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1975-06-03 第75回国会 参議院 商工委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十年六月三日(火曜日)    午前十時二十分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         林田悠紀夫君     理 事                 熊谷太三郎君                 楠  正俊君                 小柳  勇君                 須藤 五郎君     委 員                 岩動 道行君                 小笠 公韶君                 剱木 亨弘君                 斉藤栄三郎君                 菅野 儀作君                 福岡日出麿君                 矢野  登君                 吉武 恵市君                 阿具根 登君                 鈴木  力君                 対馬 孝且君                 森下 昭司君                 桑名 義治君                 中尾 辰義君                 安武 洋子君                 藤井 恒男君    国務大臣        通商産業大臣   河本 敏夫君    政府委員        通商産業政務次        官        嶋崎  均君        資源エネルギー        庁長官      増田  実君        資源エネルギー        庁石油部長    左近友三郎君    事務局側        常任委員会専門        員        菊地  拓君    参考人        石油開発公団総        裁        島田 喜仁君        石油資源開発株        式会社代表取締        役社長      森  誓夫君        アブダビ石油株        式会社取締役副        社長       杉本  茂君        財団法人日本エ        ネルギー経済研        究所所長     向坂 正男君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○石油開発公団法の一部を改正する法律案(内閣  提出、衆議院送付) ○参考人出席要求に関する件     —————————————
  2. 林田悠紀夫

    委員長林田悠紀夫君) ただいまから商工委員会を開会いたします。  前回に引き続き石油開発公団法の一部を改正する法律案議題といたします。  この際、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  ただいま議題となりました本案審査のため、本日の委員会参考人として、石油開発公団総裁島田喜仁君石油資源開発株式会社代表取締役社長森誓夫君アブダビ石油株式会社取締役社長杉本茂君、財団法人日本エネルギー経済研究所所長向坂正男君の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 林田悠紀夫

    委員長林田悠紀夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  この際、参考人方々一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、皆様には御多用中のところを本委員会に御出席いただきまして、まことにありがとうございました。  本日は、ただいま議題といたしました法案につきまして、それぞれのお立場から忌憚のない御意見を拝聴し、今後の本案審査参考にしたいと存じております。  これより参考人方々に順次御意見をお述べ願うのでありますが、議事の進行上、お一人十分程度でお述べを願い、参考人方々の御意見陳述が全部終わりました後、委員からの質疑にお答えいただきたいと存じますので、どうぞよろしくお願いいたします。  それでは、まず島田参考人にお願いいたします。
  4. 島田喜仁

    参考人島田喜仁君) 御指示のございました陳述を申し上げる前に、一言お礼を申し述べさしていただきます。  手前ども石油開発公団法の一部を改正する法律案を諸先生公務御多端の折柄、御審議をいただいておりましてまことにありがたく、厚くお礼を申し上げさしていただきます。  十分ほどで陳述をということでございますが、どうも十分で要領よく陳述を申し上げることにはならぬかと思いますが、時間の範囲内で一言陳述をさしていただきます。  御承知のように、一九六〇年代までは世界石油供給メジャーズが生産販売支配権を持っておったわけでございますが、一九七〇年代になりまして、産油国のナショナリズムの高揚と資源主権の回復という動きが活発になりました。特に中東戦争を契機にいたしまして、石油供給構造は歴史的な変革をいたしたわけであります。御承知のように、石油価格決定生産決定販売産油国の手に移ったわけであります。このような世界石油構造激変をいたしましても、日本石油に関する限り無資源国でございまして、その安定供給確保に関しましては全く無力であると言っても過言ではないと存じます。  欧米の先進諸国は、石油安定供給のみならず、エネルギー石油依存度をできるだけ低める、低減するために、石油以外の代替エネルギー開発計画を意欲的につくっておりますけれどもアメリカ並び欧州代替エネルギー石油にかわるエネルギー開発は、計画どおりにはまいらないことは明らかでありまして、その原因は、御承知のように開発技術の解決のむずかしさ、この開発のために要する投資額が巨額に上るという点、あるいは環境問題の調整あるいは鉱業用水問題等、この開発を促進するための障害が累積いたしておりまして、恐らくここ十年あるいは十数年の間に石油に取ってかわるような代替エネルギー開発は望まれないのであります。むしろ今世紀の間は、依然として石油エネルギー大宗を占めることは必至であろうかと存じます。その間に対処しまして、無資源国日本石油安定供給、言いかえれば、国民生活にとりましても産業活動の面から見ましても、この石油政治的側面あるいは経済的側面、いわゆる経済的な安全保障の面からも非常に困難な環境に置かれておるわけであります。  御承知のように、資源保有国であると言われるアメリカも、日本よりも石炭その他の代替エネルギーを持っております欧州先進国におきましても、石油並びにエネルギーの問題は国の基本的な政策として、この決定に邁進をいたしておるわけであります。その意味で、私ども石油に関係いたします者といたしましては、ぜひ日本の置かれたこの弱い立場を前提にいたしまして、しかも、石油をめぐる世界情勢激変をし、なおかつ流動を続けております状況に対処いたしまして、政府はもちろんでございますが、与野党の立場からも、いかにして安定供給国民立場から確保するかということにつきまして、どうかひとつ建設的な、基本的な政策の樹立を懇願をさせていただきたいと存じます。  それでは、一体どうしたらば石油安定供給ができるであろうかということを、かいつまんで一、二申し上げさせていただきますが、今後日本石油供給源は、何といっても中東に依存せざるを得ない。と申しますのは、世界石油資源埋蔵量の六割以上が中東に偏在をしておるからであります。したがって、この中東石油供給源を依存せざるを得ないことはもちろんでありますが、同時に、その供給源世界の至るところの地域分散をし、多角化するということであります。  なお、供給源確保する方法といたしましては、産油国経済自立化工業化、農業の近代化、あるいは社会開発等日本が貢献をいたすことによりまして、その恩恵として、長期的にこれらの地域から石油長期供給を受けるということであります。その際、なお、単に原油という形だけではなしに、付加価値の高い石油製品あるいは石油化学製品、そういう、産油国発展途上国にとりまして工業化に必要なプロジェクトに、共同でその事業開発することに参加をすることであります。  なおまた、エネルギーを多消費する産業というものを、やはり共同産油国天然ガスその他エネルギー存在する地域において、そういう工業化参加をするということであります。このことは、御承知のように、国土の狭い環境問題あるいは立地難の問題、あるいは日本産業構造を転換する一つの行き方として、産油国が希望する限りこれに積極的に参加をする、そのために、まず第一に技術的協力をするということであります。なお、必要によりまして経済協力を思い切ってするということであろう、こう考えます。  第二には、御承知のように、世界資源埋蔵量を拡大するためのリスク投資参加をするということであります。  石油資源発見探鉱は非常にリスキーでありまして、膨大な投資額を要するわけでございますが、あるいは当該産油国は当然でございますが、それがひいてはこういう世界全体の供給源埋蔵量の拡大に寄与するためのリスクに挑戦しながら、日本は応分の石油供給を受けることであろうかと思います。これ以外に——日本国内には資源がございません。もちろん、地域分散多角化のためには、まず、日本列島周辺大陸だなを優先的に手がけていくことはもちろんでございますが、供給源多角化以外に道はないのでありまして、多角化すれば、それは同時に備蓄の役割りもするわけであります。これらの行き方以外に、日本供給源はない。この今世紀の間、エネルギー大宗である石油日本には代替エネルギーはございませんが、日本にないこういう石油確保の道というのは、どう考えてもそれ以外にないと愚考いたす次第でございます。  これらの点につきましては、率直に申し上げさしていただければ、すでに日本は手おくれではないかという感が非常に深いわけでございますが、こういう点で必要がありますというと、技術的にも経営的にも、あるいは資金的にも長い経験を持っております国際的な石油企業、あるいは国策会社共同をしてこの探鉱リスクに挑戦することも必要である、こういうふうに考える次第であります。  簡単でございますか、時間が参りましたので、私の陳述をこれで終わらしていただきます。ありがとうございました。
  5. 林田悠紀夫

    委員長林田悠紀夫君) ありがとうございました。  次に、森参考人にお願いいたします。森参考人
  6. 森誓夫

    参考人森誓夫君) 私は、石油資源開発株式会社社長の森でございます。私はまた、日本海大陸だなの探鉱開発を行っておりまする日本海洋石油資源開発株式会社及びバングラデシュ国沖合い石油開発を行っております、ベンガル石油開発社長をそれぞれ兼務いたしております。  わが国経済長期安定的成長を図るために、エネルギー資源大宗をなす石油の安定的な供給確保が不可欠であることは、ここに改めて申すまでもございません。石油資源開発株式会社は発足以来、わが国内外にわたって石油資源探鉱開発を鋭意推進してまいりました。これまで国内陸域におきましては、北海道裏日本各地に多数の石油ガス田発見し、また海域におきましては、旧石油資源開発株式会社当時に、海洋掘削装置である第一白竜号を建造いたしまして、これによってわが国初海洋油田であります秋田県の土崎沖油田開発いたしました。自来、今日まで周辺海域を広範囲にわたって探鉱を続けております。特に、日本海大陸だなの探鉱開発につきましては、石油資源開発株式会社探鉱成果に基づきまして、日本海洋石油資源開発株式会社が新潟県阿賀沖におきまして大規模大陸だな油田発見いたし、現在この油田開発を進めております。  さらに、海外におきましても、ベンガル石油開発株式会社その他関係会社を通じまして、諸地域における探鉱開発参加いたしております。今後とも国内陸域はもちろん、わが国周辺大陸だな、さらには海外地域におきまして探鉱開発の推進に努力いたす所存であります。国内陸域開発について申しますると、わが国国内陸域につきましては、引き続いて北海道裏日本におきまして、特に深層の探鉱に重点を置いて精力的に探鉱開発を進めてまいりますが、同時に、今後は周辺大陸だなの探鉱開発にも、いままでより以上の努力をする必要があると痛感いたしております。  大陸だな開発について申し上げますと、御承知のように、近年世界各地大陸だなの石油探鉱開発が活発化しております。わが国周辺海域についてみましても、陸域に比較して大陸だな及び大陸斜面には大規模石油天然ガス資源が賦存している可能性があります。これは自国資源の少ないわが国にとりまして、きわめて重要な存在でございます。しかしながら、大陸だな及び大陸斜面開発には膨大な資金を必要とし、かつ大きなリスクを伴うものであります。  御参考までに、その費用について申し上げますと、海洋における試掘坑井——一つ井戸当たり掘削費は、その海域水深の深浅さの程度陸岸からの距離それから海象、気象条件地質構造、また、使用する海洋掘削装置種類等によりまして大幅の変動がございますけれども、大体三千メートル級の井戸を掘る場合を例にとりますと、一本で約十億円ないし十五億円を必要といたします。これは陸上の場合と比べまして約五倍近い経費となります。  それから、これで井戸を一応見つけまして、さらにこれを開発する段階に進みました場合には、生産施設としてのプラットフォームの建造とその設置、あるいは生産井掘削パイプライン敷設採集装置等が必要となりまして、一層膨大な費用を要することとなります。  私どものやっておりまする阿賀沖湾開発費を例にとりますると、プラットフォーム一基、生産坑井の数十四坑で、いま申し上げましたパイプライン敷設とか採集装置等費用を入れますと、合計約二百億円となります。これは水深が八十メートル、陸岸からの距離が約十一キロ、及び油層の深度が二千メートル前後という比較的よい条件による場合の数字でありまして、条件がこれより悪くなりますと、さらに経費は増加していくということが考えられます。今後の開発海域はより水深が深くなりまして、また、陸岸からもさらに遠くなるであろうことを考え合わせますと、その所要資金はより一層大きなものとなることが予測されます。また、近年の経済情勢変動によりまして、諸経費は急激に上昇しております。たとえば、阿賀沖油田開発におきましても、二年前の見積もりでは、開発費は約百十五億円でございました。これらのことによりまして、今後の探鉱開発を円滑に推進するためには、石油開発公団からの投融資等を従来よりもより以上に御配慮をお願いしなければならない次第でございます。  次に、従来も領海側周辺大陸だな探鉱につきましては、海外に準ずるということから投融資対象となっておりましたけれども領海内の海域におきましても探鉱対象構造存在可能性があり、また、構造領海内外の両方にまたがる場合も予想されますので、領海内外を一元的に探鉱することが合理的であると考える次第であります。したがいまして、このたびの石油開発公団法改正によりまして、わが国周辺海域がすべて投融資対象として明確化されることは、従前より私どもの望んでおりましたところでございます。  なお、大陸だな探鉱開発の促進につきましては、資金面の問題とともに、漁業との調整が大きな問題点となっております。これらのことにつきまして、政府御当局はじめ、国民各層各位の一層の御理解と御協力をお願いいたします。  次に、海外石油開発についてでございますけれども石油資源開発は旧会社当時の昭和四十一年より海外進出を行っておりました。このうち、わが国への原油持ち込みに成功いたしました事業としては、インドネシア石油株式会社東カリマンタン沖プロジェクトがございます。そのほか海外石油開発関係会社投融資を行いまして、中東、東南アジア、オセアニア、南米の各地域でそれぞれ関連会社を通じまして各プロジェクトに参画いたしております。特に昨年は、新規プロジェクトといたしまして、バングラデシュ国沖合い探鉱開発を目的とするベンガル石油開発株式会社を各有力会社とともに設立いたしまして、私が社長の任に当たっております。  海外開発におきましては、交渉相手当事者がその国の政府でございまして、交渉の当初段階石油開発公団によって行われる場合が多くございます。たとえば、バングラデシュ国沖合い探鉱開発につきましても、終わりに近い段階で私ども民間会社交渉参加いたしました。この公団の先導がありましたことによりまして、大型プロジェクト交渉をまとめることができたものと考えております。このようないきさつを顧みますと、公団が直接利権を取得する機能を保有しておりましたならば、事態はより円滑に運ばれたものと思われます。したがって、このような趣旨を盛った公団法改正は、適切なものであると考える次第でございます。  ベンガル石油開発株式会社は、昨年の七月に設立されましたが、本年十一月から試掘を開始する予定で準備を進めております。合計九坑の試掘井掘削する計画でありますが、その探鉱期間は約三カ年でございまして、所要資金は約三百十三億円を計上いたしております。バングラデシュ国は、国を挙げて石油開発に注目いたしており、大きな期待を寄せております。ベンガル石油開発株式会社同国石油開発協力いたしておりますことは、同国経済発展に寄与することはもとより、両国の友好関係の助長にいささか貢献いたしているものと考えている次第でございます。  気候、風土、人情、また政治形態の全く異なる海外での石油開発は、特にそれが発展途上国の場合は、通関手続、物資の輸送、通信連絡などが渋滞しがちでございまして、思わぬ時間をとることがございます。  以上、これまで申し上げましたような次第で、海外石油開発には多大の投資額を要しますし、リスクも大きいことから、公団資金に対する需要もますます増大するものと考えられます。したがいまして、公団投融資枠を大幅に拡充することにつきましても、格別の御配慮をいただきますようお願いを申し上げます。  以上、わが国石油開発につきまして、主として私ども事業に関連していささか所見を申し上げた次第でございます。
  7. 林田悠紀夫

