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1975-06-05 第75回国会 参議院 地方行政委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年六月五日(木曜日)    午前十時三十七分開会     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         原 文兵衛君     理 事                 金井 元彦君                 安田 隆明君                 野口 忠夫君                 神谷信之助君     委 員                 安孫子藤吉君                 井上 吉夫君                 岩男 頴一君                 夏目 忠雄君                 赤桐  操君                 加瀬  完君                 小山 一平君                 和田 静夫君                 阿部 憲一君                 上林繁次郎君                 市川 房枝君                 福間 知之君    国務大臣        自 治 大 臣  福田  一君    政府委員        自治政務次官   左藤  恵君        自治大臣官房審        議官       石見 隆三君        自治省行政局公        務員部長     植弘 親民君        自治省財政局長  松浦  功君    事務局側        常任委員会専門        員        伊藤  保君    説明員        大蔵省主計局主        計官       名本 公洲君        大蔵省主税局総        務課長      伊豫田敏雄君        建設省道路局高        速国道課長    山根  孟君    参考人        日本道路公団理        事        吉兼 三郎君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○連合審査会に関する件 ○参考人出席要求に関する件 ○地方交付税法の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付)     ―――――――――――――
  2. 原文兵衛

    委員長原文兵衛君) ただいまから地方行政委員会開会いたします。  連合審査会に関する件についてお諮りいたします。  宅地開発公団法案について、建設委員会に対し、連合審査会開会を申し入れることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 原文兵衛

    委員長原文兵衛君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、連合審査会開会日時につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 原文兵衛

    委員長原文兵衛君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――
  5. 原文兵衛

    委員長原文兵衛君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  地方交付税法の一部を改正する法律案審査のため、本日、委員会参考人として日本道路公団理事吉三郎君の出席を求めることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 原文兵衛

    委員長原文兵衛君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――
  7. 原文兵衛

    委員長原文兵衛君) 地方交付税法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言願います。
  8. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 これから地方交付税法の一部改正法案についての質疑をさせていただきたいと思います。  最初にお尋ねすることは、地方行政の中で最大課題とされていることは、何といってもこの地方財政硬直化、この問題をどういうふうにしていくか、どうするか、これが最大課題と言ってこれは過言ではない。これは私が言うまでもないと思う。  そこで、これまた御承知のとおり、わが国経済が戦後長い間にわたって高度成長を続けてきた、そういう中でわが国地方財政というものも成り立ってきた。そして、御承知のようにあのオイルショック以来、高度成長から低成長へ、好むと好まざるとにかかわらず低成長への方向をたどらざるを得ない、こういう状況になってきたわけです。そういう中で、いつまでもやはり経済高度成長、またそれを基本とした産業基盤の上に立ってのいわゆる地方財政計画という考え方は、これはもう時代的に言って古い、また誤りとも言えると思います。  そこで、これからいわゆる低成長時代を迎えたこの時代において、これからの地方財政をどうしていくか。やはり新しい発想のもとにこれはスタートをしなければならないので、それでなければとうていこれからの地方財政硬直化というものを解決することはできないのじゃないか。こういう考えがするわけでありますけれども、これらの点について、自治省としては今後の地方財政、これをどうしていくかという点について、やはり抜本的な改革をしていかなければならぬと、こう思いますけれども、この点について、ひとつ大臣のこれからの地方財政のあり方についてお尋ねをしてみたいと思います。
  9. 福田一

    国務大臣福田一君) ただいまお話がございましたように、非常に重大な時局に相なってまいったわけでございます。したがいまして、新しい一つの考え方をもって対処していくというその根本の理念につきましては、全く先生考え方を同じゅういたすものでございまして、しからばどういうことをするかということになれば、まあ高度成長時代のように、給与水準ども、税の自然増収がふえるというような物の考え方で安易に人件費の問題を取り扱ってきたというようなことも考え直さなければいけませんし、それからまた、経費を出す場合におきましても、これは支出をどう重点化するか、効率的に使うかということも考えなければいけないわけでございまして、これを要するに、われわれといたしましては節度ある財政運営を図らなければならないと、こういうことでございます。  と同時に、国に対しましてわれわれは要求すべきものは極力これを要求して、そうして地方財政がいわゆる超過負担というようなことで圧迫を受けることがないような努力をいたさなければなりません。同時にまた、国と地方との事務の配分の問題ということもここで見直してみる必要があると思うのでありますが、これについては地方制度調査会でただいま御審議を願っておりますので、これらの点も参考といたしまして極力努力をいたしてまいる、こういう考え方で今後に対処してまいりたいと、こう存じておるわけでございます。
  10. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 いままで産業優先の姿勢によって産業基盤の整備というものが非常に進んできた。しかし、それに対して、言うならば生活関連、こういった問題、いわゆる住宅だとか下水道であるとか清掃であるとかというような、こういった問題が産業基盤の進み方に比べておくれておる。これは私が言うまでもなく、自治省としてもはっきり認めておられるであろうと思いますけれども、やはりこれからは低成長の中で福祉志向型、こういった方向で進めていかなければならないわけでありますが、したがって、いま大臣がおっしゃったようなことも含めて、やはり地方財政の新時代を迎えてのいわゆる長期財政計画、こういったものの策定というものが必要になってくるのではないかと思いますけれども、この点についてどういうふうにお考えになりますか。
  11. 福田一

    国務大臣福田一君) お説のとおりでございまして、高度成長に伴いまして非常に立ちおくれておるいわゆる福祉政策というものもございます。しかし、財源というものも考えなければいけませんので、それを実現していく場合に、先ほど申し上げたように、経費を重点的に使うとかあるいは効率的に使っていくとかというようなことをすると同時に、人件費等の問題も十分考えてもらい、そういうこともひとつやる。しかし、実際には、税収等はどうしてもそう多くを期待できないわけでありますからして、やらなければならないことはわかっておっても、それをやる計画を、いままでならば二年でやれるということであっても、これを三年にするとか四年にするとか、こういうようなやはり計画性を持って、しかも、当初の目的である福祉政策というものの実現に当たっていく、こういう考え方で臨んでいくべきではないか。私たちは福祉をここで等閑視するとか、それはどうでもいいという考えではもちろんございません。しかし、いわゆる収入といいますか、それに充てる経費がどれだけあるかということも十分考慮しつつ、今後の地方自治体財政運営はやっていただかなければならないのじゃないか、こう考えておるわけでございます。
  12. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 大蔵省では、昭和四十九年度税収不足となっている、これに伴って四十九年度における地方交付税過剰交付分、この精算を五十年度交付予定額から減額する――まあ非常手段と言うよりないと思いますが、こういったことを検討されておるということでありますが、この点どうなんですか。
  13. 名本公洲

    説明員(名本公洲君) ただいま先生御指摘の点でございますけれども、現在のところ、四十九年度歳入不足でいわゆる三税の歳入不足、それの三二%の交付税に見合う分といたしまして当初八千億弱程度になろうかというようなことが考えられておりましたけれども、これが七千五百五十億前後というようなところに縮まってきておりますが、これにつきましては、新聞におきまして、大蔵省検討に入ったとか、あるいは五十年度補正予算でそれを精算するというようなことが報道されておりますけれども、私どもの方といたしましては、まだ具体的にその検討に入っておるわけではございません。今後の経済事情財政事情等を見ながら、補正という段階が起こりました節に自治省当局と御相談をしながら検討をしてまいるという段階でございまして、現在すでに検討に入っておるという状況ではございません。
  14. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 昭和四十九年度のいわゆる税収不足、これは新聞等で大体わかっているわけですが、約八千億と、こう言われておりますね。そこで、それよりも多少減るかもしれない、こういうようなことが言われておりますけれども、これにつきましても、この不足について、歳出不用額だとか税の見直し分だとか、こういうようなことで八千億の手当てができるというふうなことも言われているわけですが、その実情をちょっとお聞かせ願いたいと思います。
  15. 伊豫田敏雄

    説明員伊豫田敏雄君) お答え申し上げます。  去る四月十五日に、大蔵大臣国会におきまして財政事情につきましていろいろ御説明申し上げました際には、昭和四十九年度補正予算額に対しまして税収は概算八千億不足するであろう、このように御説明申し上げたわけでございます。その際、八千億不足をする、ただ、国税収納金整理資金に関する法律施行令改正がございまして、これによりまして税の収入につきましての年度区分を改める。本年四月分にかかります分の一部を昭和四十九年度に所属させることにいたしました。その分が、いわゆる取り込み額とわれわれ申しておりますけれども、その金額が約四千億、したがいまして、八千億から四千億を引きまして残りが四千億、その四千億につきまして、これが予算より税外が余分に出た、あるいは歳出不用分をもって賄い得る、したがって、決算といたしましては赤字にならないで済むでございましょう、こういう御説明を申し上げたわけでございます。  で、ただいま申しました八千、四千、四千と申しました概数がただいまは次第に固まってまいりまして、ただいまの推計では、八千と申しましたのが七千六百八十六億でございます。いわゆる取り込み額の四千と申しましたのが四千三百三十億。ここに三百三十億ふえてまいりまして、差し引き四千億不足と申しましたのが三千三百五十六億、これが昭和四十九年度補正予算額に対する税収不足状況でございます。
  16. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 そこで、先ほどからお尋ねをしているわけですが、四十九年度地方交付税交付金、この減額がどのくらいになるのか、この点についてひとつ。
  17. 名本公洲

    説明員(名本公洲君) 先ほどお答え申し上げましたですけれども交付税減額分といたしましては、ただいま主税局総務課長からお答えしました数字によって計算してまいりますと、五百五十四億円という数字が出てまいります。四月に大蔵大臣が八千億という数字を申し上げました段階では、千億足らず、千億弱ぐらいになるのではなかろうかということであったわけでございますけれども、固まってまいりました段階におきましては、現在のところ五百五十億円前後ということになっております。
  18. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 そうしますと、いずれにしても五十年度交付予定額から減額するということになるわけでございますがね、その辺の問題、そこのところが聞きたいわけですよ。たとえばその辺の減額、いつごろの時期にこれをやるのかということですね。
  19. 松浦功

    政府委員松浦功君) 御承知のように地方交付税法規定がございまして、残余が出た場合も不足が出た場合も翌々年度までに精算すると書いてございまして、五十年度精算するということは、法律規定がございません。ですから、五十一年までに精算をすればいいのであって、これだけは、精算法律規定でございますから、私どもも免れないと思っております。これをいつやるかということになりますと、これは実際問題としては大蔵省と協議をするわけでございますけれども、こういう状況の五十年度に直ちに精算をすべきだということを確たる話として私どもはまだ承ってもおりませんし、われわれにも意見がございます。今後の地方財政状況を見ながら、現実地方財政に悪影響が及ばないように私どもとしてはこの精算を処理してまいりたいと、こう考えております。
  20. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 なぜこんなことを聞いているかと言えば、昨年の暮れ、昨年ですね、過剰分精算しちゃいましたね。いまの話からすればこれは翌々年でもいいわけですね。それを昨年やっちゃった、こういう例があるわけですからね。そこでいろいろと心配が起きてくるわけです。ということは、たとえば四十九年度過剰交付金が二千十六億ですね。そうじゃないですか――。二千十六億過剰分があるんじゃないですか。じゃ、その辺からひとつ……。
  21. 松浦功

    政府委員松浦功君) 四十九年度国税三税が予定より取れなかったことによって交付税が結果的に配り過ぎになっているという数字は、先ほど名主計官からお話がございました。私どもも五百五十四億というふうに承っております。
  22. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 そうすると、いわゆるいろいろな操作とかそういったことでなくて、全く過剰交付金が五百五十四億である、こういうことですね。この精算をどうするかということが問題になっておるわけですね。私がちょっと勘違いしておりました。  そこで、昨年の暮れの話ですね、昨年の暮れの交付税法審議の際に、四十八年度精算分二千六百九十一億円、これは本来なら五十年度に処理するということですね。それを一年繰り上げて措置した。これはいま申し上げたとおりです。そのときに私は、五十年度見通しがつかない状態の中でこの措置は非常に不安である、こういうことを申し上げたんです。松浦財政局長はこれに対して、大蔵省との折衝に当たりましては、必要だと思う額はぜひ確保したい、諸般の事情を見ながら約束どおり努力したいと、こういうふうに述べているわけですね。そこで、御承知のように、いま地方財政というのは、地方財政硬直化、非常に苦しい立場に追い込まれておるという、そういう中で昨年の暮れにこういった措置がとられたわけですけれども、そのときもこういうことを言っているわけです。  ところが、またこの分について即座に過剰分の処理をやられたのでは地方財政がますます苦しくなってくるであろう、こういったことが予想されるわけですけれども、そういう意味を含めて、私はこれを、この四十九年度のいわゆる精算分五百五十四億円については、これは当然諸情勢を踏まえた上で五十一年度精算ということにすべきである、こういうふうに考えるわけです。で、それに対して、その方向性としては、もちろん自治省はそういう考え方であると思いますが、大蔵省立場からすればどうなんだという、どうしてもいわゆる五十年度にやっちゃいたいんだということになるのか、その点を私はっきりできるものならばそれをはっきりしてもらいたいと思うし、この問題については、諸情勢を踏まえて五十一年度に向かって精算というその努力をしていく、こういうことになるのか、その点をもう少しはっきり聞かせてもらいたいというふうに思うんですが。
  23. 松浦功

    政府委員松浦功君) これからどういうふうに経済が動くのか、私どもにも定かでございませんので、非常にお答えにくい問題でございますが、私ども精算は原則として五十一年度で行っていただくべきだという考え方を持っております。その点では先生のお考えと食い違いがないかと思います。しかし、相手方のあることでございますので、ここでどうこうはお話もまだ全然しておりません、お答えはできかねますが、ただ基本的に、先生のおっしゃっておられることとうらはらになっている問題だと思いますが、現在、地方財政計画に計上してあります四兆四千億という数字は、私は本年度どんな事態が起きようとも、何らかの手段によってこれだけのものを地方団体に確保する、その決意だけはかたく持っておるつもりでございます。その点をお話し申し上げれば、仮に五百五十四億ことし返しても、別に五百五十四億手当てをすればいいわけでございますので、そういう基本方針を申し上げれば御了解をいただけるのではなかろうかというふうに私は思っております。
  24. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 いまおっしゃったように結論を出してもらったわけですけれども、そうなれば、あとどうこう言うことはないと思いますので、いずれにしても、地方自治体の期待に沿えるような措置自治省としてはやってもらいたい、責任ある自治省としてはですね。こう思います。  次に、昭和四十九年度税収額が大幅に見込み違いであったという、こういったことが言えるわけですね、八千億の税収不足ということは。で、五十年度における――いまの税収見込み違いということは四十九年度ですね。五十年度における三税の税収見込み、これはどうですか、これは見込み違いありませんか。いまの時点でありませんかと言っても、それははっきり言えないだろうけれども見通しとしてはどうなんですか。
  25. 伊豫田敏雄

    説明員伊豫田敏雄君) 五十年度税収の見積もりあるいは見通しにつきましては、四十九年度補正予算策定の際に用いましたデータを基礎に利用しておりますので、したがいまして、四十九年度において約八千億弱の税収不足を招いておりますので、その結果が五十年度税収に影響を及ぼすということは、これは否定できないことは申すまでもないと考えております。しかしながら、五十年度につきまして、それでは一体税収がどうなるかということにつきましては、まだ五十年度も滑り出したばかりでございまして、今後なお若干の日時をかけて経済状況その他見通しを見きわめてまいりませんと、五十年度についてただいま三税がどうのこうのということは申し上げられる段階にないということを考えております。
  26. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 これからの見通しについては全くわからないという、こういう御答弁ですわね。そういう答弁ですと先へ進まなくなっちゃうんです。一応私は私の立場仮定想定をしながら議論しているわけですが。  そこで、新聞報道等によれば、五十年度も九千億くらいの税収不足が生じてくるんではないか、こういうことが報道されているわけです。これは御承知のとおりだと思います。そういう危険性可能性というものはあるだろうと私は思いますね。そうしますと、もし――これは仮定になります。あなたがそれは申し上げられません、まだこれから先のことはわかりませんと、こういう答弁ですから。ですから、それを踏まえてどうこうと言うわけにいかぬので、やはり新聞等報道、これを踏まえて仮定というか想定というか、こういう立場で申し上げるわけですけれども、いわゆる九千億程度税収不足が出てくるということになりますと、地方交付税は当初の決定額、いわゆる四兆四千億、これに対して二千八百七十九億、正確に言えば。この程度の減になるということになるわけですね。そうなりますと、これは仮定で物を言ったのでは困るというふうに言われるかもしれないけれども、いま言ったように、四十九年度もいわゆる見通しを誤ったわけですよ。そうでしょう。ですから、五十年度もそういう心配があるわけです。だから聞いているわけですけれども、もし新聞報道等による九千億程度税収不足が生じた場合には当然、地方交付税は一応四兆四千億予定されているけれども、その中から、かつ二千八百七十億からの減になるということなんです。この点を、もしそうなった場合これはどうするかという問題ですね。どう手当てをするのかということです。これも局長がさっき話されたですけれども、そういう事態が生じても絶対地方財政が圧迫されるようなことのないようにやりますと、非常に抽象的ですがね、その言葉を信用しろと言えばそれまでのことですけれども、そういうことでなくて、こういった事態が生ずる可能性がある。もしこういう事態が生じた場合に、じゃどういう措置をとるかということ、これはわれわれとすればいまの時点心配になってくるわけです。これは何も根拠のないことではない。たとえば四十九年度もいま言ったように誤ったわけですから、五十年度誤りがないという――諸情勢を踏まえて考えた場合そういったことが言えるわけですから、この点ひとつ明確にお答えをいただければと思います。
  27. 松浦功

    政府委員松浦功君) 地方財政計画自体については本委員会でいま御検討をいただいておるわけでございますが、衆議院の方ではすでに御了解をいただいたという形式になっておるものでございます。したがって、これは政府として御提案を申し上げたものでございまして、歳入に見合う歳出はすべて必要であるというふうに認めたから財政計画が組まれておるわけです。したがって、歳出の中で削るべきものがあれば別でございますが、削るものがない限りは、交付税で二千八百億の穴があけば補てんをしなければ、財政計画もびっこになるということになるわけでございます。私どもとしては、先ほど来申し上げておりますように、どういう方法で措置するかは別にいたしまして、四兆四千億の交付税はどういう形をとろうとも確保したい、そういう形で大蔵省に強力に折衝すると、こういう気持ちでおります。
  28. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 これはしつこいようですけれども、いま自治省のいわゆる基本的な考え方はこうであるということが述べられたわけですけれども大蔵省もそれを十分受けてやっていくという決意はあるわけですな。
  29. 名本公洲

    説明員(名本公洲君) この点につきましては、いずれにいたしましても、補正予算が組まれるという状況になりました段階におきまして、自治省当局と十分御協議申し上げてまいらなければならないというふうに考えておるところでございますけれども、仮に先生がおっしゃいましたように、国税におきまして九千億、五十年度において自然減収が発生するということに相なりました場合には、国の一般会計そのものもどのようにするかという問題が一方で出てくるわけでございます。それと同時に、片方で公務員の給与改定の問題であるとか、あるいは災害とか、そういう追加財政需要もあるわけでございまして、国の財政全般といたしまして、五十年度一般会計というもの、現段階におきましては、大蔵大臣が何度か国会において御答弁申し上げておるところでございますが、それを忠実に実行してまいるというのが政府の責任であるというふうに大蔵大臣お答えになっておりますけれども、そういう方針で現在大蔵省としてはいるわけでございますが、現実税収がどのようになってくるかという段階におきまして、国の財政というものも考え、さらに見直してみる必要が場合によっては出てくるかもわかりません。そういう状況下において、国の財政地方財政というものがバランスのとれたものになるかどうかという点からも、私どもの方としましては勉強をしてみなければならないことに相なるのではないかというふうに思うわけでございます。  いずれにいたしましても、諸事情が明らかになり、補正予算を組まなければならないという状況に相なりました節には、自治省当局と十分御協議を申し上げてまいるというつもりでおるところでございます。(「局長が言ったとおりに、何とかやりますと、こういうふうに言えばいいんだよ」と呼ぶ者あり)
  30. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 それが言えないところに苦しさがあるだろうと思うが、まあ先へ進めていきましょう。  地方交付税率の引き上げということについては、毎年この地方行政委員会で取り上げられてきているわけです。先ほどから申し上げているように、経済高度成長時代から大きく経済が変動してきた、こういう中で、やはりこの地方交付税率の見直し、これが必要な段階が私は来ているというふうに思うわけです。そこで、御承知のように、先ほど申し上げたように産業基盤の整備ということについてはどんどん進んでいった。しかし、それに対して国民の生活関連の事業というものがそれに見合わない、おくれておる。これは大臣もお認めになった。そういう中で、これはやっぱり地方の自主財源として、地方交付税率の引き上げというのはもう当然その時期に来ていると、私はこう思うわけです。そういった地方交付税率の引き上げがあって、自主財源を確保させる。そのことによって今後の地方財政また地方行政というものが、それを基盤にしてまた大きく変わってくる、こういうことが考えられると思うので、もう、どう考えても私はこの税率を変えていく時期が来ていると思う。そこで、前々申し上げているわけですけれども地方交付税率を現在の三二%から四〇%まで引き上げるべきだと、こういうふうに私は思いますが、この点について、現在の時点を踏まえて大臣はどういうふうにお考えになっておられるか、この点ひとつお聞かせ願いたいと思います。
  31. 福田一

    国務大臣福田一君) 交付税率の引き上げの問題は、長い間の一つの課題としてわれわれとしてもそういう問題のあることはよく認識をいたしております。ただ、国の行政と地方の自治体の行政といいますか、その行財政というものは相関関係があるのでございまして、これをどのように見ていくかということは、私は政府全体の問題として考えなければならない問題であると思っておるわけでございます。しかし、それならば五十一年度にはどういう考えで臨むかということでありましょうが、それらの問題はやはり諸般の情勢をよく判断をいたしまして、実際にどういうような行財政の整備あるいは改革が行い得るか、事務の分担その他についてもいろいろの問題がございますが、そういうこととか、いろいろの超過負担の問題をどの程度に解消が実現できてくるかとかいうようなこと等も考えなければなりません。そういうことも踏まえまして、そうして最終的なわれわれとして自治省としての結論というもの、考え方を決めなければならないと思っておるのでございまして、ただいまの段階でそこまでの決意はまだ持っておらないというのが私の心境でございます。
  32. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 まあ大臣のいまの心境ですね、その心境ですということでは納得できないわけですが、御承知のように、この機関委任事務、これは先ほど大臣がおっしゃった。超過負担の問題もおっしゃった。いわゆる自主財源である地方税の締めつけ、枠をはめちゃった。こういう中で地方財政硬直化している。この問題が最大課題として、問題として取り上げられておる。これをどう解決していくんだ。新たな発想の上に立たなければ、これは解決できるわけない。ですから、こういう諸情勢を踏まえてみた場合、これからどういう方法によっていわゆる地方財政硬直化というものを解消していくのかという、この点をはっきりさしていかなければならない時期が来ていると私は思うわけです。  ですから、もし四〇%まで引き上げる心境ではないと、こう言うならば、これらの問題を、こういったことによって逼迫をしてきている地方財政をどう解決していくんだという解決のめど、方策というものを私は明らかにしてもらいたい、またすべきである、こう思いますけれども、どうですか。四〇%まではやれないんだというならば、それじゃどういう方法で解決をしていくのか。全部締めつけられたかっこうになっている。どうやって解決していくのか、何かいい、それ以外の特別な方法があるというならば私は納得しましょう。だけれども、それがないとするならば何によって解決していくのか、その点が心配になるわけですがね。
  33. 福田一

    国務大臣福田一君) 私が四〇%ということを申し上げましたのは、先生からそういうお言葉がございましたので申し上げたわけでありまして、私が申し上げておるのは、ただいまのところ、この比率を変えることを提案する考えはないということを申し上げたわけでありますので、ひとつ御理解をしていただきますが、しからば、どういうふうにしたらいいのかということでございます。われわれとしては先ほどから申し上げておりますように、今日五十年度地方財政計画というものを策定いたしまして、これに見込まれた歳入というものは何としても確保する決意であるということを申し上げたことは先ほどのとおりでございます。  しからば五十一年、今後の問題としてどうするのであるかということになりますと、不確定要素が余りにも多過ぎます。たとえば、今後の経済情勢がどういうふうに変化していくのであるか、あるいはまたわれわれは非常に心配をいたしておりますが、石油の値上げなどという問題がまた起きてこないのかどうか、物価の問題をどういうふうに見ていくか、いろいろ国民の生活の問題を考えますというと、他面、たくさんの問題点が今日なお存在をいたしておるわけでございまして、そういうような未確定要素が多い中において、ここでどうこの問題を処理するかということは、にわかに私は申し上げることはできない。その未確定要素のうちには、先ほども申し上げ、あなたもおっしゃっていられましたけれども超過負担の問題とか、いろいろのまた問題点もあるわけであります。地方の自治体においても、今後大いにひとつ努力をしていただかなければならない問題もあるしと私は考えております。そういうような未確定要素が多い段階におきまして、ここでどうするか、どう決めるかということをおっしゃっていただきましても、私としてはいまその問題についてお答えをすることは困難でありますということを申し上げたのでございますから、ひとつ御了承を願いたいと思います。
  34. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 大臣の、いわゆる四〇%まで引き上げるということについてはこういうことで申し上げたんだという御返事なんです、いまのは。で、私が申し上げているのは、地方財政硬直化しておる、その要素はいろいろある。自治省自治省立場での見方がある。われわれはわれわれの立場での見方がある。しかし、あれでしょう、地方税それ自体見ても、たががはまってしまったわけでしょう。ですから、そういう状態の中で何をもとにして地方財政硬直化というものを解消していくのかということなんですよ。それをこういう考え方を持っているんだという、政府に言わせれば給与が高いから給与を減らすんだという、それだけでは私は納得できない。もっともっと――そんな単純なものではない。あえて二回も三回も同じことを繰り返すのはいやだから言わないけれども、それは私は言わなくてもよくわかっているはずなんですから、そういうものを踏まえて、それではどういう方向に持っていくんだ、この財政硬直化はこうすれば解決できるんだという、そういうやっぱり見通しをはっきりしなければならない時代に入っておると、私はこういうふうに思うわけです。その点を私はお尋ねをしたわけでありますからね。
  35. 松浦功

    政府委員松浦功君) 御承知のように、財政計画におきまして必要な歳出を積算し、それに対する財源の裏打ちをして地方財政計画ができておるわけでございます。したがって、地方財政計画における歳入に穴があけば、大臣のおっしゃられるように何らかの措置でこれを補てんするということについて、私ども努力をする責任を負っておると考えております。先生がおっしゃられる御議論でございますと、財政硬直化というものは財源をふやせば直るんだというふうにあるいはおっしゃっておるんじゃないかというふうにも聞こえるのでございますが、財政硬直化という問題はこれは歳出面の問題であって、私は歳入面の問題であるとは考えておらないわけでございます。したがって、先ほどから大臣がおっしゃっておられるように、人件費等を中心とする各種の問題にメスを入れていただきたいし、また、国の責任として処置しなければならない超過負担等の問題については国で措置をする。これらの措置が両々相まって行われることによって財政硬直化というものが直っていくだろうと、こういう考え方を私どもとしてはとっておるところでございます。
  36. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 先ほど続けてお聞きをしようと思っていたんですが、これは一つ抜けたんですが、地方財政計画によりますと、歳入合計が二四・一%増ということになっているわけですね。この見込みについては狂いを生じてくる可能性はないのかどうか、この点どうですか。
  37. 松浦功

    政府委員松浦功君) 地方交付税の計上につきましては、これは御承知のように国の予算に計上されているわけで、国の予算に計上した金額は、国税三税がこれだけ取れるということを前提にして三二%掛けた額が載っております。したがって、国税三税に穴があけば地方交付税は減収になってくるということは出てくると思います。  それから地方税につきましては、先生方よく御承知のように、国の税金とは必ずしも違いまして、固定資産税のように、景気によって影響を受けないものもございます。だから、国よりは景気の影響を受けにくいとは思いますけれども、景気の動向いかんによっては、地方財政計画に計上した地方税まで税金が取れないという事態が起こり得ないという保証は私どもはないと思っております。
  38. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 そこで、なぜこんなことを聞くかと言えば、地方財政計画のこの見通しが誤った場合、それだけ収入減になりますからね。これらについてはどうなんですか、国としてはもしそういう事態が発生した場合どうするということですね、その点についてお聞かせ願いたい。
  39. 松浦功

