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1975-06-24 第75回国会 参議院 商工委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年六月二十四日(火曜日)    午前十時二十分開会     —————————————    委員異動  六月二十日     辞任         補欠選任      竹田 四郎君     鈴木  力君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         林田悠紀夫君     理 事                 熊谷太三郎君                 楠  正俊君                 須藤 五郎君     委 員                 岩動 道行君                 小笠 公韶君                 剱木 亨弘君                 斎藤栄三郎君                 菅野 儀作君                 福岡日出麿君                 矢野  登君                 吉武 恵市君                 鈴木  力君                 対馬 孝且君                 森下 昭司君                 桑名 義治君                 中尾 辰義君                 安武 洋子君                 藤井 恒男君     発  議  者     対馬 孝且君    国務大臣        通商産業大臣   河本 敏夫君    政府委員        農林省食品流通        局長       森  整治君        通商産業政務次        官        嶋崎  均君        通商産業審議官  天谷 直弘君        通商産業省生活        産業局長     野口 一郎君    事務局側        常任委員会専門        員        菊地  拓君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○石炭資源活用法案対馬孝且君外四名発議) ○商品取引所法の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付)     —————————————
  2. 林田悠紀夫

    委員長林田悠紀夫君) ただいまから商工委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る二十日、竹田四郎君が委員を辞任され、その補欠として鈴木力君が選任されました。     —————————————
  3. 林田悠紀夫

    委員長林田悠紀夫君) 石炭資源活用法案議題といたします。  まず、発議者対馬孝且君から趣旨説明を聴取いたします。対馬君。
  4. 対馬孝且

    対馬孝且君 私は、ただいま議題となりました石炭資源活用法案について、発議者を代表して提案理由及びその内容概要を申し上げます。  一昨年の秋の中東紛争を契機とする石油危機は、世界エネルギー情勢に大きな影響を与え、諸外国に比べエネルギー海外依存度の高いわが国においては、その影響はきわめて深刻なものでありました。このような情勢の中で、これに対応した新しいエネルギー政策確立が急がれ、長期的かつ安定的なエネルギー供給確保を目指し、国産エネルギーの積極的な活用と、エネルギー多様化及び備蓄体制強化を図るなど、具体的な政策の実現がその課題として提起されました。  特に、石炭を初めとする国産エネルギー源供給源を拡大し、将来にわたって一定の水準を確保することは、わが国経済並びに国民生活の安定を維持するためにも重要であり、従来の石炭政策を抜本的に再検討し、長期的展望に立って新石炭政策確立すべきであります。  わが国石炭産業は、戦後の荒廃した産業経済再建の担い手として、生産復興のため積極的な施策が講じられ、石炭産業国家管理実施されましたが、昭和二十四年の配炭公団廃止以降、完全な私企業体制への移行となり、今日に至っています。  この間、昭和二十六年ころからの重油輸入によるエネルギー源流体化の進行は、石炭産業をめぐる事情を変え、この事態に対処するため、政府昭和三十年に石炭鉱業合理化臨時措置法を制定して、スクラップ・アンド・ビルド方式を採用いたしました。  その後、神武景気スエズ動乱による石炭危機の一時的小康状態にありましたが、政府は、昭和三十四年秋に、揚げ地発電における重油価格石炭価格の均衡を図るため、トン当たり千二百円の炭価引き下げを図ることを中心に、大規模スクラップ・アンド・ビルド政策の五ヵ年計画策定をいたしました。その結果、産炭地では首切り合理化閉山が相次ぎ、産炭地経済は混乱、疲弊をし、石炭危機は深刻な社会問題を惹起し、炭鉱労働者産炭地住民と自治体の一万人を超える上京団による石炭政策転換を迫る事態となり、その結果、政府昭和三十七年四月に、石炭鉱業調査団の編成による対策確立を約束し、十二月に調査団答申に基づく石炭政策策定をしてまいりました。  しかし、石炭政策決定版と称した第一次政策も、昭和三十九年には第二次政策昭和四十一年には第三次政策政策の手直しが繰り返されましたが、石炭危機は一向に解消されませんでした。政府は、ここで石炭鉱業長期安定策としての石炭再建計画を練り直す態度を明らかにし、いわゆる植村構想中心に本格的な石炭鉱業体制問題の議論が広く行われましたが、石炭業界内の手前勝手な議論の繰り返しとなって、昭和四十三年三月、従来の政策の延長として第四次政策となり、企業ぐるみ閉山方式の採用による大型スクラップ政策が強行される結果となりました。  明治、麻生、杵島の企業ぐるみ閉山、四十五年四月の雄別企業ぐるみ閉山が続き、住友奔別、歌志内の大型閉山となり、石炭政策もまた一般炭鉱の切り捨て、原料炭重点政策に傾斜し、再び石炭鉱業体制問題が再燃をしましたが、昭和四十八年、第三次肩がわり中心とする第五次政策実施されて以来、二千万トン体制へと縮小の一途をたどることとなりました。  過去十三年間、第五次にわたる石炭政策を進め、多額な国家資金を投入しながら、今日石油ショックによる石炭の見直しが強調されているにもかかわらず、石炭鉱業が不安定な状況にあり、その政策が所期の目的が達成できなかったのは、内外エネルギー情勢の急激な変化のもたらす影響や、わが国石炭鉱業産炭構造によるものもあるとはいえ、その政策の立て方に大きな欠陥のあることを指摘せざるを得ません。  御承知のように、第二次世界大戦後、イギリスでは炭鉱国有化、フランスでは炭鉱公社化がなされ、私企業基本とする西ドイツにおいても、いわゆる植村構想の前にライン・シュタール・プランが作成をされ、その後ルール炭田の一社化のルール炭田株式会社が発足をいたしましたが、このことは、石炭問題の基本認識が一貫して体制問題にあることを示しているからであります。しかし、わが国石炭政策は、その過程において体制的整備議論はあったにせよ、その政策はいずれも体制問題を避けて通り、個別企業対策に終始をしてきたということであります。したがって、いかなる政策もその出発から狂っていることとなり、継ぎ足し政策にならざるを得ないことは当然の帰結といえます。  日本社会党は、昭和三十一年の石炭鉱業臨時措置法審議に際し、石炭鉱業安定法案提出し、昭和三十七年にも同法案をさらに検討し直して再提出をし、昭和四十三年には石炭鉱業国有化法案日本石炭公社法案の二法案提出をしてきましたのも、一貫して石炭問題に対する認識体制的整備にあることを示してきたものであります。  したがって社会党は、石炭鉱業が当面している危機を打開し、その構造的欠陥を克服して、その長期的安定を展望しつつ、もって重要エネルギー源として世界的に進行しつつあるエネルギー不足に対処し、わが国経済の健全な発展に寄与するためには、その抜本的対策を講ぜんとするものであります。  まず第一に、石炭生産に関するわれわれの基本的な考え方を明らかにしたいと思います。  わが国石炭鉱業の現状と、石炭資源賦存状況と、その活用の面から考えて、石炭鉱業一定規模の安定と開発は、石炭電力エネルギー源としての位置づけとその再建重点が置かれなければならないということであります。もちろん製鉄用原料としての石炭一定割合安定的確保を図ることは当然であります。要は、原料炭確保重点の第四次、第五次政策転換を図られなければなりません。  また、わが国石炭鉱業は、その稼業区域が深部に移行を早めているとはいえ、その開発を合理的、計画的に行って、生産体質若返り策を積極的に講じ、その資源を最大限に有効活用することが最も合理的かつ経済的であります。  また、新規開発については、私有鉱区封鎖鉱区を問わず、資金、技術、技能的労働力などの総合的な確保が第一義的な必要な条件でありますから、新規開発は、すべて石炭公団を主体とする開発が望ましいということであります。  また、露頭炭開発についても、資源有効活用環境保全の面から、計画的かつ総合的な開発を図る必要があります。  第二に、流通に関する問題であります。  石炭流通機構昭和年代になってからでも、過剰貯炭を処理するための昭和石炭株式会社、戦時中の日本石炭株式会社、戦後経済復興のための配炭公団、そして最近では昭和石炭電力用炭販売株式会社の設立がなされてきております。今後は、国内石炭資源優先活用と、エネルギー供給源多様化対策としての一般炭大量輸入状況のもとで、需給調整価格調整と安定、品質の安定化などの諸対策から流通機構を一元化し、その運用を弾力的に行うことが最も重要であります。  第三には、石炭鉱業統一的策理労働力安定的確保についてであります。  今日わが国石炭鉱業は、数次にわたる政策遂行の結果、実質的な国の管理下にあるとも言える実態にありますが、これを統一的に方向づけをその政策の実行を通して明らかにする必要があります。そのために、需給基本計画策定とその管理の推進を図るための機能強化を図ることであります。  労働力安定的確保対策は、石炭再建にとっていよいよ重要な位置を占めています。地下労働にふさわしい労働条件生活環境の保障、安全職場確保石炭鉱業の確固たる位置づけなど総合的かつ重層的な諸対策が必要であることは当然でありますが、特に生産手段の重装備化に対応する若年労働力確保と育成がこれからの石炭鉱業の死命を制すると言っても過言ではありません。  以上の見地から石炭鉱業の当面している諸課題を打開し石炭資源有効活用を図り、その長期的安定化を図り、もって、国民経済発展に寄与するため本法案提案するものであります。  以下、本法案内容を簡単に御説明申し上げます。  第一章総則は、目的と定義などに関する規定であり、石炭わが国におけるエネルギー資源として重要な地位を占めていることにかんがみ、石炭資源活用を図るため、石炭計画的かつ合理的な生産及び供給確保するための諸施策実施することをもってこの法律目的とするものとしております。  第二章は、石炭資源活用委員会に関する規定であります。  この委員会は、石炭に関する国の施策形成に参画する機関として、通商産業省に設置されるものであり、その任務は、石炭資源活用基本計画石炭資源活用実施計画開発地域指定開発計画鉱区調整石炭需給計画石炭価格、その他石炭資源活用に関する事項のうち重要なものについては調査審議することであります。したがって、通商産業大臣は、石炭資源活用に関する施策実施するに当たっては、委員会の決定した意見を尊重してこれを行うべきものといたした次第であります。  委員会事業者労働者及び石炭需要者を代表する者並びに学識経験者をもって構成することにいたしましたのは、これらの者の意見をこれからの石炭行政に積極的に反映をさせるとともに、これら石炭関係者と相協力して石炭資源活用を図ろうとするからであります。  また、委員会石炭鉱山所在地地方公共団体の長のうちから任命される特別委員を置くことにいたしましたのは、石炭資源開発には石炭鉱山所在地地方公共団体の十分なる協力を必要といたしますので、その意見委員会審議に生かしていきたいと思っているからであります。  第三章は、石炭資源活用計画に関する規定であります。  通商産業大臣は、五年ごと石炭資源活用基本計画を定め、その実施を図るため毎年度、石炭資源活用基本計画を定めるものとし、あわせて政府は、この実施計画に必要な資金確保に努めるものとしております。  第四章においては、石炭資源開発に関する諸施策を定めております。  この章の第一節は、開発地域指定等に関する規定であり、通商産業大臣が、石炭資源活用のためにはその開発計画的に行う必要があると認められる未開発地域または掘採の休廃止地域開発地域として指定し、その開発地域における開発計画を定めることとしております。  この開発地域内においては、通商産業大臣承認を受けた事業計画に従って石炭公団または指定時において現に石炭を掘採している者が掘採する場合のほかは、石炭の掘採を禁止することとし、さらに開発地域においては、石炭公団以外の者については鉱区または租鉱区の設定及び増加を認めないこととしております。このように、開発地域において鉱業権または租鉱権の行使が制限されることとなる鉱業権者または租鉱権者は、その鉱業権等買い取り石炭公団に対して請求することができるものとしております。  第三章の第二節は、石炭資源の無秩序な開発防止をするための措置として、施業案認可についての特別な制限等を定めたものであります。石炭鉱業にかかわる施業案認可に当たっては、当該施業案石炭生産能率、保安の確保環境保全についての要件を満たしたものでなければ、認可してはならないものとしております。また、請負夫の使用については通商産業大臣承認を要するものとしておりますのは、現行石炭鉱業合理化臨時措置法と同様であります。これは次の第三節の鉱区調整についても同様であります。  第五章は、需給の安定に関する規定であります。通商産業大臣は、毎年度石炭需給計画を定めるとともに、石炭公団以外の鉱業権者また租鉱権者に対し毎年度、生産すべき石炭の量について必要な指示をするものとし、この指示に従って掘採された石炭石炭公団が買い取るものとしております。また、石炭公団以外の者は、原則として石炭の業としての販売または輸出入を行ってはならないものとし、石炭買い取り及び販売価格は、通商産業大臣が毎年度定めるものとしております。  第六章においては、石炭鉱業に占める労働者地位重要性にかんがみ、労働者確保のために必要な労働条件改善、住宅、厚生、医療等各種施設拡充等措置を講ずるよう、政府に求めております。  第七章は、石炭公団に関する規定であります。  石炭公団は、石炭鉱業合理化事業団及び電力用炭販売株式会社資産を継承するほか、政府からの出資を加えて資本金を一千億円とし、石炭資源活用委員会とほぼ同様の構成による経営委員会石炭公団業務運営管理に当たるものとしております。石炭公団は国の石炭政策実施する上ではその中核となるものでありまして、石炭資源開発石炭需給の安定、鉱業権等買い取り石炭鉱業に対する資金供給などを主な業務としております。  すなわち、石炭公団は、国内における新鉱の開発を積極的に行うとともに、海外における石炭資源開発及びその援助を行うことにより、長期にわたり、かつ安定的に石炭供給すること、石炭買い取り及び販売並びに石炭輸出入を一手に行うことにより、流通の一元化を実施すること、買い取り請求に応じて、または任意の契約によって鉱業権等買い取りを行うこと、近代化資金事業資金流通合理化資金近代化機械貸し付け等を行うほか、石炭坑近代化のための坑内骨格構造整備拡充補助金の交付を行うことにより、石炭鉱業の安定を図ること、石炭需要の拡大を図るため、石炭の液化及びガス化事業発展に導くこと等の業務を行うことといたしております。  第八章は雑則、第九章は罰則であります。  附則では、この法律は別に法律で定める日から施行することとし、関係法律整備等経過措置は、別途施行法において定めることとしております。  以上この法案提案理由及びその概要について御説明申し上げた次第でございます。  何とぞ慎重御審議の上、本法案に賛意を表されんことを切にお願いを申し上げて、提案理由にかえる次第でございます。大変ありがとうございました。
  5. 林田悠紀夫

    委員長林田悠紀夫君) 本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。     —————————————
  6. 林田悠紀夫

    委員長林田悠紀夫君) 商品取引所法の一部を改正する法律案議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。河本通商産業大臣
  7. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 商品取引所法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  商品取引所制度は、商品の公正な価格形成及び価格変動に対するヘッジングの場を提供することにより商品生産流通円滑化を図ることを目的としておりますが、近年における大衆参加増大に伴い、制度の正常な機能を阻害する種々の問題点も生じております。  すなわち、商品取引員営業姿勢財務内容に必ずしも十分でないところがあり、委託者との間の紛議の発生、委託者資産自己資産への不当流用、さらには商品取引員倒産による委託者債権の返還不能といった不測の事態が生ずる場合があることであります。また過当投機等により取引所価格が乱高下し、制度目的である需給実態を反映した公正価格形成支障を来す場合も生じております。  政府といたしましては、こうした事態改善し、商品取引所制度の健全な運営確保するための方策について、産業構造審議会中心に、種々検討してまいった次第であります。  この法律案は、こうした背景のもとに、昨年四月十七日の産業構造審議会答申趣旨に沿い、現在の商品取引所制度における弊害を防止し、その改善を図るための措置として取りまとめたものであります。  次に、この法律案概要について御説明申し上げます。  第一は、商品取引員受託業務許可を四年ごと更新制としたことであります。  これにより、商品取引員営業姿勢財務内容を定期的に審査し、その資質向上を図ることといたしました。これとあわせて、商品取引員兼業業務等についての届出・勧告制度の導入、外務員行為についての商品取引員責任明確化を図ること、委託者資産管理方法を定めること等により商品取引員受託業務適正化を図ることといたしております。  第二は、商品取引員に対する委託者債権保全措置強化したことであります。  すなわち、受託業務保証金制度強化し、商品取引員が分離預託すべき預かり委託証拠金の額を引き上げることといたしました。これとともに、指定弁済機関商品取引員受託債務を代位弁済する制度を設け、委託者商品取引員倒産等の場合に指定弁済機関から弁済を受けることができるものといたしております。  第三は、商品取引所における売買取引についての監督強化したことであります。  すなわち、大口売買取引について取引所から主務大臣に報告させるとともに、過当投機が生ずるおそれがある場合にも主務大臣売買取引制限を行い得ることといたしました。  以上のほか、この法律案では、今後の商品取引所制度の健全な運営に資するため、商品上場及びその廃止政令により行うこととし、また脱退会員持ち分払い戻し額を定款で制限し得るものとする等の改正を行っております。  以上がこの法律案提案理由及びその要旨であります。  何とぞ慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  8. 林田悠紀夫

