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政府委員(
木田宏君) 現在、
国立大学に研究所として設けられておりますのは、人文科学、自然科学等あわせまして約七十三か四かあったかと思います。それぞれ発生の経緯、歴史の古いものもあり、最近のものもありますし、専門領域ごとにその研究の態様が違っておるわけでございますが、大きく分けまして、研究所には三つの類型がございます。
一つは、特定の
大学の
医学部の
教育研究領域だけでは足りないために、特別の研究目的をもってつくり出された研究所でございまして、その
大学の所属教官の陣容を中心にし、さらに、その目的にふさわしい方をそこに入れて、
大学付置の研究所としてつくられたものでございます。
具体的には、若干の例を申し上げた方がいいかと思うんでございますが、たとえば、東北
大学の金属材料研究所、あるいは抗酸菌病研究所といったようなもの、東京
大学にも東洋文化研究所、社会科学研究所、新聞研究所、生産技術研究所と、もうたくさんこういったたぐいのものがあるわけでございますが、それらは、そこにその研究部門を担当しております研究者が研党活動に従事しておるわけでございます。しかし、こうした各
大学の特定目的の研究のためだけに設けられて、そこに勤務しております研究者だけの研究では、最近の大規模な研究
体制を進めるのには十分でないというところから、
昭和三十年代に入りまして共同利用の研究所というものをつくり始めてまいりました。
たとえば、一例を申し上げますと、東京
大学の原子核研究所、あるいは物性研究所、あるいは海洋研究所、さらに東京
大学でロケットなどを打ち上げております宇宙航空研究所といった性質の研究所でございまして、現在、東京
大学のほか、京都、大阪、名古屋、東京外大等あわせて十四の研究所が
大学に付置されておりますけれ
ども、共同利用の研究所という性格を持っております。これは東京
大学の教官のみならず、他の国公
私立の
大学の教官たちが一諸にそこへ集まってまいりまして、共同で研究
体制がとれるという性格のものでございます。スタッフの構成につきましても、そうした配慮をいたしておりますし、また、
運営上他の
関係者の参加を求めるという性格の研究所でございます。これらの共同利用の研究所にありましては、そこに常時常勤しております研究者のほかに、他
大学等から同じ専門の
関係者が集まって研究を進めておるわけでございまして、ロケットの打ち上げ等につきましては、相当各方面からいろんな工学、理学、天文学、そうした
関係の研究者が集まってまいりまして、共同に事柄を進めるということにいたしておるわけでございます。
最後の部類は、その
大学に付けられております共同利用研究所をもう一段発展さしたものでございまして、特定の
大学に付置しておきましたのでは、規模その他から見て必ずしも
運営が十分にいかない、こういうことのために、いま御
指摘のございました、
昭和四十六年につくりました高エネルギー物理学研究所を手始めといたしまして、極地研究所、国文学研究資料館、さらには民族学博物館、今回、御
審議をいただいております分子科学研究所のように、
大学に属さない独立の研究所を
大学の教官のために共同で維持
運営できるようにつくっていく、こういう研究所ができてきたわけでございます。
これらの新しい研究所は目下、建設の途上にございまして、高エネルギー物理学研究所が本年中に一応所期の
整備を終わって、そして共同研究の
体制に来
年度あたりから入れるという
状況でございます。したがって、今日までのところ、これらの共同利用の
実態というのは、思索の
段階での共同の姿というのは出てございますけれ
ども、研究利用面におきます共同というのは今後にゆだねられておる、こういうものでございます。
ちょっと長くなりましたけれ
ども、概況を御説明申し上げました。