのであります。したがいまして、この守秘義務は、どなたであろうと税務官署といたしましては厳格に貫くべきものであると思うのでございます。  ただ、寺田先生おっしゃるように、国会におきましてまた全然別な角度から、一つの政治不信の解明という姿においてこの問題が取り上げられておるわけでございまして、これは全然別な法域に属する問題でございまして、したがって、この問題が本委員会を初めといたしまして両院を通じて問題になったわけでございまして、これにつきましては、いまあなたからも御紹介がございましたように、政府としての統一見解を申し上げておるわけでございまして、その申し上げておる趣旨は、この国政調査権と税法上の守秘義務、どちらが優先するかというふうな問題ではなくて、政府の見解は、これは具体的に個々のケースにわたりまして守られるべき国益と失うべき国益とを比較衡量いたしまして判断すべきものと心得ておるというのが、かいつまんで言うと政府の見解とするところでございまして、私どもそういうラインに沿ってこの処理に当たっておるわけでございます。  したがいまして、国政調査権を背景にいたしました国会のいろいろな御要請に応じましては、三木総理大臣も仰せになっておりますとおり、われわれとしては可能な限り御協力申し上げて事態を解明していただくことは私はけっこうなことだと思うのでございまして、できるだけ各委員会の御質疑に応じましてお答えを申し上げておるわけでございます。ただ、具体的な金額等々につきましては、守秘義務の命ずるところによりまして申し上げていないことは、これはこの事件を隠そうとかいうことでなくて、税法上の守秘義務の命ずるところそうせざるを得ない、そうする義務がある。また、そうしないと国税の公正な執行、有効な執行というものを担保することができない、そういう判断によっておりますことを御了解いただきたいと思います。
  611. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 また問題をもとに戻してしまったわけですよね。国税の徴収の執行を適正にするということは、それはもう初めからあなたおっしゃったわけでしょう。ただ問題は、その公益とそれから国民の疑惑を解くことによって徴税当局に対する信頼を回復するという問題とどちらが大事か、それから国民の納税意欲を喚起するためにどちらが大切かというようなことをいまあなたに問うたわけですよね。ところが、またもとへ戻ってしまった。もう一遍その点の比較権衡についてお尋ねをしますのと、もう一つは、統一見解では国政調査権をできるだけこの場合尊重するようにおっしゃっているわけですよね。この場合、尊重というのはどういう具体的な形であらわれますか。
  612. 大平正芳

    国務大臣(大平正芳君) たびたび私も各委員会におきましても御理解を得べく申し上げておるわけでございますが、本来国税庁といたしましては、多くの納税者の信頼にこたえて税を調査決定させていただいておるわけでございます。したがいまして、まず田中さんの税の調査決定に信頼が置けないと言われることは非常につらいことなんでございます。それではわれわれは、申告納税者だけで八百万の納税者がおられるわけでございますので、その一々について御信頼を置いていただけないということになるわけなんでございまして、したがって私は、まずわれわれの国税庁五万一千の職員の誠実な税務の執行について御信頼をいただきたい。その中には田中さんに対する見直し調査も含んで御信頼をいただきたいというのがまず私のお願いなんでございます。で、その御信頼のもとで、そして納税者の期待にこたえて職務上知り得た秘密は口外しないというたてまえでわれわれのこの申告納税制度に支えられた国税のシステムが権威を持っておるし、信用を持っておるわけでございますので、まあ釈迦に説法でございますけれども、寺田さんにその点はくれぐれもひとつお願いしたいと思うのでございます。  それから第二の、政府としては国会の御調査につきまして最大限の御協力を申し上げると、これは本件ばかりでなく行政府としてどの案件につきましても当然の行政府任務であると心得ておるわけでございまして、したがいまして、どの委員会におきましても、われわれとしては精いっぱいの御調査に対する御協力は申し上げておるつもりでございますが、ただ守秘義務の場合、国会は例外だと、あるいは裁判所は例外だという規定はないわけなんでございまして、私どもこういう制約のもとで、したがって、最大限度御協力申し上げますということを申し上げておるわけでございまして、田中さんの財産問題につきましてもいろんな角度から御検討いただいておるはずでございまして、私は大方この問題のありかという点につきましてはあなた御自身も見当がおつきになっておるんじゃないかと拝察するわけでございますが、なお今後もこういう問題につきましての私ども御協力は惜しみなく国会に差し上げなけりゃならぬと存じております。
  613. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 この場合どういう御協力、尊重していただけるのですか。この場合、本件の場合。国政調査に対する本件の場合に、どういう尊重が具体的な行為になって出るんでしょうか。
  614. 大平正芳

