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政府委員(嶋崎均君) ただいまお話のありました大島つむぎの
関係でございますが、御承知のように昨年の本場大島つむぎの、奄美大島の特産でもあり、また本土の鹿児島でもつくっておるわけでございますけれ
ども、それの生産量が対前年で相当量少なくなってきておるというようなことを
背景に、昨年の春ごろから奄美大島を中心に、本場大島つむぎの韓国からの輸入問題というのが大きく取り上げられて、何らかの形で規制をしてもらいたいという地元の御熱心な陳情行動があったわけでございます。
ただ初めの間は、そうは申しても四十八年度非常に好況であったというようなこともあり、それから、実際に
数字がどういう形をたどっていくだろうかというようなことについて、必ずしも判断が得られないというような時期もあったわけでございますけれ
ども、昨年の暮れ
あたりから、何らかの措置を講じなければならないのじゃないかというようなことをわれわれも心配をし出したわけであります。
そこで、実際、繊維全体が実は非常に苦況の中でございますので、大島つむぎとよその繊維と比べて見てどうだこうだというような議論をしますと、なかなか問題は多いわけでございますけれ
ども、何しろ局地的な
産業でございますから、またそのなりわいは、それによってしか立たないというような島でございますので、私たちも何らかの手段を講じなければならないということで、ことしの二月に、ここにおられる後藤
審議官に、そういう事態を踏まえて、韓国からの大島つむぎの輸入について向こうと十分相談をして、できるだけ秩序ある、韓国側からすれば輸出、
日本側からすれば秩序ある形で輸入が行われるというようなことに努力していきたいものだと。
もう
一つは、非常に商売の
やり方むずかしいわけでございますが、原産地表示といったような問題がありまして、どれが本場大島つむぎであるかということを明確に表示するために、
日本側でもいろいろと努力しなければならぬ点もありますけれ
ども、中に入った商売をやる人が、原産地表示の扱いをいろいろもじったように取り扱われるようなケースもあるやに聞いております。そこで、やはり公正な
競争をするという
意味で、原産地表示ということについて、はっきりやっぱり何か手段を講じなければならないのじゃないかというようなこと。
それから、こういう伝統
産業に属することですから、どんどん韓国からそういうものが入ってくるというのは、どうも姿としてはおかしい。そういう
意味で、韓国でそういう設備投資をやられても、本当に大島つむぎの名声を傷つけられるようなものが入ってくるのは、やっぱり好ましくないんだといったようないろいろな観点から交渉をしていただき、その時分には、もうすでに皆さん方御承知かと思いますけれ
ども、まず原産地表示の問題については、韓国の方でもできるだけしっかりした原産地表示をつけて、間違いがないような扱いをしていきましょうということ。
それからもう
一つは、セマウル運動その他でつむぎ生産というものを大きく取り上げてやっていくということはやらないで、したがってまた、設備投資も今後はつむぎについては強力にやっていかないようにする、そういうことを
背景にして秩序ある輸出を考えていきましょうといったような大枠についての事務的な話が進んだわけです。
しかし、その後もいろいろと現地からの要望もあり、かつまた繊維一般についても輸入制限というような動きが出てきたりしておりましたので、韓国との間の繊維問題を何らかの形で調整をし、また話し合いして、両国
関係がスムーズに運用できるように、しっかりした基礎の上に置いておくことが非常に大事なことじゃないかというような観点から、私は四月十四日から十七日まで、後藤
審議官はもう一日残っていただいて交渉をやるということでやったわけでございます。
ちょうどその直前に、当
委員会の理事会でも大島つむぎ伝産法の
改正というような形で、大島つむぎを念頭に置かれた
法案の
改正案というようなことも出ており、ただわれわれとしては、
法律的にそういうことをやるのは、貿易立国になっておる