    委員長林田悠紀夫君) 次に、補足説明を聴取いたします。天谷通商産業審議官
  9. 天谷直弘

    政府委員天谷直弘君) 商品取引所法の一部を改正する法律案提案理由及び要旨については、さきに御説明申し上げたとおりでありますが、この法律案につきまして、補足的に御説明申し上げます。  まず第一に、受託業務許可更新制としたことであります。  商品取引員は、委託者から多額の資産の預託を受けて受託業務を行う者であり、また、近年の大衆参加増大に伴い、受託者との間に紛議が発声している等の実情もあり、その業務の適正な遂行確保する必要性はさらに大きくなっております。こうした状況にかんがみ、現行法受託業務許可更新制とし、営業姿勢及び財務内容の二点について、四年ごとに再審査することにより商品取引員資質向上を図ることといたしました。  また、商品取引員兼業業務等を営むことにより、その受託業務の健全な遂行支障を来すことのないようその内容につき届け出させるとともに、必要な場合には改善措置を勧告できることとしたほか、委託証拠金委託者資産は、適正に管理しなければならないものとし、財務内容及び資産管理健全化を図ることとしております。  次に、外務員行為について商品取引員責任が必ずしも明確でなかったことにかんがみ、受託に関して外務員の行った行為の効果を全て商品取引員に帰属させることとし、商品取引員責任明確化を図っております。さらに営業所以外の場所での受託に際し、書面により商品取引内容を説明すべきことを外務員に義務づけることとし、これらによって紛議等防止を図ることとしております。  第二に、現行法受託業務保証金制度強化したことであります。  商品取引員は、本店及び従たる営業所につき政令で定める額をあらかじめ預託するとともに、従来預かり委託証拠金相当割合が、その額を超えるときにその差額を追加預託することとしていたのを改め、預かり委託証拠金相当割合については、その額に加算して預託させることといたしました。この割合につきましては、預かり委託証拠金に相当する額とすることを予定しており、これにより委託者債権の十分な保全を期することとしております。  これとあわせて、商品取引員受託債務弁済できない場合に、主務大臣指定する指定弁済機関当該商品取引員にかわってその債務弁済する制度を新設いたしました。すなわち、商品取引員指定弁済機関代位弁済契約を締結している場合において当該商品取引員受託債務弁済できないときは、委託者指定弁済機関に対し弁済契約で定める額につき弁済を請求できることとしております。なお、指定弁済機関指定に当たっては、商品取引員のみを社員とする社団法人であって、弁済業務を適正に遂行できるもの等を基準とすることとしており、また、代位弁済契約を締結している商品取引員については受託業務保証金の額を一定限度で軽減することとし、過重な負担とならないよう配慮いたしました。  このほか、弁済業務規程及び事業計画認可報告徴収適合命令等指定弁済機関運営及び監督に関し必要な規定を整備しております。  第三には、商品市場における売買取引監督強化したことであります。  すなわち、大口売買取引状況について主務大臣が常時把握できるよう商品市場における一会員自己玉一定数量を超える等の場合には、取引所は、主務大臣に対し報告しなければならないこととしたほか、過当な数量取引や不当な価格形成が行われるおそれがある場合にも主務大臣売買取引制限を行うことができるようにし、これらにより過当投機等事前防止を行うことができるようにいたしております。  以上のほか、この法律案においては、経済実態に即応できるよう商品上場及び廃止については政令により行うこと、会員脱退時における持ち分払い戻し額制限できるようにしたこと、商品取引所審議会所掌事務を拡充すること等の改正を行っております。  以上、この法律案補足説明を申し上げました。  何とぞよろしく御審議賜りたくお願い申し上げます。
  10. 林田悠紀夫

    委員長林田悠紀夫君) これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  11. 森下昭司

    ○森下昭司君 それでは若干質問いたしたいと存じます。大臣が十一時二十分までしかお見えにならないというふうに聞いておりますので、多少、質問の順序が前後いたしますが、大臣に対する質問だけをまず最初に行っていきたいと存じます。  まず最初に、ただいまも提案理由が述べられたのでありますが、この提案理由の中で、「商品取引所制度は、商品の公正な価格形成及び価格変動に対するヘッジングの場を提供することにより商品生産流通円滑化を図ることを目的としております」と述べておられまするが、現在の商品市場では過当な投機が行われ、強い批判が国民の間にあることは事実であります。したがって、本来の機能が現実に発揮されているというふうに私ども思っていないのでありますが、この現在の商品取引市場の実態について、まず、大臣がどのような御見解を持っておいでになるか、お尋ねします。
  12. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 取引所機能は、先ほど御指摘がございましたように、健全な価格形成及びそのヘッジングというところに目的があるわけでございますが、お話しのように、時と場合によりましては過当投機等が行われまして、本来の業務から著しく逸脱する、そういう場合も往々にして見られますし、また、取引員が弱体である、営業方針が悪いために倒産等によってトラブルが発生をする、あるいはまた、外務員等の行為によりましてこれまたトラブルが発生する、こういうことが大変多くなっておりまして、本来の目的とする機能が十分発揮できておらぬ、こういうことが往々にして見られるわけでございます。そういうことから産構審の答申をいただきまして、それを基礎といたしまして政府の方でもいろいろ検討いたしましたが、今回は十分とは申せませんけれども、ある程度の前進をというふうな考え方のもとに今回の改正案を提案をいたしまして、御審議をお願いしておるところでございます。
  13. 森下昭司

    ○森下昭司君 産業構造審議会答申をもとにして、そして大臣みずからは十分ではないけれどもという前提がございましたが、私もこの答申内容を一読をいたしまして、法改正の状態をながめてみますると、ある部分については取り入れられた部分もあり、ある部分については取り入れられていない部分も多々あるわけであります。  そこで、一応十分ではないけれども、この程度の改正であれば、いま申し上げたように、商品市場が本来の機能が発揮できると一応お考えになっておるのかどうか。また、答申の中に盛られました点について、将来次の機会に、あるいは次の国会なら国会でも結構でございますが、次の国会に、改めて一段と機能が発揮できるように十分ないわゆる法律体制をつくりたいということのために、さらに改正提案をするお考え方があるのかどうか、見通しについてひとつお尋ねをいたします。
  14. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) まず改正内容については、先ほども提案理由、それから提案補足説明でいろいろ申し上げたわけでございますが、この取引員の健全化を図るという意味におきまして、四年ごと許可を更新する。過去の営業姿勢であるとか資産内容であるとか、そういう点を十分調査をいたしまして、四年ごとにその審査をし直す、そして許可を更新する。まず取引員自身がしっかりしたものにならなきゃならぬということが第一点であります。  それから同時に、外務員が、これまでは資質の比較的よくない者が多かったということが一つの大きなトラブルの原因でございます。それから、さらに同時に、外務員の行った行為に対する責任がきわめて不明確であった、こういう点も大きな課題であったと思うわけでございます。そういう点につきまして一連の改善を行っております。さらにまた、上場品目等につきましても、経済事情が激変をしておりますから、その激変に即応いたしまして、政令でもってこれを定める、こういうことができるようにもいたしております。  その他幾多の改正を加えておるわけでございますが、当面の間はまずこれでやってみまして、先ほど御指摘がございましたように、実はこの審議会の答申がいろいろございましたけれども、審議会の答申のうち、五点ばかりを今回はその改正を見送っておりますが、これにつきましては、必要とあらば政府委員から説明をさせますけれども、とりあえずはこれで一応やってみまして、今後不十分な点がありもした場合には、できるだけ早い機会にもう一回改正を行いたい、こういう趣旨のもとにお願いしておるわけでございます。
  15. 森下昭司

    ○森下昭司君 まあ五つほどいわゆる答申の中から法改正をすることを見送ったという御答弁がありましたが、私どもといたしましては、やはり商品取引所の自主的な運営というものが原則的には必要ではないかと思うわけであります。  もともとこの商品取引所の歴史等をながめてまいりますと、日本におきましては、米が最初に売買の対象になりまして、それがだんだん発展をしてきたという経緯があります。やはりこの商品取引所につきましては、一部答申にも見られますように、株式会社論でありますとか、あるいはもう少し公的性格を付与した特殊法人でありますとか、いろんな意見がございますが、とりあえず私は、やはり自主的な組織として商品取引所自体が強化されていくという方向に向かって指導をしていくのが望ましいのではないだろうかと思うのでありますが、最近の改正を見てみますと、政府監督あるいはこれに介入をするというような法改正等が行われておりまして、一面におきましては、いま大臣がお述べになりましたように、現実の状態からすればあるいはそういうことも必要ではないかという感じもいたしますが、基本的にはやはり商品取引所自体の自主的な強化運営というものを期待していくのが正しいのではないかと思うのであります。  その中で、いわゆる五つほど答申改正に盛られなかった点で、私がいま申し上げた商品取引所の組織的な強化を図っていくという点からまいりますと、まず法第三十七条以下に規定をされております商品取引所審議会ですね、この商品取引所審議会強化につきまして、答申は、「委員数の増加及び商品取引に携わる者の意見も反映し得る構成とすべきである。」ということが述べられておるのでありますが、これが今回のこの改正の中に実は盛られていないのであります。いま申し上げた自主的強化運営発展をさせていくという立場に立ちますと、まず商品取引所審議会について、部外者の意見を反映し得るという点からまいりますと、当然私は法改正をすべきではなかったかと思うのであります。まず第一に私は、これが盛られなかった理由と同時に、商品取引所自体の自主的な運営強化を図っていくという点についての意見をひとつお尋ねいたしたいと思います。
  16. 天谷直弘

    政府委員天谷直弘君) 今回の改正におきましては、委員数の増加は行っておりませんわけでございますが、審議内容に応じまして、この商品取引所の性格がきわめて技術的、専門的な点がございますので、かなり広範囲の意見を聞く必要があるかと存ずるのでございますが、その都度、そういう事項につきましては、政令によりまして審議会に専門委員を置き得るように根拠規定を設けることといたしておりますので、いまの専門委員を時に応じてこの審議に御参加いただくというようなことによりまして、これまでの商品取引所審議会機能におきまして不足しておった点を強化していきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  17. 森下昭司

    ○森下昭司君 私は、後段にちょっと言いました、商品取引所自体は自主的に組織を強固にして、そして運営していくことが望ましいと考えているが、そういう点についてはどう思うか。
  18. 天谷直弘

    政府委員天谷直弘君) 商品取引所は当業者を中心とする会員の組織でございまして、この取引所の基礎は、基本的な精神は、会員の自治ということにありますことは先生御指摘のとおりでございます。この会員の自治の原則によりまして、取引所の財務的基盤等が強化されていくということが最も望ましいわけでございますが、他方、その取引所には多額の外部資金等が導入され、大衆の利害等も密接に関係をいたしてまいりますので、主務官庁といたしましては、その自治の原則を尊重しながら、公益等の見地からしかるべき指導を加えていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  19. 森下昭司

    ○森下昭司君 お言葉を返すようでありますが、答申の中にもやはり「新規委託者については、委託数量制限を行う必要があろう。」とか、あるいは「商品取引員受託する場合には、委託者が十分な資力、信用及び商品取引に関する知識を有していることを調査の上」云々という答申が実はあるわけなんですね。ですから、いまお答えがありましたように、やはり商品取引市場における投機性が強まったということは、こういういわゆる部外者資金の流入が一つの原因になっている。したがって、その部外者の資金が、いま申し上げたようにただ単に遊んでいる金ではなくて、無知の金というものも実は入っておるわけでありまして、そこには大きな問題点が実はあるわけであります。いわば自主的な運営を図りつつも、かつ、そういった点についての何と申しますか、問題点について、言うならば適切な手が打たれていなかったところに、行政が介入する一つの点があったのではないだろうかと実は私は思うわけであります。  先ほどの商品取引所審議会の専門部制についてのお話しがあって、それで補っているんだというお答えがございましたが、この商品取引所審議会委員は、内閣総理大臣が任命いたしました後に国会で同意を必要とする人事案件なんです。私は、そういう点においては非常に権威のある人選だと考えております。ただ補完的に政令で専門部会を設けておるから、この委員の人々の任務、それから商品取引所審議会自体の仕事というものには支障がないというようなお話しがございましたけれども、やはり答申の中でわざわざ「商品取引に携わる者の意見も反映」するというように書いてありまする以上は、従来の学識経験者のみならず、広く意見を聞いて全きを期していくというたてまえになっておりまするから、当然私はこの委員問題については、ある程度の改正をする必要があったのではないだろうかというふうに思うんでありますが、重ねてお尋ねして申しわけございませんけれども、なぜこの改正を見送らざるを得なかったのか、その点について重ねてお尋ねいたします。
  20. 天谷直弘

    政府委員天谷直弘君) いま御指摘のとおりの御意見、われわれもまことにごもっともな御意見であると思っておるのでございますが、これは非常に格式の高い審議会でございまして、行政組織の見地からそう軽々に組織を変えるべきではない、外部の意見につきましては、いま申し上げましたような専門委員等の活用によって十分に意見を聴取できるではないかというような意見もございまして、今回は現状を余り大幅に変更しないということにいたした次第でございます。
  21. 森下昭司

    ○森下昭司君 私は、たとえば今回の法改正の要因になりましたこの産業構造審議会答申、まあわれわれの側からものを言いますと、都合のいいものは取り入れるが、役所の側から見て都合の悪いものは取り入れない、取捨選択、それは、行政の立場からある場合においては必要でありましょうが、やはり商品取引所法のあり方につきまして諮問をいたしまして、相当長期間にわたって御相談を願って答申を願ったということでありまするが、やはり答申尊重という前提で問題を考えてまいりますと、私は先ほど通産省側も、商品取引所自体が自主的に運営強化していくということは賛成だというお話しでありましたから、その自主的な組織の運用を強化していく一つの方途として商品取引所審議会そのものが果たす役割りも大きいのではないだろうか。  でありまするから、そういう全体として、たとえば大臣からお話しがありました外務員制度強化していくとか、取引員に許可の更新をして、そして事故を未然に防いでいくとか、いろんな所要な委託者の保護をやっていくんだというお話しがございましたけれども、それも必要でございましょうが、やはり根本的にはいま申し上げたように、商品取引所自体の中にも問題があるわけでありますから、そういう点からいけば商品取引所の自主的強化発展というたてまえをとる以上は、こういう商品取引所審議会の問題は真剣に考えていく必要があるのではないだろうかと思うのであります。  それと同じように、たとえば全国商品取引所連合会、これは「各商品取引所を通ずる中央機関として法制的に拡充」しろと、そしてこの全国商品取引所連合会が中心になりまして、たとえば商品取引所における一体的運営、整理、統合の問題もあるでしょう。あるいは「商品取引員の監査、紛議調停、外務員の講習、登録、広報活動等の共通業務を行わしめる等その運営の充実を図ることが必要である。」これもいま申し上げた前提の上に立って答申がなされているわけであります。  残念なことに、今回の法改正をながめてみましても、全国商品取引所連合会を中央機関として法制的に拡充しろという答申が無視されている。趣旨は、私が申し上げた商品取引所審議会趣旨と同じでありますが、なぜこれを法制的に特殊法人なり何らかの措置を講ずることがむずかしいのか、なぜ答申を取り入れることができなかったのか、理由をお尋ねいたします。
  22. 天谷直弘

    政府委員天谷直弘君) 仰せのように、全国商品取引所連合会、略称全商連は、商品取引所相互の連絡調整目的とした法人でございまして、現在行っている業務のうち、商品取引所が行う指導、監査の調整外務員の講習と試験は非常に重要な仕事でございまして、今後ともその充実を図っていかなければならないと存じております。この点につきましては、主務省としても常時指導しているところでございます。  さらに、今回の答申に盛られているように、現在取引所で行っておるところの取引員の指導、監査及び外務員の登録につきまして、これを全商運が一括して行うこととし、さらには全商連を商品取引所法機関とするという方向も検討したのでございますけれども、これは取引所とそれから全商連との内部関係ということもございまして、われわれといたしましては、総論としてはその答申の方向は結構であると思っておるのでございますが、各論は取引所と全商連との内部関係等の調整がまだ十分成熟しないうちに、主務省の方でそれを上から行うということは時期尚早かと考えましたので、方向は賛成でございますけれども、今回は見送った次第でございます。
  23. 森下昭司

    ○森下昭司君 そうしますと、この答申が今回の法改正に取り入れられなかった一番の原因は、全商運と各商品取引所との間における意見調整がなされなかった、結論を得ることができなかったということが原因であるという理解の仕方をしていいですか。
  24. 天谷直弘

    政府委員天谷直弘君) 意見調整を努力したようでございますけれども、まだ結論に到達するに至らなかったというふうに理解しております。
  25. 森下昭司

    ○森下昭司君 そういたしますと、これは非常に逆行的な言い方かもしれませんが、逆説的な立場に立つと思いますが、仮に意見調整ができまして、何らかの一つの結論が出た、その結論が答申趣旨と同じ方向であるということになりますれば、通産省としてはこの法制化拡充の問題については異論はない、こういう考え方ですか。
  26. 天谷直弘

    政府委員天谷直弘君) 異論ございません。
  27. 森下昭司

    ○森下昭司君 そういたしますと、その意見がまとまればできるだけ早い機会という表現になりますけれども、できるだけ早い機会の国会、今国会は七月四日まででございますが、早い機会の国会に提案をする。その場合に、重ねて念を押しておきますけれども、この一点だけの法改正でも提案をなさる御用意なのか、この一点だけではなく、他のいろいろな答申の中の、先ほど大臣からもお答えがございましたけれども、答申の中の五つの取り入れられなかった問題等も含めて御提案なさる考え方か、その提案の見通しについてちょっと念を押しておきます。
  28. 天谷直弘

    政府委員天谷直弘君) 農林省の方のお立場もあるかと存じますが、通産省でこの問題を所管しております財政政策局としては、そういうことであれば提案したいと存じますけれども、その国会における通産省からの法案提出状況等もございましょうし、ほかの四つばかりの、答申にあって今回この法案に盛られていない事項につきまして、ある程度それも改正の見込みが立つということであれば、それらもまとめてやる方がいいのではないかというような判断もございましょうし、それらの諸般の情勢を、その段階において考慮して対処いたしたいと存じます。
  29. 森下昭司