    委員長林田悠紀夫君) ありがとうございました。  次に、杉本参考人にお願いいたします。
  8. 杉本茂

    参考人杉本茂君) アブダビ石油株式会社社長杉本でございます。  大所高所からの陳述は、島田総裁並びに森社長、あるいは後で出られる向坂先生から陳述があるだろうと存じますが、私は、アブダビ石油というアラビア石油の次に石油を出した会社のいままでの経験を通じて陳述申し上げます。そのためには、アブダビ石油はどういうふうなことをしていままでやってきたのか、あるいはどういうふうにあちらの国と組みついておるのか、それに対して公団がどういう機能を発揮してくれたか、それから後どういう機能をもっと発揮してほしいかというようなことについて申し上げるのが適当かと存じます。  それで、まず私の方の会社の歴史を申し上げますと、昭和の四十一年だったと思うんですが、四十一年の終わりごろにADMAという会社アブダビ沖合いに権利を持っておりました。このADMAというのはBPとCFP、いわゆるフランス石油とブリティッシュペトロリアム、この二社が共同で持っておる鉱区でありましたんですが、それが四十一年の十一月に四分の一の鉱区放棄がありました。結局それが、アブダビ政府がその鉱区を入礼に出したわけであります。カナダあるいはアメリカその他の会社が来ておりましたが、入礼というよりむしろ話し合いの上にわれわれがこの鉱区を取りました。  その鉱区を取ったいきさつから申しますと、この鉱区に対してのいわゆる地震探鉱あるいは坑道の探査に当たったのが、われわれがこのとき取ったときよりも十二年前にやっておった。いわゆる、いまから言えば二十年前にやっておったので、そのわれわれが受けた当時の震探の技術から言いますと、ひょっとすると見逃しているところもあるんじゃなかろうかと。それが近くにやっておるのならば、最新の技術を使っておりますから魅力はないんですが、われわれが取ったときよりも十年も前にやっているというようなことになると、これはおもしろいんじゃなかろうかというような観点で、当時の石油会社三社が集まりまして、丸善石油それから大協石油日本鉱業という、この精製三社がいわゆるアップストリームからダウンストリームをつなごうという考えでこれに投資したわけであります。  初めの考え方は、二億円ずつ出し合って六億円で探査をして、全然だめならばこの六億円は捨てよう、そして、よければまたこれに金を出していこうというような考えでやったわけでございます。ところが、幸いなことには、ここに参考に出しておりますが、昭和四十四年一月に地震データの処理、解析作業を終了いたしました。四十四年の五月、B鉱区において試掘を開始しました。それから、四十四年の九月十八日に初めて一号井発見をしたわけであります。それから引き続いて四本やりましたところが、全部小さいながらも構造があり、かつ油が出てきたということで開発に踏み切ったわけであります。しかし、当時もし公団——われわれか始めたのは公団のてきない前だったんですが、公団がこの途中でできなかったとしたならば、この三社の資金力ではとうていこれに追いついていくことができなかっただろうと思います。その点、われわれは公団に対して非常に感謝し、かつ運もよかったと考えております。  現在のところでは、大体二万五千バーレル程度一日に出しております。二万五千バーレルというのは月に十二万五千トン、年間約百五十万トン程度生産をやっております。なお、利益等につきましては、現在償却利益が約七十億円程度出ております。来年に、あるいは今年度の末になりますと、大体償却をやった残で十七、八億円の利益が出るんじゃなかろうか、この点までにこぎつけております。  これは、もちろん数量は非常に小さいんですが、値段が非常に上がったという、日本にとっては非常な不幸なことが、われわれにとっては、わが会社にとっては非常によかったことになっている。非常に皮肉な現象を起こしているわけなんですが、ただ、ここで申し上げたいのは、その間普通なれば、われわれはこういうような利益は上げ得られたんであろうと考えますが、アブダビ政府首長であるザイード、あちらでは首長と言っているんですが、ザイード首長の特別の計らいによりまして、せんだってのOPECで定められた税金が八〇%、ロイアルティーが二〇%という非常に重い税金、重いロイアルティーをまけてくれまして、初めのときの契約の一二・五%それから、一時改正されましたですけれども、五五%の税金という、現在ほかのところでは考えられないような新しい税制をとってくれていることであります。  この点は、われわれも非常に忍耐強い、あるいは執拗な交渉を続けてやったのですが、恐らくはほかの国々におきましてでも、独立的な、あるいは小さい発展の少ない油田に対しましてはこういうような処置は講ずるものだろうと考えられます。したがって、新聞紙上その他のところに載っていますような、OPECが定めた税率、あるいはロイアルティ率というものを機械的に進めるものではない、機械的にこれをやるものじゃないということは言えるだろうと思います。これはわれわれの経験から得たことなんですが、あちらの大臣あるいは次官その他の人と話しておりましても、メジャーとインデペンデントは違うんだということを言っております。そういう経験から言いますと、あちらの国もメジャーから離れたい、それから日本の国もメジャーかさの下から離れたいという考えがあるだろうと思いますが、このメジャーかさから離れたい同士が話し合って開発に当たっていくということは、非常に意義あることじゃなかろうかと存じます。その点、われわれ開発していくものに対して公団投融資において特別な計らいをされることをぜひ希望したいと存じます。  それから同時に、最近になってきまして、幾分か石油が余り気味になってきた。それからまた、DD原油あるいはGG原油と言われるのが過剰になり、値段も幾分か下がり気味だ。こういうふうになってきますと、もう二年前のあの厳しさを忘れまして、石油はそうあわてて取らないでも、産油国から勝手に取ったらいいじゃないか、開発しないでもいいじゃないかというような意見が出るであろうと思いますが、われわれが開発し、われわれがそれに手を携えればこそDD原油その他の点も取りやすくなるんではなかろうかと存じます。その点われわれがやらなかったならば、やはり名前は産油国の直接原油ということになっておりますが、後ろでは必ずメジャーとひっついてやらざるを得ないというような、現在の世界的な大勢ではなかろうかと存じます。その点長期的な見方をしてもらいたい。特に、公団においては長期的な金融、あるいは長期的な措置を講ぜられたいとお願いする次第でございます。  それから投融資問題の中で特にアブダビなんかでは、現在石油工場を建てたいという希望を持っております。それは単なる日本で言うているようなリファイナリーじゃなくて、あの国で白いものと黒いものとに分けよう、いわゆる白油と黒油。黒油というのは重油です。白油というのはガソリン、灯油、軽油のまざったものですが、そういう簡易処理をしまして、そして軽いものと重いものと別々に出していこうというような計画を持っております。と申しますのは、消費国において、たとえば日本のごときは白油がだんだんだんだん必要になって黒油が余ってくる、あるいは後進国におきましては黒油が必要で白油がそう必要じゃないという、各国々によって消費の構造が違っております。いわゆる石油の輸入国で消費のパターンとが違うというようなことで、産油国でこれを分けて持っていこうというようなことをやっています。このことは公害対策その他の点にも非常にいいだろうと存じますが、そういうことに対して日本から、何らかの意味の援助じゃなしに、ジョイントベンチャーをやりたいというような申し込みがあります。こういうことに対してでも、われわれの資本力ではとうていこれには追いついていけません。その点今度の改正におきまして石油工場、精製工場等に対する投融資というものを認められるというようなことになれば幸いだと存じます。  以上、その他の意見はいろいろありますが、非常になにしますので、ここに諸先生に参考資料をお渡ししておりますから、どうぞごらんになっていただくようにお願いいたします。
  9. 林田悠紀夫

    委員長林田悠紀夫君) ありがとうございました。  次に、向坂参考人にお願いいたします。
  10. 向坂正男

    参考人向坂正男君) わが国長期的なエネルギー供給構造考えた場合に、石油への依存度を現状より大幅に下げるということは、大変むずかしい状況にあると考えます。現在エネルギー調査会でも検討が進められておりますけれども長期的に日本エネルギー供給考えた場合に、まず第一に重点を置くべきものは国内資源開発でございます。それには水力あるいは石炭、さらに地熱、あるいは周辺大陸だなの開発、そういったことが含まれておりますけれども、こういった国内資源開発を優先的に進めるという方針が必要かと思われます。  それから、第二には原子力でございますが、安全性に万全の対策を講じつつ、その開発をできるだけ進めていくという方針が重要と考えられます。  さらに、輸入エネルギーにつきましても、海外天然ガスやあるいは石炭、これには原料炭だけではなくて、火力用の一般炭の輸入も含めまして輸入エネルギーというものをできるだけ多様化し、供給源分散していくということがエネルギー安定供給上重要だと考えられます。したがって、もちろん国内の環境問題はございますが、クリーンなエネルギーとしての天然ガスの輸入を極力増大させる、また、石炭の輸入を図っていくということを考える必要がございます。しかし、こういった方策をできるだけ進めてみましても、これから十年先を考えてみましても、石油への依存度は現状より下げることは可能ですけれども、そう大幅に下げることはむずかしいように考えられます。これは私の個人的な計算ですけれども、今後日本経済が実質成長率五、六%の成長を続けるために必要なエネルギー消費量を考えた場合に、以上のような方向でエネルギー供給の増大を図った場合にも、石油への輸入依存度昭和六十年度においても、現在の七五%に対して恐らく三分の二以下に下げることはむずかしいように考えられます。したがって、今後のエネルギー政策の中で石油安定供給の基盤をどうやってつくっていくかということは、重要な政策の課題、眼目になると考えます。  一九七〇年代に入りましてから、御承知のように、石油をめぐる国際情勢は非常に大きく変化してまいりました。石油の大量輸入国としては、今後の石油政策についてはいろいろと考えるべき問題が出ておりますけれども、私は、まず第一に申し上げたいことは、石油の大量輸入国としてメジャーズ、これまでの石油の大半を供給し、世界石油市場を支配していたこのメジャーズヘの依存に安住してはいられない、安住すべきではないという点であると思います。また同時に、何といいますか、ただ乗りは許されないといいますか、石油の大量消費国としては、石油開発に対して、応分の貢献をする必要があるという点を確認しておく必要があるんじゃないかと思います。つまり、単に日本に持ってくる石油開発するというだけではなくて、国際的にエネルギー供給源をふやし、石油供給能力をふやしでいく、それに日本は応分の協力をしていく、貢献をしていくという考え方が必要になってきたのではないかと思います。  私のところにも、よく外国の政府の方や、あるいは石油会社その他の専門の方が見えますけれども日本の今後のエネルギー事情をお話ししますと、日本は一体、それでは石油供給にどういう貢献を考えておるのか、どこに供給源を依存しようと考えているのかということを必ず聞かれるわけでございます。つまり日本は、石油の大量消費国として海外への投資なり石油産業に対する投資、あるいは技術的な貢献、そういうものを十分考えていく必要があるんじゃないかというのが彼らの意見でありますし、私もそういうことを考えていく必要な状況になったというように考えるわけでございます。  そこで、ほかのエネルギーの問題は省略いたしますが、石油安定供給の基盤を今後いかにつくっていくかということは、先ほど申し上げたように、これからのエネルギー政策の大きな眼目と言えますが、そのためには幾つかの課題があるように考えます。  まず第一は、日本領海及び周辺大陸だなにおける石油天然ガス開発を進めるということでございます。すでに何カ所かでそれが行われておりますけれども、なかなか十分な成功は見ませんけれども、この領海周辺大陸だなにおける開発をできるだけ促進していくということが、安定供給構造をつくっていく上の第一の課題であるというように考えます。  それから第二は、いま杉本参考人からもお話がありましたように、国際石油におけるメジャーズの支配力の後退、このことは産油国及びメジャーズを持たない消費国にとって、これにいかに対応していくかということは共通の利益になるわけでございまして、したがって今後産油国との石油の直接取引、場合によっては政府ベ−スにおける長期的な取引協定といったような形で原油供給源確保していくということは、安定供給確保していく上の第二の課題と言えると思います。その場合に、御承知のように、油田開発を含めいろいろな工業化産油国の社会開発のための技術協力石油関連産業発展への技術協力、そういったことを含めまして産油国との間に相互の依存関係を打ち立てていくということが大事であることは、これ以上申し上げる必要のないことだと思います。  それから、安定供給の基盤をつくっていく第三の課題は、石油供給源をできるだけ分散することでございまして、現在中東地域に八〇%近い依存度を持っておりますけれども中東の不安定な状況から考えまして、他の地域供給源分散していくということは消費国共通の課題、また、これまで十分開発が進められていない他の開発途上国の切迫した要求でもあると思います。  最近、国際的な石油会社は、現在のOPEC地域以外の地域にできるだけ供給源分散しようということで、積極的に探鉱開発を進めている状況にございます。おそらく現在のOPEC地域よりも開発コストは高くなるに違いないけれども、しかし、そういった新しい油田ガス田開発を進めなければ、OPECの独占的な地位といいますか、あるいは国際的な石油の競争状態をつくり上げていく上に不利であるという考えで、新しい地域開発を積極的に進めているように思われます。これは既知の地域よりも開発が困難であるだけに、余り短期的な計算でやっては失敗するものであって、長期的に石油の不足に対応するという考え方でやるべきではないか。  最近、世界石油会議で、世界石油資源についていろいろ専門家たちの間で論議されたわけですけれども、そういう論議の状況を見ましても、一九九〇年ごろ、あるいは一九九〇年代におそらく世界石油生産のピークが来るのではないかと。そこまで持っていくにしても、こういった新しい地域開発が必要であるという考え方が示されております。そういう考え方のもとで、日本も、東南アジアあるいは中米、アフリカ、あるいは豪州、大洋州など日本に比較的近接した地域開発を進めるだけではなくて、先ほど申し上げたように、国際的に石油供給能力をふやしていくという観点から、日本に必ずしも持ってこられなくても、南米なりその他の地域において開発参加する機会があれば進めていくという考え方を持つべきではないかと考えるわけでございます。  それから第四には、探鉱あるいは開発技術の向上が非常に切迫した課題になっているんじゃないかというように考えられます。おそらく現在の産油国のナショナリズムの伸展、激しく進んでいく状況から言うと、在来のように利権を獲得するということはむずかしく、せいぜい生産分与方式、あるいは開発請負方式といったようなものに変わっていくに違いない。そういう場合に、探鉱やあるいは開発技術というものが物を言うわけでございまして、したがって、日本のそういった石油開発関係の技術陣というものをどうやって育成していくのか、特に海外で活動できる技術者の養成ということが急がれることであるように思います。  それから、安定供給構造の第五の問題としましては、備蓄の増強があると思います。これは御承知のように、国際エネルギー機関で国際的な相互融通制度が発足いたしまして、そのために備蓄を消費量の九十日分までふやすという国際的な約束ができているわけでございますが、その備蓄を増強していくということが安定供給確保する、緊急事態に対応するために必要であろうと思います。しかもこの備蓄は、まず、もちろん国内において増強することが大事でございますけれども、同時に、アジア太平洋地域など中間地域における石油基地をつくっていくということもあわせて考える必要あるんじゃないか。  これは、必ずしも国内の備蓄と同等の供給の安定基盤であるかどうかは、いろいろ議論のあるところかもしれませんけれども、しかし、アジア地域あるいは太平洋地域において、日本のみならず、開発途上国を含めて一つの国際的な共同石油基地という考え方でそういうものをつくっていくならば、これはやはり、一つの緊急事態における消費国に対する供給のバッファーとして役立つことが可能ではないか。そういう意味で、国内の備蓄の増強はもとよりですけれども、中間的な地域における貯油基地というものを、あるいはそこへ製油所のようなものを建設することを進めるべきかと思いますけれども、そういうものを考えていく必要があるんではないかと思います。  以上申し上げたようなことを考えておりますので、今回の開発公団法の一部を改正してその機能を充実するという方向は、私は妥当な方向であるというふうに考える次第でございます。
  11. 林田悠紀夫

    委員長林田悠紀夫君) ありがとうございました。  以上で参考人方々の御意見陳述を終わりました。  それでは、これより参考人に対する質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  12. 小柳勇

    ○小柳勇君 まず、島田参考人に御質問いたします。  昭和四十二年に石油開発公団ができまして以来、すでに八年たっております。その間に一千数百億の投融資がなされました。それで、この日本生産されて返ってきている石油を金に換算して、いわゆる投資効果といいましょうか、そういうものに対して総裁はどのように考えておられるか。  なお、その間、融資いたしまして探鉱が失敗し、あるいは生産に失敗したなど、せっかくの融資が焦げついておるものもありましょうが、そういうものも含めまして、公団として、現在まで約八年にわたります経営の中で、こういうことをやった、あるいはこういう問題があった、将来こうしたいと、総裁としての見解がありましょうが、まずその点をお聞きしたいと思います。
  13. 島田喜仁

