○塚田大願君 こういうこのケースですね、こういう場合というのは非常に多いんですね、調べてみましたら。これはいわゆる農振計画の策定、つまり線引きですね、線引きがされる前に買い占められ、そして仮登記され、そして耕作が放棄されているというのは、これは大体調べてみますと、会社、いわゆる企業ですね、企業が圧力をかけまして線引きのときに農用地区域から故意にはずさしているというものがやはり非常に多いということです。これはもう各市町村の役場に行っていろいろ担当者に聞いてみますと、大体そういう点ではみんな同じことを聞かされます。いわゆる商社の圧力で線引きからはずさせられたと。こういうのが、いわば企業の悪徳商法のやり方でといえばそれまでのことですけれども、とにかくこういうやり方ではずさしたと。そしていわゆる農振計画上の白地の
農地を買い占めていった、こういうことなんです。そういう
意味では私は、単なる開発規制でなくて、いまも
局長もいろいろ言われたけれども、やはり厳しい規制ですね、行政上の指導が私は必要だと思うんです。とにかく相手が一筋なわではないわけですから、やはりそれに対応するだけの厳しい措置というものが必要だと私は
考えます。
そこで具体的な事例として
一つ申し上げたいんですけれども、埼玉県に騎西町という町がございます。御存じだろうと思うんですね、この問題は。ここでいわゆる仮登記の
農地の問題が非常に紛叫して今日に及んでおるわけであります。念のために若干事実経過概略を申し上げますと、これは埼玉県の騎西町の高柳地区という地域の
農地でありますが、ここは第一種
農地であります。その
農地が昭和四十五年から四十六年にかけて面積約四十八ヘクタール不動産屋によって買い占められたわけであります。
価格は坪単価約一万円。この不動産屋は東京千代田にある秀和株式会社という不動産屋であります。もちろんこの高柳地区だけではなくてその周辺も買ったわけでありますが、とにかく高柳地区で四十八ヘクタール買った。ところが問題は、もちろんこれは仮登記されてきたわけでありますが、問題は、最近になりましてこの不動産屋が地権者に対しまして、つまり地元の地主の農民の方々に対しまして、突如として契約解除を申し入れてきているわけです。ここに契約書もございます、解約の通知もここにございますが、とにかく突如としてここはもう
農地転用の許可がおりないと。埼玉県は、いま革新知事になりましてから非常に厳しい規制をやっておる、それで
農地転用ができない。だからこれはもう解約すると言って一方的に解約通知をよこしまして、そしてその契約に従って支払った
土地代金は全額返済せよ、返還せよと、こういう申し入れをやってきているわけですね。そこで、非常にこれが問題になっていま町としても頭を抱え込んでおる、こういうわけなんです。ずいぶん確かに得手勝手なことなんですね。
農地転用がむずかしくなってきたからもう解約する、こういう話。
ところがよく調べてみましたら、この
土地は大変いわくつきな
土地でございまして、この四十五年、四十六年の
土地の買収のときには町長、それから町
会議員、
農業委員会の事務
局長が収賄罪で逮捕されるという騒ぎが起きた
土地なんですよ。もちろん
農地転用の便宜を図るということでこういう収賄をやって、そして逮捕された。こういう
土地なんですが、当時のいろいろ事情を調べてみますと、当時の町長
——いまの町長じゃありませんが、とにかく不動産屋の
土地買収に対する推薦状、紹介状みたいなものをまいたり、そうして反対の
農家に対しては、
土地を売らなければ、おまえの
土地は町が接収をしてゴミ処理場をつくるぞ、なんというようなことで脅迫をして、そうして坪一万円くらいでたたき売りをさせると、こういうことなんですね。当時、役場に行って職員に聞いてみますと、とにかく当時不動産屋が役場の中をわがもの顔に歩き回っておったというひどい状態で
土地が買収されたわけです。ところが、今度
農地転用ができなくなったからといって契約を突如として解約してくる、こういうあくどいことが起きたわけです。この問題は当事者の農民としても、また町としても、これはどういうふうに処理していいかわからないという問題なんですけれども、いずれにしましても、こういう悪質な思惑買いあるいは投機が行われたことは事実なんです。しかも第一種
農地ですからね。こういう
土地買い占めなんかがなぜ起きたかという問題ですね、これはやはり私ははっきりさせる必要があると思うのです。
先ほど休耕地の問題で
大臣にお伺いしたら、
大臣はいろいろ
高度成長政策の中の問題だと、いろいろ原因はあるけれどもと、こういうふうにおっしゃっておったんだけれども、私はその問題について保留しておきましたのは、要するに単に
高度成長政策、もちろんこういう
成長政策が失敗したことは今日の時点では明らかでありますが、こういう
政策がとられたということと同時に、私はやはり
農林省として
考えなければならないのは、
農政上のやはり失敗ということをはっきりさせる必要があると思うのです。単に
高度成長で
土地ブームが起きたと、
労働力が流れましたと、それは現象にしかすぎないです。やはりもう
一つの側面は、
日本の
農政が、食糧は海外に依存すればよろしいという
政策をとり、そうして減反
政策を、
生産調整を押っつけてくる。一方また
農産物の
価格については全く
生産費を償うに足りないような
価格であるということから、
農業に対する農民の意欲というものをそいでいった、
一つ一つそいでいったという側面こそ私はこの
委員会で明らかにされなければいけないんじゃないかと。そうでなければ、
日本の
農政の
転換あるいは
日本の農作の
発展、食糧の
自給、こういうことは私はできないと思うのですよ。そういう
意味で、この点についてこういう悪質な
土地投機が行われ、そうして今日こういう問題が起きているということについての
大臣の
考え方をもう一度私は伺っておきたいと思うのですが、どうでしょうか。