    政府委員松浦功君) 先ほど来繰り返して申し上げておりますように、財政計画に計上をされた歳出が執行できるように、現在計上されておる財源は、形は変わりましても確保をするというのが自治省方針でございます。
  40. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 次に、事業所税がことしの十月から創設されることになりましたね。その中で、人口五十万以上の市で、政令で指定する都市で課税できるとされている。で、人口五十万以上の都市でも、地方税法による条件に満たない自治体、これが出てくるわけですね。これらの自治体がこの事業所税を、新しい財源という立場から法定外普通税、こういったことで課税する方針のようなんですよ。そういった動きがあるわけです。こういうことについて、自治省はこれらについて認める考え方があるのかどうかですね、これをひとつお答え願いたい。
  41. 石見隆三

    政府委員(石見隆三君) お答え申し上げます。  今回創設していただきました事業所税は、御案内のとおり、大都市地域におきます特別な財政需要に即応し得ますように、これらの都市に財源を付与しようということで設けられたものでございます。  その場合におきまして、これらの課税団体としまして一応人口五十万以上の市ということになっておるわけでございますが、いま御指摘ございましたように、人口五十万に満たない、いわゆる現在の法律上課税要件を備えておらない市におきまして、今後法定外普通税としてこれを創設をするというようなことになりました場合どうか、自治省としてどう考えておるかということだと思うのでございますが、この点につきましては、これらの五十万に満たない市で、そういうような市におきまして、いま課税団体となっております大都市地域と全く同様な事情がある、あるいはまたそのような税収を確保できる税源があるということが明らかであるという場合には、当該市からの申請を待ちまして、私どもとしましては、その実態も十分伺いながら市とも協議し、検討してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。まだ具体的にどこの市からということで私ども話も承っておりませんし、どういうふうな関係市でございますか、お考えを持っておられますか、十分承知いたしていないわけでございますが、今後そういう御希望があります場合には、私ども十分検討したいというふうに考えておる次第でございます。
  42. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 この前のときもこれが論議されたわけですけれども、五十万以上の都市ということが一応の対象になっておる。この前も、現在の経済情勢からいって、当然五十万以上という枠をはめちゃうのじゃなくて、もっと幅を持たせたらどうだ、こういったことを言ってきたわけですね。やはり都市のいろいろな実情がある、事情があると思う。三十万都市といえども、やはりそういう対象にしてもいいというような都市があるはずですよね。そういった見直しをやるべきじゃないかということについて、ある程度前向きの答弁があったと私は記憶している。その点についてどういう考え方が固まってきているのか、この点ひとつお聞かせ願いたい。
  43. 石見隆三

    政府委員(石見隆三君) 現在、先ほども御答弁申し上げましたように、人口五十万以上の市ということになっておりますが、この税を新しく創設いたしまするに際しましては、先ほど申しましたように、やはり人口、企業の集中に伴いまして、これらの企業が集積の利益を受け、あるいはまた都市の再開発の必要性が非常に緊急度が高くなっておるというふうな市として、立法いたします段階ではどこかで線を切らなければならないわけでございまして、そういう意味で一応五十万というところで切ったわけでございます。五十万以上の市というのは、そのような状況が非常に顕著であるという認識、あるいはまた、地方自治法によります政令指定市になり得ます条件も人口五十万以上ということになっておりますことも勘案いたしまして、一応どこかで線を切るとするならば五十万ということで切ったわけでございます。  ただ、この点につきましては、いま御指摘もございましたように、この人口要件を三十万あるいは四十万というふうにもっと緩和してはどうかという御意見も多々あったわけでございます。私どもは、これらの点につきましては、まだ、この法律自身が十月から施行でございますので、公布にはなっておりますが、まだ動いていないわけでございます。この事業所税の実施の状況なり、あるいはまた五十万以下の市の実態というものも今後十分見きわめながら積極的に検討いたしてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  44. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 そうすると、この事業所税の対象都市については、前々から――前々といっても先般でき上がったわけですがね。そういった幅を持たすべきだということについて、そのときと考え方がまだ全然変わっていないということは、まだ検討されてないということになりますね。それはどうですか、見通しとして。この前と全く同じ答弁なんで、見通しとしては、たとえばいま言ったように、三十万都市でもそういう事業所税の創設、その範囲内に、それを適用できるようにしてもらいたいという都市もあるわけです。ですから、端的に言えば、私は三十万くらいの都市からこれを対象にしてもいいんじゃないだろうかと、こういうふうに考えているわけです。ですから、その辺の全然そういったことが検討されていないのかどうかという問題。いま私が言っていることについては、十分そういったものも踏まえて、大体三十万くらいの都市を含めて検討がされているんだと、こういうことなのか。その点ひとつはっきりお聞かせを願いたいと思います。
  45. 石見隆三

    政府委員(石見隆三君) いまお示しの点につきましては、地方税法の御審議を賜りましたこの委員会におきましても局長から御答弁申し上げましたとおりでございまして、私もまたそのことをただいま重ねて御答弁申し上げたようなことになったわけでございますが、いま申し上げましたように、三十万以上あるいは四十万以上の市の実態といいますものもつぶさに検討いたしたいと思っております。と同時に、先ほども申し上げましたように、今回つくっていただきました事業所税がまだ十月実施でございますので、この新しくできました事業所税の実施の状況というものも見てまいりたいと思っております。そういうことも総合的に検討いたしまして、私どもとしましては、お示しにございましたように、課税団体を拡大していくということにつきましては積極的に今後とも検討してまいりたいというふうに考えておる次第でございまして、いま直ちにここで三十万以上あるいは四十万以上、そういうことにいたしますということを御答弁申し上げる段階にはさらさら至っていないわけでございますが、今後ともそういう方向への努力はいたしたいというふうに存じておる次第でございます。
  46. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 こういった地方財政逼迫という状態の中で、自治省地方財政の安定確保のために外形課税方式を考えている。この議論も前々から出てきているわけですけれども、当然外形課税にすべきである、こういうことをわれわれ言ってきたわけです。そこで、今後のこれに対する見通しをどういうふうに立てていらっしゃるのか、その点についてひとつお話しを願いたい。
  47. 石見隆三

    政府委員(石見隆三君) 御指摘の点は、事業税に外形課税を導入することについての御質問であったかと存ずるのでございます。この点につきましては、いまお示しにもございましたように、当委員会におきましてもしばしば指摘されてまいった問題でございます。あるいはまた税制調査会の答申におきましても、基本的には、この税の性格にかんがみまして、事業の規模あるいは活動量を的確に測定できるような課税標準、すなわち、たとえば収入金額等の外形基準を用いることがこの税の性格から見てより適切であるというふうな御指摘もいただいておるところでございます。しかしながら、この点につきましては、このように事業税に外形課税を導入いたします場合には、一体課税標準として何を使っていくかというふうな問題もあるわけでございます。あるいはまた、その外形課税を導入しました場合には、税負担に著しい激変が生ずることも予想されるわけでございまして、その辺の調整措置と申しますか、そういうものもどのようにとっていくのか。あるいはまた、とりわけ経営基盤が通常弱いと言われております中小企業に対する取り扱いをどうしていくのかというふうな問題等々もあるわけでございます。さらにはまた、この問題は企業課税に対しまする国、地方を通ずる基本的なあり方にも関連する問題でございます。私どもとしましては、事業税に外形課税を導入いたしますことは、税の性格から見ましても、あるいはまた地方税の収入の安定性という面から見ましても、きわめて好ましいことだというふうには理解はいたしておりますが、なお、解決されなければならない、いま申しましたようないろいろな問題点も持っているわけでございます。私どもといたしましては、今後とも引き続き税制調査会等の御審議も煩わしながら、できる限り実現への協力を重ねてまいりたいというふうに存じておる次第でございます。
  48. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 まだ見通しというところまではいっていないということですね、結局いまの御答弁ですと。好ましいのでそういう方向で進んでいきたい、こういうことのわけです。これは私はやっぱり早くそれに踏み切るべきである。いろいろ問題を踏まえなければならない、むずかしい問題はあるであろうと思うけれども、一日も早くそういったものを解決をして、やはり方向としては外形課税方式を採用する、そういったことに踏み切るべきである、こう思うのですよ。  逆にお尋ねしますけれども、たとえば私は千葉県に住んでおるので、千葉県を例にとってみたいのですが、千葉県の石油コンビナート、あそこには大手が二十八社存在しているのですよ。この二十八社のいわゆる法人事業税、これは幾ら納めているかおわかりになりますか。と同時に、それらの企業がどのような資本金で、どのような事業実績を持ち、どのような規模で、そういったことも踏まえた上で、どの程度の税を納めておるのか、これ、おわかりになっていますか。
  49. 石見隆三

    政府委員(石見隆三君) ちょっと手元に、いま具体の千葉県の石油工業に対しまする課税額といいますものにつきましての資料を持っておりませんものでございますから、御答弁御容赦いただきたいと思います。
  50. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 これは大臣もお聞き願いたいと思いますけれども、二十八社といま申し上げましたね。二十八社が、これ、ほとんどでなく全部、千円から六百円ですよ、それしか納めてないんですよ。あれだけの規模を持った大企業が、いわゆる県税、これを千円ないし六百円。こんなばかなことがあっていいんでしょうか。そして、そういう中で地方財政は苦しいんだ苦しいんだといって、そういうことが認められておる。こういう矛盾が私は許されていいわけはないと思うんです。ですから、たとえば個人にとってみてください。個人が給料もらって、幾ら赤字だなんと言ったってそういうわけにはいかぬじゃないですか。遠慮なく税金はかかってくる。企業だとそういう特別な、言うならば特別な措置が講じられている。それがいつまでもそういう状態に置かれておるということでは、これは国民は納得できぬと私は思う。そういう意味で、これはやはり適正な税が回収できる、こういった方法をとるべきである。それにはやっぱり何といっても外形課税方式を一日も早く採用すべきではないか、こういうことを言っているわけでして、その点ひとつどうですか。そういった資料がないから実態はわかりませんということでしたけれども、まあそういうことにしておきましょう。実態はそういうことなんですよ。ですから、そういったことを踏まえて、やはり考え方を新たにしなければならぬと私は思いますが、どうですか。
  51. 石見隆三

    政府委員(石見隆三君) お示しのように、現在の事業税あるいは住民税法人税割りにおきましては、特に事業税につきましては、特定の業種を除きましては所得課税をいたしておるわけでございます。したがいまして、当該企業におきまして課税所得が出なかった場合には、いわゆる事業税あるいは法人税割りが課税をされないということに相なるわけでありまして、いまお示しの額は、住民税の均等割りの額であるのではないだろうかというふうに理解をいたしておるわけでございます。  おっしゃいますように、確かに企業が企業活動を行い、あるいはその際に地方公共団体からいろんな受益関係を持つわけでございまして、したがいまして、そういう意味から、前段申し上げましたように、事業税に外形課税を導入することが事業税の性格から見てより好ましく、あるいはまた地方団体税収の安定性という観点から非常に好ましいものであるというふうに指摘をされ、私どももそう理解をいたしておるわけでございます。しかし、それにつきましては、繰り返すようでございますが、多々問題もあるわけでもございます。お示しの点は、私どもとしましては十分実態を承知いたし、あるいはまた理解もいたしておるわけでございまして、積極的な努力を今後とも重ねてまいりたいというふうに存じておる次第でございます。
  52. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 まことに大臣、申しわけありませんけれども、いまの御答弁はよくわかりますが、そういった全くの矛盾と言わざるを得ないと思います。やはり大臣としての立場でその点をどうお考えになるのか、ひとつお聞かせ願いたいと思います。
  53. 福田一

    国務大臣福田一君) この問題は、私はやはり高度成長をしなければならなかった時代の法制であったと思うのでありますが、今日こういう姿になってまいったのでございますから、ここいらでひとつこの問題をもう一度考え直すというか、検討をしてみる必要があるのではないか、私はそのように考えております。
  54. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 次にお尋ねするのは、国の機関委任事務の問題についてお尋ねしてみたいと思います。  法律が変わるたびに、この機関委任事務に対する事務量がふえていく。そこで、そういう中で、こういう面からも超過負担という問題が起きてくる、こういうことが言えるわけです。たとえば、これは新聞報道によるものですけれども、大阪市の外国人登録事務による経費負担の試算が出ていたわけですね。これを見ますと、四十八年度大阪市では三億六百万円かかったのに対し、国の交付金は二千九百万円であった。実に二億七千七百万円の差がある。これは地方自治体にとって無視できない数字です。こういった実態があるわけです。ですから、自治省としては、この辺もやはり国の機関委任事務に対する考え方、これをこの時点ではっきりすべきだと、こういうふうに私は思うのですね。こういう実例があるわけです。これは大阪市が一応この例にとられているわけですけれども、どこに行ったって同じですよ、その金額の大小の差はあったとしても。その点をどう理解していくかという問題が、やはり新聞にも報道されておりますし、その点ひとつお聞かせ願いたい。
  55. 松浦功

    政府委員松浦功君) 外国人登録の機関委任事務でございますが、これは地方財政法で、地方団体は負担をしない、全額国が持つ経費でございます。したがって、こういう差額があれば、それは私ども超過負担という形でこれをとらえております。超過負担の解消ということで努力をいたします。ただ私どもは、三億六百万というのが果たして標準的な支出であるのかどうか、これは具体的にその場に行って検討してみませんと、給与だけでも、恐らく財政計画上の単価よりは高い単価で計算されている。この数字自体についてはお認めするわけじゃございません。差額が出るとすれば、これは超過負担の問題として国が解決すべき責任があると、こういうふうに理解をいたしております。
  56. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 これは私は新聞報道そのまま申し上げたわけですね。当然、金額、それが妥当であるかどうかということは私にもわかりません。しかし、国の機関委任事務という、これが問題になっておるときです。ですから当然、皮肉な聞き方をするならば、じゃ大阪はこういうように二億数千万円のいわゆる超過負担があったということについて、その内容はどうなんだと、こういった点は超過負担にならぬじゃないか、この点は対象にはならぬというものを、もうはっきりとおつかみになっておるのかどうか、その点どうですか。これは意地の悪い聞き方かもしれませんがね。
  57. 松浦功

    政府委員松浦功君) 外国人登録については、実はまだ実態調査をしておりません。むしろこれよりもっと大きな問題があるだろうと思っておりまする統計調査、これについて大蔵省、それから関係省三省で共同調査に今年度入って、明年度においてこの問題の解決を図りたい、こういうつもりでおります。
  58. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 そこで、まあ二億数千万円国よりも多く出たということについてはいろいろな事情があるとは思います、これは。しかし、もともと国の機関委任事務に対する事務費といいますか、人件費というか、こういったものが低く抑えられておるということはないんですか。いまのお話ですと、その出っ張ったものについては、それは超過負担として自治省としては処理いたしますと、こういうこと。だから、結論的には何も迷惑かけていないんだ、こういったことになるかもしれぬ。しかし、地方の受けとめ方というのはそういうものではないわけですね。ですから、やはり当初からのこれに対する諸経費、これが、いわゆる国の基準というものが低いということが言われているわけです。当然そういった面があると思いますね。これを改める必要が私はあるだろうと思う。やはり超過負担の問題として解決するのでなくて、それ以前の問題として私は解決すべきである、それが正しいあり方ではないか、こう思いますが、この点どうですか。
  59. 松浦功

    政府委員松浦功君) 私が申し上げておりますのは、あるべき給与の積算の基礎というものに達しないような基準が使われているために超過負担が出てくる、その超過負担については国として処置をすべきだということを申し上げておるわけでございまして、大阪の給与の実態に合わせた形で基準をとるということは間違いであろう。先生と若干御意見を異にせざるを得ないと思います。私ども、あくまで国家公務員の給与水準地方財政計画上使っております給与水準までは必ず補助基準の中に入れてほしい、それまで達しておらない事例があるわけですから。現実に、去年調査をいたしました農業改良普及員では、約五号俸、補助基準の方があるべき姿より低くなっておりまして、これは各省の了解で二年で解消するということにいたしたわけでございますが、そういう格差が起きないように、自治省としては調査を行い、改めていくということをやってまいりたいと、こう思っております。
  60. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 大体その点、私の考え方お尋ねをしている趣旨を満足する答弁であるのかもしれませんけれども、言うならば、いままで機関委任事務に対する人件費のとり方にしても、これは低い、こう言われていたわけです。一律である。ところが、地方の実態はどうかというと、国から委任された事務、これを処理するために、それじゃ国で決められた給与、こういったものでもって全部賄い切れるのかというと、そういうものではないと思う。やはり、責任ある仕事を遂行するためにはそれ相当の人も置かなければならぬ。学校を出たばかりの人たちだけを集めてそこにあてがっておけばいいというものではない。責任ある仕事だけに、それだけやっぱり責任ある立場の経験者、そういった者も置かなきゃならない。当然これは給与は高い。ですからそういう中ではみ出しが出てくる。これは当然だろうと思う。その辺の配慮というものが私は細かくなされていかなければ、どんなことを言っても本当の解決にはならぬだろう、こういうふうに思うんです。そういう実態をひとつ踏まえなきゃならぬ。そういった実態を踏まえての、いわゆる改革というか、そういったことを考えていらっしゃるのかどうか、その点ひとつお聞かせ願いたい。
  61. 松浦功

    政府委員松浦功君) 実態を考えるということは非常に不適当な結果が出る場合が多いのでございます。と申しますのは、国のもっぱら利用する統計調査に要する経費は、地方財政法の十条の四で全額国が持つと書いてございます。一つの県庁に相当の数の方がおられるわけでございます。現実の職員は、どちらかというとわりあいお年を召した勤続年数の長い方が集まってしまうというような事例が、ある県で見られた事例でございます。そういう実態を基礎にいたしますと、国の補助基準、負担基準というものとは全然かけ離れてくる。府県の人員の配置の仕方によって結果が変わるようなことになることについては、これはやはりそれを基準に置くということは適当でないのであって、たとえば二十人の職員がいるならば、どのぐらいの経験者で係長クラスの方が何人、それからどのぐらいの経験者の方でこのぐらいの方が何人、やはり一つの想定を置いて、そうして国家公務員の給与水準においてどのぐらいの単価であるとかいうことを決めていかないと、府県のやり方いかんによってたくさん金がいくところと、たくさん金がいかないところが出てくる、こういう事態もあり得ると思います。したがって、私どもとしては、あくまで客観的に検討をして、各省で納得できるような基準を設ける、その基準における単価というものが差が出ないようにしていくということが自治省の務めではないか、こう考えております。
  62. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 確かにそういうむずかしさというものはあるだろう。だけれども、何でも古い人ばかりを置いていくという、それでいいんだというような考え方で必ずしも県がいるというわけではないと思うんです。やはり国から委任された事務に対して、これを責任をもって遂行するためにはこういう体制が必要なんだという、県は県なりの一つの基準というものを置いてこれに当たっておる、こう私は思うんですよ。ですから、そういう実態というものは国としてもよく踏まえ、いまおっしゃったように、投げやりなこれに対する県の姿勢、何か古い者だけほうり込んでおけばいい、そうすれば当然給与も高くなるのがあたりまえです。そんなずさんなやり方で超過負担が出たのだということはこれは許せないと思う。しかし、適切な状態の中でこれが運営されていくということ、こういう考え方がやはり必要であろう。そのためには、地方の機関委任事務に対する取り扱いについて、十分国と地方との話し合いというものがなされて、そして自治省としてもその実態というものをやはり踏まえなければならぬだろうし、いい面も悪い面も。そしていい面をやっぱり生かしていくという以外にないだろう、こう思いますので、その点をひとつ私ははっきりさすべきではないか、こういうことなんです。
  63. 松浦功

    政府委員松浦功君) ちょっと先生の御趣旨を誤解しておりまして申しわけございません。全国的なあり方、全国的な実態というものをある程度基礎に置いて、そうして平均的にかくあるべきであるという基準を想定をして、それでそこまでの単価は差が出ないようにしていく、こういうことにすべきだとわれわれは思っております。したがって、ある県については単価が高い、ある県については単価が低いというようなことになっては困るという意味で先ほどの御答弁を申し上げたので、ただいまおっしゃられた趣旨であれば、先生の御主張に私どもは全く同感でございます。
  64. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 これから道路公団の方に何点かお尋ねしていきます。  まず、道路公団、盛んに経済高度成長の中で高速道路の建設、こういったものが全国的に進められているわけなんだけれども、昨年の総需要抑制、こういう中でその事業がストップをしている、こういうような状態も起きてきているわけですね。  そこで私は、山梨県の例を踏まえてお尋ねをしてみたい。たとえば韮崎と勝沼間の中央高速道路の進行状況、まずその進行状況からひとつお話をお聞きしたい。
  65. 山根孟

    説明員(山根孟君) 中央道の主として韮崎-勝沼間の状況でございますが、ちょうど三十三キロございまして、整備計画の決定が昭和四十六年六月でございます。自後、建設大臣から日本道路公団に施行命令を出しまして、路線その他につきましての調査をいたしまして、四十六年の十二月から四十七年の九月に至ります間に路線の確定をいたして地元の方にお示しをいたしたのであります。その後、土地の立ち入り等の了解が得られまして、四十八年の二月から本年の二月にかけまして、中心ぐいを打設いたしております。一部、二キロばかりの区間につきましては、まだ地権者の同意を得られないために中心ぐいが打てておりませんが、一応中心ぐいが打てまして、この中心ぐいをもとにいたしまして設計協議をいたしておるというのが現段階であります。  今後の予定といたしましては、本年から、主として昭和五十一年度から本格的に用地の取得に入らしていただきまして、その後に工事の着手を図りたい、かような予定をいたしております。
  66. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 御承知のように地価の高騰、こういったことで、当然高速道路をつくるためには土地が必要だ、これは言うまでもありません。そこで、当時の土地のいわゆる高騰、暴騰という、そういう状態を踏まえて、やはり土地の先買いをやらなきゃならぬ、こういうような立場から、そういった土地の先買いを道路公団としてはやったわけですな。そこで、この区間における地元の方たちから買収する土地及びその関係世帯、これはどのくらいあるのか。土地と、それから国が、公団がいわゆる関係する、譲渡を受けなきゃならないその対象の世帯は、どのくらいあるんですか。
  67. 山根孟

    説明員(山根孟君) ただいま先生御指摘の点につきましては、設計協議をいたしておる段階であります。したがいまして、最終的な設計協議が調いますと、高速国道のいわば敷幅が決定いたすわけでありますので、その結果を待たなければ、一体どれだけの地積が必要であり、かつ何人の方々に用地の提供等をお願いをしなくちゃいけないかということが出ないわけでございます。  ただ、三十三キロでございますから、まあ平均的な高速国道の敷幅と申しますと、山地部、平地部、それぞれ環境問題その他で変わってまいります。まあ五十メートルとか六十メートルということでございますので、概略の地積は御推察いただけようかと思いますが、現在確定した数字を持っておりませんので、御容赦いただきたいと思います。
  68. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 私の聞き方がちょっと悪かったかもしれない。全体の、これから買収する土地を含めてどのくらいあるかということではないんで、それはまだこれからやることですから、結論が出ないと思う。いままでにすでにここはというところ、これはもうすでにどれだけの買収計画を立てられ、そしてそれらしき手が打たれておるか、こういういわゆる対象の土地また世帯というものがあるわけですね。それがどのくらいあるのかということ。
  69. 山根孟

    説明員(山根孟君) 具体的な数字でございますので、日本道路公団の担当理事の方からお答えをさしていただきたいと思いますが、日本道路公団の用地取得の一般的な形態といたしましては、設計協議が済みましてから具体的には進めるというのが通常の形態でありますが、しかしながら、先生御指摘のように、県当局ないしは市当局としては、なるべく早く手当てをできるところについては代替地等の取得をいたすことによりまして、円滑な推進ができるようにというようなお心遣いからいろいろ御協力をいただいているところであります。そういった観点から、何件かの代替地の取得をなすった方がいらっしゃるということは承知をいたしております。
  70. 吉兼三郎

    参考人(吉兼三郎君) お尋ねの韮崎-勝沼間中央道でございますが、関係いたします市町村が九カ市町村ばかりございます。この間の私どもの事業の進捗状況は、ただいま建設省から御説明申し上げましたとおりでございますが、お尋ねの、地元の地権者等で代替地を先行的に取得するということで進めておりますものが若干ございます。これにつきまして申し上げますと、先ほど申し上げました関係市町村のうちで、全体で七十九件ばかりございます。これの関係いたします、つまり代替地を取得いたしました面積が約二万九千平米でございます。  以上でございます。
  71. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 土地のいわゆる先買いですね、そのために道路公団や県から立ち退きを要請した対象があるわけですね、地権者に対して。その対象になった人たちが、もうすでにいままでに銀行や農協からお金を借りて代替地を求めている、確保している、こういう状態になっているわけですけれども、その金額及び関係世帯、これはどれくらいありますか。
  72. 吉兼三郎

    参考人(吉兼三郎君) 若干先生の御質問の点で、誤解と言うと失礼かもわかりませんが、ございますのは、私どもの方から立ち退き要請といったものを踏まえてのお尋ねかと私は伺いましたが、実はこの地域におきましては、先ほどお答え申し上げましたように、いわゆる中心ぐいというものを、高速道路の中心がここを通るというくいは打っておりますけれども、その設計協議をいたしまして、幅ぐいを打って、それから用地交渉に実は入るわけでございますが、まだそこまで至っておりません。したがいまして、全体として地権者がどのぐらいで、本線の用地がどのぐらいになるというところまでまだ工程が進んでいないわけでございます。そういった段階のものでございますが、関係する地権者の中で、また早く代替地を買っておきたいというふうなものがございまして、そういう関係者が代替地の手当てをいたしましたのが、さっき私が申し上げましたような件数、面積、こういうことでございます。
  73. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 いま道路公団の話によると、道路公団はそんなことは要請したことはないんだと、こういうふうに聞こえるんです。それは本当なんですか。要請全然したことない、県に対しても。そうすると、私の知った範囲では――あなたは、道路公団はまだまだ設計ぐいの段階だからそこまでいっていないんだ、当然立ち退きということについて、代替地を買ってくれとかそんなことについては言ったことはないんだ、それをやったとするならばだれがやったんだ、それは県がやったんでしょう、こういうふうな受けとめ方をせざるを得ないわけですけれども、道路公団は全然そういった点については関知をしない、こういうことですね、それじゃ。
  74. 吉兼三郎

    参考人(吉兼三郎君) 全然私どもが関知しないという事柄ではございません。無論私どもの出先の者も十分そういった状況承知をいたしております。ただ、立ち退き要請というふうな段階に工程が至ってない、つまり、私どもの方でそういう具体の土地をお譲りいただくという契約の段階まで至ってないという本件のケースであります、こういう意味でございます。
  75. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 じゃ実際に、地権者はいわゆる国の事業としてそれに協力しようと、こういう姿勢に立った人がいるわけですね、何人も。そういう人たちが、これは道路公団がもしやったんじゃないとすれば県がやったということなんだけれども、早く代替地を求める、その代替地購入の代金については幾らでもあっせんしましょう、こういうことで農協あるいは銀行から金を出したわけです。そして、その金によって地権者は代替地を買った、そういうことなんですよ。ところが、その利息、いわゆる金利ですね、金利についてはこうこうということで、県が何%――後から言いますが、市町村がどうである、それから地権者自体がどうであるとか、そういう取り決めがなされまして、そしていまだにその金利について地権者それ自体も金利を払っておる、こういう状態。ところが、昨年からの総需要抑制、こういう事態が生じてきて、いつ道路公団に自分の土地が買収されるのかわからない、こういう状況の中にあるわけです。ですから、実際に地権者が金利を支払うことそれ自体が大変な状態に置かれているわけなんで、こういう対象については、やはり一日も早く結論を出してあげなければならぬのじゃないか、こう私は思うのですね。これはいつごろに予定をしておるのか、これらの人に対する土地の買収、これはいつごろに予定しているのか、こういった点をひとつはっきりしていればお聞かせを願いたいと思います。
  76. 山根孟

    説明員(山根孟君) 中央道のこの区間は、いわば重点区間でございまして、前後、つまり韮崎から以西、勝沼以東につきましてはすでに工事も進んでおるという状況でございますので、建設省としましても、予算措置等につきましては重点区間として講じてまいりたいというぐあいに考えて進めてまいっておるところでありますが、先生御指摘のように、進度の調整その他、金利の異常なアップというようなことから、現実には全国的に用地の取得にかなり難渋を来しているのが実情でございます。しかしながら、先ほど申し上げましたように、当地区につきましては、本年度から着手いたしまして、来年度からは本格的に進めるという考え方で今後取り組んでまいりたいと思いますが、当面、本年度の取り扱い、特にただいま御指摘の代替地に関連する方々につきましては、いろんな事情もございますので、限られた予算ではございますが、何らかの措置を日本道路公団の方に検討させているところでございます。
  77. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 そこで問題になるのは、そろそろ問題が出てきたわけだけれども、やはり金利の問題ですよ。金利については、四十七年当時、もうこのころから始まっているわけですよ、この問題はね。四十七年当時に八・五%を基準にしている。そして県がその金利に対して、八・五%を基準にして五%は県が持とう、市町村が二%、地権者が一・五%、こういうふうに決めたんです。そして、しかし経済の変動で金利もだんだんだんだん高くなってきた。金利が上がったわけですよ。上がった分はどうなっているんだと。四十七年にはそういったことで決めたのだけれども、金利には変化があった。変化した場合にはどうだという取り決めがないですよ。その上がった分はどういうふうになっているんですか。
  78. 吉兼三郎

