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説明員(森幸男君) ただいまの先生の御
質問に
お答え申し上げます。
わが国の
医薬品産業の
研究開発の
水準というものが現在どういうふうになっておるかということでございますが、これは従来、
わが国の
医薬品産業というのは、
外国の
技術によりまして
開発された
医薬品に依存する傾向というものが比較的強いというふうに言われてきたわけでございますが、近年
わが国の
研究開発水準というのは急速に高まってきていると私ども考えております。この
研究開発の
水準というものを一体どういうふうに見るべきかというその見方がいろいろあるかと思いますが、たとえばこれを
研究費にどのくらい、
研究開発費にどのくらいの費用を投じているかという面から見てみますと、
医薬品工業の場合には、これは総理府統計局で行っております
科学技術研究調査報告というのがございますが、その結果で見ますと、四十三年度を一〇〇といたしまして四十七年度に二五九・〇と、かなり著しい伸びを示しておるということが言えるわけでございますし、また、売上高に対する比率というもので見ましても、四十三年度ごろは三・三%程度であったものが、四十七年度には四・六%にまで上昇しております。この四・六%という
数字は、化学工業と比べましても、また製造業
一般と比べましてもかなり高い
水準にございまして、業種別に見ますと、これは最高の
水準になっておるということになってございます。
これは
研究費にどれだけ投じたかという面から見たわけでございますが、それでは実際にその
研究成果の面でどうかということでまた反面見てみる必要があるかと思います。これにつきましても、またなかなか適当な資料が実はないのでございますが、私どもの方でこういう
数字をちょっと当たってみたわけでございます。
わが国では、これは
医薬品の場合には、新たな
医薬品を製造するという際には
厚生省の承認を必要としております。その製造承認をとる、あるいは海外から入れてくる場合には
輸入承認というのを受けることになっておりますが、そういう
輸入承認を受けました新規の
医薬品の中で国産
技術によるものが一体どのくらいの比率を占めているであろうかということを調べてみたわけでございますが、これは時間の制約等もございまして、四十四、五年ごろ以降しか
数字がございませんが、四十四、五年ごろを見ますと、大体三〇%程度であったかと思います。これが四十八年、四十九年になりますと四三%、四八%ということで、こういう
数字から見ますと、かなり
水準が高くなってきているということは言えるかと思います。これは
一般的な
状況をいままず申し上げたわけでございます。
先生が御指摘のございました二番目の点で、
医薬品産業と言っても大きいものもあれば小さいもの、中小
企業もいろいろあるではないかという御指摘でございましたけれども、この
物質特許制度につきまして、これを導入することがそれでは
医薬品産業、特に小中
企業にどういう影響を及ぼすかということで考えてみますと、この
物質特許制度は、製法
特許の
段階と比べますと、
一般的に言いますと、それは
研究開発力の乏しい
企業にとりましてはいろいろな影響が生ずるということは避けられないわけでございますが、全体として言えますことは、中小
企業だからと言って直ちに不利な影響が出てくるということはないんじゃないんだろうかというふうに考えております。
その
理由は、中小
企業の場合には、
研究開発の
分野というものを特定のものに限定して
研究を行っているというものがいろいろございます。したがって、大
企業の場合には
研究の
分野が非常に広いわけですが、中小
企業の場合には特定の
分野ではございますが、そういう独自の専門的な領域におきまして集中的な
研究開発をやっておるということで、そういう特定の
分野につきましては、いろいろ
研究開発の
効果というものを期待することもできるんではないのか。また、そういう
研究開発の
成果が製法
特許の場合ではいろいろ、まあ防衛
研究といいますか、
自分の
開発した製法が他に取られることのないような防衛
研究に力を注がにゃいかぬということもあったわけですが、それが今度の
物質特許制度になりますと、そういう面にかける
研究の余力というものが不要になってまいりますので、そういう
意味からいたしますと、中小
企業の場合でも、独自の専門的な領域で新たに物質を見つけ出していくというようなことになれば、その
分野での成長発展という面で今後必ずしも不利なことにはならないんではないだろうかという気がしているわけでございます。
まあそういうことで、私ども
厚生省といたしましては、この
物質特許の導入というものを契機といたしまして、今後
医薬品産業の
研究開発の
水準というのをこれからさらに強めていくように努力をしていきたいというふうに考えております。