    参考人島田喜仁君) 小柳先生からいろいろな御質問をいただきましたが、まず最初に、千数百億の金を投資したその投資効果という点でございますが、これをどういうふうに解釈いたしますか、実は、投資した金は戻ってはきておりません。投資した対象プロジェクトの中で、大体成功して日本に入ってくると予想された原油は、ラウンドで大体二千万キロと予想されます。ただこれにつきましては、御承知のように、日本国内の景気の状況等によりまして買えなかったりする面がございますから、実際には、この五十年度で千八百万キロぐらいでございますが、要するに、大体その程度のものをわずかながら確保いたしたという面を、どういうふうにお考えいただくかということであります。  全体といたしましては、すでに、最初に日本として海外石油開発に成功したのはアラビアでありました。アラビア石油を含めまして、開発原油は大体国内輸入量の一〇%程度になっております。実はまだアラビア石油には融資をしておりませんが、その他の企業は、開発段階に入りましてまだ期間はわずかしかたっておりませんので、公団に配当等として返ってくる段階にはなっておりません。ただ、国際的によく言われるのでありますが、石油油田発見する確率は、大ざっぱに言いまして、これは別に統計的なものではございませんけれども、大体二割ぐらいが限度であると言われておりましたが、ここ十年間の世界の当たる確率は下がっております。だんだんリスクが大きくなったり、自然的条件が厳しくなったり、なかなか石油を掘り当てることが実は困難になってきておると思います。  なお、振り返ってみますというと、私ども公団が発足いたしましたのは、いまお話しの約七年半の前の昭和四十二年の十月であったと思いますが、公団の職員は私を含めまして約五十人で発足をいたしました。八年近くなります現段階で、この探鉱投融資事業並びに民間に対する技術協力の職員は、女性も含めまして百五十人であります。私は、設立当初からその職員といたしまして公団に奉職をいたしております。振り返りますと言うと、力足らずということでございまして、非力のために当たる確率も悪かった、あるいはその成果を上げ得なかったことを反省はいたしておりますが、現在もその百五十人が一緒になりまして、大陸だなの開発並びに海外開発に全力投球をしておるつもりであります。  ただ、ここでひとつお考えをいただきたい点は、公団の発足いたしましたときは、いままで石油というのは、実は要するに、メジャーから金を出して買うという体制でございまして、わずかに一つの例外が、いま考えてみますというと大変な偉大な功績だったと思いますが、アラビア石油海外開発した以外は、海外開発というのは行われなかった。代金を払って他の企業が開発した油を買うのだという実は体制であったわけでございますが、やはり自主開発原油を持つべきだという機運が民間並びに政府にできまして、そうして、民間の企業がリスクに挑戦する場合に、民間と石油開発公団とが一緒の船に乗る。原則的には五〇%・五〇%で、この開発に挑戦をするわけでございますが、それは民間主導でございまして、公団が主導的に海外の利権交渉をするような体制にはなかったのであります。恐らく当初の三年ぐらいの間は、あるいは四年ぐらいと申しますか——ここ二、三年になって初めて私ども海外交渉に専念をし、そうして先ほどのお話の、事前の、産油国あるいは石油会社との交渉をいたしてまいったのであります。  したがいまして、振り返ってみますというと、民間主導でありましたために、当時はまだリスクマネーというものは民間として非常に少ない、しかも御承知のように、日本はこのリスクに挑戦する国際的な石油企業というのはございませんので、小さなプロジェクト、言いかえれば、金の余りかからないプロジェクトが中心であったわけでありまして、大型プロジェクトに民間が積極的に参加するという体制ではなかったのであります。  特に、この石油の利権、言葉がちょっと悪いのですけれども、お許しをいただきまして、俗にそう言っておりますから利権と言いますが、利権はいま参加国にはないわけですけれども、簡単に要約して仮に利権という言葉を使わしていただきますというと、そういう利権というのは、参加する側が積極的にコンタクトしなければ、資源国産油国の方からこういう利権があるからどうだという体制では原則的にないわけであります。それがだんだん厳しくなりまして、資源主権の確立とともに産油国が強くなってきた。  それで、実は大型プロジェクト等についてはリスクも大きいし、金もかかるし、それから技術的にも先ほど参考人の他の方からありましたように、日本海外開発する技術、活動をするその経験と策がありませんので、私どものところでは、国内からわずかながら国際活動のできる素質のある人たちを説得し、そうしてだんだんに集めてきたのが現状であります。そういう技術陣を動員をいたしまして海外活動に専念をしていったわけであります。したがいまして、振り返ってみますというと、すでに公団のできる前後において、海外リスクに挑戦をして自主開発をしようとする時期が実は非常におくれておった。その当時も、すでに有望な利権というものはメジャーズその他に押さえられておった。それからその後は、産油国はいい鉱区と有望な鉱区と思われるものは抱きかかえて、やはり次のゼネレーションまで温存していこうという、そういう体制に入りつつあったわけであります。  現在も、御承知のように、参加国に石油開発をさせないで、みずからが資源主権を持っている。みずからが自分のリスクにおいて開発をしていこうという体制が、着々としてできてきているわけであります。したがいまして、振り返ってみますというと、そういう面で日本海外開発をする民間の体制が弱体であった。それから同時に、当時はやはり億という金というものは、リスクの金というものを国が出すということは大変なことでありまして、金のむだ遣いになるのではないかという考え方が政府等にも強くありまして、なかなかこれを思い切って出そうとしてもらえなかったということを、率直に申し上げざるを得ないのであります。  ところが、私どもがスタートした当時は、もし石油開発をいたしまして成功すれば、その油というのは一〇〇%日本に持って帰ることもできれば、あるいはどこか自由に売ろうとすれば売ることができたわけでありまして、その処分権というものは開発側にあったわけであります。ところが、一九七二年だったと思いますが、リヤド協定によって産油国が二五%の資本参加をするということが予想に反して、予想に反してというのは、世界がまだそこまで考えておらなかったのに、二五%の参加というのは決まったわけでありまして、七二年から五年間の間に五一%に事業参加、経営参加をふやしていく、こういう方向で決まったのでありますが、現在まだその五年間の終期にならない間に、御承知のように六〇%の資本参加がすでに決定をする、あるいは一〇〇%の資本参加がもう時間の問題だというふうに、世界情勢が全く急激に変化をするような事態になったわけであります。そういう意味で、日本石油開発の体制なり、これに対する対策なりというものが世界情勢に追いつかなくなってきたというのが、私は偽らざる実感だと存じます。  実は、公団ができまして以来八年に相なります。私はその間いろいろな対応策を、——公団のできたときにはまだまだ私どものところでも何にもわからなかった、海外開発については無知識であったわけでありますが、明けても暮れても毎日こういうことにタッチをしておりますというと、幾らかは世界情勢を知らざるを得ないわけでありまして、先を見ましていろいろな提案をいたしましたけれども、私の説得力が足りなかった、その点は深く反省いたしますけれども、具体的な石油開発公団に関する法律の改正は、今度が実質的には初めてであります。  中東戦争が終わってからもう二年になりますけれども、今度初めての改正でございまして、この改正につきましては、先ほど冒頭でお礼を申し上げましたけれども、実は法律改正のほかに、いまのような世界情勢、言いかえれば条件が非常に厳しくなってまいりまして、税金も八〇%を払わなきゃならぬ、ロイアルティーも二〇%払わなければならぬ、いまのように事業参加もありますから、コスト原油がそれだけ減ってしまうといういろんな条件の厳しい問題が出ておるほかに、やはり日本石油会社というのはプロジェクトが決まりますというと、そこで、いろいろな石油に直接タッチしていない会社というものが資本を出し合って会社をつくるわけでありますから、全くの素人の人たちが集まるわけであります。  その意味では、僭越ではございますが、私ども公団も及ばずながらその御協力は申し上げておるわけでございますが、世界は、御承知のように、アメリカはもちろん国際的な石油企業でありますが、欧州でもフランス、イギリス、イタリアは皆国策会社というものを持っております。一社もしくは二社という形になっております。ドイツだけが国策会社ではございませんけれども、DEMINEXという一社を中心に海外開発をしておるわけであります。手前どものところの投融資対象になっております会社というのは三十、プロジェクトが四十、この八年間にその海外開発参加をしたわけでございますが、日本は民間の体制も当然問題がございますが、今度は公団立場から見ますというと、公団探鉱部分の資金供与しかできないわけであります。  日本にはインテグレーションという、いわゆるアップストリームからダウンストリームに一貫した操業会社というものは、ただいま申し上げました欧米と違いましてないわけでありますが、せめてそのアップストリームぐらいは、実は公団が一元的に投融資できることになりませんと、探鉱というものは一部分でありまして、幸いに成功いたしますというと、ここにも民間の社長さん方がおいでになりますけれども開発段階に入ったときの方がはるかに金が多くかかるのであります。はなはだここに社長さんがおって、まことに失礼と存じますけれども杉本社長アブダビ石油も最初に技術力をお持ちになっておったし、運もよかったわけでございますから、掘るたびに実は当たったのであります。  そこで、開発段階に移行したわけでございますが、ただいま二万五千バーレルとおっしゃっておりますが、その当時は私ども技術陣も全部、まず少なくとも現在の三倍程度のものは出るであろう、場合によったら四倍ぐらいのものが出るであろうと考えておったわけでございますが、開発段階に至ってから当たる率が少なくなりまして、実は二万五千バーレルということになったわけであります。その間非常に苦労をされたと思いますが、私はやはり石油事業というのは、探鉱から開発、最後に石油を取り終わるまでは非常にリスキーであるほかに、産油国条件というものがその過程においてどんどん厳しくなるという、こういう問題に対処していかなければならぬわけであります。  時間の関係から、たくさん過去を振り返りまして申し上げなければならぬ点がございますが、もう一つの問題は、ただいまのような株主が出合ってつくり上げていく会社というのが幾つかのプロジェクト参加をしておりますが、最近のこの不況の関係で、なかなか現在、探鉱を継続しております増資に応じ得ないという企業が実は出てきておるのであります。失権をする企業が出てきておるのであります。それから同時に、七、八年たってみますというと、あるいは三、四年たって実際に実施してみますというと、やはり国際的に言われたように、石油開発というのは、探鉱というのは当たる確率が少ない。私のところで、すでに七社から十社程度が率直に申し上げて失敗をしておるわけです。成功をしない企業があるわけであります。  そういうような事態と、それから、ますます産油国条件が厳しくなるという問題を踏まえますというと、なかなか民間資金の動員というのは困難になってまいります。民間がこの探鉱開発参加をしないということになりますというと、あとは国でやるか、あるいは国がやれなければこの探鉱開発にはなかなか参加ができない、民間の意欲というものは恐らくこれからしばらくの間は鈍ってまいることは当然だ、こういうふうに考えておるわけでありまして、こういう内外情勢に対処いたしまして、先ほどからもいろいろお話がありましたが、公団投融資の制度なり、これに対する助成策というものを考えていただく必要があろうかと思います。  具体的な問題はまたここで省略をさせていただきまして、一言、お答えになったかどうかしれませんが、これで……。
  14. 小柳勇

    ○小柳勇君 たくさんの委員が質問いたしますので、私も簡単にいま質問いたしておりますが、要領よく短い時間で御答弁を願いたいと思います。  もう一問でございますが、四十二年にこの石油開発公団が発足しますときに、私も当委員会におりまして、ちょうど三木総理が通産大臣でございました。これから十年したら約二割、昭和六十年には三割は自主開発するんだという意気込みで、当時四十億の金を政府が出しました。それからもうすでに八年でありますが、いまなお、この自主開発については数%しか出ていない。  いまのお話で、たおえばもっと金をよこせ、あるいはもっと技術陣が欲しい、そしてもっと統一したもので公団みずから石油については、日本石油事業については責任を持つんだというような体制も欲しいわけですが、そういういままでの公団発足以来の八年間の経過から将来に向かってどうしたら——少なくとも、この日本石油事業については石油公団がその供給の面まで責任を持ってもらいたい、私どもはそう思うわけですが、たとえば先般、東京瓦斯の安西さんがソ連とガスの交渉をなされました。そういうものも実際は、相手は社会主義の国でありますから石油公団がやるべきであろうとここで発言したこともございます。したがって、石油、ガスなど、そういうエネルギーにつきまして、もう少し日本事業に対して責任を持つ体制が欲しいのでありますが、総裁の見解を聞いておきたいんです。
  15. 島田喜仁

    参考人島田喜仁君) 頭の中ではそういうことは実は考えられますけれども、私の過去のわずかな経験から申しますというと、全部一元的に公団がやるということは、なかなかこれは容易なことでは私はないと思います。まず人間の問題が一つあります。それからいま申し上げましたように、日本政府政府機関もそれぞれ多様でございまして、ここの問題を解決しない限りは、公団だけで考えまして一元化という問題はなかなか私はできないのではなかろうか、こういうふうに考えざるを得ません。
  16. 岩動道行

    岩動道行君 大変貴重な御意見を承ったんですが、いまの御質問にも関連して、実は日本資源エネルギー、特にエネルギーに関しましては、向坂先生のお話にも冒頭にありましたように、まず石油もさることながら、地熱からその他みずからの持てるエネルギー日本列島の力を開発していかなければいけないということもございまするし、また厚子力の問題、これらの行政が多岐にわたっておって、したがって日本資源エネルギーという問題が非常に大きな課題になっておりまするが、これが通産省、そしてその中の資源エネルギー庁という部門になっており、あるいは原子力は科学技術庁というようなことになっております。  それで、資源エネルギー庁ができたことは一歩の前進であると私は一応評価したんでありますが、しかし私は、かねてから資源エネルギー省、そして専任の国務大臣を設けてやっていかなければ、とうていこの国際的な大問題の解決と日本の民族の生存はあり得ない、こう考えて、多年このことを主張してまいったんであります。先般来、経団連の松根エネルギー委員長においても、この問題についてはまさにそのとおり考えるということでありましたが、特にこの問題について向坂先生の御所見を承っておきたいのが第一点であります。  それから、石油中東戦争以来のショックでエネルギーの節約という問題が行われておりますが、最近は、のど元過ぎれば熱さ忘れるというようなことで、資源エネルギーの節約、あるいは省エネルギー型の産業というものに対する意欲というものが何か薄くなってきているというようなことで、これの国民に対するキャンペーン、これを官民一体となってやらなければいけない。私は五十年度の予算において、特にこの問題についての広報予算をある程度大臣折衝の段階において取ることに微力をささげたわけでありまするが、こういったようなことは、資源開発をなされる皆様方も非常に御苦心をなさっておる。その苦心のところから私は国民に納得をしていただいて、そういう資源エネルギーの消費、あるいは節約についての十分な国民的な合意のもとでなければやはりいけない。そしてまた、開発の問題もそういうところから出発をすべきではないか、こう考えておるのでありまするが、その点についての努力がまだ政府あるいは民間においても十分とは考えられない。これらについても御所見を承っておきたい。  それから、これは開発については非常にコストが高くなってまいってきておりまするが、輸入原油の価格が今後どうなるのかですね。世界的に節約が行われておりますので、ある程度買い手市場みたいな感じになってきておりますが、果たしてそう考えていいのかどうか、私は非常に疑問に思います。中東戦争の解決のあり方も、重大な政治とそして経済とが密着した問題であります。そういう意味において、このOPECの動向についての今後のあり方がどうなるかという点。  さらに、国内ダウンストリームの関係では、総需要抑制のもとにおいて価格の引き上げ、あるいはカルテル問題等で非常に精製業界は萎縮をいたしておると思いまするけれども、もうほとんどが破産状態にも近いような状態ではないだろうか。そういう中においては、やはりある程度企業が健全に育っていかなければ、われわれの国民生活、漁業にしても農業にしても、あらゆる分野において私は大きな支障を来すのではないかと思いますので、この石油製品の価格の引き上げの問題についてはどうお考えになるか。  以上、まだ申し上げたい点もありますが、時間もありませんので、これで一応私の質問の要点を申し上げた次第です。
  17. 林田悠紀夫