    国務大臣(大平正芳君) だから、各委員会におきましてこの問題が計議されて問題になりました場合、こういう資料は出せないか、こういうことは答えられないかという場合に、私ども与えられた立場におきまして可能なことは申し上げますし、可能な資料は出すわけでございますが、これは勘弁してくださいということも守秘義務の上から申しましてあり得るわけでございますが、それはもう重々あなた御承知のとおりでございます。今後もそういう態度で終始したいと考えております。
  615. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 こういうことについては協力しようということで協力していただいたことはほとんどないように思いますがね。だから、できるだけ尊重するという政府の統一見解は具体的な形をとって全然あらわれていないわけでしょう、そこをお尋ねしている。  それからもう一つは、私は国税当局が全国民に対する徴税の執行、それ自体を疑っているわけじゃないですよ。問題をはぐらかしちゃいけません。本件の田中金脈に対する調査についての疑惑があるということを申し上げているのですよ。どうでしょうか。
  616. 大平正芳

    国務大臣(大平正芳君) だから、田中角栄さんも一納税者として処理いたしておりますということを国税庁は申しておるわけでございます。それを私は御信頼をいただきたいということでございます。
  617. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 一納税者であれば問題は起きないんですよ。日本の政治的な権力を一身に集約している人、また道徳的にも指導力を持たなければならない人だから、この際国会が問題にしているんですよ。一納税者ということで問題になっているんじゃないのですよ。問題をはぐらかしちゃ困ります。
  618. 大平正芳

    国務大臣(大平正芳君) それでは、その人の地位、その人の身分によって税を左右しちゃいけないと私は思います。
  619. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 税を左右しろということを言っているわけじゃないですよ。プライバシーの保護は一般私人には大切でしょう。しかし、政治的な権力を一身に担っている人、公の人ですよ、公の権力者ですよ。ですからその人の資産も——三木さんは公開されたんでしょう。三木さん個人の資産を公開せいといっているんじゃないですよ。総理大臣、自民党総裁という栄職にあるがゆえに問題になったんですからね。ですから大平大蔵大臣、問題をはぐらかさないでいただきたい。
  620. 大平正芳

    国務大臣(大平正芳君) 守秘義務に例外はないわけでございます。総理大臣の場合は別だとか、国会においては別だとかいうことにはなっていないことを、たびたび私申し上げておるとおりでございます。
  621. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 一私人であれば、国会が取り上げることはないんですよ。それがいま申し上げたように、日本で最高の政治的な地位を占める公の人だから国会が問題にしているんでしょう。それだから、その疑惑を情らせと言うんですよ。
  622. 大平正芳

    国務大臣(大平正芳君) それはよくわかるんです。だから国会における御調査、御究明につきましては、最大限可能な限り行政府としては御協力申し上げますということでございます。われわれに与えられた権能の範囲内におきましては精いっぱいの御協力を申し上げておりまするし、今後もそういたすつもりです。
  623. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 協力申し上げるというその協力の内容は、当然資料の公開ということになるんじゃないですか。われわれに提示するということじゃないですか。
  624. 大平正芳

    国務大臣(大平正芳君) 個人の税額その他守秘義務で守られておるものにつきましては、せっかくの御要請でございますけれども資料として差し上げるわけにはまいりません。
  625. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 それじゃ尊重じゃないでしょう。委員長、ちょっと答弁が非常に、国政調査権に対して尊重いかんという問題、尊重の内容を聞いているんです。
  626. 安川七郎