    参考人(吉兼三郎君) 山梨県は本件を処理いたしますために、御承知かと思いますが、「中央自動車道等代替地取得資金利子補助金交付要綱」というのをつくりまして、これに基づきまして利子の一部肩がわりを実施いたしておるようでございますが、この中身につきましては、私ども承知いたしておるところでは、いま御指摘のように県が五%、それから地元の市町村が二%、あと実勢金利との差は関係の地権者である個人が負担をするというふうなルールになっておるように私ども伺っております。
  79. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 ですから、問題は一つここにあると思うのですよ。四十七年当時に八・五%を基準にしたというのですな。そこで県の利子補給、市町村の利子補給、要するに地権者の自分自身が金利を払う、それが一・五%。ところが、金利が上がってきた。上がってきた分については何の取り交わしもないわけですよ。ですから、地権者はその上がった金利でもって自分がこれを負担をしておる、こういう状況にあるわけです。その上がった分をどういうふうに、最初の約束は約束として、一・五%はそれじゃ払いましょう、そのうちに道路公団が自分の土地も買収してくれるであろうということで、それで恐らくこれは承知しているはずですよ。ですから、一・五%以上の地権者の金利負担ということは、これは地権者は考えていなかった。ですから、その上がった分については何とかしてやらなくちゃならぬでしょう。こう私は思うんですけれども、この辺どうですか、どういうふうに考えてますか。
  80. 吉兼三郎

    参考人(吉兼三郎君) 私どもの方は、この関係地権者の分につきましては、こういう特殊事情でございますので、昭和五十年度におきまして本線の道路敷になりますところ、これを買収すべく予算上の手当てをいたしておりますが、目下私どもの出先の方で、関係公共団体を通じまして、地権者といろいろ用地買収につきましての事務的な手続きを進めている段階でございます。それといまの、すでに四十七年ごろから代替地につきましての県の利子補給云々につきましては、県と地権者の間におきまして話し合われましたところのルールに従って進めてきたものと理解をいたしております。その内容が、恐らく当時のスタートのときには、いまお話がありましたような金利の負担割合だったと思いますけれども、恐らく実勢金利が変わってまいっておりますので、県と市町村が負担いたしました残りは、これは地権者が負担されるものだというふうに私どもは理解をいたしておりますが、果たしてその県と地権者の間でどういうふうな話し合いなり取り決めがあったのか、これは私詳細承知をいたしておりません。
  81. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 これは道路公団の事業なんですよ。そうでしょう、道路公団の事業。それで、県がそれを道路公団に協力をしているわけです。言うならば、道路公団がすべてそういったものを踏まえて、そうしてこの高速道路の建設ということを考えていかなきゃならない立場である。そんなことは県が勝手にやっているみたいな言い方では、これは納得できないんですね。それはわかりません、県がやっていることだからわかりませんと。これはあなた方の事業ですよ。そのあなた方の事業を行うためにこういった問題が起きてきているわけなんです。言うならば、この道路建設に当たっての主体者である道路公団が、当然こういった問題を知っていなきゃならぬし、そういったいわゆる次元が変わってきた状態の中でどうすべきかという判断は生まれてこなけりゃならぬ。それだから無責任と言わざるを得ないじゃないですか。じゃ、その点はどういうふうになっているか全くわからない、こういうことですね、道路公団では。
  82. 吉兼三郎

    参考人(吉兼三郎君) 私の説明が非常に舌足らずでございましたが、御指摘のとおり、これは私どもの事業に関連いたしたものでございます。お尋ねの代替地につきましての利子補給につきましては、これは用地買収は、実は私ども山梨県に委託をしてお願いをいたしております。県が公団の委託を受けまして、実際のこの買収事務に関与していただくわけでございますが、そこまで至っていない段階でのこのケースでございますが、そういう利子補給分の負担割合につきましては、一応取り決めましたけれども、その後の実勢金利の変動に伴いましてどういうふうにそれがなっていくかということは、ただいま申し上げましたような点で私どもは理解をいたしております。五%、二%、それから残り一・五%と、そうした八・五%を前提にした場合のアロケーションは伺っておりますけれども、それが変わった場合に、アップした場合に、じゃそのアップした分をだれがどういうふうに負担するかということにつきましては、最終的に私どもはその辺をまだ承知をいたしておりません。これは調べれば、聞けばわかることでございますが、具体的にどうだ、どうするんだということのお尋ねに対しましては、いま私どもここでお答えするわけにまいりません。
  83. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 吉兼さんね、そういうことは調べればすぐわかることだって、そんな言い方はないですよ、これは。それはいけませんね、そういう答弁の仕方は。調べればすぐわかる、それはあなた方の主管の事業ですからね。それをわれ関せずみたいな顔してやっている。そういったことについての疑問があるから、いま質問をしているわけでね。私は一歩譲って地権者の一・五――いまは地権者ですけれども、これがだんだんいわゆる地方自治体に入っていきますからね。地権者が一・五%を負担するということについては、一歩譲って言うならば、これは納得の上なんです。納得の上、一歩譲って言うならば。だけれども、金利が上がったということについて、それについては何の話し合いもなかったんです。ですから、その上がった分は地権者が負担をしているわけですよ。そうでしょう。ですから、それは何とかすべきではないだろうか、こういうわけです。上がった分、それは何とかすべきじゃないかと。そういったことについて道路公団はどういう考え方を持っておるのか、こういうことなんです。
  84. 吉兼三郎

    参考人(吉兼三郎君) 私どもの方では、公団といたしましては、用地買収に当たりまして代替地等の先行取得につきましての利子補給的な制度は公団としてはございません。したがいまして、関係の県でこういうふうな問題を処理をしていただいているのが全国にも若干ございます。でございますので、そのいまのお尋ねの件につきましては、県の方で、その辺の金利が上昇した分、当初のスタートのときよりは金利が上昇した分についての負担をどうするかということは、山梨県御当局の方でよく関係者と御相談いただきまして適正な処置をしていただく、円滑な処置をしていただくというふうなことに期待をせざるを得ないというのがいま現在の実情でございます。
  85. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 そうすると、これまた県任せですね。県が負担をするということになるわけですね、いまの御答弁からすると。そうすると、いま五十年度に買収をしてしまいたいというこれらの土地については、こういうお話があったんですが、大体道路公団の事業をする、そして県や市町村あるいはまた地権者に協力を仰ぐという立場――まあ協力の仕方はいろいろあるだろうと思う。協力の仕方はいろいろある。ところが、財政的な金の面で、たとえばいま地権者の話をしているんですから地権者からいきますけれども、地権者が国に協力する、道路公団は国と思っていますからね、国に協力する。だから一・五%の利息は自分で払ってもいいと。これは大変な協力だ。いまどき珍しいですよ。自分が立ち退いて代替地を買うために金を借りた、その金利は自分が負担しようなんという、こんな奇特な考え方を持っている人は少ないんじゃないんですか。そこまで協力している。上がった分についてはその後は私は知りませんと――じゃ、上がった分を含めて、四十七年にこれ決まったんですからね、いままでその金利を払ってきた。そういう金利についてはどういうふうに処置する考えなんですか、これは。
  86. 吉兼三郎

    参考人(吉兼三郎君) 先刻申し上げましたような現在の用地取得の仕組みになっておりますので、先生お尋ねの、金利が上がった分云々について、それの財政的な後始末をどうするかということにつきましては、私ども公団自身は、そういうものにつきましての手当ての制度がございませんで、公団としましては、五十年度、契約をいたします本年度の適正な時価でもってその関係者の土地をお売りいただくというふうなことになるわけでございます。あと、代替地がらみのそういう金利負担云々につきましては、これは県と地権者との間の約束で、私どもこれは承知をいたしておりますけれども、スタートしたものでございますので、両者の間で円満に話をつけていただくというふうなことしかないんじゃないか、かように思うわけでございます。
  87. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 それは、こういうことしかないんじゃないかという言い方では納得できないんですよ。さっきから言っているように、道路公団の事業なんですからね。ですから、道路公団はそういう金利まで負担をするというようなシステムにはなってないんだ、だから払えないんだということでは、これは全くあれじゃないですか、しわ寄せを地権者にさせているということになるので、当然何らかの形でこの地権者に対して、いままで一・五%または金利が上がって三%あるいはそれ以上払っている人もいるわけで、そういったもの一切合財を含めて、これは協力をしてくれたんですからね、当然それに見合うものを私は道路公団として支払うべきである、こう思うんですよ、何らかの形で。そんなのできませんと言うんですか、やっぱり。
  88. 吉兼三郎

    参考人(吉兼三郎君) 御趣旨はよく私どもわかりますので、ただ、本席で具体的にどうするというようなことはちょっとお答えいたす心準備もございませんので、早急にひとつ山梨県と協議をいたしまして、この後始末をどうするか、措置をしてまいりたいと、かように思っております。
  89. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 じゃ地権者に対しては、山梨県と十分話し合いを進めた上で、それでこの地権者の金利については今後どうするかについて決定をしていきたい、こういうことですね。  そこで今度は、山梨県ないしはそれに関係した市町村、これがそれぞれ山梨県は五%、それから市町村が二%、それから地権者が一・五%。県が負担をした五%という金利、それから市町村が負担をした二%という金利、これはどういうことになりますか。
  90. 吉兼三郎

    参考人(吉兼三郎君) 県と市町村が負担いたしました金利相当分につきましては、これは私どもの方でこれを補てんするというふうな実は制度が現在ございませんものですから、というふうなことになろうかと思います。
  91. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 こういうことを言っているんですよ。吉兼さんにきょう来ていただいたのは、やっぱり公団の責任ある立場として私は来ていただいていると思っているので、ですからそのつもりでお聞きもしているんですね。で、一説によりますと、公団側はこれらの金利については、たとえば県、市町村に対する金利、これは特別交付税で見ると、こういうようなことを公団で言っているというんですよ。これは確かな筋なんですよ。こういったことができるんですか、特別交付税で。
  92. 松浦功

    政府委員松浦功君) できません。
  93. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 そうすると、これはごまかしじゃないですかね、もしそうだとすれば。その点、県が負担をしている五%、市町村が負担をしている二%、これはどうしますか。
  94. 吉兼三郎

    参考人(吉兼三郎君) いま公団の方で特別交付税云々というお話がございましたが、実は私どもそれは承知をいたしておりません。したがいまして、これの最終的な始末につきましては、山梨県並びに関係市町村の方で財政的な措置をしていただくより方法がないのじゃないかと私ども思います。全国でも若干これに似たようなケースの県がございますが、こういうケースにつきまして、現在のところ私ども公団として特に打つような手がございませんものですから、非常に取り扱いに苦慮をいたしておりますが、現在のところではそういうふうな措置をしていただくということしか方法はないのじゃないかと思います。
  95. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 県の要綱によりますと、これは三年を限度にしているんですよ。四十七年ですと、もう三年ですよ。そうして三年を過ぎようとしている人も中にはある。これは期限が切れたら、金利はもうそのままがっぽり地権者にかかってきますね。こういう問題、どう処理しますか。
  96. 吉兼三郎

    参考人(吉兼三郎君) 三年を限度ということでスタートしたようでございますが、確かにおくれてまいっておりますので、本年度分はさらにその制度を延長しまして、利子補給制度を続けると、こういうふうに県当局考えておるように伺っております。
  97. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 内容はどういうような内容ですか。
  98. 吉兼三郎

    参考人(吉兼三郎君) 要綱の期限を、三年を一年延ばすというふうな内容かと承知しております。
  99. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 それじゃ、さっきから言っているように金利は上がってきているわけですね。そういった問題はもう全然それには関係せずに、ただ要綱の期限を延長するというだけなんだ、こういうことですか。それで、金利が上がった分を地権者が払っている。その分はもう地権者に払ってもらうんだ、こういうことなのか。私がちょっと聞くところによると、いわゆる一・五%を超えた三%を払っている人がいる、三%以上を払っている人がいるわけです、現在。その一・五%を上回った分についてはなおかつ県がそれはめんどうを見ようと、こういう話になってきておるということを聞いているんですが、公団はそういうことを聞いてないですか。
  100. 吉兼三郎

    参考人(吉兼三郎君) 私どもは、今日現在の時点でまだそういうことを伺っておりません。
  101. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 大臣、こういうふうに県が金利を、いわゆる道路公団の事業に協力するために県が地権者に対してこの利子補給をする。制度としてはあるかもしれない。条例の中にそういうものがあるかもしれない。しかし、道路公団が事業をする。いまお聞きでわかっているように、全部県任せですよ。何一つとして満足な答弁を得られない。責任ある答弁が得られない。全部県任せであります。そして、もうすでに県は五千万円以上の利子補給をしているんですよ。財政硬直化、その原因は何だということが盛んにいま議論されている真っ最中に、この地方財政硬直化をどうしたら解決できるかという、これがわが国においての最大課題である。そういう中で、道路公団は全部ほおかぶりをして地方自治体にその余分な金を使わせている。しかも、どれだけ使わせているんだかわからないような答弁しか得られない。どうなっているんだかわからない。そんなことが私はいまどき許されていいのかどうか。これは当然、県が利子補給したものについては道路公団が責任を持って――そういう制度はありません、そういうものに対して支払う制度はありません、こんな一点張りでは、全く地元を無視し切った、いわゆる親方日の丸的な考え方、こういう考え方と言わざるを得ないので、いまどきそんな考え方ははやりません。そういうことで、自治省としては、そういう余分な金を支出しているんですが、このことについてどう公団に対して手を打たれるのか、この点ひとつはっきり自治省立場大臣から明確なお答えを願いたい。
  102. 福田一

    国務大臣福田一君) いろいろお話を承っておったわけでございますが、道路公団が仕事をすることについて、県が協力するということで県がやった仕事であれば、県の意思でやったのでありますから、県が全部責任を負うべきものでございます。ただし、そのときに県が道路公団に対して、こういうことをしてもらいたい、もしそういうように、たとえば金利の負担はあなたの方でめんどう見てもらえるのかどうかということを言って、それで道路公団がわかりましたということを言っておったとすれば、これはそういう費目があるなしにかかわらず、これは道路公団の責任だと私は思います。しかし、そういうことなしに、私が協力いたしますということを県が言って、そうしていろいろ地元の人との間にその契約をいたしておるのならば、それは県の責任であろうかと私は存ずるのでございます。そういうようなことをやったことによって地方財政に悪影響があるということは、これは特殊な事情でございまして、一般的に事をやったことでその地方財政が窮乏しておるということになれば、またわれわれとしても、自治省としても考えなければならないかもしれませんが、何らそういうことについてわれわれは通告を受けておったわけでもなければ何でもない。そういうことを、一々の地方の自治体が特殊な行為をしたことを一々持ってきて、そうして自治省で処理をするということは、原則として私は非常に困難ではなかろうかと存ずるのでございます。  しかし、問題をいまつまびらかにいたしておりません。まあ一遍、県とどういう事情であったかということを公団の方で調べてみるということでございますから、そういうような問題が明らかになった暁においてわれわれとしての態度を申し上げるのが素直なことではないかと思うのでありますが、事実がまだはっきりいたしておりませんので、ただ私は一般論として申し上げたと御理解を賜りたいと思うのであります。何らかのそこに契約関係あるいは交渉関係があったといたしますならば、これは責任はやはり、支出ができるできないの問題は別として、それは私は国として問題を考えてみなければならないのではないかと、かように思っておるわけでございます。
  103. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 私から言わせますと、大臣の御答弁は道路公団を保護するような、そういう答弁にしか聞こえないんですよ。大臣がどういうふうにお考えになるか、それはまた大臣の自由ですよ。私はそういうように感ずる。ですから、いままですでに行われている機関委任事務問題にしたって、そのほか超過負担の問題にしても、国がこれはめんどう見るべきじゃないか、地方に任せるべきじゃないということで、そういう方向には国もなってきた。だんだんだんだんと国がやはり責任を持とうという姿勢が明らかになってきたわけです、まだ満足と言えないけれども。そういう中で、いま大臣答弁によりますと、県がこういうふうに言ったのならばそれはやむを得ないじゃないか、こう言ったのだったら道路公団に責任があるとか、そういう問題ではなくて、これはもうたとえどれだけの金としても、私は道路公団が高速道路をつくるためにそれだけの用地が必要だというならば、一切合財を含めて道路公団が責任を持つべきだ、そういうふうに明確にすべきだ。それを地方公共団体に金を出させるというような行き方はこれは邪道だ、間違っている。特にいまの時点から言うなら、それは強調できる問題ではないかと、こういうことなんです。  ですから、そういう考え方が私は甘っちょろいと。そんなことだったら何でも許されちゃうということになっちゃいますのでね。だから、少なくとも自治省としてはそういう行き方はうまくないと。やはり地方公共団体から国が金を出させるというこういうあり方、それはどうしてもそうせざるを得ないという問題も私はないとは言いません。だけれども、道路公団という立場、そして、一つの経営じゃありませんか。最近高速道路の値上げなんか大変なものです、すぐ回収できちゃう。そういう立場の道路公団が事業を施行する。それに対して県や市町村が財政逼迫の中で金の面まで協力させられるという行き方は、これはやはり私は納得できない。だから、言い方はいろいろあると思います。いろいろあると思う。だけれども、県だって、たとえ幾らの金でも余分なことに使うということは、それは好むものではないということは当然なことです。ですから、当然県がそういうふうに利子補給をするというふうに踏み切ったこの背景には、やはり道路公団との話し合い、道路公団がそうさせてくれという、さっきから言っているように、うちの方ではそれを払うようなシステムにはなっていないんだからというので結局県に押しつけたという形じゃありませんか、さっきからの話からすれば。そんなことが私は許されていいのかどうか。自治省としてはそういうものをなくすという姿勢でもっていくのか。これからもそういったことは県の独自性に任せるんだと、そういうことだけはこういう姿勢をとるのかどうかという問題。  この前に私は、まだ現大臣福田大臣でなかった、どなたのときだったですか、国鉄のやはりそういう問題を取り上げました。それはもう好ましくない、そういうことはやめさせなきゃならぬということをはっきり明言したです、そのときは。そういうことを考えれば、この問題も内容においては何ら変わりはない。ですから私は、こういった問題はもっと突っ込んだ自治省の明らかな――そういう、言うならば余分なものです。だから、さっきから私が言っているように、何から何までそういうことはできないんだと、こういったことを言っているのではない。少なくとも道路公団という、この存在というか立場というか、また事業の内容というか、こういうものを踏まえて考えると、当然これは県に負担さすべき問題ではない、こう私は思うんです。もう一回その点をはっきりさせてもらいたい。
  104. 福田一

    国務大臣福田一君) 私は、地方公共団体の行う行為というものの場合には、地方公共団体の長あるいはそういう人が契約を結んだという場合に、必ず三年後にはそうなるという、間違いなくやれるんだと思ったところに一つの間違いがあるわけなんで、そういうことまで全部を、そういうことをやった責任を自治体が国の方へ持ってくるというのは私はいかがかと思う。やっぱり行為をやるときには責任があるんです。いろいろの問題を想定して考えておかなければならないと思うのでありまして、そういうようなことはその当時は考えなかったかもしれぬが、そういうことをする場合には、私は知事としては、もしうまくいかなかったら一体公団はどうしてくれるのかというちゃんとした根回しをしておくべきなんで、そして口約束では困ると思ったら契約を取り交わしておく、それくらいの配慮をすることが善良な管理者の注意といいますか、地方の自治体の責任者になればそれくらいのことは私考えてしかるべきではないか。今日になってそういう事情が変わったからといってそういうことが出てきたということでありますれば、これはいまあなたがおっしゃったようなこともよくわかりますから、実は当初はそういうつもりでなかったが、何か工夫がないかと言って、よく公団と相談をしたらいいと思うのでありまして、それだからといって、そのこと自体を法理論的に取り上げて責任論を云々するということは、私はこれは非常にむずかしいことではないかと思っております。私は、こういう種類の仕事をやることは、国の仕事に協力したものは、何でもこれは地方自治体が協力した場合には契約のあるなしとかあるいは話し合いのあるなしにかかわらず国が責任を負うべきである、こういう原則を立てるのはいささか無理ではないだろうかということを申し上げておるのでありまして、この種の問題は今後も起こり得ると思いますが、そういうときには、国の方も、それから地方自治体の方もそういうことを十分配慮した上で、そうして住民にも迷惑をかけないような方途を考えて契約をするとか、あるいは何らかの話し合いをつけておくというようにした方がいいのではないかと、こう私は考えておるのでございまして、あなたが非常にこう地方自治体あるいはまたその住民の負担が多くなった面に御努力というか、同情と申しますか、その方を余りいじめてはかわいそうじゃないかというような意味でおっしゃる気持ちはよくわかります。その点はわかりますけれども、しかし、この段階において、従前にそういう話し合いがあったのならばこれは公団が責任を負うべきである、もしその話し合いがなかったということであれば、これは県が責任を負うべきであると、こう私は考えます。
  105. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 大臣、そんな答弁では本当は納得しませんよ。それはお話です。子供だましみたいな話ですよ。そんなことは。現実の問題はいま申し上げたとおりなんです。大臣がそう言うならば、大臣は何も知らない立場で話をしているのですからね。  こういう問題が起きてきたということは、国の経済政策の失敗、いわゆる高度経済成長、これを図ってきたその政策が失敗して、そして総需要抑制をせざるを得ない、こういった状態を予期してなかったんですよ、結局は。そうでしょう。ところが、総需要抑制という事態が発生をしてきた。公団だって初めから、そういった状態が発生をして金利なんていう問題が起きてくるなんというようなことを予期していた者はいないと思う。言うならば突発的な問題なんです。そういう問題が起きてきた。そこでどうしてもいわゆる地権者に全部金利を負担さすというわけにはいかぬ。そこで苦肉の策として、県も協力をしなければならぬ、してあげよう、こういったことでそういったことになったのだろうけれども、しかし、大臣が、事前にいろいろな話をしておくべきである――やったんですよ、これは。そういう事態が生じて、県とすれば、そういった金利については責任を持ってもらいたいということを公団側に言った。それに対して、公団がさっきから言っているじゃありませんか、そんな金利を払うシステムはないんだと。これはシステムの問題じゃないんです。事態がそういう大きな変化を来したわけなんです。それを踏まえて公団は、やはりその時点でその事業を行うためにどうするかということを、いわゆる主体性を持って公団がそれは事を処理すべきじゃないですか。だから、そのことについての申し入れは県はやっているはずですよ。ただ、そういうシステムになっていないからという一点張りでもって結局県に押しつけたんでしょう。  そういう事情大臣は知らないで言っているんだ。知らないで言っているから、その点は許しましょう。だから、私はあくまでもこれは公団が全責任を持つべきである。経済情勢の大きな変動、こういった思いもよらないことが起きてきた、その上に立ってやっぱりどうしていくんだと。当初の計画を変えていかなければならない。それでなければ、何もかも全部しわ寄せが周りに飛び散るということになります。その辺の考え方を明確に私はしていく必要があるだろう。それを明確にすることが、いわゆる地方行政地方自治、これを守ることにもなり、その守ってやらなくちゃならない立場、それは大臣立場ではないか。その大臣が、私から言わせれば何か公団側を援護しているみたいな感じの答弁では、これは納得できませんよ。その辺を明らかにするつもりで聞いているんですからね。  ですからもう一回いま話を聞いて、すれ違いだったらもうこれ以上私どう話をしてもしょうがない。大臣は知らないわけだ、事情を。知らないから、問題はこういう事態が起きているんだ、そういう事態をなくしていく努力、いわゆる地方公共団体に迷惑をかけない、そういう態勢というか、そういうものを自治省としては築いていくという姿勢が大事じゃないか。それが一つも感じられないですよ、いまの答弁から言いますと。私はある程度の公団と県とのやりとりを聞いております。聞いているから、それを踏まえていま話をしている。大臣は何にもそういうやりとりを知らない立場でこの答弁をなさっているわけです、失礼ですが。したがって、私はたとえ五千万といえども一億といえども、そういった問題を県に、市町村に負担をさせるという、この問題に限って、少なくともこれは不合理である、こう言いたいわけですよ。それを不合理でないというのか。
  106. 福田一

    国務大臣福田一君) 私が申し上げておるのは、その公団と県とがどういう関係に最初あったかということが一番大きな問題である。ただいまこの問題をどう処理するかということで話し合いをしておるということであれば、これに何も私は介入する意思はございません。それから、過去の問題をいろいろ取り上げますと、これはいろいろな問題が出てくるわけでございますが、いまあなたのおっしゃったように、将来の問題ということであれば、十分そういう点を両者とも注意をして問題の処理をしていくようにしなければならない、かように申し上げておるつもりでございます。いま公団とお話し合いがあるということでございますれば、私は公団側がどういう措置に出られるか、よくそのことを承ってからでなければ意見を申し上げることは困難でございます。
  107. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 大臣立場で明確な答弁は得られそうもありませんから、ですからこれ以上とやかく言ってもらちが明かぬような感じがするので私はやめますけれども、しかし、自治省とすればあくまでも地方公共団体を守る立場、そういう姿勢を貫かなければならぬ、こういう考えでいるわけですけれども、そういう立場からいままで質問をしてきたわけですけれども、何回その点をお聞きしても明確な御答弁が得られない、こんな感じがしますので、この問題は終わったのではなくして、そういう事情を十分に大臣としても自治省としても把握をして、そして当然これは道路公団が支払う責任を持つべきであるという判断、あるいはあなたがいままで言ってきたような、自治体と公団との話し合いの中で、当然これは県が受け持つべきである、決して不合理ではない、こういう結論が出るならば、そういう方向でこの問題が処理されるということもあり得るかもしれない。いずれにしても、私の要望としては、これはどう考えても不合理である、こう言わざるを得ないので、その点をひとつ踏まえて、十分御調査の上、県や市町村に迷惑をかける、地権者に迷惑をかけるというようなことはこれはないように。大体一・五%、何で地権者が利子を負担しなくちゃならないんですか。総需要抑制のしわ寄せでしょう。長い間国に協力しようという地権者が金利を負担しなきゃならない。いまどきそんなことありますか。あるわけないじゃないですか。それを公団はあたりまえのように言う。それをまた県や市町村に言ってくる。そんな答弁でもって終わってしまうということでは、本当は納得できませんよ。まだまだこの問題についての公団や自治省考え方の不合理性というものについて、私は私の立場でもっと見きわめてはっきりさせたい、こう思います。  それでは先へ進みます。  自治省は、これは大問題ですけれども、「五十年度地方財政の運営について」こういうふうなことで通達を出しましたね。このことについては、これはどう考えたって、あめとむちを与える、あめとむちの関係、そんなふうにしか考えられません。これは後から申し上げますけれども、どうして平然とこんな通達をやったのか。いわゆる不合理な問題があるわけですよ。ですからいろんな声も出てきている。なぜおくめんもなく平然としてこんな通達を出したのか、その辺の根拠といいますか、その辺についてひとつお答え願いたいと思います。
  108. 松浦功

    政府委員松浦功君) 次官通達でございますが、御承知のように地方自治法に、地方の行財政問題について指導、助言をするという規定がございます。あくまで指導、助言という立場で、最近における気がついた問題を一、二加えまして、例年行っておる内容を盛り込んだ通達を最近出した、こういうことでございます。
  109. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 こういう言い方をすれば、たとえば国の方は地方自治体を締めつけているというような言い方もあるわけだけれども、そんな中でこんな通達を出すということは、いわゆる地方自治というものを、これはあくまでも自主性を持たせる、責任を持たせる、そういう方向に進んでいる、そういった考え方に逆行するというふうにしか私は考えられない。いわゆる中央集権化の強化、こんなようなふうに考えられるわけです。そうだとすれば、これはもう徹底的に排除をしなければならぬので、これは私はいまの地方自治に対する考え方からすれば、こういった通達はそれに逆行するものである、こういうふうに受けとめておりますけれども、国の方はそんなものではないということになるかもしれぬけれども、その点どうですか。そういうことになりませんか。ならないですか。
  110. 松浦功