    委員長林田悠紀夫君) 参考人各位にちょっと申し上げます。  他に質問者がございまするので、できるだけ簡潔に、要領よくお願いを申し上げます。
  18. 向坂正男

    参考人向坂正男君) お答え申し上げます。  第一の御意見でございましたエネルギー省に関しましては、これまでも行政機構が、エネルギーに関する行政が多岐にわたっていてその統一性がないということは、私も感じておりました。その点については、エネルギー庁ができたということは、数歩前進と評価していいかと思いますが、同時に、たとえば原子力などにつきましても、原子力委員会との間の関係の調整がまだ十分うまくいっていないような思いますので、原子力の行政に関しても、安全性の確保や新しい研究開発と、それから、実際の実用化された発電所などの推進における行政の分担というようなことは、さらに明確に分担がされるような方向にいくべきだと思いますが、さて、それではエネルギー省をつくるということは、長期的な目標としてはそういうことがあり得るかと思いますけれども、果たして短期的に省をつくっていまの事態がすぐ改善されるかどうかということは、必ずしも私は、早急に効果が上がるような状況ではないんじゃないかというように思います。  私は、その点はまず第一歩として、政府レベルでエネルギー総合戦略のようなものを十分討議する必要があるのではないか。その点では、エネルギー対策の閣僚会議が設置されたということは、さらに一歩前進かと思います。特に、外務省も入りたエネルギー対策閣僚会議が総合戦略を練るということは、非常に重要な前進であろうかと思いますが、できれば、まずこの閣僚会議を常置機関として、あるいは、そこへ少数のスタッフを置いてというような形で常置機関として、エネルギーの総合戦略を練るという体制が現実的なやり方ではないかというように考えます。  それから、第二の節約の問題ですが、現実にエネルギーが急速に値段が上がったために、家庭においても、また産業界においてもできるだけ不要な部分、つまり、生産などに直接関係のない分野で、間接的な分野でできるだけエネルギーを節約するという動きはすでに行われており、進められておりまして、大体石油危機以前に比べますと、五%ないし一〇%は電力及び重油などエネルギーの節約は行われていると思います。しかし、御指摘のように、時間が進むに従ってエネルギー危機はどこに行ったかというような感じも生まれつつあることは確かで、ここで政府、民間一体になって節約のキャンペーンを進める、あるいは部分的にいろいろな法律によって規制するというような方向も考える必要があるのではないか。で、これから取り組むべき節約問題は、いろいろな産業分野において相当な投資をしたり、それによってエネルギー管理技術や省エネルギーの利用の効率化を図る、そういう投資が必要でございますし、家庭においても、たとえば住宅の断熱性とかあるいはヒートポンプなどの利用によって暖冷房のエネルギー効率を上げるとか、そういう対策が必要でございますから、これはやはり長期的に本腰を入れて取り組むべき問題であろうと思います。  日本は、指摘するまでもなく、環境問題から言いましてもエネルギーの効率的な利用ということは必要でありますし、特に、石油時代から他のエネルギーへの転換を必要とする一九九〇年代を考えますと、よほど日本エネルギーの利用効率を上げるということを考えませんと、原子力や石油や石炭ですべてを満たすということは困難ではないか。そういう環境問題と長期的なエネルギー供給の制約ということを考えますと、エネルギー節約について産業構造の転換なんかを含みまして、さらに一層の努力をする必要があるかと思います。  それから、第三の輸入原油の価格問題に関しましては、御承知のように、OPECはことしの九月いっぱいは値上げをしないという約束をしており、これは守られると思いますけれども、最近OPECの一部の国は、財政収入、産油収入が財政支出に見合わない不測の状態が出つつありまして、特にそれは、石油資源が比較的少ない国にそういう状況が出ておりますので、何とかここで値上げをしたい、産油国の工業製品の輸入価格は大幅に上がっているので、ここで何とか値上げをしたいという機運がOPECの中で強まっております。最近アメリカ政府も、これまで需給緩和で大幅に値下がりするというような見解が多かったようですけれども、そういう見解はこのところやや後退しつつあるという状況でございまして、私は、このような供給能力が過剰の状況でもOPECは恐らく生産調整いたしまして、原油価格を、ことしじゅうは多分ないと思いますけれども、来年あるいはそれ以降、世界のインフレ率に応じてある程度上げていくと。ただ上げ方を、工業製品価格あるいは食料品価格などと同じ率で上げていくかどうかは、OPEC側がどう考えるかによりますけれども、私は、ある程度ノミナルの価格を上げていくという方向に進むのではないかというように考えるわけでございます。  それから、第四番目の現在の石油精製業界は、御指摘のとおり大変収支状況が悪化しておりまして、石油危機後に製品価格が抑制されたこと、その後、深刻な経済界の不況によって、石油の製品価格はコストの増加に見合うだけは引き上げられないで、多分キロリッター当たり千五百円ないし二千円ぐらいの経常収支の実質赤字があるのではないかと思います。このような状況を続けることは、特にバックアップのない民族系企業にとっては、大変経営上の困難を来す状況でございまして、安定供給の担い手としてせっかくここまで育成してきた民族系の企業がここまで体質が悪化するということは、エネルギー対策上にとっても大きな問題であろうかと思います。  もちろん、一方物価問題もございますから、その点との兼ね合いは十分考えなければならないでしょうけれども、やはり、長期的に石油安定供給一つの担い手としての民族系の石油精製業界の企業体質、財務の悪化をやがて防止する、改善していくということが早急に考えられるべきではないかと思いますし、また、これは民族系だけではなくて、もしいつまでも石油業界の収支状況が悪ければ、外資系の企業もここへの新投資を避けるというようなこともあり得ることを考えましても、この点については、やはり早急に対応策を考えるべきではないかというように考えます。
  19. 小柳勇

    ○小柳勇君 森参考人にはバングラデシュの開発から帰られましたが、いままで余り国交のないような国でありますが、将来の見通しについてお聞かせを願いたいと思います。  それから杉本参考人、いまの石油開発公団投融資を見ましても、たくさんの会社が、多いところは二百八十億も投資し、あるいは少ないところは数億のところもあるわけです。たくさんの会社がございます。で、現在の資金力あるいは技術技術人の陣容などを考えまして、なるべく数社にまとまったがよいのではないかと思うが、おたくの方では単独にいまやっておられます、アブダビの方で。その点についての御見解を聞いておきたい。  それから、向坂参考人には二問でありますが、一つは、先般中国の石油の産出について御視察があったようでありますが、近い将来に日本供給をできるような態勢であるのかどうか、一つ。  それからいま一つ、備蓄についてさっきちょっとお触れになりました。アジアの第三国の緊急という言葉をお使いになりましたが、日本国以外に、たとえばアジア地域のどこかに石油基地、備蓄の基地をつくるようなこともお考えの発言であったかどうか。たとえばいま六十日が九十日になって、その三十日がこのアジアの緊急にどう結びついてまいるかということも考えまして、この備蓄の問題については一体どうお考えであるか。いま備蓄法案はこちらには来そうもございませんけれども、この石油公団法の附則の方では備蓄についても出資できるようになっていますから、御意見をお聞かせ願いたいと思います。  以上です。
  20. 森誓夫

    参考人森誓夫君) お答えいたします。  バングラデシュ政府と当社とが、開発公団の大変なお骨折りによりまして開発の契約調印をいたしましたのは昨年の十月の五日でございます。自来、開発の準備をいろいろ進めておりましたが、開発の第一段階は海底の物理探鉱、海上に船を走らせまして、海上で一種のある地震を起こしまして、それで地下の地層からの反応を見て、それによって地下の構造を把握するということですが、その物理探鉱をことしの一月から四月までずっとやりました。一方、地表の調査も、地上の渓谷、山林を私の方の技術者が歩き回りまして、いろいろな地表によって海底の構造を想像できるに足るそういう資料をいろいろ集めていたわけであります。そのようにしまして、海上の物理探鉱の結果が現在いま電子計算機及びそれに基づく総合判断によりましていろいろ解釈されつつありますが、今日までわかりましたところでは、背斜構造の有望なものが幾つかあるということでございます。その構造の大きさも日本周辺には見られないような大きいものでございます。  ただ、この中に本当に石油とかガスが入っているかどうかということは、これはまた別の要素でございまして、背斜構造があるから、大きいからといって必ずしも石油とかガスが出るとは限りませんが、少なくとも石油発見の第一段階である背斜構造の存否の認定という点では、まず合格というふうに思われます。現在そういうような状態でありますが、この十一月から試掘を開始いたしまして、約三年間かかって九本試掘井を掘るということでございます。本当に試掘をやってみないと成功であるかどうかということはわからない次第でございますが、ただいまのところ、私たちは非常な希望を持ちまして作業を続けておるような次第であります。  それでなお、バングラデシュ国方々は、政府の方はもちろん、一般——三流、四流都会の市民の方々も、この石油開発ということがあの国を経済的に自立させる最も有効な手段であるという認識を持っております。それで私も先般、ずっと田舎の方を歩いて、私の方の会社の作業現場を見て歩いたんですけれども、そういうところで会いまする市民が私らに対して大変期待を持っている、あるいは言い過ぎかもしれませんが、ある程度の尊敬といいますか、そういうものすら持っておりますので、その点では私たちは仕事が大変やりやすいと思っております。  しかし、非常に文化施設がとにかく乏しい国で、貧弱な国でありまして、雨が降ると、首都におきましても、政府に対して私らがホテルから電話をしましても電話が通じない。雨が降りますと電話が通じない。これは国内いろいろな、首都からあるいは私らの作業現場である地方に電話をしてもこれはもうだめ。結局通信が非常に不便であります。そのほか、自動車はあっても部品がなくて、もう一時間ぐらい走るとだめになっちゃうとか、この日本ではあたりまえと思われているようなことが、向こうの国ではそこまで持っていくのが大変な苦労である。こういう環境下で私たちの会社の者は希望を持って奮闘いたしておりますことを申し上げます。
  21. 杉本茂

    参考人杉本茂君) 集約化の問題についてお答えいたします。  情報力、技術力あるいは資金力というのが弱い企業であるものが各個別々にやるよりも一緒にやるべきだと思いますが、これは二つに分けて考えなくちゃいけないと思います。  現在、スタートしているものの中には、非常な希望を持ってやっているところもあります。それから、ほとんど希望なく、もうギブアップ寸前になっているところもあります。これらを一緒に集めてやれといっても、希望を持っているところはいやだと言うであろうし、希望のないところは一緒にやろうということを言うだろうと思うから、これを集約をするということは非常にむつかしい。それじゃ、この中で希望を持っている同士が集まり、希望を持っていない同士が集まったって、これはまた無意味じゃないかと思います。  ただし、今後のスタートする部面については、なるべく資金力も強く情報収集力の強いものにやらす。そのスタートのときから集約していくというようなことが必要じゃなかろうか、こういうふうに存じます。
  22. 向坂正男

    参考人向坂正男君) まず、第一の中国原油に関しましては、アメリカの先般の国会での発表を待つまでもなく、今後、中国の原油供給力は相当なテンポでふえていくものと思います。そのうちの一部を、中国との間で長期協定によって輸入をふやしていくということが必要かと考えます。  中国の原油は、最近の状況は、天津あるいは渤海湾、山東半島の両側、さらに黄海においても探鉱が進められておりまして、あるいは調査だけかもしれませんが、要するに比較的日本に近い地域における開発が急速に進められるという状況でございますから、その意味では、日本への供給力というものは相当なテンポでふやし得るのではないかというように思いますし、また日本側から言えば、日中の貿易拡大の基礎になると同時に、日本石油供給の安定性にもプラスがあるという意味で、長期協定によってこれを輸入していくというようなことが妥当かと思います。  ただ、無限にふやせるかというと、日本側の受け入れにも若干の問題がありまして、中国原油の油の性状が非常に重質分の多い性状であり、それから非常にろう分の多い性質でございますから、そういう点で、現在の石油精製装置のままでは、受け入れにはある限度が出てくるということでございます。電力業などにおける生だきにはもちろん適します。しかし、これを精製しますと重油が六割も七割もとれるということで、今後電力用の石油燃料消費量が余りふえませんので、そういう意味では重油の伸びが在来のように大きくありませんので、もし精製装置でこれを軽い部分をたくさんとるというふうな装置をつけませんと、中国原油の受け入れ量にはある制約が出てくるということであろうと思います。それからまた、同時に、インドネシア原油と非常に性状が似ておりますので、この競合をどう考えるか、どちらを選択するかという問題も出てくるかと思います。  それから、第二番目の中間石油基地の問題ですけれども、私は話を端折りましたから、あるいは誤解があるかと思いますけれども国内の備蓄はやはり九十日分まで持っていくということは政策の目標であるべきかと思います。ただ、それと並行しまして、アジアなり太平洋など適当な地域に国際的な共同の貯油基地、またそこへ製油所なども併設するというようなものをつくりますと、これは平常状態でも開発途上国への供給基地になると同時に、緊急事態にもバッファーになるという意味で申し上げたわけでございます。
  23. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 きょうは参考人の方に四点にわたって質問いたしたいと思いますが、質問は短い質問でございますから、ひとつ皆さんの方でも簡潔にお答えをしていただいたら結構でございます。  まず最初に、公団総裁に御質問申したいと思いますが、石油開発公団の目的はもともと自主開発原油の拡大、それから二番目がメジャー依存の体制からの脱却にある、こういうふうに私は理解しておるわけです。ところが、海外、あるいはわが国大陸だなにおける開発の実情は、大半がメジャーとの共同開発であります。しかも、これに対しまして公団からの投融資を受けております。これは公団の本来のあり方からしまして問題があるというふうに私は思うわけでございますが、公団の総裁の意見を伺いたいと思います。
  24. 島田喜仁

    参考人島田喜仁君) 海外でも大陸だなでも、要するにメジャー等と組んでやることは私は必要だと思います。先ほども申し上げましたように、リスク分散の面から見ましても、技術を活用する面から見ましても、経験を活用する面からしましても、共同開発をすることは私は必要だと思いますが、公団投融資対象にしておりますのは日本側の企業でございまして、外国のメジャーには投融資をいたしておりません。
  25. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 外国のメジャーには金を出していないとおっしゃいますけれども日本開発会社メジャー協力というものが生まれますね。外国のメジャーとの協力という形が起こってくると思うんです。したがって、それは日本の金が協力という形でメジャーにも使用されておるということも私は言えるんじゃないか、こういうふうに思います。私は、みずから技術開発をすべきであると、こういうふうに考えております。先ほど総裁は、計画どおりにいかないその理由は、技術が低いからだというようなことをおっしゃいましたが、私は、このようなやり方ではやはりますます技術開発がおくれていくように思うわけです。だから、みずから技術開発に努力してやっていくというのがこれが本筋であって、メジャー依存の体制は技術開発そのものをおくらせる結果になる、こういうふうに私は考えます。しかも、業界はメジャー協力を指向して自主的な技術開発立場に立っていないということが言えます。  たとえますならば、ここに私、一つの資料を持っていますが、日本工業新聞の昭和四十八年八月十七日付の紙上の一部、「石油開発の原点」という表題の一部にこういうふうな点があるわけです。「この際、自主開発などというまぎらわしい概念は、余計である。下手をすれば収奪となり、一たん緩急あればお手あげとなることは、同じである。」、これはあなたの方の会社の常務さんだと思いますが、伊藤治郎さんという方が書かれた文章でございます。これから見ると、あなたのお考え、あなたの公団考え方は少しおかしいんじゃないかと私は思わざるを得ないのでございますが、どうでございましょうか。
  26. 島田喜仁

    参考人島田喜仁君) いまのお名前の出た方は、実は手前どもの職員ではございません。  それから、逆になりますが、実は率直に申しまして、みずから経験のない技術開発——全然経験がないというわけではございませんけれども、何といっても国際的に、国際石油企業というのは大変な技術を持っておりますから、共同をして開発をする場合に、その技術をわれわれは吸収できるというメリットが実はございます。  それから、もちろんその技術をレベルアップしていかなければなりませんけれども、何といってもリスキーな、要するに石油を掘り当てるということをやはり考えますというと、実は共同開発することが決して自主開発の障害になるどころではなしに、自主開発をさらに前進させることになる、こういうふうに考えます。国際的にもメジャー、その他インデペンデントの会社がございますが、こういうものがコンソーシアムを組んで石油開発に実は挑戦しながら競争と協調をやっておるわけでございますから、私は、大陸だなといえども、要するにメジャー等と協調してやることは、自主開発にプラスになってもマイナスにはならぬ、こういうふうに考えます。
  27. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 伊藤治郎さんという方がおたくの石油開発公団の常務ではないというお話ですが、これは私が勘違いをしているんだと思います。ここには「日本石油開発・常務」と書いてあります。私は取り違えておると思いますから、それは訂正いたしたいと思います。  しかし、この伊藤さんのお考えに対しては、あなたはどういうふうな御意見をお持ちでございましょうか。
  28. 島田喜仁