    政府委員(安川七郎君) 先ほど調査経過とともに申し上げましたが、私ども第一次的には純粋に税法を適用いたしまして、純粋な税務の執行という立場で十分調査をいたしたわけでございます。しかし、本件につきましては国会その他の場におきまして、単に税の面だけではなくて、経済取引の面、あるいは社会的な面、あるいは政治的な面、さらにはモラルの面と、あらゆる多方面の御審議がございまして、私どもは税務の立場で純粋に仕事をいたしましたけれども、しかし、いま申し上げましたような非常に広範なあらゆる角度からの問題の雰囲気の中で、そういう問題を十分踏まえまして、さらに私どもの本務といたします税務の執行に十分力を用いたわけでございます。  そこで、私の現在の心境を申し上げますと、これは外部からも、また上司からも、いかなる方面からも、何らの陳情でございますとか御注文でございますとか、あるいはきつい言葉を申し上げますと、圧力というようなものは一切感じなかったわけでございます。言いかえますと、国税庁長官といたしましては、非常に自由に思う存分仕事ができたと、こういう感じを持っておりまして、したがいまして内容的につきましては、先ほど一納税者として扱う態度でまいったと申し上げましたけれども、しかしいま申し上げたようなあらゆる角度から御検討がございましたから、その調査の仕方というのは非常に綿密にいたしました。約四ヵ月間、二十人を動員いたしまして、これは通常のケースではとてもこれだけの勢力は使えないわけでございます。新聞報道につきましては、非常に厳格にというような表現が使われておりますけれども、私ども特に前総理だから厳格にという感じではございませんが、ただいま申し上げましたように非常に綿密にいたしまして、私どもとしましては、税務当局としてはほんとうに精いっぱい仕事をした、しかも自由にいたしたと、こういう結果になっております。直接寺田委員へのお答えにはなっていないかと思いますが、現在の国税庁の心境を申し述べて御参考に供したわけでございます。
  627. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 三木総理の返事が来たようですから……。
  628. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 先ほどの御質問の政策懇談会、これが私のまあ世間で言う三木派というものの団体ですが、それがまあほとんど使っておるわけですが、あの建物を、一カ月三百万円の家賃です。三木事務所も、その政策懇談会から一室を使わしてもらっておるということでございます。
  629. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 そうしますと、その三百万円の家賃は政策懇談会が支払っているわけですか。
  630. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) そうです。
  631. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 そうですね。そうすると、問題が非常に理解できない現象が起きるわけです。なぜかといいますと、千代田企業株式会社というのは、私どもの調べでは資本金が五百万円、で、払い込み済み株式が一万株ですね。これはお認めになりますか。
  632. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) そうだと記憶しています。
  633. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 そしてその全株を総理がお持ちになっているようですが、間違いないですか。
  634. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) あの私の事務所は、赤坂のを売って、あれを買いかえたわけですが、そのときにそれが会社であったわけですから、千代田企業という会社があったわけですから、その全株を私が買って、そしてそこも私が使うということになったわけでございます。
  635. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 政策懇談会の支払うものは政治資金でしょう、そうですね。政治資金が、首相の全株を持っていらっしゃる営利会社に支払われるというのは、どういうことでしょうか。
  636. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) それはどこでも、ビル買うでしょう。ビルを買えば営利会社になるんですから。いろいろな政治の事務所というものは、ビルを借りればそのビル会社に払うわけですから、やはり政策懇談会が借りておるのも、千代田企業の持っておる建物を賃貸借しておるわけでございますから、したがって千代田企業に払わざるを得ないわけです。
  637. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 法律的にはそうなんです。それは一個の私法人ですからね、人格は別だから。しかし、経済的に見たら、総理が全株を持っていらっしゃるのですからね、実質的には、総理、あなたの所有なんですよ、その千代田企業は。持っていらっしゃる全財産はあなたが所有していらっしゃると経済的には変わりないんですよ。あなたが企業からお受け取りになった政治資金を、結局あなた個人のポケットに入れていると同じことなんですよ。これ、どうでしょう。
  638. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 私の個人の金じゃありませんよ。それはやっぱり政治資金ですからね、私個人の金ではないです。
  639. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 いやいや、政策懇談会というのが政治資金を受け取って……
  640. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) ええ、そうです。
  641. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 それを私企業に払うわけでしょう。
  642. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) そうです。
  643. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 その私企業は、あなた全株を持っていらっしゃる、あなたの所有なんでしょう。