    ○森下昭司君 そして、この問題について私はちょっと先ほど、後で詳しく質問いたしますが、一番問題にいたしましたやはり委託者の無知、受託者の中にも不良な者がいるというようなことによって相当な紛議が出ているわけでありますが、政府といたしましても、答申に書いてありまするように、「本制度機能、役割につき正しい理解を持たせるよう広報活動を充実するとともに実際の商品取引及びその危険性についても十分な認識を与えるべきである。」という答申がなされておりますが、従来はPR活動というものはほとんどなかったのかどうか、それから、この答申を受けて、今後答申趣旨に沿ってどのようなPR活動をなさろうとするのか、お尋ねいたしておきたいと思います。
  30. 天谷直弘

    政府委員天谷直弘君) 御指摘のとおり、政府としまして十分なPR活動はやっておりませんでしたので、反省をいたしておるところでございます。今後その問題につきましては、御指摘の精神に沿いましてPRを強化いたしたいと存じております。またそういうPRは、政府はもちろんのこと、取引所が十分みずからの問題といたしまして積極的PRを行うべき筋合いかと存じます。この点につきましては積極的PRも必要でございますが、消極的PRと申しますか、外務員取引員等が商品取引につきまして無知の大衆に対し、むやみにもうかるかのごとき宣伝をするということはきわめて好ましくございませんので、そういう好ましからざる広告等をしないように、広告の規制ということは従来も取引所でやっておることでございますので、さらにこれを強化していきたいというふうに考えております。
  31. 森下昭司

    ○森下昭司君 具体的なことは後でお尋ねいたしますが、時間がございませんので、大臣に最後に一つお伺いをいたしておきたいと思います。  いまのやりとりを通じましておわかりになりましたように、私はやはり、商品取引所審議会強化の問題等について答申趣旨が盛られなかったのは非常に残念であります。同時に、今回のこの法改正によりまして、通産、農林両当局にはそれぞれ相当の監督指導の権限があるわけであります。私は率直にお伺いをいたしておきますが、今度の改正案の中で、現行法でも「(会員取引制限)」という項がございますが、今回の改正案の中で、従来は「過当な数量取引が行われ、」というようなことだったのでありますが、今度は「行われるおそれがあり、又は不当な価格」云々というように法の改正が行われたわけであります。過当な投機の一つの原因であり、すべてとは申しませんが、会員自己玉という取引問題が、非常に相場に影響を与えるというふうに巷間伝えられているわけであります。したがって、過当な投機を防ぐためには、この九十条は今後非常に重要な役割りを果たしてくるというふうに思うのであります。  なぜ私はお尋ねをいたすかというと、過去の事例からまいりまして、言うならば、現行法の四十条に基づく取引所による処分件数というものは昭和四十六年以降、除名を受けましたのはたったの取引員数二社の二件だけでございます。他の三十七件が売買取引の一時停止でありまするとか、過怠金というような処分を受けているだけでありまして、比較的巷間伝えられておりまする紛議の状態の内容からいたしますと、当該取引員のいわゆる責任というものがあまり法によって言うならば処罰を受けてない、処分を受けてないという傾向が実はあるわけであります。でありまするから、私はこの九十条の問題をはじめといたしまして、今回新たに加えられました、外務員が著しい不正行為を行った場合には、その外務員を雇っておりまする取引員についても処分を拡大するという内容が含まれておるわけでありまするから、この法運用の考え方、決意と申しますか、そういった点について大臣の御答弁をお願いいたしたいと存じます。
  32. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) この商品取引所は、当初に御答弁申し上げましたように、あくまで健全な価格形成とそのヘッジングということでございまして、その間あまりにも過当な投機が行われる、ましてや外務員などが不当な勧誘をいたしまして、大衆玉を大量に導入するというふうなことによりまして価格の乱高下が行われる、そういう場合には、えてしてやはり後でトラブルが起こりがちになるわけでございます、トラブルが絶えない。これではとてもこの健全な運営ができませんので、要するに取引員の資産内容がしっかりして、そうして営業姿勢も筋を通す、こういうことでなければいけませんし、同時に、営業の第一線に立っております外務員自身の素質がよくならなければいかぬ。それから、あわせて外務員のやった行為に対する責任が明確にならなければいかぬ。トラブルが起こったときに一体だれがどういう形で弁済するか、こういう問題も明確にならなければいかぬ。  そういう一連の規制と申しますか、監視を十分にすることによりまして、本来の機能である健全な価格形成のヘッジング、これによりましての取引所の本来の機能を維持していく、こういうことがあくまで今回の改正趣旨でございますから、今回の改正案につきまして御承認をいただきました暁におきましては、その趣旨を体しまして、そうして厳重に指導いたしまして、本来の機能が十分発揮できるようにやっていきたい、かように考えておる次第でございます。
  33. 森下昭司

    ○森下昭司君 大臣、結構です。  それでは、引き続き質問をいたします。  答申の中に、「定期市場は、第一義的には、当業者により利用されるものであるが、これが円滑に機能するためには、外部からのいわゆる投機資金の導入が必要である。と述べております。私は、この外部の導入資金というものが過当投機をつくる一つの原因にもなっているのではないだろうか。言うならば、先ほど指摘いたしました、無知な大衆に対して外務員が利益を目の前にぶら下げて、いかにも甘い汁を吸わせるような勧誘が行われている。その結果がいわゆる外部資金の導入が大きくなり、あるいは四十七年ごろには商社等の手持ち流動資金が相当流れたというようなこともございますが、とにかく過当投機の一つの原因としては、この外部の導入資金が大きなウエートを占めておるのではないだろうかという感じがいたしますが、この点についての見解をお尋ねいたしておきます。
  34. 天谷直弘

    政府委員天谷直弘君) 非常にむずかしい問題でございます。この商品取引所の成立の基本が、たとえば農産物等のように価格が著しく変動する商品、その当人の、当業者の予期せざる事由によって価格が著しく変動するような品物につきまして、そのリスクをいかにして分散するかというところから出発しておる制度でございます。したがいまして、当業者はリスクを分散したいと考えておるわけでございますので、そのリスク分散、あるいはその保険が成立するためには、逆に今度はそのリスクをとる人、リスクテーカーがなければ取引所という制度は成立しないわけでございます。このリスクテーカーというのは、投機と言ってもいいわけでございますが、投機資金がある程度存在しなければ商品取引所というものは成立し得ない。  問題は、この投機資金、リスクテーキングをやる資金の性格でございますが、これがずぶの素人でございますと非常に大きな問題を生じます。危険の程度も知らず、商売の中身のことも知らず、何かくじでも引くようなつもりで取引に入ってくるということになりますと、思わざる損害をこうむり、紛議のもとにもなるわけでございますので、この種の外部資金が余り流入するということは、取引所機能を発揮する上におきまして好ましくないことでございます。他方、危険の内容も十分承知し、取引あるいはその商品内容も承知した上で、かつリスクテーキングをやってみたいというような資金もまた社会には大量に存在しておるわけでございます。これは商品市場にもあれば株式市場にも存在をしておるわけでございます。こういう外部資金が流入してくるということは、取引所の本来の機能を発揮する上に必要なことでございます。したがいまして、基本的な考え方といたしましては、家庭の主婦等のように知識も余り十分でない、資力もない、そういう人たちが甘言に乗ぜられて商品取引に入ってくるというようなことはできるだけ防止いたしまして、健全な取引所運営を図りたいと考える次第でございます。
  35. 森下昭司

    ○森下昭司君 無知な家庭の資金はできるだけ避けていきたいということは、考え方としては理解できるわけでありますが、実際にはそういうものを区別して、そして制限をするとか、あるいはお断りをするとかというようなことは実は行われていないわけであります。私は、いわゆる当事者の資金というのと、いま申し上げた外部の導入資金との割合と申しますか、商品取引所が本来の機能を発揮するためにはどの程度の構成割合を保つことが望ましいというふうにお考えになっているのか、その点ひとつお尋ねします。
  36. 天谷直弘

    政府委員天谷直弘君) 通産関係と農林関係と相違がございますが、通産関係で申し上げますと、売買の枚数でございますが、綿糸、人絹糸、スフ糸、毛系、ゴム、平均いたしまして当業者委託玉が一一・九%、それから一般玉、これが六八・七%、残りが自己玉と、こういうことになっておるわけでございます。  以上が現状でございまして、この現状がそれでは理想的であるかどうかということになりますと、これは理想的であるとは申せないと存じます。先ほども申し上げましたように、余り取引内容を知らないずぶの素人の資金の流入等を規制することによりまして、この比率を次第に変えていくということが必要ではなかろうかと存ずる次第でございます。ただし、それでは一体数字ではっきり何対何というふうに言えるのかと申しますと、そういうような数字的証明をするということは困難でございましょうから、現状を次第に改善をしていくという努力を続けたいと思うわけでございます。
  37. 森下昭司

    ○森下昭司君 衆議院におきましては、何か当事者が三、それから外部資金が七、一般論といたしまして大体三対七というのが一応現実的な状態ではないだろうかというようなお話しがあったわけでありますが、私は現実の三対七はともかくといたしまして、本来の機能を発揮するために望ましい構成割合というものは三対七になるのかどうか。あるいはそうでなくって、もう少し自己玉なりあるいは一般玉を減らしていくことが望ましいのか。そういうようなたてまえに立ちまして、いわゆる当事者と一般の関係が三対七であることが現実であるにしても、望ましい姿と言えるかどうか、その点を重ねてお尋ねします。
  38. 天谷直弘

    政府委員天谷直弘君) 三対七と申しましたのは、いま申し上げました数字、すなわち、一般委託玉六八・七というのを丸めまして七ということにし、残りが三という現状を申し上げておるわけでございますが、まあ方向といたしましては、一般玉の比率をもっと減らし、当業者の比率をふやしていくということが好ましい方向であるというふうに考えておる次第でございます。
  39. 森下昭司

    ○森下昭司君 この答申の中に、「ダミー及び他店委託を含め自己玉は厳格に制限すべきである。」ということが実は述べられているわけであります。いま御指摘になりましたように当事者委託玉、たとえば通産の関係する原料関係、いまお話しがありましたのでも、大体自己玉を含めて三〇%ということに実はなるわけであります。この自己玉が先ほど申し上げたように過当な投機的な値段をつくる一つの原因であることは、第九十条で「(会員取引制限)」という項が設けられている趣旨からも明らかであります。そういう点でまいりますと、私は、やはり先ほど申しました外部導入資金過当投機の一つの原因であると同時に、逆に今度は、外部の導入資金を保護するというたてまえに立ちますと、商品取引員自己玉をこの答申のように整理をいたしまして、姿勢を正す必要があるのではないかというふうに思うのでありますが、この答申についてどういうお考えを持っているか。
  40. 天谷直弘

    政府委員天谷直弘君) 仰せのとおり、この取引所制度を悪用するような目的を持って自己玉を大量に建てるということは、きわめて好ましくないことでございます。現在も取引所におきまして規制を行っておりまして、総建て玉に占めるところの自己玉の比率、これを一〇%以下に制限するというように、これは昭和四十五年以来そういう自主規制を行っておるところでございます。  なお、この総建て玉に占める自己玉の比率を毛糸と綿糸について申し上げますと、毛糸の場合は総建て玉が、これは本来五月の数字でございますが、三十二万一千八枚に対しまして、自己玉が二万三千八百二十六枚、比率が七・四%。それから綿糸は、総建て玉が六万七千四百四十八枚に対しまして自己玉が五千百七十二枚、比率が七・七%ということになっております。
  41. 森下昭司

    ○森下昭司君 それは、綿とそれから毛についてはそういうような傾向かもしれませんが、一般的に私どもが聞いておりまする点につきましては、相当な玉数があるというふうに聞いておるわけでありまして、先ほど私は大臣にもお尋ねいたしておきましたが、今回の改正によりまして、「おそれがある場合」も取引制限の対象に実はなるわけであります。でありますから、私は、四十五年以来一〇%以下に押さえているというようなことでありますが、この規制をさらに押さえていく考え方があるかどうか。また、ないといたしまするならば、いま申し上げた「おそれがある場合」を加えた法改正趣旨にのっとって、市場運営管理の面でどのような具体的な対策をおとりになろうとするのか。その二点をお尋ねいたします。
  42. 天谷直弘

    政府委員天谷直弘君) この自己玉を全部完全に否定するということは、取引所運営していく上で種々の困難があろうと存じます。現在の一〇%以下程度にとどまるならば、それによりまして公正な価格形成が阻害されるというようなことはまずないのではなかろうかと一般的には考えておる次第でございます。なお、この自己玉規制を逃れる目的を持って御指摘のように、ダミー等を使って買い占めるというようなことがございましたら、これは違法行為でございますから、そういうことが発覚すれば厳重に処分をいたしたいというふうに存ずるわけでございます。  それからなお、この市場管理強化によりまして、九十条の強化によりまして、その自己玉によってたとえば価格の乱高下等が起こるというおそれがある場合には、もちろん必要があればその条文を発動して取り締まるということになろうかと存じます。
  43. 森下昭司

    ○森下昭司君 過去のいわゆる現行法でも制限がありまして、先ほど申したように制限があって処分できるわけでありますが、先ほどちょっと申し上げたように、昭和四十六年度以降でありますから過去五年有半なんですが、その中でいま申し上げた処分件数は三十九ございますけれども、いま御指摘になりましたように、ダミーを使って自己玉の運用をしたというようなことで実は処分を受けているものはないわけなんです。答申がわざわざダミーなどを使って云々ということを述べておることは、現実にそういったことが公然と行われている、それを規制する必要があるということを述べておるのでありまして、さらにそれを九十条の改正に生かしてきたと私は理解をしているわけであります。  でありまするから、運用面につきまして決意を持って今後十分やっていくんだという考え方は理解できますけれども、過去の実態からいたしますれば、これは空文化するおそれがある。言うならば自己玉の規制等につきましては、ただ単に一〇%という枠が守られていればいいという形式に陥りやすい傾向があるのではないだろうかというふうに指摘せざるを得ないのであります。私は、四年有半のいわゆる法第四十条に基づく取引所における処分の中で、たとえば九十条に基づきまして会員を処分したというようなことが出ておれば、いまあなたのおっしゃることについては十分な理解をするのにやぶさかではないというふうに思うわけでありますが、この点につきましては、十分ひとつ自己玉を規制する対策について今後検討もしていただきまするし、さらにまた九十条の改正趣旨に基づきまして、積極的な運用を期待しておきたいと存じます。  次に、一番よく出ておりますが、上場商品の問題についてお尋ねをしておきたいと思います。  今回の改正によりまして、法律条項から省令で上場商品指定できるように改正が実は提案をされているわけでありますが、私は一般論といたしまして、法律で決めていたものを省令に移していくという考え方については、これは問題があるのではないだろうかと思うのであります。これは一般論でありまして、別段商取法だけではございません。最近の当商工委員会におきまする諸法律案改正内容を見てみましても、問題が、すぐ省令に規定したとか、省令に任すとか、省令に定めるところとかいうように、すべて省令に任す傾向というものが非常に強いわけであります。  私は、現行法商品取引所法第二条の第二項十号のこの目的条項で上場商品を定めているのでありまするから、実際の運営については支障がないと考えているんです。これを廃止をいたしまして、答申の中には適格性の問題を云々ということが書いてございまして、やはりめんどうな手続でなくて、経済の実勢に合うような上場商品上場できるように考えろという趣旨答申が出ておりますけれども、私は、実際の運営支障がないというように考えておるのでありまして、ただ単に答申の中の問題ではなく、省令にこの上場商品を移した理由、どうして、どういう欠陥問題点があるから法律条項から省令にこれを移さなければならなかったのか、この点について承りたい。
  44. 天谷直弘

    政府委員天谷直弘君) 商品取引所にある商品上場しておくということは、それが実態取引にとってきわめて必要であるということが基本的な前提でございます。ところが、世の移り変わりに従いまして取引実態が変わってまいりますと、たとえば綿花、綿布、それから人絹のように、実際この取引実態が変わりましたために、もはやこのヘッジングとか商品取引等が必要がなくなってしまいまして、事実上取引が行われないというような事態が発生しております。しかし、法律上場品目を決めてございますと、それがいつまでも残るということになるわけでございます。ところが、その綿花や綿布のように完全に死に切ってしまって骨になっておれば、これを廃止するということは、法律であろうと政令であろうと別にむずかしい問題ではないかと思いますけれども、まだ完全には死に切っておらない商品をたとえば上場廃止しようといたしますと、これはいろいろな利害関係が絡んでおりますので、なかなか機動的にやるということは困難でございます。したがいまして完全に死に切るまで、骨が枯れるまで待たなければならないというようなことになってしまいまして、その辺が必ずしも適切ではないという問題があるわけでございます。  それから商品上場につきましては、政令に委任しますと、何か政府が、主務官庁が簡単にやってしまうのではないかというような御心配が、あるいは各方面におありかとも存じますけれども、われわれといたしましては、政令委任したからといってそう簡単に上場をするというようなつもりは全く持っておりません。厳重にその必要性等をチェックいたしまして、よほどの必要性が認められない限りは新たに上場するというようなことは考えていないわけでございます。やはり上場するといたしますと、どうしても大衆を巻き込む等の副作用がございますから、新たな上場につきましては、きわめて慎重に考慮しなければならないと、こういうふうに考えておる次第でございます。
  45. 森下昭司