    政府委員松浦功君) これは法律とか政令とかいうたぐいのもののように、地方公共団体に法令的な規制力を持っているものではございません。自治省としては、こういう点についていろいろ問題があるようだから、そういう点に問題があるかないか検討してみていただけないだろうかという意味のことでございますので、この通達を頭から拒否をするというような地方団体が出てまいりましょうとも、これに対する何らの措置をとるというようなことは考えておらないわけでございます。自分自身の財政の体質というものを十分見直して、将来のために向かって健全化の措置をとっていただいたらどうだろうかということを自治体に御提言申し上げておる、あるいは自治省の意見を御披露申し上げたと、こういうふうにお考えをいただければ結構ではないかと思うのでございます。したがって、私どもとしては、自治省の存在自体が、やはりこういう技術的な面の助言を申し上げることも一つの大きな存在の理由であろうかと思っておりますので、いま申し上げたような意味で、強制的な力を持つ、あるいはこれを無理やりに、ごり押しにこれで締めつけていくんだと、そういう考えのものではないということだけはこの場ではっきり申し上げておきたいと、こう考えております。
  111. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 自治省のこの通達を出した基本的な考え方、そのことについてはいまの答弁でわかりますがね。しかし、自治省がどう考えようとも、現地においては混乱を生じている、こういうケースが出てきているわけですよ、実際問題。ですから、この通達、自治省基本的な考え方、それと現地の受けとめ方というものは、それに相反するというような状態が起きてきておる。だからそういったことになれば、これはそういう面での混乱を起こさないようにするための配慮というもの、そういうものが私は足りなかっただろうと思う。その点は、その配慮は十分してあるというふうに自信を持っていらっしゃるんですか。
  112. 松浦功

    政府委員松浦功君) 次官通達は毎年出しているものでございまして、ことし事新しく取り上げたという問題は二、三ございますけれども、さほど例年と変わっておるわけではございません。要するにこの通達の受けとめ方、受けとめる地方団体の側における事情が例年と違うために、あるいは何らかの摩擦が起きているという事例があるのかもしれません。私どもといたしましては、例年の態度を変えたわけでもございません。その辺のところは、前年の通達とあわせて御検討いただければ御了解をいただけるかと考えます。私どもといたしましては、通達の性格というものは地方公共団体はあくまで御存じのはずだと思いますので、混乱が起こらないような配慮とおっしゃられる意味がちょっと私にのみ込めませんけれども、私どもとして、この通達を出したからあえて混乱が起こるというようなことは、実は考えておりませんでした。
  113. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 それでは結論的な話になりますが、自治省は軽率だったとも考えないと、こういうことなんですけれども、実際にたとえば大阪市議会ではこの撤回方の意見書、こういったものを採択しましたよね。それで、これはきょうの新聞なんですが、「地方公共料金値上げ機運 経企庁が〃待った〃」と、こういう記事が出ていますね。で、経企庁は、自治省が通達を出した、あなたは次官通達は毎年出すことだ、だからそんなものは出したってあたりまえのことだと、こういう言い方ですよ。だけれども、この通達の中にある、公共料金値上げによってという問題が、これは一つの大きな問題として取り上げられ、また混乱の原因になっておる、こう言えるわけです。ですから、やたらに地方公共団体においてはいわゆる公共料金の値上げということに踏み切ろうとしている、そういう状態、そういう混乱というものを起こしているというわけですよ。だから、それを踏まえて経企庁は、このいわゆる次官通達、これはうまくねえじゃねえかと、「地方公共料金値上げ機運経企庁が〃待った〃」と、こういうわけですよ。これは内容を読むとあれですが。  ですから、こういったことで経企庁も、そういったいたずらに公共料金の値上げをして賄えというような感じに受け取られるような通達はやるべきじゃないということなんですよ、これは。自治省もそれについては、そうだ、うかつだったということを言っているんじゃないですか。ですから、そういう面から言うと、いわゆる配慮が足りなかったんじゃないかと、こういうことですよ。そういう意味で言っているんです。私は自分の考えだけでなくて、言うならば証拠品をこういうふうにそろえて、それでお話をしているわけですよ。だから、その辺のところはうかつではなかったかと、こういうことです。
  114. 松浦功

    政府委員松浦功君) 新聞の記事は私も拝見をいたしておりますが、経済企画庁から私どもの方にどうこうという文句があったという事実はございませんで、私どもの方としては、経済企画庁とも話し合いをいたしまして、受益者負担あるいは独立採算と、そういう考え方は当然であるけれども、極端な形のものが出てくるようになると物価に影響が及ぶだろうから、そういうところは十分お互いに両省庁で配慮してやろうじゃないかと、こういう趣旨の相談はいたしております。したがって、どうしてそう極端な形で問題が出てきたという御指摘をいただいているのか、私もちょっと理解に苦しむのでございますが、通達の中には、何でもかんでも上げろという趣旨の表現は全然ないのでございます。「使用料及び手数料については、その額を定めて以来相当の期間を経過し、現在の経済情勢からみて適正を欠くこととなっているものもあると考えられるので、人件費の増嵩、物価の上昇等に伴うコストの上昇に見合つた単価の見直しを行い受益者負担の適正化を図るとともに」と、こういうことしか使っておりません。不当に安いということになりますと、それが全部税金に回る。そうなると受益者負担の原則に反するから、そこのところは考えてやってくれよという趣旨しか申し述べておりませんし、それからもう一つ、公共料金の問題についてでございますが、地方公営企業の料金については、すでにかなりの地方公共団体においてその適正化が図られているが、なお適正化がおくれ、あるいは改定幅が十分でないものがあり、このために経営悪化の重大な要因となっている向きもあるので、適時適切に料金改定を実施する等経営改善に努力をせられたいと、こう書いてあるわけでございまして、安易な値上げということはわれわれもこれを戒めなければならないということをこれは切に感じております。先生に御指摘いただきましたこと、私どももその気持ちでやってまいりたいと思っております。
  115. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 自治省考え方はよくわかりました。  そこで最後の締めくくりとして、大臣、これはやっぱり幾ら自治省がそういうふうに、この文章はこうでしょう、だからそんなわけのものではないんだと、こう言っても、事実経企庁はこんな考え方に立っている。問題のとらえ方が違うのだからしようがないなんて言えばそれまでかもしれないけれども、こういったことになっている。そして、確かにいわゆる公共料金の値上げムードというのが地方自治体において起きてきておる。ということは、それはいま自治省が言ったように、決していたずらに何でもかんでも上げろということではないんだということならば、やはりここでもう一度適切な指導をしなければならぬと思う、その辺の混乱がないように。少なくとも混乱が見えてきたから経企庁もこういったことを言っているんだし、また、いいですか、大阪市議会でも意見書が採択されるというような、それは混乱ではありませんか。だから、事いわゆる自治省考え方がそのまま素直に受け入れられるならばそういうものは起きないわけだ。ですから、適切な今後の指導、あるいはいままで出した通達を一回撤回して、その辺のところをもう一歩突っ込んでそういった点を明らかにして出し直すか、あるいはそうでなければ、適切な指導を自治省みずからがやってその混乱を防ぐ、こういう姿勢、態度が必要になってきたのではないか、こう思いますけれども、その辺どうですか。
  116. 福田一

    国務大臣福田一君) ただいま財政局長が申し上げましたように、通達自体には何ら間違いがないと思っております。それを出し直すというようなことはかえって混乱を起こすと思っております。  それから、経企庁との間においては、新聞ではどうなっておるか、私は――私も新聞は見ましたよ。新聞というものは必ずしも全部本当のことを書いておるわけじゃございません。私が新聞記者を二十年やっておるのでございますから、間違いございません。そういうことで、新聞に出ていることを一々みんな取り上げられても、私はそれは自治省としては非常にあれだと思います。しかし、いまあなたがおっしゃった御趣旨は、そうじゃなくて、こういうような値上げムードが起きてくると非常に困るではないか、だからそれを適正に抑えなければいけないんだ、そういう意味で注意をしなきゃいかぬよと、そういうような空気があるからこそこういう新聞記事も出るんじゃないかと、こういう御好意のある趣旨だと私は受け取りますから、そういう意味では御趣旨に従って、たとえばこういうことを値上げをしたいというようなことを言ってきても、適正じゃないと思ったら、それは少し考え直したらいいじゃないかと、これはちゃんとわれわれの方で監督いたしておるのでありますから、それはそういうふうに御趣旨を体して処理をいたしてまいりたい、かように考えるわけでございます。
  117. 原文兵衛

    委員長原文兵衛君) 本案に対する午前中の質疑はこの程度とし、午後二時三十分まで休憩いたします。    午後一時二十二分休憩      ―――――・―――――    午後二時三十九分開会
  118. 原文兵衛

    委員長原文兵衛君) ただいまから地方行政委員会を再開いたします。  午前に引き続き、地方交付税法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  119. 加瀬完

    ○加瀬完君 五月三十一日の新聞に、大蔵省自治省の間に交付税論争があると報道されておりますが、これは事実ですか。事実であるとするならば、その争点はどういう点ですか、御説明を求めます。
  120. 松浦功

    政府委員松浦功君) 事務的に財政課長、名本主計官、これが自治省大蔵省の接触点でございますけれども、雑談的なやりとりがあったかどうかは私は存じませんが、少なくとも私の段階大蔵省とこの問題について論議をしたことは、一度もございません。
  121. 加瀬完

    ○加瀬完君 新聞によりますと、大蔵省交付税の渡し過ぎ分を返せという主張があって、また自治省は、それよりも超過負担分の解消だという主張をしたと伝えられておりますが、渡し過ぎというような内容についての話はなかったんですね、大蔵省
  122. 名本公洲

    説明員(名本公洲君) 五月三十一日の朝日新聞に、確かに先生が御指摘のような記事が出ておりますが、私どもの方から自治省に対しまして、四十九年度分について渡し過ぎ分があったからこれを返せということについて御協議申し上げたことは、いまだございません。また、私どもとして、これをどのように処理するかというのはこれからの検討課題というふうに考えておるところでございます。
  123. 加瀬完

    ○加瀬完君 言ったか言わないかは別として、渡し過ぎという内容については、大蔵省としてはやはりそういう概念をお考えになっておるんですか。
  124. 名本公洲

    説明員(名本公洲君) 四十九年度分の交付税につきましては、先生先刻御承知のように、四十九年度におきまして税収歳入欠陥が生じました。その結果、交付税法に定めますところによりまして計算いたしますと、マイナスの精算をしていただかなければならない部分が発生してくるということは事実であるというふうに考えております。
  125. 加瀬完

    ○加瀬完君 その場合、マイナスかプラスかという基準にするものは何ですか。
  126. 名本公洲

    説明員(名本公洲君) 交付税は、交付税法の六条に書いてございますように、当該年度について申しますと、当該年度、酒、所得、法人の三税の三二%分が地方交付税であるということになっております。四十九年度について申しますと、四十九年度補正予算で計上いたしましたまでの三税の三二%分が交付税として四十九年度中に交付されたわけでございますが、四十九年度の決算をいたしました結果、この予算に計上いたしました三税が歳入欠陥ということになりますならば、その歳入欠陥の中にあります三税の三二%相当分が、交付税としては四十九年度において渡し過ぎであったということに相なるというふうに考えております。
  127. 加瀬完

    ○加瀬完君 これは自治省に伺いますが、おっしゃるように、三税総額によって交付税の実額は決まるはずでありますけれども、だからといって過払い分は返さなければならないという性格のものですか、交付税というものは。
  128. 松浦功

    政府委員松浦功君) 法律規定がございますので、五十一年度までに精算をしなければならない、こう考えております。
  129. 加瀬完

    ○加瀬完君 形式的なことはわかっています。そうすると、財政計画で一応見込まれて、それぞれの地方は大枠を財政計画にのっとりまして予算を組むわけです。そして財政計画の見込みに従いまして交付税も一応予想をするわけです。そして、その交付税が余ったから足りないからといって、交付税の計算がもとで余る場合は過払いとして返還をする。それが足りない場合もそれじゃ補てんがあるかといったら、足りない場合は別に補てんがない。そうなってまいりますと、交付税法による交付税地方の固有の財源だというその考え方は、非常に希薄なものになりますね。この点を私は伺っているんです。形式的にどうこうというのはわかっているんです。具体的に、交付税というものは交付税法で決められておるような性格を持てなくなるのじゃないか、そういう危惧というのは現在の交付税の運用においてはありませんか。
  130. 松浦功

    政府委員松浦功君) 法律国税三税の一定率と決まっておりますので、後段のお尋ねについてはそういう御心配はないと思います。ただ、前段のお尋ねで、地方財政計画で計上しておったものに穴があいたら地方団体困るじゃないか、まことにお説のとおりでございます。したがって私どもは、地方財政計画に計上したもの、あるいは補正予算等で、不用な歳出が出れば別でございますが、そうでない場合にはその財源を確保するということを、先ほどの御質問に対してもお答えを申し上げたところでございます。四十九年度地方交付税はもう現実に配られておるわけでございまして、これを返せなどということは法律上あり得ないわけでございます。ですから、四十九年度は、もう配ってしまった交付税は自分の財源ということで当然決算をしていただくということでございます。  ただ、法律のたてまえ上は、その穴があいた数字につきましては、五十一年度までに精算をするということになっておりますので、どの年度でやるかはこれからの問題として、当該年度財政計画を立てる上に、国税三税の三二%から穴のあいた部分を引いた額だけしか交付税が見込めないという事態が起こってくると思います。その年度においてそれで交付税が足りないという考えであれば、国に折衝して、交付税の枠をルールの外に臨時にふやすという措置考える必要が出てくる場合もあろうかと思います。それは先の問題でございますので、いまここでどうこうするということは申し上げかねますが、少なくとも四十九年度交付税について返還などという事態は全然考えていない。それは返還という意味じゃなくて、精算の意味を新聞が返還というようなことをお書きになったんだと私ども受け取っております。
  131. 加瀬完

    ○加瀬完君 しかし、いま御説明のように、現実的には返還などということはあり得ない。しかし法律上のたてまえは、やっぱりどこかで精算しなければならないということになる。しかし、もう一つの交付税の内容からすれば、交付税額が著しく不足した場合は税率を改めることになっていますね。しかし、こういう作業はほとんど行われておらない。行われたとしても、何年も相当の間の不足額が生じて二八%が何%、何%が三二%と、こういうように後から後からとマイナスをしょった形で処理されているというのが現実だと思う。  そこで改めて大蔵省自治省の両者に伺いたいのでありますが、こういう交付税を論ずる前に、地方財政の現状に対する認識あるいは将来長期にわたっての対策という立場が論議されなければならないと思いますが、そういう点が大蔵省自治省の間には、現状の地方財政というのがどうなっているか、あるいは将来どうあるべきかということの意見が一致した上で、交付税から交付税論というのが論議されておるのかどうか、あるいは地方財政計画というのが論議されておるのかどうか。これが、私には政府としての将来の地方財政見通しというものに一致点がないように思われますが、そうではございませんか。
  132. 松浦功

    政府委員松浦功君) 現在の地方財政につきましては、私ども地方財政計画をただいま御提示を申し上げて、いろいろと御審議をいただいているところでございます。したがって、五十年度に関する限り、私どもとしては地方財政に対する措置というものはこれでいけると、そういうお答えを申し上げざるを得ないと思います。  将来に向かっての見通しということになりますと、これは事務の再配分の問題あるいは国がどういう制度をおとりになるかという問題とも絡んでくる問題でございますので、一概には申し上げかねますが、できる限り国のいろいろの諸計画というものと地方財政の運営とがマッチするように、整合するように、各省関係からの資料もちょうだいをいたし、国の財政見通し等も十分勘案した上で、現実地方財政が円滑に運営できるように配慮をしていくということだと思います。御承知のように、現在はこういう経済状況の変化のもとで、道路の計画あるいは港湾計画その他、ごみ、屎尿の計画等いろいろな長期計画というものがあったわけでございますが、ほとんどこれを改定しなければならない時期にまいっております。そういったものの改定状況等をにらみ合わせてみませんと、私どもにも何とも結論を申し上げるわけにはいかないのでございますが、いずれにいたしましても、御指摘をいただきましたように、可能な限り、できるだけ長期的な見通しを立てながら問題を進めていくという加瀬委員の御指摘に対しては、私どもそのように努力をしていかなければならないと、こう考えております。
  133. 加瀬完

    ○加瀬完君 それは局長さんの個人的な見解としてはおっしゃるとおりであろうかと思います。しかし、自治省なり、財政計画なり、あるいはまた大蔵省を含めての地方財政の対処の仕方というものから見ると、将来の見取り図というものまではっきり書いた上で、五十年度はこう、五十一年度はこうあるべきだというような対処の仕方をしていないと思う。具体的に伺いますが、いま地方財政全体、交付税にとどまらず危機が叫ばれておりますけれども、それなら、こういう危機になったいままでの地方財政に対する反省というのは、どこの欠点でこうなったかという反省というのが自治省にあるはずですよ。どういう点でしょう。
  134. 松浦功

    政府委員松浦功君) 現在の状況に立ち至りました原因はいろいろあろうかと思いますが、一番大きな要因は、やはり日本の経済の変動であろうかと思います。この点は差しおくといたしまして、われわれが常に申し上げておりますように、地方公共団体の側においても、人件費その他についてやはりもう一度御検討いただくべき要素がありはしないかと。逆に国の側から見れば、超過負担の問題についてもっときちっとした形をとるべきじゃないか、あるいは時間をかけてでもいいから、事務の再配分ということをもう一度地方自治の観点から見直して、それに対応する財源措置というものを検討すべきじゃないかと、そういった幾つかの問題が世上言われておるようでございます。私どももそのような感じを持っております。
  135. 加瀬完

    ○加瀬完君 私はその反省が非常に不徹底だと思うんですよ。おっしゃるように、五十年度年度としてのいろいろの計画は、財政計画その他示されておりますね。しかしながら、五十一年度、五十二年度、五十三年度と、将来、四十九年度までで改めなきゃならない点の、反省すべき点がどうこれから改められていくかということについては、具体的に何にも示されておりませんね。結局、いままでのような単年度だけの対策というものが今日の問題というものを生じてきた面もある。したがいまして、超過負担、いろいろお挙げになったほかに問題はあると思う。私は何も地方側の言い分だけを一〇〇%通すような財政計画を進むべきだという主張はいたしません。地方で反省しなきゃならない問題もありましょう。しかし、だからといって、後で触れますが、給与費だけの問題を解決すれば地方財政の危機が全部解決するという保証はどこにもない。大蔵省なり自治省なり政府自体として、地方財政の対し方というものをどうしなきゃならないかという点でも反省すべき点が私はあると思う。それが具体的に一つも出ておらない。出ておらないところに、単年度年度財政計画で、その財政計画が決算額とまるで違うという繰り返しがどうにもならなくなっているということにはなりませんか。  具体的に申し上げます。たとえば、高度経済成長政策に伴って、言葉をかえて言えば、産業優先政策というものが国の政策で先行するのにならって、地方もこれに対する投資というものやこれに対する財政の仕組みというものが進められてまいりました。いまは時点が違いますね。しかしながら、それがどう反省されるべきであるか、どう改めらるべきであるかということは具体的には出ていないじゃありませんか。どうでしょう。
  136. 松浦功

    政府委員松浦功君) 地方財政は、先生承知のように、これは一人で歩いているものではございません。国の財政との関連を考えながら、車の両輪として、両方ともがびっこにならないようにいたしませんと車が真っすぐ進まなくなる、こういうことでございます。したがって、地方財政計画自身が国の政策に相当部分左右されるということはやむを得ないことだと私ども考えておりますが、ただいまの御指摘につきましては、国の方の予算の編成の仕方におきましても、一定の経費を、産業基盤の方を伸ばさずに、伸ばせる財源の範囲で生活基盤あるいは福祉基盤というものに公共事業等の配分をいたしておるわけでございます、それにつれまして、昨年以来がらっと投資的経費の内容が変わってまいりまして、社会福祉生活関連、こういったものが重点的に地方財政計画の中で伸びを見せておるという形になっておるわけでございます。私どもといたしましては、そういった伸び率を頭の中に置きながら、都道府県あるいは市町村自体で行われる単独事業についても、産業基盤整備に関連するものについては伸びをできるだけとどめる、そして財源の許す限度において、いま先生から御指摘があった、産業基盤じゃない、社会福祉あるいは生活関連、そういった方の財源を伸ばすという配慮を四十九年度以来とっております。したがって、私どもとしては、この方向は当然将来さらに強めていくべきものであって、一定の財源の中での配分の仕方をもう一度反省をして、そして、いま先生の御指摘のような方向計画自身を改めていくという努力をしてまいりたいと考えております。
  137. 加瀬完

    ○加瀬完君 産業優先政策が福祉政策に切りかえられてきた、したがって、国はその政策をそのまま財政政策措置として打ち出すことができるわけです。ところが、地方団体産業優先政策の残務整理がまだ残されている。そして、これに対する、政策の後遺症に対する財源対策というのははっきりと出ておりませんよ。新規事業としての福祉対策が要求されてまいりましたが、それに対する財源は、幾分いままでよりは振り向けられるようにはなりましたけれども、これが、それぞれの地方団体が要求するような当然の歳出膨張に対する裏づけという形にはなっておらない。極端に申し上げますなら、福祉対策はおっしゃるように新しい予算的な伸びがありましたけれども、それが保育所にしても、これは前の方からも出ているが、あるいは教育施設にしても消防関係にしても、その福祉対策なり地域の要望する対策なりを進められるように財源の裏づけというものはありますか。あれば超過負担なんていう問題は起こらないでしょう。御意向はわかる。そういう方向に進めようとしているという御意向はわかる。しかし、局長のおっしゃるような形に一〇〇%財源が確保されるということにはなっていないでしょう。この点はどうですか。
  138. 松浦功

    政府委員松浦功君) 超過負担の問題と御指摘いただいた問題とは、ややすれ違う問題かと思いますが、超過負担については繰り返し申し上げておりますように、国の責任において解決すべき問題だ。ただ、地方公共団体においていろいろの御要求があって、これだけの仕事をしたいとおっしゃるための財源が十分であるかないかということになりますと、これは私ども一概にお答えはできかねるわけでございまして、地方団体がやりたいというものに対する財源措置を全部するということは、いまの財政状況では不可能であろうかと私は考えておるのでございます。したがって、できる限り地方公共団体の財源としてつかまえましたものを重点的にかつ効率的にお使いを願って、やはり住民の要求に対しても順位をつけて御運営をいただくということでございませんと、国の方も御承知のような状況でございます、なかなか日本全体の運営が困難でなかろうか。やはり、いままで高度成長の陰で、やや財政規模がどれもこれもふくらんでおったのではないかという傾向が見えるわけでございます。ある程度ぜい肉を落としていかないと、日本の経済状況、いまの状況のもとではなかなか渡り切っていけないのではないかという感じを持っておりますので、財源が十分地方公共団体の要求するだけ与えられているというふうには私どもも思っておりません。
  139. 加瀬完

    ○加瀬完君 いや、超過負担の問題に触れましたのは、少なくも法律で制度が決まって、その法律の制度を運用する裏づけになるように財源が確保をされておれば、超過負担などという問題は非常に少なくて済むはずだ。具体的に申しましょう。たとえば消防費において、職員配置計画上は消防長なり消防司令なりという官職がありますね。しかし、交付税の算定では消防人員という一括で、消防長なり消防司令なりという、そういう見方をしておりませんね。あるいは保育所の措置費についても、交付税算定では超過負担はゼロと算定しておりますね。しかし、厚生大臣は先般、これは超過負担があるという言明をしておりますね。こういうように、私の言いたいのは、地方それぞれが独自の計画を持って勝手なことを、悪い言葉で言えば、やる。それについて必要な金を全部よこせ、その金が行ってないじゃないかということを言っているのじゃない。法律なり政令なりでそれぞれ決まっている行政の区分に対して、それを運営するだけの財政計画なりあるいは交付税なり、そういうところに計算上確実なものがはじかれておらないのじゃないか、こういう点が私は問題だと申し上げておるわけであります。  しかし、時間の関係もありますから先へ急ぎます。  大ざっぱに言って、事務は配分をする。しかし、事務を完全に履行するような財源の配分は確実にはできておらないというアンバランスがあることはお認めになりましょうね。
  140. 松浦功

    政府委員松浦功君) 現在の現行制度における地方団体が行うべき事務、それに対する財源は地方財政計画で保障されておる、こういうふうに考えます。
  141. 加瀬完

    ○加瀬完君 そういういいかげんなことを言われちゃ困りますよ。財源配分で、農業委員会というのがある。その他、国から県へ移管された福祉行政というのがある。それらはみんな地方が持ち出しをしているのじゃありませんか。だから本当なら最低限、委任事務だけでも、委任事務を遂行するに足る最低の財源保障というものは、これは政府事務を委任するのだからすべきでありますけれども、それすらもできておらないというのが現状ではないか。だから、どこが幾らということではなくても、そこにまだ合理的に解決しなければならない矛盾点がある、アンバランスがある。これは認めるのが常識でしょうよ。それも御否定になりますか。
  142. 松浦功

    政府委員松浦功君) ただいま御指摘をいただきました超過負担分、それの地方負担分、それと合わせましたものには問題はあるかと思いますが、私どもといたしましてはその部分を除いては問題はないと考えざるを得ません。と申しますのは、現在少なくとも先生方に地方財政計画なるものを御提案申し上げておるわけでございます。御提案申し上げた立場から、地方財政計画が悪いということは言える立場ではないと思いますので、御了承いただきたいと思います。
  143. 加瀬完

    ○加瀬完君 地方財政計画の矛盾については後で触れます。  そこで改めて伺いますが、先般の通達のように、給与費の適正だけが図れれば財政問題はすべて解決するという御見解ですか。
  144. 松浦功

    政府委員松浦功君) 本委員会でも大臣が繰り返して御答弁を申し上げておりますように、いろいろの原因があろうと思いますが、そのうちのきわめて大きな一つの問題であるということだと考えます。
  145. 加瀬完

    ○加瀬完君 しかし、通達は、地方公共団体の赤字の原因が給与費の不当な支出にあると言わぬばかりの主張ですね。  そこで、最近の需要額の内容の動向について伺いたいと思いますが、歳出上の項目別構成比で、四十年以来給与費の数字はどうなっておりますか。逐次下降をしておるのではありませんか。
  146. 松浦功

    政府委員松浦功君) いま数字をちょっと探させておりますので、財政課長からお答えを申し上げますが……。  四十八年まで下降を続けて四十九年、五十年度財政計画上の給与費の占める割合が上がっておる、こういうふうに理解をいたしております。
  147. 加瀬完

    ○加瀬完君 四十八年まで下降をしているということはお認めになりますね。四十九年上昇をしたとすれば、それはインフレその他の原因が主であって、四十九年になって地方が給与費を急に増強したからということにはならないと私は思う。  そこで、私の方から指摘をいたしますが、投資的経費の構成比を見ると、四十年以来、三六・六、三八・一、三八・三、三五・七、三六・九、三七・四、三七・七、三九・一、四〇・九、こういう変化はお認めになりますね。
  148. 松浦功

    政府委員松浦功君) ちょっと、ずっと言われましたので、その数字どおりかわかりませんが、私どもの方の数字では、四十一年から三七・四、三七・五、三五・七、三六・九、三八・五、三七・七、三九・二、四十八年が四一・〇、四十九年が三六・六、五十年が三二・八となっております。
  149. 加瀬完

    ○加瀬完君 私も自治省の発表になった資料で申し上げておるわけでございますが、いま、とにかく投資的経費の構成比を見ると、投資的経費はずっと大体において逐年膨張をしておりますね。投資的経費の膨張というものを捨てておいて、給与費が下降しているにもかかわらず、四十九年だけを押さえてどうこうするというのは片手落ちではないかというのが一点。  それからさらに、四十年、四十一年、四十二年、三年間の平均を見ると、各構成比は、給与費が三五・四、一般行政費が二〇・三、投資的経費が三七・五、こうなっております。さらに四十六年、四十七年、四十八年の平均を見ると、二八・八、二一・五、三九・二となっております。四十年、四十一年、四十二年の平均と四十六、四十七、四十八の平均の比較を見ると、給与費は六・六の減、一般行政費は一・二の増、投資的経費は一・七の増となっております。これはお認めになりますね。
  150. 松浦功

