○塚田大願君 私はきょうは豪雪対策の問題で質問したいと思うわけであります。ところが見渡しますと大臣の姿が見えないので、いささかこれは遺憾に思うのですが、私、
災害対策長くやっておりますけれ
ども、大臣の出席しない
委員会というのはきょう初めてですな。大変これは遺憾なことだと思います。やはりこの
災害の問題というのは、非常に
災害列島と言われるほどの日本でありますから、政府としても特に重視していただかなければならないと私は考えます。しかし、とりあえずまあこういう
状態でありますから、私も質問いたしますが、実は雪の問題をいまごろ質問するのはちょっと間が抜けているんじゃないかというお考えの方もあるかもしれませんけれ
ども、実はそうじゃないんです。ついこの間私この豪雪地帯、新潟県の松之山地区を回ってきました。五月になってなおかつ二メートルから三メートルの雪と闘っている。苗代一つつくるにもその雪を除雪しなければ苗代ができない、こういう事態でございまして、時期的にも決して時期外れの問題ではないと考えて、あえて質問申し上げる次第であります。
しかも今回、実はこの新潟県の各地から請願もございまして、この雪の問題で請願がございました。この請願は豪雪出かせぎ地帯における冬期保安要員制度の創設を要請する請願書、こういう表題でございますので、特にきょうはこの請願とも関連をいたしまして御質問申し上げるわけであります。
実は昨年もう大変な豪雪でございました。四十九年、これはもう十年ぶりの豪雪というので、この
災害対策
委員会でも、
委員会の
調査派遣が行われました。私もそのとき参加をいたしました。そうしてこの
委員会でも、私は二回にわたりましてこの雪の問題で質問をいたしました。ここに会議録も残っておりますが、当時はこの担当が経済企画庁でありましたか、
災害の方はね、そういうことでありますが、今度は
国土庁が担当されていると、こういうことに変わりましたけれ
ども、問題は別に変わっているわけではございません。そこで、ことしはじゃあ昨年ほどではなかったのではないかというふうな見方もあったようでありますが、実際は私今度視察してみますと、ほとんど昨年と大して変わらないのです。もちろん地域によりますけれ
ども、この頸城の松之山の周辺というのはほとんど変わりがない、雪の量から言いましても。たとえばこの松之山では、昨年役場の近くで調べた
数字は、昨年が四・九メートルであった。これは十年ぶりの豪雪だと言われたんですが、ことしは四・八メートルあるんですね、ほとんど変わりがない、こういう実態でございました。決して昨年に比べて少ないというふうな実情ではございません。これはしかし、なかなか雪国の方でないとぴんとこないと思うんですが、私写真撮ってまいりました。これは五月二日、メーデーの後の、翌日の写真でありますが、なおかつこんなに雪があるということでございました。これは後でひとつずっと回覧していただきたいと思うんですけれ
ども、ところによりますと、五メートルぐらいまだ積もっているところもあると、こういう実態でございます。
私、昨年の質問のときにも、あえて徳川の末期に出版されました「北越雪譜」というこの本を引用いたしまして、雪国での難儀というものがどんなものであるかという
説明もあえてしたわけでございますけれ
ども、まあこういうことは別といたしましても、とにかく雪おろしのための被害というものは、非常に毎年毎年繰り返されておるわけであります。昨年もこの松之山町では屋根の雪おろしで二人の方が生命を落とした。ことしはどのくらい、どんな被害があったかと、行って聞いてみましたら、一月十四日、下川手部落というところで出かせぎ後の留守を守っておられました七十一歳の老人が四メートル雪の下で世を去られた、だれもみとる者もなかったと、こういうことですね。
それからこの写真にもございますけれ
ども、私行って驚いたのは、やはり大きな家が点々として雪でつぶされて倒れている、倒壊をしている。もちろん人身の被害はなかったわけでありますけれ
ども、どっちかというと、出かせぎの留守のお家が雪おろししないためにつぶれている。こういうことでございますが、とにかくその被害というものは本当に黙視できない
状態が、今日でもなお続いているわけであります。そういう
意味で私改めて、あえてまた質問を申し上げるわけでありますけれ
ども、先ほど示しましたこの請願、出かせぎ地域の冬期保安要員制度の創設、この保安要員制度というものがどんなにこう重みを持っているかということは、これはやはり現地の方が一番よくわかっていると思うんです。ですから、こうして請願も出てきているんです。これは請願のうちの一つでありますけれ
ども、この松之山の請願は、町長、町会議長、それから町会議員さん全部が署名されておりまして、約二千の署名が集まっております。有権者約四千人の町でありますから、まあ二千人の方々がまず率先して署名をされている。これからもどんどん出てくるだろうと思うんですが、この例を一つとりましても、この地域の方々の保安要員制度に対する要望というものがどんなに強いかということがわかると思うわけであります。
請願の
内容についていま詳しく一々御
説明申し上げるわけにいきませんけれ
ども、要するにこういう出かせぎ地域というのは、大体冬の季節には孤立をするわけであります。ほとんど部落と部落の交通もとだえるという
状態でありまして、したがって、各部落ごとに何人かの冬期の保安要員を置く、それに対して県なり市町村なりが出かせぎに見合った給与を補償する。そしてその要員を確保する、こういう制度なんですね。この制度は昨年新潟県議会でも問題になりまして、論議されまして、これは非常に画期的だということで、県としてもこういう制度をひとつ採用して、ことしから、五十年度から予算も組んでひとつやってみようと、こういうところまできているわけです。私はまあとにかく一つの画期的な前進だろうというふうに考えているわけでございます。
そこで、県としては国に対しても何らかひとつ援助してもらいたい、こういう要請が県からも出ているはずでございます。
〔
委員長退席、理事上田稔君着席〕
これは、昨年の六月行われました第二十三回豪雪地帯対策審議会、この審議会でもこの問題が論議をされて、県の代表もこの点では要請をしておるという記録がはっきり出ておるわけであります。この際、こういう制度を国としてもひとつぜひつくってもらいたいと私は考えるわけです。
今度私、参りまして、各部落でいろいろ懇談をいたしてまいりましたけれ
ども、大荒戸という部落では大変たくさんの方々が集まられまして非常に熱心な要請が、陳情がございました。この松之山町の大荒戸という部落は、松之山でも老人自殺が一番高いという部落でございます。ところが、その松之山町自身が新潟県では老人自殺が一番高いと言われている地域でございますから、この部落の老人自殺というのは日本で最高だと見てもいいのではないかと思いますが、この部落での集会では、とにかく老人の方が涙ながらに、この制度ができれば私も死ぬまでここにおられるといって涙を流しながら陳情されました。私も大変胸を打たれたわけでございます。
概況を
説明いたしますとそんなところで、時間がございませんから、大体の見当はつけていただいたと思うのでお伺いするわけでありますが、まず最初に、
国土庁としては、担当の主務官庁として、こういう制度の創設、つまり
地元や県からの要請がございますが、これに対してどのようにお考えになっておるのか、まずその点をひとつお聞きしたいと思うんです。大臣に聞きたいところなんですが、大臣がいなければだれかかわりでも結構ですから、
国土庁としての見解を聞かしていただきたいと思うんです。