    ○森下昭司君 簡単に上場しないのだ、厳重な審査とかいろんなことをいたしますというお話しでありますが、いまお答えの中で、事実上の取引が行われていないものが法律条項として残っているところに問題があるというお話しがございましたが、これはその都度その都度私は法改正によりまして消していく、抹消していく、そういうことをやっていけば差しさわりはないのではないかと存じております。現に、本改正前の前の改正昭和四十二年だったと記憶をいたしておりますが、行われているわけでありまして、私はやはり法律趣旨からまいりますれば、わが国商品取引市場がいまだ国際的な観点から見ますといろいろと多くの問題点が残されている。また、現在扱っておりまする商品にいたしましても、たとえば輸入大豆でありますとか、あるいは砂糖などは国際市況によって相当大きな影響を受けておるわけでありまして、そういう観点からまいりましてもいろいろと問題点が残されているわけであります。  そういうことを考えてまいりますと、やはり私は法律条項として残しておくものは残しておく、削除すべきものは削除していく。そして、いま申し上げたように、政令条項として先ほど申し上げた第二条第二項の十号で目的条項をお使いになって、それぞれ上場商品上場については遅滞なく行われていくというようなことを考えてまいりますと、ただ単に省令に移すことのみによっていま申し上げたような趣旨が生かされるかどうか、まあ若干の疑問を持つわけでありますが、仮に本改正案が成立をいたしますると、問題になりますのは政令でありますが、この政令というものは本改正案の審議が終了後いつごろ、いつまでにお出しになるのか、またその際には、上場適格品についていお答えがありましたように、事実上もう上場してないもの、事実上取引が停止しているものもあるわけであります。同時にまた、新しい上場商品についての要望と申しますか、希望等も出ているわけでありまして、一体現在の上場商品の中で廃止されるものはどんなものか、いまお話しのあった人絹糸、綿花、そういったもののほかにどういったものがあるのか。  それから、いわゆる政令として新たに発布されました後に上場商品として追加できるもの、いろいろな適格性の問題がありますが、追加できるもの、こういったものはどういうものを予想されているのか、その見通しについてお尋ねいたします。
  46. 天谷直弘

    政府委員天谷直弘君) 通産関係についてお答え申し上げます。  まず、上場廃止を予定しておる品物につきましては、先ほども申し上げましたように綿花、綿布、それから人絹糸でございます。この三品目につきましては、前二者は完全に取引が行われておりませんし、人絹につきましては形式、ほんの形ばかりの取引が行われておりますが、実質的にはもはや取引はなくなってしまっておるような状況でございまして、廃止をいたしましても、何らの影響もないというふうに考えております。  それから、その廃止政令でございますけれども、大体今年じゅうに出すということを考えております。  次に、新たに上場する品目として何か考えておるかという御質問でございますが、まず第一にウールトップがございます。これにつきましては当業界の希望も非常に強いわけであり、昭和四十四年以来それの上場の問題につきまして検討が行われておるわけでございます。法律でいうところの適格性も持っておるというふうに考えておりますが、問題は毛糸との関係をどうするかというのが非常にむずかしい問題でございまして、ウールトップを上場した場合には毛糸をやめるのかやめないのか、あるいは並行させるのか、その辺のことがきわめていろいろ複雑な利害関係がございますので、十分に検討した上で上場するかしないかということを決定したいというふうに思うわけでございます。  それから次に、銅でございますが、銅地金でございますけれども、御承知のように銅地金は、ロンドン・メタル・エクスチェンジで取引されておる国際的な商品でございます。ところが日本の中小企業等は、このロンドン・メタル・エクスチェンジをじかに使うということがなかなかむずかしい、手軽に使えないわけでございまして、そのためにヘッジングを十分に行うことができないという問題を抱えております。それで仲間取引を小規模に行って、そこでヘッジングをある程度やろうとするような動きもあるようでございまして、こういう人たちから日本にも銅の取引所をつくってほしいというような希望が非公式にはあるというふうに聞いております。  ただ、そうかといいまして、銅の取引所を日本につくるということになりますと、ロンドン・メタル・エクスチェンジとの関係あるいは銅の建て値取引との関係等々の問題がきわめてたくさんあるわけでございますので、これを十分に解明しない限り銅地金の上場を考えているなどということは申し上げられないわけでございまして、全く白紙の状況でございます。ただ、一応検討の、上場の希望はある品物であるというふうに申し上げておる次第でございます。
  47. 森整治

    政府委員(森整治君) 農林省関係について申し上げます。  廃止するものといたしましてはスルメがございます。これはすでにとれなくなったことと、漁連が共販で行うということで事実上必要性がなくなってきた函館の海産物取引所が、四十七年四月に一応解散をいたしております。したがいまして、事後的な処置でございますが、政令から削除いたしたいというふうに考えておるわけでございます。  それから、新たに上場する品目としてどんなものが考えられるかということを申し上げます。  一つは合板でございます。合板につきまはしては、関西で合板先物取引取引要領案というのを研究会を設けていろいろ議論をしておるようでございます。しかし、これを取り上げるかどうかということにつきましては、今後のいろいろ業界の意見等に従いまして対応してまいりたいというふうに思っております。ただし、関東では商社による系列化が進んでおりまして、主として建て値制が行われているということから、取引所上場するという必要性を現在のところ認めておらないようでございます。  その他の品目については液卵がございますけれども、これはわれわれの判断ではまだ時期尚早であろうというふうに思っております。ただ、今後の検討課題といたしたい。
  48. 森下昭司

    ○森下昭司君 先日策議院で、全国商品取引所連合会の会長の鈴木さんがお見えになっておりまして、いまお話しがありました合板でありますとか、あるいは銅の地金については積極的に、言うならば政府主導型のもとに推進をしてもらいたいという実は意見の陳述がございます。いまお話しを聞いておりますと、いわば業界の事情と申しますか、銅業界なりあるいはまた合板業界なり、そういった業界関係の事情の御説明だというふうに私は理解をいたしておりまして、政府がいわば全商連会長が言われるように、積極的に指導をして拡大推進していくのだというようなお考え方がまだないのではないだろうかというふうに思うのでありますが、とりあえず、いま話題になっておりまする銅と合板の上場商品としての問題について、積極的に政府主導型で御推進なさるお考え方があるのかどうか、念のためにお伺いいたします。
  49. 天谷直弘

    政府委員天谷直弘君) 取引所は、取り扱い上場品目をふやすということが取引所の利益と合致いたしますので、取引所がそのような希望を持つのは当然でございますけれども、主務官庁といたしましては、上場することによりまして国民経済的に受けるメリットとデメリットというのをよく検討する必要があろうかと存じます。で、当業界のリスクヘッジングには余り役立たなくて、その投機的なおもちゃの場にされてしまうというようなことになりますとはなはだ困ったことになりますので、その辺果たして本当に必要性があるのかどうか、取引実態とどのように調和するのか等々をよく検討した上で、上場するかしないかということを判断いたしたいと思うわけであります。
  50. 森整治

    政府委員(森整治君) 合板について申し上げますと、天谷審議官の答弁と大体同じでございますけれども、まず、当業者主義のたてまえをとっておりますから、業界がどういうふうに判断をするか、われわれ受けて立つ立場になろうかと思います。具体的に非常に話が合板については進んでおるようでございますけれども、われわれの問題点を申し上げますと、単独でやるのか、他の取引所と合併してやるのかという問題がございます。この点につきましては、私ども取引所強化していくということから言いますと、むしろ後者の方がいいのではないだろうかというふうに考えております。  それから、あと先物取引につきまして業界自身のいろいろ何といいますか、契約、商慣行、そういうものがありまして、先物取引が完全に履行されるかどうかとか、あるいは企画の問題がどうであろうかというような点をわれわれとしては受けて立つ場合に、いろいろ検討した上、十分そういうことで行けるという判断がついた暁には、そういう指導もいたしてみたいというふうに考えておるわけでございます。
  51. 森下昭司

    ○森下昭司君 上場の問題で、商品の適格性の問題につきまして、答申の中に、少量商品であっても、言うならば、現実に適正な市場管理が行われれば上場してもいいのではないかという趣旨答申が実はなされているわけであります。しかし、考えてまいりますと、先日も衆議院におきましても天谷審議官がお答えになっておりますが、綿糸の二十番手で現実に二・九倍、つまり生産量と取引高の倍率の問題でありますが、三十番手で〇・四倍、四十番手〇・五倍、人絹糸が二・六倍、毛糸が六・六倍、スフ糸が〇・十三倍、ゴムが四十一・七倍というふうに実はなっているわけであります。なお、農林省関係におきましても小豆が非常に多くて、百十八倍という異常な倍率を示しております。精製糖が十六倍、生糸が十三倍、乾繭が十一倍というような状態になっておりますが、このような倍率の問題がいわゆる投機をあおる一つの原因ではないかということにもなっているわけでありますが、答申の中にありまする、少量商品というものを市場の管理が適正であれば上場しても差し支えないではないかという趣旨からまいりますと、非常に大きな過当投機を生む危険性を私は実は感ぜざるを得ないわけであります。私は少量商品上場商品に、これを適格性の中で加えていくということは、やや現在の状態からすれば無理な点があるのではないかと思うのでありますが、たとえば、答申趣旨である少量商品というものとしてどういったものが予想されてくるのか、この点具体的にひとつお答えいただきたいと思います。
  52. 天谷直弘

    政府委員天谷直弘君) 先ほど申し上げましたウールトップ、それから銅地金のほかに、少量商品であろうとあるいは多量商品であろうと、現在上場を検討しようと考えているものはございません。
  53. 森下昭司

    ○森下昭司君 いやいや、私の言うのは、少量商品というのは銅地金やウールトップが入るわけですか。
  54. 天谷直弘

    政府委員天谷直弘君) 入りません。
  55. 森下昭司

    ○森下昭司君 ですから私は、この答申でいう少量商品というのは、たとえばどういうものが予想されるかと聞いているんです。
  56. 森整治

    政府委員(森整治君) 私どもは、有名な小豆でございますね、確かに生産量に対しましての倍率が百何倍ということでございます。これは御承知のように、主産地がほとんど北海道でございます。御承知のように、いろいろ冷害だとか等の天候の影響を非常に受けやすい。それから、輸入物が非常に手当てしにくい商品でございます。  それからもう一つ、いろいろ流通過程が産地仲買から産地問屋に行きまして、産地問屋からいろいろ精選されて消費地問屋へ来る。それから買う人が、また実需者がたとえて言えばあんこ屋さんだとか、そういう非常に零細多数の人々の手を渡って消費者へ行く。その間に農協のホクレンが介在したり単協が介在したりするということでございまして、流通が非常に複雑でございます。しかし、非常に生産者の一つの指標にもなっておるわけでございます。そういう関係からいたしますと、確かに少量の取引ではあるけれども、まあ定期取引としては非常に重要なものではなかろうかというふうに思っておりますが、過去を振り返ってみますと、御指摘のようにいろいろ問題がございました。その都度われわれも含めまして、取引所ももちろんでございますが、いろんな市場管理の規制を強めてまいっております。  一例を申し上げますと、どこでもあるんですが、急激な価格変動だとか数量、売買、取り組みが非常に多くなるという場合に、証拠金を増徴したり建て玉の制限を行うということをいままでやってきておりますが、最近、東穀では市場管理基準というのをつくりまして、自動的に、連動的に数量が何万円以上になったらもう幾ら証拠金を出せということを委員会にかけないでも、自動的に理事会ですぐ対応できるということが行われておるわけでございます。  まあそういうようなことで、過当な取引がありましたり価格が非常に急激に上がるというような場合に、そういう連動といいますか、自動発動基準というんですか、そういうものを現につくりましてやっておるわけでございまして、この例をほかの取引所にもつくるように最近指示いたしまして、こういうことで、非常にそういうおそれのある商品については、いわゆる機動的な市場管理を行いながら公正な価格形成をやっていくということが必要なのではなかろうか、こういうふうに判断をいたしておるわけでございます。
  57. 森下昭司

    ○森下昭司君 まあ少量商品といたしまして、たとえばいま小豆のお話しが出ましたが、赤いダイヤなんというキャッチフレーズで相当流された商品が多いわけでありますが、いま森局長からお話しがありましたけれども、答申は、やはり現実に適正な市場管理が行われればこうした事態防止できる、つまり過当投機価格を操作する行為を生む可能性を抑えることができる。しかし、逆に適正な市場管理を行い得るという見通しがない限り、その上場には慎重を、要しようという点を実は答申をいたしておるわけであります。  この小豆は、いわゆる政令上場商品といたしまして出されましたのも相当古いわけでありまして、審議会の答申は四十九年の四月十七日に実はなされているわけであります。いわば私はいまのお答えを聞いておりますると、小豆というものは、言うならば少量商品として非常に過当投機あるいは価格の操作が行われるという可能性が強いにもかかわらず、これが上場されていた。つまり市場管理が適正でなかったために、多くの人々が泣いたというような結果を生んでいるのではないかと私は思うのでありまして、いわゆるそういった弊害があればこそ、少量商品についての上場については、このように答申は慎重を要しようという点を私は指摘をいたしているのではないだろうかと考えるのであります。  そうだといたしますと、先ほど天谷審議官が言われましたように、政令に移しましても、上場商品については慎重な審査の上で上場いたしますから、何も法律で制定したからどう、政令指定するからどうという差異はないということを強調されましたけれども、小豆に関する限りの過去の実態からまいりますと、これを政令商品として上場したことはやや早きに失したのではないだろうかというような私は感じが、いままでの過去の経緯からすればなきにしもあらずであります。  そういう点について重ねて森局長にお尋ねいたしますが、小豆はなぜ少量商品であるにもかかわらず上場されたのか。しかも先ほど申し上げたように、生産量と取引高との倍率は百十八倍になります。生産が一に対しまして取引高が百十八倍。これはもう全く本来の投機という趣旨よりもギャンブル的性格が強かったのではないだろうかというような感じが、実はしてならないのでありまして、私は、この赤いダイヤのために泣いた多くの人々のお話しを聞いておるわけであります。でありまするから、少量商品として上場したことは、いささか時期尚早ではなかったかという感じを持つのでありますが、この答申との関連の上に立って、小豆の上場商品についての考え方をお尋ねしておきます。
  58. 森整治

    政府委員(森整治君) 小豆の御指摘がございましたけれども、先ほど私申しましたように、非常に流通経路が複雑でございまして、まあ農家から先ほどもいろんなルートで流通をしているということで、われわれが推計をいたしておるところでは、延べ流通量に対する出来高倍率、生産量でなしに流通量に対する出来高倍率は、四十八年では二十五・四倍ということになっておるわけであります。それにいたしましても、これは相当の量ということになるわけでございまして、先ほど私申し上げましたように、この問題につきましては、一般的な一般大衆といいますか、大衆資金と当業者取引の数との比率を、片方、要するに当業者的な取引をもう少しふやすというそういう指導と、それから、やはり大衆資金が余り入らないようにするという指導と両方、両面合わせてやっていく必要があるのじゃないか。  と同時に、並行いたしまして、市場管理を非常に厳正にやるということにいろいろ取り組み、先ほど自己玉の問題もございましたけれども、支配関係にあるダミー的なものもいろいろ自己玉の計算に入れていくとか、それからいろんな売買取引につきまして建て玉制限を行うとか、特にわれわれ検討いたさねばならないと思っておりますことは、新規委託者、これはわれわれもいろいろアンケート等で調べておりますけれども、最近は非常に健全な方向にきているようでございますけれども、まだまだ事情を知らないで参加する人があるのではないか。そういう観点からいたしますと、新規でやる場合に、これまた新規というのが非常にむずかしゅうございますけれども、そういう場合に、たとえて言いますと枚数を制限していくとか、そういうような市場管理の相当強化をやって対応していくということによって、そういう答申で問題になっております点は解消されるのではないかというふうに考えておるわけでございます。
  59. 森下昭司

    ○森下昭司君 このいわゆる少量商品の小豆問題は、私は過去の実態から判断をいたしますと、いま申し上げたように非常に多くの問題点があるという点を指摘し、少量商品等については、通産当局はいまのところ具体的に考えていないというお答えでありますが、過去のこういった実態等から判断をいたしまして、慎重な考え方をもって処していってもらいたいというふうに私は思うわけでございます。  それから、この答申の三番目に、「貯蔵性、保存性があれば足りる」という、いわゆる新しい食品流通という立場に立って、「冷凍技術等保存方法の発達を考慮すると、商品そのものの耐久性のみに限定して考える必要はなく、貯蔵性、保存性があれば足りる」というふうにあるわけでありまして、この点は農林当局に関係するものが多い、ほとんどそうだというふうに思うのでありますが、これから想像されまするいわゆる対象物品というものはどういうものがあるか、お尋ねいたします。
  60. 森整治

    政府委員(森整治君) 先ほど私申しましたように、その種のものとしまして特に液卵がございます。要するに卵の凍結をしたものでございますが、この問題も取引所側では検討されておりますけれども、いろいろわれわれも業界の意見を聞いておりますと、結局国産よりもやっぱり輸入凍結卵、そういうものが中国、南ア、豪州等から入っておりまして、まだ量といたしましては四十八年に二万トン程度であるということでございます。全体からしますとそう多くはないわけでございます。今後の適格品目というふうには考えられます。たとえばシカゴの取引所で、二つございますけれども、一つのところでは、何と言うのですか、豚肉の加工凍結したもの、これが取引の対象になっておりまして、そういうことからいろいろと取引所側で検討をされておるというふうに考えておりますけれども、まだ全体の取引の量から言いますと少量でございますし、またそれほどの業界自身での、当業者というそういう立場からの希望というのがまだそう強いものではない、そういうふうに考えております。ただ、今後そういうものが一応この規定の適用を受ける可能性はあるでありましょうというふうに判断をいたしております。    〔委員長退席、理事楠正俊君着席〕
  61. 森下昭司

    ○森下昭司君 次に、商品取引所の問題の中におきまして、組織形態の問題は、先ほどちょっと最初に大臣等にお尋ねをいたしてありましたので省かさしていただきまして、この答申の中におきまする会員の構成問題についてちょっと触れてみたいと思います。  答申は、いわゆる「会員形態の組織については、構成員及びその運営如何により、会員の利益のみに偏り、商品取引所の公益的使命の達成に支障を生じることがある。」という前提の上に立ちまして、会員たる資格に関しましては、「商品取引に直接的利害関係を有する当業者のみに限定せず、間接的に関連を有する者のほか、会員たらんとする者で一定の資格を有する者にも広くこれを認め、種々の意見を反映させることが必要である。」という実は答申を出されているわけでありまして、この点について、現行法の第二十五条の二に「会員の数」というものが実は規定がしてあるわけであります。  この会員の数は、取引所がその定款をもって上場商品ごとに、また、あるいは委託を受けて商品市場において当該商品売買取引する会員の数の最高限度を、それぞれ決めなさいというようなことに実はなっておるわけであります。そして二十三条で、会員たる資格の問題について一定規定が実はなされているわけでありますが、この答申も、先ほど大臣が答えられたように、五つの答申事項の中で構成を、法を改定することができなかった一つに実は入っているわけでありますが、いわゆる会員の拡大という点について、法改正に取りあげることができなかったという点について、まず、御見解をひとつお伺いをいたしておきたいと存じます。
  62. 天谷直弘