    政府委員松浦功君) そのとおりだと思います。
  151. 加瀬完

    ○加瀬完君 私はこの数字をかれこれ言うんじゃない。そうすると、給与費は落ちているんじゃありませんか、四十九年以前には。それで投資的経費は上がっている。ですから、支出増のもとは、給与費だけが大幅に上がったということには四十九年以前にはならないではないか。それを全然触れないで、四十九年に給与費が上がったからといって、それをあたかも地方団体だけの責任のようにおっしゃるのはおかしいではないか、こういう点を申し上げたい。  もう一つは、だから、給与費をどういじったところで、地方団体財政運営上は、給与費だけの解決では財政危機というものを解決することにならないじゃないか、こういう疑問も出てくるということを申し上げたい。この点はどうでしょう。
  152. 松浦功

    政府委員松浦功君) どうも数字をお使いいただいても困るのでございますか、人件費の割合が地方財政計画の中で高くなっているからどうこうということは、自治省は申し上げておらないつもりでございます。景気刺激のために物すごい公共事業の増加があるということになれば、人件費は相当ふえてもウエートは下がってくるということになりますし、公共事業費の伸びが少なくなれば人件費の伸びというものがウエートに大きく及んでくるということになりますので、私どもは、この占めておる割合をもって人件費が問題なんだということを申し上げているつもりはございません。そうではございませんで、むしろ財政計画におきまして、国家公務員の平均単価を基準にして置き直しました地方公務員の単価を使ってやっております。そういうふうにして算出をいたしました計画と実際に出ている金額が大きく食い違っておる。そこに私どもは問題があると考えておるわけでございまして、これまでは地方財政計画上の地方税に対しまして相当額の自然増収があったから、何とかその問題が表に出なかった。しかし、自然増収が減ってくると、とたんにそれが地方財政の負担になってくる、こういう現象を指して言っているつもりでございます。ですから、数字についてのお答えは、そういう考え方でございますので、御容赦をいただきたいと思います。
  153. 加瀬完

    ○加瀬完君 自治省は、七、八年以前は構成比というものを出して、財政計画でも決算額でも構成比の割合でいろいろ問題の追求の基本にしたわけですよ。このごろは財政計画でも構成比というものを一切出さないことになった。しかし、人件費が高いか安いか、出過ぎているか、そうではないかということは、全体の予算の中での他の項目とあわせて構成比で見るというのは、一つの見方としては私は成り立つと思う。そういう見方で構成比を見ると、人件費がだんだん減っていっている、構成比は。全体の歳出に対して。ほかのものはふえているじゃないか。その人件費だけを取り上げて、あたかも人件費の国家公務員に比べての、これは後で触れますが、上がった分が地方財政の赤字の原因だというような主張をされては、これはうなずけません、こう申し上げておるわけであります。これは後で、あなた方の御主張と私は見解を異にいたしますので、給与費の計算については後で触れます。  そこで、一応財政計画というものをお出しになるわけです。その財政計画と決算額というのは毎年大きな違いがある。しかし、好ましい結果は財政計画と決算額というのが近似値になることではございませんか。こんなものは推定するもので、実際のものとは違うんだから幾らばらばらになってもいいと、こうお考えになりますか。
  154. 松浦功

    政府委員松浦功君) ただいま先生から御指摘をいただきましたように、できるだけ適切な推計を行うことによって、決算と計画とが乖離を示さないようにするということが一番望ましい。これは素直にお認めをせざるを得ない問題だと思います。ただ、現実の問題といたしましては、地方財政計画自体が三千有余の地方公共団体の財政の積み上げという抽象的なものでございますために、大きな乖離が年々生じておるようでございますが、私どもも乖離の原因というものはある程度わかっておるつもりでございます。  それを、お許しいただければ御説明を申し上げたいと思いますが、一番歳入面で大きな問題は、これまでは比較的景気がよかったので、財政計画以上に数千億に上る自然増収があったということがまず第一でございます。第二には、地方計画というものが、私ども直したいのでございますが、いろいろの関係があって直せないでおりますが、土地等の買収費に対する地方債等は、最初から地方財政計画に意識して載せておりません。どの程度需要があるかわからないからでございます。それが年々やっぱり数千億に上っております。それともう一つは、雑収入計画と非常に大きく一兆を超えた金額で食い違っております。これは何かと申しますと、最近では非常にやっぱり金融行政というものが重要になってまいっておりますために、六月に中小企業に貸し付けて、六カ月たつと返還をしてもらう、こういうような貸付金が大幅に予算に上がっていくわけでございます。同時に、それが年内に回収されますのでこれが歳入に入ってくる、そこの見通しが私どもにつけにくいし、余り地方財政の規模だけそれでふくらましてしまうということもいかがかということで、この点はある程度弾力性を持たせた形で余裕を残しておる。この三つの点に非常に大きな問題が歳入ではあるようでございます。  それに対しまして、それに見合う財政計画と決算との乖離も同じように出てくるわけでございますが、歳出面の乖離では、二兆円をちょっと超える乖離のうち、一兆円が給与費だ、それから一兆円は起債を認めましたことによります投資的経費、土地の購入費、これが大体起債に見合う金額だけふくらんでおります。それと、あとは一般行政費等を中心といたしまして歳入、雑収入、これに見合う貸付金、これを予算に計上してございませんので、その部分が計画より決算が上回っている、こういう形に達観してお答えを申し上げて間違いないというふうに考えます。
  155. 加瀬完

    ○加瀬完君 二点確認しておきたいわけでございますが、財政計画と決算額の乖離がはなはだしくない方がいい。これは私もそのとおりだと思います。それから後の方の問題でございますが、局長のいまの御説明によりますと、財政計画よりも自然増収が多くて、あるいは雑収入等も多くなりますので、決算額の方が大きくなっているというように御説明を承ったわけでございますが、それでよろしゅうございますか。
  156. 松浦功

    政府委員松浦功君) さようでございます。
  157. 加瀬完

    ○加瀬完君 単年度ではそういうことがあるかもしれませんが、私の調べによりますと、決算額がはっきり出ている昭和四十五年、四十六年、四十七年各年度地方財政計画と決算額との構成比を比較してみますと、まず歳入地方税、交付税、国庫支出金、地方債、使用料、手数料、雑収入、こう大別して比較をしてみますと、四十五年では財政計画が決算額に比べて地方税は四・四、交付税は三・〇、国庫支出金は四・四、計画に対して決算額が落ちております。さらに四十六、四十七両年度で、四十五年と同様に、四十六年は各地方税、交付税、国庫支出金が六・九、三・八、三・六、四十七年は四・一、四・三、三・五と、これも落ちております。これは正しい言葉の使い方でありませんが、落ち込みの状況は、地方税では四十五年が四・四、四十六年が六・九、四十七年が四・一、交付税が三・〇、三・八、四・三、国庫支出金が四・四、三・六、三・五と、財政計画考えたよりも構成比においては少なくなっております。四十五年と四十六年、四十七年、三年間の財政計画と決算額の構成比がこんなに違いができておりますのは、財政計画現実と合っておらないということになるのではないか。しかも、数字の上では確かに局長の御説明のようにふえておりますけれども、構成比の比較では、歳入の割合を見ますと、いま申し上げたように決算額が減っております。これは違っておりますか。
  158. 松浦功

    政府委員松浦功君) 数字的には先生のおっしゃられるとおりだろうと思うのでございますけれども、これは当然のことでございまして、国庫支出金は財政計画に計上したもの以外は出ません。決算にもそう出てくるはずでございます。交付税もそう出てくるはずでございます。それじゃ財政計画を超えて決算で歳入があるのは何かと申しますと、雑収入の一兆数千億円と税金と地方債ということで、そうなればほかのものの割合が落ちることはあたりまえでございまして、私どもは別にそれに対して何らの考えを持っておらないと言わざるを得ないんじゃないかと思います。
  159. 加瀬完

    ○加瀬完君 そこが問題だと思うんですよ。地方財源の主たるものは地方税であり、交付税であり、国庫支出金でしょう。雑収入とか手数料とか地方債というものは、これが主たる財源であるはずはないでしょう。ところが、主たる財源でないものがふえておりましても――確かにおっしゃるようにふえております。雑収入は四十五、四十六、四十七で四・〇、九・五、九・一、地方債は二、四・六というふうに大きくふえております。これは健全財政とは言われないじゃない。見込んだだけの交付税が来ない。地方税すらも、好況と言われたときでも見込みより落ち込んでいる。地方は苦しくなりますから、それを地方債に頼ったり、使用料、手数料や雑収入というものに頼らざるを得ない。政府が、主として地方の固有財源として与えられるものは交付税ですよね。それから財源として国庫支出金だ。そして、主たる財源である地方税というものの見込みというものは厳密に計算されなければならないものです。それが好況時代というときでも減っている。繰り返すようでありますが、苦しくなりますから手数料を上げる、雑収入を上げる、地方債を仰ぐ、こういう形になってまいりますと、主たる財源というものは主たる財源の役割りをしておらないということにはなりませんか。
  160. 松浦功

    政府委員松浦功君) お言葉を返すようでまことに申しわけありませんけれども財政計画地方税とか交付税とかいうのは、額を保障しようというためにやっておるんであって、構成比率を保障するなどという考え方は私はないと思うのでございます。だから現実に、先ほども申し上げましたように、なるほど雑収入をよけい取っておるというお感じをおとりになるかもしれませんけれども、これは何も国民の皆様からお取りしているんじゃないのであって、貸し付けた金が返ってくる金だけでございます。だから、雑収入がよけい取れておるというのは、貸付金に見合っておるというふうにお考えをいただきたい。それから地方債の問題でも、土地の買収資金を起債としてお認めしておるもの、だから、歳出は、好況時に投資的経費がその地方債に見合うだけオーバーしておるわけでございます。そういうものを捨象して考えていただきますと、一般財源でほかの行政はきちっと回る、こういうたてまえになっておると私ども考えております。
  161. 加瀬完

    ○加瀬完君 あなたは、最初に財政計画と決算額というものは乖離しないことが好ましいとおっしゃった。ところが、乖離しているんじゃないですか。主たる財源である地方税も交付税も国庫支出金も――国庫支出金は外してもいい。少なくとも交付税地方税も非常に乖離しておる。乖離しているような財政計画では財政計画にならないじゃないですか。そうしてまた雑収入とか言っていますけれども、手数料や使用料はどうですか。これは住民負担じゃありませんか。しかし、こういう状態でありますから、使用料、手数料を適正にし、いろいろの財源というものを求めることは結構ですよ。しかし、主たる地方税なり交付税なりというものが毎年毎年財政計画と決算額に大きい狂いがあるということであれば、乖離のはなはだしいもので、この財政計画そのものは妥当を欠くということに私はならざるを得ないと思います。そうじゃないですか。これ、乖離していないですか。
  162. 松浦功

    政府委員松浦功君) 全く乖離はないと思います。地方財政計画に計上された交付税は、忠実に地方公共団体に全額御配付申し上げております。私の方で見込みました地方税収入も確実に確保され、その上に、いままでは何がしかの地方税の自然増収分があるわけでございます。したがって、私ども地方財政に偽りはないと思います。
  163. 加瀬完

    ○加瀬完君 おかしな御説明としか私には受け取れません。財政計画、五十年度なら五十年度財政計画のときには、大体国税三税の見込みはこれくらいであるからこの程度交付税が出てくる、そしてその交付税の構成比というものを求むるならば歳入に対して何%になると、こういう計算が成り立つでしょう。こういう計算は、十年ぐらい前までは自治省もしておった。ところが決算は、五十年度の決算は別ですが、四十五年度なら四十五年度の決算を出してみると、財政計画で見込まれたものよりも構成比が少ないですよ。そうであるならば、金額のいかんを問わず、財政計画そのものにどこか誤謬があったと。乖離がないということにならないんじゃないですか。予定していただけのものが出てこないんだから、率の上で。それでも乖離がないということは、じゃこの財政計画というものは一体何ですか。
  164. 松浦功

    政府委員松浦功君) どうもこちらでお答えを申し上げると違った角度から御指摘をいただくので、ちょっと御答弁に困るんでございますが、地方税と交付税について地方財政計画上守られてないじゃないかというお尋ねがあったから、額で間違いなくやっておりますというお答えを申し上げたんで、構成比が減ることは決算額がふえれば当然なんでございます。しかも、決算額との乖離というのは、私どもいま申し上げましたように、原因はわかっておるわけでございます。ところが、この雑収入というものをよけい見込むことによって今度は逆に貸付金が少なくなった場合には、今度は歳入歳出とも穴があいてまたおしかりを受けるわけでございます。ところが三千団体の融資がどういうかっこうになるかということについては、私どもでもちょっと翌年度について調べがつかないわけでございます。だから、非常に安全率を見て見ておるということでございまして、上回るであろうということは当初から私ども予想しておるわけでございます。また、地方債につきましては、地方計画を余りふくらませるということは、何か非常に地方債を簡単に取れるような誤解を与えてもいけないと、また地方計画をふやせば、地方財政の規模が国の増加率よりは著しく伸びが大きくなるというようなことになって、地方財政だけえらいゆとりがあるような印象を与えることもいかがかということがございまして、土地の部分だけは枠外にしておる。本年度はそれでも何とか少しでも乖離を近づけようということで、共済組合等の資金によります地方債については、五百億を別途枠内に加え込むという操作もしております。  したがって、先生から御指摘ございましたように、雑収入についての見方ももう少し現実に近寄せるように努力をする。地方債の枠もある程度可能な限り広げて、できるだけ乖離を少なくするという努力は続けてまいりたいと思いますけれども、どうも私どもで三千団体の財政運営がどう動くかということの推定を、先生がおっしゃられるように、非常に乖離が少なくなるようにするということはきわめて至難のわざではないかと、申しわけございませんが、そういう感じを持っておるところで、基本原則としては、もう先生考え方に何ら異存はないわけでございます。全くそのとおりだと思います。ただ、努力をしていく過程において、いろいろ障害があってそこまでいっていないということを御理解を賜りたいし、また、先ほど申し上げました人件比率の問題と同じように、投資的経費の割合がふえれば、人件費がふえても割合は下がるわけでございます。一兆数千億という雑収入及びこれに見合う歳出が決算との乖離として出てくれば、それだけの分は当然構成比としては減ってくるということは、これはもう先生十分御理解をいただけるところだと思いますので、この辺でひとつ御容赦をいただきたいと思います。
  165. 加瀬完

    ○加瀬完君 例年、財政計画と決算額が非常に大きなはだかりがあるという点はこれはお認めになりますか。
  166. 松浦功

    政府委員松浦功君) そのとおりでございます。
  167. 加瀬完

    ○加瀬完君 それは歳出だけのはだかりではありませんで、歳入にも大きなはだかりができておることもお認めになりますね。
  168. 松浦功

    政府委員松浦功君) 財政計画歳入歳出と合うものでございますから、当然歳入歳出ともに乖離が出ておると、こういうことだと思います。
  169. 加瀬完

    ○加瀬完君 対立的な意見だけ申し上げているのは恐縮ですから、私は希望を申し上げて、御所見を承ってこの問題にけりをつけたいと思いますが、少なくとも財政計画と決算額がこのように乖離な状態にある点は、それも一年ではなくて毎年ですから、もう少し財政計画の立て方というものに工夫が要るのではないかと思いますが、いかがでしょう。
  170. 松浦功

    政府委員松浦功君) これまでにも御説明申し上げましたように、諸般の事情を考慮しなきゃならない問題もございますが、基本的には、先生のおっしゃられる方向で、歳入歳出とも現実のものに近づけるべく努力をいたしたいということを申し上げておきたいと思います。
  171. 加瀬完

    ○加瀬完君 これはまだ私には腑に落ちないたくさんの問題がありますが、時間の関係もありますから、先に進みます。  五月十六日、自治省が全国都道府県に対しての事務次官通達を出されたようでありますが、先般来の御説明では、巷間伝えられているような内容ではないようでございますが、巷間伝えられておりまするプラスアルファの廃止、財政健全化府県への援助、使用料、手数料、料金などの適正水準への引き上げ、公共事業の完全消化、こういう説明がされておるということでございますが、これは全然ございませんか。
  172. 松浦功

    政府委員松浦功君) 先生御指摘いただきましたようなことが次官通達の中にうたわれております。
  173. 加瀬完

    ○加瀬完君 うたわれている。それで、結局その次官通達でいろいろこういう財政措置について指導をされた最大の原因は、国より高い給与水準ということが主たる原因ということになりますか。
  174. 松浦功

    政府委員松浦功君) 例年出しておる通達でございますので、いろいろのことが書いてございますが、一つの大きな要素という形にはなっているかと思います。
  175. 加瀬完

    ○加瀬完君 政策方向として、国と地方がまちまちであってはならないことは先般御説明のとおりだと思う。ところが、この通達によれば、使用料、手数料、料金などの適正水準への引き上げを言っている。政府はいまもって公共料金の抑制という政策をとっている。これは、この間の関係はどういうことですか。
  176. 松浦功

    政府委員松浦功君) 先ほども上林先生の御質問にお答えを申し上げたところでございますが、通達の中で、使用料、手数料については、いままで全然手をつけていないようなものがあるのなら、単価の見直しを行って受益者負担の適正を図ったらどうか。それから公共料金につきましては、各団体ともいままで十分御努力をなさっておられるようだけれども、まだ独立採算あるいは受益者負担の原則というものに不十分な向きがあるものについては適時適切に料金改定を行うようにという趣旨をうたってあるわけでございまして、これは国の物価政策というものの当然枠内で考えていくということだと思っておりますので、経企庁、自治省両省で、これらの値上げの方向については極端な事例が出ないように、特に自治省におきましては料金の相談を受けますので、そういった点については十分配慮をするということだと思っております。
  177. 加瀬完

    ○加瀬完君 公共料金の適正水準というものはどういう形をとらせようとすることですか。各都道府県、それぞれ公共料金決めなきゃならない対象を持っていますね。金額も違っておりますね。適正水準という――国も公共料金いろいろ持っている。国との大きな枠の中だということになれば、自治省が言う適正水準、指導する適正水準というものはどういうものですか。
  178. 松浦功

    政府委員松浦功君) 先生承知のように、現在の地方公営企業は、独立採算制をたてまえとして、一般会計との負担区分についてはそれぞれ政令で定められております。したがって、大きな問題は、公営企業料金に三つあるかと思いますが、一つは病院でございますが、これはもう全く自治省には料金決定の権限がないわけでございます。二番目に交通の料金でございますが、これは運輸省が認可権をお持ちになり、五大市、政令市等の料金値上げについては物価閣僚協議会の了解を得なければできないことになっておるわけでございます。  したがって、それ以外の問題としては、中小の交通とそれから水道というものが大きなものだと思いますが、これはいずれも独立採算制をたてまえといたしておりますので、経費の合理化を徹底的に行う、そしてあとは価格算定を、必要なものについて、一般負担で持てるものを除いて料金に割り返していくというのが当然のたてまえだろうと思います。ただ、水道等につきましては、極端に条件が悪い地域においてえらい高料金ということになる問題がございますので、そういうところにつきましては、高料金になりました場合に、地方団体財政を援助するという意味で特別交付税でこれに対する対処をしておるという例もございますが、原則としてはやはりできるだけ経費を節減して、その他の必要なものを、一般会計との関係を考えながら割り返して単価に持ち込むということであろうというふうに私ども考えております。
  179. 加瀬完

    ○加瀬完君 細かいことは後でさらに伺うとして、原則的なことをもう少し詰めてまいりたいと思いますが、これは大蔵省にも伺いますけれども自治省にすべての地方財政を与奪する権限というものがあるとお認めですか。
  180. 松浦功

    政府委員松浦功君) 自治省には何らそういう権限はございませんで、指導、助言、勧告ということが地方自治法上に認められた権限であろうと思います。ただ、個々の問題については、地方交付税をどう配分するかとか、あるいは地方債をどう認めるかという権限が自治省に残っておることは事実でございます。地方団体がどういう施策を行うかということについてわれわれが口を差しはさむという権限はございません。
  181. 加瀬完

    ○加瀬完君 大蔵省、同じでしょうな。
  182. 名本公洲

    説明員(名本公洲君) ただいま財政局長お答えになったところと同じでございますが、要するに地方公共団体はおのおの自治権をお持ちでございますので、その自治権に基づきまして地方行政をおやりになり、地方財政をおやりになるということであるというふうに認識いたしております。
  183. 加瀬完

    ○加瀬完君 理屈っぽいことを言って恐縮ですが、確認をしておきたいと思いますのは、地方財政法の第一条は、その目的として、一つには、地方財政の健全性の確保と地方自治の発達を目的とし、その二つには、国と地方基本原則、こういうものが規定されております。そして、この健全な財政運営と、国の政策に反し、他の地方団体に累を及ぼす施策だけが禁じられておると解してよろしゅうございますね。
  184. 松浦功

    政府委員松浦功君) そのとおりでございます。
  185. 加瀬完

    ○加瀬完君 地方自治とは、地方の公共事務を住民の負担と委任において処理をすることだと、こう解していいですね。
  186. 松浦功

    政府委員松浦功君) 恐れ入りますが、もう一度おっしゃっていただきたいと思います。
  187. 加瀬完

    ○加瀬完君 ずいぶん理屈っぽいことを言いますけれども、これは私が聞きたいことは、自主財政権という問題を後で聞きたいので、その前提として伺っておるわけです。  地方自治とは、地方公共事務を住民の負担と委任において処理をしていく、こういうことだと解してよろしいですか。
  188. 松浦功

    政府委員松浦功君) それで差し支えないかと思います。
  189. 加瀬完

    ○加瀬完君 これを認めますなら、財政上の自治がなくて地方自治の実現というものは不可能でありますね。すると、地方公共団体には自主財政権は含まれていると解していいと思いますが、いかがでしょう。これは大蔵省にもあわせて伺います。
  190. 松浦功

    政府委員松浦功君) 当然のことであろうと思います。
  191. 名本公洲

    説明員(名本公洲君) 初めに先生がおっしゃいましたように、国の財政または地方公共団体の財政に累を及ぼさないという制限がございますが、さような先生の御指摘のとおりだと思います。
  192. 加瀬完

    ○加瀬完君 そこらがなかなか問題なんですね。国家財政の調整の必要上、法律に任せられておりますいろいろのものがございます。だからといって、法律地方公共団体の自主財政権を奪い、または自主的処理を拘束することが許されると解釈することはできないと思いますが、どうでしょう。
  193. 松浦功

    政府委員松浦功君) 当然のことだと思います。
  194. 加瀬完

    ○加瀬完君 大蔵省は。
  195. 名本公洲

    説明員(名本公洲君) 同じ答えであります。
  196. 加瀬完

    ○加瀬完君 昭和二十三年の七月の地財委発の運営の基本原則、独善的な支出の禁止ということがありますが、これはどういうことですか。昔のことを聞いて恐縮ですけれど。
  197. 松浦功

    政府委員松浦功君) 「独善的な」というのは、ちょっと前をつけないといけないと思いますが、「国民経済現実を無視して濫費を行い、若しくは国家財政との均衡乃至は国の施策との適合を忘れて独善的な支出を行い、」と、こう書いてございます。裸で「独善的」と書いてあるわけではないようでございます。
  198. 加瀬完

    ○加瀬完君 だからといって、国家財政の均衡、施策との適合だけを強要していいと解してはならないと思いますが、どうでしょう。
  199. 松浦功

    政府委員松浦功君) 日本の地方自治というものに対する考え方に問題もいろいろあるのかと思いますが、私はやはり日本の国というものを前提にした、国家を前提に置いた自治であって、やはりその自治というものには一定の制限があるというふうに考えざるを得ないんではなかろうかと思うのでございます。したがって、ものによっていろいろ結論が違ってくるかと思いますけれども、国の政策と全く相反するようなやり方ということについては、これはいささか問題があるではないかと個人的には考えますけれども、その問題が果たして憲法に違反することになるのか、あるいは各法令に違反することになるのか、私どもの口から申し上げられるほど簡単な問題ではないんじゃないかと思うんでございます。いずれ具体的な事例が出れば、裁判所の方が御決定をいただくという問題のたぐいかと思います。
  200. 加瀬完

    ○加瀬完君 私は法律で決められている国家的拘束を一切はねのけていいということを申し上げておるんではない。だからといって、財政自主権というものが地方団体にはあるわけですわ、潜在として。国家財政との均衡上いけないから、施策とも適合しないからということだけで、一切のそれぞれの地方財政運営というものを拘束するということはできないと解していいんじゃないか、こう言っているんです。
  201. 松浦功

    政府委員松浦功君) 現行法令というものをすべて前提に置いて、具体的な規定に抵触をしない範囲で何を行うのも地方団体は自由だというお話でございますれば、私はそれは正しいお考えじゃないかと思います。
  202. 加瀬完

    ○加瀬完君 地方財政地方行政が、国の付帯事務であったり、下部機構であったりするという規定はどこにもないと認めてよろしゅうございますね。――もう一回申しますよ。地方財政なり地方行政なりが国の付帯事務や、あるいは地方行政というものの組織は国の下部機構であるという規定はどこにもなくて、地財法施行命令の通達にも、「地方自治の本旨に鑑み」とありますけれども、その地方自治というのは、住民福祉、住民自治ということが大まかに言って前提だと解してよろしいでしょう。
  203. 松浦功

    政府委員松浦功君) 地方自治団体といえども、国の組織の中の、国の組織というとまずうございますが、日本の国家というものを前提に置いた一つの組織でございますので、法令によって地方団体が国の事務であっても施行しろという形がとられることはあり得ますけれども、それ以外の部分については、先生のおっしゃるとおりだと私も考えております。
  204. 加瀬完

    ○加瀬完君 国家機構というものがあって、その下部機構に地方団体があるということではなくて、日本国憲法の決められている国家機構なり、地方機構なりという形で地方自治法ということに枠づけがされておるわけですから、そのとおりに解釈してよろしいですね。  そうすると、給与問題に少し入りたいと思うわけですが、前提として、地方公務員は国の公務員より安くなけりゃならないという法的な拘束力は何にもありませんね。
  205. 植弘親民

    政府委員植弘親民君) ございません。
  206. 加瀬完

    ○加瀬完君 これで公務員部長の方へ聞くことが多くなると思いますが、ラスパイレス計算というものは、あれが一番正しいとお考えになっていますね。
  207. 植弘親民

    政府委員植弘親民君) 現在のこういった給与水準と比較する統計学的処理としては、最も確率が高いというふうに理解しておりす。
  208. 加瀬完

    ○加瀬完君 では問題点はありませんか。
  209. 植弘親民

    政府委員植弘親民君) 万能ではないことは、私どもは十分承知した上で地方団体に指導いたしております。
  210. 加瀬完

    ○加瀬完君 一番問題点はどこですか。
  211. 植弘親民

    政府委員植弘親民君) まず、先生よく御承知と存じますが、比較いたします場合には、現在やっていますのは、対象といたしましては、国の場合は行政職(一)の給料適用者ですね。それから地方団体の場合も、一般行政職ということで、全職員ではないという点が一つの問題点であろうかと思います。それから学歴別、経験年数別の指数を出しておりますから、必ずしも学歴別、経験年数別の職員の構成が一〇〇%一致しない場合においては、若干の誤差はある程度出てくるだろう、そういったような点のそごがあると思います。
  212. 加瀬完

    ○加瀬完君 おたくの方で審議されましたラスパイレス計算による国と都道府県の職員の給与の違いは、国に比べて都道府県の職員は一一〇・一、すなわち一〇%高いという計算ですね。
  213. 植弘親民

    政府委員植弘親民君) そうでございます。
  214. 加瀬完

    ○加瀬完君 しかし、実際の差は四千二百四十八円でありますのに、一万四百九十一円高いと計算しているのではございませんか。
  215. 植弘親民

    政府委員植弘親民君) はい。おっしゃるように、数字はちょっと後で申し上げますが、おっしゃるようにそういうように推定いたしております。それはなぜかと申しますと、平均年齢の差がございます。いまの給与体系で申しますと、通常の状態で勤務いたしますと、まあまあ定期昇給は一年一号上がりますが、一年に一号上がるということになりますと、大体一般的に言って国家公務員と地方公務員で三年有余の平均年齢の差がございます。そういたしますと、現在、大体一号の間差額が三千四、五百円から四千円くらい違いますから、三年違いますと一万円以上違うわけです。それを考えないで単純平均では意味がないと思っておりますので、私どもは推定ということでございますが、そういう、いま先生の御指摘のような数字を出しているわけでございます。
  216. 加瀬完

    ○加瀬完君 それはあくまで推定であって、実際の国家公務員と地方公務員のラスパイレス計算による数字、いま御説明数字と実際の給与の実態の数字というものとは違いますね。
  217. 植弘親民

    政府委員植弘親民君) 誤解されるといけません。私の説明がまずかったのでもう一遍申し上げますが、ラスパイレス指数といま先生のおっしゃっています平均額というのは、ちょっと一律のものでございますから、そこのところをちょっと御理解いただきたいと思います。
  218. 加瀬完