わが国として好ましくないので、できるならば外交努力で秩序ある輸入というものが図られるということが望ましい、そういうようなことも私たちを勇気づけて、しっかりやってこなきゃならぬというようなつもりで出かけたわけでございます。
結果的に申しますと、私行きまして、外交部の
長官、あるいは商工部の
長官あるいは第一無任所
長官といったような
大臣の
方々に表敬を兼ねていろいろこの問題について、繊維全体の問題あるいは絹織物の問題、その中での大島つむぎの問題。三つのポイントがあったわけですが、問題は、最後のところを整理をしてお話し申し上げますと、結果的にオーディナリーなエクスポートというか、秩序ある韓国からの輸出、それは大まかにそういう方向でありましたけれ
ども、何が秩序ある輸出かというようなことが整理された。
その
数字につきましては、大島つむぎを生産をしている
日本の地域の事情というものをよく考えると、過去の
実績以上に大きく伸びるということは非常に問題だということで、いろいろとネゴシエートの結果、基本的には一九七四年の
実績水準で
日本に輸出をしましょう、それを大きく超えるというようなことにならないようにしましょうと、そういう大まかな合意ができたわけです。
ところが、そういう
実績水準といいましても、本場大島つむぎというものをきちっとセットするのには、抽象的にそういう
実績水準ということでは向こう、韓国の側でも行政
指導がむずかしいでしょうし、わが方でも、いろいろ商社等を
指導をする場合に問題が出てくるだろうという観点から、その
数字を韓国側は余り望みませんでしたけれ
ども、いろいろと仕事をやっていくたてまえを考えますと、手順を考えますと、どうしても数量を決めておかなければならぬというようなことで、その
数字、いろいろな交渉の過程はありましたけれ
ども、三万五千反ないし四万反という水準が一九七四年度の
実績水準である、こういうこを前提に決めたわけであります。そういうこともって韓国側も内部的な
指導をしていただくわれわれも輸出の取り扱い
業者等に
指導する、ういうことで、従来抽象的に言っていた秩序輸出という言葉の中身を詰めたというのが一段階。
あとは、第一次に後藤
審議官に行ってもら問題点について、再度私の相手になるような部
長官、あるいは商工部の次長あるいは次官、ういう段階できちっと碓認をしようというこで、原産地表示の問題、これもしっかりやるとうことは間違いなしにやっておりますし、今後もやっていきましょうということ、それからセマウル運動その他でこれを推進をして、設備をどんどん増設をするというようなことはやらない、そういうことを決めてまいったわけでございます。
その後の経緯でございますけれ
ども、何しろ交渉月が四月でございますから、その後輸入の
数字できちっと、はっきりとれるような
数字というものはまだ出ておりません。一−三月の輸入水準というものはわりあい高うございます。しかし、国内的な生産も去年に比べて一−三月の水準というのは相当高いというのが
実績。それから業況等につきましても、現地の鹿児島
あたりでよく調べておりますが、そう極端に悪くなっているという……それは去年に比べては少し上がり気味だというような感じだろうというようなことを得ております。しかし、われわれ交渉の経緯を踏まえて、韓国側に忠実にその実施をやってもらわなければならぬということで、
数字的にも、あるいは税関でたとえば大島つむぎというのはどういう性格のものだというようなことを区分けできるような勉強を、
業界の方でもマニュアルみたいなものをつくっていただけるように
要請をしたりして、順次確実にトレースをしていきたい。
全般的な繊維交渉の過程で、三カ月に一遍ぐらいは両国間で交渉をしようという大まかな合意を得ておりますし、何か特別な問題がありますればその都度やりましょうということになりまして、来月にはちょうど三カ月目に当たりますので、向こうの担当者にも来てもらい、それまでにわれわれいろいろ詰めた問題を、また、問題点になるようなことを整理をして、確実に大まかな合意に達しておる事柄の履行されているかどうか、また履行されていくように跡づけをしていきたいというのが今日までの状況でございます。
非常に簡単でございますが、一応御報告いたします。