    政府委員天谷直弘君) 会員資格を拡大せよという答申趣旨でございますが、当業者主義を維持しながら経済の変動に対応いたしまして、その範囲を拡大し、取引所運営に広範な意見を反映させよというところにあると存じます。現行の当業者以外の者につきまして、それが取引所会員として入った場合の効果を考えてみますと、どうも具体的に点えてみますと、価格形成への関心、及び価格変動をヘッジする必要性が大きい当業者以外の者というのが余りないのではなかろうかというふうに思うております。  たとえて申し上げますと、輸送業及び保管業者、こういう人たちを取引所会員として認めたらどうかという御意見もあるわけでございますけれども、輸送業者、保管業者等は、たまたま上場商品を輸送または保管しているだけでございまして、専業性がございません。で、彼らは当業者とは違いまして、価格変動をヘッジするというような必要性も少ないわけでございます。また、指定倉庫業者につきましては、相当の専業性というものは認められますけれども、取引所運営に対する関心はほとんどないというような状況でございまして、したがいまして、会員資格の拡大ということを、それでは一体どういう人たちに具体的に拡大するのかということになりますと、余り具体性、妥当性というのがないのではなかろうかというふうに考えておる次第でございます。    〔理事楠正俊君退席、委員長着席〕
  63. 森下昭司

    ○森下昭司君 それは表面的な一つの理由でありまして、何も会員価格変動価格形成にいろいろな関連がなければならぬという規定はございません。問題は、会員でありますれば受託業務による手数料等も入ってまいりますし、いろんな点につきまして営業を維持しょうとすれば、それはそれなりにできるはずであります。でありまするから、いまお話しのあった点につきまして、当業者云々というような前提のもとに立ちまして、価格形成価格変動に関心と関連がなければ云々というお話しは、私は了解をすることができ得ないと思うわけであります。  本来は、やはり会員数の問題は定数を定款に崇めておりまして、全国的に見ましても非常に少ないわけであります。現行取引所の中におきまして、商品取引員の定数は全体で四百二十九ということになっておりまして、これは上場商品の別によっていわゆるダブッていることもありまするから、実際の会員数はもっと少ないわけであります。言うならば、私は長い歴史の中におきまして、現在の会員の方々の経てきた経緯、取引所のたどってきた歴史というようなものから、新規参入と申しますか、そういったものを拒絶する体質的なものがあるのではないかというような感じを持つものであります。また、現にシートの売買が公然と行われている。この事実なんかは、いかに会員の資格というものが結果におきまして財政的要因と結びつく、この権利というものがいかに大きなものであるかということを私は物語っているのではないかと思うのでありまして、ただ単にいま申し上げたようなお答えだけでは、理解することができ得ないと思うのであります。  私は、もっと極端な表現をすれば、ずぶの素人でも一定会員の資格要件、法律規定されておりまする資格要件を持って申請をすれば、それを認めていくという門戸を開くことも必要ではないか。答申は、私は極端に言えばそういうことを指摘しておるのではないかと思うのでありまして、この会員構成の変革を求めることによって商品取引所自体の、言うならば適切な市場管理発展をさしていくということにもつながっているのではないかと思うのでありまして、重ねてこの点についてお尋ねいたします。
  64. 天谷直弘

    政府委員天谷直弘君) 会員につきまして、新規参入を制限しておるのではないかという趣旨の御質問でございますけれども、たとえば、ある人が毛糸の紡績業を始めるといたしますならば、それは明確な当業者であり、会員資格を持っておりますから、そういう人が取引所会員として新規参入するということは、何ら制限する必要がないことであろうかと存じます。当業者である限りにおきましては、会員として十分な資格を持っておるわけですから、機屋なり、あるいは紡績屋さんについて新規参入を制限をしておるというようなことは全くないというふうに考えます。  それからシート売買の問題でございますけれども、これは取引員の問題でございまして、取引員につきましては、これをあまり野放しに数をどんどんふやすというようなことをいたしますと、取引員の質が低下いたしまして、それが過当投機、あるいは不当勧誘等の原因にもなり、あるいは倒産等によりまして、委託者に不測の損害を加えろということもございますので、取引員につきましては、これは厳重な資格制限をしなければならないどういうふうに考えておるわけであります。
  65. 森下昭司

    ○森下昭司君 ちょっと私、お尋ねいたしておきますが、第二十五条の二、先ほど申しましたように、「取引所は、その定款をもつて、」ということが書いてございます。次に、第十条で「(定款記載事項)」というのがございます。この中には実は会員の数についての記載事項が載っていないわけでありまして、どの項にこの会員の数を記載するのか、ちょっとお尋ねします。
  66. 天谷直弘

    政府委員天谷直弘君) 第十条では、会員数は必要的記載事項ではないので、書いてございません。なお、通産関係の取引所におきまして会員数の最高限度を定めておりますのは、名古屋繊維取引所のみでございます。
  67. 森下昭司

    ○森下昭司君 まあこれは法解釈からいけば、二十五条の二はできるという、いわゆる任意条項と申しますか、そういう関係もあるかとも存じますが、やはり法の相関関係からまいりますれば、定款記載事項の中にそういった点について、何らかの私は内容をつくっておく方が、法的な関係からいって非常に理解しやすいのではないだろうかというような感じがいたしましたので、あえて実はお尋ねいたしたような次第であります。  さらに、この商品取引所のあり方の問題の中におきまして、運営の公正化を図る点の中で、理事長及び監事の選任に際しましては、主務大臣認可にかからしめることとするという答申が実はなされておるわけでありますが、この点につきましては、今回の改正の中からは実は見送られているわけであります。これも私は非常に重要な問題であると思うのであります。  それは私は、本来は先ほど申し上げたように、自主的運営強化を図っていくという点からまいりますれば、余りこの答申は感心をしていないのでありますが、現実には過当投機の問題が起こり、そうして価格の乱高下が起こり、ある場合におきましては市場管理の問題についての多くの批判が集まる、だからこそ行政当局は指導し、これに介入して、許可すべきものは許可するというような条項に実はなっているわけであります。そういう前提からまいりますと、私は、今日の市場の管理の状態等からまいりますれば、この答申はやはり生かしておく方が必要ではなかったろうか。そうして市場管理が、運営適正化され、自主的運営強化等が図られた時点でこの問題を解消して、改正していくというようなことをする必要があったのではないかと思うのでありますが、この主務大臣認可にかからしめるということがなぜ今回の法改正で見送られたのか、その理由をあわせてお伺いいたしたいと思います。
  68. 天谷直弘

    政府委員天谷直弘君) 先ほども申し上げましたように、取引所基本的なたてまえは会員の自治ということになっておるわけでございます。で、会員の自治という立場を尊重いたしますと、主務大臣認可制ということまでとる必要があるかどうかという問題が生じてまいります。そこで他方いま仰せのとおり、監督官庁といたしまして、取引所運営が公正に行われるように監督の手段が必要なわけでございますが、監督の手段といたしましては、必ずしも主務大臣認可というような大上段の制度をとらなくても、現行法によりましても、法令違反によって役員として不適当な者につきましては、主務大臣が解任を命ずることができるということになっておりますので、この現行法の運用によりまして目的は達成することができるのではなかろうかというふうに考えまして、改正は見送った次第でございます。
  69. 森下昭司

    ○森下昭司君 私、ずっとこれ質問いたしまして、答弁を聞いておりますと、先ほど最初に指摘いたしましたように、答申の中で、行政の側からいけば、都合のいい点は取り上げ、都合の悪い点はどんないい改正案でも切ってしまうというような顕著な形態が非常にあらわれているのではないかと思うのであります。いまの答弁を聞いておりましても、先ほど私が自主運営強化が必要じゃないか、それが一番の原則だ、どうだと言うと、賛成だ、そんならどうして監督するのだと言ったら、現実の市場がこうこうこうだなんていうお答えがある。いまも同じような趣旨でありますが、答弁がやはり質問の側からいきますと、指摘をいたしますと、ある場合におきましては反論としての答弁、反対の側からの答弁が、今度は逆の立場からの答弁が返ってくるという非常に一貫性がないような実は感じがいたしまして残念であります。  次に私は、大臣が強調されておりました外務員制度のあり方について、若干お尋ねをいたしておきたいと思うのでありますが、その前に、せっかく野口局長にお見えになっていただいておりますので、ちょっと野口局長にもお尋ねをいたしておきたいと思うわけであります。  それは、福井人絹の人絹取引所廃止されることになったということでありますが、この一つの遠因ですね、遠い原因といたしまして、やはり開発途上国からの合成繊維の生産というものが近年非常に高まってまいりました。それが日本へ輸出されてくる。そのために人絹糸というものがすたれて合成繊維に時代が変わりつつあるというようなことが、これは遠い原因かもしれませんが、そういう相関関連性があったのではないかと実は思うわけであります。  そこで、まず天谷審議官にお尋ねいたしておきますが、私は、いわゆる相関関係からいけば、福井人絹取引所廃止もまたそういった繊維の構造の変革、及びその変更の中における開発途上国等の日本に対する繊維攻勢と申しますか、そういったものも一つの原因として挙げることができるのではないだろうかというふうに考えているのでありますが、その点についてどういうお考え方を持っているか。福井人絹取引所廃止の原因ですね、具体的に。取引が減ったのは何かということです。
  70. 天谷直弘

    政府委員天谷直弘君) 繊維取引実態、それから開発途上国との関係等につきましては、私の所管ではございませんので詳しいことは申し上げられませんが、福井繊維取引所廃止実態は、現在まず人絹糸、あるいは人絹織物そのものの需要が激減をいたしております。第二番目に、したがいましてメーカーの数もわずか三社に減ってしまっております。それからまた、人絹糸の取引形態でございますが、メーカーと機屋の問が系列関係が確立いたしておりまして、したがいまして、市場での取引というのがほとんどないというような状況になっております。そういうふうなことで、市中玉がほとんどないような状態でございますから、人絹取引所の存在理由もまたなくなってしまったということかと存じます。
  71. 森下昭司

    ○森下昭司君 そこで、四十八年、合成繊維の日本での生産が百二十八万トン。台湾、韓国を合わせまして最近生産の増強等が行われまして、八十五万トンの生産能力というふうに聞いております。これは百二十八万トンに相対的に比較いたしますと、日本の六五%の生産量に当たるわけであります。アメリカは、韓国や台湾からの品物がアメリカに入ってくることにつきましては輸入規制を行っております。日本が受けておりますのと同じように輸入規制を行っております。また、EC諸国におきましても、こういったいわゆる合成繊維を買う余地というものはございません。むしろEC諸国におきましては、綿糸技術、染色技術その他につきまして相当の技術がございますけれども、十分それに間に合うような生産が行われているわけであります。  そういうようなことを考えてまいりますと、当然輸出国として対象になりますのは日本が予想されているわけであります。こういったものが日本に入ってまいりますれば、再び繊維の問題について相当大きな混乱が起きることは必至だと私ども思うわけであります。当委員会におきましても、藤井委員が機会あるごとに繊維の問題については御指摘になっておりまするので、詳しいことは私も申し上げません。しかし、やはりどういうことがありましょうとも、日本が規制を行って、こういった開発途上国からの輸入を規制していくことが当然私は措置として行っていく必要があるかとも存じております。  綿布におきましても、愛知県の知多織物組合におきましては、先般、商社はもうこれ以上綿布を輸入するなということを決議いたしまして、近々商社に対しまして抗議行動を起こすということが実は伝えられているわけであります。こういうような問題について、輸入規制は、再三再四この委員会におきましても大臣も初め、また局長も、輸入規制をすることはでき得ないんだということを実は強調されてお見えになりまするけれども、今日、不況カルテルが結成をされましても、なお繊維の市況の立ち直りは非常に遅いというようなことを考えてまいりますると、私はやはりガット条項等を発動いたしまして、二国間の規制を行う必要があるということを思うのでありますが、輸入規制についていまなおでき得ないという立場に立ってお考えになっておられるのかどうか、この機会に重ねてお尋ねをしておきます。
  72. 野口一郎

    政府委員(野口一郎君) ただいま合成繊維関係のお話し、あるいは綿製品のお話し等々の広範な観点から、輸入規制に対する考えはどうかという御質問があった次第でございます。  先生御指摘のように、この委員会でも何回かその案件は問題になっているわけでございます。基本的なことを申し上げますれば、日本ももちろんガットに入っているわけでございますし、ガットに基づく国際繊維協定に入っているわけでございます。ですから、そこで決めているような要件といいますか、事態が発生すれば、日本も当然それに従って措置することができることはここで申し上げるまでもないわけでございます。  問題は、そういう一般論の話ではなくて、現状を判断してどうかということだと思うわけでございますが、その前に、このガットの緊急輸入制限とか、あるいは国際繊維取り決めで言っておりまするところのセーフガード、あるいは二国間取り決めという、いわば直接的な輸入を規制する措置につきましては、一般的にではなくて、個別にそのものごとに取り上げてみまして、それがそれでなければならない不可避な情勢にあるかどうかというようなことをまず検討しなければいかぬわけでございますし、そういう方向に進むにつきましてはそれなりに慎重な準備、あるいは十分な手順を踏むことが必要であるというふうに考えております。特に、それがなかなか激しい措置でございますので、具体的にそれをとるというふうなことになりますると、その輸出国との関係、具体的には大体近隣諸国の、いわゆる後進国ということになるわけでございますけれども、輸出国との関係とか、あるいはわが国貿易全体を見まして現在どうあるか、あるいはこれからどういうふうにいくかというふうな動向等、内外のいろんな条件を慎重に考えて対処すべきことであるというふうに考えるわけでございます。  翻って、それならば現状はどうかということになるわけでございますが、個々のものにつきまして数学的なことを申し上げるのは避けることといたしまして、繊維製品全体にとって最近の動きは、御存じのように、ことしになりましても落ちついておるわけでございます。通関統計の数字を申し上げますと、まあ大ざっぱに言いまして、月九千万ドルがことしになってから入っているというふうにお考えいただきたいと思うんです。五月がちょっと減りましたものですから、五月のを加えますと九千万ドルを割るわけでございますが、大体九千万ドルということでございまして、昨年の同期に比べますると、ほぼ輸入の水準は半分でございます。もう一年前の一−四に比べましても大体一五%アップぐらいの状況でございまして、この状況におきましては大体、相当落ちついていると申しますか、鎮静しているというふうに見ていいのではないかというふうに思うわけでございます。  一方、では今後どうなるであろうかということ、これが一番問題でございますし、業界が言っておりますのは、いまは落ちついているけれども、将来ふえていったら、いろいろ努力をして市況を安定させたのにそれがむだになるじゃないか、脅かされるじゃないかという懸念が非常にあろうかと思うわけでございます。先行きの見通しにつきましては、昨年の十二月から一応契約状況につきましての調査をいたし、それに基づいてウオッチをしているわけでございます。総じて言いますと、まだ低水準というふうに見ております。ただ最近、三月、四月等増加の傾向があるわけでございますけれども、それは非常に低かった十二月とか一月という状況に比べて増加ということでございまして、この増加の傾向がさらに今後とも続くかざりかということにつきましては、もう少し状況を見ないと先行きにつきましてはっきりしたことは申し上げられないわけでございます。  この契約というものは何といいましても相手と話し合っての商売のことでございますので、毎月ならされてということではないわけでございまして、相手方の都合等ありましてある月に多い、そのかわり逆にその次は減るというふうに、非常にアップ・アンド・ダウンが多うございます。三月は多かったんでございますが、四月、五月と減ってきております。というようなことを考えますると、今後とも急増するようなこと、特に四十八年に見られたようなああいう思惑輸入が再発するということはないんであろうと、いまのところ景気の動向がどうなるかによりまするが、大体そんなように見ているわけでございます。  それから日本と韓国、あるいは日本と中国との貿易の状況、あるいは繊維貿易の状況等につきましてもいろいろ思いめぐらす問題が多いわけでございますので、ただいまのところ通産省といたしましては、現段階においてはそういう状況でございますので、関税の引き上げ、あるいは二国間の取り決めによる数量規制というような直接的な措置をとる必要はないのではないかというふうに見ているわけでございます。その点につきましては、先日申し上げたことと通産省の考え方は変わっていないわけでございます。  しかしながら、一方においてその輸入状況を放置するのか、それでは野放しにするのかということにつきましては全く違うわけでございまして、これは昨年来私も申し上げておりますように、われわれが行政努力でできる範囲内においては全力を尽くしてやっておるということでございまして、一例を申し上げますると、ここにおります嶋崎政務次官を煩わし、韓国にはいろんなことにつきまして話し合いに行っていただいたわけでございますし、中国との間では、先日混合委員会の席上を通じて強力に当方の考え方、状況を申し上げて向こう側の理解を得たわけでございます。その他商社に対する指導とかいろんな点で行政指導をやっておるわけでございますので、そういうわれわれの努力、あるいは今後の景況のいかん等につきまして見守ってまいりたいというふうに考えております。
  73. 森下昭司