    参考人島田喜仁君) かつて外資系の会社というのは、御承知のように、十年くらい前あるいは数年前までは、やはり日本が自主開発をするといっても、一つ経験がないから、むしろ、非常にリスキーでやけどをしますよ、だから、みずから探鉱開発に挑戦することはやめた方がいいという意見も実はあったわけでございます。  それから同時に、たとえば前のような、最近の産油国資源主権の確立の以前というのは、要するに、先ほども申し上げましたように、石油を掘り当てれば一〇〇%自分の国に、あるいは自分の企業に持ってこれたわけでありますが、その後は御承知のように、事業参加ということがだんだん漸進をしております。おりますけれども、少なくとも開発参加した限りは、油を安定的に持ち込める一つのつながりというのができておりますから、その意味では、要するに産油国がその都度油を売る、それを買うということよりも、はるかに私は安定供給に役立つのではなかろうか、こういうふうに思います。
  29. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 次の質問は四人の方々に御質問申し上げたいと思いますが、過日のパリにおきます石油準備会議は、一次産品の取り扱いをめぐって話し合いされましたが、結局流産してしまいました。その後、キッシンジャー長官の呼びかけもありまして、二回目の準備会議の可能性が出てきております。この会議では、国有化問題が産油国の側から提起される可能性が大きく出てきておると思います。資源主権尊重の立場から、これにどう対処すべきものと考えておりますか、四人の方々の御意見を伺います。どなたからでもけっこうでございます。
  30. 向坂正男

    参考人向坂正男君) ちょっと、何の問題が提起されるかというあたりが聞こえませんでしたので……。
  31. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 第二回目の準備会議の可能性が出ておりますね。この会議では国有化問題が産油国の側から提起される可能性が大きく出てきておると思っております。資源主権尊重の立場から皆さんはどういうふうにお考えになりますか。
  32. 向坂正男

    参考人向坂正男君) 準備会議で国有化の問題が改めて提起されるかどうかは、私はよく存じておりません。しかし、石油に関しては国有化の問題というのは、事実上どんどん、いやおうなく進展していくというふうに私は考えております。
  33. 杉本茂

    参考人杉本茂君) 第二回の準備会議で国有化問題が問題になるかどうかということは、いま向坂先生の言うとおり、まだいまのところわかっておりませんが、国有化問題そのものについて、私、若干意見を持っております。  と申しますのは、せんだっても、アブダビ首長国連邦の石油アドバイザーのイスマイルといういままでの次官だった人が来ていろいろ話し合ったのですが、そのときに、こちらがあることを申し上げたところが、そういう意見はわれわれも持っているということを言われておったのですが……。ということはどういうことかと言いますと、私は、一〇〇%国有化というのは、むしろ政治的なスローガンじゃないかと思います。ということは、一〇〇%国有化ということはなかなかできがたい。それは、むしろ資金その他の問題はいいでしょうが、技術の問題、それから販売機構の問題、その他の問題について急速に一〇〇%にするということはなかなかいかないんじゃなかろうか。  ところが、なぜそれじゃ一〇〇%というような問題がいま提起されているかと言いますと、現在、OPECの中には穏健派のサウジアラビアだとか、あるいはアブダビ連合だとか、クウェートだとかいうふうに、比較的穏健なところと急進的なところとがあります。この急進的なところと穏健的なところとの間の対立は何にあるかといいますと、ポステッドプライスの価格を決める問題が一番大きな論争点になっておったと思います。ところが、その中で穏健派の連中は、やはりキッシンジャーの説得を聞いて幾分かは下げていく、下げていくことによって世界的ないまの混乱状況を仰えていく、あるいはインフレを抑えていくというような気持ちなきにしもあらずだったと思います。  ただし、それに対しては取引条件として、イスラエル問題解決というような政治的問題とかみ合わせているというようなことが考えられると思いますが、その中で、ポステッドプライスの問題を言うていると、急進派の連中はどうしても上げろと言うし、片一方の方はこれを下げろなんてなことをやるとOPECは割れてしまうと思います。それで、一〇〇%パーティシペーションということを取りつけまして、そしてポステッドプライスを廃止して、実現価格で持っていくと。サウジアラビヤなんかはそういうような考えが、ファイサルが殺されるまでは私はあったんではなかろうかと考えられる節がございます。そうして、たとえばハドル五十とか九ドルとかというところで実質的に自分のところがこれで売るんだということになったときには、ポステッドプライスの問題はおのずからそれに引っ張られて下がっていくというようなことになるんじゃなかろうかと。こういうようなところで、国有化問題はむしろ政治的な判断からきた問題じゃなかろうか、こういうふうに考えますから、これを準備会議で出すということは、私はないんじゃなかろうかという考えの方が多いんです。  以上申し上げます。
  34. 森誓夫

    参考人森誓夫君) 一般的な国有化についての意見としては私は杉本さんと同じような考え方をいたします。そして、いま私が主としてやっておりまする東南アジアの地帯では、一層国有化の問題はおそくなってくると思います。相当実力ができなければ、そういうことは具体的には実行できないわけでございます。そういう気運が仮りにあるとしましても、私はやっぱり、日本技術でそういう問題の中にも入り込んでいって、そうして安定供給確保を図るという努力をする余地はまだあるというふうに思います。
  35. 島田喜仁

    参考人島田喜仁君) 私は、産油国の国有化はいつの時点で国有化されるかは存じませんが、一時は、もうすでに今日、きょうあたりは実現されると言われていたときもございますが、いつの時点か知りませんけれども、国有化に向かうことは必至であろう、こういうふうに考えます。  ただ、今度産油国と消費国の準備会議の席上で国有化の問題が出ることはなかろうじゃないか。もうすでにこの国有化の問題というのは、メジャーズとそれから産油国政府との間での話し合いがずっと続いておりまして、メジャーもある時期が来れば一〇〇%はやむを得ないと考えているのではなかろうか、こういうふうに考えます。
  36. 林田悠紀夫

    委員長林田悠紀夫君) 須藤君、時間ですから……。
  37. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 もう一問です。  アブダビ石油杉本参考人にお伺いいたしたいと思います。  自社で開発しているところで、産油国側から国有化するというような申し出があった場合、どう対処する考えかお尋ねいたしたいと思います。  また、資源主権尊重に立つなら、当然この申し出を了解すべきものと思いますが、どのようにお考えなのか、お答えを願いたいと思います。
  38. 杉本茂

    参考人杉本茂君) 先ほどの説明がちょっと足らなかったので、補足していまの御質問と一緒にお答えいたします。  一〇〇%パーティシペーションというのはないだろうと私が言ったのは、実質的なことでありまして、表面的には一〇〇%の国有化ということをやって、後ろでメジャー産油国とがつないでいると。たとえば、サウジアラビアならサウジアラビアの例をとりますと、ARAMCOとサウジアラビア政府とがひっついておって、そしてやはりARAMCOに開発をさせ販売をさせ、名目は一〇〇%のパーティシペーションで、実質上は一ドルとか一ドル五十とかをそのなにが取る、こういうことになるだろうと思います。  アブダビ石油は、いまの国有化の問題ですが、これに対してはいままで何回かあちらと話し合いました。いままでのところでは、六〇%のパーティシペーションどころか一つもやらないと。また、一番初めに御説明したとおり、一番初めの契約を守ってくれるということをやってくれております。もちろん、その国有化があちらの方から言われた場合には、われわれとしてはこれは拒否はできませんから、もちろんそれに対しては、経済的なわれわれのいままでにやったメリットをとって国有化に応ずるというようなことになるだろうと思いますが、現在のところではパーティシペーションもしない、それからもちろん国有化もしない、同時に特別な取り扱いをしてやろう、こういうことをやっています。  これはほかのところから見ると、非常に何か不思議なことのように思われましょうが、あちらの国といたしましても、何も一〇〇%パーティシペーションする、あるいは五〇%、六〇%パーティシペーションしょうというのは、結局そろばんの問題だと思います。したがって、われわれは、先ほど島田総裁から言われたとおり、非常に貧鉱です。非常に貧しい鉱脈。貧しい鉱脈と言うよりも細い細脈ですね。まあ、カッパーその他のところで言えば品度の悪いようなところをやっているわけなんですが、そういう貧鉱を開発している。それを、われわれのところがか一〇〇%取り上げて、あるいは五〇%取り上げてやると開発の意思を失ってしまう、そういうことで、むしろ反対に奨励をしてくれる。奨励をすることによって、やはり、われわれはあの国に年間約百億近くの税金を納めることになるものですから、あちらの方としてもそれの方が得だ、こういう点があると思います。  したがって、各国のいろいろのところで、日本開発会社が行ってこういう問題が出たときには、表面的ないろいろなスローガンというようなことじゃなしに、実質的にその国も得になりわが国も得になるということだったら、話し合ったならば私は解決ができるものだ、こういうふうに考えられると思います。
  39. 林田悠紀夫

    委員長林田悠紀夫君) 他に御発言がなければ、参考人方々に対する質疑はこれにて終了いたします。  参考人方々には、長時間にわたり御出席をいただき、また、貴重な御意見を拝聴させていただきまして、まことにありがとうございました。委員一同を代表いたしまして厚くお礼を申し上げます。  これにて午後一時まで休憩いたします。    午後零時二十八分休憩      —————・—————    午後二時十九分開会
  40. 林田悠紀夫

    委員長林田悠紀夫君) ただいまから商工委員会を再開いたします。  午前に引き続き石油開発公団法の一部を改正する法律案議題といたします。  これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  41. 小柳勇

    ○小柳勇君 まず、大臣に質問いたしますが、昭和四十二年にこの石油開発公団の法律が成立いたしました。そのときに私もこの委員会委員として、三木通産大臣に質問いたしてまいったのでありますが、そのときの政府の意気込みは、少なくとも十年ぐらいしたら二割ぐらいの自主開発をしたい、昭和六十年には三割の自主開発をやるということで、当時の金で四十億出資してまいったことは大臣御存じのとおりですが、その後、公団投融資状況、各会社に対する金の出し入れなどを見てみまして、石油開発公団をつくりましたときのあの政府なりこの委員会の意気込みというものが、どうも実を結んでいないというような気がしてならぬのであります。  特に、最近の総合エネルギー調査会の中間報告では三割自主開発という線を、目標を捨てているように思う。国際石油資本経由の石油協力開発原油及び産油国との直接取引による石油というように入手方式を多様化しておる。言うならば、石油開発公団を中心にする日本の自主開発というものはだんだん後退してしまったように思うわけです。そういうときに、片や備蓄法案など考えて、緊急時には、現在の六十日を九十日にしたいというようなことも考えておられるようです。そして、ことしの予算は一千億の予算を組んだ。昭和四十二年から今日までの投融資合計は約一千六百億のようです。いままで八年間かかって一千六百億使ってまいった石油開発に対する政府の取り組みが、ことしの一年度の予算は一千億円である。ところが、このエネルギー調査会などでは三割開発というこの線を捨てておる。どうもちぐはぐに受け取れる。片や備蓄法案を用意している。片や石油開発公団を中心とする三割自主開発はもうどうも無理ですというように思う。一体、政府石油開発政策というのは那辺にあるかということを私もいろいろ考えるわけです。  したがって、この際大臣は、日本政府は、これから石油についてはこういう方向で確実に需要に間に合わせます、供給させます、こういうような方針をお示し願いたいと思うのですが、大臣の見解を聞きます。
  42. 河本敏夫

    ○国務大臣(河本敏夫君) 自主開発原油昭和六十年までに三割に持っていきたい、この目標は決して放棄したわけではございません。なおその目標は持っておるわけでございますが、残念ながら、現在まで自主開発原油のパーセンテージというものはほぼ一〇%前後でございまして、目標どおり進んでおらぬわけでございますが、なお今後、三〇%ということをめどにいたしまして、努力を続けていかなければならぬということを根本的には考えておるわけでございます。  ただ、むずかしい問題が非常に多うございますので、いろいろな方法を考えていく必要があるのではないか。たとえばGG原油あるいはまたDD原油、こういうものもあわせて安定供給一つの方法として相当今後は大量に考えていく必要がある。と申しますのは、四十二年と現在におきましては、世界石油供給事情というものは根本的に変わっておりますので、当時余り問題にならなかったDD原油とGG原油というものが、非常に大きくクローズアップされておるということを考えてのことでございます。  なお、備蓄の問題でございますけれども、これは現在は六十日の備蓄を持っておるわけでありますけれども、先般の第四次中東戦争直後の石油危機等の経験を勘案をいたしまして、国民経済上どうしても九十日程度の備蓄は必要である、こういう考え方のもとに今回六十日の備蓄を五カ年計画で九十日にふやす、こういう計画を立てまして御審議をお願いしておるわけでございます。そういうことも進めながら、先ほど申し上げましたような三割という自主開発原油を目標としながら、DD原油、GG原油もあわせて考慮していく。要するに、日本石油政策の根本というのは、いかにして必要とする量を安定的に確保して供給を受けることができるかということと、いかにすればできるだけ安くこれを入手することができるか、こういう二つの点だと思うわけでございますが、その二つの点を目標といたしまして、考えられるいろいろなことをひとつあわせ行いながら、その実現を期していきたいというのが根本の考え方でございます。
  43. 小柳勇

    ○小柳勇君 午前中の参考人の御意見の中で、島田総裁意見では、意欲はあった、ただ金の面もあるいは陣容の面も貧弱であった、ただ他に責任を転嫁するのではないけれども、この石油開発公団というものが活動できなかった、意あってこれを実現できなかったということもいろいろ言葉の中に感じました。いまここに八年ぶりに根本的に機構を強化して、しかも融資を増強しようとしておるのですが、今日までのこの石油開発公団の足らなかった点といいましょうか、今度この改正に乗り出しました根本的な問題はどこにあるのか、大臣並びに長官からも聞いておきたい。  もう一回繰り返しますが、いま八年ぶりにここに石油開発公団法改正が出される。今日までの島田総裁参考人としての意見では、金の面も陣容の面も足らなかったということがうかがい知れる。もちろんこれを拡充する点もありましょうが、今度の改正法はもっと根本的に改正したいという意欲があるのではないかと思うわけです。したがって、今度この改正法を出しておられる大臣——改正に対する趣旨はわかっています。この趣旨はわかっていますけれども、一番大きな柱は一体何であるかお聞きしておきたいんです。
  44. 河本敏夫

    ○国務大臣(河本敏夫君) 石油開発公団法ができましてから八年の成果は、御指摘のように私も不十分であった、こう思います。その原因といたしましては、非常に立ちおくれてスタートしたということ、それからさらに、交渉力において非常に劣っておったということ、あるいはまた、技術の面でも技術者の数が非常に少ない、あるいは資金力もこれまで八年の間に合計千六百億である、ことし初めて千億台にのせたわけでありますが、資金の量にいたしましても、メジャーあたりに比べますと一けた少ない、あるいは場合によっては二けたも少ない、こういうことも言えるのではないかと思うわけでございます。そういうことで、残念ながら所期の目標が十分達成されなかったということは私どもも反省をいたしておるわけでございますが、こういうことではいけませんので、この際ひとつ思い切った改正をいたしまして、日本石油政策を進めていきます上におきまして大きく飛躍しなければいかぬというのが、今回改正をお願いしておる根本の目標でございますが、特に大陸だなの開発であるとか、日本近海及び大陸だなの開発であるとか、あるいはまた産油国に対する探鉱等いろいろな積極的な協力、それによるところの安定した供給を受けるという、そういう形での協力と、まあそういうことを中心といたしましてお願いをいたしますと同時に、先ほど申し上げましたような、備蓄面におきましても公団がある程度のことができる、こういうことをお願いしておるわけでございます。  なお、詳細につきましては長官よりお答えをいたします。
  45. 小柳勇