    ○加瀬完君 だから、地方財政的に見れば、ラスパイレス計算でやるような差額というものは、実際はない。にもかかわらず、推定の数字で、おまえの方は幾ら幾ら高い、おまえの方はどうだというような指導をするのは、ちょっと飛躍じゃありませんか。
  219. 植弘親民

    政府委員植弘親民君) その点は、財政当局の方からお答えした方がいいのかしれませんが、少なくとも財政計画上は、もうすでにこの委員会で御論議あったと存じますが、国家公務員の水準を基準といたしまして給与計算をいたしておりますから、ラスパイレス指数が仮に一一〇ということになりますと、百十分の十という額しか財政計画上は財政措置が講じられてないということになりますから、その分だけ穴があく。もちろんそれでもう地方団体いいんだというならば、これは何をか言わんやでありますけれども、やはり給与費の面における財政計画上との実質上の乖離という問題が発生してまいりますので、問題だと思っておるわけであります。
  220. 加瀬完

    ○加瀬完君 御説明のように、国の行(一)と地方の一般行政職とを比較したもので、多様な職種を持っておりまする地方公務員について全面的に比較をしたということにはなりませんね。これはお認めになりますね。
  221. 植弘親民

    政府委員植弘親民君) 全職種について、国家公務員と地方公務員をラスパイレス方式で比較しようとすれば、できないことはございません。現にできます。しかしながら、実際問題といたしましては、地方公務員の中で多くのシェアを占めております教育公務員、それから警察官、こういったものは国家公務員にはほとんどないといっていいわけであります。それからまた清掃の職員、こういった困難な業務をやっていますものも、国家公務員にはほとんどないと言っていいわけであります。しかし仮に、冒頭申し上げましたように、ラスパイレス方式で比較しようといたしますならば、たとえば清掃職員でも、これは国の場合ですと、単純労務ということで行政職(二)表の適用職員になるわけであります。したがいまして、地方公務員につきましても行政職(二)表というものを使うことが原則でございますから、その比較はできるわけであります。しかし、いま申し上げましたように、清掃といったような困難な職種といいますか、そういった職種に従事している職員というのは国にありませんので、余り比較しても意味がないような気がいたします。  ただ問題は、地方団体におきます給与決定の実態から申し上げますと、もう先生よく御承知と存じますが、一般行政職給料表が中心になって、他の職種がそれと均衡をとりながら、給料表ができ上がっておりますから、一般行政職を比較することによって大部分九九%、大体推定がつくということになると思います。
  222. 加瀬完

    ○加瀬完君 一番のラスパイレス方式の矛盾は、いま言った職種なり、仕事の質なり、困難性なり、量なり、あるいは職員一人当たりの住民数と物価差、生計費差、そういうものが具体的には給与では当然はじかれられなければなりませんのが、はじかれてはおりませんね。  もう一つは、給与というものは、交渉によって賃金決定するというのがいまたてまえですよ、原則は。国家公務員、地方公務員と枠を別にして原則を考えると。それをラスパイレス計算でこうだからといって、それを基準に抑えるということは、一体いまの時代の賃金体系の決め方として、不合理な点はありませんか。
  223. 植弘親民

    政府委員植弘親民君) まず第一の点でありますが、冒頭にもお答え申し上げましたように、ラスパイレス方式は経験年数別、学歴別のものでございますから、いま先生御指摘のような、若干の要素が十分反映されていないといううらみはあると存じます。しかしながら、統計的処理で大量処理やります場合においては、傾向値としてはもう十分使用にたえ得るものであるということを確信いたしております。  それから、また一つその点で申し上げますと、物価差とか生計費という問題ございましたが、これは本来でございますと、調整手当の問題であろうと思うのであります。実際において国家公務員の調整手当、昔の地域給でございますけれども、これが当該地方地方に十分機能しているかどうかという点については、私どもも疑問点もないわけじゃありません。しかし、いまおっしゃったような問題は調整手当の問題として考えるべきでありまして、私ども、ラスパイレス指数では本俸の比較しかやっておりませんから、その意味では、いま先生御指摘のような心配は非常に少ないということを申し上げたいと思います。  それから、第二の給与決定の原則の問題でございますが、やはりこれは交渉の対象になっていることは、勤務条件でありますからもちろんであります。しかしながら、勤務条件法定主義は国家公務員、地方公務員通じてとられておりますし、現にまた八年間にわたって御研究いただきました公務員制度審議会におきましても、国家公務員につきまして、当分の間人勧体制による、人勧方式によるということがうたわれております。やはり人事院が民間の給与実態調査やりまして、官民比較を行い、その較差を補てんするという方法、いわゆる人勧体制でありますが、これはやはり現在の公務員の給与決定方式では妥当なものであると思います。かといって、私は、地方団体において当局と職員団体の間で交渉をしていかぬというわけではありませんが、その交渉も当然正常なルールといいますか、交渉ルールがございますから、それに乗って、十分地公法二十四条三項の給与決定の基本的な考え方を念頭に置いた上で交渉してもらいたいというように考えております。
  224. 加瀬完

    ○加瀬完君 御希望の御意見はよくわかりました。私どもは不法な方法で金取っていいということを言っているわけじゃないですから、この問題は、ラスパイレス計算による資料というのは、一つの有力な資料だと思いますけれど、これで財政問題を処理する手がかりということには私はならないと思う。これは財政局長の方の問題かもしれませんが、地方財政硬直化というものを、ラスパイレス方式だけをやればいいかどうかという点について、私は財政上疑問があるのでこれから伺います。  たとえば給与費は、単価だけを問題にしましても、その縮減を図ることはできませんね。員数が問題でありますね。この点の検討自治省としてはどうされているか。
  225. 松浦功

    政府委員松浦功君) 四十八年の実態調査に基づきまして、当然是正すべきものは是正するという態度で臨みまして、四十九年度に二万四千人、五十年度地方財政計画で十三万八千人規模是正を行ったところでございます。
  226. 加瀬完

    ○加瀬完君 給与費総額は公務員の数が当然問題であります。したがって、数の増加について十二分な検討をしないで、ラスパイレス方式という単価だけを問題にしてもどうにもならないでしょう、という前提で伺います。  公務員の数の増加は、法律改定や、中央官庁の政策によって決まる点が非常に多いわけです。地方だけが無限大に勝手気ままにふやすというわけではありません。四十三年に比べて、三十五万八千人、四十九年現在として増になっておりますね。これは、福祉とか企業職員などを引くと、六万九千人の増にすぎません。そうすると、ほかはほとんど法律的なような根拠によって増員されている点が多いんです。  それからもう一つ、国家公務員の数をふやさないでおいて、肩がわりを地方に押しつけている点がないわけではありません。自治省でも地方公務員の要望される増員の要望数というものが、毎年満たされているということではないわけですから、これはもう私が説明をする必要はありません。給与費の増高を問題にするならば、この員数というものを問題にしなければどうにもならないんじゃないか。  そこで、特に地方行政は人による行政の点が多いんです。いま言ったように、教員のない教育、警官のない警察行政というのはあり得ないわけですから。それで、ここに四十七年の警察費の決算額があります。都道府県費と国の補助金の内訳を示しますと、四十七年警察費の決算額、都道府県費が六千九百八十一億、国からの補助金は六百十億。それで警察は、御存じのように、国の指揮下にありながら、しかも、国の事務内容まで地方が負担をしております。これは単価を下げることはできても、員数を削ることはできないんですよ。教員も同じです。そういう問題には一つも触れないで、給与費だけが高いから、地方財政硬直化しているという意義づけがどうしてできるのか。政府からぐんぐん押しつけられて、地方公務員として払わなきゃならないこういう人員。この間もこの委員会でも問題になりました警察。代用監獄なんというのは地方事務じゃないでしょう。ところが、その代用監獄に伴うところの費用というものは、全部地方が負担している。こういうことを一つも整理しないで、単価だけを問題にしているのは、公務員部長としてはこれはまあ仕方がないわ。しかし、自治省としては私らとても解せない、この点どうでしょうか。
  227. 松浦功

    政府委員松浦功君) 私どもは人数の問題も、できるだけ少ない人員で効率を上げてやっていく方がいいと思っておりますし、単価自身については、先生もおっしゃられましたように、公務員部のいろいろの研究の結果を私どもとしては率直に取り入れる、こういう態度をとっておるわけでございます。大臣もこれまでにたびたび御指摘になっておられますように、財政硬直化の原因は、給与問題だけだとは一言も申し上げておりません。私もそうは申しておらない。ほかにも要因はあるんでございますが、非常に大きな一つの要因であると申し上げておるのでございます。  しかも現実には、先ほど説明申し上げましたように、四十八年度の決算と計画との乖離を見ますと、一兆を超える乖離が人件費であるわけでございます。この人件費の内訳は、規模是正がまだ十分行われておりませんので、約四千億程度が人数差の計画上の見込みが足りないということから出てきておりますが、あとの六千億は、私どもの推計では、単価差とプラスアルファでございます。六千億の金というものが仮にもし歳出になかったならば、地方財政がこんな状況になるだろうかということを考えた場合に、もしそういう形になれば、地方財政はもっといまよりは楽に運営できるようになろうし、また逆に苦しくないところであったら、それだけ住民サービスの方に投下できる、こういう理解を計数的には持たざるを得ないわけでございます。したがって、すべての要因だとは申し上げませんが、やはり地方団体としてお考えをいただくべき一つの大きな要因ではなかろうかということについては、私どもとしては確信を持って言わざるを得ないと、こういうことだと思っております。
  228. 加瀬完

    ○加瀬完君 それは御指摘のような団体もあります。しかし、該当をしない団体もたくさんあります。それを、都道府県の職員だけを対象にラスパイレス方式で推定単価を出して何%高いと、こういうような決めつけをしている。高いところは、いまおっしゃるような方法でこれは一応の硬直化を防ぐという形ができるかもしれません。私が、地方団体全体では、ラスパイレス方式による単価の引き下げやったって何にもならないと――何にもならないというのはあれですけれども、大して効果がないと指摘したいのは次の点です。  人口区分のラスパイレス指数を見ますと、都道府県では確かに一〇・一%、指定都市では一六・二%、市で一一・四%、それぞれ上回り、町村では三・四%下回っていると、こう自治省は発表しております。これは概括説明ではあっても個々の説明にはならない。具体的に、人口三万以下のほとんどの市町村は四十八年度においても国よりも低く、小規模の市でも低い方に大差はありません。申し上げますと、くどいようですけれど、三千から五千五百の町村で四十八年は九八・七、五千五百を超えて八千までのところは九六・三、一万三千のところは九六・四、一万八千は九六・七、二万三千は九八・三、二万三千を超え二万八千までは九八・五、小規模の市とほとんどの町村は、ラスパイレス指数で推定比較をしても低いんですよ、国家公務員より。しかし、これらの団体がすべて財政が黒字で、将来も健全化で心配はないということにはなっていませんね。給与だけで解決できますか。逆にこう質問しますよ。給与の高くない市町村でも赤字がたくさんできて、硬直化の現状というものは変わりがないという団体が多い。これをラスパイレス計算だけの方式で、財政硬直化の救済に給与費だけを形をつけようとしてもできますか。
  229. 松浦功

    政府委員松浦功君) われわれの考え方からして、適正な給与水準が保たれているところで財政硬直化しておるという事例は、私は原則的にはないと思っております。
  230. 加瀬完

    ○加瀬完君 そんなばかなことはないよ。
  231. 松浦功

    政府委員松浦功君) もしあるならば、逆に先生がおっしゃられたように、単価は低いけれどもきわめてよけいな人数を置いておられるとか、何か特殊な仕事をおやりになり過ぎたとか、そういった何か特殊な原因がある場合が私は多いと考えておるのでございます。もちろん、あるいは何か財源の配分の配り方が悪いためにそういう事象が出ておるとすれば、私ども自戒をしなければいけないかと思いますが、原則的にやはり給与水準が高い団体であればあるほど問題が大きいということは、一般論として言って差し支えないかと思います。  ただ、先ほど来申し上げておりますように、これを片づければ全部が終わると私は申し上げておるのではございません。大きな要因の一つだと申し上げておるわけでございますので、この問題が片づけば大きな要因は取り除かれるだろうと。しかし、ほかの要因から出てくる問題についてはほかの手だてを講じなければならない、こういうことだと存じます。
  232. 小山一平

    ○小山一平君 関連。  いまのお答えを聞いて私は実に心外に思うんですが、特にラスパイレス指数で示された統計を見ましても、まあ町村、小さな市などで、ひどいところは八〇%台なんていうところもありますね。九〇%台、こういう市町村は、いまの話ですと、財政の硬直の度合いは他よりも緩和されている、よろしい状況だといまおっしゃいましたけれども、それじゃ東北各県の市町村の実情、ほとんど九〇%台でしょう。ところが健全ですか。たとえば保育所であるとか、こういう社会福祉施設の一番おくれている地帯はどこだか知っていますか、あなた。そういうラスパイレス指数のごく低い水準の町村というものが、そういう社会福祉施設などは非常な低位にある。そういう行政水準に非常に大きな開きがあるんですよ。なるほど、赤字決算が出なければ形の上で健全というのかもしれない。しかし、私はその行政水準がどのように保たれているかという、全国的水準を保てるような保障があって初めて健全だということが言えるんですけれども、ほとんどが、たとえばいま厚生省では保育所の措置児童の標準を千分の十八に置いておるでしょう、ね。ところが多くの都市等においては、これが二十になったり二十五になったり、あるいは三十五になっているところがたくさんあります。ところが、東北地方あたりのラスパイレス指数が九〇というようなところは、その十八にも満たないという町村が大部分である、こういう事実を踏んまえて健全であるかないか、こういう判断をしていただかなければ、これは大変大きな間違いを起こすと思いますよ。私はいま局長さんが、ラスパイレス指数が国家公務員より低い市町村の財政は健全であると、これはとんでもない話です。私はその点をよく確認をさしていただきたいと思うんです。
  233. 松浦功

    政府委員松浦功君) 健全であるという角度の御質問ではございませんでしたから、人件費の問題が、いま私どもの言っているように、ラスパイレスの非常に高いところは財政硬直化の度合いが進んでおると。それの反対として、人件費が正常に運営されているところは硬直化の度合いがそれほど進んでないと思うと、こうお答え申し上げたので、これは私どもとしては間違っておらないと思うのでございます。たとえば東北地方の同じ町村で、隣り合わせの町村で、全く同じような条件があった町村で、片一方がラスパイレス指数が一一〇であり、片一方がラスパイレス指数が九〇であった場合には、恐らく住民のサービスに回せる余裕というものは九〇の団体の方がはるかに多いと思うんでございます。私はそういう角度から物を申し上げておるんで、例外なしに、人件費が低ければすべて健全になると、赤字も出ないと、そういうことを申し上げているわけではございません。だから、ある仕事をよけいやり過ぎたために苦しくなっておられる団体もあるだろうと、あるいは交付税の傾斜配分の仕方が十分でないというような点があれば、それは私どもとしてもなお自戒をする必要はあるだろうということまで申し添えたつもりなんでございます。私の言い方が不十分でございました点で、恐らくそういうふうにおとりになられたんだと思います。その点はおわびをいたします。
  234. 小山一平

    ○小山一平君 もう一つお尋ねしますがね。私は特に町村団体の事情はかなり知っているつもりです。なるほど給与は低いです。町村合併をやりますと、村が入ってくればとたんに一人当たり五千や一万円の人件費の格差を持っています。それではその町村の財政事情は健全であるかと言えば、全くその反対と言えるようなのが現実の姿です。そこで私は、なるほど同じ規模の同じ条件の団体が、給与費が高ければ低いところよりそれは苦しいに決まってます。そういうのでなくて、ラスパイレス指数で見てその水準が低かろうが、同様に今日では財政問題で苦しんでいる。こういうことを考えると、私は給与の問題が全然重要でないというわけじゃありませんけれども、行財政制度の改革ということなしにはただいまの地方財政問題の解決は不可能であると、こういうように思うんですが、いかがですか。
  235. 松浦功

    政府委員松浦功君) 先ほど大臣からお答え申し上げましたように、その種の問題につきましては、ただいま地方制度調査会硬直化に対する御見解を求めておるところでございます。私どもとしても、結論が出ますればその方向努力をするということでございます。しかし、その結論がどう出る出ないにかかわらず、給与という問題が一つの財政上の問題になっているということは、私どもとしては間違っていないと思っております。いずれにいたしましても、地方財政全般の運営が苦しくなり、かつ円滑な運営ができなくなることは国政にも大きな影響を及ぼす問題でございますので、あらゆる角度から検討を進めさせていただきたいと申し添えておきます。
  236. 小山一平

    ○小山一平君 どうも私、納得いかないんですがね。これは人件費の問題もおろそかにしていいとか、軽視をしていいと言っているわけじゃありません。人件費がたとえ安い自治体であっても今日は非常な財政危機に陥っていると、こういうことを言っているんですよ。ですから、それは調査会の答申を待っておやりになるということはそれでいいですけれども、しかし、その事実をはっきり自治省としても認識をしていただく必要がある。ですから、ただ単に人件費の問題が解決ついたってどうにもならない非常に広範な重要な問題というものが残っている、それは当然行財政制度の問題としてこれから解決を図る必要があると、こういう認識をやっぱり自治省としてもしっかり持っていただかなければ、今後の地方財政問題の解決というものはできない、こういう私どもの認識なんです。
  237. 松浦功

    政府委員松浦功君) 給与がきわめて低い団体であってもという前提をおつけになってのお話し合いでございますと、そういう団体もあろうかと思いますが、それが全国的な傾向であるということについては、残念ながら、先生の御認識と私どもの認識とはやや違いがあるようでございます。
  238. 小山一平

    ○小山一平君 これは私はそういうことであるとしたら、納得のいくような資料を出してください。そういう給与が非常に低い団体が財政が健全で、そして行政の水準もそう低位になっておらない、こういう資料があったらこれは出していただきます。それを出していただかなければ、これは納得がいきません。
  239. 松浦功

    政府委員松浦功君) この問題はきわめてむずかしい問題でございますが、先ほどお話し申し上げましたように、私ども政府としてまとめて地方財政計画というものをお出しして、地方財政計画に計上した歳入は、大臣お答えを申し上げましたように、仮に穴があいてもそれを埋めて地方団体に迷惑をおかけしないようにいたしますと、こう申し上げているのでございます。それでは財源が不足しているというおっしゃり方に対して、私どもがいまそれをうんと言う立場にはないわけでございます。その辺のところも十分御賢察をいただいて、私どもとしては今後地方財政の運営に支障を来さないように努力をするということを申し上げているのでございますので、その辺でひとつ御容赦をいただきたいと思います。
  240. 加瀬完

    ○加瀬完君 私ども自治省の出された資料をもとにして質問をしているわけですよ。小山委員もいまいろいろ御指摘になりましたように、あなたの方で出された資料によると、公務員部長説明されたようなラスパイレス計算でやっても、給与の国家公務員に比べて低い団体が数多くある、そういう認識をお持ちになっていらっしゃらないということが私はおかしい。それで、しかもその団体は給与が低いわけですから、給与の切り下げの余地はないわけです。しかし、赤字団体になったり、赤字団体に落ち込みそうな数も相当ある。そうだとすれば、給与費だけを問題にしても地方財政の危機というものは、あるいは率直に言って赤字の解消というものは解決できないじゃないか、これが一点。  もう一つは、給与費だけではないでしょうと、員数だって問題ではありませんかと。たとえばさらに指摘をしますが、地方公務員といっても、義務学校の職員、警察官、消防職員、福祉関係の職員などを縮減することはできないでしょう。しかも、昭和四十三年と四十八年を比べますと、福祉関係は四三・一%、その他は一一・六%、教育関係者は九・三%、警察官は二四・八%、公営企業は一二・四%とふえている。これを一挙に削減できますか。そうであるならば、給与費の単価が問題ではあるかもしれませんが、給与費の単価とともに、この員数に対する増員の財源というものをどうするかということをもっと考えなければ、地方財政硬直化を救う対策にはならないではないか。  もう一つ大きな解決として見逃されている問題がありますが、これはこの問題が終わってから追及をいたします。  当面、いま論議されている問題は、法律などによって無制限と言っていいほど増員されたものの財政的な裏づけというのが確立しておらないところにも問題があるんじゃないか。員数はだんだんふえる。単価を、それぞれの地方団体は、それぞれの地域の理由によって給与費が高くならざるを得なくなっているところもある。それを一律に国の力で国家公務員と同等にするということは不可能です。また、そういう権限も政府にはないわけです。そうしてくると、給与費だけをどうかしようという問題では地方財政の解決にはならない。それをこれだけで何か解決するような、そういうことがありませんと言っても、事実表向きはそういう形で出ている。これは政治的意図はわかるけれども、政策としてはうなずけませんよ。これが健全化の政策ということになりますか。どうしてなるんですか。  くどいようですが、もう一回言います。ラスパイレス計算でやっても低いところがありますよ。低くても赤字のところもありますよ。これを給与費だけを国家公務員と並べたって解決できないじゃありませんか。もう一つは、無制限にふえてくる人員の、これを、法律で決められているものですから、やたらに地方の団体でこれ切るわけにはいきません。そうすれば、給与費というのは当然ふえてくるのじゃありませんか。問題はむしろこれの財源をどこかに求めるということが先で、単価を下げるというだけで解決できる問題じゃないじゃありませんか。こういう点がただいままでの御説明では私どもは納得がいかない。
  241. 松浦功

    政府委員松浦功君) 給与が低いところで赤字の団体もあるじゃないかというお尋ねでございますが、私もつまびらかにはいたしませんが、あるかもしれません。それはそれなりに別に理由はあるんじゃないだろうかということを私は申し上げているわけでございます。必ずしも低いところが全部赤字という事態ではないはずでございます。それは特殊の事例としてまた検討をさしていただきたいと思います。  人員の問題につきましては、年年法律で定められてふえてまいりまする警察官とか教員とかいうものについては、実態を追って財政計画に計上しております。年々増員を計画上に見込んでおります。ただ、五年に一度の差で、一般職員と、必ずしも根拠が明白でない地方独自の理由でおやりになっておられるものについては、給与実態調査の結果に基づいて、理由の立つものについては実態に合わせて調整をしている。それが先ほど申し上げた四十九年の二万四千人であり本年度の十三万八千人でございます。そういう意味では、人員については常に私どもも乖離がないようにという努力をこれまでも重ねてきておりますし、今後もそういう方向努力はいたします。  先ほど申し上げたように、四十八年の一兆の乖離のうち四千億程度は人間、これは五年間の積み重ねが残っておったと思うのでございまして、五十年度ではこれが大部分解消した。そうなりますと、残りの六千億は、達観して申し上げて給与水準とプラスアルファだと申し上げておるわけでございます。この問題については、先生とはあるいは考え方が違うかもしれませんけれども、われわれはわれわれなりに、それだけのものについてある程度地方団体努力をしていただければ、出るべき赤字がそれだけ減るだろうし、あるいはそうでなければ、住民サービスの方にそれだけの金が回していただけるじゃないか、こういう考え方でおるわけで、この問題が片づけば地方財政の問題すべて片づくとは、先ほど来申し上げておりますように思っておりません。超過負担の問題も私ども努力して解消しなければなりませんでしょう。少し時間はかかるかもしれないけれども事務の配分の仕方がいまのままでいいのかどうか。あるいはそれに対する財源の配分がそれでいいかどうか。こういったことについても検討を続けなければならないと思っております。したがって、短期に、ことし人件費の問題が片づけばすべて財政硬直化が終わってしまうなどという安易な考え方は持っておりません。相当いろいろと研究をしながら、また先生方のお知恵を拝措をしながらいかなければならない問題だと考えております。
  242. 加瀬完

    ○加瀬完君 私どもは、誤解があるといけませんから、付言しておきますが、ラスパイレス計算等によって適正な給与費というものを求めていくことを否定はいたしません。それはそれで結構でしょう。ただし、ラスパイレス計算というものは実態と合っておらないんです。だから、具体的に財政硬直化を解決するという唯一の手段としてラスパイレス計算というものを考えるのなら、それは当を得ないでしょうと。しかし、もっと――硬直化は間違いないんです、これは。硬直化を解決すると言うならば、いまおっしゃったように、財政計画ではいろいろ人員増の財源なども考えているということでございますから、それらとともに、一体地方公務員の員数、職種、国と地方事務配分、そういうことももっと明確にされて、どうしても地方としてやらなければならないものであるならば、それは給与費も員数も残しておかなければならないものだ。それらの見きわめというものがもっとあっていいじゃないか。  たとえば地方の新しい事務の量と範囲、これを満たす自主財源、必要経費と必要収入額のバランスまたはアンバランス、こういう問題もラスパイレス計算同様に考慮されてしかるべきではないか。国と地方事務配分も合理的に整理されてはおりません。当然の国の事務を――警察行政に触れましたけれども地方に任せている点、しかもその財源措置の不十分な点、給与費以前に解決すべき問題ではないか。  また、国の政治によって生じました都市問題、過疎や公害、環境保全の問題など、国の政策欠陥によって生じた面は当然国が責任を負うべきものが数あるわけでございますが、こういう点もはっきりしておらないじゃないですか。最初に申しましたけれども、国の政策の後始末を地方がかぶって、その後遺症に悩んでいるという現実もあるわけでありますから、こういう問題は単に給与の単価だけで問題が解決するということにはならないのじゃないか。  特に四十九年度から給与費が非常に高くなったというのはインフレの問題です。インフレの問題だとすれば給与を受ける側だけに責任をかぶせるわけにはまいりません。すると、あなた方は、国家公務員だって地方公務員だって、インフレを受ける影響は同じだ、だから、地方公務員だからインフレの問題だからといって、国家公務員よりも高い給与を受けていいという理由にはならないとおっしゃるかもしれませんけれども、じゃ、あなた方と県庁の職員、市の職員、町村の職員の将来性なり生きる希望なりというものを分析したときに、田舎の町の職員が――区別はないはずでありますけれども、国家公務員と同じような将来の希望というものを持って働くことができますか。役場の職員が県庁に引き抜かれるといったら、私は役場の職員でいることが使命でありますから県庁に参りませんとは言わないでしょう。都道府県の職員が自治省に引き抜かれて来るということになったら、出向するということになったら大体喜ぶでしょう。自治省に来とれば、また総務部長でどっかに行く、副知事で行くということも可能でありますが、町村の吏員を何年やったって副知事には迎えてくれません。そういうもろもろの条件がありますからね。地方では、ある程度人材を確保するためにはこれは待遇をしなければならない面もある、住民サービスを十分にさせるために。そういう事情も一切なしにして給与を決めるというわけにはまいりませんよ。こういう点が、私は、最初に申しましたように、給与を問題にすることは結構ですよ。しかし、給与費の単価だけを問題にしても給与費全体の解決にならないと思うのですが、これはどうでしょう。
  243. 植弘親民

    政府委員植弘親民君) ラスパイレスにつきましては、さきにこの委員会でも大分御論議いただいたのでございますけれども数字的にちょっと申し上げますと、先生は四十八年のものをお使いでございますが、四十九年も当委員会に資料を出しております。四十九年になると大分変わってまいっております。都道府県は最低一〇〇を超えているわけでございます。市は全市のうちで九〇%を若干超えるぐらいがもう一〇〇を超えております。町村でも五十数%が一〇〇を超えております。もちろん一〇〇が直ちに一〇〇であるかどうかという点につきましては、先ほど言っておりますように若干問題があります。仮に一〇〇であっても、国家公務員が非常に高い場合もありましょうし、場合によっては低い場合もあるかもしれませんが、そこらの例外を除きましても大体いいと思います。  そこで、ラスパイレスは市町村ごとに全部やってきておるわけです。したがって、その意味では、結局いま人件費を見ます場合に一体何を使うかというと、若干の問題はあるにいたしましても、ラスパイレス指数による給与水準しかないんじゃないかと思うのです、全国的に使うといたしますと。そこで、ラスパイレスが非常に個別的におかしい場合がありますと、これはパーシェという方法があります。それで裏打ちしますと、大体もうラスとパーシェとの間隔、開きというものは三以内で、九〇%ほどあります、九〇%の地方団体が三以内。  いずれにいたしましても、しかし全地方団体で、三千三百を超える全地方団体で一一〇以上なんですから。こうなると、やっぱり先生のおっしゃるように、なるほど国と府県と市町村との間における生きがいといいますか、勤務のあれというものからいきますと、若干の問題があるかもしれません。人材確保という要素はあるけれども、三千の地方団体平均いたしまして一一〇ということになりますと、これはちょっとやっぱりオーバーじゃないでしょうか。  それからもう一つ、定員の問題ですね。これも実は私どもも、定員管理も公務員の仕事でございますから、大変気にしているところであります。しかし、先生がいま御説明になりましたように、私どもも一体どういうかっこうでこう増員になっているんだろうかということを調べて、ああいうふうに一般行政を特別行政というふうに余りなじみのない言葉で御説明申し上げているわけでありますが、それを考えてみましても、警察官、義務教育の先生のふえますのは、もうこれは大体府県なんですね。すると、府県は一〇五以上なんです。それから、社会福祉施設にいたしましても、ざっともうほとんど誤りのないところを言いますと、市なんです。市の中でも、三大都市圏の人口急増地帯あたりの保育所あたりが非常にふえている。そこらはもうみんな高いわけです。したがいまして、そういう点からいきますと、さっきの先生方の財政論争、議論に私立ち入るわけじゃございませんけれども、定員がだんだんふえていくとしますと、仮に必要やむを得ない定員がふえたといたしましても、ラスが高ければ、その分だけは余分な人件費としてはね返りますから、硬直化の原因になるであろうことは私ども心配なんです。  ただ、問題は、先ほど先生がちょっとおっしゃいましたけれども、三千三百の地方団体でございまして、東京でも地方団体なら、青ケ島村も地方団体なんですね。そうなりますと、共通因数的な言い方しか、ラスならラスで言えませんので、場合によっては、ラスも低く、まともに――まともにという言葉は語弊があるのかしりませんが、非常に適正、合理的にやっている地方団体にまでも非難がいくような点があるのかもしれません。この点、私どもは非常に申し訳ないと思いますけれども、やはり三千三百の集合体である地方行政立場から言いますと、やはり共通的なそういった問題点を指摘せざるを得ないという点をひとつ御理解いただきたいと思うんでございます。
  244. 加瀬完