    ○森下昭司君 いろいろお話しがございましたが、これはきょう時間の関係もありませんし、本来そういうことを追及することがきょうの趣旨でもございません。私もずっと前に質問をいたしたことがございますが、いずれにいたしましても、開発途上国に対する設備投資あるいは設備の指導、技術指導等を含めまして日本自身が行ってきた過去の実態がございます。その結果が今日のような開発途上国の繊維攻勢をかけられておりまする大きな原因にもなっておるのでありますが、こういうような中におきまして、先ほど指摘いたしましたように、私は、ただ単に合成繊維の問題一つだけを取り上げて指摘もいたしておきましたが、容易ならない事態に実は相なっているわけであります。決して輸入は野放しにしていないんだと通産当局はおっしゃいますけれども、その野放しにしていないんだという姿勢は、言うならば話し合って落ちつかしていこう、話し合いで決めていこうというなまぬるいものでありまして、相手方が同意しない限り問題の解決にはなっていかぬというふうに私は思うのであります。  漁業関係におきましても、あのノリについては、韓国産の輸入ノリは規制を受けております。けさ新聞を読んで見ますると、今度はマグロの協定がありまして、マグロを韓国から幾ら買うか。どの程度に押えるか。何かまた日本のどなたか政務次官が行かれまして、話し合いが行われ、今回妥結する公算が大きいというように書いてございますから、その都度その都度の話し合い、しかも単品の話し合いということになりますれば、私は非常に問題が複雑化し、また問題が難航する懸念を持つものでありまして、その点はこの機会にお尋ねしておきたいと思うのであります。  たまたまいま嶋崎政務次官のお名前が出ましたので、韓国産のつむぎの問題についてちょっとお尋ねをしておきたいと思います。  今回次官が行かれましてお話し合いをなさった四万反でありますが、これは日本流で言えば五十年度なら五十年度、単年度のものですか、それとも将来の取り決めについてはどういうような内容になっているか、その点をまず最初にお尋ねいたしておきます。
  74. 嶋崎均

    政府委員(嶋崎均君) 端的にお答えを申し上げますと、この五十年度の指定数量をどうするかということで、一九七四年の実績水準をベースにして考える、それと同じ数量を五十年度で考えましょう。ただ考え方は、月を追って考えてみますと、四十九年度というのはだんだんふえてきまして、ある時点から見ると、平均をとるときには少し下がって考えなければならないというようなことになる意味で、韓国の方は非常にむずかしい交渉であったというふうに思いますが、ともかくそういう実績水準ということで一九七四年の数字をとった。  それから、抽象的にそういうことを申しても、互いに両方で行政指導をしなければならないということになれば、その実積水準というのは一体幾らであるかということを決めなければいけないということで、いろいろなデータを突き合わせましたけれども、決定的に何反であったというようなことがなかなか言えない状態でございます。そこで三万五千反ないし四万反、その間に実績水準がある。こういう点で合意を見まして、そこを目途に指導をしていきましょうということに取り決めたわけでございます。
  75. 森下昭司

    ○森下昭司君 そういたしますと、来年度、五十一年度は改めて再協議をしなきゃならないのですか。
  76. 嶋崎均

    政府委員(嶋崎均君) 御指摘のとおりでございまして、日本の国内の景気の事情あるいはつむぎの需要生産の状態というようなものを総合勘案をして考えなきゃなるまい問題であろうというふうに思っておるわけでございます。大島つむぎだけとってみましても、四十年ごろから比べると生産量は倍増しているような状況でございますから、そういうような点をよく勘案をして交渉しなければならぬということで、とりあえず五十年について話し合いをしてまいったということでございます。  来年以降の問題は、今後さらに機会を見て交渉をやらなければならないということでございます。
  77. 森下昭司

    ○森下昭司君 野口局長にちょっとお尋ねしますが、私の愛知県の方の非常な伝統産業、しぼりですね、しぼりは韓国産がいま内地企業の八割を占めておるということを私聞いておるのでありますが、そのような状況があるのかどうか。
  78. 野口一郎

    政府委員(野口一郎君) そこでしぼりは、メーカーは非常に零細でございまして、日本全体のしぼりの状況につきましては、実は実情を把握しておらないわけでございますが、ただ、いま御指摘のように、愛知の周辺が主産地でございまして、そこに組合がございます。その組合の数字によりますると、おっしゃるとおり、大体八、二ぐらいの割合で、需要のうちの八割くらいは韓国製品であるというような数字を私は聞いております。事実でございます。
  79. 森下昭司

    ○森下昭司君 認識が非常に少ないので残念であります。衆議院で長年商工委員をやっている加藤さんの出身地は鳴海であります。その鳴海は鳴海市場といって有名なんです。愛地が主産地、その隣に有松町……。私どもは一概にしぼりと申しますと、鳴海町、有松町でできたものを総称いたしておりますが、生産が少ないからというような実態があって、実態の把握につきましては余り御存じないようでありますが、やはり、いま御指摘になりましたような零細な企業であればあるほど、韓国産の影響というものは非常に強く受けておるわけです。これは全く日本の伝統産業でありまして、私どもから言いますれば、歴史的にも残るものであります。  そういうような点で、有松しぼりや鳴海しぼりの産業振興の立場からも、国内政策も必要でありますが、韓国からの輸出のしぼりだとか西陣だとか友禅だとか、話し合いがなされていないようでありますが、こういうしぼり等の問題を含めて今後韓国側と話し合いといいますか、御相談なり御協議をしていただくお考えがあるのか、まず、そういう考えをお持ちであるかどうか、この点をお伺いしておきます。
  80. 嶋崎均

    政府委員(嶋崎均君) ただいまお話しにありましたように、当時の交渉に参りましたのは、正式な交渉というか、事務当局レベルの協議でございますけれども、その席では、当時非常に大きな問題になっていたのは、繊維産業全体からいろいろ輸入制限問題というのが出てきて、したがって、繊維全般をどう考えるかという問題と、それから当時、ちょうど御承知のように生系の一元化輸入問題とのからみで、絹の撚糸等が非常に輸入量がふえていったという問題、それから大島つむぎの問題と、大きな項目に分けるとそういうことになります。  しかし、一番初めの繊維全体の問題につきまして、御承知のように、日本は非常に高度の成長過程で労働力の不足問題、あるいはそれが非常に高くなってきたというような問題等がありまして、ある意味で比較生産費原則に基づいて国際分業が進んだというのは、ある意味ではやむを得ない面が相当あった。現に、繊維の業界の中でもそれが非常に円滑に進んでおるという分野もあった。しかしその後、日本の景気が総需要の抑制というような過程を経てきて、問題がなかなかそう簡単に楽観的に考えられないような状態になってきている。そこで、繊維全般の問題というのは、全体としては先ほど野口局長から話がありましたように、当時交渉に行った時分は、四四%対前年の水準というようなことでございますから、それを一般的にカットバックするというようなことはなかなか困難でしょう。しかし、日本の景気が非常に沈滞が続いておる、しかし、そのうちに少し上り坂になってきたようなときに、どっと製品が入ってくるというようなことでは非常に問題があるでしょう。したがって今後、日韓の繊維の問題につきましては、重要な問題が出てきたら、その都度その問題を互いに資料提供し合ってネゴシエートしましよう、さらにまた、そういうことがなくても、いろいろと問題が多く出るに違いないから、三ヵ月に一遍ぐらいは定期協議をやりましょうということについて話し合いをまとめてまいったわけでございます。  したがって、最近たとえば静岡の別珍、コールテンといったような問題とか、あるいは一元化輸入後のいろんな絹の問題といったような問題についても引き続き資料を提供し合い、互いの意見の交換を通じて話し合いをして、少しでも問題を事前に先取りをして、非常に貿易立国の日本の現状から考え、また将来も考えますと、一方的に輸入制限なり関税の引き上げなりというような処置を講じないで、スムーズに秩序ある輸出入が行われるというような方に持っていこう、互いにそれを努力しましょうという過程で現在この問題を取り扱っておるというわけでございます。したがって、今後個別の品種でそういう問題が出た場合におきましては、それを積極的に取り上げて互いにネゴシエートして問題をスムーズに解決していくように、両国の利害を調整をしていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  81. 森下昭司

    ○森下昭司君 大体予定の時間が来ておりますので、ちょっと取り急いで一つお尋ねいたします。  それは改正案の九十一条でありますが、「(受託業務を行う場所の制限)」、これは現行法でもありますが、現行法は「営業所以外の場所で、」ということになっております。改正案は「営業所以外の場所を」であります。この「を」と「で」で相当対象が違うわけでありますが、九十一条の「営業所以外の場所をその受託業務を行う場所としてはならない。」ということは、具体的に言うとどういうことになりますか。
  82. 天谷直弘

    政府委員天谷直弘君) これまで、外務員の行う行為でございますが、これは委託の勧誘でございまして、外務員がその営業所の外におきまして受託してはならないということになっておったわけであります。
  83. 森下昭司

    ○森下昭司君 そういたしますと、たとえば外務員が家庭に勧誘に参りますね、そしていろんな宣伝をして、ぜひひとつ、前は委託ですが、今回受託ですが、やりたいと言う。それはまあ結構でございますと言って、そこでいわゆる契約をすることはいけない。勧誘行為は認めても、本来のいわゆる受託業務契約というものは営業所でやりなさい、そういう理解の仕方ですね。
  84. 天谷直弘

    政府委員天谷直弘君) 従来のといいますか、現行法ではそういったことになっておるわけでございます。
  85. 森下昭司

    ○森下昭司君 改正案によりますとどういうことになりますか。
  86. 天谷直弘

    政府委員天谷直弘君) 現行法も、この外務員受託の勧誘は行ってもいいけれども受託業務を行ってはならないという、そういう制度でございますが、勧誘ということと契約ということとは非常に接近しておる概念でございまして、実際問題としてそこがあいまいであるために外務員責任範囲がきわめて不明確になってしまう。そういうお客と取引員との間に紛議が起こったような場合には、その取引員がこの外務員の首を切ってしまいまして外務員はどこかへいなくなってしまう。そうしますと取引員は、もうあれは外務員が勝手にやったことであっておれの責任ではないというようなことを言って、逃げてしまうようなことがございまして、それでは委託者の保護というのがどうも十分でない。そこで、むしろ外務員責任範囲を明確にいたしまして、外務員がやることはすべてその取引員の責任であるということにした方が委託者の保護になるというふうに考えまして、それで外務員受託の権限を与えると同時に、外務員行為の一切の法律責任取引員が負うというような制度にいたしたわけでございます。
  87. 森下昭司

    ○森下昭司君 次に私は、外務員のその九十一条の二の中に、第三項だったと思いますが、最後に、「その他の主務省令で定める事項を記載した書面を交付し、その内容を説明しなければならない。」というふうに書いてあるわけでありますが、私ども日常生活の中で、たとえば生命保険にしろ損害保険にしろ、証書の裏に小さな字で、もう本当に虫めがねで見なければわからないような約定が書いてあるわけですね。そして、いろんなことを言うと、ちゃんと約定の規定に従ってやってるから決して私の方は間違いはないと言う。あるいは悪名高いマルチ商法のように、ああいう契約と同じような内容になっておるのです。この「主務省令で定める事項を記載した書面」とありますが、私は、相当簡易にしてかっ明瞭に委託者にわかるような書面形式にしていただかなければ、その趣旨を達成することができ得ないのではないかと思うのですが、この省令は具体的にどういうことをお考えになっておりますか。
  88. 天谷直弘

    政府委員天谷直弘君) 省令におきましては、売買取引条件委託証拠金に関する事項等、従来紛争の対象となりがちな事項を規定することを考えておりますが、このほか、いま御指摘になりましたような外務員がやってはならない事項、禁止事項についても明示するという方向で検討いたしたいと思います。
  89. 森下昭司

    ○森下昭司君 私の質問を終わります。
  90. 林田悠紀夫

    委員長林田悠紀夫君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時五十分まで休憩いたします。    午後零時五十分休憩      —————・—————    午後二時一分開会
  91. 林田悠紀夫

    委員長林田悠紀夫君) ただいまから商工委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き商品取引所法の一部を改正する法律案議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  92. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それじゃ、最初に砂糖取引所の問題についてお伺いをいたします。  砂糖は、四十九年三月十五日以来取引が停止をされまして、一年数ヵ月を経過して今日に至っておるわけでありますが、その経過措置につきましてまず最初にお伺いをいたします。
  93. 森整治

    政府委員(森整治君) 砂糖の取引きにつきましては、御承知のように、ロンドンの砂糖、これは粗糖でございますが、あるいはニューヨークの粗糖取引が、大体世界的に中心になって相場が動いております。そこで一昨年、四十八年の十月にそれまで九十ポンド台でございましたロンドンの相場が十月に百一ポンド、それ以後暫時上昇を続けまして、四十九年に入りまして一月に百七十、それから二百二十七、以下ずっと八月に三百ポンドを超えまして、十一月に平均では五百六十六ポンド、瞬間風速で六百五十ポンドという高騰を示したわけでございます。  そういう中で、一昨年の十月、国内精糖市場の価格も上昇をいたしまして、四十八年の十一月の十九日に一キログラム当たりで百七十八円という価格を示したわけでございまして、前日に比して十円近くも暴騰をいたしました。このために、各砂糖取引所は売買双方に対して取引所として自粛を要請をいたしまして、それ以後百七十八円で結局価格は動かない、凍結ということになったわけでございます。  翌年に入りまして、二月、例の狂乱のさなかでございますが、一応政府といたしましても、砂糖の需給価格安定対策につきまして行政介入をするということになりまして、目標の小売価格を百八十六円と定めたわけでございます。そういう中で、結局未端の取引価格、家庭用に対します一キログラム当たりの価格がそれを上回らないようにという指導が入ってまいりましたものですから、商品取引所においても自由な価格形成を行いがたいという状態になりまして、東京の砂糖取引所は四十九年の四月、昨年の四月、大阪の砂糖取引所と関門の商品取引所の砂糖市場は四十九年、去年の八月からそれぞれ売買取引を実質的に停止をいたしまして今日に至っているわけでございます。
  94. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 砂糖相場が暴騰いたしまして、小売指導価格を行政介入で決められておるわけでありますけれども、現在はかなり下がっているように思うわけですが、それで行政介入となりますと、石油の問題でもそうでありますけれども、なかなかこれは弾力性がないわけでありまして、結局高値安定みたいになっておるわけですね。ですから、いつも消費者は高い物を買わされておる、こういうようないろいろな苦情があるわけです。そういう点、業界のいろいろの事情もあろうかと思いますが、そこら辺のところはどうなんですか。なぜ指導価格が撤廃されないのか。  それとまた、砂糖取引所そのものが経理内容も相当な赤、字になっているということも聞いている。経営が苦しいというようなことも聞いておりますし、これはいつまで続けるのか。それから取引所の問題はどうするのか、ずっとストップであれば、これは取引所の存在意義というのがないわけであります。この辺のところをどのように考えていらっしゃるのかお伺いします。
  95. 森整治

    政府委員(森整治君) 御指摘のように、その後のロンドンの相場でございますが、去年の十一月をピークにいたしまして漸次下降をしてまいって、下がってまいっておりまして、御指摘のように最近は百三十ポンドを割るということで、また六分の一へ戻るという事態になっておるわけでございます。そこで過去三回、目標小売価格の改定を行いました。  ごく最近に行いました現状を若干御説明いたしますと、五月十六日に、末端の家庭用目標小売価格を三百十五円それ以下で売ってくださいという価格改定を行いました。その際に、取引所で取り扱っております砂糖は大袋と申しまして大きい袋でございますが、その業務用に使われます上白の砂糖につきましての指導価格は撤廃をいたしました。したがいまして、いまは一応仲間取引、現物の仲間取引が日経相場で表示されておりますけれども、これは二百八十七円という価格に現在なっておるようでございます。まあそういうことで、私ども緊急の措置として行政介入をいたしましたわけでございますから、家庭用の価格中心にいたしまして、それが非常に不当な価格にならないようにということで行っているわけです。したがいまして、今後の相場いかんによりますけれども、なるべく早い機会にわれわれとしては自由な価格形成に任せるように移行いたしたい、こういうふうに考えておるわけでございます。  そこで、先ほどの砂糖取引所の問題でございますけれども、これは取引所の自主的決定によりまして取引を停止いたしまして今日に至っておるわけでございますが、むしろ粗糖取引がございます。これにつきましてはむしろ、むしろといいますか、砂糖を買ってまいりまして輸入港渡しの価格が非常に振れているわけです。そういうもののヘッジ機関として粗糖取引が稼働をいたしております。ただ、これが非常に当業者、まさに当業者的なものでございます。そう取引の量は多くございませんけれども、それで取引所は経営をしてきたというのが実情でございます。で、今後の粗糖でなしに精製糖の取引につきましては、現在大阪の取引所と関門の取引所から、七月一日から先物取引を再開いたしたいということで、その再開につきましての現状説明等をいろいろ関係方面に行っておるというのが現状でございまして、近く再開をされるというふうに私ども理解をいたしておるわけでございます。
  96. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 大体わかりましたが、七月一日から再開見通しのようですが、これは私も聞いた範囲ですけれども、砂糖の取引業界では、ロンドン相場の値下がりを機に五月一日から再開をやってくれと、こういうことに決めておったが、しかし、高値の安定を希望する精糖業界から自粛せよというような圧力があったと、こういう話も聞いているわけですが、これはどうなのか。実際こういうことがあったんでしょうか。
  97. 森整治

    政府委員(森整治君) 精糖メーカーも取引所会員に入っております。もちろん問屋さんも入っております。そういう関係で取引所の中で、取引の再開問題について先生御指摘のように、五月から再開をしたらという話がございました。その後、内部の話し合いの結果、関門と大阪につきまして七月一日から取引を再開するという段取りになったというふうに聞いておるわけでございます。五月一日というのは、むしろ精製糖メーカーは四月一日から農林省に値上げを要望いたしておりまして、四月はとてもだめということでわれわれ応じませんものでしたから、当時、恐らくそれなら五月ではなかろうかということで、五月にともかく価格改定を行って、その際に業務用を離して、そこで取引を再開したらどうだろうかということが一つの根拠であったのではなかろうかというふうに思いますけれども、その後の経過は先ほど申し上げたとおりでございます。
  98. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それで精糖業界も、昨年の高値から最近における安値の間相当犠牲も払っておるというようなことも聞いておりますが、一体どのくらいの赤字になっているんですか、またその内容。今度行政価格を取り外した場合に、赤字の解消の見通しとかそういうものはどういうふうに考えておるのか、ちょっと参考にお伺いしたい。
  99. 森整治