    ○小柳勇君 長官の答弁を聞く前に、もうちょっとつけ加えて質問いたしますと、今回までの投融資の実績の表をここに概略を持っていますがね、私も。それで、一千六百億、先日、藤井君の質問で一千六百五億とおっしゃったのですが、八年間でそれだけ投資いたしまして、生産できたものもあるし、探鉱中のものもある、これからのものもあります。それで、簡単に計算はできないでしょうが、たくさんの会社に金を貸してある、投融資してあります。その投資効率ですね、ああこれでよかった、いやもっと選別して、たとえば五社で探鉱したいなら、五社を統合してそこに金をばっとこうまとめてやるとか、技術陣も世話してやるとか、もう少し投資効率を考えて投資すべきであったとお考えになるのか。いままではもうこれは最善でした、これからまた考えますとおっしゃるのか。これからの根本的な石油政策にも関連して、今日までの石油開発公団のやりました仕事ぶりについても御意見を聞かしていただきたいと思うんです。
  46. 増田実

    政府委員(増田実君) 石油開発公団昭和四十二年に発足いたしまして、現在約八年経過いたしております。その間の事業を振り返ってみますと、確かに先生から御指摘ありましたように、不十分な点というものがいろいろ出てきております。その意味では、この石油開発公団探鉱に対しますいわゆる融資による推進というものを、もっと規模を大きく、早くからやるべきであったんではないか、こういう点の一つの反省もございます。  それからまた、いま先生からもおっしゃられましたように、開発いたしますいわゆる民間開発企業の体制が相当弱いという点がございます。これにつきましては、よく言われますように、各プロジェクトについてそれぞれ一つずつの会社ができておるということで、これが必ずしも技術力、資金力その他においても十分でない。その意味で、私どもといたしましても、この八年間の石油開発行政に対する反省といたしまして、もっと強力な会社石油開発に当たりまして、これを強力に推進するという体制をつくっていくべきではないか。昨年の総合エネルギー調査会石油部会の「中間取りまとめ」の答申におきましても、石油開発の重要性を指摘いたしますとともに、今後の石油開発体制として、中核的な強力な石油開発会社というものを期待するという内容の答申をいただいておるわけでございますが、そういう点につきまして、従来の体制が必ずしも石油開発という大きな、ことにリスキーな事業に当たるのにとっては、これを強力に行うためには不十分な点もあったんではないか。  ただ、すべてこのワンプロジェクト・ワンカンパニーという体制がだめかということになりますと、これはいろいろなプロジェクトの特殊性もございます。そういうことで、たとえば、メジャーズが相当な資金その他をもって各地域開発を行いますに当たって、やはり小会社という形で一つ一つプロジェクト別に会社を立てている例もございますので、やはり実態に合わしてこれを判断しなければならないと思います。しかし、いまの例で申し上げましたメジャーズが背後にあってその小会社開発するというのと、それから、日本におきましてはワンプロジェクト・ワンカンパニーと、まあ形は同じでありましても、その背後の資金力、あるいは技術力というものにつきましては、このメジャーズがワンプロジェクト・ワンカンパニーという形でやっておりますのと、日本がやっておりますのと質的に相違があります。そういう点についても、これらについて今後、やはり石油開発というものを日本がさらに強力に打ち出すためには、その点についての改善を要するものがあると思います。
  47. 小柳勇

    ○小柳勇君 この表を見まして、開発会社が四十数社ございますが、これが大小さまざまでございます。金の投融資の面も、二百八十億も融資したのがあるかと思うと、数億、四億ぐらいしかない会社もございます。まあ専門的に皆さんが見ておられるから、ずさんだとは言いませんけれども日本技術者ですね、探鉱技術者、生産技術者、あるいは精製の技術者は、一体どのぐらいですか、現在日本では。
  48. 増田実

    政府委員(増田実君) 現在の石油開発の関係の技術者について申し上げますと、大体日本技術者、これは専門学校あるいは大学以上で石油開発関係の科目を終了いたし、その後この石油開発技術に当たっておるという技術者の数を申し上げますと、大体五百六十人から六百人ということでございます。これは、内容的には地質とか物理探鉱、それから輸送の専門家、それから井戸掘りの、いわゆる削井と申しますが、の専門家、これを合計いたしまして、五百六十人から六百人というのが日本技術者の総数でございまして、これにつきましては、たとえば、米国のエクソンは、一社だけで三千人ぐらいのいまのような技術者がいるということに比較いたしますと、非常に少ないわけでございますが、これは、日本が従来、国内では若干の石油は新潟、秋田その他で生産しておりましたんですが、海外には自力では出てないということで、こういう石油開発技術者というのが非常に少なかったという点にこの相違があるわけでございます。いずれにいたしましても、日本技術層が非常に薄いということは否定できない事実でございます。
  49. 小柳勇

    ○小柳勇君 たとえば六百人いましても、四十社で割りますと十五人ですね、一社平均十五人しかございません。これだけ広い地域で、しかもこれからなお三割の自主開発を捨ててないとするならば、それだけの技術屋を分散しないで、百なり百五十なり、四チームぐらいにしてやるという方法もございましょうけれども、けさのアブダビ石油社長意見では、まあ統合することも必要ですけれども、夢のある技術者を全部集めるのは、大きなまた夢になりますが、夢のない技術者を集めてもしようがありませんと言われました。いろいろ事情ありましょうが、もう少し機動的に、国が国是として、国の方針として、何年ごろにはどのくらい開発するという目標を定めて、これに技術陣の統合なり、あるいは会社の統合なり、もう少し組織ある統合的な石油開発が必要ではないかと思う。  したがって、これに対する大臣の見解を聞きますとともに、今日まで四十数社に石油開発公団に任して金を出さしておりますが、これは何か基準があるのかどうかですね。基準があって、この金を四億、五億とか、あるいは十億とか、百億とか出すのか、もう公団に任せっきりで、金がずっと投入されておるのか。たとえば、ここには技術員が十人だから、このくらいの仕事ができるだろうと、陣容なり会社の現在までの能力なりを勘案して金が出ておるのか。あるいはその地域の、ここにはありそうだ、だからひとつ百億出しましょうとかというようなことで、だんだんそれにつれて会社が大きくなっていくのか、それはどうですか。通産省の方針はどうですか。
  50. 増田実

    政府委員(増田実君) 公団投融資いたしております実績の中に非常に金額の少ない、たとえば四億とかいうのから、その他百億を超える規模のものもございますが、こういう投融資をどういう基準でやっておるかということについてお尋ねでございますが、石油開発公団投融資いたしますときには、この投融資の申し込みを受けるわけですが、この申し込みの際には、その会社がいかなるプロジェクトを持ち、いかなる計画を持っておるかということを審査いたすわけでございます。その際には、この融資を実行することによりまして、今後開発可能性がどうかということを、これは厳重なる審査をいたしておるわけでございます。そういう意味におきまして、やはりこの開発会社にはしっかりした技術者もいて、それから資金力については今後どれくらいの資金調達能力があるか、これらについても審査いたしておるわけでございます。  ただ、先ほど申し上げました非常に金額の少ない投融資計画投融資実績というものがあるわけでございますが、これは最初に、必要資金といたしましてはいわゆる物探と申しますか、最初の調査だけをまず始めまして、それから試掘を始めるということで最初の調査の調査費を最初に出した。ところが、その後いろいろな事情でその先の試掘に進まないということで、まあ四億にとどまっているという会社があるわけでございます。大体、公団から投融資いたしますに当たりましては、計画全部の金を最初から投融資いたしませんで、計画に見合って投融資をするということで、先ほど申し上げましたように、開発の最も初期の段階の分の融資をして、それでとどまっておるというのが非常に金額が少ないわけでございます。  それから、先生のお尋ねの、つまり各会社審査というものに当たりましては、先ほどの繰り返しになりますが、技術力、資金力、それから計画の妥当性、その他を十分審査いたしまして投融資決定をするということでやっておるわけでございます。
  51. 小柳勇

    ○小柳勇君 少し小さい問題ですけれどもアブダビ石油開発の将来、それからバングラデシュの開発の将来については、通産省としてどうとらえていますか。
  52. 増田実

    政府委員(増田実君) アブダビ石油につきましては、けさほどアブダビ石油杉本社長から参考人としていろいろ陳述ございましたが、アブダビ石油の当初計画に比べまして、先ほども話が出ましたが、実際の現在の産出量は当初に比べてはやはり数分の一であります。これは当初、ADAMAの放棄した鉱区というものを取得いたしまして、これに対して各種の物探をかけたわけでございますが、そこに相当有望な構造があるということでこれの開発に踏み切ったわけでございまして、試掘井では相当な成功率であったわけですが、まあその結果、構造が思ったよりは小さいということで、現在のアブダビから出ております数量は、けさも出ましたように、二万五千バーレル・一日当りということでございまして、まあ規模としては相当小さい規模会社でございます。そういう意味で、私どもが期待していたほどの規模石油生産はできておりませんが、ただ、資金的には先ほども杉本社長から話ありましたように、原油の値上がりその他で相当採算に合っているという形になっております。  ただ、けさも小柳先生から御指摘ありましたように、そのパーティシペーションというものが今後どうなるかということで、現在のところはパーティシペションの問題は出てきておりませんが、これの今後の成り行きいかんではやはり採算的に問題が出る。非常にまあ規模が小さいということでございます。  それからバングラデシュでございますが、これもバングラデシュの森社長から参考人として陳述がございましたのですが、現在の物理探鉱を終えました段階では、相当有望ではないかということが言われております。いろいろのいわゆる石油が出ます背斜構造が相当発見されております。これにつきましては、ことしの十一月から実際の試掘をやってこの石油存在を確かめる。それで、現在のわかっております構造から石油が相当あるということでありますと、これが非常に有望なプロジェクト発展するということで、私どもも、東南アジア地域におきます一つの大きな計画ということで大いに期待をかけておるわけでございます。
  53. 小柳勇

    ○小柳勇君 石油開発公団をもう少し強化して、少なくとも日本石油の必要な面については全面的に責任を持つというような、そういう公団ができないかとけさ公団総裁に言ったんです。総裁としては現状をよく考えておられて、現状ではそういうことはできないと言われました。それはそうだと思うのですが、先ごろの石油危機以来、石油、食糧などですね、これは民間会社に任しておけないというのが国民の声ではないかと思いますね。石油の需給度、食糧の需給度は同じです。で、まあ備蓄の問題についても、そういう面で反対する者はいないのですが、そこで石油開発公団をもっと根本的に強化して、開発生産あるいは消費の面にも一貫してこの投融資ができて、しかも指導といいましょうか、介入ができるような公団をつくるべきではないか、そう私どもはいま思うわけです。  実はこの間、ここの委員会で、シベリヤガスの開発で安西さんが、東京瓦斯の社長が代表でソビエトの政府の高官と調印された、こういうときは石油開発公団がやるべきではないかということを私は発言いたしました。まだそれまではそういうようなことも考えてなかったようでありますが、今回のこの改正では、石油、ガスについて公団が広い範囲において折衝できるようになっておるが、大臣の見解を聞きたいのは、これは後で、最後の締めくくりのところで質問したいのですけれども、きょうの参考人意見にも最後に結論が出ております。相手国が、公団政府の方が信用する場面がたくさんある、そういうときは公団政府が前面に出て締結してもらって、あと仕事を民間の会社にやらしてもらいたいということが言われております。  今回のこの改正では、そこまで石油開発公団を強化しようとは考えておられぬようですね。中途半端のように思うのですよ。だからこの際、ですから食糧需給と同様に、石油の需給については石油開発公団が責任を持つ、もちろん政府の指導によって責任を持つ、そういうような体制まで漸次機構を充実していくべきだと思うのです。いろいろ欠陥もありましょう。特にいまの陣容などを考えたらできませんが、近い将来にそこまで石油開発公団を充実すべきだと思うのですが、大臣の見解をお聞きしたいのです。
  54. 河本敏夫

    ○国務大臣(河本敏夫君) わが国におきましても、この石油政策を進めていく上において、アメリカまたは英国のメジャーのような強力な企業が存在するということが非常に望ましいと、私どもも強く考えておるわけでございます。ただしかし、現在の石油開発公団を直ちにそういう方向に持っていく方がいいのかどうか、ここには大きな問題がありまして、現在のところそこまでは考えておりません。現在のところは、いまお願いをしておる内容の程度しか考えておらぬわけでございますが、基本的には、強力な企業が日本にも存在してほしいというのが私どもの強い願いであります。
  55. 小柳勇

    ○小柳勇君 これは日中経済協会の会報ですけれども、これで中国石油開発の現況というものの調査団の報告がなされています。この中国の石油開発及び石油日本に輸入する、中国の原油の輸入などについても近い将来に問題にしていかなきゃならぬと思うんですけれども、まず、この中国石油原油の輸入についてはどうお考えか、大臣の見解をお伺いしたい。
  56. 河本敏夫

    ○国務大臣(河本敏夫君) 御案内のように、昨年は約四百万トン中国の油を輸入をいたしました。ことしは七百八十万トンの予定をいたしております。ただ、この油の性質が特殊な油が多い関係上、おのずから輸入にも数量的に限度が出てくる。それから、さらにまた、インドネシアの油と品質が非常に似ております関係で、それとのバランスというものを考えなきゃいけない、こういうことから、中国の石油を将来どの程度輸入するのが一番よいかということ等についていまいろいろ検討しておるわけでございますが、石油政策全般とのバランスにおきまして、まだ結論は出ておらないわけでございます。
  57. 小柳勇

    ○小柳勇君 今回のこの法律改正で、中国やあるいはソ連など特に社会主義国との石油、ガスの交渉、貿易交渉などについては石油開発公団が前面でできる、こういうように解釈してよろしいですか。
  58. 増田実

    政府委員(増田実君) 中国あるいはソ連との間に石油開発契約を石油開発公団が直接結ぶというのが、今回の改正一つの直接利権取得でございますが、それに当てはまるかどうかという点につきましては、私どもは中国及びソ連に対してこの規定が発動されることはないんじゃないか、こういうふうに思っております。  と申しますのは、中国につきましては、この石油開発は自力更生と申しますか、みずからの手で掘るということで、先般、私どもの次長が中国を訪問いたしまして、いろいろの基本的な問題について話し合いをいたしましたときにも、中国側は、石油開発はみずからの手でやる、ただこれについて、技術的な協力というものについてはこれは受ける用意があるけれども、少なくとも掘ることについては全部みずからやる、こういうことでございます。ソ連につきましても大体似たようなことでございますが、ただ、いわゆる融資買油方式が今回の改正点の中に一つ入ってございます。その国がみずから石油開発する、あるいはその国の石油開発会社——政府機関でございますか、この石油開発政府機関が掘る場合に、日本側から資金的な援助をしまして、そしてそれを石油で将来引き取る、こういう形は可能じゃないかと思いますが、ただこれにつきましては、今後それぞれの国の政府と十分に話し合いいたしませんと、向こうの意向はまだよくわかりませんものですから、ここで直ちにソ連あるいは中国に対し新しい契約というものを石油開発公団みずから行うということは現段階では私は余りないんではないか、こういうふうに思っております。
  59. 小柳勇

    ○小柳勇君 現段階ではないにしろ、この法律改正の趣旨の第一が、石油開発公団海外の利権を獲得して、その後民間の方に権利を譲り渡すというふうに趣旨説明がなされていますね。だから、原則としていままではそういうことはやらなかったけれども、これからは外国の石油利権との交渉公団が前面に出てやる、その利権が確立した上でこれを民間会社に譲渡する、そういうように改正したいんでしょう。その点どうですか。
  60. 増田実

    政府委員(増田実君) 日本石油開発公団がソ連あるいは中国の政府といろいろ直接交渉いたしまして、そこで石油開発に関する何らかの取り決めが行われるということであれば、今回の改正には乗るわけでございます。そういう意味で、これはこれに対する実例にはなりませんが、現在ソ連との間でサハリンの、旧樺太の大陸だなの開発につきまして、日本とソ連、それにアメリカが加わりまして、三者協力してこの開発を行うというプロジェクトがあるわけでございますが、これにつきましては、これは相当公団が前面に出ましていろいろな交渉もいたしたわけでございます。ただ現実には、石油開発公団とソ連政府との間の契約ではございませんで、サハリンの石油開発会社というものを日本につくりまして、これとソ連政府との間の契約でやっております。もしソ連政府が希望いたしまして、契約の当事者として石油開発公団でやってくれ、それからその後は適宜会社をつくってそれを当事者にするという、現在の改正点のいわゆる直接利権取得の形のものが可能かどうかということであれば、私は、それは今後の可能性としてはあり得ると思います。
  61. 小柳勇