    ○加瀬完君 理解はできませんな。大体ね、国家公務員より地方公務員は高くていけないとか、同じでなけりゃいけないとかいう法的根拠はどこにもないんだよ。それが適正か適正でないかというのは住民が判断するわけです。いまは判断できないかもしれぬけれど、判断すべきだ。一々自治省にごきげんをうかがって、これはいいか悪いかとやって、市町村が進むべき問題じゃないんですよ。しかし、私が言うのは、あなた方の方で、いろいろそういう地方財政硬直化というものを防ぐために、人事担当の者は人件費の問題でくふうする御努力を、決して敬意を表するにやぶさかではありませんし、否定するものではありませんよ。しかし、それだけではどうにもなりませんぞ、地方財政の問題は、ということですよ。  それで、それほど給与費の削減方法を考えてまで健全化を図ろうとするならば、なぜ歳入面で取れるべきものを放置しておくのかという疑問を私は持つわけです。これは大蔵省ともあわせて伺います。それは租税特別措置法、あるいは地方税の減免措置というものはたくさんありますね。これらはどう整理をされておりますか。そこで昭和四十九年と五十年度の租税特別措置法、あるいは地方税の減免措置によって減免された分は幾らになりますか。
  245. 石見隆三

    政府委員(石見隆三君) お答え申し上げます。  昭和五十年度の推計でございますが、国税の特別措置によりまして、地方税に減税額として出てまいります額が大体千四百七十億程度であります。そのほか、地方税独自の特別措置として出てまいります減収額が二千五百億ぐらいでありまして、合計いたしまして三千九百億ちょっとということに相なろうかと思います。
  246. 加瀬完

    ○加瀬完君 おっしゃるように、国税措置による影響が千四百七十二億、地方税による影響が二千五百十億、三千九百八十二億と、大蔵省の資料によるとなっているようです。これが四十九年には、国税措置によるものが千四百三億、地方税の措置によるものが二千九十億、三千四百九十四億。そうすると、四十九年度より五十年度は、租税収入の落ち込みが非常に大きいと言われるのにもかかわらず、減免分を五百億ふやしている。単価を下げなけりゃならないというほど窮乏している地方財政の状態において、どうして三千九百八十二億減免を許容しなきゃならないか。一歩譲っても、去年よりも五百億も減免をふやさなきゃならない理由がどこにあるか。特に、市町村民税は三千二十億を減免しておりますね。三千二十億を減免している。うなずけないです。これはもう大臣にひとつお答えをいただきましょう。――もう一度申しましょうか。  地方の給与の単価を引き下げなきゃならないというほど地方財政が窮乏しているときに、国、地方で減免をしている額が三千九百八十億もあるわけです。その市町村分は三千二十億も減免をしている。市町村財政非常に困っているというのに、三千億以上も減免している。給与費を下げるくらいじゃない、取れるものを野放しにして、相変らず減免をさせている理由はないじゃないか、少し手心を加えたっていいじゃないか、片手落ちではないか、私はそう思いますけれど、どうでしょう。どうですか、これ。
  247. 福田一

    国務大臣福田一君) まあ加瀬さんのおっしゃることはよくわかるんでございますが、実際にいままでは、とにかく一応そういうことを法定いたしておりまして、いままでとってきておるわけであります。そこで、その額をだんだん減らすといいますか、減免するというか、増加するというか、取られる方と、取る方の側になりますけれども、そこいらを合理的にどう処理していくかということが私非常に大事なことであると思うのでありまして、われわれとしては、御趣旨を体して今後処理をしていくべきものである、そういう考え方でおることだけはこの機会に申し述べさせていただきます。
  248. 加瀬完

    ○加瀬完君 大蔵省にも伺いますがね。地方財政硬直化の是正のためには、一応こう全部御破算にすると、それから改めて減免の対策は考えるというぐらいの勇断をふるうべきだと思いますが、いかがですか。これは財政局長と、両方から御答弁をいただきます。
  249. 松浦功

    政府委員松浦功君) いろいろ国の政策の問題もあろうかと思いますけれども、常に見直しを行って、非課税規定を整理をするという先生の御主張には原則的に賛成でございます。
  250. 加瀬完

    ○加瀬完君 大蔵省、いかがですか。
  251. 伊豫田敏雄

    説明員伊豫田敏雄君) 租税特別措置は、もともとその一定の政策目的を実現するために、政策的な手段として、一つの方法としてとられている方法でございます。したがいまして、直ちにすべてを撤廃するということはきわめて困難でございますが、租税特別措置は、しばしば制度の既得権化と慢性化等に結びつきますので、常時その見直しを行い、その整理合理化を図っていくという方向につきましては、私もそのとおりかと考えております。
  252. 加瀬完

    ○加瀬完君 常時見直しをしていると言うなら、この国、地方の減免措置の是正について、今回のような地方財源が逼迫しているときですから、いままでになくこれは考えていいということだと思う。じゃ、どう自治省大蔵省はこの問題で交渉をされたか、あるいは話し合いをされたか、対策を立てられたか、これをひとつ伺いたい。
  253. 伊豫田敏雄

    説明員伊豫田敏雄君) 地方財政の問題はもちろんございますと思いますが、国の財政といたしましても、午前中こちらで御答弁申し上げましたような状況でございまして、われわれといたしましては、要するに租税特別措置をもってする政策目的というものと財政状況と総合勘案いたしまして、その間にバランスを取りつつ、租税特別措置の見直しを従来より強くやっていくという考え方に立っております。
  254. 石見隆三

    政府委員(石見隆三君) 地方税におきます特例措置の取り扱いにつきましては、ただいま大臣からも御答弁ございましたように、絶えずこれは見直しを行うべきものであるというふうに私ども当然考えておりまして、これは既得権化する、あるいは慢性化するということの排除はすべきであるというふうに考えておる次第でございます。五十年度におきましても、御案内のとおり、土地譲渡所得に対しまする長期譲渡所得につきまして、所得税の改正と見合いまして、従来の分離比例課税制度をさらに今回強化をするという措置をとりました。あるいはまた電気税の非課税措置につきましても、二十四品目を非課税から外してしまうというふうな措置もとったところでございます。今後私どもといたしましても、いま大蔵省の方からも御説明がございましたように、それぞれその非課税措置は、一定の政策目的なり、あるいはまた税の性格からして設けられておるものでございますが、今後とも絶えず見直しを行いながら、その整理あるいは合理化には十分努力をいたしたいというふうに存じておる次第でございます。
  255. 加瀬完

    ○加瀬完君 ことしというか、五十年度は違うんですよね、地方財政の状態が。そして繰り返すようでありますけれども、ラスパイレス方式などという、説明されればされるほどわからないようなやり方をしてまで地方の給与費を抑えようとしている。そういう状態である中に、この租税特別措置法によるもの、地方税の減免措置によるもの、これを三千九百億も野放しにしておく必要がどこにある。しかも、地方税だけでも二千五百十億、どうことしこれを検討したかということを聞いているんですよ。手数料や使用料まで上げようと言う、公共料金も上げようと言う。そうしなきゃならないということなら結構だ、これも。しかし、みすみす取れるものを放置しておいて何のざまだ。ことしどう交渉したかという具体的な交渉の方法、交渉の具体的な内容については余り述べられておらない。それをもっと詳しく、大蔵省自治省と両方から関係者が述べてください。承知できませんよ。自分のタコ足というけども、手足を切って地方財政を健全化さなければならないというような状態で給与費も切ろうとするときに、すでに目的を失っているような団体に対してまで減免措置をさせておく理由はないでしょう。一挙に解決できないにしても、ことし自治省大蔵省とどういう交渉をしたか、それを聞いているんですよ。
  256. 石見隆三

    政府委員(石見隆三君) この点につきましては、ただいま御答弁申し上げまして、また繰り返すようで恐縮でございますが、二千五百億の地方税独自の減税につきましては、やはり税の性格から見て特例措置を講ずるべきと考えるべきものもございましょうし、あるいはまた一定の政策目的と申しますか、一定の目的のために、税サイドからそれを進めるというような観点から設けられておるもの等もございまして、直ちにこれを全部廃止するということにつきましては、事実上も、あるいはまたそういう内容でもって設けられておりますものだけに、困難なものがあろうかと思っております。しかし、そうは申しましても、先ほどから申しておりますように、これが一定の目的を達したもの等につきましては、既得権化する、あるいは慢性化することは、これは厳に慎むべきことでございまして、先ほど申しましたようなことで検討はしてまいったわけでございますが、今後とも私どもはいま申しましたような観点からの努力はいたしたいと思っております。  なお、ちょっと余分なことかと存じますが、去年二千億程度の減税額でございましたものが、ことし二千五百億となっておりますものは、そういうふうに整理をいたしましても、たとえばこの中にございます住民税等につきましては、たとえば一例としては、ほんの一例でございますが、生命保険料控除というようなものも一種の特例と私ども見ましてこの中に入れておるわけでございますけれども、生命保険料自身の額が、掛金が上がってきております。一定の率でこれを控除いたしておりますので、どうしてもこの額が自動的に上がってくる、あるいは所得の向上に伴って上がってくるというふうなものもあるわけでございます。そういう意味で、逐年この額が徐々にふえてきておることは事実でございます。いずれにいたしましても、私ども今後ともその内容等につきまして十分精査をして、できるだけの整理、合理化を図っていく努力は十分いたしたいというふうに考えておる次第でございます。
  257. 加瀬完

    ○加瀬完君 私は今後のことを一つも聞いていないんだよ。ことしどういう交渉したかということを聞いているんだよ。これだけ地方財政が窮乏と言うなら、配当をしておったり、通常考えてほかのものよりよけい利得をしているというものの税金を、どこに控除しなければならない、減免しなければならない理由がありますか。  具体的に聞きますよ。これは国税関係になりますけれども、利子所得の課税特例は五百九十億、配当所得は百二十億、公害対策二百八十億、内部留保二百八十億、端数は切ります。こういうように、だれが考えたって再考慮の余地があるんじゃないかというような問題が、対象が減免されているでしょう。だから、いま言った生命保険関係はわかった。それじゃ、いま並べたもの、その他地方の特例措置で逃がしてあるもの、どうして逃がさなきゃならないのか、つかんで取れない理由は一体何だということをもっと詳しく説明してくださいよ、これは財政計画つくるときにも当然自治省としては検討されたでしょうから。これから検討しますとか、検討しませんとかと、そんなこと聞いてないんだ。検討すべき一番大事な時期になっているのに、どう検討したのかということを聞いているんだよ。こういう時期に検討しなくて来年のことを言ったら鬼が笑うよ。はっきりしてください。
  258. 石見隆三

    政府委員(石見隆三君) いま御指摘のございました、国税との関連を持っておりますものの一つといたしまして、利子あるいは配当課税の特例についての地方税の減税の問題があったわけでございます。この点につきましては、御案内のとおり、国税において特例措置を、特別な扱いをとられたものにつきましては、地方税におきましては、もちろん一種の所得でありますから住民税の課税対象にすべきものであるというふうには私ども考えております。ただしかしながら、これにつきましては特定の利子あるいは配当につきましては、支払い調書が税務官署の方に出ないというふうなこと等もございまして、市町村では、課税技術上、実際上把握ができないという実態があるわけでございます。この点につきまして、私どももことし税制調査会に、この問題等も、従来からもそうでございますが、ことしもこの方法について、この問題についてお諮りを実はしたわけでございます。税制調査会ではいろいろ御検討いただいたわけでございますが、昨年の暮れの税制調査会の答申等におきましても、現在特定の利子あるいは配当所得について住民税が課税されていないというのは、やはり租税の公平という観点から問題がある、しかしながら、その課税につきましては実務上きわめて困難な問題もあり、その課税の仕組み等につきましては、国税地方税を通ずる徴収事務の簡素合理化の問題の一環として、引き続き検討すべきであるというふうな御答申もいただいたわけでございます。私ども、もちろん負担の公平という観点から、税制調査会の答申にもございますように、課税すべきであるというふうには存じますが、いま申しましたように、あるいは答申にも触れられておりますように、課税技術上どうしても把握ができないというふうな実態であるわけでございまして、今後国税におきます取り扱いとも見合いまして、地方税における取り扱いにつきましても、そういう方向への努力はいたしてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  259. 加瀬完

    ○加瀬完君 減免の対象がつかめて、徴税の対象がつかめないというばかな話がありますか。これはしかし、出先の審議官を責めたってしょうがない。自治省そのものの態度いかんにかかりますからね。政務次官いらっしゃっているから伺いますが、国税地方税を通しての減免措置について不合理だと思いませんか。
  260. 左藤恵

    政府委員左藤恵君) いまお話を伺ってますと、非常にこの点につきましては問題がいろいろあろうと思います。そして、そうした問題につきまして取り組み方が御指摘のように非常に緩いと、そういうふうな点があろうかと思いますが、なお一層こういうことについては努力をする必要があると私は考えます。
  261. 加瀬完

    ○加瀬完君 租税については、負担公平の原則というのはお認めになりますか。これは、大蔵省と政務次官と両方からお答えいただきます。
  262. 左藤恵

    政府委員左藤恵君) 負担公平の原則というのは当然に一番基本であろうと、私はこのように考えます。
  263. 伊豫田敏雄

    説明員伊豫田敏雄君) 同様に考えております。
  264. 加瀬完

    ○加瀬完君 これは税金ではありませんが、第二租税みたいなものだ。公共料金をふやす、使用料、手数料をふやす、こういうふうに住民に対しては負担増を計画しているわけだ。そして企業なり資本なりに対しては相変わらず負担の軽減措置を講じているわけだ。これが公平でございますというのはどういうことでしょう。御説明をひとついただきたい。
  265. 伊豫田敏雄

    説明員伊豫田敏雄君) 租税特別措置の一般論になって大変恐縮でございますけれども、一般的に租税負担公平の原則というのは、われわれ税務に携わる者といたしまして十分承知しておりますけれども、ただ同時に、租税特別措置というものは、租税負担の公平を害するところありとしても、なお一定の政策目的実現のためにやむを得ず行わなければならないものがあると考えております。したがいまして、現在ございます租税特別措置も、毎年のように見直しを行っておりまして、本年につきましても土地につきまして、御承知のように従来の分離課税を今度四分の三総合課税というものに直しました。また、利子並びに配当につきましても、従来の源泉分離選択課税の税率二五を五%引き上げて三〇%と、こういうふうに毎年のように見直しを行っております。したがいまして、現在残っております租税特別措置につきましては、ある意味では一定の政策目的実現のためにやむを得ないものと、このように考えております。したがいまして、租税負担公平の原則というものを十分知りながら、なお残されております租税特別措置につきましてはそれなりの意味があるものかと、このように考えております。
  266. 加瀬完

    ○加瀬完君 租税公平の原則に外れても、政策的に必要だということで租税特別措置法というのは相変らず認めていくんだ、こういう御説明でした。すると、その国民の公平の原則を破っても租税特別措置を続けなきゃならない根拠になる政策というものは一体何ですか。
  267. 伊豫田敏雄

    説明員伊豫田敏雄君) それは租税特別措置につきましてもいろんな内容を持っておりまして、たとえば少額貯蓄の利子の非課税というふうなものがございます。これは国税では、五十年、平年度におきまして減収額九百七十億に上がる非常に大きな措置でございますが、これはやはり少額貯蓄を保護するとともに貯蓄の奨励という意味を兼ねて行っているものでございます。また、生命保険料控除につきましては、五十年、平年度の減収額千六十億でございますが、これは生命というものに係ります保険料につきまして、国としてむしろ国民の自助というものを促進するというふうな意味を兼ねて行っているものと考えます。この他、環境の改善、地域開発等あるいは資源開発、技術の振興、内部留保の充実、その他社会保険診療報酬の所得計算の特例等、各種の目的のものがございますが、一つ一つにつきましては長くなりますので省略させていただきたいと考えております。
  268. 加瀬完

    ○加瀬完君 その、その他について説明してください。あなたが一、二挙げたものは、それはだれが考えたって、そんなものまでわれわれは廃止しろと言っているわけじゃない。いま説明を省いた、その他について説明してください。
  269. 伊豫田敏雄

    説明員伊豫田敏雄君) 相当多数の項目にわたりますために……
  270. 加瀬完

    ○加瀬完君 結構ですよ。
  271. 伊豫田敏雄

    説明員伊豫田敏雄君) それでは、その他と申しますと、最後にその他に申しました中には社会保険……
  272. 加瀬完

    ○加瀬完君 ちょっと待ってください。当然問題にされているものでまだ留保されているものがたくさんあるでしょう。それらがなぜ国策上残さなきゃならないのかということをまず説明してもらいたい。
  273. 原文兵衛

    委員長原文兵衛君) では続けてください。
  274. 伊豫田敏雄

    説明員伊豫田敏雄君) たとえば、ただいま問題にされておりますものといたしましては、しばしば国会等で御審議されますあるいは審議の対象にされますものといたしましては、たとえば貸し倒れ準備金、引当金というふうなものがございます。これは実は租税特別措置と申しますよりは、企業会計上も、評価性引当金ということで貸し金に対して一つの評価をする、貸し倒れのために引き当てる金額でございまして、企業会計上もこれを認められているものでございますが、実はその率につきまして、これが多過ぎるのではないかという御議論がしばしばあるわけでございます。この点につきましては、特に金融機関等につきまして、貸し倒れの実際と比較して金額が多いじゃないかという問題がございます。これにつきましては、貸し倒れの実額と直ちに比較すべきものではなく、一種の評価性引当金でございますので、長期間にわたる貸し倒れの実際というものを見ていかなくてはならないのでございますが、この点につきましては毎年のようにわれわれの方でその検討を行っておりまして、本年につきましてもただいま調査を実施している次第でございまして、これは毎年のように検討を加えております。そういう意味で、一昨年でございますか、金融機関につきましてはその積立率を千分の十二から千分の十に戻した、本年またこれにつきましてただいま検討を続けていると、このような状況にございます。
  275. 加瀬完

    ○加瀬完君 素人ですから具体的に聞きますよ。ここは大蔵委員会じゃないから、酒やたばこの例を出すのは恐縮ですけれども、一級酒飲んでも今度は税金上がるんだ。しかし、利子所得や配当所得でたくさん金を得てナポレオン飲んでも、ナポレオン飲んでいる者は租税特別措置法の恩典に浴するわけだ。どう考えたって、国民は公平でございますということになりませんよ。大蔵省、何考えているんですかね。今度は百円のたばこでも上がるでしょう、税金じゃありませんが。しかし、膨大な利子所得が入ったって、一応大幅に減免をされている。これ国民が公平と受け取りますか。あなただって利子所得をたくさんもらっている方じゃないんだから、われわれの方に近い方だろうからわかるだろう、こんなこと。どうして整理できるものだけでも整理していくという、そういう方法をとらないんですか。それにはこれは残す、これはやめるということよりも、この際、地方財政がこのように窮乏しているんですから、少なくも地方行政に影響を与えるものだけでも一切やめる、こういう英断を考えてもらってもいいと思う。そういう要求は自治省の方からはございませんね。今回の交渉でございましたか。全くなきゃ言ってくれればいいんですよ。大蔵省だよ、大蔵省
  276. 伊豫田敏雄

    説明員伊豫田敏雄君) 税制調査会等で、利子配当の問題等と御一緒に検討させていただいているという状況でございます。
  277. 加瀬完

    ○加瀬完君 私は税制調査会を聞いているわけじゃない。自治省からあったかなかったかということを聞いているんだよ。
  278. 石見隆三

    政府委員(石見隆三君) お答え申し上げます。  私の方から、国税におきます利子配当の課税の特例措置地方税に影響を与えるがゆえをもって、直ちに国税における利子配当の特例措置をやめてくれというような申し入れをしたことはございません。しかしながら、国税自身として利子配当をどう扱われるかということは、私ども所得課税におきます問題であろうというふうにはもちろん認識はいたしておったわけでございまして、先ほどお話ございました、大蔵省の方から御答弁もございましたように、ことし利子配当に対しまする源泉分離選択課税の税率引き上げを行われたわけでございまして、私ども、そういう中で地方税におけるこの影響というものを遮断したいということで、先ほど申しましたように、大蔵省とも一緒になって検討し、あるいは税制調査会にもお諮りしたわけでございますけれども地方税につきましては課税技術上、実際上不可能であるという、いまの国税における徴収体制では不可能であるという結論になったわけでございまして、答申にもございますように、今後の問題として、私ども課税の方向への努力はいたしてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  279. 加瀬完

    ○加瀬完君 その国税に関しては、大蔵省との合意に達しなけりゃどうにもならないわけでございましょうけれども地方段階で減免をしている幾つかのものがございますね。これらについては自治省はどういう御態度ですか。
  280. 石見隆三

    政府委員(石見隆三君) 地方税独自で減免をしておりますものは、各税目にわたりましてお示しのようにあるわけでございます。この点につきましては、国税からの地方税への影響遮断ということを、私どもできるだけの努力を払っておりますと同時に、地方税におきます独自の減税措置につきましても、先ほど来御答弁申し上げておりますように、一定の政策目的に照らして、あるいはまた税の性格から見て設けられておるものでございますので、絶えず見直し、洗いがえを行う努力は続けなきゃならぬと思っておるところでございます。繰り返しになりますが、先ほどちょっと一例として申し上げましたように、本年あるいはまだまだ足らないというおしかりを受けるかとも存じますが、電気税の非課税措置を二十四品目余り外すというふうな措置をとりました。その他、毎年そういう形でのできる限りの努力をいたしておるつもりでございます。
  281. 加瀬完

    ○加瀬完君 努力をしているというお気持ちはわかりますけれどもね。努力の実はことしはまだ一つも出ていないわけだ。こういうのを押し問答していたって切りがありませんから、これは後で資料として出してください。地方税、国税を含めて減免措置を講じているものに対して本年度政府間でどういう交渉をしたか、その結果はどうか、それから今後問題として解決すべき点は何か、こういう点を資料として出していただきたい。  それから政務次官に伺いますが、国、地方、各税にかかる減免措置をそのままにして、一方、住民負担の増強を進めることは、どう考えたって負担公平の原則とは言われない。したがって、いま私が質問をしてまいりました租税特別措置法、その他地方で減免をしている地方段階の減免の措置の各種の対象について政府は今後どうするのか、この見解をお出しをいただきたい。
  282. 左藤恵

    政府委員左藤恵君) いま御指摘の点につきまして、あくまでも個々の政策の目的と税制の基本的な原則と申しますか、それとの調和というものに立って考えていかなければならないし、そして時代の変遷とか、社会的な要求というふうなものが一方にどんどん変わってまいるわけでございますので、そうした社会情勢の進展に即応した流動的な改廃というものを絶えず図っていく努力をしなければならないことは申すまでもございません。既得権益化するとか、あるいは慢性と申しますか、マンネリズムに陥るというようなことがあってはならないわけでありまして、そうした問題につきましては、国税地方税も同じようにやはり軽減を、そうしたものをやっているものの中で十分見直しをしていかなければならない、このように考えるものでございます。
  283. 加瀬完

    ○加瀬完君 いや、あなたの見解を聞いているんじゃないんだ、私は。政府見解として、私の質問に対してはっきりと御答弁を、ここでなくてもいいから後でいただきたい。いま租税特別措置法や地方の減免措置というのを講じている時代じゃない、これを一体どうするのだ、ここらで整理すべきじゃないか、こう私は申し上げてきたんです。いままでの政府側の御答弁では将来検討する、ただいまは大したことをやってないということになりそうなので、ただいまどうするかということを、将来に対してはただいまこれからどういうことをしていこうかということを、政府の見解としていずれかの機会にここで御答弁をいただきたい、よろしゅうございますか。
  284. 左藤恵

    政府委員左藤恵君) はい。十分政府の中で取りまとめまして、いずれかの機会にお答え申し上げることにいたしたいと思います。
  285. 加瀬完

    ○加瀬完君 主としてこれから大蔵省に伺いますが、地方交付税法によれば、地方交付税は、地方団体が自主的にその財産を管理し、事務を処理し、執行権能を損なわずに、地方行政計画的な運営を保障することによって、地方自治の本旨の実現に資するとともに、地方団体の独立性の強化を目的としていると、こうなっております。これはお認めになりますか、大蔵省
  286. 名本公洲

    説明員(名本公洲君) 交付税の本質論についてのお尋ねかと思いますが、交付税がいかなるものであるかということは、交付税法に書いてあるとおりでございまして、大体先生がおっしゃったところと同じようなことに相なろうかと思いますけれども、本質的には、交付税は各地方公共団体の財源の調整をいたすものであるというふうに私どもの方は考えております。
  287. 加瀬完

    ○加瀬完君 地方交付税法の目的を私は読んだんですよ。それとは大蔵省の見解は違うんですか。
  288. 名本公洲

    説明員(名本公洲君) 地方交付税法法律の目的は、先生お読みになったところだと思いますが、交付税というものにつきましては、本質的にはそういうふうなものとしてでき上がっているというふうに考えております。法律そのものの目的を私は否定するつもりは毛頭ございません。そのとおりでございます。
  289. 加瀬完

    ○加瀬完君 それじゃ次に、交付税は当然地方団体財政需要額に見合うべきであり、一応現在は三税の三二%で大体は見合う、こういう前提に立っております。これは五条、六条が決めておるところであります。したがって、数年にわたって見合わない場合は、交付税率が見合う必要額に訂正さるべきはずであるという六条の三はお認めになりますね。
  290. 名本公洲

    説明員(名本公洲君) 六条三の第二項にございますように、引き続き著しく異なる場合には、地方行政に係る制度の改正等もあわせ検討すべきものと考えております。
  291. 加瀬完

    ○加瀬完君 何ですか。後の方もう一回言ってください。
  292. 名本公洲

    説明員(名本公洲君) 条文にございますように、交付税率のみではなく、地方行政に係る制度の改正もまたあわせ検討すべきものと考えております。
  293. 加瀬完

    ○加瀬完君 交付税は、財政需要額と基準財政収入額を出して、それが見合うような媒介の役をするのが交付税でしょう。あなたの説明ですと、交付税が少なくなった場合は、法律改正して調節をとればそれもいいというふうに解釈できますけれどね。交付税法ではそういう解釈はできないでしょう。
  294. 名本公洲

    説明員(名本公洲君) 交付税法第六条の三第二項を読み上げてみます。「毎年度分として交付すべき普通交付税の総額が引き続き第十条第二項本文の規定によつて各地方団体について算定した額の合算額と著しく異なることとなった場合においては、地方財政若しくは地方行政に係る制度の改正又は第六条第一項に定める率の変更を行うものとする。」と、このように書いてございます。したがいまして、第六条第一項に定める率の変更と、または地方財政または地方行政に係る制度の改正と両方書いてあるわけでございますので、さようお答え申し上げた次第でございます。
  295. 加瀬完

    ○加瀬完君 一歩譲って、著しく差が生じた場合は交付税率は変えられると解してはいけませんか。
  296. 名本公洲

    説明員(名本公洲君) 大変恐縮でございますが、法律にありますように、著しく引き続き乖離が生じました場合には、交付税率の改正検討の対象になると、「も」でございまして、地方財政及び地方行政の制度も同時に検討の対象になるというふうに法律に書いてございますので、さように認識いたしております。
  297. 加瀬完