    政府委員(森整治君) 先生御指摘のとおりに、結局、ロンドンの価格が一番世界的に上がったのが大体十一月がピークで、十一月、十二月とピークがございまして、それから下がってきておるわけでございます。大体、粗糖は三ヵ月間ないし六ヵ月間ずれて入着をしてまいります。それが十一月、十二月の山が四月、五月にメーカーのコストとしてはね返ってきているということで、そのときに値上げ申請が出てきたという経過がございます。  私どもの考えといたしましては、メーカーとしましては、四月から九月までの上半期について家庭用にいたしますと約三三%、そういう値上げをしてほしいということでございましたけれども、われわれといたしましては、先安なんだから、一年間ならして考えたらどうですかということで、それぞれのコストを査定をいたしまして三百十五円に抑えたわけでございますけれども、それだけ結局赤字を将来の黒で取り返すと、こういうことでないとバランスしないということに相なったわけでございます。結局これは滞貨融資でございませんで、完全な赤字融資でございますので、いろいろ関係方面に折衝いたしまして、個別の問題でございますけれども、あっせんをしたらということで一応今回の値上げの了承になったわけでございます。  当時、四月限におきます予想でございますが、業界全体として約七百億の赤字を抱えることにたろうというふうにわれわれは判断をいたしておるわけでございます。ただ、これも個別の会社によりまして非常に違います。原糖が上がったとき、下がったとき、そこをどういうふうにうまく買ったか、損して買ったか、こういうことでございまして、各社によりまして約百ポンドの差がございます。ですから、個別の会社につきまして、ともかくいまの価格以上に売らないようにということで、今後融資のあっせんということでわれわれは対処してまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  100. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 そうしますと、大体七月一日ごろから関門と大阪の取引所の再開の見通しである、こういうことですか。そうしますと砂糖の小売価格の指導価格ですね、これはどうなるのですか。
  101. 森整治

    政府委員(森整治君) 取引所上場されておりますのは上白の大袋と申しまして、業務用に使いますものでございます。したがいまして、直接家庭用と関係ございませんけれども、家庭用は大体一キロ袋に入っております袋でございます。農林省で一応目標価格を示しておりますものは、その家庭用の小袋でございますが、結局同じ砂糖でございますから関係はないとは申し上げられません。したがいまして、いまの取引所の相場いかんによりましてはその価格が割り高になる、小袋の価格が。逆に申しますと、われわれが何か底支えをしているというような事態に入りますれば、われわれとしましては行政の指導価格はなるべく早い機会に撤廃をいたしたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  102. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それじゃ、念のためにもう一度確認して聞きますけれども、三百十五円の砂糖の小売価格と、行政指導価格も大阪、関門の砂糖取引所の再開の相場によって近く外すことも考えておる、こういうことですか。
  103. 森整治

    政府委員(森整治君) 先ほどの私の説明が若干不足だったかと思いますが、七月一日に先物取引を再開をいたしまして、いま私どもが受けております報告では十一月ぎり、十二月ぎりから建てていく、要するに二限月を建てていくということで準備を進めておるというふうに聞いておるわけでございます。したがいまして、今後十一月、十二月、一月、二月、三月、こういうふうに建っていくわけでございますが、六ヵ月先がずっと建っていくわけでございますから、その相場といまの行政目標小売価格、これは一応一年ならしてこうなるのではないかという想定をして建てたわけでございます。それとの関係を見ながら、不必要になれば私どもは指導価格の行政介入というのはなるべく早い機会に撤廃をしていきたい、こういう考え方でございます。
  104. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それじゃ次に、委託者の保護の観点から若干お伺いをいたします。  法案の主な改定につきましては午前中も質疑がありましたが、この法律にも書いてありますように、商品取引所は公正な価格形成並びにヘッジということで設けられておるわけですけれども、実際はそのようになっておらない。これは特に景気がいいとき、過去三、四年高度経済成長第一のときには相当ひどかったこともあるわけですけれども、非常に非難があったわけです。  それで、この外務員のことにつきましてお伺いしますが、問題を醸した外務員によって受託者との間に紛議が起こっておるわけですが、この紛議の件数につきまして、各取引所ごとに過去五年間の件数、それから解決をした数はどういうふうに数字的になっているのか、それをひとつお伺いします。
  105. 天谷直弘

    政府委員天谷直弘君) 通産関係の取引所は大阪化繊取引所、福井人絹、名古屋繊維、東京繊維、大阪三品、神戸ゴム、東京ゴムとこれだけございまして、各取引所別に申し上げますと、四十五年が、大阪繊維が二件、福井人絹ゼロ、名古屋繊維九、東京繊維三十二、大阪三品ゼロ、神戸ゴムが三、東京ゴム十八、計六十四。  四十六年が、大阪化繊が三、福井人絹ゼロ、名古屋繊維七、東京繊維三十五、大阪三品ゼロ、神戸ゴム二、東京ゴム八、計五十五。  四十七年が大阪化繊二、福井人絹一、名古屋繊維十一、東京繊維十九、大阪三品ゼロ、神戸ゴム一、東京ゴム十一、計四十五。  四十八年、大阪化繊三、福井人絹ゼロ、名古屋繊維四、東京繊維三、大阪三品ゼロ、神戸ゴム四、東京ゴム九、計二十三。  四十九年、大阪化繊が七、福井人絹ゼロ、名古屋繊維一、東京繊維三、大阪三品ゼロ、神戸ゴム一、東京ゴム二、計十四。  合計いたしますと、この五年間で二百一件ということになっております。  次に、解決した件数でございますけれども、四十八年度と四十九年度の二年間しか数字がわかっておりませんのですが、この二年間について合計して申し上げますと、大阪化繊は、紛議申し出件数十件で、解決件数が十でございます。福井人絹はゼロとゼロ。名古屋繊維は、五件申し出て四件解決。東京繊維が六件申し出て五件解決。大阪三品はゼロ、ゼロ。神戸ゴムが五件、五件。東京ゴムが十一件の申し出で七件の解決。合計いたしますと四十八、四十九両年度におきまして、申し出件数三十七件、解決件数三十一件、こういうふうになっております。
  106. 森整治

    政府委員(森整治君) 農林省はちょっと数が多うございますが、お許しをいただいて御説明を申し上げます。  四十五年度でございますが、北海道穀物が四件、東京穀物が十五件、名古屋穀物三十、大阪穀物十八、神戸穀物四、関門商品四十七、東京砂糖七、大阪砂糖四、横浜生糸二十一、神戸生糸十、豊橋乾繭六、前橋乾繭三十八、函館はゼロでございます。  それから四十六年度、北海道穀物五、東京穀物十四、名古屋穀物九、大阪穀物八、神戸穀物五、関門五十六、東京砂糖二、大阪砂糖三、横浜生糸五、神戸生糸六、豊橋乾繭五、前橋乾繭十四、合計百三十二件。  四十七年度、北海道穀物三、東京穀物十四、名古屋穀物九、大阪穀物四、神戸穀物二十一、関門三十五、東京砂糖ゼロ、大阪砂糖三、横浜生糸九、神戸生糸七、豊橋乾繭三、前橋乾繭九、計百十七でございます。四十八年度、北海道穀物ゼロ、東京穀物七、名古屋穀物九、大阪穀物五、神戸穀物五、関門八、東京砂糖十三、大阪砂糖五、横浜生糸七、神戸生糸五、豊橋乾繭二、前橋乾繭八でございます。計七十四。  そのうち解決いたしましたのが六十二件、十二件係属中でございます。  四十九年度、比海道穀物四、東京穀物十、名古屋穀物七、大阪穀物五、神戸穀物三、関門十二、東京砂糖二、大阪砂糖二、横浜生糸三、神戸生糸二、豊橋乾繭一、前橋乾繭五、計五十六。そのうち解決いたしましたのが四十件で、十六件係属中でございます。  以上でございます。
  107. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 いま詳しくお伺いしたわけですけれども、四十五年度以降四十九年までに少しずつ減ってはおるようでありますね。四十五年が二百四、四十六年が百三十二、四十七年百十七、四十八年七十四、四十九年五十六、これは農林省関係でしたね。しかし、こういうことは経済活動が激しくなりますとまたぞろこれ起こってくるような気がするわけであります。それで、今回の改正法案の一つの柱として、この外務員制度に対してどのように対処していくかということでありますので聞いているんですが、こういうようなたくさんの件数で一体その紛議内容はどういう事件が多いですか、この点大体概略で結構ですから。
  108. 天谷直弘

    政府委員天谷直弘君) 昭和四十九年度中に油ける通産省所管取引所に申し出のございました紛議件数は一四件でございますが、その理由別を出し上げますと、過当勧誘が八件、五七%。一任売買一件、七%。無断売買三件、二一%。連絡等の不備一件、七%。その他が一件、七%。こういう内訳になっております。
  109. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 とにかくこれは一般の部外者に、全然こういう商品取引の知識のない者、あまり資産のない者に無理やりに外務員が行って強制的に勧める、勧誘する。いろいろ新聞にも出ておりますが、主人にないしょで判こまで持ち出して誘われてやった、それがうまくいかなかったので夫婦げんかしたり夫婦別れしたり、社会問題にもこれはなっておるわけですよ。それは商取だけではありませんし、株の場合もそうでありますし、あるいは競輪とか競馬とかいろいろありますがね。この方はもう全然あまりわからないでやっておるのがあるわけです。私も具体例はたくさんあります。これはよく読めば大体実感が沸くのですが、これはひどいのもあるんですよ。時間がありませんから読みませんがね。  それともう一点は、いま数字を挙げられました紛議の事件の件数とその解決をした件数。ところが、調停委員会というものがあるはずですが、この調停委員会にかけないで、調停委員会の前段階で、事務局段階で処理をされている、そういうような訴えがあるようでありますが、これは実情はどうなっているんですか。こういう問題があったら全部調停委員会にかけるんですか。それとも調停委員会にかけるまでに、私がいま言ったように事務局の段階で話し合う。その話し合いでうまくいけばいいのもありますが、もう不承不承で押さえられてしまって、一方的に押さえられてしまって泣き寝入りをしている、こういうようなことも聞いているんです。もしそうでありますと、この調停委員会というものはあまり設けた意義がないのじゃないか。その辺の実情はどうなっているんですか。
  110. 天谷直弘

    政府委員天谷直弘君) 御指摘のとおり、事務局段階の調停、簡易調停と申しておりますが、この数が非常にたくさんございます。取引所の定款によりますと、紛議の当事者双方に異議がございませんときには簡易調停が行えるということになっておりますので、取引所の担当者は、まず、紛議の申し出者に対しまして調停の方法が二つあることを説明いたしまして、申し出者の希望を尊重いたしまして、申し出者が簡易調停でもいいということであれば簡易調停ということにしておるわけでございまして、調停委員会の訴えを押さえるというようなことはないというふうに考えております。  一般的には、簡易調停は、委託者の都合のよいときに取引所に出頭して事情説明等を行うことができること。第二点に、調停案提示までの期間が短いこと等の利点がございます。このほか、簡易調停を行ったときには、その結果及び経過等を調停委員会に報告することになっておりますので、簡易調停が恣意的に行われるというようなことは一応チェックできるかと存じます。また、簡易調停を受けておる委託者でも、希望がございますれば、途中からでも委員会調停に切りかえるということができるわけでございますので、簡易調停であるからいいかげんにやられておるということは余りないのではなかろうかと存じます。
  111. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 余りないと言ったって、それはあなたの感覚で、私、これ読んでもいいのだけれどもね、読みませんけれども。  それじゃ委託者に無断で売買したような場合ですね、無断で売買したような場合。そういうものが紛議を醸した場合にはこれはどうなるのですか。どういうような結論になるのですか、これは。
  112. 天谷直弘

    政府委員天谷直弘君) 無断売買につきましては、まず、当事者の間で無断で行ったか無断でなかったかということの事実の確認が非常な問題であろうかと存じます。正確に事実を掌握いたしまして、本当に無断売買であれば、これは委託者取引員との間に契約が存在しないことになりますから、無断売買の法律的結果が委託者に及ぶということはないというふうに思われます。
  113. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 その辺がどうもうやむやになっているケースが多いんですよ。それじゃ無断売買をやって、これが明らかになった場合はどうなるんですか。
  114. 天谷直弘

    政府委員天谷直弘君) まず、委託者の方にはこれは何らの責任もないわけでございますから、その方は別といたしまして、今度は外務員の方でございますが、無断売買を行った外務員につきましては、登録の取り消し等の処分をするということになると思います。
  115. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それは外務員の取り消しだけで、委託者の方から考えれば、別に無断で売られたものが返ってくるわけではないんだ。そういうのはどうなるんです。結局、裁判ということですか。
  116. 天谷直弘

    政府委員天谷直弘君) 無断で売買されたものにつきましては、これは委託者の方はそれについて全く責任を負う必要がないわけでございますから、その売り買いによって損得が生じましても、それは委託者には関係のないことであるというふうに存じます。
  117. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 まあ、これは事例を挙げますとおもしろい事例があるのですけれども、省略をいたします、時間がありませんので。  それから、公正な審議ができないのは取引所あるいは紛議調停機関の構成、あるいは体質に問題があるんじゃないか。そういうことで、この機関の公正中立を図るために第三者の委員を加えるということに対しては、どのようにお考えになっておりますか。
  118. 天谷直弘

    政府委員天谷直弘君) 紛議調停委員の中にできるだけ第三者委員の数をふやすということは、紛議を公正に解決するために望ましいことでございますので、その率を三分の一程度にふやすように努力をしておる次第でございます。
  119. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それからこういうのもあるんですよ。委託者に損害を与える中で多いのは手数料の問題があるんですけれども、その委託手数料の転がしというのを、これがよくやられておるわけですけれども、こういうものは規制できないのかどうか。
  120. 天谷直弘

    政府委員天谷直弘君) 委託玉を無意味に反復売買するいわゆる転がしでございますが、これにつきましては取引員が手数料かせぎのためにやるものであり、委託者保護の面で好ましいものではございません。そのため、昭和四十八年二月に農林、通産両局長名をもって、商品取引員に対する監督処分の強化について通達をいたしました。この通達に基づいて各取引所は、取引員の受託業務に関する禁止事項として転がしの禁止を指示いたしております。この指示によりまして転がしも減少をしたものと思われますが、今後はさらに指示の励行、処分の実施等につきまして遺憾なきを期したいと考えております。
  121. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 遺憾なきを期すようにあなた方おっしゃるけれども、実際はやってるのですね、その点は。そして委託者に対して多大の損害をかけておる。これも委託者側から見ると非常に迷惑な話なんですけれどもね。こういう問題も、まあ調停機関にかけられていろいろ解決したのもありますけれども、やはり外務員の姿勢がよくないと私は思うのですよ。  これを読めばおもしろいのですけれども、長いものだからやめますけれども、人をばかにしたような、外務員がむちゃくちゃですわ、これ。(「読んでみなさいよ」と呼ぶ者あり)ちょっと長いですよ。まあ皆さん、これは名前隠しますけれども、年数もことしじゃありませんが、これはちょっと名前を挙げるわけにいかんのだが、ある被害者の訴えであります。   東京ゴム取引所で〇〇次長立ち会いのもとに、ある商品の本店長、事業部長、担当者、前課長、課長を相手に、私の申し立てを順次審議したが、それぞれの項目について、業者側はいずれも誠意のある回答をしなかった。その内容概要は大体次のとおりである。  委託者 担当者が必ずもうけさせてやる、株券担保でできると強引にやらせ、解約にも応じないで無断売買をやった。  業者 はっきりした記憶はない。もうかるということを例を挙げて説明しただけだ。  取引所 その程度の勧誘は普通あることである、と肯定的な発言をしておる。  委託者 手数料が大きいので売ったり買ったり頻繁に勝手にやるなと言ったら、手数料は問題じゃない、大きな利益は出してやるとだまされた。  業者 一円の変動でも売買をしなければならない。  委託者 上がったとき、売り下がったとき買いにと指示したのに、そうはいかないと言って逆の取引をやり、損害を大きくした。  業者 専門的な相場だから連絡したはずだが。  委託者 解約しようとすれば、元を取り返してやるからと言って応じなかったじゃないか。  業者 そういう電話があったことは認める。  取引所 強い意見があればやめられるはず。  委託者 意に反した建て玉をされたので、電話で、なぜこんなことをしてくれたと言うと、留守で連絡がとれなかったからと言い逃れた。  業者 返答なし。  委託者 損失を多くしておけば客は逃げないと見て、絶えずそのような方法をとり続けた。問題だよ、これ。  業者 返答なし。  委託者 七月に社員が来て、臨時増しがかかっているからと言って預かり証を持ってきたので、臨時増しとはどんなことかわからないので管理部に電話したら、かかっていないという返事。管理部長に十分注意せよと申し入れたが、ミスに何ら返答はなかった。  業者 ある社員が間違って指示して取りにいったもの、預かり証を発行したもので別に取り上げたものではないのだから問題ないではないか。  委託者 八月に〇〇部長が来訪した際、指示どおりしてくれないと申し入れたら、そうしますと言って帰ったが、その後そのままだった。  業者 ちゃんと連絡したが、〇〇さんが話を聞かないで一方的に電話を切った。  委託者 九月にアンケートが来たので、指示どおりにしないと指摘して返送したが、通り一遍の返事があっただけ。  業者 〇〇さんのアンケートは会社にない。  委託者 十二月いっぱいでやめたいと言ってやったら、ひどい損切りをしたり、彼らが転出する間際に悪らつなやり方をした。全く恥知らず。無責任な客をぶったりけったりのしわざであった。  業者 追証がかかっていてどうしようもなかった。  委託者 〇〇部長来訪の際、手数料が三百万円と言ってきたが、自分の計算では四百八十万円になっている。社員がネコババしたのか。(業者がその場で計算したところ、計算違いもあったようだ。)  委託者 百二十日ぐらいの間に売り買い百二十二回とはあまりにも手数料稼ぎだ。私の株券を巻き上げるための操作にほかならない。  業者 返答なし。  取引所ずいぶん多い。  委託者 取引所は、両者の言い分を聞くのみで、少しも突っ込まず、結論として次のように言った。あなたは〇〇までやった社会人として一人前の人だから、あなたのやったことについても責任の一端はある。会社も不当な勧誘、勝手な操作をした。歩み寄ってほしい。途中で担当者の三人が退席して幹部二人と話を進め、株券全部を返せと主張したところ、二人は別室で相談の上、株の銘柄中順位をつけてもらいたいと言い、四銘柄の評価三百四十九万円で手を打とうと言った。〇〇部長は手数料の範囲内で金を返そうと言ったが、私は、預けた株の全部を現物で返せと主張した。すると、裁判ででやるしかないと言った。〇〇部長に電話があったので同じ要求をしたところ、裁判で争いましょうと話にならない。そうなると銭になるかもしれないと言った。  こういうことだよ。これはまあいろいろありますがね。あなた方が努力をされているのはわかっておりますけれども、やっぱりヘッジといいましても、かなり投機もあるし、また取引所自体が、外務員も自分の成績を上げなければならない。これは気合いもかかってくるでしょう。ですから、当然こういうことが起こるわけですから、産構審からも答申があったわけでして、それでひとつ、あなたがいまおっしゃったようなことはそれほど信頼のできない点も私から言うとあるわけです。  それから次に、分離保管のことですが、委託者は売買注文と同時に、取引上の担保として委託証拠金取引員に預託するわけでありますが、それは取引員の手元にあると流用されたり、また取引員が倒産したりして危険なために、業務保証金等を通じて取引所に信頼を得ることになるわけでございますが、この分離保管というのは現在何%ぐらいになっておるのか、なぜ完全分離保管ができないのか、それと、分離保管の残りの分はどうなっているのか、その辺をお伺いしたい。
  122. 天谷直弘