    ○小柳勇君 それじゃこの改正趣旨の第一の、海外石油利権については開発公団がやりますと。で、利権がちゃんと協定が成立したら、後、民間に譲りますということは、具体的にはいまどういうことを考えておられますか。
  62. 増田実

    政府委員(増田実君) 具体的に考えておりますのは、従来の経験によりまして、石油開発交渉をいたすときに、先方の政府あるいは先方の国営機関というものが日本側に対しまして、石油開発公団交渉相手にいたしたいというのがいろいろ出てきておるわけでございます。そういう意味で、石油開発公団も設立されまして相当の時日がたっておるわけでございますが、それだけの世界における知名度も出てきております。そういう意味で、新たにそこの国と、その国における開発をする会社でなくて、まず最初に石油開発公団と契約をいたしたい、そしてこの契約がきちっと結ばれたら、後、日本において設立された会社が実際に今後の開発を担当する、こういう形を想定いたしまして今回の改正をお願いいたしておるわけでございます。  具体的に申しますと、けさほど話のありましたバングラデシュにつきましても、これは実際には、当初は石油開発公団とバングラデシュ政府との間でいろいろ交渉が行われたわけでございますが、このいまお願いしています改正前でございますから、現行法では石油開発公団みずからが契約できないということで、一応ほとんどすべての契約条項ができ上がったところで急遽会社をつくりまして、その会社の名前で契約をさした、こういうことでございます。若干不自然なところがあったわけでございますが、この改正が御審議の上、これが成立いたしましたら、今後はそういう場合は、石油開発公団がまず契約をいたしまして、そしてその後、私ども考えておりますのは、一年以内に今度は石油開発を担当する会社にそれを譲り渡す、こういう形でやっていきたいと思います。そういうことで、私ども考えておりますこの改正の実際の必要性と申しますのは、先方、相手国が石油開発公団交渉相手として望む場合と、それからもう一つは、日本側の方の会社の設立がおくれて、そして時間的には間に合わないというときには石油開発公団が契約の当事者になる、こういうことで今回の改正点をお願いいたしておるわけでございます。
  63. 小柳勇

    ○小柳勇君 そこで、先般大臣からもそういう趣旨説明がありましたから、今度の法律改正によって石油開発公団探鉱なり、あるいは生産の相手国とのいわゆる言うなら石油利権の協定ができる、後は会社にやらせる、自分ではできませんでしょうから会社にやらせるということの改正だということがありましたから質問しているわけですが、それではシベリアガスの開発ども、東京瓦斯という一法人がソ連の政府の機関と協定しないで、開発会社が協定をして、これを民間会社に輸入の仕事を任せるとか権利を譲渡するとか、こういうことが至当だと思うが、その点はいかがですか。私はまだ、この前大臣から答弁ありましたけれども納得できぬのです。東京瓦斯の社長が、ソ連の政府とガスの二十数年にわたる取引の協定をやられることについては問題だと思うわけです。だから、今回のこの改正によって、やろうとすればそれもできますかと念を押して聞いておきたいんです。
  64. 増田実

    政府委員(増田実君) ヤクート天然ガス開発プロジェクトでございますが、これにつきましては、金額はいろいろ変わってきておりますが、現在のところは日本から三十億ドル余の信用供与を行いまして、これに基づきまして、ソ連側が日本に一定量の天然ガス長期にわたって供給保証する、こういう契約でいま進行中なわけでございますが、これにつきましては、日本側のたとえばこれは当事者は東京瓦斯が当たっているわけでございますが、東京瓦斯がヤクートの天然ガス開発に当たるという形にはなっておりませんので、そういう意味で、石油開発公団開発のための一つの契約の当事者になるという形とは若干実態が違うというふうに思うわけでございます。  繰り返して申し上げますと、この開発につきましては、探鉱開発段階につきましては、これは全部ソ連側が行うということになっておりまして、日本側は資金を供与する、そして、それによりまして将来の天然ガスを受け取る、こういうことでございますので、むしろ探鉱と申しますより、その開発段階に移っておりますものをやっていくということで、石油開発公団探鉱資金供給とは若干性格が違うということでございます。  当初確かに私どもも、ソ連の天然ガスというものを日本の重要な供給源にすべきだ、そういう意味で、これを非常に重要なプロジェクトというふうに考えておりましたし、またこれにつきまして、ソ連は、いわゆる政府が全部当事者になってやる国でございますので、そういう意味で石油開発公団が前面に出て契約をするということも、私どもは内部ではいろいろ議論もあったわけでございますが、実態から言いますと、開発資金の供与ということで石油開発公団が行っております、いわゆる探鉱段階資金の供与と若干性格が違うんじゃないかということで、現在のように石油開発公団が前面に出てない形でやっておるわけでございまして、今後の資金供与もおそらく輸銀が対象になる、こういうふうに考えております。
  65. 小柳勇

    ○小柳勇君 もう一つ具体的な問題を、これはだめ押しですけれども、衆議院の段階でも論議されたと聞いております韓国の大陸だなと日本との共同掘進、共同開発はこの開発公団ではやらないということが衆議院の委員会で確認されたようでありますが、それは確認しておいていいですか。
  66. 増田実

    政府委員(増田実君) 石油開発公団探鉱資金投融資対象といたしまして、従来からも大陸だなはやっておったわけでございますが、今回の改正では、これを領海を含めて日本周辺大陸だなと、こういうことになっておるわけでございます。そういう意味から言いますと、法律上は先生のいまおっしゃられました日韓大陸だなの共同開発というものが、これは協定が成立しませんとできないわけでございますが、協定が成立してできるような形になれば、石油開発公団がこれに対して投融資を行い得ることは、これは従来からも行い得ましたし、まあ今回の改正とは関係ないわけですが行い得る立場にあるわけでございます。  ただ、衆議院でこれは大臣からも御答弁申し上げておるわけでございますが、日韓の大陸だなにつきましてはいろいろの紛争が起こりそうだ、ことに中国との問題がいろいろございます。それで、この紛争が起こっている間、また、非常な紛争が起こりそうな期間内には、これはやはり石油開発公団がそういう紛争のある地域に対して投融資を行うのは不適であるということで、その間は差し控えるということをお約束申し上げた次第でございます。
  67. 小柳勇

    ○小柳勇君 それでは、国際紛争の予想されるようなところでは、この法律はできたけれども共同開発は差し控える、こう確認していいですね。
  68. 増田実

    政府委員(増田実君) 国際紛争のあります間は、これは日本がこれについてどちらかに加担するということになりますので、政府機関が行います投融資としては不適だということで、その間は差し控えるということにいたしております。
  69. 小柳勇

    ○小柳勇君 そこで、一つ石油精製の各会社調整などをモットーにして石油自由化の時代からできました石油業法の改正について、長官は衆議院の商工委員会で、石油業法の見直しも考えなければならぬということを答弁されておるようでありますが、これはいつごろになりますか。
  70. 増田実

    政府委員(増田実君) 衆議院で御質問がありましたのは、石油業法は、昭和三十七年にできたわけでございますが、その昭和三十七年の石油の国際環境が現在一変しておる。それでそれに基づいて、現在の石油業法が現在の時点においてもそのままいいかどうかという問題の御指摘があったわけでございます。それに対しまして私が答弁いたしましたのは、現在通産省の中で石油業法の見直しというものを内々検討しております、つまり、現在の時点、石油をめぐります国際環境が非常に変わっております時点において、現在の石油業法がそのままでいいかどうかということについて検討しておりますということを御答弁いたしたわけでございまして、直ちに石油業法を改正して、これを国会に提出するという予定ではございません。ただ、検討は進めているということを御答弁いたした次第でございます。
  71. 小柳勇

    ○小柳勇君 さっきからのやりとりにも関連しますけれども海外石油開発事業というものが非常にたくさんありますね、四十数社。これを野放しにしておくよりも、一年間一千億もこれから投融資するんですが、もう少し会社を整理して、統合して、それで投資効果がうんと出るように、それには石油精製会社ども整理すべきではないか。その制限する、整理する権限を政府がちゃんと持つというようにこの石油業法を改正すべきではないか。今度の公団法改正に沿ってもう少し民間会社が野放しにやらないように、片一方は公団は強くする、民間会社の方は規制する、そうして自然と技術陣などを統合して投資効果がうんとあらわれるように、そしてなるべく早く三割自給体制がとれるようにすべきではないかと思うが、そういう意味における石油業法の改正が必要ではございませんか。
  72. 増田実

    政府委員(増田実君) いま先生から御指摘がありましたような石油開発会社の統合強化をいたすために、石油業法を改正して、海外において石油開発をする会社に対する施策というものを法律を通じてやったらどうかということでございますが、これにつきましては、私どもはいま先ほど申し上げました、内々で石油業法の改正の必要性について検討いたしております中には入っておりません。  それで、ただ、いまおっしゃられた問題点はこれは重要な問題点で、今後の石油開発のあり方についての基本に関係する問題でございますが、これを石油業法でやっていくことでなくて、私どもは、現在石油開発公団投融資をいたしますときには、これは相当国の政策というものを反映して投融資決定を行っておるわけでございますので、そこでいけるんじゃないか。ですから、新たに石油業法の改正とかあるいは石油開発促進法という別の海外開発に関する規制法というものをやらなくても、石油開発公団投融資のやり方でこれはやっていけるんじゃないか、こういうふうに思っております。ただ、この石油開発会社を統合したり、また強力な石油開発会社をつくるということにつきましては、そういう規制とかということよりも、やはりこれに対する推進策とか、これに対する国家補助のやり方その他を通してやらなければ、なかなか効果が上がらないんじゃないかというふうに私は考えておる次第でございます。
  73. 小柳勇

    ○小柳勇君 午前中岩動委員が質問された中で、いまの日本の精製業者が赤字である、損している、そういう話がありました。新聞でもそういうことを書いてありますね。現地で生産する方も野放しでばらばらでやっていますね。それから精製の方ももう自由にやっておる。そこで、メジャーと競争してやっていって追いつかない。力が、もう全然資本力が足らないというようなことも一つの赤字の原因ではないか、こんなものが日本石油消費する国民に非常に大きな物価上昇なり石油の値段の上昇を招いておる。だから、石油ショックやった後ですから相当荒療治をやりましても、国民は納得するんじゃないかと思うんです。  石油開発公団法改正も、あの石油ショックがあったから出たんじゃないと思うのですね、私は。生まれて八年というから大体いまごろやらなきゃならぬと思っておったが、たまたまちょっとこれは出てきたんだと。ところが、一昨年のあの石油ショックがありまして、国民は、石油問題については相当な荒療治がこの際なされましても納得できると思うのです。安心して安い石油が、原油が手に入るなら納得できると思う。商売人の方も、もうけるときにはもうけますけれども、損するときもありますからね。国会や政府がそう言うならこの際やむを得ぬと思うでしょうから、この際そういう精製業者の整理統合なども考えなきゃならぬと思うが、この点で検討されたことがありますか。
  74. 増田実

    政府委員(増田実君) 石油精製業界がいま非常に赤字である、それから石油業界のあり方が、相当会社の数が多くて、現在元売十三社、それから精製会社が三十数社になっておるわけです。これをもっと統合して、そうしてその非常に貴重なエネルギー供給者である精製業者、元売業者の再編成をすべきではないかということでございますが、これにつきましては、総合エネルギー調査会の去年のいわゆる石油に関します政策の答申の中でも、これについて今後考えるべきだということで、それについては業界から自主的にその案を出させるか、あるいは政府が相当イニシアチブをとってこれを断行すべきか、いろいろ議論があるということで、相当強い調子で書かれておるわけでございます。これが石油精製業の再編成の問題でございますが、現在までのところ、いろいろの動きはこれはないわけはございませんが、まだ業界からは、この石油再編成についての一つの自発的な動きというのは出てきておりません。  それから、現在のままの石油業界というものが非常に赤字体質になっておりまして、これは石油危機の始まります前におきましても、一般の産業に比べまして非常に利益率の低い業界でございます。ことに民族系と外資系と両方が占めておる業界でございますし、また、性格的には非常に競争の激しい業界でございますので、それを受けまして利益率は非常に低かったわけですが、これが最近になりますと、全石油会社は、二、三の例外は別としまして、ほとんど全部が赤字になっておるわけでございます。そういう意味で、現在の石油業界のあり方がこれでいいのかどうか。先ほど申し上げましたように、このエネルギー供給者、ことに、非常にいま大事な石油供給する任務を日本経済の中でも担っております石油業界がこのままでいいのかどうか、これにつきましては、私どももやはりこのままでは非常に体質的には弱くなって、そうして将来、いろいろな意味においてその影響が出てくるんではないかということで、これの再編成の問題につきましてはいろいろ話し合いをしていきたい、こういうふうに思っております。
  75. 小柳勇

    ○小柳勇君 この際ですから、政府の業者に対する介入なぞという逆の批判もありますけれども国民が安心できるように、特に食糧自給体制と石油需給体制は、ここ数年間はもう政府の責任じゃないかと思う、国会の責任じゃないかと思いますので、持にひとつ留意をして、これからの成り行きを見守ってもらいたいと思うわけです。必要があれば直ちに石油業法の改正などやってもらって、そうして、もちろん赤字で業者がやるはずはありません、やらせるわけにはまいりませんから、損をしないで、しかも国民に安心して石油供給できるような体制をつくってもらいたい。  次は備蓄の問題です。  石油備蓄につきましては、共同備蓄会社の行う事業に対する投融資業務が今度改正でできるようになりましたが、これをこの法律の附則で決めているということはどういうことですか。
  76. 増田実

    政府委員(増田実君) 現在この石油開発公団法改正で、石油共同備蓄会社に対します出資、融資の機能石油開発公団に与えるということで、この改正を附則でお願いいたしておるわけでございますが、これにつきましては、この業務が一応昭和五十四年度末をもって九十日の備蓄を終了させるということになっておりますので、石油開発公団法のいわゆる十九条の本来業務の中の一つに書くよりは、やはり立地的な性格があるということで附則にいたしたわけでございます。ただ、この仕事につきましては、これは五十四年度では終了いたしませんで、その後それにつきましての融資の回収とか、その他いろいろな問題があると思いますが、性格的にはまあ五年間で九十日備蓄に持っていく業務でありますので、法制局ともいろいろ相談いたしまして、やはり附則で掲げておいた方が適当ではないか、こういう御意見がありましたので、私ども政府原案の中には附則で入れた、こういう経過になっておるわけでございます。
  77. 小柳勇

    ○小柳勇君 この法律が、こちらにこの国会で来るかどうかについてもまだ問題のようでありますけれども共同備蓄会社構想というのはどういう形を予想しておられるか、その会社はどういうメリットがあるのか、御説明を願います。
  78. 増田実

    政府委員(増田実君) 共同備蓄会社で私ども考えておりますのは、複数の石油精製企業——これは備蓄義務を負わされるわけでございますが、それが共同出資をいたしまして、そして各プロジェクトごとに設備される会社、ですから、これは民間の会社ということでございますが、これに対しまして現在改正でお願いいたしておりますのは、これに石油開発公団が半額の出資を行うということで、民間とそれから政府機関との共同出資という機能をとりますことにより、この法人はいわゆる第三セクターということで考えておるわけでございます。  共同備蓄会社の業務内容でございますが、これは備蓄用地の取得、それから造成いたしまして基地を建設するということで、石油企業の備蓄原油の保管を業務といたす、こういうことで考えております。  それで、これにつきましての事業活動でございますが、これは経費は、保管料を取ることによりまして参加企業の負担をさせる。しかしながらこれについては一応、いわゆる利潤を目的としないノンプロフィット・カンパニーという形で持っていきたいというふうに考えております。石油備蓄を六十日から九十日に持っていきますのに当たりましては、現在、石油会社がすでにタンク用地として取得している用地も相当ございますが、しかし、それだけでは九十日備蓄は達成できない。それから、石油会社が自分だけで基地を建設するということについて困難もいろいろございますので、むしろこういう形の第三セクターの会社をつくりまして、そして石油の備蓄を推進する、こういう考え共同備蓄会社の構想ができたわけでございます。
  79. 小柳勇