  644. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) いや、所有でも、そこはやっぱり、その会社がそのビルを持っているわけですから、そのビルを使わしてもらっているわけですから、それに対して適当な家賃を払うということは当然な経済行為に私はなると……。
  645. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 ですからね、問題は、法律的にはそれでいいんです。ただ、経済的には、あなたが全株を持っていらっしゃる会社というのは、その全財産は実質的にはあなたのものなんですよ。あなたがその全財産を、個人が所有していらっしゃると経済的には少しも変わりないわけです。片一方で政治資金を集めて、そして片一方であなたの私企業であるものに入れるというところに問題があるわけですよ。政治資金が個人の所有に転化しているわけです。
  646. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 会社というものは、やっぱり維持費もかかりますしね。だから、ただというわけにはいかないんです、人格が違うわけですから。したがって、その会社の持っておるビルを、相当大きな大部分を使うわけですから、政策懇談会が。だからその会社に対して家賃を払わなければ、会社というのはやっていけないでしょう。そういうことで、それも適当な家賃を、市価から見てみて適当であるという家賃を払っておるということでございます。あすこは、いろんないわゆる世間で言う三木派というものの集会もするし、あすこでいろいろ研究活動もやる場合が多いですからね。そういうことで非常に活用していると、それに対してやっぱり借り賃をその会社に支払っておるということでございます。全然こう一緒ということではないんですからね、別の人格でありますから。そういうことで、会社は会社として、私は役員でも何でもないですから、ちゃんと会社は法人としてやっておるわけですからね。それに対して借り賃を払うということは、それはまあ当然のことだと私は考えています。その間、何もややこしいことはないんですからね。そういうことですから、私はこれ自然のことだと思っています。
  647. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 おわかりにならぬようですね。そのビルは、実質的には、経済的に言うとあなたの所有になるわけですよ。法律的には千代田企業の所有ですがね。千代田企業というのは全株をあなたが持っていらっしゃるのだから、実質的にはあなたのものなんですよ。だから、結局政治資金があなたの個人のプライベートな金に転化しているわけです。金は当然改めるべきなんです。それでないと、片っ方で政治資金を集め、それは無税になるわけですからね。そして、実質的にはあなたのポケットにそれが入っているということと経済的には変わりないんですよ。当然改めるべきですよ。
  648. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) それが、家賃が非常に高いとか、何かそういうことならあれだけれども、ちょっと、やっぱり政策懇談会としても非常に場所もよろしいし便利ですから、むしろ政策懇談会があのビルを借りることによって非常に便益を受けておるということでして、何もそのことによって会社が、それは政策懇談会が入らなければほかの人たちに、場所がいいですから借りる人があるでしょうからね。
  649. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 あなたでない人が借りて払うなら構いません。あなたの政治資金からあなたに払っているから問題なんです。
  650. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 私って、政策懇談会というものは別な私に対しての後援団体ですから、やはり会長もおりますし、それで、私自身の何も団体というわけではない。私を応援してやろうという一つの団体で、別のやっぱり会長もおるわけですからね。だから、何も政策懇談会も私の団体、これもまた私の会社という、そういうことでやっているというんじゃなしに、それはそれでいいんですよ、政策懇談会が必要なければほかの人に貸せば、それはやっぱり皆借りる人は幾らでもあると思いますから。その間、何かこう疑惑があるんじゃないかというふうにはどうぞごらんにならないように、それは政策懇談会が使わなければほかの人は喜んでやっぱりあれは貸すことのできる場所にあるわけですが、政策懇談会が便利ですし、またそれがわれわれの仲間の政治活動の本拠になっていますからね。まあ便利でありますから、政策懇談会が借りているわけなんで、借りなければ、それはその会社としては喜ぶでしょう。もっと家賃の高いところに貸せることはできると思いますよ。何もその間、不正めいたものがあると考えることは、少し考え過ぎじゃないでしょうかね。そんなことはありませんよ。
  651. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 私は、あなたが率直に非を認めて謝ると思っておったんですよ。あなた政策懇談会とおっしゃるが、あの事務所に政策懇談会の看板はかかっていませんよ。三木事務所と、それから社団法人中央政策研究所と、それから番町会館と、それからもう一つは千代田企業が、板切れが張ってある。政策懇談会なんという看板はかかってない。あれが三木事務所であるということは、だれしも知っていることですよ。それを急に政策懇談会が借りているとおっしゃる。それはいいでしょう。しかし、ほかの者が借りて、ほかの者があなたの会社に払うなら何のことはありませんよ。あなたの団体が政治資金を集めてあなたの会社に払うから問題なんですよ。
  652. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) それは私からすれば非常にリーズナブルな家賃であったときには、それは何も、それがまた政策懇談会としてもそれによって非常に便利しているんですからね。ホテルなんかで寄らないのですからね。あそこでみんな寄ってするわけですから非常に便利です。それは政策懇談会があれによって非常に便利に使っているんですよ。もし政策懇談会が、それいかぬと言ったら、やっぱり相当な大きな人数の集まりになりますから、どこかホテルででも事務所を借りなければならぬということになるわけですね。政策懇談会としても、便利だから適当な家賃を払ってそしてあそこを借りているということで、これを私自身は何も悪いことでないと思うんですよ、そのことは。まあそれ以上のことはないわけでございますから、御理解を願いたいと思うのでございます。
  653. 寺田熊雄