    政府委員天谷直弘君) 現在、受託業務保証金の預託率は、委託本証拠金の六〇%相当額というふうになっております。そのほか一〇%相当額が売買証拠金として取引所に預託されております。  答申で指摘されておりますところの完全分離保管でございますが、その目的は、委託者資産の流用の制限委託者債権保全ということにあるかと存じます。しかしながら、商品取引員はその業務の性質上、取引所に対する売買証拠金、受託業務保証金の預託、値洗い差金の支払い及びその他の委託者の一時的損失の立てかえ等の受託業務を行うための支出を必要といたします。こういうような状況下におきまして委託者債権の完全分離保管を行いますと、いま申し上げましたような資金については取引員の自己資産を用いなければならないこととなりまして、取引員の資産の流動性を著しく低下させ、かえって取引員の財務を危うくする懸念がございますほか、これらの支出——先ほど申し上げましたような支出は、その性格が委託者のためにする運用としての一面を持っておりますので、これらの運用まで禁止するということは必ずしも適当でないというふうに考えられます。したがいまして今回の改正におきましては、委託者資産管理方法を定めるほか、受託業務保証金につきましては、預託率を本証拠金の一〇〇%に引き上げる等制度の拡充を図るとともに、商品取引員委託者債権弁済できないときには、当該商品取引員にかわりまして代位弁済する機関を設けることといたしまして、実質的に委託者資産の流用制限委託者債権保全を図ることにいたした次第でございます。
  123. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それでは先ほどの外務員のことですが、今度の改正外務員の権能が若干拡大されまして、受託行為ができるようになったわけですが、それで、受託に当たって受託条件を記載した書面を交付し、説明する、こういうふうにあるわけですが、権能の拡大に伴ってまた分離というものも拡大されるかもわからない。そういうことで、書面に外務員が行ってはいけない禁止行為を明確に記載すると、こういうことは考えておりませんか。
  124. 天谷直弘

    政府委員天谷直弘君) 今回の法改正に窒しては、外務員受託に当たりまして、売買取引受託条件等を記載した書面を交付いたしまして、その内容を説明することを義務づけたわけでございますが、これは商品取引の知識及び危険性をあらかじめ書面によりまして説明させることにより、トラブルの未然防止を図ろうといたしたわけでございます。書面の記載内容については主務省令で定めることとしておるわけでありますが、これにつきましては、いま申し上げましたような趣旨にかんがみまして、売買取引条件委託証拠金に関する事項など、従来紛争の対象となりがちであった事項を考えておるのでございますが、このほかいま御指摘のありました外務員の禁止行為を明示することも考えたいと存じております。  なお、外務員の禁止行為でございますが、法定事項といたしましては、断定的な判断の提供、それから損失負担、利益保証、それから一任売買。  次に、取引所指示事項といたしましては、無差別電話勧誘、それから経済力のないお客の勧誘、見込み客の訪問制限、投機性等の説明、融資のあっせん、一口制の勧誘、それから無意味な反復行為、すなわち転がし、過当な売買取引の要求、不当な増し建て玉、それから両建て玉、外務類似行為、協定事項の違反行為、こういうようなのが現在も商品取引所連合会の禁止事項として定められておりますので、今回の書面による説明義務にこういうことを加えて趣旨を徹底させるということは、紛議を少なくするために適当な方法不はなかろうかというふうに考えておる次第でございます。
  125. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それから、また次の委員会もありますから、現在の商品取引所のPR要領、勧誘要領、いろいろパンフレットがあるでしょう。それをひとつ見本にちょっと持ってきてください。商田取引所の。  それから、いまの勧誘に関連をするのですが、あなたはこういうのをどうお考えになりますか、こういう本があるのですが。いかに早くもうけるかという、こういうもので勧誘しちゃうんです、これですね、団地族の奥さん連中に。それがへそくりを出さしてやらせると。それから、自由経済ですからある程度やむを得ない点もありましょうが、余りえげつないのは、もう少し目を通して取り締まる必要があると思いますよ。もう御存じでしょうけれども。これについてあなたのひとつ所感を……。
  126. 天谷直弘

    政府委員天谷直弘君) この取引内容を知らない大衆、あるいは資力のない大衆等が商品取引に参加してまいりますのは、紛議のもとあるいは価格の乱高下等のもととなりまして、商品取引所の本来の機能を発揮させる上で好ましくないことであると存じます。ところが、一般大衆がいかにもぬれ手でアワともうかるような錯覚を一般大衆に与えるような広告等は、きわめて好ましくないというふうに思うわけでございます。そこで、現在、全国商品取引所連合会及び全国商品取引員協会連合会で構成するところの中央審査会におきまして、広告の承認事務を行なっております。現在行われている規制の概要は、以下のとおりでございます。  まず第一に、承認を要する広告といたしまして、営業案内、ダイレクトメール、それからポスター、看板等、ラジオ放送のコマーシャルメッセージ、それから新聞、雑誌等の印刷物媒体の広告物、こういうものは承認事項になっておるわけでございます。  それからまた、以下に申しますような広告媒体は、原則として使用禁止になっております。すなわちテレビ放送の番組提供またはスポットの放送、新聞雑誌の折り込み広告、駅、電車などの一般公衆の目に触れる場所における広告、以上は禁止事項になっておるわけでございます。いまそこでお見せになりました印刷物が、私よく存じませんけれども、承認事項に係ると存じますので、そういうところで厳重にスクリーンされるべきであり、まあスクリーンがもし緩いとすれば、さらに指導を強化したいというふうに存じます。
  127. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それから、指定弁済機関が今度新たにできるわけですが、これを重点に二、三お伺いします。  この指定弁済機関への加入の問題でありますが、まず結論から言いますと、この機関が赤字にならないでうまくいくのかどうか、この辺が少し疑問もあるわけですが、一つは強制加入でない。そうなりますと、倒産なんかほとんど考えられないような大型取引員はほとんどまあ加入しないということはないだろうか。そうした場合に加入したいのは零細な取引員ばかりで、成り立たないというようなことはないのかどうかですな。  それから二番目は、指定弁済機関指定基準でありますけれども、弁済業務のための基金の額はどの程度を考えておるのか。それから、その基金は当然社員である商品取引員から徴収される負担金ですることになると思いますが、負担金はどのような形で商品取引員から徴収をされるのか。また、零細な取引員にとって負担金が過重なものとならないよう配慮すべきだが、どうお考えになるか、それをお伺いします。
  128. 林田悠紀夫

    委員長林田悠紀夫君) 中尾君、大臣が五分間ちょっと席をはずしますから……。
  129. 天谷直弘

    政府委員天谷直弘君) 指定弁済機関弁済能力が十分あるかどうかということは、一つは、一方におきましてはどの程度倒産が発生するかという確率に依存するわけでございますし、もう一つは、その取引員が基金として必要な金を払い込むかどうか、お金が集まるかどうかということによろうかと存じます。これまでの商品取引員倒産状況を見ますと、年間の倒産件数は最大三件、債務金額は十三億七千万円でございます。平均いたしますと年一・三件、金額にいたしまして四億九千万でございますので、現在業界で計画中の法人に対しましては、相当の危険率を見ましても十分対応できるような基金の設置ということを考えておるわけでございます。  この基金総額、一体幾らにするかということは、まだはっきり決まっておるわけではございませんが、一応のめどといたしましては、四十億前後というような数字を考えております。したがいまして、先ほど申し上げましたような倒産の件数及びその倒産者の債務額等と比較いたしまして、四十億前後の数字であるということであれば、まあ十分な弁済能力があるというふうに考えてよろしいのではなかろうかと思うわけであります。  それから次に、負担金の徴収方法でございますけれども、基金は、現在業界で検討しております案によりますと、商品取引員商品取引所における売買枚数に応じまして徴収するということを考えておるようであります。この方法によりますと、商品取引員は、それぞれの営業の実績に応じて負担をするということになり、また、それはリスクの度合いにも比例していると考えられますので、規模の小さい商品取引所といえども、特に過重な不公平な負担を強いられるというようなことはないのではなかろうかと存じます。  それから、最初におっしゃいました、大手の取引員等は逃げてしまうのではないかという問題でございますけれども、この指定弁済機関に加入しない場合には、受託業務保証金の一〇〇%の積み立てを要求されることになりますので、それは取引員にとっては非常に大きな負担になりますから、そういう一〇〇%の保証金積み立てを覚悟しない限りは、この弁済機関に加入するということになるだろうと思うわけでございます。要するに、この弁済機関に加入した方が一〇〇%保証金を積むよりは実質的に利益がございますので、取引員は必ず、強制はしておりませんが、実質的には強制的効果を持ちますので、この弁済機関に加盟することになるというふうに考えます。  それから、万一われわれの想像しないような大きな倒産等が起こりまして、金が足りなくなってしまったという場合には、この追加の積立金を徴収するということになろうかと存じます。  以上でございます。
  130. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それで、この商品取引員倒産の推移ですが、いまの質問と関係ありますが、過去五年間どのような推移をたどっておるのか。また、損害を受けた委託者数と被害金額はどのくらいなのか。また、倒産の原因はどういうところにあったのか。許可取り消しはこれまで何件あったのか、その辺のところを御説明してください。
  131. 天谷直弘

    政府委員天谷直弘君) 通産関係と申しましても農林との共管でございますが、この倒産の件数は四十五年一件、四十六年一件、四十七年、四十八年がなくて、四十九年が一件、計三件ということでございます。  次に、被害を受けた推定委託者数及びその金額でございますが、四十五年度は推定委託者数が約六百五十人、被害金額は四億二千万円、それから四十六年度は六百人の九億八千万円、四十九年度は二百十人の四億三千万円、合計いたしまして千四百六十人の十八億三千万円ということでございます。  倒産の原因でございますが、いずれも放漫経営をやりまして、資金繰りが悪化したわけでございますが、その資金繰りの悪化を糊塗するために、高利の資金の借り入れ等を行いまして、さらに雪だるま的に負債がかさみ、経営が悪化いたしまして倒産に至ったようでございます。こういう場合には、悪質な業者等は二重帳簿をやりまして、主務官庁が立入検査等をいたしましても、容易にわからないような隠蔽をやっておりますので、気がついたときにはもう手のつけられないような伏態になっておったという次第でございます。これに対しまして、許可の取り消しは昭和四十六年に一件、昭和四十九年に一件行っております。
  132. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 いまこれまでの推移を聞いたわけですが、産構審の答申にもありましたように、取引員の会社の財務諸表というのが公開をされていないということですね。これも投資者の方から見ますと非常に不安なことでありますので、それで若干ちょっと聞いてみますけれども、四十八年のオイルショック以来の物価高騰、不況等に伴って取引高も減少しておると思われるわけですが、大手十社の取引員の、四十八年度に比べて四十九年度はどの程度に取引量は落ち込んでおるのか。それと、中には、取引高は減少しておりましても相当な配当を行っている、こういう会社もあるわけですが、配当は一体何割程度になっておるのか。  それから、取引員の財務諸表が公開をされていないわけでありますが、それでありますと、その会社がどれだけの利益を上げ、どれだけの配当をして、あるいはどれだけの負債を持っているか全然わからないというわけですから、これは投資家の目から見ますと非常に取引員が目隠しをされたような、そういったようなかっこうになっておりますから、財務諸表の公開を義務づけるようにしたらどうか。このことに対してはどういうふうにお考えになっていますか。
  133. 天谷直弘

    政府委員天谷直弘君) 四十八年度と四十九年度の出来高の比較につきましては、いま手元に四十九年度の数字はございますのですが、四十八年度の数字がありませんので、比較につきましては後ほど数字を資料として提出するということで御了承をお願いしたいと存じます。  それから次に、取引員の財務状況のディスクロージャーの問題でございますけれども、これにつきましては一般の商法原則、あるいは上場会社につきましてはその上場会社に対するディスクロージャー原則を適用するという方向でよろしいのではないかというふうに考えております。ただし、商品取引員は顧客から多額のお金を預り、その倒産等は顧客に対して非常な損害を与えることになりますので、これにつきましては主務官庁が厳重な監査を行っておるところでございます。書面による監査あるいは立入検査等による監査を行いまして、資産状況等の把握に努めておる次第でございます。さらに、それだけでも不十分でありますので、今回の法律改正におきましては、許可期限を四年と定めまして、許可を更新する際におきましては、その会社の財務状況等をさらに厳重にチェックするということにいたしております。したがいまして、監督官庁と取引員との間の関係におきましては、取引員の財務状況が明確に把握され、その不健全化防止するような手段を講じております。  ただ、先ほども申し上げましたように、完全に二重帳簿等をつくってしまいまして違法行為を犯して逃げてしまうという者につきましては、われわれの能力の及ばないところがございますが、そういう違法な者に対しましては、もちろんそれが発覚しました場合には、取り消しというような処分によって対処をいたしたいわけでございますので、一般的には役所がその財務状況を把握するということで、さらにそれを公開するかどうかということにつきましては、商法等の一般原則に従えばよろしいのではないかというふうに考えております。
  134. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 公開の問題につきましては、答申にも出ておるわけですから、やっぴり前向きにやるべきではないかと思います。大臣にもお伺いしたいけれども、いらしゃっていないようですから。  それでは最後に、これは衆議院の商工委員会でもお答えがあったようですが、こう取引所の役員ですね、これは直接的利害関係を有する取引員でなければならないということですが、これではとうてい公正な運営は望めないと思います。六月十七日の衆議院の商工委員会におきまして、政府は、局長通達などで中立理事をふやす方向で改善すると、このように答弁があったと聞いておりますが、これは具体的にはどういうような方向で指導していかれるのか、それを承って私の質問を終わります。
  135. 天谷直弘

    政府委員天谷直弘君) 取引所中心的な機構は理事会でございますが、この理事会のうちで、現在通産関係の七取引所を合計いたしますと理事が百十八名おるわけでございますが、そのうち中立の学識経験者理事は十八名でございまして、そのうちいわゆる公益理事は一名でございます。取引所運営の公正化を図るためには、いわゆる公益理事の増加を図ることが必要であると考えておりまして、本年五月に農林、通産両局長名をもちまして、商品取引所運営改善について通牒を出しまして、業界外の有識者等を積極的に理事に委嘱するように指導をいたしておるところでございます。委嘱のめどにつきましては、その適任者の人選等もあるわけでございますが、先ほど申し上げました趣旨が達成できるように、取引所を指導していきたいと考えておるわけでございます。
  136. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 終わろうと思ったけれども大臣がお見えになったので、一言聞かぬとまずかろうと思いまして。  いま大臣、取引員の倒産の推移とか、倒産の原因がどういうことで倒れたとかなど聞いたわけです。それから、取引員でそういうような投資家に迷惑をかけたりしておるわけでありますから、やはり財務諸表というものを公開したらどうかとこういうふうに聞いたわけです。これは産構審答申に出ているわけですが、大臣はどうお考えになりますか、これは委託者保護という立場から考えて。
  137. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 取引員の問題につきましては、取引員自身が健全経営をするということ、それから営業姿勢もしっかりした営業姿勢でやるということ、この二つが一つの方法だと思います。そこで今度の改正法案におきましても、四年ごとにこの経理内容、それから営業姿勢を絶えず検討いたしまして、再許可をするかどうかということにつきまして検討し直すということになっておるわけでございますが、いまの御指摘の点は、健全経営という面におきまして一つの御提案だと思いますが、この点につきましては、ひとつよく検討さしていただきたいと思います。
  138. 林田悠紀夫

    委員長林田悠紀夫君) 他に御発言もなければ、本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後三時二十分散会      —————・—————