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参考人(
板野學君)
お答え申し上げます。
先ほど御
説明申し上げましたように、過去の五年間につきましては相当の
伸びを示してきました。これは
わが国の経済あるいは対外貿易というものが非常に
伸びてきた、こういうことに従いまして
伸びてきたわけでございまするが、四十九
年度以降、いささかこの
状況がいわゆる高度成長から安定成長に変わりつつございまして、すでにその徴候はこの四十九
年度の実績にもあらわれておりまするとおり、先ほどちょっと
説明があったかどうか知りませんけれ
ども、
営業収支の面から見ましても、私
どもが
予定した
計画額に比しましても約五十億ぐらいの
営業収入がへっこんでおる、こういうような
状況でございます。したがいまして、今後の見通し、五十年あるいは五十一年以降につきましても、私
ども、やはりそう高い、いままでの過去五年間よりは高い
伸びはなかなかむずかしいと、こういうように考えておりまして、これもやっぱり安定した成長過程をたどるものと、こういうぐあいに考えております。
そういう意味合いにおきまして、この五十
年度におきましては、とにもかくにも私
どもに課せられた一番重要な使命が
サービスの
向上、特に
国際経済の
発展、
日本経済の
発展、あるいはその他の
国民の
需要に対しましてよりよい
サービスをするということが私
どもの
会社に課せられた使命でございまするので、これに対しまする
設備なり資金の
拡充投資というものは、これはどうしても私
どもはやらなければならぬ。
ただし、それをいたしますについても、先ほど申し上げましたように、非常に合理的な投資もするし、あるいは冗費がありましたらそういうものを極力抑制していくという方向をひとつ考えていきたい。それから
収入を増す、こういう点につきましても、私
どもサービスをよくすれば
収入は増してくるのだ、こういうような考え方を持ちまして、この増収の施策もそういう観点から新しい
技術を導入してやっていきたいというように考えておりまするが、ただ、最近の
利用の
状況というものがだんだん変わってきておるということに私
ども注目をいたしておる次第でございます。
その点の一つは、非常に
技術が高度化いたしまして、同じ一分間の
回線を——一分間ほどテレックスでも
電話でも
利用いたしましても、
技術が非常に高く、送る情報量は三倍にも四倍にもなるものですから、この
収入の平均単価当たりが非常に下がってくる、
収入減にこれはつながってくるという面が一つございます。
それから
需要は毎年安定して
伸びてきております。一二・三%ぐらいは、私、平均して
伸びると思いますけれ
ども、その
伸び方が大体東南アジアに集中しております。韓国、台湾それから
香港、シンガポール、こういうような方面でございまして、この
地域につきましてはいずれも低料金の地帯でございます。こういうような地帯につきましてもやはり人件費は
アメリカ通信と同じようにかかっておる、こういうことでございまするので、私
ども、そういう点につきましても、ひとつ今後の施策の中でいろいろ考えていかなければならぬ問題が出ております。
それからもう一点は、先ほ
ども申し上げましたように、やはり何といっても
電話というものが今後
KDDの
業務の中心になってきつつある。五年ぐらいの後には、大体
電話収入は半分、五五%ぐらいが
電話収入になる。ところが、なかなか何といいますか
電話の自動化という点を一生懸命これからやりまするけれ
ども、やはり交換要員を使ってこれをしなければならぬ、こういうところに非常にやはりコストがいろいろかかる、こういう面もございまして、物数は平均して安定的に
伸びまするけれ
ども、
収入の面はとかくそれに比例して
伸びていかない、こういう面は十分に私
ども考慮いたしまして今後施策に当たる。
ただし、これらの
国際通信事業の
発展というものは、一に従事員の非常な
努力それから働きというものに非常に大きな
関係がございまするから、私
どもといたしましては、この従事員の処遇、福祉という面につきましてもいろいろ考えまして、そうして能率の
向上になりますように、また、おのおのの個人の生活の福祉につながりますように、今後一層の
努力をいたしたい、こういうように思う次第であります。
お答え申し上げます。