    ○寺田熊雄君 あなた、物理的に便利だとおっしゃるわけですね。私どもは、政治資金とプライベートのトンネルが非常に便利だと言うのですよ。それがいけないと言うのですよ。それは世間の批判に任せましょう、時間がかかりますから。  独禁法問題に移ります。独禁法につきまして、総理、あなたは独占を排除するための企業分割はやはり断行されますか。
  654. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) いま政府としての素案をつくりまして、自民党との間に調整をやっておる最中です。それで、その調整が終わり次第国会に出したいと思いますから、いまは無論企業分割というようなものは入ってないことは御承知のとおりです。企業分割というようなものは、条項は入ってないことは事実でございますが、その法案はまだ党と調整中でございますので、党との調整をできるだけ早く終えて国会に提出したいと思いますから、国会においては、重要な法案でございますから十分御審議を願いたいと思っております。われわれのねらっておることは、自由経済というものにもルールがなければいかぬと。やっぱり社会的な公正な自由競争ができるような自由経済のルールをつくろうということが立法の精神であることは御承知のとおり。その内容については、まだ党と調整中でありますから、むしろこれが調整が終わって、法案を提出する段階でそれを詳細に申し上げることが、御審議を願う上においてその方がいいと思いますので、きょうは個々の内容には触れませんけれども、これは必ずこの国会に提出をいたす考えで、いませっかく党との調整を急いでおる次第でございます。新聞などをごらんになってもおわかりのとおりでございます。
  655. 植木光教

    国務大臣(植木光教君) ただいまの政府素案の中に企業分割は入っていないと、こういう御答弁がございましたが、企業分割という名前でこれが入っていないという意味でございまして、独占的状態の排除措置といたしまして、営業の一部譲渡という形でいわゆる企業分割が入っておりますことを申し上げておきます。
  656. 大谷藤之助

    委員長大谷藤之助君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  657. 大谷藤之助

    委員長大谷藤之助君) 速記を起こして。  寺田君の残余の質疑は明日行うことといたします。  明日は午前十時開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後六時三十三分散会