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政府委員(
中橋敬次郎君) 確かにおっしゃいますように、
相続税の課税対象の中に、
土地とかいうものが
評価を待って初めて課税
標準がわかるわけでございまするから、もちろんそれいかんによりまして税負担が変わってくることは確かでございます。法律上は
時価と書いてございまするのは、昔から明治時代からこの
時価といいますのは処分
時価であるという、まあ一応それを私
どもは物差しと
考えているわけでございますけれ
ども、その
時価というときに、処分
時価であるのか、あるいは
収益還元時価でありますか、あるいは再取得
価格でありますかと、いろいろとり方がございます。ただ
相続税は、さっき申しましたように長い間処分
時価ということで
考えております。処分
時価と言いますのはやはり現実に売られました
価格というものが
一つの基礎になるわけでございますけれ
ども、これも売り手と買い手の需要供給によって決まるのでございますから、現実に売られたものにだけ適用されるべき
価格でございまして、それといかに
事情が似ておりましても、それそのままの
価格が果たして妥当かどうかということは、おっしゃるとおりなかなかむつかしいことでございます。
一つの物の
評価を、たとえばいまおっしゃいましたように、不動産鑑定に経験のある人三人にやってもらえば、やっぱり三様の
価格が実は出てまいるわけでございます。固定資産税におきましても、
評価基準の中には一応そういう再取得
価格というようなもので
考えるというようなことに恐らくなっておると思いますけれ
ども、具体的にそれでは固定資産税の
評価額が本当に客観的な正しさを持っておるのかどうかと言われますれば、まあ非常に自信のない話になってしまいます。
それから、公示
価格をいま
お話しになりましたけれ
ども、確かに公示
価格も、いろんな
売買実例から、ポイントポイントにつきまして、まああれはまた
一つ地価を適正な
水準に抑えるという意図も働いておりますから、そういうことも兼ねながら
一つの
価格を表示するわけでございます。それで、私
どもが、そういうなかなかむつかしい
時価を、現実に生じました
売買実例から
評価上持ってまいるというときには、いろいろ苦労をいたしまして、たとえば
農地で申しましても、市街化の
農地でありますとか、純
農地でありますとかいうものについての
評価について苦労をしておるわけでございますが、そういう
方法が一体妥当かどうかというのは今後の
土地評価審議会においてまた再検討願うわけでございますけれ
ども、税の
目的からしまして、
相続税というのが世代の交代のときに課税されるというような趣旨から、今日までそういった
評価を行っておりますし、固定資産税でございますれば、毎年毎年固定資産税をかけるというようなことから、そういうものとしての課税
標準としての
評価を見出すということで、それぞれの税の
目的に応じましてもまたいろんな配慮が行われることは確かでございます。それをわれわれとしましては、余り実勢から離れないように、しかも、税金の
目的からしましても、そんなに高からず低からずというようなところを、
売買実例の中でも仲値というようなものを求めましたり、それからまたしんしゃく率を掛けましたりして、できるだけ御納得のいくような数額を見つけようとしておりますんですけれ
ども、それが現実の
売買価格と一体どういう関係になるのか、果たして
評価として妥当であるのかと言われますれば、そういう努力をしておるということでまあ御納得いただくよりしようがないんでございます。