    ○小柳勇君 臨時的だとおっしゃいますが、臨時石炭対策本部は通産省設置法の三十六条、本則に規定してあるんです。法制局が法律上とおっしゃると、私どももこの法律の技術的な面では言いたくないが、それは何か軽く考えてあるような気がしてならぬのですね、備蓄法というものを。一体、現在より三十日間の余分の備蓄をするのにはタンクの建造、それには用地が伴いますが、その五カ年でできると考えておられるかどうか、見解を聞きたいんです。
  80. 増田実

    政府委員(増田実君) 九十日目標を五十四年度末、五カ年間で達成するという計画になっておりますが、これができるかできないかというお尋ねに対しましては、私はこれはやらなきゃならぬ、こういうふうに思っておるわけでございます。これはこの前の石油危機を経験いたしまして、石油が不足いたしますといろいろな意味で国民経済に対して影響を与えるわけでございまして、一部には洗剤とか、あるいはトイレットペーパーのようなパニック状態が起こったわけです。  幸いにいたしまして前回の石油危機におきましては、十二月に日本も友好国ということになりましてこれが解除されていったわけでございますが、あれがもし当初OPEC諸国が宣言いたしましたように、十二月以降もさらに五%ずつ毎月削減率をふやすということでありましたら、これは日本国内においては非常に国民に生活の不安というものを与えますとともに、一部には相当な混乱も起きたんではないかということを、私ども経験といたしましてひしひしと感じたわけでございます。  そういう意味で、やはり日本が少なくとも九十日備蓄を持ちまして、そういうような削減があった場合にも、直ちに政府が、それに対して国民が安心できるような対策を打てるというためには、九十日というものをぜひともやらなければならないということで、私自身は、この五年間で九十日備蓄を達成するのはむしろ時期がかかり過ぎているというふうに個人的には思っております。ただ資金量の問題、それからいろいろ保安対策、その他の問題について十分な対策を立てて措置をしなければなりませんので、それらを考え合わせましてやはり五年間でこれを持っていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  81. 小柳勇

    ○小柳勇君 五年間で、金額ですね、土地代とかタンクの建造とか、概算一体どのくらい要ると予想していますか。
  82. 増田実

    政府委員(増田実君) これは五年後の一日当たりの計算が現在まだできておりませんので、従来よりはその数が昭和四十九年、五十年度の経済の落ちで若干減るんではないかと思いますが、それに基づいて最近試算いたしましたものを申し上げますと、九十日に持っていきますための総所要資金は一兆二千八百億円になります。この中の約半分を占めます六千六百億円が原油の代金でございます。ですからそれを除きまして、大体三千七、八百億円というものがいわゆる施設、タンクの建設費でございます。それからまた、用地の取得費が二千五百億円ぐらいということになりますが、用地の中には、先ほど申し上げましたようにもうすでに取得している用地もございますので、総所要資金といたしましてはやはり一兆二千億あるいは若干切れるんじゃないか、こういう試算になっております。
  83. 小柳勇

    ○小柳勇君 それだけの金をかけましても、土地を入手することなどを簡単に、五年間にそれだけ必要な土地の購入ができると予想しておられますか。
  84. 増田実

    政府委員(増田実君) 土地を購入いたしますに当たりましては、やはりその地域方々の御理解それから御納得を得なければ、私は土地は取得できないというふうに思っております。その意味で、今後ダンクを建設するに当たりましての用地取得については、備蓄がいかに必要かということをその付近の方々に十分御理解を得ますとともに、また、タンクにつきまして先般、水島事故その他のような不幸な事故がございましたのですが、これらについてのつまり保安防災体制というものを十分にいたしまして、ああいう事故が絶対に起こらないようないろいろな万全の措置をいたしまして、その上でタンクの用地の取得をいたすべきだ、こういうふうに考えております。そういう意味で、いろいろの今後いたさなければならない点が残っておるわけでございますが、そういうものをやり遂げて、地域方々にも十分の理解、納得の上でその用地の取得をいたしたいというふうに考えております。
  85. 小柳勇

    ○小柳勇君 用地の問題もなかなか簡単でないと思います。それからタンクの建造につきましても、いままでの水島事故以来、石油タンクに対しましては国民全部が不安なんですね。もうタンクを見ますというと半分以上傾いておるんじゃないか、いつ災害が発生するかと。そういう危険がありまして、土地を購入してタンクを建造する、そのことに対する国民の不安といいましょうか、非協力といいましょうか、私は想像以上じゃないかと思うのです。そこで、それについてはまたこれは別の法案が出来ますから、そのときに論議をいたします。  いまそれを賛成とは言いませんが、私が申し上げたいのは、あの石油ショックのときでも、備蓄量六十日が根本的に問題じゃなかったんですね。後から考えますというと二十日間ぐらいに下がったけれども、実は海上にあるタンカーにもあった。言うならば、石油の量は余り減ったんじゃないんだ。ただ政治的な配慮、あるいは中近東に戦争が起こるかもしれません、そういうことによって向こうの方から来ないことの方が問題でしょう。タンクの量よりもむしろ産油国供給してくれるかどうかということの方が問題じゃないか。それなら五年間に一兆二、三千億の金を予想して備蓄の方に、もちろんそれは六十日よりも九十日がいいにきまっています。ただ、あと三十日を緊急に対してというその国民に対するPRは私は当たらぬと思うんですよ。六十日が九十日になったからこれはもう安心でございますと、そうは私は説明はつかないと思うんですよ。六十日よりも九十日がいいにきまっていますけれども、それにはいま言ったように莫大な費用と、国民を説得するには大変なそれはもう日にちを要するでしょうに。  だから、それはそれとしてまた別に論議しますけれども、それによりもっと私は、一番冒頭から質問いたしておるように、まず自家発電を、自主開発にもっと金をかけてやらなきゃならんのではないか。これには日本技術陣六百人しかいないならば、これを千人にし、二千人にして早急に技術陣をひとつうんと増員する。それから効率的に探鉱できるように、生産できるように四十数社あるならこれを十社ぐらいにまとめたらどうか、あるいは五社ぐらいにまとめて全精力をそこに傾注していったらどうかと、これも考えなければならぬでしょう。この投融資計画に対しましてはそれはもう基準がありまして、間違いないと思う。国民の貴重な財産ですから間違いあってはなりませんよ。ただ、二百数十億投融資したところと数億しか投融資してない会社がありますよね。それで競争さしている。自由競争、野放しの競争をさしています。それで石油が出たらこれは本人たちももうかるし、国民のための石油ですとおっしゃるけれども、もう少し国会も政府石油開発公団も、この石油自給体制については、いまこそ本気で取り組んで国民に安心してもらわなければならぬのではないかと思うわけです。  それには金をもっと有効に使う。だから、石油開発公団の方か備蓄の方に一千数百億のまず予想があるならば、この石油開発公団の改善によって、一千億しかいま予算組んでありませんが、これを二千億にしたらどうかあるいは三千億にしたらどうか。そしてあの石油開発公団の総裁が言っておられたように、金が少ないからできませんでしたよとおっしゃるから、それでは幾らあったらできるかと、そういうことを論議するのが国会じゃないかと思う。だから、いろいろわけはありましょうけれども、いまのこの問題はやはり石油日本みずからがもっと開発をして、そして産油国から振り回されないような体制、及びメジャーから押えつけられぬような体制ですね、だから生産段階では産油国に対して発言があるように、あるいは消費の段階ではメジャーから余りみっともないような押えられ方をしないように、そういう方向に金と知恵を使うべきじゃないかと思うわけでしょう。それにしてはちょっと中途半端な法律改正ではないかと思うんです。そういう点に対する大臣の御見解はいかがでしょうか、大臣から見解を聞いて、あと長官の見解を聞きたいですがね。
  86. 河本敏夫

    ○国務大臣(河本敏夫君) いま石油の事情が若干好転をいたしておりますので、私は、こういうときにこそ日本石油政策というものを抜本的にしっかりした方向に持っていくべきである、かように考えております。ただ、現在の石油開発公団の能力からいたしますならば、残念ながらこの資金等の消化能力にもおのずから限度があるように思います。先ほども申し上げましたように、技術の面であるとかあるいはまた経験の面、あるいはまた外交的な交渉力の面、いろいろそういう能力からするこの資金の限度というものがあると思うわけでございます。こういうことじゃいけませんので、やはり、思い切った仕事ができるような体制を公団自身つくり上げていくということがどうしても必要でございますので、今後ともそういう方向にどんな大きな仕事でもできる、こういう方向に公団を育成強化していく。  同時に、あわせまして、やはり先ほども御指摘がございましたように、メジャーあるいはまた産油国に振り回されないように、やっぱり自主的な力というものを確保することが必要である、こういうお話がございましたが、これには残念ながら日本の場合といたしましては、やはり備蓄をとにかく強化するということが一つの大きな力だと思いますし、それから大陸だなの開発、これも一つの大きな力だと思います。大陸だなの開発は若干時間もかかるわけでございますから、いま長官も言っておりましたが、備蓄をできるだけ早く実現をする、こういうふうにすることがとりあえず大きな力である。あわせて、先ほど来申し上げておりますような、石油開発公団の能力の充実であるとか、いろいろな方策をあわせてやっていきたい、かように考えておる次第でございます。
  87. 小柳勇

    ○小柳勇君 ちょっと長官の答弁の前に、結論的な質問でございますので。けさの杉本参考人の最後につけ加えてあります御意見、これは非常に大事だと思いますから、これに対する政府の見解を聞いておきたいんです。  石油資源開発事業の特性として、イは、「開発事業につき相手国が協力を求めてきた場合、直ちにこれに対応し得る当方の準備が必要。」、ロとして、「不断の努力の成果が今後にあらわれてくる。これがためには民間、政府及び政府関係機関等一体となってこれに対応し得る態勢が必要。ハ、技術者の養成 石油資源開発事業の成否は企業の保有する技術者の質と数、すなわち「技術水準」に負うところが大きい。ついては、大学教育関連講座の充実、企業内中堅技術者の育成ないし資質の向上策等につき特段の配慮が必要。」である、それで民間企業と国との支援態勢が密接でなければならぬと、こう結論として陳述されました。これに対しましても長官の考えを聞いておきたいんです。
  88. 増田実

    政府委員(増田実君) けさの杉本さんからありましたこの三点、私もそのとおりだと思っております。先ほども小柳先生から特に技術の問題について御指摘があったわけでございますが、確かに石油開発を今後行いますためには、技術一つの勝負を決める最も重要なファクターでもあるわけでございます。その意味で技術者のいわゆる海外開発への再教育と、これは現在国内石油開発に当たっております方々全部含めて、先ほど申し上げましたように六百人ということでございますが、これらの方々の中にはまた、海外開発に向いている方と向いていない方がおられるわけでございますが、この海外開発ができるような再教育ということで、現在石油開発公団を中心といたしまして海外の具体的なプロジェクトにこの技術者を派遣いたしまして、そこで見学、研修をしていただくということを現在考えております。  それから、もう一つ先生から御指摘のありました、技術者をどこかへプールして、そしてそれが必要なところへ常時出て行く。もう四十社がみんな限られた技術者を抱え込まないで、これが必要なところに適時持っていけるような技術者のプール制、あるいはその配分につきましての何らかしらの措置というものにつきましては、これも石油開発公団を中心といたしまして、現在一応その努力は行っておるわけでございます。そういう意味で、たとえば石油資源開発におられる技術者をいろいろなプロジェクトの方に出向してもらうということでお世話もしております。また、石油資源開発あるいは帝国石油技術者のほかのプロジェクトヘの派遣について、それぞれの会社が相当協力をしていただいておるわけでございます。これにつきましても、私ども資源エネルギー庁からもそのもとの会社にいろいろお願いをして、そして各プロジェクトについての技術の補強というものをやっておりますが、これをさらに推進していかなければならないというふうに思っております。  それから、先生からお話しありました今後の石油開発の自主開発の重要性から、さらにこの技術の面の向上とともに資金力というものを拡充すべきだということで、私どももこの資金というものは、技術と並びまして非常に重要なファクターでございます。そういう意味で、資金の拡充というものに全力を傾けたいと思っております。現実に昭和四十八年度におきます石油開発公団探鉱投融資の実際実績が二百八十億でございまして、これに対しまして昭和五十年度の探鉱投融資規模といたしましては、皆様方の御応援によりまして千億、約四倍になったわけでございますが、またこれをさらに自主開発を推進するために拡充していきたい、こういうふうに考えております。
  89. 小柳勇

    ○小柳勇君 与えられた時間が参りましたから質問はもう少しありますけれどもこれで終わりますが、最後に希望意見でございます。これはもう専門家ですからおわかりでありますけれども、この機会でありますから言わしていただいて、記録に残しておかしてもらいたい。  それは、食糧自給体制が急速にいま国民の求むるところとなりまして、関係議員なり農林省が必死でこれからの自給体制についてのがんばりを示しています。それから交通体系につきましても、運輸省その他で国民の交通を完全にスムースにいくようにということでやっている。いまエネルギー問題について、けさ向坂さんもいろいろお話しになりましたけれども、原子力につきましてはまたやっぱり危険——不安てすね。これから十年か十五年ぐらいかかりましょう。そうしますとどうしても石油が主力エネルギー。だからこういう石油開発公団改正のこの時期にこそ、石油需給体制、国民が安心して、エネルギーについてはもう心配ないという体制を、通産省なり石油公団なり関係議員ががんばって予算をとり、施設を拡充し、機構を整備すべきだと思うわけですよ。それについては余りにもお粗末なこの公団法改正ではないかと思うわけです。  だから、そのかわりに備蓄法を出しましたと大臣はおっしゃるかもしれません。しかし私は、備蓄法案よりもっと根本的に、石油の問題については石油開発公団が一貫してやります、探鉱から生産から消費の面まで、精製までやります、ただ人手が足らぬから、後は会社の方にはお任せしますが、というようなぐらいのことを石油開発公団がやるべきであろう。それが公社ではないかと思うわけですね、国鉄の公社とか電電公社とか。重要な国民のこのエネルギーの問題については公社がその大半の責任を持ちます、そして、それを通産省が指導しながら国民石油エネルギーを保証する、そういう体制をつくるべきである。だから、一兆数千億の備蓄の法案をつくる前に、もっと石油開発公団の方に金をうんとぶち込むべきであった。  先般、新潟のあの開発の現地に参りまして、技術者の皆さんは異口同音に、若い諸君も言うわけです、「先生、金がないですからね。」と言うわけですね。わずかの金で本当に懸命に現地の諸君は研究して、石油を出すために努力してるでしょう。だから、金がありさえすりゃあと言われるならば、やっぱりこの際にこそ、こういう法律改正のときにこそ、一千億と言わぬで、二千億、三千億出す努力を議員全部でやるべきではないか、そう思うわけてすから、もうきょうこれで——数日うちにこの法案の審議は終わりましょうが、後また備蓄法も参りますから、通産省も、特にエネルギー庁の方がそういう方向に沿ってもう一遍ひとつ検討してもらいたいと思うわけです。  以上、本当に粗末なことですけれども、皆さんもおわかりの上のことでありましょうけれども、質問を終わるに当たりまして意見を述べ、もし御意見でもあれば大臣から見解を聞いて、私の質問を終わろうと思うんです。  以上です。
  90. 河本敏夫

    ○国務大臣(河本敏夫君) この機会に強力な石油政策を進めるようにというお話がございましたが、私たちも全くその点は賛成でございますので、お話のような線に沿いまして、なお省内におきましてもいろいろ相談をいたしまして善処をしていきたいと思います。
  91. 林田悠紀夫

    委員長林田悠紀夫君) 他に御発言もなければ、本案に対する本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後三時四十五分散