    ○加瀬完君 財政局長、いま「も」のところを大分強く説明したわけだ。その「も」を認める、あなた。
  298. 松浦功

    政府委員松浦功君) 法律にそのように書いてございますので……。
  299. 加瀬完

    ○加瀬完君 書いてあるけれど、いま説明は「も」だよ。
  300. 松浦功

    政府委員松浦功君) どちらか必ずやらなければならないということだと思います。制度の改正が上に立つか、交付税率の引き上げが上に立つか、法律上にはそれは何ら定めていない、どちらかをとればよろしい、こういうことでございます。
  301. 加瀬完

    ○加瀬完君 じゃ、あなたはそういう場合どちらをとります。
  302. 松浦功

    政府委員松浦功君) その場になって考えます。
  303. 加瀬完

    ○加瀬完君 いまのような場合、昨今のような状態の場合、どっちをとります。
  304. 松浦功

    政府委員松浦功君) 私どもは、申しわけございませんが、いまのような状況は六条の三の第二項に該当するとは考えておりません。
  305. 加瀬完

    ○加瀬完君 そこらが見解の違いだな。給与費を――給与費にこだわるわけじゃないけども、給与費を抑えたり、その他いろいろの歳出抑制をしなければバランスがとれないということは、少なくも著しく変化を生じているときだ。だから、制度を変えるか交付税を直すか、いずれかにしなければならないわけだ。  そこで問題は、「著しく」とは一体どういうことです。これは大蔵省に聞きましょう。後で自治省に聞きましょう。「著しく」という言葉がある。「著しく」とは一体何です。
  306. 名本公洲

    説明員(名本公洲君) 交付税法にあります「著しく」というものがどの程度のお金かと、これは税でございますからお金、金額になるかと思いますけれども、かつてこの金額が、たとえば百億とか二百億とか言われたときも、十年も前になりましょうか、あるようでございますが、現在のところ、これが金額で五百億であるとか千億であるとかというふうに私どもの方からちょっと申し上げるような確定的なものというふうには考えておりません。その全体の地方財政計画、そういうものをながめまして継続的に交付税率あるいは制度、そういうものを変えていかなければ、どうしてもつじつまが合ってこないというような、そういう事態のことを指しておるというふうに、抽象的でございますが考えておるわけでございます。
  307. 加瀬完

    ○加瀬完君 自治省、「著しく」を説明してくれ。
  308. 松浦功

    政府委員松浦功君) 昔諸先輩が国会で御答弁なすった中に、当時、時期はちょっと忘れましたが、百億程度というような御発言があったと聞いております。そのときの交付税総額は千二百億、大体およそのめどとして、私の推測でございますが、一割程度ということを頭に置いてお答えになられたのじゃないかと思います。  私どももこの法律の解釈について、これがどの程度のものであるかということを申し上げるのはまことに僭越でございますけれども、やはり現実地方財政の運営に大きな影響が及ぶ、その程度の穴でなければいけないということではないかと思いますが、先輩のおっしゃったのを、仮に一割というのが本音であったといたしますれば、現在では四、五千億と、こういうことになるのじゃないかと思うわけでございます。
  309. 加瀬完

    ○加瀬完君 一〇%という言葉がこの委員会で出ていますね、一〇%程度の違いは著しいとみなすべきだと。御説明伺っていると、交付税というのはこれは固有財源ですね。しかし、固有財源じゃないわね。「著しく」を適当に解釈されるし、「も」ばっかり力説して、少ないときは制度を変えればいいんだという解釈をしては、これはもらえるものがいつでももらえるということになりませんよ。  そこでもう少し伺いますがね、交付税に固有性があるかという点を私はもう少し伺いたいんですよ。通常、地方交付税地方団体の固有財源であるという説明をされてきた。ところが、昭和四十年代の初期は、交付税総額は全部地方に配られず、一部を国が留保、いわば国に貸与する方法がとられた。御存じのように、四十二年には四百五十億、四十三年は六百九十億、四十四年は三百億。ところが、四十六、四十七、四十八年は、千二百九十五億六千万円、千六百億、九百五十億円と借り入れをさせられている。前者の場合は、当然地方団体の固有財源であるなら、その使用は地方団体に任せらるべきであるし、国が留保権を持つということはおかしいということにならないのか。後者の場合は、国が貸し付けをせねばならないほど、数年にわたって需要額と収入額が見合わなければ、交付税率は当然変えられなければおかしいじゃないか。いずれからしても、現状では交付税は自治団体の財源として固有の権能を失いつつある。どうしてこうなったのか、どうしてまたこういうふうな見方を大蔵省はしているのか。自治省はこれを黙認しているのか。私は法律に違反しているんじゃないかという立場で伺っている。私が牽強付会でこう解釈できるんじゃないかと言っているんじゃない。あなた方の、自治省が出した交付税の解説にはこう書いてある。それを私は昔写している。昔のあなた方の説明といまやっていることは違っているんだ。これはいまの方が正しいということになりますか。固有財源としての価値は一つもないじゃないですか、交付税は現状では。伸びたり縮んだり、それも、今度は伸びるんだと思ったら、「も」という言葉があるんだから制度を変えりゃ縮むんだと、これでは固有財源じゃないでしょう、ひとつも。それに対して自治省はどうお考えになっておるか、まず財政局長の御見解を承っておきたい。
  310. 松浦功

    政府委員松浦功君) 私は交付税率の変更ということが法律に制度の改正と並べて書いてあるから、どちらかをとればいいんだということを申し上げているので……
  311. 加瀬完

    ○加瀬完君 いや、そうじゃない。固有財源になっていないじゃないかということを申し上げている。
  312. 松浦功

    政府委員松浦功君) いやいや、お待ちください。と申し上げているわけで、決してこの条文に該当した場合に、この条文に基づくような措置をとるとらないということを申し上げているのではございません。はっきり申し上げますならば、いままでに確かに貸し借りはございました。貸し借りはございましたが、恐らく当時の担当者の方々は、この六条の三の二項にはまだ該当する程度に至っていないという理解のもとにおやりになったことだと私ども考えております。
  313. 加瀬完

    ○加瀬完君 至っているか至っていないかは、後でまた詳しく数字を並べて申し上げます。至っているか至っていないかの前に、自治省当局としては、財政当局としては、交付税地方の固有財源として完全な位置を保っていると、こういう御認定ですか。
  314. 松浦功

    政府委員松浦功君) 御指摘のとおりでございます。ただ、この交付税の総額というものは、三千有余の団体の共有的なものだと思いますので、個々の団体について金額が決まっているわけではございません。その意味では地方団体を、こういう言い方をするとおしかりを受けるかもしれませんが、三千有余を取りまとめた形で、自治省が代弁をする形で大蔵省と折衝をしておる、こういうふうに私どもは理解をいたし、私ども地方団体の代弁者であるという理解のもとでやっておるつもりでございます。
  315. 加瀬完

    ○加瀬完君 ですから、代弁者としてどういう御見解ですか。代弁者なら、これは地方の固有財源という点を代弁しなきゃならないわけですね。そうなっているという御認定ですか。
  316. 松浦功

    政府委員松浦功君) 私どもは少なくともそういうつもりでやっております。
  317. 加瀬完

    ○加瀬完君 そうですかね。それじゃ地方税率について少し触れます。  交付税と表裏をなすものは地方税。ここ数年どう変化したかというのを調べてまいりますと、累年歳入構成比の比較を、地方税とそれから国庫支出金で見ますと、四十年から四十八年までの地方税の構成比をやりますとね。四一・四、三八・一、四〇・三、四一・五、四二・二、四一・五、四一・七、三七・一、三八・一。最初は構成比がいずれも四〇%を超えておりましたのに、四十七、四十八になりますとこれが落ちております。三七%、三八%と落ちております。国庫支出金は、四十年から二七・四、二八・七、二八・八、二七・七、二六・二、二五・〇、二四・六、二五・九、二七・二、こういう変化をしております。これは国の新しい法律のための補てん財源であり、自治体として国庫支出金は自由に使える新財源というわけにはまいりません。こうなりますと、一般財源はふえていませんね。  しかも、需要額の動向を見ますと、四十年からやります。給与費は三六・二、三五・五、三四・六、三四・一、三三・一、三一・一、二八・五、二九・九、二七・九、こういう変化をいたしております。投資的経費は、三六・三、三八・一、三八・三、三五・七、三六・九、三七・四、三七・七、三九・一、四〇・九と、給与費は下がっていますけれども、これは四十八年――四十九年はありませんが、投資的経費は上がっております。そうなりますと、政府の言う福祉優先の行政というなら、生活保護や医療保護などの一般行政費が相当重視されて上がってこなければならないわけでございますが、いまの給与費と投資的経費に比べて、一般行政費は、二〇・五、二〇・〇、二〇・五、二〇・九、一九・七、二一・八、二一・七、二一・四、二一・五と、さしたる上がりはありません。需要内容が、福祉行政が非常にふえてまいって、その財源がいま言ったように大して裏づけがないとすれば、どうしたってそれは持ち出し分として地方が負担しなければならないことになりましょう。ことしは、さっき言ったように地方債と公債費だけがふえる、こうなってまいりますと、交付税がどうしたってふえなければならないことになるでしょう。一〇%か四千億かは知りませんけれども、著しい差額を生じてきつつあることは事実だと思う。  そういう点で、一体今度の交付税改正等でも、こういう状況というのは十分把握されて対策が立てられているのかどうか、これがどうも私にははっきりしませんので、ひとつ御説明をいただきます。
  318. 松浦功

    政府委員松浦功君) ただいまの御指摘でございますが、国庫支出金がふえている中にも、先ほど先生が御指摘になられたように、産業基盤整備のものを抑制をして、社会福祉生活基盤の方へ回っておるものがございます。そういう意味からは、必ずしも先生の御説のとおりにはあるいはならない面もあるんじゃないかというふうに私は考えております。  基本的なお尋ねといたしまして、現在の交付税法改正のときにというお話でございますが、私ども地方財政計画において必要な歳出を見、それに対する財源の裏づけ、バランスをとり、なおかつ本年度は、去年と違って一%の給与改定財源の先組みをふやすということをし、さらに地方の実情に合わせ、一千五十億の臨時土地対策費も財政計画に計上してあるわけでございますので、私どもとしては不足があるということは考えておらないわけでございます。
  319. 加瀬完

    ○加瀬完君 先ほど大蔵省から、政策に準処するならば租税公平の原則も若干緩めざるを得ないという御説明があった。そうおっしゃる当時の――租税特別措置法のできた当時の政策というのは高度経済成長政策。しかし、いまの三木内閣は高度経済成長政策ということは一言も言ってない。福祉政策ということを言っている。それなら租税特別措置法だって福祉政策に準じた物の考え方をしなければならないと思うわけです。そこで、投資的経費が非常に多いとさっき指摘をしたわけでありますけれども、この内容は公共事業の増大でありますね。相も変わらず産業保護政策が優先されているという形ですよ。住民福祉重点の施策というものはやっぱり後ずさりをしておりますよ。  で、一番問題になりますのは地方債と公債費です。公債費は、昭和四十年と四十八年を比べると、三・七から四・二に増加しております。地方債は、四十七年、四十八年は八・〇から七・四と変わっております。この傾向は公債費をますます増加させることになって、別途財源を考慮しない限り、借金を払うために改めて借金をするという悪循環を繰り返していくことにならざるを得ない。そしてこれが大体公共事業の財源の裏づけになっている。この状態をそのまま見過ごして、交付税率が妥当だのどうだのというのはおかしいじゃないですか。地方債と公債費の関係というのを見れば、もう地方財政は借金で公共事業なんかを進めるという状態じゃないでしょう。  で、これは大蔵省に聞くんです。前には公債費の予算額に対する割合によって、一四%ですか、それを超える地方団体には大蔵省は起債を認めなかった。いまはそういう制限はないでしょう。そして赤字を地方債で賄った。で、公債費が地方債によって賄われるという、こういう結果になっちゃっている。こういう不健全な財政というものを認めておって、地方財政は健全でございますと言えますか。で、この問題に対する解決は一つもやってないと私は思うんですが、いかがですか。
  320. 名本公洲

    説明員(名本公洲君) 起債の許可と公債費の関係につきましては、これは私どもの方よりも自治省の方からお答えいただきたいと思いますので、そちらは御了承いただきまして、地方債依存度、それから公債費の比率の問題でございますが、これは公債費、地方債の依存度について申しますと、先生先ほど数字をお読み上げになりましたような傾向があるわけでございますが、四十九年度、五十年度におきましては、いずれも五・九%というようなことになっております。これに対しまして国の方の国債依存度について申し上げてみますと、四十九年度は二けた、一二%になっておりまして、五十年度、非常にいろいろなことをやりまして、やっと一けた台の九・四%に国としても落ちついてきたということでございます。  この公債依存度、これは国についても言えることでございますが、これが幾らぐらいでなければならないかというのは、たいへん財政問題としてむずかしい問題でございまして、財政が健全であるためにはこれは低い方がよろしいことには間違いがないわけでございます。しかし一方、地方について見ますと、三千団体あります中には、財政規模からいきまして、一般財源ですべてを裏打ちした事業が行われるということには相ならないわけでございますので、地方債というものがそういう事業の非常に重要な財源になってきておるという事態があるわけでございます。これが、国におきましては、建設国債が四十一年度から始まったわけでございますけれども地方におきましては、ずっと前からそれが地方債というもので事業の財源が賄われてきていたということの理由であるわけでございます。  現在のところ、私どもの方の関係といたしましては、五十年度地方財政計画におきます地方債依存度五・九%というものは、それ自体から見まして決して高いものではないというふうに私どもの方としては理解いたしておるところでございます。
  321. 加瀬完

    ○加瀬完君 これは特に大蔵省に御認識をいただきたいわけでありますが、国は国債によって財源の確保ができるのに対して、地方はこれに対応する税財源の確立はされていないわけですよ。地方交付税はいわゆる三税の三二%であります。そして地方税源も国税と同じ基礎に立つ種目が多いわけでありますから、したがって、国が税収で公共事業を進める限りは、国税の伸びで公共事業か伸びることになり、国税と税源を同じくする地方税や地方交付税も同じく伸びるので、地方財政はその負担増に対応することができますよ。しかし、国が国債を財源として公共事業等を実施するとなると、地方にはそれに見合う財源はありません。さらに最近のように、国債によって公共事業の拡大政策というふうなことをとられてまいりますと、地方財政は起債か、借入金で手当てをする以外に方法がないわけです。そしてこの借入金や起債には償還財源が全くありません。確かに交付税で算定をするという部面もありますけれども交付税は、さっき言ったように、固有の財源ならこの中から借金分を初めからはじき出される理由はないわけです。借金にしようが、自己財源として他に使おうが、自由なわけだけれども、そういう形にはなりません。これは地方が受け取るべき財源をタコ足配当をしているにすぎないわけですから、地方財源総体とすれば非常なこれは歩減りということになります。  こういう点をお考えいただきますと、地方債というものも大きな財源として考えていくことには、地方財政確立のためには非常な支障を来す。しかし、やりくりがつかないものだから、自治省はこの地方債で全部賄っている。賄っているというか、賄おうとしてきた、いままでは。この公共事業というものをもっと地方向きに整理をしてもらいませんと、地方財政の確立というのはできてきませんよ。公共事業の野方図な地方への負担というのが地方財政を非常に困却さしておりますよ。これは財政局長、お認めになりませんか。これは、地方も悪い。公共事業というのをもらえばいろいろの根っこができるから、それを持ってきて、それで自分の方で金を足している。しかし、それは国の政策の押し売りみたいな面がいままで非常に多くて、地方からの住民の要求というものによって行われるということは非常に少なかった。その公共事業による負担というものをもっと整理してもらわなけりゃ、地方財政は健全にならない、こういう指摘をする方がありますが、御見解いかがですか。
  322. 松浦功

    政府委員松浦功君) どうもどれもこれも意見が合わないで申しわけないんでございますが、地方財政計画の中では、ちゃんと財源をきちっと歳入歳出合わせておるわけでございます。したがって、国が組みました公共事業の裏負担はどの部分が当たっているかということは、個々の団体にはわからないかもしれませんけれども、総体的にはきちんと財源の保障ができておると私ども考えております。  ただ、先生がおっしゃられるように、公共事業の内容が、住民の望まないものが多くて住民の望んでおるものが少ないというようなことになることは、国民のために不幸だと思います。少なくとも現在の政府考え方は、できるだけ先生のおっしゃっておられる産業基盤整備の方は抑制をして、そして、生活関連なり社会福祉の方に回していくという形は、先ほども申し上げましたように、はっきりした形で打ち出しているわけでございます。したがって、私どもとして、この点については、大蔵省の態度に不満を申し述べるというところまで私どもはそういう考え方を持っておらないところでございます。
  323. 加瀬完

    ○加瀬完君 その財政計画をよく引き合いに出しますけれども、私も、財政計画と決算額の違いの大きな点がこの公共事業に一部ある、こういう点を指摘したいんですよ。大体地方で仕事するには、公共事業かなんかもらわないと仕事ができない。それは地方の住民には全く関係のないことまでも押しつけられる場面もある。そしてその財源が、さっき指摘したけれども地方債。地方債は私は財源でないと言いたいのですよ、やがてこれは返さなきゃならないものですから。当然別途財源を与えられるべきものを地方債で賄わせていくということは、地方財政にとっては非常に危険だと思う。大財源を持っているところはやりくりがつくが、財源を持っていないところはどうにもならない。これは、後で具体的に実例を出して、地方債というものがどんなに地方団体に無理だということは申し上げますが、この地方債と公債費の矛盾というものについてはお認めにならないですか。
  324. 松浦功

    政府委員松浦功君) まことに申しわけございませんが、お認めするわけにはまいりません。御承知のように、地方債というものは、先生がおっしゃるように、私はできるだけ少ないものにすべきだという論者でございまして、財政局長就任以来、何とか地方債をふやそうというのを極力抑えてきております。したがって、四十八年度までの傾向を見ましても、公債費は全体の割合――割合で御説明申し上げることはいかがかと思いますけれども、総体として比率は下がってきております。したがって、公債費の問題が将来の地方財政に大きなガンになっているという気持ちは私どもとしては持っておりません。  それともう一つ申し上げておきたいことは、公債償還費というものはどこにも見ていないじゃないかとおっしゃる御発言がございましたが、公債償還費は地方財政計画の中にすべて見込んでございます。したがって、公債償還費をもし財政計画の中に入れなければ、仮にそれが三千億入っていれば、交付税率は三%下がっていいということになるわけです。ですから、きちんとした裏打ちをしておるということを私どもとしてははっきり申し上げたいし、先生のおっしゃられるように、地方債を悪用しようという気持ちは私どもは全然ないわけでございます。  公共事業費の財源は全部地方債だというふうにおっしゃいましたが、裏負担の二割だけしか地方債の発行を認めておりません。しかも、道路のような経常的にあるものについては、その地方債も認めておらないわけでございまして、一般会計分の一兆三千億の地方債のうち、道路等の公共事業、それから庁舎その他の単独事業――単独事業の中には保育所とか、いろいろ先生御指摘になられる問題が入っておりますが、そういうものを除きますと、八千億程度は、全部レク・スポでございますとか、高等学校でございますとか、義務教育でございますとか、下水でございますとか、全部先生がやれとおっしゃる費目に地方債を実は振っておるわけです。その辺のところは、御必要がございますれば区分をして御提出を申し上げたいと思いますが、公共事業費にできるだけ地方債を回すということはよくない。やはり一般財源でできるだけカバーすべきだという考え方財政計画を組んでおりますので、その点をひとつ御了承をいただきたいと思います。
  325. 加瀬完

    ○加瀬完君 私が言うのは、地方債で補てんすべきでなくて、財源を当然考えなければならないものを地方債で補てんしている。そうして、その地方債の穴埋めに財政計画でいろいろの方法を考えて、交付税の配付の内容にも入れていると。だけれども考えてみると交付税というのは固有の財源だし、地方税はもちろんのことだ。だから、そういう借金がなければまるまるほかへ使えるものを、十分埋めるべき財源を埋めてくれないために、後で自分のタコが足を食うような形で、自己財源のうちの一部を借金の返済に充てていかなければならない。しかも、公債費かだんだんだんだん――ふえてこないと言うけれども数字を申し上げてもいいがふえておりますよ。そうなってくると、個々の団体では、借入金と公債費の額が余り違わない。極端に言うならば、百億借りても五十億は返すというような形になれば、これは五十億しか借りないのと同じことになる。こういう状態がこのまま放てきしておけば当然生じてくる。  なぜ私がこういう問題を出すかといいますと、そういう点も考え合わせましたとき、交付税の性格というものはもう少し再検討する必要があるのではないか。交付税で、著しい違いとして当然算定しなければならないようなものまでもこういうやりくりをして見過ごしているという点は、地方団体が指摘しているところでありまして、私どもだけがいま問題を提起しているわけではありません。ですから、さっき言ったように、長期計画がないというんですよ、私は。見取り図を出してくださいというのですよ。こういうふうにやっていっても、十年たっても公債費はこの段階ではこうなるじゃないか、心配ないじゃないか、五十年度はこうだ、五十一年度はこうだ、五十二年度はこうだ。少なくともいまの地方財政硬直化というものを、こういう単年度でない、累年度計画で私どもは解消しますというプランを出さなければ、地方債がいいの悪いの、交付税が著しくないの、著しいのと言ったって、見通しが立たないところで議論はできない。毎年毎年財政計画を立てる。その五年なら五年の財政計画と並べてみたときに、五年後の財政状態というものを見通しての財政計画というのは立っていない。ラスパイレスばかりを例に出して恐縮ですけれども、それをやると。それでその次どうなりますか。たとえば地方団体としては最低の必要要因というものはどうしたって切るわけにはいかんでしょう。そうすれば、最低の必要要因なり、最低の行政施策というのはどうですか。そんなものは何もいま検討されておらないでしょう。それでもだめなときはどうするか、そういうことはありませんと、累年計画でこういうふうに詰めてまいりますからというものがなくて、財政硬直化がどうこうなるということにはならぬでしょう。これはあとの質問、いつごろまでやるか、それによってですけれども、この委員会でもたびたび附帯決議をつけている。附帯決議にどういうふうな結果になったと、あなた方の附帯決議はこういうふうにいたしましたと、これは翌年度に延ばしましたという報告は一度も聞いたことがない。そのときは、大体これは絶対にできませんということは言いませんよ。適当に賛成をする。そして大臣かわっちゃったあとは知りませんという形になる。しかし、自治省の担当の大臣として答弁をしたからには、それは自治省の一つの宿題に残っているはずですよ。それがどうなっているかということを当然説明をすべきだし、またそれを実現する、あるいは実現の経過について釈明をする責任はあるわけですよ。  また逆に戻りますけれども、この地方財政の危機突破ということだけでも結構ですから、これからどういう運びをしていくか、その見取り図をもう少し具体的におっしゃってくれませんか。
  326. 松浦功

    政府委員松浦功君) 先ほど来申し上げておりますように、繰り返しになりますが、いろいろの要因がございます。地方公共団体の側において努力すべきことについては地方団体の側において努力していただき、国の側で努力すべきことは国の側で努力をする。具体的に申し上げますならば、人件費その他の問題は地方公共団体にもう一度再検討をしていただきたいと思いますし、国の責任として超過負担の問題は最大努力をいたしたい。さらに事務配分等の御要請がございます。いま検討していただいております。各省とも相談をしながら、できるだけこの問題を取り上げていく努力を重ねていく、こういうことであろうかと思います。
  327. 加瀬完

    ○加瀬完君 昭和四十九年五月九日、参議院地方行政委員会地方交付税法の一部を改正する法律案に対する附帯決議。  一、国の都合により地方交付税の法定額を減額  するような措置は、今後これをさけること。  二、基準財政需要額の算定方法等については、  社会情勢の変化に伴う住民需要の動向に対処  し、必要経費を十分算入することとし、人員配  置・単価その他の数値の改善に努めること。  三、地方交付税率の引き上げ等を含む一般財源  の強化充実をはかるとともに地方道路目的財源  の拡充に努めること。  四、生活関連公共施設の計画的整備をはかるた  め国の補助負担制度の強化をはかり、あわせて  超過負担の解消について格段の努力をするこ  と。  五、地方債について引き続き政府資金の構成比  率を高め、起債条件の改善をはかること。   右決議する。ということになっておりますが、これは決議されたんでしょう。私は当時おりませんでしたので、されないことを質問しちゃ申しわけないから。されていますか。
  328. 原文兵衛

    委員長原文兵衛君) されているそうです。
  329. 加瀬完

    ○加瀬完君 それでは、これらに対して、具体的に本年度財政計画でどういうような措置をしたか。それから、先ほど財政局長が御説明になりました点を、少し文書で、項目別で結構ですから、文書で御回答をいただきたいと思います。  さらに、先ほど問題になりました昭和五十年の国税地方税の非課税措置、これらについて今後どうしていくかといったようなことは重大な問題でありますから、全部の委員の方に委員長の方で――文書で自治省の見解をお示しをいただきまして、次に――ずいぶん飛ばしましたけれども、この次はさらに飛ばしてまた質問もしたいと思いますが、いずれにしても、私どもは一方的だと思う、自治省地方財政対策というのは。  というのは、各般にわたって財政硬直化の解消というような案も立てておらないじゃないかということですから、そうでないということだったら、それにきちっと答えてください。  それからもう一つは、大蔵省自治省の中で地方財源について十分の話し合いができておらない、努力もしておらない。勝手に判断をして悪いですが、そういう印象を受けました。そうではございません、こういうふうに財源を国と地方の間で考えておりますということであれば、それを聞かせていただきたい。
  330. 松浦功

    政府委員松浦功君) 先ほどの私の答弁を文書にして出せということでございますが、ただいま硬直化の問題については制度調査会にお諮りをして答申をいただく段階になっておりますので、私どもが公式の文書ということをすることはいかがかと思いますので、もうしばらくお待ちをいただきたいと思います。  地方交付税の一部を改正する法律案に対する附帯決議でございますが、これにつきましては、一番目は、減額措置は……
  331. 加瀬完

    ○加瀬完君 いや、それはいま答えなくていいです。この次答えてください。  地方制度調査会、その回答はその回答としてその調査会から承ればいい。自治省としての考え方をもう少し明確に聞きたいと思うんです。私の聞きたいことは長期計画を聞きたい。地方財政硬直化というこの解消をどうこれから年次的に取り組んでいくか、アウトラインで結構です。  委員長、以上で質問を留保いたします。
  332. 松浦功

    政府委員松浦功君) 長期計画は私どもにはできません。と申しますのは、国の計画がないわけでございます。経済見通しもないわけでございます。したがって、長期計画と言われてそれができるというには、他の条件がそろいませんと、地方財政としては、将来税収入がどうなるか、交付税がどうなるか、そういうことが全然わからないわけでございます。あるいは経済成長率ということによってベースアップの率も変わってくると思います。そういうものは残念ながら計数でお示しするというわけにはちょっといまの段階はいかないと思います。せっかくの御要望でございますから、ほかの条件が調うことを前提にいたしまして、われわれもせいぜい勉強、検討させていただきたいと思います。
  333. 加瀬完

    ○加瀬完君 繰り返して悪いですけれども、長期計画というようなきちんとしたものを出せというのではなくて、見取り図を出してくれればいいんですよ。来年どうなるか再来年どうなるかという見当もつかないでことしだけのことを言ったって、決勝点を決めない競馬みたいなもんだよ。馬券買えませんよ、これじゃ。二千メートル走っているのか三千メートル走っているのか見当つかないで、スタトには立ちました、とにかく走っています、どこへとまりますか、馬に聞いてくださいというような話ではどうにもならない。だから、もっと概略的なものでもいいから、いまの現状というものがこういうふうになれば私どもは打開できると思うんだが、これが自治省のいまの考え方ですということです。内閣総理大臣じゃありませんから、国の政策まで含めてぴたっとしたものを出せということは申し上げません。それぐらいの見通しも立ちませんか。
  334. 松浦功

    政府委員松浦功君) 見通しというほど大げさなものは私はできると思いません。
  335. 加瀬完

    ○加瀬完君 何が出せる。
  336. 松浦功

    政府委員松浦功君) したがって、先ほど御要望のございました、私がお答え申し上げた、まあこういう形をとるべきだというものはまとめてお出しをいたします。
  337. 加瀬完

    ○加瀬完君 それでいいや、それでいいや。
  338. 原文兵衛

    委員長原文兵衛君) 本案に対する本日の質疑はこの程度とし、これにて散会いたします。    午後六時十分散会      ―――――・―――――